内閣委員会 第11号
- 発言数
- 612 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1980/11/27
会議録
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 前回に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○秦豊君 大村長官、足早に帰っていただいて恐縮であったんですが、もう長官になられてかなりになりますし、背の軍隊で言えば一期の検閲はとっくに終わったわけだから、成績優秀かどうかは別として。そこで、ちょっと最初に古典的な設問をあえて長官に一つ二つお答えを願いたい。 大村長官の中では、防衛論議における非常に定型的なパターンがありますね、何から何をどのようにして守るのかと。これは非常に古典的な命題なんですよね。あなたの中ではどう整理されていますか。
○国務大臣(大村襄治君) 何から何をどう守るかというお尋ねでございますが、わが国の防衛といたしましては、わが国の国土と国民を守ることは当然でございます。これに対して、何から国民や国土を守るかと申しますると、それは侵略があった場合にその侵略に対して国民と国土を守ると、こうお答えせざるを得ないと思います。
○秦豊君 何からがぼやけていますのと、どのようにが全く欠け落ちていますね、重ねて。
○国務大臣(大村襄治君) 何からという点につきましては、具体的に申し上げるわけにはまいらないと思います。 それから、どのようにということでございますが、もとよりみずからの手でみずからを守るというのが基本でございますが、日米安全保障条約をわが国は現在堅持しておるのでございますので、その効率的運用によってわが国を守るということであると考えております。
○秦豊君 何からというのはなぜ答弁のらち外なんですか。
○国務大臣(大村襄治君) わが国といたしましては、憲法の精神にのっとりまして、すべての国と平和な関係を維持することを努力いたしているわけでございますので、具体的な国名を挙げてこれから守るんだということは申し上げるわけにはまいらぬと、さように考える次第でございます。
○秦豊君 あなたらしい楷書的答弁ですね。 さっきあなたが述べられた中に、つまり防衛対象の優先順位という範疇に入りますけれども、あなたは国土、その次国民とおっしゃったんですか。つまり、何を守るかという場合に、たとえば国土がある、国民がある、デモクラシーを基礎にした現在の体制がある、伝統的な文化がある、こういうふうなものをこう並べた場合に、あなたの中では優先順位はどういうふうになっているんです。
○国務大臣(大村襄治君) ただいまのお尋ねで、国土と国民それから文化とか、そういった要素がある、その中で優先度をどう考えるか、こういうお尋ねでございますが、まあそれぞれの要素がございますので、いわばそれを一体として守るのが防衛庁に課せられている任務ではないかと、そう思うわけでございますので、どれか一つを取り上げて優先度をつけろというお尋ねに対しましては、せっかくでございますが、お答えいたしかねると思うわけでございます。
○秦豊君 あなたの答弁はぼくはいい答弁の一つに入ると思いますよ、それは。つまり、いままでの防衛庁の防衛思想は、国土というのを第一優先にしたがる癖がともすればある。これは帝国陸海軍時代からそうなんだ。だから、あなたはそれをワンパッケージでとらえるというとらえ方は、私は抵抗を感じない。むしろ一つのあなたらしい常識であろうと、やわらかい考えであろうと思いますから、その点はいいと思います。 それから、もう一つだけちょっとあれですけれども、あなたは日本周辺の情勢ですね、主としてこれ軍事的な情勢を踏まえた。この日本周辺の状態というのは平和時になおあるという御認識なのか、あるいは移行しつつあるを含めて、平和時から緊張時に移りつつあるという基本認識でしょうか。
○国務大臣(大村襄治君) ただいまのお尋ねでございますが、平和時かどうか、また有事に移りつつある状態かという趣旨のお尋ねであったように聞いたわけでございますが……
○秦豊君 緊張時と申し上げましたけれども、まあまあいいでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) 平時であることは間違いないと思うわけでございます。あと緊張時というお言葉あるいはそれに移りつつある過程かということにつきましては、わが国をめぐる諸般の情勢からいたしまして、相当な変化が起こりつつあるというふうに考えておりますが、さらばといって、差し迫った危険があるというふうには考えておりません。
○秦豊君 塩田さん、ちょっとあなたに今度伺いましょう。 七九年の三月二十二日に、日本の防衛を対象にした防衛政策に関する、あるいは防衛構想に関連した一つの報告がアメリカで出されています。上院の例の軍事委員会、太平洋特別委員会のサム・ナン委員長ですね、御高承だと思いますけれども、この内容は、日本の防衛資源を海空をより重視するよう再配分する必要がある、こうした再配分によって日本の自衛能力をかなり改善することができる。こういうリポートは読まれたと思います、解析もされたと思いますが、このナン委員長の認識あるいは指摘に対しては、どう言いたいですか。
○政府委員(塩田章君) ナン・リポートは読みました。内容は承知いたしておりますが、その中で、日本の現在の防衛努力の方向としまして、陸に配分が偏っているんではないか、海空にもっと配分を移すべきではないかという趣旨の論点があったことは事実でございます。ただ、私ども必ずしも――必ずしもと申しますか、わが国の防衛を考えます場合に、わが国は島国でございますから、海と空との防衛力ということについての認識を強調するということについては、もちろん私どもも異議はないわけですけれども、一方、陸上の防衛力につきましてナン報告は別に軽視したということではないと思いますけれども、われわれといたしましては、やはり陸海空のバランスのとれた防衛力というものが基本にあるべきではないかと。特に、わが国は専守防衛の考え方を中核にしまして国土を守るわけでございますから、やはり陸上自衛隊の防衛力というものも、これはやはり十分私どもとしては配慮していかなければいかぬというふうに考えておりまして、そういう意味で私どもはやはり陸海空のバランスのとれた防衛力ということを考えていきたいと、こういうふうに考えております。
○秦豊君 それは非常に模範答弁みたいだが、全然なってない答弁でね。つまり、塩田さんね、大体帝国陸海軍時代から陸のオクターブは高いんですよ、堀江元総監がここに御在席ですけれども。それで、やはりいまも陸主海従なの、あなた方の全体的な重点の置き方、バランスのとり方はね。傾いているわけよ。バランスとは言い条、偏っているわけ。たとえば、ナン・リポートのリアクションはすさまじかったでしょう。永野さんがすぐに三月二十八日に発言を始めた。防衛懇話会だ。やはりソ連軍増強を大きくうたい上げながら、したがって、防衛計画の大綱を修正すべきではないかという提唱まで述べたぐらいで、これも陸の反撃の一つですよ。あなた方内局は、このごろユニホームにどうも押されっぱなしであるという私は確固たる独断と偏見を持っておるんですが、その議論はしませんが。 だから、いまだに陸主海従であると私は思っているんですよ。だから、ナン・リポートはいい指摘をしているの。あなたはまるできれいごとで受けとめて、バランスを、バランスをと。内実をよく解析しないで、そんな答弁じゃとてもとてもぼくは話にならぬと思う。やっぱりいまだに戦略思想としては、北方重視、陸主海従、この弊風は私は改められていないと思いますよ。だから、アメリカの対日要求は海主陸従あるいは海空主陸従と、こういう重点を明らかに次々に手数多く打ち出しているのに、あなた方は相変わらずバランス、バランスと。そらぞらしい、むなしい考え方だと私は思いますよ。これは答弁求めない、大体同じような答弁が返ってくるから。 それで、北米局長、ちょっとこれお伺いしておきたいんですが、日米ガイドラインは後でゆっくり伺いますけれども、日米ガイドラインという方向によって、私は、安保は実質的に双務化への大きな一歩を踏み出したというがんこな認識を持っているんです。その辺からあなた方と違うかもしれませんがね。だから、現行安保の第五条というのは、あなたにはもう言うまでもなく、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対する共同対処行動、これうたっていますな、自明のごとく。しかし、日本以外の地域で行われたアメリカに対する攻撃については、日本の義務は課せられていませんよね。これも自明のこと。しかし、いまのような日米防衛分担、防衛協力、ガイドラインの路線の承認によって安保は明らかに本質を転換した、質を転換した。実態と運用において俄然双務化の路線を大きく曲がり切ったという、これはいまや常識じゃないでしょうか。あなたのお考えどうですか。
○政府委員(淺尾新一郎君) 秦委員のお言葉でございますけれども、そもそもガイドラインが設けられました経緯は、ここで繰り返すまでもなく、日米安保条約がございまして、五条の状態のもとで日米共同対処するということでございますけれども、じゃ、実際に共同対処をすることについていままで日米間で討議というものが行われてないと、それは共同対処をする上で不十分ではないかということで始まったことでございまして、あくまでも日米ガイドラインというものは、日本国が攻撃された場合の日米共同対処というものを念頭に置いておりますので、それによって安保が変質したと、あるいは日本が集団的自衛権を売ったということは私たちは考えておりませんし、それはガイドラインの全文を見ていただきますといろいろな制約が書いてございまして、あくまでも安保条約あるいは関連取り決めの範囲内、あるいは非核三原則とか核の持ち込みを対象にしないということが書いてあることからも御理解いただけると思います。
○秦豊君 もうしばらく概念的なところをあえて聞いておきたいんですが、今度は防衛庁へ帰りましょう。 七九年の防衛白書での朝鮮半島の位置づけは、半島の平和と安全の保持は、わが国にとって「重要な関連」であると、こういう指摘になっています。記述になっています。今年八〇年白書では、「朝鮮半島の平和と安定の保持は、わが国の安全保障にとって緊要である」となっていますね。岡崎さん、これは変化ですよね。「重要」という把握と認識から「緊要」への変化というのは一体何を反映したものなのか。
○政府委員(岡崎久彦君) これは、特に日本語の用法といたしまして、「重要」と「緊要」の間に特別の区別を設けたわけではございません。これは七九年の佐藤・ニクソン声明以来、時として「緊要」、時として「重要」。いずれにいたしましても、朝鮮半島の平和と安定はわが国の安全に深くかかわるものがあるということをさまざまな表現で申し上げてございまして、特段の意図はございません。ただ、一年間で北朝鮮の兵力の見積もりは大幅に変化しておりまして、情勢そのものは変化しておりますけれども、表現そのものにつきましては特段の意図はございません。
○秦豊君 今度の白書は、初めてASEAN、オーストラリア、ニュージーランドについて触れています。これも一つの画期とでも言えるような目につく変化なんですけれども、しかもこのASEANについては、わが国と「重大な関係を有しており、」「ASEAN諸国の強靱性強化の努力に対する協力を益々増大している」と述べているわけですよ。これはこういうことですか、海上輸送路の防衛をわが国の重要な対外戦略として位置づけるという発想がにじみ出したものですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 本項目は、これ防衛庁の白書でございますけれども、外務省とも十分協議いたしました内容でございまして、それでASEAN諸国の強靱性はもっぱら外交、経済協力による協力ということになっております。
○秦豊君 少し具体的なところに入りましょう。 防衛局長、当委員会でも再三これ同僚議員があなたに迫ったんだけれども、依然としてわからない点がある日米共同作戦を、以下ずっとやっていきたいと思います。 十月二十八日の例の衆議院の内閣委員会でガイドラインを踏まえた日米の共同作戦計画の作成はかなり進んでいるという答弁は、修正の必要はないわけですね。
○政府委員(塩田章君) かなり進んでおります。
○秦豊君 いまの作業のテンポと頻度はどういうようになっていますか。
○政府委員(塩田章君) ガイドラインに基づく研究作業につきましては、いまのお話のその中の共同作戦に関する研究、これにつきましてはかなり進んでおると申し上げました。そのほかの情報交換でありますとか後方支援でありますとか調整機関でありますとか、そういうことにつきましてはまだ余り進んでおりません。お互いに相手方の考え方なり相手方の従来の運用の仕方なり、そういったことを研究し合っておるというような点で大分時間がかかりまして、まだ実態的には余り進んでおるとは申し上げられないような状況でございます。
○秦豊君 頻度を聞いている。頻度ふえているでしょう、最近、大詰めだから。
○政府委員(塩田章君) 頻度につきましては、現在日米の関係者の間で週単位で会合をしておりますが、いま御指摘のように特に最近頻度が多くなったと、そういうことじゃございません。
○秦豊君 八〇年中には――私の前提は共同作戦に関するところですよ、あとは別。共同作戦のところ、これは八〇年中には、つまり今年じゅうにはまとまるんですか、あるいはまとめるんですか、あるいは今年度中には遅くとも練り上げるんですか。
○政府委員(塩田章君) 率直に申し上げまして、いま私どもの――私どもといいますか、防衛庁防衛局長である私のところにまだ話がやってまいっておるという段階でございまして、これをまだ上に、次官、長官等こちらの方は上げていかなければいけませんし、またアメリカ側は結局ワシントンまで行かなければいけない、そういう期間がどのぐらいかかるかわかりませんので、いまことしじゅうとかというふうにはちょっと申し上げられにくいと思いますが、今年度じゅうにはそれじゃできるかというお尋ねでございますが、ちょっとこれも相手がありますので、具体的に今年度じゅうはできるであろうとはちょっと申し上げられませんが、何といいましょうか、その辺のスピードでは進んでおるということは言えると思います。
○秦豊君 少し確かに率直ですね、いまの答弁は。私も知らなかった、あなたの手元にはもう来ているということを。どんなものがいま来ているんです。どの範囲のものが。
○政府委員(塩田章君) いろいろ私も話を聞いておりますが、そのたびごとにすべて資料を返しておりまして、私の手元には何もそういったものはございません。話は聞いております。
○秦豊君 いや、塩田さん、余り遠慮しなくていいの、ここは国会なんだから、ソビエト最高会議でやっているんじゃないんだからね。だからここで、国会の内閣委員会なんだから、尊重するという前提でもう少し答えてもらわなければ困る。いいですか、あなたの優秀な大脳皮質に機密の網のかかった資料が毎回来る、見た、かなりインプットした、返すと、御苦労だと思いますけれども、どの範囲で聞いているわけなのか、どの範囲のもの、まとまったものがその都度来るのか、かなりもういままでの作業の総括が来たのか、何というタイトルがついているのか、その程度はいいでしょう。
○政府委員(塩田章君) 共同作戦研究に関する部分の概要が参っておるわけであります。概要について私が話を聞いているわけであります。
○秦豊君 日米共同作戦についての概要と言うんですか。
○政府委員(塩田章君) いまの共同研究の中の一つのテーマである共同作戦に関する研究についての概要をいま聞いておると、そういうことであります。
○秦豊君 それは日米共同作戦研究に関する概要第一分冊というふうなものですか。
○政府委員(塩田章君) ちょっとその名前はいま覚えておりませんが、そういういまおっしゃったようなものであることは言えると思います。
○秦豊君 ということは、あらゆる民間のシンクタンクでもそうなんだが、作業が膨大だとシリーズで出します。第一回を第一分冊と常識的に表現している。それは当たらずといえども遠からずで、したがって第二分冊、第三分冊、第四分冊、あとは無限にという中の第一部ができ上がって、あなたはその概要を目にした。なぜしかし、それ以上あなたの上の大村さんに、長官に示す段階じゃないんですか。まだまだ修正を要すべき点があるのかしら。
○政府委員(塩田章君) おっしゃいますように、まだまだこれで固まったという段階では、そこまではまだ作業いっておりません。また米軍との間もいろいろ詰めておりますし、その途中でいわば私が概要を聞いていると、そういう段階でございます。
○秦豊君 これはなかなか興味のあるところですな。われわれ素人ですから、あなた方のように専門家じゃないから、情報量が全く隔絶しているんですよ。だから、とても太刀打ちはできませんが、せめてはかない抵抗をしつこくやってみたいと思いますがね。 まとまった部分というのは、当然日本への武力侵攻に対処する日米共同作戦計画の第一段階ができ上がったと、こういう理解は見当外れかな。
○政府委員(塩田章君) 第一段階というような形で考えておるわけではございません。第一段階と言えば次の第二段階ということがあるわけでございますけれども、私どもがいまやっておりますのは、この間も当委員会かどこかでお答えしたと思いますが、ある一つの設想を設けておるわけでございます。一つの設想を設けておりまして、それに基づいて、こういう設想においてはこういう作戦計画を研究しましょうと、こういうやり方をしておるわけでございまして、その第一段階とか第二段階とか、そういうような考え方ではございません。
○秦豊君 これはしかし、あれでしょう、塩田局長、日米両国が関心を抱くすべてのシナリオについての共同計画を練り上げるのが日米双方の任務ですわな。そうでしょう。
○政府委員(塩田章君) 任務から言えばまさにそのとおりでございますが、およそ考えられる事態というのは千差万別でございますから、とりあえずいまやっておりますのは、その中の一つの設想を設けてやってみましょうということでやっているわけでございまして、いつも私がこの研究はエンドレスだという趣旨のことを申し上げているのも、実態が千差万別であります以上、一つの設想を設けたからといってそれで終わりというわけにいきませんし、それからその設想自体も今後の情勢いろいろ変わりますので、そういうことで私どもはこの研究は今後ともエンドレスに続けていかなくちゃいけないものであると考えておりますが、いまの時点ではそんなに何もかも手をつけられませんので、一つの設想を持ってやっていると、こういうことでございます。
○秦豊君 塩田さん、まだそれじゃわからないな。つまり、すべてのシナリオと言ったって、森羅万象無限の対象を、しかも相関関係で無限に変わっていくものをすべて見積もると、これはいかなる大型コンピューターと対話しても無理ですよ。だから、おのずから優先順位というのがあり、作業については一応のスケジュールがある。たとえば一九八二年中央指揮所発足とか、次のリムパックもあるし、いろいろあります。防衛庁の機構改革の問題も後で触れたいと思うが、何もかもある。防衛二法の問題も絡まってくる。だからこそ、あなた方はいま防衛研究、奇襲対処、有事法制、日米ガイドラインに基づく作戦研究、あらゆるものを整々粛々と総合作戦のように展開しているわけだ。そうでしょう。だから、全体の思想は戦える自衛隊を目指した大きな質的転換ですよ、これは。質的転換は当然法制的転換を伴う、こういう大事な時期に入っている。 だから、ぼくの言いたいのは、確かにあなたの言われるとおり無限の設想があり得るんだから、そうでしょう。だけれども、優先順位をつければ、やはり常識的にソビエトという対象国があるんだから、大村さんもあなたも認めないけれども、これは対象国ですよ。大きな脅威の可能性を持った、ポテンシャリティーを持った対象国ですよ。そうすると、常識的には、無限のシナリオ、設想の中であえて第一優先としては、日本への侵攻作戦に当たって日米が持てる能力のすべてを連携しながら、補給しながら、強靱に抵抗する、排除する、持久する、こういう対日侵攻作戦に当たっての日米共同作戦がまあまあ一応ラフな形ではあるが練り上がったと、こう見るのがむしろ常識じゃありませんか。
○政府委員(塩田章君) 共同作戦についての研究でございまして、一定の設想を設けてやっていると申し上げましたが、したがいまして特定の対象国を考える必要はないわけでございまして、要するに日本に対しまして何らかの設想を設けました侵略があった場合の日米の対処についての研究をしておると、こういうことでございます。
○秦豊君 だから対日侵攻、それは海上防衛いろいろありますわな。そうなったら設想が広がっていくんだから。そうじゃなくて、あなたの言った答弁、さっきよりちょっとわかってきました。やはり特定のことではないが、日本に対する武力侵攻、上着陸、これに備えた最初の合意が形成されつつある、概要は手元に届いたと、こういうことですね。
○政府委員(塩田章君) いまやっております設想の内容、どういう設想であるかにつきましては答弁申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○秦豊君 どういう内容といったって、あなた、対日侵攻作戦とぼくは言っている。この侵攻の侵は侵略の侵だが、もちろん。それぐらいはすぱっと認めてもいいでしょう。違いますか。それも内閣委員会に言えないの。そんなことは許されませんよ、あなた。
○政府委員(塩田章君) 日本に対して侵攻があった場合の一つの設想を設けておると、こういうことでございます。
○秦豊君 ならば、ここ大事なところですから、いいですか、日本に対する上着陸、大規模な航空攻撃、ミサイル攻撃、空挺降下、こういうふうなものは設想に含まれますか。
○政府委員(塩田章君) いまいろいろ幾つかおっしゃいましたわけですが、そういう、いま私が申し上げている一つの設想がそのどれを含むかとか、そういうことについてお答えすることを差し控えさしていただきたいと、こう申し上げているわけでございます。
○秦豊君 あなた、そんなことを言ったらアメリカの議会ならばとてもとても現在の職を全うすることはできないですよ、それは。(「日本だから」と呼ぶ者あり)いやいや、日本でもこれから厳しくなる。しかし、それは設想の中身は機密です。わかってくださいと、その程度の答弁じゃわからぬ。だけれども、概要ができたということは、日本、アメリカ、日米双方のユニホームの間の防衛構想、日本防衛の。このシナリオが一致したから書けた、書けたからまとまった、まとまったから書いたと、こういうことでしょう。その場合に、設想設想が全部機密ですと言いながら、日本に対するミサイル攻撃なのか、空挺降下と上着陸すべて含まったものなのか、航空攻撃が一定の規模と見積もらないでどうしてシナリオが一致し概要を書き上げることができますか、あなた。そうでしょう。いま日本の国会なんだからその程度の答弁しても、何ら妨げのない場であなた答弁されているんだから、何もかも機密機密でなくて、ここまでは一応まとまりましたというぐらいは何で答弁できないんですか。よく理解できぬ。
○政府委員(塩田章君) 日米の共同作業でございますから、もちろん設想について意見が一致しなければ作業が進みませんから、一致していることはそのとおりでございますが、その設想の中身を申し上げることは控えさしていただきたい、こう申し上げているわけでございます。
○秦豊君 この一致したところに――じゃ少し表現変えよう。それはやっぱり一応北方に対する一定の脅威が加速され現実化され、それに対する対処という意味は含まりますか。たとえば北海道というエリア、これについてのシナリオなんですか。
○政府委員(塩田章君) どの地域であるかということも控えさしていただきたいと思います。
○秦豊君 きわめて常識的に北方重視の配備をあなた方は現にとっている。しかも今度の、来年度からは第一線の七師団、二師団含めて充足率を高め、あるいは装備を重厚にし、通信連絡機能、スリーCを強化するという方針を言っているんだから、それはたとえばいまの場合でもやっぱり北海道でしょう。当たらずといえども遠からず、そうなんでしょう。北海道はじゃその中に含まれますか。
○政府委員(塩田章君) 北方配備につきまして、いまお話しのような充足率のアップでありますとか、そういうことをいろいろ考えていることは事実でございますが、それは自衛隊の問題あるいは防衛庁の問題でございまして、現在のいま話題になっております日米共同研究のこととはそのことはおのずから別個のことでございます。設想で考えている地域がどこでありますということにつきましては控えさしていただきたいと思います。
○秦豊君 もしぼくの誓うことを否定したかったら否定してください。ぼくはやっぱりいまの日本の兵力と来援可能な米軍のキャパシティーとその予想されるスピード、これからして日本全土に対する同時侵攻、上着陸という発想よりも、一応日米のユニホームは北方重視、北海道防衛について一応日本の四個師団ないし本州からフェリーや何か総動員して来援する二個師団半とか三個師団、そういうものを含めて長期、強靱に――長期といっても三カ月とか、いろいろ現実的であろうけれども、そうして欠け落ちる部分の、まずパーツとか何か飛行機とか補給をする、だめな場合アメリカの陸上兵力が来援するというふうなシナリオを考えたとしても、ユニホームとしてはあれは常識的なルーチンワークだから、私はそのことについて悪いなんて言っているのじゃないですよ。ユニホームはそれが仕事なんだ。だけどもこの国会で、概要はまとまった、しかし想定の中に対象とする地域は北海道かと聞いたら、いや申し上げられません、日本全土であるはずはないと言っても、答えられません、こういうことでは話が進みませんけれども――じゃいいでしょう。これはこういうふうに聞きましょう。 そういう最初の概要の中には日本に対する侵攻作戦であることはよくわかった。今度はそれを防ぐ場合に、たとえば三海峡封鎖に当たっての想定ないし記述もこの中に含まれていますか。
○政府委員(塩田章君) 私が先ほど申し上げましたように、まだ概要を聞いているだけでございますが、したがいまして、個々の具体的な海峡でありますとか重要港湾でありますとか、そういった具体的なことについて私はまだ承知いたしておりません。いまからだんだん聞いていきたいと思っております。
○秦豊君 ただシナリオが含む範囲としては、当然日本に対する武力侵攻への対処だから、たとえば本土からの展開、増援それから三海峡、たとえば宗谷については第五空軍と七艦隊の協力、対馬東についてもどうも自力では厳しいと。ならばどういう共同があり得るかということは当然、いままでの概要の中ではあなたは含まれていないとおっしゃりたいらしいが、見た記憶もないわけですね。これからはあり得るわけですね、常識として。
○政府委員(塩田章君) それは私いま何とも申し上げられません。わかりません。
○秦豊君 河本長官、きょうはなかなか御多用のところを差し繰っていただいて恐縮です。ですから、河本長官の時間の御都合がありますので、防衛局長と佳境に入りつつあるのだが、あえてカットしまして、河本長官に対する質問にちょっと転換したいと思います。 河本長官にきょうぜひ伺いたいことは、いまの防衛論議がいわゆる大砲の音にかき消されていて、大平さんがせっかくシンクタンクに命じた総合安保構想が実に希釈化されつつある、薄められつつあるという認識を私は前提にして河本長官に伺いたいんですけれども、いまこれから防衛庁は五六中業とかいろいろのネーミングをしまして実質的防衛力近代化、実践化への道をひた走りに走っている。ここでいま防衛論議に必要な視点というのは一体、一応五年をタームにした防衛計画は、当然国家財政とか国民経済全体の中で位置づけを改めてしなければならない、こう思うわけです。つまり許容の範囲、限度というものを、いま国家として策定する時期が新たに到来をしているというのがぼくの考えです。 そういう点を踏まえながら経企庁長官に伺いたいのですけれども、たとえば、いま長官の所管の範囲では経済社会七カ年計画があります。それを見ると昭和六十年度、一九八五年、この租税負担率は二六・五%、そして実績ではそのうち六四%が一般会計の歳入になっております。したがって、昭和六十年度は租税負担率二六・五%によって税収が予測できます。別なシミュレーションの別な部門では七カ年計画が予測をし、インプットしているGNPの成長率は一一・四%、税収のGNP弾性値は一・二というのを前提にして将来の税収が推定されています。カーブが二つあるわけです。考え得る一つは国民の税負担がふえること、つまり増税が前提であり、考え得るケーススタディーの二番目は、歳入面では特に手を打たない場合でも歳出見込み額を傑出することはできるわけですね。それからもう一つのシミュレーションのファクターは、政府が六十年度には赤字国債をゼロにしたいとおっしゃっているわけですが、一応これも前提の一つにします。 だれしもが異論がないのは、成長が鈍化している中で対米協力を主眼にした、踏まえた、防衛費の増大という方向をとれば、つまり大砲への路線をとれば、いやおうなく生活に密着をした社会保障型の経費が圧縮されるということはだれしもの頭の中に浮かぶ懸念であります。 それで、試算をしてみると、やっぱり七カ年計画よりも租税負担率がふえる半面、公共サービスあるいは社会保障受益の伸び率やスピードを落とす以外に日本の国家財政のキャパシティーの中では、防衛庁が志向しているような五六中業はきわめて困難であるという予測が私できると思うんです。つまり、予見される国家財政の事情というのは非常に厳しい、アメリカと比べても厳しい。したがって、国民の受益、国民から見た場合の受益、政府から受けるサービスが減るんだあるいは改善のテンポが落ちるんだということは国民にもっとよく示して、それをしも国民が許容する、許容したから五六中業がリアリティーを持つというふうな展開が今後の政府には私は必要になってくると思うんです。 そこで、まず前提として、六十年までのGNPの予測をちょっと伺っておいて、そして同時に防衛費をGNPの〇・九%とした場合、六十年までをちょっとはじいていただきたい。 時間がないからまとめて言いますが、同時に仮に昭和五十八年度に防衛費が、防衛庁念願の、檜町念願の〇・九を突き破って一・〇%になった場合の金額を具体的に述べていただきたい。 それから、経企庁のいままでのシミュレーションの中で、昭和六十年度の社会保障関連費の予測、増加の率、テンポ等々も総合計画局のらち内にあればそれもあわせて伺っておきたい。そして、それを締めくくりとして河本長官にちょっと提唱したいことがあります。
○政府委員(戸田博愛君) 昭和五十四年度に経済計画のフォローアップを行いまして、その時点におきます国民総生産が約四百二十五兆円でございます。したがいまして、これを仮に〇・九%相当と、六十年度の〇・九%を掛けてみますと約三・八兆円ということになってまいります。もちろん伸び率は、したがいまして国民総生産と同じ伸び率の防衛費の伸びになるだろうと、仮の試算でございます。そういうことになるわけでございます。 それから、五十八年度という年は、経済計画では途中を示しておりませんので、五十八年度に仮に一%になった場合どうなるかという試算は残念ながらできません。したがいまして、仮にもし、これも全くの試算でございますが、六十年度において仮に一%になったといたしますと、約四兆二千五百億ということで、先ほどの三兆八千億よりも若干ふえる、四千五百億ほど増加する、そういう計算になってまいります。 それから、社会保障につきましては、社会保障移転は、この計画におきましては五十三年度の基準年次の国民所得に対して一二・一%というのが社会保障移転の規模でございますけれども、六十年度にこれを十四カ二分の一程度に増加させていく、そういうことになっております。
○秦豊君 局長、あなた方の総合計画の中では、直接防衛政策に関与するとかあるいは見解を述べることは職掌柄はばかられるという御答弁が予想されますけれども、しかしあえて言えば、経企庁のシミュレーション、七カ年プランの中でいまの数字がラフに出てきたわけですが、私は伸び率が鈍化すると予測したわけです。昭和六十年に。そういう兆しは裏づけられておりますね。
○政府委員(戸田博愛君) 成長率でございますか。
○秦豊君 はい、社会保障の。
○政府委員(戸田博愛君) 社会保障負担につきましては現在いろいろな制度があるわけでございますけれども、たとえば年金でございますとそれがだんだん成熟をしてくる、そういう現在の社会保障制度自体はかなり西欧水準に達しているわけでございまして、それを維持しながらだんだん成熟をしてくる。そういう現行制度を前提にしながら成熟度を計算をし、十四カ二分の一%程度の国民所得になると。したがいまして、国民所得の伸びよりは当然率が上がるわけでありますから、国民所得の伸びよりは高い社会保障負担の年率の伸びになる、こういうことでございます。
○秦豊君 バターと大砲の関連で申しますと、中業は達成された、そのときバターは果たしてどうなのかという視点を欠いた防衛論議は私ははなはだしく傲慢であると、こう思うわけです。まさにそれこそ軍事偏重総合安保への背反であると思うからです。 それで、総合安保を置き去りにしているわけですからね、いまの鈴木政権の総路線が。だから申し上げるのだけれども、やはり政治の中で改めてこの際五六中業の策定を前にしてあえてバターと大砲の連関を厳しく私は問い直すと、見据え直すということが必要であるという主張なんです。 そこで具体的に、河本長官、十分しかありませんから申し上げますけれども、河本長官にぜひこういういま私が申し上げたような観点を踏まえて、近く間もなく開かれる安全保障関係閣僚会議で、あなたは重要なメンバーの一人でいらっしゃるのだから、積極的にやはり御発言を願いたいことは、いま言ったバターと大砲のの関連、そして経済社会七カ年計画の中における防衛費の位置づけはシビアでなければならないという一つの指摘。日米を比べても、レーガン政権のこれからとろうとする政策で変わってくる。浮動性があるけれども、あと数年のシミュレーションを民間のシンクタンクの資料などで見てみると、財政の硬直度は日本が残念ながら凌駕している、上回っているんですよ、こっちの動脈の方が固い。アメリカの方がフレキシビリティーに富んでいる、財政力は。そこで、行財政を抜本的に改革をするという前提を抜きにしますと、それを怠ると、いまの財政構造では、私は防衛庁の五六中業は非常に厳しい環境に追い込まれると。もっと時間があれば五十六年はどう五十七年はと、ずっと六十二年までやるべきなんだが、十分しかきょうはありませんから、無理にいただいた時間ですから後ほど改めてやりますけれども。 したがって、河本長官には、わが国の安全保障関係の財源はきわめて大きな制約の中にあるんだという御認識には同調していただけるかどうかわかりませんが、やはり私は総合安全保障の関係閣僚会議では、防衛政策が大きな転換点にあるいまだからこそ、随時に開かれる関係閣僚会議の継続的なテーマとして、やはりバターと大砲の関連を、国家財政と国民経済の中で許される防衛費の上限を改めてまた策定する必要があると思うんで、河本長官にはそういう観点をぜひ述べていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 財政の背景になりますわが国経済の推移を考えてみますと、昭和四十八年に第一次オイルショックが起こりまして、日本経済は非常に大きな打撃を受けました。そこで、それを解決をいたしまして、わが国経済を安定成長路線に定着させるために、昭和五十一年に御案内の昭和五十年代前期の五カ年計画を策定をいたしまして、五十一年、五十二年、五十三年とその路線に沿って経済運営をしてまいりました。幸いに、昭和五十三年の終わりごろになりまして、わが国経済は安定成長路線に定着することができたと、このように判断をしております。 それを受けまして、昨年、昭和五十四年八月に新しい七カ年計画を策定をいたしまして、その目標は先ほどお触れになりましたとおりでございまして、昭和六十年にはおおむねGNP四百三十兆円弱、こういうことを想定をしております。経済と財政には若干の問題はありますけれども、おおむね私はこの軌道に乗りつつあるのではないか、こう思っております。もちろん、解決しなければならぬ課題は相当ございますけれども、そう大きく狂ってはいないと、こう思っております。 いまアメリカと比べてアメリカの方が弾力性があるというようなお話がございましたが、私は若干別の意見を持っておるんです。経済、財政というものは総合的に判断しなければなりませんが、たとえば失業者を見ましても、日本の場合は二%強でありますから、百万ちょっとを超えたところであります。アメリカと英国などは約八%でありますから、非常に多くの失業者がおるわけであります。日本でその見当の失業者が出るということになりますと四百五十万ということになりまして、これは大変な経済、財政の圧迫になりますが、こういう点もひとつ有利な点であろうと、こう思います。 それから、幸いに日本の産業というものは国際競争力の面では世界で一番強い力を持っておると、こう思っております。ことしの春ごろは第二次石油危機の影響で非常に大きな赤字が出ておりましたが、一カ月に十数億ドルという経常収支の赤字が続いておりましたが、幸いに最近はほぼこの問題も大体解決できたのではないかと、こう思っております。九月には黒字になりました。十月は赤字でございますが、きわめて僅少な赤字であります。七千万ドルというけた違いの赤字でございますから、まずまず国際収支の面も心配ないと、このように判断をいたしております。 それから、税負担率は一昨年は一九%でございましたが、国民所得がふえる、個人所得がふえる、こういうこと等もございまして、現在は二二%前後になっておりますけれども、それでも世界で最低の水準である。 それからなお、国債の発行は相当大きいんですけれども、これは一面、国民の貯蓄というものが非常に高い水準で進んでおります。一時に比べますと最近は少し落ちておりますけれども、それでもなお二〇%を超えておる。世界で特別高い貯蓄水準が続いておりまして、それを背景とする国債の発行でございますから、国債の発行といえどもきわめて健全な国債であったと、私はこのように思います。日本銀行が消化する、そういうことは一つもございませんで、全部民間で消化できておる。一部は財政資金で消化しておりますけれども、これは郵便貯金などを背景にする消化でございますからきわめて健全であると、このように思っております。決して心配な状態ではない。 そういうことをいろいろ考えてみますと、日本の経済と財政というものは世界で一番力のある経済と財政ではなかろうかと、私はこのように判断をいたします。決して外国に比べてやりにくいと、こういう状態ではないと、こう思っております。 そこで、防衛費でございますが、昭和五十一年に閣議決定をいたしまして、一%を超えない範囲で将来増備を図っていこうと、こういうことを決めておりますが、現在なおそのときの水準がずっと続いております。一%ということになりますと相当これから増強しなければなりませんが、自衛隊の現状などをよく聞いてみますと、なかなか不十分な点が多いと、こういうことで、やはり私はできるだけ早く一%見当までは増強する必要があるのではないか、またそれをやるだけの日本は財政と経済の力を持っておると、このように判断をいたしております。 ただ、日本の防衛というものはあくまで総合的に考えなければならぬ課題でございまして、仮に一%を超えたというような場合は、相当私はやはり国民生活を圧迫するような事態になろうかと思います。失業者がたくさん出る。そういうことになりますと、少々防衛力を増強いたしましても総合的な国の安全保障というものはいかがなものであろうかと、こういう問題も起こってくると思います。 それからまた、資源、エネルギーの安定的な確保ということを考えておきませんと、日本の経済が行き詰まる場合があろうかと思いますので、こういう面にも将来は十分配慮をしなければならぬと思いまするし、それから、やはりいま一番大きな課題は、第二次オイルショックによりまして世界のほとんど全部の油の出ない発展途上国――百幾つございますが、その経済がもう行き詰まり寸前にあるということでございます。そのためにやはり社会不安が絶えない。内乱が起こる。それに乗じて外国の軍隊が進駐する。こういう例も相当多いようでありますので、やはり日本といたしましては、これまでの基本路線である発展途上国に対する援助の拡大、そのことによって世界の平和の基礎を拡大すると、そういうことにも努めなければならぬと思いまするし、それから同時に、平和外交を強力に進めるということも、これはもうぜひ必要だと思います。 そういう幾つかの点を総合的に議論するというのが総合安全保障を確立するための関係閣僚会議と、こういうことであろうと私は想定をしておりますが、いずれにいたしましても、さしあたって一%までできるだけ早く日本の防衛費を増額するということは、日本の現在の力からいたしますならば十分可能でありますし、自衛隊の現状からそれが必要であろうと、私はこのように判断をいたしております。
○秦豊君 会議の途中を中座をしていただきまして恐縮でした。時間を超過したきらいがあります。結構でございます。ありがとうございました。 防衛局長、あなたに返りましょう。さっきの続きですけれども、海峡云々についてはまだこの段階までは概要に含まれていない。あり得るかどうかについてもさっきちょっと聞き漏らしたけれども、あり得るかどうかについてはどうだったんですかね。三海峡封鎖作戦については検討の対象でしょう。シナリオを練り上げていく対象には入りますね。
○政府委員(塩田章君) いろいろな設想ということになれば、それは当然その対象の中に入り得ると思いますが、いまの設想であるかどうかについては、私が先ほど申し上げたように、先日来聞いている範囲ではまだ聞いておらない、こういうことでございます。
○秦豊君 だけど、今後の設想には入り得る。同時に、それは三海峡にとどまらず、シーレーンの防衛作戦についても今後の設想には入り得る、こう理解してよろしいですか。
○政府委員(塩田章君) 今後の課題としてはあり得ると思います。
○秦豊君 両方ともね。
○政府委員(塩田章君) はい。両方ともです。
○秦豊君 それから、日米双方が関心を抱くすべてのシナリオと申しますと、日本に対する侵攻作戦についての設想をそれこそ本土あるいは北海道に対する上着陸を含めて練り上げた後、いまの御答弁では三海峡封鎖作戦、海上シーレーン防衛作戦も今後の設想に入り得る。そこまではわかりました。 そうすると、日米両国が共通に関心を抱くシナリオの中には、たとえば日本以外の極東の周辺というと、朝鮮半島も今後のあり得べき設想の中には含まれると理解するのが自然じゃないでしょうか。
○政府委員(塩田章君) ガイドラインは、自衛隊が、日本が侵略を受けた場合の行動についての米軍の来援の際の共同対処作戦でございますから、いま御指摘の朝鮮半島等は入らないというふうに考えております。
○秦豊君 では、当然中東の事態も入らないというのが常識的な解釈の延長ですね。
○政府委員(塩田章君) 私は入らないと思います。
○秦豊君 あなたはいままで防衛局長としていすに座られて、ユニホームから聞かれている設想の範囲は、つまりこれを言葉をかえて言うと、この日米共同作戦研究が終了すると認められるのはどの程度の設想が満たされた時期でしょう。
○政府委員(塩田章君) まず一つ終了という言葉が、先ほどもちょっと申し上げましたが、ある一つの設想につきましても、それは中身が、その前提になっております軍事情勢、国際情勢が変わっていくわけでございますから、その一つの設想についての研究自体も私はある時期をもって終わりということはないんではないかというふうにまず一つ思っております。 それ以外に違った設想を幾つぐらい研究したら終わりだろうかというお尋ねかと思いますが、ちょっとそこまでいま私考えておりませんので、いま当面、現在一つの設想について研究をしておると、ここだけ申し上げまして、それ以上将来どういう設想を幾つぐらい消化したらというふうにはまだ考えておりません。
○秦豊君 では、どういう時期になったら、どういう設想が満たされたら大村長官に報告の運びになるんですか。いつごろになるんです。大体。
○政府委員(塩田章君) いまの設想に基づく研究について私が報告を受けているわけですが、これにつきましては、やはりまとまり次第、その設想についての研究のまとまった段階で私は当然長官に御報告しなきゃいけないというふうに考えております。
○秦豊君 いや、だから塩田さん、ぼくが聞いておりますのはかなり具体的で、あなたはすでにある一つの概要、第一分冊、私のネーミングでは第一分冊はごらんになったわけですよ。しかし長官はごらんになっていないんです。じゃ、どういう時期になればというように申し上げたのは、一応ある設想と設想がある、それは申し上げられない、それはいいでしょう、一応ね。やってももう何とか問答になるからそれはいいけれども、どういう段階にと聞いたのは、大体予定があなたの頭の中に入っているわけですよ。それでなければああいう答弁にならない。こういう与件が満たされれば、いよいよ長官段階、長官マターだというのがあなたの中にあるからああいう答弁になったんで、だから、くどいようだが聞いたんです。あとプラスアルファとしてどういうものが満たされれば防衛庁長官に報告されるのか。
○政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、いま私逐次報告を受けておりますが、先ほども申し上げましたように、まだ手直しの部分もいろいろあるわけでございます。ですから……
○秦豊君 手の内……。
○政府委員(塩田章君) 手直し。 手直しの部分がいろいろあるわけでございまして、その辺を直していかなければいけませんし、また一方、アメリカ側の方も向こう側の手続がいろいろあろうかと思います。そういうことをにらみ合わせながら進めていきたいと考えておりまして、具体的にいつごろという時期をお尋ねになれば、ちょっといま時期を申し上げるだけの自信がございません。
○秦豊君 共同作戦研究は恐らくこれ以上はあなたから出ないと思います。だからやめます。 作戦研究はかなり進んでいて第一分冊もでき上がったと。そうすると、共通の実施要領の研究準備というのはそれに伴って作業が進んでいるのが妥当ですね。
○政府委員(塩田章君) 実施要領を含めまして、その他の項目についても作業を進めておるわけでございますが、いまの作戦研究ほどには進んでいない、先ほど申し上げたとおりでございます。
○秦豊君 概要はでき上がった。しかしそれを裏づける、つまり、法律で言えば施行令みたいなものだから、両方がワンセットにならなければなかなか運用できないでしょう。だから、作戦研究の概要、そして作戦共通の実施要領の概要が表裏一体で伴うものでしょう。それをもって一応の終了の段階という言い方はできますか。
○政府委員(塩田章君) 必ずしもそういうふうには考えておりません。一応別個の作業項目として研究をしていくつもりであります。
○秦豊君 それから、ガイドラインに沿って、なかなかこういうことはきょうみたいにゆるゆるとした時間をもらっておらないとできないことなんで、やっぱりこれゆっくりやりましょうね。一つ一つやっていきましょう。いい機会ですね、防衛局長。 これ読んでいてわからないのは、作戦運用上の手続の調整という表現があるんですよ。具体的にこれは何を指しているんですか。
○政府委員(塩田章君) 「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」ということと、共通の実施要領、こういう項目があるわけでございますが、いま……
○秦豊君 いや、作戦運用上の手続の調整、その次のところに書いてあるでしょう。
○政府委員(塩田章君) はい。具体的に申し上げますと、たとえば指揮系統の異なる自衛隊と米軍の部隊が共同対処行動をとるわけでございますから、その部隊行動の整合性というものを確保していくためにあらかじめ特定の事項を幾つか決めておきまして、その事項につきましてどういった連携をとっていくかというようなことを決めていく、こういうことになるわけでございます。
○秦豊君 それから、それに関連してくるわけですが、指揮調整機関の随時開設についての必要事項という、この具体的なイメージがぴんとこう浮かんでこないんですよ。どの範囲なのかもわからない。それから、それについてはすでに一致をしているのか。さらに敷衍すれば、どんな段階でそれは開設されるのか、これも伺っておきたい。
○政府委員(塩田章君) 調整機関につきましては大変大事な項目でございますが、いまのところ作業としましては余り進んでおりません。私いまの幾つかの項目の中で一番おくれている項ではないかと思っておりますが、従前、いままでは、米側のいままでのやり方なり考え方なり、日本側のやり方、考え方をお互いに勉強し合っていて、どういう段階でどういう調整をしたらいいかということを研究する前の段階だというふうに申し上げてもいいぐらいの状況でございますが、どういう時期に調整機関を設けるかということにつきましては、ガイドラインそのものにも、侵略のおそれのある場合に調整機関を設けるということを含めて検討することになっております。で、具体的にいまその時期、それからどのクラスの司令部間に設けるかとか、そういうようなことにつきましてまだ作業は進んでおりません。
○秦豊君 それから、第一項をちょっとごらんください。 つまり、作戦準備段階の共通基準の決定という表現がありますね。これは外務省北米局長にこれ聞いておきたいんです。英文では、これどういうテクニカルタームになっていますか。
