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93回国会参議院1980/10/21

文教委員会 第2号

発言数
238
登壇者
19
会派数
6
開催日
1980/10/21

会議録

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、前回聴取いたしました派遣委員の報告及び大臣の所信に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 文部大臣の教育に関する姿勢についてお伺いをいたします。  三木総理大臣が誕生しましたときに、教育を政争の中に巻き込ませたくない、こうおっしゃって、民間人であります永井文部大臣を採用されました。そして、それを受けて、さらにその後海部文部大臣、砂田文部大臣、そしてタカ派と昔言われていた内藤誉三郎文部大臣、それぞれに何といいますか、三木さんの教育を政争の場に巻き込ませたくないというその路線を受け継いでやってこられたと思っておりますが、鈴木内閣は「和の政治」を唱えておられます。私は、鈴木内閣が「和の政治」を唱えていらっしゃるわけでありますから、文部大臣も当然その姿勢でいかれるものと、こういうふうに考えておりますけれども、最近非常に気になることが次から次へとマスコミの中に登場してまいります。それで、きのう私のところに鹿児島から電話がありまして、このようなことがあるんだがというお話がありましたので、ちょっと紹介をしてみたいと思います。  それは、昭和十八年ですけれども、奥野現法務大臣が鹿児島県の特高の課長をやっていらっしゃった。そのときの仕事なんですけれども、俳句の同人雑誌に「きりしま」というのがありますけれども、その「きりしま」に投稿していらっしゃる三人の方々を反戦思想で取り締まった。その記録が特高日報に載っているのですけれども、その三人というのは、当時の鹿児島日報の社員でありました。そのうちの一人の瀬戸口武則さんという方は、その前に小学校の教師をしておられたわけですけれども、その瀬戸口さんが生活つづり方の指導者でありました。そして、つづり方教育研究機関誌に載せた四年生の「お父さんへ」というのを取り上げて取り締まりを強化をされたわけでありますが、その作文はこういうものです。   お父さん、あなたはそんな雪の降るそして食べ物もない所でシナ人と戦争をしておられるのですね。それをお母さんも非常に心配しておられます。おられるところの名をどうぞ教えてください。お父さんのいどころを知っておれば、私も気がやすまりますから手紙をきっとください。貢もだんだん大きくなります。ときどきチャンチャンといってお父さんをさがすのですぐお母さんは涙を目に浮かべます。私もそのときは少し泣きたくなります。  こういうものであります。  奥野さんは、それに対して、共産主義思想を信奉して反戦の教育をした。なかんずくつづり方でと、こういって取り調べをし、送検をされているのであります。  また、「きりしま」の同人雑誌に載っております俳句、「まちうだり海のかなたに干戈あり」、これもまた反戦だ、反戦思想である、こういって弾圧の対象にしているわけであります。  私は、こういうことの歴史を持っていらっしゃる方が、新憲法だとか、あるいは教育基本法を正しく理解できるのだろうか、こんなことをきのう電話をいただきながら思っておりますけれども、そういう意味では、最近マスコミをにぎわしている改憲に対して、何となしに鈴木総理の答弁と奥野法務大臣の答弁というものが非常に微妙なニュアンスをもって私たちに異和感を覚えさせてくれるわけであります。  それで、文部大臣にお伺いをするのですけれども、戦後教育の原点というのは、憲法と教育基本法にあると、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。文部大臣はどのように理解をしていらっしゃるのか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 そのとおりということですと、憲法というものと教育基本法というのは、憲法はその前の大日本帝国憲法というものを、さらにまた教育基本法は教育勅語を否定しているんだというふうに理解をしてよろしゅうございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 否定とか肯定とかというものではなくて、新しい憲法に基づきます教育の大道を示したものである、かように心得ます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 私はその文部大臣の答弁に異論を持つ者でありますけれども、いまここで討論をする時間を許されませんから、別の質問に移っていきます。  ここに、昭和二十二年の八月に文部省が出しました「あたらしい憲法のはなし」という本がありますけれども、文部省、これ大体対象はどのくらいのところに配布をしたのでしょうか。当時、紙のなかった時代から考えてみますと、非常にりっぱな本だというふうに思いますけれども。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 御指摘の「あたらしい憲法のはなし」は、昭和二十二年八月に発行されまして、当時は二十三年、二十四年度の中学校第一学年の社会科の教科書として使用されたものでございます。その後二十五年、二十六年には補充教材として使用されました。そういったことでございまして、また一般の方もお読みになった方も当時は多かったようでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 相当の数が出ていますね。それは記録には残っておりませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 正確には記録というようなことではございませんが、三百万部を超える部数であったというようなことを聞いております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 あの時代に三百万部も超えるようなこのりっぱな本を出していった。そして、子供たちに教科書として使わせ、補充教材として使わせたというそのねらいは一体どこにあったのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これは新憲法が制定されましたその直後のことでございますが、そういった時期におきまして、憲法の趣旨とするところを中学生に対してわかりやすく説明しようというのがねらいであったのであろうと思っております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 わかりやすく説明をしようというねらいというだけではなくて、やっぱり子供たちにこの憲法というものをしっかりと覚えていてもらわなければ将来の日本に対して責任を持つりっぱな教育ができないと、こういうふうに考えたから文部省はこれを配布をしたのではないでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 社会科の教科書として使い、かつその後民間の教科書もできましたときには補充の教材として使ったということでございますので、ただいま御指摘のような趣旨も含まれておったというふうに解して差し支えないと存じます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 その後、この憲法の、これは解釈だというふうに思いますけれども、こういうことを文部省としてやったことがあるのか、その後解釈は違いますよということになっているのか、この解釈の内容は生きているのか死んでいるのか、その辺はいかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) やはりこれは一つの文献でございますので、当時のわが国の全体的な状況のものでの憲法についての解説ということでございますので、内容の一々につきまして、現在果たしてその全部が適切であるかどうかということについては一概に申し上げかねる面もあろうかと存じます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 質問は前もって通告してあるわけですから——これ読んでいらっしゃらなかったですか。適切であるかどうかという疑問を持たれる部分というのは一体どこですかお示しください、具体的に。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 特にどの部分ということをちょっといま申し上げかねると思っておりますが、私は全体として、やはりこれをただいまそのまま用いることができるかどうかについては疑義があるということを申し上げておるわけでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 それでは、この次の文教委員会までにどこが疑義があるのかということを明確に示してもらいたい、いかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私も、昨日の質問の御通告でございまして、また本日は粕谷委員のみならず多数の委員の先生方からたくさん質問が出ておりますので、御指摘の「あたらしい憲法のはなし」、完全に精細に読んでおりませんので、読みました上でいまの御質問に対する対応をいたしたいと存じますけれども、ただどこそこというふうに申し上げられるかどうか、一つの著作物は個々の個所の問題もございますけれども、全体の組み立てとかいったこともございますので、読みました上でお答えさせていただきたいと存じます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 結構ですけれども、疑義があるとこうおっしゃったわけですから、どこが疑義があるのか明確にしてもらわなければ困るわけであります。いまということでありませんから、次に私も質問をいたしますので、明確にしておいていただきたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ちょっと言葉が足りなかったかと存じますが、疑義があり得るというふうに考えたいと思います。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 あり得るでも、あるでもどちらでも同じですから、あり得るとしたならばどこであったか、なかったかということについて、私は明確にしてもらいたいというふうに思っております。  ところで大臣、憲法というのはやっぱり国民にちゃんと覚えておいてもらわなければならないと、こういうふうに考えるのは、文部省だけではなくて、ドイツなんかでもそうですね。第一次の世界大戦の後で君主制を廃して共和制を決めたわけですが、そこでワイマール共和国憲法というものができて、その共和国憲法成文を義務教育を終了した生徒に全部公布をするということを定めていたわけでありまして、私は憲法というのは非常に大事なものだというふうに考えているのですが、当時文部省はこういうことを生徒、児童に対して説明をしているわけです。この憲法は国民の全体の意見で自由につくられたものだ。「これまであった憲法は、明治二十二年にできたもので、これは明治天皇がおつくりになって、国民にあたえられたものです。しかし、こんどのあたらしい憲法は、日本国民がじぶんでつくったもので、日本国民ぜんたいの意見で、自由につくられたものであります。」、こういうふうに説明をしております。さらに、憲法の働きについてでありますが、「もう一つのはたらきは、これからさき、この憲法をかえるときに、この前文に記された考え方と、ちがうようなかえかたをしてはならないということです。」、こうあるわけであります。そうしますと、先日の新聞に出ておりました奥野法務大臣の発言の、将来、いま憲法を変える、自主憲法をつくるということになれば前文の変更もあり得るという、そのような新聞記事、委員会で私は正確に傍聴していたわけではありませんのでマスコミの記事しか見ることがまだできないわけでありますけれども、これとは違った解釈が出ているのではないか、このように一つ考えます。さらに十七ページにいきますと、「天皇陛下は、けっして神様ではありません。」、こういって説明をして、「国民と同じような人間でいらっしゃいます。ラジオのほうそうもなさいました。小さな町のすみにもおいでになりました。」、こういって、それまでの現御神、天皇は神であるということをもう明確に否定をしておられるわけであります。天皇の権限についても明確にしております。それから、日本の国が二度と戦争をしない、それから戦力を放棄するということについてこういう説明をしています。「しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。」。さらに、愛国心とか、祖国愛とか、そういうことがいろいろと言われておりますけれども、それにつきましては五十ページに、「みなさん、国を愛し国につくすように、じぶんの住んでいる地方を愛し、じぶんの地方のためにつくしましょう。地方のさかえは、国のさかえと思ってください。」、このようなことが出されておりまして、最近の憲法論議、やや違うものがあるのではないかというふうに考えているわけであります。  私は、わずか三十数年間たったいま憲法が大きく変えられようというような動きに対して非常に心配をしているわけでありますけれども、鈴木内閣は改憲をしない、こういうことでありますから文部大臣は当然それに同調される、同じ考え方だというふうに思いますけれどもいかがなものですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 鈴木内閣の一員といたしまして、ただいまおっしゃったとおりでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 ただいまおっしゃったとおりでありますというのでは木で鼻をくくったような答弁だというふうに思うわけであります。  私は、ここに昭和五十四年の一月二十五日、国務大臣の演説のときの園田外務大臣の演説を持っているわけでありますけれども、その中でこういうことを言っておられました。「私は、平和に徹することを国是とするわが国の憲法の精神は、人類の先覚者として誇り得るものであると自負する一人であります。この誇り高き憲法の精神にのっとり、世界の平和と繁栄がなければわが国の平和と繁栄もないとの認識に立って、国際社会をより平和でより豊かなものとするよう全力を傾けていくことが、わが国の使命であると考えております。このような道は決して安易なものではなく、むしろ試練に満ちたものであります。しかし、資源も乏しく、国土も狭く、国の存立を国際環境に大きく依存し、国民の英知と努力のみによって国の平和と繁栄を図からざるを得ないわが国にとって、進むべき道はこれ以外にはありません。」、先ほどの新しい憲法の解釈と同じ演説をされているわけであります。私は、そういうふうな憲法の評価というものを文部大臣はどのようにしていらっしゃるかということを伺っているわけであります。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 園田先生のお話をお引きになりましたが、その限りにおいて私も同様に考えております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 文部大臣は自主憲法期成議員同盟に入っていらっしゃいますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私は入っております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 自主憲法ということになりますと、いまの憲法は自主的ではないというように理解をしてよろしいのですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私が自主憲法の期成議員同盟に入りましたのはこれが最初にできたときからでございます。なおまた、現行の憲法が、その当時におきまして、敗戦後の打ちひしがれた日本国民にとりまして、ただいまお話しのような新憲法というものに対しまする一つのあこがれと申しますか、国民の本当の希望でもあったと、かように存じております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 大臣、もう少し明確におっしゃってください。何か声がだんだん小さくなりまして聞こえないわけなんです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) はい。ただいまお答えいたしましたように、今日の憲法は、敗戦の直後、無条件降伏をいたしました日本といたしまして、当時の客観的な情勢を顧みますれば、まさにわれわれ国民は、いまお話が出ましたような国民の総意の形におきましてこれを決定いたしたものでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 そうすると、自主的な憲法であるというふうに理解をしてよろしいですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 衆参両院の議会において協賛をいたしたものである以上はさようでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 では、この自主憲法期成議員同盟というのは新しい憲法をつくるというのではなくて、この憲法を守っていきましょうと、こういうふうに理解をしてよろしいのですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに法というものは人間のつくったものでございます。さような意味から申すならば、千古不磨という旧憲法にありますような考え方ではございません。帝国憲法におきましては千古不磨の大典ということでございますが、新憲法の精神は、何といいましても、変転きわまりない国際情勢の中におきまして日本民族が生き抜くための一つの判断でございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 そうしますと、先ほど私が読み上げました園田外務大臣の積極的な平和憲法に対する評価というものといまの文部大臣のお答えというのはやっぱり違うものがある、こういうふうに思いますけれども、同じでありますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 同じことを申しましても、やはり園田君と私とは人間が違いますので、表現も若干相違がございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 内容が同じで表現が違うと、このようにでは理解をいたします。  それで、どうも最近憲法を変えたらどうかとか、軍事大国への道を歩んでいく事実が次から次へと出てくるに当たりまして、教育現場の中でもいろいろな動きが見られてくるわけなのであります。非常に赤い教育をやるなどという攻撃はいろんなところからずいぶん長いことかけられてきましたけれども、最近私どもの手元には非常に反動的な教育をやっているのではないかという、具体的な例なども挙げられた文書がやってまいりましたが、いま一つだけ御紹介いたしますと、千葉県の船橋市に金杉台小学校というのがあります。この金杉台小学校の記念行事を考える会という会からの資料を私は手に入れたわけなんですけれども、その中に、「小学校で機会ある度に、天皇を賛美し、「愛国心とは国のために死ぬこと」などと子供達に話をする学校長が「自衛隊は無料だから、生の演奏を子供達に聞かせてやりたい」と言っても、簡単に信用するわけにはゆきません。」というような文章が入っているわけですけれども、私どもの党でも、この金杉台の小学校の教育、大変父母の間で問題になっておりますので、調査に行ったわけであります。その中にあらわれてくることは、愛国心というのは国のために死ぬことである、あるいは歴史の教育そのものの中で教育勅語を暗記をさせる、それから、成績の悪い子供には「学力推進棒」と、こう言いまして、棒があるわけですね、それではたくというんです。昔の軍隊で精神棒なんていうのがありましてたたいたのと同じようなことが行われる、往復びんたを食らわせるとか、右書き、旧かな遣いを使う、課題図書の中には皇国史観をもとにした歴史書などを指定している、こういう事実が明らかになってきているわけです。私も、学年主任——一日に二百五十円という主任手当をもらう方の書きました文書を見たんですけれども、「如何でせうか」なんていう、こういう昔ながらのかな遣いを使っているわけであります。内容についてはいろいろの意見がありますから、それは別でありますけれども、こういうことは初中局長、いかがなんですか。教育内容として歴史の時間に教育勅語を暗記をさせる、「学力推進棒」ではたくとか、あるいは右書き、旧かな遣いで父母に通知を出すなんていうようなことはどういうものなんですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 御調査をなさったそうでございますが、私どもの方は実態について直接見ておりません。まあ、歴史の教育の中で教育勅語を一遍覚えるというようなことをやらせてみるとか、あるいは、どういう棒か存じませんが、棒を使ってやる、そういう一々のことにつきまして校長なり学校なりがどういうねらいなり気持ちでやっておるかということもあわせて考える必要があるかと存じますが、いまお聞きいたしました現象に関する限りは、いささか普通でないという感想を持った次第です。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 これは新聞にずいぶん出てますので、文部省関係だって全然目を通さないなんていうことはなかったと思うんですけれども、すぐ赤い教育だなんていうと、もうわあっと言って、こう弾圧する、こういう教育だともう全然知らぬ顔しているというのは問題があるのではないかと私は考えているわけです。ところで、この愛国心、愛国心と、こういうふうに言っておりますけれども、真の愛国心、真の日本人のとるべき態度というのは一体どういうものなのか、こういうことから考えていってみまして、まず平和を守るということがいまほど重要なときはないと、こういう認識に私は立っておりますけれども、この六月の中旬にパリにおいてユネスコの軍縮教育世界会議があったというふうに思いますが、この中でどんなことが平和に関して決まっておりますでしょうか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) いま御質問ございましたように、ユネスコの軍縮教育世界会議は、本年六月九日から十三日までパリユネスコ本部において開催されました。これは個人資格による参加者が四十八カ国から百二十九名参加いたしまして、加盟国及び非政府機関からオブザーバー百七名、国連関係機関から七名等、計約三百名が参加して開催されたものでございます。わが国からは個人資格による参加者十名が出席したと聞いておりますが、これには国としての政府機関による参加はいたしておりません。個人資格による参加のため、政府としては参加者が行った提案内容等の詳細についてはまだ承知しておりません。ユネスコ本部から同会議に関する最終報告概要というものが参っておりますが、これは概要でございまして、特に日本からの参加者の発言にかかわる部分は、まだ明記されていないところでございます。最終報告の全体が参りましたら、御質問の点につきましてもよく見てみたいと考えております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 この世界会議では、こういうことが決まっているのです。後で調べてください。教育マスメディアに従事している者たちは軍備拡張競争、核兵器の存在及びその使用の可能性、人類絶滅の危機の緊張性をあらゆる場を通して教育しなければならない、さらに日本の代表から——いまあなたは代表と言わないで個人の資格だというふうに言われましたけれども、日本の人から出された問題には、広島や長崎の被爆実態を世界の教科書に載せるべきだ、こういうふうに発言して、そのことが取り入れられたというふうに聞いておりますので、非常に重要なことでありますから、私はやっぱりきちんと調べておいていただきたい、こういうふうに考えているところです。いまこの平和の問題をめぐりまして、とにかく平和教育をやっていかなければならないという教師たちが八月の九日、八月の六日とあの原爆が落ちた日を記念といいますか、その日を「平和教育の日」とこういって、特別な授業をやっているわけですけれども、こういうことについて大変な圧力があるわけであります。私自身も小学校のころ歌を習いまして、「囲炉裏のはたに繩なう父は過ぎしいくさの手柄を語る。」——「いくさの手柄」というのは一体何だろうか、そのことを子どもたちに正しく教えなければならないときが来ているのではないかという気持ちでいっぱいであります。そういう中で、毎日新聞社が「一億人の昭和史」というのを出しております。第一巻から十五巻までありまして、私などにとっては、自分の生きてきた道を全部写真にされているような思いがするわけですけれども、その中にありますことは、特に十号の「不許可写真史」、これがもう一番ショックでした。たとえば首を切られ、切られた首が竹の棒に刺さって道路端に並んでいるとか、あるいは妊娠している女の人が何もしていないのにおなかを日本の兵隊に銃でつつかれて、そしてえぐったためにその銃が抜けなくて回りにいた兵隊たちが土足でその腹を押してその銃を抜いたとか、もう議事録の上には載せられないようなことがたくさん載っているわけであります。そういう戦争というものに対する、その教え方の内容はいろいろあると思います。相手が子供ですから。その成長の度合いに応じて、戦争というものはどのようなものであるかということを正しく教えながら平和を守っていくことのとうとさを教えなければならないときに来ているのだと、こういうふうに考えているのですが、それと関連いたしまして、七月の十七日、文部大臣が記者会見で発言されましたことについてその真意を伺いたいし、あわせまして九月三日の教育学術新聞を見ますと、「総合的安全保障に対応した精神教育の強化・充実」について、初中局は「国を守る気概」というものについての検討を進めたい考えと見られる、こういうのが載っていますけれども、検討進んでいるんですか、いかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 一部、ただいま御指摘のような新聞報道があったかと記憶しておりますが、私どもといたしましては、基本的には、先ほど来おっしゃっておられるわけですが、この日本という国を平和的な国家及び社会にするということが基本でございますから、そういう国家及び社会の形成者として国民がみずからの国を愛するという気持ちをしっかりと持つということが必要だという立場に立っておりますが、いま御指摘のような新聞報道につきましては、何と申しますか、「国を守る気概」というようにおっしゃったかと存じますが、これにつきましては、私どもは、御承知のように学習指導要領については、これは最近改定したところでございまして、これをいま改定するというようなことは考えておりませんし、いま御指摘のような検討ということも特段いたしておらないのでございます。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記を起こして。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話でございますが、平和的な国家及び社会を形成するということは、自分の国みずからを愛するという心情を持つことの国民の当然の思いであろうと存じます。  御指摘の新聞報道につきまして、「国を守る気概」につきましての教育の研究に着手したというようなことが仰せられましたが、そういうふうな私は事実はないのではないかと、かように存じております。  なお、国を思う心、国を愛すること、やはり人おのおの考え方も方法論も違いがあるでございましょう。富士山の頂上に上るにいたしましても、甲州の方から上るのと表の方から上るのといろいろと道もあることでございますが、ひとしく国民が自分の民族を愛し、自分の国家を愛することは当然であるように存じます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 憲法を変えていくというふうには鈴木内閣は思わない、文部大臣もそう思わないとこういう御答弁でありましたが、憲法の理想を実現していくためには、やっぱりその力は教育にまつべきものであるとこうしましたら、教育基本法は憲法と切っても切れないものであるというふうに考えるわけです。この教育基本法を変えようという動きが、いまばかりではありません、歴史的にもずいぶん長い期間ありましたけれども、最近岐阜の県議会で、十月七日、「教育基本法の改正を求める決議」というものが社会党、公明党、共産党、民社党、社民連、この反対の中で自民党が賛成をして採択されているわけです。その内容の一つは、「日本の歴史や伝統を尊び、」と、こうあります。何が日本の伝統であるかという点についてはいろいろの論議がありますから、この点はさておくとして、「国を愛する心を養う」、このことが抜けているからだというふうに考えますと、教育基本法の中に本当に国を愛するという精神が抜けているのか、言葉が抜けているのか、その辺についてはいかがなものですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申し上げましたように、国を思う、国を愛するという思い方にいたしましても、いろいろと意見があるところであろうと思います。だれの意見がよくて、だれの意見が悪いと、そういうふうな言論を統制したり、発言を封じたり、思想を統制するというようなこと自体が私は最も民主的でないものでありまして、いろいろな人がおのおの国を思い、国を心配をする気持ちをおのおの表現をする、そのこと自体がやはり国を愛し国を思うことであろう。それが民主的な姿ではないかしら、かように考えております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 私は岐阜の県議会が決めたという事実を大臣に申し上げ、そしてその教育基本法の中に「国を愛する心を養う」というのを入れよというわけですから、この中にはその心が入っているのかいないのかということについてお伺いをしているわけです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) それは一つの現象に対し、一つの具体に対しましての、そのおのおのの人の思い方でございましょう。それが入っていると思う人もあれば、入っていないと思う人もございましょう。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 私が質問しているのは、田中文部大臣にお伺いをしているわけであります。一九四七年の三月十九日の本会議で高橋誠一郎文相もやっぱりそのことについて答弁をしていらっしゃるわけですけれども、ちゃんと入っていると、言い方は別でありますけれども、答弁をしていらっしゃるんですね。いまの田中文部大臣はいかがですか、こういう質問です。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) ただいまの高橋誠一郎元文相の答弁でございますが、教育基本法の制定に際しまして、当時の帝国議会におきまして、高橋文相が、健全なる祖国思想の涵養は教育上重視しなければならないと答弁しておりますが、これは当然のことと考えられます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 文部大臣のお答えがありませんので大変不満ですけれども、時間がありませんから、私は最後に文部大臣がもう一度、憲法や教育基本法を変える気持ちがないんだということについての御答弁をいただきたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 鈴木内閣の一員といたしまして、総理と同様に、さようお心おきいただきまして結構でございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 次に名古屋のオリンピックの問題についてお伺いをしたいと思います。  名古屋オリンピックを招請するということを認めたというふうに記事が出ておりまして、文部大臣がその世話役だと、こういうふうに言われているんですけれども、地元から出されてきた膨大な計画に対して、極力簡素にと、それならば招致することを認めましょうということは、極力簡素というのは一体どの程度のことをいうのか、その辺であります。たとえば教科書無償、わずか四百数十億円、これさえももう切って、親に本を買わせようじゃないかとか、あるいは貸与制にしようではないかという大蔵の厳しい姿勢に対して、まあ何とおおらかなものであることかと国民はびっくりしたわけであります。  それと同時に、やっぱりオリンピックが来るということについてだれも反論は持たないと思いますけれども、四半世紀のうちに二度も日本でやるということについてはいかがなものかという、そういう考え方もあるわけでありますし、それから今回モスクワオリンピック大会をボイコットした日本が、これから八年後にオリンピックを招請をするということは、当然もう世界を平和にしていかなければならない、もう世界の国々が喜んで来るという条件をつくらなければならないというふうな覚悟のもとにそれはなされるものだというふうに思いますけれども、いかがですか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) オリンピックの開催につきましては、国際親善、またスポーツ振興等に大きな意義を持つものでございますが、近年オリンピックの準備あるいは開催経費等が巨大化していることなどにつきましても、IOC内部におきまして検討が進められているという事情もあります。また、現在わが国が財政再建途上にあるということも十分考慮いたしまして、名古屋オリンピック開催に当たっては、政府に負担を期待するのではなく、地元も負担をし、できるだけ華美を避け、簡素な中にもオリンピックにふさわしい大会が開催されることが望ましいというように考えまして、そういう考え方のもとに今後対応していくという姿勢でおります。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 それでは答えにならないのですよね。たとえばロサンゼルス方式というのがありますね。前に使ったものを使って、ほとんど金をかけないでやると。あるいはまた、あんまり金がかかり過ぎるからアテネでもう永久にやったらどうかというような意見なんかもある中で、極力簡素にという、その極力というのは一体どの程度のことを指すのか、このことについてお伺いをしているんですが、「できるだけ華美を避け」といったって、なかなかそういうわけにいきませんね。引き受けた以上は、こうやらなくちゃ、こうやらなくちゃ、もう膨大なものになっていくということが考えられるわけであります。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 四年後に開催される運びになっておりますロサンゼルスにおきましては、既設の競技施設を改修準備いたしまして開催をしていくというように取り運んでおるように聞いておりますが、名古屋にオリンピックを誘致ということで、競技場につきまして申し上げますと、三十六会場を予定いたしておりますが、多くの会場は既設の競技施設の改修等で対応できるという準備でございまして、ただ実際問題として名古屋の地区でオリンピックの開催のためのメーンになる陸上競技場あるいは室内水泳プールあるいは体育館につきましては、既設のものの利用では必ずしも対応できない。新たに建設を必要とするというのではないかという方向でいま検討がされておるわけでございまして、またオリンピック開催に伴います道路あるいは関連した地下鉄等の整備につきましても、この機にできる限りの可能な範囲での整備を図りたいというのが地元の考え方でございまして、これらに対しましていま必要な限度におきまして、財政事情を十分配慮しながら対応していくということの考え方に立ちまして、政府としてはこの名古屋オリンピックを招致することにつきましては、ただいま申し上げましたような財政事情を十分配慮をするということの前提に立ちながらこの招致を了解していくという方向が、先日十七日に開催されました閣僚会議での方向として決定されたものでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 このことについては、いずれまた明確になった時点で質問をしていきたいと思います。  次に、委員派遣報告の中で一点だけ。福島大学の問題でありますけれども、国立大学として全国でも五大学のみという二学部だけの構成である、これを大学らしいものにしてほしいと、こういう陳情があったわけでありますけれども、大学の整備というものについての基本的な考え方は、大学局長、どんなふうになっているんですか。特定の大学にのみ大きな予算が集中をする。