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94回国会衆議院1981/02/25

外務委員会 第3号

発言数
152
登壇者
10
会派数
4
開催日
1981/02/25

会議録

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私はきょうは、つい最近、もっともいま現にまだ行われておりますが、ソ連共産党の二十六回大会でのブレジネフ書記長の報告の中で当面の国際情勢に関するいろいろな提案がなされておりますので、それについての政府の御所見をまずお尋ねをいたしたいと思います。  そこで、このブレジネフ書記長の提案の中にはいろいろございますが、一つは、ソ連とアメリカの間でいろいろなレベルの対話や協議をやろう、その中でも最高のレベルのものとしては、首脳会談というふうなこともやろうという提案が出されております。なお、この提案につきましては、党大会で書記長が述べたというのを受けて、今度は外交ルートにこの問題を移していくというふうなことをアメリカにおけるソ連大使館の参事官が発言をしておるということも新聞で報道されておりますので、これはもう確実に米ソ間の外交ルートの問題になっていくというふうに考えていいのじゃないかと思います。  これはもちろん米ソの間でありますから、こういう提案についてアメリカがどういうふうに対応するか、これはもちろんアメリカの問題であります。それで、こういうふうな提案についてレーガン大統領は、これは興味深い提案であるというふうな言い方をされておる、あるいはまたヘイグ国務長官の場合には、これは一つの注目すべき新機軸の提案であるというふうなことも発言されておるということが新聞の報道で伝えられておるわけでありますが、こういう報道から見ると、アメリカ側としてもある程度これを新たな提案として検討するという姿勢があるのじゃないのか、こんなふうに考えられます。  ただ、その報道の際にあわせて、しかしこれにどう対応するか、アメリカとしては同盟諸国とも十分協議しながらひとつ対応していこう、こういうふうなことが言われているわけであります。そういたしますと、外交ルートを通じて日本政府に対してアメリカの側から、こういうブレジネフの提案に対してどう対応するか、日本はどういう考えかということを何か求めてきているようなことがありますかどうか、まず初めにそれをお尋ねいたしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げますが、実は私どもも、レーガン大統領がいまおっしゃった注目すべきようなとか、ヘイグさんが新規のとかいういろいろな発言があったという新聞報道を読んでいるのでございまして、アメリカが自分の方はこれを見てこういうふうに考えるというような公式な論評は、実はまだ連絡はございません。  それから、いまおっしゃいました同盟国とも協議をしてというようなことも新聞で言われたということでございますが、そういう協議等もまだ何もございません。首脳会談あるいは軍縮とか、そういうもののブレジネフ演説を受けてアメリカがどういうふうに反応するかということは恐らくもう少し時間のかかることだと思いますが、アメリカの態度というものはいまのような状態で、私どもも正式な連絡はまだ受けておりませんので、われわれとしましてもそれを見守っているというのが現状でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの段階ではまだ来ていないという大臣のお答えはわかりました。ただ、事柄の性質あるいはこういう重大な国際問題が起きるといつもアメリカとして同盟国関係、ヨーロッパなり日本なりというふうなところにいろいろ協議をかけてくるのが最近の動きになっておりますから、そういう点から見ると、まだ来てはいないが、しかしこれからそういう協議なり、あるいは日本の考えを問うというふうな何らかの連絡は来るのじゃないかと私は思いますが、来るかどうか、この点について大臣の御判断はいかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 ソ連も抑制した態度の演説だと私ども読んでおるわけでございますが、アメリカ自身も恐らくあの演説に対しては慎重に対応するのではなかろうかと私は思うわけでございます。事柄の性質上、こういうことは同盟国に事前に連絡なり協議したらいいと思うような内容のものは、もしもアメリカが回答するとかどうするとかいうようなときには、いままでのいろいろな問題の経緯からすれば、協議をするということを言っているとすればあり得るかな、こうは私も思います。ただ、断定的に必ずありますとかどうとかいうところまでいまのところは申し上げる段階ではございませんが、問題によってはそういうこともあり得るだろうとは思っております。     〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 この首脳会談のブレジネフ提案が外交ルートの問題になっていくとした場合に、米ソ間でこれがどのくらいのタイミングで動いていくかということはまだ何ともわからぬと思うのですね。わからぬと思いますが、それはそれとして、一応大臣の日程としては三月二十一日からアメリカへ行かれる、こういう確定した日程があるわけですから、米ソ間でこういうことをやろうかどうかというふうなことがもしそのときの背景としてあるとすれば、私は当然その段階で、日本の外務大臣として大臣がアメリカに対して、その問題はこうすべきじゃないかとか、いろいろ意見を求められたり、あるいはまたこちらから述べられる段階は当然出てくるだろうと思うのであります。そういう意味において、アメリカから何か言ってくるか待っておるということだけではなくて、世界の平和に大変重大な関係のある問題ですから、日本としてむしろ主体的に、この問題はアメリカにこういうふうに物を言おう、アメリカにこういう提案をしまうというものが当然あってしかるべきじゃないかと私は思いますが、この点について大臣のお考えはいかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 日程は、確かにおっしゃいましたように私が三月二十一日から参りますし、総理は五月の七、八日でしたかワシントンへ行かれる、この日程は決まっておるわけでございます。そこでいろいろな話は出ると思いますが、いまどういう議題でどういうことをということはまだ全然決まってないのが真相でございます。  私が参りましたときにいろいろ二国間の問題は当然、それから国際情勢を話すということはあるわけでございまして、その中には、御承知のようなアフガンの軍事介入に伴って経済措置もやっていることがございますから、そういう問題にも触れることは当然日ソ、米ソの関係になるわけでございますので、その中でいまおっしゃったようなことが話題になって出てくるだろうということは当然考えられるわけでございますから、そういう際には日本としてはこういうふうに考えるというようなことを言うことは、また当然そういう機会はあると思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私がこういうことをお尋ねする自分なりの気持ちとしては、この場合日本政府としては、アメリカに対して、そういう米ソの首脳会談をやった方がいいじゃないか、やりなさい、その中でいろいろな諸懸案を話し合いによって解決するというルートを開くべきだということをむしろ積極的に提案をされるのがいいんじゃないのか、こういう私自身の気持ちを持って実はお尋ねをしているわけであります。そういうお考えをぜひ持っていただきたいと思うのですが、この点、率直に大臣、いかがでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 首脳会談といいましても、それに至るまでの、外交問題になってきますといろいろな問題の協議とかいうことが前提になることは確かでございますので、首脳会談、首脳会談とやみくもに言いましても、これはそう簡単な問題ではございませんから、その辺の事情は日本側としても十分に考えて物を言わなければならぬと私は思っております。  ただ、一般論でございますが、どの国でもなるべく首脳が話し合って、その国際情勢についての認識、相互理解、違うところは違う、こういうところはこうじゃないかというようなことを話すということは、一般的に言ってこれは非常に結構なことだというふうに思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いま大臣は首脳会談というもののあり方について言われた。私も実はそれは同感です。ただ、首脳会談には考えようによれば二つあると私は思うのです。  一つは、事務レベルでずっと合意事項を積み上げてきて、それを最終的に首脳会談で確認するというようなやり方の首脳会談ももちろんあります。普通の場合にはそういうケースが多いと思いますが、逆に、情勢によってはまず首脳会談が先行して、その中でお互いの、戦争をどうしても避けなければいかぬというふうな合意をつけて、それを今度は各論に具体化していくというようなやり方の首脳会談も私はあると思います。いまの米ソ間で言えば、むしろ後者のような形の首脳会談が必要な情勢じゃないのか、実は私はそう思うのです。  例のSALT、戦略兵器制限の協定にしても、SALTIIはもうすでにできておる。しかしアメリカの国会ではまだ批准されていない、ソ連の方はもう批准が済んでおる、これをどうだどうだということがいまあって、しかし、今回のブレジネフ演説によれば、その問題もまた交渉の俎上に上せていいというふうなことまで出ているので、これはソ連側からすればかなり譲った柔軟な態度じゃないかと私は思うのです。そういう具体懸案が米ソ間にはある。それをここで、首脳会談でまずお互いの戦略兵器を制限しましょうというなら、その総論を一回まとめて、これをもう一度各論におろして、第二協定をどうする、あるいはSALTIIIの第三協定をどうするというふうにこれを具体化していくというふうなことがいまの米ソ間では非常に重要な情勢じゃないか、私はこう思うのです。そういう意味においては、日本政府からもアメリカに対してそういう最高レベルの会談は大いにやるべきじゃないかということをアドバイスされるべき情勢じゃないか、こう思うのですが、もう一度御見解をお願いします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私は首脳会談の必要性という一般論で申し上げたので、これは非常に大切なことだと思います。また、おっしゃるように積み上げた上で決めてという、確かにそういう形はあると私も思いますが、具体的にそれを米ソというところに限定した場合に、どの時期、どういう問題でそれをやるか、判断をするに大切な材料がいろいろあると私は思いますので、いまここで私がそれをどうこうと言うのはまだ適当な時期じゃないのじゃないかと思います。私が行きますまでにはまだ一カ月ございますので、そういう問題は、いまの先生の御意見もよく頭に入れて相談をして向こうへ行きたいと思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それでは、次へ進みます。  今度のブレジネフ提案の中にはまたこういうこともあるのです。  国連の安保理事国の最高首脳が出席をして、言うならば安保理事会の特別会議というようなものをやろうじゃないかという提案もあるわけです。そういたしますと、日本は現在安保理事国の一員であるわけですから、こういう安保理事会の特別会議をやろうという提案に対してそれをどうしようかということは、今度は日本自身が当然決めるべき立場にあるわけであります。そんなことはやる必要はないというのか、そういう会議は大いにやるべきだというふうなことになるのか、これは今度はアメリカから相談が来る、来ないじゃなくて、日本自体が主体的に選択を決めるべき問題じゃないか、こう思うのですが、これについては大臣はどんなふうにお考えになっていますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまの提案は過去において一回、U2事件の後でやったことがございます。しかし、これは何も国連憲章の中にそういう規定があるとかいうことじゃなくて、安保理事会というのは議長が招集するわけですから、特別な会議という規定や何かはございませんが、過去において一回やったことがあります。これも非常に抽象的な、たしか世界の平和維持というような結論で終わったはずでございます。  最近の安保理の関係は、抽象的じゃなくて具体的な問題をずっと取り上げるというような運営、そういうことでやっておりますので、いまにわかにソ連の提案があるということでそういうことに踏み切るかどうかは、もう少しほかの安保理の国国ともよく相談をしてみなければいかぬことだと私は思います。  ただ、議題が、そうやった場合に、現在アフガニスタンの問題とかカンボジアの問題とか、ポーランドはいま小康を保っておりますが、いろいろ紛争があるわけで、国連で決議があるわけでございます。そういう決議との関係をどうするのかとか、そういう理事会をやった場合に、その都度ソ連が拒否権を使っているというふうなこともございまして、その会議をやる必要性があるのかないのか、やるとすればどういう議題でやるかというような、これはよほど慎重に考えませんと、すぐにやろうとかやめたとかいう問題ではございませんので、もう少しその辺のところは検討してみる必要があるのじゃないか。確かに日本は理事国でございますが、それを軽々にすぐにどうこうするというようなことを言うにはまだ早いと私は思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私はどうも物事について明快な判断をされる伊東外務大臣らしい答えじゃないと思うのです。いまのお答えを聞いていますと、これはテレビの外交問題解説者のお答えのような感じがどうもするわけであります。  いま言われました、たとえばカンボジア問題あるいはアフガン問題等々、具体的な問題があるわけです。それで、そういう問題はソ連の方から提案された安保理事会の特別会議というふうなものが出てきたときに、むしろ日本側としてはそれこそそういう会議をやろう、その会議の中で、ではカンボジア問題をどうするかひとつ会議の俎上に上せよう、あるいはアフガンの問題をどうするか会議の俎上に上せようというふうなことがむしろこちら側からあってしかるべきじゃないのか、こう実は私は思うわけであります。  それで、ソ連としてもそういう会議を提案した、もし開かれるようになる、開かれるようになればこのカンボジア、アフガンというふうなことは当然俎上に上ることは、向こうだって恐らく承知した上でのこういう提案じゃないかと思います。そういたしますと、こういう重要な、しかもこれは各国の首脳が入っての特別の会議をやろうという提案ですから、これはおのずから一種の首脳会談という性格を持ちます。そういう中において、いままでの懸案であってなお打開の道がなかなか開かれないというような問題をこの際取り上げて、そして打開の道を開こうということは、日本政府の立場としても、むしろそういう積極的な態度表明があってしかるべきじゃないのか、こんなふうに私は思うのですが、この点、大臣どうでしょうか、ひとつ思い切った発言があっていいのじゃないかと私は思うのですが。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 熟慮しているところでございます。決めましたら積極的に動きをしますが、やはりこれは非常に慎重に考えなければいかぬ問題でございますから、よく考えます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 まあ熟慮の結果、断行がその後に出てくるということを私は期待をするわけでありますが、実はこういうことをずっとお尋ねしているには、私としてはこういう気持ちがあるのです。  今度、大臣がアメリカへ行かれますね。その後、五月には総理がアメリカへ行かれる。アメリカへ日本のそういう首脳が行かれるのに、そこで問題になることは、やれアメリカから日本はもっと軍事強化をやれということをかぶせられる、あるいは少し自動車を制限しろということをかぶせられる。まあ大体いま新聞報道等で、こういう日本の首脳がアメリカへ行かれる、日米会談の中でアメリカから日本にかぶせてくるというふうなことは、あの問題この問題と盛んに言われているわけであります。