決算委員会 第15号
- 発言数
- 272 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/07/21
会議録
○國場委員長 これより会議を開きます。 昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、文部省所管について審査を行います。 まず、文部大臣から概要の説明を求めます。文部大臣田中龍夫君。
○田中(龍)国務大臣 大変お待たせをいたしまして、失礼をいたしました。 昭和五十三年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。 まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額九億九千二百六十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は十三億三千百八十九万円余でありまして、差し引き三億三千九百二十六万円余の増加と相なっております。 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額三兆六千六百四十二億七千四百五十五万円、前年度からの繰越額五十七億七百三十五万円余、予備費使用額百五十五億九千三百四十二万円余を合わせた歳出予算現額三兆六千八百五十五億七千五百三十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆六千七百三十六億二千九百十六万円余であり、その差額は百十九億四千六百十七万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越しました額は七十九億三千八百七十九万円余で、不用額は四十億七百三十八万円余であります。 支出済み歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金、国立学校特別会計へ繰り入れ、科学技術振興費、文教施設費、教育振興助成費及び育英事業費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、義務教育費国庫負担金の支出済み歳出額は一兆七千六百七十億八千三十五万円余であり、これは、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費等及び教材費の二分の一を国が負担するために要した経費であります。 第二に、国立学校特別会計へ繰り入れの支出済み歳出額は八千三百四億三千八百十七万円余でありまして、これは、国立学校、大学付属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。 第三に、科学技術振興費の支出済み歳出額は三百七十三億三千四百二十九万円余であり、これは、科学研究費補助金、日本学術振興会補助金、文部本省所轄研究所及び文化庁付属研究所の運営等のために要した経費であります。 第四に、文教施設費の支出済み歳出額は四千九百六十五億六千百六十八万円であり、これは、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校、高等学校及び幼稚園の校舎等の整備並びに公立の学校施設等の災害復旧に必要な経費の一部を国が負担または補助するために要した経費であります。 第五に、教育振興助成費の支出済み歳出額は四千三百四十一億四百八十三万円余でありまして、これは養護学校教育費国庫負担金、義務教育教科書費、学校教育振興費、社会教育助成費、体育振興費、体育施設整備費、学校給食費及び私立学校助成費に要した経費であります。 第六に、育英事業費の支出済み歳出額は五百四十一億二千四百九十一万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸し付け及び事務費の一部補助のために要した経費であります。 次に、翌年度繰越額七十九億三千八百七十九万円余についてでありますが、その主なものは、文教施設費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額四十億七百三十八万円余についてでありますが、その主なものは、教育振興助成費で、学校教育振興費を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。 次に、文部省におきまして一般会計の予備費として使用いたしました百五十五億九千三百四十二万円余についてでありますが、その主なものは、義務教育費国庫負担金に要した経費等であります。 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。 国立学校特別会計の収納済み歳入額は一兆一千百七十九億九千百九十一万円余、支出済み歳出額は一兆九百七十二億七千八百五万円余であり、差し引き二百七億一千三百八十六万円余の剰余を生じました。 この剰余金は、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により七億六千百十万円余を積立金として積み立て、残額百九十九億五千二百七十五万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、歳入につきましては、歳入予算額一兆一千二十六億五千九百九万円余に対しまして、収納済み歳入額は一兆一千百七十九億九千百九十一万円余であり、差し引き百五十三億三千二百八十一万円余の増加と相なっております。 次に、歳出につきましては、歳出予算額一兆一千二十六億五千九百九万円余、前年度からの繰越額三十九億七千九百二十三万円余、昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条第一項及び同条第五項の規定による経費増額七十二億百九十八万円余を合わせた歳出予算現額一兆一千百三十八億四千三十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は、一兆九百七十二億七千八百五万円余であり、その差額は百六十五億六千二百二十六万円余と相なっております。 このうち、翌年度へ繰り越しました額は七十六億七千三百五十七万円余で、不用額は八十八億八千八百六十九万円余であります。 支出済み歳出額のうち主な事項は、国立学校、大学付属病院、研究所、施設整備費及び実習船建造費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、国立学校の支出済み歳出額は六千百二十四億六千四十一万円余であり、これは、国立学校の管理運営、研究教育等に要した経費であります。 第二に、大学付属病院の支出済み歳出額は二千百七十七億七百八十四万円余でありまして、これは、大学付属病院の管理運営、研究教育、診療等に要した経費であります。 第三に、研究所の支出済み歳出額は七百三十五億一千四百八十五万円余であり、これは、研究所の管理運営、学術研究等に要した経費であります。 第四に、施設整備費の支出済み歳出額は一千八百十九億九千五十四万円余でありまして、これは、国立学校、大学付属病院及び研究所の施設の整備に要した経費であります。 第五に、実習船建造費の支出済み歳出額は四億六千九百三十二万円余であり、これは、国立学校における実習船の建造に要した経費であります。 次に、翌年度繰越額七十六億七千三百五十七万円余についてでありますが、その主なものは、施設整備費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額八十八億八千八百六十九万円余についてでありますが、その主なものは、国立学校で、退職手当を要することが少なかったこと等のために不用となったものであります。 なお、昭和五十三年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項六件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。 指摘を受けました事項につきましては適切な措置を講ずるとともに、今後この種の事例の発生を未然に防止するために、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。 以上、昭和五十三年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほどを、ひとえにお願い申し上げます。
○國場委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。堤会計検査院第二局長。
○堤会計検査院説明員 昭和五十三年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六件であります。 検査報告番号一二号及び一三号の二件は、マット等の購入価額が著しく高価となっているもので、これらの物品の不当な価格での売り込みに対して適切な処置を講じないままその購入を繰り返していたものであります。 また、検査報告番号一四号から一七号までの四件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、公立文教施設整備事業及び学校給食施設整備事業において、補助の対象とは認められないものを含めていたり、入札処置が不適正なため補助対象事業費が過大となっていたりなどしていたものであります。 なお、以上のほか、昭和五十二年度決算検査報告に掲記しましたように、東京大学医学部附属病院精神神経科の管理運営について処置を要求しましたが、これに対する文部省の処置状況についても掲記いたしました。 以上、簡単でございますが説明を終わります。
○國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○國場委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 私は、まず、学校教育上きわめて重要な役割を持つ教科書問題について質疑をしたいと思います。 まず、教科書の検定の法的根拠、さらには具体的な要領についての説明を願いたいと思います。
○三角説明員 教科書の検定制度でございますが、これは教科書の発行に関する臨時措置法に基づきまして、小学校、中学校、高等学校及びこれらに準ずる学校において、教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童または生徒用図書というふうに定義づけられておりまして、そして、これらの学校におきましては教科書を使用するということが学校教育法によって義務づけられておりますと同時に、その教科書は文部大臣の検定を経た教科書、または文部省が著作の名義を有する教科書でなければならない、こういうふうにされておるわけでございます。そして検定につきましては、検定の基準といたしまして文部省告示によります基準を定めて検定を実施しておる、こういう状況でございます。
○井上(一)委員 文部大臣、今回文部省は教科書検定に当たって具体的にどのような修正、改善意見を出されたのか、ここで大臣から承っておきたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 文部省といたしまして、先般来の委員会におきましても、りっぱな教科書をつくるということに最大の努力を払っておる次第でございまして、ただいま御質問の検定についてどのような具体的な措置をいたしたかということにつきましては、担当の局長からお答えいたします。
○三角説明員 検定の具体的な経過ないしはその内容につきましては、私どもの側からは申し上げない方が適当であるということで従来からもそのようにさせていただいておるわけでございます。で、でき上がりました結果の形を見て、そしてそれを採択していただくという制度のシステムにいたしてございます。
○井上(一)委員 文部省の方から申し上げられないとはいうものの、もうすでに文部省の意向というものが報道等によって部分的に承知されているわけなんです。なぜそうしなければならなかったのか。さっき十分なお答えがなかったのですけれども、やはり教科書というものは指導要領だとかあるいはそういう中での一定の基準があるわけなんですけれども、私の聞きたいのは今回出された改善意見、いわば注文をつけた、なぜそうしなければならなかったのか、こういう点について大臣、いかがですか。
○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、教科書はかわいい子供たちの将来の大きなよすがでございますので、教科書はあくまでもりっぱな教科書をつくらなければならないということに徹しておるわけでありまするが、ただいままでの経過すでに御承知のとおりに、教科書出版会社によってつくられましたものに対しまして、教科書用の図書検定の基準といたしましては、基本条件には取り扱い方の公正として政治や宗教について、あるいはまた特定の政党や宗派その他の主義信条に偏ったりそういうことを非難したり、あるいはまた必要条件といたしましてはあくまでも正確性、誤りや不正なことがないように、一面的な見解だけを持たないように十分な配慮をするように、こういうふうないろいろな必要条件を具備しておるかどうかということにつきまして、教科書会社からの要望にこたえましてわれわれの方といたしましては検定をいたしておる次第でございます。 なお、御案内のとおりに、いろいろな御意見も各方面に出ておりますことも当然でございまするが、これらを十分に配意いたしながらりっぱな教科書をつくるということに徹しております。
○井上(一)委員 大臣、私は、注文をつけたのはなぜなのか、そしてそれはどんな根拠でそういう改善意見を出したのか、そういうことを客観的にお聞きをしているのであって、教科書がりっぱであるとか、かわいい子供たちにとってとか、そういうことは形容詞的な発言であって、教科書は、さっき私が言ったように、学校教育上きわめて重要な地位を占めるものであるということはもう冒頭に申し上げております。だから、なぜそういう具体的に修正意見を出したのか、そしてそれはどんな根拠なのか、それはいま言う教科書検定のいわゆる法的な根拠の中のどのようなところに触れてそういう修正意見を出したのか、こういうことを聞いているので、大臣からそういう点は明確に答えてください。
○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。 教科書の検定制度というものがございます以上、その教科書会社の要請なり、あるいはまた客観的な姿におきましてあくまでも公正であり、正確であり、適切であるということが教科書の最も重要な点でございます。それに従いまして意見を述べるということはあり得ることでございます。
○井上(一)委員 正確でありそして公正である、いままでの教科書は当然そうであり、私は教育基本法に定める教育の目的あるいは学校教育法に定める教育の目標に一致していると思う。今回こういう改善意見、いわゆる注文が出されてきた、これはもう明らかに基準の枠外である。枠外のものを注文つけてきている、こういうことなんです。実際だれがそんな枠をつけてきたのか、そういうことを私は知りたいわけなんです。だから、文部省の方でそういうプレッシャーがあったのだとか、あるいはそういう意見があったので、あるいはそういう力が文部省に及んできたので文部省としてはやむを得ず修正意見を出したのだ。そうでなく、文部省自身がみずからの判断で改善的な意見を出したのだというのだったなら具体的におっしゃいなさい。何らそういうことが言われずにお答えを続けられるということは非常に私は心外だ。大臣、いかがなんです。これは勝手に枠を外してだれかがいわゆる別枠をつくっている、こういうふうに私は理解をするわけなんです。大臣、どうですか。
○田中(龍)国務大臣 いろいろな外部からは議論のございますことは新聞等で拝見いたすところでございますが、文部省の検定におきましては、そういうふうな外部的な影響に基づいてそれに準じて行うといったようなことは断じてございません。文部省は文部省としてのあくまでも中正な立場において、その見識において行っております。
○井上(一)委員 それじゃ私が、具体的に私自身が疑問に思っていることを文部省に尋ねていきましょう。 文部省から補助金を出している教科書研究会、御存じだと思いますが、その構成メンバーあるいは内容を説明してください。
○田中(龍)国務大臣 私つぶさに存じませんので、担当から申し上げます。
○三角説明員 ただいま井上委員御指摘になりました教科書研究会というものはよく私ども認識がありませんので、ちょっとお答えをしかねるのでございます。どういう団体でございましょうか。
○井上(一)委員 筑波大寸の福田学長を代表に十三人から成っている教科書研究会、この団体を文部省は十分認識がないのですか。
○三角説明員 私どもいまおっしゃいましたような団体についてはよく存じておりません。
○井上(一)委員 文部省はそれじゃ平和教授アカデミーは承知していますか。
○三角説明員 直接は承知しておりませんが、新聞あるいは雑誌などでそういう名前を見たことはございます。
○井上(一)委員 文部省の特定研究経費という予算項目があるわけですけれども、じゃ、これの具体的な使途について説明をしてください。五十三年度について。
○植木説明員 ただいま先生からお話がございました特定研究経費は、国立学校で経常的な研究経費がございますが、それでは十分にカバーすることができないような各種のプロジェクト的な研究を推進するために従来から計上されておる経費でございます。これは、各国立大学から各種のプロジェクトが文部省の方に申請がございまして、私どもといたしましては大学の順位などを尊重して配分いたしております。その内容につきましては、詳細のデータは持っておりませんけれども、人文科学、社会科学、自然科学の各般にわたっております。
○井上(一)委員 教科書研究会、筑波大学の学長を代表に十三名で構成している、この研究会がいわゆる特定研究費を文部省に申請しておる。補助を受けているわけです。そういうことは承知しているのか、こういうことなんです。
○植木説明員 先ほども初等中等教育局長からお答えいたしましたように、教科書研究会というものについては直接私ども存じないわけでございますが、いま先生からお話がございました筑波大学からは教科書研究につきまして特定研究経費の申請がございまして、昭和五十五年度にこれを配分をした実績がございます。
○井上(一)委員 さっき、局長、あなたの方は何も知らぬ、そんなことを言っているわけです。局長が知らないで、そしていま、幾らかの申請があって補助を出した、さらに平和教授アカデミーについても、直接は知らないけれども間接的に知っている、こういうようなことですね。何かこちらから指摘をしていってそして一つ一つ出していけば、そのとおりだ。きっちりとやっぱり承知していることは先にお答えになった方がいいのじゃないですか。 では続いて、教科用図書検定調査分科会第二部会、社会の担当、この中にいま私が指摘した教科書研究会、さらには平和教授アカデミーのメンバーが入ってはいませんか。
○三角説明員 ただいま突然の御質問でございますので、私、入っておるかおらないか、いまのところわかっておりません。
○井上(一)委員 それでは、平和教授アカデミーについてはどれほどまで御承知なんですか。
○三角説明員 名前は聞いておりますし、それから、集まっておられるという一人一人のメンバーを私、つまびらかにしておりませんけれども、方々の傾向というか、そういうことについての一種の立場みたいなものがどういうぐあいかというような漠然とした印象は持っておりますけれども、その団体の実際の活動なり何なりについては、私、詳しく存じておりません。
○井上(一)委員 局長、どんな印象をお持ちなんですか。
○三角説明員 どちらかといえば、いわゆる右と左に分けますと左の側からはいろいろと問題があるというような指摘がなされておる、そういうことを漠然と承知しております。
○井上(一)委員 局長、教科書研究会については十分承知をしてないとさっき答弁されましたね。
○三角説明員 教科書研究会というような名前はしごく一般的な名前でございますし、特定のそういうものがどこにどういうふうにあってそれがどうであるか、こういうようなことについては私ども一切認識がないものでございますから、井上委員冒頭御指摘の教科書研究会というものについて補助が出ておるかということについては直ちにそれに対応する反応が私どもとしてはできかねる、こういうことで、教科書研究会というものはいまでも私は知識がございません。
○井上(一)委員 福田筑波大学学長を代表に筑波大学の田中正美学校教育部長等十三人で成る教科書研究会、国が補助を出した、これは御承知なんですね。
○三角説明員 これは先ほど答弁申し上げました会計課長並びに学術国際局長の方で取り扱っておるわけでございますけれども、私も筑波大学が教科書についてのいわば国際比較のような研究をするということで特定研究費を申請をしてきて、それについてしかるべき金額が交付されておるということは間接的に聞いております。
○松浦説明員 先生から御指摘ございました筑波大学の特定研究の一つに、研究題目としまして「諸外国との比較によるわが国中学校社会科教科書の分析的研究」というのがございます。その研究組織としまして、大学の資料によりますと、田中正美教授以下二十人の方が分担をしてこれに当たるということになっておりまして、教科書研究会というようなことは中には出ていないわけでございます。
○井上(一)委員 文部大臣、いま私が指摘したことは、文部省が補助金を出している、さらに局長の印象では、右と左という分け方をすれば右側に位置する、こういうように言われている団体だ、さらに平和教授アカデミーについても間接的にしか承知をしていない。平和教授アカデミーの会員とさっき指摘をした筑波大学の学長を代表とする教科書研究会のメンバー、これはダブっているわけなんです。そのメンバーが平和教授アカデミーの中にも会員として入っておる。さらには教科用図書検定調査分科会第二部会、社会のメンバーの中に入っているのですよ。そのメンバーの方が入っているのです。さらには七月八日、京都で平和教授アカデミーの会合がありました。その席上で事務局長が、平和教授アカデミーが十周年を迎えて、いまでは教科書問題で政府を動かす力になってきた、大成功だった、今後はどしどしと政策レベルでやっていきたい、こういう発言をしているのですよ、大臣。こんなことを言われて、こんな発言をされて文部省は一体どう考えるのか、あるいはこの発言についてどのように受けとめていらっしゃるのか、あるいはこんなことを言われてでも文部省が動かされているのだろうか、本当にそんな組織に、あるいはそんな力に文部省が動かされて教科書問題を云々していくということについては私は非常に大きな疑問を持たざるを得ないということ、これはやはり明らかにしなければいけない、そして、そういうことを明らかにする中で教科書の問題というのは明確に位置づけていく、こういうことなんです。大臣、いかがですか。
○田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘が出ました二つの団体のことに関しましては、まことに申しわけない次第でありますが、私は一切存じておりませんでした。 それからまた、外部でそういうふうないろいろな発言があった、また、京都でそういうふうなある特定の団体が発言をした、そういうことがたとえありましょうとも、文部省というものはそういうふうな外部の圧力や外部の批評に断じて左右されるものではございません。その点はどうぞ御安心願いたいと思います。
○井上(一)委員 大臣、何ぼ大きなみえを切られたって、事実がそういう形の中で動いている。十分承知をしていなかったということですが、どうですか大臣、これは事情を調査されますか。つまびらかにして、大臣から後刻報告をいただけますか。
○田中(龍)国務大臣 特に御要望ということでございますればまた格別でございますが、しかしながら、いまの教科書の問題等は連日たくさんの論評が出ておるのでありまして、特にその問題をわれわれはピックアップしてどうのということは、私はその必要は認めません。
○井上(一)委員 大臣、何を言っているのですか。平和教授アカデミーの十分な内容も知らない、筑波大学の学長を代表とする教科書研究会のその実態についても十分答えができない、さらには京都発言についても、その意見がここではっきりと言えない、ただ、そういう力には文部省は負けないのだ、こういう決意、あなたの考えだけしか言われてない。しかし、現状は動かされているというふうに私は認識をし、強い要望というのじゃなく、国会の中で、委員会の中で、調査しなさい、調査して明らかにしなさい、私はこう言っているのですよ。大臣どうですか、それができないというなら、あなた方はそういうことを隠そうとすることだ。
○田中(龍)国務大臣 われわれはさようなことには一切介入いたしません。
○井上(一)委員 文部省が補助金を出している、そういう団体についても調査をしないのですか。
○田中(龍)国務大臣 ただいま申し上げたように、特に御要望がございまして、先生の御指摘のあれ調べろ、こういうようなお話がございましたならば、われわれの方としましては、何らそういうことについては煩わされておりませんが、また委員長とも御相談申し上げまして、しかるべく善処いたしましょう。
○井上(一)委員 これは委員長に相談するに及ばない。私が決算委員会の中で、国の補助金がそこに支出をされている、そしてそこに入っているメンバーがふくそうしていろんな会合の中に入っている、その会議の中でこういう発言があったのだ、私が質問の中で具体的に指摘をしているわけなんです。これは要望があればということですから、大臣どうですか、私は要望をしているわけなんです。調査をする、あるいは調査をしない、どちらなんですか大臣。要望があれば調査をする、あるいは——委員長、私は委員長にも要請をしたい。私はこういうふうに調査をすべきだ、こういうことを言っているのです。大臣、私の質問に対して答えなさい。
○田中(龍)国務大臣 なお担当官から補足の御説明をいたさせます。
○井上(一)委員 私は、実態について、大臣からそういう調査をするのかしないのか、補助金を出しておるそういう団体も含めて、発言も含めて。こういうことを言っているのですから、それに対する答弁を求めます。
○三角説明員 井上委員に一言御説明申し上げたいのでございますが、いま補助金というふうに仰せになりました、そして教科書研究会というふうに仰せになりましたけれども、補助金ということではございませんし、教科書研究会というものも私どもはわかっておらないのでございまして、先ほど来御指摘の経費は筑波大学に対する特定研究経費として筑波大学に予算を配当した、こういうことでございます。
○井上(一)委員 特定研究経費も国の金ですよ。だから、正確な予算の計上項目は特定研究経費、五十三年度、全体で国立学校に対しては十二億一千六百万予算が組まれて、これがどういう決算になっているのか、このことも私は指摘をしているのだけれども、その答えはないわけです。さらに筑波大学に対する特定研究経費、そしてその中での教科書研究会というメンバーがある、いろいろはしょった部分もあるけれども、特定研究経費、これだって補助金ですよ。どう違うのですか、研究経費もそれを補助しているのでしょう。大臣、私はこのことについて一定の調査を求めたいわけですけれども、大臣から重ねて答弁を求めます。
○植木説明員 必ずしも私どもの方で十分御説明をいたしませんでしたので申しわけないと思っておりますが、繰り返して申し上げますと、この特定研究経費というのは、国立学校特別会計の予算を各大学の希望に応じまして示達をいたしておるわけでございます。先ほど来の教科書研究に関する特定研究経費につきましても、昭和五十五年度に筑波大学から学校教育部長の田中正美教授を研究代表者といたしまして、たしか合計二十人だったと思いますが、二十人のメンバーで研究をするということで、これを筑波大学に私どもとしては配分をいたしたわけでございます。 技術的なことで、補助金かあるいは国立学校特別会計の経費かという問題でございますが、補助金というのは、私ども技術的には通常民間団体等に対しまして、あるいは特殊法人等に対しまして出すお金でございまして、これは国立大学でございますので国立大学特別会計の中から予算を示達をしたという技術的な点を申し上げた次第でございます。 私どもとしては、教科書研究会という団体については、先ほど来繰り返し答弁しておりますように存じておりません。あくまで筑波大学から国立大学として申請してきたものに対して国立学校の予算を示達をいたした、こういうことになるわけでございます。
