外務委員会 第21号
- 発言数
- 233 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/09/02
会議録
○奥田委員長 これより会議を開きます。 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣園田直君。
○園田国務大臣 去る四月九日の日本の貨物船日昇丸と米国潜水艦ジョージ・ワシントン号の衝突事故につきましては、去る五月五日に米側より中間報告が提出されたことは御承知のとおりでありますが、このたび米政府から本件事故に関する最終報告を得ましたので、御報告申し上げます。 去る八月三十一日、マンスフィールド駐日米国大使が私を来訪、最終報告書を手交しました。この報告書において、米側は本件事故についての全責任を負うとし、米海軍として遺憾の意並びに陳謝の意を表明しております。また、マンスフィールド大使よりも米国政府としての陳謝の意の表明がありました。政府としては、これを米側の誠意と揺るぎなき日米友好関係の維持発展に対する熱意を示すものとして、評価しております。 このような事故がそもそもなぜ起こったのか、なぜ救助活動が行われなかったのか、なぜ日本側への通報が遅延したのか等の問題について、報告書は詳細に記述しておりますが、幾つかの要点を指摘すれば、次のとおりであります。 まず、事故の原因につきましては、一連の不幸な出来事の偶発的な組み合わせによるものであり、なかんずく艦長、当直士官以下の対応が拙劣で一連の錯誤があったことを挙げ、救難活動が行われなかったことにつきましては、ジョージ・ワシントン号の艦長以下が、日昇丸が沈没するほどの深刻な被害を受けていないという重大な情勢判断の誤りを犯し、なし得べかりし救難活動を行わなかったとして米側の非を明確に認めております。 また、日本側への通報の遅延につきましても、前述のとおり、本件事故発生後の事態についての過小評価が尾を引いて、日本側への通報の必要性が十分考慮されなかったとされております。 以上を踏まえまして、米側は潜水艦艦長を「ジ」号艦長の職から解任し、戒告処分に付するとともに、当直士官についても戒告処分としました。さらに、乗組員三名については訓戒処分としています。また、今後再発防止のため海軍軍人の資質向上を図り、事故発生の際の報告手続を一部再検討するとしております。 最後に、補償問題につきましては、米側は満足のいく解決のため引き続き努力する旨述べております。すでに本件の一部については解決済みと承知しておりますが、マンスフィールド大使も残る部分の円満な解決を最優先事項として取り進めるとの米政府の意向を明らかにしております。 また、政府としても、本件の早期かつ円満な解決を期待しており、このため政府としてできることは行ってまいりたいとの立場に変わりはありません。 特に、このような事故が再び起きないよう、厳重に申し入れをいたしました。 ————◇—————
○奥田委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
○石井委員 本日は、インドシナ情勢について、園田外務大臣から基本的な政府の姿勢をお伺いいたしたいと思います。 自民党のAA研が最近べトナム政府より招請を受けまして、私、団長といたしまして明日からベトナムを訪問することになっておりますが、戦禍の跡の非常に不毛な中に、国際社会で孤立しておりながら今回わが国の与党議員を招待するというベトナムの姿勢、私は、ベトナムの外交姿勢の中に何か一つの姿が出ておるのではないか、こういうふうにも考えつつ、政府の立場ではございませんけれども、議員の立場としてインドシナ問題の解決のために微力を注ぎたい、こういう決意であるわけでございます。 そこで、外務大臣にまず最初にお伺いをしたいのでありますが、日本とベトナムの関係を現状のまま、このままに置いておいていいというふうにお考えになっておるのか、あるいは今後日越関係を重視して東南アジアの平和、安定ということを考えましたときに、積極的なステップを日本の外務大臣として踏み出そうとされておるのか、基本的な問題でございますから、この辺からひとつお伺いをさせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 ベトナムについては、日本は二つの方針を持っております。一つは、他国に軍隊を進めて、力によって他国の動向に制約を加えている、この点は改めてもらいたいという態度、もう一つは、しかしながら、インドシナ半島の紛争を解決するのは、日本本来の立場からいって力によって紛争を解決するものではなくて、関係当事者の話し合いによって解決すべきであるという基本方針を堅持しております。 したがいまして、ジュネーブで行われた難民会議、それから先般ニューヨークで行われましたカンボジアの国際会議等におきましても、将来ベトナムもこの話し合いの座について、ベトナムも参加した会議にこれを持っていくべく道を開いておくべきだ、こういうことを主張しておるわけであります。しかしながら、先般の国際会議で議決されました数カ条は、日本は極力これを推進し、守っていくつもりでございます。 ただいまベトナムには日本の在外公館がございます。しかしながら、いまの状態で、ベトナムが話し合いの座につくことを期待はしておりますものの、外交関係をいまのままで変更する考え方はございません。
○石井委員 日本の場合、ベトナム問題を解決するのにある意味では非常に有利な立場にあると申しても過言ではないと思うのでございます。ASEAN諸国は隣接をしており、直接の利害関係を持っておる、また外交関係が非常に冷えた関係にある。アメリカ側も国交断絶の状態である。中国とベトナムの対立も非常に激しい。その場合、日本はまだ比較的正常な外交関係も持っておるし、フリーな立場でベトナムに物を申せる立場にあるのではなかろうか。いまのままで放置しておきますと、ベトナムが好むと好まざるとにかかわらず、さらにソ連側に傾斜をしていく。そして、アフガニスタンの例もございますように、東南アジアの不安定ということにつながっていくというふうなことで、私は、日本の外交姿勢としては、ASEANの顔色を見、またアメリカとの関係を考え過ぎて、解決すべき問題がだんだんおくれてくるということを危惧するわけでございます。 外務大臣は非常に進歩的な考え方を持っておられる方で、そういうことを考えておられるからこそ、これまでもかなり勇敢な発言をこういう問題にされておるのでございますが、ベトナムに対する姿勢をさらに積極的に進める必要がないかどうか、この点、もう少し突っ込んでお答えをいただきたいと思うのであります。
○園田国務大臣 米国とベトナムの関係は御承知のとおりでありまして、ただいまのところ話し合いのできる状態ではありません。しかし、私は、折あらば米国とベトナムの話し合いが再びできるような方向に持っていきたいと心の中では考えております。中国とべトナムは現に対決をいたしておりますから、われわれやASEANの国々とは対ベトナム対応の考え方は若干違っております。 ASEANとわが日本とは全く足並みをそろえておりまして、ASEANの諸国は日本と完全に意見が一致しておって、ベトナムがカンボジアから軍を撤退するということが前提条件ではあるけれども、しかしやはりベトナムも入れて話し合いをしてこれは解決すべきだという日本の考え方と、ASEANの考え方は完全にそろっているわけであります。国際会議でもそれは明瞭に打ち出されたわけであります。 いま言われましたとおりに、各般の情勢からベトナムと話ができるのは日本だけでありますから、何とかそれに糸口をと思ってはおりますものの、いまのところは、いまの外交関係を切らないで、なるべく糸口を探すという程度であると考えております。
○石井委員 御答弁の中に、言葉を選びつつも積極的な姿勢を持っておられるということは推察いたしましたが、たとえば近い将来、国際会議で新しい提案をされるとか、あるいはまた、大臣御自身がベトナムを訪問されるとか、それはASEANとの関係で少しむずかしいという場合には、せめて国連等の機関を通じてベトナムの外務大臣と接触を持たれるとか、いま持っておられる日本の特異性、そういうことを考えて、何らかの接触と申しますか、これを進める御意向はございますでしょうか。
○園田国務大臣 国連総会では、インドシナ半島の紛争はわが日本にとってはきわめて懸念すべき問題でありますから、私の演説の中ではこのカンボジア問題を取り上げて訴えるつもりでおります。その基本的な方向は、先般の国際会議で決まりました決議を中心にして、これを推し進めるように発言するつもりでございます。 何にいたしましても、ベトナムの方とお会いをすれば、まずカンボジアから軍を撤退されよということが一番先に出てくる問題でありますから、いまのところお会いする計画はございません。
○石井委員 撤兵という問題がこの問題の最大の焦点になるわけでございますが、最近、カンボジアなりベトナム、それからタイ等の非公式接触の中にも、撤退を示唆するような発言がございます。また、現実に撤退というものが行われておるという報道もございます。要は、ベトナム側はいろいろの国際情勢あるいは自国の経済的な情勢の中から、表向き強い姿勢を出しておるようではございますけれども、撤兵の必要性ということを感じておるのではないか、こういうふうに私は思っておるわけでございますが、たとえば、この撤兵という問題に少しでも前進が期待できる、こういうベトナム政府側の姿勢が出てきた場合、これは非常に大きく情勢を変化せしめる要因になる、こういうことでございますか。この点、いかがですか。
○園田国務大臣 そのような事態を期待はいたしますが、いまのところ、私としては何らの確たる情報を持っておりません。石井議員が今度訪問されますので、その訪問並びに個々のお話に十分期待をいたしております。
○石井委員 なお、援助の凍結ということがわが国から行われておるわけですね。園田外務大臣みずからがお決めになった援助の手を差し伸べた姿を、またみずからの手で凍結しなければいかぬということ、これは非常に残念なことだと思いますが、撤兵ということさえ解決すればこの問題は再開するという見通しがついてくるのか。 たとえば、この間の国際会議におきましてもいろいろの提案をされております。私たちが見まして、これは条件的に非常にむずかしいと考えられるものもたくさんございます。また、いまのベトナムの経済情勢、民生の安定というふうなことから考えまして、ベトナムは援助を再開してくれというふうなことは言っておりません、精神を非常に高いところに置きまして、武士は食わねどという気持ちでやっておる節はございますけれども、やはりあのいまの百七十ドルのGNPなんというものから比べますと、どれだけ厳しい生活をやっておるかということは想像に絶するものがございます。 政治的な配慮だけでなく、人道的な立場からこの援助をひとつ考え直そうというようなお考えはないのか、この点はいかがでございますが。
○園田国務大臣 御発言のとおり、私が先般外務大臣をやりましたときに、ベトナムの外務大臣が日本に直接おいでになって二人でお会いをして、有償が百億、無償四十億という援助を決めて実施したわけでありますが、その後、武力介入とインドシナ半島の紛争によって、援助はいまのところはしておりません。したがいまして、これをいつ解除するかという話でありますが、具体的には申し上げられませんけれども、軍の撤退、そして、インドシナ半島に恒久的な平和が来るということになれば、これは人道上の見地から、ベトナムの復興、経済の確立のためにお力添えをするのが当然であるとは考えております。
○石井委員 以上申し上げましたように、ベトナムに対する積極的なアプローチ、また、援助という問題をセパレートに考えて取り上げていくというふうなこと、現時点においてこういうことを発言されるということは、外務大臣としてお苦しいところもあろうかと思いますけれども、今後の外務大臣の積極的な日本外交の展開という意味から、ひとつ前向きに御検討いただきますようにこの席で強くお願いを申し上げておきたいと思います。 そこで、ベトナムに関連をいたしましてもう一つお伺いをしたいのは、昭和四十四年にベトナム孤児福祉財団というのが発足いたしております。これは、故人になられましたけれども松田竹千代議長が代表になられまして、ベトナムの孤児を育成し、そして、できればいろいろの訓練を与えた後にわが国に連れてきて再生を図らせたい、こういうことで、非常に崇高な精神のもとにスタートをいたしました。われわれ議員も全員が歳費の一部を約五年間にかけまして拠出をいたしまして、何億かの金をプールいたしました。こういうことは前代未聞のものではないかと思うわけでございます。 政府の方も、四十六年度予算で二億二千万円、四十七年度予算で二億七千二百四十万円、不執行になりましたけれども五十年度の予算で一億五千万円というふうに、われわれの血税をこの財団の施設建設のためにつぎ込んだ。そして、その孤児院といいますか、施設は非常に順調に運営が始まりまして、約二百人の孤児を入れ、建設物は完成し、設備はりっぱにできた。現在のホー・チ・ミン市から約一時間ほどの距離にそういうふうなものができた。膨大な土地をベトナム政府が提供し、日本政府がそれだけの巨額な資金を投入した。 ところが、不幸なことに、この戦火のためにその後この施設がどうなっておるのか全く不明である。こういう事実があるわけでございますが、この点についてはどういう交渉がなされ、今後どういうことになっていくのか。まさに宙に浮いたようなことで、その財団は名前を変え、いわゆるアジア孤児福祉財団とかなんとかという名前で現在存在しておるが、本来設立の目的は達成できずに未解決のまま残っておる、こういう情勢でございます。この点について多分外務大臣は御承知だと思いますが、御意見を伺いたい。
○木内説明員 ただいま石井委員御指摘の孤児の施設が、松田竹千代先生、それから石井先生初め有志の方々の御支援で実は順調にいっておったことは御指摘のとおりでございます。ただし、遺憾ながら昭和五十年にサイゴンが陥落いたしまして後、ベトナム政府の接収するところとなっております。 その後、わが大使館は引き揚げて、ハノイに再び戻って現在に至っておるわけでございますが、数年前に、当時の長谷川駐ベトナム大使からベトナム政府当局に対して、せっかく日本の関係者の肝いりで運用されておりますこの孤児の施設について、日本側に返還あるいは日本側のかかわり合いを持つ機会をつくってもらえまいかどうかということを折衝した経緯がございます。実は遺憾ながらそれに対しましては、ベトナムの接収はそのまま続けざるを得ないというような先方の御返事で、その後事態は明確に変わっておりません。 先生がベトナムにおいでになられるにおいては、せっかくの機会でございますので、ハノイ当局の意向を打診いただくのは非常に結構ではないかと私ども考えておりますd
○石井委員 責任がこっちに回ってきたような御答弁なんですね。私が尋ねておりますのは、日本政府がかなりの金額を拠出し、非常にりっぱな目的でそれだけのものが完成した、しかも動いておった。その後そういう情勢なんですが、いまどうなっておるのか、どういう目的で、目的が変わって使われておるのか、あるいは廃墟になっておるのか。 正常なベトナムとの関係をわが国は持っておるわけですから、外交官はそれだけの特権もあるわけでありますから、その土地へ行くことも可能であろうと思うわけですが、いまの答弁だと、向こうへ一遍聞いたけれども、いわゆる接収は解除できないという答えだけでそのまま置いてあるので、今度ひとつ石井さん、あなた行って見てきてくれ、こういうことなのか。その辺はもう少し、われわれが拠出した金はどうでもいいけれども、やはり国民の血税をそこへそういう目的のために使ったのであるから、今後これはひとつ立て直していって、日本のりっぱな足跡というものをもっと育てていくという必要、そのためにはいまの答弁では少し熱意が足りないのじゃないか、こういう感じがいたしますが……。
○木内説明員 ホー・チ・ミン市にはすでに実館がなくて、ハノイに移っております。わが大使館員がホー・チ・ミン市を訪問することは、いろいろ移動の制限はございますけれども可能でございます。過去におきましてこのビェンホアにあります施設の視察を申し入れた経緯がありますが、遺憾ながら実現いたしておりません。ただいま石井委員御指摘のとおり、私ども熱意に欠けるところがあるのではないかという点は十分反省いたしたいと思っております。
○石井委員 外務大臣。私、訪問するに当たりましていろいろなものを調べてみますと、これまで日本がかなりのことを努力をして、長年かかってやっておるわけですね。ただいまのも一つのりっぱな施設だと思いますが、チョーライ病院なんといいますのも、非常に大きな病院を日本の援助によって建てた。しかし、いまここにはもう医療機器もなければ医療品もない。まあ病人が収容されておるかもわかりませんけれども、あとはどうなっておるかわからぬ。宝の持ちぐされというふうな感じがあるわけです。やはりベトナムの人々にとりましては、日本がやってくれたんだという気持ちがそこに残っておる。これらに本当に、建物をつくったというだけでなしに、これからのフォローアップをどうするべきかというふうな問題が民生のレベルで山積しておるように私は思うのであります。 また、どれくらい困っておる、そういうことが必要な国はないということを考えましたときに、カンボジアの撤兵ということのみにとらわれる——これは政治的に重要な問題でございますけれども、ここはASEANなりその他の協調姿勢だけで解決できない日本の特殊性というものがあるように私は思うわけでございます。こういう点をひとつお含みいただきまして、向こう側への接触あるいはまた中国側への接触なんということもお考えになっておるかどうかわかりませんが、国際舞台での行動等、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、今後、日本のベトナムに対する基本的な政策ということについてどういう取り組み方をしていただけるのか、まとめてお答えをいただいて、カンボジア問題に入りたいと思うのでございます。
○園田国務大臣 いろいろ問題はありますが、食糧であるとかあるいは人道上の医薬品などという緊急の問題は、私、絶えず考えているところでございます。したがいまして、政府から直接送ることができなければ、国際機関に基金を出してそこから回してもらうとか、日本の赤十字は民間から資金を集めて食糧とか医薬品を送ったという過去の事実もございますから、そういう点は十分考慮して、なお先ほどの松田先生がおつくりになったこと、よく心得ておりますが、これも接収されたのを解除されるかどうかということは二の問題でありまして、それが目的どおりにベトナムの困った人々のために役に立っているかどうかということが問題で、これは調べたらすぐわかるべきはずだと思います。また、病院についても、非常に感謝をされて、一時は非常にうまくいっておったということも聞いておりますが、こういうこと等もよく情報を集めまして考えてみたいと思います。
○石井委員 積極的な御答弁の一部を得たような気持ちがいたします。ひとつ今後の園田外交を期待いたしておきますし、私もまた十分な、できる限りの情報を提供させていただきたい、そう考えるわけでございます。 カンボジアの情勢は、ベトナムと非常に緊密に関係をいたしておる。カンボジアが解決すればベトナム問題も解決するという重要な問題であり、これは世界的な問題でございます。日本は一応ポル・ポト政権と申しますか、国際的にも国内的にも非常に不人気きわまりない政府に対する配慮をされておる。しかし、カンボジア全域はいまやヘン・サムリン政権によって、ほとんどの、大多数の人民はその統治下にある。さらに、第三の勢力と申しますか、いわゆるシアヌーク等の三者会談というふうな、統一戦線づくりというふうなものが目指されておるが、外務大臣はカンボジアの情勢を一体どう見ておられるのですか。
○園田国務大臣 非常に複雑多様でございまして、いまおっしゃいました統一戦線と言っておりますが、シアヌーク殿下を初めとする三派の連合、これは表面に出ているようにはなかなかうまくいっておりません。必ずしも足並みがそろっていないというところに悩みがあるわけであります。 また一方、おっしゃいましたヘン・サムリン政権はベトナムの武力下に成立した政権でありまして、私の知るところでは、これはカンボジア全土を支配している、あるいは大多数を支配しているとは受け取れませんので、これまたカンボジアの将来の一つの勢力になり得るとも考えておりません。 また、一方の政権は、過去の行状によってヨーロッパ、米国等から相当非難を受けております。しかし、この代表権問題がいつも問題になるわけでありますが、わが日本としては、この政権を否認することは外国軍隊の介入によることを国連が是認することになりますので、当分はこの政権をカンボジアの代表者として支持するつもりでおります。
