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94回国会衆議院1981/04/24

外務委員会 第12号

発言数
156
登壇者
12
会派数
4
開催日
1981/04/24

会議録

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、委員長の指名で私が委員長の職務を行います。  本日付託になりました北西太平洋における千九百八十一年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣伊東正義君。     —————————————  北西太平洋における千九百八十一年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 ただいま議題となりました北西太平洋における千九百八十一年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和五十三年四月二十一日にモスクワで署名された漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定に基づき、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年の日本国のサケ・マスの漁獲の手続及び条件を定める議定書を締結するため、本年四月六日以来、モスクワにおいて、ソ連邦政府と交渉を行ってまいりました。その結果、四月二十日にモスクワで、わが方魚本駐ソ大使と先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの議定書の署名が行われた次第であります。  この議定書は、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年の日本国のサケ・マスの漁獲について、漁獲量、禁漁区、漁期、議定書の規定に違反した場合の取り締まりの手続等を定めております。なお、本年の北西太平洋のソ連邦の距岸二百海里水域の外側の水域における年間総漁獲量は、昨年と同じく四万二千五百トンとなっております。  この議定書の締結により、北洋漁業において重要な地位を占めるサケ・マス漁業の操業を本年においても継続し得ることとなりました。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことをお願い申し上げます。

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。     —————————————

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ただいま大臣から御説明のありました日ソサケ・マス漁業の審議に入るに当たりまして、その前提としての日ソ間の外交関係の問題について一言、ごく短時間お尋ねをいたしたいと思います。  きのう私たちも新聞で承知をしたのでありますが、ソ連の太平洋艦隊の軍艦が青森県の沖合いの公海で実弾射撃訓練をやった、この事件についての経過の概要、またその場合にソ連側から、公海上でありますから事前の通告があったかどうか、これらの関連についてまずお尋ねをしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 事実関係、経過等につきまして政府委員からお答えさせます。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 お答えいたします。  事実関係でございますが、四月二十二日の十五時四十五分ごろでございますが、北緯四十度五十九分、東経百三十九度十四分という地点におきまして、ソ連海軍に所属しておりますクリバックII級ミサイル駆逐艦一隻が射撃訓練を行った、この射撃は一回五、六発ずつ三、四回実施したという通告を受けております。ソ連側から事前に、このような射撃訓練を行うという事前通報はございませんでした。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 これも私たちは新聞で承知しているわけでありますが、ソ連側のタス通信によりますと、日本に対しては事前通告はしてある、こういうふうにタス通信が流しているということをけさの新聞で見たわけですが、タス通信は一体どういうことを言っておるのか、それを日本の外務省から見ればどうなのか、その辺の経過を聞きたいと思います。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 いま御指摘でございましたタス通信の原文そのものを私、まだ見ておりませんが、少なくともただいま申し上げましたこの地域における射撃訓練についての事前通告はソ連側からなかったということは申せます。ほかの地域にこの時点において射撃訓練の通告があったかどうかは、いま調査いたしております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 その点は、何かモスクワに駐在しておる日本大使館では、それらのものがあったやのことが言われておる、ただし場所が違う、こう言っておるというふうに言われているわけですが、その辺はモスクワの大使館からは外務省に対してどういう連絡や報告が入っておりますか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 現在の時点で、私、まだモスクワ大使館からの電報の報告を承知いたしておりません。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そうすると、ソ連側が通告した、した以上は当然、いつ、どこでと、こういうことだと思うのですが、そのいつ、どこでという、ソ連側の言っておるそのことはまだ外務省には届いていない、こういうことでしょうか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 ソ連が射撃訓練の通告をいたしますのは常に事前でございまして、これを私どもが受け取りまして、たとえばその射撃予定地域で日本の漁船が操業しているというような場合には、ソ連に対しましてその射撃訓練を延期するようにとか中止するようにというふうなことを申し入れることもあるわけでございまして、最近もそのようなケースはあったのでございますが、それがどの地域であったか、いま私、必ずしも正確に記憶しておりませんけれども、先ほど申し上げました地域についての射撃訓練の予告はなかった、こういうことでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 もう一回、くどい繰り返しになりますが、タス通信は日本に通告したと言う、モスクワにある日本の大使館は、それらのものはあった、あったけれども場所が違うというふうに新聞には出ておるわけですね。モスクワの大使館がそれらの通告を受けたとすれば当然、いつ、どこで、こういうことで受けるわけですが、そのことが、ではまだ外務省へはソ連のモスクワ駐在の大使館から報告が入っていない、したがって、局長はまだそのことを答弁ができない、こういうことでしょうか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 この射撃訓練の予告をいたしますのは、いつも大使館経由ではないわけでございます。向こう側が航行警報というような形で警報を出しまして、その付近を通航する船舶は注意するようにというようなことをラジオで言うわけでございまして、それを日本の海上保安庁が受ける、こういうことになっているわけで、事前の予告は大使館を通じて外交ルートで通報があるということにはなっていないわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そうすると、タス通信ではそういう航行警報はやった、こう言っているわけですね。そのやったということが事実であるとすれば、その航行警報をやった内容がどうだったかは海上保安庁がキャッチしている、こういうふうに見ていいわけですね。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 海上保安庁はキャッチいたしますし、海上保安庁はキャッチし次第外務省にもお知らせがあるわけでございますけれども、ただ、その最近のソ連側の航行警報でございますが、これがどの地域についてであったかということは、私、いまちょっと記憶していないものでございますから、正確には申し上げかねるわけでございますけれども、少なくとも例の射撃訓練があったあの地点について航行警報というようなものは出ていなかった、これが実態でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 わかりました。それでは、海上保安庁が受けたタス通信が航行警報をしたと称するその中身が、いつ、どこでというものであったかということは、今後のわかってきた段階で改めてまたお尋ねをいたす、こういう機会もまた持ちたいと思います。  さて、その点はそれといたしまして、そこで今回のこの問題について、日本の当局からソ連当局に抗議というような手続をこれからおとりになるかどうか、そのことをお尋ねいたします。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 本件につきましては、一応公海上ということもあるわけでございますけれども、日本に非常に近接したこのような地域で射撃訓練を行ったということはきわめて不可解というふうに存じているわけでございます。  そこで、昨日の夕方でございますけれども、在京のソ連大使館員を外務省に呼びまして、こういう事実関係があった、その時点で判明していた限りの事実関係を通報いたしまして、そして、いずれにせよこのような非常に日本に近い海域で実弾射撃訓練を行ったということは日本側としてはきわめて不可解である、どういう事情であったのかということを照会したわけでございますが、呼びました在京の大使館員はもちろん存じませんで、早速モスクワに照会するということで昨日は帰ったわけでございます。それで、先方からの回答を取り寄せました上で、その後どのような措置をとるかということは検討したい、現時点ではそのように考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 わかりました。それでは、そのタス通信の言う航行警報がどういうものであったかをひとつ確認をしてもらうということと、いまの在日のソ連大使館が本国へ照会した答えがどういうものが来るかということを受ける、その両面を受けて、また外務省としてのお考えもお尋ねする、これは次の機会に回したいと思います。  さてそこで、今度の事件の関係ですが、結局いまの日ソ間の全体の関係の中で起きている事件でありますから、このことが先般提案された、アジア極東において演習や訓練をやるときはお互いに通告し合うという、ああいういわゆる信頼保障措置というようなものの提案の関係とか、あるいは日本の周辺で言われておる三海峡封鎖論というような議論であるとか、それらのものと今度の事件との何らかの関連あり、こうごらんになるかどうか、その辺の認識をお尋ねしたいと思います。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 ただいま申し上げましたとおり、ソ連側の意図等正確なところがまだ判明していないわけでございますので、ソ連側の意図が那辺にありやということについて推測を申し上げることは差し控えたいと思うのでございますけれども、少なくとも先ほど申し上げましたとおり、従来通常の場合は、日本の近海で射撃訓練を行う場合には事前にちゃんと通報はしていたということはあったわけでございまして、それ以上の推量をいま行いますことは必ずしも適当ではないのではなかろうかと考えておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 では、もう一問で私の質問を終わります。これは大臣にひとつお願いいたします。  これもけさの新聞に出ているニュースでありますが、永野日商会頭がいま日本へ来ておられるソビエトのイズベスチヤの政治評論員のボービンという人と会見された。その中で、日ソ間の懸案の領土問題が、従来、日本側はこれが日ソ間を進める大前提である、こうなっておる、ソ連の方はその領土問題は解決済み、この両者のぶつかり合い一点張りでなかなか打開できない、こういう状態の中で、一定期間この領土問題というものをたな上げにする、そしてその間どんどんシベリア開発などのやるべきことはやる、そして信頼関係が進んだところで、領土問題が今度は解決の道に乗るというようなことはどうか、そういうことを永野会頭が言われたというふうに伝えられております。  また、相手のボービンという人も、道を進んでいって大きな石にぶつかった、その石に正面から突撃してぶつかる行き方と、石があったら回り道をする行き方と両面あるじゃないかという言い方もされたというふうに伝えられておりますが、いろいろ私はこれは意味深長なやりとりではなかったかと思います。  これらの領土問題を前へ進めるという、入り口論から出口論といろいろあると思いますが、その辺の大臣の御見解をここでお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私もけさ新聞で初めて拝見をしたのでございますが、あれを見まして、まず、いかにも企業家らしい発想だなという実感が頭の中をすっとよぎったのでございます。  たな上げということは、存在を認めて、しばらく横に置いておいて話をしようということであれば、領土問題はある、懸案で残っているのだ、しかしそれはしばらく横に置いてということがたな上げ論かなと思って、詳しいことはわかりませんが、いままではソ連はあるということを認めないわけで、そういうものはもうない、あるいは解決済み、こう言っておるのでございますから、たな上げも何もないわけで、向こうの主張は、もともとない、こういうことになっておるわけです。永野さんの発想は、あるのだけれども、横に置いて、こういうことを向こうも認めて、その上でということかな、新聞だけでよくわかりませんが、頭をよぎったのは、本当にいかにも企業家らしいなという感じを受けたわけでございます。  もう少し詳しく永野さんに聞いてみませんとわからぬわけでございますから、すぐそれを論評して、それじゃソ連側が領土問題はあるということを認めるのですなということを確かめてやるのか、その辺のわからぬところがございますので、たな上げと言いましても、永久たな上げみたいなものもたな上げかもしれませんし、いろいろありますから、それで直ちにどうと言うことはなかなかむずかしいと思いますが、私も永野さんに会いまして、一回どういうことですかということを聞いてみようと思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの大臣のお答えですが、私はボービン氏の、石があったら迂回する、この言葉にも大変意味があると思いますが、これは私の見解として申し上げて、終わりたいと思います。  それでは、岡田委員に交代したいと思います。