あと、地方はいつまでたっても二学部ぐらいで五つもそのままやっているなんていうようなことについては問題があるというふうに思いますけれども。特に、いまわが町に国立大学を建ててくれという陳情も非常にたけなわのようでありますから、そのお考えの基本を伺います。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘は、地方の大学の充実についてどのような考え方で臨んでいるのかというお尋ねのようでございますが、近年地方の国立大学の整備充実ということについては、私どもも積極的に考えているところでございます。それで、いままでどのような充実をしてきておりますか、ちょっと簡単にここ数年ぐらいのところを申し上げてみますと、五十五年度では新潟大学、金沢大学、岡山大学の三大学につきまして法文改組ということで学部の増設をいたしております。その前の五十四年度では、岡山大学の歯学部、長崎大学の歯学部、熊本大学の法文学部改組、広島大学の生物生産学部の設置を行っております。さらに、その前の五十三年度では、信州大学で経済学部を人文学部から分離させております。ほかに、島根大学、山口大学におきましても、文理学部の改組を実施しております。つまり、人文改組等を含めまして地方の国立大学で人文系の学部の充実が大変望まれておりまして、そういう手だてを順次、これは国立学校設置法改正ということで国会の御審議をいただきましてそういうものを充実してきておるわけでございます。  お話の視察のございました福島大学の問題でございますが、御案内のとおり、福島大学は現在二学部の大学でございますが、多年の懸案でございました新キャンパスへの統合整備ということも順調に進んでおるわけでございます。そういうようなことを勘案いたしまして、昭和五十四年度から学部等改革調査経費を配分いたしておりまして、大学の中における御検討を願っている段階でございます。  ただ、学部設置を進めてまいりますためには、まずその当該大学におきましてその計画を十分練っていただきまして、何といいますか、十分その計画が練られた、熟成した構想をまずつくっていただくということが第一でございますし、さらに第二には、具体的にそのための教官確保の見通しが十分立っているかどうか、特に人文系の学部につきましては、その教官確保の点が具体的にいろいろと問題点として指摘されておるわけでございます。  それらの二点が十分見通しが立ちますれば、私どもとしては、福島大学以外にも、先ほど先生からも御指摘のように、全国各地からそういう御要望は非常に強いわけでございまして、それらの十分練られた構想を見きわめました上で、それぞれ概算要求をお願いすることにいたしたいと考えております。  ちなみに、明年度五十六年度といたしましては、私どもはそういう調査を進めました結果、五十六年度で概算要求いたしておりますものは、現在千葉大学について人文学部の分離の問題と香川大学における法学部の新設を明年度新たに要求をいたしているところでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 そうしますと、全国で五大学のみという二学部だけの大学というのは、いつごろなくなる予定でありますか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 先ほども申しましたように、それは具体的な個々の大学における検討結果を踏まえまして私どもとしては概算要求をするわけでございまして、具体的な調査費等については、すでに五十三年度からつけている大学もございますし、福島大学のように五十四年度から調査費をつけているところもあるわけでございますが、具体的には個々の大学における計画の熟成といいますか、それが十分練られた上で私どもとしては概算要求を出すというぐあいに考えております。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 やはり、この充実ということについて積極的な御努力を今後もお願いをしたい、こういうふうに考えております。  それでは、最後に大臣にお伺いをいたします。  私は、この間、国会から派遣をされまして、七月の十四日から三十日まで、デンマークのコペンハーゲンで開かれました婦人会議に出席をいたしまして、日本のデンマーク駐在大使の高橋展子さんが、婦人のあらゆる差別撤廃の条約に署名をされるその場所を見てきて非常に深い感動を覚えて帰ってまいりました。  簡単に差別撤廃条約と申しますが、この差別撤廃条約の中の第三部に教育に関する部分があるわけであります。この教育の中で差別を撤廃していくということについての文教行政というものについての大臣のお考え方をお伺いいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 大臣の御答弁の前に、私からちょっと申し上げさしていただきたいと思います。  粕谷委員も御出席になりました会議で議題になりましたいわゆる婦人差別撤廃条約の趣旨には政府としても賛成ということで、同会議でこの条約に署名したところであるわけでございます。で、いま御指摘の関係になるかと存じますが、特に同条約の十条b項で男女に同一の教育課程を確保すをよう規定をしております。わが国では、御承知のように、高等学校におきまして女子に家庭一般四単位を必修とするということなど、男女により若干の取り扱いの差異があるわけでございますが、文部省としては、この程度の取り扱い上の差異は、これはこの条約による差別ということに果たしてなるかどうか、私どもとしては、これはいわば許容されるものではないかというふうに考えておりますが、これは、一つには条約の解釈の問題でもございますし、さらには諸外国でこの条約に署名をし、あるいは署名及び批准をしておるところでの実情あるいは諸外国の本条約の署名後の対応ぶり等もやはり調べたいと思っております。  こういった事柄は、非常に教育全般にかかる重要な問題でございますし、それからわが国の社会におきます良識のありどころといったようなことともかかわりますので、慎重になお検討を続けていきたいということでございまして、これはできるだけ早く批准をすることができればいいという前提はございますが、今後こういった検討に基づいて対処したい、こういうふうに思っております。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま局長からお話をいたしましたとおりでありますが、この会議におきまして性別によって差別されないということは憲法の十四条の保障するところでございますし、またさらに、教育基本法の三条によりましても、性別によって教育上差別されないということを規定いたしておりまして、これらにのっとりまして行われておりますわが国の教育におきまして、このような意味での差別はないものと心得ております。  わざわざ会議に御臨席をいただきました先生に対して、この機会に厚く御礼を申し上げます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 大臣に私はお願いをしておきたいと思います。  いま三角局長が言われましたけれども、わが国における良識というものもありますと、こういうことでありますが、良識というのは社会通念ということになりますけれども、この社会通念というものはだんだん変えていかなければならない、それがこの差別撤廃条約の基本路線なんですね。  この問題について検討しておりました皆さんから政府に対して建議が行われておりますけれども、男は仕事、女は家庭、こういう社会通念が問題なんだということを言っているわけでありまして、その社会通念を変えていく大きな力というのは教育になるわけです。それは学校教育にとどまるだけではなくて、やっぱり社会教育の部分についても非常に大事になってくると思います。  大変画期的なことでもありますので、私たちも自分の内なる差別そのものを直していくという闘いが必要になりますけれども、ぜひ男性の皆さんにおかれましても、このことを取り上げて、教育の中で本当に男女平等の条件ができていくように努力をしていただきたいということをお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 私は、このたび、文部大臣の所信を聞かせていただきまして、簡素にして実直な内容であると思わしていただいたのでございます。「教育は即ち人に独立自尊の道を教えて、これを躬行実践するの工夫をひらくものなり。」と福沢諭吉先生は申されております。  私は、資源の乏しい日本の前途を思えば思うほど、創造力豊かな、心身ともに健全な日本人を育成することが国家の重要な課題であると確信しております。文部大臣のお考えと文教行政の推進に当たっての決意をまずもってお聞かせいただきたいと思うのでございます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私の所信表明におきましても、特に「和の政治」と申しますか、強調をいたしたとおりでございまして、私は文教の振興を図りますことが国政の基本である、かように確信いたしておる次第でございます。  特に、ただいまお話しのごとく、資源の乏しいわが国におきまして、世界各国との協調のもとに発展を続けてまいりますためには、たくましくかつ創造力のある、心身ともに健全で、国際的に開かれた日本人の育成を期してまいりたい。特に今日の最も重要な課題であります問題は、教育、学術、文化の振興に全力を挙げることが私は当面、国家最大の任務である、かように確信をいたしております。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 その精神を体して一生懸命やっていただきたいと思うのでございます。  第二に、私は教員資質能力の向上施策の実態についてお伺い申し上げたいのでございます。  申すまでもなく、教育は人なりと言われるとおり、教育内容の向上、教育効果を上げるためには、どうしても教員の資質能力の向上が求められることは当然の理でございます。そのためには教職員の待遇改善が長期的に保障されるということは大切なことでございますし、その意味において、昭和四十九年二月二十五日公布された学校教育水準維持向上のための人確法の制定はまことに意義深いものであったと私は思うのでございます。また、教育内容の改善の一環として、昭和五十五年度より六十六年度の十二年計画により第五次学級編制及び教職員定数改正計画が実施され、四十人学級の実現を見ることができ、しかも教職員の数も八万一千六百七十四人が増員されるということは大変喜ばしいことであると信じます。さらに、ゆとりある充実した学校生活の実現を図るために、新学習指導要領の実施により、本年は四月から小学校、五十六年度からは中学校、五十七年度からは高等学校へとその実施が波及することは望ましいことであり、老朽校舎も解消しつつあり、日本の教育環境は目覚ましい教育内容向上のために進んでいると思っております。  しかるに、昨今の教育現場の実態を見ますと、日本の教育はこれでいいのかという声が私は多くの国民の心の中にあると思います。  昭和五十三年度の警察庁調べによると、刑法犯少年の年齢別構成比によれば、中学三年生、十五歳の少年、三万二千六百六十五人。第二に十六歳、高校一年生の少年、三万二百三十四人。第三に、中学二年生、十四歳の少年、二万七千六百六十人。この一、二、三の少年の犯罪を犯した総数は全体の六五・三%に上っているということはまことに悲しい現実であると、私は思います。さらに年々年少層に拡大する青少年犯罪の傾向を警告している実態を見たとき、果たしてこれでいいのかという問題が提起されます。   一方、中学、高校生による校内暴力事件の補導状況を見ても、昭和五十三年度には千二百九十二件、二千八百八十二人が被害を受け、うち教師に対するもの百九十一件、二百四十五人がその被害を受けているということは悲しい現実です。気の弱い生徒の中には、もう学校へ行くのがこわいと言って親を困らせている。このような現状に対して、文部省当局はこの現状をどう認識し、今後どのような施策を講じて対処しようとしておるか、一言お聞かせをいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいまの御指摘でございますが、児童、生徒の非行が最近引き続き増加傾向にあり、かつ年齢層がだんだんに低くなってきておるということでございまして、これらはまことに重大な問題であるというふうに思っておる次第でございます。  学校教育におきましては、私どもは先ほど御指摘いただきましたように、教育課程の基準の改善も行いました。それによりまして、いわゆる知、徳、体の三位の調和と申しますか、これらの調和が非常によくとれた人間性豊かな児童、生徒を育成していきたいと、そういうふうに努めているところでございます。  それからまた、学校教育全体におきます指導を通じまして、学校ぐるみで個々の生徒の実態を十分に把握をして、教師と生徒の間柄、それから生徒相互間の間柄に好ましい人間関係が育成されるようにするとともに、学校が、児童生徒の家庭や、それから学校を取り巻く地域社会とともに密接な連携をとって、生徒ができるだけ非行に走らないように、平素から気をつけて対処するように指導をしておる次第でございまして、このために、生徒指導上のいろいろな施策、予算措置等も行っておる次第でございます。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 そのような精神のもとに徹底した御指導をいただきたいと存じます。  次に、学校教育と学習塾について御質問させていただきたいのでございます。  昨今の現状を見ますと、学校教育制度内の教育実態に満足できず、多くの生徒が学習塾へ学習塾へと通っていることは周知のとおりでございます。聞くところによると全国で五十万塾あるのではないかと言われるほど私塾がはやっているということ。一体これは何だろうかと、こう私も思ったのでございますが、その要因を文部省で調べた結果、子供が学習塾に通う理由として、子供が希望する。学校で習うことがむずかしくて家庭では教えられない。学校の勉強だけでは将来進ましたい学校へ入学できない。塾では勉強に興味や関心を持たせてくれるから塾へ行くのであるなどの意見が出てきておると書いてございます。  多くの父兄は、学習塾の学費を含め二重三重の負担を強いられている現状を私は早く改善しなければならないと思うのでございます。児童、生徒を持つ国民の多くの願いは、学校教育制度内の教育内容の充実を図り、児童、生徒に魅力ある教育を施し、学習塾に行かなくて済むような教育改革を求めていることが現実でございます。  そのためには教育制度の改革や、入試制度の問題や、家庭的基盤の充実など多くの問題が提起されると思うのでございますが、それよりも一番大事なことは、現場の教師が生徒一人一人の命を大切にして、公平な心で愛情を持って接し、愛情教育に徹することであると私は確信します。生徒と先生との信頼関係ができてこそ、この子供には他の子供に比してすぐれたこの資質があるんだと引き出せる魅力ある先生になることが一番大事なことであります。また、そうでなければ先生の資格など私はないと、過言かもわかりませんが、そう思わしていただく一人でございます。そのためにこそ文部当局は教員の資質能力の向上を目指して教員研修制度の充実を図り、広い教養、豊かな人間性、教師としての使命感、充実した指導力、児童、生徒への愛情を持った心の触れ合いができる教員の養成に真剣な態度で臨まなければ、このような問題は私は解決しないと思います。現状における教員研修の実態と、今後の積極的な施策について文部省当局より御回答をいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいまの田沢先生の御発言には私どもも全く同感でございます。  教員は次の世代の国民を育成して、そして日本の将来の発展の基礎をつくる重要な役割りを担っておるわけでございます。したがいまして、文部省といたしましては、従来から各種の教員の資質向上のための研修等を行ってる次第でございまして、御質問でございますので概略申し上げますと、まず若い層の先生方を対象とする研修といたしまして、新規採用の教員等の研修がございます。それから比較的に研修の機会の少ない採用後五年程度の先生方につきまして、そこを対象とした研修をいたしております。  それから次のカテゴリーとしましては、やはり自主的な各教科等の教育研究の団体がございまして、そういう団体の行います自発的な研修に対する助成がまた非常に意義深いことでございますので、そういうことをいたしております。  それから第三といたしまして、教員の海外派遣研修というのを実施いたしまして、これによりまして先生方が教職に対する誇りと自覚を高めていただくということの一助にいたしております。  それから第四といたしまして、これはやはり教員の自発的な教育研究活動の促進のために、各都道府県指定都市におきます教員によるグループ研究と、こういうものに対する助成を行っておる次第でございます。  それから第五には、これは僻地等の小規模中学校で充実した教育を確保していきたいということで、免許外教科担任教員の研修事業を行っております。  それからさらに、校長、教頭等の研修を実施いたしております。  それからさらには、わが国のやはり国際協力、国際理解を深めるというような究極の目標への一助ともいたしまして、英語教員の海外派遣研修というものを、これは昨年度から実施いたしております。  で、いろいろといたしておりまして、この関係の予算は、まあいわばソフトに属することでございますので、施設の関係に比べますと、金額的にはハードの予算に比べますと少ないのでございますが、しかしかなりの額を確保しておりますが、そうして明年度も非常に財政的には厳しい事情にあるわけでございますが、私どもとしましては、なおこういった面の事業はより推進してまいりたい。特に、先ほど申し上げました教員の自発的な研修、これは先生方が自分で自分の資質を高めていこうという気持ちが最もこれは大事なことでございますので、そういったことを重点に、なお充実強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 いまの御回答をいただきまして、その成果が上がるように私はお祈りいたしたいと存じます。  第三に、小中学校教科書の北方領土に関する記述の実態についてお伺いさしていただきます。  私は、先般、自民党使節団員の一員として、北方領土返還促進のために現地、根室市を訪問いたしました。戦後三十五年を経た今日、沖繩はすでに日本に返り、日本国民の最後の願いである北方四島は、いまだ解決を見ないまま今日に至っていることは悲しい現実です。北方領土が返還されない限り、日本の戦後は私は終わってないと思います。なぜならば、かつて歯舞、色丹、国後、択捉島に居住していた同胞が、ソ連の一方的な侵攻によって北海道などに追われ、その財産を没収され、漁業権を奪われ、墓参すら許されない苦しい生活に耐え忍んでいるのが現実でございます。幸いにして日本人の良識は、北方領土四島は日本固有の領土としてソ連政府の実効支配に抗議し、早期返還を求めているのは周知のとおりでございます。しかし、北方領土の返還については衆参両院の本会議においても、一部政党を除く全会一致をもって決議されていることは、私は喜ばしい現実だと思います。しかるにソ連政府は、近時北方領土の一部に軍事基地の施設をつくり、兵員まで駐在させているに及んで、領土返還の解決は長期化する様相を呈していると思うのでございます。  申すまでもなく、北方領土四島は国会決議によるとおり、日本固有の領土であり、またソ連政府の実効支配はわが国の主権侵害であります。その意味において、日本国民に北方領土四島の歴史的経緯と現在の主権侵害の現状を正しく認識させるために、学校教育の教科書の中にその内容を多く記述する必要があると思うのでございます。現状の教科書では、小学校六年生の社会科の中に「国後島・択捉島など、北方領土の返還の問題は、ソ連との間で解決されていません。」と、たった二行、三十八字だけ記述されております。また、中学校では、「地理的分野」の中で、「第三次世界大戦後、ソビエト連邦が占領した国後島や択捉島、歯舞諸島、色丹島は日本固有の領土であるため、日本は、ソビエト連邦に返還を求めている。」と、これもたった三行、七十字だけ記述されております。一方、根室市教育委員会では、地元の協力を得て副読本としてりっぱな教科書をこのようにつくっているのでございます。(資料を示す)そして、できるだけ多くの生徒に現実の経緯を教え、一日も早く北方領土が返ってきてもらえる願いを込めていると聞いております。  領土の不法占拠は主権の侵害であります。日本国民の各界各層に正しく北方領土問題を認識してもらうために、学校教育、教科書に多くその内容を正しく記述することが重要であると思いますが、文部大臣としての所見を聞かせていただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま御指摘のございました北方領土問題につきましては、ただいま先生の御指摘は小学校の教科書について特にお調べいただいたことでございますが、私どもとしましては、小中学校の両方の社会科の教科書におきまして、児童生徒が日本の領土を正しく理解するという観点からこの記述が適切になるように求めてまいってきております。特に中学校の社会科の地理の教科書では、すべての教科書でございますが、北方領土の位置、それから北方領土を構成する島々の名称、それからこれらの北方領土は日本固有の領土でありまして、日本はソビエトに対してその返還を求めていること、この三点を理解することができるように記述されております。また、歴史の教科書では北方領土問題の歴史的経緯を取り上げまして、それから公民の教科書では日本をめぐる国際関係として北方領土問題を取り上げております。  なお、御指摘の小学校の関係でございますが、小学校の関係といたしましては、先ほどもおっしゃいました六年生のような記述もございますし、それから社会科の五年の下の教科書で、国土の位置についての記述で択捉島までがわが国の領土ということにされておったりしておるのでございますが、これらは私どもといたしましては、児童の心身の発達の段階にかんがみまして、小学校の段階では詳細にわたって教科書に記述することを求めてはおりません。中学校ではしっかりと書いてもらうということにいたしております。  なお、漁業問題等に関しましては、小学校段階でも北方領土問題を関連して取り上げている教科書が多いという状況でございます。  で、私どもとしては、この北方領土の問題は、おっしゃいますように全国民的な問題としてきわめて重要なものでありますので、今後とも児童生徒がこれについて正しい理解を得ることができるような指導を行ってまいりたいというふうに考えております。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 田沢先生の御指摘のとおり、この北方領土の問題はわが国にとりまして非常に重要な問題であるのみならず、またいま御説明申し上げたとおりに教育上の面からもいろいろと取り上げております。  なおまた、ちょうど私が総理府の総務長官のとき、現職の大臣といたしましては私、最初に納沙布岬の現地視察をいたしましたものでございます。非常に感銘を受けますと同時に、この問題につきましては今後ともに全力を挙げて努力をいたしてまいります。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 私は、北方領土の問題は各党も、これは日本の領土である、日本の主権が当然及ぼさなければならないんだという、ある意味においては大多数の国民というか、国民ほとんどがそれを求めている。ですから、正しいことを正しく教科書に載せるということは反動的なものじゃなくて、まして、そういうような教育を行うところに日本という国を愛する心が自然に生まれてくるんではないだろうか。私はそういうような現実を思えば思うほど、ひとつこの辺のところを力を入れてもらいたいというのが、一国民としての願いとして国会に反映すべく出てきた私の責務であると感じておりますので、その点ひとつ御協力をいただきたいと思うのでございます。  四番目に、私は愛国心教育発言の真意を文部大臣に、そしてまた関係者にお聞かせいただきたいと存ずるのでございます。  去る十月十五日、十七日の衆議院文教委員会において、文部大臣は愛国心教育の必要性を認めながらも、この問題に取り組む姿勢が明瞭になっていないような感を私は受けたのでございます。また文部省として、教員が学習指導要領に忠実な授業をするよう求める姿勢で今後臨むのか、教科書改訂期に愛国心教育を記述する方針で検討するのか、その辺のところを文部省当局にまずもってお聞かせいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 愛国心と申しますか、自分たちの国を愛するという、そういう心情をしっかりと持つということは国民として当然のことでございます。  で、学校教育におきましては、児童、生徒の心身の発達段階に応じまして、わが国土に関する認識を養い、それからわが国の歴史や、わが国として持っておりますすぐれた文化、伝統に対する正しい理解を深め、これによりまして国民としての自覚と自分の国を愛する態度を育成するということが非常に肝要でございます。で、教科書の記述もこういった基本に基づきまして、学習指導要領に示しますところの教科の目的に沿ったものでなければならないわけでございます。  で、中学校の社会科「公民的分野」を取り上げますと、この「目標」には、「自国を愛し、その平和と繁栄を図り文化を高めることがたいせつであることを自覚させる」ということが掲げられておりまして、教科書の中における記述は、これを具体的にどのように記述するかということは著作者によっていろいろな記述の仕方はあろうかと存じますが、私どもとしては、教科書の記述がこの目標に沿った、より適切なものとなっていくように努力していきたいというふうに考えておりますが、ただいまの教科書は中学校につきましてはすでに採択が終わっておりまして、この教科書がこれから三年間使われるわけでございます。この教科書に基づきまして学習指導要領の目標及び内容がしっかりと各学校において児童、生徒に対しまして施されますように、これまた私どもとしてはいろいろな、先ほど来申し上げておりますような研修会あるいは自主的な講習会、研究会等の場を通じまして求めてまいりたい、そういうふうに考えております。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 私は、ちなみに世界各国の教育実態がどうなのかということをちょっと調べたわけですが、その中で、ソビエト連邦の生徒守則には、教養ある文化的な市民となり、かつソビエトの祖国にできる限りの利益をもたらすため、忍耐強く、根気強く知識を身につけること。また、中華人民共和国中学生守則には、学習に努力し、身体がよく、学科の成績がよく、品行のよい人になるように努め、祖国と人民のために服務するよう準備すること。国旗を尊敬し、人民領袖を熱愛すること、さらに、米国のペンシルバニア州生徒諸規則においては、アメリカ合衆国の国旗に対し、またそれが代表する共和制、すべての人のための自由と正義を持つ統一体としての国家に対して忠誠を誓うなど明記されているのでございます。  私は、愛国心教育について権力的次元での論争は無意味であると思います。平和主義、国民主権、基本的人権を基本として成り立っている日本の民主国家を正しく位置づける愛国心教育が必要であると存じます。自分が生まれ育っている国土を限りなく愛し、家庭を愛し、隣人を愛し、同胞を愛し、人類愛を基調とした自由と正義を愛する世界の中の日本を位置づけることが重要な課題であって、こういうような内容的次元のものにおいて御検討されるとするならば、反動的な内容で国家的権力をもって愛国心教育を推進するというような誤解は私は避けられるのではないだろうか。やはり国を愛するということはおのれを愛する母体があってこそ国を愛する心になり、おのれが死んで国を愛する心は私は誤りだと思っております。おのれが永遠に生き、わが同胞のため、多くの人々のために尽くす、おのれの喜びを分かち合うというところに日本の新しい戦後の歴史があると確信しておるのでございますが、文部大臣としてその所見をお聞かせいただきたいと存じます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 田沢委員のおっしゃるとおりでございまして、ただいま文部省の教科書の内容におきましては、学習指導要領並びに各学年等の指導につきましてはるる申し上げたとおりでございますが、文教政策全般といたしまして、学校教育だけではございません、あるいは家庭教育から御指摘のように社会教育全般におきまして、当然国民が自分の祖国を愛し、また郷土を愛する。その帰結はまた同時に家庭を愛し、全般の哲学というものが形成されるわけでありますが、そういうふうな意味におきまして、私は、あるいは学校教育もその一部でありますけれども、文教政策全般におきまして当然国を思い、郷土を思う、この心情につきましては、今後ともに責任者といたしまして推進してまいりたい、かように考えております。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 第五番目に、私は日教組等教職員団体に対する文部省及び文部大臣の姿勢についてお聞きしたいのでございます。  和の政治体制の中で文教行政を担う文部大臣に多くの国民は一日も早く教育の刷新を図っていただき、安心して信託できる学校教育制度の充実を期待していると思うのでございます。  私がさきに指摘したとおり、日本の教育の現状は教育環境の改善、向上は進んでいるのに対して、教育現場における山積した教育問題は国民の期待に比して決して解決に向かって進んでいるとは思っておりません。その要因の一つは、教職員総数の五二・四%を占め、会員数五十八万五千九百十七人を擁する日教組の存在であると思うのでございます。  ちまたに、教育の諸悪の根源は日教組にあるという声もあり、また日教組の中には、諸悪の根源こそ自民党政権にあると、こういうように言い合っているのが現状であると私は思っております。そういうような次元の中に立ってお互いに争い合うということによって、果たして懸案になっている問題が解決できるかというと、私はそうは思っていないのでございます。  今日、国民の多くはいかにして学校教育制度内の教育を充実して、安心してわが子を学校に信託し得る教育の正常化を求める声が高まる中で、現場の多くの先生方も争いのない学校生活を切望しているというのが真実の声でございます。  私は、鈴木内閣が誕生して「和の政治」を主張する機会に、存在するすべてのものを認め、その存在との連携を図りながら理解を深め、よいものをよりよく発展させ、悪きものをお互いに正していくということが教育刷新の原点であると思うのでございます。  その意味において、日教組等との積極的な対話を推進して、教育の正常化を図る熱意が今日求められているのが国民的要望の声であると確信しております。文部大臣は、そういうような実態を認識される中で、日教組等との折衝についてどういうようなお考えを持っておるか聞かしていただきたいと存じます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 文教政策の推進と教育の向上につきまして、私の所管の各種団体とは、皆さん方とお目にもかかり、またお話もしてまいっております。これまでも必要に応じましてその要望もいろいろと伺い、また同時に今後も同様にこれらの団体ともお話をしてまいり、必要に応じて措置してまいります。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 私は、結局は現場の教員の声を聞いたり——私も学園をいま担当してますから、率直に団交に出て、日教組の方々と紳士的な話をしております。やはり管理者の姿勢が正しければその姿勢に協力し、言いたいことも言い合いながらも教育の現場を明るくしたいというのが、私はやはりその地域社会の中に、その職場に生きる人間の人情だと思うのでございます。  日教組というものに対していろいろな意見があるかと存じますが、私は開かれたこれからの文教行政をするについて、善悪、いい悪い、価値観が違うからというだけのことで物を判断するものではなくして、存在するすべてのものを認めていくという中に立ってこそ日本の味があるんじゃないだろうかと思いますので、そういう点について文部大臣も勇気を持ってひとつ教育の正常化に御尽瘁くださいますことを心からお願いするものでございます。  時間がございませんので、あと二、三御質問をさしていただきたいと存じます。  第二の私の大きな質問の条項の中には、幼稚園教育の実態について二、三触れたいのでございますが、これも時間がございませんので、できません。特に私はその中でひとつお願いしたいことがございます。それは先般大島理事団長に、私は長野県の特殊学級、養護学校などをいろいろなところを見さしていただきました。その中で、やっぱり一生懸命そういう不幸な子供を抱きながらも、その子供がきょうよりあす、より発展してほしいと思う心で先生方一生懸命努力している心に打たれて涙を浮かべる場面もございました。私はそういうような現実を見たときに、教育に愛情を持たなきゃならない、なすべきことはすべてに優先して補助すべきものは補助すべきであるというような心に大変打たれた一人でございます。  その中で、特に私立幼稚園の実態の中では、特殊教育教育費補助交付要項というものがございまして、健全な、健康な幼児の中に一人でも二人でも障害児を入れる。そして健康な幼児とともに遊ぶ喜び、その姿を見て不幸な方々が喜んでもらえる、幼児の心を開かしていく、父兄もああやはりうちの子もああいう健康な子と一緒に遊べるんだという喜びを私は分かち合うと思います。しかし、いまの状態では、特殊教育費補助の交付条件としては、八人以上いないとその恩恵に浴されないというような一つの規定がございます。聞くところによると、町田市におきましては一人でも補助している。三人以上では教員一人分相当の人件費を支給していると聞いております。私は、いま私立幼稚園は八千七百八十一校ございますので、各幼稚園で一名ずつそういうような園児を採ったとすると八千七百八十一名の障害児が収容できると思うんです。そういう意味で、一人でも二人でも、そういう愛の手を差し伸べる幼稚園に対しては、それなりの補助交付を実施することが妥当な施策であると思うのでございますが、文部省当局におきましてはどうお考えであるか、お聞かせいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 御指摘の補助は、私立の幼稚園におきまして心身障害児の教育の充実を図っていただこうということでございます。  で、心身障害児の教育にかかる経常費について都道府県がまず助成を行うわけでございますが、その場合に、その都道府県に対し国から補助をしよう、こういうものでございます。したがいまして、補助に当たりましてはいま御指摘のような一応の基準のようなことで定めてございますが、やはり一定数の障害児を入園させた場合に非常に教育費がかさむということがございますために、この現在の基準は一幼稚園当たり御指摘のように八人以上入園させた場合にこれを対象としております。ただこの基準は、実は四十九年、五十年、五十一年と三年間は十人以上入園させた場合に補助の対象としておりましたものを、これを改善を図りまして八人として現在やっておるわけでございます。  そういうことで、五十三年度予算では対象園児数三百五十人でございましたが、本年度は千七十人というふうに充実をしてきておりますが、なお、さらに御指摘でございますので、この点につきましては都道府県におきます補助の実態や、それから心身障害児の入園状況等の今後の推移を十分見きわめながら検討をすることにさせていただきたいと存じます。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 最後に、私は海外での日本語教育の普及方策についてちょっとお聞かせをいただきたいと思うのでございます。  私の友人がイラクのバグダッド大学の医学部教授をしておるのでございますが、この友人は、日本の医学部に留学して日本の国家試験を受けてお医者さんになった方でございます。その人が申すには、日本へ留学するためには現地大学を卒業して一、二年日本語を勉強しなければ留学の実が上がらないので、現地の有力な人々は英語やドイツ語、フランス語はできるので、アメリカとかイギリスとか、ドイツとかフランスへ多く留学しちゃうのでありますと言っております。海外での日本語教育がふだんに行われているとするならば、そのまま日本に留学できると提言してくれたのでございます。  また、私の友人は、日本から海外にいろいろな機械等が輸出されるけれども、それを見て直したりするとすれば日本語ができる人は少ないんだと。だから日本は売れば売りっぱなしというようなきらいがある。だからエコノミックアニマルと言われるような一つの汚名を背負っているんだ。もっと日本語教育の普及をふだんに現場で行ったとするならば、そういうような問題も改善することはできる。そういう問題をひとつ国会で取り上げて、日本と友好関係を諸外国が深めることが大切であると、私に申してくれたのでございます。  そこで、海外での日本語教育の普及のために外務省とどのような協力を行っているのか。今後どのように改善していったらよいかと、今後の日本の将来のために文部省当局から所見を聞かしていただきたいと存じます。