先ほど来、大臣は、まだそこでどういう問題を協議するかはこれからだ、こう言っておられますが、ともかく客観的な流れとしては、そういうふうに向こうからかぶせられる問題だけ盛んにこうやってマスコミにも出てくる、ニュースにも出てくる、こういうことなんでありますが、外交の常道として、逆に今度は日本からアメリカにかぶせるものは一体何だ、やはりかぶせるものを持っていくべきだ、こう私は思うわけであります。  そこで、そういうかぶせる問題の一つとして、これはいまの世界の平和あるいはアジアの平和、こういう立場から日本としてはぜひこれをアメリカに言いたい、ぜひこれをアメリカに要望したいというふうな問題をはっきり持つべきだ、そういうものを持っていって初めて日米会談というものが日本の側に立った成果を上げることができる、こう私は思うのですが、そういう向こうに対してかぶせる問題として、これからもし検討されるとすれば、大臣、どんなことをお考えでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 おっしゃるとおり、向こうから一方的に期待表明だけあってそれの防戦に苦労するというのは、これは私は確かに外交はそれだけであってはいかぬと思うわけでありまして、日本からも当然こういう問題はこうすべきだということを言うことはあたりまえだと私も思っております。同感でございます。  向こうへ参りまして、当然防衛の問題とか自動車問題が出ることは間違いないと予想されるわけでございますが、いままでも私どもがアメリカに対して言っております中東和平のあり方の問題でございますとか、あるいはいまの自動車の問題でございますれば自由貿易の問題でございますとか、あるいは国際経済協力、援助の問題でございますとか、日本として主張すべき問題はあるわけでございます。あるいはエネルギーの問題についてもございますし、そういう問題は日本としてはこう考える、世界の平和のためには、こういう地域では、たとえば中東和平はこう考えるべきじゃないかというふうなことはいままでも言ったことがございますし、これからもそういう問題につきましては、日本として主張すべきことはちゃんと主張する。  防衛問題も、向こうの期待表明がありましても、できることとできないことははっきりする、できることについては積極的にこうしようというようなことを、やはり先方から言われるだけでなくて、おっしゃるとおり、こちらからも日本の主張としてこう考えるべきじゃないかということははっきり言うつもりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私はこちらからアメリカに出すべき問題は私なりに幾つかあるような感じがしますが、一つは、当面の焦点としてのエルサルバドルの問題ですね。これもニュースで見ると、このエルサルバドルの情勢がかなり何か緊迫しておる。アメリカのエルサルバドルに対する軍事介入というふうなものがかなり迫っているかのごとき、日本からかなり距離の離れたところではありますが、ニュースで見るとそういう感じがかなりいたします。  それで、これも新聞の報道しかわれわれニュース源はないわけですが、それによると、アメリカとしてはエルサルバドルに介入する、そのことについていわゆる同盟諸国の了解を求めるというふうな工作をいま盛んにやっておる。その一環として、これはニューヨークタイムズの報道ですが、アメリカ国務省はアメリカ駐在の各友好国、同盟国の大使館に、エルサルバドルに対してアメリカはやるぞ、そのことについて了解を求める、あるいは協力を求める、そういう覚書を送った、こう書いてあるのでありますが、日本の大使館に対してアメリカの政府からそういうふうなものがあったのかどうかということをひとつお尋ねをいたしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまのエルサルバドルの問題につきまして、ヘイグ国務長官から西側の大使にエルサルバドルの実情はこういうことだという説明があったことは確かでございます。説明がありました。その先、実は日本に対してこういう協力をしてくれとかいうようなことは、ほかの国にもないと思うのでございますが、日本に対しても、説明があっただけで、そういう協力をしてくれとかどうしてくれというような期待の表明ということはまだいままではございません。今後どういう推移をたどりますか、説明が一回あったというだけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そのことはわかりました。  しかし、そのことについて、これは私の判断ですが、もしここでエルサルバドルに対するアメリカの軍事介入が行われていくということになりますと、これはちょうどあのベトナム戦争の中米における再現になっていくというように実は思うわけです。あのベトナム戦争のときも、ベトナムの共産勢力がああした、こうしたというふうなことが一つの理由で、あるいはトンキン湾でアメリカの軍艦に対して北ベトナムの攻撃が行われたというふうなことが一つの口実になって、ああいう軍事介入が行われていったわけですが、後で見るとそういうことはどうも事実そうじゃなかったというふうなことも出てくるわけですが、そういう行き方で軍事介入が行われていくとなりますと、これはベトナム戦争の再現になるということ。  それから、いま問題のアフガン問題ですが、アフガン問題はソ連に言わせれば、アフガニスタンの民主革命をやった政府に対して外からの宣戦布告なき戦争が行われている、それに対してこれはやむを得ざる措置だと言ってああいうソ連の軍隊が出動した、こういう経過があるわけで、国際法上の関係で言うと、同じことを裏返しの形でアメリカがやるということにもなってくるわけであって、したがいまして、このことについては、むしろ日本の政府の対米関係としては、そういうことはやるべきでないということをはっきり物を言うべき問題ではなかろうか、これは日本からは遠く離れた地域の問題ではあっても、いまの国際平和のやはり最大の焦点の問題として言うべき問題じゃないのか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 アメリカ側も、いま例を引かれましたベトナムのことは十分痛い経験になっているわけでございまして、そのことにも触れながら説明があったということを私は聞いております。でございますので、アメリカとしましても、その点は私は十分に過去の経験を配慮した行動をとるだろうということを期待しているわけでございまして、説明を受けました国々がどういう反応を示すかまだわかりませんが、私どもはその点はアメリカ側としても十分に注意して行動していくということを強く期待をしているわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ぜひ私は日本側からアメリカに言ってもらいたい、また言うべき問題がもう一つあると思うのです。それは、やはり朝鮮情勢に関する問題だと思うのです。  これは大臣御承知のとおり、アメリカと韓国の両者の間で合同軍事演習がいま行われております。チームスピリット81、こういうふうな名称をつけた軍事演習が行われておりますが、これは一九七六年から毎年毎年大体その年の二月、三月ごろ、こういう時期を選んで、米韓の合同軍事演習がチームスピリットという名前で行われております。こういう事実関係について大臣はどういうふうな認識をお持ちか、初めにまずそれをお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 チームスピリット81の問題は、ずっと例年、これは韓国に不測の事態といいますか、有事の事態の防衛の問題として合同演習をやっているということを私どもは知っているわけでございまして、ことしだけというのじゃなくて、ずっと毎年防衛を目的にした訓練だということでございますので、特に新しくそれが朝鮮半島の緊張を高めるとかいうような問題ではないじゃないか、従来と何も変わりないことを例年のとおり行っているというふうに私は了解しております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私はその大臣の認識、大変不満であります。私はこれはそういう軽く済む問題じゃないと実は思うのです。このチームスピリットという演習のやり方は、朝鮮の軍事境界線において南北の衝突が発生した、こういう想定に立って、そこでアメリカ本国あるいはハワイからアメリカの戦闘部隊がミサイルやあるいは戦車や大砲、そういうあらゆる戦闘用の武器資材を持って、輸送機でできるだけ最短期間に韓国へ駆けつけてくる。その駆けつけてくる過程で、たとえば沖繩の嘉手納の基地あるいは岩国の基地とか、日本にある米軍基地へ一度中継的におりて、そこでまた態勢をとって韓国へ展開していく、そこで今度は韓国軍と一緒になって米軍が軍事境界線に向かって、北へ向かって進撃する、そういう想定の演習です。しかも、その演習の中には境界線を越えて北の方まで攻め込んでいくというふうな、そういう想定まで盛った形の演習になっているわけです。  さて、こういう演習が毎年行われるということになりますと、北の方の朝鮮民主主義人民共和国の側からこの演習を見ていたら、これはどういう感じがするかということであります。まさにアメリカから、あるいはハワイからアメリカ軍が戦闘態勢をもって自分の方へ向かって飛んでくる。その飛んでくるものが日本の基地も使いながら、そして韓国軍と一緒に北へ向かって進撃の態勢をもって来ておる。演習だからいいじゃないかというわけにはいかぬだろうと思うのです。そういうことに対して北の側から見れば、言うならば自分に対して仕掛ける戦争の準備をしておるというふうに当然なるわけであって、こういう問題がいわゆる相互の不信感あるいはまた相互間の緊張の激化というものにつながることは明らかだ、こう私は思うのですが、こういう認識については、大臣いかがでしょうか、大臣の見解をお聞きします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 朝鮮半島の平和ということが本当にアジアにとっても日本にとっても非常に大切なものだということは、私は心からそういう認識を持っております。どういう機会もつかまえまして、北の南進というようなことではなくて、相互が話し合いでひとつあそこに平和な状態が維持できるというふうなことを、常に環境づくりに私は努力しているつもりでございますが、いまおっしゃったのは米韓の相互防衛条約に基づいてこれはやっておるわけでございまして、一つの力のバランス、バランス・オブ・パワーといいますか、そういうことも平和の維持にはひとつ考えていかなければならぬことだとは思っております。  それで、その条約の中で、毎年防衛ということを頭に置いた演習ということでやられておるわけでございまして、それをいま日本が緊張を高めるというふうに見てその演習についてどうこうするということを言うのはどうも適当ではないじゃないか、毎年行われていることだというふうに私は考えているのでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は先ほども言いましたように、この演習は日本にある米軍基地も使って行われているのです。したがいまして、たとえて言えば日本のこちら側にアメリカという人がいる、こちら側に韓国という人がいて、日本をはさんでこちら側の人とこちら側の人がいわば手を結んで相手に対する戦争の演習をやっておる、練習をやっておるというような状態で、いやでもおうでも今度はその間にはさまれている日本も、いざというときには一緒にその中に引きずられて入ってしまうというような性格のものなんですよ。そういうことが、まあ例年あることだというようなことで済ましていいかどうかということは、私は残念ながら大臣とは全然認識が違います。  それで、いま特にそのことを言いたいのは、ことしあの全斗煥大統領の年頭の記者会見で、彼は南北の朝鮮の間に首脳の会談もやりましょう、首脳の往来もやりましょうということを提案しているわけですが、その提案をしていると同時に、これはおまえをやっつける訓練だというようなチームスピリットの軍事演習をやっておるということが、果たして一体一つの政治の常識として成り立つかどうかということなんです。したがいまして、この南北の交流なり会談の提案というものがもし本気であるならば、少なくもそういう提案をやった年は、チームスピリットの演習はことしはやらぬというようなことが出てきて、初めてこの提案は本当に誠意のある提案だということになるのじゃないか、実はこう思うわけです。そういう点において、私もこの朝鮮における南北の対話が成り立っていく、それが南北の統一につながっていく、朝鮮における戦争の危険性がそれによって除去されるということを心から期待する一人として、こういうチームスピリットを一度やめてみるということがどんなに大きなプラスになってアジアにおける平和の情勢をつくり出すかということはだれが考えても明らかだと思うのです。  そういたしますと、大臣、今度の訪米の課題の中で、ひとつこのチームスピリットはやめてみたらどうだということを提案をされてみたらどうでしょう。あるいはまた、この三月二日、三日韓国へ行かれますね。大臣は全斗煥大統領の就任式に行かれるわけですが、そこでも相手に対してそういう問題提起をされてみたらいかがか。いままでのお互いの外交テクニックのやりとりではなくて、本当の平和のための提案だ、これならば本物だ、こうわれわれにも受け取ることができる、世界の各国民も受けとめることができるというようなものをひとつ日本の提案として実現されていくということを一発おやりになることが、非常に日本の国際的な権威も高めることになる、こう私は思いますが、いかがでしょう。大臣、ひとつそういう提案をアメリカに対してあるいは韓国に対してなさるべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま先生から、そういう演習をするようなことは平和に支障があるのじゃないかというお話がございましたが、たとえばNATOも演習をする、ワルシャワの方もまた演習をするというようなことで、国の防衛ということで演習をするということはもう世界至るところにあることでございまして、そういうことをやったから平和というものは全然考えないのだということではないと私は思うのでございます。でございますので、いまのチームスピリット81も、本当にこれは防衛のためのものだということで毎年行われるということを考えておるわけでございまして、先生とその点は認識が違うのでございます。  ただ、南と北の対話、平和ということにつきましては、私は今度参りまして大統領にも表敬する機会があれば必ず話題にしまして、ピョンヤンに飛んで行ってもいいというようなことまで提案があったわけでございますから、そういう問題には触れて大統領の意見も聞きたいと思っておりますが、いまの演習をやめたらどうかというそういう問題は、私はいま言おうということは頭になかったのでございます。今後もアメリカに行ってその演習をやめたらどうかとか、全斗煥大統領に会って演習をやめたらどうかということを言うことは、いま考えておりません。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 もう一問で終わりますが、NATOもワルシャワ同盟もやっておる、そのとおりです。ただ、これは御承知のヘルシンキ協定で、そういう相互の軍事演習はお互いに通告をし合う、お互いにその視察、見学も許すというようなそういう一つの枠組みの中に入った問題として行われているわけですが、アジアはそうではない。今度のブレジネフ提案では、アジアの軍事演習もひとつそういうことをやろうという提案はありますが、それはできていくかどうかなかなかむずかしい問題だと思います。  そういたしますと、先ほど、米韓軍事同盟があるからチームスピリットの演習はその枠内の問題だ、こう言われましたが、朝鮮の方も中朝、ソ朝という相互援助条約を持っております。しかしソ連、朝鮮の合同軍事演習をやった、中国、朝鮮の合同軍事演習をやった、そういう話は私は聞いたことがない。そうなってみますと、明らかにこういう問題は総合的な問題ですから、やはりチームスピリットはおやめなさいということば十分成り立つ議論であるし、例の全斗煥大統領のこの正月の年頭提案に対して、北の方はそれはとても相手にするものじゃない、こう言っておりますが、こういう軍事演習をやめるというふうなことが出てきて、その上でのそういう対話の提案になれば、また当然違った意味を持ってくることになるかと私は思うわけです。  大臣は認識が違うということでありますから、ここで私と同じことを答えろと言っても無理でありますが、そういうことも含めて、これからのアジアの平和のためにはいままでの常識とは少し違ったことをお互いに考えなければいかぬ、またお互いにやらなければいかぬというような段階だということを私の意見として申し上げて、終わりたいと思います。