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 日米の首脳会談の日程が迫ってまいっておるわけです。今国会でも対ソ政策についていろいろ外務省の見解も承ってまいったわけですが、今日の時点でわが国の対ソ外交、経済政策、いわばこの基本方針については、従来国会で述べられた基本方針と変わりがないのかどうか、この点が第一点であります。  同時にまた、対ソ関係の打開のために、いまソ連側が提案しているアメリカとソ連の首脳会談の開催、これらについてはそれぞれ西欧諸国の首脳はそれなりにその立場からいろいろ見解が述べられておるわけです。したがって、ソ連の隣国であるわが国としては、デタントについて米ソの首脳会談が望ましい、そういう見解をとっておるのかどうか、一体そういう立場で日米の首脳会談に臨むというお考えがあるのかどうか、まず承っておきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 二つございましたが、最初の経済問題でございますが、政府ベースの信用供与はケース・バイ・ケースということで、森林とか石油とか石炭とか、そういう相互に利益になるものは認めるというようなことでやっていたわけでございますので、その方針は、ケース・バイ・ケースという考え方は従来どおりでおるわけでございます。  それから、第二点の米ソ首脳会談の問題でございますが、これは私、この前行きましたとき、ヘイグさんにソ連の問題をいろいろ話しましたときに、力の均衡ということはそれはそれでアメリカの方針はわかるが、もう一つ、やはり日本としては米ソの平和関係が維持されるということが世界の平和にとってどうしても必要だ、話し合いの窓口ということが大切でなかろうか、それでSALTの交渉でございますとか、米ソの首脳会談ということに触れまして、向こうの見解もただしたのでございます。  そのときの返事は、それは窓をあけておく、話し合いには応ずるつもりだ、ただ、ソ連が口ではそういうことを提案し、言われるが、実際の行動が一体それに伴うかどうかということが現実は問題なんだから、もう少しそのことを慎重に見ている、そしてその上で、やるかやらぬかということを判断するというふうなことをヘイグさんが私に言ったわけでございまして、日本としても、米ソの平和関係が保たれるということは本当に必要なことだと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 当面、日ソ間の特に経済協力の問題では、私はやはりヤンブルグ計画に対する西欧あるいはわが国の対応であろうかと思います。すでにわが国の鉄鋼業界の代表はソ連の意向打診を行いつつあるということも報道されておるわけです。また、今日の情勢の中で、西独は新しい立場でこの計画に対する対応、伝えられるところによれば、普通の輸出として大口径の鋼管を輸出する、こういうような方針を決めたということも実は伝えられておるわけです。したがって、鉄鋼業界等の動きからも判断して、当然この対応について政府も具体的な方針を示さなければならないのではないか、こう思うのでありますけれども、これも従来国会で議論してきた内容であります。この点についてこの機会に見解を承っておきたいと思います。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 ヤンブルグのプロジェクトに対します西独の対応ぶりというものが新聞には報道されているわけでございますが、ヤンブルグの計画そのものにつきまして、かねがね御説明しているとおりでございますので繰り返すことはいたしませんが、新聞では西独は何か新しいことを考えておる、日本もそれと同じようなことをやるということも考えていると伝えておりますけれども、まだ政府レベルまで業界の方々の方からこういうふうにしたいというふうなお話は承っておりませんので、この時点では特に新しく御報告すべきことはないと考えております。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 日ソ貿易支払い協定については双方で合意がなされておるわけです。しかし、この調印はモスクワで行う、こう言われておるのでありますが、いつ行われるのかという点についてはまだ定かではないのでありますけれども、この点はいかがですか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 これは先般仮調印をいたしましたときに、ソ連側の代表団との間で、本署名につきましてはモスコーでいたしましょう、それから時期につきましては、それぞれ国内手続もあるので、今後外交ルートで連絡をとりながら日時を決めることにいたしましょう、現在そういうことになっているわけでございまして、そう時間はかからないと思うわけでございますが、いつということをいま申し上げる段階ではないということでございます。  それから、この機会に恐縮でございますが、先ほどの御質問の航行警報をただいま判明した限りにおきまして御報告いたしますと、タス通信は二十日にもうすでに通告をしたと言っているわけでございますが、二十日に海上保安庁が傍受いたしました航行警報は、射撃の予定日が二十四日、二十五日、予備日が二十六日ということになっておりまして、まず日が違うわけでございます。それから危険水域、これはカムチャツカ半島の東海岸でございまして、全然違う場所でございます。ですから、タス通信が二十日にすでに通報したはずだと申しますのは、日時も違えば場所も違うということでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 日米間の漁業関係は、これまた日ソの漁業関係にもいろいろ影響を与えてきたというのが過去の歴史であろうかと私は思うわけです。今日、日米間の漁業問題は、むしろ日ソ関係の方は安定化の方向に進んでおるけれども、ずいぶん問題点が多い、こう思うわけであります。  鈴木総理も外務大臣も漁業政策ではベテランであるわけですが、今回の首脳会談の中でも日米間の漁業問題についての基本的な枠組みについては触れる必要があるのではないか、こういう意見を私は実は持っておるわけです。この点については外務大臣としては全然触れる考えはないのか、あるいはまた、これからの新しい枠組みについて首脳会談の機会を通じて日米間で話をする用意があるのか、承っておきたいと思うのです。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま岡田先生のおっしゃるように、日ソよりも日米の方が漁獲量もかなり多くなっておりますので、魚と言うと日ソという感じだったのですが、日米の漁業の比重が非常に大きくなっているということは、特に最近の傾向はそうでございます。私も、この間アメリカへ行きましたとき、ヘイグさんとボルドリッジ商務長官の方でやっておりますのでイシイルカの混獲問題とかカニの問題とか話してきたわけでございますが、アメリカの水産物を一番買っているのは日本でございますし、日本の漁船が向こうへ行って安定的に操業できるようにしていくということ、これが相互互恵、向こうの水産物も買う、こっちの漁業も安定的に操業できるようにということが大切だと思いまして私も話してきたのでございます。  まだ首脳会談の中身につきましてこういうことは触れないとか決めてはおりませんが、総理はどこへ行かれても水産の問題を言われるわけでございますし、まだ議題は決まっておりませんが、私も日米間の漁業というのは非常に大きな問題だという認識を持っておりますので、今後議題等打ち合わせますが、総理とその点はよくお打ち合わせしたいと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今次サケ・マス日ソ漁業交渉に当たって、特にいま大臣も触れられたイシイルカの混獲問題、今村長官はアメリカを訪れて一応口頭弁書を得て、そしてまた日ソの漁業交渉に臨んだ、こういう経緯が実はあるわけです。アメリカのNOAA、国家海洋大気庁ですか、これに対して、審判庁の判定がきょう下されるはずであります。しかもこれは厳しい条件がつくのではないか、もっぱらこう観測されておるわけです。この点についてどのような判断を持たれておるのか、この機会に承っておきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 二十四日に行政審判が出るはずでございますが、ワシントン時間でございますからまだ出ておりませんが、私が受けた印象によりますれば、日本は五千五百頭のイシイルカの混獲の申請をいたしておりますけれども、この五千五百頭につきましていけないという意見はなかったわけでございます。  それから同時に、日本は三年間にわたってと言っておりますが、三年まるまるいくかどうかはわかりません。これはちょっと予断を許しません。そういう雰囲気でございますから行政審判が出るまで予断を許しませんけれども、まずは大丈夫と言うと語弊がございますが、いけるのではないかというふうに思っております。  ただ、その場合の条件でございますが、恐らく具体的にどういう条件ということは審判には盛り込まれないのではないか。いろいろ今後の試験研究とか、あるいは五千五百頭以上とった場合の措置でありますとかその他の問題について、恐らくその条件的なものは具体的にNOAAの方と協議をするということに相なるのではないかという予測をいたしておるところでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今次サケ・マス漁業交渉の日本側の総括として、交渉の特色あるいはまた交渉の結果をどのように評価をされておるのか、そして、来年度以降の日ソ間のサケ・マス漁業の展望をこの交渉を通じてどういう認識をされておるのか、この機会に承っておきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ことしは豊漁年でございますが、ソビエトは豊漁年、不漁年ということをだんだん言わなくなりまして、豊漁年と不漁年と余り違いがない、概括的に言いますとそういう言い方でございます。豊漁年であるけれども、特にお値打ちもののベニ、シロ、ギンというものは資源状態は非常に悪いのであるからこれを保護するようなことを考えなければいかぬ、したがって、ソビエトとしてもマスをとるからベニ、シロ、ギンを減少させる、日本もそれに合わせて減少をしてもらいたい、こういう話でございます。したがいまして、総量の四万二千五百トンの問題もございましたけれども、非常にむずかしい問題は、魚種別クォータを減少させるかどうかという問題でございます。特にお値打ちもののクォータを減らされたのでは何ともならぬわけでございますから、そこのところの論議が一番やかましかったわけでございます。  それから同時に、もう一つの特徴といいますのは、日本の超過漁獲という問題を相当強く言い始めまして、日本の網にはベニがよくかかるというふうな話もありまして、この問題を相当取り上げてきておる。これが今後の日ソ交渉におきまして従来にも増して重要なウエートを占めてくるのではないかと私は考えています。四万二千五百トンをもはや減らすことは日本としてもなかなか大変なことであるということはソビエトも十分認識いたしておりますから、四万二千五百トンそのものの攻防戦というものは従来ほどのウエートを持つかどうかはわかりません。それが一つの特色でございます。  それからもう一つはコンペの問題でございますが、コンペはソ連としてはどうしてもたくさん取りたい、日本としてはもはや限界であるという、そこのところが問題でございまして、今回も二億五千万円ふえまして四十億ということに相なったわけでございますが、ソ連としましても、今後ますますサケ・マスの養殖に力を入れていきたい、また、財政事情も御存じのようなことでございますから、恐らくコンペについては今後もいろいろ強い要請が出るというふうに思っておる次第でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そうしますと、日ソのサケ・マス漁業の基盤の問題でございますけれども、すでに四万二千五百トンのクォータが四カ年連続して協定に達しておるわけです。そうしますと、日ソ岡のサケ・マスの沖取り漁業についての認識は双方一致しているだろう、こう私は思うわけであります。そういう意味で、日ソサケ・マス漁業の成立している基盤について日本側としてどういう認識を持たれていますか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソ連はかねてから、サケ・マスの沖取りは禁止すべきであるという態度をとっております。今回の交渉におきましても、開会式における冒頭あいさつでクドリャフツェフ次官が、沖取り非合理性及びその全面的禁止の必要性ということを述べております。したがって、ソ連の沖取り禁止ということの基本的態度が変わっておると認識してはいけないのではないかと思いますが、しかし、ここ二年ぐらいの交渉態度を見てみますと、相当実務的に相なっております。したがいまして、私は、日ソ間におきます大きな要素の変更がない限りにおきましては、大体現在のベースで取り進めていけるのではないかという私なりの予想はいたしておりますが、大きな要素の変更がありますればまた別でございます。コンペも四十億になっておりまして、これはソ連としては相当魅力的な要素でございますから、そうソ連としても簡単に日本の四万二千五百トンを削り飛ばすというふうな状況にないことも確かでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今回のソ連側の当初の提案を分析しますと、特に特徴的なのはこのコンペの問題であります。昨年は一千万ルーブルですか、ルーブルで提案をいたしたわけですね。今回の場合には円で実は提案をしている。これは円高の傾向があってルーブルが価値が下がっておるというような面を考慮して今回の場合には円で提案をしたのではないか、こう思うのでありますけれども、その根拠はまた一応ソ連側は説明をいたしているわけですから、そういう意味でこの内容についてひとつ御説明願いたいと思うのです。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソビエトは、昨年もそうでございますが、ソ連の中におきますサケ・マスの増殖に使っておる金が大体四千七百万ルーブルである、これはことしはもっとふえておるのだけれども、去年の数字を置いておく、こういう説明でありましたが、その四千七百万ルーブルを日ソの取り分によって案分しようということでございます。ソ連のことしの漁獲量はしかじか、日本は当初提案四万トンでございますから、四万トンで把握をすれば四十一億七千万円であるという説明であったわけでございます。去年もソ連はそういう説明をいたしたわけでございます。したがいまして、これはソビエト流に言いますと、四万二千五百トンに上がりますと四十三億六千万円である、こういう計算に相なるわけでございます。その数字を主張いたしたわけでございます。  日本としては、もはやコンペは負担の限界である、特に現在のような財政事情のもとにおいて国の負担をふやしていくということはきわめて問題があるし、漁業者の負担そのものといたしましても石油高、魚価安ということで負担の限界がある、したがって、せいぜいがんばっても三十七億五千万であるという主張をいたしたわけでございます。  昨年はそういう計算でいろいろやりまして、たとえば最後に一千万ルーブルはどうしても要るのだということになって、一千万ルーブルと言ったっていろいろあるよ、どういうレートで換算をするかによって違うよというような議論をいたしたわけです。ことしも、そういう案分でやって千二百万ルーブルであってもそれは換算によって違うよという議論をしたのですが、最後になりますとそういう議論が飛んでしまうというと語弊があるのですが、最後幾らというふうなことで全体の落ち着きぐあいとして決まったということで、かくかくしかじかの方程式によってかくかくしかじかはじき出された数字であるというふうには申し上げられないわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 この協力費の問題については、昭和五十三年に対して五十四年は前年対比で八四・六%のアップ、五十五年は一五・四%のアップ、今年度は六・六%のアップ、こういう経過を実はたどっているわけです。長官もクドリャフツェフ第一次官と五回にわたる会談を行って最終的に決められたわけでありますけれども、私はその努力に対して実は敬意を表しておるわけであります。  そこで、特にソ連側は、今年度ソ連側の漁獲の実績としては十一万五千トン見込める、こう言われておるわけです。ちょうど五十三年が七万八千四百トン、五十四年が十二万三千九百トン、昨年の交渉の場合には昭和五十五年のソ連側の漁獲の予定としては九万トンである、こうソ連側は説明したということを昨年のこの委員会で私は説明を受けておるわけであります。そうしますと、五十五年度のソ連側の実績はどうなっておるのか、この機会に承っておきたいと思うのです。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソ連は、昨年当初、日本のクォータは三万七千トンである、その場合にソ連は九万トンとるのである、もし日本に三万七千トンでなくて四万二千五百トンをとらすということになれば、その分、ソ連から減らさなければいかぬのだということを言ったわけでございます。決して実績は減らしていないではないかということをことしまた強く言ったのですけれども、そういう形で、ことしはソ連が十一万五千トンをとるということを当初計画として見込んでおる、そういう経緯がございました。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 五十五年度ソ連側の実績はどうなっておりますか、説明がありませんでしたが。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 実績は九万九千トンでございます。これは秋ザケの一部が入っておりませんから、入れれば恐らく十万トンになると思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 昭和五十年以降、ソ連の漁獲実績もそういう意味では着実な上昇をしているということを数字が示しておるだろう、私はこう思うわけであります。  そこで、ソ連のそういう資源に対する認識ということが、特に最近ふ化事業等に対する着目等を考えれば、より一層高まっておるというぐあいに判断してよろしいのではないか、私はこう思っておるわけです。したがって、過去三年間、今年を含めて四年間、四万二千五百トンで決められておる、この漁業協力費の対前年度アップ率については先ほど私から申し上げたわけですけれども、では、過去三年間のわが国のサケ・マスの総漁獲金額に対して協力費はどういう比率になって推移をしておるのか、この点はいかがでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 漁業協力費が漁獲金額に占めます割合でございますが、五十三年が四・四%、五十四年が一〇・一%、五十五年が、コンペが上がりまして魚価が下がりましたものですから一三・一%、今年もし昨年と同じような魚価であるとしますと一三・九%ということに相なります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 水揚げの総金額についてはいろいろ言われておるのですけれども、大体五百億弱、こういう表現で常に示されておるのですが、そういう認識でよろしいですか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 総水揚げ金額は、私の方での数字といたしましては、一九七八年が三百九十八億、一九七九年では三百二十一億、一九八〇年では二百八十七億というふうになっております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 数字のとり方というのはいろいろ問題があるのですけれども、昨年の場合には、委員会でも質問しましたように、サケ・マスの在庫は大体五万ないし六万トンあるだろう、こう言われてきたわけです。今年の状況を見ますと、大体一万トン強程度ではないか。特に、三月、四月における末端のサケ・マスの価格は二割ないし三割高というような状況だと私は思うのですね。したがって、サケ・マスの市況というものは、昨年に比べて今年はずいぶんさま変わりしている、こう認識していいのではないかと思うわけです。  水産庁は、今日の在庫の実態を一体どのように把握されておるのか。