○政府委員(淺尾新一郎君) お尋ねの件は、「日米防衛協力のための指針」の中で、侵略のおそれのあるというところで書いてあることかと思いますが、その中で書いている英語はレディネスステージということでございます。
○秦豊君 レディネスステージというとスタンバイの態勢、それから即応態勢、即応段階、こういう解釈が近いんじゃないでしょうか。
○政府委員(淺尾新一郎君) これは武力攻撃が実際に行われるときにとられる共同行動に備えるための作戦の準備でございますので、私たちとしてはこれを準備段階というふうに訳しております。これは日本の英文辞書の中でもやはり準備というのが一番広く用いられていると思います。
○秦豊君 防衛局長、例のスクランブルに関連してDEFCONの論議がずいぶんありましたよ。あれも三つ、五つの段階ありますわな。そうすると、日米のユニホームが考えている方向というのは、たとえばDEFCON的な即応態勢を陸海空にわたって、空はかなり進んでいるから、三軍ともに共通に備えねばならない。特に自衛隊に求めるところは大きいと、こういう意味合いでこういう概念が設定されたわけですね。そういうことになりますね。
○政府委員(塩田章君) いまお話しのように、空につきましては現在DEFCONという運用をしておりますが、それもいわゆる八十四条の場合だけでございまして、全般的に自衛隊の場合ここで言う意味での準備段階というものは現在とっておりません。それで一方、アメリカは御承知のようにとっているわけでございます。アメリカのやり方を研究いたしまして、両者整合のとれた準備段階を経ていくようにする必要があるということでこういう項目が入っておることは御指摘のとおりだと思います。
○秦豊君 そうしますと、少しデテールにわたるけれども、陸上について言えば、北海道内に展開配備されている師団ですね、あるいはこれから充足率を高めようとする師団、二と七師団、こういうふうな部隊がそれに最も近いのか。それから海上の即応態勢というのは、いまは一護衛隊群ぐらいはまさにレディネスステージの状態にあるのか、こういうことはどうですか。
○政府委員(塩田章君) まず最初の陸の方でございますけれども、特定の師団という問題ではございません。陸上自衛隊としてどういう事態にどういう準備をしているかという問題であろうかと思います。 それから、海上自衛隊につきましては、いま一個護衛隊群がレディネスステージの段階にあるのかというお尋ねでございますが、これはいまの準備段階のこの議論とは別個に、いまの四個護衛隊群というものを設けました思想としまして、一個護衛隊群が常にそういった状態にあるということを想定して四個護衛隊群をという考え方をとっておるということでございまして、いまの研究とは一応別個の問題でございます。
○秦豊君 共同訓練と共同演習の実施という表現がわざわざあるんだけれども、これは、たとえば来年はリムパックはないですわな、これは二年に一回のはずだから。そうすると、再来年はやっぱりリムパックには参加をするのか。するとすればどんな参加の仕方を――いま早過ぎますから答弁の範囲じゃありませんと言わないで、仮に海幕に対する報告書がすでに提出をされているわけであって、どんなものかと言えばお出しできないと。見出しぐらいは出るかと言ったら、実に分厚なものをちょうだいしましてね、先ほど。こういうものをいただいたから相当浩瀚な資料が、詳細にわたる分析と総括が行われていると思うが、われわれ議員にはこの程度しかこない。しかし、リムパックについてはどんな参加の仕方をするのか、それからリムパック以外に海の面でアメリカとの共同演習あるいは共同訓練はあり得るのか、この辺をちょっとまず伺っておきたい。
○政府委員(石崎昭君) リムパック参加につきましては、今回のリムパックで非常に多くの成果を得たと私ども思っておりますので、次のリムパックの機会に、可能であればもちろん参加したいと思っております。その際にどういう参加の仕方をするかについては、いま秦議員のおっしゃったとおりこれから検討いたしますが、当然練度の高い、参加して成果をより多く持って帰れるような船なり乗組員なりを選んで参加をさせるということになろうと思います。 それから、リムパック以外の海上の日米共同訓練につきましては、従来から何回もやってきておりますような訓練を、内容をより充実しながら今後も続けるということになろうと思います。
○秦豊君 陸の共同訓練を来年ぐらいから考えておるようだけれども、さしずめは、たとえば富士を想定しているのか沖繩での共同訓練なのか共同演習なのか、まさか硫黄島ではあるまいとまだ思われるけれども、その辺の陸の共同訓練の――あなたが所管らしいから参事官の所管の範囲で具体的にどの辺までを考えているのか、ちょっと述べてください。
○政府委員(石崎昭君) 陸の共同訓練につきましては、いままでやったことがありませんのでぜひやりたいという希望をかねてから持っておりまして、五十六年度から始めたいというつもりでおりますが、内容についてはおおよそこういうことをやりたいという見当がついてきたんでありますが、お尋ねの場所につきましては実際のところまだ全然決めておりません。これから一番適当な場所、一番スムーズに行える場所をよく調べまして場所を選定したいと思っている状況でございます。内容については、いままでも今国会でも御説明したというようなことで御存じだと思います。
○秦豊君 それから、これは塩田局長の範囲に入りますか参事官の範囲かちょっとわからないんですが、長官も聞いていてくださいよ、これ。 日米間のいろんな共同演習を積み重ねますね、訓練を積み重ねますね。アトランダムに年次計画を突き合わして毎年やっていけばいいんじゃなくて、共同演習に関する覚書というふうなものが必要じゃありませんか。だから、ある段階には共同演習に関する覚書的なものを交換するお考えは現在あるのかないのか。
○政府委員(石崎昭君) ガイドラインの中で、共同訓練につきましては必要な共同訓練を適時行うという表現になっておりますのですけれども、実はガイドラインができる以前から御存じのとおり日米共同訓練は数多く行ってまいりました。その都度米側と打ち合わせながら計画を策定し実施してきたわけでありまして、いずれもそういうその都度相談という方式でスムーズに行われてきましたので、今後もその方式で多分スムーズに行われるであろうと思います。 ただ、日米共同訓練についてその都度検討方式でなくて、原則的な共通的なことをまとめて取り決めにしておくということは意味のあることかもしれません。そこで、それは今後ちょっと考えたいと思いますが、いますぐそういう覚書をつくって交換するということは考えておりません。ちょっと検討したいと思っております。
○秦豊君 必要になる時期が来ると思いますから、ぜひ受けとめて検討をすると、そしてそれを国会を通じて国民の前に明らかにする。こういうことを絶えずやってください。 それから、これもう少しだけガイドラインをやりますが、交換情報の種類というのはどんなものが含まれるんですか。交換情報、これもわからない。
○政府委員(塩田章君) 各共同作戦をやる場合の情報でございますから、もうどんな種類と言っても特定はできませんで、軍事上、作戦遂行上必要な情報はすべて含まれるというふうに考えております。
○秦豊君 では、この情報交換部隊というのは何ですか。
○政府委員(塩田章君) このことにつきましてはまだいまからの研究になると思いますが、具体的に日米の部隊が共同対処行動に入ります場合に、お互いの持っている情報をどういうところでどういう形で交換をしていくか、いずれにしましても一人の指揮官での指揮系統の中に入るわけではございませんものですから、どうしても調整ということになりますと、お互いの持っている情報の交換ということが一番大事なことになると思いますので、その場合のやり方、それを担当する部隊、それをどういうふうに考えていくか、こういうことでございまして、今後の日米共同研究の中の一つのテーマとして今後進めていきたいと考えておるわけでございます。
○秦豊君 それから、日米相互間の通信連絡体系の整備という表現がありますね。これは膨大なことですからね、そういう分野では何が懸案になっていて、どんな順序で整備をしていくのか、たとえば一両年を貫いて。
○政府委員(塩田章君) これも実はまだ余り研究の進んでいない分野でございまして、いまの情報の交換とも関連をいたしますが、現地で行動いたします各部隊の間でどういう通信連絡をとれば一番いいかといったようなことを研究していきたいというふうに考えておるわけであります。
○秦豊君 たしか同僚議員の質問に対してあなたでしたかな、たとえば中央指揮所とアメリカの間にホットラインは考えられるという答弁でしたかね、言葉は正確でないかもしれないが。これは横田の在日米軍司令部と接続をすればよいという意味なのか、あるいはちょっと第三者で考えればそうじゃなくて、そこだけでは不十分であるから、たとえば横浜に置かれているCCCS、この米軍のシステムあるいは七艦隊の洋上監視情報センター、こういうもの、それは当然にオアフ島のスミス・キャンプにある太平洋艦隊司令部の洋上監視システムセンターあるいは艦隊指揮支援センター、これに全部衛星のネットワークにコネクトされるわけですから、単に中央指揮所と横田の司令部がコネクトされるという矮小化されたものじゃなくて、中央指揮所が日本周辺の危機に対処するというのであれば、当然オアフ島のスミス・キャンプあるいは海洋偵察衛星――サテライトを含めた米軍がグローバルに持っている通信ネットワークと中央指揮所がジョイントされると考えた方が軍事常識的には素直だと思うが、そういうことも含まれているわけですか。
○政府委員(塩田章君) いまのお尋ねの点につきまして私がお答えしましたのは、中央指揮所ができた場合には何らかの形で米軍との間の連絡については考える必要があるだろうということをお答えいたしたわけでありますが、具体的にいま横田と結ぶのか、ほかの点と結ぶのかということでございますが、私どもはいまそこまで詰めておりませんけれども、いまいろいろ御指摘になった米軍の中のいろんなそういった通信連絡組織というのは、それは米軍の中の問題でございまして、私どもは在日米軍司令部と防衛庁との間の連絡を考えておけばいいんではないかというふうに考えております。
○秦豊君 それはちょっと解せないな。 たとえば、海上自衛隊が七五年の四月から、横須賀の例の船越というんですかな、半地下式のセンターがありますわな。皆さんの用語ではSFと言っているようですが、これはバッジとか総合気象中枢システムと当然結び合わされていますよね。ところが、作戦の通信なんで、私的な会話じゃないんだから、通信じゃないんだから、ぼくの言ったようなネットワークを持つことの方が機能的じゃないんですか。そうでなきゃ逆に機能を果たせないんじゃないの、役割りを。違いますか。
○政府委員(塩田章君) 先生のおっしゃる意味がちょっと私もわかりかねるんですが、もちろんSFシステムにしましてもバッジシステムにしましても、自衛隊側のものは全部当然今度の中央指揮所に集中するようにいたします。米側のものはまた米側でやっておられるわけでございまして、私どもから言えば、在日米軍司令部との連絡ができれば、それから先は米側の中の話ではないかというふうに思っておるわけであります。
○秦豊君 そういう言い方するわけか。しかし同時に、じゃ横田がキーステーションになるわけだ、米側のね。あなた方はローカルの受け局になる、ネットワーク、ローカルステーションになるわけだ、サブステーションに。だけども、横田とジョイントすれば私の申し上げたようなグローバルな戦略情報はすべて吸収できる、把握できる、それであってこそ日米共同作戦がダイナミックに展開されると、こう理解していいですね。
○政府委員(塩田章君) 日米の調整機関につきましていま研究しておると申し上げましたが、いまの防衛庁の中の中央指揮所の建設とも関連いたしまして、日米の緊密な連絡体制ということは今後考えていかなきゃいけないと思っておりますが、その具体的な方法としては、私先ほど申し上げましたように、在日米軍司令部と防衛庁との間の連絡ということで私はよろしいんではないかというふうに考えているわけであります。
○秦豊君 七Fですね、七艦隊の作戦会議というのがレギュラーに行われているわけですよ。大体頻度は三月に一回ぐらい、あとは随時だと思うんだけれど、それにはアメリカをもちろん中心にして、オーストラリアとか、それからニュージーランドとか、たまにイギリスとかいう情報将校が参加しているわけですよ。あるいは作戦参謀が参加しているわけですよ。これ、海上自衛隊の連絡将校というのはときどきメンバーに、あるいはオブザーバーとして加わっている形跡ありますか、事実ありますか。
○政府委員(石崎昭君) お尋ねの第七艦隊の会議がどういうものであるか実はちょっとわからないんですが、三カ月に一遍云々ということからして思い当たりますのは、第七艦隊のやっている会議の中のスケジュールコンファレンスと呼ばれているものだろうと思います。これには自衛艦隊から必要な係官を派遣して、第七艦隊と訓練その他のスケジュールの打ち合わせを四半期に一遍やっておるということはそのとおりでございます。そこへ必要に応じてオーストラリアとかニュージーランドとか、そういうところの連絡将校も来ているということも承知しております。ただ、私どもの訓練の関係では、日米の間だけでスケジュールの調整をするだけで必要にして十分でありますので、オーストラリア、ニュージーランドが同席しておる、来ているということは知っておりますが、そことは打ち合わせやっていない、そういうことでございます。
○秦豊君 それから、ガイドラインをもうすぐ早く終わりたいんだけどなかなか進まないんだけどね、これ。とてもこれはもう三時間じゃ済まないな、これは。 基地の効率的かつ経済的な使用とあるわけですね。これは日本から見て基地経費の分担をふやしていくという考え方、それから基地を日米共同で使用するという意味が当然含まれていると思うんだけれども、現在、現実に自衛隊と米軍が共用している基地の実数ですね、範囲、ちょっと述べてください。
○政府委員(渡邊伊助君) 日米共同使用ということでございますので、地位協定の二条四項(a)と二条四項(b)、この規定に該当するものをお答えすればよろしいかと思いますが、二条四項(a)によります共同使用施設――飛行場とか対地射爆撃場、港湾施設等々ございますが、全部で二十九件でございます。 それから二条四項(b)に該当しますものは十二件でございます。
○秦豊君 これから共同使用が予見されるあるいは考えている基地というのはどうなるのかな、嘉手納とかどういうふうになるんですか、どういうことを考えています。日米の共同使用というのは。
○政府委員(塩田章君) 先生のお尋ねがガイドラインの第三項、大きな第三項にあります点についてのお尋ねであるとしますと申し上げますが、実は第三項に基づく研究はまだ全然入っておりません、そういう段階でございます。
○秦豊君 ガイドラインに言う自衛隊基地の共同使用、便宜供与あるいはその他の支援についてなんですけれども、その場合に大事なことがぼくは抜けていると思うのは、日本の国内法上全く障害がないのかという点なんですよ。これ、いままでぼくも触れなかったんだけど、なるほど防衛庁設置法を見ると、防衛庁は駐留軍に対して物資や労務等を調達することができるとある。しかし、自衛隊自体がそれを行うという場合には法的根拠は何にもないでしょう、違いますか。
○政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、この点の研究にはまだ全然入っておりませんので、具体的にはちょっとお答えがしにくいんですけれども、御指摘の自衛隊が何もできないではないかという御趣旨は、これは三項といいますのは、日本以外の極東における事態での米軍に対する協力でございますので、そういう意味でこれ自衛隊の問題じゃございませんので、おっしゃいますように自衛隊の各部隊はこの規定には関係はないわけでございます。ただ日本政府として、いまどういう協力をするかという問題でございまして、その中には防衛施設庁が施設の提供等の事務に当たることはあるわけでございますが、御指摘の点が自衛隊の部隊に限ってのお尋ねであれば、これは御指摘のとおり関係がない、自衛隊の部隊には関係ございません。
○秦豊君 根拠ないでしょう。
○政府委員(塩田章君) はい。
○秦豊君 だから部隊と部隊が接触するんだから、これからは。内局じゃないんですから、檜町じゃないんだから。そうすると当然国内法規の整備をしなきゃいけませんよ、違いますか。
○政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、いまから、今後の研究課題でございますが、御承知のようにこのガイドラインに基づく研究は、法令にかなった範囲についての研究をするということになっておりますので、その辺は踏まえながら研究していかなきゃいけないと思っております。
○政府委員(淺尾新一郎君) ちょっと法的な面を補足させていただきますけれども、この三項に書いてありますところを読んでいただきますと、「日米両政府は、」ということで「両政府は、」という言葉を使っておりまして、ここでは自衛隊ということでなくて、政府という言葉で補ってございますので、いまの先生の疑問には十分こたえておると思います。
○秦豊君 日米ガイドラインというのは、長官、非常に巧みにでき上がっているんですよ、論理構成が。つまり日本国憲法とか国内法規とか、それから事前協議一切妨げないようにちゃんとすり抜けて、別次元でというような大きな前提を置いて非常に悪知恵の働いたこれ構想なんですよ。実際には安保はあの瞬間に、あの時点で七八年から変わっているんだけれども、そういうことを全く論理的に追求されないような理論武装を、あるいは文書的な武装をしているんです。だから非常に問題があるんですけれどもね。本来自衛隊の作戦行動が認められるというのはわが国の防衛である、わが国の防衛。それから領空侵犯への対処だけであって、本当はアメリカとの共同作戦というのは現行の法体系にはなじまないんですよ。自衛隊法とか設置法とか防衛二法にはぼくはなじまないという解釈を持っている。きょうは法制局長官を呼んでも答弁がわかっているから呼ばなかったんだけれども、ぼくはそう思っている。違いますか。
○政府委員(塩田章君) 自衛隊は、もちろん自衛隊法、防衛庁設置法に基づいて行動をいたしますので、それはそのとおりでございますが、そのことが、安保条約に基づきましての米軍が来援をしてくる、その米軍と共同対処行動をするということを別に、何といいますか、配慮するというか、そういうことの関係にはなくて、自衛隊は、共同対処行動をしましても、あくまでも自衛隊の任務に基づきましてわが国の防衛に当たるわけでございますから、そのことと米軍の来援とは法律的には別個の問題でございまして、私は別に、なじまないとか矛盾するとか、そういうことではないというふうに考えております。
○秦豊君 いま防衛庁は、防衛研究それから日米共同作戦研究それから奇襲対処、有事法制、ずっとさっき申し上げたように総合的な検討等を進められているわけですね。そうすると、これ全部関連があり、お互いの整合性に注意しながら進めているわけです。これが一定の段階に達しますとどうしてもあなた方がぶつかる問題というのは、いわゆる防衛二法との問題になってくると思うんです。私はやっぱり日米共同作戦あるいはガイドラインの路線というのは、もうすでにあの古びた自衛隊法とか防衛庁設置法の領域だけではカバーし切れない内容を余りにも多く含み過ぎていると思うんです。 したがって、私の申し上げたような、整々としてあなた方が進められている研究がある段階に達したら、あなた方が次に目指すのは自衛隊法と防衛庁設置法の改定――あなたがたの日本語だと、これはなぜか改正になるんだがね、改定。改悪という野党側の日本語も成立しますね。この問題に必ず私は突き当たっていく。これがむしろ論理的に必然であると思うんだが、午後にそれゆっくりやるけれども、まずこの点について、この指摘に対してはどう答えられますか。
○政府委員(塩田章君) 防衛研究あるいは日米共同研究、有事法制、奇襲対処、いろいろ研究しておることは事実でございます。いずれにしましても、たとえば日米共同研究は、先ほど来申し上げておりますように、お互いの国の法律、予算その他を拘束するものではないという前提での研究になっております。それから防衛研究、有事法制、奇襲対処は、まあまあアメリカとは関係ないわが国の問題でございますが、いずれにしましても私どもは、いまそういったいろいろな研究をしておりますが、立法を前提にしての、新しい立法を前提としての立法作業に入っておるわけではございません。いろんな問題点の研究をしておるということでございます。将来そういうことがあり得るかということは、今後の、研究した後の課題ではないかというふうに考えます。
○秦豊君 私は隊法と設置法を全部つくり変えるという意味の指摘をしたんじゃなくて、このことは午後に詰めていくけれども、一つ一つやっていくと、たとえば統幕のあり方とかあなた方の内局の機構の問題とか、これをやっていくと、これはあなたのような答弁ではカバーし切れない。隊法と設置法にどうしても突き当たるんですよ。いまその時期に来ているの。あなた方はそれを考えている。けれども、考えております。法制調調査官室に素案がありますということは口が腐っても言わないけれども、そこまですでに来ているんです。そうでなければ脈絡にならないの。だけれどもそれは、たとえばじゃこういう店はどうですかという点は午後にやっていきますが、ぼくはそういう意味で言っているんですよ。
○政府委員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、いろいろな研究をしております。その研究をいまの時点では、立法化を前提にした研究ということじゃなくて、それぞれの項目についての研究をいたしておるわけでございますが、その結果、どういう立法措置が要するかどうかということにつきましては、いまの時点の問題ではございませんけれども、今後の課題であろうというふうには考えておるわけであります。
○秦豊君 では恐縮です。午後に。
○委員長(林ゆう君) 午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十五分開会
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○秦豊君 午後の本題に入る前にちょっと三つ、四つ伺っておきたいことは、まずバッジですね、バッジシステム。このバッジXの導入、選定。導入を前提にした選定のタイムリミットはいつごろに置いていますか。
○政府委員(塩田章君) 五十六年度にシステムの選定まではいきたいと思っております。そのシステムの選定ができますれば、その様子を見てでございますが、五十七年度以降に導入に入りたいというふうに考えております。
○秦豊君 その五十六、五十七ですか、この前ちょっとチームを送りましたね。じゃ、選定作業の現状と今後のスケジュールをもう少し細かく。
○政府委員(塩田章君) 現在のバッジシステムが性能上不足してきておりますので、次のバッジシステムに変えたいということはかねがね考えておったわけでございますが、五十四年度から現在のバッジシステムの性能、能力につきまして研究、評価を行ってまいりまして、五十五年度にバッジシステムの改善という観点から、あるべきシステムの規模、効果、所要経費といったようなことに関する調査を始めてまいりました。いま申し上げましたように、五十六年度にさらにこの五十五年度の成果を踏まえまして、整備構想というところまで策定をしたいというふうに考えておるわけであります。
○秦豊君 そうすると、E2Cが運用に入る昭和五十八年、符節がぴったり合いますか。
○政府委員(塩田章君) E2Cにつきましては、現在のバッジシステムにおきましても、と申しますのは、いま申し上げましたバッジXは実際の導入はかなりおくれるわけでございますから、E2Cが入りました時点では現在のバッジシステムとの連立を考えなくちゃいけないというふうに思っておりますので、所要の通信バッファーなどを整備していく必要があるというふうに考えております。
○秦豊君 それから防衛局長、今度のバッジXですね、これは相変わらず輸入という路線が濃厚なのか、中枢部のコンピューターシステムですよ。輸入、国産の両にらみという選択は残されているのか、選択肢として。その点はどうなんですか。
○政府委員(塩田章君) 現在の時点はシステムそのものを研究しておりまして、どの機種ということにつきましてはまだ白紙でございます。
○秦豊君 白紙であれば、たとえば国産の富士通あたりがいま開発をすでにやっている超大型のベクタープロセッサーというふうな機器、汎用の五十倍ほどの能力のある、こういうふうな、アレイプロセッサーとも言っておりますが、こういうふうなものは考慮の範囲内に入りますか、白紙であれば。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 いま防衛局長が申し上げましたとおり、バッジそのものにつきましての規模であるとか、それから性能であるとか、そういった点もまだ決まっておりませんもので、その点につきまして、いま富士通という具体的な名前がございましたので、その関連では非常に答えにくいわけでございますが、一般論で申し上げますと、確かに先生御承知のとおり、日本の電子計算機の能力が非常に向上しておりますので、次のバッジを導入する場合に、そういった非常に向上した日本の電子機器メーカーの能力を利用することは十分に考慮に入れていく必要があるだろうと、一般的にはそういうふうに考えております。
○秦豊君 それから、これわからぬからちょっと答えておいてください。今度の予算要求の中で、次のようなものがありますか。航空自衛隊関係でアグレッサー・スコードロンという例のアメリカ空軍が持っている仮想敵飛行隊、仮想敵部隊、これは今度予算の項目、費目にこれが入っているのかいないのか、入れるつもりかどうなのか、もしそうだとすれば、この部隊の編成と目的を知っておきたい。
○政府委員(塩田章君) いま御指摘のアグレッサー・スコードロンと言われましたのは、恐らく私どもが五十六年度で新編を予定しております飛行教導隊のことではないかと思いますが、飛行教導隊であれば五十六年度予算の概算要求の中に持たしております。航空自衛隊の航空総隊の直轄部隊といたしまして新編を予定いたしておるわけでございますが、これは主要装備品としましてT2を五機、T33を二機でございまして、目的は航空自衛隊のパイロットの中で非常に練度の高い教官クラスのパイロットを集めまして、そしていまのところ築城を予定しておりますけれども、全国の各飛行部隊のパイロットの指導に当たる。巡回的な指導もありますし、また各飛行部隊から築城に集まってきてそこで教育を受けるというようなことも考えております。そういう目的の飛行教導隊でございます。
○秦豊君 これはアメリカでもたしか七六年からやっと編成した部隊ですよね、こういう部隊は。それで少し見てみると、イギリスとかフランスとか西独にはありませんね。だから、日本の航空自衛隊かなりタイトな予算の中で、訓練の油もセーブしているような航空自衛隊が、なぜイギリス、西独クラスにもないアグレッサー・スコードロンを設け得るのか、何のためなのか、目的はちらっとあなた言ったけれども、ちょっといぶかしかったから聞いたんだがね。どうでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 先生がおっしゃっております場合の、アグレッサー・スコードロンというのをアメリカの例で考えておられると思いますけれども、私どもアメリカでやっておりますのとはちょっと違いまして、いわゆる何といいますか、よその国の特定の飛行機に対する戦法の訓練と、こういうものではございませんで、いま申し上げました各飛行隊のパイロットの訓練なり、戦闘技術の評価をしてやるといったことを目的としておりまして、いわば実習学校の一種みたいな形になると思いますが、そういうものでございまして、特定の、アメリカのアグレッサー・スコードロンとは私はちょっと違っているというふうに思っているわけであります。
○秦豊君 これは和田さんの範囲でしょうかね。あなたがワシントンに行かれたのは九月だと記憶していますけれども、あれが日米軍事装備技術会議の第一回という認識でいいのか、よければ第二回はいつどこで、たとえば東京なのか、その場合は――あなたがたが。プロポーザルをかなり出していますからね、ワシントンで、和田さんが。あなた行かれたんでしょう。だから今度は何がポイントなのか、この辺ちょっと言ってください。
○政府委員(和田裕君) まず、私確かに参りましたのは今年九月でございまして、三日、四日に向こうへ参りまして、これが第一回の日米装備技術定期協議でございました。第二回目はどちらでやるかといいますと、第一回目にワシントンへ行きましたので第二回目はこちらに来ていただくのが順当だろうということで、一応東京というような予定にしておりますけれども……
○秦豊君 いつです。
○政府委員(和田裕君) 日時等につきましては、これはいま事務的に事務当局間で検討しているところでございまして、まだ決まった日時はございません。 それから第三点の御質問で、一体どういうことが議題になるかということでございますが、まずワシントンでは、先生御承知かと思いますが、私どもは基本的には日米の装備品の共通化、標準化ということが非常に大事であるという認識のもとに、その標準化について基本的にはかなり進んでおるわけでございますが、いろいろ足りない点についてさらにこういったことを進める必要があるのではないか。それから現在もいろいろ行っておりますところの日米装備技術に関しましてのいろいろな技術的な交流、こういったものについて、これをさらに活発にする必要があるのではないか。それからFMSにつきましては、これでいろいろアメリカから装備品あるいは技術の導入を行っておるわけでございますが、これにつきましてさらに引き渡し時期の遵守をお願いするとか、それから精算事務のより円滑化をお願いするというようなこと。それから最後に、技術のリリースの問題につきまして、F15とかそれから魚雷でありますとか、そういったものにつきましてさらに大幅なリリースをお願いしたいというような要請をしてまいったわけでございます。 それから、これは席内外というふうに申し上げた方が正確と思いますが、その他当方が関心を持っておりますところの最近米国で開発が終わりましたところの若干の装備品につきまして、実際にどういうような開発の成果を上げたかというようなことについて御質問しまして、向こうから若干の資料を得てまいったと、こういうのがまずワシントンでの成果でございました。 今回どういうことをやるかということでございますが、今回は、この間ペリー次官が九月に来られたのでございますが、そのときに大臣以下お会いになりまして、一応両者の間で大体こういうことが持ち帰り案として決まったわけでございますが、その内容と申しますのは、まず現在の日米間での技術交流の間で何か本当に問題があるかどうかをひとつケーススタディー的に具体例で当たって勉強してみようではないか、こういうことがございまして、これ全くの思いつき的に出た一つの問題としましては、エア・ディフェンスということで、こういったようなことにつきまして持ち帰り案でひとつ検討してみるのも一案かというようようなことで持ち帰り案で持ち帰っておる、しかしその結果についてはまだその後事務的に折衝してない、こういう段階でございます。
○秦豊君 いつとは決まっていないが、時期としては年内には開催が可能だし、その必要があるんじゃありませんか。
○政府委員(和田裕君) 確かに先生おっしゃるとおり、年内というような案も一時米側も出された、事務的でございますが、事務当局からあったこともあるんでございますが、ちょうど年内というのは予算編成、こういう時期でございますし、いろいろ立て込みますので果たして年内にできるかどうか、ここら辺また事務当局間での折衝終わっていませんのでちょっと私がはっきり言うのはいかがかと思いますが、年内という点については決まっておりません。
○秦豊君 一月はあり得るの。
○政府委員(和田裕君) 一月ということになるかどうかわかりませんけれども、一月の可能性も絶無ではないというように考えております。
○秦豊君 それから、装備局長、経団連の兵器生産委員会のリポートなんか読んでみると、たとえばアトランダムな技術協力というんじゃなくて、包括的な日米兵器共同開発協定というふうなものをオーソライズして、それで政府間のサインを要すると、こういうものを持っていた方がより本格的な開発協力ができるのではないかという有力な意見がありますね。防衛庁としてはどう考えていますか。
○政府委員(和田裕君) たしか新聞等ではそういったような包括的な日米の共同研究あるいは共同開発の一般的な枠組みをつくるとかいうような話が出ていることは私どもも見聞きしておりますけれども、たとえば最近の事例でいいますと八月十六日でございますか、八月二十一日にも何か同じようなことが出ておりますが、そういったような記事が出るたびに、実は経団連の方に、果たしてそういうような意向が経団連としてあるのか、こういうことを、実際に具体的には経団連の防衛生産委員会でございますが、問い合わせておりますが、そういうことを堅持するという方針を固めたという事実はございませんと……
○秦豊君 防衛庁の考えを聞いている。
○政府委員(和田裕君) 防衛庁でございますか。
○秦豊君 もちろん。
○政府委員(和田裕君) 防衛庁としては、まだそこまで考えを――そういう考えは持ってないというのが実情でございます。
○秦豊君 これね、和田さん、こういう対米技術協力、共同開発、これが進んでくると、日本が優位を占めている分野もあるわけ、たとえばエレクトロニクスのある分野とか。そうすると、全部を組み合わせると高度な兵器になるんだけれども、パーツパーツを見るとわからない。だから、日本が優位を占めている電子部門などで部品を日本が生産をし、それを逆にアメリカに送るというふうなケースは、これは武器輸出禁止という例の原則に抵触するおそれは多分に出てくるのかこないのか。
○政府委員(和田裕君) まず、お答えする前にちょっと補足させていただきたいんでございますが、九月にアメリカへ参りましたときに、これは念のためではあるけれどもという前置きで私は幾つか言ったのでございますが、主に二つのことを申し上げました。 一つは、こういった日米装備技術定期協議第一回目が始まるわけですが、その際に、私ども日本の自衛隊といたしましては常に国民のコンセンサスとともに進む必要があるんだ、十分にコンセンサスを踏まえながらいかないといけない、そういうふうに考えておりますので、その点については御認識あると思うけれども、十分によくさらに御認識願いたい、それが第一点でございます。 第二点につきましては、いわゆる日本におきましては武器輸出三原則及びその後で出されました五十一年二月二十七日付の政府の統一見解、こういったものがございますので、そういったものを踏まえてやる必要があるんだという点、その他いろいろ申し上げたのでございますけれども、その二点につきましてははっきり申し上げまして、それについては先方なりに御了解願ったと私は考えております。 それから第三点目に、エレクトロニクスのパーツ等が輸出される場合に、武器輸出の三原則及びその統一見解に当たるかどうかという点につきましては、これは実は、先生御承知のとおり、通産省の所管でございまして、また通産省が必要があれば外務省に御相談になってそれはお決めになる、こういうことでございますので、私どもとしては公権的にこの問題について物を申し上げられる立場にございませんので、ちょっとその点は関係の当局の方にお聞き及び願いたいと存じます。
○秦豊君 次の戦車、七四式の後継車種、戦車ね、八八式と言っているのかな、八八式の主砲は今度はイギリスじゃなくてアメリカに依拠をするというふうな報道が伝えられていますわな。依拠するのは主砲だけなのか、あとは例の高出力の空冷ディーゼルエンジンであるとか、セラミックを使ったチーフテン戦車のような鋼板ですね、こういうものを含めて全部国産で賄い得るのか、その辺ちょっと聞かしてください。
○政府委員(番匠敦彦君) 次の戦車につきましては、現在、技術研究本部におきまして、その構成要素といいますか、各部分部分でございますね、それの基礎研究といいますか、研究をやっている段階でございます。したがいまして、火力の問題、防護力の問題、それからそのパワープラントその他の問題を含めていろいろ基礎研究をやっておりまして、わが方におきましてもその戦車砲の研究もやっておる段階でございます。それで、五十六年度付近で一応基礎研究を終わって次の戦車の構想を固める段階に来ておりますが、外国のものを導入するとかというようなことはまだ決まっておりません。今後の検討課題でございます。
○秦豊君 これは、八八式はいま余り答弁も煮詰まらないからいいでしょう。ただ、今後の私たちも関心領域だから。 予備自衛官のことをちょっと答えておいてください。というのは、ことしの白書を読んでみると、予備自衛官制度はきわめて重要という個所があって、それから違ったところには、米英では軍隊経験皆無の新人青年が採用されている、こういう記述があるんですよね。二つを結び合わせると、自衛隊の将来構想として陸海空三自衛隊の勤務体験を持った隊員が自動的に予備役――予備自衛官にじゃなくて、対象を広げる、選考対象を、というふうな構想がいまちらついているのか、あるいは考え始めているのか、この辺ちょっと聞いておきたい。
○政府委員(塩田章君) 予備自衛官について、自衛隊を退職した人以外からも募集するかどうかというお尋ねでございますが、私どもそういう考えは持っておりません。
○秦豊君 ついことしの夏に刊行された「陸戦研究」という研究雑誌があって、これは例の陸自の「幹部学校記事」がなくなったからこの雑誌ができたんで、かなり専門的なものじゃないかと思いますけれども、この中に、師団編成に予備自衛官の導入という発想と、それから健全な信念を持つ元自衛官以外の若者を対象にすべきではないかという提唱が出ている。提唱したのは陸のユニホームの高位高官の人です。ランクの高い人。そういうオーソライズされた研究にそういう発想が述べられているし、防衛白書にそれをなぞったような個所があったから聞いたんですけれども、じゃ、当分こういう緩やかな、まあいま四万人か何か知らないが、こういう緩やかなテンポで防衛庁はいいという考え方ですね。
○政府委員(塩田章君) いまの「陸戦研究」の話は、いまちょっと突然で私も承知いたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、いまのところそういう御指摘のようなことを考えてはおりません。
○秦豊君 それから、予備自衛官これで終わるけれども、これは西廣さんが研究されているようですね、有事法制は、おたくの庁内では。現行法では予備自衛官が出頭せよと、防衛招集に出頭せよといった命令に違反した場合、来なかった場合、不出頭というか、この場合は三年以下の懲役とか禁錮とかいろんな該当するあれがありますわな。有事法制の一環ではこれは見直す考えが現実にあるのか、あるいは有事法制研究の検討の一環の中に、行政機関や企業の協力の義務化なんというのは検討の対象に入っているのかどうか、念のために聞いておきたい。
○政府委員(夏目晴雄君) ただいま御指摘の点につきましては具体的に検討しておりません。
○秦豊君 それから、岡崎さん、突然だけれども、今国会なかなかあなたの提供されたニュースが多かったんですね。それで、だから一度聞いてみようと思ったんだが、防衛庁のすぐれた情報収集能力の片りんをぜひうかがわしてください。ミンスクですね、例の長く塩づけになっていていかりをおろしている。それでようやく久々の航海を行った。これは日本のいわゆる専門家という人々の中には、重大なエンジン部分の欠陥のために相当大きな、オーバーホールとは蓄えないが、修理が必要であったから、不本意にも一年近くもさびていたんだと、こういう見方もあれば、いやそんな問題ではない、政治配慮だろうという、ちょっとうなずけないような指摘もある。専門家としてのあなたはどう見ているんですか。
○政府委員(岡崎久彦君) ミンスクが昨年の夏に回航いたしまして、配備されました。ことしの夏まで日本海の外に出なかったんでございますけれども、その間必ずしも全部港にいたわけでもないとわれわれは推測しております。これは日本海でわれわれの監視の及ばない部分もございまして、その部分における行動等は配慮されておりません。また長期の航海の後でございますから、ある程度の補修があったことは優に想像されるんでございますけれども、具体的な個所に重大な欠陥があったということは確認しておりません。
○秦豊君 本題に返りますが、防衛研究等も次々にまとまり始めている。有事の際に三つの自衛隊を統合的に運用するというのは当然のこれは常識でしょう、あなた方の。そのためには、いきなり有事の運用はむずかしいから、平時から三自衛隊間の連携とか習熟とか、いわゆる統合訓練というものが必要だろうと私は思いますよ。これはむしろ米軍との共同演習拡大の方向よりも優先順位が高いのじゃありませんか。これはどうです。
○政府委員(塩田章君) 陸海空の間の統合訓練の必要性につきましては、全く私ども同感であります。
○秦豊君 珍しく見方が一致しますけれども、具体的には来年あたりから実施の構想はあるんですか、プランは。
○政府委員(塩田章君) 陸海空の統合演習につきましては、五十四年度に一度実施いたしました。初めて統幕議長が統裁官になって実際の部隊も動かしましてやってみたわけでございますが、その成果も得られましたので、ことしは実施しておりませんが、五十六年度から実施いたしたいと考えております。 いまお尋ねの構想ということでございますと、演習の構想という、そこまではまだいっておりません。
○秦豊君 それから、皆さんの配備を見ますと、たとえば空と陸が例の方面隊ですね。それから海が警備区、この三十七万平方キロメートルをオーバーラップして切っていますよね、空間を。それぞれが独自に区分けを、区分している。これは統合部隊というふうな考え方がだんだんだんだんいくとすれば、こういう現在の配備編成というのは将来構想の中では検討の対象になるのじゃありませんか。
○政府委員(塩田章君) 御指摘の、たとえば平時におきます災害派遣等もございまして、一応警備担当区域といったものを設けておるわけでございますが、空の場合は性質上ちょっと様子が違いますけれども、海と陸につきましては御指摘のように余り警備区が異なっておるのも適当じゃないんじゃないかという点は確かに私どもも意識は持っております。具体的に、それではいまどこをどう変えるかというところまでの具体的な案を持っておるわけじゃございませんけれども、問題点としては意識はしております。
○秦豊君 それから、部隊の統合運用を考えた場合、いまのような統幕のある部分に情報センター、内局に調査一課、二課と、こういうばらばらばらとしてまたミグ25事件のときのあなた方の例の対応というのではまたそしりを免れませんな。だから、部隊の統合運用ということを考えた場合には、当然情報機能の一元化ということは考えているんでしょうな。
○政府委員(塩田章君) 情報機構の整備につきましても防衛庁内の一般的な機構の問題と関連をして検討をしておるわけでございますけれども、いま具体的には御指摘のように統幕にも内局にも各幕にも情報担当部局がございまして、そういう意味ではばらばらになっておるわけでございますが、実際の運用としまして現在その統一的な運用ということをここ一、二年大変配慮をしてまいりまして、それなりにうまくいっておるのじゃないかというふうに実際の運用としてはそういうことを配慮してやっております。 今後の機能、組織をどうするかということにつきましては検討はしたこともございますし、これからも常に大事な問題でございますので、あるべき姿を検討していかなきゃいけないと思っておりますが、具体的にどこをどういうふうに変えるという案を持っているわけではございません。
○秦豊君 去る十月三十一日、安保特別委員会に元統幕議長白川氏ほかをお招きしました。それで私、聞いたんですけれども、やっぱり元ユニホームの人というのは率直に、内局的な感覚でなくずばっとおっしゃるとおり、情報機構の一元化は必要ですと、ぼくの質問は統合運用に関連して聞いたのだけれども、内局ならおたくの防衛局の塩田さんのところの調査一課、二課でしょう。それから統幕ならば第二幕僚室というのがあって情報をやっている。だから、それを平時有事を問わないで日本周辺の軍事情報を収集し、解析し、消化し、伝達しというふうな機能は当然私は一元的なものがあってしかるべきだ、あってもいいじゃないかという感じを持っているので聞いたのだけれども、そんなに全く考えてないに等しいような答弁だったけれども、検討の何というか素案もない、必要も感じてない、うまくいっている、この程度でいいんですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほどちょっと申し上げましたが、いまのところ実際の運用としましてできる限り一元的運用あるいは一元的運用に近いものにやっていきたいということでやっておりますして、それなりに成果は上がっているのじゃないかと私どもは思っておるということを申し上げました。そのこととこの点についての問題意識とは別でございまして、いまの時点での運用として、御指摘のようにこれは当然一元的運用をなるべく可能な限り図っていくという努力をしているということを申し上げたつもりであります。
○秦豊君 機構を変えないで運営でカバーすると、いつまでカバーし切るかということになるんでしょうな。 それから、白川氏の発言に対して塩田さんたちがどう考えているかをちょっと対比してみたいのだけれども、白川元議長はこう言っているんですな。統合部隊というのを運用し、習熟するためにはふだんからもちろんそういう部隊が必要になるだろうと、そうすると当然統合幕僚監部というふうな機構がどうしても望ましくなると、これは用兵の常識だと、こう言っているのですが、これについては内局から見るとそれはどうなりますか。
○政府委員(塩田章君) まだそこまで私ども考えておりません。そういう声があることは承知しておりますが、そこまでまだ考えておりません。
○秦豊君 そこまで考えていないが、そういう考え方自体は妥当だと思っておりますか、合理的である、許容し得る、将来含んでもいいなという考え方ですか。
○政府委員(塩田章君) 一つの考え方ではあると思うんですけれども、これは陸海空各部隊の統合というのはどこの国も大変いろいろ苦労しておるところでございまして、一つの考え方だと思いますが、それが直ちにわが国にとっていいか悪いか、これはよほど慎重に考えなきゃいけない問題ではなかろうかと思っております。
○秦豊君 重ねて防衛局長、白川元統幕議長の発言、もうちょっと答えてもらいたいが、日ごろから必要なもの、統合幕僚監部の設置、これ一つ。 それから統幕議長が強く要望したのは、作戦思想、部隊運用について統幕の中の意見がまとまらなかった場合、現行の法制のもと、機構のもとにあっては統幕議長といえども秀でたぬきんでた存在じゃないと、横並びだと、横一線なんだと、この場合は、まとまらなかった場合には統幕議長の判断と決断を尊重できるように、つまり統幕議長を上位に置くように機構を改めてもらいたいのだと、これも用兵の常識だと言った、その二つについては内局はどう考えますか。
○政府委員(塩田章君) 統幕議長は御承知のように自衛官の最高位であるということで規定がございまして、そういう意味では最も上位の自衛官であるわけでありますが、いま御指摘の統幕会議の中での議事、その決定につきましては従前――従前といいますか、現在もそうですけれども、議長は四人の中の一人であるという形になっております。 そこで、白川元議長が統幕議長をしておられたころはまさにそうであったわけでございますが、その点につきましてもちょっと年次は忘れましたが、二、三年前だったと思いますが、二年ぐらい前だったと思いますが、若干の改正はいたしまして、統幕議長がほかの三人の幕僚長を集めて四人で会議を開くわけでございますけれども、意見の合わない場合に統幕議長に、何といいますか、若干の優位を与えるといいますか、具体的には、自分の意見を付して長官に上げることができるというような形の改正はいたしております。おりますが、その程度でいいのかどうかというふうな問題は、それはまだございますけれども、当面そういう議事の運営につきましての内部の改正はいたしました。
○秦豊君 それからさらに関連して、統幕議長は――彼の発電ですよ、御本人の――認証官であるべきであると、防衛庁長官に対する最高の助言者であるべきである、平時、有事を問わず。こういう認識を率直に述べたんだけれども、そういう考え方自体にはくみしない、あなたは。あるいは時期尚早あるいは全くあり得さしめてはならぬと、こういう考えですか、防衛庁は。
○政府委員(夏目晴雄君) 統幕議長が制服の最高位の自衛官であることは論をまたないところでございますが、現在、この統幕議長を認証官にするかどうかという具体的な問題につきましては、防衛庁の中の事務次官との関係あるいは各省庁の、大公使あるいは検察官その他いろいろなバランスがございまして、なかなかそう簡単にはいかないというのが状況でございまして、私ども、統幕議長のいわゆる機能強化といいますか、責任のある仕事をしていただくために、できる限りのことは、先ほど来防衛局長からも申し上げているとおりやっておりますが、認証官ということについて、いま特段どうしてもいますぐしなければならないというふうには考えておりません。
