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94回国会衆議院1981/05/14

社会労働委員会 第15号

発言数
98
登壇者
15
会派数
3
開催日
1981/05/14

会議録

山下徳夫自由民主党

○山下委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私はきょうは、議題になりました医師法等関連の法案に関しまして、大変いい機会だと思いますので、法案関係を少し質問させていただきたいと思います。  初めに医師法からでございますが、御案内のように医師法の第一条、医師の任務というのが規定されています。「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、」云々というふうに規定されております。それからもう一つは、同じ医師法の十七条、すでに御案内のとおりだと思いますけれども、この十七条は、医師でない者の医業の禁止、「医師でなければ、医業をなしてはならない。」こういうふうに規定されております。これは言うなれば医師の業務制限というふうに考えていいところではないかと思うわけですが、そこでお尋ねしたいのは、医業とは何だということなんです。医業をしてはならないと書いてあるのですけれども、医業の内容が説明されてないわけですね。一条の医師の任務の方は、「医療及び保健指導を掌る」、大変に大きくくくってありますけれども、一応何とかわかるように書いてありますが、十七条の方は、医業をしてはならないということが書いてあるだけなんですが、医業というのは一体何だというふうに理解したらいいのか、政府の御見解を伺いたいと思います。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 医師法の第十七条に規定されております「医業」の定義でございますが、医業とは医行為を業として行うことを言うというふうに考えております。医行為でございますが、医行為につきましては、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ、人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある一切の行為を医行為というふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういたしますと、いろいろなものが考えられますね。私ども一般の人にわかりやすく説明をしていただくということになりますとどういうことになりますでしょうか。いまのお話の、医学的知識、判断、技術をもってするのでなかったらば害を及ぼすということになりますと、すべてのものがそれにひっかかるように思いますけれども、どうなりますでしょう。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 医師が病人に接する場合には、医師は、まず検査を含む診察を行いまして病気の診断をし、それに基づきまして投薬あるいは手術その他の施術をするわけでございますが、その一連の過程の中で、必ずしも人体に危害を及ぼすおそれがあるという行為ばかりではございませんで、たとえば肺活量あるいは体温の測定というようなものは、診察の行為の中に含まれることがあるわけでございますが、これは人体に危害を及ぼすというおそれは考えられませんので、われわれは医行為には属さないというふうに考えておるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そうすると、こんなふうに理解していいでしょうか。医行為というのは診断、それから処方——診療は入りますか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 診療という言葉は、一般的に診察あるいは診断と治療を含めた概念ではないかというふうに考えられますので、先ほど申しました一連の医師の行為の相当の部分を占めているものを指している言葉ではないかというふうに考えられるわけでございまして、したがいまして、先ほど申しましたように、その中で人体に危害を及ぼすおそれがないというような行為については必ずしも医行為とは考えられないのではないかというふうに思っております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういたしますと、「医療」と「医業」の違い、それはどうなりますか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 医師法の第一条は先生先ほど申されましたように医師の任務を規定しておる条項でございまして、十七条に規定されております「医業」というのは、その医師の任務を具体的な行為として遂行するという行為、これが医行為であり、それを業とするものが医業というふうになるのではないかというふうに思っております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 任務と業務の違いはわかりました。  そこで続いてお尋ねをしたいと思いますのは、いまの任務の中で、医療及び保健指導をつかさどるのが医師の任務である、これを具体的に行為にあらわしたのが十七条の「医業」ということになるのだということでありますが、その医師が医業を行った場合、あるいは保健指導も含めて医業というのかどうか、その辺はっきりお尋ねしませんでしたけれども、現在では、医師が医行為を行った場合に支払われる代償は大方は健康保険で支払われていますね。保険局長にお尋ねするわけでありますが、医療と保健指導と分けて法律の中に書いてありますから、分けて考える場合には、医療を行った場合には社会保険でこれを支払うことになっておりますが、保健指導を行った場合にはそれが行われていないということについての、なぜそのようになっているかということのお尋ねでございます。まずそれを伺います。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 社会保険におきましては、御承知のように疾病という保険事故が発生いたしました場合に保険給付を行うということで、医療が行われました場合に保険から給付が行われる。したがいまして、保健指導、つまり予防につきましては、いわゆる保険から保険給付として給付が行われることはないわけでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、保健指導というのはきわめて重要なことでございます。社会保険におきましても、各種健康診断であるとかそういったものにつきましては、保健施設活動としてかなり強力に推進をしております。これは被用者保険でもそうでございます。それから、国民健康保険でもやはり同じようにそういった保健指導につきましては積極的にやっております。公衆衛生分野におきましてもそうでございます。今後はこの分野につきまして、特に積極的に推進していくというような体制で私ども考えておるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 保健指導について給付がないということは、保健指導をする場合には自由料金になるということも考えられます。自由料金だとすればいろいろな金額がそれぞれ勝手に決められるわけですし、さらには無料ということも考えられますね。無料で保健指導するということもあり得るというふうに考えられます。そうなってきますと、大変に世知辛いいまの状態の中では、わざわざ保健指導を時間をかけてしても一銭にもならないということになれば、余り熱心にやる気はないというふうになってぐるのではないかと考えられますので、従来から問題になっておりますように、保健指導は医療の分野では行われてこない、行われたにしても大変にわずかである。そういうことになりますと、予防可能な疾病にもかかってしまうということが起こり得るわけですね。     〔委員長退席、湯川委員長代理着席〕 もし十分に保健指導が行われていれば疾病予防できるところを、それができていないから予防可能な病気にかかる、そこで必要以上に出費がかさむということになってきますと、いま問題になっている十二兆円に達しようとしている日本の医療費という問題にも結びついてくるわけですね。  ですから、医療費を軽減しょうと思うのだったら、保険の点数を変えたり医療費の操作をすることよりも、予防に給付をすることによって医療費の軽減を図ることの方が正しいし、実際問題としてその方がメリットは大きいというふうに考えられるのですけれども、そのような方向にこの際改められる意思はおありにならないでしょうか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 先ほど申しましたように、非常に重要であることは私どもも十分承知しております。保健施設といたしましても、政管健保で成人病予防検査であるとか結核検診等につきましては保健施設活動としてかなりの充実を見ておりますし、国民健康保険でも御承知のように成人病検診、がん検診等についてはかなり充実を見ておるということでございまして、これにつきましては、私どももそういう形で予防施策を強力に進めてまいりたい。  ただ、これを給付、つまり病気に対します保険給付と同じような給付にするということは、従来の考え方からしてそうでございますし、また、いわゆる保険事故というふうに考えるのにはなかなかなじみにくい。したがいまして、考えやすいような方策で、いま申しましたように、保健施設費ということで予防につきましては十分な私どもの努力を注いでまいりたいと考えておるわけでございますし、そういうふうにやってまいってきておると考えておるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういう形で努力をしておられることはわかりました。それは結構でありますけれども、進み方としては決してきちんと進んでいかないと思うわけです。そして、それは目的を達成するためには大変に不十分だ、何か便乗的にやっているような形で、きちっと組織的にやられていないというふうに制度上考えられるわけですね。ですから、この際、予防に対する給付も当然行うべきであるという考え方がだんだんといま増大してきている時点でございますから、思い切ってそのことを考えた改正をここでひとつ検討すべきではないかと思うわけなんです。局長は事務的にはそういうふうにおっしゃるわけですが、局長が御答弁なさったようなことを実際問題としてやらせるためには裏づけをつけなければならないわけですから、その裏づけとしてやはり予防給付があるべきではないかというふうに思います。  そこで、これだけに時間をかけられませんので、大臣の御意見を伺いたいのですが、健康保険でなくて疾病保険という名前をつけた方がぴたっとくるようないまの保険制度ですけれども、これを本当の健康保険にするために予防給付も行うという方針をお出しになっていただくおつもりがおありになるかどうか、御意見を伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御承知のとおりに、地方自治体で二カ所か三カ所、いま御発言のようなことで予防あるいは保健、こういうことを実施して、そして保険の支出が著しく減っている、言葉をかえて言えば病気にかかる人が少なくなっているという実例もございます。今後は、保険の問題でいろいろありますが、一つは支払いの問題をどうするか、一つはいまおっしゃいましたように病気の治療ではなくて病気にならないように、さらにもう一歩進んで健康を長く維持するために、こういうことに保険制度が役立つようにやっていかなければならぬ、同じような意見を私も持っております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 では、この問題は、もう少し詰めたいのですが時間がありませんので、一応そこまでにしておきます。  続いて、法律の関係についてお尋ねいたします。  医師法の十八条には「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」名称制限がございます。ですから、言葉をかえて言えば医師法には名称制限と業務制限と両方の制限がなされているということになると思うのです。それで医療関係者、今度の九つの法律の関連がありますが、医療従事者といいますか医療関係者まで含めてですけれども、それぞれいろいろな制度がつくられているわけでありますが、名称制限と業務制限と両方あるのは医師法と歯科医師法と、あとは診療放射線技師及び診療エックス線技師法だけでございますね。それで、そのほかのものはそれぞれ別々につくられているわけであります。ほかのもの一つ一つにかかわり合う時間がありませんので、患者との関係では一番深い関係にある保健婦助産婦看護婦法、この関係で質問させていただきます。  保健婦助産婦看護婦法でございますと、二条に保健婦の定義があります。「「保健婦」とは、厚生大臣の免許を受けて、保健婦の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする女子をいう。」こうなっておりますから、これは名称が一応制限されているというふうに理解できます。もう一つ、二十九条に、これは非保健婦の業務停止で、「保健婦でなければ、保健婦又はこれに類似する名称を用いて、第二条に規定する業をしてはならない。」ですから、保健婦の場合には名称は制限されているということがよくわかります。ただ、保健婦の業務が保健指導を業となすと書いてありますから、保健指導という業務は先ほどの医師法の一条の中にも保健指導は出てまいりました。ですから、保健指導という業務は独占ではないと理解できまずから、保健婦については名称だけが制限されているというふうに理解することができると思います。  ところが、三条、五条、六条、これは助産婦、看護婦、准看護婦に対する規定でありますけれども、第五条では、「「看護婦」とは、厚生大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助をなすことを業とする女子をいう。」それから六条は准看護婦で、医師または看護婦の指示を受けて同じ業をする女子、そして抜かしましたが、三条の助産婦ですが、「「助産婦」とは、厚生大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導をなすことを業とする女子をいう。」ここにも保健指導が出てきますから、保健婦の保健指導は独占業務でないということはわかるわけですが、いま読みましたように看護婦、助産婦それから准看護婦については名称制限はないわけですね。業務制限だけしかないわけです。  そこで、なぜそういうふうにまちまちの形で制度がつくられたのか。保健婦助産婦看護婦法というのは一本の法律でございまして、保健婦法、助産婦法、看護婦法ではないということは明らかなところでございますが、一本の法律であってなぜこのように別の形で制度をつくったのかということが一つ。  これに関連してこういうことが起こっているのを御存じだと思いますが、たとえば何の資格もない、助手と呼んでいいか補助者と呼んでいいか何と呼んでいいかわかりませんが、資格のない人に任意に短い講義やあるいは訓練を行いまして、正看護婦、副看護婦、産科看護婦、准助産婦、こういうような名称で仕事をさせている、そういう事実があることを御存じだと思いますけれども、こういう場合にこの人たちのことを規制できないじゃないでしょうか。名称制限がないのですから、どんな名前を使ったっていいわけですね。そして大変紛らわしい。一般の人にはわかりません。正看護婦などと言えば、准看護婦よりも上位にある人かと思ったりしますね。そういうような大変に紛らわしい名称を使って仕事をしている人たちがあるものですから、これは大変に国民を惑わすものであるというふうに考えますし、これに対する政府のお取り扱いとしてはどうなさるのだろうかなということが疑問になります。  