たとえば輸入とか秋ザケ、あるいはまた今度の四万二千五百トンの沖取りの分、そして今日の市況を一体どう判断されておるのか、承っておきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 在庫の状況でございますが、これは見方によっていろいろあるのでございますが、私たちの水産物流通統計で見ますと、五十六年二月末で、冷凍、塩蔵を合計いたしまして二万四千五百三十トンということでございます。これは相当減少をいたしておるわけでございます。したがいまして、価格の方もわりあいいい水準に来ておるわけでございまして、私は、去年苦労したようなことはないのではないかというふうに思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 長官がいま説明された在庫数量、二月末で押さえているようでありますけれども、最も新しい在庫量で見ますと、三月末の状況、ベニが三千六百トン、シロが三千七百トン、マスは五百トン、ギン、スケが二千二百トン、秋ザケが千二百五十トン、合計一万一千二百五十トン、そのうち冷凍が二千九百トン、塩蔵が四千五百トン、輸入が三千八百五十トン、こういう数字が一番新しいのではないかと思うのです。この数字は相当精度のあるものでしょう、どうですか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 先生のおっしゃった数字は、業界筋からいろいろ聞いたりなどいたしますとそういうことでございまして、まあそれに近いような様子ではないかと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 二月、三月のサケ・マスの消費実績を見ますと、大体六千五百トンないし六千六百トン程度、水準としては非常に順調な水準を推移いたしているわけです。もし三月に輸入がないとすれば、まだこの在庫量は減っているはずであります。特にベニとかシロを主体にして三月には千五百トン輸入いたしておりますから。大体一万トンベースだ、こう言っていいのではないかと思うのです。したがって、新しい今度のサケ・マスが市場に出回るころには、輸入しなければまだこの水準は下がる、こう見るのが正しいのではないかと思うわけです。いかがでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 昨年は大体四万何千トンかの輸入で、その前が五万何千トンかの輸入でございますから、私は、ことしのサケ・マスの需給全体を見渡しまして、それほど大きく価格が飛び離れるということはないのではないかと思いますが、同時に、昨年のような、あるいは一昨年のような低迷した状況であってもまた困りますので、そこはリーズナブルな水準であることを期待いたしているところでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 五十四年は輸入が五万四千六百九十八トン、昨年は三万九千三百四十五トン、これは暦年の数字であります。大体四万トンの輸入であります。したがって、いまの議論の中で、今年度のサケの市況は非常に好況に推移するだろうということが大体常識的に認識ができるのではないか、私はこう思います。  そこで、長官は帰国をされて記者会見をし、その中で、今回の上積みになった二億五千万については、従来四五、五五の比率で政府、業界が負担をしておったわけですが、今回は業界に負担をしてもらわなければならないと語っている。すでに出発前に何か大蔵省の方とも打ち合わせをされたようでありますけれども、この点は間違いがないのでしょうか。そういう方針ですか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 現在の財政事情等を考慮いたしますならば、上積み部分について国が負担をするということはきわめて困難な状況にあると私は思います。これはいろいろな考え方がございましょうけれども、たとえばサケ・マス業界をうらやんでおる業界も非常にあるわけでございまして、うらやましがっておるから国が金を出すのをいやがるということではございませんけれども、現在の国の財政負担というものも相当いい水準にいっておるということを考えれば、上積み部分の増分は業界で負担をしてもらうということを早目に申し上げておいた方が後々問題が起こらなくていいじゃないかという気持ちで、私は交渉途中におきましても顧問団の方々に申し上げ、帰ってまいりましてもそういう考え方を申し上げておるわけでございまして、これは最終的な決定ではございません。水産庁長官としての私の考え方を申し述べておるというふうに御理解を賜りたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 長官がいま述べられた考え方であるということは、大蔵省は要求もされないのにお金を出しますなんということはないわけだから、そうすると政府と業界の負担は去年の実績どおりであって、二億五千万は今回は業界負担だ、そう述べられると、そうだと私は思うのですよ、常識的に考えて。農林大臣、いかがですか。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 水産庁長官からお話し申し上げたとおり、日本の財政再建の面、財政当局の実態というものはよくわかるわけでありまするし、また、年々このコンペが金額を増してきておるわけでありまするから、もうこの辺が限度だということで、今回も今村長官がえらい努力をされたわけでありますけれども御承知のような結果、こういうことでございます。したがいまして、漁業界全般のこと等もこれあり、やはり業界で負担していただきたいというのが農林水産省当局の気持ちでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 もし日ソのサケ・マス漁業が、これは仮定でありますけれども全面禁止になった場合には、当然漁業補償が伴うのであります。そうしますと、全面禁止になった場合、現行のべースで計算して漁業権の補償総額はどの程度になるものでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 私どもといたしましてはそういう事態になるということを予想いたしておりませんので、正確なそういう計算はいたしておらないのでございますけれども、せっかく先生のお尋ねでございますから、概算として申し上げます。  全部がなくなるということを想定するかどうかというところが問題でありまして、仮にソ連がとらさないと言っても、日本の二百海里の中では当然とれるわけでございますし、アメリカの二百海里の中でソ連に帰っていくサケ・マスをとれるかとれぬかという問題がございます。公海部分だけの概算をいたしますと、大体千七百億から千八百億ぐらいに相なるかと思います。アメリカの二百海里分、日本の二百海里分を除いて、公海部分だけで現在とっております分につきましてとれなくなったというふうに仮定すれば、大体この前やりました北洋の減船に準じて考えていくということになると、概算数字といたしまして千七百億か千八百億ぐらいかなということでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 しかし、ずっと減船をして、いまの業界は共補償を背負っておるわけです。これはもう常識であります。全面禁止になるという場合に、単なる漁業補償だけでは済まない政治問題が起きてくるのだと思うのです。そういうものを背負っておるのがサケ・マス業界だ。母船式四隻を含めて千四百四十九隻、一万五千人の人がこれに直接従事しておるわけです。そういう意味で、もちろん協力費がどんどん上がっていくということは、採算割れになる可能性があるわけですから問題があります。しかし、妥結したときの農林大臣などの発言を新聞等で見ると、協力費が上がってもうサケ・マス沖取り漁業はできなくなるだろう、こう簡単に述べられるわけですけれども、それは私は非常に一つの政治的な発言だと思うのです。深く業界の内容を認識すると、簡単にこれが協力費が多少上がったからと言ってやめられる性質のものではない、こう私は思うのです。もちろん協力費が上がる度合いによっていろいろ出てまいりますけれども、やはりある程度のところで、まあまあの形でこのサケ・マス漁業というものが長期にわたって継続される、またしなければならない、こう私は思うのですけれども、いかがですか。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、やはり伝統ある北洋のサケ・マス漁業でありまするから、あらゆる努力をしてその実績を継続してまいる。しかし、最終的には採算ということも十分考えなければいかぬわけでありまして、その辺、日ソ漁業交渉の問題が、ソビエト側がこのコンペ関係をいままでどおりの増額要求を今後も続けてされるというようなことになりますると、これは相当困難な事態も覚悟しなければならない、そういうことをこの前ちょっと話しましたところがああいう記事になったわけでございまして、私の気持ちとしては、万難を排してサケ・マス漁業というものは継続していきたい、そういうことが本心でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今回の交渉の中で、ソビエト側の感じとして、これは長官も帰国されて述べられておるわけですが、日本側のとっておる量は多いのだ、そういう認識をしておる。向こうは数字まで出して指摘をしておるわけであります。  そこで、この機会に承っておきたいのですが、過去三年間、サケ・マス漁業の協定違反の案件というものはどの程度あるのでしょう、また、これにはどう対応しておるのでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 三年間というお尋ねでございますが、三年間の数字はいますぐ御報告申し上げたいと思いますが、昨年の違反状況をまず申し上げますと、違反をしたのが十八隻でございます。これに対してそれぞれ違反の程度に応じまして処分をいたしましたが、具体的に違反内容軽易であるということで始末書処分をしたものを除きまして、処分をしたのが九隻でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 特に昨年の場合、水産庁としては従来にない厳しい措置をとられて、出漁禁止、こういうことも行われたことを私は承知いたしておるわけです。いずれにしてもサケ・マス漁業というものを日ソ間で長期に継続するためには、日本側としても国際的な感覚を持って信義を重んずるということが最も大事だと思うのです。長官は帰ってこられて業界に特にそういう立場で意見も述べられておるように承知いたしておるわけであります。私は、そういう意味で今年の場合においても違反操業がないように、指摘されないように業界に対してびしっと指導するということが最も望ましいのではないか、こう考えておるわけです。  そこで、日ソの漁業協力協定に基づいていわば協力費なども決められておるわけでありますけれども、協力協定は五カ年間の期限でありますから、これが来年来ているわけですね。しかし、これは自動延長つきでありますから、双方意思表示がなければ自動延長されていく内容になっていると私は思うのであります。したがって、来年一応期限切れになるが、わが国としてこの協力協定を改定するという意思があるのかどうか、いまの協力協定でよろしいという立場なのか、承っておきたいと思うのです。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソ連の方からどういう言い方をしてくるかわかりませんが、私の方からこれのどこそこを改定というふうにはいまのところ考えていないのでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 協力費についてはそれぞれ、政府の資金については一定の基準を設けられて対応されてきているわけです。しかし、協力費制度ができて以来、この内容を検討すると、直接サケ・マスに関連のない部分も相当多いわけですね。そういう意味では、昨年の協力費が、ごく最近ソ連側と話し合いをされて初めてふ化施設に投資が行われるということが決まったわけですが、この協力費の性格からいって、いままでの実績に水産庁としては満足いたしておりますか、問題点があると思いますか、また、どう改善されなければならないとお考えでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 協力費の内容につきましては、先生よく御高承のとおりでございますから説明を省略させていただきまして、私は、現在までのところ政府の助成の対象になっておる協力対象施設というのは、まずそれほどおかしいものはないのではないかというふうに思っております。もちろん具体的に今後、クドリャフツェフは、去年の協力費で大体一カ所のふ化場を設け、ことしまた協力費で一カ所のふ化場を設け、行く行くは十カ所ほどのふ化場を設けたいというふうな言及をいたしておりましたが、そういうふうになっていきますとますます端的な方向をたどるわけでございまして、その点は問題がないと思っております。  ただ、業界自身での協力費の対象の物件につきましては、いかがなものかなということもありますけれども、しかし、これは同時にソビエトの意向をも反映しながらやっていくということが要素として含まれると思いますので、私としては、現在の品目でおおむね妥当なのではないか、前に御指摘をいただきました案件のようなものは実施上はいたしておりませんので、実施上いたしております案件を見る限りにおいてはまずまずのところではないかというふうに思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 日本海マス流し網漁業の関係で、第三十五長栄丸、第十一次明豊丸、第二十五若竹丸が五十四年、五十五年にかけてソ連側に操業違反で拿捕されて、すでに二隻については二審の判決が出て、もう一隻については三審の判決が出て、さらに上告をいたしておるわけです。しかも、その罰金総額を考えますと、とても負担できるものではないというのが実情だと思うわけです。  この点について、特に長栄丸の場合には、北朝鮮の自由操業区域がソ連の二百海里の基線とオーバーラップしているという地点で拿捕されておるわけです。明豊丸は、申告によると、一日だけソ連の二百海里内で操業した。若竹丸はソ連の二百海里内に入っていない、中間線を越えていない、こういうことがそれぞれ申告されているわけであります。もちろん拿捕された船員は、向こうの裁判で侵犯しましたという署名をして帰ってきたことは間違いがないわけですけれども、この案件について外務省としても重大な関心を持って対応されておると承知をいたしておるわけです。その対応の内容について、この機会に承っておきたいと思います。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 ただいまの御指摘の三案件でございますが、これは先生すでに御承知のとおり、大変高額の罰金ないし損害補償金を科されているわけでございます。したがいまして、外務省といたしましては、ソ連のそのような取り締まりは不法である、それから、罰金額等も常識の範囲を超えた高額なものであるということで、外交ルートを通じまして繰り返し繰り返しソ連側に抗議はいたしているわけでございます。ソ連側の外務省、漁業省双方でございますけれども抗議をいたしまして、拿捕は不当であるということで罰金、損害補償金の減額等について善処するようにということを申し入れてきているわけでございますけれども、遺憾ながら現在までのところソ連側が何らか態度を変更しようという用意を見せていないということで、はなはだ遺憾に存じているわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私は、これ以外の問題も出てくるかと思うのですけれども、できればこれらについて日ソ間でもう少し話し合いができる雰囲気といいますか、話し合いができ得る一つの枠組みを努力してつくり上げなければならないのではないか、こういう気がするのであります。そういう意味で、ひとつ研究とせっかくの努力を私はこの機会に期待を申し上げておきたいと思います。  時間もありませんから、最後に、昭和五十五年でも五十六年でも結構でありますけれども、わが国の一年間のサケ・マスの魚の消費量は大体どの程度だとお考えでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 岡田先生に御質問を受けますとなかなか困るのでございますが、ソビエトとの関係でとっておりますのが四万二千五百トン、輸入が大体四、五万トンでございます。それで、国内での生産は大体、昨年で七万トン、一昨年で八万トンぐらいでございますから、大体まあそれを合計した水準であるというふうに思っておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 時間がありませんから、これは申し上げておくだけにとどめますけれども、いまのたとえば国内のふ化事業の目標は、昭和五十八年度の放流で回帰期待は十四万トンを想定しておるわけですね。したがって、昭和六十二年には十四万トンのサケ・マスがわが国の河川に帰ってくる、こういう計画が実は進められておるわけです。そうなってまいりますと、国内生産というものは飛躍的にふえる。そういう意味で、このサケ・マスの流通問題は非常に大事な問題になってくるのではないかと私は思う。  特に、残念ながら今日のふ化実態から判断をすると、後期群の採卵、ふ化が多くて、ブナ系の率が高まってきておるわけですね。せっかく放流して、四年間外洋で成長して河川に帰ってくる。やはりおいしく魚を食べることが一番大事だと思うわけです。そうすると、早期群や成期群の魚から採卵をして放流をする、あるいはまた小河川の場合にはどうしてもブナになって上がるわけですから、大河川を最も重視する、こういうような点でいろいろ議論がいま水産庁内部でもあるのだと思うわけです。ところが、どうもその対応の仕方が不十分だ、どうもこの実態と合っていない。これはわれわれも前浜を現地で歩いてみてそう思うのであります。もちろん専門家もおるわけですから、この対策については、今年の秋の秋ザケの時期を目指してひとつびしっとした指導をし、改善をしていただきたいということを特にお願いしておきたいと思うわけです。  それから第二の問題は、第六次定置の切りかえが行われて、そして三年目の段階に入るわけです。あと二年たてば第七次の切りかえが行われるわけであります。もちろん、この場合の回帰率は二千万匹を上回るという状況で、そして最終年度は六十二年の十四万トンの体制、そういう中で第七次の期間が決められるわけであります。  実態をずっと見ますと、たとえばHという漁業協同組合では全部組合自営で許可を受けて、それぞれ出資割合でいわば共同事業のように、生産組合のような形で経営している定置もあるわけです。あるいはまたSという漁業協同組合では、百五十人の組合員しかいないのでありますけれども、十六カ統ある沖合いにさらに第六次の切りかえで五百メーター出して、そのために他の漁民の漁場が失われた、そういう中でもまだ依然として独占的な傾向を続けているというような問題があるわけです。最も理想的な漁組の経営ができ得る体制でもそういう問題を残している。あるいはまたOという漁業協同組合では、水産庁や道の共同化の指導に対して、それをやはり変形をして問題処理をする。たとえば定置に労務参加という面で百四十万とか百六十万をやって、実際には権利としては参加してないという組合もあるわけです。  私は、法律違反の問題も非常にあるものですから名前を言わないのでありますけれども、そういう意味では、第七次のこの定置のあり方は非常に重要だと思うのです。それをやはりいまからいろいろ実態を把握して研究しておかなければ、その段階では間に合わないのではないか、こう思います。  そういう意味で、いまの増殖計画の実態から考えてみても、この点十分ひとつ間違いのない対処をしてほしいということ、この二点は特に強く私は要望をいたしておきたいと思うのですが、何か感想があれば承って、終わりたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ギン系とブナ系の問題も御指摘のとおりであろうと思います。私たちはなるたけギン系のおいしい魚をふ化放流するようにやりたいのですが、お金の関係も一つあるわけでございまして、その辺の関係も十分見きわめながら、よく検討いたしたいと思います。  それから、定置の問題につきましては、御指摘のようにいろいろな問題があることは私も承知をいたしておりますが、まだ実態と制度との遊離問題という問題もございます。したがいまして、これらの点は御指摘のように実態をよく勉強して、第七次の定置のあり方に備えるようにいまから十分勉強していきたいと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 終わります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 川田正則君。