○井上(一)委員 補助金は民間でいわゆる国の機関に対しては研究費、名目は、その言葉のあやは別として、どちらにしても国費がそこに流れている。さらにその筑波大学の中で二十人のメンバーによって教科書研究会と称する団体があって、この教科書問題について指摘をしてきた、そこへ研究費が流されていった。そのメンバーが平和教授アカデミーの中にもダブってきているし、さらには平和教授アカデミーのメンバーの中から教科用図書検定調査分科会というそういう中にも入り込んでいる、これは文部省の機関ですから。そういうことの中で京都の発言もある。こういうことを大臣、私は具体的に申し上げているのですよ。いま、大臣が十分承知してないというそのお答えは正直だと思うのです。だからこの問題については詳しく事情を調べて、どういう状態なのかということを私ははっきりと明確にしてもらうべきだという強い疑問を持った中で質問をしているわけです。 大臣、重ねて私は、要望があればということですが、要求があるから、疑問があるから質問しているのですよ。要求がなければ、疑問がなければ質問しませんよ。だから、正しくそういう問題については実態を調査するというのが、私は正しい答弁だと思うのです。大臣から。
○田中(龍)国務大臣 冒頭申し上げましたように、御要望がある次第でございますので、また担当の者に命じまして調査をいたさせたいと存じますが、これまた委員長のお取り計らいをお願いします。
○井上(一)委員 大臣、そうでなければいけないのですよ。私がとっぱなに質問をした、そのときにそういうふうに、担当に命じて調査さす、そういう答えが返ってこないところにやはり疑いを持たれる、何かそういう流れの中で文部省は左右されるのじゃないだろうかという疑問を持つわけです。 さらに私はもう一点。なぜここで平和教授アカデミー等のことを指摘するのか、こういうこともやはり申し上げておかなければいけない。これはその背景に、すでに御承知のように国会でも問題になり、アメリカ等でもいろいろと問題になりました韓国人文鮮明氏を頂点とする統一教会がかかわっている、こういう報道がされているわけであります。やはりこの点に注目をしなければいけない、こういうふうに思うのです。そういう意味からも、平和アカデミーの実態を十分に調査すべきだ、こういうふうに私は指摘をしたいわけです。大臣、このことも、先ほど調査をなさる、担当に指示するというお答えですから、十分理解はしますけれども、いまの背景に統一教会と深いかかわりがあるのだという報道、大臣は御承知でしょうか。
○田中(龍)国務大臣 全く存じません。
○井上(一)委員 七月二日付だったと思いますから、こういう報道もあわせて参考に、調査の中で私は十分にその実態を明らかにしていただくことを強く要望をしておきます。 さらに私は、行政改革に絡んで、文部省にひとつ見解を尋ねておきます。 七月十日に行政改革に関する第一次答申というものが出されたわけです。臨調の答申を受けて中曽根長官は、政府は誠実に実行をしていきたい、こういう発言をしておるわけです。教科書の無償給与制度は廃止等を含め検討する、さらには私学助成についても補助対象の限定だとかあるいは増額配分の廃止あるいは総額を前年度同額以下に抑制する、さらには定数の合理化、適正化という項の中では、四十人学級の実現をおくらそう、こういういわば後退した意見がどんどん出されてきている。文部省は答申に対してどう受けとめられ、どうお考えになったのか、さらには、具体的にどう対応されたのか、こういう点についてひとつ大臣から私は具体的に聞きたい。さらには、その具体的な証左の事例として、予算要求との絡みをどう取り組んできたか、概算要求については文部省の考え方を明らかに表明していったのかどうか、こういう点についてもひとつ大臣から具体的にお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○田中(龍)国務大臣 今回の第二臨調の問題に対しましての文部省の対応の仕方でございますが、御案内のとおりに、去る十七日に、同答申に対しまする政府の対処方針につきましては、原則といたしましていまの閣議決定が行われたわけでございます。当省といたしましても、この閣議決定はあくまでも尊重するという線に沿いまして今後対処をいたさなくては相ならぬのでございますが、まだ具体的な細かい点につきましてはケース・バイ・ケース、非常に重大な案件、内容でございますので、慎重にただいま検討をいたしつつございます。現在はまだその段階でございます。
○井上(一)委員 いや、それは大臣、私がいま指摘をしたことに対して答えになっておらぬ。中曽根長官も誠実に実行したい、臨調を尊重する。そこで、じゃ具体的に文部省の抱える問題として教科書の無償の問題だとかあるいは四十人学級だとか私学助成だとか、こういうことについてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。そして、どういう取り組み方をされたのか。これはやはり具体的に答えてもらわないといけませんね。さらには、予算の概算要求の中でこれはどうかかわっていったか、そういうことを答えてもらわなければ、私の質問に対する答えになりませんよ、大臣。
○田中(龍)国務大臣 私どもは、教科書の無償の問題につきましてはあくまでもわれわれの方針を堅持いたしたい。臨調にもその過程においても主張もいたしておりまするし、答申が出ました今日の事態におきましても、これから政府部内におきまして臨調の答申をどう盛るかという具体的な問題に入るわけであります。同時にまた、大蔵省のシーリングの問題もございますので、現在は、あるいは四十人学級の問題にせよ、あるいは私学振興の問題にせよ、あるいはその他いろいろのケース・バイ・ケースに当たりまして、ただいま申し上げたように慎重に政府間の折衝その他をいたしつつある段階でございまして、ただいまの時点におきましてお答えを申し得ないうらみがございます。
○井上(一)委員 概算要求、予算要求の中ではどういう取り組みをなさっておるのですか。教科書の問題、四十人学級の問題、私学助成の問題、どうなんですか。
○田中(龍)国務大臣 予算の問題につきましては、会計課長からお答えいたしましょう。
○井上(一)委員 大臣の考え方が担当所管のそれぞれに流れると思うのですね。教科書の無償については継続をすべきである、あるいはそういう予算編成に文部省としては取り組んでいく。最終的には政府の予算案というのはそれはまた閣議で決定されるし、大蔵との折衝もありますから、そこまでの段階を私はまだ聞ける段階じゃないから、文部省の考え方、取り組み方、教科書の無償の問題、四十人学級も予定どおり実現をしたい、あるいは私学助成についてもどんどんさらに、むしろ財政再建の経済情勢だけれども、やはりそれも必要欠くべからざる点だ、文部省はこう考えているのだ、こういうことを聞かしてもらわないと……。
○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。 教科書無償の問題は、文部省といたしましては年来の一つの方針でございます。また、皆様方も御協力をいただきましたとおり、わが国の文教行政からいたしまして、近代国家といたしましての教科書無償ということは当然なことであるということで貫いております。 それから、今回の臨調並びに軽量化という問題は、あるいは補助金でありますとかあるいは人件費というふうなものが今度の大きな目標となっておりますが、そういう点におきましては、わが文部省というものは、人件費におきましても七五%を持ち、補助金におきましても七割近いものを持っております。今回の臨調の何と申しますか、最もターゲットになっておりますことは御案内のとおりであります。 しかし、それに対しまして、一面におきましては、日本国家の財政再建という大きな眼目を踏まえながら、同時にまた、文教政策を守るという上から申しまして、そのケース、ケースにつきましても、大蔵省のみならず、行管その他に対しまして細かい折衝を現在いたしておるのでありまして、これから今後ますます交渉も非常に紆余曲折があることと存じますが、どうぞその点はただいま折衝中でございますので、よろしくお願いいたします。
○井上(一)委員 文部省はそれじゃ教科書無償制度はそのまま持続をしたい、そして大蔵省と折衝をしていく、さらに四十人学級についても予定どおりの実施に推し進めていく、こういうふうに私は理解をしたいと思うのです。そのことについては大蔵省と十分な折衝を今後していきたい、こういうふうに理解してよろしいですね、大臣。
○田中(龍)国務大臣 以上の方針であることは、おっしゃるとおりであります。
○井上(一)委員 もちろん私学助成についてもさらに強い文部省の大蔵に対する折衝を私は期待をしておきたいと思います。 さらに私は、ここでひとつ論点を変えまして、米飯給食について少し触れておきたい、こういうふうに思います。 ある小学校での調査のデータなんですけれども、パンか御飯かというアンケートに対して、子供の立場と親の立場でそれぞれ答えが集約されているわけです。パンのままでよいというのは、子供の場合では一五・一%、親の場合では一二・二%ということになりますから、米飯希望、御飯の給食を希望するのが、子供の場合で八四・九%ですか、親の場合で八七・八%。さらに、その中で週一回だとかあるいは週二回、週三回という類別をしますと、週二回というのが子供の希望としては三〇・七%、親の場合では四四・四%、こういう意見がアンケートの結果集約されているわけです。さらには、これは栄養価の問題等もありますけれども、子供たちが楽しい給食にということも導入すれば、給食の中に変化を求めるのがいいのではないだろうか、そういう意見もあるわけなんです。 これは文部省にひとつ聞いておきたいのですが、給食がパンであるという固定された概念が定着しつつあるのですけれども、米飯に切りかえてという子供たちの意見も踏まえて、ひとつ何らかの方針というのでしょうか、給食政策に米飯給食を導入していく、推進をしていくというようなお考えを持っていらっしゃるのか。この親と子の、ある小学校のアンケートの結果だけで即断することは非常に短絡的かもわかりませんけれども、全般的な全国的な流れも承知された上で検討を加えられたらいかがなものであろうか、私はこういうふうにも思うのですが、どうでしょうか。
○高石説明員 いま先生の御指摘のとおりでございまして、全国的な大勢もそういうような空気でございます。したがいまして文部省といたしましては米飯給食の実施を推進しているところでございますが、現在子供の数で約八〇%、学校の数で八四形が米飯給食を実施しているわけでございます。それで、当面の対応といたしましては、週二回米飯給食を実施してもらいたいという方針のもとに行政指導を加えている段階でございます。現在まだ週二回に達していないところが四〇%近くございますので、一〇〇%の学校で実施され、週二回を目標にして全国的に米飯給食が導入されるように指導をしていきたいと思っております。
○井上(一)委員 当然この米飯給食を推進するについては受け入れ体制の問題があるわけです。設備の問題あるいは人員の問題、そういう問題についてもやはり並行してこれは十分な手だてを必要とするということを私は指摘をしておきたいと思うのです。こういう点についても十分な配慮がなされないとこれはいけない、そういう点についてはいかがですか。
○高石説明員 いま申し上げました方針のもとに、米飯の設備の整備ということもあわせて予算措置を講じながら推進しているところでございます。
○井上(一)委員 この点については、ただパン食を御飯食に切りかえるという単純な切りかえではなくて、先ほど申し上げたように、それが十分に可能であるような設備、人員の確保等もあわせて検討されることを私からも要望しておきます。 さらに私はもう一点、海外子女に対する教育の問題について大臣に承っておきたいと思うのです。 御承知のように、国際化時代と言われてもうすでに何年かたつわけですけれども、それにかかわって、いわゆる海外に勤務する邦人の家族、とりわけ同伴する義務教育相当年齢の人たちの教育義務を私はもっと明確にしなければいけないと思うのです。そういう施策がいま現在十分でない。このことについて、まずどういう取り組みをなさろうとしていらっしゃるのか、あるいは今後この問題に対してどう取り組んでいくのか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘の問題は、今日のみならず今後将来ますます重大な問題となってまいるということでありまして、この問題についてはわれわれも非常に関心を持っております。特に最近の海外に在留する義務教育の年齢相当の子女の数は非常にふえておりまして、本年の五月現在では三万二百二名と、三万人を超えるような状態でございまして、過去七年間のうちに倍増いたしておるような状態でございます。 これらの教育の問題につきましては、御案内のとおり、日本人学校というものをロンドンでもパリでも各地に持っておりますほかに、そういうふうな中心都市以外にもたくさんの子女の方々が海外に在住されておる、この子女教育というものは大変重大な問題でございますので、先般も海外子女教育振興財団の正宗会長にお願いいたしまして、関係の各方面の方々にお集りいただいて、特に文部省として御意見も徴し、またわれわれの方からの主張も申したのでありますが、同時にまた、企業体として各方面に出ておられる方については御案内の海外進出企業の協会がございますが、これらの方々と、一方においては海外在住の子女の方々の教育問題、他方においては海外から帰られた方々の教育問題、日を追うて重大性特に顕著なものがございますので、特段の配意をいたしておるのでございます。 また、これらの問題につきましてどうぞ貴重な御意見等を承りたいと私の方からもお願い申し上げます。
○井上(一)委員 大臣、外国という形の中でのいろいろ制約があり、あるいは事情等もぼくは理解をしているのですけれども、義務教育というそういう課せられた義務、これはわれわれの方が行政——御承知だと思いますけれども、子供が教育を受ける権利を保護者とともに行政が十分保障していかなければいかぬわけでして、もっともっと積極的に力を入れていかなければいかぬものですから、当然文部省は、いま日本人学校云々、しかし実態はどうなのかというと十分ではありませんね。たとえば生徒数が少なければ十分な日本人学校の設立もままならないというふうなことです。あるいは補習授業等についても、正式教員が十分派遣されて確保されているのかどうか、この点についてもまだまだ考えなければいけない。さらには、海外から帰国をした人たちがいわゆる国内の制度にうまく乗れるかどうか、こういう点についても問題があります。だから、そういう一つ一つの問題を指摘すれば切りがないわけですけれども、それらをあわせて、文部省としては、もちろん文部省一省だけではこれはいかぬと思います、外務省も協力をいただかなければいけないし、その他各省庁全部協力をしてもらって、子供たちの教育義務の存在をはっきり示していくということが必要です。何か一部では、企業負担ということも言われておりますけれども、義務教育については少なくともやはり国の責任、国の義務ということを明確に打ち出すべきである、私はこういうことも考えるわけです。 さらに通信教育ですね。いろいろ十分手当てをしなければいけないのだけれども、義務教育にも別枠として、これこそ特例として通信教育の導入を図って単位の修得を認める方策、そういうものも一考に値するのではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。だからやはり、具体的にどうしていくのだ、文部省はどう考えているのだ、あるいはこういう取り組み方を今後続けたいのだ、そういうことを答えていただきたいと思うのです。
○田中(龍)国務大臣 ただいま海外子女教育という名前で申しております中には、先ほど申しましたように、日本から海外に出ておられる方々の子女の教育の問題と、海外から帰られました日本の子女の教育の問題と、大別しますれば二つございます。また、海外に対しましての子女教育につきましては、過般も私、ユネスコの会議がございました際にヨーロッパ各地の日本人学校にも参りまして、現地も拝見いたしまして、その間に、いま先生のおっしゃった中で、義務教育の問題が属人であるか属地であるかという問題もございますけれども、その問題はおきまして、少なくとも、各地におきます制度あるいはまたそれらの受け入れ体制、それからお話しの通信教育という問題もございましたが、先ほど申しました振興財団の方では通信教育もいたしておるわけでございます。 詳細なこれらの問題につきましては、私よりも担当の局長から詳細にお答えをいたさせます。
○松浦説明員 概況につきまして申し上げますが、現在海外にございます子女教育の施設としましては、日本人学校、これは全日制の教育をやっておりますが、これが七十校ございます。それから補習授業校といいまして、現地の学校に通いながら、通常はそういうことでございますが、土、日あるいは普通の日の放課後に日本語による教育を受けるというような学校が八十二校ございます。 それ以外に、先ほど先生の御指摘がございました通信教育も行っております。これにつきましては、国庫補助によりまして海外子女教育振興財団が実施しているのでございますが、小学校段階では国語、算数、理科、社会の四教科、それから中学校段階では本年度から国語、数学、理科、社会の四教科になりまして、日本人学校に行けない子供、具体的には補習学校に通ったり、あるいは現地の学校だけに行っているというような子供たちのために希望に応じましてそれを実施いたしておりますが、一カ月に一回の添削指導ということで現在行っている次第でございます。 通信教育でございますので、そういう低年齢の子供がそれによって十分な成果を上げるかどうかという点にはいろいろ実施上の困難もあるわけでございます。しかし、先生御指摘のように、できるだけ海外の子供に教育の機会、指導の充実を図るという点からは、今後とも十分に研究しまして、私ども努力してまいりたいと思っております。 ちなみに、それ以外に、先ほど申し上げました日本人学校とか、あるいは補習学校等に対しまして教員の派遣が現在八百十人、国が交付金を出しながら派遣いたしております。 それ以外に、教材の整備それから教科書の無償配付も国内の子供と同じようにやっております。 また、校舎の借料等につきましては外務省の方で現在担当いたしておりますが、連絡をとりながらやっている次第でございまして、こういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、国内の子供の公費の負担が平均約四十数万円というところでございますけれども、海外の子供につきましては現在国費を一人当たりに換算いたしますと六十数万円というようなことで、国内の子供よりも一人当たり約五割増しぐらいの経費を導入しているところでございます。しかし、なおなお不十分な点がございますので、先ほど大臣からお話がございましたように、今後私どもできるだけの努力をしましてその充実を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
○三角説明員 大臣が二つに大別されましたうちの一つでございます帰国子女の教育体制の問題について御説明申し上げます。井上委員のお手元にも資料はおありかと存じますので、かいつまんで申し上げます。 いろいろ御指摘になりました問題点は私どもも従前から十分意識しておりまして、できるだけ国内のいろいろな学校のこの問題に対する理解、協力を広めていきたい、こういう立場で仕事を進めてまいっている次第でございます。やはり帰ってまいりますと、日本国内でのいろいろな教育に適応する上で困難がある場合が多い。特に現地の、たとえばフランスならフランスの学校に通っていたというような方の場合にはその程度が大きいわけでございます。まずはこれらの子供たちをできるだけ円滑に受け入れていただきまして、その上でその適応を促進する教育をやっていただくということでございますが、まず第一に帰国子女教育研究協力校、こういうものを指定いたしまして、特に首都圏や阪神地区は帰国者の数が多いわけでございます。主にこれらの地域の公私立の小中高等学校にお願いいたしまして、受け入れを積極的にやっていただく、それから特別な教育的配慮に基づく指導や、逆に、逆と申すとあれでございますが、むしろ積極的に、その子供たちが海外生活で得てまいりました経験だとか特性だとかを生かすような教育を行ってほしい、こういうことでやっておりまして、今年度は、昨年度に比べ十三校ふやしまして、小中高全部で七十三校にこの研究協力をお願いしている次第でございます。 第二のカテゴリーといたしましては、国立大学の付属学校での受け入れ体制をできるだけ整備していこう。これはある意味では一つの実験的な試みとして当初は始めたものでございますが、これら帰国児童生徒の比較的多い地域や、普通の学校へいきなり入って学習に多くの困難を伴う、こういう子供たちに対して特別の指導を行うということでございまして、国立大学の付属小中高等学校におきまして帰国子女のための入学定員をひとつ別枠として設ける、あるいは帰国子女教育の特別学級を設ける、こういうような形でやっておりまして、特別学級ではない場合には混合学級というスタイルでございますが、五十六年度の現状で申しますと、小学校五校、中学校十校、高等学校二校、こういうことで積極的な対応を進めております。 それから、私立学校で帰国子女受け入れを主たる目的とする高等学校を設置していただくということで、その特別助成を行いまして、すでに三校開校いたしております。 なお、そのほかに、特に日本語能力が不十分だというような場合のために帰国子女適応教育教室というものを委嘱いたしまして、財団法人波多野ファミリースクールでやっていただいております。 その他、教員のための指導資料の作成配付、あるいは教員の資質の向上のために帰国子女適応教育指導者講習会といったようなことは毎年行いまして、この教育の改善に努めてまいっておる次第でございます。 以上でございます。
○井上(一)委員 受け入れ体制等も含めていろいろ詳しく説明を願ったわけですけれども、何はともあれまだまだ十分でない。だから、そういう点についてはなお一属強い行政指導も含めた中で取り組みをしてほしい、こういうふうに思います。海外に居住する子供たちにも、あるいは海外から帰国をした子供たちにも十分な手当てを文部省が率先して十分取り組んでもらうことを私は強く要望しておきたいと思います。日本人学校等についても、開発途上国における経済協力の中での現地で働く人たちの家族等も十分に留意をしてもらいたいと思う。これは強い要望を申し上げて、次の質問に移ります。 次いで文部大臣、私はここでひとつ、いまの多様化する社会の中で子供たちの置かれているそれぞれの立場を、やはり私たちは温かい配慮で包んであげなければいけないし、十分に子供たちが成長するために文部省あるいは社会全体が取り組んでいかなければいけない。これは、ただ単に保護者だけの責任ということじゃなく、国も地方自治体も社会全体が子供たちの健やかな成長を保障していくという、そういう取り組みの一つとして学童保育について文部大臣の見解を私はまず聞いておきたいと思うのです。
○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。 学童保育の問題は重大な問題でございますが、児童の健全な育成を図る上でこれまた非常に重大な問題でございます留守家庭の児童の問題について、児童福祉の立場から厚生省が中心となって諸施策を進めておりますが、文部省といたしましても、かねてから児童の学校外の教育活動を促進して健全な青少年の育成を図るという立場からこれに取り組んでおるわけでございます。具体的な取り組みにつきましては、学校体育施設の開放事業の推進など、こういうことを通じまして遊び場の確保でありますとか学校外での教育活動の場となるような社会教育施設の整備、また地域の子供会等の少年団体活動の奨励等、留守家庭の児童の健全な育成ということがこれまた重大な関心事でなくてはならない、かように考えております。 なお、教室等の問題でいろいろと議論がございますので一言触れますが、学校教育法第八十五条の規定によりますと、学校教育上の支障のない限りは、本来の教育活動以外の目的に利用させることができることになっておりますが、その判断は、学校を管理いたしております教育委員会が自主的にこれに対して実情に即していろいろと判断をしていただかなければならぬ、かように考えるのでございまして、この不在家庭の児童の育成の問題につきましては、さらに幼児の場合の保育園との関係、幼稚園の関係、あるいはかぎっ子と言われます留守家庭の問題、それからまたこれをどう救済していくかという入れ物の問題に関連いたしました学校、教室の開放の問題、いろいろな地域社会の問題を含んでおります。われわれといたしましては、教育委員会とも緊密に連絡をとりまして、特に幼児教育の問題については真剣に取り組んでまいりたい、かような願望を持っておる次第でございます。
○井上(一)委員 基本的な理念というものがもう少し明確にされないといかぬと思うのですよ、大臣。だから、厚生省云々と言うけれども、留守家庭児童会、いわゆる学童保育、これはやはり小学校に入ってからの子供たちの生活状況や状態というものは文部省が十分に把握せなければいかぬし、そういう中からどう対応していくか、それに対するどのような受けざらを、あるいは文部省が予算を含めてどのような措置を講じていくか。事前に私の方も少し質問を通告しておいたからでしょうけれども、学校の開放なり社会体育施設の整備を図っていきたい、こういう答えもあったわけですけれども、その前にやはり子供たちがそれぞれ自分たち自身で自律的な秩序を組み立てながら社会の中で育っていくという、そういうことが必要である。そのためにもし学校施設が間に合うならば、役立つならば、私は大いに役立てていくべきである、こういうふうに受けとめなければいけないと思うのです。だから、本来は社会の中でそういう社会施設をどんどんつくっていかなければいけない。しかし十分でない。あるいはそこには指導者的役割りを果たしてくれるリーダーが存在するかしないか、いろいろな問題が生まれてきますから、そういう点については一挙に理想の段階まで持っていけませんけれども、望む方向はやはりきっちりと位置づけて、そしてそれに対して学校施設を含めて、現在の文部省がかかわる教育施設がどう役立っているかということを考えていかなければいけない。 いま留守家庭児童に対しては、放課後いわゆる一教室を提供して、それぞれの地方自治体が先進的にそういう先行した施策を講じてきているわけ。文部省はこれに対してどんな配慮を与えてきたか、十分でないわけ。責任を他に転嫁してはいけないし、やはり共同して子供たちの成長に責任を持つべきだし、そのために——私は何も教室を開放することについてのいい悪い、あるいはそれで十分だという認識には立っておりませんし、むしろ、いま現在はそういう学校内はすべての社会の中の一つのセンター的役割りですね、そういうことの中でとらえていくならば、いろいろ問題がそこにはあります。ありますよ。 一番望ましいのは、申し上げておきますけれども、さっき申し上げたように、地域における子供会活動を通しての、あるいはそういう子供たち自身の中からつくられていく一つの秩序ですね。そういうものが望ましいのですけれども、これは少し大臣のお考えも整理をしていただいて……。 学校開放という問題が出ましたが、現実に学校開放をしているそういう自治体があります。そして、学校の一部施設を役立てているそういう事例がたくさんあります。それに対して文部省は十分な手だてをしているのかどうか。あるいは今後そういうことに対してさらに厚い手だてを考えているのかどうか。まずこの点、先に聞いておきましょう。
○田中(龍)国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、担当の局長からお答えいたします。
○別府説明員 お答えを申し上げます。 この学童保育の問題につきましては、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、厚生省は児童福祉の立場からいろいろな施策を進めておられるわけでございますし、またこれと相まって、文部省においては児童の健全な青少年としての育成という見地から各種の施策を講じておるところでございまして、いま先生御指摘の学校の体育施設の開放事業につきましては、これは体育局の事業でございますけれども、予算積算といたしましては全国八千校を対象として四億八千万円の予算を計上し、年来実施をしているものでございます。