ですから、二つの質問になりますが、関連しておりますのでお答えいただきたい。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 先生御指摘のように、現在保健婦につきましては、名称の独占がございますが業務の独占はない、助産婦、看護婦につきましては、業務の独占の規定がございますが名称独占の規定はないということになっておるわけでございます。  助産婦、看護婦につきましては、その業務の性質上、業務独占を法律で規定しておりますので、あえて名称の独占規定を設けなくても、この業務独占という厳しい規定で十分規制ができるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  保健婦の業務とされております保健指導の中には、特定の資格を有する者のみに限定する必要のないようなものがかなり含まれておりますために、業務独占という規定がございませんけれども、一定の専門的な知識を有する保健婦の社会的信用と権威を保持するため、無資格の者がその名称を用いて保健指導を行うということを禁止するというたてまえで、名称の独占という規定がなされていると考えておるわけでございます。  助産婦、看護婦につきましては名称の制限がないため、先生御指摘のように正規の資格を持っていない看護助手が副看護婦等の名称を用いましても、現行法上は規制の対象とならないわけでございます。しかしながら、われわれは、先ほど申しましたとおり、助産婦、看護婦につきましては業務独占の規定がございますので、無資格者がその業務を行うということは厳に禁じておりますので、無資格の者が助産婦あるいは看護婦の資格を持った者でなければ行えないような行為をするという違反行為が生ずることがないように、行政的に指導を図っておるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 大変にむずかしい問題だと思うのです。これは事実あることですから問題だと私は申し上げているわけでして、どうやって逃れているかというわけですが、いまのお話では、業務制限を厳しくしているからやっているはずはないと考えておられるようですし、それからそれは厳しく取り締まっているとおっしゃいますけれども、実際にはそうじゃないですね。やっているわけです。ただ、やっておっても、それをもしとがめられた場合の言い逃れとしては、全部医師がこれを責任を持っておりますから問題はありませんという答弁になるわけですね。  そうすると政府の方でも、先ほどの医師法で、医業の中に看護が入ってくるかどうか私は疑問だと思いますけれども、助産婦の行為は医業の中に入ってくるというふうにも理解できまずから、こちらの方はそれでカバーできるかもしれませんけれども、看護業務の中に独占の部分がありますが、これをも医師がやるからいいというふうに言い切ってしまうといたしますと、何のためにこういう特別な法律、保健婦助産婦看護婦法がつくられたのかという意義がなくなってくるというふうにも考えられるわけですが、その辺はどういうふうに解釈したらよろしいでしょうか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 先生御指摘のような違法の行為をする、すなわち看護婦等の資格のない者が看護婦でなければできないような業務をするということにつきましては、われわれは一般的にそういう法律違反の行為がないようにということで医療機関等関係の機関を行政指導しておるわけでございまして、そういう医療機関等の管理運営に当たっておられる方にその法の趣旨を十分に納得していただいて、法律違反を犯さないようにということが守られるように、格段の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 それは厳重にこれからやっていただきたいと思いますが、言うべくして大変にむずかしい問題だろうと思います。しかし、それはきちっとやっていただかなければなりませんし、そこで私はこの際、この保健婦助産婦看護婦法に関してもそれぞれ業務と名称は独占できるように制限するということが必要だと思いますので、ほかにも出てくるいろいろな保健婦助産婦看護婦法の問題とあわせて改正をするという方向でぜひ臨んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから続けてお尋ねいたしますが、保健婦助産婦看護婦法には六十条に、これはずっと後ろの方ですが、男子の準用規定があるのですね。それで、この保健婦助産婦看護婦法は全部「女子をいう。」ということになっていて、女子でなければできないことになっている。この問題については、もういまから三十三年前の法律でありまして、当時の社会情勢といまの情勢とは大分変わってきておりますし、いろいろなことを考え直さなければならない時期が来ているのではないか、保助看法も改正の時期が来ておると私は考えておりますが、そのときに考えていかなければいけないと思いますのは、この準用規定の問題です。看護婦及び准看護婦についてだけ男子の準用規定があって、保健婦と助産婦については準用規定がないのです。ここもやはり取り扱い上の相違があるわけですね。この格差を解消する必要があるのではないか。  なぜ保健婦の仕事、それから助産婦の仕事を男子がしてはいけないのか。その理由は私はもうないと思うのですけれども、これはこの際「女子をいう。」というところを「者をいう。」というふうに改めるお考えかおありになるかどうか、せめて準用規定を設けるお考えがあるかどうか、聞かせていただきたいと思うのです。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 このことに関しては先生が一番お詳しいわけでございまして、看護婦につきましては、御指摘のとおり、法制定の当時すでに男子が精神科等の看護職員として従事しているという実態があったために、現行法に準用規定を設けて今日に至っておるわけでございます。保健婦、助産婦につきましては、法制定の当時、そういうような実態がなかったために準用規定が設けられていないわけでございますが、現今の社会事情にかんがみまして、そういう必要が考えられるとすれば、関係団体の意見を十分拝聴いたしまして、検討してまいりたいと思っております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 当時なかったからということが理由であるとすれば、今日はもうすでにあるわけですね。健康管理をすることを業とするような保健学士というものも存在しておりますよ。保健指導をもっぱらの仕事にする男子が今日ではたくさんいるわけです。ですから、これはもう遅きに失したぐらいな感じがありますので、早急に考えていただきたいと思います。  それから助産婦の問題についてもそうです。産婦人科の医者は全部女子でなければならないということはないのですね。男子の産婦人科の医師というのは非常に多くおられます。それで一つも不都合はないし、問題は起こっていない。助産婦の場合も全く同じことです。  ですから、男女の概念について日本の古い概念を改めなければいけないと私は思います。この際、ぜひその方向で検討していただきたい、強くお願いしておきたいと思います。  それからその次は、大変にむずかしい、めんどうな問題でございまして、最後には大臣の御意見もいただきたいと思う問題でありますが、それは保健婦助産婦法の関係、看護制度の問題であります。この中で非常に大きな問題としていま提起されておりますのは、いまだけではありません、もう十年来問題になっておりますのは、准看護婦制度の問題でございます。法規上考えてみますと、看護婦と准看護婦との業務上の相違というのはどこにも出てこないのですね。法制上出てまいりません。強いてどこに違いがあるかといって探し出してみようとすれば、第六条に「「准看護婦」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護婦の指示を受けて、前条に規定する」というのは第五条ですから、看護婦の業務——「ことをなすことを業とする女子をいう。」となっているわけで、「指示を受けて」ということが唯一の違いだというふうに理解をしてまいりました。ですから、指示を受ける者と指示をする者との違い、これだけがある。業務の内容には違いはないのだ。業務の内容が質がいいか悪いかというのは、それはもう看護婦の中ででも起こることであるし、あるいは准看護婦の中でも起こるのであって、看護婦と准看護婦を比べて質がいいとか悪いとかという言い方はできないというふうに思うわけですね。ですから、その点でこの法律はこの二人の間の問題が大変むずかしい状態になっているわけです。  大都会、都会の病院の場合にはその指示権について問題はそれほど起こってこないのですけれども、特に地方に参りますと、准看護婦が婦長をやっている、あるいは主任をやっているという実態があるわけですね。その場合に、それをこの保助看法に照らせば法律違反だということで処分をしていらっしゃるのかどうか。それはどうしていらっしゃるでしょう。そういう実態があることを御存じだと思いますけれども、そういう場合はどうしていらっしゃるのですか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 先生御指摘のような准看護婦が婦長あるいは主任というような地位についている民間の病院があるということを耳にすることがございます。こういうようなことは望ましくないことでございますので、われわれとしてはその都度医療機関の管理者に厳重に注意をして、訂正をさせているわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 注意をしただけで直らない場合に、いつまでも保助看法違反を続けるという事実は残っていく、そういう問題は最後まで残ると思います。  さらに関連して、まだ問題があります。准看護婦制度というのは、御承知のように中学校卒業者を対象にした制度でございます。中学卒業者に二年間の養成をして、そして都道府県知事の行う准看護婦試験を受けさせて、そして免許を与えるという制度であります。ところが、すでに御承知のように、現在では高等学校進学率が非常に高い。女子の場合でも、五十四年三月の時点で九三・八%は高校へ進学しています。そうしますと、中卒を対象にした養成機関なんというのは形骸化したものだというふうに考えられます。中卒の女子を探そうなどといってもいないのです。  したがって、その結果どうなったかといいますと、高卒で准看護婦養成所へ来るわけですね。高卒で准看護婦養成所に入ってくる人たちというのは、昭和四十六年、いまから十年前には、准看養成所入学者の数の三八・六%、約三分の一ちょっとが高卒であったのが、五十五年の四月の入学で見ますと七八・六%、八〇%近くはもう高卒なんですね。  この問題は非常に大きな問題だと思います。高卒であれは、何もむだをして——准看養成所に入って二年やって、卒業してから今度は進学コースをまた二年やって、四年かかって看護婦国家試験受験資格を取るわけですが、高卒ならば、三年間の看護学校に入れば、三年で国家試験受験資格を取れるわけですから、なぜこういう回り道をしなければならなくなってしまったかというのは、やはり高卒がこれだけ多くなったにもかかわらず、依然として形骸化した准看護婦養成所が残っているからだと私は思うのです。高等看護学校に行かなかった人がこっちへ行くとか、あるいは学校の指導がよくないのかあるいは本人が希望しているのか、その辺はつまびらかではございませんけれども、いずれにしても大きなむだをしているというふうに私は考えるわけでございます。これをなぜ改めようとなさらないのか、これは私は非常に疑問でございます。  さらに准看護婦制度、これは養成制度をなくしていくということでも、准看護婦の人をつくらなくて看護婦だけにするという、いわゆる准看護婦の人たちの大きな要望である看護の一本化というのに結びついてくると思いますので、これをなぜやめないのかということが一つです。  それからいま一つ、お考えになっていらっしゃるかどうかということで申し上げてみるわけですけれども、昭和三十八年の三月に医療制度調査会が答申を出しました。これは医療の新しい概念の答申を三十九年に出したわけで、いわゆる包括医療とかあるいは総合医療という概念をつくり出したときでございますが、その一年前に看護に関してだけ一年早く答申が出ています。その一年早く出た答申の中で、准看護婦は、看護の質を低下させない方向で准看護婦制度を改めて看護婦に昇格させるべきだという答申が出されているのは御存じだと思います。それから最近は、昭和四十六年だと思いましたが、看護制度検討会というのがありましたね、その名前は正しいかどうか、ちょっと記憶にありませんが。これが中間報告と称したものを出しておられますか、この中でも、准看護婦制度は廃止の方向で進めるようにという示唆がなされているわけです。それなのにもかかわらず、もうそれからでもすでに十年になっているわけでありますが、こういった二つの答申あるいは中間報告があった、あるいは中卒の人たちなんかもう受け入れない、そういった形骸化した制度が残って、それをどうして今日まで長い間無視してこられたのか、私は非常に疑問だと思うのです。  もう一つございます。そもそも准看護婦制度がつくられたのは、高校卒業から三年間の看護婦だけでは需要に満たないではないかという行政上の懸念がありましたね。それで、本来ならば看護婦一本で進めるはずであったこの保健婦助産婦看護婦法が、政府側の要求が入って准看護婦制度が生まれたと理解してもいいと思うのです、これはかって乙種だったのが准看に変わったわけですから。しかしその任務は——私は厚生省かお出しになっていらっしゃる資料の中で見てわかったわけですけれども、准看護婦の養成所に入ってくる生徒の数あるいは卒業生の数、これを十年間ながめてみますと、卒業だけで話をした方が早いでしょうが、昭和四十六年の准看護婦養成所の卒業学校の数から申しますと、七百六校あったものが今日六百八十五校、減っています。毎年毎年准看護婦養成所はいま減っているのです。ですから卒業生の数も減少していっているわけですね。もう准看護婦養成に対する関心は余り出てきていない。ですから、所期の目的は達しているんじゃないかというふうに考えられるわけです。量的に必要だったからこういう人たちをつくって看護の総力をカバーするという考え方があったわけでしょうけれども、それはもう満たされてきている、完全ではないかもしれませんが、役割りを果たしてきたんじゃないかと思うのです。ですから、この際、この制度を改正するときが来ているのじゃないかというふうに考えますが、それをどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 准看護婦制度につきましては、先生御指摘のとおり、医療制度調査会から昭和三十八年に御答申をいただき、また看護制度改善検討会から四十八年に御報告をいただいておるわけでございまして、いずれも准看を看護婦に切りかえていくというような方向での答申あるいは報告であったかと存じておるわけでございます。  ただ、われわれといたしましては、先生も申されますように、関係者の努力によりまして看護婦の数は逐年増加してまいっておりますけれども、一方におきましては、人口の老齢化あるいは病気の多様化、また医学の進歩というようなことに対応いたしまして、看護に携わる方の需要というのはますますふえてきておるわけでございまして、厚生省といたしましては、新たに昭和六十年度を目途に六十六万人の看護要員を確保いたしたいという目標を立てまして、現在努力しているような状態でございます。  先生も御指摘のとおり、確かに准看の養成所の数は逐年少しずつ減っておりますし、学生の数も近年頭打ちになっているというような状態も見られるわけでございますが、准看の養成所の学生の中で高等学校の卒業生の占める割合もまたふえてきているということもあるわけでございますけれども、やはりまだ中学卒業で准看の養成所に来ているという者の数も相当数あるわけでございます。