内閣委員会 第8号
- 発言数
- 292 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1980/11/18
会議録
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十七日、藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として木島則夫君が、また本日、片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。 —————————————
○委員長(林ゆう君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に木島則夫君を指名いたします。 —————————————
○委員長(林ゆう君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野田哲君 まず大村長官に伺いたいと思いますが、ちょっとこれは急なことですからまだ長官の方には予定として耳に入っていないと思うんですが、伺いたいと思います。 それは、夕べからけさにかけて報道されている短SAM導入で民間人の六人に委嘱をした検討会を持つと、こういうことでありますけれども、なぜ、こういうふうな短SAMの導入について民間人による検討会を持たなければならないのか、そこに至った理由を伺いたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、野戦防空能力の不備及び基地防空能力の欠如という状況にかんがみまして、これらの整備強化の一環として、これまで短距離地対空ミサイルいわゆる短SAMでございますが——につきまして、庁内において純粋に防衛上の見地から性能や補給整備性、価格等を総合的に検討してまいりましたが、その結果、国産短SAMを導入することに決定して概算要求をしたのでございます。その後、国会等で他の候補機種との関連で性能に問題があるのではないかという指摘も受けましたので、防衛庁といたしましても、その取り扱いを慎重に行い国民の理解を得る必要があるとの観点から、今回部外識者の意見を聞くことにいたした次第でございます。
○野田哲君 いままで兵器の新規導入について、その機種の選定で民間人による検討会を設置をした経過が他にありますか。
○国務大臣(大村襄治君) これまで防衛庁といたしましては、中曽根長官のときに防衛を診断する会や坂田長官のときに防衛を考える会を設け、防衛政策全般について部外識者の意見を聞いたり、あるいは防衛庁職員給与制度等研究調査会を設け、自衛隊員の給与、福祉関係について部外識者の意見を聞いたことはございますが、個々の装備品の選定、採用について特に部外識者を集めてその意見を聞くということは従来ございませんでした。
○野田哲君 この短SAMについて異例の検討会というものを民間人によってつくるということですが、その六名というのは、新聞などで報道されているソニー中央研究所長の菊地さん、軍事評論家の久住さん、それから日立製作所の久保さん、宇宙開発事業団の島さん、それから航空宇宙技術研究所の武田さん、それから新技術開発事業団の武安さん、この六人ということで承知をしていいんですか。
○国務大臣(大村襄治君) 今回の検討会のメンバーを選考するに当たりましては、先ほど申し上げましたような趣旨からいたしまして、このミサイルの機種決定問題について公平かつ客観的立場から意見をいただくとなりますると、メンバーは最新のミサイルシステムを技術的観点から十分理解、評価し得る職業上のバックグラウンドを有する第一級の識者の中から選考するのが適当だと考え、この基準で選考したものであります。 また、ミサイルは飛しょう体であり、かつ短SAMの場合には航空機に対するものでありますので、飛しょう体工学関係のバックグラウンドを有すること、次に、最近のミサイルシステムは日進月歩の電子工学技術を駆使したいわゆるメカトロニクスの代表的なものであることにかんがみ、メカトロニクス関係のバックグラウンドを有することに重点を置きまして、バランスを考慮して、先生御指摘の六人の方を委嘱することにいたしたわけでございます。
○野田哲君 これらの方々は、それぞれ見識もあり、また科学技術の知識をお持ちの方であろうということは私もそれなりに受けとめるわけでありますけれども、新しく自衛隊が導入しようとする短SAM、こういう問題について果たしてこの人たちが専門家と言えるのかどうか、私はこれはかなり問題があると思うんです。特にこの種の新しく導入をする装備については、いままでその性能諸元については、私たちが国会審議において資料を要求をしても機密に属するということでなかなか出そうとしない。そういう新しい兵器を民間人に検討を委嘱をして結論を出すというのはいかにも私は場当たりだと思うし、結局はこれはこの前の国会で問題になった短SAMの性能、価格、こういうものが政治的に問題にされた、そのことを政治的に処理をしていこうとするための逃げ道だけにすぎないのではないか。今後新しい装備や新しい兵器を導入するたびに、問題になればこういうふうな民間人による検討会というようなことになりかねないんじゃないかと思うんです。その点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 今回、短SAMの問題につきまして、民間の学識経験者の御意見を聞く検討会を設けることにいたしたのでございますが、もとより機種の決定は防衛庁長官の責任事項でございますので、私はその責任を回避するという考え方は毛頭持っておらないわけでございます。 ただ、選定につきまして、念には念を入れるようにという総理大臣からの御指示もございましたので、一層入念に民間の方の御意見も聞いて、この問題を適切に推進していきたいというのが私の考え方でございます。 また、今回の問題をもって今後の先例にするという考えは持っておりません。
○野田哲君 重ねて伺いますけれども、いままで新しいこの種の兵器とか装備とかを導入するときには、われわれが国会審議の場でいろいろその性能についての資料を要求しても出してきていないんです。そして、その選定に当たっては、部内でのユニホームの人たちだけで選定のためのチームをつくってやっていたわけです。なぜ今回だけ民間人の検討会をやらなければいけないんですか。国会で政治的に問題になったから、それを処理するために政治的な検討会、こういうことではないですか。違いますか。
○国務大臣(大村襄治君) 先ほども申し上げました、私どもは国産短SAMが最適であると判断いたしまして、概算要求においてこれを決定、予算要求をいたしているところでございます。その後、臨時国会が開かれ、性能につきましていろいろな問題が指摘されております。また、国会外におきましても関心が高まっておるところでございますので、部内の検討はもちろん進めているわけでございますが、さらに民間の学識経験者の御意見も参考に徴したいということで進めているわけでございまして、特別な政治的配意とかそういうことではございません。
○野田哲君 しつこいようですが、では、なぜ短SAMだけこういう民間の検討会をつくるんですか。いままでは防衛庁の兵器の選定というのは、全くこれは秘密に秘密にやってきて、国会にも何にも資料を出さなかったんです。それをなぜ短SAMだけ民間人に委嘱するんですか。短SAMだけで、今後もこういうことはやらないと言う。以前もやってない、今後もやらないと言うのに、なぜ短SAMだけそういう民間人の検討をやるんですか。これははっきりしてください。
○国務大臣(大村襄治君) 国会等において御指摘された事項につきまして、すでにこれは明らかにされておる事項でございます。その点につきまして、私どもの用意しておりますところを御説明するということでございます。したがいまして機密にわたる事項は、この検討会におきましても場合によっては御説明の対象から外さざるを得ないということも予想されるわけでございます。国会に提出できなかったものをこの会に提出するということは考えておらないわけでございます。 また、防衛庁として直接民間の方の意見を聞くのは、これまで装備についてはいたしておりませんが、国防会議におきましては若干の事例があるいうこともございます。
○野田哲君 それは私が聞いていることじゃないんですよ、長官のお答えは。いままでも例のない、これからもそういうことはやらないと言うのに、なぜ短SAMだけ民間人による検討会をやらなければいけないのかと、その理由をはっきりしてくださいということが一つ。 もう一つは、いま長官が言われましたけれども、機密に属する事項については検討会にもその性能等については資料を出さないと、こうおっしゃっているんですが、そういう機密に属する資料を検討会に出さないでこの六人の検討委員会は何を検討するんですか。そんな検討がありますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 すでに国会等におきまして問題点が指摘されております全天候性の問題とか、発射後白煙が出る点とか、相当な点が指摘されておりますので、そういった点につきまして私どもが検討をしております点を御説明すると、こういうことでございまして、必ずしも機密事項に触れなくても御判断が願える問題が多いのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
○野田哲君 長官、くどいようですが、いまあなたが例に挙げられたような全天候型がどうだとか煙が出るとか、その程度のことの問題は、いままでの新しい戦闘機の機種をどういうふうに選定をしていくかというときでも、そういう問題の性能のときにはみんな絡んでいるんですよ。全天候型かどうかというようなこととか、複雑な性能が全部あるわけですよ。そういう戦闘機の機種の選定とかあるいはバッジとか、もっともっとこの短SAMよりも複雑なものをいままでずっと防衛庁は選定してくるに当たっては、全部機密に属するということで、制服の諸君でチームをつくってやってそれを防衛庁長官が決裁をし国防会議、こういう形で決定しているんですよ。短SAMに民間検討会をつくるということについては、いま長官が挙げられたようなことは全くこれは理由にならないですよ。その程度の知識は制服であればだれでも知っていることなんですよ。 これ以上私はこの質問を続けることはこの際は控えますけれども、最後に、この問題で防衛庁に要求をしておきたいと思うんですが、短SAMに関する検討資料については、すべて資料としてこの内閣委員会の委員に提出をしていただきたいと思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(塩田章君) 今度の検討をお願いする方々に御説明をします資料につきましては、当委員会に御提出いたします。
○野田哲君 防衛庁の長官に引き続いて伺いたいと思うんですが、まず、防衛の方針については公式に集大成されているのは防衛白書だというふうに思いますので、防衛白書に記述をされていることについて伺いたいと思います。 一つは、憲法上の限界あるいは制約について防衛庁はどうお考えになっているか。防衛庁の自衛隊の持ち得る兵器、装備について、昭和四十五年度の白書を見てみますと、四十八ページにこういうふうな記載があります。「他国に侵略的な脅威を与えるようなもの、たとえば、B52のような長距離爆撃機、攻撃型航空母艦、ICBM等は保持することはできない。」こういうふうに記述をされています。これが、数年たった五十三年の白書の記述を見てみますと、ずいぶん変わってきています。「防衛力を構成する個々の兵器についても、常に専守防衛に必要な範囲内において選定し、採用することとされており、したがって、性能上専ら他国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられる兵器——その例として従来からICBM、長距離爆撃機などか挙げられている——はいかなる場合にもこれを保有することができない。」こういう記述になっているわけです。昭和四十五年当時は、侵略的な脅威を与えるようなものは持たないんだと、こういう記述が今度は、他国の国土に潰滅的な破壊を与える、こういうものは持たないんだ、こういうことで、「脅威を与える」云々というような表現はなくなっているわけですが、どうして数年の間にこういうふうに「脅威を与える」云々という憲法上の解釈が防衛白書の中で抹消されているのか、まずこの点を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 憲法上の解釈につきましては、防衛庁といたしましては、これまでもしばしば申し上げておりますとおり、自衛のための必要最小限度の実力は保持することができるという見解を維持しているわけでございます。言いかえますと、必要最小限度の自衛のための実力を超えるものは持てないということになるわけでございます。そこで、御指摘の憲法上保持できる装備の限界につきましても、いま申し上げました考え方に立脚して各年の白書に記載されると、私はそういうふうに考えているわけでございます。 表現において若干の相違がある、例示の点も多少の違いがあるという御指摘もございましたが、その辺のことにつきましては、政府委員に補完説明をさせます。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のように、四十五年の白書と五十三、五十五年の白書と若干表現の違いが、ございますが、いま大臣からお答えいたしましたように、基本的な考え方が全然変わっているわけではございません。白書ではなるほどそういう変化がございますが、答弁といたしましては、そのときいろいろな、これに類するような言葉もいろいろございまして、基本的に政府の考え方が変わったということは私どもは全然ないというふうに認識いたしております。例示が出たり、またその次のときは出なかったりというような御指摘もございましたが、私どもが、他国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられる兵器の例として、最も典型的なものとして、長距離爆撃機でありますとかICBMといったものを挙げておりますが、そのほかにも、いま四十五年の白書で御指摘になった攻撃型空母でありますとか、そういうものも私ども当然含まれるというふうに解釈しておりまして、その意味で政府の見解が変わったということはございません。
○野田哲君 そうすると、文章の上からは攻撃型空母は除いてありますけれども、攻撃型空母についても憲法上持てない、この点は防衛庁としても従前から変わっていない、こういうことに確認していいんですか。
○政府委員(塩田章君) 変わっておりません。
○野田哲君 ところが、個々の装備についてはそうであっても、理念的にはずいぶん変わっているんですよ、これは。局長。 ことしの場合にどういうふうになっているかと言いますと、保持を許される自衛力の具体的な限度については「その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件に応じて判断せざるを得ないが、」と、こうなっているわけです。そして「性能上専ら他国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられる兵器」云々と、こうなって、四十五年当時、十年前は、ずばり侵略的な脅威を与えるものば持たないんだということで、ずっと兵器を羅列していたんです。ことしの場合はそうではなくて、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件に応じて持てる兵器、持てない兵器を判断をするんだと、こうなっているんです。 憲法九条の解釈が十年の間に表現がこれだけ変わるとすれば、これは個々の字句の表現じゃないですよ。理念として非常に変わっているわけですよ。そうじゃないですか。憲法九条で持てるもの持てないものがその時々の国際情勢、軍事技術の水準によって変わってくるんですか、どうですか、その点。
○政府委員(塩田章君) いま、五十五年の白書の、いまの「他国の国土の」云々という前の「国際情勢」云々ということを引用されたわけでございますが、そういった趣旨のことも過去の記述においてなかったわけではございませんし、私どもはいま、先ほど大臣あるいは私が補足してお答えしましたとおり、考え方において全然変わっているとは思っておりません。変わっておりません。
○野田哲君 では、長官にもう一回確認しておきたいと思うんですが、この憲法上の理念、そしてそれに基づく持ってはいけない、持てない兵器というものについては、十年前の考え方も現在も実際変わっていない、こういうことを確認していいですか。
○国務大臣(大村襄治君) 先ほど私が申し上げましたとおり、憲法上持てる範囲は自衛のため必要最少限度の実力ということでございます。その判断は、国際情勢や軍事技術の状況とにらみ合わせて判断するということは当初から政府の申しておったとおりでございます。いまに及んでも変わらないわけでございます。 また、ただいま御質問のありました長距離爆撃機とかICBMとか攻撃型空母が持てないものの典型的な事例であるという点につきましては、変わりはございません。
○野田哲君 これははっきりしてもらっておかなければいけないです。航空母艦もそうですね。
○国務大臣(大村襄治君) 攻撃型空母は持てません。
○野田哲君 最近の防衛庁のいろんな刊行物、それからリタイアされた人たちのいろんなところでの講演とか、あるいは現役の方々もいろんな会合などで講演をされたりして、ソ連の脅威ということを非常に強調をされている。私どもから見れば少しこれは誇大に過ぎるんじゃないか、こういうふうな印象を受けるんですが、脅威ということについて、長官はどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(大村襄治君) お尋ねの脅威の問題でございますが、一般に脅威と言う場合には、侵略し得る能力と侵略する意図とが結びつくことにより顕在化するものであると私は考えておるわけでございます。その意味でわが国に対する差し迫った脅威が現在あるとは考えておりませんが、一つの要素である意図というものは絶えず変化するものでありますので、防衛の問題を考える場合には、わが国周辺における軍事能力の状況について絶えず念頭に置いていく必要があると私は考えている次第でございます。
○野田哲君 侵略し得る能力とそれから意思が結合して脅威ということになるんだと、こうおっしゃったわけですが、ソ連を潜在的脅威、こういうふうに見ておられるわけですが、これはどういう理由に基づくものですか。
○国務大臣(大村襄治君) 脅威につきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。 そこで、いまソ連についてどうかというお尋ねでございますが、最近におけるソ連軍の状況を見た場合には、数年前に比べますると、陸海空とも増強されている事実は否定できないものであると私は考えているわけでございます。グローバルの点におきましても、極東における配備状況につきましても、お許しが願えれば数字をもって御説明さしていただきたいと思うのでございまするが、全般的判断からしまして、能力の点は大きくなっているということは客観的な事実であると、そのように考えておるわけでございます。そういった点からいたしまして、潜在的脅威が増大しているというふうに受けとめている次第でございます。
○野田哲君 先ほど脅威とは侵略し得る能力と意思と、これが結合してと、こうおっしゃったわけですね。ソ連をなぜ潜在的脅威とみなすのかという点では、いま長官は能力が増大したこと、これを挙げられているわけですが、意思がなければ脅威ということにならないんじゃないですか。ソ連は日本を侵略をするという意思を秘めて極東地域において戦力を増強している一こういうふうに長官は見ておられるのですか、その意思があるんですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 先ほども申し上げましたとおり、脅威とは、侵略し得る能力と侵略する意図が結びついて顕在化するものでございます。その意味では、わが国に対する差し迫った脅威が現在あるとは考えておりません。しかしながら、侵略し得る能力という点につきましては非常にふえてきているということも否定できない事実である。特に二、三の例を挙げさしていただきますれば、北方領土への地上部隊の配備、空母ミンスク等の極東回航などに見られる太平洋艦隊の増強、SS20、IRBMやバックファイア爆撃機の極東における配備あるいはベトナムの海空軍基地の常時使用等に示されるわが国周辺における増強ぶりというのにはやはり目を覆うわけにはいかない事実があると認識いたしている次第でございます。
○野田哲君 だから、それはいわゆる軍事力、能力ですね。私が聞きたいのは、ソ連を脅威と見る以上は、そこに侵略する意思というものが加わらなければ、意図というものが能力に加わらなければ脅威ではないんじゃないですかと、ソ連が日本を侵略する意図があるとあなたは考えていらっしゃるんですかと、こういうふうに聞いているんで、そこのところを答えてください。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 意図があるかどうかというお尋ねでございます。意図があるかないかはわからないわけでございます。したがって、あるとも判断いたしておりません。そういう意味におきまして差し迫った脅威が現在あるとは考えておりません。しかしながら、意図というものは変化するものでございますので、能力が非常にふえてきているという事実を無視するわけにはまいらない、そういうことを申し上げておるわけでございます。
○野田哲君 脅威というのは、私は、長官がはっきりお答えにならぬから、問題を整理して何回も繰り返しますけれども、先ほどあなたは脅威とは能力と意図が結合して脅威になるんだと、こうおっしゃったです。その能力についてはいまいろいろ数字を挙げて説明がありました。私はソ連を潜在的脅威とみなす以上は、ソ連には日本を侵略をする意思を持ってそれを秘めているんですかと、こう伺ったところが、それはわからないと、こういうふうに言われるわけですが、意思がわからなければなぜ防衛白書の中でソ連を脅威とみなしているんですか、どうなんですか。
○国務大臣(大村襄治君) 繰り返し申し上げまして恐縮なんですが、脅威とは能力と意図が結びつくことにより顕在化するものであるということを繰り返し申し上げているわけでございます。意図の方がまだわからない段階でございますが、能力の方ははっきりしているわけでございます。その点に着目しまして、潜在的脅威が増大しているということを申し上げているわけでございます。
○野田哲君 だから、潜在的脅威と言う以上は潜在的に侵略の意図を持っていると、こういうふうに見ておられるわけですか、どうなんですか、その点は。
○政府委員(塩田章君) 先ほどから大臣がお答え申し上げておりますように、潜在的脅威の増大であるという認識をしております。その潜在的脅威というのは、意図ではなくて、侵略し得る能力に着目した場合に私どもは「潜在的」という言葉を使って潜在的脅威というふうに申し上げておるのでございまして、先ほどから大臣がお答えいたしておりますように、意図も加わった顕在化した脅威はない、そういうふうに差し迫った脅威があるというふうには見ていないということは、はっきり大臣が先ほどからお答えしておるわけでございまして、潜在的脅威というのは、軍事的能力の方に着目をしまして、それがわが国に侵略し得る能力がある場合にそれを私どもは潜在的脅威として認識し、それを最近のソ連軍の状況を見まして増大しておるというふうに見ておるのでございますから、そのことは意図は別でございまして、私どもはソ連が現在日本を侵略しようとする意図があるというふうに判断をしていないわけです。
