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94回国会衆議院1981/03/03

決算委員会 第1号

発言数
304
登壇者
29
会派数
5
開催日
1981/03/03

会議録

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 これより会議を開きます。  國場委員長が病気療養中のため、当分の間、委員長の指定により、私が委員長の職務を行います。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、本会期中において  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産の増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関の経理に関する事項  四、国が資本金を出資している法人の会計に関   する事項  五、国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法によりまして、国政に関する調査を行うため、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、歳入歳出の実況に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 まず、官房長官に私は確認をしておきたいと思うのですが、衆議院の委員会先例集に「決算等の審査」、詳しく明記されているのですが、当然この明記されたことについては十分尊重し、かつそれを守る立場を明確にされていると思いますが、そのことについては確かにそういう意思をお持ちなのか、まず質問に入る前に伺っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 衆議院委員会先例集第四章第二節に「決算等の審査」云々とございます。これをお指しになっていらっしゃると思いますが、もとよりそういう考えでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 しかし、実際には、この先例集に示されているそのような取り組みに非常に誠意が見られないということであります。具体的には、総括審査については、前段において総括質疑が、もちろん理事会の方でも要望するわけでありますけれども、これには応じられてないわけなんです。応じる意思を明確にされてないわけなんですが、今後このようなことについてはしかと応じるという意思を、まずここで確認をしておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 院の御意思が確定いたしますれば、もちろん政府といたしましてはそれに沿いますために最善の努力をいたさなければならないと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらには、「各省大臣の説明には、」「予算執行の結果あらわれた主要施策の実績並びにその効率的使用等についても言及する。」ということなのでありますが、これも行われていないわけでございます。予算と決算は表裏一体だ、そう言われる中にあって、とりわけ決算についての取り組み、重要視をしていくのだという姿勢が見られないわけなんですが、今後このようなことがない、決算についても必ず十分な対応をしてまいりますという意思を表明していただきたいと私は思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 院の御意思に最善を尽くしまして沿う決心でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに、これは会計検査院の検査報告説明があった場合に、各省側よりその検査報告説明について弁明があれば説明をしなければいけない。この説明も、弁明がないのかあるいはその説明をする意思がないのか、このどちらかでいままでは行われていないわけなんです。そういうことについて官房長官はどう認識されているのか、このことについても問うておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ちょっと過去のことをつまびらかにいたしませんので、調べまして、いずれお答えを申し上げます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 きょうはとりわけ院法改正に集中した一般質問ということですから、私は、前段として、やはりこういうことをきっちりと政府自身が踏まえておかなければ次の質問はできないわけなんです。だから、私の与えられた時間内に、私が指摘したことに対する事実関係あるいはそれに対する政府の統一見解、そういうものを示していただきたいと私は思います。  さらに官房長官に尋ねておきたいと思うのですが、昨年の十一月四日、当委員会で私が院法改正についての質疑をいたしております。  当時の議事録から抜粋をいたしますと、院法の改正についてはやはり前向きで取り組み、通常国会に提出すべきであるという私の見解を申し上げたその答弁に、宮澤国務大臣は、「原則論としてはそうならざるを得ない」というふうにお答えをなさっていらっしゃるわけです。ただ後段で、いろいろと内閣の分野での調整に時間を欲しい、こういうことなんでございますが、そのお考えにはお変わりございませんでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 その考えに変わりございません。昨年の十一月にそのようにお答えいたしまして以来、微力ではございますが、実はいろいろな努力をいたしてみました。また、会計検査院におかれましても、新院長が御就任になりまして、私も二度ばかりお目にかかりました。新院長もかつて政府各省あるいは政府機関にお勤めの御経験もおありになりまして、そういう観点からも直接にいろいろ御努力をなさっておられるわけでございます。私も微力を尽くしておりますけれども、今日までのところ御報告申し上げられるような結果になりませんで大変遺憾に存じておりますが、その気持ちには変わりがございません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 過日、新聞報道によれば、会計検査院の権限強化、いわゆる院法改正についての政府の方針としてはこれを断念せざるを得ない、こういう報道がなされているのですけれども、このことについては、官房長官どうなんでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 一部の新聞にそのような報道がございましたが、これは全く誤りでございます。実はこの問題、政府部内でもなかなか従来以上に話が進みませんので、私どもの党、自民党の方にも本件について積極的に関心を持ってもらいたいと考えましてそういう働きかけをいたしたのでございますけれども、そのことが何かの理由で誤り伝えられて逆にそういう記事になったようでございます。全くそういうことはございません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃこの報道は、いわゆる政府としては会計検査院の権限強化に取り組む姿勢を自民党内にも強く認識をしてほしいという取り組みの中で誤って報道がなされた、こういうことでございますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 さように考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに、ことしの一月十九日の参議院の決算委員会において宮澤官房長官は、昨年の暮れ新しく会計検査院の院長が就任をされて、院長就任を機会に、自分の過去の行政の経験に基づいて園係省庁とも少し協議をしてみたい、こういうお話があった。これは院長と官房長官との話だと思うのです。ただ、官房長官としては、会計検査院長の新たな御努力によって関係者の話し合いが進んでいるということに期待をかけておるのだ、こうわが党の委員の質問にお答えになっていらっしゃるわけです。  ここで、まず院長にお尋ねをする前に、官房長官としては政府部内での調整あるいは働きかけ、大蔵、通産、いろいろ問題のある省庁に対しての働きかけは具体的にどれほどなされて、どういうふうに進展をしていったのか、どこまで今日進んでいるのか、ひとつ官房長官からまず聞いておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 私も就任以来、私自身、それから官房副長官にも頼みまして、主として大蔵、通産でございますが、いろいろ意見を聞いてまいっております。本件は性質上、大臣のお話を聞きましてもどうも余り実は正直申して役に立ちませんで、事務当局がどう考えておるのかということを少し聞いて、私なりにそれを評定をいたしまして、どれだけの真実がその間にあるのかということを実は知りたい、こういう気持ちでいたしてまいりました。今日までのところ、後ほどお尋ねがございますと思いますので、その節に申し上げますが、なかなか関係各省、自説を持してどうも譲らないというようないきさつでございますが、そこへたまたま新院長が御就任になられまして、自分としてもその方の行政に経験があるその立場からひとつ話し合ってみたい、こういうことを仰せられた、こういう経緯でございました。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いや官房長官、各省庁の大臣の考えは余り、どういうのでしょうか、十分でないようなことで、事務レベルでいろいろ調整について努力中だということですが、一体どういうことが問題になっておるのか、そのことについてその問題を解決するというのでしょうか、解決するためにどういうようなことをなさったのか、その点をひとつ聞かしてください。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 それでは、少し長くなりますがいきさつを申し上げます。まず、行政各部局が持っております反対論には幾つか理由として挙げられているものがございますが、その第一は、会計検査院が政府機関の融資先にまで検査をする法律上の権限を与えられるということは、やはり公権力の過剰な介入であるという反対論が一つございます。大蔵大臣は、たとえば輸出入銀行に対して監督権限を持っておる、しかしその融資先に対してまでそういう権限を持っておるわけではない、にもかかわらず会計検査院が今度は融資先に対してまでそういう権限を持つということにどうしてならなければならないのであろうか、公権力がそこまで介入をするということが本来適当であろうかというような反対論が一つ。まあ、あえて小さな政府というようなことまで申しておるわけではございませんけれども、そういう哲学から言えばなおさらそうではあるまいか、少なくとも市場経済を基本に考えている政府のもとでそのような公権力の介入というものは好ましいことではないという議論が一つでございます。  それからもう一つの議論は、政府機関がいろいろな金融を行う、金融を受ける者は中小企業者であったりあるいは農業者であったりいたすわけでございますが、そういう人たちは、厳密な意味での経理、帳簿の整理、整備等々、高度にそのようなものを備えて整備されておる人たちであるとは限らない。その人たちの立場から言えば、会計検査院という、俗語で申して非常にこわいお役所から直接検査があるといったようなことになれば、どうも自分たちはとてもそういう厳しい検査に対応するだけの準備もないし、能力もないということで、お役人の言葉をそのまま使いますと畏怖を感じるというようなことになって、その結果としては、政府が考えている政策金融の恩恵に浴するということからいわば離れてしまう、そういうことで、政府が企図しているそのような政策金融というものに障害になる、こういうような議論もいたしております。  そうしてその上で、事実問題としては会計検査院が検査の必要を認められるときにはいわゆる肩越し検査というものが現実に行われておるのであって、それについていろいろ、より便宜を会計検査院に対して供与すれば目的を達することができるのではないか、大体このような考え方が、役所によって多少ずつ違いますけれども、大蔵、通産、農林といったような各省の事務当局の考え方でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いや、官房長官、それはもう毎度、なぜおくれるのだということになると、そういうことが言われるわけです。公権力の介入だとか政策金融に支障を来すのだとか、そういうことが一つの大きな理由になってこれが延び延びになっているわけなんですね。衆参の本会議あるいは決算委員会等の決議を踏まえても、あるいは歴代の総理大臣の本会議における答弁からとらえても、もうこれは院法が改正されておらなければならない時点なんですけれども、いまだにそういうことがある。官房長官、どうなんでしょうか。そういうような考え方は誤りであり、そういう心配は要らないのだという努力をなさったのかどうか、そういうことはなさっているのですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ちょっと、お尋ねの最後のところの意味がわかりませんで、恐縮です。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いま官房長官は、各省庁の心配をしている、こういう点について院法改正をすることにおいてこういうことが危惧されるのだということで説明があったわけなんです。私はそんな心配は要らない、こういうふうに思っているのです。政策金融にだって支障を来すというようなことはあり得ないし、あるいは肩越し検査で十分だというようなことも、それで便宜を与えていけば事が足りるのだ、大蔵大臣の権限の及ばないところにまで検査院が介入していき、そのことが公権力の介入になるのだ——何か少しオーバーな受けとめ方をしているのじゃないか、私自身はそう考えるので、そういうことを官房長官が、国会の質疑の中でこれほど強く院法の改正を各委員会であるいは毎回と言っていいほど強く言われているわけなんですけれども、そんなことに対してなぜ調整——新しい院長の御努力に期待するのだという、その面も私は、それはそれなりに結構だと思うのです。しかし、官房長官として内閣の調整をもっともっと努力すべきではないか、そういう努力を何をなされたのかということを私は聞いているわけです。各省庁の、いわゆる拒むというのですか、反対というのですか、それに対する意見というものは毎回聞いているわけです。それに対してどういうふうに官房長官は説得をされたのか、あるいはもっと理解を求めるためにこういうことをやりましたという具体的なことについて聞いておきたい、こういうことです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そういう議論を聞きまして、私も自分の考えを申しております。多少形式論に過ぎるのではないだろうかとか、自分の思っておることをいろいろ申しておるわけでございますけれども、しかし、なかなか相手を説得できるところまでいっていないということでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 ここに私は内閣総理大臣官房広報室から五十五年度の国政モニター報告書というのを持ってきておるわけです、アンケート調査、とりわけ会計検査院について。このことは、それそれの省庁の、もちろん大臣初め各担当の方は十分御承知なのでしょうね。これは内閣官房から十分説明を各省庁にしていらっしゃると思うのですけれども、それは十分なされているのでしょうね。

小野佐千夫内閣総理大臣官房広報室長兼内閣官房内閣広報室長

○小野(佐)政府委員 お答えいたします。  先生ただいまお示しの会計検査院についてのモニターからの報告書は、関係各省庁にお配りしてございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 官房長官、これについては、中身についてはいろいろまた問題があるのですけれども、ここに会計検査院の検査についての要望だとか期待とか、そういう意見が集約されているのです。このことを見てもわかるように、権限の強化だとか、あるいはより厳格公正な検査、いろいろとここに国民からの会計検査院に対する強い要求、要望あるいは期待があるわけです。私は、このアンケートそれ自身に、一つは権限を強化するために国会の中で院法を改正すべきなのだ、そのことによって公平に国民からちょうだいした税金がきっちりと支出されているのだ、使われているのだということを明確にするために院法を改正するのだ、そういう広報が一つもないわけなのです。これが第一点。にもかかわらず、国民が寄せる期待というものが、いま申し上げたように、権限の強化、検査の厳格公正、いろいろと列記されているわけです。これは何を意味するのか。やはり会計検査院の機能を十分発揮してもらう、そういう体制をつくってもらいたい、そのことが国民の大きな願いだということなのです。これはただ単なるアンケート調査で統計的なものを求めるだけではなく、このアンケート調査を広報室はいかに有効に生かしていくかということ、その取り組みが私は不十分だと言うのです。そういう取り組みをするならば、これは各省庁の反対をしている人たちも納得する一つの大切な資料だと思うのです。  官房長官、どうなのですか。そういうことにこの国民の声をお使いになられたのかどうか、あるいはなぜ院法改正については触れられなかったのか、この点について聞いておきましょう。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 国政モニターの調査でございますけれども、どうしてこのような調査をしたのか、どうしてそういう御指摘のような問題を調査の対象にしなかったのか、私は存じませんので、総理府の方からお答えをしてもらいます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 もちろん総理府の方からは答えていただきたいのですが、官房長官としての見解を、私が指摘をしているそういうことが必要であり、欠けておった、こういうふうにお考えなのか、それならここでそういうふうに答えてもらいたいし、いや、これで十分なのだとおっしゃるのか、このどちらなのですか、こういうことです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 実は私が指示をして調査をさせたという性格のものでございませんので、どういう目的でこの調査をいたしましたか、したがって、ただいま御指摘のような法改正の問題をなぜ設問しなかったかというようなことにつきまして、ちょっと私からお答えができない問題でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 官房長官、私は官房長官が指示をしてこういうアンケートをとらせたのだというふうには理解しておりません。むしろ官房長官としてこのモニター報告書をごらんになって、あるいは私がいま指摘をしたことで、やはり院法改正については触れておくべきであるという私の指摘、さらにはこれの結果を、いま内閣が調整に苦労しているわけですけれども、そういうことにも生かしていくべきである、こういう二点を指摘したわけです。そのことについての官房長官の見解を聞いているわけです。あなたはそういうことについて全く見解がないのですか。そんなことはないでしょう。だから私が言っているように、このことについてそういう院法の改正、あるいは報告書を生かす一つの手段が必要ではなかったのか、こういうことなのですよ。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そのようなことを昨年のこの調査のときに聞いてみましたならば国民がそれをどう考えておるかということを知り得たであろうという意味では、そういう設問をするということは一つの考え方であったろうと存じます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そうなのですよ。設問しなければいけない。そういうことをすべきです。  もう一点残っていますね。この報告を内閣の調整の努力をする一つの大切な資料として生かすべきではないだろうか、こういうことなのですが、この点について。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そういう意味で参考にいたしたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは事務当局から、いまの官房長官の答弁を踏まえて、ひとつ私の指摘したことについて答えてください。

小野佐千夫内閣総理大臣官房広報室長兼内閣官房内閣広報室長

○小野(佐)政府委員 先生の御質問がございましたので、総理府広報室の立場でお答えいたします。  この国政モニターは、総理府の方で一般公募いたしました全国の五百五十名のモニターの方々から、国の行政につきまして随時御提言とか御意見等を拝聴いたしておりますとともに、もう一方では、関係各省庁の要望に基づきまして、設問方式によって意見を聴取する、いわゆるアンケート報告という二つの方法で行政施策に反映させることを目的として実施しているものでございます。この会計検査院に関するアンケートは、会計検査院からの御要望を受けまして私の方で設問をしたという経緯でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 その報告書はその後どのように生かされているかということについては、どうなんですか。

小野佐千夫内閣総理大臣官房広報室長兼内閣官房内閣広報室長

○小野(佐)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、会計検査院初め関係各省庁に報告書をお配りすると同時に、回答を寄せていただきました全国のモニターの方々にモニター月報を通じて御報告する、こういうふうにやっております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私の指摘をしたいのは、ただ形式的な形で配ったらいいのだ、あるいはそれを知らしたらいいのだということでなくて、その中身についての生かされ方が十分でないということなんです。だから、国民からこういう声がある、国会の決議もそうなんですけれども、さらには国民のこういう大切な声を生かせるように各省庁がひとつ努力しなければいけない、そういう細かく詰めていった取り組みが少し欠けているのではないだろうか、こういうふうに思うのです。今後、こういうことについては十分広報の方で気をつけてほしい、私はこういうふうに思います。  ざらに、この広報でも、公正を求めた強い国民の意見があります。その取り組みに対して、一つの便法としての肩越し検査、これについて私は、輸銀なり開発銀行の貸付先で肩越し検査を実施したところがあるのかどうか、ここでひとつ聞いておきたいと思うのです。

丹下巧会計検査院事務総局第五局長

○丹下会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもの方では、ただいま御指摘になりましたような開銀、輸銀に対しましては、いわゆる肩越し検査というものを包括的に協力をお願いしているわけですけれども、ただいままでのところ十分な協力を得ていないわけです。開銀につきましては、貸付対象とした施設整備の現況の実地調査には応じているわけでございますけれども、貸付相手方の貸し付けに関する会計帳簿等の実地調査には応じていない。輸銀については、いわゆる肩越し検査には全然応じないというような現状でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 輸銀の方では肩越し検査に協力しない、それはどういうことで協力なさらないのでしょうか。

竹内道雄日本輸出入銀行総裁

○竹内説明員 肩越し検査の問題ですが、昭和五十一年に一度、全日空がアメリカから航空機を輸入するその資金につきまして輸銀が貸し付けをいたしましたが、その資金使途の確認のために全日空に赴きたいというお話が検査院の方からあったことはございます。当時、御承知のように航空機輸入の問題、非常にやかましい問題でございまして、私どもの方の融資との関連も考えられるということで、そのときは検査院の方に輸銀の職員も同行いたしまして肩越しの調査をしていただいたということがございます。その後、二、三、肩越しの御要求というよりはお申し出あるいは御相談みたいなことがございましたけれども、その後はそういうことはございません。そういうことでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 ロッキードの、いわゆる全日空の問題については受けたけれども、その後申し入れはあったけれどもそれは断られたわけですね。その理由を私は聞かしてほしいと、こう言っているわけです。

竹内道雄日本輸出入銀行総裁

○竹内説明員 一番最近の例で申し上げますと、ことしの二月の二日から六日の間に検査院の実地調査を私どもは受けました。これは五十五年の上期の融資に関するものでございまして、その中の輸出案件三十二件につきまして実地調査を受けたわけでありますが、その実地調査の三十二件全案件について肩越し検査をしたいというお話がございました。私どもとしましては、仮に肩越し検査をするというような場合には、検査院が民間に出かけていかれるわけですから、これはよほど特殊、異例な事情がない限りは肩越しをしていただくのは適当でないと考えておるわけでありますが、この三十二件につきましては、検査院の方から特別不都合である、あるいは疑問点があるというような御指摘がなくて、ただ肩越し調査をいたしたいというお話でございましたので、私どもとしてはそれは適当ではないのじゃないかという御返事を申し上げたわけであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 輸銀の取り組みとしては、そこに不正あるいは不明朗と言うのでしょうか、公正を欠くという十分な裏証拠がない限り肩越し検査には応じられない、こういうふうなことですね。