○井上(一)委員 大臣、ぼくは非常に不満ですね。ただ予算の額が少ないから不満じゃないのです。取り組みの担当を含め、大臣も含め、私はもっともっと子供たちの成長ということに文部省大臣以下が真剣に取り組まなければいけないと思うのです。四億や五億の金で子供たちが健やかに成長できるなんてお考えなのでしょうか。 さらには、いま地方自治体が先行している諸制度に対して文部省は思い切った制度化をするのかしないのか。するとするならばどういう根拠でそれをしていくのか。しないとするならばそれにかわるべき施策は何をするのか。厚生省の考えているあるいは厚生省が推進している地域社会における公民活動の中で学童保育も位置づけていくのかどうか。そういうことに対してだって何ら意見がないじゃないですか、文部省は。私は、施設の開放についてはまだ質問しますよ。しかしそれ以前に、やはりそういう学童保育という、子供たちの保護者が共働きをしなければいけないかぎっ子の現状に対する文部省の認識というものは全く不十分だ、全く子供たちのそういう立場を尊重してない、考えてない。そんなことでどうなるのですか。つまらぬ圧力で教科書を変えようなんというような方向に進むのがいいのか。教科書だけで子供たちはりっぱになりませんよ。りっぱな人間をつくるためには、大臣、やはりもっともっと子供たちに配慮ある施策を講じなければいけない。そういう点でどうなんですか。
○田中(龍)国務大臣 ただいまの御質問でございますが、学校教育、義務教育におきまする小中学校の教育という問題もさることでございますけれども、低学年の教育、さらにもう少し下がりました幼児教育といったような問題になりますと、これはむしろ家庭との問題、社会教育の中におきますあるいはママさん教育でありますとか家庭のいろいろな社会教育的な施設、あるいはそれに対しまする教育、これはもう非常にむずかしい問題であることは先生が一番よく御承知のはずでございます。それらに対しまする取り組みの問題について、これは先生がおっしゃるようにまことに不十分である。幾らこれに対して一生懸命に取り組みましてもなお足らないほどの大事な教育のポイントである、かように考えておるのでございます。特に、最近における家庭教育の中のママさん教育といいますか、また幼児教育といいますか、低学年教育の面におきましては、もっともっとこれを整備しなければならない。しかも同時に、これには愛情をもって対さなければならない。これが制度の問題よりも予算の問題よりも一番大事なポイントであろう、私はかように考える次第でございます。
○井上(一)委員 まさに愛情の問題、しかし言葉だけで愛情なんというものはあらわれるものじゃないのですよ。非行化に走っていくということも、やはり何らかの一つの子供たちの生きてきた生活の中での家庭での不満あるいは何かの問題がそういうところに結びつく場合があるわけです。だから、愛情のあらわれなんて言葉で言ったって、その愛情のあらわれをきっちりと示していくためには、学童保育の中での指導員も必要になり、その指導員については、りっぱな先生がそこにおってくれる、さらには、そういう温かい愛情が示されるような状態をつくるということになれば施設も必要になり、やはりそれぞれが心が触れ合っていけるような状態をつくっていこうと思うたら予算も必要になる。いま地方自治体がそれぞれ独自でそういう予算を仕組んで事に当たっているわけです。私は必ずしもそれがすべてであるという認識は持っておりませんし、むしろ逆に、その中で補習的な授業をやっていくことは、他のいわゆるかぎっ子でない子供たちとの間に学習の差がついてしまうという、反面の、望むべき方向でない部分も出てくるわけです。 だから、いろいろと問題はあるけれども、文部省と厚生省が、保育と言えば厚生省で教育と言えば文部省だという枠を踏み外して、子供の成長というのはやはり両省が共同して取り組まなければいけないと思うのです。 ここで一つ大臣に要望をしておきたいのですけれども、この学童保育ということについては、厚生省と文部省が十分話し合いをされて新しい方向づけを明確にしていくことが必要ではないだろうか。きょうあすには結論は出ないと思うのですけれども、子供たち、その留守家庭児の成長あるいは子供たちの遊びも含めて、十分に両省で話し合いをされるのがいいのではないか、ひとつそういうプロジェクトをおつくりになったらいかがですかということを私は提案したいのです。大臣、どうでしょうか。
○田中(龍)国務大臣 この問題につきましては、予算委員会の当時から厚生省と文部省との間に協議をして何らかの結論を出したいということでございまして、いろいろと折衝を重ねてまいった次第でもございますし、それからまた、いついつまでにその結論を出そうというのもよう出し得ないで再延長したことも御承知のとおりであります。また、今度の幼保懇におきまして、林修三さんのところにおきまして、この保育所と幼稚園の問題についての取りまとめをするということでございましたが、これまた非常な努力をなすって、取り組んでまいられましたが、結論が出ないままに推移いたしてまいったような次第でございます。いまお話しの点は何とかしなければならない問題でございますし、同時にまた、厚生省とも今後ともにこの問題につきましては、先生の言われるように継続して、両者本当に腹を割って、かわいい子供のために研究を続けてまいりたい。何らか速やかに結論を出したい、かように考えております。
○別府説明員 ただいま大臣がお答え申し上げましたが、私の方から若干補足をさせていただきますと、留守家庭児を含めて青少年の健全な育成の問題については、厚生省を初め他のいろいろな官庁との関係もあるわけでございます。従来から総理府に設けられております青少年対策本部を中心として、関係各省集まってこの問題について論議をする場がございますし、今後さらにそういった場を活用いたしまして、先生御指摘の子供たちに対する愛情ある施策の進め方について、それぞれの立場はあるわけでございますけれども、相協力して努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
○井上(一)委員 時間が余りありませんが、大臣、お母さんがわりに放課後指導してくれる先生が、だんだんと、そのお母さんの役割りから先生の役割りに変化しつつあるわけですよ。そういうことになってくると、その先生から受ける補習的というのでしょうか、復習的というのでしょうか、そういうような授業の面での一つのギャップがあるわけですね、受ける子供と受けない子供と。いい面もあるし、また調整をしなければいけない面、そして、学校の中でやることだけがいいのか、公民館、いわゆる地域へ出ていって、そういうことをもっと広い意味で、すべての子供が自発的に参加のできるような形、そして、できれば子供会、子供自身の中でリーダーができ、そして子供たちの遊びという中で、やっぱり学校から帰った社会の中での時間というのは持つべきだ。そういうことで友情というか友達ができ、それがやっぱり非行に走らない、あるいは非行を防止する一つの見えないところでのさくになっていくのだ。あなた方の考えていることは、ほんまに何を考えているのだろうかと私は歯がゆい思いをするわけです。 そういう意味では、もっともっとこれについては大臣から素直な意見を聞きたかったのですけれども、きょうは非常に暑いし、それはもちろん夏場ですから、こんなときに子供がプールに入って泳ぎたい。じゃ小学校のプールがすべて開放されているかどうか。授業の中ではプールが時間帯によって利用されるけれども、夏休みにプールが開放されるのかどうか。あるいは開放する場合には、文部省は、そういう奨励をした場合にはどういうような、事故のないようにとか、あるいはどういうような指導をやっていくのか。私はすべてのプールを開放して、そのことも子供会、子供の成長に大きな役割りを果たすのじゃないか。夏休みじゅう、もし地方自治体が開放する、あるいはそれぞれの教育委員会が開放する。いや、それはもう先に施設利用については教育委員会の判断でございます。文部省はどんな指導をしているのだ、行政指導。そして、それに対してどういうような手当てをしているのだ、そんなことを一回答えてください。あるいは私の言うようにすべての施設を有効に活用するためには、夏場のプール開放も一つの具体的な事例だ、私はこう思うのですよ。 きょうは特に暑い。そういう意味からプールを一つ出したわけです。体育館等も含めてそうですよ。どんどんとそれぞれの地方自治体で運動場、校庭の開放、いろんな意味で先進的にやっております。文部省がそういうことに対しての指導と取り組み、さらには自治体に対する協力した、一緒になって責任を負うのだという対応、予算等も含めてどないしているんやということを聞いておきたいと思います。
○別府説明員 まことに申しわけございませんが、いまちょうど手元にプールについての資料を持ち合わせておりませんので、お許しをいただきまして、他の、校庭、運動場でございますとかあるいは屋内体育館についての……(井上(一)委員「プールの開放についてはどうなんですか」と呼ぶ)学校のプールも含めて学校体育施設の開放事業というものに対して、文部省が予算措置を講じ、施策を講じているわけでございますが、その予算措置と申しますのは、その体育施設を開放する場合の管理指導員の謝金を支払うという形でやっておるわけでございまして、たとえば一つの例として、いわゆる屋内体育館の開放状況を統計数字で見てみますと、昭和五十四年度の実績でございますが、小中高等学校で屋内体育館を持っておりますのが三万二千九十一校ございます。このうち開放をいたしておりますのが、七七・四%に相当いたします二万四千八百四十九校になっております。
○井上(一)委員 私が聞きたいのは、行政指導として、文部省の指導としてはそういうのをすべて開放すべきだという、開放することを奨励しているのか、指導しているのか。さらには、その場合の管理する人に対する謝金ですね、すべて保障して、ちゃんとそういうことが予算上講じられているのですか、こういうことなんです。それはどうなんですか。
○別府説明員 お答えを申し上げます。 昭和五十一年に次官通知が出てございまして、「学校体育施設開放事業の推進について」という通知でございまして、内容は細かくなりますので省略をいたしますが、公立の小中高等学校の運動場、体育館、プール等の体育施設を開放する、その開放事業を行います際の管理指導員の人件費について予算措置を講じているという次第でございます。
○井上(一)委員 一人当たり幾ら出しているのですか、管理人に対して。
○別府説明員 幾つかの条件はございますが、先生の御質問に端的にお答え申し上げますと、一日一回当たり千八百円を限度として三分の一補助をいたしておるという積算になってございます。
○井上(一)委員 一日千八百円で十分な管理ができるとお考えなんですか。
○別府説明員 このような仕事に対する取り組みの仕方は各地域ごとにいろいろな取り組みの仕方があるわけでございまして、青少年の健全育成のためのいろいろな御協力をくださる地域の青少年団体のリーダーでございますとかあるいはボランティアの方々の御協力とか、いろいろな形での取り組みが行われている実態の中での積算になっているわけでございます。
○井上(一)委員 ボランティアに甘え切ってはいけない。さらに私は、それは予算だけで解決はいたしませんけれども、やっぱり認識の問題として、もっともっと十分配慮していくべきである、これは要望しておきます。 最後に時間がありませんが、一言、私は大臣からお聞きをしたいと思うのです。平和と民主主義を守る教育とは一体何なのか、一言で大臣おっしゃってください。
○田中(龍)国務大臣 一言で言えという御下命でございますから申し上げます。 それは、愛情を基本に置いた教育でございます。
○井上(一)委員 時間がありませんけれども、真実を教える、このことも私から申し上げておきたいと思います。 時間が参りましたから、きょうはこれで終えておきます。
○國場委員長 この際、午後一時半まで休憩いたします。 午後零時四十分休憩 ————◇————— 午後一時三十一分開議
○國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。新村勝雄君。
○新村委員 最初に大臣にお伺いをいたします。 最近青少年の犯罪がマスコミ等において目立つようでございます。特にその犯罪が青少年のうちで低い年齢の層に移りつつある、こういう傾向を指摘をされておるわけでありまして、これは教育上きわめて重要な問題であるし、ぜひともそういう危険な傾向は、早期のうちにその原因を十分究明をして解決をしなければならない教育上の課題だと思いますけれども、大臣にはそれをどう把握されておるか、あるいはまたどういうふうな対策をお持ちであるか、まず伺いたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 青少年非行問題というのは、その非行をいたしました青少年、これはもちろん不都合な存在でございますけれども、同時にまた、青少年をして非行に至らしめるような、やはり客観情勢と要因があることも事実でございます。私、たまたま総理府の総務長官をいたしております際に青少年局というものをつくりまして、そしてこれらの青少年対策を推進いたしました因縁もございますけれども、一番問題は、戦後の非常な混乱期におきまして、敗戦の直後全く価値観というものがぐちゃぐちゃになってしまいまして、親にいたしましても、しつけもようできない、学校の先生にいたしましても、なかなか教える指針もないといったような混沌とした時代、昭和二十六年に第一回の青少年非行問題がありました。それからちょうど十年ぐらいたちました昭和三十六年、第二回目の青少年非行問題がございました。今回が第三回目の青少年非行と相なっておりますけれども、やはり今回の場合には、一回より二回、二回より三回と、大変内容的にも深刻な、しかも悪質な様相を呈しております。ただ単に治安当局あるいは警察といったような方々が協力していただいてこれを抑えるというだけでは済まないのでありまして、結局これはまずは家庭から、それからまた学校におきます先生方、そしてまた社会全体、こういうふうな非常に各方面にわたりまして総合的に対策を講じなければいけない。特に今回のような校内暴力だけではなく、それが外部勢力と結合いたしました番長グループでありますとか、あるいは麻薬、覚せい剤といったようなものにまで範囲が広がっておりますことは非常にゆゆしい問題であろう、かように考える次第でございます。
○新村委員 青少年の非行につきましては、それが発生する原因はきわめて多種多様であると思います。それからまた、そのあらわれる形態も、いま大臣がおっしゃったようなグループ、これはもちろん思想的なものはまずないわけでありますけれども、一つのグループによって、その外的な条件から誘発をされる場合と、そうではなくて、その個人個人が、何といいますか、屈辱感を味わうとかあるいは孤独感を味わう、孤独に陥っていく、その孤独に陥っていく原因もまた別にあるわけでありますけれども、こういうように、その個人としてみずからそういう条件をつくっていく、あるいは外部からそういう条件をつくられるという、いろいろなそういう原因もあると思うわけであります。 そこで、これはたくさんの原因があるわけでありますけれども、特に教育現場における児童に対する扱い方で、その間においていやしくも児童に屈辱感を与える、あるいはまた孤独感を与える、そうして仲間から自然に外れていくような一つの契機を教育現場が与えるということは厳に慎まなければいけないし、もちろん意識的にそういうことをやっているはずはないのでありますけれども、そういうことがないように、現場において細心の注意を払っていただきたいということでございます。 そこで、私はこれに関連をして、私が経験をした一つの例を申し上げるわけでありますが、いま国の施策として要保護及び準要保護児童生徒に対する就学援助施策が行われておるわけであります。これは文部省がやっていらっしゃることであります。そうしてそれなりにこれは有意義な施策であるし、成果を上げておることは認めるわけであります。五十三年度の決算で、要保護及び準要保護児童に対する施策は百六十億二千万円の支出がされておるわけでありまして、それなりに成果は上がっておると思うわけでありますけれども、これらの施策を実際に現場で行う場合には、やはり性質が性質であるだけに十分細心の注意が必要だと思うのですけれども、それらについてどういう指導なり注意をなさっているか、伺います。
○三角説明員 具体的な就学援助費の給与の方法につきましては、就学援助を行うそれぞれの市町村において定めるということにいたしておりますが、文部省といたしましては、この各費目について、児童生徒が援助を必要とする時期にできるだけ速やかに給与するということと、それから就学援助費の各費目についてこれを給与する場合あるいはいろいろ調査をする場合には、特に要保護及び準要保護の児童生徒に、ただいま委員おっしゃいました屈辱感でございますとかあるいは劣等感を抱かせることのないように細心の注意を払うように指導しておりまして、補助金の執行について毎年通知を出しておりますけれども、その通知で毎年繰り返しこの点については注意を喚起しておるところでございます。やはり学校現場ではそういった点には一番神経を使うべきであって、この問題について、逆に言いますれば無神経な対応は極力避けなければなりません。そういう線で従来も指導いたしております。
○新村委員 細心の注意、これは抽象的なおっしゃり方でありますけれども、たとえばどういうふうにするということですか。できるだけ具体的にお願いします。
○三角説明員 たとえばというお尋ねでございますが、それぞれの学校なりで十分に注意をしてやっていただくということで、具体的な対応については、校長以下学校の当事者に任せざるを得ないのでございますけれども、私どもといたしましては、いま申し上げましたように、例年八月末ごろに各教育委員会に初中局長、体育局長連名で補助金の事務処理について通達を出しておりますが、この通達の中で「それぞれの費目の給与事務の取扱いについては、要保護者等の児童生徒に卑屈感や劣等感を抱かせることのないように、細心の注意を払うこと。」こういうぐあいに抽象的ではございますが申し上げまして、この精神で具体的にそれぞれ対応していただく、こういうことを期待しておるわけでございます。
○新村委員 これは実際にあった例でございますから具体的な例を申し上げますと、これは東京都内のある市でございます。市の名前は申し上げませんけれども、某市の教育委員会がやっておることでありますが、学年の初めに当たって、全部のクラスの生徒がいる前で「保護者の皆さんへ」というこの制度を説明した印刷物と、それからこの制度の適用を受けるための手続の書類を特定の児童にだけ名前を呼んで渡しておる、これは実際に起こったことでありますけれども、こういう実例があるわけです。「某市教育委員会、保護者の皆さんへ」としまして、「当市ではお子さんたちが学校で楽しく勉強できるよう、学用品の代金、修学旅行、給食医療、校外活動、卒業記念アルバム、標準服、移動教室、課外クラブ活動(柔道、剣道、スキー、スケートクラブ等)の用具などの費用を援助しております。援助を受けられる御家庭は」としまして五項目あります。生活保護の停止または廃止を受けた御家庭、二としまして児童扶養手当の支給を受けている方というふうに詳しく説明をして、「保護者の皆さんへ」ということで出しておるわけです。 これを全部のクラスの生徒の前で特定の児童を呼び出して渡しておるわけです。家へ帰ったらこれをお父さんに見せなさい、これはまことに心ないやり方であると思うわけですよ。こういうことでは、それを契機として、そのクラスの中の特定の児童は家庭が非常に貧しいということがほかの人にもわかるわけですからね。こういうことをある市ではやっておるわけです。これは大変不適切なやり方だと思いますが、こういう実態を文部省は把握しておられるかどうか伺います。
○三角説明員 ただいま御指摘のようなことは、いま承った次第でございます。まさに新村委員おっしゃるように、大変心ないやり方であると思います。具体的に当該公共団体の名称がわかれば、私どもは東京都の教育委員会を通じて、しっかりと通達の趣旨の線で今後事務処理をしていただくように指導いたしたいと思います。
○新村委員 こういうことは、聞いてみますと、かなりのところでかなりの数の市町村教委が実際にやっておるようです。中には全生徒にこれを渡して、希望者は出せ、こういうことを言っているところもあるようです。 また中には、いま申し上げたように、特定の生徒の名前を呼んで、特定の生徒にだけこの書類を渡して、家へ帰ったらお父さんに見せなさい、こういう指導をしておるところもある。まちまちでありますけれども、とにかくきわめて不適切な扱いをしておることは事実であります。この扱い方の実態は文部省としてもやはり調査されて、どういう扱いをされているのか、これはきわめて微妙な心理的な影響を関係者に与える問題でありますから、それらについては全国的に実態調査をされるとか、報告を徴するとかされることが必要ではないかと思うわけでありますけれども、どうですか。その点どの程度の実態を把握しておられますか。
○三角説明員 最初に申し上げましたように、私どもの指導の方針というものは、毎年毎年これを通達の中にしっかりと言及をして注意を喚起しておる次第でございますが、この補助金も現在では総額で二百億に及ぶ金額でございまして、これを全部いま御指摘のように一々調べるということもなかなか容易なことではございません。したがいまして私どもといたしましては、都道府県の教育委員会に対して、事務担当者の会議その他適切な機会を通じまして、より一層この補助金の取り扱いについての留意すべき事柄についてなお指導を徹底するように努めてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
○新村委員 適切な指導、適切な扱い方をしろという指導をされておるということでありますけれども、実際にはそれが行われていないわけですよ。適切ではない。きわめて不適切な執行の仕方がされておるわけでありますが、そういうことを文部省が御存じないということでは因るわけであります。実態の把握というのはそういう意味で申し上げるわけでありますけれども、実際にどういう扱い方をされておるのかを御存じないのかどうか、もう一回伺います。
○三角説明員 ほかの事務も同様なものが多いわけでございますが、本件の事務も市町村の教育委員会、市町村にお願いして執行しておるものでございまして、文部省はこれに対して補助金を出す、こういう立場でございます。市町村の教育委員会に対しましては、直接には当該市町村のありますところの都道府県の教育委員会から必要な指導、助言をまずやっていただくということでございますので、私どもは、そういういわば現在やっております教育行政の地方自治の仕組みの中でただいま御指摘のような問題がより徹底するように努めていきたい、こういうふうに思うのでございます。
○新村委員 基本的な方針については示しておる、あとは都道府県あるいは市町村の判断だということでありますが、実際に現場において行われることがその趣旨に合っていないわけですよ。きわめて不適切な執行の仕方がされておるということでありますけれども、先ほど申し上げたようなことが適切であるかどうか、それでいいのかどうか、これは大臣、ひとつその点を伺いたいのです。
○田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘がありましたようなケース、これは最も多情多感な青少年の、本当に敏感な心理状態というものをよく知って、そうしてこれに対処しなければならない。校内におきましての学校の先生方の扱いも、また家庭における親御さんたちの扱いも同様でありまして、私は、青少年非行の大きな今日の問題は余りにも荒削りな青少年に対しての対し方であって、もっと本当に心から温かい気持ちで対していかなければならない、特に教育の機関の場としましては御指摘のようなことは本当に慎みたいものだ、かように考えております。
○新村委員 そうしますと、文部省としては、これは都道府県に任せる、あるいは実際の仕事は市町村だということだけではなくて、そしてまた基本的な方針を示すだけではなくて、実態がどうであるかを報告を徴するとか実態調査をするとかによってもう少し把握をされる必要があるのではないか。文部省の親心が現場で全く生かされていないということが実態でありますので、その点を強く希望するわけであります。 この問題について、ある母親は、そういうやり方をされることは非常に家庭としても困っておる、毎年それが行われる時期が来ると私は本当に死んでしまいたいような気持ちになる、子供からそれを言われて、子供がクラスのほかの子供から後ろ指をさされる、自分の子がそういう環境に置かれることについては本当に死んでしまいたいようなつらい気持ちになるのだということを直接聞いたこともあるわけです。せっかくの親心ある制度が間違って執行されるとそういう逆効果も生むわけであります。それらの点について、ひとつ文部省では十分実態を把握され、適切な指導をされるように特にお願いをしたいわけであります。いままでのように単に抽象的な指導を流すということではなくて、実態を少し調査あるいは把握をされる必要があるのではないかと思いますが、今後そういうことをなさるお考えがありますか。
○三角説明員 御指摘でございますので、都道府県の教育委員会のこの業務の担当者等との会合なり打ち合わせなりをいたします場合に、それぞれの都道府県でいま仰せられましたような非常に遺憾なケースがないかどうか、そういうことは聞いてみたいと思いますし、それから、まさにいま御紹介のあったような例は非常に教育的でもございませんし、ましてむしろ人間的でない扱いであるように思いますので、そういった御指摘をも紹介をしながら、都道府県担当者の会議でこういった状況を紹介をしながら、さらに指導の徹底を図ってまいりたい、こういうふうに思います。
○新村委員 これは、この施策の執行の途中における一つの手続の面を申し上げたわけでありますけれども、説明書を児童を通じて家庭に配らしたということでありますけれども、あと実際に金品を支給する場合にもやはり細心の注意が必要なわけですね。ほかの生徒にあの子供の家庭は経済的に非常に困っているというようなことがわかるような方法で支給したのでは、これはマイナス面が出てくるわけであります。ですから、単に説明書を配らしたということ自体の可否だけではなくて、この制度全体を通じて子供にあるいはまた父兄に差別感を与えない、屈辱感を与えないという、こういう万全の注意をひとつお願いをしたいわけであります。この点について、もう一回大臣から明確な御答弁をひとついただきたい。
○田中(龍)国務大臣 ただいま担当の者からもお答え申し上げましたように、特にそういう問題につきましては、十分に細心の注意を払いまして処理いたしまするように申しつけておきます。
○新村委員 次の問題でありますが、いま教科書の問題で盛んに論議が行われております。その中に文部省の指導として、教科書の中から特定の企業の名前は出すべきではない、こういうことが指導されておるわけです。たとえばこれは高校の教科書でありますけれども、石牟礼道子氏の文章の中で「社長さん方のお家にゆくときもチッソの前にゆくときも……」という文章の中で、チッソの名前は企業名であるので取る、四大公害裁判をまとめた図表に被告として挙がっている企業名、四日市ぜんそくは四日市石油、三菱油化、三菱化成、三菱モンサント、中部電力、石原産業、イタイイタイ病については三井金属鉱業、阿賀野川水銀中毒は昭和電工、水俣病はチッソ、これらの企業名はすべて取るように、こういうような指導がされておるわけですね。この問題については大臣、どうお考えですか。
○田中(龍)国務大臣 原則といたしまして、特定企業の名前というものがその企業の経営、いろいろな面におきましても支障を来すようなことがありますので、そういう場合におきましては、一般論といたしまして名前を出さないというのが常識でございます。
○新村委員 ところがいま申し上げたのは公害に関する企業でありますが、公害防止に熱心な鯨岡大臣は、それは削除は必要ないのではないか、これは事実の記述だからいいのじゃないかということを発言されておるようでありますけれども、そうなるとこれは閣内不一致というか、内閣の統一見解としてはどうなんですか。閣僚の中には出してもいいという方もいるし、大臣はいけない、閣内不一致ですね。統一見解としてはどうなんですか。
○田中(龍)国務大臣 私の申し上げておるのは、常識論、一般論でございます。たまたま同僚の一人が違った見解を持ったかもしれませんが、私はさように心得ております。