○野田哲君 能力さえあればすべてこれを潜在的脅威とみなすんですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 潜在的脅威というものは、たびたびお答えしましたとおり、侵略し得る軍事能力に着目し、そのときどきの国際情勢等を背景として総合的に判断して使ってきた表現でございます。いずれにせよ、潜在的脅威であると判断したからといって、決してその国を敵視するということを意味するものではございません。
○野田哲君 能力さえあればそれは潜在的脅威だということであれば、軍事力を持っているところはみんなそういうことになるじゃないですか。それをなぜソ連だけを特定して潜在的脅威を強調しているんですか。その点はっきりしてください。
○国務大臣(大村襄治君) 繰り返し申し上げますが、侵略し得る軍事能力に着目し、そのときどきの国際情勢等を背景として総合的に判断して使ってきているところでございます。ソ連につきましては、抜群の軍事能力を保有しておったわけでございます。最近におきましては、グローバルな点におきましても能力を大いに増加するとともに、その相当部分、陸海空によりまして若干の相違はございますが、四分の一ないし三分の一のものを極東に配備している、そういう客観的事実もございます。そういった点に着目し、また国際情勢を潜在的脅威というふうに申し上げているわけですが、その場合に、なぜソビエトだけをそれでは潜在的脅威と見ておるのかということでございますが、この点につきましては、いま大臣からもお答えしましたように、結局わが国の周辺の中でわが国に侵略し得る軍事的能力、こういう点で着目しました場合に、先ほどから大臣がお答えしておりますように、極東ソ連軍の最近の増強ぶりはわが国にとって潜在的脅威の増大であると受けとめざるを得ないということを申し上げているわけであります。
○野田哲君 それでは、わが国を侵略し得る能力というのは、先ほど長官は能力について大きさがいろいろあると、こう言われたんですが、いま防衛局長は侵略し得る能力、こういう点からソ連を着目しているんだと、能力として着目しているんだと、こう言われるんですが、わが国を侵略し得る能力というのは、どれだけの能力をもってその線引きをしているわけですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的にどういうものが何隻とかあるいは何機とかということによって、この線を超えればわが国に対して侵略し得る能力の線だというふうに申し上げることは大変むずかしいと思います。先ほどから長官がお答え申し上げておりますように、北方四島への配備でありますとか、太平洋艦隊の増強でありますとか、SS20とかバックファイアの配備でありますとか、そういうようなことを総合的に判断をした場合に、潜在的脅威の増大であるというふうに受けとめておるということは申し上げているわけですけれども、それじゃそのうちのどれがどれだけになったからどうだというふうな、そういうふうな意味でのもし具体的な基準を示せというお尋ねであれば、それはそういうふうにはちょっとお答えしにくいと思います。いま申し上げたようなことを総合的に判断をして申し上げると言わざるを得ないと思います。
○野田哲君 鈴木総理は十一月十日の衆議院の安保特別委員会で、ソ連の潜在的脅威が強調されているが八〇年代に日本が侵略を受ける可能性があるか、こういう質問に対して、いまの状況から差し迫った事態は考えていない、考える必要もない、こういうふうに答えておられる。恐らく、総理の答えですから、長官や防衛局長も同席をされておられたと思うんですが、この鈴木総理の認識というのは、八〇年代にそういう脅威を受ける可能性はない、差し迫った状況はない、こういうふうに総理は答えているんだということが新聞に報道されております。速記録は私はまだ確かめておりませんが。そういう状況であれば、総理の認識と、防衛白書にいかにも差し迫ったような形で軍事力の比較などをやりながらソ連の脅威を強調されていることとは、認識にかなり違いがあるんじゃないかと思うんです。あなた方の方が少し総理よりもオーバーラインしているんじゃないかという印象を非常に強く受けるわけですが、もし総理が言われているように、八〇年代に日本は侵略を受けるような差し迫った事態は考えられないということであれば、八〇年代というのはこれから十年もあるわけですからね、この今年出された防衛白書での認識なりあるいはいろいろ防衛庁の皆さんがあちこちで講演したりなどしておられる、あるいはOBの人たちが講演をしておられる認識とはかなり違いがあるんじゃないか。少なくとも八〇年代はそういうことはないんだと、こういうことであれば、私はソ連を特定して潜在的脅威の国としてあげつらうことは改めるべきじゃないかと、こういうふうに思うんですが、この点は長官いかがですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 私も総理大臣と同席して委員会に出席しておりましたので、御指摘の総理の発言につきましても耳を傾けておったわけでございます。ただ、総理はその場合、国際情勢につきまして、米ソ間の競争関係は依然として続いている、特にアフガニスタンへのソ連の軍事介入とこれに対する西側の対抗措置等により東西対立の様相を深くしていると考えると、またわが国周辺の軍事情勢も極東ソ連軍の顕著な増強によりわが国に対する潜在的脅威が増大しているなど厳しいものがあると考えられる、他面、米ソ関係も後退しているとはいえ関係改善の努力も行われており、いわゆるデタントが崩壊してしまったとは言えない、そういったような意味におきましては、わが国に対する差し迫った侵略の脅威が生ずるような情勢に変化したとは考えないという趣旨を述べられたように聞いているわけでございます。そして、最後に総理は、こういったような情勢にかんがみ、節度のある質の高い防衛力を速やかに整備することに努力する必要があるというふうに結ばれたように私は聞いているわけでございます。そういう意味におきまして、先ほど私の申し上げた点と違いはないものというふうに私は受け取っているわけでございます。
○野田哲君 具体的に、あなた方が脅威だ脅威だということでその理由づけをされているソ連の極東地域への軍事力について、少し私はこれは比較のやり方がおかしいし、誤った認識を総理や国民に持たせるような記述になっているんじゃないかという点について伺いたいと思うんです。 まず一番端的な比較は、防衛白書の中で比較されているんですが、ソ連の海軍力、艦艇を七百八十五隻と、こういうふうに記述をされております。そうしてトン数は百五十二万トン。これに対してアメリカの場合は第七艦隊六十隻で六十五万トン。こういうふうにして片や七百八十五隻百五十二万トン、片や六十隻六十五万トン。これだけ見れば、いかにもこれは大変なここにアメリカとの間で大きな力の不均衡があるような印象になっていますね。しかしこれは、ソ連については全太平洋に配備している艦隊を対象にして、片やアメリカについては第七艦隊だけを比較の対象にするというのは、比較の仕方が違うんじゃないですか、いかがですか。
○国務大臣(大村襄治君) ことしの白書の「第一部世界の軍事情勢」におきましてアメリカ、ソ連等を初め各国の軍事情勢、中東情勢にも相当ページ数を充てて、私どもは入手し得る資料に基づいて努めて客観的に記載したつもりでございます。特別の偏った印象を与えるようなことを意図して編集したものではございません。御指摘のトン数なり隻数の点につきましては政府委員をして答弁させます。
○野田哲君 いや、それはいいんだ、違うんだよそれは。その後にして、それは。 長官、ソ連については太平洋へ配備されているもの全部を対象にするんだったら、アメリカも太平洋に配備しているもの全部を対象にしなきゃいけないんじゃないですかと私は言っているんですよ。第三艦隊をそっくり抜いてあるでしょう。これはどういう比較の仕方なんですかと言うんです。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 先ほど申し上げましたとおり、各国の入手し得る資料に基づいて客観的に編集したものでございます。そこで、入手し得る資料にないものがありますと、それを推定で載せるということにつきましても問題がございますので、ことしの白書に限り同じベースで比較していると、ことしの白書に限って先生御指摘の点を外していると、こういうことではございませんので、同じベースで比較しないと推移はよくわからぬと私は考えている次第でございます。
○野田哲君 いままでも比較の仕方が、ことしも同じようになっているんですが、その比較の仕方が私は違うんじゃないですかと言っているんですよ。太平洋地域で比較するのであれば、どっちも太平洋に配備されている戦力で比較しなければ正しい比較にならぬでしょう。しかも、これはその入手し得る資料によってと言われましたけれども、恐らく出所についても、この軍事力バランスあるいはこの出所もはっきりしているんですよ。両方が入手できるんですよ。だから当然、太平洋でどうだという比較になるのだったら第七艦隊上第三艦隊両方並べて比較をしなきゃいけないんじゃないですかと、こう言っているんですよ。ちょっとピント違うんですよ、長官の答えは。
○政府委員(岡崎久彦君) ただいま長官からも申し上げましたけれども、この従来の比較がよくないとおっしゃるんでございますけれども、従来とも大体ソ連の太平洋艦隊と申しますのは、ごく一部東太平洋に出動するのを除きましては、ほとんど西太平洋及びインド洋を活動範囲としておりまして、それはまさに第七艦隊の活動範囲と大体一致します。その結果、従来両者の戦力を比較する場合は、ソ連の太平洋艦隊と第七艦隊を比較するというのが慣例になっておりまして、それで今回は別に、今回特にソ連の脅威を訴えるためにこうしたわけではございませんで、ただむしろ、これはかつてはもう第七艦隊と太平洋艦隊であっても十年前百万トンずつぐらいございました。比較しやすかったのでございますけれども、最近になりますとソ連の太平洋艦隊が急速に増加しておりまして、これは確かに非常に大きな差がついたような印象を与えております。したがいまして、第三艦隊もそろそろ勘案すべき時期に来たのではないかということをむしろ防衛庁の方が、われわれ考えたのでございますけれども、まさにいま長官が御指摘のとおり、これはもう第三艦隊の数字というものはないんでございます。これはいろいろ理由はございますけれども、御質問があれば御説明しますけれども、この数字はないんでございます。したがいまして、ただその主要戦闘艦艇でございますね、これは大体数えればわかるということで、白書の十三ページに太平洋全体の米太平洋艦隊とそれからソ連の太平洋艦隊と、これはトン数の数字はもう入手不可能でございますので、主要戦闘艦艇の数を比較してここに掲げてございます。こういう意味におきまして、われわれもこの問題意識をことしから初めて持ちまして、初めてむしろ十分の手当てをしている、国民に誤解を与えないように配慮いたしました白書でございます。
○野田哲君 いや、それは配慮をしているとは言えないわけで、私は太平洋地域で比較するのであれば、当然アメリカについても太平洋艦隊というのがあるわけですから、その中で第七艦隊、第三艦隊と、こう二つあるわけですから、太平洋地域で比較するのであればトータルな形で両方とも比較しなきゃならないんじゃないですかと、こういう点を指摘しているのであって、いままでもやはりこういう比較の仕方は、指摘を私はしたことはなかったけれども、いままで第七艦隊とだけ比較をしているから今回もそうやったんだということだけでは、私は軍事力の比較としては問題があるんじゃないかと思うんです。 さらに、専門的なことですからこれは政府委員で結構ですが、海軍力を比較をするときには、ただ七百八十五隻とか六十隻とか、こういう比較の仕方はないんじゃないですか。あるいは、片や百五十二万トン、片や六十五万トン、こういう比較の仕方はないんじゃないんでしょうか。問題は内訳なんですよね、七百八十五隻というのが一体どういう艦艇なのか、どういう機能を持った艦艇なのか、その内訳と、その六十隻の中身、こういう形で比較をしていかなければ正しい比較にならないんじゃないかと思うので、この七百八十五隻というのは内訳どうなっているんでしょうか。
○政府委員(岡崎久彦君) 内訳については、詳しい御質問があれば御説明しますけれども、これは先生が恐らくそうであろうとお思いのとおりに、小型艦艇が非常に数多くございます。米国の場合は主要戦闘艦艇が非常に多い。細かい点、御質問ございますれば数字を申し上げますけれども。
○野田哲君 やってください。
○政府委員(岡崎久彦君) それでは、米国第七艦隊は現在空母三隻、ソ連は一隻でございます。巡洋艦が米国は約五隻、ソ連十二隻、うちミサイル搭載艦七隻。駆逐艦クラスは、これは、駆逐艦とフリゲート合計でございますけれども、米国約十五隻、ソ連は駆逐艦三十隻、うちミサイル十七隻、フリゲート三十隻ございます。それから、米国は潜水艦七隻、ソ連は潜水艦百三十隻、うち原子力潜水艦六十隻、その他米国は両用艦艇など約八隻ございまして、ソ連は哨戒艇など約三百三十五隻ございます。それから、その他米国は補助艦艇二十隻、ソ連は二百四十五隻でございます。 ただ、海軍力の比較はもう数字のとおりじゃわからない、それはもうおっしゃるとおりでございまして、それから海軍の統計も各国いろいろな比較の仕方ございまして、伝統もあるのでございますけれども、最近までは、特にこれは専門家が見ればソ連とアメリカと船の種類も戦力も違うことは明々白々でございまして、従来もそういう数字を挙げていたんでございますけれども、やはり数字を読むに当たりましてはある程度の基礎知識は要るわけでございまして、これは、やはり国民にこれだけ防衛問題に対して関心が強くなれば、だんだんと御理解いただくのが本当と思います。本文の内容をごらんいただければ、決して数字を反映するような戦力の比較になっていないことはもう明らかでございまして、これはむしろちょっとわずかの常識でもって、戦力が数字どおりでないことは明らかな話でございます。
○野田哲君 性格が全然違いますよね、ソ連の太平洋艦隊の性格と第七艦隊とは。ソ連の場合には潜水艦中心、第七艦隊は航空母艦中心、こういう性格になっているわけですから、それをただこういうふうに図表で、まだほかにも図表がありますが、トン数と隻数だけで並べるというのは、私はいかにもこれは国民に誤解を与えると思うんですよ。 そうして、しかもことしの一月の「防衛アンテナ」の中で比較をされています。これは、防衛局の調査二課の名前で発表されている文章がありますね。この中で、三十六ページのところに「米第七艦隊とソ連太平洋艦隊との比較」、こういうことでずっと比較をした記述があるわけです。その中では「もともと米第七艦隊は、即応態勢をとって前方展開された部隊であり、その稼動率、部隊の練度、艦艇の戦闘機能において、またこれを支えるスビック、横須賀など優れた後方補給機能を備えている面でソ連太平洋艦隊に比べ優位にあると考えられる。」と、はっきり第七艦隊の方が優位だと、こういうふうに防衛局は発表しているんです。ところが防衛白書でこの図表だけ見、あるいは記述を見ると、ソ連の脅威論ばかりが誇大に強調されている。明らかにこれは同じ防衛庁の中でこういうふうな矛盾が出ているわけです。この点、いかがですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 数字の問題でございますけれども、と言って数字は一つのこれ重要な指標でございまして、数字以外に何を挙げるかというと、挙げるものはないわけでございまして、結局はまず数字が基本でございまして、あとは数字の読み方の問題ではないか。まさにこれ防衛庁の調査二課で出しました説明におきましても、「優位にある」と書いてございますけれども、これもいろいろ優位な点を挙げまして、これこれ、これこれの面において優位であるという表現になっておりますけれども、結局だんだんとこういうふうに防衛問題について国民の関心が高まってきますと、ただ数字を出す、これは限られた紙面でございますからまず数字が大事でございますけれども、それから限られた説明をつける、その上に、ある程度国民に理解していただくような説明をだんだん付していく、これが防衛庁の姿勢でございます。これは、まさに調査二課の資料にもあらわれておるわけでございまして、今後ともこのように国民に説明していきたいと思っております。
○野田哲君 これは紙にはっきり活字で出しているものですから、そういう言い方をされても困るんですよ。第七艦隊の方が優位だと、こういうふうにはっきり書いているでしょう。先ほど参事官は、戦力の比較は数字で示すよりほかにはないじゃないか、問題は読み方なんだと、こう言われるけれども、数字で確かにあらわす以外にあらわしようはないんだけれども、しかし数字であらわす以上は、戦力の比較なんですから、それぞれに能力があるわけですから、同じ艦艇でも航空母艦と潜水艦というのは全然能力が違うんだし、それぞれの能力もあるし、稼動率もあるし、それからソ連の太平洋艦隊の中では、予備艦というような形でリタイア寸前の潜水艦もずいぶんあるわけですから、数字だけ隻数とトン数だけの比較を並べておけばそれが評価だということにはならない、正しい表現じゃないと私は思うんです。 そこで、問題はソ連の太平洋艦隊の戦力分析なんですけれども、ことしの白書の中では、四十九ページから五十ページにかけてこのソ連の太平洋艦隊の戦力分析を、水陸両用戦能力が向上しているんだ、それから局地紛争への介入手段、外洋における航空援護能力を保持し、対潜能力の一層の向上、こういうふうな点を挙げながら総合的な評価を五十五ページにわたってやっているわけですね。こういう評価を見ると、いかにもソ連太平洋艦隊の任務は水陸両用戦能力が非常に向上をして局地紛争へ介入してくる、つまり外国に兵員を侵略のために上陸させることが大きな任務になっているんだと、さらには外洋におけるシーレーンへの脅威を与える、こういうふうな評価になっているんですけれども、私はこういう評価は一面的じゃないかと思うんですよ。なぜなれば、ソ連の太平洋艦隊の戦力分析という場合には、ソ連が太平洋艦隊に与えている最大の任務は、アメリカの第七艦隊に対抗するというのが最大の目標になっているんじゃないんでしょうか。この第七艦隊に対抗する措置として、第七艦隊の航空母艦機動部隊の攻撃を沿岸で阻止をする、こういう性格を持ったのがこのソ連の太平洋艦隊、こういうふうに評価するのが正しい評価じゃないんでしょうか。第七艦隊の存在というものを全く抜きにしてソ連の太平洋艦隊の戦力分析あるいは任務というものを見ていくということは、私はやはり見方が一面的過ぎやしないか、こういうふうに思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 御指摘のとおり、先ほど申しましたとおりにソ連の太平洋艦隊とアメリカの第七艦隊は、主として西太平洋、インド洋を中心として守備範囲としておりまして、その意味で第七艦隊に対抗する勢力であると、これはもう海軍の常識でございます。 ただ最近の、本年の白書として特筆すべきソ連の海軍力の増強の特質を申し上げますと、まさにイワン・ロゴフの到着、これは揚陸能力の増強でございます。それからミンスクの到着、配備、これは従来ございませんでした海洋におきます航空援護能力の出現でございます。その他遠隔地におきます勢力の投入能力の増大、これは海空ともに七〇年代以来ソ連の一つの目標になっておりました。これは、アンゴラ紛争等に見られた航空力による投入あるいは海軍力によるキューバ兵の輸送等に見られまして、一貫してソ連の一つの海軍力整備の目標になっておりまして、これはまた掲げないわけにいかない。もちろん、いま御指摘ありましたとおりに、第七艦隊とソ連の太平洋艦隊、これは対抗する勢力、それはもう御指摘のとおりでございます。ただその上に、ソ連が最近備えつつあります海軍の能力、着目すべき点を挙げますと、これはまたいま申し上げたとおりでございまして、これを書かないことはまたこれバランスを失する問題でございます。
○野田哲君 これは長官、ソ連が太平洋艦隊をふやした、そのことを日本がストレートに脅威だ脅威だというふうにあげつらうというのは、私はやはり見方が間違っていると思うんですよ。やっぱりソ連が太平洋艦隊をあれだけ配備をしたというのは、むしろ逆に第七艦隊の脅威に対抗するためのガード、こういうことの方が私は正しい見方ではないかと思うんです。 見方を変えて、このソ連関係について外務省の関係の人に伺いたいと思うんですが、外務省の安全保障の企画委員会の出した「とりまとめ骨子」、この中ではソ連のベトナムにおける問題に触れておられるわけですが、ソ連の「ヴィエトナムにおける海・空軍施設の常時使用が可能になったとみられ、このソ連のヴィエトナムを中心とした動きは、わが国の安全保障へも影響力を及ぼしつつある。」こうなっているわけです。私が伺いたいのは、ベトナムにおける海空の施設の使用が可能になったということ、いわゆる使える状態になっているということ、つまりそれはソ連とベトナムとの取り決めによって使える状態になっているということだろうと思うんですが、そういうふうに理解していいわけですね。
○政府委員(秋山光路君) お答えいたします。 ソ連がベトナムの海空軍施設の使用が可能になったと見られるというのは、各般の情報を分析調査の結果、私どもそういうふうに考えているわけであります。
○野田哲君 また防衛庁の方に返るわけですが、防衛白書の中では四十五ページの中で、「ソ連は、ベトナムの支援を強化するとともに、今やベトナムにおける海・空軍基地を常時使用する状態に至っている」、こういうふうに見ているわけですね。外務省が見ている見方は使用が可能になったんだと、こういうふうに見ておられるわけです。防衛庁の方は常時使用しているんだと、こういう評価になっている。これはちょっと違うんですね。使えるんだというのと、いまいつも使っているんだと、これはどっちが本当なんですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 恐らく——恐らくと申しますよりも、これは両方とも本当であると思います。これは、使用可能な基地でありますからこそ常時使用しているんでございまして、防衛庁が常時と言っておりますのは、昨年のうちは随時というような表現を使っておりまして、ソ連のプレゼンスもそう常時ではなかったんでございますけれども、実態の問題といたしまして、もう常時——常時と言って間違いございません、実態の問題として常時使用しております。まさにソ連はベトナムの海空軍基地が使用可能になったからこそ常時使用しているものであると理解しております。
○野田哲君 それはちょっとあなたのこじつけじゃないですか。使用できるようになったということと、いつも使っているということとは同じじゃないですよ、これは。あなたの言ういつも使っているというのは、つまり嘉手納とか岩国のように、基地として継続して使用している状態を常時使用していると、こう言うのであって、外務省の言っているのは使えることが可能になっている状態だということで、いつも使っているとは言ってないんですよ。同じじゃないですよ、これは。どうですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 申し上げましたとおりに、常時と申しますのは、艦船、航空機のプレゼンスの実態を把握いたしまして、それで、もはや常時と言い得る状態になったと、これは実態の問題でございます。これはもちろん可能でなきゃ使えないのでございますけれども、可能であるかどうかという法律的な問題とは——法律と申しますよりも国家間の合意の問題とは別にいたしまして、実態の問題としてもう常時使用になっております。この判断は、事実関係でございますので間違いございませんです。