松本十郎自由民主党

○松本(十)委員長代理 井上泉君。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 大臣は自民党の中でも俗に言うハト派というような話をよく聞くわけです。私はハト派とかタカ派ということにこだわって質問するわけじゃないですが、朝鮮民主主義人民共和国へ前後二度にわたって訪朝された経験があるということをお聞きしたわけですが、その印象といいますか、国家としての朝鮮民主主義人民共和国の印象をどうお考えになっておられるのか、その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 確かに二度参りましたが、ここであの国はどうだというようなことを私が言うのは適当じゃないと思いますので、ひとつその点は御勘弁を願います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 言うのは適当でないというのはどうですか、あなたは信念を持って日本の外交をやっておられるでしょう。そうすれば、やはり二度も行かれておるのだから、朝鮮民主主義共和国に対してはどういう理解を持っておるのか、それは日本外交を進める上においてはあなたの朝鮮に対する印象というものが大事だと思うわけなので、私はそれでお伺いしておるわけですけれども、どういうわけで適当でないのでしょう。適当でないという理由は何ですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 外務大臣という立場で、どの国はどういう性格の国だとか、いろいろ批評といいますか、意見を述べるのは、やはり私は適当でないと思いますので、御勘弁を願いたいということを申し上げたのでございます。国がどうであるということじゃなくて、一つの民族がああいうふうに分断されているということは、その民族にとりまして本当に気の毒な歴史の非情だなということを私は感じたことはございますが、国の批評とか国についての考え方ということばひとつ御勘弁を願います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 外交政策を進めていく上においても外務大臣としての哲学がなければやっていけないのじゃないかと私は思います。いわゆる風にそよぐアシという言葉があるように、あっちに振れこっちに振れということでなしに、一つの信念を持った外交をやっていくのが日本の国益のために大事なことであるし、国民が伊東外務大臣に期待しているのもそこにあるのだと思うわけです。  そこで、私は、国が二つに分かれておるとかどうということとは別に、朝鮮民主主義人民共和国という国があの激しい朝鮮戦争の中から立ち上がってすばらしい国としての体制を整備をしておるということくらいの認識は持ったのではないか、こう思うわけですけれども、それくらいの話はできないですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまおっしゃったように、国民のために国づくりに非常に努力をしておられるというのは、それはそのとおりでございます。これは何も隠すこともない明々白々な事実でございます。国民の生活水準を上げるということで非常に努力をしておられる姿を見てまいりました。  ただ、日本の立場は、これは何回も申し上げますけれども、西側の一員としまして経済問題あるいは政治問題に理念を同じくしていく国々とまず協調する、その中心がアメリカとの日米関係でありますということを常に申し上げておるわけでございまして、そういう立場の上に立ってどういう政体の国柄ともなるべく協調を図っていきますということでやっておるわけでございますが、残念ながら朝鮮民主主義人民共和国との関係は御承知のようにまだ国交は結ばれてない、現実ばそういうことでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その共和国の実情は、非常に国として発展する、いわば目覚ましいほど躍進をしておる。そうして国民が朝鮮の平和的統一をだれよりも願ってやっておるということは、大臣も理解はしておられると私は思うわけですけれども、いま西側の一員と言われた。よく日本を西側の一員と言うのですが、朝鮮民主主義人民共和国は一体どっち側に属するか。大臣の区分によると、国の位置づけとして西側か、東側か、第三世界群か、どういうふうに配分して外交政策を進めておるのですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 われわれが西側の一員と言う場合は、さっきから申し上げますように、政治は民主主義、あるいは経済は自由主義というような経済、政治の理念を一つにするものということで西側ということで考えておるわけでございまして、そういう意味から言いますと、日本は韓国を西側の一員として考えておるということでございます。朝鮮民主主義人民共和国につきましては、それをどっちというようなことを私が言う二とは適当でないと思います。西側の一員として韓国と国交を結んでおります、こういう立場でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 私は、世の中の移り変わりというものを考えて日本の外交を前進させなければいかぬと思うのです。そういう中でいま、自由主義と民主主義、こういうふうに位置づけて韓国を西側の一員として日本は考えておる、こう言われるのですが、今度の全斗煥体制というものは民主主義を守る体制として、そしてまた、民主主義の思想の中で生まれた政権である、こういうようにお考えになっておるのですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 韓国政府、全斗煥の政権でございますが、これの性格について云々するということは私はここで申し上げませんが、いま政治改革でございますとか、そういうことに一生懸命取り組んでやっていこうという努力をしているというふうに私は見ておるわけでございまして、百十何カ国でございましたか、承認も受けてやっておりますので、私は韓国のこれからの政治改革ということがうまくいくことを期待して見ているという立場でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 韓国がうまくいくことを期待するということは、外務大臣として西側諸国との友好というものを主眼に考えておれば当然だと思うわけですけれども、韓国の全斗煥体制というものが日本をどう見ておるかということ、つまり、あなたも総理大臣も金大中氏の公判の全記録をよこせ、こう言ったのに、全然よこさない。全く日本を無視したやり方じゃないですか。それに対してはあなたは何ら抵抗を感じないですか。金大中氏の問題について公判の全記録を提出するようにと、再三再四あなたが言われた。それを全く無視して、一片の断りもない。それに対して抵抗も感ぜずに、民主主義を守るアジアの同盟国というか、西側の一員として韓国を見ていきますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま先生のおっしゃったのは金大中氏の裁判のことに関してでございますが、日本としましては身辺に重大な関心があるということを言った。もちろん判決文のことを言いました。全部が全部日本が期待をしたことがそのまま実現していないことは確かでございますが、私はこの前の関係で問題にしましたのは、金大中氏が極刑にでもなれば本当に日韓関係にひびが入るよということを心配しましてそのことを強く言ったわけでございまして、一番大きな関心のあったことが無期ということで特赦で済んだことは、私は高く評価しているわけでございます。全部が全部ということではありませんが、一番大きく考えたことが死刑を免れるということでございましたので、私は韓国政府のこの前の措置につきましては評価をしているという立場でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、金大中氏の問題というのは、金大中氏の命に関する問題として公判記録を全部要求するというのじゃないでしょう。日本の国家主権が侵害されたことに基づく内容を含んでおるではないかということで、その点についてやはり私は、日本の国家主権というものを守っていくためには、外務大臣がそれをよこしなさいと再三再四にわたって執拗に要求したものを、それを提出しなくてそのまま済んで、そこで大統領就任おめでとうございますと言ってうやうやしく礼をするというようなことは、実に笑止千万なこっけいなことで、漫画にでもかいたらいい漫画ができやせぬかと思うわけですが、そういうお気持ちですか。国家主権が侵害されたことはない、だから、うやうやしく大統領就任をお祝い申し上げます、金大中が無期になったことは結構でございます、こういうことであなたは今度の大統領就任式典へ参列するのですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お互い対等な立場で、私は非常に大きな隣国の一つである韓国の大統領に、選挙で——きょう選挙があるわけでございますが、勝たれれば、おめでとうございますと言って行くわけでございまして、うやうやしくというふうに先生に言われると、何もそういうつもりじゃなく、対等でおめでとうございますと言いに行くわけでございますから、その点はひとつ御了解を願いたいと思うわけでございます。  それから、判決文の要旨が実は来ているわけで、これには、何回も申し上げておりますように、日本における政治活動は問わないということで来ておるわけで、私どもは判決文があればなおその点がはっきりするだろうということで言ったわけでございますので、私は、あの判決文の要旨で政治決着に矛盾撞着しているものじゃないのだということを考えているわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 もう押し問答になるわけですけれども、あなたも外務大臣としてお仕事をされておるわけだし、やはり信念を持ってやっておられると思うわけです。伊東外務大臣が大平さんの葬儀を仕切った外務大臣であるということで有名であるだけではなしに、やはりこういう韓国問題を、日本の国家主権が侵害されているかいないか、その裁判の記録もわれわれ要求しておるのだから、それはやはりよこしてもらわぬと、あなたの国との友好関係を保持していくためには非常に障害になりますよ、日本の国民感情から言っても障害になりますよということぐらいは、今度話をするお気持ちはないですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 判決文をひとつ日本にも渡してもらいたい、オープンに判決文を出されるということが韓国のためにもなるのじゃないですかというふうなことを言ったことはございます。しかし、これは向こうの国内事情で、裁判との関係で関係者以外には出さないのだということを、何回言ってもそういう理由で言われるわけでございまして、一応金大中氏の身柄がああいうことで終わったという段階を踏まえまして、これ以上さらに判決文を渡してもらいたいということを言い続けることが今後の日韓関係にとりましてプラスかマイナスかということを判断をしまして、私はプラスにはならぬということで、判決文の交付ということについてはもう言うのをやめようというようなことを考えたわけでございますので、今度参りまして、また蒸し返してそれを言うということはいま考えておりません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 これも韓国の方から正式に外務大臣の要請を断ってきたのですか、ただもうナシのつぶてで、何にも言ってこずに、大臣だけが納得して、もう言いません、こういう心境になっているのですか、どっちですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 これはナシのつぶてではございませんで、こっちから言いますたびに、向こうの外務部、外務省を通してしかるべき人がそういうことを言ったのでございまして、こっちから言っても全然返事もしないでうんともすんともないということじゃなかったのでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 大臣は、全斗煥大統領が南北の対話を提唱したことを非常に評価するというような話をされておったわけですけれども、それを朝鮮民主主義人民共和国の方が受け入れるような状態でないということは、私はいまの国際環境、そしてまた朝鮮の状態、全斗煥体制というものに対する評価から考えて、彼がどんなに口でりっぱなことも言うても、行いがそれと反している以上、これは受け入れる道理がないと思うわけですが、それを全斗煥大統領がそういうことを言うたから、あなたの提言は非常にりっぱです、それでやりましょうやと言うような太鼓持ちみたいなことはやめてもらいたいと私は思うのですが、どうでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私は、前にもお答えしたことがあるのですが、首脳会談というのは、これはもう一般的に言って必要だと思っているのです。何回も会って話している中から何か少しずつ話がほぐれてくるということがあるわけでございますので、私は一般的に首脳会談というものは必要だということを言っておるわけでございます。  そういう意味から言いまして、大統領の方からピョンヤンへ行ってもいい、どこでも行って話そうじゃないかということを提唱されたということは、私はこれは評価していいことではないか。北側がこれはだめだということを言っていますけれども、いろいろな手段でその話し合いが実現するように努力するということは大切なことだ。外交方針でも申し上げましたが、私はそういう対話ができる環境づくりをするように努力をするということを国会でも言ったわけでございまして、今後ともそういうことが、特にああいうふうに緊張している状態のところでございますから必要だ、提案としては私は評価していいじゃないか、こういうふうに、これは私の考え方に基づきまして言ったことでございます。何も他意はないわけでございまして、これが実現するように、日本だけじゃなくて国連にも行って頼んでいるわけでございますから、やはりみんなで努力するということが必要じゃないか、こう私は思っております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 私も別にそういう首脳会談を否定するものではないわけですから。  ところで、そういう南北の対話を全斗煥が呼びかけておるし、これは非常に結構だからぜひやるべきだというお考えを持つならば、ひとつ外務大臣として朝鮮民主主義人民共和国の外務大臣なりあるいはキム・イルソン主席あたりに、全斗煥大統領の提言をお受けになったらどうですか、それについて必要とあらば日本がお世話しますと言うくらいの積極的な行動をとる気はないですか。仮にそのことが大事とするならば、南北の両首脳会談を日本が産婆役になってやるという気持ちだ、こういうことで向こうへ手紙なり使いなり出すような、そういうお考えは浮かばないですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 まだ外交が結ばれておりませんので、そういうことはいまやっておりません。手紙を出すとかそういうことはやっておりませんが、私は私なりにいろいろ考えまして、どうやったらこれが実現するのかということを考えているところでございますが、これはどうやった、どうやったということを一々申し上げるような事柄ではございませんので、いま井上さんのおっしゃることはよくわかります、そういう努力も日本はやったらいい、こう思っておるわけでございます。全斗煥大統領に会いましたら、そういう話もよく私は大統領としてみたいというふうに思っておるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、あなたは総理の親書を持っていかれる。