安全保障特別委員会 第4号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/04/20
会議録
○坂田委員長 これより会議を開きます。 国の安全保障に関する件について調査を進めます。 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣伊東正義君。
○伊東国務大臣 アメリカの原潜衝突事故に関しまして、御報告を申し上げます。 去る九日に米国の原子力潜水艦と貨物船日昇丸が衝突し、この結果日昇丸が沈没し、日本人乗組員二名がいまだ行方不明でございます。この不幸な事故に関して、日本政府は、この事故をめぐって日本国民が抱いている種々の疑問が徹底的かつ迅速に解明され、また、補償の問題についても、米国政府が責任を持って、これを迅速に処理することを要請してまいりました。 十一日の私とマンスフィールド大使との会談、十五日の大河原大使とワインバーガー国防長官との会談、これはワシントンでございます。十六日の総理及び私のロング米・太平洋軍司令官との会談で、日本側がこれらのことを再三要請したのであります。 さらに、この間、米国政府よりはレーガン大統領、ヘイグ国務長官、ワインバーガー国防長官、マンスフィールド大使を初めとする米国政府要路からの本件事故に対する遺憾の意の表明が行われ、早速正式調査が開始され、また、補償の手続も開始されたことは御承知のとおりであります。 以上に加えまして、十八日マンスフィールド大使は、私と会談した際、レーガン大統領の鈴木総理大臣あての親書を私に手交越しました。 レーガン大統領は、この親書の中で、本件事故につき改めて深い遺憾の意を表するとともに、大統領自身がこの事件の解決に個人的な注意を払うことを保証するとともに、日米首脳会談の前に、双方にとって必要なことを満たす十分な進展の見られることへの期待を表明しております。 このような事故がそもそもなぜ起こったのか、なぜ事故の通報が遅延したのか、救助活動は十分であったのか等の主要な問題点については、私も国民とともに、その真相を一日でも早く知りたいと考えておりますことは御承知のとおりであります。この点について、マンスフィールド大使は、十八日の会談の際、これらの主要な問題点は米側調査の核心をなすところであり、また、法律上の手続に従って厳正に調査を行っているので、中間的に関係情報を公開することは困難である旨を詳細に説明いたしました。その際、同大使は、米側調査は異例のスピードで進められており、米国政府が本件事故について発見する真実は必ず日本政府に伝え、うやむやにはしない旨確言いたしたのでございます。 補償の問題につきましては、人的補償、物的補償につき、すでに関係乗組員を代表する日本側弁護士と米軍当局との間で、この解決のための話し合いが進められていることは御承知のとおりであります。 この点については、マンスフィールド大使も、調査とは切り離して迅速に処理を進める旨述べられたところであります。 本件事故が発生したことはまことに遺憾であり、日本国民が衝撃を受けたことも当然のことであります。同時に、以上申し上げてきたことから御理解いただけるとおり、米国政府が、本件について、レーガン大統領みずから誠意を持って処理に当たっていることも十分に理解され、評価されるところと考えます。 私は、このような理解と評価に立って、日本側の要望する調査結果が日米首脳会談の前までに通報され、日米両国間の信頼関係が損なわれることのないことを期待する次第でございます。 —————————————
○坂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。椎名素夫君。
○椎名委員 先々週の木曜日に、いま外務大臣から御発言がありました日昇丸とジョージ・ワシントン号との衝突事件というのは起きたわけでありますが、いままで一週間以上たって、そしていまおっしゃったとおり、われわれ日本の国民は大変な衝撃を受けたわけでありまして、一体どういうふうになっているんだ、どうもその調査その他が遅々として進んでいないんじゃないかというような感じも、一面にはあるわけであります。そういう意味で、きょう外務大臣からの御発言で、現在までの経過の御報告があったことは、まことに時宜にかなったことであるというふうに考えるわけであります。 報道されているところから日本国民が受けております感じは、どうも先方に落ち度があった。衝突の原因にしても、こっちは何も悪くないのに向こうからぶっつけられた。あるいは、事故が起こった後に直ちに救助の努力が行われなかったのじゃないか。あるいは、通報が三十数時間という大変なおくれがあったというような感じが持たれているわけであります。 しかし、この事実がもしもそのとおりであるとすれば、これは非常にけしからぬことであると言わなければいかぬ。責任をとるべき人は当然その責任をとらされるという処置がなされなければいけないし、あるいは、被害者に対しての補償ということも公正になされなければならないのは当然であります。しかし、そのためには、まずその事実関係というものがはっきりと確立されなければいけない。政府がたびたび厳正な調査を米国側に対して申し入れておられるのも、この趣旨からであるかと存じております。 大体、こういう種類の、いわば現場に第三者がいないというような事故というのは、なかなか事実関係を発見するのは厄介なものであることは当然である。それぞれの言い分がございましょうし、その中から現場の状況なり何なりをしっかりとした手続に従って再現する、そして、これに関与した責任がある人の責任は明確にする、こういうようなことになるわけですから、そう簡単にはいかないということは想像できることであります。 私は、ここで一番大事なことは、あくまでも厳正、公正な措置が行われることであって、急いで結果を求めるの余り、あやふやな決着をつけるということになってはいかぬのじゃないか、そういう態度は避けるべきではないかというふうに考えるわけであります。 ただいま外務大臣から御報告がございましたが、アメリカ側はこれに非常に真剣に対処するという姿勢になっている。われわれとしては、国民感情から言いますと、とにかく乗組員もひどい目に遭ったんだし、お二人はまだ依然として行方不明である、そういう悲惨な結果を生じた事件でありますから、どうなったのか早く知りたいという気持ちがあるわけで、その気持ちに比べると、どうも調査というのは十分早くついてきていないというような感じがある。しかし、あえていついつまでに調査を済ませなければいかぬというような日程を決めない理由というのは、この調査を徹底的に行う、そして、厳正なその処置をするというところにあると私は思うわけであります。お願いしたいことは、政府としては、このアメリカ側の態度が最後まで貫徹されるように、ぜひ米国側との交渉に当たっていただきたいと思うわけであります。 お互いにりっぱな法治国であります。ですから、しっかりした手続に従って、しっかりした納得のいく処置をとるということが何より大事である。 いま最後に、できるならば日米首脳会談の前までに結果が出ることが望ましい、というお話がございました。しかし、あえて言いますと、できるだけ早い方が望ましいことでありますけれども、政治的考慮に負けてあやふやな処置になってはいかぬ、そちらの方をぜひ私は気をつけていただきたいというふうに考える次第であります。 私の意見でございまして、あえて答弁を求める必要はないかと思いますが、以上の申し上げたことに対して御所見があれば、外務大臣から伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、これがうやむやに終わるとか、真実がはっきりしないで終わるというようなことになりますと、日米の信頼、両国間の信頼関係が損なわれるということになることは明らかでございますので、私どもとしましては、これはもう真相の究明と、なぜ起こったか、なぜ通報がおくれたか、どういう人命救助をやったかというようなことはやはりはっきりしてもらって、そしてその後の処置、補償問題を含めて、きちんとした処置をやってもらうということを要請することは当然でございますので、そういう態度でこの問題と取り組む決意でございますし、時期の問題でございますが、向こうも、法律に従って公正な調査をやるということができるまで中間報告は待ってくれ、ということを言っているわけでございまして、やはり法律に従った厳正な調査ができるということを期待しております。 首脳会談の前までに向こうも十分要望を満たすようなことを自分も期待する、というように大統領が言っているわけでございますので、私は、以上のようなことがそれまでに大筋はある程度わかり、決着がつくということを希望して、期待をしながら、この問題に取り組むということでございます。
○椎名委員 大体人が引き起こした事件で飛ばっちりを食らって、外務省なり防衛庁なりが痛めつけられるというのはしゃくにさわるものでありまして、防衛庁にしても、救助をしておかゆまでつくっていろいろ苦労したにもかかわらず、いろいろ言われるというようなお気持ちはわかりますが、しかし、この問題はぜひ、要らざる感情をまぜずに対処していただきたいということを重ねて希望しておきまして、この問題についてはこれだけにいたします。 私は、この委員会ができてから、去年から何遍かの論議が繰り返されておるわけでありますが、昨年の四月二十六日の当委員会で、永末委員からこういうような御発言があった。この委員会では、条約、法律等の解釈、あるいは自衛権とは何であるかとか、あるいは軍事力の行使というのは何であるか、そういう解釈論などももちろん必要であるけれども、それのみにとどまることなく、われわれの安全に関する現実をこの場の論議を通じて国民に知らせ、そして国民に共通の事実認識をつくる、そして安全保障、防衛に関する世論の形成に資するというのがこの委員会の最大の任務であろうかと思う、という御発言がありました。私は全くそのとおりだというふうに思っております。そういう意味で、少しもとの方に戻って、きょうは政府に御質問いたしたいと思っております。 最近になって、国民の間に、国の安全とかあるいは防衛についての関心が高まってきた、これはどうやら事実のようであります。世論調査の結果などにもあらわれておる。国として自分の国を守るための自衛力を持つというのは、これはあたりまえのことであるし、自衛隊もあった方がいいという意見が多数を占めるようになっているわけであります。ことに日本の周辺に、どう考えても、ソ連の自衛という範囲を超えたような軍事力の増強が行われている様子である。また、アフガニスタンの侵攻に見られるように、ソ連は場合によってはその軍事力を実際に行使するということもあるというような認識から、またそういう関心がさらに私は高まっていると思うわけであります。 しかしながら、さて、その先一歩を進めて、それでは日本の国としてどうすればいいのかというところになりますと、どうもまだ、国民一般の心の中にはさまざまな疑問であるとか、あるいは疑念であるとかいうものが残っているということ、これも事実であろうかというふうに考えております。国を守ることは必要であると言いますが、そう簡単に言っても、一体何を守るかということについても必ずしも一致した見方があるわけでもない。また、防衛力が必要だと言いますが、一体いまの状態で安心できるのかどうか、これについても必ずしもはっきりしていない面がある。しばしば、たとえば実際に従事しておられた制服組の方方が退役されてから、とても弱くて欠陥も多いこの自衛隊ではとても守れない、というようなお話もちらほらと出てくるという状態でありまして、こういう点も心配である。 それだったら、もう少しその欠陥をなくし、安心できるような防衛力にしなければいかぬとか、それには一体どのくらい金をかけて何をやればいいのかというあたりも、どうもぽっきりしない。ほうっておいたら歯どめがかからなくなって、よく言われますけれども、軍事大国への道を歩むようなことになるのじゃないかというような心配もあり、あるいは、日本はあくまでも防衛本位だと言っておるけれども、しかし軍事力というものは、大体日本のように防衛のためだけだという宣言を国としてした国は、歴史上恐らく近代史では初めてだと思いますので、あらゆる意味での武器なんというものは攻撃も防御もできるようにできておりますから、そういうものをため込むと、周りのアジアの国々にやはり不安を与えはしないか、そういうような心配もある。第一、いままでこういうふうにやってきてうまくいってきたんだから、何も急にあわてなくても、騒がなくてもいいんじゃないだろうか、もっと何か平和的手段で達成できる道はないかというようなお話もある。こういういろいろな疑問が尽きないわけであります。 昨年の防衛予算の問題なんかでも、大変に新聞紙上その他で報道されましたが、一体九・七増だとどうなって、七・六増だとどうなるかということもよくわからないままに、数字だけが大きく第一面のトップを飾るというようなことが現実ではないかというふうに考えます。政府も、またわれわれも、こういう疑問にきちっとこたえられなければいかぬ。 国の防衛力というものは、最もうまくいって理想的にこれが機能した場合には、全然使わなくて済むということになるのが防衛力の本質であるというふうに私は思うわけであります。つまり十分な抑止力なりあるいは拒止力なりが働いて、結局使わない道具と軍隊があったということで、そうなりますと、結果的に見ますと、何も使いもしない道具をどうして並べておく必要があるんだということも言われかねない。これが有効な防衛力というもののむずかしいところであろうと私は思うのですが、それだけに一体これは何のために必要であり、最小限どれだけを持たなければいかぬか、あるいはこれだけあればそれ以上無限にふくらんでいくことはないんだというようなことをはっきりした形で国民に理解してもらうということが、まず先決問題ではないかというふうに私は考えるわけであります。 日本の防衛というのは全く防衛本位だ、その枠内で議論している限り、われわれはこの日本と日本を取り巻く周辺の地域の情勢を見て、敵が攻めてきたらどうするこうする、というような話をしていればいいような気もときどきするわけでありますが、しかしそれだけしか見ていないと、いま申し上げたような疑問にこたえるということはなかなかむずかしいのではないかというふうに私は考えております。どうしても一度視野を広げて、グローバルな見地で世界がどんなふうに動いていく見当かというあたりを見て、翻って日本の安全保障ということを考えなければならないというふうに考えます。グローバルといいましても、決してアフリカで騒動が起こったときに日本の軍事力に手伝ってくれというような話でなくて、われわれが日本の問題を考えるのに、一度目を広げることが必要だということを私は申し上げたいわけであります。 こういうことをきちっとやっておきませんと、いろいろな、私にあえて言わせていただければ、俗説がたくさん出てまいりまして、簡単に言うと、このごろどうもアメリカが弱くなってしまったし頼りにならない、だから、それこそ核戦力まで持って、憲法も改正して、自主独立でわれわれは守るんだというような、非常に勇ましいけれども、不可能な議論も出てくるし、また防衛力の整備という問題を、アメリカの要求に対してそれをどうしのいでいくかというような視野だけにとらわれてしまうと、いつまでたっても憲法とか財政とかコンセンサス、もちろんそれも重要でありますけれども、その言いわけばかりをしているというようなことにもなってしまう。 それから、日本は平和憲法であるし、世界じゅうが平和であることはもちろん望ましいわけでありますが、軍縮というような言葉は非常に響きがいい言葉でありますから、つい言いたくなる。もちろんこれはわれわれが真剣に取り上げなければならない問題ではありますが、現在行われている軍備管理交渉というようなものは、それ自身がいろいろな戦略的な意味も持っているというあたりを十分に認識した上で、われわれは物を言っていかなければいかぬと思いますが、無邪気に軍縮、軍縮と言えばそういう状態が出てくるんじゃないかというような議論も出てくるし、あるいはアメリカと西欧と、安全保障あるいは防衛の面で食い違いが出たというような話がありますと、鬼の首でも取ったような感じで、西欧はやはり日本みたいにアメリカの言いなりになっているばかりじゃなくて、したたかな独自の自主外交政策をやっているじゃないかというようなことを非常に短絡的にほめてみたり、というあたりも私はもう一度考え直さなければいかぬことじゃないかというふうに考えておるわけであります。 そこで、世界情勢をながめるという話ですが、私は二つの目のつけどころがあるというふうに考えております。一つは、東西あるいは米ソの軍事バランスがどう変化してきたか、それからこれからどういう趨勢に向かうかということ、二番目は、世界各地域での政治的な意味を含めたバランスの変化あるいは不安定要因の増加、紛争の発生の状態、それからこれからどうなりそうかというような趨勢、この二つの分析を十分にやって、現実認識を深めるということから始めなければいかぬというふうに考えます。 軍事力のバランスという問題は、もちろん有事のときはどっちが勝つかということで効いてくるのでしょうが、しかし現在のような、平和というよりも一種の非戦争状態というような中で、世界各地域あるいは各国の持っている世界に対する考え方、感じ方に非常に強い影響を与えるわけでありまして、そういうこと自身が、われわれが住みやすい世界になるか住みにくい世界になるかということに関係してくるという意味で、この二つをぜひ考えておかなければいけないのではないかと思います。 まず最初に、二番目の地域バランスというところから伺いたいわけでありますが、日本は、自給自足でやってこの極東の片すみでひっそり暮らしているという国ではなくなってきてしまった。われわれの総合的な安全、それから繁栄というようなものは、世界各地からの資源とかあるいは市場とかいうものに非常に大きく依存をしている。そして、戦後のわれわれの目覚ましい経済の発展というようなものもそういう環境の中で可能であったということを考えますと、これがどう変わっていくだろうかというあたりを見当をつけることが、まず非常に重要なことではないかというふうに考えるわけであります。 そこで、アメリカの軍事力が非常に圧倒的であったということが確かであるような、キューバ事件あたりと比べていまどういうふうに変わってきたか、そして、どんな趨勢にあるかということについて御説明を願いたいと思います。
○大村国務大臣 ただいま先生から、グローバルな観点から軍事力の推移がどうであるかというお尋ねがございましたので、私からお答え申し上げたいと思います。 一九六〇年代以降における一貫した軍事力の増強によりまして、ソ連は核戦力においてのみならず、欧州及び極東における軍事態勢においても米国に対応し得るようになり、さらに海空軍の増強により、米本土と前方展開地域との海空交通路を脅かし、かつ、ソ連から遠く離れた地域にも局地的に介入する能力を備えるようになっております。いまや、同時多正面における作戦力を備えつつあると見られるわけであります。したがいまして、このまま放置すれば、近い将来、ソ連の軍事力が米国の軍事力を凌駕しかねない状況に立ち至っていると言うことができると考えております。 これに対しまして、最近におきましては、米国におきましても、そういった情勢にかんがみましてまた努力を再開されておりますので、直ちにデタントが崩れ去ったとかそういうことを断定するには早いと思うのでございますが、申し上げましたように、アメリカを初めとして西側自由主義諸国が、これまでのような状態で放置した場合には、近い将来に、ソ連の軍事力が米国の軍事力を凌駕しかねない状況に来ていると考えております。
○椎名委員 いま軍事力のバランスのお話がございましたけれども、世界の各地域での変化と申しますか、私どもが経済成長を非常に安心してやってこられたというのは、どこへ行っても余りこわいということを感じないで商売をやったり、あるいは資源を買ったりということができたことに大きく依存してきたかと考えるわけですが、そういう日本がつき合っている地域というのは世界じゅうですけれども、その中で、たとえばキューバ事件のころと比べてどんな不安定要因が起きてきたか、あるいはときどき紛争が起こるけれども、ほうっておいても大丈夫だということなのか、そこらあたりの様子を外務省から伺えればと思います。