○野田哲君 あなたの方は自信を持って実態として常時使用だと、こう言われるんですね。そうすると、外務省の方のこの見方というのはいかにもこれは間違いだと、こういうふうに聞こえるわけですね。あなた方がいつも引き合いに出すアメリカは、そう見てないということを発表しているわけですね。ちょうどこの防衛白書やそれから外務省の企画委員会が出したあのころと全く同じころに、アメリカの政府は、ソ連のベトナムの基地の使用状態について見解を発表しているんです。インドシナ情勢の分析に当たっているアメリカ政府筋は、ソ連海空軍のベトナムを足場にした軍事活動は増大しているが、そのペースはゆっくりしたもので、ソ連にベトナムを侵略的な基地にしようとの計画はなく、ベトナム側もこれを受け入れないだろう、こういう判断を明らかにしたということを発表しているわけですね。ベトナムの基地にソ連の艦艇や航空機がときどき寄っているのは、乗員の休養なり補給のために寄っているんだということをここに説明をしているわけですよ。アメリカがそういうふうに見ている。そして、外務省の方の見方は常時使用が可能だと、こういう状態を言い、防衛庁の方はいつも使っているんだということを自信を持って申し上げますと、これはずいぶん評価が違うんですが、それでもやっぱり防衛庁はいつもこれは常時継続して使用しているんだと こういうふうに見ているわけですか そうだとすれば、それは何に基づいているんですか。
○政府委員(岡崎久彦君) ただいまの御引用の書類も政府筋ということなんで、これは、果たして政府筋がはっきりそういうことを言っているかどうか、むしろ米政府に確認しなければわからないことでございますけれども、ただいま伺った限りにおきまして、これは別に矛盾しないんでございまして、ソ連の基地化ということと、その点はこの白書をお読みいただけると非常に注意深く書いてございますけれども、ベトナムにおける海空軍基地を使用するということとは、これは違うことなんです。ソ連がカムラン湾、ダナンを基地化しているかどうか、これはわれわれにとっても非常に重大な情勢判断の問題でございまして、われわれ自身も基地化しているという判断にはまだ到達しておりません。 それはどういうことかと申しますと、基地と言ってもどこから先が基地ということはないんでございまして、もちろん自由諸国のように協定をもって基地の供与を決める、そういうはっきりした条約の根拠をつくる場合は明らかでございますけれども、ソ連の場合はそういう協定がたとえあっても決して公表しておりませんので、これはわからない。そういたしますと、いわゆるまず初めは薪水の補給から始まりまして、それからある程度の休養施設あるいは給油、それからだんだん通信施設、ついには補修施設と、そういうふうに基地化の段階がだんだんと進んでいくわけでありまして、カムラン湾、ダナンがまさに米政府筋が言っておりますように基地化しているかどうか、どの程度基地化しているかということはわれわれとしても非常にむずかしい判断で、それは差し控えております。ここに書いておりますのは、ベトナムにおける海空軍の基地をソ連が常時使用している、この点はもうアメリカの情報部筋といえどもわが方との間に何ら意見の相違はないはずでございます。
○野田哲君 新聞発表だからアメリカ政府のあれというのはそのままうのみにできないという意味のことをあなたは言われたわけですが、あなたの方のそれじゃ出所、情報はどこから出たんですか。
○政府委員(岡崎久彦君) この情報の出所は、機微にわたる面がございますので差し控えさしていただきます。
○野田哲君 私の方がいろいろ資料を出して言えば、それは新聞だから信用できないとかなんとか言うが、じゃ、あなたの出所はどこなんだと聞いたら、それは機微に触れるからということで明らかにできない。これでは国会議論かみ合わぬじゃないですか。これは委員長、注意してくださいよ。それだけのことを言うのであれば、出所も明らかにして答えてもらわなきゃ困るじゃないですか。
○政府委員(岡崎久彦君) これの出所につきましては、わが国はもう平和国家といたしまして情報を収集——いつも豊富な情報を備えていなければいけないわけでございますけれども、これを明らかにいたしますことが将来の情報収集機能を妨げる、そういう危険のある、可能性のある情報源でございますので、申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○野田哲君 そうすると、あなたの言う常時使用というのは、基地化じゃないが、どういう形態で使っていることを言うわけですか。
○政府委員(岡崎久彦君) ただいまはっきり申し上げました、あるいは御意に沿わなかったかもしれないのでございますけれども、一般的に常時ということになりますと、いろいろな機微なソースにもわたるのでございますけれども、たとえば通航上の船舶が見かけるとか、それからあるいは、これはもう東南アジアあたりの新聞にも何隻ぐらいがカムラン湾あたりにいつもいるというようなことはいつも出ておりますし、そういう点からむしろ常識として総合的判断として申し上げてもいいかと思います。そういうような報道とか、そういう一般的なことから申しますと、カムラン湾、ダナンの湾内湾外に常時ソ連艦艇がプレゼンスしている、そういう状態であるというふうに考えられます。
○野田哲君 出所を明らかにしないでそういう判断をされるんですから、答弁されるんですから、これ以上これはかみ合わないから私はおきますがね。 この問題で最後に長官に見解を伺っておきたいと思うんですが、先ほど来、政府委員の方と私がいろいろやりとりをしておりますが、防衛白書に記述されている流れというのは、まず太平洋におけるソ連の艦隊、これを一つの潜在的脅威として大きく取り上げておられるわけですが、アメリカの第七艦隊との比較の仕方一つをとってみても、いろいろやはり問題点があるわけです。あるいはベトナムの使用状態一つをとってみても、アメリカとそれから防衛庁と外務省、それぞれ違いがある。少しやはり防衛庁の方は事実を誇大に、脅威を強調しようとする余りに、取り上げ過ぎているんじゃないか。しかもソ連の太平洋艦隊の主たる任務というのは、むしろアメリカの第七艦隊に対する対抗手段としてとっておることであって、日本がそれによって脅威を受けるというようなことを第一番の認識として持つことは、少し国民に対して無用の不安感をかき立てることになるんじゃないか、こういうふうに私どもは受けとめているんです。 先ほど来、この脅威論争をやってきたわけですが、私はやはり鈴木総理が答えておられるような形で認識をされることが正しい認識じゃないか。防衛庁の方は少し鈴木総理の認識とはかけ離れて先走り過ぎておる、こういう印象を受けるんですが、総括的にその点についての長官の認識を承っておきたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) 先ほど来、防衛白書の記載事項に関連していろいろ御指摘があったわけでございますが、防衛庁といたしましては、入手し得る資料に基づいてできるだけ正確な比較を試みたいということで従来から努めてきているところでございます。その点から申し上げますれば、第七艦隊だけで不十分だという御指摘ございますが、アメリカの方の第七艦隊を見ますると、ここ十年近くはほとんど横ばいであると、それに比べましてソ連の太平洋艦隊は最近数もふえております。ここ一年で十数万トンふえてきておるということは客観的な事実でもございますし、またアフガニスタンへのソ連の侵攻以来、日本国民の大多数の方は北方領土になぜ一個師団近くのあれが駐とんしているのかという点についていろいろ疑問も持っておられるということも否めない事実ではないか、そのような点からいたしまして、意図がはっきりしませんから、決して敵視するわけにはまいらぬわけでございますけれども、そういった能力の増加という点はやはり着目して、そして、これまでの防衛計画で決めております計画を着実に実施していくことが、総理の言われた節度のある防衛力の増強につながるものと私どもは受けとめておるわけでございます。
○野田哲君 外務省に、せっかく前に座っていただいておりますから、もう一つ、先ほど出た企画委員会のレポートの問題について一点だけ伺っておきたいと思います。 十六ページのところで、「いざという時にわが国の防衛のために米軍が来援しやすいような状況をつくっておくことも同様に必要である。」、こういうふうな記述があるわけですが、これはどういう意味ですか、いろいろ前後がずっとあるわけですが、わかっていると思うので前後のことは省略いたしますが、この米軍が来援しやすいような状況をつくっておくことが必要なんだと、これは何をどうしろということなんですか。
○政府委員(秋山光路君) お答えいたします。 米軍が来援しやすい状態をつくるという意味は、私どもが考えておりますのは、米軍の日本における基地の安定的使用、これを確保する、並びに日米安保体制を一層円滑かつ有効に運用するというために種々努力を払うということを意味しているわけであります。
○野田哲君 いまおっしゃった基地の安定的使用とかいうようなことは、これはほかのところへ書いてあるのであって、その前後のところを読んでみると、何か私は別の意味がここには含まれているんじゃないかなあという感じがするんですが、そうじゃないんですか。つまり、米軍が来援してきたときに活動しやすいような国内的な条件というものをつくっておけと、こういうような意味じゃないかというふうに前後を通じて読めるんですが、そういう意味がなければそれで結構なんですが、その点どうですか。
○政府委員(秋山光路君) そういう意味合いで使っているとは思っておりません。 外務大臣もかねがね御指摘申し上げているとおり、日本の防衛というものは日米安保の体制のもとにいわゆる自衛力によって補うという考え方でございますけれども、こういう基本的な枠組みを円滑にかつ有効に使用し得る状態をつくっておくと、こういう意味であります。
○野田哲君 それ以上の意味がなければそれなりに受けとめておきたいと思うんです。 長官に中期業務見積もりについてお伺いしたいと思います。 まず、この中期業務見積もりというのはどういう趣旨でつくられたものですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申します。 中期業務見積もりは、防衛庁が防衛計画の大綱に基づき毎年の防衛力整備計画を進めていく上でその基礎となる業務計画、予算概算要求等を作成するに当たり、その参考とすることを目的といたしまして、五十五年度から五十九年度までの間の主要な事業について見積もりをいたしたものでございます。
○野田哲君 そうすると、これは防衛庁の部内限りの資料ですね。
○国務大臣(大村襄治君) そのとおりでございます。
○野田哲君 ある程度の資料は私もちょうだいしたんですが、私どもに公開できない資料というのはどの程度のものがあるんですか。
○政府委員(塩田章君) 昨年の七月にできましたときに「中期業務見積りについて」というものを公表いたしまして、ことしの五月にさらに補足する説明資料を公表いたしましたが、これによりまして、中期業務見積もりの内容としております項目についてはすべて載っております。それ以外に何かあるのかというお尋ねでございますが、項目としてはこれに全部網羅されておりますが、書類といたしましては、私ども、中期業務見積もりは能力見積もりと事業見積もりから成っておるわけでございますが、その書類そのものは秘扱いにいたしております。したがいまして、そういう文書は別にございますが、内容的にはいま申し上げたものに項目的にはすべて網羅されておる、項目的にそれ以外のものがあるというわけではございません。
○野田哲君 能力見積もりというのがわれわれに公開されていないものがあると、こういうことですね。 そこで、本年の五月の一日に大平・カーター会談が行われております。この会談で要請された日本政府の内部にある計画を予定より一年早く達成することという要請、この日本政府の内部にある計画というのは、これは外務省からお答えいただけるんだろうと思うんですが、これはつまり、いま説明のあった中期業務見積もりということなんですね。
○政府委員(淺尾新一郎君) 故大平総理がワシントンに行かれましてカーター大統領と会われた際に、防衛問題については大統領の方から、日本が防衛力の増強に努力していることをアメリカ側として評価していると、日本の国内的制約は十分理解しているところであるけれども、さらにその政府部内にある計画を早口に達成されるならばアジアの平和と安定のために有益と考えるというのが大統領の発言でございまして、それに対して総理大臣の方から、われわれとしては従来から精いっぱいの努力をしてきたところであるが、今後とも自主的にその努力を続けていくと、それから、アメリカ側が日本側の持っている制約について理解を示したことについて評価すると、さらに日本として今後防衛力の整備についてどの程度のことができるかについて真剣に検討していくと、さらに語を継ぎまして、安全保障の問題というものは軍事的な面だけでなくて、アジアにおける政治的あるいは経済的な安定のために日本政府としては経済協力の面で援助していると、こういうことでございまして、アメリカ側がいま御指摘のありました政府部内にある計画と言うことは、中業ということをアメリカ側が具体的に言及しているわけでございませんし、また、そこでは一年前倒しという言葉は全然出ておりません。
○野田哲君 中業という言葉は出ていないし、一年前倒しという言葉も出ていないということですけれども、この対象になった政府の内部にある計画というのは、これはもう中業以外にはないですね。そのことでしょう。
○政府委員(淺尾新一郎君) これは、アメリカ側がどういうことを指して政府部内にある計画ということを言ったか、私たちとして類推する立場にございませんけれども、ただ時系列的に申し上げれば、三月に大来外務大臣が渡米した際に、ブラウン国防長官が日本に対して言ったのは、日本側に対して顕著にして着実な防衛力の増強を期待すると。さらに語を継ぎまして、中期業務見積もりの早期達成を希望すると、こういうことでございまして、それに対して大来大臣の方から、中期業務見積もりについては、これは防衛庁限りの計画であるので、帰国してから総理大臣あるいは防衛庁長官に報告するというのが経緯です。
○野田哲君 だから、端的に言えば、三月の大来外相が訪米をしてブラウン国防長官と会ったときの話からずっとつながっていく。これはもう中期業務計画、これが五月一日の大平・カーター会談での早期達成の要請、こういう形になった。これはそうですね、大村さん。大村長官、そうでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) そのように承っております。
○野田哲君 そこで長官、先ほど来の防衛庁部内の、防衛庁限りの五十五年から五十九年にかけての予算概算要求等の踏み台にする内部資料なんだと。こういう防衛庁限りの内部資料が、どうして国防長官と外務大臣の外交交渉から、さらに引き続いて大平・カーター会談というトップ会談のところまで議題になったんでしょうか。 結局、これはアメリカ大統領の要請という形で、結果的に言えば九・七%という枠をあなた方が大蔵省、政府部内で認めさせる、こういう政治状況をつくり上げていった。つまり、これは防衛庁が内政干渉の道をみずからつくっていったんじゃないか、こういうふうに理解するのは間違いですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 中期業務見積もりについて、日米首脳者会談で、具体的には名指しはございませんが、政府の部内の見積もりなり計画を促進してほしいという要望があったことは私承っているわけでございます。 そこで、防衛庁としてはこの中期業務見積もりについてどういう扱いをしておったかということをお話し申し上げますと、これまでの日米両国の防衛問題に関する意見交換の場におきましても、防衛庁の考え方を述べる際に、必要に応じそのアウトラインは説明しております。国会にも御説明し、一般にも公表しましたアウトラインを説明いたしておるわけでございます。しかし、これは中期業務見積もりが外交交渉の対象になっているといったことではございません。説明の内容は、一般に防衛庁が発表している範囲内のものでございまして、米側としましてもこの中期業務見積もりが防衛庁限りのものであるということは十分承知しているはずでございます。 したがいまして、この問題につきまして要望はございましたが、私どもといたしましては、あくまでわが国の自主的判断に基づいて、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準をできるだけ速やかに達成するために自主的な努力をこれから払っていきたいと考えている次第でございます。
○野田哲君 アメリカが中期業務見積もりを承知をし、非常に関心を持ち、そしてこの早期達成を強く望んでいる。アメリカは非常にこれに強く期待をしているわけですが、アメリカ側には、先ほどわれわれには明らかにされてない能力見積もりというのも渡されているんでしょうね。能力見積もりが渡されているからこそ非常に執着をするわけでしょう。その点どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申します。 中期業務見積もり全体は秘密の文書でございます。そこで、この秘密の分を除くアウトラインを米側に説明したわけでございまして、国会に御説明してないものを米側に説明するということは一切いたしておらないわけであります。
○野田哲君 そうすると、能力見積もりはアメリカ側にも説明していないと。われわれに公開したと同じものだけをアメリカに説明したと、こういうことですね。 それでは伺いますが、いま、一九七八年十一月に取り決められた日米共同作戦のガイドライン、あれに基づいた作業がずっと進められていますね。あの作業の中では、八〇年代の能力見積もりや中業の中へ含まれている能力見積もりはなしでこのガイドラインの共同作業をやっているんですか。そんなことはあり得ぬでしょう、作戦的に考えても。どうですか。
○政府委員(塩田章君) いま御指摘のガイドラインに基づく研究は、現在の自衛隊の能力を前提にしまして、現在日米共同対処するにはいかにするかという研究でございますから、いま先生御指摘のように八〇年代、先のことの自衛隊の姿を想定して研究しておるわけではございません。現在の自衛隊の力を前提にして研究しておるわけでございます。
○野田哲君 中期業務見積もりというのは昭和五十五年から五十九年でしょう。だから、五十五年度もうすでにその中へ入っているわけですね。そういう状態の中でこの五年間、五十五年から五十九年までのごく近い期間のこの中業に入れられている能力見積もりを抜きにして日米共同作戦のあのガイドラインの共同研究がやられる。そんなことは通用するんですか、防衛局長、冗談じゃないですよ、これは。
○政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、現在の自衛隊の持っておる防衛力を前提にしておりますから、現在のといいますのは、たとえて言えば、護衛艦なんかで言えば中業よりはるか前の時期につくったものがいま就役しておるわけでございますから、そういうものを前提にして、それに対して米軍の来援があった場合にいかに共同対処するか、こういうことでございますから、そういうことで研究しております。 先生のおっしゃいますように、この中業は五十九年までだから、ずっと変化していきます。それは当然自衛隊の防衛力も変化していきます。したがいまして、いまの私どものやっておりますガイドラインに基づく研究作業というのは、言うなれば研究をずっと続けていくわけですけれども、言うなればエンドレスに続くということを申し上げておりますが、それはその年その年で自衛隊の力そのものも変わりますし、国際情勢も変わりますから、そういうことで研究といたしましてはずっと続いていくということでございますから、いまの時点のいまの研究内容ということであれば、これは当然現在の自衛隊の力、それを前提にした研究をしておる、また来年は来年というふうにずっと変化に応じまして常に研究は続けていくと、こういう形になるわけでございます。
○野田哲君 私は、私どもがもらった資料によって表をつくってみたわけですよ。防衛計画の大綱と現在の状態と、それから中期業務見積もり、これを比較する表をつくってみたわけです。能力見積もりがアメリカ側に渡されていないという状態で、公開されている資料だけで私も表をつくってみましたけれども、こんなものであれだけアメリカが執着するはずはないんですよ。能力を期待をしているからでね。これでは何ら期待するような形のものはわからないですよ、あれだけ執着する内容というのは。あなたがあくまでも能力見積もりについてアメリカには絶対に渡してないと、こういうふうに言われるんだったら、もうそれ以上私はいいですから次の問題に入っていきますが、そんなことはあり得るはずはないと私は思うんですよ。もう一遍その点伺います。
○政府委員(塩田章君) 二つを分けてお考えいただきたいんですが、いま先生がおっしゃいましたアメリカが中業の内容なり今後の整備状況について執着をしておるというふうな表現をされたわけですが、それは、あくまでも中業についていまからどうなっていくかということについてアメリカは、先ほど来お話が出ておりましたように、わが方に対して期待表明をしております。ですからそういう意味で、執着という言葉がいいかどうか知りませんが、そういう期待表明をしていることは事実です。そのことと、いま先ほどお話出ましたガイドラインに基づいて共同作戦の研究をしておるその内容とは一応切り離してお考えをいただきたいということを私は申し上げているわけです。というのは、共同作戦の研究の方は、あくまでもその時点その時点の持っておる防衛力を前提にしていかに共同対処するかということを研究しておる作業でございますから、それはやはり一応別のものだというふうにお考えいただきたいと思います。
○野田哲君 それで防衛庁長官、ことしの一月ブラウン長官が来たり、大来さんが行ったり、五月には大平・カーター会談があったり、こういう中でずっとことしの五月一日まで、中期業務見積もりを早くやろうという問題がアメリカとの外交交渉の大きな課題になってきたわけですが、結局長官としてはどうなんですか、一年繰り上げてやろうというおつもりなんですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 一年繰り上げという要望があったということは承っておらないわけでございます。できるだけ早く実現してほしいという趣旨の要望があったということは承っているわけでございます。しかし、これは先方の要望でございますので、防衛庁といたしましては、わが国の内外の情勢にかんがみまして、現在実施中の防衛計画の大綱、その示す線をできるだけ早く実現する必要がある。それには大綱に基づいて防衛庁みずから策定しました中期業務見積もり、五十九年度までの見積もりでございますが、これをできるだけ早く実現に移したいと。しかしながら一方におきまして、財政再建という財政上の強い制約もございますし、また国民の皆様の御理解を仰ぐという必要もございますので、そういった点を彼此勘案いたしまして、五十六年度の概算要求を取りまとめて提出し、防衛庁としましてはこの要求の実現を期していま努力しているという次第でございます。 一年繰り上げができるかどうかということのお尋ねに対しまして、直接のお答えにはならないかと思いますが、防衛庁の考え方を率直に申し上げた次第でございます。
○野田哲君 これは長官、率直じゃないんじゃないですか。五十九年までの五年間の計画をできるだけ早く進めていこうということであれば、一年早めるのが一番早め方としては最小限の早め方でしょう。だから私は、端的に一年早めるんですかと聞いたんですが、端的にお答えいただきたいと思うんです。
