決算委員会 第2号
- 発言数
- 209 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/03/17
会議録
○森下委員長代理 これより会議を開きます。 昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、内閣所管、総理府所管中総理本府等、沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫について審査を行います、 これより質疑に入ります。一質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻第一君。
○辻(第)委員 私は、まず最初に、同和対策特別措置法の問題について質問をいたします。 この同和対策特別措置法は暫定延長からもう二年を経過いたしました。期限切れを約一年後に控えておるというような時期になってきております。全国の部落解放運動連合会などの関係者やあるいは自治体関係者は同法の延長を強く求めています。そして、緊急かつ重要な問題でございます。 この問題については、昨年の七月にわが党の三谷議員が質問主意書を出しているところでございますが、もうあと一年という時点におきまして、同和行政のあり方の検討を任務とする同和対策協議会が再開されていないばかりか、三項目の附帯決議も何ら具体化されておらず、そればかりか、自民党内は法の再延長はあり得ないという方針に固まりつつあるとも伝えられています。しかし、同和対策事業の施行状況を見てみますと、全国的に大変アンバランスな状態であります。特に南九州だとかあるいは北関東などではここ一、二年来ようやく同和対策事業に着手をした、このようなところがあると聞いております。また、大都市やその他の地域地域によりましては大変立ちおくれている地域が残されております。したがって、同和対策は本当に引き続き必要な状況でございます。同和対策事業の到達点と運用について総合的な検討を加え、実態に即した同和対策事業を国民合意のもとに進めるべきである、このように考えているところでございます。 このような状況の中で、政府は、同和対策の推進にとってより有効な形で、すなわち私どもに言わせますと民主的改正の上で一定期間の延長を図るべきである、このように考えているわけでありますが、その点についてどうお考えなのか、また、その結論はいつ出るのか、お尋ねをいたします。
○中山国務大臣 先生御案内のように、特別措置法は来年の三月二十一日をもって時限立法が切れるわけでございます。そういう中で、政府といたしましては、五十七年度以降の同和対策事業に対する考え方は、先般の予算委員会の総括質問でも鈴木総理大臣が答弁をいたしましたように、五十七年度の概算要求をまとめる時点で政府としての方針を決定いたしたい、このように考えております。
○辻(第)委員 ところで、私どもは、先ほど民主的改正の上でと言ったわけでありますが、今度の同特法の延長に当たっては、公正民主の同和行政が法的に保障されるように、一番目は、国の責任を明確にし、地方自治体の財政負担などを軽くする、二番目は、同和事業の目的は部落差別解消にあることをはっきりさせ、一般地域との格差是正を同和事業の範囲とする、二二番目は、同和事業は属地主義を原則とする、四番目は、個人給付事業は困窮者の経済的自立促進を目的とし、所得制限を導入する、五番目は、国及び地方自治体が公開、公正、住民合意を前提にみずからの判断と責任において同和行政を行い、対象地区住民に対し思想、信条、所属団体などの違いによって差別をしない、このような提案も行ってきたところでありますが、この方向はすでに昭和五十三年五月の同対協の意見書や昭和五十四年五月の全日本同和対策協議会専門部会報告書などでも同様の主張が行われているところであります。これらの諸点を検討し、同和対策事業を改善する考えがあるのかどうかお尋ねをいたします。
○中山国務大臣 同和対策協議会の開催をいたしたいと考えておりますが、実はその構成メンバーである団体の方々の間での意見調整が十分まだ完了いたしておりません。そういうことでこの協議会の開催が大変おくれておりますが、政府としては一日も早く協議会が開かれることを希望いたしておる次第でございます。
○辻(第)委員 いまのお答えは、私の質問した点とちょっと違うように思うのです。私どもは、もう長いから述べませんけれども、民主的改正を行った上で云々、こうなるわけでありますが、そのような同和対策事業を改善をする考えがあるのかないのか、その点をお尋ねしたわけでありますが、その点、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○中山国務大臣 政府としては、いろいろと御意見を承って方針を決めてまいりたい、そのように考えております。
○辻(第)委員 ぜひ民主的な改正を行われるよう、改めて強調をしてまいりたいと思います。 次に、これまでの御答弁でも、五十七年度の概算要求の時期ごろまでにというふうに聞いておるわけでありますが、そうしますと八月ごろでございますね。その時期までに政府が検討されるということになりますと、もうほんのしばらくしか時間がないわけでありますが、どこでだれがどんな形でやられるのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
○小島(弘)政府委員 先般の五十二年の法延長の際の附帯決議の御趣旨もございますので、現在すでに政府の関係各省が都道府県等からのヒヤリングという形で、残事業の状況あるいは就労の状況、さらには生活の実態というような、現時点における同和問題の実態の把握に努めておりまして、これは資料をもとにいたしまして、まだ資料の収集の終わっていないものもございますが、現在すでに関係各省に協力して検討中でございます。したがいまして、これを踏まえまして、先ほど長官から御答弁がありましたように、概算要求の時期までに方針を決定いたしまして、今後の施策の推進に遺憾ないようにしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
○辻(第)委員 それでは、そのような検討を進められる場合に、全解連などの関係団体や自治体関係者あるいは政党などの意見を十分聞き、反映させるべきである、こういうふうに思うわけでありますが、先ほど大臣、先にお答えいただいたわけでありますが、その同対協が現在どうなっているのか。同対協の役割りというのは本当に重要でありますのに、昭和五十三年五月末の任期切れ以来、学識経験者委員が任命されておらない、実際に機能していないというのが現状であります。このような状態がもうかれこれ三年になるわけでありますが、本当に異常な事態であると言わなくてはならないと思います、なぜこうなって、いるのか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
○小島(弘)政府委員 先生御案内のとおり、同和対策協議会は二十名以内の委員をもって構成する、その構成は関係行政機関の職員及び学識経験者をもって構成するという形になっておりまして、現在学識経験者の選任をめぐりまして、同和関係団体間に必ずしも御意見の一致を見ないという点がございます。われわれは、早期開催とともに、同和対策協議会は重要な機関でございますので、この重要な時期にやはり円滑な運営ということを最大限度に考えてまいらなければならぬ、かように考えておりますので、現在関係各団体の御了解を得るような努力を続けております。関係団体ともきわめて重要な時期だということを十分御認識いただいておりますので、そう遠からず御了解を得て、円満に開催の運びになるものじゃなかろうかと期待しながら、さらに努力しておるところでございます。
○辻(第)委員 この問題は、本当に早急に全解連など関係三団体を含めて委員を任命をして、同特法延長問題について同対協の意見をよく聞いて検討していただきたいと重ねて要望するものであります。 ところが、そのめどでありますけれども、私は昨年の春ごろだったと思いますが、全解連の交渉に参りまして、そのときもこのことが問題になりました。小島室長はやはりいまのような、鋭意御努力をするというような返答であったような気がするわけでありますが、それからでも一年もたっておるわけであります。具体的にいつごろをめどにしてやっておられるのか、もう一度お尋ねをいたしたいと思います。
○小島(弘)政府委員 われわれとしてもできるだけ早くということで、みずからにも一応目標の時期を設定しながら、しかもその線で関係団体の話し合いを進めてまいったわけですが、なかなか期待するような結果が出なくてきわめて残念に思っておりますが、こういう時期でございますので、何とか近々中に積極的にさらにいろいろ関係者等のお話を伺いまして、御意見も十分拝聴いたしまして、政府として責任を持って出せるような結論に持ってまいりたい、このように思っております。
○辻(第)委員 最後に、この同和対策特別措置法を再度延長するということはきわめて重要な課題でありますし、しかもそれは私どもは民主的改正の上でぜひやっていただきたい、そのためには同対協を一刻も早く開かれるような体制をとっていただくために御努力をいただきたい、このことを重ねて強調いたしまして、次の質問に移りたいと思います。御苦労さんでした。 次に私は、中国の経済調整政策に基づくプラント建設の中止の問題について質問をいたしたいと思います。 この問題につきまして官房長官にお尋ねをいたしたい、このように考えておったところでございますが、官房長官は御都合で後でお越しをいただくということでございますので、通産省にお尋ねをいたしたいと思います。 中国の経済調整政策に基づくプラント建設中止問題は、日本の経済にも大きな影響があります。そこで、対中プラント輸出のうちの中止にかかわるものはどのぐらいあるのか、また関係企業の数はどれぐらいなのか、中止の場合の予想損害はどのぐらいなのか、この点お尋ねをいたします。
○林説明員 お答えいたします。 プラントの中止の通知を受けております状況でございますが、いままでのところ通知がございましたのは、上海の宝山製鉄所二期工事分、それから南京の石油化学コンビナート、勝利の石油化学コンビナート、北京の東方石油化学コンビナート、この四件でございます。 この契約金額は、これはドル建てあるいはマルク建てといろいろございますので、円に換算をして、概要でございますけれども、三千百億円ぐらいに上っております。 関係企業数でございますが、これは主契約者、それからこれを助けておったものといろいろございますが、プロジェクト数にいたしまして約二十数件というふうに御理解いただければと思います。 それから損害額でございますけれども、これは日本側の考え方と中国側の考え方とは違うと思いますし、まだ具体的にそこまで話がいっていないということでございまして、この契約金額から、船積みをしてしまったものあるいは前受け金を受け取ってしまった分というものを除く額が今後問題になっていく額というふうに思っておりますが、大体三分の二ぐらいはそういう形で残っておるというふうに理解をしておるところでございます。
○辻(第)委員 今回の事態の主要な責任は、中国側の都合で一方的な計画中止、契約履行の中止にあることは明らかであります。その後の経過もいろいろ問題があるわけでありますが、そもそも中国のプラント建設中止は、昨年末からいろいろな形で伝えられております。契約の当事者に対しての正式な通知はようやくことしの一月末から二月になってからであった、このように聞いておるわけであります。国際的な契約におきまして、このようなあり方と申しましょうか状態は大変異例であるというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
○林説明員 今回のブラント建設中止の規模あるいはその通告のプロセスというのは、御指摘のとおり、これまで余り例を見ないということかと思います。しかし、先ほど先生御指摘もございましたように、中国の経済情勢というのがこれまた非常に特殊な状況で起こっておるということでございますので、それを反映したものどいうふうに私ども受けとめておるわけでございます。
○辻(第)委員 中国側からの通告は、石油化学コンビナート関係については、建設計画の中止また未発注分の発注差しとめ、発注分の工場出荷差しとめ要求であります。また、宝山関係は二期工事関係の契約の終結と契約履行作業の中止要求であります。一方的な契約破棄通告でありますが、これは請負者の責によるものではありません。中国側の契約破棄義務違反については当然損害賠償の義務が中国側にあると思いますが、その点は契約上どのようになっていたのか、お尋ねをいたします。
○坂倉説明員 お答えいたします。 中国のプラント案件でございますけれども、契約破棄が生じたような場合にどういう項目で処理をするかと申しますと、一応契約上では契約に関する変更条項というのがございます。さらに、いろいろ変更に関しまして、話し合いがつかない場合には紛争仲裁条項というのがございまして、一応この契約変更及び紛争仲裁条項、こういうもので処理をするというふうにわれわれは承知をしております。
○辻(第)委員 そういうことですと、そういう契約を破棄するとかあるいは中止をするとかいうときには、損害賠償の義務が中国側にあるという、あるいはそれに近いようなことがその中にうたわれておるわけでございますか。
○坂倉説明員 特にそういう意味ではっきり損害賠償するとか、そういうことはうたわれておりません。しかし、先ほど申しましたように、契約変更に伴いましていろいろな損害が生じる、そういうものについては適当な話し合いをしなければならない双方に義務がございますし、さらにその話し合いがまとまらなければ、先ほど申し上げました紛争条項、紛争を調停する条項、こういうことである程度客観的と申しますか、当事者以外の意見も聞きまして話し合いをまとめる、こういう形になっております。
○辻(第)委員 一般的な契約ということから言えば、きわめて不十分だというふうに思うわけであります。 次に、請負者の義務違反についてはペナルティー条項があったのでしょうか、どうでしょうか。
○坂倉説明員 お答えいたします。 請負者につきましても、ペナルティー条項と申しますより、一般に不可抗力条項というのがございまして、契約の履行が不可抗力に基づいて非常にむずかしくなった場合にはどうするかというふうな条項がございまして、この場合に不可抗力であるということがはっきりしている場合には別に賠償を請求されないというようなことになっております。請負者の方が重大な責任があるということになりますと、当然この不可抗力条項は適用されませんので、商売の一般論といたしまして損害賠償は避けられないのじゃないかと考えております。
○辻(第)委員 そういうことですと、不可抗力についてははっきりうたわれているけれども、不可抗力でない場合ははっきりうたわれていないということですか。
○坂倉説明員 お互いにそういうふうに了解をしております。
○辻(第)委員 中国側は、国際的商慣習に従って損害を補償する、こういうふうな発言もしておるわけでありますが、そのような確立された国際的な商慣習といいましょうか、国際通例はあるのかどうか、お尋ねをいたします。
○坂倉説明員 これにつきましては、プラント案件というのは御存じのようにケース・バイ・ケースで、いろいろな状況に応じてスペックも違いますし、支払い条件も違いますし、いろいろ違いますので、要するにこういうふうな損害賠償という画一的なルールはもちろんございませんけれども、一応いろいろなケース、過去をさかのぼってみますと、こういうケースのときにはこうやった、こういうケースにはこうやったというような幾つかの例があるように私どもは承知しておりまして、そういうものに従って、リーズナブルな範囲の補償をするというふうにわれわれは了解をしております。
○辻(第)委員 私どもの調べたところでは、私企業主契約における一方の契約義務違反については契約に基づいて処理するのが原則である。特に国際的な契約の場合、双方の慣習の相違などもありますから、契約で細かく取り決めておかねばならないのは常識であろうと思います。ところが、契約がきちんとしていないために今後の交渉の基礎がはっきりしない、まあわけのわからないとでもいいましょうか、そういう国際通例などということになって、問題を一層混迷させてしまうことになっているというのが現状であろうと思います。そして私どもの調べた感じでは、この契約というものは日本側のペナルティーはある程度はっきりしておって、中国側のキャンセルについてはどうもはっきりした取り決めがないというふうに感じているところであります。私どもは、日本と中国の友好を進めていく上では対等、平等という原則が重要であり、日中平和条約や日中貿易協定でも明らかにされているところである、このように考えるわけでありますが、この契約は不平等ではないかという私どもの考え方についてどうでしょうか。
