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94回国会衆議院1981/09/08

決算委員会 第17号

発言数
337
登壇者
32
会派数
5
開催日
1981/09/08

会議録

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 これより会議を開きます。  本委員会は、歳入歳出の実況等に関する実情調査のため、去る八月五日から八月七日までの三日間にわたり、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県に委員を派遣いたしました。  その調査の概要につきまして、便宜この席から私が御報告申し上げます。  本派遣団は、自由民主党白浜仁吉君、東家嘉幸君、森下元晴君、公明党・国民会議田中昭二君、同じく春田重昭君及び日本共産党辻第一君並びに私の都合七名をもちまして、通商産業省福岡通商産業局、工業技術院九州工業技術試験所、日本原子力船研究開発事業団佐世保工事事務所、石油公団タンカー備蓄事業、林野庁熊本営林局、運輸省熊本空港事務所の歳入歳出の実況等の実情を調査してまいりました。  まず、日程及び調査の経過について申し上げます。  第一日目の八月五日は、午前八時五十五分東京国際空港を出発し、空路福岡に向かいまして、十一時過ぎ福岡通商産業局に到着、直ちに局長から九州の産業概況、総務部長から局の予算の執行状況、石炭部長から九州石炭鉱業及び産炭地域振興の概況、鉱害部長から石炭鉱害の現状について説明を聴取いたしました。  続いて、地域振興整備公団飯塚団地の土地造成、分譲状況及び大平食品工業株式会社九州工場並びに山田川鉱害農地等の復旧状況を視察いたしました。  次に、佐賀県鳥栖市に赴き、工業技術院九州工業技術試験所において、所長から試験所の組織及び事業概要並びに予算の執行状況について説明を聴取いたしました。  第二日目の八月六日は、佐世保重工業株式会社佐世保造船所において、所長から造船所の概況並びに原子力船「むつ」を係留中の甲岸使用料等について説明を聴取いたしました。  次に、原子力船「むつ」に乗船し、船内において、日本原子力船研究開発事業団の専務理事から事業団の業務内容、船長から「むつ」の構造及び改修状況について説明を聴取いたしました。  続いて、改修個所の工事現場及び船内を視察いたしました。  次に、石油備蓄タンカー管理機構橘湾支所に赴き、石油公団の理事から石油備蓄計画とその現状について説明を聴取いたしました。  続いて、橘湾上の石油備蓄タンカー瀬田川丸に乗船し、船内において、船長から船の概況及び作業等について説明を聴取した後、船内を巡視し、ブリッジからタンカー十三隻による石油備蓄の現状を視察いたしました。  第三日目の八月七日は、熊本営林局において、局長から九州の森林と林業及び営林局の国有林の現況と経営組織、業務の推進、予算の執行状況について説明を聴取いたしました。  さらに、熊本県木材産業政治連盟から、木材業界の不況を打開するため、国有林材の随意契約及び委託販売による販売量の増加等について陳情がありました。  続いて、熊本営林署管内の国有林及びくまもと自然休養林の現地を視察いたしました。  次に、熊本空港事務所に赴き、空港長から事務所の組織及び管轄区域、空港の位置及び環境、空港の施設、航空運送事業、旅客及び貨物の利用状況等について説明を聴取いたしました。  最後に、空港内の施設を視察いたしました。  本派遣団は、三日間の強行日程を無事終了し、八月七日十七時過ぎ、熊本空港において現地解散いたしました。  次に、今回の調査の結果に基づき、政府に対する要望事項及び今後調査すべき事項は次の通りであります。  一、中小企業設備近代化資金の貸し付けについて、昭和五十二年度、五十三年度、五十四年度にわたり、会計検査院から不当事項として指摘されている。    貸し付けに当たっては、特に貸付対象の選定、事前審査及び完了検査を厳重に行い、その適正化に努めるべきである。  二、産炭地域振興に関する産炭地域振興臨時措置法ば、さきの第九十四回国会において、昭和六十六年十一月までの十年間延長されている。    同法の延長趣旨にかんがみ、今後新たな観点から、昭和五十二年十一月に策定された産炭地域振興の基本計画、実施計画の見直しを行い、その振興施策については、なお一層強力に推進する必要がある。  三、産炭地域は、同時に鉱害問題と密接であるが、いまなお、農地、家屋、道路、河川等の残存鉱害が相当見受けられる。    これらを復旧するためには、昭和五十七年七月末期限切れとなる臨時石炭鉱害復旧法、石炭鉱害賠償臨時措置法の延長等その対策を講ずべきである。  四、工業技術試験所における研究成果については、実用化を行うために民間との共同研究実施をより一層促進すべきである。    なお、試験研究によって設定した工業所有権を民間に広く普及させるべきである。  五、原子力船「むつ」は、わが国最初の原子力船であって、内閣総理大臣及び運輸大臣が昭和三十八年十月に定めた原子力第一船開発基本計画に基づき、原子力船の建造技術の確立、運航技術の習熟、技術者及び乗組員の訓練等を目的として、原子力船を建造することとして、四十七年度末までに出力試験等を行って完成し、以後約二年間の実験航海等を行って五十年度末までにすべての開発業務を終了することとしていたものである。  しかして、「むつ」は四十九年八月試験海域における出力上昇試験において放射線漏れを生じ、その後五十三年十月に至り、ようやく佐世保港に回航し、五十五年七月遮蔽改修工事に着工し、現在工事中であり、いまだに当初の目的を達成していない実情である。    その間、「むつ」開発に要した経費は、昭和三十八年度から五十五年度までに約三存二億円支出し、五十六年度予算に六十九億二千五百万円を計上している。  わが国は、海運、造船立国なので、欧米の先進諸国との間の原子力船の技術的な格差を取り戻すためにも、今後、このような事態が二度と発生しないよう、十分に検討して研究開発を行うとともに、国家資金等が有効に使用されて実験船としての目的が果たされるよう努めるべきである。  六、石油公団は、タンカー備蓄事業費として、船会社等に昭和五十三年度から五十五年度までに用船料、燃料費、漁業補償費等約八百五十億円支払い、五十六年度予算に五百三十四億円を計上している。    タンカー備蓄事業は、当初五十三年度から五十四年度までの二年間であったが、陸上等の恒久施設の建設がおくれているので、さらに二年間延長し、五十六年度末までとなっている。    しかし、タンカー備蓄は一時的な対応策であり、国家資金の有益かつ効率的な運用上からも、速やかに陸上等の恒久施設を建設し、もって、国家石油備蓄三千万キロリットルの目標を達成するよう努めるべきである。  七、国有林野事業の経営に当たっては、昭和五十三年制定された国有林野事業改善特別措置法に基づき、業務各般にわたる改善を積極的に推進しているが、国有林野事業性別会計の五十五年度末累積欠損金は約一千九百億円となっている。    かかる実情にかんがみ、国有林野事業の合理化を図り、累積欠損金を解消するとともに、経営の健全化に、なお一層の努力をすべきである。  さらに、今後、調査すべき事項としては、  一、通商産業省所管の補助金等の交付状況。  二、石炭鉱害事業団、地域振興整備公団、新エネルギー総合開発機構の事業内容及び国家資金の使用状況。  三、日本原子力船「むつ」の係留に伴う甲岸係留施設及び役務の提供に関する契約。  四、石油公団と船会社との原油備蓄タンカー用船契約。  五、国有林材の委託販売制度及び随意契約による販売状況。  六、国有林の伐採計画と水害発生及び治山専業の実施状況。  七、国有林野事業の改善状況等 に関する事項であります。  以上をもちまして報告を終わります。  この際、お諮りいたします。  ただいま報告いたしました内容の詳細につきましては、これを調査報告書として、本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は本号末尾に掲載〕      ――――◇―――――

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 次に、昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として石油公団理事江口裕通君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 まず、通商産業大臣から概要の説明を求めます。田中通産大臣。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 冒頭に、閣議でおくれましたことを深くおわび申し上げます。  昭和五十三年度通商産業省所管の歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。  通商産業省主管の歳入につきましては、当初予算額は七十四億八千四百五万円余でありますが、予算補正追加額二十六億九千二十万円の増加がありましたので、歳入予算額は百一億七千四百二十五万円余となっております。  これに対しまして、収納済み歳入額は八十八億六千六百四十二万円余でありましで、これを歳入予算額と比較いたしますと、十二億七百八十二万円余の減少となっております。  これは、アルコール専売事業特別会計に係る昭和五十三年度の納付予定金の一部を翌年度以降において納付することとなったこと等の理由によるものであります。  次に、通商産業省所管の歳出につきましては、当初予算額は四千七百四十億九千六百十二万円でありますが、予算補正追加額百九十八億七千七百十七万円余、予算補正修正減少額四十八億二千九百七十七万円、総理府等他省庁所管から移しかえを受けた額百十一億七千九百八十一万円余、前年度からの繰越額百十九億二千百二十三万円余、予備費使用額五億九千四百五十二万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は五千百二十八億三千九百九万円余となっております。  これに対しまして、支出済み歳出額は四千四百九億六千六百五十二万円余でありまして、その主なものといたしまして、中小企業対策費一千六百五十五億二千三十九万円余、エネルギー対策費八百三十六億六千三百八十七万円余、科学技術振興費五百七十二億二千七百四十九万日余、経済協力費九十億六千八百三十四万円余、公共事業費二百六十五億七千七百五十一万円余等となっております。  この支出済み歳出額と歳出予算税額との差額は七百十八億七千二百五十七万円余となっております。その差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は九十八億四千六百万円余でありまして、不用となりました額は六百二十億二千六百五十六万円余となっております。  次に、通商産業省所管の各特別会計の決算について御説明いたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  収納済み歳入額は九百十七億一千七百四十六万円余、支出済み歳出額は三百三億三千六百四十七万円余であります。  収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は六百十三億八千九十九万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は二百十二億一千二百六十六万円余、剰余金は四百一億六千八百三十二万円余となっております。  第二に、石炭及び石油対策特別会計であります。  まず、石炭勘定であります。  収納済み歳入額は一千三百九十四億五千九百五十一万円余、支出済み歳出額は一千二百三十五億二千二百八十七万円余であります。  収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百五十九億三千六百六十三万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は七十六億四千八百三十九万円余、剰余金は八十二億八千八百二十四万円余となっております。  次に、石油勘定であります。  収納済み歳入額は一千三百九十五億三千五百七十四万円余、支出済み歳出額は六百五億九千九百五十四万円余であります。  収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は七百八十九億三千六百十九万円余でありまして、年度へ繰り越しました額は六百九億百四十三万円余、剰余金は百八十億三千四百七十六万円余となっております。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。  収納済み歳入額は二百六十四億三千九百八十七万円余、支出済み歳出額は百九十一億五千五百八十七万円余であります。  この会計の損益計算上の利益は七十四億二千七百六十八万円余でありまして、期末資産の増加相当額一億三百四十二万円余を控除した残額七十三億二千四百二十六万円余を一般会計の歳入に納付することとなりますが、このうち二十八億円を当会計の運転資金の増加に充て、翌年度以降において納付することといたしましたので、本年度においては四十五億二千四百二十六万円余を一般会計に納付いたしました。  第四に、輸出保険特別会計であります。  収納済み歳入額は一千四百三十九億四千五百六十四万円余、支出済み歳出額は三百六十二億七千百七十二万円余であります。  第五に、機械類信用保険特別会計であります。  収納済み歳入額は五十二億四千九百八十七万円余、支出済み歳出額は十二億四千五百六万円余であります。  なお、一般会計及び特別会計の事業の詳細につきましては、お手元にお配りいたしております通商産業省所管昭和五十三年度歳入歳出決算概要説明書に記述してありますので、ごらんいただきたいと存じます。  最後に、五十三年度通商産業省所管の決算につきまして、会計検査院から不当事項として七件の指摘を受けたものがありますことば、まことに遺憾に存じております。  これらの指摘された事項につきましては、直ちに指摘金額の返還をさせるなど、その是正、改善の措置を講じたところであります。  今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督等を行い、かかる事態の絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十三年度における通商産業省所管の一般会計及び特別会計の決算に関する御説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第四局長。

高橋良会計検査院事務総局第四局長

○高橋会計検査院説明員 昭和五十三年度通商産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項七件であります。  検査報告番号六五号及び六六号の二件は、札幌通商産業局及び札幌鉱山保安監督局において、架空の名目によって旅費等を支払うなどし、これを別途に経理していたもので、これら不正に経理した旅費等は他の資金と合わせ部内でのまたは部外との会食の経費、贈答用品等の経費及び交通費等の雑費に使用していたものであります。  検査報告番号六七号は、工業技術院機械技術研究所ほか二試験研究所並びに仙台、大阪両通商産業局において、庁用の防臭剤、ファイル等の不当な価格での売り込みに対して、適切な処置を講じないままその購入を繰り返していたため、購入価額が市販価格等に比べて著しく高価になっていると認められるものであります。  検査報告番号六八号から七一号までの四件は、中小企業者の設備の近代化に資するため、無利子で融資する貸付金の財源として国が都道府県に交付した中小企業設備近代化補助金に関するものでございまして、その貸し付けの適否等について調査いたしましたところ、貸付対象事業費より低額で設置または購入している者に対して、貸付対象事業費どおり設置または購入したとして貸し付けていたり、貸付対象設備を設置または購入していない者に対して貸し付けていたりしていたものでありまして、いずれも、貸し付けが補助の目的に沿わない結果になっていると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 次に、丹下会計検査院第五局長。

丹下巧会計検査院事務総局第五局長

○丹下会計検査院説明員 昭和五十三年度中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 次に、中小企業金融公庫当局から、資金計画、事業計画等について説明を求めます。鈴木中小企業金融公庫副総裁。

鈴木正美中小企業金融公庫副総裁

○鈴木説明員 昭和五十三年度におきます中小企業金融公庫の業務について御説明申し上げます。  当公庫は、昭和五十三年度の当初貸付金を一兆四千六百九十二億円と定められましたが、その後、五十三年十一月に下期中小企業金融対策といたしまして七百億円の貸付金の追加が認められましたので、これにより、前年度実績に比較いたしまして、八・八%増に相当する一兆五千三百七十一億七千二百二十八万円を中小企業者に対し貸し付けましたほか、設備貸与機関に対しまして百十八億五千七百十一万円余、中小企業投資育成株式会社に対しまして十九億円の貸し付けを行い、総額一兆五千五百九億二千九百三十九万円余を貸し付けました。  中小企業者に対する貸し付けのうち、設備資金は、三八・五%に相当する五千九百二十二億二千八百六十一万円余、運転資金は、六一・五%に相当する九千四百四十九億四千三百六十六万円余となっておりまして、また、直接貸し付けは五二・二%に相当する八千二十一億二千九百五十万円、件数では二万四千七百九十件、代理貸し付けは四七・八%に相当する七千三百五十億四千二百七十八万円、件数では五万七千四百二十三件となっております。  年度末総貸付残高は三兆二千六百七十四億七千四百七十万円余で、前年度末に比較いたしまして一千四百六十一億一千三百二十一万円余、四・七%の増加となっております。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十三年度におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は三百三十七億二千二百九十三万円余でありまして、このうち一年以上のものは二百九十一億一千四十一万円余、総貸付残高の〇・九%となっております。  昭和五十三年度の融資に当たりましては、需要構造の変化、為替相場の変動、石油問題等の内外にわたる厳しい環境変化への対応を迫られております中小企業者に対しまして、その事業基盤の強化に資する資金につきまして、前年度に引き続き積極的に対処してまいりました。特に、造船業、北洋関連事業等特定事業所の事業活動の縮小により、経営悪化等の影響を受けている特定地域所在の中小企業者に対して経営の安定に資するための緊急融資を実施し、また、エネルギーの有効利用促進に資するための貸付制度等を新設しましたほか、中小企業倒産対策緊急融資制度及び中小企業為替変動対策緊急融資制度の拡充を図る等中小企業者の経営の維持安定のための資金についてきめ細かい配慮を払ってまいりました。  また、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に必要な資金、流通機構の近代化、合理化のために必要な資金及び事業転換、産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金等緊要な資金についても特に配慮してまいりました。-なお、昭和五十三年度におきましては、中小企業者の一層の便益に資するため、東大阪市に東大阪支店を新設いたしました。  最後に、当公庫の昭和五十三年度の収入、支出の決算及び損益計算について申し上げます。  収入、支出の決算について申し上げますと、貸付金利息等収入済み額は二千四百二十九億五千七百九万円余、支払い利息等支出済み額は二千五百八十億七百三十三万円余となりました。損益計算について申し上げますと、貸付金利息収入等の総益金は三千四百七十二億五千八百四十三万円余、借入金利息、事務費、滞貸償却引当金繰り入れ等の総損金は三千四百七十二億五千八百四十三万円余となりました。この結果利益金は生じませんでしたので、国庫納付はいたしませんでした。  以上昭和五十三年度における中小企業金融公庫の業務の概況につきまして御説明申し上げました。  よろしくお願いいたします。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 次に、中小企業信用保険公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。谷敷中小企業信用保険公庫総裁。

谷敷寛中小企業信用保険公庫総裁

○谷敷説明員 中小企業信用保険公庫の昭和五十三年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  昭和五十三年度におきましては、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の制定に伴い、特定不況地域関係保証の信用保険特例措置が新設されるとともに、国の一般会計から、保険事業の円滑な運営を図るための原資として保険準備基金四百八十億円、信用保証協会の保証活動の円滑化を図るための原資として融資基金百億円、合計五百八十億円の出資が行われました。  まず、保険事業について見ますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で九十九万二千件余、金額で四兆一千三百八十九億二千七百九十二万円余になっており、これを前年度に比較いたしますと、金額で一%の減少になっております。  この結果、昭和五十三年度末の保険引受残高は、件数で百八十二万件余、金額で七兆六千百十二億四千二百三十四万円余となっております。  なお、保険金の支払いは一千五十二億六千三百十九万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、八%の増加になっております。  一方、信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和五十三年度に国の一般会計から新たに出資されました百億円及び既往の貸し付けにかかる回収金一千百九十七億八千二百万円、合計一千二百九十七億八千二百万円をもちまして、長期貸し付け一千二百七十五億四千三百万円、短期貸し付け二億円、合計一千二百七十七億四千三百万円の貸し付けを行いました。  この結果、昭和五十三年度末における貸付残高は一千七百四十九億六千百万円になっております。  次に、収入、支出及び損益の概況について申し上げます。  まず、収入、支出について申し上げますと、収入済み額は七百一億二百九十三万円余、支出済み額は一千七十七億六千二百六十八万円余でありまして、差し引き三百七十六億五千九百七十五万円余の支出超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払い備金等の整理を行いました結果、総利益は八百十一億九千八百八十九万円余、総損失は一千二百二十七億九千九百七十八万円余となり、差し引き四百十六億八十八万円余の損失金を生じました。  この損失金は、中小企業信用保険公庫法及び同法施行令の規定に基づき、保険準備基金を減額して整理いたしております。  以上、簡単でございますが、昭和五十三年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。     ―――――――――――――

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 通産行政は非常に多岐にわたっておりますが、その中で、今日非常に大事なエネルギー問題、特に石油についてお伺いしたい。また、現下の経済情勢は非常に微妙なむずかしいところへ来ていると私は思いますが、その中で中小企業は非常に苦しんでいるのが現状じゃないか、こう思いますものですから、石油問題と中小企業問題について集中してお伺いしたいのですが、残念ながら時間が大変短くなりましたので、簡潔にかつ要領のいい御答弁をお願いいたしたいと思います。  実はこの八月に私は自民党の石油調査団としまして産油国を回ってまいりました〇三年前に行きましたときと比べまして二度目の今回の方がより政治情勢が緊迫している、このように感じました。経済と政治というものは非常に絡んでいる、このように思います。その点についても通産大臣は先ごろサウジの方にもお出向きになっていらっしゃいますので、その御見解を伺いたいし、まとめて質問しますと、それとの関係でいいましてもイランのIJPCを今後どうするか、私は非常に大きな政治問題でもある、こう思うわけであります。思ったよりも、イランとイラクは戦争しながらも石油の生産もしているし、ある程度の市民生活の平穏も保たれているやに見受けられますが、しかし政情はきわめて混乱していることは事実でございますし、またこれから先のそうした日本とイランとの両国の関係も大変見通しにくい情勢であることも事実でございますので、そうした情勢を踏まえての大臣の産油国との関係、ことにIJPCについてのお考えを伺わせていただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 経済状態がいいとか悪いとかいうことにかかわらず、エネルギー問題は日本にとっては非常に重大な問題でございます。私どもエネルギーのうち石油依存率がついせんだってまでは七三%でございましたが、いま需給が緩和されまして六〇%に落ちておりましても、その中の九九・八%ぐらいは輸入しなければならない。したがって、イラク、イランの紛争なども非常に痛手でございますけれども、代替エネルギーあるいは省エネルギーというようなものを進めて、需給暫定見通しなども十年後は石油依存率を五〇%に落とそうというのをさらに四〇%ぐらいになるのじゃないかというふうに諸施策を進めておりますし、備蓄も七月末で百二十一日分ぐらい政府備蓄、民間備蓄あるわけでございますが、いま御指摘のそういうような客観情勢の中で何とか油あるいは土ネルギー問題については鋭意内外の諸政策を進めて、民生の安定あるいは産業が困らないように努力しておるのは御承知だと思いますし、御心配を皆様にかけておるわけでございます。  御指摘のIJPCでございますが、この問題につきましても、私も私なりに頭を痛めている問題でございまして、イランの国のことをいろいろ言うわけではございませんけれども、内紛が私どもが想像する以上に深刻でございますし、見通しもきわめて不透明でございます。その中にあってどうするかという対処を迫られておるわけでございますが、この件につきましては、ナショナルプロジェクトとは申せ、私ども民間の折衝を待っておるわけでございまして、ついせんだっても三井側のデリゲーションが向こうに行ったのですが、はっきりした結論は得なかった。それから、その後の約束として向こう側から今度は来ることになっておりますけれども、それも御承知のようなイランの内紛状態でどうにもなりませず、私どもはより以上強い心配はしておりますけれども、まず民間のそういうプロジェクトの約束、規定などがございますので、その折衝の結果を待って、しかも、待つと言ってもロングに待つわけにはいきませんので、短期に何とかその結果が得られるように三井側にも督促しておりますし、イラン側にもはっきりしたことをその後の折衝の結果を、いずれにしても結論を出してほしいという要望を外交ルートも通じて申し上げておりますし、三井側にも強く申しておるというのが現状でございます。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 大臣もおっしゃいましたように、石油の国際的な需給関係は確かに違っております。国内の方も非常に違ってきておる。しかし同時に、そうした需給関係だけじゃない、政治的な問題も含めて、いま石油の問題が非常に大事になってきておる。需給関係が緩んでいるからといって、産油国に対してすべてを輸入に頼っている日本が強く出れるのか。それは長い目で見て国策としてまずいのじゃないか、こういうことを感ずるわけであります。  現にこうしたイランの石化問題も現地の方の御要望、相手の国の希望というものを踏まえて行われていた話だと思います。そういう中で非常に大きな日本に対する輸出国であったイランの希望を入れて、原油で引き取るのじゃなくて、エチレンのかっこうで引き取ろうか、こういう話になってきたわけですが、その見通しがなかなかつきにくい。そうでしょう。つきにくいと思います。しかし片一方で、IJPCの見通しがつきにくい中で、すぐ隣のサウジで今度はまたエチレンの関係のものを相当量つくるサウジアラビア石油化学計画がこの五月に決まったわけでございますね。新聞の伝えるところでは、さらにいま中国を訪れていらっしゃる二階堂先生初めの方々が大慶の石油化学の話もされている。産油国から石油化学による二次製品と申しましょうか、エチレングリコールとか低密度ポリエチレンのかっこうでどんどん日本へ引き取るということについては、一体通産省としてはどういうお見通しでそういう話を各国とお進めになっているのか。それは単に原油国、産油国で石油化学製品をつくるというだけじゃなくて、つくった物を日本が買う、ないしは日本が責任を持ってほかへ売ってくるというお約束も、たとえばサウジアラビアの場合には入っている。このように私ども伺っておりますから、国内における石油化学産業も、もちろん何と申しますか非常に気にしている話だと私は思いますが、サウジの話、大慶の話などを踏まえましてそうした産油国との石油化学に関する日本の協力の姿勢を長期的にまた大局的にどうお考えになっているのか、もう一遍伺わせていただきたい、こう思うわけです。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 まず第一点の、石油が需給関係が非常に緩んでいるけれども、それで安心していいのかということでございますが、そういうような意味の御趣旨だと思います。  第一次、第二次オイルショックがございまして、私どもはこれに対処、うまく乗り切っておるわけでございます。といって、需給関係が緩んでおるからこれでもう安心だということは日本にとっては言えないと思います。したがって、いつ第三次オイルショックというものがあるかもわからないという心構え、あるいはそれに対する対処というものはしておかなくちゃいかぬ。したがって、オイルを中近東だけに依存する、湾岸諸国だけにというわけにはいきませんし、インドネシアあるいはメキシコあるいはカナダ、中国、いろいろなところで分散多様化しておかなければいけない。反面、備蓄もいまこそ一生懸命やっておかなくちゃいかぬということは私は言えるというふうに思います。  それから、いろいろな石油化学の会社をサウジアラビアを初め中国もそうですが、いろいろなところでやってその製品を取り扱うことも約束している部分もあることは確かでございます。私ども世界でいま経済摩擦ということでいろいろ問われているのはインバランスの問題でございまして、やはり原材料ばかり、あるいはエネルギーそのものばかりを輸入するというふうに悪口を言われておるわけでございまして、製品輸入というものを心がけておかなければ、世界のあちらこちらで保護主義貿易になって、日本は製品は買ってくれないじゃないかというようなことになると、保護主義貿易はひいては日本経済に大きく響きますし、世界経済の不況乗り切りの治療薬にもならないと思っております。御承知のようにわが国は自由主義貿易、拡大均衡ということが至上命題でございますし、それが日本経済の生きる道でもございますので、製品、つくった物を輸入する。ただ協力してプラントをつくるということじゃなくて、あちらこちら、ただサウジアラビアだけでなくとも製品輸入をいたしましょうという宣言を七月にしたばかりでございます。そういう意味で、できた物も使う。それから投資交流で相互にやりましても、これをまた第三国市場の開拓、技術開拓も含めましてでございますが、日本にだけ輸入するということでなくて、つくった物をまた第三国に輸出するというような貿易の拡大あるいは第三国需要の開拓というものも含めまして、製品輸入には一国だけではなくて全般的に日本の考え方を変え――日本そのものもいま御承知のように経常収支が非常に黒字でございます。外需依存型ということは極力避けなければならない状態なのに、円為替の安くなったというようなことで外需依存型。内需を刺激しまた内需依存型にするためにもそういうつくった物を輸入するという一つのプリンシプルというものは立てておいた方がいいのじゃないかという気持ちでございます。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 製品のかっこうで引き取ってあげた方が産油国にとってうれしい話であることは間違いありません。また、そういう産油国との長期的な友好関係、スムーズな取引関係を確保するために石油化学の話にも乗っていったのだと思うのです。しかし、産油国は、じゃその石油化学の話に日本が手をかしてくれる、サウジでいえば二百十六億円ですか、日本政府が出し、その他民間も出して、四百八十億円日本が出すから今後もサウジはもう安いバレル三十二ドルをどんどん日本に出します、そういうことにはなかなかならない。石油化学というのは、言葉は俗っぽいかもしれませんが産油国を喜ばせるためにやった。それじゃ今後は油は間違いなく来るか。私はそうでもない。むしろ産油国からいえば、それはそれであって、やはり産油国と日本はもっと協力してほしいという向こう側の声があるのじゃないか。  それは何か。お金のいわばあり余っている国から言えば金の問題じゃない。むしろいろいろな意味で日本の技術協力のようなもの、あるいは医療協力のようなもの、こうしたものも今後産油国ともっと進めていかなければいけないのじゃないか。医療なんかは非常に向いている話ではないか。向こうの人を日本へ呼んで研修させる、勉強させるということよりも、日本が産油国に出向いていって、病院も建てましょう、いろいろ教育、訓練もしてあげましょう、お医者さんも大ぜい参りましょうというぐらいの、そうした産油国とのきっちりしたベーシックな友好関係をいまこそつくっていった方がいいのじゃないか。  同時に、質問をまとめて申し上げますと、産油国との間の取引そのものにしても、いままでのようなやり方でいいのだろうか。GGベースあるいはDDベース、いろいろなやり方があります。国によってもちろん差はあります。そうした取引の仕方についても、この機会によく関係を見直しておいた方がいいのじゃないか。私はOPECの本部にも行ってまいりましたが、なかなか統一価格をつくるのはむずかしそうだなという実感でございました。統一価格はなかなかかつてのように簡単にできないとするならば、むしろ産油国別の日本としてのアプローチをもっときめ細かくやっておかないとまずいのじゃないかという感じもするものですから、産油国との今後のそうした友好関係と申しましょうか、そういうものをどのようにして確立していかれるのか、お考えを承らせていただきたい、このように思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 確かに、おっしゃるように、経済協力の内容というものを質的に変えるというふうな表現が当たっているかどうかわかりませんけれども、いままでのようなやり口に十分反省を加えて新しい事態に臨む、あるいは向こうのニーズがどういうものか、つまり、向こうの心持ちになったような態度で経済協力の内容を質的に変化させなければいけないということは、これから先も十分考えていかなければいけないというように思います。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 そこで、いま輸入の量も正直言って前の年よりも減っているわけですね。五%ぐらいでしょうか、減ってきている。それに見合わせて通産省の方でも石油の需給計画の見直しを出された。上期並びに五十六年全体を通じてかなり落ち込んできている。また、内需の方も落ち込んできている。これはやはり値段との関係もありまして、国際的な需給状況についての見通しともうらはらでなければいけないのじゃないか、こう思うわけです。  そうした中で、いまの国内的にも端的に言って油はだぶつきぎみというこの状態は、いつごろまでどういうふうに続くと思っていらっしゃるのか。計画は上期の話をし、あるいはことしの話をしたけれども、二年、三年先の話ははっきりしてないように思うのですが、石油需給に関して、長期的といってもそんなに五年、十年先でなくても結構ですが、来年、再来年あたりまで通産省としてはどう思っていらっしゃるのか、そのお見通しを、国際的な面と国内的な面と、事務局で結構ですから、できましたら数字をもってはっきりお答えいただきたい、このように思います。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 石油の見通しにつきまして、これは非常にむずかしい御質問でございまして、なかなか専門家も判断がしかねる点があるかと思いますが、たまたま私、けさの新聞を読んでおりましたら、二つ全く違った見通しが出ておりまして、一つは、ことしの年末から需給が逼迫をして、来年の第一・四半期には国際的に供給不足になるという記事がございました。もう一つは、当面需給は緩むであろうという両方の記事が出ておりまして、なかなか判断がむずかしゅうございますが、サウジアラビアがさきのOPECの石油相会議の後、百万バレルの減産を九月からやるという情報がございますが、現在国際的には五十五億バレルの備蓄がありまして、そのうち五億バレル程度が余剰であろうとも言われております。もしそうだといたしますと、百五十万バレル・パー・デーぐらいの消費を一年間ほど継続いたしましても五億バレル程度であろうかと思いますので、今後サウジの減産が行われましても、また他のアフリカ諸国の増産あるいはその他のOPEC諸国の増産の可能性もございますので、ここしばらくは現在程度の緩い状況が続くのではないかと思います。  ただ、石油情勢は先生いまも御指摘のありましたように、非常に政治的な問題と絡み合っておりますので、特に中東諸国の政治情勢というものは急に変動する可能性もございますので、そのあたり余り確たることを申し上げるのはむずかしいと思いますが、中長期的には逼迫の傾向、短期的には緩い傾向というのがいま現在申し上げられることではないかと思います。  それから国内でございますが、五十六年度の供給計画を改定いたしまして、改定の段階でなぜそういう需要減が起こったかという分析もいろいろやってみまして、まだ数字も整っておりませんが、一番大きな減少がございました重油について見ますと、大半が省エネルギー及び代替エネルギーではないかというふうに考えられますので、重油につきましては構造的な要因が非常に多いというような印象を受けております。それから、もう一つ大きな減少を見せましたのが石油化学用ナフサでございますが、これにつきましては、石油化学自体の不況が最も大きな要因でございまして、これは景気変動的要因と構造的要因が双方あると考えますので、どちらかと割り切るのはむずかしいと思いますが、いずれにいたしましても、今度の減少は構造的な需要減少が相当程度あるというふうに考えております。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 石油部長さんの説明はそんなものかもしれませんが、国民からいうとそれじゃ非常に不安なんですね、どうなるのだろうという気持ちで。これは産業にとっても石油は非常に基礎的な重要なファクターであると同時に、普通の生活にとりましても、石油そのもの、あるいは石油から出てくる二次製品と申しますか、石油化学製品等も非常に入り込んでいるのですよ。油がもうずっと生活の中にしみ込んでいるのです。それが上がるか下がるかわからない、足りなくなるかだぶつくのだかわからないということではいけないので、やはり通産省としてはみんなを安心させると申しますか、大きくはっきりした旗をもっと明確に振ってほしい、こう思うわけです。  そういう中で、ことしの夏は例の石油業法十五条の標準価格をやるのやらないのと、いろいろな議論がありましたけれども、これは最終的には一体おやりになるのですか、やらないのですか。石油の国内的な値段に関しては今後どういうお考えというか、どっちへどういうふうに持っていこうというか、その御意見を承らせていただきたいと思います。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 標準額につきましては、石油業界からも要望が出ておりまして検討いたしておりますが、現在石油審議会の石油部会におきましてそのあたりの検討が続けられております。先月の二十日に開かれました石油審議会石油部会では、石油産業の現状は依然危機的な状況ではあるけれども改善の方向に向かっているということで、業法第十五条に基づきます標準額につきましては、発動の準備には入るけれども慎重に事態を見守って、最終的な判断はしばらく待った方がいいということでございまして、生産調整の効果、値上げの浸透その他の情勢を現在見守っております。同石油部会の中に小委員会が置かれておりまして、それが現状のフォローをいたしておりまして、九月十六日の石油部会に検討結果が報告されることになっておりますので、その報告の結果を見ながら通産省といたしましては最終的な判断を行いたい、かように存じております。  石油の国際的な需給の緩和を反映いたしまして、ドルベースで計算いたしましたFOB価格は現在弱含み、横ばいという感じでございますが、ことしの一月以来の円安傾向によりまして、円ベースで計算をいたしました原油価格はきわめて高騰いたしております。このために石油産業は大体一月一千億円近い赤字を計上いたしております。この中には相当為替のリスクに伴うものがございまして、すべてを需要家に転嫁するのはいかがかと思いますが、コストの上昇に伴いますものにつきましては、適正な価格で需要家に転嫁するのはやむを得ないのじゃないかと思っております。  ただ、最近の状況で見ますと、為替レートが落ちついてきておりまして、それから八月に行いました値上げも相当程度浸透しておりますので、今後はレートが急激な変化がない限り余り急激な上昇というものはないのではないかというふうに考えております。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 石油の値段はやはり為替レートで非常に動く幅が大きいですね。円安のときはすぐ転嫁しておいて、円高のときに企業サイドでそのもうけを温められちゃいますと、どんどんしわが寄っちゃいますから、そこら辺は余り短期的な見通しじゃなしに、もっとじっくり腰を落ちつけて構えて業界の指導をしてほしいと思いますね。私も長年やってきた者として、為替の方も変動要因がまだまだ大きいと見ておりますものですから、その点をぜひお願いいたしたい。  そこで、いまの標準価格のときにも私ども大いに議論したのですが、一本の値段で急に物がばちっと決まるというような経済状態じゃないのじゃないか。いま景気全体、非常に重苦しい感じのように思うのですね。これに対して総合景気対策なんてなかなかいま出せないし、また効き目のある総合的な薬というのはないのじゃないか。やはり個別の業界ごとに物を考えていただかなければいけない時期が来ているのだ。その個別の業界ごとに考えていただくと同時に、またいまぐらい企業間格差が大きく響いてきているときはないのじゃないか。この間の発表では、大企業の方はかなり高額の利益を昨年度あたり出しているようでございますが、私はいま中小企業の方は非常に重苦しい気分で商売しているというのが実情じゃないかと思いますけれども、いまの景気情勢の中で中小企業をどういう状態で運営していると御認識になっているか、これはひとつ通産大臣からでもお答えいただければありがたいのですが。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 景気と物価の両にらみということでまいりまして、物価の方は御承知のようにまあまあ安定しておる。問題は景気でございます。大企業の方は設備投資の方も何となく多少、活発とまでいかなくても徐々に浸透しておる。問題は中小企業でございまして、御承知のように昨年度一万八千件という未曽有の倒産があり、それがずっと直ったかと申しますと、六月でも千四百二十三件、七月が千四百二十四件、八月の数字はもうすぐ出ると思いますけれども、そういうような状態で、倒産件数も、多少のジグザグがありましてもよくなっておるとは少しも言えません。  したがって私どもも憂慮しておるわけでございまして、この対策については諸政策をやっておりますけれども、問題はやはり個人消費とかあるいは住宅建設、そういうものの刺激をしてうまくやっていくということなんでございますし、公共事業費あるいは官公需の分割発注などうまくやっていくということでございますけれども、御指摘のように新しい妙手というものはなかなかないわけです。したがって私は、むしろ金利などを何とか下げるような、あるいは実質的に下げ得るようなことが一番いいなと思います。ところが逆に、いま公債発行でこれが売れない、したがって、むしろそっちの方の金利を上げなければいかぬ、上げると他の金融債に響く、プライムレートに響いて、ひいてはまた逆に政府三機関の中小企業に対する金融面に響いたらいけないということで、実はけさの党と政府との月例経済閣僚会議でも、私はその点が心配になるから、大蔵大臣余り張り切らぬでほしいというようなことを言ったのですけれども、財政再建ということ、国債も売れなければいかぬというような微妙な段階で、それでも中小企業者に対する対策というものから、金利を大蔵省的なことではなくて何とかそういう面ででき得るならばということを考えております。  しかし御指摘のように妙手がない。それならおまえぼっとして対策もなしに無為に過ごすのかということになりますけれども、そういうことのないように、いままでの古い手口ではございますけれども、いかにして個人消費、住宅建設あるいはその他のこと、倒産防止とか下請支払い遅延防止、既成の法律につきましても厳重な監視、そういうような万全の措置を講じていきたいと考えております。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 恐らく大臣も苦労されておるのじゃないかと思うのです。確かに一発で効くような話はない。金利は、国際的に見るとむしろ今度高金利時代に入っていくのじゃないか、このくらいに感ずるものですから、税の方で幾ら手を打ってみても、それで大変助かるというところではもうない。極端に言えば、もうけが出なければ税金で幾ら救おうとしても救えない、こういうぐらいの状態に来ておるのじゃないか。中小企業の中でこういう細々というか、いままでどおりで何とか守りの経営をしておるところでまたいろいろな問題が出てくるわけです。  御存じのとおり中小企業の半分が販売業でございますが、大型店舗その他のことで脅かされている。フロア面積を規制すると、小さいのがとことこ駅ごとにできてくる。町の中にある店舗の数を全部合わせると相当の面積になるけれども、一店ずつは小さい。あるいは出てくるときに一階はファッションです、女性の洋服です、半年やってみて女性の洋服売れないから、生鮮食料品売ってしまおうかというので店舗のフロアが変わっている。いろいろな意味で非常にトラブルが起こっているものですから、ある県のある市などは、ともかくそういう新しい店が出るのをみんなやめてくれ、凍結宣言というのをやっておるところがある、市の数だけでも二十か三十あるのじゃないでしょうか。市議会だけじゃない、商工会議所が主体となって決議したのなんか、全部入れると六十か七十全国にある。そのくらい厳しい横ばいの経済の中でいま守りの経営をしておるのだから、そういうかっこうで騒ぎを起こさぬでくれ、こういう大店法の執行に関し、あるいはそれに関連するいろいろな法律でございますが、そうしたものについてもう一遍見直すなりその運用をもうちょっと強化するなりしてもらいたい、こういう意見も出ていますし、また同時に、時間がないので最後の質問をしますが、片一方でメーカーさんの方では、先ほど石油の生産制限の話が出たのですが、生産制限せざるを得ないよと言っておる業種もあるわけですけれども、生産制限をやること自身、また公正取引委員会あたりからいろいろと、話が出ただけで牽制球食っておるわけです。  こういう問題について中小企業をどういうふうにしてかばってくださるのか。通産省としてのお考えを伺って、残念ながら時間が来ましたので、最後の質問にさせていただきます。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 ただいま小売店の問題がまず一つ出たわけでございますが、最近の模様を見ますと、大型店の届け出は、件数といたしましては、五十四年度をピークといたしまして減少の傾向は見せております。しかし、仰せのとおり大変商業環境は厳しい状況でございますので、私どもといたしましても、今後一層慎重な調整が必要だろうというふうに思っております。  そういうことでございますので、商調協を初めとする大店法の運用の改善あるいはその強化につきまして検討は進めたい。そうして、通産局とか県等を通じまして、商調協の厳正な運営と調整の適正化を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、もう一つの点でございます生産の調整問題でございますが、これにつきましては先ごろあるいは紙パルプの設備投資問題で若干報ぜられた点がございますが、この点につきましては、両省よく話し合いまして全くその問題はもう氷解しておりまして、現在行政指導によりまして設備投資の抑制をお願いする、そして手続上届け出をとりまして、問題があるときには個々に指導していくということで公正取引委員会とも了解ができております。そういうことで、私どもこれから機動的に行政指導をする必要があると思いますので、もちろん独禁法との関係は十分考慮しながら進めていきたいというふうに考えております。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 どうもありがとうございました。  以上をもって終わります。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 この際、午後零時三十分まで休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十二分開議