○石井委員 日本が多極的な外交姿勢の中からわが国の姿勢を決定していくという中に、現状ではそういう判断は、私は日本人の一人として是認せざるを得ないという感じはするのですが、その反面、たとえばスイスの動き、イギリスの動き、ヨーロッパの動きを見ましても、案外——中国の承認の場合も、イギリスあたり、この辺から地すべりが動き出して、結局は世界の大勢はそこへついていった。 現実にアフガニスタンのいまソ連に支えられておる政権とヘン・サムリンの政権は、当初、介入の時点においては外国の武力介入という側面もございますけれども、その前にありましたポル・ポト政権という、この残虐性が余りにも国際的に悪名高く、また国内では血を分かった人々が殺されたという中に、これをいつまでもASEANとともに日本が承認しておる、これは近い将来必ず転換を余儀なくされてくると思うのであります。そういうお感じをお持ちになりませんか。 これは公式論と非公式論があると思いますけれども、私は、ヘン・サムリン政権が安定したカンボジア全域を支配する政権だとは思いません。しかしながら、いまのお話しになりました三つのグループの中では、相対的には評価すべき点があるのじゃないか。その後のカンボジアの復興の動きの中にも、人々は何とか食えるという情勢にもなりつつあるということも聞いておりますし、この辺も機会があればよくわれわれ検討したいと思うのですが、公式論でなく園田個人の見解でもいいと思うのでございますが、この点についての御所見はいかがでございましょう。
○園田国務大臣 公式の委員会でありますから、個人の意見を申し上げるわけにはまいりませんけれども、問題は、いまカンボジアを代表する代表権がなくなれば、それがなくなってヘン・サムリンの方に行くという可能性は全然ございません。いまの国連の状態では、いまの代表権がなくなればカンボジアを代表する代表権というのはどこにもなくなるという状態でございますから、われわれは同じ考え方をするASEANの同志諸君といまの代表権を支持する、こういうつもりでございます。これが今後どのように変化してどうなるかということについて予測を申し上げることは危険でございますから、申し上げることは遠慮いたします。
○石井委員 私は、いまの外務大臣の御意見には多少異論がございます。恐らく十一月のマニラで開催される国際赤十字の総会においては、ヘン・サムリン政権を正規のものに決定するのじゃないかなと私は思います。もちろん、頭がかわりましたり、多少民主的な選挙をやるとか、撤兵をどうするとかいうふうな条外はつくと思いますけれども、ヘン・サムリンとは言いがたいにいたしましても、ポル・ポトではない、またシアヌークを中心にしたグループではないものが近い将来カンボジアを代表するものになってくるだろう、私はそういう見通しを持っておるわけでして、ヘン・サムリン政権がいろいろの悪条件はあるにしても相対的にはかなり評価すべきものだというふうに思うわけです。 まあその点は公式の委員会でもありますからこれ以上議論いたしませんが、秋の国連総会において、国連のいわゆるカンボジア代表権問題についてどう臨まれるか。また、日本の特異な立場を考えて、これまで園田提案というふうなことも勇気を持ってやられたのですが、国連総会においてさらにこの問題について新しい提案をされる御意思があるのか、この点ひとつお考えを伺っておきたいと思います。
○園田国務大臣 国連総会では、私は、先般ニューヨークの国際会議で出された全会一致の決議、これを基本として、これを敷衍した提案をするつもりはございます。 なお、外国軍隊がカンボジアから撤退をして、平和のうちに、カンボジア国民の自由な意思によって次の真のカンボジア国民の政権ができると期待はいたしておりますが、ただ、違いますことは、その際にヘン・サムリン政権がその主体になるとは私は考えておりません。
○石井委員 終わります。
○奥田委員長 高沢寅男君。
○高沢委員 大臣、しばらくでございましたので、お尋ねしたいことは本当にたくさんあるのでありますが、時間の制約がありますので、どうしてもある程度舌足らずになることは御了解いただきたいと思います。しかしまた、限られた時間の中で、大臣にも率直な御見解をお願いいたしたいと思います。 最初に、先ほど御説明のあったアメリカ原潜と日昇丸衝突事件の御発言でありますが、今回のアメリカの調査報告書の交付によって、これで落着ということにされるのかどうか。 私の見解を先に申し上げれば、今回の報告は相当詳細に述べられてはおりますが、なおかつ、日本側当事者の見解との食い違いもまだありますし、その点においては、これで落着ではいわゆるうやむや決着というようなことになるのではないかと憂慮するわけですが、その点の御見解はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 このような不幸な事件であり、かつ、人命を失っておりますから、これでいいということはございませんけれども、これほど詳細に報告をし、かつまた、われわれや国民が疑問に思った点も明白に答えております。すべては米軍の責任であるということを認めております。これに伴って、補償問題等についても弁護士を仲介にして話は進められておる、こういうことから考えますると、この問題はこれで結末であると私は考えております。
○高沢委員 性格の違う問題ですが、例の金大中氏の事件も、いわゆる政治決着というものが後にどういう禍根を残したかという前例があります。今回の事件はあれとはもちろん性格の違う問題でありますが、その意味においては、やはりまだ当事者が、うやむやの決着では承知できない、こう言っておる現状においては、政府としてはなおアメリカに対するこの問題の究明の努力はされるべきだ、これが私の見解であります。それで、なお今後の問題で非常に大事な問題は、やはり再発防止、このことであります。先ほど大臣もそのことを述べられましたが、この再発防止の保証をどういうふうにして取りつけをされるお考えか、それを御説明願いたいと思います。
○園田国務大臣 今度の事件は、偶発的な点が不幸にもつながっていったという点にありますけれども、やはり二つの原因があると考えます。 非常に失礼な言い分ですが、米国海軍の下級士官というか、下士官というか、直接見張りあるいはその他機械を操作する方々の能力に一つは問題があったのではないか。 それからもう一つは、米国陸海軍の規定の中に、こういう場合に演習目的が第一に取り上げられて、いわゆる演習目的ということが重点に将兵の中にあったのが今度の原因。そういう場合には演習をやめてでもすぐやるべきだということになりますと、事故があった場合には人命救助優先というふうに米国側の方でそういう規則を変えてもらいたい、この二つだと考えております。
○高沢委員 私は、ただいま米海軍の、これは下級と言われましたが、艦長となればもう上級だと思いますから、そういう上級のところまで含めて、あの報告書で、本当にこういう程度のレベルであるのかということを私も実は驚いた一人であるわけであります。 そうなりますと、そういうレベルは、これはジョージ・ワシントン号だけだ、ほかの潜水艦はもつといいぞというようなことはとても言えないのじゃないのか。そういたしますと、その種のものが日本の周辺をいつも走り回っておるというふうな事態を考えますと、これはとても再発防止の保証があるということはこの状態では言えないのじゃないのか、私はこういうふうに考えるわけですが、その点もう一度、そういう質の問題、あるいはまた、アメリカのいまの世界戦略の中で、何事も軍事優先というようなものを是正させるめどは大臣お持ちなのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 軍の質の問題は私が率直に意見を述べただけであって、これは余り口出しすべき問題ではない。これはアメリカの軍自体が練度を向上させられるべき問題だと思います。そしてまた、これは一潜水艦だけではなくて、全般にわたる問題だと思いますが、一番大きな問題は人命ということに対する心構えの問題だ、こう思うわけであります。演習の際に演習目的が一番念頭にあるというところに問題があると思いますので、この点は私は十分アメリカ側にも意見を申し入れて、この私の申し入れにこたえてもらうつもりでおります。
○高沢委員 その米海軍の質の問題ですが、御承知のとおりわが国はアメリカの核のかさに頼る、こういう立場を自民党政府としてはとっておられるわけですが、その頼るべき核のかさを動かしている米海軍の質がこの程度であるということが明らかになったこの段階で、核のかさというのは一体何の役に立つのだ、役に立つどころではなくて、逆にこの種のものがいま非常に危険な核の雨を引き寄せるのではないのかというふうなことを私ますます痛感をいたしましたが、この機会にこういう問題についての大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 アメリカの核のかさに依存して日本の防衛の一部を考えているということと、核を日本に持ち込むこと、核に危険があることとは非常に矛盾するようでありますが、われわれはちゃんと両立できると考えております。この議論は私と先生との間には基本的に相違がありますから、議論にならぬと思いますので、御意見だけ承っておきます。
○高沢委員 ちょっとこれは大臣に逃げられたと思いますが、もちろん持ち込みは非核三原則堅持の大前提に立ってあってはならない。持ち込んでないが、日本の周辺海域をああいうものがいつも核のかさと称して行動しておる、それがあの水準であるということから出てくる結果の危険性ということを申し上げたわけですが、認識が違うという御意見でございますので、私は重大な警告として申し上げて、次へ進んでまいりたいと思います。 先ほど来の石井委員のベトナム問題、カンボジア問題についての御質問、私も敬意を持って拝聴した次第でありますが、あれに重ねて一言だけお尋ねしたいと思います。 実は私は日本・ベトナム友好議員連盟という超党派の議員連盟の代表幹事を仰せつかっているわけでありますが、この議員連盟が一昨年ベトナム側の招待によって向こうを訪問いたしました。そこで、今度はわれわれの側が先方の国会の代表団をお招きするということでもって、実はいま東京におられる大使を通じて御招待の意思を向こうへ伝えてあります。まだ向こうから来られるかどうかのお返事はないのでありますが、向こうから来るというお返事があれば、当然近い将来実現してくるわけですが、そういう機会に、先方から来るこういう代表団、民間で招く代表団ではありますけれども、私は積極的に大臣を初めとして政府の要路の皆さんにも会っていただいて、そしてこういう機会を積極的な意見交換の機会に活用していただきたい、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 私は、ベトナムに対してはこれを非難することだけによって解決はできない、ベトナムと話し合うことによって解決しようじゃないかと終始一貫して言っておりますから、そういうことになれば私は喜んでお会いするつもりでおります。
○高沢委員 そのようにひとつお願いいたします。 それから、次の問題として、きょうからグアム島において太平洋地域の首脳会議が開かれる。この会議では、非常に中心的なテーマになるのは、日本の放射性廃棄物の太平洋投棄の問題、これが問題になる、こう伝えられているわけですが、中川科学技術庁長官がこの会議に招かれたけれども出席されない、こういうふうに伝えられております。また、報道によりますと、園田外務大臣にもこの会議の招請が来たというふうに伝えられておりますが、そういうことがあるのかどうか、外務大臣の対応についてお尋ねしたいと思います。
○宇川説明員 お答えいたします。 事実関係につきましては、いま先生から御質問のございましたように、中川長官にも先方の知事名で招請が参っておりまして、外務大臣に対しても同様でございます。
○高沢委員 そうすると、外務大臣にもそういう招請があったという御説明がいまありましたが、それに対して、大臣としてはきょうここにおられますから、出席をされていないわけですが、その辺の対応をどういうお考えで対応されたか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 御承知のとおりに、この問題は技術庁長官の所管であることが第一。第二番目には、私の日程が詰まっておりまして、国連、日韓関係閣僚会議、それからメキシコのサミット等がございますので、どうしても私は日程上できませんので、出席をいたしませんでした。
○高沢委員 所管が外務省と科学技術庁で違いがあるということは、私も承知いたしておりますが、出席のできない事情はわかりました。 ただ、日本の政府として、あるいはまた政府を構成される重要な国務大臣としての大臣の御見解をこの際お尋ねしたいのでありますが、私は、太平洋地域のいわゆるミクロネシアあるいはメラネシア、ポリネシア、こういう国々と日本との関係というものは、まさにこれ同じ太平洋というものを基盤にして成り立っているわけでありまして、その太平洋という海の重要性というものが、これらの国と日本が本当に心と心の結びつきという形になる大事な基礎ではないか、こう思います。その太平洋を放射性廃棄物の投棄で汚してもらっては困る、こういうふうな太平洋諸国の考え方について、大臣はどのような御認識をお持ちか、お尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 私の方から申し上げますと、太平洋諸地域の国々は、きわめて日本にとって大事な国であります。こういう国々とどうやって友好関係を深めていこうかということを、日夜私、考えておるわけであります。それと直接関係はございませんけれども、私の外交方針から言えば非常に影響があるわけであります。この問題については国際的な規制もございます。かつまた、関係諸地域の理解を求めてやるということが政府の方針でありまして、これは関係諸国並びに国会でもしばしばお答えしておると存じております。 いま開かれておる会議に政府代表が出席しておりますが、この政府代表もその点はちゃんと表明するはずでございます。
○高沢委員 そうすると、いま大臣が、関係諸国の理解を求めて、こういうお言葉がありましたが、このことは逆の言い方をすれば、それら関係諸国のいわば了解がなければ太平洋投棄はないというふうに理解してよろしいのか。そこがはっきり割り切ってもらえれば、太平洋諸国は非常に明確に理解してくれるのじゃないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
○宇川説明員 この点につきましては、いま直ちに実施するという性質のものでございません。国際的な規制がございまして、一年間の事前予告を必要といたしますし、わが方でもいろいろ研究をしていかなくちゃいけない問題でございます。ですから、十分理解を得るように時間をかけて努力を積み重ねながら、その上で実施したいと考えております。その意味での見切り発車をするというような意図はございません。
○高沢委員 ただいま、見切り発車はしない、こう宇川さんは言われましたが、大臣、そのとおりでよろしいですね。
○園田国務大臣 当然、諸地域の理解を得た上でなければ、こういうことはなかなか進むものではございません。
○高沢委員 次に、私は、日本の外交の基本の大前提であるいわゆるソ連脅威論というような問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、その前に、今回結ばれた貝殻島のコンブ協定、早速もう出漁が行われておりますが、この協定が成立したということについての大臣の御評価を最初にお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 昨日も出漁に先立って地元地域から長文の電報をいただいておりまして、私も非常に喜んでいるところであります。 御承知のとおりに、紆余曲折はありましたけれども、北方四島問題に対する将来の限界に制約を加えることなしにこの出漁ができた、こういうことは非常にありがたいことで、この点はちゃんと分けて、ソ連に対してもその好意に感謝をいたしております。
○高沢委員 いま大臣の積極的な御評価がありましたが、私も社会党の一員として、ここまで来る紆余曲折の過程で、社会党の飛鳥田委員長とソ連のスースロフ氏の首脳会談の中で、このコンブ漁が実現するようにという社会党側からの強い要請を行い、また、スースロフ氏の方もその実現のために努力しましょうというような話し合いが行われた経過があって、今日のこういう結論に至ったという立場で、大変これを喜ぶ一人でございますが、さて、そういう上に立って、大変むずかしい日ソ間の外交課題をこれから前向きに進めていく、その進めていく展望と申しますか、それについて最初に総論的に大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 鈴木総理大臣は平和外交を唱えておられます。私はそれと同様な意味で全方位外交を唱えているわけであります。イデオロギーや経緯は別として、一番近隣にあるソ連と日本が話がうまく進まぬということは、これは一つの大きな懸念の事項でありまして、何とかしてソ連と話し合っていきたい。たとえばいまのようなコンブの漁を初め、まだいろいろ問題があるわけでありまして、そういうものを積み上げていけば何とか、国際情勢全般の厳しい状態を別にして、私は日本は日本独自の立場でソ連の方と話し合いの糸口はあるものと考えておりますが、日ソ間の一番大きな問題は北方四島の問題でありまして、これが横たわっておりますので、なかなか両方とも先に口を出すわけにまいりませんけれども、何とかして私は話し合いの糸口をつかみたいと考えているのが私の気持ちでございます。
○高沢委員 いまの大臣のお気持ちの中で、今度の国連総会に出席されて、その場で恐らくグロムイコ外務大臣とお会いになるいろいろなチャンスがあると思いますが、そういう面における大臣の、またこうしてみようと思っておるという御所見がありましたら、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 ちょうど国会の最中でございまして、これはお許しをいただかなければならぬことでございますが、何日お許しをいただくか、私の希望とすれば、この際、主要な国の外務大臣とお会いできる期間は与えていただきたいと考えているわけでありますが、そういうわけでグロムイコ外務大臣との会談もまだ正式に決まっておりません。向こうの日程、それから私の演説をやる日程、それから国会の都合等でうまくかみ合えばいいがなと思って、いま折衝しているところでございます。もし幸いにお会いすることができましたならば、いまのような趣旨の話し合いをしてみたいと思っております。
○高沢委員 国会のさなかにおける大臣の国連総会へ出席される日程について、投げ返された感じでありますが、そのときはまた理事会で委員長を中心にひとつ御相談をさせていただきたいと思います。大いにその方向でお願いしたいと思います。 さて、先ほど大臣の御所信として全方位外交という言葉を使われましたが、私は率直に言って、本当に久しぶりにこの言葉を政府の側からお聞きをした、実はこういう印象を持つわけであります。と申しますのは、先ほど申しましたソ連脅威論というものが、もうカラスの鳴かぬ日はあってもソ連脅威論ということがわれわれの耳に入らぬ日はないというような最近の情勢であるわけですが、そのソ連の脅威というものについての御認識をこの機会に少し私、ただしてみたいと思うのです。 この脅威というものの因数分解をしてみると、一つはそういう侵略をする能力があるかどうか、もう一つはその意図があるかどうかというふうな因数分解がいままでなされているわけですが、そういう要素で見た場合のソ連の脅威について、私は、アメリカの見方は、能力もある、意図もある、もうこんな危ないやつはない、こういう見方であろうと思います。 日本の政府のその脅威の評価、判断がアメリカの評価、判断とまるっきり同じものであっては、これはまた大変だと思うわけですが、その辺がやや——これは過去にさかのぼりますと、七月の段階で宮澤官房長官から、そういう認識において日本とアメリカは決して一つではないのだ、こういう表明があったり、また、当時園田外務大臣もそういう御見解を述べられた。ところが、七月十日の閣議になりますと、日本とアメリカはソ連脅威については同じ立場に立つ、同じ認識に立つという、何か統一見解のようなものを閣議でまとめられるというふうな経過があったわけですが、このことが結局、日本の軍事強化の政策をどう進めるかの前提条件になってくるわけでありまして、私は、そういう意味において日米が全く同じ認識なんだということであってはならぬと思うのでありますが、この点の大臣の御所見をまずお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 日本と米国は同盟国でありまして、この上に日本の安全、日本の平和というのを考えているのがわれわれでありまして、先生方は日米同盟に反対しておられるわけでありますから、若干の食い違いは基本的にあると存じます。存じますけれども、私は先ほど全方位外交——これもまた、ときどき誤解を受けますが、本当の平和外交ならば、どこの国とも外交ができなければ本当の平和外交はできない、これは私の変わらざる信念であります。ただ、全方位外交と等距離外交と一緒にされますが、等距離外交と全方位外交とは違います。必要に応じて日本の立場からそれぞれの国と外交をする、こういう意味であります。 次に、ソ連に対する認識の問題でありますが、これは率直に申し上げましてソ連の過去、アフガニスタン、ベトナムその他の問題は御承知のとおりであります。これは日本共産党の諸君でさえも反対しておられる。これは別として、近時ソ連が非常に軍備を増強しておる。特に極東においては非常な軍備の増強がされておる。北方四島についてもそういう増強をされておる。したがって、私はこれに対して非常な懸念をしておるわけであります。その懸念とは、こちらにすき間があって空き間が出てくれば何が起こるかわからぬ、これは国を預かる者の心配すべき当然の道だと考えるわけであります。そこで力の均衡ということが出てくるわけでありまして、やはり今日のソ連の軍備増強、国際情勢下におけるいろいろな行動というものについては懸念を持っておる、こういう現実の認識においてはアメリカと一致をいたしております。 ただ、それに対応することになってくると、若干の違いがあるのは当然であります。これは米国と日本の立場の相違であります。私はいまの軍備増強でも一番懸念しているのは、ソ連が増強する、力の均衡ということでアメリカも軍備を増強する、お互いに軍備増強の競争が始まって、とどのつまりは予期せざる火花が散ることで、これが私は一番脅威だと考えている。ソ連のやっていることは懸念だ、私はこう言葉をちゃんと使っておるはずであります。 そこで、日本の置かれている立場、ここから先は意見は一致すると思うのでありますが、たとえ方向が違い、判断は違っておっても、世界の平和を願うという点についてはどなたも一致することであり、世界の平和とは、言葉をかえて言えば米ソを戦わしてはならぬということだと私は存じております。そこで、核・中性子爆弾等を含む軍縮、軍備管理、こういうものをわれわれ小さい国国が訴えて、力の均衡とは軍備増強による力の均衡ではなくて、なるべくお互いが軍備を縮小しながら低い水準で力を均衡する、と同時に、米ソが話し合いを始めることを期待している。これは話ができるはずであります。両方とも心の中ではこれでいいと思っていないと私は判断をいたしております。そういう方針で私は国連その他では主張するつもりでおります。
