交通安全対策特別委員会 第7号
- 発言数
- 254 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/04/22
会議録
○斎藤委員長 これより会議を開きます。 自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 今度の運輸省が提案してきました自動車事故対策センター法の一部改正案でありますが、自動車事故による重度後遺障害者の療養施設を整備するということになっているんですね。運輸省がこの法案を提出する、いわゆるこの施策を立てるに至った経緯と理由について、改めて運輸大臣の方から簡単に説明していただきたいと思います。
○飯島政府委員 お答えいたします。 現在自動車事故は年間四十七万件に達しており、死亡者は八千七百六十人、負傷者も五十九万八千二百人という状況で、モータリゼーションの進展は依然として続いておりまして、五十六年の一月末で三千八百九十七万台に達しております。この間に毎年後遺障害を受ける方々は四万人くらい発生をいたしております。その中でも、特に自動車事故によりまして頭部等に重大な損傷を受けまして、その後の治療にもかかわらず寝たきりの状態に陥り、治療及び常時介護を必要とする人たちは、大体現在事故対策センターが介護料を支給しておりますのが年に四百五十人から五百人に達しますが、現在どういう状況に置かれているかと申しますと、一般の病院に入院しているか、または自宅で介護を受けている状況にございます。一般の病院に入院している場合は、専用の介護人または家族の介護が必要であるため、その家族は大きな経済的、肉体的負担を強いられている現状でございます。また、在宅の場合にあっては、病院と同様の負担を強いられているほか、適切かつ十分な治療及び介護が行われにくいという問題がございます。 このような実態にかんがみまして、これら重度の後遺障害者について適切な治療及び介護を確保するとともに、家族の負担の軽減を図るために、治療及び養護をあわせて行う重度後遺障害者の専用の施設を整備することといたしまして、昭和五十四年度予算編成の段階から予算要求を行ってきたところでございますが、昭和五十六年度予算におきまして、自動車事故対策センターがこの施設を設置することが認められましたので、本法律案を提出した次第でございます。
○永井委員 厚生省にお聞きいたしますけれども、本来この医療行政に責任を持つという立場からしまして、この改正案の策定に至る経過の中で、厚生省としてはどのようにこの問題に対応されてきたのか。提案は運輸省でありますけれども、厚生省としてどうなのか、ひとつお聞かせください。
○水田説明員 お答え申し上げます。 厚生省は、医療供給体制の整備については、都道府県とともにその責務を負っているわけでございますが、労災の認定患者について専門的な立場から治療を施すために、各地で労災病院が整備されておりますと同様の意味合いにおきまして、今回運輸省の方において、交通傷害に起因する遷延性の高度意識障害者についての専門病院を整備していただくことは、私どもとしても大変結構なことである、このように考えている次第でございます。
○永井委員 労災で身体障害者になられた方、あるいは交通事故で身体障害者になられた方、いろいろ原因は違うのでありますけれども、これは労災だから労働省、労災病院でやればいい、交通事故だから運輸省の管轄で、運輸省でやればいい、そういう縦割りの行政というものが、私は日本の医療行政全般についてきわめて問題を残してきているんではないかという気がするわけであります。この国民の健康を守っていくという医療行政、そして、不幸にしてそういう障害者になられた方々の治療あるいは養護、こういう問題について、事故対策センター法に基づいて一つの施設をつくる、そのことで厚生行政としては果たして十分なのかどうなのか、もう一度厚生省の関係からお聞かせください。
○水田説明員 お答え申し上げます。 最終的に医療のあり方、進め方、それらにつきましては厚生省が責務を持っていることは御指摘のとおりでございますが、同じく国という立場で、それぞれの立場からそういう観点で御協力をいただくということは私ども好ましいことではないかと考えておる次第でございます。事実、文部省におきましても、高度の医療というものを大学の付属病院等においてそれぞれの大学が設置されておりますところの地域社会において貢献をしていただいているわけでございまして、私どもはこれらのそれぞれの事業の実施主体と十分協力しながらそれぞれの目的にかなうように努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○永井委員 それでは運輸省に聞きますけれども、この「自動車事故による重度後遺障害者の実態」というのが私たちの要求した資料説明の中に書かれているわけでありますが、その資料によると一応四百四十四名という数字が出てきておるわけですね。全国の実態からすると、把握されたのがその数字であって、実際はもう少しいるのではないか、六、七百名いるのではないかというふうにさえ言われているわけですね。これらの被害者の家族は口で言えないような御苦労をなさっているわけですね。患者の介護、肉体的、精神的な負担、経済的な負担、こういうものは私たちにとって、健常者にとってははかり知れないものがあると思うのでありますが、運輸省はこのような実態に対していままではどのように対応されてきたのか。今度は施設をつくって収容していきたい、こういうふうに言われているわけでありますが、それでは現在六、七百名と想定される重度後遺障害者の存在する実態の中でいままではどういう対応をされてきたのか、これをひとつお聞かせください。
○飯島政府委員 お答えいたします。 五十四年の八月から、頭をやられましていわゆる植物人間状態になった方々の家族に対しましては介護料を支給する制度を実施いたしております。大体年間四百五十人、一旦二千円、月九万円の介護料を支給いたすこととして現在に至っております。 なお、五十六年度予算におきましては対象を拡大いたしまして、脊髄損傷によって寝たきり状態になっている方々の家族に対しましても同様に介護料の支給をいたすことといたしております。
○永井委員 いま御答弁の中でいわゆる植物人間という言葉が出てきたのでありますが、私はこの言葉を安易に使い過ぎることについて考え直していかなければいかぬのではないかという気がするわけですよ。いま片方で政府が法律の中の不快用語というものを排除するということで改正案の提案をしているわけでありますが、この植物人間という言葉が安易に使われ過ぎる、これはどうも現状の社会情勢からなじまない、私はこういうふうに考えますので、これは私の問題提起として申し上げておきますので、後で御答弁のついでのときにひとつこの問題については見解を聞かせていただきたい、このように思います。 それでは次に、交通事故による負傷者数というのは毎年六十万人近くにも上っているわけですね。そのうち重傷者数というのは重度後遺障害者を含めまして大体五、六万、こういうふうに言われているわけでありますが、この後遺障害に苦しむ被害者はこれからも年々増加していくのでないかという危惧さえ持たれているわけでありますが、今回の法律の改正案の提案に対しまして運輸省としては、あるいは医療行政に携わる厚生省としても将来構想というものを当然持っているだろうというふうに想定するわけでありますが、養護あるいはリハビリテーションという問題についてどういう将来構想を持っているのか、これをひとつ明らかにしてください。
○飯島政府委員 今回、自動車事故対策センターが設置いたすこととしております療護施設は他には類例がないわが国で初めて設けられる特殊な専用の施設であるということで、当面一カ所モデル事業として整備することといたしておるわけでございますが、将来の整備につきましてはその成果を踏まえまして今後検討をすることといたしております。
○永井委員 同じ問題で、厚生省はどうですか。
○水田説明員 お答え申し上げます。 遷延性の高度意識障害は各種の原因によって生ずるわけでございます。その一つのグループとして交通事故によるものがあるわけでございますが、そのほかにもガス中毒あるいは肝臓がんの末期になりますと解毒作用ができませんでやはり意識障害を起こすというようなことで、遷延性の高度意識障害というものは各般の態様で起きてくるわけでございまして、これらの人についての的確な治療、介護ができるような体制整備ということは、今後、老人の脳卒中障害後遺症としても当然出てまいりますので、広範な観点から私ども検討し対策を講じてまいらなければならぬ、こういう意識を持っているわけでございます。私どもとしましては、現在、医療法の改正を計画いたしておりまして、各都道府県に地域医療計画を策定していただきまして、その中でこれらの問題並びにその後におきますリハビリ対策等も総合的に対策を講じてまいりたい、こう考えているわけでございますが、先ほども運輸省の方から御答弁がありましたように、こういう遷延性の高度意識障害者に対して、初めてのモデル的なアプローチとして専門的、集中的におやりになるということは、私どもが今後進めてまいります地域医療計画の上において、各種の病院における整備を図る上においてもいろいろな貴重なデータその他のあり方につきまして示唆を受けるものが多々あるのではないかという意味で、高く評価をいたしているところでございます。
○永井委員 一カ所モデルケースをつくって、その成果を踏まえて将来の構想を立てていくということでありますけれども、現実にいま私が指摘しましたように六、七百名という重度後遺障害者がいるわけですね。これはいまからつくって、法案の提案理由の説明の中身で見ますと五十八年度からオープンしたい、こういうことのようでありますけれども、では現在たくさんいる重度後遺障害者という人は一体どこで救われるのか、私はその現実の問題にぶち当たってくると思うのですね。もちろん、いろいろな施策を進める上において一つのものをつくってみて、活用してみて、それから次の段階ということはわかるのでありますけれども、これだけ交通戦争と言われておるさなかでそんな悠長なことだけを考えておるわけにいかぬ、私はこう思うわけであります。したがって、いま厚生省からも御答弁があったのでありますが、厚生省が交通事故による重度障害者対策というものは厚生省なりに緊急的な課題として取り組まなくてはいけない。交通事故だから運輸省にということだけでは済まぬ問題をはらんでいると私は思うのであります。この関係について再度、厚生省御答弁願います。
○水田説明員 お答え申し上げます。 先生の御指摘ごもっともだと考えております。先ほどもお答え申し上げましたように、遷延性の意識障害者というのは交通事故以外でも多々あるわけでございまして、これらの患者はそれぞれ各地におきますところの医療機関において収容され、措置を受けているものと考えているわけでございます。と申しますのは、これら遷延性の意識障害者というものは、口腔を通じましての栄養補給でありますとかたんによる窒息防止という、いわゆる二十四時間を通じての医学管理下に置かなければならぬ重症者が多々あるわけでございますので、これらはそれぞれ被害を受けた地域における医療機関において措置を受けているというふうに考えているわけでございます。 今回、運輸省の方においてさらに専門的な立場から、これらについてのより有効な対処の仕方についての方策を含めておつくりいただけるということは、大変卑近な例で恐縮でございますが、競馬の福永騎手は奇跡的にいま回復をいたしておりまして、こういう専門の施設をつくっていただくことによってそういう遷延性の高度の意識障害者についての医学的なアプローチというものがさらに開発研究が進められるということは、これら患者にとっても大変福音ではないかと私ども考えている次第でございます。
○永井委員 専門的な立場からそういう対応をされていくということは当然厚生行政の一つの大きな使命でありますから、それはそれでいいのでありますが、しかし重度後遺障害者というのはいわゆる一般の身体障害者ではないということで、厚生省管轄の身体障害者の療養施設に入ることが非常にむずかしい、このように聞いているのでありますが、それはどうでございますか。
○板山説明員 御指摘の遷延性高度意識障害者は、確かに外形的には肢体が不自由である、食事あるいは着衣あるいは排便その他にとって大変障害を持っていらっしゃる方でありますが、専門的な立場から申し上げますと、高度の医学的な管理を必要とする、まさに患者、病人という状態にあるわけでございまして、現在、身体障害者の重度障害者に対します療護施設というものがありますけれども、この施設をもってしてはこのような人たちに対する処遇は適切に確保できない、そういう観点から今日では、先ほど総務課長からも説明を申しましたように、病院がその管理、受けざらとなって専門的な治療を行っているという実態にございます。身体障害者の施設につきましては、症状が固定しかつ永続する、そして医学的管理からは一応脱したという状態の人々を対象にする施設、このようにお考えをいただければありがたいと思います。
○永井委員 病状が固定をし永続をするという人、こういう人についてのみこういう療養施設に入れることができる、こう言われているのでありますが、しかしその固定し永続するまでの間は一体どうするのか。いま新しくこのセンターがつくられる、私はそのことはそれなりに非常にいいことだと思うのですよ。いいことだと思うのでありますが、たとえば一般療養機関へ入っている患者さんが完全に病状が固定し永続するまでの間に退院をさせられるというケースも非常に多い、こういうことも私は聞いているわけでありますが、当然いまの御答弁からいくと、病状が固定し永続的なものになる、そのときにはそれなりの対応ができたとしても、それまでの間それでは一般の病院において十分に治療、介護ができるようにしていかなくてはいけない。もちろんセンターがつくられることは好ましいとしても、そのセンターは五十八年からオープンだ、そしてそのセンターができたとしても、運輸省の説明によると五十名程度しか収容できないというのですね。現実に運輸省の調べでも四百名からのそういう対象者がいらっしゃる、実際はもっと多いだろう、こう言われているときに、あとの人たちが固定化するまでに、あるいは永続的な状態になるまでに治療、介護は一体いまのそういう病院などにおいてどのように対応していくようなことを考えているのか、私はこれが当面の緊急の課題だと思うのですよ。そういう関係について厚生省、医療行政を進める立場でひとつ御答弁ください。
○水田説明員 お答え申し上げます。 これらの高度の意識障害者につきましては、先ほどから申し上げておりますように、かなり看護の面でも手厚いケアを要する人たちでございまして、結果的において先ほど運輸省の御説明の中にもございましたように、家族による付き添い介護というものを現実に要求している病院もあるやに承るところでありますが、患者にとっての、家族にとっての経済的負担という問題が伴ってまいりますので、今回の診療報酬の改定につきましては、これは保険局の方でございますが、こういうものを解消すべく診療報酬の改定の中で十分な手当てをするという方向でいま検討が進められておりますので、こういうことと相まって、これら各種の疾病から生じますところの家族介護を要する、あるいは付き添い介護を要するようなものについて院内の看護婦をもって対処できるように診療報酬のあり方を整備してまいるということが重要なことではないかと考えている次第でございます。
○永井委員 病気であろうと労働災害であろうと交通事故であろうとあるいは先天性のものであろうと、心身障害者になられた原因というのはいろいろ違っても、出てくる形というものは一緒なんですね。したがって、国民がひとしく受ける権利という関係からいくと、交通事故による重度後遺障害者だけが一般病院でずっと入院生活を続けることがなかなかできないというのは私は問題だと思うのですね。したがって、介護料の話も出ましたが、介護料を支給すればよいという問題ではない、これが一つですね。 そして、いま御答弁があったように、診療費の改定などとの関係で十分な医療費の充実を、こう言われておりますが、もちろん治療に当たられる側のそういう対策というものも大事でありますが、しかしこの施設というものについてもまだまだ不十分過ぎる。そういう重度後遺障害者の方々がその発生した近くの地点で十分な養護、介護を受けるような施設をまず考えていくということが私は大切じゃないかと思うのですね。病院でなかなか長く置いてくれない、だから家へ引き取らざるを得ない、家へ引き取るから家族の方は精神的にも肉体的にも経済的にも大変な負担を強要されることになってくる、こういう問題がありますので、これはひとつ厚生行政としてもう一度全般的に考え直してみるべきではないか、私はこういう気がしてならぬわけであります。 そこで、時間がどんどんたっていきますので、次に入りますが、この政府提出による療養施設、これはいま申し上げましたように、これのみでは現状の重度障害者に対して対応できないことは明らかなんであります、わずか五十名程度しか入ることができないのでありますから。いま申し上げたように、交通事故という問題に関連して、今度提案された運輸省が、厚生省との関係において協議を進めて、どのように具体的に既存の病院などについての充実を図る構想を持っておられるか、これはひとつ運輸省の方からお開かせ願いましょうか。
○棚橋説明員 厚生省の方からお話もございましたように、このような方に対する病院での介護というものが現在よりもやりやすくなるようにするという点につきましては、今後も私ども十分厚生省の方とお話し合いをして御協力をいただいていきたいというふうに考えております。 それから、運輸省自体といたしましては、先生御指摘のように、介護料を給付すればいいというものではないということも言えるかと思いますけれども、やはり介護をされるには付添人を雇ったりということで経費がかかるわけでございますので、介護料を支給するということを今後とも充実していきたいというふうに考えております。そのようなこととあわせ相まち、さらに新しい試みでございますこの新しい施設の成果を十分踏まえまして、将来のことを考えてまいりたいというふうに考えております。
○永井委員 いままでの御答弁をずっと総括的に考えてみますと、このセンターを設置することと現状における重度後遺障害者に対する対応策というものは、ギャップが大き過ぎると私は思うのですね。もちろんセンターがつくられても入所できる人の数は知れているのですから、現実にいまの状況の中でそういう対象者にどのように政治が手を差し伸べていくのか、このことが一番重要な問題だと思うのですね。ですから、いま言われたように、いまの施設ではどうのいまの医療体制ではどうのということだけではなくて、そういうところに問題があるから、いまの時点で、いま現在ある一般病院なども含めてこの重度後遺障害者などに対する対応策を手厚くしていくというこのことが当然具体的に並行的に示されていいのではないかという気がするのであります。非常に執拗な質問で恐縮でございますが、厚生省、もう一回この関係についてお聞かせ願えますか。
○水田説明員 お答え申し上げます。 自分の生活している場において必要な医療の供給体制が整備されているということが最も基本的にあるべき姿であろうかと考えているわけでございます。ただ、専門、高度あるいは特殊疾病というものについては、採算性その他の面から見てやはりある程度集中化をとらざるを得ない面も出てまいろうかと考えているわけでございますが、これら需要も十分把握した上で、それぞれの一つの県を単位とした地域医療計画を策定する中で基本的には解決してまいらなければならない問題であろうかと考えております。当面、現実の問題として、先生が再三御指摘になっておられますように、これらすでに障害を受けておられる方が、それぞれ入院している先の病院において家族の方の負担にならないような解決策を講じてまいる必要があるわけでございます。そのためには、根っこになっております診療報酬について整備を図ることによって必要な医療が当該病院で受けられ、かつ家族の方の経済的負担を解放するという方向に向かって努力をし、解決を図ってまいらなければならぬ問題ではないか、このように考えている次第でございます。
○永井委員 とりあえず当面の対策として、一般の病院、現在ある病院の施設についてさらに充実をするようにひとつ積極的な対応を求めておきます。 そこで、次に運輸省提出のこの昭和六十年度の自賠責保険の収支の推定を見ますと、再保険分だけでも五百三十二億円の赤字ということになっているわけですね。元受け分を含めますとさらに大幅な赤字が当然予想される。こういう状況の中において、いま運輸省が進めようとしているこの療養施設の正常な運営が果たして確保されるのか。そうして、この施設が稼働してまいります、あるいはこれからモデルケースとしてさらに次へ飛躍し、発展をさせる、こういうことになってくると、自賠責保険の収支内容がそういうことでありますので、私は当然自賠責の保険料に大きな問題が生じてくるのではないかという気がするわけです。極端に言えば保険料の値上げという問題がここに出てくるのではないかと考えるのでありますが、この種の問題が仮にそういう状態になったとして、自賠責の保険のみで対応すべき問題なのかどうなのか、これを大臣にひとつお答えいただきますか。
○塩川国務大臣 今回のこの施設は、いわゆる自賠責の運用益の中の、ごく一部と言っては恐縮でありますが、それをもちましてとりあえずモデルケースとしてやろうということでございまして、いま永井さんが御質問しておられる中にございましたように、当然既存の病院が整備するのが望ましい。しかしながら、長期療養を抱えて、病院全体の運営のバランスからいいましても、むずかしいそういう方がおいででございますから、現在のところこの自賠責の方に多少なりとも余裕がありますので、それを充当して救済措置を講じたらということでございました。 しからば、この自賠責のこれからの推移を見ると、大きい赤字が出て、その分が保険料にはね返ってくるのではないかという御心配があると思うのですが、私たちいま見ておりますのに、ここ当分の間はそういう心配はないのではないか。しかし、これが自動車事故の件数が飛躍的に上がるとかいうことになりましたらまた別でございますけれども、いまの時点においては余り大きい変動はないのではないかと思っております。
○永井委員 いま大臣はそういう御答弁でありますけれども、これはオープンが五十八年の予定でしょう。そうして六十年の見通しでは、いま私が申し上げましたように大変な赤字が推定されるという状況ですので——自賠責の保険は全く関係ないのだということなら別でありますけれども、自賠責の保険からその資金を充当するということになってくると、必然的に大きなしわ寄せが出てくるのではないか。運営費だって、運輸省の説明資料によりますと大変な数字なんですね。金額的には大きな数字になっている。そして片方で、一体入院者が一切負担をするのかしないのかという問題も明らかになっていない。赤字になってくるからということで入院者に、入所者と言ったらいいのですか、入所をされる方々にもし直接負担を求めるということになってくると、これまた別の意味から問題が起きてくると考えるのでありますが、これはどうでございましょうか。運輸省の飯島局長、答えていただけますか。
○飯島政府委員 お答えいたします。 自賠責の収支の関係からの御議論、あるいは運用益の状況について、こういうものをやってうまくいくかどうかというお話かと思います。大臣の答弁と若干重複いたしますが、自賠責再保険特別会計の運用益は、毎年六百億円強の発生が見込まれます。それから、いままでの累積が五十四年度で二千三百五十億、五十五年度で二千九百五億、約三千億でございます。それで六十年度は、確かに御指摘のように保険収支は単年度では赤字になると見込まれるわけでございますが、積立金がその時点で五千六十一億円ございますので、この一部をこういった施策に使いましても、すぐに保険料の改定問題にはならないということでございます。ちなみに、この一カ所の運営維持費は二億七千万と見込まれますので、確かに施設の整備については若干のお金を要するわけでございますが、全体の運用益の状況を見ますと、このことでは保険料には響かないということでございます。 それからなお、この自賠責保険の運用益を使ってこういう施策をやる考え方でございますが、自動車事故と申しますのは、先ほども申し上げましたように四千万台近くに車がなっておりまして、いっこういう被害に遭うか、あるいはまた逆にこういった事故を引き起こすかわからないような潜在性を国民一般に秘めておるのでございます。また、交通事故に遭うということは、一方で加害者集団があるわけでございます。したがって、そういった突発かつよそのといいますか、自動車交通の原因で重傷、複雑多様な症状を呈するということでございまして、そういう責任のある集団がいるということでございますので、自動車損害賠償保障制度の補完として、交通事故による被害者に対して、他の被害者と違った特殊性もございますし、若干手厚い施策をしてもよろしいのではないかと考える次第でございます。 〔委員長退席、安田委員長代理着席〕
○永井委員 その時点で積立金が五千六十一億円ある、だからそこから充当するというお話でございますけれども、これはセンターを一カ所モデルケースとしてつくって、全国に仮に十カ所つくるということになると、こんな資金ではとうてい追いつかぬわけですね。そういう問題も含んでいるということから、この自動車損害保険というのは非常に大きな問題をこれから与えてくるのではないか、私はこういう気がするわけであります。そこで、それに関連をして、自賠責が仮に料率が値上げされるということになると、当然任意保険にもかなり大きな影響をもたらしてくる。これは連動してくると思うのです。 そういう関係から、私は関連してその問題をちょっとお聞きしてみたいと思うのでありますが、たまたま週刊誌に、これはコピーをとってきたのでありますが、「自動車保険の契約と支払いはこんなに違う」なんていうセンセーショナルな記事が出ているわけです。ことしの初めにも、これは東京タイムズという新聞でありますが、こんな大きな記事が出ております。この中を見てみますと、自賠責の問題との関連で任意保険がクローズアップされてくるわけでありますが、この任意保険の関係で非常に不明朗な点があるということを盛んにあらゆるところで提起がされています。これは、全損保労働組合が出した本がいま発売されていて、かなり売れているそうでありますが、任意保険というのは一体どういうものなのかということで問題点がえぐり出されているわけであります。私はここに中を読み上げれば幾つか例があるのでありますが、この任意保険というものがある意味で言うと加入者を食い物にしていると言ったら語弊がありますけれども、そういうふうに言ってもいいのではないかという問題点をはらんでいるような気がしてならぬわけであります。火の気のないところには煙は立たぬで、いろいろな問題があるからこういうことが記事になっていくわけです。したがって、直接自賠責の問題ではないのでありますが、任意保険の問題についてちょっとお聞きをしてみたいと思うわけであります。 まず一つは、保険料の負担の公平性という問題が出てまいります。いま御承知のように、任意保険でいうとそれぞれ割引という制度がとられているわけですね。団体割引とか無事故割引とか、いろいろな割引率があるのでありますが、おしなべて、いま定められている割引の率でいきますと、団体割引が一〇%、無事故割引が五〇%、これは最高ですが、車両とセットした場合は五%、運転者を限定した場合は一〇%、全部ひっくるめて適用を受ければ七五%の割引率になる。結果として二五%の掛金で運営がされる。そうすると、この団体割引の適用を受けないような一般の人たちはこの割引率がないわけでありますから、きわめて高い負担率になっていく、こういう問題があるわけです。さらにその上に団体割引の拡大ということまで現在計画されている、これは一〇%だと言われているのでありますが、もしこれが拡大されますと、何と八五%も割引をされてしまう、こういう問題があります。そしてその任意保険の加入を勧めている業者は、いま非常に過当競争に入っておりまして、聞くところによると、その競争の中で生き抜いていくために同種の業者に対して徹底的な対決意識を持っていくといいますか、これはある意味では商道徳の関係でもありましょう、あるいはよい意味で言うと、企業、業者というのは当然競争があっていいのでありますから、それはそれでいいのでありますけれども、そういう大きな損保会社がこういう割引率を振りかざして自分のところへ加入者を全部集めてくる。こういうことが結果としてその他の自動車共済などに対して大きな影響を及ぼしてきているわけです。この問題についてどのように実情を認識されているか。これは大蔵省の保険部長、お答え願えますか。
