社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/04/07
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。 運輸委員会において審査中の内閣提出、広域臨海環境整備センター法案について、同委員会に対し連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会を開きます場合の開会日時等につきましては、運輸委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。 ————◇—————
○山下委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。 理事会で御協議いただきましたとおり、小委員十四名よりなる高齢者に関する基本問題小委員会を設置したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びにその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○山下委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
○佐藤(誼)委員 私は、八一年春闘を中心に、賃金、雇用、時短等について質問いたします。 まず最初に、八一年国民春闘は、先行する民間単産に回答が出され、さらに四月九日予定の鉄鋼回答を中心に、いよいよ春闘は前段の山場に入ったと思います。その中にあって、労働者、勤労国民諸階層の生活と暮らしは依然として非常に厳しい状況下にあることは御承知のとおりであります。特に、昭和五十五年度物価上昇率は七・八%、政府が当初設定いたしました六・四%をはるかに超えていることは御承知のとおりであります。さらに昭和五十五年度労働者の実質賃金は、昭和五十五年平均に引き続きマイナスを記録しているのもそのとおりであります。また勤労者の実質可処分所得は、所得減税がないままに依然としてマイナスを続けている状況にあります。 いま労働組合は、この厳しい状況のもとで、労働者の生活防衛をかけて八一年国民春闘を闘っているわけでありますが、このことに対し、労働行政に携わる責任者としての労働大臣はいかが考えておられるか、まずその所見を承りたいと思います。
○藤尾国務大臣 仰せのとおり、八一年春闘と申しますか、ことしの労働条件の最大の要素を決定いたします賃金決定がいま行われておるわけでございます。でございますから、私がこういった際にとかくのことを申し上げるということは慎まなければならぬ、こういう立場でございます。 しかしながら、仰せのとおり昨五十五年度を通じましての消費者物価の高騰、かつまた、非常に残念でございますけれども、実質賃金の低下、こういったことを背景にいたしておりますだけに、いま組合の皆様方が何とかそういった昨年度の落ち込みを回復いたしたい、こういうことで賃金要求をされておられる事情もよくわかります。 私は、しかしながら、考えてみますのに、賃金の決定は労働者側と使用者側との自主的なお話し合いで決めていかれるものでございますから、それに対して私どもはとかくのことを申し上げるわけではない。冒頭に申し上げたとおりでございますけれども。私どもといたしましては、その、昨年度を通じまして出てまいりました生活条件の落ち込み、そういったことに対します政治責任、これを十二分に感じていかなければいけないわけでございまして、その政治責任をこれからどのようにとっていくかということについて、私どもは知恵をしぼりましていろいろな施策を考えていかなければならない、かように思うわけでございます。 その責任と申しますのは、もちろん第一には、消費者物価を今度は逆に私どもの目標よりも下げていくということによって、五十六年度の実質賃金を目減りではなくて、これをかさ上げしていくような努力をしていかなければならない。これは私は、正当な政治責任の私どものとり方である、かように考えますし、また、これから先どういうことになっていくか知りませんけれども、各党の皆様方の御努力あるいは議長さんの非常な御努力で裁定が出されまして、どれだけの額を確保できるかということは知りませんけれども、しかしながら、私どもができるだけの政府といたしましての節約を積み上げて、ともかくも五十五年度中に私どもはかような責任をとりましたということをおわかりいただけるような努力を、何とか私どもの節約ということによってお認めをいただけないものだろうかということを総理大臣を初めお考えになられ、閣議でも決定をいたしまして、そのような姿勢をとっておる、こういうことでございますから、そういったことをあわせて私どもが今後どのような努力をいたしまして、それをお認めいただけるかということにかかっておるのではないか、かように考えます。
○佐藤(誼)委員 三月三日の私の労働行政一般に対する質問に当たっても、消費者物価の上昇、それに伴う労働者の賃金の実質的なマイナス、この責任は挙げて政府にあるということを言われたわけであります。しからばその責任をどのような形でとるのかということについては、物価を抑えるんだ、それからひいてはいろいろな責任のとり方があるが、これは今後の政治の推移を見ながら十分に検討し、それに対し責任をとっていきたい、こういう旨のことを言われたわけです。いまの時点でもやや同じようなことを言われているわけです。この物価上昇を抑えるということは、いつの時代でも言っているわけだ、いつの時期でも言っている。 実は私、ここに昨年の議事録を持っておりますけれども、昨年の労働大臣も消費者物価を政府の見通しのとおり抑えるんだということを公約し、断言した。しかし私は、あの当時の物価上昇の瞬間風速、つまりげたの状況からいって無理だろうということでずいぶん論争したのですが、結果的には六・四%成らずして、結局七・八になっちゃったわけですね。労働者の場合は六・四が守られるんだろうということを前提にし、また資本の側もそれを前提にしながら言うなれば賃金を抑え込んでくるわけだ。ところが政府は、果たす果たすと言いながら、結果は遺憾でございましたということで、とどのつまりは労働者の賃金のマイナスということになる。また労働者の賃金がマイナスになったらどうする、また物価を守ると言う。これじゃ政府がどのように言っても、過去の実績から見るならばそれを信頼することはできないというのがいまの状況だと私は思うのです。 そこで、この前三月三日にも言いましたけれども、現実に賃金がマイナスになっておりながら、さらに可処分所得もマイナスになっておる。これは減税をやるしかないじゃないか、所得減税をやるしかないじゃないかということを申し上げましたが、それについては確たる返事もなかったわけです。前向きの努力という程度のことであった。 ところがいまの回答ですと、五十五年度中に節約しながら云々ということがありましたけれども、ただ、いまの新聞の報ずるところによれば、五十五年度の余剰金がどうなるかということも漠然とした状況です。したがって、われわれから言えば、政府が出すべき、物価の上昇を抑えるという姿勢、それから五十五年度の余剰金でもって所得減税に充てるという、このこともどうもはっきりとわれわれが信頼し得るということにはまだなっていないと思うのです、労働者の立場から。 したがっていま、今後の施策ということで二点挙げられましたけれども、私は労働行政の責任者である労働大臣に重ねて決意を伺いたいと思います。
○藤尾国務大臣 何回も同じようなことを申し上げてまことに失礼千万でございますけれども、ともかくも私どものなし得る、私どもの支出を極力抑えてそういう姿勢の中で何がしかでもここで積み上げて、税金をお納めいただく皆様方に私どもの微意をくみ取っていただきたいということは政治姿勢として当然であり、またそれだけの努力をしておるということは、私は筋道は違っていない、かように思います。 確かにあなたがおっしゃられるとおり、毎年毎年おまえらはちゃんと約束をしてそれを守ると言いながら守っていないじゃないか、こういう御指摘をいただけば恐れ入る以外にないわけでございます。しかしながら、私どもも精いっぱいの努力をいたしておりますし、現在この時点におきます卸売物価の推移、あるいは消費者物価の推移もやがて表に出てまいると思いますけれども、私どもが申し上げておりますような方向にとにかくこれが進んでおるということだけは言えると思います。 これが今後どのようなことになってまいりますか、私どもがいまの努力をさらに引き続き続けていって、国民の皆様方に御納得のいただけるような成果を上げていきたい、こういうことで一生懸命にやるわけでございますから、いま五十六年度が始まったばかりでございますし、五十六年度の結果をごらんあそばされて、そしてその上でおまえらはこれだけのことをやると言ったけれどもやっていないじゃないかといっておしかりをちょうだいするということでなければ、どうも私どもといたしましては申し上げようがないということになるわけでございます。 私どもはその責任を絶えず申し上げておりますように、過去一年間有史以来の不成績を出してしまった。それはだれが何と言いましても、お働きになっておられます労働者各位の責任でもなければ、また賃金決定をせられました企業、使用者各位の責任でもない。これは一に政治が責任をとらなければいかぬのだということはもう申し上げておるわけでございますから、その責任のとり方について最大限の努力を集中するというところで今後一年間の私どもの努力を御評価いただく以外には方法がない。 私はあの時点で、今日ここで考えてみましてもそうでございますけれども、減税をしろとおっしゃられるそのお気持ちはよくわかりますけれども、あの時点でもし仮に大蔵大臣が減税をするという決意をすることになれば予算の修正を伴うわけでございますから、これは政府といたしましてもお金もありませんし、また予算の修正をするということに対しまして政策的決断というものがついていかなかった、その事情も片一方にあるわけでございまして、この点は重々お察しをいただいて御同情いただく以外にない、私どもはそういった環境のもとで最善を尽くしていく、これしか私どものとる道はないのではないか、かように考えておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 昭和五十六年度は始まったばかりであるから、たとえば政府が公約している消費者物価上昇率の行方についてもこれは見守っていただきたい、もし守れなかったらおしかりをいただくしかないというような言い方なんですね。しかしこれは先ほどから言っているように、昨年の同じ時期に、消費者物価六・四%をどう抑えられるのですか、これは責任を持ってやりますと言う。それを軸にして春闘の賃金が決まっていった。結果は、いろんな中間の修正もあったが七・八%になったでしょう。私は怒らざるを得ないのですよ。このことをまず申し上げて、次のことを重ねて質問していきます。 この春闘で労働四団体は一〇%を基準にした賃金要求を出していることは御案内のとおりです。いま労働大臣も言われたように、今日の労働者をめぐる状況は、先ほど私も言いましたけれども、物価の上昇、実質賃金の目減り、実質可処分所得、実質消費支出、全部落ち込んでいる。こういう状況を見たときに、私は、この一〇%程度を基準にした要求は無理からぬ要求ではないかと思う。 また同時に、今日御案内のとおり消費不況が非常に進んでいるわけです。これは日本の今日的経済政策の課題でもありますが、こういう消費不況を克服して日本経済の実質的経済成長を図るという点からいっても、労働四団体が一〇%を基準にしている賃金要求ということは、私は無理からぬ要求であり、理解できるものだと思うのです。 そこで、労働大臣は先ほどから、この労働者の賃金の目減り以下云々はすべて挙げてわれわれに責任があるんだ、こういう立場を表明されているのですから、私はその責任ある立場で一〇%を基準にした程度の賃金要求については理解を示すことができると思うのだけれども、労働大臣はいかがお考えですか。
○藤尾国務大臣 この理解を示すという言葉でございますけれども、御案内のとおり、私はかねがね申し上げておりますが、今度のそういった賃金の決定といいますものは労使の自主交渉で決まることでございますから、私どもがいかに理解をいたしましても決められますのは労使間の交渉で決められるわけでございまして、それに対しまして私どもが何らかの差し出口をいたしましてそれに影響を与えるようなことはしてはならぬというのが私どもの立場でございます。でございますから、理解を示すということが、ただ単に私の頭の中でなるほどそれは無理からぬことであるなと私自体が理解をしているという言葉でございましたならば、それは額面どおり私はちょうだいしてよろしいと思いますけれども、理解をしておるならば何かそれではしなければならぬではないかということにこれが関連をしておるということになりますと、私がこれに関与するわけにはまいらぬ、そういう立場におるということをお考えいただきまして、その理解ができるという言葉をそれなりに御寛容いただく以外に方法はない、かように思います。
○佐藤(誼)委員 理解という言葉をめぐりまして一線を引いた、非常にかたくなな警戒した回答が返ってくるのですけれども、だれが考えたって、これは民間の賃金は特にそうですけれども、労使の自主的な決定であって、当局なり政府なり労働省が幾らにすべきだなんと言うべき筋合いでないことは、だれも御承知のとおりです。したがって、私はそんなことを前提にして言っているわけじゃないのです。労働者がいまこういう厳しい状況にあることは皆さん御承知のとおりですよね。しかもその責任は挙げて政府にあるし、将来とっていきたいという姿勢を労働大臣みずから出しているわけですよ。そういう姿勢から言うならば、労働大臣として少なくとも労働者の要求は無理からぬなという程度の理解はできるのじゃないか、こういうことを私は言っているわけですが、どうなのですか。
○藤尾国務大臣 私はかねがね、このような消費者物価の趨勢でございますとか、実質賃金の目減り傾向でありますとか、中小企業の仕事の落ち込みでありますとかあるいは倒産件数の増加でありますとか、こういった傾向に対しまして私どもが注意を払っていかなければいけませんよということを何回か申してまいりました。そのことはそれなりにそのときそのときにおきまして私どもが労使双方に対して御理解をいただくために申し上げておるわけでございますから、労使の自主的交渉に当たっておられます労働組合側の方々におかれましても、また決定をされます企業の使用者側の方々にいたしましても、そういった状況のもとでこの賃金交渉が行われるに至っておるという一つの雰囲気に対します私の感じといいますものはそれなりに十二分に御理解をいただいておるのではないか、かように考えるのでございまして、私といたしましては、今日この段階に至っていままでの私のそういった感じあるいは発言、そういったものをさらに前進させるとかあるいは引っ込ませるとかいうようなわけにはまいらぬ、いまこの段階に参りましてますますそうでございますから、この点は十二分に御留意をいただいて、よろしきように御理解をいただきたい。
○佐藤(誼)委員 私は労働大臣の答弁を引き出して揚げ足を取ろうなどということを言っているわけじゃないですよ。これは私が三日にも労働大臣に質問しているように、大変な状況にあるということだけは理解できているのですから、その中で労働者の生活をだれも守ってくれない、労働者がみずからの生活防衛のためにこういう要求を出している、そういうこともあなた方によく理解してもらいたいと思って言っているのです。 だから、いま一〇%基準ということを言ったのですが、たとえば私は一〇%基準という要求の立て方を次のように理解している。大体昭和五十五年度、先ほど言ったように物価上昇率七・八%、これはもう取られているわけです。そうでしょう。幾ら先行きのことを約束すると言ったって、これは信用できないのです、これははっきり言って、いままで何遍もあったことですから。ただ、過ぎたことを回復させるというこの数字だけははっきりしている。ですから七・八%というのは一つの基準になったと思う。 それからもう一つは、政府でも実質経済成長率昭和五十六年度五・三%と言っていますが、少なくともこの半分となれば二・五%です。したがって、七・八%、これはもうすでに失われた部分の回復です。政府が公約しているこれからの実質成長率五・三%、少なくともその半分ぐらいは労働者に来てもいいじゃないかということで一〇%、こういうことで私は理解している。 ところがこの一〇%をそのような根拠で要求し、満額とれたところでどうなるのかという問題ですね。これは二月十二日衆議院の予算公聴会の中で内山氏も述べておったことですが、これを引用させてもらいますけれども、四人家族で月収十九万八千円、これは大体平均的な収入だと思うのです。これがいまのような根拠で一〇%賃上げしても一万九千八百円です、一割ですから。ところが一万九千八百円上がることによって、税金、つまり所得税、地方税、これは物価調整減税ありませんから、したがって二千二百六十円、社会保険料千九百七十円、合計四千二百三十円、これは二・一三%に相当する。これは取られる分ですよ。一〇%上がることによって自動的に取られる。そうすると一〇%から二・一三%引きますから、可処分所得として残るのは七・八七%なんです。七・八七%しか残らない。ところがこの七・八七%は、いみじくも物価上昇率でもってもう吸い取られているのです。ですから一〇%上げてみたって労働者の失われた部分を回復する程度しかならないという事実なんです。もしこれが物価調整減税にでもなれば、これは可処分所得が実質的にもっと残るでしょう。こういう状況にあるのです。 どうですか、労働大臣、この点についてどのように考えますか。 〔委員長退席、湯川委員長代理着席〕
○藤尾国務大臣 私は佐藤さんと論争するつもりは毛頭ございませんけれども、しかしながら、もしいまのような御議論をそのまま推し進められるとすれば、それは七・八%を基準にされるのではなくて、七・八%と六・四%の差、つまり一・三、四%というものが上がってきて、そしてそのために実質所得の減が一%ないし一・一%ぐらいになりました、これを何とかひとつ埋め合わせていきたいということが基調にならなければならぬ、こういう御議論だと思います。 しかしながら、その御議論は御議論といたしまして、私どもは何といいましてもこの責任といいますものを働かれる方々だけで回復していただくということを考えておるわけではございませんで、その周辺の状況といたしまして、物価は今度の場合は、私どもは五・五%にしたいと思っておりますよ、こう申し上げてありますけれども、その五・五%をさらに五・四%になりますか、五・三%になりますか、五・二%になりますか、五・一%になるかわかりませんけれども、できるだけの引き下げをするという努力によりまして、それがお働きになられる皆様方の可処分所得あるいは御生活の内容といいまするものに対しまして幾らかの足しになっていくということをいたせば、そういった私どもの周辺の努力と同時に今度の賃金決定によります使用者側あるいは組合側の協力の御意思といいますものが合わさって、そしてそれが五十五年度分の御損失と五十六年度分の新しい御生活といいまするものの内容を決定をしていく、そういうことになるのじゃないか、またそうしなければならぬ、かように考えておる、こういうことでございます。
○佐藤(誼)委員 論争ということを言われましたが、これは学会ではありませんから論争するつもりはない。ただ、あなた方は労働行政の責任ある立場にあるわけですから、そういう観点から言えば、これは介入といいますか限度がある問題もあります。しかし、労使の動き全体を見て不正常であるとか不均衡であるならば、あなた方が行政の立場で指導、助言するということも重要な行政上の任務じゃないですか。私はそういう観点で申し上げているということをまず御理解をいただきたいのです。 そこで、いまこういう問題は働いた人だけに責任を負わせるわけにいかぬという趣旨のことを言われました。それは当然そうなる。そこで労使の関係ですから、私はいま労働者と企業の側を比較した場合にどういう現状にあるかということを御理解いただきたいために、次のことを申し述べたい。 まず、労働者は、私から言わせれば、いままで賃金を不当に抑えられた上に消費者物価の上昇で、これは政府が責任を負うことができなかったから、したがって、労働者はむべなるかな実質賃金はマイナスになって大変生活に苦しんでいる。これは労働者の責任じゃないのです。これをはっきり自覚してもらわなければ困る。だれも好んで実質賃金がマイナスになることを望んでいるわけじゃない。しからばだれがこれを救ってくれるか。政府は何遍も公約するけれどもさっぱり物価は守ってくれない。そうすれば自分たちの法律上許された団結権を行使してやるしかないのです。いまの春闘というのはこういう観点に立っているわけです。つまり、実質賃金が労働者はマイナスになっていることは御承知のとおり。 ところが、一方企業の側は、昨年の九月まで連続六期増収増益です。大変な収益。しかもその関連で昭和五十六年度設備投資計画も全産業で一一%増の見通しになっている。これは政府資料でも明らかです。さらに、ごく最近の新聞報道によれば、鉄鋼五社は昭和五十六年度の設備投資計画四二・五%の大幅増の見通しになっているのです。しかもこれは自己資金の比率が非常に高い。このような企業の、ひっくるめて言うならば収益の背景になっているものは何であるかということです。 これは経済企画庁で出している経済白書にも出ていますけれども、それは生産性上昇率が賃上げ上昇率を上回っているということです。これは紛れもない事実なのです。したがって、賃金コストがマイナスになり、これが企業の異常な収入の大きな要因になっているということです。これは経済白書に出ているのですよ。持ってきていますけれども、これにちゃんと書いてある。政府がちゃんとそれは認めているのです。賃金コストがマイナスになっている状況なんというのは、ごく最近諸外国にはないのです。これはなぜかと言えば、賃金が生産性上昇率に比べて非常に低く抑えられているという結果生まれてきているのですから、紛れもない。経済白書にちゃんとそのことが書いてある。 つまり別の言葉で言うならば、生産性上昇率を下回る賃金上昇率は、物価が安定していればいいのだけれども、物価高騰によって労働者に対して実質賃金のマイナスを来している。つまり、労働者は生産性より低い賃金を押しつけられる。物価が安定してくれればいいのだけれども、政府が公約を守ってくれないために、両側から労働者は大変な落ち込みになって生活に苦しんでいるという実態がある。一方企業の側には賃金コストの低下、企業収益の増大をもたらしているというアンバランスの状態をもたらしている。 さらにこのことは、日本経済全体に焦点を当てれば、民間設備投資はまあまあのところへいっている。ところが国民所得の五九%を占める民間消費支出、つまり個人消費が停滞しているために、今日の消費不況を生み出しているものと私は思う。実質賃金は目減りしているし、実質可処分所得はマイナスだし、さらに貯蓄性向から見て実質の消費支出が落ちているのですから、当然個人消費が落ちますから消費不況になるのはあたりまえなのです。このことはごく最近の雇用状況を見れば明らかだと思うのです。これは労働省も出していますけれども、昭和五十六年二月の時点で見ますと、完全失業者は百三十五万人でしょう。前年同月比二十四万人増。かってないことだ。 つまり私が言わんとするのは、賃金上昇率が労働の生産性上昇率よりも非常に不当に低く抑えられたために、先ほど言っているように労働者は大変な生活の収入の低下をもたらし、消費不況をもたらし、そして景気全体が冷え込んで異常な失業の状態をいま現出しているということです。ところが一方企業の側はどうですか。先ほど述べた状況なのです。 このようなアンバランスを、労働行政に当たる労働大臣並びに労働省が、これは労使の関係ですからお互いにやってごらんなさい、やっていただきますなどということで行政の責任を全うすることができますか。そういう意味で、私は日本の最近の労働者の賃金は非常に不当に低く抑えられていると思うのです。したがって、勤労所得と企業収益の不均衡を是正して労働者の生活の向上を図る、また今日の消費不況を克服して日本の経済成長を押し上げていく、そういう観点からもこの賃上げについて一定の理解を示しながら、不当に抑えていくということについては避けるべきである、私はそういう考え方を持っている。 労働行政の立場にある労働大臣並びに労働省としては、いまのような実態に即してどのように考えているか、私は所見を伺いたいと思うのです。