佐野文一郎文化庁長官

○政府委員(佐野文一郎君) 海外におきます日本語教育の普及ということについては、御指摘のように外務省なり、あるいは国際交流基金の方で海外の日本語教育機関等の実態を調べたり、あるいは教員を海外に派遣をしたり、さらには教材を送るというようなことをとり進めているわけでございます。  一方、文化庁におきましては、国立国語研究所の日本語教育センターにおきまして、基礎的な教材の開発等の努力を行っているわけであります。母語別あるいは学習目的別等による教育内容、方法の研究を進め、あるいは基本的な教材の開発、作成、提供を行い、さらには日本語教育を行う教員の一般的、基礎的な研修をこのセンターで実施をするというようなことを行っております。  こうしたわが国の国内における基礎的な、研究なり、あるいは研究開発なり、そういったものの進展というものと、いま申し上げました外務省なり、あるいは国際交流基金が海外で進めております施策との間に十分緊密な連携がとられ、さらにそれが全体を前進させることができますように、いままでも外務省あるいは基金と協力を密にいたしておりますけれども、さらにそれを進めて努力をしていきたいと思っております。

田沢智治自由民主党・自由国民会議

○田沢智治君 以上をもって私の質問を終わらしていただきます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 本国会は私にとって初めての国会であり、しかも文部大臣も就任後初めての文部委員会で、所信表明をなされるということで私は大変期待をもって前の委員会に出席をいたしました。しかし、率直に言いまして、大変申しわけございませんが、物足らない気持ちで帰りました。それは、この私の心に訴えるものがなかったからです。それは、子供たちのためにここでがんばるぞというこの私にとって情熱がわいてこないその所信の内容であったからです。いまこうして私がこの場で質問をしておりますときも、学校でも家庭でも地域社会でも、それぞれ教育の第一線にあって今日の政治や教育の力でゆがめられた教育に悩み、苦しみながら精いっぱいがんばり抜き、生き抜き、懸命に勉強している子供たちや、また劣悪な教育条件、社会条件のもとで力を合わせて、どの子もみんな賢くて丈夫で思いやりのあるいい子に育ててやろうと民主教育を進めている父母や地域住民、学校教職員の皆さんの気持ちに文部大臣の所信は少なくともこたえていくものでなかったと私は見ました。  そこで文部大臣に、私も一人の庶民として、父母として率直にお伺いしたいんです。  大臣は、いま多くの父母や子供や教職員が大臣に一番期待していることは何だと思われますか。一言ずばり、ひとつこの私に聞かしていただきたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私は、文教政策というものの特に重要性を思いますときに、文教政策の基本はやっぱり愛という問題が基本でなきゃならないと、かように存ずるのでございます。ただいま、学校におきまする教鞭をとっておられまする先生方の御苦労や、あるいはまた父兄の方々や、そういうふうな方々の本当に心情は何かと申すならば、やっぱり自分の子供さんがりっぱにすくすくと伸びていってもらいたいということである。その基本は、さらにもっとさかのぼってまいりますならば、家庭における本当に受胎から育児、保育、幼児教育、そういうことに対しまするお父さん、お母さんの温かい愛情に恵まれなければならない。それがまた青少年教育にも反映いたしまして、非行の問題その他の問題も解決できるんだと。さらにまた、この家庭教育から学校教育、ひいては社会教育に至ります段階におきましても、老人の方々の生きがいの問題もやはり文教の所管でもございます。それがやはり、教育という名がつくかどうかわかりませんけれども、学習といいますか、本当に老後の方々が温かく暮らしていけることでありましょう。そこには、やっぱり一本貫かれました子供さん方の愛情、それからまた家庭の愛情、さらに郷土愛、あるいはお国に対しまする祖国の愛情、帰するところは私は文教政策の根幹を貫くものは愛の一語に帰すると、かようにさえ存じておる次第でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 まあ、ひとまずはほっとしたんですが、そこで愛とか愛情とかいうその抽象的な表現だけでは、いま具体的に教育の問題に思い悩んでいる父母や子供の胸にはすとんとおさまらないわけで、以下三点、具体的な問題についてさらに文部大臣のお考え、所信を伺いたいと思います。  まず、その第一は、日本の子供たちの置かれている状況の把握なり認識の問題です。  先ほど田沢委員の方からも非行という事柄で挙げられましたが、いまの文教行政、特に学校教育を考えるに当たって、子供の現状から見て教育をどう把握するか、認識するか、これがまずその大前提でなければならないと私は見ています。いま日本の教育は、このさまざまな憂うべき危機的な状況のもとにあると考えなくてはならないわけですが、たとえば学歴社会を背景とした受験体制のもとで、記憶中心の詰め込み教育、その中で、もう学校へ行きたくない、もう勉強についていけない、そうしたことから、もう学校へ行くことを拒む子供もたくさんできてしまった。さらに学校で荒れて、先生も手がつけられないという状況、そしてそれが警察の御厄介になる非行とか、あるいはさらに自分の命を自分で縮めるという自殺にまで子供が走っているという状況、しかもそれがだんだんと年齢が下へ下へと下がって小学校の子供たちにまでに及んでいる。そしてそれは一つの社会問題化してきている。このことを抜きにしていまの学校教育の問題は考えられないと思うんですが、文部大臣、愛情の問題だけでなく、やはりそうした問題に子供が追い込まれている背景には、今日の教育の制度、そして学校教育そのもののやっぱり問題があると、これを改善し改革していかなければこの子供たちを救ってやれないという部面があると思うんですが、それについてのひとつお考えをお聞きしたいと思います。  第二は、こうした今日の教育のゆがみや矛盾は、経済の高度成長実現のための手段として徹底的に利用されてきたことに最大の原因があると私はとらえております。また今日では、先ほども論議がありましたけれども、愛国心教育の高揚というふうなことが一つの政治目的を達成する手段として教育の中に持ち込まれようとし始めているように私は見ています。文部大臣は所信表明の中で文教の振興を国政の基本として重視する理由に「特に」という言葉をつけ、資源の乏しいわが国が発展するために重要であるという意味のことを挙げられております。この資源の乏しいわが国が発展するために。もちろん教育の目的には、こうした今日の日本が直面している国家的な、社会的な要請の面があることは否定しません。しかし、それ以上にまた、すべての子供の個性を伸ばし、豊かな人間的成長を図ることが一層強調されなければならないと私は考えておりますが、いかがでございますか。  第三は、教育予算増と教育費の父母負担軽減の問題です。  総理や大蔵大臣が、今日の財政再建のもとでは教育も聖域でないと、財政再建の名のもとに教科書代を父母負担にすることを初め、四十人学級あるいは教職員定数増による一人一人の子供に行き届いた教育を保障していくために必要な予算までにも手をつけ、これを切り捨て、後退させようとしていることに、多くの国民が政府に対する不信と、また不安の念に駆られているわけでございます。国民は、義務教育無償の完全な実現を、あるいはまた金のかからない教育を、また今日の物価高の中で生活を大幅に圧迫しようとしている子供たちの教育費の問題について何とか軽減してほしい、こうしたことを切実に願っているわけですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変広範な問題について御意見を承りましたが、本岡先生のおっしゃっておりますことも、私の申し上げることも、帰するところはその社会各層におきますいろいろな諸問題について意思の断絶があるということが最も問題ではないか。あるいは学校の先生方と生徒の関係、あるいは親と子供の関係、社会におきますいろいろな各層の間の断絶、そういうふうなところに、私は申し上げたかったのは、心のつながりというものがなければいけない。それを私は愛という言葉で表現したわけでございますが、御指摘の中におきましても、あるいは学歴社会におきまする問題やら、あるいは受験地獄の解消の問題やら、あるいは非行の問題、さらにまた教育課程や入試制度、国家や文教予算に関する問題、そういうふうな問題を非常に幅広く御主張になっておられたと存じます。先生のこれからのまた御質問の段階に応じましてさらにお答えを申し上げてまいりたいと、かように考えております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 きょう私も初質問でございますので、とにかく言いたいこと全部こう言わしてもらっているようなことで、後で一つ一つの問題をまた文部大臣にお伺いをしていく時間をいただきたいと、このように思います。  そこで、次進めますが、いまも心のつながりということが大切だということが述べられました。私もそのように考えていますが、心のつながりが断絶するときに起こるのが非行であり自殺であると、このように見ております。そして、それが一番厳しい状況であらわれるのがやはり自殺。  先ほど田沢委員の方も非行の実態を述べられましたので、私はそれはやめまして、一番深刻な状況である自殺の問題を二、三申し上げてみるんですが、最近の新聞を見ましても、十月十八日の新聞を見ますと、大阪の茨木で、高校の入試が希望のとおりいかなかったということで高校一年生の子供がガス自殺をしている。また、神戸の垂水で、就職が決まらなかったといって大学生が自殺をしている。また、明くる日の十九日には兵庫県の尼崎で高校を中退した女の子が自殺未遂をやった。これは三回目の自殺未遂であると、このようなことが報道をされているんです。  そして、これは文部大臣もお読みになったろうと、またぜひ読んでもらわなきゃいかぬと思うんですが、五十四年の青少年白書、「青少年問題の現状と対策」、この中に本当にかわいそうな救ってやらないかぬという子供の実態が生き生きと書かれているわけなんです。兵庫県にも、兵庫県の少年非行というふうなものが出されて、この中に兵庫県における自殺とか、あるいは非行の問題が非常に深刻な状況としてここに出ているわけなんです。  そこで、これらの子供の問題にかかわって心のつながりを何とかしなければならないと、先ほど田沢委員に対する質問の答弁でも、やや具体的に、教師と子供、そして子供と子供の間に好ましい関係をつくっていくことが必要であろうという答弁がありました。そこで、私はそれでは一体教師と子供、子供と子供の間に好ましい関係をつくるということは具体的に学校でどうすることかということが先に進んでいかなければ、それは抽象論に終わってしまうと思うんです。そこで私は、それでは一体どういうことかということを幾つか申し上げてみたいと思うんです。  まず第一は、学校の過密化、マンモス化を私は解消することだと思っております。文部省では十二学級から十八学級を適正規模として、約千人以下の学校が好ましいであろうと思いますと書いてあります。私もそのとおりだと思います。学校に千五百人、二千人子供を収容して、教師をそれでは五十人、六十人と配置をしたから、あるいはまた指導員を入れたから、カウンセラーを入れたからといって、私は数量的に解決する問題ではない。そこには、児童あるいは青少年が一つの集団として、適正な一つのまとまりというものの限界があると見ています。多くの非行の起こる状態は過大校、マンモス校の中に起こっているのであります。そして、一九七八年の調査によると、千人以上の、文部省が適正規模だといった以上の学校で勉強している子供が、全国で小学校では三九%、中学校で三一%と、このような実態にあるわけです。兵庫県でも二千人を上回るマンモス校が小学校で六校もあるという現状でございます。この過大校、マンモス校をどのようにして解消するか、これは学校の分離なり、あるいは分離新設するに必要な補助金等々がありますが、この問題を考えていかなければと思うんです。  第二に、四十人学級の早期の実現、これは子供の気持ちの問題あるいは教師の心の問題、そうしたところ、勉強の問題等にゆとりを持たせるということで文部省も始めたわけですが、これを十二年ということでは、いま命を絶とうとする子供、非行を犯して、そして社会的に自立できない状態になっている子供を救っていくのに十二年間で四十人学級、そして学校にゆとりをということでは私は間に合わないと思います。現在、四十人以上の学級で勉強している子供が小学校では二七・九%、中学校では何と五三・六%もいるという現状です。  三番目に、おんぼろ校舎やあるいはまたプレハブの中でいまだに勉強している子供がいるということです。文部大臣も一度あの暑い夏、冷たい冬、プレハブ校舎の中で勉強している子供たちと一時間でも二時間でも過ごされたら、一体どういうことなのかということ、よくおわかりになるんではないかと私は思うんです。体育館もない学校もいまだにあります。そういうところで子供の心がすさんでいく、そういう状況が起こります。  四番目に、教職員の定数増、中学校あるいは小学校の教員が文部省の定数改善、増によって徐々に改善されていっている。このことについては私は大変ありがたいと思うんですが、しかし問題は一人一人の教師が子供を教える時間がどのくらいかということであって、現在では中学校が二十三、四時間、小学校が二十六、七時間という平均であろうと聞いているんですが、少なくとも十八時間以下にしてやって子供と教師の心の触れ合いをする時間をつくる、あるいは子供と子供が触れ合う時間帯をつくる、こうしたことが非常に望まれると思います。  また、希望する高校に進学を希望する子供たちがとにかく全員自分の希望する高校に進学するという状況を満たしてやって、子供たちの心の中に不必要な劣等感や優越感あるいは不当な競争心、そうしたものがその中に起こっていくことのないようやってやらなければと、このように申し上げれば、私はここで立っておって、一時間でも、二時間でも教育現場の中で起こっている問題で文部大臣にお願いしたいことがいっぱいあるわけなんです。  とにかく私は以上いま非常に重要だと思うことについて取り上げました。この一つ一つが文教委員会の中で何時間もかけて論議をしなければならない問題だと思いますので、私はそれ一つ一つについてのお答えを求めませんが、私が心のつながりという問題にかかわって、やはり学校の中にゆとりを持たせると、行き届いた状態をつくるということにかかわって、私の意見それ自身についてはひとつ文部大臣いかがお考えですか。また、それに対する決意を伺わせていただきたいと存じます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま先生の最後におっしゃいましたゆとりのある教育ということがわれわれの理想といたしておるところでございますが、冒頭お話しの、あるいは自殺の問題、非行の問題、これとてもやはり学級編制や過密教育という問題、さらにまた学校の置かれておりますいろいろな地位等々、先生に非常な過重な負担がかかっておる、こういうふうな包括的な御質問でございます。以下御質問に応じまして担当の局部長からお答えをいたします。