川田正則自由民主党

○川田委員 内外の諸情勢から判断しますと、日ソの関係というのは非常に冷え込んでいるというふうな感触を受けるわけでありますけれども、そんな中で今回のサケ・マス交渉がなされ、しかも早期に妥結をしたということにつきましては、今村水産庁長官初め関係者の方々の御努力を非常に高く評価をしなければいけないと思うわけであります。  そこで、長官に率直に私、お尋ねをしたいわけでありますが、今回のサケ・マス交渉を通じて、この日ソ間の冷え込みということについてどういうふうにお感じになりましたか。これは率直にお話をしていただければ私どもも非常に参考になるわけでございますので、感触で結構でございますからお話をしていただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 日ソの全体的な関係につきましては、私は十分承知をいたしておるわけではございませんが、サケ・マスの交渉を通じて見る限りにおきましては、ソビエトは非常に実務的な態度で対処をしてきたと私は思っております。そういう日ソ間のいろいろな要素を持ち込んで、そしてサケ・マス交渉をおかしくしていこうというふうな態度は全然見られませんで、非常に実務的な対処で対応してきたというふうに理解をいたしております。

川田正則自由民主党

○川田委員 ただいま岡田委員からいろいろ漁業協力金のことについて御質問がございました。私ども新聞で見る限り、国民的立場で見ますと、どうも去年の三十七億五千万、本年の四十億、お金でソ連の方に上げるというふうな感じを非常に強く持っているわけでありますけれども、しかし実態は、先ほどのお話にございましたように、漁業用の機材であるとか設備であるとか、そういうもので現物供与をしている、私はこの認識が一般の国民に非常にないように思われますし、また、水産庁自体もそこら辺のPRがどうも私、欠けているような気がするわけでありますけれども、いままでの実態をちょっとお話をしていただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 漁業協力費は、御存じのようにサケ・マス資源の維持培養をすることは日ソ双方の利益につながる問題である、したがって、日本としても相応の協力をいたしましょうということで始まったわけでございます。したがいまして、漁業協力費の内容につきましては、ソビエトの意向もよくくみながら相談をいたしまして、ソ連のサケ・マスの増殖に役に立つという観点のものを現物で供与をいたしておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、金額の問題は別といたしまして、そういう長い目で見た資源の維持培養ということにつきましては、日本としてもできる限りの協力を惜しむべきではないというふうに考えておるところでございます。

川田正則自由民主党

○川田委員 今年の妥結を見ました四十億、これにつきまして私ども承知している範囲では、ウラジオストクから二百キロ北西に当たるバルバショフ川というところにふ化場をつくる、それの援助という話を聞いております。実際問題としてやはり四十億というのは大変なお金でありますから、有効に使っていただかなければならないわけでありますけれども、どうも素人の質問で大変恐縮でありますが、そういったふ化場の成果といいますか、効率的にやれるのかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 先般クドリャフツェフ次官が日ソ、ソ日の交渉で来日をいたしました際に、北海道のサケ・マスふ化場を見学いたしまして、日本のサケ・マスふ化の技術及び実績ということについて非常な高い評価をいたしました。ソビエトにおいてもぜひそういうことをやっていきたいということで、行く行くは十カ所のサケ・マスふ化場を設置したいのだということを言っておりました。その熱心さは結構なのでございますが、逆にそれでコンペをたくさん取られてもいけませんので、日本のサケ・マスふ化が今日まで来るのには数十年の年月を要したわけでございますから、ひとつ着実にやってもらいたい、余りせっかちにやりますとうまくいきませんよというふうな話もいたしたわけでございますが、その際、クドリャフツェフは、コンペは一銭たりともむだには使っていないというふうに言っておりました。一銭たりともということを言えるかどうかというのは問題でございますが、ソ連としましても協力費はサケ・マスふ化、サケ・マス資源の維持培養に効果的に使おうという意思は十分持っておるというふうに見ておるところでございます。