○坂倉説明員 先ほどもちょっと御説明申し上げました不可抗力条項で、これは不可抗力のときには賠償を請求しないということははっきりしておりまして、不可抗力以外のときに賠償云々ということは触れられておらないわけでございます。したがって日本側もその賠償を、どういうときにどういう賠償をするということを別に規約上うたっておるわけではございませんで、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、契約に関する変更及び紛争条項というのが、お互いにその条項によって縛られるということで、われわれとしては特にそれが片手落ちの契約だとは一応考えておりません。
○辻(第)委員 私どもは商社の関係者などからお話を聞いたところが、こんな契約はほかにはないというふうに聞いておるわけであります。国連ヨーロッパ経済委員会の標準約款や国際コンサルティングエンジニア連合のいわゆるFIDIC約款など、国際的に認められている標準約款では、いずれも発注者の義務違反に対するペナルティー条項が盛り込まれている、このよう力点から見てみましても今度の契約のあり方は不適切ではなかったのか、このように考えるわけでありますが、通産省としてはどのように考えておられるのか、もう一度お尋ねをいたしたいと思いますし、もし不適切である場合は十分指導すべきではないか、こういう点で、もう一点お尋ねをいたします。
○坂倉説明員 問題が起こってしまったいまの時点となってみれば、確かに先生御指摘のとおりであったかもしれません。しかし、契約をする段階におきましては、お互いに理解と協力のもとにプロジェクトを進めていきましょうと、特に中国の場合は要するに信義を重んずる国で、したがいまして、そういう契約をする段階で彼らはこういう事態になることを全然予想をしてなかったはずでございますし、そういう事態で、特に中国といろいろ契約をする場合に、こういうケースはどう、こういうケースはどう、そのとき幾ら払う云々と、こういうことを契約上に盛り込むことについては非常に抵抗があったということじゃないかと思うわけでございます。しかし、事実こういうことになったということになりますと、中国も初めての経験でございますし、今後中国が国際社会の中に入っていっていろいろな契約をするということで、今後につきましては、当然今回こういう事態が起こったということであれば、そういうことを契約に入れることについても、中国が別に抵抗を示すことはないだろうと思いますし、今後の課題としまして、先生が御指摘のようなことについては十分検討して、日本側の輸出社とも相談をいたしまして検討をしてまいりたいと思っております。
○辻(第)委員 次に、輸出保険に関係をしてお尋ねをするわけでありますが、対中プラント輸出には輸出保険が掛けられております。もし契約が中止ということになれば、最終的には輸出保険の支払いもあり得る、場合によっては一般会計からの繰り入れという事態もあり得ないわけではない、こういうふうに考えるわけであります。しかし保険金の支払いという事態は極力避けるべきでありますし、そのためには、輸出保険の承認に当たりましては、発注者が契約を履行できない場合の補償義務についても契約条項に明記されているか十分チェックをすべきであります。対中プラント輸出について、輸出保険を承認する際に十分チェックをするというその点、きちんとチェックをされたのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○本郷説明員 ただいまの点について御説明申し上げます。 輸出保険の引き受けに当たりましては、幾つかのポイントを引き受けの際にチェックいたしております。この輸出契約の内容が法令の定めに適合しているかどうか、これがまず基本になりますが、それに続きまして、当該相手国の信用状態といいますか、いわゆるカントリーリスクの問題、それから輸出契約の当事者である相手方の従来の財務状況等、それからさらに、延べ払いの場合に当たりましては、支払い保証があるかないか等を審査しまして引き受けることにしております。 お尋ねの中国の案件につきましてございました契約終結条項といいますか、そういうものの点につきましては、これは一般にその存在を保険引き受けの際の要件とはしておりません。これはプラント輸出の場合、その条項があるかないかを、先ほども通商課長から御説明がありましたようにケース・バイ・ケースで、非常にいろいろな態様がございますので、その点を一般的な引き受けのチェックポイントとはしておらないのでありますが、キャンセルが起こるかどうかという危険性につきましては、輸出契約相手方のいままでの信用状態、それから相手国のカントリーリスクの点等を総合的に評価して保険引き受けを決めておりますので、そういう観点でわれわれも中国案件につきまして所定の審査をして引き受けたということでございます。
○辻(第)委員 そういう私の言った点についてはチェックをしていないというお話でありましたけれども、危険がないなら輸出保険は要らないわけであります。また、危険がはっきりしているのなら輸出保険は適用しないということになるわけでありますが、輸出保険はもともと予期できない危険に備えたものということでありますから、やはり発注者の契約義務不履行についての契約条項は、国際的な標準約款にはきちんと明記をされているわけでありますから、対中プラント輸出について、その十分な契約条項を欠いたまま輸出保険を承認をしたということが適当でなかったということは、実際に今日の事態が起きた中でも明らかではないかというふうに考えるわけであります。 今後は、このような発注者の契約義務不履行についての契約条項は国際的な標準約款に近いような形でちゃんと明記さす、そのことをチェックをする、このような体制をとるべきである、このようにもう一度強く要望をして、次の質問に移りたいと思います。 中国側が未発注分の発注差しとめ、発注分の工場出荷差しとめ、あるいは材料の加工、設備の製造など契約履行作業の中止を求めております。そういうことになりますと、中小企業への影響は大変深刻である、私はこのように考えます。 たとえば、二月二十一日付日経によりますと、八百十億円の契約をしている東洋エンジニアリングは、船積みをしていない残りの七〇%のうち半分は資本金一億円以下の中小企業に発注をしている、このように書いているところであります。解決がどのような方向に進むにしろ、かなり時間がかかろうということでありますし、その間に関係中小企業が窮地に追い込まれるということが当然考えられるわけであります。中国との間で今後の推移のいかんにかかわらず関係中小企業に対しては迷惑がかからない、元請メーカーなどが責任を持って対処するように強く指導すべきであると考えているわけでありますが、どのように対処しておられるのか、指導しておられるのか、お聞きいたします。
○横堀説明員 ただいまの先生の御質問の点に関しましてお答えいたします。 ただいま先生が御指摘なさいましたように、この中国向けプラント輸出キャンセル問題に関しまして、今後またいろいろなパターンが考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、本件の進展によっては下請企業に対しまして大きな影響が生じるということも懸念されるわけでございます。そこで私どもといたしましては、二月二十四日、先月の下旬でございますが、こういうことに関しまして、発注後の下請中小企業に対する発注取り消しといったようなことは場合によっては下請代金支払遅延等防止法ということに触れるというようなことでございますので、こういうようなことがないよう、すなわち、下請中小企業が不当にしわ寄せを受けることがないようにということで、中小企業庁長官それから関係の原局の局長の連名をもちまして、関連企業に対しまして注意を喚起したところでございます。まずそういう第一段をとったところでございまして、今後ともいろいろ事態の推移を見守らなければいかぬということでございまして、この事態の推移を見守り土して、そして適切に対処して。いくということでございます。
○辻(第)委員 下請代金支払遅延等防止法というものの適用にならないといいましょうか、下請関係以外にも中小企業の発注がたくさんあるというふうに思います。これらがどの程度あるのか、これらについても同様に、本当に被害のかからないように、窮地に陥らないような十分な対処、指導をされるべきであると思いますが、その点についていかがなものでしょうか、お尋ねをいたします。
○横堀説明員 下請以外の中小企業というものにつきまして、実はどの程度あるかというのはよくわかりませんで、私どものいままでの感じでは、中小企業が加わるという場合、おおむね下請として入ってくるのではなかろうかということで考えておるわけでございます。もちろん、そういう先生の御指摘のような場合もあり得ますので、その辺は私どもといたしましてもいろいろ検討して、いずれにいたしましても私どもなりに中小企業の立場の保護ということにつきましてはいろいろ考えてまいりたいと思っております。
○辻(第)委員 最後に、このような契約については、相手の国が信義を重んずる国だから云々というようなことでは私は事は済まないと思うわけであります。やはりきっちりとした契約をやっていくということが大切ではなかろうかと思いますし、そういう立場から輸出保険の問題も対処していただきたいというふうに思います。そして、中小企業が大変な窮地に陥る、そのような状況でありますので、その点、そういうことがないように十分な指導や対処をしていただきたいということを改めて強調して、私の質問を終わります。
○森下委員長代理 田島衞君。
○田島委員 私に許された時間は二十分ですから、片道で考えると十分、余り時間がありませんので、要点をしぼって数点伺ってみたいと思います。 実は官房長官に伺いたいと思っていたところ、官房長官が出られないそうですから、総務長官と大蔵省の出席者にお伺いするわけですけれども、まずその第一点は総務長官にお伺いしたいと思うことで、五十二年度の決算の中にも、まことに望ましからざることでありますが、たくさんの架空の支出がある。言うならば、出張もしていないのに出張をしたことにして、いろいろ書類までちゃんとつくり直して、その金を別途に経理して飲んだり食ったり、あるいは職員に渡したり、これはまことに残念なことでありまして、今年度一兆四千億に上る増税を強行しようとする役所の、政府のあり方としては、本当ではまともに税金をくださいなんて言えた義理ではないと思うのですが、しかし、その実情は大変気の毒な面もあると思うのです。たとえば、うんとトップの方ならばそれなりの交際費も持っている。だけれども、下の方の幹部職員は交際費というものを持ち得ない、だけれども交際費的な支出というものはいやでもある。そういうことも理解してやらなければいかぬこともあると思うのですけれども、そういう両面を考えて、やった行為はまさに文書偽造、背任の責任も生まれるくらいのことをやっている、しかし、そのやった理由の中には、まことに同情すべきものもある、ここらのところを総務長官としてどんなふうに考えられるか、どう善処していこうと考えられるのか、できるだけ短い時間でお答えをいただきたいと思います。
○中山国務大臣 先生御指摘の点はまことに遺憾なことでございます。ただし、行政機構の中でそれぞれの公務員が仕事をします中では、いわゆる法律とかその省の規定でどうにもならない、しかし実際上は必要だというような問題もございまして、今後公務員の綱紀粛正という点につきましては、実情に応じたように仕組みを変更して、納税者の御納得のいくような行政のあり方を確立していきたい、このように考えております。
○田島委員 五十二年度の決算の審議の際にも、私は、総理、大蔵大臣等に御質問し、そのお答えをいただいたのですけれども、そのときにも総理も、予算と決算とは車の両輪であると言われた。まことにそのとおりだと私も思う。決算の意義というのは、その決算赤少なくとも次々年度の予算の編成の中に、あるいはその執行の中に的確に生かされていかなかったら、決算なんかやらぬ方がいいと思う。ところが現実にはそれがほとんど生きていないのじゃないか、たとえば、いま審議しているのは五十三年度決算である。とすれば五十五年度の中には、その決算の中に生まれたこと、あるいはそこから見出されたことが的確に反映して、何らかの改善がされていなければいかぬと思うのですけれども、その改善はされましたか、どうですか。
○中山国務大臣 御指摘の点も多々あろうかと実は考えております。
○田島委員 そういう点、それはやることはなかなかむずかしいことだということは承知していますけれども、だからといって、いまのような財政事情の中では、やはりひとつ長官、大いにがんばっていただいて、せっかく御努力をいただきたい、こう思います。 続いて今度は大蔵関係に聞いてみたいと思うのですが、五十三年度においても会計検査院の検査の指摘事項の中に、たくさんの不正、不当、改善要望事項がある。その金額も相当なものである。しかしこれとても、ではそのすべてかというとそうではない。現に一年越えて五十四年度の決算に対する検査院の指摘に基づくところの不当事項あるいは改善要望事項、これを金額に直すと大体五千億以上の金になる。しかもこれは五十四年度のことですよ。五十四年度がそうだということは、五十二年度はそれよりうんと少なくて、いいということじゃない、だんだん検査が的確になってきて、いままでわからなかったことがわかるようになってきたということで、五十四年度、一番最近の検査結果というものはやはり五十二年度にもあったと見て差し支えないと私は思うのですが、そういう意味でいま五十四年度分を言っておるわけです。五十四年度に例をとってみると、不当事項から改善要望事項まで合わせて金額に直して、直せないものは別として、直せないものも金額に換算してみれば大変な金額になると思いますけれども、五千億を超えておるはずだと思うのです。ではその対象がどのくらいのパーセンテージかというと、政府機関、重要機関に対する八%だと。とすれば、全般、一〇〇%検査をしたら一体どのくらい出てくるか。素人計算でも五兆ぐらい出てくるということになりますね。五兆出てくれば一兆四千億の増税なんかやらなくて済むばかりじゃない。いままさに与野党しのぎを削って、一生懸命かけ合っておる四千億や五千億の所得税減税なんか朝飯前になるはずです。 なぜそれができないか。それは結局決算の中で、せっかく会計検査院が一生懸命汗を流して検査の結果、こういうことはだめですよ、こういうことは不正だ、不当だ、改善しなければいけませんと言ったことが生きていない。生きていないというか、生かそうとしていない、一体その抵抗はどこに生まれるのか。各省庁それぞれにもあるでしょうけれども、大蔵あたりが一番責任だと私は思うのです。なぜか。その大蔵は一方においては増税の手を伸べているのですから、国民に対して税金を取ろうという手を差し伸べているのだから、大蔵が一番責任を持たなければいかぬと思うのですけれども、その大蔵が意外と会計検査院の検査の結果に対する的確な反応をしていない、それどころか、会計検査院の検査が強化されることに大きな抵抗を示しているのはむしろ大蔵じゃないのかという疑問すら持っているのですけれども、その点について、出席されている大蔵省のどちらかの課長さん、課長さんでお答えできるかどうか、答えてみてください。これもできるだけ言葉短く、要点だけ、
○浜本説明員 ただいま田島先生から御指摘いただきましたように、大蔵省の所管事項の中にも、たとえは会計検査等によりまして不当事項として指揮されているものがございますことは存じております。大変残念なことだと思っております。これをわれわれといたしましてできるだけ改めていくということは当然のことでございますけれども、先生のただいまの御指摘は、財政を預かります官庁といたしまして個々の、大蔵省自身の所管事項は特にそうでございますけれども、のみならず、検査院の指摘事項等を予算全体によく生かしていくように努力しろという御指摘だと存じますけれども、毎年八月に概算要求が出てまいりましてから、秋口以降暮れにかけまして予算の査定を行います段階で、できるだけそういった事項あるいは決算の内容について、これを次の予算に反映させていく大事な情報として扱っていくという態度をより鮮明に持つ、そういう努力をしていこうということを中で言い合っております。できるだけそういうことが具体的に実っていくようにしてまいりたいと存じております。
○田島委員 大蔵省にも主税、主計それぞれの立場があるでしょうけれども、しかしいずれにしてもこれは一体の仕事だと思うのですが、一般納税者が帳簿でも何でもいじって、うその記載をして、そして申告をしたらどういうことになります。たちまちがっちりと調査の結果悪質な脱税だということになって、税金を改めて取られるばかりじゃなくて、重加算まで取られる。何で役所のやり方の中では出張もしていないのに出張したことにして別途経理してみたりあるいは超過勤務をやっていないのにやったことにして一律支給をしてみたり、そんなことが許されるのですか。そんなことがそのまま存在して、国民の皆さんよ、財政が苦しいから税金よけいに出してくださいと言えますか。その神経が私にはわからぬ。それは先ほども言ったように、架空の出張あるいは会議費なんかについても、その使途の中には気の毒だなと想像される面もあるのですけれども、これはそんな間違ったおかしなことをしないでも済むように何らかの措置を考えてやらなければいかぬのだが、これも大蔵の主計の仕事でしょう。反面にまた、どんなにそんなことをやりたくたって予算に余裕がなかったらできっこないですよ。それができるということはちゃんと余裕があるということなんです。しかもそれがはっきり検査院の指摘事項の中にあらわれているにもかかわらず払拭し切れないというのは、一体何があるのか。主計の目が届かぬのか、それともやっぱり仲間意識で横向いて大目に見なければならぬのか、どっちですか。