また、高校を卒業しながら准看の養成所に来るという者につきましては、本人の能力あるいは希望というものもあるわけでございまして、われわれ、先ほど申しましたように、まだ看護要員が足りないという実態にかんがみまして、できるだけ早く数の面でも十分な看護要員を確保したいという観点から、まだ准看の養成所を一気になくしてしまうというのには時期が早いのではないかというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私は、そういうふうに考えていらっしゃるからいつまでたっても解決しないんだと思うのです。時期が早いとおっしゃいますけれども、昭和二十六年ですよ、准看制度ができたのは。三十年かかっています。それでこういう状態になってきているわけですから。中卒だってないわけではない、それはそうでしょう。数字で見れば、二一%は中卒がいるわけですからね。だけれども、そんなことを言っていたら、中卒がなくなるまでやっていかなければならないというような考え方に聞こえますよ。おかしいんじゃないでしょうか。私は七八%にも及ぶ高卒のむだをしているということを申し上げているんです。  ですから、なぜ看護学校をふやさないのですか。看護学校をふやせばいいのじゃないでしょうか。それで、そこへ高卒を吸収するという形にすれば、いま看護婦学校はどんどんふえていっています。保健婦学校も少しずつですがふえていっている。大学の方もふえていっています。ですから、看護婦になるということについては意欲があっているわけなんですから、その学校をふやすことにして、准看養成所に行かなければならないような形にしないで、看護婦学校へ迎え入れるということになぜしないのですか。私はそれをすることによって看護の質の問題も向上してくると思いますし、それから看護婦と准看護婦とのいざこざも解消できる、看護婦を一本にするということへの道になると思って考えているのです。ですから、私はそれはぜひやっていただきたい、何か自然発生的になっているのに任せている感じが非常にありまして、残念だと思うのです。  時間もありませんから、次の質問をしたいのでこれはここで打ち切りますけれども、私は大臣に申し上げておきたいと思うのです。  いまお聞き及びだと思いますけれども、臨床看護婦に看護婦と准看護婦とあるという二重構造が人間関係を非常に悪くしているわけです。その人間関係を悪くしていることが看護の業務にも影響するわけです。もちろんそれは患者さんに対する大きな影響になってくるわけなんです。こういう基本的な問題がございますし、質の向上からも考えて、これはもういま廃止する時期が来ていると思うのです。もちろんそれはきょうあすというわけにいかないことは百も承知でございます。ですから、時限を設けて解決をしていく、その方針をきちっとお出しになっていただきたいわけです。何年かの間にするとか、あるいは、まず養成はやめる、そうしていま残っている准看護婦を看護婦に昇格させて看護婦を一本にして、そして看護婦教育だけを進めるというふうに、もうしてもいい時期だと思うのです。それで、大臣のお考えとして、この問題になっている准看護婦制度を改正して、そして臨床看護婦は一本にするという方向へ持っていくことをどうお考えになっていらっしゃるか、一言お尋ねしておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 医療制度の調査会、看護制度の改善検討会の御意見にもその方向は明瞭に示してあるわけであります。役所としては昭和六十年までに六十六万人という量のことだけ考えておりますけれども、やはりそのことも考えながら質を改善していくことは当然でありますから、量がそろわないからできませんという口実ではなくて、この制度を早く一本化するというか改善するということを目標にして、そのために努力をすべきである、こう考えておりますので、十分検討をいたします。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 ぜひお願いしたいと思います。  ちなみに、御存じだと思いますが、初めて看護の短期大学ができた当時、短期大学への入学者の方がはるかに多かった、やはりみんなそういうふうに考えておりますから、大学や短期大学への入学率は大変高いです。そのようにやはり看護婦学校の教育の方に希望者が集まっているという実態をごらんいただいて、ぜひ勇断をもって、もう制度ができて三十年になるのですから、この辺でぜひ鋭意検討を進めていただきたい。何か特別な検討会でもつくっていただいてもいいと思いますけれども、とにかく急いでいただきたい。ILOの看護職員条約の問題もございますしいたしますので、ぜひお願いしたいと思います。  それからもう一つ、後に残りました問題ですが、これは看護制度の運用上の矛盾の問題です。  それは、御承知のように医療法の施行規則の十九条に入院患者と看護婦の数の比率が示されています。入院患者四人について看護婦または准看護婦一人以上、外来患者については三十人に対して一人以上、こういうふうに規定されております。これが日本の制度の患者と看護婦の比率の基礎になっているわけですね。ところが一方、社会保険の方では、基準看護のいわゆる承認基準、これは三十三年十月、医療法の施行規則は昭和二十三年ですから十年おくれておりますが、その中で決められています患者と看護婦との比率は申し上げるまでもありません。御存じですから一つずつは申し上げませんけれども、特二類、特一類、一類、二類、三類と五段階に患者と看護婦の数の比率というのがつくられているわけです。  私は、この五段階につくったことについての意義はきょうは申し上げるつもりはないのです。時間がありませんので、それを申し上げるつもりではなくて、申し上げたいと思っているのは、どちらも看護婦一、たとえば特二類ですと患者二・五人に一人ということが出ておりますが、医療法の方では四人に一人となっている、この一人の内訳の問題なのですね。一人以上となっている、その一人が、医療法の方では看護婦または准看護婦と規定されています。ところが、社会保険の方では看護婦と准看護婦と看護助手が入っているわけですね。これが違うわけです。このことは厳密に言えば医療法違反だというふうに考えていいのではないかと私は思うわけです。数は一類が四人に一人ですから、四人に一人、四人に一人ということで表向きわかりませんが、一の中身が違う、この問題なのです。  この一の中身の問題は、当時の実態として助手があったから助手が入ったというふうに私は記憶しています。五、三、二、看護婦五、准看護婦三、看護助手二というので一がつくられているわけですが、これは実態として二にならなかった、当時一・八くらい助手がいたのですね。それで入れられたというふうに理解しておりますけれども、しかし、本来はおかしいのですね。助手、資格のない人が看護婦または准看護婦でなければならないと決められている数の中に入ってきているということはおかしい。ですから、助手というものの存在はプラスアルファであるはずなので、定数の中に入ってはいけないと思うのです。それが、これはいまだに矛盾が解消されないままになっている。この矛盾を解消するためには、看護婦または准看護婦の数をふやしてくることであったはず。この矛盾を直すための増員計画というのがきちっと社会保険と医療法との関係で両方で努力がされてこなかったのではないかというふうに私は思います。  この点が非常に問題になっている、このことをひとつまずお尋ねしたいのです。改められませんか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 いろいろ先生の御質問のような御意見は非常に私どもも承っておるわけでございます。一方、やはり四、四、二の最後の二の問題でございますけれども、これを資格者に持っていくことが確かに現実問題としてはなかなかむずかしいという悩みがあるわけでございまして、これらにつきまして、私ども非常に問題意識を持ちながら、今後の問題として努力をしていかなければならぬというように考えておるところでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 何年もそれで続けてきたと私は理解しております。  看護婦有資格者は、現在業務についている人とほとんど同じだけの数の潜在している人がいるということも御存じのはずです。だからこそ医務局で潜在看護婦の掘り起こしをしているわけでしょう。そして、その人たちにもう一遍補習教育をして業務についてもらう努力をしておりますね。それで何人かが解決していっていると思うのですが、これをもっと組織的に大々的にやって、潜在看護婦を掘り起こすということを本気で真剣になってなさっていないのではないかというふうに思われますし、それからこれは保険財政との絡みがあるからだと思うのですけれども、やめたくないという気持ちが基本的にあるのではないかということも私は想像できるわけでございます。あるいは、これをやめることによって医師会等から大変大きな反撃を食らう、あるいは病院経営者からそういう問題を強く反発されるというようなこともあるだろうということは想像できるわけですが、そういうものがあるからできないのではなくて、基本的におかしいことは改めていかなければいけないというふうに私は思っているわけです。  基本的におかしいと言えば、それだけではなくて、二類、三類というものがあること自体またおかしいのです。医療法で四人に一人と言っておきながら、社会保険の方では五人に一人でもよろしい、六人に一人でもよろしい、そしてそのことについて基準看護の加算までしているわけですね。医療法違反をしているその実態に対して加算をする。私はどう考えていいかわからない。ここら辺が私はやはりいま改めていただくべきときではないかと思うのです。それをつくった時点ではそういうことをしなければ出発できなかったということもあったかもしれないと思いますけれども、もうこれも、完全看護は二十五年からでしたから、完全看護の後基準看護は三十三年からですから、いいかげんに改めてきちっとするべきではないかということを考えます。  関連でございますから、時間の関係で続けて申し上げますが、現在は特二類の看護体制、患者二・五人に対して看護婦一人というのが最も充実した形というふうに一応なっていますね。しかし、要求としては特三類が出てきておりますでしょう。二人に一人というのが出てきております。さらに特四類が出てくるのではないかというふうにすら考えられます。さらにそのほかに新生児、小児、あるいは障害者なんかは特別加算というのがまた出ていますね。この特別加算があるとすれば、老人にも特別加算してもらいたい、あるいは重症者の特別加算も欲しい、こういう要求は次々と際限なく出てくるだろうと私は思うのです。そうなりますと、基本的な制度が崩壊してしまうではないか、何のことをつくったのだかわからなくなる。  ですから、私はこの際、この社会保険における看護の基準の決め方を抜本的に改正するという方法で検討するときが来ているのではないかと思うのです。これは際限もなくふくれ上がりますよ。だから、問題は病院に入院すれば看護はつきものですね。看護されるということが当然のことなのですから、入院した場合には入院料を支払えばそれで十分看護を行ってもらえる、看護サービスが受けられるという形にしなければいけないのであって、そのために基準看護料をまた払わなければならない、あるいはそのために保険の立場からは加算をしなければならないというふうに、がたがたといろいろなものをくっつけていくというかっこうになって、基本的なものが大変にぼやけてしまう、崩されてしまうというふうに考えます。  ですから、この際、この問題は思い切って抜本改正をやる必要があるから、保険局と医務局とは力を合わせて、どうすればそのことができるかということを考えていただきたいわけです。片一方だけでやっていらっしゃるとこういうことになる。ですから、金を持っているのが保険局の保険の問題だから、医務局の方はお金を持っているわけではないので、それを取り締まるにしても空手形だけだからなかなかしにくいというのもあるかもしれませんけれども、しかし基本的な医療法を持っているのは医局です。補助看法を持っているのは医務局です。ですから、これは両方で話し合いをして、きちっとした病院看護の体制というものをこの際つくっていただきたい。もう制度ができて三十年になります。いつまでもこういった変則的な形で進められては困る。社会保険の財政が真っ先に、第一義的に首を出してくるかもしれませんけれども、財政のことを無視しては考えられませんが、しかし入院する患者のことを考えていただきたい。病人を第一義に考えていただきたい。  それについて御当局の御答弁と大臣の御決意とを伺いたいと思います。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 二つの問題につきましてお答えいたします。  一つは、初めに先生がおっしゃいましたように、どうも医療法では四対一、にもかかわらず、もっと薄い基準看護がある、おかしいではないか、こういうお話でございます。確かにおっしゃいますように、一般病棟の二類というのにつきましては、そのあれが五対一というようなことで、医療法よりも低い。これにつきましては、おっしゃいますように、何とかこれは解消しなければいかぬということで、昭和五十三年の診療報酬改定時に医療法並みに引き上げる、そのための特別加算を行いまして、これを今回は五対一、一般病棟における二類というのはやめるという方向で、いま鋭意努力をしておるところでございます。  さらに、結核、精神病棟の二類、三類につきましては、医療法上の特例というものがございますので、これは認めていきたいと思いますが、もちろん医療法上の推移がございますれば、変化がございますれば、それに沿いまして私どもやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、第二の特別加算、おっしゃいますように、特別加算というものは一体屋上屋じゃないか、普通看護があり、その上に基準看護がある、その上に特別加算というのはどうも屋上屋じゃないかというお話は全くごもっともでございます。私ども、普通看護、それに基準看護というものを基本にいたしまして、屋上屋というものを重ねることはできるだけ避けていきたい。  ただ、たとえば今回非常に要請されております保険外負担の解消というような問題がございますれば、きめ細かい策といたしましてこの特別加算というものを利用せざるを得ない、そういうようなこともあるわけでございますけれども、たてまえといたしましては、先生のおっしゃいましたように、屋上屋というものは避けていきたいというふうに考えておるところでございます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いま政府委員からお答えしましたが、私も、御意見のとおりそういう方向で各方面の御意見を聞きつつ早くこれを改正すべきだと考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 いままで一部お話し合いを進めてきたわけですけれども、保健婦助産婦看護婦法に関しては非常に問題がいま起こりつつあります。もう三十三年前につくった制度で、当時はそれで思い切った制度だったというふうに考えられますけれども、今日の事態に合わなくなってきているということがありますので、ここら辺で改めるべきだというふうに思いますから、その点はぜひ何らかの方法で具体的に進めていただくようにお願いしたい。  それから、いまの保険との関係は、医務局と保険局との共同作業ということでしっかりと詰めていただきたいということを重ねて強く御要請を申し上げて、御質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