○伊東国務大臣 いまの御質問でございますが、特に日本にとりまして関心の深いといいますか、エネルギーの問題をめぐりまして、中東地区というものが世界の情勢の中で非常に大きな問題になってきていることは御承知のとおりでございます。 いま先生おっしゃいましたように、日本は世界じゅうどこからでも資源を買い、あるいはどこへでも製品を売るというような形の経済でございますので、どの国とも平和を保ち、どの地域でも平和でなければ困るわけでございます。特に中東をめぐってあそこに、本来は宗教、民族が中東問題の紛争のもとだと思うのでございますが、その後イランの革命が起きる、あるいはイラン・イラクの紛争が起きる、その後ろに東西の影が差してくる、中東の中でも東寄りの国もあれば西寄りの国もあるということで、過去においてなかったような紛争があの地域に起きてくる。また、御承知のようなアフリカの角と言われるあの中東のホルムズ海峡の問題、航行の自由問題に影響を及ぼすおそれのあるような問題が出ているということは、日本の石油エネルギー資源ということから考えますと、この地域が非常に不安定な状態であるということができておりますし、またアジアに目を向けましても、御承知のように、ベトナムがどちらかというとソ連の支援を得ながらカンボジアに介入をしているということがございまして、インドシナ半島の平和が非常にむずかしくなっている。そこへベトナムの基地をソ連が使用するという問題もございますし、アジアの中でもアフガニスタンにソ連が介入をした、これはまた中東に非常に近いところでございます。あるいは極東軍の増強という問題があるというふうに、キューバ事件当時と比較しますと、各地域にいろいろな不安定要因がある、国際緊張があるということでございます。 そういう意味で、ソ連は六〇年代から一貫して軍備の充実をしている、アメリカは七〇年代はどちらかというと軍備の伸びはなかったというようなことから、米ソのバランスの問題ができ、また近い将来にいまのままでは大変だというようなことができ、いまの中東地域あるいはアジア地域にも不安定要因が広がっているということでございますので、八〇年代は厳しい国際環境になるだろうということを私は予想しているわけでございますが、そういう中で、紛争が起きないように、起きてもなるべく小さなうちにおさめるように、というのが外交としてやるべきことではないかと私は考えております。
○椎名委員 いまの両大臣のお話で、どうも軍事バランスがほうっておくと東の方が強くなりそうだ、それから昔に比べて世界各地域で不安定要因がふえてきている、それにはやはり東西の影というようなものがあるというお話でございましたけれども、ここでもう一歩立ち戻ってみて、軍備というものは盾があれば矛がありというようなことで、一生懸命お互いにやっているわけであって、日本はいままで戦後一貫した方針で、われわれの防衛計画というものも、結局アメリカの核を含めた非常に強い軍事力で守られてきた、そういうわけで、一方についているわけであります。 そこで、いまときどき言われることは、軍事力のかさというものに日本は守られてきた、そのかさがちゃんといざというとき開くのかどうかという心配をする人がいる。西欧でもそういうことを言う人たちがずいぶんおります。開かないとすると、現在問題になっておりますわれわれの「防衛計画の大綱」というものも、かさが開くということが前提になっているわけですから大変なことになるわけですが、しかしもう一歩戻って考えてみると、一体かさが要るんだろうかということもここらでもう一回考えてみてもいいのではないか。 かさが開くか開かないかというのは、よく建物にスプリンクラーというのがあります。ここにもありますけれども、火事が出てある温度に達すると、ざあっと水が出てきて一気に火を消すということになっております。しかし、こういう機器の性質からいって、ときどきテストをしてみるということができないものである、やると水浸しになってしまいますから。しかし、これはみんな水が出るものだと信用しているわけであります。しかし、実際に水が出ないで、火事で焼けてしまったビルもいままでにないわけでもない。しかし、つけておけば大丈夫です、大丈夫ですというのは、つまりかさは必ず開きますという話なんですが、こっちにも幾分は得をしようとして、必ず火事というものはあり得ることなんだからというスプリンクラー屋の宣伝とか、あるいは、雨は降るものだからかさは一本くらい持っていろというようなかさ屋の宣伝に乗って、われわれはかさがまず必要だと思わされているのではないかという疑問もないではない。こういう議論についてどういう感じをお持ちであるか、外務大臣に伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 かさの問題をおっしゃったのでございますが、いわゆる恐怖のバランスといいますか、そういう現実があることは確かでございますので、そういう現実は認めなければならぬということが前提でございます。 それで、そういうかさが開くのかどうかというものが一方にあるというお話でございましたが、日本は御承知のような日米安保という体制のもとで今日まで経済発展をしてきたわけでございますので、そういうかさのもとで日本が有事の際には守られるということを前提にしていままで述べてきたのでございまして、私はその方針は変えないということが当然だと思うわけでございます。 では、一体かさが開くのか開かぬのかという問題でございますが、これはまさに日米安保条約の信頼関係でございまして、アメリカも、いかなる政権の場合も有事の場合には日本を守るということを約束をしているわけでございますので、その信頼関係を守るという意味からも、また日本は、自分で自分の個別自衛権の充実をしていくという努力は当然しなければなりませんので、着実な防衛力の増加ということをやり、一方の当事者のアメリカが、日本を守るということはアメリカの国益にも合うのだということがわかるように、日米関係の信頼関係というものは常に損なわれないようにこれを維持していく。これは防衛だけではなくて、経済面その他全般的に考えましても、日米の信頼関係を高めていくという努力を日本は当然やるというふうに考えております。
○椎名委員 外務大臣はもう日米関係でやっていくということを、もちろん政府はそれを前提としておられるわけですから、きわめて当然の御答弁だというふうに思います。しかし、どうもまだ、一体負けるかもしれない方についたら損じゃないかというふうな話もあり、事は日本民族の生存にかかわる問題である。あらゆるオプションを全部考えた上で物事はやっていかなければいかぬという立場から言いますと、こっち側に雨が降るということは、降るかもしらぬというそういう可能性が強いということはわかりましたが、もう一方にもかさがあるわけでありまして、いろいろな社会体制とか経済のやり方とかありますけれども、下手にそばづえ食らって皆殺しになるくらいだったら、強い方につくかという考え方もこれは理屈の上ではあり得る。かさをかえてみようかというような話も、一つの仮想的なオプションとしてはあり得るかと私は思いますが、きわめてふざけた質問かもしれませんけれども、そういうことについては外務大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
○伊東国務大臣 本当に仮定のお話でございますが、日本のいままでの政治体制、経済体制ということから考えますと、かさをかえるということは恐らく予想もできないことでございまして、やはりいまの民主主義あるいは自由主義ということの政治哲学といいますか、経済哲学といいますか、それを同じくする国々が協調して守っていくことが私は大切だと思うわけでございまして、かさをかえて政治体制、経済体制の違う国々と協調連帯ということは、これは言うべくしてむずかしいことは先生御承知のとおりでございますので、私どもは、この体制を続けていくことがやはり大切だ、こう思うわけでございます。 ただ、先生おっしゃるように、雨が降らぬようにすることが大切だということは私はよくわかるのでございまして、この間アメリカに行きましたときにも、全面的な対決をして核というものを使うようになったらまさに世界の破滅じゃないか、米ソというものはかさを差さぬでもいいように、これは抑止力として使うことは別でございますが、話し合いで平和を保っていく、平和関係が維持されるということは日本にとっても非常に大切なことなんだ、ですから、米ソは、SALTの問題でございますとか首脳会談の問題でございますとかいろいろありますが、話し合いをする窓口をあけておくべきだということを、ヘイグさんと議論したのであります。 雨が降らぬようにということでございますが、自分らも窓をあけておくことは賛成だ、ただ、ソ連の行動が、本当にそういう口で言われるような行動をするかどうか、もう少し慎重に見ていく必要があるのだということでございましたが、やはり雨が降らぬようにする、その努力は世界じゅうがするということは大切だと思うわけでございますので、日本としましても、世界の平和がどうやって守れるかということについては、これは大いに努力する必要があるし、外交も平和外交に大いに徹するということから、いろいろな国際問題を考えていくということが必要だというふうに私は思います。
○椎名委員 いま最後におっしゃったところはまことに当然なことでありまして、とにかく雨が降らないようにするということは何よりも大事である、この話し合いをするということもあるいは自衛力を持つということも全部それにつながることだと思いますが、よくある話として、とにかく話し合いを続けろというのには、さっきの、雨が降らないと思い込むということのほかに、照る照る坊主のりっぱなのをつくったから、これで雨が降らないと思うようなことになりかねない面もある。その点は十分にわれわれは気をつけなければいかぬのじゃないかというふうに考えます。 そこで、もう一つ実はオプションがあるかと思いますが、これはもうお答えいただく必要はないので、かさは、雨が降るということには覚悟しておかなければいかぬ、それからかさを取りかえるというのはもう論外である。そうすると、あとは、いままで下に入っていたかさが少し怪しくなってきたから、自分でつくるかという話もこれはあり得る。自主独立の防衛力というようなことかと思います。しかし、このオプションは、いまの御答弁の中で、非常に非現実的であり、かつ、われわれが日米安保体制、西側と一緒にやっていく方がはるかに有利であるということはわかったように思いますので、これはわれわれのとり得るオプションではない。そうしますと、あと残ったのは、とにかく少し怪しくなってきたというようなことはあるけれども、われわれ何とかいままでのかさを、ほころびているとすればそれをつくろいながらやっていくよりしようがないということだろうと思います。 防衛庁長官に伺いたいのですが、もしそういう御認識だとすると、日本の防衛というのは、潜在的というのか何か知りませんけれども、結局ソ連の脅威ということを念頭に置いて考えている、これが政府のお考えだというふうに承知してよろしゅうございましょうか。
○大村国務大臣 お答えします。 最近における極東ソ連軍の増強、たとえば北方領土における地上軍部隊の配置、空母ミンスクの回航、太平洋艦隊の増強、SS20、IRBMやバックファイア爆撃機の配備、さらにはベトナムの海空軍基地の常時使用等に示されるような一連の事実は、客観的事実でございます。これを、私どもは、わが国の安全保障にとって潜在的脅威の増大であると考えているところであります。 防衛庁といたしましては、このような情勢を念頭に置きながら、現在政府の決定している方針である「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成すべく、防衛努力を行っているところであります。
○椎名委員 間もなく総理が訪米されて、いろいろな問題についてアメリカ側と話し合いをなさるわけですが、いろいろな問題がありましょうけれども、やはり防衛問題というのは一つの大きな柱になるだろうというぐあいに考えるわけです。 これは、一般の目から見た話ですが、どうもアメリカが日本に、防衛力についてもう少しやれということを非常に圧力をかけてくるというような感じを受けないでもない。それが、先ほどから伺っているお話では、世界的な規模でも、アメリカとソ連との間の軍事力のバランスが、アメリカの方にぐあい悪くなってきたということが相当大きな要素ではないかというふうに考えるのですが、一体どうしてこういうぐあいに、昔は圧倒的な優位を保っていたアメリカの軍事力が相対的にソ連に比べて非常に悪い趨勢になってきたか、そこらあたりの原因については防衛庁長官、いかがお考えでいらっしゃいましょうか。
○大村国務大臣 先ほども、私は、現在のところ、米ソの軍事力がいずれが明らかに優位に立っているか言いにくいような状況に立ち至っているということを申し上げましたが、そのよって来る理由が何であるかというお尋ねでございますが、いろいろ考えられるわけでございますが、主な点だけを申し上げさせていただきたいと思います。 まず米国でございますが、十年以上にわたるベトナム戦費の負担が大きく、またベトナム戦中及び戦後の国内の風潮もあって、同戦費を除いた米国の実質国防費は、最近に至るまでの十数年間停滞足踏みの傾向にあったこと、これははっきり指摘できると思うのでございます。 これに対しまして、ソ連は、過去二十年間にわたり一貫した国防費増大のもとに、核戦力及び通常戦力両方の面におきまして、質・量ともに大幅な増強の努力を継続してきた。その結果、相当大きな蓄積が生じているということはこれまた事実であると思うのでございます。 このほか、西側一般に七〇年代半ばまではデタントムードにあり、また戦後の経済成長を受けて社会福祉等の予算が膨張し、国防費が相対的に圧縮されてきたことに加え、七〇年代前半の石油ショックもあって財政難に陥り、ソ連の増強に対抗して軍備を増強することについて、世論の理解を得るのが困難であったという理由も挙げることができると思います。 また、ソ連の大幅な軍事力増強の原因なり動機については必ずしも明らかではございませんが、軍事力の強化によって政治的影響力を高めようとしているのではないかと見られる節もあるのではないか。 そのほかにもございますが、主な点を申し上げますと以上のとおりではないかと考えております。
○椎名委員 どっちがどっちに対して強くなってきたという話は相対的なものであると私は思うのですが、アメリカ人も大分そういうことを認めているようですけれども、要するに、アメリカも一生懸命やったけれどもソ連の方が強くなったというようなことよりも、どうもアメリカがやるべきことをサボってきた結果、相対的に弱くなったという面も相当に私は強いのではないかという気がいたしております。ことに前政権のしょっぱなで、たとえば朝鮮半島から地上軍を完全撤退するんだというようなことを声明をしたり、近年非常に、そういう意味でやるべきことをやらないでサボってきた。そこで、しかしこんなことではどうにもならぬ、向こうはこつこつと着実に力を養ってきた、そのギャップがいまになって出てきて、これをほうっておいたら大変だという認識だろうと思うのです。 そこで、日本もひとつ、われわれだけではどうにもならぬから、少なくともおまえのところだけは自分でやれないものだろうか、という話だと思います。しかし、私は、アメリカの人というのは一つの悪い癖で、前のことを忘れていまのところからいたけだかになってやるというようなところがありまして、そこらあたりは、国としての政策の一貫性というところからは少し考えてもらわなければならぬことだというふうに思います。 しかし、この話は、私はたとえを申しますと、おやじが創業者か何かでりっぱな会社を経営していた。それが突然働き過ぎで急死をして、兄貴と自分だけが残された。そこでさあどうしようと思ったら、その兄貴が、おれがしつかりこの会社の経営は全部やるから、おまえは学問が好きなんだしやっていろ、安心しておれに任せてくれと言われて、そういうつもりでやっていたところが、ある日急にやってきて、実はあしたの手形が落ちなくなったというようなことで、おまえのところにも少しの蓄えはあろうから手伝ってくれと言われてきたような、そういう気分が少なくとも私は感・情的にはするような状況ではないかというふうに考えるわけであります。 そこで腹立ててしまうとどうなるかというと、その会社が破産して全部従業員も路頭にほうり出されるし、仕方がないということで、先ほどのいろいろなオプションを見た結果、腹は立つけれども仕方なしにやるかというようなことでもあろうか。 前のことはどうでもいいんですが、これから先、一体、いまの大変な勢いで覚悟を決めてアメリカはやっているというふうに見えるわけですけれども、いまの例で言えば、兄貴がこういう不始末をして悪かったけれども、これからは余り遊びもしないで一生懸命やるから、今度は安心してくれというような話に近いところがある。そこらあたりは一体大丈夫なんでしょうかという気が幾分しないでもない。つまりほかの言葉で言えば、政策の一貫性のようなものが保証されるということが非常に大事である。そうでありませんと、それこそまた、せっかくかさを差されて一生懸命になってこっちでもできる範囲はやろうと思っていても、かさのしんが折れてしまったというようなことになると困るわけでありまして、そのあたりのこれからのつき合い方でございましょうけれども、アメリカの政策の一貫性というようなものについては、外務大臣、どういうふうにお感じになっていらっしゃいましょうか。
○伊東国務大臣 この間アメリカへ行きましたときに、アメリカはまだ新政権になって間もないわけでございますが、総合的な安全保障でございますとか、総合的な外交政策というのは、それができ上がって、人に全般的な説明をするというふうにはまだ成ってなかったという感じでございます。いろいろな問題を議論しますと、サミットまでには結論を出すからというようなことがちょいちょい出ましたので、私はその点はまだコンクリートにはなっていないという気がしたんですが、皆こぞって言いますことは、アメリカがまず強くならなければいかぬのだ、そのために経済再建の計画をつくっていま国会へ出しているんだ、減税もし、民間の投資意欲もかき立てて、まずアメリカが強くならなければいかぬ、そしてその中で、御承知のような歳出を削減しておりますが、軍事費だけは増加しているという形でございますが、その予算を通すことがまず大事だということは、これはもうこぞってみんな一致した意見でございましたので、私は、アメリカはまず自分が強くなることを考えているのだなということを感じたのでございます。 また、話をしましたときにも、アメリカは、どうも前の政権時代に政策の一貫性を欠いたことがある、あるいは友邦国から信頼を失ったことがある、この一貫性・信頼性を何としてもアメリカとして回復しなければならない、米ソの力のバランスということも考えるが、これは一国だけでできるわけではないので、先ほど言いました友邦国・同盟国の信頼性を回復する、アメリカも政策の一貫性を保つということで、友邦国・同盟国とも連帯・協調を図っていくのだということを説明しておったわけでございまして、アメリカは、新しい政権になって、特に友邦国・同盟国との連帯・協調、信頼性の回復、それからアメリカの政策の一貫性ということを主張しておったのでございます。去年の十二月にヨーロッパを回りましたときも、アメリカの政策は一貫性がないというようなことを言った首脳があったわけでございますが、アメリカは、その点は注意して、一貫性の確保、信頼性の回復ということを心がけているというふうな感じを持って帰りました。
○椎名委員 余り時間がなくなりましたけれども、最近は核、ことに戦略核の均衡というような状態がさっきのお話でもございましたが、こういうことになってくると、通常戦力の意味というのは非常に大きくなってくるということをしばしば耳にするようになってまいります。ロング太平洋軍司令官もそういうことを言っているようでありますし、また、けさの朝日でも、いままでよりも通常戦力による場合によっては全面戦争、長期戦争ということも起こる可能性が非常に強くなってきた、というようなことが書いてある。こういう認識をアメリカの政権も持つようになってきた。そういうことは一体どういうことであるのか。 また、まとめてお聞きいたしますが、これが日本の自衛力の増強とどういう関連があるのか。 この二点について伺いたいと思います。
