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94回国会衆議院1981/05/28

外務委員会 第17号

発言数
270
登壇者
25
会派数
5
開催日
1981/05/28

会議録

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する件について、内閣委員会及び安全保障特別委員会から、それぞれ連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時等につきましては、関係委員長と協議の上決定いたすのでありますが、明二十九日金曜日午前十時三十分より開会の予定でありますので、さよう御了承願います。      ————◇—————

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 次に、難民の地位に関する条約の締結について承認を求めるの件及び難民の地位に関する議定書の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。井上泉君。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 この難民問題について、先般大臣があいさつをされたときにいろいろと述べられた中で、第一番に「すなわち、激動する世界、特にアジアの平和と安定のために、わが国はアジア諸国と協力し」云々ということを述べられたわけであります。往々にしてわが国外交は、日米関係を基軸にして、という通り一遍の言葉がまかり通る中で、大臣としては率直、簡明に、今日のわが国の外交上の課題として東南アジア地域を第一番に挙げられたということは、私は共感を覚えるものですが、その東南アジア地域の問題で難民問題というものは非常に重大なわが国としての問題だと思うわけであるし、そのことはアジア全体における大きな問題であることには間違いないわけですが、その点について大臣がまずどういうふうな見解と、そうしてそれに対する対応策をお考えになっておられるか、御答弁をお願いしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 難民の問題は、難民の置かれた立場を考えると人道上の問題でありますから、各国は協力して難民に対する対応の策を講ずることが大事でありますが、それよりもっと大事なことは、難民を無秩序に出す源の国、これがみずからを抑制してこういう難民が出ないようにするという努力及びそういうことに対する働きかけが大事であると考えております。  特にインドシナ難民については、いまや人道上の問題が政治上の問題にまでなってきまして、これによってASEAN初め近接する国々の安定と繁栄に障害を来すような可能性が出てきておるわけでございます。そこで、インドシナ難民については、特に関係国ベトナム、そういう国々に対しては、たれ流し難民というか、無秩序に難民を出されないように抑制されるべきであるということをジュネーブの国際会議あるいはその他機会をとらえて私は発言をしてきておりますが、ベトナムの外務大臣がおいでになったときもそういう話をいたしております。そういうことに向かって、関係国が協力して難民の流出をなるべく最小限に抑制するように、出ていった難民に対しては、立場を捨てて人道上の立場から対応する必要があると考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 インドシナのベトナム、ラオス、カンボジア、この三国の難民が圧倒的多数だと思うわけですが、大臣としては、そういう国々から発生する難民というものを見た場合に、その国の政治状況というものについて、そうしてまた、特にわが国との関係においてどういうふうに考えておられるのか。私は、難民問題の解決がアジアの平和と安定につながることだ、こういう大臣の見解を支持するものですけれども、それと同時に、これらの三国の難民を流出させておるその政治の状態というものをどう認識しておられるのか、その点を承りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 まずベトナムでございますが、前回大臣をやりましたときにいろいろ御注意やおしかりを受けたこともあるわけでありますが、わが国はベトナムと接触をなるべく保つ、接触を保たなければいろいろな問題の解決はできないということで、ベトナムの方とも話し合いを進めておるわけであります。難民の問題については、やはりベトナムを中心にした国々が無責任に難民を出すことについてはすでに御承知のとおりでございまして、カンボジアを中心にして二つの勢力に分一かれておりましたが、近時カンボジアの民主カンボジアの方が態度をだんだん変えてまいりまして、各種の勢力が統一をして統一戦線をつくろうというように具体的に変わってきまして、いままでポル・ポト政権に対して人道的な面から冷たく批判をしておった国々もこの動きに非常に注意しておるところでございます。  そこで、私は、世界の問題もありますけれども、このベトナム、いわゆるカンボジア問題は力と力で対決して解決できる問題ではなくて、やはり関係の国々、これはソ連、ベトナムを含む、それからまた一方の方となるべく話し合いをして、何とか解決の方向に持っていくべきだと考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、大臣、カンボジア問題に関する国連の決議を中心にして、カンボジア国際会議が七月十三日、ニューヨークで開かれる。そういう中でソ連、ベトナムが参加しないのじゃないか、こういうことが言われておるわけですけれども、そういう状態の中にあっても、わが国としてはこの国際会議を成功さすための努力はされるつもりであるのかどうか、その点を承りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この種の問題は、大事であればあるほどいろいろな困難がつきまとうものであります。ASEANの諸国も、私が提唱しましたカンボジア国際会議というものに対しては当初はなかなか批判的でありましたが、その後だんだん理解をされて、やはりそういう会議で解決すべきだというふうに変わってきまして、ことしの七月ごろ国連の方で会議を開こうということになっておりますが、いまおっしゃいましたとおりに、ソ連やベトナムが参加しそうにない会議を開いても意味がないじゃないかという声もございます。しかし、私としては、ソ連やベトナムが参加しないからといってこの会議をやめることよりも、参加できる国がなるべく多数参加してこれを議論することによって国際的な影響力を強くして、そして将来ソ連やベトナムが出てきた解決へ向かっての会議が開かれる前提としてこの会議はぜひやりたい、私もできれば出席をしたい、こう考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 困難があればあるほどそれに大きな決意をもって臨むのが政治家園田外務大臣としての面目だと私は思うわけです。これは往々にして官僚が、検討します、善処します、そういう言葉でいろいろな形で困難を逃げるわけですけれども、少なくとも外務大臣としては、困難があればあるほどその困難と立ち向かっていかなければ問題は解決しない、かように私は思うわけです。  このベトナム、カンボジア問題については、私ども党内でも必ずしも意見は一致しておりません。お隣の高沢議員とも私はその点については若干意見を異にするわけでありますけれども、しかし、現実にアジアの中でこうしてベトナム、ラオス、カンボジアからたくさんの難民が流出をされ、そしてその流出をしてこられた国に対しても莫大な財政負担をかけておるし、またこれらの難民は絶えず死の不安に相直面をして毎日を送っておるというような悲惨な状態でありますので、この難民解決のためには、わが国の難民条約の批准が今日までおくれてきておったということについても私どもは非常に残念に思っておるわけであります。  そこで、この難民の流出の過程としては、これはベトナムあるいはラオスもそうでしょうか、船でそのまま行き先不明のような形の中で出てくる、つまりボートピープルという、難民船で難民が脱出しておるわけですが、こうした船に航海中不測の事態が起こったりした場合には、海上保安庁あたりはどういうふうな処置をなされるのか、この船が事故を起こしたというような状態あるいは難破しておるような状態、そうした場合にその船の乗員に対してどういうふうな救済、救援措置をとられるのか。そういう例があれば例を挙げてお話し願いたいし、例がなければ、いつ起こるかもわからないそういう例に対してどうお考えになっておるのかお示し願いたいと思うのです。

野呂隆海上保安庁警備救難監

○野呂説明員 海上保安庁といたしましては、一般的に海上における漂流者を発見した場合には、これは海難救助といたしまして直ちに救助を行うこととなっておりますが、その後の上陸許可あるいは難民認定の手続については、法務省において行われることになっております。なお、この場合、海上保安庁といたしましては、漂流者の第一次発見者といたしまして、法務省に対しまして情報提供等必要な協力を行うことになっております。  なお、現在までに海上保安庁が難民を直接救助した事例はございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 日本の近海では、これは公海上でありましょうが、演習というものが各地域でずいぶん行われておるわけです。そこで、これは防衛庁にお尋ねするわけですが、いわゆる難民の流出船等がそういう演習地域内で演習によって損害を受けるということが出た場合には、そういう船に対しては当然防衛庁の方で救援措置を講ずるものでしょうか、その点、お伺いいたします。

萩次郎防衛庁防衛局運用第一課長

○萩説明員 まず、海上自衛隊の船が演習中にそういう難民の船と衝突するというようなことでございますが、そのような事例はないのでございますけれども、もしそのようなことがありますれば、当然現在の法律に基づきましてその救助をしなければならない義務を持っております。  それから一般的に、いままでベトナム関係の難民というものに遭遇したことはないのでございますけれども、先ほどお話がありましたような一般船舶と同様に、航行中の護衛艦がそういった船に遭遇するというようなことがもしありますれば、そしてその船が難破あるいは沈みかけているような状態にある場合には、当然これを救助する義務が生ずるというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それは、日本の海上自衛隊あるいは日本の海上保安庁関係者ともに、海の中で仕事といいますか、行っておる者にとっては当然の義務だと私は思うわけです。  そこで、この難民とは直接関係はしませんけれども、この間日昇丸のアメリカ原潜の当て逃げ事件というのがあって、これは乗組員のその当時の状況、その後の経過というものを総合すると、それに対するアメリカの対応の仕方というものは、日本人の生命、財産を一体どう考えておるのか、このアメリカのとった行動は、まさに国辱的な行為を日本が受けた、こう私は言わざるを得ないほどの憤激を覚えるものでありますが、この原潜の当て逃げ事件についての中間報告がアメリカからなされた。ところが、その中間報告と海上保安庁が調査したこととは全く中身が違う、事実に反するわけでありますが、そういう場合に大臣としてはどちらを信用されるのか、その点、大臣の見解をお尋ねします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 原潜の問題の報告は、当時の艦長の方から方面海軍の艦隊司令長官の方に出まして、その調査がいまワシントンに行っている段階でありまして、ワシントンの方ではこれをさらに詳細に調査をしてなるべく早く日本の方に報告する、こういう話を承っておりますので、その結果を見て、日本の保安庁、自衛隊等の御意見も聞きながら、冷静に公平に判断したいと考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 冷静に公平にと言われるのですけれども、公平も何もないでしょう。日昇丸が当て逃げされて、そして日昇丸の船員が非常な被害を受け、また命まで失った。大臣も日昇丸が当て逃げされた事件以後の新聞は十分ごらんになっておるのではないか。また、このことについては宮澤官房長官も、これはなお究明しなければいかぬ、事実と大分違うというふうな談話まで発表されておるようなこの原潜の問題ですが、それが当て逃げされてから、四月九日か十日だったでしょうが、もうすでに二カ月近くなってきておるわけです。  そこで、海上保安庁から日昇丸の沈没事故についてはずっと詳細な報告がなされておって、それとアメリカ側の中間報告とは全く異なるわけだから、これを公正に判断するとかどうとかということじゃなしに、大臣みずからが、今日のこのアメリカ潜水艦の当て逃げについては、やはり大臣としての腹を決めてかからなければならぬ。公平公平という形でやったら、またアメリカの言いなりになって、アメリカが言うからこれはもっともだろう、こういうことで逃げてしまうようなおそれがあるわけですが、やはり主権者としての日本国の権威のためにも、このアメリカの当て逃げ事件についての報告というもののでたらめさを私は十分究明をする必要があると思うわけです。  そこで、大臣にその見解を承る前に、海上保安庁のこの調査報告というものは自信を持って提出されたものであるかどうか、そしてまた、アメリカ側の中間報告に対する海上保安庁としての考え方、それをまず伺いたいと思います。

野呂隆海上保安庁警備救難監

○野呂説明員 まず、海上保安庁が提出いたしました報告書でございますが、この報告書は、日昇丸乗組員等関係者からの供述に基づきまして、その事実を記述したものでございます。  なお、アメリカの中間報告に対する私どもの見解でございますが、アメリカ側の報告は中間報告でございまして、不明な点が見受けられます。したがいまして、最終報告を待つことといたしたいと存じておりますが、とりあえず、中間報告で不明点が大分ございましたので、その点につきましてはアメリカ側からより詳細な説明を得られるよう、外務省を通じて依頼してございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、大臣、日昇丸の乗員からいろいろな事情を聞いたりしたことをもとにして海上保安庁としては調査をされたということです。ところが、アメリカ側のこの調査中間報告というものは、全く最初からいわばうそを出してきて、うそをうそで拡大をしてそれを償うような報告になってきておるわけですから、日昇丸のどの船員にとっても、アメリカの中間報告は全くのつじつま合わせであって、実情というものを無視しておる、こう言うて憤慨を新たにしておるという状態である。  これはやはり大臣も積極的に、これはもう当て逃げをされて日本人が死んでおるのですから。それから、遭難をして海上で救援を求めておって、求めておったにもかかわらず、空は飛行機が飛んでおる、アメリカの飛行機がやってくる、やってくるが、それにいろいろ信号を送っても全くそれにこたえようとしない。こたえようとしないだけではなしに、このボートにつかまっておる乗組員たちは、これはいつおれたちは空から機銃掃射で殺されるかわからない、そういう死の危険というものをひしひしと感じておった。これはもう今度来たら撃たれるかもしれない、そうやって殺されてしもうた場合には、日昇丸は魔の沈没として、どうしたやらわけもわからぬ形の中で、海上での事故という形で葬り去られるという危険性、また葬り去ろうとする意図があったのではないか、こう言って日昇丸の船員たちは怒りを込めて事実を話しておるわけですから、これは機敏に行動する大臣としては、この日昇丸の原潜当て逃げ問題についてはいささか対応がルーズではないか、ルーズとは言いませんけれども、ちょっとマンマンデーではないか、こういうように思うのですが、大臣、どうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先ほど私が申し上げたことが、言葉の使い方が余り上手じゃなかったかもわかりませんが、私は最終的なアメリカの報告を見て、それから冷静に公平にこの事件を判断するという意味ではございません。事実は事実として現にあり、アメリカ原潜の責任は責任として現にあるわけでありますから、この責任問題や補償問題はどんどん詰めていっているわけであります。ただ、その経過やその他の真相がおっしゃるとおり違うものでありますから、中間報告では納得できない、本当の真相を教えろ、こう言っておるわけであります。その真相を聞くために最終の報告を聞き、海上保安庁やその他の意見、それから被災者の方の御意見等も聞いて、こちらがいまやっておる責任の追及と補償の問題、これに間違いはないという一つの証拠固めをするわけでありますから、そういう意味で冷静にと言ったわけで、結果を聞いてから右か左か冷静に決めよう、こういうわけではございませんので、御理解を願いたいと思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、私は、このアメリカ側の現在までの対応も、それは外務省を通じあるいは海上保安庁を通じてやっておられるかもしれませんけれども、現実に遭難をした船員からの話を聞くわけですが、きのうも、この船で遭難をした竹島という青年の話を聞いたわけです。  青年は、やっと体がどうにか正常な状態になってきた、そこで、亡くなった船長の葬式にも行けなかったから、きのうは徳島に墓参りに行った、こういう話をされ、それで、その間における補償関係についての話は代表の方がやっておられるのでありましょうけれども、船会社の方からは最初には基本給の三カ月分を補償として支給を受けたということですが、三カ月分というても三十万そこそこしかないわけです。だから、とてもじゃないが、もとの健康状態に回復し、そして恐怖の中に漂流した何十時間のそういうことに対する償いというものはまだまだ不十分な点があると思う。  そして、われわれ当委員会におきましても、この審議の中で、これはあれだけ大きく騒がれておったわけですけれども、日米共同声明が出、そしてまた核の持ち込み、寄港というようなもの、あるいは漁網を切り捨てて逃げるというような事件が次々起こって、手前の日昇丸のことはもうどこか片すみへ追いやられてきたような感じの中にあるわけです。しかし、私はこの問題については、やはり大臣もいま言われたように、真相を徹底的に究明するためには、当委員会といたしましても、この日昇丸の船員等を当委員会に参考人なり何なりの形で来ていただいて、そしてそのときの状況とアメリカの中間報告に対する意見と、そういうものをぜひせにゃならぬのじゃないかと思う。  国会ももう間もなく終わるのですから、私はその機会というものが早く決めておかないとなかなか得られない、こういうように思うわけなので、そういう点について、賢明なる委員長として、やはり外務委員会はただ政府が出してきたことにそのままつじつまを合わせて論議をするということだけではなしに、そういう直接の被害者の、アメリカの原潜によって当て逃げされた、そして本当に恐怖の中で漂うた船員の生の声というものを、この委員会へ来ていただいてわれわれがそのときの状態というものの理解を深めるように聞かしていただく、これは海上保安庁も調査をされたということでありますから、海上保安庁の調査を信用しないわけではないけれども、しかし、彼らは船員ですから、役所に行っていろいろ話をすることにも一つの精神的な枠があって、本当にあからさまに話ができない、その一番あからさまに話をしたのが、あの船で鹿児島へ上がったときのそれぞれの船員の意見、話をテープコーダーにおさめてテープにとってあるというわけですから、われわれとしてもそのテープも聞かしていただき、乗組員もこの委員会へ呼んで、そうしてこの日昇丸の原潜当て逃げ事件についての真相を究明するようなことを委員会としてもしていただきたい、こう思うわけですが、委員長、どうですか。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 井上委員の御提案に対して、前向きに理事会で協議さしていただきます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 ぜひひとつ理事会等で協議をして、私の要求が入れられるように実現方をお願いしたいと思います。こういう被害を受けた国民の声をこの委員会の中で聞き取ることは、国民に対する国会議員としての大きな任務ではないか、私はこう思うわけですから、よろしくお願いします。  そこで、原子力潜水艦が日本の近海で右往左往しているというような危険な状態に本当に寒けを覚えるわけですが、たまたま私の高知県の沖合いに、リマという広大な水域が日米の演習区域になっておるわけです。このリマ水域の演習区域内は、朝の六時から晩の六時までは日本の漁船は入ってはいけませんよ、そのかわりこれこれの補償金、見舞い金を払いますということで、関係の漁民には納得を得ておるわけです。私は、納得を得ておるからその中でどういうことをしてもいいというわけのものでもないと思うが、この水域の中に核を積んだ原子力潜水艦が演習に参加してきておっても、これは公海上であるから日本としては何らとがめる理屈はないとお考えになっておるかどうか、その点、大臣に承っておきたいと思います。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 お答え申し上げます。  ただいま井上先生御指摘のように、公海において軍艦が演習を行うことを直接禁止する国際法はございません。他方におきまして、先生御承知のように、国際法あるいはそれを成文化いたしました公海条約におきましても、公海の自由の権利を行使する場合には他国の利益に合理的な考慮を払って公海の自由の権利を行使しなければならない、軍事演習もその一環だというふうに理解されておりまして、当然のことながら、軍事演習は無制限にできるということではございませんで、他国の利益の中には沿岸国の漁業の利益もございます、そういうものとの均衡の上で許容されるということでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 こういう場合には、核持ち込みの船舶がおっても、日本としては別に異議を申すことはできない、こういうことですか。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 ただいま先生の御質問は、公海上の核搭載軍艦の行動を禁止することができるかという御質問かと思いますが、そういう観点では、国際法上、沿岸国が公海上の核搭載軍艦の行動を禁止するというような規則はございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 リマ水域はあるいは公海の面もあるかもしれませんけれども、日本の二百海里の水域内に存在をしているのが多いのじゃないですか。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 ただいま先生御指摘のリマ水域は、私の承知しておる限りではわが国の領海外でございますので、二百海里の漁業水域の中でございましても公海でございますので、先ほど申し上げましたようなことで、核搭載の軍艦の通航あるいは訓練というものを禁止する国際法はございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そういうことなら、このリマ水域内で演習をするアメリカの船舶については、核を搭載しておっても日本としては何らとがめることができない、こういうことになるわけですが、そういうときに事故が発生した、つまり核爆発が起こった場合にはこれは大変なことになるわけですが、そういう点については、日本政府はアメリカからは何らの連絡を受けるというようなこともなしに、そのままアメリカの演習区域として、日本の治外法権の区域だ、こういうふうに考えておるのでしょうか。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 先ほど申し上げましたように、軍事演習あるいは軍事訓練を行う場合、公海上でこれを行う場合におきましても、沿岸国を含めまして他の国の利益に合理的な考慮を払わなければならないということでございます。その利益の中には、先ほど申し上げましたように、沿岸国の漁業の利益も当然含まれますので、そういうものとのバランスにおいて考慮しなければならないということでございます。私は、先生御指摘のリマ海域の訓練の条件については委細承知いたしておりませんけれども、わが国の漁民の利益、すなわち漁期でありますとか、そういうものとの調整を行って演習は行われるのが当然であるというふうに理解しております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それでは、リマ水域、こう申し上げても、一定の区域を定めておっても、海の中でありますから、そしてまたここは非常な豊漁場であるから、区域すれすれのところで漁師が操業しておるところも多々あろうと思うわけです。そういう場合における漁船の安全を確保するためにも政府としては何らかの対策を持たなければならない、私はこういうように思うわけですが、その点についてのお答え。  さらには、沿岸国の利益を損なわないということからいいますと、この演習区域内で核を積んだ船が演習に参加してやることは、やはり沿岸国に理解を求めるというか、こういうものを積んでやっていますよというぐらいの通報はしてしかるべきだ、私はこう思うわけですけれども、この通報は必要ないとお考えになっておるのか、その点、承りたい。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 米軍の公海上の演習につきましては私は委細承知しておりませんが、一般的な処理ぶりといたしましては、先生御承知のように、安保条約に基づきます地位協定によりまして日米の合同委員会がございまして、米軍の訓練、演習等につきまして種々日本側と調整を行う場がございますので、そういう場を通じまして、政府として日本側の立場なり考え方というものは米側と話をいたしまして調整するということは、常日ごろからやっておるところでございます。御指摘のような場合におきましても、いろいろと話をして調整するということは十分可能だろうというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 調整するということは十分可能だということは、核兵器を搭載したアメリカの船舶が演習をするという場合については、日本としてはそれに対する何らかの対応措置が当然とられる、こういうことですか。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 私は一般論として申し上げましたことでございまして、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますが、漁業を含めます沿岸国の利益というものと、公海を使用します、この場合アメリカの軍艦ということでございますが、核を搭載する軍艦であろうとなかろうと、公海上におきますアメリカの軍事訓練あるいは軍事演習というものとの利益の調整ということでございまして、一方の利益があるから他方の演習はまかりならぬというわけにも、これは国際法のルールからいってもまいりませんし、安保条約上の安保体制のもとにおきますわが国の立場からいってもまいりませんと思いますが、他方におきまして先ほど申し上げました漁業の利益というものも十分考慮してもらわなければならないということでございますので、その双方を勘案して、その具体的な事態、事例というものに即して調整を行うということを私は申し上げたわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 簡明にお答えを願いたいと思います。  このリマ水域内におけるアメリカの演習には、核兵器を搭載した船舶は参加をしておると思うのか、参加してないと思うのか、参加しておるとするならば、事前にお話があったのかどうか、その点、ひとつ簡単に。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 公海上におきまして訓練ないし演習を行います個々の米軍艦が核兵器を搭載しておるかいないかということにつきまして、これを外から判断する方法はございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 外から判断することができないということは、核兵器を搭載しておることもあり得る、こういうことに必然的になるでしょう。そこで、日本がこういう水域に対して、漁民にとっては莫大とは言えないでしょうけれどもある程度の補償を払うておる。ということは、その中における漁民のいわゆる漁業権というものは大切に日本政府が保障しておるのだから。ところが、漁業権は保障しておるが、それと同時に、そこで核兵器を積んだ船がもし事故を起こした場合にはもうはかり知れぬところの災害をもたらすわけですが、これは公海上といいましても経済水域の漁業専管水域の中にあると思うので、その点はやはり明確にするのが日本政府としての漁民に対する親切なやり方ではないか。この区域でアメリカは核を積んだ船もやっておるかもしれぬ、やっておりますとは言えなくても、やっておるかもしれぬということぐらいの話をされるのが親切な行政行為じゃないか、こういうように私は思うのですが、どうでしょう、簡単に。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 核の持ち込みについては、先生十分御承知のとおりに、安保条約の……(井上(泉)委員「そんなことは問うてないですよ」と呼ぶ)事前協議の義務がございますので、核を搭載した米軍艦が日本の領海に入る場合にはアメリカは日本とこれを協議する義務があるということでございますが、公海上におきましてはそのような義務はアメリカ側にございません。したがいまして、日本側としては個々の軍艦が核を積んでいるか積んでないかを知るすべはないということを申し上げたわけでございます。  ただ、演習と漁業の利益の調整につきましては、先ほど申し上げましたように、アメリカ側も当然そういうものに配慮する義務があるし、わが方もそういう配慮をアメリカ側に求める権利もあるので、必要に応じて調整をすることができるということでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 時間がないので、私の問うたことに答えてもろうたらいいです、それは何もあなたの責任じゃないですから。  このリマ水域という区域は日本の漁民の漁業区域である、漁業区域であるけれども、これは公海上であるから、アメリカが核兵器を積んでおってもどういうことをしておってもそれは文句は言えない、こういうことであるならば、そういうことも当然あり得る、それは核兵器も積んでおるでありましょうけれども公海上だからしようがない、こう理解をしておっていいですか。間違いないですか。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 公海上の演習につきまして、核兵器を搭載している軍艦と核兵器を搭載していない軍艦とを日本政府といたしましてこれを……(井上(泉)委員「リマ水域」と呼ぶ)これは先ほどから申し上げましたことの繰り返しでございますが、公海上のリマ水域でありましょうとリマ水域外でありましょうと、核を積んでいる軍艦と積んでない軍艦とを選別する、あるいは識別するという方法はございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 選別をする方法がないから、あり得ることがあってもまあしようがない、こういうことでしょう。  ところで、こういう水域内で多数の漁民が操業をしておるわけですが、演習の被害から漁民を守るのは当然日本政府の責任だ、私はこう思うわけですが、海上保安庁、これはどういうふうに対応しておられるのですか。

