社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/04/23
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 他に質疑の申し出がありませんので、本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○山下委員長 この際、森井忠良君外三名から、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合三派共同提案に係る修正案が、また小沢和秋君外一名から、日本共産党提案に係る修正案が、それぞれ委員長の手元に提出されております。 両修正案について、提出者より順次趣旨の説明を求めます。田口一男君。
○田口委員 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、 一 老齢福祉年金について、扶養義務者等に一定の所得があるときは、政令の定めるところにより、その一部の支給を停止する改正規定を削除すること。 二 昭和五十六年度における年金額の物価スライドの実施時期を、厚生年金保険及び船員保険については昭和五十六年六月から同年四月に、国民年金については昭和五十六年七月から同年四月に、それぞれ繰り上げること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山下委員長 次に、小沢和秋君。
○小沢(和)委員 私は日本共産党を代表して、わが党が提出いたしました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。 わが国の年金制度は、昭和三十六年国民年金制度の発足により国民皆年金の姿をとることになりました。この制度は、従来、個人の力や家族の共同意識によって支えられていた老後等の私的扶養を、社会的連帯の思想に基づく公的な扶養に切りかえるという高い理想を掲げて発足したものであります。 自来二十年を経過した今日、平均寿命の大幅な伸びと出生率の減少という事態の中で人口の高齢化は急速に進み、一方、昭和五十年以来の長期にわたる深刻な不況のもとで、この理想の実現化はいよいよ緊急かつ重要なものとなっているのであります。 しかるに政府は、軍事費を異常なまでに増大させながら、逆に財政危機を口実として福祉予算の切り詰め、なかんずく児童手当、老齢福祉年金の所得制限を強化しようとしているのであります。 老齢福祉年金について言えば、戦前戦後を通じて最も苦痛に満ちた時代を生き抜き、日本経済の復興の主役としてその労を惜しまなかった人々が、公的年金制度の未確立のためその恩恵に浴することができないため設けられたものであります。その意味で、社会的連帯の思想に基づく公的な扶養という制度を最も具現化したものと言え、本来これに扶養義務者の所得による支給制限を設けること自体、制度の本質になじまないのであります。にもかかわらず、逆に所得制限を強化する政府原案に盛られた措置は、断じて容認することはできません。 かつて昭和四十七年に当時の齋藤邦吉厚生大臣は、扶養義務者の所得制限は撤廃の方向で努力をいたしたいとも述べているのであります。老齢福祉年金の新規の受給権者は、本年四月よりもう発生せず、年々漸減していくのであり、また政府の新たな所得制限によって節約できる金額は本年度わずか七億円、平年度でも二十億円程度のものであり、所得制限強化の根拠にはとうていなり得るものではありません。 さらに重大なことは、一部支給停止による所得制限の強化の手法が、他の関連諸制度への適用拡大のおそれが十分考えられることであります。 以上、申し述べましたとおり、本修正案は、政府原案のうち重大な改悪部分である老齢福祉年金の一部支給停止を定める条項を削除せんとするものであります。 何とぞ、委員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。
○山下委員長 以上で両修正案の趣旨説明は終わりました。 この際、両修正案について、それぞれ、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。園田厚生大臣。
○園田国務大臣 ただいまの日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合提出の修正案については、政府としては反対でございます。 なお、ただいまの日本共産党提出の修正案については政府としては反対でございます。
○山下委員長 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 採決の順序は、まず、森井忠良君外三名提出の修正案について、次に、小沢和秋君外一名提出の修正案について、最後に、原案について採決いたします。 まず、森井忠良君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。 次に、小沢和秋君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。 次に、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○山下委員長 この際、戸沢政方君外六名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合七派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。平石磨作太郎君。
○平石委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。 一 本格的な高齢化社会の到来を迎え、中高年齢者の雇用の改善と公的年金制度全体の抜本的改善を図ること。特に制度間の不均衡の是正など体系的な整備充実に努めるとともに、年金制度の長期的安定化方策につき検討を行うこと。 二 婦人の年金権のあり方については、被用者の妻の国民年金への任意加入制度との関連も含め総合的な見地から検討を進め、速やかにその確立に努めること。 三 各福祉年金については、引き続きその充実に努めるとともに、関係諸制度との関連を含め、基本的な検討を行うこと。 四 本格的な年金時代を迎えるに当たり、受給者、被保険者に個別的かつ具体的に対応できるよう年金相談体制を充実するとともに、業務処理体制の強化を図り、もって国民に対するサービスの向上に一層努めること。 五 年金の給付については、老後の生活安定を図る立場から、業務処理体制の整備とあわせて支払期月、支払回数及び支払方法の制度間の整合について検討すること。 六 すべての年金は、非課税とするように努めること。 七 五人未満事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用の問題について、具体的方策を樹立し、その適用の促進に努めること。 八 積立金の管理運用については、極力、有利運用を図るとともに、民主的な運用に努めること。また、被保険者に対する福祉還元についても、なお一層努力すること。 九 児童手当については、高齢化社会の担い手となる年少世代の長期的な展望に立って、制度の基本的な検討を進めること。 十 国際障害者年に当たり、障害者の所得保障施策について、総合的に検討すること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○山下委員長 以上で趣旨説明は終わりました。 採決いたします。 戸沢政方君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付すことに決しました。 —————————————
○山下委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○山下委員長 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。
○園田国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。更 ————◇—————
○山下委員長 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び森井忠良君外七名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の両案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
○今井委員 日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合の共同提案による原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、自由民主党の立場から、提案者の一人であられます森井議員に対し、質問をいたします。これからこの法案を被爆者援護法と縮めてまず呼ばせていただきたいと思います。 自民党としては、従来から原爆被爆者の方々が不幸にして放射能を多量に浴び、健康上格別の配慮を必要とするという特殊事情に着目をいたしまして、昭和三十二年原爆医療法を、続いて四十三年原爆特別措置法を制定して、当初の健康診断、医療給付等の現物給付から次第に健康管理手当、特別手当、医療手当、保健手当、介護手当、葬祭料等の金銭給付に至るまで幅広く施策を広げてまいっております。このことにつきましては基本懇の答申におきましても、「他の戦争被害者に対する救済措置と対比して」「それ相応の配慮をしてきたものといってよい」というふうな評価を受けたと思っております。特に昭和五十六年度の被爆者対策については、基本懇の答申の趣旨を尊重して、医療特別手当及び原子爆弾小頭症手当を創設をし、これらの手当に対します所得制限を撤廃するなど思い切った措置をとろうとしております。 さて、私といたしましても戦争体験者の一人として、広島、長崎の原爆投下による被爆者の犠牲者が数多くの戦争犠牲の中でも最も悲惨なものであったこと、したがってできる限り手厚い手当てをしなければならないこと、及び、このような悲劇を再び繰り返さないためにも世界の恒久平和が不可欠な要件であることを認識している点におきましては、被爆者等援護法を提案されております野党の皆さん方の人後に落ちないことをまず申し上げまして、以下順を追って被爆者援護法の基本的な考え方について質問をいたしたい。 まず第一は、国家補償についての考え方であります。被爆者援護法案では、三つの理由を挙げて、「国家補償の精神による被爆者援護法をつくることは、われわれの当然の責務」と言っておられますが、私はこの考え方に疑念を持つものであります。 まず最初に、戦争による国民の損害に対して国は補償義務を負うかどうかにつきましては、昭和四十三年十一月二十七日の最高裁の大法廷におきまして明確に否定しておられます。すなわち判決理由の中で、 戦争中から戦後占領時代にかけての国の存亡にかかわる非常事態にあっては、国民のすべてが、多かれ少なかれ、その生命・身体・財産の犠牲を堪え忍ぶべく余儀なくされていたのであって、これらの犠牲は、いずれも、戦争犠牲または戦争損害として、国民のひとしく受忍しなければならなかったところであり、右の在外資産の賠償への充当による損害のごときも、一種の戦争損害として、これに対する補償は、憲法の全く予想しないところというべきである。 と言って、途中幾らかの言葉がありますその後で、 したがって、これら在外資産の喪失による損害に対し、国が、政策的に何らかの配慮をするかどうかは別問題として、憲法二九条三項を適用してその補償を求める所論主張は、その前提を欠くに帰するものであって、 云々と言っているのであります。 すなわち、政治論として国の戦争責任等を云々するというのはともかくといたしまして、法律論として、開戦、講和というようないわゆる国の統治行為につきまして、国の不法行為責任など法律上の責任を追及してその法律的な救済を求める道は開かれていないと解すべきであると私は思います。 しかし、この判決で言っておりますように、国が政策的に何らかの配慮をするかどうかは別問題でありまして、戦争犠牲者に対しどのような救済策を講ずるかどうかは別に考慮に値する問題でありまして、社会的公正を確保する見地からいっても意義のあるものであると私は思っております。しかしながら原爆被爆者対策の基本理念についてはいま一つはっきりしていなかった、私はこう思っております。 ところが、昨年十二月の基本懇の報告で実に明確になったと私は考えております。すなわち 最高裁判所の判決も述べているように、従来国のとってきた原爆被爆者対策は、原爆被害という特殊性の強い戦争損害に着目した一種の戦争損害救済制度と解すべきであり、これを単なる社会保障制度と考えるのは適当でない。また、原爆被爆者の犠牲は、その本質及び程度において他の一般の戦争損害とは一線を画すべき特殊性を有する「特別の犠牲」であることを考えれば、国は原爆被爆者に対し、広い意味における国家補償の見地に立って被害の実態に即応する適切妥当な措置対策を講ずべきものと考える。 こう言っておるわけであります。 そして、次いで、「広い意味における国家補償」というものはどういうことなんだということについても言及をして、 国家補償の見地に立って考えるというのは、今次の戦争の開始及び遂行に関して国の不法行為責任を肯認するとか、原爆被爆者が違法な原爆投下をしたアメリカ合衆国に対して有する損害賠償請求権の講和条約による放棄に対する代償請求権を肯認するという意味ではなく、今次戦争の過程において原爆被爆者が受けた放射線による健康障害すなわち「特別の犠牲」について、その原因行為の違法性、故意、過失の有無等にかかわりなく、結果責任として、戦争被害に相応ずる「相当の補償」を認めるべきだという趣旨である。 と言っておるのであります。 この考え方は、前に述べました昭和四十三年十一月二十七日の最高裁の大法廷の判決を踏まえ、さらに従来から言われてきた違法な行為に起因する損害に対する国家賠償と、適法な行為に起因する損害に対する損失補償、その中間に、原因行為の違法、適法を問わない結果責任に基づく国家補償、こういう概念を明らかにしたものと私は受け取っておりまして、苦心のたまものであると同時に共感を覚えるものであります。 さらに「相当の補償」の範囲についても、原爆被爆者対策は国民の租税負担によって賄われることになるので、他の戦争被害者に対する対策に比し著しい不均衡が生ずるようであってはならず、国民的合意を得ることのできる公正妥当な範囲にとどまらなければならないと言っておるわけであります。 さて、一方、被爆者援護法の提案理由を読ませていただきますと、前にも触れましたごとく、「現行の医療法と特別措置法を乗り越え、国家補償の精神による被爆者援護法をつくることは、われわれの当然の責務と言わなければなりません。」と言っておられる。また参議院に全野党が共同提案しておられます戦時災害援護法案の提案理由を読ませていただきましても同じような考えがうかがえるのであります。 そこでお尋ねをいたしたいのは、被爆者援護法では国の戦争責任を認めて、被爆者が受けた一切の身体的、精神的な損害について国家賠償をせよという考え方が基調になっていると思うがどうか。もしそうだとするならば、まず第一点は、昭和四十三年十一月の最高裁判所の大法廷の判決をどう理解をしておられるのか、さらに基本懇の報告をどう理解されているのか、これが第一点であります。 二番目は、そうだとするならば、他の戦争犠牲者についても同一に考えるべきであろうと思うが、どうか。 三番目は、戦争犠牲者がこうむった一切の戦争損害を、国が、すなわち国民が今日改めて賠償することになれば莫大な額になると思うが、一体どのくらいになると思われているのか。 第四点は、これに対しまして国民はその負担にたえ得る、こう考えておられるのかどうか。 まず、申し上げた四点についてお考えをお聞きしたいと思います。
○森井議員 私の記憶では、野党案を提出いたしまして与党から御質問をいただくということは初めてでございまして、きわめて光栄に存じます。 御質問がずいぶん長うございましたから、正確に全部お答えできないかと思いますが、骨子につきましては明確にお答えしたいと思っております。 与党の方では、現行二法を年々充実をしてかなりな成果を上げているじゃないか、こういう御指摘がございました。私もそれを否定するものではありません。すでに厚生省の原爆関係の予算も九百六十億に近くなってまいりまして、対前年の伸びもたしか一四%ぐらいでございまして、それなりに努力をされました跡については私どもも一定の評価をすることにはやぶさかでないわけでございます。 しかし、何といいましても根底にあっております考え方が、やはり社会保障でございます。先ほど今井委員御指摘のような原爆基本問題懇談会の答申が出されまして、広い意味での国家補償ということがうたわれましたけれども、もしそうだとすれば、わずかしか残っていない所得制限を受けている人の、せめて所得制限ぐらいは撤廃をしてしかるべきだ、こう考えておりましたけれども、残念ながら七人委員会の答申を受けた後の政府提出の特別措置法の改正案にはそれが盛られておりません等々、やはり国家補償の見地からすればまだ現行二法では足りない部分が非常に多いという認識をいたしました。その結果、原爆被爆者等援護法案を提出したわけでございます。 次に、そういたしますと、いわゆる国家補償というのは一体どういうことなのか、国家補償しなければならない積極的な理由は何なのか。具体的な質問ではございませんでしたけれども、意見の中で出てまいりました。議員立法ですからある程度討論的な御答弁になると思うわけでございますけれども、やはりまず第一に挙げなければならないのは、日本の政府が起こした戦争がいわゆる侵略戦争であったということでございます。当時国民を欺瞞をいたしまして、あたかも日本が起こした戦争が正当なものであるかの宣伝を国民にされまして、率直なところ一億国民すべて日本の軍国主義に欺瞞をされておった、だまされておったという認識をしなければなりません。現にアジアの諸国におきまして、いまなお日本軍国主義の植民地政策あるいは侵略戦争による数々のつめ跡が残っておることをお考えいただけば、十分御理解がいただけると思うわけでございます。 二つ目は、そういった軍国主義が起こした戦争に対して、結果としてアメリカの原爆投下を招いたわけでございます。アメリカの原爆投下の行為につきましては、私どもは明確に国際法違反だという認識をいたしております。ですからこそ、日本政府も原爆が投下された直後、昭和二十年八月十日にあえて政府声明を出しまして、へーグの陸戦法規その他を対照しながらアメリカ政府を糾弾する政府声明を出していることから見ても明らかでございます。 なるほど原爆というものは、その当時の戦時国際法におきまして、禁止兵器の中に明確に原子爆弾という言葉は使ってありません。毒ガスでありますとかあるいは生物化学兵器でありますとか、そういった大量無差別に殺戮をする兵器については禁止がされておるわけでございます。