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第94回国会衆議院1981/03/26

科学技術委員会 第6号

発言数
28 件
登壇者
5 名
会派数
1
開催日
1981/03/26

会議録

中村弘海自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  新技術開発事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。中川国務大臣。     —————————————  新技術開発事業団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 新技術開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  国土が狭く資源に乏しいわが国が、今後とも経済の安定成長と国民生活の向上を図っていくためには、積極的に技術革新を促進し、科学技術立国を目指すことが不可欠であります。  これまでわが国は、主として、海外からの技術導入とその改良、発展により、技術力の向上を図り、世界にも例を見ないほどの経済的発展を遂げてまいりました。しかしながら、世界的に技術革新が停滞し、技術導入も困難になりつつある今日、わが国としては、従来の導入技術依存型の体質からの脱却を図り、みずからの力で技術革新の一層の展開を図ることが必要となってきております。  このためには、革新技術の源泉となる科学技術の芽ともいうべきものの探策に努めることが重要であり、内閣総理大臣の諮問機関である科学技術会議の結論をも踏まえ、産、官、学の優秀な研究者を結集し、卓越した指導者の指導のもとにその創造性を遺憾なく発揮させる流動研究システムを創設して、この研究を積極的に行うことといたしました。  政府としては、その推進母体として、内外の革新技術に関する研究動向等に精通し、産、官、学を有機的に連携させる機関として適当と考えられる新技術開発事業団を活用することとし、所要の措置を定めることを内容とする新技術開発事業団法の一部を改正する法律案を今国会に提出した次第であります。  次に、この法律案の要旨を述べさせていただきます。  第一に、新技術開発事業団の目的及び業務に、新技術の創製に資すると認められる基礎的研究及びその成果の普及を行うことを加えることとするものであります。  第二に、新技術開発事業団に設置されている開発審議会への付議事項として、新技術の創製に資すると認められる基礎的研究に関する基本方針の決定などを加えるとともに、同審議会の委員数の拡大を図ることとするものであります。  第三に、基礎的研究は、研究主題ごとに、実施期間を設定し、新たに雇用される研究者により行うこととするとともに、研究を指揮する者として総括責任者を指定し、その指揮下の研究者の雇用に関しては総括責任者の意見を尊重しなければならないこととするものであります。  以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————