○松尾説明員 任意の自動車保険についてのお尋ねでありますが、まず保険料負担の公平性の問題についての御質問がございました。保険料負担の公平性ということはなかなかむずかしい問題でございますが、保険料というものが危険に見合って設定をされていく、これは自動車保険に限らないわけでございまして、大変簡単な例を申し上げますならば、たとえば火災保険において木造の建物と鉄筋コンクリートの建物では火災の危険にかなりな違いがある。そういうことから、木造のものは不燃構造のものの二倍とか三倍という保険料率になるというようなことが広く行われておるわけでございます。 自動車保険におきまして、そういう危険に応じて保険料をどういうふうに設定をしていくか、これはいろいろな考え方がございます。いま割引で一番大きなのは無事故割引でございますが、これは当委員会でもしばしば御指摘ございましたように、同じような保険料ということがかえって不公平ではないか。つまり事故を起こす人とずっと無事故である人が同じ負担であるということは不公平である、こういうことから、無事故の人には割引を行うといういわゆるメリット料率、反対に事故を起こした人には少し高い料率を掛けるデメリット料率、こういうものが設定をされておりまして、無事故割引につきましては現在一年間に一〇%ずつ、御発言ございましたように最高五〇%まで、これはどういう職業の人であるとかどういう団体に属しておるとか、そういうことに全く関係のない話でございまして、事故を起こさない善良なドライバーを優遇をしていく、そういう意味で負担の公平が図られている、こういうことでございます。 割引の種類はそのほかにもいろいろございますが、一つ御指摘になりました団体割引、これは現在最高一〇%ということになっておりますが、どういう考え方によってこういう割引をしておるかと申しますと、一つの集団におきましてそこで交通事故防止策がいろいろ図られておる。具体的に申し上げますと、保険会社が積極的にその団体に対しまして損害防止サービスを行って、かつその集団としての損害率の検証を行いまして、一般よりも事故率が低いという実績が検証された場合に、一〇%を限度に割り引くということをいたしておるわけでございまして、これが現在は五千台以上の場合ということに限定をして行っております。これは五千台以上の団体について自動的に割り引くというものではございませんで、いま申し上げましたような損害防止サービスあるいは事故の実績、そういったものの検証に基づいておりますので、五千台を超える団体であってもこの割引の適用を受けないという場合もあるわけでございます。五千台というのはかなり大きな団体でございますので、この五千台をもう少し下げていったらどうかということがいまいろいろ検討されておるわけでございまして、そういった事故の実績等を検証してその事故率が低いというものについて割引を適用していくということは、全体の無事故割引の考え方と同様にこれを一概に不公平だということは言えないのではないかというふうに考えておるわけでございます。 なお、御指摘のありましたいわゆる過当競争の問題でございますが、これはわが国におきましては現在この料率が一本化されておる。そうすると、いろいろな商品におきましては、値段の高い低いであるとかあるいは商品のサービスの質で競争が行われるというのが通常でございますが、自動車保険につきましては、御案内のとおり現在統一商品と申しますか全社が同じ商品を売る、それから料率も同じ料率で売るということでありますので、そういたしますと競争というのがとかくシェア競争ということに流れがちなわけでございます。そういった面で、一部におきまして大変過熱をした競争が行われがちであるという面があるわけでございまして、大きな意味で募集秩序と申しますか、そういう消費者に迷惑がかかるような競争ではなくて、本当に契約者のためになるような競争原理をどう導入していくかということは、いま私どもいろいろ審議会での審議等をお願いをいたしまして検討しておるところでございます。
○永井委員 時間がありませんので、答弁はできるだけ要領よく簡単にしていただきたいと思うのでありますが、ある意味において自動車保険を扱っている損保業者とたとえば農協共済とか自動車共済とか、こういう共済制度で行っているところと非常に対立が激しいといいますか、そういう問題を私は幾つかの例で聞いているわけであります。したがって、そういうことからいたずらに加入者に迷惑がかからないように、具体的な問題はなかなか提起する時間がございませんので私は申し上げているのでありますが、むしろ大手業者よりも中小損保といいますか、そういうところの経営を守っていくというためにも、全契約一律に料率を引き下げるということなどを考えていくべきでないか、こういうように指摘をしておきたいと思うのであります。 そこで次に、たとえばこの料率の関係でありますが、やはり保険料というものは一つの公共性を持ったものだと思うのです。国鉄の運賃の値上げにしてもその他の公共料金の値上げにしても、公聴会などで意見を聞くというようなことがあるのですが、実際この保険料率の算定に当たってはやみからやみに行われているという具体的な事実がある。しかもその算定委員会のメンバーは、私ちょっとここに持っているのでありますが、そのメンバーを見ますと、損保の料率の算定会の役員というのは全部で二十三名いるわけでありますが、この二十三名のうち業界代表が十四名、学識経験者が六名、大蔵省のOBが二名、それから公認会計士が一名、こういう構成になっているわけですね。ここには、たとえばユーザーの代表もあるいは代理店の代表も整備工場を受け持つ代表も、こういう者は一切入っていない。いわば業界が業界の都合のいいように料率を決めていっているのじゃないかという疑いすら持たざるを得ないわけであります。こういう関係について一体どう考えているか、時間がありませんのでひとつ簡単に御説明願います。
○松尾説明員 簡単にということですので、簡単に御答弁申し上げます。 御指摘のとおり現在保険料率の算定は、損害保険料率算出団体に関する法律に基づいて設立されました料率算定会が算出をし、大蔵大臣の認可を得る。ただいま御指摘ありましたような問題、つまりもう少し中立的なあるいはいろんな分野の意見を反映すべきではないか、あるいはその料率算定のプロセスと申しますか、もう少し透明性というものが必要ではないかという御指摘は、私どもも全く同感でございます。ただいま保険審議会で損害保険事業のあり方という討議をいただいておりますが、そういった中でも御同様な御指摘がいろいろございまして、近くその辺を含めた答申をいただくことになる予定でございますので、それを踏まえて私どももこの料率算定のプロセスあるいは料率の透明性ということについてできるだけ前向きに取り組んでいきたい、かように考えております。
○永井委員 できればメンバーの構成関係も含めて、この際一挙にメスを入れるぐらいのことをやっていただきたいと思います。 時間が切迫してきましたので、次にもう一つだけ問題提起をしておきますが、防衛庁で防衛庁の職員を対象にした自動車保険の団体取り扱いということをやっているわけでありますが、いろんな問題が私のところに持ち込まれてきますので、ちょっと調べていただいたのでありますが、防衛庁関係で現在保険の契約をしているのはわかっているだけで七万八百十一台、そしてそのための集金の任務に当たっている者が九百四十六名、これは自衛隊の職員であります。そうして一人当たりの手数料が二・五%でありますので、集金手数料としておおむね五千百三十七万八千円という数字がいまわかっているだけで防衛庁の職員の中に入っているわけであります。したがって一人当たり五万四千円ですか、そういうことになるのでありますが、もちろん自衛隊の職員であっても自動車を持っているのですから、保険に入るのは私はいいと思うのでありますね。しかし問題は、その取り扱いの問題であります。この募取法、保険募集の取締に関する法律の第二条からいって、防衛庁の職員がそういうことに携わるのが果たして正しいのかどうなのか、こういう問題が一つあります。 そして、自衛隊の関係の法律でいきますと、「自衛官」というのは、防衛庁設置法によりますと、第五十九条で「自衛官は、命を受け、自衛隊の隊務を行う。」そして、これに違反した場合は国家公務員法によって懲戒処分を受ける、こういうことになっているわけですね。そして、この自衛隊法でいきますと、幾つか該当する条文があるのでありますが、第六十条には「職務に専念する義務」として、「隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。」というふうに定めているわけですね。 保険会社が加入者を獲得する、そのことによって利益を得ていく、これは業界でありますから当然なことでありますが、自衛隊の中で、そういうことで勤務時間中に集金業務をやらせるようなことが、果たしてノーマルな状態なのかどうなのか、この問題、ひとつお答えいただきましょうか。保険部長、簡単にやってくださいよ。
○松尾説明員 この団体扱い契約というのは、防衛庁に限りません。いろいろな分野で行われております。これは官庁、民間、広く行われておるわけでございます。 官庁につきましては、防衛庁に限らず、御指摘になりました職務専念義務、あるいは団体扱いというものが団体内において給料から天引き等によって金が集められる、つまり集金コストというものがかからないというのが団体扱いの意味であるわけでございますが、公務員の場合にはそういうチェックオフが許されないということから、官庁の団体扱いにつきましてはいろいろな規制が行われております。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 通常共済組合等が集金者になる。あるいは御指摘の防衛庁の場合には、また一般の官庁と違って、非常に人事異動が頻繁であるとか、いろいろな規制がございます関係で、必ずしも共済組合が集金者になり得ないということから、隊友会であるとか、いろいろな団体が集金の責任を持っておるということのようでございまして、私どもいろいろ実情を聴取しております限りで、直ちにこれが募取法違反であるというとかうには判断いたしておりませんが、いずれにいたしましても、こういう公務員の団体扱い契約につきましては、さらに一層秩序づくりが必要であるということで、現在新しいルールづくりを進めておる段階でございまして、今後とも誤解を招くことのないように是正をしてまいりたいと思っております。
○永井委員 いまの答弁、私はまことに不満でありますが、この集金は事実上隊員が行っておりますので、自衛隊法の違反行為ということも疑いとしてはあるんですね。速やかにそういうことをやらせないような対応策をとるべきだと思うのでありますが、それを単に業界の代理業務ということだけで目をつぶっていくということは、私は自衛隊のあり方として大きな問題を持っていると思うのであります。したがって、この見直しをきちっとしてもらうということができるまでは、いま片方で共同保険の発足ということも検討されているようでありますが、それがきちっとできるまでは、この共同保険の発足ということも見合わせてもらいたい。そうでありませんと、隊員の職務専念義務ということに対する違反行為として、私はさらにこの問題を追及しなければならなくなりますので、この辺の関係は、もう一言整備についてきちっとお答えを願いたいと思います。 時間が来ましたので、最後に委員長にお願いするのでありますが、いま申し上げましたように、この損保あるいは共済、いろいろな関係で非常に熾烈な争いが起きておりまして、それが保険行政にいろいろな悪影響を及ぼしているというふうに私は受けとめるわけであります。いろいろ質問したい事項があるのでありますが、できればいまの実態を私たちが正確に把握をした上で問題を扱うように、委員長の方でお取り計らいを願いまして、損保の業界の代表とかあるいは各共済の代表、農業共済とか自動車共済、いろいろありますけれども、そういう業界の代表をできれば参考人に招いていただいて、そこでいろいろな御意見を聞いて、私は、いまこの自衛隊の問題もあります、いろいろな問題がありますので、ひとつ代理業務、あるいは整備工場との関係、系列化の問題、いろいろ週刊誌に書かれたり新聞に書かれたり、あるいは現実に損保と共済などの間に確執がある、こういう問題について保険行政を正しいものにしていくための立場から、さらに引き続いてこの質問をしていきたい、このように思いますので、その参考人を招くことについてひとつ委員長の方で御配慮願いたい。 そして、時間が来ましたけれども、いまの自衛隊の問題だけは、いま言われたような答弁では私は納得できません。隊員の職務専念義務に明らかに違反しているわけでありますので、この問題をどう扱うのか、最後に御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
○松尾説明員 私ども承知しております限りでは、個々の保険会社の団体扱い契約というのが、防衛庁内のいろいろな部署におきまして、たとえば隊友会といったようなグループとの契約が行われておる。通常の団体扱いと同様に、集金の手数料を保険会社が支払っておる。これは募取法その他に違反をする問題ではないというふうに了解をいたしております。 それから、自衛隊法違反であるかどうかということ。これは私が保険会社の監督の立場でございますので、実情を私どもが聴取をした限りにおきましては、勤務時間外等においてその集金が行われており、職専義務に違反していないというふうに聞いております。
○永井委員 もう一言だけ言わしてください。そんなばかなことはないのですよ。自衛隊の給料の支払いは十四時と決まっているのですよ。十四時に給料もらって、勤務時間外に集めるったって、給料をもらうときに集めて回っているのですから。私は自衛隊員個人個人がいいとか悪いとか言っているのじゃないのですよ。そういう体制を続けさしているところに保険行政として問題がある。募取法にも違反しないと言っておりますが、私は募取法からいっても違反の疑いが濃い、こう考えるのであります。むしろそれよりも、自衛隊の隊員が、職務に専念する義務を課せられているにもかかわらず、隊内でそういう行為をさせていくような仕組みが問題だから、それならば自衛隊員の共済もあるのですから、そういう中で専従者を置くとかいろいろな方法で自衛隊法に抵触しないようなことを考えるべきであって、安易に損保会社が自分の加入者を広げていくことに専念をし過ぎているのじゃないか。 しかも、聞くところによると、私が指摘をしましたように、この共同保険の発足ということは、自衛隊に対してそれぞれの損保会社が、いまの規模に応じてある程度、自衛隊の中に加入する範囲まで枠組みを決めようというふうなこともその中に考えられているわけでありますから、いまのような状態のままでは、そういう共同保険の発足ということは、この問題が明らかになるまでは私は絶対許すべきではないと考えます。 時間が過ぎておりますのでこれ以上申し上げませんが、いま申し上げましたように、そういう問題も含んでおりますので、ぜひ参考人としてお呼びをいただくことを委員長の方で御配慮いただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
○斎藤委員長 次に、新盛辰雄君。
○新盛委員 提案されております自動車事故対策センター法の一部改正の諸問題について質問をし、審議に加わりたいと思っています。 ただいままで永井議員の方から、全般的な問題等について質問が交わされました。まだ不明確な答弁もございますし、この問題の扱い方等きわめて問題点も多いわけでございますので、これからのこうした審議過程を通じて慎重に扱われますように冒頭申し上げておきます。 そこで、本改正案の内容でございますが、今回のこうした自動車事故対策センターの業務の拡大というようなことで、従来の法律によるところの目的はいわゆる法体系上このままでいいのかとまず疑問が出てくるわけです。重度後遺障害者療護施設をつくろうということでございますから、この代表的なものはどっちの側に目的としてあるのか、療護施設の運営というのが新しく加わってくるわけですから、こうしたことについて目的の中でどう考えていくべきか、法体系上の問題でまずお聞きしたいと思います。
○棚橋説明員 自動車事故対策センターは、大きく申しまして二つの業務をやっております。一つは事故防止でございまして、もう一つは事故に遭われました被害者の救済という業務でございます。今回改正をお願いいたします療護施設に関する業務は後者、すなわち被害者の救済ということでございます。 一方、現在の自動車事故対策センター法の目的のところには例示といたしまして二つのことを書いてございますが、その後者に「自動車事故による被害者に対する資金の貸付け等を行なうことにより、」ということで、被害者救済の方の例示といたしましては「資金の貸付け」という業務を掲げておるわけでございますが、性格的にはその後者の方の中に含まれるというふうに考えております。
○新盛委員 だとすれば、この被害者の救済ということで、法上の問題として確かにそういう理解のされ方もあるのですが、さっきも議論がありましたけれども、今後療護施設というのは拡大をし、さらに運営を強化していくという種のものなのか、ある意味ではこれからの交通事故発生等の経緯に照らしながら四百人から五百人程度の重度後遺障害者、すなわち植物人間と言われる、きわめてこれは語弊のある言葉でありますが、そういう方々への救済を目的としてこれは拡大を、交通事故という関係とのにらみにおいてやられるのか、あるいはいまのところ五十名収容ということになっているようでありますが、その辺の法上の問題としてこの目的の中に明確にしていく必要があるのかないのか、これを聞いているわけですから、まずその辺を明確にしていただきたいと思います。
○棚橋説明員 先ほども永井先生の御質問に自動車局長からお答えを申し上げましたように、これは全く新しい試みでございまして、いろいろ検討を重ねながら進めなければならないという意味でモデルケースとして取り扱っております。そういう意味で、その結果を踏まえて将来のあり方というものを考えていきたい、かように思っておるわけでございます。 ただ、そういう業務を行いますためには自動車事故対策センターの業務というものに追加しなければならない、こういうことで今回の法律改正をお願いしておるわけでございまして、その中身としましては、先ほど来申し上げますように、被害者救済ということの中に含まれる、かように考えております。
○新盛委員 この療護施設は重度後遺障害者に対して治療とか養護を行うことになっているわけですね。 では具体的に、この治療というのはいわゆる植物人間だとされている方々を治療する、社会復帰ということにはならないわけですから、そういうことなのか、養護として考えるのか、その主力は大体どこに置くのですか。これはまた厚生省のこうしたいわゆる社会保障という一環から見まして、この関連において私はお聞きしているわけですが、両者の方からお答えいただきたいと思うのです。
○棚橋説明員 御質問のございましたように、今回の業務は養護と治療と二つのことを目的にいたしております。 養護の方は、重度意識障害者の方、寝たきりで意識がございませんので、それらの方々の体をふいたり二時間置きに寝返りを打たせたり、そういうような養護を行う、きめの細かいことを行おうというものでございます。 一方、治療の方は、そういう体の方でございますから余病を併発するというおそれが多分にございまして、たとえば肺炎を併発するとか、そういうようなことがございますので、そういうことが仮に起こった場合にはそれに対処する、また起こらないようにいろいろな対策を講ずる、こういうことでございまして、二つが相まって一つの業務として行われるということでございますが、強いてどちらに重点があるかということでございますと、やはり養護という方が量としては、手数としては大きいというふうに考えております。
○新盛委員 そういうことになりますと、一般的に言われる社会隔離、いわゆる家庭の中ではどうにもならない、もう看護の方も大変だ、手がかかる、さらにはこれはもう回復機能はないということになって、ある意味では社会から隔離していくのだ、こういうことになるのですか、養護ということが大体主力になってくるとすれば。どうなんでしょうか。
○棚橋説明員 これは先ほど来申し上げておりますように、また永井先生の御質問の中にもございましたように、家庭におられても病院におられてもやはり特殊な看護が要るということでございまして、そのために御家族の精神的、肉体的かつ経済的な負担が著しいということで、それをどこか専門で見てもらえないか、こういうような声にこたえるものでございますので、そういう方々をできるだけ効率的にごめんどうを見るためには一カ所に集まっていただいて、そこに必要な人員を配置してごめんどうを見るのがいいのではないかということでございます。そういう意味で一つの施設に入っていただこう、かように考えておるわけでございまして、決して社会から隔離をするというようなことではなく、一カ所に集めて効果的な養護を行いたい、かように考えておるわけでございます。
○新盛委員 厚生省側のこうした養護施設を自動車事故対策センターとしてつくることについて、この附帯決議にも、先ほど出たのですけれども、「救急医療体制の拡充整備並びに交通安全の推進に努めている諸機関、諸団体に対し助成措置」というようなことを含めて、これはもちろん事故対策の一環としてセンターをつくって、現にそのことによって新しく目的の中に入れないけれども養護施設というのをつくる。そうすると、国が行う、厚生省が行うこうした一連の養護施設の運営についてどういうふうな見解になってくるのでしょうかね。
○水田説明員 お答え申し上げます。 今回運輸省でお考えになっておられます政策というのは、加害者集団があり、加害者集団が被害者の救済をするという、法体系の中で救済政策の一環としてそれを徹底するという意味合いにおいてこういう収容施設をおつくりになっている、こういうふうに私ども受けとめているわけでございますが、先生の御質問をそれでは広く考えた場合に、交通事故以外に遷延性の高度意識障害者というものがあるので、これは一般的にどう厚生省は受けとめ、対策を講ずるのか、こういう意味合いでお答えをさしていただきますと、これは先ほどの御質問でもお答え申し上げたところでございますが、原因が種々ございます。 脳溢血の後遺症として起きる場合もございますし、ガス中毒の後遺症としても起きますし、それからがんの末期症状として起きる場合あるいは脊損によって起きる場合、各種の原因でこういう遷延性の高度障害者というものが出てまいりますので、私ども厚生省としましては、それぞれの起因する疾病に的確に対応できる専門病院の中において、それぞれこれらの人が十分な医療のケアを受けることが好ましいと考えておりまして、その場合に、交通事故の場合と同様にやはり家族の方の経済負担の問題、付き添い看護その他の問題で困難を来す場合がございますので、今回の診療報酬の改定の中で家族のそういう側面の負担の軽減を図ることによって、院内において十分なケアができる方向に厚生省としては努力し、持っていきたい、このように考えている次第でございます。
○新盛委員 そうしますと、別段こういうものをつくらなくとも、あなたが言われる広範なことでおやりになれば、交通事故により発生した重度障害者もその中に入るのでしょう。そういうことになりはしませんか。
○水田説明員 一般的には厚生省としてはそのように考えているわけでございますが、先ほどの御質問にも私はお答え申し上げたのですが、運輸省の方で今回モデル的にこういう遷延性の、原因が単一性の方を集めて高度の治療をアプローチしていただけるということは、そこから生まれます成果というのは、個々の一般病院が対処する場合にもいろいろな医学的に寄与する側面が出てまいると思いますので、そういう意味で私どもは評価を申し上げたい、こう申し上げたところでございます。
○新盛委員 どうも釈然としないのですよ。モデルケースだからこういうふうにおつくりになった、そのことについては厚生省としても、全般的医療機関あるいは救急医療体制あるいはその他各種対立的衝撃による障害者を救済する中での、交通事故だけだとおっしゃるわけですが、海難事故だってあるのですからね。後ほど取り上げますけれども。そういうような問題との関連において、これはモデルケースだから交通事故に——いま現にそういう方々が二百人から五百人いらっしゃる。その方々も早晩五十八年ごろには、後ほど数字が出てきますが、亡くなられる率が多い。だとすれば、わざわざこんなのをおつくりにならなくとも、モデルケースというよりはむしろ厚生省の中における対策としてお立てになることの方がよりベターじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
○水田説明員 これは御答弁の繰り返しになるかと思いますが、加害者集団による救済の最も徹底した形において、いわゆる現物給付という形でこういう方たちの救済措置を運輸省でおとりになることは、その側面から見れば私どもは十分意味のあることではないか、このように考えているわけでございます。
○新盛委員 ここのところだけひっかかるわけにはまいりません。 運輸省はそういうことの加害者集団というふうな、いわゆる交通事故後の皆さん方に対する養護施設をおつくりになって収容をして、そして、モデルケースだからどうなるかわからないがとにかくつくってみよう、そうおっしゃるのですが、この施設の運営というのは一体これから先、運輸省は自分たちのところでおつくりになったのですが、これは自賠責の問題、掛金の問題、任意保険もそうなるかどうかなというようなことでこの方からの金が出るのですから、これはいろいろと運営の面、施設の状況、そうしたことに対して運輸省としてはどういう立場にあるのでしょうね。協力をしなければならないのでしょうが、どうも厚生省との関係から見ましてもいろいろとふぐあいなところがあるように思うのですが、いかがですか。
○棚橋説明員 私どもの方でこの施設を独自に持ちたいというふうに考えておりますのはいろいろ理由がございまして、一つは交通事故によります重度意識障害の方はかなりまとまった数の方がおられるということが前提でございます。それから交通事故に遭われます方は比較的年齢的には若い方が多いわけでございまして、先ほど厚生省の方からお話のございました、その他の重度意識障害者の方に比較をいたしまして、意識障害になられてから生存される期間がかなり長い、そういう意味で一般病院において収容していただいておりますと、御家族の負担というようなものがかなりほかに比べて大きいというようなことがございます。 それから、先ほど先生の御指摘もございましたように、本件につきましては他と違いまして原因をつくったものというのが明らかでございまして、自動車を運行している側がその原因をつくったということは明確でございますので、それの自賠責の再保険の運用益の中からそういうものに対する対策を講ずるということがしかるべきではないか、そのような考え方からこのような施設というものを独自につくって運営を自動車事故対策センターに行わせたい、かように考えたわけでございます。
○新盛委員 そうして、これは直営にされるということなんですけれども、こうした直営でおやりになるというのは、運輸省がいま説明しておられるが、どうもわれわれにはすっきりこないのだけれども、これからの扱い、運営として委託方式でやってもそう問題ないじゃないかというふうなことも一面言えるわけです。みんなが出した金、そしてそのことが蓄財の中で一般的に加害者集団のいわゆる行為が明確である、だからやるんだ、こうただ短絡的に問題を整理するというのはどうでしょうね。運輸大臣、どう考えますか。
○塩川国務大臣 いろいろ御意見はある、私も御質問は趣旨はよくわかりますが、とりあえず事故センターで一応モデルケースとしてやってみて——私は確かにこのことから地域医療との関係なりあるいはこういうリハビリテーション医療というものはやはり担当の部署というものが明確にあると思うのです。そういう意味におきまして、これは事故センターでやるのがいいかどうかということは、いろいろ問題があると思います。そこでとりあえず自動車事故で受けられた重度の方々のいわば専門的なものを、ひとつわれわれの事故対策、防止を考えておる立場から言いましたら、こういう施設を十分に世話させてもらって、その中からいろいろな将来に向けての勉強もいたす一つの根拠にもしたい。でございますから、これはあくまでもモデルケースとしてやっておるということに私たちは思っておりますが、その結果、モデルケースとして運営した結果いろいろと今後の本格的な対策を考えていくべきだ、こう思っております。
○新盛委員 医療機関の直接の監督管理はすべて厚生省ですよね。その厚生省が、一応こっちは運輸省の方でおつくりになったのだからそちらに任せてみましょう、こういうことで五十名収容される、土地も八千八百平米、用地費七億円、それに施設費が莫大なものがかかると思うのですが、そういうのは、ドクターを含め看護婦を含めてやはり厚生省の方で考えていかなければならない問題でしょう。そうすると、いま第二臨調できわめて厳しい状況になっているときに、厚生省がわざわざこんなことまでしていいか、これは世間から見てもどうも——五十名収容という数がどこで決められたのか知りませんが、そのことも疑問ですけれども、これは厚生省が既存の医者をもってしてとりあえずこういう方々の治療に当たりあるいは養護する施設、そうしたことについて考えるべきではないか。前もお話があったのですけれども、この辺は厚生省はどうもしっくりした御返事じゃないのですが、どうなんですか。