しかし、毒ガスですら禁止されておったわけでございますから、それ以上の悲惨きわまりない原爆が明らかに国際法違反であるということは当然であります。 先ほど今井委員は、昭和四十三年の最高裁判決を引き合いにお出しになりましたけれども、その前に昭和三十八年に東京地裁の判決が出されておりまして、原爆は明確に国際法違反だと断定をしているくだりがあるわけでございます。そのほか、判決の引用についてお願いをしたいのは、たとえば昭和五十三年三月三十日の孫振斗事件に対します最高裁の判決をむしろお読みをいただきたいと思うわけでございまして、今井委員御指摘の判決につきましては、なるほどその判決があったことは認めますが、大方の日本でいままで出されました判決の流れを見ますと、国が国家補償しなければならぬ、こう書いてあると私どもは理解をいたしておるわけでございます。 いずれにいたしましても、原爆は国際法違反であったという私どもの認識の上に、そういたしますと、アメリカに対して日本国政府は、国際法違反ですから損害賠償の請求をしなければならぬ。しかし、昭和二十七年のサンフランシスコ条約におきまして、一切の対米請求権を日本国政府は放棄をしておるのです。 ここで今井委員に御理解いただきたいわけでありますが、損害賠償の請求権を日本政府は放棄をいたしましたが、広島や長崎を中心といたします全国の被爆者が損害賠償をしなくてもよろしいと言ったのじゃないわけでございます。あくまでも政府が独断で損害賠償の請求権を放棄したわけでございますから、放棄した日本国政府に対して被爆者やその遺族の皆さんが国家補償を求めるのは当然だという理解をいたしておるわけでございます。 次に、七人委員会の意見書について言及をなさっておられまして、今井委員は全面的に七人委員会の答申は正しいというふうに認識をしていらっしゃいます。残念でありますけれども、ここが違うわけでございます。私どもも、審議に当たりましては七人の先生方に御期待を申し上げておりましたし、そして一年半に及びます審議の経過については敬意を表しています。しかし、残念ですけれども中身につきましては、被爆者あるいは死没者、その遺族、そういった皆さんの気持ちからすれば耐えられないほどかけ離れた、期待を裏切るものであったというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。したがって七人委員会の答申は、私どもとしては残念ながら認めるわけにいかない。 たとえば先ほどもちょっと話が出ましたけれども、いまになって被爆者援護法、野党案のとおり実施をするとすれば国民的な合意を得てきなさい、こういう言い方になっています。しかし申し上げるまでもなく、あの日本が起こした太平洋戦争を終結したのは、原爆投下が大きなきっかけになったことは間違いありません。そして、もちろん戦争犠牲者はすべての国民にわたりますけれども、その中でも、今井委員御認識のとおり、特に原爆被爆者の被害というものは、熱線、爆風あるいは放射線といった史上初の、しかも他に類例を見ない悲惨なものでございました。したがって、とりあえず原爆被爆者から救済をしていかなくてはならぬということになるわけでございますが、もし政府が戦後三十六年たった今日まで放置していなければ、つまり原爆が投下されてなるべく早い時期に被爆者援護法をつくっておれば、いまさら被爆者援護法をつくることについて国民的な合意が必要ということはなかったはずであります。直ちにできたはずでございます。戦争体験も風化した今日になって国民的なコンセンサスを得ろということにつきましては、私は非常に大きな抵抗を感じています。 いずれにいたしましても、そういうことからいたしまして、七人委員会の答申につきましては、残念ながら私どもは賛成をするわけにいかないという立場で、改めて被爆者援護法案を提出したというふうに御理解をいただきたいと思います。 答弁が長くなりますから、この辺で具体的にお尋ねをいただきました点について御答弁をしたいと思います。 国の戦争責任につきましては先ほど申し上げましたが、それではすべての被害について損害賠償しろというのかということでございます。 実は私どもいろいろ考えましたけれども、きわめて控え目でございます。戦争被害について、たとえば在外資産等を補償した例がございます。しかし私どもは、受けた被害の中で財産被害はこの際言いたいけれども言わない。命と健康の被害に限って被爆者援護法に盛り込もうじゃないか、こういう思想に基づいていまして、したがって財産被害はこの際問わないが、亡くなられた方に対する弔慰あるいは遺族に対します年金等々、また健康被害を受けていらっしゃる方には十分な医療と所得の保障ができる、そういうことに限っておるということを申し上げておきたいと思うわけでございます。 二つ目は、他の戦争犠牲者との関係があるじゃないか。まさにそのとおりでございます。たとえば亡くなられた方に関しまして申し上げますと、あの静岡や浜松のように艦砲射撃で亡くなられた方あるいは障害を受けられた方、それから三月十日は東京の大空襲でございましたけれども、そういった空襲によって全国主要都市ほとんどが焼かれたわけでございますけれども、そういった一般戦災者の方々、特に死没者と障害を持たれる皆さんに対する国家の補償につきましては、私どもは、悲惨さにおいて原爆被爆者が優先をいたしますが、同時に他の一般戦災者の皆さんも救済をしなければならぬ、こういうふうに考えていまして、余談にわたりますが、参議院から戦時災害援護法案を提出いたしておるところでございます。 三番目の御質問は、野党案が成立をした場合に一体幾ら金がかかるのだ、それは国民の負担にたえられるのか、こういう御質問でございました。実は私どもも、たとえば昭和四十九年ごろやはり全野党で提出をしたことがございますけれども、その当時は五千億ないし六千億の予算を組んでまいりました。あるとき、いまは行管庁長官をしていらっしゃいます中曽根さんが広島へお見えになりまして、援護法案をつくれといっても一遍に五千億も六千億も金がかかる、とてもこれでは政権政党として負担にたえられない、こういう意味の発言をしておられます。私どもは、いま国の財政がきついことも十分理解いたしまして、良識を持って被爆者等援護法案を提出いたしました。先ほど申し上げましたように、政府の予算もかれこれ一千億になろうとしておるわけでございます。私どもも要求をうんと縮めまして、たとえば弔慰金でありますとか遺族年金でありますとか、そういったものを支給したい気持ちはやまやまありましても、特別給付金でかえるなどいたしまして二千三十六億五千万円、政府の額の約倍というところに抑えたわけでございます。この点十分御理解いただきまして、むしろ与党の皆さんも積極的に、すでに政府案も一千億に近くなった、野党案も二千億、かつての五千億、六千億の考え方をこの際放棄しています。勝手でございますが、共同提案者の皆さんの御理解が得られれば、二千億が千五百億でも与党の皆さんと話し合いによっては応ずる用意があることをこの際明確に申し上げておきたいと思うわけでございます。 以上で私の答弁を終わります。
○今井委員 いま森井さんから大変心のこもった、しかも確信に満ちた御答弁がありましたが、ただ私はあえてまたもう一つ森井さんに論戦をいどまなければなりません。それはどうしても国の戦争責任を認めて、違法な行為であった、それに起因する損害だから国家賠償せよという所論をあくまで貫かれるわけであります。そういたしますと、あなたは他の戦争犠牲者についても波及することはわかる、こうおっしゃいました。広島、長崎の原爆のみならず、戦時災害援護法案というのも現に出しておられる。これについてのお考えはまだ具体的に承っておりませんが、いまの考え方からいえばすべて国が悪かった、そういう違法な行為に起因するんだから全部やらなければいかぬ、これは私はとめどがないことだと思います。といって適法な行為でもないわけであります。 そこで今度の基本懇で、考え方の真ん中に、原因行為が違法であるか適法であるかということを問わない結果責任に基づく国家補償というものを特別な被害に対して認めようじゃないかという考え方は十分私は納得できますし、との考え方でいかなければわれわれの念願するものが基本的に解決できないんだ、私はあえてそう考えているわけであります。あなたは昭和四十三年十一月の大法廷のことにも言及されました。そのほかにも五十三年の法廷があるじゃないか、いろいろ言われました。しかし戦争責任云々でなくて、戦争による損害賠償問題については、昭和四十三年十一月の大法廷の判決で明確になっていると私は思います。しかもその判決の中では、政策的に何らかの配慮をするかどうかは別問題だというふうなことがわざわざ言ってあるわけであります。基本はだめなんだ。しかし政策的に判断する余地があるじゃないかと言っておられるところを十分くみ取らなければならぬ。 そこで再度あなたにお伺いしたいのは、広島、長崎の原爆のみならず、あなたの所論でいくならば、戦争犠牲者は全部救わなければならないことに当然帰着すると思うが、その一点についてあなたのお考えを聞きたい。
○森井議員 戦争をすれば高くつく。なるほど戦争犠牲者は軍人、軍属、準軍属、一般国民各般にわたっています。いままで政府がとってまいりましたのは、その中に順序をつけまして、いまもって積み残したものが非常にあるわけでございます。御承知のとおり、ようやく近年になりまして日赤の看護婦さん、さらにそれ以外の一般の従軍看護婦さんが救済されるという形であります。せんだっては満蒙開拓青少年義勇軍、義勇開拓団にまでようやく戦争犠牲者の援護措置が広がってまいりました。いきなりすべてということはむずかしいかと思いますけれども、しかし申し上げましたように、予算はかかっても国が起こした戦争についてはすべて最終的には責任を持たなければならない、こう考えております。先ほど今井委員の御意見の中にありましたけれども、七人委員会の考え方は、国が起こした戦争責任、これは国家の統治行為である、政府の権限である、これだけで七人委員会の答申は片づけられています。しかし、戦争を体験した私どもとしては、それでは納得できない。アジアの侵略を目指して起こした戦争の犠牲をなぜ国民が全部受けなければならないか。釈迦に説法になるかと思いますが、いずれにいたしましても、仮に百歩譲りまして統治行為論をとるにいたしましても、日本の国に経済的にも非常に近い西ドイツが、軍人等に限らずそのほかの一般国民にも平等に国家が補償しておるという点に特に着目をしていただきたいと思うわけでございます。 以上です。
○今井委員 森井議員の言わんとするところはややわかるわけでありますが、私は軍人と民間人とを分けているのはけしからぬというのを必ずしも言っているわけじゃない。私は、あなたの所論に従えば一切の日本国民が受けた損害、戦争による損害というのは償われなければならないという結論が自動的に出てくるであろう、それでよろしいのかということをあなたに聞いているわけです。それはどうですか。
○森井議員 先ほど申しましたようにまず私どもの基本的な考え方は、言いたいけれども財産の損害については割愛をしよう、これが第一です。二番目は、受けた犠牲の深刻な度合いから、国の予算との関係もありますから順次広げていこう、こういう考え方でございます。
○今井委員 そうであるならば、私はあえて申し上げますが、基本懇の考え方で、二つの違法か適法かという真ん中に、原因行為の違法、適法を問わない、結果責任に基づく国家補償であなたのおっしゃる非常に気の毒な、際立った損害を受けた人たちに相当な補償をするという考え方が、そう考える方が素直だと私はあえて思うのです。
○森井議員 失礼いたしました。答弁が落ちておりましたが、私どもは結果責任論はどうしてもとることができません。現に被爆者の皆さんの立場から申し上げますと、自分たちは原爆投下という非常に悲惨な目に遭って、肉親を殺された、いまなお深刻な健康被害にさいなまれて坤吟をしている。もう被爆者は、自分たちだけで終わりにしたい。つまり被爆者の皆さんは、なるほど暮らしに困るといたしまして国家に補償を要求していますが、その根底には二度と日本の国を戦争に巻き込むことのないようにしたい、ここに基本がございます。したがいまして、国が起こした戦争責任は問わない、しかし国家補償は結果責任として大きな犠牲を受けたのだからしろということになりますと、私はまたぞろ被爆者をつくる可能性が出てくる、このことを非常に憂えます。 なお、これも一言余談でございますが、お隣にいらっしゃいます園田厚生大臣が外務大臣のときに国連でりっぱな演説をなさっていらっしゃいますが、私は、核軍縮ということもありますけれども、園田演説を読ましていただきましたけれども、やはり根底にはいま申し上げました国が戦争を起こしてはならない、二度と被爆者をつくっちゃならないということが脈々と演説の中に入っておったということを申し上げておきます。
○今井委員 私も二度とあの惨劇を繰り返すまい、そのことはあなたと全く同意見であります。しかもまた、原爆被爆の人たちを手厚く救済することについても全く同じであります。ただ、どういう基本理念でやるかという一点について、残念ながらあなたと私とは意見の一致を見ることができませんでした。続いてまた議論をさしていただきたいと思います。 時間が非常にないものですから、あと二点だけお尋ねをしておきたいと思います。 一つは、原爆二世、三世の問題でございます。原爆放射線の遺伝的な影響に関する現在までのいろいろな研究、調査段階では、私は少なくとも有意な影響が認められたという報告例はないように思います。また、数年前から日本公衆衛生協会がやっております原爆の後障害の研究、この一環として行っています二世健診、ここでも一般国民の健康状態と全く変わりはないという結果が出ていると聞いております。 私は、このような状態にありますのに二世、三世対策を法制度の中で取り上げるのはかえって関係者に無用な不安を与えるのではなかろうかという危惧の念を持ちますが、いかがでございますか。
○森井議員 私は、二世、三世の対策は非常に大事だと思うわけでございます。そうむずかしい理屈を申し上げるのはいかがと思いますけれども、遺伝子でありますとか染色体に及ぼす放射線の影響というものは学術的に証明をされています。したがって、放射能には閾値がないとも言われているわけですけれども、いずれにいたしましても大量の放射線を浴びた被爆者の子や孫につきましては、何らかのそういった放射線の及ぼす影響があるのではないかこれを心配することは当然であります。それが第一。 それから二つ目は、自分の健康を心配をする被爆者の諸団体が自主的にアンケート調査等を行っております。それは大学の場合もありますしあるいは職域の場合もあります。それから広島市等がやったものもございます。その中で明らかになっておりますのは、被爆二世のグループと非被爆二世のグループを比較をいたしますと、たとえば過去に大きな病気にかかった回数が多いとかそういった具体的なアンケート調査でありますけれども、健康に対する不安というのはいままで出されておるわけでございます。したがって、そういった見地からすれば、親が原爆被爆者の場合、被爆二世が自分の健康に不安を感じるのは当然だと言わなければなりません。 しかし、すべての被爆二世がいまおっしゃいましたようにこれはもう放射線を浴びているから健康上問題があるんだと断定するわけにももちろんいきません。したがって、自分の健康に不安を持つ二世は国の責任において健康診断を受け、場合によっては引き続いて精密検査を受けるのは、私は当然だ、すべての被爆二世に波及することはいかがかと存じますけれども、希望に応じて健康診断を受けさせるべきだ、こう考えております。 そのことは結婚その他被爆二世にとって不利になるんではないか、こういう御指摘もあったかと思うわけでございますけれども、いま申し上げましたとおり希望者に限ってそれをさせるということで私は解決がつくのではないか、こう考えています。
○今井委員 確かに未知の分野でございますから非常にむずかしい問題だと思いますが、あなたも御答弁のとおり非常に与える影響が大きいと思いますので、慎重な態度が望まれると思います。 とうとう時間が来てしまいましてまだ幾つかあるんでありますが、やむを得ません、これで私の質疑を打ち切りますが、最後に、被爆者等援護法の基本的な問題につきましてあなたと幾つかの論争をいたしました。私も被爆者の方々の身になって考えてみれば、その対策というのは厚ければ厚いほどいいことはこれはあたりまえであります。しかし、その対策をだんだん拡大していきますれば必ず他の戦争犠牲者との均衡の問題にぶつかってくるわけであります。ましてや国家賠償論を正面に据えていけばなおさらでありましょう。戦後生まれの人が国民の過半数を占めると同時に老人がふえて若い人の負担が急激にふえる、高齢化社会の到来を目の前に見ておりますと、法律論からはもちろん政治論からいきましても、この際戦争災害を全部見直して、償うべきものは国すなわち国民がみんなで負担していこうという野党の皆さん方の御提案には、私としては軽々しく賛成いたしかねることを最後に申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
○山下委員長 次に中村重光君。
○中村(重)委員 いま野党六党の共同提案に対して今井委員が質疑をされた。野党の提案に対してはなかなか与党の方では質疑がなされなかった。私はきょう今井委員が質疑をされたということ、私どもの考え方に対して意見を異にはしましたけれども、敬意を表したいというように思います。そうした真剣な論議に対してこそ私は被爆者の方々、国民の皆さん方が国会というものの意義を高く評価をしてこられるだろうというように考えるわけでございます。 厚生大臣、私は端的にあなたの見解をお伺いしたわけですが、基本懇が意見を述べられた後におきましても、厚生大臣の答弁というのは本会議においても委員会においても実態というものを踏まえて相当理解のある答弁をされたことに対して、私は敬意を表しているわけでございます。総理にいたしましてもあるいは外務大臣にいたしましても、大蔵大臣にしましても、厚生大臣もやはり当然でありましょうが、よく基本懇の意見を引用されるわけです。基本懇というのは厚生大臣の私的諮問機関である、したがって、懇談会という形になっておる。この意見というものにどこまで政府は拘束されなければならないのか。 国会におきましては、特に当社労委員会においては、原爆関係の二法の審議に当たって附帯決議をつけて、援護法の制定の問題に対しましてもあるいは地域の拡大の問題に対しましても、その他政府の施策はもっと前進されなければならないということを指摘をしてまいっているわけです。全会一致なんですね。それから、数度行われました原爆裁判においても原爆被爆対策というものは国家補償の範疇に入っているのだ、しかしながら、政府がいま進めているところの施策というものはきわめて貧困である、国の財政状態から考えてももっと温かい配慮というものが被爆者に対しては行われなければならないという指摘があるわけです。 それらの点等をどちらを尊重しなければならぬというようにお考えになっておるのであろうか。私は、私的諮問機関である基本懇の答申というものを意見というものを無視すべきであるとかあるいは尊重してはならないということは申し上げません。ですけれども、それによって国会の決議あるいは原爆裁判の判決、原爆に対するところの政府の取り組みへの批判とこうあるべきだという指摘、それらの比重という点等々を厚生大臣はどのように理解をしていらっしゃるであろうか。その点に対するあなたの率直な見解を伺ってみたいと思います。