○高沢委員 私も、いま大臣の言われた増強による均衡ではなくて縮小均衡、こういう行き方で最終的にはゼロに行くべきである、これが国会に軍縮議員連盟もできておる趣旨であるわけでありまして、ぜびその方向へ御努力を願いたいと思うのですが、さて、そういう立場で見ると、いま大臣も触れられたたとえば中性子爆弾、こういう問題で最近、レーガン大統領の生産再開の決定がなされる。 しかも、まことに皮肉なことには、日本においては広島、長崎のあの原爆の被害を二度と繰り返してはいかぬ、そういういろいろな集会などが行われているさなかに、しかもまた、ことしは広島の原爆犠牲者の慰霊祭に鈴木総理も出席された、そしてこの核兵器の廃絶を世界に向かって誓われた、その直後にレーガン大統領の今度は中性子爆弾をつくるぞという決定があったということを、私はまことに遺憾である、こう思うわけであります。 報道によると、そういうことがアメリカから日本政府にも通告されておるというふうに伝えられておりますが、そういう通告の事実関係、また、それに対して日本政府としてどう対応されたか、これをお尋ねしたいと思います。
○淺尾説明員 中性子爆弾の製造再開について日本政府に通報があったかというお尋ねでございますが、これはございません。したがって、日本政府としてこれにどう対処したかという問題も、そこでは起きてこなかったわけであります。
○園田国務大臣 私は、国連総会では米ソ両国に対して、いまの件も含んで要望、警告はするつもりでおります。
○高沢委員 事の動きを見れば、アメリカが中性子爆弾をつくる、そうするときっと今度はソ連の方も対抗的に、それでは自分の方もつくるぞ、これでまた拡大均衡になってしまうということになるわけですから、その点においては、両者にそれをやめてくれというふうに言われるといういまの大臣の御決意、私も賛成です。 同時にまた、これはどうしても作用と反作用の関係ですから、やはり作用を起こした側に対して、あなたはその作用をやめなさい、そうすれば反作用もなくなるはずだということでもって、少なくも日本政府としては、友好国、同盟国である以上は、なおさらそのアメリカに向かって、ひとつ中性子爆弾はやめてくれという反対の意思表示をされるべきだと思いますが、この点はいかがでしょう。
○園田国務大臣 そこは少し違っておりまして、私は米ソ両国に五分五分に言うつもりでおります。
○高沢委員 さて、そのソ連の脅威論の関係ですが、私はこれと同じ論理立てで、今度は北朝鮮脅威論というのが出てきている、こう思うのです。 これは後ほどまた土井委員の御質問も当然あると思いますが、これも脅威論を前提にしてアメリカのあるいはまた韓国のそういう一つの政策設定があり、そこにいま、何が何でも日本もこれに一緒に入れ、日本も一緒にやれ、こういうふうな形に来ていると思うのでありますが、そうなってまいりますと、この朝鮮の北からの脅威論というものについても、私は、日本政府としては毅然とした自主的な判断というものを持って、アメリカに対してそれは違いますよ、韓国に対してそれは違いますよということをまず主張されるべきじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
○園田国務大臣 東西問題に対する基本的な米国と日本との認識は別で、北朝鮮の脅威について脅威とか懸念とかという発言は一切私はしておりません。ただ、いたしましたのは、南北の問題が緩和はしていない、依然として緊張は激化しているとおっしゃるから、それをそうですがと理解しただけで、こういう点で一致しただけでございます。
○高沢委員 私は素人の常識で言っても、たとえば核兵器、韓国の方にはもうアメリカの核兵器がたくさん配置されています。そうして、伝えられるところによれば何かランスミサイルというものもあるそうでありまして、ランスミサイルというのは中性子爆弾を装着するミサイルだとも聞いております。そういうものが韓国の方にはたくさんある。北の方は自分も核兵器を持っていないし、ソ連や中国の核兵器も置いていない、これは私は金日成主席の発言はまさにそのとおりに受けとめて間違いないと思う。そういう状態で北から南へ攻め込んでいくなどということば、私は素人の常識で考えてもあり得ることではない、こう思うわけです。 そういう点においては、大臣は脅威とか懸念とかいう雷葉は一切使っていない、こうおつしゃったわけですが、韓国の脅威論に対して、それは認識が違うのじゃないのかということをはっきりお述べになるべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
○園田国務大臣 日韓問題は非常にむずかしい問題で、正直言って私も非常に頭を悩ましておるわけでありますが、私はのんきな方でありますが、韓国の方と話す場合に一言一句注意をして話しているわけでありまして、したがいまして、忠告めいたことや、少なくとも日本が大国ぶって兄貴分みたいな発言をすることはいまのところ十分慎んでおるところでございます。
○高沢委員 その脅威論に関連するのでありますが、これも報道によりますと、日米の防衛協力のガイドラインがありますね、あのガイドラインに基づいて、いままでは日本の防衛についてのいろいろな日米の共同研究が進められてきた。今度は極東の共同防衛についての研究を進める、こういうふうに伝えられているわけですが、極東の区域の日米の防衛協力というものは一体どういうものになるのか、最初にそれをまずお尋ねしたいと思います。
○淺尾説明員 高沢委員も御承知のとおり、防衛協力に関するガイドライン、いわゆる指針が五十三年にできました。その際に、五条の研究、それから六条の研究というのがございました。日本以外の極東有事の研究ということになっております。従来、日本が攻撃された場合の研究について日米の制服同士で研究をしてまいりまして、一段階ついたというふうに私たちは承知しております。 そこで、次の六条の研究はいつするかという問題でございますが、これについては大村防衛庁長官が訪米されたときに、六条の研究に着手してはどうかという話があったというふうに聞いておりますが、まだいつの時点で、かつどういうレベルで、どういう形式で行うということについては、一切日米間で話はしておりません。
○高沢委員 いまの御説明では、それじゃ六条に関する研究、こういうふうに受けとめていいわけですね。六条では、極東区域に何か紛争が発生した場合に、安保条約に基づいて日本にいる米軍が日本の基地から出動していく、その出動していくことに対して、日本政府としては事前協議の対象としてこれに対処する、こうなっているわけですが、このことを研究する、こういうことですか。
○淺尾説明員 若干私の御説明が舌足らずであったかもしれませんけれども、共同研究、ガイドラインの中には事前協議それ自身あるいは非核三原則は対象にしないということでございまして、そこで言っている日本以外の極東有事の研究というのはこれから進めてまいりますので、その内容がどういうふうになるかここで具体的に申し上げられませんけれども、考えられるのは、日本とアメリカが日本以外に何か事態が起きたときに軍事的に直接協力するということでなくて、それ以外の研究ということでございますから、仮にたとえば施設、区域の提供というものが一つ考えられるわけでございますが、いずれにしてもこの点についてはまだ研究が始まっておりませんので、どういうふうになるかということをここで申し上げるということは若干過早であるかと思います。 かつ、ガイドラインの中には、いま申し上げたほかに、日本国法令の範囲内に従う、あるいは関係法令、関係条約の法令の中ということでいろいろな歯どめがございます。
○高沢委員 この場合の極東という言葉の範囲は、前に六〇年安保のときに国会で政府の統一見解が示されておりますが、それと今日の時点でも極東と言えば同じ区域である、こう理解していいのか、何か変化がその後あったというふうに受けとめるのか、いかがでしょう。
○淺尾説明員 ガイドラインで書いてあるのは「日本以外の極東」ということでございまして、そこで言っている極東というのは、安保国会以来の極東ということで変化はございません。
○高沢委員 それで大臣、もう一度脅威論に戻るのですが、アメリカとソ連の軍事的なバランス、これが人によっては、最近うんとソ連が強くなってきてアメリカより強くなったぞ、これは大変だというような言い方をする人もあるし、いや、依然としてやはりアメリカは強いのだ、ソ連は強い強いと言っているけれども、実態はまだずっと低いものだというふうな見方とか、同じくらいだとか、いろいろそれは見方があろうかと思いますが、その軍事バランスというのは、具体的にアメリカを十としてソ連が三になるのか、五になるのか、八になるのか、そういうふうなごく素人的な数字で表現すればどのくらいのバランスになると脅威なんだということになるのか、どのくらいのバランスなら脅威でないということになるのか、そういうめどはお持ちなんですか、お尋ねします。
○園田国務大臣 これはそれぞれ国によって言い分は違ってまいります。かつまた、質と量の問題もありますが、少なくとも常識的に考えて、いろいろな核兵器を初めとする量、質等については、ソ連の方が幾らか進んでいるような気がいたします。
○高沢委員 大臣、これは私も同じ素人でありますが、その辺の状況判断が、ではどういう資料に基づいてとなるとなかなかむずかしいのじゃないかと思いますけれども、いずれにせよ、いまの御説明で、要するにその辺の判断というのがかなり国によって、人によって、本当にみんな主観的な、おれは脅威だと思うぞ、おれは危ないと思うぞというようなことから事が発しているのじゃないかという感じがするのですが、そういうことがだんだん音で言えば共鳴反応みたいになってどんどん脅威論が高まっていって、そうなってくれば何が何でもまた軍事拡大だ、軍事拡大だということになっていく。 伝えられるところによりますと、アメリカのレーガン政権はこれから五年間に一兆五千億ドル——一兆五千億トルの防衛費といったら、いかなアメリカ経済でもこれは物すごい負担だと思いますが、それだけやるというふうなことも伝えられているわけですが、そんなことになっていきますと、それこそ脅威論、そして防衛論、そして結果はその国の経済や民生は破綻してしまうというようなことになりかねない。この辺の脅威論というものをむしろわれわれは慎んで、脅威論というものに対してはこういう歯どめを持たなければいかぬぞという腹構えが特に政治家の立場では必要じゃないかと思いますが、大臣、その点の御所見はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 米国とソ連の軍事力の比較も大事でございましょうけれども、それより大事なことは、過去数年間、ソ連は軍備増強に重点を置いてきた、米国の方はやや手かげんをしてきたという事実はあります。しかし、そういうことが問題ではなくて、軍備増強しておると言われておるソ連の方にもいろいろつらいところがあると存じます。また、軍備増強してソ連に追いつこうとするアメリカの方にも、内心にはいろいろつらいところがあると思います。だからこそ、両方が話し合えば話し合いがつかぬはずはないと私は判断しているわけでございます。こちらに重点を置くべきだと考えております。
○高沢委員 もう予定された時間になってしまいました。これで終わりたいと思いますが、いま大臣から、米ソが話し合えばつかぬはずはない、これも大いにそのとおりで、アメリカに向かってそういうことを日本として要求し、主張していただきたいと思います。 また同時に、日本とソ連、これもまた話し合って話し合いのつかぬはずはない、こう思うわけでありまして、その点においては大いに園田大臣のその創意性を発揮され、積極性を発揮されて、それが今度は結果としてアメリカをもリードしていく、あるいはサミットに集まる先進各国をリードしていくというような方向でひとつ日本の外交を進めていただきたい、そのことを最後に御要望として申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○奥田委員長 土井たか子君。
○土井委員 園田外務大臣、国会が閉会になりまして、大臣におかれましては、いよいよ席の暖まる暇もなく、連日大変な御精励でいらっしゃることにまず敬意を表したいと思うのですが、きょうはひとつ限られました時間の中で率直に承りたいと存じます。 日米共同声明で非常にごたつきました折、これは新聞紙上にも掲載をされたわけでありますけれども、鈴木内閣総理大臣が、いま外交は首脳外交の時代である、事務当局による外交の時代ではないというふうなことを述べられたと言われております。 私も、外交というのは本来、外交専門家ということを自負なすっている事務当局の方々、お役人の方々のものであってはならない、このように考えているわけで、やはり国民あっての外交でなければならないわけでございますから、その辺はやはり外務大臣の責任や重しと言わなければならないと思うのですが、園田外務大臣はこういうことについてどういうふうにお考えになっていらっしやいますか、まず御所信をひとつ承りたいと思います。
○園田国務大臣 外交は国の運命を決するばかりでなくて、世界の運命を決するわけでありますから、これはやはり責任がある政治家が全責任を持って方針を決定すべきことであって、決定した方針をどのようにやればこれがうまくいくかということが同僚の事務当局の仕事だ、この点をはっきり分けて考えております。 なお、その考え方は特に顕著に世界各国とも出ておりまして、いままで行われましたサミット、首脳者会議といいながら、どうもこれは事務当局がつくったペーパーを中心にして議論がされておる、これでは本当のむずかしい問題は解決できない、これからはそうじゃなくて、首脳者が自由に討議をしようじゃないかという発言が、具体的にはフランスのミッテラン大統領から出まして、今後はそうしよう、こういうことで、十月に行われます南北サミットでも、議題なしに、ただ言いたいことは前もって通報するという重点通報方式ということを私、提案しまして、これが採用されて、首脳が言いたいことはお互いに相手に知らせておくというだけで、あとは自由な討議をしよう、これはいわゆる首脳者が全責任を持って外交を進めていくということで、私は非常にいい方向に進んできておると考えております。
○土井委員 六月の二十一日、当日は私は、二日間の中国での会議を終えまして帰る機内にいたわけですが、そこで手にいたしました新聞を見ましておやっと思ったわけであります。その新聞には、外務大臣のマニラ発言が載っておりました。日米共同声明に拘束力がないという例のあの発言でございます。 私はおやつと思ったのですが、しかしこれは考えてみますと、外務官僚から見ればとんでもない発言だということになるのかもしれません。しかし、いまはもう国民周知の事実として、アメリカからあらしのような防衛力増強要求が出てまいっております。外務大臣の御発言は、国民サイドから見れば、実にその心情たるやよくわかるというふうな御発言だと私は言いたいのです。ただ、その後の言いわけが余りいただけないのですけれどもね。その日米声明に拘束力がないということが大見出しになっているのを見て、私はそういうふうな気持ちがいたしました。 それはさておきまして、ああいう御発言ができるのは、やはり園田外務大臣は政治家だからああいう御発言ができるのであって、政治家でなければああいう御発言が出てこようはずがない。私は、園田外務大臣のマニラ発言が正しいとか間違っているとか、ただいまそういうせんさんをする気持ちは毛頭ございません。ただしかし、あの発言の奥に流れているものを大切にして考えてみることが当面非常に大事になってきているのじゃないかということを思っている一人であります。 表面的な発言を取りざたして批判する官僚もございます。また、学者の中にも、これはもうABCの常識じゃないかと言ってこれに批判や反論を加えている人たちもあることは事実でございますけれども、しかし、あの御発言自身は、政治家園田外務大臣の園田外交の哲学のようなものがにじみ出ているのじゃないかというふうに言えば言い過ぎなんでしょうか。 私がこういうことを言うと、野党の側から与党の外務大臣をほめるということは、外務大臣にとってはありがた迷惑だというふうにお感じになるのかもしれませんけれども、やはり外交というのは、外交専門家の密室外交であってはならない、国民にもよくわかる、国民の中での外交というものが行われなければならないということは、私はこれこそABCだと思っているわけであります。 このマニラ発言に対して私なりの物の考え方を少しここで、舌足らずになったかもしれませんが、簡単に申し上げてみました。外務大臣の御見解をひとつこれに対して承っておきたいと思います。
○園田国務大臣 マニラ発言で各方面から大分おしかりを受けましたけれども、これは私の言葉が足らなかった点もあると思いますが、私の考え方は、共同声明は何ら意味がないといったことじゃありません。 第一は、条約、協定と共同声明の差異。条約、協定は文章にして書いたものでありますから、書かれたものについては、個人の証文と同じように、そこにちゃんとしたあれがあるわけであります。共同声明は会談をした意見の共通した点を書いたものでありますから、これに書かれたことは、当然国の信頼とかあるいは信望につながるわけでありますから、これを無視していいとは考えておりません。しかし、書かれたことは抽象的な言葉でありまして、それによって日本国の行動が一々束縛されるものではない、その書かれた抽象的な言葉の範囲内で努力をすればいいんだというのが私の気持ちでございます。
○土井委員 先日、園田外務大臣と盧信永外務大臣との会談の後、韓国のマスコミに共同発表文というのが一斉に掲載されて、私もけさの新聞を読んで実は驚いたのですが、こういうふうな共同発表文というものがありながら、なぜ日本側はこれを発表しなかったのですか。いかがです。
○園田国務大臣 韓国の外務大臣と私の会談で、共同記者会見をやろうというのが韓国のお気持ちのようでありましたけれども、私はそれは必要はないと思ったわけであります。 そこで、これはどこの国でもやることでありますが、会見が終わってからお互いに突き合わせて、そしてお互いの発表する文章を、これは言わぬことにしようとかこれは言おうとかというものでありまして、共同発表文という文はございません。両方が打ち合わせただけでございます。そこのところの行き違いがあったわけであります。 なおまた、この問題でいろいろ意見がありましたのは、これはちょっと慣例の違いもあるかと存じますが、この点については記者クラブの方もよく理解いただいているところでありますが、日本では外務大臣がよその方と会見をすれば、記者会見、懇談をするのは恒例になっております。それで、その際私が言ったことはまあまあ私の判断で言って相手には文句をつけられる筋合いではない、相手の言ったことは相手の了解を得なければ言ってはならぬ、こういうのが外交界の慣例だと私は心得ております。 ちょうどそのとき、夜、晩さん会に私が招待しておりまして、この時間がおくれる。そこで、その発表文について打ち合わせをしている間に時間が過ぎてくる。記者クラブには締め切りの時間もございますから、事務当局がブリーフをしてその後で私が会見する、これが私から言えば恒例でありますけれども、そういう記者クラブの方々のお気持ちを考えて、ブリーフする前に私が会見を行いますと言って言ったわけであります。それを約束違反だとおっしゃいますけれども、これは私は約束違反だとしかられる筋合いのものではない。 その場合に、認識の一致について若干のずれがあるというニュースが出たわけで、それについてこれまたけしからぬということでありますが、私は認識は一致したけれども対応が違っているわけでありますから、その点も新聞記者の方が書かれたことをとやかく言われることではないというのが真相でございます。