○水田説明員 厚生省は直轄の国立病院、国立療養所を全国で約二百五十持っておりまして、その中でこういう各般の原因に起因しますところの遷延性の高度意識障害者も収容いたしているわけでございますが、新たにこういうものを創設してまいるということは、現在の総定員法の枠その他の諸事情から見て、厚生省が直接にこの事業をやるというのは現下においてはきわめて困難ではないかと考えております。
○新盛委員 どうも、ここのところはまた再度、私どもとしても具体的な事例を出してこれから審議してまいりたいと思います。 次に移りますが、例の重度の後遺障害者の平均生存期間というのは三年一カ月だというのです。事故後二年六カ月までに五三%の者が死亡し、七年経過後では九〇%の者が死亡している。そうすると、五十八年度からこの施設の開業ということになっているのですけれども、こういう死亡者が出てきている中で果たして直接的に救済できるかということが当然出てくるわけでありますが、今後の対策として、現実の問題としてどういうふうにお考えになっているでしょうか。
○棚橋説明員 先生の御質問の趣旨が、そういう方々の平均生存期間がかなり短いのに実際の開業までそんな悠長に時間をかけていいのかというふうに承りますと、それはまさに私どもといたしましても、一刻も早くこういうものをつくってそういう方々の御希望にこたえたいというふうには思っておりますが、何分にも全く新しい試みでございますので、かなり準備に周到な配慮をしなければいけないというようなこともございまして、開業を一応五十八年ということを目標にしたわけでございます。 そうなりますと、その間に現在の重度意識障害者の方で不幸にしてお亡くなりになる方もあろうかと思いますが、また反面、新しく事故に遭われて同じような状態になられる方もあるわけでございますので、一日も早く開業をいたしまして、それらの方々の御期待にこたえるようにいたしたいと思っておるわけでございます。
○新盛委員 初めてのことだから、これから先やってみなければわからないということなんですけれども、現に介護料の支給要件に相当している状態の人たちというのは、表に出ておりますように四百名から五百名ということになっておるのですが、この五十八年度の時点では一体どんな推定を持っておられるのですか。
○棚橋説明員 これは、交通事故の傾向と、それから事故に遭われた方の中でこういう重度意識障害のまま生存される方がどういうふうにふえていくのか減っていくのかという推定であろうかと思いますので、明確なお答えをいたしかねるわけでございますが、過去の推移から考えますと、五十八年でも現在ぐらいの方が重度の意識障害者として苦しい生活をされておるのではないかと考えております。
○新盛委員 これから交通事故を撲滅しよう、われわればそういうことで第三次計画を含めていま懸命に国としても交通安全対策を立てているわけです。ところが、現状のように四百名から五百名だろうということになれば、その中から当面五十名を入所させる、これではそのほかの大多数の障害者は一体どうなるのですか。また、このことによって他の五十名以外の方の家族の肉体的、経済的負担は——選考基準にも問題か出てくるでしょうが、これは一体どういうふうにされるのですか。養護施設をおつくりになった、ところがいまおっしゃった数が出る、その中から五十名選び抜いて入れる、そういうことが果たして、皆さん簡単におっしゃるようですけれども、現実に照らしていかないといけないのですよ。どうされるのですか。
○棚橋説明員 その点はまさに先生の御指摘のとおりでございまして、全国に五百人からおられる方の中で五十人の方を収容いたしますと、まだ相当な方が残られるわけでございます。ただ、介護料を支給しております方々の中で入所を希望される方というのは必ずしも全員でございませんから、必ずしも五百人から五十人を引いた残りの方がそういう対象の療護施設がないことになるわけではございませんけれども、その他の方々で希望される方がまだたくさん残るであろうというのは御指摘のとおりでございます。 ただ、先ほど来くどいように申し上げておりますが、私どもといたしましても全く新しい試みでございますので、そういうものをモデル的にやってみて、いろいろな問題点を踏まえた上での将来計画を立てませんと結果的にうまくいかないということもございますので、それまでの間は、二、三年前から始めました介護料の支給ということを今後も続けて、必要に応じこれを充実してその他の方々に対してはできる限りの対処をしていきたいと思っております。
○新盛委員 これから先、これは確実に運輸省の所管になる。そうすると、選考の基準などは運輸省で素人がやるのですか。厚生省に委託をしなければならないわけでしょう。そしてその基準たるものはどこなんですか。モデルケース、モデルケース、初めてのことだといったってそういうわけにはまいりませんよ。どうされるのですか。
○棚橋説明員 今度計画いたしております療護施設は、法律的には、医療法上は病院でございまして、その面では厚生省の御監督、御指導というのを受けるわけでございます。ただ、それを運営いたしますのを私どもの方の関係団体でございます自動車事故対策センターに行わせよう、こういうことでございますので、いわゆる医療面につきましては過去においてもいろいろ厚生省の御指導を得ておりますし、今後も厚生省の御指導、御協力を得て運営をいたしていきたい、かように思っております。
○新盛委員 この開業でドクターとか看護婦とか施設の従事者が必要になってくるわけですね。この要員配置というのは、いま厚生省等の御協力、御指導をいただいてとおっしゃいますが、一体どの程度のことをお考えになっているのですか。
○棚橋説明員 この療護施設の具体的な中身につきましては、この法律をお認めいただき成立しました後、来年度予算にかけて、開業が再来年でございますので、具体的に詰めていきたいというふうに考えておりますが、現在のところの構想といたしましては、一応五十名の方を収容いたしますために、医師を三名それから看護婦、看護助手で三十五、六名、そのほか薬剤師等の諸種技術職員、事務職員等を合わせまして五十人程度の人員で運営をいたしたらどうかと、大ざっぱにかような程度に現在考えております。具体的には、法律の成立後早急に詰めたいと思っております。
○新盛委員 ドクター不足あるいは看護婦、特に看護婦などは不足しているのですが、またこういう重度障害者を看護される助手の皆さん、厚生省としては一体こういうようなのを確保できるのですか。厚生省はこのことについては一体どう考えているのですか。五十名の収容、これで治療、養護、まあ養護の方が主力だとおっしゃるのですが、現実的にそのことは可能なんですか。
○水田説明員 ただいま運輸省の方からお答えになりましたように、事業の実施主体はセンターでございまして、私ども、御相談等がございましたら側面からいろいろアドバイスなり御協力なり申し上げたい、このように考えているわけでございますが、私どもがすでに運輸省の方にアドバイス申し上げている点は、医師の定着性を図るためには、先生の御指摘もありましたが、やはりかなり研究的な側面というものをこの運営の上で加味されていきませんと、回復の見込みのない方を主として収容なさるわけでございますので、そういう意味では、やはりかなり研究的な側面を御配慮なさらないと、医師の定着性という面については問題が生ずるのではないかということをすでにアドバイスを申し上げているところでございます。
○新盛委員 時間がございませんので、この問題はペンディングにしておいて、また次回に議論をしていきたいと思います。 そこで、一応療護施設の問題についてはここで区切りをつけておきますが、この自動車事故対策センターの業務の一つでございます運転適性診断について少し伺っておきたいと思います。 第一は、業態別の受診者数の実績、この表にも出ておりますが、受診率等ですね。さらには、受診者の適性診断の効果によって事故が相当減少した、こういうふうに出ているわけです。これは結構なことであります。しかし、事業用の自動車運転者の受診のための運輸省の行政指導というのはこうして万全を期されているようでありますが、この法律ができましてから以降、現在徐々にその宣伝普及効果も上がってきているように思うのですが、自家用車の運転者の受診状況、それで受診を一部では希望によってやっておられるように聞いているのですが、この法律ができたときの附帯決議の第二項に出ておりますように、「自動車運転者の適性診断については、自家用自動車の運転者についても関係の機関、団体が協力してその充実に努めること。」こういうように決議がされております。このことによって、この法律の中には盛られておりませんけれども、少なくとも安全運転管理、そうしたことにおける適性診断というのは、自家用車については一体どういうふうにお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
○宇野説明員 お答えいたします。 ただいま先生から、自家用の自動車運転者に対するセンターの行う適性診断の実態等につきまして御質問がございましたけれども、最近におきます自家用自動車運転者に対する適性診断の受診状況について最初に申し上げますが、五十三年度七千四百人、五十四年度八千九百人、五十五年度は九千三百人余りということで最近逐次増加しつつございますが、これまでセンターが行いました受診者の総数の中で大体四ないし五%を占めておる現状でございます。 センターが行いますこの適性診断につきましては、主として事業用を対象にしてまいったわけでございますけれども、その理由といたしましては、事業用自動車が他人の貴重な生命、財産を輸送するという事業であるということ及びその運行の実態からしまして走行距離、運行時間等を見ましても、質的にも量的にも運行形態が非常に複雑多岐にわたっておるということから、交通事故を発生するリスクが自家用車に比べまして非常に大きいということを考慮して事業用を主体に実施をしてまいったわけでございます。しかしながら、現在におきましても、自家用自動車の運転者から希望がありますれば、目的達成業務といたしましてこれに応ずることにいたしておりまして、ただいま申し上げましたような数字になっておるわけでございます。 なお、これまで利用されております自家用の運転者につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、安全運転管理者を置いておるような事業所が主体になっておりまして、これからも必要に応じて、こういう事業所からの受診希望については業務の許す限りにおきまして受け入れていくというふうに考えております。
○新盛委員 法律の上に明記するというのはできるのですか。ただいまのお答えのことについて、現実に法律の上に明確に、これを改正して、いわゆる安全運転管理者を置いている事業所の運転者は運転の適性診断を受けるようにするという改正ができますか。
○宇野説明員 現在自家用の自動車も、その希望によりまして適性診断を実施しているというふうに申し上げましたけれども、自家用の自動車の適性診断の実施につきましては、センター法の目的達成業務の一環として現在でもできるというふうに考えておりますので、あえて法律を改正してその対象に加える必要はなかろうと存じております。
○新盛委員 運用でおやりになって、あえて改正する必要はないんだ。これからのこうした事故が適性診断の効果として減少するという状況が事実であって、効果的にあらわれているというなら、これはもう明記して、そういう一つの方向を打ち出すべきだと思うのです。ただ運用ということだけではセンターの意味はないんじゃないかと思いますので、御検討いただきたいと思うのです。 それで、このセンター法の中で、生活資金の貸し付け部分についてお伺いをしたいと思うのです。 後遺障害保険金、共済金の一部の立てかえ貸し付け、保障金の一部立てかえ貸し付け、あるいはまた不履行判決等の貸し付けがございますね。まずこの金額は現状に合っているのかどうか、見直す必要があるんじゃないかと思うのですが、それが第一。 それから、不履行判決等の貸し付けには、貸付金の利率として年利三%、こうなっております。そのほかの貸し付け等についてはほとんど無利子、こうなっているようでありますが、不履行の場合の判決等に貸し付ける場合、なぜ年利が三%になっているのか、理由もお聞きしたいと思うのですけれども、こういう内容的に見て無利子であったり、あるいは年利三%でもって返済をさせるというふうに貸付金の利率を設けている、これは一体どういう理由なんですか。
○棚橋説明員 先生御指摘のように、自動車事故対策センターでは、ただいま御質問のございましたような業務を行っておるわけでございますが、その貸付金の額が現状にそぐわないのではないかという御指摘に対しましては、昭和五十二年から五十三年にかけ、さらに五十四年から五十五年にかけ、それぞれ貸付単価のアップをいたしまして、極力現状に沿うように処置をしておるつもりでございます。今後さらに現状に沿わないような事態が起こりましたら、それに対処をするようにいたしたい、かように思っております。 それから、ほかの貸し付けについては利息がないのに不履行判決の貸し付けだけ利息を取っておるのはなぜか、こういう御質問でございますが、実は過去におきましてはすべて一定の利息をいただいておったわけでございますけれども、昭和五十五年から、いま先生お話のございましたように、不履行判決貸し付けを除きまして無利子とするようにしたわけでございます。その際、なぜ不履行判決だけ三%の金利を取ることにしたかということでございますけれども、不履行判決の貸し付けというのは、御承知のように、いわゆる自賠責の保険金をもらえないという意味ではございませんで、自賠責の保険金の上積みといたしまして、さらに損害賠償等をもらうということで、判決によって債務名義を得た、こういうものでございます。そういう意味で、自賠責保険金はすでに支給されておる、その上積みであるということで、低いけれども、やはり若干の金利をいただいた方がいいのではないか、かような判断から三%の金利をいただいておるというふうに考えております。
○新盛委員 今後の問題として、せっかくできているこうした生活資金の貸付業務を行う一環として、いまの理由づけも理解できないことでありませんが、全体的な金額の問題とか利息の徴収、こうした問題については一考を要するんじゃないかと思いますので、これも要望として申し上げておきます。 次に、行政運営についてお伺いしておきたいと思うのですが、このセンターの職員は現在三百四十一名とわれわれは承っているのですが、係長以上の役職ポストのほとんどは、どういうわけか運輸省とか陸運局とか陸運事務所等のOBの方が多数入っておられるようであります。まず、この人数をひとつ明らかにしていただきたい。
○飯島政府委員 お答えいたします。 センターの職員は、先生いま御指摘のとおり三百四十一名でございます。運輸省のOBはそのうち百五名で、三〇・八%でございます。これらの職員は五十歳を過ぎたあたりで運輸省を退職いたしまして、センターの退職年齢でございます六十歳まで、それまでの経験を生かしましてセンターに勤務しているのが現状でございます。 このような状況にありますのは、センターの歴史が四十八年設立ということでまだ浅うございますし、プロパーの人材が育っていないということ、それから運行管理者の研修とか適性診断とか、業務の内容が専門的であるということ、それから人事や経理の処理が国に準じたものとなっておりますので、かなり専門的な知識が必要でございます。したがいまして適任者が限定される等でこのような状況になっておるわけでございます。 なお、センターの業務の運営に関連しましては、予算、事業計画その他の重要事項を審議するため、各界からの代表二十名の評議員会を設けまして、いろいろな方面の御意見が反映されるよう処置いたしているところでございます。
○新盛委員 この平均給与は一体どうなっていますか。それと、補助金のうちに人件費がどれくらい入っておりますか。
○飯島政府委員 昭和五十五年度のセンターに対する自賠責特会からの補助金の額は三十一億三千百四十三万九千円でございます。このうち人件費は十九億二千二百十四万七千円ということで、補助金総額の約六一・四%でございますが、先ほどから御説明いたしておりますように、運行管理者の研修とか適性診断等につきましては、かなり人手を要する業務でございますので、このような状況になっておる次第でございます。
○新盛委員 近年特に話題になっております天下りの人事運用は、第二臨調等踏まえまして問題になっているわけであります。平均給与にいたしましても、あるいはまた人件費の割合が十九億、こういうことから見ましても、このセンターの運営という面では、行政の面から見ましてもいかがかと思われる節がございます。この点についてはどういうふうにお考えなのか。 それと、先ほど申し上げました事務所の中の職員ですが、これは運輸省の地方の出先機関の職員を含めた数なんでしょうかね。
○飯島政府委員 出先機関も含めた数でございます。 それから、先ほど答弁漏れで申しわけございませんが、職員の平均給与につきましては、五十五年七月一日、ベースアップした後でございますが、俸給で二十三万六千四百円という状況になっております。
○新盛委員 これは平均が二十三万六千円ということになっているようですが、百五名、三〇・八%の執行者というか、プロパーが育たなかったので、そういう当面的事情によるのだということですが、この各内容の役職ポストを含める給与体系、そして補助金の一部十九億が人件費というのはわかりましたが、内容をひとつ資料で出していただけませんか。委員長、お願いしておきます。よろしいですか。 それから、貸付金のうちで償還期限が来ましても未回収になるというのが当然出てくるわけですが、一体幾らぐらいになっているのですか。また、そうしたことについてどういう対策を立てておられますか。
○棚橋説明員 貸付金のうちで交通遺児の方に貸し付けております部分につきましては回収率が八七・八%でございます。 それから、先ほど御説明いたしました立てかえ貸し付けにつきましては、未回収金はございません。回収率一〇〇%でございます。 それから、三%の利息を取っておるという先生からお話のございました不履行判決でございますが、これの関係では七一・一%、こういうことでございます。 それで、延滞されておられる方には必要に応じ督促状を発しておるわけでございますが、御案内のとおり、貸し付けを受ける方は、基準といたしまして生活の困窮な方ということでございますので、そのような理由で延滞されておるのではないか、かように考えております。
○新盛委員 では、全般的なこの法律にかかわる問題点も残しておきましたので、次回を含めて慎重に論議してまいりたいと思います。 そこで、最近の損保協会などがそうでございますけれども、対物保険の面で示談の代行つきの保険、これは加害者側が全く顔を出すということはないのでありますが、保険会社が肩がわりして示談をやるわけです。これらの問題について先ほども永井議員の方から取り上げましたが、被害者側の関係もありますし、いろいろと代理店が最近非常に大はやりであります。こうしたいわゆる示談の代行というかかわり合いの関係が、非常に社会的に悪と厳しい指摘があるのですよ。これについてどうお考えですか。
○松尾説明員 御指摘は任意自動車保険の示談代行の問題であるかと存じますが、示談代行という制度ができましたのは、交通事故が非常にふえてまいりまして、そういった中でこの自動車保険——保険という商品がほかの商品と非常に違いますのは、普通の商品でございますと代金をいただいて商品を渡す、そういうことで売買が完結をする。ところが、保険というものはそういう商品とは違って、いわば入り口と申しますか、保険契約の締結におきまして代金の収受が行われるわけでございますが、これが完結するのはある一定の期間が満了するまで、その間に保険事故が起きますと契約者の身になってこの保険契約に定められた履行を行うというのが保険会社の責務でございます。そういった中で、交通事故というものは一つの損害賠償責任額が確定をして、これを保険金として支払うというものでありますので、被害者のことを考えますと、この損害賠償額というものができるだけ早く妥当な額に確定をされるということが望ましいわけでございます。そのためには、被害者からの請求に対しまして加害者側をいろいろ専門家が援助して、そういう損害賠償額の確定を速やかに行うということが必要でございまして、そのために保険会社が一つのサービスと申しますか当然の業務内容としてこれを行っておる。これは広く諸外国でも行われておりますのをわが国に適用した。 御指摘の問題は、加害者というのが全く表面へ出てこないで、保険会社と被害者だけのやりとりになってしまうのではないかということであろうかと思うのでございますが、この損害賠償責任というのはあくまでも道義的な責任というものまで示談代行で保険会社がかわるという問題ではございませんので、それはいやしくも加害者である者は被害者に対して少なくとも二回は顔を出して謝罪をするとか、あるいは大変御不幸な場合にはたとえば弔問に行くとか、こういうことは当然のことでございまして、示談代行ということによって加害者というのが全くそういう精神的なと申しますか、そういった面まで任せっきりということでは適当でないということで、私どももそういう加害者が十分誠意を尽くすということを指導いたしております。 それで、示談代行の制度自体が私ども適当でないというふうに考えておるわけではございませんで、むしろ諸外国でも一般化しておりますように、保険契約者のためにやはりこういう制度は望ましい。ただ、その運用におきまして御指摘のような加害者が全く隠れてしまうというような、いわば人間としての道義的な責任とか礼儀、こういったものは十分果たすように今後も指導してまいりたいと思っております。
○新盛委員 本来示談代行というのは契約者の利益擁護のためにあるわけなんでして、それが保険会社が支払いをできるだけ少なくしようということでされている一つの便法、主義に使っているように見られるわけです。だからこういう新聞あるいは週刊誌等に書き上げられているわけでありまして、これはいま大蔵省の方からお答えいただきましたけれども、十分指導するという種のものになっていないのじゃないか、野放しになっているのじゃないかと思われますので、この点再度関係の向きについて議論をしたいと思うのです。 それと、査定基準の統一化の問題ですけれども、損保の対人賠償査定基準というのは料率算定会が作成、決定をするわけですが、この算定委員のメンバーにいろいろと各大会社の皆さんが入っているようでありますけれども、こういう一連の中でどうも基準が、上限とか下限とかという明記がないのですね。だから損保会社の判断で大体行われている。それで会社やら扱い代理店にそれぞれ差があるのですね。このことについては大蔵省がたびごとに、対人の賠償査定基準を他の共済に比べて見ればきわめて問題がありはしないかというので勧告をされた経緯もあるようであります。この際、損保、共済の運営の中で一つの査定基準を設定をしまして指導する必要があるのじゃないか、これは国が統一をすべきじゃないかと私は考えているのですが、どういう御見解ですか。強者優遇、弱者冷遇というのが顕著だ、あるいはまたそれぞれの判断の基礎があいまいで圧力によって変わり得る、こういうことも事例として出ているようであります。一体この点はどういうふうに大蔵省、お考えですか。
○松尾説明員 年間何十万件という交通事故というのは一つ一つとりますと非常に差があるわけでございますが、いやしくも同じようなケースについて支払いが異なっては適当でないということから、いま御発言ございましたような査定基準というものを一つの基準として設けておるわけでございます。それで、個々のケースによりまして非常に差があるということからすべての交通事故につきましてぴたっと機械のようにということはなかなかいかないということでございますので、そこはその事故の実態、あるいは双方の過失の有無といったようなことを考えますと若干の差が出てくるのはある意味で当然であるわけでございまして、基本的な考え方とかあるいは額というものをできるだけ統一していきたいということでそういった査定基準を整備してまいってきておるわけでございます。 御指摘の共済と損保との統一の問題でございますが、自賠責強制保険につきましては、現在同じ支払い基準が設けられておるわけでございます。それで、この任意の分野におきます共済というものは、これはいろいろな種類の共済がございます。非常に小さなサークルの中の助け合い的なものから実態は保険会社と余り変わらないような大きなものまで、共済と一口に申しましてもいろいろな幅があるわけでございます。そういった共済の制度というものはそれぞれの協同組合法等によって規制されております関係から、具体的な資料も私ども承知いたしておりませんし、また私どもがどうこう申し上げる範囲外の問題でございます。商品の内容等も必ずしもそれぞれの共済なり損保の間で皆同じというわけでもないようでございますので、そういった点を考えますと、なかなかこれを一つの基準にということはいま直ちにはむずかしいのではなかろうか、かように考えております。
○新盛委員 いまむずかしいのじゃなかろうかと査定基準の方はそうおっしゃるのですが、保険とか共済制度、いまお答えのあった分野から推測するところ、こうして小さなサークル的なものの共済あるいは団体的な共済あるいは損保、いろいろとあって、この際、いわゆる保険、共済制度を一元化して法律をつくろうじゃないか、こういうことも仄聞するわけなんですよ。だけど、いま現実の問題として、それぞれの共済の実態というのは、いまも御指摘ございましたように非常にばらばらだということはもう明確なんです。だからこの際、損保なり農協、労働団体の自動車共済などいろいろございますが、そういう団体の実態をこの際触れておかなければいけない、そういうことで先ほど永井議員の方から、参考人を呼んで十分聞いて、そしてセンターの状況等について明確にしていく必要があるじゃないか、こういうことを指摘をされておりますので、私も全く同感です。だから、そういう面でぜひこれらの参考人を呼んでいただいて、内容的にまだ国民が余り知らされていない、ユーザーという立場から、ただ単に加害者と被害者という関係における契約事項の中の条件を示談によっていろいろと保険会社がやっている。その中でたとえば事故による被害者に差がある。そして加害者の方はもちろんでしょうが、被害者の救済という面から共済制度あるいは損保、そうした関係の実態は出てくるべきだと思うのです。大蔵省はそういうことに重きを置いてお考えになっているのだろうと思いますが、それはどうなんですか。
○松尾説明員 私ども、大蔵省設置法に基づきまして金融という側面から保険業法に基づく監督をいたしておりますので、ほかの法律に基づきますいろいろな制度につきまして御意見を申し上げる立場にないということで先ほどのような御答弁を申し上げた次第でございまして、御指摘のように共済制度というものがかなり大きな分野を占めてまいりますと、その扱いというものがいろいろな面で違っているよりはできるだけ統一された方が望ましいのではないかという点は、先生の御意見、まことに至当な御意見ではないかと存じますが、ただいま申し上げましたような私どもの立場から、よその法律に基づきます制度につきましてこの場でお答え申し上げる立場にないということで御了解いただきたいと思います。
○新盛委員 それはまた無理からぬことでしょう。 そこで運輸大臣、やはりこれからの自動車事故に伴う共済制度なりあるいは保険業務なり、すべてにわたって問題があるのですが、事故による被害者の中にやはりいろいろ差があるのですから、被害者の救済という面からこの種問題を取り扱わなければならないと思うのです。いま大蔵省が言っているように、それぞれの分野のそれぞれの法律ではございましょうが、この点については被害者救済という上に立って保険、共済の制度というのは考えるべき筋合いのものだと思うのですが、最後に運輸大臣の御見解をいただきたいと思います。
○塩川国務大臣 保険制度は被害者の救済、これは当然でございますが、むしろ被害者の救済を確保するための、その保障をするために保険制度というものがあるということは当然でございまして、その趣旨におきましても今後多角的にこの問題を考えていくべきだと思うております。
○新盛委員 ひとまずこの自動車事故センター法案にかかわる問題について質問を次回に延ばすことにしまして、私はここで、この関連だと理解をしておるわけですが、海難事故その他による事故者の諸問題の扱いについて、緊急なことでございましたので、ぜひ質問をしたいと思っています。それは、大臣も御承知だと思いますが、例の四月九日の朝十時三十分ごろ——これは中国時間だというふうに言われているのでありますが、このときに日本の国籍にございます日昇丸という二千三百トンの船が、実はもはや明確になっているのですが、アメリカの原子力潜水艦の衝突によって沈没をしたわけであります。そしてその沈没の際にとうとい二人の犠牲者が出たわけであります。その犠牲者も、船長の野口泰三さん、そして一等航海士の松野下純夫さん、昨夜約十日ぶりに事故現場から離れました屋久島近海で水死体で発見をされた。この遺族に対して哀悼の意を表したいと思いますが、こうした海難事故、言うならば運輸行政の一番重要な問題をわれわれとしては無視するわけにはいかないわけであります。 国際間の問題はこの際別におきまして、そしてまた原子力潜水艦ポラリスあるいはミサイル潜水艦という、いわゆる軍事目的を持った船によって起こされた海難事故であります。 このことについて、一応概略でよろしいですから、日昇丸が沈没をしたときの状況ですね、救命いかだに飛び移った、あるいは泳いで渡ったとするその一連の状況だけを正確にひとつ御報告をいただきたいと思います。恐らく救助された方々が、十九時間ぶりに救助されたわけでありますが、串木野の港に着かれまして、そこで十管区の海上保安部の方できわめて詳細な調書をとられているわけでありますが、その報告も統一的になされていると思います。各新聞報道機関によりますと、どうもそれぞれの個別に会われました乗組員、船員の皆さん方の言をしてそのときの模様を伝えているわけでありますが、どうもわれわれが承るところ、正確じゃないわけです。私自身も実は一昨日現地に参りまして、その当時の乗組員に十分にお話を聞きました。そういう面から、政府として統一されたそのときの状況、これをひとつ正確に御報告をお願いしたいと思います。