○園田国務大臣 懇談会の結論は、第一に社会保障の理念から国家補償の理念にと大きくかじを切ったことについて私は評価をいたしております。いろいろ問題がその先に出ておりますが、一カ所も否定した個条はないわけであって、こういう点に注意をしろとかこういう点は困難であるとかという問題点を列記された点で、この懇談会の結論は、私の私的懇談会でありますが、尊重しながら今後の政策遂行の上の参考としたいと考えております。 国会の決議は与野党でなされた決議でありますから、これはその決議の方向に向かって努力することは当然であります。なおまた裁判の問題を出されましたが、この裁判も憲法違反にならないけれども政策的にこういう問題を考える、こういうことでありますから、私はいずれも相反するものではないと考えております。いろいろ御意見はございますけれども、しばしば私が自分の存念を申し上げましたとおり、今後とも原爆被爆者の対策についてはその内容を充実強化をして、だんだんと被爆者の方々の御意向に沿うようにやっていくべきだという決意に変わりはございません。
○中村(重)委員 基本懇の意見の中にも、五十三年三月三十日に行われた最高裁の判決を引用して、広い意味における国家補償による適切妥当な対策を求めているわけですね。したがって、いま大臣のお答えが具現化していくということになりますと、相当前進をした対策というものが進められなければならないと思うのです。その点に対して大臣はどのように国家補償の理念に基づいたこれからの対策を進めていこうとお考えになっていかれるか、これは本質的な問題ですから大臣から。
○園田国務大臣 国会の決議、それから基本懇の答申、こういう一つの理想に向かって逐次内容を充実すべきである。今年度お願いいたしました予算においても、先ほど森井さんから言われたとおりできるだけの充実はしたつもりでございます。しかし、それで事終われりと考えてはおりません。ただ、いま置かれた取り巻く環境等は非常に困難ではある、困難ではありますが、やらなくてもいいとは考えておりません。逐次努力をする所存でございます。
○中村(重)委員 所得制限撤廃の問題に対しては、厚生省は数度大蔵省に対して概算要求の際に撤廃を求めているんですね。この所得制限の撤廃というのはどのような理念から概算要求の際に撤廃を求められたのか、その点いかがですか。
○大谷政府委員 基本懇の答申におきまして、被爆者対策というものはできる限り必要な方々に向かって手厚くやるように、こういうふうな御趣旨のことが述べられているわけでございまして、所得制限の問題につきましても、たとえば近距離被爆の方々でございますとかあるいは原爆小頭症の患者さんの方々でございますとか、そういった方々に対しましてできる限りこの基本懇の答申の趣旨に沿いまして手厚くいたしたい、こういうふうな考え方で大蔵省に対しまして所得制限の撤廃ということを要求いたしましてこれが認められたところでございます。
○中村(重)委員 基本懇の答申の前から、もうここ六、七年ぐらい前から、厚生省は所得制限の撤廃を要求しているのですよ。だから私は理念を聞いているわけだ。その撤廃要求の理念は何か。
○大谷政府委員 私の理解では、厚生省では必ずしも原爆被爆者対策の基本理念というものは明確ではなかったように思われるわけでございます。国会の審議を通じましてあるいは世論を受けまして、これをはっきりさせるために橋本厚生大臣当時に基本懇を組織いたしましてその基本理念を明らかにしていただく、こういうことで出発いたしまして、答申をいただいたわけでございます。しかし所得制限の問題につきましては、やはりそういった理念の問題とは別に、できる限り原爆被爆者対策というものを手厚くしたいという考え方のもとにこれが要求されてきたというふうに私は理解をいたしておるわけであります。
○中村(重)委員 大臣、いまもお答えがあったのだけれども、認定被爆者、小頭症も含めて、これは所得制限が撤廃になっている。ところが大蔵省はどうしても全面的な所得制限の撤廃というものには応じない。所得制限を撤廃するということは国家補償の理念の上に立たなければいけない。社会保障というのは、端的に言えば救貧政策になるわけです。暮らし向きのいい人はこれは制限いたしますよ。ところが認定被爆者の場合は生活が豊かな人もある、苦しい人もある、そのいずれであったにしてもこの認定被爆者、いわゆる原子病と認定される者、これに対しては所得制限を撤廃したということは、所得制限をつけてはいけない、戦争犠牲者の最たるものである、国家補償の精神をもって遇していかなければならぬという考え方の上に立って所得制限の撤廃というものを厚生省も要求され、また大蔵省も認めているわけですから、政府全体の姿勢としては国家補償、この理念の上に立っていると解釈するのが当然である、素直じゃないのですか。
○園田国務大臣 先ほど発言されました最高裁の判決、第一に憲法違反にはならないとはいいながらもその先を読みますとやはり国が責任を持って国家補償をなすべきだという一つの理念が根底にあると私は解釈いたします。かつまた今度の懇談会の答申も、皆さん方や被爆者から言えば不満足なものではあるが、この最高裁の国が補償すべきものであるということは、一歩進んだもの、こう考えております。そういう意味で、前から所得制限の撤廃を要求して、これが、全部できなかったことは残念でありますが、一部は撤廃を実現したわけであります。
○中村(重)委員 いまの大臣の答弁からいたしますと、これから先の原爆被爆者対策というのはやはり国家補償の理念の上に立った手厚い措置を講じていかなければならないという考え方の上に立っていると理解をしてよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 そのとおりでございます。
○中村(重)委員 そこで、この基本懇も、意見の中に、一般戦災者との均衡を失しないようにということを述べているのですけれども、大臣、政府全体としてもこれを受けて被爆者対策に対する見解を述べておられる。一般戦災者との均衡といって、何を一般戦災者にされたんだろうか、何もしていないんじゃありませんか。何にもしていないでおいて一般戦災者との均衡というのは、どういうことなんですか。私は基本懇もおかしいが、政府も得々としてそういうことをおっしゃるということはおかしいと思う。私は、森井委員、野党の共同提案の代表からいま答弁をいたしましたとおり、一般戦災者に対してもその犠牲に相応する措置を講ずべきであるという要求を法律案で提案しているわけですね。政府はやっていない。やっていないでおいて、一般戦災者との均衡というのは私はいただけません、こう言いたいのです。この点は大臣はどうお考えになりますか。
○園田国務大臣 御承知のような異常な事態でありまして、国としては初めて当面する事態でございます。したがいまして、戦災被害についてはまだまだ手落ちがたくさんございます。一般戦災者の問題もそうでございます。 そこで、この一般戦災者には手が届いていない、こういう意味から社会的公正というものを考えながらやれ、こういう意味だと解釈をいたしております。
○中村(重)委員 端的に言えば、これは逃げですよ。私は学者先生を批判したくはないのだけれども、意見の中にそういうことを述べておられるということは、どうも厚生省の影響というのが学者先生に相当及んできたんだというような感じすらしているのですよ。そのようなことを議論しておりますと時間が幾らあっても足りませんが……。 私は、原爆被爆者の場合におきましては一般戦災者と違った特質というものがもっとあると思うのです。これは基本懇も述べておりますね。まず威力の点から考えても御承知のとおりですね。熱線、爆風、放射線、これは物すごいエネルギーというものを持って大きな被害を与えている。範囲においてもそのとおりですね。それから瞬時性、これは一般戦災との場合においては比較にならないようなことですね。それから攻撃行為の態様の問題。被害の特質からいたしますと財産被害、社会的被害。先ほどもお話がありましたけれども、二世、三世の問題に対しても、これは被爆者の場合はある。 私の親戚、六十数名原爆によってやられている。いまも相当後遺症に苦しんでいる被爆者もいるわけですが、私のいとこが、私と被爆した場所は違うのですけれども、数十日後一緒に——建物が倒れましてその下敷きに実はなったのです。これは認定被爆者になった。その子供が被爆者だ、放射能にやられている。その孫も……。これは事実ですよ。 だから先ほども質疑応答の中で影響についていろいろお話もございましたが、無用の不安というものを与える、私はその無用ということは問題があるというふうに思うのですけれども、その点を配慮しなければならぬと思うのですよ。これは被爆者であることを隠して結婚をして離婚になっている者がいるのです。被爆者ということを隠して就職して、それが解雇になっている者がいるのです。それから被爆者であるがゆえに健康を阻害されて思うように働けない。そういう社会的被害というものは想像に絶するものがございますよ。一般戦災者の場合におきましてはないと断定はいたしませんが、特質において大きく異なるものがあるということは否定することができない事実だろうと私は思うのです。そのことをお考えになるならば、これは一般戦災者との均衡、そういうことを口にされること自体が私は問題があると思います。 基本懇も国家補償の理念ということを言っておりますが、この前文に、基本理念の中に述べておられることは、原爆被爆者に対する扱いというものは、特殊の犠牲を受けているんだということで切々とここには書いてある。ところがずっと先になりますと、財政的なことが頭の中にあったとみえまして、これは非常に薄めていくという努力をしておる。そのことから、基本懇の答申というものが、学者先生が大分理念という点と国の財政事情というものの板ばさみになって、この意見を述べるということについては相当苦労したんだろうなと私は思います。 だから被爆者対策について国家補償によるところの対策、いわゆる過去に対するところの補償、現在の保障、未来に対するところの保証、そういうことを薄くはあっても実施をされて、その上に立って一般戦災者との関係等も考えなければならないのだから、やりたいけれどもこれ以上はやれないんだと言われるならばわかるのです。やるべきことをやらないでおいて、一般戦災者との均衡といったような形で逃げることは私は許されないと思う。 そのことに対して大臣、どういう見解をお持ちですか。
○園田国務大臣 いまの御意見は、私としては少し違っております。懇談会の答申がだんだん近まってまいりました。そもそもこういう懇談会は、委員の方々の学識と良心によって自由に結論を出されるべきものである、その結論を出される中途において大臣が干渉すべきではないと考えております。しかしながら、私はその点も考慮しながら、異例ではありますが答申が出る前に、審議の最中にわざわざ出向きまして、委員の方々に、決して原爆被爆者に対する対策はこれでいいとは思わない、しかし現況においては財政上の問題あるいはその他の環境の問題、一般戦災者の方々にはほとんど手がついていないという環境があるが、だからといってこういうことをやらなくてもいいという、とびらを閉ざすような結論を出されては非常に困りますから、どうかそういう問題点にはとびらを閉ざさないでとびらだけはあけて、今後こういう問題については、こういうことがあるがそれに留意をしながら努力をしろ、こういう答申を出していただきたいというお願いをしたわけであります。 見ようによっては逃げととられるかもわかりませんが、私は必死になって、今後努力する道だけはあけてもらわないと、これで打ち切られたらもう手も足も縛られるわけでありますから、その点だけは御容赦を願いたいということで、地域修正の問題もあるいは援護その他の問題等もああいう答申になったと考えておりまして、逆に、あの答申は逆行するのではなくて、最高裁で出されたその根底にある国家が補償すべきだというその理念もくまれながら、まだまだ不十分であるがこういう点はこういうことに注意をしながら努力しろ、こう出されたものであると考え、あの答申の中に出された幾つかの問題点は、懇談会がだめだと言われたからやらないという口実にしてはならない、こう思っております。
○中村(重)委員 大臣のいまのお答えは私はそのとおり素直に認めたいと思うのです。大臣が非常に配慮しておる、できるだけ基本懇が開かれる場合に出ていくことも控えられるというようなことをされたことも事実でしょうし、最終段階において大臣が出席をされて、ふたをしないようにというようなことを非常に努力をされたということも私は伺っているわけです。また考え方も、いまのようなことを一貫して本会議あるいは私の予算委員会におけるところの質問に対しても大臣は述べておられるのですから、私はあなたの答弁、その姿勢というものを評価をしたい、そのように考えるのです。しかし事務当局は基本懇にも絶えず出席をされておられる、これは事実なのです。その影響がなかったということは私は考えられないと思いますけれども、そのようなことを議論をいたしておりましてもしようがございませんから申し上げません。 そこで、先ほどの森井代表と今井委員との質疑の中にも出ておりましたが、基本懇の意見の中に、特別の犠牲については、原因行為の違法性、故意、過失の有無等にかかわりなく、結果責任として、相当の補償を認めるべきであると指摘をしているわけです。私どもは結果責任というのはとらないのですが、百歩譲って結果責任ということを肯定する場合におきましても、原因行為の違法性というものを認めて、そこで立法政策上の判断というものを立てるべきであるというように考えるのです。 大臣は先ほど、国家補償の理念の上に立って進めることが当然であるということで、これからの政策はそういう方向で進めていくということを言われたわけでございますから、大臣のお答えは要りませんけれども、どうも事務当局の抵抗というものが、この被爆者問題についてはなぜにここまで抵抗するのであろうかということを歴代の公衆衛生局長から感じてきた。あなたに対して特にひどいとかなんとかという言葉は使いませんけれども、積極性に欠けるような感じがしてならない。あなたは考え方は大臣と違うのでしょうか。
○大谷政府委員 私も園田厚生大臣の下の公衆衛生局長でございまして、大臣がしばしば国会で御発言になっておられますとおり、その趣旨を体してできるだけ前向きに進めたいというふうに考えているわけでございます。
○中村(重)委員 大臣、現在の被爆者対策というのは、戦傷者戦没者に対する援護法の場合におきましても、国に貢献をしたというのです。その点が、いわゆる国の意思によって行動した、それから国に貢献をした、こういう形によって戦争犠牲者に対する対策というものが異なってきているように思うのです。大臣も国連において演説の際にも触れられたと思うのですが、この原爆被爆者を特別の犠牲という場合において考えなければならないことは、戦争に終止符を打った、戦争を終わらせるための大きな犠牲者になったということ、この上に平和が打ち立てられてきた最大の貢献者である、平和をもたらしたところの大変な貢献者なんだ、その貢献者に対して今日に至るまで線香一本上げないというこの国の仕打ちが、原爆被爆者の霊にこたえる道につながるだろうか。このことを考えると、私どもが主張している弔慰金というものは、私は当然政府は最優先の課題として扱っていかなければならないと考えるのです。 その点は大変な問題ですが、大臣と見解を異にするのでしょうか、いかがでしょうか。
○大谷政府委員 弔慰金、遺族年金の問題は、基本懇の答申等も絡みまして非常にむずかしい理念上の問題がございます。しかし先ほども申し上げましたように、大臣とされましては被爆者対策にできるだけ手厚くやりたいという非常な御趣旨を私ども承っておりまして、今回の予算でも、慰霊祭における費用の問題、あるいは遺族の方々に慰霊祭に参加していただく旅費を新しく起こせ、こういうことで、額としては非常にあれでございますけれども、できる限りのことをやっているというふうに考えているわけでございます。
○園田国務大臣 御意見ごもっともでございますけれども、実際の実務といたしまするといろいろな障害があることは御承知のとおりでございます。そこで、そういう亡くなった方々その他に対して政府の気持ちをあらわす意味においても、弔慰金までは行けなかったけれどもその他のことで、各部の予算が切り詰められる中で被爆者対策の費用だけは一四%も伸びた、こういうことは事務当局の苦労であって、これでごまかすということではなくて、少なくともこれで気持ちだけはわかっていただきたい、一歩とは言いませんが、半歩前進したものだとみずから慰めているところでございます。
○中村(重)委員 大臣の気持ちといいましょうか、これは素直に受けとめたいと思います。半歩でも前進した、できればそこまで被爆者の霊にこたえるために、今日後遺症で苦しんでいる被爆者に満足をしてもらうために、最大限の努力をしていかなければならない、実際推進をしていかなければならないという考え方であるということは間違いございませんね。
○園田国務大臣 それだけは絶対に間違いございません。
○中村(重)委員 それでは具体的な問題について、これは局長からお答えをいただいて結構ですが、近距離被爆者対策の強化です。これは基本懇の答申の中にはあるのですが、どうも近距離被爆者に対する特別な措置が五十六年度の中には講ぜられていないのです。ですから、どうなんでしょうか、千六百メーター以内の被爆者に対しては認定被爆者にするというぐらいに踏み切っていかれるべきじゃないでしょうか。私どもの考え方は別といたしまして、政府の施策の中で申し上げているわけですが、ここまでなぜ踏み切らなかったのだろうか。いかがですか。
○大谷政府委員 今回法改正にお願いしております医療特別手当の新設、それから原爆小頭症手当につきましても、予算措置でやったわけでございますけれども、法律で明らかにしてこれを起こす、また一定の身体障害等のある方、あるいは七十歳以上の単身居宅の方等に対しまして保健手当の倍額を支給する、こういうふうなことで基本懇の答申を受けて実現を図っているわけでございます。 ただ、先生おっしゃいますような抜本的なところまではまだ進んでおらないというのが非常に残念なことでございます。
○中村(重)委員 じゃそういうところまで進めるように今後とも最大限の努力をしますね。
○大谷政府委員 今後ともできる限りその充実に努めてまいりたいと考えております。