○藤尾国務大臣 お説の経済論といいまするものは私はそれなりに拝聴いたしましたけれども、私は日本のような資源が何もないというような国で、ある程度の生活の向上を図りながら日本の国力といいまするものを保っていくあるいは前進させていくというためには、あらゆる部門で、やはり一つの自由世界、世界の競争場裏にあるわけでございますから、それに勝つような私どもの陣容の整備をしていかなければならぬ。これはいま御指摘になられましたけれども、企業が非常な努力をせられて上げていかれましたその利益の中から相当部門を最新鋭の競争に打ちかつための設備投資に充てていかれる、これは将来を見通されて日本経済を維持し、企業の活力を維持していかれるための戦略といたしまして私はきわめて妥当な考え方である、かように考えるわけでございます。 でございますから、毎年毎年の春闘におかれまして、労働組合の方々もそれぞれの労働条件の向上ということを腹の中に置きながら、しかもなお企業側とセットをされて、こういうところでお互いのためにということで春闘の結末をつけておられる、そういったいままでの歴史を拝見をさせていただきましても、それぞれの御理解といいまするものが、日本の置かれております経済的環境といいまするものに十二分に御配慮をいただき、そしてそれに対する十二分なる御貢献を賃金決定を通じてやっていただいておる、かように考えるわけでございまして、組合側の皆様方の非常な御努力に対しまして私どもは心からの敬意と尊敬を払っておるわけでございます。 そこで、もし仮に、言われるようにそれでは企業の利益といいまするものをみんなお働きになっておられる皆様方がとっちゃったといたしましたならば、それから先の競争条件は一体どうなっていくんだ、その結果のツケは一体どこへ回っていくんだというようなことも考えていく必要はある、私はかように考えるのでございます。そういったことは組合の皆様方が十二分に御理解いただいておるということを考えていきましたときに、残りましたところは、その条件の整備に十二分の成果を昨年の場合は上げてこなかった政府責任というものだけがそこに残っておる、その政府責任といいまするものが皆様方の実質賃金の目減りを招来をし、そしてそのこと自体が皆様方の可処分所得を縮めておるということでございまして、そういった点におきましても私どもが全力を尽くして周辺の状況の整備を図っていかなければならぬということを申し上げておるということも、そういうことを考えて私は申し上げておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 労働大臣の答弁としては余りにも、どちらというなれば企業の方に肩を入れた答弁になり過ぎているのではないか。いまの状況から言ったら、先ほどの具体的な数字を見たって労働者が大変なことはあなたも認めているじゃないですか、一歩譲っても。あなたは、資源のない国日本が自由競争の中で国際的に勝ち抜くためには企業の利益まで全部吸い取ったら競争力がなくなるじゃないか、したがって、労働者がそれなりに賃金を抑えているということはきわめて妥当なことだ、結構なことだというような趣旨のことを、かいつまんで言えば言われたように思うのです。私はそんなことを言っているのではないのですよ。確かにそれは自由競争をやらなきやならぬことはあたりまえです。むしろ自由競争というよりも、今日は公正なる競争をやらなければならぬ。このことはきちっとあなたにも覚えてもらわなければならぬ。 それからもう一つは、企業の利益、労働者の利益ということを言うけれども、先ほどの数字から明らかなように、労働者の賃金上昇率が生産性上昇率よりも低いという事実、これは具体的には皆さんのこれを見たって、労働の分配率の中にちゃんとあらわれているのではないですか。 この論争はさておいても、私は何も企業の利益をゼロにしろなんということを言っているのじゃない。労働者の方が、先ほどから言っているように、皆さんも、政府も発表しているように生産性上昇率より賃金が不当に低く抑えられている、この結果がいろいろな問題を生んでいるのじゃないですかと言っている。しかもそのことは、労働大臣、国際競争の中で私は自由競争よりも公正なる競争ということを言った。現に国際的なそういう舞台の中で、日本の労働者の働き過ぎなり賃金の低下の状況、これは国際的なひんしゅくと指弾を浴びているじゃないですか。 このように労働者を労働時間なり賃金でいま申し上げたような理由によって低く抑えて、そして国際競争で打ちかとうとすることは、これは私は国際的な競争の中でも他の諸国に大きく指弾されるもとになると思う。このことはいま問題になっているだけに、労働大臣きちっとやはり押さえてもらわなきゃ困る。このことは、これから若干申し上げますけれども、雇用問題なり労働時間の問題なり全部響いてくる。働き過ぎ、働き過ぎと言われるじゃないですか。私はそのような労働大臣の認識は非常に残念に思う。どうですか、大臣。
○藤尾国務大臣 見解の違いがありますがやむを得ませんけれども、私はあなたのおっしゃられるような労働観を持っておるわけではないわけでございまして、私自身が申し上げておりますのは、組合の皆さま方も十二分にいまの日本経済全体の整合性ということをお考えいただいて、そうしてそれに対して全力の貢献をしていただいておる、非常にありがたいことだということで私は感謝を申し上げておるということを申し上げておるわけでございます。私どもは決して日本の働かれる方々の生活あるいは労働条件の低下というようなことを喜んでおるわけではないわけでございまして、そのようなことのないように私どもが全力を挙げて努め上げていかなければならぬということを申し上げておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 だんだん時間がなくなりますが、ただ、いま賃金について感謝申し上げておるというような趣旨を言われましたけれども、私は感謝の前に実質賃金が目減りしているというこの事実に対してどのような形で責任を負うのか、この方を先にすべきだと思うのです。 そこで、私は、残念ながら時間が過ぎてきますからさきに進めます。 次は、関連して雇用の問題を質問いたします。 最近の雇用の状況の悪化のことは御案内のとおりであります。先ほど申し上げましたが、五十六年二月現在で見ると完全失業者百三十五万人、前年同月比二十四万人増、率で二一・六%の増です。大変な増大です。完全失業率が二・四%、有効求人倍率が〇・七一、前月に対してマイナス〇・〇一。どの指数を見ても大変な落ち込み状況です。昨年の九月以降続いている雇用の停滞は回復の兆しを見せていない。 私は先ほどから議論してまいりましたが、このよって来たる要因は何であると考えますか。また、これに対してまず当面どのような対策をしようとするのか、このことをお聞きしたい。
○関(英)政府委員 先生御指摘ございましたように、昨年の半ばごろまで改善傾向が続いておりました雇用情勢は、その後の経済情勢を反映いたしまして改善傾向に足踏みといいますか弱含みの傾向が出てまいりまして、二月の数字は先生お挙げになったとおりでございます。一方で雇用者数を見ておりますと百万人近い大幅な増が続いているわけでございますが、失業者もふえる、あるいは有効求人倍率が二月には〇・七一というふうに、数カ月横ばい状態であったのがちょっと下がるというような状態で、雇用情勢は楽観を許さない状態にございます。 こういう情勢に対処いたしまして、政府といたしましては三月十七日いわゆる総合経済対策、こういうものを決定いたしまして、今後その総合経済対策による経済の回復、そういうものによって雇用情勢にも改善の兆しがあらわれることをわれわれは期待しておるわけでございますが、この経済対策を踏まえまして、私どもも都道府県に対しまして、特にこの経済対策の中に盛られておりますように、雇用調整給付金等の有効活用による失業の予防、あるいは公共事業の促進に対します労働者の確保なり失業者の紹介、あるいは地域の産業あるいは地域の雇用失業情勢に応じた特別の求人開拓の強化等を指示いたしたところでございまして、こういったことによりまして雇用状態の改善に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○佐藤(誼)委員 具体的な施策についていま答弁がありましたけれども、私は、雇用問題というのは経済の構造的な要因から出てくるし、景気変動に大きく左右されると思うのです。これは特に長期的にそうですけれども、短期的であってもある程度そのことは言えると思うのです。したがって、当面する上の方からどうするかというだけでなくて、構造的、景気の問題まで波及してこの問題を考えていかないとなかなか回復できないと思う。先ほどから言っているように、その原因は何かというと、私に言わせるならば消費不況ですから、その部分をどうするかということとあわせていかないとこの問題は当面解決できないのではないか。 したがって、そういう意味から、先ほどから主張しているように、この消費不況、つまり最終消費需要、個人消費、これを伸ばす、そのためには勤労所得者層の可処分所得をもう少しふやしていくという政策を、政府としても労働省もそのことについて物申すということでないと解決できないのではないかと思うのですが、労働大臣どうでしょう。
○藤尾国務大臣 お説は確かに一つの経済政策といたしまして十二分に理解のできる方向を示しておる、かように私は考えます。しかしながら、そういった経済政策といいまするものは、それだけが先行をいたしましてそれだけですべてのものが解決がつくというものでもございませんし、そういったことを十二分に踏まえながら、バランスのとれた均衡のあるあらゆる政策をとっていかなければならぬということでございます。 ただ、いま御指摘になられましたような傾向といいますものが、ただいま申し上げましたように昨年の後半から中小企業を中心にいたしまして非常な蹉秩といいますか見通しの狂いというようなものもあり、そういったところでいろいろな失業状態その他のものが出てきておる、こういうことでございますから、こういった点に着眼をいたしまして中小企業を中心にこれを振興するという経済施策を、経済企画庁といたしましてもまた政府全体といたしましてもここに立てまして、そういった対策で五十六年度は実質五・三%の経済成長を必ず達成いたしたいということでやっておるわけでございますから、私どもにそのような努力を十二分にさしていただきますように御寛容のほどを願う以外にはございません。
○佐藤(誼)委員 十分努力するので御寛容をということですが、これは責任を持ってやってもらわなければならぬ。 いま短期的にもそうですけれども、長期的にもこの雇用問題というのはきわめて重要なことは、いままでもたびたび国会の場で論議されてきているわけです。やや視点を変えまして長期的にこの雇用の問題を考えたときにどうなるか、以下三つの観点からその重要性を認識する必要があると私は考えるのです。 その第一は何かというと、今後の日本経済の技術の革新ということです。つまりメカトロニクス化、これによって人間の労働が機械にかわる、労働者が要らなくなる、これは趨勢として明らかだと思うのです。 それから第二番目は、海外への資本移動のスピードが非常に早まってきているということです。これは当然労働の国内需要が減少するということにつながってきます。つまりいま述べた一、二は雇用量が縮小していくということですね、このまま放置しておけば。特にこれは日本経済研究センターが出しているところの資本の多国籍化、つまり資本の移動のデータを見ても明らかなように、日本の対外直接投資の累積額を国内生産資本ストックに対する比率で見ていきますと、たとえば一九六五年は〇・七八%であった。ところが一九七五年には三・五七%、一九八五年は推計ですが七・五一%になる。大変な資本の移動ですね。こういう状況を想定した場合に、必ずやこの問題が出てくるわけです。 三番は、高齢化社会の到来に対する対応の問題です。これは何遍もいままで言われてきた。総理府の三月三十一日の発表、これによりましても、六十五歳以上の高年齢の方が九%、一千万人を超えている、想定よりもかなりスピード化している。 少なくともこういう三つの観点から考えた場合にも、これからこの雇用対策についてどう対応して早期に対策を確立していくか。これは労働行政のこれからの大変重要な課題であり、国政の中枢的な政策課題だと私は思うのです。このことについてまず労働大臣の方からどうですか。
○藤尾国務大臣 仰せになりました三つの要件、第一は技術あるいは設備、機械、こういったものの更新、新しい導入、技術の革新、こういうことによりまして労働が機械にだんだん取ってかわられていくのではないか、こういう御指摘でございますけれども、新しい機械ができ新しい技術ができますたびに、またそこに新しい労働需要といいまするものができてきておる。でございますから、そのこと自体は総体といたしまして、労働需要の質に転換はございましてもその量に余り大きな変動はない、またないようにしなければならぬ、私はかように考えます。 資本の多国籍化という問題につきましては、これはいま現実に各国との貿易問題、その摩擦、そういった問題が起こっておりますように、日本だけが世界の工業基地になっていって日本だけが工業的に繁栄をしていって、そして他国はみんな日本の輸出品で他国の輸入品で賄っていくというようなことは、許されるはずはないわけでございますから、経済自体が国際化していくにつれまして資本の移動といいますことも当然行われることでございます。この意味で、たとえば自動車生産一つ考えてみましても、アメリカで日本の自動車生産をすれば日本の雇用はそれだけ減っていくということはあり得るわけでございます。しかしながら、基底といたしまして、それは需要の増高ということが片一方で創出をされておるわけでございますから、そのこと自体が非常に大きな日本の雇用の落ち込みになっていくということとイコールではない、私はかように考えるわけでございます。でございますから、そういったことを御注意のほどは十二分に考えていきまして、長期的に対処をしていかなければならぬことだ、かように考えます。 それから高齢化の問題は、これは本当に大変なことでございますけれども、このこと自体はその反面に、非常に残念なことでございますけれども、若い方々の参入といいますことがどんどん落ちていっておる、こういうことでございますから、そういう一つの性向といいますものをできるだけ是正しながら、総体といたしましての日本の雇用を前進させていくということが必要だ、かように考えるわけでございまして、これにつきましては御婦人の参入でございますとか、あるいは定年制の延長でございますとか、あるいは技能訓練でございますとかいうようなきめ細かな対策をそのたびそのたびに前進をさせていく、先を見ながら手を打っていくということが並行してとられていくことが大切であろう、かように考えるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 若干観点についての完全な意見の一致を見ることは困難な点もあるようですが、ただ労働大臣がこれから八〇年代以降にわたって雇用政策がきわめて重要な政策課題だ、このことだけははっきり御認識いただいている、こう理解していいですね。
○藤尾国務大臣 結構でございます。
○佐藤(誼)委員 そこで私から言わせれば、先ほど言ったような二つの理由も含めて、放置しておけば雇用の場が狭くなってくるだろう、同時に片一方からは高齢化社会を迎えての中高年齢層の問題が出てくる、こういう問題をどう整理していくか。これはいまいみじくも労働大臣はその一つの方法として婦人の問題やらあるいは定年制の延長の問題を出された。その非常に重要な一分野として労働時間の短縮の問題、週休二日制の問題を含めて、これがあると私は思う。これは国際的に日本がいま働き過ぎとかいろいろなことで非難を浴びているというだけの問題じゃなくて、雇用の問題とかかわってのワークシェアリング、仕事を分け合うという観点からもこのことは重要な問題だと思うのです。 したがって、時間もありませんから続いて質問いたしますけれども、日本の労働時間が諸外国に比べて大変過長になっているといいますか、そういう点がおくれているといいましょうか、これは共通の認識だと思うのです。したがって、このことについてこれから具体的に労働時間の短縮をどう図ろうとするのか、基本的な姿勢と要点だけひとつお聞かせいただきたい。
○吉本(実)政府委員 ただいまの労働時間の短縮の問題でございます。雇用にも非常に関係ございます。私どもといたしましては、昭和六十年までに労働時間の水準を欧米諸国並みに近づける、こういう努力目標を政府として掲げておるわけでございまして、労働省としてもそれを具体的に実施していくということで、先般、週休二日制等労働時間対策推進計画を策定いたしまして、これを労使の積極的な取り組み、また私どもの行政指導の基礎とする、こういうことで考えているわけでございます。 具体的には、計画の中に示してございますように、産業なり規模等によりまして大変異なる労働時間の実態もございますので、対象別、つまりグループ別にその問題点なり対応策を掲げながら、それを労使の一つの取り組みの材料にしていただく。また私どもといたしましても、そういった環境整備を図っていく必要がございますので、特に中小企業等を中心としまして、週休二日制の普及促進なり、あるいは年次有給休暇の完全消化の慣行をつくっていくとか、あるいは時間外、休日労働の対策強化、こういうようなことを進めながら行政指導を進めていくというふうに努めているわけでございます。 ただ、時間問題につきましては、やはりいろいろ関係方面も多いわけです。特に国民全体の御理解あるいは消費者としての国民の御理解等も得ていかなければなりませんから、そういった方面についての広報活動も積極的に推進してまいる、こういうような方針で今後とも臨んでまいりたいというように思っております。
○佐藤(誼)委員 いままでずっと述べてきているように、八一春闘、今次春闘は、労働者にとっては実質賃金はマイナスというきわめて厳しい情勢下の春闘で現在進行しつつあるわけです。この実質賃金のマイナスその他のことについては、労働大臣も政府の責任ということできわめて強く感じておられるようでありますが、これから賃金引き上げをめぐっていろいろ春闘が進んでいくわけでありますけれども、それに当たりまして、賃上げについていまの労働者の置かれている状況から見て理解を示していくべきだと私は思う。少なくとも一方的な賃金の抑制などに加担することは絶対にあってはならないと思う。 そういう観点から、労働者の生活を守り、そうして消費不況を克服してこれからの日本経済の発展を期していく、こういう観点から、今次春闘に対する労働省としての役割りを十分これから考えてみるべきだということを私は申し上げたいと思います。 それから雇用対策の問題をいろいろ申し上げましたけれども、これは時間が不十分で十分詰め切れませんでしたが、私はやはりこれからの労働政策のきわめて中心的な課題だというふうに思います。したがって最後に労働大臣から、時間も不十分でございましたから詰め切れない点もありましたが、ひっくるめて感想等所見がありましたら述べていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○藤尾国務大臣 まことに適切な、非常に愛情のあふれるお考え、十二分に拝聴いたしました。 私といたしましても、お説を十二分に私の心の中に入れまして、私のできますことを私なりにやらしていただきたい、かように考えております。 ただ、後段仰せられました労働条件、賃金以外の点、これは私どもが十二分に考えてやっていかなければならないことでありますから、こういったことにつきまして私どもが何ができますにいたしましても、最大限の努力をさせていただく、結果が出てくるわけでございますから、どうぞひとつ御信頼をいただきたい、御期待をいただきたいということをお願いをいたしておきます。
○佐藤(誼)委員 以上で質問を終わります。
○湯川委員長代理 次に、永井孝信君。 〔湯川委員長代理退席、委員長着席〕
○永井委員 まず冒頭に、過去何回かにわたって、労使間で決定する賃金については政府は一切介入をしないということを繰り返し御答弁をなさってきているわけであります。これは歴代の労働大臣がそういう答弁をなさってきているわけです。そこで私は、介入ではなく正しい労働者の生活を守るための賃金、それにふさわしいものにさせるための指導というものは一面必要になってくると思うのでありますが、しかしここに日本経済新聞の三月三十一日号に経済企画庁の審議官の赤羽隆夫さん、この方が「もう一度節度ある賃上げ望む」ということで、大変膨大な投稿を日本経済新聞にされているわけであります。これで見ますと、「私自身、政府の物価政策の担当者の一人として、」という断り書きをしながら、現在の企業の利益というものは極端なことを言えば一時的な現象であって、幽霊利益だという決めつけ方をして、だからこそ労働者はまず節度をもって賃金を低いものにしていくべきだという趣旨のことが実は投稿されているわけです。 これは、この本人、赤羽隆夫さんの言われておりますように、「私自身、政府の物価政策の担当者の一人として、」という断り書きをしてこういう投稿をされたということは、政府の官僚として、明らかに、労使間で決めるべき賃金について政府が介入したというふうに私は受けとめておるのでありますが、労働大臣、このことをどうお考えになりますか。
○藤尾国務大臣 経済企画庁の一担当官でございます赤羽さんという人がどのようなことをお考ええになられ、どのようなことを御発言になられるにいたしましても、それがいまの労働条件を規制する力などというものは、私は全然考えられないというように思っております。そのようなことはいたさせるはずはないわけでございます。その御心配は私はないということを申し上げておきます。
○永井委員 いたさせるはずがないと、労働大臣、決意を述べられているわけでありますが、政府は一つのものとして考えますと、政府のこの物価担当の一人が堂々とこういう全国紙に投稿した、そのねらいは、労働大臣のいま決意されていることと実際は逆のことを考えて、いわば政府の主導のもとに労働者の賃金を低いものにしていくという意図がここに明らかに出ているのではないか。労働大臣がそのようにお答えになるのであれば、きょうは赤羽さんをここにお呼びしておりませんけれども、政府の役人の一人として不適切な発言である、このぐらいのことでできればきちっとした対応を私たちに示してもらいたい、このように考えるのでありますが、どうでありますか。
○藤尾国務大臣 このことにつきましては参議院の予算委員会でも明確にされておるわけでございますけれども、河本経済企画庁長官は、この赤羽何がしの投稿事件に対しましてきわめて大きな遺憾の意を表しておられます。私も、このことにつきましては、企画庁長官にこのようなことはあってはならぬことであるということは厳しく申してございます。そのことは十二分にお考えでございますから、政府といたしましてそのように考えておるということをきちっと申し上げておきます。
○永井委員 労働大臣のその決意、私は信頼をしていきたいと思うのでありますが、間違っても労働者の実質的な賃金引き上げのための闘いに政府の不当な介入が起こらないような毅然たる態度をこれからもとっていただきたい、このように考えるわけであります。 次に私は、公共企業体等労働問題懇話会、いわゆる公労懇が四月二日に公共企業体等職員給与の民間賃金準拠に関する小委員会報告というものを発表しているわけでありますが、これに関連して幾つか質問をしてみたいと思うわけであります。 まず第一番に、昭和四十九年でしたか、三公社五現業のあのスト権問題にかかわって公共企業体等関係閣僚会議というのが設置されましたね。そしてそれが一つの答申を出して、それを受けて基本問題会議というものがまた設置をされた。ずっと考えてみると、三次にわたる公制審、公務員制度審議会からの延長線上の問題だと思うのでありますけれども、そういう経過を考えてみました場合に、公企体等の労使関係の改善を目指すことを目的にこの公労懇というものが設置されて、いろいろな討議がされてきたというふうに理解をしているのでありますが、その理解でよろしゅうございますか。
○細野政府委員 先生御指摘のように、公共企業体等におきます労使関係の改善が現在の急務である、こういう考え方に立ちまして、労使それから学識経験者を含め意思疎通をこの会議によって図ってまいりたい、こういう趣旨で設けられたものでございます。
○永井委員 いま御答弁されたようだとすると、この公企体等の労使関係の改善を目指すというこのことがいろいろな意味で幅広いものになっていかなくてはいけない。これは当然のことだと思います。したがって、現行制度の中にあって、労使の関係だけでは解決がむずかしいたくさんの問題がある。そういうむずかしい制度上の問題などについて、労使関係改善のために妨げとなっていると思われる問題についても、当然議題として幅広く取り上げるべきだと考えるのでありますが、それはどうでございましょうか。
○細野政府委員 先ほど申し上げましたように、労使関係改善のために関係者の間の意思疎通を図っていこうという趣旨でございますので、いろいろな問題が議題に取り上げられ、それによって議論が深められ、あるいは意思疎通が円滑になるということは重要なことである、こういうふうに考えております。
○永井委員 そこで、今日の日本の置かれている労働関係の状態といいますか、そういうものは、いまの低成長経済というものの中で賃金が非常に低く抑えられてきた。最前も議論がありましたように、物価の上昇に追いつかないないような目減りの状態にある。そういう状態が結果として労使関係をきわめて不安定なものにしてきているということだと私はいま理解しているわけです。 そうしますと、低経済成長の中で幾つかのそういう労働不安を起こすような問題があるということについて、公企体の場合もその枠外ではないと私は考えているわけでありますが、政府は、労働省は、むしろ公労懇の場に、いわゆる労働基本権問題を含めて、労使間における、いわゆる政労間で問題になっているような事案についていろいろな前進的な議論が行われるように、そこに決定的な決定権がないにしても、労使関係の環境を改善するという立場なら、そういう問題を大胆に取り上げて議論するというふうに進めていくのが労働省の一つの責務であろうと私は考えているのでありますが、それはどうでございましょうか。
○細野政府委員 労働基本権の問題につきましては、永井先生も御案内のように、基本問題会議の意見書によりまして方向が示され、それに対して政府もそれを尊重するということで閣議決定をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもはむしろその公労懇の役割りというのは、そういういろんな諸問題の基本にある労使関係の改善がまず急務であるということから、そういう意味での環境条件の整備に重点を置いていろいろな問題の意思疎通を図っていく、こういう性質のものであると考えているわけでございます。
○永井委員 そこで具体的な問題に入っていきたいと思うのでありますけれども、その小委員会の報告の中に、民間賃金準拠の原則について、「公共企業体等の職員の給与は、その水準及び賃上げ率において民間企業の労働者の賃金に準拠して決定されるべきであるという点については意見の一致をみた。」というふうに報告がされているわけでありますが、これは昭和三十九年のあの太田・池田会談と言われております会談で確認されました、公共企業体等の賃金決定基準は民間企業の賃金に準拠すべきであるというそのときの確認の具体的なものとして理解してよろしゅうございますか。