○浜本説明員 お答えいたします。 仲間意識で大目に見るというような気持ちはわれわれ持っておりません。確かに結果的には、検査を受けました後、問題の事項が残るということはどこかに落ち度があるわけでございますから、われわれの務めは、その落ち度となっております原因をできるだけよく考え直してみまして、直せるものを直していくということであろうかと思います。ただいま先生のお言葉をおかりしますと、目が届いていないところがあるのかというふうにおっしゃっていただいておりますけれども、そういう個所もある一つかと存じます。できるだけ精査し、目の届くように努力したいと存じます。
○田島委員 そういうお考えなら大変結構だと思うのですけれども、それだったら、もう少し会計検査院に大蔵がみずから力をかして、そして十分検査をして、その結果をうちの方へどんどん資料をくださいよというような姿勢でなければおかしいのじゃないのか。ところが私らの調べたところでは、会計検査院法の法改正について抵抗しているのは大蔵が一番強いみたいですよ。そうでないと言うかもしらぬけれども、私らの調べた結果では強い。そこらに納得いかないものがあるわけなんですね。さっきも申し上げたけれども、余裕があれば多少のことはいいよというわけじゃありませんけれども、財政が苦しいのだ。その苦しい財政だって別に国民の責任じゃない、特例公債を発行するのだって、国民が特例公債を発行しろしろと言ったわけじゃない。ちゃんと発行することを決めた者、実行した者は別におる。本来、特例公債というものはそんなに毎年毎年引き続き発行すべきものじゃない。そんなことは釈迦に説法のはずだと思う。だが現に過去の事例からすれば、昭和四十年度に発行した。だけれども一年度、単年度だけのはず。だからそのころはちゃんとまだ原則を守っておるわけだ。ところが五十年度に発行した特例公債は、毎年額をふやしても減らさなかった。やっとここへ来て、昨年度ですか一兆円、今度は二兆円ですか、依存度を減らそうというのは、それはそれなりに結構ですけれども、その特例公債の発行だって国民の責任じゃない。にもかかわらず、その依存度を減らすためにどうしても必要だからと言って一兆四千億の増税を強要しようとする。しかも減税の要求には一切応じようとしない、じゃあ本当にそんなに内部的にぎりぎりいっぱい詰められているのかといったら、何のことはない、出張もしてないのに出張したことにして別途経理して飲んだり食ったりしている部分もある。あるいは超過勤務なんかやってないのに一律支給をするような慣行もある。これで税金取れますか。どう考えても私にはわからない。もちろん大蔵省だけの責任だとは言いません、やはり高度経済成長時代に芽生えたいろいろな立場での甘え、甘ったれというのがあるから組合だって甘ったれて、いつまでも国民にしわ寄せして自分たちだけはいいことをやろうと思う。それだって改めなければならぬと思うけれども、改めさせようと思う方がぴしっとしなかったら改めませんよ。その点でどうですか。
○浜本説明員 ただいまの最後の御指摘は、大蔵省に奉職しております者がそういった財政全体の問題を考えていく立場にある以上、みずから身を清くして、いやしくもそういった不当事項として指摘されるようなことがないようにすべきである、そんなことを言っておって財政当局の任が務まらない、こういう御指摘であろうかと存じます、御指摘の趣旨は、私どもも先ほど来繰り返し申し上げておりますように痛いほどよくわかっているつもりでございますし、今日、私どもがあそこに奉職しております一人一人の立場においてそういったことがあってはならないということを強く自覚し、またみんな戒め合ってやっているつもりでございます。今後そのようなことが出てこないように最大限の努力を尽くしていくということは、私どものだれ一人、いま御指摘の点をおろそかにする者はいないと確信いたしますけれども、今後ともそういう努力を続けていく傍らで、われわれが気づかないこと、あるいはうっかりしていること、ということが、人間でございますからないとは言えない、そういう問題につきましては、適切な監視の目を、たとえば先ほど先生御指摘になりましたような会計検査といったものを通じまして、常に注いでいただいておくということも必要なことかと存じます。われわれがそういう努力をしておる、自覚を持っておるということにつきましては、はっきり御答弁申し上げたいと存じます。
○田島委員 時間がありませんから、最後に一つだけ聞いて、それで終わりにいたします。 これは総務長官にもまた大蔵側にも考えていただきたいことですけれども、一体、法あるいは規則に準拠しない給与、手当というものがどのくらいの種類でどの程度の額があるかということを調べてみたことがあるかどうか。なぜ私がそういうことを聞くかというと、先ほど来言っておるように、決算の中に現実にあるようなものがあったらとても国民の皆さんに税金を出してくださいなんて言えた義理じゃないと思うのですよ、とすれば、そういうものをなくさなければいかぬ。なくさなければいかぬと思えば、大体どういうものがあるかぐらいは知らなくて、なくす覚悟があります、そういうつもりでございますというのは言えないと思うのですけれども、一体、法に準拠していないところの、本来表へ出せないような給与、手当はどのくらいの種類、どのくらいの額であるか、知っているか知っていないか。もし御準備がなければ、この次私が質問する機会までに十分勉強しておいていただきたいと思いますけれども、準備する、調べていただく誠意があるかないかどうかだけ聞かしてください。
○森(卓)政府委員 私どもといたしましては、やみの手当といったようなものが非現業公務員に対しまして支給されているということは考えることができないわけでございますけれども、あるいはいま先生の御指摘のようなものがどこかで行われている、絶対にないということをまた言い切ることもできませんので、そういうものがあるかないか、できるだけ調査をいたしてみたいと思います。
○中山国務大臣 いま政府委員がお答え申し上げましたとおり、私どもといたしましても、先生の御意思を体して、できるだけ的確な調査をいたしたい、このように考えております。
○田島委員 時間がありませんが、いまの大蔵さんの方の答えは大変ふまじめだと思います。だから、この次の機会までに、誠意があるのかないのか、改めて明らかにしておいていただきたいと思います。 質疑を終わります。
○森下委員長代理 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 まず、昨年十一月に、これは私の地元でもあるのですけれども、福岡市に本部を置きます財団法人福岡県社会保険医療協会の就職に関する差別事件が起こっておるわけですが、その内容について法務省は把握されておりましょうか。
○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。 お尋ねの事件につきましては、事件発生直後ごろ、民間運動団体からの連絡で知ったものでございまして、福岡法務局が就職差別事件として調査を開始したものでございます。 現在までに、被害者及び協会側の担当者などからの事情聴取を終了しておりまして、この事件は同和地区出身者であることを理由に採用を拒否した悪質な就職差別事件であったことが明らかになっております。今後さらに、本件のような事件が発生するに至った背景や、今後二度とこのような事件を起こさせないための対応措置のあり方等についても調査検討を進めまして、できるだけ早い機会に処分を決めたい、かように思っておるわけでございます。
○楢崎委員 総務長官は報告を受けておられますか。
○中山国務大臣 受けております。
○楢崎委員 この差別事件の特徴的な点は、単なる一般の民間会社の就職差別事件じゃないのです。これは国と県が補助金を出しているのでしょう。そして税制上も優遇されているでしょう。それはわかっておりますね。
○中山国務大臣 存じております。
○楢崎委員 したがって、国及び福岡県つまり地方自治体の責任は重大であります。国の監督が及ぶあるいは自治体の監督が及ぶ、そういう法人ですらこのざまですよ。これはいま法務省からも報告があったとおり完全な就職差別事件としてすでに取り上げられておる。いま一番新しいデータで、法務省、この種の同和地区の問題における差別事件はどのくらい起こっておりますかね。
○鈴木(弘)政府委員 同和問題に関します人権侵犯事件は、ここ一、二年約二百件前後でございます。その内容は、差別言辞、言動、これが一番多うございます。結婚に関するものがそれに次ぎまして、その後は、差別落書きあるいは近隣関係の差別事件、そういうようなことになっております。
○楢崎委員 それは国の方だけで把握している件数でしょう。七九年度、つまり五十四年度の統計では、都府県及び市町村が取り扱った差別事象というのが千三百三十六件上がっておる。法務局が取り扱った差別事件は四百七件、合計約千七百五十件起こっておるのですね。これはおたくの報告です。 それで長官、附帯決議の三というものは、これは全く不十分だ。こういう現実を前にして、その点認めますか。
○中山国務大臣 こういう現実を私どもも報告を受け、いろいろな委員会で先生方の御発言を承るにつけまして、政府としてはまことに残念であるという一言に尽きるわけでございます。政府といたしましては、こういうふうないわゆる差別の問題、こういう問題を一日も早くわれわれの社会からなくするために啓蒙活動にも力を入れておりますけれども、十分その効果が発揮されていないということは率直に認めさしていただきたい、このように考えております。
○楢崎委員 いまの長官の御答弁は、附帯決議の三が十分行われていないという、そういう認識だと思います。 それで、以下総務長官にひとつ責任のかなめでございますから、御認識を含めてお伺いしたいのですが、長官は一口に言って、どうしたらこの種の差別がなくなるか、どうお考えでしょう。
○中山国務大臣 私は、率直に申し上げて、法律だけでこの問題が解決できる問題ではない、もちろん法律の効果というものも必要でございますけれども、国民全体のいわゆる意識というものが、すべて差別のない社会というものの理想を目指してお互いに努力していくということが基本的に必要であろうと認識しております。
○楢崎委員 つまりいまの御答弁は、法とおっしゃいますけれども、その象徴的な法律としては同和対策事業特別措置法、これも必要だし、また法のほかに一般国民の認識の問題だ、意識の問題だという長官の御認識を披瀝されたわけだと思いますが、私はこの同和対策審議会を設置する段階から、昭和四十年に答申を引き出す段階から、昭和四十四年にこの同和対策特別措置法をつくる、その原案の作成に参加した一人として、あるいはまた三年前の三年間延長のあのいきさつから、全部私は参画をいたしております。そういうことを踏まえて質問をしておるわけですから、その点は十分ひとつ御認識をいただきたいと思うのですけれども、長官はたしか大阪ですね。実態の視察をされたことはありましょうか。
○中山国務大臣 同和地域の視察という公的な立場での視察は、就任以来日程上の都合でまだいたしておりませんけれども、大阪の出身でございます。また、近畿地区にもたくさんの同様な問題の地点がございまして、そういうところは平素絶えず訪問する機会がございますので、よく実態を認識いたしております。
○楢崎委員 実際に特別措置法をつくるときの稻村長官、実際に見てみて、百聞は一見にしかずだ、実際に見てみて、この法律が必要だという強力なパンチになったと述懐をされておるわけですね。だから、本当に中へ入ってみて実態を視察するということが非常に重要ですね。これは古井法務大臣も法務大臣として初めて実態調査に入られた。これは長官、その実態視察をする、そういう決意がありますか。
○中山国務大臣 日程の調整をいたしまして視察をさしていただきたいと考えております。
○楢崎委員 ぜひそれは実現をしていただきたい。 そこで、私がなぜ過去の私のこの問題との取り組みを言ったかというと、たとえばこの前、三年延長する場合、このときに稻村長官は、参議院の内閣委員会ですが、三年延長するけれども、これで打ち切るものではないという認識なんですね。そういう答弁をされている。私どももそういう認識であの附帯決議をつけた。つまり、この附帯決議の一、「法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討する」というこの一項目、この「検討する」というのは、法の総合的改正が必要かどうかを検討するのじゃなしに、法の総合的改正は必要なんだ、中身をどのようにするか、あるいは再延長せざるを得ないのか、あるいは新しく総合的な改正をやるのか、そういう検討なんですよ、これは。長官の認識はどうでしょうか。
○中山国務大臣 稻村長官の御発言は、速記録を熟読さしていただいておりますので、よく私も承知をいたしております。その長官の発言の御趣旨というものについては、私なりに理解をいたしておりますが、鈴木内閣といたしましては、この附帯決議の三つの点を踏まえ、総理がすでに予算委員会で御答弁申し上げたように、五十七年度以降の同和対策事業の方針については、五十七年度の概算要求の出そろう時点において政府としての方針を決定さしていただきたい。こういうことで、総理の意見を体して私は作業いたしておるところでございます。
○楢崎委員 私がお伺いしておるのは、そういうなまぬるいことじゃないのです。この三年前に附帯決議をつけた。この一の問題は、法の総合的改正は必要なんだ、だからこの三年の間にその内容をどうするか検討する、そういう意味なんですよ、これは。そういう意味なんです。それを私は、内閣は一貫性がありますから、長官にその点を確認をしていただきたいと思って質問しているのです。
○中山国務大臣 私の答弁が先生の質問に対して十分意を尽くしていなかったということかもわかりませんが、すべてのこの附帯決議の御趣旨というものは内閣もよく理解をしておるわけでございますから、その点を踏まえて、先ほど申し上げましたように、総理の発言どおり五十七年度概算要求の時点で私どもとしては方針を決定いたしたい、このように考えております。
○楢崎委員 方針というのは何ですか。どういう方針なんです。どういう方針を考えているのですか。方針方針、その場合に検討する、あるいは八月の段階で明らかにする、どういう方針なんですか。私が言っているのは、何回も言うようだけれども、総合的改正はしなければならない、それが間に合わぬときはあるいは再延長になるかもしれません、いずれにしてもそれが前提になっている、中身をどのようにするかということが検討の内容なんです、そういう私の認識でいいかどうか。私は、総理大臣の答弁もそういうことだと思うのです。法改正が必要かどうかを検討するのじゃないのです、そこが非常に重大なんです。これは過去の経過からもそうなっている。たとえば古非法務大臣が視察されたときも、これはとても三年間じゃ片づかないということを、視察した結果として記者に発表されておるのです。恐らく既定のコースなんです。その認識を私は問うておるのです。
○中山国務大臣 重ねて申し上げますが、あらゆる問題を含めて五十七年度概算要求の時点で政府の意思を決定いたしたい、このように考えております。
○楢崎委員 私の認識は間違いですか。
○中山国務大臣 先生の御認識は、先生が正しいと思っていらっしゃることですから、私はそのように理解しております。
○楢崎委員 じゃ私の認識は正しい、そのように長官も認識されておるわけですね。 先に進みます。間違ったら言ってくださいよ。 検討されるのでしょう。具体的にされておるのでしょう。それで一体、総合的な改正、あるいはそれが間に合わないならばとりあえず再延長する、そういう総合的な改正をしなければならないというあなた方の認識におけるその基準、そのメルクマール、それはどういうことを考えていらっしゃるのですか。要件です。
○小島(弘)政府委員 楢崎先生御指摘の、延長の際の参議院の御審議の稻村長官の答弁につきましては、当時の稻村長官は、確かにこの三年間は今後どうすべきかということを検討する意味で意義がある、ただ、続いての御質問に対しまして、延長するかどうかというのはその結論がきわめて重要なので、それは検討の結果を待つべきだという趣旨で、ここではお答えできませんというふうにお答えになっております。 したがって、この法律は時限立法でございますので、今後われわれとして何をメルクマールにしているかとおっしゃられておりますが、五十六年度で切れる法律を持っております政府といたしましては、五十七年度以降同和問題の可及的速やかな解決を図るためにはどのような施策をどういう形で進めたらいいかということは検討の眼目でございます。したがいまして、その結論をもちまして、時限立法を延長する必要があるのかどうか、延長するとすればまたその内容をどうするかということをすべて検討してまいる必要があると考えております。