○秦豊君 官房長に重ねて聞きますが、あなた方のところには法制調査官室というのもあるし、いろいろスタッフが専門的にいるわけですよね。それから、内局で制服の話し合いはもちろん日常化されている、ルール化されている。ぼくがいま触れたような点をずっと法律の条文で言うと、防衛庁設置法ならば二十条、二十六条、二十七条、自衛隊法、いわゆる隊法ならば七十条、九十三条、九十五条、こういうふうにまたがっていくんですよ。防衛庁の官房長なり局長以上のあるいは参事官会議とか、防衛庁内で何らこういう法改正については話に上がったこともない、考えたこともない、考える必要がないからなんだ、元ユニホームは参考人で来ていろんなことを言っているけれども、われわれは厳として、現在の防衛二法を一言一句の変更もなく守っても何ら実態運用に支障はないと、こういう考え方であると断言できますか。
○政府委員(夏目晴雄君) 自衛隊が発足しましたのは昭和二十九年でございまして、この自衛隊法、防衛庁設置法その他も当時にできたものでございます。また組織につきましても、現在の内局あるいは統幕、各幕それぞれ二十九年にできましてからすでにもう二十数年、三十年近くの年月がたっているわけでございまして、その間、われわれとしては、現在の防衛庁、自衛隊の実態に合った方向がどういうことかということは、常に日ごろ勉強はしております。そういう過程におきまして、先ほど来先生からも御指摘がありました情報の一元化であるとか、内部部局の改編の問題であるとかいうことは、事務的には再三検討の段階で出ております。ただしかし、いますぐそれを現実問題として、今回あるいは来年の通常国会で法改正をしなければならないというふうなところまで煮詰まった形にはなっておらない。 それからそれ以外にも、いま九十五条その他いろいろな法令についての、規定についての御質問がありましたけれども、私ども必ずしも有事法制には入らないと思いますが、そういうものとの関連において、たとえばいま先生の御指摘のあった条文の中で言えば、九十五条の中に護衛艦が入るのか入らないのか、レーダーサイトが含まれるのか含まれないのかというふうなことを含めまして検討しております。いずれ有事法制の検討結果と相まって、そういうもののわれわれの検討結果が御報告できるのではないかというふうに考えております。
○秦豊君 たとえば五六中業という作業が一方にある。午前中指摘した日米共同作戦研究が一方にある。西廣さんは、馬力をかけて有事法制をまとめようと、やがて第九十四通常国会ぐらいには国会に報告もややあるというふうな時期に来た。しかし、自衛隊法と防衛庁設置法というのは、私、官房長にもう一遍聞くけれども、やはり警察予備隊から保安隊、自衛隊という歩みの中で、いま自衛隊が目指している大方向というのは、戦える自衛隊と、だからいろんな要求がユニホームからほとばしるわけ。自明のごとく彼らの感覚なんだからね。それは、内局は一歩とめているのか、コーラスにのめり込んでいるのかわからないが、多分コーラスの方だろうと思うけれどもね。いまはなるほど隊法、設置法は全く毛頭考えていないと、いまこの段階で言い切れても、九十四通常国会が終わったころはもうわからない。一九八〇年、いまは言えるがね。八二年ごろになるとわからないのだ、これは。部隊運用との矛盾は必ず出てくるんだ。だから、将来とも防衛二法は改めなくともやっていけるんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 私どもこの自衛隊法という法律そのものが、ある程度有事の際の自衛隊のいろいろな、いま一言で言えば有事立法の骨格的なものはできていると思います。しかしながら、先ほど来答弁しておりますように、何分にも法律ができてから長い時間がたっておりますので、その間に現実とそぐわない面が多々出てきているところがあると思います。そういう意味で、私ども決してこの二つの法案をいじらないということを申し上げているのではなく、絶えず検討をしておりますと。それから、必要なものは、有事法制の検討ともあわせて、将来改正できればそういう方向でまた御相談をしたいというふうに考えておる状況でありまして、決してこの防衛庁設置法、自衛隊法をいじるつもりはないのだというふうなことを申し上げているつもりはございません。
○秦豊君 ああ、やっと少しわかってきた。つまり有事法制等々の検討の中で、横並びとは言わないが、タイムラグはあるかもしれないけれども、将来方向としては防衛二法の改定はあり得るし、いままでにも絶えず日常的に、いわゆる洗い出しという言葉を使われたけれども、それは法制調査官室とか、しかるべきセクションでは、問題点はすでに洗い出したことがある、こう理解していいですね。
○政府委員(夏目晴雄君) 全般的という意味ではなく、個々の条文についてそういうものはございます。
○秦豊君 私の言っているのも、まさに自衛隊法の全文の書きかえでなくて、部分的な改定があり得るかとさっきから聞いている。ようやくあなたの答弁にたどりついたわけです。少しわかってきた。 それから、その場合には、私が指摘したような個所は十分に考慮の範囲内に含まれ得るのではないでしょうか。
○政府委員(夏目晴雄君) いま先生から条文の引用が幾つかございまして、私、いま一つ一つどの条文かという記憶はございませんが、該当しておる条文もあると思います。
○秦豊君 したがって、こうなるんじゃありませんか。たとえば、私が指摘したのは、統合幕僚会議の機能並びに権限の強化、情報組織の一元化、それから、これは後で触れるけれども、内局の機構の改組、いわゆる中央機構の改組、そこまでいくと部隊の編成規定とか、国防会議のあり方とかいうふうにずっと関連していくのが理の当然である。そういうことも考慮の対象に入り得ると、可能性の中に含まれ得るのではないでしょうか、官房長。
○政府委員(夏目晴雄君) 一言お断り申し上げますが、幕僚監部、統合幕僚会議そのものの改編を含めて、法律体系のスケジュールがあるのかというふうなお尋ねであれば、そこまで具体的なものはございませんが、私ども常日ごろこの自衛隊法なり組織の改編についての検討は行っておりますので、そういう過程で必要なものがあれば逐次御報告をしていきたいというふうに考えております。
○秦豊君 さっき私が、なぜ予備自衛官のことを聞いたかと言いますと、隊法の六十七条は、予備自衛官の採用を取り決めているのだけれども、考え方として、私がさっき指摘したような、信念強固な軍隊経験のない一般青年から応募し得るというようなものも、当然予備自衛官制度の拡充とか、海上警備行動とか、いろいろ、こうあるのですよね。あるいは自分の隊、自隊の警備とか、これは必ず西廣さんのところの作業と関連してこなければ論理的整合性がないのだよ。だから、しつこく聞いている。ようやく官房長はあり得るという答弁だから、一応まあまあこの段階ではないわけだが、じゃ一つ一つの条文、問題点、個所に即して、たとえば法制調査官室あたりで一応のメモランダムというか、一応のその初歩的なプランというか、原案というか、こういうものをまとめたことはありますか。
○政府委員(夏目晴雄君) まだ私、具体的にどういうことを事務的に進めているかということについての詳細は承知しておりませんが、いま先生が申されたこと一つ一つについて法制調査官室でもって具体的に洗い出しているとは必ずしも思っておりません。
○秦豊君 けれども、素案のようなものは防衛庁全体としてはあるんでしょう。
○政府委員(夏目晴雄君) 先ほど来申し上げていますように、機構の改革その他については、常日ごろわれわれその業務を遂行するに当たって最も有効、効率的にやるという見地から検討を加えているというものでございまして、特段、これをまとめていついつまでにどうしようというふうなことを頭に入れて、念頭に入れて検討しているものではございませんので、そういうものをリストアップしてまとめたものがあるかということであれば、そういうものはまだないんではないかというふうに思っております。
○秦豊君 大村長官、よろしいでしょうかな。さっきから議論していますのは、自衛隊の全体方向を延長していきますと、将来必ず自衛隊法並びに防衛庁設置法、この二つは現在的でないと、どうも適合性にほころびが見えると、だから改めねばならぬという個所が幾つかあるわけですよ。その点については官房長は私とそう意見が違わない、というより否定はされないんですよ。だからいまは、いまはまだこれ九十三国会だけれども来年からは九十四国会が始まるんだから、将来展望としてやっぱり防衛庁長官、私は全体の日米共同防衛――ガイドラインに対応するために、防衛研究あり、有事法制研究あり、さまざまな検討作業が行われている中で、防衛庁としては望ましい将来方向としては隊法二法も国会が認めてくれるならば、やっぱり改めておいた方が将来のためだなというお考えは長官にもおありですか、おありでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 防衛庁設置法、自衛隊法が制定されましてから二十数年経過しているわけでございまして、その間におきましていろいろ社会情勢の変化等もございますし、また自衛隊自身、成長もしてきているわけでございます。それを検討しましてふぐあいな点を改めると、こういう意味の勉強と申しますか、研究は絶えずいたさねばならない問題であると思うわけでございます。 そこで、先生御指摘の問題もございますガイドラインにつきましては、憲法なり現行法制のもとでやるんだというたてまえで進めているわけでございますが、そういった……
○秦豊君 防衛二法です。
○国務大臣(大村襄治君) 慣例の問題もございますし、もちろん防衛二法も現行法の範囲内で進めるということで作業は進めておるわけでございますが、また、有事法制の検討の問題あるいは奇襲対処の問題、これもいずれも現行法令のもとで研究は進めておるのでございますが、いずれにいたしましてもそういった検討問題についてそれぞれ取りまとめができました段階において、先生御指摘の法令との関係をどうするか、これはまたその段階で検討してまいりたいと、さように考えているわけでございます。
○秦豊君 もう一歩こっちとの隔たりがありますからね、だから、こうばっとした御答弁じゃなくてね、大村長官、防衛二法の改定は総合的な質的転換、機構的、法制的転換の中であり得ると、こう認識していいですね。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 一般的には絶えず研究、検討しなければならない問題であるというふうに考えておるわけでございますが、具体的な改正の問題につきましてはただいまのところまだそこまではいってないと、こういうことでございます。
○秦豊君 だから、いま素案があるとかいうことをぼくは伺っているつもりはないんで、大方向、全体方向等整合性を持つためには、二法の改定は十分にあり得るんじゃないでしょうか。違いますか、長官。そうでなきゃ脈絡が連なっていきませんよ、整合しませんよ。
○国務大臣(大村襄治君) 一般論としましてはあり得ると考えています。
○秦豊君 次に移りますけれども、防衛庁はじゃ――これはどなたの範囲でしょうかね。この中央機構、これもさっきの警察予備隊以来のずっと流れの中で十年一日の機構が続いているわけですよ。このままでいいのかというおもんばかりは全くないんだろうか。たとえば、防衛、人事教育、装備、経理、衛生ですね。このままで何ら矛盾、乖離は生じていないのだろうか。この辺はどうなんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 確かに現在の中央組織ができてから、先ほど来申し上げているように二十数年たっております。その間、私ども実際に仕事を進めてきております段階において、かくあるべしというような意見もないことはございません。そういう意味合いから、絶えずそういう意味での検討は過去も何回かしておりますが、さて現実の問題になりますと、相当やはりいろいろな問題がございまして、内部組織というものは現在の立て方でいいのか、あるいは機能別に分担した方がいいんではないか、情報機能を一元化した方がいいんじゃないか、いろんな意見がございます。しかし、そういうものを現在ある形の中からそういうものに変えるというのは、なかなか実際問題としてむずかしい問題がございまして、いま直ちに具体的な成案として持っているものではございません。御指摘の趣旨はよくわかります。
○秦豊君 こういうふうな、ちょっと表現と角度を変えますがね、官房長、こういうことはどうなんですかな。たとえば、昔は軍令という系統に分けて軍政が対応したわけですね。だから、部隊管理等の軍政と部隊運用等の軍令をもう少しきっぱりと、つまり截然と分けた方がいいんじゃないかという、これはかなり根強い指摘ですよね、発想ですよね。これを当てはめた場合には、たとえば防衛局の塩田さんのところには防衛政策長期のものを、それこそあの五六中業なんていうのはそうですよ。この長期の防衛政策を担当する部門がむしろ必要じゃないのかと。たとえば、仮に名づければ防衛政策局、防衛管理局、防衛運用局、調査局、あとは人事局があれば対応できるし、この管理のところに経理を含めれば機構合理化になるというふうな観点で、こういうふうな発想は全く見当違いでしょうか。
○政府委員(夏目晴雄君) 軍令と軍政の分離というような問題についても過去たびたび議論のあるところでございまして、一点首肯し得る点もないわけではございませんが、私どもいまの形としましても、ある程度たとえば年度防衛計画につきましては、各幕僚監部が作成する計画統幕会議が調整する、私ども内局としては、それを長官承認を得る一つの補佐的な機能を発揮しているという意味では、実質的にはある程度そういうことが守られているんではないかということも考えられますが、御指摘の点は過去何回かそういう御意見もありましたし、私ども検討した経緯もございます。
○秦豊君 検討した経緯がある。これはもう知られていますね、私も承知していましたけれども。防衛庁の作業日程の中にそれは含まれていますか。今後検討課題として、つまり、消え去ったんじゃなくて、いま申し上げたような中央機構の改組というのはあり得べき検討対象として残っているのかどうか、これはどうでしょう。
○政府委員(夏目晴雄君) いまそういう検討作業が継続的に進められているということが前提になってそれが消えるかどうかということであれば、ある程度話がわかるんですが、私どもの検討というのは先ほど来申し上げますように、うたかたとは言いませんけれども、絶えずそういう検討が課題になっては現実問題との問題、あるいは実際に検討した結果、不適当であるというふうな判断のもとに日の目を見ないというふうなこともございます。したがって、今後そういうことが検討課題にならないとは言いませんが、現在あるものが消え去ったとかいうふうなものではないんだというふうに思っています。
○秦豊君 だから重ねて、この点についてはこの質問で終わりたいと思うけれども、やはりさっきから隊法、設置法があり、それからそれと全く密着して防衛庁の機構があるわけですよね。部隊は戦える自衛隊を目指して気負い込んでいるわけだ。いろんな要求を突きつけている。それを受ける内局の機構は、何も機構を変えたからといって別に急速に転換するとは思わないけれども、やはり必要として受けて立つ受けざらの改組も相伴ってあり得るんだなという理解はいいですね。
○政府委員(夏目晴雄君) 絶えず検討を加えていかなければ組織のみずみずしさが失われるんではないかというふうに思っておるわけです。
○秦豊君 だから、改組もあり得るんですね。
○政府委員(夏目晴雄君) 将来の形としてはあり得るかもしれません。
○秦豊君 これは岡崎さんの方かしらね。たとえば、ベトナムのカムラン湾がソ連太平洋艦隊のやや恒常的な補給あるいは通信、支援基地化されつつあるのではないかと言われている。一方では、カムチャツカのペトロパブロフスクの基地がやや基地機能を強化しつつあるという一部の報道もある。一方ではさらに、伴ってソビエトのSLBMの性能向上もある。あるいはすでに広く報道されているように、特殊チタン鋼をふんだんに使った超深度、超高速の、四十ノットを突き破るような新型原潜、恐らくトライゲント対応であろうと思うが、そういう配備が近づいているのではないかとも言われている。 こういう新しい情勢というか、情勢の変化の中で、私はその中で考えると、三海峡封鎖作戦というのは非常に古典的な作戦であろうと思うんですよね。それで、塩田さんとさっきやりとりをしたのは、共同作戦の中にはシーレーンもやがて入りますよ、三海峡もあり得ますよというのでわかりましたけれども、日米のユニホームは、私の申し上げたような情勢変化の中で、なおかつ三海峡封鎖作戦の有効性に固執をするのは一体どういう理由なのか、これをまず伺っておきたい。
○政府委員(岡崎久彦君) 御質問の前半だけ申し上げます。 ソ連の海軍力にとりまして地理的な制約条件がはなはだ大きいということは、これは従来とも指摘されておりますところでございます。現在でもそれは同様でございます。バルチック艦隊、これはもう申すまでもございませんけれども、北海艦隊もこれやはりノルウェーと英国とアイスランドの狭いところを通らなきゃならない。それから、ペトロパブロフスクが唯一外洋に面しているのでございますけれども、これはまた補給の面で非常な難点がございます。それから、気候が非常に悪いところでございます。それで部隊の運用にはむずかしいと。ソ連といたしましては、その制約を打破するためにいろいろ努力していることは御指摘のとおりでございます。ペトロの自活機能を強化する、あるいは潜水艦の活動の期間を非常に長くする、あるいはカムラン湾、ダナンの使用を頻繁化する、それはそのとおりでございまして、これはまたアメリカも非常に重大な関心を持って見ておりまして、アメリカは従来はいわゆるチョークポイント、抑制すべき点で抑制しておれば大体抑えられたと思ったのでございますけれども、それが非常にソ連がそれを突破しようという努力を着々としているということにある種の危機感は持っております。 にもかかわらず、たとえばカムラン湾、ダナンにいたしましても、まず基地化がどのくらい進んでいるかと申しますと、これはまだ大したものではございません。もちろん、有事に潜水母艦をそこに派遣するとか、そういうことはできますけれども、それは全面的な補修能力を擁するウラジオとかソフガワニというのとはこれは全然問題になりません。 それから、他方、攻撃に対して脆弱な部分がございます。これはカムラン湾、ダナン、ペトロパブロフスクともに同じでございます。ウラジオのように非常に対空防備の厚いところと違いまして、これは有事の場合にはかなりの制約をこうむる可能性がある。というわけで、依然としてこれはアメリカの海軍の作戦にもしばしば出てまいりますけれども、ソ連海軍と対抗する場合はソ連の地理的制約、これを最大限に利用する、これが、ソ連の海軍力が急速に増大しているにもかかわらず、アメリカが依然として優勢を維持し得るその最大の要因に数えられておりまして、コリンズ報告などもその趣旨で書いてございます。
○政府委員(塩田章君) いま岡崎参事官からお答えを申し上げたわけでございますが、一般的に海軍力というものが艦隊と基地とそれを運用する指揮と、三つの要素から成っておると言われておりますけれども、そのうちの基地が分散化し、強力なものがたくさんあるということが一つの大きな要素であるということは当然であります。そういう意味で、いま岡崎君の言ったように情勢は大きく変わりつつあると見なきゃなりませんが、にもかかわらず、わが国の周辺の地形的特性といったものを考えた場合に、三海峡封鎖ということはそれなりの有効な手段であることについては私は依然として変わりはないというふうに考えておるわけであります。
○秦豊君 海峡封鎖論というのも、考えてみればやや古典的な論議かもしれないのですよね。だけれども、あえて、なかなかこういう機会ないからね、あなた方の考え聞いておきたいのだけれども、有名なあのなくなった文書「海上戦略論」、あれには、よく知りませんけれども、何か仄聞すれば、わが国がアメリカ側の要請で通峡阻止作戦を実施したとしても、反撃を受けるのはわれわれ日本であり、状況によっては海峡地域に対する局地的侵攻、さらには本格的着上陸を誘発するおそれすらあると書いてある個所があるそうですよね。そんなものは知らないと言うかもしれない、八十部近いのがなくなったわけだから。ないという答弁も成立しないわけではないが、ただ概念として聞いているわけだから。それに対して、つまり日本政府は、重大な――これは防衛庁長官に聞きますけれどもね、海峡封鎖、封鎖と簡単に言いますけれども、ユニホームのあるランクの人が書いたあるリポートというより論文の中にいま言った指摘がまずある。あと幾つもありますけれどもね。つまり容易なことじゃないんだということを書きながら、なおかつユニホームとしてはその必要性を説くための論文だから観点が違いますがね。 長官、やっぱり日本政府というのは、共同作戦の中にも海峡封鎖があり得るという防衛局長の答弁もあったのだけれども、アメリカの要請があればあらゆる場合に海峡封鎖作戦にイエスという回答を与え得るのか、これは非常にむずかしい選択だと思いますよ、その時々の政権にとっては。長官はどうお考えですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 わが国の有事における海峡防備につきましては、わが国を防衛するため、真にやむを得ないと認めるときに、必要最小限度の範囲内で、わが国に対して武力攻撃を加えている相手国に属する艦艇の通峡を阻止する場合もあり得るものと考えております。これはあくまでもわが国の自主的判断に基づいて行うべきものである、さように理解いたします。
○秦豊君 「海上戦略論」の別の個所には、ソ連にとっては対馬、津軽の封鎖は致命的ではない。宗谷海峡の通峡さえ確保されれば致命的ではない。また、ソ連による三海峡の逆封鎖の可能性も検討をすべきであるという表現があるようですよ。特にサハリンが突き出していますしね、対馬の航空兵力もあるし、それから沿海州もそんなに遠くではないという場合の宗谷海峡の封鎖作戦というのはかなり私は困難であろう。このことは白川氏も認めていましたけれどもね。防衛局長、その点はどうなんでしょう、この記述に即して言えば。
○政府委員(塩田章君) いまお読みになったのを聞いての感想でございますが、三海峡のうち宗谷海峡さえ自由に通航できれば致命的でないということは、これは一つの判断の問題だろうと思いますし、そういう判断も成り立つかもわかりません。何といいますか、致命的であるかないかは別として、どの程度の制約を受けるかという問題だろうと思います。 それから、宗谷海峡が封鎖が困難であるとか、あるいは封鎖をすれば逆封鎖を考えなきゃいけないというようなことは、これは当然そのとおりではないかと思います。 先ほど――先ほどといいますか、いま逆封鎖の話も出ましたし、三海峡については慎重でなけりゃいけないという論文が書いてあるということをおっしゃっておられましたが、先ほど長官もお答え申し上げましたように、日本が侵略を受けた場合に、日本の防衛上必要である場合に必要な封鎖ということが有効であるかどうかということを考えて判断をしていくということで、これは大変重要な慎重な判断を要することであることは当然だと思います。
○秦豊君 あなたや長官はそう言っても、なかなかそうはいかないんですよ、軍事的実態というのはね。たとえば、アメリカ議会の予算局が今年の一月末に発表したリポートのある部分にこんなことがあるんですよ。日本及び韓国の基地、あるいはアメリカ空母から発進した航空機が宗谷海峡などのソ連による掃海作業を排除するとともに、排除された機雷については再敷設することができると、これ議会の予算局ですからね、公式文書なんですよ。だから、日本の意思にかかわらず、つまり日本の意思、自主性自主性と皆さんがおっしゃっても、幾ら気張ってもわれわれの願望やわれわれの方針のらち外で対ソ対決のシナリオというのはどんどん進行するわけですよ。現に、アメリカ議会の予算局の公式リポートはそう言っているんです。だから、海峡封鎖なんということをユニホームの人も簡単に言うけれども、このことはやはりもろ刃の剣的な大きな危険と結びつくという認識がないと防衛行政執行できませんよ。長官どうでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 御指摘のように、いろいろ困難な条件があると思うのでございますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、わが国防衛のためやむを得ないと認められるときには、相手国に属する艦艇の通峡を阻止する場合もあるものと考えておるわけでございます。また、わが国の置かれている地理的特性、防衛体制等から海峡防備の問題は重要な問題であり、また今後とも有効なものであると私は考えておる次第でございます。
○秦豊君 塩田防衛局長、こういうことじゃないでしょうか。三海峡防衛と言うけれども、たとえば日本が単独で対応できるのはもう私は津軽だけだと思うんですよ。異論があったら言ってくださいよ。対馬は東と西があるでしょう、東が問題なんです。宗谷はさっき述べたような専門家も指摘しているような文字通り難点があるわけですよ、これはなかなか解消できない。そうすると、宗谷と対馬策については日米海空軍のいわゆる共同作戦でなければ封鎖を全うできないんじゃないだろうか。同時にその際には、日本が機雷敷設を担当する場合には機雷はアメリカから提供を受けるという図式になるんじゃありませんか。
○政府委員(塩田章君) きょうの午前中にも共同作戦のところでお答えを申し上げたわけでございますが、いま日米の共同作戦の中にそこまで研究行っておりません。おりませんので、いま御指摘のようにどの地区は日米でなけりゃできないんではないかとかというようなことをちょっといまお答えできる準備がないわけでございまして、率直に申し上げましてそこの研究まではいっておりません。
○秦豊君 海峡封鎖論はもうこの辺でやめにしましょう。 ただ、最後に一つだけこれも十月三十一日、白川元議長の私に対する答弁ですが、いつかあなたに聞いたC130ハーキュリーズがありましたな。あなたはああいう答え方しかしないんだ、輸送力強化とどこを見ても書いてあるね、それ。答弁もそうだ。ところが、白川さんは率直にこう言っています。C130軍事常識的に見れば機雷敷設用として当然考えてしかるべき機種であると、こう言っているんですがね。導入機数は少なくても、やはり防衛庁の考え方の中には当然そういうふうな可能性は描いてのことでしょう。白川さんの主張というか、意見は否定されますか。
○政府委員(塩田章君) 白川さんはいまお話しの答弁の中で、終わりの方では、そこの具体的な効果については「ここら辺は具体的にはじいてみなければならないのだと思います。」ということを言っておられまして、ハーキュリーズで全面的に効果があるというふうに認められたわけではないように私はこの議事録から思うわけでございますが、いずれにしましてもC130Hを導入をいたします段階で私どもが考えましたところは、この間もお答え申し上げましたように、航空自衛隊の輸送能力の強化ということで航空自衛隊の戦闘機部隊の展開、陸上自衛隊の空挺部隊の展開についてのORをしてC130Hの導入を踏み切ったわけでございますが、その際におきまして、いま御指摘の機雷敷設ということをORしたわけではございません。そういう意味では、いまの時点で考えておるわけではございません。 それでは、将来はどうかということでございますれば、将来の検討課題であるとは思っております。
○秦豊君 防衛庁長官、あなたに伺うんですけれども、あしたが二十八日でそれから十二月二日が国防会議、こういう日程がもうセットされていますね。それで、短SAMの問題について少し触れておきたいんだけれども、短SAMの検討会と行政組織の問題については同僚議員から適切な指摘があった。後刻政府側の答弁があるかもしれませんが、私が聞きたいのは、短SAMは一体どうされるのかという選択にいま迫られているわけだが、一応その導入決定が生きている、有効である、効力を残しているという前提で長官に聞きますが、これからの選択としては次のような二つがあるんじゃないですかね。 つまり一つは、導入を一年延期する。当然国産短SAMについては指摘された点についての改良を加える、結果として導入は一年延期である。これが一つの選択ですね。 それからもう一つの選択は、ローランドと短SAMを同時につまり併用する、二つ購入する、こういう選択があり得るのではないだろうかと私は思うんですよ。これいかがでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) お誓えを申し上げます。 短SAMの問題につきましては、現在部外の学識経験者六人の方に委嘱いたしましていろいろな問題点について検討をされているわけでございます。すでに二回会合を持たれまして、さらに近く三回目の会合を持たれるように聞いているわけでございます。そういう過程でございますので、せっかく先生お尋ねで、方向としては延期と併用とが考えられるがどちらかというお尋ねでございますが、ちょっと現段階でそういうことを具体的にお答えできる段階ではないと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、五十六年度の概算要求におきまして国産短SAMが最適であると考えまして予算要求をしているわけでございます。その後、国会等の御論議もございましたので、さらに念には念を入れるということで、いま部外の学識経験者にいろいろ御意見を聞いているところでございます。意見がまとまりました段階におきまして防衛庁として判断を下して進めていきたいと考えておるわけでございまして、決定に対しての責任を回避するというふうには全然思っておらないわけでございます。御意見を聞いた上で防衛庁として結論を下す、でき得べくんばいま要求しておるものが実現できるように努めたいと考えておるのが現在の偽らざる状況でございます。
○秦豊君 あしたを控えたきょうですから無理を承知で聞いているんですけれどもね、いまのような答弁でしょうね。それは短SAMは定点防御ね、ローランドは移動性非常にあります。戦場防御ですよ。だからこれは二つ買ったらどうかということは乱暴に聞こえるが必ずしもそうではないことが一つ。だから、そういうことを含めて恐らくあなた方の結論は一年延期になりますよ、恐らく、私そう思うの。それしかないの、いま。 それから、同僚議員に対して、六人の検討委員が全部反対ならば考慮すると、これは装備局長かどなたかの答弁だと覚えていますけれども、これはなかなか根回しを済ませておれば全員が反対ということは恐らくあり得ない、そういうような答申になってくると思います。それは答弁要りません。 それから、まだ時間が少し残されていますので、予算委員会ではなかなかできなかったシーレーンの問題を少し展開をしてみたいと思います。 たとえば、これは防衛局長の範囲だと思いますが、「海上戦略論」には、わが国の外航航路はアメリカの中部太平洋横断東西海上ルート、これと最も効率よくジョイントされなければならない。なぜならば、同ルートは有事の際に主としてアメリカが極東、オーストラリア方面への補給線支援ルートとして設定が予定されるものである。したがって、このルートとの効率的接合こそ海上交通保護作戦構想を設定する上での最大限目となる。それで同時に、ユニホームの一部の人々は非公式にはリムパック参加の意義と目的もここにあるということを隠してはいないんだが、佐々さんは前担当者、現在参事官はそんなことは頑強に否定をしているんだけれども、ユニホームはもう十年ぐらい前からこういうことを考えているわけです。この考え方自体、いま私の援用した部分については防衛局長はどう答えられますか。
○政府委員(塩田章君) やはり有事の場合に海上自衛隊がどこの航路帯を重点的に防衛すべきかということは、やはりわが国にとってバイタルな航路を重点に防衛するということではないかと思います。実際問題といたしましては、いつもお答えしておりますように、航路帯を設ける場合には一千海里前後をめどに整備をしておるわけでございますから、そんなに遠くまで防衛できるわけではございませんけれども、いまお話しのように中部太平洋のアメリカの側からのルートとのジョイントが中心であるというふうに決めてかかるのは私はいかがかと、その時点その時点でどの航路帯が最もわが国にとってバイタルな防護すべき航路帯であるかということの判断によって実施すべきではないかという、私はそういう感じがいたします。
○秦豊君 持ち時間が大分窮屈になっているようなんですが、とてもこの問題のフォローはできませんけれども、私どもは、たとえば海幕のちと古臭い積算ね、それから民間のシンクタンクが援用をしている、たとえば海事産業研究所が出した海上資源と海上輸送に関する調査研究とか、それから例の防衛庁海幕分析班の昭和五十年、五十一年にかけた分析、そのほかに二、三の民間の研究機関による有事所要輸入量に基づいた必要兵力というふうな作業もぼくらの私的な研究会でもやったことがあるんだけれども、いま海上自衛隊がとっている考え方、シーレーン防衛の考え方というのは、古典的なコンボイシステムというのはもうお蔵入りをして、現在はたとえば安全航路帯戦略というふうな意向に変わっているのではないか。これはどうでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 私は必ずしもそうは思いません。コンボイシステムも必要な場合はあるんではないかと思います。一方、航路帯をクリーンにしていくという考え方のいわゆる間接防衛もこれももちろん考えていかなきゃいけませんけれども、コンボイシステムをもうお蔵入りというふうには、そういうふうには考えておりません。
○秦豊君 では仮に、いまは六億トンです年間、四千万トンです。有事の削減率の計算も実は私はあるんですけれども、これをやっているとまたいまから二時間くらいかかりそうだからちょっとあれしますけれども、ただケースを抜き出して質問するからその点だけ答えてください。 いま高いランクのそれこそレディネスステージにある隊群は一個護衛隊群でしょう。その一個護衛隊群、まず総計四個だが、そして仮に有事の所要輸入量、これは国民生活のある水準を、国民生活をあるレベルで維持するための輸入量ですね。たとえばこれは厚生省が試算したのでは最低生活保護水準として昭和五十四年度ベース、東京在住標準四人世帯、毎月の生活費十四万三千、低い見積もりをしているわけですけれども、それをベースにして石油と鉄鉱石と石炭のいわゆる三大資源の輸入量を平時の二分の一以下に抑える、それから有事必要の物資輸入を確保するために北米からオーストラリア東岸航路をグアム島周辺から守る、それから中東マラッカまたはロンボク海峡経由のものをバシー海峡以北で守る、いわゆる南東と南西の航路帯の防御というものを考えた場合に、南東シーレーンには大体一個護衛隊群、まあ編成八隻、それから南西シーレーンには二個隊群十六隻が必要だという民間シンクタンクの積算、算出のデータがあるわけ。 細々言っていると鉄鉱石が幾らだとか削減率細かいから、もう時間になじまないからやめますけれども、こういう算出の基礎になっているものは、たとえば今年三月十五日に海運造船合理化審議会が運輸大臣に出した答申、つまり長期にわたる外航海運政策が日本国籍の船腹を最低三千四百万総トン確保しなければ有事必要量が確保できないという答申をしているものとか、あるいは前期の海幕の有事の輸入所要量を削減率で見ると、石油が六一%、鉄鉱石が七〇%、石炭が六三%等々を積算し、それから平時における南西航路の年間隻数を三千六百八十八隻、内訳は原油が二千百五十、鉄鉱石千二百十三、石炭九十二、食糧と飼料が二百三十三というふうに積算するわすですね、インプットするわけ。それから南東航路は総計が千六百二十一隻、内訳は石炭が七百三十六、食糧、飼料が八百八十五、両方を足すと五千三百九隻になる。そして有事における南西航路の隻数というのは四九%になる、南東航路は七二%として必要隻数を積算すると、南西が千四百三十五隻、南東が千百六十隻になる。 もう少しデータ的に敷衍しておくと、有事必要量を輸入するためには、いま言った数字を踏まえて、防衛局長、南東航路は月二回、四十五隻船団、南西航路は月三回、四十隻船団をどういう方法でもよいけれども運航させなければならないであろうと、したがって先ほどの南東の護衛兵力は一護衛隊群、南西が二護衛隊群、こういう試算があるわけですよ。 時間がないから、これは別な機会に改めて私はあなた方の意見も聞いてみたいが、あなた方は専門なんだから、われわれが民間から入手したようないまのような資料は当然陳腐で、不正確で、取るに足らなくて、論外でというふうに思っているかもしれないが、あなた方も当然そういう作業を積み重ねて現在の護衛隊群の編成なり、あるいは五六中業等に至ろうとするわけだろうから、全体的に、私が資料として申し上げたいまの指摘に対して、防衛局長、まとめて答えておいてください。
○政府委員(塩田章君) いろいろな資料で数字をお挙げになったわけでございますが、私ども陳腐とも何とも、それどころか大変敬服をしておるわけでございます。といいますのは、そのお話の中にございました海幕の方がもう大変古い資料でございまして、その方がむしろ恥ずかしいわけでございますが、その海幕の資料によりましても、先ほどのコンボイシステムでやりました場合に五十隻を一個護衛隊群で守れる、それを仮に一千海里まで往復しますと月に二往復できるということでございまして、そういう計算からいたしますと、逆に国民のある程度切り詰めた場合を、三分の一、約二億トン弱と、こう想定いたしました場合に、いまのような護衛でもって月に二回往復できると仮にしますと、途中で全然わが方の護衛艦に被害がなくてすべてのことが順調にいったとしまして四個護衛隊群で八往復できる、こういう計算になります。そうしますと、一回が五十隻で四百隻になります。そうすると、それを現在平均のトン数でタンカーが十二万トン、貨物船が三万トン幾らというふうに仮定しまして計算しますと、まあまあ二億トン近くのものが入ってくる、計算上はそうなります。しかし、それはいま申し上げましたように、その間全く全部の護衛隊群がフル運転をしてしかも損害なし、こういう仮定でございますから現実的には大変厳しい、こういうふうに思っているわけであります。
○秦豊君 防衛局長、いまのレディネスステージにあるものが、即応態勢にあるものがたった一護衛隊群としますと、そしていま私が細かくなるからラフにしか引用できなかったんだけれども、いまの海上自衛隊の保有するパワー、私の申し上げた枠内でどれぐらいの護衛能力があるんですか。それから望ましい護衛隊群、たとえば六個護衛隊群あれば最低が賄えるという一部の試算もあるんです。その辺を踏まえてどうなんですか。
○政府委員(塩田章君) ですから、どの程度が最低かということも大変いまよくわからないわけで、私どもは一応まあ年間二億トンと言っているわけでございますが、そこら辺も大変正直申し上げていろいろ問題点のある数字でございます。 私が先ほど申し上げましたように、一個護衛隊群で一回に八隻でもって五十隻の船をコンボイ組織によって護衛できるというのが一応限度だということでございまして、それによって先ほど私が申し上げたような計算をしてみるよりしようがないわけでございますが、そのほかには、問題点としましては、現在の海上自衛隊の護衛隊群では対空戦闘能力が非常に弱いというような問題もございます。したがいまして、果たしてそれで計算どおり運航できるかどうかもわかりません。そういうことをいろいろ考えまして、いま私ここで何個護衛隊群があったら大丈夫だというふうにはちょっと申し上げかねるわけであります。
○秦豊君 岡崎さん、まだ一、二問いいわけですけれども、あなたがよく口にされるソビエトの脅威というやつですが、これを判断し口にされる場合の根拠、ニュースソースというのは、一番最大のものはアメリカから来る情報なのか、あるいは「ミリタリー・バランス」の解析なのか、それを部分的に補う駐在武官のリポートなのか、この辺はどうなんですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 情報源についてはもう先生よく御存じでいらっしゃいますけれども、詳しく申し上げられない点が多々ございます。ただ、たとえば海軍の増強のようなものはわが国独自の監視システムを使いましてかなり正確に、ほかの国よりも正確に把握しております。特にヨーロッパの造船所でつくられまして北方あるいは南方の航路より回航されてまいりますものはかなり正確に把握できます。それ以外は、いま先生おっしゃいました資料も含めまして種々の資料を総合的に判断して作成したものでございます。
○秦豊君 この「ミリタリー・バランス」にかなりの信頼度を置くというのは、かなり各国に平均されていますので、それは根本的に私は全然信憑性がないデータだということは申し上げる自信がありません。申し上げるつもりはない。しかし「ミリタリー・バランス」も万能ではなくて矛盾点があるのではないかという私は疑問があってしようがないんですよ。 たとえば、岡崎さんはいま比較的海軍艦艇がつかみやすいと言ったんで、念のために十年間のソビエトの艦艇のあれを「ミリタリー・バランス」からとってみたんです。そうしますと、たとえば一九七〇年から七九年の「ミリタリー・バランス」、お手元のとよく見てください。ソビエト海軍の兵員数と艦艇の配備数について見てみると、この十年間の総数は、一九七〇年四十七万五千人が現在四十三万三千人で四万二千人減っておるわけです。艦艇を見ると、水上艦艇がプラス五十一、逆に潜水艦はマイナス三十二になっている。もちろんこれは根拠があるわけで、潜水艦の方はディーゼル駆動のSSとかSSGが原潜になっているんだからこれはまあ筋が通る、これは素直にうなずけるんですよ。 しかし、民用のタンカーとこれは事が違っていまして、艦艇というのは省力化が非常にむずかしい。そうですね。うなずいていらっしゃるからそうだと思いますが、艦艇がふえれば兵員がふえるのが理屈なんですよ。しかも大型化した分はそのままふえるわけでしょう。たとえばキエフとかミンスクなどは二千人以上が乗っている。クレスタII型でも五百人でしょう。デルタ型の潜水艦でも百三十人ぐらいでしょう。だから、このことを演繹していくと、七〇年に比べて七九年がマイナス四万二千人だというのはそれ自体が論理矛盾なんですよ。合わないんですよね。この点についてまずちょっと聞いておきたい。
○政府委員(岡崎久彦君) これは一般論でございますけれども、まさにもう先生御指摘のとおりでございます。「ミリタリー・バランス」というものは毎年毎年基準を変えまして、あるいは前年度に使った基準と全く違う基準を使って計算したりいたします。増減がはなはだしいものでございます。それで、われわれもちろん「ミリ・バラ」を参考にしておりますけれども、これを白書であるとかあるいは外部に対して説明する場合は、これとわれわれ自身が持っておる情報と照合いたしまして、それで防衛庁としてこのあたりならば国民に対して間違った印象を与えるものでない、そういう数字を防衛庁みずから作成して発表しております。
○秦豊君 つまり、これは岡崎さんこういうことじゃないのかな。実際に稼動している艦艇を積算するんじゃなくて、軍港でさびついている、船底にカキをつけている、係留されている艦船、つまり、艦齢が二十年以上である、古い老朽艦、こういうものがふえているんだけれども、結論として、一艦一艦艦艇ナンバーで把握できないから、見にいくわけにいかないからそれでつい算入をする。こういう私はラフな、飛躍した作業をロンドンでもやっぱりやっていると思うんですよ、戦略研究所で。私はそういうおそれもあると。 もちろん私は、こういうことを申し上げているからといって、ソビエトの脅威についてあるいは総合戦力を軽視すると言っているわけじゃないんだ。ただ、いかにも「ミリタリー・バランス」等々の情報源を絶対神聖視して、それを基礎に踏まえ過ぎてソビエトの脅威を高いオクターブで叫ぶことは論理的に合わない、いただけないという一つの証左として言っているんであって、全般の解析はあなたとも一致をした。 しかし、最後につけ加えれば、たとえばソビエト太平洋艦隊に配属されている原潜は、たとえば戦略ミサイル原潜、これは総数がソビエト海軍九十隻、ミサイル千二十八基持っていると言われているが、何と年間にそのうち二十隻は絶えずオーバーホールにさらされていると。しかもオーバーホールの期間が三十カ月から三十六カ月である。そうすると総数の一五%、十四隻が配備稼動しているにすぎない。翻って、アメリカの方は四十一隻、ミサイルが六百五十六基、このうちオーバーホールは十七カ月で済むから、絶えず二十隻が実戦配備についている。こういうたった一つをとってみても、やはりしたがって、ソビエトの脅威の顕著な増大はというふうな論調とは結びつかない、なじまないんですよ。その辺を冷静に踏まえた上で、今後防衛庁側があらゆる資料要求や答弁に当たってもらいたいという一つの論証のために申し上げたんだから。残念ですな、時間が来て。だから、この点についての答弁をもらって、同僚議員にあと譲ります。
○政府委員(岡崎久彦君) いまの御指摘、ソ連と米国の稼動率の問題でございますけれども、これ公式の発表ございませんけれども、最近、準公式――アメリカの要人の発表でも、ソ連の海軍の稼動率は大体一五%であろうというような表現も出ております。これは米国も大体五〇%は動いていると言われております。それはそのとおりなんでございますけれども、一つだけ注釈を加えさせていただきますと、これは平時の稼動率でございまして、一五%ということは年のうち二カ月ということでございまして、戦争があるかどうかわかりませんけれども、自由主義諸国側の想定の上に立てば、戦争が起こるとすればイニシアチブはやはりこれ共産側がとるということになっておりますので、有事の最初の二カ月に一五%であっても、全部をそろえるということ、これは不可能ではないわけなんです。ですから、短期間の有事の際の戦闘力の比較をそのまま一五%、五〇%当てはめるわけにもいかないわけでございます。
○秦豊君 それはそうでしょうな。
○委員長(林ゆう君) この際、暫時休憩をいたします。 午後三時十一分休憩 ―――――・――――― 午後三時二十二分開会
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 大村防衛庁長官及び宮澤内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大村防衛庁長官。
○国務大臣(大村襄治君) 現在、防衛庁は短SAM問題検討の一環として、部外識者の意見を聞き、それを参考にすることが望ましいとの観点から、短SAM問題検討会との名称のもとに六人の識者を防衛庁にお集まりいただいておりますが、これは、識者の意見を伺う際の説明等の便宜を考慮して、個々にではなく、一堂に会していただいた方がより効率的であるとの判断によるものでございます。 同検討会は、このような性格のものであることから、もとより合議制機関として独立の機関意思を決定するようなものではなく、また、装備品の選定について防衛庁が有している責任と権限を同検討会にゆだねるといったものではございません。 御指摘のように、合議制の行政機関として委員個々の意見とは別個独立な機関意思を決定することを所掌事項とする審議会等を設置する場合には、国家行政組織法第八条の規定に基づき所要の法律措置によらなければならないことは十分認識しておりますが、本件の場合は、右に述べた実態でありますので、これに該当するものではないと考えております。 検討会においては、短SAMの運用、性能等に関する秘密事項についてもこれを明示して説明し、各先生方の検討をお願いすべきではないかという意見もございますが、先般の指摘事項等に関する各先生方の御意見を伺うに当たっては、秘密にわたらない範囲でできる限り詳しく説明申し上げることにより必要な御理解をいただくことは可能であると考えております。 したがいまして、部外識者の方々に守秘義務まで課する必要はないと考えた次第でございます。 なお、防衛庁は、各省庁が部外者の参集を求めて開催する懇談会等行政運営上の会合が、国家行政組織法第八条の機関ではないかとの疑念を持たれることのないよう慎重に対処するという政府の方針を今後とも遵守していく所存でございます。
○委員長(林ゆう君) 宮澤内閣官房長官。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの防衛庁長官の御発言に関しまして、いわゆる懇談会の運営につきましては、これが国家行政組織法第八条に基づく審議会等ではないかとの疑いを招くことのございませんよう従来からも政府部内において十分留意してまいったつもりでございますが、今後とも一層厳正な運営を図りまして遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
