社会労働委員会 第16号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/05/21
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 この際、村山新厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣村山達雄君。
○村山国務大臣 このたび園田厚生大臣の後を受けまして、厚生大臣に就任いたしました村山達雄でございます。 国民生活全般にかかわり合う厚生行政を急遽担当することになりまして、責任の重大さを痛感している次第でございます。 申すまでもなく、厚生行政は老人、障害者など、社会的、経済的に弱い立場にある人々に温かい手を差し伸べ、活力ある福祉社会を建設する行政でございます。しかし、今後を展望いたしますと、わが国は諸外国に例を見ないテンポで高齢化社会に移行しつつありますし、また、厳しい財政条件のもとで長期的視点に立って来るべき社会に適応する社会保障制度を確立することが大きな課題となっておると思います。改めて責任の重大さを痛感する次第でございますが、委員各位の御鞭撻を得ながら国民の福祉の着実な向上を図ってまいりたいと考えております。何とぞ絶大なる御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、あいさつにかえさせていただきます。(拍手) ――――◇―――――
○山下委員長 参議院提出、社会保険労務士法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。参議院社会労働委員長片山甚市君。社会保険労務士法の一部を改正する法律案
○片山(甚)参議院議員 ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年におけるわが国の産業、社会事情の急速な変化に伴い国民の労働社会保険制度への関心は一層高まってきており、またその重要性は増しつつあります。 さらに、労働社会保険諸法令の整備充実に伴い、その内容も複雑かつ専門的なものとなっており、社会保険労務士の果たす役割りは、量的、質的に著しく拡大されております。 このような実情にかんがみ、昭和五十三年には、それまでの社会保険労務士制度の発展と実績を踏まえて、業務の拡大、充実、法定団体の設立等に関する規定の整備が行われたところであります。 また、その際、衆参両院の社会労働委員会において、できるだけ早い機会に、登録制度への移行措置を講ずる旨の決議がなされたところであります。 その後、全国にわたって法定団体が設立され、社会保険労務士の組織化が進展し、かつ、全国社会保険労務士会連合会の事務処理能力も著しく向上しております。 社会保険労務士制度の以上のような実情等を考慮すると、業務のより適正な運営に資するためには、懸案の諸点について、この際、制度を整備充実する必要があり、ここに本法律案を提出する次第であります。 以下、本案の内容の概要を申し上げます。 第一に、職責の明確化を図るため、社会保険労務士は、品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で誠実に業務を行わなければならないこととしております。 第二に、社会保険労務士会の会員である社会保険労務士は、すべての申請書等の提出に関する手続を行うことができることとするとともに、省令で定める申請書等で他人が作成したものにつき、これを審査した場合、その審査した事項等を書面に記載して申請書等に添付し、または申請書等に付記することができることとする等業務内容の充実を図ることとしております。 第三に、資格要件を整備し、社会保険労務士となるためには、社会保険労務士試験の合格に加えて、二年以上の実務経験を必要とすることとしております。 第四に、現行の免許制を登録制に改め、登録事務は全国社会保険労務士会連合会が行うこととし、所要の登録手続について規定することとしております。 なお、現在すでに免許を受けている者については、経過措置を講ずることとしております。 第五に、社会保険労務士会の会員でない者は、他人の求めに応じ、報酬を得て、申請書等の作成事務及び提出代行事務を業として行うことができないこととしております。 なお、この改正によって税理士、行政書士が法令の定めるところにより行ってきた既往の業務内容に何ら変更を加えるものではないのであります。 以上がこの法律案を提出する理由及びその内容の概要であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○山下委員長 これにて趣旨説明は終わりました。 ―――――――――――――
○山下委員長 本案に対しましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 社会保険労務士法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○山下委員長 この際、湯川宏君外六名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合七派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。湯川宏君。