○土井委員 ただ、少々両者の間にずれがあることは事実なんですね。 それで、この共同発表文なるもの、そんなものはないということをおっしゃっておりますけれども、しかし、いろいろ事務レベルで突き合わせてきた文書なるものはあるに違いない。いまの御発言でもそういう御趣旨のほどを外務大臣は御答弁の中でおっしゃっておりますから、それはそうだと思うのです。そうなってまいりますと、何か書いたものがあったということだけは事実としてございますね。この内容について、外務大臣、それから総理大臣は細かく知っていらっしゃるのですか、どうなんですか。大臣御自身、御存じなんですね。
○園田国務大臣 会談が終わりましてから、記者クラブに対するブリーフはどういたしますか、事務当局で打ち合わせをいたしましょう、こう言って、打ち合わせが相当長くかかったわけであります。それはそのままアジア局長が日本の記者クラブに発表したわけでありまして、これを隠しておるわけではございません。詳細な長い文章があったわけではございません。
○土井委員 そうすると、その中身は韓国のマスコミに共同発表文として一斉に掲載されております中身と同一でございますか。
○木内説明員 韓国側が共同発表文と称して韓国の新聞に発表した内容でございますが、おおむね打ち合わせた内容のとおりでございます。こちらとしては発表文という形ではございませんけれども、口頭で記者クラブに発表いたしております。
○土井委員 そうすると、大臣、ちょっとニュアンスが違いますね。向こうは共同発表文ということで一斉に各紙がこれを掲載する。それは文として掲載している。こちらとすれば共同発表文なるものはございませんという先ほどの外務大臣の御答弁から事が始まるわけでありまして、どうも一斉に新聞紙上掲載なさっているもとになるのは口頭で説明をされているにすぎないというかっこうになるわけですから、この辺、ずれが出てまいりますが、どうなんですか。
○木内説明員 重要な外交交渉の後には、共同コミュニケという形で発表になる場合もございますし、あるいは総理がASEAN諸国を回られましたときのように、共同新聞発表という形でテキストとして発表になることもあるわけでございます。今度の日韓外相会談におきましては、これをテキストで、いわゆる共同新聞発表文というような形で外へ発表しようという打ち合わせはございません。その限りにおきましては、私どもは発表文という文については了解はいたしておらない経緯がございます。
○園田国務大臣 共同発表文となりますと、これは文章をお互いに書いて、それぞれを共同発表文として発表しましょうという約束で出されるのが共同発表文であります。内容は同じでありましても、こういう記者会見をいたしますということを打ち合わせをすることは恒例でありまして、これは共同発表文とは私は心得ておりません。
○土井委員 先ほど外務大臣は、韓国とのいろいろな交渉の席上は大変気を使う、一言一句自分では一生懸命に気を使って交渉に臨む、大変神経も疲れるというふうなお話をなさっておりました。私はそのとおりだろうと承っていたわけですが、それほど神経をお使いになるわけでありますから、この共同発表文についても、両者間でこのようなそごが出てくるというのがどうも解せないのです。お互いがこういうものを発表しましょうということを約束なしに、抜き打ちに向こうが勝手にこれをやっていることというふうに理解してよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 向こうが発表されたものと私の方の事務当局が発表したブリーフとは、内容は変わっておりません。ただ、発表文として出すという了解はできておりません。文そのものの協定ではございません。
○土井委員 内容は変わっておりませんというのは、大臣は中身を御確認をなすっているわけですね。日本の方でも恐らく突き合わせて、両者間で決めていった文書内容に対して御承知おきの上での御発言というふうに理解してよろしゅうございますね。どうですか。
○園田国務大臣 そのとおりでございます。
○土井委員 これは発表の仕方について日韓間でずれがあるということが具体的に出ている一例になると私は思うのですが、外務大臣が言葉の使い方一つ一つに至るまで交渉の席で非常に気をお使いになること自身が生きるときにはどういうかっこうで生きてくるかというと、こういうことにもなるという一つの例として、私はやはり注目しなければならない問題がここにもあると思うのです。一つ一つのけじめ、一つ一つの取り決め、こういうことに対しては万全を期す、これでもかこれでもかと言って言い過ぎることは私は決してないと思うのですね。 そういうことからひとつお尋ねを進めてみたいと思うのですが、この六十億ドルの問題に対して素朴な質問をいたします。 すでに韓国側から出されているこの六十億ドルという額は、一人歩きをしている感がございます。そもそも外交常識からいたしまして、この種の交渉に金額を公表するということは過去の例からないと私は思う。もしあったとするなら教えていただきたい。この外交常識と申しますか、外交慣例と申しますか、今回はなぜその外交常識や外交慣例から考えると法外と申し上げてもいいような金額が公表されたのですか。この点についてどのように外務大臣は御理解なすっていらっしゃいますか。
○木内説明員 六十億ドルという要請が外相会談でなされたことは事実でございますし、この数字というものが非常に困難な数字であるという判断も当然私どもにございます。 そういう要請がなされたということを外に数字で示す例は異例だという御指摘でございますけれども、私どもとしては過去の例にもかんがみまして、せっかく先方さんも数字を出してほしいという御希望でございましたので、それに応じて数字を記者クラブにも説明した経緯はございます。
○土井委員 過去の経緯から考えまして、経済援助の問題に対してこのような出し方をしたことは恐らく私は異例中の異例だろうということは、これは外務大臣も首を振っていらっしゃるとおりだと思うのです。 それで、外務大臣はその席上、伝えられるところによりますと、苦しい日本の財政事情からこれに応ずることは困難である、そしてさらに、名目が安全保障ということでの援助は不可能であるということを非常にきっぱりと言われているということが報じられております。ところが、一方、韓国側にとってみますと、これはびた一文まからないというような非常に強硬な姿勢とも言われています。 そこで、大臣にこのことはお尋ねをしなければならないのですが、この六十億ドルの具体的な根拠というのはどういうことに相なるのですか。
○園田国務大臣 経済協力または援助の問題で総枠を言われたというのは、今度が初めてであります。 第一に、日本の経済協力というのは、御承知のとおりに総枠で決めるべきものではありません。かつまた、日本は、私が勝手にやるわけじゃなくて国民の税金を使わしてもらうわけでありますから、これは年度ごとに閣議の決定と国会の承認が要るわけであります。したがいまして、五カ年計画というものをまとめて相談に乗るということは、日本の制度上からいって不可能でございます。かつまた、それを分割したとしても、日本の経済協力、援助というのは、御承知のとおりに具体的な問題が出てきて、そしてそれに対して両方からミッション等を派遣してお互いに調査して、理解した上で金額が決まる、これの積み上げたものが総額になるわけで、積み上げ方式以外には日本は総枠でお金の相談に乗ることができない、これが一つでございます。 それからもう一つは、これは来年の予算でございますから国会の承認を得なければそういうことは言えないわけでございますが、見通しとして申し上げまして、日本は経済的にはやや豊富かもわかりませんが、国家財政は正直言って破綻であります。これだけの赤字財政を出しているということは、国の財政としては破綻であります。したがいまして、いまのような騒動が起こっているわけでありまして、しかし、その中でも日本の役割りを考えると、経済的な協力だけは減らしてもらわないようにということで鈴木総理が発言をされて、過去にやった五年間の協力を向こう五カ年間で倍増するという方針を立てられておるわけで、これを仮に国会でそのまま承認いただいた場合に、総額からすれば二百十四億ドルになるわけであります。 そうすると、その二百十四億ドルというものは、国際機関だとかあるいは国際的な難民の問題とか、いろいろ協力の問題とか出す費用がありまして、七割が二国間協力に使えるわけであります。その七割のうちの七割がアジアに振り向けられる枠であります。そうしますと、仮に私がいま考えている予算を皆さん方が承認された場合に、一年間に何とかやりくりのできるお金は最大限二十一億ドルでございます。それから考えると、韓国のおっしゃることはとてもとても私ごとき分際で相談に乗れる額じゃない、これが一つ。 しかし、韓国の日本との特別な関係あるいは苦しい事情もわかるからできるだけ努力はしなければなりませんけれども、とてもそれはそのままでは、第一は額、第二は手続の問題等でできない、困難である。 それからもう一つは、これは韓国の方に御理解願わなければならないのは、日本は憲法といろいろな諸規定、それから慣例等によって、軍事援助またはこれに振り向けられる経済協力は一切してはならぬ。国会ではさらに進んで、人道的その他はいいけれども、政治的配慮で経済協力をやってはならぬとまで私はきめつけられているわけでありますから、これは困難じゃなくて不可能なのであります。そういう二つは私は申し上げておったわけでございます。
○土井委員 いま大臣おっしゃったとおり、日本は単年度予算で、しかもつかみ金的に前もって約束することはできないという制度になっておりますし、それからこの点は、つかみ金でしかも総額をぽんと出すようなことが日本の制度上認められるはずがないという認識を向こうが持ってこの会談に臨んだのでしょうか、どうなんでしょうか。向こうはこの点を理解していると考えていらっしゃいますか。もし理解が不足ならば、大臣としてはその点について具体的に理解できるような説明をその場所でされたと存じますが、いかがなんですか。
○園田国務大臣 いま申し上げたことは数回繰り返して、不可能な面と困難な面と、それから制度上できない面とは分けて何回も繰り返して申し上げてございます。丁寧に、しかも下手から詳しく説明しているわけでありますが、来られるのに日本の実情を知っておられるのかな、黙って聞いておると、自分の方の都合はこうであるから、こういうことが重点のようでありまして、いまおっしゃいましたけれども、びた一銭まかりならぬということをおっしゃっているようですが、私の常識から言えば、金を借りる方がびた一銭まかりならぬというようなことは日本の常識ではなかなか通用しないことでありまして、ほとほと困っておるところでございます。
○土井委員 それは、大臣お困りの様子というのは非常によくわかるのですが、困ってばかりもおられない。これはそれこそ決着をはっきりつけるべき問題だろうと思うのですが、そういうことから言いますと、しかしこれも一朝一夕に決着がつけられない。粘り強く、そういう問題についてもいかに対処するかという苦労がいわゆる苦労のしどころではないかというふうに、私たちもそれはよくわかります。 しかし、今回の会談を通じて外務大臣御自身の率直な御意見を承りたいのは、今回韓国側がこの要請を出されてきた中に、日米韓三国同盟体制の中での要請でないということがはっきり言い切れるかどうかなんです。 これは、大臣はよく御承知のとおりに、三月十九日にヘイグ国務長官は、日本が韓国に経済援助をするということは日米韓の同盟関係の一部となると思うというふうな御発言もございますし、また最近、参議院の社民連の秦豊議員がアメリカに赴かれた節、国防総省の国際安全保障局のジョーンズ海軍少将が、極東有事の可能性の最も高い場合は朝鮮有事の場合である、その場合は経済力で日本は対韓援助をしてほしいというふうな発言も報道を通じて聞こえてきているわけであります。 そして、肝心かなめの全斗換大統領自身について言うなら、もう御存じのとおりに、全世界の大統領に先駆けてアメリカに臨んで、そしてワシントンで大統領との会見を終えた後、プレスクラブでの発言では、韓国は米、日のとりでであるというふうな発言がそこでなされているというかっこうでございますから、今回の要請は日米韓三国同盟体制の中での要請でないということがはっきり言い切れるのかどうか、そこのところは国民の目から見ると非常に気になるところなんです。先方は安全保障の観点からの要請だということを盛ってまいっておりますから、この点についての大臣の感触なり御見解をはっきりここで承らせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 韓国の防衛または軍事費のために経済協力をすることは、どのような事態になりましても不可能で、できないことでございます。これは粘り強く御理解を願う以外にございません。 それから金額、積み上げ方式については、これまた気長く話をして日本の、実情もわかってもらって、数字については両方が相談し合うという段階に行くよう、粘り強く、寛容と忍耐をもってすることが確かに私の苦労するところであると私は覚悟しておるわけであります。
○土井委員 ところが、新聞紙上伝えられるところによりますと、外務大臣が、できる限り誠意を持って努力したい、こういうふうにおっしゃったと書かれている。 これは、私たちからしてみますと外交辞令だと思うのです。しかし、わが国の予算制度を破るような経済援助というのは全くできません。それからまた、いま確かにおっしゃったように、安全保障上経済援助をするというふうな考え方は、これも毛頭不可能でございます。また、政治的な経済援助というのも、わが国会の決議の中にも盛られておりますとおり、日本としては認められるところではございません。こういうことがはっきり私たちの間では確かめられているはずでございますのに、できる限り誠意を持って協力したいと言われた真意は一体どこにございますのですか。いかがです。
○園田国務大臣 不可能なことは不可能なこととし、困難なことは困難として、両方がよく話し合って、特別の関係にある韓国でありますから日本でできる限りのことはすることが当然だと心得ておりますから、誠心誠意私は韓国の御要望には努力してみたい、これは私の本心であります。 ただ、話をしておりまして非常に私が気を使いますのは、私は会談中に韓国の外務大臣に、私とヘイグさんとの会談の会議録を見てください、私は相当高飛車に物を言っている、外務大臣就任以来、これくらい私が下手に出て話していることはございません、できるだけ努力をいたします、その誠意は認めてください、というのは、過去の日本の歴史がありますから、何かこう言うと、兄貴ぶっているとか、大国ぶっているとか、小国扱いしているとかというお気持ちを韓国の方に与えることは非常な、日韓の関係上大事であると思うから、私はそういう言葉はなかなか言えなくて、丁重に承っているわけでございます。
○土井委員 当委員会においても外交辞令のような御答弁というのは禁物だと私は思うわけでありますけれども、韓国の各紙が、日本が韓国の安保観に接近、合意したというふうなニュアンスの記事を掲載されているようであります。 日本側は会談で北の軍事力の増強に伴う韓半島の緊張の高まりに対する認識に合意した、北を勇気づけるような行動をとらないことをはっきり約束した、こういうふうに述べられているのですが、われわれの、日本の国内で報じられる新聞の中身からいたしますと、恐らくはそれとオーバーラップして考えられる部分となると、園田外務大臣が外相会談の席で、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国と何かを日本が行うようなときには韓国とアメリカに声をかけてやりますというふうなことをおっしゃった旨が報じられているところがオーバーラップするのではないかと思いますけれども、園田外務大臣のああいう発言をなすった御所信というのはどの辺にあるのですか。
○園田国務大臣 終始一貫して私は、韓国に対する日本の過去の経緯から、非常に下手に、控え目に発言をしておるわけでありますが、問題は、現在の朝鮮半島の緊張、これは緩和しているとか安定しているとかということではないという韓国側の言い分、これは私も認めて、現状認識には一致したと向こうから言われても、私は間違いであるとは申せません。ただ、その後に、さりながら、わが方はこの緊張が緩和されて、安定の方向にいくことを期待するということをつけているところが、それがニュースで若干のずれがあると言われたところであると考えております。 かつまた、韓国の大統領が対話と南北の緊張緩和に努力されていることは、これは歓迎をする、日本もその方向に向かって北朝鮮とは文化その他について交流を進めていきたいが、特別にバランスを壊すようなことをする場合には勝手にはいたしませんと、これははっきり言ってあります。
○土井委員 今回の韓国側から持ち出されております安全保障ということを意に含めた経済援助に対して、いささかでも日本が歩み寄るようなことは、いま大臣がおっしゃったバランスを崩すことになるとわれわれは思っているわけでありますが、この点、どのようにお考えですか。
○園田国務大臣 韓国は特殊な関係でありまして、ほかの国なら軍事、防衛と安全保障と切り離して話ができるわけでありますが、どうもここのところ、安全保障とか総合安全保障なんという言葉を使いますと、防衛と一緒にされていくおそれがあるので、私は非常に注意をしてそういう言葉を使わぬようにしておるわけでありますが、韓国の防衛、軍備等に対して日本のお金を出すということは不可能でありますから、これは断じてできません。
○土井委員 この会談の後を受けて、日韓閣僚会議が九月の十日、十一日に行われるという予定にもうすでになっていますね。今回が十一回目だと思いますが、十回目の日韓閣僚会議、一九七八年当時に共同声明が出されております。もう一つ翻って考えますと、六回、七回の日韓閣僚会議にも共同声明が出されております。いずれも日韓経済協力が民間ベースを主体に移行しつつあることを共通に認識するということを確かめている共同声明の中身でございます。まさかこの共同声明の中身にある、民間ベースを主体に移行しつつあることを確認すること、それは今回はひっくり返すようなことはなさらない、これは相変わらず確認をして尊重し続けるという姿勢でおありになるはずだと思いますが、いかがでございますか。
○園田国務大臣 これは一貫した方針でありまして、できるだけ民間の力を活用する、民間主導型に移っていくことは逐次やってきたことでありまして、私ができるだけ韓国の苦しい立場にお力添えをしたいというのも、やはりその中に一つは民間協力というものが入っているわけで、その方針を崩すことはございません。
○土井委員 ただ、現在ちまたに伝えられるところによりますと、この日韓閣僚会議で出されるであろうはずの共同声明をめぐって、大変取りざたがされています。この共同声明の中では、少なくとも、経済援助の問題ももちろんのことながら、今回の外相会談の席でも大きな一つの課題でございました、日本に対して韓国側からすれば朝鮮半島の安全保障の認識というものを一致させる方向でお互いの話を進めていくということであったに違いないと私たち思うわけでありますが、この点については、外務大臣の先ほど来の御発言を承っておりますと、韓国の認識と日本の認識とは必ずしも一致しない。 かつて、あの日米共同声明について、マニラでの外務大臣の発言の中身を見てまいりますと、共同声明は無理してつくるからああいう騒ぎになるということもおっしゃっているわけでありまして、今回も日韓閣僚会議で無理して共同声明をつくるということは後々難儀なことをこれによってつくらないとは限らない、むしろ共同声明はない方がいいというふうなことを私たちは思うわけでありますが、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