湯川宏自由民主党

○湯川委員長代理 次に、永井孝信君。

永井孝信日本社会党

○永井委員 私は、いま議題になっております医師法等の一部改正案の審議に当たりまして、差別用語あるいは不快用語、こういうものを直すことは非常に有意義だと思います。また、いままでこういうものが、国際障害者年であることしになってこれを直していくということで、この時期まで実はこのまま残ってきたのが不思議なくらいでありまして、これは非常にいいことでありますが、この不快用語などをなくすることとその関連で、現実の問題について少し問題を提起をしてみたい、このように考えるわけであります。  現実の問題というのは、一つは心身障害者の皆さんの生活が向上させられなければならない、差別がなくならなければならない、こういうことの法の精神とはうらはらに、現実に心身障害者の方々がたとえば医療を受ける段階で幾つかの差別あるいは不当な扱い、こういうものを受けている事実がかなりあると私は見ているわけであります。  そこで、特に精神障害者の方々の医療の問題と人権の問題について、具体的に私は厚生大臣にお伺いしてみたいと思うのでありますが、すでにマスコミなどで繰り返し報道されております京都の十全会関係の病院、この中から、この間わが党が現地調査をした関係もありまして、そこからいろんな問題を把握をしてまいりました。もうすでに新聞等で報道されている分もありますけれども、また新たな事象というものもそこに出てきておる。こういうことから、幾つか問題点を提起するわけであります。  たとえば京都市の北区の門前町というところにお住まいの仮にAさんとしておきましょう。このAさんという方が昭和五十四年二月二十一日、京都市の北野病院というところで実は診断を受けたわけであります。これがアルコール中毒だという診断でありました。その診断を受けてから十全会の東山の高原サナトリウムに実は入院されたわけであります。このAさんは、入院をしましてから直ちに二週間の拘束を受けました。その拘束を受けた結果、実は足が動かなくなってしまったのですね。現在では、その方はつえをつかなければ歩けないという三級の障害患者になってしまったわけであります。  アルコール中毒患者が入院をして、これが二週間病院に入って、そのために二週間後には足が動かなくなってしまう、私はこれは常識で考えられないことだと思うのですね。そのことからこのAさんという方は現在訴訟の準備をされておりまして、間もなく正式に裁判の法廷で争われるということになるのでありましょうが、この種の不当と思われる拘束について、厚生省はその実態をどこまで把握されているのか、まず精神病患者などを扱っている病院などの実態について把握されているとするなら、その内容をひとつ教えていただきたい。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 精神衛生法によりまして、入院患者に対しましては医療または保護に必要な範囲内での行動の制限を加えることができるとされております。しかし、この問題につきましては、医療上の問題としてできる限り慎重に行わなければならないということで、研修会あるいは鑑定医の協議会あるいは通知等によりましてできる限り慎重に行わなければならないということで指導をいたしているところでございますけれども、こういった行動制限は医療の一環として行われているものでございまして、特段私どもとしてはこれを統計上把握するというふうなことはいたしておりません。

永井孝信日本社会党

○永井委員 特別な把握のための行為は行っていない、あくまでそれは医療として行っているのだからということでありますが、その医療という名のもとに本来あってはならぬ行き過ぎた不当な拘束、こういう状態があった場合は、その事実が明らかになったら厚生省はどうされるのですか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 この問題につきましては、事実認定等大変むずかしい問題があるかと思います。しかし、このような問題につきましては、私どもといたしましては、先ほども申しましたように、まず医療、医学上の問題としてできる限りそういったことか行われないように指導するということが第一でございますが、もしそういった事実がございました場合には、これは当然病院の医師等に対しまして事実を聴取し、そういった点についてはいろいろな措置、対応をとる、こういうことでございます。  最終的には、行政上には限度がございますから、たとえば二、三そういった例で裁判等になっている例もございますけれども、事実の問題の認定というのは非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、行政上としてもできる限りそういったことに対しましては人権侵害にならないよう調査し、指導し、努力するところでございますけれども、そこにはおのずから限度があるという点も御理解いただきたいと思うのでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 厚生行政の指導のあり方として限度があるということは、私はわからぬわけではないのです。たとえば私が問題提起をしております十全会に関係する問題は、かなり長い間の問題になってきているわけですね。裁判も起こされている。あるいはここに関係の新聞の切り抜き全部持ってきておるわけでありますが、正義を貫き通すという立場から新聞でもずいぶんいろいろな報道がされている。また、マスコミの方々が事実をつかむためにいろいろな努力をその方でされている。もちろんマスコミの報道ですべてを左右されるということはないのでありましょうけれども、しかし、これだけ社会的な問題になっている十全会病院で、訴えられているような、問題になっているような不当な拘束が事実であるかどうか、当然私はそういうところに関心を持って、調べるのも警察権力とまた違った立場で調べるのが厚生省の責任であろうと私は思うのでありますが、調べられたのですか、どうですか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 当然のことといたしまして、京都府を通じて調査をいたしたり、指導をいたしたりしているわけでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 私は具体的な問題でさらにちょっと申し上げてみたいと思うのでありますが、いま私が申し上げました北区の門前町にお住まいのAさんという方、この方の私たちに対する訴えを聞いてみますと、入院されたときに無意識の状態になった。どういうふうに無意識の状態になったのか、これは専門的にわかりませんけれども、時折目覚めてひもで縛られていることに気がついた。何とかほどいてくれということで何度も訴えたと言うのです。ところが、だれもいないし、ただこらえるだけで、がまんするしか仕方がなかった。そして二週間後、縛った帯を解いてもらったが、そのときには足のくるぶしから下が全く白ろう病のように真っ白くなってしまって、歩ける状態ではなかった。それで縛られている間様子を見にきた様子もなかった、こう私たちに訴えているわけですね。  さきに大阪高等裁判所においてこの十全会病院事件に関する逆転判決がありましたね。そしてさかのぼって言えば、昭和五十一年の四月に大津の地方裁判所の判決の例があります。このように医療の拘束というものは、ある意味では違法性を持っている。どうしても拘束しなくてはならない症状の人はこれは別として、医療のための拘束だということで、仮にこういう裁判例でも出ておりますような不当な行為が医療という名のもとに行われているとしたら、これはもう医療じゃないわけですね。そこには人権侵害の問題あるいは場合によったら傷害罪という問題も起きてくると思うのでありますが、この関係について厚生省及び警察庁刑事局ですか、ひとつお答えいただきたいと思うのです。

中島治康警察庁刑事局保安部公害課長

○中島説明員 先生御指摘の事実につきまして、京都府警の方から何ら報告を受けておりません。したがいまして、私どもの方はその事実を確認いたしておりません。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 医療の概念に当たらない不当な拘束につきましては、これは当然刑法上の問題として処理されるべき問題でございますし、厚生行政といたしましても、こういった問題については厳正に対処しなければならないというふうに考えるわけでございます。  ただ、先生申されますように、アルコール中毒と言わず、麻薬中毒あるいは薬物中毒等では、その中毒の状態のときには相当ひどい禁断症状、暴れたりいろいろな状態がございます。こういった問題につきましては、これはやはり医療上の問題として当然拘束ということもあり得るわけでございますから、そこのところの事実の認定というのか大変むずかしい問題でございまして、抽象的な議論だけではなかなかそれがございませんので、やはり事実の問題として私どもとしては対応してまいりたいというふうに考えるわけでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 もちろん認定が非常にむずかしいことはわかるのですよ。わかるのですけれども、そのいま問題になっておる十全会関係の病院、ここでこういう具体的なことが出てきた。その事例が出されたとすると、これはやはりいま言われたように具体的な事象なんですから、そのことについて真実であるかどうか、あるいはどういう医療行為としての拘束が行われておったのか、これは当然調べられるわけですね。調べてもらえるわけですな。また調べるべきですね。これは一言でいいですからお答えください。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 この精神病院の入院には三種の種類がございまして、十全会の場合につきましては一いわゆる措置入院という強制入院を行う指定病院というものを取り消しているわけでございます。したがいまして、十全会の方ではいわゆる自由入院患者が主として入院しているということで、そういった患者につきましては、本来そういった拘束の医療というものにつきましては少ないはずでございます。  もちろんそういった事実がございますれば、これは京都府を通じて厳正に、先ほどからも申し上げておりますように対応いたしたいというふうに考えるわけでございますし、従来からもそれについては、京都府としては精力的に御努力いただいているというふうに伺っておるわけでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 私はこれからまた幾つかの例を、さらに認識を深めていただくために申し上げますけれども、私がいま提起しているこの具体例というのは、いわゆる精神衛生法の第二十九条にいう措置入院あるいは同三十三条にいう同意入院、これじゃないのですよ。いわゆる自由入院なんです。自由入院の人のことを私は申し上げている。ですから、自由入院で入るような人が、果たしていま私が申し上げているようなそういう拘束が直ちに行われなければならないような状態であったのかどうなのか、これは私は常識的に考えてもらえばわかると思う。  そういう立場でもう一つ私は例を申し上げますか、いまから申し上げますことは、これは新聞にも出た。古い話でありますけれども、昭和四十五年六月十八日の新聞に、十全会の双岡病院の問題でありますけれども、これも自由入院の方でありますが、同じく患者が、両手足を縛りつけられ、精神病患者大けが、という見出しで新聞の記事に出ました。これはずいぶん昔の話で十年前、十年も前の話というのは、それだけ十全会病院というのは長期にわたって根が深いということなんですから、そのように御認識願いたいと思うのでありますが、京都市下京区の会社員の長男が、当時二十四歳、昭和四十四年十一月二十二日から十二月三日まで拘束を受けて、右手足などに傷を受けた。しかも父親は面会を求めたけれども許されなかった。そして二月二十五日というのですから三カ月後でありますが、そういう状態を初めて知って、そうして問題が広がっていったということが新聞でも報道されております。  あるいは同じく同年の七月六日の新聞には、虐待される精神病院患者、衝撃治療で自殺、ベッドに三日間縛る、という見出しが出されている。  あるいはその年の十一月、同じく双岡で看護人ともめたということから、患者が、当時二十八歳の人でありますが、三日間ベッドに拘束されて、そして自動車に乗せられて途中で道にほうり出されたとか、あるいは東山のサナトリウムでは電気ショックの恐ろしさから患者が自殺したとか、こういうことが新聞でその当時いろいろ報道されているわけですよ。こういうことが新聞で報道されたということは、昔からよく言いますね、火の気のないところに煙は立たぬというて、やはりいろいろなことが事実があるからそういう問題が社会的に広がってきて、そうして新聞も報道する、こういうことになってきたと私は思うのです。  まだありますよ。ピネルでは、百二十三畳敷きの大広間に九十人以上の患者をすし詰めにした。そして日に三回、私は専門家じゃありませんので薬の名前とかいろいろなことは余り詳しくないのでありますが、クロールデロマジンなどの注射をされ続けたために五日目に死亡したとか、あるいは肺炎として片づけられて、その死亡診断書か出たとか、これは全部当時の新聞記事なんです。  こういう新聞記事がどんどん出るというこのときから、いまの園田厚生大臣に対して申しわけないのでありますが、その当時から厚生大臣を先頭にしてそういうマスコミで報道された、あるいは社会的に告発をされているこういう問題について積極的な監査なり指導なり、あるいはそういう事件についてたとえば警察庁の方で、直接立件する、かどうか別にして、実情を調べてみるとかこういうことをもしやっておったとするなら、私はいまの十全会病院という問題は途中で芽を摘むことができたと思うのであります。  そういう面から、私は園田厚生大臣にお聞きをするわけでありますが、いま現実の問題としてここまで十全会病院の問題が社会的に大きく取り上げている。いわば政治問題にもなってきているという状況の中で、園田厚生大臣の現在における十全会病院に対する対応の仕方あるいは決意、これを一言ひとつお願い申し上げます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 これは相当長い間世間で言われてきた事件でありまして、私の方ではどうもこのままではいかぬと思って、警察、国税庁、厚生省、三省庁連絡協議会を閣議で了解を得て設けました。その設けたのは、話を聞くと、現在の医療法その他においては取り締まる権限がないとこう言うから、それじゃ三省庁でそろってやれば現在の法律制度の中でもできるだろう、こういうつもりでやったわけであります。そして何回もやっておりますが、いろいろな新聞に書かれていることに対するあれはなかなかできない。  そこで、先般京都府を通じて勧告を出したところでありますが、その後見ておりますと、少なくとも何か改善の意思はないような気がいたします。改善の色もない。どこが悪いのだと言わんばかりに、この勧告さえ守ればあとはどうでもいいのだ。ひどいのは、不正事項があってもそれは過去のことだからいいのだと言わんばかりのことでありますので、そういうことなら私はこれはもう一遍当初からやらなければならぬ。これは全く私の至らぬところでありまして、いま答弁を聞いておりましても、どうも私のような理解力のない大臣にはわからぬ答弁がいっぱいある。  病院を指導し監督するのは厚生省でありますから、その厚生省が京都府を通じてどうやっている、何やっているということはわかりますけれども、大臣が正式に三省協議会を設け、この十全会を徹底的に摘発しろと指令を出しているのに、いまの答弁を聞いていると、新聞に書かれたり国会で言われたり、あるいは投書かあった人から話を聞いたことを確かめたり調査をした形跡が一つもない。そういう事実があれば何とかと言いますが、その事実があるかどうかを調べろ、私はこう言っているのですから、そこらあたりから——どうもいままでの惰性か何かわかりませんけれども、これは単に精神病関係ばかりでなくて、保険の方からも医務局の方からも、どうも一般の病院を回って指導しているような気持ちで各局長さんやっていらっしゃるのじゃないだろうか。  私は言っているのです、全国の病院を全部やることはできないよ。だから、ねらった病院で手ぬるいことをやると、それならおれたちもやろうと不正事件を誘発するのだ。一つの病院には申しわけないけれども、ねらいをつけたら徹底的にやって、不正なことをやったら大変だというこれは一つのけじめをつけることであって、罪悪とか罪人をつくるためにやるのではない。それが行って一般のあれみたいに講評して、整理整とんが非常によろしいとか、まるで一般の視察に行ったような感じで、だんだん話を聞いていると、私の方が何かこの人たちは十全会と昔から関係あるのじゃないかと心配しながら、足元に火がつきはせぬかという心配を持つぐらいに何か動いていない。  三省協議会だってそうです。警察や国税庁の方は、これはこちらに権限がないから頼んでいるのであって、いわば助っ人です。助けてもらっている。それなら厚生省が、こういう話があるからこれを調べてくれ、警察に頼まなければ警察の方が動かぬのはあたりまえであります。あるいは水の訓練は無資格者がやっている。これで請求した保険は払い戻しを受けるのが当然であります。そういうために脱税をやっている。これは国税庁でやってくれ。  何か厚生省が本当に一点これだけは徹底的にやって、もう二度とこういう事件が十全会じゃなくて全国の法人にないようにしたいという意欲でございますけれども、これは一つの愚痴でございまして、私はこれを事務当局の方と相談して、私の言い方や監督が不十分でございますからもう一遍お願いするつもりでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 いまの大臣の答弁を聞いておりまして、私は非常に心強く感じるわけでありますが、大臣に愚痴を言わせないという事務当局の毅然たる決意を改めてこの委員会の席上をかりて私はお聞きしたいと思うのであります。警察の方も、いまこの三省協議会ができているわけでありますので、こういうことを通して助っ人なら助っ人らしくさらに具体的な問題の解明と、二度と問題が起きてこないように私はあえて申し上げておきます。  ついでのことで恐縮でありますけれども、いま府や県の医療行政に対応する態度についてもちょっと大臣言及されたわけでありますが、私から言えば、病院だけが悔悟の色がないのではなくて、その指導する側にあいまいさがあるんではないか、こう言わざるを得ないのであります。  ここに私は四月三十日の毎日新聞の切り抜きを持っているわけでありますが、この毎日新聞の切り抜きを見ると、京都の野中副知事の十全会病院に対する問題の処理に当たって一月二十七日の勧告をめぐる厚生省、京都府の受けとめ方の違いには問題があるということから言及しているわけでありますけれども、一月二十七日以前の問題についてはすべて決着がついたんだ、このように発表しているわけですね。そうしてこの発表に対して、五月一日に改めて府政記者クラブというところで新聞記者の皆さん方に会見をされております。その内容もそこに出られた新聞記者に、本来私たちが日常的には取材をされる側でありますが、名前は秘しますけれども、そのときは私たちの方から新聞記者の方々に取材をさしていただいたわけであります。  その中で出てきましたことは、この野中副知事の発言に対して、それはおかしいんではないのか、いままで全部決着がついたと言っているけれども、じゃ何がどのように決着がついたのかという新聞記者の方たちの質問に対して、野中副知事は、この一月二十七日の問題はすべて片づいたということなんだ、厚生省からこの問題について以後どうしていくんだということについて話があったけれども、いやすべて片づきましたという回答をしておきましたという通り一遍な回答に実は終わっているわけですね。  この一言を見てもわかりますように、もうすでに直接指導しなくてはいけない京都府という府政の中までこの問題はある意味で癒着してしまっているんではないか、私はこういう気がしてならないのであります。それだけに、いま大臣の御答弁にありましたような、悔悟の色もないということに対してさらに毅然たる態度で対応される、このことについて私はもう全面的に、スポーツで言えば太鼓をたたいて応援したいぐらいの気持ちでありますので、ひとつ厚生大臣、毅然たる決意でこれからも当たっていただきたい、このように考えるわけであります。  もう一つ私は、この問題について内部告発の関係で、私も医療のことは余り専門的ではないのであります、しろうとでありますが、ある医者が、これは十全会の病院に勤務したことのあるお医者さんでありますけれども、ここの医者が、名前は伏せますよ、名前は伏せますけれども、内部告発したことについてちょっと申し上げておきますと、私がいま問題にしておる拘束という問題ですね。この拘束という問題について医学的にどういうことかということを若干述べておられるわけですね。  たとえば自殺のおそれがあるとか暴れて頭部をぶつけるおそれがある場合とか、あるいは看護婦が十分にいればいいんでありますけれども、看護婦の数が少ない場合は手が少ないものでくくりつけておかなければならぬ、こういう場合に拘束するんだということを、一応医学的なことでずっと説明されているのであります。その中で自分の体験として、言えば本来拘束する必要のない患者さんを、人手が足りないこともあったのでありますが、結果的に拘束してしまったということを自分で自己批判をされている面があるわけですね。  そうして、たとえば拘束で問題になったこと、これを他の病院の例を取り上げて言われているわけでありますが、和歌山のある病院で六十二時間両手を拘束された婦人の手が壊死してしまって右手首あるいは左手親指より切断されたということがニュースとして伝わった、こういうことは、言えば拘束の行き過ぎた場合に起きることなんだと指摘をされているわけですね。こういう不当な拘束というものが結果として自分の勤めておった病院でかなり見られたということをある関係者の方も自己告発をされているわけであります。このことも私はあえて一つの実態としてつけ加えておきたいと思います。  そこで、幾つか問題があるわけでありますが、電気ショック、この電気ショックというものを頭にかけられて意識不明になったとか、あるいは何か言うと、よし今度は電気ショックをかけるぞということでおどかされたという証言も患者さんの中にずいぶん出てまいっております。私はあえて言いますけれども、最前申し上げたように、措置入院であるとか同意入院であるとかという人のことを言っているんじゃないんですよ。ここで私たちが調査をしてきましたのはすべて自由入院の方たちでありますので、多少精神的に障害を持っておられて、健常者と比べると表現力が弱いとかいろいろな問題はあるでしょう。あるのだろうけれども、暴れてどうにもならぬから拘束しなければいけないというふうな患者でなかったことだけは、私はあえてここで申し上げておきます。  法務省の人権擁護局調査課長にお見えになっていただいておると思うのですが、こういう問題は、具体的に問題が提起されたり、あるいはいま厚生大臣が言われたようにこういうことがあるらしいとわかったら、事実が出てしまってどうにもならなくなる以前に、そういうことがあってはならぬので、あらかじめ調査をするべきだと思いますが、こういうことは人権擁護局としてはどういうふうにとらえられておるのか、お答えをいただきたいと思います。