○峯山昭範君 この問題につきましては、非常に重要な問題を含んでおりますので、本当は時間をかけてやりたいのでございますが、時間的な制限もありますので、一言だけ申し上げておきたいと思います。 まず第一点は、私は先日の委員会でずいぶんこの問題について議論をいたしました。八条機関というよりも短SAMの検討会そのものについて議論をしたわけであります。いずれにしましても、ただいま防衛庁長官から読み上げられましたこの「短SAM問題検討会の性格等について」という、このとおりであるとすれば、一つは先日装備局長が答弁をされた答弁の内容とは多少内容的にも異なっているという点が一つであります。 それから次に、この秘密の問題ですけれども、やはり私としましては秘密にわたる部門を公開しなくて短SAMの検討ができるかどうかということについての疑問も残ります。 それからもう一つは、さらにそれが秘密でないにしても、防衛庁の部内のいわゆる詳細なソフトウエアにわたる部門の議論をした中身、いわゆる守秘義務にこれはかからないのかという問題が出てまいります。こういう問題をどうしても本当は解決しなければならないわけでありますけれども、この点今後の問題として指摘をしておきたいと思います。 そこで、最後に一言だけ官房長官にお伺いしておきたいんですけれども、これは八条機関の問題ですけれども、官房長官、実は昭和三十六年の四月の初めにこういう問題について行政管理庁から見解が出ました。そのときに、各省庁は八条機関の審議会等の疑いを受けないようにということで、名称等につきましても当時は政府の書類によりますといわゆる会の名前も審議会、協議会、調査会という三つの名前だったわけです。ところが、その後の昭和五十一年の政府の同じ通達によりますと、今度は審議会、協議会、調査会、審査会、委員会と、こう五つに名称がなりまして、今度はこの名前に入らなければいいということで、先日も官房長官にお伺いしましたように、最近は研究会とか、今度の検討会とかいう名前に変わってきているわけです。要するに少しずつ少しずつ枠が緩められてきていると、そういうようなことも現実にあるわけです。 そういうふうな意味で、私はこの八条機関に対する考え方あるいはいわゆる、審議会あるいは諮問機関に関する考え方については、政府としても慎重に取り扱う必要がありますし、これからもその運用については十分内閣の中でも御配慮をいただきたい、そのことだけ一遍官房長官に再度お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘のように、行政管理庁から昭和三十六年、三十八年、五十一年通達が出ておるわけでございますが、問題は確かに峯山委員の御指摘のように、どのような名前を使えばいわば逃れられるかといったようなそういう考え方であってはならないわけでございまして、しばしば御指摘がありますように、国家行政組織法第八条に定めておる精神に忠実でなければならないというのがあるべき姿だと思いますので、今後十分その点に注意してまいりたいと思います。
○中尾辰義君 最初に、F15戦闘機の欠陥問題につきまして若干お伺いをしたいと思います。 この問題も今日まで再三国会におきましても問題になったわけでございますが、その後F15戦闘機の欠陥問題がどういうふうに改善をされたのか、そういう観点から少し明らかにしておく必要がありますので、お伺いをしたいと思います。 まず最初に、F15戦闘機の調達計画はどういうふうになっておるのか、さらに五十五年度の予算、それから五十六年度予算等はどうなっているのか、まず最初これをお伺いします。
○政府委員(塩田章君) F15の調達計画でございますが、取得のベースで申し上げますと、五十三年度に契約をしましだものが五十五年度に二機、五十六年度に八機、五十七年度に十三機でございます。全体で百機購入の計画でございます。
○中尾辰義君 百機にならぬよ。トータルで幾らですか。
○政府委員(塩田章君) トータルで百機でございます。
○中尾辰義君 それでは、欠陥問題は、暴露されました経過をたどって振り返ってみて、それを一つずつこれからお伺いしてみますから。 まず、エンジン欠陥が明らかになりましたのは、米下院歳出委員会防衛小委員会のジャック・エドワーズ議員が声明を出して、国防総省当局もそれを認めた、こういうふうに伝えられておるんですが、その後どうなったんですか、そのとおりなのかどうか。
○政府委員(番匠敦彦君) F15の欠陥問題と申しますとF15のエンジンの欠陥問題であろうかと思いますが、約一年前の昨年の十一月に米空軍の、エアフォースのシステムズコマンドの司令官のスレー大将が米議会で証言されまして、エンジンの欠陥問題のことが広く報道されまして、その際に問題になりました事項が幾つかございますが、その一つはエンジンのスタグネーションストールの問題でございます。 この件に関しましては、エンジンの制御装置の改善とかあるいは燃料制御装置の改善、あるいはフュエルノズルの改善等を行いまして、現在におきましてはストールの発生回数も約半分以下に減っておりまして、ほぼ解決しているものと考えております。わが方のF15につきましても、これらの改善処置を講じたものを導入することにしております。 それから、二番目に問題になりましたのは、エンジンのタービンのふぐあい、耐久性の少ない点でございますが、この点につきましても同じくエンジンの電子制御装置の改善とか、あるいはタービンの翼に新しい材料を使うとか、あるいはボアスコープを使って十分点検するというようなことによりまして耐久性の改善はほぼ改善されているものと考えております。この件に関しましても、わが方のF15はこれらの改善処置がされたものを導入するということになっておるわけでございます。
○中尾辰義君 大体了解しましたけれども、私の調査では、米会計検査院が五十三年四月、F15と同型エンジンを使用しているF16戦闘機のエンジンに重大な欠陥があるとして、国防長官にこの改善方について、上下両院議長に勧告していますね。いまおっしゃったようなこともあるんですが、その勧告の中身は、F100エンジンについては、いまおっしゃったタービンブレードが壊れやすい。それから、飛行中に作動が停滞したり停止したりする。三番目に燃料ポンプの流れが悪い。四番目に加速性及び耐久性に問題がある。こういったような欠陥が指摘をされておるわけですが、いま改善されたとおっしゃったのですが、どういうような経過で改善されたのか。
○政府委員(番匠敦彦君) ただいま先生がおっしゃいました米国の会計検査院で指摘された事項に触れられましたけれども、その中で第一点のスタグネーションストールの問題は先ほど御説明いたしました。 それから二番目に、タービンのふぐあい、耐久性の問題でございますね、これも先ほど御説明いたしました。 それから、あと燃料ポンプのふぐあいということが指摘されておりますが、燃料ポンプの型式を変えることによりまして指摘されましたふぐあいは解消されております。 それから四番目に、地上始動時の問題というのが指摘されておりますが、エンジンをスタートするときにストールが発注したというようなことがございましたが、これにつきましては始動する手順を変更することによりまして改善をしております。 それから、もう一つ指摘されておりますのは、アフターバーナーのふぐあいとその耐久性の問題でございますが、これは先ほどのスタグネーションストールとも関連いたしまして、燃料制御装置及びその部品を改善することによりまして改善策がとられておるということになっております。
○中尾辰義君 それから、これはどうですかな。米空軍の昨年十月五日時点の公式調査では、F15戦闘機四百五十機のうち、エンジン六十四基が故障とみなされ修理中である。それから米空軍所属の全F15機のうち出動できるのはおよそ半数にすぎないとのことでありますが、この点は確認をされたのか、その後どうなったのか、これをお伺いします。
○政府委員(番匠敦彦君) 先生ただいまおっしゃいました件につきましては、米国のF15の航空団におきまして戦時即応テストに参加したF15の六十六機のうち二十三機が合格したという報道に関連するものだと思います。 われわれの方が米側から聞いておりますところでは、このテストといいますのはオペレーショナル・レディネス・インスペクションといいまして、作戦即応態勢の監察ということでございまして、部隊に事前の通告をしないで演習を突然実施させてその対処状況を監察する、評価するというもののように聞いております。このインスペクションに合格したF15がたまたま少なかったといいますのは、この報道にもちょっと触れられておりますように、これはラングレーの空軍基地の部隊でございまして、空軍の要員の訓練の問題というようなこともありまして、即時に稼動できるF15機数が少なかったということであるように聞いておりまして、F15戦闘機そのものの性能に問題があったというものではないと承知しております。
○中尾辰義君 それでは、F15は今後どういうような配備計画になっておるのか、その点お伺いします。
○政府委員(塩田章君) F15の導入に伴いまして、まず臨時飛行隊を新設してまいりたいと考えておりますが、五十六年度の第三・四半期にF15臨時飛行隊を新設いたしたいと考えております。この臨時飛行隊の新設以降の各部隊の新設計画あるいはその配備場所等につきましては、まだ最終的に確定をいたしておりません。
○中尾辰義君 それでは、この問題これで終わりまして、次に、これも問題になっているんですが、C130型輸送機の導入ですが、防衛庁は五十六年度概算要求で六機のC130型の輸送機を導入し、さらに五十七年度以降にも六機を入れて中業期間に計十二機を装備したい、こういうことでありますけれども、現用の国産輸送機C1を選定した当時C130は実用化していたが、このC1と比較してさまざまな理由で日本には不適当として退けられたそういう機種でありますが、一回不適当としたものを今度導入をするように決定したのは、これはどういうわけなんですか。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のようにC1の採用時点でC130はすでにあったわけでございますが、当時C130を導入した場合に、わが国の航空自衛隊の飛行場の中で使えますものが――使えますというのは滑走距離、そういった関係でございますが、使えますものが二飛行場しかございませんで、当時といたしましては航空自衛隊の輸送機としてC130を導入することについては必ずしも適切でないと判断をいたしたわけであります。したがいまして、国産のC1によりまして比較的短距離で離着陸できるといった点に重点を置きまして、当時C1の方に踏み切ったわけであります。
○中尾辰義君 私が聞いているのは、このC130というのは非常に航続距離が長いと、最大搭載時でも四千キロに及んでいるということですが、そういう理由で採用しなかったんですかね。その点いかがです。 それから四千キロというのは、数字で言えばそうですが、地図を開いた場合どの辺まで広がるんですか、四千キロというのは。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のように、四千キロ前後の航続距離を持っておるわけでございますが、当時私はこの航続距離が理由で採用しなかったというふうには理解をいたしていないわけでございますが、御指摘の四千キロ、したがいまして片道で言いますと二千キロになりますが、二千キロの距離というものは地図の上でどのようになるかというお尋ねでございますが、航空自衛隊の基地のあります入間からで申し上げますと、グアム島が二千四百二十キロ、ミッドウェーは四千百六十キロ、北の方で申し上げますと、千歳からウラジオストクまでで言いますと七百九十キロ、小松からソウルまでで言いますと八百五十キロ、そんなところでございます。
○中尾辰義君 それで、これは私も調べてみたんですが、片道ですけれども、四千キロいうたら大体ベトナム、フィリピン、北京、モンゴル、バイカル湖の周辺、この辺までは飛ぼうと思えば飛べるわけですがね。こういう長いやつは果たして専守防衛というわが国の方針にどうなんですか、適合するのか。それから、専守防衛に反しないとするならばどういう理由なのか、その辺ちょっとお伺いします。
○政府委員(塩田章君) 御承知のように、わが国は憲法の精神からいきまして専守防衛を旨といたしておりまして、その趣旨に反するような、他国をもっぱら攻撃するような兵器は持たないと、持てないということでございますが、このC130は御承知のように輸送機でございまして、航続距離の長さはいま申し上げたように半径二千キロでございますけれども、本来輸送機でございまして、この種の飛行機が特に他国に脅威を与えるとか専守防衛の趣旨に反するとか、そういうことは私は当たらないんではないかというふうに考えておるわけであります。
○中尾辰義君 まあ輸送機は輸送機だけど、そんなに足の長いのが要るかどうかということなんですね。私これはアメリカの方から押しつけられたんじゃないか、あるいはアメリカの防衛増強のために、そういうような圧力のために、それをかわすための手段としてあるいは買ったのかどうか、そういうような疑問も浮くんですがね。
○政府委員(塩田章君) 当委員会でもお答え申し上げましたが、五三中業の中で、現在の航空自衛隊の輸送体制を検討いたしました際に、御承知のように現在C1が主力になっておるわけでございますが、全体的に航空自衛隊の輸送機部隊を三十六機整備したいというふうに考えておるわけでございますが、その際にC1全部、三十六機全部C1でいくのがいいのか、あるいは他の機種とミックスした方がいいのかということにつきましていろいろ検討をいたしたわけであります。そして、検討のめどとしましては、有事の場合の航空自衛隊の戦闘機部隊の急速展開のための輸送には、一体C1三十六機体制の場合にはどうなるか、あるいは陸上自衛隊の空挺部隊の急速展開をやるとすれば、C1三十六機ではどうなるかということをORいたしまして検討いたしました結果、それではどうしても輸送力に不足を生ずるという結論になりまして、今回お願いいたしておりますC130十二機とC1二十四機というミックス体制をすれば、いま申し上げた戦闘機部隊のスリースコードロン、三戦闘機部隊の急速展開が可能である、あるいは空挺団につきまして言えば、主力である第一次に派遣する空挺部隊につきまして急速展開が可能であるという結論を得たということが一つございます。 あわせまして、御承知のように、ペイロードが二十トンになるわけでございますので、輸送できる武器につきましても二〇三ミリのりゅう弾砲まで輸送ができることになります。 そういったようなことまでいろいろ考えまして、今回私ども中業の見直しの過程におきまして三十六機C1全部よりも、いま申し上げた二十四機とC130十二機の体制でミックスしていまの航空輸送の需要にこたえていくようにしたいというふうに考えたわけであります。
○中尾辰義君 それでは次にまいりますが、防衛庁は、本年の八月十八日以降わが国領空の警察行動を行っている航空自衛隊の迎撃戦闘機に空対空誘導ミサイルの実弾を装備するというふうに発表したわけであります。同時に、海上自衛隊の艦艇や対潜哨戒機に実弾魚雷の積み込みを始めるということも発表いたしましたが、五十三年の八月、参議院の審議で当時の伊藤防衛局長はこういうふうに言っているんですよ。迎撃機が機関砲のみを搭載している理由として、平和時には機関砲で対処する、直ちにミサイルを積んで領空侵犯に措置をしなければならない情勢だとは考えておりません。こういう答弁をしているんですがね。それから二年ほど経過しているんですが、ミサイル装備に踏み切った理由、それからそういうふうに情勢が変化をしたのかどうか、その辺まずお伺いします。
○政府委員(塩田章君) いま御指摘の国会での五十三年当時の質疑応答は私どもも承知いたしております。その際に、当時の防衛局長から、その時点の情勢であれば機関砲でいいんだという趣旨のことをお答えしているわけでありますが、同時にそのお答えの中で、将来の検討課題としまして、いわゆる有事即応態勢という観点からの検討は別個に行いたい旨のこともお答えをいたしておるわけでございますが、私どもその後いま御指摘になりましたような国際情勢の変化とか、あるいは特に要撃戦闘機に対領空侵犯措置を命じました場合に、どうしても機関砲ではだめで、ミサイルを積んでおかなきゃだめだといったようなケースがあったということではなくて、そういう点では私は、先ほどの五十三年の国会での質疑応答のときから別に情勢は変わっているとは思っておるわけではございません。 そういう意味でミサイルを積もうとしているわけではございませんで、いま先ほどちょっと申し上げましたように、自衛隊といたしましては、最近いろいろな意味で有事即応態勢というものを考えて逐次整備をいたしておるわけでありますが、そういう観点から、その一環としまして要撃機にミサイルを積むことに踏み切ったわけでございます。
○中尾辰義君 有事即応態勢の一環としてミサイルを積み込むことに踏み切ったということですけれども、まだ有事になっておらぬのですね。 それから、わが国の防衛力は、これは御存じのとおりに自衛のため必要最小限度にとどめる、こうなっている。それで、専守防衛が基本方針でありまして、ミサイル積載が過剰防衛になりやしないか心配するわけであります。この航空自衛隊の対空侵犯措置は、これは自衛隊法八十四条に定められておるとおりに、侵犯機を着陸または退去させる警察行動である。こうなっているんですよ、警察行動なんですよ、これは。それで、単純な領空侵犯に対して機関砲で対処する場合は、これは警告的な射撃によって向こうに退去させる。そういうことが可能なわけでありますけれども、この空対空ミサイルは、赤外線追尾やレーダー誘導などで下手すると当たっちゃうんです。これは。だから軽率な措置をとれば非常な重大な事件を招くわけであります。 そういう点で非常に心配するんですが、そこで、二、三お伺いしますけれども、この迎撃機にミサイルを装備した場合、このミサイルがどのようなときに発射されるのか。 それから、このミサイルというのは当たりますから、機関砲みたいに警告的な射撃ができるのかどうか。まず、それからお伺いします。
○政府委員(塩田章君) ミサイルを搭載いたしましても過剰攻撃になってはいけないことは当然でございまして、いまミサイルを装備した場合の発射するときはどういうときかというお尋ねでございますが、これは領空侵犯に対処します要撃機としましては、武器の使用につきましては、機関砲の場合も、それからミサイルの場合も要件としては同じでございまして、侵犯機がこちらの指示に従わないのみならず、わが方の飛行機に向かって発砲してくるというようなときにのみ使用ができるわけでございますが、その点は機関砲もミサイルも同じであります。しかし、同時にそれに加えて、先生御指摘のようにこれは警察行動でございますから、警察比例の原則というのが働きまして、向こうが使っている武器とこちらが使う武器とは、これは当然比例したものでなければいけません。そういうことで向こうがミサイルを使わないのにこちらからミサイルを使うとか、そういうことはできないわけでございまして、その点につきましては厳重に指導をいたしておるわけであります。 それから、また第二点で御指摘のように、ミサイルでございますから追尾いたしますので当たるわけでございますが、そういう意味におきまして、これは信号のための警告射撃にこのミサイルを使うということはあり得ない、恐らくもう使えません。この飛行機は当然ミサイルも機関砲も積んでおりますから、もし警告射撃が必要である場合には機関砲でできるわけでございまして、そういう場合に警告射撃としてのミサイルを使うということは考えておりません。
○中尾辰義君 そうすると、警告射撃の場合は機関砲でぱんぱんとやる。これも当たらぬようにやるわけですな。ミサイルを発射する場合は、向こうからやられた場合にやるわけですか。どうなんですか、その辺。もう一度はっきりして……。
○政府委員(塩田章君) 警察比例の原則が働きますので、その武器使用につきまして、相手方の使用する武器との比例ということは当然かかっておるということを申し上げたわけであります。
○中尾辰義君 ですから、ミサイルを使う場合は向こうが攻撃をしかけた場合にやると、そういうことですか。
○政府委員(塩田章君) 向こうが攻撃をしかけてきてわが方の任務の達成ができないという判断のときに機関砲を発射するか、あるいはミサイルを発射するかということになるわけでございますが、相手が機関砲しか発射してないのにこちらがミサイルを撃ち込むということは、そういうことは警察比例の原則に反する。したがって、相手が機関砲で撃ってきたという場合にはこちらも機関砲で撃つというのが警察比例の原則からして当然ではないかと思います。
○中尾辰義君 それで、ミサイルの発射はパイロットの判断によるわけですね。
○政府委員(塩田章君) 原則としましては上級指揮官の指示を受けるように指導いたしております。 原則としましてはと申しましたのは、やむを得ず上空におりますパイロットがみずから判断しなきゃいけないケースもあり得ると思いますが、原則は上級指揮官の指示を受けて武器を使用すると、こういうふうにいたしております。
○中尾辰義君 いままでの話を聞きますと、非常にこれは危険があるわけですな。結局は上司の判断まで、指示を受けるまで間に合わない場合もあるでしょうし、ですからそういう危険を避けるためにどういうような対策を考えておるのか、その点お伺いしたいと思います。
○政府委員(塩田章君) 先ほどから申し上げておりますように、相手がこちらの指示に従わずに実力で抵抗してきた場合に発射ができるわけでございますが、その指示は、実際には上空を飛んでおりましても地上からの上級指揮官の指示ができますので、上級指揮官の指示を受けて使用するというのを原則にしておるわけであります。
○中尾辰義君 それでは、もう少し時間がありますから、今度の提出されました法案につきましてまだどなたの質問もありませんので若干お伺いしたいと思います。 最初に、海上、航空両自衛隊の自衛官の定数増に関係して、海上自衛隊は今回千六百十九人の増員、これは五十四年、五十五年両年度の業務計画に基づいたものであるわけですが、その内訳はどうなっているのか。たとえば艦艇、航空機の就役に伴う増が幾ら、それから艦艇、航空機の除籍減耗に伴う減が幾ら、そのほか要員の増が幾らと、こういったぐあいに説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のように両年度にまたがった分をお願いをしておるわけでございますが、 〔委員長退席、理事藏内修治君着席〕 海上自衛隊の五十四年度について申し上げますと、艦艇、航空機の就役に伴う要員の増が千百五十三人、艦艇、航空機の除籍に伴う要員の減が四百五十八人、その他の要員の増が百十九人ございまして差し引き八百十四人、五十五年度について申し上げますと、艦艇、航空機の就役等に伴う要員の増が千百四十一人、艦艇、航空機の除籍等に伴う要員の減が四百九十人、その他の要員の増百五十四人で計八百五人、そういう内訳でございます。
○中尾辰義君 その次に、五十四年、五十五年度に就役取得された、あるいは取得予定の海上自衛隊の艦艇、航空機は幾らあるのか、種類別に御説明を願いたいと思います。 それからもう一つ、長官にお伺いしますが、艦艇に名前をつけるのは、これはどういう基準でつけるのか。いままでの例を見ておりますと、これは防衛庁長官がなさるように考えておりますけれども、その辺がどうも定かでないわけでありまして、それに防衛庁長官の地元の山の名前とか、くにの名前がついておるようなふうに思われるんですが、それはどういうわけでそういうふうになっておるのか。
○政府委員(塩田章君) 最初に名前の方から申し上げますが、艦艇の名前は現在、クラスによって変えておるわけでございますが、山の名前、川の名前、天然気象現象の名前、あるいは艦の番号というようないろんな形で決めております。山の名前は比較的大きな、現在の区分けで申しますと、DDHというヘリコプター搭載の護衛艦等は山の名前にいたしております。川の名前はDEクラスの護衛艦、千四、五百トンクラスの護衛艦でございますが、こういったものは川の名前。それ以外のDD等の護衛艦につきましては雲とか風とかそういったような天然現象を名前に使っておりまして、潜水艦等も潮というような海にちなんだ気象の名前というふうになっております。それから、掃海艇等は島の名前、あるいはLSTのような輸送艦につきましては半島、みきき、そういったような名前というふうに、一応大きく言いますとそういう分類にいたしております。 〔理事藏内修治君退席、委員長着席〕 そのときに、いま御指摘のそのときの防衛庁長官の郷里の名前が云々というような御指摘がございましたが、そういうことではございませんで、長官の適切な命名をいただいておるということはございますが、特に長官の郷里とかそういうことで命名しておるというわけではございません。 それから艦艇の取得の問題でございますが、五十四年度、五十五年度の就役艦艇につきまして、ちょっとしばらく時間をかしていただきたいと思います。
○中尾辰義君 それじゃ防衛庁長官の名前をつけた艦艇があるでしょう。どうですか。
○政府委員(塩田章君) 長官の名前をつけた艦艇はございません。
○中尾辰義君 次に、陸上自衛隊については十八万人が現在の定員と、こういうことになっているんですが、昭和四十八年以来ずっと増員をやめてきておるわけです。現在の防衛計画の大綱期間中は増員をしないのかどうか。十八万人で、それ以上はもうやらないのかどうか。 それから、現在の陸上自衛隊については、欠員を二万五千二百十人を抱えておるわけでありまして、予算上の充足率は八六%、こういうふうに抑えてあるわけですが、防衛計画大綱期間中に何%ぐらいまで高めようと考えておるのか。
○政府委員(塩田章君) 最初にちょっとおわびを申し上げたいんですが、先ほどの機関砲あるいはミサイルの発射の時期についてお答え申し上げたわけでございますが、相手が機関砲であっても実力で抵抗してきて、そのままではこちらが撃ち落とされてしまうというような状況のとき、しかもこちらの機関砲の発射ではそれを阻止することができないというようなときにミサイルを発射することも場合によってはあり得ると思われますので、その点は補足訂正させていただきたいと思います。 それから、防衛計画の大綱の期間中とおっしゃいましたが、陸上自衛隊の十八万人というのは、大綱の別表に明記されておりますので、大綱が改定されない限り陸上自衛隊は十八万人を維持するということになります。御承知のように、防衛計画の大綱には別に期間というのはございませんものですから、そういう意味では大綱が見直されない限りは陸上自衛隊は十八万人ということになります。 それから、現在御指摘のように二万五千幾らの欠員があって八六%の充足率で運用しているわけでございますが、これを大綱期間中何%まで上げるつもりかというお尋ねでございますが、これもいま申し上げましたように、大綱の方は別に期間がございませんので、いま私どもが考えております昭和五十九年までの五三中業におきましては、私どもの計画としましては八六%を八九%まで上げたいというふうに考えておるわけであります。
○中尾辰義君 次に、自衛隊の欠員の問題でちょっとお伺いしますが、最近の時点における三自衛隊の欠員充足率の状況はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 十月三十一日現在における自衛官の充足状況を申し上げます。 陸上自衛隊は、定員十八万人に対しまして現員十五万四千五百四名、欠員が二万五千四百九十六名で充足率は八五・八%でございます。海上自衛隊につきましては、定員四万二千二百七十八名に対しまして現員四万三百六十五名、したがいまして欠員が千九百十三名で充足率が九五・五%でございます。航空自衛隊、定員四万五千四百九十二人に対し現員は四万三千五百四十名、欠員が千九百五十二名、充足率は九五・七%でございます。 なお、統合幕僚会議、定員八十三名に対しまして現員八十三名、一〇〇%、こういう状況でございます。
○中尾辰義君 それでいま説明があったんですが、海上の方並びに航空自衛隊の方は欠員が少ないですね。ところが陸上の方は二万五千四百九十六人ですか、これは非常に問題がありはしないか。それでこの欠員はいわゆる充足率を予算の関係で抑えておるのか、そのために採用しないのか、それとも隊員の質の低下を来すから、そういうことを考慮してこの程度にしてあるのか、その点をひとつ……。
○政府委員(塩田章君) 陸上自衛隊の場合、これはいわゆる欠員と申しますよりは充足率の関係でございまして、充足率が現在八六%ということで運用しておりますために二万五千何がしの欠員があるということでございまして、そういう意味で決められた何といいますか、この八六%に対してさらに欠員があるという意味の欠員ではございません。八六%の充足率は完全に充足しておるわけでございまして、といいますことは、御指摘の募集につきましては、別にその募集が困難であるとかあるいは質の低下を恐れて云々ということではございませんで、現在の状況を見ますと二等陸海空士の一般隊員につきましては、大体二倍以上の応募者がございまして、そういう意味でこういう欠員になっているわけではございません。充足率の関係でございます。
○中尾辰義君 ですから、充用率は、応募者は二倍以上あるということですが、予算上の関係ですか、その点。
○政府委員(塩田章君) 端的に申し上げまして予算上八六%の充足に定められておるわけであります。
○中尾辰義君 次に、三自衛隊の欠員の状況を幹部、曹、士別に、階級別にひとつ説明してください。
○政府委員(佐々淳行君) 幹部の充足率は比較的高うございます。幹部で申し上げますと、幹部と申しますのは、将から三尉まででございますが、合計で申し上げますと定員が三万九千三百三十五名に対しまして三万八千百九十一名、欠員が千百四十四名、充足率は九七%でございます。 問題は士のクラスでございまして、士が充足率が非常に低いという状況でございます。准尉はたとえば全般的に申し上げますと九二%、四千九百八十五に対して四千六百一名。曹でございますが、十二万一千三百三十七名に対しまして十一万八千六百六十三名、九七・八%、こういう充足率を保持しております。士長五万四百九十八名の定員に対しまして三万九千九百四十一名、七九・一。士につきましては七一・八、こういうことで士が一番充足率が低い、こういう状況でございます。
○中尾辰義君 大体お伺いしましたが、それで大略現在二十四万の自衛官のうちこの幹部、将校を入れましてこれは四万、それから曹――下士官が十二万、士――兵隊八万、こういうような比率になっているんですが、これをずっと見ておりますと、要するに兵隊さんより下士官の方が多いということですね。こういう頭でっかちのかっこうになっているんですが、こういうように自衛隊、こういうような軍隊が世界にあるのかどうか。つまり幹部が多くて兵隊が少ない。どうですか。
○政府委員(佐々淳行君) 御指摘のように組織体である、特に階級組織であります自衛隊が、幹部あるいは曹の方が士よりも多いという状況は必ずしも列国のそういう軍隊の構成比率とは異なっておると思います。しかしながら、どこの国も、たとえばソ連の場合でもそうであるようでございますが、平時におきましては充足率を下げまして、志願兵制の国の場合特にそうでございますけれども、若干の欠員を擁しておる。たとえばスケルトン師団という、骸骨師団というあだながついておるように、兵が少ないという例は必ずしも日本だけではございません。この充足率につきましては、将来階級別の構成比が非常にバランスのとれたものになるよう充足率を高めていただいて防衛計画の大綱で定まっております十八万の定員、これが充足されてまいりますとバランスがとれてくるであろうと、かように考えております。
○中尾辰義君 それで、頭でっかちの下士官の比率が多いというのはどういう理由に基づくのか、それが一つと、それからこれは私の方の考えですけれども、下士官をふやしたということは、有事の際に一挙に拡大し得る基礎をねらってのことではないかと、こういうふうにも思うんですが、皆さん防衛庁の考えはどうでしょうか。
○政府委員(佐々淳行君) 装備の近代化に伴いましてのより高度の技術、知識が必要とされるような、そういう時代になってまいってきております。いわゆる歩兵中心の組織であるよりは知識経験の豊かな下士官、これがふえてくるというのは世界的な傾向であるというふうに承知しております。アメリカの場合も平時編成を見てみますと、下士官が約十一万に対しまして兵が約七万と、こういうようなかっこうになって、先ほど申し上げましたようなスケルトン状態になっておるという例もございます。 もう一つの問題は、いずれもこれは志願制でございますけれども、士の場合には任期制、一任期二年という制度をとっておりまして、それに対しまして、曹以上は非任期制、生涯の職業として入ってくる、こういう関係で定着をして停年までやっていくという者が多うございます。士の場合には任期制をとっております関係上二年一任期を終え、あるいは二任期四年を終えてやめていく者が多い、こういう事情もあろうかと存じます。
○中尾辰義君 次に、曹長制度の新設ですが、これで少しお伺いいたしますが、この新しい曹長の階級を創設いたしました理由はどこにあるのか。
○政府委員(佐々淳行君) 実はただいま御答弁申し上げたことが一つの理由でございます。装備の近代化等に伴いまして、現在一曹の職にある者の中からより高度の技能、経験、知識を要する職位がふえてまいってきております。こういう職位にある者については、その曹の最上級の階級としてもう一階級新設することによって処遇することが大変望ましいというふうに考えられることが一つの理由でございます。曹の階級は自衛隊の現行制度では三つしかございません。欧米諸国の例を見てみますと、たとえばアメリカの場合には曹のクラスが六階級、西独が五階級、フランスが四ないし五階級、これは軍によって違うようでございますが、ソ連も四階級、下士官の階級数が日本の場合より多うございます。 今日、先ほど申し上げましたように、曹が全部で約十二万名おるわけでございますが、このうち陸海空合わせまして一曹のポストにある者が現在の予算定員で三万五千八百八十五名、約三万六千名おります。それで人事管理上この問題を申し上げますと、士長から三曹に上がりますのが平均二十三歳、停年まで五十歳といたしまして、あと二十七年やるといたしますと、この二十七年間で二階級しか昇進しない。したがいまして、一曹の標準在任期間が陸の場合十四年、海が十四年、空が十三年というような長期にわたっております。家庭におきましても子供が小学校から中学校とだんだん成長をしてまいる間じゅうずうっとお父さんが一曹であると、いつまでたっても一曹でおしまい、こういうことでは士気高揚上好ましくない。また必要性といたしまして、先ほど申し上げました装備の近代化による新しい職位、こういうところで一曹よりもより上位の階級の者に指導的な権限を与えて補職をした方がいいであろうというようなポストが現実に出てまいっております。 具体的に申し上げますと、たとえば航空機の整備担当の曹、一曹、あるいは電信員長であるとか艦艇の射撃長あるいは助教であるとかミサイル装置の操作修理の曹、人事班の専任、通信の専任、こういうような一曹を曹長という位によって処遇することによって士気の高揚を図りたい、こういうことも考えておるわけでございます。 今回の改正でお願いをいたしております曹長の定数は陸二千八百二十五、海六百二十五、空六百七十五、合計四千百二十五名、こういう三万六千名のうちからとりあえず約四千百名を昇任させたいと考えておりますが、将来これは数年間かかりまして陸海空合わせましておおむね一万一千名の者を勤務成績優秀で技術を持った者は曹長まで上げてまいりたいと、かように考えておる次第であります。
○中尾辰義君 そうしますと、四階級下士官ができるわけですが、この新しくできる曹長といままでの一曹と処遇の面でどの程度違うのですか、給与等。
○政府委員(佐々淳行君) これは大変私ども痛い質問でございます。実は防衛庁職員の給与法の根本問題にかかわる問題でございまして、御承知のように警察予備隊として発足をし、公安職俸給表を準用をして今日までまいってきております関係上、警察の公安職(一)の五等級、こういう一つの等級に該当するところに三尉、准尉、一曹、二曹という四つの階級がひしめいて位置づけられております。ここへ今度曹長を准尉と一曹の間に新設をいたします関係で、待遇の面では一曹と比較いたしましてごくわずかな等級格差しかない、こういう問題がございます。 この問題につきましては、山崎先生からもしばしば御指摘を受けておりますところでございまして、数年にわたって検討を続けておるところでございますが、先般今回の四週五休制採用に伴いましていろいろ衆議院の内閣委員会でも議論が出ておりますけれども、給与体系全般については、この四週五休制の制度が定着をした段階において根本的に再検討をする、こういうことでございます。そういう給与体系、公務員全体の給与体系の総再点検の過程においてこの問題は是正をしてまいりたいと考えておりますが、率直に申し上げまして、現在一番開いたところで、俸給表三百円でございます。
○中尾辰義君 三百円じゃあんまりありがたく思いませんよ、これは。だから、当然これは士気にも影響することですから、将来検討するということですが、当然これはもう少し、どうせつくるのならば改善をしなきゃならない。それを要望しておきます。 それから、これは曹長の階級ですが、これは金筋一本に星が一つ、二つつくと、曹長はどういうふうなえり、何というのか、階級章になるんですか。星が四つつくんですか。
○政府委員(佐々淳行君) 写真か図表があると楽なんでございますが、ちょっと手元に用意してございません。 現在、一曹が山三つでございますが、その上にもう一つ、陸の場合、陸と航空自衛隊が、これはえりにつけますが、えりにつけるのに、横に三本ございますところへ山を一つ乗せると、ちょっと遠くて済みませんが、こういうかっこうにいたします。(資料を示す)海の場合、その上に桜といかりをあしらった、いかりのマークを乗せる。こういう形で一等海曹と海曹長を区別いたします。
○中尾辰義君 それじゃこれで終わりますけれども、最後に、海の方で、潜水艦隊の新編につきましてお伺いしますが、これは提案理由をお伺いしたんですけれども、はっきりわからないですから、もう少し。 潜水艦隊とはどのような編成で、どのくらいの規模の人員で、どのぐらいの潜水艦を持つ部隊で、その司令部の司令官の階級等はどうなっているのか。今回どういう理由で自衛艦隊の編成に加えられるのか、まずそれをひとつ明らかにしていただきたい。
○政府委員(塩田章君) 私の関係の部分をお答えいたします。 現在、御指摘のように潜水艦隊を創設するようにお願いいたしておりますが、その理由は、現在潜水艦は十四隻持っております。その十四隻を二つの潜水隊群というものに分けて、それぞれの潜水隊群が自衛艦隊に隷属しておると申しますか、直属しておるわけでございますが、それを、第一、第二の潜水隊群を合わせまして潜水艦隊をつくって、その潜水艦隊が自衛艦隊に直属すると、こういう形にお願いをいたしておるわけでございます。したがいまして、潜水艦の数としましては十四隻そのままでございます。 それから、そういうふうにお願いをいたしております理由でございますが、潜水艦の行動の最大の特徴は、御承知のように、行動を秘匿して長期間単艦で行動するということが潜水艦の基本でございます。したがいまして、十四隻の潜水艦がそれぞれ単艦で行動するわけでございますから、その行動の運用に当たりましては一元的に把握しておく方が、他のどの部隊の運用よりも、潜水艦につきましては特に要請が強いというふうに私どもは考えておるわけであります。 そういった点が一つと、また潜水艦の今後の運用が、対潜水上艦艇の訓練目標といったような形で従来潜水艦が使用されてきたのが主体でございましたが、今後潜水艦の十四隻の体制が、防衛計画の大綱では十六隻になっておりますが、今後は本来の潜水艦の特性を生かした運用訓練へ移りたいというふうに考えております。従来どおり対潜水上艦艇部隊の目標になることももちろん重要な任務ではございますけれども、本来、潜水艦部隊としてまとまった運用をいたしたいというふうに考えておりまして、そういった観点から、私ども今回潜水艦部隊を一つにまとめまして、潜水艦隊にさしていただきたい。その場合の潜水艦隊司令部は横須賀を考えておりますし、第一潜水隊群と第二潜水隊群と潜水艦教育訓練隊といった形に分かれるわけでございますが、司令部が横須賀であるほか、第一潜水隊群も司令部を横須賀に置きます。それ以外は司令部は呉に置くということで考えております。指揮官の階級は人事教育局長からお答えいたします。
○政府委員(佐々淳行君) まだ法律が通っておりませんので、潜水艦隊司令官というのは、そういう職はございませんが、自衛隊法施行令によりまして、潜水隊群司令、これは第十八条の五でございますけれども、「潜水隊群司令は、海将補をもつて充てる。」こういう規定がございます。したがいまして、潜水艦隊ができました場合には、第十六条の十の改正によりまして、将補を統べる「海将をもつて充てる。」、こういうことにいたしたいと考えております。 それから、先ほどの答弁でございますが、米軍の下士官と兵の比率、約十対七であるという答弁は正しかったのでございますが、単位を一つ間違えまして申しわけございません。百万対七十万でございます。自衛隊の場合、十二対十、十二万対十万でございますが、米軍の場合、一けた大きゅうございますので、おわび申し上げます。
○政府委員(塩田章君) 先ほどのお尋ねの中で、五十四年度、五十五年度の取得する艦艇、飛行機の数についてのお尋ねにまだお答えをいたしておりませんので、答えさせていただきます。 五十四年度はDDH一隻、DDHと申しますのはヘリコプター搭載の護衛艦でございます。一隻。それから潜水艦が一隻、掃海艇が二隻、敷設艦が一隻の計五隻。航空機は全部で十三機でございます。 それから、五十五年度は、同じくヘリコプター搭載の護衛艦が一隻。DEと申しまして千二、三百トンの小さな護衛艦でございますが、これが一隻。それから潜水艦が一隻、掃海艇が二隻。それからLSUと申しておりますが、五百トンばかりの輸送艦、これが二隻、計七隻。五十五年度の取得予定であります。それから五十五年度の飛行機は十一機でございます。いずれも飛行機は、海上自衛隊の飛行機でございます。以上でございます。
○山崎昇君 官房長官の日程も大変忙しいようですし、外務大臣の日程も忙しいようでありますから、最初一、二点お聞きをいたしたいと思いますが、まず官房長官に、ここ一日、二日の日本の新聞その他等々で相当報道されておりますが、先般、鈴木総理と韓国の駐日大使との会談内容が突如韓国の「朝鮮日報」等で発表になりまして大変ないま政治問題化しているわけですが、そこで官房長官に私が端的にお聞きしますが、この「朝鮮日報」が突然と言っていいのか、あるいは前から何か計画があったのかわかりませんが、いまの時期にこういう形で発表したという背景をどう私どもが理解をしたらいいのかというのが一点。 それから第二点は、韓国側では内政干渉だとこう述べておるようでありますが、一体鈴木総理のどういう発言の内容が内政干渉と政府は考えるのか。何か政治決着またやったようでありますが、まずその二点お聞きをしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 韓国の新聞の報道、それがどのようにして行われたものか、また、何ゆえにこの時期に行われたのかということは、何分にも情報がございませんので、私どもも判断がつきかねておるということが実情でございます。 第二に、韓国の崔大使が鈴木総理大臣を表敬に来られました際に、鈴木総理大臣としては金大中氏のことに関して重大な関心と憂慮を表明されましたが、事柄が非常に機微でございますから、いやしくも内政干渉にわたるようなことがないように表現においても注意されましたし、また、総理自身決してそういう意図のないことを会談で述べておられます。したがいまして、内政干渉にわたる点があるというような主張に対しましては、私ども事実と違っておると考えております。
○山崎昇君 なかなか外交上の微妙な問題ではありますけれども、私ども日本の国民から言うと、やっぱり納得しかねる点がたくさんある。きょうの新聞、朝日、毎日、読売その他にいたしましても社説でずいぶん取り上げておりますが、いずれにいたしましても、「首相発言は内政干渉でない」あるいは「韓国に求めたい誤解の解消」だとか、言うならば一方的にいまの時期にああいうやり方をするということに対して、日本の報道陣も反対の私はこれ態度ではないだろうかというふうに受け取るわけです。 私ども得ております情報は、これは確たるものかどうかも私ども判定する材料ももちろんありませんが、いま得ている私どもの最大の情報としては、あの金大中氏の判決は十二月の初旬ではないか、特にある人のごときは五日か六日ごろではないかと、こうさえいま言われております。そして、この判決が出ると同時に刑の執行はきわめて短時間にやられるんではないか、こうさえ伝わっておるところですね。ですから、そういう点等私ども判断いたしますというと、その背景もあってこの時期に韓国はああいうやり方をとって、新聞という形をとってやってきたんではないだろうか、私どもこうさえ受け取ったりしているんですが、この点は私どもまことに遺憾だと思います。 そこで、もう一点長官に聞いておきますが、この新聞報道等々でも言われておりますように、七年前に政治決着と称してあの金大中氏の拉致事件がうやむやのうちに葬り去られたところに今日の事態を招来しているんではないか、これが新聞こぞって指摘している点です。だから、あなた方はいまになって憂慮すべき事態だとか憂慮しておりますとかという表現は使っておりますが、政治的な多少苛責を持っているんじゃないだろうか、私はこうさえ考えられるんですが、一体政府はあの政治決着がいまもあなた方正しかったと思うのか、あの結果がこういう事態を招来しているというふうにお考えになりませんか。その点あなたに聞いておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは外務大臣がおられますので、外務大臣がお答えになるべきことかと存じますけれども、いわゆる一九七三年の決着でございますが、わが国の主権が侵害されたという事実を証明するに足るだけのものがございませんでした。捜査は、現在もなお新しい証拠が出れば打ち切られておるわけではございませんけれども、事実上そういうことでございましたので、そこで大所高所から当時の政府首脳が決着すべきであると判断をされたのでありまして、私そのこと自身はあれで間違っていない、そのことのゆえに何か今日負い目を感じておるのではないかということでございましたら、別段そういうことではないというふうに私は考えております。
○山崎昇君 これは、後ほど総理がおいでになるそうでありますから、そのときにも同僚委員から直接総理の見解を聞く時期もあると思うんです。しかし、まあ何といっても、私は本当にいま申し上げましたように、少なくとも来月の初めころには重大な場面を迎えるであろう。そのときにあなた方は、ただ憂慮という言葉だけ、あるいはその気持ちだけ伝えただけでは政治的には終わらぬ段階を迎えるんではないだろうか、こう心配する一人でありますから、いま内閣のスポークスマンでもありますあなたに代表して聞いているわけです。 しかし、いまあなたから、七年前のあの決着は、あの当時としては正しかったといういま御見解のようであります。しかし、日本国民の中にはそうはなかなか受け取っておらない。新聞もこぞって社説で疑念を表明しています。この点だけは重ねてあなたに私は指摘をしておきます。しかし、あなたの日程がないようでありますから、あなたに対する質問はこの程度においておきますが、続いて外務大臣にお聞きをします。 いま官署長官にも申し上げておりますが、きわめて重大場面を迎えるのが近いうちであろうと、こう思っています。 そこで、あなたにお聞きをいたしますのは、実はあなたは二十六日の東アジア・大洋州地域大使会議で、朝鮮半島の平和と安定を維持していくことが日本の平和にとって大切である。韓国は重要な隣国であり、日韓関係を大事にしていきたいというような趣旨のあいさつをされたと聞いております。そこで私は、本当に朝鮮半島の平和と安全ということを考えるならば、これは単に韓国とだけ日本は仲よくすればいいというものではない。総理が言うように、朝鮮民主主義人民共和国、私どもこの国に参りますというと共和国というふうに単純に呼んでおりますが、この共和国との友好関係あるいは政治的な往来というものをもっともっと積極的にやらなければ、朝鮮半島の平和と安全というものは守れないんじゃないでしょうか。言うならば、軍事だけどんなに増強してみたところでどうにもならない。 それは、なぜ私がこのことをあなたにお聞きするかというと、私は昭和四十年に国会へ出てまいりましたが、四十一年に社会党の私は中央執行委員をやりました。そのころは、日中運動を私どもやっておりました際には、あれは中国の回し者である、あれは毛沢東の手先である、こう内外から批判されて、日中の友好運動やる者は何か国賊みたいな、当時私ども言われましたが、しかし中国との友好関係を結ぶ以外に日本の安全はないと私ども考えて、それ以来社会党は運動してまいりまして、御存じのように、ついにアメリカの踏み切りもありましたけれども、日中平和条約が結ばれました。したがって、いまあなた方の中には中国に対して、あれが潜在脅威だとか、あれは敵だとか、そういうことは毛頭なくなったんだと思うんです。 そういう意味で言うと、私は外交関係といいますか、政治家の往来というものはきわめて重要な平和の要素ではないか、そう私も運動を通して判断する一人です。そういう意味で言うならば、鈴木総理の言われた、この共和国との政治的な交流をもっと高めるということが私は朝鮮半島の平和と安全に直接つながる最大の道ではないかと思うんですが、今度の事件と関連してあなたの見解を聞きたいと思うんです。