○湯川委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 社会保険労務士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 社会保険労務士制度の現状にかんがみ、次の事項について改善を図るものとする。 一 労働社会保険関係事務の複雑化専門化に対応し、社会保険労務士の業務の充実を図るため、事務代理制度の実施について検討すること。 二 中小企業における労働及び社会保険に関する事務の改善を図るため、社会保険労務士を活用する方途について検討すること。 三 社会保険労務士制度と行政書士制度との関係については、過去の経緯、実績を踏まえ、両者の業務の円滑な運営が可能になるよう、法改正を含めてできるだけ早い機会にその解決を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○山下委員長 以上で趣旨説明は終わりました。 採決いたします。 湯川宏君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付すことに決しました。 ―――――――――――――
○山下委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○山下委員長 この際、厚生大臣及び労働政務次官からそれぞれ発言を求められております。順次これを許します。村山厚生大臣。
○村山国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、厚生省としてはその趣旨を尊重し、今後とも社会保険労務士制度の一層の適正な運営に努めてまいる所存でございます。
○山下委員長 次に、深谷労働政務次官。
○深谷政府委員 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、労働省としてはその趣旨を尊重し、今後とも社会保険労務士制度の一層の適正な運営に努めてまいる所存であります。 ――――◇―――――
○田口委員 議事進行に関する動議を提出いたします。 先般来、政府提出及び野党六党提出に係る原爆関係二法の審査を進めてきたのでありますが、両案に対する質疑も事実上終結したと考えられます。 つきましては、両案の議事を進めるに当たり、内閣提出案に先立ち、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合の六党共同提出に係る原子爆弾被爆者等援護法案を議題とし、その審査を進められんことを望みます。
○山下委員長 田口一男君の動議を採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立少数。よって、本動議は否決いたしました。 ――――◇―――――
○山下委員長 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 他に質疑の申し出がありませんので、本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○山下委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
○今井委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。 原爆被爆者対策につきましては、従来から原爆医療法及び原爆特別措置法に基づき各種の施策が講じられてきたところでありますが、今回の法律改正案は、昨年十二月の原爆被爆者対策基本問題懇談会報告を受けて提出されたものであります。しかも、中身のある改正と評価できるものであります。 その理由として、第一に、今後の対策は、画一に流れることを避け、その必要性を確かめ、障害の実態に即した適切妥当な対策を重点的に実施するよう努めるべきであるという基本懇の意見を取り入れて、原爆による放射線障害につき直接苦しんでいる方々につき特別の配慮を行い、医療特別手当、原子爆弾小頭症手当を創設するとともに、これらの所得制限を撤廃したことであります。このことは、今後の被爆者対策の方向を示唆するものとして高く評価できるものと考えます。 わが党といたしましては、今後とも基本懇の意見に沿って、被害の実態に即応する適切妥当な原爆被爆者対策が講ぜられることを切に希望するものであります。 第二に、ケロイドなどの障害を有する被爆者及び七十歳以上の単身居宅の被爆者のために、保健手当を倍額としたことであります。このことば、必要の原則に即しつつ公平の原則にも適合するきめ細かな対策として評価できるものであります。 第三に、財政難にもかかわらず、健康管理手当を一律に月額一千五百円引き上げることとしているほか、各種手当の額についても相当の引き上げを行うこととしている点であります。このことは原爆被爆者対策の特殊性に着目した政治的配慮として肯定できるものであります。 以上述べましたように、今回の改正案は、被爆者の福祉の向上を図る上においてまことに適切妥当なものでありまして、わが党といたしましては、この原案に賛意を表するものであります。 これをもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