吉田壽雄文部省管理局長

○政府委員(吉田壽雄君) 人口急増の市町村に対する学校施設の整備費につきましては、文部省といたしましては格別の施策をとっているわけでございまして、国庫補助率を通常の市町村の場合よりも大きくしているとか、あるいはまた用地費の取得に対しまして他の市町村と異なりまして格別の助成を行っているというようなことで、人口急増の市町村における小中学校の施設整備につきましては特に意を用いているつもりでございます。このことにつきましては、今後ともその方向で推進してまいりたいというふうに考えております。  で、ただいま先生の御質問の中にございましたマンモス校の対策でございますが、小学校について申し上げますと、これは学校教育法の施行規則にその根拠があるわけでございますが、学級数は十二学級以上十八学級以下を標準とする旨のそういう規定がございます。また、義務教育諸学校施設費国庫負担法の施行令によりますと、学校を統合する場合の適正規模は十二学級以上十八学級までを標準とするというような規定があるわけでございます。しかしながら、大規模校の分離につきましては新設校の位置とか、あるいは学区の問題、学区の定め方等、住民の合憲を前提としながら進めなければならないというような、そういう御事情もございます。その点、市町村当局も大変御苦心されているところでありますけれども、実態といたしましては三十学級を超えたところで分離が行われるというような傾向にございます。  で、文部省といたしましては、分離に係る校舎の整備につきましては、従来優先的に補助を採択いたしております。そういうようなことで大規模校の分離を促進する指導を行っております。また、補助の採択に当たりましては、一般市町村の場合は三十学級以上の学校について、それからまた、急増市町村の場合は三十六学級以上の学校につきまして、校舎整備の申請があった場合には分離の可能性について十分検討させるとともに、極力分離新設を行いますように私どもの方からも指導しているところでございます。今後ともそういう方向でなるべくマンモス校の解消に努力いたしたいと、こういうふうに考えております。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 四十人学級の問題につきましては、これはすでに御承知おきいただいておるとおり、非常に財政状況が厳しい中であえて本年度からその実施に踏み切った次第でございます。特に五十五、六、七の三年間はまだ児童、生徒の増加の現象が著しくございまして、これに対応するいわゆる自然増的な教員の増加の必要が九千人ないし九千五百人というのが毎年必要になってまいってくるわけでございます。そういった状況とにらみ合わせながら、この財政状況のもとであえて踏み切りまして十二年計画といたしておりますので、私どもといたしましては、この計画が当初の目標どおりに円滑に進められていくように極力努力をしてまいりたいと思っております。  なお、いわゆる予算委員会のときにおきます自由民主党と三党との御協議あるいは両院の文教委員会におきます附帯決議におきまして、おおむね三年後に、その時点の各般の状況にかんがみて、その後の計画について検討するということになっておりますことは重々承知しておりますので、その時点において検討をいたしたいと思っております。  それから、定数改善につきましては、これはやはりこの厳しい財政事情のもとではございますが、まず第一に、主として複式学級等小規模校の改善、さらには養護教員、事務職員等の定数、あるいは学校栄養職員の定数それから特殊教育諸学校の改善、それからほかにもいろいろございますが、たとえば免許外担当の解消とか専科教員の配置とかいったようなことで、若干小規模校にウエートを置いておりますが、改善の措置もこれまた四十人学級と並行して進めることにした次第でございます。  なお、私どもの手元にただいま持っております数字では、これはちなみにでございますが、教員の週平均担当授業時数でございますが、これは五十二年の十月一日の教員統計調査に基づくもので、ちょっと時点がさかのぼりますけれども、教諭について見た場合に、小学校は、これは全国平均でございますが、二十二・四時間、中学校が十七・九時間、高等学校が十四・五時間、こういう数字を私どもとしては持っておる次第でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いまの数字も、私は私なりの異論があって討議したいんですが、もう時間がありませんからそれは後に譲ります。  それから、この間長野の方に参りましていろいろ視察させてもらったんですが、そこで長野養護学校に行かせてもらった、それが私一番印象深かったんですが、そういうことに絡みながら、来年、一九八一年国際障害者年ということで、全面参加と平等をテーマにして実施される、こういうことでございます。私は、文字どおり、この全面参加と平等というテーマにふさわしくこの日本でも成功されることを願いながら、政府に、文部省にひとつその取り組みをお聞きしたいのです。  政府にしても文部省にしても、仕事をするためにはこれは金が要るわけで、実際そうした国際障害者年にふさわしい年になるのかどうかという問題を私は考えながらこの「昭和五十六年度文部省所管概算要求の説明」の中身を繰ってみました。五ページに「特殊教育の振興」という項目があって、予算では全体が六・六%増ということに対して、この「特殊教育の振興」のところは約一三%ということですから、数的には非常に力を入れた。大蔵大臣はめりはりのきいた予算を斜めと、こういうことのようですから。しかし、中をずっと見てみますと、どうも一二・九%近く伸びたといいながら中身がないわけです。国際障害者記念特殊教育推進事業として新規事業がずっと並んで、それに七千四百万ほどつけるということ、あるいはまた心身障害児巡回就学相談活動費「新規」一億一千八百万円つけるとか、あるいは触覚読書設備費二千六百万円、あるいは屋外養護訓練設備費二千五百万、こうしたことが新規として取り上げられているわけですが、いずれも来年をそうした国際障害者年として、これから障害児のための教育をひとつ力強く推進していってやろうと、障害者であっても人間として生きる権利を保障してやろう、そして人間として参加と平等、それを文字どおり裏づけるような政治を文部省の立場から推し進めてやろうという意欲がやはりここからは感じられないので非常に残念なんです。  そこで、その問題にかかわって幾つか私の意見を申し上げますので、その一つ一つについてひとつ文部省の方でお考えがあるならばお答えをいただきたい。また、これもこれからの文教委員会の中で、ここにおられる文教委員の皆さんと一緒になってやっていかなければならない問題だと思いますので、きょうはこの程度にしておくんですが、まず一つは、保育所・幼稚園から小中学校それから高校と、こういういま一つの学校教育の体系がありますが、ひとつできるだけ障害児も健常児とともに教育を受けるいわゆる統合教育の道を拡大してやらなければならない、隔離教育、閉鎖教育であってはならぬ。また健常児との交流教育というものも積極的に推進をしていくことが必要だと、まず考えます。  二番目に、学校には、特に新設校なんですが、障害者あるいは障害児の皆さんがそこで勉強したり、あるいはまた障害者の父母の皆さんが自分の子供の学校参観に行こうとしても、たとえば車いすで、あるいはまた別の方法でといっても、学校は階段があり、教室あるいはその他の中にも入れないという仕組み、健常児・健常者のみがその施設の中で生活できるという仕組みになっているわけで、新しくつくる学校はこの障害者あるいは障害児も含めて生活できるという建設計画というものをひとつ義務づけるべきではないか、また予算の許す限り、現在の学校についてもそのような施設、設備を改善すべきではないか、このように考えます。  それから教育の方法として訪問教育というのがあるわけですが、私は訪問教育というのは子供の側に立つ場合は別にして、多くの場合、障害児教育の条件整備が不備なためにそうしたことが起こるんであろう。そして、訪問教育を受ける障害児の側も教育を受ける権利の立場からすれば非常に貧しい内容のものになっていると見ます。  そこで、寄宿舎の整備等を図りながら、訪問教育から、やはり学校や病院、施設で子供たちが教育なり療育を受けるようにするということが大事であろうと思います。  長野県に参りましたときは寄宿舎がありました。そこに寮母の方が二十名近くおられる。その寮母のお金は長野県が県費として県単でそれを負担しておられると聞きました。すばらしいことだと思いましたが、寄宿舎をつくり寮母を増員して取り組んでいくということについて、やはり文部省が補助金なりあるいは人件費の補助を出していくということをする必要があろうと思いました。  それから問題は出口です。卒業後の問題として社会的自立を図ってやるために、義務制は中学校までですが、高校へ進学するという高校部設置の問題、これがやはり進んでいないと考えますし、またこれは長野県でお聞きした話ですが、中学校まではとにかく一生懸命子供たちの教育なり療育に当たる、治療に当たる。しかし、中学校を卒業しして就職をするという段階になって、子供たちが一人一人それぞれの企業、事業のところに就職をしていくわけです。いままで集団で自分たちの生活をしておったものが、急に一人一人ばらばらに仕事をしなければならないというところから、子供たちが自立していく力を失ない、そして働く意欲を喪失するという状況があるので、長野県のこの養護学校の方の話では、せめて子供たちがそうした就職という状況になれるまで、通勤寮制度と言うのですか、自立できるまでしばらくその学校がかかわって、あるいはまた生活指導員というふうなものを特別に置いて、自立できる条件まで補助してやらなきゃいかぬという提起もなされておりました。  私は、一生懸命小学校から中学校とその人生に重荷を負って生きている子供たちを育ててきたこの学校の教師たちの切実なる願い、これをやはり何とか政治の力でかなえていけないかというふうに思いました。  最後に、義務教育に入る前の幼児期の問題として、幼児期の教育保障と早期治療の問題、これは一年半診療とかあるいはまた二年診療とか、あるいは検診ですか、これは市町あるいは県の段階でいま行われておりますが、これはなかなか具体的に障害児を持つ親の立場からすれば十分なものでないようでございますし、幼稚園あるいは保育所に入る年齢になっても要するに行くところがないということですから、幼稚部の設置なり、あるいはまた今後の幼稚園計画について、何か聞くところによりますと、四十七年から五十六年までの十年計画で、該当幼児の二分の一を収容する、そういう計画があったようですが、五十六年度というのは来年度のことで、一体これがどうなっているのかというふうなことについてひとつお伺いをいたします。  先ほど言いましたように、具体的な問題はまた時間を改めていただくことにしまして、全般的にひとつ来年が障害者年であるということを踏まえて、文部省として力強い第一歩を踏み出していくという決意なりお考えをお伺いしたい、このように思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 全般的な問題につきましてまず私からお答えをいたし、あと担当局長から詳細なお答えをいたします。  文部省といたしましては、これまでも養護学校の義務制その他の実施を初めといたしまして、心身に障害を持っております子供の教育につきましては格段の努力を重ねてまいったところでございますが、国際障害者年のこれを契機といたしましてさらにその充実を図りたい、あるいは建物の改善の問題でありますとか、訪問教育の問題でありますとか、いろいろの各般の御指摘がございました。担当の局長からお答えいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま大臣からお答えがあったわけでございますが、御指摘の国際障害者年に当たっての私どもの計画でございますが、御承知のように文部省としては従来から特殊教育については特にその振興に力を入れてまいりましたが、特に昭和五十四年度から養護学校を義務化するというその目標に向かいまして、文部省内のいろいろな予算の中でも特にこのための充実に力を注いでまいってきております。この義務化の問題、これは五十四年度からいたしておりますが、なおこれが内容的にも非常に充実したものになりますように、これまでやってまいりました特殊教育全般の施策を着実にじみちに推し進め、発展させていくことがやはり国際障害者年に臨むあるべき態度と申しますか、特に目新しいことをいまどうこうするというよりは、本当に必要なことで、これまでやってまいりましたことをなお充実させてやっていきたい、それがまず第一でございますが、あわせてこういった障害者年ということでございますので、そのための特別のやはり事業も実施していきたいということでございまして、そういうことで、これは政府は国際障害者年推進本部というものを設けておりますので、これに文部省としても密接に連絡、協力、提携していくということでございまして、いま申しましたようなこれまでの施策、特に心身障害児の適正就学指導の充実、それから特殊教育小学校の施設、設備の整備、さらには教員定数の改善などを一充実をしていきたいのでございますが、ただいま申し上げましたように、一種の記念する事業といたしましていろいろなことを考えた次第でございますが、一つは国際障害者年記念特殊教育推進会議というものを開催いたしたい。それからもう一つは、これを記念して教育映画の制作を委嘱をしたい。それから「心身障害児の成長の記録」といったような刊行物を作成いたしたい。それからもう一つとして、これは久里浜にございます特殊教育研究所でその研究所らしい仕事としてひとつ重度重複障害教育シンポジウムというものをいたしますと同時に、もう一つはユネスコのAPEID計画に乗せまして、アジア地域教育開発計画、特殊教育分野における教育として国際的な研究集会も実施したい。さらに、これは他局の所管になりますが、日本ユネスコ協会連盟国際障害者年特別事業というものを援助をしていく。さらには文化庁の子供芸術劇場で国際障害者年の、障害者の青少年を対象とする協賛講演というようなものを計画いたして予算の要求をしておる次第でございますが、これらの中で全部ではございませんが、特に私ども意を用いておりますのは、障害者に対するその他の方々の理解、認識を深めるように、映画にいたしましても、刊行物にいたしましても、記念の集会にいたしましても、そこに一つの目標を置いて計画を作成してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、訪問教育の問題でございますが、これはやはり本来非常に障害の程度が重いことで、家庭の中で家族の介護を受けながらやっていかざるを得ないような児童、生徒、これを対象とする趣旨でございます。したがいまして、これはこれで充実していきたいと思っておりますが、寄宿舎の問題については、なお養護学校でさらにその増設をする必要がございますので、これについては今後とも文部省としても都道府県に対する協力を進めてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  それから卒業後の問題でございますが、これは御指摘のように卒業した後で職場での対人関係の複雑さに失敗をすると申しますか、うまくいかなくなったり、あるいは新しい生活場面に出会って適応がうまくいかないといったようなことがあるようでございますが、これをまた防止するためには、各養護学校におきましてもいろいろと工夫をされ、苦労をされて、一種のフォローアップ的な活動もしていただいておるようでありますが、特に対人関係の指導や生活指導を行って、精神薄弱者の円滑な社会復帰を図ることを目的といたしまして、御指摘の精神薄弱者通勤寮というのがあるわけでございます。これは厚生省関係の福祉施設として、ことし現在で全国に六十二カ所、定員で約千四百人余りのものが設置されているところでございますが、私ども文部省といたしましても精神薄弱者の方々のためには、こういった通勤寮の存在意義というものは十分にあるし、これを厚生省の方でもこの面の施策の展開をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから高校部の設置につきまして御質問がございましたが、これにつきましても、私どもは今後ともこれまでどおり充実して、その推進を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから幼児期の問題でございますが、これは心身障害児の障害の早期発見、それからこれに基づいての早期の療育につきましては、本岡委員御存じのとおり、主として児童福祉を所管します厚生省において種々の施策を講じているところでございますが、これらの幼児の就学に当たっては、私どものサイドで適切な就学指導を行う必要があるというふうに考えております。このために、こういった心身障害児の早期発見、早期療育、さらには適正就学指導に関する総合的な施策の実施が望まれるので、その方につきましては従来から中央心身障害者対策協議会などにおきまして関係省庁の間で協議をしているところでございますが、今後とも密接な関係省庁間の連絡をとり合って、そこのところを総合的な展開ができるように努めてまいりたいと思っております。  なお、施設関係につきましては管理局長の方から……。

吉田壽雄文部省管理局長

○政府委員(吉田壽雄君) それでは施設面につきまして簡潔にお答え申し上げたいと存じます。  小中学校等に在学する軽度の障害児に対する施設整備上の配慮につきましては、全国的にそのような御要望があることにかんがみまして、昭和五十三年の十月でございますけれども、学校施設設計指針というものを制定しておりますけれども、その学校施設設計指針を一部改正いたしまして、障害児の使用上、洋式便器を設けたり、あるいは階段に手すりを設ける等、学校の実態に応じまして必要な配慮をするように、特に一項を設けて都道府県の教育委員会等を指導しているところでございます。幼稚園、小学校、中学校、高等学校の建物を新増改築する場合には、障害者が通学する場合を配慮いたしまして、車いす用の便所、それから手すり、それからスロープ等を設ける場合には、そのための工事費を建築経費の中に含めまして国庫負担の対象としているところでございます。  なお、既設校のいわゆる改修等の費用につきましては地方交付税によりまして財源措置が図られているところでございます。  以上申し上げました。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 ありがとうございました。  私が提起しました問題について格段当局の方も異論がなかったようでございますので提案をさしていただきたいんですが、決意のほどはいまお聞きしましたけれども、やはり具体的にいままでやってきたことを充実するということについて、私が述べましたようなそれぞれの項目をそれでは十年計画でここまで持っていこうじゃないかというふうな策定を、私は来年目指して早急にやるべきではないかという提案をここでしたいわけです。したがって、それについていまここで直ちにどうこうとお答えもむずかしかろうと思いますが、それは私の提案として次のときでもひとつ文部当局内部で検討してお答えをいただければありがたい、このように申し上げて、次に進めさしていただきます。——大臣、いまの私の考えについて何かありますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま広範にわたりますいろんな問題、網羅的にお答えいたしたのでありますが、これらの教育条件の整備には非常に厳しい予算その他の客観情勢でございますが、全力を尽くしまして努力をいたします。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、これからそうしたひとつ計画をぜひつくっていただきたい。私もそれに参画さしていただきたいと思います。  そこで、もう時間もありませんので、若干兵庫県に起こっている問題を申し上げたいんですが、実は兵庫県に広池学園という私立学校を誘致して中高一貫の全寮制の教育をやろうということがいま行われているんです。これは兵庫県が初めはやろうとしたんですが、義務制の中学校と、それから高校はそれぞれ設置者が違うので、これを県が一つにまとめてやることはいまの法律上できないということから、急遽私学を誘致するということになって、その学校の応募をしたんですが、それに広池学園というところが一校だけ名乗りを挙げて、そしてその誘致がいま決まりつつあるというところから、兵庫県では地元の新聞が、これは朝日、毎日、神戸、読売、サンケイすべてがこれを非常に大きく取り上げています。そこで、国会でも五月十四日衆議院の文教委員会で、やはり兵庫から出ている土井たか子衆議院議員が質問をしていまして、その継続の問題として私は文部省に聞きたいんです。  その私学の問題をここで述べる時間がありませんので、もう要点にしぼって申し上げますが、そのときの会議録によりますと、兵庫県に私学を誘致していくという問題について十五ヘクタール約六億七千万円の土地を県が無償で提供するということ、そしてそこに来る広池学園なるものがモラロジーという、いわばいまの憲法とか教育基本法に言う教育の目的そのものとは相入れない一つの思想団体がその背景にあって経営する。私学ですから建学の精神がそれはそれであってもいいと思うんですけれども、しかしそこで問題になったことは、諸澤政府委員が、まず地方公共団体が私学を誘致するについて土地を無償で提供する——御答弁では、公共団体が用地を提供してそういうことを計画したという例は過去にないように思うと、こう言っているんですが、それがあるのかないのかという点が一点。  それから、私学助成ということが私立学校法あるいは私学振興法の中で行われるわけです。現在は人件費等の経常経費を行うということで、これは父母負担の面から見ても私学に通わしている親は非常に喜んでいるわけです。しかし、これを発展させると、土地も建物も提供して建てて、どうぞこれを使ってくださいというところへいっても構わぬということになるんですが、私学助成に言うところのその助成というのは一体どこまでを言うのかという問題。  それから二点目は、この学校に、当然県民の税金を使って購入した土地を無償で提供するというんですから、県民にとって、教育の問題上かかわりがあるわけです。したがって、そのモラロジーというものを背景とする道徳の教科書の中身について大きな疑問が出てきました、最高道徳ということについての。そして、助成対象学校法人選考審査会の鰺坂さんも、答申の中で、「テキスト道徳科学についても、もしこれが学校教育で使用する場合には、教育上適当でないと思われる点は、指導上慎重に配慮する必要がある。」と、こういうふうに答申をされて、教育委員会はそれを受けて広池学園を呼んで、その「道徳科学」なる教科書の中身について論議をして、それを変えるように要求した。(資料を示す)これですが、大変なことが書いてあります。驚くようなことです。われわれの常識でははかり知れないようなことがいっぱい書いてあるわけです。とすると、そこに私学のいわゆる自主性、私学の特性、こうしたものに対して県がかかわっていっているということですね。そうすると、これは私立学校法から言えば、公共団体がしてはならないことを一方でやっているということになるわけです。諸澤政府委員も、そのようなことはよろしくないと、こういうふうに言っておられます。そして、こういうことにかかわって、文部省として調査をする、こういうことになっているんですが、一体それはどうなっているのかということについて、ひとつお伺いしたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 土地の提供のことでございますが、当時の政府委員は、ただいま本岡委員御引用のようなお答えをしたようでございますが、私も高等学校、中学校段階での例はちょっと記憶にないんでございますが、ただ、短期大学とか大学とかを、地方公共団体が、先ほど地方大学の充実のお話も出ましたけれども、私学にひとつ来てほしいというような場合に、土地を提供したりあるいは貸与したりという例はございまして、これはおっしゃいますように、その公共団体の財産を何らかの形で供与するわけでございますから、当該の市町村なりの議会の議決を経て寄付をするなり、あるいは無償で貸与するなりというような手続になっておったかと存じます。  ですから、私学助成と申しましても、経常費の助成は毎年毎年の話でございますが、設立の際に助成と申しますか、協力をするということはあり得ることであると思っております。  で、もう一つの問題でございますが、兵庫県が、ただいま私どもの聞いておるところでは、現在助成対象学校法人選考審査会というので意見具申を得て、最終決定はさらに県の私立学校審議会の審議の経過を踏まえて決定する御意向であると、県の方ではそういう意向であるというふうに聞いております。  したがいまして、いよいよこれが誘致されるということになりますと、ただいま兵庫県に当学園の学校はないわけでございますから、その学校の教育についてどうこうということはないわけでございますが、誘致するということになりますと、私立学校の高等学校、中学校でございますから、県知事がこれの設立を認可するという、そういう手続が必要でございます。で、学校の設置を認可いたします場合には、いろいろ施設、設備あるいは教員組織等についての、審査も行うのが当然でございますが、並行してその学校の教育計画というものについて審査をするということも手順としてあることであろうと思います。そういう意味合いで、恐らく将来の認可も前提としつつ、さらには、ただいま申し上げましたような助成対象の審査会というものもあるわけでございますので、その審査会での御議論に基づいて当該学園との間で話し合いが進められたのではないか、こういうぐあいに理解しておりますが、認可の審査の場合には、さらに教育計画について申請の側といろいろな往復があるということはあり得ることであると思っております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私も初めてで、ふなれなんで、時間に追われながらやっておるのですが、これは私立学校法の問題と非常に重要な関連を持っておりますので、いまちょっとそれ突っ込んだ質問は、また次の私の質問を与えられたときに継続してやらしてもらいます。  そこで、あと四分ほどなんで、最後に、私も愛国心教育の問題について一言だけ総理のお考えを聞いて終わりたいと思うんです。  粕谷委員なり田沢委員の質疑の中で私はずっと考えていたんですが、きょうの文教委員会の中での発言、あるいは質問の中から考えられることは、次のようなことではないかと思うんですが、文部大臣どうでしょうか、それは要するに、憲法や教育基本法の示す平和と民主主義、それを実現をしていく主権者ですね、また、そうしたことを自覚を持った主体を形成していくことが結局真の愛国心教育である。いわば、教育基本法に言う第一条の目的ですね、「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、」そういう実践の中に、子供たちの心の中に、やはりそうした私たちの国というもののイメージが浮かび上がっていく、そういう子供を育て上げていくことが私は値打ちのある新教育だと思うのですが、私も現場におるときはそうしてやってきました。愛国心教育なんという看板を掲げて、国を愛せ、国を愛せというようなことを言ってできるものではない。もし文部大臣のお考えがそうでなければ——要するに、教育基本法の第一条で考えられている平和的、民主的な国家と違った別の性格の国家を考えられて、そしてその想定される国家に対する忠誠をということをお考えにならなければ、いまの憲法、教育基本法に従って教育は示され、指導要領があり、教科書があり、現場の教職員はそれを教えているという限りにおいては、私はことさら文部大臣のような形での国家、国民意識の高揚のためにとか、愛国心教育とかというようなものをいまの段階で大なたを振るうことなく、教科書の中にある平和主義、民主主義、基本的人権の理念をもっともっと教えなさいと、総理も言われたように、やられることでいいのではないか、こう考えるんですが、いかがでございましょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お説のとおりでございまして、毎日毎日の実践の上ににじみ出る愛情というものを通じて、そうして、幼児教育から初等教育、中等教育、さらに社会教育の面にまで使用され、そうして家庭の愛を基本にして親子の愛情の集積がさらに郷土を愛し、祖国を愛するというところにまでおのずからまいることは当然でございます。お説のとおりでございます。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      —————・—————    午後二時四分開会