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 まず私は、通産大臣が就任以来各地域に行かれて、大変通産行政に熱心に取り組んでいらっしゃることについては、まずはその御苦労をねぎらっておきたいと思います。  わが国の経済が対中東地域との相互依存関係を今後ますます深めていく必要性、このことを私なりに強く受けとめているわけなんです。毎回私から、IJPCの問題については、その時点で強く見解を含めて指摘をし、かつ質疑を通してきたわけですけれども、今日の政情、イランの混乱状態から、IJPC事業の継続が可能なのかどうか、非常に憂慮すべき事態に来ていると思うのです。通産省としては、企業主体である三井グループとこのIJPC事業の継続の可否等について話し合いをなされたのかどうか、まずはこの点についてここで聞いておきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 IJPCの問題は、御指摘のように全く頭の痛い話でございます。しかし、民間主導型でございますし、民間で話し合いを進めておりますし、日本側の三井もついせんだって現地に人を派遣して向こうの意向を打診し、今度は向こうが来るというような報告を受けておる段階でございまして、私どもがこれを取りやめる、あるいは取りやめない、そういう二者択一というような考え方もさることながら、先ほども若杉局長などと打ち合わしたのでございますが、いかにしてこのプロジェクトをうまく実現するか、実現した結果についてよりも、どういうふうにしたら実現できるかということに焦点を一応政府としては考えるのが妥当でございます。ただし、先ほど指摘しておりましたように、民間でまずいろいろやっていくべき段階でございますし、私どもはその結果を待つと同時に、それに対する対策をその際考えよう。それならいままで三井とおまえたち政府は何かやってきたかという御質問でございますが、この点については私どもは、公にも、陰に陽に向こうから言ってきた結果も聞いておりますし、これから向こうの方がどうする、あるいは向こうの現在の国情がどうだというような報告は現地に行って帰った都度聞いておるのは事実でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 三井グループがこのプロジェクトから撤退をする、こういう意思を固められた場合に、大臣としてはそれを尊重しますか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 先ほどから申しますように非常に微妙な段階でございまして、昔だれかが仮定の質問には答えられませんというふうに突っぱねたことも私は知っておりますが、まあしかしそういう仮定の質問こそ現状としては非常に大事な点でございます。したがって、そういう場合にどうするかということでございますが、そういう場合は、率直に申しまして私どもの意見もございますが、まずそういう三井側の意見というものを尊重するようなことで検討しなければならないのじゃないかというふうには考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そのことによってイラン側の対応というものは厳しいものになる。イラン側の交渉の窓口は政府あるいは政府関係機関というそういう事実ですね。日本側がいままで個々の民間企業だけに、民間グループに任しておった。私は、それだけでは問題解決にならないし、むしろ非常にむずかしくなる、通産省の方が民間企業との協力体制をとる、そういう体制も今日においてまた必要である、そういうふうに思うのです。そういう点で、ただ単に企業の意思を尊重するのだ、そうならざるを得ないであろうという方向を進まれるのか、むしろどのような対応を今日通産省は考えているのか、この点についてさらに聞いておきます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 先ほどから申しますように非常にむずかしい微妙な問題でございまして、民間の話でございまするので、それを尊重するとは申しましても、これが与える影響というのは、単にイランという国だけにとどまらず、湾岸諸国も日本の態度というものをながめておるわけでございましょうし、やはり国際的に大きな問題も多少は――多少どころか考えなければならないし、常に私は指摘しておるのですが、日本というのは、もう日本だけのことということではなくて世界の中の日本というようなことも頭に置いて決めなくちゃいかぬことが多うございます。したがって、そういうことも加味して政府の態度は決めなくちゃいけませんし、先ほどから申しますように二者択一というようなことではなく、そこにいろいろな考え方が浮かび上がってくるというふうに思いますし、そういう点も十分配慮しながら考えていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、私は率直に今日のイランの政情、経済、政治の混乱、こういう状態の中でこのIJPCの工事再開は不可能だというふうに大臣はお考えになっていらっしゃるのか、さらには、イラン政府と通産省が表に出て改めて交渉をするのだというぐらいの意思を持っていらっしゃるのかどうか、そういう点について、大臣からそのお考えを聞いておきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 民間の話し合いがうまくいかなかった場合に政府が飛び出していろいろな話をやるのか、そういう決意を持っておるかどうかということでございますが、私ども民間に一切を任しておるということだけでは、ナショナルプロジェクトという点もございますので、そうはまいりませんが、先ほどから申しますように、八五%までできておる。そうすると、あとの一五%ででき上がるならば、いろいろな条件の変更という基本的なことができ得て、それが完成できる。それで、完成した暁の製品とかそういうものについてのいろいろな取り扱いをどうするというような、つまり、だめになるのか、あるいはよくするのか、完成するのかという二者択一というようなことじゃなくて、たとえば、もう完成でき得るならば完成する方法はあるまいか、あるいはその結果をどうするというようなことは、やはり対話が必要でございますし、話し合いというものも国際的な問題でございます。私どもはいま油の分散を考えて、インドネシアにいたしましても、メキシコにいたしましても、カナダにいたしましても、中国にいたしましても、そういうエネルギーの分散ということを考えて、各国といろいろ話を進めておりますけれども、やはり中近東はメーンでございます。通りで言えばメーンストリートでございますし、そういう点を頭に置いてこれに対処しなければならないのじゃないかという気持ちでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 わが国の経済協力は、総合判断で対応していくべきであって、非常に近視眼的な、事発生時点で対応する、そういうところから長期的には目標を見失ってしまう、あるいは対応のおくれ、対応のまずさ、そういうことが今日の結果になったと私は思うのです。  私はここで、いままでこの問題についてはいろいろと指摘をしてきました。もっと早い時点で今日の事態を予測して、勇気ある的確な判断をすべきであった。国家プロジェクトに持ち上げたときにこそ、私は正しい対応を求めたわけであります。私は、いまことで、過去の問題についてどうだこうだと言うことはきょうはやめておきたいと思います。むしろ、中東地域に対する日本とのいわゆる相互依存経済関係を深めるのか深めないのか、あるいは今回のIJPCのいわば失敗を、わが国と中東地域との経済関係を保つためにどのように転化さすのか、そのことについて通産省はどんな考えを持っているのだ、こういうことを聞いているのです。AかBかという二者択一だ、実際問題は不可能であるというのが現実でしょう。だから、経済性を考えるか政治性を考えるか、いろいろな意味でこのIJPCのプロジェクトについては、政府自身が反省をすべき点がたくさんあるのだ、こういうことなんです。  大臣、いま対米貿易摩擦、ECに対する貿易摩擦、全体的には日本の貿易収支は大幅な黒字である、しかし、一見産油国との関係においては大きな赤字を抱えているわけなんです。こういうことも含めて、わが国が対外経済関係をいかにかじを取っていくかということは大事だ。とりわけきょうは、中東経済とわが国経済との相互依存関係をどのようにしていくのだ、そういうベースに立ってこのIJPCというものはどう取り組まなければいけないのか、こういう点について大臣いかがですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 まず国際収支というような観点からちょっと考えてみたいと思いますが、やはり日本経済は、世界の中の日本とした場合に、物事はグローバルに考えなければいけないと思うのです。たとえば対米、対EC関係で日本は経常収支が非常に黒字だ、だから向こうではどうしろこうしろと日本を責めるわけでございます。しかし、それは、グローバルに考えた場合に、やはり日本も赤字のところもあるわけで、しょっちゅう日本は赤字でなければならないということになりますとたまったものではございません。赤字をどこかで黒字で埋めるというように、つまりミニマムに考えるのじゃなくてグローバルに考えることはそれぞれの国にとって大切でございますし、その点はECに対してもアメリカに対しても申し述べておるところでございます。そういうバックグラウンドを申し上げておきたいと思います。  それなら具体的にIJPC並びにそれに絡む中東情勢についての政治、経済的な判断はどうかということでございますが、御指摘のように、日本の油の九九・八%のうち多くの部分は中近東に依存しているわけでございます。したがって、イランのIJPCの問題は、イランと日本という問題だけじゃなくて、日本のそういう態度と申しますかビヘービアを中近東諸国はじっとながめておると思います。湾岸諸国の国々がどうだということになりますと、それから国際的にも、ソ連もまたいろいろなことをながめているでしょうし、アメリカももちろんそうでしょうし、西欧諸国等そういうような国際的な関係もございますので、そういうものを全部ひっくるめて考えた結果というものを出さなければいけない。したがって、これは三井、民間のやっておることでございますし、われわれは環境づくりをやるということの一つのたてまえはございますけれども、本質的にそういう大きな問題がこれにかぶさっておるということは事実でございますし、私どもの方が態度を決める場合にはそういうものも含めて決めなければいけません。いま私がこうするああするということよりも、一つの私どもの心構えといたしましては、単に日本とイランということだけの問題ではない、これはやはり大きくいろいろなところに響くのではあるまいか、小さい懸念じゃなくて大きな懸念を抱いておるということだけ申し上げておきたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、二国間の貿易収支だけを考えるということだけに限ったことではないと思うのです。グローバルなとらえ方、しかし、産油国と輸入国との収支不均衡は決して好ましいものではない。とりわけ、先ほどから指摘をするように、中東地域とのわが国の経済相互依存関係は深めていかなければいけないと私は思うのです。そういう観点にもし通産省が立たないというなら、理由と考えをはっきりしてください。答弁からも、私と同じように中東地域への経済相互依存というものは深めていくというふうに私は受け取るわけですけれども、そういうことであれば日本経済は、いわゆる中東地域との相互依存関係を深めていくという立場に立っても、もっと着実な中東へのアプローチが必要である。今回のIJPCの一つの出来事は大きな教訓にすべきである。これは当初はただ単に民間企業のアプローチであった、一昨々年十月ですか、ナショナルプロジェクトに格上げをしていった国家的事業なんですよ。そういうところまで位置づけておきながら今日の対応は非常にまずい、そういう意味からも政府の対応というものをもう少しはっきりする必要があるのではないか、こう思うのです。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 イラン、イラクの紛争ということだけにとどまらず、井上議員御指摘のように、私どもも中近東というものは日本にとって非常に大切であるという観点からこの問題にいままでも取り組んでまいりましたし、これからもそういう観点は忘れずにこの問題を処理、あるいは取り組んでいかなければならないという気持ちでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そこで、強い取り組みを進めていくという中で、IJPCについては一説によれば輸出保険を申請云々、あるいはそれ以前に、私は報道で知ったわけでありますけれども、ブリヂストンタイヤですか、ブリヂストン・イランですね、この事業継続が困難だ、通産省に対して海外投資保険の適用を申請しているということが報じられているのです。こういうことは事実なのかどうか。ブリヂストン・イランの事業継続が困難になった理由は何なのか。あるいはさらに、イランにおける進出企業の現状はどうであるのか。そういう企業がどんどんと輸出保険の申請に及ぶという段階になれば大変なことであるし、ただ輸出保険の特別会計が終始大幅な赤字になってその存立が危ぶまれるということだけでなく、いま言った、私がベースに置いているわが国と中東地域との経済協力依存関係が危ぶまれていく、そういうことなんです。そういう立場に立って、大臣、どういうふうに取り組まれるのか、どういうお考えなのか、この点についても聞いておきます。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤説明員 お答え申し上げます。  輸出保険関係の問題でございますけれども、先生がただいまリファーされましたブリヂストン・イランの問題につきましては、従来から保険の契約関係の問題につきましては企業側の立場もございます、かつ保険会計との私的な契約の問題ということもございまして、具体的な個別の問題につきましては国会の場等におきましても具体的な答弁の内容を差し控えさせていただいておるわけでございます。  保険金の支払い問題につきまして一般論として申し上げますれば、もちろん、法令あるいは約款の規定に基づきましてこの案件が保険事故に該当するかどうか、あるいは損失を生ずることが明らかになった場合には保険金を支払うという立場を明確にしておるわけでございます。イラン関係につきまして幾つかの契約案件があるということは事実でございますけれども、その内容なり具体的な詳細につきましてはこの場では答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは、そういう企業から申請があれば輸出保険、投資保険の適用を通産省としては考えるというふうに理解していいでしょうか。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤説明員 一般論を申しまして、イランの場合を含めまして国別あるいは地域別に取り扱いを区々とする問題ではございませんので、具体的な申請がございますれば法令あるいは契約者との約款に基づきまして事故事由について具体的な検討をいたしまして、支払いにつきましての可否を検討するということでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 きょうの時点で、イランにおける日本企業から輸出保険の申請はあるのかないのか。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤説明員 お答え申し上げます。  ブリヂストン・イランの案件につきましては、六月末に海外投資保険請求がなされておるということは事実でございます。現在法令、約款に基づきまして事故事由に該当するかどうかを審査中でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 通産大臣、私は、輸出保険や投資保険が適用された場合、当該国、いわゆるイランとの外国貿易が正常に行えないということをわが国として是認することになるのではないか、こういうふうに思うわけなんです。そういう最悪の事態を回避しなければいけないということになるわけですけれども、通産大臣としてはどのような措置をお考えになっていらっしゃるのか。むしろ、イラン進出企業の輸出保険申請についてはイランの今日の政情不安、政治経済そのことが大きな原因になっているという背景を考えた、そういう中で大臣からお答えをいただきたいと思います。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤説明員 保険事故との関係でございますので、私から答えさせていただきます。  仮定の問題として、イラン向けの輸出保険が一件でも事故になった場合には、その保険引き受けが停止になるので貿易に支障が出てくるのではないかという趣旨の御質問かと思うわけでございますけれども、保険事故につきましては、一件でも事故が生じました場合にその国に対する保険引き受けがすべて停止されるというような自動的な関係にはございません。それは保険事故のその場合の態様によるものでございまして、一概に、一律にはその保険引き受けを停止するという性格のものではございません。もちろん、その特定の国に対します輸出保険の問題がカントリーリスクの問題と非常に密接な関係にあるということは事実でございますので、保険の事故が多発いたしましてその原因が一般的なものであるということになりますと、その国に対しましての投資関係等が非常に維持がむずかしいということになりますので、保険の引き受けが制限的になるということは事実でございます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 いま中澤局長が答えたとおりでございまして、現実にそういう問題が起こってくるということになりますれば、私どもはやはり法の規定どおりの対処をして考えなければならないというふうに思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 もう一般論ということよりも、IJPCを初めとするイラン進出企業についての問題を具体的にぼくは質疑をしているのですよ、大臣。そして、ただその個々の問題についてどうだこうだということよりも、それのベースはどうあるべきかということをきちっと私も自分の意見も含めてちゃんと申し上げているのです。だから、もし結果的にイラン進出企業に輸出保険を適用するということになれば、対イランとの貿易関係というものはおのずから明確になるわけですね。そういうことが日本とイランとの外交上にどう影響するのか、そういうことも踏まえて大臣の見解を聞いているのですよ。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 輸出保険はやはりケース・バイ・ケースで考えるべきであって、一つ適用できたからそれが全部ほかの問題に波及する、あるいはまたたとえば他の問題にも波及したとした場合でも、それが即特定の国、まあ具体的に井上委員がおっしゃっているようにイランと日本との国交が大きく左右されてどうにもならぬというようなことにならないかということでございますけれども、それは商売上のことでございますし、ちゃんと契約上の規定もございますし、また、国内における規定もございますし、やはりある程度そういう損害というようなことになれば、それの補償というものがなければいろいろなこれからの海外投資ということは望むべからざることにもなりかねないし、そういう点は、私は、何もかも一緒くたに考えるということよりも、やはりケース・バイ・ケースで考えるというような冷静な態度の方がいいというふうに思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃIJPCの事業継続が困難になったという大きな理由はどう受けとめていらっしゃるのか、あるいはブリヂストン・イランの事業継続が非常に困難であるという理由はどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、どのように違うのかお聞きしましょう。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 根本的には、御承知のようにイラン、イラクの紛争と、それからイランの中の国情というものが左右していることは事実でございますし、ひとつの戦争状態にある国には当然そういうものが起こり得ることであって、やはりそこに一つの契約状況あるいはこれから進むであろう、向こうからも来よう、こちらからも行くというようなケースがいま行われているわけでございますので、私どもはその結果を待って対処するということの方が順当ではないかと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、三井グループに対して支援をしなさいとか、あるいはブリヂストン・イランに対してどうしなさいというそういうことまでは申し上げてないし、むしろ大臣に今日のイランの情勢というもの、さらにはこれからの中東地域に対するわが国の経済政策というもののとらえ方、そういう意味で政府の経済的安全保障とか、あるいは石油危機を回避するのだとか、そういうことが政策の基準になっているわけなんですね。やはりそこから物事を考えないと私自身は正しい対応ができない。そういうことになれば民間の限界というものがあるわけなんです、民間の限界が。民間の限界を越えるリスクをどのように分担していくのだろう。そうでしょう。あるいは資金なりコストをどう負担し援助していくのか。これらの問題に対しても通産大臣はどう取り組んでいこうとするのか。特にIJPCについては国家プロジェクトに格上げをしたのじゃないですか。私たちは、もっと早い時点でこの問題については見切りをつけるべきではないかということを本当に事あるごとに言ってきたわけなんです。しかし、今日の事態ではそのようなことをその延長に置いて議論をすることが本当に国益に合うのかどうか。私はそういうことをあえてここで大臣と議論をしたいわけなんです。  それで、具体的なブリヂストン・イランの問題も触れたわけですけれども、要は、私がいま申し上げたこのことに対して大臣はどう考えているのか。少し大臣なりの所見をお答えいただかないと、私はやはりこの質問については納得ができないわけであります。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 先ほどから私が井上議員に答弁をしておるその一貫した内容というものは、この問題は一応民間ベースでやっておるのでございますけれども、御指摘のように一つの国のグローバルなる安全保障、つまり軍事的なものじゃなくて経済的なものを含めた日本の安全保障というものが十分頭の中にあるわけでございます。したがって、それだけではなくて、国際的にも非常に問題があることなども全部加味してこれを処理することが、どっちかというようなことに、はっきりした黒か白かというようなことには決められない。まず民間がいまやっておるイランとのいろいろな交渉、そういうものを待つと同時に、私どもは、さらに突っ込んで申しますと、これが八五%までできているプロジェクトならば後の完成をどういうふうにしたら完成できるのか、それから完成した結果どうするのか、つまりそういうものも含めまして、ただ単にこれをだめにする、あるいはよくするということじゃなくて、一つの最初の条件から、どのように条件が変わり得るのか、変わり得た結果これがどういうふうになるのかということまでも頭に入れてこの問題に対処していきたいということを先ほどから申しておるわけで、それが私どもの基本的な考えでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 最初に質問したときに、三井グループが撤退をしたいと、もう何回かこれは意思表示しているのです。そのたびに通産は、それを何とか継続したい。私は何もいまの時点で単純に打ち切りなさいとかあるいはどうしなさいとか、そういうようなことは申し上げておりません。やはり中東貿易をより深く密にしていくべきである。それがグローバルな意味において、いま二国間だけに、二面的な貿易だけにとらわれずにグローバルに貿易収支はとらえるのだ、そうかもわかりませんけれども、余りにも産油国とわが国との貿易収支は不均衡である、だから、このバランスを保つことによって日米摩擦あるいはEC摩擦、経済摩擦が少しでも緩和される、そういうこともまた一つの対外経済政策に役立つのじゃないかと、私はいろいろなことを言うてきたわけなんです。とりわけ産油国、特に今回はイランの、イラクもそうですけれども政情が不安定である、そういうようなことに対する民間だけに負わせるリスクというものにも限度があるのじゃないだろうか。いろいろな意味から私は大臣に、どうなんでしょうかと。さっきは尊重するというお答えがあったのですよ、物産が撤退をするという意思があれば。だから私は深くそれを追及してきたわけです。三井グループが撤退をしたいという意思は、もう前々から言っているのです。しかし、通産はこういうような手だてをしながら、それこそ官民一体になってこのプロジェクトは完成に持っていきたいのだとか、あるいはこれはあらゆるわが国の対外経済政策の中できっちりと当初より位置づけた、そのことを実現したいのだと考えていらっしゃるのか。その辺どうなんですか、大臣。  在外公館の情報収集等によって政府自身が長期的な判断をしていくわけですけれども、いま今日、このIJPCの問題については新たな事態に入り新たな対応が必要ではないだろうか。それはまさに官民一体となった中での対応が必要になるのじゃないか。今日、だからこの問題については、より二年前、一年前と違った認識に立って、私は質疑をしているわけなんです。一年前と同じような状態で、私はもうだれよりもこのIJPCについては撤収すべきだという意見を持っておったのです、あなた方政府の指導が余りにも場当たり的であるということを指摘しておるわけです。だから、せめて今日、この問題を長期的にきっちりと把握しなければ、またぞろ同じようなことを繰り返すのではないか、そういうことについて大臣のお考えをもう一度聞いておきます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 前提が多少私と井上議員と違うのは、もう三井は撤退することを決めているのだということをおっしゃっておりますけれども、私のところに言ってきておるのは、向こうとの話し合いをいま進めておる最中だ、どうするこうする、それから最初の条件からどういうふうにしたらこれが完成できるかというようなことについても、条件の緩和も含めた交渉をしておるのだということを聞いておるわけです。したがって、そういうことも含めて私どもは三井側の意思を尊重するということを申し上げておるわけでございまして、私どもは場当たり的にこの問題を考えたり処理しているわけではございませず、先ほどから申しますように、中近東諸国の問題、たとえばこの問題に対して日本がどういう処置をとるかということは中近東諸国はじっと見ていると思うのです。私どもが気にしておるのは、中近東諸国に対するいままでの油の依存度、それからこれからの日本とこれらの中近東諸国との貿易の関係、そういうもの。それから御指摘のように、日本の経済安全保障というようなことなども含めまして私どもは考えておるわけで、場当たり的にやっておるということじゃなくて、そういうことも含めて考えておるために、井上議員はずるずるとなっておるという御指摘でございますが、私どもは考えて考えて考えておるということがある程度そういうようにずるずるなっておるというような御指摘も受けるのではあるまいかと思いますけれども、私どもも私どもなりにどういうふうに結論を出していいのかということを十分考えつつ、三井の出方というものを待っておるわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 繰り返します。簡単に三点。  一つは、このIJPC事業は継続可能と考えていらっしゃるのかどうか。もう一つ、三井グループがこの事業から撤退を決定した場合にはその意思を尊重するのかどうか。さらに三点目に、今日改めてイランと大臣が交渉に入る、そういうお考えを持っていらっしゃるのかどうか。  この三点、簡単でいいですからはっきりと、ほかのことは要りませんから。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 まず第一の、これをどうするかという問題でございますが、私どもはやはり先ほど申しましたような三井の態度、それからもちろんイランの態度も両方とも十分な話し合いをする結論を待ちたいと思います。  第二点の、それなら三井がやめた場合はどうするかということでございますが、これもやめた結果を聞いて、そして十分その話し合いを受けていかなければならないと思います。  第三点につきましては、これもまたそのときになって十分考えるべきことであって、いまこれをどうすると答えることができますならば、この三点も含めましてそうでございますが、簡単でございますけれども、私どもは、あなたのおっしゃるようにこれはどうする、ああするこうすると、三点をきりきりっと答え得ない立場にあるということを申し上げておきたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 一点目の答弁です。ちょっと委員長、これはしっかりと大臣に。今日のイランの情勢から判断をして、IJPC事業は継続が可能とお考えなのか不可能だとお考えなのか、これは大臣のお考えを聞かせてください。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 現時点のイランの国内情勢を見ますと、いますぐこれを継続するというようなことは不可能であるというふうに思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 全く私もそう思います。それだからこそイランと改めてこの事業成功に向けての交渉を大臣は持つ考えはありませんか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 一つ指摘しておきたいと思いますけれども、実は私は通産大臣に就任いたしまして、イラン、イラクの停戦ができるならば、これは日本がやるべきだというふうに思いました。したがって、イラン、イラクに私なりのアプローチはしてみたわけでございます。しかし、それがうまくいかないようなイランの情勢になって、イラクの方は非常に乗り気であったわけでございます、しかし、イランはそれがこういうような情勢になってしまってどうにもできなくなっておるわけでございまして、それならばおまえ自身、すべてがイランとの交渉を――私となりますと通産大臣というポストがついておりますので政府ということになるわけでございましょうが、それをいますぐ、それなら全部がだめになって今度はイランと私どもが交渉するというようなことは、それはいまのところ考えておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 この問題は、大臣、非常に大事な問題なんですよ。格上げをした時点で通産もこれに対して積極的なアプローチが必要であるという。私はなぜそんなことをとその当時は思って、民間主導型のこのプロジェクトを格上げをしたんだということを強く指摘し、そのことについてはきょうは触れないという私の考えですから改めますけれども、イラン・イラク戦争を終結させるために通産大臣が御努力をなさった。方々へ大臣が行っていらっしゃるわけですよ、世界の各地に。それはエネルギー政策、いろいろな日本の経済政策を少しでも安定さすために。その労を私はねぎらいたいと冒頭に申し上げたわけです。だから、いまこそイランに対して大臣みずから新しい提案なり、戦争終結も含め、この事業の正常化も含め、あなたが交渉に入るべきじゃないでしょうか。それは東京でやるかどこでやるかは別にして、あなたの意思を私は表明すべきであると思う。いままでにそういうことをやっておるというのだったら、なおさら今日の時点で必要ではないでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 この問題は、私も井上議員も考えるようなことは非常に同じでございますけれども、中近東という国々、イスラエルも含めましてPLOですか、そういうようなもの、それから宗教上のこと、いろいろなことがございまして、イラン、イラクの紛争を私どもは一日も早くとめたい、あるいはそれを願うわけでございますけれども、中近東全体の国々がそのような努力を私はしてないとは言いません、している国もありますけれども、果たしていま熱意の度合い、こういうことがまた宣伝されますと国際的にも大きな問題を起こす可能性がありますので、実はこれは差し控えたいのでございますが、中近東諸国というのはそれぞれの国が非常に複雑でございます。宗教上の問題もございまして、一概にどうとかこうとかというようなことはなかなか困難な問題もございます。私は先ほどちょっと申し上げましたけれども、私もそういう意図を持って行動したこともございますけれども、いろいろな問題に逢着いたしまして、いま井上議員のおっしゃるようなことを直ちに私がどうだというようなお答えができないことは残念でございますけれども、差し控えたいというふうに考えます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣は近々韓国へも定期閣僚会議に出られるわけですし、あるいはいろいろ日程的な問題もあるわけですけれども、私はやはりこの問題をおろそかにしてはだめだ、こういうように思うのです。  時間が余りありませんから、私はこの問題についてはさらに質問を留保して、次の問題に移ります。  せんだってワシントンで日米防衛首脳定期協議が行われた折に、日米軍事技術協力の推進について防衛庁長官がワインバーガー国防長官との会談で話された。このことについては通産大臣は当然報告を受けていると思いますけれども、具体的な内容について聞かしていただきたいし、さらに、これを受けて官房長官が、わが国には進んだ技術が多い、それを米側に提供することは日米安保条約の目的を達成していく上で有益であるならば前向きに考えていきたい、こういう積極的な意向を表明しているわけです。通産大臣も官房長官と同じ考え方に立っていらっしゃるのか、このこともひとつ聞いておきます。通産大臣。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤説明員 事実関係だけ……。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 事実関係も簡単に。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤説明員 防衛庁長官が訪米後帰国されまして、七月十日の閣議で先生御質問の部分についての報告を行ったところを御紹介いたします。  日米間の装備技術交流について推進したい旨を米側より強調されたということでございます。これに対して、この分野における日本の政策、現状について説明いたしまして、米側の希望は持ち帰って政府部内にて検討してみたいというふうに報告されております。本件については、関係各省で検討をするということになっております。現在の時点におきましては、米側から具体的にどのような武器技術の提供を求めるということがあるわけではございません。関係各省といたしましては、米国に対する武器技術輸出につきましても、基本的には武器輸出三原則及び政府統一方針に基づいて処理するという考えでございまして、仮にこれが行われる場合には、関係省庁との間で条約上の関連の問題を含めて検討する必要がございますので、そのような形で検討を進めるということでございます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 この件につきましては、基本的には、先国会でも問題になりました武器輸出三原則あるいはそれに絡まるいろいろな諸案件がございます。この問題にも、やはりそれを踏まえて対処しなければならないということでございまして、ただいま中澤局長から申し上げましたように、各省庁でそういう点を含めて十分検討し、外務省を窓口としてこの問題の交渉には当たりたいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 官房長官の意思表明と同じ考えですかということを聞いているのです。この点についてはどうなのですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 官房長官がどのように言ったか、それと同じかどうかというふうにぽっと言われても、実は私すぐわかりかねますが、私の考え方は先ほど申しましたようなことでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そういう意味で私はあえて官房長官の考えを読んだわけなのですよ。だから、わが国には進んだ技術があり、それを米側に提供することは日米安保条約の目的を達成していく上で有益であるならば前向きに考えていきたい、非常に積極的な考えを表明されたと私は受けとめているので、そういう積極的な考えと同じなのか。しかしいま大臣は、三原則を厳密に遵守していきたいと言う。前国会で武器の輸出三原則を厳密に解釈し、技術協力もこの三原則との関連で、貿易管理令の対象として慎重に対処する旨政府は約束しているわけなのです。武器輸出三原則を骨抜きにすることは決して許されるものではない、こういうことなので、ここであえて大臣に確認をしておきたいことは、この三原則を遵守するという考え、これはもちろんなのですけれども、ここであえてそのことを私は大臣からはっきりと聞いておきたいわけであります。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 先ほどから申しますように、それから前の国会で私がたびたび申し述べていると思いますが、やはり武器輸出三原則それから国会の決議それからその後の国会の意思というものを次々に表明しておりますので、私どもはそれに拘束されるということよりもその意思を尊重する、考えて対処しなければならないという基本的な考えを持っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、特に武器輸出三原則はいわゆる憲法の平和主義を具体化したものである、内外にわが国の立場を明確に宣言したものである、こういうふうに考えるわけです。大臣もその意を十分理解をし、その趣旨に沿ってあくまでも平和主義を貫き通してくれるという強い決意を一言、もう一度聞いておきます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 御指摘のとおりの考えでいきたいというふうに思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに私はここで、ことしの四月の二十日の決算委員会でも指摘をして答弁をいただいたわけなんですが、SRCII、この問題について今日どういう状況であるのか、ひとつ簡単に情勢を答えてください。