○中村(重)委員 それから認定申請、これがどうも却下、却下なんだな。前は申請の八割くらいまで認めていた。ところがいまは二割ぐらいになっている。 この間本会議におきましても同僚議員から指摘をしたことなんですが、長崎県から申請をしておる平瀬ナナコという人ですね。白血球が二千六百。七歳で被爆をしたのです。この人は足の骨が幼児のときのままなんです。発達しないのです。医者がつい先日も言っているのですけれども、厚生省はどうして私どもに聞いてくれないのだろうか、私どもに聞いてくれればそのことは率直にお話をしたいのだ。診断をしている医師が言っているのです。園田厚生大臣はこの問題に対して——平瀬ナナコという名前は言わなかったのですけれども、本会議における同僚議員の指摘はこの点なんです。 前に名前まで私は申し上げているのですが、これを却下したのは理由は何ですか。どうして認定申請をほとんど却下するということになるのですか。手当を引き上げてもこんなに却下、却下ということになってくると、むしろ予算というものは少なくなっていくのですよ。
○大谷政府委員 認定の場合はもっぱら医学的見地で、原子爆弾被爆者医療審議会の専門的審議にゆだねた上で決定しておるということをやっているわけでございます。この平瀬ナナコさんの場合も非常にむずかしい領域に入っているのではないかというふうに思います。少なくとも今回、先ほども申し上げましたように近距離被爆者に対する措置を手厚くせよという基本懇の答申を受けまして、保健手当の二倍増額というふうな、いわゆる先ほど申しました一定の身体障害のある方につきましてそういう措置をとろうということを、今回法律改正をいただきましたならば、それに従いまして関係政省令によりましてそれをいたすことにしておるわけでございます。 平瀬ナナコさんの場合は、もし認定で落ちますとしても、そちらの方に該当するのではないかと私としては個人的には考えておるわけでございます。できるだけ先生の御提言の趣旨を体しましてひとつ検討させていただきたいと思うわけでございます。
○中村(重)委員 白内障のときも裁判をやって国は敗訴したのですよ。そのときも、これに類似するようなものに対しては認定として認めていくということを政府は言っている。ところがその後の申請に対するところの扱いの状態を見ると、依然として却下中心主義みたいな形でやっているのだね。公式の場所であるとか裁判なんかあったときの談話と、現にやっていることとは違うのだ。そんなでたらめなことをやってはいけないということを私は強く反省を促しておきます。 それから手帳の交付というのが非常に不親切なんだ。できるだけ認めないようにというような通達を関係の都道府県に対して、市町村に対してやっているのではないだろうか。 御承知のとおり広島市と長崎市は県に関係なく市が決定することになっているわけでしょう。ところが新聞なんかでも、たとえば諫早市の病院における看護をした人が、一緒にやっている人が手帳を交付された者と交付されない者といる。こんなばかげたことがあってよろしいのですか。余りに形式にとらわれている。文書をうまく書いたならばこれを認め、文書がどうもうまくなければこれを却下するというようなやり方と言わなければならない。もう少し前進したやり方、大体手帳をやるということは償いという気持ちでおやりなさいよ。いま手帳の交付のやり方は与えてやるという考え方ですよ。とんでもない。それだからけちばかりつけようとしているのだ。 私はいまここへ持ってきているのだが、これは島原の、あそこは私鉄ですよ。あれは上から、傷ついた被爆者が乗車するから手厚い看護をしてくれるようにという指令が出ているのですよ。そして本当に被爆でけがをした人の列車と言ってもいいぐらいに数日それがあったわけですよ。それを救護に当たった人たちが申請しているのだ。ところがこの中身を見てみると、どうも確認することに対して、確認がなかなかむずかしいとかなんとか言うて、これをまじめに親切に何とかしなければならない、感謝の気持ち、償いの気持ちでもって取り組もうという姿勢がないということだ。諫早の場合においてもしかり。これは余りにも露骨なんだ。同じ病院で看病して、何人かは認めて何人かは認めないというやり方をしている。こんなでたらめなことは許されてはなりません。 これは改めて申請が出ましたらば、これに対して適切な、批判のされないような扱いをするということをお約束できますか。
○大谷政府委員 先生ただいま御指摘の病院あるいは島原鉄道の問題につきましては、いろいろ現地で事情があるように伺っておりますが、なおそういうふうな誤解が生じては困りますので、私どもといたしましては県当局と責任を持って話し合いたいというふうに考える次第でございます。
○中村(重)委員 厚生大臣、却下して異議の申し立てをするのです。三年から四年かかる。話にならない。私どももいろいろ頼まれることがある。そうすると、企画課の方に尋ねると、先生、それはいつごろですか。一年くらい。新しい。一年が新しいのですよ。新しい異議申し立て、三年も四年もしなければ異議の申し立てに対する処理ができないのだから。こんなでたらめなことがあっていいのですか。今後どうしますか。
○大谷政府委員 先生御指摘のような事実がございまして大変御迷惑をかけているとすれば、まことに申しわけないことでございますので、今後督励いたしましてできる限り早く処理するという姿勢で臨みたいというふうに思います。
○中村(重)委員 局長はしょっちゅう事務を監督してやっているのだからわかっているはずです。であればということは知っておられるのだが、委員会だから、公式の場所だからそういう答弁しかできなかったのだろうと思うのです。これは事実だから、私がここで申し上げたのだから、あなた自身がその実態を調べられて、人が足りないのですから、必要な人は認めててきぱきとやるようにしないと、人の痛みは五年でも七年でも待つなんてとんでもない話だ。 大臣、ひとつあなたから。
○園田国務大臣 先ほど発言の中にありました国の方としては何かしてやるという義務、また受けられる方は当然受け取る権利、こういう権利と義務のピンポンではこういう問題は悲しい結果になると思います。国の方は申しわけなかったという気持ちの中に一日も早くとこういう気持ち、また受けられる方はその国の気持ちが通じて、よかったとこうおっしゃる気持ち、これがつながっていくところにこういう問題の本当の解決はあると存じます。 もし厚生省から総枠を決めて、財政事情の見地からなるべくしぼれなどという通達があったら、これは直ちに取り消させて正しい方向に向けます。 いまのような具体的な問題については、三年も四年もたっておっては大変でありますから、いま局長が言いましたとおり、これは的確に速やかに処理をするように今後指示いたします。
○中村(重)委員 手帳交付も、審査の方法を百年一日のように保証人、保証人と言わないで、五つの方法があるのだから。大体国が長崎市、広島市と相談をして、本人の誓約書でもよろしいということになっているのだから、審査の方法を考えなければいけないですよ。ところが、銭がない、人がないとというところで保証人だ、保証人だと言う。保証人もずいぶん時間がたっておると、甲に対して保証したときのことと乙に対してやったときと違っている。それがちょっとでも違っておったらだめだとこう言う。これはごまかしだと言う。そういうことではなくて実態というものを調査する、本人に対し誓約書を出さして。そういう適切な処置を講じていく。 それから保証人にしても三親等はだめだというようなことではなくて、私はこの委員会でこうして質問していると、あのときの状況が頭の中に浮かんできて、本当に何とも言えないような気持ちになるのです。人のことなんか構っていられなかったのですよ。三親等でないとわからなかったのだ、そのときの状況は。それを三親等が保証人ではだめだ、そんな画一的なお役所仕事というものをやめて、実態に即したやり方をおやりにならないとだめなのだ。そうすると言ったのだけれども、依然としてそういう点について改められていない。そこを改めるところはどんどん改めていく、そして実情に即したやり方をするということをひとつお答えになってください。
○大谷政府委員 従来からも、申請者が被爆したという事実を推定し得る証明が確実であるというふうなことである場合、また何らかの事情によりましてどうしても証人が得られない者につきましても、本人の申し立てが非常に信用できる場合、こういう場合につきましては各県におきましてもこれを交付するようにとっておられると私どもとしては理解しておるわけでございますけれども、なお先生の御質問の趣旨に沿いまして県当局と十分話し合いをいたしたいというふうに考えます。
○中村(重)委員 地域是正の問題に対しましては、これはとめてない、だからしてこれができるような方向でひとつやりたいという答弁はもう大臣から何回もなされているわけですが、たとえばこの長崎県の高来町なんか書類は厚生省にあるのですよ。時津、長与というときと一緒に、ちょっと日にちがおくれて出た。ところが不備であった。少し事務的な点について直してくれ、こう言ってそのときは間に合わなかった。それで打ち切ってそれから認めてない、そういう実態があるのです。 そして科学的根拠、それから合理性ということを言っている。不合理だということははっきりしているのだから、科学的根拠ということになる。 たとえば西山の問題について、今日に至るまで高濃度の残留放射能があることに対して、あなたは自然放射能はそれ以上のところがあるのですなんて、本当に血も涙もないような現実離れをするような答弁をしていらっしゃる。 この科学的根拠とは何か。爆心、中心地に残留放射能はないのですよ。いまどういうことで科学的根拠を求めるのですか。いままでやってきたことが科学的根拠ということが言えますか。佐分利さんの私の質問に対する答弁だってここにある。長与、時津に地域を拡大したときは放射能によってやっているのじゃありません、熱風、爆風でこれは指定をしたのですと佐分利さんは答弁している。それならばそれも科学的根拠ということになっているのでしょうから、その科学的根拠なんというような、できもしないような現実離れをしたようなことじゃなくて、不合理なことを直すということ。ともかく初め行政区域で決めたことが間違いであったのだと大臣はっきり認めていらっしゃる。そのとおりなのだ。その市がしたのだったら市が指定したということがわかる。国が行政区域の市を被爆地として指定して、最も爆心地より近いところの郡を指定してなかったということが間違いですよ。この間違いを正すということはあたりまえのことなのだ。大臣はそのとおり言っているのだ。そういうことで、大臣の考え方はわかっていますから大臣の答弁はいただきませんけれども、事務当局もそういうことについて大臣の考え方というものを十分くみ取って対処されるように私は強く求めておきたいと思います。 それから、援護局長お見えになっていらっしゃると思うのです。それから文部省もおいででしょうが、大学病院の学生とそれから看護学校の生徒は防空法によってこの前援護法の対象になっているわけです。ところが看護婦、保健婦、産婆、これは医療従事者なのだ。その他の職員あるいは要員というのが今日に至るまで何の処遇も受けないで放置されている。これを調査すべきだということを私は申し上げておきましたが、調査をされたかどうか、これに対してどういう扱いをされるかということについてお答えをいただきましょう。 それから援護局長には、動員学徒あるいは徴用工等は障害によって年金が支給されているわけですが、固有名詞を私は挙げます。たとえば長崎で磯田という人がいる。この人は五項症になっているのですが、同時にそのときに肩の脱臼があった。脱臼は因果関係がないのだというので合併症として扱っていない。そのためにこれは終身ではなくて五年に一回、こういう形になっている。大体この被爆によるところのいわゆる原子症であるとかあるいはケロイド、まあケロイドはある程度手術によって見やすくなるのですけれども、原子病というようなものは治らないでしょう。治るということが言える人がいますか。物理的に治らないですよ。だから発病しないようにすることです。無理をさせないようにすることですよ。そこに援護法の必要性といったようなものも生まれてくるのです。だからこういう五年に一回ということではなくて、期限を切る場合でも十年ぐらい、それが本当なのです。この原子病の原爆の被害なんかは。こういうことに対してなぜに合併症として扱わないのだろうか。これもまた五年に一回というような有期ではなくて、こんなのは終身という形に改めていかなければならないと私は思うのです。この点についてそれぞれお答えをいただきます。
○齊藤説明員 去る予算分科会で先生から御指摘がございました旧長崎医科大学の被爆看護婦等の調査の件でございますが、先生から御指摘を受けまして早速大学当局に要請をいたしました。その結果の報告でございますが、資料の保存等の状況から現在正確な調査をすることは非常に困難だということでございますけれども、去る五十五年の十月に旧長崎大学附属病院雇傭人遺族会という団体から要請がございまして、同大学の附属病院の総務課というところで取りまとめをした資料はあるということでございます。 その内容について申し上げますと、これは原爆の被爆によって当時死亡した方の数ということでございますが、教官四十二名、雇い七十二名、嘱託十九名、事務二十六名、用人四十六名、看護婦五十一名、その他四十名、計二百九十六名でございますが、このその他の職員の中には正規の大学の職員ではなくて病院の業務の一部を委託を受けてやっております財団が当時ございまして、その財団の職員であったと考えられる者も含まれるということでございまして、必ずしも正確なものではないということでございます。
○持永政府委員 まず第一点の長崎医大の看護婦さんのことでございますが、これは先生御承知と思いますが、援護法では四十九年に改正をいたしまして、防空法の六条一項によります医療従事者、それから学校報国隊員はいわゆる公共防空に従事しているという形で援護法の処遇対象にいたしたわけでございます。この場合に、学校報国隊員にいたしましてもあるいは医療従事者にいたしましても、地方長官からそれぞれ従事令書を出しております。従事令書を出しまして公共防空に従事することになっておりまして、そういった人たちについてはすでに援護法の処遇対象にいたしておるわけでございます。 長崎医大の看護婦さんにつきましては、いま申し上げました旧防空法の六条一項の規定によります従事令書が交付されているという事実を実はまだ私ども確認するに至っておりません。したがいまして、現在のところは援護法による処遇の対象にしてないという実態でございます。 それから第二点の御指摘にございました脱臼の方の件でございますが、脱臼の方の件につきましては、私ども脱臼そのものをすべて援護法による処遇対象にしてないということではございませんで、問題は公務との因果関係、その脱臼がどういう形で起きたかということであろうかと思います。先生御指摘のように、完全に一般の公務の遂行上そういった傷を受けた形で脱臼をされて合併症ということであるならば、御指摘のような方向で処遇するのが正しいと思いますので、個別の問題として検討させていただきたいと思っております。
○中村(重)委員 時間が来たから終わりますが、文部省、調査だけではだめなんで、調査が不十分だからどうするのか、そして今後調査をしてどういう扱いをするのかということについてお答えになってください。
○齊藤説明員 旧長崎医科大学の事務につきましては長崎大学が継承しておるわけでございます。したがいまして、その当時職員として勤務していた、在職していた者の確定というのは長崎大学自体がやらなければならない課題だと思います。そういう意味で大学当局を督励をいたしたいと思います。
○中村(重)委員 終わります。
○山下委員長 大原亨君。
○大原(亨)委員 中村委員の質問に対しまして園田厚生大臣から、いままでの答弁もそうですが、重ねてかなり前向きな見解が表明をされておるわけです。園田さんは外務大臣をしておられたときに、先ほどのお話にありましたように国連の総会でも述べておられますが、唯一の被爆国である、あるいは非核三原則、そういう原則を守りながら日本は軍事大国にはならない、こういうことを国連の軍縮総会でも演説をされて、原爆の問題について一定の見解を示されたわけです。 ただ問題は、園田厚生大臣の見解が政府の見解になるかどうかということが一つです。予算委員会とか衆議院の本会議、参議院の本会議で繰り返し鈴木総理大臣は、これはその一カ所だけでありますが、先般、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見において弔慰金とか遺族年金とかを支給することは一般戦災者との均衡上国民的な合意を得ることがむずかしいとの御指摘がなされましたが、政府といたしましてもこの点同様に考えております、したがって、これらの支給を内容とする被爆者援護法を制定することは困難である、こういうふうに答弁をいたしておるわけです。 そこで、近く内閣改造があるかないかは別にいたしまして、かなり議論をいたしましてある程度の合意に達しました厚生大臣が次から次へとかわっていくということになりまして、一進一退を続けながら全体といたしましては一歩ずつわずかですが前進をしておる、こういう現状です。しかしながら、実際に被爆者なり、あるいはわれわれが新しい国際法の秩序を追求いたしまして、そして被爆者の犠牲を無にしない、こういう考え方から言いますと、これは予算の金額だけではなしに被爆者の犠牲に対する国の処遇の仕方として本質的に問題が残されておる、こういうところに問題があると私は思うわけです。したがって、園田厚生大臣の前向きの見解を政府の見解として、そして今日以降において全体として前向きに取り組む、こういうことが審議の中において保証されることが必要であると私は思うわけであります。 きょうは外務省も、来なくてもいいと言ったのですが来ておられるようです。きょう法制局長官に出席を求めたわけですが、従来の戦時国際法で、言うなれば中心的な機能を発揮しておったのはへーグの陸戦法規であります。その前の「宣言」があります。しかし、一九〇〇年の初頭の当時は、言うなれば竹やりから銃剣による戦争、人と人との戦争、一対一の戦争、そういうところからだんだんと航空機が発達いたしまして、ついに原爆に至ったわけであります。へーグの陸戦法規のときには、いままでもお話がありましたように、私もしばしば指摘してきておるように、毒ガスとか生物兵器、細菌兵器というようなものを非人道的というふうに決めまして、これを国際法上犯罪行為として禁止をいたしておるわけです。しかしながら、それを超えた被害であることは、昭和三十四年に初めて藤山外務大臣もはっきり国際法の精神に違反する、こういうふうに答弁をされた経過があるわけです。唯一の被爆国である日本が新しい国際法の理念や実体をつくり上げていく、こういう過程の中における今日の論争であると私は思うわけです。 そういう意味においては七人委員会の答申というのはかなり努力をされておるし、あらゆる観点から検討されておるし、かなり権威と学識を持った人々であることは間違いないのです。しかしながら、既成の事実や概念にとらわれて、そして今日の新しい国際法、国際秩序に対する考え方にはマッチしない点があるというのが事実であると思うわけです。 これらの問題を踏まえて、この二法案を審議するに当たって、冒頭私は、厚生大臣がこれらの問題について政府全体としてどういうふうにこの問題に対処する決意があるのか、こういう点について改めてお聞きをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 まず懇談会の答申でありますが、この答申では、弔慰金の問題にいたしましても、その他の問題にしても、否定はいたしていない。総理の答弁も、困難であるとは言っておるが、それはできませんという否定はしていない。こういうことで私の言っていることと逆行はしていない、こう思います。私、やはり原爆被災者の方々は戦争災害者というよりも平和への殉職者だという考え方で見ておりまして、日本が軍国主義にならない、戦争をやらないという決意をし、かつまた世界に向かって訴えるための唯一の殉職者というか、シンボルである、こういうことで私は原爆被災者の方々に対する問題は考えております。ただ、現状いろいろな問題でなかなか困難であるということは私も認めておりますが、その理念に向かって一歩一歩と前進すべきである、こういうふうに考えております。