竹内道雄日本輸出入銀行総裁

○竹内説明員 私といたしましては、会計検査院は国の会計の検査をいたすのが基本でございますので、民間の企業に赴いて調査をするというようなことを考えますのにはよほど特別な事由がなければ適当ではないというふうに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 まさに考えの違いというのでしょうか、政府資金がどのように流れていきそしてどのように使われているのだということを国民は知るべきであるし、また、それを明確にするのが国の務めだと思うのです。そういうことだから、いまの制度それ自体の中では不十分だからやはり院法の改正がそこに必要になるわけです。  余り時間がありませんが、肩越し検査には協力が得られない、これは官房長官、大蔵省がそれで十分だとお考えであれば、十分でないという裏づけに私はいまのお答えを求めたわけですが、今度は検査院長、御就任早々大変御苦労が多いと思います。官房長官からも検査院長の新たな十分な御努力に期待するのだという答弁が参議院の決算委員会でなされているように、とりわけ行政経験も豊富でありますし、そういう意味合いからひとつ検査院長としてのお考え——取り組みはもうすでに出ているわけなんですから。会計検査院としては院法改正についての取り組みは、すでに、たしか五十四年の五月二日だったと思いますが、一応院法の一部改正についての見解が、改正案の要綱が最終的にまとまっているわけなんですけれども、そこらも踏まえた中で院長の所見を、ひとつここで承っておきたいと思います。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 お答えいたします。  先ほど官房長官からもお答えがございましたように、昨年の十二月十日、総理のお手元に五十四年度の決算検査報告をお持ちいたします際に官房長官にお目にかかりまして院法問題の促進方をお願いしたのでございますけれども、本件はただいま御指摘のとおり、一昨年の五月に内閣に調整をお願いして以来、相当の長期間を経過いたしておりますし、また、官房長官自身も本件につきましては大変苦慮もされていらっしゃいます。他方、本件に最も反対の御意向をお示しになっている大蔵省も、その後関係者も交代されておる状況でありますので、私自身個人的に非公式に、事態の進展を促進いたしまして官房長官の御調整のお役に立てばという考えで、大蔵省の関係者につきましてその後の本件に対する御見解を承りますとともに、本件に対する御理解を一層深めていただく。たとえば公権力の過剰介入というけれども、過剰介入というような問題はないのじゃないか、あるいは融資の促進に支障を与えるといいますけれども、われわれの考えているやり方というのは決して融資の促進に支障を与えるものじゃないですよという点を強調いたしまして、御理解を深めていただくように努力いたしました。  その上でさらに再検討をお願いしたのでございますが、何分これは非公式の話でございますので、当面大蔵省の公式の御見解は変わるまでに至っておりませんけれども、関係者の御理解を一層深めていただきまして官房長官の御調整のお役に立てばということを私どもは期待いたしておる次第でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 官房長官、会計検査院法の改正、検査院の権限強化、その方向については何ら変わることがない、そしていま院長が非公式ではあるけれども大蔵に折衝された経緯、これからの取り組みを披瀝されたわけですけれども、これはもう毎回毎回ここで何回となく繰り返して論議されておるわけなんですが、いかがでしょうか、めどを今国会中と——このままで、いや調整に努力中だ、努力中だということでは、私はもう済まされない時期に来ていると思うのです。そういう意味で、私は一日も早い調整の実が実るように願いたいわけですけれども、いつごろをめどにこの問題にけりをつけていただけるのか、どういう見通しを持っていらっしゃるのか、その点について聞いておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、実は私、この問題を自由民主党にもちょっと提起をいたしまして、党の力も問題解決にかしてもらいたいと考えております。何分にもただいまのところ関係者の間の意見がかなり隔たっておりまして、足して二で割るということができない性質の問題でもあり、会計検査院は独立の官庁でもあられますから軽率にそういうことをすべきでもないということもございます。最大限の努力を続けていたしますと言う以外にどうも、お尋ねではございますが、いつまでにということを私の口から申し上げられない。申しわけないことでございますけれども、それがただいまの現状でございます。最善の努力は尽くさせていただきたいと考えております。  それから、先ほど一つお答えができなかった点がございますので、つけ足しをさせていただきます。  会計検査院の検査報告説明につきましては、各省側よりの弁明は現在は行われていないようでございます。しかし、各大臣の決算概要説明あるいは各省庁別決算審査においては実質的な弁明を申し上げていると理解をしております。  なお、本件につきましては、委員会においてこれこれを弁明せよという御運営の御方針でございますれば、もとより政府といたしまして最善を尽くしてそれに対応してまいります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 最後に私は重ねて、与党自由民主党にもその理解を深めるべく努力をしているのだということでめどをいつに立てるかは非常に困難であるということなんですが、大平さんも福田さんも総理としてこれを約束しているのです。約束したことを実行することは当然なんです。なぜ実行できないのかといえば、各省庁間の調整が手間取っているということなんでしょう。いま、自由民主党にも理解を深めてなんということが答弁の中にあるのですが、一体あなたはどっちの声を一国民の声を、国会の声を、そして国会の決議を、そして総理の約束をきっちりしていくのだという姿勢でないと困るじゃないか。どんな考え方でこの問題に取り組んでおるのか、受けとめておるのか、どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 たびたびの国会の御意思の御表示もございます。政府も最善の努力をするということを総理大臣がお答えしておるのでございますから、私としてそういう目的で成案を得たいと考えておるわけでございます。  御承知のように、法律改正になりますと、会計検査院は独立の官庁ではございますが内閣を経て法律の改正を御提案しなければならない、ということは閣議決定をしなければならないということでございますので、閣議決定ができるような調整をいたしませんと提出ができない。その努力を苦労いたしておるわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 一日も早く院法改正の実現を見るように、官房長官として最善を尽くされるように私から強く要望して、私の質問を終えます。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 新村勝雄君。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 最初に、長官にもう一回確かめたいのですが、院法改正に対する政府の態度は先般の一部新聞報道とは全く関係ない、院法改正に対する姿勢は前向きにいささかも変わることなく努力を続ける、こういうことでよろしいわけですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そのとおりでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そういたしますと、まず、いままでの経過を考えまして、衆議院においては三回、参議院においては二回ですか、そのほかに各両院の委員会においても議決をされておる、こういう経過を踏まえて政府も鋭意努力をされておるということは認めるわけでありますけれども、依然としてそれが実現をしていないわけであります。そこで、国会の最高機関性という観点からいたしまして、政府としては、この問題についての基本的な対応の仕方、それからそれをもととして今後どういうふうに処理をしていかなければいけないのか、また、どういうふうな決意と方向性を持って処理をしていかれるのかということ、それをまず伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 国会の御意思がしばしば表明されておりますので、それになるべく沿いました形で政府部内において成案を得まして、そして国会の御審議をお願いをいたしたい、こう考えておるわけでございます。その成案を得るにつきまして、片方で独立の官庁であります会計検査院の御意見があり、他方でそれ以外の行政各部、各省庁の違った意見がございます。この意見を調整いたしませんと閣議で成案を決定することができませんのでその調整に当たっておるわけでございますが、ただいままでのところ成案を得るに至っていない、この点申しわけなく存じております。したがいまして、成案を得るための努力を最善を尽くして継続をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 すでに先般、検査院の方からは、要綱、検査院としてのお考え、これについては政府へ送付といいますか要請をされておると思うのですが、いま長官の言われたのは、政府としては成案がまだまとまっていないということであります。そういたしますと、検査院の方の御意向なり検査院の方の要綱、これに対する政府の考え方はどうなのか、政府はそれとはまた別個にお考えになっていらっしゃるのか、その点はどうなんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 検査院の持っておられます案に対しまして各省庁の意見を調整をしなければならないわけでございますが、その間の調整ができておらないということでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 先ほどお伺いしたのですが、国権の最高機関としての国会の意思表示が明確に、しかも何回もなされておる、こういう状況のもとで、政府としてのその対応の仕方の基本的な姿勢についてもう一回伺いたいのです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 国会の御意思が明確である場合にはその御意思に沿って最善を尽くすべきものと考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そういたしますと、院法の改正という問題については、政府としては前向きに何らかの対応、そして何らかの成果を、言われるような努力ではなくて、現実にそういう成果を必ず上げなければいけない、こういう御決意でいらっしゃると思います。ですから、すでにこの問題が始まってから一年以上たちますけれども、じんぜん日を過ごしているのではないのでしょうけれども、そしてまた今後も単なる時間をかせいでいくということではないとは思いますけれども、これは必ず何らかの形で成果を見ることができるまで努力をなさる、そういう御決意があるかどうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 引き続き最善の努力を続けていく決心でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 それで、先ほど、政府部内にいろいろ異論もある、そしてこの問題については大臣に聞いてもしようがないのだ、事務当局が問題だというような御発言がありましたけれども、それはどういうことなんでしょうか。大臣に聞いてもわからないということでは国政の責任ある執行はできないと思うのですけれども、その点はいかがですか、

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほど申し上げました意味は、大臣を軽んじる意味で申し上げたのではないのでございまして、具体的に法律案を具しまして閣議に出さなければならないわけでございますので、いわゆる法律の文言と申しますか、そこらあたりのところが非常に問題の中心になるわけでございますので、そういう意味では事務当局を十分に納得させませんと具体的に法律案として文章を書くことができない、そういう意味であのようなことを申し上げました。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そうしますと、現在この作業を進めるに当たって問題になっていることは、この院法改正の精神というかその要綱、その改正案の骨子についての問題ではなくて、骨子についてはこれで異論ない、あと成案として法律案としてまとめるその技術的な問題についての問題だ、こういうことですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 各省庁の反対しております理由につきましては先ほど井上委員にお答え申し上げましたので、長くなりますので繰り返しませんが、そのような反対の理由、それと会計検査院が提示しておられます改正案、その調整を具体的にどのような文言で図っていくかという大変に具体的な問題であるわけでございます。そこのところは、ですから事務方がよく納得をいたしませんと、抽象論では済みませんので、そういう意味で事務当局を納得させたいと考えているのでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 先ほど長官は、役人さんが自説を譲らない、自説に固執をしているというようなお話をされましたけれども、それはちょっとおかしいと思うのです。法律の基本的な骨格をなす部分について、いわゆる政策そのものについては役人さんも反対ではないと思うのですね。これを成案としてまとめる技術的な問題についての合意がまだできてない、こういうことなんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ややそうしますと具体的に申し上げなければなりませんが、たとえば会計検査院の検査が行われるということで、融資を受けた中小企業者あるいは農業者がそのことをいわゆる畏怖するかどうかというようなことになりますと、これはもうきわめて具体的な事柄の判断でございますから抽象的に議論をいたしましても意味がないので、そうであるかないかというようなこと、たとえばこれは事務当局と議論をしてどっちの言っていることが果たして事実に近いであろうかというようなそういう説得をいたしませんと事柄は進まない、抽象論では済まないというような意味でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 中小企業あるいは農業団体に反対があるということですが、われわれはそういう点についても実はある程度の調査をいたしたわけでありますけれども、末端においてはそういうことはほとんど聞かれないわけであります。国家資金の導入あるいは融資というようなことがあった場合には、国家資金を導入されるわけでありますから、それについての適正な監督ないし監査をされることについては、これはもう当然だ、そのためにこの制度の運用に支障を来すようなことはまずないだろう、こういうことを第一線では言っているわけでありますけれども、そこらについてはどういう御認識なんでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これらの問題につきましては、たとえば中小企業で申しますと全国中小企業団体中央会、日本商工会議所、全国商工会連合会から、反対である旨の陳情書が私のところへ出されております。農業につきましては全国農業協同組合中央会、農林中央金庫、全国漁業協同組合連合会、全国森林組合連合会等々から、同じく反対の趣旨の陳情が出ております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 それと同時に、実際の第一線の農業者あるいは経営者、そういう方の意見を徴されたことがありますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これらの団体がこのような反対の要望を出されたその根拠になっておりますのは、当然のことながら団体所属の個々の組合員からの意見に基づいて出されたものと考えるのが至当であると思います。その構成員の意向を反映してこのような意見を言ってこられたものと判断いたします。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そういう団体だけではなくて、直接国民の声なり、あるいは特に経営者の声なりを政府は調査をなさるお考えがありませんかということです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 漠然と個々の中小企業者、農業者というわけにまいりませんので、やはりこういう団体を通じてお願いをするということが一番真実に近いものが発見できるのではないかと考えます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 これはやはり国全体の政策であり、特にこの問題が出てきたのは、数次にわたる政治腐敗等が続出をしまして、日本の政治の根幹にかかわる問題として出てきたわけでありますし、同時に、会計検査院のいままでの会計検査の実際の経験の中から出てきたことでもあるわけでありますから、これは日本の政治全体の観点からとらえていかなければならない問題であると思います。そういう点での総合的な判断、それからまた各部局における役人さんの意見、これらももちろん尊重はしなければなりませんけれども、それだけでは全体の最終的な判断をするには不十分であろう。そういうことで、全般的な、総合的な判断のもとに個々の問題も考えていかなければいけないと思うのです。そういう点で、ひとつもう一回、今後のこの問題に対する対処の仕方、基本的な考え方を伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 国会の御意思が明らかになっておりますので、それを法律改正の形で実現をいたしたいと考えておりますが、会計検査院の望んでおられます改正の内容と関係の各省の意見とが一緒になりませんで、調整をなお必要とする状況でございますので、全力を尽くしまして調整をいたしまして、そして内閣として改正案を決定し、国会の御審議をお願いいたしたいと、かように考えておるわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 次に、院長さんにお伺いしたいのですが、このたび新たに院長に就任をされまして、多くの御構想があろうと思いますけれども、その中で、やはり前から懸案になっておりますこの院法改正の問題は、検査院としても最大の御関心をお持ちだと思います。そういうことで、現在の院長さんのこの問題についての御心境、それからまた今後の院としての御努力の方向等について、ひとつお伺いしたいと思います。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 この問題はもう五十二年の衆議院の御決議以来の問題でございますから経過はよく御存じだと思いますけれども、たまたま当時ロッキード事件等を契機として出てきた問題でございますが、財政投融資が相当膨大になりまして、それを背景に政策融資機関の融資金額も膨大になって、その間の政策融資資金の適正な使途について検査院の検査というものが問題になりまして、従来行われております肩越し検査のあり方、その点につきまして必ずしも十分でない点がある、そういう点を御指摘いただきまして、五十二年、検査院の権限を拡大せよという御決議をいただいて、その後毎年のごとく衆参両院からそういう御決議を賜りまして、かつまた、五十二年、当時の総理大臣から両院の御決議をもとに検査院から一つの案が出てくれば検討してみようというお言葉もございましたので、五十三年以来、鋭意部内におきまして改正案を検討いたしますと同時に、政府の関係各省とも調整に調整を重ねまして、最後は、先ほども申し上げましたように、公権力の過剰介入になるのではないかとか、あるいは政策融資の推進に支障を来すのではないかというような点が調整し切れませんで内閣にこの調整をお願いした、それが一昨年五月でございます。  私どもの案自身は、国会の御決議を踏まえまして、なおかつ各省の御反対なさっていらっしゃる公権力の過剰介入にわたらないように、あるいは政策融資の支障を来さないようにという配慮のもとに十分練った案だというふうに私ども考えておりますので、今後ともこの案を基礎に、ひとつ内閣におきまして御調整、御提案をくださることを期待しておるものでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 検査院としては、検査院の機能を十分発揮するためにはどうしても必要だということでこの案の提示になったと思うのですけれども、この案のほかに、検査院の機能を一層発揮するために可能な方法等が何かほかにお考えございましょうか。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもといたしまして現在考え得る、また国会の御決議にも沿い、かつまた政府関係各省の御意見も入れた最善の案だと存じております。と申しますのは、一部には肩越し検査でいいのではないかという御意見もあるのでございますけれども、この肩越し検査自身が必ずしも十分な検査ではないという御指摘のもとに国会の御決議をいただいておるという経緯もございます。ただ、調査権を法定いたしましても、この調査権自身は何ら罰則を伴うものでない、したがって、一部言われておりますような、強制調査権と言われるような筋合いのものでないわけでございます。ただ、調査権というものが法定されておりますと、肩越し検査をやるにいたしましても十分な肩越し検査がやり得る状況になるというわけでございますから、調査権を法定することによって、従来の肩越し検査というもので行われております検査実態というものが大きな変化を来すものではない、検査のやり方あるいは検査件数というものがそのことによって著しい変化を来すものではない、したがって、政府で御反対なされておるような公権力の過剰介入になるような事態、あるいは政策融資に支障を来すような事態には全然ならないものであるというふうに確信いたしておりますものですから、それにかわるような案というものはいまのところ持ち合わせてはございません。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 公権力の介入あるいは経済活動に対する政治権力の不当な介入というようなことが主たる反対だと思いますが、院長さんは過去において大蔵省、経済界にもいらっしゃって御活動されたわけでありまして、こういう御経験の上から、この問題はいかがですか。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 御承知のとおり、肩越し検査というものは従来からやっております。しかし、検査対象機関の、融資機関の御協力を前提としておりますから、必ずしも十分とは言いかねる面がございます。したがいまして、法定調査権というものを院法改正によりまして実現することによりまして肩越し検査というものも十分にやり得ることになります。したがいまして、現在でも肩越し検査ならば十分御協力できるという御意見が政府部内にはあるわけでございますから、したがって、肩越し検査自身を私どもは変更しようというつもりで調査権をお願いしておるわけではございませんので、調査権を法定することによりまして肩越し検査というものが十分にできるようになるということでございますから、政府部内においての反対というものは全然当たらない、私はかように考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そこでもう一つ、検査院でお考えになっておる、これは直接検査活動とは直結しないかもしれませんけれども、新しい構想をお持ちだということを伺っています。財政監督制度研究会というようなものをおつくりになるそうでありますけれども、これもやはり検査院の機能強化あるいは活動強化には大いに資するところがあろうと思いますが、その構想、それからまた今後の運営等について、できればひとつ伺いたいと思うのです。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 まだ細かい点まで構想は固まっておるわけではございませんけれども、会計検査院創立以来、昨年ちょうど百年になるわけでございまして、旧憲法下の旧会計検査院法が戦後改正を見まして新会計検査院法ができまして、新憲法下に新しい検査院が発足いたしましてちょうど三十五年になります。  したがいまして、たまたま今日、財政再建という問題あるいは行財政の改革というような問題も、内閣を中心といたしまして大変大きな問題になっている時期でもございますものですから、その間に会計検査院の検査によりましてお役に立つ点は十分機能を果たしてまいりたい、そういう意味で、行財政に御造詣の深い、見識のある方々の御意見を伺ってみたい。そういう趣旨で、研究会と申しますか懇談会と申しますか、そういうものを今後運営することによりまして、そういう行財政に関する造詣の深い、見識ある方々の御意見も参考にしながら、今後の新しい会計検査の運営も考えてまいりたい、かような趣旨でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そういたしますと、この研究会における研究には、当然検査院の活動をどうすべきかというようなことも研究の対象になるわけでございましょうから、この研究会の成果なりあるいはまたその結論というものが、やはり院法改正という方向、そういう問題が出てくる、あるいはどうしても院法改正が必要だというこの研究会での研究の結果の御意見が出てくる可能性もあるわけでしょうね。これはそういったことも含めての研究ということになるわけですか。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 院法改正の問題は、もうすでに一昨年の五月に内閣まで御提案申し上げている、もう既成の事実でございます。もちろんそれまでに、まだ国会に御提案になっておるかどうかわかりませんけれども、そういう外部の有識者の方々の御意見を伺う場合に、こういう問題もあるいは対象になり得る問題であると存じます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 いまの国の各機関をずっと見てみまして、会計検査院という存在は非常に権威も高いし、またいままでも孤高の権威といいますか、そういうものを保ってきたという印象があるわけですね。したがって、検査院関係には余り審議会とか調査会とかそういうものは、性格上のものもあるでしょうけれども、ないわけでありまして、したがって政治的な世論、政治的な力を側面から醸成するような配慮なり機構というものはほとんどないように思うのですけれども、そういう意味で、会計検査院が本当に国民の世論の上に立って機能を発揮するためには、やはり会計検査院のサイドにおける世論形成というか、政治的な世論を形成する配慮といいますか、そういったものも必要ではないか。そういう意味から言って、こういう研究会をおつくりになる、あるいはまた別の検査院の諮問機関的なものをおつくりになるということは、検査院の機能強化の上からいっても非常にいいことではないかと思いますが、そういったことに対する御見解はいかがなものでしょう、

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 世論形成ということをちょっとおっしゃいましたけれども、私どもは憲法上の独立機関といたしまして、厳正、公平に国民の負託にこたえていくのが私どもの使命だと存じておりますので、そういう趣旨で、常に独善に陥らないように心がけていかなければならない、そのためにも外部の有識者の方の御意見も十分承ってまいりたい、こういう趣旨でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 検査院の強化のために、やはりこれはいま行政が非常に優位ですし、ややもすると検査院の権威というものは、もちろんこれは非常に高いものでありますけれども、行政が非常に強いために、今度の問題についてもやはりそういう問題を含んでいると思うのですけれども、検査院の正しい御主張なり御意見なりが行政の側によって、無視はされないでしょうけれども、それが直ちに政治の中で生きてこないという面があるのではないかと思うのですね。そういった面で、やはりこういう研究制度も結構でありましょうし、検査院の立場を強化する制度的なあるいは機構の面からの配慮が何か必要なような気がするわけですけれども、いかがでしょうか、

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 私どもの気のつかない点で貴重な御意見があれば承らしていただきたいと思うのでございますが、私どもの現在のわずかな人員でもって膨大な検査対象の実地検査に当たっているわけでございますけれども、その間の指摘された諸問題につきましては、速やかに政府側におかれまして関係の諸問題についても御参考にしていただいて、そういう問題が二度と起こらないように御注意していただかなければいかぬかと思いますけれども、内閣で第二臨調等もおつくりになる際でありますものですから、そういう問題も含めて今後十分御検討を賜りたい、かように考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 現在のこの構想に基づく院法が改正され、実現をし、そして検査院の権限が強化をされるということ、これはまあそうなると思います。必ずそうしなければいけないし、なると思いますけれども、その場合にそれだけでは十分ではないのでありまして、聞くところによりますと、現在でも人員が非常に足りなくて、一年間に百日もの出張をする方もいらっしゃるということであります。そういった面についてもやはり、官房長官いらっしゃるところですけれども、必要な人員あるいは機構は整備をしなければ、法だけではひとり歩きはできないわけでございまして、法を運用するのは職員でありますので、この検査院内部の人手不足のために、そういう面から機能が阻害されているというようなことも聞きますけれども、それはいかがでしょうか。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 おっしゃいますとおり、御指摘のとおり、膨大な検査対象に対しましてわずかな人員でやっております関係で、相当職員にも苦労をかけているのはやはり事実でございます。したがいまして、ここ数年来わずかずつではございますが、増員を政府から認めていただいておるところでございます。  ただ、私どもの役所といたしましては、こういう財政下、過分の増員もいかがかということで差し控えておりますが、現在の人員でもってできるだけの検査効率を上げますように、今後とも努力してまいりたい、かように考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 私ども社会党としては、五十六年度の予算の編成の前に人員増を政府に要求を申し上げたわけですが、また検査院さんでも人員増を御希望になっていたようでありますけれども、実際には何人——これはまだ予算は案の段階でありますけれども、何人増員になるお見込みですか、