○細野政府委員 いま先生御指摘のように、昭和三十九年の確認以降、その公企体等の賃金の決定につきまして民間賃金の原則というものがとられてきたわけでございますが、その経緯を踏まえましてそれを確認したものというふうに考えております。
○永井委員 三公社五現業の設置の法律といいますか、たとえば日本国有鉄道法で言えば二十八条、専売公社法で言えば二十一条、電電公社法で言えば三十条、あるいは給与特例法では三条、それぞれに職員の賃金の決定をすることについての基準といいますか、そういうものが示されているわけですね。若干文言上の違いはありますけれども、本来その法律に基づいて措置をする場合でも、民間の企業の賃金の動向を見て決めることが原則的にここで法定されているわけです。法定されているのですが、それでもなおかつそのことが具体化されないということから、三十九年の太田・池田会談での確認になったと思っているのです。極端に言えば、太田・池田会談の確認というのは、法律ではないにしても、日鉄法、専売公社法あるいは電電公社法に定めている、この給与関係の決定の法律の、言えばさらにそれを強い政治的な問題として確認されたものだと私は実は理解をしているわけであります。 そう考えていきますと、昨年も公労委の場で大変問題になったのでありますが、この民間準拠の内容について、一体何を基準に対比すべきものとしてとらえるのかということが問題になってくると私は思うのであります。 常識的には、三公社五現業の関係から考えますと、日本の労働者の賃金決定に非常に大きな影響を持つ、いわゆるこの主要な企業、たとえばJCに加盟している鉄とか電機とか、こういう大企業がありますが、そういう基幹産業と言われる企業の賃金と対比することで考えていくことが妥当ではないのかと私は考えるわけであります。それが三公社五現業の企業の実態から考えて一番妥当な対比の仕方であろうと考えるわけでありますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。
○藤尾国務大臣 これは公労懇の御報告の中に明記をされておる問題でありますけれども、この公労懇の御討議の中で、いま仰せのように、基幹産業である千人以上の規模の民間企業の労働条件、賃金といいまするものに準拠すべきであるという御意見が組合側から出された、総評の方から出された、これは事実でございますし、またそれに対しまして、民間賃金というのは千人以上の会社の賃金だけを意味するのではなくて、従来どおり百人以上の規模の賃金を合わせてその平均をとったもので準拠させるということがいいのではないかという御意見も強くございました。また、その双方ともごもっともな点があるわけでありますから、その双方を半分こにしてその中間をとったらどうだという御意見もあって、その三様の意見がこの懇談会の中で述べられまして、結論を得ないまま併記して答申ということになったというのが実情でございますから、そういった懇談会側の非常な御苦労といいますものを私どもといたしまして評価をさせていただく。いまここで、その中の第一の議論だけでそうだそうだと言うわけにはちょっとまいらぬ、そのような責任が私どもにはあるということを申し上げたいと思います。
○永井委員 いま大臣が答弁されましたように、幾つかの意見が出ているわけですね。幾つかの意見が出て、これが絶対的だという報告にはなっていない。それを私自身が承知するからこそいま質問もし、御意見も述べているわけであります。 たとえば私の考え方からいきますと、まず第一に、公共企業体というのは、これを一つの個別的な企業とみなした場合、国の経営する全国にまたがっている大企業だ、これはだれも否定することができないと思うのですね。そして企業規模の類似性、職員数、こういうものから見ましても、千人以上の規模で経営している企業と非常に類似している。だから、この千人以上を対象として対比すべきではないかという一つの根拠を私は持っているわけであります。 二つ目は、賃金は労使の団体交渉で決定される、これは当然なことでありますけれども、労働組合のある企業と労働組合のない企業とでは勢い賃金の決定内容に大きな差が出てくることは否めない事実ですね。それは、労働者、働く者の立場を代表して要求をして、経営の側と団体交渉で詰めていくということを行えるところと行えないところとではおのずから差が出てくることは当然である。ところが、その労働組合の組織率を見ると圧倒的に中小企業は少ない、これまた事実なんですね。たとえば雇用労働者は現在四千万をちょっと超えていると思うのでありますが、労働組合の組織率は全体の三一・六%だと労働白書でも指摘をされている。そして百人から五百人規模、こういうところの組織率を見るとわずかに二八%しか組織されていない。こう考えていくと、百人以上まで含めて対比すべきだという御意見を仮に取り入れるとするならば、労働者の要求を的確に経営の側に認めてもらえない、認めさすことができない、そういうところで決められた労働条件のところも全部ひっくるめて対比をされるということになってくる。これでは、千人以上という規模を持っている大企業の労働者と公共企業体の労働者を対比してみた場合に、公共企業体に働く労働者というのはいわばきわめて悪い条件のもとに対比をされていくということになっていきはしないか、これが二つ目であります。 そして三つ目には、いわゆる賃金体系ですね、労働者の構成を考えてみると、たとえば標準労働者と言われておりますように、高校を卒業してそのまま入職してずっと勤務をしていく、こういう感じからいくと、これまた大規模の企業ときわめて類似しているわけですね。 こういう具体的な事実が存在している以上、三つの議論、意見というものが小委員会の報告の中に出されておりますけれども、やはりここは大企業を対象にした対比をするのが一番妥当ではないのか、このように実は考えるのでありますが、どうでありますか。
○細野政府委員 これらの問題は本来的に労使にお話し合いを願い、それについて意見が合わない場合にはやはり調整の場としての公労委が、たとえば賃金比較として何が妥当かというようなことを含めて御判断いただくべきものでございまして、この問題に政府がとかく意見を言うというのも適当ではないというふうに考えるわけでございます。 ただ、せっかくのお尋ねでございまして、私どものごく大ざっぱな感じで申し上げますと、やはり三公社五現業の場合には、その企業の性格から見まして経営の状況そのものをストレートに賃金水準等に反映することができないということから、恐らく民間の賃金というものに準拠すべきであるという考え方になっているのじやなかろうか。そうといたしますと、その考え方というのはやはり民間の賃金相場というものに着目していこうという考えなのではなかろうか。そうなると、民間の賃金相場というのは何かということになれば、できるだけ広く民間の賃金の状況というものを反映させるということが必要となるのじゃなかろうかというふうな考えでいまのような御議論が、特に公労委等でおやりになっているやり方等もそんなお考えに立っているのじゃなかろうかなというふうに感ずるわけであります。 ただ、それにつきましては先ほど労働大臣からもお話し申しましたように、それぞれの側で御意見があって、したがってまだ意見が一致するまでに至らなかった、それくらいこれについてはいろいろな見方のある問題であるということもこれまた事実じゃなかろうか、こう思うわけであります。
○永井委員 もちろん、冒頭に申し上げたように労働省が賃金の決定に介入すべきでないということはこれは当然なことであって、仮に団体交渉で紛争が解決しなかった、公労委へ持ち込む、これまた手順として当然行われなければならないことなんですね。それを私は承知で申し上げているのですが、これまた冒頭に申し上げたように、関係閣僚会議とか基本問題会議とかいうもののずっと延長線上の問題として公労懇ができたという経緯からいくと、この小委員会で議論されたことを労働省としてももっと率直にその中身について検討を加え、労働省がその報告を受けて対応するということも責任があるという立場で私は申し上げているわけですね。 そこで私は、くどいようでありますけれどもさらにちょっと申し上げてみますと、たとえばこれまた労働白書からとった資料でありますけれども、昭和五十四年度の賃金の調査で標準労働者の賃金あるいは年齢階層別の賃金ということがずっと一つの資料として出されているわけでありますけれども、たとえば千人以上とそれ以下の賃金の比較においては、いずれも千人以上が高くなっている、千人以下の企業の賃金というものは大企業よりかなり下回っているという具体的な事実が労働白書によりましても出てきているわけですね。そうしてそれが標準労働者の賃金においても最高では八%、最低でも五%の格差があるのでありますが、これを年齢階層別に見ると、最低でも九%、最大のところでは一四%の格差が、千人以上と千人以下の企業では賃金上出てきているわけですね。 それはどういうことかといろいろ調べてみると、大企業の場合は公共企業体と同じように、いわゆる標準労働者が圧倒的に多い。たとえば公共企業体で言うと、標準労働者というのは大体八七%になっている。労働白書を見ましても八六・八%ですか、という数字になっている。ところがこれが千人以下の企業になってくると、ぐんと落ち込んで五八%というふうに落ちてくる。これは中途採用がかなり多いということなんですね。 中途採用が多いということは、もちろんその企業における業務の熟練度の問題とかいろいろな問題に関連をしてくると思うのでありますが、そういう標準労働者の比率のきわめて高い企業ときわめて低い企業との間に出てきた格差が大きく存在していることを承知しながら、あえてその小さいところまで、類似性を持たないところまで対象にして対比をしていくということになると、結果としては賃金構造そのものが不安定なものになっていくおそれがある、このように私は実は考えるわけであります。 したがって、単純比較じゃなくてそういう企業の類似性というものをもっともっと重視をしてもらいたい。そうしませんと民間と公共企業体の間にはますます格差が出てくるのじゃないか、こういう気がするわけでありますので、その辺の関係について再度お尋ねをしてみたい。
○細野政府委員 その問題につきましても、先生御存じのように、今度の小委員会の報告の中で、そのこと自体が公企体側の賃金の方を高めるための理由になるのじゃないかという御意見と、それは必ずしもそうはならないのじゃないかという御意見との両面ございます。それから帰するところ、いまおっしゃいましたような事情が単に標準労働者あるいは勤続年数、そういうふうな問題だけではなくて、そのことが大企業比較という問題に結果的になる、そのこと自体が冒頭申し上げましたような、そこでまたもう一つどの規模と比べることがいいかという点についていろいろな御意見が出て意見が一致を見なかったというふうなことに関連しまして、いろいろな御意見が出たというのが実情でございます。
○永井委員 この企業規模の対比の問題はなかなか議論はかみ合わないと思うのでありますけれども、昨年の公労委の調停時点における、言えば混乱ですね、この混乱の一つにそういう対比すべき企業の規模ということが問題になったことは事実でありますので、このまま推移すればまたことしも、公労委に仮に問題が持ち込まれたとしても、その中で厳しく対立をして、なかなか解決をすることができないという要因にもなりかねない、こう思いますので、私の言っていることについてさらに労働省としても検討を加えていただきたい。もちろん公労懇の小委員会の報告が決定的なものじゃないことは事実でありますけれども、さらにこの検討を加えてもらいたい。 引き続いて同じような問題でありますけれども、年齢とか勤続年数の問題、これがまた去年の公労委の中でかなり問題になったわけですね。結果として労働側の委員が総引き揚げをするとかせぬとかという問題まで発展した経緯がここにあるわけであります。 公企体と民間の賃金を比較する場合に可能な限り同一条件にして換算をして比較するということは、いま申し上げたように規模の問題もそうでありますし、あるいは年齢、勤続年数の問題についても可能な限り同一条件にして換算すべきだと私は思っているわけです。そうしないと本来の調停の機能を果たすことができないんではないかというぐらいにまで私は実は考えているわけであります。 公労委も過去においてこの勤続要素について、「年齢階級と勤続年数をクロスした傾向値を用いた比較方法をより精密なものを志向する過程のものとして評価するにやぶさかではない。しかし勤続年数を取り入れる場合には、前歴についての配慮が加えられなければならない。」こういう注釈を加えて意見を開陳したことがあるのですね。ところが、この意見の開陳というのは、その後の年ごとの春闘の段階での公労委の議論の中でも具体的に一つの方向として示されていない、こういう経過も実は存在をしているわけですね。したがって私は、ことしの春闘あたりでこの勤続年数を加味していくという問題については一定の処理をすべきではないか、実はこういう気持ちを持っているわけであります。 また、賃金における年齢・勤続の評価という表の中に明らかになってきているわけでありますが、労働白書を見てみても男子の労働者、女子の労働者とも含めて勤続の評価というものはきわめて高いというふうにこの表ではあらわれているわけですね。一般の企業を含めてですよ、勤続年数の評価というものはきわめて高い、こういうことになってきているわけです。 そういう実情の中で、この公企体の賃金紛争を解決する際に、公共企業体と民間の賃金を比較するその一つの材料として勤続年数問題を除外するということは公平さを欠くことになるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、どうでありましようか。
○細野政府委員 勤続年数の問題につきましても先生が御指摘の公労委の裁定の中でいろいろ見解を述べておられるわけですが、その中で勤続年数を取り入れる場合には前歴についての配慮が加えられる必要があるんじゃないか、こういう見解が示されておりまして、その辺のことも小委員会の中で議論になりまして、その議論を深めるために一遍民間における勤続評価の状況というものを調査してみてはどうか、それを労働省でやってくれぬか、こういうお話がございまして、労働省も、それではやってみましょうということで、そういう点は労働省に要請をするということで意見の一致を見た点は御承知のとおりなわけでございます。 したがいまして、私どももそういう議論を深めるためにできるだけ早い機会にこの調査を実施しまして御検討の資料を提供してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○永井委員 そこで、次に勤続要素を含めた場合にどうなるのか、あるいはその勤続要素を含めない場合にどうなるのか。いままでの、公労委の舞台におけるいろいろな議論の経過を見てみると、労働省として一定の比較、対比をするような資料も当然整備されていると思うのでありますけれども、そういう資料はございますか。
○細野政府委員 この賃金の比較をいたすとなりますと生のデータそのものではできませんで、いろんな推計なり補正なりが必要であります。そういう意味で、労働省としましては、単に統計を所管しているという立場で、たとえば賃金構造基本統計調査で申しますれば、そういうことで統計そのものは実施をいたしておりますけれども、比較にたえ得る形での推計なり補正等はいたしておりませんので、労働省自身はそういう比較の数字を持っているということはございません。
○永井委員 これまた労働白書に出ている資料を拝借させてもらって申し上げるのでありますが、昭和五十四年の賃金構造基本統計調査報告というのがありますね。この報告を基礎に、いま言ったようにラスパイレス方式で勤続年数、こういうものを加味して試算をしてみました。 試算の数字をちょっと申し上げてみますと、勤続年数を入れない場合ですと、五十四年度の賃金を基礎にしておりますけれども、公共企業体の賃金の平均というのは十八万八千十七円という数字が出てまいりました。これは作為的につくったものではなくて一般的に取り入れられている調査方法で労働省の調べた基本統計調査報告に基づいて試算をしたのであります。千人以上の全産業の賃金を同じように調べてみますと二十万一千五百三十八円、これだけの差があるわけですね。これは勤続年数を入れない場合であります。そして百人以上を含めた全産業の対比を見てみましても、民間の場合は十九万百六十四円という数字になっているわけでありまして、これでも公企体の労働者の賃金が低いという具体的な数字を証明することはできるのでありますが、仮に勤続年数を入れた場合、労働省で出している労働白書を見ましても、この勤続年数の評価というのはきわめて高いわけですね。 たとえば四十五歳というところで見ますと、年齢の評価は六三・八、これに対して勤続の評価というのは七二・一になっておる。あるいは五十歳、こういう年齢になりますとさらにその差が開いてきまして、年齢の評価は五八・六であるけれども勤続の評価は八三・六というふうに、ずっと年齢がいくほどだんだん勤続の評価が高くなってきているわけですね。 そういう実態からこの勤続要素というものを入れていま申し上げたように計算をしてみますと、公共企業体の労働者の賃金というのは十八万七千九百十二円という数字が出てまいります。これに対して千人以上の民間の企業の場合は二十一万二千八百三十五円という数字が出てまいります。百人以上の全産業と比較しましても、民間の場合は二十万八千五百四十四円、こういう数字が出てまいります。パーセントに直しますと、勤続年数を入れた場合の格差というのは一三・三%民間が高いという数字なんですね。百人以上の場合でも一一%高い、こういう数字が出てくるわけですよ。これは勤続年数を入れなくてももちろん高いのですよ。勤続年数を入れなくても、千人以上の場合は七・二%高いのです。百人以上の場合でも一・一%高い、こういう数字になっているのです。 私はこの数字をずっと調べてみて認識を新たにしたのですが、世間一般に言われているように、公共企業体というのは親方日の丸と言われているようなぬくぬくとした中での賃金の状態ではないなということも改めて認識を深めました。 しかし、そういう民間賃金に準拠するという基本的な対比の仕方から考えると、その比較の仕方を一歩間違えばますます格差が開いてくるというふうに私は考えるわけです。それだからこそ、民間賃金と比較をする場合の勤続年数の加味あるいは標準労働者の雇用率の加味、こういうものが当然この中に入れられるべきだと私は考えるのでありますが、これについて、もちろん公労委ではありませんけれども、私は労働省としての基本的な見解を承っておきたいと思うのであります。
○細野政府委員 先生御指摘のように、賃金の比較をするときにその比較の方法というものが非常な影響を持つということは全く先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう意味で、小委員会におきましてこういう動続年数問題を含むいろいろな比較要素の検討をいたしましたときにはいろいろな御意見が当然に出てくるわけでありまして、そのくらいいろいろな御意見があり得るし、またこれが絶対的な比較方法だというものはなかなかむずかしいという性質のものであろうかと思われるわけであります。 そういう意味で、今回意見の一致を見ませんでしたけれども、たとえば勤続年数につきましてはもっと議論を深めるためにひとつ調査をやってみようじゃないかというお話が出てきたというふうなことで、それなりにそれぞれお立場の理解は深まってきているのじゃなかろうか、こう思っておるわけでありまして、大変むずかしい問題でございますから、結局公労委が従来いろいろな御判断のもとにやってこられましたやり方というものが、もし公労委の御判断あるいは労使の御意見、いろいろなことでもって変わるといたしましても、やはりこれは国民の納得を得られるような中身のものでなければならぬ、そういうふうなことで非常に慎重かついろいろな検討を加えた上で判断をさるべき問題ではないか、こういうふうに考えているわけであります。
○永井委員 私がいま申し上げましたように、民間賃金に準拠するということから比較をされていくわけでありますが、その場合に、いま指摘しておりますように勤続年数が加味されていない状態でも格差がある、勤続年数を加味すればさらに格差が広がる、こういう状態。私は、この賃金構造基本統計調査報告に基づいてこの数字を申し上げているわけでありますが、しかし少なくとも労働白書でいろいろな統計資料を発表される段階では、いろいろなそういう要素を組み入れて私は資料をつくっていただきたい。これはこれからのこともございますので、ひとつ要望しておきたいと思うのです。 私は、いままでもなぜ格差が出てきたのかということを考えてみると、いわゆる単純な比較、もちろん単純で一番わかりやすい比較がいいのでありましょうけれども、その単純な比較ということが賃上げのアップ率だけに焦点を置かれていろいろな対応がされてきた、そういうことが結果としてこういう格差を現実に生んでしまったというふうになったと私は見ているわけでありますが、そういうことのないようにするために、私がいま繰り返し申し上げているように標準労働者の雇用率の問題、熟練度の問題あるいは勤続年数の問題、こういうものも加味をして、間違いなく同一条件にできるだけ近づけた中で準拠するということについての作業を進めるべきだ。そうしませんと、企業の単位でも、いま申し上げたように公共企業体は全国にまたがる非常に大規模の企業である、そういう状態の中で仮に百人以上の全産業を対象にするということになってきたり勤続年数を加味していかないということになってくると、意図的に公共企業体の労働者の賃金を低く抑える役割りを持ってやっているのではないかという疑いすら生じてくる、こういうふうに考えますので、そういうことが疑いとして持たれるような、疑惑を持たれるようなことがあっては労働行政としても好ましくないことでありますので、そういう面で私はとりあえずこのことについて再度強く申し上げておきたい、このように考えるわけであります。 そうして、この三十九年の太田・池田会談で民間準拠ということが確認されたのでありますが、もうすでにそのことを受けて繰り返し繰り返し労働組合の側からは、勤続要素を入れた比較をすべきだという要求をしてきているわけですね。だからこの辺については、この委員会で質問する、答弁するというやりとりだけではなくて、公共企業体等の労働組合側の要求に対しても誠意を持ってこたえていくような、政労交渉の関係とかそういう場も活用してひとつ対応していただきたい。このことをお願いしておきたいと思うのですが、どうでございましょうか。
○細野政府委員 この賃金比較の問題は、そういう意味でなかなかむずかしい、しかもある意味では非常に技術的な問題にかかわる問題でございますから、御指摘のように政労交渉というふうな場面でこれを取り扱うのが適当なものかどうかという点については私ども疑問だと思いますけれども、ただ先ほど申しましたように、賃金の比較の方法というのは非常にむずかしい問題で、これを間違えば確かにいろんな大きな結果を生む問題でございますから、公労委としては現時点におけるいろんな要素を考えて、最高と御判断になっているやり方をしておられるとは思いますけれども、ただ裁定の中でもいろいろ検討を要する問題もあるということも理由書の中に書いてあるわけでありますから、引き続き労使の間あるいは公労委の場面におきましてこの問題の検討が進められるのじゃなかろうか。先ほど申しましたように、そういう御議論が一層深まるための一助としまして、私どももひとつ前歴評価の調査はやってみようじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○永井委員 その次に、同じように公労懇の中間報告の中に、公労委の舞台における事情聴取とかいろんな作業を進められますね。その中で紛争を解決するための調査あるいは紛争を解決するために必要としたいろいろな資料があるのですが、その資料というものがなかなか公開されない、資料が公開されないから説得力を持たないということにもなっていくわけですね。したがって、私は必要な資料は当事者に提示するということをぜひ実行してもらいたい。そういうことで努力することを考えるべきだということもかなり議論をされてきているわけでありますから、公労委の中でいろんな調停作業を進める段階で使った資料、これは労使双方に資料ができるだけ公開されて、なるほどこの資料に基づいてこういうことが言われているのか、なるほどこれなら納得できるとか、いや、この資料では納得できないとかいうことが具体的に対応されないと、本来の労使紛争を基本的に解決する手段にはならないと思いますので、この資料提出ということについてできるだけ労働省の方でも御努力を願うように、これはお願いでありますが、お願いしておきたいと思います。 次に、だんだん時間がなくなりますので、当事者能力の問題について私は触れてみたいと思うのであります。 公共企業体の場合、労使関係の改善というのは一つの大変大きな目標でありますけれども、この目標を達成するに一番大きな障害になっているのは実は当事者能力の問題なんですね。たとえば当事者能力を最大限に発揮しようとしても、法的にも幾つかの制約が事実存在している。したがって、たとえば賃金の問題で言うと、労使で幾ら自主的な団体交渉をやっても答えというものは具体的に出てこない。これはもう過去の歴史が証明しているわけですね。もちろん賃金というのは労働者にとって労使間の労働条件の最たるものでありますから、本来賃金について一〇〇%当事者能力を持たない当局を相手にして交渉する場合に、他の労働条件の問題が円満に解決するとは常識的に考えて思えないのです。ところが現実はどうなっているかというと、三公社五現業の場合は合理化であるとかあるいはいろんなことが起きてそれに対する処分を発令するとか、こういう問題については一〇〇%当事者能力を持っているわけでありますが、肝心の賃金については全く当事者能力を持っていない、このことはだれも否定することができないと思うのですね。 したがって、この当事者能力をどうやって持たせるのかということをいま真剣に考えなくてはいけないのではないか、いたずらに安易に公労委に持っていけばいいということを考えたのでは本当の労使関係の改善ということにはつながっていかない、こう思うのでありますが、どうでございましょうか。