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、派遣委員の報告及び大臣の所信に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 十六日の所信表明の第一に、きょういただきましたこのプリントによりますと、「学校教育の改善充実」ということを言われておられます。その中で、二ページのところに「児童生徒の健康の増進と体力の向上を図るための体育指導、学校保健、学校給食、学校安全等の普及充実」ということを言われてございます。「学校保健」ということはよくわかりますが、「学校安全」というのはどういうことであるか、私初めてでございますのでちょっと御説明いただきまして、後、関連事項を御質問さしていただきたいと存じます。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘の「学校安全」の意義でございますが、学校における安全教育及び児童、生徒の安全管理、教育と安全管理の包括した概念としてとらえております。  第一の安全教育につきましては二つねらいを置いておりまして、一つは児童生徒の日常生活における安全あるいは交通安全につきまして適切な対応ができるための基礎的な知識、技能を習得させるという面と、もう一つは、危険防止あるいは不幸にして事故に遭遇した場合に適切に対応できるそういう実践的な態度、能力を養うという知識、技能の面と実践的行動の面からこの安全教育の充実を図るという観点をとっておりまして、学校教育の全体を通しましてこの面の教育の徹底を期しておるところでございます。  それから、学校における安全管理につきましては、まず学校における安全な環境を造成するということが第一でございますので、学校におきましては学校安全計画を立てまして、この計画に基づきまして所要の条件を整備して、同時に安全点検等の定期的な検査も進めていくということで環境の保持を図っていくと同時に、またこれに基づきました日常活動における児童生徒の安全管理につきましての配慮をしていくということで、この安全教育と安全管理の両面から児童、生徒が常に健康で安全な生活を営む、また生涯にわたって生命を尊重し、健康かつ安全な生涯を送ることができる、そのようなことをねらいとした教育活動を推進しているところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 これに関連しましてそこに「学校保健」というものがございます。安全ということはいま御説明いただきましたので、大体いろいろの交通あるいは建物その他の環境の整備の方に力が入っているのではないかと思うわけです。自分自身を健康に保つ、あるいは健康に育っていくというためには、私は自分自身がこれに気をつけていくということが非常に大事であろうと思うわけでございます。実は、これはサンプルでございますが、中学校の「保健体育」の教科書及び高等学校のものを見せていただきました。その中身は、高等学校に入りますと生理あり衛生ありあるいは制度上の問題もございましてなかなか高等にできております。これはもう大学に持っていっても恥ずかしくないような内容であると思います。ただ、私ここで気がついたことを二、三申し上げましてひとつ御参考にしていただきたいと思います。  これを見ますと、まず第一に気のつきますことは、午前中にもお話ございましたが、余り魅力がないということでございまして、非常に無味乾燥であるというところが私には響くわけでございまして、これを読んでも子供は自分の保健とは考えないのではないか、何かそういうものをよそから言われているということでありまして、自分で健康を守るといういわゆる今度の鈴木内閣の一つの柱である自助という観念がこの中から抜けているんじゃないかということを感じます。私は、そういうことよりも、健康は自分で守るんだという気持ちを起こさせることが中学校、少なくとも中学校における保健の柱になった方がいいのではないか。ただ、いろいろな病気の名前をここで羅列しまして、こういう症状が出るといいましてもそれは医師が他人を診る場合に必要な知識でありまして、自分自身の体から起こってくることでこのようなことは余り役に立たない。要するに、役に立たないということは自分自身に興味を持ってこない、こういうことになるのではないかと思うわけです。そういう意味では、私は少なくとも小学校あるいは中学校までは、保健というものはこういうむずかしいことではなくて、自分自身の生活にすぐ役に立つような、そういう保健教育をすべきではないかという考えを持っております。ある人の説によりますと、小学校、中学校、いわゆる義務教育までは自分の保健、安全ということを自分で十分納得ができるようなことをしっかり頭に入れるんだ、体と頭と両方で自分の体験として持つんだと。これが、将来われわれは老人になりましても、あるいは最近言われておりますいわゆる健やかに老いるという意味におきましても、これをしっかりたたき込んでおくことが大事であるから、まず安全ということはこれはどうしても小中学校の間にやらなければならぬことではないかと思うわけです。御存じのように、中国でははだしの医者というものがおりますけれども、これはほとんど三カ月ぐらいの教育しか受けていないわけでございますが、自分の健康はもとより、ほかの人の健康の管理もりっぱにできるぐらいの能力を備えるわけでございまして、それにはもっと、私は具体的な症例をもって具体的に教えているというふうに思うのでございまして、私も何度か中国に渡りましてその状態を見ましたけれども、確かにより具体的であるということを一番私は体験したわけでございます。  そこで、どういうふうにするかということですが、これではいや腸チフスは何だ、コレラは何だと、もういまではないような病気まで書いてあるわけですけれども、そういうことよりも、生徒あるいは学生が自分に感ずることは、どっかが痛いということであり、あるいはだるいであるとか、あるいはもっと、眠れないとか、そういう自分自身の感覚の上に上ってくるその症状が実は大事である。そのときに自分はどういうふうにしたらよいかということを自分自身で知らせることが大事である。ここはうちでやれると、ここは医師に行かなければならぬ、そういうことを自分自身で判断のできるぐらいの知識は私は小中学校で教えられるのではないかということを感ずるわけで、もしできましたならば今度の改正の場合に保健というものをもう少し具体的に実生活に役立つような保健を教えていただきたい。この高等学校の生理のところを見ますとまことに詳しいわけでございまして、これなら大学生がこれを読んでいれば通るんじゃないかというぐらい、なかなかしっかりしたことが書いてあると、こう思うわけです。  それからもう一つ、いまちょっと局長からもお話がございましたが、人命の尊重ということがあろうと思います。  これは午前中の皆さん方からも話が出まして、いまの学校教育に欠けているところは相互信頼であるとか、人間に対する愛情であるとかいうふうなことを皆さんおっしゃったわけでございます。で、この「保健」を見ますと、なぜそのように自分の体を大事にし、また他人の体も大事にしなきゃならぬかという根本的なところが抜けていやしないか、いわゆる人命の尊重ということがなぜ叫ばれなければならないかということをこの中にお入れになったらどうかと。最近はわれわれ病気になりまして死ぬ場合には大体畳の上では死ねないことになっておりまして、病院に担ぎ込まれて酸素吸入をすると、医者がついておりましてどんどん点滴をして、いよいよ最後だ、さあいらっしゃいと言うんで死に水もとってあげられないというような状態でわれわれは大体死ぬことになっておるわけでございます。特に核家族になりますとそういう状況がひどくなっていると思いまして、われわれが人間として自分の親しい者あるいは親、そういうものの死に目によって私たちは死というものを知り、同時に生きてるということのとうとさというものをひとりでに感ずるものであろうと思うわけでございます。そういうところから、人命尊重という気持ちが起こってくるので、人命がなぜとうといかということは理論的には出てこないと私は考えております。人間は動物よりも高等であるから、いやだれだかのお役に立つから、そういう経済的あるいは論理的、そういうもので人命がとうといというのではなくて、直観的に人間の命はとうといのであるということがひとりでにわれわれ悟られるものでございまして、そういうチャンスを得る機会が現在の文明社会では非常に少なくなっているということです。そういう意味では、こういう保健の教育の中で、なぜ人間の命がとうといのかということを何らかの方法で、あるいは具体的に、あるいは動物ででも、あるいはその他のものででも、もう少し人命尊重という根源にさかのぼったものが最初に入るべきじゃないか。これがいわゆる人間に対する愛情というものが、ひとりでに起こってくるその最初のものであろうと思うわけです。  最近の教育は、子供が生まれると、その子供に対する愛情よりも、この子供を将来どうやって月給取りにするかということの方が先決になっておりまして、子供に対するひたむきな愛情というようなものよりも、その子供を一種の道具として考えているこういう親もおれば、また子供は親を、おれを学校にやってくれる親であるというように経済的にも考えている。こういう考え方は非常に合理的ではございますけれども、一方においては愛情という面が薄れていく。また世間全体が愛情を失わせるようなそういう仕組みになっておる。こういう意味では、私はこの「保健体育」の中にみずからの体を大切にし、あるいは心身を大切にする。しかも、そこから他人の体も大事にしようという気持ちが起こってくるのではないか。これは、現在非常に老人対策として寝たきり老人なんかが何万といま現在おるわけでございますし、あと十年先ぐらいには二千万の老人ができてくると、こういうときにすべてを医療に任せるということよりも自分自身で健康を守るという、そういう信念を子供のうちに植えておくということが将来の老人対策の非常に大きな私は決め手になるのではないかということを考えまして、「学校安全」ももちろん私は必要でございますが、ぜひみずからの心身はみずからで守っていく、それを実践的に子供に教えていくということを、この子供のときにぜひ仕込んでいただきたい、こういうふうな気持ちがするわけでございます。これが第一のことでございます。  第二は、これにやはり関連をしますが、最近体育という問題が非常にやかましく言われているわけでございまして、老いも若きもランニング、ジョッギングということを言われている。もちろん文部省当局におかれましても、体育のいろいろの面で注意をしながら指導をしておられると思いますけれども、新聞紙上その他にも、最近余りの体育、スポーツの行き過ぎということが言われておりまして、確かにスポーツ障害あるいは運動障害あるいはランニングによってそこで倒れるという、いわゆる心筋梗塞が起こるとか、あるいは四肢の障害を起こすとか、その他の障害が多いということを盛んに言われているわけでございます。実は、この中学の「保健体育」の第一編の方には体育というものが出ておりまして、その後に保健教育というのがございます。体育が、あるいはスポーツが、なぜ私たちの健康に、あるいはわれわれの心身の発達にそれほど重要なものであるかという、実は基礎的の研究というのは現在私はないと思います。これは単なるわれわれのいままでの経験によってスポーツはいいものであると考えているだけでございまして、確かにスポーツもしないで寝てばかりでおれば、体は衰えていくというようなことはわれわれは知っておりますし、死にはしないけれども、何の能力もないような人間ができていくということも、これは証拠立てることができます。しかし、それじゃ進んで体育をすればなぜいいのかという科学的の根拠はないのではないかと思っておるわけでございます。そういう意味では、ただむやみにだれにでもスポーツあるいはジョッギングをしろと言うことは私は非常に危険ではないか。単なる手探り的な政策ではないか。こういう意味では、将来体育あるいはスポーツの振興は結構でございますけれども、ぜひその基礎的の研究をも同時に進めていただくようにお願いを申し上げたいと思うわけです。  ことしの概算要求を見ますと、一つ「国立総合体育研究研修センターの設置準備」というのがございますし、あるいはまた第二に「体育施設の整備」というのがございます。これを立てられるということは、一般の園児の非常に要望しているところでございますし、大変喜ばれることであろうと思いますが、この研究研修というところに、いままでのとおりに、ただ体育の先生あるいは実技の先生を入れて、手はこう動かす、足はこう動かすということではなくて、なぜ体育というものがそれほどわれわれの健康に重要であるのか、それはなぜわれわれの健康に役に立つのかということの研究部面、及びスポーツによって起こってくる障害の防止、そういうもののために私は医師及び医学者の参画をぜひお考えいただきたいと思うわけでございます。——これにつきましてちょっと御意見を伺っておきたいと存じます。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 第一の児童、生徒、子供たちがみずから自分の体を知り、また意欲を持って自分の健康増進を図っていく、また、自分の体を大事にするとともに他人の生命を尊重するということを心から身につけていくということの貴重な御指摘をいただきました。心から仰せのとおりと承りました。特に、いま学習指導要領の上で「総則」という欄がございますが、その「総則」の中で教育の広い意味での体育ということを特にうたっておりまして、この「総則」におきまして、「学校における体育に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、体力の向上及び健康・安全の保持増進については、体育科の時間はもちろん、特別活動などにおいても十分指導するように努めるとともに、それらの指導を通して、日常生活における適切な体育的活動の実践が促されるよう配慮しなければならない。」という特に規定を置きまして、教科における指導はもとより、道徳教育におきましても、「生命を尊び、健康を増進し、安全の保持に努める。」あるいは「特別活動」におきまして、学校行事等で「保健・安全的行事」あるいは「学級指導」におきましても「保健・安全に関する指導」を行うということの、要するに入学式から始まって卒業式に終わるこの学校教育の場全体を通して、子供たちがみずからを鍛え、また健康な学校生活を築いていくということを積極的に打ち出すような姿勢をとっております。  そこで、先生御指摘の点につきまして、余りに大人と申しますか、親の方が目をかけ過ぎているという面もいまいろんな方面から指摘されております。また、子供たちの健康状態、心身ともにの健康状態につきましていろいろな御指摘がございますので、来年度新しく、子供たちの体の健康状態及び日常生活における生活態度あるいは健康に対する意識というものにつきまして五万人ほどの小中学生を対象にした調査を行いまして多くの者は健康であり、また注意しなければならぬ子供たちに対してどのような配慮をしていくか、日常の生活における健康視点と申しますか、そういうものも作成に資していきたいというようなことを計画しておるところでございまして、先生御指摘の、子供たちがみずから意欲を持って健康に、また体力増進に取り組むという姿勢に役立てたいと思っておるところでございます。  それから第二点の体育に対する御示唆でございますが、私どもも、従来かねてから体育、スポーツに関する基礎的あるいは実践的な研究というものが各方面から強く要望されておるところでございますので、できますれば、東京教育大学体育学部跡地、渋谷区幡ケ谷の跡地に、渋谷区の総合体育施設の整備と調和しながらここに国立の総合体育研究研修センターをぜひ設置さしていただきたいという願いを持っていま予算要求をいたしておるところでございまして、御指摘のとおり、スポーツに対する大変な国民の関心が高まってきておることは大変喜ばしいことでございます。また、その反面、御指摘のような問題が幾つかございますので、それらにつきましての基本的あるいは実践的な研究に役立てたいというように考えておるところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 それでは次の問題に移りますが、御存じのように、ODと呼ばれる、いわゆるオーバードクターというものがいまあふれておりまして、皆さん方議員の先生方の中にもいろいろ就職を頼みにこられる中にオーバードクターの方が非常に多いんじゃないかと思うんです。で、このオーバードクターは医学部の方では目立ってはおりませんけれども、実は医学部を出ても昔のように学部の助手になるというようなことはほとんど夢でございまして、内科のところに行きますというと、大体は非常勤というような形で各病院にパートで勤めておりまして、勤めたものを持ち寄ってみんなで分けていると、こういう状態で現在過ごしているのが医学部でございます。そのために研究も中途半端になるというようなことで、医者の方も中途半端なら、研究も中途半端である、ただ大学に籍を置いておるというような状態で、私は医学部は潜在的失業者であるというように考えておるわけです。  ところが、一番目に立ちますのは理学部でございまして、理学部のODというのは、博士コースを終えまして学位を取りましても、なおどこにも口がない。彼らはほとんどは予備校の先生であるとか、あるいはどこか会社の下働きであるとか、そういうところに参っております。しかし、その方々は実は非常に最高の教育を受けておりまして、しかも研究能力もある。だからその方面で使えば十分私は国力の発展に役に立つ、また本人も喜んで自分はやっていけるというそういう能力を持ちながら、実はそれが何にも使われていないという状態でございます。このオーバードクターが現在、理学部だけでも結構でございますが、理学部あるいは農学部も多いわけですけれども、大体どれぐらいいるのか。で、そのオーバードクターを将来どういうふうにしようとされているのか。オーバードクターを出さないようにされるのか、どういうふうに将来されるか、その見通しについてひとつ御意見を伺いたいというのが第二のことでございます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) オーバードクター、いわゆるオーバードクターについてのお尋ねでございますが、大学院の博士課程の修了者の就職状況について申し上げますと、昭和五十四年三月の修了者が三千四百四十四名でございます。その約六〇%、二千七十五人が就職しておりまして、その就職者のほとんどは大体専門を生かして専門的、技術的な職業についております。ところが、一方いわゆる無業者が約三〇%、千四十二名ということに相なっております。その中には研究生等として大学に残っておる者がかなりあると考えられております。そこで、そのいわゆるオーバードクターの数がどのくらいかという点でございますが、私どもが現在把握しておりますのは、博士課程を修了したが定職につかないで大学の研究室等で研究を行っている者をオーバードクターとしてつかまえますと、昭和五十四年末で約千四百名という数字を把握しております。先生御指摘の理学部が数が多いわけでございまして、ただいま申しましたようなつかまえ方で言いますと、約千四百名の中で理学部関係が約五百四十名ぐらいになっております。そこで、こういうオーバードクターの問題に限らず、こういう若い研究者が能力を生かして研究活動を続けられる場を確保するということは、先生御指摘のとおり、大変重要なことであろうかと思っております。そこで、従来からとっております施策で御説明を申しますと、具体的には大学で学部等が創設されまして助手というようなポストがふえれば、そういうところにも就職先として入っていくわけでございますが、そのほか日本学術振興会におきまして奨励研究員制度というものを発足させております。これは五十五年度では三百七十五人を用意いたしておりますが、従来からその奨励研究員制度の数をふやしていくということでオーバードクターの問題に対応するというようなことを考えております。つまり、この奨励研究員で、原則的には一年でございますが、そこの奨励研究員として採用されまして、その間に具体的な研究者としてしかるべきところに就職をするというような受け皿として、そういう制度を設けておるわけでございます。しかしながら、お尋ねのございましたように、本質的には、一体博士課程のあり方についてどう考えていくのかというところが基本的に問題点があるわけでございます。大学等における非常に狭い意味での研究者の養成ということだけではなくって、企業を含めまして広く社会の各方面に進出するような人材を養成するというようなことも大事でございます。それからまた、進路指導等についても適切な指導が必要でございますが、私どもこういうオーバードクター問題とも考え合わせまして博士課程の充実ということについては十分慎重に対応していくという構え方で考えているところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 まあ、これは前から言われていることでございまして、奨励研究生の増員というようなことも一時しのぎのことであって、根本的な解決策にはなっていないんじゃないかと。理学部設立ということをおやりになったのは、より基礎的な学問をさせる人をふやすんだということであろうと思いますし、また大臣のおっしゃったように、ここから創造性のある研究なりそういう成果を上げていくということにあろうと思いますので、学術会議あたりからいろいろの注文も出ていると思いますが、できればそういう人たちが使えるような研究所の設立とか、あるいは会社におけるそういう研究所に助成をすると、そういうことでこのオーバードクターの根本的の解決を図っていかなければ、国家的に非常に不経済なことをやっているということになろうかと思いますので、この点ひとつぜひ工夫をしていただきたいと考えるわけでございます。  次は、同じようなことでございますけれども、大学その他の研究所に対する科学研究費ということは文部省の方でもこれまでずいぶん力を尽くされているわけでございます。しかし、聞くところによりますと、最近は非常にこの大学の財政も苦しくなりまして、普通の講座費というようなものが非常に僅少である関係上、研究費はこの科学研究費、科学研究助成費に頼っているというのが現実でございます。特に教授の先生方はその研究費にありつくそういう機会が多いわけですけれども、助教授以下の若い人にはなかなかそれが回ってこないと。しかも、上がつかえてくるので、助教授の人もずいぶんの能力を持ちながらそれを伸ばす機会がない。こういう意味では、科学研究費、科学研究助成費というものを文部省が出されるということは非常に私いいことだと思うわけです。ところが、最近は申請者の数がふえてまいりまして、最近は私は多分一四%ぐらいの人しか採用してないんじゃないかと思うわけです。しかも、その一四%のうちの大部分は国立が主体になって、八〇%ぐらいが国立の方へ回ってるんじゃないか。だからして、公・私立の研究室に対しては非常に少なくなっているんではないかということを憂えているわけでございまして、せめて申請額の、あるいは申請者の二〇%ぐらいには渡るように、あるいは二〇%から二五%ぐらいには渡るように、あるいは国・公・私立の差をもう少し少なくしていただくように、そしてまた、教授とかそういうものではなくて、実際に能力のある人に、あるいはおもしろい独創的な研究に上げるような審査の方法をもう一度考え直してみたらどうだと、こういうことを申し上げたいわけでございまして、その点について当局のひとつ御意見をお伺いしたいと、こう思います。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の大学における研究費の一般的なといいますか、基本的な問題点について御指摘があったわけでございますが、国立大学の場合について申し上げますと、教育研究の遂行に必要な経常的経費といたしましては、先生御案内のとおり、教官当たり積算校費が大きい目としてございます。ほかに学生当たり積算校費あるいは特別教育研究経費等が計上されているわけでございます。五十四年度予算におきましては、大変国の財政事情が苦しい中で、その増額が大変困難な状況でございましたんですが、私どもとしては教官当たり積算校費とか、学生当たり積算校費の増額、特定研究経費等の特別教育研究経費と申しておりますけれども、そういうような基礎的な経費の増額について必要額を確保するということで増額計上いたしたわけでございます。  なお、実際に研究を進めていく際にこれは一番基礎的な経費になるわけでございますが、たとえば光熱水料というようなものが、電気代、ガス代というようなものが実験研究等においてまず一番基礎的な経費で必要なわけでございますが、最近における電気料金の値上げ等といいますか、そういうようなものがございまして、実際に既定予算の執行に際しましてはいろいろと工夫も加えていただくようにしております。  次に御指摘の点は、教授、助教授、助手ごとの単価について、助教授、助手の単価についてもう少し優遇すべきでないかというような御指摘があったわけでございますが、職種ごとの単価につきましてはどのように定めるのがよろしいか、これも検討課題ではあろうかと思いますが、従来から一応予算積算として組まれているものでは、教授が教育上の運営責任が重いというようなこともございまして、一応その間に差があることは事実でございます。先生の御指摘のような点は十分予算の執行の面で配慮を加えていくということが必要であろうかと思います。  なお、ちなみに、国立学校の関係の特別会計予算で五十五年度の具体的な金額はどうかという点でちょっと補足的に御説明申し上げますと、五十五年度の国立学校特別会計の予算額は一兆二千九百億余りでございまして、その中で先ほど申しました学生当たりの積算校費が二百七十八億余りでございます。これは前年度に比べまして大学院で大体平均五%増、学部等で三%増の金額になっております。それから教官当たり積算校費でございますが、これが約八百三十二億ぐらいでございまして、単価で申しますと二%増というぐらいの金額になっております。それから教官研究旅費でございますが、これが六十億余りでございまして、これは旅費につきましては、特に五十五年度予算では旅費の計上について一般的には一律一〇%減というような旅費の計上であったわけでございますが、教育研究面については特に配慮をするということでございましたが、計上としては一応五%減というような形になっております。そのほか、先ほど申しましたように、補完的経費といいますか、光熱水料等についても、実際一番基礎的な経費であるということで配慮をいたしておるわけでございます。  なお、科学研究費についてもお話がございましたが、科学研究費は近年増額に私どもとしても非常に努力をいたしておりまして、五十五年度では約三百二十五億というところまでまいってきておりまして、採択率等について、先生、ちょっとただいま手元に資料がございませんので、詳しい点を御説明申し上げかねるんでございますけれども、科学研究費の増額につきましても、大変予算的には苦しい中で、文部省としては非常に重点的な経費ということで年々増額に努力をしてきておるわけでございます。  実際の採択に当たりまして、いま御指摘のような、国立学校教官の方が比較的多いんではないかという御指摘がございましたが、実際の採択に当たりましては、具体的な研究課題といいますか、研究課題を提出していただきまして、専門の先生方に審査に当たっていただくというような仕組みになっておるわけでございます。結果として国立大学の教官が採択されている数が多いということは御指摘のとおりであろうかと思いますが、実際に研究意欲を持って研究課題を積極的に出していただければ、もちろんそれに対応した配分がなされるであろうということになるかと思います。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 非常に御尽力いただいていることはよくわかるわけですけれども、大臣の所信表明にもございますように、これまでは欧米のイミテーションをやっておれば済みましたけれども、今後は創造的な能力というものをとうとばなければならぬという時期に私は到達していると思いますので、できるだけこういう大学及びその他の研究機関に対する文部省の予算をよりアップしていくという強い姿勢をひとつ持っていただきたいと思うわけでございます。その点、よろしくお願い申し上げます。  次いで、これは前々から問題になっておりますけれども、国立大学の授業料と私立大学の授業料との間には非常に大きな格差がございまして、いわゆる授業料の適正額というものはどれくらいが適当であるかということは非常に御苦心のあるところであろうと思いますけれども、授業料はここ数年来、毎年ほとんど上がっているという状態でございまして、この点は非常に教育を受ける者にとりましては、特に教育の機会均等ということを土台にしますと、どこまで上げればよいかというようなことが問題になりましょうし、大体授業料というのはどういうものであるのか、そういうことについてひとつ御説明をお願いしたいと思います。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 国立大学の授業料についてのお尋ねでございますが、国立大学の学費につきましては、従来学生生活費の推移でございますとか、あるいは私学の学費とか、あるいは育英奨学事業の拡充措置等々合わせまして、それらを総合的に検討しながら定めてきておるものでございます。先生御指摘のとおり、最近数次にわたりましてかなり大幅な改定が行われてきておりまして、国立、私立の間の格差は順次縮小されてきておるというように私どもも把握をしてきております。以上のような点を踏まえまして、私どもとしては国立大学の学費改定ということはやはり非常に重要な問題であると考えておりますので、きわめて慎重な対応で臨みたいと、かように考えております。  なお、授業料の性格についてのお尋ねでございますが、授業料については、私どもは授業料というのは学校の利用者である学生、生徒が、学校施設及び教職員によって提供されます教育という役務に対して支払う対価としての性格を持ったものであるというぐあいに考えておりまして、学校の教育に必要な経費の一部を利用者が負担するという性格を持っているものかと思います。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 これは国立が上げられますと、公立、私立に対してもその余波が及んで参ります。そういう意味では、ただいま局長言われましたように、ぜひ慎重に取り扱っていただきたいと思うわけでございます。ただ、上げるときの名目がはなはだ漠然としておりまして、何を基準に上げていいのかさっぱりわからないと、学生から突っ込まれますと、その点に対してはほとんど返答が不可能である。受益者負担あるいは使用者料、使用料、いろいろの考え方があるわけでございますが、何らかこの点については一度この授業料の性格というものをどこかで御審議いただきまして、本当に要るものなら要るんだと、だから取るんだということでなくてはいけないと思うんです。何かが上がったからこれも一緒に上げるんだというようなあいまいもこたる上げ方では今後は通用していかなくなるのではないかと思いますので、この点十分御審議をしておいていただきたいと存じます。  次は、私学助成はずいぶんふえてまいりまして、要求額は、ことしの要求額でしょうか、二千九百十五億円でございまして、対前年度比は一〇・六%増にとどまっております。本年度は一二・九%の増でございましたので、それよりも二%ばかり下回っているわけでございます。こういう伸び率でだんだん低下しておりますが、物価も上がっております。私学振興助成法では、御存じのように、大体二分の一の経費補助ということが昔から言われて、前にそれぞれ決まってございますが、これどれぐらいを目安にこの二分の一達成をされるのか。このままではなかなかその距離が締まらないのではないかと思いますので、この点をひとつ御説明願うと同時に、同じような問題でございますけれども、公立大学は各地方自治体でこれ賄われているわけでございますが、授業料は国立並みでございますので、地方自治体の財政の窮迫ということもありまして、まことに窮屈になっております。そういう意味では、建物の老朽化、それの新設あるいは設備の拡充というようなことにつきましても、まことに困った大学が方々にあるのではないかと思うわけでございます。恐らく午前中ございました福島大学もそういうことがあろうかと思うわけでございますが、この公立大学に対する補助というのはどういうふうにお考えで、今後どのようになさろうとしているか、その点をせひお伺いしたいと存じます。