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○福川説明員 御案内のとおり、四月の十四、十五の両日、東京におきまして日本、アメリカ、ドイツ三国で協議を行ったわけでございます。その際、御承知のとおりこのプロジェクトを実施するに当たりましてかなりコストが上昇しそうであるということで、その代替案をさらにアメリカを中心に検討しようということでその東京協議を終わりました。  その後アメリカを中心にいたしましていろいろ代替案の検討をいたしてもらったわけでありますが、その後事務的な折衝を経ました上で、六月の二十三、二十四の両日、ボンにおきまして三国の協議を実施をいたしたわけでございます。そのボンの会議におきましては、アメリカは、従来、これまで実施してまいりましたが、いろいろな問題があって、かなりコストが大幅に増大する見通しである、いろいろ代替案も検討してみたけれども、どうも代替案を見出し得ないという理由で、アメリカといたしましてはこのプロジェクトを終了することが当時の時点としては最も適当であろう、こういう意見を表明をされ、西ドイツもこれに同調いたしました。日本といたしましては、これが象徴的な国際協力プロジェクトであるということでこの存続を強く主張し、何らかの形を変えてでもこの継続を主張いたしたわけでございますが、アメリカが中止を提案し西ドイツもこれに同調したということで、私どもとしましては大変遺憾なことではございますけれども、両国がそのような事態、結論に達したということであれば中止はやむを得ない、こういうことになった次第でございます。  その後アメリカは、七月に入りまして、政府間の協定に基づきましての解除の手続をいたしておりまして、七月十五日に解除の通知を発出をいたしておるわけで、それで現在に至っておるわけでございます。現在は、アメリカがターミネートいたします場合の諸清算手続等を実施中でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、これはまた大変なことなんです。予算委員会等でも指摘をしたわけでありますけれども、本年度予算にもすでに百五十億円を計上しているわけでありますし、昨年度はもう執行されているわけなんですね。私の質問に対しては、ボンの会議で何とか契約を堅持していくことに努力したい、こういうことなんです。さらに、そういう見通しは甘いのじゃないかということで、大臣は、まさか破棄するというようなことば私は思っておりません、そういうことになればアメリカ側の不履行、さらにはアメリカに対する不信感を沸き立たせる一つの大きな原因になります、そんなことも言われているわけなんです。  ここにSRCII処理法による石炭液化のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定というものがあるわけであります。協定がなされて、そして一方的にアメリカがこの協定を破棄する意見を公表したわけです。本来は両国が話し合い、合議の中で、さらにはそのことが両国に外交関係上どう波及していくか、予算を伴った問題でありますから、もしそういうことで、それに違反することがあるならば、これは通産大臣がそれ相当の主張と損害というようなことについても申し立てなければならない、こういうふうに当委員会で答えていらっしゃるわけです。二年目に破棄の過程に向かうなんということは協約上も、あるいはその他の面からも夢にも考えていないことでございます、そういう意味で昨年の七十四億はもうすでに執行済みであり、今年度の百五十億の予算をつけたのだ。  大臣、いかがなんですか、いまの御心境。そしてさらにアメリカに対して言うべきことは何なのか、あるいは四月に当委員会で大臣からお答えをいただいたその趣旨に沿っての対応はどうなさるのか、この点について聞いておきます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 SRCIIの問題、これはアメリカ側から提案されてこちら側がそれにオーケーして、ドイツも含めてこれができ上がったことは御承知のとおりだと思います。したがってレーガン政権が、活性を求めるという予算、そういうものでいろいろ予算案の、日本流に言えば財政再建でしょうが、そういうことの一環としてこれを公社の方に移管した。最後はギブアップというようなこと。移管した当時のことがわが国にも伝えられまして、それは正式の通告じゃなくして、予算案全体の中の一環として発表されたということがまず第一でございました。そういうようなさなかにおきまして、その当時私どもは国会で審議をいただいたわけでございますけれども、その後正式の通知もいろいろあったわけでございますけれども、これは一方的な破棄でございまして、交渉、ネゴシエーションをしなければなりません。そういうときに私が国会の皆さんの質問とはいいながら、その答弁で、大体そのとおりですというようなことばもちろん頭から考えてもおりませんでしたし、それから、そういう場合に私の方がさも受け入れるというようなこと、それは疑惑は持ったといたしましても、絶対がんばるということを私は当然心から主張すべきであるという見解でございましたし、もちろんそういうふうに申し上げたわけでございます。  その後、ドイツも含めましてこれはどうしてもやめるということでございます。相手側の二国がやめるといって、日本はこれの技術を習得するということが大きな目的でございましたし、御指摘のように七十四億、それから今年度は百五十億も計上しているわけでございまして、一応私どもは継続しようという大きな腹、そしてその技術を十分習得して日本も石炭液化についての進展を図ろうということでございますので、私どもはこれを捨てるということはどうしても忍びなかったわけでございまして、そこの主張は、私、責任者としてはあくまでも、向こうはどうあれ一生懸命主張してきたわけでございます。といって二国もやめだと言えば一国で、私ども習得する方の側としてはどうにもなりません。したがって、予算に計上している不明を私は恥ずると同時におわびしなければなりませんけれども、ここまで来た以上はいままで習得した、いままで研究してきた分につきましては、支払いの面もございますが、その分だけは十分、私どもはそのプロジェクトの内容あるいはその他の概要につきまして、現在それに見合うものは必ず取得しなければならないという見解でいます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 政府としてアメリカの一方的な破棄通告、ボンの会議で会議を重ねてお互いに意見を交換して、わが国もやむを得ないという立場をとったということですけれども、これは全くアメリカの言いなりになっているわけです。こんなことでわが国の対外経済協力なんというものが主体的な自主性のあるものであるのかどうか、ぼくはそこを指摘しておきたい。何なんですか、これは。こんなことで本当にいいのでしょうか。情けなくて仕方がない。私はこのSRCII、石炭液化プロジェクトについてはIJPCの二の舞にならないようにということを一番最初に指摘をしてきました。あなた方は、心配要りません、しっかりやります。アメリカに対して政府としての正式な、いわゆる抗議を含めて何らかの措置を講じたのですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 この問題につきましては拱手傍観しておったわけではございませず、私はIEAのパリの会議でも向こうのエドワーズ担当大臣にもこのことを強く申し上げると同時に、何とかしろ。実は自動車問題でブロックさんに最初会ったときも、帰りにそのことも申し上げておりますし、マンスフィールド大使にも、その他アメリカから来る連中、それから向こうのエネルギー担当の公団の総裁という連中にも、SRCIIについて余りにもひどいじゃないかということはたびたび言ってきましたし、そのことにつきましては、あらゆる角度から私なりに強く裏面では主張してきて、ドイツのボンの会議においても事務当局も非常にがんばってきたわけでございます。これも、それならば日本の努力が足りない、説得力がなかったじゃないかという御指摘もありましょうけれども、私どもなりに私ども日本の立場ということは主張をしてきました。  これは私の勘ぐりでございますけれども、向こうはコストオーバー、石炭液化に対する技術というものの全貌を、最初は日本と分かち合っていこうと思っておったのをそれならどういうぐあいでそういうものをやめてしまったのか、金がかかるからやめたということ自体だけなのか、あるいはそれ以上に深いものがあるのかどうか。  私は主観的に、通産大臣という立場を離れまして田中六助個人としての頭の中にいろんなものが錯綜しております。まあ発展途上国の悪口を言う意味ではございませんけれども、先進国、近代国家として世界で第一位のアメリカがなぜそういうことを一方的にやるのか、それは私なりに理解ができません。いまだに私の心は氷解しておりませんけれども、このことはやはり私なりにぐさりと何かが突き刺さっておる感情であるということは主観的には申し上げますが、それが国際的になって、それを振りかざしてどうだということについては、また価値判断は別でございますけれども、私自身の気持ちとしては、そういう気持ちで現在います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣個人の見解も踏まえてお答えをいただいたわけです。全くこれはアメリカはけしからぬ、そういうことを政府が言わなければいけないし、担当の大臣が、これは閣議に諮って、ちゃんとそのことはそのことで明確に意思表示をきちっとしなければいけないと思うのです。個人的にいろいろ御努力をいただいていることについては、私はよくわかりました。だからこの点について、今後やはりきっちりと日本政府の対応を明確にすべきであるし、アメリカに対して、さっきも言ったように、軍事技術協力については向こうの要求にこたえよう、前向きにこたえる。いや、大臣はそういう意思じゃないということはわかりましたけれども、国会決議を尊重していく。  さらにもう一点は、私はこれは一つは国内的な国政の問題に入るわけですけれども、これには二五%に等しい額の拠出が行われるよう適当な方策をとるという、そういう第四条の一項の中から、予算が国会の承認を得ることを条件とするということで、きちっと国会の承認を得ているわけなんですね。だから国会に対して通産が政府がどういうふうにこれを報告したのか、いつ報告するのか、これはいままでに国会に報告したのかどうか。これはどういうふうに国会での決議というか議決というものを位置づけているのか。あなた方は、通産が、ボンで三国で会議して、こういうふうになりました、やむを得ぬ、しようがない、泣き泣き帰りました、そんなことで済む問題じゃないのです。IJPCの輸出保険では法に照らして云々なんて、余りにも調子のいいことを言い過ぎるし、調子のいい対応をし過ぎる。通産は、どういうふうにこのSRCIIに対して取り組むのか、この点についても、私はいまアメリカに対する対応、国会に対する対応、さらには通産は今後これにどういうふうに取り組むのか、こういう点について大臣から答えてください。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 具体的にどうするかということでございますが、国会に対しましても、また国民に対しましても、それなりの意思表示は国会を通じてやらなければならないというふうに思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いつやられるのですか。さらにアメリカに対してはどうするのですか。このままほっておくのですか、大臣。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 ボンの三国会議で、私どもは主張すべきことは主張して、結局、二国がやめるということで、それならそれで押しつけられてきたのじゃないかということでございますけれども、アメリカに対しましては、その際アメリカ代表に強く日本側の主張はすでに申し述べて向こうには通じております。国会に対してでございますが、これもいまこういうことを申しては変でございますけれども、井上さんがいま質問しておる、私どもはこれに対して私どもの見解を述べておりますが、そういうようなことで私どもの態度というものを明快にしていきたいというふうに思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、政府からそういう報告をあるいは国会を通しても何ら受けたことがないから、質問をしたわけです。私の質問によって、指摘によって対応するというのでは、私は場当たり的だと言うのですよ、IJPCの問題も含め。これは大臣、余り時間がありませんから、SRCIIについては、私はアメリカの対応は非常にずるい考え方です。むしろ日米経済摩擦をより緩和さすためにも、いや、自動車、電機に対する経済摩擦、これは業種に限らないで、むしろ逆にそういうものは、わが国の製品はいいのだから、選ぶのはアメリカ人だから、これはむしろアメリカに市場をどんどん開拓していってもいい。しかし、そのかわりにアメリカに対してはアメリカの持つ豊富な資源、石炭液化に対するプロジェクトを日本独自ででも単独ででも、ひとつそれではやろうか、そのことによって貿易摩擦を少しでも緩和するのだ、これも一つの物の考え方だというのです。赤字の問題を、貿易収支の問題を、戦闘機を買ったり防衛予算に使うということよりも、むしろ代替エネルギー、エネルギー資源に対してわが国がアメリカに協力をしていくべきであり、アメリカがやらないと言うのだったら、わが国独自ででもやれるような方法をむしろ考えることもまた一つの方策ではないか、こういうこともある。だから長期的にエネルギー問題、さらには日米経済関係あるいは現在の日米経済摩擦の問題全部を、これこそグローバルな取り組みをいま必要に迫られている、私はこういうふうに思うのです。この点についても、一言、大臣のお考えを聞いておきましよう。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 石炭の液化の問題は代替エネルギーの中に含まれておる重大な問題でございまして、すでに三井を中心にして昔から液化問題は三井三池でやっておりますし、私ども通産省でも工業技術院でそれは手がけております。その他豪州の褐炭を中心としてコミニック、つまり三菱化成、神戸製鋼、そういうところでも液化問題を褐炭でやっておりますし、そういう点で私は、アメリカが日本に習得を拒否するならば、日本の液化の技術というものを日本で大いにやって、いまに見ておれというようなことで、でき得るならばいまやっておる工業技術院あるいは三井あたりのことをより一層進歩させていかなければいけないというふうな考えは持っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 余り時間がありませんので、この問題についても毅然たる通産の対応というものが必要であるということを私は特に指摘をしておきます。  さらに原発の問題について少し触れておきたいのですが、先日も報道の中で公開ヒヤリングの問題、これは非常に推進派によってのみ公開ヒヤリングがもう形核化するというか一定の形式的なものに終えている。こういう事態について通産省はどういうふうに考えていらっしゃるのか。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋説明員 公開ヒヤリングにつきましては、現在次のような考え方で運用いたしております。すなわち原子力発電所の設置にかかわる広い問題、環境問題、安全問題、地域開発問題を含めまして地元の住民の方々の御意見を承りまして、原子力立地に関します地元の皆様方の理解と協力を得るための方法という位置づけで開いております第一次公開ヒヤリングでございます。そういう趣旨でございまして、反対の立場、賛成の立場にかかわりませず、できるだけ広く御意見を承れるようないろいろ配慮しておりまして、正当な手続を踏んだ上で参加されまして御意見を承ることを私どもも希望しております。  一部、公開ヒヤリング制度そのものに対する御批判の向きがありまして、その方々が参加されてないという現状がございますのは事実でございます。こういう皆様方に対しましても、逐次こういう方々の御意見も私ども十分聞いておりますが、たとえば再質問、再々質問というような運用とか、あるいは一人当たりの時間制限等につきましても、全体の進行に支障ない限り逐次改善を図っておりまして、幅広く御意見が承れるような配慮を今後とも努力してまいりたいというぐあいに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 本来、公開ヒヤリングなんていうものは、広い住民の理解と協力を求める、あるいはその声をそこで聞かせていただくということがその趣旨なので、株主総会のようなかっこうで一方的に早いとこ終えたらいいのだというような形で公開ヒヤリングが持たれているということはよろしくない。  さらには、原発立地手続の短縮を通産省ばねらっているわけなんですね。通常四年かかると言われる電調審から着工までの手続を、一年から二年に短縮していこうという考えたと受けとめているのですけれども、この点についてはどうなんでしょう。  さらにもう一点、せんだっての日本原電の敦賀発電所の事故で、常駐の運転管理専門官制度の強化、改善をやる――どういうふうに改まったのか。さらに、事故の発見ができなかった運転管理専門官についてはどうなったのか、この点についても聞いておきます。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋説明員 電調審から運転開始までの期間短縮の件でございますが、まず私どもは、代替エネルギーとしての原子力の重要性はきわめて高いという前提で、これの推進に努力しておるところでございます。その一つといたしまして、立地が候補地点として選ばれまして、最終的に運転開始をするまでの期間約十年あるいはそれ以上かかっておるのが現状でございますが、このプロセスの中で必要なことは落とさずに、なおかっこのプロセスの効率化が可能かどうかという点について種々研究、検討しておるところでございます。  電調審を通ってから運転開始までで数年短縮するというお話でございましたが、私ども実はそういう結論は出しておりませんで、全体として二年程度短縮できないものだろうかという工夫をいたしております。たとえば建設工法の合理化、効率化、ブロック化によりまして建設期間、物理的な建設期間が現在六十カ月前後かかっております、こういうものの短縮が可能かとか、あるいは保安林解除を含めましていろいろな手続がございますが、これらを並行的に審査することによる短縮ができないか、こういったようなことを検討いたしておりまして、私ども安全審査に関連する部門につきましては、強化こそすれ、工期短縮のために簡素化するということは思っておりませんので、申し添えておきます。  それから、運転管理専門官でございますが、敦賀の事故に関連しましてその制度が一つの問題点に上がりました。私どもはこの敦賀問題全部で、政府側としてとるべき措置を六項目ピックアップいたしまして、その大部分を終わったところでございますが、そのうちの一つが運転管理専門官の業務の充実でございます。その後、次のような措置をとりました。一つは、運転管理専門官の業務内容の明確化でございます。二つ目は、専門官の教育研修の充実でございます。それから三番目は、専門官の適正配置でございます。内容は、詳しいことは省略させていただきますが、こういうようなことと同時に、来年度、専門官の配置の強化をするための人員要求をいたしておるところでございます。  なお、敦賀の当該専門官につきましては、個人の問題といいますよりも、むしろこの専門官と発電所側との業務のコミュニケーションのシステムが十分でなかった、会社側の対応が不十分であったということは、すでに何回も指摘されておりますが、私どもの方の専門官の業務の内容の明確化、それをたとえば発電所側の主任技術者制度とリンクさせることによって明確化する、そういうようなところに問題があったということと存じております。制度自身の改善を中心に対応いたしているところでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 最後に大臣、イラン問題、アメリカ問題をきょうはいろいろと話をしたわけですが、さらに、つい目前に韓国に、定期閣僚会議に出席をされるわけです。韓国は対韓援助について日本に対して強い姿勢で、外務大臣は、援助を受ける方が一銭もまからぬと言うのは日本の常識では考えられぬという非常にはっきりした見解を述べられているのですが、日本の対韓経済援助に対しての定期閣僚会議に出席をされる大臣の心構えというものについても、できれば聞かしておいていただきたい。  さらには、シベリア開発を含めたソ連資源に対する対ソ経済について、具体的なことは申し上げませんけれども、むしろ大臣はソ連を直に訪ねて、ひとつそういう経済交流をより深めていこうというお考えがあるのか、お持ちだと思いますけれども、訪ソの問題等についても、一応ここで最後の締めくくりに率直な大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 あしたから三日間韓国に行くわけでございます。日韓閣僚定期会議でございますが、実は私はへその緒切って以来韓国に行くのは初めてでございまして、本当に一番近い国なのにこういう醜態なことでございますけれども、私は、日韓というのは地理的にも歴史的にも非常に密接な国でございますので、向こうの言い分を十分聞いてまいらなければなりませんし、また、日本が経済協力の面でできるだけ韓国の発展も考えなければならないという考えでおりますし、まず私といたしましては、向こうの言い分を白紙の状態で聞いてまいりたいと思います。  それからソ連でございますが、私は日本の外交は全方位外交というものをやっておくことが国の得策ではないかということでございまして、ソ連を孤立化するような政策は、果たして世界のためにもなるのか、日本のためにもなるのかということに疑問を持っております。これまた、ソ連も韓国と同様、日本にとっては隣の国でございますし、十分な、できるだけの相互理解というものがあることの方が、両国のためではなく、大げさではございますが世界の平和とか繁栄というものにもつながるのではないかという気がしておりまして、領土問題もございますが、できますならば経済問題も協力していった方がいいのではないかというふうに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 訪ソの意思をお持ちだというふうに理解してよろしいですね。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 できますならば、機会を得ますならば、ソビエトも訪ねてみたいというふうに思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 これで私の質問を終わります。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 新村勝雄君。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 私、最初に流通問題についてお伺いをしたいと思います。  それは、しょうゆの流通に関する問題でありますが、これがはなはだしく不公正な取引が行われておる事実があるわけであります。いわゆる乱売の事実があるわけであります。もちろん物価が安い方が消費者はよろしいわけでありますし、安いにこしたことはないわけでありますけれども、それが生産性が向上し正しい姿での物価引き下げであればよろしいわけでありますけれども、そうではなくて、流通の過程におけるきわめて不公正な取引の結果そういうことが起こりますと、そのひずみが各方面に及んでいくということになります。特にこの問題は、主としてスーパーが通常価格よりもはなはだしい値引きをして、乱売をすることによって流通システムを乱しているという事実があるわけであります。そしてそのスーパーの損失を、主として中小のメーカーに転嫁をしておるという事実があるわけであります。  たとえば、二、三の例を申し上げますと、これは愛知県の例が出ておりますけれども、ハローフーズというスーパーが四月に販売をした実績でありますが、通常価格、これは標準価格でありますが、通常価格一リットル二百十八円のものを百円で売っておる。それから名鉄ショッピングが通常価格二百六十八円のものを九十五円、約三分の一強の値段であります。それからスーパー常滑店というのが通常価格二百十八円――これはメーカーによって若干通常価格が違いますけれども、二百十八円のものを百円。それからスーパーピアザというのが通常価格が一リットル二百二十円のものを九十八円で売っておる。  こういうきわめて常識では考えられないような乱売をいたしまして、そしてそのスーパーの損失金をメーカーに、中小企業に転嫁をする、いわゆるリベートを求めることによってその損失を補てんをしていく、こういうことが行われておるわけであります。こういうことは中小企業に対する大きな圧迫であると同時に、消費者にとっても必ずしも好ましいことではないわけでありまして、一定の期間、一定の地域においてだけ安い品物が手に入りますけれども、全体としては決して物価が下がるわけではございませんし、このために近所の小売業者が大変な迷惑を受けるという問題があります。  それから、こういうような目玉商品を設定することによって、確かにその品物は安く売られますけれども、他の商品に転嫁をして全体としては決して安くない、こういうようなことがあるわけであります。こういうことは明らかに公正な取引の精神に違反をするわけでありますが、こういう実態について通産省はどういうお考えを持っておりますか。実態についてどう把握しておられますか、まず伺いたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 ただいま初めて聞きましたのですが、その事実については私ども直接把握しておりません。いま御指摘のような点があれば、あるいは公正取引委員会の方の問題として問題になり得るケースかもしれませんが、私どもちょっと事実を把握しておりません。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 これはしょうゆ業界ではかなり問題になっている事実なんですね。特に中小の業者はこの問題のために大変な迷惑を受けておる、こういう事実があるわけでありますが、それが全然把握をされてないというのはおかしいのですけれども、どうですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 しょうゆでございますとあるいは農水省の方では把握しているかと思いますが、私ども物資の関係が異なりますので、その点についてはちょっと現在把握しておりません。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 こういう事実があるわけなんです。これは醤油協会の調査でありますから間違いないと思いますが。そうしますと、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律十九条、二十条には「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」「前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、当該行為の差止め、契約条項の削除その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」こうなっておりまして、公正取引委員会の告示の不公正な取引方法ということが列挙をされておりますが、その四に「正当な理由がないのに、地域または相手方により差別的な対価をもって、物資、資金その他の経済上の利益を供給し、または供給を受けること。」五に「不当に低い対価をもって、物資、資金その他の経済上の利益を供給し、」云々とありますが、この条文ないしは委員会の告示に照らして、こういう事実がどうであるか、これを伺いたいと思います。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘がありましたケースでございますが、具体的なケースにつきまして私どもは実は把握しているわけではございませんが、数年来、しょうゆの不当廉売であると先生のおっしゃったのと同じようなケースでございますが、非常に安い値段でスーパー等で売っているというようなことで申告がございました。それらのケースにつきましては、ただいま先生御指摘のとおり、不公正な取引方法の、私ども一般指定と言っておりますが、一般指定の五に該当する疑いがあるということで調査し、不当なものについては不当廉売を取りやめるように指導してきておるところでございます。  それから、先ほど問屋にそのしわ寄せが行っているというような御指摘がございましたけれども、スーパーがしょうゆ等を不当に安く仕入れる、そうして不当廉売をしているのではないかというふうな疑いが指摘されたわけでございますが、一定の要件に該当するスーパーは「百貨店業における特定の不公正な取引方法」これは昭和二十九年、公正取引委員会告示第七号でございますが、その第四に「特売、廉売等の用に供する特定の商品を、その商品と同種の商品の一般の卸売価格に比べて著しく低い価格をもって、当該納入業者に納入させること。」こういうことは不公正な取引方法に該当すると規定してございますが、もしそういう事例がありましたら、私どもの方でこの規定を適用してしかるべき措置をとりたいというふうに考えておりますが、いままでのところそのようなことを私ども聞いたことはございませんので、措置した事例はございません。  以上でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 不当廉売の事実は先ほど申し上げたとおりでありまして、これについてもひとつ調査を願いたいわけですけれども、それに伴ってメーカーに対して、主として中小のメーカーに対してだと思いますけれども、大型店が圧迫を加える。これは常識的にも中小とそれから大資本による大型スーパーとでは力の関係も違いますし、一方は売ってもらう、一方は売ってやる、そういう形で力の関係が違うわけであります。これを利用して、一方では不当な廉売をしてその被害を転嫁する、こういうことが行われていることは事実のようであります。そういった点の調査、それをいままでなさったことがあるかどうか、その事実についてどの程度に認識をされておるか、伺いたいと思います。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 しょうゆの件につきまして、そういう具体的なケースを私どもの方の立場から、と申しますのは独占禁止政策を運用する立場から、そういう調査をしたことは従来ございません。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 ないというわけでありますが、実際にはそういう事実があるのですね。このためにしょうゆ業界では大変困っておる、メーカーも中小メーカーは非常な被害を受けておるということであります。  そこで、そういった事実について徹底的な調査をして、そういう不公正な流通秩序を乱すような行為を徹底的に取り締まっていただかなければ、これは業界の健全な発展は期待できないと思います。いかがです。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 先ほどお答え申し上げましたように、一般的に独占禁止法運用の資料とするための調査ということは行ってきているわけではございませんけれども、不当廉売であるといって私どもに申告してくる事業者の多くは、実は先生御指摘のしょうゆの中小メーカーでございます。スーパーの不当廉売で直接被害を受けているのは、周辺の小売業者というよりはむしろ先生御指摘のような中小のメーカーの方が大きな影響を受けているのではないかと思われます。そういうところから申告をいただいているわけでございますけれども、スーパーの方の調査を従来しておりますが、具体的にコストの問題とかいろいろな点の把握という点になりますと、中小業者等の調査、非常に多くの事業者もいるというようなことで、いままでのところ十分な調査をやってきていないところでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そうしますと、スーパーの実態については調査をされておる、あるいは申告があるというわけでありますが、その申告あるいは調査の内容をひとつお聞かせをいただきたいわけです。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 不当廉売の疑いがあるというようなことで主として中小のしょうゆメーカーあるいはその組合から申告が来ました場合、具体的なケースについてはそのスーパーの責任者を呼び出すなどいたしまして、あるいはこちらから出向くなどいたしまして、実際の仕入れ価格が幾らであるか、そして通常の仕入れ価格は幾らであるかということを調査いたしております。特売用にそのときだけ非常に安い価格で仕入れているという場合には、仕入れ価格を下回って販売することがない場合がございます。しかしながら、通常の仕入れ価格と比較してみますと下回って販売している場合が往々にして見られます。そういう場合には、その廉売が通常の仕入れ価格を下回っているというようなことで、不公正な取引方法に該当するおそれありということで指導しているわけでございます。  以上でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 しょうゆの業界においては中小業者が一時大変苦境に立った時代がありまして、これに対して政府におきましてもその近代化と生産性の向上のためにかなり努力をされたわけでありますが、その成果が最近かなりあらわれて、生産性も向上し、トップメーカーとの差が余り違わない程度まで改善をされておるようでありますけれども、一方こういう形で中小業者に対する圧迫が流通の面から行われますと、せっかく立ち直りかけた中小の業者がまたそういう面からの圧迫で苦境に立つ、こういうことも十分考えられるわけですね。そういう点についての通産としてのお考えはいかがですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 取引関係を通じまして、中小あるいは零細企業に対しましていろいろ取引上不利な扱いがなされるということは好ましくないことだと考えております。そういう見地から、私どもの方でも主として中小企業庁におきまして、いろいろとそういった問題が起こらないように日ごろ指導しているところでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 どうもはっきりしないお答えなんですが、せっかく政府の施策によって中小業者が再建をされ、生産性も向上の方向に向かっておるというときに、こういう不当なことがありますと、せっかくの対策あるいは政策もむだになってしまうわけですね。生産性の向上を図りながら中小業者が大変な努力をしておるわけですけれども、これに対してこのような流通過程における不当な圧迫を受けるということは、正常な経済発展のためにも大変よくないと思います。そこでこういう事態をもう少し通産でも把握をされて、それに対する施策を考えていただきたいと思いますが、この問題は、大臣、いかがでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 流通機構にそごのないように、大きな商店も、また零細企業のそういう小売業も困らないように流通機構の整備には万全を期していきたいというふうに思います。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 公取の方にもう一回お伺いしますが、標準価格が二百六十八円のものを九十五円というようなことは、そのものを買うそのときの消費者にとってはいいかもしれませんけれども、全体の消費者にとってはかえって間接的に被害の及ぶ結果にもなりますし、直接的には中小メーカーが大変な被害を受けるということであります。こういう状態をほうっておいてはいかぬと思いますけれども、これに対して公取としては、こういう事実があった場合にどういう対策をお取りになるお考えですか。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 ただいま先生御指摘のようなケースが参りました場合には、先ほど御説明申し上げましたように、当該スーパーに対しまして調査に参ります。あるいは呼び出しまして調査いたしまして、仕入れ原価を切って周辺の小売業者等に対して非常に被害を与えるというようなケースにつきましては個々に指導を行って、そのような廉売行為をやめるように指導しているところでございます。  以上でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 こういうやり方は中小企業に圧迫を加えると同時に、全体としては消費者に対しても決して利益ではないわけです。  そこで取り締まりでありますが、具体的にはどういうことをなさるのですか。これは単なる注意をするということですか。それとも、どういう行政的な指導をなさるのか、具体的に伺います。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 不当廉売行為を行っているスーパーに対しまして口頭で注意するということが通例でございますが、悪質なケースにつきましては、以後このような不当な廉売をしないという旨の上申書を提出させております。  以上でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 この問題については、ひとつ通産におかれても実態をもう少し把握されて適切な対応をされたいということ。それから公取の御当局には十分適確な御指導をされるように特にお願いをしたいと思います。  次は、やはりしょうゆに関する問題でありますけれども、しょうゆの原料である塩の消費者価格、使用者価格がソーダ工業としょうゆ原料の塩とでは大変な差があるわけでございます。これは、ソーダ用塩についてはほとんど輸入価格そのまま、あるいは生産価格そのままで売り渡しをされる。一方、しょうゆについてはそこにプラス専売益金が入りまして、結果としてはソーダ用塩の価格が六千九百円ぐらいでしょうか、それに対してしょうゆの原料塩は一万五千五百円。大変な格差があるわけです。これについてはソーダ工業の保護政策であるというふうに説明をされておりますけれども、しかしこれはソーダ工業が建設の時代、あるいは国際競争力をつけなければならないという段階では確かにそういう必要があったと思いますけれども、現在日本工業がもう世界に冠たるというか、世界のレベルまで十分達しておる現在において用途別によってこういう大きな格差を依然として残しておるということは大きな問題であると思いますが、この点についてひとつお答えをいただきたい。