○大村国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、米ソの核戦力がほぼ均衡した状態にありますと、核兵器そのものの使用は相互に抑制されているような状況に置かれることになるわけでございますので、むしろ使われやすい戦力としては通常戦力の重要性が改めて高まってきているのではないか。たとえばソ連は一貫して通常戦力の増強に力を入れてきておりますので、アンゴラ、エチオピア、アフガニスタン等の例にも見られるように、直接的、間接的に通常戦力を行使する意図を示してきておるのでございます。 そこで、ただいま御指摘のロング米・太平洋軍司令官が、本年二月の下院軍事委員会における発言の中で、通常戦力の可能性を指摘されておりますのも、こういった事柄を背景としての発言ではないかと考えられるわけでございます。こういうソ連の一貫した通常戦力の増強に対抗して、こうした可能性を軽減していくためにも、同盟諸国とともに、通常戦力による地域バランスを維持していく必要性を、ロング司令官は強調したものであると理解いたしておるわけでございます。
○椎名委員 いま政府が進めておられる日本の防衛計画というのは大綱にのっとってやっておられるわけですが、これは昭和五十一年という、いまとは大分情勢認識が違うところでできたものである。その後情勢が非常に変化している。変化したということも認めておられる。そこらあたりは、一体これからどういう手順でわれわれが安心できるような防衛体制をつくっていくのか、見直し論とかそういうことを含めまして、防衛庁長官の御意見を聞かしていただきたいと思います。
○大村国務大臣 五十一年に策定されました「防衛計画の大綱」につきましては、策定当時と今日とでは国際情勢が変化しているではないか、という論のあることも承知しているわけでございます。また、策定当時のいわばデタントが続いているという状況と、今日の、崩れ去ったとは言えないものの、米ソの軍事力がかなり接近してきているといったような状況とでは、相違があればあると言わざるを得ないわけでございます。 ところが、大綱の実施につきましては毎年努力しているわけでございますが、まだまだ隔たりが多いわけでございますので、私どもは、この大綱の示す線を量的にも質的にも整備していくことが現下の急務ではないか。 先ほど御指摘の、ソ連軍の極東配備等の状況を念頭に置いて、わが国の防衛力の充実を図るためには、どうしても安保条約の堅持、効率的運用とともに、わが国みずからの努力によって、必要最小限の防衛力を整備していく必要がある。その目標としましては、現在策定されている「防衛計画の大綱」をなるべく早く達成することにある。防衛庁としてはさように考えている次第でございます。
○椎名委員 私は、あれこれぜいたくを言ってみても、現実にできることとできないことがあるので、いまの大綱をとにかくなるべく早く達成するということは非常に堅実な目標であると思っておりますけれども、いまおっしゃいました大綱というのは、決して道具の数だけのものではなしに、質的な面をきちっとして、小柄でもそれなりに意味のある防衛力をきちっとつくろうということが、その精神の根幹だろうというふうに考えております。すぐに来年それをやるというわけにもいきませんでしょうけれども、ぜひお願いをしておきたいのは、そういう意味で、ただ数合わせをやるということだけではなしに、たとえば飛行機の数が少ないとか自衛艦の数が少ないということなら、それなりにそういうものがきちっと動いたり、あるいは防衛力を備えるという状態を常に保つようにすること、また、それだけでなしに、ソフトウエアも含めて、常にそれなりに意味のあるものを、各段階で備えていくような配慮というものもぜひ研究をなさって維持していただきたい、こういうことを私は最後に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○坂田委員長 次に、西中清君。
○西中委員 最初に、先ほど御報告のありました原潜の問題について、この事件についてお伺いをいたしたいと思います。 今回の事件は、まことに遺憾と言う以外にないわけでございます。われわれは日米友好は重要であるという認識を持っておるわけです。しかし、こうした事件について是は是、非は非としてはっきりとさしていかなければ、真の意味の日米友好には相ならぬ、こういう考えでおるわけでございます。もしこれがあいまいに終わりますと、日本国民の対米不信というものはより増大するわけでございまして、そこには日米友好ということはないわけであります。 こういう立場でお伺いをするわけでございますが、まず、強力なソーナーを持っておる原潜がなぜ衝突したか、国民の納得のいく事故解明ということになりましたならば、少なくとも衝突前の原潜の行動は何をしていたか、何の目的で何をしておったか、こうしたことがわからなければ真の解明とは言えないと思います。 しかし、一方、原潜の行動は軍事機密だ、こういうことであったならば、いま申し上げた点は解明はできません。 外務大臣は、衝突原因やその直後の救助が行われなかったことについて、われわれ国民が納得する程度までは、先ほど申しました原潜の行動を米側がはっきりさせる、このようにお考えになっておるのか、それとも無理だな、こういうふうに思っておられるのか、その点について明快にお伺いをいたしておきたいと思います。
○伊東国務大臣 いまのなぜ衝突が起こったかということにつきましては、再発防止の意味もございまして、まずこれをはっきりしてもらいたいということは、われわれはアメリカ側に要請をしているところでございます。アメリカ側は通常の活動をしていたという報告でございまして、原潜の行動につきましては向こうも一切何も言わぬということになっておりますので、今度どの程度の調査の結果が出てくるかということはいまわかりませんが、少なくとも、なぜ衝突が起こったのだろうということが普通の常識でわかるような説明をしてもらわないと、国民は納得しないだろうということは確かでございますので、その目的とか行動要領とかそこまではいかぬでも、私は、衝突の原因が少なくとも常識的にわかる、そういう報告は最小限期待しているわけでございます。
○西中委員 衝突後の行動、すなわち救助しなかった、この解明もなされなければなりません。衝突前後の原潜の行動が軍事機密という名のもとにうやむやになる、これでは国民が納得する説明にはなりません。最小限度とおっしゃいますけれども、外務省として、また政府として、先ほど申し上げた目的と行動、そして衝突の原因、そしてなぜ救助をしなかったのか、できなかったのか、この程度のものは軍事機密の名においてうやむやにさせない、それははっきりさせるというような態度でこの解決に当たっていただかなければならない。それはもう最小限度の国民の理解できる範囲の問題ではなかろうかと考えるのです。大臣の決意のほどを再度伺っておきたいと思います。
○伊東国務大臣 なぜ通報がおくれたか、あるいは人命救助、海難救助の問題は、浮上してみたが霧と雨で見えなかった、あるいは、飛行機が飛んだがやはり霧と雨で見つけることができなかったという報告までは来ているわけでございますが、軍事上だから言えぬと言われても、これは国民の皆さんが納得しないわけでございます。国民が少なくとも常識的に判断できるだけの理由は、こういうわけでこうなったんだということは、調査の結果当然向こうから通報してもらえるということを期待しておりますし、また、それを聞かなければ国民の皆さんは納得しないのじゃないか。でございますから、どういう行動をしたかとか、どういう目的だったかというようなことは、原潜の性質上私はむずかしいと思うのです。しかし、こういうわけで見つからなかった、こういう行動で捜したんだ、こういう理由で通報がおくれたんだということは、やはり国民が納得するだけのものは通報してもらうことを期待しておりますし、大統領も、首脳会談前には双方の望むことが十分に果たされるように自分としても期待をしている、こういう親書でございますので、私はそういうつもりで調査の結果をいま待っておるわけでございます。
○西中委員 そこで、重ねて確認をいたします。 先ほども、この問題についての外務大臣の御発言、御答弁から見ますと、真相解明の大筋は日米首脳会談前に報告があるという趣旨のお話でございましたが、一点はいまもおっしゃったなぜ衝突したか、二点はなぜ通報がおくれたか、三点はなぜ救助ができなかったか、この三点について国民が納得する要件を満たした米側からの報告が首脳会談までにある、こういう意味でございますか、どうですか。
○伊東国務大臣 レーガン大統領の親書の中でも、「双方にとって必要なことを満たす十分な進展」が見られることを非常に期待しているところであります、ということが書いてあるわけでございまして、軍事上の目的だからそれ以上何も言えぬと言われても、国民はそれだけでは、なぜおくれたのか、救助活動がどうだったのかということ、これは納得しないわけでございますから、私は、ここに書いてあります「必要なことを満たす十分な進展」という中には、そういうことも入っているだろうということを期待しているわけでございます。常にアメリカ側に、なぜ衝突が起こったのか、再発防止のための原因を教えてもらいたい、なぜ通報がおくれたのか教えてもらいたい、人命救助はどうであったかということをはっきり教えてもらいたいということを言っているわけでございますが、場合によっては責任者の処罰という問題も起きてくるので、それは法律的に十分調査をし証拠をそろえてやらなければならぬので、中間的にいま言われたようなことを報告するということは困難なんだということを向こうから言われているわけでございまして、アメリカの調査の核心もまさにそういうところにあるのだというようなことを言われているわけでございますが、私は首脳会談の前にそういうことが出てくることを期待しているわけでございます。
○西中委員 それはあくまでも日本側だけの期待というよりも、外務大臣は確信を持っておるという意味でございますか。いかがでございますか。
○伊東国務大臣 調査の結果、真実、真相は日本側に伝える、隠蔽するとかうやむやにすることはないということを、これは口頭で大使も言っておられるわけでございますから、私はそれを期待し確信しておるわけでございます。
○西中委員 なお、乗員の方々の補償、会社の補償等もございますので、その点も十分御留意いただきますように要望をいたしておきます。 海上保安庁は、当時の状況を救助できる気象条件であると申しております。すでにもうかなり日にちもたっておりますし、海上保安庁の報告も来ておると思います。外務省も、米軍が救助の意思があれば十分できた気象条件であったとの認識に立って米側と交渉しておられるのか、それとも、いや霧と雨で無理だった、こういうような気持ちがあるのか、その辺はいかがでございましょうか。
○伊東国務大臣 日本側の調査は海上保安庁が責任を持ってやっておられますので、海上保安庁から聞かなければわからぬのでございますが、これはいろいろなことの証拠に使うものでもあるでしょうし、いまの段階でまだそれを出すわけにいかぬということで、われわれはそれをまだ海上保安庁からもらっておりませんので、詳細のことは海上保安庁からお聞き取りを願いたいと思うわけでございます。
○西中委員 私は前の委員会でもこれは確認をいたしておりますし、また同僚の市川委員からの質問でも、救助できるというのはこちらの、海上保安庁といいますか日本側のおおよその解釈、理解でございます。どうかそういう立場で交渉を願いたい、こういうふうに思う次第でございます。 次に、次のサミットの問題についてお伺いをいたしたいと思います。七月に行われます先進国首脳会議では、政治問題が正式議題に挙げられているというように伝えられております。また福田元総理も、先日訪米した際に政治サミットを提唱し、米側首脳の同意を得たとも伝えられておるわけでございます。 そこで、政府は、政治問題が正式議題とされ、それに基づいての共同声明とか、あるいは共同行動を求められるような事態を予測されておるかどうか、どういう判断をされておるか、伺っておきたいと思います。
○伊東国務大臣 オタワのサミットにつきましてはまだ議題は決まっておりません。これから何回か担当者が集まりまして、相談をする段階でございます。 従来、サミットは世界経済の問題、金融でございますとかエネルギーの問題でございますとか南北問題とか、いろいろ世界経済の問題を取り上げて、そのときそのときの情勢に合った適切な判断を下して、共同声明を出したりしておったわけでございますので、私は、今度のサミットでも当然そういう、経済問題の中には世界の平和に関係する南北問題というようなことが重点になるべきだというふうに考えておるわけでございますが、政治問題につきまして取り上げて、去年はイタリアのベニスでやりましたので、イタリアの首相が新聞発表をされた。それはちょうどアフガニスタンにソ連の軍事介入があった後でございましたので、非常にこれは問題でございまして、それを議論しイタリアの首相が発表したということでございまして、ベニスのサミットから初めてそういう政治問題を議題にしてということがあったわけでございます。 今度はどういう議題が出るかわからぬわけでございますが、サミットでございますから西側の大部分の首脳が集まられるわけでございますので、当然政治問題が話題になることは私はもう普通だと思うわけでございます。ただ、その場合に、それが何々という議題になって、それについて共同声明が出るとか共同行動がとられるとかいうことは、私はこれはいまの段階ではわからぬのでございまして、これについてどうこう申し上げませんが、政治問題が話題になることはこれは当然だろうというふうに思っております。
○西中委員 いろいろな判断があると思いますけれども、私は政治問題に焦点が当てられてくる、こういう予測をするわけでございます。 レーガン政権の誕生によりまして、安全保障問題、特に対ソ、の問題が議題に挙げられてくることは十分予測ができるわけでございまして、今年二月、米、英、仏、西ドイツの四カ国の代表的外交戦略研究機関がまとめました「西側世界の安全保障」という報告書が非常に世界的に関心を集めております。今年二月レーガン大統領とサッチャー首相が会談をいたしましたけれども、サッチャー首相もこの報告書を携えて会談に臨んだと伝えられておるわけですね。この報告書の中で、七カ国による首脳会談は従来の経済専門会議から政治、安全保障問題も討議する包括的な会議に改めるべきであると提言をいたしております。またさらに、事務局長を備えた常設機関に強化すべきであるとの提言もいたしております。このような先進首脳国会議の内容、機能についての提言について、外務大臣はいかがお考えでございましょうか。
○伊東国務大臣 まだ議題について、各国の担当官が集まりまして何度か相談したのでございますが、そういう問題は実はまだ議題になっておらぬのでございます。 それで、いまおっしゃったような意見があることは私も承知しております。ただ、そういうことになりますと、サミットの性格がいままでとは全然変わるわけでございますので、果たしてそういう常設の事務局を置いてそういうことを相談することがいいのかどうかは、軽々にここでお答えするには非常に問題がございますので、むしろそういう機関をつくってということよりも、必要があれば何か随時集まるようにするとか、何かそういうような機動性を持った方が、私は、場合によって何かするとしてもいいのじゃないかと思います。 そういうことにつきましては今後の問題、あるいは各国首脳が集まられてそういう意見が出るかどうか、今後の問題に任せたい、日本はそういうことは賛成だとか、そうしようとかいうようなことは、いまここで申し上げられるような段階になってないわけでございます。
○西中委員 もうこれ以上のお答えは無理かと思いますけれども、オタワ・サミットの際にこの報告書の提言と同様の、これに近いような提言が行われるということも十分予測されるわけですね。特に、対ソ強硬路線を背景に「強いアメリカ」の再現を目指しているレーガン政権が、日・米・欧三者による安全保障問題の協議を提唱もいたしております。このようなレーガン政権の方向性から判断しまして、具体的に、日本政府の考えはともかくとして、オタワ・サミットの際、安保サミット等の提言がなされるということも予測をしておかなければなりません。安保サミット等についてはどういう見解であるか、外務大臣にお伺いをしておきたいと思います。
○伊東国務大臣 先ほど申し上げましたように、政治問題が話題になるだろうということは、これは当然考えられるわけで、昨年は、そのときやりましたソ連のアフガニスタンに対する介入ということについて、即時撤兵でございますとか、そういうことのイタリーの首相からの声明があったということでございますが、今度は安保サミットということになりますと、サミットの性格が全然変わるわけでございまして、軽々にそういうことを決めるということはよほど考えなければならぬ問題だと思いますし、世界経済問題も重要な問題としてあるわけでございますから、姿を一変するというようなことではなくて、経済問題を中心にし、しかし、そのときの政治問題があれば、この前はアフガニスタンでございましたが、今度はどういう問題があるかということでございますが、そのときどきの政治問題を話題にしていくという方が実際はいいのじゃないかなと私は思います。 これはこれからの世界的な問題でございますので、話が出れば、首脳が集まられたときの検討課題になると思っておりますが、いまはサミットを一変してそこへというようなことは考えておりません。
○西中委員 情勢によってはあり得るというように理解してよろしゅうございますね。これは御答弁は要らないと思います。 次に、防衛庁長官にお伺いをしたいのです。 昨年十二月、防衛庁の調査委託機関でございます平和・安全保障研究所、これと米国大西洋評議会は、日・米・NATOに共通する安保問題に関する提言を発表いたしました。 その中で、現在の先進主要国経済サミット会議の枠内あるいは枠外で、高水準の意見交換を行う手続を確立すべきであるとして、具体的に安保サミット会議の設置を提言いたしております。防衛庁長官は、この安保サミット会議の開催提言についてはどう思われますか。
○大村国務大臣 お答えします。 ただいま御指摘のありました平和・安全保障研究所と米国大西洋評議会の日米共同グループによる日・米・NATOに共通する安全保障問題に関する提言については承知しておりますが、これは民間団体による研究であると承知しておりますので、これについて政府としての見解を逐一述べることは差し控えたいと考えているわけでございます。 また、御指摘の安保サミット会議といった構想が具体化しているとも承知しておりませんが、一般論から申し上げますれば、わが国と同じく自由と民主主義を基調とする西欧諸国とも、安全保障の分野において意見交換を行い、相互理解を深めることは望ましいことであると考えているわけでございます。ただ、恒久的な機構とかそういうことになりますと、先ほど外務大臣がお述べになりましたような点もありますので、その点につきましては慎重に検討しなければいけない問題ではないかと考えている次第でございます。
○西中委員 次に、防衛費について防衛庁長官に伺っておきたいのです。 本年度の防衛費は対前年比七・六一%増でございました。米側の要請であった九・七%増は達成できなかった。このことについて米側の日本不信があるやに伝えられるわけでございますが、これは先に外務大臣に伺っておきたいのですが、訪米されました大臣、この点についてはどういうアメリカ側の反応であったか、どういう受けとめ方をしてこられたか、まず伺っておきたいと思います。
○伊東国務大臣 先ほど参りましたときは、そういう数字の話は一切ございませんでした。むしろこういう話でございました。 そういう数字でいろいろなことを希望表明したりすることは、かえって両国の間にとってプラスにならぬ、むしろ静かに話し合いをする方が望ましいので、数字を挙げて云々するというようなことはレーガン政権としてはしないつもりだ、そういう期待表明をするということはしないつもりだ、逆にそういう話がありました。九・七とか七・六とか、そういうような話は一切ございませんでした。
○西中委員 それでは、重ねまして外務大臣に確認をいたしておきたいと思います。 そうしますと、五月の日米首脳会談では、米側からこうした増額要求何%というのは考えられない、要求は出てこない、こうお考えかどうか。特に今年度は具体的に九・七%増という具体的数字が出されて、昨年の日米首脳会談で合意された。今回の日米首脳会談では、来年度の防衛予算の伸びについて米側から要請されて、日米間で一定の合意をするようなこともあり得るのかないのか。その点はいかがでございましょうか。