○山下委員長 川本敏美君。
○川本委員 ただいま議題となりました内閣提出に係る原子爆弾被爆者に対する特別措置法の一部改正案並びに日本社会党など野党六党の提案に係る原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党を代表し、意見を申し述べ討論いたしたいと存じます。 これら二つの法案は、いずれも過ぐる大戦の最終的な段階、すなわち昭和二十年八月、広島、長崎においてアメリカ軍によって投下された人類史上最初の原子爆弾による被爆者の対策に関する法律案でありますが、その立法の基本的な理念については大きな隔たりがあります。 日本社会党など全野党の提案する被爆者援護法案は、原子爆弾という兵器は国際法上禁止されたものであって、国際法違反の犯罪行為であり、たとえサンフランシスコ平和条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者に対しては国家補償の精神に基づき、医療の給付、一般疾病医療費、被爆者年金または特別給付金の支給等、必要な措置を講じようとするものでありますが、これらの措置は政府としても行うことはきわめて当然の責務であると言わねばなりません。またこれは人類史上初めて唯一の被爆国である日本が、世界の平和を守るためにも、地球上に二度と原爆を許さないためにも、当然果たすべきものと言わねばなりません。また被爆者やその遺族の悲惨な現状とその心情を思うとき、これまた当然のことであって、まことに遅きに失する措置と言わねばなりません。 しかるに政府・自民党は、これらの国家責任を放棄し、この原子爆弾被爆者援護法案を政府案よりも先に採決すべしとする私たちのただいまの動議を多数の暴力で否決したことは許すことはできません。このことは、広島、長崎の被爆者や遺族はもちろんのこと、世界人類の平和への願いをも踏みにじる冷酷な自民党の政治姿勢を正当化しようという欺瞞的な態度と言わねばなりません。 なぜ、この援護法を先に採決することができないのか。なぜ、自民党がこれを先に採決することがこわいのか。それは正義に反する行為であることをみずから認めているからでありまして、このような政治姿勢は国民の名において糾弾されなければなりません。(拍手) さらに政府・与党のかくのごとき態度は、いま大きな政治課題となっています、ライシャワー発言を初めとするわが国の非核三原則との関連を見逃すととはできません。 アメリカのわが国への核兵器の持ち込みに対して言を左右にしてあいまいな姿勢をとり続ける鈴木内閣に対する国民の不安と不信は急速に高まりつつあるわけでありまして、自民党に対する国民の信頼もまた大きく低下させるものであることを指摘し、強く反省を求めるところであります。(拍手) しかしながら、この両法案の審議の過程で園田厚生大臣は、原爆被爆者に対する国家の戦争責任や国家補償の基本理念についても、従来政府のとり続けた態度を大きく前進させ、所得制限の撤廃、特別給付金や弔慰金の支給等について前向きの発言をされているわけでありまして、これは大臣がかわられましても、その継続性において厚生省の責任であることには変わりない。そういう意味においてこれは評価できると存ずるわけであります。 内閣提出の特別措置法の一部改正案そのものは、基本理念においてもその他の内容においてもきわめて不十分なものであって、被爆者を初めその二世、三世等平和運動に携わる方々の多年の希望を踏みにじるものでありますが、小頭症手当の新設や医療特別手当の創設とその所得制限の撤廃等、私たちの年来主張する基本理念に沿った改善部分も評価できると存じますので、政府提出に係る原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部改正案に対しましては、これを次善の策として賛成することを申し添えまして、討論といたします。 以上。(拍手)
○山下委員長 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 私は、公明党・国民会議を代表して、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手) 国の戦争による被害としては、原子爆弾がもたらした惨害はその規模と悲惨さにおいてわが国においては初めての体験であり、人類史上にも他に例を見ないものであり、日本国民にとりまして、いかに歳月を経ようとも永遠に忘れ得ぬところであります。 わが党は、年来、被爆者の救済、補償のあり方について、被爆者のこうむった被害の実態に即応した対応が必要であり、また被爆の特殊性から、その援護施策の強化のためには国家補償による特別な立法措置を講ずべきであることを強く主張してまいりました。遺憾ながら援護法の実現はいまだ見ておりませんが、政府の被爆者対策においてはその内容において逐年改善が行われてきており、今回の当該法案においても、従来からの各種手当額の増額に加え、新たに医療特別手当、原爆小頭症手当の創設があるなど、施策改善への努力がうかがわれ、評価しているところであります。 しかし、さらに言えば、当該法案において国家補償の理念の明記、四%の所得制限の撤廃等が強く望まれるところであります。しかしながら、この点につきましては、政府に対し、被爆の特殊性を勘案し、さらに改善への努力を要請し、今後の課題としたいと思うものであります。 したがって、当該法案はいまだ十全なものとは認めがたいものがありますが、改善部分も少なくなく、被爆者対策の一層の強化改善が行われるということの上で賛成の意を表し、討論を終わります。(拍手)