野呂隆海上保安庁警備救難監

○野呂説明員 一般的に公海上におきまして米軍艦船等が射爆撃の訓練を行います場合には、アメリカの太平洋航行船舶向けの航行警報でありますハイドロパックから情報をとりまして、航行警報として関係船舶並びに関係方面に警報を出しております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それは一般的なことでしょう。このアメリカの演習地の周辺の漁船に対してどういう安全対策をしておるのか。これは一たん漁船がこの演習によって被害を受けて漂流したら、どこへ難民として行くやわからぬじゃないですか。私はそういう一般的な公海と演習区域のそばの日本の漁民の操業の安全というものとは区別して考えなければいかぬと思うわけですが、そういう区別を考えないのですか。

野呂隆海上保安庁警備救難監

○野呂説明員 訓練が実施されることがわかりました場合には、その区域あるいは時間その他必要な事項を航行船舶あるいは関係の漁業関係者等に周知いたしておりまして、安全を図るようにいたしております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 大臣、いまの私の質疑のやりとりの中でも、日本の近海にアメリカの演習場がたくさんあるというような中で、日本のいわば漁民の安全というものも非常に不安の中に置かれている。それをせんじ詰めていくと、結局のところ安保条約というもののしがらみの中に日本はこっぽりくくられてしまっておる。だから、そこで非核三原則と幾ら言っても現実的にはどんどん入ってきておるというような状態が推測されるわけですが、そういう点からも、特にアジアの安定ということから考えて、アジアの安定だから日本が当然含まれておるわけですけれども、アメリカとの関係については、今度の日昇丸事件等を通じて厳然たる態度を堅持して、そして日本の国益、日本の国益ということは日本の国民の権利を守るということですから、そういう点で対処してもらいたい、こういうように私は思うわけですが、その点についての大臣の見解を承りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いま政府委員のお答えしたことを聞いておりましたが、皆安保条約及びこれに基づく規定その他に基づいて言っているわけでありまして、公海であろうと近海であろうと何をやってもいいという理屈はない、私はこのように考えております。  問題は、原潜の問題でも、今度の網の問題でも、それからいまおっしゃいました問題でも、大体の規定は決めておりましょうけれども、たとえそれが領海を外れ、公海、そして近海でありましょうとも、日米安全保障条約というものは日本と米国が協力をして、そして日本側から言えば日本の国民の生命、財産等を守るというのが本来の目的でありまして、それが演習をやる段階でそんなものはどうでもいいという理屈は成り立たぬわけでありますから、トラブルが起きそうになったり何かあったりしたら、日本側から米国側に、こういう危険性がある、こういうトラブルがある、こういうことは注意してもらいたい、こういう注意を喚起をし、警告を出すことは、私は当然あり得ると考えます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 この難民条約を批准することによって、いわば難民対策の一端を担って、日本も国際的に義務を守ることになるわけです。しかし、これは難民というものを発生させた原因、病気で言えば予防医学というものをもっとせにゃならぬ。これは難民という症状があらわれたことに対する対症療法ということになるわけですが、対症療法も当然必要であります。  そこで、予防措置としての対応として、今日のアジアの状況から見て、いま私が前段に御質問申し上げた、いわゆるカンボジアの問題等を含めての国連決議を忠実に実行する、そういう国際的な世論というものをどうしてもつくらなければいかぬと思うわけです。そしてまた、わが国としては当然国際間の義務を果たす、つまり、ベトナムに対しても、あるいはカンボジアに対しても、ラオスに対しても義務を果たす。今度カンボジア国際会議が日本で六月一日、二日とあるわけですが、そういうようなこともカンボジアに平和を取り戻すための一つの国際的な連帯の意義を持つわけです。  大臣としてこの前も、大分前であったでしょうが、カンボジアのいわゆる民主カンボジア政府の方に救援物資が送れないときには、これは何らかの形で私は送りますということを国会で答弁されたことを私も記憶しておるわけですが、そういう状態の中にあるアジアの現状を打開するためにひとつ勇気をふるって行動してもらいたいと思うわけなので、その点についての大臣の決意をさらに承っておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまの問題は御発言のとおりに私も考えておりますので、関係諸国とも相談をして、カンボジアに本当の平和と安定が来るように全力を挙げて努力する所存でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、私は、現象についての対症療法というか、そういう難民に対する日本の受け入れについて法務省にお尋ねしたいわけですけれども、難民を受け入れてやるために国際的な義務を背負った日本が、本当に日本という国はよい国だ、日本というのは心の温かい国だ、そういう受けとめ方を難民がしてくれるような受け入れ方を法務省としては考えておるのか。巷間聞くところによると、この条約を批准することによって、難民を受け入れるための国内法の整備が逆に難民をいわゆる難民として認めずに追い出すような役割りを果たす危険性もあるのではないか、こういう話も聞かされておるわけですが、その点についての法務省の対応の仕方をお聞かせ願いたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 難民条約の加入に伴いまして、これを実施するため出入国管理令を改正して、難民認定手続、難民旅行証明書の交付、迫害地向け送還禁止の原則等に関する規定を新たに設けることとしております。その実施に当たりましては、当然のことながら条約の趣旨にのっとった運用を行う所存であります。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 言葉では条約の趣旨に沿ったやり方をします、こう言っても、実際面で、法をつくりそして法を運用する面で難民に厳しい枠をはめるようなことはしない、こういうことですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 難民条約は、難民の定義を定めまして、それに各種の保護的な措置を与えることを規定しております。考えますに、この難民の要件に該当しない者を難民と認めることは、これはできない話であろうと思いますが、しかし、難民に準じたと申しますか、人道的な見地から考えますならば、当然わが国で何らかの保護をしなければいけないと認められる者については、当然そういう配慮をしていくということであります。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 よく日本にやってきておる留学生たちを滞在期限が切れたからというような形で国へ帰す、その帰る国はベトナム、ラオス、カンボジアというようなああいう地域の中にある。それで、帰っても一体どうなるかわからぬし、やはり日本でやっていきたい、こういうふうな本人の意思がある場合にはやはり難民として受け入れて、日本として当然の法的な保護の措置を講ずる、こういうことですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 井上議員御指摘のインドシナ三国出身者で、わが国に留学中これらの国で政変が起こったという学生につきましては、すでにわが国における特別在留許可をすることで全員処理済みであります。その数は約七百名であるということであります。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 現在わが国で難民としてこれを位置づけてそれぞれの措置を講じておる人は、国別に言って、主なる国を挙げると何人おるのですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 難民と認定したというわけではありませんが、わが国へ留学中に本国で政変が起こったために帰れなくなったということで法務大臣が在留特別許可を付与した者は約七百名、これはインドシナ三国の出身者であります。そのほか、政変前後ごろにこれらの国を脱出いたしましたいわゆるインドシナ難民の定住受け入れにつきましては、正確な数字は承知しておりませんが、すでに入国を許可することとしております数が千名を少し超えておるはずであります。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 たとえば韓国におけるいまの全斗換体制の中で窒息しそうだということで、韓国から船や何かで日本へ逃れてきた場合には、やはり難民として受け入れてその地位を守ってやるべきだと思うわけですが、こういう場合にはどうなるのですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 特定の国名を挙げましての仮定の問題にはお答えいたしがたいわけでございますが、その種の事件が起こりましたならば、それはそのときに具体的な事情を考慮して判断するということでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 もう時間が参りましたので質問を終わりますが、要は、アジアの不安定な状態の中にこの難民というものが発生をしておる。難民といえども自分の国というものに対しては一番愛着を持っておると思うのですが、それがやむを得ず難民として国を離れて出てこなければいかぬわけですから、そうして出てきた難民に対しては、やはり人間としての温かい遇し方を日本としては当然なすべきだと思うわけであります。いささかなりとも、日本は難民に対して冷たい国だ、こんなことなら死んだ方がましだというような感情を抱かせないようにしてもらいたい。せっかくこの批准が国会で承認を受けるわけですから、その点について大臣も、受け入れのことは厚生省だ、あるいは法務省だ、向こう側へ渡してしまったから外務省としての責任は終わったというようなことでなしに、国際的な信義を守るためにも、大臣としては各省に対しても積極的に働きかけて、この難民条約が国内で十分生かされるようにすべきだと思うのですが、その点についての大臣の御見解を承って、私の質問を終わります。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいま難民問題で一番問題になるのは所管省がはっきりしていないことで、法務、厚生、外務を初めとして十三省庁に関係しておると言われております。したがいまして、何か起こっても、総理府に難民対策連絡調整何とかという長たらしい名前のものがありまして、ここの事務官が非常に苦労しながら大蔵省初め各省を駆けずり回っている、ここに一つ問題があると存じます。  したがいまして、これは将来内閣として考えなければならぬ問題でありますが、とりあえず現在の問題では、いま井上さんがおっしゃいましたような難民と流民の区別、これはいろいろありますけれども、流民ということになれば、一つの国から発行された旅券を持っておって、そして実際は難民の立場にあるという気の毒な人、これは主として留学生等が多いわけでありますが、ようやく定住受け入れ枠が三千名にふえまして、その中に入れることとなっております。  しかしながら、また一方の学生の方から言えば、自分の国の政権がかわったわけでありますから、そういう恩典に浴しようと思って申し出てくると、これが自国にわかってすぐ送還されるのではないか等という不安もある。そういう現実問題で困っている人々に、かゆいところに手が届いていくようにまだまだ努力しなければいかぬと考えております。  この点については法務省からいまお答えがありましたが、事務官でありますからかたいことをおっしゃっておりますが、認定の問題、それから流民といえどもその立場が難民のような苦しい立場にある者は難民として何とかしてやろうという前向きの理解ある態度になっておられますので、この条約の批准をお願いすると同時に、こういう問題等についてさらに突き詰めていろいろな問題を進めていくことはわれわれの責任であると考えております。