水流正彦法務省人権擁護局調査課長

○水流説明員 私どもといたしましては、人権侵犯事件につきましては、被害者等の関係者からの親告を待って行うということを原則にしておるわけでございます。もちろん特別な事情があります場合には親告がなくてもやっておるわけでございますけれども、本件のような、いま先生のお尋ねのような件につきましては、確かに人権擁護上も問題のある事例もあろうかと思うのでございますけれども、何せ医療または保護のために必要なのかどうか、相当の医療行為の範囲内なのかどうかという点につきましては、われわれ人権擁護機関では非常に手に負えない、非常にむずかしい問題がございます。  したがいまして、そういうたとえば手を縛ったという事実があったからといって、果たして直ちに人権侵犯に結びつくのかどうかという点でいろいろ問題があるものでございますから、関係者の親告を待ってやるということでやっておるわけでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 いま私が申し上げましたように、不幸にして精神的に傷を持っていらっしゃる方、こういう人は健常者と同じように自分の意思ですべてが表現される、あるいは自分の意思で能動的に行動を起こすということができ得ない人たちが多いわけですよ。それだけに医療という一つの枠の中で、病院で言えば、病院という建物の中でそういう人権侵害に係るようなことが起きやすい条件をもともと持っているわけでありますので、それは人権擁護局が日常的に扱う一般の問題と違った面で人権擁護局が目を光らせるといいますか、こういうことが必要だと私は思うのですが、いかがですか。

水流正彦法務省人権擁護局調査課長

○水流説明員 私どもも毎年大体二十件ないし三十件ぐらいの件数、ほとんど親告のものが多いわけでございますけれども、精神障害者に関する事件を取り上げてやっております。また、ことしは国際障害者年でもございますので、そういった身体障害者あるいは精神障害者の方々の人権をどうやって守っていくかという問題についても啓発活動等を行っていきたい、こういうふうに考えておりますので、その一環としていま先生の御指摘の点も考えさせていただきたい、こういうふうに考えております。

永井孝信日本社会党

○永井委員 いま私が提起しましたような人権侵害にかかわる問題というのは、一件や二件じゃないのですね。きょうも時間があれば、ここに私が準備している具体例だけでも十ぐらいあるのですよ。  たとえば、ある婦人が自由入院で診断を受けた、そしたらいきなり拘束されて大部屋へ連れ込まれて、くくられて、リンゲルを打たれ、注射を打たれ、結果的にその拘束が解かれたのは三週間後であった。そういう告発はずいぶんここにあるわけですよ。これは一つずつ取り上げる時間がありませんので、私がいままで申し上げた一つ二つの例で大体のことがわかっていただいたと思うのです。  したがって、そういうことがいろいろなマスコミにも取り上げられている実情もありますので、もし調査が不十分であり、あるいは調査がされていない面があるとするなら、この際ひとつ毅然たる行政の態度を示す上から、あるいは司法の立場で言うと司法権の確立の立場からも、この問題については改めて調査に着手してもらいたい、このことを私はお願いをしておきたいと思います。  幾つか例がありますが、時間がなくなりますので、私は次の問題に入っていきたいと思います。  この間、厚生省に参りまして大臣にも要望したところでありますが、患者の方々が退院をなさって、その退院をした後、準職員という形で雇用されているという問題がありますが、この関係について厚生省どこまで把握されていますか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 先般、先生からこういう問題があるというお話を聞きまして、私どもびっくりいたしまして、いま京都府に対しまして早速事実関係の調査を指示しておるところでございます。この事実が明確になりました場合は厳正に対処してまいりたい、このように考えております。