○楢崎委員 いまの御答弁も内容の問題ですね。検討、その総合的な法改正をやるのだけれどもその内容をどうするか、あるいは再延長しなければならないときその内容はそのままでいいのか、単純再延長なのか、また改正して延長するのか、そういうことだという御答弁だと承りました。再確認をしておきたいと思います。時間がありませんから、何回も言わせないでください。
○小島(弘)政府委員 当然に延長を前提として中身を検討すべきじゃないかという御主張でございますが、検討といたしましては、時限立法でございますのでその改正の中身は、期限を延ばすというのも改正でございます。したがいまして、これを延長する必要があるかどうか、さらにその中身を……
○楢崎委員 ちょっと待ってください。さっきから言っているじゃないの、必要かどうかを検討するのじゃない、中身を検討するのだと。長官、その認識は正しいとおっしゃったじゃないの。君は何でそんなことを言うんだ。君は一体だれだ。
○小島(弘)政府委員 同和対策室長でございます。 先ほど先生が稻村長官の答弁をお引きになりまして、当然それは再延長を前提に考えているのだという御質問でございましたから、議事録で見ますとおり三年間は確かに今後どうするか検討する重要な期間である、単なる延長はない、しかし延長するかどうかという問題については、まず検討の結果の結論がきわめて大事なのでここでは御答弁できませんと、それはペンディングのものとしてお答えになっているはずでございます。
○楢崎委員 あなたは長官の答弁と違う答弁をしているんじゃないの。法改正が必要だ、附帯決議でこうまで言っている。だから、これはその法改正の内容とその運営について検討するという認識なんですよ、そのとき、延長する際のわれわれの与党とやったときの。あなたはいつから同和対策室長をしているのだ。だから私は過去の経緯をずっと言ったのです。いつからあなたはこの問題にタッチしているか知らぬが、そういう努力の積み重ねが今日になっているのですよ。 じゃ今度は一つ一つ聞きましょうか、 「総合的改正」の内容についてメルクマールとなるもの、「実態の把握」というのは、つまり法の目的が完全に達成されていないという場合、つまり実態を把握しているのが不十分だ、実態把握が不十分だというような場合、あるいはさっき言ったように差別事件が増発している、これは長官も認めたとおり、附帯決議三項は不十分だ、こういうものは法改正への一つのメルクマールになりますね。実態としてあるのだから、実態把握が不十分だ、なりますね。
○小島(弘)政府委員 附帯決議の「実態の把握」という趣旨も、いままで十数年にわたって同和対策を進めてきたわけですが、その実績を踏まえ、現時点における同和問題の実態がどうなっているか、先生御指摘のような差別問題を含めまして同和対策の実態をよく認識し、それをもとにそれらの問題を解決する有効な施策を実施するように努めろ、こういう趣旨のものだと思っております。したがって、実態をもとにわれわれは十分検討してまいりたいと思っております、
○楢崎委員 だから、実態把握が不十分であるという今日の時点で、そういう不十分であるということは法改正への一つのメルクマールになりますねと聞いているのです。何回も言わせないでくださいね。——ふんと言うのは、私の言ったとおりですね。もう要らぬことを言わぬでくださいよ。
○小島(弘)政府委員 実態の把握が不十分だから法改正ということとは考えませんが……(楢崎委員「ぼくはワン・オブ・セムだと言っているのだ」と呼ぶ)ですから、十分に実態を把握して問題の所在を明確にするということであろうと思います。それに基づいて、その問題に対処する有効な手法としての政策を策定するということになろうかと思います。したがいまして、その実態をよく見きわめるということは今後の施策を考えるために必要不可欠のことでございますが、実態の把握が不十分だから法改正が必要であろうということにはならぬのではなかろうかと考えております。
○楢崎委員 何を言っているんだ、君は。附帯決議は、「実態の把握に努め、」となっているのでしょう、それが不十分なときには法の目的を達成していないのだ。だから、この法律はまだ必要だ。むしろ中身を改正して何とかしなければならない、こういうふうになるのでしょう。おかしいじゃないの、あなたの認識は。あなたのような人が同和対策室長しておっては困るね。あなたはいつから室長しているんだ。
○小島(弘)政府委員 一昨年の六月からであったと考えております。 ただ、ここの附帯決議の趣旨も、むしろ実態の把握とともに、それをもとに「速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。」と、検討の基礎として実態をよく見きわめろということに力点があるのじゃなかろうかと理解しております。
○楢崎委員 だから、それの実態把握が不十分なときは法の目的はまだ終わってない、こういう認識になるのじゃないですか。
○小島(弘)政府委員 実態の把握の結果、まだ非常に問題が残っているということがわかれば、それに対する施策が必要だということになるわけでございまして、実態の把握の結果によろうかと考えております。
○楢崎委員 じゃ実態把握がまだ不十分だったら、いまの答弁で言えばやはり法律が必要だ、こういうことになりますね。何、首を振っているのだ、あなた、あなたのいまの答弁はそうじゃないか。 それからもう一つ、実際各自治体なりあるいは当事者なり、あるいは国会議員の段階で世論というのも一つの、この法律を何とか維持し、むしろ内容を強化するというメルクマールになる、こう思いますが、どうですか。
○小島(弘)政府委員 繰り返しになろうかと思いますが、先生御指摘の世論について、われわれは地方公共団体を初め関係者のいろいろな御議論に謙虚に耳を傾けながら、それも参考としながら検討を進めてまいりたい、かように考えております。
○楢崎委員 時間が来ましたから、長官、最後にお伺いしておきますけれども、つまり法律の目的は十分果たしていないということが明確になった場合、附帯決議の実現も含めて、その附帯決議の実現が十分でないという場合は、この法律を何とか維持し、中身をさらに強化するという方向に進むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 先生御指摘の実態の把握を目下やっている最中でございます。実態を完全に把握をいたしまして私どもとしては方針を決定いたしたい、このように考えております。
○楢崎委員 不十分な場合と言っているのですよ、私は。何回も同じ答弁聞いたってしようがない。不十分な場合は、つまり法の目的が十分果たされていない場合は、この法律を維持しなくちゃいけぬでしょう。先ほど、法律も必要だし、また一般の国民の意識、意識改善と申しますか、そういうものが必要だ、そうおっしゃったじゃないですか。そうでしょう。だから実態を把握して、不十分なときにはこの法律はやはり必要だということになるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○中山国務大臣 十分御納得のいただく答弁にならないと思いますが、ただいま各県、市町村を通じて関係の担当者も実態の把握、ヒヤリング等を鋭意やっておる最中でございます。もうしばらく時間をおかしいただいて方針を決定いたしたい、かように考えております。
○楢崎委員 最後にしますが、少なくとも差別の実態は明らかになっていますね。この認識はおありでしょう、さっき報告されたとおり。 それから、いわゆる同和地区の環境がどうなっているか、あるいは雇用なり結婚なり教育、職業等の全般の差別問題というものが本当になくなったかどうか、そういったものもメルクマールになる。 それから、実際に現場を預かっている自治体の決議がすでに三十府県弱、千六十二になっている。この附帯決議の実現を期してください——実現してないから実現してくださいという決議になっているのですね。それから国会議員の署名も、野党は共産党以外は一〇〇%署名しています、自民党の中でも百八人の人が、つまり二六%です、附帯決議をぜひ実現してくれという認識です。これも法改正への大きな一つのメルクマールになる、条件になると私は思いますが、どうでしょうか。
○中山国務大臣 地方議会の議決あるいは意見書あるいは国会の先生方の署名、そういうものが現在相当進んでおるというふうな認識は私どもも持っております。また各党でも、それぞれ担当の委員の先生方も出ていただいて御相談をいただいておるところでございますから、政府といたしましても、各党の先生方の御意見も十分聞いて最終的な判断に持ってまいりたい、このように考えております。
○楢崎委員 最後に一つ、要望しておきます。 鈴木首相もやや前向きの答弁をされておるやに私は受けとめておるのですけれども、何しろ東北はこの同和地区がないのですよ、同和地区出身の人はいるけれども。だから、鈴木総理も本当にこの問題の認識があるかどうかは私ども非常に危惧を持っている。 で、長官は現地視察するとおっしゃいましたが、ひとつ長官、鈴木総理大臣もぜひ連れていって、どこかの同和地区を実際に視察してもらいたい。これを鈴木総理に進言していただけますか。
○中山国務大臣 先生の御要望の御趣旨は総理に私からお伝えをさせていただきます。 ただ、鈴木総理が東北の出身であるから認識がなかろうというふうな御批判でございましたが、総理は長年自由民主党の総務会長を務めておりまして、この関係法律の成立時にも党の幹部として決定に参画をした責任者でございます。十分同和問題については認識を持っておることをこの機会に申し上げておきたいと思います。
○楢崎委員 これで終わりますが、視察に連れていってくださいということを言っているのですよ。
○森下委員長代理 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後二時九分開議
○森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。春田重昭君。
○春田委員 きょうは盛りだくさんの質問を用意しているわけでございますけれども、限られた時間でございますので全部が全部できないと思いますけれども、よろしくお願いしたいわけでございます。 最初に私は、青少年の非行問題につきましてお尋ねをしていきたいと思っております。 この青少年の非行の問題は、いわば学校、家庭の現場を通り越して、大きな社会問題となっているわけでございます。そこで、いま各省ではそれぞれの対応をしておるわけでございますけれども、総理府本府としても青少年対策本部というものが設けられているわけでございまして、この青少年の非行の問題につきましては、この対策本部はいかなる対応をしていっているのか、まずお尋ねをしていきたいと思います。
○中山国務大臣 青少年対策本部といたしましては、昨年八月、暴走族の発生が非常に大都会で顕著な姿を見せましたので、これの取り締まり強化月間を設定いたしまして、関係省庁と連絡の上、各地方公共団体にも協力を求めまして、暴走族の取り締まり強化に当たりました。その結果、御案内のように暴走族は激減をしてまいったというような状態でございますが、その後急速な現象として出てまいったのが校内暴力あるいは家庭内暴力、こういうふうな悲しむべき事態が発生をしてまいりました。 そこで、十二月十九日、法務省、それから警察庁、厚生省、労働省、文部省、総理府等関係各省の局長の連絡会議を開催いたしまして、問題の内容について各自の立場で論議をいたしたのでございますが、意外と根が深い、こういう認識が皆一致いたしました。その後一月十六日に次回の局長連絡会議をいたしましたが、その間において、先進国における青少年犯罪の動向、あるいはまた戦後と戦前の青少年犯罪の比較、いろいろな問題点を宿題として出しまして、一月十六日にその結果が出てまいったようなことでございます。 その結果を踏まえまして、一月二十日に青少年問題審議会に対していわゆる青少年非行の問題を諮問いたしました。従来の審議会形式であれば一年とか二年とかという時日が必要でございますけれども、この問題は大きな社会問題でございますので、中間答申の形で委員の意見がまとまったものから上げてもらう、それを政府としては政策として実行していくということを委員各位にお願いをいたしました。 なお、二月六日には各地方公共団体に対して一斉にこの問題の連絡強化を伝達いたしましたと同時に、政府が発行いたします青少年白書というものがございますが、なかなかお母さん方に目に入るような簡単なものじゃない。そこで、こういうふうな小型のポケット版をつくりまして、これを全国のPTA連絡協議会関係を通じて近く一斉に流していくというふうな方向をとりますと同時に、先日は国家公安委員長が東京都内を視察いたしましたし、私も二十日に都心を視察してまいりたい、このように考えております。
○春田委員 この青少年対策本部は、本部長が総理でございます。副本部長に総理府の長官がおつきになっているわけですね。したがって、形の上では非常に重要視されているわけです。しかし、中身が問題でございます。青少年の非行となれば、文部省や警察庁や厚生省、法務省等がどうしても表へ出ているわけですね。そこで、こういう形で総理が本部長、長官が副本部長、非常に重要視されているこの青少年対策本部が各省とどういう違いがあるのか、その存在意義といいますか価値といいますか、その点、長官としてはどうお感じになっていますか。
○中山国務大臣 青少年問題というのは、今日の社会あるいは政治全体にとっての大きな責任であるということが、鈴木内閣発足後の閣議で閣僚から意見が出まして、内閣としてもこの問題を政治課題として取り上げておるようなことでございます。 御案内のように、家庭教育、学校教育、社会教育と各般に教育全体がわたっている、また所管の官庁も御案内のように多数ございます。そういうことで、私どもの青少年対策本部といたしましては、絶えず総合調整の機能を発揮する、こういうことでこの問題の解決に力を尽くしたい、このように考えております。
○春田委員 そこで、青少年対策本部の今年度の予算でございますけれども、前年度と比較してどれくらいの伸びがあるのか、数でもってお示しいただきたい。
○中山国務大臣 細かい数字でございますので、政府委員から答弁させます。
○浦山政府委員 青少年対策本部の五十五年度の予算額が、正確な数字で申し上げますと二十二億三千五百七十万三千円に対しまして、五十六年度の予算が二十二億四千二百六十七万六千円ということで、前年比一〇〇・三%という比率になっております。
○春田委員 五十六年度予算案がいま上程されているわけでございますが、非常に緊縮財政になっている、対前年の伸び率が二けたを割っているわけですね。それでも、公債費や地方交付税、これを差し引いても四・三%の伸びがあるわけです。ところが、いま御存じのように青少年の非行問題が大きく社会的な問題としてクローズアップされてきているときに、各省庁の総合調整という非常に重要な立場にあるこの青少年対策本部が、予算の伸びでは〇・三%しか伸びていないわけですね。確かに財政面では厳しいけれども、いま問題とされている青少年の非行ということにスポットを当てた場合、ちょっと物足りないのじゃないか。青少年対策本部として本当に力を入れていけるのかどうか懸念する向きもあるわけでございますけれども、この点どうお考えになっていますか。
○中山国務大臣 御案内のように、各省にはそれぞれすでに予算がついております。私どもの方では調整機能と、あるいは青年の船といったようないわゆる独自でやるものと、それから各省の連絡会議に使う経費、あるいはまた健全青少年の育成月間というようなものを十一月に昨年もいたしましたが、そのような経費を、必要と認めたものは全部概算要求で要求いたしております。経費の点については私どもとしては十分であると考えております。
○春田委員 そうしたならば、中身をさらに指摘していきたいと思うのですが、青少年の非行防止活動の強化という中で、少年補導センターというのが非常に重要な立場にあるわけです。この少年補導センターの補助が毎年出されているわけでございますけれども、五十六年度で一億一千六十八万九千円が出ております。ところが、補助対象個所が五百七十五カ所あるわけですね。ところが、この予算案を見ますれば二百十五カ所という形で半分以下の補助対象にしかなっていないわけです。これで十分と言えますか。
○浦山政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、従来から補助対象の増あるいは単価の増ということにつきまして、地方団体の方から相当の要望がございます。したがいまして、私どもといたしましては、これをできるだけ個所数並びに単価の増加あるいはアップということを基本に置いて要求をしてまいったわけでございますけれども、先生御指摘のように、全般の財政状況等の配慮もございまして、その中におきまして青少年対策本部全体としてほとんど前年並みという中にありまして、予算額といたしましては九千万から一億一千万に伸ばす、その中で、個所数も些少ではございますが四カ所、それから単価のアップも四十二万三千円から五十一万というように、こういう厳しい中にありましてできる限りの努力をしてまいったつもりでございますが、なお全体として十分であるとは必ずしも申せないわけでございますので、今後ともさらにこの充実を図ってまいりたい、かように考えております。