○細野政府委員 労働条件の問題を解決する場合に、労使の自主的な話し合いというものが非常に重要な意味を持ちますし、それから自主交渉ということ、あるいは当事者能力というものを拡大することが必要ではないかという御指摘は、私どもも基本的にはそういうふうに考えるわけでございますが、同時に、先生も非常によく御案内のように、公共企業体というものの性格から、賃金その他の労働条件につきましても、事が財政の問題にかかわります場合にはやはり財政民主主義という問題との調整ということが必要になりまして、そのためにいまおっしゃいましたような方向に進むためにもいろいろな条件整備というものが必要になるわけでございます。 たとえば先ほど来お話の出ております公労懇なんというものも、そういう意味でのお互いの意思疎通を高めるための一つの条件整備のための考え方に基づいて行われているものでございますけれども、そういう意味での条件整備によって、一挙にというわけにはなかなかいかない問題でございますが、一つずつそういう点についての障害を克服しまして、おっしゃるようなできるだけ労使が自主的な判断で交渉を詰められるような方向に持っていく努力はしなければいかぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
○永井委員 ちょっと古い話で恐縮なのですけれども、かつて公労委の会長をされておりました峯村先生が「当事者能力と財政民主主義」ということで論文を発表されたことがあるのですね。いま局長が財政民主主義という言葉を使われたから、あえて反論するというわけではありませんけれども、公労委の会長として長らく公共企業体の労使関係の紛争解決に努力をされてきた会長がこのように言われているわけです。 もうお読みになっていると思うのでありますが、「給与総額制度の採用及びその運用については、いろいろ問題があり、従来、各種審議会においても問題点が指摘されてきたところである。とりわけ、従来の給与総額が前年度の給与準則にもとづいて、ベースアップの余裕が全くないように仕組まれてきたことは、近年における社会、経済事情からも問題である」「のみならず制度自体が非弾力的であり、当初の給与総額をこえ、あるいはふくらませて支給できる例外的場合は認められているが、極く限られている。その結果、団体交渉により自主的に賃上げを行うことは困難とされている。」「固定的な給与総額を設けることは、単に職員の労働条件についてのみならず、企業の効率的運営という観点からも支障を生ずることは明らかである。」このように指摘をされているわけですね。 そうして「要するに、給与総額制度の導入により、公労法一六条の実質的意味は一変し、労働組合の協約締結権と公共企業体等の予算についての国会の審議権との調整を図ることを目的として設けられた第一六条の本来の意味が失われたといわなければならない」 ここまで実は公労委の会長を長らくやってこられた峯村先生が断定をされているわけですよ。私はここにいまの公共企業体をめぐる問題点というのが集約をされているというふうに実は考えるわけですね。 そうして、そういうことも現実に存在しておったものでありますから、またこの太田・池田会談を引用させてもらって恐縮でありますけれども、この民間準拠のことを確認したそのときに、当事者能力、予算制度、公労委の組織と運営、賃金要求時期、公企体等相互間のふり合い等の問題があるが、これらについては政府として検討するということを、当時の会談の中でこれまた確認をされているわけですよ。 しかし、これは昭和三十九年の確認でありますが、それ以降も毎年春闘のたびにこれだけの労使間の紛争を起こしてきているにもかかわらず、実際この問題は、検討されてこうなってこうなりましたということにはなっていないわけですね。 そしてまた、予算上の措置を見ましても、昭和五十三年度では五%の賃上げ原資というものは措置をされておった。翌年には二・五%、その翌年には二%、今年度は一%、だんだんこの枠が狭められてきているわけですね。これは公共企業体という企業が民間の営利企業と違うというその公共企業体の特殊事情、こういうものを配慮しながら民間の賃金に対して準拠していくということを考慮した場合に、初めからこのように予算措置がどんどん年ごとに減って、ますます当事者能力が狭められていくということになれば、これは労使紛争を助長することはあっても解決することにはならぬ。 そして公労委に問題を持ち込めば、公労委の中でよく言われることでありますが、なぜもっと団体交渉を煮詰めてこないか、団体交渉が不十分であるというおしかりを毎年のように受けてきているわけですね。だから、そういう公労委でおしかりを受けないようにもっと自主的に、賃金は労使関係で決まるべきものなのだから、団体交渉で詰めようとしても、事実上このように制約があって当事者能力というものが発揮できない状況にある。これではいつまでたっても公共企業体の問題、労使関係の改善というものはなし得ないのではないか、私はこのように考えます。 その辺のところを労働省も積極的に検討を加えて、もう少し当事者能力を持たせることを最大の基本に置いた検討を加えるべきではないか、このように考えますので、その辺の関係についてできればひとつ大臣の御答弁をいただきたい、こう思います。
○細野政府委員 若干事実関係等につきまして先に私からお答えを申しますが、確かになかなかむずかしい問題があるだけに、一挙に前進してないという点は先生の御指摘のとおりであります。 しかし過去を振り返ってみますと、たとえば有額回答がなかったものが有額回答が調停段階でやれるようになる、さらには自主交渉段階で有額回答ができるようになる、さらには赤字の企業についてもほか並み、一緒に回答ができるようになるというふうな、そういう意味ではかなり前進をしてきているわけでございまして、そういう意味で先ほど来申し上げておりますようないろいろな条件の整備ということがまず前提になりますけれども、そのじみな努力を重ねまして、先生御指摘のような自主的な交渉ができるだけ幅広くできるような方向に向かって私どもも努力してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○永井委員 たびたび出して恐縮ですけれども、太田・池田会談で民間賃金に準拠するということを確認して、この間の公労懇でも、いま申し上げたように報告がされて意見の一致を見たということですね。これは政治的な一つの判断として、非常に高い次元の政治的な判断なんですね。 ところが、これまた冒頭に申し上げたのでありますが、公共企業体等の賃金決定の法的根拠というものを見てみますと、最前申し上げたのでありますけれども、日鉄法では二十八条、専売法では二十一条にそれぞれ書かれております。たとえば日鉄法の関係で言うと、「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。」これは当然のことでありますね。そうして「職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の条件を考慮して定めなければならない。」このように二十八条で定めているわけですよ。 そうすると高度に判断をするということが適用される、太田・池田会談の確認が適用されるという以前の段階では、当然当事者として、団体交渉の席上で当局側はこの法的根拠に基づいた対応を可能な範囲でしなくてはいけないわけですね。そうでないと法律があってなきに等しいものになってしまう、そう考えるのでありますが、いままで長年の間ゼロ回答が続いてきて、ここ数年前から、労働省も御努力願ったと思うのでありますが、一定の有額回答が出るようになってきた。 ところがその有額回答は、一九七八年の春闘で見ると、たとえば公企体の平均は率にして三・八%、六千百五十円というのが有額回答だったわけですよ。このときにたとえば大手企業、電機など見ますと、率にして七・八%、一万六百七十円という回答が出されているわけです。あるいは七九春闘で言うと、同じく民間の場合が七・五%の回答に対して公共企業体が四・二%。そして八〇春闘、去年では七%の回答に対して、もちろん鉄は六・一%でございましたが電機などは七%、これに対して公共企業体の場合は四・四二%という回答だったわけですね。 こう考えていくと、この有額回答というのはまさにいろいろ制約された中で形式的なものに陥ってしまっている。私は、この有額回答というものが行われるようになったことは、確かに長年の積み上げの中で一定の前進ではあるかもしらぬが、これはあくまでも政治的に配慮した形式的な回答を認めているというふうにしか受けとめることができない。だから賃金というものが労働条件の最たるものであるとするなら、有額回答を求めて団体交渉を積み上げた中でこの程度の回答しか出てこないというところに、繰り返して言いますけれども、労使関係の抜き差しならない不信感というものが生まれてくる。そして公労委に持ち込めば、団体交渉が不十分なまま持ち込んだということで調停委員会でおしかりを受ける、こういうことを繰り返しやっておったのでは百年河清を待つがごとしになってしまうわけでありますので、この辺のところはもうちょっと当事者能力が持たせられるように、あるいは形式的な低額回答に終わらないように、むしろもっと実のある団体交渉、仮に賃金を大幅に引き上げることができないという根拠があるなら、あらゆる資料も全部具備をして、議論だけは徹底的に詰めて公労委の舞台に持ち込めるようなことぐらいは、やはり労働省としても公労委に持ち込む以前の段階として積極的に指導してもらいたい、このように考えるでのありますが、どうでありましょうか。
○細野政府委員 先ほど先生から御指摘の数字は、そういう意味でもっと実のある回答をというお気持ちは非常によくわかりますが、ただ、これは先生も御存じの上でおっしゃっているかと思いますが、御指摘の数字は民間につきましてはほぼ妥結の数字、それで三公社五現業の当局の回答はいわばそういう意味での第一次回答でございますから、そこに若干の差が生ずるというのはある程度やむを得ない面もある点も御理解いただきたいと思うわけでございます。 なお、本筋の、先生御指摘の自主交渉をもっと実のあるものにするためにという御指摘につきましては、ちょうど小委員会の報告の中にもございますように、できるだけ労使が努力して公労委の調整の場でいろいろと労使あるいは公労委を含めての御議論ができるような場づくりに努力したいという点について意見の一致している点もございまして、私どももそういう方向で議論が十分行われるような方向に行くように、私どもなりにいわば裏方として労使、それから公労委等にもそういう点についての要請をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○永井委員 失礼いたしました。最前の数字は確かに妥結の数字でございまして、もう一回訂正いたしておきますが、七八春闘、民間六・五%でしたかとしても、そのときに三・八%でありますので、きわめて低い有額回答ということになってくる。そしていま私が指摘しましたように毎年のべースアップの原資といいますか、そういうものが、予算上の措置は年々減ってきている。このままいけば今度は予算措置はゼロでいいということになりかねない。こういうことになってくると、何のための労使間の団体交渉かという疑問がさらに強まってまいりますので、この辺の関係についてはさらに、繰り返して恐縮でありますけれども、当事者能力というものをもっともっと重視するようにひとつ考えてもらいたい、このことを私はもう一度お願いをしておきたいと思います。 そうして、公共企業体の場合今月の十四日にも有額回答が出されるのではないかというふうに、マスコミ関係では報道されておりますね。根拠があるかないかわかりません。わかりませんけれども、いわゆる基幹産業は四月九日ごろの回答だ、金額まで、正確かどうかわかりませんけれどもいろいろ言われている。そういうものを受けて十四日ごろに公共企業体の場合は有額回答がされるのではないかというふうに予測されているわけですね。 そうすると、この九日と十四日の間というものはそれぞれの公共企業体にとってはきわめて重要な段階なんですね。私が指摘しましたように、九日の回答が出るのは間違いなく千人以上の大規模の企業なんですね。公共企業体とあらゆる面できわめて類似性を持っている企業の回答が四月九日に出る。その回答を見ながら、私が最前申し上げましたようにたとえば日鉄法の二十八条、専売法の二十一条あるいは電電公社法で言えば三十条、こういう法律が現にあってこの法律に基づいて団体交渉を行っていっているはずであります。そうなると、この間のわずか一週間程度の時間でありますけれども、きわめて重要な段階だと言わざるを得ない。 この段階にそういう民間賃金の動向を見て、一体どこまで当事者能力の中で当局側が誠意を見せるのか、これはそこで誠意を見せてもらいませんと、幾ら労使紛争を具体的な形であらわすなと言ってみたって、結果としてその紛争を回避することができなくなってくる。 紛争というものは事前に回避することが一番望ましいのでありますので、この間の対応について、たとえば四月九日にJCを中心とする回答がなされた場合に、有額回答と想定されている日にちまでの間労働省は具体的にその公共企業体に対して一定の行政指導を行うとか、これは介入じゃありませんよ、そういう当事者能力の問題について行政指導を行うとか相談に乗るとか、こういうことをされる用意がありますか。
○細野政府委員 公共企業体等の賃金交渉に当たりまして、いま先生御指摘のようにできるだけ労使が自主的な話し合いをしなきゃならぬという要請、一方において財政再建その他の非常に厳しい情勢がある、この両面の中で御当局も非常に御苦労なさっているんじゃないか、こういうふうに私どもも拝察をしているわけでございます。 いずれにいたしましても、有額回答自体は御当局が御検討の上政府に対して最終的には了承を求めるというかっこうになる性質のものでございますので、そういう意味で公共企業体等の御当局がそういう面について真剣に御検討になることを私どもは期待をしているわけでございます。
○永井委員 時間が来ましたので質問をおきますが、きょうの質問の中で申し上げましたように、あるいは問題点を指摘しましたように、公共企業体というのはいろいろな意味で国民の関心の的になっていることは事実なんですね。いろいろな意味で関心の的になっている、注目を浴びているのですが、その公共企業体の労働条件の最たるべき賃金というのは、労働白書を見ても民間の企業に逆に格差があって低い状態にある、このことがまず一つ。 そうして、実際に民間賃金に準拠するということのその確認がいわば一〇〇%生かされていなかったためにその格差が生じたこと。 そうして、仮にことし公労委へ問題が持ち込まれた場合にも正しく、そういう経緯を踏まえた民間賃金の準拠ということが実践できるように配慮をしていただきたいこと。 そうして、労働者の労働条件というのは何もそこに働いておる労働者の責任だけでそういうことになっていない。最前わが党の佐藤議員から問題提起がありましたように、たとえば実質賃金の目減りで生活が苦しい状態に追い込まれていくということも、これは労働者の責任じゃないわけですね。同じように、いま問題になっている公共企業体の財政上の問題、いろいろな問題があったとしても、それはそこの労働者の責任に帰すべき問題ではない。 これらを踏まえて、この公労委の舞台に仮に不幸にしてこの紛争が解決せずに持ち込まれた場合にも、公労委で積極的にそういう問題点が解消できるように、その辺のところについては労働省も労働省の立場でひとつ配慮をしていただきたい。 このことを最後に申し上げまして、一言でいいですから、公共企業体にかかわる賃金紛争についてのこれからの労働大臣としての決意といいますか所見を述べていただいて、質問を終わりたいと思います。
○藤尾国務大臣 この公共企業体の賃金決定につきましていろいろ御不満がおありになられ、それを従来も公労委という一つの機関が最終的な判断をしておる、こういういままでの経緯を考えてみますときに、公労委の方々が、何と言いましても三者構成でございますからそれぞれのお立場を代表しておられる、かように私どもは考えるのが至当でございまして、この公労委の方々の御判断が間違っておるというような物の考え方はすべきではない、かように考えますし、そういった公労委の委員といたしまして、大事なそういう調停あるいは決定、裁定に当たられますそういった方々が十二分に公正な立場で御判断をいただいて公正な結果を来していただきますように、さように願い、これは私どもといたしましてもお願いをすべき立場である、かように考えております。
○永井委員 どうもありがとうございました。
○山下委員長 草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 まず大臣に、いわゆる春闘の流れというのですか、賃金交渉の決め方についての考えをお伺いしたいと思うのですが、俗に言ういわゆる春闘というものの相場形成に非常に大きな影響力を与えておりますのは鉄鋼の労使関係であることは、これはもう厳然たる事実だと思うのです。これも新聞報道等によりますと、具体的な数字が内示的に出ておるようでございますし、あるいは組合側の見解も出ておるようでございますが、この鉄というものの賃金決定に従って、先ほども出ておりますように私鉄だとかあるいはまた基幹産業だとか公共企業体等、日本全体の賃金相場というのが一定に決まるわけでございます。これは諸外国に比べますと非常に特異なまさしく日本的な賃金決定方式であると私は思うのですが、これは労働省としてこのような賃金決定方式というものはきわめて好ましいと思っておみえになるか、あるいはまたこれは労使関係のことではございますが、国の全体の立場から見てどのようにお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思います。
○藤尾国務大臣 御指摘のとおり春闘という形式は、私ども日本の国の中でそれぞれのいろいろな経験をお踏まえになられてその経験を積み上げられた一つの賃金決定の形式であろう、かように考えますし、その中には長年にわたります労使の方々の御努力の集積がそういう形で出てきておるわけでございますから、私どもといたしましては、その労使の関係の基本をなすものといたしましてこういった形式を案出されたその長年にわたりまする春闘を築造された方々の御努力といいまするものを高く評価をいたしたい、私はかように考えております。
○草川委員 今日の歴史の経過からいって非常に高く評価されるというお話でございますが、私どもも率直にそのとおりだと思うのです。いろいろな変遷があったと思うのでありますけれども、日本の高度成長をした大きな秘密もこの日本型の労使関係の安定に非常に大きな要因があると私は思うのです。 ところが、やはり物価との関連という点から見てまいりますと、非常に安定的な要因という中にも、実は基本的には不安定要因というものがぼつぼつ出だしてきておるのではないかというのを、私ども第三者といたしまして間々感ずるわけでございます。特にこれは、労働大臣も実質賃金が目減りをしたということは非常に残念なことであるということを何回となく繰り返しておみえになるわけですが、私もそのとおりだと思うのです。 そこで、きょうはごく初歩的なことではございますけれども、まず第一に、賃上げというものはいわゆるコストインフレというのですか、物価を押し上げるという要因になるのかどうか、あるいはまた労働側が主張しておりますように、賃金を上げることによって消費購買力を高めていき、結局それは景気を支えることになるという、非常に基本的な意見というものが対立をしておるわけですが、一般の国民としてはこの論争というものはきわめて注目に値する論争だと思うのです。 これはそれぞれの産業の立場、中小企業の立場、それぞれ違うと思うのでありますけれども、労働省としては賃金と物価との関連あるいは景気要因との関係、ここらあたりをどのようにお考えになっておられるのですか。
○藤尾国務大臣 これは非常にむずかしい問題をたくさんはらんでおりますから、一概に私がこうだああだということを申し上げるのは適切ではないと思いますけれども、私の個人的な見解を申し上げますと、物価といいまするものはただ単に賃金によって決まるものではございません。これは御案内のとおり、私どもの手の届かない、たとえばエネルギーというようなものによりましてもこれは違ってまいりますし、またそういうところに逃げ込んではいけないわけでございますけれども、気象異変というようなものもこれは物価に影響するところはなしとしない、これは事実でございます。 そういった中で私どもが考えていかなければなりませんのは経済と生活の安定でございまして、そういった物価の変動も片目で見ながら、なおかつ私どもの経済といいますものを安定をさせ、そうしてお働きをいただいております日本の根幹になっております労働側の皆様方の御生活を守っていく、安全に保障していくという方策を考えていかなければならぬわけであります。 このことは私どもも考えておりますけれども、同時にこれはそれぞれの企業の指導者の方々も同じようなお考えでおられますし、またお働きになっておられます労働界の皆様方もそういった全体のバランス、整合性と申しますか、そういったものを十二分にお考えになられた上で、賃金の決定ということをなすっておられるわけでございますから、それぞれに非常に深い相関関係があるということは否定はできませんけれども、それが非常に広範囲な一つの経済という場の中で渾然と融和をされて帰結として出てくるのがこの春闘の相場の決定ではないか、かように考えるわけでございます。
○草川委員 大臣からいまのような答弁をいただいたわけでございますが、余り物価抑制という問題について労働省は直接の関係する庁ではございませんから、どうのこうのということを申し上げませんけれども、いまたまたまおっしゃいましたように整合性という言葉を組合側も使っておみえになるわけでありますが、その整合性というものは物価の上昇率を上回る賃上げ率でなければその言葉というものも私は組合員に納得できないのではないか、こう思うのです。そういう意味では、日銀の総裁の、物価は安定化の方向へ進んでおるというようなお話がございますけれども、これは一年たってみなければわかりません。そして過年度は現実的にはマイナスアルファになったわけでありますから、もう少し労働行政としても物価対策というものについて積極的な対応をすることが非常に必要だと私は思います。 それからもう一つ、いま私の質問についてもお答えになっていないわけでありますけれども、いわゆる経営者側の方は、最近の消費構造のパターンを見ると所得の拡大がそのまま消費の拡大につながらぬというようなことも言っておるわけですね。これも問題点としては非常に重要な問題なんでして、これは労働側の一つの反論にはなるわけですが、私どもは決してそうは思っておりませんけれども、労働省の方としてももう少し積極的なサポートというのですか、一つの意見というものがあっていいのではないだろうか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
○藤尾国務大臣 二つの問題を指摘されたわけでございます。 一つは労働行政といいますものがその一つの経済の根幹をなす物価といいますものにもう少し大きな責任と影響を持ったらどうだ、こういう御指摘でございますが、私はおっしゃるとおりだと思うのです。でございますから、今後ともそのような物価の変動あるいは安定ということについて必要な意見を私どもがどんどんと述べて、そうして影響力を増していくということは当然のことであろうと思いますし、やっていかなければならぬ私どもの責任でもある、かように考えます。 第二の点でございますけれども、これは学説はいろいろあるわけでございまして、賃金、所得といいますものを上げていくことイコールそのことが一つの景気の浮揚力につながっていって、そうして経済の安定に資していくというお考え、それもないではありません。しかしながら、御案内のとおり日本の経済というものを考えてみましても、非常に大きい要素をなしておりますのは何といいましても国民消費でございます。これが半分以上シェアを持っておる。しかしながら、それに対しまして財政の影響力もありますし、あるいは設備投資の影響力もありますし、あるいは貿易構造によります国際収支の寄与もないわけではないわけでございます。そういったことを考えてみましたときに、賃金の構造あるいはその変化、そういったものがイコール経済の安定につながっていくかどうかということには疑問があろうと思います。 しかしながら、仰せのとおり、もし仮に物価の値上がり率とイコールの賃金の値上がりであるということになれば、これは国民経済といたしましてのその基本をなしますお働きの皆様方の生活内容が前進をしていかない、福祉が少しもふえていかない、こういうことになるわけでございます。私どもといたしましては、働かれる方々の御生活の安全保障といいますもの以上に、さらにそのプラスアルファをいたしました福祉分ができるだけ確保されるということを願うのが労働行政の一つのねらいではないか、使命ではないか、かように考えております。
○草川委員 時間がございませんから私の方から大臣に要望を申し上げますが、労働経済という言葉があるわけですけれども、私はこういう段階になってまいりますと、逆に労使の賃金交渉を側面的に、バックアップというのですか、一つの方向を出すために、国民経済に対する賃上げの影響力いかんという問題について大胆な問題提起をした方がいいという意見なんです。特にいま大臣が後半でおっしゃいましたような、非常に遠回りな意見ではございますが、労働行政としては、積極的に国民の消費購買力を高めるためにも、景気が冷え込んだ場合にはある程度のものがあってもいいじゃないかというくらいの勇み足があってもいいんではないだろうかという私は意見なんですよ。そういう時期がそろそろ来たのではないだろうか。 別に労働省が労使関係の中に入り込むという意味ではなくて、たとえばいまから申し上げるように労使関係が非常に安定をしておりますから、労使の紛争ということを避けるためにも制度要求というのが労働団体の中にも非常に出てきておりまして、御存じの減税要求というのは非常に強くなってきております。私はこういう一定の時期にはこれは一つの方向であり、当然こたえなければいかぬことだと思うのです。 そこでちょっと横道に入ると思いますが、大蔵省にお伺いをしたいわけですが、そろそろ五十五年度決算の見通しも出ておるようでございますが、剰余金の減税の実施の見通しについて、税の自然増収等の問題を含めて決算の見通しの中で特に歳出の不用額はどの程度になっておるのか、お伺いをしたいと思います。