友成豊日本専売公社塩事業本部部長

○友成説明員 お答えいたします。  ソーダ工業につきましてはもう先生御承知のとおりに、塩を主原料にいたしまして苛性ソーダなり塩素なりあるいはソーダ灰をつくる産業でございますけれども、これから二次的につくられる物資は生活に大変密接なあらゆる物資に使われているわけであります。そういう意味で化学工業の基礎原料ということになろうかと思います。そういうことがございまして、国としましても化学工業を振興する、競争力をつけるというようなことで昔から原料塩をできるだけ安く入手するということで塩専売法の二十九条で特別価格制度が適用されております。その制度を適用いたしまして、先生おっしゃられましたとおりに、ソーダ工業につきましては自己輸入制度という制度でソーダメーカーに私どもの方が輸入を委託しまして港でソーダメーカーに売り渡す、その間の公社の直接経費といいますか必要な経費をちょうだいいたしまして、そしてソーダメーカーに売り渡しているわけでございます。そういうことでございまして、おっしゃられましたように、たとえばしょうゆあるいはみそ、つけもの等の一般業務用に使われます輸入塩に比べますとかなりの価格差が出ているわけでございますが、ソーダ工業用につきましてはそういう基本的に産業育成という目的からこの制度があるわけでございまして、私どももその制度に従ってやっているわけでございます。  家庭を通じて入る塩あるいはいま申し上げましたようなみそ、しょうゆ、つけもの等食品加工から口に入る塩、そういったようなものを、一般用塩といいますか専売塩といいますか、専売公社が全体として売っているわけでございますが、この場合に公益専売ということで塩事業会計が中期的にとんとんでいくということで価格をセットされているわけでございます。そういうことで若干業務用につきまして割り高という面があろうかと思いますが、国民の食糧ということで、全体でこの価格を受容していただくということで現在価格をセットさしていただいているということでございます。  そういうことで、いま先生おっしゃられました後半の部分のソーダ工業がどういう状況にあるかということにつきましては、専売公社の所管ということではございませんのでどう判断するかというのは別でございますが、私どもが聞いておりますといいますか、もともとこういう価格差といいますか、できるだけ安くということにつきましては、たとえばアメリカ、カナダ等のソーダ工業はいわゆる岩塩鉱床の上に工場がつくられまして、それでパイプでもって岩塩のところに水を注入いたしまして、そして塩水をくみ上げましてそのままソーダ工業に使うということで、確かな数字ではございませんけれども、大体トン当たり二・五ドル程度じゃないかと思います。それに対しまして日本の場合にはどうしても輸入して使わなくちゃならないものですから、たとえばいまソーダ工業界が輸入しておりますメキシコあるいはオーストラリア、中国、こういったようなところのFOB価格で言いますと、トン当たりすでに十一ドル前後ということでございます。それにフレートを加えますと約二十六、七ドルになろうかと思います。そういうことでいきますと、かなり原料面での格差が強いということは言えるのじゃなかろうかというふうに思っております。  以上でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 いまの食品工業は、一般的に甘い方も辛い方も不況ですね。これはもう構造的に不況ですね。そして特にしょうゆの場合には全国に三千からの企業があるわけです。キッコーマンは大企業でありますけれども、キッコーマンを除きますとほとんどもう全部が中小企業ということで、食品工業の不振、それから中小企業のハンディ、こういうものを負って停滞産業として大変苦しんでおるわけですね。そこへ持ってきてこの原料の塩、これは原価に占める比率は必ずしも高くありませんけれども、それにしてもその値段が、同じ工業であるソーダ工業に比較をすると、六千九百十円に対して一万五千五百七十円ぐらいですから、大変な格差ですね。それでソーダ工業というのはいわゆる寡占産業ですから、きわめて少数の大企業が独占をしておる。一方は三千からの業者、中小メーカーがある。こういうことを考えた場合に、確かにこれはこの制度が決められたころはそれなりの理由があったと思います。産業政策としてもそれはそれなりの理由があったと思いますけれども、現状では首肯しがたい、理解しがたい事実でありますけれども、大臣はこれをどうお考えですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 とっさの思いつきで恐縮でございますけれども、やはりしょうゆ産業というのは中小企業が多いわけでございますので、そこら辺は十分考えてこれを盛り立てていくという政策を遂行したいというふうに考えます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そうしますと、現状はソーダ産業についてはトン当たり六千九百円ぐらいでこの原料塩が供給されている、中小企業がほとんどであるしょうゆ用の原料塩については一万五千五百円、こういう実態でありますので、大臣、これは専売については大臣の所管ではないと思いますが、産業政策として、あるいはまた公平な行政の原則からして、これではちょっと理解しがたいと思うのですが、この問題についてひとつ御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 専売公社並びに担当の所管と十分協議して、御意見に沿うように御努力はいたしたいというふうに考えます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 ぜひひとつお願いをいたしたいと思います。  次は貿易の問題でありますが、最近の政府発表の経済統計によりますと、四月から六月期の経済成長は一・二である、そしてその内容としては、民間消費支出が〇・三、民間住宅が〇・六というふうにいきまして、国内需要に基づくものが〇・三%、そして経常海外余剰によるものが〇・九%、合計して一・二、こういうような発表があるわけでありますが、政府の当初の見込みでは、年率五・三%の成長だ、そしてその内訳としては、内需が四、外需が一・三ということにしたい、こういうような五十六年度の構想であったわけであります。  ところがその後の実績は、内需が全くふるわないで、その内需の不振を外需によってようやく補っておるということでありますね。これでは政府の当初の見込みが大きく狂っておるわけでありますし、同時に、国際経済の中に伍して国際協調を保っていかなければならない日本の経済が大変な跛行的な形になるわけでありますけれども、これについての現状の分析と、内需不振の原因、それからその対策等について伺いたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 仰せのとおり景気の回復テンポは鈍いわけでございまして、私どもの見ているところでも、業種とか規模等の跛行性が出てきている。それからまた、経常収支も黒字になったというのは御指摘のとおりでございます。こういった問題に対しまして私どもといたしましては、まず基礎素材産業につきましては、当面需給バランスの回復ということが急務でございますので、たとえば不況カルテルの運用等を通じまして需給バランスをとるということに一つの必要性を感じて実行しております。  また、構造問題につきましても、いろいろと中長期の観点も含めまして、問題がございますので、現在、産業構造審議会におきましていろいろの審議をお願いしておる、あるいは今後お願いするのも含めましていろいろの検討を進めているところでございます。  また、いわゆる黒字問題につきましては、基本的には、円相場の適正化あるいは内需の拡大、それによる輸入需要の増大ということを期することが必要なわけでございまして、さらには、製品輸入の拡大とかあるいはまた産業協力というふうな面も含めまして対外的な問題に対処していくべきではないかというふうに考えております。  なお、中小企業等の跛行性の問題もございますので、これにつきましては特段の注意を払っていかなければならないというふうに考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 こういう形がこのまま進みますと貿易摩擦が当然生じてまいるわけでありますし、それがやがては自由貿易を脅かすというような事態も考えられると思います。ある統計によりますと、これは七八年の数字でありますが、現在先進国間の工業品貿易は約四千三百億ドル程度であろう、そのうちで、すでに貿易摩擦を生じて自主規制のもとにある貿易額はその三〇%を占める、こういった統計もあるわけでありまして、現在はすでに自由貿易ではなくて管理貿易の段階に入っておる、大変危険な徴候がすでにあらわれておるという、こういうようなことも言われておるわけです。  こういう中にあって、依然として日本の貿易構造が大きな黒字、しかも、対米あるいは対ECでは内容の点は違うと思いますけれども、まさに自由貿易維持という観点からすれば赤信号がついておるという実態でありますが、このような状況を大臣はどういうふうに認識をされていらっしゃるのか、そしてこれに対する基本的な対策をどうお考えになっておるのか、伺いたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 貿易のインバランス、これはEC諸国、特に十カ国と日本との対比は非常に大きなもので、八十億ドルから九十億ドルくらいトータルであるというふうに言われておりまして、私どももこのインバランスがまた将来問題になるというふうに思っております。といって具体的にどうするかという早急な即効薬はないわけでございますけれども、このたび稲山経団連会長を中心とする大デレゲーションをEC諸国にやりまして、そして製品輸入を図りたい、また、向こうからできますれば輸出ミッションそれからECフェア、そういうようなものを開催するとかいうことで七月に製品輸入のことを話し合ってきておりますので、できるだけ向こうの製品を輸入するという対策はとりたいと具体的には思っております。  それから、第三国市場の開発導入というようなことも、それぞれのイギリスとどう、フランスとどう、西ドイツとどうというようなことも具体的に進めていくと同時に、それぞれの投資交流、そういうものを含めてできるだけ貿易摩擦、経済摩擦のないように私どもも一生懸命努めてまいりたいというふうに考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 日本の貿易構造を見ると、これはすでに常識になっておりますけれども、あらゆる面で製品の点については進出をしておる。普通の先進国でも相当程度の水平分業が行われている要素があるわけでありますけれども、日本の場合にはほとんどあらゆる面で他国と競合の実態である。そして輸入はほとんど原材料ということですから、これは国際協調を図る面からの国際間の産業調整、日本自体の産業調整もしなければ、世界の経済に伍して、しかも協調的な姿での日本経済の発展はなかなかむずかしいのじゃないかと思うのですね。そういった意味では海外への直接投資等も考えていかなければいけないと思いますが、いま大臣が言われたのは当面の貿易政策あるいは輸入の促進策というようなことでありますけれども、同時に国際間の産業調整、国際間の水平分業をある程度認めていく、あるいはまたそれを促進するという姿勢が基本的にあるのかないのか、そういう観点からの通産の政策、お考えはいかがですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 世界経済の発展という見地からいたしますと、各国がいわゆる衰退産業の扱いをどうしていくか、そしてそれに対しまして保護主義的な扱いをできるだけ避けまして調整を図っていくということが非常に重要なことだというふうに私どもも考えております。そういった見地から、現在OECDにおきましても積極的な調整政策ということにつきまして広範な議論が展開されてきておりまして、わが国でもこれには積極的に参加してきているわけでございます。当省といたしましても、この国際的な産業調整問題を踏まえまして、積極的な対応をするということを基本的な姿勢といたしまして今後のいろいろな面での政策を展開してまいりたい、こういうふうに考えております。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 いま植田審議官が答えたとおりでございますが、私どもが製品輸入を宣言いたしましたのも、実は製品を輸入するということは産業の分業といいますか、たとえば部分品などにつきましても製品を輸入するというたてまえをとっておりますと、どこにどういう部分品ができ上がるとかいうようなこともいろいろリサーチできますし、そういうことが実は根底にあるわけでございます。そのほか投資交流と申しますか、先ほども申しましたように第三市場の開拓というようなものをジョイント、共同でやるということをたてまえとする。いずれにしても世界が保護主義貿易になるということは、世界の現在のスタグフレーションの治療薬にはならないと思うのです。それから日本自身も、各国がそういう保護主義貿易に陥ることは日本自身の首を締めることになりますし、あくまで自由主義貿易、貿易の拡大均衡を実現するためにも、私はそういう分業体制というものを常に頭に置いてこれからも経済協力を進めていかなければならないという根本概念を持っております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 それに関連してですが、通産省ではいわゆるハイテクノロジー、先端技術の研究について熱心に指導されております。これは結構でありますけれども、そのために相当額の補助金が出されております。五十三年度において科学技術振興費五百七十二億でありますが、そのうち先端技術に相当部分の補助金が出されております。たとえば集積回路であるとか半導体、こういったものは日本はトップレベルにあるわけですけれども、こういったものに対する技術研究に対する補助金、たとえば超エル・エス・アイ技術研究組合、これは日本のトップクラスの大メーカーによって組織をされておる組合でありますが、これに対して五十一年度から五十四年度までに二百九十億出されておる。これに対してメーカーが四百十億負担をして七百億で研究開発が行われたというようなことが言われておりますけれども、こういう国の補助金を出す段階はもう過ぎたのではないか。しかもこれはいずれもトップレベルの大企業でありまして、企業の実力あるいは社内保留、資金の保留あるいは技術の蓄積、こういったものはもう世界のレベルに達しておるわけであります。こういうところに補助金を出すということはもうすでに必要がないのではないか。これは行政改革とも関係がありますけれども、こういった点についての基本的な姿勢を伺いたいわけです。  それから、こういうハイテクノロジーに対する補助金、これはそこでも活用されてそれぞれ新しい技術を開発されているわけでありますけれども、それが成功した場合にはこの産業だけが利益を享受するということではちょっと理解がいかないわけであります。先端技術の研究についてはもちろんリスクがあるわけでありますから、研究開発が必ずしも予定どおりいかないという場合あるいは成功した場合いろいろあると思いますけれども、国の補助を得て成功した場合にはそれなりに国に還元をしていただくとか、あるいはその成果を国庫に還元をするという方法がないものであろうかどうか。それからまた、こういう問題については補助金として金を出しっきりにするのではなくて融資がむしろ適当ではないか、こういうような考え方もされるわけでありますけれども、これについての大臣のお考えを伺いたいと思います。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○豊島説明員 研究開発一般につきましては工業技術院長の方からお答えいただいた方が適当かと思いますが、先生ただいま例として挙げられましたコンピューター関係、超LSIあるいはその他でございますが、日本の産業全体としては貿易摩擦を起こすほどに非常に強くなってきておるわけですが、事電子計算機につきましては、アメリカのIBMという巨人がおるわけでありまして、いまだに日本の代表的なコンピューターメーカーの、売り上げでは十倍以上あるいは利益では三十倍以上というようなことでございまして、非常に体力の差があるわけでございます。しかも、このコンピューター関係の産業につきましては、その技術の進歩のスピードが非常に速いということでございまして、不断の研究開発を続けていかなくちゃいけないということでございますが、日本の現在のコンピューター産業といいますか電子産業は相当力はつけつつあるものの、そういう大きな研究開発に自分だけの体力で利益を投じてやっていくというのに対してはまだ十分でない、非常に十分でないというのが現状でございまして、これなくしてはやっていけない、国の補助なくしては十分な研究開発が達成できないということをまず申し上げたいと思います。  それから第二に、大企業だけが利益を享受するのじゃないかというお話でございますが、この点につきましては、そもそもコンピューター産業そのものにつきまして、電子産業はいわゆる波及的効果が非常に大きい産業でございまして、ひとりこの産業の利益だけじゃなくて、そもそも他の産業に対する非常なメリットというものがある。これは国民生活まであるわけでございまして、最近日本の工作機械は非常に強いと言いますが、これは電子、エレクトロニクス産業が非常に日本が強いということで初めて可能になっておるということで、受益するところは、広く産業だけじゃなく、最終的には社会福祉にまで及ぶ、こういうふうに申し上げられると思います。  それから第三の点でございますが、その利益還元については、企業自身でも、失敗したらともかく、成功したら何か還元してはどうかということでございますが、これは法律の規定によりまして、成功した場合には、収益がそれによって上がったという場合においては、細かいことはともかくといたしまして、国庫に還元するということに一応なっております。  それから、融資にしたらどうかということでございますが、コンピューターあるいは航空機とかいろいろ先端産業につきましては、リスクが非常に大きいわけでございまして、単に融資ということでは、失敗した場合に返さなくちゃいけないということでは、なかなかそういう大きなリスクには企業としては挑戦できないわけでございますから、そういうことを考えますと、低利融資ということではなかなか挑戦できない、そういう問題がある、このように考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 あと一問だけ簡単にお願いしたいのですが、いまの為替の不安定、それから為替相場の乱高下というようなことがありまして、経済界を撹乱する要因になっておりますけれども、アメリカにおいては、いま金本位制を復活しよう、金の復位ということがいま言われておりますけれども、これについて日本政府ではどのようなお考えであるのか、どういう対処をされるのか、伺いたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 現在アメリカの金委員会におきまして金融制度における金の役割りということで検討が行われておるということは、報じられているとおりと聞いております。  しかし、米国の金本位制への復帰ということはまだ一部の議論にすぎないというふうに私どもは伺っているわけでございます。この問題につきましては、今後のこの委員会の動向を十分見きわめませんと、そして、そのわが国に与える影響につきまして一概に申し上げることはなかなかいまのところ困難でございまして、私どもといたしましても、現時点におきましてはこれにつきましてはっきりした御意見はちょっと差し控えさしていただきたいと思っております。いずれにしましても、今後のこの米国内の議論を慎重に見守っていくということを現在考えているところでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 終わります。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 上田哲君。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 中小企業の差し迫った問題について二点お伺いをしたいと思っております。  まず、中小企業の承継税制の問題。  そこで、大臣、通産省中小企業庁の調べで、六十歳以上の中小企業の経営者が二六%、相続問題に関心を持って対処しなければならぬと考えている五十歳以上が六〇%。これは戦後三十六年、繁栄と言われながらそれを支えてきた中小企業の世代交代の問題が大変緊急性を帯びているという点だと思います。その点の認識。  それから、それについては税制上の何らかの手厚い対応がなければならぬだろうという必要性、この点の御認識をまず伺いたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 中小企業の承継問題でございますが、これは実は、昨年大阪に参りましてこの問題が具体的に討議されまして、私は、確かに問題だ、これを実現すべく努力いたしますということをお約束申し上げて、五十六年度予算にこの問題の一部を取り上げたわけでございます。それほど中小企業というのは、上田委員御承知のように、日本の製造業の事業所五百八十四万事業所のうち実に五百八十一万事業所というのは中小企業が占めておりまして、従業員が三千四百四十万人、家族を含めますと膨大な数でございますし、出荷率は五三%、金目にしますと九十二兆円という、日本経済をまさしく支えておる点でございますので、この問題で承継問題が起こることは当然で、ちょうど世代交代の時期にもなっておりますので、この問題については強い関心を持つと同時に、口先だけではなく、できるだけこれを具体化して、中小企業者あるいは零細企業者に問題、トラブルが少ないようにという努力はしなければならないというように思っております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 口先だけでなくということは、大変結構だと思います。それについて通産省も中小企業承継税制問題研究会に委託されて、報告書が出たわけですね。そこで、いまのお話で、大臣もう一言念を押したいのですが、税制を含める手厚い対応がなければならぬという立場。これに特に深い御関心をお持ちであろうと思います。いかがですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 もちろん、先ほど申しましたように、できるだけ口先だけじゃなくて具体的に処理していきたいということでございまして、株式の問題とかあるいは事業所の土地の問題とかいうことについて考えております。  具体的には中小企業庁長官が答えますので、よろしく。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 問題は、この中小企業承継税制問題研究会の報告が、昨年の十月から作業に入って、この四月一日に報告書として出ているわけですね。  これは中小企業庁長官に伺うわけですが、現在、中小同族法人の場合に取引相場のない株式の時価評価は、大体三つの区分けで処理されている。大きい方の企業では類似業種比準価額方式、同業種の上場株式をベースに一定係数を掛けて割り出す方式。それから小さいところが純資産価額方式、土地などの資産を積み上げて、発行株式で割っていく、それから真ん中へんのところはこの両方を併用するということになっているわけです。これはいずれもまずい。  その第一の類似業種比準価額方式の場合は、ベースになっている上場株式の変動、あるいは対象業種の不一致などに問題があるだろうし、純資産価額方式の場合は、地価の上昇をもろにかぶり、評価額が異常に高くなったりするというような問題がある。そこで、この中小企業承継税制問題研究会の答申は収益還元方式というのを提案しているわけです。大臣も中小企業のための税制改善に強い関心をお持ちになるということなので、中小企業庁としてはこの収益還元方式という報告について前向きに評価をされるわけですね。私が申し上げるまでもありませんけれども、類似業種比準価額方式の改善というだけでなくて、相続時の株式評価に際して、事業の継続を前提として特許権とか営業権などに基づいて、資本還元率あるいは純利益などによる収益還元価額から収益性を算出する、こういう方式の方が、いま挙げた――大きく言えば二つ、さらに分ければ三つという――これまでの方式よりまさるではないかと考えておられると見ていいのですか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 先ほど大臣からお話がありましたように、この問題は大阪で最初の要望がございました。直ちに検討に入れという大臣からのお話もございましたので、全国商工会連合会に委託をいたしまして中小企業承継税制問題研究会を発足させました。この研究会は座長が大学の先生でございました。そのほか、税理士会の連合会とか中小企業の団体はもちろんでございますが、公認会計士等の方々も入っていただきまして検討を続けていただきました。その結果、先ほど先生が申されましたような現行方式に対する改善策といたしまして、収益還元方式の導入の問題と現行類似業種比準価額方式の改善という問題を含めまして検討しろ。いずれにしても哲学は、先ほどからお話がございますように、創業者がそろそろ第二世に中小企業の城を譲る時期になって、土地がべらばうに高くなったために相続税を払うときに土地の一部を処分しなければならぬという実態に対応するものでございます。私どもはこの答申の相当部分については十分意味ありという感じを持っておりますので、先ほど大臣から御答弁ございましたように、今年度の税制改正の大きな目玉といたしまして改善要望をすでに提出いたしているところでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 大きい目玉としてということは非常に力強く思います。いまのお話の中に世代がわりの緊急性ということが色濃く出ておりましたし、その認識に基づいて哲学という言葉もありました。目玉としてこの税制問題に踏み込むこと、これは私は非常に前向きの発言だと思ったのですが、そこで念のためもう一遍、それでいいのですね。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 そのとおりでございまして、初めての旗を立てたということでございます。もちろん先生が念を押されますように、この問題は、直ちに要望すれば通るというものではございません。中小企業者の強い要望でございますので、十分相談をしながら、大蔵省にも粘り強く説明をしながら、今時点におきます税制問題につきましては、特別償却その他中小企業の税制についても厳しい環境でございますので、私ども、この旗を立てたら直ちに成立するとはもちろん考えておりませんけれども、この旗は最後まで押し通していきたいという感じを持っておりまして、このたび要求しました中小企業を含めます通産省全体の税制要求の大きな柱の一つを形成しているものだと考えております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 そうすると、もう少し各論で言いますと、収益還元方式の方向にぐいと踏み込むということでいいのですか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 さしあたっては、公開されていない株式の評価につきまして収益還元方式で従来の純資産ベースのものを見直してもらうような方向での検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 いま長官のお話の中に、土地の問題が大変大きいウエートだとされた。私はまさにその認識は一致すると思うのですね。だから、この承継税制問題のポイントになるものは土地の急激な値上がりだ、そこから、税負担が重くなって現実に納税のためには土地の分割売却もしなければならぬということになりますね。まさに土地だというところに問題を集約しなければならない、その認識でよろしいですか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 地価の問題はきわめて重要な要素になっております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 この土地の分割処分というようなことが現実の問題になっていまして、ここから、分割処分をするから事業縮小ということにもなってきて、そういうところで実は中小企業における雇用問題がもう一つ出てきているわけですね。これは後にまたあわせてお伺いしたいと思うのです。  そこで、土地問題に焦点を合わせなければならぬということになるので、いまその面から出てきている要望が、中小企業の場合にも農地並みの生前贈与制度をつくったらどうだということですね。条件が違いますから、農地並みの生前贈与制度をつくれというのは言葉どおりにはならないだろう。けれども、その発想には一つ踏み込んでいいのじゃないかと思いますね。報告にも、事業用財産の税制上の生前贈与制度は提案されているはずですね。この考え方について、私は三つの柱だと思うのですけれども、まず個人事業者が生前に事業財産、土地ですな、これを後継者に贈与した場合、その贈与税は相続時まで納税を猶予する、その間の利子税は免除する、これが一つ。それから被相続人が死亡した場合、贈与財産は相続によって取得したものとみなし贈与税を免除する、これが二つ。三つ目に、相続税は、相続時に課税評価し、納付する。こういう三つの柱だと思うのですが、ここへ向かって進む。さっきの旗を立てる――いや、旗を振るかな、そういうことでいいですか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 先ほどの説明は必ずしも十分ではございませんでしたが、生前贈与をそのときに課税しないで相続時に課税するという方式の導入の柱の問題は、このたびは取り上げないという方向にいたしております。第二の相続税を払いますときの公開されていない株式の評価の問題が一つと、土地の課税につきまして従来は二百平米までは八〇%でございましたものを四分の一にしようという方向での要求をいたしておりまして、後の二つの要望でございます。第一の問題は今後引き続いて検討するということになっておりまして、くどいようでございますが、いま申されました第一の柱の問題は今後の検討事項ということで、このたびは要望いたしておりません。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 問題点としては、この土地の問題は非常に大きい問題だということを認識される、そして旗を振る。そうすると、こっちの旗はいつになるのですか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 ちょっとくどくて恐縮でございます。先生は十分御理解いただいておりますけれども、農業の場合につきましては、農業基本法に基づきまして土地の方でがんじがらめに継続についての規定をいたしております。ところが中小企業の方はやはり弾力性を持たせなければいけません。このようなことを考えますと、現時点で直ちに農業と同じような方式の生前贈与方式の導入というのはいかがなものか、私どもも非常に悩んでおります。したがいまして、この問題は時間をかしていただいて、研究会なり関係者の間で勉強を進めさせていただきたいと思っておりますので、お許しいただきたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 土地が中心だという根本の認識が違っていない点は、私はそれでいいと思うのです。したがって、まず基本の認識のところをもう一遍統一したいのですが――株式の評価方式について旗を振ったところまではもうそれでいいです――そうすると、土地問題が中心だ、重要な要素である、だから何とかしなければならぬというところまで間違いないわけですね。農地並みのという言葉は言葉としてあっても、農地並みの生前贈与制度をつくりなさいというのは、これはできない条件がたくさんあるということはよくわかります。だから、さっき申し上げた、この報告にもあって私が整理して申し上げた生前贈与の三つの柱、この三つの柱はやはり追求しなければならぬ、実現しなければならぬというふうにお考えになるかどうかというところを押さえておきたい。そしてそれがいまできないとすればどういうふうにしてプログラムしていくのかというところをまとめてお答えいただきたい。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 同じことを答弁して恐縮でございます。  先ほども申しましたように、公開されていない株式の評価の問題と土地の承継につきましての課税の八〇%を四分の一にする問題につきまして、このたび中小企業庁としては取り上げるという方向を打ち出しましたが、第一の生前贈与の問題につきましては、中小企業ビヘービアの基本にもかかわりますし、一方農業で取り入れています生前贈与の問題というのも相当法律的に厳しい基準がございますので、重要な問題であるという認識は持っておりますものの、これを直ちに引き続いてやるということではなくて、先ほど申し上げました二、三の問題をまず大蔵省と十分審議を続けてまいりたいと考えているところでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 私もちょっとくどくなるのですが、旗を立てた部分は結構です。そこのところはもういいです。したがって、旗を立てなければならぬ部分が残っている。二つに分けるなら、立てるべきでない旗か、立てなければならない旗かということになれば、立てなければならない旗だ。考え方ですよ。生前贈与制度という言葉を使うかどうかは言わなくていいけれども、考え方として私がいま申し上げた、立てなければならぬ旗だという御認識はあるわけですね。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 農業のような生前贈与制度の導入というのは不可能でございますが、生前贈与について土地という観点で中小企業の皆様のために何かやる方法がないかという方向で勉強するということについては研究会の答申もその方向でございますし、私どももその方向であることは間違いありません。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 もう一つかぶせますが、そうすると、私が生前贈与について三点申し上げたのはこれから研究することの具体的な対象であり得るわけですね。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 そういう論法で申されれば、否定の方向じゃなくて勉強する方向でございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 禅問答にならないようにこの辺で打ち切りたいけれども、いつごろまでに勉強を終わりますか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 私どもは、先ほども申しました環境を考えますれば、ことしの、五十七年度の要望事項を達成するためにもなかなか時間がかかるだろうと思っておりますので、一歩一歩粘り強くやってまいりたいと思っております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 長官の範囲ではわかりました。  大臣、いまの議論の中で、ぜひ新年度、達成したいというところは力をふるってやっていただきたいし、それから当然検討して前向きにいかなければならぬと言われたところは、冒頭言われたように、言葉だけでない中小企業の税制改善というためにうんと力を入れてやっていこうという決意を表明していただきたい。つまり一口で言えば、そうした問題を税制改正の中に含めて努力をしていくという点について前向きな御決意を承っておきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 前向きに一生懸命やっていきたいと思いますが、三つの柱のうち二つば必ず実現する、生前贈与の問題につきましては、中小企業庁長官も指摘しておりますように非常に問題が多うございます。それに向かって努力はしなければならないというふうには考えております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 大臣、この形で解決していこうとしないと土地問題は残ってしまうのです。その点は御認識になるわけですね。そこを含めてもう一度御決意を承りたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 冒頭に申し上げましたように、中小企業者の範囲並びに零細企業者、これが新陳代謝と申しますか内容が次々に非常に変わっていくケースが多いのです。したがって、土地の生前贈与の問題につきまして、上田委員のおっしゃるように気持ちとしてはございましても、私どもが具体的にそれをすぐ右から左にということになりますと、社会的な波紋あるいは社会的な問題が非常に多うございまして、予想以上の波及効果を私どもは心配しているわけでございます。これ以上、上田委員のおっしゃるように、かくかくときちんとしろということの気持ちは十分わかりますけれども、その三つのうち二つは何とか私どもも新年度予算に計上したいのですが、第一番目の土地の生前贈与の問題につきましては、十分頭にあって検討はいたしますけれども、すぐ即答はしかねるというのが本当の腹でございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 大臣が精いっぱい前向きの姿勢を示されたというふうに理解をいたします。どうかお言葉どおりに、実行はそれ以上に勇断をもって進んでいただくようにお願いをして、今後の一つの課題にいたしますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  もう一つの問題が中小工場の制限基準面積の問題です。  これは私の問題意識で言うと、既成市街地の環境保全の問題と産業活力の問題、こういうふうに思います。したがって、関係各省庁は多岐にわたると思いますけれども、きょうは通産省の側から問題をしぼってお伺いしておくことにしたいと思います。しかし、とりあえず問題を明らかにするためにデータを一つ出しますと、東京都で毎年やっている工業統計調査、これは三十人から二百九十九人、つまり中小規模、中小企業の工業統計調査では、その中小工業が三十五年の七千二百四十工場から二十年たった五十四年には三千三百二十八工場に、つまり半分以下になっておるという数字が出ています。これは東京ですけれども、首都圏の環境保全と工業活力の関係といいますか、そういう問題としてはさまざまな見方があると思うのですが、いわゆる工場等制限法の立場、その趣旨から見ればどういうふうな見解になるのか、まず伺っておきます。