○春田委員 政府委員から答弁があったわけでございますが、先ほど長官はこれで十分であるということをおっしゃいましたけれども、こうした一つの点を見ても、半分以下の補助対象になっているわけですね、十分じゃないわけですよ。長官としてどうお感じになりますか。
○中山国務大臣 御案内のように今年度、五十六年度、財政事情はきわめて厳しいということは先生もよく御承知のとおりでございまして、各省とも激しく大蔵の主計と交渉する中で、私どもとしては一定のシーリングの枠以上に何とかして確保する、こういう一つの方針のもとに折衝をやり、予算編成をやってまいったようなことでございまして、全面的に各地方公共団体からの要望が全部盛られるということは現在の財政事情では困難であるということは率直に認めさせていただきたいと思います。
○春田委員 しかしながら、補助対象が五百七十五カ所ありながら半分以下ということは、今後全個所補助対象になるように努力すべきである、こう思っておるわけでございます。 なお、少年補導センターにつきましては、長官の時間の関係で詳しく詰めていきませんけれども、次回に譲りたいと思っております。 さらに青少年問題の審議会がございますけれども、この開催状況を簡潔にひとつ御説明いただきたいと思うのです一、
○浦山政府委員 青少年問題審議会の過去三年間の開催状況について御説明を申し上げますと、昭和五十三年度におきましては総会七回、専門部会六回、五十四年度におきましては総会七回、専門部会二回、それから昭和五十五年度、本年度でございますけれども、今度三月二十七日に最後の総会の開催予定をしておりますが、これを含めまして十一回、こういう状況になっております。
○春田委員 この審議会のメンバーは何名で構成されているのですか。
○浦山政府委員 二十名でございます。
○春田委員 ただいま御説明があったように、総会は何回かやられておるわけでございますけれども、私は専門部会の問題をちょっとお尋ねをしていきたいわけでございますが、二十名のメンバーであればどうしても総会そのものは総花的な話に終わってしまうわけですよ。ところが肝心の専門部会、五十三年度には六回開いたけれども、五十四年度二回、さらに五十五年度は全然開催されていない、こういう形で来ているわけですよ。そういう点で、先ほどから言っているように青少年の非行の問題がこれだけ大きく社会問題になっているときに、やはり問題なのは、専門部会をやりましてそうした細かい問題を詰めていく必要があるのではないか、こういう点で専門部会を積極的にやっていくべきである、こういう考え方を持っているわけでございますが、どうですか。
○浦山政府委員 先生御承知のとおり、各省の審議会と同様に青少年問題審議会におきましてもそのときどきのテーマを設けまして審議をお願いをしている、こういう状況でございまして、昭和五十三年度、四年度におきましては青少年の社会参加に関しまして審議をいたしまして、これの意見具申というものが昭和五十四年の七月に出たわけでございます。したがいまして、それまでの作業状況からいたしまして、五十三年度の方が数が若干多くなっているということでございますが、先ほど総務長官から申し上げましたように、今回、青少年の非行その他の問題行動についての諮問をいたしまして、恐らく、現在総会で何度か審議をしておりますけれども、間もなく専門部会あるいは作業部会というようなものを設けまして、内容的な検討に入るというように予測をしておるわけでございます。したがいまして、そういった面におきましては、先生がおっしゃいますとおり、専門部会あるいは作業部会といったようなもので問題を煮詰めていくということは大変重要なことであるというように考えております。
○春田委員 長官の活躍等は私たちも知っておるわけでございますけれども、青少年対策本部はどうも連絡調整機関ということでちょっと弱いのじゃないか、予算の面を見ても活動の面を見ても若干弱いのじゃないか。それで、御存じだと思いますけれども、総理府設置法の十六条に青少年対策本部が明確に記されているわけですね。ところが、同じ設置法十六条の二には北方対策本部というものがあるわけですね。この北方対策本部につきましては、長官も、北方領土の日をことしから設けられまして、大々的に国民に積極的にPRして一応成功したような形になっておるわけですよ。それに引きかえまして、総理を本部長に迎えた青少年対策本部、長官が副本部長の任につかれている青少年対策本部、どうもちょっと影が薄いのじゃないか、こういう感じを私は持つわけでございまして、そういう点で、北方領土の日を設けたと同じように、やはり国民に大きくPRといいますか、青少年非行の防止のための大々的な運動を青少年対策本部がやっていくべきではないか、こういう考え方を持っているわけでございますが、長官の御見解をお伺いしたい。
○中山国務大臣 正直なことを申し上げまして、総理府という役所は大体調整機能ということが基本的な考え方で行政が行われておることは御案内のとおりであります。北方対策室も実は七人の人間しか働いていない、こういう中で実は領土問題というものが解決できるかということで、ずいぶん苦労をさして、各党の御協力をいただいてあのような形で「日」がうまく設定できましたけれども、お話のように、これからの日本を背負う若い青少年の問題も領土と同じく非常に重大な問題でございますので、ただいま鋭意担当者を激励いたしまして、この問題が早急に解決できるように、しかも、いま先生からもいろいろ御指摘ございました青少年非行の問題点がどの個所に一番発生しているかということの調査もいたしております。御案内のように、大都会に青少年の非行発生率が非常に高い。しかも、青少年の意識調査をいたしますと、やはりいろいろなクラブ活動ができるような屋外の場所というものが欲しいということは政府への要望でございますので、ただいま全国のそのような場所がどうなっているか、こういうものを調査いたしまして、自治省初め、関係省庁と連絡をいたし、五十七年度の概算要求までにわれわれとしては資料を調製いたしたい、このようなことでがんばっておりますので、ぜひひとつ今後とも御支援を願いたいと考えております。
○春田委員 長官の時間が二時半ということだったものですから、ちょうどこれで結構でございます。 それで、引き続きまして青少年の非行問題の中で、私はシンナーの乱用の問題につきましてお尋ねをしていきたいと思っておるわけでございます。このシンナー等の乱用の実態につきまして、警察庁の方お見えになっていると思いますが、まずデータとしてお示しをいただきたい。
○石瀬説明員 昨年中にシンナー等の乱用で補導した少年は四万五千百六十一人ということでございまして、前の年に比べまして一一・七%の増加になっております。これに伴いまして、少年のシンナー等の乱用によりまして死亡事故とか自殺というのが発生しておるわけでございますが、昨年そういうことで五十人の者が亡くなっておりますけれども、これは前の年に比較いたしまして一三・六%の増ということでございます。 以上でございます。
○春田委員 この数は一応補導された人員でございますけれども、これから推測して、いわゆる吸入そして注射等をやっているそういう潜在者は何名ぐらいと推測できますか。
○石瀬説明員 これは潜在者の数というのは、少年非行一般についてもそうでございますけれども、私どもが検挙、補導いたします少年の数というのは、警察の体制あるいはまたボランティアである少年補導員の数の制約等もございまして、全非行のごく限られたものしか扱っていないという実情ではないかと思うわけでございますが、ましてやシンナー、トルエンというようなものにつきましては、非常に潜在した形で吸引されるというものがありますので、いまほど申し上げました数字は全体のごく一部ではないかというふうに考えております。
○春田委員 昭和五十五年度で四万五千人を一応補導されているわけですね。そういう点からいったら、潜在者はこの十倍くらいに匹敵するのじゃないかと私は思うわけでございまして、相当年々拡大されていっている、そういう実態も出ているわけでございます。 さらに問題なのは、この補導された中で、いわゆる学生の補導数が、中学生数が相当伸びております。中には小学生も出ていると聞いているわけでございまして、そうした小学校、中学校、高校、大学を含めた、いわゆる学生の間に相当蔓延してきている、これが大きな特徴じゃないかと思うのです。 そこで、このシンナー等の乱用がこのように年々高くなってきておる、その原因というものはどこにあるのか、こういうことでございます。時間がございませんから、問題点の最大の原因は、やはり簡単に、たやすく手に入りやすい、いわゆるシンナー等が市販されているという点に問題があるわけですね。そういう点で、シンナー等の入手経路が、おたくの資料をいただいているわけですけれども、一番多いところが自転車、オートバイ店、それからナンバーツーが金物、雑貨店、ナンバースリーとしてスーパーマーケット等があるわけでございまして、こうしたところで市販されているわけでございますので、非常に購入しやすい、入手しやすい形になっておるわけでございまして、いわゆる大麻やまたは覚せい剤と違いまして、市販されているこういうシンナー、トルエン等につきましては、業界、業者に対してはどういう指導をやっているのか、この点をお尋ねしておきたいと思うのです。
○石瀬説明員 シンナー、トルエン等の薬物乱用につきましては、御案内のとおり、総理府に薬物乱用対策推進本部というのがございまして、それが毎年取り締まり強化月間とか、あるいはまた広報強化月間というようなことをやっておるわけでございます。私どももそれを受けまして月間を設定し、あるいはまた通常の活動を通じてそういったものの予防あるいは取り締まりを行っているという状況でございます。 業界対策というのは非常に大事なことでございます。いまほど御指摘もございましたように、非常に安易に入手できるということでございますので、私どもはそういう月間を通じて、あるいはまた通常の活動を通じて、業界の方々にもお集まりいただきまして、たとえばシンナー、トルエン等を販売するような場合には、相手方の身分とか年齢とか用途とかというものをよく確認してから売るようにしていただきたいとか、あるいはまた購入者が少年のときには保護者に確認するとか、あるいはまたシンナー、接着剤等の万引とか盗難が行われないように、そういったものの陳列方法を改良するとかというようなことで業界に指導をいたしておるという状況でございます。
○春田委員 こういう業者に対しては、身分の確認や使用目的の確認等の指導をなさっているみたいでございますけれども、これは指導と言っても、要請といいますか、協力なんですよ。非常に弱い面があるわけです。そういう点で、業者に対しまして、やはり厳しい一定の、何といいますか、取り締まりが必要じゃないかと私は思うわけでございます。 とりわけ、相手がシンナー、トルエン等を乱用するのじゃないかと、あえて知りながらそれを売っていく、知情行為といいますか、知情販売、こういうデータも出ておるわけでございまして、こうしたいわゆる業者、業界に対しましては、どういう罰則があるのですか。
○石瀬説明員 昨年一力年間で警察がシンナー、トルエン等の知情販売事犯として取り締まった件数というのは二千三百十件がございますが、そのうち千五百十七件というのがいわゆる販売業者にかかわるものでございます。これにつきましては、たしか二年以下の懲役、それに罰金というような形で刑罰が科せられているということになっております。
○春田委員 法的には五万円の罰金と二年以下の懲役となっているわけでございますが、実態としてはどういう形で上がっておりますか。
○石瀬説明員 実は、科刑の実態につきましては私ども詳細な調査をいたしておりませんが、昨年中の状況につきまして、神奈川県、埼玉県、群馬県の三県を選びまして状況を聞きましたところ、体罰を受けているケースはないということになっております。恐らく全国的にも体罰を受けているケースというのは非常に少ないのではないだろうかというふうに考えております、
○春田委員 そうしたら、罰金の程度でございますが、一応五万円以下の罰金になっておりますけれども、その辺の実態はわかりませんか。
○石瀬説明員 これにつきましても全くまちまちでございますけれども、先ほど申し上げました三県に聞いた話では、おおむね三万円程度の罰金を科せられる場合が多いというふうに聞いております。
○春田委員 これは比較できないかもしれませんけれども、覚せい剤の場合は罰金は三百万、そして体罰としては無期懲役という形になっているわけですね。ところがシンナー等におきましてはそういういわゆる体罰の例もないし、大体三万円ぐらいの罰金だけで終わっている、こういうところにこの知情販売の数字が非常に多く上がってきている原因があるのではなかろうかと思うのです。 この罰則は、厚生省所管の毒物劇物取締法によって決められているわけでございますけれども、この点、シンナー等におきましては非常に弱い実態になっているわけでございますけれども、厚生省としてはこうした問題につきましてどうお考えになっておりますか。
○有本説明員 ただいま警察庁の方からの御説明にもございましたように、現在毒物劇物取締法では二年以下の懲役、それから五万円以下の罰金、その両方をまた併科することもできる、こういうことになっているわけでございますが、実際の科罰はそこまで達していない、こういう状況でございまして、ただいまのところ直ちにこの法律におきます法定刑についてこれを変更するという事態には至っていないのではないか、こういうふうに考えております。
○春田委員 ということは、これは法務省の方で、これは検察庁の段階だと思いますが、もっと厳しく科刑すべきである、こういう形で、厚生省としてはこの法改正はまだ考えてない、こういうことだと思うのです。 そこで、この毒物劇物取締法で業者の方は登録されているわけですね。この登録された業者がたとえばシンナー等の知情販売行為をやった場合は、これは業者の取り消しということになると思うのですが、この点どうですか、
○有本説明員 このシンナー等につきましては、シンナー、ポンド、接着剤、こういうようなものにつきましては、いわゆる毒物劇物取締法上の劇物でも毒物でもございませんので、そのもの自身につきましての販売業者の許可、登録、こういうシステムはございません。この中でございますのは、トルエンだけは一応劇物に指定されておりますので、このトルエンを販売いたす者につきましては販売業者の登録を受けているわけでございます。現在私どもの方で、こういう販売業者がトルエンの販売につきまして非常にいわゆる知情販売的な行為をした、こういうようなことにつきましては特段の連絡を受けておりませんので、その実態については承知いたしておりません。
○春田委員 連絡を受けていないということは、警察から連絡を受けていない、こういうことですか。
○有本説明員 そうでございます。
○春田委員 警察庁にお尋ねしますけれども、登録業者でこうしたいわゆるトルエンかまたはシンナー等の知情販売をやった業者はいままで出ておりませんか。
○石瀬説明員 警察庁では現在そのような事案を把握いたしておりません。
○春田委員 把握していないのと実態がないということは違うと思うのですが、先ほどもお話があったように、昭和五十四年に千九百三十人の知情販売、授与行為の取り締まりの実態が上がっているわけですね。昭和五十五年度で二千三百十件上がっているわけです。この中にはその登録業者は全然いないという確信はないわけでしょう。警察庁どうですか。
○石瀬説明員 知情販売事犯の中身を見ますと、業者というのは先ほども言いましたように二千三百十件のうち千五百十七件でございますけれども、それは塗料店、文具店、金物雑貨店、模型教材店、薬局化粧品、その他というのがあるわけでございますが、これはほとんど自転車店とかスーパーマーケット、それからもう一つ大きな欄の「その他」というのは百四十七件あるわけでございますが、これはかなり多くは暴力団員による授与あるいは販売ということではないだろうかというふうに考えております。したがいまして、この小さな項目の「その他」あるいは大きな項目の「その他」にトルエンの登録業者が入っているかどうか、そこまではわれわれはつかんでいないということでございます。
○春田委員 そうじゃないでしょう。塗料店や金物雑貨店、薬局化粧品等でも、これは事業物を扱った場合は登録業者になるわけですよ。そういう実態を調べるべきじゃないですか。全然いないということじゃないのでしょう。調べていないだけでしょう。
○石瀬説明員 先ほど厚生省の方からお答えがございましたように、トルエンの原体につきましては、劇物ということで、それを販売する音あるいは製造する者は登録を受けなければいけないということでございますが、シンナーとか接着剤につきましては毒物にも劇物にも当たらないということで自由に販売できるわけでございます。トルエンの製造販売の実態というのを見ますと、トルエンの製造過程から塗装店へ直接売り渡されるというケースがほとんどでございまして、一般にだれでも自由に市販されているという形で購入することができるという実態にはないというふうに聞いております。
○春田委員 もう一回確認しますけれども、ここに上がっている実態の中のいわゆる知情販売をやった業者には全然そういう登録業者はいないとはっきり言えますか。