○国務大臣(大村襄治君) 繰り返し申し上げますが、一年早めるということは具体的な念頭にはないわけでございまして、できるだけ早く実現を図りたい。そのためには、財政力その他の制約もございますし、また五年間の見積もりでございますから、五十五年度にスタートして五十六年度は二年目、あと三年も残っている、そういった後のこともございますので、五十六年度におきましては可能な限り前進を図りたいということでございまして、一年短縮を頭に置いて五十六年度の概算要求をまとめたということではございません。
○野田哲君 どうもなまくら問答で、これわかりませんね、われわれみたいな単純な者には。 それでは具体的に伺いますが、昭和五十五年四月三十日、ことしの四月三十日に、「昭和五十六年度業務計画の作成に際して指針とすべき事項に関する長官指示」こういうのが出ていますが、この中では、「中期業務見積り(昭和五十五−五十九年度)の見直し作業の成果」というふうに書いてあるわけですが、この「見直し作業の成果」というのはどういうことですか。
○政府委員(塩田章君) 中期業務見積もりというのは、先生御承知のように毎年の予算要求の資料とするための見積もりでございますが、ということは、毎年実際に予算要求するそのもとになる来年度の業務計画をつくるときに見直しをするわけです。中期業務見積もりというのは、そういう意味で毎年私どもは見直しをしております。そのことをいまの御指摘の「長官指示」の中で言っておるわけでございまして、毎年見直しをして、そうして来年度の業務計画案をつくり、その業務計画案に基づきまして概算要求案をつくると、こういう手順を踏んでおるわけでございまして、そういう意味の見直しでございます。
○野田哲君 そうすると、この見直しという意味は早期達成という意味ではないと、こう言われるわけですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほど長官から、五十九年度達成を一年繰り上げるわけじゃないというお答えをいたしましたが、そのとおりでございますが、五十六年度の見直しに当たりまして、したがってまたその見直した結果の概算要求の案の作成に当たりまして、私どもは早期達成について配慮をした概算要求案をいま提案をしております。それは先生の御指摘のように、五十九年度やめちゃって五十八年で終わるようなそういうような意味の繰り上げとか、そういうことじゃなくて、主要装備品につきましてできる限り早く達成できるようにという意味で、五十六年度の見直しのときにそういうことを配慮した見直し作業をいたしまして、現在概算要求に出しておるということでございます。
○野田哲君 四月二十三日ですか、防衛庁の自衛隊高級幹部会同というのがありましたね。その高級幹部会同の中で当時は細田長官であったわけですが、防衛庁長官訓示というのをされている。この内容を見ると、この中業の問題がこの訓示の中に含まれておりますね。「「大綱」に示す防衛力の水準の可及的速やかな達成と中期業務見積りの見直し」と、こういうことで「現下の国際情勢の厳しさを考えるとき、日米安保体制を更に揺るぎないものとするための努力を続けるとともに、今後、従来以上に我が国の防衛努力を強め、大綱に示す水準を可及的速やかに達成する必要がある。中期業務見積りについても、かかる観点から見直し作業を促進し、その結果を踏まえて、逐次昭和五十六年度の概算要求の内容を固めていく所存である。」つまり早期達成ということを踏まえて中業についても見直しをやるんだと、これはいま局長が言われたように早期達成を配慮した形でのものと、こういうことで長官のこの訓示の内容というのがいま防衛局長答えられた、こういうことなんですか。
○政府委員(塩田章君) そのとおりでございます。
○野田哲君 そうすると、この中期業務見積もりというのは総額で二兆七千億ないし二兆八千億と、こうなっていますね。これは五十四年度の価格で見積もって二兆七千億ないし二兆八千億、こういうことでありますから、もうその後の物価の上昇を考えるとはるかに三兆円を超えるはずだと私は思うんですが、延べにして三兆円として単純に割っていけば五年だと、単年度で平均して六千億、こういうことになると、それをさらに短縮していこうとすれば、四年ということで割っていけば七千五百億と、こうなるわけですが、GNPのこの一%の枠内でおさまるんですか、この点端的に伺いたいと思うんですが。
○政府委員(塩田章君) 五十四年度価格で二兆七、八千億円と申しますのは、御承知のように中期業務見積もりでは主要装備品しか積み上げしておりませんで、その金額でございます。それは、いま先生の御指摘のとおりで、もちろん物価によって上がってくるだろうとは思います。全体的に防衛費の予算がGNPの一%を超えることになるかならないかという点につきましてはいろんな要素が、不明な要素がございます。GNPの推移もわかりませんし、私どもの方の積み上げもいまの主要装備品しかやっておりませんので、そういう意味では不明な要素が多いんですけれども、一応見通しとしましては、私どもは五三中業が目指しております五十九年度までには一%に近づくであろうという見通しで作業をしたというふうに従来から御説明を申し上げておるところでございます。
○野田哲君 一%に近づくであろうと、こういうことですが、十一月十日に原次官が、大村長官も出られて、内外情勢調査会で講演をされていますね。その中では、この防衛計画の大綱とそれから一%を決めたのはちょっと時期がずれているんだから、防衛計画の大綱と一%とは直接の関連性はないんだ、こういう意味のことを言っておられるわけですが、決めた日にちが一週間ばかりずれたからといって、私はそれが無関係という説明はいかにもこじつけのように思えるんです。 それはそれとして、原次官は現在二兆二千億の防衛費のうちで二〇%の四千億程度が装備だと、そこで〇・九%と一%のすき間に二千億あるから、四千億と二千億ということで五割アップになっても一%を超えることはないんだと、こういう意味のことを言っておられるわけですが、実際問題として価格が上昇して三兆円を超える状態になり、それをしかもできるだけ早期に達成をしていこうということになったときには、いますき間が二千億あるわけですが、それで数字の上で、いま防衛局長から説明があったように一%で本当にこれはおさまるんですか、これ。おさまりますと言っておったら、あなたおさまらないようなものを後で出してきたときに大変なことになりますよ。おさまらないならおさまらないと、いまのうちに言っておく方がいいんですよ。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 原次官の講演でありますが、これは内外情勢調査会、私も招かれておったんですが、そのすぐ後衆議院の安全保障委員会がありましたので、私は冒頭のごあいさつをして後は原次官にお話の方はお願いしたわけでございます。その後新聞報道等で御指摘のようなあれがございましたので、本人を呼んで様子を聞きましたところ、防衛計画の大綱の決定とそして防衛費のあり方についての対GNP一%以内に相当する額をめどとするという閣議決定との間には若干の日の差もあるし、また事柄自体が相当長期を予定したものとそれほどでないものとのその点もあるので、その辺の背景説明をしたものであると、そして見通しとしては、いま先生御指摘のとおり相当の幅があるので、当分一%以内でいけるんではないかと、こういう趣旨の講演をしたものであるということでございましたので、必ずしも一%をすぐ超えるんだというようなことを示唆したものではないというふうに私は受け取っているわけでございます。 ところで、今後の見通しでございますが、なるほど先生御指摘のとおり物価も上がりますから、この正面事業に要する経費五年間で二兆七千億ないし二兆八千億もこれ若干上がることもございましょう。また、GNP自身もどのぐらいふえますか、これは先のことでございますので具体的な判断はつけにくいわけでございますが、わが国の経済が極端な変化がない限り、やはり毎年分母に当たりますGNPもある程度の伸びはあるんじゃないか、そういったような点を彼此勘案いたしました場合には、現在の中業を進行させましても防衛局長答弁のとおり一%に近づいていくんではないか、そういう見通しを私どもはいたしておるわけでございます。
○野田哲君 それじゃ、具体的にこれは局長に伺いますが、数字でお答えをいただきたいと思うんですが、五十五年度から始まっているわけですから、五十五年度でこの中業に見積もられているものの中でどれだけが五十五年度予算の中で計上されているのか、五十六年度にどれだけを見込もうとされているのか、これをお答えいただきたい。
○政府委員(塩田章君) 先生お尋ねは金目でございましょうか、物の数でございましょうか。
○野田哲君 金目。
○政府委員(塩田章君) 五十五年度が三千八百九十八億円、五十六年度が四千六百七十億円です。
○野田哲君 そうすると、あと五十九年まで予定どおりでいったとして二兆円ばかり残りますね。もしこれ五十八年までにやろうとすれば残り二兆円ですから、一年一兆円ずつやっていかなきゃいかぬ、こういうことになるわけですが、それでどうして一%でおさまるんですか。おさまらぬでしょう、それじゃ。二千億のすき間ですよね、〇・九と一%の間、すき間二千億でしょう。残りが二兆円もあって、どうして一%の枠内でおさまるんですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほど主要なものにつきまして早期達成をしたいということを申し上げましたが、そのときにも申し上げましたように、五十九年度ゼロにしちゃって、全部五十八年までにやるという趣旨ではないということを申し上げましたが、私どもはあくまでもいまの五三中業につきましては五十九年度までに完成をするんだという考え方でございます。その中で、主要装備品について可能な限り早期に達成を図りたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。その範囲内で、私どもは先ほどから申し上げているように、五十九年度に一%以内に近づくという範囲でいけるんではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○野田哲君 数字の上で、それじゃ局長、はっきりしてくださいよ。いま、原次官の説明は、この〇・九と一%の間にはすき間が二千億あるんだと、こう言っておられるわけですね。そのすき間の二千億と従来からの装備に入れていた四千億と六千億でも一%の枠内でおさまるんだと、こういうふうに原次官は講演の中で言っておられるわけです。いま聞きますと、二兆七、八千億というのが、まだ五十七年、五十八年、五十九年と、これからの五十七年以降に二兆円残る、そして五十八年までに完全に、五十九年をゼロにしてやってしまおうという考えではないんだと、五十九年にも残るんだと、こういうふうに言われるわけですが、五十九年にどれぐらいに残るにしても、五十七年、五十八年にかなりウエートをかけていこうとすれば、その時点ではもう五十七、八年では、一%では数字の上でおさまらないんじゃないですかと、こう言っているんですよ。数字で示してくださいよ、おさまると言うんだったら、割って。
○政府委員(塩田章君) 中業の早期達成と言います場合に、ことしは、五十六年度は先ほど言いましたように、主要装備品につきまして早期達成を図りたいということを念頭に置いてやったと申し上げましたが、このことは当然五十七年度も五十八年度も考えながらいかなきゃいけないというふうに考えておるわけでありますが、その際に、いま御指摘のようなGNPとの関係の、あるいはもっと広く財政全般の中でどう位置づけられるかという問題につきましても当然考えていかなくちゃいけません。まだGNPが今後どういうふうになっていくかわかりませんし、私どもは五十七年度の作業それこそ入っておりません。もちろん、いま五十六年度のただ要求を出した段階でございますが、いまから新しく五六中業、次の中期業務見積もり作業に入るわけでございますが、そういった際に、改めてそういった点は十分検討しながらやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、いまの段階で申し上げられますことは、先ほど来申し上げておりますように、五三中業につきましては五十九年度に一%に近づくという形でいけるんではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
○野田哲君 これは防衛局長、数字ではっきり言ってくださいよ。一%の枠は崩さないと、こう言っておられるわけですね。そうして現状の〇・九と一%の間にはすき間はいまは二千億だと、原さんはそう言っておられるわけです。そこでいま、五十五年から五十九年までの間で五十四年度の価格で二兆七、八千億、こういう中期業務見積もりを計画を持ったわけです。それをできるだけ早目にやっていこうと、こういうことなんでしょう。そうして五十五年、五十六年と三千八百九十八億、四千六百七十億。そうすると、残りがまだ二兆円あるのを五十七年に幾ら、五十八年、五十九年と年度にどういうふうに割って一%の範囲内におさめようとされるのか、私は数字を示してもらわないと局長の説明ではわかりません。数字を示してください。
○政府委員(塩田章君) いろんな機会に何度も申し上げておりますが、中期業務見積もりはもともと年度割りを持っておりません。年度割りを持たずに全体で、たとえば戦車三百台とか護衛艦幾らというふうに決めてありまして、それに見合う金額が主要装備品について二兆七、八千億だと、こういうふうに決めてあるわけでございまして、そのもともと年度割りを持っておりませんので、五十七年、八年、九年度の年度割りの中からどのぐらいの金額を早期達成の方に持ってくるんだというふうには作業をしておるわけではないんです。言うなれば五十九年度までのうち、現在五十五年度分はすでにスタートしておりますが、五十六年度分が仮に私どもの要求どおり認めていただけました場合には、残りが、要するに五十七、八、九というのが、言うなれば言葉は悪いですけれども、だんごのような形で乗っかっているわけでございまして、それは年度割りをつけてあるわけじゃございません。したがいまして、今度五十七年度のときに、またその中からどういう形で早期達成を配慮しながらいけるかあるいはいけないかというようなことは考えていかなきゃいけないわけでございまして、いま先生の御指摘のように、数字を割って示せと言われましても、いまの時点では私どもそういう数字を持っておるわけではないわけでありまして、そういうやり方をしておるわけであります。
○野田哲君 私もそれはいま五十九年度までの数字を割ってあるとは思っていませんよ。思っていないけれども、何回もしつこく言うようですけれども、あなた方の方は一%の枠は超えませんと、こう言うわけだから、一%の枠は超えないということを前提にして、この五十五年から五十九年までの間に二兆八千億、恐らく三兆円を超えるであろう正面装備を増強していこうと、こういう計画をいま持っているわけでしょう。ところが、五十五年、五十六年と、それは八千億ぐらいしか達成されてないんだから、未達成が二兆円あるとすれば、これは単純に平均に割ったとしても七千億ぐらいずつになるわけでしょう。ところが、原次官の説明ではすき間は二千億だと、こう言うんだから、それじゃ単純に割っても七千億ぐらいずつになるものじゃおさまらないじゃないですかと。あなたはおさまると言うのならおさまる数字を私に示してくださいと、こう言うんですよ。
○政府委員(塩田章君) 一つは、GNPの変化がございますから、〇・一%のすき間が今後どう変化していくかも一つの動いていく要因としてあるだろうと思います。二千億円ではないだろうという気はいたします。 それから、いまお話しのように、おさまると言うのならおさまる数字を示せということでございますが、先ほどちょっと逆にお尋ねいたしましたように、金額では先ほど申し上げましたが、物で考えてみた場合に、私ども、今度の五十六年度の早期達成を念頭に置いた予算要求案を認めていただければ、主要な物につきましては四五%ぐらいの達成率になるというふうに見ております。単純に五年間で考えれば、そのうちの二年分とすれば四〇%ということになるわけですが、そういう意味では、物で考えた場合には、全般じゃなくて主要な物につきましては、まあ物によって違いますけれども、四五%前後の達成率になるということで、私どもは、今度の五十六年度の要求案を認めていただければ、少なくとも早期達成の足がかりにはできると、こういうふうに見ておるわけであります。 その全体の数字が一%を超えるかどうかということにつきましても、先ほど来申し上げているように、おさまる数字を示せと言われますと、先ほどから申し上げておるように、そういう数字をつくっておらないものですから御説明をしにくいんですが、私どもは、いろんなGNPの変化そのものも考えていった場合に、おさまっていくんではないかというふうにいまの時点では考えているわけであります。
○国務大臣(大村襄治君) 数字にわたる御質問でございますので、経理局長に補足説明をさせていただきたいと思います。
○政府委員(吉野實君) 先生いまお話しになりましたように、二千億のすき間に五千億も六千億も入らないじゃないか、こういう御質問でございますけれども、御存じのように、防衛庁におきます装備品の調達というのは何年かかかるものでございまして、いま二兆七千億という話をしておりますのは毎年の歳出ベースの話で、五十九年のことをとってまいりますと、五十九年に注文したもの及び五十八年に注文したもの、場合によると五十六年に注文したものが支払いが六十年になる。そういうものもありまして、いま先生がおっしゃったようなことには、無理があるということには必ずしもならない。出てくる。 それと関連いたしますけれども——関連はしているかどうか知りませんが、ちょっと御参考までに申しますと、GNP一%にしようといたしますと、いまの経済社会七カ年計画でございますと、毎年の伸びが一%になるためには、等率で伸びると一五・四%伸びなきゃいかぬ。五十六年度の予算要求、御存じのとおり一応いま九・七%ということになっておりまして、大分開いておることは事実であります。
○野田哲君 だから、つまり経理局長の説明によると、おさまらない部分は国庫債務負担行為で先へ繰り延べると、こういうことですね、端的に言えば。そうでしょう。
○政府委員(吉野實君) 国庫債務負担行為というのは、何でも無理なものは後へ延ばすというわけには必ずしもまいりませんで、やっぱり商慣習とか相手もあるものでございますから、たとえば輸出船の場合に延べ払いでもって契約のとき二五%払うとか、着工のとき二五%払うとか、そういうのを基礎に置きまして、そして継続費を組むわけでございまして、簡単に金がないから全部後へ回しちゃうと、そういうわけにはまいらないものでございます。
○野田哲君 だから、全部後へ回しちゃうというわけじゃないが、契約をして、幾らか払って、おさまらない部分は国庫債務負担行為として先に送ると、そういう形でしょう、経理局長、つまりあなたの最初におっしゃったことの意味は。
○政府委員(吉野實君) 二兆七千億とか八千億という数字は、大体そういうことを念頭に置いて試算されたものと私は考えております。ですから、無理に後へ延ばすというんじゃなくて、そういう常識的な何といいますか、支払いベースを念頭に置いて大体二兆七、八千億かかるということであればまあいいだろうと、二兆七、八千億で入るだろう、つまり一%を超えないで入るだろうと、そういうふうに予測したものと思います。
○野田哲君 わかりました、そのからくりというのがね。だから、調達したものは一%を超える、しかし予算へ上げていく、払う金額は先送りをすると、そういうことですわ。わかりました。 中業の中で具体的なことを一つ伺っておきたいんですが、「対空火力を強化するため、地対空誘導弾ナイキJを装備する高射隊一隊を整備する」と、こういうことが中業に挙げられておりまして、さらに「将来の防空体系に関し速やかに検討を行い、地対空誘導弾ナイキJの後継に関する今後の整備方針を決定する。」と、こういうふうに中業に掲げてありますが、その解説の中で京阪神地域と、こういうふうになって、そこに高射隊一隊を増強すると、こうなっているわけですが、この京阪神地区というのは場所はどこですか。
○政府委員(多田欣二君) いま先生がおっしゃいましたように、京阪神地区の西側の方に一高射隊を増設をしたいということで、現在、候補地を検討中でございます。現在まだ検討中の段階でございまして、具体的にどこということを決めたわけではございません。
○本岡昭次君 関連して質問さしていただきます。 私は、いま野田委員の質問に続きまして、そのナイキ基地問題について少し時間をいただいて質問さしていただきたいんですが、実はこの内閣委員会でも八月にそのナイキ基地の問題が取り上げられております。また、九十一国会の衆議院予算委員会第一分科会、三月六日ですか、ここで社会党の堀委員がやはりこのナイキ基地問題についても質疑をされておりまして、そうした中で政府の側から、防衛庁の側から明らかにされているものをまとめてみますと、現在のその防衛上の問題で関西地区では西の方にすき間ができているので、京阪神の西側、三田市を含む一帯の地帯の中で一カ所候補地を物色中であり、その土地の一部を取得するための予算が八千五百八十万円計上されていると、ここまで質疑の中で明らかにされております。 そこで私は、そのいま出てきましたたった一つの固有名詞である三田市、その三田市に長らく住んでおりまして、その三田市を自分の政治活動の中心にしておる三田市の住人であるわけなんです。したがいまして、この問題については非常に関心も持っておりますし、地元住民から多くの意見、陳情があります。したがって、私は単に内閣委員会の委員ということだけでなく、地元住民、私の住んでいる地域の問題として、三田市民を代表した立場で質問をさせていただきますので、ひとつ明快に御答弁を賜りたいと、冒頭このように私の立場を申し上げてお願いをいたします。 そこで、まず第一点は、先ほど申し上げましたように、八千五百八十万円の予算を使って土地取得を検討していると言われている件について、上半期も終わっていま下半期に入っているわけですが、その後この土地取得の問題に関する経過はどのようになっていますか、御説明をいただきたい。
○政府委員(多田欣二君) ただいま野田先生の御質問に対してお答えいたしましたように、現在具体的にどの場所に設置をするのが適当であるかどうかという候補地を物色中の段階でございまして、これは先日、八月でございますか、この委員会で御質問がございましたが、それ以後事務的な検討がなお続けられている、こういう状況でございます。
○本岡昭次君 くどいようですが、そうすると八千五百八十万円の予算は計上されてあるが、たとえば手付金とかいうふうな類のものも含めて一切この予算にはまだ土地購入のために手がつけられていないというふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(多田欣二君) 仰せのとおりでございまして、候補地が決まりました場合に、私どもは当然関係の地方自治体あるいは住民の方々等とお話し合いをいたしますし、また、土地の所有者等ともお話し合いをした上で土地の一部を購入するというような段取りになるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、候補地がまだ事務的に検討中で決まっていない時点でございますので、予算には一切手をつけておりません。
○本岡昭次君 しかし、地元の三田市では、防衛庁が最も最適と目される土地がすでに買い占められ、数多くの筆に分かれておったのが一筆にまとめられて所有されている。また、不動産会社を通して、防衛庁がここにナイキ基地を設置すれば道路がよくなる、あるいは上水道がつく、あるいはまた学校がよくなる、あるいはまたお寺まで改修してもらえると、さまざまなうわさが流れているわけで、防衛庁がまだどこにするかということを決めていないと、まだ全体的に物色中であると言うにもかかわらず、なぜこの三田でこのような具体的な周辺整備にかかわるようなうわさが流れるのか、また、不動産会社がそのようなことでもって地域住民の説得に当たろうとするのか、その点はどうお考えですか。