親書ですから内容はうかがい知ることはできないし、後で発表されて承知するわけですけれども、恐らく全斗煥大統領を日本へ招くということ、それから今後においては韓国との経済関係についてもより一層緊密にやっていきましょう、そういうふうなことが内容として含まれておるのではないか、こう思うわけです。私は、それは総理の親書ですから外務大臣がそんな親書を断る筋合いはないと思うわけですけれども、今日、金大中氏の問題についても日本のいわゆる国民の意思というものを無視したことをやっておる、そういう全斗煥大統領を日本へ招くということを総理がその親書の中に書く、あるいは経済関係閣僚会議、日韓会談、こういうようなものをさらに進めていくようなことを今日の段階でするのはちょっと間違っておるのじゃないか。  それよりも、日本がすべきことは、朝鮮のいわゆる共和国とは国交はないけれども、お隣の中国との間においても国交のない中でだんだん積み重ねがせられて、そして今日の日中関係というものができ上がっておるわけですから、ある日突然でき上がったものではないですから、やはり日本としては朝鮮の自主的、平和的統一のために、韓国だけを対象にした考え方ではなしに、もっともっと北に目を向けた姿勢というものが日本の外交を進める中で大事じゃないか、こう思うわけですけれども、これについての大臣の所見を承りたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 親書を私に託すということを総理がおっしゃったのはそのとおりでございまして、ただ、親書の内容につきましては、これは私から云々する立場じゃございませんのでいまここでお答えはしませんが、まだいろいろ内容につきましてはこれから相談するということでございます。  それから、朝鮮民主主義人民共和国との関係でございますが、朝鮮半島の平和ということを言いましたときには、確かに北があることはそのとおりでございますので、北との関係は、人的交流でございますとか、あるいは経済、文化の交流というようなことをなるべく積み重ねてやっていくことが日本の立場であるというふうに私は考えております。     〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで私は、アジア地域の平和という点から考えて、カンボジア問題というものも解決をせねばならない大きな問題だというふうに思うわけです。そこで、大臣は国連においても大変奮闘をしてこられたわけですが、今度シアヌーク殿下がいわゆるクメール人民民族解放戦線の責任者のソン・サン氏にも新しいカンボジアの体制をつくり上げるために参加を呼びかけて提唱されておるわけで、そういうふうなカンボジアの新しい情勢の動きに対して大臣はどういう認識を持っておられるのかお伺いしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまカンボジアの中の第三勢力と言われるような御質問でございましたが、インドシナ半島の平和ということにつきましてASEANが、国連の決議で国際会議を開いて何としてもテーブルで平和的な話し合いをということを主張しているわけでございまして、日本もそのASEANの考え方を支持する、国連の決議も共同提案をしましたので、そういうことで、インドシナ半島に何とか平和が来るようにということを心から願っておるわけでございます。  その中で、民主カンボジア政府を代表する人にだれがなったらということでいま先生の御質問があるわけでございますが、これは原則的にはカンボジアの国民が決めることで、われわれが口を出してだれがいい、かれがいいということを言う立場にはないわけでございますが、ポル・ポト政権につきましては、過去においてやりましたことに対して世界じゅうからいろいろ批判があるということは確かでございますので、批判の少ない人をひとつ民主カンボジア政府の代表にしようじゃないかという動きがカンボジアの中あるいは外部からもあるということを私どもは知っておるわけでございまして、もしもそういうカンボジアの人々の支持をよけい得られるような人、あるいは世界から批判をされないような人が民主カンボジア政府の代表になるということであれば、それはそれでまた結構じゃないかというふうに見ておるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 日本はいま民主カンボジアを認めてやっておる。ところが、その民主カンボジアの旧ポル・ポト政府と、そして今度の新しいカンボジアの勢力がシアヌークを中心にそれも含めて結集されて、カンボジアに対するベトナムの侵略を排除して新しい統一国家を形成するような動きが急速に持ち上がってきておるということについては、これは情報網の確かな外務省としてはもう十分掌握をしておると思います。そのいろいろな橋渡しの仕事、そういうことについての仕事をしておる国といいますか、お世話をしておるのは今日朝鮮民主主義人民共和国ではないか、私はこう思うわけであります。  シアヌーク殿下はいままでは中国におったわけですけれども、最近はほとんど朝鮮の方におられるわけで、朝鮮を通じて新しいカンボジアの統一を目指して立ち上がった、こういうことで、そういう点からも、アジアの平和というものを考え、カンボジア問題の平和的な解決をしていくためにも、やはり朝鮮民主主義人民共和国というものはアジアにとって非常に重要な役割りを果たす国である。だから、その国との関係に一歩もっと深く踏み込むような日本の外交姿勢というものを私は期待をするものであります。  そこで、この六月にカンボジア問題についての国際会議を開くことになっておるわけです。ところが、その国際会議に朝鮮民主主義人民共和国も参加するように事務局の方で要請もしておるということを聞くわけですが、そういう場合における朝鮮からの入国というものについては、日本の政府としては文句なしに受け入れる用意があるのかどうか、その点をひとつ大臣に承りたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま井上さんのおっしゃった六月ごろカンボジア問題の国際会議を開くというのは、私はどうもまだ聞いていないのでございまして、六月ごろある会議というのは、ASEANの外相会議、これはフィリピンでございますから、いま先生のおっしゃったのは六月ごろカンボジア問題で国際会議を日本でという意味でございますか、そういうことはまだ聞いておりません。  ただ、ASEANがひとつなるべく早く国際会議を国連が世話をして開くべきだということを言っておるのはございますが、これは六月とかそういうことじゃない。なるべく早くということで、場所、それから参加する国々ということはまだ決まっていないわけでございまして、いま六月ごろ開かれるとおっしゃいましたが、私は実はまだそのことは聞いておりません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 聞いていないかもしれませんけれども、そういうカンボジア国際会議を開くように日本の組織委員会がつくられ、ここにおいでの土井先生あたりもその代表委員となってお世話をしておるわけで、自民党の木村先生初めたくさんの先生方もその代表委員となってお世話しておるわけですし、招請状もずっと出すわけですから、早晩具体的なこういう問題に入ってくると思うわけです。そういう場合に、いまはしてないけれども、そういう会議に朝鮮に参加を招請した場合に日本が入国を拒否するとかいうようなことになると大変なことなので、そういう場合の日本への入国についてはとやかく言わぬ、こういう大臣としての気持ちを持っておっていただきたい、私はかように思うわけですけれども、どうでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 灯台もと暗しでございますか、私は本当に全然知りませんで、いま土井先生のお名前が出たり自民党の先生のお名前が出たりしたのですが、本当に私は知らなかったのでございます。  それはそれとしまして、朝鮮民主主義人民共和国の人の入国の問題についていまおっしゃいましたが、それは会議の性格等とか、具体的な問題になりましていろいろありました場合にどういう対処をするかということはその場合になって検討してみるということで、いまここでそれにつきまして右とか左とかいうお答えをすることはちょっと差し控えたいと思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 私はカンボジア問題についてはまた次の機会に質問いたしたいと思うわけですけれども、ベトナムの問題については、わが党内も若干意見の違いがあるわけです。ここにおいでの高沢君は、ベトナムの経済援助を早く再開せよという論ですけれども、私は、カンボジアに、わずか六百万しか人口がいないところで三十万も軍隊を送り込んでやるほどの経済的な余裕のある、そういう侵略行為をするようなベトナムに日本は経済援助をするのは大変な間違いだ、こういう考えを持っておるわけであります。そういう点で、非常に尊敬する高沢君でありますけれども、これは意見が違うわけです。  そういうことで、最近新聞では、ベトナムからたくさんの方が、大使も交代をする、あるいは共産党の招きで大物幹部が来るとかいうような報道がなされておるわけですけれども、大臣としては、いまのベトナムに関する問題についてはどういうお考えを持っておるのか、この際承っておきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 ベトナムにつきましては、特にカンボジア問題で国連で決議がありまして、撤兵をカンボジアからすべきじゃないか、そしてカンボジアの人が自由な意思の表示のできる選挙をして政権を選ぶべきじゃないかというようなことで、国連でもはっきりそういう決議をしているわけでございまして、ベトナムの問題につきましては私は井上さんと大体近い考えを持っているわけでございます。何とかあの地域に平和ができるような会議にベトナムも参加しまして、そして国際会議が開けることを本当に希望しています。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 時間が参りましたのでもう私はこれで質問を打ち切るわけですけれども、ただ一つ見解を承っておきたいと思うのは、私はいまの日本とアメリカとの安保条約ほど日本の自主性を侵害し、そして日本にいろんな負担をアメリカからかけてくる、こんな条約はない、こう思うわけですが、そういう点で今度の日米首脳会談というようなものも余り軍事的な——この前も質問したときに私は言ったのですけれども、外務大臣が防衛予算をふやせとかいうようなことを言うようでは、外務大臣としての資格喪失じゃないかと思うのです。そんなことでは日本の外交は不安でたまらないわけですが、依然として、アメリカとの関係をよくするためには、安保条約があるから防衛力を増強しなければならぬ、そういう外務大臣としての心境を持っているのか、そして、日本の平和を守っていくためにはもっと軍事力が必要だ、そういうふうにお考えになっているのか、お考えを承って、私の質問を終わります。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 本当に何とかして日本が戦争に巻き込まれないように、世界の平和、安全ということからして日本の平和、安全、繁栄を守るということに私は徹して外交問題と取り組んでまいるつもりでございます。  この前、先生がおっしゃるようなことがございましたのは、私はやはり国務大臣として、国務大臣の資格で国防会議にも出ますので、「国防計画の大綱」というようなことにも関係をいたしておりますので、そういう立場で「国防計画の大綱」が達成されるようにということを言いましたことと、もう一つは、やはり日本もみずから努力をするのだということでなければ、これは相手方から日本は何もしないじゃないかという信頼を失っては、安保体制というものも円滑に運用できないのだ、日本もみずから努力するのだ、そういう信頼を失うということは大変なことだということで、私は総理に去年の予算の段階で申し上げたことがあったわけでございまして、何も私は飛び回ってあっちこっち歩いたわけでもないのです。そんなことを言われたわけでございますが、外交は平和外交に徹してやるということだけははっきり申し上げます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 終わります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、アフリカ開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件、一次産品のための共通基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の締結について承認を求めるの件、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書の締結について承認を求めるの件及び南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結について承認を求めるの件の五件を議題といたします。  まず、政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣伊東正義君。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 ただいま議題となりましたアフリカ開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  アフリカ開発銀行は、アフリカ諸国の経済開発及び社会的進歩に寄与することを目的として昭和三十九年に設立されました。以後、同銀行は、アフリカ諸国のみを加盟国として、地域開発金融機関としての実績を着実に重ねてきましたが、アフリカ諸国の同銀行に対する資金需要の増大に伴い、加盟資格を域外国にも開放することによってその資本の増額を図ることを決定し、わが国を初めとする域外国と交渉を行ってまいりました。この交渉の結果を踏まえて、同銀行は、昭和五十四年五月、域外国の加盟を可能とするため、協定の改正、域外国の加盟を規律する一般規則及び域外国の加盟に関連する授権資本の増額を総務会決議として採択いたしました。わが国を初めとする域外国は、一般規則に定める条件に従ってこの協定を締結することにより同銀行の加盟国となることができるものであります。  この協定は、銀行の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営、特権及び免除等について規定しており、また、域外国の加盟を規律する一般規則は、域外国の加盟手続、資本に対する応募額、応募額の払い込み方法等について規定しております。  わが国がこの協定を締結し、アフリカ諸国の開発に重要な役割りを果たしているアフリカ開発銀行に加盟することは、開発途上国に対する経済協力に関し、国際社会において重要な役割りを果さんとするわが国の外交政策に合致するものであり、また、わが国とアフリカ諸国との友好関係を促進する見地からも有益であると考えられます。  ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、一次産品のための共通基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昭和四十八年の石油危機を契機とした一次産品問題に対する国際的な関心の高まりを背景として昭和五十一年に開催された国際連合貿易開発会議の第四回総会におきまして、一次産品価格の安定を目的とした一次産品総合計画が採択されました。  一次産品のための共通基金は、一次産品総合計画の目的を達成するための中心的な機関となるものでありまして、同計画のもとで交渉が行われた結果、昭和五十五年六月二十七日にこの協定が採択された次第であります。本年一月二十日現在、この協定は、まだ効力を生じておりません。  この協定は、基金の任務として、一次産品の緩衝在庫の業務を行う国際商品機関に対し在庫の業務のための貸し付けを行うこと並びに一次産品の分野における研究及び開発、生産性の向上等に関する措置のための貸し付け及び贈与を行うこと等について定めております。  