○石瀬説明員 この点につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、警察としてはそういう事案を現在のところ把握いたしておりません。
○春田委員 私は調べればあると思うのですよ。そういう点で、厚生省としては登録業者は把握しているわけです。ところが、警察からそういう報告がないから、いわゆる登録の取り消しはできない、こういう現況なのですね。そういう点で今後のいわゆるこの業者の取り締まりについては十分登録業者もしているかどうか調べて、そして厚生省に連絡すべきである、このようにしなかったならば、いま言ったように罰金三万円だけだったら、これは何ぼでも出てくるわけですよ。そういう点で、やはり吸う側の少年も悪いけれども、売る側の、そしてあくまでも知情販売、相手が吸うのをわかりながら売っていく、そういう業者が最も悪質だと私は思うのです。そういう点で、そうした悪質な業者を取り締まるにはやはり厳しい罰則を科すべきである、こういうことで私は主張しているわけでございまして、その問題も今後警察庁では十分厚生省と連絡をとりながら対応していただきたい、こう思うわけでございます。 最後に、総理府の中にも先ほどお話があったように薬物乱用対策推進本部というものがあるわけでございますけれども、この問題につきましては十分効果的に働いておりますか。
○山田説明員 薬物乱用対策推進本部というのが総理府にございますけれども、これは劇物乱用防止に関しまして行政機関相互の緊密な連絡を図るとか、そのことによって総合的効果的な対策を推進するという見地から昭和四十五年六月に閣議決定で総理府に設置されたものでございますが、以来この趣旨にのっとりまして、毎年度の薬物乱用防止強化月間実施要綱、こういったようなものを定めますほか、幹事会とか担当者の会議を開きまして、関係情報を交換したり、あるいは個別問題の協議を行うというふうなことを随時行っておるわけでございまして、関係省庁が非常に多うございますけれども、この関係省庁間の連絡の緊密化と、それからこれによって対策を推進するということに努めてまいっておるわけでございます。今年度、五十五年度も、本部決定をもちまして七月を広報の強化月間、十月と二月を、ことしに入りましたけれども二月を取り締まり強化月間というふうに指定いたしまして、関係省庁及び推進地方本部のございます各都道府県に対しまして各対策を強力に推進していただくよう要請しておるわけでございます。お尋ねのございましたシンナー、トルエンの問題につきましても、乱用防止というのは青少年の健全育成とか非行防止とかいったような見地からも大変重要な問題でございますので、この推進本部の一つの大きな柱といたしまして取り上げて対策を推進してまいっているということでございます。
○春田委員 一応対策本部、推進本部はできているわけです。青少年対策本部は二十二億の予算がついておるわけでございますが、この推進本部は予算が全くないと聞いておるわけでございますが、どうでございますか。
○山田説明員 この対策推進本部は各省庁間の連絡協調というふうなことを主に行っておるものでございまして、主たる政策はそれぞれの本部員でございます各省庁の方でおやりいただく、あるいは都道府県の方でおやりいただくというふうなことでございますので、直接の経費というのはございません。
○春田委員 総理府の長官がいませんので質問できませんけれども、いずれにしても推進本部をつくっている以上、予算等もつけまして、何ぼ連絡調整機関といえども予算なしの推進なんかできないわけですから、そういう点では今後の予算獲得には、十分それなりの活躍ができるようにつけていくべきである、このように主張しておきます。 それから、国家公務員専用の体育センターというものがあるわけでございます。現在も千葉県の船橋にできておるわけでございますが、引き続いて大阪府の枚方でもいま建設中でございます。この体育センターはいわゆる国家公務員専用という形になっておるわけでございますけれども、地元におきましては、地元の一般市民の方から開放しろという要望が相当きついわけでございます。地方公共団体等では、こういう専用の体育センターはございませんし、地方公共団体がつくった場合には全部一般市民に開放するわけですから、そういった点からいったら、私は、この国家公務員専用となっておりますけれども、一般市民への開放が必要ではないか、こういう点を思っておるわけでございますが、総理府としてはどうお考えになっておりますか。
○森(卓)政府委員 ただいま御指摘の国家公務員の体育センターの利用の仕方でございますが、現在開設しております船橋の方は国家公務員とそれに同伴いたします家族を基本としておりますけれども、それ以外の方につきましても、あらかじめ地元の船橋市を経由いたしまして、総理府人事局長の承認を受けました団体につきましては土曜、日曜、祭日以外の日に体育センターの施設を利用できるということにいたしております。枚方につきましては、五十六年度から一部供用を開始する予定でございますが、その利用方法につきましても現在のところは船橋の体育センターと同様に国家公務員とそれに同伴する家族を基本といたしまして、それ以外の方につきましては、あらかじめ地元の枚方市を経由して総理府の人事局長の承認を受けた団体につきまして、当面は土曜、日曜、祭日以外の日に体育センターの施設を利用していただくということで、現在地元の枚方市と協議を進めているところでございますが、土曜、日曜日の地元への開放ということにつきましては、まだ何分枚方の方は施設の利用を開始いたしておりませんし、国家公務員の利用がどのくらいになるかというようなことも見通しが立ちませんので、今後の利用状況あるいは地元のほかの民間施設の開放状況等を参酌しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○春田委員 船橋の体育センターは、土日祭日は一般市民に開放していない、月曜から金曜まで開放しているみたいでございます。しかし、先ほど言ったように、地方公務員専用の体育センターというのはないわけですよ。この体育センターはほとんど国家資金全額投資で建てられる建物でございますから、そういう面におきましては一般市民に開放すべきである、サービスの一環として土日祭日も開放して本当に有効的な利用を期すべきである、このように主張しておきます、 さて、官房長官がお見えになったわけでございまして、質問してまいりますが、実は、きょうの質問の趣旨は官房長官がほとんどだったわけでございますけれども、時間の調整でこういう形になりまして、あと残された十分間で質問ということになりまして、全部が全部できませんけれども、時間内で質問させていただきたいと思っております。 まず第一点は、院法改正の問題です。 これはもう官房長官もやかましいほどいろいろ各委員会で質問されているわけでございます。当委員会としても三月三日、集中審議で質問したわけでございます。ところが、新聞を見ますと、翌日、三月四日に自民党がこの院法改正の見送りを政府に申しつけた。こういうことで、三月三日の当委員会の官房長官の発言は、私なりに感じましたのは、不承不承ではありますけれどもかなり前進した、院法改正はするのだ、そういう答弁がされたと思うのです。ところが、その後の参議院の予算委員会、衆議院の締めくくり総括等での官房長官の答弁は若干後退しているようなニュアンスを感ずるわけでございますけれども、その点どうですか。
○宮澤国務大臣 本件ははなはだ行き届きませんでまことにどうも申しわけないと思っておるわけでございます。私としては、国会の御意思もありますので、会計検査院法の改正ということについて政府部内で調整をいたしまして、改正法案を国会に提出いたしたいという努力はやはり続けなければならないと思っておるわけでございますが、同時に、御決議に、法の改正の是非を含め会計検査院の機能を強化云々とございますので、法改正によらずして機能を強化するということもまた一つ求められていることである、そこで自民党の政務調査会長のもとに関係者にお集まりを願って、このような国会の御決議になっておるのでやはり自民党としても具体的に考えてもらいたいという、いわば呼びかけを私の方から実はいたしまして、党内でも問題を取り上げてもらっておるわけでございます。ところが、党内のせんだっての議論は、会計検査院の機能を予算の面、人員の面等々で強化する、それは結構なことで党としても大いにやらなければならぬと思うが、その法の改正の方は何となく余り熟しない空気であるようで、どうという結論を出したわけではございませんけれども、どうも重点が法によらない機能強化ということの方にやや行ってしまった感じがございます。しかし政府としては、国会のああいう御決議でありますから、やはり法の改正案が内閣としてまとまりますように、私としては引き続き努力をいたさなければならぬと思っているわけでございます。
○春田委員 そこなんですよね。要するに三月三日では、院法改正をしろ、こういうことで、官房長官の答弁もつぶさに調べたわけでございますけれども、期日は明確にできないけれども各省庁の調整を早急にやりまして国会上程を早くしていきたい、期日は明確にできないけれども院法改正については努力していきたい、積極的に図っていきたい、こういうような発言があるわけです。ところが三月四日の自民党の改正案見送りにつきまして、その後の官房長官の答弁は、院法改正だけが何も会計検査院の強化ではないのだ、現行法でも十分できるのだ、このようにトーンがずっと下がりまして、違う方向に行ったのですね。三月三日の集中審議は何のためにやったのだ、こうなるわけでございますけれども、いわゆる院法改正は断念し、現行法で十分対応できる、このように官房長官は決められたのかどうか、確認しておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 そこのところがそのように伝えられますと私も実は大変に迷惑なので、それは私の本意ではございません。法の改正のために閣内の調整をするという問題は私としてしなければならない仕事として残っておりまして、他方でそれに至らないまででどうやって院の機能を強化するかという問題、これはこれでまたやっていかなければならない。つまり二つの命題を背負っておるというのでございますから、予算なり人員なりで院の機能強化を図れればもう法を改正する云々という話はなくなったのか、そういうわけにはどうもまいらない。やはり院の御決議は、法の改正を含めて検討しろというかなり強いお考えと思いますので、これは調整をしなければならないという問題は残っておると考えております。
○春田委員 現行法で対応するといっても、五十六年度の予算を見ても会計検査院の純然たる人員増がたった二名なんですよ。そういう点でもできませんし、この前から論議しておるように、肩越し検査は認めておるといっても相手の全面的な協力がなかったらできない。こういうことで十分な肩越し検査はできてないわけですよ。そういう面では現行法で十分機能強化できると言ってもできない。これは院法を改正する以外にないのです。そこで、長官も大分お困りのようでございますけれども、これは衆参六回の本会議議決、衆参六回の委員会決議がされているわけです。御存じのとおり国会は国権の最高機関でありまして、そういう面で行政府を抑えていくのが国会なんですが、どうもちまたでは、行政に振り回されているのではないか、官僚に振り回されているのではないかということも言われておるわけでございます。最近のある新聞の投書欄には、どうも官房長官は官僚の前には弱いのではないか、官庁間の対立に政府が影響されるとは情けない、反対の官庁があればそれを抑えるのが大臣であり、官房長官である、このような一般国民からの痛烈な投書もあるわけです。そういう意味では院法改正こそが会計検査院の強化である、このようなことを十分官房長官も認識されてこれの対処をしていただきたい、このように私は主張をしておきます。 最後に、対米輸出の問題でございますけれども、それは対米自動車輸出問題でございます。通産省と外務省のお互いがいろいろと主張しましてなかなか決まらなかったわけでございますけれども、官房長官が調整に入られまして何とか決着を見たみたいでございますが、その経緯を簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 これはよく御存じでいらっしゃいますように、こういう交渉になりますと、一九七〇年ごろの繊維でもそうでございましたが、結局外交交渉の面、すなわち先方がどういうことを主張し、こちらがどう対応するかという外交交渉の面と、最後に仮に、この自動車の場合も仮にと申し上げておきますが、何かの規制をするということに仮になりますと、それはどうしても行政にそれを乗っけなければなりませんので、そういたしますと、この面はまさに自動車行政そのもの、通産省の行政そのものということになってまいります。同じことは繊維の規制の場合に、アメリカとの交渉で何をどれだけ規制するかという大枠なり種類なりでの大まかな話し合いがあり、それを具体的に、今度は繊維製品の種類で規制していくという行政がついていく。自動車の場合、繊維ほど品数、メーカーの数等々多くはないかもしれませんが、しかし、下請というようなものがまたございますから、及ぼす影響が決して繊維より小さいとは申せない、もっと大きいかもしれないようなことでございますので、そこで交渉いたしますときに、外務当局と通産当局が上手にチームワークを組んでいたしませんと交渉はうまくできない。どちらが窓口かということは実は本来ならどうでもいい問題でありまして、両方が本当によく通じ合って助け合っていくということ、そうでなければこういう交渉はやれないものだと思います。しかし、いろんなことからどちらが窓口だというような話題になってしまったものでございますので、当面、米国とのいわゆる話のやりとりは大来政府代表が通産省を初め各事務当局を率いてそれに当たってもらう、そうしてその結果、具体的な規制というようなことに入ってまいりますと、これは通産大臣が行政の責任者でありますから、その後を引き継いでいただく、こういうことではなかろうか。実はわかってもともとみたいなことでございますが、そういうことで、要は両省仲よくやってもらうことだというようなことにいたしたわけでございます。
○春田委員 最後にもう一点だけお尋ねしますけれども、この問題は、いま官房長官がおっしゃったように第二の繊維交渉にしてはならない、窓口を一本化にすべきであるということでずいぶん苦慮なされたと思うのです。対米の窓口としては大来代表、あと自動車業界につきましてこちらの国内の問題については田中通産大臣という形になったと思うのですけれども、そうしたら窓口が一本にならないじゃないか、どうも二つになっているのじゃないかという感じを私は持つわけでございますけれども、ある意見によりますと、これは最初から通産省に任すべきである、いわば日ソ漁業交渉でも、最初から農水省が前面に出てやっているじゃないか、外交に弱いということは数年前のことであって、通産省だって十分できるということで、自動車問題だけに限ったならば、これは通産大臣だけで十分最初から終わりまでできるのではないか。ところが、どうも別の問題が絡んで、その絡みで大来さんを代表に出しているような感じも受けないではないように思うのですね。そういう面で、要するに自動車問題だけに限れば田中さんを最初から最後まで窓口にして、そして決着をつけるべきである、こういう意見もあるわけでございますけれども、この点につきまして官房長官の御見解、そして、この問題につきましては田中通産大臣も子としているかどうか、この点を聞きまして、終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほどのようなことで、外務大臣、通産大臣にも総理からお話をしたわけで、この点は子とされております。 なお、前段に言われましたことでございますが、実際問題としましてアメリカ側がどうするか、いままで言っておりますことは、現に大統領にいろいろな報告を出す、そのための作業グループは運輸大臣が所管大臣として長になっておられるようでございますが、しかし、交渉になりますと、恐らくは通商代表部の所管大臣のブロックという人が交渉に当たるということになるようでございます。そういたしますと、ブロック・大来というのが日米間のいろいろな経済問題をこれからずっと取り扱っていくことになるチャンネルだと存じますので、それですと大来さんがいいのではないかな、しかし先方も、ブロックがやりましても行政の責任者はルイスという運輸長官になるわけだと思いますから、向こうにも似たような問題があると言えばあるので、そういうことも考えましていまのような案を総理からお示ししたわけでございます。
○森下委員長代理 中野寛成君。 〔森下委員長代理退席、春田委員長代理 着席〕
○中野(寛)委員 私は、防衛の問題について、防衛庁以上に高度な政治判断をむしろ示していただきたい、そういう気持ちで、若干の部分防衛庁、国防会議等へお伺いをすることもございますが、この際官房長官に、内閣を代表するお立場でお答えをいただきたいと思います。 まず第一点。先般竹田前統幕議長の発言問題等から、最近とりわけシビリアンコントロールのあり方について多くの論議がなされておりますけれども、シビリアンコントロールの定義、そして日本の防衛体制の中でそのシビリアンコントロールはどのように生かされているとお考えであるか、まずお伺いをしたいと思います。