○政府委員(多田欣二君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは現在事務的に候補地を物色中の段階でございまして、まだどの場所ということを具体的に決めたわけではございません。したがいまして、私どもは地元とそういう取得に関する折衝とか、あるいは関係の地方自治体と御協力をいただくかどうかという点についてのお話し合い、そういうことは一切始めておりません。
○本岡昭次君 その点はわかりました。 そこで、三田市を含む京阪神の西側に防衛上のすき間ができているというんですが、私はまさにその京阪神の西側に住んでいます。その京阪神という概念ですが、私たち関西人が使う京阪神という概念と、防衛庁が使っておられる京阪神の概念が同じなのかどうかということをただしたいんですが、ここの京阪神というのは一体どこを指すんですか、京、阪、神という。
○政府委員(多田欣二君) ナイキの部隊でいわゆる京阪神地区を担当する部隊というのは、第四高射群という部隊がすでにできております。本部を岐阜に置きまして、岐阜、それから三重県の白山、滋賀県の饗庭野というところに発射台を置いておるわけでございますが、この部隊が防護をする対象地域というのは、まあ大体名古屋を中心とする——これは御承知のように、ナイキという部隊は主として要地防空でございます。いわゆる都市を守る、工場地帯を守る、あるいは人口密集地帯を守るということのために設置をする部隊でございますが、名古屋周辺、あるいは大阪、神戸、あるいは京都周辺、そういう守るべき対象があの地域にはたくさんあるわけでございまして、そういうものをこの現在あります三個隊がカバーをしておる。ところが、ナイキの射程と申しますのは大体まあ百キロちょっとぐらいでございますが、そういうことで先ほど申し上げました三つの陣地でカバーする地域を見ました場合に、どうもいわゆる京阪神地区——われわれも先生がおっしゃっているような京阪神地区と常識的には同じ京阪神地区と言っておるわけでございますけれども、主として兵庫県寄りですね、そういう方面寄りの方がやや穴があく、こういうふうに見ておるわけでございまして、それをカバーするためには、いわゆる京阪神地区の西側の方にもう一隊ナイキ部隊を設置すれば京阪神地区の防護はほぼ完全になるだろうと、こういう考えのもとに作業を進めておると、こういうことでございます。
○本岡昭次君 京阪神の、京というのは京都ですね。京都府ですか、京都市ですか。阪というのは、これは大阪の阪ですね。これは大阪府、大阪市……。神というのは、これは神戸ということですね。そういう京阪神という概念もあるんですね。 まず、一つずつ尋ねていきます。京阪神の京は、京都府ですか、京都市ですか。
○政府委員(多田欣二君) 先ほど来申し上げておりますように、ナイキが防護をする対象は主として、たとえば都市、人口密集地、あるいは工場が密集をしている地域、あるいは重要な軍事施設と申しますか、そういったようなものでございます。ですからまあ、京都市なのか京都府なのかと言われると大変困るわけでございますが、われわれは当然京都市——市街地だけではなくてその周辺も含めまして、あるいは京都府の中にも舞鶴というような私どもの重要な施設もございます。そういうものも含めまして防護対象にしているわけでございます。
○本岡昭次君 そうして一々聞いていきたいんですが、時間がありませんのでね。 それで、阪神と言う場合は通常私たちの住んでいる場合、大阪、神戸は外れるんですね、阪神間というのは。あの間にはさまって都市がありますね、芦屋、宝塚、川西、伊丹、西宮、尼崎、あそこを指して阪神間と。それで、大阪と神戸があるわけですよね。だからその、いま言っておられる京阪神の、京は別にして、阪神の西側に防衛上と。だから、そのときに神戸市もいまおっしゃるのに入るわけですね、神戸市。もう一遍言います。だから、京都、それから大阪はまあ大阪市を中心とする大阪、それからいま言いました、間にはさまってる六都市、それから神戸市、これだけの都市が全部含まると、こういうことですね。
○政府委員(多田欣二君) おっしゃるとおりでございます。さらに申し上げれば、たとえば和歌山寄りに工業地帯もたくさんございます。あるいは播磨に工業地帯もございます。そういうものも含めまして防護対象として考えております。
○本岡昭次君 だから、そういう全体の地域の中での三田という町だけが固有名詞として三月六日の衆議院の予算第一分科会で挙がったということなんですね。たくさんありますね、いまおっしゃる中で十幾つあるんじゃないかと考えるんですが、なぜそれじゃ、それだけたくさんあるのに、三田という固有名詞だけが挙がったんですか。
○政府委員(多田欣二君) これは、三月の予算の分科会で堀先生から御質問いただいたわけですが、私の方から三田ということを申し上げたわけではないわけでございます。私どもは終始一貫して、いわゆる京阪神地区、特に阪神地区の西側において物色中と申し上げたわけでございますが、それに対して堀先生が、三田は入っていないだろうなという御質問がございました。それに答えまして、いわゆる三田市は当然われわれが考えております阪神地区の西側の地域の最も神戸に近い場所でございますので、その地域はわれわれの検討対象の広い地域の中に入っておりますと、そこを抜いておるわけではございませんということを答弁申し上げたわけでございまして、こちらから三田という名前を挙げたわけではございません。
○本岡昭次君 そこで、防衛庁の方は、当然そういうことですから三田に対して具体的に折衝、交渉、話し合い、そうしたたぐいのものは一切していないという先ほど御答弁ありました。地元の三田市でも市会があるごとにこの問題が取り上げられています。ごく最近の市会の中でも取り上げられて、そこで市長がやっぱり答弁をしております。三月段階で市長の答弁はこう言っています。「ナイキの問題でございますが、私はこの新しい三田の町づくりにいわゆる学園構想、あるいはまたニュータウン構想等を含めてですね。そういった方向で町づくりを考えておるわけでございまして、その考え方の中には、ナイキの問題は入っていないし、また考えていないわけでございましてその点十分ご了承願いたい」と、こう言っています。それからまた、六月の市会では、「ナイキミサイル基地の問題につきましては、私のまちづくり構想の中には、このような計画は入っていないところであります。」このように明確に言っているのにもかかわらず、いろんなうわさが流れてきて、そして三田市周辺の中に大変な混乱がいまもたらされているということでございます。 そこで、三田市長が明確にこのように言っている、そういうことを踏まえて、防衛庁として、やはりこの種の問題についてまず第一に考えなければならないことは、こうした、たとえば三田なら三田という地元、そしていまおっしゃった京阪神全体の関係するそれぞれの自治体の意向というものをまず当然第一義的に尊重しなければならないと私は考えるんですが、その点についてはいかがでございますか。
○政府委員(多田欣二君) 私どもが新たな基地を設置するというような場合には、当然これは基地を設置します場合にはいろいろ工事等が伴うわけです。大きな土木工事をやりましたり、環境の変更もございますので、そういう場合にも当然関係の地方自治体の御協力を受けなければならないわけでございます。それから、基地がそこで安定的に使用できるということも、かかって地元の皆様の理解と御協力によるわけでございますので、私どもが基地を設置します場合には、当然候補地を決めました場合に、まず関係の地方自治体に対しまして、こういう理由でこういう施設をこの場所につくりたい、ぜひ理解と御協力をいただきたいということを申し入れると同時に、私どもがなぜそこを選んだか、なぜ必要かというような点につきましては、できるだけ詳細に御説明をするというのがしきたりでございます。今度考えておりますナイキの高射隊につきましても、当然そういう手順を踏みまして、関係の地元の皆様等の理解と御協力を得られるという見通しを得た上で設置をすると、そういうことにしたいと考えております。
○本岡昭次君 最後に、ひとつこれは大臣にお答えをいただきたいと思います。それで私の質問は終わりますが、先ほど私が議事録を朗読いたしましたように、三田の市長は、三万六千のいまの三田市、そしてそこに北摂ニュータウンという大きな構想があって、そこに人口十二万の町ができて、そしてそこに学園都市構想というのを持って進めているわけです。だから、その市長の新しい町づくりの中にそうしたナイキ基地というものを持っていくという構想は一切ありませんと、再々答弁をしております。この間もあって、やっぱりそんな答弁をしたようですが、こうした市長の気持ち、意向、政治姿勢あるいは町づくりの構想、こうした市長に対してナイキ基地を持ち込んで困らせ、八〇%近くの三田市民がアンケートによればナイキ基地は三田に持ってきてほしくないと言っているこうした市民感情を考え、防衛庁長官としてこうした市長を困らしてよいのかどうかと。私は、あの市長の一つの考え方でやっぱり自立してやらすべきだと、困らすべきでないと、こう思うんですが、防衛庁長官、この市長の気持ちに立ってのひとつ御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 防衛庁といたしましては、防衛計画の大綱ですきのない必要最小限の防衛力を整備するという使命を担っているわけでございますので、いまお話の出ております地域が手薄であることは承知しているわけでございます。ただ、具体的な候補地を決めるということに当たりましては、やはり地元の公共団体なり地域住民の大多数の方の納得ができないと敷地自体決めるわけにもいきませんし、また無理をした場合には後がよくないということも重々承知しておりますので、あくまで地元の方の御納得を得られるような方式で進めさしていただきたいと考えているわけでございます。
○本岡昭次君 納得じゃなくて、私は市長のこういう気持ちを尊重をするという気持ちに立ってもらえないかということを裏返して尋ねているんですよ。持ってくるなということですよ。
○国務大臣(大村襄治君) 市長がそういう考えを持っているというお話は、先生のお言葉によりまして承知したわけでございますので、そういったことも念頭に置いてなお対処してまいりたいと考えるわけでございます。
○政府委員(多田欣二君) 大臣のお答えにちょっと補足させていただきますが、基地を設置します場合に、当初からなかなか御理解をいただくというところは少のうございます。ただ、先ほど来私申し上げておりますように、基地を設置します場合には、当然地方自治体とも十分な話し合いをすると。話し合いの中で御理解をいただくという場合もたくさんございますので、手順だけは踏みたいというふうに考えております。
○野田哲君 いまの大臣の答弁と、後で大臣の答弁を参事官が補足するというのはおかしいんだ。筋の真っすぐなつながった補足ならばいいんだけれども、あなたの補足は違うんだ、これは。これもう一遍大臣答えてください。
○国務大臣(大村襄治君) 重ねてのお尋ねでございますから、私といたしましては、具体的な候補地の決定に当たりましては、当該公共団体の市長を初め議会の御意向その他を十分念頭に置いて対処する。しかし手順もございますから、正規の手順を通じて御相談するということはあり得ることというようにご了承願いたいとい思うわけでございます。
○野田哲君 いまのナイキの問題ですが、三田でなければ幸いですが、三田と目と鼻の先に御承知のように青野ケ原というところがあって、四、五年前にあそこへホークの基地をつくったわけです。そのときにも、私も現地へ行きましたが、ホークの基地をつくるときにも京阪神地区に少しすき間があるからこれをつくらしてくれと、こう言って、やったんですよ。また、目と鼻の先へすき間があるからすき間を埋めると、こう言っているんでね、初めの約束と大分筋書きが違うんですよ。ホークの青野ケ原のときにも同じ口上を述べているんです。 そこで伺いたいんですが、中期業務見積もりでは、ナイキの後継の機種を検討すると、こういうことになっている。そして、ナイキの後継機種についてはホークも含めて検討すると、こう言っているわけですね。だから、ナイキとホークと含めて検討するということであれば、具体的に言えばもう中期業務計画にはっきり書いてあるわけですよ、資料にパトリオットというのを書いてあるわけです。パトリオットというのは低空、高空両方合わせての性能を持っているということでしょう。そうすると、パトリオットならば、青野ケ原と三田と二カ所につくらなくても、いまある基地で可能なわけですよ、一カ所で。後継機種については大体パトリオットということで理解していいんですか。
○国務大臣(大村襄治君) 現在防衛庁は、現有の地対空誘導弾ナイキ及び基本ホークについて、性能、補給整備性等の面でこれを長期にわたって維持することは困難であるとの理由から、後継システムの整備について機種採用した場合の所属問題も含めて検討を行っている段階でございまして、具体的な決定は行われておりません。したがいまして、パトリオットに決めたわけではございません。
○野田哲君 決めたわけではないんでしょうが、大体念頭に置く機種とすればパトリオットということになるんですか。ここに書いてあるから私聞いているんですが、どうですか。
○政府委員(塩田章君) 候補の一つであることは言えると思います。
○野田哲君 候補の一つだということですが、パトリオットということになると、ホークの性能もナイキの性能も両方兼ね備えているわけですね。だから、パトリオットだということになれば、京阪神地区で言えば現に青野ケ原があるわけだから、そこのホークをパトリオットにかえれば全部カバーできると、こういうことになるんじゃないんですか、機能上は。どうですか。
○政府委員(塩田章君) まだパトリオットに決めたわけではございませんので、そこまでの検討はいたしておらないわけでございますので、何ともちょっといまの段階で申し上げかねるわけでございますが、もし、パトリオットに限らず、次の機種が決まれば、そのときの配置はそのとき考えなきゃいけないということは言えるかと思いますが、いずれにしても、いまちょっとまだお答えできる段階ではございません。
○野田哲君 新機種が、このホークの性能それからナイキの性能、両方合わせたもので、パトリオットは両方の性能を兼ね備えたというふうに説明を聞いているんですが、そういう性能を持ったものであれば、新たにナイキの機種をつくらなくてもカバーできて、あなた方の言うすき間というのはそれでなくなるわけでしょう。どうなんですか、それは。
○政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、ちょっと仮定の問題でございますけれども、パトリオットになれば、両方の性能を持っていることは事実でございます。
○野田哲君 ナイキとホークの両方の機種を新たに選定するということですが、その場合は所管はどっちになるんですか、陸自ですか、空自ですか。
○政府委員(塩田章君) そういうことも含めて検討中ということでございます。
○野田哲君 私もこのホーク、ナイキの問題からパトリオットの問題を調べておって、やっぱり制服にもかなり激しい縄張り争いがあるのだなということを知ったわけなんですが、結局これがなかなか決まらないというのは、航空自衛隊と陸上自衛隊の縄張りが決まらぬからなかなか決まらないということになるんじゃないですか、どうですか。
○政府委員(塩田章君) まだそこまでの段階でございませんで、次の機種そのものが、いま申し上げたように、まだパトリオットに決まったわけでもございませんし、検討中の段階でございまして、いまの段階で陸上か航空か——もちろんそれは当然一緒に検討すべき問題ではありますけれども、いまの段階で陸上であるとか、航空であるとかということでいろいろ先生の御指摘のような縄張り争いとか、そういうことではございませんで、やはりまずいかなる性能に着目し、いかなる機種を求めるかということが先決であろうかと思います。
○野田哲君 われわれがこういうふうに国会の場で質問をすると、もう新聞にも出ているし、ここにはっきりもうパトリオットの性能諸元も書いてあるわけですよね。それでもなかなか言わない。それから、実質的にはこういう形で進行しているのだろうと思うんですが、防衛庁長官、この問題は機種の選定、民間の検討委員会をつくられますか、どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) このナイキ、ホークの後継システムにつきましては、防衛庁におきましては慎重に検討中でございまして、本年度中に調査団も派遣して検討したいと考えておるわけでございます。いまのところは民間人を含めてのあれは考えておりません。
○野田哲君 もう一遍聞きますが、短SAMは民間人六人に委嘱をしている。そうしてナイキ、ホークの後継機種はそういうものは必要ない。片一方は必要ある、片一方は必要ない、これはどういう理由なんですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 短SAMにつきましては、本日の委員会で冒頭先生からお尋ねございましたので、るる御説明しましたような経緯でいわば例外的に検討の機関を設けたわけでございます。 後継システムにつきましては、これから検討を進めるわけでございますので、私の責任においてまずひとつ部内からしっかり検討を始めたいと考えておるわけでございます。
○野田哲君 このナイキ、ホークの後継を入れる年次は、大体いつごろを想定されているんですか。
○政府委員(塩田章君) まだその具体的な年次の計画まで立っておりません。
○野田哲君 いや、具体的に立っていないと言っても中業の中の計画なんでしょう。そうしたらあとはもう五十八年までか、九年までか、二、三年しかないんですよ。
○政府委員(塩田章君) いまの問題につきましては、中業ではナイキ、ホークの後継につきまして整備方針を決めるという内容でございまして、中業で具体的に装備するというようなところまでは考えておらないわけであります。
○野田哲君 有事立法に対する考え方について伺いたいと思うんです。 去る十一月十四日に安全保障特別委員会を開いたときに、前陸幕長の永野さんが参考人としてお見えになりまして、私の質問に答えて、有事立法について部内で具体的な検討をしていると、こういうことで、どんな検討をやっていらっしゃいますかということで伺ったわけですが、そのとき参考人ですから私は根掘り葉掘りは聞かなかったわけですが、陣地構築用の土地の強制収用の手段とか、あるいは現在の自衛隊法に定めてあって政令がないために実行できない問題についての医師や輸送機関の使用方法とか、あるいは電波の管理運用、あるいは部隊の移動とか、物資や火薬を移動させる場合の手続の特例とか、こういうような点を検討している課題として述べられたわけですけれども、現在有事立法の検討というのはどの範囲を対象にして、どの程度進められているわけですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 有事法制研究の研究対象としては、防衛庁の所管法令に属する事項、他省庁等の所管法令に属する事項、所管が必ずしも確定していない事項などが考えられますが、これらのうち、まず防衛庁の所管する法令に属する事項について現在検討を進めているところでございます。
○野田哲君 どういう問題を検討をされているのか、それを聞いているんです。
○国務大臣(大村襄治君) 詳しい点は官房長から説明します。
○政府委員(夏目晴雄君) ただいま大臣から御説明があったとおり、私どもとしてはまず自衛隊の防衛庁所管にかかわる法令から手をつけようということで始めておりますが、この具体的な法律の内容は、たとえて言えば自衛隊法でありあるいは防衛庁職員給与法というものがその内容に含まれると思います。 そこで、何をしているかということでございますが、自衛隊法の百三条に、たとえば土地の使用、物資の収用、あるいは従事命令、あるいは施設の管理等現在いろいろ細かな規定がございますけれども、そういった規定のいわゆる下部規定といいますか、政令がまだ定まっておりません。たとえば都道府県知事への要請の手続、公用令書の発付の手続というようなことにつきましては政令で定めることになっておりますが、何ら定められておらないという状況でございますので、こういった政令に何を盛り込むかというようなことが第一に挙げられようかと思います。 それから第二点としては、たとえば予備自衛官の招集というようなものが、現在は第七十六条の防衛出動の下令がないと招集できないわけですが、こういったものが待機命令の時点で一体招集できないだろうかというようなことを含めまして、自衛隊法にかかわるもろもろの問題について検討を進めているという状況でございます。
○野田哲君 そうすると、先ほど前の陸幕長の永野さんが幾つか項目を挙げられたこれらの点は、他省庁に属する事項だから防衛庁で独自にはやれないと、こういうことでいま官房長の説明がなかったと、こういうことなんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 一般的には、検討の範囲といたしましては防衛庁所管にかかわる法令、それからいま第二点として他省庁の所管に属する法令、たとえば航空法であるとか船舶安全法であるとかいろんな法律、電波法その他いろいろな法律がありますが、私どもとしては、まず自分たちの防衛庁所管にかかわる法令から手をつけていこうという段階でございまして、まだ他省庁所管の法令について具体的にどうであるというふうな検討をする段階に至ってないということでございます。
○野田哲君 他省庁にかかわる問題については、しかし項目ぐらいは防衛庁が挙げなければ、これは他省庁が勝手にやってくれるわけじゃないんだろうと思うんです。その項目としては大体どんなことが挙がっているんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 具体的な中身についてまだ検討を進めている段階ではございませんが、一般的にどういう法令があるかといいますと、たとえば現在でも自衛隊法によりまして各省庁の所管にかかわる法令のうち、いわゆる適用除外であるとか特例を設けられているものがございますが、そういうものを例示して挙げますと、火薬類取締法であるとか航空法あるいは船舶安全法、道路運送法、消防法というようなものが挙げられようかというふうに思います。
○野田哲君 所管の決まらない問題というのはどういう問題があるんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) たとえば、有事の際に国民の避難誘導にかかわる問題あるいは捕虜の問題というようなものにつきましては、いずれの省庁が所管すべきかということば必ずしも定かでございません。そういったものを一般的に挙げろと、例示せよと言われれば挙げられると思いますが、まだ私どもそういった具体的内容に手をつけているようなものではございません。
○野田哲君 非常に漠としているんですが、漠として進んでいない方が私どもは結構だと思うんだが、防衛庁長官、国会に対して中間報告をするという約束がなされているんですが、これはいつごろ中間報告をなさるおつもりなんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 本件につきましては、かねがねある程度まとまったところで中間報告をしたいというふうなことを申し上げておりますけれども、いま申し上げたような、御指摘のとおり全くまだ漠とした状況でございまして、いまいつごろなら御報告できるかということを明確にお答えし得る段階になっておりませんので、御了承をいただきたいと思います。