中村弘海自由民主党

○中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。与謝野馨君。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 まず、大臣に一般的なことからお伺いしたいわけでございます。  わが国における科学技術振興は、非常に力を入れてやってきたわけでございますが、その現状、それからわが国の科学技術開発あるいは科学技術行政を推進される上で、当面大臣がお考えになっております課題あるいは問題点、あるいは今後一九八〇年代にわが国の国力の基礎ともなるべき科学技術を振興するために、どういう基本的なお考えを大臣がお持ちか、その点について、まずお伺いしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 まず、わが国の科学技術の状況について申し上げますが、研究投資について見ますと、昭和五十四年度は四兆八千億円で、米国の九兆九千六百億円、ソ連の六兆一千五百億円に次ぐとともに、全世界の研究開発費約三十五兆円の約一割となっております。  また、研究者数については、昭和五十四年四月一日現在約二十八万人で、国民一万人当たりの研究者数は二十四人となっており、これも米国の二十七人、ソ連の三十九人——この三十九人には人文、社会系研究者も含んでおりますが、これらに次いで三番目となっております。この数もまた、全世界研究者数約三百万人の約一割となっております。しかし、わが国の研究投資額は、対国民所得比について見ますと、五十四年度は二・二九%となっており、西ドイツの二・六四%、米国の二・四八%に比べ依然低い水準にありますので、これを何とか国際水準の二・五%、長期的には三%ぐらいに持っていきたいとしておるのが第一番目でございます。  二番目に、わが国の過去の科学技術の研究開発は、高度経済成長期にあって民間の研究活動に多くを期待しておるというよりも依存してきた感じがございます。現在でも、わが国の研究投資の約七割は民間負担となっており、欧米先進諸国は約五割となっておるのに比べて、非常におくれておるところでございます。今後の安定成長経済下で、民間の研究投資が従来ほど伸びるということを期待することはむずかしい時代となってまいりましたので、政府の研究投資拡大に一層の努力をしていきたいというのが第二番目でございます。  また、国際的に新しい技術革新を目指して競争が激化しております現在、革新技術のシーズ、いまお願いしております事業団法の改正によって、シーズの開拓を目指す創造的、先導的な分野における研究開発を積極的に進めることに重点を置きたい、こういう現状認識と今後の考え方について申し上げた次第でございます。  なお、先ほど、わが国の研究投資が四兆八千億と申しましたのは、四兆八百億円の誤りでございますので訂正いたします。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 従来から科学技術会議という大変りっぱな組織がございましたが、われわれから見ておりますと、科学技術会議というのは一体何をやっているのかよくわからない。それから、総合調整機能も持っているはずなんだけれども、なかなか発揮できないという現状であったわけでございますが、やはり科学技術に関する各分野の最高の方にお集まりいただき、また、なおかつ総合調整機能も果たしていくという必要があると私は思うわけでございますが、総合調整機能等の強化策ということを大臣はどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 科学技術会議は、わが国の科学技術の基本方針を策定するとともに、総合調整機能を持っておるわけでございますが、御指摘のように、若干有名無実になっておるのではないかという御指摘もございましたし、一方、先ほど申し上げましたように、今後科学技術の振興ということは、国策の重点として進めなければならないということでもございましたので、ことしの予算編成期に当たりまして、総合調整費として三十二億円を計上し、科学技術会議が中心となって調整機能を発揮する芽にいたしたい、こういうことで、今後は三十三億円では少ないので、将来にわたってはもっと額をふやして、実質的な調整機能を果たしていきたい、こういうことで発足をさせたところでございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 日本人が発明したものというのは実は非常に少ないわけでございます。あるいは発見も非常に少ない。日本人が本当に独自でつくり上げたものは、浪花節とかつおぶししかないという冗談もあるくらいでございまして、一九八〇年代、国際競争が激化する中で、科学技術の振興が日本の当面する最も大きな課題の一つになっているわけでございます。今般、先ほど趣旨の説明がなされました法改正による制度は、今後の科学技術振興の制度上、どういう位置づけになっているのか、またどういうふうに今後発展させていくべきと大臣はお考えなのか、その点についてお伺いしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 わが国が発明し、発見した革新的技術は全くないというわけでもありませんが、非常におくれておって、どちらかというと外国の技術の改良型、吸収型あるいは模索型というのですか、いずれにしても外国の技術に依存しておった。自動車なども、発展はいたしておりますが、どちらかというと、基礎的なものは外国に依存するところが多いということでございますが、先ほども申し上げたように、諸外国も非常に厳しくなって、そう簡単に技術はくれませんし、それから新しい技術もかなり金をかけないとできないむずかしい時代にもなってまいりました。また、外国から技術をいただくにしても、わが国からも差し上げないと、いただけない。こういったもろもろの情勢から、わが国でも基礎的な創造的科学のシーズを発明、発見し、そしてこの国際情勢に対応して、わが国みずからも生き抜いていかなければならないと同時に、国際的な責任も果たしていかなければならない。こういう意味から、今度の創造科学の研究を流動研究、いままでのように産、官、学がばらばらではいけない、一体となってチームをつくって指導者、責任者を決めて、一定の期間、一定の金額によって発展をしていきたい、こういう方針でこの国会に法案の提案をお願いし、予算を計上した次第でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 いま大臣がお話しくださいましたように、自動車等も実は基礎的な部分あるいは原理的な部分は全部外国から持ってきているということは大変残念なことでございますけれども、現実であるわけであります。世界的に見て、わが国の科学技術の水準は一体どのレベルにあるのか、どういう点が問題なのかということをお伺いしたいと思います。特に自動車のような、部品が五千とか一万ぐらいのものはどんどん日本もできますが、飛行機クラスの、部品が十万単位のものになりますと、なかなかうまくいかない。ロケット、宇宙関係の、部品の数にしまして百万というような単位になりますと、これまた大変苦手だというふうに私は思っているわけですが、どのレベルにあるのか、どういう点が科学技術庁としてお考えの問題点なのか。また、それに対してどういうふうな対応をしていくべきなのかということについてお伺いしたいと思います。