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 五十六年度予算案におきまして二十名の増員を要求いたしまして、十名の増員が認められております。ただし既定の削減計画に基づく削減が八名ございますから、差し引き、ネット二名の増員でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 官房長官の方へ戻りますが、この問題は幾つかの基本的な問題を含んでいると思います。  その一つは、やはり日本の三権分立の中で、非常に行政優位という現状、こういう中で行政に対する国会の最高権威性が本当に政府によって認識をされているのかという、こういう疑問をわれわれは持つわけですよ。一年以上にもわたってこういう基本的な問題が依然として解決しない。しかも、先ほどから長官の答弁を伺っておりましても、何ともどうも心もとないわけですね。そういうことでは大変困るわけでありまして、両院において、恐らく通算をしますと五回だと思いますが、同じ趣旨の議決をされておる、委員会においても同じ。委員会においては両院において三回ですか、同じ趣旨の決議が行われておる。こういう中で依然としてこれが解決のめどが立たない。こういう状況を考えた場合に、この国会の最高権威性が果たしてどうなるのかという疑問を持たざるを得ないわけです。そういう観点からも、ひとつ政治の原点に立ち返ってこの事態を長官には考えていただかなければならないと思うのです。両院のたび重なる同じ趣旨の決議ということは、これは自民党さんも賛成なさっておるわけですから、与党の自民党さんを初め全野党が、すべての政党が合意をして、そうして国会で議決をされておる。日本の政治の中でこれ以上重いものはないと思うのです。これは制度的にも実体的にも最高の重みがなければならない。ところがそれに対する政府の対応、これは大変手ぬるいわけでありまして、この点もぜひ原点に返ってもらいたいということです。  それからもう一つは、先ほどからの長官の御答弁を伺いましても、総理大臣初め各閣僚のこの問題に対する決意がどうなのか、この問題に対するきちんとした決意さえあれば、これはこんなにじんぜん日を送らなくてもできるはずでありますし、この期に及んで、官僚さんが反対するのですという、まことにどうも心もとないことでありますけれども、はしなくも日本の政治機構の中における官僚制の問題がそこへ頭を出してきているのではないか、それからまた、大臣の指導性が果たしてどこにあるのかというようなこともわれわれは疑問に思わざるを得ないわけです。そういう意味で、ひとつそういう点から大臣の指導性をこの際フルに発揮をしていただいて、お役人さんのその分野における考え方なりはもちろんあるでしょうけれども、それらに左右されることなく、毅然たる態度で、各大臣、特に官房長官それから所管大臣はこの問題に対処してもらわなければならないと思いますけれども、そういった意味で、ひとつ最後の御決意のほどと、それから今後の見通しをもう一回お伺いしたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この問題につきましては、国会のお考えが明白になっておりますので、会計検査院を含めまして行政各部の中で調整をとりまして、そして国会の御意思に沿うような改正案を御提案いたしまして御審議を仰ぎたい、そのための調整に引き続き最善の努力を尽くす覚悟でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そうしますと、いつまでと言うことは先ほどから無理だとおっしゃっておりますが、とにかくこの問題については政府の成案を得て必ず提案する、時間的にはだめだとおっしゃいますから、必ず提案をするというその方向には間違いないと思いますが、その点もう一回。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 できるだけ早く結論を得るために努力をいたしたいと思います。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 その結論は、改正をするという方向での結論になるように特にお願いをして、終わります。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 春田重昭君。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 まず、会計検査院長にお尋ねしますけれども、会計検査院のいわゆる強化を盛り込んだ院法改正の問題でございますが、五十二年五月衆議院の決算委員会で決議されまして今日までいろいろ論議されてきているわけでございますけれども、まだ成案を見ていないということでございます。ところで、検査院としては五十四年四月九日最終要綱を決定されて、四月十二日最終要綱を各省庁に配付されて説明されておりますね。そして五月二日に内閣官房長官にお渡しになっておるわけでございますが、いまの論議からして、いわば各省庁の反対が強いわけでございます。いわゆる未調整のまま出されたわけでございますけれども、その未調整のままで出した意思はどこにあるのか、お答えいただきたいと思います。

藤井健太郎会計検査院事務総局次長

○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院といたしましては、ただいま院長からるる御説明ありましたように、国会の議決あるいは政府の御答弁、これがありましたのを受けまして、五十三年七月ごろから院法改正の作業を進めてきたわけでございます。その間、関係各省にも十分その趣旨を説明いたしまして、可能な限りの譲歩もいたしております。そしてどうしても各省庁の了解を得るに至らなかったものでもあります。しかしながら、貸付金に対します検査の徹底を図るというためには御指摘の最終要綱で示しました程度の権限は最小限度必要であるというふうに考えまして、なお、これが両院におきます御決議、その趣旨にも沿うものと考えまして提案いたしたものでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 ということは、ぎりぎりの譲歩であって、これ以上要綱を手直すというか見直すという考え方は全く持っていない、こう理解していいわけですか。

藤井健太郎会計検査院事務総局次長

○藤井会計検査院説明員 さようでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 官房長官にお尋ねしますけれども、この院法改正問題につきましては本会議で議決、委員会で決議がされているわけでございますけれども、この各党合意の議決に対する基本的なお考え、姿勢というものをお伺いしたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、国会の御意思に沿いまして改正案を政府として取りまとめるべく最善を尽くしたいと考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 議決というのは各党合意なんですよね。議決、決議というのは各党合意でなされるものなんです。それが一回だけだったらいいですけれども、過去相当、何回か行われているわけですよ。それが現在まで結論を見ていない。となれば、これはこの院法改正だけじゃなくしてすべての問題に影響する。国会で何ぼ決議やっても、また議決しても一向に政府の意思が決定されないとなれば、その決議そのものが形骸化してくるのじゃないか、こういう懸念がされるのです。こういう点で官房長官、どういう御見解をお持ちですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 努力をいたしておりますが、なおそれが実を結ぶに至らないことは残念に存じておりますが、しかし、国会の御決議でございますから最善の努力を続けなければならないと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 官房長官が御努力なさっておるのはわかるのですけれども、五十二年以来もう四年たっておるわけですよ。議決されるたびに早急に結論を出すという形で今日まで来ているわけです。四年たっておるわけですよ。  それで官房長官、この院法改正については本会議で何回議決され、委員会でどれくらい決議されておるのか御存じですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 それは、しばしば御決議を両院でちょうだいしております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 正確な数を出しますと、衆議院の本会議で五十二年の五月、五十二年の五月、五十四年の六月、五十五年の十月、四回されております。同じく衆議院の委員会におきましては五十二年の五月、五十二年五月、五十四年六月、五十五年十月、これも四回です。参議院におきましては本会議で五十二年六月と五十五年四月、合計二回、参議院の委員会では五十三年六月と五十五年四月の二回。したがって衆参の本会議で六回、そして衆参の委員会では六回。これだけ数多くされてきておるわけですよ。五十二年以来もう四年だっておるわけですよ。こういう経過を経てなおかつ院法改正がまだ国会に上程されない。努力は認めますけれども、やっぱり限界があると思うのですよ。先ほどから、いつごろに出すめどがあるのかということに対して、それは明確に答えることはできない、最善の努力をします、こういう官房長官の御答弁でございますけれども、限度があると思うのですよ。大体いつごろに出せるのですか、再度御答弁いただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 最善の努力をいたしまして、できるだけ早く結論を得たいと考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 それは通常国会中に上程されると考えていいわけですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、関係者の見解がかなり隔たっておりますので、残念ながらいつまでということを申し上げることができません。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 ところで官房長官、先ほどからいろいろな反対の理由が出ておるわけでございまして、官房長官の答弁もあるわけでございます。官房長官は、各省庁に対しては自分なりに説得や努力をやってきたのだ、こうおっしゃっておるわけでございますけれども、いわゆる各省の態度はわかるのですけれども、官房長官自身のお考えといいますか、官房長官自身としては院法改正についてどうお考えになっておりますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 国会の御意思がしばしば表明されておりますので、それを実現することが好ましいというふうに考えておるわけでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 ところで、先ほどからも問題になっておりました三月一日の新聞報道でございますが、官房長官の御答弁では全く誤りである、政府は会計検査院法の改正については断念するという報道は全く誤りである、こういう御答弁をいただいたわけでございます。しかし、こうした報道が出るということは、根も葉もないところには出ないのであって、火のないところに煙は立たないと言うように、何らかの動きがあったからこういう報道が出されたのではないかと私は思うわけでございますけれども、これはもう本当にそういう動きといいますか、意思というものは全くなかったのですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 どうしてそういう報道が出ましたか、ちょっとつまびらかでございません。そういう動きは私どもの方にございませんでした。先ほど自民党の方に云々ということをちょっと申し上げましたが、そういう働きかけを実はいたしておるぐらいでございますので、そういう報道のような事実はございません。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 二月二十八日の閣議では、この問題については保全然話題にもならなかったわけですか。議題にもならなかった、こういうことですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そのとおりでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 それでは、きょうは各省からおいでいただいておりますので、代表格であります大蔵、通産それから農水の各省の御見解をお伺いしたいわけでございますけれども、院法改正につきましての各省のいわゆる態度をまず一点、賛成か反対なのかお示しいただきたい。そしてその理由について第二点で明確にしていただきたい。これはまず最初に大蔵、次に通産、それから農水、この順で御説明をいただきたいと思います。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 大蔵省の考え方を御答弁いたします。  これまでたびたび申し上げているところでございますが、現在会計検査院の融資先への立入調査法定という問題が出ております、政策金融の問題でございますが、いまさら申し上げるまでもなく政策金融機関の性格上、政策目的に即しまして自由な民間の経済活動というものをできるだけ助成、誘導していこう、こういったような性格から融資を行うわけでございまして、いわゆる補助金と全く異なりまして、もちろん有利子、回収が条件になっておるというような、いわば私契約で融資を行っておるというような性格のものであろうかと思っております。そういった私契約の融資先である民間の融資先への立入調査が法定化されるということは相当大きな問題でございまして、自由な経済活動を生かして政策目的を達成しようというような政策目的に関しまして私どもはかなり問題のあることではないかというように考えているわけでございます。もちろん、私契約でございましても公益上の必要が非常に強いということでございましたら、すべての私契約に対して行政介入がいけないということではないかとも思いますけれども、この場合には、先ほど来お話が出ておりますように、融資先におきまして非常に強い心理的影響を与えるというようなことからの政策目的貫徹の困難性が加わってまいるというようなこともございますし、また現行の制度で行っております肩越し検査その他においても、政府関係機関は十分会計検査院の検査に御協力申し上げておる。また、今後ともに検査院の機能の充実については十分御協力申し上げるという所存でございますけれども、立ち入り先への調査を法定化するということについては、私どもとしては、これは非常な疑問があるという考え方を持っております。

木下博生中小企業庁計画部長

○木下政府委員 通産省としての本件についての考え方を御説明申し上げます。  通産省といたしましては、国の資金の適正な運用を図るということは非常に重要なことだと認識いたしておりまして、従来から会計検査院のいわゆる肩越し検査につきましては、できるだけの御協力をいたしてきているところでございます。ただ、通産省関係の政府関係金融機関で融資いたします先は中小企業が主でございまして、政府関係金融機関の融資に当たっては、一般の民間金融機関よりもより厳正な審査を従来から行ってきておる状況でございまして、会計処理等にふなれな中小企業者は従来からもそれについて負担が過大であるというような気持ちを持っておるわけでございます。そういうような状況でございますので、会計検査院法の改正により、融資に対する調査権限を強化する、法定するというようなことになりますと、中小企業者の受ける負担感、圧迫感というのはますます強くなる、そのために中小企業者が中小関係金融機関から融資を受けるという気持ちが薄らぐというようなことも起こって、政策金融が十分に機能しなくなるというおそれもあると私どもは考えております。  そのようなことでございますので、今後とも会計検査院の検査には十分御協力していきたいとは考えておりますけれども、本件の検査を法定化するというような形の院法改正には慎重であるべきだというふうに考えております。

浜口義曠農林水産省経済局金融課長

○浜口説明員 農林水産省としての考え方を述べさせていただきたいと思います。  先生御案内のように、農林漁業金融公庫の主な貸付対象は零細な家族経営の農林漁業者でございます。農協の転貸方式の実施であるとかあるいは担保の徴求の弾力化、こういったような点から、資金が的確に円滑に出されるように、これまでも農林水産省としては努力してまいったわけでございますが、本資金につきましては、さらに手続面あるいは審査の面でもっと簡素化をすべきである、こういうような御意見が多々あるわけでございます。こういった中で会計検査院の融資先に対する調査権を法定いたしまして制度化した場合には、調査に応ずることが法的に義務づけられることになりますし、書類の作成等特別の準備をしなければならない、そういったようなことがございますので、円滑な融資に支障を来すおそれがある、そういうようにわれわれは考えております。  以上でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 賛成か反対かという明確な御答弁はなくて、いろいろ説明があったわけでございますけれども、説明の範囲からうかがえば、これは反対である、こういうことですね。  そこで、反対という態度をとっているわけでございますけれども、いわゆるその反対の態度でございますけれども、これは一昨年の四月九日会計検査院が院法改正の要綱を発表した、これについてはもう相入れない、どうしようもない、いわゆる積極的な反対なのか、若干手直しをすれば院法改正の必要はあるのじゃなかろうか、その点は認めるという消極的な反対なのかどうか。積極的な反対なのか、消極的な反対なのか、その点を明確にしていただきたいと思います。各省全部言ってください。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 私どもは、会計検査院が政府関係金融機関の融資先へ立入調査をすることを法律で定めるということには反対であるということでございます。

木下博生中小企業庁計画部長

○木下政府委員 通産省といたしましても、ただいまの大蔵省の御意見と全く同じでございます。

浜口義曠農林水産省経済局金融課長

○浜口説明員 農林水産省といたしましては、先ほど申し上げましたように、法定化することにつきまして反対ということでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 いわゆる積極的な反対である、こう理解してもいいと思うのです。反対の理由がいろいろ述べられました。政策金融に支障を来す、公権力の過剰介入、現実に肩越し検査をやっているじゃないかというような反対理由がそれぞれあるわけでございます。  肩越し検査につきましては、先ほどから質疑が交わされておりますけれども、現実にやっているじゃないかという三省のお答えでございますが、大蔵省関係では開銀等は全然やってないわけですよ。輸銀に関しましても、昭和五十一年に一回やったきり、それ以降全然やっていないということは、事実上の肩越し検査が行われていない。肩越し検査というのは、融資先の同意が必要である、こうなっているわけですよ。ところが同意をされないで拒否された、こう見てもいいわけですね。そういう点で、肩越し検査をやっているという理由は通らないのじゃないか、こう思うのです。そういう点では、やはり院法改正の必要があるのじゃなかろうかと思うわけです。この点、大蔵省はどう考えますか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 肩越し検査全部を輸開銀で反対しておるということではございません。ただ、肩越し検査というものは、申し上げるまでもなく、融資先にかなりの負担をかけるということもございますし、安易な運用は慎むべきであるというように考えております。したがいまして、もし肩越し検査をしなければ検査の目的を達成することが著しく困難であるというような具体的な例について、必要な限度で肩越し検査に協力するというようなことであれば今後検討の余地があると思いますが、一般的、無差別に肩越し検査が行われるというようなことについては輸開銀としては従来消極的であった、かようなことだと思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 いまの件で、検査院の方にお伺いします。  先ほど輸銀の総裁は、五十五年度の実地調査につきましては肩越し検査を全部やりたいという検査院からの要望があった、したがって断ったのだ、こういうことでございますけれども、いまの大蔵省の答弁では、必要なとき、いわゆる特殊事情があった場合は、これを認めてやってもいいというようなお考えが示されたわけでございます。過去の検査がゼロということは、どういう関係で検査院が全然やっていないのですか。いわゆる無差別にやろうとしたのか、たとえば、いままで特殊な事情でこれは調べたいと言って要請したけれども断られたのかどうか、それで数字としては出てきていないのかどうか、この辺ちょっと説明していただけますか。

丹下巧会計検査院事務総局第五局長

○丹下会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども会計検査というのは、まず第一に、実物に当たるといいますか、現物に当たるということが検査の出発点であると考えているわけでございます。したがいまして、ある書類があるということだけではなかなか納得できないということがまず根底にあるわけでございます。  これまでの具体的な例ということになりますけれども、ケースとしてはいろいろあるかと思いますが、たとえば開銀の例でございますと、割に短期間で、融資した後にその対象企業が倒産しているというふうなケースの場合に、果たしてその審査が妥当であったかどうかということをやはり見てみたい。あるいは実際に融資の目的を達しているかどうかについての資料を見てみますけれども、その資料が十分でない、やはり見た方がよい。  それからまた、一般的に言いまして無差別に云々ということになるかというふうなことは、そういうふうに解されるかと思いますけれども、私どもは私どもなりの問題点を持ってサンプリング的に調査をしてそれから何らかの結論を得たいといった場合に、こういうところを見てみたいというふうな形で御協力をお願いしましたけれども、協力できないということで断られたというふうなことでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 大蔵省はいまの会計検査院の御答弁に対してどういう見解を持っていますか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 私どもの方が具体的に聞いております限りでは、輸銀につきましては、先ほどもお話が出ましたように、五十一年にロッキード事件に関連しまして全日空に赴いたという例がある。それから、その後輸銀に対しまして会計検査院から具体的案件について肩越し検査の申し入れがあった事例は、五十三年度二件、五十四年度二件ございました。それで、これはいずれも輸銀の方で説明をした結果、肩越し検査はやらないことになったということでございます。  開銀の方は、具体的案件についていままで申し入れがあった事例がないという報告を受けております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 五十三年、五十四年にそれぞれ何件か出ているわけでございますけれども、これは一部の協力であって包括的な協力じゃないと私は思うのですよ。時間がありませんのでお尋ねできませんけれども、いずれにいたしましても、全面的な協力がないから法改正が必要である。あなたたちは肩越し検査に協力すると言っているけれども、現実はされてないのですよ。そういう点で私は法改正の必要がある、こう主張していきたいと思うのです。  さらに、公権力の過剰介入という問題が反対理由になっておるわけでございますけれども、やはり国のお金を貸すのですからある程度の公権力の介入が必要であって、それを過剰と見るか、正当な介入なのか、見解の相違じゃないかと思うのですよ。そういう面では、あなたたちがおっしゃっているのは、かなりオーバーに言っている面が非常にあるわけでございます。要するに、正しい使途で使っていれば、不正に使っていなかったら、これは当然それだけの介入をして見るべきだと私は思うわけです。これは御答弁いただきたかったのですが、時間がございませんので、主張だけしておきます。  さらに政策金融への支障の問題でございますけれども、これは今回の改正案でもかなり歯どめをしているわけですね、全部が全部見るとは言っていませんし、必要があったとき、必要を認めたときだけ融資先を見たい、こういうことで、政策金融の趣旨は十分生かしながら、その融資の、必要なときだけ見ていきたい、こういう検査院からの見解が出ているわけでございますから、私は、反対理由は的を射てない、こう思うわけでございます。  そういう点から言って、三省それぞれ言っておりますけれども、これは相当オーバー、偏見といいますか、かなりそうした極端な評価を持って反対しているのじゃないか、こう思うわけでございます。総理府のアンケートをとってみても、国民から院法改正の強い要望が出ているわけでございますから、これはもう当然早急に国会に上程していただきたい、私はこう思うわけでございます。  そこで、時間が参りましたので最後にお尋ねしますけれども、院長としては一昨年の要綱はぎりぎりの譲歩であったから代案は考えられない、たとえば住宅金融公庫とか沖繩振興開発金融公庫等はそれぞれの法律で融資先の検査を会計検査院ができるようになっているわけでございますけれども、そういう代案も考えない、すべて一昨年の要綱にかける、これ以外にない、これがぎりぎりの譲歩である、こういう御決意に変わりないかどうか、再度お伺いして、質問を終わりたいと思うのです。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 お答えいたします。  先ほどの政府委員からの御答弁等拝聴しておりましても、肩越し検査については十分協力するという御説明がございました。ただ、お聞きのとおり、必ずしも十分でない点もあるような点もございます。そういう点が実は五十二年以来の国会での検査院の権限を強化せよという御決議の一つの発端になっておるわけでございます。しかし、各省、政策融資機関のお立場もございますので、私どもといたしましてはそういう調査権を、この調査権は決していわゆる強制調査権といわれるような、罰則を伴うような趣旨のものではございません、ただ、調査権を法定していただくことによりまして肩越し検査が十分に機能するようになるということでございます。したがいまして、私どもは今後とも仮に調査権が法定されましても肩越し検査で検査を実施していく。したがって、従来と肩越し検査そのもの自身について、検査のやり方そのもの自身が大きく変わるものではない、政府側で御判断なさっておるような公権力の過剰介入であるとか、あるいは政策融資に非常な支障を来すとかいうものではないというふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 最後に官房長官にお伺いしますけれども、いま院長のそういう決意があったわけでございます。そういう点で官房長官は要するに調整役でございますから非常にむずかしい立場にあると思いますけれども、どうも先ほどからの御答弁では政府側のいろいろな御意見の方が強く心の中に残っているように感じて、院法、会計検査院から出されたあれの方が若干各省の反対があるからできないと、どうも姿勢の寄りが各省の方にあるように思うわけですね。官房長官は調整役でございますから、そういう点ではひとつ前向きのお答えが出るようにしていくべきである。どうも反対理由の方を主眼に置きながら今日まで来ておられるのじゃないかという感じを持つわけでございまして、全力で今後努力していく、積極的に努力していくとおっしゃっているわけでございますけれども、昨年の十月の院の決議でも「早急に結論を出すべきである。」ということが出ているわけですよね。そういう面からいったら、この国会に当然一つの成案を出していくべきである。何回も言いますけれども、本会議で六回、委員会でも六回、そして四年の経過を経ている、こういう点から考えたら、もうこれはがまんにも限界があるわけですから、この通常国会に本当に最大の努力をされて、調整されて成案を上程されるべきである。このことを主張いたしまして、最後に官房長官にもう一回決意を聞いて、終わりたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 春田委員御自身が双方の関係者からただいま十分お聞きになられたわけでございますが、お聞きのように考え方に大変に距離がございます。したがって、調整がなかなか容易なことでございませんで、おくれておりますことは申しわけないのでございますが、しばしばの国会の御決議でございますので、その御趣旨に沿いますように、できるだけ早く、最善の努力を調整のために尽くしたいと考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田委員 終わります。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 辻第一君。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 十一月四日の当委員会で、私は肩越し検査では検査の目的を十分達成できないという会計検査院の判断についてそれを否定する根拠が政府にあるかどうかをただしました。官房長官はそれを否定するほどの十分な知識がないとお答えになりましたけれども、もう四カ月たっております。現在はどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねは、肩越し検査で十分目的を達すると考えるかどうかというお尋ねでございましょうか。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 肩越し検査では検査の目的を十分達成できないという会計検査院の判断、これを否定する根拠が政府にあるのかどうかと尋ねたら、十分な知識がないと答えられたので……。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これはやはり肩越し検査であればいろいろな点で御遠慮もある、その前に、まあ相手方の承諾が必要だということになれば、その承諾がまず得られる得られないという問題がそのもとにございましょうし、検査院長が、法的な根拠があればその上で肩越し検査というものが有効に働く、この根拠を欠いておるのだ、こうおっしゃいますことは、私は十分理のあるところだろうと思います。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 しかし、肩越し検査で十分検査の目的が達成できるかどうかということは、やはり独立検査機関であります検査院の判断に属すべきことである、このように考えます。受検側である政府が判断をすべきことではない。少なくとも、まず肩越し検査で十分かどうかという点については政府は検査院の判断に従うべきである、このように考えますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 抽象論としてでなく、検査院長が先ほどからやはり不便があると言っておられますのは、私はそうであろうなと思って拝聴しております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 次に、検査院にお尋ねをいたしますが、これまで財政援助について検査院が指摘をされてきたものの中に、財政援助の相手方について検査できなければ指摘できなかったものも少なくない、このように思うのですが、いかがでしょうか。