○吉野説明員 日昇丸が沈没をするときの状況、それからいかだに乗り移って漂流しているときの状況、これにつきまして、日昇丸の救助された乗組員から聴取したところを申し上げます。 日昇丸は、四月九日十時三十分ごろ、これは日本時間でございます、鹿児島県の下甑島の西南西約三十七海里の海上を針路二百六十六度、速力約十一ノットで航行中、左舷の機関室付近にドーンという衝撃音を感じるとともに船体が浮上するような感じを受けました。その後、機関室の船底から海水が噴き上げてきまして、約十五分後の十時四十五分ごろに船尾の方から沈没いたしました。 このとき、事故発生後乗組員は船長の命令によりまして左右の両舷に積載してありました救命いかだを海上におろしまして、同船の船尾につなぎとめて船長の退船命令によりまして、次々に海中に飛び込んで救命いかだまで泳いでまいりました。 右舷側に搭載してありました救命いかだには八名が乗りまして、船体につなぎとめてありましたロープを外して漂流し始めたわけですが、数分ぐらいしたところでいかだの底の接着部分がはがれ出しましたので、それ以後は救命いかだの縁につかまって漂流しておりました。 左舷側の救命いかだの方は、ロープがなかなか外れないで沈没する船体とともに引き込まれそうになりましたので、そのいかだにつかまっておりました船長の命によりまして、いかだの上にすでに乗っていた者はいかだから飛び込み、またいかだにつかまっていた者はいかだを離れて泳ぎましたが、一名だけこのいかだの中に残っていた者がおります。その者の話によりますと、救命いかだは沈没する船体に結局は引き込まれることなく浮かんでおりまして、船体が沈没した後そのいかだに、泳いでおりました四名の者が次々に乗り込んでまいりました。左舷側の救命いかだには合計五名乗り込んだわけでありますが、漂流し始めましてしばらくしてから、底の部分から浸水が始まって底が破れてまいりましたので、それ以後は救命いかだの縁に座って漂流していたということでございます。 以上は、乗組員から聞いたところでございます。
○新盛委員 そこで、ただいま海上保安庁から明確な統一された見解が示されたのですが、これは調書によって御説明あったのですけれども、この日昇丸というのはどこの所属で、そしてまたその船籍、船歴さらに救命いかだ、こうした積載をしているし、備品も持っているのでしょうが、まず第一にお聞きしたいのは、船舶整備公団の共有船というふうになっています。これは一体どういう実情なんでしょうか。船は忽那海運という株式会社の持ち物らしいのですが、共有船というふうになっている。 そしてまた、雇う人は神戸ナビゲーションという船員を募集する、そういう雇用契約がどこになっていたかわかりませんが、これの状況。これらに関連して出てきますのが、船員法第四章の雇用契約の問題あるいは十一章の就業規則さらには船員職業安定法、そして船員の雇用の促進に関する特別措置法、こういう一連の問題とかかわり合いが出てくるわけであります。しかもこうした安全管理、いわゆる船舶安全法、海上衝突予防法、海上交通安全法、各種の国の権威にかける法律によってつくられているものが、すべてにわたってどうもそういうふうになっていなかったやに散見をされるのでありまして、この実情についてそれぞれの分野でひとつお答えをいただきたいと思います。
○熊木説明員 ただいま御質問ありましたうち、船舶整備公団との共有関係につきまして実態を御説明いたします。 本船日昇丸につきましては、昭和四十年八月、船舶整備公団と忽那海運株式会社が共有で建造した船でございます。建造当時は、船価二億六千百万円のうち船舶整備公団持ち分七〇%、忽那海運株式会社が三〇%、こういう持ち分になっております。したがいまして、昭和四十年八月建造でございますので、現在船齢が十六年近く、こういう状況になっております。それで、船舶整備公団と忽那海運株式会社との間で共有建造の際に契約がなされまして、完成以後は忽那海運が管理するという形になっております。 以上、公団関係の所有関係について御説明しました。
○鈴木(登)政府委員 船員の雇用関係についてお答えいたします。 この日昇丸は、いま御説明のありましたとおり忽那海運の所有船でありますが、それを神戸ナビゲーション・サービスという会社が裸で用船いたしまして、それに自己の雇用しております船員十五名を乗せまして、さらに忽那海運の方に定期用船契約で戻したという雇用関係にあります。したがいまして、当然船員十五名と神戸ナビゲーション・サービスとの間には適正な雇用契約が締結されております。 それから、船員法関係の労働条件の保護の問題でありますけれども、御指摘のとおり、船員法に基づきまして船員の雇用契約が成立いたしますと、労働条件を海員名簿に記載いたしましてそれを船員に提示するとともに、海員名簿を行政官庁、これは運輸大臣あるいは運輸大臣の指定する市町村長でありますけれども、それに提示いたしまして雇用契約の承認を受けるということになっております。堺市長、これは運輸大臣の指定する市町村長でありますけれども、二月十八日に堺市役所に雇い入れ契約の公認を申請しておりまして、法律どおりやっております。 それから就業規則につきましても、船員法に基づきまして、船舶所有者、船員法上の船舶所有者はあくまでも神戸ナビゲーション・サービスでありますけれども、神戸ナビゲーション・サービスが海運局に就業規則を届け出なければいかぬということになっておりますが、これにつきましても適法に神戸海運局に届け出られておりまして、われわれの見ますところ、労働条件の保護については問題がなかったというふうに考えております。
○新盛委員 最近こういう雇用のあり方について、この場合は神戸ナビゲーションがそういうふうにしているのだそうですが、契約が六カ月ということで、船長以下十五名全国各地から集められているわけですね。契約が二月十五日ですか、だから事故に遭った方に聞きますと、まだ一々名前を覚えておりません。そうして乗船をして、船長がだれで一等航海士がだれ、二等航海士がだれ、機関長は大体あの人だろうかというぐあいで、名前すら定かでない、こういうときに発生した事故なんですね。だから、全国寄せ集めのこうした雇用契約のあり方というのは最近海上保安庁あたりも心配しておられるらしいのですが、寄せ集めということになっている最近はやりのマンニング、こういうマンニングというのは、船員法上も問題ですが、安全管理の面から見ましても労働条件の問題からいたしましても問題があるわけで、団体によって、いわゆる雇用の促進を図るためにあっせんしておられるところもありますね。そういうのは船員職安法上実は違法な行為だと一面言われておりますけれども、そういうようなのを適正化しまして法律の中に位置づけるかなにかしまして認めていく、そして雇用の促進を図る、こういうのがまず第一にあるのです。 しかし、このマンニング方式というのは実態が皆目つかめないのですね。だから、こうしたことによって事故が発生をしたら、果たして雇用の責任者はだれか、あるいは今度事故を起こされて陸に上がりましたけれども、本俸十二万円で三カ月分を一時支給するとか聞いたとか、さあ雇用の中で海難事故等に遭って九死に一生を得たのだけれども手当はどうなるだろうか。船主の方は、国際的にアメリカの方から謝罪が来たとか、アメリカは賠償してくれるだろうかどうしてくれるだろうかというのはあるでしょうけれども、この働いておられる方々の身分保障はその後皆目わからない、こういう実態なんですよ。だから、こういうことが許されていいかということなんでして、マンニングというのは、最近海運という面で、あるいは消費不況という状況が国際的にも波及をして商船が減船されていくという状況もございますので、だから寄せ集めという実態も出てくるのでしょうが、このことについてどういうふうにお考えであり、またこれからどういうふうに対策を講じようとされるのですか。
○鈴木(登)政府委員 先生御指摘のとおり、海運にはいわゆるマンニングというシステムがあります。それで、これは非常に範囲の広い問題でございます。御存じのとおり、海運というのはもともとあちらへ行ったりこちらへ行ったり、あるいは国際的にも定係港的なものがございませんで、方方の港を訪ねて歩くというふうな特殊な性格からそういうマンニング制度が発達いたしまして、方方の港でそれぞれの必要な人員を集めたり、場合によっては、たとえば北海道の港に入ったときに船員が病気になったために、そこで新しい船員を補充しなければいかぬ、これは定員がございますので。そういう事態、一つの経済的なあるいは社会実態的な観点からの必要性からそういうものが一般化しているのだろうと思います。したがいまして、そのマンニングの中でもニュアンスが非常にいろいろありまして、私どもいわゆる違法なマンニングと言っておりますのは、船員職業安定法三十三条の船員職業紹介事業に違反するもの、あるいは五十三条の船員労務供給事業に違反するものを狭い意味での違法なマンニングと言っております。 その狭い意味での違法なマンニングも、実ははっきり申しまして、われわれ船員労務官を立入検査させていろいろ調べましても、その雇用は縁故採用でやったのだ——縁故採用の場合にはこの職業安定法上の適用はございませんので、縁故採用でやったのだとか、あるいはまた、犯罪構成要件に該当するためには反復継続性ということが必要でありますけれども、その反復継続性の立証が非常に困難であったりということで、マンニングの実態をなかなか把握できないような状況でございます。 ただ本件のように、たとえば本件の会社のように本船は持っておりませんけれども正式に船員と雇用契約を結びまして、それから第三者から船を裸用船いたしましてそれをまたさらに出すというふうなのが一般的に社会的にも行われておりますので、そういう点につきましてはわれわれあえて立入検査とかそういうのをやっておりませんけれども、いま申しましたような狭い意味での違法なマンニングに対しましては、労務官に監査させるなり、かなりの強力な指導をしております。それから船会社に対してもそういう職業安定法上違法なマンニングをやっているらしきものから船員を雇用しないようにということでかなり強力に行政指導をやっている次第でございます。今後ともこの点につきましては強力な行政指導を続けてまいりたい、かように考えております。
○新盛委員 船員の労働条件という関係もさることながら、船員局あたりでは、こういう船員の職業安定法やあるいは安全の問題を船員法に照らして乗組員の教育ということもやはり指導、監督をしなければならないわけですね。そういう中で、今回の場合も当然六カ月契約なんだけれども、十分に教育をされているとおっしゃるのでしょうけれども、現にこの船員教育というのは一体、特に臨時職員に対する教育というのはどういうふうになっていたのでしょうか。日昇丸の乗務員の教育内容、こうしたことも含めまして、ぜひ内容をお知らせいただきたいと思うのです。もし、いまここでそれが示せなければ、後刻資料でもいいのですが……。教育をして航行に支障はない、そして運輸大臣の代行として船舶局なり海運局がこれを許可しますね。船員局の方は、労働条件にすべてが具備されているというふうに判断されて許可を与えられるわけですね。そういう場合に、船員教育というのは、これは雇用が短期間ですよ、果たしてなされていたかどうか非常に疑問なんです。これはどういうふうにされていましたか。
○鈴木(登)政府委員 お答えいたします。 船員の教育につきましては、実は船員法十四条の三第二項に操練の実施という条項がございまして、防火操練、端艇操練その他非常の場合に必要な操練、これをわれわれはサバイバル操練と言っておりますけれども、船舶が遭難したとか危難に遭遇した場合にも生き残り得るための操練と言っておりますけれども、そういう操練を船長は実施しなければならないというふうに書いておりまして、規則の方で非常に具体的に、外国船については月一回操練をやれ、さらにいま御指摘の救命艇の問題などにつきましては、普通の救命艇は四カ月ごとにあるいは膨張式救命艇の場合は年に一回は海の上におろして訓練せよというふうな規定がございます。それから、その訓練をしたときにはそれをさらに航海日誌に遅滞なく船長は記載するというふうな規定もございます。ただ、本件の日昇丸の場合につきましては、本船が沈みましてその操練の実施の有無ということは航海日誌上からは確かめ得ないわけでございますけれども、いま御指摘のとおりに、乗組員から聞きますと、まだ操練を実施していなかったということでございます。ただ、この操練は、いま御説明申し上げましたとおり、普通のボートは四カ月ごとでありますし、膨張式救命ボートは年に一回ということでございますので、乗りましてまだ日が浅かったということも操練を実施していなかった一つの原因だろうと思います。 それから、一般的には、御指摘のとおり、私ども海員学校あるいは海技大学校、そういう教育機関でこういうサバイバル訓練の強化というものに非常に力を注いでおりまして、いろいろとプールの設備の増強とかいうこと、それから海員学校あるいは海技大学校等の教育機関への救命設備の備えつけということに力を注いでおります。それから、さらに年に二回の安全週間のときにもこのサバイバル訓練を中心にいろいろと船舶所有者あるいは船員を指導しているようなことでございます。 以上でございます。
○新盛委員 それで結論は、この日昇丸はそういう操業訓練はされていなかったということですね。
○鈴木(登)政府委員 二月十八日に船員の雇い入れをやりまして、それからこの船が沈んだのが四月十日ですか、船員がそろいましてからまだ日が浅かったがためにやられなかったのか、あるいは船長がそこまでまだ気づかなかった、その辺はわかりませんけれども、少なくとも船長については、われわれたびたび乗船監査を実施いたしますけれども、そういう場合は必ず指定のこういうサバイバル訓練をやっておりますから、この船もいずれやろうと思っていたところが沈んでしまったということではなかろうかと推測しておる次第でございます。
○新盛委員 それはいかなる状況が発生しようとも万全を期すべきで、航海の安全管理を指導、監督される側としては実態を把握しなければいけないんでしょう。現にこの救命いかだを落として、先ほど御報告があったように、もやい綱を切断するべきいわゆるナイフが使用されていないのですよ。でしょう。だから、こういうことになれば、結局気も動転をしている状況の中だから、それは、かねての訓練が短期間であってもなされておれば、そういうことにはならなかったのではないか。当然そう考えられるでしょう。これは非常に重大なる行政指導のミスだと思うのですよ。だから皆さんから聞きましても、顔も知らないという状況の中で神戸から上海に雑貨物を積んで出港しているんですが、どの事故が発生したからそれがわかってきたのであって、航海の安全管理ということについて運輸省は一体今後どういうふうに考えていかれるのか。不幸にしてこういう事件が発生しましたのでね。そのことが内々から告発されているのですよ。どうですか。
○鈴木(登)政府委員 この膨張式救命いかだの点につきましては、いま御説明しましたように、一年に一回海にほうり込んで実際に訓練せよというふうになっているわけですけれども、この救命いかだは、先生御存じのように非常に大きいものでありまして、一度ふくらましてしまいますとそれをしぼませてまた船に戻すとかいうことが非常に危険な作業であるわけでありまして、したがいまして一年に一回という形になっておるわけであります。ただ、それではやはり実効は期しがたい、いざというときにおたおたしてナイフがどこにあるかわからないというふうになってしまうおそれも御指摘のとおりこの際あると思います。したがいまして、私どもいま内部でいろいろと議論しておるわけですけれども、実際の船でこういう訓練をするよりもむしろ陸上でもう少し物を見せて、ふくらますところ、それからナイフのあるところ、あるいはそのふくらんだものをもう一回しぼませまして、畳み直すところ、そういうように実物をもっとたびたび見せるような機会をつくるべきじゃなかろうか、いままでは余りにも現場で、船の中でやる操練を重視し過ぎたけれども、むしろ陸上の学校とかそういう臨時の教育機関を設けまして、そこでそういうことをやらすのが重要じゃないかというふうに考えております。たまたま幸いことしじゅうに、いわゆるSTCW条約という、船員のそういう訓練とかに関する条約でありますけれども、それが発効いたしますので、それを機会にもう一度根本的にその点を考え直してみたい、かように考えております。
○新盛委員 いま私はここに船舶明細書を持っております。この中に、一般的に言われております船舶の定期的検査あるいは年に一回の第二種中間検査、全面検査は四年に一回、こういうことであります。この内容から見ますと船歴十六年、船の寿命は二十年から二十五年だと言われているんだそうですが、私どもの方の鹿児島の方で坊津におられる花立順一郎さん、五十四歳の証言によりますと、私は九死に一生を得たけれども、私が海にふやけた状態で浮かんでいるときに思うたのは、必ず生き残ってこのことだけは強調したい。何でこういうふうに救命いかだが底が抜けたり、しかももやい綱が切れないという状況、そしてさびついておって海に落下させることにおける作業が非常に手間取った。船長自身が、海に飛び込め、そしてそのもやい綱を歯で食いちぎれと絶叫されたそうですね。点検をされたとおっしゃいます。いつどこでだれが点検をし、だれがこの出航の許可を与えたか、こうなってくるわけですよ。そういういかだの場合でも完全に通常の作動をしておれば船長も一等航海士も恐らく助かっていたろう。しかも、いかだ自身底に穴が突き抜けなければもっと体力も消耗しないで済んだんだ、こうおっしゃっておるんですよ。しかも、救命胴衣をつけている人、つけていない人、これもばらばらだったそうですね。そのばらばらでありますが、幸いにきのう遺体で収容されました船長と一等航海士は救命胴衣を着ていたというふうになっていますね。こうした状況であっても十時間——しかももう十日間、救命胴衣でも十時間はもつという話であります。そういう面で救命いかだが完全であれば全員のとうとい人命は生存ができたんじゃないか、そうおっしゃっておるんですよ。ここのところが私は一番、この船舶安全法に基づいて果たしてそういう実態を把握されてすべて点検ということあるいは出航許可、そういうことを与えられたのかどうか。これは一体どこの責任になるんですか。そしてまた、どう指導されるんですか。
○野口政府委員 救命いかだの整備につきましては、先生いまお話がありましたように、二年に一度の定期的な検査の際に整備点検をするようになってございます。この日昇丸の救命いかだにつきましては五十四年七月の中間検査の際に整備点検をして正常に作動するということを確認しております。ただ今回、御指摘のようにいかだの床板の接着部分が外れるという非常にふぐあいな問題が生じまして私どもも非常に驚いているわけでございますが、早速このいかだを東京に取り寄せましてその原因を究明する、同時に、現在こういういかだは全国にあります安全法に基づきます整備認定事業場というところで整備点検をするようになっておるわけでございますが、地方の海運局を通じまして本件を参考にして慎重に整備を進めるようにという指導をするとともに、こういう古くなりましたいかだにつきましてはさらに検査の方法を改善強化して二度とこういうことの起こらないようにしていきたいというふうに考えております。 それからなお、ただいままでは二年に一度の整備点検をやっておったわけでございますけれども、これは国際的にも毎年整備点検をやるべきだというふうに議論が高まっておりまして、私どもも規則を改正いたしましてことしの五月一日からは毎年一回、国際航海に従事する船舶でございますが、救命いかだにつきましては整備点検をするように改正して整備を強化することにしております。
○新盛委員 それは今後の問題にいいこうした事例があるんでと、救命いかだの品質管理、これはいまおっしゃいましたようなところもあるんだそうですが、何にいたしましても、航海安全という、いわゆるそこに乗り組んでおられる船員の皆さんですね、いわば労働者ですよ、船の上で働いておられるんです。その人たちが一たんそういう事態に遭遇したときに完全に人命を守り得る救助、そうしたことについて、政府としてあらゆる法律はできていますよ。しかし、救命いかだ自体果たしていつできていつ整備点検があって、そしてまた一たんぱっとふくらんだら戻すのに十万円もかかるという品物である。だからやたらとふくらましていくというわけにはいきません、こういう答えもあるんです。しかし、それだからといって今回のこういうぼろ船に、まさにぼろ船なんだそうですよ。乗ろうと契約を取り交わして船を見に行ったらこわくて後ずさりしたというんですから。乗りたくない。そしてせっかくここまで来たんだから上海まで行くのならば今回限りという気持ちでおずおず乗ったというんですよ。もうあっちこっちさびついている。しかも救命いかだ自身がさびついているんですよ。常識で考えられないんですよ。そういうものを許可を与えて航海させるというのはどだい間違っているんじゃないですか。船主側の方の言い分はぶち当ったことに対する憤慨なんです。しかし、安全航海ということにおける管理の問題については少しもそういうことに気を配っておられない。一体どういうことなんですか。第一、そのいかだはいつの製品でいつ点検をし実態はどうであったかをひとつ明確にやってください。
○野口政府委員 この膨張式救命いかだは昭和四十年七月に製造されたものでございます。整備点検を行いましたのは、先ほど申し上げましたように五十四年七月の中間検査の際に整備事業認定事業場において整備点検を行ったということでございます。
○新盛委員 行ったのはいいですよ。五十四年七月中間検査によって完璧であった。だからそういう証明が出たんでしょう。それで出航したんですね。現にその遭遇した事故現場においては作動しなかったというんですよ。それは一体どこの責任になりまたなぜそうなるのか。これは海上交通安全法ももちろんでしょうが、船舶安全法に違反するんじゃありませんか。そのことをどう指導されるのか。今後の問題ももちろんありましょうが、現実にこういう事態になったのはどういうわけか、その原因を聞きたいんですよ。みんな納得しないんです。
○野口政府委員 先生のおっしゃっておるのは二つあるんだろうと思います。一つはいかだの点と、それからもう一つは先ほどお話のありました救命ボートがさびついていたということではないかと思うのですが、いかだにつきましては、先ほど申しましたように五十四年七月に点検整備を行って、その際に異常を発見しておりません。それから救命艇につきましても同じ五十四年七月に、これは救命艇を繰り出すためにダビットというものがついておるわけでございますが、これを作動させまして救命艇の上げおろし試験を行って正常に作動することを確認してございます。ただ、途中でこれの保守点検を自発的に行いませんと、海の上のことでございますのであるいは作動部分にさびがくるということはあり得るかと思います。それはまた先ほど船員局長からお話がございましたように、船員の方で自発的に整備点検をしていただくように定められているわけでございます。
○新盛委員 どうも船乗りさんというのは、本当に海難事故等たくさん起こるわけでありますが、身を守るすべはないのですね。まさしくいまのような状況で、整備、点検、管理、そうした面にわたっても、この救命いかだの事実が示すように——四十七年製造、十年近くなっているのですよ。そして、救命いかだは十五人乗りと言われています。その中には信号灯とか当分の飲料水とか食料、そういうものが積んであるんですね。ところが、底が抜けちゃって全部流されちゃった。何とか信号灯だけは持たなければどうなるかわからないというので、しっかりと励まし合ってそれは持っていたというのですね。こういう実態を見て、それは残念でしたね、そんな状態のことに遭遇したのは、またその犠牲になられた方々を含めまして、それはもう残念なことだった、これで済まされますか。こういうことに対して、これから二度とこういうことを繰り返さないようにするためには、救命いかだだって十年近くもたてば、それは開いたってすぐ底が抜けるようじゃだめなんですよ。この際、再度全国の各船を点検をしてもらって、海難事故防止のために諸団体が一生懸命になっているんでしょう。だから、そういうことについても、ぜひひとつ運輸省としてお取り組みをいただきたいと思うのですが、大臣どうですか。
○塩川国務大臣 海運界は非常に競争が激しい。その競争の激しいところから、やはり少しでも節約しようという気があって、私も今度のこの日昇丸の事故、いろいろ聞いてみますと、ずいぶんでたらめなことをやっておったんだなという感じがいたします。それはもう率直にそういうように受けとめるのです。 そこで、先ほど船舶局長も言っておりますように、これからも各海運業者に対しまして、船舶の整備点検につきまして、厳しい態度で点検を実施すると言っておりますので、それを確実に実施するように努力してまいります。
○新盛委員 それでは海上保安庁にお聞きしますが、潜水艦というのは、この海上交通安全法の第二十二条「巨大船等の航行に関する通報」、この巨大船の中に入るんですか。これは原子力であろうとなかろうと、下を航行している潜水航行の状態で、航路の障害になる場合、横切る場合とかいろいろありますね。こういう場合の解釈はどうなんでしょう。これが第一。 それから、海上衝突予防法、一九七二年の海上における衝突の予防のための国際規則に基づいてできた法律です。これは第三節に「視界制限状態における船舶の航法」というのがありますね。あの当日は、朝視界が二キロというんです。雨か霧かなという状況で薄暗かったけれども、視界は二キロですね。波高は一メートルなんですよ。こういう状況の中でああいう遭難が起こったのでありますが、まずこの第一の、いわゆる海上交通安全法による巨大船という中には潜水艦というのは入るんですか、入らないんでしょうか。
○妹尾(弘)政府委員 お答えいたします。 海上交通安全法は、いわゆる領海の中で、しかも主として海峡の安全を図ることを目的として、海峡をたくさん通るタンカーというものを対象としております。したがって、この潜水艦も、大きさとしてはそう大きな潜水艦じゃないわけで、もしあの海域がそういった海上交通安全法の適用海域だとしても、恐らくこの潜水艦は巨大船の扱いには、あの法律の適用とは関係がないんではないかと思っておりますが、公海でございますので、海上交通安全法の問題ではございません。
○新盛委員 海上交通安全法上の巨大船というのには入らないというわけですか。潜航しているものは何になるのですか。障害物にはならないのですか、公海といえども。どうなんですか。
○妹尾(弘)政府委員 海上交通安全法の問題では実はないわけでございます。先ほど後段で御指摘になった、浮上して航行している場合には海上衝突予防法の関係がございますが、交通安全法の巨大船ということとは関係がないわけでございます。 潜航中の潜水艦に関しては、実は海上衝突予防法というのは、国際法の海上衝突予防規則からきておりますが、この条約では水上にある船舶に適用するということが書いてありまして、潜水中のものについての適用関係には触れてないわけでございます。現在国際条約あるいは国内法関係におきましても、潜航中の船舶というものに対する交通規則というのは、実は抜けているという関係にあるわけでございます。
○新盛委員 それは抜けていちゃ困るのですよ。東シナ海を初めとして、これは領海であるなしにかかわらず、公海であっても潜水艦が潜航していく。中はだれもわからないでしょう、潜水交通安全法でもつくらない限り。しかし、そういう物体が急激に浮上する。日昇丸はレーダーでとらえることはできなかったというのですから。だから、こういう実態に対して、これから海運業、特に安全なる航海を願う運輸省としては、どういうふうに処置されるのですか。これからまだたくさんこんなのが出てくるのじゃないですか。漫画じゃないけれども、サメみたいにうようよとかいてあります。その上を通るのですから、いつ頭をもち上げてぶち当たるかわからないと、こうなっているのですね。これは偶然だとは思いませんよ。どうされるのですか。