○山下委員長 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私は、民社党・国民連合を代表して、政府提案の原子爆弾被爆者に対する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、われわれの所論を述べ、賛成の討論を行うものであります。 わが党は、結党以来、被爆者対策の緊急性にかんがみ、国家補償の精神に基づいた総合的な被爆者保障制度の確立を図るため、原子爆弾被爆者等援護法案を策定し、その実現を目指して、他野党と共同し、数度にわたり援護法案を国会に提出してきたのであります。しかしながら、自民党政府は現行原爆二法をもって被爆者対策は万全と称し、国家補償の精神に基づく援護法の制定をかたくなに拒否してきたのであります。こうした自民党政府の政治姿勢は、被爆者の悲願を全く理解していないと断ぜざるを得ません。 被爆者は、被爆後三十六年、耐えがたきを耐え、その間に数多くのとうとい生命を失い、また高齢化が進む中で、援護法を見ぬうちは死んでも死に切れないという切実な要求を掲げて、援護法制定を目指す闘いを推進しておられます。 われわれは、この被爆者の悲願を実現するため今後も全力を投入する決意でありますが、しかし、このわれわれの基本路線を貫く方針をとりつつも、今回の政府提案については、特別手当、健康管理手当、保健手当、医療手当、介護手当並びに葬祭料の増額が図られ、また被爆者のニーズがきわめて高かった原子爆弾小頭症手当の新設が行われるなどの改善がなされており、一歩前進したと評価することにやぶさかではありません。したがって、政府は、今後被爆者対策の推進に当たって、これら手当の増額、所得制限の撤廃を図るとともに、被爆者の相談業務の充実、医療施設の整備、家庭奉仕員制度の拡充、さらに被爆による各種影響に関する調査研究などの施策を積極的に拡充すべきであります。 同時に、政府は、昨年末答申されました原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見書に対して被爆者団体が激しい憤りを持って抗議をし、援護法の早期制定を目指して運動を展開している現状を厳粛に受けとめ、全野党共同提案である原子爆弾被爆者等援護法案を次期通常国会では政府提案として国会に提案できるくらいの積極的な姿勢で被爆者対策に取り組むべきでありましょう。被爆者援護法の制定こそは、わが国が世界に対し平和主義を表明するそのあかしであることを忘れてはならないと考えるものであります。 全被爆者の悲願は、国家補償に基づく被爆者援護法の制定と、再び被爆者をつくらないという平和の保障であることを重ねて強調し、私の討論を終わります。(拍手)
○山下委員長 浦井洋君。
○浦井委員 私は、日本共産党を代表して、まず、ただいま議題となっております原爆被爆者に対する特別措置法の一部改正案に対し、賛成の討論を行います。 本改正案は、以前から要求されてきた原爆小頭症手当を創設しております。また医療特別手当の創設は現行の特別手当と医療手当を合併したにすぎませんが、これまで両手当にかけられていた所得制限を外した点は改善であります。健康管理手当など手当額の引き上げは、老齢福祉年金の引き上げの横並びで当然の改正であります。 以上の改正は現行法の一定の改善であり、わずかではありますが現在よりよくなるものでありますから、わが党は本改正案に賛成をするものであります。 しかしながら、本改正案は、改善とは言え、それはほんの手直し程度のものにすぎず、被爆者や広範な国民が望んでおる内容とは遠くかけ離れたものであり、被爆者と国民の願いを実現するためには、国家補償の立場に立った被爆者援護法の制定こそが必要であり、援護法の制定が今日緊急の課題となっていることをこの際強調しないわけにはまいりません。 被爆者援護法が必要とされるのは、第一に、広島、長崎に対するアメリカの原爆投下が明らかに国際法に違反をし、賠償責任があるのでありますが、日本政府が対米請求権を放棄したのでありますから、日本政府がアメリカにかわって被爆者に補償しなければならないからであります。 第二には、無謀な太平洋戦争を開始、遂行した責任が日本政府にあり、原爆被災がまぎれもなくこの侵略戦争に起因していることは政府も認めざるを得ないところであります。さすれば、被爆者に対し国家補償を行う責務が日本政府にあることは理の当然であります。 第三は、原爆医療法が制定されるまでの戦後の最も困難な時期に、政府は被爆者を全く放置し、犠牲と苦しみを増大させたことであります。救える命を救わなかった事実に対し、政府は被爆者と遺族に対し率直にわび、その償いとして被爆者援護法を制定し、遺族に弔慰金と遺族年金を支給し、死没者の霊を慰めるべきであります。 