藤井健太郎会計検査院事務総局次長

○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  いま資料といたしましては、いわゆる肩越し検査の結果私たちが検査報告等が指摘したというものについて一応御報告いたします。  融資先を見なければならないということは、いわゆる設備資金にございますとか運転資金にございますとか、そういったものにつきましては、やはり融資の一定の目的があるわけでございます。ところが、その国家資金が融資の目的どおり使われているかどうかということにつきましては、融資先の関係書類、それから現物、あるいは運転資金につきましては、帳簿書類を見せていただかないとわからないということで、そういった点で融資先、いわゆる肩越し検査の結果私どもが決算検査報告で報告いたしました事例といたしましては、たとえば貸付額が過大であったとか、あるいは重複貸し付けであったとか、そういったいわゆる不当事項として五十四件、それからその他処置要求とか、そういったものを合わせますと戦後から約七十件の御報告をいたしております。これらはすべて肩越しの検査による結果でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 次に、肩越し検査を拒否するのは主に融資機関なのかどうか、融資機関が肩越し検査をしてもよろしいというオーケーをした状態の中で相手方が拒否をする、そして肩越し検査ができなかった、こういう例が多いのか少ないのか、この点についてお尋ねをします。

藤井健太郎会計検査院事務総局次長

○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  ちょっと先ほどの訂正をさせていただきたいのですが、先ほど、すべてこれは肩越し検査の結果であると申し上げましたけれども、それは例外がございますので、その点御了承願いたいと思います。  それから、政府関係機関の貸付先に対するいわゆる肩越し検査についての問題でございますが、肩越し検査と申しますのは、いわゆる当該金融機関の調査権限に頼って、それで職員の同行をお願いして行くわけでございまして、拒否されたという事態があるとすれば、それはあくまでいわゆる金融機関、融資側の反応でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 政府はこれまで、肩越し検査については協力をする、このようにおっしゃってまいりました。それで肩越し検査に協力をすれば検査に支障はないはずだ、このように主張されてきました。そして、この法改正の反対の理由については、中小企業やあるいは農家の不安を反対の主な理由にされてきました。しかし、中小企業対象の機関では肩越し検査を受け入れておるのが現状であります。しかし、輸銀や開銀はこれを拒否しているというのが現状であります。中小企業の不安を口実にこれらの機関の融資について有効な検査をやらせまい、このような不当な態度であると思います。こういう実態がある以上、法改正が本当に必要である、このように考えますが、官房長官のお考えを聞きたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 しばしば両院において法を改正すべきであると言っておられるわけでございますので、私としては、その両院の御趣旨に沿うように政府部内を調整いたしたいと考えておるわけでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 先ほど井上議員の質問で輸銀の総裁は、輸銀は特別の事情がなければ検査院が民間に直接に行くべきでない、このように答弁をされたわけですが、輸銀融質については肩越し検査をせずに融質が適正であると認定できるのかどうか、ひとつお尋ねをいたします。また、一般に特別の事情がなくても肩越し検査をして、その結果指摘に至る事例もあると思いますが、その点はどうでしょうか。検査院にお尋ねをいたします。

丹下巧会計検査院事務総局第五局長

○丹下会計検査院説明員 お答え申し上げます。  輸銀の場合にどういうことを問題にするかということでございますけれども、私どもの方では実際に、先ほどちょっと御説明しましたように、肩越し検査でもやったことがございませんので、先ほど全日空のケースが一つ出ましたけれども、それ以外には肩越し検査というものをやったことがございませんので、それによって何らかの結論を得るというようなものがあるかどうかということについては判断いたしかねます。  それから、肩越し検査によらなくも、もちろんある範囲内において不適正な事態というものを発見するケースはございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 どうも私のお尋ねしたことにちょっとお答えがずれたような感じがするわけでありますが、輸銀融資の問題で言えば、これまで肩越し検査をなさったことがないということですが、そういうことがなかったとしても融資が適正であると認定できるのかどうか、その辺のところをもう少しお答えをいただけないでしょうか。また、特別の事情がなくても肩越し検査をして、その結果指摘に至る事例もある、こういうふうに思うのですけれども、その点についてもう一度お答えいただきたいと思います。

丹下巧会計検査院事務総局第五局長

○丹下会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもは、与えられた権限の範囲内で自分たちができるだけの努力をして調査して、その結果によって判断するのでございまして、それでもっていいのかどうなのかと言われても、私どもはここで言えることは、自分たちの権限の範囲内で、あるいは自分たちができるだけのことをやって、その結果こういうものが出ましたということで申し上げるだけでございます。それから、肩越し検査をやらなくてもできるケースはあるかと思いますけれども、先ほど私どもの次長がちょっと申し上げましたように、肩越し検査でなくて検査報告になった事例はございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 次に、官房長官にお尋ねをいたしますが、多くの公庫では肩越し検査をやっておるわけですね。ところが輸銀の見解はこれとは違う。大体拒否をしてこられたわけでありますが、こういうふうに輸銀だけあるいは開銀だけ拒否をする、こういう輸銀や開銀に対して、肩越し検査に協力するように指導すべきである、このように思いますが、いかがなものでしょうか。それと、もちろん政府は法改正の努力をされるべきでありますが、今後は肩越し検査を拒否しないことを約束をするといいましょうか、はっきりと打ち出していただきたい、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほど輸銀の総裁がお答えをしておられましたが、それにつきましては私は意見を申し述べるべき立場にはございません。  それから、一般的に肩越し検査になるべく協力をすべきではないかということにつきましては、先ほどから答弁を申し上げております関係各省の政府委員の諸君は大体そのように申し上げておると私、了解しております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 検査院としましても、法改正までの間、必要がある場合には強く肩越し検査を要求すべきである、このように私は考えます。また、それで非協力で検査の目的を十分達成できない、このような事例につきましては、当委員会に報告をするなりまた検査報告に掲記するなりして有効な対処をすべきである、このように考えますが、いかがでしょうか。

大村筆雄会計検査院長

○大村会計検査院長 おっしゃられますように、必要な場合は肩越し検査の御協力をお願いしてまいる所存でございます。ただ、問題によりまして、たとえば本委員会等において問題になりました重大な事案につきまして、肩越し検査を御協力をお願いしてどうも御協力が得られなかったというような場合は、当委員会からの御要求があれば、その経過はまた御説明しなければなるまいか、かように考えております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 今後とも検査の目的を達成するための有効な対処をしていただきたい、まあ法改正ができるまでそのようにやっていただきたい、このように要望をするわけでございます。  次に、十一月四日の決算委員会で私は、今度の改正案が、従来一部の貸付先に対して規定されている検査権より、格段に緩い調査権であることを指摘して、それでも政策金融に支障を来すという政府側の主張について、その根拠をただしました。これに対し官房長官は、どこまで真実か杞憂であるかについて十分な判断をする材料を持っていない、このように答弁をされました。もう少し補足しますと、中小企業や農民、このような方々が帳簿不足、帳簿が十分そろっていない、それを整備しなくちゃならない、そうなりますと公認会計士や税理士さんにお願いをしなくちゃならない、あるいは家の会計と店の会計が混同しておるような場合がある、こういうようなことも含めて政策金融に支障を来す、こういう主張をなさったのですが、その根拠をただしますと、どこまで真実か杞憂であるのか、十分に判断する材料を持っていない、このように答弁をされたわけでありますが、現在いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そこらのところが判断のむずかしいところでございます。確かにそういうことをせんだって申し上げました。店の勘定、奥の勘定、帳簿、経理士であるとか、確かにどうもそういうことはありそうだなという感じはいたしますけれども、それがどの程度の度合いのものなのか。人によっては、多少そういうことはあってもこの政策金融は受けておいた方がいいと判断する人もおりましょうし、そんなことならやめておこうという人もおりましょうし、どうもその辺は確たることはわかりにくうございますが、先ほども申しましたような中小企業の団体あるいは農業者の団体からまとめて反対の陳情が来ておりますのは、ここから判断いたしますと、やはりそういうことが事実なのであろうなと一応考えざるを得ない。しかし、実態は程度問題で、いろいろさまざまであろうと思います。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 中小企業庁の中小企業近代化資金につきましては貸付先についても検査をしておられますが、それによって支障が生じているのかどうか。また、住宅金融公庫、沖繩振興開発公庫については、それぞれの公庫法で貸付先についての検査権が規定されているが、その規定があることによって融資に障害が生じているのかどうか、この点について官房長官のお答えをいただきたいのですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これは、私は実情を存じませんので、もし事務当局が知っておりましたら、お答え申し上げます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 官房長官の認識を聞きたかったので、もうそれで結構でございます。  この法改正問題の調整の任に当たっておられる官房長官が、焦点になっている問題、その点について政府各省の主張にも疑問がある、このようにしながら、その解明を十分やっておられないというのが現状ではないか、こういうふうに思います。そういうことは、私はやはり御怠慢ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。本当にいま会計検査院法を改正していく、これは再三にわたって衆参両院で決議をし、いろいろと質問もされておる、こういう状況でございます。どうか本当にもっと積極的に調整をしていただいて法改正の方向へ進めていただくように心から要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 田島衞君

田島衞新自由クラブ

○田島委員 質問時間わずかに九分ですから、実のある質疑応答はできない。聞きっ放し、答えっ放しになるおそれがありますけれども、そんな短い時間の中で要点を二つだけつかまえて聞いてみたいと思います。  その一つは、これは官房長官にお答えをいただきたいと思うのですけれども、いま問題になっておるところの法改正については、衆議院で五十二年から毎年、連続四回ですか、四年にわたって議決がされている。それから参議院では同じく五十三年、五十五年と再度にわたって議決をされておるわけでありますけれども、そのような議決の対象になっておる法改正が、いかなる理由があるにせよ、たとえば大蔵省にせよ通産省にせよ、国の省庁が反対してだめだ。民間業界の反対、これは自由でしょうけれども、国の省庁が反対するということは、一体そういうことは許されるのかどうなのか。大体国会の議決の権威というのはそんな程度のものなのか。強いて言えば憲法違反だと思いますけれども、それについての見解をお聞きしたい。  時間がありませんから続いて聞いてしまいます。  それから今度は大蔵と——通産も出ているかどうかわかりませんけれども、具体的紀反対の理由に挙げているところの数項目について突き詰めて聞いてみたくても、これは時間がない。そこで、だれにもわかる理屈で聞いてみたいのですけれども、痛くもない腹を探られるということわざがある。もし監督官庁がその投融資のやり方、そしてその投融資による効果というものに自信を持っているのなら、むしろ進んでぜひ調べてください、だれだって自信を持って仕事をしている者は、自分のやっている仕事をだれにも見てもらいたい、聞いてもらいたい、わかってもらいたいというのはあたりまえなのです。それが調べては困ります、反対ですというのは、だれが考えたって、じゃまともなやり方はしていないのじゃないか、こういうことに思われるおそれがありはしないか。そのことについては大蔵でもどこでも、反対の一番先頭に立っている省庁からひとつお答えをいただきたいと思います。  あと時間があったら再質問します。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この問題は、私どもとしては、立法府の御意思が明確でございますから、なるべくそのように行政府をまとめて立案をして御審議を願おう、こう考えておりますので、立法府に対して違う立場を行政府としてとろうとしておるわけではございません。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 政府関係機関いずれも十分な事前審査を融資に当たり行っております。かつまた、事後管理にも非常に力を入れております。したがいまして、融資内容にはそれぞれ十分自信があるというふうに思いますし、輸開銀を例にとりますと、会計検査院で指摘をいただいたということは、ここのところずっと皆無でございます。ただ、私どもが申し上げておりますのは、そういった内容に自信があるかないかという話ではなくて、別の角度から、政策金融というものが政策目的に沿って十分行われるというようなことについてディスターブがあるのではないか、そういった別の面からのデメリットを十分考えなければならないということを申し上げているわけでございます。

田島衞新自由クラブ

○田島委員 国会の議決の権威についての官房長官の答えは、十分尊重するということですが、尊重するということと国の省庁がその法改正に反対するということは結びつきますか。私の悪い頭では理解ができない。尊重するということは法改正へ協力するということであり、その協力の過程の中で、たとえばいま大蔵の方から話が出たように、こういう点については気をつけてください、こういう政策についての考え方があるので、それにそごを来さないように御注意願いたいということはいいじゃないですか。だから、それと検査の権限を広めることに反対するということは理屈が通らない、だから、いやしくも国会が衆参両院で毎年議決をしたものが国の省庁の反対で通らないなんてことは、どう考えてもおかしい。これは憲法違反だと思いますよ。憲法をよく読み直してみたらわかると思う。一体権限というものはどこにあるのか。国の省庁にはない。その点ひとつ官房長官から、もう少しはっきりとお答えをいただきたいと思います。  それから、いま大蔵の方からも、自信を持っている、自信を持っているなら調べてもらったらいいじゃないですか。それほど自信を持っているのなら事細かに調べてみていただいて、どうです、調べてみた結果、私らの言うとおりでしょう、まことにみごとなものでしょうと胸を張ったらいいじゃないですか。何で検査するのがいかぬのか。そこらのところは何人にも理解をさせ得ないと思いますよ。かえって、それほどでもないのに、よほど何か調べられたちまずいところがあるのじゃないかなと思わせるだけ損な話。わざわざそんな損な話をする必要はないでしょう。その点でどうですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 立法府の御意思を実現すべきだと考えまして私が調整をしておりますわけで、それに時間がかかっておりますことは申しわけありませんけれども、基本的にはそういう気持ちで調整をしておりますので、もちろん行法府がチャレンジしようと考えているわけではさらさらございません。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 先生御指摘のように、検査院に調べていただくのは大いに結構だと思います。かつ、現在でも検査院の検査に対して政府関係金融機関はできるだけの協力をしているわけでございます。ただ、そういった検査の過程に当たりまして、融資先に立入調査をすることを法定するということについては、別の角度からいろいろ問題があるのではないかという意見を申し上げているわけでございます。

田島衞新自由クラブ

○田島委員 会計検査院の公権力は不当な介入になり、大蔵省がやっていることは公権力の必要以上の民間への介入にならぬという理屈はないと思いますけれども、残念ながら時間がないでしょう。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 もう少しあります。

田島衞新自由クラブ

○田島委員 たとえば税務の中での課税調査、これなんかだって相当な行き過ぎがありますよ。あるいは会計検査院の検査なんかとは問題にならぬような行き過ぎがある事実だってわれわれはたくさん知っておる。そういう点は当然のことなんだ。だけれども、会計検査院がいやしくも公金と名のつくもの、その大半は国民の税金、その税金の行方をできるだけ正確に追って、本当に効果が上がっているかどうか調べることはいいことじゃないですか。何でそのいいことが悪いのか。反対しなければならぬのか。われわれは保守党の一つですけれども、そういうやり方には賛成できない。わざわざ痛くもない腹を探られるようなやり方だと言わざるを得ないのですけれども、もう少しおおらかに、いいものはいいで協力してみたらどうなんですか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 現在、主務官庁がそれぞれ政府関係金融機関を監督あるいは検査しているわけでございますが、こういった監督、検査に当たりましても、政府関係金融機関の融資先まで立ち入って検査する権限はないわけでございます。政府関係金融機関自体を検査するという権限は持っております。しかし、そういったような意味で、主務官庁の立場から見ましても、ことに政府関係金融機関というのが、先ほどの御答弁でも申し上げましたように、金融機関の一種である、そういうメカニズムを通じて政策金融あるいは政策目的の遂行というものが行われているというような現状に顧みまして、検査院の検査の徹底という問題とそういった公権力の問題あるいは政策目的の問題とのバランスをどこでとるかというような問題かと存じます。

田島衞新自由クラブ

○田島委員 了解いたしませんが、時間がないので、次の機会に譲ります。  終わります。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、内閣所管、総理府所管中総理本府等、沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫について審査を行います。  まず、内閣官房長官から概要の説明を求めます。宮澤内閣官房長官。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 昭和五十三年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管の歳入につきまして、歳入予算額は一千二百五十三万円余でありますが、収納済み歳入額は一千二百二十二万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、三十一万円余の減少となっております。  次に、内閣所管の歳出につきまして、歳出予算現額は九十一億九千七百四十七万円でありまして、支出済み歳出額は九十億三千三百三十六万円余であります。  この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、一億六千四百十万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長。

佐藤雅信会計検査院事務総局第一局長

○佐藤会計検査院説明員 昭和五十三年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、中山国務大臣から総理本府等及び沖繩開発庁について概要の説明を求めます。中山国務大臣。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 昭和五十三年度における総理府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管の歳入につきまして、歳入予算額は七百六十四億七千二百三十五万円余でありますが、収納済み歳入額は六百九十一億五千四十万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、七十三億二千百九十四万円余の減少となっております。  次に、総理府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は四兆一千八百九十二億七千二百五十五万円余でありまして、支出済み歳出額は四兆一千四百十四億五千二百四十万円余であります。  この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、四百七十八億二千十四万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は二百七十二億四千九百七十万円余であり、不用額は二百五億七千四十三万円余であります。  総理府所管の歳出決算のうち、警察庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖繩開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち総理府本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係につき申し上げますと、歳出予算現額は一兆二千六百八十九億九千八百八十七万円余でありまして、支出済み歳出額は一兆二千六百五十三億九千二百六十三万円余であります。  この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、三十六億六百二十三万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は三十一億四千百六十八万円であり、不用額は四億六千四百五十五万円余であります。  翌年度繰越額は、恩給費等でありまして、これは文官等恩給の請求の遅延及び履歴の調査確認に不測の日数を要したこと等のため年度内に支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  最後に、昭和五十三年度決算検査報告におきまして(組織)総理本府で庁用物品の購入について不当事項の指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであり、今後、このようなことのないよう、予算の適正な執行に十分配慮する所存であります。  なお、本件購入額で高価となった額については、昭和五十四年十二月二十六日に関係職員から返還されたことを申し添えます。  以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。  引き続きまして、昭和五十三年度沖繩開発庁歳出決算の概要説明をいたします。  沖繩開発庁の歳出予算現額は一千四十四億四千七百八万円でありまして、このうち、支出済み歳出額は一千四億三千百九十四万円余、翌年度へ繰り越した額は三十七億二千八百七十六万円余、不用となった額は二億八千六百三十七万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額一千七百十一億四千百四十五万円余、予算補正追加額八十三億八千六百六十四万円余、予算補正修正減少額七千六百三万円余、予算移し替え増加額百四十九万円、予算移し替え減少額七百八十億五千四百三十六万円余、前年度繰越額三十億四千七百八十九万円余を増減しまして一千四十四億四千七百八万円となったものであります。  支出済み歳出額の主なものは、沖繩の振興開発のための財源として、道路整備特別会計、治水特別会計、国有林野事業特別会計、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計へ繰り入れた経費八百五十六億一千三万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額三十七億二千八百七十六万円余は、道路整備特別会計において、用地の関係、補償処理の困難、計画及び設計に関する諸条件により同特別会計への繰り入れが年度内に完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった二億八千六百三十七万円余は、退職手当の必要額が予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして昭和五十三年度沖繩開発庁の決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長。

佐藤雅信会計検査院事務総局第一局長

○佐藤会計検査院説明員 昭和五十三年度総理府所管の決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係の歳出につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。  これらのうち検査報告に掲記いたしましたものは、総理本府に係る不当事項一件でございます。  検査報告番号二号は、総理本府において、庁用の水石けん等の不当な価格での売り込みに対して、適切な処置を講じないままその購入を繰り返していたため、購入価額が市販価格等に比べて著しく高価になっていると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、肥後会計検査院第三局長。

肥後昭一会計検査院事務総局第三局長

○肥後会計検査院説明員 昭和五十三年度沖繩開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、丹下会計検査院第五局長。