○新村委員 そうしますと、閣内に二つの見解がいまあるわけですけれども、この問題に対する統一見解がやはり内閣としてなければ困るでしょう。これはいかがですか。
○田中(龍)国務大臣 私、先ほど来申し上げておりますように、常識論として申しておるのでございます。いろいろな具体的な問題におきまして名前が挙がる場合も間々あるかも存じませんが、一々統一見解をというほどのことは、当該ケースにつきましては必要はないのではないか、私はかように考えます。
○新村委員 そこで、これは別の場面ですけれども、こういうことがあるのです。それは学校で常時使っておるものでありますが、生徒が学校に納める学級費、これは何がしかのお金を毎月生徒が学級の雑費に充てる費用として先生に出す。これはどこでもやっていることだと思います。その学級費を納める袋がございます。これは全校の生徒が毎月一定の日に何がしかのお金を納めるわけであります。そのときに使う袋でありますから、全校生徒が必ず持っていなければいけない。この中に学級費を入れて先生に出すわけですね。その入れる袋にこういうものがあるわけですよ。ここに絵がかいてありまして、「あぶないぞ 道へ出るとき まず止まれ」と書いてある。これはいいのですけれども、そこにかいてある車には「TOYOTA」と書いてあるのですよ。その下に「千葉トヨタ自動車株式会社」「トヨタカローラ千葉株式会社」、販売店の名前が書いてございます。こういう袋を全校の児童に配って、それを使わせるということが行われておるわけです。これもどこの小学校ということは言いませんけれども、現にやられておる。こういう事態に対して大臣はどうお考えですか。
○田中(龍)国務大臣 袋の性質によりまして、そういうふうな重要な袋に会社名が麗々と書かれておるということはまことに当を欠いておると存じます。なおまた、運動会なんかがございますそういうときに、よく森永キャラメルの広告が学校のパンフレットに書いてありましたり、あるいはロッテのチューインガムが書いてありましたり、広告というものとそういうふうなまじめな、いま先生がお持ちになったようなあれとは若干意味も違いますけれども、そういうふうな点はやはり慎んだ方がいいのじゃないか、かように考えております。
○新村委員 一方では事実の記載、公害企業の名前が出てくるけれども、これは事実の記載ですね。そして、これは日本の戦後史の重要な一つの事実として教科書に記載されておる。それさえも企業の名前はいけないということで削れということですね。そういうことを文部省は言っておるわけですよ。その反面、これは全く商業主義の教育への進出と言わざるを得ないわけです。これは全く言い逃れのできない広告ですね。これは全くの広告ですよ。そういう形で商業主義が教育の現場に入っていくということについては絶対に黙過できない事実ではないかと思いますね。これは教材そのものではないですけれども、教材に準ずるもので、全校生徒が必ず持たなければいけない、使わなければならない、そして全校生徒の家庭にくまなく、例外なく入っていくわけですよ。それで父兄も見る、あるいはまた児童ももちろん見るわけです。その中にトヨタ自動車の絵がある、またトヨタ自動車の販売店が列記されておる。これは、教育現場というよりは教育そのものの中へ商業の宣伝、商業主義が入っていくということですね。これはどうお考えですか。
○三角説明員 御指摘のとおりであるというふうに私も思います。やはりもう少し学校に神経を使っていただかなければならない。大臣は常識と申されましたけれども、常識から見てもおかしいし、教育指導の観点から見ればなおさらおかしいわけで、学校という場が特定企業、営利企業の宣伝に利用されるということは、教育的な観点から申し上げて極力排除していかなければならない、そういうふうに考える次第でございます。
○新村委員 こういう事実があることを御存じですか。
○三角説明員 御指摘のようなことで伝えてくださる場合には私どもは承知するわけでございます。ただ、先ほどの問題もおありでございますけれども、文部省が全国くまなく自分自身の手足を張りつけて監視をしている、こういう状況ではございませんので、時々刻々の状況を一々把握するということはできないのでございます。
○新村委員 こういうやり方はかなり広く行われておると思われるのです。というのは、これを印刷しておるのは学校でもなければPTAでもなくて、これを専門にやっておるところがあるのですね。千代田区内幸町一の七の一、学協社という会社が専門に広告をとって、そこでつくって、その会社名で学校に寄付申し立てをして寄付をしているということでありますから、これはかなり広く行われておると思われます。恐らく関東一円にわたってこういうことが行われているのじゃないか。それを文部省が知らないというのはちょっとお粗末過ぎると思うのです。そういうことは全然おわかりにならないのですか。
○三角説明員 文部省は、個々の学校、現場の個々の日常の営みについて一々これをチェックし、これについて一々口を出す、こういう体制での仕事はしておらないわけでございますので、御指摘のようなことがわかりますれば、その段階でしかるべき指導なり助言なりの措置を講ずる、こういうことになるわけでございます。御指摘のようなあれは、本来は常識で判断をして対処をしてもらってしかるべきことではないかというほどにも思うのでございますけれども、ただいまのようにかなり広く、もしそういう状況があるとすれば、市町村の教育長の会議なり講習会などを通じて、これまたそういう状況についての市町村教育長自身の把握状況も聞いたり、それからしかるべき指導をしなければいけない、こういうふうに思います。
○新村委員 常識の問題だとおっしゃいますけれども、それほど、だれが見てもおかしい問題が実際にあるわけですよ。これは常識の問題だから文部省は知らない、あるいはそういう細かい点は都道府県あるいは市区町村の教育委員会がやることだ、それで済ませる問題ではないわけですね。こういうところから教育に対して不当な他の勢力の侵入を許すということになってくるわけでありますから、それらについて文部省はどういう見解を持っておられるのか、あるいはどういう今後の方針を持っておられるのか、それを伺いたい。
○三角説明員 常識でわかることだから何もしない、こういうふうに申し上げたのではなくて、本来常識で、日常いろいろ注意をすればあり得べきことじゃないのじゃないかという印象を申し上げたのでございまして、そういった事態は大変好ましくございませんので、私どもは機会をとらえて委員御指摘のような方向で指導してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○新村委員 これは学校だけではなくて、それを専門の業として行っている会社もあるということですよ。ですから、それらの点についても十分調査をされたいと思いますが、どうですか。
○三角説明員 そういう会社があって、会社が会社の利益のためにいま御指摘のような材料をつくっているということのようでございますけれども、私どもとしてはその会社の仕事の方にまで、これを監督したりチェックしたりすることは役所の性質上できかねますので、むしろそれが出回っております学校側のサイドに対しまして適切な対応措置を指導したい、こういうふうに思う次第でございます。
○新村委員 大臣に伺いますが、こういった事態についての今後の対処の仕方を具体的に伺いたいのです。
○田中(龍)国務大臣 御指摘のような事実がございます次第につきましては、学校用品の選択等につきましても十分に配慮をいたしまして、少なくとも学校が商業宣伝の場に利用されることのないように、市町村教育長の会議などにも特に機会をとらえまして指導してまいります。
○新村委員 その点については明確に御指導を願いたいし、その御指導の結果について資料として後で提出を願いたいのですけれども、お願いできますか。
○三角説明員 なるべく近い時期に機会をとらえたいと思いますが、いま手元に市町村関係あるいは都道府県関係の会議等の日程を持ち合わせておりませんので、よく調べましてできるだけ早い機会に趣旨が伝わるように措置をしたいと思います。私どもそういう会議で呼びかけをいたしましたら、そのことにつきまして委員の方に御報告したいと思います。
○新村委員 その点をお願いしまして、次の問題でありますが、幼稚園と保育所の問題について伺います。 幼稚園と保育所は確かに性格は違いますけれども、見方によっては各地域において一つの対象に対してダブった施策あるいは施設等が行われているというような印象もあるわけです。そして従来から、幼保の一元化という問題も提起をされておるわけです。そして幼稚園及び保育所に関する懇談会というものもつくられまして、その報告も出されておるわけでありますが、文部省としてはこの幼稚園と保育所の関係についてどういう見解をお持ちでございますか。 それから、先ほどの前の問題で厚生省さんからお答え願う予定でしたけれども、その点は結構でございますので、保護関係の方はお帰りになって結構であります。
○三角説明員 幼稚園と保育所というものがあるわけでございまして、これについて文部、厚生両省で協力をいたしまして幼稚園及び保育所に関する懇談会というのを設けまして、専門家の方々に御協力をいただきまして、林修三先生が座長に選ばれまして、この懇談会で約三年間ずっと御検討いただいておったわけでございます。先般、この検討の結果が厚生大臣、文部大臣両大臣あてに出されまして、ちょうだいしたわけでございます。 この報告では、いろいろ検討を重ねられた結果として記述されておるわけでございますが、幼稚園、保育所につきましては、両者はその目的なり機能なりそれぞれ固有のものを持っておりまして、そして国内の各地で必要な役割りを果たしておる、したがいまして、それぞれがそれぞれの目的、機能に応じた活動をしていくということが必要である、こういう結論になっておりまして、幼保はその目的、機能に応じて整備され、両者が相まって乳児、幼児の健全な育成が確保される必要がある、非常に簡単でございますがそういったふうに述べておるわけでございます。私どもとしては、この報告の趣旨にのっとりまして今後も幼稚園の振興の問題に取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っている次第でございます。
○新村委員 保育所と幼稚園とは性格が違いますけれども、学校教育をすでに受けるようになった小学生の低学年の生徒に対しては保育的な要素もつけ加える必要があると言われております。特に産業社会の中では、未就学児童だけではなくて低学年学童についても学業が終わった後における保育という措置が必要だと言われております。いわゆる学童保育ということの必要性が言われておるわけでありますが、現在まだこの学童保育が十分制度化していないようでありますけれども、この学童保育に対する文部省の見解はいかがですか。
○三角説明員 この問題につきましては午前中も井上委員から御質疑なりあるいは御意見のお示しがあったわけでございますけれども、学童保育は児童の健全な育成を図ります上で重要な問題であるというふうに考えております。 留守家庭児童の問題につきましては、児童福祉の立場から厚生省が中心となって諸施策を進めておりますが、文部省といたしましてもかねてから、児童の学校外の教育活動を促進し、そして健全な青少年を育成する、こういう健全育成という立場から取り組んでいるところでございます。 具体的な取り組みといたしましては、学校体育施設の開放事業の推進などを通じましての遊び場の確保、それから学校外での教育活動の場となります社会教育施設の整備、それから地域の子供会等の少年団体活動の奨励、ボランタリーな活動の奨励などによりまして留守家庭児童の健全育成を図ろう、こういうふうにしておる次第でございます。 文部省といたしましては、今後ともこういった諸施策の一層の充実振興のために努めてまいりまして、厚生省のおやりになります諸施策と相まっていわゆる留守家庭児童の問題に対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○新村委員 学童保育についてはまだ要員の確保もできていないし、それらについては主として地方団体の超過負担で賄われているという実態であります。それらについての今後のお考えはどうであるのか。 それからまた、この懇談会の報告によりますと、保育所の面からすれば長時間保育、夜間保育、乳児保育あるいは一時保育、こういう各種の保育ニーズが起こっておるので、その多様化したニーズにこたえるべきである、こういうような懇談会の報告がありますけれども、厚生省としてはこれらの要求についてどういうふうなお考えですか。
○横尾説明員 お答え申し上げます。 保育所と幼稚園の問題を御審議いただきまして、ちょうど行政管理庁の勧告をいただきました当時は保育所と幼稚園が非常に似通った形態で運営されているというような実態が出発点になっていたのではないかと思いますが、その後その保育ニードというものが非常に急速に多様化いたしまして、いまおっしゃいましたように保育所が負うべき使命というものが長時間の保育であるとか、あるいは場合によっては夜間の保育、そういった大変多様化したニードに取り組むことが保育所の使命であるというような状況、社会情勢、変わってきたように思います。幼稚園との関連も非常に重要な問題でございますけれども、それに劣らずこうした新しい時代のニードに保育所が対応できるように私どもは努力をしてまいりたい、こう考えております。
○新村委員 多様化したニードに応ずるというお答えでありますけれども、多様化したニードというのはいま言ったような長時間、夜間あるいは乳児、一時、こういったことだと思いますが、こういったことはいずれもまだ制度化されておらないわけです。制度化しておらないけれども、実際の地域ではこういう必要があるので市町村はやらざるを得ないということで、市町村が単独の費用であるいは単独の施設でやっておるというのが実態であります。こういう要求に将来——将来というかもうすぐですね、どういう形で応じようとするのか、それらのお考えをまずお伺いいたします。
○横尾説明員 その多様化したニードのうちの二つの事項について本年十月実施ということで準備を進めております。一つは夜間の保育所でございまして、これは主に指定都市のように夜の仕事の多い場所を選びまして実験的な施設を設けたいと思っております。それからもう一つは、ただいま保育所といいますのは六時あるいは六時半くらいまでがせいぜいの門をあけている時間でございまして、その時間では迎えに行かれないという特に遠距離通勤をなさっている保護者の方からの御要望が強うございます。そのために七時くらいまであけられる保育所、これは約千カ所くらいを予定しておりますが、これを長時間保育、この二つの施策を当面本年十月実施ということを目標にいたしまして各県とただいま御相談申し上げておるところでございます。 それ以上の問題につきましては、五十七年度に向けましてさらに検討を進めたいと思っております。
○新村委員 それ以外の要求についても、ひとつできるだけ早く要望に応ずるように御努力をいただきたいと思います。 以上で終わります。
○國場委員長 春田重昭君。
○春田委員 第二臨調の第一次答申が出たわけでございますけれども、この第一次答申に対してまず大臣の御感触をお伺いしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 まず、第二臨調が今後あるべき日本の行政機構に対しましていろいろとグッドアドバイザーとしての立場をとって見識を述べられておるわけであります。特に当面最初に出ましたのは部会の関係、なかんずく概算要求を前にいたしましたいわゆるシーリングの問題を特に関心を持って最初に発表されたというわけでありますが、先ほど申し上げましたように、まず財政の縮減ということが大きな国策的なテーマになっております関係から、特に人件費あるいは補助金の圧縮ということが大きな目標となっております。その際に文部省を筆頭に厚生省その他関係各省多数ありますけれども、何といいましても教育というものは人でございまして、その人を扱っております文部省といたしましては人件費、補助金の削減ということが一番大きなターゲットになっておることは御案内のとおりでございます。 これは厚生省も大きな目標にはなりますけれども、厚生省の場合と文部省の場合とはいささか内容的にも違っておりまして、特に文部省の場合におきましては個々の補助金の累積というよりも、むしろ国策としての教育のあり方という点に基礎を置きました長年にわたって積み上げてきました文教政策でございますので、そういう点では、この臨調炉取り上げました一つ一つの項目におきましても十二分に、そこには理論的にもあるいはまた国政の今後の将来を考える場合におきましても、政府の臨調に対しまする基本的な政策、それに対して文部省としての対応ということはわかっておりますけれども、またわれわれはわれわれとしての見識を持っておりますわけでありまして、具体的な問題に対しましてはさらに折衝を重ねてまいる、こういうつもりでおります。
○春田委員 午前中の答弁では、臨調答申を尊重するということで大臣はおっしゃいました。いまの私の質問に対しましては、尊重するということはそのまま実行するという意味ではないのだ、要するに文部省としては守るべきものは守って、いろいろな歴史があるのだから、その国民的立場に立って守っていく分野もあるのだ、このように大臣はおっしゃったと私は理解するわけでございます。 第二臨調がわずか四カ月という短期間で答申を出したということにつきまして、私もその労を多としたいわけでございますが、しかしながら、先ほども言ったように、国民的立場からいった場合、特に社会的、経済的に弱い立場の人への配慮が非常に薄いのではないかという声が強いわけでございますし、私もそう思っておるわけでございます。そういった面で、答申の内容は部分的には評価できる面もございますけれども、やはり総体的には当初の期待が大きかっただけに不満足と言わざるを得ないというのが私の気持ちでございます。 そこで、文教関係についてこの答申で何点か出ておりますので、午前中も出ましたけれども御質問をしていきたいと思います。 まず第一点は、義務教育の教科書の無償配付制度、第二点として四十入学級、それから第三点の私立学校への助成等について、文部省の見解を承りたいと思うのです。
○田中(龍)国務大臣 教科書の無償の問題につきましては、臨調の作業の過程におきましても、あるいはまた政府内部におきましても、これが国策としての重要性ということにつきましては十二分に主張をし続けてまいっております。それに対しまして臨調の方におきましては、無償などという字を特に加えたのもその意味でございまして、今後さらに検討を続けてまいります。 四十入学級の問題等は、これはわれわれが長期にわたります一つの文教政策の根幹でございますので、これまた政府の臨調に対しまする協力、また内閣としての方針に沿いまして文教政策といたしましても考えますけれども、これはさらにきめの細かい折衝を続けてまいるつもりでございます。 私学の問題、御指摘のいろいろと新聞をにぎわしたああいう問題はございましたけれども、しかしながら、それとても私学が今日持っておりますわが国高等教育における私立大学の重要性とか、その他私学の教学におきます一つの見識というふうなものにつきましても、十二分にこれは考えてもらわなくてはなりません。今日まで積み上げましたこの高等教育におきまする特性というふうなものを守りながら、その中におきましても諸般の制度的な改正も加え、配慮もいたしながら、われわれの一つの文教政策におきまする態度を持ち続けていかなければならない、堅持しなければならないということを改めて申し上げます。
○春田委員 もう少し具体的に御質問をしていきたいと思うわけでございますが、まず第一点の義務教育のいわゆる教科書無償制度でございます。答申では「廃止等を含め検討する。」となっているわけでございます。昭和三十八年からこの教科書無償制度が実施されまして昭和四十四年で完全実施された、こういう過去の非常に長い歴史があるわけでございまして、断じてこの制度は守るべきである、堅持すべきであると私は主張するわけでございます。文部省は、廃止等も含めてということでございますので、この「等」の中にいろいろな意味が含まれていると思いますが、これは当然廃止も含め所得制限等の導入も一切今後とも含めない、こう理解していいかどうか、大臣といいますか、文部省のいわゆる基本的見解を聞かしていただきたい、こう思います。
○田中(龍)国務大臣 まず私のただいまいたしました御答弁、修正いたします。 というのは、私が「無償」などと申しましたが、「廃止」などということでございます。この場合におきましてもわれわれは、特に入れられませんでしたけれども、廃止などでなく存廃などについてということを主張したのでありますが、今日の制度改正に当たりましてまだまだそれは将来にわたりまして検討をいたすのでありまして、最終的な決定とは心得ておりません。今後ともに私どもの初志を貫いてまいりたい、努力をいたします。
○春田委員 その大臣の初志というのは、廃止も含め当然所得制限等も含まない、こう理解していいですか。
○田中(龍)国務大臣 教科書無償の存続でございます。
○春田委員 それから第二の四十人学級の件でございますが、これはやはりゆとりある充実した教育を取り戻すためにも当然必要でありますし、また校内暴力の一つの原因とも言われております落ちこぼれ者をなくするためにも当然当初計画を引き続き鋭意進めるべきでございますけれども、この答申では当面財政再建期間中ですか、昭和五十九年までは停止という形になっているわけですね。こうなれば、昭和六十六年で文部省としては改善計画を立てておりますけれども、これは狂ってくるのではないか、こう思いますけれども、この点はどうお考えになっているのですか。
○田中(龍)国務大臣 無償論以外は、実務上いろいろときめの細かい点もございますので、担当の局長から私にかわりましてお答えを申し上げます。
○三角説明員 小中学校の四十人学級という学級編制の改善の実現は、いま春田委員御指摘のように、行き届いたゆとりある教育を行う上で重要であるというふうに、前から私どもはそういう前提でこの政策を進めてきたわけでございます。 臨調でもいろいろ御議論があったようでございますけれども、まず私どもとしては、五十五年度から始めました十二年計画というものは、これは崩したくない。十二年をさらに終期を延長するというようなことはしたくない。それから財政再建期間中につきましても、できるならば、これはやはり財政再建でございますから、抑制をするとか極力繰り延べを考えるとか、そういうことにいたしたかったのでございますけれども、一方において児童生徒数の自然増に対応する教員の措置、これについても状況によったら四十六人、四十七人ができてもいたし方がないのではないかというような議論も出てまいりまして、その過程におきましてシーリングゼロということも決まったわけでございます。 まあそんなことで、ある意味では時間切れ、見切り発車、こういうことになりまして、ただいま御指摘のように財政再建期間中停止、こういうことになっております。 停止となれば、学級編制の改善について一時これをとめる、字句どおり読めばそういうことでございますが、私どもとしては、この第一次答申が出ておりますので、まずはこの閣議決定に基づいて答申の趣旨を踏まえなければいけないということでございます。 現在、明年度概算要求について省内で検討作業中でございますので、具体的な対応策についてはその検討の中でいろいろと考えてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○春田委員 文部省が出された資料の中では、先ほど局長がおっしゃったように、五十七年、五十八年、五十九年の三カ年を見ますれば、五十八年、五十九年は自然増はございませんが、五十七年で九千百二十客の自然増があるわけですね。したがって自然増に伴う四十人学級以外の教員の増員が当然必要になってくるわけでございますけれども、これも一切ストップする、こういうことですか。
○三角説明員 自然増の方につきましては答申では、弾力的に対処することにより大幅に縮減する、こういう表現になっておりまして、私どもはこれをどういうぐあいにこなしていくか、これまた一つの検討課題でございます。
○春田委員 一つの検討課題でございますけれども、大体八月三十一日までが概算要求の期日になるわけでございます。文部省としては現時点ではどう考えているのですか。全くふやさないと考えているのか、それともある程度の人員の増が必要であると考えているのか、この点もうちょっと明らかにしてください。
○三角説明員 自然増の方は停止とかそういうことではございませんので、私どもはできるだけ努力をしたい、こう思っておりますが、大幅に縮減するという表現、これをどういうぐあいに私どもとしては概算要求の上でのみ込んでいくか、ただいまの腹づもりとしては、現在の四十五人学級が四十六人というような形で崩れるというようなことはできるだけ避けなければならない、こういうふうに思っている次第でございます。
○春田委員 ということは、配置率を変えないということは要するに教員を増員する以外にない、こう理解していいと思うわけでございます。 さらに、三点目の私立の学校への助成の問題でございますが、これは「総額を前年度と同額以下に抑制する。」、こうなっておりますけれども、これは答申どおり実行するつもりなんですか。
○柳川説明員 先生御指摘のとおり、私大の助成につきましては臨調で「総額を前年度と同額以下に抑制する。」とされております。これをどのように概算要求に当たりまして受けとめていくか。当然増の要素が人件費、物件費等にございますので、これらをどのように吸収しながらこの臨調の答申を尊重しつつ対処するか、いま真剣な検討をしておるところでございます。
○春田委員 五十六年度の私立大学の補助金が二千八百三十五億になっております。これをそのまま臨調答申どおりこれ以下に抑えようとすれば、当然学生に対する、また父兄に対する負担が過重になってくると思うのですが、こういう点もやはり配慮する必要があると私は思うのです。 さらに、私立は大学の問題だけ臨調答申に載っておりますけれども、いわゆる高校への助成は臨調答申では出ていないわけでございます。私立高校につきましても、五十六年度では七百八十五億円ですか補助金が出ておるわけですね。この点はどう考えておるのですか。
○柳川説明員 臨調では最終的には私立大学等の経常費助成についての具体的な御意見が述べられました。高等学校等の経常費助成補助につきましてもいろいろ検討はされましたが、特段の御指摘はなかったわけでございますけれども、従来私立高等学校等の助成につきましては、私立大学等の助成との均衡を図って拡充してまいりました経緯もあります。文部省全体といたしまして、いわゆるゼロシーリングの中での厳しい概算要求ということでございまして、私立高等学校助成の持つ従来の意義を十分踏まえながら、この助成がいやしくも後退することのないよう最大限の努力をするという考え方でいま検討に入っておるところでございます。
○春田委員 いずれにいたしましても、八月いっぱいで概算要求を出しまして、年末に向かってこれから大蔵省と綱引きがされるわけでございますけれども、きょう大蔵省の方がお見えになっておりますので、大蔵省の御見解を聞きたいわけでございます。 ただいま三点に限っての大蔵省の考え方といいますか、何かお持ちであればお示しいただきたいと思います。
○浜本説明員 お答え申し上げます。 このたびの臨調の中間答申に盛られておりますさまざまな御指摘は、いずれも非常に重みのある御指摘と受けとめております。 先ほどから先生からもいろいろ御指摘がございましたようなさまざまな問題点につきましてきちっとした整理がつき、多くの行政府内外を通じての関係者の方々の御決断が成って初めてはっきりした成案を得ることができるものと考えます。 ただ、将来においてすぐれた財政機能を持ち合わせていこうといたしますと、何とかうまくこれを具体化する必要がある、かように存じておりますが、さしあたりまして、先ほど来るる御答弁ございましたように、文部省の事務当局において御検討が進んでおると聞いております。いずれ概算要求の案等にこれが具体的な形となってあらわれてまいろうと存じます。われわれ財政当局におります者といたしましてはそれを受けとめまして、またいろいろ多方面の御意見も承りながら、これを御納得のいくような成案にまとめていきたい、いまの段階ではさように考えております。