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ただいま井上委員からずっとお尋ねがありましたのでいささか屋上屋の感じもいたしますが、初めに総論として大臣に御見解を承りたいのであります。  今回わが国が難民条約に加入することによって、国籍や人種というものの区別なしに、わが国の国内政策もこの人権尊重の政策が大いに推進される、こういう新しい段階に来たわけでありますが、いわゆる開放体制というふうな背景もあって、この歴史的な段階の中で、条約加入を踏まえての今後の政策についての大臣の御決意を最初にお尋ねしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先生御存じのとおり、わが国の法律体系というものは明治にできた体系のまま進んでいるわけでございます。その一番の欠点は、日本人でなければ人間でないと言わんばかりの考え方でいろいろな法律や規定がある。たとえば婦人問題にいたしましても、男の方が日本人なら日本の国籍が与えられるが、女の場合で御主人が外人ならば国籍が与えられないなどというのも一つの例であります。それから、国籍によっていろいろな社会保障その他年金の問題がいままでずっと差があったということも、これは国際関係から言えば、外務大臣の口から言うのは恥ずかしいぐらいの状態にあると存じます。  今度の難民条約は、私が外務大臣のときにまずお願いしたわけでありますが、なかなか進みませんでした。そこで、厚生大臣にしてもらったのを幸いに、ここでいろいろ同僚の諸君と相談して、国籍要件の撤廃ということだけは厚生省の方も納得され、法務省等も大体理解を示されましてこういう審議をお願いすることになったわけでありますが、それにしても大変おくれたわけであります。おくれたというのは、一つは現在のカンボジア、ベトナムを中心にした大量の難民、それからそれ以前の長い間おくれたということに一つの問題があると存じます。  したがいまして、この難民条約を御批准願うことによって国籍要件撤廃という一つの突破口ができるわけでありますが、なお国内法においていろいろまだ問題があるわけでありますから、こういう問題等についてもいろいろ努力をして各位の御援助を願わなければならぬことがたくさんある、責任はきわめて重大であると考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私がいろいろお尋ねしたいと思ったその結論的なところまでまず冒頭に大臣のお答えをいただきまして、大変敬服いたしましたが、そのいま大臣が決意表明をされた方向が、今後の日本の国内政策の万般にわたって貫かれるような方向でぜひひとつ御指導をお願いしたい。なおしかし、その上に立って、今度は具体論でそれぞれお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、条約に入りまして第一条のB(1)、この中では、「この条約の適用上、Aの「千九百五十一年一月一日前に生じた事件」とは、次の事件のいずれかをいう。」(a)として「千九百五十一年一月一日前に欧州において生じた事件」、それから(b)は「千九百五十一年一月一日前に欧州又は他の地域において生じた事件」、そこで、この条約に加盟する国は、この(a)を選択するか(b)を選択するか、こうなっておりまして、わが国はこの(b)を選択する、こういうふうにお聞きをしているわけでありますが、そういたしますと、当然この「欧州又は他の地域」には、大きなものとしては日本ではアジアというものがあります。そこで、このアジアにおいて「千九百五十一年一月一日前に生じた事件」という場合には一体具体的にはどういうケースというものが出てくるのか、それを最初にお尋ねをいたしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの御質問の点でございまするが、一九五一年の一月一日以前に生じた事件、今度は一条のBの(b)を選択いたしますので、一九五一年一月一日以前に欧州またはその他の地域において生じた事件ということになるわけでございます。ところが、同時に、先生御承知のように今回議定書にも加入をいたすわけでございますが、議定書は一九五一年一月一日以後の状態というものをカバーするために設けられたものでございまして、議定書に着目いたしまする場合には、この一九五一年一月一日前後という問題は実は余り意味がなくなるということでございまして、従来の事件に相当するもの、たとえば領土的、または重大な政治的、社会的変動とか、あるいは特定の人が被害を受けるような、そういう条件がつくり出されるような重大な出来事ということに当たれば、これで全部がカバーされるということになるわけでございまして、一九五一年一月一日前後という問題は、その意味では解消するというふうに考えていいと思います。  ただ、御指摘のように、インドシナの事態が時期的にはどの辺に当たるのかということになりますると、その事実関係に即して申し上げれば五一年一月一日以後ということになると思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、この一九五一年一月一日の前後の関係は、この議定書の関係で余り意味がなくなり、そして現実に日本に関連するこういう難民条約のかかわってくるような事件としては、やはりインドシナの情勢が非常に大きな中心的なものである、現段階ではもうそう考えてよろしいということになろうかと思いますが、そのように判断してよろしいですか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 御指摘のように、インドシナ難民を生ぜしめたインドシナの政変とか事変ということに起因するような難民が今後とも多数を占めて日本に来られるということは予想されるわけでございますが、もちろん難民条約の対象というのはそれに限っているわけでございませんから、そういう意味では現在ではいまだ観念的な段階にとどまっておりまするけれども、その他の地域からの難民が来られるということはもちろん想定しておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 まあ将来はまた将来でどういうことが起きるか、それは確かにわかりませんから、それは別といたしまして、現段階ではインドシナ関係が非常に大きい、こう考えた場合に、この難民条約には難民についての規定があるわけでありまして、これは御承知のとおり人種とか、宗教とか、国籍あるいは特定の社会的集団の構成員であること、あるいは政治的意見等々のこういう要件がありますが、さて、いまのインドシナの問題で出てきて日本へやってくるというような人たちの場合には、その人が人種上の理由でどうだとか、あるいは宗教上の理由でどうだとか、政治的意見でどうだとか、こういうふうに特定できるケースはむしろ非常に少ない。  そういう政変あるいは内戦というような状態の中で、とにかく何はともあれ難を避けて出た、そういう者が日本へやってくる、こういうふうなことになるわけでありまして、そうすると、難民条約のこの規定に当たるか当たらぬかというと、なかなか当たらない。しかし、保護を求めるというその緊迫性においては少しも変わりはない。したがいまして、先ほど来流民の問題やその他の御議論が出ておりますが、私はこの難民条約を踏まえながら、同時にこの難民条約の具体的な難民規定に該当しない者も、その出てくる状況によって同じような保護を与えるということをまず大前提として、ここで重ねて確認をしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの高沢委員の提起された問題でございますが、条約上はやはり人種とか宗教、国籍等の理由と実際の迫害との間に何らかの因果関係がある必要があるわけでございます。恐らく御指摘の点は、こういった因果関係が人種、宗教、国籍等の理由だけで起こるものではない、戦乱状態とか、あるいは経済的理由であるとか、そういったような事柄と結びつくということもありましょうし、条約上必ずしも特定し得ないようなケースが出てくるのではないか、こういう御指摘だと思います。  その特定し得ないようなケースが出てまいりました場合にどう対処するのか、こういう御質問であると私は拝承したわけでございますが、これは御指摘のようなこともございまするけれども、同時に、戦乱状態であるとか、あるいはボートに乗ってどうしても脱出しなければならない事態とかというものは、やはり状況によっては、これは国籍の問題とか、宗教の問題とか、人種とか、そういうような状態とも関連している場合がもちろんあるわけでございましょうし、一概にこの点を断定することはできないわけでございます。  ただ、高沢委員御指摘のように、このいわゆる難民認定の運用につきましては、事実関係の正確な把握ということはもちろんきわめて大事でございまするけれども、迫害がもたらされるに至った原因というものにつきましては、一条の解釈は、ある程度の迫害が生じておる、あるいは迫害を受けるおそれがあるというような状態が認定されるということが非常に大事なわけでございまするから、基本的には高沢委員の御指摘のようなそういった点に着目して人道的な配慮を忘れてはいけないということは言えるのではないかと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いま国連局長から、私としては前向きと評価するそういう御見解がありましたが、今度は国内体制で、それを受ける立場で、法務省山本参事官、いまの点について法務省の立場で御見解をお尋ねしたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 国連局長から御説明がありました考え方と異なるものではございません。難民条約の難民要件に該当しない者までこれを難民だと認定するのは無理である。無理でありましょうが、戦乱、革命、そういうような激変をする状況を逃れてきた人に対しては、これは人道的な立場で配慮していく必要がありますし、そのようにいたしたいと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 次に、いまの関連でちょっと一歩進めてお聞きしたいと思いますが、実は私も日本・ベトナム友好議員連盟のメンバーでありまして、私、一昨年その議員連盟の代表団という形でベトナムを訪問したわけです。  そのときに、難民問題ということでハノイの政府当局の見解、あるいはまたハノイには国連の難民高等弁務官の事務所もあり、その駐在員もおりまして、その人の見解も聞くというようなことをやってまいりましたが、ベトナムとしては、ベトナムを出ていきたいという人に対しては、ちゃんとそういう手続をしなさい、その手続をして、その人がそれじゃどこに行きたい、行きたいその相手の国が今度は受け入れる、いらっしゃいというような形になった場合には、もう大手を振って、いわゆる合法出国、堂々と出ていくことを認めるというような形が一つある。  それと別に、そういう手続をとらずに、事実上例のボートをチャーターしたりして脱出していく、いわゆる非合法出国と呼んでおりましたが、この方は、これでもって何か請け負って、そういう非合法出国を請負の仕事にするような人たちの組織もあるという話でしたが、この合法出国というものがベトナムの場合も当然あるわけで、その場合に合法出国で日本に来たいというような日本政府へのアプローチがあって、こちら側でどうぞいらっしゃいというような、そういう形にしたケースがいままでにあるのかどうか、そのケースがもしあればお尋ねをしたいと思います。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 お答え申し上げます。  高沢委員御指摘のとおり、ベトナム政府としては一昨年五月の末に国連難民高等弁務官事務所と話し合いをした結果、いわゆる合法出国についての手続について合意ができたわけでございます。これに基づきましてカナダその他かなりの数の合法出国者が出ていまして、わが国といたしましても、日本におりますベトナム関係者の縁故者等について約百名ほどのリストをハノイ側にUNHCRを通して提出してございます。先方の回答を待っているという段階でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 その点はわかりました。  いま国連の難民高等弁務官事務所のことにも触れていますが、この機会に、その難民高等弁務官というものが国連の機関としてどういう権限や、またどういう機能を果たしているか、御説明をお願いしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 御質問の国連の難民高等弁務官の事務所でございますが、国連を代表する普遍的な難民救済機関として五一年に創設されています。ちなみに、先ほど御質問のございました五一年一月一日というのは、国連の難民高等弁務官事務所ができた年と合致するわけでございます。人道的かつ非政治的な立場から、これまでに二千万人に及ぶ世界の難民に救済の手を差し伸べてまいりました。  それから、国連難民高等弁務官の一つの大きなメリットでございますが、これはもちろん最大のものとしては各国に対する救援を実施するというところにあるわけでございますけれども、最近、高沢委員も御記憶と思いますが、一昨年の園田外務大臣が御出席をされましたインドシナの難民国際会議、それから昨年のカンボジアの難民国際会議、さらには最近ございましたアフリカの難民援助国際会議というものがこういうUNHCRのオーガナイザーとしての立場から成功したということでございます。これはやはり会議があれば金が集まると言うとやや言い方に語弊がございますけれども、会議をするごとに多くの拠出が期待し得る、そういう意味でUNHCRが果たしてきた現実的な役割りというものは非常に評価さるべきでございまして、単に現地における救援ももちろん重要でございますけれども、そういう面で普遍的な機関としての活動というものは無視し得ないと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 あわせて、国連局長、わが国の難民高等弁務官の活動に対して拠出されておるその金額は相当大きいというふうに私も承知しておりますが、その辺の実態はいかがでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 この点につきましては、数字は本年度におきましては六千万ドルを予定しております。前年度は六千四百万ドルでございますが、これはいわゆる難民の総数がやや減少傾向にあるということを踏まえての変化でございますが、わが国の拠出は先進国で申しますとアメリカに次いで第二位でございまして、第三位は西独ということでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 また条約の具体的な質疑の方へ進みたいと思います。  条約第一条のAの(2)、ここで具体的な難民の要件としての人種とか宗教とか国籍等々の要件が挙げられているわけでありますが、私は、こういう理由によって迫害をされる難民というもの、それと今度はいわば迫害をする側のその国の政府なり公権力の側からすれば、自分の国には何かの法律があって、その法律に違反した者を処罰するとか追及しておるというような政府公権力の側と、される側にしてみればそれは迫害だ、そういう相関関係がどうしてもあるだろうと思います。  最近の生々しい例で言えば、韓国の金大中氏は、韓国の政府側は国家保安法違反等々のことでこれは処罰する、こういう立場ですが、金大中氏の側にしてみればまさに民主化の運動を進めたために迫害をされたということになるわけであって、一つの事柄が両方の側面を持っています。  そういう場合に、難民を受け入れて保護するというこの条約の趣旨、あるいはそれを受けての国内法の体系からすれば、当然こういう場合には迫害を受けたという側の立場を優先して、そして難民としての認定あるいはまた保護ということが必要ではないかと思いますが、この辺の関係はいかが判断されますか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 一般論として申しますならば、その国の刑罰法令に違反したことを理由として処罰されるということだけでは、難民条約に言う迫害には当たらないと考えます。それは殺人罪を犯して死刑になるというのが難民になるかというと、それを肯定する者はいないであろうと思うわけでありますが、ただ、その法令の内容いかんによりましては、それが政治的意見を理由とする迫害に当たる場合もあり得ると考えます。  なお、金大中氏の例を挙げられたわけですが、私、その高沢委員御指摘の国家保安法の内容も承知しておりませんし、また金大中氏がその法律の関係でどういうことをしたのかということも承知しておりませんので、ここで断定的な意見を述べる立場にはないわけでありますが、ただ、実務を行っていく立場から申しますならば、仮にそういうことが現実化した場合には、よく調査をして難民に当たるかどうかを判断していくということであります。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 どうもいまのお答えはかなり奥歯に何かはさまっている感じがいたしますので、もう一つまたお尋ねいたしますが、そうすると、そういうケースが起きたときに、ある国のある法律で追及された人が難を逃れてきたというときに、その国のその法律は政治的弾圧法律であるのか当然の刑法であるのかというようなことを今度は日本の法務省が判断する、それによって難民かどうかを判断する、こうなるのですか、何かいまの御説明ではそんなふうに聞こえましたけれども。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 そういうことでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、もう一つ、今度は日本のケースですが、戦前に日本も治安維持法というような法律がありました。これは要するに社会主義の思想を持っておる、そういう意見を主張するというようなことでもうやられる、そういう法律であったわけですが、こういうふうなものが仮にいまもあるとすれば、その法律の追及を逃れるという人の場合には当然難民である、こういうふうに考えられると思いますが、いかがでしょう。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 要するにそれはその法律の内容いかんということであろうと思います。基本的人権を侵害し、とうてい今日の法秩序から見てこれは認めがたいというような内容の法律である、犯罪の構成要件がそういうものになっておる、あるいは構成要件はともかくとして、著しく残酷な刑罰を科することを内容としておる、こういう場合には十分に難民に該当する可能性があると言えると思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 これは実は私、後で、難民の認定が受けられなかった人が異議申し立てをする、そこでそういう異議申し立てを判断する公正なる第三者機関というものが必要じゃないか、そういうことをお尋ねしようかと思ったのですが、いまの山本参事官のお話で、そういう難を逃れてきた人が出たときに、その難を逃れたもとのある国のある法律が人権侵害の性格を持った法律であるかどうかというような判断をするということになってまいりますと、そのことも含めて、この難民条約なりその関連の行政執行のために、かなり国際法とかその他、あるいは民法とか刑法とか、いろいろなそういう権威ある人も含めた第三者機関がどうしても必要になるのじゃないのか、こういう感じがいたしますが、どうでしょうか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 認定につきまして第三者機関が行うべきではないかという御指摘のようでありますが、この難民認定の方法につきましてはいろいろな方法があるわけでございまして、確かに高沢委員御指摘のとおり、委員会制度をとっておる例もございます、西ドイツがその例かと思いますが。  ただ、このたび法務大臣がこの難民認定を行うということになりましたにつきましては、難民と認定することとその在留を許可するかどうかということは一応無関係である。難民の認定は、条約に定める難民の要件を備えておるかどうかの事実を確認する行為である。そういう性格がありますことに加えまして、今日のこの窮乏した財政事情のもとにありましては、新たな機関を設けるというのも困難な事情がある。また、法務大臣は外国人行政を行っておるわけでありまして、難民も外国人であるという意味におきまして、外国人行政との間に接点があるということから、法務大臣がこれを引き受けることになったわけでございます。  ただ、その手続におきましては、入管行政は法務大臣に広い裁量権のあります行政行為でありますが、先ほども申しましたとおりに、認定はそういう裁量的な行為ではございませんので、内部的な手続におきましては、従来の入管行政を行うセクションとは全く別の部門でこれを行い、公正さを確保していくことにいたしております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまその第三者機関を設けるべきだということについて、確かに山本参事官にそれはいいとか悪いとかお答えを求めるのはやや無理があるかと思いますが、これはやはり大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど申しましたように、難民が難を逃れてきた、その難を逃れるもとになったある国のある法律が非常な人権迫害法律であるかどうか、こういう認定が大変大きな認定要件になるとすれば、そういうことをひとつ十分公正、客観的に判断する、あるいはまた、難民が認定を受けられなかったときに異議申請をする、その異議申請をまた公正、客観的に判断する、その場合には当然人道主義という大前提をもって判断するというようなことで、ただ法務省の入管局にお任せしておいてということではなくて、それなりのしかるべき関係の学識経験者、あるいはまたそういう人権問題に関連しておる専門的な活動家とか、いろいろな分野を網羅した第三者機関がどうもますます必要だと実は感じますが、この点は大臣、御所見いかがでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 大臣の御答弁の前に、私が先にお答えさせていただきます。  ただいまの点でございますけれども、法務省の認定につきましては、先ほどお触れになりましたように、特定国の法律がどういう性格を有するとかそういうふうな点は、やはり他の官庁、たとえば外務省その他の協力によってその事実を正確に把握する必要があるというような御指摘だと思うのでございまして、そういう意味合いにおきましては、法務省が認定の責めに当たられますけれども、外務省その他の政府内の省庁が全面的に協力をして、その判定に対していろいろ助言をしたりあるいは情報を提供したりするということは非常に大事なことだと私は考えておるわけでございます。そういう意味におきましては、政府を挙げて遺漏なきを期するというのが実態であると思いますので、それをさらに踏まえまして、法務省が伝統と権限のある官庁として実際の難民認定に当たられるという今回のやり方につきましては、もちろんその運用には十分われわれも戒心しなければならない点はございまするけれども、私はこれで十分やっていけるというふうに考えております。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この条約の批准をお願いして、国籍要件撤廃になりましても、先ほど言ったとおりに問題はいろいろ残るわけであります。その問題の中でも、一律に国内法で整備していけば困難であっても逐次できるものと、国内法だけではできずに、たとえばきのうかおとといか言われました台湾の方でかつての日本軍人軍属の問題、それから朝鮮の方など、それぞれ立場が違います。それからこれは二国間で処理すべき問題等あるわけでありますから、そういう点を関係各省庁と相談をして、実際に問題が処理できるようにやりたいと考えておりますが、そこで、この行政を進めていくのに適切にいくように、こういう外国の方々の御意見も入れながらやっていくということも一つの方法でございましょう。世界各国の例を見ますとやはり外国の方というか、第三国人の意見を聞く制度をつくっているところも一カ国あるようでございます。  日本ではまだそこまでまいりませんが、いずれにしても関係各省庁と相談をしながら、そういう特殊の立場の方々の御意見も十分取り入れられるように進めていきたいと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの大臣のお答えですが、今国会にこの難民条約の加入案件を提案され、それに伴う国内法体系を今国会に提案されておる政府のいまの立場が、この問題は法務省でやるという立場をとっておられることは私も承知しております。しかし、これはこの国会で一つの結論が出ると思いますが、今後の運営の中でいま大臣の言われたよりよい、より公正な運営のできる改善の道はぜひ積極的に進めていただきたいと思いますし、私も、そういう審議会ができた場合に、法務大臣のもとに置いて何も一向差し支えないわけであります。法務大臣のもとにあっていいと思いますが、それにしても審議会でいろいろな意見を集約する、そういうものを大きく広げたものができればなおさらいいのじゃないのかということで私は申し上げたわけですが、そのことはぜひ今後の問題として、要望として申し上げておきたいと思います。  次へ進みたいと思いますが、これも関連する問題として、たとえば兵役拒否というふうなケースがよくあるわけであります。ある国の兵役を逃れて日本へ避難してくる、これは現実には、いままでにそのケースではお隣の韓国からというケースが非常にあったわけですが、事件で言えば昭和三十九年ですか、韓国の金理石という青年が軍隊へ入隊することになって、それを逃れるために脱走して日本へやってきた。そのときの理由は、ベトナムへ派遣される、そのことをどうしても避けたいということで脱走して日本へやってきた。これはいろいろその後の経過がありまして、最終的には結局強制退去ということになって、上告をしたけれども、いずれも棄却されて、結局本人の自費出国でまた韓国へ帰った、こういうふうな事件があったわけです。これはまだ難民条約加入の前の事件としてあったわけですが、今度は難民条約加入の後の問題としては、この種の兵役拒否というふうな形で来たようなケースの場合は、私は、やはり兵役を拒否するのはその人の一つの政治的信念とかその人の宗教的信念とかいうようなものが当然その基礎にあるわけでありますから、こういうものは保護する対象にすべきじゃないか、こう思いますが、この点は法務省、いかがでしょう。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 兵役拒否が一〇〇%難民に該当しない、そういうように申し上げるものではありませんが、一般的に申しますならば、軍隊からの脱走、この種の兵役の拒否というものは、その国家に対する重大な義務違反であると考えられております。それで兵役の拒否が処罰の対象になるということも事実でありますが、そのことをもって条約上の難民であると言うわけにはまいらないと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、山本さん、今度は裏から言って、その兵役拒否で来た人、この人をそのもとの国へまた送り帰すということをした場合に、その人がどういう処罰を受けるかということは、これはもう目に見えておるわけですね。そういうことがこの難民条約の精神から言ってどうか。それが先ほど来言っているように、この難民条約の具体的要件に当たるか当たらぬかという場合に、当たらぬとしても、インドシナ難民のケースのように、この条約の規定には当たらぬけれども、これは当然人道上保護しなければいかぬというようなケースに当たるのじゃないのか、私はこう思うわけですが、そういう場合には一体どういう処置をされるのか、お尋ねしたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 兵役の拒否が処罰の対象になるというのは、これは兵役の拒否が国家に対する重大な義務違反である以上はあたりまえの話であろうと考えます。また、兵役に服する者がどこの戦場に行くのをいやだという選択権があるとも私は考えないわけであります。したがいまして、脱走兵が本国に送還された、その場合に処罰を受けるのもこれはやむを得ないことでありまして、そのことでもって本人を本国に送還しないノンルフルマンの原則の当てはまる場合になるとは考えません。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 自業自得だ、送り帰されて処罰されてもそれはしようがない、生で言えばこういうお答えであったかと思いますが、これはいささかいかがでしょうか。この難民条約の中でも、後に出てくるたとえば三十二条ですか、この「追放」という規定、この難民条約の保護の要件に外れた者は追放できるという規定がありますが、その場合といえども、その追放される人に対して、自分はそれじゃどこへ行きたい、あそこへ行けばひどい目に遭う、あそこへ行けばそういうものを逃れることができるという、少なくもその追放される先を選択することを認めて、その選択する間の時間的な余裕も認めるということは、この難民条約の中に入っているわけですよ。  こういうようなことからすれば、そういう兵役を逃れてきた人、これは本国へ送り帰して、それで当然重営倉になるのか、あるいは場合によればこれは銃殺ですよ。戦線離脱とか軍隊からの脱走、国によれば銃殺になるというようなものを含めて送り帰して、そうなったって仕方がないということでは、私はそうですかと言うわけにとてもいかない。そういう場合に、難民条約三十二条の「追放」の場合にあるような、そうやって追放する場合といえども、少くもその人にとって安全と思われるところを選択する権利や余地を与えるということがなければ、人道主義の人権外交、人権政策ということはとてもとても言えないのじゃないのか、ここはひとつ参事官、前向きのお答えをお願いしたいと思いますよ。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 法務省に対する御質問でございますが、この問題はよほど慎重にお答えをしないと将来に問題が起こると思います。  兵役を逃れてきたという場合、あるいは向こうで犯罪を犯して逃げてきた場合、これはまた違うわけでありまして、犯罪を犯して逃げてきた場合でも犯罪者引き渡し条約というものが二国間で結ばれておるかどうかという問題で、私も法律の専門家じゃありませんが、たとえば、これがお隣の国の問題ですからまあいろいろ言いますが、仮に、悪い例ではありますがソ連の軍にある人が飛行機に乗って逃げてきた、この場合に送り帰したという例はないわけでありますから、この点はひとついまの法務省の方の答弁は留保していただいて、もう一遍慎重に検討して、次回に法務省からお答え願ったらどうか。  私自身がここでお答えしたいところでありますが、私も法律の専門家じゃございませんから、間違ってはいけませんが、この点はよほど慎重じゃないと、兵役を逃れてきたからすぐ送り帰す、帰ってから銃殺されても構わぬ、こういうことでは国際関係のいろいろな法律、規定の精神には反する、私はこう思いますので、いまの答弁は留保していただいて、後で法務省でよく研究して先生に機会を求めてお答えするようにお願いできれば間違いがないのじゃないかと、お願いをいたします。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの大臣の裁きで結構でございます。ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと思います。山本さんもひとつよろしく。  さて、また次へ進みたいと思いますが、「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」こういう条約の表現になっているわけでありますが、これもおそれがあると思うのは受ける側の人なんであって、公権力の側は迫害しようなんという考えはちっともないのだ、こう言う。しかし、こちらの側の人は、いや、どうも私はやられそうだ、大変おそれがある、心配だというようなことで、現実に脱出する人はそのおそれを感じて脱出するわけですから、これは要するに一つの主観の問題ですね。  そういうような場合に、それをおまえ客観的に証明しろ、こう言われても、なかなか本人としては客観的に証明もできない。おそれがあると言っても、このことは自分の気持ちの問題じゃないか、こう言われたらどうしようもないというようなケースが実際に起きてくると思うのです。そういう場合の判断を難民の認定に当たってどうするかということは、大変デリケートだけれども大事な問題だと思いますが、これは外務省がよろしいか、法務省がよろしいか、お答え願います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 高沢委員の御指摘のとおり、当該個人が迫害のおそれがあるということをもっぱら主張いたしますのみでは、いわゆる認定はできないわけでございまして、その迫害のおそれがあるという事実を客観的に裏づけする、証拠づけをする必要があるわけでございます。この点につきましては、先ほどの問題とも関連いたしますけれども、客観的な立証をどうやってやるかという問題になりますので、この点については法務省からの御依頼等に応じまして、外務省等が在外公館等を通じて行う場合もございましょうし、その個人の置かれた実態関係というものを客観的に立証するだけの努力をできるだけするということでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 この点、法務省はいかがですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 ただいま衆議院の法務委員会で御審議いただいております入管令を一部改正する法律案でも、外国の事情等につきましては外務省に照会、調査を依頼するような規定になっております。  なお、その主観的な要素をどう判断するかという問題でありますが、これは本人の立場に置かれたならば、通常人であればだれでもそのような恐怖を抱くであろうと認められるような状況にあるということが必要であろうかと考えます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの点は、先ほど申しましたように大変デリケートなケースでありますので、私のお願いしたいこととしては、そういうデリケートな判断の場合はノーの方への判断でなくて、なるべくイエスの方の判断を出すような運用をお願いしたいということを、きょうはこの場所では御要望として申し上げておきます。  それから次に、条約三十二条、先ほど言いました追放について触れている規定でありますが、ここでは難民は追放してはいかぬことになっています。ただ、「国の安全又は公の秩序を理由とする場合」は追放してもいい、そういうふうなことになっていますが、この国の安全のため、あるいは公の秩序を乱すということでやむを得ず、こういうふうな理由に該当するのは具体的にはどんなケースが考えられるか、御説明をお願いします。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕  それからなお、それに関連いたしまして、そういうケースであって追放する場合には、さっき言いました追放の先を選択できる一つの猶予を与えています。その猶予期間というものは大体どのくらいの期間か。追放される本人がもうあの国へ行きたい、その相手の国がよろしい、いらっしゃいというふうなちゃんと取りつけができるまではその間猶予がもらえるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 三十三条の例外規定、具体的にはどういうものであるかという御質問でございます。条文の示すように、国の安全にとって危険であるということでございますが、これは対外的な意味では国の安全保障を害するような場合、あるいは国内的には国の基本的な政治的秩序を害するような場合など、重大な国家的利益が侵害される危険性があるような場合を言うものと私どもは解しておりますが、これもやはり具体的な事象に応じまして、ケース・バイ・ケースで判断する必要があると存じます。  さらに条文の示しますところの「特に重大な犯罪」というのは、これは各国がそれぞれ判断をすることになると存じます。ただ、「特に重大な犯罪」と「特に」と書いてございますので、重大な犯罪、一条のFの(D)にございますが、この「重大な犯罪」よりも重い犯罪である必要があるのではないかと考えておりまして、かかる犯罪を犯した者が社会にとって危険な存在であると言い得るような犯罪であるというふうに考えております。  さらに、若干細かくなりますけれども、「社会にとって危険な存在となった」という意味合いでございますが、あるいは「特に重大な犯罪」において有罪判決が確定したことのほかに何らかの別の要件をつけ加えるものと考えられないが、「特に重大な犯罪」が何であるかということとの関係で、当該犯罪はこれを行った者が社会にとって危険な存在であると言えるようなものでなければならないということでございまして、この辺の運用については慎重に配慮する必要があると考えております。  「特に重大な犯罪」というものが入管令の二十四条の第四号の規定するところに該当するものとわれわれ考えておりますが、この辺の問題点、及びさらに先ほど御指摘のございました三十二条の3による難民に対しまする「他の国への入国許可を求めるのに妥当と認められる期間の猶予」というものについては、法務省からお答え申し上げます。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 出入国管理令は第二十四条で外国人の退去強制事由を掲げております。その内容はたくさんあるわけでございますが、それを包括して申し上げますならば、わが国の利益に反しあるいは公安を害する場合を列挙してあるということでございます。条約で申します「国の安全又は公の秩序」というのも、この二十四条に掲げる利益、公安に反する列挙事項と一致するものと考えております。  ただ、多少理屈っぽいようでありますが、条約三十二条が対象としておりますのは合法的に入る難民でございます。ところが二十四条の方は、不法入国、不法上陸あるいは不法残留した者もその対象にしております関係上、合法滞在難民との関係で申しますならば、いま申した不法入国、不法残留の部分は二十四条から外れてくるということにならざるを得ないだろうと思います。  なお、退去強制する場合の送還先の選定、これはどういうふうにやるのか、十分時間を与えておるのかというような点につきましては、これは従来からも本人の希望をも考慮いたしまして、できる限り希望する国に赴くことができるように配慮いたしておるところであります。これは相手の受け入れ国のある話でございますから、幾ら本人がそこへ行きたいと言いましても、その国がいやだと言えばそれはそれだけのことではありますが、できる限り本人の希望がかなえられるよう、査証申請等のために大使館や領事館に出頭させるなどの処置をとってきたところであります。  また、本来本人が帰るべき国、これは国籍国ということになりますが、そういうところへ送り帰したのでは迫害を受けるおそれがあるというような場合には、仮放免の制度を活用いたしまして、出国先が決まるまで退去強制の執行を待ってあげるという運用をしてまいりまして、この運用が難民に対して後退するということはあり得ないことでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの国連局長の御説明で条約第一条のFにも触れられて、これはつまりこの難民条約の適用しないケースをずっと挙げておる。それに今度は、いまの追放なり何なりの要件としての国の安全、公の秩序等々のこういう関連のお答えをいまずっといただきましたが、そうすると、やはり最初の話に戻って、こういうことの判断もこれはそれぞれの学識経験者等の相当高度な専門的判断を必要とすることにもなってまいりますし、そこで初めに御要望申し上げたしかるべき権威ある第三者機関というのは、この場でもう一度重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、先へ進みまして、実は連合審査の中で私、お尋ねしたいと思って、しかし時間がなくなってお尋ねのできなかった件で一、二お尋ねしたいと思いますが、一つは、この難民条約によって、あるいは難民でなくともそういう人道上のケースとして永住が認められるというようなことになった場合、年金とかその他のいろいろな日本の国内法律、制度の適用の対象になってくるというような場合に、そういうことをやる末端の行政の第一線は市町村とかそういうところの行政機関であるわけです。聞くところによると、在日の外国人の関係は外国人登録法で掌握されておる、しかし、住民基本台帳というふうなものにはこれは全然別になっておるというふうに聞いておりますが、外国人登録はこれはこれで必要でしょうが、同時に、少なくも永住権を認めたというような者は住民基本台帳の方へも入れて、そして行政の対象として遺憾なきを期する、こういうふうな体制が望ましいのじゃないか、私はこう思います。自治省はたしかおいでになっていると思いますが、その点、いかがでしょう。