吉田壽雄文部省管理局長

○政府委員(吉田壽雄君) 私立大学等の経常費助成のことにつきまして私の方からお答え申し上げます。  ただいま先生のお話にございましたけれども、昭和五十五年度予算におきましては、私立大学等経常費補助金は、前年度の予算に対しまして一〇・六%、二百五十億円増の二千六百五億円を計上いたしておりまして、専任の教職員の給与費あるいは教員の経費、学生経費と、経常費補助の主要なものにつきましてはすでに二分の一補助を大体達成しております。昭和五十五年度の私立大学等の経常費総額——もちろんこれは推定でございますけれども、昭和五十五年度の私立大学等の推定経常費総額に対する割合は約二九・五%に相当すると考えております。  また、先ほど先生のお話にもございましたが、昭和五十六年度は本年度予算に対しまして一一・九%、三百十億円増の二千九百十五億円をただいま要求しているところでございますが、これは昭和五十六年度の同じく推定の経常費総額に対しまして約三一・八%に相当すると見込まれます。  先生の御質問にございましたように、あとどのくらいでこの私立学校振興助成法に掲げておる二分の一補助に達するのかというような御質問でございますが、いま具体的にあと何年でその経常費全体の二分の一相当まで補助できるというような具体的なことを申し上げられる段階には達しておりません。何分にも最近の国の財政全体が大変むずかしいときでございます。そういう客観的な情勢もございますが、私どもとしてはもちろんできるだけその二分の一補助に近づけていくように今後とも努力してまいりたい、こういうような考え方でおります。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 公立大学に対します補助の考え方についてお尋ねがあったわけでございますが、国公私立大学全体のバランスのとれた発展を図るということが基本的には必要なことでございまして、そういう観点から、文教行政の立場から教育設備費の補助を初めとしまして、一定の範囲内で公立大学に対して補助をいたしておるわけでございます。  具体的に若干申し上げますと、学校教育の設備整備費等補助金というもので理科教育設備等についての補助を取り上げております。そのほか公立大学在外研究員補助も取り上げているわけでございます。  第二番目に、公立医科大学等経常費補助が、先生御存じのとおり、五十五年度予算では約三十六億余りが取り上げられております。これは公立の医科大学についての経常費の補助ということで教員給与費等について見ているわけでございますが、五十六年度としては、新たに研究旅費等についても取り上げるように要求はいたしておるわけでございます。  それから第三番目に、施設についての補助の点でございますが、従来から、公立大学に対する施設の補助というのは国としては直接は取り上げないということで対応してきておったわけでございますが、施設の中でも特に公立の医科大学については特別整備費ということで、附属病院のうちで、講義でございますとか実習室等に使う部分の施設費の補助を、これは前にも一度取り上げた前例があるわけでございますが、五十五年度予算で新たにそれを認めていただいたわけでございます。これは五十五年度、五十六年度の二カ年の予算ということに相なっております。  基本的にはそういうようなところを取り上げておるわけでございますけれども、具体的に補助をどこまでやるかという問題については、公立大学でございますので、学校教育法上の基本的な設置者負担主義がございますとか、あるいは地方自治の原則等いろいろ問題点もあるわけでございます。そういうような点で、現在公立大学の性格でございますとか位置づけ等を初めとしまして、その教育研究条件でございますとか、あるいは経営の実態等について調査研究をする会議を、学識経験者をお願いして実施をしているというのが現状でございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 公立大学は自治体が見ておるのでいいと、あるいは交付税でも見ておるというようなことで、おっしゃることはわかるわけですが、自治体が非常に財政的に困っておるという状態もございますので、国立、私立の谷間にならないようにぜひひとつ御配慮をお願いしておきたいと思うわけでございます。  最後に、実はこれは医学の問題でございますが、御存じのように、医学の最初にはいわゆる解剖というものが行われておりまして、これは人体を用いてやるわけです。死体を用いてやるわけですけれども、文部省の設置基準では学生何名に対して死体は幾つというふうに決まっているわけでございます。これが設置の基準になっておりまして、私も設置委員の一人としまして何回か回ったわけでございますけれども、いつでも問題になりますのは死体が足りないということでございまして、設置基準に満ちていないということです。文句はそれは言えるわけですけれども、じゃいかにして遺体を集めるかということになると、政府としては何らの処置も講じていないと言えば少し言い過ぎかもしれませんけれども、民間団体に任せているということです。元来はこれいわゆる行路病者、行き倒れであるとか、あるいは刑務所の死刑囚であるとか、こういうものを昔は使っておったわけでございますし、またいわゆる官費でもって入った患者を使うというようなこともございましたけれども、このような豊かな国になりましてそういうことは許されなくなりました。そういう意味では有志の人の遺体を待つという以外にないわけでございますが、実はその遺体の数は恐らく全部を集めても足りないのではないか。そうすると、設置基準に反するけれども、ただせっつくだけではだめではないかというのが私の言いたいところでございまして、もしもせっつくだけではだめならば、政府としてはどのような処置をおとりになるのか、また、もしそういう団体があるとすれば、その団体に対する補助というものはお考えになるお気持ちはないのか。実は、医学部に入って遺体を見たときに私たちは初めて人間の死というものと対面をする、医学の教育においては非常に重要な瞬間でございまして、これが現在はプラスチックなんかで非常にりっぱなものができているという話も聞きますが、それでは私はいわゆる人間性に富んだ医師の養成ということはできないのではないか、遺体に対する敬虔な気持ちということから医師の教育というものは始まるべきではないかと思いますので、この遺体のいわゆる獲得ということは、ぜひともこれは力を入れなければならぬ問題であると思いますので、その点についてひとつお伺い申し上げたいと思うわけでございます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 解剖用の遺体の献体が大変不足しているんではないかということについてのお尋ねでございます。医学教育には不可欠な解剖実習用の遺体でございますし、その確保については種々努力もしておるわけでございますが、先生も御指摘のように、近年の社会情勢の変化ということで、いわゆる行路病者といいますか、そういうものもだんだん少なくなっておるというような状況でございますとか、もう一つは医科大学の新設、これは最近国立大学を含めまして昭和四十五年当時から比べますと、定員で言いますとほぼ倍の定員になっておるわけでございます。したがって、学生数がふえれば当然に必要な遺体の数も必要なわけでございますが、それが必ずしも確保されていないというのは御指摘のとおりでございます。五十四年度の場合、教育上望ましいとされている体数のほぼ七二%程度が収集されているというのが現状でございます。  そこで、こういうような事態を踏まえまして、私どもも遺体収集に要する経費についても、国立学校特別会計の経費につきましても増額をいろいろ図っておるわけでございますけれども、一面、基本的には、遺体を提供していただくということについての一般社会的な認識と申しますか、諸外国と日本の場合と基本的にその辺が若干違うというようなこともございまして、なかなか実際に個個の大学でも篤志家等の団体に働きかけまして献体活動をいろいろお願いをしているわけでございますが、基本的にはまずそういうところから国民の御理解を得ていくというようなことが必要であろうかと思います。ただ、そのための新たな遺体収集に要します経費等について国庫補助を出すかというような御趣旨のお尋ねであったかと思いますが、ただいまのところは私学に対しましては経常費助成を行っておりまして、それとは別にそういう補助というのは実際問題としてはむずかしかろうと、かように考えております。ただ、そういう献体のための啓蒙活動等につきましては、さらに一層活発にしていただきますようにいろいろ関係者と協議を進めてまいりたいと、かように考えております。  なお、日本学術会議から昨年政府に対しまして「献体登録に関する法制化の促進について」という勧告が出されていることも承知しているわけでございまして、そのための献体運動の一層の推進のために所要の法律措置を講ずべきだというようなことを言っておるわけでございますが、その勧告の趣旨自体は大変結構なことでございますが、具体的に法制化いたしまして、その本人の意思と遺族の意志と申しますか、基本的にはそれが基本になるわけでございまして、種々検討すべき問題点もあろうかと思っておる次第でございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 大変御腐心であろうと思いますし、非常に財政的にどう扱うかむずかしい問題もあろうと思います。しかし、実際に集めるといいますと、大体御病気になって臨終が迫ったというその前からお見舞いにも行かなきゃならないし、また亡くなるのがいつかわかりませんから、夜中になってもそれを取りに行かなきゃならぬという問題も起こります。それが、助手が行きましても助手は非常勤の手当はもらえない。あるいは、死体解剖に一生懸命になっております学生は非常に夜遅くまでやりたいのだけれども、助手を引っ張っておくということができない。そういう公務員の非常勤の時間外手当というような問題も起こってくるわけでございます。それからまた、遺体を献体をいたしますと、自分の髪の毛ぐらいは残るかもしれませんが、あと骨も何も残らないわけでございまして、そういう遺髪なり何なり、あるいはその人がここで亡くなったというものを、いわゆる慰霊碑といいますか、そういうものでもつくってやらないとなかなか遺体を出す人がいない。いわば、こういうことをやるのにはそう大ざっぱな、お金をやればできるということじゃなくて、もう少しきめ細かな、人間を取り扱うというような気持ちが文部省自体にないと、これはただ財政上こうであるということでは私はうまくいかないと思いますので、そういう意味もございまして、ひとつ善処方をぜひよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  以上をもって、私の質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 私もまず、午前中、粕谷委員、本岡委員の質問にもありました、議論の前提として教育基本法に対する文部大臣の基本的姿勢、これを遵守をしてやっていくということで再確認してよろしいですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 午前中からたびたび申し上げましたように、憲法並びに教育基本法を遵守いたしてまいります。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 しからば、これもお話が出ておりましたが、九月七日の岐阜県議会における、日本の教育基本法の中に、「日本の歴史と伝統を尊び、国を愛する心を養う」という語句を加えるようという国に要望する決議、このような決議に対しては文部大臣としてはこたえないということで確認してよろしいですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 本件につきましては余り詳細存じませんけれども、この法律に盛り込むという決議並びに要望に対する動きのあることは若干は聞いておりましたが、いまの段階では一つの御意見として受けとめておきたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そういう一部の意見だということで聞きおくということですね。  なお、念のためにお尋ねをいたしますが、教育基本法を遵守をしてやっていくというその事柄の核心は一体何かという問題でありますが、最高裁の判決を引用するまでもありませんけれども、たとえば昭和五十一年五月二十一日の学力テスト事件に関する最高裁判決文、この判決はいわゆる学力テストを合法と見なす不当な判決だというふうに私どもは考えているわけでありますが、しかし、その判決文の中でこのようなことを述べております。教育基本法について、それはその前文の示すように、今後におけるわが国の教育の基本理念だと、「これは、戦前のわが国の教育が、国家による強い支配の下で形式的、画一的に流れ、時に軍国主義的又は極端な国家主義的傾向を帯びる面があったことに対する反省によるものであり、右の理念は、これを更に具体化した同法の各規定を解釈するにあたっても、強く念頭に置かれるべきものであることは、いうまでもない。」というふうに明快に述べておるわけですけれども、そうした点で教育基本法を遵守をして今後の教育行政を進めていくという、その問題の核心は戦前の軍国主義教育、あるいは極端な国家主義的教育に対するまず反省の上に立って、教育基本法ないしはその各規定の解釈に当たっても強くそれを念頭に置いて進めていくんだという、この最高裁判決の精神でやっていくということを確認してよろしいですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 結構でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そこで重大な問題は、繰り返し大臣は、口では教育基本法を遵守をしてやっていくというふうにおっしゃっておりますが、しかし今日児童生徒の教育をめぐってまず取り上げたいと思いますのは校外生活、子供たちの校外生活の分野で軍国主義教育が急速に強められてきている、年々強化をされてきているということをぜひ取り上げてお尋ねをしたいと思うんです。  まず文部省にお尋ねをいたしますが、防衛庁が小学生、中学生、高校生を対象にして広報活動、自衛隊の広報活動という名によって、たとえば「チビッ子・ヤング大会」だとか青少年防衛講座だとか、こういうものを年々やってきているわけですけれども、大ざっぱなことでいいんですが、文部省の理解、たとえばこの五年間ぐらいの間にどの程度に規模が拡大をしているかというふうに文部省は把握していますか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 現在自衛隊の広報活動の一環として、いま御指摘のありましたように、基地の一般の公開ないしは施設の利用、スポーツ大会などの活動が行われておりますが、その具体的内容については文部省自体として調査をしておりませんので、つまびらかにその内容を把握しておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 その内容、全貌については調査もしていないからよく把握していないというのですが、非常に無責任じゃありませんか。この自衛隊の、夏休みとはいえ、時期が多いとはいえ、小学生、中学生高校生を対象にした、当然社会教育の分野に属する問題になってくると思うんですけれども、こうした問題についても本当に今日の教育諸法規に照らして正しく一体そういう行事が運営されているかということについて目を向けていく、このことは当然の責任じゃありませんか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 青少年の社会教育活動として、それぞれの団体がそれぞれの団体の目的、理念に従っていろんな活動をやるのは、本来自主的な活動としてとらえるべきであって、文部省が一々これらの団体の活動について規制を加えるとかチェックを加えるという筋合いではないと思っております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 大変なことを言われますね。  防衛庁に聞きましょう。資料もいただいておりますのでごく概略でいいですけれども、広報活動の名による小学生、中学生、高校生を対象にした行事、これの全貌がおおよそどういうことになっておるか、特に件数ですね、昭和五十年から五十四年、この五年間の間にどれくらい件数がふえているか、おっしゃってください。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) お答えいたします。  防衛庁の広報につきましては、わが国の防衛力を国民的基盤に立脚したものとするという目的でいろんな広報活動をしておりますけれども、特に小中学生、高校生というものを対象にした青少年層に対しましては、駐とん地等において開放し各種行事を実施するほか、自衛隊の現況について説明した青少年向けパンフレットをも作成しております。いま先生お尋ねの駐とん地を開放しての広報行事としましては、「チビッ子・ヤング大会」、これは大体対象者を小中学生にしていますが、そのほか青少年防衛講座、これが中高校生を対象としております。すでに五十三年度でやめておりますが、夏季航空学校、夏季航空教室というものも五十三年度まではやっておったわけでございますが、これらを合わせまして五十年度から逐年申し上げますと、五十年度十件、五十一年度十六件、五十二年度五十九件、五十三年度六十二件、五十四年度百四件を実施しております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いま防衛庁から説明がありましたように、大臣、何と五十年度から、まだことしは集計されておりませんから、昨年の五十四年度に至る間、十件から百四件、十倍以上に子供たちを対象にした自衛隊の行う広報諸行事、これが拡大をしてきている。こういう動きに対して文部省として、それはほかの機関がおやりになる行事だからそこを信頼して、別にそれに対してどういう状況かということを調べる必要も感じていないという先ほどの答弁ですけれども、そういうことで済むだろうかという問題です。しかも単に数だけの問題でない、内容にも非常に重大な問題がある。  いろいろ新聞にも報道されておりますので大臣も御承知かと思いますけれども、たとえばことしの夏、北海道の帯広でやられました「チビッ子・ヤング大会」、そこに展示されましたのは、ピストル、機関銃、大砲などの撃ち方まで教え、また広報映画では防衛力強化、防衛意識を宣伝する映画を映す、資料館の展示では旧軍隊の軍服、軍刀それから階級章、軍人勅諭まで展示をしたというのです。この教育行政、社会教育も含めて——教育行政という場合には社会教育も含まれると思うんですけれども、教育基本法の遵守をしてその精神でやっていくんだというふうに言われていますけれども、どうですか、判断力の幼い子供たちに軍人勅諭まで展示をしてこういう自衛隊の広報行事がやられるということについて、大臣どう思いますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) これらの、ただいまの「チビッ子・ヤング大会」とか、防衛庁の各隊におけるいろいろな行事、これはもちろん隊友会とか父兄の方々やその他深い御了解なり、あるいはまた地方一般の方々の支持のもとに行われているんだろうと存じますが、そういういろいろな社会事象について社会教育的な観点という一応の考え方もございますが、一般の民衆の方々のそういう行動について一々文部省の方から批判あるいは差しとめといったようなことはこれはすべきものでもないんじゃないか、かようにも考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 一般論を聞いているのじゃなくて、私具体的にお尋ねをしたのは、大人を対象じゃない、判断力の幼い子供を対象にした行事で軍人勅諭を展示物として子供に見せるというこういう内容が全く問題ないという大臣の見解ですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 子供さんが昔の歴史的な標本として見ましても、そう直接深刻な影響はないのではないかしらと、かように考えます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 私は京都に住んでおりますが、京都の宇治市というところでも大久保の自衛隊駐とん地があり、そこでことしの夏「チビッ子・ヤング大会」が開かれましたけれども、ここでも同じように六〇式百六ミリ無反動砲、八十九ミリロケット発射筒、八十一ミリ迫撃砲などが展示をされ、小銃、機関銃の隊員がこうやって撃つのだということで、その操作まで子供たちに教えている。それで実際に十数メートル先のヘルメットを標的に撃たせる。こういうのが「チビッ子・ヤング大会」の内容としてやられている。で、子供たちは、最初は興味も半分あって喜んでおった模様ですけれども、しかしいよいよ弾をどんどんと撃つという段階になると、さすが子供たちといえ、ずいぶん顔をこわばらしていたということが新聞でも報道をされました。私は実際に会ってお聞きをしたのですが、五十九歳のある自営業のおじいさんですが、せがまれて五歳と小学校二年生の孫を連れてそこへ行った。孫が機関銃を手にして遊んでいる姿を見て、何も知らない子供たちに兵器で遊ばせることはまずかったなと思った。私自身も戦争で軍隊生活を送り人生がめちゃめちゃになった。子供の幼い好奇心を利用して兵器で遊ばせる自衛隊のやり方は戦争に対して子供の意識を知らず知らず麻痺させることになるのじゃないかというふうに述懐をしておられるわけですけれども、文部大臣、この五十九歳の方のこういう言葉をどう思いますか。どのような感想をお持ちですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 防衛庁で行われている広報活動は、あくまで青少年に対する自衛隊の実態についての理解、親近感を持たせるという観点から行われていると理解しているわけでございます。したがいまして、機関銃や戦車等の武器についての展示もございましょうけれども、そういう実態があるということを知らしめる意味で行われているものであって、別に小中学生を対象にして自衛隊員としての隊員教育をやるのとは本質的に違うというふうに理解しているわけでございます。そういう観点での内容でございますから、特に問題にする必要はないのではないかというふうに考えている次第でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 あなたの意見は、展示はともかく、それならば幼い子供たちに鉄砲を撃たせる、こういう、何というか実演ですね、これも自衛隊に親しみを持たせるという意味でいいことだというのですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 具体的内容についてつまびらかに承知していないので、私はいまおっしゃったようなことが現に行われているかどうか、ここでそれを認めるわけにはまいりませんけれども、一般的には、自衛隊の武器の装備の実態を知らせるという範囲内でいろいろな行事が処理されているというふうに承っているわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 大臣、どうでしょうか、本当に学校教育を日常進めていく精神に照らして、広報行事ということで言われているわけだけれども、さっきから言っています「チビッ子・ヤング大会」あるいは青少年を対象にした講座、こういうものが本当に学校教育との矛盾の関係を生まないか、教育基本法の精神に照らして。ということで、つまびらかに実情を知っていないということなんですが、一遍実態はどういう状況か、全国各地でやられていますから、これについて文部省として一遍調査をするということを最低やるべきじゃないですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 自衛隊の内容について、そういうことが一般的に基地の開放であるとか装備の内容の展示であるということは前々から聞いておりまして、特にその範囲内でございますれば問題にする必要はないということで、いままで特別の調査をしておりませんし、改めてこの問題について調査をしなければならない情勢があるというふうには考えておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 武器の展示だけじゃない、実際に鉄砲を撃たせていると。そういう報道はあなたも全然見ていませんか、新聞にずいぶん出ているでしょう、各地でやられている。で、私はいまここで帯広の例と宇治市の例を出しました。そういうことまでやられておるということが実際にどうかということについて調べてみる、調査をしてみる気もないですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) ここに防衛庁の方もいらっしゃるので、どういう範囲内でやっているか、そちらの方に質問をしていただくとつまびらかになろうかと思うんですが、私はそういうことが具体的に行われていると、そうして非常に危険な状況であるというふうには理解していないのでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 文部省としては把握をしてないというその一点張りですから、しからば防衛庁に要求をいたしますが、防衛庁として一遍全国各地でやられておる——私はきょうここで帯広と宇治市の例を挙げましたけれども、そういう「チビッ子・ヤング大会」なり、あるいは青少年を対象にした講座なり、これの内容がどういう内容になっているかということについて、当委員会に資料を出してもらえますか。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記をとめてください。     〔速記中止〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記を起こしてください。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) いま先生お尋ねの件でございますが、私ども全国でどのような——「チビッ子・ヤング大会」等の内容あるいは青少年防衛講座の内容等についてはすでに掌握しておりまして、その内容は、いま文部省の方からもお話がありましたように、スポーツ大会であるとか、キャンプ大会であるとか、あるいは装備品の展示であるとか、広報映画の上映であるとか、あるいは飛行機、海の場合には船、陸の場合には各種自動車等に乗る、いわゆる体験搭乗と申しておりますが、そのような内容。それから先生が言われているのは一部ありますが、いわゆる光線銃というようなもので、どこでも、まあ遊園地など行くとありますが、そういう銃で十メートルぐらい先のものをねらって撃つというようなことはありますけれども、実際に銃を撃っているというような事実はございません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 現に銃を撃ったということで新聞にも報道されているわけですよ。ですから、ないならないということでいいですから、一体いまの実情、現状はどういう内容でやられているかということを資料として出してください。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記を起こしてください。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) ただいまお答えしましたように、その「チビッ子・ヤング大会」あるいは青少年防衛講座において銃を撃っているような事実はございませんので、調査するまでもないということでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そこまで明言をされるんでしたら問題をはっきりさせましょうということで、必要な当委員会に証人を呼ぶとかいろいろな方法があるわけですから。宇治市の「チビッ子・ヤング大会」をめぐってさらに重大な問題は、宇治市の教育長——教育委員会教育長ですね、教育長は、あそこに自衛隊の駐とん部隊がありますが、そこから事前に教育委員会には、こういう内容でひとつ、何月何日やりたいと思っているということについての事前の教育委員会に対する申し入れ、協議というものは全くありませんでしたと。で、政治的判断力の低い子供たちを対象にしてこういう内容でやられるということは、教育長としては好ましいとは思っておりませんというふうに語っているんです。この報告、京都の自衛隊の方から防衛庁の本庁の方へ、教育長はこういうことを言っているということ、報告は上がっていますか。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) 先生御指摘の件については、私、まだ報告を受けておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 それで、どうでしょうかね、この開催地のそこの教育委員会の事前の了解もなしに自衛隊が「チビッ子・ヤング大会」などのそういう行事をやるというこういうやり方は、社会教育上こういうことは、私、好ましくないと思うんです。文部省の見解はどうですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 本来、民間の自主的な社会教育団体がいろいろな活動をやるについては、一々教育委員会の承認とか届け出とか、そういうことをする必要はないわけでございます。したがいまして、あくまでその団体の良識と自発的責任ある態度で判断して処理していただくということになっているわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 自衛隊は民間ですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 自衛隊は民間ではございませんけれども、そこに社会教育活動の一環として民間の団体がそういう施設を利用するという点について申し上げたわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 国の機関である自衛隊、防衛庁という組織が学校教育の構成員である子供を対象にした行事をやるという場合には、当然事前に開催地の教育委員会に、こういうことをやりたいと思うと、同じ国ないしは公立の機関ですから、というそういう話があってしかるべきじゃないですか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) 自衛隊は法律上許された範囲内でいろいろな広報活動をおやりになることは当然だと思うのです。その際に、そういう内容について、まあ民間団体であれば先ほど申し上げたとおりでありますが、それ以外の機関で承認を得なければそういう行事に参加できないというところはそういう承認の手続がとられるわけでございまして、一般論として、自衛隊の広報活動の内容についてすべての行政機関同士に了解をとって処理しなければならないというふうには理解しないわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 防衛庁はどうでしょうか。今後この種の行事を計画をしていく場合に、少なくとも開催地の教育委員会ぐらいにはこんなことをやりたいと思っているということについて事前の話をして、その上で計画をいよいよ具体化をするならするということが国の機関の一員である防衛庁として当然のやり方だというふうに思いませんか。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) 私ども、自衛隊の広報あるいは防衛問題についての広報について、許される範囲で現在行っておりますし、その内容につきましても、実施に当たって十分慎重に部内的に検討して実施しておりますので、まあ今後とも引き続き実施してまいりたいと思いますが、特に御了解を得て進めていくということはいまのところ考えておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 驚き入った答弁ですね。防衛庁としても、文部省としてもそういう必要はないと、開催地の教育委員会の意見も聞く必要がないという、もう全く驚くべき答弁だと思うんです。  中学生、高校生の体験入隊というのがありますね。ことしの八月、北海道の千歳第二航空団、ここが二泊三日の中学生、高校生を対象にした体験入隊を行い、体験搭乗などもその内容に含まれている。まず、この事実を防衛庁は確認していますね。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) 報告を受けております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そこで、北海道で議論になりましたときに、北海道教育委員会はこう言っているんです。夏休み中のことであり、学校教育の管轄には入らない、当然学校災害の適用は受けない。先ほど安全会の話ちょっと出ていましたけれども、安全会法の適用にもならないと。同航空団は、入隊に当たって航空機の体験搭乗の際の事故に備えて、処理は自衛隊に一任をするという内容の一札をとっている。学校教育の外でこのように事故が起こっても補償がない、そういう形さえ含めてこの広報という名のこの種行事がやられていく、こういうことについて文部省はいいと思いますか。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) まあ、学校教育の教育活動の一環として行われるものについてはちゃんとした取り扱いが行われるわけでございますが、それ以外の、青少年がある団体に加入する、ないしは自分たちの希望でそういうところに参加するということについては、これは学校教育の領域外であるわけでございます。したがいまして、それらは本質的にそれぞれの家庭が責任を持つ、ないしは団体の場合にはそれぞれの団体の責任者が責任を持つということで対応されるべき内容であろうと思うわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 自衛隊は、自衛隊に一任をするという一札をとっているというんですけれども、もしも事故が起こった場合どういう補償をするのか、そこはつまびらかでありませんが、少なくとも防衛庁という国の機関が計画をしておるそこへ、それぞれの自由意思とはいえ、学校教育で預かっている、子供が行った、そこで何か事故が起こって補償問題が発生をしてくるというそのことについて、当然かくあるべきだということについて、文部省としては意見を持たないんですか。民間団体じゃありませんよ、計画をしているのは。