○春田委員 いずれにいたしましても、今回の臨調答申は、先ほどから言っているように、社会的、経済的に弱い方たちに重い負担がかかっているような感じがするわけでございます。特に教育、福祉が具体的なそういう答申が出ておりますけれども、たとえば大企業とかまた圧力団体に対しては抽象的な表現で入っている。 こういうことでかなりの不満もあるわけでございまして、文部省としては、そうしたいわゆる国民的な立場に立った大蔵省との折衝を今後やっていただきたい。いわゆる国民的立場に立った、答申の精神を生かしながらも守っていくことは守っていただきたい、こう要望しておくわけでございます。 それから、午前中も論議されました就学援助制度でございます。この問題につきましても若干お尋ねしてまいりたいと思います。 この点につきましては、昨年の予算分科会で私も若干質問したわけでございますが、質問の趣旨が誤解されているきらいがございますので、再度政府の見解を賜っておきたいと思います。 時間の関係もございますので細かい議論は別に要らないとして、数点確認しておきたい点がございます。 まず第一点でありますが、この就学援助金制度につきましての認定は各市町村の教育委員会が当たっておるわけでございますけれども、現状は各市に認定がゆだねられているわけでございまして、この認定基準の統一性が非常に欠けているわけでございます。たとえばA市では受けていながらB市では受けられないという不都合も生じているわけでございますけれども、これに対して文部省はどう指導しているのか、お尋ねしたいと思うのです。
○三角説明員 ただいま御指摘がありました、前の国会での御意見、これも私ども承りましたので、一定基準の設定を検討しようという、その検討のために、まず準要保護者の認定基準の実態調査を四十二市、これは二十一県の県庁所在の都市とその他一市でございますが、それについて行った次第でございます。その調査の結果、収入基準に基づく一定基準設定ということに伴います問題点といたしましては、一つのメリットとしては能率的かつある意味で公平に処理ができる、こういうことでございますが、そういう意見に対しまして、短所といたしまして、生活実態に着目していない、それから給与所得者とその他の事業所得者との格差が大きくなる、こういうような意見も一方において出てくるわけでございます。そこで、収入に基づく一定基準の設定にはいま直ちに踏み込めないということで、今後もさらに慎重に検討を続けさせていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○春田委員 さらには、この認定の事務作業でございます。これは文部省で出しておりますこういう書類がございます。「全国市町村教育委員会財務事務担当者研修会実施要項」というのが毎年出ておりますけれども、この中では、「認定の事務作業は三月末日をもって終了とする。新しく小学校へ入学する者についてのみ四月末日をもって終了する。」このように文部省としては指導しているわけですね。もうとも転入学とか災害時は特例を設けて年度中途でも受け付けているわけでございますけれども、私が各町村の実態を調査してみますれば、有資格者でありながら申請漏れがしている人がかなりいる。こういう面でも、就学援助制度というものを、やはり公平、公正な措置をさせるためにも、各市町村にいわゆる常時受け付けをすべきである、このような徹底を私はすべきではないかと思いますけれども、文部省としてはどういう見解ですか。
○三角説明員 この問題については、先ほども御指摘がございましたが、やはり必要な方がこれの給与を受けられるように、こういった制度についてはできるだけ広く周知をするように、そういう指導は毎年度の通達においても示している次第でございます。 それから、ただいまの問題でございますが、これはいま御引用もいただきましたが、「転入学もしくは災害などにより年度の中途においてこの認定を必要とする者については、その都度速やかに追加認定を行う」ということでございますので、やはり実態的にそういう必要がある場合には、ただいま御指摘のような方向で事務処理をしてもらうことが好ましい、こういうふうな考えでございます。
○春田委員 転入学やまた災害のみにとらわれないで、有資格者の申請漏れがあった場合、常時受け付けていただきたい、こう私は要望しておきます。 さらに、行政改革との絡みの中で、補助金の整理合理化がうたわれておりますけれども、私は教育の機会均等の視点からも、この制度については拡充こそすれ後退してはならないと私は思いますけれども、この点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 私も先生と同じような考えを持っております。
○春田委員 臨調答申の補助金のいわゆる整理合理化が出ておりますけれども、これは生活保護費を除くということになっておりますので、この就学援助金制度も生活保護に準じた制度でございますから、そうしたいわゆる拡大をしていっていただきたい、このように要望しておきます。 それから時間がなくなってきたわけでありますけれども、校内暴力の問題について走ってお聞きしたいと思います。 校内暴力の問題につきましては、警察庁から私も発生件数の実態をいただいておるわけでございますけれども、昭和五十四年が一千二百八件、昭和五十五年が千五百五十八件というような数字が出ておるわけでございます。さらに昭和五十六年の一月から三月まで三カ月間の統計が出ておりますが、この一月から三月までも四百二十七件と出ております。とりわけ中学生による事件が相当ふえているわけですね。この一月から三月までの中学生の補導人員が二千九十一名になっております。したがって、端的にこれを四倍したら一年間になるわけでございますが、四倍したら八千人になるわけですね。昭和五十四年度は大体補導人員が中学生で五千百四十一名ですから約六割増しになっているわけです。文部省としても、また警察庁としても、また総理府も中心になりながらいろいろな対策を立てられておりますけれども、一向に減らない。ますますエスカレートしている。これが校内暴力の現状ではなかろうかと思うのですね。そういう点で、私はいま総理府中心で青少年の非行防止対策といいますか、また連絡協議会等が設けられておりますけれども、この校内暴力絶滅の、この校内暴力だけを看板にしたそういう対策本部といいますか、連絡協議会はないわけですね。そういう点で、非行少年防止の一環としたいわゆる校内暴力でなくして、校内暴力だけを前面に押し出して、いわゆるその絶滅の対策本部をやはり文部省を中心としてやるべきではないか、こういう考え方を持っておるわけでございますけれども、この点、大臣のお考えはどうでしょうか。
○田中(龍)国務大臣 ただいま先生のおっしゃる、青少年問題全体もさることながら、校内暴力だけにしぼって対策を講じたらどうかという御質問であろうと存じますが、御承知のとおりに、今日の校内暴力というものはいろいろな原因があると私は思うのでございます。先ほどもお答え申し上げたように、多情多感な青年諸君で、同時にまた非常に感受性が強い反面には、反発する年齢層でございます。それがいままでのような学校内だけで済ましておられる問題であるならば単純でございますが、今日の校内暴力の問題はその発する源が、あるいは家庭でありますとか、環境でありますとか、いろいろな問題もあるわけでありまして、そういう点を総合的に見なければならぬのみならず、いまの校内暴力それ自体の少年のグループなるものも、番長会でありますとか、あるいは校外の団体との連携とかあるいは覚せい剤、麻薬のルートを持っておるとか、そういうことになりますと、やはり校内暴力だけにしぼるといたしましても、所掌の関係から申すならば、文部省が他の省庁と一々連絡をとりましてやるということよりも、元来青少年対策なるものが総理府にあるわけでございます。これは私が総理府の総務長官のときにつくりました制度でございますが、その間には、積極的な各省庁との緊密な連携のもとにその対策を講ずることができるようにいたしてございます。いま大変悪い半面ばかりでございますけれども、いい半面におきましても、青少年対策というものが内閣にあることの必要性というものも考えられるのでありまして、校内暴力についてだけ文部省がというわけには私は一それよりもより効果的に内閣全体の青少年対策本部でやることの方がいいのではないか、かように考えております。
○春田委員 時間がないので結論を先に言ったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、校内暴力という問題はただ単なる学校と先生だけの問題ではない、生徒と先生だけの問題ではない、これはわかります。当然地域、家庭そしていろいろな行政との絡みの中で解決していく問題でございます。しかし、五十五年の警察庁の調査でも、三百九十四件の事件のうち三百八十二件が学校内で起こっているわけですね。校外で起こっているのはわずか十二件なんですよ。そういう面ではまず学校内の対策に一番方を入れなければならないと私は思うわけです。また、ある新聞社の中学二年生のアンケートによりますと、一番楽しいときは授業中が七%である、授業外が九三%である。先生を殴りたいと思うことがあるかと言ったら、あると答えた男子生徒が何と四六%、女子が三一%も出ているわけですね。こういう実態からして見た場合、現在の学校教育というものが魅力ある教育になっていない、こういう点も言えるのじゃないかと思うのです。 そういう点で私は、総理府だって警察庁だって法務省だって、そういうところが連絡し合って、協議し合ってやっていかなければなりませんけれども、どうもいまの校内暴力の対策は、文部省が地域の問題、家庭の問題があるからと一歩引いているような感じがしてならない。総理府が中心になっている、こういう点がちょっと物足りない、私はこう思っているのです。そういう点で、文部省が力を入れていると言っても、先ほど言ったように、ことしの前半、三月までの統計からとってみれば、五十四年の六割増しになっているわけですから、ここで私は文部省が前面に立って——当然校内暴力が少年非行に関連しますよ。しかし、少年非行の一環という形の校内暴力ではなくして、校内暴力のみにしぼった、そういう中からのいろいろな少年非行等も考えていく、逆にして文部省が中心になってやっていくべきである、こういうのが私の考え方なんですよ。そういう点で、教育は人をつくるものでありますし、本当に教育が魅力あるそうしたものになるためには、やはり文部省が前面に出てやらなければこの問題は解決しないのじゃないか、こう思っているのです。そういう趣旨で私は質問しているわけでございますけれども、時間が参りましたので、最後にもう一回大臣の決意を聞きまして終わりたいと思うのです。
○田中(龍)国務大臣 当初先生のような御意見も閣内にございました。また、文部省がなぜ買って出ないかということも——決して文部省が逃げておるわけではございません。より効果的な解決の期待を持っておるからでございまして、その点は、御意見は十分に拝聴いたしますが、また私の所見も御了承いただきたいと思います。
○春田委員 終わります。
○國場委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 最初に、国立大学医学部または医科系大学等々の運営のあり方等につきまして三月に文教委員会で御指摘を申し上げましたそのことの事後どのような対応がなされたか、そのことにつきましてお伺いをしたいと思います。 国立大学付属病院の運営上当面する諸問題についてということで、これについての懇談会が設けられ、そして意見がまとめられといるわけでございます。前向きの姿勢で文部省が取り組まれていることを私は評価したいと思いますが、事の重大性と、それから今日このような問題が起こるに至った歴史的経過、その根深さ、そういうものを考えますと、継続して対策を講じ、監視していかなければこの問題は解決しないと思うわけであります。 そういう意味で、大学の医局の問題、それから派遣医の問題、そしてリベート等の問題等についてどのような対応策を講じてこられましたか、お聞きをしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 懇談会で示されました意見は、表現はともあれといたしまして、ただいま先生がおっしゃいましたいろいろな問題を指摘いたしまして対策を考えておるわけでございますが、本件につきましては担当の政府委員からお答えいたします。
○宮地説明員 ただいま大臣からも基本的な点はお答え申し上げたわけでございますが、さきの国会で御指摘をいただきました国立大学付属病院の医師のアルバイト等の医局をめぐる問題につきましては、文部省といたしましても公務員の服務規律の根幹にかかわります問題として深刻に受けとめまして、各関係大学におきます事実関係の確認に努めて、この問題への対応策について協議をお願いをするため、有識者の参加もいただきまして懇談会を発足させたわけでございます。その結論をいただきまして、本年五月二十六、七の両日でございますが、全国国立大学付属病院長会議が開催されました際にその懇談会の意見のまとめの趣旨の徹底を図りまして、特に服務規律の保持につきまして改めて強く指導を行ったところでございます。その結果、付属病院長会議におきましても、付属病院の管理運営については従来にも増してその改善に努めるということを踏まえまして申し合わせをいたしております。これはまことに異例のことでございまして、今回初めてのことでございますが、国立大学の付属病院が本来の使命でございます教育、研究、診療とともに地域医療の強い要望にもこたえて努力をしてきておるわけでございますが、その管理運営について世間の批判を受けるに至ったということはまことに遺憾である、今後、従来にも増してその管理運営の改善に努め付属病院本来の使命の遂行に全力を尽くすということを病院長会議でも申し合わせをいたしておるわけでございます。 そのようにして私どもも趣旨の徹底に努めて改善策を図っておるわけでございますが、特に問題点が指摘をされました大阪大学等の三大学につきましては、たとえば兼業の手続の問題等について十分調査もいたしまして、その調査結果に基づきまして、管理者でございます医学部長なり病院長の管理責任を問うということで訓告の処分をいたしております。なお、無届けで兼業を行っておりました教官全員に対しても厳重に注意をいたしたところでございます。 お話しのように確かに大変根の深い問題でございまして、私どもも今後ともこの問題の取り組みについては引き続き、そういう大変根の深い問題ということは十分意識をいたしまして、機会を見て息長く続けてまいりたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 ここでひとつ自治省の方にもお伺いしたいわけであります。 自治体病院を管理される立場から考えて——実は私のこの文教委員会における質問が新聞紙上等に取り上げられましてから、私は自治体病院の事務長さん等々から、あの問題は実は自治体病院では本当に困っているのです、医師をどうしても派遣してもらわなければ病院の運営ができないし、むしろ足元を見られる形でその報酬を吹っかけられたり、または源泉徴収を規定に基づいてやろうとすると、そういうことであればわれわれはもう来るのはいやだとか、ゆえに自治体病院としては源泉徴収分は別途その分だけまたプラスして支出をさせられるとかいうふうなことが現実に起こっている、こういうものが指摘されると大学病院の方からは、あなた方の方からこういうものについてはばらしたのではないのか、あなた方の方でそういう態度をとるのならばわれわれとしては今後医師の派遣は考えなければならないというふうな脅迫めいたことが、またその次には言われている。 もちろん、その後文部省等からの厳しい御指導等があったようでございますから改善されてきつつあるのだろうとは思いますけれども、しかし自治体病院等も、言うならばこのことがきわめて大きな財政負担、しかも公にできない財政負担というふうな形できわめてゆがめられることの原因となっている。そういうようなことを考えますときに、一つの自治体病院ではなかなか言い出せない。ゆえにこういう意見、実態をむしろ自治省としても調査をし、まとめ、そして文部省と協力してこれらの運営が正しく行われるようにしていく必要があるのではなかろうか、このように思うわけであります。自治省としてのお取り組みと御認識をお伺いしたいと思います。
○飯田説明員 自治体病院が地域医療の確保に重要な役割りを果たしておりますが、その機能を質的にあるいは量的に補完するため大学から医師の派遣を受けることが必要な場合が多いわけでございます。大学から医師の派遣を受ける場合の条件等につきましては、大学及び自治体病院それぞれの沿革、立地条件、地域の医療事情等による差異に応じましてケース・バイ・ケースで決められるものでございまして、これを受け入れ側において制度的に統一するということはなかなか困難なことであろうかと存じております。 なお、医師の派遣を受けた自治体病院が報酬等を支出するに当たりまして、法令に従った処理を要することは当然なことであるというふうに考えております。そのように指導してまいりたいと思います。
○中野(寛)委員 むしろ総合的にこの実態を——文部省としてもこれだけ実態を認められて対応を講じられたわけです。しかし自治体病院としてはずいぶん困難な状態、またこれで苦労しているという実態も私ども耳にしているわけです。むしろ自治省としてその報酬の内容等を、一律にということはできないかもしれません、しかし、少なくともこれが後ろめたい形で行われているというふうなことであれば、これは問題であります。ゆえにその実態等について自治省としてむしろ御調査をなさって、そしてその対応を文部省と協力をして進めていくというふうなことが必要ではないかということを御提案申し上げたわけです。いかがでしょうか。
○飯田説明員 ただいまの先生の御提案でございますが、文部省あるいは自治体病院協議会等とも相談をいたしまして検討してまいりたいと思います。
○中野(寛)委員 ぜひそうお願いしたいと思います。 自治省さんの方は結構でございます。ありがとうございました。 それで、大学局長にお尋ねしたいのですが、この懇談会の意見の中で、二番目の入院、手術等に対する患者家族からの謝礼についてというところがあるのです。そして、患者等からの謝礼の授受が一般的に行われていたとは思えない、特に患者等に義務感を与えるような形で謝礼の授受が行われていたことはまずないと思うというように書かれているわけです。これは、文章作成上余り刺激的であってはいかぬということで御配慮なさった、しかし実態は結構あるのだということで指導されているならば、それはそれで結構です。しかし、この言葉のままに受けとめられているとするならば、それはやはり問題だと思います。たとえば大学病院の売店に謝礼袋が売られ、そして「御礼」というゴム印が一番真ん前でちゃんと患者のために用意をされている。そして、謝礼は受け取りませんという張り紙が麗々しく張られている。しかしその中で、ほかの患者の目の前で謝礼が渡されている、そういう実態が実際はあるわけであります。 たとえば私どものところへ入ってきた情報だけでも、具体的なものがたくさんある。これは全部そうです。項目としてあります。京都大学脳外科、昭和五十年、手術前教授に二十万円渡した。二番目の情報、岡山大産婦人科、昭和五十六年初め、教授に数十万円の謝礼。三番目、京都大学産婦人科、現在教授クラスは片手、すなわち五十万円以上、講師、助手クラス、五万円から三万円。四番目、広島大外科、二年前教授執刀で三十万円の謝礼。五番目、東大、一年前に十万円渡したら少ないという顔をされた。六番目、阪大外科、一年前に心臓手術で百万円要ると言われ、困った。結局手術後、教授に二十万円の商品券、介添えの数人に二万円ないし五万円の商品券を贈った等々が、ずらっと出てくるわけです。これは、私は裏づけもとった内容のものを読み上げているのです。こういう状態が、私がここに記載しているだけでも十二カ所あります。そういう実態があるにもかかわらずこのような分析であるとするならば、これは余りにも甘い、こう言わざるを得ません。 先般の質問のときに、私の質問の記事が出ましたら、この国会の中でさえ、私の父親が病気で手術をしたときにはどこそこで幾ら渡したよなんということが言われ、そして、それはあたりまえだと思っている国会議員さえ数人いました。むしろこれは一般化していると考える方が現実に合っているのではないか、そこに視点を置きながらよほど注意を払って対策をしないと、ここにこういう分析をするようであれば、これは最初からごまかされているということになってしまうのではないのか、私はそのことを心配するがために、先般もかなり厳しくお尋ねをいたしましたし、きょうもまた、あえて再びこの問題をお尋ねしようということになったのであります。そのことについてどうお考えでありますか、お伺いしたいと思います。
○宮地説明員 御指摘の懇談会で御意見をまとめていただきました事柄といたしましては、先生御承知のような内容になっております。もちろん私どもとしましても、その点については大学人みずからがえりを正すということが基本的な事柄であろうかと思っております。 そして、その懇談会の提言でも指摘されておりますように、謝礼を辞退すべきことは当然のことであって、仮にも社会の疑惑を招くような行為、患者等に示唆を与えるような行為がないよう、関係者は十分過ぎるほどの注意を払うべきであるということが言われているわけでございまして、私どももそれは真っ正面からそのように十分に趣旨を徹底をいたしておるつもりでございます。そして、当然に国家公務員としての服務規律を保持し、綱紀を粛正するということについては、関係者の厳しい自覚と反省を促すということと、大学全体としても責任ある指導管理体制の確立に格段の工夫をすることが必要ではないかということで、その点については厳しく、それぞれ特に関係の大学に対しては強く指導をいたしておるわけでございます。そういう事柄を踏まえまして、先生先般御指摘の際も、このことは大変根の深い問題だから十分立ち向かう気魄で取り組めという御指摘をいただいたわけでございまして、私どもとしてはそういう心組みで取り組んでいるつもりでございます。今後ともその点については趣旨の徹底を十分尽くして、先ほども申し上げましたように、決して今回限りの提言だけにとどめず、それを十分に医局の内部に趣旨を徹底するように継続的に努力を払ってまいりたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 そのことをなお一層私どもも御要請申し上げておきたいと思います。 もう一つは企業との関係の問題であります。 昨年の暮れでも、ある製薬メーカーの営業マンが特定の大学の教授クラスを招いて忘年会を行った。二十日間で実に三十回の忘年会をやった。薬を扱って、そしてお医者さんを相手にしている私がダウンした、きわめて冷笑まじりに話をしておられたことを思い起こすのであります。また、学会等へ医師が行くときにはそういうところから交通費等が贈られる。国からの、大学からの正規の出張旅費は結局ポケットに入ったままというケースも間々聞かれるわけであります。そういう実態、そういう今日までの癒着、そういう土壌があるがために、たとえば先般の丸山ワクチンの問題でも、結局大学同士もしくは教授同士の争いの中で意図的にゆがめられたのではないかという報道記事等がなされる、こういうこともあるわけであります。このことについての実態を私は知りません。しかしながらそういう憶測を生む土壌があることは事実であります。 私たちはそういう意味で、国民の健康と命を直接に預かっている、そういう観点からこれらの問題は厳しく、なお一層やはり取り組んでいっていただく必要があるかと私は思います。そしてこのことは、すなわちここで生まれ育っていく私立の病院の医師やまたは経営者、そういう医療界全体の綱紀の粛正そのものにもつながっていく、すなわちここに最初の問題のルーツがある、そういう観点から考えますと、これらの問題に対する責任は文部省としてもきわめて重い、このように考えるわけであります。 基本的な姿勢について、この問題については最後に大臣からお答えをお願いしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、懇談会の答申というものも非常によく勉強していただいて出たものでございますけれども、同時にまた、先生御自身のおっしゃっておられるような社会的な因襲とか、いろいろな今日までのしきたりみたいなものがございまして、そういう点では、それをえぐり出して明確な回答になり得なかったということを御指摘になったわけでございますが、さような問題につきましては、今後私どもは、あくまでも純粋な姿において、同時に毅然とした態度でこの非違を正していかなければならない。同時にまた、それが社会を浄化し、そしてりっぱな大学の行政あるいはまた医師のあり方というものを導いていかなければならないというような次第でございます。 大変よくお調べになっておられまする次第でございますので、それにつきましては深く傾聴いたしまするが、われわれといたしましては、懇談会の趣旨をあくまでも守って、りっぱな姿の医療行政に戻したい。大学のあり方をきちんとしたいものだと念願をいたしております。
○中野(寛)委員 この問題につきましては、以上で終わります。どうぞ今後ともせっかくの御努力をお願いしたいと思います。 さて、大臣は間もなく高校野球の始球式にお出になると思うのです。どうぞみごとストライクが決まりますようにお祈りしたいと思います。ところが最近は、その高校野球の出場辞退が続発をいたしております。いろいろな理由があるようです。中には、その野球部員がかなり凶悪な犯罪に加担をしておったというケースもあれば、いわゆるいたずらに毛が生えたみたいな問題であったりもするようであります。そして、それらの問題の処理の仕方については、これは高野連の方針に基づいて処理をされているようであります。必ずしも文部省の指導監督下にあると言えるものではないかもしれません。しかしながら私は、青少年の非行問題を考えるときに、その処理の仕方はよほど慎重でなければならないと思います。たとえば連帯責任をとらせるという形で出場辞退になります。そのことが教育的見地から正しいのかどうか、よくわかりません。むしろ私は、そのようなやり方はきわめて日本的なやり方なのではないかという感じもいたします。その本人に対する対処というのは当然適切で、かつ厳しいものでなければならぬでありましょう。しかし、そのことによって連帯責任をとらされた野球部員は、当然これはチームを組んでのゲームですから、集団責任もまた一つのやり方かもしれません、共同責任の一つのやり方かもしれません。しかし、それで出場できなかった選手たちはどれほどがっかりしていることだろうか。またそのことによって、その出場できないきっかけをつくったいわゆる非行を行った少年もまた、一生涯このことによってどんなに精神的負担を負い続けるかわかりません。そのようなことを考えますときに、マスコミの報道もまた、これについては厳しくしろという意見と、余り厳しくし過ぎるのはおかしいではないかという意見とがあります。ある意味では、この問題がこのように取り上げられているのは、マスコミ戦争の犠牲だという考え方をする人もいます。そういう中で、純粋に教育的見地からこの問題についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 先生の最後の、どう考えているかという結論をお求めになっておられまするけれども、先生御自身がおっしゃっているように、まことにむずかしい問題でございまして、何はともあれ、最近試合の出場を禁止されるような学校が非常に増加いたしております。五十六年二十三件、五十五年が三十件、五十四年でも三十二件というふうにだんだん増加をいたしておりまする趨勢にありますことは非常に残念でございます。もちろん高校野球は、日本の学生野球憲章にうたわれておりまするような、試合を通じましてフェアな精神を体得するということが一つの大きな眼目でございますが、しかしまた同時に、先生がおっしゃられるような問題がございまして、特に御指摘の最近の非行の増加傾向との関連というものは必ずしもつまびらかでございませんけれども、あるいは影響を受けておることも考えられる次第でございます。従来から高校野球関係者によります不祥事件の発生防止のための努力が重ねられてきておりますが、今後ともにこれらの関係者の自律的な自発的な対応によりましてこのような事態が改善されてまいりますようにいたしますと同時に、この処分というものと出場の問題との関連性というものは、やはり高校野球があくまでも純粋なものでなければならない、また試合がフェアプレーでなければならないということと、その該当する学校の出場禁止というものが与えますマイナスの面も十分に配慮していかなければならない、両々相まって考えてまいりたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 ある教育者の方がこういう言い方をしておられました。たとえばいま学校の先生方で——これを文部省の皆さんと置きかえてもいいと思います。子供のころ、芋畑から芋を掘って食べたことはないか、隣の畑からトマト一個とって食べたことはないか、立ち小便をしたことはないか、場合によってお母さんのお財布から十円玉一個とって買い物をしたという覚えはないか、あそこに泳ぎに行ってはいけませんよと言われているのにそこへ泳ぎに行った経験はないか。いまツッパリという言葉があります。昔、あの朴歯の高げたをはいて、そして手ぬぐいを腰からぶら下げて胸を張って歩いた青春の思い出もある方は多いと思います。そういうときに、昔であればそれをある意味ではある程度社会が許容できるいたずらだとして許した。そしてそのことがその子供を非行に走らせない、むしろより一層ゆがめてしまうということのない歯どめになった部分、いわゆる非常にのんびりした包容力のある社会、こらっと言ってどなりつけるだけで済ませてくれるそういう社会。しかし、逆にいまはそういうことさえも社会的問題にしたりして、むしろ神経質に取り組んでいく場合もあります。私たちは、そういう意味でやはりもっと厳しくなければなりません。その厳しさの発露の形がわれわれはいま間違っていないか。同時に私たちは、何にもしないで手をこまねいている親や教師の話も聞きます。私たちはそういうことを考えますときに、もっと親も教師も、いわゆる大人が教育に対するしっかりとした知識を持ち、信念を持って子供に対処していくという姿勢が必要だろう。私自身が親の立場にあって、子供の教育のことに悩めば悩むほどそういうことを痛感をするわけであります。そのことは、ぜひそういう形で文部省の今後の指導方針というものが確立されることを要請したいと思います。 ここに警察庁が今月お出しになった「最近における少年非行の概況」という資料をいただいております。これによりますと、先ほども指摘がありましたけれども、刑法犯少年は増加傾向にあるのに対し、刑法犯成人は減少ないし横ばい傾向にあるということが書かれております。どうしてこういう事態が生じているのでしょうか。単なる社会的傾向ならば、成人も少年も同じような形でふえていくのだろうと思うのであります。少年だけがどうしてふえるのだろうか。これらの実態についてまず警察の方からお伺いをし、そしてまた文部省からあわせて文部省なりの御見解をお聞きしたいと思うのであります。そのことは、すなわちこの四月に文部省がお出しになられた、校内暴力事件についての事例を初めて文部省として資料らしい資料をお出しになったのだけれども、それを踏まえて、文部省としていかにあるべきかについて感じられたことをあわせてお伺いしたいと思います。