川田正則自由民主党

○川田委員 いま長官の御答弁の中にありましたように、日ソの両国の利益になるようにとこれからやられるわけでありますから、十カ所もやられるということになりますと、これは本当に着実にやっていただかなければなりませんけれども、日本にも利益がある、相手の国にももちろん利益があるということになりますと、そういう意味合いではいま魚の問題につきましては大変な時期でありますだけに、私どもはそう高いものにつかないのではないかというふうな判断をするわけでありますけれども、この辺についてはいかがなものでございましょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 私は、協力費の問題については二つ問題があるのではないかと思っております。一つは、現在の四十億の水準というものの負担の能力の問題でございます。それからもう一つは、一体協力費は毎年毎年上がっていってどこで歯どめがかかるのかという問題であろうかと思います。基本的には、先生の御指摘のように、ソ連と日本とのお互いの利益のために資源を維持培養していく金としては相応のものであっていいではないかというお話もありますが、同時に、負担の問題、あるいは将来どこまで上がっていくのかという危惧の問題、その二点にどう対処をしていくのかということでございます。  負担問題から言いますならば、現在の四十億の水準というのはもう大体いいところへ来ておるわけでございまして、これを今後ふやしていくということはきわめて困難な問題ではないかと私は思います。  ただ、交渉でございますので、それじゃ全くふやさないで将来やっていけるのかという問題になりますと、これはなかなかむずかしい問題を伴うわけでございます。仮に日本としては不退転の決意で、漁期を逃してもいいから最後までがんばってみるか、あるいは逆に言いますと、四万二千五百トンのクォータを減らしてもコンペをがんばってみるかというふうな瀬戸際のような対処が求められる時期が来るのではないかなという感じ、感じですが、そういう感じもいたすわけでございまして、恐らく今後、クォータとコンペと、魚種別のクォータと、その三つの要素がどういうふうに展開をしていくのかというのが一つの大きな問題であり、もう一つは秩序ある操業という問題をどういうふうにわれわれとしても考えていくのかという、その二点であろうかというふうに思っておるわけでございます。

川田正則自由民主党

○川田委員 そこで、日ソの漁業交渉、それからサケ・マスの今回の交渉、こういう一連のものを考えておりますと、これは私の感じでありますから違うのかもしれませんけれども、日ソ間にはいろいろな貿易も行われておりますし、いろいろな協定もあろうかと思いますが、実際に動いているのはこの漁業交渉が何といっても第一番のものであろうというふうに感じます。したがって、非常に極端な言い方をしますと、日ソの間というのは魚でつながっていると言っても私は過言でないような気さえするわけでありますけれども、そんな中で、先般も北海道の漁民代表の人たちがたくさん上京されまして、大臣にもお会いをし、また長官にもお会いをして、非常に厳しい実態を本当に心の底から訴えていたわけであります。  これは行って見ていただかなければわからないかと思いますけれども、二百海里時代を迎えて、当時も大変な事態に立ち至った。魚のとれる町で魚のにおいがしなくなるくらい大変なことはございませんで、単に漁業関係者だけでなくて、波及効果を非常に及ぼしている。水産加工ももちろんでありますし、あるいは製かん業でありますとか、電気あるいは造船、燃油、そういった一連のもの、さらには商店街から飲み屋さんまで、大変な影響を受けているわけでございまして、実際に行ってみますと、船は出漁しても魚がとれないわけでありますので、稚内あたりは三分の一しか出ていない。三分の一出ていても、それは魚をとるためではなくて、むしろどこに魚がいるかということを調べに行く程度のものになってしまう。港に残っている船はもう真っ赤にさびてしまいますし、魚を入れる箱はもう水気がなくなってしまいまして、そっくり返ってしまっている。前にも私、お話し申し上げましたけれども、カラスまでいなくなるわけであります。魚がいないものですからカラスにまで見放されたということで、稚内とか根室だとか、北海道は大変な事態に立ち至っているわけであります。  そんな中で漁業交渉がなされ、二国間の協定がなされる。しかし、どうしても魚が欲しい、こうなりますと、共同事業ということしかなくなるわけでありますけれども、単にこれは北海道だけでなくて、西日本の方の漁業も大変だという話も聞いておりますが、実は私、先週の土曜日に北見枝幸に参りました。ことしはオホーツク海もまだ氷が解け切りませんで、例年より一カ月遅い、海が開けないままであります。これはもう天然現象だからやむを得ないと言われればそれまでのことでありますけれども、そんな中で、さらに北海道周辺は韓国漁船のあおりで資源が大分枯渇してきている、あるいはソ連の射撃訓練が頻繁に行われている。  それやこれやで非常に魚がとれなくなってきていることも一つの理由かと思いますけれども、この共同事業について私は昨年の十二月に長官にお尋ねをしました。そのときに長官の御答弁の中で、「スケトウダラにつきましては、一方において共同事業を推進したいという希望がある反面、これを共同事業に盛り込めば大変なことになるという意見もあるわけでございます。」こういう御答弁でございました。私はこれもわかりますが、一面、大変だという、これは国内の調整の問題が主体なのかもしれませんが、その大変だという理由をひとつ明確にお答えをしていただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 お話のように、稚内地区におきましては漁獲が減りまして非常にむずかしい状況にあることも承知をいたしております。また、それらの地区におきましては、共同事業、特にひれ魚を対象とする共同事業によって活路を見出したいという強い希望を有していることも承知をいたしておりますが、現在の日ソ漁業共同事業は、政府といたしましては、一つは、その共同事業が政府間協定によるわが国の漁船の漁業実績の維持に悪影響を及ぼさないということ、それから関係漁業者において十分な意見調整が行われておるということを基本原則にいたしまして対処をいたしておるところでございます。したがいまして、昨年におきましては八件、日ソ双方の許可を得て操業いたしたわけでございますが、これはひれ魚は含まれておりません。  そういうひれ魚を共同事業の対象に加えるかどうかということになりますと、一つは日ソ、ソ日の交渉といいますか、協定といいますか、そういうものへの影響は当然考えておかなければいけないと思います。それから、北海道の中におきましても私は恐らくその意見の調整ができないのではないかというふうに思うわけでございます。恐らくは北海道の中におきましてもその意見調整はきわめて困難ではないかというふうに見られるわけでございまして、いろいろむずかしゅうございますということの内容を要約して申し上げれば、その二点かと思っておるわけでございます。

川田正則自由民主党

○川田委員 大変だという中身につきましてはよく理解ができますが、私どもはやはり北海道の漁業というものを見殺しにはできない立場にありますし、ただ手をこまねいているわけにはいかない。そういうときに、長官のお話のように、非常に大変な道内自体でも調整の必要がある。これは稚内なら稚内の業界自体がいま懸命の努力をして、何とか理解をしていただくように道内では話し合いが始まっているというふうに私、聞いておりますし、また、道庁もいろいろな配慮をこれからするのであろうかと思うのでありますが、水産庁自体も私は何とか、これは哀訴嘆願という言葉になりますけれども、北海道の漁民の人たちのために、何とか水産庁長官としても、また大臣としてもお助けをいただきたいと思うわけであります。  昨日の本会議の席で大臣の御答弁を聞いておりまして、非常に私は感銘を深くしたことがございます。それは、農林水産大臣が御答弁の中に、常に漁業者の立場に立って相手の国とじっくり話し合いをしていくのだ、漁業者の立場に立つというのに私は非常に感銘を受けました。日ソの間でも、あるいはASEAN諸国とも、ニュージーランドとも、じっくり話をして漁業者のためにやっていくという御答弁を承りまして、私は非常に感銘を受けて、ぜひともあの本会議の大臣の御答弁を印刷して道内の漁業者に配ってみたいとさえ思っているわけでありますけれども、そのぐらい北海道の漁業は大変であります。  現に水産加工などは原魚がありませんから、稚内あたりですと四千人の従業員がいるわけでありますけれども、いまはもう二千人から三千人ぐらい失業してしまっている。非常に事は重大であります。特にまた、入漁料を払っても何とか魚をとらしてもらいたい、漁場を広げていきたい、切なる願いでございますので、そういう点につきましてはやはり行政の立場としても何とかここで手を打っていただきたいと私は思うわけでございますし、従来、そういうことになりますと緊急対策事業ということで金融措置はやっていただけるわけでありますけれども、それでは根本的な解決になっていかない。羅臼の例の会員証発行の問題であるとか、あるいは道の監視船が不法出国をしたとか、いろいろ出てくるのも、私は魚を何とかしてとりたいという切なる願いであろうと思います。  現に、これも昨年私は申し上げたわけでありますけれども、根室の水産協会長の高本さんの発言というのは、非常にこれは切実な願いです。といいますのは、もう北方領土の問題についても政府の方針と違うことを言い始めております。現に根室などは魚で八割生きている町であるから、国で考えてくれている緊急対策事業といいますか、あそこの根室地域だけに公共事業費を投下しよう、集中的にやろうということに対しても、われわれは道路や橋なんか要らないのだ、そんなものよりは何とか魚をとらしてくれという切なる願いも堂々とまかり通る時代で、その辺は非常に痛しかゆしの面もございますし、北方領土につきましても、二島でいいのだという意見もそんな中から私は出てきているような気がしてならないわけでありますが、何とかこの機会に北海道の漁業を救うために共同事業あるいはその他のいい方法があればやっていただきたいと思うわけでございまして、でき得れば大臣、長官のこういうことに対する御意見を承らせていただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 先生のお話の御趣旨は非常によく理解できるところでございますが、私は、まず共同事業というものは少なくとも現在の状況で秩序立てなければいけないと思っておるわけでございます。その秩序立てをどうしていくかということの第一歩が昨年の長官通達でございまして、一つは対象は甲殻類ということであり、もう一つは、勝手にソ連と交渉しても責任を持ちませんよ、よく道内及び大日本水産会において意見の調整の上、水産庁の承認を受けたものがソ連と交渉するのでありますよということを始めたわけでございます。  そういうことをやりましても、ソビエトとの入漁交渉などにおきまして非常に苦境に立って、実は共同事業の採算というものは一口で言いますならばよくないという状況でございます。現在、スケトウは日ソ漁業交渉で二十九万トンということになっておりますが、そのほとんど全部が北海道に行っておるわけでございます。北海道の稚内地区のみにスケトウについての共同事業ということになって、それだけにとどまるのかとどまらないのかということがあると同時に、日ソの二十九万トンのスケトウを維持することが容易でない段階において共同事業という方向に走り始めたときには一体どういうことになるであろうかということも念頭に置かなければいけない問題であろうかと思います。  しからば、現在二十九万トンの北海道各地区に割り当てておる部分について、それを何万トンか稚内に回せるかということになりますと、二十九万トンの上に波及をしないで、二十九万トンを維持しながら稚内のスケトウの共同事業を認めるようにという条件づきでないと恐らくは北海道の中がまとまらないと私は見ておるわけでございます。あるいはそういうことでなしに、二十九万トンのそれぞれの割り当ての中から稚内のために幾らかを拠出しようというふうな話し合いができれば別でございますけれども、この話し合いも恐らくはそう簡単にはいかない問題であろうと思います。  したがいまして、現段階におきまして御趣旨のような線に沿った処理をするということは、私は事柄としてきわめて困難な状況にあるということを申し上げざるを得ないのでございます。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 私もこの間上京されてきた方々のお話を聞いたわけでございます。最果ての地で日本国民として生きる権利を与えられながら仕事がない、こういうことで、これは何とかしなければならぬなという気持ちにはなるわけでありますが、残念ながら私自身漁業関係の知識もございませんし、しきたりなり何なりということも勉強不足でございまして、あの場でお答えするわけにもまいらず、本当にお気の毒だなという気持ちを持ったわけであります。  聞いてみますと、水産庁長官からお聞きしたとおりの事情でございます。しかし、これをほっておきますと、今度は日本政府に対する不信感というものをおのずから醸成してくるということが私は非常にこわいのじゃないかなという感じを持つわけでありますから、困難な中ではありましても、何らかの方策を見出すべく努力をするように、水産庁の方にはこの間も実は指示をいたしておるところでございます。     〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕  したがいまして、川田委員は哀訴嘆願という言葉を使われましたけれども、私は、国民の生きる権利として、日本国憲法に保障された日本人として生きる権利としてああやってお見えになることは当然だと素直に受けて、そして相談に乗っていくということが、われわれ政府で仕事をしている者の態度でなければならぬ、そういう意味できのう本会議でも答弁申し上げたような気持ちで、マルドーン首相なんかも、自分の言うことはもう何でも聞いてもらえるのだなと思ったような立場で物を言っておりますから、それに対してはやはり日本の立場も十分わかるように、向こうのきげんをとるというばかりでなくやっていかなくてはいかぬし、私もポリャンスキー大使とも何回か会っておりますけれども、そういう事情をよく話しまして、幸い、先ほど来のお話のとおり日ソ漁業関係を通じてアフガン以後の冷たくなりかけた日ソ間にただ一つ大きなパイプと言ってもいいほどの行政実績を積み重ねてきているわけでありますから、そういう点も努力をする余地は十分にあるのじゃないかという感じがいたします。水産庁とよく相談をしまして対処したい、こう思います。