伊吹文明環境庁企画調整局企画調整課長

○伊吹説明員 お答えをいたします。  上田先生の御質問は大変むずかしい御質問だと思いますが、生活型公害、特に住工混在地域に中小企業の工場がございまして、騒音、振動等が発生する場合に、これをいかに解決するかというのは環境政策の観点から非常に大きな問題でございます。中小企業独自の防除策をとりますのももちろん一つの考え方でございますが、御承知のように、公害防止事業団等の事業を通じまして工場を適地に移転させるというのも重要な施策であろうかと思います。  その場合に、どちらの方法をとるかというのは公害防止事業団で事業を実施いたします場合に、いまの御指摘でございますと東京都ということになろうかと思いますが、地方自治体と十分協議をいたしておりますので、実質的にはその選択は地元住民にゆだねられておるということになろうかと思います。  それから、先生御指摘のように、住みよい環境というのは何かということは大変むずかしい問題でございまして、種々の考え方があろうかと思います。公害の発生源とならない活力ある中小工場が住工混在地帯にあるということ自体は、環境面からいって特段の支障はないわけでございます。  私どもといたしましては、今後の環境行政を実施していきます場合に、土地利用あるいは中小企業対策等幾つかの観点があると思いますが、環境庁といたしましては地元の住民の方々の御意見を最もよく反映いたしますように、事業を行います場合に地方自治体と十分協議して対処をしていきたい、こういうふうに考えております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 よくわかりませんが、つまり環境庁としては公害源と見る工場が半分になったということはいいことだということですか。

伊吹文明環境庁企画調整局企画調整課長

○伊吹説明員 中小工場が必ずしも公害源であるとは考えておりません。  その場合に、地元住民が都道府県知事を通じまして当該事業が必要であると認識されたものについて、環境庁の方では、先生御承知だと思いますが、公害防止事業団の工場団地造成を通じまして受けざらをつくっておるということでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 これがどうもよくわからないのですがね。つまり、工場等制限法によると制限区域というのがある。たとえば東京で言えば二十三区と武蔵野、三鷹というのが制限区域になっているのですね。ところがもう一つ、地方自治体の権限の中で工業専用地域の指定がある。工業専用地域と工場制限法の制限区域とオーバーラップしているのですね。これは行政的にはどういうふうに理解をすればいいのか。これはどの官庁が答えるのかわかりませんが、ちょっと説明をしてください。

田村嘉朗建設省都市局都市計画課長

○田村説明員 お答えいたします。  私どもの方は都市計画担当課といたしまして都市計画法の運用をお預かりしているわけでございますが、いま先生御指摘の工業専用地域の関係でございますが、これは都市計画法の用途地域の一つとしてございまして、これは大都市地域等におきましては都道府県知事が指定することになっております。  この工業専用地域は、工業の利便を増進するために定める地域というふうに規定されておりまして、この指定の仕方につきましては、四十七年の四月に都市局長が都市計画の決定基準ということで通達を出しております。  その中で、既存の工業地で住宅等の混在を排除しまたは防止すべき区域、それから新たに工業地として計画的に整備すべき区域等については、工業専用地域を積極的に活用するようにということを指示しておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、なるべく工業と住宅等の混在が排除されて土地利用が純化されるということが基本的には望ましいというふうに考えておりますので、こういうことが可能な地域あるいは望ましい地域につきまして工業専用地域を指定するように指導しているわけでございます。  ところで、工業制限法に基づきます工業制限区域の問題につきましては、これは私ども直接担当でございませんので、国土庁の方で所管しておるわけでございまして、大都市地域における工業等を余り過度に集中しないようにという趣旨で設けられておるわけでございますから、私どもはそういうことを前提にいたしまして用途地域を純化したいということで都市計画の運用をしているわけでございます。したがって直接両区域は関係はないということで、私どもといたしましては、工業等制限区域の中であっても現に存する工場の生産環境を維持する等のために工業専用地域を定めるということは大いにあり得ると考えているわけでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 どうもよくわかったようでわからないから一言で聞きますが、工場等制限法というのは法律なんですね。それでこういうところには環境を阻害するような工場はつくっちゃいけないということになっておる。ところが、準拠法がどうあろうと都道府県の知事なり特別区行政長によって指定される工業専用地域というのはその中にある。そうすると、いまの言葉を聞くと、制限区域の中に専用地域があればそこでは例外的にいろいろあってもいい、ということになる。それでいいのですね。

田村嘉朗建設省都市局都市計画課長

○田村説明員 工業制限法の対象地域をどういうふうにするかということにつきましてはいろいろ国土庁のお考えがあるかと思います。現に、たとえば近畿圏におきましては埋立地については一部対象から外している、こういうふうなことがございます。それは私ども直接関与できないわけでございますが、そういう対象地域であってもいま申し上げましたように工業専用地域――全部の工業が排除されるというわけではございませんから、既存の工業につきまして……(上田(哲)委員「私の言ったことで理解はいいのですね」と呼ぶ)工業専用地域を定めることはあり得るということでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 そこでもう一つ。  そうするといまお話しになった埋立地云々というのはそういう意味での例外地域みたいになっているのだ、そうですね。たとえば私のところでは京浜島、昭和島というつまりいわゆる公害工業団地がある。そういうものが全国にどれくらいあるのですか。

田村嘉朗建設省都市局都市計画課長

○田村説明員 いま申し上げました埋立地につきましては、近畿圏についてそういうふうに認められているというふうに政令上ではなっております。  それからいま御質問になりました公害工業団地がいかなるものかということについては、私どもちょっとその全体については把握しておりませんが、私どもの方が調べておりますのは、工業団地造成事業という都市計画事業がございます。これは首都圏、近畿圏で都市開発区域あるいは近郊整備地帯等において収用権をもって事業を行う工業団地造成事業というのがございますが、これは五十五年三月末現在で全国三十一地区、七千二百十三ヘクタールということでやっております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 そこで大臣、この問題はいま各省庁に非常に多岐にわたっている、われわれが考えたのでは理解しがたいようないろいろなふくそう部分があるわけですね。少なくともそういうものの結果といいましょうか、たとえば東京都で、東京からの工場流出が非常に激しい。これは産業活力維持の観点からすると大変むずかしい問題になってきたというのでいま調査を始めておるのですね。もう一遍もとの問題に戻るわけですけれども、これは哲学の問題が一つあるわけですね。多岐にわたる、各省庁間の行政上の問題点はいろいろ意見があろうけれども、二つの問題としてとらえるなら、まさに環境保全という問題と産業活力の維持という問題とをどこでミックスさせるかというのが非常に法令上もむずかしくなっておる。具体的に東京では二十年間に中小工場が半分になっちゃっている。そのなかで東京湾埋立地に公害工業団地をつくってやろうとしているような政策を基本的には一体どういう展望でお考えになるのか、ひとつ哲学を聞かしてください。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 ただいま御指摘の工場等制限法の緩和についての中小企業者からの問題について、ちょっと事務当局からさきに答えさせていただきます。  先生のような御要望がすでに……(上田(哲)委員「要望じゃない、指摘ですよ」と呼ぶ)指摘を背景に要望として、私どものところに大阪地区、東京地区から中小企業の人を中心に要望が出ております。このような大都市の人口及び産業の過度な集中は工場の地方分散を目指した諸施策の効果もあって徐々に改善されつつありますが、基本的にはその過密問題は依然解消されておらない、今後とも工業再配置の基本的枠組みは堅持する必要があるというのがいまの政府の考え方でございます。  ただ、しかしながら、国土庁におかれましても、工業等の全国的再配置という同法の基本的枠組みは保ちながらも、法制定後の大都市における経済社会環境の変化等を踏まえまして、これらの要望に対する対応策の必要性等について目下調査検討を進めておられる由聞いております。  通産省といたしましても中小企業者の御意見、御要望もよく理解できますので、必要に応じて関係者とも協議し、このような意見については国土庁なり建設省にお話をいたしたいと考えているところでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 それでは大臣には一番最後に伺うとして、もう一遍一口でお伺いすると、つまり緩和という言葉になるかどうか、何らかの手を打たなければならないという事情もあるということですか。

勝谷保中小企業庁長官

○勝谷説明員 データをお示しのとおりに、そういう環境変化が現実に見られるということでございます。その環境変化を背景に要望があるということでございますので、この要望を十分検討いたしまして、つかさつかさで相談をいたすということでございます。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 問題をしぼりますが、たとえば私のところの京浜島、昭和島というふうに公害工業団地と呼ばれるものをつくって密集市街地から工場が出た。こういうところでいま新たな問題が起きているわけです。かつては町工場の作業環境というのは、平均二十平米に機械一台、従業員一名というのがスタンダードだったわけです。ところがこのごろは、機械設備の内容の変化、たとえば、以前は材料を機械に供給する場合は手でやっていた。これが現在では供給機械と加工機械を連動させるトランスファー加工あるいはNCによる連動加工あるいははやってきているロボット加工、こういうことになって、作業場における機械の一台当たりの面積が、いま平均四十平米から五十平米になっているわけです。非常に広い専有面積が必要となっているのですが、反面従業員数は、機械一台当たり一人としての対作業場面積比率が減少している。こういうわけで、ますます今後機械の自動化が進むということになると、機械の専有面積は広くなって従業員が減少する、こういうことになりますね。これはさっき申し上げた中小企業における雇用面の問題にもなっているわけですが、いずれにしても、こういう状況の中で中小工場の作業基準面積というのが五百平米に抑えられている。これは四十七年の九月に工業制限法が改正になって、八業種以外はだめだと千平米から五百平米に制限されているわけです。その五百平米のところで公害工業団地ができていて、それが機械の革新、単位面積の変化という中で非常に苦しい問題が起きているわけです。これはそのまま失業問題にもなるし、その根本における経営不振問題になっていく。だからいまこれを何とか考えなければいけない。  そこで一番最初の問題に戻るけれども、制限地域の中でも工業専用地域ということになれば、ここではそれなりの対応が出てくるのではないかというのが問題の一つですね。  そこで私の提案を言いますけれども、四十七年九月の政令第三三六号別表の(一)、(二)、いまこうなっていますけれども、ここの工業専用地域、ああいう京浜島、昭和島という公害工業団地のようなところでは、五百平米という制限をもとに戻すということを検討すべきではないか。これはどうお考えですか。

金湖恒隆国土庁大都市圏整備局総務課長

○金湖説明員 先生御指摘のように、三十四年に始まりまして四十七年はさらに強化するという方向、それ以来いわば強化という方向はとっておりません。  それで御指摘の中の一点は、事業の実態が大分変わってきたじゃないかというお話、四十七年段階で見まして、先生御承知のとおりいろいろな、たとえば除外業種とか緩和業種がございます。あるいは新増設の一件一件の審査による例外認可みたいなものがございます。これらは五百平米自体は基本的な枠組みでございまして、なかなか旗をおろすわけにはいかぬだろうと思いますけれども、そういうふうに事態が変わってきたのに伴いまして、そういったような運用につきましては工夫する余地はあろうかと思いまして、これは公共団体が、商工を担当される部門、それから人口政策を担当される部門でいろいろと意見がございまして、公共団体自体の御意見としてはなかなかまとまらなかったわけですけれども、最近たとえば神奈川県自体は、それらを踏まえまして、いわばその辺の見直しはどうだろうかというような状態になってまいりましたので、関係の公共団体ともいろいろ御相談いたしまして調査を早急にやりたいというつもりでおります。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 効果的に、有機的に何かやりたいというふうに言ってくれたので一つ前進ですが、もともと別表によりますと、精米業あるいは生めん、豆腐、こういうのはいいというわけですね。だからそれを考えれば、少なくとも専用地域における若干の対応策というのが何かあるべきだというふうにお考えになっていると考えていいですね。  そうしますともう一歩具体的な提案をしますけれども、平面面積として五百平米を千平米に戻せということはなかなかむずかしかろうといまおっしゃった。しかしこれを、建築基準法の問題は多少あるかもしれないが、その許容範囲であるならば立体的に改善する、つまり、延べ面積では五百平米の制限を超えるというような検討方法があるべきだと思うのですが、いかがですか。

金湖恒隆国土庁大都市圏整備局総務課長

○金湖説明員 先生御承知のとおり、近畿と首都圏ではちょっと規制の態様が異なっております。近畿は規制業種、除外業種と違いますけれども、四段階に分けまして、業種に応じてやっているということもございます。首都圏も二段階にはなっておりますけれども、これは例外業種みたいな扱いでございます。その辺につきましても、業種自体は緩和とか規制とかいう既成概念で進むのではなくて、実態に応じて運用面でいろいろございますので……

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 ぼくの延べ面積の提案はどうですか。

金湖恒隆国土庁大都市圏整備局総務課長

○金湖説明員 五百を千にしなさい――工場制限区域のことかもわかりませんけれども、五百を千にしないということは――五百を一定の地域では千にしなさいという基本的な措置をいじることは、これは過密防止という旗印のもとでのいわば象徴的な数字でございますので、なかなかむずかしかろうと思います。いまの制度自体は延べ面積でやっておりますので、なかなか延べ面積自体の枠を外すわけにはいかぬと思いますけれども、実際上は、いま申し上げましたように何段階かございますから、その産業一般の話ではなくて業種に応じての話、あるいは操業形態の変化に応じての話だろうと思いますので、その辺については実態をよく見詰めた上、各省とも相談いたしたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 そうすると、別表を見直すことも一ある、あるいは何らかの対応をするということですか。

金湖恒隆国土庁大都市圏整備局総務課長

○金湖説明員 別表の業種につきましては、事態に応じまして先ほど先生の御指摘のような点を勉強したいと思います。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 では最後に。  大臣お聞きのとおりでして、環境庁なり建設省なり国土庁なり、多岐にわたるわけですね。それはそれぞれの価値観なり行政目的はあると思うのです。どちらに偏るということはむずかしい問題とは思うけれども、一方に環境保全の問題があり、一方に産業活力の問題がある。それが二十年間に半分も流出する、しかもそれが中小に集中しているということになると、この辺のところは、通産行政から見れば、これをどういうふうに調整していかなければならないかという問題はあるわけですね。通産大臣は中小企業育成の側に立ってどうするかという点について、哲学の面、政策の面からまとめてお伺いしたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 中小企業者が日本の産業構造あるいは製造業の大きな中心、バックボーンをなしておりますし、ひいては中産階級の安定、中産階級の安定こそギリシャ、ローマ時代から政治、経済、文化の安定につながっているわけで、日本の社会、政治、経済が安定しているのは、中小企業者が非常に多くて、しかもそれが非常に大きな役割りを果たしているということを考えておるわけです。したがって、環境問題も必要でございますが、中小企業者の立場に立って物事を考えるということもそれ以上に必要じゃないかというように考えております。  私ども、最近テクノポリスという一つの考えを持っておりまして、これを今回全国で二十地域指定しました。そのうちに、基礎計画から今度は実施計画ということで八地域を指定しておるわけでございますが、これなども一つの環境と、しかもテクノポリス、つまりテクノロジー、先端複合産業なども含めましたポリス、都市をつくろうということ、これは主として中小企業者がその中にずっといくわけでございまして、川崎市などその先鞭をつけておるわけでございますが、そのように私どもは中小企業がいかに環境とうまくやっていくか、そして中小企業がぐんぐん育っていくかということの考えの一つでございますが、そのような考えを将来とも延長してまいりたいというふうに思っております。