○園田国務大臣 近ごろまで慣例といたしまして、会談とか関係閣僚会議が終わりますと、共同声明を出せば成功であって、出さなければ失敗したと言わんばかりの慣例があるわけであります。これは間違いでありまして、両方の意見が完全に一致をして納得すれば共同声明もよかろうし、あるいは一致しなければ一致しない点を併記した共同声明もあることでありましょうが、それも特別に意見が食い違って出しても意味がないというなら出さなくてもいいことであって、共同声明は会談の結果によって、出すか出さぬかは両方で相談して決めることだと思います。 私は、共同声明を無理に出すべきだなどという方針は持っておりません。帰ってから、共同声明も出せなかったかとしかられても、事実は事実でありますから、そのまま帰ってくるつもりでおります。話がつけば共同声明を出します。出す場合には、いま言われたようなことは、私の一貫した方針でありますから、その点は十分注意をしてまいるつもりであります。
○土井委員 再度それではその点について確かめておきたいのは、やはり朝鮮半島の脅威という問題に対して韓国側はそれを基本に置いた立場で安全保障という問題を問題にし、韓国の民生安定も恐らくその上で考えられる民生安定だろうと私たちは考えています。そういうことからすれば、北からの脅威があるのかないのかというこの一点、これについては恐らく韓国側が考えられる中身と、外務大臣がいま考えられている御所信とは違うだろうと私は思うわけでありますが、外務大臣の御所信のほどをそれについて承らせていただいて、そしてその点は基本的に大切な問題でございますから、いざ共同声明というときには、曲げずに、はっきりそのことは明記したいと、いまおっしゃったことに対して再度の確約がここでいただけるかどうか。いかがでございますか。
○園田国務大臣 脅威というのは当事国の問題でありまして、日本がとかく口を出すべき筋合いではない。これはおせっかいだと思います。ただ、現状の認識では、もう安心して緩和しているのか、緊張しているのか、その程度のことは意見があってもいいと私は思っておりますが、脅威があるかないかなんということは、私の方はこれに対して答えるべき筋合いではないと存じております。
○土井委員 朝鮮半島についての安全保障に関する認識というのが、やはり韓国との間でのずれがあるということは事実なんですね。その点についてはやはり意のあるところを外務大臣としては明記すべきである、こういうふうなことを先ほどはおっしゃったと理解しておいてよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、私は、韓国内の防衛その他について私が意見を言ったり口を出したりすべきものではない、これは独立国家として自国で責任を持ってやるべき問題だと考えております。
○土井委員 ただ、朝鮮半島について、これが極東について有事ということを考える場合に非常に可能性の強い地域であるということは、事あるたびごとにアメリカ側からいろいろ聞こえてまいります。しかし、私たちにしてみますと、朝鮮半島について、やはり南北がある限りはこの問題はいつも一つきまとう問題であろう。すなわち、朝鮮半島について統一の方向でどのように努力ができるかということが、平和という方向に向かっていかに努力をすることができるかということと軌を一にしている、このように考えるわけでありますが、外務大臣が朝鮮民主主義人民共和国と何かあるときは韓国とアメリカにひとつ相談をするというふうなことをおっしゃった御趣旨が、そこで大変問題になってくると思うのです。 いまある三十八度線は停戦協定なんですね。停戦協定に基づいて考えられるお互い南北の存在ということになるわけなんですね。そこで、この停戦協定について、当事国は朝鮮民主主義人民共和国であり、相手国はアメリカです。停戦協定を平和協定の方向に向けていくという努力を払うということは、朝鮮半島の平和に向かって努力をすることに対して大変大切な決め手だということが言われ続けて久しゅうございます。また、一九七二年の七・四声明についても、いつだったか大臣にお尋ねをしたときには、全面的にあれに対しては私も賛意を表したいということの御趣旨も御答弁の中で披瀝をされました。そういうことからすると、いま私が申し上げたような方向での努力は日本としてなすべき一つの方法であるかと私は考えておりますが、こういう問題に対して大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 朝鮮半島の平和と安定は、日本にとっては大事な問題であります。したがいまして、朝鮮半島で本当の平和と安定が来るように希望し、期待し、かつまた努力することは当然であって、これはいままで申し上げたことと一つも変わりはないと存じます。 ただ、たとえば正式に外交関係を開くとか、あるいは何らかある場合に韓国、アメリカ等に話をするというのは、これは当然の礼儀だと心得ております。
○土井委員 もう時間ですが、ちょっと最後に。かつて、当外務委員会昭和五十三年五月二十六日の議事録にもはっきりこれは掲載されておりますけれども、当時やはり外務大臣でいらっしゃいました園田さんに私は竹島問題について質問いたしております。そうしたら、その節、園田外務大臣の御答弁に、「竹島の問題は、日韓条約を結ぶときに、これは両方が紛争地帯として認め、平和的な話し合いで解決するということになっているわけでありますから、平和的な話し合いをするのは当然のことでありまして、これを議題にするのはあたりまえのことであると考えております。したがいまして、私は、それは当然のこととしてこれを処理していくつもりでございまして、もしそういう当然のことが議題にならぬようであれば、いろいろな会議をやっても無意味であると考えております。」とまでおっしゃっているのです。 今回の外相会議でこの問題を持ち出されましたか、いかがでございますか。
○園田国務大臣 竹島問題は、これは日本国にとっては重大な問題でありまして、これに対して力をもって解決しようとは考えておりませんし、また、それは日本の方針にかなわぬわけであります。話し合いだけは終始やるべきだと考えておりますので、今度でもそういう話はするつもりでおります。
○土井委員 するつもりとおっしゃるのは未来形ですね。今回の、もうすでに済みました外相会議の席では、議題としてはお出しにならなかったですか、いかがでございますか。
○園田国務大臣 出ましたが、突っ込んでは話しておりません、今度は。
○土井委員 竹島問題と同時に、韓国に対する経済援助が問題になるたびごとに、国民感情としてはどうしても解せない問題がもう一つございます。申し上げるまでもなく、金大中氏事件でございます。 このことに対しては、一件落着のごとく外務省としてはいろいろ措置なすっているようでありますけれども、国民感情からすれば、決して済んだとは考えておりません。むしろ、無期懲役という極刑に次ぐ処断で、金大中氏事件についてはより深刻に事はなったという理解こそすれ、これに対し、もうすでに終わったなどと考えている国民はございません。これは政治決着にも矛盾するような裁判があったということについては、これを深刻に受けとめて考えている国民の数は非常に多うございます。こういうことを黙ってやみからやみのようなかっこうで日韓の経済援助の問題について話し合いに応ずるということは、断じて許されることではないと考えますが、外務大臣、どういうふうにこのことはお考えになっていらっしゃいますか。
○木内説明員 六月の外務委員会のときにも、本件は土井委員から御提示があったわけでございます。私どもいろいろ慎重に検討はいたしたわけでございますが、先回お答え申し上げておりますとおり、大法院の判決に対しまして韓国当局が減刑の措置をとったということを評価いたしまして、そのままの状態で今後とも対処していくほかないと考えております。
○土井委員 これは、ただいまは判決文の取り扱いの話なんです。外務大臣、そんなことを私はいま申し上げているわけじゃないのです。問題は、これは政治問題ですよ。どのようになさるのですか、外務大臣。
○木内説明員 先ほど申し上げましたとおり、この問題につきましては、韓国側当局のとった措置を評価しておるという一言に尽きるかと思います。
○園田国務大臣 おしかりを受けることは十分心得ておりますが、先般の外相会談でも金大中問題は私は話を出しませんでした。今度の日韓関係閣僚会議でも話を出す考えはございません。
○土井委員 それはどういうわけですか、外務大臣。それは国民からすればおかしいということになりますよ。国民にわかる外交でなければ困ります。どういうわけですか。
○園田国務大臣 いま局長が説明しましたとおり、新政権ができてから後のいろいろな経緯によって、これは一応日韓両国政府間で結末がついたものと私は判断しております。
○土井委員 全くいまの御答弁は解せません。しかし、これは時間の方が来てしまっていますから、非常に残念ですけれども、時を改めて外務大臣にやはり徹底的にお聞かせをいただかなければならない問題だと思います。 終わります。
○奥田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国際情勢に関する件について質疑を続行いたします。玉城栄一君。
○玉城委員 午前中に引き続きまして質疑をさせていただきたいのですが、今回初めてわが党も竹入委員長を団長とする韓国訪問団を出したわけでありますが、その目的とするところは、韓国の現状をよく見るということ、そして韓国の要人と率直に意見を交換して、韓国の実態をよく把握する。その上に立って日韓友好をどう進めていくか。当然外交は、客観的に実態を把握することが大事であると思うわけであります。われわれ野党としても、当然アジアの平和と安定ということを考える場合、韓国との何らかの友好のパイプを持たなくてはならない、そういうことを模索する時期に来ているのではないかと思うわけであります。 過去の日韓関係のいろいろな重要な問題は問題として、やはりまた新しい日韓友好関係を築いていくことは非常に大事であると考えるわけであります。そのことは、特定に北側に偏る、あるいは南に偏るということではなくて、冷静に、日本の国益中心に、また日本が自由主義圏の一員であるという立場から判断していかなくてはならないことでもあると思うわけであります。したがいまして、党の訪韓団のその結果を党内で現在検討、分析しておる最中でございまして、個々の具体的な日韓問題に関する質疑につきましては、また日を改めて、結論を待ってさせていただきたい、このように思うわけであります。 この朝鮮半島の平和と安定ということにつきましては、午前中の質疑の中でも大臣がるるおっしゃっておられたわけでありまして、朝鮮半島の安定と平和は大事であるし、緊張が緩和され、安定の方向に行くことを期待すると大臣も繰り返しおっしゃっておられたわけであります。そこで、実はこの朝鮮半島の平和と安定に非常に関係の深い問題として私たち憂慮するものでありますが、昨日、米国のSR71空軍偵察機がいわゆる北朝鮮のミサイル攻撃を受けた、あるいはやらない、そういうことで、板門店での軍事休戦委員会本会議が行われて、激しい双方の応酬があったと報道されているわけでありますが、このSR71の問題、経過も含めて、昨日の点、御報告をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 北朝鮮における米国飛行機の攻撃の問題でありますが、これは基本的には米国と北朝鮮の問題でありますが、私としては、このために朝鮮半島における緊張が激化しないように希望することが第一であります。 なおまた、米国の友好国として、米国側が本件について、不法な行為であり重大な関心を表明すると発表していることに注意をいたしているところでございます。
○玉城委員 この事実関係がどういうことであったかということについては、もちろん私たち知る由もないわけでありますが、しかし、今回のSR71の事件に対して非常に憂慮をしているわけであります。先ほど申し上げました朝鮮半島の平和あるいは緊張を高める、そういうようなことから考えますときには、これは非常に重大な関心を持っていかなくてはならない、こう思うわけであります。 そこで、外務大臣とされまして、このSR71の今回の事件を踏まえて、そういう朝鮮半島の緊張を高めるようなことはやるべきではないというようなお考えのもとにアメリカ側とお話し合いをされるおつもりがあるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 実情については両方の言い分でありますから非常に食い違っておりますが、機会があればこの実情についてアメリカ側の報告を求め、かつまた、それに基づいていろいろな意見は申し上げたいと思っております。
○玉城委員 そこで、このSR71は沖繩の嘉手納基地から発進したと思われるわけですが、いかがですか。
○淺尾説明員 アメリカ側の発表に関しては、そのSR71がどこから出たかということは言っておりません。ただ、私たちが持っている情報から言えば、SR71というものはアジアにおいては嘉手納にしか配備されていないというように理解しております。
○玉城委員 沖繩の嘉手納空軍基地にしか配備をされていないということからしますと、今回の事件のありましたSR71が沖繩の嘉手納から発進したということは当然可能性としても考えられると思うわけですね。いかがですか。
○淺尾説明員 論理的にはそうなるかと思いますけれども、現実に発進したかどうかということを私がここで軽々に申し上げるほど情報を持っておりません。
○玉城委員 このSR71ですが、武装しているのですか。武装といいますのは、攻撃を受けたときに性能的に反撃のできる能力を持っているのか、ただ偵察能力だけしかないのか、あるいは地上攻撃もできるのか、その辺、いかがですか。
○淺尾説明員 SR71の性能について、私も軍事専門家でございませんけれども、これは偵察機でございまして、特に相手に対して攻撃する特別の能力というものは持っていないのではないか。むしろもっぱら偵察用というふうに了解しております。
○玉城委員 今回の場合は不幸中の幸いといいますか、大事には至らなかったわけですが、もし仮に偵察中にそういう何らかの戦闘行為に入るというようなことがあった場合、これは安保条約上は問題になりませんか。
○淺尾説明員 たびたび当委員会あるいはその他の委員会で政府が一貫して御答弁しておりますように、安保条約の事前協議の対象になるのは、日本の施設、区域から発進して戦闘作戦に従事するということでございまして、それはそのときの目的、態様によって決まっていくわけでございます。したがって、戦闘作戦行動を持っているかどうかということは発進のときの態様とか目的あるいは作戦命令ということでございまして、今回のようにもともと偵察という行為が主でございまして、そして相手に対して反撃するということになれば、これは安保条約上戦闘作戦行動とは結びつかないというふうに私たちは考えております。
○玉城委員 この件はちょっと時間がございませんのであれなんですが、こういうきわめて危険な偵察機が沖繩を発進基地として常駐し、常に発進している。そして、今回こういう事件が起きた。もし万一の事態が起きた場合にはこれは非常に危険ではないかということで、当然地元の県民は非常に不安に駆られるわけですね。したがって、こういう危険な飛行機を沖繩から撤去してもらいたいという声も強いわけです。その点、いかがですか。
○淺尾説明員 安保条約地位協定に基づいて日本政府が米軍の駐留を認めている理由は、その部隊なり区域自身が六条の極東の安全と平和並びに日本の安全と平和に役立つ、こういうことでございまして、今回の偵察機については、少なくともアメリカの発表においては公海上あるいは韓国の領海ということでございまして、これは相互に偵察を行うということを考えれば、安保条約の目的から抑止力として作用しているということでございますので、今回の事件ということだけでもってこのSR71の撤去を求めるという考えはございませんし、また、SR71の今回の行為によって直接危険にさらされるというふうには、私たちとしては事実として認識していないわけでございます。
○玉城委員 この問題で次に大臣にお伺いしたいわけですが、先ほどもちょっとお尋ねしたのですが、朝鮮半島の緊張を激化するとか高めるとか大臣もおっしゃっておられる、あの地域の平和と安定に非常に大事である、そういうことから考えますときに、今回のこういう事件というのは非常に好ましくはないわけです。ですから、たとえば過剰偵察であるとか、あるいは北側の言うように戦争挑発行為であるとか、先ほども申し上げましたとおりきのうも激しい非難の応酬がされているということからしますと、これは非常に憂慮すべき問題である。したがって、どうしてもこのSR71が朝鮮半島にそういう行為をすることは朝鮮半島の緊張を高めるようなことになる、そういうことはやらないのがいいのではないかということを当然大臣として米側と話をされるべきだと私は思うのですが、いかがですか。
○園田国務大臣 いまお答えしましたとおりに、偵察機が飛んでおる区域はどういう区域であるか、韓国の領海であるか、公海であるか、それならばこれは当然の仕事でありますし、それを越境しているかどうか、こういう事実を知らなければ言えないことでありますから、事実の説明を機会があれば求めたいと考えております。
○玉城委員 それ以上おっしゃらないおつもりでしょうか。それは事実関係を聞くだけではなくて、私が申し上げているのは、アメリカ側としては何回もやるんだ、こういうことを言っていますね。北側の発表は、ことしに入って百二十回も領空侵犯をしているんだとか、これは私たちそういう事実関係はわかりませんけれども、そのことが朝鮮半島の緊張を非常に高める要因になっているということはだれも否定できないわけですから、その事実関係を聞くという前に、私、申し上げますとおり、そういうことはすべきではないということを米側と話し合うつもりはないかということをお伺いしているわけです。
○園田国務大臣 事実関係を承らなければ、二国間の問題にうかつにこちらが口を出すべきことではないと考えます。
○玉城委員 それでは次に、日ソ関係についてお伺いしたいわけでありますが、午前中、高沢先生の御質疑があったのですが、ダブる点は省きまして、ソ連のブレジネフ書記長が先月の十一日にモンゴルのツェデンバル人民革命党書記長との会談で、対日関係打開について意欲的な発言をした、こういうふうに言われているわけでありますが、その内容と、またそれがどういう意図でなされているのか、その辺を大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。 先月十一日、ツェデンバルとブレジネフの間の会談がクリミアでございまして、その際発表されました新聞発表の中で、アジア諸国との関係につきましても、特に日本との関係につきましても、それぞれ本来的なものでないものから離れて関係を進めたいというような発言がございましたように承知しております。 この言葉につきましては、あるいはソ連側が日本との話し合いということに非常に前向きであるというような印象を与えたものでございまして、私どもも事実関係を調べてみたわけでございますが、その後判明した限りの先方の説明によりますと、領土問題につきまして前向きに対処する、そういう考え方ではなくて、むしろ領土問題から離れてというような考えで先方がこの発言を行ったというようなことでございますので、日ソ関係改善のために基本的な問題となっております領土問題について、この発言によって直ちに進展があったというふうには遺憾ながら解釈できないと思っております。
○玉城委員 この秋の国連総会で大臣はグロムイコ・ソ連外相とお会いするやに、またそういう機会があればということだと思うわけでありますが、やはり今回の貝殻島のコンブ漁の再開の問題とか、ただいま領土問題には関係は直接的にはないようであったというようにおっしゃっておるわけでありますけれども、あるいは少なくとも何らかの糸口が見出せれば、日本側としてはそれをとらえて日ソ関係打開の糸口としていくのは当然だと思うわけでありまして、このブレジネフ発言の内容も踏まえて、国連総会での日ソ外相会議を持つ機会に、改めて日本側としてこういう問題を強く訴えられるべきではないかと思うわけでありますが、いかがですか。
○園田国務大臣 私の方の考え方は午前中申し上げたとおりでありますが、ソ連の方もわが方と話し合いをしたいという考えがなきにしもあらずと私は判断をしております。ただ、非常な食い違いは、ソ連の方は領土問題はもうないものだ、これは抜きにして話し合いを進めようという考えで、わが方は領土問題をたな上げまたは抜きにして話し合いをすることはできない、ここの前提が非常に違っておりますので、なかなかむずかしい問題ではありますが、この領土の問題をにらみながら糸口をつかみたいと考えております。
○玉城委員 五十四年以来中断しております日ソ事務協議再開見通し、日本側から申し入れる考えはないかどうか、その辺、いかがですか。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。 日ソの事務レベル協議は、先生御指摘のとおり昭和五十四年の五月に開かれたわけでございますが、現在、この事務レベル協議を再開するかどうかの問題につきましては、先方から申し入れがあり、そして、私どもの方でも、日本側としましてもこれに応ずるべきであるというふうに判断されれば再開するものと思いますが、まだ検討中でございます。