川田正則自由民主党

○川田委員 ありがとうございました。質問を終わります。

松本十郎自由民主党

○松本(十)委員長代理 吉浦忠治君。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 私は、日ソ漁業交渉における問題点を二、三お尋ねいたしたいと思うわけでございますが、最初に、今村長官、どうも御苦労さまでございました。  ふだんでございますと、マラソン交渉と言われるくらい長い期間かかったわけでございますけれども、昨年からはそうでもなくなってきた。しかし、去年よりも一日長かった。期間が十三日間だと思いますけれども、モスクワで行われました八一年の日ソサケ・マス政府間交渉、この問題であります。  いま申し上げましたように、十三日間で妥結を見たという日ソ漁業交渉でございますが、昨年は不漁年と言われた年でございますし、そうすると今年は豊漁年だと思いますが、そういうことで交渉が早く妥結したのかどうか。言うなれば、二百海里時代が定着をして、実務交渉による安定的な時を迎えたのではないかと考えるわけですけれども、まず、この点について政府はどのようにお考えでございますか、お尋ねをいたしたい。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 今年の交渉におきましては、昨年も大体同様であったと思いますけれども、ソ連としましては非常に実務的な態度で対処をしてまいったと思います。そういう意味合いにおきまして、日ソのサケ・マス交渉も実務的なベースに入ってきたということは言えるのではないかと私は思います。もとより大きな外的条件の変化がありますれば別でございますけれども、私としては、実務的なベースでの話し合いに入ってきたと理解をいたしております。  これは、豊漁年であるから早く片づいたということではございません。実は、昨年は不漁年であり、ことしは豊漁年であるということもございまして、当初、非常に楽観的な空気が流れたこともございます。しかし、私たちは必ずしも楽観はいたしておらなかったのでございます。たとえて申し上げますならば、一昨年が豊漁年であったわけでございます。そのときの妥結の結果といいますのは、コンペで大体十五億、そのときには金額はベースが低うございましたからあれですが、十五億円上積みをしまして三十二億五千万になったということが一つございます。それから、ベニとシロにつきまして魚種別クォータが減少し、ギンにつきまして新たに魚種別制限が設けられ、それからアメリカ二百海里の南側の地域において操業期間が短縮をしたという経緯がございます。  豊漁年であれば、ソ連は、マスをとれ、ベニ、シロ、ギンのようなものは資源状態が悪いのだからこれを減少させるべきだという主張をするわけでございまして、私の経験から言うと、豊漁年であるからといって必ずしも安心はできない状況にあり、かえって豊漁年であるために交渉がむずかしいという要素もあるのではないかと考えておるわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 日ソ両方から交渉の早期妥結の方針を打ち出して、好調な滑り出しのようでありましたけれども、ソ連側からの漁獲枠の削減などの規制強化要求というものと、漁業協力費の値上げ幅をめぐる交渉段階ではかなりの足踏み状態が続いたのではないか、こういうように思われるわけであります。本年は、先ほど申しましたようにサケ・マスの豊漁年であるにもかかわらず、資源保護を掲げてサケ・マス漁業を高く売りつけようとするソ連側の意向がかなり強かったのではないか、こういうふうに感じられますけれども、どのような感触を持っていらっしゃるか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソ連側は当初、総クォータは四万トンであり、コンペは四十一億七千万で、それからベニ、シロ、ギンのクォータは減して、アリューシャン地域についての漁期を制限する、そういう提案をいたしてきたわけでございます。そういう意味におきまして、ソ連の交渉態度はなかなか厳しいものがあったというふうに理解をいたしておりますが、総クォータにつきましては、ある一定の段階で、四万二千五百トンを受け入れる用意がある、そのかわりに四万二千五百トンにしました場合にはコンペは四十三億六千万円でありますよ、こういうふうなことと、ベニ、シロ、ギンの尾数制限は最後までこだわっておりました。  二つの方向があると思います。一つは、実質的な資源維持という問題をどういうふうに図っていくかという問題であり、もう一つは、コンペをできるだけたくさん獲得したい、こういう二つの方向であったと思っております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 七八年以来の漁獲枠は、御承知のとおり四万二千五百トンでございます。これが四年続けて同じ水準であるにもかかわりませず、漁業協力費の名目でソ連に支払われる金額が、七八年の十七億六千万円から年々上がる一方でございます。今年はついに四十億円の大台に乗せるまでになったのでございますが、この支払い金額について、おのずから限度があるのじゃないか。  農林水産大臣にお尋ねをいたしますけれども、大臣の記者会見で、「北洋漁の見直しも」という新聞の見出しで、大臣はこれはやはり本音をおっしゃったと思うのです。十八日の夜、日ソサケ・マス交渉の妥結後に記者会見で「むずかしい交渉だったが、何とか前年なみの割当量を確保できた」と語られて、漁業協力費が年々増額されることについては「将来、限りなく増額されるなら北洋サケ・マス漁の根本を見直さざるをえなくなるだろう」こういうふうに大臣はおっしゃった。私も同感でございますけれども、大臣、この心境と、いま私、申し上げましたように、この支払い金額についてもどういうお考えをお持ちなのか、限度だというふうにお考えなのかどうか、大臣のお考えを伺いたい。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 なかなかむずかしいところでございまして、もうそろそろ限度かな、これはどうなっていくのかなという心配が、妥結したという喜びの中にはのかに浮かんだということを率直に話したわけでございます。  そこで、来年のこと、再来年のことを考えてまいりますと、その辺のところにむずかしい問題がある。今後、実務的には実績を積み上げて、一つの路線がきちんとできて一安心という考え方も成り立つわけでございますし、それだけ信頼関係ができたということが言えるわけでございますけれども、一面においてはそういうほのかな不安が実在することも事実である。この辺のところを、今後日ソ関係の中において巧みに確保して、こっちの言い分を聞いてもらって、そうして先ほど申し上げたように北洋漁業を続けなければいかぬ、こう考えるわけであります。先ほど長官から申し上げたように、もし全面補償というようなことになれば莫大な補償料が必要でございますので、やはりそういう点についてはソビエトとのこれからの交渉の一つの難所になるということを覚悟して対処しなければならぬのではないか、そういう気持ちでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 大臣の心情はよくわかりますけれども、大台に乗った四十億がこの次に四十五億、五十億、六十億、こうなったときにどうなされるのか、やはり政府として明確なその辺の決意を持っておられませんと、割り当て量が変わらないならば協力費を上げろということになって、交渉のたびに頭の痛い問題になろうと思うわけでございます。  そこで、漁業協力費についてサケ・マス沖取り業界はこの金額の五五%を負担しております。残りの四五%は政府補助金で賄われてきたのが従来の例でございますけれども、今回の妥結した四十億円について政府の負担割合をどういうふうにお考えでございますか、お尋ねをいたします。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 現在の三十七億五千万のうち、政府の負担分は四五・三%で十六億九千九百万円ぐらい、大体十七億でございますが、私はこの負担は、今回増加した二億五千万につきましては、政府の財政事情その他を考えますときに、これは業界で負担をしていただかなければいけないのではないかと思っておるわけでございます。現在の十七億円等につきましても、仮に補助金が一律削減というふうなことになりますれば、これはなかなか大変なことに相なるわけでございますけれども、そこは諸般の考え方をいたすにいたしましても、ふえた分につきましては少なくとも業界負担を考えてもらいたい、またそういう業界負担を考えてもらう必要があるということは申し上げておるところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 長官も大変むずかしい段階だと思いますけれども、サケ・マス業界の経営状態も燃料油等の高騰などで決して楽ではないわけでございます。漁業協力費について負担されないということになりますと、今後はこの四万二千五百トンの漁獲割り当て量の確保がむずかしくなってくるだろう、こう思うわけであります。そうしますと、実際に次年度の日ソ交渉にはこれを打開する見通しがおありなのかどうか、来年のことだから来年またやればいいではないかということではなくて、現段階において打開する見通しを持っておられるのかどうか、決意のほどをお尋ねいたします。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 サケ・マス業界も石油の価格の高騰及び魚価の低迷によりまして経営は決して楽ではないと思いますが、私は今回ふえた二億五千万の負担能力はないというふうには思っておりません。もちろん今後の魚価のいかんにもよりますけれども、その分について負担ができないということではないと私は思っております。  しからば、今後一体どうするのだという御質問でございますが、これは相手のあることでございますから、ここで私がこのようにすると言うことでそのとおりになるわけではないので、そこは非常にむずかしいところでございます。ただ、漁期が五月一日ということで後が切られておるわけでございまして、どうしてもそれ以上のコンペが払えないということの不退転の決意で交渉に臨みますならば、逆に漁期を逸してもその覚悟をしなければならないと思います。同時にまた、コンペを絶対に上げないということであれば、今度はソビエトは当然四万二千五百トンを切り込んでくることも覚悟しておかなければならないわけでございます。  しかし、同時にまた、現在の四十億円はわれわれの負担限度から言えば相当いい水準に来ておるということも確かでございまして、そういう要素を踏まえまして今後どういうふうに考えていくのかというのは、ここがひとつ思案のしどころではないかというふうに思っておるわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 母川国主義が国際的に定着しておりまして、サケ・マスの沖取りをしている国はもう日本だけというふうに私は聞いております。こうした実情から、サケ・マスの沖取りに対する将来展望は必ずしも明るいとは言えないと思いますが、ソ連やその他の国が主張するように沖取りを禁止されますと大変問題になるわけですが、政府としてこの将来計画についてどのような方策をお持ちなのかどうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 確かに母川国主義につきましては今日すでに定着しているところでございます。したがいまして、沖取りが将来禁止になるのではないかというふうに考える向きもあるわけですが、私は沖取り禁止ということは、もちろんソ連はたてまえとして強く言いますけれども、これをもって日本の現在の沖取りを直ちにやめさせてしまうというところまでは考えていないのではないかと思います。したがいまして、先ほども申し上げましたように楽観に過ぎるかもしれませんけれども、ソ連が実務的な態度でここ一、二年サケ・マス交渉に臨んでおるということから見れば、今後もよほど大きな事情の変更がない限りそういう態度で臨んでくると推定してもいいのではないかと思っておるわけでございます。  いろいろ御議論になりますコンペの四十億ということも、これはソ連に大きな働きをしておるということもまた反面言えるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、現在沖取りが禁止をされた場合の対策はどうなのかということをお尋ねでございますが、われわれとしては現段階でそういうことは考えておらないわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、その四十億円ということだけにこだわるわけじゃございませんが、これから見通しの立たない協力費の交渉というものが頭の痛いところでございますけれども、政府は財政再建ということで補助金等の見直しをいましているときに、サケ・マスだけ業界等からの要請で政府が仮に出していくとすれば、これは特別扱いということがいま許されるのかどうか、全体の中で見てこの金額が政府にとって大変頭の痛いところだろうと思うわけですけれども、現時点において補助金等の見直しは今日どういう態度であるか、その決意のほどをお聞かせ願いたい、こう思います。いかがでございますか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 補助金の見直しがどのように行われていくのかは今後の問題でございまして、私がここでこういうふうに補助金の見直しが行われるから、したがってサケ・マスの協力費についてもこのように扱うべきものであるというふうには申し上げられませんけれども、現在の状況を踏まえて考えますならば、現段階の政府の負担の総額をへこまさないで何とか処理ができないか。そうしますと、当然のことながら増額した分につきましては業界がこれを負担していただかざるを得ないという状況にあると私は判断をいたしておるところでございまして、国が持ちますよという調子のいいことを言っておいて、そのときに持てなかったということになりましてはこれはうそを言ったことに相なりますから、私は増加分の二億五千万については業界で負担をしていただくつもりであるということを申し上げておるところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 日ソサケ・マス議定書に関連して日ソ漁業操業協定について質問いたします。政府は昭和五十年に、当時わが国の沿岸水域においてソ連漁船団が操業をし、わが国の沿岸漁民の漁具に多くの被害を与えたため、これらの事故の未然防止と事故発生の場合の紛争の迅速、円滑な処理を図るため、ソ連との間に漁業操業協定を締結したわけでありますが、その点について何問かお尋ねいたしたい。  第一点は、ソ連漁船により被害を受け、本協定に基づき賠償請求をした件数と金額は幾らになっておりますか、お知らせを願いたい。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 昭和五十年十月二十三日に日ソ漁業操業協定が発効いたしましてから本年の四月一日までの期間につきまして、日本漁民の方々から提出がございました賠償請求は、件数で九百八十一件、それから額で七億一千万円ということになっております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 そのうちで解決したのは何件でございますか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 現在までに解決いたしましたのは一件でございまして、金額は四万七千九百五十円ということになっております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 何ゆえにこのように解決した件数が少ないのでございますか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 これは大変むずかしいお答えになるわけでございますが、一言で申し上げますと、やはりこの問題に関する日本側とソ連側との間の考え方に差がある、なかなか日本側の考えるようなペースで物事が運ばないということではなかろうかと存じます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 最近ソ連は、特定できないソ連漁船が日本の沿岸漁民に与えた漁具被害について初めて損害賠償を認める決定を下したと伝えられているが、これは事実なのですか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 特定できないソ連漁船に係ります案件、私ども通常不明船案件と称しておりますけれども、この不明船案件につきましては、東京委員会で組合ごとに一括して審議するという方式に日ソ双方で合意いたしまして、これまで二十漁業協同組合について審議をし、そのうち十五件をモスクワ委員会の方に送付したわけでございますが、その十五件のうちの一件について、モスクワ委員会におきましてソ連側が損害賠償を行うことが適切であるという結論が最近出たわけでございます。ただ、金額につきましてはまだ申し上げられる段階には至っていないという現状でございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 これによって長年の懸案となった漁業紛争解決というものに明るい見通しを持っていいというふうに理解してよろしいですか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 将来に明るい見通しを持てるかというところまでは必ずしも明確には申し上げかねるわけでございますけれども、漁業委員会が発足いたしましてから長い間一件も解決を見ないという状況が続いてまいりました中で少しずつ動き出しているということは、今後そのような方向で解決件数がふえていき、促進されるということになることを期待しているわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 時間もありませんので、日ソ漁業損害賠償請求処理委員会の運営についてお伺いをいたしたいのですが、まず東京委員会、モスクワ委員会の組織構成というものはどういうふうになっておりますか。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 東京委員会、モスクワ委員会双方につきまして、委員は一国当たり二名、計四名ということで構成されております。それからまた、この委員会が審査を行うに当たりまして、漁労でありますとか航海でありますとか等の専門的、技術的知識が必要な場合もございますので、各委員が判断を行う上で技術的に補佐するというための専門家あるいは顧問を任命できることになっております。現在の構成は、日ソ双方とも、いま申し上げましたとおり、両委員会にそれぞれ二名の委員を任命いたしておりますほか、東京委員会では日本側三名、ソ連側二名の専門家ないし顧問が任命されている、それからモスクワ委員会では日本側一名、ソ連側一名の専門家ないし顧問が任命されているというのが現在の構成でございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 これらを運営する経費というのは幾らかかっておりますか、委員会発足以来の年度別総計について説明をしていただきたい。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 経費についてでございますが、昭和五十年度が三千七百五万六千円、五十一年度が九千三百九十三万八千円、五十二年度が一億八万八千円、五十三年度が一億五百二十六万五千円、五十四年度が一億一千八百二十六万七千円、五十五年度は六千二百六十八万七千円、総計いたしますと五億一千七百三十万一千円ということになります。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 この条約が締結をされてから六年になって、最近ではソ連側に柔軟な姿勢が見られるようでありますけれども、現在まで補償されたものが一件で、たったの四万八千円、この補償問題を解決するための委員会を運営する経費は、いま述べられたように五億数千万というような費用がかかっておる。こういうことになると、金銭的に見る限り、日本にとってこの割合は割りの合わない運営組織であるとの印象を受けるわけですけれども、政府はこれについてどのようにお考えになっておられますか、最後にお尋ねいたします。