上田哲日本社会党

○上田(哲)委員 もう一言だけ。  さまざまな行政目的の追求はあるべきだと思いますが、きょう通産省を中心にお伺いしたのは、やはり大臣も何遍も申されたように、日本の産業構造の重要な要素である中小企業がいろいろ直面している緊急課題、その中では環境保全ということを大事にしなければならぬことは言うまでもないけれども、通産省の側からは中小企業の育成、発展の任務がある。壁にぶつかっている壁は取り除いてやるという方向で努力していただきたいというふうに考えるし、また大臣もその決意を表明されたというふうに理解をいたします。  問題を今後に残しますが、終わります。  ありがとうございました。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 春田重昭君。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 私は、きょうは石油問題とそれから中小企業の対策の問題にしぼって質問していきたいと思いますが、まず最初に、若干午前中の質問ともダブると思いますが、IJPCの問題につきまして確認していきたいと思うわけでございます。  午前、午後の大臣のあの答弁からいたしまして、現在このイラン石化事業というものは中断している。その原因はイラン・イラク戦争、またイランの内乱である、こういう答弁があったわけでございまして一いわば相手側、イラン側の態度待ち、こうなっておるわけでございます。それで、イラン側の交渉団も八月の末に来日する予定だったのが、イランの内乱によってまだ来ていない、実現されていない、こういう状況なんですね。そういう点で、いまだいまかいまかとお待ちになっていると思うのですが、こちらからイランの交渉団の訪日の打診というものはされたわけですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 私が通産大臣になりまして、たびたびこちらの駐日イラン大使ともお会いしてその話も申し上げると同時に、実は手紙なども出したり、向こうからも行くというような手紙も参りまして、私どもはその点は十分打診したつもりでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 その打診した結果はどうなんですか。確たるいわゆる返事等はないわけですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 つい最近のイランの政変前、政変の後の大統領あるいは首相の死亡というような前までは、いつ行くというようなことまで具体的に言ってきておりましたし、私どももそれを期待しておりました。ところが、政変があって、予定した日本に来るという人が同じポストにどうもいないようなことのような気もします、これは定かではございませんけれども。そういうようなことなどもありまして、私は一応その問題は立ち消えではなくても、同じ人が来るのかどうか、そういうことは現在の段階では定かではないというふうなことは言えると思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 報道では石油相がどうもかわったみたいでございまして、やはり積極的にこちらから働きかけていかなかったら、いつまでも膠着状態が続くのじゃないかと思うのですね。そういう点で、向こうから来るのを待つのも結構でございますけれども、こちらから出かけていくのもいいのじゃないかと思うのですが、この点どうですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 まあ大体考え方は同じで、私も委員御指摘のように、こちらから行くのも手じゃないかというようなことも考えもし、私のことだから実行もしてみたいというふうには思っておりますけれども、御承知のように大統領が死亡したり、首相が死亡したりして、まあ私どもが行くと、笑い話でございますが、行ったら直ちにおまえつかまえられるぞというような冗談もあるような国内の情勢のような気がいたしまして、現在日本の大使もかわりまして、その大使とも連絡をとったり、あるいはその返事を待ったりしておるのが現状でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 民間の私企業であります三井グループはどうも撤退の意向をほのめかしているわけですね。そういう点でこの事業というものはナショナルプロジェクトとして格上げされておるわけですから、政府としてもやはり無関心であってはならないと思うのです。やはり積極的にやっていくべきだ、こう思っておるわけでございます。しかしこうした膠着状態が続いていけば、いつ解決するかわからないわけですから、大臣としましては、どうなんですか、リミットといいますか、要するに三井側としては来年の早々からもう元金の返済が始まるので、早急に結論を出したい、いわゆるもう撤退をしたいという意向を相当前面に出していますね、そういう点で大臣としてはタイムリミットといいますか、どこまで待つのか。要するに来るのを待っておるわけですが、なかなか来ないわけでしょう。これもやはり限度があると思うのですよ。どうでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 向こうから来なくてもこちらから、民間の三井側はこの前七月に行ってまいりまして、その後いろいろなトラブルがあっておるわけでございますけれども、今度賃金とか、あるいはそれに伴う金利の支払い、そういうことが当面問題になるわけです。現実になっておるわけでございますが、こういう点でそろそろ時期が来ておりますが、イラン側がそれを払い込むか払い込まないか、そういうような問題もございまして、そう長く待つ必要はございませんが、まずそういうところから目安をつけていきたいというふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 ということは、年内にはある程度見通しが立つ、こう理解していいですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 これは合弁事業でございまして、こちら側の意思もございますが、やはりイランの石化事業というプラントが八五%できて、現実にそこに備わっておるわけでございます。多少陳腐化した点も一あるかもわかりませんけれども、あと一五%で何とかなるということで、イラン側の非常に強い熱望、まあ政変があって次々に政体が変わっておりますけれども、ホメイニ師というのは厳然としておられるわけですし、あと完成したいという強い意欲を持っている以上、直ちにそんなものは振り捨ててというようなことも、日本の油の状態、それから湾岸諸国のいろいろな、複雑ではございますけれども、そういう国々もじっと見ておりますし、これが単に日イ両国だけの問題かどうかということもこれは問題でございますし、いろいろなことを勘案して、そんなに長くは待てませんけれども、三井側も表面は別でございますが、裏でかなりのいろいろな動きもしているようでございますし、日本の新しくかわった高橋大使も実は活発に動いております、そういう総合的な情報を得て、そして総合的判断を下さなければならない。ともあれ、三井側の動きを中心に見守っておる現実でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 時間がございませんので、次に進みます。  次は石油問題でございますけれども、八月にOPECのジュネーブ石油相会議があったわけですね。さらに十二月にはアブダビの総会が予定されておりますけれども、この総会を通しまして、課題となっておりますOPECの石油価格、また統一価格の問題、石油の生産のいわゆる見通し、通産省はどんな認識をなさっているか、簡単にお答えいただきたいと思います。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 御承知のように、八月のジュネーブの石油相会議では、価格の統一問題というのが中心議題になったわけでございますが、結局合意が得られなかったということでございます。ただ、今後一体どういうことになるかということでございますが、これは非常にむずかしいわけですけれども、この石油相会議の席上、やはり価格の統一という方向で各国が議論したということ、これは事実だろうと思います。しかし、最終的にその価格の水準というものについて合意ができなかった。いっときイラクが三十五ドルという妥協案を出したという話も伝えられておりますが、結局水準について意見が対立したということで合意が得られなかったわけでございます。したがいまして、後、十二月にアブダビ総会が開かれて、そこで多分再度議論がされるのであろうと思いますが、その前にも開こうというような動きがございまして、価格統一へ向けての動きというのはかなり活発じゃないかと思います。ただ、統一されるかどうかにつきましては、生産水準をどうするかという点も含めていろいろ各国利害が一致いたしておりませんので、ちょっといま現在私どももどちらかということを言うのはむずかしいかと思っております。したがいまして、もう一つの生産水準あるいは需要の問題につきましても、この石油相会議の後、九月からサウジが百万バレル減産をするということを発表いたしております。ただ、いま御承知のように五十五億バレルと言われる世界的な原油在庫、そのうちの五億バレルくらいは過剰ではないかと一般的に言われておりまして、いま現在在庫の取り崩しが行われているかどうかにつきましていろいろな議論がございますが、多分在庫の取り崩しが行われているのであろうというふうに思われております。ただ、それでもまだ当面は特に大きな変化がない限り需給は緩い状態で続くのではないか。もちろんその前提としましてサウジが百万バレル以上の大幅な減産をやらないとか、あるいはイラン、イラクの紛争がいま以上に激化してあそこから出ている油がとまるということがないとか、いろいろな前提条件がございますが、そういうものに変化がないと仮定しますと、当面需給は緩んだ状態ではないかというふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 OPECの政府公式販売価格ですね、穏健、中間、強硬派ということで価格体系が違うわけでございますけれども、これは現在どうなっていますか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 昨年の十二月にOPECのバリ島の総会がございまして、そこで三段階の価格方式が合意されております。これは一番低いアラビアン・ライトがバレル当たり三十二ドルでございます。それからみなし基準原油価格と申しておりますが、これが三十六ドルでございまして、これは大体湾岸諸国がこのラインにございます。それから一番高いのがOPEC原油の最高価格、これが四十一ドルとなっておりまして、これは主としてアフリカ諸国が四十ドルから四十一ドルの値段をつけております。三つの方式が現在存在いたしております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 部長の先ほどの答弁でも、十二月の定例総会前に臨時の会議が開かれるような御答弁がございましたけれども、そういうニュースはお聞きになっているのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 実は二つの相反する情報が入っておりまして、一つは、早急に開いて先般の石油相会議の後何とか統一にこぎつけたいという意見、もう一つは、いまの段階では多分そういう会合にはサウジアラビアが参加しないであろうという情報、両方ございますので、いま私どもどちらが確実かということはちょっと言えない段階でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 こうしたOPECの統一価格が不可能だったことによってわが国の石油業界も非常に苦しい状況に追い込まれているというのが現況じゃないかと思うのですね。特に非アラムコ系の高い原油を購入している石油業界にとりましては、ますますアンバランスになりまして経営不振になっている、こういう状況でございます。このアラムコ系と非アラムコ系のアンバランスを解消するために、午前中も質問がございました標準額の設定の問題ですね、これが石油審議会でもかなり討議されたみたいでございますけれども、通産省としての御見解を簡単で結構でございますからお伺いしたいと思います。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 標準額は御承知のように、石油業法の十五条に基づきまして石油の安定供給のために通産大臣が発動するものでございますが、私どもといたしましては、基本的には価格に対する行政介入は好ましくない、これが基本原則でございます。ただ石油審議会でも御議論ございましたが、いまの石油業界の状況というのは非常に困難な状況でございまして、私どもの試算によりますと業界全体で一カ月当たり約一千億円程度の赤字が発生しているのではないかというような調査もございます。非アラムコ系の多くの部分が九月決算で債務超過になる可能性もあるという状態でございます。したがいまして標準額を発動する要件はあるという判断は一応はいたしております。ただ石油審議会における議論も、確かに石油産業は非常に困難な状況にあるけれども価格介入は好ましくないので、まず需給を適正化することによってコストが回収できるような状態をつくるべきである、これが第一の原則だということでございまして、先般開かれました石油審議会の石油部会では、標準額の発動の準備は行うけれどもしかし事態を慎重に見守って最終判断は若干延ばすべきだというのが結論でございまして、事態を見守ると申しますのは、現在生産調整によりまして需給適正化をいたしておりますその状況、それから八月の値上がりの状況、あるいは為替レートの動き、それからいま申しましたOPECの動き、こういうものを見ながら最終判断をするべきであるという結論になっておりまして、次回の審議会部会が十六日に開かれることになっておりますので、そこに中立委員から成る小委員会から最近の情勢を踏まえての標準額発動についての最終判断が示される、こういうことになっておりますので、私どもはその判断を踏まえて最終的な結論を出したい、かように考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 標準額の設定につきましては条件があるということで、四点お挙げになりましたね。一つは、業界の減産指導がどこまでいっているか、二点が、要するに円の動向、この問題がある、三点目が、春と八月上げました石油価格がどこまで浸透していくか、OPECの問題が四点、こういうことでございまして、八月二十日が第一回、九月十六日に大体結論が出るということでございますが、部長個人としては、この四つのいわゆる要件が八月二十日と九月十六日の今日におきまして相当変わってきているのじゃないかという話もございましたけれども、個人的見解としてはどうでしょうか、標準額の設定という発動は二十日の日に出たわけでございますけれども、十六日の時点ではどのようになろうとお考えになっておるのか、個人的見解で結構ですから言ってください。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 どうも個人的見解と申しますとなかなかむずかしゅうございますが、通産省といたしましては、大臣の御指示もありまして価格の介入は好ましくないという基本原則を持っております。それで、いまの四つの条件がいまどんな状態にあるかと申しますと、一つは生産調整の効果はかなりあらわれてきていて、在庫調整もかなり進んでいるという判断をいたしております。  それから値上げの浸透状況につきましては実は油種間で若干のアンバランスがございますが、まあまあかなり浸透しておると思います。ただ先ほど先生御指摘ありましたようにアラムコ系、非アラムコ系を比べますと、非アラムコ系の方がまだまだ黒字になるにはほど遠い状態でございまして、全体としてはまだちょっと不十分かなというような感じがいたします。  それから為替レートにつきましては、八月値上げのときに前提になりましたのが二百二十八、九円という為替レートが前提になっておりまして、いま現在大体二百三十円がらみで動いておりますのでそう大きな変化がないということでございます。  それからOPECの状況は残念ながら好転をいたしませんでした。こういう判断をいたしますと、いま直ちに標準額を発動するという状態ではないけれども、やめたというところまで改善をしてないというのが正直なところじゃないかと思います。これは個人的と申し上げた方がいいかもしれません。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 九月十六日、審議会が大体一応の報告を出すわけでございますけれども、この答申につきましては通産省としてはどう扱うのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 今回は正式の大臣からの諮問に対する答申ということではございませんけれども、当然のことながらその審議会の意見を尊重して処理するということになるかと思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 もし審議会がこれは標準額設定を発動すべきだとなれば、これは最終的なしわ寄せが消費者になってくるわけですね。昨年の九月の石油業界の決算期はかなりの黒字を出しているわけです。したがって、私たちもこれは、かなり円高差益というものがあったものですから、還元しろということでずいぶん要求したわけでございますけれども、永山石油連盟の会長は、そうじゃない、これは返すべきじゃない、業界の設備拡張等が必要でございますし、また円安になった段階で上げたら大変でございますからということで、差益還元がなかったわけですよ。ところが、円安になったからといって値段を上げてくれというのはどうも筋が合わない、こういう結果になろうと思うのですね。そういう点では通産省の慎重な配慮がやはり必要だろう、最終的に一番弱い消費者の方にかかってくるわけですから。そういう点の配慮をひとつよろしくお願いしたい、こう思っているわけでございます。  そこで、午前中も質問ございましたけれども、石油価格というのは為替の動向といいますか円相場の動向に非常に大きく影響されるわけですね。聞くところによりますと、石油の輸入代金が月一兆円ですか。したがって、一〇%円安で一千億円のマイナス、一〇%の円高で一千億円の利益になるわけでございまして、相当為替というのは大事になってくるわけです。そういう点で、この審議会でもいろいろ出ておりますけれども、為替リスク対策というものがやはり必要になってくるということで抱えております。十月末ぐらいに大体この結論を出すということになっておりますけれども、その中で、差益が出たときの金で、そっくり税金に持っていかれるのじゃなくして、一番可能性が強いのは準備金制度じゃないかと私も思うのですね。大蔵省は税金が減収になりますから反対するかもしれませんけれども、やはりこの為替リスク対策というのは石油業界においてはやはり相当大事になってまいりますので、この点もやはり真剣に考える必要があるのじゃないかと私は思うのですが、通産省としてはどうですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 御指摘のとおり、石油産業における為替リスクが非常に大きなものでございまして、一カ月いま支払いが一兆円ございますが、ドルで大体五十億ドル前後でございますので、十円動きますと五百億円の差が出るということで、これでは企業自体の合理化をしても余り意味がないという極論まであるほど大きゅうございます。そこで、石油審議会でも中長期対策の一環としてぜひ為替問題に取り組むべきであるということで、実は本日、第一回の為替リスク対策のワーキンググループが開かれておりまして、これはエネルギー経済研究所の所長の生田先生が座長におなりになりまして、石油業界それから金融機関、日銀にもオブザーバーでお入りいただきまして、いまから検討を始めることになっております。中身はこれからでございますが、御指摘の為替変動準備金も検討対象になっておりまして、そのほか為替の先物の予約ですとかそれから円金融、いまドルユーザンス使っておりまして、これを早目に円金融に振りかえるような手段とか、この三つぐらいが中心になっておりまして、早急に議論いたしまして、できれば十月末までに議論いたしまして、必要があれば来年度予算に反映させるということで検討を進めてまいる予定でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 次に、石油問題の第三点といたしまして、業界再編の問題をお尋ねしてまいりたいと思います。  この業界再編というものは古くて新しい論議でございまして、再び火がついてきているような感じがするわけでございます。この業界再編につきまして通産省の基本的なお考えをお尋ねしたいと思うのです。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 再編成と申しますと企業の集約化というような問題になるかと思いますが、現在の日本の経済体制におきまして企業と企業を合併させるというような問題を政府が自分で強制するというようなことはとてもできないことだと思っております。ただ、石油各社も現在のような過当競争の体質を放置しておいたのではまたいまのような危機を将来も招くおそれがあるという点に関しては石油業界の首脳も見解は一致しておるようでございますが、各論となりますとなかなかむずかしいかと思います。そこで石油審議会の中に小委員会を置きまして、これが各社の首脳との話し合いを通じながら何か年末までにそういう石油産業の体質強化の方策を探るということになっておりまして、九月の下旬ごろからその作業に入る予定でございます。通産省としましては、やはり政府がみずから業界に対して企業の合併を指示するというのは好ましくないと思っておりますので、こういう環境を踏まえて、石油企業がみずからの石油の安定供給という責任を踏まえて自主的に体質強化に進むということが望ましいと考えておりまして、そういう方向の動きに対して私どももあらゆる援助、支援をしていく、こういうふうにしたいと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 八月の石油審議会の小委員会でも、元売り企業が相当多いということで中間報告が出ておりますけれども、元売り会社というのは専業だけ見れば五社ですね。それから精製と元売り兼業で十三社でございます。これに比べて精製専業は二十二社ありまして、これに元売り兼業も含めますと三十九社あるわけです。審議会では元売り会社のそういう形の整理合理化というものが焦点が当たっておりますけれども、むしろ精製会社の方が多いという意見もあるわけですね。こういう点では通産省としてはどうお考えになっておりますか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 確かに石油産業の体制全体を考えますときには元売りそれから精製専業も含めて考えるべきであろうかと思います。ただ、その中で特に過当競争体質があらわれておりますのが何といいましても元売り十三社の部分にあるというふうに思いますので、まずこの元売り十三社の体制を整備するという方向でいくことによって、それと関連をする精製企業につきましてもおのずから一つの整備の方向が出るのではないかというふうに考えておりますので、両方をひっくるめて石油産業全体の体質改善を考えていきたい、かように考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 元売り会社の過当競争の一番端的なあらわれがいわゆるガソリンスタンドですよ。正確な数字かわかりませんけれども、昭和四十五年で約三万七千四百カ所あったと聞いております。昭和五十年が四万六千二百カ所へ昭和五十五年には五万四千百カ所ということで、増加の一途をたどっておるわけです。このガソリンスタンドの増加ということは短期的には消費者サービスという点で非常にいいわけでございますけれども、要するに過当競争でそれがいわゆる石油会社の赤字の原因ということになれば、最終的にはしわ寄せは消費者になってくるわけです。そういう面でも、通産省としては深く介入はできないといっても、行政の指導という面においてはガソリンスタンドの過当競争――私は大阪なんでございますけれども、一号線や国道筋には軒並みあるわけですね。確かに以前は洗車代ということで二、三百円取っておりましたけれども、最近は過当競争で洗車代も要らないということで、なるべくガソリンを買ってほしいということでやっておりますけれども、こうした面もやはり考えていく必要があるのではないかという考え方を持っております。そうしたいわゆる元売り会社に対する指導の中でも、やはり一言通産省としては言うべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 ガソリンスタンドはいま全国に六万軒ほどございまして、最近は揮発油需要が余り増加いたしませんので、販売量も余り変化がない状態で過当競争が繰り返されております。御指摘のように、元売り段階だけの体質強化ではやはり不十分でございまして、ガソリンスタンドについても何らかの手を打つ必要があるということは、確かにそのとおりだと思います。現在、御承知のように、揮発油販売業法に基づきまして登録制がしかれておりまして、余り急激な増加というものが抑えられておりますが、まだまだ地区によっては過当競争等が存在することは事実だと思います。  それで、私どもといたしましては、ガソリンスタンドというのはすべて中小企業でございますので、中小企業の近代化という面から本件を取り上げたいということで、中小企業近代化促進法に基づいて共同化等の事業に取り組んできております。ただ、御指摘のようにまだ不十分であるという感じを抱いておりまして、たまたま今年度末に、近代化促進法の指定がこのスタンドについては切れる時期になりまして、来年度以降どうするかという問題が起こっております。私どもとしては、やはりスタンド業界の構造改善という方向に行くべきではないかというふうに考えておりまして、そういう形で業界の指導を行っておりまして、業界の方もやはり構造改善という方向に行くべきだという感じも起こっておりますので、今後そういう方向で話し合いを続けていきたいというふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 最後に大臣にお尋ねしたいと思うのですが、政府としては昭和四十年、民族系の擁立ということで共石をつくりましたね。御存じのとおり、民族糸というのは非常に高い原油ということで、いま大変な状況になっているわけでございますけれども、こうした中で、先ほどから論議しているような業界再編の問題、まとめて大臣としてはどのようにお考えになっておりますか、お答えをいただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 石油業界はどうしても数が多過ぎまして、三十六社から三十九社くらいと言われておりますけれども、これが為替の変動というようなこと、それから国内の過当競争なども含めまして、やはり常に問題を起こしているわけでございます。したがって、最初これを認可するときに、日本の石油事情というものもございまして、たとえば例でございますが、十万バレルの製造をするところを五万バレル足して十五万くらいにすることが日本の石油事情からしていいのじゃないかという通産省の行政指導が過去にあったと私は思うのです。そういうようなことで、業界もそれに飛びついてこれを拡大した点もございましょうけれども、やはり私どもの責任もあると思います。  したがって、これをどのようにするかということにつきましては、いつかはこれに大きな手術を加えなければならないというふうに私は考えておりますし、こういうときにやはり第一に考えられるのは、いろいろなことをああしてほしい、こうしてほしいというようなことがあるならば、それに見合ってまず自助努力というものが業界にとっては必要であるというふうに考えます。それには、自助努力を具体的にどうするかということはやはり業界の再編成に終局的には結びつくと私は思います。したがって、私どもがいろいろ行政指導で云々ということもございますが、まず業界同士で、非アラムコ系あるいはアラムコ系など含めまして、ある程度の示唆は私ども会うたびにやっておりますし、審議会の答申もその方向にありますし、私は年度内にまず自動的な努力で何かそれに似た具体策が出ることを希望しております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 一般の声としては、通産省は石油業界に甘いのじゃないかという声も出ているわけでございますから、いま大臣おっしゃったように、自助努力ですね。やはり業界自身が、困ったときになるとすぐ政府に泣きついてくる、円高でもうけているときはしこたまいろいろもうける、そういう体質というものを直さぬといけないと思うのですね。そういう点でひとつ業界の甘い体質を排除しながら、最終的にやはり消費者にしわ寄せにならないような行政をとっていただきたい、こう思っておるわけでございます。  石油問題の第四点、最後でございますが、備蓄の問題につきましてお尋ねしてまいりたいと思います。  現在の国家備蓄と民間備蓄の現状を簡単で結構でございますから、数字でもってお示しいただきたいと思います。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 わが国の石油備蓄は二本立てになっておりまして、いま先生御指摘のように、石油備蓄法に基づいて民間石油企業に九十日の備蓄を義務づけております。もう一つは、石油公団によりまして、三千万キロリットルを目標にいたしまして国家備蓄を行おうという、この二本立てになっております。  それで、七月末現在の水準は、民間備蓄が約百八日分、それから国家備蓄が十二日分、合計百二十日分ということになっております。  今後の備蓄の増強につきましては、民間備蓄につきましては五十五年度末に九十日備蓄を達成いたしておりますので、今後この備蓄水準を維持するというところが中心になりますが、国家備蓄につきましては、現在三千万キロリットルを目標にいたしまして備蓄基地の建設を行っておりますので、これを早急に進めたいと思っております。それからこの恒久陸上備蓄基地が完成いたしますまでの間、暫定的に昭和五十三年度からタンカーによる備蓄を実施いたしております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 この三千万キロリットル構想というのは、昭和六十三年ということで間違いございませんか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 そのとおりでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 その達成に自信ございますか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 備蓄基地の建設には諸般の事情が絡まっておりますので、いろいろむずかしい点もございますが、いま現在私どもの進めておりますテンポでいきますと何とかなるのではないかというふうに考えておりまして、鋭意努力をいたしたいと思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 通産省が六月発表いたしました石油供給計画案では、国家備蓄が昭和五十六年で二百五十万、五十七年が二百五十万、五十八年も二百五十万、五十九年、六十年が五百万となっております。この数字は間違いございませんか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 備蓄をどれだけ積み増しするかというのは、実はそのときの情勢に非常に大きく依存いたしますので、たとえば昨年の場合は、イラン・イラク紛争がございましてなかなか問題があったわけですが、現在、六十三年度まで年間二百五十万キロリットルから三百万キロリットルぐらいのテンポで積み増しを行っていきたいというふうに考えております。  本年度は、二百五十万キロリットルにプラス・アルファをしたい。と申しますのは、いま国際的に非常に需給が緩んでおりますので積み増しのチャンスであるということで、できれば二百五十万キロを超えた積み増しを行いたいというふうに思っております。  したがいまして、毎年どれだけを積むかという問題につきましては、一応いま御指摘のような二百五十万から三百万キロリットルを目標にいたしまして、あとはそのときの国際需給状況、あるいは財政事情も勘案する必要があるかと思いますが、そういう形で行われていくかと思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 現在の国家備蓄はすべてタンカー備蓄であるという話がございました。この十二日分というのは量にしてどれくらいなんですか。それで五十六年度には最終このタンカー備蓄は何千万キロリットルになるのか、お答えいただきたいと思います。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 現在、タンカー備蓄は七百八十万キロリットル程度ございます。それで最終的にどこまで持っていくかと申しますのは、これは陸上備蓄基地との関連もございますが、一応私どもは一千万キロリットル程度をタンカー備蓄の目標にいたしまして、それ以降は民間タンクの借り上げ等によって陸上で行ってはいかがかと思っております。これも陸上のタンクの空きぐあい、それからタンカーの利用の可能性のぐあい等によって変動があるかもしれませんが、一応そういう考え方で進んでおります。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 国家備蓄は石油公団が委託されてやっておるわけでございますけれども、きょうは公団の理事の方がお見えになっておりますね、このタンカー備蓄が一千万キロリットル、それ以上はふやさない、これが限度である、こういうことでいいのですか。

江口裕通石油公団理事

○江口参考人 そのとおりで結構でございます。大体私どももいま通産省から御説明のありましたように、ほぼその程度を目標にしてやってまいりたいと考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 現時点で七百八十万トン、それからさらにタンカー備蓄を追加して今年じゅう一千万キロリットル、そういうことですね。そこで、各二百五十万トンの石油国家備蓄をすでにやっております。恒久施設のむつ小川原、苫東、それからもう一カ所、福岡県の白島ですか、これが恒久施設としてあるわけでございますが、いずれにしろ完成するのが五十八年の末から五十九年度、六十年度ですね。ところが五十七年、五十八年の二百五十万トンの各計画でございますけれども、タンカー備蓄は今年度いっぱいで終わりとなれば、五十七年、五十八年はどういう備蓄を実施していくのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 タンカー備蓄につきましては、おのずから限界があるだろうと考えておりますので、いま申し上げましたように一応一千万キロリットル程度が限界かと思っておりますが、情勢によりましてあるいは変化はあるかもしれません。それ以上の問題につきましては、私どもいま考えておりますのは、民間タンクのあいている部分を借り上げて、そこに原油を備蓄するということを検討してみたい、こういうふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 現在あいているのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 現在、実はほぼ満杯に近いような状態でございますが、原油のタンクは大体五千八百万キロリットルぐらいの能力がございまして、会社によりましてまだまだあきのある部分もございます。したがいまして、本年度百万あるいは百五十万程度の分でございますと、まだ空きタンクの利用が可能かと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 先ほど言ったように、五十七年、五十八年が二百五十万、五十九年が五百万でしょう。これはタンカー備蓄がなかったら、民間の余ったタンクに入れるといってもそうないわけでしょう、満杯だという話があったわけですから。この石油供給計画ではこういう形で三千万に持っていく、こういうことでしょう。これはどうも矛盾しませんか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 先ほど申し上げましたように、民間の原油タンク能力はいま五千八百万キロリットルございますので、まだ若干の余裕は会社別のバランスを考えてみますと可能かと思います。それで来年度以降になりますと、いまの長期契約の切れる部分が出てまいりますと、その上に若干の上積みが可能ではないかと思っております。  それから五十八年度になりますと、一部国家備蓄のタンクの完成もございまして、そちらへも移しかえが可能ではないかと思っておりますので、特に大きな事情の変化がない限り、毎年二百五十万から三百万の積み増しは可能ではないかというふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 若干の積み増しはできるとしても、その二百五十万とかいう量を民間の余ったタンクに備蓄することはちょっと不可能じゃないのですか。その具体的な、いわゆる正確な数字はつかんでいるのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 実は本年の五月に石油会社にアンケート調査をいたしましたが、そのときに賃貸しの利用可能なものは五十六年度に七十万キロリットル。それから五十七年度に百二十万キロリットル程度ということでございました。その後の変化もございますので、いまこのとおりであるか、あるいはこれよりふえているか減っているかということの再調査が必要かと思いますが、ある程度の調達は可能ではないかと考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 ある程度はできたとしても、二百五十万は不可能ですよね。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 まだ最終的な判断をいたしておりませんが、何とか二百五十万は可能になるのではないかと思っておりますが、まだ完全な調査を行っておりません。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 私もいろいろな調査からいったら不可能じゃないかと思うのです。先ほど部長、民間の百八日分は維持しながらという話がございましたから減るということはないわけでございますので、民間の余ったタンクに、二百五十万トン、五十八年も二百五十万トン、合計五百万トンですね、五十八年の後半にむつ小川原が完成するみたいでございますけれども、そう入らないと思うのです。そういう点で石油供給計画案の中の国家備蓄については、たしか三千万キロリットルというのは国家的立場に立ったら必要かもしれませんが、六十三年までと置かないで緩やかな形で国家備蓄をやっていく以外にないのじゃないか、こう考えておるわけでございまして、見直す必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 御承知のように、石油の情勢というのは変化が非常に急激でございまして、私どもとしてはできるだけ早く国家備蓄の体制を整えたいと考えております。もちろん不可能なことはできないわけでございますが、六十三年度までに三千万キロリットルになるように最大限の努力をしたいと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 努力としても、数字的に追っていけば不可能に近いのですよ。  ところで、時間がございませんので次へ行きますけれども、タンカー備蓄でございますが、公団の方お見えになっておりますけれども、大体いつごろまでやるおつもりなんですか。要するに恒久施設ができるまでの一時的な備蓄ということで昭和五十三年から始まったわけです。一時的ということは二、三年が常識じゃないかと思うのです。いつまでやるのですか。

江口裕通石油公団理事

○江口参考人 先ほど御指摘がございましたように、現在むつ小川原、苫東、それからごく最近では白島でございますが、立地決定をいたしまして、さらにむつ小川原、苫東におきましては工事にかかっております。ただ、御存じのように期間を要するものでございますので、先ほど説明がございましたように、五十八年度になりますと約三百万キロリットルくらいが移っていくという勘定になろうかと思います。その後、私どもの見当では五百万あるいは六百万、年度を追ってふえてまいります。したがって、この時点になりますとほぼ移せるということでございますが、それまでの間は御指摘のように若干のむずかしさはございます。元来これは臨時措置といいますか、恒久措置ではございませんし、地元の御了解もそういうことでいただいております。したがって、私どもは考え方といたしましては、極力スピードアップをいたしまして恒久施設をつくりたいと思っておりますけれども、その間は、いま申し上げたような期間においては若干のタンカー備蓄の継続ということはあり得るかもしれない。しかしその点につきましても、なるべくそういうことのないように、陸上施設を利用いたしまして民間の空き分等に保管していただくというような便法は講じてまいりたいと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 通産省が考えておる三千万キロリットルというのは、タンカー備蓄も含めての三千万なんですね。むつ小川原、苫東、白島が完成したとしても、一千七百四十万トンなんですよ。だから、毎年積み増しやっているのですからね。したがって、三千万の体制に持っていこうと思ったら、タンカー備蓄一千万トンをそっくり持っていくわけにはいかないわけです、積み増しが毎年あるわけですから。そういう点では、恒久施設ができたからといってそっくりタンカーのものを移しかえるわけにはいかないわけですね。そういう点で五十九年、六十年というのもちょっとまだ無理じゃないかという感じを持つわけですよ。  ちょっと時間がございませんので進みますけれども、そういう点で、タンカー備蓄というのは相当な経費がかかるわけです。時間がございませんのでこちらで説明いたしますと、昭和五十五年度決算では四百七十七億の総費用がかかっています。このときのタンカー隻数が二十六隻ですから、一隻当たり大体十八億三千五百万かかっているわけですね。したがって、この計算でいきますと昭和五十六年度には、私の計算でいけば大体六百三十億くらいになると思うのですが、昭和五十六年度のタンカー備蓄にかかる総予算というのは大体どのくらいと踏んでいるのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 いま私ちょっと手元に五十五年度の数字しか持ってまいりませんでしたので、これでまいりますと、予算が五百五十億、決算で四百七十七億円になっております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 私の計算ではそれくらいになるわけですね。  そこで最後に大臣、国家備蓄の必要性は私どもわかるのです。大臣も、いま石油がだぶついているから、いまこそ国家備蓄をしていかなければならないという午前中の答弁もあったわけでございますけれども、このタンカー備蓄とは一隻当たり月大体一億五千万、年間十八億かかるわけです。私の計算で合計で六百三十億くらいですね。要するに、三十五隻分のタンカー備蓄費用というのは大体六百三十億くらいかかる。こういうことで、非常に省エネ、代替エネが進む中、また行革という財政再建の中で、むだとは言いませんけれども、大変な額である、こういうことです。  さらに五十七年度以降も、二百五十万トンとして五百万トンという形で国家備蓄の計画案が出ておりますけれども、これも民間備蓄のいわゆる余ったタンクというのはそう期待できないとなれば、先ほども若干タンカー備蓄をせざるを得ないかもしれないという答弁があったのですけれども、そうなればまたこの額がふえてくる、そういうことでタンカー備蓄の費用というものが相当大きなウエートを占めてくる。恒久施設ができた段階では国家備蓄というのはどんどんふやしていく必要がありますけれども、恒久施設ができていくのは大体五十九年くらいからですから、そういう点では五十七年、五十八年の国家備蓄二百五十万、二百五十万についてはそう焦る必要はないのじゃないか。いま石油というのは先ほど言ったように余っているわけですから、早急に備蓄をしなくてもいいのじゃないかという考え方を持っているのですよ。  国家備蓄そのものは必要ですよ、必要でございますけれども、先ほど言ったようにいわゆる行革との絡み、省エネ、代替エネ、そういう絡みの中から言ったら緩やかな形で、私は、三千万の国家備蓄構想はいいのですけれども、達成すべきであるが、昭和六十三年までに性急にやらなければならないということもないのじゃないかという考えを持ちますけれども、この辺の問題は、大きな国家的な体系から立つ立場と現実的な相違、予算との絡みの問題になると思いますけれども、大臣としてはどのようにお考えになりますか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 御承知のように、ただいま事務当局から御説明いたしましたように、現在の民間備蓄、国家備蓄を含めまして百二十日分くらいあるということでございます。まさしくこのように石油がだぶついておる段階でどうかということでございますが、こういう際にこそIEAの会議あたりでもうんと備蓄をしておこうという考え方、またいつ第三次オイルショックというものがあるかもわからないという予測はわが国としてはやっておかなくちゃいけませんということで、備蓄に焦点を合わしているわけでございます。しかし、タンカー備蓄というようなことで用船による支払いというものが私も主観的には非常に膨大で、特定の船会社にこれが偏るというようなこともどうかと思う節もございます。したがってできるだけ、国家備蓄をやるにいたしましても、御承知のように、苫小牧東、むつ小川原、あるいは御指摘の白島、上五島あるいは志布志、その他いろいろそういうところを一日も早く整備いたしまして、長崎の橘湾とかその他いろいろございますけれども、できるだけ早目に基地の備蓄というようなことを心がけて、財政再建ということもございますし、備蓄も適当なコントロールはある程度――備蓄だ、備蓄だと声高く叫んで、それに焦点を合わすことも必要でございますけれども、やはり財政再建という点から支出という面も十分考慮して対処することも必要じゃないかということは考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 それから、環境庁が反対しております鹿児島の志布志湾備蓄、公団としてはこの計画を立てたみたいでございますが、環境庁としては、いわゆる半地下方式だったらいいけれども、地上方式は反対である、こういうことで鯨岡長官も記者会見をしているわけです。これに対して通産省としてはどう考えておるのですか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内説明員 現在フィージビリティースタディーが発表された段階でございますので、今後も地元及び関係省庁と十分話し合いをしながら満足のいく解決策を見出したいと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 中小企業問題について質問する予定でございましたけれども、時間が切迫しましたので一、二点ちょっとお聞きしておきます。  いまの景気の動向というのは底上げをしたということで経企庁は発表しているわけでございますが、まだまだら現象といいますか、構造的不況業種、また中小企業等は大変だということで、一千四百二十四件が七月でも倒産している。その全部が中小企業ということで、大企業は一件も倒産してないわけです。そういう点で、中小企業等はかなり厳しい状況でございます。  そこで九月には総合景気対策を立てるべきであるという意見もあるわけでございますが、一方、財界等は、いま行革をやるべきであって総合景気対策は必要でないという意見も出ておるわけでございますけれども、きょうは経企庁の方がおいでになっておると思いますが、どうお考えになっておるのですか。

海野恒男経済企画庁調整局調整課長

○海野説明員 現在の景気動向につきましては、先生いま御指摘のとおりでございまして、大体全体の景気動向は私どもが当初見込んでおりました政府見通しどおりの成長路線を歩んでいると思いますけれども、その中身を見ますとかなり問題がある。一つは、先般発表されました四―六月期の国民所得統計で見ましても、かなりの部分を外需に依存した成長であったということと、それから、それを受けまして国内需要の拡大テンポが緩やかであるために国内的に非常に業種別あるいは地域別に跛行性がある。特に中小企業と大企業、あるいは中小企業の中でも輸出あるいは外需に関連した企業とそうでない企業との間の跛行性、ばらつきといったものが非常に目立っておるというような状況でありまして、外需に余りにも依存する経済を続けるということは国際的に摩擦を引き起こしやすいわけでございますし、それから跛行性が著しいという状況は国民経済が均衡ある発展をするという観点から非常に望ましくないということでございますので、何らかのいわば是正のための努力がなされなければならないというふうに考えておりますけれども、具体的にどのように対応するかにつきましては現在検討中でありまして、早急に結論を得たいと私どもは考えておる次第でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 中小企業は設備投資というものがやっと上向いてきたような状況なんですね。ところが最近大蔵省が、国債の消化が非常に悪いということで国債の金利を上げるということで、その余波によって当然市中銀行の金利も上がってくるわけでございます。となれば、やっと上向いた中小企業の設備投資の意欲が減退するわけでございますので、そういう点では金利の引き上げというのは慎重に考えるべきだと私は思っているわけでございますけれども、この点、大蔵省がお見えになっておられますけれども、どう考えていますか。簡単でいいです。