片山虎之助自治省行政局振興課長

○片山説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま言われましたように、住民基本台帳制度は法律で規定がございまして、日本国籍を有する者の居住関係を公証する、こういう制度になっておりまして、外国人につきましては、これも御指摘がありましたように外国人登録法によりまして、在留外国人の居住関係だけでなくて身分関係も一元的にそこで明確にする、こういう制度的なたてまえになっているわけであります。  御指摘の住民基本台帳に載せたらどうかということでありますが、これは規定がございますから当然法律改正ということになると思いますけれども、その場合に外国人登録法との関係をどうやるか。身分関係まで含んで一元的にやっている、それをさらに住民基本台帳に載せた場合にやや二重行政的な感じもありますし、記載事項等も相当相違がありまして、あるいは国籍がございませんから選挙権はないわけでありまして、選挙人名簿との関係、あるいは義務教育の学齢簿というのがありますけれどもそれとの関係等、いろいろ問題がございます。そういうことでありますので、関係省庁によりまして総合的に慎重に検討すべき問題だとわれわれは理解しております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 確かに現在の法律としてはそうはできないという事情はよくわかりますが、検討しておる、いまのこういうお答えでありますから、いろいろ支障がないように在日の外国人に対する政策が前進できるようなそういう方向をひとつ大いに工夫していただきたい、こう思います。  それからもう一つ、先ほど大臣からも触れられましだが、元台湾人あるいは元朝鮮人でかって日本兵として戦死したり傷ついたりした人の補償問題、これはきのう外務大臣からいろいろ外交上の難点等があるという御説明をいただきましたが、それはそれとして、もし補償をするとしたらどういう立法措置なり、あるいはまたどういう行政措置が必要になるかということをお尋ねしたいと思います。これは恩給局お見えになっていますか。——恩給局で全部カバーできるかどうかわかりませんが、するとしたらこういう制度やこういう立法が必要になるというふうなことでちょっとお聞かせいただきたいと思います。

勝又博明総理府恩給局恩給問題審議室長

○勝又説明員 先生御指摘の台湾人ないしは韓国人の旧日本兵の処遇の問題でございますが、御案内のように恩給法におきましてはいわゆる国籍条項というものがございまして、日本国籍を失いました場合には恩給権は喪失するという制度になっておるわけでございます。これは、恩給年金制度と申しますのが公務員関係という国との特殊な関係に基づく年金制度ということに由来するものでございまして、これを現在時点で改めまして国籍を失った方に恩給権を付与することはきわめてむずかしい問題だというふうに考えておるわけでございます。  しからばこれらの方々につきまして救済すべきなのかどうか、救済するとすればどのような方法、どのような立法措置が要るのかということでございますが、これにつきましては私ども恩給制度を所管する立場からどうこうお答えできるものではございませんので、あしからず御了承願いたいと思うわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 この問題はどこへお尋ねしていいのか私もよくわからぬので、とりあえず恩給局の方に来ていただいたわけですが、いまのようなお答えであるとすれば、これは今後の問題として、もしやるとすればどういう立法やどういう制度が必要になるかということは、またさらに私も研究していきたいと思います。その場合には外交上どういうことが必要になるかということも出てまいりますので、それを含めて研究してまいりたいと思います。  予定の時間がそろそろ終わりますから、最後に、これは御質問と兼ねて要望でありますが、結局そうやって難民が保護を受けて帰化をしていくというようなケースも当然出てくると思います。そういう場合の帰化を法律上認める要件はそれぞれあるわけですが、ただ、外国人であって帰化して日本人になっていくというふうな場合には、言葉の問題であるとか、職業選択の問題であるとか、学校教育の問題であるとか、とにかくもともとの日本人と違うそういう障害があるわけであります。したがって、そういう帰化を容易ならしめるということは条約にもうたってあるわけでありまして、そういう精神を受けて大いに行政を進めてもらいたい、実はこういう要望であります。その御所見をお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。この点は外務省になりますか、法務省になりますか、帰化を促進する、帰化に援助を与えるということですが、どっちでしょう。

田中康久法務省民事局第五課長

○田中説明員 外国人の帰化につきましては、私どもとしては、基本的には、外国人が日本人になるかどうかにつきましては本人の意思によることであって、日本国政府の方が奨励すべきものではないという考え方でございます。ただ、わが国におります外国人で日本に帰化したいという希望を持つ者につきましては、特段の問題がない者についてはなるべく帰化を認めるという方向で現在処理しておりますので、難民あるいは難民に準ずる人たちの帰化申請につきましては、現在の運用でも十分対応できるというように考えております。  ただ、私どもの方は現在国籍法の改正作業を一応やっておりますので、この際には難民についての帰化をどういう条件で認めるのがいいかどうか、こういう点も当然検討の対象になるだろうということをいま考えております。これから審議会を開きますので、審議会の中で現在の帰化条件をそのまま維持することになるか、それとも変えることになるか、この辺はこれからの検討の結果を待たないと結論が出ませんけれども、少なくともいまの国籍法の運用の上でも十分対応できるというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 終わります。どうもありがとうございました。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十六分開議