○妹尾(弘)政府委員 公海上の問題につきましては、こういった海上関係の規則はやはり条約を基礎にしないと法律というのはできないわけでございます。国際関係の条約というものは、大体潜水中のものについてまだ議論がされてないわけでございます。しかしながら日本近海における最近の事象を見ますと、潜水艦というものを交通安全上どう考えるかということについては、私どもとしても真剣に考えていかなくちゃならないということで、私どももこれからできるだけの検討を早急に進めてまいりたい、かように考えております。
○新盛委員 大臣・そういう事情でありまして、これからそういう国際法上の取り決めというようなことについて、まだあなたの方はある意味じゃ被害者なんですから、こういう状態になっているのでして、外務委員会でも議論されているでしょうし法務委員会でも議論されているでしょうが、一体こういうことに対して何らか規制措置とかあるいは立法措置とか、そういうことはお考えになりませんか。
○塩川国務大臣 規制措置とか立法措置は考えておりませんが、外務省に要請いたしまして、先ほど妹尾長官が言っておりますように、これはやはり国際条約で原則を決めていただかなければならぬ。しかも、事は軍艦でございますので、それぞれの各国の軍事的な利害関係もございましょうから、これはどの場所がいいかわかりませんが、とりあえず国際会議においてこれを提案して、強力なその枠組みをつくってもらわなければならぬと思うのであります。さりとて、それはできる、できぬということの期待だけでおるわけにまいりませんし、われわれといたしましては、やはり海上保安庁が海上の警備、救難、そして情報の収集というのを責任を持っておりますので、とりあえず海上保安庁において、海中にどういうものがあるのか、こういうことを探る、知る能力と申しましょうか、それをつけるべきである。いま海上保安庁の船にはそういう海中探査能力はないのでございまして、これを早急につけてその情報を、航行の激しい地域でございますね、航路上の重要航路なんかのところで、その情報を、通航する商船、漁船というものにある程度提供していく、そういうことをやることが自分自身で航行の安全を守る道に通じる、こう思いまして、それを鋭意検討しておるところであります。
○新盛委員 時間が来ましたのでやめますが、最後に、この事故は起こるべくして起こったんだと水産団体の人たちは口をそろえて言っていますよ。起こるべくして起こったんだというのは、まさに航海の無原則じゃありませんが、航海安全ということで規制をしつつも、あるときには黒い物体が真っ正面からぶっかかってくる。それこそ大変な危険にさらされながら漁業の皆さんは操業しているし、また、航行をしておられる方々だって、これは水路の通報その他等、連絡はとり合っているだろうと思いますが、今回の場合でも、そうした通報等においてはきわめて遺憾な面があるわけです。この点はまた別の委員会で議論をいたしますけれども、いずれにしましても、こういう状況が発生するという、もはやそういう事態であったのだ。だからこのことに対して防止策を万全の対策として、運輸省は特にこの交通、いわゆる航海安全という鉄則に基づいて、今後の行政をしていただきたい。要望して、終わります。
○斎藤委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時四十三分休憩 ————◇————— 午後二時三十六分開議
○斎藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 自動車事故対策センター法の制定経緯を私どももいろいろといま勉強させていただいておるわけでありますし、きょうこの委員会で、植物人間という言葉の定義はさることながら、重度の障害者の対応についてどのようにするか、いろいろとお伺いをしたいわけでございます。 まず最初に、事故の発生の問題についてお伺いをします。 現在の自動車の保有台数それから運転免許者の数、そして俗に言われるペーパードライバーという方がかなりいるわけですが、そのペーパードライバーという方々の、これは推定にしかなりませんが、何か具体的な数字の根拠等があればお挙げを願いたいと思います。
○宇野説明員 お答え申し上げます。 現在わが国におきます自動車保有台数でございますが、若干月数が古くなりますけれども、五十五年の十月時点で全自動車数が三千八百五十四万四千二百二十五台という数字になっております。 それから運転免許の保有者数でございますが、これは警察庁の資料によりますと、五十四年末におきまして約四千百万人という数字になっております。 それからただいま御質問いただきましたペーパードライバーの数でございますけれども、どういう免許者をペーバードライバーと言うかということについての認定が非常にむずかしゅうございまして、その数については把握することがきわめてむずかしいということでございます。ただ、事業用の自動車の運転免許者数につきましては私どもつかんでおります数字といたしましては、運転免許者数という形ではなくて、運転者数という形でつかんでおりますが、大体五十四年度には百五万程度の数字になろうかと思います。ちなみに、それに対応いたしますところの事業用自動車の台数は五十四年度末で九十八万一千九百八十六台という数字になっております。
○草川委員 私がいまペーパードライバーの問題を取り上げましたのは、あとの、事故防止という面も含めて、あるいはまた適性、訓練だとかいう点も含めて申し上げておるわけでございますが、それは、ペーパードライバーだといって一々登録するわけではありませんし、数字としてはつかみがたい、こう思いますので、逆に、いまの自動車の保有台数から事業用の運転者数あるいはまた事業用の台数、それからマイカーと言われる台数を引いたものが強いて言うならばペーパードライバーに近いかもわかりません。それも必ずしもそう断定できないわけでありますが、いずれにしても、常時車を運転する方とたまたま車を運転する方とは、運転感覚の問題もございまして、それが事故率にどのように結びつくか。本来ならば、ここらあたりはどこかの研究所とかあるいは総理府の交通安全対策室ですか、そんなようなところで機会があれば、俗に言うところの運転機会の少ない運転免許者と災害度数率というのですか、そういうものの比較はぜひ示していただけるよう御検討をお願い申し上げたいと思うわけです。 そこで今度は、交通事故による死傷者数というのが年々増加をしてきておるわけでございますし、それから災害の度合いというのも非常に深刻なものが多くなってきておるわけでございますが、事業用の事故というものだけでどの程度あるのか。これはすでに統計も出ておるわけでございますから、事業用の事故というものはどのような形で推移をしておるかということをまず第一にお伺いをし、そして第二番目に、事業用とはいいながら、いわゆる白トラというのですか、個人でトラックならトラックを買い受けまして、そしてその車を持ち込んで請負契約をやって、生業というか仕事をやっておみえになる方が非常に多いわけでございますが、そこら辺の数字をどのようにつかんでおみえになりますか、お伺いをします。
○宇野説明員 交通事故の件数のうち、警察庁統計から私どもで引っ張り出しました数字を申し上げますが、五十四年におきます事業用自動車によるところの交通事故のうち、事業用自動車が第一当事者になった場合の死傷件数について申し上げますと、総数で三万九千二百三十二件ということになっております。内訳について申し上げますと、バスが三千四百三十七件、タクシーが一万七千五百六十三件、トラックが一万八千二百三十二件、こういう数字になっております。そのほかの事故につきましても総数が警察の方で統計をされておりますが、ちょっとここに手持ちがございません。 なお、先生から推移という御質問がございましたけれども、ちょうどいま手持ちとして一番新しい数字だけをお持ちいたしましたので、それについては後ほど御報告申し上げたいと思います。
○草川委員 白の対応については後ほど触れたいと思います。少し先へ行きます。 運輸省は、交通事故の防止のためには、まず自動車事故の発生そのものを未然に防止することが重要であるとして、ソフト面の対策として運行管理者の指導、講習の強化と、その一環としての事業用運転者に対する適性診断の実施の必要性を強く主張をしてきた、こう言っておみえになるわけです。そこで、この事業用運転者に対する適性診断の実施の費用でございますが、これはセンターの補助金の方から出ておると思うのですが、いかほどになっておりますか、お伺いします。
○宇野説明員 自動車事故対策センターが行います適性診断の経費につきましては、人件費それから広報宣伝費等を含めまして、現在、昭和五十五年度の予算総額を一定要件のもとに配分をして適性診断の分について集計いたしますと、全体の予算の三五・五%に当たります十二億六千万円が、適性診断の運営費として使用されております。
○草川委員 ここの中で、ソフト面で適性診断とか指導、講習ということを言われておりますけれども、いまの三五・五%の十二億というのは適性診断の方だけだったですか。そうすると、もう一つ運行管理者の指導、講習の方の助成はどの程度あるのか。それから、俗に言うソフトとハードという言葉がありますけれども、そのソフト面でこのような適性診断ということが出ておるわけですが、ハードの面としては、事故防止の面についてどのような定義づけ、位置づけをお考えになっておみえになるわけですか。
○宇野説明員 先ほどお答えが足りませんでしたけれども、事故対策センターの行う運行管理者等の指導、講習についての経費としては、同じく五十五年度予算のうち一三・五%に当たる四億八千万円が見込まれております。 それから次に、ソフト面の対策に対応したハード面の対策ということでお話がございましたけれども、自動車の交通安全の確保につきましては、現在第三次の交通安全基本計画に基づきまして、国の行政機関あるいは地方公共団体が諸施策を具体的に定めて強力に行うことになっておるわけでございますけれども、運輸省といたしまして、同計画の中にあります「車両の安全性の確保」という事項に基づいて対策を強力に進めることにいたしております。この車両の安全性に関する技術基準の改善の推進によりまして、自動車の構造、装置面の安全確保を図るとともに、自動車の検査及び整備の充実によりまして安全の確保の万全を期してまいりたいと考えております。 自動車の構造、装置に係る安全基準については、道路運送車両の保安基準という規則がございますが、この中で詳細に規定が定められておりまして、この基準によって規制が行われているところでありますが、今後の安全基準の拡充強化につきましては、昨年十月に運輸技術審議会の答申がございまして、安全基準の改正等所要の措置をこれから図ってまいる所存でございます。 また、自動車の検査については、これを確実に実施するために、国それから指定自動車整備事業者等によるところの検査体制の整備を図っていくとともに、新しい車、新型自動車の審査体制の拡充強化を図ってまいることにいたしております。 また、整備については、整備不良車の運行を防止するということから、点検整備の実施についての広報活動とか街頭検査等によるところの指導監督を行いますとともに、整備事業者の近代化の促進によって自動車の点検整備の受け入れ体制を充実強化していくということを考えて、この指導に当たっておるところでございます。
○草川委員 これは運輸省の考え方ですから私どもがとやかく言う筋合いはありませんけれども、俗に言うソフトとハードというものの分け方ですが、いま部長がおっしゃった後者は、一般論的に、常識的に今日産業界で使われておるソフトとハードという分け方においては、必ずしもハードに当たらないのではないか、私はこういう感じがするのです。それで私はもう少し、いわゆる技術の面とか、車そのものだけではなくて、周辺問題にもっと輪を広げていくことが必要ではないか、こう思います。道路も一つの問題であると思いますし、いわゆる縦割り行政の運輸省的なサイドからもう少し、一歩広めた意味でハード面ということは取り上げていく問題が多いのではないだろうかと思うわけです。特に、最近自動車の整備、整備というよりも品質の問題でございますけれども、非常にパーフェクトに近い問題もあるわけでありますから、たまたまそれは欠陥的なものも出ることは出ますけれども、概念的にはかなり高水準に達したわけでありますから、いわゆるメンテナンスの方、維持をする面にまた一つの問題点があるのじゃないかと私は思います。過日もどこかのテレビでやっておりましたけれども、いわゆる車検整備ということが正しく守られておっても、車検整備用のために、たとえば輪っぱというのですか、車輪、特にタイヤのみぞが減ってつるつる坊主になって非常に危険な、許可のおりないタイヤを車検のときだけ交換をするというそういう商売が生まれているというのをテレビがかなり長時間にわたって報道いたしておりまして、非常にショッキングなニュースではないか、こう私も思いました。これは天下公知の報道として出ておるわけでありますから、それこそ、いかに行政として検査機構が完全に確立をしておるといっても、そういう裏の話があるわけですから、もしそんなことがまかり通るとすれば、これはもうどのような処置をしても話にならぬ話でございますが、しかし現実にそういうものがあるというわけですから、レアケースではなくて、一つの報道機関が特別番組を組んでやっておるという事実についても十分な対応を私は考えなければいけない、こう思うわけであります。 そういうことからまたちょっと話を前へ戻しまして、いわゆるこの事業用の運転者に対する適性診断とか指導はやられておるようでございますけれども、一般の運転者に対する指導強化というものは実際上はやられていないわけです。一般の運転者に対する適性診断だとかあるいは指導、講習というものが別の機会にあってもいいと思いますし、どの程度が事業なのか、普通の企業で運送業務に働いておる場合だって事業用とも言えるわけでございますが、運輸省の場合が言っておる事業用というのは、トラック協会だとかあるいはハイヤー、タクシー協会だとかいう協会に属しておる、そういう陸運行政上の免許対象者の従事者が多いと私は思うのでございますけれども、その点はどうお考えになっておられますか。
○宇野説明員 ただいままで事業用自動車とか事業用自動車の運転者という言葉を使ってまいりましたこの事業用という意味は、道路運送法に基づきますところの道路運送事業を経営する者の持っておる自動車であり、その事業用自動車を運転している運転者のことでございます。一般の事業所にございます自動車を運転する者、職務として運転者として勤めておる場合もあろうかと思いますが、私どもがこれまで区分しておりますのはいわゆる青ナンバー、営業ナンバーをつけた車と運転者、それから白ナンバーをつけたものを自家用ということで区分をいたしてまいったわけでございます。
○草川委員 そこで最初に戻りますけれども、確かにバス、ハイヤー、個人タクシー、トラック、これらの十九万人近い方々が適性診断を受けて非常に効果があったということは私事実だと思うのです。あるいは運行管理者の指導、講習が五十四年度で七万二千人にも達しておるわけでございますから、それなりの効果はあったと思うのですけれども、当初お伺いしましたように、運転免許所有者数というのは四千百万人にもなっておるわけでございます。こういう方々を相手に考えるとするならば非常にこれは範囲が狭いことになるわけでありますし、とかく私どもも日常生活の中の実感として受けるのは、白ナンバーの中でも、特に個人的に自分が一台トラックを、ダンプカーなんかを購入いたしまして、その都度、公共投資なら公共投資の多いところ、あるいは区画整理の大きい事業のところにトラックを持ち込んで、そこで土砂の運搬をするとか、完全な請負になるわけでございますから、こういう方々は非常に早朝から働き、そして夜遅くまでやられるという例が多いわけでありまして、そういう対象者にこそ本来の適性診断をしていただいたり、あるいはそういうグループのメンバーに運行管理の指導をすべきだと思うのです。いわゆる渡り鳥的な白ナンバーのチャータートラックに対する対応というものはどう把握し、どのように対応を立てられておるのかお伺いします。
○宇野説明員 一般の運転者に対します適性診断というものにつきまして申し上げますが、一般の運転者に対しましては、警察が行っておりますものといたしまして、交通違反あるいは交通事故によって行政処分を受けた者に対する処分者講習という形でペーパーテストだとかあるいは機器検査といったようなものによって適性検査等が行われているケースが一つございます。それからもう一つ、同じく警察で実施されておるわけでございますが、運転免許証の更新時に更新者を対象にした講習の際に、ペーパーテストあるいは指定自動車教習所の行いますペーパーテストによる適性診断というものが行われている現状でございます。 一方、自動車事故対策センターで適性診断を行っておりますが、このセンターにおきましては、主として事業用自動車の運転者を対象として行っているところでございます。これは申し上げるまでもなく、事業用自動車が他人の貴重な生命あるいは財産を輸送するということで、その事故の及ぼす影響がきわめて大きいということ、あるいは営業上の実態を見ますと、走行距離、運行時間といった質的、量的にも運行形態が非常に複雑多岐にわたって交通事故を発生するリスクも大きいということから、こういう事業用自動車の運転者を中心に行っているわけでございますが、一般の運転者に対しましても、現在希望者に対しましてはこれに応ずることにいたしておりますし、特にこれまで自家用自動車の運転者がセンターの適性診断を受けたケースを調べますと、自家用自動車の安全運転管理者を置くような、ある台数を持っている事業所からの受診者があるということのほかに、全国的に見ますと、幾つかの県でダンプ協会といった、先ほど先生御指摘の一台だけ車を持って事業をやっておるような運転者が集まって協会をつくっているところがございますが、そういうダンプ協会も積極的にこのセンターの適性診断を受けているという実績も出ておるところでございます。
○草川委員 どっちにしても自賠特会を支えておるのは事業者団体だけじゃないわけですよ。われわれもマイカーを持ち、大臣だって選挙区へ帰れば事務所の秘書も大変な行動をしてみえると思うのですけれども、一般にそういう反対給付というのは非常に少ないと私は思うのです。もちろん業界のトラック、バス、いろんなのがございますけれども、私がいま申し上げた白トラというのは実はなかなか団結してないんです。私も自分の後援会にたくさんそういう対象者がいますから、まとまったらどうだろうとか、あるいは地方の警察署の方からも安全管理からダンプの方々にまとまりなさいという指導があることは事実です。指導がありますけれども、じゃ、そういう方々が一日休暇をとって講習に行く場合にだれが賃金保障するかということになれば、だれも保障しないわけですから、ついついおっくうになるわけです。だから、せっかくこの自賠特会からセンターの方にもあるいはこういう講習会にもいろいろな金が出るわけでございますが、三対七になるのか六対四になるかその割合は私正確には何も心得ておりませんけれども、いわゆる事業用だけに対応するのではなくて、一般的な訓練なり適正検査なりあるいは指導ができるようにもっとやっていただきたいと私は思うのです。いまの部長の話だと、数県そういうところがあるというんですが、数県ではなくて全国的に統一した対応が必要だと私は思うのです。この点は一体どのようにお考えになられるか、これはいま部長からは何回か話を聞いておりますから局長なり大臣から一回ひとつ御意見を賜りたいと思うんです。
○塩川国務大臣 センターの能力を増強すると同時に、できるだけその方面に対しましても呼びかけをし、参加を慫慂するようにいたしてまいりたいと思います。
○草川委員 じゃ、ぜひ私の趣旨を踏まえた行政対策を要望して、重度後遺障害者の問題に入っていきたい、こう思います。 それで、今度の改正案の提出に至るポイントでございますけれども、重度の意識障害者の問題は、本人対策もさることながら付き添い対策だ、家族の精神的、肉体的、経済的負担に耐えがたい点というのが非常に大きく出ておるようでございますが、提案する立場から、これは私の申し上げておることに間違いがないか、お伺いします。
○棚橋説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、御本人は意識がない方でございますが、その方のうち半分くらいの方はいま病院に入っておられまして、半分くらいの方が御家庭におられますが、どちらへおられましても御家族がこれの介護に当たるために非常な苦しみをしておられるというのは御指摘のとおりでございまして、それを少しでもやわらげたいというのが今回この法案をお願いしておる趣旨でございます。
○草川委員 これは厚生省に聞いた方がいいと思うのですけれども、自動車損害賠償責任保険審議会の答申案が出ておるわけでございますし、それから昭和四十九年十月二十四日に東北大学の鈴木教授から厚生大臣あてに「植物状態患者及び家族救済策採択要望書」というのが出ておるわけでございます。これは東北大学の鈴木二郎先生が、日本脳神経外科学会会員一同として、代表第三十三回日本脳神経外科学会会長として内閣総理大臣田中角榮殿、厚生大臣齋藤邦吉殿として出しておるわけですが、これはごく簡単に言えば内容はどのようなものか、お伺いします。
○柳沢説明員 昭和四十九年十月に日本脳神経外科学会の会長でありました東北大学の鈴木二郎教授から総理大臣、厚生大臣あてに要望書が出てまいりまして、その中では、近時交通事故等でもって植物状態の患者が非常に増大しているという新しい社会問題が生じている、これに対しまして、国民に生命の尊厳をさらに示し、家族の再生産意欲を高揚するために、地方自治体等が独自の方法によってやっております救済方策等に対しまして、それをさらに全国的な政策として取り上げられたいという意味の要望書が出てまいってきております。
○草川委員 それで、いまのその全国的な対応を立てろという要望は実は厚生省に日本脳神経外科学会が言っておるわけですね。植物人間の実態等については午前中にもいろいろと実情が報告をされたのではないか、私こう思っておりますけれども、これはいま非常に重要な問題になってきておることは事実でございます。原因は交通事故もございますし、労働災害もございますし、あるいは老人性からきた場合もございますし、脳疾患関係からきておるのもあるわけでありますし、その他の難病から植物人間状態になったという面がございまして、非常に重要な問題があると思うのです。たまたま昭和四十九年に日本脳神経外科学会として国に対する要望という形は、二、三の地方自治体、これは宮城県でございますか、そういうところでかなり在宅訪問というんですか、患者が自宅に寝たきりになっているのを訪問看護をするとか、あるいは介護要員が非常に不足をいたしておりますので介護要員を自宅に派遣をして、褥瘡というんですか何というんですか、床ずれにならないように手当てをするとか、あるいは差額ベッドの問題について特別な対応を立てるとかいうようなことから、全国的な施策を取り上げることが必要ではないだろうか、こういう言い方ではなかったのか、私はこう思うのです。 今度の運輸省の方のセンターのいろいろな資料等を見てまいりますと、運輸省の方は家族も大切だしというこの前半のところは言われておるわけでございますが、集中的に患者を収容をするということが何か目的のようになっておる。私はこれは非常に重大な、実は鈴木二郎東北大学教授の日本脳神経外科学会の「植物状態患者及び家族救済策採択要望書」とは少し問題点がすりかわっておるのではないかと思うのですが、運輸省としてはこの東北大学鈴木二郎教授代表の提案というものをどのように理解をしてみえるのか。もう一回最初に戻しますけれども、新しい社会問題として、じゃ運輸省としてはとりあえず交通事故が原因の者だけについては一カ所に集めるというところに力点を置かれておるのか。その点はどうでしょう。
○棚橋説明員 私どもがこのような療護施設を自動車事故対策センターにつくらせたい、こういうふうに考えましたのにはいろいろ理由がございますが、一つは、先ほど来御指摘がございますように、このような重度の意識障害者の方は、交通事故のみでなくて、たくさんおられますけれども、交通事故の場合には、そういうふうになられたその原因というのが明らかでございまして、いわば加害者である自動車というものがはっきりしておるということから、自動車の側でできるだけのことをやるべきではないかという点。 もう一つは、他の重度意識障害者の方に比べて、年齢的に若い患者の方が多いわけでございまして、したがいまして、生存される年数も長いということから、やはり特別な対策が要るんではないか。そのような種々の観点から行いたいというふうに思ったわけでございます。 その際に、患者はもちろん家族の皆様も含めましての御期待と申しますか、こうあってほしいという御期待にこたえるには最も効率的なる形で、これらの方々に対する介護を行った方がいいだろう。そういう意味で、こういうものをつくって、ある程度の人数にまとまった方を、まとめて介護するのが最も効果的であるという観点からこのような施設を考えたわけでございまして、決してまとめることそのことに目的があったわけではなく、最も患者や家族の皆様の御期待に沿えるような効果的なる介護を行うことが可能なようにするにはどうしたらいいかという発想から出ておるわけでございます。
○草川委員 実は、そこが非常に重要な、食い違う点になってくるわけですよ。 私は実は、個人的なことを申し上げて恐縮ですが、社会労働委員会にも籍を置いたこともあるんで、十全会病院問題を何回か取り上げておるわけです。十全会病院も、今日社会的な大きな関心を呼んで、非常に批判をされておるのは、実はいまおっしゃったような発想があるんです。これは非常に重要なんですよ。 本来の寝たきりの、植物人間というのですか、老人も同じでございますけれども、後代の人間なり家族にしてみれば、本音を言うならばめんどうなんですよ。厄介で厄介で仕方がない。そのために一家が悲惨な思いになるという例があるわけです。これは老人病も同じなんです。だから、とにかく十全会へ頼めば、十全会は一括して受け入れてくれる。そのかわりにもう寝たきりで注射の打ちっ放しで、大体十カ月で患者は亡くなっていくわけですよ。約三千近いベッドがありまして、一年間で千五百人くらいが死んでいくわけですから、私どもあえて、非常に言葉が悪かったのですが、老人処理工場だ、こう言ったわけです。その老人処理工場で亡くなった方々は、隣にもうちゃんとお寺まで鉄筋コンクリートであるわけですけれども、流れ作業でお寺まできれいにお参りしてくれるんだから。流れ作業になっておるんですよ。だけれども、その遺骨をとりに来るのはわずか三分の一ないというのです。三分の二はほうりっ放しだというのです。実はそういう発想に近づくものですから、医療のあり方をもう一遍考えようじゃないかというので——株の買い占めとかいろいろな問題があったのですけれども、十全会は非常に大きくなったわけです。 ですから、寝たきりの植物人間というのは、本音を言うならば、どこか一カ所に収容してくれるならば家族は大喜びだと思うのです、その限りにおいては。これはもう私は率直に認めるのです。だけれども、それが安易に行われるとするならば、人間性の尊厳というのは一体どこへいくのか。あるいは中には寝たきりの植物人間でも、七年たって回復をしたという例もあるわけです。あるいはアメリカだと十二年間病院に入院をさしておいて助かったという例もあるわけです。だから、これはやはりいろいろな病院にそれなりに預けるとか、あるいは基本的には在宅で、自分のうちでめんどうを見ながら、訪問看護だとか繰り返し繰り返しやることによって、あるいは病院も、あの棟には植物人間の方が見えるけれども、みんなでひとつ見守っていこうではないかとかいうことが実は医療の尊厳につながっていくわけです。極端なことを言うならば、めんどうだから五十人集めよう。そうしたら、今度は北海道でもつくろうじゃないか、九州でもつくろうじゃないか、どんどん集めようということになっていったとするならば、いま一カ所にまとめて看護するのは非常に効率的な看護だとおっしゃいましたけれども、確かにそれは、十人より五十人まとめてめんどう見ようということは、付添看護婦がその分だけ少なくなることかもわかりませんけれども、私はこれはいかがなものかと思うのですよ。これは非常に重要な問題提起だと思うのです。 今度は厚生省にちょっと専門的な立場からお伺いをしますけれども、脳外科の先生方としては、一カ所に集めることは、学術的な意味でどのような見解になるのか、意味があるのか、これをお伺いしたいと思うのです。