○野田哲君 他省庁にかかわることで、たとえば治安の問題とかあるいは機密保護法の問題とかそれから大衆運動の規制とか報道の規制とか、そういうものはいま説明の中ではないんですが、対象になってないと、対象外と、こういうふうに理解をしておけばいいんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 現在、いま御指摘のあったようなものは対象の範囲に入っておりません。
○野田哲君 防衛施設庁に別の問題で伺いたいと思うんですが、防衛施設庁では、九月ごろだと思うんですが、建設部長を団長にして韓国へ防衛施設関係の調査に行かれたというふうに聞いているんですが、防衛施設庁で韓国へ調査に行くというのはどういう問題、課題があるんですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 本年九月の八日から十一日までの間、建設部長ほか四名の者が韓国に出張いたしまして、この目的は、韓国にあります軍事施設それから在韓米軍の軍事施設の視察ということでございます。
○野田哲君 その韓国の軍事施設というのは、情報によりますと、戦車の阻止ラインとかあるいは防空壕とかシェルターとかトーチカとか、そういうものが対象だったんだと、こういう情報がありますが、大体そんなことですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 今回出張いたしましたのは、主として技官と申しますか、技術屋さんでございまして、私どもの防衛施設庁では建設業務というのをやっております。したがいまして、いろいろ技術関係につきまして、必要があればいろんな知識を吸収するということは業務遂行のために大変必要なことでございます。 そういった意味合いから、今回視察をいたしましたのは、主として技術的な観点から視察をいたしたものでございます。いま御指摘のものは主たる目的ではございませんで、強いて主たる目的と言えばシェルターの問題をちょっと視察をしてみたいということで行ったものでございまして、いま先生挙げられましたものは、私の報告を受けました限りでは、たまたま向こうの方で見せてくれるということなので、後学のために見てきたというような状況でございます。
○野田哲君 先日、安全保障特別委員会で、これも私が聞いて答えられたんですが、前の陸幕長の永野さんですが、有事に当たって高速道路を戦闘機の離着陸に使うことを検討しているということをおっしゃったわけです。これは具体的にはどういうふうに検討されているんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 永野さんの発言の趣旨、私詳細に存じておりませんが、一般的に高速道路が滑走路として使用できるかどうか。韓国の例、あるいは西ドイツの例等から見まして、私どもとして白紙的、純粋に軍事的に見た場合に、道路の整備に当たってそういうことができることは望ましいとは言えるかもしれませんが、現在の高速道路がそういうふうに使えるものかどうか。私ども一切そういう検討をしたことがございませんので、具体的なお答えをいたしかねるというのが実情でございます。
○野田哲君 防衛施設庁で、韓国へ技術陣が団長以下総勢五名で行かれた。この視察調査の中で中心はシェルターであったと言われたんですが、このときにも韓国において、戦闘機が離着陸をする高速道路の構造についても調査の対象にされたと、こういう情報があるんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 調査の対象ということは全く事実に反するわけでございまして、先ほど申しましたように、五十五年度予算で航空自衛隊にシェルターの予算が計上されております。いずれこの工事の執行は私どもの方の所管になるわけでございますから、そういう意味合いからもシェルターについての勉強をしに行ったというのが事実でございまして、先生挙げられましたようなものは、私どもの目的にはまったく入っておらなかったわけでございます。たまたま見せてくれるということで見学をしてきたという程度でございます。
○野田哲君 たまたま見たと。たまたま見たら、どういう条件のもとで使っているんですか、構造等。たとえば直線距離が幾らとか、あるいは外側のフェンスの構造とか、いろいろあったんじゃないかと思うんですが、どういう条件が必要なんですか。それはわかっておりますか。
○政府委員(渡邊伊助君) どうも主たる目的は、先ほど申しましたように、シェルターでございますので、いま挙げられましたようなものは通りすがりに見た程度でございまして、深くは見ておりませんし、また見せられないところもあったようでございますので、まあその程度の視察であったというふうに報告を受けております。
○野田哲君 その問題はそれで結構ですから。 昭和五十六年度の業務計画の作成に関する長官指示、この中で中央指揮所のシステムのことが提起をされているわけです。この中央指揮所の設置については、当然自衛隊法の改正ということになるんだと思うんですが、これはいつごろ国会の方へは提案をされることになるんですか。
○政府委員(塩田章君) 中央指揮所は、いまの私どもの構想では、五十六年度、五十七年度を建設に使いまして、早ければ五十七年度末、遅くも五十八年度半ばから運用を開始したいという考え方でいま予算をお願いしておりますが、これは施設をつくることでございまして、おっしゃいますような自衛隊法の改正は要らないのではないかというふうに考えております。まあ強いて言えば、これができますことによる要員の増加はございますので、その意味の法律改正はございますけれども、中央指揮所ということについての自衛隊法改正は要らないのではないかというふうに考えております。
○野田哲君 この施設の建設ということですけれども、ホットラインというのはどことどこへ設けることになるんですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的にホットラインとおっしゃいますのがどういうことを想定してお尋ねかわかりませんが、一つは——一つはといいますか、この中央指揮所の中に防衛庁長官の執務する場所が当然できるわけですが、そこと官邸とは当然考えなければいけませんが、それ以外には結局主要各部隊、陸海空通じまして通信がそこに集まるように、そういうふうに考えておるわけであります。
○野田哲君 長官室から官邸とそれから陸海空の各自衛隊の部隊、これにつくということですが、米軍との間にも設ける計画になっているんじゃないですか。
○政府委員(塩田章君) いま一つ落としましたが、官邸へのみならず、関係の中央各省庁には考えなきゃいけないだろうと思っております。それから、米軍との関係につきましてはどういうふうにやるのか、やるといいますのは連絡をですね、どういうふうにするのかいま考えておりまして、まだこのいまの計画の中で具体的に決めておりません。
○野田哲君 横田とハワイにホットラインをつけると、こういうことじゃないんですか。
○政府委員(塩田章君) 何らかの形で米軍との間の連絡調整ができるような設備は要るだろうと思っておりますが、具体的にどこでどういうかっこうでというふうにはまだ考えておりません。
○野田哲君 その中央指揮所の果たす機能というのは、大体どういう機能を果たそうと考えているんですか。
○政府委員(塩田章君) 現在、たとえば海上自衛隊で言いますと、横須賀に自衛艦隊司令部がございまして全艦艇、全航空機の運航状況が一元的に把握できるようになっておりますし、航空自衛隊につきましても府中にそういう施設がございますが、現在長官が一つの部屋で全部の陸海空部隊の動きが見れるというようなものがないわけです。そういう意味で端的に申しますと、そういう現在の自衛艦隊なり航空総隊にあるようなものが防衛庁の六本木の中にできまして、そこで長官がその長官の執務室におられることによってすべての陸海空の動きがわかるように、そういう設備を持ったものにしたいというふうに考えておるわけであります。
○野田哲君 一番懸念されるのは、防衛局長は言葉を濁して明確に言わないんですが、何らかの連絡がつくようにしたいと考えているという、ハワイなり横田とですね。結局この中央指揮所という形ができた、そして陸海空統合的に指揮をする、この機能と、私どもが懸念をするのは、いま研究が進められているガイドラインに基づく共同作戦行動、つまりハワイや横田からストレートに指示、指令等が行く、そういう形の中でシビリアンコントロールというものが形骸化されてしまう、後回しにされてしまう、こういう形態になるんじゃないかというのを一番懸念をしているわけなんです。 特に、私は長官にこれは答えてもらいたいと思うんですけれども、この二、三年来たとえば栗栖発言以降、有事立法への検討が指示されたとかあるいはもろもろのことしの夏の戦闘機へのミサイルの搭載とか艦艇への魚雷の搭載とか、非常に重要なことがすべて制服が先に発言をして防衛庁長官はすべてこれを後から追認をする、こういう繰り返しが続いていく中で、いままでやってはいけなかったことの枠がだんだん可能に広げられていると、こういう形の中でのシビリアンコントロールの形骸化、これが中央指揮所という形のものが出てきたときにはさらに一層進むのじゃないか、こういう懸念を持つものなんです。防衛庁長官は、シビリアンコントロールというのは一体どういう機能を果たせばそれが果たされているとお考えになっているわけでしょうか。
○国務大臣(大村襄治君) シビリアンコントロールについてお尋ねでございますので、私の考え方を申し上げてみたいと思います。 シビリアンコントロールというのは、一言で申し上げますれば政治の軍事に対する優先でございまして、政治が軍事について責任を負うということに尽きると思うのでございます。これを行政面で申し上げますれば、内閣総理大臣が最高指揮官であり、それを補佐する取りまとめ役が防衛庁長官ではないかと思うわけでございます。この機能はあくまで確保してまいらなければいけない。国会との関係におきましては、国会が最高機関としてまた行政府に対してその役割りを果たされると、その国会の機能に対しましても、行政府としましてはできる限りの御協力をしなければならないと、さように考えている次第でございます。 そういった観点からいたしまして、現在の防衛庁なり自衛隊の体制につきまして、有事即応態勢がおくれていると申しますか、すき間があると申しますか、そういった点がかねてから指摘されておりましたので、その諸般の準備を進めながら、必要なものからこれを実行に移すということで、先ほど御指摘の航空機へのミサイルの搭載あるいは艦艇等への実装魚雷の搭載等を決定したのでございますが、これは防衛庁長官の責任において実施したものでございまして、決して制服が先行したというものではございません。相当長い間準備を整えて、また各国の事情等も調査いたしまして、同様の場合には搭載しているのがむしろ普通の姿であるということも突き詰めた上で私が判断したことでございます。そこで、中央指揮所の建設なり運営に当たりましても、先生御指摘の点は十分念頭に置いて対処してまいりたいと思うわけでございます。むしろ総理大臣なり防衛庁長官に託せられている責任を全うするために、どちらかと言いますと、ばらばらと言っては語弊がございますが、十分連絡をとるのに時間がかかるとか、そういった点をなくして、むしろ私どもの責任が全うできるように運営してまいりたい、さように考えておる次第でございます。
○野田哲君 シビリアンコントロールというのは、防衛庁長官が決裁したとかあるいは総理大臣が決裁したことがシビリアンコントロールが全うされているということではないと思うんですね。政治がやはり機能している、こういうことでなければならないと思うし、やはり国会でコントロールしていく、こういう機能が果たされていかなければならないと思うんです。そういう点からすると、いまの防衛庁の機密主義、たとえばきょうも私が言います中期業務見積もりについても、能力見積もりについては全然出されない、あるいは中期業務見積もりの背景になっている計画についても全く出されない、こういうことで政治がコントロールの機能を発揮できるはずはないんです。こういう点について長官どう考えられますか。
○国務大臣(大村襄治君) 政治があくまで責任を担っていかなければいかぬ、これは御指摘のとおりでございます。ただ国会と行政府の関係におきましては、また最高機関であるとともに立法府であります国会とまた行政府との関係で、おのずから分担もあるわけでございます。できる限りの資料を提出するというのは行政府に課せられている任務であると思うのでございます。 そこで、御指摘のありました業務見積もりのうち、事業見積もりあるいは能力見積もり、こういった点につきましては、まあ言うなれば手のうちでございまして、どこの国もこれは公表しておらないというのが常識でございますので、そういった部分につきましては、やはり国会に対しましても提出は御勘弁させていただくのが筋ではないかと私ども考えているわけでございますが、しかしこれもあくまで実質的な問題でございまして、それに触れない限りにおきましては、できるかぎりの資料を提出して御判断を仰ぐというのが考え方でございます。
○野田哲君 兵器の性能とかあるいは防衛の行動について、私どももこれは機密でなければならない分野があるぐらいのことは常識として知っているんですよ。しかし、いまのあなた方のやり方というのは、あなた方の方が勝手にマル秘という判をつけば全部これ出しちゃいけないと、こういうことになっているわけですよ。出すべきものと出しちゃいけないものの区別ぐらいはきちっとやってもらわなければ、あなた方の方の一方的な判断でどんどんどんどんマル秘をついていく、こういうことでは国会審議が十分な機能を果たすことはできない。この点を私は指摘をしておきたいと思うんです。 そこで、いま触れられた有事即応態勢について伺いたいと思うんですが、八月から、航空自衛隊が迎撃戦闘機にミサイルの装備をする、それから海上自衛隊の艦艇あるいは対潜哨戒機が魚雷の装備をする、こういうことになったようですが、いろいろ準備を進めてきた結果がこうなったんだと、こういうことですが、そういう形になったということは、つまり奇襲の可能性が具体的に起こったと、こういうことなんですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的に奇襲の可能性が起こったとかなんとか、そういう判断をしたわけではなくて、さきに大臣も答えられましたように、有事即応の態勢を整備したいという観点で実施したものでございます。
○野田哲君 この有事即応の態勢を整備しなければならないという観点からこうやったと、こういうことですが、自衛隊が発足して二十数年経過するわけですが、その間に、ミサイルを装備していなければ、あるいは艦艇や対潜哨戒機が魚雷を装備しておかなければ任務が果たせなくてしくじったと、あるいは非常に危険な目に遭ったと、こういう場面があったんですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的にそういう場面があって今回の判断をしたというわけではございません。
○野田哲君 では、具体的にはどういう判断をしたんですか。八月からそういう態勢になったということはどういう判断なんですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、何か具体的にそういう困った事例があったということで検討して始めたということではなくて、一般的に自衛隊の現在の体制の中で有事即応態勢というものを考えました場合に、いま申し上げたようなミサイルの搭載でありますとか、魚雷の搭載でありますとか、そういうことを含めましていろんな有事態勢というものを考え、できるものから逐次実行しておるわけでございますが、そのうちの一環としましてこういうことも実行いたしましたと、こういうわけでございます。
○野田哲君 このミサイルなり魚雷の装備ですが、戦闘機についてはF4EJ百二十機、F104百五十八機、それからF86五十五機、F1三十九機と、こうありますね。それから艦艇については護衛艦が四十八隻、潜水艦が十四隻、機雷艦艇四十隻、哨戒艦艇二十五隻、輸送艦が六隻、特務艦艇二十四隻。それから対潜哨戒機についてはP2Vが五、P2J八十、PS1が十九、S2F1二十二、HSS六十三、これだけありますね。この中のどれに何機ミサイル、魚雷を装着しているんですか。
○政府委員(塩田章君) まず要撃機のミサイル搭載でございますが、現在七つの基地につきまして四機、つまりアラートハンガーで待機しております飛行機四機につきまして、ミサイルを搭載をいたしております。それから、海上自衛隊の方でございますが、まず海上自衛隊の航空機には魚雷は搭載いたしません。搭載をしないで、搭載し得る魚雷を一部基地に用意をしておくということでございまして、平素海上自衛隊の飛行機が搭載をするということは考えておりません。それから艦艇につきましては、いま何隻かいろいろお挙げになりましたが、この八月から搭載を始めたばかりでございまして、まだ多くの段階まで至っておりません。ちょっと私その具体的な数字をいま承知いたしておりませんが、いずれにしましても、各艦艇の搭載すべき魚雷の定数というのがございますのですが、それの二分の一程度まで将来積むようにしたいと考えております。
○野田哲君 このミサイルの四機というのは、どこの基地にいる戦闘機ですか。
○政府委員(塩田章君) スクランブルを実施いたしております。七つの基地でございます。千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原、那覇でございます。 いま七つ挙げましたが、新田原につきましては現在は工事中でございますので、現在は待機いたしておりません。
○野田哲君 そうすると、これは四機というのは一基地で四機、こういうことですね。だから二十八機、新田原を除いて二十四機と、こういうことですか。
○政府委員(塩田章君) そういうことでございます。
○野田哲君 この引き金を引くのは、どういう状態のときに、どういう指揮命令系統によって引き金を引くんですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように有事即応態勢として搭載をしておりまして、いわゆる八十四条の対領空侵犯に上がったときにこれを使うという前提で搭載したというよりも、航空自衛隊の有事即応態勢の整備という観点から搭載をしておるわけでございますが、搭載をして上がりまして要撃に、対領空侵犯措置で上がりまして、もし相手方から発砲されるというようなことがございましたときのお尋ねかと思いますが、相手方から発砲されましてわが方の任務が遂行ができないという場合に、一般的には航空方面隊司令官あるいは航空総隊司令官、そういった指揮を受けて必要な場合に発砲するということになりますが、同時に、そういういとまもないという場合には、パイロットの判断で発砲することもあり得るということでございます。しかし、これは先ほども申し上げましたように、現在までの機関砲を積んでいる場合の武器使用のときと同じことでございまして、ミサイルを積んだからどうというわけではなくて、一般の対領空侵犯措置の規定によるものでございます。
○野田哲君 一般の方と同じと言っても、威力が違いますよね。結局八十四条ですか、引き金を引く場合の行動というのは。
○政府委員(塩田章君) 私の先ほどから申し上げております有事即応態勢というのは、七十六条の事態のことを考えて言っておるわけでございまして、八十四条の方は有事でなくて、いまの対領空侵犯措置をした場合のことでございまして、一般的に有事即応というのはあくまでも七十六条の防衛出動の場合のことを考えた措置であるというふうに御理解いただきたいと思います。
○野田哲君 そうすると、これは下令の先取りということになるわけですね。二年前に、あなたの先輩の伊藤防衛局長がこの委員会で、奇襲の問題とかあるいは有事即応態勢とかいうような問題の、ちょうど栗栖さんの発言があった直後だったと思いますが、いろいろここで議論をやっているんですね。そのときに、こういうふうに言っておられるわけです。警察行動というのはあくまで平時の行動である。自衛力を行使するという部隊の行動というものは一つまり七十六条ですね、やはり慎重にしなければならない面があると、こういうふうに非常に慎重なお答えをされているんですが、同じポストにあって、二年たてばなぜこうも変わるんですか。
○政府委員(塩田章君) いまの伊藤局長の答えと全然私変わっておりません、同じ考え方であります。
○野田哲君 変わってないことはない。変わっているんじゃないですか。第一に、ミサイルを積んだ、魚雷を積んだ。そして、間に合わないときにはパイロットの独自の判断で引き金を引くこともあり得るんだと、こういうことであれば、これはもう大変な変わりようじゃないですか。変わってないですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほどもお答えいたしましたように、八十四条の規定によって対領空侵犯措置機がやむを得ず武器を使う場合の規定あるいはその考え方、解釈、すべて全く同じでございまして、伊藤局長が答えましたように、私どもも非常に厳格に考えております。ただ、変わった点は、いままでは機関砲であったものが、ミサイルも積むようになったということは変わっておりますけれども、いまの厳格な警察の、自衛の原則でありますとか、そういうような解釈の考え方というものは全然変わっておらないつもりでございます。
○野田哲君 機関砲がミサイルになったということは、これは大変な変わりようですよね。同じ引き金を引く形態は変わってなくても、機関砲かミサイルかということじゃもう大変な変わりようですよ。 そこで大村長官、あなたは就任間もなくこれを決裁をされた。後で鈴木総理からかなり苦情があったらしいが、あなたは一体こういうことがどういう理由で必要だと判断をして決裁をされたんですか。その判断の根拠を私は聞きたいですよ。
○国務大臣(大村襄治君) お尋ねでございますので経緯を申し上げますと、海上の護衛艦等の魚雷搭載の件は、前長官の時代に春ごろ決定しておりまして、その実施が八月になったということでございます。それから、航空機のミサイル搭載の点は、八月の上旬、私が決裁したものでございます。 理由は、有事即応態勢の強化ということでございまして、魚雷なりあるいはミサイルの装備について保管所とか調整所とか、そういったものの整備に何年かかかりまして、ようやくその点が保管上も間違いないという情勢に達したので、航空機につきましてもミサイルを搭載することが適当である、また各国の情勢を見ましても、同様の場合にミサイルを搭載している方が通常の姿になってきたと、こういった点を総合判断して私は決定したわけでございます。
○野田哲君 結局それが、長官、ユニホームの考え方を追認したということなんですよ。 この武器の使用について部内でそれぞれ規定があると思うのですが、それはどういうふうになっておりますか。
○政府委員(塩田章君) 先ほどから申し上げております八十四条に基づく対領空侵犯措置の行動要領につきまして内訓がございます。それによりまして、先ほど申し上げましたようなやむを得ず使う場合の指導をしておるわけでございますが、この具体的な内訓そのものの中身につきましては従来から公表を差し控えさしていただいておりますが、要点は、いま申し上げたように、その内訓によりましてやむを得ない場合の武器使用についての指導をしておると、こういうことでございます。