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 難民条約並びにそれに関連いたしまして種々お伺いをさせていただきたいと思います。  難民ということにつきましては、従来わが国は関心が薄いと申しますか、消極的と申しますか、であったわけであります。ベトナム、サイゴンの陥落以後、インドシナ難民の大量流出ということで、わが国としてもいよいよこの難民条約に入らなくてはならない、そういう国際世論等あるわけであります。それで非常に重大な関心を持ってきているわけであります。  そこで、まず最初に、世界的にと申しますか、多くの地域で、多くの国々から難民の方々が流出をして、そういう大きな問題が発生をしているわけでありますが、その状況について概略御説明をいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 難民の問題は、当面はインドシナ半島の紛争から起こってきた人道上の問題が政治上の問題まで発展をしてきた実に大変な問題でありますが、それ以前の問題にいたしましても、難民の根本原因はやはり政治的な平和、安定が損なわれて、紛争、内乱あるいは政治的圧迫、こういうものから難民というものが出てくるわけでありまして、現在においてはインドシナとアフリカの問題があるわけであります。それ以前においては各所であったわけでありますが、いずれにしましても、難民問題解決の第一は難民流出の根源を抑えることでありまして、その抑えるというためには力で抑えるのではなくて、やはりその地域の平和的な解決、話し合いということが第一の問題であると考えております。  次に、とは申しますものの、このような政治的な平和解決を念頭に置きながら、実際に出てきた難民の立場というものはこれまた言葉に尽くせないほど気の毒なものがありますので、これは人道上の立場から各国が協力をしてこの救済に当たらなければならぬと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣のお答えをただいまいただきましたけれども、アフリカの難民とか、それからいまのインドシナ難民とか、アフガン難民とか、その状況をもう少し詳しく御説明いただきたいわけです。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 国連の難民高等弁務官事務所の資料によりますと、現在の全世界の難民総数は約一千万人と言われております。  その内訳は、アフリカが五百万、アジアが二百二十万、欧州五十万、北アメリカ百万、中部アメリカ二十万、南アメリカ八十万ということでございます。一方、アフガン難民のパキスタンへの流入というのが最近ございますが、昨年三月現在で六十八万人でございましたが、現在ではこれが百七十万というふうに三倍近くに増加しております。それから、大臣の御答弁にございましたようなアフリカの局面におきましても、細かくはエチオピアのオガデン紛争、あるいはチャド国をめぐります紛争等、あるいはさらに数年続きの干ばつということで五百万の難民が飢餓に悩んでおられるというふうに承知しております。またラ米では、エルサルバドルの状況が御承知のような展開になっておりますし、ニカラグアの治安も十分に回復していないということで、難民問題がやはり緊要性を増しておる。  一方におきましては、定住面で米国等を初めとして先進国が努力を重ねまして、また基金的な資金的協力もかなり軌道に乗ってまいったという面もありますので、危機的な状態は東南アジア方面におきましては一応回避されているという判断もございますが、これは今後何が起こるかわからないという状況であると思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 実は昨年、当委員会で奥田委員長を団長にしてタイ、パキスタン、それからマレーシア、ニュージーランドを含めまして難民関係の収容施設、現地のいろいろな実情、また要望等、視察をさしていただいてきたわけでありますが、その中で、これも大臣は厚生大臣をついこの間までしておられたわけでありますので、私たちタイのメディカルセンターを視察さしていただいたときに、こういう要望があったわけでございます。  一点は、わが国から医療チームとして、そういう難民収容施設等、難民の方々に対する診療活動を行うために行く。その中で、大学医療チームの場合の国外派遣について、これは主務官庁が文部省ということで、そこに行くまでの渡航手続が文部省と外務省とのいろいろな複雑なものがありまして時間が相当かかる。場合によっては厚生省、それから労働省、こういうことになりまして、調整やらで非常に時間がかかる、手続が複雑であるというようなことで、何とかこういうことを簡素化してもらいたいという非常に強い意見があったわけでありますが、その点、お伺いいたします。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 お答えいたします。  タイのメディカルセンターに対する医師及び看護婦の方々の派遣の問題については、先生御指摘のような問題がございましたし、現在でも完全に解決されたわけではございません。実際問題として、国立病院から派遣される場合には厚生省、それから大学病院から派遣される場合には文部省等々、関係官庁が多くて、それの連絡、許可、承認の手続にかなり時間がかかるという面は現在でもございます。  一応タイのメディカルセンターに対する医師の派遣というのはおかげさまでかなり軌道に乗っておりまして、すでに五十四年末から七次にわたって累計で百九十七名の医師及び看護婦を派遣しております。本年一月だけをとりましても、難民キャンプの日本病棟、それから日本のつくりましたメディカルセンターで合計九十名が新たに入院しまして、八十名が退院しておるということで、タイの難民キャンプにおける医療施設としては、日本が提供した医療施設及び日本の医師、看護婦の方が最も評価が高いということが客観的に言われている状況でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 おっしゃるとおりでありまして、大変献身的に活動しておられることはまさに頭が下がる思いがするわけであります。私がお伺いしておりますのは去年の九月の時点で現地でいろいろお伺いしたわけでありますが、向こうに行くまでのそういう方々のいろいろな手続が、いま申し上げましたように、文部省だ、外務省だ、あるいは厚生省だ、労働省だというようなものが、あの時点から現在までどういう点が改善されたのか、また、なければないで今後どうするのか、その点、お願いします。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 非常に申しわけないのですけれども、手続的に必ずしもつまびらかにいたしておりませんが、外務省の国際協力事業団が主管をいたしまして、専門家派遣の形で派遣するということになっていると思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これは私、事前にこの御質問の要旨を申し上げて、去年行きましてこれはどうしても伺っておきたいということで、ちょっと御準備の都合もあったかと思いますが、この問題に関連しましてもう一点は、これは大臣も前厚生大臣で、先ほど申し上げたとおりでありますが、現地で日本から来る医薬品の表示が日本語であるために、もちろん日本の医療班のチームの方々以外の現地に戸惑いが非常にあって、本当に日本のすぐれた医薬品の効果が発揮できない、これは何とかできないかというようなこともあったわけでありますが、その点、大臣としてはどのようにお考えになるのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 まず最初の御質問でございますが、仰せのとおり現地に行ったお医者さんに現地の方は非常に喜んでおられるし、お医者さんも非常にまじめでございますが、やはり出足がおくれるわけでございます。それで時期を失する。それはいまおっしゃいましたように、文部省、厚生省、外務省が、それぞれ金を出すのは外務省、人選するのは厚生省、その学校は文部省の所管になっているというようなところに問題があると存じますので、これからは主体を決めて、それを中心に各関係省がいち早く行動に移れるように、時期を失しないように注意をしたいと考えておるわけであります。  薬の点は、全くそのとおりだと思います。日本の薬というのは海外に対することは余り考えておりませんので、日本文字だけで、使用法から効能から書いてないと思いますが、こういう救援の医薬品については何か便法を考えるようにいたします。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題に関連してもう一点は、やはり現地でいろんな、お国柄と申し上げたら大変失礼かとも思うのですが、医療の活動を行う場合に、なかなか連絡とかそういう点がうまくいかない、非常に活動に支障を来す、そういう点も日本政府として、特にこれは出先でありますので、外務省にその点の改善方を強く要望するということもあったわけであります。  それともう一点は、先ほども国連局長にちょっと申し上げたわけですが、今年の四月十六日にタイの方でボランティア活動で、非常に残念な不幸なことでありますが、西崎憲司さんが暴漢に襲われてお亡くなりになった。大変びっくりしたわけであります。前大臣もそのときこの委員会でその件を御報告しておられたわけでございますが、こういうきわめて残念な事故に対して、政府としてこの西崎さんに対してどういう補償措置をおとりになられたのか、その点をちょっと伺っておきたいわけであります。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 玉城委員御指摘のとおり、この四月十六日、バンコクでボランティアとして活躍されていた西崎憲司さんがタイの暴漢に襲われて死亡したという不幸な事件が発生したわけでございます。外務省といたしましては、御遺族が現地に飛ばれるということ、それから現地における葬儀の手だてその他、いわゆる便宜供与については万全を尽くしたわけでございます。バンコクにおける葬儀におきましては、タイのプラマン副首相も参列するということで、そういう葬儀、弔意の表示ということでは、私どもとしても限られた制約の中で万全のことができたのではないかと思います。  他方、お帰りになりまして、西崎さんの労に何とか報いるために何ができるかということを検討したわけでございますが、故郷の御葬儀のときには伊東外務大臣からの表彰状をお贈りいたしまして、かつその葬儀の直前、若干時間的には異例ではございましたけれども、勲六等瑞宝章ということで叙勲の措置がとられたということでございます。  問題は、西崎さんの死に対して、政府としていわば報償金あるいは見舞い金というようなことができないかということを鋭意検討したわけでございますけれども、現行の制度のもとにおいてはそれはむずかしい。特に、犯罪被害者補償法というのがございまして、これが適用できないかということで検討いたしましたけれども、これは日本国内または海外にある日本国の船舶ないし航空機の乗客ということでございまして、この適用はむずかしいということでございます。さはさりながら、今回の不幸な事件を踏まえて、同種の問題が起きたときにどうするかという、いわば人道的見地から海外において活躍する海外ボランティアの方が不幸に見舞われたときに何らかの措置がとれないかということについて、現在政府部内で検討中ということでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いまおっしゃいましたそういう補償措置、制度的なものの検討ということは、これは外務省でやっていらっしゃるわけですか。そして、どの辺まで検討が進み、こういう制度が本当に実現化されるのかどうか、その辺までちょっとお伺いいたします。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 現在外務省と内閣、総理官邸と検討中でございまして、むずかしい問題としては財源の問題、あるいはそのような事件がどのくらい多発するのか、多発した場合にその事件をどういうように認定するかというように、かなり技術的にむずかしい問題も多々あるということでございまして、見通しといたしましては何とも申し上げられませんけれども、総理、外務大臣からの御指示もございまして、何とか何らかの制度を設けたいというように考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、いまの質疑をお聞きのとおり、海外で非常に貴重なそういう活動を使命感に燃えてやっていらっしゃる方が不幸にしてこういうふうにやられ損になることに対して、先ほどの表彰等のお話も当然だと思いますが、その補償というものが何らかの形で制度化されていいころではないかと思うわけであります。大臣、いかがなものでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 こういう問題は、今後こういう社会的な奉仕、国際的な奉仕に喜んで出られる方々の数はふえてきますし、またお願いしなければならぬこともたくさん出てくると思います。そうすると、その中にはこういう事件も、あってはならぬがもしもの場合あることに対して準備しなければならぬ。その場合に財源がどうだとか、特に身分がどうだとか、いわゆる国の公務員であるとかないとか、あるいは保障された身分がないとか、こういうことが問題になって、こういう場合の補償というか、申しわけということができないというのはまことに残念でありますから、これは特別な制度を急いでつくらなければならぬと思っておりますが、今回はその制度は間に合いませんから、何らかの便法を講じて、あの亡くなった方、遺族の方に何とか国の気持ちを表現する方法をやりたい、こういうつもりでいまやっている最中でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ぜひ御推進を強く要望しておきます。  同じくこの難民の方々の受け入れの問題で、昨年私たちがニュージーランドへ行きましたときに、向こうの政府の関係の方々に収容施設等を視察させていただいたわけであります。そのときにも非常に感じたわけでありますが、受け入れと同時に、受け入れた後、難民の方々が地域社会に安心して定住できるような措置、これはいろいろな問題もあろうかと思いますが、ニュージーランドの政府では労働省が中心になりまして、二十二カ所の地域に難民問題の委員会を設置しまして、そういう方々のアフターケアの問題に政府自身が積極的に取り組んでやっているわけですね。  今回、この難民条約を見まして、いまのわが国の状況は、受け入れの問題と同時にその後の問題についても、一部民間団体に任せるとか、あるいは一部特定企業に任せるという形だけで、実際問題としてこれは非常に問題があると思うわけであります。そういう難民の方々が本当に安心して日本の地域社会に定住できるような受け入れ体制をどうとっていくのか、その対策ですね、そういう点、どのようにお考えでしょうか。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 先生が言及されたニュージーランドは小さな国でございますけれども、先生御指摘のとおり、ニュージーランドでも三千四百人ほどのインドシナ難民を受け入れているという実績を持っているわけでございまして、わが国の場合には、先般閣議了解をいただきまして三千人の枠を認めていただいて、インドシナ難民の定住の促進を図ろうとしているわけでございます。  政府といたしましても、神奈川県の大和と兵庫県の姫路の二カ所に定住促進センターを設けまして、日本語教育、それから職業訓練、職業あっせんということを行っておりまして、年間の予算にいたしまして約七億円弱を計上させていただいております。そのセンターの事業に関する限り非常に充実した運営がなされておりまして、アメリカの関係者あるいはUNHCRの関係者がセンターに参りますと、こんなに周到な促進措置をとっている国はないということでございます。遺憾ながらインドシナ難民全体として日本に定住を望む人々がわりあいに数が限られているということで、現在までのところ、定住されているインドシナ難民の方は千四百名ちょっとという状況であるわけでございます。  政府といたしましては、何とか定住促進の事業を一層充実させたいと思いますけれども、インドシナ難民の方が持っている日本の社会の仕組みと申しますかイメージと申しますか、そういうものがありまして、アメリカとかあるいは豪州とかフランスとかニュージーランドに比べて定住希望者が少ないということではないかと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いま大和定住センターのお話も出ましたが、難民対策室長さんがおいででしたら伺いたいのは、私たちも視察をさせていただきましたけれども、一日大人九百円、子供五百円というような予算でやっていらっしゃるわけですね。このことにつきましても、われわれも向こうで感じたわけですが、この程度でいいのじゃないか、あるいはこれは少ないというような点があるわけですけれども、果たしてこのままでいいのかどうか、その辺、担当していらっしゃる方からもうちょっと詳しくお伺いいたします。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 先生御指摘の点は、定住難民に対する定住センターにおける大人九百円、子供五百円というその額の問題かと思いますが、御承知のように政府でいまやっているインドシナ難民対策といたしましては二つのカテゴリーがございます。一つは御指摘の定住難民の援護対策、もう一つはいわゆるボートピープルという方々、つまり一時滞在、日本に定住を必ずしも希望しない、第三国に定住を希望して一時日本が庇護している、そういう方々でございます。  この九百、五百の額の根拠を説明いたしますと、この一時滞在難民の方々の保護は、UNHCRが、日本の一時滞在施設の経営主体、それは主として民間の宗教団体あるいは慈善団体、社会事業団体、一部政府が補助金を出している赤十字社もございます、そういう事業主体個々と契約をいたしまして運営しておりますが、その際の援助と申しますか、食費を主体とした補助費、そういうものの額が大人九百円、子供五百円ということになっております。定住センターの運営は、政府の事業としてアジア福祉教育財団に委託しまして運営しているわけでございますが、UNHCRの事業のその額を範といたしましてこれを採用しているわけでございます。根拠はそのとおりでございます。  実情は、いろいろ評価があり得ると存じます。たとえばもう少し食費その他をふやした方がよろしいという御意見も多数寄せられております。また、現実的に諸外国の同様な施設と比較いたしまして大体妥当ではないかという評価も得ておるわけでございます。これは政府の事業として行っておりまして予算措置という面もございますので、可能な限り改善には努力したいと考えておりますが、現状において特に差し支えがあるとか、重大な問題の原因となるというような状況ではないと判断しております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 重大な差し支えはない、改善するとはどういうことなのか。やはりこの程度でいいということでもないし、改善、それはいろいろあるでしょうけれども、やはりこれは改善できれば改善していきたいということではないかと思うわけであります。  そこで、同じくお伺いしたいのですけれども、一時滞在難民の方は相当いらっしゃるということですが、わが国に滞在していらっしゃる方は期間として、どれぐらい長らくいらっしゃるのか、その辺、ちょっとお伺いします。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 一時滞在難民の滞在の期間でございますが、先生御指摘のとおりやや長期化の傾向が見受けられまして、これは長期的な対策として頭を痛めておるところでございます。  統計的なことをちょっと申し上げますと、一番長い例は一件ございまして、昭和五十二年に上陸しておりますのでもう四年になります。それに次ぐ五十三年に入国した方々は八十九名、そういう統計的な事実がございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 五十二年に日本に来られた方々、五十三年に来られた方々、いま五十六年ですから、三年ないし四年ということになるわけですね。長期化の傾向にあるというお話があったわけですが、それはどういう理由でそういう傾向にあるのか、その辺をお伺いいたします。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 初めに統計的な数字を申し上げますと、たとえば五十二年入国者数八百三十三名、同年に出国した方々五百六十一名、それでその年間で最大収容者数というのは八百名ほどでございます。五十三年になりますと、七百十二名、五百九十三名、六百四十七名。ところが、五十四年になりますと、千百六十五名、五百二十二名、つまり最大収容者数はその年間で千三百三十七名。五十五年、昨年でございますが、千二百七十八名入られまして、六百三十七名出国されました。それで、五十五年末の状況は千八百九十八名、現在存在する一時滞在難民の方々の収容施設の収容能力をほとんど満たす人数に達しております。  このように、統計的に説明いたしますと、入国者数と出国者数の間のギャップがだんだんに広がっているということでございます。  それから、それではどうしてこういう現象が生じているかと申しますと、まさに一時滞在難民に対する対策の問題の核心をなす問題がございます。それは、一時滞在難民という方々は日本に定住を希望されないということがまず一つの大きな特徴でございます。そして特定の第三国にぜひ日本から行ってそこに定住したい。その中には、大多数がアメリカ、それからオーストラリアとかカナダとか、その他少数ながらヨーロッパという方々もおられます。ところが、アメリカにいたしましても、オーストラリアにいたしましても、そのほかの国々にいたしましても、おのおの独自のシーリングと申しますか、定住許可枠と申しますか、そういう数量的な制限も持っておりますし、また質的に定住条件を具体的に決めて制限しているという状況がございます。したがって、そういう方々の希望が日本以外の第三国の受け入れの条件及び枠内に合理的な時間内に一致するという保証はどこにもございません。そういうことが、日本における滞在が非常に長くなっている、長期化の現象が見受けられると申し上げた理由でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 わが国としては定住枠三千名という枠を一応設定しているわけでありますが、いまのお話から考えますときに、この三千名という枠、その辺の見通し、あるいは超していくのか、その辺でとまるのか、実際にやっていらっしゃる立場としてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 この定住枠を、四月二十八日の閣議了解に基づきまして三千名にふやしました。その前の数字は千名でございますが、これは一見三倍増に見えますけれども、一つ特別な事情がございまして、つまり算定方式を若干変えました。  その変えましたということは二つポイントがございまして、一つは、インドシナ難民対策が発足した時点において別の理由によってすでに日本に滞在されていた方々、たとえば留学生、研修生その他の方々が、インドシナ難民と同じ理由によって本国に帰るわけにはいかなくなったという方々がございます。その方々をその時点において横並び、公平の見地から特別の滞在許可を与えたわけでございます。つまり、難民と同じ理念に基づいて長期滞在の資格を得たわけでございます。こういう方々は七百四十二名おられるわけですが、この方々をインドシナ難民の定住枠に数えるべきか、あるいは別にすべきかということで幾らか議論がございましたけれども、一つは同じ理念による救済であるということと、もう一つは国際的な比較を申しますと、いろいろな主要国の取り扱いを調べてみますとすべて同様に算入しているのが大勢であることがわかりましたので、この際そういう方々も算入する、つまり実績として七百四十二名をこの時点で加えたわけでございます。  それから第二のポイントは、いまUNHCRの肝いりで主要国が、その中にわが国もございますけれども、ベトナム政府との間で合法的に出国を許可することにして、難民として引き受けるという交渉が進んでいると承知しております。そういう方々も、もし日本に参りましたならばこのインドシナ難民の定住枠に算入する、こういう二つの了解がございます。ちなみに、第二の点はいまだに実績がございません。これからの問題でございます。  いずれにせよ、従来のインドシナ難民、新たに定住許可を与えて日本に来られた方々の数と、−先ほどの留学生その他の方々を加えて約千四百名ぐらいになります。つまり、倍増ちょっとというのが三千名の実情でございます。  それでは、千五百とか千六百名という方々、新しく定住を許可して、これから日本に入ってこられるわけですけれども、それはどういう見通しでどういうふうに具体的に対処するのかという御質問だと思いますが、先ほどから御説明申し上げましたように、現在アジア福祉教育財団に委嘱をして運営している定住センターというものが全国に二つあります。その規模はそう大きいものではございません。ちょっと統計的なことを申し上げますと、実効定員として姫路が九十名、大和が百二十五名、合計二百十五名が実際上の収容能力でございます。この範囲内で三カ月の日本語の教習、それから約三カ月の範囲内で就職をあっせんする。これは実績において、速やかに就職が決まり、六カ月以内に出ていかれる方もございます。しかし、いままでの実績によりますと、ほぼその六カ月の期間で就職が実現しております。そういうことで、大体六カ月の周期で二百数十名の実効定員を運営するということでございます。そうして、この施設を拡大する、あるいは新しい施設をつくるというアイデアはございますけれども、いろいろな制約がございまして、いまだ見通しを得ておりません。したがって、非常に現実的に申し上げれば、現行の事業規模、現行の予算規模でこれを運営し、三千にふえた枠を何とか消化していかなければならないというのが現実的な見通しでございます。  ただ一つつけ加えますと、定住を許可されたインドシナ難民は必ず定住センターに入らなければならないという仕組みではございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 三千名の定住枠、これもよくわからないのですね。そういう政策決定なんでしょうけれども、二千名ではどうなのか、三千名ではどうなのか、あるいは四千名ではどうなのか。その三千名の基準というのは何かあるのですか。いまお話を伺っていますと、何か収容能力との関係等、これは二カ所でわずか二百十数名、三千名全部が入るというわけではないという話でありますけれども、その辺ちょっと御説明いただければと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  一つは枠というものの考え方なんでございますが、シーリング、天井と申しますか、そういうことではございません。現実的なめどということでございます。したがって、従来五百から出発しまして、その五百を現実的に柔軟に運営するというような閣議了解がございますし、その後に千名という閣議了解がございまして、それから今回の三千、これは一応のめどということで、実績によって三千に非常に接近したならば当然次の現実的な数字はどうかという問題意識で対処する考えでございます。ですから、この数字はあくまでも現実的な政策の一応のめどと考えておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 先ほどもお伺いしましたけれども、いま色摩難民対策事務局長さんのお話で、三千名という定住枠の設定、それに追いつかない収容能力の問題、また、先ほどもちょっとニュージーランドの例を引きましたが、受け入れてどう地域社会にという体制がどうもわが国はお寒いような状況等があるわけですが、何か御所見がありますれば伺いたいのです。定住センターから出まして本当に日本社会の中に難民の方々が溶け込んでいけるような体制、政府として当然何らかの措置をとるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  確かに先生のいまの御指摘は、難民行政と申しますか、広く言って日本の社会全般が受けとめなければならない難民問題の根幹に触れる問題かと存じます。  まず第一に、中央政府が直接の事業として定住を許可した方々に国語の教育をし、わが国の場合には日本語の教育をし、就職のあっせんをしという形で事業を運営している国は、私の知る限りございません。これはまさにわが国の社会の特異性が非常に如実に、象徴的に出ている現象ではないかと思います。  それはどういうことかといいますと、難民問題について十分の歴史と経験を持っている国々、たとえばヨーロッパ諸国、アメリカ、あるいは私、詳しく存じませんが、ニュージーランドやカナダやオーストラリアもそうだと思います。そういう国々は、中央政府が難民という理由で入国を許可し、所定の滞在資格を与えれば、その方々はどういう過程を経て当該社会に溶け込むかと申しますと、地域社会を結びつけるものはボランティアとか慈善団体、宗教団体、そういう自発的な団体も一もちろん介在するわけでございますが、地域社会が直にこれを受けとめまして所要の援護措置を行い、その後は地域社会の一員として当然に見なされる、大衆レベル、国民レベルでその点について疑いのないという国々でございます。  残念ながらわが国はそうでございませんので、少なくとも難民として入ってこられた方々、この場合はインドシナ難民でございますけれども、そういうメカニズムを期待しても現実的には無理でございますから、政府といたしまして定住センターというメカニズムを運営しているわけでございます。  それで、この定住センターという一つの典型的な範例、模範例ではないかもしれませんけれども、そういうものとしていろいろな形で日本の社会にイニシアチブが起これば、これは画期的に改善される問題かと思っております。そういう意味で政府の施策は、難民条約に対する加入、それに伴う国内法の整備によって制度的には完備されまして、制度としての難民行政がこれから発足するわけでございますけれども、問題はそれにとどまらず、それが日本の社会において最終的には、受け入れる、同化する、定着するということに関していろいろな障害がなくなることを期待しているわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題は大変むずかしい問題で、難民の方々に対して過保護になりましてもまた大変まずいわけでございます。本当にスムーズな形で日本社会の中で生活ができる体制をつくり上げるのには、もちろん民間団体もそうですが、政府も相当力を入れてやっていただかなければならない。  といいますのは、沖繩県の場合、ボートピープルの方々がときどきいらっしゃるわけですが、そういうことも関連がありまして、難民の方々には沖繩の西表島というところで農業関係にタッチしてもらおうじゃないかという構想が県の方から出たのですが、やはり地域社会から猛烈な反発が出ました。果たしてそういう方々が西表島で本当に農業をやっていくのかどうか、恐らくしばらくして全部沖繩本島、那覇の方、あるいは本土の方に来るのじゃないかとかいろいろなことがあって、これは非常にむずかしい問題だなという感じもしたわけであります。  大臣、これはひとつ要望でございますが、これは受け入れるだけでなくて、受け入れた後でそういう方々をどのような形で——いま色摩さんの御説明があったわけでありますけれども、それこそ政府も相当力を入れていただかないとこの問題はうまくいかないのじゃないかという感じがするわけであります。  それから次に、法務省の方に伺いたいのですが、流民の問題です。  この間、本委員会でも参考人の方々においでいただきまして、この流民の問題について種々の御意見を承ったわけでありますが、言われているこの流民ということについて、法務省としてはどのようなとらえ方をしていらっしゃるのか、その点をお伺いいたします。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 流民という用語は多義的でありまして、これを明確に定義することは困難であろうと思われます。ただ、最近マスコミ等でどういう使われ方をしておるかと申しますと、それは、かつてインドシナ三国に生活歴を有していた者で、インドシナ三国の政変前後のころに脱出いたしまして、そうして第三国、これは台湾が多いようでありますが、そういう第三国に落ちつき、そこでしばらく在留を認められた後、その国の旅券により観光の資格でわが国に入国した、そしてその在留期間を超えて不法残留している者を呼んでいることが多いようであります。  しかし、このインドシナ三国での生活歴を有するかどうかということは、事柄の性質としまして不法残留の摘発後の調査により初めてわかることでありますので、その数とか生活実態というものは必ずしも確実につかんでおるわけではありません。  ただ、これまで摘発いたしましたインドシナ三国に生活歴を有したいわゆる不法残留者、これを推計いたしますと、現在約百二十名ほどおるのではないかと考えております。そのほとんどは飲食店、それに類するものの店の従業員として働いておるということのようであります。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この条約に基づく難民の認定は法務大臣がなさるわけですね。ですから、インドシナ難民の方々、あるいはいま流民と呼ばれている方々についての難民としての認定はいろいろなことがあると思うのですが、そういう方々を含めて法務省として何らかの保護をすべきだというような考え方、これは新聞ではちょっと見たのですが、その点はどういうお考えを持っていらっしゃるのですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 いまも御説明を申し上げましたとおりに、第三国から旅券の発給を受けておるという人たちは、難民条約で言う難民から外れておるわけであります。これは解釈上外れておるということではなくて、難民条約の明文から外れてくるわけであります。したがいまして、こういう人たちを難民だと言うわけにはいかないと考えます。ただし、インドシナ三国の政変を機会にその国を脱出したという事情につきましては、人道的に配慮しなければならない問題であると考えておるわけでありまして、台湾等第三国の旅券を取得しておる者でありましても、ケース・バイ・ケースで在留特別許可を与えることといたしております。  その基準的なものを申し上げますならば、たとえば日本人あるいは正規在留しておる外国人と親族関係にある者、これは日本人なり正規在留外国人と結婚したというような場合が一番多いかと思われます。それから、本人は保護国がありましても、両親とか兄弟等が現に第三国の難民キャンプに収容されておりまして、本人も安心して暮らせる国としては行く先がないのではないかと思われるような事案、その他特例的に在留許可すべきものと認められる者については、在留特別許可を認める方針であります。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 法務省の方に重ねて伺いたいのですが、この辺がいろいろ問題になってくるわけでありまして、難民条約の一条のAに言う「「難民」とは、」という定義、これはいかようにも解釈できると思うのですけれども、本当にこのとおりの解釈ということで認定を厳しくやっていきますと——それこそこの難民条約を締結しようという直接的なきっかけというものは、インドシナ難民の大量発生ということにあったわけでありまして、その辺をできるだけ幅広く救済してあげる、いまもちょっと、行く先がないというようなお話もあったわけですが、帰る先がないということですね、そういう点は流民と言われている方々の中にも、本当にその気になってやれば救済措置が講じられるものもあるのではないかと思うわけであります。  もちろん法治国でありますから、何でもかでもめちゃくちゃにというわけにはいかぬことは百も承知の上でありますけれども、その点はできるだけこの条約締結をきっかけとしてそういう方々の救済措置をとっていただきたい、このことを要望申し上げておくわけであります。  そこで、時間もございませんので、この条約の三十三条、「追放及び送還の禁止」、難民としてこの条約に入らないいわゆるインドシナ難民の方々が出てくるわけでありますから、そういう方々についても人道的な立場からこういう措置も講じられるケースは当然出てくるのではないかということは考えられるわけでありますが、その点はいかがですか。いわゆる条約外のインドシナ難民の方々は、この三十三条に準ずる扱いができるのかできないのか、その辺、いかがですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 先生が御心配される点はごもっともだとは思いますが、いまの出入国管理令では、難民であると難民でないとにかかわらず、したがいまして難民の認定を受けられないインドシナ難民でありましても退去強制事由は同じでございます。また、たとえその退去強制事由に該当してやむを得ず国外退去を受ける場合でありましても、人種、宗教、国籍あるいは政治的信条のゆえをもって迫害を受けるおそれがある国へ送還しないということ、これも共通でございます。そういう意味におきましては難民であるとないとで一切差異はございませんので、御懸念はないかと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 時間が参りましたが、最後に、これは大臣にお伺いしておきたいのですが、大量にこういう難民が発生する、アフリカとかそういうところは飢餓状態というようないろいろな問題があるわけです。インドシナ難民につきましてはるる御説明はあったわけでありますが、問題は、その根本的な解決というのはそういう難民が出ないような措置を講ずることだ、いわゆる無秩序な流出というものを根源から直さなければこの問題の根本的な解決にはならないというような大臣の御所見もあったわけであります。そういうことについて、先ほどもお話があったのですが、何か具体的に、これまでもされておられるけれども今後もそういう対策あるいは具体的な行動というものをわが国としてとっていかなければならないと思うわけでありますが、その辺いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見のとおりに、たとえばインドシナの難民の問題はカンボジアを中心にする国際会議を提唱しておりまして、七月にはこれが開かれる予定になっておりますが、関係のベトナム、ソ連等が入らないということでがたがたやっておるようでありますが、私は、それが最終の解決をするのには全部入るのが当然でありますけれども、入らなくてもASEANや関係諸国が寄って国連で会議をして、国際的影響を一歩一歩築くことの努力をしたい。アフリカの方は主として英国を初めヨーロッパの諸国が関係あるわけでありますから、絶えずこれと連携をし話し合って、協力すべき点は具体的な協力をする所存でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いよいよ最後に、大臣に重ねて伺いたいのでありますが、せっかく期待されておる非常に重要な条約でございまして、大臣とされても懸案のいろいろな社会保障、いわゆる内国民待遇の原則をどう貫くかということで御努力をされて、やっと日の目を見ようということでありますが、この条約が本当に期待されているように血の通ったそういう状態になるというのは、やはり今後の運用の問題ではないかと思うわけであります。法務大臣の裁量ということにこの難民の扱いがなってくるわけでありますが、当然外務大臣とされても、いろいろなケースによっては法務大臣と調整あるいは合い議、御意見もされるべきではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 関係各省、特に法務省では、認定の問題、それから難民、流民の問題、具体的な取り扱いの問題等がありますが、これについては非常に前向きの姿勢をもって理解を願っているところでありますが、今後とも特に厚生、法務、外務省、三者が一体になってまず運営、そして逐次できるものから国内法も整備していくということでやりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 終わります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 林保夫君。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 大事な難民条約の批准、いよいよそのときを迎えておるわけでございますが、いろいろな意味で非常に大事だと思います。したがいまして、この難民条約そのもの、そしてまたその基調的なものにつきまして大臣にひとつ聞いておきたいと思うのでございます。  大臣はかつて外務省を担当されまして、私の不勉強な中でも大変印象深い言葉を残しておられるのは、外交白書の前文にございます政治的な役割りあるいは影響力、日本外交に余りそういうことはなかったのです、それを前にびしっと書いておられまして、私は反対じゃなくてむしろそれをやるべきだ、こういう立場をとっておるわけでございます。  そういう大臣の立場からお伺いしたいのでございますが、今度の難民条約の批准、その前にもちろん国連でも、そしてまた東京サミットあるいはベネチア・サミットでもいろいろな声明が出されて、これは何とかしなければならぬ、こういうことでございました。これを考えてみますと、ただ単にいわゆる人道上の問題だけじゃないと思うのです。平和の構築といいますか、安全をお互い各国がキープしていく、このことのためにもこの難民というのは大事な問題だろう、重大な国際的な政治問題、あるいは戦略の問題と言ってもいいかとも思いますが、大臣はどのような御認識を持っておられますか、まずその点を承らせていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 難民問題は、御発言のとおりに単なる人道上の問題じゃなくて、すでにそれは大きな政治上の課題となってきておりますし、それが結局はその地域の平和と安定に非常に影響してきております。この問題を解決するについても、その地域の平和と安定を解決しなければ難民の流出はなかなか減らないわけでありまして、一方、またそれに対応してこれを考えに置きながら人道上の問題として処理していく、この二つの面からでありまして、これは単に一国の問題ではなくて、御発言のとおりまさに国際的な重要課題であると考えております。  これについては幸い各国ともそういう方向に理解を示してまいりまして、当初東京サミットでこの問題を出しましたのはASEANの国々の一致した意見に従って日本は出したわけでありまして、それがことしの七月に予定されておるカンボジアを中心にした国際会議にかかってきておるわけであります。かつまた、ジュネーブの国際会議等もこれに端を発したわけでありまして、難民問題を解決するということは単に難民問題だけではなくて、経済事情、あるいは政治的な紛争、あるいは武力の混乱、こういうすべてを国際的な力で解決するということでありますから、まさにこれは具体的に国際的な重要課題であり、これを解決するについても国際的に各国が力を合わせてやらなければ解決できない問題であると、私も先生のとおりに解釈をいたしております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 同感でございますが、もう一つ大臣、日本は言うまでもなく単一民族、鎖国的といいますか、閉鎖的な社会を持っておりました。したがいまして、この難民条約を批准することによって外国人を受け入れる。そうなりますと、有史以来といいますか、明治の近代国家形成以来、考えてみると初めてでございます。これは単なる貿易の自由化とはやはり違うと思います。その辺を、今日政治を担当される大臣といたしまして、子々孫々に残る問題をきょうやっておる、大変大事なことのように理解しておりますが、そういう日本のいままでの固有の立場、しかしなお先ほどおっしゃられましたような国際的な、日本が果たさなければならぬ役割り、両面あろうかと思いますが、大臣は今度の難民条約の批准を、日本人の立場と言ってもよろしゅうございますし、日本の立場からどういうふうにお受けとめになっておりますか、御認識を伺わせていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 難民問題では、日本は立ちおくれというか、孤立をした感じがありまして、各国から非常に非難を受けたことは先生よく御承知のとおりでございます。それは、一つは国内的に人種の差別というものが感情的に残っておったばかりでなく、法律体系もそういうことから出てきているわけでありまして、したがいまして、国内法のすべてにそういう問題が残っているわけでありまして、これを直すのはなかなか大変な難事業であると考えております。  しかし、難民に対する処理、これの受け入れという問題は、そういう国内の根本的な問題からお力をかりつつ、一つずつ積み重ねて解決していかなければならぬということが一つ。もう一つは、国際的に日本も各国と同じように足並みをそろえて、それ以上に資金の問題あるいは政治的な問題で難民が流出してくる根源に対して平和と難民流出の抑制をするということに尽力をするとともに、かつまた、その地域の人々と一緒になって武力紛争、圧制、人種の差別、こういうものに対するその地域の問題を解決する、この二つのことが一番大事であると考えておりますので、非常にむずかしい問題でありますが、今後とも具体的に一つずつ解決をしてまいる所存でございます。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 大臣に、一言で言いますとちょっと語弊を生むのでございますけれども、そう言った方がわかりいいから申し上げたいと思いますが、大臣、日本人社会でなじむでしょうか、どうでしょうか、どういう御所見をお持ちでございましょうか、いろいろな努力が必要なのかもしれませんが。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 正直に言って、たとえばいまのカンボジアを中心にしたインドシナ半島の難民の方々は、どうも日本に定着することを最初から余り希望されない。それで来られてもなかなかなじみにくいという点があることはわれわれは十分反省して考えなければならぬ、残念ではありますが、いまのところは何となしにそういうものがある。また、具体的にも言葉、生活環境、それから働かれる場所、こういう問題でいまのままではなかなか日本は住みにくい、やはり来られる方は全部アメリカだとかカナダだとかそういうところに行こうとなさるということはわれわれは忘れてはならぬ。ただ、なじまれないからいいのだということじゃなくて、やはり国際人というか、国際的な、日本国としてなじまれるような環境をつくる、そして先進国と一緒に堂々と肩を並べていくということに何とかしたいものだと考えておるわけでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 逆に言うと、日本人もいろんな形で大ぜい出ていっております。そうすると、向こうから来られた人を教育するのではなくて、お互い日本人が教育されなければならないという問題もやはり根底にあろうかと思います。そういった意味での御努力はぜひお互いにやらなければならぬ課題だろうと思いますので、せっかく大臣にひとつその辺も含めましてよろしくお願いしておきたいと思います。  さて、大臣、先ほどもおっしゃっておられましたように、問題の解決にはどうしても流出を抑制していかなければならぬ、こういうことでございますが、これは後にいたしまして、まず一つ事務当局からお答えいただきたいのでございますが、現在、地球上と言っていいと思いますが、難民はどういう状況にあるのでございましょうか。いろいろ調べれば調べるほど、あちこちから出てきておると思います。現況を御報告いただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 お答えいたします。  国連の難民高等弁務官事務所の資料でございますが、現在の世界の難民総数約一千万人、内訳は大別いたしましてアフリカ五百万、アジア二百二十万、欧州五十万、北米百万、中米二十万、南米八十万ということでございます。  難民流出の原因は地域ごとに違いますけれども、一般にいわゆる紛争、圧制、人種差別、経済的圧迫等が挙げられると存じます。  アジアでは、わが国に最もかかわりのあるのはインドシナ難民でございますが、米国等への定住が進捗し、また、わが国を初めといたしますところの国際社会からの多大な援助もございまして、かつて存在いたしましたような危機的な状態というものは一応脱したとも言えるわけでございますが、依然として東南アジア諸国には毎月約一万人のペースで難民流入が続いておるということも否定し得ない事実でございます。  一方、アフガン難民のパキスタンへの流入というのは、昨年春は六十八万人前後でございましたが、現在では約三倍にふえておるわけでございまして、またアフリカ大陸では、最近ではエチオピアの紛争、チャドの紛争あるいは干ばつ等によりまして、推計五百万の難民が飢餓に苦しんでいると言われております。  その他、ラ米ではキューバ難民が昨年度約十二万人に上っております。またエルサルバドル、ニカラグア等におきましても、同国の政情不安等に基づきます難民問題が緊急性を増しておると考えております。  その他、これは林委員も御存じのとおりのことでございますが、国連難民高等弁務官事務所の管轄いたします難民とは別個に、イスラエルの建国が一九四八年に行われました際、それから六七年の中東戦争の際に生じました百八十四万人のいわゆるパレスチナ難民がおるわけでございますが、これが近東におけるパレスチナ難民のための国連救済事業機関としてUNRWAというのがお耳になじんでおると存じますが、この事業機関に登録されております難民の動向が、中東情勢に対して大きな影響を持っておるということは御高承のとおりであります。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 ありがとうございました。  大変な数でもございますし、危機的な状況はいま脱したという御報告でございましたけれども、まさに国際的な重要な政治問題だと思われます。したがいまして、承りたいのでございますが、先ほど大臣も根源をどのようにして抑えるかということについてもお考えがあるやに承っておりましたけれども、なお原因といたしまして紛争がある、そしてまた、いわゆる圧制、政治上の圧迫、経済的な理由、いろいろあるということでございますが、この中で、お互いよその国のことでございますので、手のつけられるところとまたつけられないところがございます。しかし、いずれにしても人間のやっておることでございますので、その局面についてはあらゆる外交的な努力あるいは政治的な影響力を行使してもやっていただかなければならぬ。それはまさに措置といいますか、制裁も含めてやるぐらいのことでないと根源が直らないと思いますので、どういう処方せんを大臣はお考えになっておられますか、もう一度教えていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 具体的に申し上げることはなかなか困難でございますが、しかし、先生に理解していただけるのは、難民問題、特にインドシナ半島の問題はやはり東西問題と南北問題が複雑に絡んでおる、こういうことが一番大きな問題だと思いますので、この東西問題、南北問題を関係諸国と話し合いながら、またややもすれば対立しようとする国々とも話し合っていく、こういうところに解決の道があると私は考えて努力をしているところでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 これはまた事務当局にお聞きした方がいいと思うのでございますが、先ほどおっしゃいましたように一千万に上る難民が世界各地で出ておるわけです。そのうちで日本に来そうな人、まだ来てないかもしれませんけれども、どういう地域の人たちがいるのでございましょうか。むずかしいと思いますけれども、ひとつ見通しを承りたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 申すまでもないことでございますが、インドシナ難民に対してわが国が最もかかわり合いが多いわけでございます。今回の難民条約は、条約として申し上げますと国外におる難民を引き取るという義務を持たしている条約ではございません。そういう意味で、わが国が難民条約に基づいて特定地域の難民についてこれを受け入れる義務を生ずるものではございませんが、今後の各地域紛争あるいは事変その他の展開のぐあいによりましては、インドシナ以外の地域からの難民の流入というものは当然予想しなければならないわけでございまして、そのためにもこの難民条約による人権の付与その他の周到な規定を運用するということの意義があるわけでございますから、どこそこという推測を特にいたしておりませんけれども、もちろん難民として来られる方については難民条約上の保護を与えるという姿勢で今後とも難民条約の運用に遺憾なきを期するというのがわれわれの基本的な考え方だと思います。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 そこで、今度難民条約の批准になるわけでございますが、これら多発している難民の保護、救済という視点から見まして、現在このほかにも国際的な取り決めや条約などがあると思うのでございますが、これで必ずしも十分じゃないと思います。先ほど来議論になっておりますように、インドシナの流民そのものもやはり今度は拾うのではございますけれども、条約上は拾えないというような感じも聞いておりますが、国際的にはこれからどういう対応が求められなければならぬのでございましょうか、その点、承らせていただきたい。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 難民条約の加盟国は、難民議定書の加盟国としては七十九カ国ということでございまして、世界の国の数から申しますと、いまのところは先進国が日本を含めまして大部分、さらにアジアの諸国を除きますいわば開発途上国、中南米諸国というものが加入しておるわけでございますが、数的にはさらに数十カ国の加盟があってもしかるべき条約であると存じます。そういう意味におきましては今後とも難民条約がさらに広範な範囲で加盟されるという状態が出てくることが期待されるわけでございます。  それから同時に、難民流出の原因を抑えるという点につきましてはすでに御答弁があったわけでございまするけれども、これは何と申しましても国際的な協力の枠組みでこれができるかできないかということを考えていくことが重要と思います。その点では、昨年の国連総会に日本等も協力いたしまして、一応西ドイツの名前になっておりますけれども、関係国が集まりまして難民の流出原因を糾弾する決議案、並びに単に糾弾のみではなくて関係各国から難民流出の原因その他についてのデータを集めまして、そういったものを分析して今後どういう措置がとれるかということを、国連の枠内で、今次国連総会において議論をするということになっておりますけれども、そういった事例も今後の一つの国際的な規模における難民対策ということが言えるかと思っております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 やっと国際的に難民についての発言ができる場ができるわけでございますので、ひとつせっかくの御努力をお願いしたいと思うのでございます。  今回難民条約批准に当たりまして、五つか六つの法律改正あるいは法体系の整備ができると思うのでございます。法務省の方に承りたいのでございますが、その具体的な名前、それからもう一つはそれの裏づけといたしましてやはり予算もあろうかと思いますので、どの程度の予算を組んで難民の受け入れをなさるのか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 今回の関係法律の整備に関する法律案で改正しようとする国内法は五つでございまして、出入国管理令、国民年金法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当等の支給に関する法律、それに児童手当法でございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 予算措置をどのようにとっておられますか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 この五本の法律のうち、われわれ法務省が所管しておりますのは出入国管理令でございます。この分については予算措置はとっておりません。なお、残り四本、厚生省関係の分につきましては、われわれではわかっておりません。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 大臣にこれは注文だけで結構ですが、何か聞きますと余り準備がしっかりできていないような話も実はいろいろと情報で聞いておりますのであえて聞いたわけでございますが、しっかりした対応をそれなりにとってくださいますようにお願いしたいと思います。大臣、御担当でございましたですね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 数字は覚えておりませんが、厚生省関係の年金、児童手当法その他国籍要件を撤廃するということについては、それに必要な財源は財務当局と話し合って法律の改正をやったわけであります。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 条約の中身に少し入らせていただきたいと思います。  第一条の難民の定義でございますが、今回この条約を勉強させていただく間にたくさんの言葉が出てまいりました。条約難民とかあっせん難民という言葉、それからまた政治難民、政治亡命、あるいは流民、さらには経済難民。この条約上の定義でなくて、難民の定義を一体どのように考えておられるのでございましょうか。かつての御答弁では、国際法上必ずしもしっかりしたものがないのだ、こういうことでございましたが、どういう状況にありますのか、御説明をお願いしたいと思います。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 ただいま林先生おっしゃいましたとおり、難民と申しますのは御案内のとおり英語のレフュジーという言葉の訳でございますが、そもそも国際法上レフュジーとは何かということについて厳密な定義、法律的な定義が存在するわけではございません。先ほど先生が過去におきます政府答弁に言及されましたが、その際に政府としましてこういうふうに考えておるということを申し上げました、その際にも、一般国際法上確立  された定義がございません、ただ、レフュジーとは、通常は広く戦争、内乱、自然災害等により、あるいは政治上、宗教上等の理由による迫害の危険を逃れるために、本国や本来の居住地を離れ、  これらの国による保護を受けることができないか、また受けることを望まない人々を総括的に指すというふうに考えておりますという御答弁を申し上げた経緯がございますが、現在でもこのように考えております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 政治亡命者、政治難民、これとはどういうふうな仕分けをしておられますか。