○水田説明員 お答え申し上げます。 まず、先生にお答えする前に、今回運輸省がとられます措置の受けとめ方を御説明しておいた方がよろしいかと思いますので、それをお許しいただきたいと思います。 現在自賠責の制度では、加害者が保険というシステムを使って、被害者に対して療養の給付なりあるいは介護手当なり、金銭給付という形をとっておられるわけですが、その中で遷延性の高度意識障害者について専門的なスタッフをそろえて、現物給付というかっこうで対処をなさる、こういうふうに私ども受けとめているわけでございまして、この遷延性の高度意識障害に陥ります原因は、先生御指摘のとおり、種々原因があるわけでございますが、今回のはいわゆる自動車事故に起因する単一性の、原因のはっきりしたものだけをとらえまして、そこに高度の専門スタッフをそろえて医療のケアをしていかれる。先生も御指摘のとおり、私ら身近に知っております例として福永騎手が、いま奇跡的に回復をしつつあるわけでございまして、こういう場においてそういう成果が生まれますならば、また多くの病院でこういう重度の障害者の医療のケアに当たっているわけですが、それに対するいろんなノーハウについての伝達その他が、この場を通じて開発されるということであれば、いろんな意味におきまして、介護のあり方を含めまして、私ども日本のこういう面での医学技術の進歩に寄与されるのではないかと思うわけでございます。 その際の運営に当たっては先ほど先生の、第二の十全会にならないようにという御指摘は、運輸省の方も十分踏まえて御対処いただけると思いますし、また、対策センターという国に準ずる機関が設置運営されますので、十分期待に沿うような運営が行われるんではないかというふうに私どもも考えている次第でございます。
○草川委員 いまの水田総務課長の方の御答弁は、医療進歩に寄与することになると思うというようなお話でございましたけれども、それにはかなりいろいろな前提があったやに聞くわけであります。特に高度な専門スタッフあるいはそのためのノーハウ、これは現在厚生省でも国立病院なり、あるいは文部省の国立大学病院等においても、あるいはまた脳神経の専門の方々が、この植物人間対策をいろいろとやっておみえになるわけでございますが、現在運輸省が考えておみえになります千葉県の場所を設定をせられているこの内容について、果たして厚生省がいまいろいろな条件、前提的なことを言われましたことが満たされるかどうか、これは一つ大切な点であると思うので、お伺いします。
○棚橋説明員 最初に、先生の先ほどのお話、私どもも十分理解をするところでございまして、大変教えられるところが多かったというふうに思っております。この療護施設は、まだこの法案が成立をいたしておりませんものでございますから、まだ具体的なる検討に入るわけにはいかないわけでございますが、法案を成立させていたださましたら、速やかに二年後の開業に備えていろいろな点についての具体案を詰めたい、かように考えております。その中で先生の先ほど来のお話のようなことにならないように、十分配慮をしていきたいというふうに思っております。 そこで、御質問のそのような体制をとるような考えでいるかという点でございますけれども、一応五十名の収容に対しまして専門の医師を三名程度配置をし、その中には脳外科の専門医というのをお願いをして、体制をとっていきたいと思っておりますし、また、理学療法士というような、いわゆるリハビリのことを専門につかさどるような者も配置いたしたいと思っております。 したがいまして、その立地、先ほど先生から千葉というお話がございましたが、一応千葉を想定して考えておりますが、法案の成立後、改めて正式に場所を選定するわけでございますが、その際には、先ほど来のお話にございましたようなことの体制がとりやすいような場所というものを選定をいたしたい、かように思っておるわけでございます。
○草川委員 ここでもう一回、また厚生省の方にお伺いをいたしますが、いま大体五十床のベッドが植物状態の患者の方々で満床になったと仮定いたしますが、脳外科の専門医三名、そのほかの看護婦だとか理学療法士、当然いろいろな医療機器も入ると思いますけれども、そういう程度の専属の医師というもので果たして植物性患者のめんどうが見られるかどうか。あるいは、本当に福永騎手のように蘇生をするような高い技術的な水準が保証されるのかどうか。これは外国の例等もあれば、外国の例等も含めてお伺いをしたいと思います。
○柳沢説明員 私ども、外国でこのような施設があるというふうなことは聞いておりませんので、外国の例についてはわからないわけでございますけれども、今度運輸省の方でもって計画されております施設というものにつきましては、十分充実した形でもってそれが行われますならば、十分効果を上げることが可能だというふうに考えております。
○草川委員 いや、だから、運輸省は十分な処置だということを言っておるわけだからそれは問題ないのですが、中身を、たまたまいま三名の医師というような具体的な提案があり、それから予算もそれなりのアウトラインが立てられておるわけでございますが、その種のものは、まさしく医学の進歩に寄与するに値するものであろうかどうか。これは専門はやはり厚生省ですから、厚生省にも申し上げますけれども、昭和四十九年に日本脳神経外科学会が、厚生大臣齋藤邦吉殿というので「植物状態患者及び家族救済策採択要望書」が出ておるわけですから、これに実際は厚生省としてはこたえてないわけですよ。そういう段階の中で、運輸省は一つの予算というものがあり、いろいろな要望があってこういう問題提起をしたわけですから、私は、その積極性は買わなければいかぬと思うのです。けれども問題は、その中身が充実をし、中身を間違えるとこれはもう大変なことになるし、それから、うまくいけばそれこそ世界にもないのですから、日本が初めてなのですから、本来ならばこれは厚生省がやればいいんですよ。しかし、厚生省がやらないから逆に運輸省がやろう、こういうことになったと思うのですけれども、運輸省だからといって、省庁が違うからというのではなくて、これは非常に重要ですから、では今度は労働省も労災は労災でやろう、こういうことになるかもわかりませんね。労災の寝たきりの方々をやろうということになるかもわかりません。予算が先行して、植物人間が実は後からくっついてくるということになるわけですよ。植物人間という、実に今日、社会的な問題にどのようにして対応すべきか。実はいま運輸省は、三千円という介護料を出している。これはいいことだと思うのです。とりあえずこれを一万にして、あるいはとりあえずは全国の患者の方々にめんどうを見ておいてから、この種のものをつくってもらうなら、私は、もう少し考え方もあるのです。言い方も違うわけです。そうして、厚生省全体で老人病の問題も含めて社会的な問題についてプロジェクトチームでも組んで、それじゃ労災の方も予算を出そうじゃないか、あるいは自賠責の方も予算を出そうじゃないか、そしてこの種の対応を立てたらどうかというように持っていかないと問題が多いと思うのです。ターミナル整備というのですか、寝たきり老人というのは、老人もあれば労災もあれば、あるいは自動車事故もあれば、脳外科もあるわけですから、たまたま交通事故になったら非常にめんどうがいい、どこかに収容、と言うと言葉は悪いのですが、入院をして、家族が本当に助かったということになるわけですから、差が出てくるわけですよ。人間は病気になるのに、よく後のフォローをしてもらう原因をつかみながら病気にならぬと困るわけですね。だから極端な言い方をすれば、ぼくはもういいかげんに年をとって、どうも植物人間になりそうな病気になるなら、トラックの前でまず倒れるわけですよ、これは卑近な例ですけれども。本当に日常生活の中で倒れる人と差があってはいかぬと私は思うのですが、その点は、厚生省としてどう思われるか、お伺いしたいと思います。
○柳沢説明員 厚生省としては、遷延性の高度意識障害者、いわゆる植物状態の患者さんだけを特定に取り上げまして、そしてその対策というふうには行っていないわけでございますけれども、たとえば一番意識障害に陥る原因の一つでございます脳卒中予防対策とか、そういったような予防対策を拡充するとともに、諸般の厚生行政全般の対策を拡充する、そういったような形でもってこれらの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
○草川委員 だから、私の質問にもう少しまともに答えていただきたいわけでありますが、これは繰り返しておってもきりがございませんし、時間がございませんので、最後に、予定をされる場所の問題についてお伺いをいたしますが、五十床のベッドを基礎とする、これはどういう名前になるかわかりませんけれども、計画をされておるわけでございますが、なぜ千葉県の幕張というところに一応の予定地を選定をせられているのか、具体的な経過についてお伺いしたいと思うのです。
○棚橋説明員 まず、経過を申し上げます前に、どのような場所が好ましいと考えておるかということをちょっと申し上げますと、やはり入所を希望される方が多い場所、こういうところが一つの条件かと思います。それから、先ほど先生のお話にございましたように、高度の医療をやります場合に、自分だけではなかなかむずかしいような場合には、他の病院等に対していろいろ協力を要請しなければなりませんので、そういう、付近に提携病院のようなものが確保できるかどうか、この点が一つあろうかと思います。それから、患者さんの家族ないしは職員というような方の通いやすい場所、それからそういう職員が確保しやすい場所、それと地元がこういうようなことに対して熱意を持っていただける場所、こんなようなことが一応選定の際の条件ではないか、かように思っておるわけでございます。 経緯でございますけれども、このような施設をどこかに設けたいということで、まず最初の第一号はやはり関東地区ということではないだろうか。全国的な分布ということから見ましても関東地方が多いわけでございます。そういうことで、関東地方のどこかということで選定をしたわけでございますが、まず第一に千葉県には関東地区で一番入所の希望の方が多いということがございました。それからもう一つ、こういうものを地元の方でどういうふうにお考えになっているかということでいろいろ勉強さしていただくために、センターとか運輸省の方で、各地のいろいろなこれに類似した施設を見学をさせていただいたわけでございますが、その際に千葉県の方から大変熱心なリアクションがございまして、そういうような施設をつくるならば大いに協力しよう、こういう積極的な意思表示がございました。そのために必要な土地が要るならばあっせんしようというようなことで、先ほど来ちょっとお話の出ております千葉県の幕張地区の土地をあっせんしよう、こういうお申し出が現在来ておるわけでございます。その土地は先ほど申し上げました条件にはほぼ適合をいたしておりますし、さらに他の近傍に比べて地価がわりあい安く御提供いただけるというようなことでございますので、そこを第一の候補地として現在考えておるわけでございます。法案が成立いたしましたら、さらに具体的に選定をいたしたい、かように思っております。
○草川委員 時間がありませんから最後になりますが、千葉県に入所希望者が多いというような調査をされたというのですが、これは全国的にされたのかどうか。たとえば大阪でもそうですし、あるいは私も愛知県の出身でございますが、愛知県にもそのようなことをされたのかどうか。あるいは協力しようというような意思表示、本当にセンターとしてこれこれしかじかやりたい、しかもどこか地元の脳外科の先生方と一体になって、外科の先生もぜひ協力をしようという形で呼びかけがあって、この委員会等に審議がかかってくるならばいざ知らずでございますけれども、どうも私は——関東地方に多いというのは当然でございましょう。これは私も率直に認めます。だけれども、千葉県に入所者が多いのか東京都に多いのかということになれば、またこれは別な意見が出てくると思うのです。あるいは土地の選定についても、千葉県で第一次、第二次、第三次というようないろいろな計画が常にあって、ときにはレジャーランド構想あり、ときには工場誘致構想あり、ときには文教地域構想あり、なかなか定かでない経過もあったようにお伺いをするわけでございまして、いま最初に言われました非常に高度な医療あるいは世界的な水準にもなる医療の進歩に寄与するという形でこの問題提起があったようにはどうもうかがわれぬわけでございまして、いわゆる植物状態にある患者の方々の問題が後になって、何かほかのことが優先をするような気がしてならぬわけでございまして、それが率直に申し上げまして私のこのセンター構想の改正案に対する一番不満な点なのです。それが解明されること、そして同時にそのような私の疑問は全く間違いであるとなったとしても、この植物人間に対する対応の仕方ということは、やはり人間性尊厳ということと紙一重のところで、一歩過ちますと、いわゆるうば捨て山的な発想、こういうことにもなりかねぬわけでありますし、本当にやっていただくならば、専門医三名程度で五十名の方々の対応ではなくて、もっと違った処置も必要ではないだろうか。 そして、千葉県でございますから、提携するのは千葉医大ということになると思うのですけれども、単なる国立大学一カ所だけではなくて、日本の脳神経外科の先生方とコンタクトできる設備にこれは格上げをしないと問題があるというように思うわけでございますので、若干、きょうは時間が来ましたので終わりますが、以上の問題点だけ提起をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。 以上です。
○斎藤委員長 次に、三浦隆君。
○三浦(隆)委員 自動車事故対策センター改正法案の三十一条一項の五号によりますと、「自動車事故による被害者で後遺障害が存するため治療及び常時の介護を必要とするもの」とありますけれども、これですと、後遺障害者の程度にもいろいろと差がありますので、必ずしも重度意識障害者を意味するとは限らないというふうに思います。しかし、ここでは、植物状態の患者、いわゆる植物人間と言われる人々、医学的には失外套症候群と呼ばれまた遷延性高度意識障害者と呼ばれる人人を対象とするものと一応考えて、このセンターの呼び名に従い重度意識障害者という呼び名でこれからの質疑を行わさしていただきます。 初めに、改正法案によりますと、重度意識障害者を対象として「収容して治療及び養護を行う施設を設置し、及び運営すること。」という業務が新たに加えられようとしているわけであります。そこで、初めに、医療行政の基本的なことについてからお尋ねしたいと思います。 といいますのは、最近、医療行政の論議の中で、医療は患者本位に、そのために第一に地域ごとに医療供給体制を整備することが望ましい、第二に当該患者のような特殊な病人だけをことさらに隔離し収容するような医療のあり方は望ましくないという見解があるわけで、この点につきまして、まず運輸大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
○飯島政府委員 お答えいたします。 いま先生のお述べになったような学説もあるいはあるのかもしれませんが、私どもといたしましては、このような構想を持つに至りましたのは、重度後遺障害者の実態の調査をこの二年ほど事故対策センターで実施いたしております。また、植物人間、そういう言葉については注意しろという先ほど御注意がございましたが、重度の意識障害者に対する介護料の支給の制度を五十四年八月から実施をいたしておるわけでありますが、そういった植物人間の認定に当たりまして、幾つかの大学の神経外科の先生方の御協力を仰いでいるところでございます。そういう先生方の御意見も伺いまして、このような構想を持ったものでございます。 今回実施しようといたします養護施設は、自動車事故の被害者という特殊な分野を対象とするものでございまして、医療行政の立場から行われております地域医療体制にプラスした形で行おうとするものでございます。したがいまして、地域の医療体制の確立に反するものとは考えていないのでございます。 また、この施設は、自動車事故の被害者及びその家族の悲惨な状態を救うため、意識の全くない患者を一カ所に収容しまして効果的な治療及び養護を行おうとするものでございまして、特殊な病人だということで故意に隔離しようとするものではございません。
○三浦(隆)委員 運輸省としては、いわゆる技術的な面についてだけの御発言でした。そこで、では厚生省にお尋ねしたいと思います。 技術面だけのことではなくて、いわゆる医療行政というものに対する理念というかあり方についてお尋ねしたいと思います。
○水田説明員 お答え申し上げます。 私ども、医療というのはできるだけ生活をしている場で機会均等に充足されるのが本来あるべき姿だというふうに考えておりまして、都道府県を単位とする地域医療計画の作成を図るべく、可能であれば今国会に医療法の改正を考えてみたいというふうに現在検討を進めているわけでございますが、やはり生活の場で充足される医療というのは一般的にある疾病でございまして、高度あるいは特殊な疾病につきましては、県を越える単位での専門医療機関の設置ということも医療機関の性格によってはその位置づけをしなければならぬものも出てまいる、このように考えているわけでございます。
○三浦(隆)委員 交通事故であれ脳卒中を原因とするものであれ、救命救急医療体制というものが充実完備していればかなり事前に救われる人がふえるんじゃないかという意見が有力な見解としてあります。したがって、事前救済を進めるためにも救急医療体制の充実にこそもっと目を向けるべきじゃないのかというふうに思うのですが、この点について運輸省と厚生省の御見解を簡単にお尋ねしたいと思います。
○水田説明員 先生の御指摘はごもっともでございまして、初期に的確な医療が行われることが、こういう高度意識障害者の発生を極力防ぐ上において大変寄与すると思っているわけでございます。したがいまして私ども、五十三年度を初年度とする五カ年計画で救急医療体制の整備というものを図っておりまして、ほぼ計画どおりに進捗をいたしているわけでございますが、なおこの的確な処理を行いますためには高度の救命救急センターというようなものを用意する必要があるわけでございまして、こういう外科を専門とします救命救急センターというのは県に一つ、あるいは広域圏の北海道、あるいは大都市圏を持ちます都府県におきましては複数設置し、そこにいわゆる消防庁における救急車とうまく情報ネットワークを整備しまして連結させ、当初運び込まれました初期診療の医療機関で応急処置をし、必要な手術はそういう高次の、三次の医療機関に持ち込む、こういう体制整備にいま懸命に努めてまいっているところでございます。
○棚橋説明員 運輸省といたしましても、先生御指摘のような救急医療体制の整備ということの必要性は十分痛感をいたしておりまして、そのために自動車損害賠償特別会計から公立病院等の各地の病院に対しまして救急医療器具の購入の補助金を支出をいたしておるところでございます。
○三浦(隆)委員 以下厚生省の方にお尋ねをしていきたいと思います。時間の都合もありますので、簡単で結構ですのでお答えいただきたいと思います。 初めに、医療というのは本来厚生省の管轄のように思えたのですが、このような病人を対象とする新しい施設をつくる計画はお持ちなんでしょうか。
○水田説明員 お答え申し上げます。 先生のお答えには二つの面でお答えを申し上げなければならぬと考えております。 一つは、先ほどの草川先生の御質問にもお答え申し上げたところでございますが、自賠責保険で加害者が被害者の救済を保険システムでやるという形をとっておりまして、現在は療養費あるいは介護手当というものを金銭給付で行われておるわけでございますが、その中の最重度の高度意識障害者について特殊の病院をつくり、そこで現物給付をされるというあり方は、労災その他から見て私どもは決して否定のできないことであろうと思っております。 次に、厚生省としては、では一般的にこういう高度意識障害者に対する医療対策としてはどういうことを考えているのだという点についてお答えを申し上げたいと思います。 遷延性の高度意識障害というものは交通事故も当然ございますし、脳卒中の後遺症として発生する場合もございますし、ガス中毒等の後遺障害としても発生する場合がございます。それから肝臓がんの末期には解毒作用を失うために意識障害を起こすというようなことで、種々の原因でそういう障害が生じてまいりますので、それらの原因に起因する専門病院において収容され、そこで継続してこういうものについての処置がなされる、そういうことで基本的には解決すべきではないか、このように厚生省としては考えている次第でございます。
○三浦(隆)委員 それならばなぜそういう施設をつくらないのか。運輸省がつくると言っているのですから、なぜ厚生省はつくらないのかをお尋ねしたかったわけです。
○水田説明員 私どもはいま申し上げましたように、種々の原因に起因した形での高度意識障害者がございますので、それぞれの原因の結果そういう高度意識障害を生じておるわけですが、基本になっておる疾病の治療を相伴うわけでございますので、各種多様のものについてそれぞれ起因した疾病と並行して行う医療機関の中でこれらのものが現在も適切に私ども処置を受けているというふうに考えておりまして、今回の運輸省のおとりになります措置は、金銭給付にかえてそれらのものについて特殊病院をつくりたい、また患者の御要望もあるということでそういう医療機関の設置をお考えになっている、このように理解をいたしておる次第でございます。
○三浦(隆)委員 わかったようでわからないお答えだと思いますな。必要であればつくるかつくらないかと言っているわけでして、運輸省でつくる意義があるならば厚生省にもつくる意義があるのじゃないか、もしそうでないと言うのなら、予算がそれに伴わぬのだとかあるいはもっとほかにつくりたいものがあってそこまで手が回らないのだとか、何かそういう理由があればですけれども、いまの説明ではわからない。
○水田説明員 現在、私ども遷延性の高度意識障害を持った人だけを特別に収容する国立の医療機関の設置は考えておりません。
○三浦(隆)委員 それなら最初からそういうふうに答えた方が早かったんだろうと思います。 じゃ、逆に、なぜつくらないのかお尋ねしたい。
○水田説明員 これは私どもとしましては、午前中の御質問にもお答え申し上げたわけでございますが、二百五十四持っております国立病院、療養所の中において、それぞれの原因に起因するところの患者、その結果としてのそういう高度意識障害者も、特別まとめて収容しなくても十分に対応できている、こういうふうな認識のもとに現在計画を持っていない、こういうことでございます。
○三浦(隆)委員 じゃ、つくらなくても十分間に合うということですか。
○水田説明員 厚生省としましては、各種の疾病の原因の結果に起因する高度の意識障害者のための特別な特殊病院をつくる用意は、いまお答え申し上げましたように持っておりませんが、運輸省の方で今回、各地にある医療機関にそれぞれ入院しておられる方について、現物給付として自分の直轄したところで手厚く医療を行いたい、こういう御希望でございますので、私どもはそれには賛意を表している次第でございます。
○三浦(隆)委員 つくらないという見解だし、あわせて既存の全国二百五十四カ所なりの国立療養所、そうしたベッドを使っていけば何とかなるだろうというふうな趣意にも聞こえるし、そうすれば運輸省はよけいなことをやったということにもなりかねないんじゃないでしょうか。
○棚橋説明員 厚生省からのお答えのあるとおりでございますが、なぜ私どもが特別にこういうものをやりたいというふうに発想したかということは、午前中の御質問でもお答え申し上げておりますように、一つは、自動車という原因者がはっきりしておるというものについては、その原因者のサイドでできる限りの形でごめんどう見るというのが筋ではないかということで、重度意識障害者の方ないしはその家族の方から御要望が強いものでございますから、それにできる限り対応いたしたい。 それから、同じ重度意識障害者でも、交通事故によります被害者の場合には、年齢的に若い方が多いわけでございまして、脳卒中その他の重度意識障害者の方とは若干そこを異にいたしておりまして、生存される年限も長い。したがって、半分の方は一般病院に入っておられるわけでございますが、また半分の方は家庭におられるというようなことで、ぜひ専門のところでやってもらいたいという御要望が非常に強いというので、あえてこのような考え方を行ったわけでございまして、全国的な医療の体系からの考え方は、厚生省の御答弁のとおりだと思っております。
○三浦(隆)委員 それも若干おかしいのであって、厚生省の答弁は全国二百五十四カ所なりの国立療養所がある、そこで何とか対応できるというようなむしろ答えであったわけですよ。そうじゃないですか。
○棚橋説明員 先ほども申し上げましたように、半分の方はいまそういう病院に現に入っておられるわけでございまして、また、そういう病院に入る道がないというわけではないわけでございます。それなりの対応というものはしていただける形ではございますけれども、交通事故という特殊性からかんがみて、専門の養護施設をつくってそこでごめんどうを見る方が適切ではないか、かような観点からこのようなことを企画をしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 厚生省の方も本来ならば、いま言った交通事故によるものであれ、脳卒中あるいはその他によるものであれ、現実に高度意識障害者というものが存在するし、もしその人たちが入院を欲しているものならば、もっと積極的に運輸省に負けずに厚生省もつくりたいんだ、だけれども、現実には金がないんだとかあるいはほかにもやりたいものがあるから優先順位的に間に合わないんだ、そういうふうなお答えで、とりあえず運輸省でやってくれというなら、わからないではないのだけれども、先ほど来の厚生省のお答えだとそうでもないようで、どういうふうに受けとめていいかちょっとわからない。
○水田説明員 お答え申し上げます。 私ども全国二百五十四の病院、療養所を持っておりますが、地域的にも完全に全国のあらゆる診療圏をカバーしているものでもないと考えております。また、今回運輸省の方において、こういう交通事故だけに起因する一つのパターンを持った遷延性の高度意識障害者についての医療あるいは介護の面について一つのチャレンジをしていただくということは、また、こういう障害者という方は、何も国の医療機関だけではなく、当然民間の医療機関等にも収容されておられるわけでございますので、あらゆる意味でそこで開発されたノーハウというものは、私どもいろいろな意味におきます医学の進歩に寄与するものであろうと考えているわけでございます。 では、なぜ国で、いわゆる厚生省の方でそういう専門機関をつくらないかという御指摘もあるわけでございますが、私どもといたしましては、現下置かれております厳しい財政状況及び総定員法という枠の中において、これらのものだけを一つにまとめた医療機関をつくっていくことは、現状においてはきわめて困難であると考えておる次第でございます。
○三浦(隆)委員 話としてはだんだんわかりやすくなってきたような気がいたします。ただ、たとえば国立療養所が全国二百五十四カ所あっても、まだ全国的にカバーし得るものではないというふうなお話がありましたけれども、今度の運輸省のはただ一カ所関東の千葉県へつくるというだけであって、二百五十四カ所あって全国にカバーできない、そういう不備があるものならば、二百五十四と一では全然問題にならないんじゃないかというふうな気がいたします。 時間がありますから先へ進むことにいたしますが、厚生省の方にきわめて技術的なことで簡単にひとつお答えいただきたいと思います。 高度意識障害者と重症心身障害者との違いがどこにあるのか、具体的な事例で簡単に御説明いただきたい。
○柳沢説明員 重症心身障害児者と申しますのは、重度の精神薄弱プラス重度の肢体不自由が重複しているということでございますし、それからまた、遷延性の高度意識障害者というのは、自力移動あるいは接触ができないことのほかに認識ができないといったような、そういうことがございまして、結局、その両者の差異ということになりますと、意識がないということが非常に決定的な点になろうかと思います。
○三浦(隆)委員 その次に、難病との違い、これまた具体的にひとつ御説明いただきたい。
○柳沢説明員 厚生省でいま難病として取り扱っております疾患につきましては、厚生省の定義といたしましては、病気の原因が不明でありまして、治療法が未解明、未確立であり、かつ非常に重度の後遺症を残す、そういう疾患でございます。ここに出ております遷延性の高度意識障害というのは、交通事故でありますとか脳卒中でありますとか、そういったような原因がはっきりしております病気の結果というようなことになりますので、そこのところが実は相違点になろうかと思います。
○三浦(隆)委員 厚生省としたら、治療方法としてはどのようなことが可能だと思いますか。
○柳沢説明員 一たんこのような重度、高度の意識障害に陥った方を回復させるというような治療法につきましては非常にむずかしいわけでございまして、結局のところ対症療法と申しますか、たとえば食事ができませんので栄養の補給をするとか、あるいは床ずれにならないように予防するとか、あるいはどうしても感染症にかかりやすいので感染症にかからないように予防する、そういったようなところがこういったような患者さん方の治療のポイントになろうかと思います。
○三浦(隆)委員 回復させることは非常にむずかしいというふうなお話でしたけれども、非常にむずかしいということはまだ可能性がある、そういうふうにもとれるのですか。
○柳沢説明員 可能性は、非常にむずかしいわけでございますけれども、特に満二十歳未満というふうな若年者の場合には非常に例外的に可能性がないでもないというようなことが学会等でもって発表されているようでございます。
○三浦(隆)委員 この重度意識障害者の対策で、わが国で一番進んでいる都道府県というか地方はどこでしょうか。また、どういうふうなことがそこでは行われているのでしょうか。