わが国がこの協定を締結することは、国際商品機関等の活動を通ずる一次産品の価格の安定及び一次産品の安定的な供給を確保することに寄与することが期待されます。また、南北問題の解決のための努力に対するわが国の積極的な協力姿勢を示す上でも重要な意義があると考えられます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昭和五十二年八月クアラルンプールで開催された日本・ASEAN首脳会談において、わが国がASEAN産品の対日輸出促進のため常設ASEAN貿易観光展示場の東京設置を含む措置をとる用意のあることを表明して以来、わが国とASEAN構成国との間においてASEAN貿易投資観光促進センターの設立につき検討が行われてまいりました。この協定の案文については、昨年十二月合意を見るに至り、同十二月二十二日東京でこの協定への署名が行われました。  この協定は、わが国とASEAN構成国との間の貿易、投資及び観光を促進するための機関として東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを東京に設立することとし、同センターの目的、活動、組織、財政並びに同センターの享受する特権及び免除等を規定したものであります。  本年一月の鈴木総理大臣のASEAN訪問におきましても、鈴木総理大臣とASEAN各国首脳は、緊密な日本・ASEAN関係はアジアの平和と安定の維持に貢献することを確信し、諸般の協力を推進することにつき合意し、特に、同センターが日本・ASEAN間の経済関係の一層の発展に貢献することへの期待を表明しております。  わが国がこの協定を締結することにより同センターに加盟することは、鈴木総理大臣のASEAN訪問において明らかにされた日本・ASEAN双方の意向に沿うものであり、また、ASEAN構成国との友好関係を一層促進する見地からも有益であると認められます。  ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この議定書は、昭和三十二年にわが国、アメリカ合衆国、カナダ及びソビエト連邦の四カ国により締結され、昭和五十五年十月十三日まで効力を有していた北太平洋のおっとせい資源の保存に関する暫定条約に所要の改正を施した上でこれを適用することを内容とするものであり、昭和五十五年十月十四日にワシントンにおいて前述の四カ国により署名されました。  この議定書は、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約に定めるオットセイ資源の有効な保存措置を決定するための科学的調査の実施、この調査の実施を含む同条約の目的の達成のための商業的海上猟獲の禁止、その禁止の代償としての陸上猟獲されたオットセイの獣皮の分配等の枠組みを維持していくことを可能とするものであります。  この議定書を締結することは、オットセイ資源の適正な管理方法についての最終的な結論を得るには至っていない現状において、関係国の協力のもとに行われる科学調査の結果を待って海洋資源の適正な管理方法を見出すべきであるとのわが国の基本的立場に沿ったものであると考えます。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  南極周辺の海域においてはこれまで捕鯨以外に見るべき漁業はありませんでしたが、近年、わが国などが同海域に存在するオキアミの商業的漁業あるいは底魚の試験的操業を開始したこともあり、南極周辺の海域は、動物性たん白質の供給という観点から世界的な注目を集めるに至りました。他方でオキアミ等の採捕が南極の海洋生物資源全体の生態系に影響を及ぼすとの意見もあり、南極条約協議国の間で、南極の海洋生物資源の保存に関する条約を作成する必要性が認識されるに至り、数次の条約作成交渉を経て昭和五十五年五月二十日にキャンベラにおいてこの条約が採択されました。この条約は本年二月一日現在未発効でありますが、条約採択のための外交会議に参加したわが国を含む十五カ国はすべて署名を了しています。  この条約は、南極の海洋生物資源の合理的利用を図りつつ当該資源を保存するために、保存に関する原則、保存措置を作成するための機構の設置及び分担金等について定めたものであります。  この条約を締結することは、南極の海洋生物資源の保存のための国際協力へのわが国の積極的な姿勢を示すこと及び当該資源の適切な保存及び合理的利用を確保することに資するものと考えられます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上五件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願い申し上げる次第でございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 外務大臣は来月の末に訪米をされますし、五月には日米首脳会談が予定をされているわけであります。  そこでお伺いしたいのは、鈴木総理は先月のASEAN歴訪の際、わが国に国際社会で軍事的役割りを期待することは誤りであると明言しておるわけでありますが、米国はわが国に対し西側の一員として軍事的役割り分担を求めているのではないか、そういう発言が相次いで繰り返されているわけでありますが、まず最初に外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 アメリカのレーガン政権になりましてから、ヘイグ国務長官とかあるいは国防長官等が大河原大使に会いました際に、向こう側のアメリカの期待表明ということがいろいろあるわけでございます。特に、ヘイグ国務長官と会いましたときは余りそういう話は出なかったのでございますが、国防長官と会いましたときには、これは一般的な話でございますが、日本の防衛努力について期待表明があったことは確かでございます。  それは、レーガン大統領がこの間経済再建計画を発表されたわけでございますが、あれが発表されたときに、アメリカ政府の歳出削減ということにつきまして相当思い切った経済再建計画が出た。減税でございますとか金融の安定とかいろいろ入っておりますが、歳出の削減ということが大きく出たわけでございます。しかし、そういう中にありましても防衛費については増額するということがありまして、それを受けましてアメリカにおきましてはそういう努力をしている。片一方で歳出削減をやりながら、防衛費というものはふやしている。国際的な情勢から考えてそういうことをやっているので、同盟国においてもひとつ最大の努力をしてもらいたいのだという一般的な期待表明がございました。ただ、その場合に、それ以上に深く入りまして、どういうところでどういう努力あるいは協力というような具体的な話はまだございませんで、そういう具体的な問題については協議をするということで、一般的に努力をしてもらいたいという期待表明があったことは事実でございます。これは大河原大使に対してありました。  それから、アメリカの統合参謀本部議長でございましたか、何か国会に対して証言されたときには中東の問題に触れまして、中東の問題というのは重大な問題である、あそこには石油資源というものがあるのだ、それに西側は相当依存している、また、中東というのはソ連とも地勢的に近いところにある、ここにもし万一のことがあればこれは大問題になることがあるということを西側の諸国もよく留意をしてもらいたいということで証言がございまして、一国だけの安全ということはもうあり得ないのじゃないか、一国の安全はまた他国の安全にもかかわることだということで、集団自衛権ということではございませんが、もっと広い意味の集団安全保障というようなことにつきまして意見を述べられたことがございます。  これにつきましては、まだ日本に対して具体的にどうということではございませんが、そういう証言が議会であったり、大河原大使にも国防長官から期待表明があるというようなことからしますと、今後アメリカから日本に対しての防衛努力については強い期待表明があるだろうということは予想されます。  ただ、その場合日本としては、できること、できないことがはっきりしているわけでございますから、専守防衛、軍事大国にならぬということを総理も何回も言っておられるわけでありまして、そういう原則の上に立って、国民のコンセンサス、財政の事情もありましょうし、あるいは防衛というのは狭義の軍事努力ということだけでなくて、もっと広く外交努力あるいは経済の協力等ございますので、そういう広い立場に立ちまして、この問題は日本が自主的にどうしたらいいかという態度を持って考えていく必要があるのじゃなかろうかというのが、いま私どもの考えていることでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題で一点お伺いしておきたいわけですが、米側のわが国に対するそういう一連の軍事的な期待表明がなされているということであります。私がお伺いしておりますのは、鈴木総理がASEANに行かれて、わが国に国際的な軍事的役割りを期待することは誤りであるということを最後に明言をしておられるわけでありますから、当然今回の大臣の御訪米あるいは首脳会談におきまして、何らかの形でこの共同声明とかそういう中にいまのようなことを入れる努力をされることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 共同声明の問題は、首脳会談などでは大体共同声明というものは出ておりますから、共同声明というものもあり得ると思います。  共同声明という場合に、中にどういうことを盛るかということはまだわれわれのそんたく申し上げる段階ではないわけでございますので、どういうことが入るかということはいまここで申し上げません。いま玉城さんのおっしゃったようなことは、総理がASEANでも言われ、常に言われていることでございまして、個別自衛権しかないのだということが前提でございますから、どういう形でそれが入るかということはいま申し上げかねますけれども、当然そういうことはアメリカ側に対しましても、日本の考え方はこうだ、だからできることとできないことがあるということを総理もはっきりおっしゃるだろうと思います。  共同声明に盛るか盛らぬかの問題は今後の問題でございますので、もう少しそのときになりましてからよく考える問題だ、こういうふうに思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 明確にそういう軍事的役割りを期待することは誤りであるという趣旨のことは入れていただくように、ぜひ外務大臣の御努力をお願いをしておきたいわけであります。  そこで、先ほどの御答弁にもございましたけれども、結局ワインバーガー国防長官の日本に対して最大の努力をしてほしいということについては、一般的な期待であるというような意味のお答えがあったわけでありますが、私は、今回のワインバーガー国防長官の発言は、むしろわが国の防衛努力を求めるその第一歩ともいうべきものと思われるわけであります。  そこでお伺いをしたいのは、こういうことについて、大臣が訪米されるときに、わが国の対応として、これは一般論ということだけで無視していいというものでもないと思うわけです。わが国の大使に対してそういうことをなされた以上は、これは米国の基本的な政策の表明であるというふうに受け取るべきだと思うのですが、そういうことはこの首脳会談等においては無視していいというふうに大臣は考えておられるわけですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 無視するとかそういうことじゃ全然ございません、そういう期待表明があったことは事実でございますから。また、私が総理が行かれる前に三月に行けば、国務長官にも会い、ワインバーガー国防長官にも会う、恐らくそういうことになると思いますが、そういうところであるいは具体的ないろいろな表明があるかもしれません。私は先に行きまして、そういうアメリカ側の意向がいろいろ具体的に伝わるかもしれませんし、また日本としてもやれること、やれぬことがはっきりありますから、そういうようなことで意見の交換をし、相互に理解を深めるということがあるのだろうと私は思いますが、無視するとかそういうことじゃ全然ございませんで、そういう強い要請が恐らくあるだろうということは想像されますので、日本としてもそれに対する考え方ははっきりして会談に臨む必要があるだろうというふうに私は思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、一連の米側のそういう発言等を見まして、結局来年度、いま審議中の予算で防衛予算が七・六%増ということについて米側としては不満があるような感じが見受けられるわけですが、大臣としてはどのように受けとめておられますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 昨年十二月、予算が決まりました直後、国務省あるいは国防省、国防省はブラウンさんでございましたが、失望したとか遺憾に考えるとかいうことがあったのは確かでございます。新しいレーガン政権になりましてからは、そういう数字とかいうことにつきまして、これの批評とか批判とかいうことは私らはまだ聞いておりません。  この前、総理のところへマンスフィールド大使が来られて話があったそうでございますが、その数字をどうこうということ、数字が一人歩きするということよりも、日本の個別自衛権を発動して考えていくという場合に防衛というものはどういうふうに考えるべきかというようなことを考えるのが実質的じゃないか、数字だけ議論していくことはそこから余りいい成果は出ないのじゃないか、むしろ実質的な話をすることが大切じゃないかというようなことを言われたことを総理から報告を聞いたわけでございまして、新しい政権になりましてからは、予算そのものについて、これがどうだというような、前の政権の時代のようなことは私は聞いておりませんが、最大の努力をしてもらいたいというような期待表明があることは、前の政権と基本的には変わってないのだなというような感じを私は持っております。具体的にはこれから向こうと相談し、話し合うことでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで伺っておきたいわけですが、大臣の訪米あるいは五月の日米首脳会談の結果いかんによっては、防衛関係費の補正予算での上乗せということもあり得るわけでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 一般的に補正ということは、いまの予算で補正予算を組まぬでいいようにということでやっているわけでございますので、防衛だけについて日米首脳会談の結果補正予算を組むなんということは実は毛頭いまの段階では考えていない。いままで一回もそういうことは日米の間で協議されるとかいうことはないわけでございまして、われわれはそういうことはいま全然考えておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 考えてないということは、そういうことはもうあり得ない、いわゆる補正で防衛予算の上乗せをするということはあり得ないというふうに受け取ってよろしいわけですね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 将来のことでございますので、私がいまここで断言をしてというのもいかがかと思いますが、いまここで日米首脳会談をやって、その結果防衛費を増額するということで補正予算を組むというようなことは毛頭考えておらぬわけでございます。