○藤井説明員 五十五年度の剰余金でございますが、予備費の最終使用残額は三月末に判明いたしております使用残額九百七十九億円ということでございますが、そのほかの歳出の不用額は、いまちょうど出納整理期間中でございまして、計数自体四月中に最終結果が出まして、それがまとまるのが五月末というふうに考えております。したがいまして、全体としての剰余金が歳出面からどのようになるかというのは、ちょっと現段階では申し上げられないということでございます。
○草川委員 これは新聞等にも大体九百八十億くらいの予備費の残額になるのではないだろうかとか、剰余金のもとになる財源は三千億を超すのではないだろうかといろいろな見通しが出ておるわけでございます。いずれにいたしましてもこの春闘の中でも減税という問題については労使の間の一つの大きな問題になっておるわけでございます。いわゆる福田議長の裁定に基づく与野党合意の所得税減税というものについても実施されることになると思うのですけれども、こういう問題について労働大臣としての見解はどのようなお考えでしょうか。
○藤尾国務大臣 五十五年度のお働きになられる方々の実質所得の減、それに対する政治責任を私ども政府が負うということは当然のことでございます。私どもといたしましては、その政治責任を果たしますために何をなすべきかということを考えていかなければならぬわけでございます。そのうちの一つの非常に大きな要素をなしますものが、そういった所得を保証いたしまする物価のさらに一段の抑制ということでございます。また直接的には、何と言いましても私どもの責任をあらわしますために五十五年度中の出費をできる限り詰めまして、そうしてそれをもって私どもの政府の政治姿勢というものを示すことはあたりまえのことでございますから、そういった際に各党の非常な御判断と御努力があり、そうして議長さんの裁定が出まして、それがどれだけになるかということはわかりませんけれども、それをとにかく可能な限り最大限度のものにいたしまして、それを減税に充てていくということは非常にありがたい、またありがたいというよりも当然であり、そして適切な政策ではなかろうか、私どもといたしましてはかように考えております。
○草川委員 どちらにしましても労働大臣が閣議の中でもこれはぜひリードをしていただきたい、私は最高の立場じゃないかと思うので、ぜひその実施方を大臣に要望をしておきたいと思います。 その次の問題でございますが、先ほども出ておりますような三公社五現業のいわゆる公共企業体等労働問題懇話会について、これは特に大臣も出席をせられまして、先ほども触れられておりますように相互理解を深めたことは非常に高く評価するということを言っておられますが、いまのお話を聞いておりましても民間準拠という問題の中身について余り明確になっていないわけであります。民間準拠ということ、いわゆる評価の問題ですけれども、片や評価を取り入れるというように高くそれを評価する、片一方は評価について調査に入ったと言う、どちらにしましても玉虫色的なところがあるわけです。この玉虫色的な一つの結論というのはかえって後ほど混乱のもとになるのではないかと私は思うのですが、率直な御意見はどうでしょう。
○細野政府委員 恐らく御指摘は勤続年数を評価要素に入れるかどうかについてであろうと思うわけでございますが、勤続年数の問題については、小委員会の報告そのものの中に明確に書いておりますように、取り入れるか取り入れないかについては完全に意見は一致していないわけであります。ただ、公労委におかれての裁定の理由書の中でも、今後とも労使の中でこの議論を深めることが望ましいという御指摘がございますわけで、その議論を深めていただきます際に、これもやはり公労委の御指摘になっております民間における中途採用者の過去の勤務に対する評価がどうなっているかということによって判断がかなり違ってくるというふうな意味で、勤続の評価問題についての調査をすることが議論を深めるために必要じゃないか、ここは意見が一致をしましたということで、労働省としてもそういう調査をやってください、こういう御意見でございますので、私どもも今年度のできるだけ早い機会にこれが実施に着手をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 いまおっしゃったように勤続年数の評価の問題もありますし、もう一つは、いわゆるベア率の比較につきましても、平均賃金方式でいくのかあるいは年齢ごとにポイント賃金方式でいくのか、いろいろな問題が出てくると思うのですね、民間準拠という問題については。先ほどのお話を聞いておりますと、労働省としても、いま直ちにどの程度の資料があるかということについてはこれから取り組むというようなお話があるわけでございますが、この民間準拠という問題について、今度の春闘というのですか調停にすべての資料が一体間に合うものかどうか、その点はどうでしょうか。
○細野政府委員 公労委が毎年の新賃金紛争に当たりまして、労使の交渉の中で明らかにされた経緯というものを事情聴取という形でやられまして、それも踏まえ一かつ従来公労委が判断の材料としてこられたものについて、それをもとにしていろいろな御判断をなさるわけでございますから、そういう意味で、御判断になる基礎データというものは公労委としては当然用意をされておるのじゃなかろうか。 もし御質問の点が、新しい、いろいろな提起された問題ということになりますと、これはいずれもいろいろな角度から御意見の一致をしなかった問題でございますから、それは新賃金の紛争にすぐ問に合うという性質のものではないのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。
○草川委員 ちょっと私の言葉足らずの点があったわけでございますけれども、労使双方はそれなりに毎年いろいろな交渉をやっておみえになるわけです。公労委は公労委としてのデータで一つの判断が決まるわけですけれども、最近官民格差の問題だとかいろいろな話が出てまいりますし、あるいは退職金等の問題についても地方公務員との関係がどうだとかというように、世上一般国民の間には実は非常に関心が高まっておるわけですね。そういう意味で、今回の賃金については、賃上げ率そのものも大切な点があるわけでございますが、その中身について一般国民、中小零細企業の経営者、労働者、あるいはその他の一般の方々という人たちも、一体日本の賃金体系というのはどうなっておるのだろうか。たとえば鉄鋼の場合でも、いままでの平均賃金よりも今度は少し上げて一つの数字が出されるようになっておるわけですよ。これなんかも一体どういうような賃金体系になっておるのだろうか、あるいはまたそれが一般の民間にどのように反映するのか、実は非常に関心が高まってきておるわけですね。 私どものところにも、中小企業の経営者から、賃金というものについて、新聞を見ておるのだけれども、なかなか理解がしがたい問題があるのだ、本当に日本の賃金というのは幾ら上がるのだろうか、下がるということはありませんけれども、どういうように変わっていくのか、あるいは中小企業の方々というのは、大企業と違いまして非常にラフな賃金体系になっておるわけでございまして、そういう中で、参考になるような統計資料というものももう少しかみくだいた形で教えてもらいたいなんという話が出てくるわけです。 だから、私は先ほど言いました後者のことを申し上げておるので、それは今度にはとうてい間に合わぬと思いますけれども、それを含めた統計のとり方なりあり方を第三者的に労働省としてもつかんでおっていいのではないだろうかという感じがして実は私は申し上げた、こういうわけでありますから、この点については私の意見として聞いておいていただきたいと思います。 その次に、いま賃上げというのは、どちらかと言えば大きい会社あるいは大きな組織の方々の問題が多いのですが、昨年の秋から非常に景気にかげりが出て、いわゆる雇用調整金をもらうというのですか、指定の申請が相次いでおるというように聞いておるわけでありますが、一体どのような産業に景気のかげりが出ておるのか、まずその産業についてお伺いしたいと思います。
○関(英)政府委員 最近の雇用調整給付金関係の指定業種のお話でございますが、去年の十一月、十二月ごろから指定の数がふえてまいりまして、たとえば十一月一日から指定したものが十四、十二月一日が十二、一月中で十、二月一日十五、三月一日十八、四月一日十一というような形で、現在百十業種を指定しております。これらは、去年の冷夏、住宅建設の不振あるいは消費の不振というような最近の景気の動向を反映して、そういったものの関連業種でございます。全部で百十業種でございますが、繊維、木材・木製品、紙・パルプ、電炉、アルミ関係、こういったような業種が多いわけでございます。
○草川委員 いま百十業種の雇用調整給付金の指定が行われておるということでございますが、そこで働く労働者の方々も当然物価上昇の影響を受けておるわけでありますし、だれしも、組合があろうとなかろうとそれは関係なしに、賃金値上げを要求しない労働者はいないわけです。そういうところにどのような手を当てるかということが、私は春闘とは申し上げませんけれども、まさしく国民的な賃金値上げの非常に重要な問題ではないだろうか。だから、行政はそのような産業におけるところにまで手を当てて賃金問題を考えていただきたいと私は思うわけです。 具体的に、たとえば鉄鋼という話が一番最初に出ましたから申し上げますが、同じ鉄鋼労働者でありますけれども、電炉関係あるいは鍛圧、小棒と言われておる業界がございます。かなり操業停止で雇用の機会が少なくなっておる業界があるわけですが、その点について通産省にお伺いしたいと思います。
○小川説明員 先生御指摘の、小棒を主としてつくっております平電炉あるいは鍛圧のメーカーは全部で現在七十企業あるわけでございますが、そのうちすでに休止状態に入っておりますのが四企業出ております。その一つは電炉業で、南部製鋼というところでございますが、これが十一月以降、他の三つは鍛圧メーカーでございまして、東北鋼業が一月以降、埼玉製鋼が二月以降、埼玉製鉄、別の会社でございますが、これがごく最近、三月以降休業状態に入っておる実情にございます。
○草川委員 いま小棒の例が出たわけでありますけれども、これもやはり同じく金属産業の労働者でありますが、操業停止をしておるわけですから、操業停止をした労働者に賃上げはないわけです。これも何とかしなければいけないということでございますが、小棒といいましても、実は日本の基幹産業、特に公共投資の最大の材料提供者ですよ。公共投資が景気刺激の大きな要因になるわけでありますけれども、これでコスト割れというのですかね、採算割れの状況ではないだろうかとさえ言われておるわけですが、一体コスト割れ、採算割れという状況があるのかどうか、あるいは、これは後ほど大臣にも聞かなければいかぬのですが、公共投資の資材等の積算で赤字ということが許されるのかどうか。 これもいま非常に重要な問題だと思うのですが、一体かかる対応をどのようにお考えになるのか、これも通産省にお伺いしたいと思います。
○小川説明員 小棒につきましては、御指摘のとおり建設、特に建築部門に主として使用されるものでございますが、その建築を中心とする不況状態のため小棒の需要も急速に低減しております。それで、御指摘のようなコストにつきましては、企業体質の差が非常にございますので一概には申し上げられませんけれども、現在の市況の状況では一般にトン当たり一万円前後の赤字が出ていると言われておるような状況にございます。 そのような状況にありますところから、この業界には全国小形棒鋼工業組合というものが存在しておりまして、これは中小企業団体組織法に基づいて設立されております。この工業組合が、この法律に基づく生産数量の制限の調整事業を二月一日から六カ月間にわたって行うべく認可申請をしてまいりましたので、通産省としては公正取引委員会と協議の上これを認可いたしましたので、現在この調整事業が同組合によって行われているところでございます。
○草川委員 いまもお話がありましたように、トン当たり一万円ずつの出血をしてとにかく仕事をやると言えば行き詰まることはあたりまえでありますし、賃上げができるわけがないと思うのですね。そういう状況の中で、組合としての生産制限をやっておるというお話でありますが、実は小形棒鋼はアウトがかなり強い影響力を持っておりまして、なかなか成果というのがあらわれないわけです。 これはいろいろな物価対策等の関連がありましてむずかしい問題だとは思いますけれども、アウト規制というものが前回の不況のときには行われたわけでございますが、アウト規制についての見解というものがあればお伺いをしたいと思います。
○小川説明員 先生御指摘のとおり、この業界におきましてはアウトサイダーのウエートが非常に大きゅうございまして、ほぼ四割がアウトサイダーによって占められるという状況にございます。そして、このアウトサイダーの多くは自由競争を標榜しておりまして、カルテルという活動に対してはきわめて批判的であるということから、先生御指摘のように、業界全体が一致して行動をとることがなかなかむずかしい業界であることは事実でございます。 ただ、最近時点では、これらのアウトサイダーの中にも最近の需給の著しい悪化を踏まえまして思い切った減産を行うところも出ておるような状況にございますし、他方、そのようなことを踏まえまして市況もようやく反転を見せてまいりまして、二月末にはトン当たりほぼ五万二千円でありましたものが、現在五万九千円まで回復するという状況にございます。 通産省といたしましては、アウトサイダー規制命令を行うかどうかについては、法律上認められておる措置でございますので、要件を満たしまたこの規制が必要な事態であると判断された場合には、当然その発動も考慮しておりますが、現時点では、いまのような市況の回復等の情勢も見られますので、しばらくこの動向を注意深く見守って適時適切に対処することといたしたいと考えております。
○草川委員 通産省にお願いしておきたいわけですが、確かにトン当たり五千円ほど市況が回復しておるというお話でありますが、実はこれはスクラップが四千円ほど上がっておるわけであります。四千円から四千五百円上がっておるわけですから、コストがその分だけ上がって売り値が上がったというのが実情でありまして、いまおっしゃられましたように好転をしておるというわけでは決してないわけです。 そういう意味では、特に小棒の場合はスクラッププラス四万円というのが大体の一定の価格ではないだろうか。だから、六万円くらいにならないと採算ベースに合わぬ、こう言っておるわけでありまして、同じ鉄鋼産業においても、片やトン当たり一万円の赤字を出して泣いておるわけでありますし、生産制限をしておる、こういう実情であっては、春闘何ぞやという問題も出てくるわけでありますから、これは特に労働大臣にこういう現状があるということはぜひ知っていただいて、労働行政全体の春闘対策をやっていただきたいと申し上げたいわけであります。時間がございませんので、この見解は、要望だけにとどめておきますから。 通産省、結構でございますから。 最後になりますが、同じように賃上げができないような例ばかり私は持ってきたわけではございませんけれども、実はいま非常に大きな影響力を与えておるのですが、人材派遣業というのが大きな影響力を持ってくるようになっております。これは昭和五十三年の三月に行政管理庁の方からも指摘をされておりまして、労働省の中でいまそれなりの対応を立てておみえになると言われておりますが、労働者派遣事業というものですね。 たとえば東京都の場合だと、都庁も一種の合理化でしょうね、コンピューター要員だとか、それから窓ふきだとかボイラーマンだとか事務員だとか製図、図面なんかのメンテナンスだとか、あるいはかなりの多方面にわたるところの職種について、労働者供給事業、派遣事業というところから人を採用しておるわけです。これは自治省にも後ほどお伺いをしたいと思うのですけれども。まして民間の企業も、いま申し上げましたように非常にたくさんの人をこの派遣事業から採用、しておるわけでございますが、一体この現状というのはどうなっておるのか、お伺いをしたいと思います。
○関(英)政府委員 派遣事業というような言葉であらわされるものがどういうものか、しっかりした定義があるわけではございませんが、先生がただいま御指摘になりましたように、最近経済活動が非常に多様化してまいりまして、従来のような終身雇用慣行のもとで自分のところの労働者に仕事を行わせるのに余り適しないような非常に専門的な技術的な職種がふえてきているとか、あるいはまた人事管理上従来の職種とは別の職種で別個に人事管理をした方がいいとか、自分がやるよりも専門業者に行わした方がうまくいくとか、いろいろな形で需要面がございますし、あるいは労働者の側にも、終身雇用慣行のもとで働くよりも自分の専門技術を生かして自由に働きたいとか、あるいは自分の好きな日、好きな労働時間に働きたいとか、いろいろなニーズが出てまいりまして、その両方の面から、いわゆる人材派遣業といいますか、行政管理庁の勧告によりますと当時は業務処理請負事業というようなことを言っておりましたが、そういったものが、ビルメンテナンス業とか警備業とか情報サービス業とか事務処理サービス業、そういったところを中心に増加してきているというような背景にあるのだろうと思います。 それでその実態の数は非常につかみにくいわけでございますので正確な数をいまここで申し上げることはできないわけでございますが、行政管理庁の調査で、五十三年の三月末でございますが、事務処理の業種で六十、事業所の数でございます。それからビル管理で三千百、情報処理九百四十というような全国での数になっております。
○草川委員 いま局長の方からちょっとおっしゃられたのですが、私の方もいろいろなところからのお話によりますと、いま行政管理庁の方は五十三年の三月末だというのですが、これは四十四年くらいから始まって、十年間でビルメンテナンスというのが五千七百社あるというのです。それから従業員は、これも二十三万人に急増しておる。タイピストだとか秘書だとか、事務処理やいまお話がありました情報処理会社等だけでは別に三千四百ある。それで情報処理関係だけでも十万人を超すということになっておるわけでして、これは少し放置をし過ぎるのではないかと思うのです。行政管理庁の指摘が五十三年でございますのでもう数年たっておるわけでありますから、このままだともういまさらこれをやめろというわけにいかぬわけです。現実に機構の中に組み込まれてしまっておるわけです。 それで私の方にも、春闘、春闘と騒いでおるのだけれども、私どもは一体どこへ賃上げ要求をしたらいいのですか、たとえば東京都庁に要求をしたらいいのですか、実際都庁の中で働いておるわけですから。あるいはどこかの区役所、千葉県庁なら千葉県庁に働いておるわけですから、東京都内のそういう役所に働いておるわけですから、そこへ言っていいのですか、こういうことなのですが、雇用契約は私どもにもきわめてわからぬわけでありますし、本人に雇用契約が明示されていないわけです。それで二十何万人と言われる人たちの中にも、先ほどおっしゃられましたようにビルメン渡り鳥と言われるような方もみえて、必ずしも一つの会社に定着していなくて、そのときその場所によってかわる場合もあるという。しかもそれが、いま申し上げましたように、コンピューター関係の情報処理屋のように非常に高い人もいますが、掃除のような条件で働いておみえになる方もあるわけであります。 だから労働省として、二十万人、三十万人という労働者が現実にそういう中で働いてみえるわけですから、これは職安法違反にならないのかどうか、あるいは労働基準法のいわゆる中間搾取反対の第六条から労働条件明示の第十五条だとかいろんなのがあるのですが、少なくとも審議会に相談だとかあるいはいろんなところに御相談なすっておみえになるようだけれども、行政管理庁の方から五十三年に指摘があったとするならば、去年ぐらいに一定の結論が出ておってもよさそうに思うのですが、どのように考えられますか。
○関(英)政府委員 行政管理庁の御指摘以降労働省におきましては、労働力需給システム研究会というものを置きまして、その中におきまして労働力需給システムの一つとして労働者派遣事業、こういったものについてどう取り組んでいくべきか御研究願いまして、昨年だったと思いますがその御提言を得たわけでございます。 先生御承知のとおりだと思いますけれども、研究会の結論といたしましては、社会、経済の変化でこういったものが労働力の需給システムの一つとして機能している。そこに着目してむしろこれを一定の許可制のもとで労働者の保護に十分配慮したそういったルールをつくって、そして積極的に認めていったらどうかというような御提言をいただいたわけでございます。しかしながら、この問題は現在の労働力システムのすべてに非常に関係が深いわけでございまして、現在でも公共職業安定所という公の紹介機関のほかに民営の職業紹介機関、許可を得て行うものもございます。あるいはまた労働組合の行う労働者供給事業といったようなものもございます。あるいはまた港湾におきましては、登録をして、そして需給システムをとるというような特別の制度をとっている場合もございます。そういったものに非常に関連する問題でございます。 それからまた、安易にこれを認めますと、とかく自分のところの会社の雇用というものを安易に外に委託していく、そういったことに拍車をかけるおそれがなきにしもあらずという面もあろうかと思います。また新しいルールを考えます場合に、使用者責任といったものをどういうふうにして全うさせるか、もとの派遣をする会社にすべてを負わすのか、それとも実際働くところに負わすのか、あるいはその中身によって分けていくのか、あるいは労使交渉はどちらの事業主を対象に行うべきか等々、労働関係の法制のあらゆる面にわたって非常にむずかしい問題を有しております。 私ども、研究報告をもって直ちにこれを労働省の原案として国会にお出しするについてはいろいろ問題が大きかろうということで、公労使及び関係業界の方まで入っていただいた調査会をもう一度設けまして、そこで現在非常に御熱心に御議論をいただいているところでございます。まだ、いろいろな点で労働団体におきましても御意見が分かれているような実情にございまして、今後この調査会を中心に十分御議論を詰めていただきまして、その結論を待って私ども対処したい、こういうふうに考えているところでございます。
○草川委員 私も、いま安定局長がおっしゃられた意見なんです。私もその立場で非常に賛成なんでございますけれども、しかし、それにしても対応を急がなければならないという結論なんです。 自治省がお見えになっておられますから、ちょっとお伺いしますが、自治省としては現実に、これは民間企業ばかりでなく自治省もやっておみえになるのですが、いまのような問題があるわけですけれども、それにもかかわらず、今後さらに地方自治体等においても、このような人材派遣業から人を採用されて、あるいは委託をされていくのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
○片山説明員 先生御指摘の点につきましては、私どもの方必ずしも事実を詳細につかんでおりませんけれども、これも御承知のように、基本的には地方公共団体の事務の民間委託でございまして、雇用関係としては受託者の側の問題でございますから、労働条件その他については労働省なり労働基準監督署の方で御指導いただくのが本筋であろうとは思います。 ただ、地方団体の事務の委託でございますので、委託先の選定なり委託の管理につきましては、当然地方団体の方にも責任があるわけでありますので、その点御指摘の点等を踏まえながら今後さらに指導徹底をしてまいりたいと考えております。
○草川委員 各自治体によって違いますけれども、いま、たまたま委託という言葉がございましたが、実質的にはビルメンの委託は物品等一般指名競争入札の手続によってやられているわけでございまして、人材が物品扱いになっておるわけです。そういうことの中でボイラーマンであるとか、あるいは情報管理者というものが実質的に民間委託をされておる。この考え方も問題があると思うのです。 ですから、これはもう一回前へ戻しまして、労働省としていろいろな関係がありますし、これを一たん認めますと、基準法なり職業安定法も空洞化されることになりますし、かつて造船産業における社外工下請で大変な論争があったわけでありますが、それは厳しい処置をしておるわけです。ところが今日的には一方ではこのようなことがまかり通るというのも私は行政上差別になると思うので、ぜひ早急な対応というものを急ぐことを要望しておいて、時間が来ましたので終わりたい、こう思います。
○山下委員長 石原健太郎君。