栗山尚一外務大臣官房審議官

○栗山政府委員 その際にも御説明いたしたところでございますが、日本語で難民と申します場合、あるいは亡命者と申します場合も、その対象になるものが違うというわけでは必ずしもございませんで、通常、難民と申します場合には、受け入れた者についていかなる待遇あるいは保護を与えるかという待遇、保護の観点に着目いたしまして論ずる場合には難民という言葉を使い、そもそもそういう迫害を逃れて第三国の庇護を求める、あるいはそのある国の領域にその者を受け入れるという庇護の観点に着目して論ずる場合には亡命者という言葉を使うということで、そのこと自体に先ほど申し上げました以上の明確な区別があるというわけではございません。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 先ほども承りましたけれども、大変たくさんの難民が発生している。この条約によりますと、一九五一年一月一日以前の事件、こういうことになっておりますが、いま発生している難民の主な事件ということになりますと、大体どういう事件があったのでございましょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 先ほど五十一年一月一日というお話でございまして、これが難民条約のカバーする時間的な期限になっておりますが、その後、議定書がございまして、この期限はすでになくなったというふうに御理解をいただいて結構と存じます。  難民を生ぜしめた事件で一九五一年前後ということになりますと、これは枚挙にいとまのないようなことでございますが、一九四九年に東西ドイツが分割をいたしました際に約百万人の難民が流出しておるということがございます。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、イスラエル建国をめぐるパレスチナ、アラブ難民が発生したのが四八年でございます。五〇年には朝鮮動乱の事例もございます。五四年にはアルジェリアの独立戦争というような事例もございますし、五六年にはハンガリー動乱の結果二十万人のハンガリー人がオーストリア等に流出したということもございます。  それから五四年には、インドシナ停戦後、ベトナムが南北に分離いたしましたための北から南への難民の流出がございますし、バングラデシュの独立が七一年、千万人が旧パキスタンの一部でございましたバングラデシュからインドのベンガルに流出したというような事例がございます。最近では、先ほど申しました七七年のエチオピア付近のオガデンの紛争等、その事例につきましては全部申し上げるわけにはまいりませんけれども、一部の例として御理解をいただきたいと思います。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 ありがとうございました。それを資料としていただけますでしょうか。重立ったところを原因別に分析しまして、ぜひその原因のもとをふさいでいただかなければならぬ、こういうことで、お差し支えなければちょうだいしたいのですが。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 資料がございますので、お届けいたします。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 もう一つ。時間が限られていてあれなんでございますが、ここに「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがある」、こういうことであります。人種、宗教、国籍あるいは政治的理由とかいろいろありますが、大体感じとしてどんなところが発生としては多うございましょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 お答えいたします。  一条の定義でございますけれども、限定的定義になっておりますが、これは人種、国籍、宗教及び政治的意見ということが主体になっておりますが、実際に迫害を生じ、迫害のおそれを生じておる原因はどのケースが該当するかということは、正直に申し上げましてケース・バイ・ケースという判断で対応しております。どのケースが特に多いということについては、わが国としては今後この認定作業を始めますので今後の問題でございますが、この点はちょっと予断をしかねると考えております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 第一条のCの(5)に、「難民であると認められる根拠となった事由が消滅したため、」というところがございますが、過去の例で、日本は関係ございませんでしょうけれども、事由が消滅したという認定が国際的にどこかあったのでございましょうか、あるいはこれからそういうことが出てくることが予想されるのでございましょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 難民の認定が一たび行われましたにもかかわらず難民の地位が終了するというケースを条約は列挙しております。これは常識的な考え方でございまして、御承知のように難民の概念が、迫害があるがゆえに国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者、または受けることを望まない者という規定ぶりになっております。したがいまして、難民の地位が終止するというケースはどういうものであるかということになりますと、難民が任意に本人の自由意思で国籍国または新たな国籍国の保護を受けているような場合や、喪失していた国籍を任意に回復したというような場合には難民たる要件を終止することになるわけでございます。また、逃れてきた従来の定住国に任意に再び居住するという場合にも難民たる地位を終止するわけでございます。  そういうようなことでございまして、この規定は難民条約において必要な規定でございますとともに、常識的に難民の地位の終止のケースを列挙したものでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 法務省にお伺いしたいのでございますが、第一条のFのところで「この条約は、次のいずれかに該当すると考えられる相当な理由がある者については、適用しない。」ということで、(a)、(b)、(c)とございます。第二次大戦の結果のあれとか、保護に値しないというような考え方だというふうにも承っておりますが、日本の場合はこのほかにつけ加えるべき出入国管理法上の問題とか、何かほかにございますでしょうか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 条約第一条Fの関係では、難民の定義にFを持ってきておりまして、それ以外にはつけ加えておりません。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 説明資料の中にもございましたけれども、改めまして、いわゆる難民に対する待遇でございます。いろいろございますけれども、一括して、最恵国待遇するもの、内国民待遇するもの、「できる限り、有利」で「いかなる場合にも、同一の事情の下で一般に外国人に対して与える待遇よりも不利でない待遇を与える。」というふうに出ておりますが、それを列挙していただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 内国民待遇は、四条「宗教」、十六条「裁判を受ける権利」、二十条「配給」、二十二条「公の教育」の初等教育、二十三条「公的扶助」、二十四条「労働法制及び社会保障」、二十九条「公租公課」でございます。  最恵国待遇は、十五条の「結社の権利」、十七条の「賃金が支払われる職業」。  できる限り有利な待遇で、いかなる場合にも同一事情のもとで一般に外国人に与えられるよりも不利でない待遇が、十三条「動産及び不動産」、十八条「自営業」、二十一条「住居」、二十二条「公の教育」の高等教育。  それから、常に居所を有する国民と同一の待遇ということで、十四条の「著作権及び工業所有権」、十六条の「裁判を受ける権利」ということでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 ただいまの中で、動産及び不動産、やはりこれは投資できないものもあるかと思いますけれども、一般の外国人と同じようになっているのだと思いますが、どのようなものがあるかということ。  もう一つは、いわゆる公務員ですね。公務員にもいろいろございますけれども、職業の問題でございますが、それについてはどういうお考えをとられるのか。その二つを簡単に御説明いただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 第一の御質問の方は、制限がございますのは鉱業権、マイニングの方の鉱業権だけでございます。  難民は公務員になることができるかという御質問であろうかと思うのでございますが、これは従来から御答弁申し上げておりますけれども、一般職の国家公務員及び地方公務員への外国人の任用の問題と同じでございますので、その点で御説明を申し上げます。  公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするものと解すべきであり、他方において、それ以外の公務員となるためには日本国籍を必要としないものと解されるという内閣法制局の、これは昭和二十八年でございますか、見解が出ております。公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員であるかどうかという判断をする必要があるわけでございますが、これは個々具体的に当該官庁の職務内容を検討して決定すべきものでございまして、難民についても同様と考えておるわけでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 三十二条の「追放」と三十三条の「追放及び送還の禁止」を外しまして、三十四条でございますが、「帰化」の条項がございます。これは長期滞在から永住、そして帰化ということになるのでございますが、難民の場合の帰化の条件、大体どのような判断で許可されますでしょうか、法務省の方でひとつ。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 実は、言いわけがましいのですが、帰化の関係は私ども入管の関係ではございませんで、民事局の所管になるわけですが、せっかくのお尋ねでございますので、わかる範囲のことを御説明させていただきます。  国籍法というものがございまして、そこに帰化の要件というものが定められております。難民なり一般の外国人が帰化する、これは日本人と親族関係というようなものが一切ない場合について申し上げますならば、五年以上日本に住所を有すること、年齢が二十歳以上で本国法によって能力を有すること、素行が善良であること、独立生計を維持するに足る資産、技能があること、それから、国籍を有しないかあるいは国籍を有する者にあっては日本の国籍を取得することによってそのもとの国籍を失うこと、こういうようなことが要件になっております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 その具体的なケースはいま出ておりますか。流民の人でも結構です。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 具体的なケースは私、存じておりませんが、年間多数の帰化を認めておりますので、事例を探せば何か御参考になるものはあろうかと思います。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 時間が来ましたので、最後に大臣、先ほどおっしゃられましたように、東西南北のこの問題が難民問題に非常に大きなあれがかかっておりますが、そういった面での御努力を先ほどもお約束いただきましたのでそれで結構でございますが、いわゆる政治亡命者の保護の問題、これはいろいろと日本の特殊な立場そのほかございますけれども、これらにつきまして、大体これからどういうふうなお考えで対処していかれる所存でございましょうか。いろんな見方がございまして、この難民もそうでございますけれども、余り集団的に大ぜいの同じ考えの人がやってまいりますと、日本社会に影響を与えるというような状態が出てくる、こういう心配をしている向きもかなりございます。現に戦後、そういう心配されるような事例もあったのでございますが、そういう視点もとらえまして、これからどう対処していかれるのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いろいろ御意見を承りましてありがとうございました。  まず難民の受け入れの問題では、ここでひとつ政府自体が発想を転換する必要があると思います。カナダでは、日本と同じように定住枠が非常に少のうございました。ところが、二年前に急速に一年間で五万人引き受けて、なお幾らでも引き受けるというような発言がございました。そこで聞いてみると、いろいろ苦労した結果、いままで政府がやろうとしておったが、なかなか効果が上がらない、そこで地域団体、自治体、各種団体等とよく話し合って理解を求めて、その理解のもとに難民の受け入れの割り当てをしたところが、それがはしなくも競争みたいにブームを呼んで急に一挙に五万人出てきた、しかもその結果はきわめて良好である、こういう話で、日本でも、政府の中で機構がなかなか一本にならぬのに非常に事務当局が苦労してやっておられるが、自分たちの力でこの定住枠を広げようという、これは数字だけでありますので、実際問題は、各種の団体や地方自治体あるいは民間団体などと理解を求め相談をして、そして国民のこれに対する理解と協力を得て受け入れ体制をつくる、そして難民を受け入れるということではなくてそれぞれ難民の方々を地域社会づくりに協力を願うという点でいけば、もう少し違った方向でうまくいくのじゃないか、こう考えております。  なお、東西問題については、いまや国際情勢は先鋭化し、緊張の方にいっているところでありますが、こういうときこそ、これに対して危惧の念を持っている国が世界じゅうではうんと多いわけでありますから、こういう国々とよく話し合って具体的に意思を通じて、東西問題に対する問題を逐次先鋭から鈍化、対立から緩和というふうに持っていく最高の努力をすべき時期だと考えておりますので、そういうことで努力をいたします。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 決断したらしっかりやる、こういうことでひとつよろしくお願いしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございますが、きのうの連合審査に引き続いて、それぞれ皆さん方にお伺いをしたいと思います。  きのう政府の答弁を聞いておりましても、難民という問題について難民条約に加盟さえすればすべてが解決するとは考えられません。非常に重要な問題がさらに浮き彫りにされておるのではないだろうか、こう思うわけです。また、きのう出入国管理令の改正が法務委員会で通過をしたというように聞いておるわけですが、難民もさることながら、難民という言葉の中でいろいろと出ておりますところの流民だとか亡命者だとか、あるいはあっせん難民だとか、さまざまな取り扱いについて差異が出るのではないだろうかという考えが一つ出てまいりましたし、あるいは園田外務大臣御存じの、厚生省時代に私どもも何回か発言をさしていただいたわけですが、国民年金の取り扱いについて三十五歳以上の方々は除外されているという実態が残っておるわけでありますし、いわゆる経済の国際化ということもむずかしいことですけれども、人権の国際化というのはさらにむずかしいものがある、こう思うわけです。  そこで、私ども自身も、いわゆる平和ということ、あるいは生存権ということを憲法でもうたっておるわけですけれども、自国民だけの平和ではなくて全世界の国民の平和ということ、生存権ということをはっきりと確認をして、自国本位の考え方を、この際狭い範囲の中から乗り出すことが非常に大切ではないか。いまも最後に園田大臣からお話がございましたような点が非常に重要だと思うわけです。  そこで、この際、在日の永住権を持つ外国人の人権を改めて見直すために、新しい機構というのですか、行政改革上非常にむずかしい問題がございますけれども、窓口を設置することが必要ではないか。いま内閣の方にインドシナ難民対策連絡調整会議というのがあるわけですけれども、単なるインドシナ難民だけではなくて、広く難民全体の問題にこのような恒常的な機構が必要ではないかということが一つ。  それからもう一つは、在日外国人の、これは特に戦前から、歴史的な経過の中から日本に拉致というのですか、連行された方々を含める在日朝鮮人の方々、あるいは台湾の方々等の総合的な窓口をつくることが必要ではないか。これは就職の面では労働省だとか、あるいはまた社会保障の面では厚生省だとか、あるいは教育の面で文部省とか、多方面にわたると思いますが、そのような総合的な窓口の設置が非常に必要である、こう思うわけでございます。その点についての考えをまずお伺いをしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいま非常に建設的な御提案がございました。インドシナ難民のみならず、より広範囲の難民を扱うための何らかのより機能的な組織をつくる考え方がないか、あるいは人権規約と難民条約、今回難民条約の御批准をいただきまする場合にはこの二つを合わせまして外国人の人権というものが大きな前進を示すわけでございますから、そういう意味でより大規模の考え方で何らかの組織をつくったらどうかという御提言だと思っております。これは私どもといたしましても、どうしたら先生の御指摘の御趣旨の問題点というものがよく整理され、よくそれが助長されるかという点については日夜考えなければならない問題であると自覚しておりますので、今後ともその点につきましては関係各省庁の考え方、外務省の考え方、そういうものをあわせまして検討していくべきだと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 これは内閣の方にも、あるいは総理府の方にも要望を申し上げますので、私は同和対策事業と一緒にしろなんということは申し上げませんけれども、同様規模の真剣な対策というものが必要ではないか、こう思うわけでございますから、ぜひ御検討のほどをお願いを申し上げたいと思います。  それから、いま問題が出ておりますインドシナの問題ではなくて、広く世界、たとえばアフリカだとかパレスチナ問題だとか、難民対策というのが、受け入れの問題は別として援助の問題があると思うのです。それで、インドシナ難民には政府の方も資金協力に大きな寄与をしておるという内外からの評価があるわけでありますけれども、アフリカ難民については米国に比べて援助が非常に少ないという批判があります。これは絶対金額もさることながら、アメリカに比べるパーセントの問題でございますが、一九七八年のODA、政府開発援助額は日本はアメリカの半分だけれども、この半分の五〇%という指標を比べると、アフリカ難民援助はわずか一〇%ではないだろうかというような報道もあるわけです。このアフリカの難民援助、あるいはアフリカ難民援助の国際会議で新たに誓約をしておる援助予定等の内容について、いまの批判に答える意味で見解があればお伺いをしたいと思います。