一般的に、たとえば人件費が足りなくてどうするというようなときは、これは一般の問題でございますので、防衛費だけについて考えているなんということは全然ありません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いまの大臣のお答えは、私は、お伺いしましたとおり、大臣の訪米、そして日米首脳会談等の結果に基づいて、防衛予算の補正のときにそれを上積みされることはないと受け取ってよろしいわけですね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 全然そんなことはいま考えておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 考えてないということは、あり得るということにもなるわけですね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 そういうことはどうも私は予想されない、こう思うものですから、考えておりませんということを申し上げておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 予算といいますのは、わが国の基本政策になるわけですから、それは当然考えられないと思います。そういう結果によって防衛予算が上積みをされるとかいうことは、もうわが主権国家として絶対にあり得ないことだと思いますので、その点は絶対そういうことのないように要望をしておきたいと思います。  そこで、一連のことを改めて確認しておきたいわけでありますが、大臣が訪米されまして、あるいは首脳会談等におきまして、いま米ソの首脳会談等について話がありますが、そういうことについても要請をされるおつもりはございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 午前中高沢さんの御質問にもお答えしたのでございまして、私は、一般的に首脳会談ということは非常に大切なことだ、その中から何か出てくる可能性はあるわけでございますから、紛争の解決でも、あるいは平和のためにでも、話し合うということは私は一般的に大切なことだと思っておるわけでございます。  それで、いま具体的に、米国とソ連との間の会談ということを御質問になったわけでございますが、私がいまここで日本がこう言うというようなことをはっきり申し上げる段階ではまだないわけでございます。高沢先生からも御意見がありました、いま玉城先生からも御意見がありました、これはおっしゃることばよくわかりますので、どういうふうに向こうへ行って話すべきか、世界平和にとりましてこれは非常に重大なことでございますので、私は昨年行ったときはSALTIIを早く批准すべきじゃないかというようなことをブラウン長官に言ったのでございますが、今度はもう一つ次元の高い話でございますので、両先生のおっしゃることをよく頭に入れまして、アメリカに行ったらどういう発言をすべきかということを整理してまいりたい、こう思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、先ほどもちょっと大臣のお話がございましたけれども、米国内には、日本、西欧各国は中東の石油に大きく依存しているにもかかわらず、中東の防衛、中東からの石油輸送路の確保に大きな力を割いているのはアメリカであり、その恩恵を受けている日本は応分の負担をすべきであるという要求が根強いと伝えられておるわけであります。そこで、昨年の秋にはペルシャ湾の安全航行を確保するための合同艦隊構想も出されたという経緯があり、その費用分担を求めるようなことも懸念されるわけであります。  そこで、改めて確認しておきたいわけでありますが、この石油輸送路確保のための合同艦隊には自衛隊は参加できないと思いますが、その点が一点でございます。  その次に、この種の合同艦隊への費用分担はわが国として行えないと思いますが、その点についてお答え願いたい。  三点目に、そういう具体的な要請が今回なされた場合に、大臣としてはどのように対応されるのか。  以上三点をお伺いしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま玉城さんのおっしゃったような意見、要するに、中東の油に西側は非常に依存しているのではないか、そのうちで特に日本がよけい依存している度合いが大きいじゃないか、その日本が比較的にその重大さということについて認識が薄いのじゃないか、あれを守っているのはわれわれじゃないかというような意見がアメリカにあるということは、私どもも聞いております。いろいろな人がそういうことを言っているということを聞いておるわけでございます。  去年、イラン・イラクの紛争がありましたときに、いま玉城さんがおっしゃるように合同艦隊の構想等が出たことは確かでございますが、その後、ホルムズ海峡、ペルシャ湾の航行の安全が保たれているということで、合同艦隊というものが実現されているということも聞いていないわけでございます。その当時も、日本に対しましてそういう要請は一切なかったのです。自衛艦を派遣してパトロールに参加してもらいたいとか、あるいはその費用の一部を負担してもらいたいとかいう要請は一切ありませんでした。そのまま、いま航行の自由がございますので、私はあれは実現していないのではないかというふうに思っているわけでございます。  あとはみんな仮定の御質問でございまして、経費の問題等が出たわけでございますが、自衛艦の派遣とかそういうことは、日本の法律からいきますとできないことであり、自衛隊法におきましても認めておりませんし、憲法上もこれは問題がある、個別自衛権だけだということでございますから、そういうことは全然考えておりません。お金の問題も、これはもしそういうことが言われてきたらどうするかということでございますが、この前も一回、そんなみみっちいことをまさか言ってくるはずがないですよと私は言ったことがございますが、私が行きましてもそういうことはあり得ない、こう思っているわけでございます。  もしそういうことが出たらということでございますが、これにはそのときいろいろな政治問題、法律問題がありますから、十分考えて、日本としてやれること、やれないことをはっきりして返事をするつもりでございます。  法律上の問題、これは全部お金は出せないということではない。それは自衛権に関する問題から考えますと、全部の場合に法律上いかぬということではない。これは憲法の解釈の問題でございますが、法制局等はそういうことでございます。これにつきましても、法律上は出せることがあるということでも、対応によりましては、これは疑わしい場合も、そうでなくとられる場合も、どっちかに加担をしているのではないかというようなことにとられる場合もございましょうし、私どもはやはり現実にそういうことが起きてきて、どういう場合で、それはどういう効果を持つのだというふうなことの政治的な問題その他法律的な問題を十分具体的に検討するということでありませんと、抽象的なことでこれはなかなかお答えするのはむずかしいのじゃないか、こういうふうに思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ちょっと大臣、それはそのときにはできないということをはっきりおっしゃるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 大部分私はそういうふうに考えております。ただ、これは法律上いろいろ問題がございますので、そういう具体的な問題が起きましたときに法律的に可能かどうかということもはっきり法制局に確かめる必要もございますし、その政治対応その他いろいろありますので、これはこの場で一〇〇対ゼロということで御返事していいかどうかわかりませんが、私の気持ちは大体一〇〇に近い方の気持ちでおるということだけは確かでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それはちょっと大臣、一〇〇とおっしゃいますけれども、そういうこともあり得る、合同艦隊構想に対して費用負担だとか自衛隊の派遣だとか、そういうことも全くないということではないわけですね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 これはいままで全然そういう話がございませんので、新しくそういう話が出てくるだろうということは私はちょっと考えられない、仮定の問題の御質問で、私も仮定の問題としてお答えしているのですが、それはいままでは全然ありません。日本がいままで国連の国際監視軍でございますとかそういうところに費用負担したことは、これは先生も御承知のように特別拠金をしましたり、国連がそういうものを出す場合にはやったことはございますが、それ以外にはないわけでございますので、いままでは全然ない。恐らく今度もそういうことはないだろう、こういうふうに思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ないだろうと、非常にはっきりおっしゃらない。そういう合同艦隊にわが国が費用の分担をするとか、あるいは何らかの派遣をするとか、そういうことは絶対にできないと思うのですが、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 艦隊の派遣等はできない、個別自衛権の範囲でそういうことはできない、自衛隊法もできないということはもうはっきりしているわけでございますので、これはそのとおりでございます。  それで、お金の問題につきましては、これは法制局から聞いていただけば一番いいと思うのでございますが、法制局等でも、これが自衛権とかそういうものに関係なしの場合ということで全部法律上不可能だとは言わないということが言われておるわけでございます。  しかし、そうは言いましても、この場合は法律論だけじゃなくて政治問題とかいろいろもっと広く考えなければならぬ問題がございますので、私どもはそういうことが現実的にもしあった場合には、これは法律論から見てどうだろう、あるいはそういうことは政治的にどうだろうというような広い視野からも判断しなければならぬ、こういうことを言ったわけでございます。いままで全然そんなことはないわけでございますので、これは全然ないことを前提にしていろいろ議論してもそこから特に生まれるものはないのじゃないかと私は思いますので、現実の問題になった場合にそのことはよく検討する必要がある。ただし、私の気持ちは、さっき言いましたように、政治問題とかいろいろ考えればこれは慎重に考えなければならぬ問題だというふうに思っておるわけです。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いまの問題は非常に重大な問題で、ちょっともう時間がございませんので、これはまた後に譲りたいと思います。絶対にそんなことがあってはならないし、そういうことはまたできないということだけは申し上げておきます。  それから、対外援助の肩がわりの問題とかいろいろございますが、次の機会に譲ることにします。  わが国とソ連は現在友好関係にあるのか、あるいは非友好的な関係というような状況にあるのか、どのようにお考えでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 ソ連との関係でございますが、御承知のように、いまは若干冷たい関係にあるということだけは確かでございます。原因は、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入、北方領土に対する軍備の増強というようなことを契機にしまして、いささか冷たい関係にあるということは事実でございますが、といって何もソ連を敵視するとか敵対するとか、そういう関係じゃないわけでございまして、いろいろな経済問題でもケース・バイ・ケースで協力するものは協力するというようなことをやっておるわけでございますから、シロかクロかと言われなくて、シロとクロとの間も私は当然あると思っております。何も敵対関係とか敵視するということではございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、防衛庁は八〇年版防衛白書でソ連を潜在的脅威であると言い、鈴木総理も国会答弁でソ連が潜在的脅威であるとの認識を表明しております。このように、特定国に対してその国が潜在的脅威であると公式文書や公式発言で言うことは、少なくとも友好関係にある国あるいは友好関係を維持しようとする国に対して言うべきことではないと思いますが、外務大臣はいかがでしょうか。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 外務省としましては、外務大臣としてはそういうことがあってもそれは何も敵視し、敵対をするのだということを言っているわけじゃないわけでございまして、現実の問題としてそういうふうに客観的な事実がありますと、こういうことに基づいた表現でございますので、外務省としましてはそういうものがなるべく脅威というふうに顕在化することを防がなければいけませんし、また、そういう状態にありましても、それはなるべく友好関係は友好関係として続けていく、そして紛争等が起こらぬようにということを努力するのが外務省の、外務大臣としての役目であり責任だというふうに私は考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 時間がございませんので、それでは、対ソ外交で関係改善を目指す外務省は、外交の責任者として大臣のお立場から、そういう潜在的な脅威というような言葉についてはこれをやめたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 これは外務省だけでそういうことをやめるとかやめぬとかいう問題じゃなくて、日本全部の問題に関係することでございますので、そういう客観的事実があるのだ、またソ連はアフガニスタン等にも軍事介入をしたのだというような事実から考えまして、それは否定することはないと私は思うわけでございますが、しかし、それを特に誇張して、日本側がそれをはやし立てるという必要は何もない。御質問があったから私も言うだけで、御質問がなければそんなことは言わないで通すのが一番いいと思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 少なくとも外交の責任者としての大臣のお立場からは、そういう潜在的脅威であるという認識を持っての外交ということは、これは特に対ソ外交において重大な障害になる、そういうふうにおっしゃっていると受けとめておきたいわけであります。  そこで、時間がございませんので、最後に、一連の大臣が訪米され、日米首脳会談が行われるわけでありますが、やはりわが国の憲法の精神に沿った平和外交を展開されるというその責任者の立場から、米側のいわゆる軍事的役割りの押しつけ等については、断固としてそういうことは応じていらっしゃらないでいただきたい、このことを強く要望をしておく次第であります。  以上で終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長代理 野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 外務大臣にまずお伺いしたいのは、午前中の答弁の中にもありましたけれども、三月二日から韓国大統領の就任式にいらっしゃる、その際に、首相の親書をお持ちだというような答弁もあったわけです。きょうの朝日新聞ですけれども、これによりますと、きのう、総理と外務大臣、そして宮澤官房長官三者が会談をされまして、基本的な方針として「金大中氏裁判決着を受けて日韓関係の全面修復、関係緊密化を目指す姿勢を鮮明にする」、それから二つ目は「両国首脳会談に関しては、具体的時期を明示して全大統領の訪日を招請するというような表現は避け、「お会いしたい」という希望表明にとどめる」、これが基本方針だというふうに報道されておりますけれども、これは事実なのかどうか、その点からお伺いしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  新聞に出ておりますことが本当かどうかということでございますが、実は、これからまた総理と御相談をしてそういう問題について詰めて、そして親書というものができ上がるのだ、こういうふうに私は思っておりますので、いまの段階で新聞に出ておることが本当かどうかというふうな、それと反対のことが出ておる新聞もございますし、いまの段階ではちょっとまだ私の口から申し上げる段階にない、こういうことで御勘弁を願います。