○石原(健)委員 ことしは実質賃金の目減りというようなことが起こらないよう、また勤労者の暮らし向きが少しでも向上するように、労働省としてもできる限りの御努力をお願いしたいわけなんでありますけれども、その中で最低賃金というものがあります。これも年々少しずつは上がっているようでありますが、最近の比較を見てみますと、五十一年度の地域別最低賃金は二千百二十二円で、所定内給与の平均が五千四百二十一円、その差が三千二百九十九円でありましたが、五十二年には差額が三千五百七十九円と広がり、五十五年度においては所定内給与の七千七十円に対して二千八百十二円で四千二百五十八円にも広がっておるわけであります。 最低賃金と申しましても、地方なんかにおきましては、再就職等の賃金決定の大きな目安となっており、また労働省の監督、調査でもおわかりのように、この最低賃金さえもらっていない人たちも大ぜいいる、こういうわけなんでありますけれども、この最低賃金と一般賃金の格差が広がる一方であるという傾向を、労働大臣としてはどういうふうにお考えになっているのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○藤尾国務大臣 最低賃金といいまするものが法律によって決められており、そういったものがあるにかかわりませず、御指摘のように年々実態の賃金との間に格差が広がっていっておるというようなことは決して好ましいことではないわけでございまして、私どもといたしましては重大な関心を払ってこれが是正に努めていかなければならぬ、かように考えております。
○石原(健)委員 次に、五十六年一月の労働省の労働市場センターの中途採用者採用賃金情報によりますと、これは女子の中途採用者の賃金でありますが、二十五歳から二十九歳の間の中途で採用された場合は八万四千円、三十歳から三十四歳の間では八万一千円に下がっておりまして、三十五歳から四十四歳の間で中途採用になるときは八万一千円というふうに、女性の再就職の際の賃金は常に最低賃金に匹敵する金額しかもらえない、こういう状況にあるわけなんですけれども、こういうことに関しましては労働大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
○寺園政府委員 先生御承知のように、賃金は本来は労使が自主的に話し合って決める、その話し合いを行います場合に考慮される事項といたしましては、当該労働市場のいわゆる相場賃金あるいは企業の業績あるいは労働者の生計費等々を勘案しながら労使で自主的に賃金を決めるというのが原則であろうかと思います。 ただ、中小企業あるいは零細企業等では必ずしもそういう形では賃金が定められない、非常に低廉な賃金を受ける労働者がおられるわけでございます。それらの人たちの労働条件を改善をしていくために国が最低賃金を決めるという制度を持っておるわけでございますけれども、国がその最低賃金を決めます場合に当たりましても、最低賃金法によりまして類似労働者の賃金あるいは生計費、企業の支払い能力等々を勘案しながら定めるということになっておるわけでございます。 そのように、最低賃金は低廉な労働者の賃金の底上げを図っていくという制度でございますので、そのことといわば先生御指摘のような中途採用者の賃金との比較というものが直接的に問題になるということではなくて、絶対的に低い賃金の人たちの労働条件を最低賃金制度で引き上げていくというのが最低賃金制度の趣旨であろうというふうに思っております。
○石原(健)委員 私は最低賃金制度の趣旨を聞いたわけではなくて、女性の場合には三十歳、三十四歳、三十五歳、何歳になっても最低賃金しかもらっていない、こういう実態を労働省としてはどういうふうに考えておられるのかをお聞きしたのであります。
○高橋(久)政府委員 婦人が学校を卒業いたしまして就職をしまして、ずっと勤め続けておりますとそれなりに賃金は上がってまいりますけれども、途中で結婚や妊娠、出産のために退職をしたりしまして、中高年になってからまた就職をしようとする場合には、手に技能もなくて不熟練労働というようなことがございまして、なかなかその賃金が労働市場で評価を受けた賃金にならないということになるわけでございます。 そこで私どもは、こういった女性の賃金を改善するためにはやはり手に職をつけるということが必要であろうと存じまして、職業訓練制度あるいは就業援助等を行って、女性の賃金が適正に評価され、その労働条件が向上していくような形を望んで、そのための行政を進めているわけでございます。
○石原(健)委員 女性の場合は転職するから、一たんやめるから同じ賃金なんだというふうなお答えでありますけれども、男子の方のやはり中途採用者の賃金を見ますと、三十歳から三十四歳では十三万八千円、三十五歳から四十四歳では十四万八千円と、男子の場合は同じ中途の転職の場合にも上がっていっている。しかもこの差額が三十歳から三十四歳では五万七千円と、男子と女子の間に差があるわけであります。三十五と四十四の間では六万七千円の差があるということなんですけれども、こういう格差というものは当然なことなのか、あるいは是正していかなければならないものなのか。是正するとすれば、いまちょっと再訓練というようなこともおっしゃいましたけれども、そういうことだけで間に合うのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
○高橋(久)政府委員 確かに現在男女の間で賃金に差がございます。このような差と申しますのは、私どもは、男性と女性が働いている仕事の内容が大変違っているというところに大きな原因があろうかと思います。男性は熟練を要する仕事、女性は単純な補助的な仕事というケースが大変多いわけでございまして、もっと女性がいろいろな分野に進出できるように、男性と同じような高度な熟練を要する仕事もできるような形に仕組みが変わっていかなければならないということがあろうかと思います。 それからもう一つは、わが国の賃金制度がいわゆる年功序列賃金制度でございまして、勤続年数とかあるいは年齢であるとかあるいは学歴であるとか、そういうものがかなり評価された賃金体系になっておりますので、そういうことが男女の賃金格差には反映しているかと思います。 そういう中で女性の賃金が改善されていくためには、働き続けようと思う女性が働き続けることができるような条件を整備するということも必要であろうかと思います。 またもう一つは、労働時間が女性の場合には労働基準法等でいろいろな制約があることもございまして、労働時間が男性と女性ではかなり違っているというような点も、男女の賃金格差の一つの原因であろうかと思います。 いずれにいたしましても、私どもはこのような賃金格差はなくしていくように、女性にも職業訓練で手に職を与え、そうしてその能力が十分に発揮できるような職場に女性がつけるような条件を整えていくべきである、このように考えております。
○石原(健)委員 いまの局長さんのお答えでは絶対的な格差というものがないかのような、それぞれに理由がある格差というふうにお答えになっているような感じなんですけれども、人によってはあらゆる条件を同じにして比較をして、それでも二五%ぐらいの差があるというようなことを言われている人もあるように聞いておりますが、あらゆる条件を同じにして比較してもやはり絶対的な格差というものがあるんじゃないですか。
○高橋(久)政府委員 条件を同じにする試算はいろいろございます。確かに年齢それから勤続年数、学歴等を一定にしてまいりますと、若年層ではほとんど差がなくなってくるということでございますが、そういった操作をいたしましても多い場合には七〇ぐらいの格差ということでございます。それで、条件を一定にする場合に仕事の内容を全く同じということで考えていくのは大変むずかしい作業でございまして、そういうのは統計的には出ておりませんけれども、労働基準法におきまして、同一の労働であれば同一の賃金ということが法的にも保障されるわけでございますので、もし同一の労働であるにもかかわらず同一賃金が支払われていないというようなことでございましたら、それは労働基準法に抵触するということで是正をしていくべき事案である、このように考えているところでございます。
○石原(健)委員 労働省にも男性の方がたくさんおられるわけでして、女性局長さん一人に負担をかけさせるというようなことではなくて、こういう問題の解決にはみんな一生懸命努力していただきたいと考えるところであります。 また、東京の五十五年度の最低賃金を見ますと、日額二千九百九十一円、二十五日間働くとして七万五千円であります。一方、生活保護費を見てみますと、三十歳のお母さんが九歳と四歳の子供がいたとしてもらえるお金は九万二千六百八十九円であります。これは九万二千円でもまだ足りないのかもしれませんけれども、こう比較してみますと、働かないで保護費をもらっていた方がかえっていいわけですね、最低賃金しか該当にならないような場合に。この最低賃金の絶対額そのものが低いんじゃないかと考えるのですけれども、いかがでしょうか。
○寺園政府委員 先ほども申し上げましたように、最低賃金を決定するに当たりましては、労働者の生計費それから類似の労働者の賃金、通常の企業の支払い能力を勘案して定めるということになっております。具体的には春の中小企業の賃上げの状況を実態的に調査をいたしまして、その調査等々をもとにして審議会で十分御審議をいただき、その答申を尊重して最低賃金額を定めるということにいたしておるわけでございます。 その最低賃金額は一人の人が働いた場合に最低保障される賃金でございます。したがいまして、その最低賃金額と制度、性格を異にします生活保護基準というものを直接比較するというのは適当ではないのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、ちなみに最低賃金額とそれの二十五日換算額と、単身の方の生活保護基準というものを比較いたしますと、いずれの場合も最低賃金額の方が上回っておるというのが実態でございます。
○石原(健)委員 いま最低賃金は最低賃金審議会なんかで審議されるようでありますが、このメンバーを見ますとりっぱな方たちばかりでこれは大変いいかとも思うのですけれども、実際に最低賃金をもらわなければならないような人であるとか女性のパートタイマーの代表者であるとか、あるいはいま全勤労者の三分の一以上が女の人でありますから、現在二十一名中女性の委員はただ一人という、こういう構成にも幾らか問題があるんじゃないかという感じもするわけです。いま私が申し上げた実際最低賃金で苦しんでいるような人たちを委員に加えでみてはどうかということに関しまして、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○寺園政府委員 最低賃金を審議いたします最低賃金審議会は中央、地方にそれぞれ置かれておりますが、公労使三者構成でできております。労使委員につきましてはそれぞれ使用者団体、労働者団体に推薦を依頼いたしまして、その推薦に基づきまして任命をいたしておるところでございます。そういう意味では、それぞれ組織された方々が実際の場には出てこられるということではありますけれども、そこに出てこられる労働者委員の方は未組織労働者の実態も踏まえながら審議に当たっておられますし、また中小企業あるいは未組織、パートの方々の労働条件の実態、特にその賃金の実態につきましては、春の賃上げの状況を反映した時点におきましてその実態を十分に把握し、審議の素材にしておるということでございます。
○藤尾国務大臣 いまいろいろなことを言っておりますけれども、先生が御指摘のとおり最低賃金を受けられるような方々がその審議会においてお立場を述べられる、そういう必要はあろうと私は思います。ただ、その人を選ぶ際に、未組織の方々でございますから、どちらの方面のどのような方々をお選びしてその審議会においでをいただくかということにつきましては、その選定がなかなか困難な場合もあるわけでございます。 したがいまして、そのようなことも勘案をいたしまして可能な限り先生のおっしゃられるような方策をとりますように私は命じます。
○石原(健)委員 大変前向きのお答えをいただいてどうも……。 最後に、最低賃金の決定時期、決定されて発効するのが十月、十一月ごろになるようでありますけれども、一般の賃金なんかですと四月ごろにさかのぼって発効するということがあるわけで、この時期のおくれによる労働者の不利益をどのようにカバーされているのか、現状を御説明ください。
○寺園政府委員 低廉な賃金の労働者の労働条件を、一般の組織労働者の労働条件の改善に合わせてできるだけ早く改善をしていくことは望ましいことであろうというふうに考えております。ただ、最低賃金は罰則を担保といたしまして履行を強制する制度でございます。したがいまして、その最低賃金額を決定するに当たりましては慎重な審議、それから客観的、合理的な決定でなければならないと考えておるわけでございます。 そういう観点から、審議会におきましては春の賃上げ状況が反映した時点での実態調査をもとにしながら審議を進めて、実際の発効時期はただいま先生がおっしゃったような時期に発効しておるというのが現状でございます。五十四年に比べて五十五年の改定はかなり早く決定はされておるわけでございますけれども、最低賃金が罰則を担保にしながら履行を強制するという制度でございますので、これ以上早くするのはなかなかむずかしい問題であろうと思っております。 そういう意味では最低賃金という制度による労働条件の改善というのは時期的には限界的なところにきておろうかと思いますけれども、最低賃金という制度に頼らずに労使の話し合いの中で労働条件が改善される、そういう形のものができるだけ早くできればいいのではないかと思っております。
○石原(健)委員 時間ですので質問を終わります。
○山下委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時四十八分休憩 ————◇————— 午後四時二十八分開議
○今井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。米沢隆君。
○米沢委員 先ほど来の春闘に関連する問題に関連いたしまして、まず最初に基礎的な問題を二、三お尋ねしてみたいと思います。 第一は、賃金の目減り論争が大変華やかでありますけれども、可処分所得という点から見たときに一体どういう数字になっておるのか、その点をちょっと聞きたいと思うのでございます。 労働省の統計によりますと、勤労者の五十五年度通算の実質賃金目減りは一%前後になることはほぼ確定的になったというわけでありますが、このことは、昭和二十七年労働省が統計調査を開始して以来初めての事態であると言われておりまして、このことを可処分所得に引き直してみますと、もっと目減りは大きいのではないか。そういう立場から、数字的に労働省はどのように把握をされておるのか聞かしていただきたいと思います。
○細野政府委員 突然のお尋ねでございましたので、いまちょっと手元に資料を持ってきておりませんが、御指摘のように実質賃金そのものは一%前後の目減りという状況でございますけれども、可処分所得におきましてもそれにプラスの赤が立つ、減が立つ、こういう状況であることは御指摘のとおりであります。
○米沢委員 数字を持ってきていらっしゃらないということでありますが、われわれもいろんな統計資料を見て計算をしますと、大体実質賃金が一%下がりますと、所得税とか社会保険料等々名目所得で上がる部分ががばっと引かれますから、それプラス〇・八%くらい、人によっては一%前後、したがってトータルとしては、可処分所得で生計を立てておるわけでありますから、実際は二%前後の目減りがあったというふうに認識をすべきだと思っております。 そこで、この目減りの要因につきましては、先ほどから何回も議論になっておりますが、主として第二次石油ショックによる物価上昇が原因である、こう言われておるわけであります。この問企業の方は、御承知のとおり石油価格の上昇に伴いましてコスト上昇の一部を価格に転嫁するという動きをいたしましたが、この結果、卸売物価が約二〇%上昇しておることは御承知のとおり。その結果、八〇年の九月期におきましては、同年三月期に比べまして約四五%増という史上空前の企業収益を上げております。労働者の方は、ちょうど石油ショックに襲われた段階で先行きの日本経済の状況をよく理解した上で良識ある要求と良識ある妥結をした。その前提となったのは、政府の物価を六・四%内に抑えるという政策に信頼を置いてのそのような要求の自粛あるいは良識的な妥結であったわけでありますが、残念ながら政府の政策の失敗等によりまして、結果的にはこのような実質賃金の目減りが行われておるわけです。 したがって、一言で言いますと、今度の目減りというものは、第一次石油ショックの被害者は企業であったけれども、第二次石油ショックの被害者は勤労者である、こういう結果からよく言われるのでありますが、経済企画庁の方ではこれを数字的にお認めになるということでわれわれは話をしていきたいと思いますが、いかがですか。
○勝村説明員 おくれて参りまして御議論の最初の方をちょっと聞き漏らしましたので、あるいは正確なお答えができないかもしれません。それは再度御指摘いただきたいと存じます。 一般に第一次石油ショックのときの被害は企業の方に多く、第二次のときは雇用者の方に多かったという点でございますけれども、これはジャーナリズムなどで一般的にそういう言い方をなされておりますが、実際に計数上のことを検討いたしてみますと、五十四年から五十五年にかけましての第二次石油ショックの影響が出ましたこの段階で、被害者が特に勤労者あるいは賃金所得者に集中していたという事実は、実は計数上は出てまいらないわけでございます。 それはなぜかと申しますと、一つにはこの五十四年度、五十五年度に日本経済全体に生じました、私ども交易条件の悪化によります実質所得の目減りというふうに申しておりますけれども、いわゆる世間で申しますOPECの値上げによる目減りという分でございますが、この分が大体国民経済全体の三%から四%生じております。そのOPECの値上げあるいは交易条件の悪化によります国民経済上の損失、これは各種の分配所得の上に一様に発生しているわけでありまして、その場合に五十四年度、五十五年度の労働分配率、あるいは法人所得と雇用者所得との間の分配率の関係、これが雇用者所得の方に不利に動いているかと申しますと、実はそういう数字は出ていないわけでございまして、これは企業会計上は在庫評価益というものが出ましたために一時的にはかなりの利益が出たように見えるわけでありますが、国民所得統計上在庫評価益の調整というものをいたしてみますと、五十四年度、五十五年度の法人所得、それに対します雇用者所得、この間の分配率というものはほとんど動いていない、ほぼ同一水準で推移しているというふうに申せるわけでございまして、その意味から、今回の第二次石油ショックのインパクト、マイナスの影響が雇用者所得あるいは勤労者家計だけに生じたという言い方はやや表面的な見方ではないか、失礼ながらこういうふうに存ずるわけであります。
○米沢委員 その勤労者だけに不利益が出たという言い方には無理があるにせよ、勤労者に不利な状況が第一次石油ショックのときよりも多かったとは言えませんか。
○勝村説明員 実は第一次石油ショックのときと今回の石油ショックのときの日本経済のインパクトというのは、先ほど国民経済全体の三%ないし四%と申し上げましたが、規模といたしましてはほぼ同じ程度の規模でございます。それで前回のときの……
○今井委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○今井委員長代理 では、速記を起こしてください。
○勝村説明員 この前の第一次石油ショックの直後、四十九年でございますが、そのときの一人当たり雇用者所得の増加率が二五・七%であります。それに対しまして、消費者物価で申した方がわかりやすいかと思いますので消費者物価で申しますと、消費者物価の上昇率が二四・五%であります。したがいまして、仮にこれを差し引きますと、その間の実質のプラスというのは一・二%残るわけであります。それに対しまして五十五年度をとってみますと、一人当たり雇用者所得が六・三%でありまして、これに対して消費者物価の上昇率が八・〇%でありますから、今度はマイナスの一・七%ということで、そこだけを見ますと——ただいま申し上げました数字は五十五暦年で、いままでわかっている段階の数字でございます。六・三%の雇用者所得の増に対しまして、消費者物価で申しますと八・〇であります。あるいは消費支出デフレーターをとりましても、多少数字は違いますが似たような形でございまして、今回の方がそういう意味では目減りが大きかったというふうに、これは勤労者だけが目減りが大きかったという意味ではございませんが、国民経済全体として目減りが大きかったということは申せるかと思います。
○米沢委員 そのような目減りと同時に、勤労者にとって重要なのは、雇用不安というものに対する懸念が非常に大きくあるわけでございます。 四月三日の日経の新聞を見ておりますと、労働省も雇用情勢が急激に悪化をし始めておるということを認識されまして、いろいろと手を打っておられるような記事が載っております。こういう記事を読みますと、実質賃金が目減りをし、同時に雇用不安は、いっときは情勢は好転しておるかのごとき数字になっておったわけでありますが、またぞろこういう警戒水域に入ったということになりますと、実質賃金の補てんという問題と同時に、雇用の安定という問題に勤労者の目が向かざるを得ないことはもうおわかりだろうと思うのでございます。 そこで、こういう雇用情勢を目の前にいたしましたときに、どうしても一番の大きな柱は、実質成長が今後どうなっていくかにこの雇用情勢がよくなるか悪くなるかがかかっておるわけでありまして、そういう意味でわれわれは従来から、マクロ、ミクロ見てでこぼこはあるにせよ、トータルとしては最低五・五%くらいの実質成長がなければ雇用情勢は好転する動きにならないであろうということを主張してまいりましたけれども、この点労働大臣はどういうふうに見ておられますか。
○藤尾国務大臣 御指摘のとおり、私どもにとりまして労働条件の主たるものでございます賃金の目減り、これを何といたしましても埋めなければならぬということはもちろんでございますけれども、それにも増しまして私どもが注意を払っていかなければなりませんものは、いま御指摘のとおりの雇用でございます。そういった点から考えまして、ただいま御指摘のとおり、昨年の八月以降私どもがどうにかここで安定するかなと思っておりました雇用の増勢の足取りがとまってしまいました。そして、ここへ来て〇・〇一ポイント落ちてきたということは私どもにとりまして非常に大きなショックでございました。これから先私どもがこれを何とかいたしまして完全雇用に近づくように努力をいたさなければならぬ、何とか雇用を創出していかなければならぬ、こういうことをまず第一に考えていかなければなりません。 そのためには、御指摘のとおり、いま経済企画庁でもその点を非常に御心配でございますけれども、新しい経済政策といいまするものの中で特段と中小企業を中心にいたしまする企業の安定というものに助成をいたしますために、金融の緩和でございますとかあるいは公共事業の前倒しでありますとか、ありとあらゆるできまする措置を講じなければならぬということでやっておるわけでございます。 これは見方によっていろいろ違ってまいりますけれども、どの程度の経済の発展、成長といいますものがありましたならば雇用がさらに一段と上がるであろうかというような考え方につきましては、何%がどうなるという定説はない、さように私は思いますけれども、政府が言っておりまするように大体実質で言いまして五・三%程度の成長を示していくことができましたならば、それなりの雇用の拡大ということに到達するのにそう大きな骨を折らなくても済むんではないかという気もいたすわけでございます。 現在のところ、経済の拡大、発展といいまするものにとりまして非常に大きな一つのネックになっておりますのが、中小企業に対しまする、これを中心にいたします金融、特段と金利の高騰でございますので、そういった点でこの点を実質的にどの程度下げられるか、今後の推移を見てみなければわかりませんけれども、これを経済企画庁でお考えになっておられる程度に下げることができましたならば、私は、その期待をいたしておりまする雇用の拡充ということは必ずしも不可能ではない、かように考えております。 いずれにいたしましても、新しい雇用といいまするものを創出いたしまするための努力は、私どもができるだけの全力を挙げて取り組まざるを得ない非常に重要な課題でございますから、この点は重々心に据えましてその対策を立てていきたい、かように考えております。
○米沢委員 そこで、政府の計画は経済成長五・三%ということでございますが、一つは、この四月から夏にかけましてどういう経済の動きをしていくのか、短期予測をちょっとしてもらいたいということと、それから、その五・三%の経済成長を達成するために個人消費というものをかなり重視されておりますけれども、この五・三%成長する場合の個人消費の成長寄与率というんですか寄与度というんですか、そのあたりをどれくらいに見られているか、その根拠についてもできれば簡単に御説明いただきたいと思います。
○岩崎説明員 お答えいたします。 まず、これから夏にかけての短期の経済見通しはどうかということでございますが、私どもこの五・三%五十六年度実質成長率を見込みました昨年の十二月とただいまの状況を比較してみますと、確かに景気の落ち込み、いわゆるかげりがやや深くなっていることは事実でございます。これは、実は景気の動向を端的にあらわします在庫の調整というものがおくれておる。従来私どもは一−三月に在庫調整が完了してそこからなだらかな在庫の積み増し、つまり景気の回復局面に入ると見ておったのでございますが、これがややおくれて四−六月になるんではないかというような見方をしてございます。これが需要項目で言いますと、個人消費、住宅投資あるいは中小企業の設備投資というものにやや落ち込みが深く見えるというのがただいまの状況でございます。 これに対しまして、先ほど大臣お話しになりましたような三月十七日の経済対策というものが打たれたわけでございますが、この後この効果も相まちまして四月から夏にかけてはなだらかに景気が回復するというふうに見てございます。まずその発端となりますのは、やはり消費者物価が安定するというところから個人消費に回復の兆しが見えてくるということを私どもは考えております。 他方、設備投資につきましては、民間の見通しがだんだん出そろってまいりましたが、五十六年度の設備投資はやはり五十五年度に引き続き非常に強い。ただ、大企業と中堅、中小を比べるとやはり勢いは中堅、中小の方が弱いという状況はございます。この辺は経済対策を打ちましたところのいわゆる中小企業の設備投資の助成策というものの効果がございまして、これも次第に回復のスピードが上がってくるというふうに見てございます。 全体といたしまして、四−九月、つまり五十六年度の上半期、下半期と分けますと、上半期はやや成長のスピードは遅いかもしれませんが、下半期にしり上がりによくなっていくというように考えてございまして、五・三%の実質成長率は達成できるというふうに見てございます。 世界景気の状況も、第二次石油危機の影響でただいま落ち込んでおりますが、外国の状況も年度後半にかけて好転してくるという条件もございますし、それから石油価格の状況あるいは数量の状況を見ましても、昨年に比べてことしは格段に好転しているということがございますので、海外の要因、それから国内の景気のパターンというものも、下期しり上がりというふうに私ども考えております。