○柳沢説明員 一部の地方自治体において特に遷延性の高度意識障害者対策に取り組んでいるところがございます。それは、宮城県を初めといたしました特に東北の各県であろうかというふうに厚生省では把握しております。それらの県におきましては、医療費の自己負担額についてその県で負担するとか、あるいはおむつ代、介護料等について県で負担するというような施策が行われているというふうに理解しております。
○三浦(隆)委員 仮に一般病院に入院させたとしたときに、いわゆる室料の差額負担金とか付き添い看護料というのは一カ月にどのくらいかかりますか。
○仲村説明員 お答えいたします。 一般病院に入院させた場合、差額室料がどの程度かというお尋ねでございますが、これは一人部屋、二人部屋あるいは三人室以上ということで差がございまして、一概に申し上げられないわけでございますし、医療上の必要で個室に入った場合には室料差額は徴収できないということになっておるわけでございます。 それから、付き添い看護でございますが、これは御承知かと思いますが、基準看護病院とそうでない病院で差がございます。基準看護病院の場合には基準看護の加算が別になされておりまして、この病院におきましては病院の看護力の代替として付き添いを雇うことは私どもとしては禁止しておるところでございます。なお普通病院、いわゆる基準看護病院でないところへ入院した場合には、患者の病状によりまして付き添いをつけた場合には、主治医の証明によりまして家族が申請をして後に保険者から償還するという制度がございます。その金額は、これもまた地方その他でいろいろでございますが、標準的に例示で申し上げますと、一日あたり六千円とか七千円とかいう金額で償還をしておるわけでございます。
○三浦(隆)委員 次に、療護施設の問題についてさらにお尋ねをしたいと思います。 重度意識障害者につきましては、この改正法案の提案理由の中でも「その介護に当たるこれら被害者の家族の肉体的、経済的負担はきわめて大きいものがあり、その負担を緩和するための適切な救済措置もまた強く要望されている」、このようにあるわけでして、この療護施設ができるということは、どこの役所がつくったかどうか、あるいはまた、そのあり方がどうかこうかということは別にしまして、ないことよりもあることの方が関係者にとっては福音であろうと考えるわけです。 そこで、まずその設置の場所ですが、先ほどの御質問の中でも、関東地区に一カ所、それも千葉県の幕張地区の埋立地に決めるという予定なんですが、その理由をお尋ねしたところが、一応入院希望者が最も多そうなところ云々という御説明があったかと思うのです。としますと、対策センターでお配りになっている「重度意識障害者の実態」昭和五十五年十二月に発行されたものですが、その五ページに、都道府県別の入院在宅別の割合などが大変細かく載っているわけです。入院などのパーセンテージにしますとむしろ宮崎県だとか長崎県、佐賀県なんというのは一〇〇%の入院というふうに書いてあるし、徳島県九〇%、あるいはまた北海道八九%というふうになっていますが、千葉県は七〇%でしかないわけです。逆に言えば、むしろお隣の埼玉の方が八八%というふうになっているので、必ずしも入院の希望者が多い云々で千葉県が決まったとは思われないような気がするのですが、どうでしょうか。
○棚橋説明員 先生御指摘の資料の五ページではそのとおりでございますが、私どもが希望者が多いというふうに申し上げましたのは、この調査におきまして、介護料を支給している方々に対して、こういう専門のところができたらぜひ入りたいかどうかということを調べておりまして、その結果は九十一ページに出ておるわけでございます。 そこでごらんいただくとおわかりのように、入りたいという方の数字が一番多いのは北海道でございますが、これは一地区でございますからちょっと例外といたします。当然数が多くなるわけでございますが、その他の北海道を除く各県においては千葉が一番多いという数字になっておるわけでございます。 それから、先ほど申し上げましたように関東地方ということをまず考えましたので、この関東地方の中を見ましても、当然千葉県が入りたいという希望の方が一番多い。このようなことから、一応千葉というところが適切ではないかという判断材料の一つにしておるというところでございます。
○三浦(隆)委員 入院を希望する人が多いあるいは在宅の方がいいといったときにはいろいろな要因があると思うのです。各地域でもってその在宅患者に対する手厚い保護、いわゆる特別に何か金銭的その他でめんどうを見てくれたりするというところでは勢い在宅の人がふえてくることでしょうし、冷たい県になれば、ほっぽり出されてむしろしゃにむにとにかく入院を希望するというふうになるかもしれませんから、恐らくそれだけではないのだろうと思います。 〔委員長退席、安田委員長代理着席〕 ただ、ここでの説明も、とりあえず設けるのについては、予算も限りがあるから、そこで土地を取得したりなにかする場合に関東地区の中で比較的東京に近く、比較的土地の入手がやさしいというので決めたと言えば、いろいろなややこしいことを言われるよりはそれなりに理屈としてはわかりいいわけですな。ちょうど文部省が放送大学を一応考えているときも、その予定地として千葉県なりを設定しているのは、用地取得費が安いのだというふうに言っていたようですけれども、その方がわかりやすかった。先ほどの説明は、いろいろなことをくどくど言っているか、いろいろな資料にあるように北海道の方が確かに多いわけですから、多いところをやった方がいいじゃないかというふうにもなってしまうのだろうと思います。 それで、先へ進みます。 次に、施設収容者を五十名というふうに言っているのですが、対策センターやなにかで出している資料その他によっても、たとえば希望する者だけでも一応二百二十四名いるとか、どこまで数字が当たっているか知りませんが、数はもっとたくさんいるわけですな。そうすると、入りたい人がいる、しかも入れないといった場合、その入所というものはどういうふうにして決めるのかという問題があろうかと思います。またそこに、もし原則として関東地区在住者というふうに決めるとすれば、これは患者本位と言えるわけではなくて、医療行政という理念からすればおかしなことじゃないかと思いますけれども、どうでしょう。
○棚橋説明員 この私どもが設けようとしております重度意識障害者の療護施設というのは、午前中の御質問でもたびたびお答え申し上げましたように、一つのモデルケースとしてこれを設置いたしまして、その結果を見まして次のステップを考えたいというものでございます。そういう意味でもしモデル的に場所を選ぶとすれば、やはり関東地方が対象の方も圧倒的に多いわけでございますし、場所柄からいってもまず東京周辺を選定するのが当然ではないか、かように思っておるわけでございまして、そうなりますと関東地方の方に優先的に最初に入っていただく、かように考えているわけでございます。 ただお断り申し上げておきますが、この療護施設を具体的にどこにつくり、どういう形にし、どのような方を優先的に収容するかということにつきましては、この法律を成立させていただきまして、来年度の予算にかけて具体的に検討をしなければ、もちろん内々の検討はいたしておりますが、その上で改めて具体的に検討するものでございまして、先ほど来お答え申し上げておりますのは、あくまでも大体このような考え方でいきたいという希望を申し述べているものでございますので御了解をいただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 そういう方針でいきたいという希望であるとするならば、必ずしも千葉県に限定したと受け取らなくてもよろしいのですか。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕
○棚橋説明員 最終的に千葉県に決めたという性格のものではございません。
○三浦(隆)委員 教育でも機会均等というふうに言われるし、恐らく患者の側にとっても、どこの地区に住んでもひとしく治りたいという点は同じだと思うのです。たまたま放送大学法案などのときも、いわゆる新しい放送大学というものをつくることによって、むしろ都会地には大学が密集しておるから、かえって過疎地とか大学のないようなところにこそ放送大学をつくって学習の機会を与えるのだというふうにして、十分に審議をし尽くしたはずであったのに、いざ生まれてみたらば大学がたくさんあるような地区に持ってくる。最初の趣旨と違ってきてしまうわけですね。だから同じようにして、こうした患者が、たとえば北海道が本当に必要であるならば北海道であったっていいはずのものなのではないかという気がするんですね。すなわち機会均等というか、いわゆる同じ人間としての生命の尊重ということがあるならば、たまたま住んでいたところが運がよかった悪かった、そういうことにならないように十分配慮してほしいと思います。 さらに、もし千葉県が決定的でないというならば、またつくるとしてほかにもっと適切なものがあるならば柔軟な姿勢を示していただきたい。 もっともこれが通るのだという発想のもとにもう用地も実は大体手を打っておった、それではどうにもならぬじゃないか。そういうふうに事前に手を打っておった、そういうことはあるのですか。
○棚橋説明員 先ほど来繰り返し申し上げておりますように、まだ法案が成立いたしておりませんので、正式にどこにするとか、どういう形にすると申し上げられる立場にないということを御答弁申し上げているわけでございます。 ただ、もちろん予算を要求いたしまして、予算案を国会に提出いたしますにはそれなりの具体的なるプランというものは持っているわけでございまして、それにつきましては、先刻来申し上げておりますように、一応千葉県の幕張地区というところに内々この施設を設けたいということで進んでいるのは事実でございます。先ほどからいろいろ先生のお話がございましたが、先刻の答弁でも申し上げましたように、自動車事故対策センターそれから私どもの方も一緒になっていろいろなところの類似の施設を見学させていただいたわけでございますけれども、その際に千葉県の方からそういういいものをつくるのならぜひ千葉としては協力したいという非常に積極的な御意見がございまして、そしてそれに適当な土地を幕張地区にごあっせんいただける、こういうお申し出がございましたので、さらに医学的な面での御協力も得られる可能性が非常に強いというようなことからこれを第一の候補地ということにして進んでいるわけでございます。
○三浦(隆)委員 将来この一つの施設だけでなくて、ふやしていく計画なりあるいは資金的な裏づけは考えられましたか。
○棚橋説明員 先ほど来申し上げておりますように、とりあえずこの今回の計画はモデルとして行うものでございまして、非常に新しい試みでございますし、正直申し上げまして、いろいろ克服しなければならないむずかしい問題を抱えているのは事実でございます。そういうものを克服してできる限りりっぱなものをつくってみたいという意欲を持っているわけでございまして、そのような結果の成果を踏まえましてそれから先のことは検討してまいるのが適当ではないか、かように思っております。
○三浦(隆)委員 次に、お金の問題ではないのですが、いわゆるがんの末期症状を呈する人であれ、そのほか難病と言われる人であれ、治療していただくお医者さんなり看護婦さんなり、見舞いに来た人には何かありがとう的な意思表示があるんだろうと思うのです。ところが、この重度意識障害者の場合にはまさに、表現は悪いけれども、生きているか死んでいるかわからないように、ひっそりと寝ているわけですね。それが全病院そろって異様なくらいの静けさが恐らく漂う、こういうことにおいては、いわゆる旧来の病院では想像もつかない、恐らくなかった、初めての事態だろう、こう思うのです。全く森閑としてくるような、それこそ見舞い者でも来なければせき一つ聞こえてこなくなるかもしらぬような、人間の話し声が一つもなくなってしまうような、そういうところにお医者さんとか看護婦さんというような医療供給体制ができ得るものなのか、あるいは付添看護婦さんというものがあり得るものなのか。いかがでしょうか。
○棚橋説明員 先生御指摘の医者、看護婦というような要員を確保することは、先ほど私、克服しなければならない問題がたくさんあると申し上げましたが、その中の最大の問題であるということは十分意識いたしております。ただ、関係の機関等の積極的な御協力もいただき、何とかそういうことを克服してまいりたいということで事故対策センターの方もいろいろ準備を進めております。この法案を成立させていたださましたら、すぐに翌日からでも、二年先の開業まで若干時間もございますのでその問題を克服して、適切な療護施設を開設いたしたい、かように思っております。
○三浦(隆)委員 提案理由説明によりますと、「症状の悪化に備えた継続的な医学的措置とともに、細部まで行き届いた昼夜にわたる介護が必要とされる」ということになっているわけです。また改正法第三十一条一項五号では「治療及び養護を行う」とも規定しているわけです。先ほどは厚生省にお尋ねしましたが、今度は運輸省に、治療とはどのようなことをどの程度まで考えられているのでしょうか。
○棚橋説明員 治療の一番大きなものは、このような重度意識障害者で寝たきりの方は体力が弱りますので余病を併発することが一番こわいわけでございます。たとえば肺炎というような余病を併発しないように、またそのようなことになった場合にはそれに適切に対応するということが挙げられようかと思います。それから、いわゆる初期的リハビリテーションと申しますか、患者が何らかの形で回復する可能性というものを絶たないような意味での処置というものも必要かと思っております。それから、このような寝たきりの方でございますから、いわゆる寝返りを定期的に打たせなければいけない、それから床ずれ等に対する対策も講じなければならない、それから四肢が弛緩しないように適当なマッサージ等を施さなければいけないというような日常の療護、介護というものが要るわけでございまして、そのようなことを行いたいというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 こうしたいわゆる重度意識障害者だけを扱うようなところに来るお医者さんというのは、きわめて使命感に燃えている方かもしれないわけですな。そうすると、重度意識障害者だけ、しかもそろって五十人いるということは、もしこの方が使命感に燃え、そして研究者としてきわめて研究心の旺盛な方であるとすれば、それなりにこの療養施設というのは魅力のあるところだろう、こう思うのです。 そこで、きわめて困難な病気であればこそなおのこと挑戦して、おれはこのだめだ、不可能だと言われている病気をひとつ治してみせようじゃないかというふうな意欲にもし燃えた、担当医の方が考えられたならば、この医学的処置を継続的に行うということはもちろん治療のうちに入るかというふうに思うのです。とすれば、それこそ一人当たり一カ月一千万かかろうがどうしようが、あらゆることをするわけですから何でもできるわけです。治すためにあらゆる処置をやろう、それが五十人、一カ月、一年たったときにあるいは大変な金額になるやもしれぬということをお考えでしょうか。
○棚橋説明員 先生御指摘のように、こういう特殊な養護施設というところに進んでおいでいただくお医者さんの方というのは非常に熱心な方ということではないか、そういう方においでいただけるように期待をいたしておるわけでございます。そのような熱心な方が研究意欲に燃えていろいろな新しい試みというようなものに挑戦されるというようなことは、それが患者さんにとってよい結果を招くというものであれば基本的には好ましいものであろうかと考えております。ただ、その行う範囲というものにはおのずからの限界はあろうと思いますが、そのような方が熱心な試みをされることが収容されている方に好ましい結果をもたらすものであれば、それは決して悪いことではないというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 よく、自動車の事故に遭いますというと、自賠責で多額なお金がおりるということを前提としてお医者さんは、もちろんお金もうけのためであるとは思えないけれども、しかしかなりの高額な治療費というものが、他の病気に比べて自賠責の患者の場合には多いというふうに聞かれるわけですな。そのほか一般論として、今度は悪徳的な医者になったらば際限ないかもしれないのですが、私が言うのはそうではなくて、あくまでも不可能な医療に挑戦してみようというふうな人が出ると、これは研究のためですから、いまそれでも一定の限界があるだろうと言うけれども、かぜならばかぜ、肺炎なら肺炎という特定のそれこそ限界があろうけれども、だめな病気を治すんだということは、何をやっても仕方がないんじゃないですか。治すんだという崇高な目的を掲げてこられたらば拒否することができますか。
○棚橋説明員 先ほど来申し上げておりますように、それが患者の方にとって非常に効果があるということでございましたら好ましいことではあろうかと思いますが、おのずからそういうことには限界というものがあろうというふうに考えております。いま御指摘のようなケースということは考えられないわけでもございませんけれども、それはこの養護施設なるがゆえに考えられるということでは必ずしもございませんで、一般の病院に入られても、そこに研究熱心なお医者さんがおられて、交通事故の被害者に対して同じような意欲を燃やされれば同じようなことになるわけでございます。しかし、その場合でもおのずから限界があるということと、決して先生おっしゃるように悪徳という意味ではなくて、そうでない方でもおのずから限界があって今日まで推移しておるということと同じことがこの養護施設でも考えられるという、全体の中の一つではないかと思います。一般論的な話で、そのようなものについてはおのずから限界があって対応が可能ではないかと考えております。
○三浦(隆)委員 必ずしもそうではなかろうというのは、一般の病院と今回のはケースが違ってくるのだろうと思います。五十人もまとまって重度意識障害者が入るということ自体、画期的なというか、初めてのケースだろうと思うのです。全世界的には私わかりませんが、世界的にもあるいはきわめて珍しい事例であるかもしれません。そうすると、研究者としては、日本の医者だけではなくて、もし全世界的に注目を集めれば、全世界的な名だたる医者だって陸続としてやってきて、そこでの研究所で治らない者が治るかどうかというのは、医学上きわめて大変な問題だろうと思う。少なくてもいわゆる研究医学論文なんというものは、これは書けば大変な脚光を浴びることだろうというふうに思いますね。ですから、どこでもあるという一般病院のケースと今度の場合は並列的には扱えないというふうに私は思います。 時間の都合で進めますけれども、一方で、いま福祉も文教も行革の前には聖域ではないんだと言われるようなこの行革の流れの中に、言葉をかえて言えば、逆行するようなというかな、そうしたいわゆる独自性をいまここに主張しようとしているわけであります。とすれば、仮にそれが必要であるとしても、その資金というものは、きわめて貴重なものですから、できる限り有効適切に使うべきだろう、こう考えるわけです。 そんなことから、いわゆる新規にこれを運輸省サイドでつくるのも一案であるかもしれないけれども、既存の厚生省管轄の、先ほど言った国立病院でも結構ですけれども、病院の一室——病院全体を貸してくれというわけではない、既存の病院の一室、たとえば六人部屋でも八人部屋でもいろいろと希望する病院から借りて、そしてその借り賃を払うというかな、そこでの相応の負担金を払うというふうなことをお考えになったことがございますか。
○棚橋説明員 特定の病院の一室を借りてこれと同じことをやるということを過去において考えたことはございませんけれども、ある病院に委託をいたしまして、そこに併設した特別の病棟をつくっていただいて、これと同じようなことを試みたらどうかということで、過去において予算要求をしたことがございました。結果的には認められなかったわけでございますけれども、その後いろいろ検討いたしました際に、そのような形での運用というのも考えられますが、その場合には、その病院のお医者さんなり看護婦さんなりという方が、一般の病院の入院患者等に対していろいろ働かれるというのと、この新しくできるところでの働くいろいろな条件というようなものが果たしてどのくらい違うのか、違った場合に、そういうようなところで行うことが果たして円滑にいくのかどうかというような点について必ずしも自信がないというような点もございまして、今回のごとく一つのモデルとして行うには、独自の施設を設けてそこでやるということを試みてみる方が適当ではないかというふうなことになりまして、今回のようなことを、国会に法律をお願いをするというようなことになったわけでございます。
○三浦(隆)委員 いまの説明もまた大変わかりにくいと思います。一般病院で働くお医者さん、看護婦さんがもらういわゆる給与というものと、それから新しく独自につくる、そこで働くお医者さん、看護婦さんの給与というものは、それではそんなに開きが出てくるのですか。いわゆる新規の方が、いままでの一般的な病院のお医者さん、看護婦の二倍なり三倍払う、そういう発想ですか。やはり国立なら国立で一応の基準というかな、大体似たようなものだろうと思うのです、新規の病院をつくろうと。全然かけ離れた体系をお考えですか。
○棚橋説明員 私、給与というふうに申し上げたつもりはないわけでございまして、いろいろな、働く条件とか輪番の組み方とかそういうようなものもございますし、働く条件その他もろもろのことを総合したものが、決してそれがうまくいかないということでやめたと申し上げたのではございません、それが果たしてうまくいくかどうかについて必ずしも自信がないので、モデルのケースとして行うときはまず独自のものをつくって、そこでのいろいろな経験、成果を踏まえた方がいいのではないか、かように申したわけでございまして、決して別の賃金体系とか労働条件というものを考えておるということではございません。
○三浦(隆)委員 これもまたよくわからぬです。いままでのところでうまくいくかどうかわからぬ、独自でやった方がうまくいくかもしらぬという——これからやるのはどうなるかも、それこそまだわからないのであります。これまである病院であれば、一応二交代で、いま大きなところでははっきり言って大抵三交代制をとっておりますから、昼夜分かたず介護というのは、既存の病院では決してできない仕事ではないわけです。むしろ既存の病院で働く人に、特別むずかしい患者だからということで、特別何がしかの割り増し金をやるというなら、それまたわからないではありませんけれども。そうした場合に、新規に土地を買い、新規に建物をつくり、新規に医療器具をそろえ、新規にお医者さんをそろえていくというよりは、既存の病院の一室を借りてやった方が、手間暇がかからないしきわめて簡単なんじゃないかということなんです。しかも働く条件にしろ、看護婦さんの立場にでも付添人の立場にでもなってもらいたいと思いますが、ある一室には口をきかない患者はいたとしても、そこの看護を終わって周りへ出れば、口をきける人がいっぱいいるわけです。ところが、全員が口をきくことのほとんど不可能な人ばかりで息も詰まるようなという思いであるならば、一般病院で働いている方がいわゆる労働条件というか、お金だけじゃありませんよ、かえってその方がいいようにも思うし、もちろん費用の節約という点もあるし、それこそ一地域に限定されないで、全国的な地域医療というふうな幅にも広がるし、医療行政という点では、そちらの方が進んでいるのではないですか。
○棚橋説明員 先ほど来申し上げておりますように、これを一つのモデルのケースとして、いろいろ今後の判断のステップにしたいと考えておるわけでございまして、この療護施設を開設いたしました結果、あるいは先生のおっしゃるようなことが正しいというようなことがわかるかもしれません。そこのところについては私どもも決して一〇〇%自信を持っておるということではございませんけれども、一つのモデルとして行う以上は、やはりこの自動車事故対策センターそのものが最終的ないろいろなものに責任を持てる体制でまず行ってみるということが適切ではないかということでこのようなことを考えておるわけでございますので、その点を御理解いただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 この当該療養施設というのは、設置することに意義があるのか、あるいは患者並びにその家族救済というところに意義があるのか、どちらかということです。何か御説明をずっと聞いていると、家族なり患者救済というよりも、設置することにとにかく意義を感じられているような、とにかくモデル的にやってみたい、そんなようにニュアンス的には聞こえないではありません。 さて、その先へ進みますが、当該療護施設設置費及び維持管理費というふうなものを総計いたしますと、とりあえず用地代七億円、施設整備費等十三億六千五百万円、施設運営費四億五千九百万円、合計で二十五億二千四百万円かかるというふうに書かれております。これは運輸省自動車局の文書であります。五十人収容するとしますと、一人当たり五千四十八万円かかる勘定になるわけであります。そうすると、この二十五億円という金を、こうした施設をつくらないで直接患者なり家族に渡したとすると、五十人どころか十倍にも上るほとんど全員をかなり救済することが現実に可能になってくるのではないのかということなんです。いかがですか。
○棚橋説明員 まず先生御指摘の金額でございますが、私どもの方の資料にそのように書いてございますけれども、最後のところの運営費というのはランニングコストでございまして、前の方の土地代、施設代というのは基礎施設のコストでございますから、一概にそれを足して割って一人当たり何千万という計算には必ずしもならないのではないか、何年運用するかとか償却とか、そういう形で考えなければならないというふうに思います。しかし相当な費用がかかることは事実でございます。したがいまして、あるいはそれだけのお金をもらった方がいいんだというお方もおられるかもしれません。しかし、先ほど来るる御説明申し上げておりますように、いわゆるこういう重度意識障害者の方というのは、家庭におられましても、病院におられましても、いろいろ御家族の方が介護をしなければならないとか、そういう金銭にはかえられないような苦しい思いがある。したがって、専用にこれを収容してめんどうを見てくれるようなところをぜひ考えてほしい、こういう被害者の方の切実なる声があるわけでございまして、おっしゃるように金銭だけで、それを渡せばそれで解決するというわけにもなかなかいかない。そういうことで、モデルのケースとしてこういう形で一応やってみて、その成果を踏まえて、他のそういう方々にも何らかのプラスになるステップを次に踏めるようにしたい、こういうふうに考えてかようなことを計画しておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 いずれにしろ、二十五億円という金額はただごとでない金額なんです。しかも、この対策センターで出している資料によりますと、月々十万円なりかかるか、かからないかということは、大変大きな意味を実際に持っているわけであります。そういう意味で、いまの介護料にプラスして毎月十万でも十五万でも行き渡るようにするというふうに仮になったとすれば、これは家族にとっては大変な福音だと思います。いわゆる入院して、ほかの病気のようにむずかしい処置が必要で、しょっちゅうお医者さんの手をかりなければどうしようもないというならともかくとして、たとえば管でも入れて食事をさせる、あるいはふん尿の始末をする、そういうようなことでしたら、多年つき合っていれば家族の者だってかなりのことができる。しかもそれがいまのような少ない費用でなくて、もっと二十五億円という金がばあっと行き渡ることを考えれば、しかも私は一遍で使えと言っているわけじゃなく、一月当たり十万でも十五万でも新規に行き渡ることを考えれば、その方たちをたとえば平均一人三年なり四年なりというふうに見てもかなり行き渡るし、二十五億円は一挙に使わなくて、そのまま少し預けておいて金利運用その他を図ってもいいかもしれぬし、そのほか二十五億というのは、現実にスタートすれば毎年のごとく維持管理費はかかってくるわけですから、そんなこんなを踏まえて私が言いたいのは、施設をつくることに何よりも意義を感じようとされるのか、そうじゃなくて、調べた資料に基づいて、大した金額ではないですから、困っている患者なり家族を本当に救われようとするのか、それを尋ねたいのです。本当に家族の人は大変だと思うけれども、しかし、いまここで十万なり二十万なり行くとなると状況はかなり変わってくるだろうというふうに私は思いますから、その点もお考えいただきたいと思います。 時間ですから、これは意見としてだけ申し上げますが、改正法三十一条一項では「自動車事故による被害者で後遺障害が存するため治療及び常時の介護を必要とするもの」とあるだけですから、初めに質問したように、必ずしも重度意識障害者とは限らないわけです。そこで、重度意識障害者とまで言えない方が入院を申し込んでもそれ自体違法ではないわけです。したがって、将来経営面で可能であれば、こうした当該療護施設がそういう人をも含めて大きく拡大する余地もあり得るだろう。できるかできないかは予算的なものなのであって、この条文の解釈から言えば、いわゆる重度意識障害者とは書いてないのです。後遺障害の程度がかなり軽い人だって後遺障害は後遺障害ですから、入ると言って別段の違法ではない。また、そこまで全部引き受けるとなったら、これは大病院となる可能性もあるわけですから、そんなことも踏まえてひとつ十分に御検討をいただきたいと思います。 時間ですので、これで終わらせていただきます。