○伊東国務大臣 大体、防衛につきましては、これはいつも申し上げるのでございますが、日本は自主的に判断するということを私もしょっちゅう向こうに言っておりますし、総理もそういうことを予算委員会で何度もお答えでございますので、アメリカと防衛費について何か約束をしてくるとか、そういうようなことは一切ないというふうに私は思っておるわけでございます。 これは私のこの間行った経験でございますが、一般的な防衛努力をもっと強化してもらいたいという話はございました。世界情勢の認識でございますとか、いろいろ話をした中でそういう話は出ましたが、具体的に幾らとか予算をどれだけ伸ばしてもらいたいとか、そういう話は一切なかったわけでございます。やや具体的と言えば、アメリカの駐留軍経費を地位協定でもっと負担できるものがその範囲であれば、努力をしてもらいたいということが具体的と言えば具体的かもしれませんが、あとは一般的に、防衛努力の強化、防衛力の強化についてもっと努力をしてもらいたいというような一般論でございましたので、恐らく、総理がおいでになって首脳会談をされるときにも、そういう一般的な、抽象的な期待表明ということではなかろうかと私は予想しているところでございます。
○西中委員 そこで防衛庁にお伺いしますが、伝え聞くところでは、今年度の予算はあくまで九・七%増達成を前提に編成されておる、当初予算は七・六一%でありますけれども、補正予算で上積みをして最終的に九・七%を達成することになっているという、これは事実でしょうか、どうでしょうか。
○大村国務大臣 お答えします。 五十六年度の予算が九・七%を前提に編成されたという事実はございません。 また、今後の補正予算につきましては、今年度のベースアップ等がどのようになるか現在のところ不明でありますので、具体的な見通しを申し上げることは困難であります。
○西中委員 こういう九・七%達成ということについて、一部報道では、すでにアメリカ側に説明済みなんだ、こういうように伝えられ、防衛庁ではそのために担当者をアメリカ側に派遣したとも伝えられておりますけれども、その事実はございませんか。
○大村国務大臣 そのような事実はございません。 ことしの一月の初めに山崎政務次官を欧米視察に派遣いたしましたが、いまのような点を米側に説明したという事実は全くございません。
○西中委員 次に、有事の際の中立国船舶の臨検についてお伺いをしておきたいと思います。 法制局長官は、先月の参議院予算委員会で、有事の際、自衛隊が中立国の船舶に対して臨検できるという見解を明らかにされております。この見解は、国の交戦権の具体的事例として、中立国船舶の臨検、敵性船舶の拿捕等を挙げておりました昨年十月二十八日の政府答弁書の内容から判断してまいりますと、明らかに従来の政府見解から逸脱したもの、超えたものだというように言わざるを得ないのでございますけれども、この点はどうか。 すなわち、憲法第九条で交戦権を放棄しておるわけですから、その一例である中立国船舶の臨検は当然できないと私は判断をいたすわけでございますけれども、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
○角田(禮)政府委員 去る三月十一日の参議院の予算委員会で、源田委員の質問に対して、私が中立国船舶の臨検の問題についてお答えしたことは事実でございます。 結論から言えば、私の答弁は従来の解釈を変更したものではございません。かなり注意深く申し上げたつもりでありますが、その際の答弁としては、まず交戦権というものについては、これは憲法九条二項によってあくまで否認をされている、しかし、従来から政府の見解として申し上げているところでございますが、わが国が自衛権を持っているということは憲法九条によっても否定されておらない、そして、自衛権の行使として実際上いろいろな実力行動をとることは交戦権の行使とは別のことである、そういうことは憲法上当然認められているということを申し上げた上で、仮に、わが国に武力攻撃を加えている国の軍隊の武器を第三国の船が輸送をしている、それを臨検することができるかという点でございますが、一般論として申し上げるならば、ある国がわが国に対して現に武力攻撃を加えているわけでございますから、その国のために働いているその船舶に対して臨検等の必要な措置をとることは、自衛権の行使として認められる限度内のものであれば、それはできるのではないかというふうに私どもは考えております、ということを申し上げたわけでありまして、あくまでも自衛権の行使として認められる限度内のもの、すなわち必要最小限度の範囲内のものであれば、そういう措置がとれるという可能性があり得るのではないかということを申し述べただけでございまして、従来の政府の解釈を変更するものではないというふうに心得ております。
○西中委員 憲法第九条二項、この答弁書では「交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶のだ捕等を行うことを含むものであると解している。他方、我が国は、自衛権の行使に当たっては、我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することが当然認められているのであって、その行使は、交戦権の行使とは別のものである。」、ということは、中立国船舶の臨検は交戦権にはなじまないけれども、自衛権で認める、こういう意味ですか。いままでそういう見解はなかったのです。これは初めて出たのです。これは大臣に聞きたいです。
○角田(禮)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、私は、交戦権の行使として認められている中立国船舶の臨検というものが、そのままの形で自衛権の行使として認められるというような答弁をしたわけではございません。 お言葉を返すようでございますが、交戦権の行使の例として、交戦権の内容の例として、たとえば敵国兵力の殺傷、破壊というようなものが挙げられておりますけれども、同時に、自衛権の内容として、自衛権に基づく、たとえば自衛行動権という名前をつけるならば、その自衛行動権の内容として、敵国兵力の殺傷とか破壊というものができるわけであります。しかも、自衛権として行う場合には、やはりその場合でも交戦権として行える範囲とは必ずしも一致しないと思います。たとえば海外派兵などは私どもはできませんし、それからまた、B52で敵国の領土に対して壊滅的な打撃を与えるというようなこともできないわけでございます。したがいまして、単純に言葉を比較して、交戦権の行使として挙げられているものが、そのままの形でできるとは申しませんが、単純な言葉の比較で、自衛権の行使としてできないということにはならないと思います。現にそういう趣旨の答弁は、かつて佐藤内閣法制局長官当時にも、理論的にはそういう可能性があるという答弁をしております。
○西中委員 これは単なる法解釈だけの問題ではないのですね。非常に大きな問題を含んでいるのです。従来の政府見解からは、これはやはり交戦権として認めておらない行為でございますね。それを自衛権でできるようなことを言うような、こういう発言は非常に困る。私は納得できないのです。この答弁は、従来政府は臨検などというものは自衛権の一部と位置づける答弁はしていなかった、あなたはそれをやった、答弁書でもその点は明確ではないかというように私は解釈をしているのですけれども、もう一度答弁を願いたいと思います。
○角田(禮)政府委員 同じようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、衆議院の内閣委員会におきまして、昭和二十九年の四月六日に佐藤法制局長官が、これは拿捕が一つの例になっているわけですが、「普通の形における拿捕というようなことは交戦権の発動と見られる場合が多いと思いますから、原則的にはそれはできないといわざるを得ないと思います。但し、自衛権というものは持っているわけでありますから、厳格なる範囲内における自衛権の行使の場合に条件が合えば、そのときは可能であるという場面が理論上考えられると思います。」という答弁をいたしております。私は、自衛権の範囲内というのをきわめて厳格な意味において解釈すれば、しかも、私は、あえて中立国船舶と言わずに、第三国船舶で、しかもわが国に対して武力攻撃を加えている、わが国から見れば現に侵略をしている国のために働いている船が、目と鼻の先の領海の少し先を通っている、そういうような場合に、まあそれだけではありません、いろいろ細かい条件があると思いますけれども、厳格な条件があると思いますが、そういう場合に、それを臨検することは、いまの国際法の上でも許されるし、恐らく憲法の自衛権の行使として必要最小限度という範囲内に入る場合があるのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。たまたま、中立国船舶の臨検ということはいままで御質問がなかったので、そういう意味のお答えは確かにしていないと思います。
○西中委員 それでは私は納得しません。これは時間もございませんから、また後々論議を続けていきたいと思いますが、いまおっしゃったことを一歩譲ってお伺いしますよ。 それでは、自衛権行使の範囲で認められておるとするならば、この中立国艦船の臨検とは一体具体的にどういうことなのか、どういう条件で、どういうことを基準にしてやられるのですか、その点を説明してください。
○角田(禮)政府委員 これはどういう事態が起こるかということについては、いろいろな事態が考えられるので、そのことについてはいまここで断定的なことは申し上げられません、という意味のことを源田委員の御質問に対してもお答えいたしておりますし、また、先般の当院の内閣委員会における鈴切委員の御質問に対してもお答えをいたしております。 したがいまして、それを、どういう場合なら起こるかということを具体的に言うことはきわめて困難でありますけれども、たとえば中立船舶であっても、明らかに敵性化している、敵国の商船として見ていいような場合、これは国際法上もそういう考え方があるわけでありますが、その船舶が敵国政府に、敵国政府というかわが国の相手方の政府のために雇い入れられているとか、あるいはそのほかに、いろいろその国の管理、支配下に置かれている、いわば敵国船と同視できるような場合、そういう場合であって、なおかつ、自衛のためそれをどうしても臨検しなければわが国の自衛が全うされない、そういう必要最小限度の範囲内である、こういうふうに私どもは理解しております。
○西中委員 非常に抽象的でわからない。これももう時間がありませんから詰めるわけにいきませんが、ちょっと二、三点詰めてみます。聞いてみましょう。 これは単に、中立国の船舶に対する臨検の問題という簡単な問題ではないと思うのですよ。もしも具体的にわが国に不利益をもたらすような武器を積んでおったとしたら、あなたがおっしゃるように臨検をやったり、そしてそのような船舶を拿捕する権利まで認めるのですか。それとも臨検だけですか。それはどういうことになりますか。
○角田(禮)政府委員 それも、先ほど佐藤法制局長官の答弁を引用して申し上げましたけれども、自衛のため必要最小限度の範囲内、どうしてもぎりぎりのところそれが必要であるということであれば、理論的可能性としては拿捕もできるという答弁があることを先ほど申し上げたつもりでございます。
○西中委員 拿捕するとなったら、これはただの解釈論だけでは済まない問題になりますよ。防衛庁長官が見えないけれども、外務大臣もよく聞いてもらいたいのです。これは大変なことを言っているのですよ。 それでは、拿捕するということになったら、交戦権の一例であります臨検、そして拿捕までやるということで、そういう踏み込んだ解釈をしたことは、明らかにそれが憲法第九条の交戦権の放棄に違反するとということになってくれば、私は容認はできません。この問題は、そういう意味で解釈問題だけでは済まされないのです。特に交戦権の事例は政府答弁でも明確です。その答弁内容と異なることであれば、私は政府の統一見解を求めなければならぬと考えておる。 そこで、拿捕するというならば、海上で拿捕した船舶、貨物の捕獲の効力を確定するためには、捕獲審検所の検定が必要だというようにされております。このような捕獲審検所を有事の際は特設することまで政府はお考えなのか。先ほどの答弁ならここにつながってくるのですよ。 わが国におきましては、明治二十八年八月の日清戦争のとき、明治三十八年の日露戦争のとき、大正三年の第一次大戦中のとき青島でドイツと戦争の際、昭和十六年十二月十六日の太平洋戦争のとき、こういうものがつくられておる。こういうことにまでつながってくる問題でございまして、単に文言句々の解釈を広げたり縮めたりという問題ではないのです。そこまで政府は考えておるのかどうなのか。臨検を云々されておるということになれば、有事立法の上でもこういう問題もお考えであろうと思いますが、その辺はいかがですか。
○角田(禮)政府委員 その点につきましても、先般の衆議院の内閣委員会で御質問がございまして、外務省の条約局長が御答弁申し上げております。 大変古いことをおっしゃいましたわけですが、その答弁を申しますと、「旧来の戦時国際法でございますと、それは没収、それから船体も捕獲審検にかけまして没収というようなことになったものだと思いますけれども、ただいまのように、交戦権の行使としての、交戦国の権利としてのものとは考えられず、自衛権の行使としての一つの態様でございますので、」と、つまり自衛権の行使としての角度から考えておりますので、「その間におきましてどのような手続が正当なものであるかということについては、国際法は定めたものはございません。ただし、あくまでも自衛の範囲内においてどうしてもその船舶を拿捕しあるいはその戦時禁制品というものを没収することが必要であるということが立証されますれば、それをやることも必ずしも自衛権に関する法理の上から言いまして不法であるということは言えないと思います。これはまた状況によると思います。」、こういう答弁をしております。 なお、先ほど私が申し上げたことで、普通の意味の拿捕とかそういうことがそのまま自衛権の名においてもできるというようなことを申し上げたわけでは決してございませんので、その点は、中立国の船舶の臨検ができるというそれは、そのままの形でできるというふうにはおとりにならないようにお願いいたしたいと思います。
○西中委員 だからこそ、具体的に、どういう場合で、どういう規定で、どういう範囲で、何を基準にしてやられるか、もう一遍お答えください。
○角田(禮)政府委員 先ほど一般論として申し上げるほかないということをお断りした上で、若干の具体的な基準を申し上げました。自衛のため必要最小限度という枠の中で、具体的にどういう場合にどうできるかというようなことについては、これはなかなか申し上げにくいことだと思います。
○西中委員 そうすると、有事立法の中ではこれは研究対象になっておりますか、どうでしょうか。
○塩田政府委員 現在防衛庁が研究しております有事立法の中では、いまの御指摘の項目は取り上げておりません。
○西中委員 時間も参りましたが、いまのこの自衛権の行使、最小必要限度の中において臨検ができるなどというような解釈は、憲法の基本的な解釈から申しましても、私はまことにおかしな解釈であるように考えております。 時間も参りましたのでこれで終わりますけれども、この点についてはもう一度法制局なり政府なりにおいて検討していただかなければ納得できない問題である、このように指摘をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○坂田委員長 次に、吉田之久君。
○吉田委員 先ほど外務大臣から、今度のアメリカ原子力潜水艦の日昇丸に対する衝突事故に関しまして、現時点における報告の意味での御発言があったわけでありますけれども、さらにこの問題につきまして若干御質問をいたしたいと思います。 まず初めに、こうした予期しない事故、しかしこの事故は現に日米間にとりましてきわめて重要な問題になってきていると思います。特に両国の国民感情そのものに触れる問題でもありますし、また、将来は両国間の防衛問題の根幹にも触れる事故であると思うわけであります。こういう事故が、好まないことではありますけれども、今後もときに発生しないとは言い切れないと思うのです。 そこで、こういう事故が起きた場合の内外への措置の仕方でありますけれども、こうした場合には何とか窓口を一本にして対応する必要があるのではないか。アメリカに対しては外務省がいろいろと折衝される、また報告もある。国内に対しては海上保安庁がその任務を果たす。防衛庁は、まあ直接はタッチしないと申しますか、なるべくサイレントの立場にいらっしゃる。もしもこれが領海内で起きた問題であるならば、防衛施設庁が担当すべき問題であるかと思うわけであります。それはそれなりにわかるわけでありますけれども、やはり国民にとりましても、国際的ないろいろな問題を早期に解消するためにも、私は、こういう不幸な事態が起きたときには何か特別なチームを臨時的につくって、そこで一切をコントロールしながら、最もタイムリーな措置と交渉を続けていかれるべきではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○伊東国務大臣 何か窓口を特別なものをつくったらどうかという御意見でございますが、外国との関係であれば外務省が窓口になって連絡をするということは、これはもうあたりまえのことでございますし、国内の問題では、調査は海上保安庁が中心になっておやりになるということは、これはまた当然でございますので、その間の連絡を密にすれば、特別なチームをつくるとか、何かそういう機構みたいなものを考えるとかいうことをしなくても、対処できるのではないかというふうに私は思うわけでございますが、先生のそういう御意見あるいは今度のことをやってみた経験等を踏まえまして、何かそういうものが必要かどうかということは後で検討させていただきたいと思います。
○吉田委員 後でもいろいろ個々に触れてまいりたいと思うわけでございますけれども、たとえば当時の現場における気象条件はどうであったか、先ほどの外務大臣の御答弁でも、それは海上保安庁に聞いてほしい、私はまだ報告を受けていない、こういうことでございました。こういうことでは、私は間にも合わないし、国民の疑惑あるいはいら立ちというものがますます大きくなるおそれがあると思うのです。したがって、やはり統合的な集約、そしてきわめて統一的な解釈と判断、こういうことが私は当然必要になってくると思うわけであります。いま大臣からもお話がありましたけれども、今後こんな事故がしょっちゅうあっては困るわけでありますけれども、しかし万が一こういう事態が起こった場合には、政府としてももっと一元化した強力な対応ができる組織、体制をとるべきではないか、私はそう思いますので、初めに強くそのことを要望しておきたいと思うわけであります。 次に、各委員からもすでに何回か御質問があったことではありますけれども、なぜこのジョージ・ワシントン号が浮上するときに日昇丸を探知できなかったのであろうか、という問題でございます。 わが国には原子力潜水艦はないわけでありますけれども、しかし一般の潜水艦はいま逐次整備の状況にございます。もしも一般の、たとえばわが国において潜水艦が浮上する場合にこのような事故はあり得るかどうか、まずその辺からお聞きしたいと思うのですが、これは防衛庁の方からお願いします。
○塩田政府委員 一般に潜水艦が浮上しようとする場合に、ソーナーを使いまして、海面上の音響につきましては当然のことながら十分な注意を払うわけであります。また、いよいよ海面に出ますときにも、潜望鏡等も使って、さらに周囲の海面の状況はよく調べるべきものであります。自衛隊の潜水艦としましては、当然そういうことについては十分注意を払っておるつもりでございますので、私どもは万々そういうことはあり得ないというふうに考えておるわけであります。