野間友一日本共産党

○野間委員 少なくとも外務大臣の御認識として、金大中氏裁判決着について、もう金大中氏の事件は決着したのだ、したがって、これからは一路日韓の修復だというような認識を持って行かれるのかどうか、これならお答えできると思うのですけれども。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 金大中氏の問題は、いままで身辺に重大な関心があるということを向こうに伝えてまいりまして、判決が出、大統領の特赦ということがあったわけでございますので、日本としましては、これ以上金大中氏の問題についてとやかく身辺についてもう言わない、今後はそれを前提として日韓関係の修復といいますか、関係の友好発展に努力していくというつもりでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 そういう御認識でもし行かれるとするならば、私は大変な問題だと思うのです。さまざまな国会での論議、そして経緯もあったわけですけれども、やはり国民は、この事件に対する判決後の日本政府の態度に対して非常に不信感あるいは疑問を持っておる。私も、政治決着との関係で一体どうなのかということについては非常に疑問を持っておるわけであります。いま必要なことは、外務大臣が言われるような日韓の緊密化あるいは日韓の関係の修復ということよりも何よりも、やはりこの金大中氏事件をすっきり解明していく、と同時に、韓国の公権力による日本の主権侵害、これらの真相を徹底して究明して、そして日本の態度を明らかにするということこそ、いま緊急の課題でなければならないというふうに私は考えるわけであります。  そこで、この金大中氏の判決あるいはそれに絡んでの政治決着との問題でありますが、前回、私、この点についていま申し上げたようなことを強く要望したわけですが、御承知の一月二十三日に上告棄却、死刑判決が確定して、その直後に特赦による無期懲役、こうなったわけであります。これは内外の世論に押されて全斗煥政権が法の名をかりた処刑を断念したというふうに私は思うわけでありますが、同時に、無期懲役でありますから、政治活動の自由を奪う、政治生命をあくまで抹殺しようとするというようなことについてはいささかの変わりもない。しかも獄中にある限り生命の安全も保障されない。思想を変えない限り出獄の見込みもない。これはいわば緩慢な死刑だというような評価も私はできると思うわけであります。  この判決は、金大中氏の日本における活動を罪に問う、いわゆる国家保安法の適用を押し通したものだということを私は確信をしておるわけでありますが、そうだとするならば、政治決着における合意すら踏みにじったことでありまして、日本の政府の果たさなければならない責任は非常に重大だ。いま必要なことは、政治決着を破棄して原状回復の請求を直ちに行うべきだというふうに私は思います。  こういうことを前提にしてお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、そうしますと、外務大臣は、金大中氏の事件について現時点でどのようにお考えになっておるのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 日本の捜査当局が捜査の本部を解散しないで、公権力が介入したかどうかという捜査は続けているということを聞いております。ただいままでは、そういう関与したという報告はないわけでございますし、あの政治決着の見直しも、そういう公権力が関与したということが明らかになった場合には政治決着の見直しをするかどうかということをまた相談するということになっておるわけでございまして、私どもとしましては、そういう公権力の介入がないということを前提とする限りその問題は終わっている。そして今度の判決でも、あの政治決着の中で日本における行動を問題にしない、帰ってから反国家的行動をしなければという前提がございますけれども、問題にしないということがあったわけでございまして、判決の要旨の中にも、日本における行動は問題にしないのだ、韓国に帰ってからの行動、その証拠に基づいて判断をしてもということがございますので、日本としましては、金大中氏の裁判の問題は、これは日本との政治決着に矛盾はしない、向こうの国内問題だというふうに思って行動をしたわけでございます。  ただ、拉致事件がありましたので、金大中氏の身辺には重大な関心があるということを言ってきましたが、いま先生の言われたようなことで特赦ということになりましたので、この件はこれでということで、次の段階で日韓関係の維持発展に努力するというのが日本政府の考え方でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 私は、そういう御認識は大変おかしいと思うのです。それがそうだとするならば、要するにいままで国会の中で判決文の入手に対して相当皆から要求し、そしてまた外務大臣や政府側も、入手には努力するということを常に言ってこられたわけであります。ところが、死刑から、これは行政上の措置として無期にされたということで、しかも判決文の入手もないままに政治決着とは抵触しないという判断をされるとするならば、国会でわれわれが要求し、政府も判決文の入手に努力すると答えられた、その上で政治決着との絡みで判断する、こういうふうに言ってこられた、そうだとしますと、国会で一体何をやったのか。国会でお答えになったことが、しかも国会で約束をされたことが全部ほごになる。しかも、外務大臣、判決文はまだ入手されていないわけでしょう。されないのに、なぜ政治決着に抵触しないということが言い得るのか、私は非常に不可思議な感じがするわけでありますけれども、どういう理由でこれは抵触しないとおっしゃるのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私は、確かにおっしゃるとおり判決文の入手につきまして何回も韓国政府に言ったことはございます。これは一つは政治決着との問題、もう一つは、金大中氏の身辺に重大な関心を持っていますということをあからさまに向こうにわかってもらう、判決文の要請ということがそれにも役立つじゃなかろうか、二つのことを頭に置いて実は私は強く主張したのでございます。  そのうちの一つの金大中氏の死刑という最悪の場合は免れたということがございました。もう一つの政治決着との問題でございますが、これはその当時も言ったのでございますが、判決文の要旨というものを、向こうが有権的に解釈をしたものを日本によこしたわけでございます。それで、日本における活動は問題にしないのだということをはっきりしたわけでございます。しかし、私どもは、判決文をもらえば向こうの言っていることがもっと鮮明になるのじゃないかということで、判決文の手交ということを言ったわけでございますが、要旨だけでもこれは抵触はしないのだということを私どもは信じていたわけでございます。  今度こういう事態になりまして、判決文の手交をこれ以上強く韓国側に要請するということが日韓の友好関係を維持していく上にプラスかマイナスかということを判断しまして、これはプラスにならぬということで私はいまのようなことを申し上げているわけでございまして、国会でいろいろ議論されたことが今度の事件にちっとも役に立たなかったと私は思っていないのでございます。国会で先生方からも身辺の問題について強い御批判、御質問があり、われわれもそれに答えたということが、私はやはり大きな一つの効果があったのではなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 判決文の入手の問題ですが、これはいつごろから要求されまして、結局手に入らなかったということになるわけですが、これは最初から韓国側は難色を示しておったのか。だとするならば、日本側があたかも入手が可能だというような趣旨の答弁をされてきたことがうそになるわけですね。この点についてどうでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私は何回もここで判決文の手交を要請しているということを言ったのでございますが、それが可能だ、必ずもらえるのだとかいうことは私は言ったことはないと思うのでございます。向こうは向こうの法律あるいは向こうの国内の事情等を言いまして、それはなかなか困難だということば何回も言ったのでございます。しかし私どもは、そういうことよりも判決文を手交してもらった方がかえってそれは韓国のためになるのじゃないかということを言いまして、何回も粘り強く向こうに日本の立場、考え方を説明したということはそのとおりでございまして、約束違反じゃないかとか、可能だと言ったのがだめになったとか言われることは、ちょっと私は先生とその点は違うように思うのでございます。何回も説得したことは確かでございますが、いろいろな紆余曲折がありまして、結局もらえなかったということが事実でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 そうしますと、一審からずっとあるわけですが、いつごろから入手方の請求をされて、最初の感触とその後の韓国の対応は変わってきたのか、この点はいかがでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 たしか第一審の判決が九月十七日だったと記憶いたしておりますけれども、その日から努力をいたしたわけでございます。私どもの相手方の窓口は、申すまでもなく外務部でございます。外務部としましては、日本側のそういう希望にできれば沿いたいという感触であったわけでございます。その後、いろいろ韓国当局内でのお話し合いがあったものと思いますが、結果は御承知のとおりでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 九月二十五日の参議院の決算委員会で木内局長は「判決文を入手する努力を怠っておるわけではございませんで、これは近日中入手できるものと確信いたしております。」こういう答弁をしておるわけですね。これは局長、あなたがやったわけですから間違いないと思うのです。最初は国会の中で、怠っておるわけじゃありません、近日中に入手できることを確信しておる、これがどんどんトーンが落ちておるわけですね。こういうように後退した経過というのを私はどうにも納得できないわけです。これはどうなんでしょうか、最初は確信を持っておったのですか、木内さん。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 先ほど触れましたとおり、私どもの相手方の外務部の当初の反応というものが、できれば日本側の希望に沿い得ればというような感触が返ってきておったものですから、私どもとしてはでき得ればということを強く希望いたしたわけでございます。先ほど先生が御指摘のとおりの御答弁を私がいたしておることは事実でございます。それは、何とかそういうことが実現できればという強い希望の表現であるというふうに御理解いただければと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 どうも次から次と後退して、結局入手はもうしないということにしたわけですが、外務大臣、判決理由でほぼ政治決着には抵触しないということが推定されるけれども、しかしなお確実には判決文を入手しなければ、そういう理由でずっと請求をするのだということを言われておりましたですね。これはそうしますといつお変わりになったわけですか、もう入手しないということについて。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 まずその前に、いま木内局長との問答を聞いておったのでございますが、私は途中の経過のことは一切申し上げませんが、確かに紆余曲折があったのです。あったのですが、最終的に来なかったことは事実でございますので、努力をしたけれども来なかったということにつきましてははなはだ私どもも遺憾に思っているわけでございます。  それから、いつ変わったのかということでございますが、私どもも何回もこれは申し上げましたが、判決要旨でも向こうは触れてない、向こうに帰ってからのことだということをはっきり言ってきたわけでございますが、それをなおはっきりするためにやった方がいいということを私は何回も言ったことがございます。  それで、要旨だけで判決の要求をしないということにいつから変わったかとおっしゃられれば、私は、特赦があって死刑という最悪の場合は免れたという時点で今後のことをどうしようかということを判断しまして、いまのような態度をとったということでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 この金大中氏の起訴ないしは裁判、判決ですが、このうちで死刑もしくは無期懲役というような処分ができる、対象となる罪名は一体何なのか、これはどうでしょう、幾つかありますけれども。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 国家保安法と心得ております。

野間友一日本共産党

○野間委員 外務大臣、結局、国家保安法違反でなければ死刑はもちろん、無期懲役にも処断されることはないわけですね。だとすると、外務大臣が死刑から行政上の措置で無期になった、命だけは助かったというようなことを言われるわけですが、いま申し上げたように、少なくとも保安法違反に問われなければ無期にもなり得なかった、こういうようなケースなんですね。これは外務大臣、お認めになりますね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 国家保安法違反だろうということは、私はずっと前からここで何回も答弁しました。