○国務大臣(伊東正義君) 昨日、大使会議でいまのような私はあいさつをしまして、そのとおりでございます。朝鮮半島全部の平和ということが日本の平和、安全にとって非常に大切だというふうに私も思っておるわけでございます。ただ、先生も御承知のように、いまは韓国と日本は国交を結んでおりまして、これを重大な隣国として、友好関係を結んでいこう。アメリカも駐韓米軍というのを置いて防衛をしているという現状でございます。そういう現状を踏まえまして考えました場合に、われわれはあの朝鮮半島の平和ということで韓国と朝鮮民主主義人民共和国が話し合いを、対話をするということになったあれを何とか続けて、一つでも二つでも問題解決していけばいいなということで見守ったわけでございまして、アメリカと話すときにも中国と話すときにも、必ず朝鮮半島の平和の問題を実は私話しておるわけでございます。 現在は、いま申し上げたような状態でございますので、経済的な人の往来でございますとかあるいは貿易の問題でございますとか、文化的な往来ということを積み重ねてということでいまやっておるわけでございまして、先生のおっしゃいました政治的な問題をということでございますが、この問題につきましては、私どもいま時が時であるだけに、非常に慎重に取り扱わなきゃならぬということで、従来の方針をいま守っているというのが現状でございます。
○山崎昇君 それはきわめて消極的じゃないですか。本当に朝鮮半島の安全と平和を日本が望むならば、政治的な会談抜きにしてどうしてこれが達成できるだろうか。 先般、与党のAA研の皆さんが朝鮮民主主義人民共和国に行かれておりました。そのとき私も共和国に行っておったわけです。そして、自民党の皆さんも金日成主席に会いました。私もまた金日成主席に会いました。そして、あのときに新聞でも報道されましたが、出ましたのは、共和国としては戦争する意思はない。その能力もない。また、南を侵すという考え方は毛頭ありません。いま四十五万の軍隊を持っているが、これを維持していくことはきわめて困難であります。こういうことが会談の席上で出ました。私どももその説明を聞きました。こう考えるときに、日本のこの防衛白書等あるいはまた防衛庁の幹部の方々が、潜在的脅威ということだけで日本の防衛力増強の糧にしようなんという、そういう態度で一体朝鮮半島の平和や安全なんというのは守れるのだろうか、私はきわめて疑問に思います。そういう意味では、この金日成主席が皆さんの党の代表にもこれは語った言葉であります。直接語りました。私も聞きました。こういうことについて、一体外務大臣としてはどうこれを評価されるのか、どうこれを生かしてこの朝鮮半島の平和と安全というのを守っていかれようとするのか、重ねて聞いておきたい。
○国務大臣(伊東正義君) いまのお話で、その中の一つのたとえば南進というのは考えてないという話があったということでございますが、これは、中国の華国鋒主席とお会いしましたときにも、大平総理ともその話が出ました。私も中国でしたのでございますが、中国等でもそういうことは考えていない、あり得ないことだと思うというような話を私どもも直に聞いております。金日成主席がどう言われたかと、それ以上のことは私面直接じゃございませんからわかりませんが、そういう態度で南と南北の話をしたいということであれが始まったわけでございますので、私どもとしましては、ひとつ南北の対話が広がって本生に平和裏に話し合いができて、一つでも二つでもいろんな半島の問題が解決していくということを、希望し、またそういう環境をおつくりすることが日本のまた一つできることじゃないかというような考えで実はいるわけでございまして、いま先生おっしゃいましたすぐに政治的な交流というところまではいかぬと、非常に慎重に考えているところでございますが、われわれとしましても、韓国のこれからの政治改革の発展の仕方あるいは南北対話の進め方ということを慎重に見守りながらそういう対話がよく行われるようにというような環境づくりに、外務省としては、私としては努力をしたいというふうに思っております。
○山崎昇君 慎重に慎重にとあなた言っておって何もしなきゃ意味がないじゃないですか。やっぱり政治家は決断しなきゃなりませんからね。ですから、日中の平和条約だってこれは一つの決断ですよね。何かアメリカがやらなけりゃ日本ができないというような、そういう感想をぼくらは持たざるを得ないのです。やはり日本の外交はあなたの頭でやらなきゃなりませんね。日本の考え方で進めなきゃなりませんね。そういう意味ではいま慎重にというお話ですが、私は少なくとも外務大臣はそういう方向にもっと積極的になってほしい。 亡くなられました大平総理と華国鋒主席との会談もありました。私もまたここに一冊の「北京会談」という本を持ってきていますが、これは細川隆元さん方が中国に行かれて鄧小平副主席と会ったときの文章がここにそのまま記載されておりますね。こういうものを私ども見るときに、もう北が南を攻めるなんていうことはない。むしろどっちに危険があるかと言えば南が北を攻める危険の方が多い、こう述べられています。 こう考えるときに、私は、本当に朝鮮半島の平和と安全を守るためにはどうか慎重も結構でありますが、あなたの決断等を私は促しておきたい、こう思いますので、いずれは政治会談せねばならぬと思いますが、その時期をあなたはかっているのだと思います。なかなかいま韓国のこういう状況があってこの場で言えないかもしれぬけど、あなたの決断を促しておきたいと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(伊東正義君) 先生の御意見としてよく承っておきます。
○山崎昇君 次に、あなたに五時までという約束のようでありますから一点伺っておきますが、北方領土の問題で大変重要な記事が一つございまして、それは北海道の大学の教授で木村汎さんという方おられますが、この人が中心になっております北大スラブ研究センターというのがあります。ここで先般シンポジウムが開かれまして、そのときに大変重要なことがのせられました。それは、米国の著名な日本学者が最近「アメリカから見た北方領土」という論文を出された。その中で、北方領土問題は、「日ソを仲良くさせないために仕組まれた米国の世界戦略の一環である」と述べておられると、こういうのです。これは私は重大な内容ではないんだろうか、こう思います。 これは単なる一説でありますから、これだけで全部判断するわけにはまいりません。しかし、いずれにいたしましても、北大の教授が中心になっておりますスラブ研究センターのこのシンポジウムでこういうことが私は発表になるということは大変だと思うのです。一体これについてあなたはどういう感想をお持ちか、きょうは感想だけ聞いておきますが、あなたの見解を聞いておきます。
○国務大臣(伊東正義君) どうも不勉強で先生おっしゃったものを私見ておらぬわけでございますが、そんなことを見る人がいるのかなというまことに不思議なという感想でございます。
○山崎昇君 現実にそういうことが述べられているわけですから、私は指摘をしておきたいと思います。 それから、もう一点あなたに聞いておきますが、最近決めたようでありますけれども、特命大使を北海道に、あれは長期出張というのですか、派遣というのですか、何かよくわかりません。北海道の議会でも大変問題になって、最近何か名前も決まったようであります。一体これはどういう任務なんだらうか、どういう仕組みで北海道へ行くんだろうか、受け入れる北海道はこれ、どういう形で受け入れるんだろうか。何か新聞報道によれば、長期出張とも聞いておりますが、一体何の任務なんだろうか、あなたの見解を聞きます。
○国務大臣(伊東正義君) いま先生の御質問の点は、私ども北海道庁から正式に要請を受けまして最近実は決めたのでございます。要請は、北海道の知事の外交上の問題等についていろいろ意見を聞かれる場合にそれに答えるという点もございますし、あるいは北海道の道民の方に外交問題でいろいろ知識の啓蒙開発をするというような問題も要請の中にあったわけでございまして、私どもとしましては北海道という地域の関係、北方領土の関係いろいろこれはございます。そういうところの北海道からぜひ派遣をしてもらいたいということでございましたので、出張という形で参るということに考えております。
○山崎昇君 外務大臣との約束の時間ですから、きょうはとても詰める時間ありませんので……。 全く私は不思議に思うんです。そんなに毎日北海道で外交案件が出てくるわけじゃありません。何のために。私はあの問題が出たときに、名前は申し上げませんが、外務省の幹部の方においでいただいて、一体これは何ですかと聞いたら、外務省で迷惑ですと私に言いましたよ。結局、機構としては置かれない、それでどうにもならないから、そしてまた、人もそんなにしょっちゅうやれないから特命大使を使うんだと。言うならば、一年間たったら特命大使どこかへ大使として出られればそれで終わりです。また新しい人が行くんだ。そんなに毎日外交案件もないんだ。しかし、長期出張にするにしても特命大使は八割ぐらいしか給与もらえませんね。だから、長期出張はむずかしいんじゃないんでしょうかという話でもありました。 これはいずれ詰めますけれども、こういういいかげんなことはやめてもらいたい。知事がどういう言い方したかわかりませんけれども、きわめてこの存在あいまいですよ、何の目的でやるのか。自治体は金持ちだし、今度三百四十二万ばかり予算組んだようであります。道庁の中に部屋も準備したというんです。電話も引いた、何か女の子も配置したというんです。一体、これはどういう存在なんだろうか、私どもよくわかりません。もうしばらく私は国会等でもっと明確になるまで実施はやめてもらいたいと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(伊東正義君) 本件は、道知事から要請がございまして、道議会でも可決になったことだということで正式な要請がありましたので決めたわけでございまして、一月全部行っているということじゃないんです。これは。一月のうちに何日か行くということでございますが、もう道庁の要請がありまして決めたのでございますので、私どもは道議会の承認も得ているということでございますから、これを延ばすという考えはございません。十二月からもう実施しようという考えでいまおります。
○山崎昇君 大臣、結構でございます。 防衛庁長官、もう防衛問題専門の皆さんから長時間の質問がありました。私は防衛全く素人でありますから、素人の頭で専門のあなたにお聞きするんですが、ひとつ長官の頭で答えてほしい。あんまりメモを見て、同じメモばかり読むのだけはやめてもらいたい。そういう意味で、長官にまずお願いをしておきます。 これは、先ほど事務当局に申し上げましたから、まず最初に小さい問題でありますが、陸上自衛隊の滝川駐とん地、ここはかつて三島由紀夫や楯の会の会員が体験入隊をした駐とん地でありますが、この駐とん地に三島由紀夫の書や文書を刻んだ石碑が設置されていると私ども聞いています。これは事実関係が一体どうなっておるのか。それから、もしその石碑があるとすれば、一体どういう経緯でこの石碑が設置されたのか、あるいはその目的は何なのか。これに対する自衛隊としてはどんな考え方を持っておるのか、まずこの点聞いておきます。
○国務大臣(大村襄治君) 事実関係でございますので、官房長からお答えいたさせます。
○政府委員(夏目晴雄君) 御指摘の三島由紀夫の歌を刻んだ石碑は、陸上自衛隊の滝川駐とん地にございます。この石碑は、もともと隊員が環境美化といいますか、環境整備の一環として滝川駐とん地の正門付近に「誠実」と書いた小さな石を置いたわけでございますが、その後この駐とん地、いま御指摘があったように三島由紀夫氏がかつて四十二、三年ごろ体験入隊をしたということもありまして、そのときに記念に残した歌がございます。その歌を環境美化の一環として、その石碑がいかにも貧弱であるということで、その石碑を改修というか、台座を設けまして、その台座に隊員がみずから三島由紀夫氏の体験入隊の記念に残していった歌を自力で刻んだというものでございまして、これは慰霊碑とかそういうものではございませんし、三島由紀夫氏を賛美するというものでもなく、単純に環境整備、環境美化の一環として行ったものというふうに理解しております。
○山崎昇君 環境美化と言うだけでは済まされないものがあるんじゃないでしょうか。私どもはやっぱりこの問題を見たときに、三島由紀夫の思想や行動というものを、あえて少しオーバーな表現になるかもしれぬが言えば、この駐とん地に勤務される自衛隊の皆さんは、それこそこれを美化して、あるいは称賛をして、ということが背景にあるのではないか、そう私ども受け取る。これが素直ではないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 本件につきましては、先ほど申し上げたとおり、隊員の中に器用な人間がおりまして、この石碑を何とかかっこうのいいものにしたいということから、かねがねあった石碑の台座として三島由紀夫氏のうたった歌が非常によろしいということで、隊員がみずからこれを刻んだということであって、特段の意図のあるものではないというふうに聞いております。
○山崎昇君 これ、長官に伺います。 こういうものを置かなければ美化になりませんか。駐とん地の美化というのはこういうものを置かなければなりませんか。むしろやっぱり思想的に誤解の受けるようなことをやめた方がいい。言うならば、違う方法で美化したらいいと思うんですよ。駐とん地の前を飾るなら飾ってもいい。しかし、これは私は政治的に言うならばやっぱり撤去すべきものではないか、こう思いますが、長官どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 ただいま政府委員から述べましたとおり、この石碑ができましたのは三十五年四月、大分前でございまして、それが滝川駐とん地内の環境整備、各中隊ごとに担当部門を設けましたので、担当中隊が自発的に、石碑というよりも、大きい石を置いてそれに自発的に「誠実」という文字を彫った、こういう事実がまずございます。 その後、四十六年十月、十年ほどたちましてから再び環境整備の再点検を行った際に、同中隊の隊員が「誠実」という文字を彫った石と周辺環境とのよりよい調和を図るために台座を新たに設け、故三島由紀夫氏が体験入隊した際詠んだ歌があることを思い出し、隊員の発議でこの前面にその歌を彫った、こういう経緯でございます。 また、その歌の内容も文字的なものでございまして、ちょっと読んでみますと、「深き夜に暁告ぐるくたかけの若きを率でぞ越ゆる峰々 公威書」と本名を刻んだわけでございまして、ちょっとその報告を受けた限りにおきましては、そう何といいますか、刺激的なものではない、文学的な体験を詠んだ歌がしるされているということでございまして、この限りにおきましては、先ほど政府委員がお答えしましたとおり、そう社会的に非難されるべきことではないというような感じを受け取っておるわけであります。
○山崎昇君 しかし、三島由紀夫のあの最後の異常な死に方一つとってみても、これはやはり私ども疑問視をしなきゃいけません。そういう意味ではいまあなたすぐここで撤去しますなんて言えぬでしょう。再検討願っておきます。 次に、あなたに私は物の考え方としてまず二、三お聞きをしたいんですが、実はことしの一月二十九日にアメリカのブラウン国防長官が米議会に提出いたしました一九八一年度の米国国防報告というのがありますが、これは大変大きいものでありますけれども、私はその中で一つ注目をしておかなきゃならぬなと思っておりましたのは、ソ連の軍事力増強に対応するため、日本、米国、西欧による合同防衛計画の努力の必要を強調している。この点は、私はいますぐそうなるのかどうかわかりませんが、集団安全保障体制への布石となるのではないかと考えるわけです。そういう意味で、この報告をされました日本、米国、西欧による合同防衛計画というものが一体その後日本に何か話があるのか、あるいはもしあったとしても一体それはどういうふうに防衛庁としては対応したのか、これはひとつ長官から私は答えてほしい、役人はいいです。あなたの考えを聞きたいんですから。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 いま先生御指摘の合同防衛計画の提案はこれまでになされておりません。また、集団保障体制への布石ではないかというお尋ねでございますが、わが国に関する限り、御承知のとおり、憲法の許される範囲におきまして自衛のための実力を保持することのみが許されているわけでございますので、集団保障体制へ参加することは憲法上許されないと考えるわけでございます。
○山崎昇君 それじゃ、これに応ずる考えもないし日本としてはできません、こういうことになりますな。それは確認をしておきます。
○国務大臣(大村襄治君) そのとおりであります。
○山崎昇君 次に、これもお聞きをしておきますが、ことしの一月二十日竹田統幕議長が記者会見をやりまして、去年の十月にブラウン国防長官が日本に来られた際に、日本と米国と西欧使用の防衛装備品などの画一化などをすでに求めておると言われております。この米側の意向が去年の秋ごろから大変強くなったとも私ども聞いておるわけなんですが、一体この日本、米国、欧州、これの装備品が画一化されるということ、規格が同一化されてくるということになると、これは武器の輸入等々の問題とも関連して、私は大変重要な点をこの統幕議長が述べたんじゃないかと思うんですが、その点は一体どういう現状にあるのか、あるいは全くやってないのか、やる考え方がないのか、その点まずお聞きをしておきます。
○国務大臣(大村襄治君) 装備品をできるだけ歩調を合わせた方がいいではないかという話はございます。そこで、ことしの九月に装備局長を先方へ派遣いたしまして、先方の担当者と第一回の打ち合わせを行いました。しかしこれは第一回でございますから、手順を相談した程度で、内容までは入っておらないわけでございます。その後またその次の話し合いをしようということになっておりますが、まだその後行われておらないわけでございます。詳しい内容は、もし必要があれば担当の装備局長から御説明させたいと思います。
○山崎昇君 そうするとあれですか、ことしの九月に第一回の打合会をやった、そういう方向を防衛庁はとっているんですな。そうすると、一体、第一回をやりました際、これは相当なことを打ち合わせやっているんじゃないかと思いますが、それは装備局長から説明を求めておきます。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 先生御存じのとおり、もともと自衛隊というのはアメリカが当時持っておりました、中古と言ってはぐあいが悪うございますが、そういった装備品から出発しておりまして、そういった意味から言いまして、アメリカとNATOヨーロッパの間等と比べますと、日米間の装備品の共通化というものはある意味で非常に進んだ状況にございます。ちょっと例を挙げましただけでも、主要なる火砲はほとんどが、少なくとも工程は一緒でございますし、また米国から供与を受けましたものにつきましては、そもそもこれについては完全なる共通化ができておる。それから、主要なる航空機につきましても、04、F4、F15、それからP3C、E2C、これは皆米国との共通化が基本的にできております。それから、ナイキ、ホークシステム、こういったものも同じでございますし、また、今度導入を考えておりますところのスティンガー等につきましても同じようなことが言えるわけでございます。また、航空機用のミサイル等につきましても、ファルコン、スパローその他サイドワインダーあるいはハープーンとかシースパローとか、きわめて共通化の部分が多いというのが現実でございます。 それでは、なぜ共通化の話し合いをしたかといいますと、そういうふうに基本的にはかなり共通化が進んでおりますけれども、なお補給性、維持性、そういったような面からいたしまして、日米の間でできる分については共通化しなきゃいけない。もちろん、片や国産の技術ベースの、技術の基盤を保たなければいけないということにつきましてはアメリカにも言っておりまして、アメリカもそれは認めるということをはっきり公式に、正確に言うと文書でも認めておりますけれども、そういうことはわれわれとしても主張しておりますけれども、できるものにつきましてはそういったような補給性というようなことから共通化について努力をしているということでございまして、そういったような可能な点につきましては今後とも共通化を推進していこう、こういうような基本的な認識、共通の認識に達している、こういうことでございます。
○山崎昇君 私は、これはやっぱり兵器の輸入問題とも関連するし、それから、少し思い過ぎかもしれませんが、アメリカの強い要請であなた方がそういうことをやるということは、これはアメリカへのてこ入れといいますか、あるいはアメリカの兵器を輸入することによってアメリカ経済の一つのてこ入れみたいにも見えるし、あるいはもっと言えば、先ほど申し上げたような点と関連をして、やりませんという返事ではありましたが、どうも事実上集団安保への方向に私は行く危険性もまたあるのではないか、持つ兵器みんな画一化して同じものでやろうというわけですから、その中心は補給だというのですから。こう考えるときに、きわめて私は危険性を感じます。 したがって、この点は長官、私は全くメリットがないなんという意味で申し上げているわけじゃありません。反対ではありますけれども、事柄自体ではそれはメリットもあるかもしれません。しかし、政治的に判断する場合に、私は余りいい方法ではないんじゃないか、こう思うんですが、あなたの見解を聞いて、次の質問にしたいと思うんです。長官どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 防衛庁としましては、兵器の選択をどうするか、輸入がいいか、ライセンス生産がいいか、あるいは国産で技術開発したものを採用するのがいいか、それはケース・バイ・ケースで純粋に軍事的な見地から判断すべきものであると考えているわけでございます。ところで一方、日米安全保障条約がございますから、これの効率的な運営を図ることにも配意すべきことはこれまた当然でございます。兵器選択の基本原則を踏み外さない限りにおきまして、共通する面があればこれを歩調を合わすということは私は差し支えないのではないかと思っております。御懸念されております集団安全保障体制に踏み切るというような気持ちは毛頭持っておりませんので、基本原則はしっかり踏んまえてまいりたいと考えております。
○山崎昇君 次に、あなたの見解をお聞きしておきますが、極東の平和と安全が脅かされているという判断は、もしそういう事態が起きた場合の判断は、これはアメリカがやるんですか、防衛庁がやるんですか。これはどこがやるんですか。あなたの見解を聞きます。
○国務大臣(大村襄治君) お尋ねが極東の安全といきなりおっしゃいました。これは安保条約の関連でのお尋ねではないかと、ちょっとその点もひとつ教えていただきたいと思うわけでございます。
○山崎昇君 安保条約に関係ありますよ。ありますが、よく政府は、極東の安全と平和が保たれるようにというのが安保条約の趣旨でもあるし、任務でもあると、こう言われてきたわけですね。ですから、極東の平和と安全というのが脅かされているんだ、そういう判断は一体どこがやるのか。アメリカがやるんだろうか。アメリカが、これは極東の安全と平和が脅かされておりますよというのでアメリカが出動する。一体日本はどうなりますかという意味で、この判断はどこがやるんだろうか。私はどうも素人で余りよくわからぬものですからあなたの見解を聞いているんですが、どこがやりますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 防衛庁といたしましては、わが国の安全と独立を守ることが任務でございますので、わが国以外のことをお尋ねくださいましても、ちょっと私がお答えするということはいかがかと、安保条約の問題でございますればまたこれ外務省の関係もございますし、その辺と協議してお答えいたしたいと、こう思うわけでございます。
○山崎昇君 ああそうですか。自衛隊には関係ありませんか。防衛庁には関係ありませんか。それは外務省のことでございまして、防衛庁には関係ありませんといういまあなたのお答えになる。こんなばかなことを防衛庁が考えているとしたら、一体何なんだろうか。これは、きょうはとても――総理が四十分ごろおいでになるというので、私は細かに詰めたいという気持ちを持っておりますけれども、できないと思うから、ただ、きょうあなたの見解だけは私は聞いておきたいと思っていま聞いているわけです。
○国務大臣(大村襄治君) ちょっとお尋ねの趣旨がよくわからなかったもので不十分だったかと思いますが、わが国の防衛に関することであればわが国みずから判断すべきことは当然であると、こう思っております。
○山崎昇君 そうすると、長官、防衛庁はわが国の安全を守るためにあるわけですな、専守防衛だというのですから。そうすると、安保条約で極東の安全と平和というものが出てくる。その判断は防衛庁はあずかり知らない、アメリカさんがやるんでしょうと、こうなると思うんです。アメリカがあくまでもそれは脅威だと判断をして在日米軍が行動を起こした場合に、これをとめ得る何か法的な根拠がありますか。これをとめ得る何か根拠がありますか。なければアメリカの判断だけで日本は戦争に巻き込まれてまいりますよ。その点はどうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お尋ねのような場合であれば、また安保条約に基づく事前協議がありますから、わが国がその場合には判断する、こういうことになろうかと思います。
○山崎昇君 まあ、これ防衛庁長官というのはしっかりした考えないから、きょうはあなたの見解だけをお聞きしてとめておきますが、いずれこれは相当詰めなければならぬ問題だと思っております。 それから次に、あなたのこれまた見解を聞いておきますが、昭和五十一年の十月二十九日にいま盛んに議論になっております「防衛計画の大綱」というのが閣議決定になったわけですね。そこで閣議決定するときの条件といいますか、理由といいますか、私ども承知する限りは五点あったと聞いております。 そこで、そのうちのまず第一点の、米ソが軍事的にバランスがとれており、かつ双方とも平和共存を続けるであろうという、こういう判断のもとにこの防衛大綱というものが一つは想定された。こう聞いているわけなんですが、もしそうだとすれば、いまもこういう考え方の上に立っておるでしょうか。これは情勢分析の一つでありますから、長官にお聞きをしたいと思うんです。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 米ソの軍事バランスの点でございますが、防衛計画の大綱が策定された五十一年当時の状況と今日の状況を見ますると、その後ソ連の軍事力の増強に目覚ましいものがある。アメリカの方はどちらかというと横ばいであった。そういうことで、従来ありました格差と申しますか、そういったものが非常に狭まってきているという感じがいたします。しかしさらばといって、バランスが著しく変わってきている、あるいは差し迫った危険が出てきている、そういった状態にはまだ達していないと、そのように判断いたしておるわけでございます。
○山崎昇君 そうすると、恐らくあなたは軍事予算を中心に判断されていると思うんですが、米ソの軍事バランスというのは、いまのところ予算面で見れば多少ソ連の方が多く持っている。しかし、全体として言えば米ソの軍事バランスというのはそんなに崩れていない。平和共存という方向もいま崩れているわけではない。多少ぎくしゃくした点はありますが、その方向はこれからもとっていくであろう。これが大きく崩れて戦争になるなんていう考え方はありません。そう言えば、この大綱をつくったときの第一の点であります平和共存という考え方はいまも生きている。軍事バランスも多少のことはあるけれどもそんなに崩れているわけではない。こう判断をしているととってよろしゅうございますか。
○国務大臣(大村襄治君) 米ソのバランスにつきましては、私は主として軍事能力の点で申し上げたつもりでございます。予算の点だけで申し上げたわけではございません。 そういった点から言いますと、核戦力、通常戦力を通じまして、七〇年代に入ってからのソ連の軍事力の増加には著しいものがあると考えておりますが、この総合的な判断におきまして、米ソの全体のバランスが大きく逆転するような段階には来ているものとは考えないわけでございます。そういう意味におきまして、核の使用を含む大規模な戦争の差し迫った危険はない、こういうふうに考えているわけでございます。 なお、関連してつけ加えておきますと、五十一年の防衛計画の大綱策定をしましたときにおきましても、小規模の局地的な紛争の起こる可能性があるということは大綱策定当時の文書にも明記されている、そういった点は今日におきましてもまだ引き続き続いているんではないか、そのように考えておるわけでございます。
○山崎昇君 ですから、私の聞いているのは、この防衛大綱を決めたときといま多少のジグザグの点はあるけれども、大筋としてそんなに情勢としては変わりはないんだと、こういう認識ですかとあなたにいま聞いている。
○国務大臣(大村襄治君) 大体そうでございますが、特に昨年末のアフガニスタンへのソ連軍の侵攻以降、米ソ間の信頼関係に大きな揺らぎが生じているという事実もございます。よほどその平和維持の努力を続けなければいけない問題であるというふうに認識しておるわけでございます。
○山崎昇君 だから、多少のジグザグはあるにしても、大筋としてはこの方向はそう変わってないというあなた方の認識ですかと私は聞いている。そのとおりでいいですね。
○国務大臣(大村襄治君) 相当な変化はございますが、核戦争を含めての大規模な戦争の差し迫った可能性はないという意味においては、策定当時と変わりがないと、こういうことを申し上げているわけです。
○山崎昇君 まあ総括して言えばそんなに変わっているという点は見当たらないということです。 それから第二点は、中ソ対立は部分的にはいろんな修正があっても当分の間続くであろう、こういう分析に立ったと言われておりますが、この点については、あなたどういう見解を持ちますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 現在のところそのような判断をしておりますが、将来また両国の関係が改善される可能性がないとは判断しておりません。
○山崎昇君 私の質問に的確に答えてくださいよ。 私だって将来どうなるかなんという見通しを持っているわけではない。ただ、あの防衛大綱をつくるときにいろんなことがあるにしても、当分この中ソの対立は続くであろう、こういう見通しの上に立てたと、こう言われるから、この中ソの対立というのは鄧小平さんなんかは断じてこれは解消しないと、こう言うわけですから、私はこれも当分続くのではないか、こう思うんで、その考え方に誤りありませんか。
○国務大臣(大村襄治君) そのとおりであります。
○山崎昇君 それじゃ第三点、お聞きします。 米中の国交正常化が当時、進むであろう、こういう判断をされましたが、すでにこれは国交が正常化されました。また、日中間では平和友好条約が結ばれました。そういう意味で言うと、米国と日本、日本と中国、中国と米国、この関係は一段と緊密化なってきて、防衛大綱をつくったときよりもこの間の情勢というのはきわめてよくなった、こういうふうに防衛庁判断しますか。
○国務大臣(大村襄治君) そのとおりであります。
○山崎昇君 そのとおりですね。 第四点、日米の友好関係が続き、かつ安保条約が有効に持続するであろうこと、これはもう安保条約やめたと言わない限り続いていくし、あなた方は外交の方針も日米が基軸だと、こう言うんですから、当然この判断は今後も持っていいのではないか、こう思いますが、どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) 日米安保条約を堅持していくことは変わりありません。 ―――――――――――――
○委員長(林ゆう君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、山内一郎君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。 ―――――――――――――
○山崎昇君 第五点、朝鮮半島における平和と安全が保たれる、こういう判断を示しているようであります。そこで、先ほどちょっと全大中問題に関連して朝鮮の問題を私は申し上げましたが、また先般の金日成主席の私どもとの会見あるいは自民党のAA研の諸君との会見等々を通じて、あるいは先ほどもちょっとお見せいたしましたけれども、細川隆元さんなんかの中国訪問におきます対談の内容、また私は四年間連続してソ連へ行っておりますが、ソ連と私ども、ソ連共産党中央委員会との会談を通じても、いま南と北との間には緊張状態というのはない。戦争が起こるという可能性もない。これが朝鮮民主主義人民共和国を支持しております国々の一致した見解であります。こういう点を考えると、この朝鮮半島におきます平和と安全というのは、いろんなことありますけれども、私はいまのところ保たれている、危険というものはあり得ない、こう判断いたしますが、当時もそういうことが基礎になって大綱がつくられたと聞いておりますが、その判断に間違いありませんか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 大綱策定当時におきましては、朝鮮半島においてはおおむね現状で推移し、少なくとも大きな武力紛争は生じないであろうこと、そういうふうに想定しております。その点は余り変わりがないと思います。
○山崎昇君 そうすると、防衛大綱をつくったときの、ほぼ五点に集約されたと言われていますこの情勢分析というのがほとんど変わらない。そうなると、防衛大綱を見直すとか、直すとかという結論は出てこない。この大綱に私どもは反対ですけれども、大綱に基づいてあなた方は防衛力というものをやる以外にないのではないんでしょうか。ところが最近、防衛大綱の見直し論だとか、さまざまなことを言われておりますが、その背景がよく私どもにはわからない。そこでいまあなたにこの五十一年の大綱をつくったときの五点にわたります情勢というものをお聞きしたらほとんど変化がない。第一点に聞きました米ソの軍事問題については多少ジグザグの点ありますが、それも大きなそう変化ではない。そうすると、長官どうですか。この防衛大綱を見直すとか直すとかという結論は出てこないんですが、そう理解していいですか。
○国務大臣(大村襄治君) 先ほど御質問に対してお答えしました際、米ソ間の問題につきまして、私は核戦争を含む大規模な戦争の差し迫った危険はないという点においては変わりはないと申し上げたわけでございますが、最近は特にアフガニスタンへのソ連の軍事介入とこれに対する西側の対抗措置等により東西対立の様相を深くしている点は先ほども申し上げたとおりでございます。また、わが国周辺の軍事情勢も極東ソ連軍の顕著な増強によりわが国に対する潜在的脅威が増大しているということはしばしば申し上げているとおりでございます。特に北方領土への地上軍部隊の配備、空母ミンスク等の極東回航などによる太平洋艦隊の増強、SS20、IRBM、バックファイア爆撃機の配備等に示されるような客観的な事実が積み重なってきているわけでございまして、私どもはその全体からいたしまして、わが国の安全保障にとって潜在的脅威の増大であると考えているわけでございます。 私どもといたしましては、このような情勢を念頭に置きながら、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成するための防衛努力を払う必要があると考えているわけでございます。
○山崎昇君 私はそんなことを聞いていませんよ、あなたに。聞いたことに答えなさいよ。だれが書いた作文か知らぬけれども、一国の防衛庁長官が人の書いた作文を棒読みするような答弁やめなさいよ。あなたの頭で答えなさい。全く遺憾だ、いまの態度は。 私は、先ほど具体的にあなたに防衛大綱をつくるときの論点を整理して聞いた、一つ一つ。もちろんアフガンの問題も起きたことも承知していますよ。しかし全体としてはそんなに大変化があったわけじゃない、日本から見た場合に。だから、そういう意味で言えば防衛大綱を直すという理屈が出てこない。そういう意味であなたにわざわざ私は五点にわたって聞いた。 なお、重ねてあなたにお聞きしますが、同じ昭和五十一年にこの防衛大綱の基礎になった基盤的防衛力の構想というのが出されました。これを決めるときのこれまた理由というのが、私が承知する限り三点あると聞いております。その一点は、デタントという、緊張緩和という方向がとられる。第二は、石油ショックでエネルギーが大変だということ。第三は、その石油ショックによって高度経済成長政策がもうとれない、言うならば財政が大変だ。そういうこともあってGNPの一%以内ということもあわせてこのとき決められているんですね。 こういうことからずっと私ども考えてみると、一体いま日本の風潮として、大変この防衛力増強だけやろうとする動きになっているようでありますが、そういう結果は出てこないんじゃないでしょうか。そういう意味では、私は中業の前倒し実施だとかアメリカの要請だけ受けて――自主的判断と言っていますが、背景はそこにあることはもう御存じのとおりですね。そういうことで日本の防衛力増強なんということはこんりんざい私は許されないと思っているんです。 もう総理参りましたから、私は、約束どおりでありますから、質問途中でありますがやめますけれども、防衛庁長官のひとつその頭で答えてくださいよ。何にも聞かないことあれこれあれこれ述べて、人の書いた作文読まぬで、あなたの考えで答弁してもらいたい。 これはおたくの福田さんが書いた本です。私は詳細に読ましてもらいました。あるいはその他防衛に関するやつは多少でありますけれども、私ども読ましてもらっている。これなんか「自衛隊はかならず敗ける」という表題の本であります。それはさておいて、私はやっぱり相当慎重に考えなきゃ、軍事力だけ増強して財政がひっくり返って日本の民生が不安を生ずることのないようにしたいと思っているものですからいまお尋ねしているので、中途半端になって恐縮でありますけれども、最後にあなたのもう一遍考え方を聞いて、約束でありますから質問を終わります。
○国務大臣(大村襄治君) 先ほど来、山崎先生がお述べになりましたように、防衛計画大綱策定当時のわが国をめぐる状況と今日の状況との間におきましては相当な変化もあったわけでございますが、先生が大筋と言われる核戦争を含む大規模戦争の差し迫った危険はないという点におきましては変わりがないわけでございます。しかしながら、その間における極東ソ連軍の増強、いろいろな諸般の情勢からいたしまして潜在的な脅威は増大しているものと受けとめております。また、これを念頭に置きながら、現在の防衛計画の大綱を変えないで、大綱の範囲内で防衛力の堅実な増大を図る。特に大綱の示しております質的充実を図るということに重点を置いているのは私の主義でございますので、いろいろ申し上げまして大変失礼いたしましたが、最後のお答えとさしていただきます。
○矢田部理君 総理にお伺いをしたいと思いますが、今国会のスタートは何と言っても憲法問題であります。恐らくこの内閣委員会の総理に対する質疑がある意味では締めくくりになろうと思いますので、その意味でも憲法問題からまず入っていきたいと考えております。 総理は、今度の国会で幾つかの憲法問題があった中で、最終的には現行憲法を堅持する、あるいは擁護するということを一面で明らかにされました。それは総理としてのようであります。ところがもう一面他方では、自局党の総裁としては自主憲法の制定に努力をするということを、少なくとも自民党等には明らかにされているようであります。一人の人間が一方では憲法を擁護する、他方では改憲のために努力をする。どうしてこういうことができるのですか、その点についてまず総理の考え方を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんから憲法の問題についてお話がございました。憲法九十九条に明記されておりますように、国務大臣、公務員等は憲法を尊重し、これを擁護する義務を負っておるわけでございます。鈴木内閣におきましても、現行憲法をあくまでこれを尊重し擁護していく、改憲など毛頭やる考えは持っていないということを繰り返し明確にいたしておるところでございます。 私が一方、自由民主党の若い年次の諸君に、今回の国会において憲法問題が相当の時間をかけて論議をされたが、憲法を尊重擁護するということと、九十六条によって憲法についていろいろ議論をしたり意見を申し述べるということは矛盾するものではない、憲法に違反するものでもない、そういうことが国会の論議を通じて明確になったことは、私はそれなりの意義があったと考えておる。従来とかく憲法論議を国会でするということはタブー視されておるということ等からいたしまして、それなりの意味があった。こういうことを申し上げますと同時に、ただいたずらに改憲改憲と言っていてもだめだ、十分勉強をしなさい、そういう意味で、党の立党の綱領にもあることではあるが、とにかく憲法調査会等においてじっくり勉強をすべきであって、どこをどうするという具体的な党としての結論がなくて、これをただ声を大きくしても意味はないぞ、こういうことで、じっくり慎重に勉強することを若い諸君に指導した、こういうようなことでございます。 私は、憲法の改正というようなことは慎重の上にも慎重にしなければいけない、国民世論の動向というようなことも十分見きわめなければいけない、そういう考えを基本的に持っておるわけでございますから、ただ声を大にして改憲改憲ということでなしにじっくりと勉強しなさい、こういうことを言っておるだけのことでございます。
○矢田部理君 そうしますと、総理としては、あるいは自民党総裁としては勉強しなさいと言っているだけであって、自主憲法制定論を促進するような動きは一切しないということでもあるのでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いまも申し上げましたように、自由民主党におきましては憲法調査会でいま調査研究を進めておる段階でございます。まだどこをどうするという具体的な結論などは出ておりません。これが憲法調査会で結論が固まり、それを総務会にかける、総務会の議を経て、憲法というような基本法でございますから、党大会にもかけて党議として決めなければいかないわけでございます。そういうことなしに、現在改憲論議をただ振り回すというようなことでは意味がない、党議はどこにも決まってない、じっくり腰を据えて勉強するところはしなさい、こう言っておるだけでございます。
○矢田部理君 したがって、具体的な努力は総裁として進めもしないし、するわけではないということになりますね。 そこで、総理からも御発言がありました、自民党が結党のときに政綱をつくりました。その政綱の重要な一つとして自主憲法の制定をうたい上げたわけでありますが、この自主憲法の制定というのは現行憲法に対してどういう理解、どういう問題意識を持ってこういう政綱を掲げたことになるのでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、立党当時、この政綱の作成に携わった人間でございませんので、十分その辺のことを定かにいたしておりません。しかし、憲法九十六条という憲法自体が改憲の手続等も定めておるというようなこと等もあり、また憲法が制定された当時のいきさつ等からいって、党として憲法改正についても、党の目標というか、方針というか、そういうものを政綱の中にうたったものと、このように考えております。ただ、先ほど来繰り返して申し上げますが、やるかやらぬか、どこをどうするかということはまだ自由民主党では何も決まっておりません。したがって、何も決まっておりませんから、これを党として改憲を推進をする段階ではない、このように考えております。
○矢田部理君 現在の状況については伺いましたが、少なくとも政綱をつくった、政綱で自主憲法制定をうたい上げたということになれば、単純にいまの憲法に改正手続があるから自主憲法をつくりますということになったわけではないでしょう。 それから、総裁として私はそれにかかわっていないからわからないというのも少しくどうなんでしょうか。少なくとも現行憲法に改正すべき点ありと考え、この点に欠陥ありと考えたからこそそういう基本方針を打ち出したのではないんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) その点が現在も憲法調査会で議論をしておりますが、どこをどう改正するかということは党としてまとまっておりません。いわんやその当時におきましても、私は、どこをどうするという具体的な改憲の案というものはなかった、こう考えています。
○矢田部理君 具体案があったかどうかではなくて、少なくとも党の綱領としてあるいは政綱としてそれを明記をする、しかも憲法というのは一国の基本方針、国の基本的なあり方を決めるものでありますから、現行憲法とは別に自主憲法を制定するんだということになれば、それなりの理由、それなりの根拠――ただ軽率に改正手続があるとか行きがかり上やったんだということにはならぬと思うんです。明確な骨子とか草案がないまでも、それはどうだったのかと伺っているんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はこういう率直な男でございますから申し上げたのでありますが、その辺は定かに承知いたしておりません。
○矢田部理君 では、こう伺いましょう。 現行憲法の九条――防衛問題の論議の焦点になるわけでありますが、これは総理、総裁としてこの条項でよろしいとお考えでしょうか、それとも問題ありとお考えでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、憲法九条を含め、前文から最後の条章までを含め、現行憲法をあくまで尊重し、擁護していく、これを改憲を進めることは鈴木内閣においては考えておりませんということを繰り返し申し上げております。
○矢田部理君 改憲しないということはわかりましたが、その前提として現行憲法九条の条項はそれでよろしいという評価をされていますかと伺っているわけです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 責任ある私がここでしないという大方針を持っておるのに、各条項についてあれこれ申し上げることは適当でない、こう考えています。
○矢田部理君 あれこれじゃなくて、憲法の重要な部分についてこの条項を是としていくというお考えの上に擁護論を打ち出しているんだろうというふうに一般的には考えられるわけですが、そういうふうな言われ方をすると、是とはしないがしかし現行憲法がある以上は守りますというようにも聞こえるわけなんで、その点念のために伺っておるわけであります。
○国務大臣(鈴木善幸君) どうか矢田部さん、私が申し上げておることをそのとおりにひとつ御理解を賜りたい。 私は、現行憲法を鈴木内閣においては改正する意思は毛頭持っておりません。
○矢田部理君 もう少し具体的に伺いたいと思います。 憲法九条について、私たちは自衛隊も持てない、違憲だと考えています。ところが、政府は現行憲法の立法の趣旨や文言の解釈を非常にねじ曲げて、防衛のために必要な最小限度の実力は持てる、あるいは専守防衛ならばいいんだというふうに言っておるわけでありますが、専守防衛ということについて総理はどう理解しておりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 独立国家として外部からの急迫不正の侵略、そういうものについてこれを守っていく、そういう自衛権が存在をするということは、これは私は学問的にもまた現実に日本国民の中にも定着をしておる、このように考えております。 憲法九条をどうするかとかいう問題は、これは議論は先ほど申し上げたとおりでありますが、私は憲法九条は自衛権まで否定するものとは考えておりません。これは明確に政府の考えとして明らかにしておきたいと思います。
○矢田部理君 質問の仕方を変えますが、専守防衛という考え方は憲法上の原則だ、九条から出てくる当然の帰結だというふうに位置づけられておりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、自衛の範囲を超えない、そういう必要最小限度の実力を持つ、防衛力を持つと、これが専守防衛であると思います。その必要最小限度の防衛ということを線を越えて軍備を拡充をする、あるいはまた防衛という範囲を乗り越えてこちらから相手方を攻撃をする、こういうことを私は自衛権の中には考えていない、こういう観点に立ちまして専守防衛ということを申し上げておるわけでございます。
○矢田部理君 一、二具体的な例を示してお聞きをしたいと思いますが、来年度の防衛庁の予算要求の中に新たに調達すべき装備等が幾つか予定をされております。その一つに、たとえば輸送機でありますが、C130というのがございます。これはかつて防衛庁がC1という輸送機を導入する際に検討のテーマにのった機種でもあるわけでありますが、そのときに防衛庁はどう説明をしておったかというと、C130は足が長過ぎる、航続距離が長過ぎる、専守防衛のわが国には必要ないと、だからC1を採用するんだと、こういうふうに説明をしてきたんです。ところが、どうでしょうか。いよいよこの十二月二日から開かれる国防会議、総理あなたが議長です。そこにその装備の導入を求めるために、それを含むやっぱり説明といいますか、国防会議にかけるという運びになってくる模様でありますが、こういうことについて総理、どうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、まだそのことを具体的に報告を受けておりませんから、事務当局から答弁させます。