武藤利昭外務省欧亜局長

○武藤政府委員 割りが合わないという印象を一般に与えるということにつきましては、私どもも否定いたさないわけでございます。ただ、これは金額の問題とともに筋の問題もあるわけでございまして、ソ連の漁船が被害を与えたものについてはソ連側から補償を取らなければいかぬ、そういうたてまえの問題も絡んでくるわけでございます。  それから、先ほども申し上げましたとおり少しずつ解決案件ができてまいりまして、今後それが促進されまして、この補償の問題につきましても審議促進される、その結果、関係漁民の方の利益が確保されるという方向で鋭意努力を続けてまいりたいと考えております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 時間になりましたので、終わります。

松本十郎自由民主党

○松本(十)委員長代理 野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 きのうの農林水産委員会で水産庁長官にもこの日ソサケ・マス協定について評価やあるいは今後の展望についてお伺いをしたわけでありますが、先ほどから問題になっております漁業協力費、これについて一、二お尋ねをしてみたいと思うのです。  年々確かにふえております。この四十億という協力費の積算根拠と申しますか、何かそういうものはあるのでしょうか。恐らく全体の中で日本の負担分は約三割というふうに聞いておりますけれども、その点も踏まえてお答えいただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソ連の計算式といいますか、主張の根拠は、ソ連のサケ・マスの維持培養のために年間使っている金額は四千七百万ルーブルである、これを日本とソ連との漁獲の割合ということで案分をいたしますと、ソ連の漁獲は大体計画として十一万五千トンである、これを当初の案のように日本が四万トンである、その合計を分母に置きまして、分子に日本の四万トンを置きますればそれが千二百何十万ルーブルだったと思いますが、それを過去一年間の換算レートで換算をいたしますと、四十一億七千万円である、もし四万トンが四万二千五百トンになれば四十三億六千万円になる、そういう主張であります。  当方といたしましては、この算定式を必ずしも認めているわけではございません。といいますのは、一つは、四千七百万ルーブルといいましてもそれはかくかくしかじかということで積算内容として明確に説明を受けたものではございませんし、ソ連の十一万五千トンも実績としては動くわけでございますから、その数字を認めているわけではございませんが、ソ連の主張としてはそういうことでございます。  日本としては現在の三十七億五千万円というのが負担の限度であるという主張をいたしたわけでございまして、全体として四万二千五百トンの総クォータと魚種別のクォータをどうするかという問題とあわせまして四十億という決定を見たところでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 関連してなんですが、この協力費というものは、先ほどもお答えがありましたようにサケ・マス資源の保護とかあるいは培養等々に使われるわけですが、しかもこれが日ソの両方の利益になるというお答えもありました。そこでお聞きするわけですが、これは事前にベターな保全とか培養という方法について日ソ間で協議してやっておられる、その協議した結果にこれが使われておるのかどうか、その点はどうなんでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ソ連の方から大日本水産会にこういう資材について供与を受けたいという希望がございまして、大日本水産会でソ連の方と協議をいたしまして提供すべき品目を決定するわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 いや、お聞きしておるのは、資源保護とか培養という点で協力金を払うわけですから、国内ではいろいろと日本で努力をしておりますが、事はソ連の領土内なんですが、事前にベストな方法についての何か協議があって、その結果、こういうふうに交渉の際に出てくるという性格のものかどうかという点です。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 事前にソビエトとして、サケ・マスのふ化についてこういう方針でこういうふうにやって、したがってこういう機材が要って、したがって何とかだという、そういう協議はいたしておりません。

野間友一日本共産党

○野間委員 先ほどもいろいろ出ておりましたように、四十億に乗りまして今後どうなるのかということが大変な関心事でもありますので、この点についてどうすればいいのか、さらにひとつ検討をお願いしたい、これは要望であります。  そこで、外務大臣に関連してお聞きしますが、貝殻島のコンブ漁の問題、これは業界代表との間でこの問題で進展があったのかどうか。これは実は昨年の十二月二十二日に当委員会において金子委員がこの点についての質問を申し上げました。その際、外務大臣は、「われわれとしても、何とか早く民間協定ができてコンブ漁関係の人の生活が安定するということは本当に希望しますので、今後も、北海道の水産会に任せるということではなくて、われわれも陰で相談にあずかり、何とか早くつくりたいということで努力をしてまいりたいと思います。」これは昨年十二月二十二日の答弁なんですが、現在、この問題についてどういう交渉なり、あるいは外務省としてどういう相談にあずかっておられるのか、さらにこの問題についての今後の事態を打開するためにどういう展望なりあるいは考えを持っておられるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先般ポリャンスキー大使に会いましたときに、ソ連側の誠意ということをいろいろ話があり、経済問題で日本側から提案はないかというふうな話がございましたときに、私はこの貝殻島のコンブ漁の問題と墓参の問題を特に話したわけでございます。この問題について大使はすぐにモスクワに連絡をする、こういうことを言ったのでございますが、外務省に対しましてはまだいま私の言ったことに対する返事は来ておらぬのでございますが、先般水産庁長官がモスクワへ行きましたときに先方とこの問題の交渉をしておりますので、水産庁長官からも詳細お聞き取りを願いたいと思います。われわれとしましてもこれは何とか実現しないかというふうな強い期待を持ち、また努力もしなければいかぬ、こう思っております。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 先般サケ・マス交渉を終えました後、クドリャフツェフとこの問題について話をしたわけでございますが、一言で申しますと、ソ連はコンブは利用をしてないのだから日本の漁業者にとってもらっていいのだ、それから、そういうものであるからコンペはお志で結構である、そこまではいいのです、しかし、違反をした場合にあっては、これはソ連邦の法令によって処罰をするということは当然のことである、しかも、それを民間協定文に明記をしてもらいたいということでございます。裁判管轄権をソ連の裁判管轄権によるということは、これはソ連の領土であるということを認めるわけでございますから、それを協定文に明記するということではとうてい話がまとまらないということでございまして、それ以上の話の進展はなかったわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 大変残念なことですが、そういう問題は確かにあると思いますが、やはり水産会に任すのでなくて、せっかくの大臣の答弁もございますから、積極的にこれの打開をぜひ今後も続いてお願いしたい。いま縦に首を振られましたので、ぜひひとつ引き続いて要望しておきたいと思います。  それから、サケ・マスの漁獲量の中で、アメリカのいわゆる二百海里以内でいまどのくらいとれておるのか、四万二千五百トンのうち、この数量についてどうなんでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 アメリカの二百海里の中でとっておりますサケ・マスは約一万トンでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 一万トンといいますと、四分の一とは言いませんけれどもかなり比重の高いものがとれておるわけであります。     〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、いまこのサケ・マスに関してもアメリカの二百海里以内の漁に関しましていろいろ問題が生まれております。それはいわゆるイルカの混獲の問題なんです。これは新聞報道等、あるいは水産庁のいろいろな方に聞きましても、これはアメリカのいろいろな推移がありまして大変深刻な事態がいま生じております。漁業者も大変不安な気持ちを持っております。この点について、日米加の漁業条約が六月九日で切れる、もう目前に迫っておると思いますが、この二百海里以内のサケ・マスの漁に対して政府はどういう見通しを持っておるのか、禁漁のおそれがあるとするならば大変な影響を持つと思いますので、その点についてひとつお尋ねしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 お話のように、この地域でイルカの混獲許可が出ないということになりますと、母船式漁業は成り立たなくなるわけでございますから、これは大変なことでございます。そういうわけ合いで、私も先般アメリカに行っていろいろ関係者と話し合いをいたしたわけでございますが、混獲許可証を取得するという方向で目下手続がとり進められておるわけでございまして、本日、アメリカにおいて行政審判の結果が判明をするわけでございます。  現在までの見通しとしましては、日本の申請をいたしております五千五百頭のイルカの混獲頭数そのものがいけないという反対意見は幸いにしてないわけでございまして、われわれとしてはその審判手続に万遺漏なきを期していくという方針で対処をいたしてきておるわけでございます。現段階で審判結果を予測することはいかがかと思いますが、そういうふうな現在までの情勢であったことから判断をいたしまして、私は、日本にイルカの許可を与えるべきでないというふうな結果が出るというふうには予測をしていないわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 新聞報道等によりますと、すでに公聴会が済みまして、四月二十四日に勧告が出たら、五月初め、もう間もなく結論が出されるやに聞いておるわけでありますけれども、決して予断を許さないというふうに見る向きもずいぶんありますが、その点について、長官、再度この見通しについていまの時点でどういうふうにお考えになっておるのかお聞かせいただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 今後の手続といたしましては、四月二十四日に行政審判官による勧告がございまして、二十八日に勧告に関するコメントが提出をされまして、五月八日に海洋大気庁長官、水産庁長官でございますが、それによる決定があるわけでございます。水産庁の方と話をした結果では、許可を与えるべきであるという勧告が出れば、遅滞なくその手続を進めるということでございますから、勧告においてそういう方向の決定を見れば、水産庁長官の決定はそれに反する決定が行われるということはないと私は思っておるわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 これは大変な問題なので、かつて三月ですか、水産庁長官も訪米されましたが、いまこういう時期的にも大変重要な時期を迎えておりますが、この点については特にあなたの方で訪米して具体的に決めていく、折衝するということがなくても、見通しとしてはそうそう悲観したものじゃない、こういうお考えでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 行政審判官の審判結果を現段階で予測することはできませんけれども、先ほど申し上げましたように、従来の手続の過程を踏まえて考えれば、私はノーという勧告は出ないであろうというように予測をいたしております。ノーという返事が出ないでイエスという返事が出れば、これは前に参りましたときにも向こうの水産庁の幹部ともよく話をいたしましたが、その線に従って速やかに混獲許可を決定するということに相なっておりますから、勧告においてノーという答えが出なければ、私はこの問題は解決するというふうに踏んでおるわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 せっかくの努力をぜひ強く要望しておきたいと思います。  関連して、アメリカとの漁業の問題についてお伺いするわけですが、日本の漁業あるいは水産業にとって対米関係というものは非常に重要であります。これは、日米協会での外務大臣の演説の中にも特に水産の問題について触れておられることからも明らかであります。  時間の関係でこちらの方から若干申し上げますと、日本の全漁獲量の中で、アメリカの二百海里の水域内で百十万トンとも百四十万トンとも言われております。ところが、ソ連の領海の中では七十五万トンというようなことですね。外国の水域における漁獲の六〇%が米国の水域というふうに言われておりますが、このサケ・マスに関してもう一つの問題は、ズワイガニの問題だと思うのですね。この漁獲量の割り当てが、去年が七千五百トン、その前が一万五千トンということでだんだん減らされまして、五十六年度ではこれがゼロになるというようなことまで言われておるわけであります。ズワイガニについては水揚げが大体四十億から五十億円、しかもそのうちの半分が中小業者というふうになっておるようであります。タラバに続いてズワイガニにもしものことがあれば、これまた非常に大変なことになりますけれども、これについてどういう見通しを持っておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 ベーリング海のズワイガニ漁業の禁漁の問題につきましては、米側に対して再三しかるべき割り当てがなされるように申し入れを繰り返してきたところでございます。先般、伊東外務大臣が訪米されたときにも、商務長官にこの点を強く要請をいただいたところでございますが、米国側の態度は非常にかたいものがございまして、現段階における見通しとしては、私はきわめて困難な状況にあるというふうに判断をいたしております。