鏡味徳房大蔵省銀行局大臣官房企画官

○鏡味説明員 先生の御質問に簡単にお答えするのはなかなかむずかしゅうございますけれども、先生御承知のように、昨年の八月以来金融緩和政策を推し進めてまいりまして、米国等の海外金利の上昇傾向の中でも、何とか市中の貸出金利は前回の金融緩和局面よりも順調な低下を来しているわけでございます。  ただ、先生御高承のように、最近のアメリカ等の海外の高金利というのは各国とも悩んでおりまして、各国も国内景気の観点から言えば金利を下げたいと望んでいるにもかかわらず金利を高目に維持せざるを得ないという局面で、わが国でもそれが一番大きく出ておりますのは債券市況でございまして、債券市況で現在の国債等の債券の発行条件と流通利回りとの間に大きな乖離が出ておりますために、国債もなかなか発行がむずかしくなっている、買い手がないという状態が続きまして、国債につきましては、公募の国債でございますけれども、六月、七月、八月と三カ月も休債を続けざるを得ないというきわめて異常な状態が続いておるわけです。したがいまして、そのような異常な状態を何とか打開して、長期国債がまた正常に発行できるよう、現在その発行方法につきまして検討を開始しているところでございまして、金利は相互に関連いたしますから、国債の金利が仮に上がるというようなことになりますと、民間の金利なんかにも影響が及ぶことはやむを得ない面があろうと思います。  ただ、金融緩和局面の中で、先生も御高承のように、ことしの春にも政府の中小企業向けの貸出金利等については相当な配慮をいたしておりますので、中小企業の現状等政策的な要請なんかも勘案しながら、また民間金利の動向を見ながら、その必要に応じながら貸出金利のことについても検討してまいりたいと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 最後に大臣、九月の総合景気対策は経企庁からは確たる答弁はなかったわけでございますけれども、総合景気対策は必要と考えるかどうか、また個別的なそういう対策でいいと思うかどうか。大臣の御見解を開いて、終わりたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 私どもは中小企業者という膨大な、しかも日本経済にとっても重要な人々を抱えているわけでございまして、倒産件数も非常に多うございますので、景気対策は常に考えなければいけないと思っております。といって、午前中にもお答えしたのですが、妙手というものがないわけです。いままでのような、たとえば個人消費をどう刺激するかというようなことからいろいろな手だてを考えるわけでございますけれども、やはり問題は金利の問題をどうするかというようなことでございます。しかし、これとても一概にそう下げるというような情勢でもないし困っておりますけれども、いずれにしても諸指標をながめて、できるだけ早くいろいろな手を打って中小企業の対策あるいは景気刺激対策を出したいというように考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 終わります。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 中野寛成君。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 幾つか質問を用意いたしておりましたけれども、素材産業のことについてお聞きをしたいと思っておりますが、石油業界の諸問題につきましては同僚議員からの質問もございましたので省略をしたいと思います。関係の方はお帰りいただきまして結構でございます。  それでは質問に入ります。まず、対外援助の問題からお伺いしたいと思うのであります。いまたまたま中国のプラント建設資金供与問題と、それから対韓経済協力問題が並行して話が出ているわけであります。まずこの問題からお伺いをいたしたいと思います。それぞれに日本の経済にとっても、そしてまた外交の問題としても重要な課題である、このように思いますし、そしてそれぞれに前向きに対処していただきたいという考え方を私どもも基本的に持っているわけであります。ただ、そのやり方について若干の質問をしたいと思います。いずれにせよ協力をするわけでありますから、相手側の国及び国民からその協力に対して、正しく理解され、そして感謝をされる、また両国の友好関係に大きく寄与していく、その基本姿勢が必要であろうと思いますし、同時にまた、民間の資金等も活用するわけでありますから、危険性がありとするならばそれを保証する裏づけもやはり事前にきちっと用意しておく、こういうことが必要であろうと思うのであります。これはイラン石化の問題も同じことでありますけれども、同じ観点からお伺いしたいと思います。  さて、中国のプラント建設資金供与問題につきましては、いま自民党二階堂総務会長が訪中されて話をされているようであります。そして、新聞報道によるとその二階堂総務会長の向こうにおける御発言として、自分は政府の代表ではない、与党の一役員にすぎないけれどもというふうに前置きをされながら、しかし今回の三千億に及ぶ資金供与の内容については、それに合わせて吉田大使を通じて中国側に説明がなされ、同時にその説明は、自分の訪中に際して日本政府が慎重に検討した結果であるとお答えになった、こういうふうに報道がなされているわけであります。  さて、その二階堂さんのお立場はどういう立場であるのか。そして外交ルートがきちんと確立されている中でむしろそういう形での説明の仕方をとったのはどういう意味があるのか。これは新聞報道ならずとも国民的な感覚からすれば、一政治家としての二階堂さんの復権を目指したきわめて政治的配慮のにおいの強いやり方ではないか、こういうふうに言われているわけであります。このことについてどのように政府としてお考えであるのか、まずお聞きをしたいと思います。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉説明員 お答え申し上げます。  この問題は御承知のように、去年あるいはことしに入ってからいろいろなやりとりがございまして、また日本国内でもどう対応するか、いろいろなむずかしい議論をずっと続けてきたわけでございます。それで、率直に言いまして、われわれ政府としては一定の線を早く出して、そしてたとえば谷牧副首相においでを願って東京で決着する、そういう方針でまいりました。その方針は現在も変わっておらないわけでございます。ただ、いろいろな経緯がありまして、中国側というのは御承知のように、率直に言いまして、われわれとお互いに座ってこれをこうするとかああするとかというのを、向こうのやり方といいますかお気持ちでなかなかそうしないわけでございます。そこばかとない希望は出しますけれども、ほかの国と違って丁々発止ということがない。むしろ日本側の友人としての気持ちを出してくれ、こういうのがこの件でございました。  しかし、事は重要でございまして、われわれとしても、何とか小出しにしてだめならばまた出すとかいうのも権威のある態度じゃございません。しかし一方、財政事情その他むずかしい事情もございましてぎりぎりの線を出すべきだということでございます。たまたま二階堂先生が行かれるということになりまして、二階堂先生に私もお会いしましたけれども一、二階堂先生としては、迷惑だ、率直に二階堂先生のお話を言いますと、何かおれが行ってやってくるように新聞その他で書かれちゃった、私はそういうつもりで行く気は全くなかったけれども、中国へ行けば日中間の最大の問題だからいろいろな議論が出るだろうということで、向こうに政府の人間じゃないけれども話すという感じもやむを得ないかなというお話でございました。  われわれとしては、こんな言い方は失礼かもしれませんが、まあ打診といいますか、政府間でいきなり出して、谷牧さんが来てうまくいかないということでも困りますし、ある意味ではこんな案をぎりぎり決着で考えているけれども友人としてどうですかという、一種の打診というとちょっと私言葉がいいかどうかわかりませんけれども、気持ちとしてはそういうものとしてお願いしたという感じになっているのだろうと思います。したがいまして、同時に大使からもお話しいただいたし、またこの最終決着はまだ事務的に詰めるところがあると思います。そして詰めて、正式には閣議決定あるいは谷牧さんに来ていただいて基本的な合意というものを政府としては予定しているわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 二階堂さんの方は迷惑だとおっしゃったということであれば、なおさら、政府としての公式の立場からすれば、それをあえてお願いをしたということはやはりおかしいのではないか。中国は中国のやり方があるでしょう。しかし、日本は日本のやり方があるはずであります。そして、われわれ日本の国民的な感覚からすれば、やはり政府が公式の立場で、もちろんそれは事務レベルだとかいろいろなレベルがありますからそれはそれなりの説明の仕方と打診の仕方があるはずであります。それを二階堂さん御本人がおっしゃったようにとかくの憶測を生みやすい時期に、これは政治的な意味ですよ、そしてまた、それを生みやすい人にそれを託すということ、そのことに私どもとしてはやはり不明瞭さを感じざるを得ない。     〔委員長退席、越智(通)委員長代理着席〕 そこの背景に政治的な意味合いというものが含まれたのではないかと考えるのがむしろ至極当然ではなかろうか。役所としてそういうことを思ってないとおっしゃったとしても、そういう背景、憶測を生むであろうことは想像がつくはずであります。ならば、それはそれとしてむしろお避けになる方が賢明であったのではないか。国民の大切なお金を使って行く、そういうときにやはり十分国民感情というものが配慮される、そのことが大事ではなかったかと思うのであります。くどいようですが、もう一回だけお聞きします。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉説明員 先ほど申し上げましたとおり、政府ベースでの正常なといいますか、通常の話し合いのベースはずっといまだ生きておるわけでございます。したがいまして、これをさらに詰めて、東京なりで向こうの責任者に来ていただいてきちっと詰めるということでございまして、一切の全権をお任せしたわけでは当然ございません。  それから、先ほどもるる申しましたように、われわれ事務的にも、四月以降二回ほどチームを送ったり来てもらったりして、いろいろ議論したわけでございます。しかし、さっきちょっと微妙な言い回しをしましたけれども、なかなか中国流のやり方というのがありまして、率直に言ってはっきりしないという面もございました。こういう問題は、ある意味では向こうのトップというものとある程度話をしないとなかなかすっとうまくいかないという面も事務的には感じていました。  そういう意味で、たまたま行かれるということで、一つの打診をしていただこう、あるいは、友人として日本政府はこんな考え方を持っているけれどもいかがかということをひとつお願いしようという気持ちになったわけでございます。  まあ先ほど二階堂先生の言葉として申し上げましたように、二階堂先生としては予期しなかった話のように承っておりますが、われわれとしては、何とか中国と意思を通じたいという気持ちでいっぱいでございまして、ずいぶん時間がかかっていましたので、もうそろそろ決着の時期だという判断もございまして一応お願いしたわけでございます。そういう誤解を招くという御指摘につきましては、二階堂先生その他にもはなはだ申しわけなかったと思いますけれども、事務的には全く他意はなかったということで御了解願いたいと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 余りくどく聞きたくありませんが、内閣改造がうわさされているとき、そして灰色高官からの名誉回復という問題が先般出されていろいろとやられているとき、そういう時期にそういう人をというのは、これはやはりだれが考えてもおかしいと考えるのが通常です。これはまた、政治家ならそのことを十分認識して判断をして対応しなければならないでありましょう。  ゆえに、いまの局長の御答弁はそれはそれとして、政治家の立場から私はあえて大臣に、どうお考えになるか、大臣のお立場を承知の上でお尋ねするのは大変聞きにくうもございますが、やはりこれは聞いておかなければいけないかと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 実は私どもは政府・与党一体という考え方がベースにございまして、二階堂総務会長は私どもの政府をなしておる与党の重要な党三役の一番かなめでございます総務会長でございます。したがって、二階堂総務会長が復権するしないとかいうようなことは私どもにとっては論外でございまして、そういうことは問題なく、もうすでに総務会長という重要な職を占めているわけでございまして、復権とか復権じゃないというような意識とか問題は私どもの頭にはございません。  ただいま若杉局長が説明しておりますように、日本と中国との間は、私もせんだって日中閣僚会議に出席してまいりましたけれども、非常に漠然としたことをいろいろ言うわけでございます。事務当局がここまで来るには、向こうからも幾たびか参りましたし、こちらからも実は行って、いろいろな折衝をした結果、それでもまだはっきり実らないわけでございます。     〔越智(通)委員長代理退席、委員長着席〕 二階堂総務会長は、私どものその他の重要な人たちとも一緒に訪中しているわけでございまして、意向打診ということにつきましてはうってつけの一行だというふうに私どもも思っておりますし、私も、二階堂先生に政府・与党連絡会議で会いまして御苦労さまですと言った程度で、二階堂さんがみずからこの役を買って出たことはなく、私どもも二階堂先生だけではなく、訪中するような重要な人々には、向こうの意向はどうだ一これは与党だけではないのです。野党の重要な人々も向こうに行って、いろいろなことを私どもに言ってまいりますので、そういうものを勘案した結果の結論でございまして、私ども別にこれに他意があったり、あるいは何か違ったものをひん曲げてということじゃなくて、ノーマルな、つまり正常な一つの交渉の一端を二階堂総務会長が担ったものだ。もちろん、正式な結論というものは、私どももいろいろなことを打診いたしました結果、凝集して結論を得なければならないというふうには考えておりますが、いまそのプロセス、その段階の一端であるということを申し上げたわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 ややもすると、この種のことは、行った方の功績であるかのごとく一部でもてはやされたりということがあるわけでありますが、その御苦労は御苦労として、特定のそういうふうな認識でとらまえることがないことを、われわれとしては希望したいと思いますし、同時に、やはりわれわれとしては、冒頭申し上げたような意識をこの種問題に対して時期的に持つということを、われわれなりの感想として申し上げておきたいと思います。  質問の本論に入りたいと思いますが、一月下旬から二月上旬にかけまして、この問題はまず中国から契約破棄の通告があったわけであります。大変驚いたものでございました。その背景となるものは何であったのか、そして、その背景は払拭されたのか。中国側のその後の情勢変化がどのように解決をされて、そして、今後、再び契約が破棄されるというふうな危険性はなくなったのか、その判断についてお伺いいたします。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉説明員 お答えいたします。  御承知のように、中国は、七八年から近代化路線を歩んでまいりまして、財政赤字あるいはインフレ、エネルギーその他原料のアンバランスという問題が進行いたしました。そして、かたがた大プロジェクト中心といいますか重化学工業中心といいますか、それに対して、国民の側あるいはある種の経済官僚の側から、生活物資中心といいますか、あるいはもっと懐妊期間も短い軽工業をして、輸出をかせぐとかそういう議論がずっと出てまいりまして、これを一言で言えば、調整政策と言われているわけでございます。背景はそういうものの一環だと、われわれは理解をいたしております。  しかし、同時に、先生御承知のように、それでは全部やめちゃうかというわけではないはずで、たとえば、石油化学のある部門は化学繊維とかあるいはいろいろな家庭用の消費材料とか、そういう国民生活に直結するものも相当この化学プラントといいますか石化プラントは含んでおりますし、また鉄鋼についても中国の近代化上、しょせんどうしても必要なものだという判断もございまして、いろいろ調整した結果、基本はある程度軽工業的なものにくるけれども、どうしても緊急に必要なものについてはできるだけ早くやりたい、こういう気持ちになったわけでございまして、その結果、向こうから南京と大慶と宝山については日本から借款を欲しい、こういう希望がございました。  これはやはりいろいろな議論が中にあるわけで、われわれも多少それを問題として途中で議論をいたしました。また揺り戻しが来たらどうなるのだろうか、しかしながら、これは鄧小平路線といいますか新しい指導部の国務院でいろいろな議論、はっきり言いまして、鄧小平派の中にも調整派もあり、こういう大プロジェクトは一部推進派もあるようですが、いろいろな議論があって、国務院で最終決定をした上の結論だとわれわれは聞いておりますので、神様でない私たち、一〇〇%揺り戻しがまたないかと言われると、一〇〇%ありませんと言い切ることはできませんけれども、現在の中国の指導体制のもとではきちっと正式な議論を得て決まったものでございますので、揺り戻しはもうないというふうに信じておるところでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 いまの御説明の背景とあわせてもう一つは、余りにも中国が安易に契約を破棄してきたのではないか。もちろん、中国は中国で慎重に検討されたであろうけれども、われわれサイドの受けとめ方はそういう印象でありました。その背景の一つに、中国の国際貿易に対する認識、ルールに対する認識の不足というものがあったのではないのか。こういう契約の破棄をすれば相手国にどういう迷惑をかけ、また企業にどういう迷惑をかけ、そしてそれが悪くすれば輸出保険の関係にまで絡んでき、それが適用されれば再びそことの交易ができない状態が生まれてくる、いろいろな最悪の状態をも含めて、そういう制度、システムになっているのだということの認識不足があったのではないのかということが考えられるわけであります。また、このことはそれなりに取りざたをされたわけであります。そのようなことについて、向こうが相変わらず認識が不足しているとすれば、またいろいろな情勢の変化だとか、そういうもので契約を破棄してくるということになりかねない。そういうことを含めての説明なり説得なりがなされたのかどうか、こういう面についてはいかがでしょうか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉説明員 お答え申し上げます。  率直に申しまして、先生御指摘の面があることは否めませんし、そのとおりの面があると思います。これはただ単にこのプラント問題に限りませんで、いろいろなものの売買とか何かで、国際貿易といいますか国際貿易の常識的な面からすると、ちょっと首をかしげざるを得ないというのも従来からあったわけでございます。さような意味で、われわれも接触いたしますときにそういう点は随時指摘しておりまして、向こうはよくわかってきております。  今回も、御承知のように、当初一方的破棄として、お金は払わないというようなニュアンスが最初伝わってきました。るる折衝し、向こうにいろいろな国際貿易といいますか国際的な慣習というものを御説明いたしまして、そして先生御承知のように、結果としては日本に一切の損害はかけないというふうに話がついたわけでございます。これは中国側としては、先生御指摘のいろいろな面において、そういう面をまだ完全に払拭したとは私は見ておりません。しかし、同時に指導部としては十分気がついているということも承知しております。したがって、ああいう大国ですから時間はかかりましょうけれども、逐次改善していくものと思います。ですから、今後もそういう問題が全く起こらないかと言われると、起こり得る素地は全くないとは言えません。しかし、このプラント問題に関し、また今度の借款問題に関し、そういう事態が起こるということはまずあり得まいというのがわれわれの観測でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 今後とも意思の疎通、それから背景の十分な認識、そういうものについて十分心がけていただき、そして二度と再びこういうあわてるようなことがないように、またこのような協力が本当に日中友好に役に立つように御配慮をいただきたいと思います。  次に、韓国の問題に進んでいきたいと思います。  やはり同じことが言えると思います。同時にまた、韓国側は、この中国との協力のことを横にらみににらみながらこの対韓経済協力問題について判断をし、そしてまた要請しているところであろうと思うのであります。たとえば、金額にいたしましても、五カ年で六十億ドルという韓国側からの要請であります。日本側の常識からすれば、きわめてけた外れの金額であると言われておりますが、一方、中国のこの三千億と比較をいたしますと、何か奇妙に数字づらが合ってこないとも言えないわけであります。というのは、いわゆる韓国が五カ年で六十億ドル、こういうわけですが、その三千億円の方も別に一年でということではないにしても、五カ年で割りますとちょうど十四、五億ドルになるわけですね。一年にしますとそういうことです。それは結局中国の三千億円と合うのであります。  それはそれといたしまして、国の大きさも違いますし、歴史的な背景も違います。それはそれとして別に意味を持ったことではないと思いますけれども、ここで、あすから大臣も御出発だということでありますが、韓国との関係というものは、歴史的な意味でも、われわれとしては十分配慮をしなければならない相手国であると思うのであります。同時にまた、日本と韓国の人たちが会いますと、そこであいさつをする言葉の第一声は何かと言えば、一衣帯水の、こういう表現が出てくるくらいであります。しかし、その中身は、近くて遠い国と言いかえられますように、今日までの関係は決してスムーズなものではなかった、こう申し上げることができると思います。両国に、韓国には反日感情があります。そして、日本には反韓感情があります。しかしその中で、やはり一衣帯水の国として日韓関係というものは大いに充実、発展させなければなりません。そういう意味では、われわれとしては、その金額の無理であるかないかは別にいたしまして、日本としては最大限の誠意をもってこれに対応していくということは必要であろうと思うのであります。そういう意味で、十日から開かれます日韓定期閣僚会議に出席をされます通産大臣として、どのような心構えでこれに臨もうとさ、れておられるのかをお聞きしたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 日韓閣僚会議にあすから出発するわけでございますが、心構えはどうかということでございまして、御指摘のように隣の国でございますし、歴史的にも地理的にも非常に重大な国でございます。したがって、私は幸か不幸か韓国と全く白紙でございますし、いろいろな諸要求についても、新聞とかいろいろなその他の報道、情報で知っております。それから、現在の政体についても私なりに学んでおるわけでございますが、私は、国内で対話とか参加とかいう言葉が必要な時代になっておると同様に、韓国とはやはりひざを交えて対話をしていくというような心持ち、それはひいては相互理解に大きく役立つのじゃないかという気持ちでございまして、期間はわずか三日間でございますが、そういう意味で、私とのカウンターパートの人々とひざを交えて、十分向こうの意見を聞いてまいりたいというふうに考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 外務省にお尋ねをしたいのですけれども、安保絡みで六十億ドル、このようによく言われます。その背景を外務省としてはどのようにお考えになっておられるのだろうかということを聞きたいわけであります。というのは、私は、現在の新聞報道等で読む関係からいいますと、何かけんか腰で経済協力を話をしているのではないかというイメージを受けてしようがないのであります。たとえば、安保絡みであってはむずかしいこと、またそういうことでは日本は経済協力ができないことを、韓国はそれなりに承知をしているはずであります。幾ら韓国の全斗煥体制のもとで、若いテクノクラートが、いわゆる素人であった人たちが急に集まってきたというふうな感じの体制であったとしても、また軍人出身が多かったとしても、それはそれなりのやはり情勢分析、情報分析やいろいろな勉強がなされているはずであります。しかし、あのような主張をしてくるというところに、韓国国民及び韓国政府の歴史的背景やまた国内事情、政府の立場からすれば国民向けのポーズ、そのようなものも必要ではなかったのか。  一方、日本の方はそれをそのまま受けとめて、そしてたとえば外務大臣の御発言のように、それはもう当初からむちゃである、金額、検討の期間、そしてまた安保絡みというその表現もむちゃくちゃなことを言ってくるという印象で受けとめておられる。そして、そういうふうに発言をしておられる。私は、残念ながらそれぞれの国で国内向けのポーズというものが政治や外交にはあるだろう。しかし、お互いの政府同士というものは、それこそ電話一本で、実はこういうことだ、了解してくれよというぐらいに、一衣帯水の間の国柄ならば、その真意というものが十分に説明し合えなければうそだ。日韓関係ではまだそれができていなかった、それは日本外交の一つの責任でもあったというふうに私は思うのであります。  そういう意味で、たとえば今日までの外務大臣の御発言、借りる方がびた一文まけられないとは、それは聞こえませぬとおっしゃったと報道される。しかしそれは一般論だとまた言いわけがされる。しかし、この問題について質問されているときにそういう答えがあったこと、そのことはまた韓国側の神経を逆なでをする。お互いに神経の逆なでをし合いながらこの問題が協議されているのではないか。これではどんな結論が出たって、日本のせっかくの経済協力が韓国国民に感謝をされて受けとめられることはない、このように思うのでありますが、外務省としてどのようにこれらの一連の動きを判断をしておられるのか、そして韓国の背景をどのように分析をしておられるのか、お聞きしたいと思います。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺説明員 お尋ねの件でございますけれども、先生御指摘のとおり、明日から日韓定期閣僚会議、七八年以来最初の会議でございますけれども開かれるわけでございまして、まさに御指摘のような点について論議が交わされることだと思いますので、私から軽々に判断を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  しかし、一般的に申しますと、韓国の方々が、全斗煥大統領がアメリカの記者会見で申しましたように、韓国としては自由陣営のとりでとしての役割りを果たしているという感じを持っているということはそれなりに承知しておりまして、そういう立場から経済大国の日本に協力してほしいという気持ちを持っているということは推測できょうかと思います。  同時に、長い朴政権の後に登場してきた全斗煥政権を担っている人々、新しい世代の方々でございまして、日本との関係で新しい関係をつくりたい、そのときの考え方としてはそういう考え方を基本に持ちたいという気持ちを持っておられるのではないかというように一応推測しているわけでございます。  わが方といたしましては、先生御指摘の点にもございましたように、韓国側から先般の外相会議で提示されました経済協力の金額は非常に大きな金額でございまして、これをベースにお話をしようということは著しく困難であろう、かつ韓国側の主張がたとえば防衛肩がわりというようなことであれば、わが国の政府の方針としてそれについてそのとおりいたしましょうということは不可能であろうというように思います。率直に申しまして日韓間の考え方にはかなりの隔たりがあるということは事実でございますけれども、他方日韓双方とも隣国でございますし一衣帯水でございますから、新しい関係、建設的な関係をつくる第一歩にしたいということであろうかというように思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 私は、言うならば、韓国の場合はある意味では民主主義も含めてまだ建国の過程と言っても過言ではない状態だ、こう思うのであります。しかしまた、歴史的に見て日本がきわめて不幸な歴史をつくった事実もあります。そして、それに対する反日感情というものもあるわけであります。決してわれわれは負い目を感じながらやる必要はないけれども、そこから生まれた日本に対する韓国民の感情と隣国としての友好関係を保つべき大義名分、そしてそれを有効ならしめるための韓国経済の実態に合わせた協力というものがやはり積極的に進められることが必要だろうと思います。  対外援助というのは、私はやはり平和への帰結を求めたものだと思うのであります。韓国に限らず、中国でもそうですし、東南アジアでもそうですし、中東でも同じでありましょう。中には、たとえば石油が欲しいという本音の部分があったりするかもしれません。しかし、行き着くところは、世界の国々の人たちがより豊かな暮らしができるようになり、そのことが平和へつながればわれわれ自身の繁栄にもつながっていく、そこにねらいがある。言うならば、それは総合安全保障の一環であることは言うまでもないと思うのであります。ただ、それをそういうふうにストレートに言うかどうかの違いであろうと思います。でありますから、韓国が言っている言葉は日本向きではないけれども、それはそれとして、彼らの立場として理解をしてあげる、そして、それはある程度そういう形で受けとめ、そしゃくした上で外務省なり外務大臣の発言となっていくということでなければこれらの話はできないのではないでしょうか。どちらかが兄貴だとかどちらかが弟だとかランクをつける必要はないかもしれないけれども、むしろその配慮において兄貴的な配慮というものが必要なのではないだろうか。そういう感じ方を持ちながら私としてはこの日韓定期閣僚会議に臨んでいただきたいし、十分な日本の立場の説明と同時に誠意を示していただきたい、こういう気持ちでおるわけでありますが、通産大臣に改めてお伺いしたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 先ほども答弁申し上げましたように、向こうの言うことを十分聞いて対話というか話し合い、これが相互理解になりますように私ども誠心誠意をもって――もしもお互いにちぐはぐした感情を持っておるならば、かえってそういうものをまず払拭できるいいチャンスではないかと思います。したがって、中野委員御指摘の点も十分踏まえて会談に臨みたいというふうに思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 さて、六十億ドルの要請でありますが、その六十億ドルについて、いわゆる第五次社会経済発展五カ年計画の具体的な事業計画と資金見積もりについても外相会談に付随する実務者会談で説明がなされたと聞くわけであります。その中に安保絡みの内容があったのかどうか。たとえばこういう要請を日本にすると韓国政府が言っても、国内向けにはそれは一つの安保絡みであるような発言をする。それはそれで、国内向けのポーズとしてあり得るだろう。原潜の問題だってアメリカ向けと日本向けの発言を日本政府は現実に使い分けている。いろいろな観点から考えれば、結局内容でその可否を判断をするということが私はこの場合必要ではないだろうかと思うのでありますが、事業計画と資金見積もりの内容は果たしていかなるものであるのか、御答弁いただきたいと思います。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺説明員 お答え申します。  先生御指摘の点につきましては、先般の日韓外相会談が開催された際に実務者レベルで六十億ドルの具体的内容について説明があったのではないかという御指摘でございます。確かに先方からごく予備的な説明と申しますかそれに触れた点はございますけれども、その内容について概括的な説明も受けていないという状況でございます。現在のところ安保絡みのものがあるかないかという御質問であれば、それはないということでございますけれども、確かにそうなのかと言われると、その辺は自信を持ってお答えできないということでございます。  私どもといたしましては、今回の閣僚会議の際、できればまた実務者レベルの会合を開催して、まさにその点について先方の十分な説明を受けたいと期待しております。日程等についてはセットされているというようにはまだ聞いておりませんけれども、私どもの期待としてはそういうように思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 その内容なんですが、今日まではいわゆる総額で要請をされておって、そしてその中身まではもう一つわからぬというような説明が公式にはなされている。そしてそれは国際慣例から言うときわめて非常識なように印象づけられている。しかし、果たしてそうだろうか。私は私なりに調査をしてみました。その八月末の実務者会議では実に五十ページに及ぶ、しかも日本語で書かれた具体的事業計画と資金見積もりが出されていると言われているのであります。それはすでに日本の外務省に入って、そのコピーが各省庁に渡されたという話さえ聞くのであります。通産省もそれに基づいて検討なされているのではないかと私は思ったのでありますが、いまの参事官のお答えでは、どうもそうでないようであります。  その公表がはばかられるのはむしろ韓国側の事情であったように思うのでありますが、その事情も解けたとさえ聞きます。それだとするならば、いっときも早くそういう内容を明らかにし、決して言われるところの安保絡みではない、文字どおり社会経済発展のための内容である――たとえば新聞報道には教育、ダム建設、下水道、公害防除、道路建設等々八項目と書かれている、報道されている。どうして日本政府に、まして事務レベルでさえ提示されていないものが新聞にこうして書かれるのか。単なる憶測ですか。  日本国民の誤解を解き、そして日本国民がこのことに理解を示し、コンセンサスを持った上で、韓国もがんばってくださいよと言ってその経済協力ができる。韓国側にも、日本もいろいろ事情がある中でよくやってくれたと感謝してもらえる、その関係をつくるのが経済協力ではないのですか、今度の定期閣僚会議ではないのですか。どうも私にはその辺についての前向きの姿勢が感じられない。むしろ何かベールに包んで、いかにも危ないものが議題になって、そしてそれがこわごわと論議されるような印象を持たされているような気がしてならないのでありますが、いかがでありますか。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺説明員 先生ただいま御指摘の、韓国側の日本からの経済協力に関する要請の具体的内容に関する文書についてでございますけれども、先生御指摘がありましたように、若干の経緯がございまして、この文書の公表の問題については、率直に申し上げて、先方との間で一切詰め切れてないということでございます。いずれにいたしましても、その点を含めて、明後日からの閣僚会議で検討させていただきたい、かように考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 文書はあったわけです。そして日本で言われているように、総額だけの、そしてきわめて簡単なものだけの要求ではない、きちっとした五十ページにわたる文書で要請がなされているわけです。これに対して日本国内で、向こうの事情とはいえ、何もなかったと言い切ってしまうことはむしろ失礼ではないか。むしろ日本の国民のコンセンサスを得る上で将来そのことはマイナスになっていくのではないのか。だから新聞記事には、何かいろいろ話をして最後には日本政府の努力によってこういうふうにまとまったと、いわゆるその交渉の効果を最大限にPRできるようにするためのテクニックではないかと新聞に書かれるゆえんはやはり私はそこにあるのではないのかという気がしてならないのであります。  むしろわれわれは、その安保絡みの内容はなかったと聞いている。しかし、そのような背景説明を韓国は韓国でするというなら、それは国内事情の問題だ。とするならば、われわれはわれわれとして、やはり日本の国は日本の国にふさわしいやり方でやっていくということが当然必要だろう、こう思うのであります。そのわりに、今日までの御説明はむしろ国民の誤解を生み、そして一部の反韓感情を逆なでするような、そういう発言がなされている。その結果、園田外務大臣は韓国ぎらいだからなあという言葉さえ生まれてくる。外務大臣にそういうレッテルが張られて、それで本当に真の経済協力の話し合いができるのでしょうか。そのようなことを含めて、外交交渉というものはもっと誠意をもって臨んでいく必要がある。ましてそういう前向きの説明がなされたって日本では何の不都合がありますか。私はそういうふうに思いますけれども、外務省と、そして政府の一員としての通産大臣、明日からそのことも含めてぜひ前向きに御論議をいただきたいと私は思うだけに、改めて大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺説明員 御指摘の向こう側の説明の問題でございますけれども、先方の説明に関しては、それを公にするかどうか、それが問題解決に資するかどうかという判断の第一義的なポイントと申しますとあくまで韓国側でございまして、韓国側との間で、これを公表する、しないという話は詰め切れてはおらないという状況でございますので、先生の御指摘の点は承らさせていただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 私は実は五十ページにわたるドキュメントというしろものを読んでもおりませんし、見てもいないのです。私ども閣僚が六人にわたって行くわけでございまして、多分それはそれぞれのパートに分かれた部分がもしもあるとすればあるのではないか。したがってその部分につきましては、あるとすれば、きょうあす行くまでにいろいろレクをやるというようなことにもなっておりますし、そういうことで見るのじゃないかと思いますけれども、いずれにしても私のカウンターパートの向こうの商工――何と言うかわかりませんけれども、そういう人と会って向こうの要求を聞いた上、私なりに対処していきたいと考えます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 もう一度聞きたいと思いますが、安保絡みの問題が要請の中にあるのですか、ないのですか。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺説明員 非常に申しわけないのでございますが、私自身、その文書というものが現実に存在するかどうか、その文書を目にしたことはございませんので、有権的にお答えできないわけでございます。ただ、安保絡みのものがあるともないとも断定的に申し上げられないということだと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 しかし、それが何ページであるかわからぬけれども、あることはむしろ先ほどお認めになったはずです。  それはそれとして、私は時間がありませんから、先ほど来申し上げましたように、どうか、この定期閣僚会議で前向きの論議がなされる、しかしそれには、何のためにこの対韓協力というものが論議されるのか、日韓関係の正しいあり方、新しい日韓関係を形成する、まさに、先ほど御答弁でおっしゃったその第一歩となる効果を発揮するための御努力をお願いしたいと思います。  いろいろお聞きしたいことがありましたが、時間の都合で、外交関係については以上で終わらせていただきます。  次に行きたいと思います。話が変わりますが、最後に一点お聞きしておきたいと思います。先ほど、石油業界の質問が同僚議員から出ておりました。それに関連をいたしまして、素材産業の諸問題について一点お聞きしたいと思います。  現在産業構造審議会で御論議がなされているようであります。素材産業、まさにアルミ、化学肥料等々、いまやそれは瀕死の状態にあると言っても過言ではないと思います。それは、石油やそして電力コストの問題とも決して無関係ではありません。先般「アルミ・化学肥料救済へ 通産、輸入制限を検討」日米間に新たな通商火種が起こるのではないか、こう報道されました。このことについて通産省は今後どのような基本姿勢で臨んでいかれるのか。すなわち素材産業を日本で今後とも残していくのか。または自然死するのを待っていくのか。また、残すとすれば、第二食管制度的なものを考えざるを得ない部分もあるかもしれません。しかしながら基礎資材であるだけに、いろいろな問題はあるでしょうけれども、国民の理解を得ながら、たとえば電力料金の面で配慮を加える等々については、これは国民の理解がなければ、電力料金の認可の問題のときにもいろいろ反発が出てくる。しかしこれらについて十分な説明がなされていないがために、その審議がなされるときには、けしからぬという声が一方で起こってくる。これらの問題があります。私はそういう意味で国民に対して、この素材産業そして基礎資材の重要性を十分説明しながら、やはりこれを残していくその姿勢は当然必要、だろうと思います。しかしこれは、新聞にも書かれておりますように、新たな通商の火種になりかねないきわめて微妙な問題でもあります。産業構造審議会の審議中ではありますけれども、通産省の基本的な態度をお尋ねしておきたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 ただいま御指摘がございましたように、素材産業はエネルギーの価格の上昇等によりまして、いまいろいろ問題を抱えているところでございます。私どもといたしましては、こうした状況にございますので、これらの業種につきまして、御指摘のように、産業構造審議会のいろいろな部会でいま御検討を願っているところでございます。業種によりましてその進みぐあいはかなりまちまちでございますが、たとえばアルミ等につきましては、この秋には中間答申を得たいというふうなことでいまやっているところでございます。これにつきましては、各業種によりましてもいろいろな問題がございますので必ずしも一律でもございませんので、いまこういった業種ごとにそれぞれの部会で検討願っております。それで、そういったところで国民経済上の位置づけとかあるいは産業構造の将来から見て、こういったものをどう取り上げていくのかということ等々を御検討願いまして、その上でそれぞれ対策を打ち出していきたいという構えでいるわけでございます。こういった各業種の検討が産業構造審議会で行われているということ自体が、先ほど御指摘のございました国民に理解を求めるということとも通じるわけでございまして、私どもは、そういったことから将来の日本の産業構造の中におけるこういったものの位置づけを十分各界の人たちに御議論願い、かつ、それを国民にもわかってもらった上でこれらに対処していきたいというふうに考えているわけでございます。目下のところは各業種で検討願っておりまして、こういった各業種の検討が出たところでまた全体の目から見てみるというふうな角度も必要かと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 では、この産構審の結論はいつごろまでにお出しになる予定ですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 現在、たとえばアルミ関係あるいは石油化学、塩ビ等々が審議願っているところでございますが、たとえばアルミにつきましては、この秋じゅうには中間答申を得たいというふうな予定にしておりますし、また、化学工業の関係につきましても十一月ごろには中間的な答申を得たいと考えております。  一方、御承知かと思いますが、紙パルプ問題につきましてはすでに一応の結論をいただきまして、ついせんだって、その設備抑制の指導につきましても部会の了承を得たということになっております。  そのほか何業種かあるわけでございますが、これらにつきましてはなお今後産構審にかけることを準備中のものもございまして、いま必ずしもすべてが一線に並んでいるというわけではございません。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 急務を要する問題だと思いますので、せっかくの御努力をお願いしておきたいと思います。  終わります。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 辻第一君。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 私は、まず最初にいわゆる大店法、スーパーの問題に関して質問をいたします。  まず最初に、五十五年の中小企業の倒産件数、それから負債金額、それから前年比、これについてお尋ねをいたします。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 倒産でございますが、これは負債総額が一千万円以上のものでございますが、五十五年度は一万八千二百十二件になっております。現在総金額につきましてはちょっと手元に資料を用意しておりませんが、件数は一万八千二百十二件でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 五十五年度のいわゆる中小企業白書というのですか、これで見てみますと、負債総額は二兆四千九百六十九億、それで前年比は、件数では一一・五%増、それから負債金額では二九・一河増、こういうふうに理解をしているわけです。  そして、いわゆる中小企業の中を建設業、製造業、商業、サービス業・その他と、このように四つに分類をいたしますと、前年比で建設業は九・五%、製造業は七・四%、商業は一二・五%、サービス業・その他が一九・六%。平均は二・五%なんですが、商業は平均より高い、建設業より、製造業より高いということだと思うのですね。  それから次に、大型店の進出状況についてお尋ねをしたいわけです。  一つは、四十九年に大店法ができるまでの数字、それから四十九年から毎年の数字を教えていただきたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 四十九年までの既存店は千八百十五店になっております。それから五十年度からの届け出でございます。これは第一種大規模店舗の届け出状況でございますが、五十年度が二百八十、五十一年度が二百六十五、五十二年度が三百十八、五十三年度が二百四十三、五十四年度が五百七十六、五十五年度が三百七十一、それから今年度、これは第一・四半期だけでございますが、七十四件でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 それでは大臣にお伺いをしたいのですが、いわゆる中小小売業の現在の業況についての認識をお伺いしたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 まあ全体的な中小企業、それから大店舗小売業、いろいろございますが、小売業は現在大店舗を含めましていろいろなトラブルがあちらこちらにあっておりまして、これは大店舗関係が非常に進出しておるというようなことが問題視されておるというふうな事態の認識をしております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 大臣の御認識としてはもう少しいろいろと話があると思ったのですが、先ほどお尋ねをいたしましたように、中小企業の倒産というのは非常にふえておりますね。しかも、その中でも、卸業も入るのですが、いわゆる商業、小売業が主だと思うのですが、これが一二・五%という前年比の伸びの状況です。それから深刻ないわゆる消費不況という状況の中で大変厳しい状況にある、私はそのような認識でいるのですが、大臣、その認識はいかがでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 もちろんその認識は当たっておりますし、御承知のように中小規模一千万円以上の倒産件数は一月が千三百十三件です。二月が千三百二十七件、三月が千五百九十七件、四月が千四百三十八件、五月が多分千五百四十一件だと思いました。六月が千四百二十三件、それから七月が千四百二十四件です。八月も大体千三百件台のようでございますが、いずれにしても非常に高い倒産件数で、前年同期よりちょっと下がったとしても、いま申し述べましたような倒産件数でございますので、実は非常に頭の痛いことで、私はこれに対してどうしたらいいかということを常日ごろ考えておりまして、どうしても月並みな対策しかないな、しかしそれ以上突き抜けたことは考えられまいかというような考えで毎日いるわけでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 そのような中小商業、大変な状況であるわけでありますが、先ほどお尋ねをいたしましたように、昭和四十九年からでも大変ないわゆる大型スーパーの進出、大規模店の進出という状況であります。中でも、五十四年は五百七十六件という状況であります。ある大手スーパーの副社長がこんなことを言っているのですね。「強い店舗を作るためには、多様な形態の店舗を数多く持ち、情報の確度をより高めなければならぬ。そのためには、店舗数は現在の三けたになったばかりという状態では全く不足だ。四けたを目標に店舗展開を急ぐ」こんなことを言っておるわけであります。本当に大企業の横暴といいましょうか、唯我独尊ともいうべきむちゃな論理であろうというふうに思うわけでありますが、このような論理のもとにどんどんと進出をしてきたというのが現状であろうと思います。  五十三年から五十四年にかけて、奈良市でもほぼ同時という状況で八店も申請をされたということであります。その八店の申請は、八万一千五百二十一平米という申請がされました。中でも奈良市の西部地域、近鉄で学園前、富雄という駅があるのですが、その近辺で約半径二キロのところに三店が新設、一店が増床という届けが出たのであります。この四店のうちの一番遠い端と端とで大体一・四キロ、近いところは三百メートルから七百メートル、こんなことなんですね。この四店で四万九千平米の届け出があったということです。このような大手スーパー、大型店舗の本当に進出ラッシュともいうべき、もっと言えば集中豪雨というような進出がやられようとしたわけですが、これをどういうふうにお考えになるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 奈良のケースはたしか御指摘のように八店が出ておりまして、いろいろとそれが調整されたわけでございますが、仕上がりは約六〇%削減されまして、約八万平米の申請に対しまして認められたのが四割という状況になっております。問題がこういった出店の問題でございますから、非常に地域的にいろいろな差はございますけれども、場所によりまして、特にこういった集中ラッシュと申しましょうか、こういった現象も出ているところがございまして、こういったところがいろいろとまた地元でもトラブルになっているということもあるわけでございます。もちろん、こういった集中ラッシュしなくても別の理由もいろいろございますから一律には申せないのでございますが、先ほど申しましたように、全体的にはいま出店件数は漸減の方向にございます。漸減の方向にございますけれども、やはり商業環境は非常に厳しいものというふうに私どもも受けとめておりまして、今後こういった制度の運用等につきましてどういうふうに持っていくかということを検討しているところでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 どうも私の問いに意識的に外してお答えになったのではないかというふうに思うのですけれども、私は本当に大変なことだと思うのですね。このように奈良市で一度に八店も届け出が出た。しかも奈良市の西部のほんの小さい地域で四店も出たということで、業者は本当に衝撃を受けられました。また地方自治体、県も市も、あるいは商工会議所、商調協もびっくりをされたということだと思うのです。そして、この五十五年一月に、いまおっしゃいましたように事前商調協の結審、平均して六割のカット、八万一千五百二十一平米が三万二千六百平米ということになったわけでありますが、ここまでやられるには商調協もいろいろ御苦労があったと思うわけであります。しかし、六割のカットがあったということですが、それでもなおかつ、たとえば一般新聞には、この事前調整結果で「地元への対応不十分」というような見出しで出ております。また、陳情や意見が反映されないということも大きく書かれておる。そして県議会でも、住民の訴え、そういうものが十分反映されていないというふうなことが議会の中で言われたというようなことであったわけでございます。  私は、その中でいろいろやはり問題点があると思うわけでありますが、まず第一は、最初、第三条の届け出者あるいはスーパーが、地域の小売業者あるいは商店会へのいわゆるあいさつだとか説明だとか、もっと言えば話し合い、こういうものが非常に不十分であったということであります。ごく一部の商店会やあるいは会の幹部の同意を得た、それで十分な話し合いが行われず事が進められた、こういうことです。それで去年、五十五年一月に事前商調協の結審が出て、そしてことしの三月に第五条の申請が出たところがある、それから五月にも出たところがあるようですが、それが、ことしの六月に異議の申立書が出ているのです。それまでもいろいろな反対の声や意見書が出たりあるいは陳情書が出たりというようなことがずっとあったわけでありますが、ことしの六月の段階でもこういう異議の申立書が出ているわけです。ちょっと読んでみますと、  その内の商業者代表及び商議所の指導方法、解決方法、意見調査方法等の進め方、又商調協への具申に対しまして、私達は次の通りの理由により異議が御座います故、本日ここに異議を申立てます。  一、私達は西奈良地区全小売商五百子六店中四百四十四店の反対署名の写しを添えて、ここにお知らせいたします。四百四十四店の商店が集まり、大型店出店反対の結成集会を開き、出来上りました西奈良商店連合会としまして、地元商店の代表としまして、地元商業経営者の中の大多数が反対を致して居ります。この現実に基き商工会議所及び市会、市経済関係者が、本日迄この様な大多数の反対者の意見も聞かず、一度も全商店の意向も調査せず、一部商店会代表者のみの意見が西奈良地区全体の意見の様に審議を進めて、商調協の場で具申して居られた様ですが、私達西奈良地区個々の商店総数四百四十四店舗の経営者は、商工業市担当関係者及び会議所よりの質問も、問い合せも、意見発表の場も一度も受けておらず、この様な西奈良地区の経済をくつがえす様な重大な死活にかかわる経済問題を、いかにも全体の合意を受けての意見とされて居られる現実です。  これに対して、私達西奈良商店連合会は、決議をもちまして異議を申し上げます。もっと親切な誠意のある地区住民に対する行政指導があっても良いものではありませんでしょうか。  二、出店計画の大型店及びデベロッパーに於きましても、私達個々の商店全体に対する説明会、出店趣旨説明、経過等折衝連絡も一度も行われて居りません。一部の人々にのみ話し合いを行っている様ですが、西奈良地区にて営業致して居ります大多数の商店は何もわからず、大型店の横暴きわまるこの強引な態度にただただおびえているだけです。この様な状態が私達の奈良県奈良市にて行われて良いものでしょうか。もっと民主的に公に公表し、特に地元商店には熱心に誠意を持って何度でも地元が納得するまでこの問題に対処するのが、大型店が出店するのについて取るべき態度だと存じます。この点につきましても、大型店の一方的な行為について異議を申し上げます。五条申請をする前に、地元との対話をすべきだったと存じます。  三、大型店が五条申請をするについて地元優先のテナント入店をはかり、募集し、これを優遇するといわれて居りますが、この点につきましても、私達商店連合会より異議が御座います。   私達西奈良商店連合会加入の商店四百四十四店に対しまして、大型店はそのテナント募集について一切公表も致しませずに、一部商人のみとの話し合いにて決定して居り、これが如何にも地元優先の様に見せかけて居りますが、この様な陰の取引方法ではなく、西奈良地区全体に公表し、新聞及びその他公報等により公正に堂々と募集し、この中より業種別に希望者を募り、皆が納得する方法(例えば希望者多数の場合には業種別に抽せん等により順位をきめ、この順位により交渉する等)により入店テナントを募集するのが大型店のつとめだと存じます。これ、長いのですが、こういうふうななにがことしの六月の段階で出ているわけでございます。そして、去る数日前の九月の五日に、五条に対する商調協の結審がされて、五条の届け出どおり認められたわけでありますが、その数日前にも十二の商店会、それからその商店会の有志の人から意見書が出された。いまのこの西奈良の地域の現状からではもっと削減をすべきである、あるいはもう出店をあきらめてほしい、やめてほしいというような、そのような意見書が出ているというのが現状でございます。このような、本当に長い間地元で一生懸命営業されてきた。この地域は大体新興住宅地域でございますから、初め人口がふえない間は本当にどんどん家が建ってくるのを待ってがんばってこられたんですね。やっと家が建ってきて、何とかいけるようになってきたらまた不況というようなこともあります。その上、今度は大型店がどんどんとやってくるということであります。これでは本当にたまったものではない。本当に死活の問題だということであります。  こういう状況があるのですが、このような届け出者、いわゆるスーパー側ですね、あるいは商調協の指導、商工会議所の指導と申しましょうか、そういうものについてどのようにお考えになるのか、お尋ねいたしたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 ただいまのこの奈良のケースを私も具体的に詳しく存じているわけではございませんが、ただいまのお話の中に、どうも説明が足りないのじゃないかとか強引ではないかとかいうふうなお話があったようでございますが、私ども一般的に聞いておりますところでは、出店者側もいわゆる強引にやるとか、それは正直申しますと会社によって多少のニュアンスと申しますか、カラーの違いはあるかもしれませんが、最近聞くところでは、余りまた説明もせずにあるいは強引にやりますと、かえってそれが地元の理解を得られないで非常に調整も難航するとか、完全にデッドロックに乗り上げているところも事実ございますし、あるいはまた調整がいわゆるゼロ査定と申しますか、もうカットというよりも一〇〇%カットというふうなのもかなり出ておりますから、その辺は私は出店者側もできるだけ地元に説明の労は惜しまないというのが最近の一般的な傾向ではないかと思います。しかし先ほど申し上げましたように、この大規模店問題というのはきわめてローカルな、個々のケースによって違いますので一概には申せないのでございますが、一般的には私はそういうふうに思っているわけでございます。  私どももまた、できるだけ地元の理解を得られるように、それから厳正な商調協の調整がなされるようにということで指導しているわけでございまして、今後ともそれは私どもの基本的な姿勢として、そういった方向で行きたいというふうに考えているわけでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 さらに言えば、ある商店街の賛成者は、いわゆる出店者側から二千万円の小切手を入金してもらったんだと、その小切手を見せながら、賛成すればこれが後でもらえるんだというようなことを言いながら賛成者を募る、こういうことをやりました。また、ある商店街では、会長が会員に何も相談しないで賛成をしておった。それから会員が怒ってその会長さんをやめさしたというわけですね。しかし、やめさしても会長をまた名のるということで、後から選ばれた会長さんと裁判ざた、こちらが裁判をして、後からなった人が会長だということを認めさしたというようなこういう大変な社会的な問題まで起こっている、こういうことがあるのですね。本当にいまの出店者側のやることというのはひどいことをやると私は思うわけでありますが、こういうことに対してどのようにお感じになっているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 私どもも、いわゆる金品の授受ということでございましょうか、ただいま何かお話がございましたが……(辻(第)委員「いまのはそういう話で、後でまだお金をもらうとかもらわぬとか、そこは言っていないのですよ。話としてそういう工作があったということ、そういうことなんですけれども」と呼ぶ)いわゆるフェアでないような事柄が横行するということになれば、これはまことに遺憾なことでございますし、私どももそういうことはなくすようにしなければならないと思っておりますし、指導としては十分そういうふうに配慮していきたい、こういうふうに思います。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 いまのは大体小売業者の方を中心に物を申したわけでありますが、これだけじゃなしに、それぞれのところがほとんど大変な交通問題ですね。それは交通の渋滞、騒音あるいは排気ガスの問題、それから静かな住宅地域のところもあるわけですね、そういうところへこういう大型のスーパーがやってくるということになりますと、静かな住宅の環境を破壊をいたします。また、学校に近いところに建つというのもたくさんあるのですね。あるいは消防署の隣に建つとか、病院の近くに建つとか、都市上の問題でもいろいろと問題がある。それから、さっき言いました教育上の問題もあるのですね。  きょうは文部省の方お越しいただいて、どうも御苦労さまです。学校の近くにスーパーができますと、このごろ子供さんが、ことに小学校の子供まで万引きをする。ことに女の子が多いそうでありますが、そういうことをいろいろとたくさん聞いているわけでありますが、どうでしょう、文部省としては、学校の近くに大型店舗、スーパーなどが来るということについて、大変恐縮なんですが、簡単に、もっと言えば好ましいとお考えになっているのか、好ましくないとお考えになっているのか、短くお答えをいただきたい。恐縮ですが、お願いします。