○政府委員(塩田章君) C1の選定の当時にすでにC130が存在しておって、にもかかわらず当時C130は距離が長いから、足が長いからC1を選定したんだという趣旨のお尋ねでございますが、C1を選定いたしました当時に確かにC130は存在しておりましたけれども、これを導入しなかったのは、一つには、当時C130を導入するとした場合の常用可能な航空自衛隊の飛行場が二カ所しかなかったということが一つと、わが国の地理的条件等を勘案いたしまして飛行機の短距離離着陸性を重視したということが一つと、米軍におけるC130の将来計画が明確でないため、導入した場合には整備補給等の面で困難を伴うおそれがあったといったようなことを勘案いたしまして、当時C130を断念しましてC1に踏み切ったという事情でございます。
○矢田部理君 それは滑走路がないとか、使える飛行場がまだ不十分だとか、C1は滑走路がなくても走れるとか、いろいろありますよ。しかし、有力な問題の一つに防衛庁自身が答弁しているんですよ、専守防衛との関係。航続距離が四千キロもあるような足の長い飛行機は専守防衛のわが国には必要ないのだと、防衛庁自身がそう言っておって、今度は来年アメリカのロッキード社から六機買うことになっている。こういうことがやっぱり次々にまかり通るという事態が、総理、問題なんです。ですから、総理は国防会議の議長として、特にシビリアンコントロールの一番頂点におられるわけでありますから、過去のいきさつ、防衛庁が説明してきた理由は次々と変えられていく、言葉づらだけで憲法は守りますとか、専守防衛に徹しますとか言ってみても、現実にはそれが突き破られていく過程が次から次へと出てきていることが問題なんであります。 その点については、国防会議の議長として、とりわけ今度は具体的な議題になるわけでありますから、十分に精査をし抑える対応をしてほしいと思うんですが、総理の答弁を求めます。
○国務大臣(鈴木善幸君) シビリアンコントロールの問題につきましては、私も厳格に考えております。 国防会議の構成は御承知のとおりでございます。国防会議で方針が決まればこれを閣議に諮らなければいけない。そして、いま御指摘のようなものを購入いたします場合、これは予算として国会の御承認を得なければいけない。私は、わが国の防衛に関する最高の最も権威あるシビリアンコントロールは国会であると、このように心得ておるわけでございますから、そういう点を無視して防衛庁が独走できるような体制にはなっていないということは明らかでございます。
○矢田部理君 時間の関係がありますので、話題を変えたいと思います。 総理は、韓国についての認識でありますが、韓国の平和と安定は日本やアジアの平和と安定にとってきわめて重要である。そのためには日韓協力が必要だと、こういう認識に立たれておるのでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
○矢田部理君 そこで、その日韓関係にとっていま一番重要な問題の一つは、金大中氏事件であるという認識でもありましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いままでの経過等からいたしまして、日本国民並びに国会、政府の最も関心のある問題でございます。
○矢田部理君 そこで、金大中氏の身柄をめぐる状況についてどういうふうに受けとめられておるかということでありますが、この十一月二十一日に須之部大使が帰国をし、韓国の金大中氏をめぐる今日の状況について報告をしたとされています。これは外務大臣に対する報告かもしれません。その報告が、伝えられるところによりますと、金大中氏の処刑についてはきわめて重苦しい、事態は予断を許さない、最悪の事態もあり得るという厳しい報告をされたというふうに伝えられています。事実、大法院の判決が来月には下る、原審を覆すという見通しはまず皆無に近い。その後の大統領の特赦もきわめて悲観的であるということも含めて報告なり情勢認識が、いま一般的になされておるわけであります。現に一部の伝えられるところによりますと、判決は意外に早い、十二月五日判決、八日処刑というような厳しい状況まで今日伝えられてきておるわけでありますが、金大中氏の身柄をめぐる今日の緊迫した情勢について、総理としてどう理解をされておられるでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府は、今日まで情勢の推移を慎重に見守りながら、日本政府として金大中氏の問題については重大な関心を持っておる、さらにまた憂慮をしておるということを表明をし、これを韓国政府にも伝えてまいったところでございます。 現在、矢田部さんがおっしゃったように、金大中氏の身柄がどのような状況に置かれておるかということについては、これは現在韓国の裁判によって審理が行われておる段階でございますから、それにつきまして私どもが軽々に判断を示すというようなことは避けなければいけない、避けた方がいいと、このように考えております。
○矢田部理君 総理の耳にも入っていると思うんですね。日程的にも、総理が韓国の駐日大使を呼ばれて、というか表敬訪問だと言われておりますが、そのときに重大な関心と憂慮の表明をされたということは、その前提の認識として、すでにもう大法院の判決が近い、大法院自身は書面審査でありますから、もういきなり判決という事態になる可能性はきわめて強いわけであります。その判決の見通しなりそれを取り巻く状況なりについて総理なりの認識、厳しい認識があったがゆえにそういう表明をこの時期にされたのではないんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 崔大使は赴任以来、私に表敬をしたいという希望の表明を外務省を通じましてしてこられておったわけであります。時間の関係その他で延び延びに相なっておったわけでありますが、ちょうど時間の差し繰りもつきました段階で、崔大使の方から表敬にお見えになったものでございます。私の方から崔大使を官邸にお呼びをしたと、そういうようなことでないことはここで改めて明確にしておきたいと思います。 崔大使とはいろいろ日韓の問題全般についての意見の交換もいたしました。また、その他の国際情勢全般についてもお話をしたわけでございます。金大中氏の問題につきましては、韓国のこれは国内問題である、私は毛頭韓国の内政に干渉する考えは持っていないということを繰り返し申し述べ、それを前提として、隣人としてまた今日までの日韓の友好関係の基礎の上に立っていろいろ私の考えを申し述べたということでございまして、韓国の内政に干渉するというようなことは絶対に考えていないし、そのことは明確に大前提として申し上げておいたわけでございますから、そういう誤解を生ずるような余地は存在しないと私は思っておるわけでございます。
○矢田部理君 私の質問の先を答弁されているんでちょっと戸惑うわけでありますが、私は憂慮の表明あるいは重大な関心を示したのは、その前提として状況はきわめて厳しい状況に来ているということを受けてやられたのかと伺ったのであります。その点はそうなんでしょう。一言だけで結構です。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、さっき申し上げたように、情勢がどういう段階にあるかというようなことは承知をいたしておりません。現在、裁判が進行中でございますから、そういうことを前提にして、予測をして、それを前提に話し合いをするということは私は慎しむべきだということを基本的に考えておるわけでございます。
○矢田部理君 それじゃ次の質問に入りましょう。 総理の頭の中にといいますか、認識の上で次のような認識を持っておられるかどうか。仮に金大中氏が処刑をされるというようなことになれば、国会における状況あるいはマスコミの論調などが非常に厳しくなってくる、日本国内でです。こういう認識は持っておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いまこの問題につきましては非常に微妙だと申しますか、デリケートだと申しますか、日韓両国民はこの問題には非常に関心が深いだけに、そこに感情に走ったりあるいは誤解を生じたりいろいろする心配がございます。私はそういう意味で、この金大中氏の問題につきましては、これ以上ここでいま矢田部さん御質問のようなことについてお答えするということは差し控えた方がいいのではないかと、こう思っています。
○矢田部理君 私が申し上げたのは、いまの日本の状況からして、きょうの社説などにも一斉にいろいろ出ておりますけれども、マスコミの論調が非常に韓国に対して批判的になっている、国会でもいろんな論議が起こるという認識はおありなんでしょう。外務大臣自身がいつぞや私が質問した際には、そういう前提に立って発言をされておりますけれども、客観的な認識の問題ですよ。
○国務大臣(鈴木善幸君) 客観的な認識は、私この時期に、こういう空気の非常に先鋭化しておるような、緊迫したような状況の中で、責任者の私からあれこれ申し上げるとかえって事態を紛糾させるようなことがあってはいけない。むしろ両国はこの際冷静に鎮静化の方向へ持っていった方がいいという判断でございます。
○矢田部理君 それじゃ角度を変えてまた伺いますが、総理がいずれにいたしましても二十一日に崔韓国駐日大使を呼ばれて――失礼しました、表敬訪問に際して話をされた。重大な関心と憂慮の表明――この憂慮の表明というのは何を憂慮されているんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 明らかになっておりますことは、第一審、第二審であのような判決が出ておる、こういうことだけはきわめて明確になっておるわけでありまして、私はその点について重大な関心と憂慮を持っておると、そういうことでございます。
○矢田部理君 そうすると第一、二審の軍事法廷の判決について憂慮している、こういう趣旨でございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
○矢田部理君 裁判と民主主義という問題について次に伺っておきたいと思いますが、民主主義国家における裁判の基本原則は、日本の憲法でもそうでありますが、公開というのを基本にしています。当然のことながら、それは判決の公表というものも含むわけであります。韓国ではそういう制度的保障が、とりわけ今度の金大中事件についてはありません。いまだに日本政府が求めても判決文すら入手をできない。こういう状況を総理としてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、韓国における裁判のあり方、こういう点について私の考えを申し述べるというようなことは差し控えたいと、こう思っておりますが、ただ私、日本政府としては、第一審、第二審の判決文、これはぜひ入手をしたいということで鋭意努力をしておる、現在もそれを要請をし続けておると、これだけは前に外務大臣からも国会で明らかにいたしておるところでございます。
○矢田部理君 一国の制度の問題じゃないんです、民主主義というのは。どこの国にもやっぱり基本の問題です。人権とか民主主義とかは。その最低保障として公開の原則が保障されている。公開の原則が判決の公表も含めて保障をされているなら、改めて入手などという手続は必要ないんであります。それが保障されない。したがって、要求しても渡さない。まさに、こういうものを秘密裁判とか暗黒裁判とか言うんであります。公に判決をしたものが断然公表されるのはあたりまえだ、これ公表しなくても公にされるわけで。それすら入手をできないということを私はきわめて憂えているんです。 それで、次の質問なんでありますが、先ほど総理も言われましたが、金大中氏の問題は韓国の国内問題、そこに認識の基本があるとすれば、それはやっぱり間違いである。私は、この金大中氏問題というのは、韓国の国内問題であるだけではなしに、すぐれて日本の主権と人権にかかわる問題である。とりわけ人権問題は、単にわが国だけの問題ではなくて人数の普遍的な問題、各国に共通の問題だという認識に立つ必要があると思われますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 金大中氏の問題につきましては、ここで申し上げるまでもなく、日本国民、国会、政府、ともに重大な関心を持っておるところでございます。したがいまして、必要な時点におきまして日本政府としての立場、重大な関心を表明をし、あるいは憂慮の意思を伝える、こういうことをやってきておるわけでございまして、無関心ではない。ただ、最終的に決定をされるのは、これは韓国の裁判なり韓国が決定をする問題でございまして、その限りにおきましては、私は韓国の内政問題である、こういう認識を持っておるわけでございます。
○矢田部理君 その認識のあいまいさこそが、言うならば判決をも入手できないという事態を招いているのではないでしょうか。もともと金大中裁判の非常に大きなポイントは、日韓政治決着にあったわけであります。日本から拉致をされ、やがて弾圧や拘禁を繰り返し、そして今日の事態に至っているわけでありますが、大もとはやっぱり日韓の政治決着にあったわけであります。その政治決着にすらこの判決内容は違反をしている疑いがきわめて強い。それを確かめるために判決文の入手を求めたのに、それすら渡さない。これはまさに日本の国内問題じゃありませんか。日本自身の問題じゃありませんか。そういう立場から初めて判決の入手を要求しているんじゃありませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんのお話は、いつもの論旨整然たる矢田部さんにしては論理の飛躍があるようでございます。 金大中氏の拉致事件と申しますか、これに対しまして、果たして韓国の公権力がこれにかかわりを持っておるものであるかどうか、そういう点につきましては、日本の捜査当局としてはあらゆる努力を重ねまして究明に当たってきたことは御承知のとおりでございます。しかしながら、今日の段階におきましては、韓国の公権力がこれに作用した、こういうことは認定ができない。残念ながらそういうまだ捜査が継続中の段階である。でありますから、政府としては今後その捜査の結果、具体的に公権力が作用した、わが国の主権が侵害されたと、そういうことが明らかになれば、これは政治決着の見直しと、こういうことになるわけでございますが、現在はそういうような状況にないと、こういうことでございますから、政治決着を見直すという考えは日本政府としては持っておりませんし、したがいまして最終的に韓国の裁判でどうなるかということは、これは韓国の国内問題であると、こういうぐあいに認識をいたしておるわけでございます。
○矢田部理君 論理の飛躍があるんじゃなくて、あなたの回答がすりかえであるんです。 私が申し上げておりますのは、政治決着で金大中氏の日本国内における言動については責任を問わないというのが一つの重要な内容になっているわけです。ところが起訴状には、その日本国内における言動をも問うような起訴状になっている。そこで、日本の政府がそれについて説明を求めたところ、背景説明だと彼らは指摘をした。しかし、本来起訴状というのは背景とか経過とかは書くべき性質のものではもともとないんです。そこで、それは単なる事情、背景の説明ではなくて訴因ではないかという重大な疑問を持ってきた。そこで、判決はどうなったのか。日韓政治決着に違反をしているのではないかということが問題になって、したがって判決を取り寄せてそれを確認すべしというのが議論だったし、政府もその努力をしてきた。しかし、それすらも明らかにしないというところに問題があるということを総理、篤とやっぱり考えてほしいと思うんであります。 そこで、時間がなくなりましたから一、二問最後にまとめて伺っておきたいと思います。私の希望も含めて。 私は、やっぱり金大中氏問題というのは、韓国の純粋な国内問題であるだけではなしに、日本がかかわっている問題であるということを一つ十分に認識をする。その上に立って、しかも人権とか命とかというものは普遍的な問題でもありますから、隣人に対して関心を持つとか憂慮を表明するということを超えた、みずからの問題意識でこの問題に対応をすべきだというふうに考えるわけであります。その意味では、総理も韓国大使には相当突っ込んだ話をしたというふうに伝えられておりますから、それは私、高く評価をするんでありますが、韓国内できのうあたり出された新聞に、あの反発に今度は口をふさぐようなことのないようにしてほしいんであります。事態はきわめて緊迫をしておるわけでありますから。場合によっては、総理が指摘をしたように、情勢は非常に厳しくなって経済協力等もできにくくなる、やめるということまでやっぱり踏み込んだ、定期閣僚会議についても無期延期をするぐらい、政治決着も見直すということぐらいの本格的な対応をすることが、いま金大中氏の人権に本当の意味で関心を示す一番大事な点だということを一つ総理に申し上げておきたいと思います。 もう一点は、やっぱり国際世論の形成なんです。この二十四日、西ドイツのシュミット首相は連邦議会の施政方針演説で異例の呼びかけを行いました。金大中氏の釈放を求める演説をやっているんであります。アメリカ筋の動きもあります。特にアメリカ筋の動きの中では、カーター氏の人権外交は同盟国を弱くしたというレーガン氏の批判があった中で、レーガン氏も人権に無関心ではないという最近の対応もありますが、どうもレーガン氏の持っている物の考え方の基本に全斗煥グループは安心をして問題を始末しよう、決着つけようという危険な動きすら感じられるわけでありますから、その点では、韓国に大胆に物を申すだけではなく、国際世論に訴えるイニシアをとるぐらいのことを日本の総理としてすべきだと考えますが、いかがでしょうか。 もう一点、金大中氏に関連して問題を申し上げますと、在日韓国人の五名の人たちがすでに死刑の判決を受けております。韓国ではいま再審等の請求を行っているわけでありますが、この人たちはすでに問題に供された時期に日本にいたという明確なアリバイもあるんです。いろいろ外務省筋がいま陳情等を受けて努力はしているようでありますが、正式な外交ルートにのせて、これらの政治犯の不当なやっぱり弾圧に対して、日本としてきちっと物を申すような態度が必要だと思いますが、そのことを含めてまとめて答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 金大中氏の問題につきましては、日韓関係を大事にしていく、日韓の友好協力関係、これは一貫した政府の方針でございます。これは私はあくまで今後においても堅持していきたい、こう思っておるわけでございます。 また、内政干渉に及ぶような誤解を受けるようなことは慎まなければならない。これが第二点でございます。 私は、そういうことを前提にいたしまして、しかし、皆さんと同じように、金大中氏の身柄については関心と憂慮を持っておるわけでございまして、最善の努力をしたいものだと、こういうことだけを申し上げておくわけでございます。
○野田哲君 まず、総理に、いま日本の政治の中で財政再建という問題が非常に大きな課題になっておりますが、この鈴木内閣で当面をしている重要な政治課題と防衛費の扱い、この点についての問題点をまずお伺いをいたしたいと思うわけです。 御承知のように、いまアメリカも政権が交代をするという段階で、防衛費について日本に対する要請が、カーター政権のときよりもレーガン政権になってから一段と強まるんじゃないかというような報道がなされております。 そこで、第一に伺いたい点は、本年五月一日に、いまは亡き大平総理とカーター大統領との会談が行われております。その会談の中で、カーター大統領の方から、すでに政府部内にある計画についての早期達成をという強い要望が出されている。これは、防衛庁の中期業務計画を一年繰り上げて達成を求めてきたものだ、こういうことになっているわけでありますが、その後の経過を見ますと、防衛費のシーリング枠を防衛関係についてだけは特に九・七%にする、こういう措置がとられております。 さらに加えて、この九・七%についても、アメリカからは、あるいは防衛庁筋からも、あるいは自民党内でも、この九・七%は最低だと、最下限だと、こういうような声も強く上がっているわけでありますが、これから総理が最終的に判断をされる五十六年度の予算編成に当たって、厳しい財政再建という課題を掲げられておる中で防衛費についてはどのように扱われようとしておるのか。渡辺大蔵大臣によると、九・七はシーリング要求枠として了承しただけであって、査定についてはそれをそっくり認めるということではないんだと、そのときはそのときの判断だと、こういう答弁も国会審議の中でされているわけですが、最終的に判断される総理としては、この防衛関係の予算についてどういうふうな裁断をされようと考えておられるか、まずその点から伺います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 財政再建は鈴木内閣の最大の政治課題でございます。私は国会並びに国民の皆さんの御理解、御協力を得まして、何とか昭和六十年、特例公債の償還の時期までの間に、特例公債依存の借金財政、これを脱却をしたい、こういう決意で取り組んでおるわけでございます。したがいまして、今年度の予算の編成は歳入歳出ともに厳しくこれを見直しをする、こういうことをやらざるを得ません。 そういう厳しい予算の編成、これはこれから具体的に作業を進めるわけでございますが、したがいまして、渡辺大蔵大臣が申し上げましたように、今度の予算編成におきましてはシーリングの面でどのようになっておりましても、予算全体の立場からこれを査定をしていく、そういう意味では防衛費もあるいは社会保障費も聖域というものを認めない、そういう厳しい態度で臨まなければ、来年度予算の二兆円公債減額を含むところの予算の編成、こういうことはむずかしいと、このような認識のもとに取り組んでおるところでございます。
○野田哲君 具体的に総理、防衛庁から出ている九・七%、これは大平さんがカーター大統領との間でいろいろやりとりをされてきたり、あるいはその前に国防長官と外務大臣や防衛庁長官がいろいろやりとりをされているこのいきさつから見て、実際問題としては、総理はいまはっきりおっしゃらなかったけれども、九・七%というのはそっくりそのまま認めざるを得ないと、こういうことじゃないんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、大平前総理とカーター大統領との間で具体的な数字を挙げてお約束をしたというようなことは絶対にないということを聞いておるわけでございます。一般論として、国際的な政治軍事情勢が厳しい、アメリカも防衛費の増額など防衛努力をやる、またNATO諸国もそういう面であらゆる努力をするというような情勢下におきまして、日本もこれに対しまして、一般論としてできるだけの防衛努力というものはせざるを得ない、こういうことを申し上げたということは聞いておるわけでございます。しかし、これはあくまで財政全体の中で国民生活を考え、また他の福祉関係あるいは教育関係等々いろんな面を彼此勘案をしながら国民の皆さんも納得できるような予算というものを編成しなければならぬわけでございます。 そういうようなことで、私は前段でお答え申し上げたような姿勢で来年度予算の編成に取り組んでまいる考えでございます。
○野田哲君 まあこれからのことで、総理も余りはっきりしたお答えがないんですが、ただ、大平前総理はカーター大統領との会談で中期業務計画の一年前倒しの意味の要請をされたときに、できるだけの努力はするということで、具体的には昭和五十六年度の予算ができた段階でそれによっておこたえすると、こうう意味のことをカーター大統領の方に約束をされているようですが、であるとすれば政府原案が決まった段階で何らかの形でこの防衛関係の予算案についてアメリカに対して説明をする手段が必要ではないかと思うんですが、それはどういう方法で考えておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米安全保障条約、これによりまして日本が独力で外部からの侵略に対抗できない場合アメリカの支援協力を求めなければなりませんし、アメリカもその義務があるわけでございます。そういうような関係からいたしまして、防衛関係の問題について、あるいは国際軍事情勢等の問題について絶えず相互理解を深めておく、こういうことは私は必要なことであり、今日までやってまいったところでございます。それはいろんな段階でなされております。外務大臣あるいは防衛庁長官という段階でもございましょうし、もっと事務的な事務の方のトップレベルで話し合いをすることもございます。各段階各級のそういう連絡、協議、情報の交換、そういうことは今後においてもなされるであろう、このように考えておりますし、今後予算が確定いたしました場合におきまして、これも何らかの形でやはりアメリカの方にも理解を求めておかなければいけないことになろうかと、こう思っております。
○野田哲君 どうも総理との質疑が核心に触れてかみ合うというような形にならないんですが、総理の長い間の先輩である、先輩というよりも、どう言えばいいんでしょうか、大平総理がいろんな問題、特に防衛問題について重要な会談をされた後亡くなられた、アメリカでもカーター大統領が落選をされて、年が明けるとレーガン新政権が発足するわけですが、端的にお聞きしますけれども、アメリカも日本もトップが交代をした。こういう状態の中で鈴木総理はいろんな懸案事項、防衛問題あるいは経済問題等含めた懸案事項でレーガン新大統領とトップの会談をやられるような計画はいま具体的にはお持ちじゃございませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、レーガン政権は一月の二十日から正式に発足をする、まだスタッフも有力な閣僚等も固まっていない、こういう段階でございますので、この問題につきましても何らの接触も実はいたしていないわけでございます。 しかし、先ほど来申し上げますように、日米の関係は日本の外交の基軸でもございます。また、日米安保条約を結んでおるパートナーでもあるわけでございまして、また経済の分野におきましても、自由陣営における二大経済国でもある、こういうようなことから、いろいろな重要な問題があるわけでございまして、そういう意味合いからいたしまして、双方の日程その他都合のいい時期になるたけ早い機会に、私は、レーガン大統領ともお目にかかって、そして十分、腹蔵のない意見の交換をしたい、このように考えておるところでございます。
○中尾辰義君 最初に総理にお伺いしますが、総理が提案をされました総合安全保障会議、この構想がどういうものなのか、また、いかなる観点から提案をされたのか、この目的等につきまして、まず最初お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はかねがねこれは考えておった問題でございますが、わが国の安全と平和を確保する、これを守ってまいりますためには、防衛力の整備という側面だけでは日本の平和と安全を確保することはできない。どうしても外交努力、平和外交の展開、さらに発展途上国等に対する経済協力あるいは技術援助、さらにまた食糧資源、エネルギー等々の日本にとってきわめて重要な諸問題を含めて、安全保障という視点に立って政策を進める場合に、整合性を持ってこれを進める必要がある、このように考えておりまして、政権を担当するようになりましてから、このことを国民の皆さんに御提案を申し上げ、各方面の反響、御意見を見ておったわけでございますが、私の気持ちもだんだん御理解をいただいたようでございますので、近く、国防会議はそのまま存置さしていただきますが、いま申し上げた外交あるいは経済協力、資源、エネルギー、食糧問題等々の政策を安全保障の観点から整合性を持って展開をする、高い立場でこれをやるというために、総合安全保障の閣僚会議というものを設置をしたい、このように考えておるところであります。そして、国防会議と総合安全保障閣僚会議、この両方の機能が両々相まってわが国の平和と安全と繁栄を確保していきたい、このように考えておるところでございます。
○中尾辰義君 国の安全保障というものは、これは総合的なものであると思います。そういう意味で、いま総理が御答弁になりました、軍事力だけでは平和の確保ができないというのは非常に私は正しいと思うわけです。 そこで、安全保障における軍事以外の外交等の諸施策の比重を高めることによって自衛隊の比重を低くすることは、平和国家を目指す日本としても当然これは重要なことであります。自衛隊だけに日本の安全のすべての責任を負わせるというのでは非常に危険なものとなってきはしないか、そういう危倶があるわけであります。したがって、総合安全保障という総理の考え方は、シビリアンコントロールを完遂する上でも非常に有効なものと思うのであります。この総合安全保障構想とシビリアンコントロールという点に関する総理の見解をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、広い意味でとらえればシビリアンコントロールの一つの要素になる、こう思いますけれども、直接的には国防会議というものがこちらに存在をいたします。すべて防衛に関する防衛計画の大綱でありますとか直接的な防衛に関する重要な諸問題等々は国防会議でやります。国防会議を通じてシビリアンコントロールがなされ、また閣議決定もその上でなされる、国会の御承認もいただく、こういうことでわが国の防衛に関するところのシビリアンコントロールは十全を期し得る、こう思っておりますが、ただ、総合安全保障という観点からも日本の安全と平和を考える、こういう意味合いで閣僚会議を持つことでございますから、広い意味でおっしゃるのであれば、これもシビリアンコントロールの一要素ではないだろうかとも言えるかと思うのであります。
○中尾辰義君 それで、総理のせっかくの提案でありますけれども、いろいろと批判もあるわけですので、二、三お伺いをいたしてみたいと思うのですが、今回のこの総合安全保障会議は必ずしも国防会議と別建ての組織にする必然性があったのかどうか、屋上屋を重ねることにどのようなメリットがあるのか、また、国防会議にも適時必要な関係閣僚を参加させて討議ができるようになっておるわけであります。そこで、国防会議は防衛庁設置法に設置根拠を置いて、かつ、国防に関する重要事項を審議するというふうになっておるわけでありますが、このことが総合安全保障ということになじまなければ総合安全保障会議設置法、こういうものを新たに立法して、この中にこの国防会議を吸収したらどうだろう、そうすれば機動的であり、かつ、権威ある総合安全保障政策が生まれてくるんじゃなかろうか、こういう批判もあるんですが、いかがなものでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は一つの有力な御意見であり、一つの見識である、このように考えるものでございますが、私もいろいろ考えまして、従来の国防会議の運営をしてまいりました経過、またいろいろなことから考えまして、この国防会議は、狭い意味の国防に関する重要事項、そういうものをごく少数の閣僚によって非常に敏速に決断、結論を得る必要のある場合もございます。そういうような意味合いにございまして、国防会議はそのまま存置をし、そして国防会議の運用を広げることによってできるかもしれませんけれども、いままでやってきておりませんものでございますから、これを別途に前段で申し上げたような立場から総合安全保障の閣僚会議を固く、設置をすると、こういうことにいたしたわけでございます。まあいろいろ御意見もあろうし御批判もあろうかと思いますが、私としてはいま申し上げたようなことでやってまいりたい、こう思っております。
○中尾辰義君 それで、先ほどもその構想につきまして総理から御答弁があったんですが、構成は外務、大蔵、農林、通産、運輸各大臣、それに防衛、経企長官、科学技術庁、それに内閣官署の長官があって、内閣官房長官が会議を主宰すると、こういうことになっていますね。 そこで、これはなぜ首相がメンバーでもなく主宰者でもないのか。先進諸国のこうした会議は、すべて大統領、首相が具体的に責任を負う以上それは至極当然なことであろうと思うわけであります。そして、会議の結果を官房長官から報告を受けるというだけでは不十分じゃないか、あるいはオブザーバーとして出席するというのなら、最初からこれは議長になればいいことであると、そういうような批判もある。これは首相みずからの考え方を会議にぶつけて、そして関係閣僚の意見を聞いて練り上げていくということが大切ではないか、そして有事の際に臨機応変にこれは対応が可能である、こういうこともいろいろ言われておるのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知かと思うのでありますが、経済閣僚会議にいたしましても、いろいろな閣僚会議にいたしましても、総理はこれに随時出席をするということになっておりますが、大抵総理はいつの場合でも出席をいたしております。そういう総理出席のもとに官房長官が主宰をし、幹事役となって会議を進めておるわけでございます。この閣僚会議で結論を得ましたもの、これは閣議で最終的決定をするわけでございます。そういうことでございますので、私は他の閣僚会議との並びから言ってもそれで差し支えないと、このように考えておるわけでございます。
○中尾辰義君 それから、この総合安全保障会議には与党の幹事長、総務会長及び政務調査会長も加わるということになっておりますが、これは機密にわたる事項もあるわけですから、行政府以外の者を入れるということはどうなのかと、それが一点と、それからこの性格はただ協議をするだけのことなんですか、そこで出たいろいろな結論というものはどうなるのか、この辺がどうもはっきりしないような感じがするのですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、釈迦に説法でございますけれども、今日では政党内閣制である。党の三役はもう重要な国政全般について発言をいたしておりますし、それを政府としては尊重いたしておるわけでございます。物価閣僚会議、経済閣僚会議等々におきましても党三役の出席を求めて、そして政府、党一体になって重要な事項はここで協議をし問題を集約をしていくと、煮詰めていくと、そして政府としては閣議でもって政府の責任でこれを決定をすると、こういう仕組みになっておるんでありまして、そのようなことでやってまいりたい。あくまで最終的には閣議の決定、これが政府の最終方針がここで決まるようにしておるわけでございます。
○中尾辰義君 時間がありませんから、次には最近よく防衛問題で、西側の陣営の一員としての防衛努力と、そういう言葉がよく聞かれるんですね。たとえば伊東外相が十月二十一日に衆議院の安保委員会においてはこうおっしゃっておる。その中で、国際の平和と安全を図るためには米国を初めとする先進民主主義諸国との協調と連帯を基軸とすることの重要性を説いておられるわけでありますが、さらに西側陣営の一員としての役割りを果たすべきことも説いておられるわけです。さらに、西側陣営は対ソ防衛努力をしている。したがって西側陣営の一員たるわが国も相応の防衛努力が必要である、こういったぐあいですね。それから、同じ委員会で大村防衛庁長官もそこにおられますが、ソ連軍増強に対応した米国を初めとするNATO諸国の防衛費増額努力を強調し、そうした中でのわが国の防衛努力整備を急ぐべき点を強調しておられるわけであります。 そこで、総理にお伺いしたいのですが、こうした西側陣営の一員、特にNATO諸国並みの防衛努力が必要だという外相、ただいまの防衛庁長官の所信に対して総理はどうお考えになるのか、その点をまずお聞きしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 外務大臣は対外的な国際的な政治、経済、外交各般にわたって物を考え、判断をしておるわけでございます。防衛庁長官もそういう認識は内に秘めながらも防衛という観点で所掌事項を進めておる、こういうことでございますが、私は外務大臣の立場からいたしますと、自由と民主主義、市場経済体制、開放経済体制、いろんなことで自由と民主主義を基調とする西側の諸国、これは共通の価値観を持っておる。これを守っていこう、大事にしていこう、こういう立場からいたしまして、わが国もこれらの国との友好関係、緊密な関係、協調と連帯、これを大事にしていくということは当然であり、私もそうなければいけない、こう考えるわけでございます。 さて、防衛という観点からいたしますと、日本とアメリカとの間には日米安保条約が締結をされておる。またアメリカとNATO諸国との間には、これまた条約によって協力関係が、軍事的な協力関係ができておる。しかし、日本とNATOとの間にはそれがございません。そういう関係で直ちに日、米、欧といいますか、この陣営全体が防衛の面でもどうするこうするという具体的なことはございません。私は常に西側の諸国はいろんな面で、防衛は抜きにしても協調と連帯、非常に大事な関係にある、この関係は今後も一層緊密化していかなければいけない、こういう意味で防衛庁長官、外務大臣も認識を同じゅうしておるものと、こう理解をいたしておるわけでございます。
○中尾辰義君 そこでお伺いしたいんですが、総理の言うこともよくわかりますけれども、わが国は経済的、政治的には西側の陣営の一員として協力することは当然としても、外国と憲法が違うんです。わが国は平和憲法を持っておるんですね。そういう意味で、この平和憲法を持っておらない欧米諸国とは、ことに軍事に関しては根本的に立場を異にするんじゃないかと、そういうふうに思うわけであります。だから、軍事的協力といいましても、余りにもこれを強調し過ぎるのはどうかと思います。 たとえば防衛力のGNP一%にいたしましても、私もちょっと調べてみたんですが、このNATO諸国の多くは、この防衛費の中に軍人恩給あるいは日本で言う海上保安庁、警察庁の経費の一部も入っておるわけですね。日本は入っていない。こういうものを入れますとGNP一%は大体一・五%ぐらいになるわけです。現在でも。そのほかに、わが国は専守防衛でありますから非核三原則をとっておるわけですよ。したがって、ICBM、爆撃機、核兵器、これは一切装備はできない。この高価な装備品を除いた専守防衛の日本の防衛費と、そういうものを装備している国の防衛費と同じ尺度で見るのはどうもこれは私は納得いかないわけですよね。 そういう面もいろいろ考えておるんですが、余りにもそういうふうに西側の一員として軍事力を強調をしている点についてはいかがかとも思うわけでありますが、再度ひとつ総理の答弁をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) いまの外務大臣、大村長官が言われておること、これに対しては私はこのように受けとめておりますということを先ほど申し上げたところでございます。御指摘のように平和憲法を堅持しておるわが国、そして専守防衛、非核三原則、経済大国であるが軍事大国にはならない、他に脅威を与えるような軍備は持たない、こういうことを鮮明にしてきておりますわが国は、日米の間には日米安保条約という条約で防衛の面で結ばれておりますが、NATOとの間にはそういう条約がございませんから立場が違うという御指摘、これは私も理解ができるわけでございます。だから、NATO並みにわが国がやろうとしても、それはいろんな制約上からできないことは明らかでございます。 しかし、日本は今日国際社会におきましても重要な立場をとるようになっております。したがいまして、私は日本の国力、国情にふさわしい立場で世界の平和と繁栄に寄与する道があるのではないか、またそういう面で日本は国際協力を進めるべきである、このように考えておるところでございます。
○中尾辰義君 総理、答弁お伺いしましたけれども、まだ政治や経済のみならず軍事面を含めてすべての面で西側の一員として大国並みになりたいと、そういうような強い欲求があるやに私どもは感じておるわけでありますが、これは総理にお説教かもしれませんけれども、日本の歴史を振り返ってみて、かつては東洋の一小国であった。それが日清、日露の戦争に勝って、それから当時は三大列強、五大列強と言われておったわけですが、その列強の仲間入りをして、背伸びをして、軍部の思い上がりからついに太平洋作戦に突入して日本を破局に導いた、こういう教訓があるわけであります。 そこで、日本が西側の陣営として誇り高い地位を占めたいと思うなら、東西問題の改革に、あるいは経済技術協力のレベルで貢献すべきであると思うわけでありますけれども、再度総理の答弁をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 全く同感でございます。そういう方向で国際的な役割りを果たしていきたい、こう思っております。
○中尾辰義君 時間がありませんで、脅威論についてちょっとお伺いしたい。一括して申し上げますから。 政府は、ソ連の軍事力は潜在的脅威である、そして脅威というものが軍事的侵略能力と侵攻の意図から成り、ソ連の意図が不明確で将来変わり得るものである以上、現在は能力に着目をして、これを潜在的脅威であるとしておる。最近では、能力それに意図、さらにもう一つ加えまして、時々の国際情勢、こういうものを持ち出して、脅威の三つの要素と、こうしておるわけでありますが、果たして、政府はソ連を潜在的脅威としているが、一体ソ連軍の最近の極東の配備、これはどうなっているのか。また、そういうソ連軍が他に侵攻したら、これは自衛隊では太刀打ちできないと思うわけでありますが、それに、このソ連軍の極東配備というものは必ずしも日本に向けられたものではないのじゃないか。中国とソ連との境界線は五千キロもある。あすこには、長官がよく御存じのように、鉄道があって、あすこから極東のソ連軍に対する重要なる兵たん路線になっておるわけですね。そういうことも考えてああいうものを、素人考えかもしれませんが、中国軍がこれを脅かしたりしたら、これはソ連にとっては大変痛烈な打撃になるわけでありまして、必ずしも極東配備というものが日本だけに対して向けられたものではなしに、中国を警戒した面も多分にあるんじゃないか、こういうような面も考えておるわけでありますが、それで、これはさっきも何回もありましたけれども、余りにも脅威論が声が大き過ぎやしないかとも思うのですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 軍事情勢の分析あるいは情報、そういう面につきましては、防衛庁あるいは一部外務省専門家の研究に私ゆだねており、その報告を聞いておるわけでありますが、私は客観的に見た場合に、外務省、防衛庁が国会で御説明申し上げておる認識、これは間違っていない、このように考えるものでございます。 しかし、先ほどもお触れになりましたように、能力に意図というものが加わってこれが顕在化する、本当の脅威になる、こういうことでございまして、私はいまこれが顕在的脅威として日本にのしかかってきておる、情勢が切迫しておる、こういうぐあいには見ていないわけでございます。私は、その場合におきましても仮想敵国視したりあるいは敵視したりというようなことは全くとらざるところであり、私は、この軍事情勢の分析とそういう対応というものは明確に区別をして国際社会に臨んでいかなければいけない、このように考えておるわけでございます。
○安武洋子君 総理は二十一日に崔韓国大使と会談をなさっておられます。そして、これに対して韓国側は総理発言をめぐりまして大変な反日キャンペーンを繰り広げております。鈴木総理は、先ほどの同僚議員の質問に対して、総理自身は韓国に対して内政干渉にならない配慮を十分に払いつつ発言をされたと、こういうふうに言われました。そして、その確信をいまもお持ちだと、こういうふうに御答弁なさっていらっしゃいましたけれども、それは間違いございませんね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 間違いございません。
○安武洋子君 では、それならば総理、総理の発言を内政干渉だ、こう言う韓国側は私は国際的にも外交的にも実に道理に合わない、こう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 韓国の新聞が報道をしたそのことでございますから、私がそれでもって韓国側がどうこうというようなぐあいに受けとめていない、そう受けとめることは適切でないと、このように考えておるわけでございます。
○安武洋子君 崔大使と会談なさったわけですから、崔大使がその近辺が漏らさない限りこういうことにはならないわけでしょう。韓国の新聞も何の根拠もなく書くわけはないということになればね。韓国側が総理発言の事実をねじ曲げて漏らしたか、あるいはそれを新聞がねじ曲げて報道したか、どちらかになるわけですから、この点ははっきりされて私は抗議をなさらないといけないと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたが、この際はそういう問題をあれこれ取り上げましてやることは事態をエキサイトさせる、紛糾をさせることになりかねない。私はこの際日韓両国民は冷静でなければいけない、このように考えておりまして、できるだけ鎮静されることを、鎮静化の方向へ向かうことを私は希望しておるわけでございます。
○安武洋子君 そういう臭い物にふたをするような態度をとってこられたからこそ事態がここまで紛糾してきたと、こういう大変な事態になってきたわけです。だから、真実を明らかにすることこそが、こういう鎮静化を本当に望まれるなら鎮静化への道になると思います。こういう弱腰を改められることが私は大切だと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 安武さんの御批判、これはいろいろ承っておくことにとどめたい、こう思っています。
○安武洋子君 承られるだけでは困ります。 いま総理がおやりにならなければいけないのは、韓国が総理の発言を内政干渉だと、こう言って報道しているわけでしょう。反日キャンペーンをしいている、総理はそんなつもりなかったとおっしゃる、その事態ぐらいははっきりさせるべきではありませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほどもお答えを申し上げましたように、日韓の友好関係、これは今後とも大事にしていきたい、これが一つでございます。 もう一つの点は、韓国の内政に干渉しておるというような誤解を絶対に与えてはいけない。この問題は非常にデリケートな問題でございますから、いやしくも内政干渉、圧力をかけたというようなことは事態の円満な解決をもたらすゆえんではない、こう認識をいたしておりますので、これ以上この問題で刺激をしたりするようなことは避けた方がいいのではないかと、こう思っております。
○安武洋子君 友好関係を大事になさるということは、何よりも真実をはっきりさせることです。そして、内政干渉でないことを内政干渉だと言うことこそ内政干渉なんですよ。この点をはっきりしていただかないといけないと思います。 今回の韓国側のこの異常な反日キャンペーンというのは、私はこれは全斗煥政権がレーガンが勝利したと、これを好機にして金大中氏を死刑、この死刑を強行しようというふうなカムフラージュにするというふうな考えです。これは、私はこう考えるのがいま至当だろうと思います。金大中氏は日本から乱暴に拉致された方です。だから、国民はその救出のために本当に憂慮しておりますし、関心も払っているわけです。ですから、政府にさらに強い姿勢で対応するように求めてもおります。だから、判決文を全文手に入れると、あたりまえのことです。この早期の実現、あるいは先ほどから憂慮と関心を持ち続けられるとおっしゃっておりましたけれども、憂慮と関心、さらに持ち続けられまして金氏救出のために実効ある手段を今後とも私はおやりいただきたい。おやりいただけますね、総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今日まで、日本政府といたしましては、あとう限りの努力を続けてまいったところでございます。今後もその方針に変わりございません。