高石邦男文部省社会教育局長

○政府委員(高石邦男君) それは、その施設を利用する関連においていろんな事故とかそういう問題が生じた場合には、そっちの系統で解決すべき課題であって、行政上のルートで補償問題とか責任問題を解決すべきではないと思うわけでございます。したがいまして、そういう行事に参加していることによって生じた処理については自衛隊のルールに従って処理されると理解するわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 自衛隊は、防衛庁はそういう事故が起こった場合にどういう手当てをするいま体制ですか。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘の、万一自衛隊の航空機搭乗というような場合に事故が起こった場合、これは自衛隊は自衛隊の責任において賠償の責めに任ずるというふうに考えております。ちょっと私、担当外でつまびらかじゃありませんが、従来から航空機の搭乗についてはそのような措置がとられておるというふうに考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 その内容を一遍私の方へ提示していただけますか。

村田直昭防衛庁長官官房広報課長

○説明員(村田直昭君) わかりました。関係の向きと相談して提示したいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 さらに話を進めまして、自衛隊の高校生の自衛官への入隊の勧誘活動、これをめぐって、さらに少し質問をいたしたいと思いますが、高校生を対象にするこの勧誘活動は、個人の私宅、家庭訪問という形を使ってまで執拗に全国的に行われておるわけですけれども、京都では、京都府公立高等学校進路指導研究協議会、ここの調査によりますと、昭和五十五年三月高等学校卒業予定者に対する自衛隊の生徒勧誘活動は千四百名に上っていると。で、家庭訪問、電話など、中にはもう三回、四回繰り返し家庭訪問を受けたということが、その報告書の中に記載をしてあるわけですけれども、こういう形のために、ことしの五十五年一月三十一日に京都府民生労働部長及び京都府教育委員会教育長、この連名で自衛隊の京都地方連絡部長にあてて、自衛隊の隊員募集業務について「適正な学校教育の推進や求人秩序の維持に種々の影響を及ぼす」ということでの訴えというか、申し入れを自衛隊側に対して行っているということにまで至っているわけですが、防衛庁は、本庁は、この京都府の民生労働部長、教育長の連名で文書によるこういう申し入れが来ているということについては承知していますか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) その点につきましては報告を受けております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 この高校生勧誘活動の問題は、これまでも国会で何回か取り上げられてきているわけですけれども、しかし依然として変わらず、いわゆる青田刈り、それから家庭訪問、こういう形による勧誘を非常に執拗に自衛隊側が続けている。ことしも全国各地でいろんな問題を起こしております。  そこで、まず労働省にお尋ねをしますが、いわゆる高校生の青田刈り禁止について労働省はどういう態度を持っているのか。本年三月三十一日付で労働省は文部省と連名で通知を出しておるわけですけれども、その骨子、どういう内容か、御説明をお願いいたします。

若林之矩労働省職業安定局業務指導課長

○説明員(若林之矩君) 民間事業主に対する新規高校卒業者の職業紹介につきましては、学校教育を充実し適正な職業選択を確保する観点から、文部省と協議いたしまして、採用選考開始期日等を設定して、その遵守について指導をしているわけでございまして、その内容は、高等学校につきましては求人受理確認のための受け付け開始を七月一日、求人情報提供のための学校訪問開始を七月一日、学校における求人受理開始を七月十五日、求人活動のための学校訪問開始を七月十五日、推薦開始を九月二十一日、採用選考開始を十月一日ということにいたしているわけでございまして、そういった趣旨の内容のものを文部省、労働省連名で通達しているところでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いま説明のありましたような内容で、文部省との連名で出しているということですから、文部省としても一定の時期を限って青田刈りを禁止をするというのは、教育上の理由があればこそそういう連名で出しているということだと思うんですが、この通知は防衛庁の方に対しても出されていると。防衛庁としてはこれにどういうふうに対処をしていく姿勢なのか。防衛庁、どうですか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 自衛官の募集につきましては、職業安定法の適用を除外されておりますために、自衛隊が独自に募集広報等を実施しているところでございまして、新規卒業予定者の就職に関する各種規制を当然に受けるものではないというふうに考えております。しかしながら、新規卒業予定者につきましては、在学中のことでもございますし、学校教育上の影響等も考慮いたしまして、これらの卒業予定者に対します選考開始の期日等につきましては、ただいまお話のございました文部、労働両省の局長通知を尊重いたしまして実施することといたしております。したがいまして、選考開始の期日前に選考するというようなことはいたしておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 防衛庁としては、この通知を尊重をしてやっていくんだということですけれども、しかし、実際は青田刈りが防衛庁の手によって全国各地でいろいろ起こっている。私の京都の関係でも、もうすでに六月ぐらいの段階からいろんな形で家庭訪問活動が始まっていると。その他の例、全国各地にあると思うんです。一遍、再度この機会に、防衛庁としても、尊重をして対処をするんだというふうに言っているこの労働省、文部省からの連名による通知といいますか、協力依頼といいますか、これが果たして厳格に防衛庁関係の各傘下諸組織できちっと守られているかどうかということを、いま一度きちっと一遍、点検、掌握をしてみる、調査をしてみるということをやってもらえませんか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) この文部、労働両省の通知につきましては、新規の学校卒業予定者に対する選考開始の時期にかかわる重要な問題でございますので、事あるごとに各地方連絡部にその趣旨の徹底に努めておりまして、この趣旨につきましては、各地方連絡部に十分行き届いているというふうに考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そうしたら、絶対に青田刈り的そういう問題は起こってないと。もう一件もそれは起こってないと。もし起こっておったらちゃんとその責任とりますというところまで断言できますか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 選考開始期日の厳守につきましては、十分これまでも徹底いたしておるところでございまして、そういうようなことは、地方連絡部においては十分承知して実際の募集業務に当たっているというふうに考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 私は、京都について、現に実例を知っているんです。一遍京都についてひとつ調べてください。その点を要求します。どうですか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 具体的なお話がございますれば、その事実関係について調査してみたいと思っております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 さらに、私が京都の例について聞いている話として、勧誘に当たって——まあ京都には福知山という、自衛隊の部隊がありますね。あそこの地域には石原という工業団地があって、民間の企業なんかもいろいろある。二年後には特定企業への入社を約束をしましょうということを言ってみたり、自衛隊の体育学校への入学を推薦をしますと言ってみたり、大型特殊自動車の運転免許など、そういう技術の習得について約束をしましょうという、不確実なことまでこういうことを約束をしますという、まあいわば甘い言葉というか、甘言を使って募集活動がやられているという事実がある。これもひとつ実情を調べてもらって、当然こんなようなことは、防衛庁としてそういう方法を使ってでも勧誘をやろうというようなことはまさかお考えになっていないはずだから、こういうことは一切中止をさせる指導をしてもらいたいというふうに思うんですが、どうですか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 御指摘の一つ一つについてのその広報の仕方が、私ただいま具体的な資料持ち合わせいたしておりませんので承知いたしておりませんけれども、いろいろな自衛隊に入ることによりまして得られる資格とか機会とか、そういうようなことにつきましては、まあ募集に当たっては広報するというふうにいたしております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 労働省の職業安定行政手引四の三、新規学校卒業者の職業紹介、これでいきますと、求人活動が無秩序に行われることは学校教育上支障を及ぼすという観点から、家庭訪問による勧誘活動、これは禁止をするという内容になっているわけです。これについて、防衛庁としても当然この立場を守って対処をしていくわけですね。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、自衛官の募集につきましては職業安定法の適用を除外されておりますために、自衛隊が独自に募集広報を実施するということにいたしておるところでございまして、就職に関する各種の規制を当然に受けるものではないというふうに考えております。  ただ、家庭訪問の問題でございますが、新規卒業予定者の募集につきましては、これは学校当局と十分連絡をとりながら、学校を通じて募集活動を行うことが望ましいというふうに考えております。このため、極力学校側の了承を得るための努力を続けているわけでございますが、学校によりましては協力を得られにくいというような現状にございますために、まあ公共職業安定機関を通じて募集するたてまえになっていない、求人するたてまえになっていない自衛隊といたしましては、家庭訪問等によりまして個々に広報せざるを得ないというのが実情でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 学校の協力が得られないという。しかし、それはどの程度が協力か非協力か、防衛庁側の一方的な判断で、それで協力が十分でないということで家庭訪問もどんどんやるんですということになっていったら、これ大変じゃないですか。  文部省、どうですか。高校生を対象にした求人募集活動、特にいまは自衛隊ですけれども、当然自衛隊といえども家庭訪問という手段による勧誘活動というのはやめてもらいたいという立場でしょうね。文部省、どうですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 先ほど来御説明がございますように、防衛庁においても新規の卒業者については募集の時期などについて文部、労働両省の指導方針に協力していただいてきておるところでございます。  ただいま御指摘の家庭訪問云々でございますが、実態としては先ほど防衛庁側から御説明のあったようなむずかしい状況があるようでございますが、私どもとしては、基本的に教育的観点から、学校を通して所定の時期に求人活動を行っていただくということが適当であるというふうに考えておりますが、まあ実態は先ほど防衛庁側からの御説明があったようなことがあるようでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 学校を通してそういうことが、募集活動がやられるのが適当であると、したがって、その言葉、逆に返せば家庭訪問というこの手段でやられることは適当な手段じゃないというふうに思うということですけれども、片や実態があることもお認めになっておるということで、家庭訪問という形でやられておる、そういう状況をなくすために、文部省として防衛庁側に一層の教育的な配慮に立った募集活動をやるように要望をするという立場をとってもらう必要があると思うんですが、どうですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これまでも労働省とともに防衛庁の方に要望をいたしまして御協力をいただいております。  それから、先ほど申し上げましたとおりでございますが、基本的にやはり学校を通してやっていただくということが適当でございますが、そのようなことが実際にもスムーズに行われますように、そして自衛隊の正規の隊員の募集活動が円滑に実施されますように学校側の方もしかるべき協力をしていただくように私どもとしては期待したいと思っております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 どうも歯切れの悪い答弁ですね。文部省としては教育に責任を持ってるんですから、そういう立場であくまで募集活動は家庭訪問というこの手段によらないで、学校を通してやるということを基本にしてもらうという、こういう立場でもっともっと防衛庁側とその点を、教育というものはどういうものなのか、教育活動というものはどういうものなのか、そのことについてよく説得をして、防衛庁側の理解を取りつけるという姿勢に立ってしかるべきじゃないですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) おっしゃいますことはそのとおりで、それはそれでございますが、やはり学校側の方のしかるべき協力はまた協力として確保する必要もあると思う、そういうことでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 時間が迫ってきますので、もう一つ具体的な事例を取り上げたいと思うんですけれども、自衛官への高校生の募集をひとつスムーズに進めていこうという目的なんでしょうか、関係の教職員に金品を授与、贈与をしておるという事例が発見をされてきているんですね。  一つは福島県で、関係教職員にトカゲのベルトを贈ったということが起こっている。あるいは北海道で、箱にぼおんと詰めてコカコーラを送りつけたり、あるいは金封にお金を入れて持っていったり、こういうことが起こっている。もしもこれが事実だということが防衛庁でも確認できたということになれば、これは大変なことですな。防衛庁としても、こういうまさに逸脱行為、まあ贈賄にもなるんじゃないかと思われ、判断されるような行為、こういう行為は断じて取り締まるという態度でしょうね。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 地方連絡部といたしましては、高校生の募集につきましては、高等学校を通じて行うよう努めておりますので、そのために、高等学校の先生方とは日ごろから緊密な連絡を保つよう努力しているところでございますが、先生方に対しまして、募集に関していわゆる利益供与的な金品を供与する、授与するというようなことはいたしていないというふうに考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そういうことは一切していないはずだと。しかし、私は県の名前を挙げて申しましたから、一遍実情を調査をしてもらえますね。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) 北海道の事例、新聞に出ましたので私も拝見いたしましたけれども、一般に地域社会で活動する地方連絡部の担当官といたしましては、地域の慣習等に従いまして社会通念上のつき合いというような意味では、常識程度のお祝いとか激励とかせんべつ等、そういうようなことをすることはあるかもしれませんが、それは先ほど申し上げましたような、いわゆる利益供与的な金品の供与というような性質のものではないというふうに考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ベルトはどうですか。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) トカゲのベルトにつきましては、その事実は承知いたしておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 だから、調べてください。調査をしてもらえますね。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) トカゲのベルトについては、私どもそういう事実は報告を受けておりません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 私は県の名前を挙げて言ってるんですから、あなたの方はいまの段階ではまだ掌握はしていない、報告も聞いていないということだろうけれども、一遍実情を調査するということをぜひやってください。