○大原(亨)委員 つまり原爆の被爆者が、言うなれば原子爆弾の核時代における、戦争と平和の中における、歴史の重要な一こまの中における殉職者である、こういうふうに規定をされたということは、私は正しいと思うのです。そういうつもりで日本はやはりこの問題に新しく対処をするという決意でこういう問題に対処する必要がある。したがって、そういう考え方で対処するとするならば、国家補償の理念においても一定の飛躍、従来の考え方の範囲を飛躍をするということが必要である。こういうことについて、私は、さらに前向きの厚生大臣のこれからの具体的な措置を求めたいというふうに考えます。それを裏づけるために若干の問題についてこれから基本的な問題と各論的な問題で、時間の半分ずつぐらいをとりまして、ひとつ質問を申し上げたいと思います。 第一番は、国家補償の理念によるいままでの日本における法律の体系、具体的な法律の立法例、これを法制局の方からお答えをいただきたい。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 国家補償に関しましては、大きく分けまして、学説などで分けておりますところに従いますと三つあろうかと思います。 いわゆる広い意味の国家補償でございますが、その第一は、いわゆる国家の責任といいますか、国の行政行為によりまして国民がこうむった損害についての、いわば不法行為による損害、これに対しての国家賠償、これが第一点であろうかと思います。 それから第二点は、いわば国の適法行為に基づきまして、それによります特別の損失、これに対してなすいわゆる損失補償というのがあるわけでございます。 学説的にはこの二つはかなり確立しているわけでございますが、さらに三番目に、国の行為に随伴いたしまして、結果として損害が生じた、そこに着目いたしました結果責任、あるいは学者によりましては危険責任、こういう呼び方をするグループがございます。 大きく分けますとそういう三グループになろうかと思います。
○大原(亨)委員 それらの三つの、言うなれば国の不法行為責任、適法行為に対する損害補償、国の行為に対する結果責任論、相当の補償論、こう言われておるのですが、それぞれの分野における立法の具体的な例をひとつお答えいただきたい。
○工藤政府委員 具体的な例を申し上げますと、これは実定法を学者がどのように分類しているかという観点から申し上げるのが適当かと思うのですが、たとえば第一番目の賠償という関係で申し上げれば、何といっても基本的には国家賠償法があろうかと思います。これはたとえば第一条等におきまして損害の賠償というふうな用語を使っております。 それから二番目のいわゆる損失補償のようなものの適例としましては、土地収用法による土地収用のときの補償、これも第一条等におきまして「損失の補償」というふうな用語を使っております。 これに対しまして第三のグループとして学者がしばしば挙げております、ただこれは一義的に確定したものではございません、学者によりまして幾つかの差はございますが、たとえばいま挙げました土地収用法の中でも、いわゆる残地補償といったようなものは、これは第二のグループではなくて、第三のグループというふうに分類しているものが多いようでございます。
○大原(亨)委員 それでは三つの国家補償のカテゴリーの中でのそういう立法の中で、その国家補償による立法は、所得上の制限がありますか。
○工藤政府委員 先生の御質問の趣旨をあるいは私、違えてとったのかもしれませんが、いまの第三のグループにつきまして、必ずしもその補償というふうな用語を使っているだけではございません。たとえば給付といったような言葉を使っているものも、学者によりましては第三のグループに入れているというふうなものもございます。先ほどお断り申し上げましたように、学者によりましてその範囲が多少異なるということもございます。 それから、横並びで全部実は所得制限等があるかどうかというのは当たってはおりませんが、考え方としまして、所得制限というのはいかがかなという感じはいたしますが。
○大原(亨)委員 つまり国家補償あるいは国家補償の精神による立法の場合には所得による制限をしないんですよ。これが一つの本質ですよ。 そこでいままでの質疑応答を踏まえて質問いたすのですが、厚生大臣も今度の基本懇の答申は、ちょっと私は中座いたしておりましたが、後で聞きましたら、社会保障から国家補償の理念に転換をしたものであるという趣旨の御答弁がありましたというように私は確認をいたしております。 そういたしますと、いろいろと論争の点を整理をいたしまして、今度の基本懇はかなりの部面にわたって注目すべき記述をいたしておられます。私もその点においては同じような理解をいたしております。私もあらゆる観点から議論をいたしてまいりましたが、そういう理解をいたしております。ですから、私は国家補償の理念に基づく法体系を確立する際には、給付の実態というものはいろいろな段階、いろいろな問題がありますけれども、やはり所得制限というのは基本的にはなくなるものであるというふうに考えております。それでないと国家補償ではないというふうに思います。第一の場合、第二の場合、第三の場合をとりましても、私はそういうふうに思います。今度の改正は、法律の形態等は別にいたしまして、その点ではきわめて不十分である、そういうふうに判断できると思います。 法制局の答弁、これは非常に微妙な答弁でありますが、中身は非常にはっきりいたしております。その答弁からいたしましても、今度の法律は法制局が一応洗い直したというふうには承知いたしておりますが、そういう点においては不完全な国家補償である。基本理念のいろいろな角度からの検討を経ての最終的な一つの専門家の見解としての国家補償の考え方を示したわけですが、そういう立場を是認するにしろしないにしろ、その点においては今度の法律の改正というものは、確かに一歩は前進しておるけれども、医療特別手当や小頭症の手当等に対する所得制限の撤廃があるわけですが、しかしこの改正の考え方というものは、被爆者の皆さん方が非常に心情的に理解できない、納得できないと言われている点がそこに一つあると私は思うのですが、その点はいまの法制局の質疑応答を踏まえて厚生大臣はどのようにお考えでありますか。——公衆衛生局長、あなたは法律の専門家じゃないから、この前いろいろないい答弁をしたこともあるけれども、もう突然変異的なんだね。治ってないんだ。後で聞くから。あなたにはいま突然聞くんじゃないんだから、いままで質疑応答した結果として聞くんだから、大臣答えなければいかぬ。
○園田国務大臣 先ほどもお答えをいたしたつもりでございますけれども、国家補償の理念に立つならばすべての被爆者援護に関する問題は所得制限は外されるのが当然であると思い、今年度の予算では極力折衝したところでありますが、残念ながら一部はできましたが全部できなかったわけであります。 そこで、今度の法改正というものは理念よりも現実が先に立つでおりまして、われわれがようやくいろいろ皆さん方の御意見を聞きながら、半歩か三分の一か知りませんが前進した点を改正するということを主眼に置いてお願いしておりますので、その点が、現実にやることを改正していただきたいということで理念まではいかなかったわけであります。なかなか現実問題としては、これは私から言い出すべきことじゃありませんけれども、たとえば在外資産の補償などでも、先ほど言われたへーグの陸戦規定では、仮に戦に負けても、個人の財産を没収してはならぬ、あるいは賠償にかえてはならぬとはっきり明示してあるわけであります。これは実際問題としてはなかなかできないので、理論にほど遠いことで解決しようとされたわけでありますが、そういう点で、まあ非常につらいところでありますが、今度の法改正ではその理念の改正までは、現実にやっていないわけでありますからいかなかったわけでございます。
○大原(亨)委員 いままでの質疑応答で、部分的でありますがかなりはっきりいたしました。つまり、七人委員会の答申についていろいろな議論があるにしても、一定の広い意味の国家補償というふうになっておりますが、これは国家補償の理念に基づく特別な被害に対する補償立法である、こういうふうに随所に規定をしておるわけです。全体として見ればそうでしょう。それを的確に読みますと、少なくとも所得制限は撤廃をすべきである。与党もそうですし、大蔵省もそうですし、そのことぐらいは実施をすべきである。 というのは、逆に現在いろいろな福祉の問題について所得制限を強化しようという傾向があるのですが、これはある程度緩めたり撤廃したりしておるわけですから、そういう方向であるということについては私は是認いたしますけれども、しかし、厚生大臣が答弁され、法制局の第四部長が答弁いたしましたように、やはり国家補償の理念による立法の中には所得制限はないのです。そういう観念はないのです。所得制限をいたしますと恩恵的なものになるわけです。国が補償するということにはならないわけです。放置できないからという社会通念上の見地からやるわけです。ですからこの問題については、今度の法改正については大きな欠陥があるということを私は指摘をいたしておきます。 これは厚生大臣もそういう点を御理解をされたというふうに思いますし、法制局も、あなたは長官ではないけれども代表として出られたわけですから、きのうからその問題は議論いたしました上でお話をいたしておるわけですから、この質疑応答についてはあなたは了解できますね。
○工藤政府委員 先ほど申し上げました第一のグループ、第二のグループは格別といたしまして、いま先生のおっしゃいました第三のグループに限りました場合に、これは救済の手段がほかにないとか、あるいはあっても実効に乏しくて放置しがたいといったものについて、立法政策的に解決していくというのが第三のグループだと考えております。そういう意味で、所得制限のない戦時災害というふうなものにつきまして、権力関係というふうなものの関係も特別ひとつ考慮する必要があろうかと思います。
○大原(亨)委員 その問題をやると時間がないけれども、順次議論いたしますが、戦時災害保護法という立法が戦争中にありましたね。これはいつ廃止になりましたか。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 戦時災害保護法は、第七十九回の帝国議会、これは昭和十六年十二月二十六日から十七年三月二十五日まで開かれたものでございますが、そこにおいて制定されましたものでございます。この戦時災害保護法は、昭和二十一年九月九日法律第十七号で公布されました生活保護法の第四十四条によりまして廃止されております。
○大原(亨)委員 戦時災害保護法の中にはどういう所得制限がありましたか。
○工藤政府委員 戦時災害保護法自身実はかたかなの戦時中の法令でございまして、必ずしも所得制限があるというふうには私も読み取れないわけでございます。ただこの点は、はっきりここの席でこのようになっていると申し上げるほど私もまだ知識がございません。
○大原(亨)委員 戦時災害保護法には所得制限はないのです。戦争の犠牲に対する緊急の保護立法ですからないわけです。 たとえば広島の場合は八月六日に原爆を受けたわけです。長崎は九日で御承知のとおり。しかし、広島市の場合は市の中枢部がやられたわけです。師団司令部の中枢部がやられたわけです。ですから、それに基づいて当時一千円、二千円、現在の金に直せば莫大でありますが、言うなれば焼かれたり死んだりした者に対しまして一定の基準によりまして、障害もそうですし、疾病もそうですが、補償措置があったわけです。しかし実際には、広島ではその金はわずか行われただけであって、途中で打ち切られたわけです。恐らくこれには時効がついているというふうに思います。法律が廃止されていると思います。しかしながら、これは請求をいたしまして給付を受けるチャンスを失ったというのは、本人の、被害者の責任ではないわけです。ですから、時効というものはその意味においては中断どころか、事実上その法律は適用されない、時効には関係ないと私は思うのです。 そういう実態もあるわけですから、この原爆被爆者のああいう普遍的な損害、竹やりとか鉄砲で向かい合ってやるような関ケ原以来の戦いの仕方ではないわけですから、ましてや今度は原爆を航空兵器やミサイルで運ぶ時代でありますから、そういう関係での常識で考えることのできない部面があるわけですから、私は、その時効の問題だけを指摘いたしましても後始末といたしましてはきわめて不完全なものである、こう思いますが、法制局どう思いますか。
○工藤政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、実は戦時災害保護法が成立いたしました経緯あるいはそこに盛り込まれております事項の実施状況、これについて私は確たるお答えができないのが残念なんでございます。そういう意味でいまの御質問に対しましてこうであるというふうに断言的に申し上げることはできません。
○大原(亨)委員 法制局は立法することにもう少し研究しなければだめですよ。不勉強ですよ。私が質問書出しておったっていいかげんなことで答弁しているじゃないか。法制局には権威ないよ。 質問いたします。引き揚げ者に対する特別交付金、農地被買収者給付金、戦没者等の妻に対する特別給付金という慰謝料、これは遺族年金受給者に対してある。こういうのは三つの中ではどういうカテゴリーの中に入りますか。それとも国家補償ではないのですか。
○工藤政府委員 ただいまの御質問の中で引揚者給付金等支給法でございますが、これは法律制定当時の経緯から見まして、いわゆる引き揚げ者についての立ち上がり資金といいますかそういうものの給付というふうに考えております。そういう意味でいわゆる第三のグループとは若干異質のものではなかろうかと思います。 なお、農地被買収者等につきましてはまだ調べがついておりませんので、留保させていただきたいと思います。
○大原(亨)委員 戦没者の妻は。
○工藤政府委員 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法でございますが、これも法律上たとえば第一条におきましては「この法律の趣旨」ということで「戦没者等の妻に対する特別給付金の支給に関し必要な事項を規定する」というふうな規定が置かれておりまして、いわば戦没者の遺族に対しましての精神的慰謝と申しますかそういうグループに属するかと思います。
○大原(亨)委員 一、二、三でどこへ入るの。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 あえて申し上げれば援護法に準じますものあるいは援護法の上積みになりますものでございますから、そういう意味では第三のグループに属すると考えてもよろしいかと思います。
○大原(亨)委員 厚生大臣、戦没者の妻は遺族年金の給付があるんですよ。遺族年金をもらっているんですよ。しかしながら、気の毒だということで戦没者の妻に一時金を出したわけですよ。出したわけですが、これは、第一のグループの不法行為、第二のグループの特別権力関係、法律に基づく適法な給付、そういう権力関係にはないわけです。権力関係にあるのは妻としての年金が権力関係にある。年金をもらっている人に対する特別給付金という一時金は権力関係はない。第二のカテゴリーには入らない。漠然と第三のところに入るというのですが、これも何らしうかりした答弁ではないわけです。 そういうことをきちっと分析して法律の体系を整備していないわけです。しかしながら、これはすべて国の施策として必要だという考え方だけでやったわけですが、これについては所得制限はないわけです。だから少なくとも国家補償の理念に基づいて所得制限をつけるということはおかしいのです。そういうふうに国家補償の精神を展開したならば所得制限をつけるということはおかしいのです。 いまの質疑応答は賢明な厚生大臣よくおわかりでしょう。ちょっと答弁してください。
○園田国務大臣 その筋道はよくわかります。