園山重道科学技術庁計画局長

○園山政府委員 お答えいたします。まず、わが国の科学技術の水準がどういうところにあるかという御質問でございますけれども、技術水準といいますのはなかなかむずかしい問題でございますけれども、統計上にあらわれました数字等を使いまして若干御説明させていただきたいと思います。  御指摘のように、ある種の分野におきましては相当な水準を持っておるわけでございますけれども、私ども、全般的な水準を考えますために、特許の登録件数でございますとか、あるいは技術貿易の額、それから技術集約製品の輸出額といったようなものを指標といたしまして、技術水準というものを試算してみた数字がございます。これによりますと、一九七〇年代後半というところで見ますと、アメリカの一〇〇に対して日本は五〇、西ドイツが五六、フランス三八、イギリス二六というような数字が出ております。これが十年前、一九六〇年代の後半でございますと、アメリカの一〇〇に対して二二程度でございましたのが、十年間で五〇まで上がったという感じになるわけでございます。さらに、この一般的な技術水準をあらわしますものに対しまして、研究投資額でありますとか研究者数、それから技術輸出額あるいは国外特許の取得件数といったようなものを加えまして、いわば技術開発力水準といったようなものにいたしますと、これはアメリカ一〇〇に対しましてまだ三五というような若干開きがある。これらの数字、いずれも一つの試算でございまして、国全体の人口その他の差というものももちろんあるわけでございますから、必ずしもこれで明確に水準が示されたというわけではないかと思いますけれども、一つの試算といたしまして、現在まあ大体アメリカ一〇〇に対して五〇というようなところにあるかというのが、統計上で出ました数字を扱いましたところの水準でございます。  内容といたしまして、先生御指摘のように、いろいろ貿易摩擦等起こしておりますような自動車でありますとかテレビでありますとか、こういったいわゆる大量生産、大量消費につながるものにつきましては、日本の生産技術というのが非常に高いレベルにございまして、特に信頼性管理というところは日本のお家芸と言われるようなところまでなってきております。しかし、御指摘のように航空機でありますとか宇宙関係でありますとか、非常に最先端的なものにつきましてはまだ弱い、相当重要部品等やはり輸入しなければできない。これは技術のポテンシャルももちろんございましょうけれども、やはり需要が少ないということで、この点は日本の国内だけでこういった需要を創出するということもなかなか困難なものでございますので、今後国際協力というような立場でこういった先端的な分野につきましても広くいろいろ努力をしていかなければならない。しかし、やはり国際協力、ある種の水平分業というような形でやるにいたしましても、日本の得意とする分野というものはみずからの技術で築き上げたものを持っておらなければいけませんので、この点について、やはり基礎から応用開発まで一貫した自主技術の確立というのが今後の重要な課題ではないか、このように考えておるところでございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 そこで、次にお伺いしたいのは、いろいろな新しい分野の技術あるいは革新技術とも言われるもの、こういうものが芽が出てきたものあるいは将来有望なもの、その芽生えを感じておられるような分野は、先進国に比べてわが国でどのぐらいあるのか。あるいは、もし少ないとすれば、今後どういうふうに物を考え、物を進めていく必要があるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