○石瀬説明員 御指摘のとおり、ここ数年、少年非行というのは非常に増勢を続けておりまして、昨年一年間に警察が検挙、補導いたしました刑法犯少年というのは十六万六千七十三人、これは史上最高の数字になっております。それから成人をも含めた全刑法犯の中に占める少年の割合というのが四二・四%、こういうことで、これも非常に高い数字になっています。昨年中の数字で見ますと、刑法犯に該当するということで検挙いたしました者の半数以上は少年であるというのがもう全国の二十の府県で出ておるということで、われわれとしても非常に憂慮しておるわけでございます。成人の検挙人員というのはだんだん少なくなってきている、あるいは横ばいであるにかかわらず、少年の検挙、補導人員というのはここ数年急激にふえておるというようなことで、われわれとしても非常に憂慮しているわけでございますけれども、昔は犯罪あるいは非行の原因というのは経済的な貧困等によって非行が、あるいは犯罪が誘発されたということでございますけれども、最近国民の生活水準一般が高くなっている過程で、そういった経済的な条件による非行とか犯罪の増加ということは余りないわけでございます。 問題は、少年だけがどうしてふえているかということでございますけれども、どうもやはり核家族化とか少子家族化が進んでいく過程で、親の子に対する家庭における教育とかしつけというものが非常に不自然なものになっているのではないだろうか、過保護とか放任ということが非常に多くなっているように思います。それから、ここ数年の傾向でございますが、中学生、高校生による非行が非常に多くなっておりまして、ことしの一月−五月の数字で見る限りでは刑法犯少年の四分の三が中学生、高校生である、今日非行問題というのは生徒非行の問題である、学校問題である、こういう認識を私たち持っておりまして、高校への進学率が異常に高まっている過程で学校生活に適応できない子供たちが非常に多くなってきている、それがやはり非行の大きな背景になっているのではないだろうか、そういう分析をいたしております。
○三角説明員 ただいま警察庁の方から御意見がございまして、私どもも前にも同様の分析がございまして傾聴をいたしておる次第でございますが、あわせて申し上げますと、やはり大人の社会が健全であるということはこれは非常に結構なことでございますけれども、しかし刑法犯が少ないからといって必ずしも社会全体の品格なりレベルが高い、こういうことにはならないと思います。何と申しましても子供は大人の鏡である、こういうふうに感ぜられまして、その鏡に映る大人のまず第一は親でございますし、それから常時接触している学校の先生方であるということでございますので、そういう意味でやはり教育の現場としては教員がなお一層このことに対しては緊張して事に当たらなければならないし、それから家庭、社会とも十分な連携をとって、なお一層、これまでやっておりますいろいろな対応、対策、これを緩めずにやっていく必要がある、こう思っている次第でございます。 御指摘いただきました校内暴力につきましての事例、これは都道府県の教育委員会に生徒の校内暴力などの非行の事例について報告を求めまして、その原因と背景の分析や学校における措置などとともに具体的な事例を掲載した資料としてとりあえず作成いたしまして都道府県教育委員会に配付したものでございます。これは文部省といたしましても校内暴力について実態や傾向等を把握いたしたい、あわせて学校や各教育委員会での非行防止対策の参考に資する——これは東北などで非行はあってもまだ校内暴力はないというような県もございますけれども、やはり油断してはいけないので、そういった県についてもこういったものを参考にしていただきたい、そういうことで行ったものでございます。この資料はあわせて文部省が例年行います生徒指導主事講座などのいろいろな研修会でも活用するようにいたしたい、こう思っておる次第でございます。 なお、これは非常に顕著な典型的な事例についてしぼってとりあえず作成したのでございますが、私どもの文部省で編集しております「中等教育資料」の八月号が近く出ますが、これに全文を掲載したいということでいま準備をしておるところでございます。
○中野(寛)委員 同時に、文部省としてはその実例等についてこうして御配付になりましたけれども、この傾向を、先ほど警察の方ではたとえば核家族の問題等を指摘しておっしゃられました。今日の傾向の原因をどのように文部省としてはお考えになっておられますか。そしてそれに対する対策を、文部省だけではもちろん一部分を担当するということにしかならないと思います。たとえば核家族の問題ならば労働の問題、住宅の問題、いろいろな問題に広がってまいります。子供を健全に教育し、育てていくという観点から、ある意味では他省庁に対して文部省から要請することがあっても、むしろこれは当然のことであります。そういう意味で将来の日本を背負う子供たちをどう健全に育てていくかというその信念に基づいて文部省が何らかの分析と、そしてこれに対する御所見があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○三角説明員 確かに非行に対する対応を考えますときに、いろいろないま御指摘のような傾向でございますとか、原因につきましての分析、分類、そういったことが肝要であろうかと思いますが、教育的見地からの対応となりますと、やはりそういった背景ないしは社会的条件、状況、これも非常に重要ではございますけれども、どうしましても児童生徒、個々の子供たちの置かれている一つ一つの状況と、その状況の中でのその子供たちの心情、あるいは子供たちの育ってきたこれまでの経緯からしての性向、そういったこと、まず第一に人間としての取り組みということが大事になってくるか、こういうふうに思うのでございます。 お尋ねでございますが、ただいま私どもが先ほどの御指摘の事例等から読み取っておりますところで申し上げますと、これは一つの傾向としてでございますが、まず事件を起こした生徒は自己顕示欲というものが強い、そして自制心や忍耐力に欠けるという状況が見受けられる。それから、これはまあそれまでの学校の指導の結果にもよるかと思いますが、学習意欲が乏しくて従前から学業を怠けたり、あるいは喫煙をしたり、そういった一種の徴候的な行動が見られる場合が多い。非行集団とのつながりを持っている者もわりと多いようでございます。 第二点といたしましては、先ほど警察庁の万難らも申されましたが、家庭における親の養育態度というものが、状況によりましては放任、あるいは逆に甘やかし、過保護である、そういうことで家庭の機能というものが何らかの意味で欠落状態がある、家庭におけるしつけや教育が十分でない、こういうことが見受けられます。 それから第三点といたしましては、校内暴力が発生する地域は、どちらかといいますと住宅化に伴う新しい住民の流入によりまして地域の住民間の一種の連帯感に欠けると申しますか、長いことそこの地域に住んでその地域を愛するという愛着に欠けているというようなことが多いようでございます。 最後に第四点といたしまして、これは学校自身の問題でございますが、生徒の指導について教師の間に連携プレーと申しますか、そういう協力関係が薄い、足並みの乱れが見られるということでございます。それから個々の生徒に対する理解が十分でなくて、たとえばきっかけになるようなケースの場合においても、何らかの注意の仕方が、よくその生徒の前後の事情を把握した上での注意の仕方ではなくて、生徒の立場を無視したような、あるいは生徒の感情を非常に無視したようなやり方を続けておったために、あるときに集団的な暴力に爆発する、こういうような状況が見られる。 以上、四つ概略申し上げましたような傾向を読み取っておる次第でございます。
○中野(寛)委員 文部省の立場からということでいま御答弁をいただきました。しかし、それだけでも文部省の範囲を対策としては超える部門もあることがわかるわけであります。そういう意味では、これは総理府にもお伺いしたいし、またむしろ大臣にもお伺いしたいのですが、ちょっと中座されておりますので後にいたします。 総理府にお尋ねしますが、幅広い国民運動というふうなものを展開されるべきではないか。これは非常に日本人向きのやり方、むしろ今日まで政府もよくとってこられた手法ではあると思います。教育関係者、そして自治体、そしてまたPTAであるとか、もちろん警察の適確な参加と御指導も仰がなければいけないと思います。そしてまた、各界各層の皆さんに御参加をいただいてこれらの問題について論議をしていくということが必要ではないか。そして国民全体でこれらの問題に取り組んでいくその姿勢がやはり一番望まれている。どこか一つだけを責めたってこの問題は解決しない。私はいままで、教育の場というのは家庭と学校と社会とある、一人の子供にとってその三つのうちのどれかがしっかりしていれば非行に走ることはないだろうと申し上げてきました。私はいまもその信念は変わりませんけれども、しかしそのどれ一つ見ても独立して存在し得ないということを考えれば、やはりこれは大きな国民運動を興していくということが必要だろう。 もう一つはマスコミの与える影響というものはきわめて大きいものがあります。マスコミが意図的に悪い番組を流しているはずはありません。しかしそのような事件が起こったという報道そのこと一つで子供たちはたとえば自殺がはやったり、そして蒸発がはやったりというふうに、ある意味では流行化の傾向さえもあります。暴走族の問題やいまの校内暴力全体を取り上げてみても、おお、よそでは先公つかまえてこんなことやっているらしいぞ、うちらもやろうじゃないかというふうな感じで広がっていくということもあるわけであります。そういう意味では、マスコミが規制をするという意味ではなくて、マスコミ御自身が前向きに青少年の善導をどうしたらいいかということをお考えいただき、御協力をいただくということはとりわけ大きな役割りを果たすのではないかと私は思います。そういう意味で、幅広い観点からこの問題に取り組むために広く国民運動を構築していく、または私は決して教育勅語を復活しろと望むものではありませんけれども、たとえば各界各層——それこそ今日までのある時代の総理大臣の思いつきで教育勅語のかわりみたいなことを発想されるようなことは選挙対策的なことで批判をされます。しかしながら、むしろ各界各層の皆さんに御参加いただいて、たとえば教育憲章的なものをつくって、それをみんなで一つの指針にして教育に取り組んでいくということも決して悪いことではない、私はこう思うのであります。そのような観点から、広く政府全体としてのこれらの問題の取り組み方についてお伺いをしたいと思います。
○阿部説明員 お答え申し上げます。 最近の少年非行でございますけれども、先般来からいろいろと御指摘がございますように、大変増加の一途をたどっておるわけでございまして、その原因なり背景を示すものとして低年齢化だとかあるいは一般化といったような傾向も見えておりますけれども、最近、校内暴力を初めといたしまして、家庭内暴力その他のいわゆる暴力化の傾向が目立ってきておりまして、大変心配しているところでございます。 総理府といたしましては、こういった青少年の非行防止ということに対しまして、青少年の健全育成を図るというような観点をまず基本に置きまして、先生御指摘の国民運動としてということでございますけれども、できるだけ幅広くいろいろな人の参加をいただいて非行防止のための活動が推進されますように努力していきたいと思っておるわけでございます。また、行政につきましては、非行ということが各般にわたるいろいろな要因を抱えておりますだけに、単に一つの省なり限られた行政部門で対応するということも当然限界がございますので、たまたま総理府は総合調整機能を与えられておりますので、そういった立場で、警察庁、法務省、文部省、厚生省その他関係の省庁の方々とも協議をしながら、総合的な施策が推進されるように努力しているところでございます。国民各層、あるいは国民の皆様方の協力を得ながら非行防止が展開されるということが必要でございますけれども、そういったことのために、具体的には今月、七月ですけれども、非行かち青少年を守るための全国強調月間を実施しておるわけでございますけれども、この中に、関係省庁はもちろんですけれども、関係の青少年団体なりあるいは青少年育成団体の方々等の積極的な参加をいただきまして、非行防止のための国民的な諸活動が推進されるように現在鋭意努めているところでございます。 また、総理府に青少年問題審議会というものがございますけれども、こういった青少年の非行防止につきまして、最近のこういった増加の傾向を見ますと、基本的に青少年の非行対策、あるいはもう少し幅を広げまして青少年問題なりあるいは青少年対策という観点からもう一度振り返ってながめてみる必要があるのはでなかろうかということで、基本的な対応策を探るためにこの青少年問題審議会でこの辺の問題を審議していただいております。先般「青少年問題に関する提言」ということで中間的な提言をいただきましたけれども、これは最近の青少年非行の重大性あるいは緊急性ということから中間的な提言としていただいておるわけでございますけれども、引き続きまして、本答申を得るための作業をこれからも続けていただいているところでございます。とりあえずこの提言の中では、幅広く問題を提起するという形で、青少年自身のみならず、青少年を取り巻くいろいろな人たちに対して、青少年非行防止のための問題提起をこの提言がしているわけでございますけれども、そういった問題も踏まえまして、こういった関係行政なり、あるいはたまたま今月中やっております強調月間の中で具体的に展開されますように総理府としては努力していきたいと思っております。 それから、マスコミ関係でございますけれども、マスコミ関係が非行にどういう影響を与えるか、あるいは問題行動にどういう影響を与えるかということは、非常にむずかしい問題でございますけれども、常識的に考えまして、青少年が素直に健全に育っていくためには、やはり問題のある部分もあるのではなかろうかということで、これはあくまでも民間主導という形でございますけれども、関係の方々にお集まりいただきまして、またはマスコミ関係のそれぞれの分野、雑誌関係とかあるいは映画関係、テレビ関係とかいうような形で分野に分けまして、マスコミ界の方々に来ていただきまして、そこで意見交換をしていただく、その中でマスコミの方が自主的にあるいは積極的に青少年の健全育成なりあるいは非行防止という観点から配慮していただくように、私どもの方としては指導しているという状況でございます。 以上でございます。
○田中(龍)国務大臣 お話しの憲章的な考え方はないかという御意見でございますが、ただいま先生お話しになりましたように、いままででも文部大臣といたしまして何遍か憲章的なものを書いたこともあるようでございます。私が静かにこの問題を凝視いたします場合に、一番問題になりますのは、今日の日本におきまして価値観というものが非常に分裂いたしておるということでございます。これを何とかまとめることはできないかと存じましても、それは私どものよくするところではない、やはり大臣といたしまして行政をお預かりする上からいいましての個々の対策その他はできますけれども、全体の価値観を一つにまとめていくというだけの具体的、客観的な条件が今日どうもまだそろっていないように私は思っております。御意見はよくわかりますし、そうありたいと望んではおりますが、現実の問題といたしましては、ただいま私が抱いておるような気持ちが抜けません。
○中野(寛)委員 文部省主導で価値観をまとめようとすると、またいろいろな反発が出てまいります。むしろ私は、学者、文化人、そして労働者の代表、財界の代表、いろいろな方々に御参加いただいて、それこそいま行革が全国民的な立場で行われようとしている、そういうふうな見地からこれらの問題に取り組む、その主唱者としての立場で文部省が御努力をいただくということであれば、その行為そのことだけでも大きな効果を発揮するのではないだろうか、こういう観点から申し上げているわけでありますので、大臣もその方向についてはやはり同じ考え方をお持ちのようでございますが、なお一層の御努力をお願いしたいと思います。 時間の関係で次に移ります。 先ほど幼保一元化の問題について、六月二十二日の懇談会報告を受けての幾つかの質疑応答がなされました。私も幼保一元化を進めるべきだという考え方に立つものであります。そして今日まで予算委員会や文教委員会等を通じてもその主張を申し上げてまいりました。ちなみに、五十七年度から四、五歳児の幼稚園への全入が文部省の方針として出されております。これをやります場合にもどういう形になるのか、具体的なこと、その実行の形についてよくわかりませんけれども、しかし、それらをやる場合にも、やはり保育所との関係はどうしても避けられないと思います。また、保育所の多様化という問題についても先ほど御答弁がありました。しかし、私はそれをうまく活用することはできると思います。もちろんゼロ歳児から三歳児まで、これはおおよそ保育所の担当部門でありましょう。しかし、四、五歳児については幼稚園が保育所的部分を兼ねることもできますし、また保育所の中に幼稚園的ニュアンスを持たせることもできるわけであります。そういう意味で、中身を読みますと、この懇談会の報告はまだ中間的な形になっておりますけれども、そして幼保のそれぞれの関係者、担当部局ができるだけ連携を密にするようにという結びになっておりますけれども、そのことは、幼保の一元化というものを一挙に進めることはむずかしいけれども、その必要性といいますか、そのことの方向へ向かっていくことの意味合いをやはり認めていると申し上げてもいいのではないかと思うのであります。そういう意味で、今後の文部省及び厚生省のこの対応につきましてお伺いをしたいと思います。
○三角説明員 文部省といたしましては、この報告に示されました内容を尊重いたしまして、ただ、申し上げるまでもないわけでございますが、非常にシビアな財政事情のもとにありますので、その状況も考慮しながら、必要な施策につきましては今後とも努力を続けていくつもりでございます。 報告に述べられている主な事項のうちに、まず、未設置市町村を中心とした幼稚園の計画的整備の問題がございます。これはやはり人口規模にもよりますけれども、かなりの人口規模の市町村でまだ未設置、幼稚園が一つもないというのは、これは制度の趣旨から言ってもおかしいことでございますので、私どもとしてはこういったところに対しまして、公立または私立の幼稚園の整備を図ってまいりますように引き続き指導をいたしますと同時に、あわせて、そういったところで幼稚園の設置が困難な原因についてもひとつ解明もいたしまして、適切な対応策を講じてまいるように努めたいと思っております。 それから第二に、保護者負担の軽減で、これは保護者負担の面におきましても、幼稚園と保育所との間に必ずしもバランスがとれておらないじゃないか、そういう考えがございます。これは、これまた財政状況を踏まえての話でございますが、これまでやってまいりました経常費補助とともに就園奨励費の補助についての充実、これにつきましても相努めていかなければならない、こういうふうに思っております。 それから、一つの新しい御提案でもありますいわゆる預かり保育の問題でございますが、これにつきましては、幼稚園がその置かれております地域や、それから預かっております子供の家庭の状況等に応じまして弾力的に対応することの一つとして、教育時間終了後必要な限度で幼児を預かるということでございますが、これの実施についてはやはりかなり慎重に、いろいろな体制なり条件なりを整えるということが必要でございますが、そういった適切な配慮、条件のもとで設置者に判断をしてもらいまして弾力的な対応をしていくということが望ましい、そういうふうに考えておる次第でございます。 私どもとしては、幼児教育という教育の専門的な立場から、幼稚園の役割りがますます重要なものになっていくであろう、こういうふうに考えておりますので、今後とも、幼稚園で受けとめるべき幼児についての就園は一層促進をしていかなければなりませんし、あわせて教育内容、方法の改善にも取り組んで努めていかなければならない、こういうふうに思っている次第でございます。
○横尾説明員 先国会の予算委員会で、先生この問題で御質問をいただいたと承知しております。そのときに厚生大臣からお答え申し上げましたように、特に地方の都市あるいは農村のようなところでは、保育所というようなものが唯一の就学前の教育機関として位置づけられている。ただ保育に欠けるということだけではなくて、親としてはしつけや教育もそこで担ってほしいという御希望があることを承知しているというふうなのが、大臣の答弁申し上げました趣旨であったかと思います。 今回の幼保懇の御報告をいただきました内容も、制度的にいま統合とか調整とかという形は加えずとも、運用面で弾力性を加えることによって相当地方の保育需要というようなものに対応できるのではないかという御指摘だというふうに私ども理解をしております。そのことは、私どもが承知しております現場の声でもございますので、今後いろいろな審議を経過することはやむを得ませんけれども、機会を見まして逐次その地域の実情あるいは保護者の御要望に沿ったような弾力的な運用の具体的方法というものを詰めてまいりたいというふうに考えております。
○中野(寛)委員 さっき財政的な面につきましても初中局長からお触れになりました。私は財政的な面についても、実は先般来触れているわけです。というのは、現在保育所と幼稚園がある。それを、保育所を幼稚園としても活用ができる、幼稚園を保育所としても活用ができるということになれば、むしろ財政的には、とりわけそれを具体的に実際につくる地方自治体の財政の問題というのはきわめて助かるわけであります。もちろん、そのほかの財政負担の問題はあります、保育料その他の問題はあります。ありますが、いま弾力的にというお話がありましたけれども、その弾力的にというのが、いわゆる縦割り行政の中で文部省系列と厚生省系列がけんかを始めるようなことがなければと、まあよけいな心配かもしれませんけれどもいたします。むしろそれが相協力をして積極的に進められるならば、私はそれはそれでまた一つの意味があると思います。同時に、そういうものを経ながら最終的にはもう一つ保育所と幼稚園のあり方が再編成されていく、そのことにつながっていくならばなお結構だと思います。今後とも、この問題についてはむしろ前向きに両省で御検討をいただき、また取り組んでいただくことを要請をしておきたいと思います。 時間が参りましたけれども、最後に要請をしておきたいと思います。 というのは、最近の専修学校及び各種学校のあり方についてであります。ここに、あるビジネススクールの学園案内というのがございます。まず開きますと、「私は推薦いたします」——民社党の議員が一人もいないので残念でありますけれども、各党の偉い議員の先生方も推薦人に並んでおられる。そのことが問題だというのではないのですが、こういうものを活用しながらいわゆる誇大広告がある。ちなみに、これに関連して、この学校に通った生徒からここにこういう投書が出ている。これは、ここに勤めていた先生がみんなにその学校の感想を書かせたわけであります。そうすると、こういうことです。「学歴は高卒です。短大に受かりながら、それをけってまで希望いっぱいで入学したこの学校。私たちはプライドを持って入学しました。それなのに、全く社会に認められていないこの学校。この一年間の日々、数々のみじめな思い、そして大切なお金も戻ってはきません。うそばかりの宣伝はしないで欲しい。きっと今年も希望にもえて入学する子が大勢いるでしょう。私には犠牲者としか思えません」こういうふうな作文が書かれているわけであります。たとえば、ある航空会社の指定校になっておりますという宣伝がある。このビジネススクールのスチュワーデス科はある航空会社の指定校になっています、さあ、ここを卒業して、喜び勇んでその航空会社に試験を受けに行った、ところが、あんな学校の卒業生ならばとても望みがありませんよ、こう言って最初から相手にされなかった、そのたぐいのことが作文として実は私の手元にこんなにたくさんあります。こういうふうなことが果たして許されていいものか。これは実は学校法人になっていません、株式会社です。だから文部省の直接の管轄ではないのかもしれません。しかし少なくとも、高校を卒業して一つの自分の進路を決めてここへ入った、失望した、その青年たちはどうなるのだろうか。人生の中できわめて大きな影響を受けているはずです。こういう犠牲者を絶対につくってはならない、私はそれが大事だと思うのです。それが文部省であるのか労働省であるのかわかりませんが、むしろ文部省としても大いにこれは関係のある問題だ。これはスクールと銘を打ち、学校と銘を打っている。こういうものがいわゆる教育をこれから食いものにする、そういう企業がどんどん出てきています。今日まで私立の大学でそういうものがあったことは先刻来数々指摘されているところです。これらの実態について文部省として、これまた大変だとは思いますけれども、御調査をいただく、そしてむしろ制度的にその認可等についてやはり目が届くような一定のシステムをつくってやらないと、これからこういうことで犠牲者がどんどんふえてくる、こういうことが私は心配であります。ゆえに、私の手元にありますから、その資料をよこせとおっしゃられるのであればそれはお渡しをしても結構ですから、これらの実態について十分な御調査をお願いし、御指導または新たな制度が必要であればそのための御検討もお願いしたいと思いますけれども、最後にそのことだけお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○柳川説明員 先生御案内のとおり、専修学校または各種学校につきましてはそれぞれ学校教育法令の定めるところにより認可されて設置される学校でございます。いま御指摘の件につきましては、これが果たして各種学校であったかどうかの問題も含めまして、監督庁でございます知事部局を通しまして事情を調べてまいりたいと思っております。 なお、専修学校、各種学校は、いま全国で専修学校につきましては二千五百、四十三万人の方々が、また各種学校につきましては五千三百、七十三万人の方々がそれぞれ特色ある教育を受けて励んでおるわけでございまして、これにつきましては文部省といたしましても一層の充実に十分配慮してまいりたい。また、御指摘のような入学案内等におきまして入学志望者に誤解を与えるというような誇大宣伝等の問題につきましては、かねてしばしば御指摘がございましたので、通達等によりましてその適正を期するよう指導してまいってきておるところでございます。また、無認可のこの種の教育につきましては、これが専修学校あるいは各種学校に該当すると認められる場合には、監督官庁の方で、学校設置の認可申請を出すよう求めます。それに応じない場合はその教育を停止を命ずるという法令の規定もございますので、これらの問題を含めまして本件につきまして事情を聞いてまいりたいと思っております。