丹下巧会計検査院事務総局第五局長

○丹下会計検査院説明員 昭和五十三年度沖繩振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

森下元晴自由民主党

○森下委員長代理 次に、沖繩振興開発金融公庫当局から、資金計画、事業計画等について説明を求めます。田辺沖繩振興開発金融公庫理事長。

田辺博通沖繩振興開発金融公庫理事長

○田辺説明員 沖繩振興開発金融公庫の昭和五十三年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫は、沖繩における産業の開発を促進するため、長期資金を供給して、一般の金融機関が行う金融を補完し、または奨励するとともに、沖繩の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖繩における経済の振興及び社会の開発に資することを目的として、昭和四十七年五月に発足いたしたものであります。  昭和五十三年度の事業計画は、当初、貸し付けとして千三百二十五億四千万円、出資として一億円、合計千三百二十六億四千万円を予定しておりましたが、その後、景気浮揚対策の一環として貸し付けに追加額が十九億円ありましたので、千三百四十五億四千万円に改められました。  この計画に対する実績は、貸付決定額が千二百二十八億六千万円余でありまして、出資が一億円、合計千二百二十九億六千万円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和五十二年度末の貸付残高は三千五百二十一億三千万円余でありましたが、昭和五十二年度中に貸し付けを千二百十八億六千万円余行い、回収が四百五十三億八千万円余ありましたので、昭和五十二年度末においては四千二百八十六億円余となっております。  なお、貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十三年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は百四十五億一千万円余でありまして、このうち一年以上のものは百四十億七千万円余となっております。  次に、昭和五十三年度の収入支出の決算について御説明申し上げます。  収入済み額は二百八十八億八千万円余でありまして、これを収入予算額二百九十四億六千万円余に比較いたしますと、五億八千万円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入が予定より少なかったためであります。  支出済み額は二百七十三億七千万円余でありまして、これを支出予算額二百九十二億七千万円余に比較いたしますと、十八億九千万円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。  最後に、昭和五十三年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は三百三十五億七千万円余、借入金利息等の総損失は三百二十五億七千万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上が昭和五十二年度における沖繩振興開発金融公庫の業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     〔森下委員長代理退席、東家委員長代理着席〕

東家嘉幸自由民主党

○東家委員長代理 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————

東家嘉幸自由民主党

○東家委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 五十三年度の内閣所管及び総理府、沖繩開発庁所管の決算審査に当たって、私は、まず難民問題から問いただしてまいりたいと思います。  最初に、インドシナ難民の一般的状況についてでありますけれども、インドシナ三国からの難民の流出は、いまも続いているのでしょうか、

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 お答えいたします。  インドシナ難民の状況につきましては、米国あるいはわが国の救済援助受け入れということ、あるいは流出国からの流出の若干の減少ということで、最近やや改善の兆しが見えますけれども、依然としてインドシナ諸国から大体毎月一万人、昨年全体としまして十二万人の流出がございました。その結果、現在でも東南アジア諸国等におりますインドシナ難民の数は約三十万人というような状況でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 流出した難民が十二万、東南アジア諸国に三十万、アメリカに対しては、再定住した数はどれくらいでしょうか、

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 米国には、大体一月末現在で三十二万人再定住したと言われております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 国連難民高等弁務官に対する資金拠出状況について、わが国はこれまでにどれぐらい拠出しているのでしょうか。また、諸外国の拠出状況と比較してどういう状態なのでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 お答えをいたします。  わが国の拠出が大きく伸びました七九年の数字は六千五百万ドルでございまして、昨年度、八〇年度は六千十万ドルということでございます。今年度につきましては、現在御審議をいただいております予算案の中で六千十万ドルをお願いを申し上げておるわけでございます。  他の主要拠出国との比較でございますが、両年度におきましてともに米国に次いで第二位、第三位が西ドイツという状況でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 先日レーガン大統領が、対外援助を二六%削減をしていく、こういうことを発表いたしております。このことについてわが国がどのようにフォローしていくのか、また、レーガンの削減はどういうところに重点を置いていくのか、この点について聞かせていただけますか。

梁井新一外務省経済協力局長

○梁井政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のアメリカの援助予算の削減問題でございますが、二月十八日に公表されましたレーガン大統領の経済再建計画では、カーター前大統領の提案よりも二六%の削減をいたしまして、五十三・九億ドルになっていることは事実でございます。ただ、この五十二・九億ドルの金額の中には、経済支持援助と難民援助が入っておりません。したがいまして、このアメリカの援助予算の全貌につきましては、三月十日に発表されます予算教書を待つ必要があるわけでございますけれども、まず難民援助について申し上げますと、カーター前大統領は約六億ドルの提案をしておったわけでございますけれども、これにつきましてはほぼこの水準が維持されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、カーター大統領の提案と比べまして、レーガン大統領の再建計画のどこが一体減っているかという問題でございますが、これも内容をもう少し予算教書の全貌を待ちまして検討する必要があるわけでございますけれども、たとえば国際開発金融機関に出す金額、これにつきましては、アメリカは、従来のコミットメントのラインを維持するけれども、その支出の期間を少し延ばしまして、来るべき予算におきましては国際開発金融機関に対する援助の額を減らしたいということを言っておるわけでございます。ただ、全貌につきましては、先ほど申し上げましたとおり、三月十日の予算教書の発表を待ちたい、こういうふうに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 レーガン大統領は、多国間の援助を削減して、二国間においての経済援助、いわゆる基地提供などをしてくれる国に対しては援助協定を結んでいこうという、いわゆる戦略的な援助にしようとしているのではないだろうか、こういうことなんですね。そのことによって日本が受ける影響というのは、まさに多国間の経済援助をわが国が肩がわりするようなことになりはせぬだろうか。総理が訪米する機会には、恐らくそういう海外経済援助問題も話題の一つにはなるのではないだろうか。この点について、まだレーガン大統領の詳細にわたる計画というものは公表されておりませんけれども、二国間に経済援助の仕組みを変えていく、あるいはいま言ったように戦略的な援助に変わっていくのではないだろうか。そのことが、多国間の経済援助をとりわけわが国が肩がわりさせられるのではないだろうか、あるいは自発的にわが国がそういうことを今後していくのだという方針なのか、ひとつ官房長官から、この点について聞いておきたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 レーガン新政権になりましてから、ただいま井上委員が御指摘になりましたような発言が、アメリカの政府の首脳部から確かにこのところよく聞こえてまいりますが、わが国として正式にそのような方針であるということを聞いたことは、ただいままでのところ別にございません。わが国といたしましては、いままで経済援助というものを基本的に人道的なと申しますか、そういう立場から民生を向上させるという考え方でやってまいっておりますので、その点はわが国としてはわが国の方針を今後とも続けてまいるという考え方でおります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 アメリカの多国間援助が削減をされていった、そういう形の中で、それをわが国がフォローアップしていく、そういうことはあり得ないということですか。わが国は、従前のわが国の方針にのっとってその政策を推し進めるということですね。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 もともとこの数年、いわゆる国際機関への出資とか申しますような、そういう多国的な援助が世界的に減っていく趨勢にございます。減っていくと申しますと語弊がございますが、一時のようにどんどんふえていくという傾向は変わってまいっております。そのことは言えることでございますが、仮にアメリカ側が今後そういうことにさらに消極的になる、それによってわが国が影響を受けるということはない、わが国はわが国の方針でやってまいるべきだと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに私は、いま日本に一時滞在する難民について、ここで質問をしておきたいと思います。  現在わが国に一時滞在するベトナム難民の滞在数あるいは入国数はどれぐらいなのでしょうか。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  二月二十八日現在の統計によりますと、その後情勢が変わっておりませんから現時点と申し上げても間違いではないと思いますが、上陸者総数四千三百九十一名、出国者数二千六百三十八名、その間上陸後出生した幼児がおりますが、出生数が百二十二、それからそのうち日本に定住を希望し許可された人たちが五十五名、それで滞在者は現在千八百十四名ということになっております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 これらの難民に対してだれが一体援護、擁護をしているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  これは国連の決議に基づきまして実際の業務をやっているのは国連難民高等弁務官事務所でございますが、その事務所とそれからわが国の慈善団体、宗教団体、それから日本赤十字社のような特殊法人が一時収容の業務を引き受けることを申し出ておりまして、施設を提供するという形になっております。したがって、この援護の主体と申しますのは国連難民高等弁務官事務所と、それからいま申し上げましたわが国の諸団体との町の契約に基づいて行われております。  さらに、わが国のベトナムの一時滞在難民をお世話している団体を具体的に申し上げますと、日本赤十字社、これは施設が十一カ所ございます。カリタス・ジャパン、これはカトリックの慈善団体でございますが、十五カ所ございます。それから天理教、これは一カ所でございます。それから立正佼成会、これも一カ所でございます。なお、定住促進センターというのがありますが、これはアジア福祉教育財団の事業として行っておりますが、これは定住者及び定住希望者への援護が目的でございますが、ここにもベトナムの一時滞在難民というステータスの方々を収容しておりまして、これは二カ所でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いわゆる日赤と民間のボランティア、宗教団体等にお願いをしている。政府は、国内に一時滞在する難民に対して、何らかの財政上の援護を行っているのでしょうか。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 先ほど申し上げましたとおり、一時滞在のベトナム難民に対する援護活動を行っている団体に日本赤十字社がございます。日本赤十字社に対しては厚生省所管の補助金が出ております。その趣旨は、管理運営費という形でございます。これは具体的に申し上げれば、建物の借料、それから人件費というものがその大宗をなしております。五十五年度の補助金の規模は、収容さるべき対象人員と申しますか、めどと申しますか、千名という規模を想定いたしまして、二億六千四百万円ほど支出されております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 日赤に対しては建物の借料あるいは運営費ですね。  さらに私の承知している範囲内では、国連高等弁務官事務所から難民に支給する金額が、大人一日九百円、子供が一日五百円、こういう額だと承知しているのです。この額は、政府としては妥当な額に受けとめられていらっしゃるのであろうかどうか、まずこの点も聞いておきたいと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 先生御指摘のとおり、国連難民高等弁務官事務所が、日本の援護団体との契約の枠内におきまして、難民の主として食料それからその他の付帯経費を含めまして大人一人九百円、子供一人五百円という単位で国連が生活費を見ているという形になっております。  ちなみに、国連が負担しているのはそれだけではございませんで、たとえば医療費、これは別途実費を補てんするという形になっております。また、庇護を受けたとき、つまり日本の港に着いたとき、これは当然のことながら、衣服その他不十分でございますし、気候も違う日本に着くわけでございますから、これはやはり国連の高等弁務官事務所が緊急補助と申しますか、そういう理念で別途支給されております。  先生お尋ねの九百円、五百円というのは十分であろうかということなのでございますが、それに対する私どもの判断としては、これはまあまあ妥当な金額ではないか、妥当な水準ではないかと思います。それに対しましては難民その他から特に問題が提起されておりません。それから判断してもこの水準はまあまあ妥当であろうと私どもは見ているわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 日赤側に対する補助金、建物借料等の補助金、これは具体的にどういう場所でどういう建物に対してどれだけ支払っているのだ、こういうことはおわかりでしょうね、