宮本二郎科学技術庁振興局長

○宮本(二)政府委員 ただいま計画局長お答え申し上げましたように、わが国の技術は、いわば企業を初めといたしまして組織的な体制で研究をし開発をしていくような、そういう組み合わせ技術、生産技術、こういう点では著しい競争力を持っているのでございますが、やはり一番基本となるオリジナルな技術につきましては、従来は海外からの技術導入に頼りまして、これを発展させまして効率的にやってきた次第でございますが、最近におきましてそういうシーズというようなものを、みずからやはりオリジナルのあるものを育てていく必要があろうか、このように考えておるわけでございます。  こういういわば革新的な基礎技術、こういう点におきまして日本はどの程度の状況になっておるかということでございますが、これにつきましては、アメリカの全米科学財団が、戦後の重要な技術五百につきまして調査をいたしたデータが一応よく使われておるのでございますが、それで申し上げますと、日本はやはりその点ではきわめて少ない。しかも、その技術の中で、内容を分析いたしますと改良技術、そういうものが圧倒的である、こういうようなデータが出ておるわけでございます。  それで、こういうような原因は何か、また、どういうぐあいにそれを今後考えていく必要があろうか、こういう点でございますが、やはり日本の官民ともに、従来先進国の技術水準にキャッチアップしようとする気持ちが強うございまして、いわば基礎技術についての研究開発投資も少のうございましたし、より効率性を求める、こういう観点から、どうしてもそちらへの関心が薄かったかと思いますが、今日におきましてはそういうことじゃいけないわけで、やはりそういうものを日本の中で育てていくとした場合に、従来のような企業中心の組織的な研究というよりは、非常に基礎レベルの各研究者の個性を生かしました独創性に求めていく、そういうような感じがいたしておるわけでございます。日本の従来の技術水準を考えますと、独創性のある研究者が決して少ないということではないと思いますので、そういう研究者を生かしていくような研究枠組みを考える必要があるのではないか、こういうのが私どもの発想の原点でございました。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 従来も研究開発予算というのは実は相当使っているわけでございますが、何せ単年度会計主義でございますし、それから、金を使ったら必ず結果を得る、成果を得るという考え方が深くありまして、なかなか研究者としてはつらい立場であったと思うわけであります。私は、今回の制度をせっかく発足させたわけでございますから——研究開発投資というのはいわばできるかできないかの境目のものにお金をつぎ込むわけですから、半分ぐらいはどぶに金を捨てるという面もありますし、結果については千に三つぐらいしかうまくいかないこともあるわけでございます。そこで、特に科学技術庁にお願いしたいのは、そういう意味で、とにかく早く結果を出せということではなくて、やはり研究者の自由な創造力あるいは研究グループの研究の方向性、そういうものを十分に尊重し、なおかつ、一年以内に結果を得てとにかくまた来年度の予算につないでいくというような単年度会計主義の落とし穴に落ちないような、そういうような運用を私はしていただきたいと思うわけですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

宮本二郎科学技術庁振興局長

○宮本(二)政府委員 本制度は、御案内のとおり、個人の研究者を中心にいたしましたシステムでございます。いわば企業とか研究所とか組織力で研究をやるといういわば組み合わせの技術、システムプロジェクトと申しますか、そういうものを対象に考えているわけではございませんわけでございます。そういう意味で、やはり大学の長い間の基礎的な研究を土台にいたしまして、それを実用化に向かって橋渡しをする、そういう基礎的なレベルの研究を念頭に置いております。  そういう意味におきまして、個人を中心といたします関係で、これを毎年度予算をいただきまして、その範囲でやっていくことは当然でございますけれども、特殊法人を利用いたして、この新技術開発事業団でございますが、これを利用いたしまして、特殊法人の出資金ということで特殊法人の資金にいたしまして、その中で弾力的に、長期的にやらせよう。長期的と申しましても、御案内のとおり流動研究システムという体制をとっておりますので五年程度を考えるのでございますけれども、その中で一つのプロジェクトリーダーと申しますか、総括責任者という言葉になっておりますが、それに指揮をとらせまして弾力的な運用を回らせよう、こういうぐあいに考えているところでございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 そこで、そういうプロジェクトリーダーに相当の裁量権を与えられて研究を進めていかれるわけでございます。うまくいくこともうまくいかないこともいろいろあると思うわけですが、ただ、研究者による研究の成果をやはり何らかの方法で評価をしていく必要があるわけであります。そういう評価の方法というのはどういうふうにお考えでしょうか。

宮本二郎科学技術庁振興局長

○宮本(二)政府委員 研究を実施いたします場合に、研究の評価というのはきわめて大切ではないかと思っております。私どもといたしましては、今度の新技術開発事業団の中の組織といたしまして開発審議会というのが現にございます。今度法律改正を御了承いただきました場合にはこれを改組いたしたいと考えておりますが、それを中心にいたしまして、研究の開始、研究の実施の途中の段階、それから研究終了の各段階、この三段階におきまして研究の評価をやらせたい、このように考えております。  すなわち、研究の開始の段階におきまして、まずプロジェクトリーダーに、総括責任者に具体的な研究計画を作成させます。そういう内容のチェックをまずこの場でやらせたいと思っております。それから第二番目に、研究の実施の段階でございますが、研究の進捗状況の把握と研究に対する指導助言、これを大体年に一回ないし二回、物によりますが、そういうかっこうで逐次追跡させる。それから研究の終了段階におきまして、研究により得られました成果、この内容の検討と、プロジェクトリーダー、それからそのリーダーに従いましたそれぞれのグループの研究者のリーダーがおりますが、そういうものの業績の評価、こういうものをはっきりさせたいと思っております。  特に研究者は、事業団に来ました後、もとの機関に五年程度で復帰するわけでございますので、五年という期限で成果まではっきり出てくる、評価もはっきり出るのではないか、このように考えております。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 そこで、人材をどういうふうにして集めるかという話になるわけですが、日本は終身雇用制でございますし、優秀な研究者は各企業、各研究所に散らばっているわけです。そういう企業に帰属意識の大変強い研究者、あるいは終身雇用制のもとで、優秀な研究者をどういうふうに組織化していくか、あるいはそれぞれの研究者が所属をしております企業あるいは研究所という組織をどういうふうにして乗り越えていくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