○中野(寛)委員 終わります。
○國場委員長 辻第一君。
○辻(第)委員 私は、最初に平城京の西市跡保存について質問をいたします。 この問題については、ことしの三月二日、わが党の市川正一参議院議員がいわゆる質問主意書でもって質問をし、三月十日付で内閣総理大臣から答弁書をいただいておるということでありますが、さらに質問をしたいと思うわけでございます。 この高度成長というような状況、その後の状況の中で開発がどんどん進められる、いわゆる無秩序な乱開発というような状況の中で、美しい自然やあるいは歴史的な景観あるいは埋蔵文化財がどんどん破壊をされるというような状況が続いてきたわけでありますが、私のおります奈良県も本当に美しい自然や歴史的な景観あるいは埋蔵文化財がこのような開発のもとでどんどんと破壊をされてきた、現在でもそのような状態が起こっている深刻な状態でございます。もう皆さん方も御存じだと思いますが、このような状況の中で、西大寺から奈良市まで行きますと、あの緑地そして空間、これが平城京跡でありますが、私はここを通るときに、本当にこれがよく守れたものだということで何とも言えない喜びを感じておる。あの平城京跡が多くの人々の努力で、また文部省や文化庁の御努力で今日あのように残されて、その中で古代史の、またあの平城京あるいは平城宮の解明がされておる、またその中ですばらしい実績と申しましょうか、学問的な解明が行われているというのが現状だと思うのですね。 私は、この世界にも誇るべき、こういうものは破壊をすれば二度と再び取り返しのつかない、こんな文化的な国民的な遺産、この平城京や平城宮、これと非常にかかわりの深い西市や東市、これは本当に重要な超一級の遺跡であるというふうにも思うわけであります。この平城京の中での西市、東市の持っている意義というものは、平城京の官設の市場だ、そこが消費物質の流通だとかあるいは経済の中心地であったというようなことも非常に重要なことでありますが、しかし、文献なんかによりますと、広場の中にはいわゆる刑場があったとかいうようなことも記されているわけでありますし、あるいは私の想像ではいろいろな芸能的なものもあの市にあったのではないか、こういうことであります。 ところが、これまではこの東市や西市については、東市が一部発掘をされ、調査をされました。そこですばらしいものが出たようでありますが、全体としてはまだ全く未解明に近いというような状態。これを本当に全面的に科学的に調査をし、発掘をし、解明をすればどんなにすばらしいものが出てくるか、これはもうわからないほど、私もそういうことをずっと考えますとぞくぞくするような、そんな宝物のような気がするわけであります。こういうものは当然国として史跡として保存をされてしかるべきものだ、まず第一に私はこういうふうに思うわけでありますが、この点について文化庁はどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○山中説明員 先生のおっしゃいますいろいろな工事等において発掘調査を行いました際に重要な遺構が出てまいる場合がございます。そういった遺構が出てまいりました場合には、その性格等について検討の上、いわゆる考古学とか歴史学とか、斯界の権威者をもって構成しております文化財保護審議会での御審議を願いまして、これは学問的な記録をとっておくということによって貢献する、これはそのままの形で後世に残していくという御判断をいただきまして、後世に残すとされたものにつきましては、史跡に指定して整備してまいる、こういう形でいま全国でさまざまのものが行われているわけでございます。 お話のございました西市の跡ではないかということへほぼ跡の一部であることがはっきりしてきているようでございますが、これが昨年来建設工事に絡みます発掘調査の結果、一部が顔を出してまいりました。この全容はまだつかめておりませんが、たとえば積日本紀その他いろいろな古い文献、記録等を見ますと、大体東西の市の跡のうちの一つ、西市の跡に当たるのではないかということがいま問題になっております。現在これについて発掘調査を行い、今後もまた引き続き調査することにいたしておりますが、その結果重要な遺構等が発見されました段階においては、当初に申し上げましたように、文化財保護審議会の御審議によって決定していただく、こういうふうに考えております。
○辻(第)委員 そのようなことをお答えいただくよりも、あの遺跡、もうまず間違いないと思うのですが、大体確認をされてきておるのですが、持つ意味ですね、そのことについて聞きたかったのですが、意味はわかっていただけると思いますので、次へ進みます。 この西市について、昨年来八千七百平米の地面にマンションを建てるという計画ができて、それが申請をされたということですね。ここが残念ながら市街化地域になっている、そういう事情で、県としては原因者負担ということで、この建設会社の負担でいま発掘調査をなさっていらっしゃるということですね。その結果によってはマンションが建設される可能性があるというような状況になっているわけでありますが、私はこの問題は本当に大変な問題だと思う。先ほど来申していますけれども、こんな西市、東市というようなものは、これつぶしたから、今度神戸へ行ったらあるわ、今度東京へ行ったらあるわというような、どこにでもあるというものじゃないですね。ですから、本当にきちっと全体の調査をして、残すべきかどうかというようなことを——私は当然そんなことを言わなくても残すべきだと思いますが、十分な調査をして、そして史跡にするかどうか考えるというならまだ話がわかるのですが、部分だけ発掘をして、しかも部分の部分を発掘をして、それでもって残すか残さないか、結局残さないとなれば、そういうようなマンションをそういうところへ建てさせるということになる、こういう大変なことが起こってきているというのが現状だと思うのですね。 これに対しまして、ことしの一月五日であったと思いますが、奈良県文化財保存対策連絡会が、平城京西市跡の保存を要望する声明、こういうものもすでに出しておりますし、この団体が中心になった署名が奈良県や大和郡山市あるいは全国的に広がって、もうすでに八千名の署名が集まっているという状況であります。また、著名な歴史学者あるいは考古学者が二十数名、連名で保存を要望されておる。青木和夫氏、上田正昭氏、黒田俊男氏、網野善彦氏、門脇禎二氏……、この辺でなにさせていただきますが、二十一名の、本当に著名な歴史学者や考古学者が保存を要望されておるということであります。さらに考古学研究会、日本史研究会、歴史科学協議会、歴史学研究会、歴史教育者協議会、史学研究会、文化財保存全国協議会、そして事務局が先ほど言いました奈良県文化財保存対策連絡会、こういう本当に歴史学あるいは考古学の専門家の集団の方々が、これまた保存を要望する声名を出されている。こういうことについてはよく御存じだと思うのですが、いかがでしょうか。
○山中説明員 先生の御指摘になられた文書については、私どもも十分拝見しておりますし、さまざまな学者の方からこの保存の要望があることも十分承知しております。
○辻(第)委員 そして、地元の大和郡山市の市長さん、この方も、ことしの三月、私どもの市会議員が質問をいたしましたが、この西市の保存には大賛成だ、史跡公園になるということなら、本当にそれは望ましいことだ、こういうふうに明快に答弁をされております。 そのときの話の中身の一部ですが、国がもう法定どおりの御負担をされて、そして県や市が一部負担をするということですか、そういうことになれば市は喜んで負担をさせていただく、こういうことまですでに言明をされているというのが現状なんです、もし国が買い上げられるというような場合はですね。これは大和郡山市議会でのはっきりした発言でございます。そして大和郡山市民は、こぞってと言っていいほど、保存をしてほしい、ここを史跡公園なんかにしてくれるならば、それは何とも言えない喜びだということであります。このことについては御存じでしょうか。
○山中説明員 市議会の中の応答については具体的には存じておりませんが、古代史に絡みます問題については非常にロマンがございますので、いろいろな方の、ああしたら、こうしたらというお話がいろいろ飛び交っていることは私も聞いておりますし、容易に推定できるところでございます。 〔委員長退席、越智(通)委員長代理着席〕
○辻(第)委員 市長の意向というのは先ほど私が申しましたことでございますので、改めてよく御認識をいただきたいというふうに思います。 ところが、先ほど申しました建設業者がマンションの建設を計画され、申請を出された。そのことで発掘調査をされる。この発掘調査が決まりますやいなや、業者がその発掘される現場へ大型機械を入れて、そこの遺跡、遺構の一部を掘り返した、それで遺構の一部が破壊をされた。大変残念なことが起こったわけでありますが、このことについてはどのように思っていらっしゃるか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○山中説明員 御指摘のとおり、昨年の十一月にそのようなことがございまして、奈良県の教育委員会の方からすぐ業者の方に確かめ、注意をいたしたわけでございます。その結果、下請業者との連絡が不十分でこういうことが起こり申しわけないというてんまつ書を提出してまいりましたし、その後の調査については全面的に協力いたします、こういう文書をいただいております。現在、県の教育委員会が発掘調査を行っておりますが、非常に良心的に協力していただいております。
○辻(第)委員 それでは次に、先ほど来私が言っていますように、地元でも、あるいは全国的にも、史跡としてどうしても全体を保存していただきたい、そして史跡公園など、県民、国民の皆さん方が本当に御利用いただけるような、そのような保存が望ましい、こういうことでありますが、しかし、さきに市川正一参議院議員が質問主意書で質問をいたしたわけでありますが、その要旨は、 一 奈良国立文化財研究所による一部調査が終り西市跡の重要性はいよいよ明らかであり、早急に文化財保護法にもとづく史跡に指定すべきではないか。 二 また、必要に応じて国費による買いあげも検討すべきではないか。 三 特に、マンション建設計画など西市跡の開発計画は、ただちに中止措置をとるべきではないか。 四 国として、西市跡保存のためにこれまでどのような対策、手だてを講じてきたのか。 このような質問に対しまして、一と四に対する答えですね、時間がありませんので、その一部分を申し述べますと、 国庫補助事業で、同年十一月から十二月にかけて同教育委員会の依頼により奈良国立文化財研究所が試掘調査を行い、西市跡の南限の一部が明らかになった。しかし、現段階では遺跡の範囲、遺構の分布、性格等が判明しないため、奈良県及び大和郡山市の教育委員会に対し、これらを確認するための発掘調査を計画的に実施するよう指導しており、その準備が進められていると聞いている。史跡指定の問題は、この調査結果の意見等を集約して検討されることとなる。 こういうふうに御答弁をいただいているわけでありますが、奈良県及び大和郡山市の教育委員会が、その後文化庁の指導により、具体的にどのような状態で調査が進められているのか、あるいはこれから調査が進められていくのか、恐れ入りますが、簡明にお答えをいただきたい。
○山中説明員 現在、奈良県の教育委員会におきまして、事業者から申請のありました土地について発掘調査を行っております。これはまだ終了しておりませんが、その終了後、秋以降になると思いますが、三カ年にわたりまして奈良県と大和郡山市、事業実施者は主体が大和郡山市、それで奈良県教育委員会が指導でございますが、私どもの方にございます国立の奈良文化財研究所も協力に当たる、こういう形で三カ年にわたりまして、西市というものはどの辺の広がりを持っておったのかというところをまず突きとめてまいりたい。そういう分布状況、範囲の広がり方、こういった調査を三カ年にわたって継続したいということで、私どももそれについて補助事業として検討するというようなことをもう始めております。
○辻(第)委員 確かに遺跡の範囲、遺構の分布、性格等を明らかにするために、いま発掘調査をしていただいている。あるいは、これから三カ年でさらに大きな調査をやられるということ、これは大変重要なことだと思うのです。ところが、先ほども申しましたように、私は、こういうことをきっちりやって、本当に徹底的に科学的な発掘や調査をやって、そしてその上で、もちろん遺跡に指定される、されないということは当然そこに出てくるわけでありますが、そうした上でマンションの建設をするかしないかというようなことを決められるべきであって、非常に部分の調査しかしていない状態でそのことが許可されようとしているのではないか。これは、どう考えてみても私は納得いきませんね。全体としてそのものがどうなのかということが一つ大きな重要性を持ってくると思うのですね。それを部分だけで調べてみて、その部分だけで重要な遺構が出てこなければマンションを建設許可されるようなニュアンスがして、私は、これは許せない、大変なことだというふうに思うのですね。私は、何回も言いますけれども、これは本当にかけがえのない遺跡ですよね。また何百億かければ、二、三年したらできるというようなものじゃないですし、日本だけじゃなしに世界的に誇るべき平城京の、しかも西市、東市、その西市ですね。しかも、比較的保存が、その九割が水田あるいは金魚の池として残っているという、そこへもうすでに人家がいっぱい建ってしまった、マンションが建ってしまった、そういうものじゃないのですね。こういうところは、全体として少なくとも保存されるというのが第一点ですね。そのマンション建設なんかされるということになれば、全体がはっきりしてからならまだ御判断の可能性があると思いますけれども、部分の部分だけ調べて、そこでどうも重要な遺構が出てこなければ、そういうところへ七階建てのマンションを建てるというのは、日本民族というのは、これからまだ何千年も何万年も続くわけですね、本当にそういう大局的な観点に立って、勇気と申しましょうか英断と申しましょうか、そういう高い、広い観点からこの問題をぜひお取り上げいただきたい、私はこういうふうに思うわけですが、その点いかがでしょう。
○山中説明員 先生のおっしゃる趣旨は私もよくわかるのでございますが、文化財の指定となりますと、これは非常に厳密な行為でございます。遺構などが、そういう文化財がそのままの形で後世に残すべしとされたものについて指定してもらえるわけでございます。したがいまして、たとえ一部でございましても、マンション建築の場所において工事が行われるというので調査いたしました場合に、重要な遺構が出てまいりますれば、それはその段階で差しとめる、協力をもらうということは可能であろうと思います。しかし、後世にそのままの形で残すべしという重要な遺構が出ない限りは、どこからどこまでという明確なあれもなしに、恐らくこういうふうに推定される、重要な遺構が中にあるかどうかわからないという時点において断定して私権の制限ということは、これはきわめて困難でございます。文化財保護審議会の審議にたえる、そういう後世に残すべきであるかどうかの審議の検討になる遺構が出てまいるということが大事でございますので、私どもは慎重にこれについて調べているところでございます。
○辻(第)委員 それではまた申しますが、いまこれだけの西市の非常に部分を御調査になっているわけですね、部分の部分を。そうすれば、そこにもし、もしですよ、出てくるかもわかりませんが、出てこないかもわからぬですね。その重要な遺構というのは、この基準がいろいろあると思うのですが、もし出てこないというようなことで認められるということになって、そのもうちょっと横を今度全面的に調査をされて、どんなすばらしい遺構が出てくるかもわかりませんよ。そういうこともあり得ると思うのですね。そうしたら、すばらしい遺構が出てきた真横に七階建てのマンションが建っているというのは、私は、全体としてこの遺構を見られるべきである、私権の尊重というのは法律的にいろいろあるのかもわかりませんけれども、しかしその辺のところはいろいろ打開される道があるのではないか。そういうことでいけば、もう日本の文化的な遺産というのはますますつぶされていく、後世に、何と昭和の時代というのはひどいのばかりおったのやなあというふうになりかねないというふうにも私は思うわけでありますが、全体から物を見ていく、こういうことが非常に重要だろう。部分の部分を見て、こんな貴重なところにマンションを建てさせるということは、いろいろそれはあろうと思いますけれども、大局的には大変な過ちを犯すことになるということで、さらにそういう大局的な観点でいろいろと御努力をいただきたいということを再度強く要望しておきます。 そのことをもう一度なにするわけですが、どうでしょうか、マンション計画の可否というのは、もっと徹底的な調査をしてからというわけにはまいりませんか。
○山中説明員 私どもでいたしておりますのは、文化財保護という形で行える範囲で発掘調査をいたしております。先生の言われました文化財保護の問題だけからすべて対処するというのはむずかしいかと存じます。都市計画その他の問題があろうと思っております。それからまた、自然環境その他の問題もあろうかと思います。そういうさまざまな角度において広く取り上げるということはあり得ることであろうと私は存じておりますけれども、文化財保護だけの関係から建築工事の差しとめをすることのできる範囲はおのずから限界がございます。
○辻(第)委員 まだ調査の結果が出ていないわけですから、「調査の結果保存すべき重要な遺構が発見されれば、関係者に保存の協力を求めることとしたい。」このような市川質問に対する御答弁もやはり重要な意味を持っているというふうに思いますので、その点、こういういろいろな観点から西市の保存、活用のあり方、遺跡の範囲の確認を含めて、科学的調査に基づいて決められるべきであるということを申し上げたいと思います。 大臣、この点について御努力をいただきたいと思うのですが、一言御答弁いただけませんか。
○田中(龍)国務大臣 先ほど来るる先生がお話しになっておりますことを拝聴いたしまして、お気持ちは実によくわかるのでございます。でございますから、文化庁の方も申しておりますように、本当に文化財として、遺跡として残すようなりっぱなものが一日も早くひとつ発掘され、出てくるということを期待いたしておるわけであります。そういう上で、先生が言われたような、その辺一体が指定地となって、そしてさらに今後いろいろな、もっともっと広い範囲にも貴重なものが埋蔵されておるということが確認されてまいることを本当に期待をいたしながら、先生の本当に郷里を愛されますお気持ちがにじみ出るようなお話に対しまして心から敬意を表します。
○辻(第)委員 どうかひとつよろしくお願いをいたします。 次に、私は就学援助についてお尋ねをいたします。 昭和五十五年度の全国の就学援助を受けておられる児童や生徒の総数は大体何人なのか、それから全児童生徒数に対する比率は何%なのか、補助金の総額は幾らなのかお尋ねをいたします。
○田中(龍)国務大臣 御質問の内容が事務的なものでございますので、担当の局長からお答えいたします。
○三角説明員 昭和五十五年度の全国の各市町村の学用品費給与人員は九十一万四千七百六十人でございます。全児童生徒数に対して五・五%に当たる数字でございます。また、この予算額は百八十九億五千百五十九万一千円となっております。
○辻(第)委員 就学援助について文部省は二分の一の補助金を出されている、また、補助金の市町村負担分は地方交付税に基づく基準財政需要額に積算をされ財源措置がなされているというふうに理解をしておりますが、そのとおりでしょうか。
○三角説明員 学齢児童生徒の保護者で、いわゆる要保護者または準要保護者でございます方々に対して市町村が必要な援助を行いました場合には、国としては就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律、この法律などに基づきまして、学校給食法とかその他の法律もございますが、それらに基づきまして、予算の範囲内で二分の一の補助を行う、こういうことにいたしてございまして、そしてお尋ねのございました補助金の市町村負担分につきましては、御指摘のように地方交付税法に基づく基準財政需要額に積算されまして財源措置が行われておるものでございます。
○辻(第)委員 いまお尋ねをいたしまして御回答をいただいたような財源措置がされているようですが、就学援助というものは市町村がいわゆる実施主体と申しましょうか、そういうことで、当然市町村の自主性や主体性というようなものが尊重されるということは基本的な問題であると思います。これまでも文部省がこの立場を尊重されてきたというふうに思いますが、これからも当然尊重されるというふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○三角説明員 学校教育法におきまして「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」こういうふうになっておりますので、したがいまして、市町村がこの援助の主体でございまして、市町村はこの法律の趣旨に沿って就学奨励のための援助を行っていただきたい、こう思っております。
○辻(第)委員 就学援助ということは、いわゆる就学援助法に基づいて、いまお聞きいたしましたように、九十一万人ですか、全児童数の五・五%という多くの児童や生徒さんが、金額でいえば昨年度で百八十九億ですか、まあ本当に児童や生徒の教育の機会均等を図り義務教育の円滑を図るということで大きな成果を上げていただいておるというふうに思うわけでございますが、しかし現在は、本当に政府の発表ですら昨年度は実質賃金が低下をするというような状況など、国民の生活は非常に苦しいというのが現状であろうと思います。こういう状況の中で、一般的に申しまして、経済的理由によって就学困難な児童や生徒がふえているという状況であろうと推察をされるわけであります。このような状態でありますから、就学援助の役割りと申しましょうか、その持っている意味というのは非常に、一層重要になってきたというふうに私は思うわけであります。こういう状況の中で文部省は本当に十分な対応をしていただきたい、遺漏のないような対策をとっていただきたい、こういうふうに特に要望するわけでありますが、何か具体的に今年度特に例年に比べてこういう措置をした、こういう努力をした、そういうことがあるのかないのか、お尋ねをしたいと思います。
○三角説明員 全体で申し上げまして、就学援助費補助金につきましては、先ほど申し上げましたように、前年度が百八十九億円余でございましたものを今年度は二百二億円、増額して計上いたしている次第でございます。 内容につきましては、学用品費等のいわゆる物に関するものにつきましては単価の改善を図っておりますし、それから通学費とか修学旅行費等につきましてはそれぞれ交通費等の値上げの状況に対応して単価の改善を図ったり、それから人員につきましても児童生徒数の推移に合わせた人員増も行った次第でございます。
○辻(第)委員 非常に生活状況が厳しい、生活の状態が悪化をしておるという状況の中で、就学援助を受けて義務教育が円滑に受けられるというような人がふえているのではないかというように思うわけでありますから、一層そういう人が漏れないようにちゃんと、救済と言うと言葉が悪いでしょうかね、そういう方に行き届いた施策がやられるような対策をぜひとっていただきたいということを申し添えたいと思います。 ところで、こういう状況の中なのですが、第一線の市町村では、就学援助についての施策といいましょうか執行といいましょうか、そういうものがまだまだ不十分なところがあるように思うのです。 たとえば、一例を申しますと、名前を言いますと、奈良県の上牧町というところがあるのですが、ここのケースでいいますと、これまでどちらかというと、ここの場合は、申請をする場合に学校から申請されたのが事実だったようですね。今度これに対して保護者が教育委員会へ直接申請をされる、こういうことが役場の助役さんなんかと話し合いをされて決められて実行に移っていったのですが、ところが申請書が、そういうことですので、直接行く申請書もない。これはわかるのですが、学校にもどうも申請書というようなものがなくて、先生方がおのおの申請書をつくってやっておられるというような、そういう不十分な状況があったようですね。 それから、四月の二十三日に、十一家族、十七名が教育委員会へ直接申請をされた、こういうことになります。この申請された方は、学校の先生には十分相談をする、また学校の先生が家庭訪問の際には先生に十分相談をするというようなことで、相談をされたということもあるわけですね。ただ保護者が教育委員会へ直接だけだということはないのですね。 こういうことで四月二十三日に申請をして、いつごろ認定結果が出るのだろうかということを電話で尋ねたところが、五月二十日ぐらいをめどにしている、こういうことだったわけですね。実施は、もし認定されれば四月にさかのぼって支給をする。ところが、五月の二十日が済んでもなかなか通知がないので、五月二十五日に教育委員会へ聞いてみたところが、まだ厚生課に書類があって民生委員による調査待ちと、こういうことを言われたというわけですね。そしてやっと六月十七日、五月の二十日ごろをめどに認定をすると言っていたのが六月十七日付で校長さんから、認定できない、この十一家族、十七名全員認定できないという通知を子供が持って帰ってきた。この認定できないという用紙は、同一文章で、プリントされたものだったそうですが、そういうことがあったわけです。 十一家族、十七名の人はそれぞれ本当に厳しい生活をやっておられる、当然認定をされる生活状態だ、こういうふうに私ども考えているわけでありますが、全部が認定をされなかった。それで、納得できない、なぜ認定されないのか理由を説明していただきたいと言っても、それは説明できないということになったわけです。 それでまた今度は町会議員が議会でこの問題を取り上げるなどしていく過程——ちょっと前後するのですが、こういうやりとりがあって、一家族四名だけが認められるということになったわけですね。さらに、議会で取り上げたところが、教育長さんだと思うのですが、こういう申請した方々は、家庭訪問さえ担任の先生への申し出がなく、また相談もなかった、だから学校からは申請されていないとか、こういうようなことを言われたわけですが、実際は家庭訪問のときにちゃんと相談をされているのですね。 それから、これが念の入った話なんですが、学校の側も、それじゃ念を入れて申請書を出しますということで、二重に申請書が出ているのですね。ところが、教育委員会は、直接出てきた分だけを見て、そして認定が全部却下をされた。学校の方から申請をされた分については民生委員さんがちゃんとそれを検討して、そして一定の意見書が出ていたのですが、直接の——ややこしい話ですな。直接の申請をされた分で却下されたから学校から出されたものはもう全然日の目を見ずにそのまま没になってしまった、こういうことで認定されなかった。ちゃんと学校の先生には相談もし、そこからも出ているのだけれども、教育長はそういうことも知らないで、議会の中で、家庭訪問の際担任の先生への申し出もない、相談もない、学校から申請されていません、こういう回答がぽんとあった、こういうことなんですね。そういうことで話がやられていって、今度は七月の二十日、きのうですか、またもう一件認定された、こういう経過があるわけですね。 こういうふうに見てまいりますと、教育委員会は人手不足だとか、いろいろ忙しいとか、それはいろいろな御理由があろうと思いますけれども、この就学援助についての取り組みと申しましょうか、対応と申しましょうか、こういうものがどう見てみても非常に弱い、就学援助の趣旨が役所の中で、教育委員会の中に徹底されていないのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。私、先ほど一連、大変長いことを申しましたけれども、このような地方自治体での就学援助に対する対応はどのようにお思いになるでしょうか。