○野田哲君 長官、あなたが決裁をしたことなんですが、私がどうしても制服先行であなたが後から追っかけて追認したという気持ちを持たざるを得ないというのは、いまの御説明にもあったように、結局武器を使用する内訓というのは説明してもらえないんですよ、われわれには。 あなたは蘆溝橋事件というのを御承知だろうと思うのです。やはり北京の郊外で、当時現地に駐留していた日本の陸軍の心ない一発の銃声があれからの大きな戦争の引き金になったという。これから、二十数機のスクランブルに飛び立つ戦闘機の若いパイロットが、絶対に引き金の引き方について国際的な紛争に巻き込まれるようなことがないような冷静沈着な注意でもってやるという保証はないわけですよ、これは。そういう武器の使用の非常に慎重さを求められている、その部内の内訓さえ私どもには示されないという状態の中でミサイルが装着をされる、こういうことになっているわけですよ。これを私どもが政治の場で見過して黙っているということは、これはシビリアンコントロールが機能していないということになるんじゃないでしょうか、いかがですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 私も決定を下すに当たりまして、いま御指摘の武器使用の規定につきましても詳細な検討をいたしたわけでございます。どちらかというと厳し過ぎるぐらいな規定になっておるわけでございまして、これを絶対に励行する、守るという前提で決断を下したわけでございます。また保管につきましても、従来以上厳重な配意をこらすということを関係方面に同時に指示いたしまして、本件によりまして不測な事態が発生しないように十分配意して実行に移したというふうに考えています。
○野田哲君 結局、いままで大村防衛庁長官それから防衛庁の各幹部の政府委員の皆さん方と私は四時間ここでいろんな問題点についてやりとりをしたわけですが、長官もお聞きのように、あなた自身の答弁も含めて、私どもが伺わなければならない点、核心に触れる部分については、四時間のやりとりの中でほとんど答えられていないんです。機密扱いになっているわけであります。 こういう状態の中で、いたずらにソ連の極東における脅威、これを強調している。そういう状態の中でミサイルの配備あるいは魚雷の装着、こういう状態が進められ、そしてこの中期業務計画によってさらにそれが拡大をされていこう、こういう状況にある。今度の防衛関係の法案についても、その一環をなすものであります。このような国会審議の場で肝心な部分が何一つ具体的に答えられない、こういう審議の状況の中で、私どもはいま提案をされている法案をそのまま認めることはできない、こういう感をますます深くしたわけであります。私どもとしては強くその点を指摘をし、反対の意見を述べて、私の質問を終わりたいと思います。
○堀江正夫君 私は最初に、野田議員も取り上げられましたが、短SAMの検討会、この問題につきましてお尋ねしようと思います。 野田議員は、私聞いていまして、大変穏やかにこの問題を質問されたと思います。国民の理解を深めるためと、こういう名目でこの検討会をつくられた。本来、装備品の決定は防衛庁が責任を持ってやるべきことである。この基本的なルールを崩される、大変な問題だと、実はそう思っておるわけであります。と申しますのは、けさの一部の新聞にも出ておりましたけれども、防衛庁自身が性能等の正当性を判断し切れなくなったことを示すことになるじゃないか、このことは防衛庁に対する国民の信頼感を失わせることにもなるじゃないか、こういうことであります。本当にそうだと思いますよ、私は。特に検討会のメンバー、先ほどもお話ありましたが、それぞれの権威かもしれませんけれども、基礎的な軍事知識を持っておられない。何でそれで検討することになるんでしょうか。しかも秘密の事項は示さない、いま公表されている程度。こういう検討会の意味が本当に私はわかりませんですね、あるいは防衛庁にもわかっておられないんじゃないかと思いますけれども。 もう一つ私は、この検討会につきまして、もちろん装備品のいろんな購入問題について疑惑がある。従来からもやられていますが、それに対して政治がいろいろとこの問題を取り上げられた。しかし、こういった装備品の決定、技術的な問題に私はそういう知識のない政治家がくちばしを入れるというのは、やはり本質的に間違いだと思いますね、これは。おのずから限度があってしかるべし、節度があってしかるべしと。こういうようなことをやったならば、はっきり言いますと、国民の政治に対する不信感さえも生ずるおそれがあると、私はそう思いますね。それで、どうしても検討会をやらなきゃならぬときに、国防会議でやるというような発想はなかったんだろうか。まあ、国防会議でやるほどの大きい問題じゃないということかどうか知りません。しかし、少なくも国防会議であるならば、秘密の事項その他も全部展開をして、そして守秘義務を持った人たちが検討できるわけです。ところが今度、素人の人たちはそうじゃないですよ。もうできたものをこれ以上言いませんけれども、私はまさかこれが前例になるとは思いません。政治家の良識がこれをやったんだから、今後もこういうことをいろんな問題提起するなんということをやるとは思えません。けれども、防衛庁がやはりこんなことはもう二度と繰り返さないんだという固い決心で、しかも総理なんかとよく調整をしていただく必要があると。どうも総理との、こんなこと言ったら悪いですけれども、調整が十分じゃなかったんじゃないかというような気さえも私はするんです。与党の発言としてははなはだ穏当を欠くかもしれませんけれども、私は本当のことを言っているつもりなんです。真から私は国のことを憂えて言っている。防衛庁のことを憂えて言っている。ひとつ長官、いかがでございますか。
○国務大臣(大村襄治君) 堀江先生からミサイル検討会のことにつきましてるる御意見をお示しいただきまして、ありがたく拝聴いたした次第でございます。先ほども申し上げましたとおり、機種の選定は防衛庁の責任で決定すべき事項でございまして、私といたしましては、ほかの方にその責任をゆだねるとか転嫁するとかいうことは毛頭持っておらないわけでございます。ただ今回の場合、概算要求の際に決定はいたしましたが、国会等でいろいろ御論議が出ておりますので、そういった論点についてさらに念には念を入れて進めるという、いわば例外的必要に基づきまして今回の部外識者に御意見を聞く機会を持つということに相なった次第でございます。しかし、本筋は絶対に踏み外すことのないようにいたしたいと考えております。また、今後もこれを先例にいたしたくないと考えている次第でございます。 また、総理との連絡方法につきましても、本問題を含めまして重要問題は十分御連絡をした上で進めているわけでございますが、重ねて御注意もございました。今後は一層緊密な連絡を図っていきたいと、さように考えている次第でございます。
○堀江正夫君 いまの長官のお話を私自身は了といたしますけれども、ひとつ、この短SAMの決定はあくまでも防衛庁が決定するんですよ。その趣旨はもう断じて譲ってもらっては困る、私はそう思いますね、その姿勢は。今後もそういうことがない、しないようにするとおっしゃいましたけれども、これはやっぱり努力をしてやっていただかなきゃいけないんでして、ひとつ——これ以上は言いません、いろんな関係もありますから、次の問題を質問いたします。 十三日に安保委員会で、総理においでいただきましていろいろ質問いたしました。あの後、大変失礼なことを聞きますが、長官は総理とあのときに問題になった事項についてお話しになっておられるでしょうか。
○国務大臣(大村襄治君) そのことについては特にお話をしておりません。
○堀江正夫君 もう一つ大変失礼なことを伺います。 特に御入院になっておられました。退院されてから防衛の基本的な問題について総理と何時間ぐらい話しておられますか。 大変失礼な質問かもしれません。と申しますのは、私はどうもやっぱり若干認識の差があるような気がしてならないんです。これは。総理も忙しいですから、なかなかそういう時間とれないのかもしれません。何といっても政治の最高責任者でございますし、自衛隊の最高指揮官ですから、私は防衛庁の考え方と総理の考え方との間にいろいろな点で少しでもそご、疎隔があったんでは、これは国民の不幸だと思うわけなんですね、大げさでも何でもなく。そのために私は本当に御努力いただいていると思います。御努力いただいていると思いますけれども、いまの情勢をずっとながめてみますと、それが一番一つ大きいキーポイントになっているんじゃないかと、このように思うわけでして、あえて申し上げたわけです。 〔委員長退席、理事藏内修治君着席〕
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 御指摘を待つまでもなく、総理大臣は防衛の問題に対する最高責任者でございます。実情を知っていただき、また重要問題についてしっかりした方針を打ち立てていただかなければならない最も大切な方でございますので、私といたしましても、閣議のほか、重要問題につきまして数回にわたり御相談を申し上げているわけでございます。延べ何時間になりますか、ちょっと計算したことはございませんが、そのようにいたしているわけでございますし、さらにその他の方法を通じまして総理のところにいろいろ重要資料をお届けするとか、努力しているところでございます。ただ、いま御指摘ございましたが、一層この問題につきまして注意を払って努力してまいりたいと、さように考えている次第でございます。
○堀江正夫君 この問題は、与党であります私どもの責任かなあということを私ども自身が痛感をしております。私どもも努力しなきゃなりません。その点もちろん御努力いただいておると思いますけれども、ひとつこの上とも御尽力いただきたい、心からの私の願いでございます。 もう一つ、これも失礼な質問になるかもしれません。私は十月二十四日に安保委員会で、軍事大国という言葉を軽易に政府諸官が使われることは国内外に対してつまらない疑惑やあるいは誤解を招くことになりかねない。これはやはりこういう言葉は使われない方がいい、もしも使われるとするならば、はっきりとどういう内容だという意思統一をして使われないとぐあいが悪いんじゃないかということを申し上げました。私もその後いろんな辞書を引っ張ってみましたが、どこの辞書にも軍事大国というようなことはありません。最後に私は法制局に聞きました。軍事大国というのはどういう概念規定しているんだと、法制局も、そんな概念規定は何もありませんということでした。私はそういう種類の言葉をやはり余り使われない方がいいような気がします。この前、長官おっしゃいました、他国に脅威を与えないという防衛力なんだというならば、そのようにおっしゃっていただけばよい。軍事大国なんという言葉から受けるイメージは人さまざまですけれども、決してまともには国内的にも国際的にも受け取れないんじゃないかという気がしてならないわけですが、重ねて、少なくとも政府の統一につきましてお願いをしておく次第であります。 次は、十一月三日から五日間にわたりまして、サンケイ新聞に防衛研修所の宮内所員との対談が載っておりました。この対談の中では、米ソの軍事バランス問題が中心でございまして、宮内所員が御自分の意見をいろいろと述べておられます。防衛庁はこのサンケイ新聞、これに宮内所員が対談に出たということ、またその内容、御存じでございますか。
○政府委員(夏目晴雄君) 承知しております。
○堀江正夫君 それで、この内容を見ますと、宮内所員個人の自分の長い間の勉強の成果からする私見だと思いますね。ところが、たとえば三日目の記事の中で、「八〇年代半ばが危機という説の根拠は、私の知る限りでは、それをすぎてしまうと、ソ連は永遠にアメリカに追いつけなくなるから、ということのようですね。」こういう言葉が一つあります。あるいはその後で、「アメリカ側の試算では、八五年をすぎれば西側が軍事的に有利になるということなんですね。」云々と、こういうような言葉があります。どうも私は、これは防衛庁が従来言っておられる見解と必ずしも合ってないじゃないかという気がいたしますが、いかがでございますか。
○政府委員(岡崎久彦君) 八〇年代の米ソの軍事バランスの問題でございますけれども、いろいろな、これはむしろ防衛庁といたしましては、八〇年代半ばに最も危機が来るというようなことを防衛庁として責任を持って申し上げたことはございません。ただ、アメリカで発表されております諸般の統計であるとか、現在アメリカが計画しております軍事予算が今後いかに使われていくか、そういうものを計算いたしますと、八〇年代の半ばから後半にかけまして米ソの軍事バランスというものが最も危険な状態になるということは数字の上で出てまいりますし、一般に言われております。ただ、それまでは、それを過ぎればまたこれ、いま御指摘のインタビューによりますと、永遠にまたアメリカが勝ってしまうというふうに言ったように書いてございますけど、これまたインタビューでございますので、果たして宮内所員がそのとおり言っているかどうか、これは専門家でございますから、恐らく専門家というのは永遠というような言葉は使わないだろうと思いますので、これは恐らくむしろ文責は新聞の方にあるんだろうと思いますんですけれども、事実といたしまして、ベトナム戦争時代にアメリカが軍事投資、特に開発投資をかなり低いレベルに抑えてしまった、その結果が現在出ておりまして、それが危機になっているんでございますけれども、現在、これでまた軍事開発投資を非常に大きくするということでもってまた差をつくろうというのがアメリカの計画でございまして、計画どおりにいけば恐らくまた差がつくんだろうと思いますけれども、この間におきますソ連の軍事投資というのは莫大なものでございまして、昨年の軍事報告でもソ連の方が八五%よけいに使っているという数字も出ておりまして、その結果がいかなる新兵器に出てきますか、俗に言うビーム兵器のようなものに出てきますか、これは新兵器というのはお互いの競争でございますので、アメリカの現在の計画が成功したから、これで離せる、われわれもそう希望しておりますし、またそうなる可能性もございますけれども、これは永遠にとか、必ずそうなるとか、そういう性質のものではございませんで、防衛庁といたしましてはおさおさ怠りなく将来のことを注視していきたい、そういうふうに考えています。
○堀江正夫君 もう一つ、いろいろあるんですけれども、五日目の記事の中で、ソ連の極東正面への軍事力増強は基本的には日本を攻めるためとは思わない、主な対象は中国である、こういう言い方をしています。先ほども防衛白書の内容が取り上げられておりましたけれども、もちろんソ連の極東における軍事力の増大は、防衛庁は、日本にとっては潜在的脅威を増大しているんだ、また中国だけじゃなくて太平洋方面も念頭に置いているんだと、こういうことを言われていますね。 これは私の私見でございますけれども、七六年ごろまではどちらかというと中国を主に対象にしてソ連の極東における軍事力の強化は行われてきた。しかし、その後の増強の内容なりそういうものを見ますと、明瞭に太平洋方面、これはもう大陸の内部じゃなくて、大陸の外側の方にソ連の軍事力の強化の方向は向いておる、こう思っておるわけであります。やはりこういう見方に対して防衛庁がどう見ておられるのか、念のためにお聞きをいたします。
○政府委員(岡崎久彦君) 宮内所員はもうソ連関係の専門家でございまして、ソ連におきまして公表されました戦略思想をあらわす文書その他を分析いたしまして、それでまた、過去の長い経緯に従いまして分析した結果を言っているのだと思います。 そういたしますと、従来公表されております文書、これはもちろん時間のおくれがございますので——等から察しますと、まさに先生が御指摘なさいましたように、七〇年代前半の増強というのは、これはもう中ソ国境が主と申しますよりも、ほとんど中ソ国境であろうということは推定にかたくないところでございます。ダマンスキー島事件以来、三年ぐらいのうちに師団の数だけで中ソ国境へは二十一個師団ふえておりまして、これまた極東だけでも十二個師団ぐらいふえております。これが中ソ国境中心であろうということは宮内所員の分析どおりだろうと思います。 それから後、実は中ソ国境は増強をしばらく停滞をしておりまして、ついここ二、三年にまた極東ソ連軍の増強が始まっておりまして、これ自身は実は推測のほかはないんでございます。 〔理事藏内修治君退席、委員長着席〕 これを分析するに必要な十分な証拠になるような公表されておる文書はございませんので、これは必ずしも宮内所員のとがめには当たらないのでございますけれども、ただ、最近ふえました約四個師団五万人、これは少なくともザバイカル軍管区以東の増強であると思います。その中には択捉、国後の一個師団が含まれている。択捉、国後の一個師団近くの軍隊というものは中国向けでないことは明らかでございまして、その点が防衛庁の最も関心を抱いている点でございます。
○堀江正夫君 私は、宮内所員からはいろいろとやはりお話を聞いたことが何回かあります。宮内所員が大変よく勉強しておられることもよく承知しております。 また、サンケイ新聞がこういう企画をやられたということについても私は高く評価しているわけですが、ただ、いまも岡崎参事官から御説明ありましたように、見方が、それは人ですから違ってもいいわけですけれども天下の公器にこういうふうに全く違った見解が現職の所員から出るということについては、やはり必ずしも好ましいことではないと、私はそのように思いますね。その辺、これ以上は申しませんけれども、やはり御留意いただきたいものだなと、このように思うわけでございます。もうそれも御返事はよろしゅうございます。 それで次は、私は防衛計画の大綱の見直しの問題につきましてお伺いをしようと思うわけでございます。 これは、やはり前の安保委員会の審議の席で黒柳委員から質問がありました、防衛計画大綱見直しの原則はどうかと。それに対して、塩田局長の方から三原則、これを説明されたわけであります。その一つは周辺の国際情勢の変化の具体的な——わが国周辺の国際情勢が大きく変化した場合、二番目は大綱で定められた防衛力水準に到達したとき、三番目は国民世論の動向など国内情勢、この三原則を示されました。 さらに、黒柳委員のソ連の潜在的脅威の増大は大綱見直しの材料となるかという質問に対して、極東情勢の変化は注視をしておる、一つの要因と思うけれども、それだけでは見直す理由にならない、いまの時点でどういう変化があれば見直すかは決めておらない、こういう御返事でございました。 それで、私の質問の第一は、見直しの対象になるところのわが国の周辺の国際情勢の変化の具体的内容とは何なのだ。ここではまだどういう変化があれば見直すかは決めておらないとこの前言っておられますけれども、私はそれは少しのんびりし過ぎているんじゃないかと思いますね。これだけ防衛計画大綱見直し、中期業務見積もりの問題が論議されているときに、防衛庁としては、当然その三原則を言われる以上は、具体的内容についても検討をされておるだろうと私自身は確信しているわけです。いかがでございますか。
○政府委員(塩田章君) いま御指摘の国会での私の答弁のことでございますが、私がお答えいたしましたのは、五十二年の防衛白書に五つばかり国際情勢の項目を挙げて、こういうものについて変化があった場合には防衛計画の大綱を見直すという言葉があるがということに関連いたしましてのお尋ねのときに、私から、ここに書いてある五つの項目につきましては、これはここにございますように例示としてこういうようなことについての変化があれば考え直すであろうという意味のことを申し上げたわけでありますが、そのときに私が言いましたのは、その五つよりほかにこういう条件がある、こういう条件があるというふうに申し上げたんじゃなくて、この五つの条件というのはみんな、ごらんになると御承知のとおりでございますが、いずれもわが国の周辺にかかわる、わが国にとっての大きな事項でございます。これは五つの、こういうふうに掲げてあります。項目のように——これはあくまでも例示でございますから、ここに掲げてあります。項目のように、わが国の周辺をめぐって大きな変化があればそれは考察の対象になりますということをお答えしたわけで、それ以外に別な、言うなれば第六項目をお答えしたというつもりではございません。これは五つの項目、例示でございまして、この例示のようにわが国の周辺につきまして大きな事情の変化があれば考えなきゃいけないだろうという趣旨のことを申し上げたつもりでございます。
○堀江正夫君 私は、五十二年に出された防衛白書、それから五十五年、ことし出された防衛白書、いろいろと情勢を対照してみました。ずいぶん違っていますね。どういう点が違っているのか、ひとつ主な点を御説明いただきたいと思うんです。
○政府委員(岡崎久彦君) 必ずしも白書に沿う御説明になるかどうかわかりませんですけれども、一番大きいのは米ソの戦略バランスでございまして、ちょうど七五年ごろからSS17、18、19という新しい種類が配備されました。当初わからなかったのでございますけれども、ついこの二、三年になってみますと、これはかなり大変な兵器である。命中精度がアメリカの、ミニットマンに近い兵器であります上に、弾頭のいわゆるスローウエートが十倍あるという大変な兵器である。これがいわゆるアメリカの核、ミサイルの残存性に相当な影響を与えるに至った。これがここ二、三年——配備されたのは七五年ごろからそろそろでございますが、大量配備はここ数年間。特にその戦略的意義というものが指摘され出しまして、アメリカでもついに国防長官もそれを認めるようになりましたのは本年でございます。それが一番の基本でございます。 それから、もちろん極東のソ連軍の増強につきましては申し上げるまでもございませんで、ソ連軍は増強しております。アメリカの方は、それに比べまして増強は別に増減は特にないのでございますけれども、一つの問題は、ちょうど七六年から第七艦隊の管轄地域が西の方に広がりまして、西インド洋を含むようになりました。その後、ちょうど西インド洋、東アフリカの地域が世界の焦点となっておりまして、アメリカの海軍力が西の方に広く薄く広がっていくというような状況がございました。特にアメリカの空母機動部隊の西太平洋におけるプレゼンスというものが、常時二個機動部隊であったのが最近は一個機動部隊だというのが通常兵力の配備につきましては大きな変化でございます。 それにつけ加えますと、中ソ国境も、先ほど申し上げましたように、当時は、ソ連の増強というのは中ソ国境が中心であるというふうに判断をしてこれは決して間違いの判断ではないのでありますけれども、最近になりますと、必ずしも全部そうであるとも言い切れないというようなことになりました。情勢というものは刻々変わりますものでございますから、米ソ関係、中ソ関係、アメリカの配備の問題も、項目としてはそれぞれ同じようなことになるのでございますけれども、内容が少しずつ変わっていくと、これは情勢、前後の流れの問題でございまして、やはり相当情勢は厳しくなっているというふうに申し上げられるかと思います。
○堀江正夫君 いま、岡崎参事官が主要な問題について御説明をされたわけですが、たとえば米ソの軍事バランスの問題を言われました。当時と比べれば七艦隊の西太平洋地域におけるところのプレゼンスというものが全くさま変わりしている。七艦隊空母の行動はずっと公表されている。それなんかを見てみますと、特にことしに入ってからは、マラッカ海峡から東に配置され行動しておる空母機動部隊というのは非常に限定されておる。ある時期は相当期間にわたって全く空白の時期さえもあった。従来全く考えられなかったような事態ですね。ずいぶん私は変わっていると思いますね、それは。これは中東情勢がそうさしておるのでしょう。これがさしあたって改善できるというめど、これはもう当然あり得ない。 さらに、去年の夏ですか、北方領土に対して地上軍が配置を始めた。去年の一月の末に、防衛庁は一個大隊ないし一個旅団規模のものが配置されたという発表をされました。その際には、慎重にその推移を見守る、いますぐ防衛計画の大綱を見直すというようなことは考えてないということでございました。その後、一個師団規模に近づきつつある、あるいはその後の発言の時期によっては一個師団になった、こういうようなことも言われたこともあるように記憶しますが、それでも全く新たな状況。一個師団といいますと、自衛隊の現在の戦力から言うと三、四倍の戦力を持っておる。それでも対応を考えないでもいいと、私には理解できないんですけれども、あの五本の大きな枠組みが変わらなければ変えないでいいというんじゃなくて、やっぱり枠組みの中が問題なんで、たとえば朝鮮半島についても、五十二年のこれをつくった直後のときには、朝鮮半島には当面大規模紛争が発生するとは考えにくいというような表現だった。ところが、ことしのでは大規模な武力紛争が生起する可能性は当面少ないが予断を許さないといったような、中身が、それぞれがずいぶん変わっているわけですね。そういうようなことを考えました場合に、私は、少なくとも周辺の国際情勢の変化というものについて具体的に一つの物差しというわけじゃない、総合的な見地から考えなければなりませんけれども、そういうものを持っておられなければ大綱を変更しようといったって時期を失してしまうじゃないか、ずるずるべったりになってしまうじゃないかというような気がしてならないんですが、いかがでございますか。