○玉城委員 中性子爆弾の問題についてお伺いいたします。 この件も午前中出て、その点で大臣から、米ソ五〇、五〇にその製造中止を申し入れるというお話があったわけでありますが、これは極東への配備の可能性もあるという報道もあるわけですが、その可能性。もし仮に日本にそれを配備するということになりますと、これは非核三原則の「持ち込ませず」の対象として、当然断るのが従来の政府の方針だと私は思うわけですが、その点、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 中性子爆弾の生産というのは聞いておりますが、これが極東に配備されるということは、ニュースだけで、その後何ら聞いておりません。もちろん、外務省あるいは私に対して通告もございません。 なお、これが日本に持ち込まれるということはあり得ないことでありまして、中性子爆弾はあくまで核兵器の一つの種類であると考えております。
○玉城委員 次にお伺いしたいわけでありますが、前回の国会でも、外務大臣が沖繩を早い機会に視察をしたいというお話も承ったわけであります。総理も何か今月の十四、十五日に沖繩を視察に行かれるというふうに伺っているわけでありますが、御一緒に行かれるわけでございますか。それとも、御日程はどんなふうになっておるのでしょうか、お聞かせいただければと思います。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
○園田国務大臣 総理は、大体新聞に発表されているとおり、沖繩の視察に出かけられるはずでございます。その際、多分基地の方もお立ち寄りになるのじゃないかと想像いたしております。 なお、外務大臣の沖繩視察でございますが、これは前大臣のときに、行くということで準備をされておったようですが、その後、御承知のような経過で取りやめになったわけであります。なお、私も機会があれば、なるべく早い機会に行きたいとは思っております。
○玉城委員 では、具体的に日程はまだ決まっておられないようでございますが、ぜひ早い機会に現地の——改めて言うまでもなく、安保条約に基づいて五三%という基地が一県に集中的に存在して、日常的に基地公害に悩まされているわけでありますから、ぜひそれの実現を早くやっていただきたいと思うわけでございます。 そこで、これは二カ月余ぶり、先国会以来初めての委員会でございまして、その間、やはり沖繩の基地関係に絡むいろいろな問題が出ていまして、私、ちょっとまとめて事務当局の方でもよろしいのですがお伺いしておきたいと思うのです。 読谷飛行場ですが、本委員会あるいは沖特委員会でも何回も取り上げまして、これは淺尾さんですね、とにかく米軍に提供した施設、区域として、現時点においては環境の変化が相当あって不適当である、いろいろな危険性を伴うということから、これは早く移転をしなくてはならないということで、その移転の検討がずっと続いたまま、しかも演習はまたどんどん強化されて、現地では悲鳴を上げているわけですね。それを、移転がされるまでの間は演習は中止すべきだと私は思うのですが、いかがですか。
○淺尾説明員 読谷飛行場の問題については、私もこの夏の間に地元の方にもお会いいたしまして、地元の直面されている困難というものは十分承知しております。 他方、従来から、読谷飛行場のいわゆる落下訓練について、どこか別の地域に移したらいいという話がございまして、それにかわる施設があれば移したいということで、施設分科委員会のさらに下の委員会ですでに三回協議が行われておりまして、残念ながら、まだその中で非常に顕著な進歩があったというふうに私は聞いておりません。 ただ、御承知のとおり、落下訓練それ自身はやはり安保条約上必要な訓練でございますので、私たちとしては、そういう訓練を中止しろということをアメリカ側に言うことはいかがかと思います。 しかし、いずれにしても、事故が起きるたび、あるいは起きなくても、落下傘の降下訓練については十分その安全に注意するようにということをたびたびアメリカ側には申し入れておりまして、アメリカ側としても十分その点は注意しているわけでございますけれども、にもかかわらず、残念ながら事故が起きている、それが事実でございます。したがって、私たちとしては、機会をとらえ、繰り返し、安全についてはさらに十分な措置をとるように、アメリカ側に引き続き要請していこうということでございます。
○玉城委員 もう一件、同じ飛行場の問題ですが、御存じのとおり、普天間飛行場というのがございますね。これは嘉手納飛行場の目と鼻の先なんですが、宜野湾市という市のど真ん中にありまして、小学校も保育所も、もちろん民間住宅もあるわけですが、去年も墜落事故が起きたり何かしているわけですね。 これは、ここの小学校のPTAの方々が一週間通して飛行機の騒音の調査をやって、一週間のうち五日、朝七時から晩の七時まで、飛行機の騒音で百四十四回、一時間に十八回、三分間に一回、小学校の一時間の授業四十五分のうちに十五回中断するわけです。これは授業にならぬわけですね。市のど真ん中にこういう飛行場がある。嘉手納飛行場はすぐ目の前にあるわけですから、そこを使えばいいのじゃないかと思うのですけれども、最近、海兵隊の演習もヘリコプターが夜遅くまで飛んだりおりたりしているわけですね。この飛行場は何とかなりませんか。
○淺尾説明員 いま御提案になりました普天間の飛行場それ自身について、確かに、都市化が進むと同時に環境が変わってきている、したがって、住民に対して騒音その他で御迷惑をかけていることは事実でございます。 外務省の基本的な立場としては、やはり安保条約を有効かつ円滑に維持していく上には何よりも地元の御協力が必要であるということについては、十分認識しているわけでございます。 ただ、一方において、やはり安全保障の上でこの普天間の飛行場がどうしても必要だというアメリカ側の考え方、これに対してもわれわれとしてはやはり理解を示しているわけでございまして、いま委員が言われたように、非常に騒音が大きくなり、授業も十分行われないというから返せということでございましても、それは右から左にはなかなかいかないということで、この点、騒音防止その他について、あるいは安全の管理については、直接の担当者である施設庁とも十分連絡しながら、できるだけ地元に御迷惑がかからないように、かつ、御理解を得ながらやっていきたいというふうに考えております。
○玉城委員 もう一つ、七月七日に米軍機のドアが、これは二十二キロですね、民家の庭先に落ちた。ジュラルミンですから、これは人間にでも当たったら大変なことになるのですね。この件について、外務省として何か米軍側に申し入れされましたか。
○淺尾説明員 いまお尋ねの件は、アメリカの海軍の飛行機の主脚のとびらが落ちた件を指しておられると思います。金武町中川地区の民家に落ちた。幸いにして物損あるいは人損というのはなかったわけでございますが、外務省としては、これは相当に重要な事件であるということで、七月八日アメリカ側に事実関係をまず照会し、さらに九日には、本件事故につきこういう事故が起きるのは困るという遺憾の意を表明するとともに、注意を喚起したわけでございます。 それに対してアメリカ側から、その事故発生についてはもちろん非常に遺憾であるということを言ってまいりましたし、七月十三日に事故の原因についても当方に連絡がございました。そして、アメリカは、その事故の原因に当たる点については、定期検査等あるいはバルブ部分の取りかえを行って、こういう落下事件が起きないようにしようというふうに答えが来ているわけでございます。
○玉城委員 大臣はどこへ行かれたのですか。大臣に聞いてもらいたくて私は言っているのだけれども、落下事故はまだあるのです。電子探知装置、センサーが三個も土地改良地区に落ちているわけですね。それからもう一つ、ソナー、潜水艦の音波探知機、そういうものも道に落ちてきている。安心して生活ができない。センサーの落ちているところなんか畑ですから、安心して農業もできない、こういうことですね。大臣はどこへ行かれたのですか。——じゃ、淺尾さん相手に言います。 これまで何回も言ってきましたけれども、その条約というのはよくわかりますよ、皆さんが条約を遵守するというのは、そういう立場でしょうから。しかし、それはそれとしても、実際に地元の住民、県民の不安を除去するということについては、当然政府がやるべき責任じゃないですか。仕方がないんだ、やむを得ないんだ、そんなことだけで——最近、嘉手納飛行場周辺六市町村、嘉手納町、沖繩市、具志川、石川、読谷、北谷、ここの住民が飛行機騒音の訴訟を起こそうということになっています。これは、米軍機の夜間飛行の中止、もちろんエンジン調整の音も中止、そういう騒音公害に対する損害の賠償要求という動きも出始めているわけですね。ですから、皆さんがおっしゃるように、条約を遵守する、それもそういうことでしょうけれども、地元の県民、住民の不安解消のために本当に真剣にやらない限り、これは条約どころの話ではなくなってくると思うのですよ。 それで、大臣いらっしゃいましたから、最後にお伺いしたいわけでありますが、伊東前外務大臣にもお話ししたのですが、北海道と同様に沖繩にも、それだけ基地を抱えて日常的に対米軍関係のいろいろなトラブルがあるわけですね。最近、海兵隊の動きが現地では非常に盛んです。それだけに、やっぱり正式な外交権を持った外務省の責任ある立場の人が常駐をして事の処理に当たるということが非常に必要である。前大臣も、そのとおりだ、前向きに検討したいと。現地に防衛施設局がありますけれども、それも限界に来ているわけですね。ですから、大臣の行かれる機会に現地の知事ともよくお話し合いをされて、いま申し上げました点について御検討なさる用意がありますかどうか、いかがですか。
○園田国務大臣 いま北海道へ出しておりますのも、同様の御意見で北海道の知事から話がありまして、定員その他の問題はありましたが、道庁の方でも部屋その他非常な協力を願ってああいうことをしたわけであります。沖繩の方も、基地をたくさん抱えておって確かにいろいろな問題が起きますが、この不安が起きないようにトラブルを一つ一つ解決していくということが非常に大事であって、これまた米国に対する協力の一つでもありますから、いまの御意見は、これを実現できる方向で検討いたします。
○玉城委員 最後に御要望申し上げておきたいのですが、先ほども淺尾局長さんにも申し上げたわけですが、そういう極東の平和と安全という名のもとに一地域に過重な負担を強いる、あるいはしわ寄せをかけるということは、これは現地にとっては非常に耐えがたいことであるわけですから、そういうことでいろいろな問題があるたびにいろいろなことを申し上げてきたわけですけれども、ひとつ大臣、早い機会に沖繩においでになられまして、ただいま申し上げました点も含めて、やはり外務省としても真剣にこの問題に取り組んでいただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
○青木委員長代理 林保夫君。
○林(保)委員 大臣、御苦労さまでございます。大臣御就任からもう三カ月半もたちましたので、きょうはひとつ、臨時国会があるからどうからというのじゃなくて、大臣の外交姿勢の問題についてお聞きしたいと思うのでございます。 最初に、きょう御報告のございました原潜衝突事故のその後の経過についての御発言でございましたけれども、これで政治的な決着という面ではついたというふうに理解しておりますが、それについての満足、不満足の度合いというものにつきましても大臣の御見解は先ほど承りましたけれども、重ねてその一言を承りまして、その後、事務当局の方から、これまでどういう損害の補償の措置、あるいはアメリカに対する交渉、そして今回こういう分厚いものもちょうだいしておりますが、それがどういうふうにこれから有効に生きていくのか、この点もひとつ双方から承らしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 今度の最終報告書は、冒頭報告申し上げましたとおり、私の知る範囲では、これくらい誠意を持って、しかも各個条ごとに列挙をして、その責任は全部米国側の責任である、過ちであったという遺憾の意を表明され、かつまた、軍並びにアメリカ国を代表して別々に陳謝の意を表明されました。これに対して私は、再びこのような事故がないように、なお補償については、ひとつ災難に遭った人が御満足できるような補償を速やかにやってもらいたい、こういう申し入れをやったわけでありまして、各個条それぞれどの問題についても回答をし、かつ、それはわが方の責任でございます、誤りでございますと明瞭にやっておられますので、これはいままでにない誠意を持った報告書であると考えております。
○淺尾説明員 第一点のお尋ねは、この最終報告が出る前に外務省として何をしたかということだと思いますが、御承知のとおり、五月五日でございますか、中間報告が出たわけでございます。そして、その後に首脳会談が行われて、そこで鈴木総理の方から、中間報告が出たことは多とするけれども、できるだけ早く最終報告が出て、国民の納得するような最終報告をもらいたいという話があり、レーガン大統領も、本件については自分が関心を払って扱っているという話がございました。その後も引き続き外務省としては、せっかく中間報告が早く出たので、最終報告についてもできるだけ早く出してほしいということを、アメリカに話をしてまいりました。また、アメリカの在京米大使館も、日本側に言われるまでもなく、この最終報告を早く出して、日本の皆様に事件の全貌をお知らせしたいという気持ちであったわけでございます。そして、八月の三十一日に最終報告が出たということ。 それから、補償については、原則として民間の当事者、言いかえれば、日昇丸側で指定された弁護士とアメリカの在日米海軍の法務局との間で交渉が行われてきているわけでございます。しかし、その過程の中で、外務省としてもできるだけ側面的に御援助するということでございまして、すでに亡くなられた一等航海士については解決済み、それから先般、マンスフィールド大使が来られたときに、この補償問題についてはアメリカが最優先でやっている、近いうちに解決できるだろうという話がございましたので、われわれとしても近いうちにその解決ができることを期待しているわけでございます。 それから、今後これをどういうふうに生かしていくかというのが最後のお尋ねかと思いますが、報告書の中にも書いてあるように、アメリカ側としても、たとえば副艦長の研修を開始する、あるいは従来出ていた報告手続で十分かどうかということのレビューを行っているわけでございますし、さらに、今回の報告書を日本政府に送るのみならず、遺族の方にも送りたいということで、すでにアメリカ側から恐らく遺族の方にも行っているかと思います。 したがって、われわれとしては、こういう不幸な事故が二度と起きないように、先般、園田大臣がマンスフィールド大使に会われた際にも、事故の再発防止については万全の措置をとるようにという申し入れをしておりますし、アメリカの部内でもそういう気持ちでいるということで、今回の事故を他山の石としていきたい、かように考えております。
○林(保)委員 御答弁のように、万全の補償そのほかの措置をとっていただかなければならぬわけですが、これは大変不幸ながらも貴重な教訓であったと思うのです。その点に関しまして、両国間の同盟とも言われるような関係ができておる、その上に防衛上の問題も密接に絡む問題であったわけでございますが、日米間の安全保障条約そのほかの法的な面、あるいはまた日本側の海上の警備、保安上の問題、これは保安庁の担当かと思いますけれども、そういった点で、法的そのほか行政的に何か措置をとる、こういうことを大臣がお感じになっておられますかどうか、また、それがあるとすればどういうものでございましょうか、その辺を承れればと思います。
○園田国務大臣 いま仰せられました各件は当然のことでありますから、十分私も考えておりまして、折に触れてそういう点はアメリカ側にも申し上げ、かつまた、事務協議その他の際にも、いろいろ意見交換したいと考えております。
○林(保)委員 しっかりひとつやっていただきますよう御要望申し上げて、冒頭申し上げましたように大臣御就任三カ月半、大変園田大臣らしい特色もございまして、率直に国民的な立場から申しますと少しぎくしゃくしたのじゃないかなという感じもございますが、大臣といたしまして、改めまして、過般の日米共同声明、その中で盛られておりましたのは同盟ということと、それから私どもから見ると、どうもあの役割り分担をやっておると、これはもう片務的ではなくて双務的なものではないか、日米安保条約そのものが双務的なものじゃないだろうか、ただ、重さが多少違うという点はあろうかと思われますが、ここらあたりをこれからきちっととっていかれませんと、きょう外交青書の要約をちょうだいして、いまも読んでいるところでございますが、一体どうするのだろうかという問題もございますので、特に日米共同声明と日本の対米外交について、大臣の引き続きとられる基本的なお考えを、この機会に、私が先ほど触れましたような点にも触れまして、ひとつ承らしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 三カ月前に突然大臣に就任いたしまして、就任した途端に次から次にいろいろな変わった問題が起こってまいりました。しかし、私は一貫した方針でこれに対処してきたつもりでございます。ぎくしゃくした感じを与えたのは私の力の足りないところでありまして、考え方は一貫してやってきております。 米国との関係は、日米安保条約は日本外交の基軸であり、防衛の基軸であることは厳然たる事実であって、この上に世界平和をどうやって追求していくかということが私に与えられた責任であると私は考えております。今後とも米国に対しては真実のパートナーとして、協力するところは協力し、かつまた助言するところは助言をし、相談するところは相談して、そしてこれを中軸として外交を進めていきたい。 特に、ASEAN、アジアというのはきわめて大事でありまして、ASEANとの関係は非常に順調にいっておりますが、これまた今日の安全保障、防衛問題と無関係ではあり得ません。私が非常に懸念いたしますことは、各国の首脳としばしば会っておりますし、意思は疎通しておりますから、日本が軍事大国になるということに対する懸念はいまのところはないと思いますけれども、これが極東の平和の安全保障などということになって、どこの海峡、どこの海峡ということで自分の国の前の海峡を日本の艦隊が右往左往するということになってくると、これはやはり日本の軍事力に対する懸念を持つわけでありますから、こういうことを与えないようにはどうやってやるかということで、今後の問題でありますけれども、これは事前に私が非常に心配し配慮しなければならぬことだと考えております。 特にまた、中東、これは案外ヨーロッパではポーランドとかアフガニスタンだけを重視しておりますが、私が一番懸念するところは中東の問題でございます。この中東の問題で、同盟国の米国に対しては同一歩調をとるわけにはまいりません、アラブ諸国が米国を敵に回しているのじゃありません、米国が一方的なイスラエル支持をすることによってアラブを米国が敵に回しているんだ、これは不幸なことである、かつまた、パレスチナ問題を解決しないでは中東の和平はあり得ない、こういうことをしばしば申しておりますが、今後とも中東問題についてはアラブ諸国とよく相談をしながら進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
○林(保)委員 そこらあたりがまあ園田外交の非常に大事なポイントだろうと考えまして、実は敬意も払ってはおるわけでありますが、日米関係といいますと、やはりあの共同声明が今日一番新しい基本になるような感じがいたします。大臣は拘束されないというお言葉を発言されたやに新聞報道で承りましたが、その点についていまどのようにお考えになっているかが一点。 それから、日米同盟というのは一体何なんだということについて、まだ国民のコンセンサスが十分得られてないと思います。国会が終わりまして、私も昨日までずっと歩いておりましたけれども、国民のいろいろな心配なり不安なりが出てきております。同盟というのを大臣はどういうふうにとらえていらっしゃるのか。私はこの席であちこちで三回質問いたしました。軍事的な意味があるのかどうか。日米安保条約があれば軍事的意味は当然あるのだと、鈴木総理はそのようにここではっきりおっしゃいましたけれども、しかしなおそれを否定された方もおられました。大臣、どのようなお考えに立たれるか、その辺、承らせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 共同声明については、土井先生の質問に私がお答えしたとおりが真相でございまして、共同声明に拘束されないということを私は米国側に言ったわけではなくて、数日たってから記者懇談会で条約と声明ということで申し上げたのが真相であります。同盟という言葉があったことによって、日米関係がいままでと変化したとは考えておりません。ただし、同盟の中に軍事は含まないという理論は成り立たない、こう思います。