永井孝信日本社会党

○永井委員 私は、いま私が提起しました問題についてここで具体的にちょっと申し上げておきたいと思うのであります。  いままでにこの十全会病院の関係では、正常な形に戻った患者さんに病院の作業に従事してもらう、もちろんこの病院の治療の中に、作業させながら治療するということもあるのでありますが、それとは別に、患者さんが健康を取り戻されたということで準職員という形を保障されて就職をされる。ところがこの準職の方々に実は問題が出てまいったわけであります。  それはどういうことかというと、お調べになればこれはわかってくると思うのでありますが、昭和五十三年の十二月から五十四年にかけて起きたことでありますけれども、準職員五十数名おった中で四十一名の準職の方が実は強制的に入院させられたという問題であります。これはどういうことかというと、比較的元気な人たちばかりでありますので、りっぱに病院の中の与えられた作業をしているわけでありますが、ある日、病院の事務長、担当医、そういう方々から集まってくれと言われて集まったところで、全部一遍に集めたのじゃなくて何回かに分けて集めているようでありますが、その人たちに対して、君たちはあすから入院してくれ、休養のつもりで二カ月か三カ月入院してくれ、こういうふうに言っているわけですね。  この関係者の証言はきょうここに持ってきておりませんけれども、何人かの方々のテープもとってございます。記憶をたどたどしくたどりながら朴納な言葉で答えていらっしゃるわけでありますが、その内容を聞いてみますと、いま言ったように、集められて、あしたから入院してくれ、そしてその入院することについては自分の家の者にしゃべるなということで口どめしながら入院をすることを求めているわけですね。だから患者の中から、それは何のために入院するのですか、こう言ったら、いやこれは理事長の命令だ、病院の都合で入院してもらうのだ、ごう言っているわけですね。  本来自由入院の場合でも、自由入院ならなおさらでありますが、本人が入院したいというときには、どういう状態か診察を受けて、たとえば体温をはかることもあるでしょう、あるいは聴診器を当てることもあるでしょう。入院の必要な状態が起きたときは、自由入院でありますので、本人がそこで診断を受けて、それに基づいて入院するというのが普通でありますけれども、この場合はそんな手続は一切ないのですね。診察行為も一切してない。いきなり入院してくれ。そして入院して、もし本人の成績かよかったら——入院して成績かよかったらというのはぼくはわからぬわけだけれども、入院して成績がよかったら、出てきたら、今度は正規の職員にしてあげます、こういうことを言っているわけです。  そしてそのことを信じて、あるいは理事長の命令だから、事務長に言われたからということでやむなく入院をした人が十二月から一月にかけて実は四十一名いるわけです。  この四十一名入院したときにはおもしろいことがあるのです。おもしろいと言ったらしかられますけれども、自分の宿舎、準職が入っている宿舎、独身寮みたいになっているのでありましょうが、この宿舎から入院するのにマイクロバスに乗って集団で入院するために病院へ行っているのですよ。これがもし本当に入院ということであれば、ベッドに寝て診察を受け、薬の投与を受けということになるのでありましょうけれども、そんな形跡がさらさらない。入院していた間何をしていたかというと、いままで自分が準職として働いておった同じ作業を同じように、同じ日課でやらされている。これは入院というカルテだけつくって実際は入院さしてないのでありますから、言うならば幽霊入院なのですよね。そしてその入院したことに基づいて、当然のことでありますが保険請求もされているはずであります。その保険請求はどの程度されたかわかりませんけれども。  これは、たとえば単に不当なやり方だということだけではなくて、私は一種の詐欺行為だと思うのです。(「犯罪だ」と呼ぶ者あり一犯罪だと思うのです。  そうして、この人たちが退院したときにも正職になった人は一人もおりません。入院のときには成績がよかったら正職にすると約束しているのでありますが、これもなされていない。患者を預かって、その患者がよくなって、その者の中から自分たちの職場のためだということで準職という身分を与えて仕事をさしている。もらっているのは一日百円か二百円なんです。それも品物でもらったりする。チョコレートでもらうのか、いろいろなものでもらうのでしょう。品物でもらったりするのが百円か二百円程度で働かされているわけです。  そうすると、不当な労働を強要して、そうしてまともな賃金も払わず、入院もしていないのに不当な幽霊入院をさせてその間仕事をさせる。そのときの条件として、退院したら正規の職員にするというのが、一人も正規の職員になっていない。これは一体どのようなことになるのでしょうか。いま声がかかりましたけれども、私は、単なる不当な医療だということだけではなくて、まさにこれは労働基準法違反であり、あるいは人権侵害であり、犯罪を構成すると思うのでありますが、どうでありましょうか。  厚生省、あるいは人権擁護局もそうでありますが、労働省もお見えいただいておりますので、労働省の方もお答えいただきたい。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいまのようなことでございますれば、確かに架空の入院ということにならざるを得ないと思います。これはまさしく不正行為であるというふうに考えます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 お許しを得て発言したいと思うわけでありますが、先ほどから聞いておりますと、法務省とか警察の方々の御意見はあれで正しいと思います。自分たちも関心を持っておるが、医療行為か犯罪行為かというのはなかなかむずかしい、これは法務省や警察の方はこれが事件になるか起訴になるかということをお考えになるのは当然であって、あれでいいと思う。  しかし、厚生省はそうはいかぬのであります。評判が立ったり、そういう事実が新聞に書かれたりしたら、これは一々調べて、こうこういうふうに調べたら事実はそのとおりでありました、したがって法律に基づいてこうやりますと言うか、あるいは、調べたところこれはそういう事実はこうこういうわけで全くありませんでした、あるいは次には、どうしてもわかりませんという三つで、わからぬことを厚生省が責任をとるか、事実を解明するか、これは厚生省の仕事だ。そして、記者会見などで、改善案で妥協したんだからあとのことはそんなことはないんだと、そういう保険の二重請求をやったことを局長とか大臣が勝手に勘弁してやるなんということがやれるんだったら、これは法治国家じゃありません。  こういう点をもっときちんとして、私からももう一遍頭を下げてあれしますが、質問を受けていると、そういう事実があるとするならばと言う。こういう事実があるじゃないかと言われているんだから、それを調べるのがわれわれの仕事ですよ。そういう事実が判明すればと言う。判明することはありませんよ、向こうはだまそうと思ってやっているのだから。黙って見ておったらまたあと何十年でも判明はしない。できるかできぬかやってみて、できなければおしかりを受ければいい。やらぬでおって、京都府に任しておるとか、事実が判明すればとか、そういうことでは何十回質問受けても同じで、質問される方もむだだと私は思う。そういうことを繰り返してはいかぬ。  これはやっぱり政府もそれからまた追及される方も一つの目的のためにやっておるわけでありますから、与野党にかかわらず、まず厚生省がその態度を変えて、私は黙っていま聞いておって、法務省や警察の方に申しわけないと思います。三省協議会なんかつくって迷惑をかけているということはよくない。これはやっぱり言われたことは、その事実が判明すればとか、そういうことがあるとすればとか、そんなことはわかり切ったことですよ。事実が判明したら保険の不正請求は取り消すのがあたりまえでしょう。それが事実かどうかということをいま言われているのだ。どうして黙って見ているのか、こう言われているのですから、だれの責任と言わずにもう一遍おわびしてやり直しましょう。申しわけありませんが、そういうことでございます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 委員長、もう一回答弁さしてください。

湯川宏自由民主党

○湯川委員長代理 保険局長。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 早速調査をいたします。

永井孝信日本社会党

○永井委員 労働省、どうですか。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○岡部説明員 ただいま御指摘のような問題点、これは労働基準法上の問題といたしましては、たとえば賃金の問題、あるいはまたさらに根本的に労働契約の問題、多々問題があるようでございます。この十全会につきましては近く監督の予定もあるようでございますので、先生のいろいろな問題点を現地に伝えまして、その点を含めて調査、監督いたしたいと存じます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 労働省、念のために私は申し上げておくのでありますが、日にちは忘れましたけれども、ことしの三月の初めごろだったと思うのでありますが、同じこの社会労働委員会において私はパートタイマーの問題を取り上げて質問したことがあるのです。そのときにも私は申し上げたのですが、パートタイマーと準職員ということでは受けとめ方が違うようでありますがやっていることは同じようなことなんです。ただ、一般のパートタイマーよりも準職の方が濃度が非常に濃い。ちょっと調べてみますと、朝の八時から午後の三時までとか、朝の九時から午後の三時半、四時ごろまでという、働く時間帯もかなり長時間であります。一般の病院の勤務者、日勤勤務者といいますか、事務職など、こういう人たちの労働時間よりも実は長いこと働かされているのですね。そして、これが治療のための作業でないだけに、この人たちに対しては当然本来なら就業規則が適用されるべきだし、あるいは労働条件について、就業規則に基づくこともあるでありましょうが、その人たちに明示をしてから、これだけの賃金で働いてもらいますという手続をちゃんととらなければいけない。あるいはそのことが労働基準監督署の方にも届け出をされなければいけない、こう思うのでありますが、そういうことは一切されていないのです。  そしてこの中に相当長期間働いた人たちもいらっしゃいます。半年や一年じゃなくてもっと長い間この病院のために準職で働いた方々もいらっしゃるわけでありますが、この人たちがやめた場合も実は退職金も一銭ももらっていない。もちろん休暇などについてもそういう者は正規の法律に基づいた措置がとられていない。名前が準職だから、あるいは病院の中だからということで、これを対外的には治療のための作業ということでごまかしてしまうという意図があったのではないか、こういう気がするわけでありますので、この辺の関係について、労働省の方、さらにその問題をただ一点だけじゃなくていろんな面で調査をして厳しく対応してもらいたいと思いますが、どうでございますか。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○岡部説明員 実は、民営精神病院に関しまして、それが強制労働にわたるかどうかということで、最近でございますが司法手続をとった事件も他の県においてございます。同様に、そのような観点、先生いま言われましたような労働時間、休暇の問題、就業規則、労働条件の明示の問題、さらにまた退職金の問題、それらの点も含めまして調査することにいたします。

永井孝信日本社会党

○永井委員 いま大臣からも再度重ねて、私にしてみれば非常に満足のいく答弁がなされたわけでありますけれども、京都府が、私が最前指摘しましたように、一月二十七日の問題は全部済んだ、こう言ってしまっているわけです。何を指してそう済んだと言っておるのか私はいまだにわからぬわけでありますけれども、たとえば赤木一族が退陣をした、理事長がかわった、経営陣がかわったからそれまでのことは全部終わりなんだ、こういうことも中には入っていると思うのですね。  個人のことを申し上げて恐縮でありますが、今度の十全会の理事長になった方はお医者さんであります。医学博士のりっぱな方でありますけれども、この人の履歴をちょっと調べてみると、昭和三十一年から十全会の病院に勤務をされているお医者さんなんですね。いわば長年にわたってずっと続けられてきました不正、あるいは私たちから言うと犯罪行為にも該当するようなことをやってきたその責任者のうちの一人なんです。理事長がかわって中身が全部変わる、そういうこともあり得るのでありましょうけれども、今度の場合に限って言えば、私は、首のすげかえで決して中身は変わっていない、こう思うのです。  ところが、そのことを契機にして、いま大臣も指摘されましたように、一月二十七日のことは全部終わりなんだ。これがもし終わりなんだということで済んでしまうとするなら、医療犯罪を犯し得になってしまうわけです。このことはやっぱり該当のところに厳に慎んでもらわなくてはいけない。こういうことが放置されるといろんなところに問題が波及をするわけです。富士見病院で大変この委員会でも問題が追及をされましたが、富士見病院の問題がこのごろはだんだんマスコミにも載らなくなった。人のうわさも七十五日ということで、うわさが終わった時分にはまたおれのところも金もうけしようか、そのために乱診乱療、不正医療をやるかということにもなりかねないのですよ。その場限りで終わってしまう。あるいはその場さえ乗り切ってしまえばいい。いまも大臣が言われておりましたように、私たちの調べたところでも、監査に行く、立ち入り調査に行くときに、大臣も残念だったようでありますが、何月何日に調査に行くということをわざわざ何日か前に監督官庁の方から予告をしているわけですよ。一般の行政指導に行くのなら別でありますが、予告をされたのではそれに対応することはあたりまえの話であります。  私たちが調べたところでも、たとえば物置であるとかふとん部屋であるとか、倉庫がわりに使っておるところに雑然と物が積み込まれている。雑然と積み込まれているところを、あした監査に来るという日に、あわてて働いている者を動員して中を片づけて、リネン室とりっぱな看板を掲げて、ここはリネン室に使っていますと、こういうことをやっているわけですね。  あるいは、患者に対する看護婦の数が圧倒的に少ない。少ないためにまともなことができない。このことが見つかったら大変だというので、監査に来る場所以外の、たとえば双岡であるとかピネルとかいろいろなところを持っているわけですから、そこの看護婦を大量に動員して、監査のときだけだあっと配置をした。これは全部内部の人たちの証言でわかっているわけですよ。  だから、厚生行政というものは、ある意味では非常にやりにくい面もあるかもしれませんけれども、いま国民から指摘をされているような問題が多いときだけに、私は、そのことについて大臣の決意にあるようなことをさらに強めていく、事務当局がそういうことをやっていくということを重ねてここで強く要求をしておきたいと思うわけであります。  だんだんと時間も終わりになってまいりました。最後に、ことしは国際障害者年であります。かつての、たとえば国際婦人年であるとかあるいは近いところでは国際児童年であるとか、これらが、その初年度にはいろいろなことが計画をされ、大々的にPRがされ、いろいろなことがされますけれども、初年度が過ぎてしまうと何か水が引いたように、後については一切触れることはなくなってしまう。あるいはその後具体的にどういうふうに行政が対応しているかということもなかなか国民の前に明らかになってこない。こういうことがいままでに何回か経験があるわけですよ。ことしは障害者年だというので政府も大々的にPRをし、いろいろな行事も行われておりますが、本来、国際障害者年として扱うようなことは、ことしの問題じゃなくて日常的にやられておかなくてはいけない。これが日本の、私たちで言えば福祉社会をつくる重要な視点だと思うのですね。  そう考えてきますと、きょうこの委員会にかかっております医師法等の一部改正案に見られるように、冒頭に申し上げたことでありますが、差別とか不快用語、こういうものをなくすることだけでおさまる問題ではありませんので、むしろいま言ったように、十全会の病院の問題は一つの問題として例示をしているわけでありまして、厚生行政全般でいくと、心身障害者とかあるいは精神に傷を持っていらっしゃる方々とか、こういう人たちについてもっと温かい政治がなされなくてはいけない。  私たちも反省するのでありますが、たとえば精神障害者の方々を見た場合に、幾ら頭の中でわかっておっても、私たち健常者と同じようなことで対応する、そういう目を向けるということは、私たち自身だってまだ欠けている面があるわけですよ。それだけに私は、この国際障害者年にちなんで、単に十全会の病院だけではなくて、そういう健常者にない不幸な状態を持っておられる方々に対する、厚生大臣としてこれからの全体の対応の仕方についてお伺いをしておきたいと思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 障害者の方々に対する基本的な姿勢は、御指摘のとおりでありまして、ずっと昔は障害者に対しては一つの同情、善意ある傍観ということ、それから変わってまいりまして、手を出して助けようという考え方、いまやこれからかじを切らなければならぬことは、一緒に肩を組んで地域や社会の発展に一緒にやりましょうというふうに変わってきたと考えております。  そこで、今年の障害者年というのは、今年度の行事が主ではなくて、今年度にできる計画を中心にして、向こう十年間にどのようにして具体的に落ちなくやるかということだと考えております。具体的な問題はいま検討してもらっておりますが、私と総務長官が副本部長になっておりますから、できるだけ早く両方でやって、この案ができた後の、これをどのように推進していくかとか、こういうことを検討する所存でおります。  なお、先ほど御質問の中に、検査するのに予告して行く者がおるかと、こういう質問でありますが、私もそれは非常に不思議に思いましたので、実は、予告して行ったのかと聞いたら、予告して行ったと、こういうことで、これは事実であります。そこで、何で予告して行ったのかと、こういう質問をしますと、いや、病院に行くときには、指導する際に急に行くと混乱やいろいろなことがあるから、前もって通知をして、そして両方で相談し合ってよりよき病院の経営をやろうと、こういうことだということで、これは私は、厚生省のお方はりっぱな良心のあるお医者さんばかり相手にしておって、こういうような危急の場合の対応がなくて、いままでの惰性でやっていらっしゃるんだなと、ふっとわかるような気がしまして、私はそのときに、おかしいじゃないかと、普通のときに病院に指導しに行くならそれで結構だ、病院と厚生省が手に手をとって助け合うべきだ、しかし、こういうことが指摘をされて、おかしいのではないかと調べに行くときに指定して行くことがあるかと、その後講評などというのはどういうわけだと、少なくとも笑顔一つ見せてはならぬのだと、こういう話をしたのでありますが、そういうところにもまたわれわれが注意してやらなければならぬと考えております。その御指摘は御指摘のとおりでありまして、私からも十分注意しておきます。