○政府委員(塩田章君) 五つの挙げられておる項目の変化とかあるいはそれ以外のどれかの項目の変化とかというふうに私ども固定的に考えないで、あの五つの項目もあくまでもわが国の周辺をめぐる国際情勢の大きな項目でありますが、それらを含めて、またそれ以外にもいまるるお話しのあったようなことも含めて、わが国周辺の国際情勢の変化ということについては常に注目していかなければいけないということば全く同感でございます。そういうことを含めて先ほどから三つの原則いうことの第一にお答えを申し上げておるわけでございますが、それを含めまして、いまの岡崎参事官の説明、あるいは先生のいまのいろいろな御指摘、私ども日本をめぐる国際情勢が厳しくなったということは、これは十分受けとめておるつもりでございます。 ただ、それでもっていまの防衛計画の大綱にいまの時点で進むかどうか、こういう判断でございます。この点につきましてはいままでの、今国会でしばしばお答え申し上げておりますように、防衛計画の大綱の線に早く到達したいということは申し上げておりますが、直ちに防衛計画の大綱そのものを見直す段階ではないというふうに申し上げておるわけです。そのことと、いまいろいろな御指摘の情勢を厳しく受けとめておるということとは、私どもは、あくまでも厳しく受けとめておることは間違いございませんので、ただ、それを直ちに大綱の見直しに結びつけてはいないといいますか、そこの段階だとはまだ思っていない、こういうことでございます。
○堀江正夫君 私は防衛計画の大綱とは何だと。たとえ話でございますけれども、地震国日本なんですけれども、最近は大きい地震も起きていない、見通し得る将来においてそういう地震が起きる気配もない、その上に予算もおのずから限定されている。とりあえず家を建てるんだけれども、木造の家族構成に応ずる五間の家くらい建てようと、これが防衛計画の大綱だと思う。いよいよ地震があるということになれば、またいろいろ補強工作その他を講ずるし、家族構成がふえればまたそれは増築すればいい。ところが、中期業務見積もりは、その中にあって細部の見積もりをしてみたら、GNPの一%というその予算で限定をして五十九年、やってみたら、言ってみれば木造の三間ぐらいの家しか建っていないということになっていると思うんです。実際は。ところが、もちろん、全く地震に対応能力ないとは言いませんよ、木造なりの対応能力はある。ところがその後、最近になって、三、四年内にマグニチュード八か九の地震、しかも直下地震が起きるかもしれないと権威のある学者が言い出したわけです。いろいろと。そのときに、中業見積もりというのは、木造の三間の家を五十九年の完成を五十八年に一年繰り上げてやろうという性質のものだと私は思っている。防衛計画の大綱をまずやれというのは、三、四年内にマグニチュード七か八の地震が起きるかもしれないというのに、いまのスピードでいくと六十年越してまあ木造の五間の家をまずつくるんだと。そして、それから対震策を、いろいろ強化策をやっていけばいいんだと、私そのような気がしてならないんですよ。 だから、防衛計画の大綱あるいは中期業務見積もりの内容を考えてみますと、本当にいま直面しておる事態には対応できないものだと、なかなか対応をし得るとは言い切れないものだと。その辺を私はやはり考えて、この問題についてはただ防衛計画の大綱をやるのが先だと、まだできてないということでは済まない。私はそう思っていますね。——まあいいですよ、これ以上言ってみても、ここであなたがそれは変えましょうなんて言いっこないんだから。 そこで、大綱見直しの三原則の三番目です。「国民世論の動向など国内情勢」とありますね。「など」というのは何ですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的なことを想定してというよりも、国内情勢一般という意味で申し上げたつもりでございますが、ここにありますように、国民世論ももちろんその一つでございましょうし、その時点における国の財政状況等も当然その一つの要因であろうと思います。そういういろんな意味を含めまして、国内世論の動向などと申し上げたわけでございます。
○堀江正夫君 少しみみっちく聞きますけれども、国民世論の動向をどういう物差しで判定されるんですか。
○政府委員(塩田章君) この問題に限らず、一般に国民世論の動向というのは何だと言われますと、なかなか具体的にこれが世論の動向だというのはお答えしにくいと思うんですけれども、まあやはり一般的には、たとえばこういう国会での御論議なんかもその典型的なものではないかと思いますし、新聞の動向というのもございましょうし、それから世論調査といったようなものもございましょうし、そういうことをいろいろ、何といいますか、それこそ総合的に判断して考えるより、いま具体的にこれがこうなったら世論の動向がこうだというふうにはちょっとお答えしにくいんじゃないかと思います。
○堀江正夫君 いま世論調査の問題を出されましたけれども、防衛庁あるいは内閣が防衛の問題について世論調査をやったのは最近はいつでございましょうか。
○政府委員(夏目晴雄君) 突然のお尋ねでございますので、私、正確な時期は心得ておりませんが、多分五十三年の暮れだったと思います。
○堀江正夫君 五十三年の秋だったと思いますね。その後やってないわけですね。 それで、近くこういう状況になって世論調査をやられる計画等はございますか。計画しておられるとするならばいつやられますか。
○政府委員(夏目晴雄君) いま具体的にいつという計画はございませんが、折を見て実施すべきものはしたいというふうに考えております。
○堀江正夫君 その辺がどうも私は、そう言われたけれども、その場限りを言っておられるんじゃないかという気がしてならないんですよ、率直に言いましてね。本当にこの三原則というものを見直しの材料だと言うならば、もちろん防衛計画大綱見直しに反対をする方もたくさんいる。それはもうそのとおり。しかし、すべきであるという声もある。全般情勢の流れを見ると大変厳しくなっておる。言うならば、もっとこの世論調査にしても私は具体的な計画を据えてやられる必要あるじゃないかと。そして、国民の本当の意向というものを十分に把握しながらやっていくということでなきやならぬじゃないか。あるいはこの国民世論の動向ということになると、つい最近衆参同時選挙がありました。結果はもう言うまでもございません。はっきりしています。しかもあの選挙のときには、自民党は防衛政策についてきわめて具体的な公約を国民にしました。これはもう内容は申しません。 防衛力整備の問題でも、ただ自民党は「大綱が示す防衛力の整備を可及的速やかに達成する」とだけ言っていません。「国際情勢の変化に対処するため、現計画では不十分な面は、機を失せずに改善補完をする」と、こういうことを言っています。私は、こういったような世論の反映というものはどう受けとめておられるんだろうか、このような気もするんです。 この問題につきましてはそれ以上は言いませんけれども、やはり私が申し上げるのは、よく言いますけれども、責任官庁としての防衛庁は、この防衛力の大綱の見直しなんかの問題については具体的にもっとやっていただかないと、国民の信頼はなかなか得られないぞという気がしてならないわけです。単に国民の信頼が得られないだけじゃない。もう国にとっても大変な問題だという気がしてならないわけです。 そのことを私申し上げましたが、長官、いかがでございますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 国際情勢また国内の事情等について種々傾聴すべき点を御指摘くださいましたわけでございますが、私どもといたしましても、防衛計画の大綱のあり方につきましては、引き続き勉強をしてまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、現在の大綱の示す線にもまだ相当隔たりがある。先生は、先ほど現在の計画は木造家屋ではないかということをお述べになりましたわけでございますが、果たして木造計画かあるいは鉄筋か、その点いろいろお考え方もあろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、限定的かつ小規模の侵略に対して原則として独力で守るということを中心にできている点は間違いないわけでございますから、その考え方に基づく別表の線がいまだに実現されておらない。そういった点も考慮いたしまして、ただいまのところは防衛計画の大綱をひとつ達成していく、そしてすきのない防衛力を一日も早く整備していきたい。特に質の改善にかかっていきたいと、そういうことに考えておるわけでございまして、先生御指摘の点、引き続きひとつ勉強さしていただきたいと、こう思うわけでございます。
○堀江正夫君 この問題は、まあ少なくも長官のいまのお考えと私は認識の差があり過ぎるわけですが、これ以上はここではもう論議は差し控えさしていただきます。 先ほど即応態勢の強化の問題が出ておりました。私は、即応態勢を軍事力、あるいは日本でいえば防衛力、これを常に高める。これはもうその本来の使命から見ても当然だし、東西を問わず、世界の私は常識だと思っていますね。そのためにやはり年々防衛庁も努力しておられる、これはもう私よく承知しております。その即応態勢の強化、いろんな問題ありますけれども、一つは、やはり訓練の練度をできるだけ高めておく、その必要性については言うまでもございません。ところが、私あっちこっち歩いてみますと、ことし燃料がないために訓練が相当セーブされておるというような実態をいろいろ聞くわけであります。全般的な省エネの中で、防衛庁といえどももちろん協力すべきものは協力するのはあたりまえだと思います。けれども、それ以外は、訓練の練度を落とすというようなことがあったんではとんでもないアブハチ取らずじゃないか。私は、防衛庁の節約率等についてはいろいろと配慮もなされておるということも承知しておりますけれども、現実問題としては、その上に予算単価よりも油が値上がりした。実際部隊へ行ってみますと、後はどうなるんだろうか、ランニングストックがあるからことしは何とかやっていけそうだ、来年四月からどうなるんだろうか、大変首をかしげているわけですね。そういう問題につきまして、その実態、またそれに対する対応、こういうことをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 いま先生からお話あったとおり、第二次石油ショック以降非常に値上がりをいたしまして、そのために当初予定しておりました油の購入量、これが必ずしも確保できないということで、私どもとしましては一番安い時期に買う等いろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、確かにおっしゃるとおり相当分不足を生じているというのが実態でございます。七月段階におきましては三十数%当初の予定よりも購入数量が少なくなるというような状況もあったわけでございますが、その後、調達上の努力それから油種間でのいろいろの調整とか、最も効率的な使用方法、そういったような工夫をいたしまして、片や石油の価格の方も若干鎮静ぎみになってきたということでございまして、現在の段階では不足分は大体二二、三%ぐらいではないかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、平時の自衛隊におきましては、先生御指摘のとおり、教育訓練というのは最も大事なことでございますので、自衛隊といたしましても、最も効率的な油の使い方をするという自己努力を重ねるとともに、関係当局に対しましても執拗なお願いをいたしまして、それによりまして教育訓練等に悪い影響が起きないように最大限の努力をいたしたい、そういうふうに考えています。
○堀江正夫君 これは長官御承知かどうか知りませんけれども、たとえば航空自衛隊のパイロットでございますね、これの訓練のためには一定の年間の飛行時間の基準がある、それが大体昭和四十年ごろまでは、その基準に対して一〇%減ぐらいの時間で訓練をやっておった。その後だんだんだんだん減りました。それがすでに四十七年ごろになりますと、一五%減ぐらいになった。さらに四十九年以降は二〇%減になっている。さらに、それが五十一年以降はまた減っている。こういう実態でございます。さらにその間に、四十六年でございますか、あの雫石の事件が起きましたのは。あれで訓練空域が非常に遠くなった。恐らくあれで平均しますと往復に費す油、二五%ぐらい多くなっているんだろうと思いますね。それだけ訓練時間が減って、それだけ練度が結果的には落ちる結果になる。あるいはこれは何年ですか、五十二年ですか、射爆場が三つが二つになった。それでまた訓練時間がそれによって減る要素が出てくる。もちろんシミュレーターを整備することによってプラス要素もあります。しかし、実際私は航空自衛隊のパイロットがただジェット機に乗って飛行すればいいなんて、そんなばかげたことはないんで、本当の練度の高いパイロットにならなければいけないということになると、どうやったって油が要るんだ、これは。油だけじゃないですけれども、もちろん。飛行時間を確保しなければならない。そういうような意味において、私は航空自衛隊だけの例を申し上げましたが、もっとこの問題については、もちろん努力しておられますけれども、やってもらわなけりゃいけない、こういう気がしてなりません。 それでいま、ことしは何とか支障ないようにやるんだと、こう言われましたが、もう一つ、今度は訓練ではなくて管理用の油ですね、これももちろんできるだけ詰めるのはあたりまえです。あたりまえですけれども、やっぱり限度があると思いますね。ある部隊へ行きますと、結局一週間の入浴の回数を普通一回は全部休浴日を設けています。ひどいところの駐屯地になりますと、三日間ですよ、一週間の中の。休浴日を設けている。あるいは三日もやらぬでも、入浴時間を非常に短縮する、あるいは浴槽の中の半分ぐらいはもう湯を沸かさないわけです。そんなことまでさしていいんだろうかというような気がしますですね。そういうようなことを含めて、実は私は来年度の燃料の要求の基礎はどうなっておるのかということをお聞きしたいわけです。もう長官でなくていいですよ、どうぞ。局長で結構です。
○政府委員(和田裕君) 基本的には先生のおっしゃるとおりでございまして、ある意味で各自衛隊涙ぐましい努力、工夫をしておりまして、朝食をパン食にするとか、それから確かにふろの入浴回数を週二日は休むとか、暖房日数を大幅に切るとかその他いろいろやっていることはそのとおりでございますが、これは先生も御承知のとおり、省エネルギーという非常に大きな政府全体の方針もございまして、その一環といたしましていろいろ努力はしているわけでございますけれども、何といたしましても教育訓練に非常に悪い影響を与えるということになってはいけませんために、来年度におきましても十分な所要の量が確保できるように、本年度より十一万キロリットル、七十八万一千を八十九万一千だと思いましたけれども、五十六年度において八十九万一千キロリットルを要求するということで、その所要経費として七百七十九億円を概算要求しているところでございます。
○堀江正夫君 私が申し上げるのは、ことし節約率かかっていますね、来年度の要求にそのかかった量を基準とした要求をしておるんじゃないかなという気がしてならないわけです。これは。たとえば警察の警備車両あるいは消防庁の消防車、救急車、こんなものはもう当然節約率なんて掛けるしろものじゃないと思いますね。防衛の訓練用——少なくとも訓練用ですよ、同じじゃないかと思うんですよ、私は、これは。したがって、もしもことしと同じような節約のかかっておる基準であるならば、これは当然防衛庁としてはもとへ戻して要求をされる必要があるんじゃないかなと思うわけですが、その辺どうなっているか、もう一度はっきりお聞きしたいわけです。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 節約につきましては、これまでの節約率と同じ節約率で来年度要求しておるということでございますが、先生御存じのとおり、余り他をあげつらうのはいかがかと思いますけれども、いろいろ厳しい状況でございますので、私どもとしては精いっぱいやらしていただいておるというふうに考えておる次第でございます。
○堀江正夫君 即応態勢の問題で、まあ燃料ばかり言っておれませんから、ほかの幾つかの問題を私申し上げてみようと思います。 たとえば陸上自衛隊の人員の充足率のアップの問題ですね。去年、五十五年度は〇・六%のアップの要求をした、それでゼロだと。それで、いろいろ実行で努力をされて、北海道の充足率アップをある程度図られた、このことは私はよく承知しております。敬意を表します。で、ことしは〇・四%の要求である、それによって充足を向上するのは二師団正面だけだと、そのごく一部である、このように聞いております。去年、実行でやられたのは二師団だけじゃなくて、五師団正面の第一線の部隊も同じようにやられた。なぜ五師団正面も同じようにやられませんか。
○政府委員(塩田章君) 〇・四%の増をもしお認めいただければ七百二十人ばかりになりますが、これを第二師団の正面部隊の充足率アップに充てたいということは、そのとおりの考え方でございます。しかし同時に、いまも御指摘ございましたように例年いろいろな実行上の苦慮はしておるわけでございまして、来年は特に各級司令部の人員の余剰といいますか、要するに再検討して浮かせる人員はないかとか、各学校等でそういった人員はないかとか、いま全部再検討しておりまして、そういう方面から可能な限りの人員を第一線部隊の方に回したいというふうに考えております。そういうこともあわせまして、全体の人員の配置を考えたいというふうに思っておりまして、決して〇・四%上がることによって第二師団正面だけというふうに考えておるわけではございません。
○堀江正夫君 ことしの場合は、アップできた総数というものはもう非常にはっきりしておるわけです。来年度、ないですよ。私は一番よく知っていますよ。本当、ないですよ。私はそう思いますね、総数はもうほとんどない。それをやったら大変隊務運営やいろんなことに影響を及ぼすと思いますね、私は。私は、そういうような意味において、恐らくやはり予算の要求の枠の関係でいろいろやって、道東方面もやりたかったけれどもそこまで手が及ばなかったということじゃないかという気がしてならないわけです。しかし私は、やはり北にやるならば東だってやらなければならないのは当然じゃないか、そんな気がしてなりません。 それからもう一つ、陸上自衛隊の装備の乙類の問題です。これは長官よく御承知になっておられると思いますけれども、お聞きになってください。これは訓練所要ということで、定数に対してどこも平均して六〇%ぐらいということで全部やられています。これは六〇%。たとえば一例を言いますと、特科の中隊でございますとそういうことでやりましたのでどういう結果になっているか。FO——第一線の中隊に派遣される観測と連絡の幹部のグループですね。FO、これなんかが乗る四分の一トンのジープは定数に対して二五%しかない。これが持っている携帯無線も五〇%しかない。今度は一個中隊、火砲四門です。この牽引のトラックが充足が五〇%です。弾薬車どうなっているか、大型トラックが四三%ぐらいです。トレーラーはゼロです。整備用トラックもゼロ、こういうことになっている。来年度少なくも充足を上げない、装備はもう火砲なんか四門あるわけですからね、その部隊については、これらが全部行動できるように乙類も充足をされるようになっているかどうか、それをちょっとお聞きします。小さい問題ですけれどもね。
○政府委員(塩田章君) 先生御承知のように、来年度の概算要求に当たりましては、いろいろ財政的な面もございまして、正面装備に力点を置いた要求になっておることはよく御承知いただいていると思いますが、その中でも、いまの御指摘の乙類につきましてもできる限りの配慮はいたしたいわけでございますけれども、実際問題といたしましては新改編に伴う部隊用のもの、あるいは損耗更新用のものといった程度に重点を置かざるを得ない、いまの充足更新の方までなかなか手が回りかねるというのが実態でございます。
○堀江正夫君 いや、まさに防衛庁の予算要求はそうなっておることを私は承知しておるんです。それでしかも、ほかから回そうたって、訓練所要でやっておりますから、ほかから回ったらほかの部隊は訓練できないんですから、どうにもならない。私は即応態勢ということになれば、やはりその辺をちゃんとしなければ、見かけの即応態勢じゃないかというような気がしてなりませんですね。 さらに即応態勢のことで申し上げますと、もう従来から、先ほども話出ておりました航空機のシェルター、これは抗たん性を増すためには非常に重要な施設だというふうに、これは新防衛計画の大綱、中業見積もり等においてもうたわれておる、年度の計画でもうたわれておる。ところが、ことしは予算要求を見ますと六個ですね。本当にもう、どうなんですかね。これも予算の関係でしょう。私そう思います。本当は防衛庁としては、もう少しやらなければ対応できないということだと思いますね。 そこで、長官、概算要求をされるときに大蔵大臣との了解事項がございましたですね。何か口頭だったそうですが、それはどういう内容でございましたか、ここでもう一度確認をしたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) 来年度の概算要求枠の決定に先立ちまして、大蔵大臣と私と会談したのでございますが、それは最近の厳しい情勢のもとで防衛力を可及的速やかに整備していくことが当面する緊急の政策課題であると考えまして、財政再建問題との関連について大蔵大臣と率直な意見交換を行ったものでございます。 その際に、私は、防衛予算問題をめぐる内外の諸環境をきわめて流動的であると考えており、そのような観点から、大蔵大臣に対しまして、今後情勢の変化により追加要求の必要が生じた場合には相談に乗ってほしいと要望したのであります。それに対しまして大蔵大臣から、そのときはそのときでまた相談すると、こういう返答を得たのでございまして、これは事実でございます。
○堀江正夫君 私は、内外の情勢それから政治情勢、いろんな情勢を含めまして、まさにいま私は即応態勢ということでほんの一部のことを具体的に指摘したわけでありますが、いま私が指摘しました燃料の問題あるいは人員の充足率の問題あるいは乙類の問題あるいはシェルターの問題、さらに備蓄弾薬の問題、こういう問題含めて私は当然追加要求をされる要件が整ってきていると、このような気がしてならないわけですよ。ここで御返事はもう求めません。十分に御検討をいただいて今後の推移の中で私は前向きで取り組んでいただく必要が大いにある、こう思っておるわけでございまして、きょうはちょうど私自身が予定をしました時間が来ましたので、一時間半もらっていましたが、もう一時間でやめるつもりでおりましたから、これで終わらせていただきます。
○委員長(林ゆう君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会といたします。 午後五時三十一分散会 —————・—————