野間友一日本共産党

○野間委員 ですから、罪一等を減じと申しますか、仮に無期になったとしても、もし保安法違反、つまり国内での言動が問われておるとするならばこれは無期にもすることができなかった、こういうケースだと私は思うわけですね。だから、やはり政治決着との関係で、単に韓国の有権解釈だけを信じて、これは韓国が言っておるから政治決着には抵触しないと言うのでなくて、決着と言う以上、日本独自の判断をしなければならない。韓国が言っておるからもうそれでいいのだ、こういうものじゃないわけですね、決着といいますと。日本の独自の判断をしなければならないわけでしょう。日本の独自の判断をしなければならぬというところに日本政府の責任の重さがあると私は思うのですね。日本の独自の判断、正確な判断でなくて、韓国が言えばそれでもうよろしい、韓国が日本国内における言動は問うておりませんよと言えばそれでいいというようなお考えでしょうか、どうですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 これは、事は韓国内の裁判の問題でございますので、日本としまして、その裁判の適用条法がどうとかいうようなことを日本から言うことは、私は、韓国の国内の内政あるいは司法権に対する干渉になりかねないことがあると思います。司法は司法で韓国の司法権の中でやっておることでございまして、その判決要旨で、韓国としては日本における言動は問わない、韓国に帰ってからの言動のその証拠でこれを判断したのだということを、有権的に向こうの裁判の結果を外務部から言ってきておるわけでございまして、それ以上日本が立ち入って、これは条文がどうとかいうことを言うことはやはり差し控えるべきではないか、立場を変えてみても同じじゃないかなというふうに私は考えるわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 私は、いまの外務大臣の答弁には幾つかの問題があると思いますね。一つは、要するに司法上の判断に対する干渉と申しますか、こういうような趣旨の発言だったと思いますけれども、少なくともまず起訴はあるわけですね。起訴というのは行政官がやるわけでしょう。ですから、起訴をする場合も、これは日本国内での言動が問われておるとするならば、政治決着に抵触するということは当然じゃないでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 起訴の段階でもここでも何回も御質問があったわけでございまして、日本におけるいろいろな活動を述べられたのは背景の説明だ、それを問題にしているのじゃないということを、向こうの行政当局でもこれは何回も話があったわけでございます。私どもは、これは背景説明なんだ、そのもので罪に問うているのじゃないということを向こうの行政当局もあの段階で言っていたわけでございまして、今度はそういう起訴に基づいて判決があったわけでございますが、判決はまさしくこれは司法権の中の問題でございますので、先生のおっしゃっていることは日本でいまここで問題にすることじゃないのじゃないかというふうに私は思っております。

野間友一日本共産党

○野間委員 裁判所は起訴したものに判断、判決をするわけですから、起訴がまさに基礎になるわけですね。  質問を続けますけれども、政治決着には抵触しない、それは判決理由を見たら推定できるというような答弁が幾つかあったのですけれども、一体その判決の理由というのはどういうものなのか、私よくわからないわけですが、どうなんでしょうか。たとえば一審の場合に「金大中氏に対する判決理由要旨(第一審)」という外務省からもらったのがありますけれども、これを指して言われるのかどうか、この点どうでしょう。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 判決理由要旨は、九月十七日に外務部から入手したものを私ども「判決理由要旨」として後日国会の方にも資料として提出したものでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 これでしょう。一項から四項まであるペラ一枚のものじゃないですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 そのとおりでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 外務大臣、これはまさにこういうことなんですよ。私、びっくりしたのは、国会での外務委員会の論議の中でもありますけれども、これは死刑判決でしょう。死刑判決で、判決の公訴事実に対する罪となるべき事実と言いますけれども、裁判所の判断、罪となるべき事実、これは起訴状からしてもずいぶん膨大なものですね。罪名罰条がずいぶんありますね。これを、法務士がわずか二分で判決の理由を朗読した。午前十時二分に開廷して十時九分にはもう終わった、そのうちで判決の理由はわずか二分だ、こういうことを、外務省が傍聴に行って時間をはかって国会で答弁しておるわけですね。これは事実だと思うのですね。その事実の確認と、一体どの国で、いやしくも死刑判決をする場合に二分の判決、しかも罪となるべき事実についての朗読も全くないような判決があり得るのかどうか、いかがでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 非常に短時間で経過したことは御指摘のとおりでございます。判決全文を必ずしも読み上げる必要がないというふうに私どもは承知いたしております。

野間友一日本共産党

○野間委員 外務大臣は韓国を西側諸国の一員だというふうに言われますけれども、私も仕事柄弁護士をしておりますが、こんなひどい判決を世界じゅうでも聞いたことも見たこともないですね。しかも、確かに外務大臣の言われるように、四項で、要するに「国内で犯した犯罪事実を検察が訴追」云々と、それだけあります、また「友邦国との外交関係上の考慮のために」云々というのがありますけれども、犯罪事実については「犯罪事実は公訴状記載の公訴事実と同じ」だ、これだけですよ。局長はいま短時間と言われたけれども、判決理由はわずか二分ですよ。しかも、犯罪事実は公訴記載の公訴事実と同じだということだけなんですよ。こんな判決は実際ないわけですね。  しかも、私、申し上げたいのは、このような判決理由の要旨でなぜ政治決着に抵触しないという判断ができるのか、これは私は非常に不思議なのです。おっしゃるように、確かに四項ではいま申し上げたように「友邦国との外交関係上の考慮のために十分に検討したところ」云々というのがあります。しかし、これは韓国側はそういう意見であったとしても、少なくとも政治決着をした当事者の一方は日本でしょう、日本が判断する場合に、公訴状記載の公訴事実と同じだ、こういうようなものでなぜ政治決着に抵触しないという判断ができるのか。これなら、外務大臣、もしそういうふうに判断されるとするならば、政治決着とは一体どんなものなのか、何だったのだろうか、これはだれだって疑わざるを得ないと思うのですよ。それでもなおかつ外務大臣はそのようにおっしゃるわけでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 当時の政治決着というのは、まさに両国の最高首脳部がそれこそ広い視野から最高的な判断で決めた政治的な了解といいますか、そういうものだったというふうに考えているわけでございまして、あの当時それが最高の解決の方法だったのだろう、私はこういうふうに思っているわけです。

野間友一日本共産党

○野間委員 本当に外務大臣の認識というのは、こう言うとぐあい悪いかもわかりませんけれども、見識を疑わざるを得ないような御答弁じゃないかと言わざるを得ないと私は思うのですね。判決がこういう三くだり半と申しますか、こんな簡単なもので、これ以外には裁判に関するたとえば冒頭陳述とか論告とか、あるいはもっと詳細なものは外務省は一体持っておらないのかどうか、ここら辺はいかがでしょうか。何にもないのでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 判決理由要旨のほかには、起訴状、それから論告要旨と、限られた範囲で、可能な範囲で入手したものはございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 それは当委員会にお出しになったことはないと思うのですけれども、どういうものがありますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 この委員会に提出してございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 いや、起訴状だけでしょう。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 起訴状だけでございますね。

野間友一日本共産党

○野間委員 たとえば統一日報という新聞がありますね。あれでは大法院の判決理由が、この外務委員会に出されたものよりも多少詳しいものが出ておるわけです。それでまた、論告、求刑というようなものも、私はここに原文も持っておりますけれども、論告要旨は持っておられないわけですか。本当にわれわれでも入手しようと思えばできるものがなぜ入手できないのか、あるいは当委員会に出さないのか、これはけしからぬと思うのですけれども、どうなんですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 論告要旨はございます。御要請があれば提出するにやぶさかでございません。

野間友一日本共産党

○野間委員 朝鮮日報にも、論告が非常に詳細に出ておるものがあるのですね。ですから、政治決着の抵触の有無について、判決理由では犯罪事実が公訴状記載の公訴事実と同じだとなっておる以上、少なくとも入手されておるこの起訴状だけは日本独自の判断で詳細に検討して、これを判断の素材として十分使うということは当然だと思うのですね。  そこで、背景理由とか訴因とかいろいろ言われておりました。韓国には公訴事実というのはありますけれども、訴因というのは残念ながらないのですね。そこで、私は外務省にお伺いしたいのは、罪名、罰条、それから公訴事実、これはたくさんございますけれども、起訴状の中で犯罪事実の一体どれが保安法違反になるのか。その公訴事実、それから罪名、罰条、これらをどのように検討されておるのかをひとつ明らかにしていただきたいと思います。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 お配りしました起訴状に基づいて私どもが私どもなりに判断いたしておりますのは、具体的には十八ページ以下の第一項以下数十パラグラフに及ぶものでございますけれども、反国家団体に関連した活動は第一項でございます。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕

野間友一日本共産党

○野間委員 これは構成上、反共法違反の公訴事実の摘示なんですよ。保安法違反は外務省が言われる背景事実、背景説明、この部分としか考えようがないのです。これはまさに反共法違反の事実。反国家団体との通信連絡、これはまさに構成要件該当事実というのはそういうことになっておるわけですね。しかも、論告も私は実は新聞報道を見たのですけれども、これではいわば保安法違反の公訴事実に該当する部分はまさに日本での言動が問われておる。論告からそういう記載があるわけですが、こういう認識はありますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 そのようには考えておりません。

野間友一日本共産党

○野間委員 どうも私は、外務省というのはおかしいと思うのです。実際に、もう時間がありませんのでまた次の機会にいたすとしても、せっかく政治決着をした。ところが、韓国からの一方的な言い分で、韓国が有権的に解釈をしたからそれはそれで政治決着に抵触しない、判決の全文も入手しないままにこうおっしゃるとするならば、まさに政治決着なんというものはあってもなくても同じなんですね。ない方がいいと思うのです。私は、それはいただけないと思うのです。しかも、きょうはこの内部について詳細に触れることはできませんでしたけれども、起訴状を見ても、あるいは論告文を見ましても、これはまさに日本での具体的な言動を抜きにしてこの国家保安法違反というものは考えようがない。  しかも、起訴状を見ましても、たとえば日本から拉致されまして、そして向こうから電話がかかってきた。その電話の中身は仮出獄のお祝いの電話であるとか、あるいは金大中氏自身が、わしは議長にされておるけれども、早う解除せいということを言っただけなんですね。このことだけをとってみましたら、これがなぜ反国家団体の活動になるのか、これはなりようがないわけですね。論告を見ましても、結局具体的な言動は論告文の中では日本における言動がすべて記載されているということですね。この点についてもっと詳細に検討して、そして政治決着と言われる以上、日本独自の立場からも判断する、これは終わっていない。  私は冒頭に申し上げたように、なお獄中につながれておるということと同時に、日本から不法に拉致された、しかもこれが明らかに韓国の公権力の行使によるものだと私どもは考えておりますけれども、外務大臣が冒頭に言われましたが、それすらまだ解明されていない、こういうことですね。しかも、こういうようなことがなければ金大中氏はこのようなひどい状態には置かれなかったことは明らかであります。  そこで、警察庁、いま捜査の進捗状況は一体どうなっておるのかということ、それから外務大臣、いまいろいろ私、申し上げたわけですけれども、やはり人権回復の問題、主権を侵害された側として、私は徹底してこれの究明をするということがこれからますます重要になるという認識をしておりますけれども、その点についての答弁をひとつお願いしたいと思います。

鳴海国博警察庁警備局外事課長

○鳴海説明員 事件の発生以来、鋭意努力を重ねてまいったわけでございますが、四十八年発生の金大中氏拉致事件の犯人といたしまして、有力被疑者ということで当時韓国大使館の一等書記官でございました金東雲という人物を割り出した。そのほか、拉致に使用されたとおぼしき車両の割り出しといったようなことにつきまして今日まで解明いたしておるわけでございますが、その後、特に御報告申し上げるような進展は見ておらぬということでございます。  ただし、こういった非常に困難な重要な事件でございますが、鋭意努力を重ねてまいりまして、今後も引き続き捜査を続け、解明してまいる所存でございます。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生は主権侵害ということを断定されまして、終わってないのだ、こういう前提でおっしゃったわけでございます。いま警察庁は捜査は続けているということでございますが、私どもはまだ主権侵害があったということの報告は一回も聞いたことがないわけでございますので、私どもはそれがあれば見直すということを言ったことは確かでございますから、そういう事態になればでございますが、現時点では、金大中氏の問題はこれ以上裁判の内容に立ち入ってとやかく言うことは差し控えた方が、いろんな立場、考え方からして適当だという判断をしておることは間違いございません。

野間友一日本共産党

○野間委員 主権が侵害されたことは事実間違いなく、白昼公然と拉致されたわけです。それがいま警察庁も言ったように、要するに公権力の行使によるものなのかどうかということでまだ捜査は継続しておる、こういう趣旨の答弁があったわけです。われわれは公権力行使によるものは明らかだというふうに考えておりますけれども、それはそれとして、外務大臣と認識が違うとしても、少なくとも日本の主権が侵害されたことは間違いない事実です。そのことを私は申し上げているわけであります。  あとは次回にしますけれども、結局、まず日韓の修復ありきというところからすべてのコースがおぜん立てされて、そして罪一等を減じて無期懲役ということで幕引きするという外務省の態度は非常に腑に落ちない、私はこう思うわけであります。これからも捜査は継続してやるようでありますが、私は、さらにいまの時点においても、政治決着と金大中氏事件との関係については続けて解明をする必要があるということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十四分散会

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