○宮澤国務大臣 私も詳しく存じませんけれども、一般的にシビリアンコントロールといいますと、軍事を政治が規制する、統制するということを意味すると存じます。 わが国の場合には、内閣総理大臣また防衛庁長官、これはもとよりいわゆる憲法の文民でございますが、その下に自衛隊が管理されている、そうして法律、予算等につきましてもしさいに国会の御審議を受け、しかもまだ国防会議というようなものも置かれておるということでございますので、少なくともかつてのわが国がいっときそう言われたような状況を招く心配はない、戦前のような状況を招く心配は全くない、完全なシビリアンコントロールの体制ができ、またそれが行われておるというふうに考えております。
○中野(寛)委員 政治優位の原則を含めましての御答弁でございました、まさにそのとおりだと思うのです。ところが、最近、文民統制ではなくて文官統制ではないか、もしくは官僚統制に過ぎはしないかという批判が出てきております。また一方、博識な宮澤長官でございますから当然御存じだと思いますが、シビル・ミリタリー・リレーションズという言葉がむしろシビリアンコントロールにかわって最近使われ始めているように私なりに仄聞しているわけであります。このような新しい動き、そして現在の防衛庁の体制に対する最近のそのような批判についでどのようにお考えでございましょうか。
○宮澤国務大臣 私も、防衛庁の内部から観察をしたことはございませんので、十分なことを申し上げられるとは思いませんけれども、わが国の場合、自衛隊の歴史は戦後でございますから、そういう意味ではまだまだ長い歴史を持ってきたとは申しがたい。恐らくシビリアンコントロールが非常にうまくいきますためには、制服の人たちとそれ以外のシビリアンあるいは政治家等々との間に非常に深い信頼感と尊敬感がお互いにあって、そして自分の分担をきちんきちんとやっていく、しかも話すことは十分に内部では話し合っていく、また世の中も自衛隊というようなものがいかに国民の福祉、国の安全にとって大事なものであるかということをわかってくれて、ここに勤める人をそのように遇し、またそのように尊敬をしていくという、十分にそのような世の中であるかといいますと、ずいぶんよくはなってまいりましたけれども、過去において常にそうであったとは言いがたいようなわが国でございました。そういうことがいろいろございますから、防衛庁内部、内外においてシビリアンコントロールというものを本当にりっぱなものに育てていこうという意欲はお互いに十分あると思いますけれども、歴史がまだまだ十分長くはないということ、それから先ほど申し上げましたような幾つかの事情があって、理想的にシビリアンコントロールが育ってきたとはまだ申しがたいかもしれない。しかしその方向にありますことは間違いないと思います。
○中野(寛)委員 むしろ羹にこりてなますを吹くという言葉があります。決してシビリアンコントロールをないがしろにしろとは申し上げません、これは大変大切なことです。きちっとけじめをつけて守っていかなければならないわれわれの鉄則であると思います。しかしながら、たとえば有事の際に即刻その場に応じて、そのときに応じて対応できるようにするための体制、これもやはり研究をし、整えておかなければならないと思います。 〔春田委員長代理退席、森下委員長代理着席〕 シビリアンコントロールという美名のもとにその統制ががんじがらめで、そして自衛隊が身動きがとれないというふうなものであったとしたら、これは何のために存在するのかわからなくなってしまいます。また同時に、世界の一つの趨勢として、シビリアンコントロールというものが、むしろ古い言葉もしくは軍事政権が世界にはびこっているような時代、それからくる反省として生まれた言葉であったとするならば、それからもうすでに民主政治が確立をされたそういう国や社会においてむしろこれからは一歩それを発展させて、民主主義がしっかりとしているその場所においてのシビル・ミリタリー・リレーションズ、いわゆる対等の関係での、いわゆるコントロールということではなくて、関係という意味での新しい概念が生まれつつある、すでに生まれている、このような感じもするわけであります。このことについて先ほどお伺いしたわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
○宮澤国務大臣 そこでわが国の場合、ちょうど先ほどお触れになりましたように、自衛隊法、防衛庁設置法等々でいろいろな場合を定め、かつ想定しておりますけれども、それに必要な、その状況の展開に必要な、たとえば政令が定められておらないとか、いろいろ整備をしなければならない問題が実はたくさん残っておるのであろうと思います。したがって、自衛隊においてそれらの任務についておる人々にとっては、いろいろな整備が行き届かなければ自分たちの任務がいざというときに満足に遂行できないのではないかという危惧を持つことは、私はこれはきわめて当然のことであると考えます。私はいま一、二の具体的なケースについて申し上げるつもりではございません、そうでございませんで、むしろそういう心配を持っておってなかなかその心配を政治が取り上げてくれないというようなことになれば、やはり大変に自分で煩悶をされて、仮に在職中は言えないとしても、官をやめたときにはやはりどうしても一遍聞いてもらいたいというような心境になられることがあっても私は無理からぬことだ。もちろんその態様、やり方いろいろございますから、具体的にどのケースがいい悪いと申しているのではございません。そういう気持ちはよくわかるので、ですからやはり普段からお互いに信頼感と尊敬感があって、十分に物が話し合えるという状況があって初めてりっぱな意味でのシビリアンコントロールが生まれ育っていくのではないかと思います。
○中野(寛)委員 いまの御答弁で、私どもも基本認識として長官がおっしゃるとおりだと思います。問題は、それがやはり守られているかどうか。そしてそれがきちんと長官のおっしゃるような基本認識に基づく体制にいまもしなっていないとするならば、それをどう是正していくかということが緊急に取り上げられなければならない時期にあると思います。あえていま具体的な事例を言っているのではないということで、大変気を使った御答弁でございました。そのことについて私自身も具体的に長官にお聞きしようとは思いません。ただ、御答弁の立場とは違いますから率直に申し上げますが、栗栖元統幕議長も、そしてまた竹田前統幕議長も在任中あと任期をわずか残しながら、いわゆるやめて言ったのではなくて、あと任期を残しながらあえてあのような発言をされたところに、その職を賭して言われたであろうことはだれが見ても明らかだと思います。それほど思い詰めた中であのような発言をする、またはさせるところ、そのことをやはり十分認識をし、その対応を講じていかなければならない。単に責任を問うということだけで済まされる問題ではない、このように思います。そういう意味で官房長官と認識をむしろ一にしたと思いますから、今度はそれらの対策について幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。 まず自衛官の国会出席等について、先般来ずいぶん議論がなされました。その中で総理御自身も、前向きに検討すべきだ、もしくは出席させるべきだと御発言をなさっております。官房長官としてこれをどのように受けとめ、そしてその真意をどのようにお考えになっておられるでしょうかお伺いします。
○宮澤国務大臣 従来いわゆる制服の高い責任者の人々、統幕議長でありますとかそういう人々が国会等に出席をするという機会は恐らくなかったのでございましょうばかりでなく、政府部内の会議でもそうしょっちゅう顔を出すというようなことでもありませんで、そういう意味では正直を申して疎外感を感じておられる場合があるだろうと思うのでございます。そういうことは本来よくないことで、先ほども申しましたように、お互いに自由に話し合え、そして尊敬し合うというそういう自衛隊であってほしいという問題が基本にございます。でございますから、国会で国会の御意思でかくかくの者にこういうことを聞きたい、出てこいとおっしゃれば、国会の御審議に便宜なように、それに一番通暁した、責任を持っております者が出てお答えするのが本当であろう、原則論はそういうことであろうと私は思います。総理が言われたこともそういうことであろうと思うのでございます。 しかし、さてそれが原則論でございますけれども、具体的にそういうことをやってまいる場合に、どういう場合にそういう人たちが国会でお答えをすることが一番御審議のお役に立つかということを具体的に考えてまいりますと、なかなかメリットとデメリットが出てくるのではないかという感じもいたしまして、原則論は先ほど申し上げたようなことでございますけれども、さらに具体的にということになれば、国会から御要求がございましたときに防衛庁長官を中心に政府側として考えていくべきことではないだろうか、原則論は先ほども申しましたとおりでございますが、具体的にはやはりその場で考えていかなければならないのじゃないだろうかと思います。
○中野(寛)委員 官房長官、今日まで自衛隊の高い地位にある方が国会に出たことは恐らくなかったであろうとおっしゃられたのですが、実はこれだけあるのです、説明員として出られたこともあります。国会の回数で言えば十九国会、二十二国会、二十四国会、二十九国会、三十三国会というふうに、参考人として御出席の場合もあります。証人として出られたケースもございます。ところがこれも昭和三十四年十二月に当時の源田航空幕僚長が説明員として出席をされたきりで、その後とだえてしまっているわけであります。 実は私もまだ国会へ出ましてそう年数がたっておりませんので、なぜそうなっているのかよく事情ものみ込めないままでありますが、しかし、こういう事例から考えますと、むしろ参考人、説明員、証人としての出席については、国会の要請さえあれば過去の前例を踏まえて問題がないというふうにお考えであるのか。同時にまた、先般来議論をしておりますのは、むしろもう一歩突っ込んで、自衛官が自分自身の専門的な知識や経験に基づいて意見を述べることのできる政府委員として、すなわち国会法六十九条に基づく政府委員として、これは内閣が任命をするわけでありますから、その御意思があるかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ただいま資料をちょうだいいたしまして、過去において説明員あるいは参考人として出席を求めた例が幾つかございます、私、先ほど誤ったことを申し上げまして、おわびをいたします。 ただいまのお尋ねでございますが、非常に専門的な技術的なことについて一番詳しい者から説明を受けたいと国会で言われました場合には、制服職員がそのお尋ねにお答えをするということは国会の御意思であれば当然であろうと思います。それはいわゆる政治的な意味を含んでいない御説明といったようなことになっていくのではないだろうか。 なお、後段のお尋ねにはもう少し広い意味で政府委員という仰せがありまして、これは一見全く事務的な技術的な御説明のようであって、事実は時としてかなり判断を含んでお答えをいたす場合がございますものですから、そうなりますと狭い意味での技術的な問題に限らないということになってまいります。そういう場合がいいのであるかどうであろうか、具体的にお求めがございましたときに、これは防衛庁長官を中心に判断をさせていただくということにならざるを得ないと思います。
○中野(寛)委員 その場合、昭和二十七年十月七日、当時の保安庁長官事務取扱、内閣総理大臣吉田茂とあります、保安庁訓令第九号、保安庁の長官官房及び各局と幕僚監部との事務調整に関する訓令というのがございます。これはまだ生きていますね、
○夏目政府委員 現在なお生きております。
○中野(寛)委員 その第十四条に「幕僚監部に勤務する職員は、長官の承認を得た事務的又は技術的な事項に関する場合を除いては、国会等との連絡交渉は行わないものとする。」となっております。これだけですと説明員としては出席できるけれどもという内容なんです。実はこの訓令一本でこれから国会で政府委員として出席を求めるということになった場合、しかし本当は政府委員にまず内閣が任命しないとこちらから要求もできないのじゃないかと思いますが、いずれにせよそのけじめは単に国会から要請があればということだけではなくて、このような前提条件をまず外す、もしくは出席するための政府委員として任命するという、そのような政府の判断がまず望まれているのではないでしょうか。政治的手続として各党で相談するということはあるでしょうけれども、しかし最終的な政治判断は政府にあるのではないのでしょうか。いかがお考えでしょうか。
○夏目政府委員 自衛官を政府委員に任命するのがいかがかというふうな御趣旨の御質問でございますけれども、御承知のとおり現在の政府委員というのは単なる事実関係のみならず、政策的なあるいは基本的な方針的な事項についても大臣を補佐するというふうなたてまえになっておりますし、また政府委員ということになれば常時国会に出席するというふうなことも予想されるわけでございます。 一方、自衛官は実際に部隊におきまして隊務に専念する、あるいは幕僚監部におきましてもそういった隊務に専念する部隊を指揮監督するというふうな立場があることから、果たして政府委員にするのがいいかどうかといういろいろな議論があろうかと思います。 しかし、このことは、先ほど官房長官からもお話のあったように、国会の御要請によって私どもは考えたいと思ってはおりますけれども、現在、私ども内局の関係局長なり参事官が政府委員として答弁しているということは、われわれの立場が政策的な事項について大臣を補佐するというふうな立場から私どもは従来二十数年にわたって国会においても御答弁、御説明を申し上げておりますし、また純粋に技術的な軍事的な問題につきましてもできるだけこれを把握することに努めまして国会でも御説明をしているということで、特段の支障はいままでのところなかった、こういうふうに私ども認識しております。そういうことから、むしろ制服を政府委員にするのがどうかということはいまここで即断するわけにはいきませんが、国会の方の御要請があれば十分考えたいというふうな考えでございます、
○中野(寛)委員 国会の要請があればという、受け身だけでぼくは問題が解決されることではないと思うのです。国会の意思は国会の意思でわれわれとしてわれわれはこれからつくり上げなければなりません。しかしながら、いまこのような訓令が生きているのと同じように、むしろ政府としてシビリアンコントロールのあり方、そして国会への責任の果たし方、政治的優位というそのシビリアンコントロール、それをより正確に——いま官房長は、われわれで国会の答弁をしてきて今日まで差し支えがなかったとおっしゃったけれども、しかしそれは主観的な判断だと思います。幾つかの事例を私たちは私たちとして提示することはできます。むしろそういう具体的な事例で間違ったとか間違わなかったとかいう以前の、防衛庁が四十年三月十日に御提出になった「シビリアン・コントロールについて」という文書、別にこれを挙げるまでもありませんけれども「長官の政策的補佐機関とは別に、防衛庁には陸、海、空の各自衛隊の隊務についての長官の防衛に関する最高の専門的助言者として、」というふうに書かれておりますが、このような最高の専門的助言者である方が、むしろより一層専門的な立場から、そしてまた政治的な意味も含め、そして先ほど冒頭お聞きしましたいろいろな不満がうっせきをし、そして統幕議長の職を賭してあのような発言が出てくる今日までのことを考え合わせれば、自衛官の国会出席というものは、むしろ政府のリードによって——政党間の話し合いや、まして取引などによって生まれるのではなくて、政府自身の毅然としたシビリアンコントロールに対する基本姿勢の中でそれが確立をされなければならないと私は考えますが、官房長官、いかがでしょうか。官房長官にお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 中野委員の御指摘の点は私よくわかって伺っておるつもりでございます。 そして、それはやはり制服の責任者たちが国会というところに出て、そして責任のあるお答えもする、そういうことが制服全体の存在意識も高め、また士気を高めることにもなる、そういう信頼感の中からシビリアンコントロールというものはできてくるのであろう、こうおっしゃっていらっしゃることは私よくわかっておるつもりでございます。が、同時にまた、国会というところは、ここにも政府委員諸君が大分おられますが、なかなかつらいところでもございます。大変に厳しい目に遭う場合もございまして、そういうときにそれにきちっと耐え得て自分の職分を守って、そして責任を果たすということは、それだけをやっておりましてもなかなか十分に果たせない場合が多いようなむずかしい仕事でもございます。場合によって、思わず自分の真意でないことをお答えしたり申し上げたりすることもあり得るような、いわば政府委員にとっては決して楽な場所でございません。そういったようなことをいろいろ考え合わせてまいりますと、やはり相当な試練である。したがって、そこからくるメリットも大きいと思いますけれども、まかり間違うとデメリットも生じかねない。その辺のところは私は大変むずかしいところだろうと思います。 おっしゃいますように、これは国会の方でお求めがあったら云々という話とは違うだろう、政府もだんだんそういうことをどっちにするのか考えておくべきではなかろうかというお尋ねでございました。確かに、いままでそういう具体的な国会の方のお動きもございませんでしたから考えずに済んでおりましたが、だんだんそういうお動きのようになってくれば、どういうふうにすべきかということは防衛庁長官を中心にやがて考えてまいらなければならない問題であろうかと思います。 私ども、そういう立場にございませんもので、十分にその際政府がどう考えるかを申し上げることができません。申しわけないと思いますが、御質問のありましたことは、防衛庁の政府委員が当然防衛庁長官には報告をいたします、その上で、防衛庁長官を中心にいろいろ考えていかなければならない問題であろうと思います。