永井孝信日本社会党

○永井委員 もう時間がやってまいりましたのでこれでおきますけれども、警察庁の方、最後にもう一つだけ、くどいようでありますけれども。  私は最前申し上げましたように、一月二十七日以前の問題はすべて決着がついたということが行政指導に直接現地で当たられる府の、名前を挙げて恐縮でありますが、野中副知事の方から記者会見で発表されたという問題があります。いま私はいろいろな具体的な問題も例示として挙げたのでありますけれども、いままでずっと調べてみると、すでに警察の方で捜査に入っていらっしゃる問題もありますね。水治療の水増し請求の問題であるとかあるいは無資格診療、新聞で見る限りかなりの問題について警察庁もお調べになっているようでありますが、これは時効の問題もあるのでありましょうけれども、ことし一月二十七日以前のいろいろな問題についても、当然これは事実がわかれば対応されると思いますが、どうでございますか。

中島治康警察庁刑事局保安部公害課長

○中島説明員 先生がおっしゃるとおり、二十七日でございますか、それ以前の問題でございましても、時効が完成していない限り、犯罪が成立するものにつきましては適切に対応してまいります。

永井孝信日本社会党

○永井委員 最後に。厚生大臣の決意にありましたように、三省協議会まで設置をしていただいておるわけでありますので、ひとつここで、医師法の一部改正という、きょうかかっておるこの議案でありますが、医療行政全般にわたって国民が絶対的な信頼を持てるという、このことが一日も早く到来しますように、厚生大臣を先頭にして獅子奮迅のがんばりをお願いしなくてはいけないと思うのです、いまの実態からいうと。大変御苦労をかけることでありますけれども、ひとつ決意をさらに固めてがんばっていただくことを心からお願いいたしまして、質問を終わります。大変ありがとうございました。