○米沢委員 ここで問題になるのは、消費者物価の上昇がどうなるか、そこにかかってくるわけでございます。まあ昨年はいろいろとハプニング等もありましたから、政府の公約が守られなかったということで、実質賃金目減り等で悩んでいる。今回もそういう意味では、そのハプニングがあったからというよりも、何となくまだ政府の数字に信頼がおけない、これが国民の偽らざる気持ちじゃないかと思うのですね。 そこで、政府の見通しにおきましては、消費者物価の上昇はことしは五・五%ということになっておりますけれども、この五・五%見通された段階で、すなわち五十五年の三月期のげたをどれぐらい見ておられたのか。同時に、われわれがその段階で計算しましたところによりますと、げたは大体下五%程度になるのじゃないか。そうなりますと、果たして消費者物価を五・五%に抑えられるかどうか、私は大変疑問だという気がするのですね。その点、消費者物価がどう動くかということは、かなり強い関心で国民が見ております関係で、本当にこの五・五%という消費者物価の上昇で抑えられるのかどうか、ここでもう一回確認をさしてもらいたいと思うのです。
○新名説明員 見通しの段階でげたがどの程度であると予想したかという御質問でございますけれども、見通しと申しますものは、年度一本でやっておりますので、あえてげたというものが何%ぐらいということは予測しておりません。しかしながら、現段階に立ちまして、五十六年度のげたがどのぐらいかとなりますと、仮に三月の全国の数字が二月比で横ばいくらいということになりますと、いま先生御指摘になりましたように、一・五%ぐらいのげたになります。それから、仮に大体東京都区部速報ぐらい三月に上がる、こういう仮定のもとで計算しますと、二%ぐらいになります。 それで、げたが非常に高いではないかという御指摘でございますけれども、消費者物価の中にはもうすでにいろいろ国会で議論になっております野菜等がございまして、こういうものは一定の、たとえば非常に悪い季節条件、気候条件等が終わりますと、自然に下がるものでございます。そういう意味で、仮に野菜だとか果物だとか魚だとか、そういう季節商品を除いたげたというものもあえて数えてみますと、一%ぐらいでございます。 それで、五・五%でございますから、一番大きい二%ぐらいというげたを考えましても、残ったところは三・五%もあるということでございまして、一つは、ことしは例年に比べまして、げたが非常に少ない。たとえば五十四年度から五十五年度へのげたは三・六%もございました。ことしは大体その半分程度でございます。それからもう一つは、五・五%からそういうげたを除きますと、三・五%とかあるいは四%近くある、こういうことでございまして、この三・五%から四%近くのものは年度中に上昇した分で占められるということでございます。技術的なことを申し上げますと、三・五ないし四%あるということは、仮に全く直線に上がるとしますと、年率で七、八%の上昇でも五・五%になる、こういうことを意味いたします。 それで、最近の物価でございますけれども、御承知のように卸売物価は非常に鎮静しておりまして、三月中旬は前年同月比一・八%まで下がっております。消費者物価につきましては、確かに総合指数におきましては前年同月比六・五%でございますけれども、その瞬間風速というものはだんだんと落ちついてきております。それで、五十六年度について見ますと、卸売物価は現在非常に鎮静化しておりまして、引き続きそう大きな上昇要因がございません。 それから、四月以降になりますと、先生御案内の、昨年四月に電気、ガス料金、公共料金の改定がありましたけれども、そういう大型の公共料金の改定が今年度はないと見られますこと、さらに、最近野菜は一−三月高水準でございましたけれども、そういう悪天候によります一時的な野菜の高値もだんだんと是正されるような情勢にある。こういうことがございますので、異例の事態がない限り、五十六年四月には前年同月比で五%台に下がりまして、年度平均としましては五・五%になる、こういうように私たちは見ております。仮に何らかの異常事態がありますと、必要に応じて諸般の物価対策を立てる用意をしておるところでございます。
○米沢委員 次は、公労協の賃上げ等についてちょっとお尋ねしたいと思うのであります。 四月に入りましてから賃上げ闘争もかなりたけなわになっておりますけれども、この時期になっていつも私うっとうしく思うのは、あの交通ストというやつでございます。私の秘書は二人とも千葉から来るんですが、きょうも、これは賃上げ交渉のストライキじゃありませんけれども、成田の航空燃料輸送の処分に絡んで文句を言うストだそうでございますが、順法ストが行われて、朝七時に出て十二時に着くんですよね。また完全にスケジュール闘争がなされておりまして、今月の二十二日くらいからまたゼネストだなんて言われておる。 私はあんなストライキは、国民の理解が得られるなんて言うておられますけれども、毎年毎年こういうことを繰り返し、本当にわれわれも、いろいろな意味で反省しなければならぬのじやないかという気がするのですね。御承知のとおり、組織率なんてわずか三割です。三割の連中があんなこと、賃上げ交渉のために、人様にいろいろ迷惑をかける。枠外にある連中は一体どういう目で見ておるのだろうか。本当にこの時期になりますと大変うっとうしくていらいらしておるのでございます。彼らには彼らの論理があるかもしれませんけれども、賃上げのたびごとに、ああいう交通ゼネストだとか、まだ交渉もしないうちにストライキに入るとか、そういうところを直させるように、労働省自身としても、反省と同時に強力な話し合いが必要だと思うんですね。労働大臣、この話に入る前に、ちょっと御意見聞かしてもらいたいと思うのです。
○藤尾国務大臣 ただいま米沢先生御指摘がございましたけれども、私もいまそのようなことを言いますことがいいのか悪いのか、非常にむずかしいところでございますけれども、一つの春闘を闘いますために、どうしてもストライキといいまするものを設定をいたしまして、その背景がなければ賃金の交渉ができないということではないと思うんですね。でございますから、そのことにつきましては労使双方とも反省をしなければなりませんし、また私ども、そういった関係の周辺の整備をいたさなければならぬ立場の者といたしましても、そのようなことで国民に御迷惑がかかるようなことがあってはならぬわけでございますから、そこにはまり込まないような措置を十二分に前もって講じておかなければならぬ、さように思います。今日ただいまのところで、先生がけさ御経験になられましたのは、決して労働条件、賃上げといいまする今度の春闘とは関係なく行われたものでございますから、これにつきまして私どもが考えるということは、ただいま私どもが議論をいたしておりますることのほかの問題でございまして、これにはそれ相当の姿勢をとっていかなければいけないのではないかというように考えております。
○米沢委員 そこで、公労協の賃上げ交渉は、いまどのぐらいまできておるのか、労働省の把握しておる情勢で結構ですから御説明いただきたいことと、それから、新聞等によりますと、九日は金属労協、十日は私鉄が回答する、こういうことで民間主導型と言われる今度の春闘の相場形成がほぼ終わるのではないかというところから、そろそろ公労協の賃上げ交渉に絡みまして、三公社五現業の当局が、組合側に提示する有額回答の額だとか時期だとか、そういうものを議論する時期に来つつあるのではないかと思うわけでございます。伝えられるところ、十四日に政府も給与関係閣僚会議等を開いて、そのあたりを話がされるとか、ひょっとしたらまたずっと延びるかもしれないなんという議論があるのですが、そのあたりの情勢も含めてちょっと御説明いただきたい。
○細野政府委員 まず、お尋ねでございました第一点目の、三公社五現業関係の賃上げの交渉状況でございます。 関係組合は三月の上旬に、公労協の加盟組合が、三十五歳、勤続十七年という標準労働者で十九万五千八百円以上、それから全官公加盟組合で一〇%以上、こういう要求を各当局に出しまして、以後労使間におきまして交渉が進められている、数回その交渉が行われたというふうな状況を聞いておるわけでございます。ただ、まだ本格的に詰まるところまでいっていない、こういう状況でございます。 それから、有額回答についてのお尋ねがございましたけれども、これは先生も御指摘のように、各当局でいま御検討中の問題でございまして、いまいろいろな情勢の中で各当局が御検討なさっている段階でございますので、私どもとして、まだその時期なり内容なりにつきまして、正確に判断ができるようなところにきていない、こういう状況でございます。
○米沢委員 かねてから政府も意図されておりますように、ストライキを構えてこういう一大騒動をしながら賃上げが決まるという姿ではなくて、団体交渉を重視しながら、人事院勧告もあることだし、公労委という制度もあることだし、そのためにいろいろ保障制度もあるわけですから、やはりできれば団体交渉を重視する方向で労使ともに話し合いを進めるという方向が、私は一番いい方向だと思うんですね。昨年も、結局民間準拠に絡めまして、私鉄と横並びだという議論で委員を脱退されたりした、そんな事件があったがゆえにこういうことになったかどうか知りませんが、御承知のとおり、公共企業体等職員給与の民間賃金準拠問題に関する小委員会なんというものが開かれて、何とかやろうということになっておるのだ、私はそう思うんですね。少なくともこの中に書いてあることも、まあ明文化はしてありませんが、団体交渉を重視しようという気持ちがお互いに芽生えつつあるというふうに私は見たいと思うのでありますけれども、しかし実際は、御承知のとおり四月三日に、統一行動日にストライキをやるとか、また完全に二十二日からスケジュール闘争に入るとか、全然変わっていないわけですね。 それで、なぜそういうことになるのかという気持ちがいつもするのですけれども、私は、問題はこんなところにあるのじゃないかと思うんですね。 一つは、例の、先ほど有額回答の話も出ましたが、有額回答をするにしても、給与改定分わずか一%でしょう。その上、当事者能力があるとおっしゃっていますけれども、一%の範囲内で当事者能力があるだけなんだな。あるいは、それよりもう少し上回った段階で自分たちの予算を流用できるかどうかという、そのあたりの検討を行うぐらいの範囲では当事者能力はあるかもしれませんが、例年ずっとそれ以上に上がっておりますから、当事者能力はたてまえ上はあるようになっておるけれども、実際はないに等しいということになっているのだと私は思いますね。したがって、そういう給与改定分を一%計上したなんという事実があれば、組合としても、それ以上そんなに踏んばれるわけはないということで、ストライキぐらい構えない限りうまくいかないぞと思うのも心情じゃないかという気が私はするんですね。 そういう意味で、給与改定分を一%計上する是非について、去年は二%だった、今度はそれを一%にした、その背景の中には、公務員給与を何とか抑えたいという、そんな気持ちがあっての一%なのか、ただ取っかかりだけをつくっておって、交渉次第によってはいつでもまた上げてあげますよ、そういうラフな感覚での一%計上なのか。私は、この一%というものは非常に意味があるような気がするんですね。そこに、みんなお互いに誤解が生じたり、踏ん張る力をそこに求めたりして、結果的にはこういうらんちき騒ぎになるのじゃないですか。その点、反省はないのですか。
○細野政府委員 先ほど来先生から御指摘ございましたように、三公社五現業におきましてはストライキが禁止されているわけでございますから、したがいまして争議行為に訴えるというやり方ではなくて、あくまでも話し合い、それからそれがつかない場合は公労委における調整というものによって解決をする、こういう姿で臨むべきであるということ、全く先生の御指摘のとおりだというふうに考えるわけであります。 ただ、先ほども先生が、公労懇の小委員会の絡みで、少し話し合いの機運でも出てきたかと思ったら、ちっともそうはならないというふうなお話がございましたけれども、現実にはやはり話し合いを詰めて、それによってできるだけ平和裏にいこうという気持ちはかなり出てまいっておりまして、そういう意味で、ことしの春闘におきましては、全官公さんも、それから公労協さんも、いずれもできるだけ早く公労委の調整の場で自主的な調整ができるようなことに労使で協力していこうじゃないか、こういう機運が出てきております点はいままでと少し変わってきている点ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございまして、そういういろいろな過程で労使の間の話し合いというものが熟していくということを私どもとしても期待をしているわけでございます。
○米沢委員 労使の間での交渉が重視される方向にあるというような判断だということでございますが、先ほどから何回も言っておりますように、給与改定分は一%でございますよ、それプラスちょっとしたアルファ分についてまでは本当の意味での当事者能力みたいなものはあるかもしれませんけれども、例年のようにそれより四とか五とかいう数字になりますと、あるような気がして、ないんですね、実際の話。当事者能力が、もし国鉄でも専売でもどこでもあるというならば、逆に言ったらゼロもあり得るし、五%もあり得る、それぐらいの判断ができる素地がやはりできていない限り、当事者能力なんて一%で足かせをして、プラスアルファ分ぐらいまで自分の判断ができる、それ以上についてはお手上げだ、と。一%プラスアルファ以上にもし仲裁裁定の結論が出たり人事院勧告が出たりしたときに、一体これはどこが決めるのか。わかった、何%にしましょうというのはどこが判断するのですか。いつも大蔵省のリモートコントロールの中にしかないのじゃないですか。それで当事者能力はあるとかなんとか、あると言って相手にしましても、相手はあるなんて思っていないですよ。したがって、その議論なんというのは、ただ形式的な、ただ順序を追っていつもやっていることをやって、時間が来るのを待って、その間ストライキをやれ、こういうことにしかならないのじゃないですか。そのあたり、ぼくは考えてもらいたいと思うのです。 労働大臣、どうかな、短く簡単にしゃべってもらいたい。
○藤尾国務大臣 この間の公労懇におきまする皆様方の御意見を拝聴いたしましても、いま米沢さん御指摘のような、同じような御希望が述べられたわけでございます。 そういった御希望をちょうだいいたしまして、私どもは、そういった御希望ができるだけかなえられますような措置をとらなければならぬわけでございまして、これから先、できるだけ当事者能力を与えて、そしてその当事者能力の範囲の中で、別に公労委に持っていかなくても、あるいは人事院勧告で大きなもめごとがなくても、帰結すべきところに帰結をするというような方向に進められぬだろうかというようなことについて、いろいろこれから考えていかなければいかぬのではないかというような気がいたしております。 ただ、そのことは、御案内のとおり、いま先生おっしゃられましたとおり、五十六年度の予算におきましては、給与の引き上げ分というのは一%しか見ておりませんから、その辺のところをどのように見、どのように解釈をし、どのように措置をするかということについて、かなり詰めた検討がこれから必要とされるのではないかというふうな気がいたします。
○米沢委員 ですから、たとえば公労委に移ったとしても、団交というもの、交渉というものを重視されて、そこらで本当に手を打つこともあり得るというならば、有額回答あたりもかなり踏み込んだものをきちっと出すということが本当は政府の責任でなくてはならない、そう思うのですね。しかし現実には、一%と枠がありますから、そんなに飛びはねた回答もできるはずもない。民間準拠を重視されるというならば、昨年よりも私はもう少し多くなるはずだと思うのですね。そのときに、本当に踏み込んだ一発回答で、有額回答で、公労委の調停の段階で出せるような状況であったならば、私はそんなにもめないと思うのです。ところが、そういういろんな足かせをつくった上で、おれは当時者能力がある、実際おまえないじゃないかと、それはもう、一%前後でうろうろ、うろうろしていて、うまくやってくれと言う方が私は無理だという気がするのですね。 そのあたり、ぼくは、もう一回政府自体として予算の計上のあり方ですね、調停に持ち込む前の段階でもっと交渉を詰めてもらわないと、いま形式的な交渉をやって、時期が来てからストライキを構えながらやろうなんというのをいつまでも許しておくこと自体、私は、彼らにも言いたいことがあるけれども、実際は政府にも反省しなければならぬ部分がたくさんあるのではないかということを強く要請しておきたいと思うわけでございます。 そういう意味で、労働大臣の方も、有額回答もただお飾りみたいな感じでやるのじゃなくて、本当に調停の段階で妥結するんだというぐらいの気持ちで有額回答も踏み込んでもらう。そして、ことしはうまくいかないにしても、来年ぐらいからはひとつそれを一つの基礎にしながら、新しい三公社五現業の賃上げ交渉のあり方等々を開発していただく、その先兵に労働大臣なってもらいたい、私はそう思うのです。大臣、どうですか。
○藤尾国務大臣 御教導のほどを確かにしかと承っておきます。
○米沢委員 終わります。
○今井委員長代理 次に、小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず春闘の問題でお伺いをしたいと思うのです。 総理府の方お見えになっておりますか。——まず総理府の方にお尋ねをしたいと思うのですが、よく実質賃金が去年に比べて一%ほど下がったというようなことが言われるわけですけれども、私は、これは物価との関係でだけそういうことが言われているのであって、家計に立ち入って考えてみるならば、もっと大きく下がっているのじゃないかと思うのです。 総理府が家計調査をやっておりますけれども、これを私が一九七四年の分と八〇年の分と、家計の支出構成がどう変わっているかという点をちょっと調べてみましたところが、この期間に、いわゆる税金とか社会保険料などというような、生活に直接使うことができない、いわゆる非消費的な支出というのが、八・七%から一三・三〇%まで、四・六%、約五割伸びているわけですね。それだけ実際的に家計が圧迫されていると思うのです。 さらに、直接生活に使うことのできるお金という中身を見てみますと、特に公共料金の負担とか住宅ローンとか自動車関係とか、こういうようなものが家計をやはり大きく圧迫するようになっておりまして、全体としてこの一%などというような数字では考えられないような、はるかに大きな家計の苦しさというのがあるのではないかと私は家計調査を見て考えるわけです。 この点について総理府はどのような見解をお持ちか、お尋ねをします。——では、来てないそうですから、この質問はちょっと答えてもらいようがないと思うのです。私が調べたところでそういうことになっていることは、これは私が責任を持ってもう一度申し上げておきたいと思うのです。 そこで、次の質問ですが、先ほどから物価と賃金の関係が問題になっておりますけれども、私は、最近の状況というのを見れば、これは賃金が物価の後追いをしておるということは非常にはっきりしているのじゃないかと思うのです。少なくとも私は、働く人たちの生活を今後維持していく上で、こういうような物価による目減り分、また、先ほど申し上げたような総理府の家計調査で明らかになっているような実質的な税金の負担増などによる生活のダウン分、こういうようなものを見てみるならば、賃上げも統一労組懇の人たちが要求しているように三万円ぐらいは要求しなければ、いままでの生活も維持することはできないというのが実態じゃないかと思うのです。ところが、二万円ということで、ことしもまた非常に控え目な要求が出された。それを今度はさらに一万三千五百円程度の回答で抑えてしまおうというような策動が最近非常に強まっているわけです。 もしこれでことしの春闘相場ができるということになりますと、これは二年連続して実質賃金がかなり大幅にダウンしてくるということは、もう目に見えているんじゃないのでしょうか。この辺の見通し、どうお考えか、お尋ねしたいと思います。
○藤尾国務大臣 私は、さようなことはない、さように考えております。
○小沢(和)委員 あなたは、そういうことはないというふうに言うのなら、具体的な根拠を示さなければいけないと思うのですよ。先ほどから、物価などについても政府の見通しが大幅に狂いっ放しだということで、あなたは遺憾の意ばかり表しておったのじゃないですか。今度この七%前後で賃上げが抑えられた場合に、実質賃金がこの一年間をとってみれば間違いなく上がるというふうにあなたが確信する根拠はどこにあるのですか。
○藤尾国務大臣 いままで、昭和二十七年から統計をとり始めまして、実質賃金が下がったというのは五十五年度が初めてで、最初でございます。そのようなことはいままでかってなかった。これから先も、そのような、私どもの非常な誤り、そういったことは繰り返してはならぬということが前提とされまして、経済企画庁でも十二分にお考えになられて、五・三%の経済成長と五・五%の消費者物価の騰勢にとどめようということで、異常な決意で経済政策の展開を図っておられますし、現実に昨年の暮れから今日までの趨勢を見てみましても、先ほど経済企画庁からお答えをいたしましたように、この時点におきましては卸売物価は一・八%にとどまっておりますし、私は来月になればマイナスになるのではないかという期待もいたしておるわけでございます。 その卸売物価の鎮静といいますることは、常識的に考えればこれはやがては消費者物価に連動していくということは十二分に考えられるわけで、特別に季節商品でありますとか公共料金でありますとかといいまするものの大幅な刺激、そういったものを消していくことができれば、私どもといたしましては、それ相当な実質賃金の引き上げを実現することは可能である、かように考えておりますので、根本的にあなたのお考えと違っておるということを言わざるを得ません。
○小沢(和)委員 根本的に違うというわけですけれども、これは私は、来年のいまごろまた労働大臣が陳謝することになるであろうということを予言しておきたいと思います。 第一、物価が五・五%におさまるというにしてみても、いまの予想では七%しか賃上げは出ないわけでしょう。一・五%しか残らない。ところがそれが、たとえば税金だの社会保険料だの、こういうようなものが上がるというようなことでたちまち一%以上は持っていかれるのですから、ほとんど余裕はないのです。ちょっとでも狂ったら、政府の統計でもこれは間違いなくマイナスになるということは、私この機会に申し上げておきたいと思うのです。 ところで、私は最近数年間の日本経済というのを見ていると、余りに労働者が一方的なしわ寄せを受けているというふうに感じてならないわけであります。いままで、生産性の上昇に見合って賃上げをしなければならぬ、それを超えると物価を刺激するというようなことが言われてきたわけですけれども、七四年当時と今日と比較してみたら、一体生産性と賃金の上昇割合がどういうふうになっておりますか。それこそ整合性ということが言われるけれども、両者が並行して進んでいるのかどうか、これは労働省当局にお答えを願いたいと思います。
○逆瀬川説明員 製造業の労働生産性と現金給与総額の伸びを対比して申しますと、先生は七四年からとおっしゃいましたが、私の手元には昭和五十年から五十五年の数字を持っておりますので、それで申し上げますが、労働生産性は年率九・三%の伸びでございまして、現金給与総額の方は八・四%の伸びでございます。大体見合っている、こういうふうに言ってよろしいのではないかと思います。
○小沢(和)委員 あくまで現金給与というのは名目賃金ですから、実質的にこれがはるかに追いついておらないということは明らかだと思うのです。特に最近になってその傾向は急速に強まってきていると私は思うのです。 それから経済企画庁の方にもう一つお尋ねをしたいと思うのですけれども、最近の景気後退というようなことが言われるけれども、大企業の利益、内部留保はどのようになっているか。六期続けて増益になっているということはこれは一つ確認をしていただきたいと思いますし、内部留保もかなり急激に増加しているんじゃないかと思うのです。特に内部留保がどう変わったか、金額的にもお示し願いたい。
○吉岡説明員 日本銀行の全国企業の短期経済観測の調査でございますが、最初にまず経常利益を申し上げますと、大企業関係では五十三年の上期ごろから、前期に比べまして大体ずっと増益を続けております。ただ五十五年の下期は、予測でございますけれども、前期に比べて約二〇%程度ダウンするのではないかということでございます。これに対して中小企業の方は、五十二年の上期ごろから五十四年の上期まではプラスでございますが、五十四年の下期からは前期比でマイナスを続けているわけでございます。 次に、先生おっしゃいました内部留保の関係でございますけれども、これは法人企業統計の季報でございますが、五十四年ごろからは資本金十億円以上の大企業は一社当たり前年同期に比べまして大体一〇%くらいふえております。五十五年に入りましてからは大体一三、四%くらい前年同期に比べて増加をいたしております。総額で申し上げますと、私どもの計算では昨年の十−十二月期末に大体二十六兆円近いのではないかという気がいたしますが、これに対しまして資本金が一億から十億のところの中堅企業でございますけれども、こちらの方は五十四年暦年中に大体二五%くらい前年同期に比べましてふえております。五十五年に入りましてからは四−六月期以降はマイナスを続けているというのが法人企業統計季報の数字でございます。また、一億円未満の中小企業につきましては、五十四年の四−六月期以降ずっと一社当たりでプラスでございますプラスの率はほとんど一けたということでございます。 以上でございます。