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  直接は厚生省の所管でございますが、来ておられないので私がかわってお答えいたします。  日本赤十字社は、施設といたしましては全国に十一施設を開設して援護活動に当たっております。収容人員は合計九百三十二名という規模でございます。これは現在、先ほど申し上げました統計の数字によりますと、滞在者、つまり入国者、それから出国者、簡単に言ってその差ということでございますが、それが千八百十四名と申しましたが、その約半分に当たります。ただ、個々の金額、具体的な建物については承知しておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 後で結構ですから、その個々の施設に対してどれほどの補助をなさっていらっしゃるのか、私まで知らしていただきたいと思います。  このことはさらに、善意の宗教関係の方々にいまお願いをしているわけなんですけれども、日赤関係についてはその建物の借り賃、あるいはその建物は何らかの形で日赤が借りるまでの経過等もあるわけですけれども、それはさておいて、さっきの九百円、五百円の難民に支給する金額にしても、これは後払いなんですよ。だから、いわば一定の資金がプールされてないと難民の受け入れということは事実問題としてむずかしいということ、そういうことは本当に難民受け入れの姿勢として、取り組みとしていいのであろうか、こういうことなんです。善意にお願いをするという、ボランティアに何か頼るという、そのような取り組みでは私は決してよくない。これは官房長官ひとつ、わが国の人道的立場に立った政策を今後もさらに引き続いてやっていくのだ、そういう内閣の姿勢ですから、ちょっとしたことですけれども、やはり取り組みの実態について見直しをする必要があるのではないか、個々にはここで申し上げませんが、取り組みの実態について私は見直す必要がある、こういうことを申し上げたいのですが、いかがでしょうか。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 先生いま御指摘の問題点は二つばかりあると思いますが、一つは日赤が補助金を得てその事業をやっておる。そのほかの民間の諸団体は全く慈善事業と申しますか、自発的な善意から、好意からそういう援護活動を提供している。もちろん難民一人当たり幾らと先ほど申し上げましたけれども、そういった経費は外から出ているわけでございますが、たとえば建物とかそれから人件費とか、これはサービスを提供しているそういう慈善団体、宗教団体の負担になっているということはそのとおり事実でございます。この問題に関しては、一つは先生御承知のとおり、憲法八十九条の問題がございまして、政策的にもある程度の制約がございます。長期的には検討課題かと思いますけれども、現状はそのとおりでございます。  それから、第二の問題点でございますが、そういった施設、特に善意でやっているような団体にそういったランニングコストと申しますか、難民の主として食費その他を後払いで負担させているのは、これは問題ではないかという御指摘かと思います。これについて実情を若干説明させていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、その費用は国連難民高等弁務官事務所が契約に基づいて日本のそういう諸団体に支払われるといったてまえになっております。それから、国連高等弁務官事務所といたしましては具体的にどういう経理をしているかと申しますと、国連の財政年度、これは暦年でございますが、四半期ごとに大体の大まかなめどをつけまして、つまり人数とかそれから通常起こり得る医療費、医療費は後で補てんするわけなんですけれども、それを前渡しをするというのが実は原則になっております。  ところで、先生御指摘のような問題が起こったというのは、ことしに入って特殊な事情が実はございました。先ほど申し上げました国連高等弁務官事務所と各施設、諸団体との契約は、一年ごとの契約更改という形で行われております。ところが、国連の本財政年度はもう発足したわけでございますけれども、いまだに契約更改が完全に終了しておりません。つまりその間、諸団体は当然去年の契約のめどに従いまして事業を継続している、国連側は暫定的にそれを認めているということになっておりまして、その間、前渡しするたてまえである費用が支払われていない、そういう変則的な状況が生じております。これはもちろん先生御指摘のとおり困ったことでございまして、国連側にも財政事情があり、それから諸団体にももちろんあるわけでございまして、また契約の内容にはそういう財政的な面以外のいろいろな問題点もございます。そういうことでおくれているので、なかなか困難な問題ではございますが、私どもはその中に立ってなるべく早く決着がつくようにただいま努力中でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 矛盾をなくするためにも、ひとつきめ細かい取り組みをお願いしたい。私は、善意から取り組んでいらっしゃる宗教団体が何もお金を求めているわけじゃないのですけれども、甘えの中でそれでいいのだという認識を持ってもらうと困るので、政府としてもそれに対する感謝の気持ちを示していくべきであるし、そしてその善意にこたえるべき取り組みをすべきである、こういうふうに思うわけです。後払いの問題については早く解決するように努力してほしいと思います。  さらに難民の人たちが現在どのような生活をしているのか、いわゆる実態についても私は触れておきたいと思うのです。  これは実際問題としては働いているわけですね。生活が苦しいから働いているのか、あるいはさっき妥当な額であるという中からそれじゃなぜ就労が必要になったのか。  具体的に、これは日赤が運営をしております沖繩の本部の本部国際友好センター、この中での生活の実態を私は調べました。やはり就労しているわけなんですね。そしてどのような賃金を受けているか、どのような場で働いているか、さらにはそのことは、一時的な労働力を確保することのためにそれらの人々がそういう形の生活をしていると、ただでさえ沖繩の就労率というものは全国的に見て低いわけですから、そういう中から沖繩の中で労働を求める人々に対してそれがどう影響しているのであろうか。人道的立場に立つことが優先すべきであるが、そういう取り組みからいたしますと、いま指摘をしたように、私は便宜的労働力と申し上げたいのですが、とりわけ公共事業にもし便宜的労働力として難民の就労があったとするならば、これはどうもまずいのじゃないかと思うのです。  だから、なさっていらっしゃることと実情というものに私は矛盾を感じるので、こういう点についての取り組みはどうなさるのでしょうか、あるいはどういうふうに実態をつかんでいらっしゃるのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  まず原則的な問題でございますが、難民が就労しているのは生活が苦しいのではないかという問題点でございます。そういうことはございません。むしろ就労を認めている趣旨は、もちろんこれは一時滞在の難民の臨時就労ということでございますが、これは原則として認めております。これは難民が長期非常に限られた場所に収容されているわけでございます。中には働き盛りの青年もおりましょうし、壮年もおります。この方たちを何ら意義のある労働と申しますか、仕事と申しますか、そういうものにつけないということはこれは別途やはり問題かと思います。またそういう人たちが平穏に生活を送るために、俗な言葉で申しますればストレスの解消も必要と思います。そういうことで就労を認めているわけでございます。したがって、働かなければ生活できないという実態はないと承知しております。  それから第二の沖繩の具体的な問題でございますが、また申しわけないのでありますけれども、厚生省にかわって私が報告を受けた範囲でお答えいたしたいと思います。  本部の難民収容センターで臨時就労と申しますか、それの実態を申しますと、まず賃金の単価でございますが、これはいろいろたくさんのケースがございますが、一律大体一日三千円という単価で支払われております。  それから、どういう具体的な職場かというお尋ねでございますが、これは非常にいろいろバラエティーに富んでおりまして、たとえば建設会社、農家、商店、コンクリート会社、鉄工会社のような町工場、給油所、いろいろな種類がございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 就労についてですが、公共事業等に就労している、そして時間帯にもよりますけれども通常よりも賃金ベースも低い、安い労働力を求めての難民の一時便宜的労働力を確保していくという方向には余り感心しない、こういうことを私は指摘したわけです。就労を認めているということは私もわかっているのですけれども。  そういうことを考えると、それじゃ、いままで一時的難民といってわが国に相当長期間滞在をしておる難民もおるわけなんです。中には本国に、国もとに送金をしている——送金というのでしょうか、金か物かは別として。あるいはみずからの労働で得た賃金で生活を少しでも潤わしている。何もそれがいいとか悪いとかの問題でなくて、実情はそういうことです。そういう実情を御承知なのか。にもかかわらず定住する数が非常に少ないわけなんですね。いわば一時ボートピープルとして入って一時的な便宜的労働力を供給して、そして俗っぽい言葉かもわからぬけれども、一定の稼ぎを得て、そしてまた離れていく。こういうことは政策としてはよくないということなんです。そういう実態を御承知なのかどうか、あるいはそういう実態に対してどう対応していかれるのかということを聞いているわけなんです。  だから、それならそういう人たちに定住させる方向に進むのだ——後で私はその定住問題にも触れますけれども、いまそういう意味では、一時的な滞在をする難民対策としては少し検討を加えるべきではないだろうかという私の基本的な質問なんです。このことについて、どうなんでしょうか。所管が厚生省いやどうだということは、数字的なことはよろしゅうございますから、もし何でございましたら官房長官から、基本的な原則論をきっちりと踏まえた中で取り組んでいかなければいけない、こう私は思うのです。だから、一時的難民に対するいまの取り組みに十分でないという指摘をしたわけで、いかがでございますか。そういう点について私の指摘を踏まえてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 先生のいまの御指摘はまことにごもっともだと存じております。一時滞在難民が事実上長期化するという問題をあわせて御指摘なさいましたけれども、この問題について少しく御説明申し上げたいと思います。  確かにこの二、三年、米国であるとかカナダ、オーストラリアへの出国者数に比べて入国者の数が増加しております。したがって、長期化の傾向にあることは事実であります。大体平均——平均というのは妙な考え方なんですけれども、大体一年という例が非常に多くなっております。  もちろんわが国といたしましては、これらの人たちの中からも日本に定住する希望があれば、定住条件その他を考えまして希望どおり許可するという方針をとっております。また、日本に事実上滞在者が多くなったということに関しまして、現在具体的にはアメリカ、オーストラリアが一層の努力と申しますか引き取りに当たっておりまして、いま適格者の選定と申しますか、そういう作業が進行しております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに続いて、私は難民の定住問題について指摘したいと思います。  過日も、難民の定住が、広がる理解の輪の中で定着しつつあるという報道がなされておりました、このことは非常に歓迎すべきことであります。  しかし一方、いままでにわが国に定住した難民が何人ぐらいいるのか、あるいはそのことは諸外国に比べて——いまも諸外国との一時難民についての数字が少し挙げられましたけれども、日本への定住者が少ないのではないだろうか。さらには日本は、政府は千人の定住枠を設けている。実際はそれだけまだ定住していないと思うのです。  だから、まずどれぐらいの難民が定住したのか、そして、千人の定住枠を設けているわけですけれども、その定住枠を満たすためというのでしょうか、それを受け入れをするためにどうしてきたのか、あるいは今後どうしていくのか、こういうことについて私は聞いておきたいと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 まず、定住許可の実態からお答えいたします。  定住許可の実数、これは定住許可総数から、そのうちから取り下げたケースが少なくないわけでございますが、その数を引いた数でございます。許可実数として七百九十九名です。現にわが国の国内に入って実際上定住している数は六百二名でございます。  それから、先生御指摘の、少ないのではないかという問題でございますが、それから枠の千というのはどういう意味がという御指摘かと思います。同じような性質の問題かと考えますので、取りまとめて御説明申し上げます。  まず千人という枠なんでございますが、これは枠と申しますか、努力目標といいますか、一応のめどと申しますか、本来暫定的な数字でございます。経緯から申し上げましても、当初当面五百という枠を設定いたしました。その後、これを弾力的に運営するという方針に変えました。そして現在実施している閣議了解が千人、これを千人とするという考えになっております。  千人というのは一体何を意味するかと申し上げますと、一つは、これは日本に難を避けて実際に到着した、たとえばボートピープル、そういう方々を難民として日本に受け入れる枠では本来ございません。むしろ実績としても大多数なんでございますが、千という数字は、インドシナ難民が現在ASEAN五カ国及びマカオ、香港、七カ所に、これもみんな一時庇護でございますが、相当な難民が滞在しております、そこまで出かけていって、日本の定住条件に合致している人を選んで、そして定住許可を与えて、日本に入国の許可を与える、実際に日本に着く、そういう性質の難民を主として想定した数字でございます。  それから、もう一つ指摘しておきたいのは、そのほかに、たとえばベトナムの元留学生という問題がございます。これは政変後そのまま日本に滞在し、難民と同じような理由で本国に帰るわけにいかない、そういう人たちには、この枠とは別途難民として滞在、つまり定住を許可しているわけでございます。これが手元の資料によりますと、現在七百四十人、つまり千という枠の外にこれだけの実績がございます。これが実態でございます。  それで第三の先生の御指摘、実際上、難民の救護活動を活発にしてふやすべきだがどうするかというお尋ねでございますが、この点に関しましては先ほども触れましたように、適格者調査団というものを編成して現地に送り、定住適格者を見出す作業を精力的にやっております。これは昨年、歴年でございますが、十一件、十一班派遣されております。ことしになってすでに一班派遣中でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 千人の定住枠を設けて、そしてASEANに一時滞在をしている難民を受け入れる調査団を出しているという、それに対する報告というものが十分でないのじゃなかろうか、こういうふうに思うのです。そのことはまたいずれ。  ただ、私どもの受け方としては、やはり七百九十九名に対する許可、実数として六百二名、まだ今後の検討の課題だと思うのです。このことについても努力を願いたい、すべきである。  さらに、孤児難民が初めて受け入れられたわけです。里親の善意を頼りにということですね。これはつい先日大きく報道された里子の入国ですね、この里親制度あるいは里子の入国について本当に十分な対策がなされているのであろうか、こういうふうに思うのです。一時的な善意だけで入国をした里子の人生、将来は必ず十分保障がなされているのだということも言い切れないし、だからといってこの頼る里親の善意をわれわれはやはりそこにも期待もしたいわけなんですが、施設のときにも申し上げましたけれども、こういう善意に対する政治の対応が十分でないと思うのです。もし万が一経済的な面でだとかあるいは心理的、感情的な面も含めて何らかの形でそこに障害が起こり得た場合、起こった場合、どういうふうにそれを補完していくのか、補っていくのか、やはりそういう対策が十分打ち立てられないことには完璧でないと思うのです。  まだ始まったばかりですから、受け入れられたばかりですから、このことについては、やはり今後の取り組みとして対策に万全を期してほしいという強い願いが私にはあるわけですけれども、そのことについて、ひとつ政府の見解を聞かしていただきたい、こういうふうに思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答え申し上げます。  確かに、里親、里子の制度によって難民を受け入れるということには、先生御指摘の、いろいろな問題がございます。社会的な問題もあり得ましょうし、また政策レベルの問題もありましょうし、制度的なレベルの問題もあり得ると思います。  それで、いまやっている実態を少々説明させていただきたいと思いますが、里親として難民の里子を引き取りたいと希望する方々は、手続といたしましてはアジア福祉教育財団、これは姫路と大和に定住センターを運営している母体でございますが、そこに申し出られてそして登録されます。ただ、先生御指摘のとおり、里親、里子というのは軽々に運営できるようなものではございません。善意は善意でございますが、本当にそういう能力があるか、それだけの覚悟があるか、それだけの資力があるか。それから里子の方にもいろいろ適性その他がございましょう。それで、これは里親、里子のいわば縁組みが社会的常識から見て果たして妥当なのだろうかということをだれかが判断しないといけない制度だと思います。  それで、現在、そういう審査をし、あっせんをし、実現に向けて事実上努力している専門家がございます。それはISSと言いまして、国際社会事業団とでも訳しましょうか、そういう世界的な組織がございまして、日本の支部がその実際の縁組みの手続と調査それから助言を行っております。その結果、先生御指摘のとおり、具体的な例はまだ一件しかございません。八人最近入国いたしました。日本としては初めての経験でございますから、こういう人たちの実例、実績などをよく調査、研究いたしまして、問題がもし起こったらどうするか、先生の御示唆もあり、これから真剣に考えてまいりたいと思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 事務局長大変丁寧にお答えをいただいたわけですけれども、最後に、官房長官。  いまお聞きのように、いろいろと問題を抱えながら、人道的立場に立ってのわが国の政策が進められていく。とりわけ難民問題、里子を含めて定住した後の難民に対する擁護の体制は万全なのかどうか、こういうことなんです。このことをひとつ官房長官に。そしてもし官房長官としての見解があれば、やはり定住した難民問題に対する取り組みですね、これはやはりきっちりと政府としての見解を表明すべきである、こう思うのですよ。官房長官からこのことについてお答えをいただきたい。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 るる御説明を申し上げましたが、わが国としては何分歴史のきわめて新しい問題でありますし、またわが国全体が十分準備をして事に当たったとも正直申して申しにくい種類の問題でございますから、いろいろ改善の余地があろうかと思います。人道的な立場からも、またこれだけの経済力を持つに至りましたわが国としてふさわしいだけの務めを果たすという立場からも、いろいろ改善してまいらねばならぬ点が多々あろうと思います。そういう努力をいたさなければならないと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 官房長官、答えとしては非常にスマートであると思うのです。しかし、定住問題、いわゆる難民問題についてもう少し哲学的なものを披瀝してもらいたいと思うのです。だから、極端な言い方をすれば、日本に定住をする、そしてずっとそのあとを見守っていくのがいいのか、ずっと難民に対して見守るのがいいのか、あるいは一定の地域、場所に居住し、一定の仕事を与えて、保護政策というのでしょうか、何らかのそういう形をとっていくのがいいのか、あるいはそのままにしておく、日本人と同じようにそのままじっとしておいていいのだ、みずからの力でみずからの努力で生きていくのだ、ひょっとしたら転んで失敗をしていわゆる生活に破綻を来すかもわからない、あるいは財をなすかもわからない。いろいろな意味で、表現は別として、私の指摘をしたいのは、どんな生活の状況に置かれるかわからないけれども、定住したらそのままほっておいていいのだ、そういう立場というかそういう見解をお持ちになるのか、もっともっとアフターケアを十分見守っていくのだというふうにお考えになるのか、どちらでしょうか、官房長官。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 本来、わが国がいわば単一民族と申しますかそういう社会として今日までございますから、こういう問題を実際にどういうふうに考えていったらいいのか、国民のコンセンサスとしての哲学は十分ないのではないかと思います。したがって、私自身哲学に当たることをお答えするのは恐らく適当ではないと考えまして、先ほどのようにお答えをいたしました。しかし、これは国民の中でこれからもいろいろに議論をされていって、やがて何らかのコンセンサスが出てくる日があろうかと思いますが、ただいまのところどうもそうではないように思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 官房長官、千人の定住枠という枠までつくり、それに対する取り組みを政府は出してきているのですよ。そして、善意の形ではありますけれども、孤児、難民の受け入れ、あるいは難民定住の促進センターを大和市と姫路市につくって、現実にそういう取り組みをしているのですよ。そういう現実の中で、私が指摘したように今後どうするのだ、そんなもの答えられぬでは困りますよ。どうなさるのですかと言っているのですよ、どちらのお考えなんでしょうかと。官房長官、国民のコンセンサス、政府の見解に対して国民からコンセンサスを得られるかどうかはまた別の問題として、政府には一定の方針があろうと思うのです。官房長官から官房長官のお考えをひとつ聞かしていただきたい、こういうふうに思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、わが国としてこういう問題についての哲学を持てと言われましても、いままでそういう経験がなかったわけでございますから、恐らく目下のところないであろうと私は思います。ことに定住枠というものはきわめて小さい。苦労は大変でございますけれども、客観的にはきわめて小さい枠でございますから、そのために哲学を持たなければならないというほどのことではないのではないか。当面の問題としては、それらの人々が不安なく、いわば有意義な毎日毎日を送ってくれる、そういうためにできるだけのことをするということではないかと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 定住ということは、もう将来にわたって——官房長官、お答えの中で何か補足なさいますか。(宮澤国務大臣「ありません」と呼ぶ)いいですか。  私は、官房長官、やはり定住をするというその十分な保障が必要であるし、そこに新しい何らかの人種的な偏見が持たれることを恐れるわけなんです。日本人に同化するということもまた問題があろうと思うし、やはり難民の、いわゆるベトナムならベトナムの民族の固有の価値あるものをその人は持っていらっしゃのだし、そういう意味で私は、ここできっちりとした哲学を持ってこういうものに取り組まなければいけないということをむしろ強く指摘をしておきたい。このことはきょうで終わりません。この難民問題についてはきょうで終わりませんから、そういうきっちりとした考えがないということ自身がおかしいのであって、このことについては、後日もう一度政府の見解を聞かしてもらうということで、私は留保しておきます。  ちょっと官房長官に、このことはきょうの質問の趣旨、所管から外れるかもわからないのですけれども、あえて一問だけ、人権問題という形の中で法務省の所管であるかもわかりませんけれども、尋ねておきたいと思うのです。  先日、永住許可を拡大していくのだということが法務省の見解として、今国会に提出をしたいという報道がなされていたわけです。四十一年一月発効の日韓地位協定に伴った特別法による永住者、いわゆる協定永住者の場合、懲役七年を超える刑のときに強制送還を受ける、また一般永住は懲役一年を超えるとき強制送還を受ける、このことの矛盾というのでしょうか、格差というのでしょうか——さらに私はここで少し尋ねておきたいのは、永住者はわが国でその生活の基盤を置いているわけなんです。さらには生計を家族とともに維持しているわけですね、そういう見地からとらえるならば、みずから犯した罪はすでに刑によってそれは償っているのではないだろうか、そして刑によって償うべきではないだろうかと思うのです。再犯の場合とか、いろいろそのおそれのある場合はともかくとして、少なくとも改悛の情があり、あるいは初犯というのですか、初めてそういう懲役一年あるいは懲役七年、そういう形の中で、永住者に対する取り扱いというのでしょうか、もう少し弾力的な運用を考えるべきではないだろうか。永住許可を拡大するというこの今回の法務省の問題提起、これは難民との均衡を図るということにもつながってくるわけなんですね。それで私はあえてきょうここで、いま申し上げた永住者に対する強制送還という、こういう取り組みに対してはもう少し弾力的な運用をお考えになっていただけぬだろうかということをお尋ねをしたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ごく最近そのような報道が一斉にございましたことを私も承知をいたしておりますが、大変むずかしい問題であると思います。少なくとも私には素人でお答えができません。専門家がただいまおりませんようでございますので、別な機会にお答えをさせていただきます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 では、このことも次の機会、次の委員会でお答えをいただく、こういうことで、さらに次に進みたいと思います。  総理府の問題に入ります。とりわけ、きょうは同和問題に対してひとつしぼって質問をしたい、こういうふうに思います。  中山長官は、私と同じ大阪を選挙区にしますし、日ごろから同和問題については深い理解を示していただいている、こういうふうに私は受けとめております。そういう意味できょうは、大変きついようでございますけれども、すべて長官から私の質問に対してお答えをいただきたい、率直なお考えで結構でございますから、そういうふうにお願いをしておきたい。さらには、一定の資料は事務当局に少しお渡しをしておきましたから、数字的な詳しいことは事務当局からで結構でございますが、基本的な問題については大臣みずからお答えをいただきたい、こういうふうに思います。  同和対策審議会の答申に、部落の人々に対するさまざまな差別のうち、とりわけ「就職の機会均等が完全に保障されていないことが特に重大である。」こういうことが指摘されているわけです。「同和地区住民に就職と教育の機会均等を完全に保障し、」こういうことが書かれておるわけです。「生活の安定と地位の向上をはかることが、同和問題解決の中心的課題である。」こういう指摘があるわけです。  同和問題の根源にかかわる課題が、仕事あるいはさらには教育の問題もあるのですけれども、この就職の問題でいろいろと問題があるわけです。すでに予算委員会あるいは分科会等で指摘をされ、その都度担当の労働大臣は非常にびっくりなさって、大臣自身は一生懸命取り組むけれども、もうその政治生命をかけてでもこの問題解決に努力するのだ、口だけではない、必ず実現しますというような、もう本当に、取り組みの姿勢としては大変評価されるお答えをしていらっしゃるわけです。もちろん、当然のことであるわけなんですけれども。そういう具体的な事例として福岡県の社会保険医療協会で起こったS君の採用取り消しの問題あるいは中国電力での身元調査の問題、東洋工業でのいわゆる被差別部落の人々に対する排除しようとすることに奔走した事実、これは全く同和問題に対する認識不足でありますが、先ほども申し上げたように、担当の労働大臣は進退をかけて取り組む、こんな強い決意を示されているのです。私は、同和問題解決の総まとめの責任者、総理府長官、中山大臣にひとつ——当然そういうお考えを持っていらっしゃるという認識を私は持っているのですけれども、こんなことをお尋ねする方がかえって失敬だと思うのですけれども、中山長官も、藤尾労働大臣と同じような強い決意、政治生命をかけて同和問題解決に取り組む強い覚悟をお持ちいただいておると思いますが、ひとつ念のためにここで決意のほどをちょっとお聞かせをいただきたい、こう思うわけです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 先生お話しのように、同和問題、この同和問題が国会あるいは社会で問題になること自体が大きな問題であると私は考えているわけです。われわれの目指している社会というものは、いわゆる差別のない社会、だれでも平等に職業の選択の自由が与えられる社会、そういうことが基本でなければならない、そういうふうな基本の原則に立って私は政治をやっていく、こういうことでございますから、どうかひとつ、私も自分がこの衝にあろうとなかろうと、全力を挙げて同和問題の解決のために努力をいたす覚悟でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 やはり中山長官、差別のない社会をつくることに全力を挙げる、これはもう当然のことでありますけれども、いまそれを確認し合わなければいかぬほど差別の事象が多いということなんですね、非常に情けないことだし、残念なことだけれども、そんなことをお互いにこの国会の中で確認し合わなければいけないほど差別がもう日常、国民生活の中に随所にそういう事象が起こっているということも事実でありますから、これはもう何としてもやはり国会で諭し合わなければやむを得ないわけなんですよ。いまも申し上げたように、就労、いわゆる就職、仕事ですね、この問題についても非常に具体的に、労働省の実態調査によると、不安定就労者の割合が一五・二%、全国平均六・九%の二倍以上に部落の人たちは不安定な就職というのですか、仕事の中に置かれている。このことは、裏を返せば、まだやはり就職差別があるということなのですね。そのことは、差別をなくするために行政が一生懸命取り組んでいますということだけれども、こういう現実があるということは、まだまだおくれているということですね。これから一生懸命そのおくれを取り戻さなければいかぬ、こういうことに置きかえられるというか、そのことの証拠だと私は思うのです。大臣、いかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 政府は、本法律が国会で成立をして以来、国及び地方公共団体、関係各省庁、それぞれ連絡をとりながら、法律の目的達成のために鋭意努力をしてまいったことは御案内のとおりであります。同和対策事業に対する国庫からの支出につきましても、すでに一兆円の国費が出ております。こういう中で、まだ社会の中にわれわれが話を聞いても見ても、そういうふうな差別の言葉がスプレーで学校の壁に書かれたり、あるいは地名総鑑等々が企業で購入されるということ自体は全く遺憾なことでございまして、こういうことがどうして引き続き出ておるのか。これにつきましては、総理府といたしましても同和対策室を通じて関係各省に厳しくこのような事態が今後発生しないように強く要請をしているところでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 長官も非常に中身を知り過ぎているから、いま特別措置法に触れられたわけです。それはそれなりに結構なのです。後でぼくも触れていきたいのですが、それまでに、触れるまでに、こういう事実関係がたくさんあるのですよ。教育のお話も、いまスプレーで差別用語の落書きがあるということも、もう十分御認識なのですね。私は、教育の現場でもそういうことがあるし、それは後ほど申し上げようと思っておったのですが、就職差別とかう実態を私はどうしてもなくしたいし、なくさなければいけないし、それが政治の責任であり、行政の責任である。これはひとつもう一回ここで——これは行政の責任でしょう、政治がそれをなくすために努力しなければいかぬのでしょう、やるわけでしょう。さっきもやりますということだし、私もやるのですけれども、これはそのためにきょう論議をやるわけです。なくすること、それは間違いないですね。  ただ、ちょっと大臣、あなたは、お金をこれこれかけました、いまそういう発言があったとぼくは思うのです。ちょっと御認識が——もし言葉足らずであれば失敬だけれども、堪忍しておいてもらいたい。こんなもの、お金をかけて差別がなくなるものじゃないわけです。もちろん金も必要な場合があるであろう。金をかけたからといって差別が——金をかけないでも、差別がなかったら別にそんなむずかしい法律も、とやかくこんな論議も要らぬわけでしょう、さっきの話のように。何ぼ金を積んだって、差別がある間は差別をなくするための努力をする、こういう決意ですね。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 先生お話しのとおりでございますが、私が申し上げた意味は、いわゆる法律に準拠して国がそれだけの国民の税金を投下した、こういう事実を申し上げたことでございまして、政府は挙げて努力をし続けているという現状を御認識いただきたいという意味でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 がしかし、まだいま指摘をしたように労働の分野でも差別の事象がある、まだ努力が必要であるということですね。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 御指摘のように、雇用の面においてもあるいは地域社会の市民生活の中でも、御指摘のような点があるわけでございますが、これはお金をかけたからすぐになくなる、法律があるからなくなるという問題では決してない、このように私は考えております。やはり国民全体がいわゆる差別のない社会をつくるためにみんながお互いに理解し尊重し合うという国民の合意がなければ、この問題は解決していかない、私はそのように理解をしておりますが、なお地域の問題を解決するために、今日まで政府は、御指摘のようにできるだけの努力はやってまいったという事実ははっきり申し上げておきたいと思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 一生懸命努力をしてきました。それはそれなりに努力をしたということについては私も認めていきたいと思うのです。しかし、努力をしたけれどもまだ差別の事象はある、こういうことですね。さらに努力が必要でありますよ、努力をなさいますね。私はしてくれることはわかっているのだけれども、確認ということで、努力をしてくれますね、こういうことなのです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 今日も努力をしておりますし、今後とも努力をいたします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 法があろうがなかろうがというお言葉ですけれども、法律があってもまだこうなのです。おわかりいただけますね、特別措置法というものがありながら、そしてその特別措置法は差別をなくするために制定されたわけですね。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 先生お話しのように同和対策事業を推進する法律ができたというふうに理解をいたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いや、長官、その差別をなくするために法律をつくった、つくって一生懸命努力してきたとおっしゃるから、それはそのとおりや、努力してきはった、それはぼくも認めますがな、しかしまだ差別の事象はこういうふうにどんどんありますよ、まだ努力が必要ですなということを聞いているのです。もう別に具体的な事例は出さなくてもいいですから、理解があるのですから、まだ努力せないけまへんな、努力してくれますな、こういうことです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 重ねて申し上げますが、ただいまも努力をいたしておりますし、今後とも努力をいたします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 これからも努力を願いたい。もちろんそれは大いに期待をしていきたいと思います。  私はさらに差別を解消していくという一つの大きな柱が労働いわゆる仕事だと思います。このことについてはいま指摘をしたし、十分に理解を持っていただいておりますから……。さらには教育の問題も大きな差別をなくしていく意味での必要な柱である。そのことについて中山長官、さっきも少し申し上げましたけれども、同和対策審議会の答申で、教育の機会均等が十分保障されていないということが指摘をされておるわけです。その原因というのでしょうか、家庭が経済的に恵まれていないとか、あるいは基礎学力が低いとか、差別のため就職は困難であるとか、さらにはその居住する地域の生活環境が恵まれていない、こういう問題点も大きくかかっている。ちょっとさっきも教育の現場での差別落書き事件、これは長官はどれほど御認識をいただいているか知りませんけれども、非常にひどいのですね。東京大学でもあったということです。随所にそういうことがある。総務長官としてそういうような実態把握をなされた結果、部落の子供たちの教育の現状というものがどのような状況に置かれているのだというその認識ですね。  さらにはもう一点。私は、同和対策の法を遵守する中で、奨学金制度がありますね、このことは一定の進学率を高めてきたと思うのです。しかしながら、全国的にはそれでもまだ十分ではないし、高校、大学の進学率はごく近年、ここ二、三年はそれ以前に比べて低下をしている傾向にあるわけなんです。こういうことも、法の中で十分に保障されてきながらも、なおかつそういう低下の現象、事実関係があるということ、こういうことについても、総括的に同和対策をまとめられる総務長官としての見解を聞いておきたいと思うのです。現状あるいは進学の問題、このことについて十分御承知だと思うのですけれども、総理府だけの統計では局部的、一部的の、あるいは非常に前の年の、たとえば五十年の統計であるとか、そういうことでありますので、文部省所管の統計等の資料はお渡ししておきましたから、そういう点では非常に低いのだ、そういう認識を持っていただけると思いますが、この点についても重ねて聞いておきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 先生から政府委員がちょうだいいたしました資料によって十分精査をしてまいりたいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに私は、こういう差別の問題というのでしょうか、差別意識の問題というものは、いろいろな背景があると思うのです。特に、教育現場での差別事件というものは、部落問題に対する正しい認識がないということですね。さらには、人権感覚というのですか、人権という問題に対して、人権意識に対して不十分である。さらには、むしろ社会の周りにそういう差別の事象が起こる要因があるというのでしょうか、背景を社会がつくり出しているのではないか、こういうふうにも思うわけです。  さっきも言われたように、みんなの意識の問題だ。まさに意識改革が必要であり、正しい認識を持ってもらおうとするには正しい社会啓発、意識啓蒙、これが不十分だと思うのですね。もっと極端なことを言えば、あなた方がいままでに投じられてきた同和対策事業費、たとえばここに住宅をひとつつくるのだという場合に投じられる金が十億、二十億であり、あるいは百億であったかもわからない。しかし、そのうちの一%、一億の金でも、この住宅はどうして必要であり、この住宅はどのような効果をもたらしていくか、あるいはこのことによって差別をなくするのだということで、啓発費に使ってきましたか。お金は、予算は投じてこられた。現場の解消にはなったかもわからない。部分的に劣悪な環境を住みよい環境につくりかえたことは事実でしょう。しかし、かゆいところへというのでしょうか、もう少し深く考えていただければ、少なくとも社会啓発、意識啓蒙、すべての人々に対して正しく同和問題の認識を広めていくべきではなかったでしょうか、こういうことなんです。  偏見というのですか、差別的な偏見、予断、こういうものは社会の中から起こっていますね。そういうことを考えれば社会の責任、あるいはそれはいわゆる国民的課題で、これはこうだということを明確にされているのですから。さらにいま私は具体的に啓蒙費の問題を住宅、建設等と絡めて申し上げましたけれども、同和対策の立ちおくれだと思うのです。それは長官は一生懸命努力して、何ぼかよくなりましたと言う。さっきからの努力したということは、よく理解できます。しかし、ベストではないし、十分であれば今日こういう差別事象は起こっていません、ありませんね、ないように、そういうことはなくするのだということで取り組んだという姿勢は評価したいし、取り組んできた足跡というものも私はそれなりに評価をしていきたい、しかし、差別事象があるということをとらえるならば、同和問題に対する取り組みが少し後手後手になっておったのではないだろうか、こういうふうにも思うわけです。こういう三点が、とりわけ教育の現場で差別事象を起こす背景になっていたのではないだろうか、  それでひとつここで私の方から長官に。総理府は格差はなくなったなんという認識は持っていないと思いますけれども、高校教育の問題についてもまだ実態は格差がある。  さらに、よくこの問題を話をすると、心の問題に置きかえられるわけです。心の問題で差別なんて解消しませんよ、心がけの問題やとか心の問題やなんて。やはり現実的に教育の問題、就職の問題、就労の問題あるいは啓発の問題、差別をなくすための社会啓発、社会啓蒙あるいは生活環境の改善を図っていく、そういうことを具体的に積み上げていかない限り、私は差別はなくならないと思うのです。心の問題にすりかえちゃいけないと思うのですよ。長官ひとつ、これは心の問題で解消ができるなら、法律も何もかも要らぬかもわからない、そしていままでに、時によったらなくなっていたかもわからない、心の問題じゃないということを強く指摘をしておきたい。  いま少し長く申し上げましたけれども、そういうことについての教育の現場での差別事象にしては強い御認識を持っていただいていると思います。そういう実情、実態を把握して、これからも部落の子供たちの教育には、もちろん文部省が主管でありますけれども、同和問題を総括する総務長官として先ほど就労のときに仕事の面で意見を披瀝をしていただきました。いままでも御努力をいただいておりますし、これからも一生懸命やっていただけると期待をしているのですけれども、ここでもう一つ確認をしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 就労の面におきましては先ほど申し上げましたが、教育の面においても私は同じような考え方でこれから行政を指揮してまいりたい、このように考えておりますが、一つ、先生と私と考え方が違うところがある。それははっきり申し上げておくと、同和事業というものは、あくまでも社会全体が全くそういう意識をなくするために、これから法律に基づいて政府も地方公共団体も努力していかなければならぬ、国民も皆それに同調していかなければいかぬと思うのですが、先ほど先生が具体的にお示しになった点で、この地域のここにこういう住宅を建てる、これが同和対策事業費として建ったものだということのために啓蒙啓発費をうんと使えという考え方に対して私は同意をいたしかねる。それは同和という問題を改めてそこに浮き彫りにして、悪い影響を与えるのじゃないか。むしろ私は、そういう啓蒙啓発ではなしに、国民全体が差別をなくするために広く呼びかけるべきであって、特定の地域、いままで同和地域として指定された地域に環境改善のために政府が税金を投じて、新しいこれだけりっぱなものができました、これは同和地域のために同和対策費として国民の税金を投下した結果こうなったのですと言えば、永久にそこは同和地域として確認をするようなことにならざるを得ない、それは政府として法律の理想に反するものであるという考えを私は持っております。私は、全くそういう差別のない社会をつくるためには、いかにしてみんながそれを意識しないように指導をしていくか、そこに私はこの法律の基本の理想があるのではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 中山長官、啓蒙啓発費という具体的な事例で、私はあなたがいろいろお金を何兆円つけますとか、何千億つけますということで先ほど話があったから、お金だけで解決をしない。さらに私がいま具体的に申し上げたのは、何も、ここに住宅か建ちました、住宅を建てっ放しで、啓蒙費というか、いわゆる一般的な社会における差別をなくするための啓蒙費がないわけなんです。そこで何が起こるかというと、逆差別が起こるわけです。わかりますか。私の指摘をしたいのは、そっちでそうだそうだと言ってはったけれども、やはり正しい認識というのは、ここに建物を建てた、これはなぜ建てたか、劣悪な状態で、そして人権が十分保障されていない、過去における誤った行政が取り残してきた実態を変えた、このことは差別をなくするために取り組んだものである、決してここだけをよくするため、ここだけがよくなったのだ、そういう受けとめ方は間違いであります、こういうことなんですよ。そういうことをやはりみんなに知ってもらわなければいけない。一つの具体的な例、山登り。山を登った、みんな一緒に山を登ったけれども、足の強い人、力のある者はどんどん先に登って、あとの者がここへ一緒についてこなければ、これは世の中、その山登りをしたチームとしては、これは連帯が薄らぎますね、仲間意識が。ここに建物を建てたことが逆差別としての意識に流れてしまう、そういうことがあるわけなんです。わかりますか。そういうことを正しく認識さしていくということが必要である、わかりますか。それでいて初めてその建物は生きるわけなんですよ。国民の税金をそこへ使った、これが生きるわけなんですよ。ちょっと言葉足らずであったかもわからんけれども、私の申し上げているのはそういうことなので、逆差別の事象がまた差別をさらに再生産するようなことになっていますから、そういうことをあえて私はいま申し上げたわけです。指摘をしたわけです。  だから、教育の問題について取り組みますか、取り組んでくれますかと言ってぼくは本質的に聞いたのだけれども、何かそれをぱっといま言われたから、あえてこれは、長官は理解をしてもらっていると思うけれども、まだやはり論議をしていかなければ、あるいはもっとお互いに話を交わさなければこれは不十分な点もあるなど、ぼくはこう受けとめたのですけれども、長官がいま私に、その意見は違うのです、私と異なるのですと言われたけれども、それを先に強調されたけれども、いま私はこういうふうに言ったら、いやそれは井上さんと同じ考えですとぼくは言ってもらえると思うのですけれども、そのことでさっき言ったわけです。すべて、何も建物、住宅ということだけに限りません。事業を起こしたら、それに対して少なくとも一%でも二%でもいいから、そういう予算をやはり啓蒙費に使うべきじゃないだろうかというのがさっきの私の指摘で、そのことがやはり差別をなくしていくことに通ずるのだということを少し実は指摘をしたわけです。そして住宅については、いま申し上げたようなことを、逆差別をなくするためにも、そして新しいそういう差別観念をつくり出さないためにもやはり必要だ。だから、それは考えが違うのだとおっしゃられれば、それはまたそれなりにこの問題については議論をしていかなければなりません。しかし、私は私なりの認識で質問をしておりますし、私の考えで質問を続けているわけですから、教育の現場における実情、それを踏まえてさらに今後も御努力願えるでしょうか。そしていま指摘をしたこともあわせてひとつ再度お答えをいただきたい、こう思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 重ねて申し上げますが、雇用の面においても、教育の面においても、差別のない社会を実現するために努力をしてまいる覚悟でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いまも申し上げたように、仕事、教育あるいは啓発、こういう問題は同和問題を解決するためにいずれも重要な柱であるわけなんです。この十二年間一生懸命御努力をいただきました、そして一定のそれはそれなりの前進も見られますし、私はそれはそれなりに評価をしていきたい。これは私は率直に申し上げておきたいと思うのです。がしかし、先ほど指摘をしたように、まだ差別事象があり、差別があるという現実に立つ場合に、やはりこの差別をなくするために、総理府を中心に内閣全体がもっともっと検討をしていただかなければいけないし、さらには一日も早い差別解消のためにあらゆる手だてを講じてほしい。ほしい、というよりも、講じることが当然だ、私はこう思うのですよ。中山長官いかがですか、差別をなくするために講じることが私は当然だ、こういうふうに思うのです。これは内閣全体がという表現をあえて使いました。もちろん総理府は当然でありますから。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 御指摘のとおりだろうと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さて、余り時間がありません。最後になりますけれども、さっき中山長官も特措法の方の問題に少し触れられたわけで、さてここで問題になってくるのは、やはり特措法の問題です。これは一つの時限立法であるという、強い願いの中でやはり十年というめど、そしてそれから附帯決議をつけた中で三年というこういうこと、本来はもう十二年を待たず、十年を待たずに差別の事象がないというそういう世の中をつくりたかったわけでありますけれども、再三指摘をするように、現状はそうじゃありません。  そこで今日、特措法の問題については国会で非常に論議がなされておるわけでありますし、予算委員会等においてもこの問題が大きく議論されているわけです。そのつど総理並びに総務長官も、たしか八月をめどにというお答えが返っているわけです。片側ではもう特措法の強化改正には一定の決断を早く出してほしいという地方自治体の強い要請なりあるいは地方議会での決議がなされているわけなんです。すでに国会議員の署名も、私の承知している範囲では過半数を十数名超えておる、こういうような現状なんです。国会議員の皆さんがこの特措法の強化改正について賛同の署名をなさっていらっしゃるというのがもう十数名過半数から超えている。今日のこういう時点を踏まえて、中山長官、さっきからいろいろ議論をいたしましたけれども、十分に同和問題には理解を持っていただいておりますし、これからも御努力をいただく、そういう強い決意も示していただいたわけであります。  とりわけこの同和問題については、地方自治体の取り組みが財政的にもあるいは組織的にもかかわってくる問題ですから、現状でいけば非常に不安というのでしょうか、心配というのでしょうか、どうなるんやろかと。片側ではやはり差別事象があるからこの問題の解決のためにどんどんそれの手だてをしていかなければいけない。しかし法はどうなっていくんやろか、まあ冷たい言い方をする人は、これはもうこれで切れてしまうというような考えを間違った認識の中で持っていらっしゃるかもわからぬ。それはある事象面を見て、ある現象面を見て同和問題の対策の事業なり取り組みに誤った問題があるかもわかりません、ありますよ。その誤った問題を正していくのが本当は行政の責任なんです。  だけど、きょうはそういうことについての論議をするのではなくて、いま私が申し上げたいのは、国会議員も十数名過半数を超えて署名をしている、そしていろいろな問題を論議する中で、やはり差別の事象をなくするために一生懸命取り組んでいく、こういう強い御決意をいただいたわけでありますけれども、今度は特措法の八月の時点、これは中山長官は、差別の事態がありそれをなくするための法律であるということならいままでも努力をしてきた、これからも努力をするということですから、一応延長線上という受けとめ方をさしていただいてよろしいでしょうか。もうさっきのような誤った冷たい考え、そんなお考えは持っていらっしゃらないと思います。中山長官はそんな冷たい政治家じゃないと私は思います。私は長い間ごじっこんにしていただいている間柄ですから中山長官はそんなに冷たい政治家じゃないと思いますが、そんな冷たい仕打ちはなさらないでしょうね。いままでのお答えを連続して私が判断をすれば、差別をなくするために一生懸命がんばります、そういうお話ですから、一連の延長線上に私は受けとめさしていただいてよろしゅうございますね、ということで締めくくりの質問にしたいと思うのでございますが、ひとつ一言だけ、私の受けとめ方がそういう受けとめ方をさせていただいておりますということでよろしゅうございましょうか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 先生とは政党こそ違え同じ大阪で出ておる人間で、公私ども大変親しくしていただいていることは私も感謝をしているところでございますけれども、個人的な立場ということでここで発言申し上げる立場に私はいない、あくまでも政府の責任者でございます。  私どもといたしましては、ただいま来年度の予算要求につきましても、要求できるものはすべて要求をする、ただし要求できなかったもの、それは何だったかと言えば、いわゆる同和地域の改善のために事業を起こす、そのために用地がどうしても必要だというときの用地取得の地主側と、いわゆる購入先との話し合いができなかった地点が概算要求時点では積み残しになっておることは事実でございます。そういうことも含めて、ただいま各都道府県に連絡をいたしまして、関係各省とも十分連絡しながら、残存事業量は幾らあるかという積算中でございます。内閣は一体でございますから、内閣総理大臣が先日の予算委員会で御質問にお答え申し上げましたとおり、五十七年度概算要求の時点で私どもとしては誠心誠意この問題に対して処理をする考えでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 五十七年度の概算要求の中で誠心誠意取り組みを明確にしていきたい、これは予算にも限りがありますし、財政的な面で非常に御苦労が多いわけなんですから、すべてがもう単年度で差別がなくなる、あるいはすべてが解消するようなことは過去の経過から考えて常識的に考えられないのですよ、考えられないのですけれども、これは一つの本当に形式的な、形骸的なことになるかもわからぬけれども、単年度で、五十七年度ですべてが処理できないということになればさらにそれは私の言った一連の延長線上だ、こういうことでよろしいですね、