○中野(寛)委員 私は、これは防衛庁長官だけの問題ではなくて、内閣全体、むしろ最高責任者としての総理の御決断に最後はまたなければいけない問題でもあろうと思います。より一層の積極的な御検討をお願いしたいと思います。 とりあえず、いままで前例がございますが、参考人として決算委員会に御出席いただいたことがございます、内閣委員会、決算委員会に説明員として御出席をいただいたこともございます、そういうことの前例は今日もなお別に変更なく、政府としては、今後国会から出席を求めた場合には御異存ないわけでしょうね。
○夏目政府委員 過去、昭和三十年前後、自衛隊、保安隊の創設当時、制服自衛官が参考人、証人あるいは説明員として出席した例があることは御指摘のとおりでございます。 ただ、この場合は特別の、ある特殊の事項についての出席要求というか説明要求がありまして出席した場合でございまして、今後もそういう必要性があれば出席することにやぶさかではないというふうに考えております。
○中野(寛)委員 防衛庁と大蔵省との予算折衝につきましても、お聞きしますと、今日では、自衛官が説明に立ち会っている、むしろ自衛官のみで大蔵省へ説明に行かれることもおありかと聞いております。それほどに軍事専門家としての自衛官の重要性は高まっている、こう申し上げていいと思います。予算そして安全保障の委員会、またこの当決算委員会、大蔵省と予算折衝に立ち会う、むしろ専門家として、その具体的な効用について、もちろん秘密を守るべきところは守っていただくということで、私どももそれ以上のことをお聞きしようとも思いませんけれど、しかしその必要性に応じて具体的に御説明になる、そのことは、先ほど大変むずかしいといいますか微妙な部分において官房長官が御心配の内容をおっしゃられましたけれども、そういうことに耐え得、かつ国民の信頼を得るしっかりとした態度を持ってこそ国民の信頼する自衛隊になるし、また隊員の士気を鼓舞することにもつながるはずなのです。私は、そのことを心から要望したいと思います。 お役人様がお書きになった答弁要旨を棒読みすることしか知らなかった何人かの今日までの防衛庁長官、その姿こそはむしろ政治家としても責められるべきであった。ゆえにおやめになった方もいらっしゃいますけれども、それは決して突発的事故、偶発的な事故に遭ったというふうな感覚で受けとめられてはならぬと思います。むしろ、真情を吐露し、信念に基づいて軍事専門家としての御説明がある場合、国民は国民としてしっかりとそれを受けとめ納得するはずであります。 次に進みたいと思います。 防衛庁にお聞きしますが、自衛官、いわゆる幕僚監部等と防衛庁長官との意思の疎通はどのような形でどの程度行われておりますか。たとえば官房長や各局長は長官を補佐するものとされており、そしてその方々を通じなければ国会でも説明が聞けませんが、長官にもあるいはそのような傾向がありとするならば、私は、度が過ぎるとすればそれはやはり問題だと思います。制度上の問題は別にいたしまして、今日の国際情勢等々から考え、また今日までの歴代統幕議長のあのような発言等を考えますと、自衛官と防衛庁長官の意思の疎通というのは果たしてうまく図られているのかどうか疑問に思いますけれども、実態はどのようでございましょうか。
○夏目政府委員 防衛庁におきましていろんな計画なり施策というものを立案するに当たって、文官、制服それぞれの立場から積極的に討議に参加してそれぞれの意見を吐くことは当然でございますし、特に制服の人たちが軍事的、専門的な立場から意見を押すのは望ましいことであることは論をまたないところでございます。そういうことで、防衛庁の中におきましても、実際の仕事を進めます場合にそれぞれの関係部局同士の連絡、調整というものは常に十分行われておりますし、また、特に議長、幕僚長等について申し上げるならば、大臣、次官が主宰する会議というのは定例的、臨時に絶えず開かれておりますし、また大臣、次官との懇談の機会もあります。また、仕事の関係で必要があればいつでも大臣、次官あるいはわれわれと各幕僚監部の部長さん方との会議なりあるいは話し合いというのは随時行われている実情でございまして、制服の方々が自分の意見を吐露したり発表されたりそういうことができないというふうな雰囲気は全くないというふうに私ども信じております。
○中野(寛)委員 官房長官にお聞きしますが、総理は統幕議長とこれまで七回会っているとおっしゃっておられます。これは参議院における予算委員会の御答弁です。こういう場合、官房長官はお立ち会いになるのでしょうか。同時に、防衛問題についてその場合に突っ込んだ意見交換が総理とあるのでしょうか。
○夏目政府委員 鈴木総理が昨年の夏総理に御就任になられて以来統幕議長と七回会っていることは事実そのとおりでございます。国防会議あるいは国防会議議員懇談会の場で、あるいは自衛隊観閲式における会食懇談の席上、あるいはまた総理がじきじきに統幕議長あるいは各幕僚長、司令部、方面総監等の第一線の指揮官等を招いて二時間有余にわたる昼食会を開いていただくというふうなこともありましたし、その際隔意ない意見の交換というか意思の疎通が図られているというふうに思っております。
○中野(寛)委員 竹田統幕議長当時はどうだったのでしょうか。——失礼しました。ほとんどそうですね。むしろ竹田統幕議長当時であったはずです、にもかかわらずあのような発言が出てくることがむしろ私は不思議でならないのです。むしろ儀礼的な、または全くの懇談的なものであって、本当に突っ込んだ意見交換というのがなされているのかどうか私は疑問に思えてならない。そういう意味でむしろ本当に忌憚のない意見が出される雰囲気というものをその中でやっぱりつくっていくことが大事。こういう会合ではこういう人はこういう発言はしないものだという慣習みたいなものがもし雰囲気としてあったとしたら、これまた困りものだと思います。国防会議に統幕議長の出席は常に求めているのでしょうか。また、これはどの程度発言がなされているのでしょうか。
○小池説明員 お尋ねの件につきましては、随時統幕議長の出席を求めまして、必要に応じ専門的な意見、説明等を聞いております、特に昭和五十二年以降は毎回統幕議長は国防会議に出席いたしております。
○中野(寛)委員 その場合に統幕議長の話というか発言というのはどういう形で皆さんに受けとめられているのでしょうか。国防会議へ毎回出席をされて、そしてそこで発言を求められて、そして今日のような自衛官、いわゆる制服組と言われる人たちの不平不満というものが折に触れて漏れてまいりますが、どうしてそういうことが生まれてくるのでしょうか。統幕議長というのは本当に専門的な立場から、この前竹田統幕議長が言ったような内容について、こういう会議では言えないのでしょうか。
○小池説明員 国防会議におきまして統幕議長が特にどういう傾向の発言ができないとかそういう雰囲気にはないと承知いたしております。統幕議長は常時必要に応じ発言できる立場にあるわけでございます。そして、そのときに統幕議長が行いました意見の陳述あるいは説明、こういうものは国防会議の議員の審議に際しまして十分に参考にされておるというふうに承知いたしております。
○中野(寛)委員 そのようにお答えになる以外にないのだろうと思います、しかし、防衛庁長官との意思の疎通、総理との会見、そして国防会議の出席、いまの御答弁一つ一つがそのとおりだとすれば、今日までのようなあの栗栖発言や竹田発言が生まれてくることに私は異常さを感じます。しかし、私は、あの方々が退職後評論家として活躍する場合にギャラの引き上げを目的にしてあのような発言をわざわざなさったとは思いません。やはりその職を賭してやむにやまれぬ気持ちで言ったであろうことを私は疑えないと思います。そのような理由について、官房長官大変御専門でなくてお気の毒ですけれども、そのような内容自体が生まれることについて、官房長官としての御感覚といいますかお考えはどのようにお感じでしょうか。
○宮澤国務大臣 いわゆる国防会議でございますが、いま参事官から御説明をしたとおりではございますけれども、私も、これは二十年足らずでございますけれども、国防会議というものに何回か出る機会がございまして、見ておりますと、やはり議題が非常にきちんと決まっておりますものですから、そう議題を離れていわば自分の意見を言い合うというような場にはなかなかなりにくいものでございます。それで私は、実は鈴木内閣が発足いたしましたころから、何とか、国防会議でなくても国防会議議員懇談会というような形式をとることはできますので、そういうものでもときどきやって、そこで統幕議長なり何なりからいろいろな話を、それこそ国際軍事情勢でもよろしいので、聞くようなことをしていければ、そこらあたりが糸口になってだんだんいろいろな話を総理大臣自身もお聞きになれるようになるのではないかと、実はそういうことを考えかかりまして、いろいろなことがありまして今日まで実現をいたしておらないのでございますけれども、そういう方法が糸口を求めるやり方としては一番いいのではないかということを、いまでも実は考えております。
○中野(寛)委員 そのような方法について、官房長官としては、その実現方に、それもできるだけ早い日の実現方に御努力をいただいておる、またいただくということですか。
○宮澤国務大臣 私は、そういうことが非常に好ましいことで、できればやりたいなということを、やはりいまでも考えております。
○中野(寛)委員 ぜひ実現をしていただきたいと思います。最高責任者である総理、また直接の責任者である防衛庁長官、または国防会議の議員のメンバーの方々に率直でそしてストレートな意見が伝えられる、そしてそれを知ることができる、このことがまさにシビリアンコントロールの第一の要件ではないだろうか、こう思うわけであります。先ほどお話の中にございましたように、むしろ議題等が決められておって、会議の進め方が決められておって、そして自由な発言ができない、それはまさに形式的な会議にしかすぎないということになってしまうだろう、こう思うのであります。 ここでちょっと方向が変わりますが、総理秘書官に防衛庁から出向しておりましょうか。または官房長官秘書官にはいかがでございましょうか。
○夏目政府委員 特に出向しておりません。
○中野(寛)委員 防衛庁設置法第十九条に、自衛官の内部部局への勤務というものが長官の判断によってできることになっております。そういうこともあわせ考えながら、秘書官の数には定数があるでしょうけれども、しかし、今日の目まぐるしく移り変わる軍事情報について、できるだけいろいろな機会に意思の疎通がきちっと図れるようにするために、秘書官を防衛庁からも出向させるということ、これは恐らく防衛庁さんの方は望んでおられることだろうと思いますけれども、御採用になってはいかがでしょうか。むしろ緊急時、有事のとき、いま即座にあるとはもちろん思いません。しかしながら、どの国の最高責任者も、そこには常に防衛のための、または軍事のための専門家が付き添い、そして過ちのない判断ができるような方途がとられているはずでありますが、このことについてのお考えはいかがでしょうか。
○夏目政府委員 一般論として申し上げるならば、総理大臣は自衛隊の最高指揮官でございますから、その最高指揮官のところへ防衛庁から適正な人物が派遣できるということは望ましいことであろう、しかし、要は、平素日常の業務を通じて総理と防衛庁との間の意思の疎通が十分図られることが、まずわれわれとしては何よりも先決の問題であるというふうに理解しております。
○中野(寛)委員 御答弁は、まさにおっしゃるとおりです。そのとおりです。しかし、より一層緊密な連携と、そしてまた、総理を初めその最高責任者にある方々に常にその日その日のトピックスや具体的なことが情報としてもたらされる、そのルートが常に存在をしている、いわゆるそういう仕組みがあるとか防衛庁という機関があるとかではなくて、もっと有機的にそういうものができる、たとえば秘書官という形の存在というのは、やはり日本の場合には専守防衛なんですから、守る方なんですから、なおさらそのためには情報というものが的確に耳に入る、そういうことについては留意されなければいけないはずですが、御検討されてもいい一つのアイデアだと思いますが、官房長官いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 御指摘の意味はよく私わかって伺っておりますが、なかなか、実は各省から総理大臣のところへ秘書官を出したいということは、いわばたくさん各省の希望がございまして、お恥ずかしいようなことでございますけれども、場所などからも実は、いま以上に人が置けないような手狭なところで、また遠くにいては仕事になりませんものですから、いろいろなことでなかなかはかばかしくいろいろな話が進んでおりません。いまのことも、しかし貴重な御意見として承っておきます。
○中野(寛)委員 時間が参りましたから最後の質問にしたいと思いますが、その前に一つだけ聞かしていただきますと、防衛庁長官がいらっしゃいます。そして事務次官がいらっしゃいます。各局長がいらっしゃいます。統幕議長、そして三幕僚長は、その下なんでしょうか。内局と並んで、長官に直属するもう一つの部局なんでしょうか。
○夏目政府委員 まず、先ほど来申し上げていますように、長官を補佐する一つの機能として、まずシビリアンで構成される事務次官を筆頭とする内部部局というものがございまして、これは政策事項につきまして大臣を補佐する、一方統幕議長、各幕僚長は、軍事専門的な長官の最高の補佐者であるという意味で、並列的にあるというふうに申し上げることができようかと思います。一方別な面から観察いたしますと、防衛庁といういわゆる一種の行政組織として見た場合に、事務次官は大臣を補佐し庁務を統括するというふうな立場に立っておる、決して上下とかいうことではなくて、それぞれの立場あるいは意味合いを持った存在であるというふうに私ども認識しております。
○中野(寛)委員 形式的な認識として、おっしゃられるその制度の形態は、法律に基づいてそうなっておりますから、それはそれで私はわかっております。むしろ実態として、金と人事権を握って、そして防衛庁設置法第二十条によって、ほとんどの作業について、言うならば自衛隊サイド、これを結局内局が長官を補佐するという名目のもとにコントロールをするというのがいまの実態だと防衛庁なり自衛隊を知る者のほとんどの人たちが指摘をいたします。むしろ防衛行政事務、そしてもう一つ防衛のための作戦指揮、これは並列のものとして長官に直属するものでなければならぬはずです。作戦的なこと、技術的なことも含めて、たとえば国会でも、そして私が聞きますところでは軍事情勢報告に至るまで内局がやっているという実態の中で、果たしてこれからの本当の最高責任者とのきちんとした連携がとられて、そしてシビリアンコントロールが間違いなく適用されるということになるのかどうかについて、正直言って危惧の念を持ちます。私は、むしろこれからいろいろな研究をなされなければならないでしょうけれども、そのようなことについて十分留意をして御検討をし、そして前向きに配慮をされることがいまの世界の趨勢、欧米諸国もそうであるように世界の趨勢にマッチするものだと思います。むしろ今日までの日本の自衛隊のあり方は、あの第二次世界大戦当時の日本の軍部のあり方に対する反省からきて、いい方向へ、民主的な方向へいったとは思いますけれども、いざ有事のときに対応できない態勢というものにまでいってしまっているのではないのか。そして、そのことは決してシビリアンコントロールという言葉が本来ねらったものでもないはずであります、そのことについて、最後に官房長官のお答えをちょうだいして、質問を終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 幾つかの御心配なさっておられる点についてのお話がございました。私といたしましても御説の多くの部分に共感をいたします。非常にむずかしい問題でございますけれども、今後自衛隊が国民から愛され尊敬されて、りっぱなものに育っていきますために、なお改善しなければならない問題がたくさんあるように存じます。
○中野(寛)委員 終わります。
○森下委員長代理 次回は、明後十九日木曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三分散会