梁井新一外務省経済協力局長

○梁井政府委員 ただいまの草川先生の御指摘は、インドシナ難民に対してはかなり手厚い援助を行っているけれどもアフリカの難民に対してまだ十分じゃないではないかという御質問だと思うのでございますが、確かに金額的に申しますと、アフリカの難民に対します援助はインドシナ難民に対する援助に比べまして非常に少ないわけでございますけれども、最近のジュネーブにおきますアフリカ難民会議におきまして、日本政府は二千万ドルの拠出を約束したわけでございます。これだけではなしに、すでに昨年におきましても、世界食糧計画を通じまして日本米をアフリカの難民の多いソマリアとかカメルーンとかウガンダに送るという援助を実行しておりますし、最近拠出を表明いたしました二千万ドルにつきましても、世界食糧計画と相談いたしまして今後の配分を決めていきたいと考えております。  アフリカ難民問題一般につきましては、私どもアフリカに対する援助をかなり大幅にふやしております。ここ三年間でアフリカに対する援助の支出は約三倍近くになっておるわけでございますけれども、今後とも対アフリカ、特にLLDCと言っております最貧国が多い地域、そこに対する援助を増額していく過程で、またアフリカ難民問題も一緒に取り上げていきたい、こういうふうに考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまそういうお話でございますが、アメリカの場合は財政支出を削減する段階で対外経済援助も縮小を見せておる中で、アフリカに対しては三〇%アップの増加を提案しておる、こういうことから私が発言をしたようなことになっておるわけでございます。もちろんアフリカは遠いところではございますけれども、世界の中では非常に重要な位置づけがあると思いますし、日本の将来のためにも、アフリカの難民援助はひとつ新しい視点に立って対応をしていただきたいと思うわけです。  その次に、今度は同様にパレスチナの難民援助について、具体的にどのような援助をしておるのか、お伺いをしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 パレスチナ難民につきましては、先ほどちょっと林先生の御質問にもございましたが、現在、国連の難民高等弁務官とは別個の存在がございまして、近東難民救済機構と申しまして、UNRWAということでわれわれの耳になじんでおる存在でございますが、これに対するわが国の拠出は累次、このUNRWAにつきましては大口拠出国としてわれわれとしては努力をしております。今年度におきましては六百万ドルの拠出を予定しておりますが、これのみならず、食糧援助もわれわれとしては計画をしておる状況でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は実は日本・パレスチナ友好議員連盟の一員でもあるわけですが、けさの新聞を見ますと、アラファト議長の招待がこの秋にも予定をされておるわけでございまして、中東和平の原点はパレスチナだと思うのです。それで、国連の二四二の決議でございますか、あれは難民という形になっておりますが、パレスチナ人はもちろん難民という認定に非常に強い怒りを持っておるわけであります。私は、あえてこの際、援助という意味では、パレスチナを追い出されたパレスチナ人に対する支援というものは必ず日本の将来のために役立つことは間違いがない、こういう考え方を持っておる一人でございまして、ぜひパレスチナに対する援助の増額を図っていただきたい。実績では、前年度プラス・プラスと来ておりますから、私は政府の姿勢が消極的だとは申し上げませんけれども、事パレスチナについてはもう少し大胆なことがあってもいいと思います。  それから、向こうの民衆の方々にわかりやすい援助をもう少しすべきではないか。もちろんいまの国連の機構を通じてでございますけれども、民衆レベルのダイレクトの援助があってしかるべきではないかと思います。しかも、たくさんの子供の絵が日本にも来ておるわけでございますけれども、画用紙だとかクレヨンだとかいったような子供の交流が部分的に行われておりますが、その他の面で、もう少し民間ベースで援助が拡大をするような一つの介添えというのですか、呼び水を政府として私はぜひ働きかけをしていただきたい。これは友好議員連盟の一つの仕事でもございますけれども、そういうことを特に要望申し上げておきたいと思うわけです。ぜひその点について考えを出していただきたいと思っております。  これは要望でございますが、それでとどめておきまして、きのう法務省の方に、出入国管理のことについて少し質問が漏れておりますので、あわせて質問をしたいと思います。     〔青木委員長代理退席、稲垣委員長代理     着席〕  これはきのう採決をしたわけでございますけれども、いわゆる協定永住以外の方々で日本に在住をしておみえになります在日朝鮮人の方々のことでございますが、一般永住の対象が拡大をされておるわけでございます。今回の協定永住以外の方々で広がる対象というのは何万名ぐらいになるのか、お伺いをしたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 対象者は約二十八万名です。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 それは、専門的なあれになりますけれども、一二六と一二六の子供あるいは一二六の孫ということになりますと、一六−二、一六−三とかというのを全部合算した数字になるのですか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 そういうことでございます。  なお、法一二六−二−六該当者及び四−一−一六−二の資格を持つ者は、いずれも約十四万名、孫ということになりましょうか、四−一−一六−三の資格を持っておる者が、これは毎日ふえていくわけですが、きょう現在で大体四千名弱であろうと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 永住を取る資格は、これは改正法が成立した場合のことでございますけれども、五十七年一月から五年の間に申請をすれば永住許可になるということでございますが、具体的な告知はどのような形になるのか、お伺いしたいと思うのです。  なぜこういう質問をするかといいますと、いろいろと居住条件の違いがありますし、このようなことを知らない方々でついつい来ておるというような例が過去にもあるのではないかと思うわけです。それで、四十一年から四十六年の期間でございますか、そういう時期があったにもかかわらず失権をしたというのですか、そういう例もあるわけですから、どういう取り扱いになるのか、あるいは、もし昭和五十七年一月一日から六十一年までの申請期間の間に漏れた場合にはどういう取り扱いになるのか、いわゆる一六−三という形でその都度やられていくのか、お伺いをしたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 永住許可の特例の制度を設けましたことをその対象者にどのように周知徹底させるかということについてのお尋ねかと思いますが、正直に申し上げまして、いまの段階では、私たちは何とかこの法案を通していただくべく、そちらの方に気が向いておりまして、広報の方まで十分検討する余裕がないわけでございますが、何しろ五年の申請期間というものが定められておりますので、その期間は広報をするのに十分な期間であろう。また、具体的な方法といたしましては、政府あるいは地方公共団体の広報紙に登載したり、しかるべき場所にポスターを張ったりすることを考えております。  なお、この対象者で申請期間を漏れた者はどうなるか。五年の期間を漏れた者につきましては、これはいかんともしがたい。まず永住許可の特例の申請をする道はないわけであります。その人たちは従来の在留資格で引き続き在留を続けていくということになります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまのような御答弁でございますので、告知、周知するいろいろな方法についてはぜひ考えていただいて対応を立てていただきたいと思います。  それから、今度は出入国管理の実情についてちょっとお伺いをいたします。  「出入国管理の回顧と展望」というのが出ております。これは入国管理局の方から白書的に出ておりますが、非常に膨大な資料でございますし、大変参考になる資料だと思っております。最後に座談会等が出ておりますけれども、こういうのを読みますと、入国管理業務をやられた方々の御苦労は大変なものがあったのではないか、特に戦後の混乱の時期の中で大変な努力をされたのではないか、こう思います。非常に敬意を表するわけでございますが、これを私ども社会労働委員会に長くおった者から見ますと、永住権を持つ在日韓国人の方々、あるいは朝鮮人の方々、台湾の方々は、たとえばどういう職業についておるのだろうか、あるいは年齢はどういう分布状況になっておるのだろうか、世代別の内容が欠けておるのではないか、こう思います。実はそういうものをつかむことが、私どもがきのうから取り上げておりますように、今日の日本の国内における社会保障の面にも非常に重要な反映をすると思うので、これは要望でございますけれども、この白書的なものに、統計数字等がもしあれば次の機会にぜひ入れていただきたいと思うのですが、その点はどうでしょうか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 御指摘のとおり、今度公表いたしました「回顧と展望」には職業別、年齢別、世代別の統計分類はなされておりません。これは理由は簡単でございまして、基礎資料がなかったからであります。ただ、将来の問題といたしましては、入管局におきまして目下外国人登録事務の電算化を検討しております。これが実現いたしましたならばこの種の統計も容易に作成し得るわけでございまして、次回、「回顧と展望」を出すときには御要望に応じた内容を盛ることができるものと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ぜひそういうようにしていただきたいと思います。  それから、これは警察庁にお伺いをするわけですが、きのうこの出入国管理の問題で、あれは読売新聞の夕刊でございましたか、海の外からスパイを目的として潜入した人が自殺をしたという記事があったので、私、大変興味がありましたのでそれを質問いたしました。今日、情報化社会でこれだけ情報がオープンになっておるのに、日本にわざわざスパイなんというのが本当に来るのだろうか、こういう疑問を出したら、そういう事例は実は多いのだというお話がございまして、時間がなかったのでそれでとまったわけでございますが、きょうは改めて具体的に、簡単で結構でございますけれども、どういう内容になっておるのかをお伺いしたいと思います。

鳴海国博警察庁警備局外事課長

○鳴海説明員 これまで警察が検挙いたしました事例に関して申し上げてみたいと思います。  これまで検挙いたした事例として約三十件余りあるわけでございます。このほかにも暗数はあろうかと思いますが、これは掌握のしようがない。いずれも北朝鮮の工作員の不法入国事件でございます。最近も幾つかあるわけでございますので、最近の検挙事例について簡単に御説明したいと思います。  一つは、昨年の二月二十日、埼玉県警察が検挙した事件でございますが、この犯人は昭和五十四年の六月二十九日、北朝鮮から福井県の敦賀湾に不法に入国したということでございます。  それから次の例として、昭和五十二年の四月六日、警視庁が検挙した事件でございますが、この犯人は昭和四十七年四月二十六日、北朝鮮から京都の丹後半島の海岸に不法入国したというケースでございます。  三つ目は、昭和五十一年の六月十六日、大阪府の警察が検挙した事件でございますが、この犯人は昭和四十六年九月の下旬、北朝鮮から島根県の美保関の海岸に不法に入国したというケース。  まだまだたくさんあるわけでございますが、ついでにあと一つ二つ申しますと、昭和五十年の七月十三日、これは青森県の警察が検挙した事件でございますが、この犯人は昭和四十五年十一月、北朝鮮から京都の経ケ岬の海岸に不法入国したというケースでございます。  同じく昭和五十年の四月五日、神奈川県の警察が検挙した事件でございますが、この犯人は昭和四十九年の二月、北朝鮮から鳥取県の海岸に不法入国したケースでございます。  このほかにも先ほど申しましたように合わせて三十余件あるわけでございますが、いずれもその不法入国の目的は、日本においていわゆるスパイ工作を行うことを目的として入国したということでございまして、いずれの件もすでに裁判所において有罪の判決をいただいておるということでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いま非常にたくさんの実例を挙げ、すべて裁判で有罪だという判決がおりておるということでございます。  これは外務省にお伺いをいたしますけれども、こういう事態に対して、外務省として、非常に重要な問題だと思いますが、どういう考えを持っておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。

藤本芳男外務大臣官房領事移住部長

○藤本説明員 スパイ活動を行う者あるいはそういう不法入国者がいるということはきわめて遺憾なことでございます。したがいまして、そういう人たちに対しては現在の法律に照らして厳格な対処をするということだと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 もちろん国内的にはそうですけれども、非常にむずかしい国際関係にあることは私ども十分承知をしておるわけでございますが、それだけでとまっておるのかどうか、もう一度お伺いいたします。

藤本芳男外務大臣官房領事移住部長

○藤本説明員 これらのスパイ活動を行っております者に対しましては、政府といたしまして種々の規制の方法がございますが、外務省に関する限りは査証の発給を停止するという措置がございます。もちろんこのほかに、政府全体といたしまして入国の制限でありますとか、あるいは在留活動の制限というふうな手段がございます。外務省といたしましては、関係の機関からこの種のスパイ活動を行う者があるというふうな情報がありました場合には、その旨を在外公館に連絡いたしまして査証拒否というふうなことがあり得るわけでございます。  ただ、個々の査証の申請人が入国後いかなる活動意図を持っているかということを的確に事前に把握するということはきわめてむずかしいわけでございまして、ほとんど不可能とも言える事態と思いますので、私どもといたしましては、もし日本におきましてそういう不法な行為があったということでございますれば、国内の関係諸機関のより強力な取り締まりということに期待せざるを得ないわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 非常にむずかしい問題でございますし、今日の国際情勢という現実の問題もありますから、きょうはこの問題についてはそれで終わります。  次に、時間がございませんので同じく査証業務のことについてちょっとお伺いをいたしますが、実はことしの九月に国際会議が日本で開かれます。これは具体的には労働関係でございますが、国際郵便電信電話労連、PTTIというものの世界大会があるわけですが、これは非常に大きな世界的な組織でございますし、代議員というのですか、大会参加者も六百人程度の大規模なものであると聞いております。ところが、日本の在外公館のない国からの出席者、十八カ国あるのだそうです、これらの方々は、いまのビザの発給が在外公館がないために近隣のところまで出かけなければいけないというので大変な不満が寄せられておるということを私どもも聞いておるわけでございまして、成田で便宜的なビザ発給の取り扱いができないのだろうかという問題があります。  そこで、まず労働省にお伺いをしますが、このような国際会議について労働省としてどういう評価をしておみえになるのか、あるいは協力をするという態度を持っておみえになるのかどうか、お伺いをします。

石田努労働省労政局労政課長

○石田説明員 ただいま草川先生からお話のございましたPTTIの世界大会でございますが、私の方がお聞きするところによりますると、この種の労働組合組織の世界大会としてはわが国で初めての大会であるということで、非常に重要な大会であるというふうに聞いております。そういうふうな趣旨からかんがみまして、労働省といたしましてもこの大会を重視してまいりたい、こういうふうに思っております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 では、外務省としてどのようなお考えを持っておみえになるのか、お伺いをします。

藤本芳男外務大臣官房領事移住部長

○藤本説明員 在外公館が発給いたします査証は、外国人が日本に入ります前提要件といたしまして、まず在外公館長が、その申請者が有効な旅券を持っておるかどうか、次に入国が差し支えないかどうかということの判断を示すわけでございまして、これは日本に入国、滞在いたす許可の前提要件でございます。したがいまして、御案内のとおりに日本国内において、つまり成田で査証を出すということは制度的にできないわけでございますが、いま御指摘の十八カ国の日本の在外公館がない国からの旅行者に対しましては、近隣の国で日本の在外公館があるところに立ち寄ってもらって、そこで査証をもらうという方法が一つございます。それからもう一つの方法は、日本においでいただく途中に、たとえばパリとかあるいはメキシコとか、そういう場所の日本の在外公館に寄っていただきまして、ここで査証をとるということはございます。さらには、この種の短期の世界大会、会議というふうな場合には郵送という方法もございます。  以上であります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、旅行の途中あるいは郵送、いろいろな方法がぜひ簡便に取り扱われるようお願いをいたします。  それから、きのうもちょっと申し上げましたし、園田外務大臣が厚生大臣のときにも申し上げましたが、実は青年海外協力隊の隊員の方々あるいは専門家の方々は、海外にいるために国民年金の適用がなくなるわけでございます。きのうも在日外国人の年金適用の件で厚生省の方は、そういう方々ばかりではなくて、日本人として海外在住者もその対象だということで盛んに発言をされておみえになりましたが、この難民条約の批准を機会に、海外における日本のために大変努力をなすっておみえになります協力隊の方々にぜひ年金適用になるように何らかの制度変更をお願いをしたいということをこの際要望だけ申し上げて、時間が過ぎておりますので終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

稲垣実男自由民主党

○稲垣委員長代理 野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 きのうきょうの条約審議の中でかなり論点も出ましたし、私自身もきのう連合審査の中で若干の質問もやったわけですが、できるだけ重複を避けまして、数点にわたりましてさらにお尋ねをしてみたいと思います。  まず、きのうも申し上げたのですけれども、日本の国際的な人権感覚、これは後進国ではなかろうか、これは過日の当委員会での参考人の意見の中でもあったわけです。ようやくにして難民条約あるいは議定書の批准というところまでこぎつけたわけですが、条約がつくられて三十年、議定書について言いますと十四年経過しておるわけですね。どうもこういう点からも、先ほど言いました参考人の意見の中でも出てくる理由がここにもあると思うのですけれども、なぜおくれたのか、その理由についてまずお聞かせをいただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 端的に御指摘になりましたように条約の成立は相当過去にさかのぼりますし、わが国の加入が先進国という範疇で見ますると早い方でなかった、むしろ遅い方であったということは御指摘のとおりだと思います。難民条約そのものは、これは欧州の大量難民が第二次大戦前後に発生したためにでき上がった条約でございまして、これが漸次補正されまして、最終的には議定書という形で、一九五一年一月一日以前という状態の制約を取り払いまして、今後とも起こるべき難民の状態をカバーするような議定書として定着をしたわけでございます。  わが国の難民問題に対しますかかわり合いは、率直に申し上げますと昭和五十四年前後のインドシナ難民の大量の流出以来の問題でございまして、わが国としてのかかわり合いは、直接の意味におきましてはその時点を一つの境とするものと考えております。同時に、難民条約に加入いたしまする場合には留保をなくして、留保なしの加入、全面加入ということが理想的状態でございますので、この辺につきまして関係省庁とのお話し合いに若干の時間を要したことも事実でございますし、今回、御批准を仰ぐために提出に至りました、全体的な時系列的には早い方ではなかったという御指摘はそのとおりでございますが、今日の日本の状態が、資金協力、定住受け入れ、難民条約の締結という三つの段階で一応その国際的な協力の形を整えるに至ったことは大変ありがたいことだと思っております。

野間友一日本共産党

○野間委員 確かに日本で最も関心事としてはインドシナ難民、そういう意味から言いますと国際的な世論の高まりとかあるいは国内の世論の高まりということが今日の承認として上がってきたのじゃないかとは思うのですけれども、しかし難民条約というものは単に事は難民に対する救済なり方法というものだけではないと私は思うのです。やはり人権そのものにかかわる非常に重要な課題ではないかというふうに思うわけです。世界人権宣言の中でも、人権が譲ることのできない権利であり世界における自由と正義及び平和の基礎である、こう述べておることからも明らかだと思うのです。したがって、そういう意味から言いますと、単に直接日本とはかかわりはなかったとか、余り国際的な世論がなかったというような消極的なことではなくて、積極的に人権についての国際的な取り決めについては日本も加入するというような姿勢が必要ではないかというふうに私は思うわけであります。  特に、今度国連の人権委員会のメンバーにトップで当選した。これはやはり国際的な意味における日本の人権を守るという点からの指導性ということがこれから注目されるのではなかろうか、こういうように思うわけであります。この点についての今後の取り組みについて、外務大臣にひとつ姿勢をお伺いしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまの御発言の趣旨は、われわれが大いに反省をしなければならぬ問題であると思います。サミットのときに、フランスが聞かないものですから、私、日本の立場を数回主張して、最後には大統領にまで直接談判した。その後、日本はエゴイストだということを言われて私は反省をしたわけでありますが、どうも日本というのは国際人として責任を果たそうということではなくて、自分の国益というか、国の都合のために何かやろうというところがいままで根底にあったのじゃないか。  いまの人権を含むあるいは難民条約、あるいはまたILO、いろいろ問題がありますが、こういう問題が非常におくれている。必ずしも早くなかったということじゃなくて、難民条約でも五年や十年おくれたわけではなくて十何年おくれているわけです。その原因はどこにあるかというと、これに留保なしで加入すれば国内法がなし崩しに壊されていくというそういうエゴイズムが、あるいは国際的に孤立をした感覚が日本の政府というか国にあったのじゃないか。これは大いに反省をして、逆にこういう条約に加入することによって逐次一つずつ国内法を国際的な国内法に持っていくように考えなければならぬが、その点がやはり正直に反省すべきことで、これが一番おくれた原因じゃないか、おくれたのじゃなくて、本当はおくらした原因じゃないか、こう思うわけであります。

野間友一日本共産党

○野間委員 いま大臣が率直に申されました。大臣は厚生大臣のときにかなり叱咤激励して、国内法の改正について積極的に取り組んでこられたということを私もよく承知しております。  そこでお聞きしたいのは、人権に関する条約でまだ日本が加入していない条約が幾つかあると思いますけれども、どういうものがあるのか、お答えいただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 人権関係の未締結、未批准の条約についての御質問でございますが、これは列挙して申し上げますか。

野間友一日本共産党

○野間委員 いいえ、大ざっぱなあれで……。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 一つはジェノサイド防止処罰条約というものがございます。集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約でございます。それから奴隷条約、無国籍者の地位に関する条約、既婚婦人国籍条約、無国籍削減条約等でございますが、さらに最近では婦人差別撤廃条約というものが課題に上っています。

野間友一日本共産党

○野間委員 いま挙げられた中に幾つが非常に重要な条約があったと思いますが、ジェノサイド条約、これも決して時代の古い出来事ではなくて、最近も、たとえばエルサルバドルの十四家族の圧政の中でいろんな虐殺が出ておりますし、またポル・ポト政権下の虐殺についてはすでに天下周知の事実なんです。こういう点で、先ほど申し上げたようにせっかく国連の人権委員会のメンバーとして入ったわけですから、ジェノサイド条約についても早急に検討した上で加入するべく努力をする必要があるのじゃないか、こう思うわけでありますが、この点についていかがでしょう。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいま御指摘のジェノサイド条約をどう考えるかということでございますが、この集団殺害罪というものが国際法上の犯罪であることを確認し、共同謀議の段階から実行過程までそれを処罰するという趣旨のものでございますが、わが国もその趣旨には異存はないところでございます。  条約の義務履行を国内法で担保しようとする場合に、条約が禁止している各種の犯罪行為をどのように国内法において構成要件として決めていくかという条約上の問題点がございまして、これが必ずしも明確でないということは否定できませんので、加入をしておりません。しかし、野間委員の御指摘もございましたし、一昨年におきましては立木委員からも本件につきましては非常に強い御指摘もございましたことを私は記憶しておりますので、刑法上の犯罪として立法化することを含めまして、今後関係省庁と連絡しつつ、慎重ながら検討を進めてまいりたいと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 確かに国内の法体系の整合性の点で一定の工夫はあると思いますが、これはいまの局長の答弁でも技術的に決して不可能ではないし、そういう点でこれから検討をさらに進めるというような答えなんですけれども、と同時に、この条約に加入するということは、国際的に世論をリードすると言うと大変オーバーな表現になるかもわかりませんが、日本としては先ほど申し上げた難民条約に対する対応と同じように、単に消極的な態度で対応するのではなくて、やはり国際的な世論に訴える、そういう意味で日本が条約に加入するということ自体が大きな意義と役割りがあるというような位置づけなり認識を私はしておるわけであります。そういう点からも、いま答弁がありましたけれども、さらにひとつ鋭意努力をしていただきたい。このことについて再度お答えいただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 野間委員の非常に強い御指摘もございましたので、御趣旨を踏まえまして、慎重ながら検討してまいりたいと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 慎重ながらというのは一言多いわけで、だから前向きに、積極的に、早急に検討をぜひしていただきたい。これを重ねて要望申し上げておきたいと思います。  それから、いまの婦人に対するあらゆる差別を撤廃する条約なんですが、これはいつか私も法務委員会で取り上げたことがありますが、国際婦人年も御案内のとおりもうすでに中間年を過ぎて、これから十年目に向けてすでに折り返しをスタートしているわけですね。法務省の意向などを聞いておりますと、とにかくその期間内であればいいのではなかろうかというような、これまた消極的な姿勢というふうに私は感ずるわけでありますけれども、法務省、もしどなたか来ておられたとするなら、これについていまどの程度進捗しておるのか。特に国籍法の改正が中心になると思います、後でまた帰化の要件の緩和の問題とも絡みますし、ぜひひとつお答えをいただきたいと思います。