○吉田委員 ならば、なぜこのアメリカの原潜に限ってこのようなことがあり得たのか。まあ、われわれの想像いたしますところ、このポラリス潜水艦というものは最新鋭の電子機器を備えたものであるはずであります。また、水中音波探知機と申しますか、ソーナーのようないろんな機能も十二分に備えているはずであります。それが戦時中ならばいざ知らず、どうせ訓練中のことでありますのに、他国の貨物船にぶつかるというようなへまをやるというようなことは、とても常識では想像できないわけであります。この辺につきまして、技術的に現時点において防衛庁はどういう分析をされ、またどういう疑問を持っていらっしゃるか、もう少し国民の前に明らかにしていただきたいと思うのです。
○塩田政府委員 先ほどもお答えしましたようなことでございますから、潜水艦が浮上する場合にどうして今回のような事故になったのか、正直に申し上げて私どもも一番疑問に思っている点であります。 これ以上、いまの時点でどういうことであろうかということをいろいろ推測してみましても、想像になりますので、いまの時点では何とも申し上げられませんわけですが、私どもも最も疑問に思っている点でございますので、いずれ米側から詳細な報告があるものと期待をしているところであります。
○吉田委員 向こう側にとっても結構恥ずかしい話だとは思いますけれども、しかし、いま局長からもお話がありましたとおり、その辺のきちんとした、失敗は失敗としての報告が明らかにならない限り、私はアメリカが日本にこの事故に対して報告したということにはならないと思うのです。これがまず原点と申しますか、第一歩だと思います。外務大臣は、その辺につきまして、なおかたい決意で問いただしていただきたいと思うわけであります。 特に、最近いろいろな新聞や雑誌などを読んでおりますと、潜水艦は自分の上にどのような艦船が動いているかぐらいは当然探知できるはずでありますのに、たまたま日昇丸にぶつかった、ということは、日昇丸の上にあえておらなければならない、そういう理由があったからではないだろうか。いろいろと訓練中にP3Cから磁気探知機などで潜水艦の位置を当てようとする、それに対してどう逃げ隠れするかということは、潜水艦の一つの重要な機能だと思います。 私はそういう意味で、この現地はそんなに海深の深いところではございません。したがって、何か上に浮かんでいる船の下にでももぐる、言うならば、コバンザメのように下に張りつくことによって上からの探知を免れる、そういう訓練をしておったのではないかという説があります。私はこの辺の説はかなり信憑性があると申しますか、あるいは想像可能な一つの説だと思うわけでありますけれども、そのようなことの訓練をしておったということは考えられませんでしょうか。
○塩田政府委員 あるいは一つの推測としてそういう考え方も成り立つのかもしれませんが、私どもいまそれを、私どもの立場から見ても、そういうことはあり得るというふうにまで申し上げられるだけの考え方を持っておりません。そういう推測は一つの推測として、私どもとしましては、いまこの時点でその推測に対するコメントは差し控えたいと思います。
○吉田委員 事情、お立場はわかりますけれども、しかし、一つの推測として、何かやはりそんな理由があったのではないかというような気もいたしますと同時に、私たちが一方において、そのことにまた一つの疑問も感ずるわけなんです。 と申しますのは、ポラリス潜水艦の方は六千八百八十八トンでございます。日昇丸の方が二千三百五十トン、まあトン数だけからその大きさを判断することはなかなか困難ではありますけれども、常識的に考えて潜水艦の方が大きいわけです。そういう大きい潜水艦が小さい貨物船の下に隠れるということも、ちょっと「はてな」というふうな気がするわけなんでございますけれども、こういう上から察知されないためのいろいろな訓練をする場合に、このような事態は一般論としてあり得るか、日本の自衛隊の場合にはいかがでございましょうか。
○塩田政府委員 一般論としてあり得るか、あるいは日本の自衛隊の場合にどうかというお尋ねでございますが、ちょっと私、そういう点の知識を持ち合わせておりませんので、いまお答えはいたしかねます。
○吉田委員 だれか、そういう知識を持ち合わせの方はいらっしゃいませんか。
○塩田政府委員 ちょっと技術的な問題で、すぐいま問い合わせてみますけれども、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
○吉田委員 それから、なお聞いておきたいことは、日本の場合もそういうことの訓練がなされるとして、あるいは日本でまだしていないかもしれませんけれども、恐らくアメリカではしているのだろうと思いますが、そういうことが終わった後で、いわゆる上の方で偵察しておるたとえばP3Cとその潜水艦とがいろいろ交信するということはあり得ますか。 と同時に、この交信というものは、潜水艦の場合はただ一方的に受けるだけだということも私どもは聞いておりますけれども、相互交信なのでしょうか、ただ黙って受けるだけなのでしょうか、黙って受ける場合には必ず洋上に浮上しなければ受けられないのか、あるいは水面下十メートルぐらいのところで十分受信が可能なのか、この辺いかがなものでしょうか。
○塩田政府委員 今度のジョージ・ワシントン号のことでなくて、一般的に潜水艦の性能として申し上げれば、潜水艦は御承知のように隠密行動をいたしますから、一方的に受信するだけの状態が普通であります。しかし、自分が発信をしたい場合には、水面に出ないと発信できません。ただし、自分が受信するだけであれば、水面近くに上がってくれば、必ずしも水面上に顔を出さなくても受信ができます。その場合、いま十メートルぐらいとおっしゃいましたが、何十メートルぐらいで受信ができるのかは、これは各国とも公表していないというふうに存じております。
○吉田委員 それで大体わかりますが、だとするならば、今度日昇丸のところへ不用意にも浮上してきたというのは、やはりポラリスの方から上空に飛来しておるP3Cと連絡したい、発信したいという、そういう理由があったのでしょうね。そうでなければやにわに浮上するということはあり得ないでしょうね。
○塩田政府委員 ポラリスの場合、自分の居場所を秘匿するというのが生命でございますから、自分の方から発信するということはちょっと常識的には考えられないと思うのですけれども、しかし、今度の場合に、御指摘のように飛行機との間に何らかの連絡をしようとしたのか、それはちょっと推測になります、私ども何とも申し上げられませんが、一般的には、ポラリス側から発信しようとすることはまあ常識的には考えられない、というのが私どもの感じでございます。
○吉田委員 秘匿するのが生命ではありますけれども、それは本当の戦闘状態のことでありまして、訓練中であるならば、これはいろいろとそういうデータを報告したり、あるいはこれで十分隠れ得たかどうかというようなことを聞いたりすることも必要ではないかと思うわけであります。いずれにいたしましても、なぜ浮上したかという問題、この辺も外務大臣、やはり問題のかぎを解く一つの重要なポイントだと思いますし、また国民もぜひともその辺をはっきりしてもらいたい、そうでないと、何らの意味も目的もなしにただ浮かんだり沈んだりむやみやたらにやられたのでは、これは危なくてしようがないわけでございますね。なぜそういう接触状態にあったか、なぜ浮上したか、この辺は当然アメリカ側から明らかにされるべき事項だと思いますが、そう判断してよろしいでしょうか。
○伊東国務大臣 再発防止ということからも、なぜこういう事故が起きたかということを、私は真っ先に照会といいますか話を切り出したのでございまして、国民の皆さんもそういうことがわからなければ納得できないわけでございますので、マンスフィールド大使にも何回も、なぜこういう事故が起きたかということははっきりしてもらいたいということを言っているわけでございまして、十八日の一番新しいところで会ったときにも、そういうことはまさにアメリカの調査の核心なんだということで、調査の結果真実がわかれば、これは日本にも伝え、隠蔽はしないということでございますから、私どもは、この事故の原因というものが国民の皆さんに納得されるような説明があるものと期待しているわけでございます。
○吉田委員 大体いつごろぐらいにその種のきちんとした報告はあるとお考えでしょうか。今度総理の訪米前になされるはずだと先ほどの御報告でもありましたけれども、それは期待したいことではあります。しかし、物理的にあと十数日間で、その辺のところまでが克明に報告されるという自信をお持ちなのでしょうか。
○伊東国務大臣 私が十六日の晩でございましたか、ロング米・太平洋軍司令官に会っていろいろ要請をしましたときに、三十日間ぐらいかかるという話があったのでございます。こうやってみますと、首脳会談までにそれは出ないおそれがあるのではないですか、やはりもっと早く聞かなければ、私は首脳会談の前に、そういうことがわからないで首脳会談に行かれるということは、総理としても不本意だろうと思いますので、なるべく早くということを言ったのでございますが、その二日後に大統領から来ました親書は、鈴木総理がワシントン訪問の前に、双方の要請を満たす十分な進展が見られることを非常に期待しています、こういう大統領の親書でございますので、総理も言われたと思うのでございますが、ロング司令官に会ったときに、なるべく早くということを要請したのに対しまして、それから二日後にこういう大統領の親書が来ておりますので、私は、総理の行かれるまでにそういう報告があるものということを期待しておるわけでございます。
○吉田委員 そうあることは大変望ましいことだと思います。しかし、そういう先ほどの報告、そしていまの外相の見通しをお述べになりましたこと、それがあるだけに、もしもこれが、総理が訪米したときにもなおあいまいもこたるままであったとするならば、私は日米間に非常に大きな悪影響を起こす、むしろそれを増幅する懸念があると思います。したがって、せっかくそういうことがいま申し述べられているところでございますから、ひとつ外務大臣としても、両国のためにも日本国民のためにも、これを本当に責任を持って、いまおっしゃるとおりの納得できる報告と措置が、その時点までになされることのために全力を挙げてもらわなければならないと思うわけでございます。 特に私どもが心配いたしておりますのは、たとえば十一日の午後オコーネル大佐が、もっと小さな事故でも調査に数週間かかるのだというふうなことをその時点でおっしゃっているわけでありまして、いまのような姿勢ならば、かなりこの問題は大きい事故でありますけれども、スピードを上げて調査されることだと思いますけれども、三十五時間もたたなければわが国に対して通報さえされなかったという現状ないしはその仕組みを思いますときに、非常に危惧をいたしているわけであります。特に外務大臣の強い御英断、そして御努力をお願い申し上げる次第でございます。 一方、わが国内におきましても、その後の措置は、私は決して完璧になされているようには思えないわけであります。先ほども触れましたけれども、当日の視界は果たして不良であったかどうか、雨と霧によって視界が不良で、とても救助できなかったというふうにアメリカが申しておるようでございますけれども、それは、その救わなかったことをつくろうための一つの作文ではないだろうか。海上保安庁は視界は二キロ、海難救助できないような風波の状態ではなかったというように言っておるはずでございます。しかし、一方、先ほど外務大臣は、その後海上保安庁からの詳しい報告はまだ聞いていないというようなことでございます。その辺もやはりぐらぐらしていると思うのです。 私はここで、日米相互間、問題は確かに大きゅうございますけれども、お互いに気を使い過ぎ、遠慮をし過ぎて、事実はそうであっても言わない方がいいだろうかと思って、わが方自身がそれをかくまっているというようなことが続くとするならば、問題を解決することにはならないと思うのですね。その点、いかがでございましょうか。
○伊東国務大臣 この前、海上保安庁の政府委員が答弁しておりましたのは、乗組員で救助された方から一人一人聞きました、そのときの乗組員の話ではということで、視界が二千メートルでございましたか、ではないかということの報告をしておられるのを聞いたのでございますが、それは乗組員の助かった人がそう言っていたということの報告であったように私は記憶しておるわけでございますが、まだ正式に海上保安庁から報告をもらってはおらぬわけでございます。ただ、それは、調査の結果をつじつまを合わすとかうやむやにするとか、そんなことは毛頭考えておりませんで、日本側は、海上保安庁が最終的な、権威を持って調査をされるわけでございますし、アメリカから報告がありましたものと最終的には突き合わせてみる必要は当然ある、こういうところが違う、こういうところが違うじゃないかということを言って突き合わせてみる必要がある。いま、日本側でそれを突き合わせてどうする、適当な報告をつくるとか、そんなことは海上保安庁も考えておられませんし、外務省も毛頭そういう態度でなくて、マンスフィールドさんも、真相は日本に伝える、隠蔽はしない、うやむやにしないということを言っておられるわけでございますし、日本側としてもこれは当然な態度でございまして、是は是、非は非としてこの問題に取り組んでまいります。
○吉田委員 私は、特に外務大臣に、アメリカに対して最もはっきり問いただしていただきたいと思います点は、要するに天候不良で、沈没しようとしている日昇丸を確認できなかったのかどうか。 これは、海上の気象状態というのは千変万化いたしておりますから、第三者ではなかなか断定は下しがたい問題ではありますけれども、要するに沈没しているとかぶつかったということ、ぶつかったということぐらいはわかったと思いますけれども、沈没しているということが全然わからなかったのかどうか、あるいは、わかったけれども、そういう諸条件の中で、気象条件の中で、とても潜水艦としては救助できないと見たのか、これが一つ。いま一つは、救助はできるんだけれども、先方は機密の最も高い原子力潜水艦でありますから、それは救助したくても救助できなかったのか。この辺がはっきりしませんととても問題は解けないと思うのです。 私どもが心配いたしますのは、原子力潜水艦なるがゆえに、関係者以外には、どのような事態でもその潜水艦に乗艦させる、甲板の上に乗せるだけでも、船の上に乗っけるだけでもそれはできないんだ、こういうおきてのもとに行動している原子力潜水艦なのかどうか。しかし、それとても、戦時中と訓練中とはこれまた事情が違うはずでありますし、あるいは、自分で救助できないならば、やはり人命は何よりもとうといはずでございますから、すぐに他に応援を求めるとか、そういう措置がなされなければならない。何段階かの措置があったはずなんです。それが何もなされなかったということは、一体何なんだということなんですね。
○伊東国務大臣 最初の報告のときに三十何時間たっていたというので、どうしてそういうふうにおくれたのかというごと、浮上したが雨と霧で船体あるいはゴムボートに乗ったという人が見つからなかった、飛行機も上を飛んだが見つからなかったという報告があるわけでございます。努力はしたが見つからなかったという報告がございますので、その日の気象条件その他も海上保安庁で調査をしておられましょうし、向こうからそういう報告があったが、どうもそれだけでは日本人としてはわからぬ、特に海の乗組員の道徳として、海難救助、人命救助ということは、条約にもそういうことをするような国内法をつくるようにということを言っておるわけでございますし、それだけではよくわからぬから、人命救助にどれだけ努力をされたのかということもはっきりしてもらいたい。なぜ起こったか、なぜおくれたか、人命救助の努力いかん、それと、補償の問題とか善後処置をちゃんとしてもらうというようなことをすぐに言ったわけでございまして、まさに最初の、なぜ起こったか、なぜおくれたか、人命救助がどうあったかということは、向こうも調査の核心だという言葉で、核心だ、こう言っておるわけでございまして、そういうことが、いずれ責任者の問題が出てくるときの証拠になる、軽々にそういうものに予断を与えるようなことの中間発表はできないけれども、しかし異例のスピードで調査している、「異例のスピード」ということも大使は言っておったわけでございまして、真実が出たらそのまま伝えるということを言っておりますので、いま吉田さんのおっしゃったようなことは、日本からも、最初のときから、その調査をはっきりしてもらいたい、国民が納得するように調査をしてもらいたいということを向こうに伝えておるわけでございます。
○吉田委員 その辺の重要な諸点が、お互いに調査しなければならない核心に触れる問題であるということが相互に確認されておりますことは、私は大変大事なことだと思いますし、何と申しましても、人命尊重を国是とする最もすぐれた国家の一つがアメリカだと私は信じておりますし、そうでなければわれわれのパートナーになり得ないと思うのです。それがなぜ、このようなことのままで再び海底に沈んで、そのままどこかへ行ってしまったか、どうしてもその辺がはっきりしないと、これはいささかも問題は解決しないと思うのです。 外務大臣が少しお出になるようでございますから重ねてお聞きいたしますが、同時にその補償の問題であります。先ほどの御発言によりますと、マンスフィールド大使は「調査とは切り離して迅速に補償問題について処理を進める旨述べられたところであります。」、こうなっております。大いに切り離すべきは切り離して、当面の具体的な措置をどうするか、補償をどうするか。しかし、そのことは報告をおくらせる理由にはならないと思うのです。しかし、調査というのはいろいろと微細な点にわたってはなかなか時間もかかることだろうと思います。したがって私は、どうしても総理が訪米されるまでにまず補償問題はおおむね解決の答えが出なければならない、それからこの調査報告につきましては、いま申しましたような基本的な問題については明らかにならなければならない、そうでなければ、今後の日米関係あるいは日米安全保障そのものにつきましても非常に支障を来す種火になり続けると思いますので、その辺の決意を再度お伺いしたい。特に、補償問題と調査とは切り離される可能性があるのかどうか、補償問題が総理訪米前に解決する見通しと自信を外務大臣はお持ちなのかどうか、承っておきたいと思います。
○伊東国務大臣 補償が終わったから調査はもういいんだということでは全然ございませんで、それはもう別個にそれぞれやってもらうわけでございます。補償のことはすでに代表の弁護士さんを通じて話し合いが始まっておるということでございますので、私は、この問題も、総理がおいでになる前に大体の目鼻がついているということが望ましいということは、吉田さんと同じ考えを持っております。
○吉田委員 次に、防衛庁長官にお伺いをいたしますけれども、特にこの原子力潜水艦が弾道ミサイル潜水艦、いわゆるSSBNだったのか、あるいは核魚雷を積んで攻撃型の原子力潜水艦として任務を変え改造されたもの、いわゆるSSNであったのか、この辺もかなり気になるところであります。問題になるところでありまして、この辺につきまして現時点でどう判断なさっているか、あるいは、今後この問題について確かな確かめ方をなさろうと努力なさっているかどうか、お伺いいたします。
○岡崎政府委員 外務省に入りました情報その他によりまして、おおむねこれはSSBNであろうというふうに考えております。
○吉田委員 それはそれで承っておきましょう。いろいろ今後の問題の一つの要素になってくると思いますが、それはそれとして、四月十日に奄美大島の訓練を終えて佐世保に向かっていた護衛艦が、たまたまこの日昇丸が出した信号弾を発見して救助した、いまのところこうなっておりますし、わが国の発表ですから間違いないと思うのですが、ということは、この時点まで、わが国に対してアメリカ側から、人命救助のために何らかの措置をとってほしいというような連絡要請は、全くなかったということもはっきりしているわけですか。
○大村国務大臣 そのとおりでございます。
○吉田委員 それがそのとおりだとするならば、わが国の防衛庁の責任者として、きょうまでにアメリカに対して、われわれパートナーシップを堅持しておる日米間において、こういう事故があった場合に、なぜ日本の自衛隊に救助、応援の依頼ができなかったのかということを問いただされたことはございますか。ないしは、私は当然抗議してもいいと思うのですけれども、そういう措置はとられましたか。