○小沢(和)委員 いまのお答えでも、企業が、特に大企業が内部留保を非常に大きく増加させておるということは明らかだと思うのです。私が計算してみたところでも、新日鉄とかトヨタなどのいわゆる金属産業関係六十八社の内部留保は九兆六百億円にも達している。これは特に昨年九月までの一年間で一兆二千八百億円も増加をしているわけです。 だから、私は先ほど三万円程度の賃上げが必要だということを申し上げたのですが、これだけの賃上げを仮にこの金属関係六十八社でやるとしても、大企業の内部留保の七・八%を取り崩すだけで十分にこの賃上げにこたえることができる。それだけの余裕を企業は持っているわけです。 先ほど大臣は、労働者の要求に応じたら国際競争力がなくなって、いまにも日本経済が破綻するかのような話をしたのですが、いま申し上げたこの数字を一つとってみても、十分過ぎるくらいこの賃上げにこたえられるだけの余裕がこれらの企業にはあるということになるのじゃないですか。しかも、支払い能力だけでなしに実際にも、いま企業の側ではこういう内部留保の投資先がない、せいぜい海外投資だというようなことで、金がだぶついている。しかも一方では労働者の賃金が抑えられてきたために購買力がない。消費不況だというふうに言われている。保守的な経済学者の中でも、もっと賃金を大幅に上げることが日本経済に活力をもたらすことになるということを言っている。 大臣はこういうような点についてどうお考えでしょうか。
○細野政府委員 先生ただいま御指摘のようなもろもろの要素を全部ひっくるめまして、それをどう判断したらいいかということがまさに労使間において話し合われるべき問題であろう、こういうふうに考えるわけでありまして、外から第三者がそれらの問題について、特に政府等が介入するというふうな性質のものじゃないのじゃなかろうか、こう思うわけであります。
○小沢(和)委員 私は、日本経済についての政策を含めた政府当局の考え方を聞いているのですよ。そういうようなことは全く答弁にならないと思います。しかし、時間がありませんから、私は残念ながらこれ以上ここで論争はしません。 次に、最低賃金制の改善という点でごく簡単にお尋ねをしたいと思うのです。 先ほどもこの最低賃金制のことが問題になりました。特に金額が非常に低い。全国平均でいくと、二千八百十二円という日額になっております。対前年比で見ると、これは七%余りのアップになっているわけです。ところが、先ほどもちょっと触れられましたけれども、生活保護費などの場合で言いますと、四人世帯、全国平均ですから二級をとってみると、十五万四千六百十三円になる。これは去年八・六%アップ、ことしも八・七%アップ、この生活保護費は最低賃金に比べても一%以上大幅に上がっている。失対の賃金にしたって三千六百五十六円、これも七・九%アップ。 こういうような指標から見てみても、最低賃金の額の引き上げの幅というのが余りに小さくて、全体として賃金水準を下から押し上げるような効果というのは、こういうような額ではほとんど期待することができないんじゃないかというふうに私考えるわけですが、この点いかがですか。
○八島説明員 最低賃金につきましては、これまで毎年春季の民間企業の賃金の引き上げ状況を見まして、その引き上げ状況に大体見合った程度の引き上げを図りまして、最低賃金額の水準の維持に努めてきたところでございます。 ただいま先生から、生活保護との比較あるいは失対賃金との比較など御指摘がございましたけれども、何分制度の立て方が大分違いますので、なかなか直接的な比較というのはむずかしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○小沢(和)委員 だから、いま言われたように周辺の類似した労働者との比較ということだから、大体そのときの賃上げの率にほぼ見合ったものを上げるという考え方になると思うのですが、これではもともと非常に水準が低い状態を改善するという力にはならないんじゃないですか。低い状態を相対的にそのまま維持していくということにしかならないんじゃないかと思うのです。その点で私は、額の改善について強くこの機会に要求しておきたいと思うのです。 特にもう一言言いたいと思いますのは、東京、大阪、神奈川、愛知、あるいは兵庫、福岡というような大都市を抱えているような都府県の最低賃金が、調べてみると軒並み相対的に低いんですね。だから、こういうようなところでは幾ら最低賃金の額が定められても、これによって下から押し上げられるという効果は非常に弱い。わずかに効果があるのは、いわゆる後進地域と言われているようなところ、あるいは十人以下の高齢の婦人労働者といったようなところしかこれは効果がないんですね。もっと本格的にこの最低賃金制というものを賃金全体を引き上げる効果のあるものにしていくためにも、大都市部でももっと大幅にこの最低賃金の額を上げるということを政策的にやらなければいけないと思うのです。私のところの福岡なんかは、順位を見てみたら全国の中で二十三番目ですよね。県民所得で言えば五位、個人所得で言えば四位の県ですよ。幾ら失業者が多いとかいっても、これは余りひど過ぎるんじゃないかと思うのです。そういう点の改善をこの機会に要求しておきたいと思うのです。 時間もありませんから、質問はもう一つまとめてお尋ねしておきたいと思うのですが、決め方が私は非常に遅いんじゃないかと思うのです。大体十一月から十二月にかけて決まるでしょう。私がいただいた資料を見てみると、大阪とか兵庫とか神奈川というようなところでは九月から施行ということになっている。あるいはこれは十一月ごろ結論を出して九月にさかのぼってというのかもしれないけれども、それでもいいから私はこういうように努力をしてもらいたい。先ほどのお話では、もう早めるのは限度にくるぐらいがんばっているようなお話だったけれども、こういうように実際に九月から適用という県があるのですから、努力すればここまでいけるんじゃないですか。もっと早めていただきたい。
○八島説明員 最低賃金の決定の手続につきましては、先生すでに御存じのとおり、地方の基準局長が地方最低賃金審議会に諮問をいたしましてから、基準局によりますところの実態調査の実施、それから賃金審議会の委員によりますところの実地調査や公聴会の実施などの手段によりまして十分審議を尽くした上で決定をするということで、各地方最低賃金審議会で御努力をいただいておるところでございます。 何分、最低賃金と申しますのは、本来労使が決めるべき賃金につきまして国が罰則をもって担保してその最低限を決める、そういう制度でございますので、このような十分な手続を前に置くということが大事であると思います。その意味におきまして、私ども審議会の審議の円滑化に最大限の努力をしておるわけでございますけれども、先ほど来申しておりますような事情から、これ以上実施時期を早めるということにつきましては事実上非常にむずかしい。限界に近づきつつあるということは事実でございます。
○小沢(和)委員 しかし、先ほど申し上げたように三つの県で——三つだけじゃないですね。もっと幾つかあったようですけれども、九月実施ということを現にやっているところがあるのですから、私は、そういうところでどういうふうに早めるようにしているかというようなことも研究して、一刻も早くそういう水準まで全体を持っていくことを、これは不可能のようなことをあなたいま言ったけれども、現に可能だからできているわけでしょう。そこのところをよく考えて、その経験なども研究していただきたい。 それから次に、労働時間の短縮ということがこの春闘の中でも問題になっているわけです。ところが実際には、労働時間は最近所定内まで含めて延びているということを私申し上げたことがあるのですが、この時間というのは、あくまで公式に残業として届けられたようなものがその延長になっているということなんですけれども、私のところによく持ち込まれてくるのは、ただ働きの問題なんですよ。 たとえばQCサークルなどというような小集団の活動というのがいまどこの企業でも非常に盛んなんですけれども、時間外に何の賃金の保証もなしに、事実上強制的に作業の改善とかコストの切り下げなどの研究をやらされるというようなところがあるのですね。また教育とか研修、こういうようなものを時間外に強制的に無償でやっているというようなケースもいろいろあります。具体的に私ここで事例を挙げたいと思うのですが、その前に、この残業かどうか、賃金の支払いの対象になるかどうかという基準を、労働省がどうお考えになっているかということを確認しておきたいと思うのです。 「新・労働基準法実務相談」というのを労働省労働基準局の編著で出しておられるわけですが、これによりますと、「自主参加を建前とする合宿研修と時間外割増賃金について」の問い、これは問いの百二十九ですけれども、これに答えて、「一般に事業場がその従業員に対して行う教育・訓練が労働であるか否か」ということについては、使用者の業務命令に基づき教育を受けるということになるわけですから労働である。「その対価である賃金を支払わなければなりません。」ということをここで述べております。そして、業務命令は出されていない、たてまえとして自由参加をうたっているものについても、実際は参加しないことによって何らかの不利益取り扱いがなされるような場合には、結局参加を強制されていると見ることができるから労働であるということになる、こういう答えがなされているわけです。このことをまず一言確認してください。
○岡部説明員 先生御指摘のようなQC運動等は、最近、大企業に限りませず、中小企業におきましても、品質管理あるいは生産性向上という見地からいろいろ行われていることを承知しております。これが労働時間になるかどうかという問題につきましては、私ども、次のような三つの観点から判断をすることにいたしております。 一つは、参加しなかった場合に懲戒その他の不利益な取り扱いを受けるかどうか。それから、業務との関連性が非常に強くて、それに参加しないことによりまして業務遂行に具体的な支障があるかどうか。その他、参加が事実上強制されているかどうか。一言で言いますれば、強制が行われているか、命令が行われているかということが判断の基準でございます。
○小沢(和)委員 それでは、具体的な事例を私二つほどお尋ねしたいと思うのです。 一つは、広島にあります東洋工業です。東洋工業の問題はこの前も御質問したのですが、このとき私が陳情を受けた問題の一つがこの東洋工業の教育研修の問題なのです。 東洋工業では、新人からトップクラスまでこういう教育制度が完備しております。そして社長は、教育訓練は経営目標達成のための最も重要な施策であると位置づけて、これを大変重視している。ところが問題なのは、新人教育は全部時間内でやられておりますが、他の教育研修はかなりの部分が時間外、ときには合宿でかん詰めでやられている。だから、時間が終わってからずっとはもちろん、そこで寝ろ、朝起きてから寝るまで研修がやられているわけですね。中には、資料を見ますと、たとえば新任職長教育というようなものは二百二十二名というようにはっきり何名というのまで決められているわけですね。こういうような教育については、私は、時間外でやられるものについてはすべて賃金の支払いの対象になると考えるがどうか、ですね。 それから、いわゆる自主的だということにたてまえ上なっているものもありますけれども、いま私が先に申し上げたのは強制的な例ですけれども、自主的ということになっているものについても、職制が案内状を渡すというような形で実際上参加が指示されているわけですね。こういうような場合にもやはり時間外については当然残業分を含めて支払われるべきではないか。お尋ねをします。
○岡部説明員 QC活動等が労働時間に当たり、その分につきまして賃金が支払われるべきか否かというのは、先ほどのような基準に基づきまして、あくまでケース・バイ・ケースの判断によってこれを決するわけでございます。 先生御指摘の東洋工業のQC活動の問題でございますが、これは現在所轄労働基準監督署におきまして必要な調査を実施している段階でございます。
○小沢(和)委員 もう一つの具体的な事例は安川電機です。安川電機は、御存じのように北九州市に本社がある重電機の大手メーカーの一つでありますけれども、ここで、時間外のVIQの活動というのが労使間で長い間にわたって大きな問題になっておるのです。組合は時間外手当を要求しているわけですね。 このVIQについては、どういうものかということについて会社の出した物を見ますと、自分たちで自主的自発的にグループをつくり、会社の重点方針である品質向上、コストダウン、能率向上を目指して、こうしたらもっとよくなるのではないかということを中心にして、職場を見直し、問題を発見し、知恵を出し合い、具体的な行動をする、こういうふうに書いてあります。このVIQをそれこそ全社の機構を挙げて推進しているわけです。ですからほとんど全社員がこの小集団に組織されている。 そしてこのVIQで取り上げるテーマを見ますと、文字どおり作業の改善そのものなんですね。たとえば切断作業の見直しとか、Aダイキャスト手待ち監視作業の削減といったような、どうしてコストダウンを実現するかというような立場からのテーマが、それも最近では二カ月に一つぐらいずつそのテーマを片づけなさいということで、事実上ノルマをかけられている。これもやはり時間外に合宿などやって、それをまとめているというような実態があるわけです。会社の方は月々このVIQによって目標としては直接間接合わせて一億八千百四十八万円の節減をするという目標を立てて、去年の上半期にはこれを達成したというようなことを言って得意になっているわけですけれども、しかし実際には時間外に合宿までしてコストダウンをどうやって図るかということに知恵をしぼらされる。そしてここから出るということはまずできないということを考えたら、これはまさに賃金支払いの対象にしなければならないケースではないか。 もう一つ、もう時間がありませんからお尋ねをしますと、このVLQのリーダーの養成研修について私のところに文書があります。この養成研修は所属長経由で参加者に手渡される。やはりこれも事実上の指名なんです。そして用心深くこの通知の中では「定時外にかかる研修時間については自主参加とします。」と書いてはあるのです。しかし実際のスケジュールを見ると、二泊三日、一日目も二日目もぶつ通しでそれに参加しなければ先がわからないようにちゃんとスケジュールは組んであるんですね。 こういうようなものはもうどんぴしゃり賃金支払いの対象にしなければならないのじゃないか、この点お尋ねします。
○岡部説明員 お尋ねの安川電機におきますQC活動でございますが、これは昨年の十一月情報の提供がありまして、所轄八幡署におきまして昨年十二月三日に安川電機本社に対しまして監督を実施したわけでございます。申告に基づく監督でございます。その際使用者はもとより労働組合からも事情を聴取いたし、必要な調査をいたしたとろこでございますが、八幡署におきましては、労働基準法違反の事実はないという判断をいたしたところでございます。 しかしながら、これが強制にわたる、あるいは業務命令に基づくものというふうな、そのようなものであってはならないわけでございますので、労働時間管理につきまして労使双方に対しまして指導を行ったところでございます。
○小沢(和)委員 実際にどういうようなことがやられているかということについて私若干の事例はお話ししたわけですけれども、手元に資料も持っておりますし、さらにその点について調査をしていただきたいと思うのです。 第四に私お尋ねしたいと思うのは、婦人に対する差別をなくすという問題などであります。 この問題で最初に、これは婦人少年局になるかと思うのですが、お尋ねしたいと思いますのは、日産を相手にして、女性に対する差別定年制は無効であるということで中本ミヨさんという方が裁判で争っておりましたが、最高裁判所で最終的に勝訴しました。これは歴史的な意義を持っておるということで、私は大変評価をしておるわけです。 お尋ねしたいのは、労働省としても、若年定年制などの解消五カ年計画というのを立てて、今年度が最終だと聞いておりますけれども、まだこういうような差別定年制などを残している企業がかなりあるのではないか、そういう実態はすでに正確に掌握しておられるか、またそれを解消する見通しはすでに立っておるのか、これが一つです。 それからもう一つは、六十歳定年制の一般化ということがいま労働省の大きな目標になっているわけですが、そうなると、今度の最高裁の判決では、男女とも六十歳までは労働能力に差はないというように言っているところから見ても、当然男女とも六十歳ということで指導が行われるべきだというふうに考えますけれども、この点も念のために確認しておきたいと思うのです。
○高橋(久)政府委員 先生の御指摘のように、私どもは男女の平等の問題を進めているところでございますが、特に定年制につきましては、昭和五十二年度を初年度として、五カ年の年次計画を立てて差別的な定年が解消するように行政指導に努めているところでございます。 これまで私どもが個々の企業名まで把握いたしましたものが全部で一万八千五百ございます。これは、他の方法によります統計調査等で把握されましたものと比べてみましても、全部を一つも漏れなくとは申しませんけれども、かなり把握は行き届いたのではなかろうかと思っておるわけでございます。これまでに解消されましたものが約五割でございます。それで、私どもは最終年度を迎えておりまして、この最終年度は行政指導に力を入れまして、差別的な定年の解消を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。 行政指導を進めてまいりますけれども、この問題は、行政だけで力を入れても解消することは大変むずかしい問題でございまして、やはりこういうものをなくすという一般の機運が盛り上がることも必要であるというふうに考えておりまして、四月十日からは婦人週間が始まりますし、また秋には婦人労働旬間を実施いたしますが、そういう機会に、こういう問題に対する一般の認識を高めていきたいというふうに考えているところでございます。 それからもう一つは、六十歳未満の男女別の定年制の問題でございますが、実はこの五カ年の年次計画は、合理的な理由なく定年年齢に男女の差を設ける制度の解消を図ろうとするものでございまして、ただ重点といたしまして、結婚、妊娠、出産退職制と、男女別定年制のうち女子の定年年齢が五十五歳未満のものの解消ということを重点に置いているわけでございます。こういった計画をつくりましたのは、わが国の定年年齢の分布状況であるとか、行政の主体的能力であるとか、厚生年金の支給開始年齢が男女で違っているとか、そういうことを考えて重点を定めたわけでございますが、この計画自体が、五十五歳以上のものについては指導しないという趣旨では決してございませんで、全体の改善ということで進めているということでございます。
○小沢(和)委員 端的に六十歳定年を男女とも指導するというふうに理解してよろしいのですね。それは結構です。 ところで、こういう婦人に対する差別を解消するということで、ずいぶん前進をしてきたというように私も思うのですけれども、先ほども広島の話をしましたが、私が広島に行ったときに一つ大変びっくりしたものを見せられたのです。それは第一学習社という高校の教科書を出版、販売している会社ですけれども、ここと第一学習社全労働組合というところとの間で昭和四十九年に結ばれた協定書のトップに「男女の賃金格差は五、〇〇〇円とする。」というように、これをごらんください、堂々と書いてあるのです。仕事がどうだとかそういうようなことなしに、ずばりそう書いてある。 そして賃金表を見てみると、一般男子、一般女子というふうにありまして、ずっと表がこういうふうにできておりますけれども、確かに初任給が最初の四十九年のを見ると五千円違う。いま私が広げているのは五十一年五月の分ですが、これでいくと八千五百円、もう頭から違う賃金体系になっておる。仕事がどうかとかそういうようなことは関係ないんですね。 私は、これは明確な労働基準法の四条違反ではないかと考えるのですが、この点いかがでしょうか。
○岡部説明員 男女間の賃金格差があった場合に、果たしてそれが性のみを理由として差別的な取り扱いをしたものかどうか、すなわち労働基準法四条違反に当たるかどうかということにつきましては、その格差というものが具体的に職務あるいは能率、技能等々、もろもろの要素の差によるものであるかどうかというふうな観点も含めまして、あくまで実態を踏まえまして総合的に判断すべきものであるというふうに考えます。 先生ただいま第一学習社という例をお引きになりましたが、これは労働基準法四条に係ります申告も出ておりませんで、したがって、私どもその実態を把握していないわけでございます。したがいまして、この場で基準法違反に当たるかどうかというふうな判断めいたことを申すことは差し控えさせていただきたいと存じます。
○小沢(和)委員 私がこういう現物もお見せして調査を要請したわけですから、ぜひこれについても調査をしていただきたいと思うのです。 そこで、文部省にこの機会にお尋ねしたいと思うのです。 先ほども申し上げましたように、第一学習社というのは広島にある高校教科書をつくっている会社で、全国でも五指に入る企業でありますけれども、ここではこの賃金だけでなしに、女子社員の人が産休をとって、それが明けて出社したら配転だという問題も起こっているのです。地労委に持ち込んだら、これは不利益取り扱いだということで復帰命令が出たけれども、驚いたことにピケを張って就業させなかった。こういうような問題も起こっているのです。 私はその話を聞いたときに、この第一学習社が国会議員の後援会に対して献金しているとか、文部省といろいろ関係があるとかいうような話も聞きましたけれども、きょうは時間の関係もありますから、そこまでは私触れません。しかし、こういうような姿勢というのは非常に問題じゃないかと思うのです。特に、この会社の森中という総務部長は、裁判所や地労委などで負けたって憲法や労組法の方が間違っているんだ、こういうことを言ってはばからないような人ですし、また労組の役員を常務が突き飛ばしたとか、女子社員に平手打ちを食わしたとかいうようなことも私陳情を受けているのです。 こういうような憲法感覚が麻痺した、暴力的な体質を持った会社が教科書会社ということで果たして適当なのかどうか。私は文部省の見解をお尋ねしてみたいと思うのです。
○鈴木説明員 文部省と教科書発行会社の関係についてでございますけれども、検定あるいは教科書の発行、供給という面で関係しているわけでございます。したがいまして、文部省といたしましては、教科書の発行、供給に支障が生じないように、労使双方円満な解決というのを期待しているということでございます。
○小沢(和)委員 それは円満な解決を期待していることは、もう私も全くそう思います。もっともっとそこがもめてほしいなどとは、あなた方も思わないと思いますけれども、しかし、教科書をつくる、子供を教育する本をつくるという点で教科書問題というのはいま盛んに国会の中でも議論の対象になっているように、こういう大切な事業に携わる会社がこんな中で憲法も何も無視したようなでたらめなことをやっているというのがまかり通っていいものかどうかということについては、文部省ももっと見識のある見解を述べてしかるべきだというふうに私は考えます。しかし、その点についてあなたがそれ以上言わないというのであれば、時間もぼつぼつ気になりますからそれ以上聞きません。 最後に、私は申し上げたいと思うのですけれども、この教科書会社には昭和四十八年に労働組合ができたのですけれども、その後経営者は、それこそ組合を目のかたきにして組合に対していろんな圧力をかけてきたわけですね。解雇三名、懲戒処分が一年間で何と百六件、配転それから賃金や昇格などの差別、暴力事件、村八分、これは全く不当労働行為のデパートだというふうに言われるようなひどい状態です。先ほどの女子に対する差別賃金のことでもおわかりのように、余りに前近代的な感覚でこういうでたらめなことをやるものですから、地方裁判所とかあるいは高等裁判所などで二十一回にわたって裁判で争ったけれども、全部会社は負けた。地労委でも四件争われたが全部救済命令が出た、こういうような状況だということなんですね。 これは地方の事件ではありますけれども、私は余りにでたらめな事件じゃないかと思うのですね。この労使関係の近代化また正常化のために労働省としてももう少し関心を持ってしかるべき事件、事態ではないかと思うのですが、最後に労働省の見解をお尋ねして、質問を終わります。
○中村説明員 第一学習社の件につきましては、御指摘の時点で急いで取り調べましたけれども、必ずしも実態が全部わかっておりません。しかし先生御存じのとおり、労使関係それ自体の紛争の処理というのは労働委員会なり、あるいはそれが法律問題でございますと裁判所等で判断していただくということになりますので、具体的個々のケースについて私どもがそれがいいか悪いかというのを言うことは差し控えさせていただきたいと思います。 なお、一般的な問題といたしまして、労使関係が荒れているというのは好ましくないという意味での指導は労働行政の一環としてでございますが、労使関係についての具体的な指導ということにつきましては、都道府県にあります労政担当課、そこが具体的に行うということになっておりますので、先生の御指摘も受けまして事情を調べて、広島県の方と連絡をとりまして適切な処置をとりたい、こう思っております。
○今井委員長代理 次回は、明後九日木曜日午前九時四十五分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四分散会