野間友一日本共産党

○野間委員 いわゆるブロー法が成立をしておるわけであります。このブロー法によりまして、入漁料の問題とかあるいは漁獲割り当ての段階的な削減というものがさらに輪をかけまして、これから深刻な事態を招くことは明らかだと思いますけれども、このブロー法の日本に対する影響、これは特にアメリカに対するウエートが大きいわけですから、どういうような対応をしていかれるのか、見通し等についてもお伺いしておきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 お話のように、アメリカ海域におきます漁獲は、昨年は百四十万トンの割り当てでありました。ことしもすでに百二十万トンの割り当てを受けておるわけでございまして、これはきわめて重要な漁場でございます。と同時にまた、日ソ、ソ日のようにとったりとらしたりという関係ではございませんで、一方的に日本が行ってとってくるということでございますから、この関係はまた日ソとも違いましてなかなか重要なる要素を含んでおるわけでございます。  そこで、ブロー法についての日本側の対応といいますか、考え方でございますが、幸いにして当初のような案から、日本の働きかけもございまして相当緩和をされておりまして、当初のフェーズアウト条項、フェーズアウトという言葉は使っておりませんけれども、フェーズアウト条項については、米国漁業の進展が見込まれる一部の魚についてわが国に対する漁獲割り当て量の減少度合いは加速されるということはあると思いますけれども、しかし、百二十万トンの大部分はスケトウダラでございまして、スケトウダラをアメリカがとるに至るのは私は相当の期間を要するというふうに踏んでおります。したがいまして、ギンダラ等の一部魚種について日本をフェーズアウトする速度は速まることはありましても、大勢として見て急激な影響がここにあるというふうには考えておりません。  それから、入漁料でございますが、入漁料につきましても引き上げが行われます。いろいろやりまして本年度は大体二割ぐらいの引き上げにとどまったわけでございますが、今後なかなかこれは予断を許さないところがあると思います。ただ、入漁料につきましては御存じのとおり船側価格でございまして、日本に持ってきた価格の何%ということではございません。したがって、比率は非常に高うございますけれども、これを日本に持ってきたときの水揚げ価格というふうに直しますと大体三・五%くらいなところで、諸外国の水準と比較して急激に高くなるという、まあ従来からのアメリカの入漁料としては高くなったわけですけれども、全体的な水準としてきわめて飛びはねたという形ではないわけでございますが、これにつきましても将来どういうふうになるかということについてはなかなか予断を許さないものがあると思います。  それからもう一つ、オブザーバー乗船につきましては、これはいろいろ例外規定が設けられておりますから、従来のように全部についてオブザーバーを乗せるという形にはなっておりません。  いずれにいたしましても、そういうふうなブロー法の実施の段階におきましては当方として従来よりも増して不利にならないように、その運用につきましては十分アメリカと打ち合わせをしていきたいと思っておりますし、アメリカ側におきましてもその運用については協議に応ずるということを言っておりますから、今後の運用につきまして十分に当方の見解を述べて、急激なる変化を起こさないように対処いたしたいと思います。  ただ一つ問題は、アメリカとしては自国の漁業を振興させるということで、自分の国の水産物を買った国にたくさん割り当てをやるということを割り当て基準に今度明記をいたしたわけでございます。したがいまして、日米間の水産物の貿易関係とクォータの問題が従来も絡んでおったわけでございますが、今度は法の条文として絡んできたということでございまして、これが今後どういうふうになるかということはきわめて重大な関心を有しておるところでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 二百海里水域の設定、あるいはイルカの混獲を理由にしたサケ・マス漁に対するいろんな制約、さらにはタラバに続いてズワイガニの問題やブロー法と、とにかく次から次とこういうような手が打たれてきたということ、これはもう事実として経過を見れば明らかです。しかも、日本はアメリカの輸出する魚のうちで五五%ですか、日本がいわば上得意。将来の方向としては、アメリカは自分のところでとってそれを外国に売る、そういう方向を考えておるということが一連のこの経過からもうかがえるのではなかろうか、これが穀物のように戦略物資として使われるのかどうか、将来どうなるか非常に不安を感ずるわけであります。  そういう状況でありますが、こういう一連の事実の評価、見方ですね、長官も予断を許さないとかあれこれの答弁がありましたけれども、私の懸念に終わればそれでいいわけですが、こういう一連の状況をまず水産庁長官はどう考えておられるのかお答えいただき、次に外務大臣にも所見を伺いたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○今村政府委員 現段階において考えますと、私は、日米間の漁業関係は大筋としては大体うまくいっておると思います。それは、一昨年は百二十万トン、昨年はソビエトへの割り当てがなくなりましたから百四十万トン、今年はすでに百二十万トンのクォータを取得いたしておるところでございます。貿易関係につきましてもいろいろ問題がございましたが、昨年フランク長官と話し合いをいたしましてこの問題も解決を見ておりまして、現段階において貿易で問題になっておることはございません。  御指摘のように、ブロー法に見られますようなアメリカの漁業振興、しかもそれを貿易とリンクさせていくという方向については十分な注意を要しますけれども、アメリカの漁業といいましても、ズワイガニのようなものについては自分たちでとっていって日本に買わしてやろうということがありますが、全体としてそんなに急激に生産量が発展していくわけのものではありませんから、楽観に過ぎると言われればそうかもしれませんが、私はブロー法のような方向をたどるにしてもそれはそんなに急激な問題ではないのではないかと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、アメリカ自身としても日米の水産関係の安定的な発展ということは決して否定をしておるわけではございませんから、私としては、諸問題が生じたときには十分な話し合いによってこれを片づけていくべきものであるし、また、片づけ得ると思っておるわけでございます。そう言えば、ズワイガニなんかはだめじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、大筋として申し上げれば、私はいまのような考え方を持っておるわけでございまして、貿易につきましても、そういう国内の状況を踏まえた安定的な発展という考え方の上にアメリカとの漁業関係の発展を期していくべきものではないか、かように考えておるところでございます。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 海洋法はいままだできませんけれども、海洋法の中で経済水域二百海里という観念が入ってきまして、そこの資源を排他的に沿岸国が利用するのだという考え方が入ったのは、確かに従来とうんと違うわけでございまして、沿岸国の利益を図っていこうということになりましたので、世界的な傾向としていま野間さんのおっしゃったような傾向になっているということは私は否定できないと思うのです。ただ、沿岸国は漁業が十分発達しているとは限りませんので、資源の合理的な利用という意味からも関係国と協調して漁業をやっていこうということでございますから、いまの日米関係につきましては、今村水産庁長官が言ったとおりの考え方で両方の利害を調整しながらなるべく円満にやっていこうということでございます。水産というと日ソということになるのですが、本当は日米関係が一番大きなものでございますので、今後ともいま水産庁長官の言いましたようなことで臨んでまいりたい、こう思っております。

野間友一日本共産党

○野間委員 最後に、いま海洋法条約の草案の話があったのですが、残念ながらきょうもう期限切れでできないというようなことになりそうですけれども、素案の中にも、伝統的漁業について経済混乱を起こさないというようなこともあるわけです。こういうものは私は非常に重要な条項だと思うわけです。こういうものを踏まえて、しかもいま申し上げたようにアメリカの方で先手先手にあれこれ手を打ってくる。恐らく日米協会の中での外務大臣の演説の中で特にこの水産の問題について触れられたのも、そういう一連の経過を踏まえた上での発言ではなかったか、いまうなずいておられますけれども、そう思うわけですね。  しかも、毎日新聞の三月二十一日付の「日米水産業の共存体制を」という社説の中で、こういうように結んでおります。「わが国総漁獲量の一割を占める米国二百カイリだけに、少なくとも日ソ並みの水産外交を確立すべきであろう。米国の出方に振り回されている現状は早急に打開すべきだ。」こういう指摘があるわけであります。  そこで、最後に外務大臣に、こういう一連のいままでの経過からして、やはりきちっとわが国の漁民あるいは漁業を守っていく、しかも、このズワイについては中小の漁船、漁業が約半分を占めておるということもありますので、これは廃船になれば大変なことになりますので、そういうことを踏まえて、今度また首脳会談で行かれるわけですけれども、日本の漁業に被害を与えないというようなことで、しかるべき機会があればその機会に、あるいは今後強力に取り組んでいただきたい、このことを要望して、最後に答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先般行きましたときも、国務長官と商務長官に会ってイルカとズワイガニの問題を話したのでございますが、ズワイガニの問題は、さっき水産庁長官も言いましたようになかなかむずかしい問題が実はあるのです。それはそれとしまして、今後とも日本の伝統的な水産業といいますか、安定操業といいますか、そういうことについて外務省も農林省と一緒になりまして極力漁船の利益を図っていくということに努力をしてまいる決意でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 終わります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十三分散会

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