湯川宏自由民主党

○湯川委員長代理 次に、浦井洋君。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 医師法に関連をして、具体的に医師のモラルの問題についてちょっとお聞きをしたいのでありますが、大臣も御承知のように神戸市の北区の近藤病院の十一億六千万円に上る脱税事件、これは医師の犯罪事件として国会でも大きく取り上げられたし、あるいはマスコミでも大きく取り上げられておる。これは大臣もよく御承知だと思う。ところが、神戸地検の調べによりますと、これに関連をしてぞろぞろといろいろな問題が出てきた。保険請求を本来チェックすべき支払基金が、ここの専任審査委員数名、これはもちろん医師ばかりでありますが、近藤病院から金品を受け取ったりあるいははなはだしい場合には香港に夫婦二人で海外旅行に招待されたというような事実が明らかになってきておるわけなんです。その金品をもらった一名は技官でありまして、これは厚生大臣が直接任命する技官であります。こういう事実があるわけなんですか、これについて厚生省として調査をし、どういうふうにつかんでおるか、どういうふうに対処をするのかという問題についてまずお聞きをしたい。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 御指摘の金品の授受という問題でございます。これは新聞報道がございました当日に、当該機関に対しまして事情聴取をさせたわけでございますが、この問題につきましては、新聞に報ぜられているような事実はないという回答が兵庫県から参っておるわけでございます。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 大臣、保険局長は県からの報告でそういう事実はないということでありますが、新聞報道あるいは私どもが調べたところによりますと、これはもう技官などが定期的に金を受け取ったりあるいは招待旅行に行っておったというのは本人たちも認めておるわけなんです。言うまでもなく、こういうような部署におる数名の医師というのは兵庫県の診療報酬支払基金の審査委員会の中の有力なメンバー、審査委員会全体を指導するような立場にある人なんだ。地検の調べによりましても、これは金品は贈られて受け取っておるということは認められるけれども、しかしそれによって審査に手心を加えたということがはっきりしないのだということを地検の当事者は言っておるわけなんです。こうなってきますと、やはり私は大臣に尋ねざるを得ない。大臣が任命した公務員、これは医師でありますけれども、医師としてもこれは道義的な責任が問われなければならぬのではないかと私は思うわけです。たまたまこの六月、審査委員の改選の時期に当たるわけなんですが、少なくともこういうようなメンバーは保険請求を公正にチェックをしていく審査委員としては不適格ではないか、そういうふうに私は思うわけなんですが、この点については大臣の所見を聞きたいと思う。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 これは本年の四月十三日の夕刊に出た記事だと存じます。その後、兵庫県を通じて調べたところによると、そういう事実はない、それからこの記事に出た当人が検察庁または警察から事情聴取を受けた事実もないということで、いまのところはそれが事実であるかどうかは判明しておりません。しかし、今後いろいろ判明してくるでございましょうから、その結果も見、かつまた、そういう疑惑を受けるようなおそれのあるような事実でもあれば、それはよく十分考えて今後の問題は処理をいたします。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 これは厚生省としても、いまいろいろな健康保険の問題、医療保険の問題が出ておる折から、やはり肝心のそれを公正にチェックすべき審査委員の中でいろいろな——これからの今後の調査を見てみなければわからぬけれども、不正が出てくるということになればざるで水をすくうようなものだ。そういう点で経過を十分に注目をし、私が言ったような適切な処理をしていただくということについて、もう一遍決意のほどを聞かしていただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 十分注意をして慎重に対処いたします。  なおまた、この問題と病院の脱税事件とは別の問題でありますから、そっちはそっちの方でまた別に厳しい姿勢をもって対処いたします。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 それで、私きょう申し上げたいもう一つの問題は、今度の医師法の改正は不快用語を除くということで、私は無論異議はないわけなんですけれども、いまも同僚委員が言われたように不快用語を除くということで終わったのでは何にもならぬわけなんです。やはり早く具体的に国内計画を作成して、医療であるとか、教育、雇用、所得保障、こういう問題に具体的に取り組んでいただきたいというふうに私は要望をしておきたいわけなんですが、案外忘れられておる問題は早期発見、早期治療、早期療育という問題であります。障害者対策としてはこれが一番大切な問題だと私は思うわけなんです。幸い、医学も、あるいは医療技術も進歩、発展をしてまいりまして、障害を起こさせなかったり、あるいはたとえ起こってもそれを軽くするということができるわけなんです。  ところが、行政管理庁の五十三年六月十九日の中央計画監察によれば、厚生省にこう言っておるわけですね。これは局長もよく御承知だと思うのですけれども、現在実施しておる健康診査というものは「心身障害児の発見を必ずしも重点として行っていない」これからいけば予防や早期発見をしっかりやる必要があると思う。それから、早期療育についても大半の地域では「連携体制は整備されていない。」ということも言われておるわけです。  厚生省はこの勧告に対していろいろ返事はしておるようでありますけれども、実際にはその五十三年六月十九日の勧告に従って予防であるとか早期発見であるとか早期療育、こういう問題、いろいろ実情を調べてみますと遅々として進んでおらぬ。私は、これは行政の怠慢ではないかと思うのですが、局長どうですか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいま先生おっしゃいました早期発見、早期療育のことでございますが、まず早期発見でございますが、脳性麻痺を含めました心身障害の早期発見につきましては、私どもといたしましては全国的に乳幼児の発達段階に応じた健康診査を実施いたしております。  先生御存じの点も多かろうと思いますが、一応御説明申し上げますと、まず生後五日ないし七日のうちに先天性代謝異常検査あるいはクレチン症検査を行いまして精薄児の発見に努めております。それから、乳児のうちには随時保健所で健診をいたしておりますし、また医療機関へ委託いたしまして、三カ月から六カ月の間に一回、九カ月から十一カ月の間に一回と、二回無料で健診をいたしております。また、御承知のとおり市町村におきましては一歳六カ月の時点におきまして健診を行っております。また、三歳の時点におきましては保健所段階で全国一斉に健診を行っているわけでございます。なおまた、脳性麻痺につきましては乳幼児期の健康診査によって発見することができると考えております。  次に早期療育でございますが、特に脳性麻痺を中心といたしまして肢体不自由児施設の通園療育部門、母子入園部門、または肢体不自由児通園施設の拡充を図りますとともに、市町村の行う心身障害児通園事業等に対しましても助成を行っているわけでございます。  その他につきましては、また御質問に応じてお答えを申し上げたいと思います。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 それはいまの施策を羅列をされたわけなんですけれども、しかしこれは後で私も質問したいと思うのですが、現実には地方へ行きますといろいろ問題が山積をして、遅々として進んでおらぬというのが現実なんです。これはやはりお認めにならなければならぬと思うのです。  そこで、これは大臣に別にテストをするわけではないわけですが、先ほど私申し上げたように、医学、医療の進歩によってかなり病気を予防することができるというような観点でいきますと、果たしていまたくさんの方が悩んでおられる脳性麻痺というのは治るものなのでしょうか。私は、これをちょっと大臣の個人的な見解を聞いておきたいと思う。途中まで医学を志されたわけですから。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 私は、脳性麻痺が治るか治らぬかという専門的な知識はありませんけれども、少なくとも早期にこれを発見し、早期に幼児のときに治療をすればその効果はきわめて大きい、こういうふうに判断をし、かつまた大津の問題などを聞いてみて、数字を見ても、これは非常に大きな効果があるなと思っております。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 大臣の答えは大体正解だと思う。私は、重い重複障害のない限り、大臣の言われたように、早く発見をして早く療育すれば治るというのがいまの脳性麻痺の治療に対する到達した段階だと思う。  そこで私は、いま大臣も言われたですけれども、具体的に大津でどういうことをやっておるかということについて、大臣にちょっと報告をしたいと思う。  委員長、これは簡単な資料なんですが、これを見ておっていただいた方が理解がしやすいと思いますので、大臣にちょっとお渡しいたします。  大臣、大津方式というのはいろいろなところで言われております。私、本格的にここで初めて取り上げるわけなんですけれども、三つの原則がありまして、健診漏れをなくする、それから発見漏れをなくする、対応漏れをなくする、この三つの原則を行政やらいろいろな関係者が一致して協力してやっておるという簡単なものであるわけなんです、原理原則は。  それで、健診漏れをなくするというのはどうするのかということになりますと、いま大臣にお渡しいたしましたように、まず赤ちゃんが産まれますと、赤ちゃん手帳を各家庭に無料配付するわけなんです。これは母子手帳と大分内容が違います。厚生省が発行しておる、各自治体がやっておりますけれども、大分内容が違います。非常に親切です。そして、市の健康センターには、そこにお渡しした黄色いパンチカードの紙を行政の方で置いておいて、そして市の広報で知らせる、これだけの簡単なことであります。これによって、七年前からこの方式を始めておりますけれども、昭和五十四年度はもう健診率実質一〇〇%で、九七%にまでいっておる。大体一般的な乳児健診というのは七〇というのが普通なんですね。  それからもう一つ、二番目の点、発見漏れをなくするという点では、これは一つは乳児の発育でいろいろな医学的な研究、実践によって、四カ月、十カ月というのが発達の節なんです。そこを越える前に一定の方法で観察をする。これは具体的にいろいろお示ししたら非常に興味深いのですけれども、たとえば四カ月であれば、座らせて赤ちゃんを注目させるのですね。音を立てたり、あるいはいろいろな道具を見させる、それをやれるかどうか、それから親指が開くかどうか、それから首がすっかりすわっているかどうか、こういうことをきちんと調べたら、四カ月のところでこういうことができない子供さんの三分の一は脳性麻痺になる可能性がある、こういうことがわかってきた。  今度は十カ月になるとどうなるかといいますと、たとえば一つの目標を示してそこにはわせていかせるとか、あるいは指で指し示させるとか、あるいはブーブー、マンマンというような言葉が出るかどうか、これは専門的には後期補語というそうでありますけれども、こういうことができるかどうかということをきちんと調べる。これができない子供さんの三分の一は、これまた自閉症になるのだというような実践結果があるわけなんです。  だから、結局私がここで言いたいのは、いま厚生省はなるほど三カ月から六カ月に乳児健診をやりますというふうに言われておるけれども、きちんと四カ月を越える前あるいは十カ月を越える前、こういうところでやらなければ、もう一つきちんとした障害者の早期発見ができないのではないか。三カ月では早過ぎるし、大臣が前に言われたように、一歳半健診ではもう障害が出てしまって固定してしまっておる。だから、こういうようないろいろな研究や実践結果を十分に参考にしていただきたい。  これによってどんなことになっておるかといいますと、これはそこに数字をお渡しいたしましたけれども、非常に発見率が高くなってきておるわけなんです。四十八年、この方式をやる前には、三十八人大津市で発見をしておるのですけれども、健診では十三名しか発見しておらない。家庭で十四人発見しておる。ところがその明くる年の四十九年には、八十人発見して、それも健診で七十一名発見して、もうすでに健康センターで発見されて、家で発見したのはたった二人だ、こういう成果を上げておる。早期発見ですね。  ところが、ここでほっておくのが普通の自治体の行き方なんです。ところが大津の場合には、今度は対応漏れをなくするということで、発見したままほっておいたら、かえって発見しただけ家庭に不幸をもたらすことになりますから、すぐに市民病院で早期のリハビリをやる、あるいはお父さんやお母さんも一緒に教育するとか、それから一般の保育所にも混入させる、あるいは医師会とも協力をして、重症の場合には早速医療機関に送るというようなことで、これはいま大臣にお渡しいたしましたけれども、この表がある。これで見ますと、五十一年から五十二年、五十三年、五十四年とどれだけ早く座れるようになったか、歩けるようになったかということをわかりやすく棒グラフで示しておるわけなんです。そうすると、五十一年にはかなり長いこと座れなかったし歩けなかった。ところが、五十三年にはもう相当グラフが立ってきておるわけですね。非常にわかりやすい成果だと私は思う。  そういうことで、結果としては昭和五十年以後は、この方法で早期発見、早期療育した子供のうち、重症の合併症のない子供さんはすべて二本足で直立歩行ができるようになったということになっている。言うなれば正常になっておるわけなんです。私は大臣に初めに、脳性麻痺というのは治りますかどうですかというふうに尋ねたわけなんですが、大津では、重い合併症のない限りは、全部子供さんは小学校に普通の子供と同じように二本足で歩いて行けるようになっておる、こういうことなんですよ。だから、これは私は非常に大事な大きな成果だと思う。これは一昨年ですか、大阪のNHKで放送されて、非常に反響が強かったので、また全国に再放送されるというようなことで、全国の障害児を持っておるお母さんやお父さんの注目の的になっておるわけなんです。  これに反して、大臣、いまの局長が説明された乳児健診なり一歳半健診なり三歳健診のやり方でいくと、先ほども言いましたように、健診漏れがあるわけです。七〇%ぐらいでしょう。その七〇%もダブっている部分があるから、実際はもっと低いわけです。しかも、医療機関に委託した場合には、行政の方でどういう結果だということは全然つかめぬわけなんです。そういう致命的な欠陥がある。  それから二番目には、発見漏れがあるわけなんです。先ほど言いましたように、行政の方、国の方で、たとえば四カ月、十カ月、こういうふうにやりなさいと方法論をきちんと示してやればよいのですけれども、それがないために適当にやっておる。結果としては、一歳半健診にしても三歳健診にしても、何か脂肪のついたぶよぶよした赤ちゃんがりっぱな赤ちゃんで、赤ちゃんコンクールで一等になるというようなかっこうになっている。これはマイルストーン方式と言われておるそうでありますけれども、そういうようなやり方になっている。  一番肝心なことは、そこでほったらかしになっている。すぐに今度は市民病院なりそういうところに送って、きちんと治していくというリハビリが全然やられておらぬ。それで親の責任になる。親が一生懸命汗水たらしてあちこち走り回らなければならぬというようなことになってきておるわけだ。だから、大臣に後でゆっくりとこういう資料もごらんになっていただいて、具体的にひとつやっていただきたい。  たとえば、こういうことを厚生省が知らないかというたら、いま局長、ちょっと言っておられたように、そうではなしに、厚生省の委託研究で、心身障害の発生予防に関する総合的研究の一環として五十一年度にお金を出して、「乳幼児健康診査と集団健康管理のシステムに関する研究」というのがある、中山先生をキャップにいたしまして。それの報告が来ておるわけなんです。それを見ますと、いま私が言うたようなことがちゃんと問題点として指摘されておるわけなんです。たとえば、健診に従事する要員のマンパワーの数と質の問題であるとか、あるいは乳幼児の健康管理システムとの関連であるとか、受診しない子供をどうするかとか、あるいは地域の特性を考慮した具体的な実施計画をつくりなさいとか、あるいは実施の手引きを国がつくってと、はっきりここに書いてあるのですよ。実施の手引きを国がつくって、そしてそれを地方自治体に実施させなさい、こういうように書いてあるわけなんです。「一般的な乳幼児健診サービスの質や精度の向上のためには、実施の手びきや、研修テキストが必須で国の事業として早急に作成される必要がある。」こういうことまで具体的に指摘をされておるのでありますけれども、こういうことが具体的にやられておらぬ。いまもなお、手おくれになってみすみす脳性麻痺が治らずにそのまま大きくなって、いろいろ嘆きを持っておられる赤ちゃんが、いまこの瞬間にもおられるわけなんです。  だから、こういうことを十分に参考にして、早く諸制度の確立を図っていただきたい、このことをお願いするために、私、この問題を取り上げたわけなんですが、大臣、ひとつ所見を。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 大津の問題は、よその方からもよく聞いております。実績が上がっているようでありますから、さらに研究をして、よいところは取り入れて国の方でも逐次そっちの方へ制度を進めていきたいと思います。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 これは蛇足でありますけれども、私、提案したいのですけれども、たとえば具体的には四つほど問題点があるだろうと思うのです。  一つは、一般的にやられている医療機関に委託するというようなやり方がよいのか悪いのか、検討せないかぬ。しかし、少なくとも大津がやっておるように市の健康センターのようなところに来てもらう、それで一元的にやる、乳児健診も、一歳半もあるいは三歳も一元的にやるということが基本でなければならぬと思うわけなんです。  それから、これは方法論ですね。四カ月、十カ月の時期も含めた方法論を確立してもらわなければならぬ。大津へ私が行ったときに言われたのは、自分のところで時期を四カ月、十カ月というふうに設定しておるけれども、下手をすると、勝手にやっておるというふうに認定をされて補助金が来ないような、そういう危惧も持っておるのですというようなことを言われた。だから、やはり国はそういうことも含めて補助金の運用なんかも弾力的にせなければいかぬと私は思う。     〔湯川委員長代理退席、今井委員長代理     着席〕  それから専門スタッフの確立、充実。これにはむしろ、医者だとか看護婦さんよりも教育畑の人たちが一生懸命やっておられる。仮称心理専門職とその人たちは言っておるのです。ところが、その人たち、一生懸命やっておるのだけれども、何の保障もない、あるいは資格も全くないということで、前途に不安を持っておられる。だから、そういうことを解決をして、そして自治体がきちんとそういう職種の人を配置をして、病気の早期発見ということをやらないかぬと思う。  それともう一つは、やはりリハビリの体制ですね。  大きく言えばこの四点ぐらいを早急にやっていただきたいと私は思うわけであります。  やり方はきわめて簡単なんです。きょう私、簡単に申し上げたのですけれども、事実私、見にいっても、やり方は簡単なんです。それで、このごろは各自治体ともいろいろなセンターを持っております、健康センターであったり、福祉センターであったり。だから場所もあるわけなんです。問題は、一貫性がないし、なかなか効率化しておらないということであるわけなんですから、やはり考え方をきちんとして整理をして指導すれば、もうぐっと能率が上がる、成果が上がる。  大津へ行きますと、局長、いまお渡しした赤ちゃん手帳、これを忘れて帰る母親は全然おらぬわけです。ところが保健所の発行しておる母子手帳というのは何ぼでも忘れてしまう。窓口に忘れていってしまうのです。実際上必要ないわけなんですよね。そういう現象が起こっておる。それから大津からよその地方に転居した人は、その自治体で、自分の子供が大きくなったから健診してもらえるものだと思って、行くわけなんです。ところが、行って、断られる。大津しかやっておらぬ。あわててまた大津の健康センターに戻ってくるというような、笑えぬ悲劇さえも起こっておるわけなんです。  やはり早急に大津の経験などを取り入れて、そしてそれがずっと各自治体に広がるようなそういう指導をやっていただきたいと思うのですが、これはひとつ局長にお答え願いたい。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいま先生おっしゃいました点につきましては、私どもも、先生おっしゃいましたとおり研究費で研究もいたしておりますし、それからまた最近、脳性麻痺につきましては超早期療育法ということで、ボイタ法、ボバース法と、イギリスやドイツで研究された方法がございます。こういったスタッフの養成が欠けているということは御指摘のとおりでございまして、たとえば今年度におきましても、日本肢体不自由児協会で約百人のPT、OT等につきまして八週間の研修もすることになっております。また一、二の地方でも研修が行われる予定があるということも聞いておるわけでございます。  問題は市町村の実施体制でもございますので、私どもは、ただいま大臣言われましたように、これから引き続きそういった方向に向けて研究をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 もう最後なんですけれども、私、三十分間にわたって大臣にるる申し上げたのですけれども、なんでしたら、大臣、一度、大津などそういう実践をして成果を上げているところを見ていただきたいと思うわけなんです。これは非常に、刮目すべき実践と成果を上げておるわけなんです。ぜひ一遍行っていただきたいし、そして乳児健診であるとかあるいは早期療養のあり方というようなことにも大臣が目を向けていただいて、そして事務当局を指導してすぐに再検討させるということをぜひやっていただきたい。そしてそのことを具体的に、つくられるであろう国内行動計画ですね、この中に盛り込んで、そして、いますでに悩んでおられるお父さんやお母さんあるいは患児にやはり光明を与えていただきたいと思うわけなんですが、大臣、どうですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 機会を見て勉強するようにいたします。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 機会を見て勉強するようにしますでは、園田厚生大臣としては余り前向きだとは言えないと思うわけなんです。これはもっと積極的な姿勢をひとつ示していただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 浦井先生の話を聞いてすぐ飛びつく癖がありますから、よく慎重に勉強して、よかったら早急に努力いたします。

浦井洋日本共産党

○浦井委員 終わります。

今井勇自由民主党

○今井委員長代理 次に、森井忠良君。

森井忠良日本社会党

○森井委員 確認のために、私から二点ほどお尋ねをしておきたいと思います。  最初の御質問は、今回の御提案は要するに不快用語の追放にあるわけでございますが、単に用語上の問題じゃなくて、根本的には障害者対策の充実が大切であると考えるわけでございます。特に、ことしは国際障害者年でございますけれども、この年に当たって、厚生省として障害者対策をどのように推進していく所存なのか、お伺いをいたします。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、用語の廃止は身体障害者に対する基本的な姿勢を変えると、こういうことであります。  心身に障害を持つ方々への対応の問題は、社会福祉の重要な原点の一つでありまして、障害を持つ人々が家庭や地域でそれぞれみずからの力で生活をなさる、地域、社会づくりに参加をされる、こういうことを重点に、その予防あるいはリハビリテーション、福祉、所得保障など、各般の施策の整備、充実に取り組んできたところでありますが、今後もこの施策の推進について、国際障害者年特別委員会の御提言を受けて長期行動計画の策定に取り組み、関係審議会の御意見をもいただきながら、各般の障害者対策についてその充実に努めていく所存であります。  私といたしましては、来年も再来年も国際障害者年との心構えで一層努力していく所存でございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 二番目の質問は、残された不快用語と言われる言葉のこれからの処理の問題でございます。  たとえて申し上げますと、不具あるいは廃疾、そういった言葉がまだ残っておるわけでございますが、この種の用語についても早急に各法令を改めるべきだと思うわけでございます。この点につきましても、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまお願いしましたのは医師法に関係している用語の不適正なものを変更するものでありますが、なおほかに、いま言われました不具、廃疾など各省の関係の法律に使われている言葉がございます。これについては各省庁連絡会議で検討を行っているところでありますので、なるべく早い時期に結論を取りまとめて、不具、廃疾など残された用語が早く解決されるように一層努力してまいります。

今井勇自由民主党

○今井委員長代理 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

今井勇自由民主党

○今井委員長代理 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

今井勇自由民主党

○今井委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井勇自由民主党

○今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

今井勇自由民主党

○今井委員長代理 次回は、来る十九日火曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会

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