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 先生もすでに御承知のとおり、この問題は各党にそれぞれ担当の先生方が御就任をいただいておりまして、社会党の担当の先生と、あるいは各党の先生とも十分御相談をいただいている過程でございまして、政府といたしましては各党の先生方の御意見を十分拝聴しながらこの問題の処理に当たってまいりたい、このように考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 各党間の折衝ということ、それは事実でありますし、すでに過半数を十数名上回っているというこういう現状でもありますし、政党間の調整ということもあります。しかし、実務は実際の問題としてこれは中山長官がなさるわけですから、総括的に総理府がなさるわけですから、実際の問題として私がいま申し上げたように、単年度で、五十七年度ですべてが解消するのだということなら、それはもう差別なんというのは五十七年度何もあらへんで、来年から起こらへんで、私もそういうことでない限りという前段をつけて、やっぱり差別をなくするためには延長線上で取り組みはお続けをいただけますね、こういうことなんです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○中山国務大臣 私どもは国会における附帯決議の精神を十分尊重し、かつ、各党の担当の先生方の御高見を拝聴しながら、誠心誠意処理をしてまいりたいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大変きょうはありがとうございました。いろいろと申し上げましたけれども、要は差別をなくするために同和問題に対する正しい認識をより広く国民に周知徹底をしていただき、差別解消のために御尽力を願いたい。とりわけ特措法の問題については、私としては、もう長官の含みある、あるいは真摯な決意のほどで最善を尽くしていただけると強く信じております。  では、これで同和問題については私の質問を終えます。

東家嘉幸自由民主党

○東家委員長代理 新村勝雄君。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 最初に、総理府の所管として国防会議がございますので、国防会議の事務局長さんにお伺いをしたいと思います。  いま、いわゆる自衛隊のあり方、特にその中核をなす文民統制の問題についていろいろ論議が行われておるわけでありますが、この問題について最初に基本的なお考えを伺いたいと思います。

伊藤圭一国防会議事務局長

○伊藤(圭)政府委員 文民統制というのは、軍事に対しまして政治がこれを統制する、いわゆる軍事というのは政治の統制下にあるということでございまして、これは民主主義の、国家存立の基本原理だと私どもは考えているわけでございます。軍事というのは国政の中でも非常に重要な基本政策でございますので、軍事の政策の適否というものは国政全体に非常に大きな影響を与えるものでございますから、国政全般の中でこの軍事問題を統制していくというのが文民統制の基本だと私どもは考えているわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 軍事と政治ということでありますが、それはもちろんそうでありますけれども、そのほかにも、やはり政治は一つの組織と体系、そして権力を中心にして運用されるわけでありますから、各組織のそれぞれのセクションは自分の分を守って、しかも全体の政策に従属して奉仕をしていくという原理が必要なわけであります。そういう意味ではほかの部局も同じだと思います。しかし、特に軍事の場合には、これは他の政治の部局と違って実力を持った、最高の力を持ったセクションであるという点で特にそれは強く要請をされなければならないと思います。  ところが、その問題についてしばしば事実上の現象面で問題が起こるということ、これは非常に残念なことだと思うのですが、そういった点について、特に国防会議の議長は首相であるし、首相を頂点として政治権力、それから軍事、と言っていいかどうかわかりませんけれども、自衛隊の組織が成り立っておるわけでありますから、この文民統制という原理を常に厳しく守ってもらう、それから常に反省もしていただくということが特に必要だと思いますが、最近の二、三の現象的なもので、それに反するのではないかと思われる事態があるのですけれども、そういった点について局長どうお考えですか。

伊藤圭一国防会議事務局長

○伊藤(圭)政府委員 国防会議の文民統制の中で一番重要なことは何かということでございますが、私は、これは二つあると思います。  一つは、防衛力を整備するに当たって、防衛庁が軍事的な視点から、わが国の防衛政策としてこういう考え方のもとに防衛力を整備したいという考えを提案するわけでございます。それに対しまして国防会議の場といたしましては、外交あるいは財政あるいはそのほかの国政上のいろいろな観点からこれを議論いたしまして防衛政策というのを決定していくということが、具体的には過去には防衛力整備という形で出ております。その点につきましては、よく国防会議は防衛庁の希望の単なる追認機関ではないかという御批判がございますけれども、私の経験からいたしますと、防衛庁の希望というものがそのままの形で防衛力整備計画に決まったということは、過去四次防まで、さらには防衛計画の大綱まで、一度もありませんでした。そういった意味では、関係各省並びに関係各省の大臣の方々の、国政全般から見る文民統制というものは一応行き届いておったというふうに判断いたしております。  もう一つの点は、これはいま御指摘がございましたけれども、実力部隊のオペレーションの面に関する文民統制でございます。この点につきましては、法律上は、防衛出動の可否、さらには内閣総理大臣が国防上の重要事項と考えることを国防会議に語れということになっているわけです。わが国の過去の国防会議が設置されましてからの経過を見ますると、日本が軍事的な危機にさらされ、防衛出動が必要かどうかという判断をしなければならないということはなかったわけです、これは非常に幸福なことだと思いますが、そういった意味で、オペレーションの面におきます文民統制の機能というものを直接発揮する機会というものはなかったというふうに判断しているわけです。  そこで、いま先生の御指摘ございましたいろいろな制服組の発言ということがございますけれども、これは、第一義的にはやはり防衛庁の問題だと思います。いわゆる平時におきます自衛隊の運営、管理の責任ということでございますので、この統制の第一の責任というのは防衛庁長官にあるわけでありますから、制服の方々の御意見というものは、防衛庁の中でよく練って、そしてその考え方、いわゆる軍事的な視点からする意見というものを吸収し、そして必要なものは防衛政策に反映していくというのが筋ではないかというふうに私は考えているわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 二つあるとおっしゃいましたが、その一つはやはり実際のオペレーションの面における文民統制、これは文民ということを含めて、軍の統制ですね。たとえば一個大隊が戦闘に臨む場合に、その大隊の戦闘正面、それから大隊の作戦上の分野、範囲というものがあるし、その範囲の中で師団長の命令あるいは連隊長の命令に従ってその大隊長は自分の作戦区域の中での指揮命令の力しかないということですね。大隊長が一定の戦力を持って敵と対峙をしておるわけですけれども、大隊長が自由に自分の指揮命令権を発動して右へ行ったり左へ行ったりということはできないわけですから、そういうオペレーションの面における各級指揮官あるいは自衛隊全体の行動というものは、これは厳しく文民統制あるいは指揮統制の中に入っていなければいけないわけでありまして、この面については、たとえ一分たりともそれを逸脱することはできないわけですね。逸脱をすればこれは私兵になりますから、それはできない。もちろんであります。それと同時に、もう一つは、政策策定の面における、あるいは平時における政策決定、それからまたその政策に従って行動するという面における文民統制ということも必要ではないか。これは、オペレーションの面における逸脱ほどに重大ではないにしても、建軍の、これは軍と言ってはおかしいのですけれども、建隊ですか、建隊の基本に触れる問題でありますから、そういう面での、やはり常時の運営あるいは防衛政策決定の面における、あるいは行動の面における文民統制ということは、絶対に分を守っていただかなければいけないと思うのですが、そういう面で、最近の一、二の具体的な例がそれを逸脱する傾向があるのではないかというような気がするわけでありますけれども、そういった面についての御見解をひとつ伺いたい。

伊藤圭一国防会議事務局長

○伊藤(圭)政府委員 ただいまの御質問の中で、最初の作戦面でございますけれども、これは私は国防会議が一々統制するということは不可能だと思います。これは作戦面でございますから、内閣総理大臣を最高指揮官とし、防衛庁長官の指揮下においてその作戦の指導というものは行われるべきものだろうと思います。したがって、国防会議のオペレーションにおける文民統制というのは、防衛出動を下命するようなとき、あるいはまた防衛出動を撤退するようなとき、そういった非常に重要な時期に国政全体あるいは国際政治全体の中から判断する、それがいわゆる国防会議に課せられた文民統制ではないかというふうに私は考えております。  それから二番目の政策決定のことでございますけれども、これは、先生も御承知のように、私の過去防衛庁におきます体験からいたしましても、制服の人が軍事的視点から述べます主張というものが常に正しいとは限らないと私は思います。したがって、その問題というものは、防衛庁の中で軍事的視点あるいはまた国政全体からの視点、そういった議論を詰めました上で、そして国防会議において国政の面からさらに広い意味の議論をして防衛政策というものが決まっていくのではないかというふうに思いますので、いまの御質問にそのままお答え申し上げているのかどうかわかりませんけれども、制服の人が単に軍事的視点からのみの主張というものを外に出すのではなくて、まず第一義的に防衛庁の中でそういったことを議論する、そしてまたそのことがやがて防衛政策といいますか、防衛力整備全体の中でまた国防会議において議論される、そういった手続というものが大事ではないかというふうに私は考えているわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 オペレーションの面における統制、これはしばらくおいて、実際の政策策定の面における文民統制、これは国防会議は文でありますから、その政策面における文民統制、これもまた平時においてはきわめて大切なものでありますけれども、制服の方が政策について論議をするということは全くの見当違いですね。それが許されるとすれば、これは文民統制だけではなくて、やはり建軍の基本がそこから破壊されるということになると思いますね。そういった面での重大さを総理以下最高首脳部は本当に身にしみて感じていただかなければならないと思うわけであります。ところが、そうであるにもかかわらず、実際の現象は必ずしもそうでない。ときどきそれを逸脱する面があるわけでありますが、それについての国防会議としてのきちんとした、それこそ建軍の本義というか、軍ではないから建隊の本義、それから軍事と政治との基本的な原理、これについての確固たる認識と確固たる方針が常に示されていなければ、示すのではなくて堅持されていなければいけないと思うのですが、その点はどうでしょうか。