○三角説明員 ただいま御指摘になりました具体的事情については私どもまだつまびらかに承知しておらないのでございますが、文部省の指導といたしましては、経済的理由によりまして就学困難な児童と生徒に対する市町村の就学援助ということは、御指摘のように、教育の機会均等の精神に基づいてすべての児童生徒が義務教育を円滑に受けることができるように、そういうことに配慮して実施すべきものでありますから、市町村の教育委員会がこの制度の趣旨についてはしかるべき形で周知を図りますとともに、いま御指摘のような補助事業の対象となるものの認定に当たりましては、学校長やあるいは必要に応じまして福祉事務所の長、民生委員と連絡をとりながら、実質的にきちんと状況を把握して遺漏のないように配慮するように指導しておるわけでございます。現実、先ほどお尋ねにお答えしましたように、九十一万人の方々がこれを受けておるわけでございますから、通常、市町村は制度の趣旨をよく把握して運用してくれているものと思っておりますけれども、御指摘のようなことがありますれば、今後においても私どもとしてはこの制度の趣旨の徹底を図ってまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
○辻(第)委員 重ねてお尋ねをいたしますが、先ほど申しましたこの地方自治体での就学援助の対応ですね、これが事実であるとすれば、適切な対応であったのか不十分な対応であったのか、その点、大臣、ちょっとお答えいただけませんか。
○三角説明員 御指摘でございますので、私、奈良県の教育委員会の方を通じて状況がわかればいろいろ聞いてみたいと思いますが、全体的に一体当該の町の事務体制が不備であるのか、あるいはいろいろな個別の事情で認定というものがなかなか簡単にいかないというような状況がありましたのか、その辺のところは、判断というか、私どもとしてはちょっといまここで申し上げかねるわけでございまして、状況を聞いた上で判断をし、それに応じた指導をいたしたい、こういうふうに思います。
○辻(第)委員 私の申し上げたことが事実であればという仮定のもとで適切な対応であったのか、どうも不適切であったのか、そのことをお聞きしたかったわけでありますが、お答えにくいということなら、後日、その点についてお調べになるのならお調べになった上で、御返答をいただきたいと思います。 こういうような、私どもが見てみますと大変不十分な対応がまだたくさんあるというふうに思うわけであります。いまの厳しい状況の中で遺漏のない対応がとれる、そのような御指導をいただきたい。もちろん、先ほど申しました市町村の自主性や主体性ということ、これを十分尊重していただいた上でのことですが、そういうことを重ねてお願いをして、私の質問を終わります。
○越智(通)委員長代理 次に、石原健太郎君。 〔越智(通)委員長代理退席、森下委員長代理着席〕
○石原(健)委員 いままでにも御発言ありましたけれども、青少年の非行とか校内暴力、そういったものが多発し、また、落ちこぼれとか、あるいは能力は持っていながらも中身のないまま学校を卒業させられてしまう、そういった児童もずいぶんたくさんいるわけであります。また、いまの教育は人間性をはぐくむという観点から見ても大変問題が多い面もある。人によりましては、教育の荒廃は行き着くところまで行き着いたとか、あるいは学校は人間性破壊の工場となっている、学校は死んでしまっているという声も出ておるわけであります。 私は、一〇〇%そうだとは思いませんけれども、改善すべき点は多々あるのじゃないかと考えるのでありますが、こうした声に文部省はどういうふうにおこたえになるのか、御説明ください。
○三角説明員 文部省としては、先般、学習指導要領の改訂を行いまして学校教育の、これは中身の問題でございますが、各教科の基礎的、基本的事項が確実に身につけられるように、そういうことで教育内容の精選を図ったわけでございます。児童生徒のそれぞれの年齢段階、発達段階に応じまして、いたずらに断片的な知識の詰め込みということは避けなければならない、こういう批判に対応してそういうことを考えたわけでございますが、あわせて授業時数も削減をいたしまして、ゆとりのある充実した学校生活の中で、いわゆる知、徳、体の調和のとれた全人間的な児童生徒が育成されるように配慮したわけでございます。そして、やはり子供の中にはいろいろな意味での得意、不得意がございましょうから、不得意な面についてまたしかるべき個別的な観点からの指導を加えていくというようなことをそのゆとりの中でもやってほしい、こういうことでございます。各学校におきまして、地域や学校の実態等に応じまして、それこそそれぞれ自主的に適切な教育課程を編成していただきたい。そして学習指導の中に創意工夫を加えまして児童生徒の心身の発達段階や特性に応じた教育、先ほど申し上げた次第でございますが、これが行われますように教員が熱意を持って指導に当たってほしい、こういうぐあいにしたところでございます。 それからもう一つは、生徒指導の問題でございますが、これにつきましては、生徒指導に関する教師の資質の向上を図らなければならないということで、そのための各種の対策をいたしますと同時に、校長の指導のもとで学校内におきます教師間の協力体制の確立ということが大事でございますので、そのための配慮をきちっとしていただきますと同時に、学校におきます、教科に限らず教育活動全体を通じて、教師と生徒の間に、それから生徒同士の間に好ましい人間関係と申しますか、気持ちの通じ合う対人関係、これが育成されるというようにいたしますとともに、あわせて学校は家庭や地域社会、関係諸機関と密接な連携を保ちながら対処していく、こういうふうな指導を続けておるわけでございます。事柄が起こりますれば、それに対応した臨機のいろいろな処置あるいは手おくれにならないような対処が必要でございますが、より気をつけなければいけませんのは、平素の取り組みをしっかりしまして、事件が起きないようにという体制をつくっていくということがまずもって大事であるということで、そういう意味の指導も今後とも充実してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
○石原(健)委員 時間が三十分くらいしかないので、なるべく簡潔にお答えいただきたいと思うのですけれども、いま指導要領を改訂して時間数も削減したというふうにおっしゃっています。ところが時間数は削減されたけれども、覚えなくてはならないことはそれほど減っていないということで、授業時間中はかえって忙しくて、先生は短い時間の間に多くのことを覚えさせなくてはいけないということでいつも追われているような感じがする、こういったような声も聞こえますし、また、こういった改訂がなされた後も暴力だの何だのそういう問題は減るどころかふえる一方。また、教頭先生とか校長先生の講習などもいろいろなさっているのでしょうけれども、年を追って問題は多発してくる。文部省の方では、いまおっしゃられたような対応とか、先ほど来言われている総理府と話し合い、連絡をとりながらやっていくのだ。何をどういうふうにされるつもりかまでの説明はございませんでしたけれども、こういったことで、いまの非行の問題あるいは暴力ですか、そういった問題が本当になくせると確信しておられるのかどうか、その辺お聞きしたいと思います。
○三角説明員 これは、現実には私から申し上げるまでもなく、児童生徒に対する指導、訓育はそれぞれの学校でやっていただいている事柄でございますから、そして直接の当事者は校長を中心とする教職員でございます。でございますから、私どもは、それらの教職員が本当にやる気を持って情熱を傾けてやっていただく、これにかけるしかございません。ですから、確信があるかないかという御質問でございますけれども、これは、私自身でいろいろなこと、あるいは文部省自身がすべてのことを始末し決着できるという事柄ではございません。また、大変容易でない困難な問題でございますので、ここでそういうことを開き直ったような形で申し上げられないのでございますけれども、私どもは、あらゆる機会を通じてこの問題につきましては教育委員会その他の当事者に対しても呼びかけをし、あるいはいろいろな意味での御論議を踏まえての協議、検討もやっておりますので、まずは現場でしっかり四つに取り組んで対処してまいりたい。それによりまして、こういった傾向がだんだんにおさまってくるということを願い、期待しておるのでございます。
○石原(健)委員 いろいろな問題は、そういった対症療法的なことでは解決できない面も多々あるのじゃないか、こう感じるわけであります。いままでの議論を通じまして、問題は教育にある、また、学校にあり、家庭にあり、社会にあるのだ、この三つが大体はっきりしたのですから、それぞれにそれぞれの問題をどう解決していくか。解決できないまでも精いっぱいの努力をするぐらいの意気込みを文部省は示してもいいのじゃないかというふうに私は考えるのであります。いま局長さんがおっしゃったそういう目標と現実は、現実を見ればわかるとおり、すっかり乖離をしてしまっているわけであります。そういう方向はそれは一つの方向かもしれませんけれども、先ほどちょっとお話に出ましたゆとりの教育、そういったもので一定のものを目指していかれる、文部省が考えている教育水準とは一体どんなものなのか、何を指しているのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
○三角説明員 教育水準というお言葉での御質問ですが、これは具体的に申し上げるのは簡単ではないわけでございます。ですから非常に抽象的になりますけれども、小学校は小学校の六歳から十二歳という年齢段階に応じまして「心身の発達に応じて、」いわゆる「初等普通教育を施すことを目的とする。」ということにいたしまして、学校教育法に八項目の目標をうたってございます。それから義務教育で申しますと、中学校では、小学校の教育の基礎の上に中等普通教育を行うということで、これは三項目についてその目標を定めておりまして、この目標に沿って先ほどちょっと御説明申し上げました新しい学習指導要領というものを定めまして、個々の国語なり算数なりの教科につきましての学年段階別の指導内容については、その学習指導要領において定めておる次第でございます。 そうして、水準というお言葉でございますので、私どもとしては学習指導要領を定めますときに一応の水準というものを想定しながらつくっているわけでございますが、それをここで具体的になかなか簡単には申し上げにくいのでございます。ただ、その水準を果たしてきちっと達成できるかどうかということはフォローアップする必要があると思いまして、今年度から四年計画で達成度調査をいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○石原(健)委員 小学校課程で八項目あるとするならば、八項目同じように進んでいかなくちゃならないと思うのです。ところが現実に学校では、先生はいつも教え込むのに追われているような感じがするし、それについていけない子供はそのままほうり出されて、お客様扱いになってしまう、こういう現実があるわけです。こういったところにも私は問題の一つがあるのじゃないかというふうに感じておるわけですけれども、それはさておいて、「我が国の教育水準」という本がこの間出されました。この中には二章あって十四節あるのですか、その中に、わざわざ一節「学歴と職業」というような項が設けられておりますけれども、こうした項目を設けられた目的というか、趣旨は何なのでしょうか。
○宮野説明員 このたびの「我が国の教育水準」で、御承知のように「学歴と職業」という節を設けてございます。この節を設けましたのは、わが国の教育、主として学校教育でございますが、学校教育がわが国の社会との関係においてどういうふうになっているであろうか、いままでの学校教育の累積がわが国の社会にどういう影響を及ぼしているであろうかということを見ることが大事だと考えまして、そのような節を設け、御説明をいたしたわけでございます。
○石原(健)委員 いまの説明だけでは、なぜ十四項目のうちの一節にしたのか、ちょっとわざわざ挙げた理由がわからないのですけれども、それにしてもその中には「職業別就職者の学歴構成」とか「国・私立大学出身別の役職についた時の平均年令」、こんなことまで挙げられておるわけであります。文部省はほかにも「職場で要求される資質能力と学校教育の役立つ程度」、どのくらい教育が企業に役立っているかなんということを調べて、これはいわば経済性の面から見ているのでしょうけれども、教育を経済性の面から見たり、点数ばかりで児童の評価をはかる、こういったところにも教育が荒廃していると言われる原因の一つがあるのじゃないかと思うのです。 また、文部省は学歴社会のようなものは目指さないのだというふうなことを言われているようにも記憶しておるのでありますけれども、何かこの本を拝見しますと、学歴がさも大事なようにみなしているという節も感じられるので、こういった面は考え直してもいいのじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○宮野説明員 御指摘のように、学歴というのが世の中でかなり大きなウエートを持っていることは事実でございます。私どもといたしましては、そこでそれのできるだけ正確な情報が得られないかということでいろいろな調査を実施しまして、その調査に基づいて正確な資料をできるだけ提供すべくその節に御説明を申し上げているわけでございます。 そこで、たとえば就業者の中で初任給とか平均給与月額とかいうものが学歴によって現実に差がございますけれども、この十年ぐらいの間にそういう差がかなり縮まりつつあるとかいうデータ等も、それに出してございます。私どもとしては、やはりそういう学歴問題のことも一応研究しなければいかぬではないかという意味でやりましたものでありまして、決して学歴を過大に偏重する趣旨から述べたものではございません。
○石原(健)委員 じゃ私の解釈のしようが間違っているのかもしれないのですけれども、職業に関連してお尋ねしたいのですけれども、中学の技術とか家庭科に指定領域というのがあるようでして、こんなものは要らないのじゃないかなと私感じておって、男女を区別する必要がない、こう考えたのです。それでいろいろ会議録などを見ておりましたら、初等中等教育局長は、ある委員の方に対する答弁で、そういう一気に人間全部が男女か女男みたいなものになるわけにはまいらないというようなことをおっしゃっているわけであります。これは大変な偏見じゃないかというふうに思うのです。男が食物や被服を学ぶとなぜ女男になって、女が機械や電気あるいは栽培などをあわせ学ぶとなぜ男女なのか、その辺御説明いただきたいと思います。
○三角説明員 ただいま御引用いただいたのでございますけれども、当時のいろいろな御質疑の経過の中でちょっと申し上げたので、別段そう他意はないつもりで申し上げたのでございますが、やはり教育というのは、どうしても現実の日本の社会の実態を踏まえて組み立てられ、そして計画され、実施されることが大事であるというふうに思うのでございます。もちろん一方において理想というものを掲げながらでございますけれども。したがいまして、職業教育と申しますかあるいは家庭科の教育と申しますか、こういうものにつきましても、これについて御論議の中には、普通科の女子の生徒に家庭一般を必修にしておって、男子に対してこれを選択にしておるということが、これが女子に対する一つの差別である、こういう御主張もあるようでございますけれども、私どもとしてはさきに申し上げましたような、教育がやはり現実に立脚していろいろ、それから世の中の良識にのっとって計画し、実施されるべきものであるという観点から申しますと、家庭一般の必修ということは、一つの女子に対する教育的な配慮である、こういうふうに考えてやっておるわけでございまして、男子についても選択科目として履修し得るような道を開くような仕組みにしておりますので、もちろん男子が家庭科についてこれを履修することも結構なことでございますけれども、一切すべて直ちに男女同じ扱いにしなければぐあいが悪いという御主張に対しては、私どもは私どもなりの考えを持っておりますので、そういう意味でお答えを申し上げた次第なのでございます。
○石原(健)委員 いま社会一般の情勢を見てそういうふうに判断したというふうなお答えなんですけれども、板前さんとかコックというのはこれはみんな料理をつくる人ですけれども、男ですね。テーラー、洋服をつくる人、これは家庭科で言えば被服ですか、これだって男なんです。また男子で料理の専修学校に行っている人なんて幾らだっておりますし、そういった、これは男の仕事だ、これは女の仕事だ——私は女の方でダンプの運転手をやっている方だって知っていますし、そういう既成概念というものは改めていただきたいと思うのですけれども、改められないものなんですか。
○三角説明員 ただいま御指摘になりましたような仕事というのは、やはりこれはプロの領域の仕事でございまして、これは男子であれ、女子であれ、その道に才能とそれから創造性を持った人たちがそういうところに入っていくということは、これはもう委員のおっしゃることに私は何ら異議を差しはさむものではございませんが、高等学校におきます家庭科教育の本来ねらいとしておりますものは、やはり女子が現実家庭生活の主たる経営者という立場になる、そういう女子が現実に非常に多数おるわけでございますので、そういう状況に立脚して私どもは教育課程というものを考えていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
○石原(健)委員 次に聞きたいこともあるので先に行きますけれども、三角局長さんはやはり委員会の御答弁で、教師の務めとして教育水準のでこぼこをなくしてもらうのだというようなことを言われておりますけれども、現実には、落ちこぼれとか非行、暴力なんかが多発しているわけですね。これは先ほど来言っているように、どうもこの間改訂された学習指導要領に問題があるのじゃないかという気がするのですけれども、いまの教育というものは、先生が個々の児童の長所を見つけて、やる気を引き起こしたり、能力を伸ばしてあげるという余裕が全然ない。それで教室で全然ついていけなくて、すみっこの方でただ傍観している、また、家に帰ればお父さんも、お母さんも勤めに行っていられたりということで、どこに行ってもぽつんとしている、そういう不満がうっせきして暴発する面もあるのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけでありますけれども、この点はどういうふうにお考えになっておいでですか。
○三角説明員 やはり先ほど石原委員もおっしゃいましたが、お客さんになるというか、そういう状況は確かに不満をうっせきさせ、あるいは学校生活をおもしろくないものに感じさせていく一つの重大なケースだろうと思います。 これは昔も、よくない言葉ですが、一種の落ちこぼれ、あるいはお客様的な子供がいたと思うのですが、小学校を出ますと家業に入りましたり、あるいは親方の下についたり、あるいは小僧さんになったり、あるいは職人の修業に入ったりして、そういう場でまた鍛えられたということがございますけれども、いまはほとんどの子供がその後中学校から高等学校へ上がる、こういう状況でございますから、そういう意味合いで学級編制の改善その他も行いまして、できるだけ目の行き届く体制をつくってまいりたいということでやってまいったわけでございまして、戦前六十人学級でありましたものをできれば今度は四十人学級でということでやってまいったわけでございます。そういう意味合いで、私どもは個々の先生方ができるだけ一生懸命やっていただきまして、そして一人一人の子供が何らかの自分の値打ちというものを見出していけるような、そういう指導を先生たちにやっていただきたいと考えておるのでございます。
○石原(健)委員 先生たちにそういうふうにできる余裕がないから先ほど来御質問しているわけなんです。 次に、大臣にお尋ねしたいのですが、義務教育には、さまざまな環境に置かれた、いろいろな能力を持ったあらゆる子供が対象になっているわけでして、国の都合とか企業の都合あるいは大人の都合を抜きにしまして、あくまでも子供の立場を尊重していくことが大事じゃないかと思うのです。一人でも多くの子供の能力が伸ばせるような機会を与え、また一人でも多くの子供に希望を抱かせる、そういった観点に立った義務教育になるよう努めていただきたいと思うわけであります。それが社会に活力を与え、また将来の日本の力の一部となる、こういうふうに感じるのでありますけれども、大臣はその辺をいかがお考えでありましょうか。
○田中(龍)国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございます。
○石原(健)委員 私、いま一人でも多くの子供の能力を伸ばせるよう、また希望を抱かせるような教育と申し上げましたが、現実はそれとちょっとかけ離れているので、いまの教育をどういうふうに改善していったらこういう教育になるものか、局長さんの実務者としてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○三角説明員 やはり義務教育はもとよりでございますが、高等学校までを含めましても、ほとんどもうあらゆる種類の能力、適性、あるいは進路に対する希望を持った子供が入っておるわけでございますから、教育の現場ではそういった子供たちの状況にできるだけ対応してやっていくことが大事でございますので、これは学習指導の面においても、高等学校では御承知のように習熟度別指導ということを導入することにいたしてまいっておりますけれども、これは単に高等学校のみならず、小中学校におきましても同様なねらいを持った個別的な指導なりめんどうを見るということ、そういうニュアンスがだんだん出ていってほしい、こう思っておりますし、それから教科の指導だけでなく、その他の特別活動なりクラブ活動なり、あるいは道徳面の指導につきましても、大臣もよく申されますが、本当に愛情を持って子供たちを大事にして育てていく、こういう体制をつくっていくことが大事だと思っております。
○石原(健)委員 そうしますと、最初にもおっしゃった学校、社会、家庭といったふうに見ていった場合、いま局長さんおっしゃられたようなことをやっていけば学校の方の問題は解決していく、こう理解してよろしいのですか、またそういうふうになるのですか。
○三角説明員 文部省なりあるいは私どもがお願いしただけで全部がそういうふうになれば大変ありがたいことでございますけれども、これは現実人間対人間の取り組みでございますし、それから教員にいたしましても、それは私どもは格別の努力を要請いたしておりますけれども、非常にたくさんの方々がこれに従事しておられますので、一挙にいまの事態がするすると改善を見るということはなかなかむずかしいことかと思います。しかし、そうのんきなことを言っておるといっていつも先生方から御批判もいただいておりますので、できるだけせっせと努めてまいるということで、一緒になって物事は考え、そして励ましていきたい、こう思っているのでございます。
○石原(健)委員 それじゃ時間があれなんで、最後の質問にさしていただきたいと思うのですけれども、学校とか文部省や国会が幾ら議論して努力しても、子供はあと家庭とか社会の影響も受けているわけなんであります。計算によりますと、子供は学校にいる時間よりもテレビを見ている時間の方が小学校から中学卒業するくらいまでずっと通算しますと多い、そういった子供が大半だ、こういうことであるそうであります。また、大臣はテレビは悪い影響があるということをお認めになっておられますし、いろいろ非行とかこういった問題の責任は文部大臣である自分にあるというようなこともおっしゃっているわけであります。本当に子供の育成に責任をお持ちであると考えられるならば、テレビ会社とかスポンサーなんかに、教育を預かる文部大臣としての要望なり考えをどんどん出していかれてもおかしくないのじゃないかというふうに感じるわけであります。その辺、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。 それから、母親が母親になるときには母子健康手帳というようなものを渡されて、そのとき厚生省関係の方から、子供を身体的な面で健全にどういうふうに育てていったらいいかというような講習なども大分やっているようなんでありますけれども、精神面とか教育面といったような観点から、文部省としても母子健康手帳を渡すような際、何か講習会のようなものをやるとか、あるいはちょっと簡単なパンフレットでもいいと思うのですけれども、そういうものを渡してあげる。先ほど局長さんおっしゃったように、いまの世の中は核家族化はしておりますし、お互い同士の連帯がなくなっちゃっている、いざ親になって子供の教育をどうしたらいいのだろう、こう途方に暮れている方たちもある場合もあるので、こういった点、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御説明いただきたい。
○田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘のテレビ会社の放送、それが視聴覚の上から言って教育的である場合も、ない場合もございます。民間放送あるいはその他の放送というものが今日企業によって行われております以上は、企業経営の自由というものも当然あるわけでありまして、それには放送の自由もあれば報道の自由もありますことは、放送大学のいろいろな論議を通じましてよく御承知のとおりでありまして、文部大臣が教育的な内容という問題について見解を持ち主張いたしましても、必ずしもそのようにはならないことは御承知のとおりであります。しかしながら、またそういう意味から申しまして、社会教育その他の重要性ということ、あるいはまた学校教育に対しまして特に貢献をいたすという意味においての放送大学学園法案というものの通過をお願いいたしましたのも、その一つであろうと思います。 しかしながら、現実におきましての一般の放送を、たとえそれが子供の非行の原因になるものがありましても、それを禁ずるとか、それに制肘を加えるということは、これまた放送の自由という点から言いまして、むずかしいことであろうと存じます。 しかしながら、そういう問題につきましては、視聴覚教育の上から申しましても、りっぱな放送が放映されますようにできるだけ努力をしてもらわなくてはならない、そこが限界だろうと私は考えます。
○石原(健)委員 いや、ちょっと残りの質問があるのです。 先ほどあわせて質問したのですが、母親に簡単なパンフレットのようなもの、育児の手引きのようなものを渡したらいかがでしょうかということについて。
○田中(龍)国務大臣 いまちょっと御質問を聞き漏らしましたので、もう一度、恐れ入りますが……。
○石原(健)委員 母子健康手帳を渡すような際に、あわせて精神的、教育的な面から見た育児書といったようなものを、簡単なものでいいから渡したらいかがでしょうかということをお尋ねしたのです。
○田中(龍)国務大臣 御案内のように、教育というものがいろいろと論じられておりまして、さらに真剣に教育に取り組んだ方々が不思議なほど異口同音に、その最初の教育の原点でありますお母さん教育、母親教育というものに返っておいでになっております。結局教育の本当の原点はやはり母親教育にあるのだ、同時に、母の限りない愛情により、また自分の乳房を含ませて子供を育てるところにりっぱな子供も育ち、またりっぱな社会が形成される、そういうことであります。 なおまた、母親手帳その他の問題につきましては、担当の政府委員からお答えいたしましょう。
○別府説明員 ただいま大臣がお答え申し上げましたように、社会教育、特に家庭教育の中におきましては母親の占める役割りというのが大変大きなわけでございます。 従来から家庭教育学級等の学習活動を充実してまいりましたけれども、特にことし、昭和五十六年度から「明日の親のための学級」という形で、新婚早々あるいは現在妊娠期にある男女を対象として、家庭教育に対する知識を学習していただくといったような施策も新しく始めたわけでございまして、従来の施策と相まちまして、これらの家庭教育についての施策を充実してまいりたいと考えているところでございます。
○森下委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十四分散会