そして最後に、法制定によって再び原爆の惨禍を繰り返させないあかしにしようとする被爆者の願いは、ライシャワー証言によってこれまで核兵器を積んだ米空母や巡洋艦が自由に日本に寄港していた事実が明らかにされた今日の状況の中で、すぐれて重要な意味を持っていることを強調したいのであります。 被爆者援護法は、野党六党が共同して提案をし、その法案の性格と内容は、先ほど先議動議を否決した自民党といえども、これを正面から否決することはできないものであります。戦後すでに三十六年を経て、多くの被爆者は高齢化しています。年老いた被爆者の生活と健康を守るためにも、また唯一の被爆国である日本が真に非核三原則を厳守する決意を内外に表明するためにも、被爆者援護法をいまほど制定しなければならないときはありません。 政府・自民党がこうしたことを真剣に考え、被爆者援護法の制定をここで決意するよう強く要求して、私の討論を終わります。
○山下委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○山下委員長 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○山下委員長 この際、今井男君外六名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合七派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。森井忠良君。
○森井委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 国家補償の精神に基づく原子爆弾被爆者等援護法の制定を求める声は、一層高まってきた。また、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見書も、被爆者の援護対策は、広い意味での国家補償の精神で行うべきであるとの立場をとつている。 政府は、原爆被害者が高齢化し、事態は緊急を要するものであるという認識に立ち、可及的速やかに現行法を検討して、これらの要望にこたえるとともに、次の諸点についてその実現に努めるべきである。 一 医療特別手当については、所得制限が撤廃されたが、他の諸手当についても、被爆者の障害の実態に即して改善すること。 二 被爆者について、死没者調査が行われていないのは遺憾であるので、これを行うこと。 三 放射線影響研究所、広島大学原爆放射能医学研究所、科学技術庁放射線医学総合研究所など研究調査機関相互の連携を強化するとともに、研究体制を整備充実し、その成果を被爆者対策に活用するよう、遺憾なきを期すこと。 四 放射線影響研究所の運営の改善、移転対策を進めるとともに、被爆者の健康管理と治療に、より役立てるため、原爆病院、財団法人原爆障害対策協議会との一体的運営が行えるよう検討すること。 五 原爆病院の整備改善を行い、病院財政の助成に十分配慮するとともに、その運営に当たつては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう、万全の措置を講ずること。 六 被爆者に対する諸給付については、生活保護の収入認定からはずすよう検討を進めること。 七 原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう、制度と運営の改善を行うこと。 八 被爆者に対する家庭奉仕員制度を充実するとともに、相談業務の強化を図ること。 九 被爆者とその子及び孫に対する影響についての調査、研究及びその対策について十分配意し、二世の健康診断については、継続して行うとともに、その置かれている立場を理解して一層充実を図ること。 十 健康管理手当の認定については、制度の趣旨が生かされるよう地方自治体を指導すること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○山下委員長 以上で趣旨説明は終わりました。 採決いたします。 今井勇君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 ―――――――――――――
○山下委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○山下委員長 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村山厚生大臣。
○村山国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存であります。 ――――◇―――――
○山下委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。 法務委員会において審査中の内閣提出、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案について、同委員会に対し連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会を開きます場合の開会日時等につきましては、法務委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時七分散会 ――――◇―――――