福田昭昌文部省初等中等教育局中学校教育課長

○福田説明員 万引きの問題でございますが、これにつきましては、動機はいろいろあろうかとは思いますが、基本的には、その子供たちがそういう万引きというものをそれほど悪いことと思わないような道徳性の欠如とか、それから何といいますか、自己抑制の乏しさといったようなところに問題があるのだというふうに考えております。したがいまして、学校におきましては、そういう子供たちが非行に走らないように、学校教育全体を通じまして、是非善悪のけじめ、あるいは社会的な規範というものを指導していっておるわけでございますが、もとより学校だけにおきましてすべてこれを防止するということもなかなか困難でございますので、地域の人たちの十分なる協力を得ながらやっていかなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 もっと極端に言えば、好ましい、好ましくない、そういう点ではどうですか。

福田昭昌文部省初等中等教育局中学校教育課長

○福田説明員 万引きにつきましては、ただいま私申し上げましたように、基本的には道徳性の問題とかそういった問題であろうと思いますので、なかなか一概に言いずらい点があろうかと思います。したがって、それは個々のケースの具体のことになってくるわけでございますので、それは具体の地方公共団体等といろいろお話し合いをしていただくしかないのではないかと思っております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 しかし、もっと端的に言えば、好ましくないでしょう。学校の横にスーパーが来ることは好ましいですか。文部省は奨励されますか。

福田昭昌文部省初等中等教育局中学校教育課長

○福田説明員 スーパーが来るのがいいのか悪いのかというのは、ちょっとこれは別でございまして、確かにそれは店屋があれば非行の子供がどうしてもその場に行くというようなこともあろうかと思います。したがいまして、そういうことがないように、商店を含めて、いろんな人たちの協力を得て防止をしなければいけないということは重重御指摘のとおりであろうかと思います。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 前に私どもの同僚が質問をされたときに、好ましくないというような表現をはっきりされているのです。  それでさっきも言いましたように、この大店法は、中小の小売業者の保護ということについて、消費者の利益の保護ということも、無論小売商の近代化というようなことも非常にかかわっているわけでありますが、小売業の保護ということが一番の紐帯になっているということはよく存じておるわけでありますけれども、いま申しましたような交通上の問題あるいは都市計画の問題あるいは教育上の問題、大変な状況があるわけであります。  一例を申しますと、中山町にあるパークサイドセンターというのは、ここは事前調整で六〇%カットされて、三千五百平米、駐車場も二百二十台ということでありますが、この予定地の両側は――両側というのは、周辺はやはり静かな住宅地域でありまして、南側というのは二千六百戸ほどある住宅公団なんですね。その住宅公団の真ん中をいわゆる市道、都市計画道路が通って、奈良でも有数な、こっちの西部では有数なメーンな道路になっているわけであります。一日の自動車――バスだけでも二百九本走りますし、大体日曜も平日も七千台くらいの車が走るのですね。そこの途中にスーパーができるということですが、これができますと、交通渋滞はもう目に見えております。また騒音だとか排気ガスだとかいうこと、それからそのすぐ横に学校があるということであります。こういうことで地域の住民の大変な反対の運動ですね。ほとんど大阪から来られたわけでありますが、静かな奈良の地を求めて大阪からわざわざ来られた。それがもう次々とそういうスーパーの進出、その他乱開発も含めて、騒音に悩まされる、交通の渋滞に悩まされる、いろんなことに悩まされる、こういうことになってきているわけですね。  こういうことを本当に、商調協はいまのところ基本的にはいわゆる商業ベースでの規制ということになりますわね、しかし、この大型店舗が、その中身は通産省の関係の店が来るわけでありますから、その商業ベースだけじゃなしに、そういうことも含めて、やはりもっと現在以上の規制といいましょうか、対策といいましょうか、そういうものをとらなくちゃならないというふうに思うのですが、この点ではいかがでしょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 ただいまの御指摘の中にもございましたように、この大店法は、消費者利益を配慮しつつ大型店の事業活動を調整いたしまして、中小小売商の事業機会を適正に確保するということが目的でございますので、出店調整もこのような趣旨で行われているわけでございます。  一方、ただいまお話に出ました交通とか文教とか都市計画等の問題につきましては、私どもは、基本的にはそれぞれの担当行政機関がそれぞれの立場から指導を行うということで対処されるべきだろうというふうに考えております。しかしながら、いま御指摘もございましたように、大型店の進出は商業問題のみでなく、地域社会のいろんな問題とも関係を持っていることば事実でございますので、こういった問題も十分念頭に置きまして、関係の行政機関と連絡をとりながらこの問題に対処していくことが必要だ、こういう考えを基本的に持っております。事実いろいろな県あるいは市で、関係のところが集まりまして何とか協議会とか、こういった名称のあるものもございますし、それから事実上県内の各担当部局が集まる、あるいは警察とか市とか土木事務所のようなところが集まって協議するとか、それぞれの地域でそれぞれの知恵を出してやっているというのが実情でございまして、こういった点は今後ともそういった線に沿ってさらに改善していくという方向で対処すべきではなかろうかというふうに思っております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 いまいろいろ協調しながらやっていけるというふうにおっしゃったのですが、当然もっともっと、都市問題、交通問題も関連をさせて調整をしていただきたい、こういうことが私どもの願いであるわけでありますが、現在の段階ではそうでないのですね。ですからそうなりますと、私らが通産局へお話しに行きましても、最後の段階になりますと、先生そない言いはりますけれども大店法で言いますとそこまでというような、そういう話になるわけですね。ですから、商調協でもそういう感じになるわけであります。ところが出店者側になりますと、商調協の五条がなにをされて、それからきちっと通産大臣からの許可が受けられますと、それでもうすべてうまいこといったというふうな感じになるわけですね。私は現在の大店法、商調協の時点では、それが大店法で認められれば、許可が認められればそれでもうすべて解決というようなことではなしに、都市問題、交通問題はまだまだ残っているのだというふうに現状として考えているわけですが、その点はどうでしょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 交通問題は、ただいまお話に出ております商店の出店のみでなく、これはたとえば地方に工場が進出するような場合にもよく起こる問題でございます。工場が進出しますと従業員が車で通う、そうするとそのラッシュ時には大変に車が込む、しかし昼ごろになると全然それがないというふうな問題で、土場分散などでもよく出る問題でございます。こういった交通問題をどこで線を引くかというのは大変むずかしい問題だと思います。それで先ほどから申しておりますように、関係機関で協議しながら指導していただくということが現在なされているわけでございますが、事実そういったことで、出店者に対しましてある程度拡幅を指導して出店者がそれを了承したとかいうふうなケースも県によってはございますし、やはりこういった実際上の知恵を出すことによって解決していくよりこれは仕方ないのじゃなかろうか。どこで線を引くというのを、一律に私どもが統制的に基準を設けるというのもまた言うべくしてなかなかむずかしい。大変頭の痛い問題でございますので、私どももいろいろと苦慮はしておりますが、やはり現在、現地で生まれつつあるそういった知恵が一つの方向ではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 次に、奈良市のこれは旧市内なんですが、そこに届け出をされているスーパーですね、その約三百メートルか四百メートルのところに市場があるのですね。それが高度化資金を借りて、いろいろ努力をされてりっぱな市場に建て直されたわけですが、それからあちこちからいい例だということで見に来られるというような状況もあるのですが、今度はその三百メートルほどのところに大きなスーパーが出る。片一方では育成をしながら、片一方ではそういうスーパーが来れば、これは打撃を受けることは私は間違いないというふうに思うのですね。こういう点はどのようにお考えになるか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 中小企業の体質強化のためにいわゆる共同事業あるいは高度化事業を進めるということは、私どもの中小企業政策の基本でございますから、これは今後とも積極的に推進していくべきだろうと思います。したがって、大型店の出店調整につきましても、大規模小売店舗の新設等によりまして店舗の共同化事業等の高度化事業の円滑な実施が妨げられるというふうなことはないようにということを配慮すべきであるというふうな基本的考え方を持っておりまして、私どもの審査方法の通達の中にもその点はうたっているわけでございます。  しかしながら、高度化事業を実施中というそのことだけですべてそれでは大型店の出店がアウトかというふうな、実は基準めいたものはもちろんございません。これはやはり、それはそれとしてその存在を認めた上で、いろいろと高度化事業の遂行状況とかあるいは消費者の利便、あるいは小売市場を含む小売商に対する影響とか、こういったものを十分調整願いまして、そこで妥当な結論を出していただくというのが私どもの指導方針になっておりますので、いまのことは通達の中でもうたいつつ、そういった中で十分調整を図っていく、こういうことでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 それから、今度は奈良市ではないのですが、西大和ニュータウンというのを西大和ニュータウン開発株式会社というところでつくられたのですね。そこの最初の計画予定というのですか、それから土地を売られる人への案内に、文化センターをつくるという地域をちゃんと書いてあったのですね。ところが、そこへ今度スーパーが来る。まあ最初の話と大分違うわけでありますが、こういうことが起こっております。このことでも、いろいろやはり地域の人に問題が起こっているわけであります。私はそこへ出店をする予定のニチイ、それから西大和ニュータウン開発株式会社、ここのところが地域の住民と十分話し合われたいということを、何らか御指導といいましょうかやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから奈良の商調協、この間お聞きをいたしますと、これまでのところは国から全く助成がない、お金をもらっていないというような話だったのですが、その点についてはいかがでしょう。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 最初の点につきましては、いろいろと地元で話し合いが行われつつあるようでございますが、まだ最終的にセットされてないということのようでございます。そういう状況のもとで、商調協の広域商調協が必要になると思いますが、それもまだできておりませんし、事実上審議はストップしておるようでございます。  それから助成の問題でございますが、これは中小企業庁の予算に事業費の補助が組んでございまして、これは県を通じて商工会、商工会議所に出ております。五十五年度が三億三千七百万円、五十六年度は四億二千三百万円でございます。これは二分の一補助でございますので末端ではこの二倍、つまり約八億五千万円の金がいくことになっておりますので、私どもはこれで何とかやっていただけるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 先ほど来るる御質問をし、述べてきたわけでありますが、このような本当にラッシュと言ってもいいような大型店の無秩序な進出というものは、地元の小売商業者に非常な打撃を与える死活の問題だということであります。しかもそれだけではなしに、交通の問題あるいは教育の問題あるいは住環境の問題、都市問題、こういう問題でも深刻な影響を与えているということでございます。どうかこの大店法を本当に小売商業者の利益を守るという観点、もちろん消費者の保護あるいは小売業の近代化ということも重要ですけれども、本当に小売業を守っていく観点でやっていただきたいと思いますし、また先ほど申しました交通問題や都市問題も十分加味した調整をやっていただきたい、こういうことを重ねて要望したいと思います。  それから、私どもとしては大店法が一番最初につくられる当時から言ってきたわけでありますが、やはり許可制でなければ、届け出制ではどうにもまともな対応はできないというふうに思っております。それから地方自治体の長、知事に権限を渡すべきである、こういうふうに考えているわけであります。その点について簡単にお答えいただけませんでしょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 許可制につきましては、やはり小売業につきましては適正な競争環境の維持ということが基本的に重要ではなかろうか、それが物価の抑制とか消費者のニーズの多様化への対応等に必要ではないかということでございまして、私どもといたしましては、現在の制度の中で運用を改善し、皆さんの理解を得ることで十分やっていけるのではないか。そういう意味で、いまのところ許可制ということにつきましては考えていないというのが実情でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 私どもは、やはり許可制にしない限り本当の調整はできない、こういうふうに考えておりますので、再度そのことを申し上げたいと思います。  それでは大店法の最後の質問ですが、先ほど奈良でずいぶんいろいろと申し上げましたが、もう第五条の結審が済んだわけでありますが、しかし地元の状況はまだとてもそんな許せるような状況でないのですね。これは大臣の御権限でも何とかしていただくというような方法はないでしょうか。簡単に答えてください。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田説明員 実情をもう少し調べさせていただきたいと思います。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 最後に私は、いわゆる伝統的工芸品に関連してお尋ねをしたいと思います。  それは奈良の生駒市に高山地区というのがあるのですが、ここでお茶に使う茶せんを製造いたしております。全国の九八%がここでつくられるようであります。そして五百年からの伝統を持っておる。そういうことで伝統的工芸品の指定を五十年に受けた。それで年々その需要がふえまして、四十九年ごろは大体八十万本ということになったのですが、それからだんだん減りまして、五十四年は五十五万本、五十五年は五十万本、こういうふうだ。  ところが、五十年ごろから韓国産が入ってまいりました。お聞きいたしますと大体三十万本ほど輸入されているのではないか。そして百貨店でも徳用というような形で全国的に売られている。ところが、この韓国産のものを高山産と同じような発売製造元の名前あるいは紛らわしい意匠、こういうもので売っているというのが現状なようであります。そういう状況の中で、技術的には絶対に負けないということですが、使ってみないとそのよさがわからないのですね。ところが、韓国産は非常に安いのですね。そういうことで韓国産にだんだん注文をとられていく。だから先ほど言いましたようにだんだん減ってくる。それから労賃が上がる、材料が値上がりするという中で、値段も上げたいのだけれども上げられない。そして物価がどんどん上がっていくのに職人さんの賃金、工賃を上げることができないからやめていく人が出てきた。こういうことで非常に深刻な状況だということであります。そして、この指定を五十年に受けてから、通産省の日用品課から毎年二回アンケートで要望を聞いていただく、それから材料だとか後継者対策について、十分、不十分は別として、それなりの回答や助成をしていただいている。五十四年四十六万円、五十五年五十二万円いただいたということで大変喜んでおられるわけであります。  しかし、その韓国品の輸入の問題、これはお茶ですとちゃんと原産地の名前が韓国なら韓国と入っているのだそうです。ところが茶せんについては全然表示がしていないということなんですが、日本で五百年も伝統的な手工業でやってきたものを、お隣の韓国でつくって本当に日本のものと同じような形で、伝統工芸品ということで指定を受けているという点から見れば伝統でも何でもない安いのがどっと入ってくるということについては納得できないということで、これはどうかひとつ外国産であることを表示させていただくというわけにいかないかどうか、このことでありますが、お答えをいただけませんでしょうか。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から高山茶せんの問題について御指摘がございました。私どもの調査、承知している数字で申しますと、生産については大体ここ数年五十万本台で推移しております。ただ、輸入でございますけれども、これは実は公式的な統計がございません。したがいまして、地元の産地組合で推計をした数字がございますが、その数字を見ますと、五十一年ごろに一時かなり数字が大きかったわけでございますけれども、最近数年間は大体十二万本という程度で推移している。これを輸入依存率で見ますと、一時は二割を上回ったわけでございますけれども、最近は二割弱ということで大体安定してきている、こういうのが現状でございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のように、高山茶せんは日本の誇るべき伝統的な工芸品ということで、私どももこれは大事に育てていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。これは伝統工芸品一般によく言われるわけでございますけれども、いずれにしても私どもとしてはこれは日本の本当に大事な宝ということで育てていきたいというふうに思っているわけでございますが、そのために、予算面でなかなか足りない面がございますけれども、いろいろ知恵をしぼりながらできるだけの努力をいまやっているところでございます。  ただ、そういう性格のものでございますから、労働集約的な性格でございます。そういうことから、ややもしますと類似品の低開発国、発展途上国からの輸入というのがふえる、そういうケースが間々ございます。高山茶せんの場合もそういうことで二割弱の輸入依存ということで、そういう状況で推移しているわけでございます。  私どもは基本的に、この高山茶せんを育てていくために、できるだけ合理化をやり、それから伝統工芸品としてのよさをできるだけ国民の皆様に知っていただく、そのために展示の活用とかそういうことをやって国民の皆様に本当にいいものであるということをよく承知していただくというのが大事なことだ、それとうらはらに産地組合においても伝統マークであるとかあるいは産地マークであるとかそういった表示をやっていただく、こういうことで対応をしていきたいというふうに思っているわけでございます。  いま先生御指摘のように……

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 申しわけないのですが、時間が過ぎてますので、私の尋ねたことだけお答えいただきたいと思います。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀説明員 わかりました。  それで、外国産のものについて原産地を表示させたらどうか、こういう御指摘でございますけれども、これは確かに一つのあれとしてあるわけでございます。ただ、私どものいまの判断では、要するに外国産について日本産的な、原産地を偽るような、そういうことをやった場合には、たとえば不当景品類及び不当表示防止法とか、あるいは不正競争防止法とか、そういったものに該当すればそちらの方で対応していく。ただ、韓国産のものをたとえば韓国産と書け、こういうことになりますと、現在の法制ではちょっと無理ではないか。同時にまた、この辺のことになりますと、場合によれば非関税障壁というような国際的な問題も発しかねない、こういうことで、その辺については慎重に対応することが必要ではないかというふうに思っております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 この伝統工芸品を本当に守るために一層の御努力をいただきたい。私自身としては、何としても韓国産を明示していただきたいということを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。

國場幸昌自由民主党

○國場委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会

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