○大村国務大臣 救助しました乗組員が、どうも潜水艦が付近にいたのではないか、ということを申していることを聞きましたので、これは発見したのは十日の午前四時半ごろですから、救助したのが五時ごろ、また、救助した船員がそういう話をしているということが海上幕僚監部にも届きましたので、それを受けた後、まずわが方の潜水艦ではないかということを調べましたところ、そういうことはないということでありましたので、念のためアメリカの在日米軍の方に、ひょっとするとあなたの方の潜水艦があの付近におったのではないか、ということを問い合わせたことはあるわけでございます。ところが、問い合わせたのはたしか八時半ごろと聞いておるわけですが、十時ごろ一応の答えが参りまして、その時点ではアメリカの潜水艦はその付近に行動計画はないように承知しておるが、なお調べてみる、こういうことであったわけであります。最終的に、米潜水艦が関係しているということはその日の午後十時ごろ、在日米海軍から海上自衛隊の幕僚監部の方に連絡があったというのが、防衛庁として承知しておる事実の主な経緯でございます。
○吉田委員 率直な報告を聞きまして、私はそれでいいと思います。しかし、そういう措置をとられた防衛庁として、それはやはりある面で国民に非常に信頼を与えたと思うのです。同時に、わが方の潜水艦ではなかった。アメリカも頼りないもんで、ないと思うけれども、あったというようなことなんでしょう。人命救助のために、自分でできなければできないでいいから、なぜ自衛隊に要請しなかったんだ、あるいは海上保安庁にすぐに打電しなかったんだ、やはりこの辺のところはよほど強く念を押していただいておきませんと、国民が、わが国の防衛庁や自衛隊というのは何かアメリカに気を使っているだけの存在なのか、というような誤解を持ってはいけないと思うんですね。私は、こういう悲しい、不幸な例ではありましたけれども、そんなときにでも、やはりわが国の自衛隊というものは毅然たる態度をもって国民の信頼をつなぎとめる、頼りがいのあるそういう存在なんだということを明らかにしていかれることが、非常に重要だと思うわけでございます。 それから、外務大臣がいらっしゃいませんのでちょっとその辺を飛ばしましてお聞きいたしますけれども、いま防衛協力のガイドラインに基づく具体的な協力体制を研究しておられるときですね。にもかかわらず、米海軍からわが国の自衛隊に対していまのような報告の仕方、あるいは即座に通報されたことは全くなかったというようなこと、こんな情報伝達体制では、今後本当に両国間の十分な協力体制を組んでいくことに私どもは非常に大きな不安を感ずるわけなんです。防衛庁長官としてはどうお考えですか。
○大村国務大臣 わが国の防衛の基本の柱の一つが安保条約の堅持であるわけでございますから、日米間の平素からの連絡を緊密に図ることは御指摘のとおりであると思うわけでございます。現在ガイドラインに基づく研究を進めておりまして、その一環としまして情報の事項も掲げられているわけでございますが、残念なことにはまだその点が十分進んでおらないわけでございます。今後はそういった点につきまして一層努力してまいりたい、さように考えている次第でございます。
○吉田委員 海上保安庁、お見えですね。 海上保安庁は、日本近海におけるわが国の航行中の船舶の動きを逐一全部把握なさっておりますか。
○野呂説明員 動静を把握いたしておりません。
○吉田委員 動静を把握いたしておりませんのですね。それで海上保安の任務は果たせるんでしょうか。今後においても、このような事故が仮に起こったとしましても、全然保安庁の方は盲目であって、ただ連絡があれば助けに行く、やはりしょせんその程度のことしかできないんでしょうかね。どうなんでしょう。
○野呂説明員 海上交通の安全を担当する海上保安庁といたしましては、動静の把握は必要と考えております。 御承知のように、アメリカの沿岸警備隊には海難救助を目的といたしました船位通報制度がございますが、海上保安庁も、今回の事故にかんがみまして、今後海難救助体制の整備の一環として、一刻も早く同様な制度の導入をいたしまして、日本船舶の動静を把握し、海上交通の安全を確立する体制を整備いたしたいと考えております。
○吉田委員 現状は大変お寒いようでございまして、こういう問題が起こってまいりますときに、われわれは改めて、海上保安庁自身がやはりもっと機能できるそういう万全なものにならなければならないと思うわけでありまして、一層皆さん方のそういう努力、決意も促したいと思いますし、これはまた、われわれ自身も考えなければならない問題だと思います。 次に、防衛庁にお聞きいたしますけれども、海上自衛隊は、アメリカの第七艦隊の所属の艦船の動きというものを十分把握なさっておりますか。
○塩田政府委員 第七艦隊の動向でございますが、アメリカ側からいろいろな時期に発表がございます。たとえば、いま機動部隊がインド洋に行っておりますとか、西太平洋に帰ってきたとか、そういう発表がございましたときあるいは日米で共同訓練をするようなとき、そういうようなときには当然連絡がありましてわかるわけでございますが、一般には把握しておりません。 それから、この機会に先ほどの御質問に答えさせていただきますが、飛行機から潜水艦を捜す場合に、海面を走っておる船舶の下に潜水艦がもぐった場合にその捜索がどうなるかというお尋ねだったと思いますが、二つ方法がございまして、御承知のように一つはソノブイでございますが、ソノブイをおろして音を聞いて発見をするという場合に、潜水艦の航走音と、当該海上を走っておる船の航走音とが紛れ込みます。したがいまして、その意味では紛れ込みになるわけですが、後で分析すればわかりますので、その点では隠れても余り効果がないだろうということが一つ言えます。 それから、もう一つの方法でございますが、磁気探知でございます。磁気探知では、少なくとも理屈の上では、ちょうど真下に入れば隠れることができるという効果は考えられます。これは全く一般論としていまお答えをしたわけで、今度の場合そういうことをしておったという意味ではもちろんございませんが、一般論としてはそういうふうに言えるのではないか。 なお、念のために申し上げますが、もちろん海上自衛隊の場合におきましては、安全上の配慮から、決して海上航走中の船舶の下に入ってはいけないということを厳重に注意しているところであります。
○吉田委員 いろいろと、海上保安庁に対しましても、あるいは防衛庁に対しましても、そのわが国の近海を航行している船舶、艦艇、あるいはさらに大きくはアメリカ第七艦隊の動向、この辺もよほどしっかりと把握いたしておりませんと、わが国の防衛、あるいはシーレーンを守ることの協力体制ができないと思うわけでありまして、この機会にひとつ、一層その方につきましても努力を払われるべきだと思います。 問題を変えまして、今度の反戦自衛官小西三曹の問題でありますけれども、この新潟地裁の判決は無罪判決でありました。それの控訴期限が四月十日であったと承知いたしておりますが、控訴されなかったように思います。なぜ控訴しなかったのか、その理由につきまして、法務省と防衛庁長官の双方から御意見を承りたいと思います。
○川崎説明員 ただいま御指摘の、いわゆる佐渡自衛隊事件につきましては、去る三月二十七日、新潟地裁におきまして無罪の判決が言い渡されたのでございます。この判決に対しまして、控訴するかどうか、検察当局におきましていろいろな角度から慎重に検討を続けてまいったところでございまして、今回の判決の法律解釈あるいは適用等に関しまして、承服しがたい点も少なくなかったのでございますが、本件の事案の内容、また本件発生以来の社会情勢の大きな変化、さらには、本件は一度高裁に係属しながらその後差し戻されたという特殊な事情もございまして、今回の一審判決まで十一年もの長い期日を要したということ、このような事情を総合考慮いたしまして、最終的にはやむなく控訴を断念するに至ったものでございます。
○大村国務大臣 お答えいたします。 防衛庁としましては控訴を期待しておったのでございますが、ただいま法務省の当局から御説明のあったような理由で不控訴と決定したのは、残念ながらやむを得ないと考えております。 今後どうしたらいいかという点でございますが、私どもとしましては、当時の特殊な雰囲気のもとに起こった本事件について、無罪判決が確定したからといって、規律を生命とする自衛隊にあって、この種の行為が許されてしかるべきものではないと考えております。 今後万一この種の事案が再発した場合には、行政処分はもとより、刑事における処分につきましても、今回の判決を参考に、関係省庁と緊密な連絡をとりながら、厳正に対処していくという方針には変わりがないということを申し上げておきたいと思います。
○吉田委員 ちょっと私どもにはよくわかりません。防衛庁長官は、今度こういう判決が出たことを大変不満となさっているわけですね。それはいろいろコメントが出ております。したがって、検察当局としては当然控訴してくれるものと期待しておった、ところが控訴されなかった、やむを得ません、そんなことで、今後この自衛隊の中の考え方の統一を図り、自衛隊員としてはまことにあるまじき行為をとっておるこういう動きを完全になくしていくことができるんだろうか、大変心配いたしております。私は、検察当局のこの判断、十一年間の歳月の流れはわかります。しかし、そういう歳月が流れたからもういいだろうということにはならないと思うのです。 現に、皆さん方もごらんになっていると思うのですけれども、この中核派の機関紙というのがあるのですね。「市ケ谷駐屯地兵士委員会結成さる」「市ケ谷兵士委員会結成の革命的意義」、そしていろんなことが彼ら流に書いてあるわけでありますけれども、その見出しには「日帝」というのですから日本帝国主義のことなんでしょう、「日帝・自衛隊の中枢に創設」、この委員会を創設して「内乱・内戦−蜂起の最先頭へ」立つんだ。これは十一年前の新聞じゃないのですね。一九八〇年の十月十三日の新聞なんです。現にやっぱりこういう動きがあるわけなんです。しかも、今度この無罪という判決が出て、国が控訴しなかったということで、彼らは大いに自信を持つと思います。おれたちが正しかったんだ、だから一層やろうではないかという動きにならないとは、だれが断言できるでありましょうか。 一方、こういう動きがもしも今後とも組織的、持続的に出てくるとするならば、それに呼応して右翼の方も、それならばおれたちも自衛隊の中にそういう組織をつくろう、それは言論、表現の自由なこの国においては許されることなんだ、現に中核派でも認められたではないかというようなことになって、わが国の自衛隊の中に右翼と左翼がそれぞれ組織を形成し、それがある日に衝突したら、一体わが国の自衛隊はどうなるのか、わが国の防衛はどうなるのかと思いますと、まことにはだ寒い思いがするわけであります。 したがって私は、重ねて防衛庁長官の今後の決意を促したいと思いますし、また法務省側としても、この問題は控訴されないにしても、今後紛らわしき問題があるならば、どのような長歳月を要する問題であろうとも、断じて黒白をつけるという姿勢を堅持してもらわなければ示しがつかないと思うのでありますが、いかがでございますか。
○大村国務大臣 先ほども申し上げましたように、規律を生命とする自衛隊といたしましては、この種の行為が許されることは決してよろしくないと考えているものでございます。 今後この種の事案が発生しました場合におきましては、関係法律に照らして、懲戒処分はもとより、刑事上の処分につきましても、関係省庁と緊密な連絡を図りながら、厳正な処分を求めていく考えでございます。
○川崎説明員 検察といたしましては、小西の行為は自衛隊法六十四条に当たるとして起訴したのでございますが、本件につきましては、具体的事件の適用の場において裁判所と見解を異にするに至ったものでございます。 しかしながら、自衛隊員の怠業的行為を扇動する等の行為に対しましては、今後とも関係機関と十分協議をしつつ、適宜適切に検察権を行使してまいりたい、このように考えております。
○吉田委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。
○坂田委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 外務大臣にお伺いしますが、十八日にマンスフィールド大使と一時間四十分にわたって話をされたと伝えられておりまして、先ほどの御報告でも「主要な問題点は米側調査の核心をなすところであり、また、法律上の手続に従って厳正に調査を行っているので、中間的に関係情報を公開することは困難である旨を詳細に説明いたしました。」と、先ほどそう言われました。これは、私は非常に納得のいかぬ話だと思っています。法律上の手続に従って厳正にやっていくというのは、マンスフィールド大使の話では、たとえば軍法会議とか海事審判、そういう手続についての、要するに乗組員の刑事責任の問題、あるいは軍人としての責任の問題ということを追及するについては、そういう手続をやるのはあたりまえのことなのです。アメリカは法治国家であるからそうするのだということを言ったように報道されておりますけれども、何を言っているかと言いたいのです。そんなものはあたりまえのことなのです。 問題は、被害者である日本に対して非常に異常な状態を起こしているということ、通報もしなかった、救出もしなかった、あるいはそこでの行動自体が何のことかわからない、なぜ事故が起こったのだ、こういうことは刑事責任の問題とは違うのですよ。それに対して「中間的に関係情報を公開することは困難である」というのは、まことに誠意のない、ただの引き延ばしだと言わざるを得ないと思うのです。 当初、三十五時間後にある程度事実について言ってきているでしょう。そして、調査中であるということを言っておったわけですよ。それからすでに一週間たって、まだそういうことを言っている。私は、全く誠意のない態度ではないか、こういうふうに思っているのです。 〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 原子力潜水艦あるいは核兵器関係については、米側は、従来の例でいっても、事故が起こると長い間沈黙する、相手国との協議をして沈黙するというふうなことさえやっているように思うのですが、今日もまたそういう態度をとっておるのじゃないか、そして日本の外務省もそれに同調しておるのじゃないか、そういう感じさえ私は持っておりますが、当然わかっているはずでありますから、なぜ速やかに報告をしないのかということについて、外務省としては積極的に米側に要求をしないのか、この点についてまずお伺いしたいのです。
○伊東国務大臣 東中さんのおっしゃったこと、最初から、私どもは、そういうことを調査して、国民の納得のいくような結果を知らせてほしいということを言っているわけでございますが、十六日はロング司令官、十八日はマンスフィールドさんにまた会ったわけでございますが、その点につきまして、まさに調査の核心だ、われわれが言っていることは調査の核心であり、向こうは、法的な手続によっていまいろいろ調査をしているところだ、そしてその結果によれば、いま東中さんのおっしゃったようなことになるのかもしらぬ、中間にそういうことに予断を与えるということはいかぬので、調査をするから、そして出た真実はそのまま伝えるから、うやむやにするというようなことは考えていない、待ってほしいということと、レーガン大統領からの手紙、これも、首脳会談の前に必要なことは満たす、十分な進展が見られるように自分も期待している、またマンスフィールドさんも、異例なスピードでいま調査をしているので、それを信じて、いましばらく待ってもらいたい、こういう話でございまして、じんぜん日をおくらせてうやむやにしようとか、そういうことは全然私は感じとれなかったのでございますし、ましてや、日本の外務省がそれと一緒になっているというような見方をされることにつきましては、私ははなはだ心外でございまして、何としても是々非々、間違っていることは間違ったとして出してもらう、そして後に悔いを残さぬような決着をして、日米の信頼関係を維持していきたいというのがわれわれの本当の考え方でございまして、最後までそういうつもりでアメリカとは交渉するということでございますので、その点はどうか信頼をしていただいて、いましばらくお待ち願いたい、こういうことでございます。
○東中委員 この調査については、いち早く調査委員会の責任者、潜水艦関係のオーソリティーであると言われるリッチ大佐が任命されたということが報道されました。そしてマンスフィールド大使は、法律的な手続に従ってやるのだ、こう言っている。ところが、調査の責任者であるリッチ大佐は、十三日に日本に来ているのですね。そして、このジョージ・ワシントン号がグアムに着いた十七日になって、軍用機で帰っていっているのです。在日米軍は、防衛庁が最初に連絡をしたときには何の報告も受けていないと言って、何もわからない立場であるということを日本側に表明しているわけでしょう。その日本へ調査の責任者が来ている。そして、ダルトン海軍中佐がそれに付いてきて、弁護団と会い、乗組員との面接の用意を表明している。また、在日米海軍法務担当のリード海軍大佐は、補償問題について交渉に入っている、こう言っておるが、責任問題がはっきりしなければ補償問題なんて解決できる性質のものじゃないじゃないですか。本来そういう性質のものだと思うのです。ところがそれはほうっておいて、すべてが日本に来てやっている、一体これでどういう調査をしているのだというふうに思わざるを得ぬわけであります。 そして、そのときこれがどういう行動をしておったのか、こういう軍艦の行動を直接統合参謀本部議長が、このSSBNとしては特殊な任務を持った特殊な部隊、動く核基地と言われるこういう部隊の行動については、十分把握しているのはあたりまえじゃないですか。そういうことが調査しなければわからないというようなことを言っている。そこらの事故、衝突じゃないのです。一般の海難事件だとして見れば、それは海難審判にかけるまでは最終的な法的な結論はわからぬかもしれない。しかし、それでも概要というのはすぐわかってくるんじゃないですか。これは概要も何も全然わからない、非常に奇妙な状態になっておるわけであります。そういう点について、先ほども言われましたが、十一日にはマンスフィールド大使と会われた、十五日には大河原さんがワインバーガー国防長官と会っている、そして、十六日に総理も外務大臣もロング司令官とも会っている、これだけ会っておって、そういう内容について何にも聞けないのですか。報告をいつするかということについてだけ話をしているように見えるわけでありますが、非常に不可解な状態だと私は思っています。その点、いかがでしょう。
○伊東国務大臣 私も、できれば中間的な概要といいますか、報告でも聞ければということで、マンスフィールド大使、ロング司令官にも話をしたわけでございますが、先ほど言いました、法律等に従っていまやっておるので、いましばらく待ってもらいたい、予断を与えるようなことはこれは避けなければならぬので、結果については、真実は日本にも伝える、うやむやにはせぬ、大統領もそういうことを言っているわけでございまして、首脳会談の前にできれば両方の考え方、希望するものを満たすようなことに大いに期待しているのだということでございまして、私も、それは先生がおっしゃるように、概要がある程度わかればということで話したのでございますが、いま言いましたような理由で、いましばらく待ってもらいたいということでございますので、私は、その善意を信じ、評価し、異例なスピードで調査をやっているということを何回も言っておるわけでございますので、それを信じまして、いましばらく待とう、そして国民の納得のいくような、皆さんの調査結果をもらうということを期待しているということでございまして、日米の信頼関係というものが、本当にこの事件で損なわれないようにということで、お互いに努力をしているところでございます。
○東中委員 リッチ調査責任者が、日本へ来て、十三、十四、十五、十六といて、十七日の朝帰ったようですけれども、四日間もこの重要な時期に日本にいたわけですが、そういうことについては外務省は承知の上で、そして、その人たちがどういう調査をしているのかというようなことについても何らかの情報を持っておられるのですか。何にも知らぬままなんでしょうか。
○淺尾政府委員 リッチ海軍大佐が十三日に来日いたしまして、第七艦隊の関係者と話をしているということは私たちとしても承知しておりますし、さらに十七日にはグアムに飛んで、またグアムで調査を続けているというふうに了解しております。