○大原(亨)委員 それからもう一つ、時間もなんですけれども触れておきたいことがあるのです。というのは、現行戦傷病者戦没者遺族等援護法というのがもちろんあるわけです。厚生大臣は御承知だと思うのですが、これは昭和二十七年に軍人恩給を復活するために最初にやったわけですが、二十八年に改正いたしまして軍人恩給は公務員の恩給に統合したわけです。これは占領軍が否定をしておったわけですからそれを復活したわけです。言うなればそういうふうに限定をして軍人ということを中心に国家補償を復活していったわけです。これは保安隊にしろ予備隊にしろ自衛隊にしろ軍隊をつくる際に精神的な支柱が要る、これは原子爆弾戦争から言えば非常におくれた思想でありますけれども要るということからやったわけであります。これは理屈を言えばわれわれはいろいろ理屈を言う余地があるわけですが、それについてはわれわれは公平な措置ということで国会においては賛成しておるわけです。遺族会とのそういう利害関係なしに賛成しておるわけです。選挙に関係なしにやっているわけです。 御承知のようにそういう観点で援護法ができたわけですが、その中には準軍属という考え方があるわけです。それは国家総動員法による権力関係ということを頭に置きながらやったわけです。そしてその中では防空法での考え方とか義勇隊に関する考え方というものはネグレクトしていったわけです。そして戦闘員と非戦闘員の線を引いていったわけですね。線引きをしたわけです。一般戦災者の問題も出てくるわけです。 しかしその中では、たとえば昭和四十九年には私もずいぶん議論を重ねて警防団等を入れて、防空法の関係を一部入れて、身分関係はないけれども、きょう中村さんが言いましたが長崎大学の学生なども政策上援護法に入れたわけですよ。国家補償の中に入れたわけです。そのときの議論で入れたわけです。 それから現行援護法には三月二十三日の閣議決定に基づく国民義勇隊に関する件というのが御承知のとおりあるわけです。これは非常に範囲を狭めた。しかし閣議決定を国家補償の中に入れたわけです。これは異例なことであります。当時はまだ家屋疎開ということが中心でありました。しかし東京大空襲が御承知のとおりあって、そして四月に入りまして沖繩は完全に手を挙げたわけです。 そして六月に臨時帝国議会を開いた。ここにある保利茂さんも議員でした。赤城さんも議事録を見ますと議員ですね。かなりの人がおられる。それで義勇隊に関する件等についての一連の閣議決定を法律にしたわけです。それが六月九日から十二日まで空襲下で開かれたわけです。沖繩の決定的な戦況の中で開いた。だから現行の援護法もだんだんと変わっていっておるわけです。 しかしながら、これを見た場合に、いまさら戦後の補償議論ではないではないかという議論が広くあるのですけれども、しかし原水爆の戦争の中における戦争犠牲とは何かということを踏まえて、戦争犠牲者の援護法をつくるときにはそれなりに新しい理念が必要なわけですが、それに追いついていない。具体的には二法で若干の改正をいたしておりますけれども。 三月二十三日の国民義勇隊に関する件というのは、私が原文を引っ張り出してみましたら、三月二十二日と当時の法律はなっていた。それは二十三日でありましたから指摘をいたした。そうしたら、政府が間違ったということで修正いたしました。三月二十二日は閣議はなかったのです。三月二十二日の閣議決定に基づくというふうに法律はなっておったのですが、なかった。閣議決定がないのに、日にちが違っておるのはおかしいじゃないかと指摘して、二十三日になった。当時は、とにかく非戦闘員、戦闘員の線引きをするために苦心惨たんいたしまして、そういう占領軍に見られて悪いものは一切封印をいたしたわけです。その封印を解いてみたらそういうことが出てまいりました。 ですから、私が申し上げたい点は、法制局に質問をいたしますが、六月の九日から十二日にわたって開かれた臨時帝国議会においてどういう法律案が成立をしたか。それに関係する勅令や政令はいかなるものであったか、主なものを挙げてもらいたい。
○工藤政府委員 昭和二十年の六月に開かれました帝国議会、第八十七回の帝国議会でございますが、六月九日から開かれております。そこで可決されました法律は、私ども調べました限りで六件でございます。 六件を申し上げますと、一つは、戦時緊急措置法。それから第二番目が衆議院議員選挙法第十条ノ特例ニ関スル法律。第三番目が義勇兵役法。第四番目が、これに関連いたしますが、国民義勇戦闘隊員ニ関スル陸軍刑法、海軍刑法、陸軍軍法会議法及海軍軍法会議法ノ適用二関スル法律。五番目が裁判所構成法戦時特例中改正法。それから六番目が戦時民事特別法及戦時刑事特別法中改正法。この六件でございます。 それから、これらの法律の施行に伴いまして公布された勅令、これも法令全集等で調査した限りにおきましては十二件であると承知しております。
○大原(亨)委員 ここに法律と議事録がありますが、戦時緊急措置法案、それから国民義勇兵役法案という二つが中心であります。これは申すまでもなく、渦中におられたから厚生大臣は知っておられると思いますが、東京大空襲があって、それ以降完全に日本はサイパンその他から制空権を制圧された。そして沖繩が非常に危機になった。こういうことで国民皆兵、銃前も銃後もない、一億総決起という号令でやって、軍刑法をつくったわけです。その間のことについては詳しくは言いません。言いませんが、そういう臨時帝国議会を開きまして、空襲下において、閣議決定では処置できないということで法律をつくったわけであります。 ですから、私が指摘をいたしたい点は、現行援護法において、沖繩の敵前上陸が始まりました当時、あるいは空襲下の状況において被害を受けられた戦闘参加者、法律上の適法な身分関係、命令服従の関係、特別権力関係はなくても、そういう戦闘参加者については六歳以上はやっておるわけです。これは沖繩が戦場になったという観点で、「戦闘参加者」という一項目を現行援護法に加えたわけです。まさに六月の臨時帝国議会で、二カ月後に広島の原爆空襲があるわけでありますが、そういう体制を整備する中においてやったわけです。しかし、法律自体も、私がしばしば指摘しておるように、これは文書で命令を出すようなものではない。みんな口頭でやる。 その帝国議会において秘密会が開かれた。この秘密会の内容について政府は検討したことがあるか。法制局は検討したことがありますか。あるいは厚生大臣は御承知ですか。援護局長は御承知ですか。どういう秘密会であったか。衆議院と貴族院で開かれた。どういう秘密会であったかということを御承知ですか。
○園田国務大臣 私は全く存じません。
○工藤政府委員 存じません。
○大原(亨)委員 ああいう秘密の文書は、一定の期間がたったらやはり解除すべきです、情報公開で。外交文書でもそうですけれども、一定期間たったら解除して、それはやはり歴史の批判にいろいろな点でゆだねるべきだと思うのですが、これは議会の問題です。私が見ましたら、ここに議事録があります。 これは柴山という中将ですか、陸軍次官が出席をいたしまして、そして公開の場でできない戦況報告をしているわけです。それは、沖繩は完全に放棄する、非常に気の毒だけれども、完全に放棄する、沖繩の住民や兵隊には、牛島中将以下には気の毒だが放棄する。なぜかと言ったら、一個師団を増援に出すと三倍から四倍の補給路線が要る、そういうことはいまの日本ではできない、したがって沖繩は放棄するから、そこはサイパンその他、中国と一緒に敵の基地になる、直接の基地になるけれども放棄せざるを得ないという戦況の実況報告をいたしまして、その放棄をすると一緒に、本土決戦をしてみんなが戦うために、これはもう文書も何もないのだ、命令したら全部戦う。戦うために国民義勇兵役法を、これは九カ条でありますけれども、罰則がついておる。それから陸軍刑法でもついているわけですが、それを制定するのだという点を秘密会でるる説明をしたわけです。それを当時、戦争中に、異常な事態でありましても、衆議院と貴族院は、言うなれば全会一致で了承をいたした。そういう背景の中で戦争が末期に突っ込みまして原爆が投下されたわけです。 いま国家補償の議論で三つの点を法制局はきわめて明快に整理をいたしましたが、やはり国際法の問題と一緒に、第二項目におきましては特別権力関係のことなんですが、現に戦闘に参加したということがありますが、しかし沖繩の六歳以上の場合でも、現に戦闘に参加したというそういうことについて一々厳しく条件をつけることはできない、戦争に巻き込まれた人たちだから。戦場になったのですから。艦砲射撃とかそういう状況にあったわけですから。ですから、一般戦災者の問題もあるわけですが、しかしその上に、国際法上も人道上も許すことのできない原爆の投下ということが、今日その犠牲者の国家補償の議論になっておるわけですから、そういう第一の項目から言っても、第二の項目から言っても、第三のカテゴリーから言っても、七人委員会の答申の国家補償の精神から言いましても、これは明らかに国家補償の精神に該当するものである。それら一々の条項に該当して、これはネグレクトする理由にはならないという点を私は申し上げておきたいと思うわけです。 あと各論がありますから時間をとりませんけれども、厚生大臣、あなたはそういう当時の渦中におられた方でありまして、先般の議事録を私は拝見させていただきましたが、私は聞いておらなかったので、この私の意見について御理解できますか。
○園田国務大臣 いまおっしゃいました当時は、私は召集をされて陸軍の下級将校でありまして、その後海軍の方に、直轄部隊に命じられて、連合艦隊司令長官の直轄になりまして、そういうことはいささかも存じません。しかし、いまおっしゃいましたようなことが当時の状況であるということは私も理解ができます。
○大原(亨)委員 時間が迫ってまいりましたから、各論でありますが、弔慰金については私は多くは言いません、もういままで議論されておりますから。遺族に対して弔意を表するということは、戦争犠牲者に対する国家補償の立法の中ではみんなあるわけです。この七人委員会は、答申の是非は別にいたしまして、七人委員会の答申もこれを明らかに否定はしていない。一般戦災者との均衡を主張いたしておりますけれども。しかしながら、そのことについては否定していないということは、茅座長を初め田中委員も、この答申を出しました直後の記者会見ではるる述べておられます。これは国会や行政の判断の問題であるというふうに言われておるわけです。 そういう点について厚生大臣の見解をもう一度伺いたい。
○園田国務大臣 この答申ができました直後、私は厚生大臣として、ただいま御発言のとおりの解釈をするということを公表しております。その後委員会等においてもただいまの御発言の趣旨に基づいて私は答弁してきており、かつまたそれを方針として守ってきているつもりでございます。
○大原(亨)委員 最初に申し上げましたように、鈴木総理大臣の総理大臣としての見解というものは、ニュアンスにおいても趣旨においても厚生大臣と若干違うわけです。しかし、厚生大臣はこの重要な法律案の審議の中でそのことを答弁されたわけでありますから、厚生大臣はこの法律案の審議に当たりまして政府を代表して答弁された、こういうふうに私は理解をしておきます。よろしいですね。うなずいておられますから答弁を求めません。 それで具体的な問題で、認定行為についての現行原爆医療法に基づく審議会があるわけです。認定行為について私はかつて問題を出しておきましたが、たとえば大きな政治問題、社会問題になりました小頭症の被害です。厚生大臣、こういう問題があるわけです。お母さんの胎内で被爆をいたしまして小頭症になりますね。その人は近距離被爆で多量の放射能を浴びていて、一番弱い胎児の部面に出てきたわけです。原爆は熱線と爆風とそれに加えて放射能障害というのが特色でありますから、その放射能障害から言いますとその母体全体が大きな障害を受けていることは間違いない。これはいまも中村委員の質問にもありましたが、発病をしないようにどういうふうに管理するか、あるいは病気の進行をどういうふうにしてとめていくか、そしてどう生命の危険を防止するかということが、言うなれば被爆者対策であります。 そういう点から言いますと、現在の認定制度の中で胎児の小頭症は、いま二十三人ですが、認定されるわけです。しかしながら、母体の方は少々の症状がございましても、近距離被爆の実態がございましても、手おくれ手おくれになって結果として死んで、死んだ後に認定証が来たという例があるわけです。認定というのは、因果関係のある疾病について、患者についてやるわけですから、その認定制度のやり方に問題があるのではないか、改善すべき問題があるのではないかという点を指摘いたしました。そういたしましたところ、橋本厚生大臣は、この問題は審議会において検討してもらう、こういうふうに答弁をいたしました。 原爆の被害の問題は、援護局もそうですが、援護法で死傷とか死没とか認定する際に非常に困難が伴うわけです。それは因果関係とか認定とかいう問題についてはしばしば議論になっておるわけですが、もう一度、国家補償による新しい立法を出発させるという段階において、させなければならぬという段階において、認定の方向について十分いままでの議論を洗い直していただきまして、厚生大臣としても適正な指示を与えてもらいたい。いかがですか。
○大谷政府委員 認定の問題につきましては、しばしば申し上げておりますように、原爆医療審議会の専門的意見を聞いて決定しているものでございまして、先生の御趣旨はできる限り審議会に反映はさせたいと思いますが、何分そういうふうな医学的見地から行われているものでございますから、その点大変むずかしい点があるかと思います。 なお、小頭症患者の母親は、たとえ健康でありましても当然保健手当の該当者ということになっているわけでございまして、その点につきましても、できる限りそういった原爆症にならないような対策という観点からいろいろな施策を充実してまいらなければならないというように考えております。
○大原(亨)委員 認定に至らないけれども、そういう段階のものについては、七人委員会の答申もあるのですが、たとえば保健手当を出したときに上乗せしなさい。今度はケロイドとか孤老とかいうお年寄りの原爆被爆者に対して上乗せの措置をとっておりますね。科学的、医学的と言いましても、はっきりわかるまでは肯定しないということであるならば、原爆症とは何かということが解明されていないから放影研もあるし、それから七人委員会の答申もあるのですから、唯一の被爆国であるから、放射能の影響については足りないところがあるからさらに研究しなさいと言ってあるわけですから、それは非常に前向きのところがあるわけです。 そういうものが原爆症ですから、そういう場合に、認定の範囲についてぎりぎりと医学的にはっきりわかっただけは認定するということで手おくれになることはいけない。それを踏まえながら行政が判断をすることが必要である。そういう意味において認定制度について、これは人数は現在きわめて極限されておるわけですが、時期を失しないように、多量に放射能を受けた人々に対する対策として手おくれのないように、あるいは保健手当の上乗せを含めて改善措置を講ずるべきであると思いますが、厚生大臣はいままでの質疑応答を受けてどういうふうにお考えですか。
○大谷政府委員 認定の問題につきましても、先生御指摘のように手おくれにならないようにできる限り審議会にその御意見を反映させていきたいと思います。 なお、そういった予防的見地からの一般疾病につきましての健康管理手当あるいは保健手当等の問題についても、十分検討していきたいというふうに考える次第でございます。
○大原(亨)委員 健康管理手当は都道府県によって支給率が非常に変わっておるわけです。一番多い支給率と一番少ない支給率を答えてください。
○大谷政府委員 一番多い県は徳島県でございまして、八八・一%でございます。一番少ない県は宮崎県でございまして、一〇・九%、こういうふうに開いておるわけでございます。
○大原(亨)委員 それで行政の構成から言いまして、これは県知事に委任してあるわけですが、やはりいろいろ研究しまして、相互に意見交流して——健康管理手当というのは、これは関連疾病とかいろいろ言われるらしいのですが、言うなれば放射能障害で保健手当のような二キロ以内というふうな近距離被爆ではないにいたしましても、それらを含むにいたしましても、言うなれば放射能を受けた人は加齢現象と言いまして年齢が早く進む、老化するという成人病的な点もあるし、なかなか判定がむずかしいのですが、そういう加齢現象に対する健康管理の措置でありますから、これを公平に措置するようにすべきだ。それをそんなに一〇%と八十何%というふうに差があるということは被爆者から見ましても不公平ですから、この点は切ってしまうということではなしに、やはり法律の趣旨を踏まえながら適正に措置をすべきでありますが、時間がないから、厚生大臣いかがですか。
○園田国務大臣 事務当局もそういう是正をするつもりでおりますから、そういう方針でやります。
○大原(亨)委員 この七人委員会の答申の中で一番積極的なのは、唯一の被爆国である日本は放射能の影響について徹底的に研究しなさい、そういうふうにあるわけです。たとえば放影研にいたしましても、アメリカが言うなればモルモットにしたのじゃないか、軍事作戦の犠牲にした、調査をしてアメリカだけで秘密裏に使っているのじゃないかという議論等もわれわれもいたしたことがありますけれども、そういう議論を通じまして、日米共管ということで公文書によって確認しておるのです。しかしながら厚生大臣、アメリカのそういう調査に取り組む体制というものは日本の研究体制とは違いまして、かなり大規模な体制です。ですから、その調査の結果というものは被爆者の治療、健康管理に生かしていかなければならぬ、対策に生かしていかなければならぬ、そういう面がきわめておくれておるのではないか。そういう面においては、本院でしばしば決議をしてきておりますけれども、原爆病院とか、原対協とか、養護ホームとかというものとの全体を考えながら、いまのように重複を避けながら、むだを避けながら、資源の効率的な活用を図りながら、たとえば放影研には血液の自動分析機を最近入れたのですが、例の高度のMEのを入れておるわけですが、そういうものでも、調査の中において、被爆者、非被爆者で対比してやっておりますけれども、出てきたものについては、これを何回も同じことをあっちこっちで繰り返すのではなしに、これを有意義に使っていきながら治療に役立てる、健康管理に役立てるということが必要だと思うのですね。そういう面においては、たとえば広島の場合でも、放影研というものは地におろして、そして、それぞれの施設がそれぞれの立場を生かしながら、大学の研究機関等も生かしながら、総合的に被爆者の援護という点において遺憾なきを期する、こういうことが放影研自体の機能を民主的にしていくという問題ともつながっておると思う。 そういう意味において、被爆者対策の総合性というもの、そういうような観点から調査研究を徹底して進めながらこれを改善すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○大谷政府委員 放射線影響研究所につきましては、諸先生方の御意見を踏まえまして、五十六年度で、他の研究機関あるいは原爆医療機関との連携を強化する、あるいは放射線の影響に関する調査研究体制をどうするか、こういうふうなことで、検討費をつけまして検討することにいたしております。また、広島大学放射能研究所あるいは原対協あるいは原爆病院等と共同研究するという予算も新しくしているわけでございます。 なお、放影研の運営に関しましては、地元の各機関の代表者から成る地元連絡協議会を設けておりまして、この意見も研究所の運営にできるだけ反映させるということに努めているわけでございます。
○大原(亨)委員 時間が参りましたから終わりますが、この間、宮澤官房長官が、政府と与党との間において、戦後の処理はもう終わったのだということを確認しているということを言いましたが、いろいろな問題があるけれども、この問題は量だけの問題ではなしに法案の質の問題といたしまして、私どもは、十分議論を尽くして、そして唯一の被爆国ということが言えるような、筋の通ったりっぱな法律にしていく。いろいろな制約があることはわれわれも承知いたしておるわけですが、そういう点において、これを機会に論議を尽くすという意味において、七人委員会の答申というものが一つの契機になったと思います。そういう面において、この答申の足りない点や発展さすべき点を政治的に国会は踏まえて、政府も踏まえて善処すべきである、こういう点を強く要望をし、厚生大臣に最後に所信をお答えいただきたいと思います。
○園田国務大臣 放影研初め、今年度の予算で皆さん方の御要望を踏まえてやりましたものは、いまおっしゃいましたようなことを一歩一歩進めていくためにやったことでありますから、そういう方針のもとに進めてまいります。
○山下委員長 次に、森井忠良君。