田中康久法務省民事局第五課長

○田中説明員 お答え申し上げます。  私どもの方では、すでに答弁してございますように、国籍法の改正準備作業にかかっております。現在のところは、各国の法制がどうなっておるかということをまず頭の中に入れないと改正作業が進みませんので、現在は各国の法制がどうなっておるかということについて、外務省にお願いしまして五十カ国程度調査をしております。まだ回答が来ない国が幾つかございますが、ほとんど回答が出そろった段階でございます。これをもとにしまして、これから各省とどういう問題が起きるかということについての事前の協議をお願いしたい。その上で、この秋から審議会を開きまして審議にかかるということで、いま準備作業をしております。どのくらいかかるかということにつきましては審議会を開いてみないと何とも申し上げられないわけでございますけれども、できるだけ早く国会に成案を出すように一生懸命努力したいと思っております。

野間友一日本共産党

○野間委員 国際婦人年が終わるまでにすればいいのだというようなことではぐあいが悪いわけで、これまた積極的に進めていただきたいと思います。  あなたもずいぶん研究されておりまして、私もいろいろ貴重な研究の成果を拝見したわけですけれども、もちろん審議会はありますが、いまの時点で大体どのくらいをめどに考えておられるのか、その点はいかがでしょうか。

田中康久法務省民事局第五課長

○田中説明員 これから審議会を開きますので、私どもとして、いつまでにできるという約束はちょっとしかねるわけでございますけれども、前に参議院の法務委員会におきまして、大臣の方からは、できるだけ再来年の春までには出すべく努力をしたいという答弁がございましたので、私ども事務当局としてはそれを一つのめどに作業を進めたいと思っております。     〔稲垣委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕 ただ、これはこれから審議会を開きまして、審議会の中でどれだけの議論が出、どれだけの障害が出てくるかというのがまだ見当がつきませんので、その時期に必ず出せるとお約束はちょっとしかねるわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 大臣が所用でまだちょっと退席されておりますので、質問を変えて聞きたいと思いますが、この条約に戻りまして、この条約あるいは議定書の国際的な意義と役割り、さらにこれを批准することについては国内的にどのような意義、役割りがあるのか、これは端的で結構ですからひとつお答えいただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 難民条約の締結の意義でございますが、これは、日本といたしましては資金協力と定住面でそれなりの努力をしてまいりましたけれども、難民条約の締結が済んでいないということにつきましては、わが国としても国際的に大いに欠くるものがあったわけでございます。そういう意味では、国際的協力の姿勢を示して、わが国が内外人平等、さらには難民の保護という点について大きな強い意思を持っておるということを中外に示したという意義がございます。  国内的には、難民はやはり外人でございますから、外人の権利保護、内外人平等の精神。難民でございますので、しさいに御検討いただきますと、人権規約の規定と比較してさらに一歩進んでいるような面もございます。しかし、両々あわせましてプラス面であることは変わりはないわけでございまして、人権規約、難民条約というものの締結によって、内外人平等の精神に基づいた人権の保全ということに大きな進歩を果たしたと考えられます。

野間友一日本共産党

○野間委員 先ほど、どなたでしたか、質問の中で、難民の形態とかあるいは歴史的ないろいろな節々があると思うのですが、これについて歴史的な一つの背景なり経緯を踏まえながら、どういう特徴なり位置づけがあったのか、そういう点についての資料をいただけるというお話もありましたので、私もそれをぜひ要求させていただきたいと思います。  ただ、私が言えることは、確かに議定書では時間的あるいは空間的な枠が取っ払われたということについては意義があると思います。しかしながら、かつて考えられておったような迫害要件を中心としたいわゆる亡命者あるいは難民というようなものから、昨今の社会的な実態としてはかなり広い意味での難民というものが現にあるわけだと思うのですね。そういう点で、この議定書によりましても、難民の定義そのものが狭いということから来る制約が依然としてつきまとうというふうに私は考えざるを得ないのです。  各国はいろいろな国内法の整備あるいは行政上の運用でそれぞれ人道的な見地に立ったカバー、いろいろな施策をやっておるようでありますけれども、国連の中でこういう難民の定義を、社会的な実態なり歴史的なそういう背景から出てくる実態に即応して新しい定義をするべきではなかろうかという議論があったのかなかったのか、それと同時に、日本政府はこれについてどのように考えておられるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、難民の定義というのは、これは条約締結以来議定書に引き継がれまして、今日の第一条の規定がそのまま定着しておるわけでございます。ただいま野間委員の御指摘は、この難民の定義が時代の進化とともに狭過ぎるのではないかというお話であろうかと思います。また、参考人の方からもそういう御意見を承ったことを記憶しておるわけでございますが、現在のところ、国連の内部におきましてはこの難民条約の定義を見直すという空気は起きていないというふうに承知しております。  その理由は、これは推測になると思いますけれども、どういうことであるかということでございますが、難民の保護というものを考えます場合に、各国それぞれ違う法制もございますし、国内法のたてまえも違うということで、保護の必要性とその保護をどれだけ実現し得るかという実現可能性ということの二つの関係、そういったものが難民条約の条文に反映しておりまして、その観点から、野間委員も御承知のように最恵国待遇でございますとか、内国民待遇でございますとか、あるいは同一の事情のもとにある外国人より不利でない待遇であるとか、いろいろな待遇ぶりの規定があることも御承知のとおりでございます。そういったような現実性を勘案いたしますと、現在の難民条約というものはやはり現在の加盟国の最大公約数という姿を持っているということでございまして、これが当分の間と申しますか、現在の段階では特に難民条約の定義をいじるという空気になっていない一つの背景であると思います。  それから同時に、一つの問題点でございますけれども、国連の難民高等弁務官の事務所の規程におきましてはほぼ同様の定義を採択いたしますとともに、その後の累次の国連総会決議によって、高等弁務官の権限は、この定義を満たしていないけれどもこれに近いラインでこれに該当する者にも及ぶものであるとされまして、高等弁務官の救援作業はそういった人たちに及んでおるということが言えると思います。  わが国といたしましても、やはりこの難民条約の難民の定義の運用については事実認定を基礎にいたしましてこれを忠実に行うわけでございますが、その結果、仮に難民の認定に満たない者がありましても、人道的配慮を与えることは当然でございますので、この辺につきましては難民条約を硬直的に運用するというような考え方ではありませんで、人道的運営に配慮すべきことは申すまでもないところでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 いま外務省の方からそういう話がありましたけれども、これは法務省、異論がないわけでしょう。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 全く同じ考えでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 さあ、そこでお聞きするわけですが、西ドイツあるいはフランス等々各国におきまして、いわゆる条約上の難民の定義あるいは概念には該当しないけれども、実際には条約上の難民と同じ救済あるいは保護を与えるというところがあると私は思うのです。この辺について、国際的な一つの事例、それと比べて今度のわが国内法の改正、こういうものとの絡みと申しますか、国際的な観点からして、日本の国内法の改正によってもなかなか条約上の難民と同じような保護なり救済が保証されないというところに問題があるのじゃないかと思うのですけれども、その点も含めてお答えをいただきたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 難民認定を受けた外国人と、認定申請したが拒否された外国人と、扱いがどういうように違ってくるかということから御説明申し上げたいと思います。  私ども考えておりますのは、難民条約に定める難民の要件に合致しておると否とにかかわらず、本人を保護してくれる国がない人間、こういう者に対しては人道的に対処していかなければならないということであります。したがいまして、たとえ難民の認定を受けられなくても、政変、戦乱の地以外には帰る国がないという人はわが国で在留特別許可を認めていくことになります。  しからば難民の認定を受けてわが国に在留する者と、難民の認定を受けられなかったが特に在留を許可された者と扱いがどういうように違ってまいるかといいますと、まず難民認定を受けた者は、外国に旅行しようとする場合には難民旅行証明書の発給を受けられる。これは難民条約に根拠を有するものであります。したがいまして、難民の認定を受けられなかった者には難民旅行証明書の発給をすることができない。しかしながら、別途、そういう者で海外旅行に必要な旅券を入手することのできない者については、法務大臣の再入国許可書、これは旅券にかわり得るものでありますが、そういうものを発給することによって海外旅行を可能にしようとしております。  それから、退去強制に該当した場合にも、法務大臣の在留特別許可を認める事由の中に難民認定を受けた者というのをつけ加えております。これは難民認定を受けた者としからざる者との違うところだろうと思います。  いま一つは、永住要件でございます。永住要件は素行善良、独立生計維持能力ということが要件になっておりますが、難民につきましてはこのうち独立生計維持能力という要件を撤廃いたしております。  大体以上三点が違うところかと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 法務省の関係では、いま言われたように刑事上の免責とか、あるいは行政処罰を免責するとか、さまざまな裁量の上でいろいろな配慮が払われるということはきのうも私はお伺いしたわけですが、しかし、条約上いわゆる難民としての認定を受けた場合にはさまざまな権利が保障されるわけですね。これは法務省の直接の管轄ではないかもわかりませんが、しかし、運用上外務省も弾力的と申しますか、できるだけ広く認定するという精神、方針を言われましたけれども、これはやはり認定を受けると受けないとではかなり享受する権利について差があると思うのですね。端的に、それらの点について外務省はどういう見解をお持ちなのかお答えいただきたいと思います。簡単で結構です。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 難民の認定を受けた者と難民の認定を受けない者、これに対する待遇上の差につきましてはただいま御説明がございましたが、たとえば就労につきましては条約上の難民と、そうでないインドシナ難民、たとえば従来入っております難民との間には、法理上の差異もございませんし、社会保障制度等につきましても、御承知のように国籍要件の撤廃によって国民年金法、児童手当等の関連法における適用も完備しておるわけでございまして、社会保障面で条約上の難民とそうでない方々との間の差別というものは私は実際上はないと思います。  ただ、御指摘のように、旅行証明書でございますとか、そういった点で難民にふさわしい便益というものはそれから突き出した意味で与えられておるということがあるわけでございますが、これは私は難民の特殊性からそういう配慮がなされることは当然であろうと思います。他のそうでない方々につきましてはこの便益は与えられないということは事実でございますが、実際問題の運営としては、その場合にも、これは法務省の問題でございますが、再入国許可の発給等について弾力的に考えるとか、現実問題としてはほとんど差異のないような運営が行われるというふうに承知しておりますし、またそのように努力をしなければならない、このように思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 この条約のもう一つの限界と申しますか、私、拝見しまして感じたことは、難民として認定された者のさまざまな権利義務等の規定があるわけですが、その認定前の人たちに対してどう対応していくのかという手続上の規定がないわけですね。国内法としてたとえば十八条の二の一時庇護のような規定があるわけですが、問題は、難民として認定された後の法律上の効果はそれとして、手続的に難民認定前のそういう規定が条約の中でなぜ欠落しておるのか、これはそれぞれの国が国内法的にカバーするというようなことが前提になっておるのかどうか、そしてまた、国内法の今度の改正によってこの欠点というものはカバーされるのかどうか、この点についていかがでしょう。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの野間委員の御質問の御趣旨でございますが、難民であることを主張する者につきまして、実際に難民の要件を備えていても何らかの認定の手続を経なければ真に難民であるかどうかは判明しないわけでございますから、その限りではやはり難民条約上の権利を享有せしめる対象としてはそういう手続を経た者に限る、これはやむを得ないところと思います。  ただ、わが国におきましては、実際上の観点から見まして、裁判を受ける権利だとか、労働の権利とか、社会保障の権利、先ほど申し上げました点でございますが、ほとんどのものについては難民であるか否かを問わず一般外国人について認められているか、今回の法改正によって認められることになりますので、こうした権利については、難民認定を受けなくてもこれらの権利を享有することができるわけでございます。また、迫害が待ち受けている国に送還しないというノンルフルマンの原則につきましても、国内法制上は難民の認定を受けなくてもこの権利を享有できるということでございます。  このほかにも、今回の出入国管理令の改正案には、厳密に難民であるか否かを問うことなく一時庇護のためにわが国への上陸を認めることができるという旨の規定が盛り込まれておりますので、わが国につきましては、これは難民とそうでない、難民認定を受ける前と後との関係における権利の異同、享受の異同というものはほとんど認められないということであろうと思います。  また、先生の御質問は、何らかの国際的ないわゆる認定前の規約を設けるべきではないかということでございましょうが、この点につきましては現在のところそういう議は起こっておりません。起こっておりませんということは、わが国の例が示しますように、各国における運用ということは大体支障なく行われておるのではないかと推測しております。

野間友一日本共産党

○野間委員 推測が事実であればいいわけですけれども、やはりこれは国際的な重要な問題でありますから、単に国内法的に日本のように、いまあなたのお答えによりますとカバーできるというようなお答えのようですけれども、国内法的に整備をしてそれが保護されればともかくとして、やはり国際的に一つのガイドラインと申しますか、何かのそういう難民認定に至るまでの手続的な規定があった方が、国際的な一つの画一性と言うと言葉が悪いわけですけれども、一つのフォーマルなものがないと、国際的な混乱が生ずる余地はあるし、また国内的な整備をしない場合には、これは条約を仮に加入したりあるいは承認、批准してもやはり問題が残るのではなかろうか。ですから、条約という観点から見た場合に、これらがなぜ欠落しておるのか、ちょっと私は理解できないものですから聞いたわけです。  この三十一条、三十二条、三十三条、これも難民の認定後のいわば救済措置ということになるわけで、しかしこれは国内法の整備によって一定のカバーがされるということを私、いま聞いておりますので、それはそれとしても、やはり条約上今後の問題としては、いま申し上げたように、国際的な何らかの取り決めがされてしかるべきではなかろうか、こういうふうに私は思っておるわけですが、この点について、これでも支障がないのだというようなお考えなのかどうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 現在のところ、国連の難民高等弁務官事務所で一種のパンフレットと申しますか、ガイドブックというものを出しておりまして、これは中身は難民の認定手続について国際的にこういうふうな考え方をしたらどうかとか、こういう手続をとったらどうかというようなことが書いてございます。私自身は精読しておりませんので、すみからすみまで承知しているわけではございませんけれども、こういったような難民高等弁務官の一つのアドバイスと申しますか、そういったことも現在役立っておりますし、そういった形で、現在の段階で認定前の手続をどうしても法律的に統一しなければならぬというような動きは出てまいりませんけれども、やはり難民問題というのは非常に将来、あすとも知れぬ問題でございますので、今後の状況いかんによっては、そういったような必要性が生じてまいるかもしれないと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 いま挙げました三十一条に関連して、ひとつお聞きしたいのは、三十一条の二項、移動の制限の問題です。三行目に「当該締約国における滞在が合法的なものとなるまでの間」とありますが、この「合法的なもの」というのはどういう段階に至れば合法的ということになるのか。これはすでに難民を前提とした一つの制約のようですが、難民と認定されながら滞在が合法的というのは、何か別の飛躍したものが必要なのかどうか、この点は条約上何を想定しておるわけでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 この点は、大変御質問は鋭い御質問でございまして、私どももこの条項の解釈についてはいろいろ議論したわけでございますが、この「合法的なものとなるまでの間」ということは、これは定住というふうに理解しております。

野間友一日本共産党

○野間委員 そうすると、定住前については、これは条約でカバーできないということになるわけですね。  なお、一項に関連してお聞きしたいのは、「領域から直接来た難民」というのがありますね。この「直接来た」というのがこれまた問題になると思いますけれども、これで支障がないのかどうか、いかがでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 この三十一条の規定の「直接来た」ということでございますが、これはどこか第三国を経由いたしましてやってきたという方々についても適用があるとわれわれは解釈しております。

野間友一日本共産党

○野間委員 それから、難民の受け入れに関してお聞きしたいのは、受け入れそのものはその国の義務になるのか。つまり、個人から言えば、一つの権利としてこの条約で保障されたというふうに理解していいのかどうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 この点も非常に剴切な御指摘でございますが、われわれの考え方でございますが、難民認定を受けた者につきましては、これは原則として本邦に滞在させること、これが条約上の義務であるとわれわれは考えております。原則としてという言葉を申し上げましたのは、例外としては、国の安全または公の秩序を害する者につきましては例外である。また、不法入国者または不法滞在者、不法滞在者の場合には、合法的にいる難民であって期間更新を拒否した結果該当することになった者を除くということの制限はございますけれども、不法入国者、不法滞在者については退去強制の対象となし得るという考え方でございますが、難民認定を受けた者につきましては原則として本邦内に滞在する義務を負うものである、このように考えます。

野間友一日本共産党

○野間委員 法務省にお伺いしますが、その帰化に関して、この条約では三十四条で「できる限り容易なものとする。」とありますね。これに関して、今度の国内法の改正では永住許可でしたか、一定の緩和された規定が入ったようですけれども、帰化についてはこれは改正の対象となっていないようです。恐らくこれは国籍法の改正との絡みでまだ検討中なのかどうか。これは条約を具体化するという点からすればもとるのではないかというふうに思いますが、その点が一つ。  それから、七条で相互主義という規定がありますけれども、難民については相互主義の適用の免除、ところが、そうでない在日外国人についてはそうではないということになりますと、特に在日朝鮮人等の取り扱いについてはこれは差別になるのではなかろうかと思いますが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

田中康久法務省民事局第五課長

○田中説明員 帰化の関係についてお答えさせていただきますが、帰化の関係につきましては、この難民条約の批准に伴いまして各国が国籍法を改正しているかどうかというようなことも私どもとしては関心事でございましたので、外務省を通じて調査をさせましたが、各国とも難民条約の批准に伴って国籍法の改正はしてないようでございます。ただ、私どもが今回調査した結果等から見ますと、難民について、帰化についての特則を設けている国が幾つかございます。今回私どもの方で国籍法を改正する際には当然、先生の先ほどの御指摘にございましたように、帰化条件全般についての見直しもせざるを得ないというふうに考えておりますので、一応その際には、この難民についての帰化について現在の帰化条件でいいのかどうか、当然検討の対象になるだろうというふうに思っております。  ただ、私どもの現在の帰化の運用の実態から申しますと、難民について問題になりますのは、この居住要件、それから生計要件、それから帰化によって国籍を当然喪失する、無国籍になっているか、当然喪失するという、私どもの法律の国籍法四条五号の要件、この三つが一応問題になりますけれども、これらの観点についていずれもこれから検討することになるだろうと思います。それまでの間は、難民のためになるべく早く帰化できるように、できるだけ運用面では配慮を図りたいというふうに思っております。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 相互主義の問題は、これは七条の規定でございますが、三年間難民が居住いたしますと、立法上の相互主義を適用されることはないということになります。立法上の相互主義というのは、野間委員も御承知のとおりでございますが、外交上の相互主義と並列する概念でございまして、現実の取り扱いが相互的なものであれば足りるわけで、条約等の保障が要らない、国内法令のみに担保されれば十分であるということでございまして、具体例としては、国家賠償法とか、破産法とか、和議法とか、例がございますが、これらにつきましていわゆる立法上の相互主義は適用されることはないという便益を難民は受けるということでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 ですから、難民についてはそうなるわけですが、在日朝鮮人などについては実際は難民とは異なった扱いを受けるわけで、そういう点で在日朝鮮人等についても同じような規定なり改正をすべきではないかというのが私の意見なんです。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 七条の規定は難民に関する特殊のフェーバーな規定でございまして、これはやはりそういう意味で御理解をいただく必要があると思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 ですから、私、法務省に聞いておったわけですけれども、それはいいです。またいずれ機会を改めてお聞きしますが、あと、たとえばD項、E項と十八条の二の関係、あるいはF項、いろいろ聞きたいことがあるのですけれども、時間が限られておりますので、大臣にあと一、二点お伺いして終わりたいと思います。  幸いにして難民条約が批准ということになるわけですが、婦人に対する差別撤廃条約、これは特に国際婦人年、しかももう中間年を経過してこれから終期に向けて精力的ないろいろな施策が必要なんです。法務省でも準備を進めておるのは私、承知しておりますけれども、やはり外務省がリーダーシップをとられて、ひとつ叱咤激励して、できるだけ早い時期にこれの国内法の整備も済ませて批准をすべきである。これについて人権を守るという観点から外務省の責任も非常に大きいと思いますけれども、その点についての見解を聞かせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまの人権に関する問題、主として法務省が検討を進められておりますが、これは主として国籍法に関係するものであると考えております。したがって、この国籍法に対する法務省の方々の考え方はきわめて厳正に考えておられますが、これがもとのままであれば、あちらこちらでぶち当たって、人権を含む国際的な視野がなかなか開けてこないわけでありますから、今後ともよく法務省の方々にお願いをして努力をする所存でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 あと一点だけ言い忘れていました点を伺いますが、一条Bの(1)「(a)又は(b)のいずれの規定を適用するかを選択する宣言を行う。」これはいつ、どういう宣言をされるのか、それだけ聞かせていただいて、終わりたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 いまのお話は、五一年一月一日以前欧州で生じた、プラス他の地域というこの宣言でございますが、これは加入の際にいたします。

野間友一日本共産党

○野間委員 終わります。

松本十郎自由民主党

○松本(十)委員長代理 次回は、来る六月二日火曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会いたします。  なお、明二十九日午前十時三十分から、内閣委員会、安全保障特別委員会との連合審査会を開会することとなっております。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会

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