○斎藤委員長 次に、中路雅弘君。
○中路委員 法案に関連して御質問していきたいと思いますが、自動車事故対策センターの五十五年、昨年の十二月に出された「重度意識障害者の実態」を読ませていただきますと、昭和五十四年八月一日の介護料支給以来、五十五年七月三十一日までの一年間に重度後遺障害者介護料受給資格の認定を受けた患者五百三十一名中、二ページの実態調査のところに出ていますけれども、五百三十一人中脱却した患者が三人、そして施設入所した患者の四人を症状が好転したものとして脱却に含めますと、七人ですね。一・三二%になっているわけですが、わずか一・三二%といっても脱却があったということは大変重要なことでありますし、患者、家族にとって大きな励ましになるものだと思いますが、こうした分野で一%以上の可能性があるということについてはどのようにお考えですか。
○棚橋説明員 先ほど厚生省の方から御説明がございましたけれども、このような重度意識障害の方でごくまれに回復される、いわゆる先生のおっしゃる脱却されるという方がおられるということのようでございます。そのようなふうになられるということは非常に結構なことでございますし、私どもこれからも、仮にこういうものをつくりましても、そういうふうに脱却される方が少しでもふえますように考えていきたいというふうに思っております。
○中路委員 私も何人かの専門家に聞いてみましたけれども、医学の進歩という面から見ても、こういう分野で一%以上の可能性がこの資料のようにあるということは、専門家も非常に重要な意義があるということを言っておられます。そうしますと、現在医療機関が行っている意識回復などの脱却するための努力が、この施設に収容されたために、何らかの事情で逆に中断したり、あるいはやめられたりしてはならないと思うわけですが、運営の上でこの点はどのようになっていますか。
○棚橋説明員 先ほど来申し上げておりますように、まだ法律が成立いたしておりませんし、この病院を現実に開設するのは二年後ということでございますので、若干時間をかけて具体的な考え方を詰めていきたい、法律成立後に詰めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、その意味では余り明確なるお答えができないかもしれませんけれども、先ほどお答え申し上げましたように、脱却される可能性があるということは非常に貴重なことでございますので、医師の配置それからその他職員の配置等ないしは設備いたします器具等、医療施設等もろもろにおきまして、そのような可能性が少しでもふえるような配慮を払うという基本的な姿勢に立って、具体案を検討してまいりたいというふうに思っております。
○中路委員 きょうは、いまの問題に関連したところにひとつできるだけ焦点を合わせてお尋ねしたいのですが、この同じ実態調査の資料の四十三ページを見ますと——四月八日の法律案の提案理由の説明でも大臣は「寝たきりの状態に陥った被害者につきましては、症状の悪化に備えた継続的な医学的措置とともに、細部まで行き届いた昼夜にわたる介護が必要」と言っておられますけれども、ただ単に介護、医学的管理さえやっていればよいということでなくて、いま最初お話ししました患者の回復の可能性を引き続いて追求するという努力も私は必要ではないかと思うわけです。さきのこのセンターの調査でも「年令別脱却期間等」が出ていますけれども、資料で見ましても、九歳以下の例で、たとえば一年から一年半後に脱却しているのが二人。それから三年から三年半の間で一人。あるいは二十歳代では、三年半から四年という例も出ておりますし、年齢的に見ましても、七十歳以上のお年寄りで脱却した例も出ているわけですね。その点では、一%の脱却というのはこの点でも非常に重要であって、私は、先ほどお話ししましたように、その施設で従来から行ってきた脱却のための治療やリハビリが中断することなく継続されなければならないということを強く要請をしておきたいと思うのです。 具体的に少しお聞きしたいんですが、最初にこの施設の人員計画に関連した問題です。四月の十一日に提出された運輸省自動車局の資料によりますと、病床数が五十床に対して、医師が三人、看護婦が准看を含めて十六名、看護助手が十九名、技術職員が三名、給食要員五名、事務員等七名、計五十三名となっていますが、この中で医師の診療科名及び技術職員の資格名は何かというのを最初に伺いたいと思います。
○棚橋説明員 最初にお断りを申し上げますけれども、毎度申し上げておりますように具体的な計画は、法律成立後来年度予算にかけて詰めていくわけでございまして、現在のところはこういう考えでまいりたいという意味で資料を出させていただいております。 そこで御質問の点でございますけれども、医師は一応三人配置をしたいと考えておりますが、そのうち二人は脳神経科の専門医、一人は内科の専門医というふうに考えております。 それから特殊の技術を持つ者といたしましては、理学療法士、薬剤士、エックス線技師ないしは栄養士、こういうような資格を持つ者を配置したいというふうに希望しております。
○中路委員 技術職員の中でいわゆる理学療法士というのは、いまおっしゃったのは、一名は置かれるわけですか、計画では。もう一度。
○棚橋説明員 理学療法士を一名というふうに考えております。
○中路委員 いまお話しのように、これは最終的に決めたわけでなくてもちろん一つの案として出されていますから、この点で私も意見を述べたいのですが、いまの理学療法士が一名ということですね、これは大変少な過ぎるんじゃないかというふうに思うわけです。一%以上のさっきの脱却例があることからも、脱却後の積極的なリハビリテーションに備えて、寝たきりによる関節の拘縮を防ぐための訓練を積極的に行う必要もありますし、理学療法士一人では五十人の患者の現状維持も困難ではないかという意見も出ています。また患者の中には、除脳硬直がある場合、訓練を行っておかないと回復不可能な拘縮が生ずるということも専門の医者からも聞いているわけですが、こういった点でも人手が必要になるわけですし、せめてこの理学療法士は二名は必要ではないかと私思うのですが、こうした問題についてはさらに検討をいただけますか。
○棚橋説明員 正直申し上げまして、現在までの段階、私ども必ずしも専門家でございませんで、素人の集まりで考えておるようなところもあろうかと思います。具体的な問題については自動車事故対策センターにおいて、厚生省その他関係の専門の方の御指導を得て具体案を詰めてまいるわけでございます。 理学療法士につきましてもいま一応考えておりますのは、理学療法士の指導のもとに、看護婦とか看護人というのが協力して、先生いま御指摘のようないろいろなことをやっていくというふうに考えておりますが、果たしてそれで十分かどうかは今後詰めていく中で検討いたしてまいりたいと思っております。
○中路委員 私も何人かの専門家の御意見を聞きましたら、二名は必要じゃないかという意見も出ているわけですから、十分これは検討していただきたい。 いま看護の要員の話が出ましたけれども、看護要員についても、寝たきりの植物状態の患者がほとんどであるとしますと、必ずしもこれで手厚く五十名に配置されているとも言えないわけですし、看護婦、准看護婦を含めて、むしろ少ないのではないかと思うのです。お話を聞きますと、こういう場合に二時間置きに体位の交換とか、たんの吸引、食事の介助、排せつの処理、入浴、四肢の運動訓練などの仕事を介護助手の手をかりて行うにしても、最初の提案にあります手厚い看護と言えるかどうかということで、若干こうしたことを扱っています他の病院の方のお話を聞いても、こうした患者の場合は、看護要員と患者は大体一対一というのが原則だというお話も聞いているわけですけれども、この点についても、やはりさきの理学療法士と同じでありますけれども、改めていろいろ専門家の意見も聞いていただいて検討をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○棚橋説明員 この療護施設の設置につきましては、関係の専門家の方々にお集まりをいただきまして、自動車事故対策センターで委員会をつくって検討してまいるということをすでに準備しておりますし、予定をいたしておるわけでございます。そういう中で、いま先生御指摘のような点も当然含まれるわけでございます。私どもとしましては、この人数は他の病院等から比べてかなり余裕のあるものとして予定をしておるわけでございますけれども、その点を、そのような委員会等を通じて十分検討をいたしてまいりたいというふうに思います。 ただ、御承知のように、要員の問題につきましては、予算、定員というようなかなり厳しい制約がございますので、その中で最も効果的なものは何かというふうな考え方で進めていかなければならないという点もあろうかと思いますが、十分な検討をさしていただきたいと思います。
○中路委員 時間が限られていますから、私はきょうこれは直接取り扱いませんけれども、病院でこうした患者の皆さんを扱っている看護婦さんからいろいろ経験をお聞きしまして、いただいた報告が相当あるのですけれども、これを見ましても、その病院へ転院してくるまで回復の可能性が抑制されていた、周囲が気づかなければ大変な結果になっていた、それが気づいて、対策を考えて、たとえば二週間とか一カ月後にはもうぐんとよくなっていくという経験も出ていますし、逆に主治医の判断の誤りもあって、それが改められてまた回復に向かったとか、たくさんの例を私も報告を聞いていますが、こういう点で、脱却の可能性というのはいろいろ病院でそれが逆にふさがれてしまうという場合があるわけなんで、これは単なる収容施設じゃないわけですから、その点をひとつ、こうした人員配置の面でもやっていただきたいと思います。特に、先ほども御質問ありましたが、指摘をしておかなければならないのは、こうした人員計画さえも、いま考えているよりも実際に人が確保できるのかどうか、また開業時に実際確保できるのかどうかということが大変心配なのです。病院の看護に比べて治っていく患者もまれでありますし、治療の効果が顕著に出ることもないこうした施設に、忍耐強く熱意と積極性を持って勤務を続けられる人を確保しなければならない、あわせてそうした熱意を十分発揮させるような施設の整備運営がやられる必要があるわけですが、特にこの医療チームの責任者といいますか、そういう姿勢によってこの施設が成果あるものになるかどうかということを大きく左右すると私は思いますが、いまのお考え、どのようにしてこうした責任ある医師を関係者は確保しようとされているのか、この点についてお伺いをいたします。
○棚橋説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、この要員の確保の問題、これが克服しなければならない一番大きな問題であるというふうに認識をいたしております。簡単にこの問題が解決するというふうに思っておるわけではございません。ただ、開設いたしますまで二年間の余裕がございますので、その二年間の余裕の中において一日も早くこの問題に対するスタートを切りまして、開設までに必要な要員をそろえたいというふうに自動車事故対策センターは熱意を持って準備をいたしておりますので、それを見守ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 その場合に、先生御指摘のように、非常に重要なのは、その軸となるお医者さんにいかに熱意のある方をお迎えすることができるかということではないかというふうに思っております。それについては自動車事故対策センターも全く同様の気持ちを持っておりまして、先ほど申し上げましたように、関係の専門家の皆様方を集めまして委員会等をつくりまして、その中において、いかなる方法でどういう方を選んだらいいかという点も検討していきたいという準備もしておりますので、そのような過程を通じまして、できる限りりっぱなものにしていきたいというふうに考えております。
○中路委員 これは重ねて強調しておきますけれども、私がいま持っています御報告をいただいたこの文書を見ましても、植物状態の患者ば、全く寝たきりという状態であっても眼球が辛うじて物を追うことがあるとか、あるいは意味のある発言は全く不可能であるとしても声を出すとか、目をあけとか手を握れとかいう簡単な命令には応ずることもあるというように、患者のこういうわずかの動きもよくとらえて、看護婦や看護助手がベッドサイドで意識回復のための努力をする、そういう中で好転している例の報告がずいぶんあるわけですね。そういった点で、こうした看護を通じての努力が大変重要なんですが、重ねてお聞きしますけれども、こうした看護を通じてのリハビリテーションですね、どのようにお考えになっておりますか。
○棚橋説明員 いわゆるリハビリテーションにつきましては、かなり幅の広い言葉ではないかというふうに思っておりますが、この療護施設では、いわゆる初期的なリハビリテーションというのが行えるような、少なくともそういう形を整えたいというふうに思っております。それ以上進みましたものにつきましては、関係の、提携する病院その他の御協力を得て行っていかざるを得ないだろうというふうに考えております。
○中路委員 この問題は後でもう一度関連して御質問しますけれども、もう一つは、この施設の入所対象者は、今度は神奈川、東京、千葉等関東ですが、重度の後遺障害者の介護料支給要件に該当する患者であると思われますけれども、いわゆる例の六条件ですね。これから部分的にも脱却し始めると、この条件に該当しないということで退所させるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
○棚橋説明員 先ほど来申し上げておりますように、五十名ということで考えておりますので、入所希望者が多い場合には何らかの意味での基準によって選択をしていかなければならないというふうに考えておりまして、それについてはどういうふうにするかということを検討いたしておりますが、一たん入られました方に何らかの理由で強制的に退所していただくというようなことは考えておりません。
○中路委員 当然ですけれども、退所の場合、やはり受け入れの施設ができるまでそうさせてはならないということは強調しておきたいと思います。 脱却しかかった場合に、病室内での問題も重要ですけれども、意識回復を促進するための病室内のリハビリテーション以外に、いわゆる脱却後に備えた積極的な機能回復の訓練のための、病室でやれない問題がありますね。たとえばマットを使ったりその他の設備等の話もありますけれども、こうした訓練も必要だと聞いておりますけれども、通常は訓練棟が設けられたりなんかしているわけですが、この施設では具体的にこうした点は明らかにされておりません。リハビリテーションのための施設を設けるつもりなのかどうか。病室内に閉じ込めておくことが回復をおくらせるのみならず回復の可能性も摘み取ってしまうということにもなりかねないわけですが、こうした関係の施設についてはどのようなお考えですか。
○棚橋説明員 脱却者が幸いにして出ました場合にどのようにするかということは、段階によっていろいろ異なるのではないかと考えております。先ほど申し上げましたように、初期的なリハビリテーションの可能なものは備えつけたいと考えておりますが、完全に意識を回復した方ないしはその途上にある方、程度によりますけれども、それを本格的にリハビリするような施設というものを別に設けるということはちょっとむずかしいのではないか。そのような場合には立地条件等もそういうことを考慮して決めたいと思っておりますけれども、近くの専門の病院にございますリハビリ施設を活用できるような手段を考えておく必要があるというふうに思っております。
○中路委員 結局そういう場合に患者を引き受けてくれるリハビリテーションの施設があるかどうかという問題ですけれども、自動車事故だけじゃなくて脳卒中等で患者の待機している状況もあるわけですから、この点は具体的になかなかむずかしいと思いますが、たとえばいまの計画の千葉だとすれば、そう簡単に引き受けてくれるところはないわけですから、具体的にどこか引き受けてくれるところを予定もして、こうしたことも計画の中に頭に入れて進めていかなくちゃならないと思うわけですが、いま東京都内とか具体的にそういった一応下話といいますか、そういった話はされているところはあるのですか。
○棚橋説明員 幸いなことに本件につきましては、まだ必ずしも決めたわけではございませんが千葉を予定しておりますのは、千葉県の地元が県を中心に大変熱心に意欲を示していただいております。千葉県、千葉医大というような関係の行政機関、病院というところに非常に積極的な御協力をいただいておりますので、地元での連絡を密にして、先生おっしゃるように脳卒中の方の順番とかいろいろな問題があろうかと思いますけれども、そこらをどういうふうにしたらうまくいくかというのは地元と十分協議し、千葉県にある施設を利用することを第一次的に考えていきたいというふうに思っております。
○中路委員 これはまた逆の面でありますけれども、病院に収容される植物状態の患者の回復の可能性を一般的に否定することはできないことは言うまでもないのですが、十分回復の可能性のある患者さえも、今度は逆にいまの病院の施設設備等の都合から、回復の可能性が余りないとして治療を一方的に打ち切るとともにこの施設に送り込むということも、いまの医療の荒廃の実態の中では十分にあり得ることですけれども、こうした場合が生じないように、施設で今度は逆に受け入れる場合を含めて厳重なチェックや基準も必要だと思うわけですが、こうした点も専門家が指摘しているところです。こうした問題について、受け入れの場合どう対処しようとされているのですか。
○棚橋説明員 入所の際にいろいろなことを判断しなければならないわけでございますけれども、この方は脱却の可能性が強いから当施設で受け入れないというようなわけにもいかないケースが多いかと思います。したがいまして、その際には受け入れた上で、その可能性の芽を摘み取らないようにどういうふうに処置したらいいか。先ほど来お答え申し上げておりますいろいろな面での検討を総合いたしまして、可能性の芽を摘み取らないような形でお引き受けをするということになるのではないかというふうに考えております。
○中路委員 長年植物状態の患者を見てきた看護婦や救急病院の脳外科の医者にもお話を聞いたのですけれども、交通事故後六カ月前後で植物状態から脱却して話を始めるまでに回復する例もあるという話も聞きました。入所の基準が、どっちかといいますと家族の介護労働力の状況だとか、経済的負担力等、困窮度を基準にされているわけですけれども、医学上あるいは医療の必要性という基準から見て、これではこの施設に入れてしまえということで安易に病院での治療を打ち切られるおそれもあるわけですし、そうすると回復の可能性に関心のない、単なる植物状態で一生送るための施設になりかねない。この点では患者の人権の問題でもありますし、やはり人間らしく処遇していこうということをしない施設であれば当然介護も手抜きをされる、余病に対しても十分治療しないということになるわけですから、この点は関係の専門家が今度の施設の中で大変心配していることなんですね。その点で、こうした運営が行われないということについて幾つか専門家の意見等も私いま述べて、さらに施設の運営や人員の配置、施設の問題についてもいまお話ししましたけれども、こうした点は十分ひとつ検討していただきたいということを確認しておきたいと思うのですが、大臣いかがですか。
○塩川国務大臣 何といいましてもずぶの素人が病院を経営するのですから、これからいろんな問題が起こってくると思います。そのたびごとに十分な研究を重ね、また関係省庁の協力を得て充実させていきたいと思います。
○中路委員 自動車事故対策センターのさっきの重度意識障害者の報告の中での介護の状況、家族の生活状況等に重点を置いた実態調査がありますけれども、これによりますと、重度意識障害者専用の養護施設が比較的近くにできた場合に、十分な介護と医療を行うあるいは経費の問題等にも触れて、そうした条件で入所の希望についてアンケートをとっておられます。 〔委員長退席、安田委員長代理着席〕それによりますと、入院している患者については入所希望者が七二%と多いわけで、自宅介護では入所希望者が三七・四%、入りたくないというのが三二・四%、必ずしも入所希望者が多くないわけですね。また施設への入所を希望しない理由で、入院の場合は現在の病院でよいからというのが四五・九%、家族と別々に生活したくないからというのが二〇・八%、在宅の場合は家族と別々に生活したくないからというのが四二・一%、あるいは自宅で療護ができるからというのが三五・一%と、施設収容した場合に家族との交流がとだえる心配があるということを、大変高い数字でどちらも示しているわけです。また自宅療養者の退院理由は、この調査の結果ですと病院側の都合によって退院を勧められたというのが最も多いわけで三九・六%を占めております。 以上から、患者を収容することを困難にしているいまの病院の側の事実上追い出し、こうした医療機関の問題も解決しなくてはなりませんし、介護を担当する家族の肉体的、経済的な負担を軽減する施策もいろいろ考えなくてはなりませんが、私はそういう意味では、植物状態の患者だけを別に収容する施設をつくって解決することが最善であるかどうかという点もまだいろいろ考えなくちゃいけないと思いますけれども、この植物状態の患者は自動車事故による者だけではないわけですね。そういった点で植物状態の患者の問題をどうするかということは、今度の事故センターだけではなくてやはり全面的に国の施策としても検討する必要がいまあるのじゃないかと私は思っているわけです。これは今度の事故センターの直接の問題ではありませんけれども、こうした問題が提起された機会に、私は政府としてもこうした植物状態の患者の問題、どういう方策がいいのか、こういうこともやはり全面的な検討をしていただく必要があるのではないかというふうにも思うわけですが、この点についても大臣いかがですか、厚生省なんかとももっと検討する必要があるのじゃないですか。
○塩川国務大臣 これは厚生省の所管事項でございますから、大臣とも十分相談いたします。
○中路委員 五十六年度より重度の脊髄損傷者等についても介護料の支給対象になっています。だから、この施設の入所対象者にもなると考えられますけれども、こうした患者の場合はなおさら意識もあるのではないかと思います。そうすると、先ほどの調査にもありますように、家族との交流が大変重要ですし、できれば家族が訪ねてきたときの簡単な宿泊施設等も設ければなおいいわけですが、患者が家族の介護を受けられるようにするとかあるいは家族と一緒に一定期間は施設で過ごせるとか、こうした点でもやはり生涯生きがいのある人間的な生活が送れるだけのものを準備しなければいけないというふうにも思うわけですが、いまの施設の計画の中にはこれは含まれていないわけですけれども、こういった点もいまの意識調査と関連して考えますと私は今後検討してもいい問題じゃないかと思うのですが、いかがですか。
○棚橋説明員 法律上は今度自動車事故対策センターが行える業務はかなり幅広く書いてございます。 それから介護料につきまして、本年度から脊髄損傷者についても介護料の支給ができるような道を開いたわけでございますが、当面この施設は重度意識障害者ということに限って運営をいたしたい。余り手を広げるというわけにもまいりませんし、若干性格を異にいたしますので、当面はそういう運用をいたしたいというふうに考えております。 それから家族との行き来の問題につきましては、そういう意味で家族がその療護施設を訪問するのに便利な場所というのも判断条件の一つの中に加えておるわけでございます。
○中路委員 事故センター法案に関連してまだ二、三お尋ねしたいのですが、あす若干時間があるので、ちょっと時間的にきょうお尋ねしておきたいということが一、二問あるものですから、自動車局長に関する問題なのであと十分足らずお許しを得てちょっと御質問させていただきたいのです。 昨年、五十五年三月の予算委員会分科会で私が質問した問題ですけれども、いわゆる日本の経済動脈の底辺を支えているトラック運送の問題で、十台、二十台の車を持つ中小零細トラック業者、二十台以下というのが約八〇%になると思いますが、非常に慢性的な経営不安の状態にある中で協業化や協同組合化を促進するとともに、特に空車の輸送を改善して実車率を高める。その点で中小業者の経営の安定や省エネにもなりますから、トラック輸送の全国的な情報のネットワーク、このシステムを促進するということを業界も求めているわけですが、このことについてお尋ねしまして、運輸事業振興助成交付金でも活用してこうした体質改善をやっていく必要があるということで、当時自動車局長の御答弁は、帰り荷の確保のために新しいシステムを五十五年度末までに研究報告がまとまるので、その上で業界の体制整備と合意ができれば実施をしたいというお話です。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 私、聞きましたら、ことしの四月にはこの業界の方の体制もほぼまとまってきたという段階にもなっていますので、ちょっとこの点について一、二問御質問しておきたいのです。 私が質問しましてからちょうど一年ですが、その後一年この問題はどのように進んだのかということを簡潔にお答え願いたいと思います。
○飯島政府委員 お答えします。 トラックの中長距離輸送の運用上のロスを生じさせないように、いま先生御指摘のとおり積載効率の向上ということが現下の大きな課題になっておるわけでございます。その具体的な方策としまして、五十四年度以来当省の提案のもとにトラックの帰り荷のあっせん等を内容といたします新しいトラック輸送情報ネットワークシステムが、運輸省、業界、学識経験者等からなる委員会で検討をいたしておったわけでございます。五十五年には運輸事業振興助成交付金によりましてこのシステム用のコンピューターのためのソフトウエアの開発費等一億五千百万円を支出したところでございまして、システムの概略についておおむね検討結果がまとまった段階でございます。 それで、今後の問題でございますが、このシステムの具体的な運用を目指しましていま業界の方でいろいろ検討をいたしております。こういうシステムは現実の問題として円滑に動くかどうかということは、業界の皆さんが十分その意思の疎通を図って協同をいたしませんとなかなかできないものでございますが、一応現在の考え方につきましては五十六年度中の発足を目途に中央センター、地区センターの組織形成等についてさらに検討を進めている段階でございます。
○中路委員 四月十六日に総合システムのための全国代表者会議という業界主体で会議が開かれまして、全国の七十の協同組合、トラック協会の両組織も集まっています。業界の方の体制も整備をされてきましたし、ここでの要求を見ますと五十六年度中にはぜひ実施してほしいという決議を行いまして、先日、四月十七日には運輸省にも要請が行われたと思いますけれども、いま五十六年度中に発足を目指してという局長のお話なので、ぜひそう進めていただきたいと思います。 もう一点だけお聞きしておきますが、新しいシステムによる機器の問題ですね、中央の機器それから末端の地区の機器の問題、こういった点について予算はどうなるのか。それから業界組織がないところもあるんでというお話もちょっと聞いていますけれども、こういう中小の業界の組織というのはなかなか組織化というのはむずかしい点もあるわけですね。だから、主要なところに逆にこういうシステムを発足させることによってまた組織化も一層促進されるという面もあるわけですから、できればその点でもこうした五十六年度中に発足という要望にぜひこたえるように指導もしていただきたいと思いますが、この予算のことや準備の状況ですね、おわかりになれば少しお聞きしておきたい。
○飯島政府委員 五十六年度運輸事業振興助成交付金を使いまして、中央事業計画におきまして中央センター用の機器の購入のための費用を計上することを現在検討いたしております。また、地方の方からは地区センターについても考えてくれないかという御要望が強いようでございますが、五十六年度の予算は大体固まっておりますのでどうするか、トラック協会の方でよく検討をさせたいと思いますが、方向といたしましては今後各県の中核となる地区センター用の機器について交付金から支出することを検討してまいりたいと考えております。
○中路委員 若干時間が早いんですけれども、私が最後でしょう、あすもありますから一応これで終わりたいと思います。
○斎藤委員長 次回は、明二十二日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十分散会