○森井委員 攻守ところをかえまして、今度は政府案に対しまして御質問を申し上げます。 ことしの本法案に対します審議は、ある意味で一からの出直しという感じを私は持っております。例の原爆被爆者基本問題懇談会の意見書は、けさほども申し上げましたが、残念ながら被爆者の皆さんの期待にこたえるものでなかったという認識をしておるわけでございます。 もっとも厚生大臣は、そうは言うものの、じっと読んでみたら、国家補償の原則が貫かれていて、国家補償を否定するところは一カ所もなかったという御認識でございまして、その意味では非常に心強いと思っておるわけでございます。 しかし、個々の中身に入ってまいりますと、ずいぶん問題がございます。たとえば、いままで国家補償法を求める私どもの要求に対しまして、政府、厚生省は断ってきたわけでございますが、その理由は、一つは国との身分関係、特別権力関係、さらにもう一つは一般戦災者との均衡の問題、この二つで国家補償法の制定を否定をしてこられたわけでありますが、全くそれと同じことが意見書の中には出てまいります。しかし、これは先ほども申し上げましたように、厚生大臣の所信のとおり解釈をすれば、決して乗り越えられないものじゃない、こういうふうに思いますが、いずれにいたしましてもそういった点もございます。 問題点は非常にたくさんございますが、けさほど来議論になっております原子爆弾が国際法に違反をするかどうか、この問題についても意見書は触れていません。原子爆弾の違法性があるかどうかということは別としてと書いてありまして、一番聞きたいところが触れられていない、この点でもきわめて残念でございます。まだありますけれども、そういうことで、いずれにしても一から出直し、当てにしておりました基本懇の意見書は、残念ながら私どもとしては乗り越えさしていただかざるを得ないという感じでございます。 そこで、限られた時間でありますが、まず最初に原子爆弾と国際法との関係についてお伺いをしたいと思います。 外務省、いままでのところ、原爆は国際法の精神に違反をする、こういう言い方になっております。それはどういうわけですか。その根拠をお伺いをしたいと思うのです。
○野村説明員 お答え申し上げます。 先ほど来御指摘がございましたように、原爆、大変な兵器でございまして、やはり国際法の精神に反するということが言える。国際法の根拠にはやはり人道主義というのがございまして、その見地からとらえますと、国際法の精神に反するということが言えるのじゃないか、そういう趣旨でございます。 ただ、厳密な法律論と申しますか、からしますと、実定国際法の違反というところまでは言い切れない、そういうことでございます。
○森井委員 国際法に盛られている人道主義に違反するということですか。 具体的には、どういう国際法の実定法の法規で、どの部分に人道上もとることになるのか、その点についてもお伺いいたしたいと思います。
○野村説明員 原子爆弾が大変なたくさんの方を殺害する手段であるということからいたしましても、人道的には大変問題がある、そういう趣旨でございます。 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 ただ、私、実定国際法と申しましたが、国際法といいますと条約あるいは慣習国際法ということになるかと思うのでございますが、そういう見地からいたしますと、これを禁止する、しておるということは、残念ながら申し上げられない、言い切れない、そういうことでございます。
○森井委員 きょうは、もうちょっとシビアな議論をしたいと思いまして、どちらかというと、いままで外務省、これまで国会でこの問題の答弁をされるときには抽象的な答弁をしておられるわけでありますが、どういう法規で、そして人道上もとるというのはどの部分に該当するのか、具体的にお伺いをしておるわけです。
○野村説明員 戦争中の国際法につきましては戦時国際法ということで、先ほど引用がございましたが、ハーグ陸戦法規とか、あるいは毒ガスその他害敵手段の禁止ということで規則が定められておるわけでございますが、原子爆弾のことにつきましては、そういうはっきりした実定国際法がないという意味でございます。 人道的と申しましたのは、具体的に私、ではその根拠はということになりますと、いま申しましたように、特に国際法ではっきりした規定があるわけではないので、どうのこうのということは適当じゃないと思うのでございますけれども、ただ私自身も広島の出身でございまして、大変な兵器であるということ、これは人道上の見地からいたしましても、国際法の精神ということに反するということは言えるんじゃないか、そういう趣旨で申し上げたわけです。
○森井委員 一九〇七年、第二次へーグ平和会議で成立した陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約というのがありますね。これは似たような条約は、もう少し前にも、一八八六年でしたか八八年でしたか出てくるわけですけれども、これは日本は批准していますか。
○野村説明員 日本は批准しております。締約国になっております。
○森井委員 アメリカはどうでしたか。
○野村説明員 アメリカは一九〇九年に批准書を寄託しております。
○今井委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○今井委員長代理 速記を起こして。
○森井委員 それらが結局国際法の、外務省が言っておりますところの実定法等に該当するということになるのでしょうか。
○野村説明員 先ほど先生御指摘になりましたが、陸戦法規、それを見ましても、原子爆弾の禁止ということは書かれておらない、そういうことでございます。
○森井委員 私はそこまで聞いているわけじゃないので、いま法的な整理をさしてもらっておるのですが、こういうことになっていますね。国際法上の戦闘行為については、一般に承認されているところによると、たとえば陸軍による砲撃、時代が古いものですからそういう表現になるのですが、陸軍による砲撃は防守都市と無防守都市を区別していますね。そして、要するに無防守都市は攻撃してはならぬ。海軍の場合は、艦砲射撃等を想定をしておるのでしょうか、これは防守地域と無防守地域、こういうふうに区別してありまして、やはり無防守地域の方は攻撃をしてはならぬ、つまり非軍事施設については攻撃してはならぬというのが、やはり戦時国際法の中の一つの流れになっていますね。
○野村説明員 先生ただいま御指摘になりましたのは、ハーグ陸戦法規のたしか二十五条を念頭に置いて言われたことかと思います。厳密な法律論をするというのは私も非常に何なんでございますけれども、このハーグ陸戦法規は確かに日本もアメリカも当事国になっておるということではございますが、実はこの法規には総加入条項というのがございまして、問題の当事者であるすべての国が入ってこの陸戦法規の当事国である、そういう状態でなければ実は適用されない、そういう大原則がございまして、そういう意味からしましてもその二十五条がそのまま当てはまるかどうかということについては、確かに私、問題じゃないかと実は思います。 しかし、先生御指摘になりましたように、そういう陸戦法規を離れましても、やはり国際の、国家間の慣行という意味におきましては、いま御指摘の点なんかは問題になるかと思います。
○森井委員 先般、四月七日の衆議院本会議におきます外務大臣の答弁も、結論から言いますと、国際法の精神には違反するが、国際法には違反してない、実定法等の例をお挙げになりまして、そういう答弁があったわけでございます。できれば大臣もしくは局長においでをいただけばもうちょっと中身の議論ができるのでありますが、よくわからないがという前置きでいま答弁をしておられまして、私も非常にやりにくいのでありますけれども、もう一つお聞かせをいただきたいと思うのですが、やはりそのへーグの陸戦法規の中で、毒ガス、それから細菌、そういうものについてはいけないことになっていますね。
○野村説明員 御指摘のとおり毒ガスの使用につきましては禁止されております。それで、先ほど私、陸戦法規の適用云々について申し上げましたが、その陸戦法規を離れましても、やはり慣習国際法からしましても、毒ガスを使用するということにつきましては禁止されているということは言えるかと思います。
○森井委員 どうも済みません。あなたにもうちょっと聞かしてもらいたいのですけれども。 それはどういうところに根拠があるわけですか。無益な苦痛を与えるとか、そういうふうなことになるから禁止をされたのでしょうか。
○野村説明員 やはり人道的な見地からというのが最大の根拠だ、そういうふうに思います。
○森井委員 いずれにいたしましても、毒ガスあるいは細菌兵器等については国際法上禁止をされているという理解をしていいわけですね。 そこで、原子爆弾に対する外務省の認識ですけれども、毒ガスあるいは細菌兵器と比べてさらに残酷な、非人道的なものであるという理解ができませんか。
○野村説明員 人道的な見地からどういうふうにとらえるかということになりますと、いま先生御指摘のような側面があるかと思います。私はやはり現在あります国際社会の法規範と申しますか、それでどういうふうに規律されておるかということで申し上げた次第でございます。
○森井委員 いや、一言でいいのですけれども。 たとえば毒ガスよりもさらに悲惨きわまりない、あるいは無益の苦痛を与える兵器だと私は認識をするのですが、外務省どうですか、認識するとかしないとか、それだけで結構です。
○野村説明員 毒ガスもそうでございますけれども、原子爆弾につきましても私、人道上の見地から同じとらえ方をすべきだ、そういうように考えております。
○森井委員 ちょっとわからなくなるのですが、人道的な見地じゃなくて、いま二つの兵器を比べておるわけです。具体的に申し上げると原爆と毒ガスを比べてみて、人道上とかそうでないとかいうのではなくて、少なくとも毒ガスを上回る兵器だと思うが、人道上の見地は要りません、純然たる科学的なお答えをいただいて結構なのです。
○野村説明員 私は、人道的には毒ガスも原子爆弾も同じ問題であるということを申しましたが、いまの国際社会において、国際法規範としましてはその扱いが異なっておるということ、それだけを申し上げたつもりでございます。
○森井委員 本当に回りくどい答弁で困る。あなた広島だとおっしゃいましたね。原子爆弾がどういうものかということはおわかりでしょう。あなた生まれは何年か知りませんけれども、原子爆弾が落ちたときには生まれておったの、いないの。
○野村説明員 原子爆弾が人道的な見地からしまして非常に大変な兵器だ、それが毒ガスと比べて科学的にどうだという、私、そういう知識は厳密には持ち合わせておらないわけですけれども、国際法の精神の人道主義からしまして用いられるべきでない兵器である、そういうことは当然のことだと思うのです。 ただ、法律、法規範からしますと、どうしても原子爆弾についてはその使用が禁止されておる、実定国際法上そうなっておるというところまでは言い切れないのが現在の国際社会の実情だということで御理解いただきたいと思います。
○森井委員 どうも答えになっていないので非常にやりにくいのですけれども、あなた、先のことを考えて答弁をなさるからそういうふうなことになるわけですが、これは別に外務省でなくてもいいのです。どこでも聞けるのですよ。原爆と毒ガスを比べてみてください。原爆の悲惨さについてはあなたは篤と御存じだと思います、ついぞ生年月日は聞きそびれましたけれども。 元外務大臣とか現厚生大臣とかということを抜きにしまして、園田直先生、私は毒ガスと原爆を比べますと、殺戮兵器としては原爆がはるかに悲惨なものだというふうに理解をしておりますが、そうお思いになりませんか。
○園田国務大臣 とうてい比較にならないほど差のある問題でございます。
○森井委員 というようにぴしっと答えてくれりゃいいのですよ。私は基本的にそこに問題があると思うのです。 そこで、昭和三十八年の東京地裁の判決がございます。これは地裁ということになっていますが、原告も被告も相互に控訴していませんから、したがって確定判決になっておるわけですね。東京地裁では広島と長崎の原爆と断った上で、これは毒ガス以上の、あるいは細菌兵器以上の悲惨きわまりないものであるということで、明確に国際法違反という断定を下しているわけですね。争われた件名は違いますからそのことは触れませんけれども、いずれにいたしましても判決文の中で明確に広島、長崎の原爆は国際法違反であるということを断定をしておるわけでございます。その中には、先ほど指摘をいたしましたように、戦闘員、非戦闘員、あるいは防備都市、無防備都市全く無差別に攻撃をしておるということが一つ、それからもう一つは、先ほど指摘しましたように毒ガス以上のということになっているわけですから、そういった見地から明確に国際法違反という断定が下されているわけでございます。したがって私どもといたしまして、外務省が人道上云々という言い方をされますけれども、これは納得ができません。 そこで、もう一つ外務省に確認をしておきたいのであります。昭和二十年八月十日に、原爆を落とされたことに対して、日本政府が中立国でありますスイスを通してアメリカに抗議をしていますね。外務省は本職ですから、そういった事実についてはお認めになると思うのであります。そのときに抗議いたしました抗議文、これは外交的にはどういうものに該当するのですか。つまり日本政府の明確な意思表示だと理解をしていいのか、どうなのか。
○野村説明員 そのように理解していいかと思います。
○森井委員 そこで明確に日本政府はこういう表現を使っているのです。原爆に対して、「本件爆弾ハ其ノ性能ノ無差別且残虐性ニ於テ従来斯ル性能ヲ有スルが故ニ使用ヲ禁止セラレ居ル毒瓦斯其ノ他ノ兵器ヲ遥ニ凌駕シ居レリ」、抗議文の中にそれが入っているのです。入っていることはお認めになりますか。同時に、お認めになるとすれば、これが日本政府の明確な意思であった、こう理解をしたいと思いますが、その点についてもお答えをいただきたい。
○野村説明員 まず事実関係でございますけれども、先ほど先生御指摘のような文章がこの抗議文の中に入っております。それで、ではこの抗議文を政府の立場との関係でどういうふうに説明するかということでございますが、やはり従来の議論で出ておりますように、原爆というのは大変な兵器であるということからしまして、国際法上の観点からもやはり問題があるのではないかということで、当時交戦状態にあったということもありまして、当然のこととして抗議をいたしたということでございます。 ただ、純法律的に見た場合、実定国際法上の問題としては、やはり当時の原爆投下が国際法違反の行為であった、そういうふうにまでは言い切れないということでございます。したがいまして、当時交戦国の状態として、交戦国の立場にある日本として、ああいう爆弾が投下されたということから問題ありということで抗議いたした文章である、そういうふうに理解いたしております。
○森井委員 どうも先を読んでの答弁になるものだからかなり無理があるわけですが、いまはっきりしたことは、毒ガスをはるかに凌駕をする兵器であったということについては、政府の意思として明確にあったわけですね。そのことは外務省がお認めになりませんと、やはり統治行為の一貫性からしてもおかしいことになる。
○野村説明員 先生御指摘のとおり、従来の毒ガスをも含めまして害敵手段と全く性質を異にして、きわめて多くの方に犠牲をもたらすという手段であったということ、そのとおりお認めいたします。
○森井委員 大分わかってまいりました。 そこで、結局東京地裁の判決のときには政府は反論をしておりまして、なるほど原爆については非常に悲惨な兵器だということはわかるけれども、当時実定法で原爆という言葉がなかった。新しい兵器の場合は、当然のことでありますが予測しないわけですから、その当時一番残忍な兵器とすれば毒ガスかあるいは細菌に関する兵器か、そういったものまでしかその当時の常識として考えられなかったわけですから、毒ガスとしか書いていないのはあたりまえです。しかし、昭和三十八年の判決が出た時点の政府の主張には非常に無理がある。つまり実定法でヘーグの陸戦法規その他に書いていないから、したがってこれは国際法違反じゃないんだ、こういう議論をずっと繰り返してきておられるわけですね。しかし、先ほど言いましたようにすでに一足先に昭和二十年に日本の政府が具体的な解釈として毒ガス以上の兵器であるということを認めているわけです。 そこで、これは非常に迷惑な議論を吹っかけるようになるかと思いますが、園田厚生大臣にお伺いをするわけですけれども、私は大臣が国連の軍縮総会で非常にりっぱな日本政府を代表しての演説をなさいましたものを読ませていただきましたけれども、本当にりっぱなものでございます。その中に貫かれているのは、二度と原水爆を許さない、もし原水爆を許したら一番悲惨な目に遭うのはすでに各国とも御承知のはずだ、特に日本の体験からして御承知のはずだということを述べていらっしゃるわけでございます。 そこで、いまさら私がもう一度原爆が国際法違反だとかあるいは違反でないとかいう議論をするのはおかしいとおっしゃるかもしれませんが、政府としては原爆というものの性格から国際法違反は違反としてお認めになること。いままで被爆者の皆さんは一本の線香代も国は見てくれていない、義憤の涙に明け暮れしておられるわけですけれども、やはり政府のとった、たとえばサンフランシスコ条約におきまして対米請求権を一切放棄しているわけですけれども、それはそれとして原爆そのものに関する認識というのは、現在わが国は非核三原則を持っているわけですけれども、この際やはり明確にされるべきではないか、こう考えるわけでございます。大臣、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 原爆が国際法違反であるかどうかということは、法制当局の解釈は聞いておりませんけれども、これが明瞭な違反であることは当然であり、かつまた使用した米国自体もこれに対する反省があるからこそ原爆について日本でとかく言われることは非常に苦痛としているところであります。私が演説をしましたときには、原爆の代表者、これはそれぞれ各党、共産党から自由民主党まであるわけでありますが、一糸乱れずアメリカに渡って私の演説と呼応して、そして世界の人々に訴えられて、非常な深刻な影響を与えられたことは事実でありまして、私は、外交政治の基本は平和と言いますが、もっと具体的に言えば戦争を起こさしてはならぬ、もっと具体的に言えば原爆を使うようなことがあったらこれは一国の問題じゃない、全世界の問題だ、こういうことは政府もはっきりした覚悟を持ってやるべきであると考えております。