○林(保)委員 まことに明快な御答弁で、それはそれなりにまた評価いたしたいと思います。 もう一つ、当時私も外務委員会の委員として非常に困った問題があったわけですけれども、片務的か双務的かという問題ですね。新聞で明らかに外務省の見解と官房長官の見解が違うという事実があの当時出ておりましたが、この点について大臣はいまどのようにお考えになっておられますか、主として日米安保条約に関しての問題であります。
○園田国務大臣 片務か双務かという言葉の意味はなかなかむずかしい問題でありますが、五分五分の関係であるかどうか、それは五分五分の関係ではない、日本は一部の役割りを分担している、こういうことであって、日米安保条約というものが日本の防衛並びに極東の平和のために役立っておる。しからば米国がよそで軍事行動を起こした場合に日本がこれに助力をするか、これはないわけでありますから、やはり片務的であると考えております。
○林(保)委員 その辺が実は私はちょっと理解がいかないのでございます。たとえば、大臣が先ほど全方位外交という言葉をお出しになられ、大臣が前にお務めのころにもそういうことで、当時もそれなりに評価いたし、また今日もそれなりに私も評価いたしたいと思いますけれども、なおそれで、米国との関係で従来言わなかった同盟という言葉を出してき、国会は休んでおりましても、あちこちでいろいろなトラブルが起きております。それでいいのだろうかというのが率直に言って国民の持つ疑問でもございます。そういう視点で大臣は、同盟関係そのほかを、全方位と言われるならば、ほかの地域にも同じような言葉、あるいは準という言葉を使いますか何かで規定してこれからの外交を考えていかないと、どうもやはり矛盾するような感じもいたすのでございます。 その辺、日本は、足場として近隣諸国がありますが、韓国との関係、中国との関係、東南アジアとの関係、大臣は重視されるという言葉をとられましたが、アメリカと同様には考えられないものかどうか、この点をひとつ承りたいと思うのであります。
○園田国務大臣 近隣諸国、特にアジアの国は、日本が発言をしあるいは行動する場合の一つの拠点でありますから、きわめて大事であります。アメリカとは安保条約を結んでいる同盟国であります。 全方位外交とは、一方と同盟を結んでいるからよその国とも同盟というわけにはまいりませんので、それぞれの国の立場によって関係が違うことは当然であると考えております。
○林(保)委員 この外交青書の中にもいろいろ気になることがございますが、特に、かねてからわが国政府は、一人当たりGNP一千ドル以下の低開発国といいますか、発展途上国、そこらあたりに人道的な援助をかなりやっていたと思います。園田外務大臣は前回、政治的な影響力を外交上持とうという、初めて青書の中に出てきた言葉があったと思います。それ以来というわけでもございませんが、最近は特に、今度の青書にも出ておりますように、タイ、パキスタン、トルコといった紛争周辺国に見られるようにといった形で援助の考え方を変えてきております。それと大臣のとられる全方位外交、これは先ほどおっしゃった等距離でないと言われるのかもしれませんけれども、その辺の関連をどのようにお考えになっておられるか、承っておきたいと考えます。 〔青木委員長代理退席、松本(十)委員長 代理着席〕
○園田国務大臣 経済援助は開発途上国が重点であることは、従来どおりでございます。ただ、私は、そういう数字のみによって決めることが適当かどうか、中進国であっても、実際は国民の一人一人の生活は非常につらいところがございます。したがいまして、ただ単にGNP幾らという数字だけで決めて経済協力を行うことは適正な協力の邪魔になる、こう考えておりますので、そういう点は少し幅を持たせてやりたいと事務当局には指示をしております。 なお、紛争国周辺という言葉がありますから、これはどうも紛争国周辺に対して何らかの後ろ盾をするかという感じでありますが、そうではなくて、たとえば紛争周辺国のタイは難民で非常に困っております。パキスタン等も難民で非常に困っておることは、先生も御承知のとおりでございます。かつまた、中東等でも紛争のために疲弊している国もございます。そういう意味で紛争周辺国に対して配慮する、こういうことを考えておるわけでございます。
○林(保)委員 大臣、そうおっしゃいますと、私はどうしても全方位外交にこだわるのでございますが、それじゃいかぬのじゃないかという感じがするのです。過般も難民条約の批准に当たりまして、大臣から高邁な、国の歴史と民族的な立場、そういったものを踏まえて、なお難民が何千万も多発するような状態、これを何とかせねばならぬ、そうするとその根源を断たなきゃならぬということで私も御質問申し上げ、大臣もそのようにはっきりと、それはやらなきゃいかぬ、こういうことで、機会があったら主張するというふうにおっしゃられました。 そうすると、やはりまたもとへ戻りますけれども、大臣がかつて三年か四年前におっしゃったような政治的な役割りを果たす段階、そこまで日本の外交は戦後経済大国だから来なきゃならぬようになっているのじゃないだろうか、このようにも思われまして、私は決して紛争国周辺に対して援助するなということじゃございませんで、それと全方位外交とは一体どういうふうな関係があるのだろうか、むしろそれはちょっと違うのじゃないだろうかと思うのですが、大臣、いかがお感じでございましょうか。
○園田国務大臣 私の申し上げる全方位外交とは、いかなる国とも同等につき合えという意味ではなくて、いかなる国とも外交関係を結び、話し合いを進めていきたい、そして、でき得れば進みは遅くとも友好関係を深めていきたい、こういう関係でありまして、経済協力にしましても、どこの国にも平等にやることが全方位外交だとは考えておりません。 かつまた、先ほど申し上げましたとおり、日本は経済大国、経済大国という言葉をよく使うわけでございますが、これはやや日本のうぬぼれでございまして、いま日本は経済大国と言えるほどの余力はないわけであります。ドイツも日本も相当経済は落ち込んでおります。経済的にはよその国と比べるとまあまあいい方で、明年度の経済成長がどれくらいいくか、まだ検討しておりませんけれども、せいぜい四か四・五ぐらいのところに落ちつくのじゃないか、これは私の推測でございますけれども。そうすると、経済大国なんてものじゃございません。 かつまた、一方、国家財政は破綻です。破産寸前でございまして、これはわれわれが非常な責任を感じなければならぬことでございます。だから、余分をもって他国を助けるという考え方は経済協力には通用しない、つらいときにも骨身を削ってつらいところに奉仕をする。その奉仕は、国、相手、額はそれぞれ違うかもわかりませんが、それが世界の安定と平和に通ずるということを願いながら私はやりたいと考えておるわけで、明年度の予算でも、経済協力だけは格別の御同情と御理解と御支持を願いたいと思っております。
○林(保)委員 その辺が、国によって額と方法が違うと言われると、私どもはどうも全方位じゃないのじゃないかと単純にとりがちなところが多少違うかと思いますが、お心持ちはよく理解できるわけでございます。 時間がございませんので、次に移らせていただきます。 本当にマクロ的になりますけれども、非常に大事な対外援助の問題がいま隣国の中国と韓国にあると思います。いずれも新しい政治体制ができまして、これがこのままで安定するのかどうかという問題が一つ非常に大きく国民的な関心になっております。 先に中国からまいりますけれども、その御認識をどのように持っておられるのか。それから、けさの新聞にも出ておりますように、週内にも条件を詰めて、来月対中プラントの政治決着を図るという外務省から出たニュースらしいものが出ておりますけれども、大臣、どのようにこの対中プラント借款の問題の決着をつけるようにお考えになっておられますか。中国の政治情勢に対する認識とともにお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 よその国でございますから、現在の政権が逐次安定していくと思っておりますけれども、これに対する見通しを申し述べることは不遜であると思いますから、御勘弁願いたいと思います。 中国の借款、これは御承知のとおり大体四千億円の申し出でございますが、とうてい日本の財政上許すわけではございません。そこで、いままでのプラントの転用、これは大体話は一千億が決まっておりますが、あとは輸銀とか民間資金というものを併用して、いま中国が一番必要なのは軍備でもなければ何でもない、経済近代化のための資金が一番大事でありますから、できるだけ協力することが日本としては当然だと考えております。
○林(保)委員 今度谷牧副首相がこちらに来られる予定になっておりますが、その辺で決着がつくようなお見通しでございましょうか、どうでございましょうか。
○園田国務大臣 中国の総理がおいでになるのは、年内だと私も思っておったのですが、中国の都合によると年内は無理のようである、だから、多分来年になるのじゃないか。中国の方は非常に急いでおりますので、来年までこの結末を延ばすことはなかなか困難でありますから、できるだけ年内に結末はつけたいと考えております。
○林(保)委員 副総理の谷牧さんが来られるのは近いのでございますね。その辺で事務的に詰めができるのでございましょうか。
○木内説明員 中国の総理につきましては、ただいま大臣から御答弁あられたとおりでございます。 副総理の谷牧さんにつきましては、プラントの問題をめぐる日中間の話し合いのめどがつきました段階でできるだけ早く来日していただければと考えておりますが、いまの段階では、そこまで申し上げる状況に遺憾ながら至っていないということでございます。
○林(保)委員 事務的なものをもう一つ承りたいのでございますが、関係している通産省とか外務省が中心なんでございましょうけれども、いろいろと輸出入銀行そのほかとの詰めがなかなかできがたいような状況なんじゃないかとも思われますが、その辺、事務当局は現在どのように詰めておられるのでございましょうか。日本の方針だけでももう決めていらっしゃるのでしょうか。
○園田国務大臣 いま非常に土壇場に来ておりまして、事務当局の手を離れて政治的な面に移っておるわけでございまして、それをどう何とか片づけるかということがいま私の苦労するところでございまして、これはあとしばらく御勘弁を願いたい。
○林(保)委員 では、国益のために質問を控えさせていただきます。韓国の問題でございますが、朴大統領が不幸にして亡くなられて以来、いろいろな事件がございまして、日韓関係も必ずしも温かくなかったような印象を受けます。そのことが、一つは全斗換大統領の来日が二、三回報道されながらもやはり実現しなかった、こういうことだと思います、こちら側の総理の日程もあったことではございますけれども。大体いつごろこちらへ来られるのでございましょうか、あるいはこちらから行くのでございましょうか。報道によりますと、また何か延びたというような感じもございまして、大臣、どのように御判断されておられましょうか。
○園田国務大臣 いまの先生の御質問は日韓の首脳者会談のことでございますか。(林(保)委員「はい」と呼ぶ)これは日にちは前々から決まっておったわけではなくて、それが延びたわけでもございません。やはり首脳者会談をやるとなると、向こうから来られるのかこっちから行かれるのか、これも今後の問題でございますが、問題は、日韓の新しい関係がどのような関係で進んでいくのか、あるいはいまの借款がどのような結末をつけるのか、大体の見当がつかないうちに首脳者会談をなさっても、これはかえって混迷を深める、こう思いますので、大体その見当がつかなければならぬ。そこで、それはいつごろかと言っても、私も見当がつきません。一生懸命努力をいたします。
○林(保)委員 そうしますと、伝えられるように年内の最高トップの首脳会談はむずかしいというような感じだと思われますけれども、それはそれといたしまして、先ほども同僚委員からいろいろと御質問がありましたように、対韓援助のいわゆる性格づけは非常にむずかしい、このように考えられますが、これは事務当局にちょっと承りたいのでございますけれども、どういうプロジェクトなりどういう性質のものであるならば日本側が受けられるかという点、御説明を事務的にお願いできたらと思うのです。
○木内説明員 経済協力に関しましては、御承知のように経済開発、民生安定ということを志向いたすわけでございます。したがいまして、仮に韓国との経済協力を進める場合には、今後やはりインフラ部門を志向した項目に相なるのではないかと思っております。
○林(保)委員 そういたしますと、従来の対韓援助の枠を一歩も出ないという感じになりますが、そう理解してよろしゅうございましょうか、項目別では。
○園田国務大臣 繰り返すことになりますが、第一は、韓国の軍事、防衛に関する援助、協力、これはもう不可能で、私がやらぬのじゃなくて、絶対できないことでございます。 次は経済協力でございますが、経済協力は積み上げ方式でありまして、総枠で協力するということは日本の制度上できないことでございます。したがいまして、日本も韓国の実情をさらに理解し、韓国も日本の実情をさらに理解されて、そして、どのような問題で日本の協力を得たいか、それを両方で調査して積み上げていくという方式になれば、それからが金額の相談になることだと思いますが、そこへ話がいかないうちは、金額の相談なんというのは総枠で額を幾らとおっしゃってもこれはなかなかできないことでありまして、それは国会でしかられればいいという、困難という問題ではなくて、できないことでございますから、その点は根気強く理解を深めるようにしたい。 何にしても、基礎は、隣国といいながら日本は韓国の実情を余りわからぬが、韓国は特に日本の実情をおわかりにならぬようであります。これが一つ。そこで、理解を深めることが大事。 〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕 それからもう一つは、私、心の中で考え、向こうもそうだとおっしゃるのは、いままでの日韓関係から新しい日韓関係に移りたいというのが私の本心であります。経済協力があればすぐ日韓癒着という問題が、事実かどうかは知りませんが出てくるし、韓国の方でも、何も一おれたちは助けてもらっているのではない、助けたふりをしながら君たちは金もうけをしているんじゃないかというようなことを言われたのでは、これは話になりません。そこで、名実ともに隣国であり、特別な友邦国であり、伝統ある歴史を持った国が新しい歴史観の上に立って、お互いが真実に理解し合って率直に相談し合う関係にいきたい、こういうのが私の気持ちでございます。
○林(保)委員 時間がございませんので最後になりますけれども、大臣いまいみじくも言われたのでございますが、日韓関係の新しい歴史的な関係、向こう側がそれをアーネストに希望もし、また、全斗煥大統領の発言として先日もきわめてシャープに出しておられました。それに対して、大臣はそう認識しておられるのだけれども、こちら側の日本側がどうもそこまでいっていないところにも問題がある、こういうことが私どもいろいろと感じられるのでございますが、その点のギャップをどのようにして外交上お埋めになられるのでございましょうか。 先ほど大臣は前段で、なかなかこっちの言い分がわかってもらえないというもどかしさをお訴えになっておられましたけれども、私もそのとおりだと思います。と同時に、向こうはまた、従来の体制を一変して、共和国として新しい日本ともう過去の歴史を清算してでもやりたい、こういう提起が出ておると思うのでございます。大臣もいまいみじくもおっしゃられたように、新しい認識に立っておられると思うのでございますが、なかなか双方の国内情勢、政治情勢がうまくいってない、こういうふうに思うのでございますけれども、どういう手法でそれを打開していかれますか、その辺を最後に承らせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 先般、大統領が国内における演説でも、過去のことでいつまでも日本を責めるわけではない、それはわれわれ韓国人も反省しなければならないという趣旨の演説をされました。だから、韓国も新しい関係を目指していることは事実であると思うし、この前の外相会談でもそれは意見が一致しました。 ただ、新しい関係とは、隣国、友好国の韓国とひとつ互角に相談し合っていこうじゃないかという新しい関係でありまして、どうも言葉は一致しているが、では新しい関係で韓国は君たちのためにとりでになっているのだからこの点考えろなんという新しい関係であってはならぬ、こう思うわけでありまして、こういう点も非常に大事な問題でありますが、やはり両方で根気強く話し合うことが必要である。この前の外相会談は、そういう話し合う立場をつくったという意味で成果があったと考えております。
○林(保)委員 せっかくの御検討を期待いたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○奥田委員長 金子満広君。
○金子(満)委員 限られた時間の中で、主として園田外務大臣に対して若干の問題について所見をただしたいと思います。 まず最初は、きのう発表され公にされました外交青書の問題です。 発表された外交青書は、これまでになかった表現、姿勢がかなり明確に新しい問題として出ていると思うのです。たとえば、日米同盟関係を基軸にするという五月八日の日米共同声明にうたわれたあの基調ですね、それからまた、西側の共通戦略を強調し、その一員として努力するという意味の内容、あるいはまた、アメリカの防衛努力への評価、そういう問題、さらには日本の防衛力の一層の増強、こういうことなどが新しい問題として出ているわけです。全体を通じて、この青書というのは五・八日米共同声明の具体化だということが一言で言えると思いますし、さらに突き進んで私の見解を申し上げれば、これはレーガン戦略に同調した、いわば冷戦加担外交の方針書でもある、こういうようにも言えると思うのです。そこで、全体の質問は別の機会に譲るとして、きょうは一、二その点でただしておきたいと思うのです。 まず、この青書が日米同盟関係をうたった後、「軍事面については、わが国は米国の防衛努力を、先進民主主義社会の平和と安定に貢献するものとして評価する。」こう述べております。これは、アメリカの防衛努力というのは軍備の拡張を含めていることは言うまでもないわけでありますが、西側のいわゆる民主主義諸国の中でもこうしたアメリカのやり方については不安と懸念が表明されているけれども、日本の外務省としてはこれは無条件で、前提なしで支持をして評価した、こういうことになると思いますが、この点はいかがですか。
○園田国務大臣 発表されました外交青書というのは、いままでと特別変わったことではない。八〇年代の国際情勢が変化したということが一つの条件になっておると思いますが、たとえばレーガン政権の冷戦戦略に全く無条件で日本が入っているということは、これは誤解でありまして、ヨーロッパでも力の均衡ということは絶えず会議ごとに言っております。しかし、力の均衡と同時に、ヨーロッパ側は特に西独を初め、ソ連とアメリカの対話というのは必ず主張しているわけで、主張している以上にその本心は強いものと見受けております。私もしばしば言っているように、力の均衡というものと対話というものは同時に進められるべきものだと考えております。
○金子(満)委員 その西側諸国との関連でありますけれども、青書そのもので言えば、「わが国は米国の防衛努力を」「平和と安定に貢献するものとして評価する。」ということで、全く野放し、前提はないわけです。あるいは対話とか、そんな問題はもちろんありません。そういう点は新しい特徴である。しかも、米国の防衛努力の中には、午前中高沢委員も質問された中で中性子爆弾の問題がありましたが、アメリカのレーガン政権による中性子爆弾の製造ということも当然含まれておるということは、これが発表された時間的な経過から見ても明らかだと私は思うのですが、その点はどうですか。
○園田国務大臣 まず、前段のことでお答えをいたしますが、確かにおっしゃるとおりに、「わが国は米国の防衛努力を、先進民主主義社会の平和と安定に貢献するものとして評価する。」その前に、「軍事面については」という言葉がついております。そのすぐ後に、「わが国としては日米安保体制の一層円滑かつ効果的な運営を確保するとともに、あくまでも平和憲法の下、専守防衛の枠内で、国民のコンセンサスを得つつ、自主的判断に基づいて、自衛力の整備に一層の努力を行っていくことが肝要である。」次に、すぐ続いて、(4)項「他方、軍事力整備による対ソ抑止力の確保と並んで重要なことは、長期的により低いレベルでの東西間の戦力バランスを図ることであろう。」云云とずっと書いてございますので、私の言っていることは一方的に表現しているわけではございません。