○安武洋子君 では、さらに努力を求めまして、次に質問移りますが、短い時間の総理質問、総理だけの答弁でお願いいたします。 私は、一昨日の当委員会の中で中業について質問をいたしました。この中で中業は五年計画、こう言いながら、実際は三年ごとに新しい中業が発足します。その中業が発足するまでの間に五年間の目標も達成できると、こういう仕組みであることを追及いたしました。防衛庁もローリングシステムであると、このことはお認めになりました。そこで、中業がこのようなシステムである限りは軍備を雪だるま式にどんどんどんどん増大させることができると、軍備大増強の仕組みではないかと私は御質問を申し上げました。そうすると防衛庁長官は、防衛計画の大綱の範囲内で行うのだから、おのずから限度があると、こう答弁されております。 ところが、鈴木総理は十二日の安保特で、五六中業はこれからつくるが、それをもってしても大綱の水準を達成できるかどうか疑問だ。財政事情も厳しいし、国民的コンセンサスも必要である。それらを総合的に勘案し、いま大綱を見直すことは考えていない、こう御答弁なさっておられます。ところが防衛庁長官は、五六中業をもってしても大綱の水準に達するかどうか疑問というのなら、五六中業中は大綱を見直さないのだなという私の質問に対して、やってみなくてはわからないと、こういう御答弁をされて、五六中業中に見直しもあり得るととれる答弁をなさっておられます。私は総理の発言と違うと思いますけれども、総理がいまは大綱の見直しを考えていないと、いまはと、こうおっしゃっておられる。という中身は、防衛庁長官が発言された趣旨と同じなんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) きわめて簡単明瞭に申し上げますが、いまの中業、五六中業、これは防衛計画の大綱の枠内で進められるわけでございます。そして、この大綱の水準にはまだ達していないということは御承知のところでございます。私は、そういう意味で、この大綱に示されたところの防衛力の整備ということを着実に進めていくということを当面考えておるのでありまして、まだ達成もしないのに、それから先のことを考える段階ではない。考える、私の頭の中にはございません。
○安武洋子君 では、五六中業をもってしてもその水準に達しないだろうというふうなことは――ではお伺いいたします。五六中業は三年で五九中業になります。新しくなる。だから、五六中業をもってしてもというのは、六十年までの意味でございますか、期限としては。――あの私、最初に言った、長官だめよ。もう時間ないんだから、総理答弁してください。
○国務大臣(大村襄治君) 事務的な問題ですから、簡単にお答えします。
○安武洋子君 もうだめだよ。時間ないんだ。総理に聞いているんだから。
○国務大臣(大村襄治君) 中業は五年でございます。
○安武洋子君 それぐらいのこと自分が発言したことだからわかるはず。言ってください。だから、三年で見直しで、あなたわからないと言ったわけじゃないでしょう、総理。答弁してください。
○国務大臣(鈴木善幸君) いや、さっき答弁したとおりです。
○安武洋子君 だめですよ、そんなの。私は期限はいつまでなんですかと。五六中業をもってしてもとおっしゃるから、五六中業というのは三年で五九中業になるから、五九中業が発足すると六十年までですかと。
○国務大臣(鈴木善幸君) この中業は大体五カ年計画なんです。それで三年目に情勢を見ながら見直しをしてみるということであって、本来中業計画というのは五カ年である。これははっきりしている。
○安武洋子君 それなら、防衛庁長官と防衛局長の答弁と全く違うわけ。私が抜本見直しと言っただけでも、そうじゃないと、新しくなるんだと、こういうふうに局長が答弁された。三年で新しく五九中業が発足していくんでしょう。総理、ここもおわかりにならないで、こんなことを国会で答弁なさるなんて無責任じゃないですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いいえ……
○安武洋子君 いや、五年の目標は目標であって、新しく三年で五九中業になってしまうと、それが答弁で出る。じゃ、政府の見解不一致。統一してください、政府答弁――いや、ちょっと待ってください。総理だけで私言っているんだからね、いま統一して答弁してください。その間質問を保留します。
○国務大臣(大村襄治君) 中業は、総理のお言葉にありましたとおり、五年でございます。三年目に見直すということであります。
○安武洋子君 何を言っているんですか。そういう、私が抜本見直しでしょう、三年にと言ったら、局長ははっきりと、抜本見直しじゃありませんと、新しく中業が発足するんですと、ちゃんと会議録に出ておりますでしょう。これほど政府の中の意思が不統一。だから、あなたたち中業と言うのは、私が言ったように、どんどんどんどん雪だるま式にローリングしてまで軍備をふやしていく。それを国民の目をごまかすために、五年だと見せかけて三年でそれを実行していく、こういうことなんですよ。 だから、私は聞きます。時間がありませんからね。防衛大綱を変更しなければこの中業というのは、こういうシステムである限りは、そういうことになるんですよ。ところが、大綱の枠内でやるから歯どめになると言います。しかし大綱は、じゃ、いつまで変えないんですかと、五六中業までだとおっしゃったけれど、五六中業の期限すら政府の中で意思不統一ですよ。なぜそんなもので歯どめになるんですか。私は、全くまやかし的な発言もいいところだと。ローリングシステムを持つような、そうしてこんないいかげんなものを国防会議の議題に付議されるのかどうか、そのとおりなのかどうか、総理の答弁を求めます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は政府の中では不一致はないと、こう考えております。
○安武洋子君 それはだめなんだよ、議事録ちゃんとごらんになったらはっきりしているんだから。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私が国防会議の議長でございます。内閣総理大臣でございます。私の言うことをあなたは信用しなさい。
○安武洋子君 だめだよ、それは。それなら私は時間をいただいて、私がここの場でいかに中業がでたらめなものであるかということを暴露したことをもう一度やりますから、よろしゅうございますか。そういう時間をいただかないことには――だから、こんないっぱい疑問があることをもう総理質問に持っていくということ自体が間違いなんですよ。おかしいですよ。私の質疑の中で約一時間かけました。その中ではっきりしたじゃないですか。ローリングシステムであるということも認められた、三年目には新しい中業になってしまうんだということも認められた。それなのに総理は、違う、私を信頼しなさいとおっしゃる。じゃ、何のために政府は一時間も私にうその答弁をしたんですか。そういうことになりますよ。この責任どう処置してくださいます。はっきりしてください。
○委員長(林ゆう君) 安武君、時間でございます。
○安武洋子君 時間じゃないですよ。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、防衛庁長官の答弁も私の答弁とは食い違っていない、それを前提にいたしましてあなたがなお疑問を持つならば、国防会議の議長であり、内閣総理大臣である最高責任者の私の言うことを政府の方針と認めていただきたい、こう申し上げておる。
○安武洋子君 そんなむちゃなことありません。じゃ、一時間私をだまし続けたんですか。そういうことになりますよ。国会の権威というものはそんなものですか、質疑というものは。そんなばかなことを私は了承いたしません。
○委員長(林ゆう君) 木島君。
○安武洋子君 私はこんな、もうだめですよ。こんなことで質疑を続行するなんて横暴ですよ。答弁がちゃんと出ていないじゃないですか。こんないいかげんなことでなぜ質疑を打ち切るんですか。私は納得いたしません。おかしいですよ。絶対だめです。質疑をした中で政府の答弁が食い違っている。そのことをなぜ……
○委員長(林ゆう君) 安武君の質疑は終了いたしました。 木島則夫君。
○木島則夫君 委員長の指名でございますから、私は質問いたします。 よろしゅうございましょうか。――総理と韓国崔大使との会談の中での総理の発言が韓国のマスコミ等で取り上げられまして、内政干渉であるという論調が起こっております。金大中氏の裁判につきましては、私どもはその行方を人権上の大事な問題として、また日韓友好の立場から内政干渉にわたらないように重大な関心を払って私どもも対処をしてまいりました。このたびの総理と崔大使との会談内容が内政干渉であったと受けとめられたことについて、総理の真意はどういうものであったか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。つまり真意であります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この日韓の歴史的な関係からいたしましても日韓関係は大事にしていかなければいけない、日韓の友好協力関係を今後とも私は堅持していきたい、こういう前提に立って友邦としての所見を述べておるわけでございます。また、こういう問題はとかく内政干渉と、こう誤解をされたり誤認をされたりするようなことになってはいけない、こういうことでございますので、その点も十分言葉遣いにも配慮をしておるわけでございます。 したがいまして、その他の内容につきましては、事外交に関することでございますから申し上げかねますが、いまのような二つの前提で私は申し上げておるわけでございますから、一部の韓国の新聞が報道しておるようなことは私の理解に苦しむところである、このように考えておるわけでございます。
○木島則夫君 総理と崔大使との会談の内容は、外交にわたる面についてはここではおっしゃれないと、これも私よくわかるわけでありますが、恐らく全般を通じまして金大中氏の人権を憂慮され、また日韓の友好親署を図るという前向きな、建設的な御発言であったと私も信じております。それが、対韓警告というニュアンスで受けとめられたようでございますけれど、総理の御発言の中に何か真意が十分に伝わらなかったような節があったのではないだろうか。よろしければこの辺にも触れていただければありがたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) いまのような二つの前提の上に立って言葉を慎重に選びながら、私、誠意を尽くして話を申し上げております。非常に友好的な雰囲気の中で終始話が行われたということも申し上げてつけ加えておくわけでございます。
○木島則夫君 韓国の反応につきまして、総理は静観するお立場をとるということでございます。政府の金大中裁判に寄せる重大関心と憂慮というものが、この韓国のマスコミを含めた動向の中で今後どういうふうに対応されていくのか。つまり、端的に申し上げると、重大関心と憂慮というものをどう表明をし続けるのかということにも問題はつながっていくわけでございます。この辺はいかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先日の会談におきまして私の真意というものは十分理解をいただいた、このように受けとめております。私は、ああいう韓国の新聞等が取り上げ、それに韓国民がいろいろ感応しておる、こういうような状況下でございますから、それ以上のことには触れたくございませんが、私の意のあるところは十二分に御理解を願ったものと心得ておるわけでございます。
○木島則夫君 私もこれ以上は深くは追究というか、いたしません。いずれ委員会を別にいたしまして私どもの党の立場をさらに表明をする機会がございましょう。したがって、きょうはここまでにしておきたいと思います。 さて、防衛計画の大綱とGNP一%の問題についてでございます。 総理は、五十六年中業におきましてもGNP一%以内の方針を堅持をすると発言をしていらっしゃいますけれど、それが着実かつ有効的な防衛力の整備につながっていくのかどうか、可能なのかどうかということ。当面GNP一%をめどとするという閣議決定でございますけれど、「当面」というものはいつまでのことであるのか。また、めどとするということは、一%を上回ることもあり得るということにつながるのかどうか、まずこの辺から伺います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、まず最初に明確にいたしておくわけでございますが、五十一年三木内閣におきましてこの防衛費についてはGNP対比こうという閣議で方針を決定をいたしました。その閣議の方針というものを鈴木内閣においては堅持していくということを先般御答弁を申し上げたところでございます。 この「当面」という問題につきまして、具体的にどういうことかというお尋ねでございますが、私はこれはいろんな諸条件があると思いますが、わが国の財政事情、厳しい財政再建というような状況下におきましてはなかなか防衛費だけを大きく伸ばすというわけにはまいりません。私は防衛計画の大綱、これを着実に進める、こういうことでございまして、そういう意味合いからいたしまして予算上も厳しい制約があるということだけは御理解を願いたいと、こう思います。
○木島則夫君 これから私が申し上げる前提は一般論でございますから、ちょっとお聞きをいただきたい。 つまり、防衛費をGNPの枠で決めるという現在のわが国のあり方は諸外国にも例を見ないものと、こういうふうに考えます。防衛費は、財政事情を十分に考慮しつつ、なお目的を達成するに必要な防衛力の量、質及びその効率によって決められるものであるというのが一般的な常識だというふうに私は考えております。この一般的な常識というものは、総理もそういうふうにお認めになるかどうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 一般論として申し上げまするならば、防衛計画の大綱と、それからGNPの何%ということは直接つながらない問題でございます。これは別々の問題でございます。しかしながら、現在の現況からいたしますならば、厳しい財政の制約等からいって、つながらない問題ではあるけれども、実際は私は防衛計画の大綱の枠内で今後着実にやってまいりますが、その際におきましてはGNPは五十一年の閣議決定、これを上回るような事態は発生をしないのではないかと、このように見ておるわけでございます。
○木島則夫君 つながらない問題を私はあえてつなげて端的に御質問をいたします。 GNP一%をめどとするという閣議決定と、防衛計画の大綱の閣議決定というものは、どちらが優先されるのでしょうか。計画の大綱達成が目標だと思うのでありますけれど、いかがでございましょうか。 それから、お答えを聞いておりますと、「私は」という御発言を耳にいたします。「私は」というのは「鈴木内閣に限って」というふうに勘ぐってよろしいのでしょうか。それとも「政府は」というふうに受けとめてよろしいのでありましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 事予算の問題でございます。特にGNP等の問題、これは経済成長率にもよりましょう。いろいろの内外の経済諸情勢等からいって経済成長が今後どうなるかというような問題もございます。したがって、こういう予算に関連した問題を私は五年も十年も先のことまで政府として拘束を受けるようなことはなかなかできない。基本的な方針ならこれは別でございますけれども、GNPがどうだとか、そういうような非常に変動性の多い流動的な問題について五年、十年先を制約するようなことは、これは常識でも考えられない、そういうことでございまして、私は私が政治の最高の責任をしょっておる限りにおいては、大体の見通し、めどというものが立っておりますから、そういう点について申し上げておるわけでございます。
○木島則夫君 別に揚げ足というか、揚げ足を取ることはきょうしたくないのでございますけれど、私が責任者でいらっしゃる間ということからいたしますと、少なくとも二、三年はということでよろしいのでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はきょうちょうど二年の任期で発足したばかりでございます。それ以上のことを私は申し上げる立場にございません。そういうことで、私は私の申し上げたことにつきましては責任を持って今後やってまいりたい、こう思っております。
○木島則夫君 申しおくれましたが、まことにおめでとうございました。 そこで、私は限られた時間があと二分でございます。そこで、防衛大綱は現在変える必要はない、そういうお答えが再々政府から返っております。それはそれとして、こういうお立場は、私はそのとおりいまのところは受けとめさしていただいておりますが、こういう立場はやはり国防会議で討議をされたことでもあるのか、また、同じく議員懇談会でも開かれて活発な白熱な論議を経た後にこういうお立場の表明があってしかるべきではないだろうかということを最後に申し上げたい。いかがでございましょうか。今後の政府の姿勢も含めて、ひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在の五十一年に決定をいたしましたところの「防衛計画の大綱」、これを変更するという私は必要を認めておりません。したがいまして、私はその五十一年の閣議決定、この立場で政府としては皆さんに御説明を申し上げ、これを今後もそういう大綱の中で防衛計画は進めていく、防衛力の整備は着実に進めていくということをはっきり申し上げておるわけでございます。
○秦豊君 鈴木総理、私は最初に金大中氏問題をぜひ伺っておきたいんです。 これは実は去る昭和四十九年、それから昨年の十二月、あわせて二回ソウルの金大中氏の自宅でいずれも三時間以上にわたってひざを交えてあるべき日韓関係とか、あるいは韓国にデモクラシーが定着するのかというふうな問題について話し合ったことのある一人として、つまり現在の段階というのは非常に切迫した心情で受けとめている一人として、だからその実感を込めて特に総理に伺いたいと思うんです。 先ほどからの同僚議員との応酬を伺っていまして、総理はいろいろ答弁されているけれども、総理の真意は、私は的確には全斗煥体制に対して、全斗煥政権の中枢に対して伝達されていないと思いますよ。違うでしょうか、まず。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、予測だとかあるいは自分の希望的観測だとか、そういうようなものを前提にして申し上げることは避けたい、こう思っておりますが、崔大使と私の会談は先ほど申し上げたようなことで、二つの前提を置いて率直なきわめて友好的な終始雰囲気の中で話し合いをされた、私は私の真意、私の気持ちというものは十分崔大使には御理解をいただいたと、このように思っております。それから先のことはわかりません。これはもう想像になるわけでございますから、そこまで私は言及することは避けたい、こう思っています。
○秦豊君 総理ね、あなたがお感じになっていらっしゃるよりももっと、認識されているよりもはるかに残念ながらあの国の体制というのは軍事、情報独裁、特高政権ですよ。ある意味で言えば、見方から言えば、朴正煕政権よりも悪い、こう思う。だから本当の言論がない。表現の自由もない。だから、崔大使まではあなたの真意が伝わったかもしれない、あとは推測になるから控える、それは一国の首脳としてはそういう慎重さを堅持すべきは当然であろうと思うけれども、私は崔大使にまで真意が伝わったのであれば、あとは非常に作意的に言論操作をした、世論誘導をした、この際にキャンペーンをした、国民のヒステリックな声を背景にして非常に悲劇的な終末に導いていこうという、そういう政権の意図を感じないわけにはいかない。 もっともそういうことを聞いても、総理は答弁のらち内ではありませんという受けとめ方しかないと思うけれども、少なくとも総理、こういう点はどうでしょう。 一国の首脳が最高意思を伝達する方法にはいろいろある。特に、この段階で金大中氏問題についてシュミット首相のようなあのやり方もあるでしょう、あるいはライシャワー氏のような、あるいはケネディ議員のような、あるいはアメリカの一部インテリゲンチアのようなワシントン・ポストその他を使った意見広告を最後に出そうという動きも一つでしょう。しかし、総理はいやしくも一国の首脳なんだから、客観的にこれを見ると、私は総理の真意がゆがめられてマスメディアを通じて振りまかれたと思いますので、それはやはり正す必要があると私は思うんです。方法があると思うんですよ、総理、方法が。しかも残された時間は非常に乏しい。 こういう段階で私はやはりなし得る一つの選択としてあえて総理に伺いたいのは、やはり親書を送るという方法が最後にあると思うんです。それは、残念ながら日本国の総理たる鈴木善幸氏の真意はこうであった、私の真意はこうであったというコンファーも含めて、私は全斗煥氏に対する親書を送ってあなたの意思を一〇〇%伝達をする、改めて伝達をする、そして金大中氏の身辺に対する憂慮の意を正式にもう一度伝達をするというこの方法をおとりいただけませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) きわめて事柄が微妙、デリケートな大事な問題でございます。外交のことでございますから、ここで私からこれからどうするかというようなことを申し上げるということは差し控えたいと、こう思います。
○秦豊君 ならば鈴木総理、こういうことなんでしょうかね、やっぱり一国の総理として日韓問題の最大のボトルネックになっているこの問題、金大中氏問題、非常に切迫している、これはあらゆる観測を通じて平均化されています。その状態を踏まえて、一国の総理としては崔大使を通じてなされたあの意思の伝達がなし得る極限ですか、もうこれ以上はあり得ないんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この問題が円満にそして皆さんが御心配をなさっておられるようなことに至らぬような結果が出ることを念願をし、期待をし、そういう結論が出ることをまず一番この際考えなければならない。そういうことで、あらゆる角度からあらゆる方法、あらゆる事柄についてやるべきかやらざるべきかを含めて慎重に検討させていただきます。
○秦豊君 いまの御答弁の末尾の部分はふくらみを感じます。ある程度の余地というか、ニュアンスを感じますが、それはもちろん外交の機微に属することなんだけれども、いやしくも誇り高き日本国の総理、宰相としては、残念ながらある段階から総理の意図が、真意が伝達されてないんだから、やはり私の申し上げたような、たとえば親書も一つの選択肢として、あるいはあなたの憂慮の意が青瓦台に的確に届くような方法を改めて検討をしていただくという余地はまだあるんだなという受けとめ方をしてもよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) さらにやるべきかやらざるべきか、いろいろ慎重に考慮する必要がございますので、これは外交機密にもなるわけでございますからお任せいただきたい、こう思います。
○秦豊君 さっきからあなたは、二年の任期のスタートを切られて私が国防会議議長、私が一国の総理と、非常に刮目すべき決意に満ちた発言をしばしばされていますから、この日韓関係の最後の段階を迎えた金大中氏問題についても、恐らく私どもの期待をも凌駕するような的確な迅速な措置をおとりいただけるものだと、私は善意の政治家ですから、やはりあなたのそのこれからなされ得る選択の幾つか、まだぼくはあると思うから、期待をつなぎたいと思います。 それから、きょう実は総理、午前中にこの委員会に河本経済企画庁長官を私お呼びしたわけです。それは、総理がこれから体系化されようとしている総合的安全保障政策、これはさっき総理ちょっと、大分国民の皆さんに理解されたとおっしゃったが、まだこれ慣熟はしていない、定着していないんです。民間のシンクタンク段階ではかなり浩瀚なリポートになって輩出しています。大平総理の諮問機関もそうです。だけど、これからの問題、私が河本さんに伺ったときに河本さんこう言われたんですよ、この防衛費対GNP比、これをこうおっしゃった、なるべく早くGNPの一%に近づけるべきであると私は考える。日本経済にはその力がある。ただし一%を超えることについては私は異論があると。新たな経済上のひずみと問題を生ずるためであると。つまり、いま〇・九、無限に一%に近づけて一・〇〇%、ここまでは早く近づけるべきであるということを、いやしくも国防会議あるいはこれから開催をされる関係閣僚会議の有力なメンバーである河本長官が述べていらっしゃるんですよ。これについてはいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 基本的な認識においては河本君と同じでございます。
○秦豊君 では、やっぱりなるべく早く一・〇〇%は総理の認識の中では全くためらいがない、そうすべきである、こういうことですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は防衛計画の大綱の水準、これに着実にできるだけ早く近づけたい、こういうことを申し上げております。 その際に、GNPとの関連でございますが、河本君は大体経済成長率を五%台、まあ五・五%ぐらい、こういうことを常に頭に置いて経済運営に当たっておりますから、そういうことも私も河本君の考えの中に前提としてあるんだなあということを考慮しながら、認識においておおむね一致しておる、こういうことを申し上げておるわけであります。
○秦豊君 あと二分少々ありますから……。 これは総理、即答ができなければぜひ検討をしていただきたいと思うんですけれども、アメリカの議会では、国防長官による毎年の例の国防報告のほかに、統合参謀本部議長それから陸海空三軍の参謀長、海軍の場合には作戦部長がそれぞれ上下両院に対して軍事体制、「ミリタリー・ポスチュア」というのを毎年必ず提出をいたします。これは、国防報告が概括的、概念的であるのに比べますとかなり生き生きと実態的で具体的である。ところが、翻ってわが国は資料要求をしたところでろくな回答がない。防衛白書なんというのは書店で購読することができる。国会議員で防衛を担当している議員たち、当該委員会の同僚議員、先輩議員あるいは安保特別委員会のメンバーに与えられる情報と資料はきわめて貧しい。ところが、ひな壇に座っていらっしゃる皆さんの情報量はほとんど百に近い。野党はゼロに限りなく近い。この状態の中で、総合安全保障とか日米共同作戦構想とか、あなた方の大胆な路線転換が行われている。現実に行われている。拍車がかかろうとしている。 そこで、総理に提案ですけれども、アメリカの場合には慣行化されて、しかも国の安全保障についての合意が慣熟しているから、日本とはかなり位相が違う、ありようが違う。だから同日の談で同列には論じられないけれども、少なくとも国会審議における安全保障関係、防衛関係の資料が非常に過少であり、秘密でないものを探し出した方が早いというふうな、マル秘の壁がきわめて厚いという現状を打破するためには、総理のおっしゃる総合安全保障なんという合憲は新たな国民合意です。いままでの国民合意は、一%以内、非核三原則、専守防衛、武器輸出禁止三原則、こういうふうなものの上に自衛隊肯定度八七%という国民合意が、これだけの戦後三十五年かけてようやく達成された。 これからは日米共同作戦、対ソ共同防衛、新たな質的転換を遂げようとする段階では、総合的安全保障については、なるほど軍事と他の部門と安全保障手段をバランスをとろうというから、これは皆さんの訴えかけによってはかなり私は国民の支持、共感を呼ぶものだと思うが、その一つとしても、私はせめて来年あたりから、いや来年度あたりから、防衛白書につけ加えて、たとえば衆参両院の内閣委員会とか安保特別委員会に対しては、八一年防衛報告――タイトルはどうでもいいから、アメリカのいわゆる「ミリタリー・ポスチュア」のような、より具体的なより審議の参考になり、判断の材料として的確な内容とレベルを備えた報告をやはり提出をする。そのことをぜひ私は真剣に検討をしていただきたいと思うんです。総理、最後にこの点について伺って、私の項を終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国会におきましては、長年の議会制度協議会等で御検討いただいておりましたところの安全保障特別委員会、これも発足をいたしたわけでございます。内閣委員会でいままで扱ってまいりましたが、非常に案件をたくさん抱えておられる。今度は安全保障特別委員会で防衛・安全保障の問題を専門に御検討、御審議をいただくと、こういうように相なったわけでございます。したがって政府としても、できるだけその場において審議にお役に立つように資料の整備、提供等につきましては、できるだけの努力を払うように私からも指示いたしてまいるつもりでございます。
○秦豊君 私の提案を含めてですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) はい。
○委員長(林ゆう君) これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。(「議事進行、議事進行について」と呼ぶ者あり) 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。(「議事進行について、最優先議題です。発言を求めています。」と呼ぶ者あり)議事は進行しております。矢田部君。
○矢田部理君 委員長の指名でありますので。 私は、日本社会党を代表して、防衛三法に強く反対する立場を表明した上、討論に参加していきたいと思います。 最近の防衛力増強は、五月初めの大平・カーター会談によって急速にその風圧を強めております。アメリカはドルショック、ベトナム戦争の敗北を契機に、経済的にも軍事的にも彼らの言う国際的威信が低下し、かわって、同盟国に執拗なまでに軍備の増強、とりわけ日本に対しては日米軍事同盟の強化拡大を求めてきております。特にこの首脳会談では、防衛庁の内部資料である五三中業がアメリカより問題に供され、その早期繰り上げ達成を求められました。国民にはその全貌を明らかにしない中業がアメリカには知らせられ、首脳会談の主要な議題となるなど、日本の独立と平和にとっても、シビリアンコントロールという立場から見ても、許しがたい事態と言わなければなりません。しかも、このアメリカの要請を受け入れて、明年度予算ではすでに要求段階で九・七%という特別枠を組み、その実現を図ろうといたしております。一方で財源難を理由に福祉を切り捨て、教育費を圧縮しながら、軍事力増強優先の政治方針を固めることは国民生活を犠牲にした暴挙と言わなければなりません。防衛三法はまさにそのような中で位置づけられるべきであり、認めるわけにはまいりません。 第二に、防衛庁は最近しきりにソビエト脅威論をあおり、意図的に防衛力増強の環境づくりをしています。しかし、防衛白書に関する本委員会における質疑からも明らかなように、防衛庁はアジア・太平洋地域における米ソの軍事力の比較について客観的、内容的な検討をせず、いたずらにソビエトの極東における軍事力増強を強調し、巧妙な世論操作を行っています。状況に対する過大評価、誤った誘導、過剰反応は厳に慎むべきことであり、その意味でも一連の軍備拡張路線に手をかすことはできないのであります。 第三に、いまの政治の方向は右傾化、軍国化の道を突き進んでいます。有事法例、防衛予算特別枠、徴兵制度の検討、海外派兵など、自民党や制服組、財界を中心に歯どめの効かない状況つくりが行われています。そして、まさにその頂点に憲法改悪を据えようとしているのであります。 日本社会党は、このような改憲、軍拡路線に断固として反対をいたします。 日本とアジアの平和と安全にとって大事なのは、軍拡の道、安保強化の路線ではなく、軍縮とその究極の到達点である非武装の道であると思います。それは憲法に忠実であるだけではなく、きわめて現実的な道でもあります。いま世界の軍事費は年間百十兆円を超えています。軍事費の負担の増大に各国とも重圧を感じており、それが人々の生活や福祉の向上に大きな影響を与えています。また核戦争の脅威について不安が増大をしております。とりわけ、日本は資源、食糧等を外国に依存し、また経済と人口の過度集中などの点から見ましても、戦争を前提とする軍事国防論は成り立たないと考えます。 その意味で、日本がとるべき唯一の道は軍縮と非武装の方針であります。安保条約を廃棄し、非同盟中立の外交政策をとることだと思います。少なくとも今日平和憲法を持ち、原爆の唯一の被害国であるわが国は、アジアと世界に向かって核兵器の廃絶、全面軍縮を求める大きな資格を持っています。それを現実のものとするためにも軍拡の道をとるべきではありません。 それゆえに、軍事力の強化とその拡大を目指す防衛三法には重ねて反対の意を表明し、私の討論を終わります。
○竹内潔君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。 われわれは、日本国憲法が示すように、全世界に正義と秩序を基調とする永遠の平和が実現することを念願しております。しかし、現実の国際社会はこの理想とはほど遠いものがあり、まことに残念であります。 すなわち、近年のソ連の世界的規模の軍事力増強は、東西間の軍事バランスに著しい影響を与えるとともに、世界の平和と安定に大きな脅威となっております。特にソ連のアフガニスタンへの軍事介入、わが国固有の領土である北方領土における軍備強化などきわめて遺憾な事態が続いております。また、イランとイラクとの間の紛争は、世界の、平和を乱すものとして、緊急な対応が迫られております。 このような国際情勢もあって、わが国の安全保障の問題に対する国民の関心は最近とみに高まってきております。われわれが平和のために何をなすべきかを論議することももちろん大切であり、平和への不動の信念を持って戦争回避の可能性を追求する必要のあることもいまさら論ずるまでもないことであります。 しかし、現実の国際情勢は前述の通りであり、そのことを無視して万一に備えることをおろそかにしてよいものでしょうか。国の防衛という問題は有事になってから考える、そのときになってから準備をすればよいというような場当たり的な対処では時期を失し、悔いを千載に残す結果を招くことになります。しかるがゆえに、われわれは平和時においても平和のための努力と並行して万一の場合の国の防衛体制をいかにするかを真剣に考え、日米安全保障体制の維持と日米間の信頼の関係の一層の向上に努めるとともに、最小限度の自衛力を整備するため防衛計画大綱に示された防衛力の水準達成に積極的に取り組んでいるのであります。 ただいま上程されております防衛庁設置法等改正案は、中期業務見積もり決定以前の昭和五十四年度業務計画に基づく措置と、中期業務見積もり初年度の昭和五十五年度業務計画に基づく措置とを講じるためのものであり、その内容は、海空自衛官及び予備自衛官の増員と、潜水艦隊の新編、航空自衛隊補給本部の新編と補給統制処の廃止、曹長制度の新設であります。これらはいずれも必要最小限度の人員の確保とその任務遂行の効率化、円滑化を図るためのものでありまして、妥当な措置であると考えるものであります。 もとより国の防衛は、自衛隊を整備し、その質を高めればそれによって事足りるというものではなく、総合安全保障体制を高めねばならないことは言うまでもありません。また、国民の理解と協力を得てこそ有事に際しその実力を発揮できるものであります。 政府においては、今後も国際情勢を的確に把握し、世界の平和と安定に貢献するため格段の力を尽くし、一九八〇年代の日本の責任を果たすとともに、国内においては有事に対処する防衛施策の充実と国防に関する国民の認識の向上及び合意の形成に一層の努力を払うようこの際強く要望するものであります。 これをもって私の賛成討論を終わります。
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、防衛庁設置法等改正案いわゆる防衛三法に対し、反対の討論を行うものであります。 わが国の平和憲法前文においては、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することをうたい、第九条では戦争放棄、軍備及び交戦権の否認を規定していることは、世界のいずれの国を見てもその類例を見ない平和への宣言であると同時に、わが日本国民の平和を求めてやまない切なる願いであると言っても過言ではありません。 今回の防衛庁設置法等改正案は、単に装備の充実に伴う定員増と潜水艦隊の新編成及び自衛官の階級を新設するという単純なものではなく、防衛計画大綱の基本的思想である基盤的防衛力構想を放棄して、脅威に対して所要の防衛力増強をねらいとしたものであり、まさに防衛力増強路線に拍車をかけるものであります。 すなわち、政府はソ連の脅威を過大に宣伝し、防衛力増強を図っているとしか覆いようがありません。 一方、政府は、防衛庁の内部資料と言われている中期業務見積もりを米国の要請によって一年繰り上げようとしております。また、そのための防衛庁予算枠の特別扱いが着実に進められています。 われわれは、総合安全保障という幅広い視野と長期的な立場から、防衛力の位置づけと限界をどうするかという最も重要な取り組みを放置したままで、単に潜在的脅威の増大を意図的に強調して、防衛力の無制限な増強の理由づけとしようとする政府の考えには反対せざるを得ません。 このことは、急激に高まっている自民党内の改憲論議と相まって、きわめて危険なものであると指摘せざるを得ません。 本来総合安全保障は、軍事的な面だけを強調するのではなく、外交、経済、食糧、エネルギー、海外協力等非軍事的な面での平和外交路線に立脚し、平和的努力の積み重ねによる相互信頼に立って国民的合意を得ることこそ、平和に立脚した安全保障政策の根幹に置かねばならないと強く主張するものであります。 私は、今回の防衛庁設置法等の改正案は、力の均衡による防衛力増強路線そのものであり、このような政府の防衛政策は危険なものであり、賛成できないものであります。 以上、公明党・国民会議を代表し、本防衛庁設置法等の改正案に反対することを表明して、私の反対討論を終わります。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 まず最初に強く指摘しなければならないのは、本法案が重大な法案であることにかんがみ、私は十時間の質疑時間を要求いたしましたが、私の質疑は四時間にとどめられたことであります。しかも質疑の中で、防衛庁のあいまいな答弁によって残された中期業務見積もりを含む六項目の留保問題の補充質問さえ認められませんでした。また、総理質問も政府答弁の矛盾をますます露呈いたしました。しかもなお、私の議事進行提案を無視して質疑打ち切りを強行しました。このことは、国民の負託にもこたえられない重大な事態であり、絶対に容認できません。 この改正案のねらいは、昨年のイラン革命を契機に、力の政策をむき出しにし、日本とNATOなどの同盟・従属国を深く巻き込んで、中東・ペルシャ湾地域への軍事介入態勢を公然と押し進め出したアメリカの世界戦略に基づいて、対米従属、国民弾圧、憲法違反の自衛隊の増強と日米共同作戦態勢の一層の強化を目指すものであります。 日米安保条約のもとで、今日カーター政権と鈴木内閣・自民党がひそかに画策している内容は、戦慄すべきものがあります。 それは、日米軍事同盟をNATO並みの攻守同盟に変え、自衛隊に広範なアジア・太平洋地域における軍事的責任を分担させるというまさに危険な戦略構想であります。日米軍事同盟の攻守同盟化によって、日本は自国が攻撃を受けなくても、アメリカが世界のどこかで戦争を始めたら、それに積極的に参加をしていく態勢であります。八月末の日米安保セミナーでもこうした戦略的方向を参加者全員で確認しております。 アメリカがことし一月の国防報告で、米日欧の統合戦略計画を練り上げ、日本の自衛隊にソ連太平洋艦隊を封じ込める三海峡封鎖作戦の準備を求めているのも、まさにそのいま一つの証明であります。 こうした戦略は、次期レーガン政権のもとで一層強化されることは必至の情勢であります。早くもレーガン政権の側近であるウィリアム・ミッデンドーフ元海軍長官は、アメリカで行われる第二回日米安保セミナーで、自衛隊の海外武力行使、アメリカ軍を助ける集団的自衛権行使を可能にさせる憲法改正を安保改定とともに議題にすることを要求してきており、また次期上院軍事委員長か国防長官候補と言われるジョン・タワー議員もほぼ同様の要求をしております。 一九七八年に決定された日米防衛協力の指針――ガイドラインについて、わが党は当時それが安保条約の事実上の改定に匹敵するものと指摘しましたが、この二年間の事態は、このわが党の指摘の正しさを裏づけております。 日米防衛協力指針に基づいて今日行われている日米両制服間の共同作戦計画立案作業は、いよいよ危険な方向で進められつつあります。それは、私の委員会質疑で鮮明になったように、従来政府みずから違憲と答弁し、実施をためらってきた自衛隊の東アジアの海域分担構想がいままさに日米戦略の基本方向として取り上げられるに至ったということが雄弁に物語っております。これは、自衛隊の大増強と大規模な海外派兵態勢を必然とするもので、危険この上ないものであります。 国民にとってさらに重大なことは、自衛隊の行動や機能の拡大に伴う莫大な軍事予算を確保するため、防衛庁が、毎年見直し、三年抜本見直しという軍事費を雪だるま式に膨張させる中期業務見積もりという名の仕組みを国民に押しつけようとしていることであります。 この中業を一部野党の積極的な協力を得て国防会議で決めようとしていることは、軍備大増強を政府のお墨つきで行う仕組みを公認するものでしかありません。 いま一つの重大な問題は、日米地位協定さえ踏みにじって米軍用F15戦闘機シェルターなど戦闘支援施設にも予算を組もうとしていることであり、しかもその内訳予算額を国会にさえ明らかにしておりません。日本国民にとって屈辱的なことと言わねばなりません。 以上のように、本法案に伴う自衛隊の増強、日米共同作戦態勢の強化は、日米軍事同盟の一層の強化を呼び起こすと同時に、日本国民にとって福祉の切り捨て、教育費の削減、自衛隊と米軍のための軍事予算を際限なく増加させるものとならざるを得ません。 私は、日本とアジアの、平和と資金を守り、国民の暮らしを豊かにしていくため、本法案に断固反対することを再度表明して、反対討論を終わります。
○秦豊君 私は、新政クラブを代表して、この防衛三法に対する反対討論を行います。 いま政府・防衛庁が積極的に推進している方向は、明らかにソビエトを主敵とし、アメリカとの共同防衛による対ソ連世界戦略への急速な傾斜である。日米防衛分担、ガイドライン等を基礎としたいわゆる共同作戦研究は、先ほどの私に対する防衛庁側の答弁によっても明らかなごとく、すでに一定の段階に達している。防衛庁は、この日米共同作戦と整合すべく防衛研究、奇襲対処、有事法制などの研究を一斉に実施しており、早晩自衛隊法等防衛庁設置法の改定が政治日程に上ってくるものと思われる。 一方では、いわゆるソビエトの脅威論を振りかざしながら、防衛費の対GNP比をできる限り早い時期に一%に無限に近づけようとしている政府側の方針は、先ほどの鈴木総理の私に対する答弁によっても明らかではないだろうか。 しかし、長い年月をかけてようやく形成された自衛隊に対する国民合意は、たとえば防衛費の対GNP比一%以内であり、専守防衛を基礎とし、海外派兵禁止、武器輸出禁止の原則、さらには非核三原則など幾つかの国民的常識に支えられている。これに反して、新たな日米共同作戦や対ソ共同防衛戦略への合意は全く慣熟していないことを銘記すべきであろう。 経済大国日本の宿命が、資源の圧倒的な海外依存度であり、ペルシャ湾、オーストラリア、南北アメリカ大陸からのいわゆるシーレーンを軍事力によって防衛することは明らかに不可能である。したがって、わが国にとっての繁栄と生存のための条件は、絶えざる努力による恒久、平和の維持以外にはあり得まい。軍事が安全保障の一つの部門にすぎないという当然の位置づけがまだまだ脆弱であることを指摘しなければならない。非軍事的手段との複合によるこの国の安全保障政策確立のためには、いわゆる総合安全保障政策の掘り下げと体系化が、したがっていまこそ厳しく問われていると言わねばならない。防衛三法の示す方向は、これらに背反する余りにも安易な選択であると言わざるを得ない。 重ねて防衛三法に対する反対の意思を表明して、私の反対討論を終わります。
○委員長(林ゆう君) これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林ゆう君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、暫時休憩いたします。 午後八時二十七分休憩 ―――――・――――― 午後八時三十九分開会
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○矢田部理君 社会党は私に引き続き野田委員が質問しますので、端的にお答えをいただきたいと思います。 その一つは、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案は、おおむね労働者災害補償保険法等の改正に伴う改正というふうに受けとめられるわけでありますが、これに関連いたしまして、社会保障制度審議会の答申が五十五年の二月九日に行われています。 その社会保障制度審議会の答申によりますと、労働者災害補償保険給付と民事損害賠償の調整の具体的な扱いは、性質上慎重を期す必要があるので云々ということがありますが、この調整問題の基本、扱い等については、いまどういうふうになっておりますでしょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) 御指摘の点については従来から問題のあったところでございまして、特に民間の関係でその点についてはっきりした秩序を立てるべきではないかというような論議が行われてまいったわけでございます。 そこで、その問題については、社会保障制度審議会におきましても、専門の審議機関を設けてその結論によって処理をしていくという線が打ち出されたのであります。公務員の災害補償の点では、先生御承知のように、公務災害と損害補償の関係については調整の規定が現在すでにございます。したがいまして、その調整のぐあいをどういうふうに現実にやっていくかという点につきましては、やはり民間との調整をよくながめながらそれとの歩調を合わせていくことが一番大事であろうというふうに思っております。 したがいまして、社会保障制度審議会による答申と、その結果に基づく結論をながめながら、こちらもこちらで検討を進めますが、その結論を待って具体的な処置を行う。これは時期的に来年の十一月ということになっております。それまでにということでございますので、まだ時間がございます。それらの点の推移を見ながら対処していきたいということでございます。
○矢田部理君 その基本的な思想でありますが、もともとこの災害補償については損害賠償論が一つ基礎にあると思うんですね。損害賠償論の場合には、民法的に言えば過失損害、それが歴史的に無過失損害賠償論にずっと発展をしてきて、それを一部制度化したのが災害補償制度であろうというふうに思うわけでありますが、総体としての損害と、それから実際上この法律によって補償される部分、それから補償されない部分との差というのはどういうふうに考えておりますか。
○政府委員(金井八郎君) 現行の補償法におきましては、先ほど総裁、答弁申しましたように、法律上両者の調整がすでにあるわけでございますが、その調整につきましては、補償が先行して推移した場合には、損害賠償額からすでに支払われた補償の額を差し引くことにしておりますし、損害賠償が先行した場合には、災害発生の日から三年を限度といたしまして補償義務を免責することになっております。 ですから、いま御指摘の補償と損害賠償との調整の問題につきまして、問題点は、災害発生の日から三年を限度として補償義務を免責することになっておるという点にあるのではないかというふうに理解いたしますけれども、これは先ほど総裁から申しましたように、今後労災補償法の関係も見まして、私どもの方も公務部内のその点調整ということで、同じ方向で、なるたけ重複は避けるという方向で今後十一月までに検討していくというふうに考えております。
○矢田部理君 私が聞きたいのはそういうことではなくて、つまり損害賠償論が一つこの制度の基礎にあるわけでしょう。損害賠償論というのは、実際の損害、それからさらには慰謝料的なもの、精神的な損害も込めていま損害補償制度というのはできているわけですね。 特に、卑近な例を言えば、最近の交通事故などによる損害補償というのは、相当額の慰謝料が支払われるような実態になってきているわけです。それに対して、この災害補償制度で賄われる部分というのは、たとえば慰謝料的な側面がどの程度含まれるのか、実損の回復がどの程度見込まれるのかというあたりが一つの問題点になっておりますのと、したがってまた、たとえば民間で言えば、一般の民間の労災につきましては、制度的補償のほかに企業が一部積み増しといいますか、法定外給付といいますかということをそれなりに労使協定等でやっている向きが実態として多いわけですよ。そこら辺について公務災害はどういう思想、どういう考え方で今後方向づけようとしているのかということをまとめてお答えをいただきたい。
○政府委員(金井八郎君) 御指摘のごとく、国家公務員の災害補償は無過失損害賠償責任といいますか、定型補償でやっております。したがいまして、一般に民事の損害賠償の際に慰謝料であるとかいうようなものを含んで損害賠償しているわけでございますから、その間には内容において差異がある。これは災害補償が労災補償と並びましていま申しましたような性質のものでございますので、精神的損害賠償というようなものは災害補償には含まれておらないと、これはやむを得ないたてまえでございます。 しかしながら、そういうギャップといいますかそういうものは、公務員の場合は福祉施設ということで、先ほど御指摘のございました法定外給付もそうでございますが、特別支給金等によりまして、そういう点の穴埋めと言うとおかしいんですけれども、できるだけ官民の均衡をとっていきたいというもとに、民間の法定外給付につきまして毎年調査をいたしまして、できるだけそういう点についてもカバーをしていきたいという方針で今後もやっていくつもりでございます。