宮本二郎科学技術庁振興局長

○宮本(二)政府委員 先生の御質問の点が、われわれ一番検討いたしました問題点でございます。われわれが有望なシーズとなるであろうという分野を考えます場合に、そういう分野と申しますのは、まず大学等におきまして非常に純粋学理的な理論研究が行われておりまして、これがある程度のところまで発酵いたしまして実業化への一つの橋渡しの可能性が生じてくる、そういう段階でこの研究システムは問題をとらえようとしておるわけでございますので、今度の研究の枠組みの中で中心的な研究者になる人たちは、元来その研究テーマにつきまして、すでに関連する研究等に従来よりかかわってきた人たちがかなりの数おるわけでございます。そういう人たちは、元来非常に強い研究意欲を当該研究テーマについては持っておる。そういう人たちが帰属いたします場所はみんな違うわけでございますが、こういう人たちが個々に研究に参加できるような制度的な道を開いてやる必要があるだろう、そういう制度的な道を開ければ、そういう人たちはその強い研究意欲に基づきまして当然集まってお互いに研究の共同体制がとれるのではあるまいか、このように考えた次第でございます。  それで、そういうような制度的な道をどういうぐあいに開くか、こういうことでございますが、まず第一番目には、当該研究テーマに関します優秀な研究者、相当の研究論文を出し、評価されておる方を総括責任者にするということが一番大切だと思います。そういたしますと、個々の研究者がそれぞれ意欲を持って集まってくる体制がございます。  それから第二点に、各帰属意識が日本人はどうしても強うございますので、一定期間研究が進みました後、本来所属しております機関に復帰するということを前提として参加していただくような形にする、これが大切なことではないかと思っております。  したがいまして、研究の内容、研究スケジュール、こういう点から見まして、可能な範囲内で参加研究者の身分や事情を考慮した雇用契約にいたしたい、短期、長期、それから常勤、非常勤等、それぞれの所属しております機関との相談ずくで、そういう柔軟な契約にいたしたいと思っております。  それから、研究の実施場所でございますが、これが適当でありますれば、可能な限り研究者の所属機関の場を活用していきたい。全部が全部可能とは思いませんが、それぞれの研究グループのリーダーのおられるような場所を、可能であれば活用していきたいと思っております。  それから、研究の成果で工業所有権等ができます場合には、その取り扱いにつきまして、当該研究者個人とそれから今度のこの事業団との共有というかっこうに認めたいと思っております。そういたしますと、その研究者の所属しております機関等は当該研究者からその工業所有権の持ち分を承継できる、こういうようなかっこうであれば、優秀な研究者を機関としても出すことについての意欲を当然持ってあろう、こういうぐあいに考えまして、こういう点につきましていろいろと配慮したつもりでございます。  そういうことで個々の研究者が十分参加できるものではないか、このように考えておる次第でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 そこで、有望なシーズが幾つかあるというときに、限られた予算の範囲内でどういう手順、どういう制度によってその研究テーマを選ぶか、あるいは研究者も集めなければいけないわけですが、研究者の選択、だれに任せるのかという話はどういうふうにお決めになるおつもりですか。