野口陽一郎防衛庁人事教育局人事第二課長

○説明員(野口陽一郎君) お話がございましたので調査をいたしてみますが、そういう事実はないというふうに考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 調べてみぬとわからぬじゃないか。  いろいろ事実を挙げましたけれども、防衛庁は学校教育運営の基本理念、ここも曲げてしまうような「チビッ子・ヤング大会」だとか、あるいは家庭訪問による募集活動だとか、あるいはいまの金品授与の問題だとか、こういう形まで使って、とにかく自衛官を募集をしようということで、非常にひどいことがいろいろ出てきているという事例をたくさん挙げたわけです。  予算の上でも、実はそのことが出てきておって、たとえば来年に向けての概算要求、これを見ますと、高校卒業後に二士として入隊するいわゆる高校生、これを対象に、採用試験合格時から入隊時までの期限が長いため、合格者の精神的不安定を取り払うねらいと入隊前に自衛隊の実際を見てもらって理解を求めるために部隊見学の機会を与えるという理由で部隊研修させる費用、その対象一万一千三百人、予算二千三十四万円が概算要求で出ている。自衛官募集のためのこれを含めて、直接経費は本年度予算対比一一・六%の伸びなんです。  文部大臣、五十六年度の文部省概算要求教育費、文部省所管、これ七%を割っているでしょう。財政が困難だ困難だと言って文部省みずからも相当遠慮して、七%を割る概算要求という姿になっている。ところが、片や高校生募集のための費用一一・六%の伸びというこの姿は大変ゆがんだ姿だというふうに大臣思われないでしょうか。  もう、ちょっと時間が迫ってきましたのであれですけれども、幾つかの事例を挙げました。「チビッ子・ヤング大会」をやっていく上で、開催地の教育委員会、これが事前に話をしなくて、自衛隊だけの方の計画でどんどんやってもらって一向構わぬと。どういう内容で「チビッ子・ヤング大会」がやられるか、そのことについて教育の方の側からは何も意見を言う必要ないという無責任なことで済むだろうかと。あるいは学校教育の現場の先生たちが一生懸命やっている日常的な進路指導、これも無視をして、どんどんと家庭訪問までして勧誘活動をやると。しかし、それもなかなか人がそろわぬというときには、それはもうしようがないじゃないかと言わんばっかりの先ほどの答弁の後半部分があるわけです。そして、金品授与という方法までやられておるということで、一遍文部省として、高校生を対象とした防衛庁側の自衛官募集活動について、いまの姿で果たしていいのかということをよく文部省として検討をして、必要なことについては一遍防衛庁側に文部省から物申すということを考えるべき時期へ来てるんじゃないかと、予算の問題も含めまして。一一・六%という伸びになっているというこのことも含めて、文部省の側から防衛庁側に一遍必要なことについては意見を述べるということについての文部省としての検討をやって、いまの姿のままでいいのかどうかということの検討をやるべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣、どうでしょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと貴重な御意見をありがとうございます。  なお、自衛隊員の募集につきましては、自衛隊法に基づきまして防衛庁が直接隊員の募集を行えることとなっておりまして、文部省、労働省両省の指導方針に協力していただいておると信じておる次第でございます。  なおまた、諸般の問題につきまして良識に沿って行われておるものと思いますので、またいろいろの御注意に従いまして、わが方におきましてもいろいろの検討をいたしたいと、かように考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 最後に一問。この自主憲法期成議員同盟、これに大臣も加わっておられますけれども、きょうの午前中、また私の質問の冒頭でも確認をいたしました教育基本法を遵守をしてやっていくと、こういう立場から、私どもこの議員同盟の動きについていろいろ資料を入手をしてるんですけれども、たとえば九月二十四日付で「「憲法を改め時代を刷新することを要望する決議」提起の御願い」といったような文書を、自民党傘下の地方議員にも送って、地方議会を舞台にしてそういう改憲の運動を進めていこうという動きになってきていると思うんです。過日の予算委員会で、総理は運動を起こすという段階では、閣僚がこの議員同盟に加わるという問題については、その段階で検討をしてみるという答弁になってるわけですけれども、憲法、教育基本法に基づく教育行政ということを明言をされております文部大臣として、他の閣僚に先んじて、率先してこの議員同盟を脱会をされるべきではないかというふうに思うんですが、そのことを最後にお伺いして、質問を終わります。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 最後に申し上げますが、私はその必要を認めません。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 四十分という時間をいただいておりますので、時間内で二、三の点について質問させていただきます。  実は、けさほどからもいろんな問題につきまして、教育行政ということで質問がございました。そして、私は特にこの産学協同という分野で今日までやってまいりました関係で、どうしても教育を非常に長い目で考えていきたいというように思う次第であります。  特に戦後三十五年という大変長い月日にわたりまして、結果的に現在の時点におきまして教育の問題が大変いろいろな問題として投げかけられているという実態でございます。こういう問題に対して、ではいまからどういう方策をとっていくのかということで、いろいろ学習指導要領なり、あるいは教員の質の問題であるとか、あるいはその他の行政の問題についてとらえていくのがわれわれの任務ではないかというふうに考えているわけでありますが、この戦後三十五年の教育行政につきまして大臣に、感じるままで結構でございますが、いいか悪いか、あるいはこの点がどうなんだということをお伺いしたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 戦後三十年、その間にはまことに紆余曲折を経て今日に至ったのでありますが、まあわれわれ日本国民の非常な優秀な英知と申しますか、困難な環境を打開してそうして今日まで参ったことは、本当に私は日本国民でなければと、誇りを感じておる次第でございます。ことに資源のない日本といたしまして、これをどう打開してまいるかということは、その間におきましても常にいろんな施策の間にあらわれておったのであります。あるいは戦後におきます肥料問題、こういうふうな問題も、空中窒素の固定というような無から有を生み出すような肥料生産と、こういうふうなこともやはり科学技術の非常な私は進歩と、その大いな功績だろうと思うんでありまして、いまエネルギーが非常になくなっておりますこの日本におきまして、やはり私どもはこの難局をどう打開していくかということは、本当に一億の国民が英知をしぼって平和のうちにこういう問題を解決してまいりたいと、かように考えますと同時に、資源のない日本といたしましては、あくまでも平和外交あるいは民主政治の徹底、そうして本当にりっぱな挙国一体の姿になって難局を打開してまいらなくてはならないと思う感を新たにするものでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 ちょうど大臣の方で特に科学技術というお話が出ましたので、私自身もこの科学技術特別委員会の方に所属しておりまして、実は先日も長官の方に御質問申し上げたわけでありますが、特にこの科学技術の発展といいましょうか、この問題につきまして、私は、現在の段階におきましては、当然このエネルギーの問題ということがどうしてもその中心にならざるを得ない。で、そういう意味で考えていきますと、一般のこの産業の技術蓄積と申しましょうか、御承知のように、キャッチアップ効果と申しまして、ほとんどリスクを伴わない技術の開発ということで一般民間はどうしても海外の技術を導入するという活動を今日までやってまいったわけであります。そういった意味からいきますと、逆に現在の時点になりまして何としても新しい、日本独自の自主技術の開発ということがいま叫ばれているわけでございます。しかし私は、どうも日本人の感覚として、全く何もないところから新しい技術の開発というものが大変ふなれであるという感じがしてならないわけであります。それは一つには、やはりこの教育という問題があるんではないだろうか。そういう面で、大臣が現実にこれから先、日本の国民、特に小学校、中学校教育において創造性豊かな人間をつくるという意味におきまして何か特別な施策がございますか。こういう方法でやれば間違いなく自主開発能力が身についた国民が生まれるんだという、そういう考え方がもしございましたらお聞かせ願いたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変むずかしい御質問でございますけれども、私が感じておりますのは、いま先生のおっしゃったように、今日までの日本は先進諸国の技術なり、あるいは研究成果なりというものを、これをいかにまねをして、いかにこれをわがものにするかというところにかかっておったのでありますが、いまや日本は、もうこれ以上模倣する国がなくなっておるというのが現状でございます。ことに、エネルギーの問題でも、新しい核融合とかレーザー光線とか、そういうふうな問題になりますと、先般も経団連の土光さんを中心に欧米各国に視察に行かれました一行が帰ってこられまして、いかに日本の科学技術というものが進んでおるかということをびっくりして帰ったと、今後はなお一層われわれはこれが推進に心がけなきゃならぬというようなことから、近日、経団連等々は研究機関に対しまして御視察をなさるようでございますが、しかしながら、私、思いますのに、やはりそのためには莫大な資金が要ります。しかしながら、今日の予算関係、必ずしも自由ではありません。これこそ私は国家的な大学その他の研究機関というものがこの研究の問題につきましては挙国一体になって、そうして研究成果の交換とか、あるいは開かれた研究機関といったような共同利用というような、限られた資金で大きな効果を上げていく、こういうことが科学技術の進歩のためにはなくてはならないし、これによって私は困難な道も、エネルギーの問題も必ず打開できるということを信じておる次第でございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 そこで、大学というお話が出ましたので質問さしていただきたいんですけれども、科学技術の予算というのは、まあかなり、三兆円に余るような全体の予算があるそうでありますけれども、これは、特にアメリカなんかと比較いたしますと、やはり三分の一というような、金額的には大変粗末なものだというふうに私は思うわけでありますけれども、これから先の、特にこの科学技術の開発ということになりますと、何も科学技術庁だけの問題じゃございませんで、特に国立大学という問題におきましては当然文部省の管轄に入っているわけでございますので、私も私立大学の大学人ということで十二年間おりました関係で、どうしても縦割り社会と申しましょうか、自分の好きな研究にやはり明け暮れるというのが学者の当然の希望だというふうに私考えるわけであります。しかし少なくとも、いまさっき申されましたような、とにかくエネルギーの開発という大きな一つの目標があるということになりますれば、当然その問題に対してプロジェクトをやはり私は結成して、そして有効な研究活動を指導していくというのが実は当然ではないかというように考えるわけでありますが、大臣はいかがでございましょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 科学技術に関しまする経費でございますが、御承知のとおりに、全体の大体五五%は文部省所管の支出でございます。二五%が科学技術庁、それから通産省関係の工業技術院あたりが一〇%以下ではないかと思います。全体といたしましても膨大な資金がわが文部省の関係の研究機関に出されておる。これに対しましては、改めて文教政策の上から言いましても、科学技術というものに対して真剣に目を開かなければならないと考えます。  経費の点につきましては担当の者から……。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 簡単で結構でございます。資料は一応持っておりますので。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 先生御承知のように、文部省の大学における研究は基礎研究が主体でございまして、そのためには教官研究費等の経常的なものの増額を図りますとともに、科学研究費につきましては逐年増額をして、来年度要求におきましても相当大幅の増を要求しております。その中の科研費の使い方につきましては、先生の御提案のように、たとえば核融合とかエネルギーあるいは宇宙関係等の大きなプロジェクトにつきましてはプロジェクトチームをつくりまして、それに文部省におきましてもいろんな角度から参加をいたしまして、大型の基礎研究についての推進体制を強化しつつ、協力しながらこの基礎研究の推進を図るという体制を従来もとっておりまして、新しい科学が必要になりますれば、そういう分野についてもそのような体制をとりつつ推進してまいるというたてまえでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 とにかく私どもも、一般の産業の発展のためにもどうしても科学技術の振興というものは、きょう実施してあしたできるという問題でないだけに、この教育問題と同じように非常に長期間かかってやっと結論が出るという、しかも出たときにはすでに遅いというのが実は産業界の実態でございますので、何としても国でやるべき、特に科学技術の先ほど申されましたようなエネルギーの関係につきましては、できるだけ早くがんばっていただきたいというふうに考える次第であります。  特に、私はそういう科学技術の中でもハードの部分とソフトの部分があるんではないかというふうに考えるわけです。私自身が実際に企業の診断、指導をやりまして、そして確かに技術指導をやっているわけでありますけれども、現実にはやはりこのソフト面が大変大きな問題になるわけでありまして、特に省庁の問題ということになりますと、当然このソフトの部分が大変それぞれの研究分野に対して大きな機能を果たすんではないかというふうに私は考えるわけでありますので、このソフトの部分を非常にシステムをすっきりしていただいて、そうしてひとつやりやすい行政をとっていただくように提案をさしていただきたいと思うわけであります。どうかひとつよろしくお願いいたします。  もう一点、これは私は常日ごろから考えているわけでありますし、同時に米国の友人あたりがよく日本へ参って、そうして話をする中に、日本人は大変甘い、いわゆる糖尿病の患者じゃないかという言葉を使われるわけであります。つまり、御承知のように血液中のブドウ糖分が〇・一%以上になりますと糖尿病の患者になるそうであります。きょう高木先生がおられると大変詳しいんだろうと思いますけれども、そういう現実があります。そして、糖尿病になりますと五体満足に維持できなくなってしまう。たとえば、骨がもうばらばらになってしまうとか、あるいは高血圧になるとか、こういうような非常に大きな病気を併発するというふうにも私、聞いているわけであります。日本の教育行政をひとつ考えてみましても、何か糖尿病患者的な要素があるんではないだろうか。つまり、戦後の権利主張の教育というものがアメリカから入ってまいりました。これは、もちろん非常に権利と責任という関係におきますと、りっぱな教育体制だと私は思うわけでありますけれども、その辺が実は大きな問題になっているんではないだろうか。日本には家族制度という非常にりっぱな制度が実はあったわけであります。その中に必ず、いまさっき申し上げましたようにインシュリンの役目をする、つまり糖分を制御する役目、これが日本の家族制度から生まれた、いわゆる恩の構造だというふうに一般に言われているように私は理解しているわけであります。つまり、そういう責任と権利だけでなくて、むしろ日本人らしいこの恩というような問題に対して、これから先も教育行政の中で堂々と私はうたっていい問題ではないか、このように考えるわけでありますが、大臣いかがでございましょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 全く同感でございまして、いまのあなたのおっしゃった恩という言葉をまあ近代的にどういうふうに表現し、どういうふうに分解して施策の上にのせたらいいか、こういうことがわれわれ文教政策の私は役目だろう、かように考えております。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 ところで、この教育という問題を考えますときに、先ほど午前中から教科書の問題であるとか教員の質とかいろいろ問題がございましたが、どうしても社会環境という問題が大変私は大きなウエートを占めるんではないかという感じがしてならないわけであります。もちろん一般の産業におきましても社員教育というものを徹底してよくやられます。そして、非常にりっぱな会社の場合は社員全体がすぐれた教育をされております。そして、そのような行動を毎日やっております。したがいまして、新人社員といえども、わずかの教育でもって自然にそのりっぱなしつけを受けたりっぱな会社思いの社員が生まれてくるということがございます。  いまの日本の状態の場合に、先ほど皆さん方から言われておりますような、本当に国を愛してりっぱな人間にならなきゃいかぬと、このような観点から考えましても、どうもこの環境整備がもっともっと大切な問題ではないだろうか。確かに、教科書の問題その他の問題も早急に解決しなければならない問題でありますけれども、この環境に対してわれわれとしてどういう対策をとるべきなのか、私はその問題が、むしろすぐ急いでやるべき大人の責任ではないかというふうに考えているわけでありますが、大臣いかがでございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 環境整備ということと符合をするかどうかわかりませんけれども、まあ私どもが生涯教育ということを強く主張いたしておりますが、家庭教育から学校教育、社会教育。実は私、大臣に就任しましたときに、一番最初に関経連の日向さんがお見えになりました。で、私に対しまして、教育こそ最も重要なものだ、自分たちが産業人としてやっておるけれども、やはり帰するところは教育であり、その教育も原点にさかのぼった若いお母さんの教育であるということからいろいろなお話をなさいましたが、いまあなたのお話のように、学卒で入社された方々を、産業界におきましては本当に改めてしつけ、改めて再教育をされて、そしてりっぱな社員を養成されておる、これが今日の日本の産業活動の基盤をなしておるものでもあるし、また労働組合における企業組合という特殊な労働組合の発生の原点でもあるかもしれません。  そういうふうなお話から、ハードウエアでないソフトウエアの面におきまして、それがまた教育という面におきまして、ただいまお話になったような心の問題、それから恩というふうなものの社会的な、いかにしてそれを教育の面に移すかというようなこと、やはり物質的な問題が行き詰まって、そしてそれを打開しますのはどうしても心の問題だと、私が先ほど申しました愛というのが本当に私はあらゆる問題の原点であろうと、かようによく申しておるのでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 行動科学というのは大臣御存じでしょうか。最近、産業の方で行動科学という学問が盛んに使われているわけであります。つまりやる気を持たすというんですか、わかりやすく言えばやる気を持たす、ビヘービアサイエンスという言葉でいま大変はやっていると言ったらおかしいんですけれども、産業心理学であるとか、あるいは行動科学というのがございます。  私、いつだったか忘れましたけれども、広中平祐さんという非常に著名な数学者がいらっしゃいます。そしてお母さんがたしか書かれていると思うんですけれども、子供のときにある日突然数学が大変好きになったというふうに書いているわけであります。当然、小学校へ行くか行かぬぐらいの子供さんでありますから、足し算、掛け算といっても大してむずかしい問題はやらなかったと思うのでありますけれども、そのほめるタイミングというんでしょうか、これによって広中先生のようなりっぱな著名な数学者ができたというふうに聞いておるわけでありますが、私は行動科学という分野を現実の教育の中にもっともっと取り入れていく必要があるのではないだろうか。私ども大学におりました人間にとりましては、むしろ親の方あるいは先生が悪い部分を毎日指摘してしまう。学校の成績を見ますと、ああ三十点だからいよいよあなたはだめねというのを毎日毎日、一年間三百六十五日やられますと完全にばかになってしまうという実例が私はあるんではないかというふうに考えるわけであります。  したがいまして、そういう行動科学、この面を実際の教育の場に入れて、どういうタイミングで、どの子に、どういうくせを伸ばすかというようなことに教員の場合は私は最大の関心を持つのが当然の務めではないかというふうに考えるわけであります。自分自身に最大の関心を持つんじゃなくて、実際の生徒に対して毎日最大の関心を持っていく。私は、四十人学級ということもございますし、これから先そういう問題に対して特にもっともっと学習指導要領なんかでも練られて、そして本当に一発の動機づけによって将来を決めてしまうような、特に小学校教育について私はそのように考えるわけでありますけれども、この学習指導要領そのものにつきましては、大臣はほとんど改善しなくてもいいというふうにお考えでございましょうか。何か特にここら辺は改善したいという点がございましたらお聞きしたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話の広中平祐君は私と郷里を同じくいたしまして、私のところに一時遊びに参りました。この間からも、またりっぱな数学者、りっぱな後輩をぜひひとつ育成しなきゃならないと言うて張り切ってまたアメリカに立っていったような次第でございますが、いまお話のありましたような問題につきまして、それはいいものがあったらなおよくしなきゃならないということは当然でございます。教育の問題につきましてもいろいろと日進月歩、その中におきまして今日の欠陥を補い、そしてあすへの明るい基礎づくりを常にしていかなきゃならないと考えております。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 時間がもうあと十二分ぐらいしかございませんけれども、実はもう一点大きな問題でございますけれども、時間の限り大臣にお聞きしたいというふうに考えているわけであります。  先ほどちょっと私申し上げましたけれども、愛国心という問題が、実は先週でしたか、金曜日、衆議院の文教委員会でいろいろ質疑されているのを読ましていただきました。そのときに大臣は、空気のようなものだ、空気は人間生存の不可欠の存在でありながら、人間はふだんその存在を意識していないと同様に、愛国心も国民はふだん意識はしていなくてもだれもが持っているものだとおっしゃったというふうに私は聞いているわけでありますけれども、これは事実でございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) それは御質問に答えまして申したのでありますが、つまり国を愛するということを文書の上で強調しなくとも、指導要領におきましてはすでにそのことが決まっており、具体的な教育に当たってはそのことを一々言葉の上で出さなくとも、そういう方向に指導されつつあるというわけでございます。  私は、その場合でも本当に愛国心という言葉それ自体はまた別途な意識を持ちますが、問題はやっぱりお母さんが産んだ子供をビニールの袋に入れて便所に捨てちまったり、行きずりの人が刺し殺されたりするような全く愛情というもののなくなってしまったドライな社会というものがいかに惨めなものであるかということを思います。結局愛というものが母親の愛情、それがまた教育の原点でありましょうし、また郷里を思うというその気持ち、これが国を愛する原点でもございましょう。そういうことを私は申したのでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 さらに愛国心についてお聞きしたいわけでありますが、愛国心には、私はこう考えましたんですが、三つぐらいの領域に定義が分かれるんではないかというふうに考えております。これはもっともっと検討していただきたいわけでありますが、まず一つは自然的な郷土愛的なもの、このように一つ理解できると思います。  それから二つ目には、その時代の権力者に忠誠を誓わせるもの、こういう愛国心というのも当然あると思います。日本のちょうど戦前がそういうような状態であったと思うんです。  それから三つ目は、国民の理想的な体制を具現化する国家を望むもの、こういう三つを私は考えてみたわけでありますけれども、この三つの類型化、この中でこの三つとも違うんだと、自分はこういうように考えるんだというのがもし思いつきましたら結構でございますが、何か御意見聞きたいんですが。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 愛国心という言葉のターミノロジーを三つに分けて御質問になりますが、私は先ほどから申し上げますように、その原点というものは、本当に親が子供を産み、子供が母の乳房にすがってお母さんを思い、父を思い、その愛情というものが展開されていくのが私はいまの親に対する愛情、それはまた会社に対する愛情があれば、会社勤務におきまするりっぱな成績、忠誠もできましょう。それがさらに発展いたして郷土愛から国家に対する祖国愛になりましょう。  いま申し上げたそれと別なカテゴリーの二つのことをおっしゃいましたが、それはそれの一つの変化であろうと思うんでありますね。ですから、愛というものの基本のもとに展開される人生、それに対しての、あるいは権力機構に対する対応であるとか、あるいは会社機構に対する執務上の表現とか、あとの二つのことは私は一つの展開だろうと考えております。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 なぜ、まあこういうことを私は議論としてやっているかといいますと、どうも教育の問題もそうだと思うんですけれども、何か一つの大きな目標ですね、国としての大きな一つの目標というものがありますと非常に教育がやりやすいという私は現実があるんではないかというふうに考えるわけなんです。当然、私も終戦のとき小学校三年生でございますので、戦中のことも多少は知っているわけでありますが、あの当時の教育というのは、いい悪いは別にいたしましても、やはり日本は勝つためにという一つの大きな柱が、しかもはっきりとして打ち出せた、そういう時代ではなかったかというふうに私考えるわけであります。したがって、勉強する面におきましても、、やはり将来は海軍になるんだという一つのはっきりした目標に従って勉強できたというふうに私は考えるわけであります。しかし、いまの現時点におきましても、どうもその辺の目標が定かではない。つまり小学校時代はいい中学に行きたい、行きなさい、中学はいい高校へ行きなさい、大学へ行きなさいと言うまでで大体とぎれるような感じがして私はならないわけであります。したがって、将来自分は何をやりたい、そして日本のためにどういう働きをしたいんだというような目的が大変私は薄れているんじゃないだろうか。そのように考えるわけでして、何としてもそういう意味では、日本の愛国心という、これは具体的に愛国心ということでなくても、その愛国心を涵養するためには具体的にどういうその中の項目として、目標として教育をしていかなくてはならないというような、もっと具体的なものが私はあってもいいんではないか、そのように、実は考えたわけであります。  したがいまして、ちょうどこの小学校、中学校あたりに学習指導要領というのが出ておりまして、そして、ここにちょっと記録してまいったわけでありますけれども、それぞれの愛国心というような言葉ではっきり書いているところも実はございますですね。こういうようなものを、もっと子供にわかりやすい、具体性のあるものとしてやっぱり私は表に出すべきではないだろうかな。もっともっとたくさんあっても私はいいんではないかな。余り簡潔にやることによってかえって理解しにくいんではないだろうか。私自身が、じゃおまえは愛国心のために何すればいいんだろうと言われましても大変迷うわけでありますから、ましてや子供さんの教育でございますので、その辺を明確にひとつしていただきたいなというのが実は私の考え方であります。  さて、現在そういった意味で愛国心という言葉がいろいろなところで使われるわけでありますけれども、この愛国心の涵養と、歴史的教育の振興を盛るための教育基本法の改正を求める決議を提出する動きが、最近自民党から出てきているという話も聞いているわけであります。特に、地方議員ということでそういうことを聞いているわけでございますけれども、この辺の動きは実際はどうなんでございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いまの教育基本法、その他指導要領等々のいまのお話の展開でございましょうけれども——官房長、お答え願えますか。では役所の方から答えましょう。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) ただいまの地方議会における教育基本法改正の動きは、具体的には岐阜県議会におきましてそういう決議が採択されたということでございまして、これはまだ私どもの方にはまいっておりませんが、その中には、現在の教育基本法の中に欠けていると思われる伝統の尊重とか、あるいは愛国心の問題とか、そういうようなものが指摘をされているようでございます。岐阜県以外には、いまほかにそのような動きがあるのを私どもとしては承知をいたしておりません。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 特に先ほどから何回も申し上げておりますように、愛国心という問題も、私はうっかりすると定義がはっきりしていないと、ややもすると政治のために使われてしまって、かえって目的を阻害するような形になってしまうんではないかということをちょっと心配するものですから、その辺はひとつ明確にやっていただきたいなというのが実は私の実感でございます。どうか、その辺をひとつよろしくお願いしたいと思うんです。  そして、大臣はどうなんでしょうか。この五十二年度に改定された現行の小中学校の学習指導要領ですね、小学校はもうすでに実施されているわけですが、この愛国心について次のような記述をされているということでここにちょっと持ってきておるわけなんですけれども、これに対してどのようにお考えでございましょうか。  小学校の社会のところに出ております。「社会生活についての基礎的理解を図り、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て、民主的、平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。」これが一つでございます。  それから、道徳というところにございます。「日本人としての自覚をもって国を愛し、国家の発展に尽くそうとする。」という項目が実はございます。  あと、また詳しいことはここに入っておるわけでございますが、こういう問題に対してどのように御理解願っているでしょうか。これを改訂したいだとか、あるいはそのままで結構だとか、何かそういう御意見を伺いたいのでございます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま御引用いただきましたのは、小学校の社会の「目標」なり道徳の「内容」でございます。  これは、小学校におきますそれらの教育のための一つの基準として決めておりますので、先ほど御指摘のように、やや簡略と申しますか、簡明に述べているというようなところがあるのは事実でございます。この学習指導要領は、御指摘のように、小学校については本年四月から、中学校については来年四月から実施されるものでございますが、これは昭和四十八年から五十一年まで満三年余りをかけまして、教育課程審議会で十分な審議の結果まとめ上げられたものでございまして、したがいまして、私どもとしまして、現在の段階で、この学習指導要領に示されている内容につきましては、これは妥当なものでございまして、これをいま特に改正を必要とするという認識はしておらないと、こういうことでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 そういたしますと、この学習指導要領と教科書の関係でございますね、教科書というのは、検定教科書でございますから何種類かございます。その中でわずかなニュアンスの違いというのは実はないんでございましょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 教科書につきましても、これは言うまでもないことでございますが、教育基本法、学校教育法にのっとって書いていただく必要がありますし、もう少し具体的には、ただいま申し上げました学習指導要領に示す目標、内容に即して執筆をしていただきたい、こういうたてまえでございますが、それはいろいろな著作者がおられますから、学習指導要領の内容を教科書という著述の形で展開いたします場合に、それぞれ若干ずつその内容の、何と申しますか、盛り込み方、あるいは程度とかいうものについて相違が出てくるというのは、これは事の結果としてそうならざるを得ないということでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 大体時間が来たようでございますが、私は、特に教育の問題というのは、当初申し上げましたように教科書だけの問題でもございませんし、教員だけの問題ではない、行政の問題というのが大変将来にとって大きな問題点になってしまう。特に政治の世界におきましても、恐らくあす何をするという問題ではなくて、むしろ非常に長期間をかけて結論が出てしまう。したがいまして、戦後の教育の結論がいま出ているんだという実態に即して、できるだけ早く、日本人の将来を考えた上で、当初申し上げましたような、新しい、創造性のある、日本を愛するような、そういう教育といいましょうか、そういうものを一日も早く模索していかなくてはならないというふうに私は考えるわけであります。これから先、特に技術開発という問題は当然あしたの問題でございますし、この問題につきましては、特に大学、国立大学というものを踏まえていただきまして、そして縦割り社会だから大変お互いの関連性というものがむずかしいだろうと思うんではございますけれども、大きな一つのプロジェクトというもので目的に沿った有効的な活動ができるように、最後にお願いいたしまして、大変簡単でございますけれども質問を終わらしていただきます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変にりっぱな御意見をちょうだいいたしましてありがとうございました。また、なお、文教政策についての御激励をいただいたことを改めて厚くお礼を申し上げます。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 以上で派遣委員の報告に対する質疑及び大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      —————・—————

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