○森井委員 大臣の所信もございまして、原爆に対する国際法上の認識についてはこの際明確に申し上げておきたいと思いますが、私どもは国際法違反だという認識をいたしております。 扱いについて私は思うのですけれども、認識は認識として、あとしかし現実の問題として戦争犠牲者の中で軍人が救済され、軍属が救済され、準軍属が救済され、準軍属の範囲もだんだん広がってきた。けさほども言いましたように、日赤やあるいはそのほかの従軍看護婦の皆さんにもささやかではございますが国家補償の手が差し伸べられてきておるという、そういう現実的な見方をしていくべきだ。そうして、なるほど間違っておったけれども、いま国家財政上こうだ、あるいは政府が言っておられますように、一般戦災者との関係もあるからこうなんだ、そういう情理を尽くしての説明があれば、私はおのずから被爆者の皆さんの考え方も変わってくると思うわけでございます。 そこで、時間をとって私も困るわけですけれども、もう一つこの際、先ほど言いました運動の一からやり直しだということでお伺いしておきたいことがございます。これは内閣審議室にお伺いしたいわけでございますが、あなたのところは戦争犠牲者の各省庁にまたがる問題についてはある意味で窓口、取りまとめ役という形になっていると思うのですけれども、一体内閣として、総理も原爆の問題についてもちょこちょこけしからぬ答弁を本会議、予算委員会等でしておられますけれども、一体戦争犠牲者に対する内閣の基本的な救済に対する考え方というのはどの辺にあるのですか。
○造酒説明員 さきの大戦で犠牲をこうむられた方々に対します施策につきましての政府としての考え方を御説明申し上げます。 さきの大戦で犠牲をこうむられた方々に対しましては、戦没者の御遺族の方あるいは戦傷病者の方、さらには生活の基盤を失った引き揚げ者の方々など特別の施策を必要とする方々に対しまして、これまで一連の援護等の措置を講じてまいったところでございます。しかしながら、さきの大戦におきますこのような戦争の犠牲と申しますものはきわめて広範でございまして、これを完全に償うことは実際問題といたしまして不可能でございます。しょせん国民のお一人お一人にそれぞれの立場で受けとめていただかなければならないものではないかというふうに考えているわけでございます。 このような趣旨から、去る四十二年でございますか、政府と与党の間におきまして、これまで講じてまいりました一連の措置をもって戦後処理に関する措置は終了する、こういう了解が行われておりまして、現在その線に沿って考えているわけでございます。
○森井委員 しかし終了するとおっしゃいますけれども、その後具体的に国会で指摘をされて次から次へと広がっていっておりますね。先ほど例に挙げましたような看護婦さんの問題もありますし、厚生省の援護局の所管であります戦傷病者戦没者遺族等援護法に関して出てまいりました満蒙開拓義勇軍を終えた義勇隊開拓団の方々に対する援護措置でありますとか、広がってきております。最近はソ連抑留者に対する補償を求める声が非常に強くなってまいりまして、これもいま内閣審議室が窓口になっていろいろ作業を進めておられるわけでございますけれども、確かに戦争ということになりますと、その当時の国民大なり小なり戦争による被害を受けたということについては当然理解ができるわけであります。しかしその中でも、どうしても最終的に順位をつけざるを得ない。私どもの場合は自分たちで整理をいたしまして、被爆者援護法等については一切の財産被害は、要求したいけれども見合わせようということにして、人命やあるいはその健康に対する被害だけの要求になってきておるわけですね。しかも、他のどの戦争犠牲者と比べても、原子爆弾のあの熱線、爆風、放射線といったきわめて特殊な、そして残忍きわまりない被害を受けられた方々に対する補償というのは、同じようにその戦争被害があった人と比べましても、やはりおのずから順位をつけていかなければならぬだろう。 特に、大きな意味で申し上げますと、そういった戦争犠牲者の方々が、数がだんだん減っていっておるのですね。亡くなられるからです。つまり、それだけ政府が放置をしていきますために、放置をしながら、事実上それで対象者が減っていく。だから、金額の価値の違いはありますけれども、対象者が減るということは、予算的にはある程度ゆとりができていくということにもなるわけですけれども……。 そういった意味からすると、もうこれで打ち切るという形じゃなくて、やはりいま言ったように、内閣の基本方針としては、受けたこの被害に対して、全部と言いたいところだけれども、それが無理なら腹を割って国民に、これは待ってください、これは先にやりましょうというふうな一定の認識があってもいいんじゃないか、こう私は思うわけです。再度御答弁願います。
○造酒説明員 戦後処理は終わったと言いながらも、次々といろいろな施策を講じているではないか、こういう御指摘でございますが、これまで講じてまいりました一連の措置の対象となっていなかった方々につきまして新たな事情が判明をし、その措置を及ぼすことが必要だというような場合に、これまでも、その法律を改正をいたしまして対象を拡大をするというようなことは、逐年行ってきたわけでございます。 しかしながら、戦後三十五年を経ました今日におきまして、新しい観点から新しい制度を設け、特別な措置を講ずるというようなことは、また新たな不公平感をもたらすというような懸念もございますし、また、先ほども申し上げましたとおり、戦争の犠牲につきましてはとうていそのすべてを償うわけにはいかないということになりますと、政府の措置といたしましてはやはりどこかで一つの区切りをつけなければならないということから、先ほど申し上げましたような了解がなされたものでございまして、現在のところ、現時点で戦争処理施策を見直しまして新たな措置を講ずるというようなことは考えていないわけでございます。
○森井委員 新たな措置をとおっしゃいますけれども、具体的には、いまあなたもおっしゃいましたように、やはりいろいろ議論があって、その経過を尊重して順次広げていっておられることは事実ですね。 いままででも、たとえば動員学徒はいま準軍属になっていますね。何回も何回も、何年も何年も国会で議論があって、最初は一時金から出発をして、そして今日では準軍属になった。あるいは旧防空法によりますところの警防団についても同じであります。指摘があって、そして内閣としてもいろいろ考えられた末に援護の必要を認めて、当初は一時金、そしてやがて準軍属という形にこれも格づけをされた。前例は幾らでもあるわけです。 原爆被爆者については戦後一貫してそういう主張がなされておる。いま申し上げました動員学徒にしてもあるいは警防団にしても、具体的に事実を指摘をされて、かなりな年月を経た後でようやく政府が重い腰を上げるという経過をたどっています。原爆被爆者についても、少なくとも、戦後直ちにありましたけれども、具体的に原水爆禁止運動が起きてからでも、これは昭和三十年代の初めですからすでに二十数年たっている。叫び続けてこられた問題であって、いま新たに降ってわいたような問題ではないわけです。しかし個々のケースについては、その都度国会の議論を踏まえた上で、最終的には内閣が取り入れているという経過をたどっています。 いま私は、原爆被爆者援護法を直ちに認めよというような議論はあなたに対してはすべきじゃないと思いますからいたしませんけれども、やはりこの際、いま言いました、戦争犠牲者はまだ残っておるんだ、ドイツのように、軍人であろうと一般国民であろうと同じように救済をしているところもありますけれども、この点は篤とひとつ御認識をいただいておきたいと思うわけでございます。 時間の関係がございますから、援護局長さんにお伺いをいたしますが、援護局が所管をしております戦傷病者戦没者遺族等援護法。ずっと見てまいりますと、最近はずいぶん減っていますね。発足当時、たとえば遺族年金で見ますと、これは大臣にも御理解を願っておきたいわけですけれども、昭和二十七年には、遺族年金受給者が五十五万二千百三十三人いたのですね。これは先ほど大原議員からの指摘がありましたように、軍人等も入っていますから、したがって人数が多いということはわかるわけですが、しかし明くる年から見ましても、明くる年の昭和二十八年が三十六万一千四百五十三人、三十六万人ばかりおられたわけですね。それが年を経るに従って減ってまいりまして、これは昭和五十五年十一月現在ですけれども、いまでは八万五千人余りになっています。三十数万人いたのが八万幾らなんですね。 これは私は、もうすでに年をとられて、そういった意味でお亡くなりになる方があってこういう形になるのではないかと思いますが、そのとおりかということと、いまこの遺族年金を受給しておられる方の平均年齢は幾らぐらいになっていますか。
○持永政府委員 先生のお話で、最初に事実関係だけちょっと申し上げたいと思いますが、遺族年金としては、先生の御指摘のように、現在八万五千人でございます。それから、私どもの所管しております遺族援護法の中で、準軍属の方には遺族給与金というのを出しております。これは全く金額その他は年金と同じでございまして、これが大体三万八千人おられまして、現在十二万三千人ぐらいの受給者だということでございます。 それから御指摘の年齢でございますけれども、私ども、直接先生の御質問にお答えするような統計はとっておりませんが、サンプル調査で遺族の方々の年齢を調査したのがございます。それによりますと、五十四年六月、一昨年サンプル調査をしておりますが、父母につきましては、七十歳以上が九三%という人数になっております。それから配偶者、妻の場合には、六十歳以上が八〇%、うち七十歳以上が二八%ということで、戦後三十六年経過しておりますので、かなりの高年齢になっているということは事実でございます。
○森井委員 ちょっと変わった議論で恐縮なんですけれども、私はあえてこういう質問をさせていただくわけですが、園田大臣、いずれこの遺族年金なり遺族給与金というのはなくなるのですよ。該当者がいなくなったら、これはなくなるのです。本当に言いにくい話ですけれども、これは年には勝てませんから、いずれ該当者がゼロになる時期がある。先ほど申し上げましたように、五十数万から出発をして、いま八万数千、両方合わせても十二万ぐらいという形に減ってきているわけです。 率直に申し上げますと、原爆被爆者の皆さんが国家補償を求めますと、これは一般戦災者があって均衡上できない、こういう言い方になっていますね。一般戦災者が陳情しますと、原爆被爆者がおるからできない、こういうことの繰り返しで断わってきておられるわけでありますが、当時、戦傷病者戦没者遺族等援護法等に関連をする者だけで五十数万、現に援護措置ができたわけです、遺族年金、遺族給与金で。これは五十数万ですよ。いまは幾らでしょうか。 いつも定かな答えが出ませんから私は申し上げるのですけれども、たとえば、原爆死没者の皆さんの遺族年金あるいは弔慰金、まあとりあえず遺族年金ということにしておきましょうか、私ども、援護法案を提出する場合に、残念ですけれども、財政上の事情から遺族年金は割愛をいたしまして特別給付金という形にさせていただいておりますけれども、人数をはじく場合にいままで死没者の調査がないのです。したがって非常に困りましたけれども、仮に広島、長崎の過去帳の人数、その中で遺族が何人減耗しておるだろうということをはじきまして、これは申請主義ですから、その遺族の中から何人が取りにおいでになるだろうか、そういう計算をしてみますと、厚生大臣、そう大きな人数にならないのです。広島、長崎で亡くなられたのは三十万人余というふうに言われていますけれども、その三分の一にも達しない。本当に遺族年金等を申請をされてお受け取りになるということになれば、五分の一ぐらいじゃないか。これは死没者の調査がないのですからわかりませんけれども、予算を組む前に、責任がありますから私どももいろいろディスカッションをして、その程度の金額にいたしました。間違っておれば反論してもらいたいと思いますけれども、具体的な問題になってまいりまして、やはり原爆被爆者の皆様と同じような形で一般戦災者の方を合わせましてもせいぜい十万です。 いま軍人、軍属、準軍属を合わせて二百万人はいっているでしょう。二百万人の人が救済できて十万ないし十数万の人の救済ができないという理屈がどこにありますか。公衆衛生局長、どうですか。
○大谷政府委員 厚生省の私どものいままでの考え方というのは、財政的見地もさることながら、戦後の戦災者、原爆被爆者の方々をどのような理念で取り扱うかというふうな考え方でやってまいったわけでございまして、そういうわけで基本懇の答申もいただいたわけでございますが、そういったことでやはり弔慰金、遺族年金というのはむずかしい、こういう考え方に立っているわけでございます。
○森井委員 厚生大臣、死没者に関する弔慰金あるいは遺族年金等が考えられるわけですけれども、決して七人委員会の意見書というのは否定をしたものではない。なるほどどこを読んでも否定していない。一般戦災者の皆さんとの問題を考えると書いてあるだけであって、否定はしてない。あるいは国民的な合意なんというようなことがありますけれども、いずれにしても全く否定してないのですね。しかも前向きに考えるという形になっているわけでございます。だから局長の答弁はおかしいと思う。 そこで、大臣、先ほど御指摘申し上げましたようにだんだん人数が減ってきまして、財政上の見地からも、変な言い方ですけれども、戦傷病者戦没者遺族等援護法のあの人数の減り方等から見ますれば、私先ほども間接的に指摘をいたしましたが、戦争犠牲者の救済というのが順次進んでいまして、どんなに説明をされようとも、やはり一つの問題がある程度人数が減ったら片づいた。たとえば満蒙開拓青少年義勇軍開拓団がいい例です。初めはかたくなに断っておったけれども、対象者はだんだん減ってくる、予算的にもゆとりができるじゃないか。かねてからほとんど変わらなかった開拓団にまで援護の範囲を広げていこうじゃないか、これが私は政治だと思うわけでございます。理論上少しおかしい点もありますけれども。 いずれにいたしましても、やはり死没者の問題も含めあるいは被爆者援護法の制定の問題も含めて、いま申し上げた変わった観点から私は主張しているわけですけれども、いかがでしょうか。もうこの機会に、いままでかたくなに断り続けてこられましたけれども、政府におかれましても私どもの法案ずばりとは申し上げませんが、国家補償に立つ援護措置を、あえて国家補償に立つ援護措置と申し上げますが、ぼつぼつお考えになる時期が来たのではないか。それをひとつお伺いしたい。 時間の関係でもう一つですけれども、御指摘をいたしましたように死没者の調査がいままでなされていない。五十年調査、四十年調査と行われているわけですけれども、残念ながらいままで死没者の調査が正式なものは一度も行われていない。せっかく千三百万今度新たに調査費がございます。私いつかの一般質問でも御指摘を申し上げましたけれども、まず死没者の調査からその予算を使う。 大臣の所信のほどをこの二点についてお伺いをいたしたいと存じます。
○大谷政府委員 大臣がお答えになります前に、原爆死没者の調査についてのお尋ねにつきまして事務的なことでお答え申し上げておきますが、昭和五十六年度予算に調査費が千三百万円、被爆者実態調査として計上されております。この調査費は、被爆者対策の充実を図っていくために被爆者の被爆状況、就業状況、傷病状況等被爆者の置かれている状況を総合的に把握しよう、こういう考え方に立っているわけでございます。したがいまして、この調査の中では直接死没者についてのことを考えているわけではございませんけれども、当然その中にはそういった問題も含まれてくるものではないか、これは現場の問題でございますが、そう考えているわけでございます。
○園田国務大臣 いま私の方の政府委員及び外務省の審議官等から答弁がありましたが、事務当局としては非常につらい思いをしながら、この答弁は当然であるとかばうわけではございませんが、と思っております。率直に言って今度の原爆の懇談会も、ここらあたりで打ち切ろうという意図のもとでああいう懇談会をつくられた。それをやられては大変であるから、異例であるが私が出ていって、道だけはあけておいてください、こう頼んだのが実情でございます。 いまのいろいろな問題は、原爆の援護も含んで、終戦直後異例な状態でどうやって生きていくかという時代にできたことで、それから逐次国もよくなってまいりましたので、だんだん変わってきたわけであります。義勇隊の問題にいたしましても、御承知のとおりになぜかたかったか。これを認めると今度は後から後からと次々に問題が出てくるからというのが私は一番困難であった原因であると思います。今度の弔慰金の問題もそういう意味もなきにしもあらず。もう一つは、いまおっしゃいました調査がなされておりませんので、財政当局に自信を持ってこちらが交渉するだけの根拠がなかった、こういういろいろな問題を含んでおりますが、政府・党の方で話し合いされたこと、私もよく知っております。 しかし政治というのは国民の方が主人公でありますから、出す金とか手当の問題は別にして、納得されるようなことをやらなければいかぬ、私はこう思っております。国民の方も国の財政やその他から見て、国が全部やろうというのは大変だろうということはわれわれよりもおわかりだと思います。だが、国の方からこれで打ち切りだ、こう言われれば、だれだってそれじゃ承服できない、おれたちのことを忘れているのか、こう言われるのは当然であります。 私はやはり諸種の問題、特に原爆の問題は一つは日米の関係があったと思います。遠慮しがちだ。一つは財政の問題。しかし原爆被災の問題は単なる日米間の問題ではございません。これは米国やソ連を初めとする原爆を保有する国々、あるいはこれの被害者になるおそれのある国々、足並みをそろえて防止しなければならぬ問題でありますから、日米の問題として考えるのは非常に間違いである。全人類の問題として考えなければならぬ。 こういうことから考えると、決してこれで終わった、これで満足すべきというものではなくて、一つのそういう考え方のもとに逐次努力をしていって、その努力を国民の方にも認めていただく、これが正しい本筋であると私は考えております。
○森井委員 残余の質問は後日に譲りまして終わりたいと思いますが、大臣に一言だけお聞きしておきたいわけです。 原爆の法案の扱いをめぐりまして、私どももけさほども今井委員の質問に答弁を申し上げましたけれども、与野党話し合って、何とか納得のいく解決をしていきたいと思うわけでございます。与党の皆さんとも話し合いを続けていきますが、その場合には大臣としても可能な限り御支援といいますか御援助といいますか、理解ある態度を示していただきたいと思うわけでありますが、その辺についていかがでしょうか。
○園田国務大臣 原爆初め諸種の問題で、二歩前進一歩後退ということで逐次前進はして、変わってきております。これは与野党の方々の話し合いによって出てきたことであって、皆さん方の御発言も非常によい影響を与えてもらったものと思います。今後とも与野党の方々の話し合いによって、そして一つの理想というか、よりよき方向に向かって前進するよう期待もいたしますし、私もその方向に向かって御相談をし努力をする決意でございます。
○今井委員長代理 次回は、明二十四日金曜日午前九時四十五分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十一分散会 ————◇—————