○矢田部理君 やはりこの実損を慰謝料も含めて全体的に補償をしていくという基本に立って、単なる制度的改善だけではなくて、そういうことも含めた方向づけを明確にあるいは具体的にしていくべきだということを強く要望しておきたいと思います。 もう一点だけ伺っておきたいのは、災害補償というのは、どちらかというと工場災害などが歴史的に中心に制度化されてきた傾向があるわけです。したがって、たとえば工場で機械に巻き込まれたとか事故に遭ったとかというのは非常に労災認定としてはわかりやすいのであります。 ところが、最近のように精神労働者といいますか事務労働者が多くなってまいりますと、そういう災害だけではなしに、たとえば職場で非常に疲労が重なったとか過労状態が続いて発病をする、あるいは倒れるというような事例がそういう性質の職場には多くなってきているわけです。それがたまたまそれは職場で倒れれば公務災害的認定がそれなりに一つ説明が要らなくなる部分があるわけですが、やっぱり精神的な過労とか何かが原因で倒れるに当たっては、職場で倒れるとは限らぬ、勤務外で、あるいは自宅でなるというような場合に、公務上の災害だとか業務災害だという認定が非常にぎくしゃくする場合がしばしば現場的には多いわけなんです。 その点で、この精神的過労とか、その種事務労働者がただぶつかったとか機械に巻き込まれたとかということでない、やっぱり単純な認定でない問題について運用面でもう少し幅を持たせるとか、柔軟な対応をするということをひとつ志向すべきではないかということを私は強く希望しておるんですが、その辺についての考え方を伺って、私の質問は終わります。
○政府委員(金井八郎君) いま御指摘の職場で倒れた、災害で倒れたというような場合は、これは確かに公務上の認定が比較的容易でございます。しかし、場所が離れて自宅で倒れたとか、勤務を離れて相当時間たって倒れたという場合に、それが公務との間でどの程度の因果関係が認められるかということに尽きるわけでございますけれども、一般にそういう場合は、脳・心臓疾患系の病気などが比較的そういう場合には多いんじゃないかと思うんですが、やはりそういう疾病になりますと、素因というものとそれから業務の過重というものが相乗して発病するということになるケースが多いと思います。 そこで、業務の過重性がどの程度あったかということが一つのポイントになるわけですけれども、たとえば職場を離れて自宅に帰ってすぐ倒れたというような場合に、その職場におきまして非常に精神的に負担を感ずるような業務に従事したというような場合になりますれば、これは職場でそういう形で倒れたというのと比較的近いわけでございますから、そういう意味で認定もその過重性というものを判断すれば足りるわけでございます。しかし、相当職場から離れて、相当時間たって倒れたというような場合になりますと、これは素因の方が主として重かったのではないかという疑いもございます。ですから、その場合には業務に従事した際の通常の業務に比してどの程度精神的肉体的に過重な負担を負ったかどうかという点を十分に調べまして、上・外の認定について遺漏がないようにしたいということで、そういう旨実施機関にもお話ししているところでございます。
○矢田部理君 これはもう終わりなんですが、公務起因性というのは、たとえば職場外で倒れたような場合の立証というのは非常にむずかしいんですよ。まあどっちに立証責任があるかという問題もあるわけですが、したがって、そういうものについてもう少し立証責任の転換とか公的関与とか、あるいは運用上幅を持たせるとかということをやっぱりもう少し大胆に打ち出してもいいのではないかという、これはまあ意見でありますから、強く要望して終わります。
○野田哲君 もう大分時間が遅いですから、一点だけお伺いをして終わりたいと思うんですが、いま同僚の矢田部議員からも質問がありましたように、最近の公務員の職務内容につきましても複雑多岐にわたっておりまして、即物的なといいますか、目で見て直ちに判定できるというような外傷的な公務災害だけではなくて、神経的な災害あるいは内臓関係、循環器系統、こういうところから来る問題も大分ふえているんじゃないかということが議論になっています。 当委員会でも、総理府統計局の頸肩腕障害の問題等についてずいぶん議論したことがあるわけであります。総務長官は医学界の出身な方だそうですから、専門的なことはそちらの方が詳しいわけでしょうが、頸肩腕障害とかあるいは職場環境の複雑多岐な状態の中で起こってくるストレスとか、そういうところから来る病気あるいは死因というようななかなか判定困難な問題がふえているんじゃないかと思います。公務災害補償法によって給付、補償の内容を改善をしても、これらの問題について関係者から申請があっても次から次に却下をされるというような状態であったのでは、私は本当に実効が上がっていかないんじゃないかと思うんです。 特に、最近は、問題になっている電算機とかあるいはコンピューター等にかかわる頸肩腕障害、あるいは白ろう病、振動病というのは山林労働者だけの問題かと思っていましたところが、最近は建設省関係の仕事、自治体の土木関係の仕事をやっている、あの除草機、草刈り機ですか、これを使っている労働者がやはり同様に振動病にかかっているというような事例も上がっているわけであります。こういう状態に対して、いまの労災関係についても、公務災害補償法関係についても、新しい機械や器具を使う病気、障害、こういうものに対して十分対応し切っていないんじゃないかという感を深くしているわけであります。 そういう点から、これらの新しい機械、器具等によって起こってくる、神経系統とかあるいは循環器系統とか、こういうような公務災害に対しての認定の基準、これ医学的な見地も含めて早急に検討をして、このような該当者が救済されるような措置をとるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、人事院それから総理府、自治省、それぞれ担当政府委員から御答弁をいただいて、それで納得できれば私は終わりたいと思います。
○政府委員(金井八郎君) 頸肩腕症候群等いわば職業病とされているようなものにつきましては、すでにその認定基準というものを出しまして対応しているわけでございますけれども、御指摘のように電算機その他新しい機器の使用によりまして、まあその結果なったと思われるような症状、生じたような症状、そういうのにつきましては、これ事例がまだ先生の御指摘のようにそうたくさんは実は出ておらないと思うんです。 郵政省でバイク等のものが新しく振動病として一応いま取り上げられておりますけれども、そういう症例がある程度積み重ねられましたらば、これは医学的な立場から十分にそういう点をさらに詰めまして、それに対応するために、できれば新しい認定基準というものがあった方がよろしいわけでございますけれども、それがなかなか最初のことでむずかしいということになれば、ある程度認定に際して留意すべき指針というようなものでもできましたらつくりまして、実施機関における認定においてそごのないようにいたしたいと常々思っておりますので、今後も御指摘の点には留意しまして研究していきたいと思います。
○政府委員(亀谷礼次君) ただいまは人事院の方から答弁がございましたとおりでございまして、私ども政府といたしましては、国家公務員の災害補償制度につきましては、人事院の勧告を待ちまして所要の措置を講ずることといたしておりますことは御案内のとおりでございます。したがいまして、人事院におかれまして専門的な立場からの調査、御検討をいただいた上で、所要のお申し出がありました暁におきまして、政府としての検討を進めてまいりたい、かように考えております。
○政府委員(宮尾盤君) 地方公務員の疾病のうちで、それぞれの業務に伴う有害作業の程度が、医学的な見地から見まして当該疾病を発症させる原因となることが明らかなような疾病につきましては、これは御承知のように、労災制度とか、あるいは国家公務員災害補償制度との均衡を図りながら職業病として取り扱うということにしておるわけでございます。たとえばそういう意味では、タイピストあるいは電話交換手等のいわゆる頸肩腕症候群の取り扱い、あるいはブッシュクリーナー等身体に障害を与える機械、器具を使用する場合に手、指等に末梢循環障害等の疾病が出てまいりますが、こういうものにつきましても職業病として取り扱いまして、具体的な認定基準を定めております。 ただ、問題になりますのは、そういう医学的な面からの詰めができまして職業病として取り扱われるようなものは別でございますが、一般的にそれ以外のものにつきましては、公務との相当因果関係というものをほぼ具体的に詰めまして、それによって認定をするということにいたしておるわけでございます。そういう新しいいろいろな問題につきまして、何らかの一般的、具体的な認定基準、指針というようなものをつくるということについては、私どももできるだけその努力はしていかなければならないというふうに考えておりまして、先ほど人事院の方からお答えをいたしましたような考え方を持っておるわけでございますが、ただ、これを詰めていくことにつきましては、なかなかいろいろむずかしい問題も多々あるわけでございます。 今後、医学上の点につきましてもいろいろな研究を尽くし、また幾つかの個々具体的な事例等も積み重ねまして、公務上・外の認定につきまして適正に行われるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○峯山昭範君 私、人事院の方へお伺いをいたします。 今回のこの災害補償法ですけれども、これもうすでに民間の労災の方の労働者災害補償保険法ですか、これが成立しているわけですけれども、この人事院の今回の「申出の理由」の中にも、今回の法律の改正につきまして「かねて検討を進めてきた」、こういうふうに書いていらっしゃいますけれども、本当にこれここに書いてあるようにかねて検討を進めてきたんですかね。本当にきたのであるならばもう少し、実際の法律の中身はもうこの労災の方と全く一緒ですね、労災に準じてと言えば、これはおかしいかもしれませんがね。かねて検討してきた中身というのはどういうことなんですか。もう少し何か労災の方とは変わった意味の検討をしていらっしゃるのかどうか。そういう点ちょっと厳しい聞き方かもわかりませんが、まことに申しわけないんですけれども、きょうは簡単に言わないけませんので、よろしく。そこら辺のところはどうなんですか。
○政府委員(金井八郎君) 災害補償法におきましては、労災保険との均衡を考慮して実施をするという旨の規定がございます。 そこで、過去もそうでございましたけれども、この補償法の改善についての検討というのは、確かに御指摘のように労災と均衡をとることが必要とされるものにつきましては、これは労働省等関係機関とも連絡をとりまして検討を重ねてきたわけでございますし、それから公務に特有な、たとえば特別公務のようなそういう部分につきましては、これは人事院の方でいま研究を進めまして、従来からこの改正には対処しているわけでございます。 今回の分につきましては、御指摘のように労災とほとんど同じ部分が大部分でございます。そういう点につきましては、やはり労災との均衡を図るという意味で労働省と連絡等とりながら人事院としても研究をしている、こういうことをいま御指摘のような表現で述べたわけでございまして、そのように御理解願いたいと思います。
○峯山昭範君 中身何にもないということや、言うたら、結局は。実際。そこで余りようけ聞くつもりないんですけれども、この「申出の理由」の中にも、第一項目から「遺族補償年金の給付水準の改善」から始まりまして、二項目が「身体障害に対する評価の改善」とか、三項目、四項目、五項目と順次あるわけですが、それ以外に四番目のところに、この法律による改正以外に「人事院規則による改正措置」というのがあるんですよね、これはどういうふうな違いが実際問題としてあるんですか、これは。
○政府委員(金井八郎君) 今回の改正の中身につきまして、いま御指摘のように、労災と同じもの以外のものといたしましては、労災の方では身体障害に対する評価について労働省令の改正によって行うことにされていますが、国家公務員災害補償法の方は法律によってやるということでございますし、さらに労災保険法におきましては、スライド制の改善及び使用者に過失がある場合の民事損害賠償と労災保険給付との調整も内容としておりますが、この点につきましては、まずスライド制の点につきましては、国家公務員災害補償法上は年金に係る平均給与額の改定を行うことによって実質的にスライドが図れるものでございますので、規則によって行うことにいたしてあります。 それから、調整の点につきましても、現行規定におきまして一応調整の規定は整備されておりますので、これも労災の方の十一月までの労災審議会の議を経て定められる基準というものとの均衡を図りながら、公務部内としてやはり十一月までにそれと歩調を合わせる方向で検討して改善したいというふうに考えております。 その他福祉施設等で、すでに人事院規則によりまして改善した部分もございますし、今後する部分もございますが、そのほかに、たとえば法定外給付に見合うものとして、特別援護金等につきましては人事院規則で法定外給付の均衡をとるということで独自に規則でやるということを考えております。
○峯山昭範君 この公務員災害補償法による補償というのは、一般の損害賠償とかそういうふうなものとは違うと私は思いますけれども、実際問題としてこれは比較を非常にしにくいわけですけれども、たとえば自動車の保険の自賠責というのがありますね、あれ最近は大分引き上げられまして最高二千万円ぐらいになっているわけですけれども、これは一時金ですから、一時金とそれから年金とは大分差があって、実際は違いますけれども、これは実際は自賠責との関連ですね、こういうところについてはどういうふうにお考えなんですか。
○政府委員(金井八郎君) 自賠責保険の保険金の限度額は、現在たとえば死亡及び障害一級でございますと二千万円という額になっております。これはもちろん慰謝料分も含めて保険金として支払われる最高額でございますが、同時に、これは一時金で払われているわけでございます。一方、補償法の給付は年金が主体でございまして、終身支給される年金の支給総額ということになりますと、平均的には自賠責保険の保険全額限度額を大幅に上回ることになると思います。 ただ、補償法の一時金給付につきましては、自賠責保険では慰謝料分も含めた給付額になっておりますので、総額では補償法の方が若干自賠責保険を下回るということになっておりますが、自賠責保険の逸失利益分と比較すると、少しは下がっておりますが、大体均衡がとれているというふうに考えております。 たとえて申しますと、たとえば自賠責でございますと二千万円でございますが、補償法でいきますと、年金のこれは累計が平均的に三十年ぐらい受給するという仮定のもとに計算いたしますと、補償額とそのほかに特別給付金あるいは特別支給金等を合算しますと、約七千万円近い六千九百八十九万円ということに年金の場合はなるわけでございます。一時金の場合でございますと、自賠責の方が二千万円で、うち慰謝料分というものを除きました額と公務員の場合の一時金の額を比較した場合につきまして見ますと、自賠責の方が千四百六十五万円と、慰謝料を除いてそうなります。一時金の方の場合は合わせて九百五十六万円ということでございますから、御指摘のごとく若干下回ってはおります。しかし、大きな目で見ますとそうひどい不均衡というわけではないというふうに考えております。
○峯山昭範君 これはあと二、三問したいと思っていましたが、もう終わりますけれども、一つだけちょっと聞いておきたいんですけれども、当然人事院では公務員の皆さんの災害、これはどの程度起きておるかというのは、もうすでにつかんでいらっしゃると思いますけれども、きのう実は決算委員会で労働省関係をやったんですけれども、そのときに労働災害というのが年間に百万件起きておる。そして、約三千人の人が死んでいるということでありまして、先ほど職業病の問題がありましたけれども、公務員の皆さんの中でいわゆる職業病にかかっていらっしゃる皆さんはどのぐらいいるのか。それで、公務員の皆さんの中で労働災害を受けていらっしゃる皆さんは実際どの程度いらっしゃるのか、そこら辺のところをちょっと聞いておきたいのと、それからもう一つは、振動病の問題、これは非常に民間の方が非常に悲惨な実情にあります。振動病の皆さんのいわゆる休業補償の補償基準の算定基準を見直せというのを労働省では相当やっておるわけです。ところが国の方は何といいますか、給与の水準といいますか、それが出来高払いとか、そんなのとちょっと違う点がありますので、多少は違うと私は思いますけれども、そこら辺のところとあわせて、一遍御答弁をいただければと思います。
○政府委員(金井八郎君) 昭和五十四年度の公務災害、通勤災害につきましては現在集計中でございますが、昭和五十三年度における公務災害として実施機関に係属したものは一万七千百四十二件でございます。そのうち公務上と認定されたものはそのうちの約九一%が公務上となっております。それから、通勤災害につきましては、同じく千六百五十件ございまして、そのうちの九二・九%が公務上の災害というふうになっております。それから、職業病につきましては約二百件ございました。 それから次に、振動病障害者等について就労ができないこととかあるいは職種転換等によって受けるべき貸金が低くなるために休業補償が低くなるという問題につきまして、これは休業補償は公務上災害または通勤による災害にかかって勤務することができない場合におきまして、給与を受けないときは、その勤務することができない期間について平均給与額の百分の六十に相当する金額を支給することとなっておるわけでございます。平均給与額の取り扱いにつきましては、事故発生時点における平均給与額と補償事由の生じた日の平均給与額を比較して、有利な平均給与額を基準として休業補償の額を算定することとしておりますので、御指摘のような場合は、被害職員に不利にならないように有利なように取り扱うという形で現在運用しているわけでございます。
○峯山昭範君 たとえば林野庁なんかの場合は、民間の場合は平均給与というのがもうぎりぎりいっぱいまで働いておりますので、だんだんだんだん出来高が少なくなりまして、十のやつが大体振動病で入院する寸前には二か三になっておりまして、ですからその日から三カ月のやつの平均をとりますので非常に給与が安くなってしまうということで、非常に何というか、最低保障額といいますか、二千六百円ぐらいが、それよりちょっと多いぐらいという人が多く出てきまして、非常にむずかしい問題が出てきておるわけです。 公務員の林野庁に勤めていらっしゃる皆さん方の場合は、そういう事例は全くないのかどうか。そこら辺のところはどういうふうになっていらっしゃるのか。また、そこら辺の相談について労働省からもいろんな事例等の打ち合わせ等もあると私は思いますけれども、そこら辺のこともあわせまして、これは、局長の御答弁いただいて、後で総裁の方からもちょっと御答弁いただいて、私の質問は終わりたいと思います。
○政府委員(金井八郎君) 御指摘の林野関係につきましてのそういう平均給与額の問題につきまして、特に問題であるとか、あるいは検討してもらいたいというような関係機関あるいは関係者からの要望というのは直接実はまだ私聞いておらないわけでございますけれども、いま御指摘の点のようなこともあろうかと思います。そこで、私どもの方も十分その点はひとつ研究さしていただきたいと思います。
○政府委員(藤井貞夫君) 公務災害補償の問題についていろいろ御意見を拝聴をいたしたわけでございます。 御承知のように、大変この問題をめぐっては問題が多いわけでございます。それと、公務に起因するという、その起因性の判定の問題というものは大変むずかしいことでもございますが、また別の意味から申して、医学的な究明がだんだん進んでいくに従いまして、従来公務災害ということでの範疇に入ってこなかったものが入ってくるという場合も多々あり得るわけでございます。 いずれにいたしましても、これはやはり公務員の利益のために、また生活保障のために設けられている制度、これが本来の趣旨でございますので、その線にのっとってこれからも検討をいたし、また推進を図るべきは推進を図ってまいるということに努力を続けてまいる所存でございます。よろしくお願いを申し上げます。
○安武洋子君 まず補償法二十四条「補償の実施に関する審査の申立て等」及び二十五条についてお伺いをいたします。 同法一条では、公務上の災害補償について迅速かつ公正に行う、そういうふうに目的を述べております。人事院総裁は衆議院の質疑の中で、公正迅速のためにその方向の努力を絶えずやっていくつもりだ。いまの審査手続自体が理想的で万全なものだという思い上がりもわれわれは持っていないと、こういうふうな御答弁をなさっていらっしゃいます。 そこでお伺いいたします。人事院規則十三-三ですが、「災害補償の実施に関する審査の申立て等」の第十七条「審理の方式」についての条文ですが、これは「審査の申立ての審理は、書面による。ただし、審査申立人の申立てがあったときは、委員会は、審査申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。」となっております。条文どおりであれば、申し立て人に口頭で意見を述べる機会を当然与えなければならないと思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
○説明員(山本信一君) 御指摘の人事院規則十三-三の十七条には、審理の方式といたしまして、原則といたしまして書面審査ということになっておりますが、申し立て人の申し立てがあったときには委員会は口頭で意見を述べる機会を与えなければならないと、こういう規定が御指摘のようにあるわけでございます。 この審査委員会と申しますのは、災害補償の審査の申し立てに当たりまして、人事院が判定を出すに当たりまして、その前段階といたしましてこの災害補償審査委員会が、先ほど来問題になってございますように、非常に専門的な問題でございますので、医学の専門家とか補償業務の専門家とかを委員に委嘱いたしまして、そこで専門的な立場で審査し、それを人事院に報告すると、こういう形のものでございます。したがいまして、この審査委員会というのは性格から言うならば、調査機関と、こういう形であろうと思います。 ところで、審査の方式としましては、原則として書面によるのでございますけれども、口頭による意見陳述というのも、簡易な方法といたしまして、自由に申し立て人あるいはその関係者等から意見を聞くという方法を認めるということでございますが、その手続につきましては、特段ここに規定しているわけではございませんので、私どもといたしましては、申し立て人から申し立てがございましたならば、――これ、全国たくさんのところから申し立てがあるわけでございますので、委員会といたしましては、その職員を指名いたしまして、それぞれ各地に派遣いたしまして、直接その申し立て人から意見を口頭で述べてもらいまして、それを録取いたしまして、それをその委員会に報告すると、こういう形になっておるわけでございます。
○安武洋子君 要するに、職員に委任しているということなんでしょう。だから、時間が短いので、もう少し端的に答えてください。 とすると、人事院の職員の方が意見聴取を行っているということがいまの御答弁であったわけですけれども、労働省来ていただいていますでしょうか。――お伺いいたします。 民間の場合も、国家公務員と同じように労働保険審査官の判定に不服の場合には、労働保険審査会に再審請求ができる、こういうふうになっておりますね。この民間の労働保険審査会での申し立て人の意見陳述、これは審査会委員に直接述べられるようになっているんでしょうか。なぜ直接意見陳述ができるようなシステムになっているかということをお伺いいたします。
○説明員(小粥義朗君) 労働保険審査会、それから、それ以前の第一審の審査会を含めまして、従来は、昭和三十七年以前は書面陳述ということだったのですが、三十七年に行政不服審査法がつくられまして、それ以前の訴願制度の欠陥を是正するということで、その行政不服審査法の中で、口頭による意見を述べる機会を与えることとしている。それにならいまして、労働保険審査会の方でも同じく録記をとることにしたものでございます。同様のことは社会保険審査会でもとられていることでございます。
○安武洋子君 公正を維持するというふうなことで、三十七年に条文を導入されたということで御答弁いただいたのですけれども、公正を維持するということは、法律上でも明文化されているわけです。審査委員が当然私は面接に行うべきことだというふうに思います。これは法律どおりに執行をいまはされていないのではないかということを思うわけですけれども、いままで実施機関及び人事院が業務外と、こう認定した事案というのが裁判で四件も覆っておりますね。だから私は、こういう点を踏まえてお考えいただくなら、当然審査委員が直接に該当者から口頭陳述を聞くのはあたりまえのことは、民間でできているものがなぜできないのかというふうに疑問を持つわけです。これは直ちに実施をすべきではないでしょうか。総裁、いかがお考えでしょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻局長から御説明を申し上げましたようなことで、審査会の委員が指名をいたしました職員が直接本人のところに伺いまして、いろいろ口頭陳述を受けて、ありのままをこれを記録をいたしまして、審査委員に出して、その判定を仰ぐという手続でいままでやってきております。 それなりに、われわれといたしましては、それほど大した問題が起こっていないのではないかというふうに思っておりますし、それともう一つここで申し上げておきたいと思いますのは、やはり公務員制度における人事院の立場、性格というものでございまして、これは労使の混合でもって事柄を処理していくというそういうたとまえはとっておらない。それのために中立的な専門機関でありまする人事院というものができまして、それがそういう判定業務もやっておるというようなことからも起因しているのではないかというふうに私自身は考えております。 ただ、今後の運営の実態その他から見まして、さらに改善を要するというような点がそれは出てまいらないとも限りません。そういうような場合におきましては、虚心坦懐にそういう情勢を踏まえて、改善をすべき点があれば改善を加えていくにやぶさかではございません。
○安武洋子君 私はやはりぜひ改善を加えていただきたいと思います。いままでは大した問題起こっていないと思われるとおっしゃっておられますけど、人事院が業務外と判定した事案が裁判で四件も覆るというのはやっぱり大した問題でありますし、該当者にとっては大問題なわけです。ですから、やはりこの判定のあり方については私は検討を加えていただきたい。やぶさかでないとおっしゃいますので、十分に期待をさせていただきます。 次に、審理の公開の問題についてお伺いをいたします。 災害補償審査委員会の審理というのは現在非公開になっております。これは公開することも私は公正を維持して発展させる上で必要なことだというふうに思いますけれども、人事院いかがお考えでございましょう。
○説明員(山本信一君) 先ほども申し上げたところでございますけれども、判定は人事院でございますが、審査委員会というのは調査機関でございます。各申し立て人あるいは代理者、関係者等からそれぞれプライベートな内容にわたってまでいろいろ聞いてまいるわけでございますので、そういう点におきまして調査の段階でそれを公開するというのはいかがかと、そのように考えておるわけでございます。
○安武洋子君 では、労働省にお伺いいたしますけれども、労働保険審査会、これは公開制になっておりますね。この条文はたしか昭和三十七年に労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正で追加したものだと、こういうふうに思いますけれども、三十七年に公開制の条文を導入された趣旨というのはどういう趣旨でございましたか。
○説明員(小粥義朗君) 三十七年に審査会法が行政不服審査法の施行に関連しましていろいろ変わったんですが、実はこの公開制度の規定は、三十一年にこの審査会法ができました当初からございました。なぜつくられたかといいますと、労働保険審査会が通常行政機関から言うなら独立の形で準司法的機能を持つという観点から、裁判が公開制度で行われているということと同様に、その内容を広く関係者を含む国民の前に明らかにして、言うなら民主的に事案を処理すべきであるという趣旨から労働保険審査会法ができた当初にそれが、公開制度が設けられたものでございまして、それ以前につくられておりました社会保険の審査会でも同様の規定があったわけでございます。それにもならったという趣旨でございます。
○安武洋子君 いまの趣旨を人事院もお聞きになったと思います。労働保険審査会法では申し立て人がプライバシーの問題などで公開してほしくない、こういうふうな申し出があれば非公開にできるということも明文化されていると思います。 人事院の審査会でも、私は同様の措置をとればプライバシーは守れると思います。審査会の公開制もやはり実現すべきだと、検討なさるべきだと思いますが、人事院、いかがお考えでございましょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) この点は、先刻審査申し立て人の直接の事情聴取ということで申し上げたことと基本的にはお答えとしては同じでございます。したがって、いまの制度の運用、あり方というものがこれが万全であって、これ以上の余地はないんだという口幅ったいことを申し上げるつもりはございません。これは衆議院でも申し上げたとおりであります。 ただ、私の感じとしては、公開制の問題というのは検討事項として将来も引き続きやってまいりますが、先刻の申立人の口頭陳述を直接審査委員会でやるということとはちょっと程度がいかがであろうかという感じがいたしております。調査機関の調査の段階でございますので、あとはそれを受けて人事院で判定をするというかっこうでございますので、そこまで踏み込んでやるべき筋合いのものなのかどうか、その点は多少疑問に思っておりますが、ただ、審査手続全般を通じてよりよい方策があり、これが一般の御了解も得られやすいということでございまするならば、そういうことも考えてみてもいいのではないかという感じを持っております。
○安武洋子君 私は、プライバシーも守れることですし、ぜひそういう方向で検討していただきたいと思います。 最後に、指定医の問題についてお伺いいたします。 災害を業務上と業務外の判定を求めるときに医師の意見を添付することになっております。この医師というのは、人事院とか実施機関が指定する医師でなければいけないというふうなことはないと思いますけれども、これについての人事院の御見解を伺います。
○政府委員(金井八郎君) 実施機関が、疾病等につきまして、これを公務上の災害であるかどうかということを認定する場合に、医学的な意見というものが大変重要な要素になる場合が多うございます。特に、疾病の性格によりましては、その疾病を専門としておる医師、医療機関の意見を得るということが必要になってくるわけでございます。ですから、このような場合には、当該専門医からの診断書または意見書があれば、それによって判断するに十分でございますので、特に特定の医療機関でなければだめだというふうに限定するつもりはございません。
○安武洋子君 それでしたら結構です。 質問終わります。
○委員長(林ゆう君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林ゆう君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、矢田部君から発言を求められておりますので、これを許します。矢田部君。
○矢田部理君 私は、ただいま可決されました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対しまして、各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。 一、公務災害の絶滅を期し、災害の予防及び職業病の発生防止のために、なお、一層努力すること。 一、公務災害補償については、補償水準の向上、とくに若年死亡者に対する遺族補償の増額等の基本問題の検討を引き続き進め、その改善に努めること。 一、傷病補償年金受給者に対する特別支給金の給付について、その実現を期すること。 一、民間企業における業務上の災害等に対する法定外給付の実情にかんがみ、公務員の場合においても適切な措置を講ずること。 右決議する。 以上でございます。委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(林ゆう君) ただいま矢田部君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林ゆう君) 全会一致と認めます。よって、矢田部君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、中山総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。中山総理府総務長官。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議決されました附帯決議につきましては、その御趣旨を体し、今後なお一層公務災害の防止に努力をいたしますとともに、人事院の調査研究をまって十分検討いたしてまいりたいと存じております。
○委員長(林ゆう君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(林ゆう君) 臨時行政調査会設置法案、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上五法案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中曽根行政管理庁長官。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま議題となりました臨時行政調査会設置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年、わが国内外の社会経済情勢は大きく変化し、わが国は、今後、エネルギー・資源の制約、財政赤字の累積等の多くの困難を克服しつつ、経済の発展と社会の成熟化の進展、先進国家としての国際的役割りの増大等に伴う新たな課題に対応していくことが要請されております。 このようなわが国行政を取り巻く諸情勢の変化の中で、国民の要請に的確にこたえる簡素で効率的な行政を実現するとともに、新たな時代への移行に対応した行政の諸制度の確立を図ることが強く求められているところであります。そこで、政府といたしましては、今後における行政の抜本的な改善を推進するため、長期的かつ総合的視点から行政の適正かつ合理的なあり方を検討する必要があると考え、今般各界の英知を結集した権威の高い調査審議機関として、総理府に臨時行政調査会を設置することとし、ここにこの法案を提出した次第であります。 次に、法案の内容について御説明申し上げます。 臨時行政調査会は、社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現に資するため、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議し、その結論に基づいて、内閣総理大臣に意見を述べ、または内閣総理大臣の諮問に対し答申することを任務としております。 調査会の意見または答申については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととするとともに、調査会は、これを内閣総理大臣から国会に対して報告するよう申し出ることができる規定を設けることとしております。これは、行政の改善問題については、行政府がその責めに任ずることはもちろんでありますが、あらかじめその問題点を国民及びその代表たる国会に提示し、十分な御協力を仰ぎたいとの趣旨によるものであります。 調査会の組織については、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て任命する委員九人をもって構成するとともに、専門の事項を調査審議させるため専門委員を、また、調査会の調査事務その他の事務を処理させるため事務局を置くこととしております。 また、調査会の権能については、行政機関の長等に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、みずからその運営状況を調査することができることとしております。 なお、調査会は臨時の機関として設置されるものであり、政令で定める本法律の施行期日から起算して二年を経過した日に廃止されることとしております。 このほか、関係法律について所要の改正を行うこととしております。 以上がこの法案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(林ゆう君) 中山総理府総務長官。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案について、一括してその提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 昨年八月十日、一般職の職員について、いわゆる四週一回・交代半休方式による週休二日制を導入することを内容とする人事院勧告が行われました。また、本年八月八日には、一般職の職員の給与について、俸給及び諸手当の改定等を内容とする人事院勧告が行われました。 政府としては、それぞれ、内容を検討した結果、給与改定のうち指定職俸給表の改定を昭和五十五年十月一日に繰り下げたほかは、勧告どおり実施することとし、このたび、一般職の職員の給与に関する法律について、所要の改正を行おうとするものであります。 まず、法律案のうち、給与の改定に関し御説明申し上げます。 第一に、全俸給表の全俸給月額を引き上げることといたしております。 第二に、初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員に対する支給月額の限度額を十九万五千円に引き上げるとともに、医療職俸給表(一)以外の俸給表の適用を受ける職員のうち、医学または歯学に関する専門的知識を必要とする官職を占める職員に対する支給月額の限度額を三万八千円に引き上げることといたしております。 第三に、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を一万千円に引き上げるとともに、配偶者以外の扶養親族に係る支給月額を二人までについてはそれぞれ三千五百円に引き上げ、この場合において、職員に配偶者がない場合にあっては、そのうち一人について七千五百円に引き上げることといたしております。 第四に、調整手当について、官署が多数移転または新設された場合において、当該移転等の状況等に特別の事情があると認められるときは、人事院規則で定める業務に従事する職員その他の職員に対し支給することとしたほか、五現業、検察官、特別職に属する国家公務員、地方公務員、三公社等の法人に使用されていた者が引き続きこの法律の適用を受けることとなった場合において、任用の事情等を考慮して、職員の異動等の場合との権衡上必要と認められる職員に対し支給することといたしております。 第五に、通勤手当について、交通機関等を利用して通勤する職員の場合、全額支給限度額を一万六千円に引き上げるとともに、自転車等を使用して通勤する職員で通勤の不便な者についても通勤手当の支給月額を引き上げることといたしております。なお、交通機関等と自転車等を併用して通勤する職員に支給する通勤手当についても同様に引き上げることといたしております。 第六に、非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当について、支給限度額を日額二万千二百円に引き上げることといたしております。 以上の改定は、指定職俸給表の改定及び非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当について昭和五十五年十月一日から実施するほかは、同年四月一日から実施することといたしております。 次に、週休二日制に関し御説明申し上げます。 第一に、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員について、当分の間、毎四週間につき、各庁の長が職員ごとに指定する一の土曜日の四時間、すなわち半日の勤務時間は勤務を要しない時間とすることとして、職員が交代で四週間に一回の割合で土曜日を休むものとしております。また、交替制勤務者等二十四時間連続して勤務することが必要な部門に勤務する職員等については、曜日のいかんにかかわらず、各庁の長が指定する四週間に一回の四時間の勤務時間を勤務を要しない時間とすることとしております。 第二に、職員の職務の特殊性または官庁の特殊の必要により、四週一回・交代半休の基本的方式によりがたいと認められる職員については、各庁の長は、五十二週間を超えない範囲内で定める期間ごとに、基本的方式による勤務を要しない時間との権衡を考慮して、人事院の承認を得て定める基準に基づき、別に勤務を要しない時間を指定することができるものとしております。 第三に、以上に述べた方法により勤務を要しない時間を指定した場合であっても、公務の運営上特に必要があるときは、各庁の長は、その指定を変更することができることとしております。 第四に、これらの勤務時間に関する措置は、勤務一時間当たりの給与額の算出に影響を与えないものとしております。 これらの週休二日制に係る措置は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上のほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定するほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職の職員の給与改定に伴い、特別職の職員の給与について所要の改正を行おうとするものであります。 次に法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 第一に、内閣総理大臣、国務大臣等の俸給月額は据え置くことといたしましたが、その他の特別職の職員の俸給月額についてはこれを引き上げることといたしております。具体的には、内閣法制局長官等の俸給月額は百三万円とし、その他政務次官以下の俸給月額については、一般職の職員の指定職俸給表の改定に準じ、八十八万円から七十五万八千円の範囲内で改定することといたしております。 また、大使及び公使については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使の俸給月額は据え置き、大使五号俸は百三万円とし、大使四号俸以下及び公使四号俸以下については、一般職の職員の指定職俸給表の改定に準じ、八十七万円から五十六万二千円の範囲内で改定することといたしております。 なお、秘書官については、一般職の職員の給与改定に準じてその俸給月額を引き上げることといたしております。 第二に、委員手当については、委員会の常勤の委員に日額の手当を支給する場合の支給限度額を三万六千九百円に、非常勤の委員に支給する手当の支給限度額を二万千二百円にそれぞれ引き上げることといたしております。 以上のほか、附則においては、この法律の施行期日、適用日等について規定いたしております。 なお、衆議院におきまして、国会議員の歳費を昭和五十六年三月まで据え置くこととする国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案にあわせ、政務次官、内閣官房副長官及び総理府総務副長官のうち、国会議員から任命された者の俸給月額を同様に昭和五十六年三月まで据え置くこととする修正がなされましたことを申し添えます。 次に、国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 本年八月八日、国家公務員の寒冷地手当について、その改定等を内容とする人事院勧告が行われたのでありますが、政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり本年八月三十日から実施することとし、このたび、国家公務員の寒冷地手当に関する法律について、所要の改正を行おうとするものであります。 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 第一に、基準額について、現行の定率分の一部を定額に振りかえることとし、新しい定率分の割合は、百分の三十を限度とし、新しい定額分の最高額は、扶養親族のある世帯主である職員については六万三千百円といたすこととしております。 第二に、北海道に在勤する職員及び北海道以外の五級地、四級地に在勤する職員に支給される加算額については、昭和四十九年以降における灯油、石炭の価格、使用割合の動向、加算額が支給されない地域に在勤する職員の場合との均衡等を考慮して改定することといたしております。 第三に、寒冷地手当の趣旨にかんがみ、支給額の最高限度額を新たに設け、その額は指定職俸給表一号俸の俸給月額を基礎とした場合の寒冷地手当の額といたしております。 第四に、支給、追給及び返納の要件を改正し、基準日後における採用職員、世帯等の区分に変更のあった職員等に対して、新たに、寒冷地手当の支給、追給及び返納を行うことといたしております。 第五に、豪雪に係る寒冷地手当の限度額を七千五百円に引き上げることといたしております。 第六に、防衛庁職員への準用規定について、所要の改正を行うことといたしております。 以上のほか、附則において、この法律の施行期日、適用日等について規定するとともに、今回の改正により新基準額が従前の基準額に達しないこととなる職員の基準額等について所要の経過措置を講ずることとするほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。 以上がこれら法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(林ゆう君) 大村防衛庁長官。
○国務大臣(大村襄治君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員の給与の改定等を行うとともに、四週間につき一の土曜日には勤務を要しないこととした場合における勤務一時間当たりの給与額の算出について規定するものであります。 すなわち、改正の第一点である防衛庁職員の給与の改定等につきましては、参事官等及び自衛官の俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当を一般職の職員の給与改定の例に準じて改定等を行うとともに、営外手当についても改定することとしております。 なお、事務官等の俸給のほか、扶養手当、通勤手当及び医師等に対する初任給調整手当等につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の規定を準用し、またはその例によることとしておりますので、同法の改正によって一般職の職員と同様の給与の改定が防衛庁職員についても行われることとなります。 改正の第二点である四週間につき一の土曜日には勤務を要しないこととした場合における勤務一時間当たりの給与額の算出につきましては、これが実施された場合においても、勤務一時間当たりの給与額の算出には影響を与えないよう一般職の職員の例に準じて措置するものであります。 この法律案の規定は、公布の日から施行し、昭和五十五年四月一日から適用することとしておりますが、指定職の職員の俸給の改定部分については同年十月一日から、陸曹長、海曹長及び空曹長の俸給の改定部分については防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の施行の日から適用することとしております。 また、四週間につき一の土曜日には勤務を要しないこととした場合における勤務一時間当たりの給与額の算出の規定については、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。このほか、附則において、俸給の切りかえ等に関する事項について一般職におけるところに準じて定めております。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(林ゆう君) 以上で五法案の説明聴取は終わりました。 五法案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後九時五十三分散会 ―――――・―――――