○東中委員 第七艦隊は、ジョージ・ワシントンと何の関係もないということは明白じゃないですか。グアムの第十五潜水隊の所属じゃないのですよ、ジョージ・ワシントンは。何か、調査委員会の責任者が調べていることが、よそへ行って調べている、何にも知らぬところへ行って調べている、そういう非常に奇妙な状態が起こっている。そこでは、何か政治的な話をしているのではないかというふうなことさえわれわれとしては感じざるを得ぬわけなんですが、その点はどうなんでしょうか。第七艦隊がこれに直接関係しているのですか。
○淺尾政府委員 先方の説明によると、このリッチ大佐の調査報告は、第七艦隊あるいは太平洋艦隊を経て海軍作戦部長に提出されるということでございますので、やはりリッチ大佐は太平洋艦隊に属しておりまして、そういう関係で第七艦隊とも当然この調査の話をするということは、同大佐の任務からして別に不思議でございませんで、そこで政治的な話をしているというようなふうに私たちとしては理解しておりません。
○東中委員 いずれにしましても、事件の、これは事件です、それの調査をやるのに、その当該の事件を起こしたそのものに対する調査でなくて、そのことについて日本の海自が照会したときに、何にも報告を受けていないといったような、そこに行って何を相談をしているというのか、どうも非常に奇妙な状態になっています。 それで、外務省にお伺いしておきたいのですが、北米局長は、一週間前の当委員会で、ジョージ・ワシントンがSSNなのか、SSBNなのかということについて石原委員からの質問があったときに、それはわからない、そして公海で起こったことだから聞くつもりもない、こういうふうに答えましたね。しかし、そのときすでに外務省に渡されておった米側からの応答要領では、当該潜水艦は弾道ミサイル潜水艦であるとはっきり書いてあるじゃないですか。そして、岡崎参事官は、外務省に入った情報では、どうもSSBN、恐らくそうであります、という答弁をさっきしましたね。なぜそういうおかしなことになるのでしょう。
○淺尾政府委員 私が当委員会で御質問に答えました経緯を振り返ってみますと、船名はジョージ・ワシントンということをお答えいたしております。ただ、その前後の質問の過程の中で、この潜水艦がいわゆる弾道ミサイル潜水艦であって、事実その弾道ミサイルを積んでいるかどうかという御質問がございました。それで、型式としては、確かに私たちもジョージ・ワシントンはSSBNということを承知しておりますが、一九八一年度のアメリカの国防報告の中で、このジョージ・ワシントンの型式に属する潜水艦はSSNに改装されるかもしれないというような報告もございますので、現実に当該潜水艦が、仮に型式がSSBNであっても、弾道ミサイルを積んでいるかどうか、そういうことは承知していない、こういうふうにお答えしたわけでございます。
○東中委員 そういうふうには経過はなっていないです。積んでいるか、積んでいないかという質問じゃなかったです。SSBNか、SSNかという形の質問だったと私は記憶しているのです、まだ速記録が来ていないのでわかりませんけれども。しかし弾道ミサイル潜水艦である、それは普通SSBN、こう言うのでしょう。なぜそういう答弁をされないのか。 ところで、そこにポラリスミサイルを積んでおったのか、おらなかったのかということについて、それは特別におろしたということでなければ、どこかの何かの情報ということで変わりつつあるのだということがあったら、攻撃型潜水艦になっておるのだ、SSNになっておるのだったら、そうアメリカが書いてくるでしょう。型がそうであっても、性格が変わってしまえば。そこで、核の所在を明らかにしないということがアメリカの基本的な政策であるということから、その線に歩調を合わせてそういう答弁をされたのだと私は理解しておるのですけれども、アメリカの「デパートメント・オブ・ザ・ネービー・パブリック・アフェアーズ・レギュレーション」、これによりますと、これは一九七四年のものでありますが、核兵器については、事故が起こった場合、これは「アメリカ海軍対外広報方針規則」と言っていいと思うのですけれども、事故の場合は明らかにするということがあるという例外をはっきり規定していますね。「大衆が核兵器装置に事故が発生すると、大きな関心やあるいは当惑をするので、核兵器の事故および事件のための特別な対社会活動の運用規定が用意されている。」とあるわけですが、どういう場合かと言えば、「重大な事故あるいは事件の場合、核兵器あるいは核兵器の部品の存在は公表したり、または確認することができるのは次の場合である。」ということで、「避難が必要な時のように、大衆の安全の利害からみて当を得たものであること。」あるいは「放射線除去チームが大衆の目にふれるような場合で、事故の実際の説明をすれば、大衆が感じている恐れ(不安)や警戒心を鎮められるような場合。」ということが出ておるわけであります。 今度の事件の場合に、海上保安庁が海自から連絡を受けて、十日の午前九時三十分に串木野保安部が放射能調査を決定して、川内原発で器具を借りてその調査に出ていっているのです。海上保安庁、見えておりますが、そうですね。どうですか。 〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕
○野呂説明員 そのとおりでございます。
○東中委員 それと比べまして、相手は核原潜なのです。しかも、日本の近海からすぐ、領海からせいぜい十マイルのところでこういう事故を起こしたということがわかれば、被爆国日本として、非核三原則を国是にしている日本として、そういうことについて本当に敏感に動くべきでありますし、そういうことについての危険性は徹底的に追及する、明らかにする、そして、まかり間違っても、日本がアメリカの動く核基地の基盤にされるようなことのないようにするという立場が、日本政府には必要なのだと思うのですが、アメリカの海軍の規則でさえ、事故の場合あるいは事件の場合は大衆との関係で公表するのだということまで決めておる。これは国会図書館にあるアメリカの規則ですよ。そういうのに対して、外務省のとられた態度というのは、非核三原則を掲げ、唯一の被爆国としての日本の立場からいって、そして、近海でこういうとんでもないことが起こったということについては、私ははなはだ遺憾な態度だと思うわけですが、その点は態度を改めて、事実の究明をはっきりする、そして国民の前に明らかにするということが再発防止のために必要だと思うのですけれども、外務大臣、いかがでございましょう。
○伊東国務大臣 先ほどからお答えをしておりますように、再発防止という意味で、なぜ起こったか、どうして通報がおくれたのだろうか、いま東中さんがおっしゃったような海難の救助の場合の規則が条約に基づいてアメリカにもあるわけでございますから、それとの関係がどうであったかということについて、それから後の処置、補償とかそういう処置につきまして、これは日本側としてはもうはっきり、国民の皆さんに説明のできる調査をしてもらいたいということを要請しているわけでございまして、向こうも、先ほどから申しますように異例のスピードで調査はやっている、真実はそのまま伝える、うやむやにはしない、補償も考えているということの返答があるわけでございまして、私どもとしましては、それはやはり評価して、大統領からも親書がわざわざ来たわけでございますから、それを評価しまして、いま調査の結果を待っているということでございまして、決して、この問題をうやむやにするというようなことは毛頭考えておりません。そういうことをすることによってかえってこれは日米の信頼関係がなくなるわけでございますから、やはり非は非、是は是とした態度でこの問題に取り組んでいくつもりでございます。
○東中委員 真相を明らかにするということでありますけれども、すでに第一報として米海軍がステートメントを出し、それに対して応答要領をこっちへよこしてきている。これはいわば公式の連絡といいますか、回答といいますか、通報といいますか、そういうものだと思うのですけれども、この通報の内容については、その書かれていること自体を外務省は了承しておられるのですか。
○淺尾政府委員 十日の夜に、アメリカの海軍が今回の事件についてステートメントを発表しまして、その際に補足説明資料として、先ほどから問題になっているような点を持った、いわゆる応答要領というものがわれわれの方に参っております。まさにその点はわれわれとしても関心を持っている点でございまして、応答要領でございますけれども、それを踏まえてアメリカ側と、事務的には、たとえば放射能の汚染があったのかどうかとか、あるいは推進機関に損害があったのかどうかということを確かめているわけでございまして、そういう点で、まさにわれわれの関心の点を持った応答要領であるというふうにわれわれは理解して、また、そこでアメリカが述べております、通常の活動に従事した、それ以上の潜水艦の行動については言えないということも、これは当該潜水艦がまさに秘匿性があるゆえに抑止力として働いているということで、われわれとしてはそういう点は十分理解しているところでございます。
○東中委員 それだけじゃなくて、この米海軍省発表のステートメント自体、たとえばこういう項目がありますね。「当該潜水艦は、」これはジョージ・ワシントンのことだと思うのですが、「衝突直後に当該商船に対して救援を提供するため浮上した。しかし、当該商船は霧と雨による視界不良のため視界から消え去った。」、こう書いてますね。これは公式にそう書いてあるのですよ。「視界から消え去った。」、救うために浮上したのだけれども、どこかへ消えてしまった、こう書いてあるのですよ。 そして、応答要領ではどう書いてあるか。「当該潜水艦は、衝突後直ちに、視界不良という条件の下で、当該海域の捜索を行い、」、当該海域の捜索をこの潜水艦が行ったというのですよ。「当該船舶が遭難の様子もないまま航行し去るのを目撃した。」、被害も受けないで出ていくのを目撃したのだ、これがアメリカから来ている公式の通報なんですよ。 北米局長は、参議院でこの応答要領を読むときに、この文書を変えて読んだんじゃないですか。ことさらに変えましたね。これは一体どうなっているんですか。これが事実だと外務省は了承しているのですか。
○淺尾政府委員 まず最初に、参議院で私がこの応答要領を変えて読んだという御指摘でございますが、そのときには、実はこの応答要領についてこれは口頭で参ったものでございまして、私も手元に英語しかございませんでした。その要旨だけを申し上げたわけでございます。 第二の点の、では、いまのような、アメリカ側が十分の救助活動をしているのかどうか、そういう点について了承しているのかどうか、それはまさに先ほどから大臣が答弁されているように、われわれとしても最も知りたい、なぜ通報がおくれたのか、同時に十分な救助活動を行ったのかどうか、そういう点でございまして、その点について再三アメリカ側に対して申し入れをしているのが経緯でございます。
○東中委員 私の言っているのはそういうことを言っているのじゃないのです。アメリカ側の公式の回答は、このステートメント自身によっても、「当該商船は霧と雨による視界不良のため視界から消え去った。」、救援のため上がっていったのだけれども消え去ったのだと言っているのです。こっちは、さらにそれを詳しく言って、捜索を行ったけれども「当該船舶が遭難の様子もないまま航行し去るのを目撃した。」、こう言っているのですよ。実際の日本の被害者側の事実はどうですか。これが、三十五時間たって、そしてアメリカ側が調査をした結果だといって、通告してきたのですよ。これは全くのうそじゃないですか。こういう人命を無視して、そして顧みないだけじゃなくて、真っ赤なうそを言うて、公式文書で日本へ通告してきている。それに対して怒りを感じないのですか。あの被害者の十三人、二人は行方不明になっておる、その人たちの立場に立ってごらんなさい、何ということを言うかということになりますよ。公式の文書ですよ、これは。これに対して何も言ってないのですか。これを了承しているのですか。
○淺尾政府委員 先ほどからお答えいたしておりますように、公式という定義にもよるわけでございますが、これはアメリカ海軍が答えられたときにこういう要領で応答するということでございます。まさに私たちは、海軍のステートメント及びこの応答要領では納得できない点があるわけで、そういう点を含めて真相をできるだけ早く解明してほしい、こういうことを言い続けてきているわけでございます。
○東中委員 これは事実に反するのですよ。言うべきことを言わない、言えない、あるいはいま調査中でまだ言えないのだというなら、これはそれなりに表向き筋が通るのですよ。これは明白に事実と違うでしょう。 その次に書いてあるのも、明らかにこれはおかしいのですよ。「当該潜水艦は、米国の航空機に対し、捜索を行い、商船の無事を確認するよう指示した。当該航空機は、救助を求める船舶又は乗組員を発見しなかった。」、被害者側から言えば、午後まで、夕方までこの飛行機はずっと飛んでおったというのですね。発見しなかったというのは真っ赤なうそじゃないですか。こういう報告が出されたままで、そして何回も外務大臣会うておられるわけです。いままで、ワインバーガー国防長官に大河原さんが会うとか、ロングさんにも会うておる。そういう状態になっておるのに、こんな明らかに事実と違うことを、それこそ公式に一等書記官が外務省に持ってきたのでしょう。それでそのまま済ましておくのですか。 日本の安全と国民の生命財産の安全に対して、こんな一片の、しかもでたらめの通告を受けて、外務省が黙っているというのでは、これはどうかしていると思うのですよ。具体的な事実について追及すべきではないでしょうか。いままで何回も言われておりますよ、それは。三十五時間おくれたのはけしからぬ、救出しなかったのはけしからぬ、だからその真相を明らかにせいと言われている。ところが、こう言っているのですよ、向こうは。うそを言っているんじゃないですか。だから、審判手続において事実を明らかにしなければ、厳格にしなければ無罪になるかもしれぬというようなことを言っているのは、まさにアメリカ側がこういうことを言うてきたからこそ、いまそういうことを言っているのですよ。私は、これを訂正すべきだ、そして真相を明らかにせい、なぜこういう事実と違うことが日本に通告されたのかということを明らかにすべきだということを外務省は言うべきだと思います。いかがですか。
○伊東国務大臣 事実をわからないから聞いているわけでございます。事故がどうして起こったのかという事実もわからない。それから、なぜおくれたかという事実もわからない。海難の人命救助をどうやったかという事実もわからないわけでございまして、それで真相はどういうことなんだ、事実はどういうことなんだということを聞いているわけでございまして、こっちがみんな事実を知っていてでございますれば聞く必要もないのでございますけれども、事実がわからぬから実は聞いているのでございます。 一方、海上保安庁は生存者の方から一人一人話を聞いておられるということでございますので、それは海上保安庁からお答えになってもらいたいと思うのでございますが、向こうから言ってきた事実だけでは、それが本当かどうか、また、それで国民が納得するかどうかということは問題でございますので、それで、事実はどういうことですかということを、なるべく早く知らしてほしいということをいま言っているわけで、アメリカ側も、真実を調べて、それをそのまま語る、うやむやにはせぬということを言っているわけで、われわれとしましては、それだけでは足りないから、事実をはっきりもっと調べて教えてもらいたいということを、東中さん、言っているわけでございまして、それをそのまま全部認めているということであれば何も聞かなくてもいいのだと思うのですが、わからないから、国民に納得がいくように事実を調べてもらいたいということを言っているわけでございます。
○東中委員 これは事実を言うてきているのですよ。言うてきてない、まだわからないから言うてきてないというのだったら、調べて早くせいというのはわかりますよ。言うてきているんですよ。捜索のために飛び回ったんだ、しかし視界外に出ていくというのを確認したのだ、被害を受けたものがないということを確認したんだ、こう言うてきたんでしょう。だから、そうじゃないですよということを当然言うべきじゃないですか。 少なくとも、もうすぐに自衛隊が救難に行って救護しているのですからね。しかも、その救援に行くについては、これは海上保安庁の方で聞き取りをされた範囲で言えば、自衛隊の方ではあらかじめ連絡があって何か捜索をやっているようだからということで行ったんだ、それでチャートにはマルとバツがつけてあって、ここから捜索したのだということを言うていたということが証言に出ているということがすでに言われているわけですが、防衛庁としては何かの連絡を受けて行かれたのではないですか。そして、その会話はちゃんと護衛艦ではテープにまでとっていたということも証言しているということが、海上保安庁の方でこの国会で言われていますね。そういう供述がありますということを言われておるわけですが、防衛庁は、これは防衛庁、自衛官自身がタッチしたことでありますから、その点はどうなっているのですか。
○大村国務大臣 防衛庁の関係しております救助活動を行った経緯を申し上げますと、九州西方海面において、予定どおり訓練を行いながら佐世保に帰投中の第二十三護衛隊所属の護衛艦「あおくも」「あきぐも」は、四月十日午前四時三十分ごろ、下甑島の南西約三十五キロの海上で、十三名が乗った漂流中のゴムボート二個を発見、直ちにこれを救助したものであり、事前に知っていたということはございません。 本件につきましては、海幕等関係部隊に確認したところであります。
○東中委員 救援された人が、護衛艦の「あさぐも」ですかに乗って、そしてそのチャートを見たと言っているのですからね。それを自衛隊の方は、テープはとってある、自衛隊の方でテープをとっていたというのですから、そのテープを調べられたらどうですか。それにはどうなっているかということを明らかにしたらいいじゃないですか。
○塩田政府委員 御指摘の海図の上にマル印、バツ印がついておったという件でございますが、救助をいたしました乗組員の方の証言によりまして、沈没推定地点を海図に記入したものであります。 それからテープにとったという件は、事実テープにとったわけでございますが、救助をいたしましたときに、乗組員の方が長時間にわたって漂流をしておられたわけでございまして、かなり興奮した状態にあったということで、話を聞こうとしましても、十三人の方が一斉に何か自分で思ったことを話をしようとされましたので、一々メモをとるということが大変むずかしい状態でありました。そういうことでテープにとったということでございまして、それは別に他意はございません。
○東中委員 米側からの四月十日の潜水艦の衝突事故というこの通報について、アメリカの太平洋艦隊の事実上の機関紙である「スターズ・アンド・ストライプス」によりますと、米海軍のステートメントは、霧と雨が貨物船を視認するのを妨げた、一方、潜水艦のソーナー装備は、航路の混雑によって使えなかったと述べているというふうに書いてあるのですね。ところが、これには書いてないのですよ。米・太平洋軍のロングさん、この間来たロング司令官の指揮下のここには、米軍のステートメントにはそう書いてあるということが載っておるのです。外務省からもらったものには載ってないのです。これはどういうことなのか。まことに米海軍のステートメントとしては変なぐあいになっているのですが、どういうようになっておるか、お伺いして、時間ですから質問を終わります。
○淺尾政府委員 私たちとしては、あくまでも在京米大使館を経由してもらいました海軍のステートメントというものを見ているわけでございまして、いま御指摘の海軍の機関紙それ自身については承知しておりませんので、この場でどちらが正しいのかという御質問に対しては、やはり少なくとも、大使館が海軍のステートメントとして持参してきたものが、まさにアメリカ側の海軍の十日の時点の認識というふうに理解しております。
○坂田委員長 次に、中馬弘毅君。