○金子(満)委員 やはりそうなんですね。東西の軍事力のバランスというのは、片方が上げれば片方も上げる、そちらが上がればまた上げるという、この悪循環の繰り返しになるので、この力の均衡といいますか、軍事力のバランスにいかにして終止符を打つかという積極姿勢は、日本外交のこの青書の中では残念ながら出ていない。 国連の加盟国の四分の三を数える非同盟中立諸国、それはこういう軍事面についてはアメリカの防衛努力を評価するというようなことに最も強く反対するわけです。ですから、非同盟諸国の実情にも詳しい園田外相のもとでこういう青書が堂々と出て、しかも無条件評価を米国に与えている、こういうことは大変なことだ。御存じのように、ことしの二月のニューデリーにおける非同盟諸国外相会議の最終文書、決議、いまわが外務省が出したこの青書の立場とはまるで反対のことが出ているのです。ですから、今後ともこの点については機会あるごとにその姿勢をただしておきたいと思いますけれども、これは大変重大な問題を含んでいるということを指摘をして、次に、それとの関連で、安保条約にも関連してアメリカの偵察機、いわゆるSR71の問題について触れたいと思います。 きょうも質問があったようでありますけれども、最近、特にことしになってSR71の朝鮮方面への偵察飛行というのは相当の数に上っている。これは朝鮮民主主義人民共和国の中央通信の報道を計算してみても、一月から八月十四日までの間に百回を超えているのですね。日本の新聞報道によると、百二十三という数もありますが、いずれにしても百回を超えている。そして、領空侵犯ということも問題視されている。こういう中で八月二十六日の事件が報道されたということだと思うのです。 しかし、このSR71という偵察機がどこから飛び立ったかということは、恐らく外務省も頭の中では知っていると思うのですよ。しかし、どこから出たということを公式にはおっしゃらないのだけれども、事と次第によっては、これは日本がアメリカの軍事挑発あるいはたくらむ戦争に引き込まれる危険性をはらんだものであるのだから、いま外務大臣も大体はよく知っていらっしゃる方なんだから、ここではっきり答えていただくことが、日本の国民にとっても、米国にとっても、あるいはアジア世界にとっても必要なことだ、知っているものはやっぱり明らかにすべきだ、私はこういうように思うのですが、いかがですか。
○園田国務大臣 おっしゃいましたことは、朝鮮民主主義人民共和国の言い分をそのままおっしゃったわけでありまして、これは一方の言い分でございます。両方の言い分を聞かなければ実情はわれわれにはわからぬわけでありまして、どこから飛び立ったということも想像で申し上げることではありません。むしろ私は、何十回か領空侵犯したという言葉を聞くごとに、日本自体がお隣の大国からたくさん定期便みたいに領空侵犯を受けていることに頭を悩ましておるわけでございます。
○金子(満)委員 私が聞いているのはそういうことじゃなくて、それでは、SR71というのが在日米軍基地に配備されているということはお認めになりますか。
○淺尾説明員 先ほどの御質問でもお答えいたしましたように、このSR71というものは、アジアにおいては嘉手納の基地に配備されているということは、私たちとしては承知しております。
○金子(満)委員 やはり北米局長は正直に答えたわけですが、三機いるということは天下周知の事実なんですね。実は、八月二十六日の後、ちょうど事件が起きたそのときに、大村防衛庁長官が沖繩の基地の視察に行っていたわけですね。新聞にもいっぱい書いてあるし、テレビの声も聞こえなかったはずはないだろうと私は思うわけですよ。ところが、一言も聞いていないのですね。このSR71はここから飛び立ったのですか、この基地にいるのですか、いないのですか、大体その基地の人がいるのですから、それに一言も聞かなかった、これは非常に大事な問題だと思います。 私が入手した情報によれば、現在沖繩にいるその三機の機体番号というのは、一七九六九、一七九七五、もう一つは一七九七六。一七九までは同じ番号で、後が六九、七五、七六の三機いるわけですね。そして、事件が報道された八月二十六日のその日には、このSR71の一七九七六の機体番号の飛行機が飛び立っていっている。沖繩を出たのが十四時。そして、十七時三十分に帰ってきている、こういうことなんですね。 これは、きのう板門店で会議がありました。朝鮮の軍事休戦委員会本会議が開かれるとき、米側代表が、実はSR71は八月二十六日四時三十四分にソウルの西方上空にいたということを言っているわけですよ。ちゃんと時間も合うのですね。沖繩から出たことと、その機体番号もこれですということと合いますよ。 こういうことがわれわれでも明らかになるのですから、私は政府も知っていると思うのですよ、日本の管制官以外のところを通る飛行機じゃないのですから、全部内外ともにキャッチできるわけですから。そういう点は非常に重大な事態を引き起こしかねない。いまどんどん起きておるとはあえて言いませんけれども、引き起こしかねない。 それはまかり間違えば戦争になる危険性をはらんでいるし、それが日本の基地から飛び立っているというところに重要性があるわけだし、私はその点で重視しているのは、こういうような偵察飛行、こういうような危険をはらんだものについては、政府としても米側に対して具体的に問い合わせ、そしてそういうような危険な行為はしないようにということぐらいは最小限言うべきで、沖繩へ行ってその基地にいて、防衛庁長官も何も聞きもしない、話もしない、言わないことが何か一つの礼儀みたいに思っていたとしたら、重大な事態を招きかねない。 こういう意味で再度ただしておきたいと思いますが、こういうような危険をはらんだことについては、米側に対してどういう意思表示を今後されるつもりか、あるいはもう目をつぶって何も言いません、事が起きなければ何も話しませんということでいくのか、その点をちょっと聞いておきたいと思うのです。
○園田国務大臣 なかなか詳しい情報を承りましたが、いまの飛行機が沖繩から出ていったという事実は、まだ私は承知しておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、朝鮮半島の緊張が激化するようなことは私は希望しておりません。したがって、折あらばこのことについての実相を米国に聞いてみたいとは思っております。
○金子(満)委員 それはぜひ米国に聞いてもらうとして、もう一つは、いま大臣もお答えになりましたが、沖繩から飛び立っているということはまだ承知していない。これこれの事実があるという私の情報ですということを私は申し上げたのですから、外務省を通じて、こういうような事実があるかないかも、外務委員会の中で聞きおきます、言いっ放しですということでないように、公式の場ですからその点は外務省としてぜひ処置をしていただきたいと思うのです。
○淺尾説明員 先ほども大臣から御答弁いたしましたように、日本の空にも同じような偵察をしておる。したがって、米軍が安全のために偵察しておるということは、われわれとして別にとがめることはないわけで、そこで何か違法な行為をしておるかどうかということが問題になるわけでございまして、今回のアメリカ側の説明は、公海上及び韓国の領空の上である、こういうことであります。 さらに、軍の問題でございますので、一つの飛行機がどこの地点をどういうふうに飛んでいたかということは、やはり軍の機密ということでございまして、私としては、せっかくの御要望でございますけれども、照会しても向こう側は回答してこないということでございますので、照会するということはここでお約束できないわけでございます。
○金子(満)委員 調査、質問しないことはきわめて遺憾だと私は思うのです。そのくらいのことを聞けない外務省、情けないと思うのですよ。私は後で原潜に入りますけれども、同じようなことがあるのです。ここから先は聞けない、聞いたら失礼じゃないか、答えないじゃないか、聞きもしないで答えないであろうという前提でやるのは、局長ちょっと卑屈な態度で、はねられたらはねられたでいいじゃないですか、聞いてみたら。はねられたらはねられたときにまた次のことを考える、そのくらい積極姿勢が欲しいと思うのです。 そこで、原潜なんですが、けさ大臣から米側の最終報告についての報告を受けました。それで、高沢委員の質問に答えても言いましたが、大体日本の疑問には答えておる、これで結末がついたと思っておるという意味の答弁がありました。そうしますと、政治上、外交上、これ以上本件についての責任の追及はもうアメリカにやらない、そういう点では決着がついたものあるいは決着をつけた、こういうように解釈してよろしいですか。
○園田国務大臣 さらに責任の追及その他の問題は、アメリカ自体がみずから遺憾の意を表明し、陳謝をし、かつまた、全面的に自分の責任を認めているわけでありますから、それ以上責任の追及の方法はない。ただ、船をなくされ、生命をなくされた方々、遺族の方々の心境になれば、どのような結末をつけても船が返るわけではないし、生命が返るわけではないので、まことにお気の毒だとは存じますが、これ以上責任追及の方法はないと考えております。
○金子(満)委員 この米側の報告にもありますし、私もこれを全部読ましていただきましたが、衝突事件をまず偶発的な事件として扱ったわけですね。それで、責任は艦長及びワシントン号の下士官にあるという点で締めくくっているわけですね。そして、この中にも書いてありますが、これは淺尾局長もさっきから言うのですが、答えないだろうというところもちゃんと答えないでいるわけですね。この調査報告より機密の部分を除いたものが別途日本政府に提出されるということもあるわけですよ。ですから、全貌は出てないのです。つまり、徹頭徹尾軍事優先だと私は思います。しかも、軍事優先であり、軍事的な機密に属するようなことは出さない。だから、どういう演習をしておったとかということについてはもちろん書いてないわけですね。 それで、謝れば事が済むとは思っていないかもしらぬけれども、とにかく頭を下げれば、日本も下げた頭は打つまい、だからとにかく陳謝をしておけという点で陳謝という形はとりましたが、内容については具体的にされない面がたくさんあるという点を私は指摘せざるを得ないわけですね。だから、こういう点について、残念だけれどもこれをそのまま、ああそうですかと言うわけにはいかないと思うのです。 この点について、これまでの国会審議、特に五月の首脳会談以前、国会でずいぶん審議がありましたが、たとえば四月十五日の参議院の決算委員会で、共産党の安武議員の質問に対して総理はこういうように答えているわけですね。「わが方の調査もいたしておりますから、これを米側の調査と彼此照合して、整合性を持って、正確なところを発表したいと、こう思っております。」こう述べていますよ。 これを受けて、また淺尾北米局長はさらにもっと具体的に、「現在保安庁及び防衛庁において捜査あるいは調査の結果を調べているというふうに承知しておりまして、われわれもそういう捜査と、アメリカ側の調査結果、これを突き合わして真相解明に努力していきたいというふうに考えております。」この米側の報告書が政府に出され、すでに出されている海上保安庁のこの沈没事故についての報告、この二つあるわけですが、これを突き合わせたということを私は聞いてない。突き合わせる前に、これが来たらもう了解した。あるいは事前に外務省には届いておって、こちらと突き合わせていたかどうか私は知りませんよ。しかし、この二つは突き合わせなければならぬ。 そして、この米側の報告と日本側の保安庁の事故についての報告の中には、明らかに食い違いがあるわけです。まだ解明しなければならぬ問題がある。こういう点を今後突き合わせをするのかしないのか、もうこれは一件落着といくのかどうなのか、この点、いかがですか。
○淺尾説明員 私もアメリカ側の最終報告を読みました。その過程で保安庁から質問事項が出ております。質問事項については、私の了解ではおおむね答えているということでございます。 ただ、事実関係について、日昇丸の船員のその当時の証言とアメリカ側の証言、あるいは艦長の証言という事実関係については違う点はございます。しかし、今回アメリカ側がほとんどすべてを明らかにして、アメリカ側として責任があるということを言っておりますし、かつ、事故の原因、なぜ救命捜査が十分行われなかったか、それから日本に対して通報がなぜおくれたかという一番日本政府が聞きたいと思っている点については答えているわけでございます。 先ほど金子委員の方から、軍規優先ではないかということがございましたけれども、その中にリッチ大佐がまさに勧告しているのは、艦長あるいは当直士官が軍規を優先して救命活動をなおざりにした、これはアメリカの海軍士官として間違いであるということまで言っております。したがいまして、私たちとしてはこれ以上アメリカ側に対してさらに報告を求めるというつもりはございません。
○金子(満)委員 突き合わせると言うのだから、突き合わせなければしょうがないと思うのですよ。これは国会の答弁ですからね。淺尾局長が私はこう思うと言うだけでは通らないわけです。だから、突き合わせて、どこが違ってどこが一致して、それで不一致のところはどうするか、これは必ずやってほしいと思うのですね。これは天下に対して公約したことですから、その点はいいかげんに済まさないでもらいたいと思うのです。特に、漂流後一時間くらいして乗組員はシュルシュルとかプシューという音を聞いた、何か訓練をやっているようだったと述べている。こういうのもちゃんと証言であるわけですよ。訓練は続行したのですから、こういうものはどういうことであったのか。 あるいは、この演習にはP3Cが参加していたことは初めからわかっているわけですね。初めから演習に参加していたP3Cが沈没漂流中の乗組員を見たことは、私は間違いないと思うのです。にもかかわらず、そういう点についても触れていないのだから、これは公海に関する条約のあからさまな違反であることはアメリカだって認めているわけですよ。人命を優先するということをしなかったというのは認めているのだから、そういう点もあわせて私は究明してほしいと思うのです。時間がなくなりますから、その点は後で答えてください。 それからもう一つ、韓国の問題について若干質問をしておきたいと思うのです。 午前中の質問の中でいろいろ出ましたが、先般の外相会議で、近隣同士の相互依存と連帯に基づいた新しい日韓関係の構築をしていく、これが原則で、たてまえです、そのようにおっしゃっているわけですが、さて、そのことと関連して、韓国に対する援助の問題です。これは土井委員の質問に大臣が答えまして、日本は憲法、諸規定によって軍事に振り向けられる援助は不可能である、こういうように言い切りました。同じようなことは総理が研修会でも話していることは新聞紙上にも出ておりますが、同時にまた、園田外務大臣は、韓国の防衛、軍事費のために協力することはどのような場合でも不可能だ、こういうようにもきょう答弁されているわけですね。そこで、これは今後開かれる日韓閣僚会議でも当然貫いていくことだと思いますが、この点はどうですか。
○園田国務大臣 いま申し上げましたことは私の信念ではなくて、国会、憲法その他の規定でできないことでありますから、できないことを変えるわけにはまいりません。
○金子(満)委員 そこで、大臣、具体的にお聞きしたいのですが、憲法、諸規定からしてできないという、その憲法と諸規定の根拠になっているものは何なのですか。これはまだ公表してもらったことがないのです。
○園田国務大臣 憲法では、一貫した平和憲法であります。したがいまして、武器輸出とかあるいは軍事援助はできないのは当然であります。かつまた、その後国会で行われた決議その他がございます。かつまた、日本の政府の規定の中にも、武器輸出はできないとか、そういうことはちゃんと決まっているわけでありまして、これは私よりもあなたの方が詳しいと存じます。もし仮に私がやるとしたら、幾らでも個条書きをお並べになると思いますので、これ以上は説明いたしません。
○金子(満)委員 それからもう一つは、きょう大臣の答弁の中で、いわゆる政府が言う総合安保については、韓国との場合、こちら側から出せばそれには軍事が含まれているということを言われるから、そういう立場はとらないということを言われました。これは確かにそうだと私も思いますよ。この立場は今度の閣僚会議でも当然貫くことだと私は思います。この点もいいですね。
○園田国務大臣 この点は注意しないと、韓国の方では相当思い込んでおられるようで、援助をやるのがあたりまえだというような考え方があるようでありますから、そこで安全保障などという言葉を使いますと、その安全保障というのは軍事も含んでいるじゃないかという誤解や淡い希望を持たれることは非常に危のうございますから、これは外交技術上使ってはならぬと私は思っているわけでございます。
○金子(満)委員 では、そういうことの上に立って、もう御承知のことだと思いますが、韓国には落下傘からミサイルを積載するパトロール艇までつくる軍事メーカーが八十社もある。これはいろいろの資料に出ていますし、アメリカ側でも知っているわけです。そういう中で、ことしの六月二十五日から二週間、全斗煥大統領がASEAN諸国を訪問したわけです。すでに韓国は、インドネシアに対してはパトロール艇とかあるいは上陸用舟艇を売約済みなんですね。自分のところで武器をつくってよそへどんどん売っている。自分の国の金はそっちの方に回しておいて、穴のあいた経済の方は日本から、こういうことになるということは、応用問題でなくて算術の計算でできるのです。 こういう点が現実にはあるし、起こり得るし、日本の援助というものもそういう点で、武器輸出については国会の決議が確かにあります、しかし援助という金の問題についてはそういうことはまだつまびらかになっていないので、大臣きょう言いましたから、そういう点は貫いていくことが本当に必要だろう。 そうでないと、現にこれは、きょうは来ていないから必要もないのですが、外務省としては大事な問題だと思うのは、この八月に韓国を訪問した瓦官房副長官初め五名の政務次官が、韓国の国防相と会談をした。その記事が八月十四日の新聞に報道されています。それによると、日本側は懸案となっている韓国海軍練習艦隊の日本寄港を今年中に実現するよう努力したい、こういうふうに言っているようです。それから韓国側は、情報、人事、運用、教育などの面で防衛関係者の交流を日本と行いたい、士官候補学生の訪日を実現して、防衛大学でともに勉強させたい、受け入れてくれ。日本の瓦副長官初め五名の次官は、よろしいでしょう、受け入れたいという希望を表明してきている。 そうすると、園田外相は、軍事に使われてはかなわぬ、これは憲法上も諸規定上もできない、日韓の癒着なんて言われたらとんでもない話だというのが言葉の端々に出てまいります。しかし、同じ内閣の中で、また別なところは軍事面ではどんどんこういうものが進んでいるのです。練習艦隊は受け入れよう、これはたしか金大中問題があって、向こうからそういう希望があったけれども、まだ時期でないと延ばしてきた経過もあるのだろうと思うのです。こういうのは絶対に受け入れるべきではないという立場は、今度の閣僚会議で、とにかく官房副長官が出ているのですから出るかもしれない、こういう点については、出る出ないにかかわらず政府としては拒否する、こういう態度を明確にしておくべきだと私は思いますが、大臣、どうですか。
○園田国務大臣 いまの話は話として聞いているだけで、韓国からの申し入れもありませんし、あるいはそういう動きもございません。いまから起こるべきことを前もってどうこう言うわけにまいりませんけれども、慎重に対処したいと思います。
○金子(満)委員 最後に、話として聞いているということは私は重大だと思うのです、すでに八月の半ばですから。確かに国務大臣ではないですよ。しかし、官房副長官であり、そして次官五名といえば政府側と見るのが至当であって、その主管大臣がそういう点を今度は話だけに終わらせないで、こういう問題は公表されて新聞で皆知っているのですから、うそならうそだということをはっきりすればいいのだし、うそでないのなら、政府としてはこういう態度で臨むという点も明らかにしなければならないと思うのです。ずるずるいって、話のうちに本物になって、自然にそうなってしまって事後承認をさせられるようなことがあってはとんでもないと思うのです。 そういう点で、話としてちゃんとアジア局長も聞いているのですから、大臣の方も、きょう初めて聞いたとしても、これは事実を明らかにして、こういうようなことは慎重に対応するより何より、受け入れないということを前提にすべきだ。経済援助についてもあれほどはっきり物を言っているのですから、まして直接軍事なんですから、そういう点は明確な態度をとるように求めておきたいと思うのです。その点を最後にお伺いして、終わります。
○園田国務大臣 そういう話は話で終わった方がいいと私は思っておりますが、事後承認などになるようなことは決してございません。
○金子(満)委員 終わります。 ————◇—————
○奥田委員長 この際、お諮りいたします。 去る七月八日から十一日までの四日間、沖繩県で日米安全保障条約に基づく地位協定の実施状況調査並びにインドシナ難民問題に関する調査を行ってまいりましたが、派遣委員より調査報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時四十八分散会 ————◇—————