宮本二郎科学技術庁振興局長

○宮本(二)政府委員 先ほど来の先生の御質問でございますが、どういう研究テーマを選ぶか、それからその総括責任者としてだれを持ってくるか、これがこの制度の一つの大きなポイントであろうかと思っております。  そういう意味で、どういう研究テーマがいいか、しかも当該研究テーマについてどういう研究者がどういうような論文を発表して、どういう優秀な研究者がおるか、こういう広い情報機能がまず一番重要ではないかと思っておりますが、こういう情報機能を持っております法人といいますと、ただいま法案を出しております新技術開発事業団、これが従来の職掌柄、実はそういう情報機能を一番持っておるわけでございます。したがいまして、この事業団にやらせることを考えた点がその点でございますが、具体的に申し上げますと、事業団といたしましては、こういう主として研究者の中ですぐれた見識を持っておられる方々、大ぜいおられますが、こういう方々からヒアリングとかアンケート調査で広範な調査をまずいたしたいと思っております。そういう中で情報を集めまして、これを先ほど申し上げました開発審議会にお諮りいたしまして、まず有望と考えられる研究対象分野、これは大学で相当の基礎研究が行われておりまして、相当これが発酵しておると申しますか、実用化に近づけられるような状況にある、こういうような研究対象分野をまず選定いたします。それで次に、その対象分野につきまして具体的な研究プロジェクト及びその中のプロジェクトのテーマを、それからさらにそのテーマにつきましての総括責任者の候補者を広く求めたいと思っております。それを、開発審議会の意見を聞きましてさらにしぼってまいります。もちろんその過程でいろいろやはり所属機関との関係などが具体的な問題として出ようかと思いますが、そういう問題もこの段階で全部詰めてまいりたいと思っております。  そうやって一応その二つだけが決まりますと、今度、選定されたプロジェクトリーダーに、プロジェクトを構成いたしますさらに具体的な研究課題、サブテーマでございますが、こういったもの、それからグループのリーダーになります研究者、こういう人たちはプロジェクトリーダーにまず選定を任せる。その上で、プロジェクトリーダーの意見を尊重してこの候補者を定めていく。大体そういうような手順を現在考えておる次第でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 こういう研究をやりながら、実際は最後には実用技術につなげていかなければいけないわけですが、そういう実用技術につなげる橋というのは一体どういうふうにお考えでしょうか。

宮本二郎科学技術庁振興局長

○宮本(二)政府委員 先ほど来御説明申し上げましたように、本制度の成果として大体どういうものが考えられるだろうかと申しますと、これの成功いたしました場合を考えますと、出てきますものはたとえばきわめて原理的な基本特許というようなものではないかと思っております。実用化への技術的な見通しは得られましたものの、直ちに実用化に直結可能である、こういうようなものというのは案外少ないのではないか、このように考えております。  したがいまして、本制度によりました成果は、実用化に向けましてさらに関係企業の研究が当然必要でもございますし、そのほか国の研究機関の研究というものにのせていく必要があろう。いわば応用研究とか開発研究とか、今度は組織的な対応のもとでの研究が必要な場面に入ってくるのではないか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、事業団といたしましては、成果が出ました時点でさらにその成果をどのように実用化に向けて普及させるか、発展させていくか、そういう観点で、たとえば通産省を初めといたします国の助成制度、国の研究機関、いろいろございます。こういうところにこれをのせて実用化に結びつけていく仕事、今度事業団として、一つのあっせんと申しますかバックアップ体制と申しますか、こういう仕事が必要であろうか、このように考えております。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 それでは、最後に大臣にお伺いしたいわけですが、この流動研究システムという研究システムは、従来日本の科学技術界にない非常に斬新な、将来非常に有望な研究システムだと思いますし、科学技術庁あるいは中川大臣のヒット商品になるのではないかと私は思っております。  ただ、こういう研究をやっていくためには、まず芽が出なければ幾ら肥やしをやっても育たないわけですが、その基礎研究分野、特に大学における基礎研究あるいは芽を出すまでの基礎研究というものが大変大事だと思うわけですが、基礎研究の方も充実強化をしなければならないと私は思っております。その点について最後に大臣のお考えをお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 御指摘のように、芽を出すためにはまたその底にもっと基礎的な研究分野というものがあって初めて出るわけでございますので、一朝一夕にしてできるものではありませんけれども、やはり基礎的な研究についても根を深く、幅広く、大学等々の研究も拡充強化をしていく、そして底の広い分野から芽を出させていくという態度が必要だと思っております。また、この芽もしっかり育てられるように実用段階へのつなぎ、こういう点も御指摘ございましたが、一体として役立つように、基礎から実態まで全体バランスのとれたように努力をしてまいりたいと思います。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 どうもありがとうございました。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 次回は、来る四月七日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十七分散会      ————◇—————

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