○中馬委員 外務大臣が途中で退席されるようなので、少し脈絡がおかしくなりますが、外務大臣に先にお尋ねしたいと思います。 今回の原子力潜水艦の衝突事故につきましては、日米安保体制に非常に問題が出てくる、日本人のアメリカへの信頼が崩れてくるということをおそれているわけでございます。やはり自分の利益に不都合な場合には連絡すらしないといったようなことでありますならば、これは果たして本当に日本を守ってくれるのかどうかということを国民が不安に思ってしまいます。 これはそれ以前の世論調査ですが、それですら、いざというときに本気で日本を守ってくれるかという質問に対して、守ってくれると答えたのが二〇%で、守ってくれると思わないというのが五六%なんです。この事態の以前の朝日の世論調査ではそうなっておりますね。それが今回ではさらに落ちてくると思うのです。そのような信頼が薄れることに対して外務大臣はどのようにお考えになっているのか、そして、この信頼を回復されるには今後どういう方策を考えられるのか、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 中馬さんのおっしゃるように、私は、この事件の処置いかんによって、日米間の信頼関係が損なわれるというふうになることを一番心配をするわけでございます。でございますので、今度の事故につきまして、先ほどから申し上げているような調査を要請をし、そして善後処置をはっきりきちっとやってもらいたい、責任者があれば責任者を処罰する問題でございますとか、善後処置をぴしゃっとやってもらう、原因の究明もきちっとやってもらうということが、お互いの信頼関係をつなぐゆえんであるというふうに私は考えるわけでございます。うやむやにするというようなことがありましては、中馬さんのおっしゃるような信頼関係が傷つく、ひいては安保体制というものに、本件は安保体制と直接関係のないことでございますが、しかし、安保体制というのは両国の信頼関係をもとにしているわけでございますから、その一番基本の信頼関係が揺るがぬようにちゃんとした措置をするということが大切だ、やはり非であるものは非として認める、是々非々をはっきりしてやることがお互いの信頼関係をつなぐゆえんのものだというふうに私は思うわけでございます。 先ほど、いざという場合ということの数字を挙げての御質問がございましたが、アメリカ政府はどんな政権であろうとも常に安保条約は守る、五条の場合も守るということを明言をしているわけでございますし、また、日本も常に日米の友好関係をつないでおく努力をする、日本もみずから努めるものは努めるということをして、この信頼関係をますます強固にしていくということが大切でございますので、何としても、今度の災いを転じて、そして、この友好関係をさらに強くする転機としたいというふうに私は考えておるわけでございます。
○中馬委員 日本の外交はともすれば、大国との外交が主になっておることは事実でございます。それはもちろんアメリカであり、ソ連であり、中国であり、そしてヨーロッパ先進国、これは日本との経済関係も大きいわけでございますから、それが大きなウエートを占めるのはもちろん構わないと思うのでございますけれども、最近日本の前庭であります太平洋、南太平洋も含めて太平洋地域で小さな島国が独立してきております。西サモアから始まりまして、ナウル、トンガ、フィジー、パプアニュギニア、ソロモン、ツバル、キリバス、バヌアツ、こういった、これだけ数えましても九つあるわけで、現在のアメリカ信託統治領のところが近々また四つばかり独立するようでもございます。そうするならば、いままでの日本の外交、たとえばソ連にしましても、一方で漁業の問題があるから言うべきことも言えないといったようなこともあったわけで、漁業資源から言いましても南太平洋は大変大きな漁業資源にもなるわけでございます。また、シーレーンをどうやって防衛するかという問題もあるわけでございますが、これを艦船で守るということも一つの方法かもしれませんが、友好の国々で守るというようなことも十分考えられるわけで、こういった国々に対してもう少し、あるいは病院をつくるとか、場合によっては学校を建設してあげるとか、そういうような一つの交流を図って、日本の前庭に大きな一つの友好の輪を広げるおつもりはおありでないか、いまよりも一層の外交努力をされる御所存がおありかどうかをお尋ねしておきます。
○伊東国務大臣 その点は中馬さんと全然同意見でございます。この間もニュージーランドのマルドーン首相と会談をしたのでございますが、まさに二人の意見も一致したのでございます。南太平洋フォーラム、九つの独立国の島嶼国があるわけでございますが、そこに、フォーラムの中にはニュージーランドも豪州も入っておりますが、日本としてそれは漁業その他で非常に大切でございますが、経済的に見ればそう大きな関係はないかもしらぬ、大きな輸出市場でもなし、経済的にはそう大きなことはございませんが、しかし、文化的その他いろいろな面から総合的に考えて、これらの独立国と日本が精神的にもつながるということは私は非常に大切なことだと思いますので、いまおっしゃったと同じように、この島々の独立国とはいままでも無償協力とかいろいろやっておりますが、これをもっともっと強くしていくということは日本にとりましても非常に大切なことだというふうに考えておりますので、今後そういう努力をしてまいりますし、中馬さんと同じ考えで取り組んでまいります。
○中馬委員 日本というのは海洋国家で、大陸政策は大体いつも失敗するようでございます。その意味からも、こういう南の海洋国家とともに一つの未来を切り開くことが大事かと思っております。 以上のことを申し上げまして、どうぞ外務大臣、退席されて結構でございます。 先ほどから問題になっております原潜事故でございますけれども、先日もちょっと御質問いたしましたのですが、状況から判断して、やはり事故の最初の報告は海上自衛隊になされたと見るのが自然のように思われるわけです。一般の国民はそう見ておるわけですね。そして事実、新聞だけではなくて、この間の運輸委員会での海上保安庁長官の御答弁でも、要するに乗組員が、自衛隊員がそのことを知っておったということを供述しておることを、ちゃんと事実として述べられております。それが事実かどうかはともかくといたしまして、これが後からもしやはり事実だったんだということになりますと、これは大変な、防衛庁に対する信頼がなくなってしまうわけですね。このことを本当によく調査されたのでしょうか。
○大村国務大臣 お答えします。 先ほども救助活動の経緯について申し上げたのでありますが、四月十日午前四時半ごろ、下甑島の南西約三十五キロの海上で、佐世保向け航海中の「あおくも」「あきぐも」の二隻の護衛艦が、進路の前方に信号弾を打ち上げているのを発見しまして、直ちに救助活動に移ったというのが真相でございます。事前に事故発生の連絡を受け取って救助に向かったものではございません。
○中馬委員 海上保安庁にお尋ねしますが、この間の長官の御説明では、二等航海士ほか何人かの人がその事実を述べているということでございましたが、その後それを翻されたとか、いや事実と違っておったという供述がありましたか。
○野呂説明員 先般、私どもの長官が、日昇丸の二等航海士が、それらしいことがあるから注意してくれぬかというので救助に来たという供述があるということをお答えしたと思いますが、内容はそのとおりでございます。 しかしながら、その後、海図等の調査をいたしまして、また防衛庁にも再度問い合わせました結果、日昇丸乗組員の発見、救助以前に、護衛艦あるいは防衛庁が当該事故についての事実を承知していた事実はないという旨の回答に接しております。
○中馬委員 防衛庁長官あるいは内局にはその報告がなかったけれども、現場で知っておったというようなことが後で出てきた場合の国民の不信をおそれるわけです。アメリカはわりあい公表しますから、アメリカの調査で、いや事実は、一番先にまずは原子力潜水艦であり、あるいは不都合があったから海上自衛隊に知らせたんだというような事実がたとえば明らかになったときに、これは大変なことでございます。防衛庁長官、そのことをどう真剣にお考えいただいておりますでしょうか。
○大村国務大臣 先ほども申し上げましたように、護衛艦といたしましては、それぞれの行動日程に従って航海中、たまたま信号弾を発見して救助活動した、その以前にそういった事故があったという通報は何ら接しておらないということでございますので、その点につきましては先ほど申し上げたとおりだと考えております。
○中馬委員 少なくともその生存者の供述と若干違うところがあるわけですから、そこは再度よく調べて、もし事実がそうであるならば、事前に発表されておくことの方が防衛庁に対する信頼がまだつなぎとめられると思うので、よろしくお願いしておきます。 それから、先ほど外務大臣にもお尋ねしましたが、日米安保体制に対する一つの信頼関係でございます。長官も所信表明の中で、わが国の安全保障の基調は日米安保だと繰り返しおっしゃっておられます。しかし、日米安保が機能するのは、日米の利益が合致したときだけに機能するのじゃなかろうかと、これは当然のことながら思うわけでございまして、日本が侵略されたときに日米安保第五条が果たして機能するかどうか、防衛庁長官はどうお考えでございますか。
○大村国務大臣 日米安保条約が万一の場合に機能するかどうかというお尋ねでございますが、日米安保条約は現存しているわけでございます。また、米当局におきましては約束を守るということをいろいろな機会を通じて明らかにしているところでございます。そういった関係からいたしましても、安保条約を本当に必要とする場合においては機能できるものと私は考えているわけでございます。 しかしながら、条約が現存するとはいえ、それを有効に働かすものはやはり両国の信頼関係にあると思うわけでございます。したがいまして、私といたしましては、平時におきましても、日米安保条約が有効に機能できるように、日本側といたしましてもなすべきことはなしておかなければならない、そういう見地から、平時からの努力も怠ってはならないと考えている次第でございます。
○中馬委員 先ほどの日米の連絡のことでございますが、五十三年十一月ですか、日米安保協議委員会で承認されました日米防衛協力のための指針、この中で「自衛隊及び米軍は、相互間の通信連絡体系の整備等所要の措置を講ずることにより緊密な情報協力態勢の充実を図る。」ということがうたわれております。これと、先ほど言いました、事故を起こしても連絡すら来ないということとの関係をどうお考えでございますか。
○塩田政府委員 いまお述べになりましたガイドラインで言う連絡通信体系の整備ということは、一応有事の場合の想定でございまして、有事の場合の日米の連絡通信体系のあり方については現在の研究の中でやっていくことにしております。 しかしそればそれとしまして、当然のことながら、平時におきましても日米間の連絡体系が良好な状態に保たれていくということが大事なことでございまして、それは一応ガイドラインとは別個に、平素から心がけていくべきものと考えております。したがいまして、今度のような事件にかんがみましても、いずれ全容が明らかになった時点で、反省すべき点があれば反省をしていくべきではないかというふうに考えておるところでございます。
○中馬委員 有事のときじゃなくて、平時ですらこういったことで、自分に都合が悪い、軍事上少し問題があるといったときには、日本人の人命すら無視したような形に現実になったわけでございまして、ひたすらに御信頼申し上げているという防衛庁長官の御答弁は、余りにも甘過ぎるのじゃなかろうかとこちらとしては思うわけでございます。果たして、日米安保条約が有事のときに発動するかどうかというのは、これは日米共同の敵が侵略してきたときだけですよ。自分のところにそう被害がない、あるいは日本だけが被害を受けるといった場合に、アメリカがそんなに安易に一緒になって共同行動をとるかどうかということです。 では、一つお聞きしますが、日本もアメリカと一つの友好関係を持っております。しかし、他の国でアメリカともう一つの友好関係を持っている国が、何らかの形で仮に日本に侵略した場合に、アメリカはどうするとお思いですか。
○塩田政府委員 大変むずかしい仮定でのお尋ねでございますが、私どもは、安保条約第五条によりまして、日本が侵略を受けた場合にアメリカが共同対処してこれを守るというコミットメントを信用しておるわけでございまして、御指摘のようなケースがもちろんあるとは考えられませんけれども、いずれにしましても、私どもは、安保五条の規定による日米の共同対処ということによる日本の防衛を考えておるわけでございます。
○中馬委員 考えられないとおっしゃいますけれども、逆にそういう方が、普通の小規模な国際紛争というときには考えられるのですよ。ソ連が日米安保条約のかさの中に入っている日本に侵略してくるということは、第三次世界大戦でも考えない限り普通としてあり得ないことですね。しかし、アメリカと友好関係にある国で、日本と国境を接している、あるいは日本と何らかの形で近しい関係にありながら、少しそこに国際紛争の種みたいなものがあって、仮にその国が日本に侵略した場合そういうのが、歴史を見ましても、必ず小規模・限定の侵略かあるいは紛争になっているわけですね。そういう事態が起こるわけでしょう。現実問題として歴史的にそれと似た形のものが起こっているわけです。そういうときに、アメリカを相手にした考え方はできないでしょう。アメリカとしても、どちらもけんか両成敗みたいなもので、お互いに二国で解決してくれ、こういうことになるのが当然じゃないですか。そういう形で日本が他国に侵略されたときに、アメリカが自動的に日米安保第五条で行動を起こしてくるというようなことは考えられないのじゃないですか。防衛庁長官の御答弁と大分違いますが、どうですか。
○塩田政府委員 いま申し上げましたとおり、そういう事態がちょっと考えられませんけれども、いまの御指摘のようなケースであれば、少なくとも条文の上では五条が働く事態でございますね。日本が侵略を受ければアメリカもそれに共同対処する、こういう規定でございますから、安保五条が働く状態でございますから、私どもは安保五条が働く、日米共同対処ということになるというふうに、まず第一義的には考えます。 実際に、先生がおっしゃいますように、それが大変アメリカと仲のよい国だというような場合にどういうことになるかといいますと、これはまことに仮定の問題で、ちょっとどういう場合が起こるか考えにくいのですけれども、その事態ではどういう形で対処されるかわかりませんけれども、私どもがいま言えますことは、安保の条文から言えば、当然それは日米共同対処の事態であるというふうに私どもは考えておるわけであります。
○大村国務大臣 安保条約第五条の関係は、いま政府委員のお答えしたとおりであると考えております。 また、先ほど私が信頼関係が大切であるということを申しましたのは、平時から安保条約を効率的に運営するためには、日米信頼関係を維持するために、日本としましても努力しなければならないということを申し上げたわけでございます。 また、今回の事件は、放置した場合にはその信頼関係を傷つけることになるおそれがございますので、外務省を中心に、原因の究明、通報のおくれた理由並びに救助のおくれた理由、あるいは賠償措置等について早急に、かつ適切な米側の調査回答を求めている、この方針につきましては、防衛庁としましても全面的に賛成しているものでございます。
○中馬委員 今回の事件のことを直接言っているのじゃないのです。今後の日本の安保体制も含めた防衛体制を考えるときに、そういうことだってあり得るのですから、むしろそういうケースの方が多いわけですから、日本自身の防衛体制というのは、これはどんどん軍備を拡張していけという意味じゃなくて、自分の国は自分の国で守るというものがはっきりなければいかぬのじゃなかろうかということを申し上げたいわけでございます。 そこで、日本自身の防衛体制なんですけれども、たとえば今度の予算でも、防衛庁のいろいろな要求は火器、兵器を多くそろえるということがどうしても中心になってきているわけですね。しかし、実際に火器や兵器をそろえても、例を少し申し上げますけれども、道路自体が、有事のときに兵員を、あるいは戦車も含めた装備を移動するときに、問題がないのかどうかといったことすら、何も整備されてないのじゃないかと思うのです。 建設省にちょっとお聞きいたしますけれども、いまの道路基準は二十トンと計算されているわけですね。そして、たとえばいま多くの兵員あるいは装備は北海道に配備されております。関東で何か問題が起こったときに、急遽関東にこれを移動しなければならない、そのときに、日本の国道というのがそれに耐え得るのかどうか。いま、たとえば青森から東京まで七四戦車も含めてそういったものを運ぶときにどういう障害があるか、建設省の方、お見えでしたらお答えください。
○三木説明員 東京−青森間を結ぶ幹線道路といたしましては、一般国道四号及び東北縦貫自動車道がございます。 一般国道四号につきましては、山間部におきまして幅員が狭小のために、対向車とのすれ違い時に徐行が必要な区間が一部ございますが、全体的には一般車両の円滑な走行が可能でございます。 大型重量車両の通行につきましては、最も慎重に配慮すべき問題でございます。これは通行車両の総重量と、橋梁の耐荷力との関係がございます。一般国道四号線は、幹線国道として橋梁等の整備が行ってございますので、車両の状態との関係もございますが、従来、特殊車両通行許可制度の運用の実態から考えますと、適切な条件さえ付せれば二十トンの一般制限値を超える、かなりの重量車両の通行が可能であるというふうに考えております。
○中馬委員 時間がないからこちらから申し上げますけれども、現在の道路令では車両が二十トンということで計算されているわけですね。もちろん物理的にはそれ以上のものも耐え得るでしょうけれども。そして古いところでは十四トンということになっているわけです。七四戦車はいま一台何トンございますか。
○塩田政府委員 戦車自体で三十八トンでございます。
○中馬委員 三十八トンですね。これを一台そろそろ通すのじゃなくて、有事のときには、大量に、昼夜兼行で関東に運ばなければならないわけでしょう。そういうことすら整備されておらずに、七四戦車を何台そろえたらよろしい、あるいはF104Jを何機といった話が先行していはしないかということを私は言うわけです。防衛庁だって、戦前のようにすべて国防のために全部そろえろとは言いませんでしょう。そこは各省庁とは対等のはずなんですね。ですから、こういう経済的な要請だけではなしに、こういう重量物を通すときとかそういう場合は、いろいろの配慮のことを通産省あたりからかなり建設省ともやっておるわけですね。そうならば、防衛庁ももう少し対等の立場で、道路はこうしてほしい、通信網はこうしてほしい、鉄道はこうあるべきだということを少なくとも申し入れぐらいはしたらどうでしょうか。 それで、青函トンネルのことなんですが、青函トンネルが穴があきましたけれども、これは整備新幹線用としてつくられております。整備新幹線用ですからこれは客車だけなんですね。しかし、そのような有事のときには津軽海峡はもう封鎖されているかもしれません。もう北海道は孤立してしまいますね。関門トンネルは戦時中に兵員を朝鮮まで運ぶためにやったわけでして、そういうように別に軍事のために使えとは言いません。しかし、一たん事があるときにはそのことが可能なように、国土計画というものも、もちろん防衛庁の立場としては申し入れるのが当然じゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○塩田政府委員 大変ありがたい御激励とも受け取れたわけでございますが、おっしゃいますように、道路その他いろいろなことで、防衛上の観点から各省にお願いをしたいこと、いろいろあるわけでございます。そういう点につきましても、私ども今後いろいろお願いをしていかなきゃいけないというふうに考えております。 御指摘のような青函トンネルにつきましても、私どももそういう意味で関心を持っておるところでございます。
○中馬委員 時間が参りましたが、これは外交の問題であり、あるいは資源エネルギー、そういったことがまずは前提になりましょうし、また専守防衛の立場での防衛をする場合でも、そのような防衛の基盤の整備のことをせずに、ただ火器だけを増強するというようなことのないようにひとつ要望を申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
○坂田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時一分散会