伊藤圭一国防会議事務局長

○伊藤(圭)政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。  そこで、具体的に御説明申し上げるとおわかりいただけると思いますけれども、最近の制服の最高幹部のいろいろの発言の内容、これは私は具体的にその資料そのものを全部読んだわけではございませんけれども、報道の内容などから判断いたしますと、この発言の内容というものが、いわゆる政策として取り上げるのには必ずしも現実的でないものも非常にたくさんあるわけでございます。したがって、そういうものが国防会議で決定されて政策になるということはもうほとんどあり得ないことでございます。当然のことながらそういった提案というもの、軍事的視点から見た希望というものは防衛庁の中で、長官のもとで、内局もございます、制服の意見もあるわけでございますから、そういうものを調整した上で一応政策としてこういうことを取り上げてもらいたいということが防衛庁から上がってきた段階で、さらに広い国政の面からこれを検討し、政策として取り上げるという手続になるわけでございますから、そういった意味では、最終的には国防会議の場でいま先生がおっしゃったような文民統制の機能を発揮する必要がございますし、さらにはまたそのことが国会の場におきまして政治の場で審議され、判断されるべきものだというふうに私は考えているわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 報道されるところによりますと、制服組の中には非核三原則に対する不満が非常に多い、あるいはまた制服組の中には防衛政策についての不満が非常にあるのだ、これは自民党の副幹事長さんがおっしゃっておるようですけれども、そもそも制服の皆さん方が、防衛政策について、あるいはその他の国の基本的な政策について御意見が、もちろんみんなひとしく国民でありますから、あるでしょうけれども、それは断じて対外的にあきらかにしてはならない、これは最低の原則があると思うのですね。ところが、仮に非核三原則に対して制服組が不満である。非核三原則というのは日本の最高の国是、自民党政府の国是ですね。日本国民の国是でもあるわけです。ところが、それに対して不満があるということは、これは大変なことだと思うのですよ。これは実際どうなんでしょうか。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 防衛庁の中におきまして、いわゆる防衛に関するいろいろな施策なり方針というものを立案策定していく段階で、制服の方々が専門的、軍事的というか、技術的な立場から率直な意見をするということは、私むしろ望ましいことであるというふうに思います。現に防衛庁の中におきましても、いろいろな施策なり方針を具体化していくに当たりまして、各局各課のレベル、それから長官なり次官が主宰する定例会議なり庁議、参事官会議というもの経て逐次具体化していくわけで、その段階におきましては、文官、制服を含めまして大いに意思の疎通というか意見調整というものはあるわけでございます。  ただし、部外に対して発言する場合には、当然のことながら、おのずから良識なり節度を持ったことが望まれるわけですが、そういう点について、いやしくも政府の政策を公然と批判したり挑戦するようなことのあるような誤解を受けることのないように、十分留意すべきであることは論をまちません。  ただいま先生がおっしゃいました、非核三原則につきましてそういうふうなことがあるのではないかというふうな御指摘でございましたけれども、私どもこの非核三原則というのは政府の基本的な政策ということで理解しておりますし、そういうことは制服といえども十分承知しておりまして、そういうものに対して反対するというようなことがあるとは思っておりません。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そうしますと、自衛隊の内部で、あるいは防衛庁の内部でいろいろ防衛政策についての論議があるでしょう、それから政策立案についての過程におけるいろいろな論議があるでしょうけれども、そういう論議があるにしても、その論議はすべての過程、すべての枠を越えた、何でも言う、何でも考える、こういうような論議ではないと思うのですよ。ですから、日本の最高の国是が非核三原則であれば、これに抵触するような議論は、たとえ内部といえども出るはずがないのですよ、  それから、一%以内にとどめる、これが一つの政府の方針、これは自民党政府の方針ですね。であるとすれば、それはだれでも御存じなわけですから、それに抵触するような議論は出るはずがないわけですね。ですからそういう点では、野放図というと失礼ですけれども、何にも前提のない、どういう議論でもいいということではないわけです。国政の範囲の中における、また日本の最高の国是の中における議論しかできないと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 もちろん防衛庁といえども行政府でありまして、この防衛庁の中におきまして、現在の憲法を全く無視したような議論が行われるはずがございませんが、そういった国の基本政策の枠内での議論が、防衛庁の中におけるいろいろな施策なり方針の立案に当たっての議論だと思います。  ただ、実際の議論に当たりまして、あらゆる議論をいけないかというふうなことではなくて、私どもむしろ率直な意見をしながら、国の政策におけるいろいろな制約であるとか条件であるとかいうふうなことを加味しながら議論をしていくということで、あらゆる議論が、国の現在の、たとえばGNPの何%というものを二%にしたいという意見を防衛庁の中でしてはいけないかというと、それは個人の意見とし、あるいはそういう議論の場であってもそのこと自体をとがめることではないのだろう、ただ、そういうものを公然と部外において発言するときには良識なり節度を持ってほしいということを申し上げている次第でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 いまの官房長のお考えをちょっと拡大すると、非核三原則という基本はある、あるけれども、ソ連も核を持っているじゃないか、日本に向けている、それに対抗するためには核も持たざるを得ない、そういう議論も出てくると思うのですが、やはりそれはおかしいので、そうなると文民統制、あるいは軍事が政治に従属をするという原則がそこから破れてくるのじゃないかと思いますよ。そういう点が一つ。  それから、防衛庁の中で自衛隊の皆さん方に対して、われわれは自衛隊は認めませんけれども、自衛隊の皆さんが日夜努力をされているということについては敬意を表します。非常に御苦労だ、こう思います。その自衛隊の皆さん方に対して防衛庁はどういう基本的な教育をなさっておるのか、これは憲法との関連における教育で非常にむずかしいとは思いますけれども、どういう教育をなさっておるのかをひとつ伺いたいわけです。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 まず前半の点について補足したいと思いますが、議論の枠にもおのずからいろいろ段階があると思います。たとえば憲法の問題であるとか、非核三原則の問題あるいはシビリアンコントロールの問題については、おのずからそういった枠内での議論であるというふうなことで、無制限に何でも議論していいということを申し上げたつもりではございません、  それが一つと、自衛隊の中における憲法教育その他の教育の方針につきましては、別にいま教育課長が来ていますので説明をさせます。

吉岡孝雄防衛庁人事教育局教育課長

○吉岡説明員 自衛隊の中で自衛隊員に対してどのように憲法の教育を行っているかということでございますが、まず、自衛隊の中にも学校がございますので、学校では、防衛大学校あるいは幹部候補生学校、こういう学校の授業におきまして、憲法または法学、法制というような科目の中で行っておりまして、その内容は憲法の基本理念、現行憲法と防衛の関係等についてでございます。また、部隊におきましても、憲法の理念、特に民主主義の原理、基本的人権の尊重、こういうようなことを強調するとともに、民主政治のもとにおける自衛隊の任務とあり方というようなものを理解させまして、法令に従って誠実に職務を遂行すること、あるいは政治的行為を行わないこと、こういうようなことにつきまして、その趣旨の徹底を常時図っておる次第でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 防衛庁の皆さん、御都合があるそうですからお帰りになって結構でございますが、局長さんに一つ、最後にお伺いしたいのです。  いわゆる制服の皆さんが国会に出ていろいろ発言をされるということについて、総理大臣はそれを支持されておるような発言を最近なさっておりますが、この問題について、局長さんのお考えはいかがですか。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 制服の国会出席につきまして、総理がどういうふうな指示をしたかといこうとを私どもつまびらかにしておりませんし、具体的な指示はいただいておりません。ただ、私ども従来、御承知のように、防衛に関する一般的な方針なり政策というものについては、いわゆる各局の局長なり参事官というものは大臣を補佐するたてまえになっております。そういう意味合いから、過去何十年か政府委員として各局長が国会で答弁をし、国会の御審議におこたえしているというのが実情でございまして、それで私どもとしては特段の支障がないのではないか、なお、専門的、軍事的な事項についても、私どもできる限りこの実情把握に努めまして国会での御審議におこたえしているというのが実情でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そうしますと、官房長のお考えは、そういう必要はないということですね。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 現状において特段の支障があるとは思っておりません。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 防衛庁の方、これで結構でございます。  次に、国の事務と地方自治体の事務、いわゆる機関委任あるいは団体委任の事務がございますけれども、この問題について伺いたいと思います。  それは主として地方自治体に対する機関委任事務の問題でありますけれども、特に都道府県の段階できわめて膨大な機関委任事務が現在ございます。これが正しく運用されればそれでいいのですけれども、間違って運用されますと大変な問題になるわけです。しかもこの制度がややもすると地方団体の利権につながるということで、問題を醸し出す原因になるわけです。実は千葉県においても大変不名誉な事態が起こったわけですけれども、こういう問題はやはり知事にきわめて広範な、しかも専決のできる機関委任事務が非常に多い、ここに一つの問題があるのではないかと思いますが、いま都道府県に対する機関委任事務の数はどのくらいありますか。

田中暁自治省行政局行政課長

○田中説明員 お答え申し上げます。  五十五年十二月現在におきまして、知事に対する機関委任事務の種類は大体三百四十程度でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 この事務のうちで、特に都市計画関係の許認可事務、これはきわめて広範なものがあるわけです。特に、地域指定の問題であるとかあるいは地域の開発等の問題については、これは知事が決断をすれば、知事の判一つでそれができるかできないかが決まる、こういうようなことになっておりまして、地方議会はそれに関与することができないわけであります。こういう体制がやはり利権につながりやすいということは疑いのない事実だと思います。こういう点について、これを何らかの方法で改善をしていく、こういうお考えはございませんか。

田中暁自治省行政局行政課長

○田中説明員 機関委任事務に対します先生御指摘の点につきましては、御指摘のとおり、原則としては機関委任を受けました知事の判断と責任において行われるということになっておりまして、議会の関与は、現在の自治法九十九条の規定によりまして、報告を求め、意見を申し述べるという程度の権限しか与えられていないことは御指摘のとおりでございます。  われわれといたしましては、現在、地方自治法の改正等を検討いたしておりますが、できますれば議会の検査権あるいは監査委員に対する監査の請求権、こういったものを機関委任事務にも及ぼすことによりまして議会の機関委任事務に対しますチェック機能をより強化いたしたい、かように考えておる次第でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 知事の強大な権限に関してジャーナリズムあたりでは、知事の判一つが何十億に値するのだとかあるいは何百億に値するのだ、こういうことも言われておるわけであります。それはある面から見ればそのとおりだと思うのです。こういう点をひとつ今後の監査制度の改正の中でぜひ検討していただきたい。いま検討するというお話でございましたが、これをぜひ前向きで実現するようにお願いをしたいわけであります。  それから、地方議会が関与することは、これは制度的にはおかしいというか無理な点もあろうかと思いますけれども、議会の関与が理論的にまずければ、その補完的な方法として審議会を置くとか、審議会はあるところが多いようでありますけれども、その審議会の構成メンバーを十分考えていくとか、こういうことである程度はこれは防げると思います。  それから、もう一つ考える価値があるのじゃないかと思いますけれども、地方の許認可事務に対する情報公開ですね。これをひとつ、できれば制度化するか、あるいはまた地方団体の創意工夫によって情報をできるだけ公開していくということが必要でないかと思いますが、そういった点はいかがでしょうか。現状では必ずしもこれが行われていないわけであります。地方の、地域の開発等を申請した場合に、だめになれば申請した人はわかりますけれども、何十件とある案件が果たしてどういう意味を含んでおるか、裏に何かがあるのか——裏にあっては困るわけですけれども、そういう場合が間々あるわけでありますから、こういった点については、第三者、一般県民あるいは有権者、そういう人が正規の手続を経て要求した場合には原則としてこういうものはすべて住民に公開するということが一つの方法ではないかと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。

望月美之自治大臣官房文書広報課長

○望月説明員 お答えいたします。  御指摘のございました地方公共団体におきますところの情報公開でございますが、これも本来、地域の実情と必要とに応じまして各地方団体の判断と責任で対処していくという事柄でございますけれども、行政の公正を期する、この観点からいたしましても、行政の適正かつ能率的な運営に留意しながら円滑に情報が公開される、またそういうことに努めていくということは望ましいことだと私ども考えております。先生お触れになりましたように、これはちょっと古いのですが、昨年四月に取りまとめた都道府県、政令市の当時の検討中でも十団体すでにございましたが、現在ではさらに多くの団体で研究されておるというふうに聞き及んでおります。しかしながらこの情報公開の問題につきましては、いまの仕組みの中の公務員の守秘義務あるいはプライバシーの保護、こういうふうな関係する分野が広くございますことからして、その辺も慎重に検討を進めていく必要があると考えておるところでもございまして、私どもといたしましては、国におきます検討の進み方なりまた地方団体の動向なりということも見きわめながらこれに適切に対処いたしていきたい、そのような問題もあるということをお答えの中で触れさせていただければと思うわけでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 そういたしますと、情報公開についての国の基本的な態度をまず固めることが先決だと思いますけれども、それに基づいて地方団体に対してもある意味では指導、ある意味では勧告がされるべきだと思いますが、その場合の基本的な方針、これは国としてはすでにお持ちですか。

望月美之自治大臣官房文書広報課長

○望月説明員 先ほどお答えの中でも触れましたように、地方団体の状況の把握をいたし、また昨年五月に閣議の場で、情報の提供を含めて情報公開をどうしていくかという了解もあるし、これらについては地方団体にも通知をしている状況でございます。その後におきましても、それぞれ個々の団体からの相談があります際に、私どもとしても実情を極力つかみながら相談にも応じながらきている状況でございますが、先ほど触れましたように、国におきましてもいまこれの制度がさらにどうあったらいいかという点を諸外国の法制等も含めて検討の過程にあり、内閣審議室を中心として進んでおる状況の中で、私どもとしても十分それらの動向もつかみながら適切に対応していくように努めてきたい、このような考え方でおります。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 ぜひ前向きにお願いしたいのですが、その場合にいつも問題になるのは守秘義務という問題です。これに突き当たりますともう論議がそこでストップしてしまう、それ以上論議が進まないというのが通例でありますけれども、秘密とは何かということ、それからまた、その秘密は何のために守らなければならないのかということであります。地方団体における行政については基本的には秘密はないはずであります。国の段階においては、外交上の問題あるいは防衛の問題等については一部やむを得ないと考えますけれども、地方団体における守秘というものは、その団体がその秘密を漏らしては著しく利益を損なう、あるいはまたプライバシーに関連をしてどうしてもまずい面がある、そういうこと以外には地方団体に秘密はないはずでありますので、情報公開等については大胆に前向きな実施ができるように国においても指導あるいは勧告等が必要ではないかと思うわけであります。  それから次に、やはり同じ問題に関連をしますが、いま行管等でも検討されておると思いますけれども、事務の再配分に関連をするわけです。先ほど申し上げた、一人の権力者に権力が集中をする、そのために起こってくる弊害、これを、この権力を分散するという立場からいっても、それからまた権力そのものを民主化をする、ある意味では住民にその権力を返していく、そういった意味からいっても現在の事務配分を根本的に再検討する必要があるのではないかと思います。特に、都市計画の問題であるとか地域政策については、これを実際に担当して処理をしておる団体でないと実際のところはわからないわけです。たとえば地域指定の問題にしましても、ここを市街化区域にすべきであるか調整区域にすべきであるかという問題については、これは権限は知事にありますけれども、実際は市町村でなければわからない、市町村に草案をつくらせて、それを県が追認をするという程度のことしかやっていないわけであります。そういう点で許認可事務とそれから事務の再配分とは表裏一体のものでありますけれども、そういう面で事務再配分の基本的な考え方あるいは現在お考えになっていること、これらがありましたらお伺いをしたいと思います。

田中暁自治省行政局行政課長

○田中説明員 われわれの基本的な考え方といたしましては、住民の身近な場所で行われる行政というものはできるだけ地方公共団体、それも基礎的な地方公共団体でございます市町村の手で行わせるというのが基本的な考え方でございます。  先生いま御指摘の、事務が現在都道府県知事になっておりますのを市町村長というように変更するのが適当な事務がどうかは即断いたしかねますけれども、基本的な考え方としては御指摘のとおりであろうと考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 それに関連をして監査、行政をチェックする機能としての監査制度の改正ということになってくるわけでありますが、現在検討されております監査委員の権限の強化あるいは監査制度の充実、これについて、できればもう少し具体的にどういう程度、どういう内容のものであるか伺いたいと思うのです。

田中暁自治省行政局行政課長

○田中説明員 現在検討いたしております地方自治法の改正の中で最も主要な部分は監査委員制度の整備でございます。  内容といたしましては、一つは、監査委員の監査対象なり職務権限の拡大という点でございまして、一つは、現在原則として監査委員は財務に関する事務の執行が監査対象でございますが、これを機関委任事務を含め一般行政事務についても及ぼしたいということでございます。それから、監査委員の職務権限といたしまして公の施設の管理の受託者に対しても監査できるようにいたしたい。  それから、監査委員の職務の独立性を強化いたしますために、一つは、知識経験を有する者の中から選任されます監査委員が複数ある場合、こういった場合においては、そのうちの一人以上は就任以前の五年間ぐらいは当該地方公共団体の職員でなかった者でなければならないという規定を置くことによりまして、いわゆるその地方公共団体の職員のOBの監査委員の就任に一定の制限をしたい。それから、監査委員の身分取り扱いについての規定を整備したい。  また、第三番目の事項といたしまして、監査の実施体制の整備という観点に立ちまして、都道府県なり大規模な市におきましては、知識経験を有する者の中から選任される監査委員のうち少なくとも一人は常勤にすることによりまして監査の継続性を確保いたしたい。また、監査委員の合議によって決定する範囲を拡大いたしまして、監査結果の報告及び監査意見の提出につきましては監査委員の合議により決定するものというふうに改めたい、こういうことによってその決定を慎重に行わせるようにいたしたい。  大体以上のことを考えている次第でございます。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 非常に前向きの構想でありまして、一日も早くこれが実現することを望むものであります。国の段階における監査、これは会計検査院がそれに当たるわけだと思いますが、会計検査院法の改正については各方面から大変抵抗が強いということでいま難航しておるようでありますが、そのただいまの構想についてはそういうことはございませんね。必ずこれは実現するという見通しがございますか。

田中暁自治省行政局行政課長

○田中説明員 現在各省と折衝中でございまして、必ずしもわれわれが考えております構想全部に全省庁が御賛同いただけるという段階にはなっておりませんが、われわれといたしましては極力この構想の実現に努力いたしたい、かように考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 仮にこの構想に他の省庁から若干の抵抗があっても、ぜひその構想を実現をしていただきたいと思います。そのことによって、問題になっております地方団体の利権あるいは汚職というものがある程度それでチェックができる可能性があるわけですから、ぜひひとつ御検討の上実現をされるようにお願いをするわけでありますが、その中で、監査というのはもともとが執行機関に対峙をする一つの権限であるわけですね、ですから、これをどういうふうに具体的にずるかということは問題でありますけれども、地方団体等においては執行部に対峙をする一つの権力というか存在としての監査委員ということをやはり強調する必要があると思うのです。そういう意味では、議会選出の監査委員については野党から出ることが望ましいわけなんですね。これを制度的に決めるということはむずかしいとは思いますけれども、そういう意味で執行部に従属するようなものではなくて、執行部の執行権に対峙をされる権力としての監査委員、こういう発想が必要だと思いますけれども、そういう御配慮はいかがでしょうか。

田中暁自治省行政局行政課長

○田中説明員 御承知のとおり、監査委員はいわゆる行政委員会制度の一種といたしまして、長その他の執行機関とは独立性を持つという基本的な考え方のもとに構成されているわけでございます。  今回の改正におきましても、その監査委員の職務の独立性ということを強化いたしますために、先ほどお答え申し上げましたような、その団体のOBの就職に対する制限あるいは監査委員の身分取り扱いの明確化、こういうことを考えているわけでございます。  なお、都道府県の段階では四人の監査委員さんで、通常の場合二人が知識経験者、二人が議員さんから選ばれるわけでございますが、議員さんの構成は大抵与党から一人、野党から一人という選ばれ方が通常のケースであるように理解いたしております。

新村勝雄日本社会党

○新村委員 以上で終わりますが、いま国の段階で院法の改正が難航しておる事態の中で、現在の構想を一日も早く実現をしてもらうことによって、会計検査あるいは行政の一方の対極としての行政監査あるいは監視制度、これが一層前進することができるように、その先頭の機関車の役目を果たしていただくように、ひとつ特にお願いを申し上げて、終わりたいと思います。

東家嘉幸自由民主党

○東家委員長代理 次回は、来る十七日火曜日、午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会

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