逓信委員会 第2号
- 発言数
- 330 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/10/28
会議録
○委員長(福間知之君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に長谷川信君を指名いたします。 —————————————
○委員長(福間知之君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のうち、国際電気通信事業に関する件について、本日の委員会に国際電信電話株式会社取締役社長増田元一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 また、日本放送協会関係の付託案件の審査、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項の調査のため、日本放送協会の役職員を参考人として随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 また、日本放送協会昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、新東京国際空港公団理事角坂仁忠君及び周辺対策部長長井弘之君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(福間知之君) 次に、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。 まず、国際電信電話株式会社の事業概況について説明を聴取いたします。増田参考人。
○参考人(増田元一君) 国際電信電話株式会社の社長をいたしております増田でございます。お許しを得まして、当社の事業の概況を御説明申し上げます。 当委員会の委員長並びに委員の諸先生方におかれましては、平素から国際電気通信事業に対しまして格段の御理解、御支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。 まず最初に、事業概況説明をさせていただく前に、お許しを願い、当社不祥事の対応策等について一言御報告申し上げたいと存じます。 昨年十月、当社職員の関税法違反を発端とした一連の不祥事につきましてはまことに申しわけなく、ここに改めて国会を通じて国民の皆様に深くおわび申し上げる次第であります。 事件発生後、当社は、経営刷新委員会を設置して事件の直接的な背景と見られた社長室の廃止、考査室の新設を初めとする監査体制の強化、交際費等の自粛措置などを速やかに実施いたしました。 また、本年に入ってからは、経営陣の刷新を行うとともに、「開かれたKDD」をモットーとして経営全般の見直しを行い、事業の民主的な運営と顧客志向を目標とした組織、制度の改革を初め各般の施策を実施してまいりました。 事業の民主的な運営につきましては、会社の重要な意思決定機関としての常務会の設置を初め、社外有識者による経営問題委員会の設置も決め、近く第一回会合を開く予定であります。 他方、顧客志向の施策としては、東京支社の新設、大阪支社の拡充及び名古屋事務所を新設し、現場局所と一体となって顧客サービスに当たることにいたしました。 さらに、各方面から御指摘を受けました国際通信料金についても、昨年十二月以来三回にわたりまして国際電話、加入電信、専用線、テレビジョン伝送等の料金を大幅に値下げして、利用者に対し利益の還元を図りました。 以上は、事件後逐次実施してきました再発防止及び会社再建策の主なものでありますが、今後とも当社事業の高い公共性と独占性を肝に銘じ、経営刷新の実を上げると同時に、積極的に国民の負託にこたえるよう懸命の努力を重ねていく覚悟でありますので、御理解並びに御指導を賜りたいと存じます。 次に、昨年度の事業概況について御説明申し上げます。 昨年度は事件後の混乱にもかかわらず、保守、運用面での事故あるいはサービスの低下を招くことなく、円滑にサービスを提供することができ、ほぼ予定どおりの業績を上げることができました。 主要業種別に取扱数を申し上げますと、国際電報三百六十八万通、国際加入電信三千二百七十二万度、国際電話千九百五十九万度で、前年度と比較いたしますと、電報は一〇・七%の減少、加入電信、電話は、それぞれ一七・四%、二四・九%の増加となっております。 設備計画につきましても、サービスの拡充改善に資するため、積極的にこれを実施してまいりました。すなわち、山口衛星通信所にインテルサットインド洋衛星の追尾管制を行う設備、つまりTTC&M設備を設置し、インテルサットからの委託を受けて同衛星の運用管理業務を開始したのを初め、プッシュホンによる国際ダイヤル通話——ISDの利用方式を東京、大阪等六大都市に導入する等ISD通話の利用拡大を進めたほか、電報運用自動システムの拡充、国際公衆データ通信用設備の準備、日本−韓国間海底ケーブル及びインテルサット五号衛星用地球局の建設推進等を行いました。これらを含めまして昭和五十四年度の当社事業計画に掲上いたしました諸設備の拡充整備計画はおおむね順調に実施することができました。 次に、経理の状況について申し上げます。昭和五十四年度の収支状況でございますが、営業収益一千四百十二億円、営業費用一千八十八億円、これらに営業外収益、営業外費用及び特別損益を加減したこの期の税引き利益は、百六十八億円となります。資産の状況につきましては、昭和五十四年度末現在におきまして総額一千九百七十九億円、そのうち流動資産は六百七十六億円、固定資産は一千三百三億円となっております。一方、負債総額は八百五十三億円で、そのうち流動負債は四百七十億円、固定負債及び特定引当金は三百八十三億円であります。したがいまして、差し引き純資産額は一千百二十六億円となっております。 以上で昭和五十四年度における事業概況を終わり、続いて昭和五十五年度事業計画の概要を御説明申し上げます。 国際通信需要は本年度に入ってからも引き続き増加の傾向を示していますが、依然として不透明な景気の動向と通信需要構造の変化を考慮すれば国際通信事業の先行きは必ずしも楽観を許さないものがございます。本年度の事業計画におきましては、このような情勢認識の上に立ちながら、サービスの一層の向上を図るため、必要な設備投資を計画し、実施しているところでございます。 まず、設備計画について御説明いたします。電話関係でございますが、御好評をいただいております国際ダイヤル通話、すなわちISD通話の拡充、また需要増に伴い電子交換機の増設も引き続き実施中であります。 電信関係につきましては、加入電信サービスの改善を図るため、引き続き新形電子式加入者設備への置換を進めているほか、新サービスとして預かり伝送サービス、多あて先伝送サービス用の設備の設置も進めているところでございます。また、電報業務の取り扱いの一層の効率化を推進するため、引き続き電報運用自動システムの拡充を行いつつあります。 次に、近年急速に増大、多様化しておりますデータ通信サービスについては、まず、懸案の国際コンピューター・アクセスサービス——ICASの開始を初め、これら需要に総合的に対処するため、ここ数年来周到な準備を進めてまいりました国際加入データ・サービス用各種設備の拡充も行うとともに、国際金融情報伝送サービスの開始に備え、関連設備の設置を進めています。 衛星通信施設関係では、山口衛星通信所におきまして、インド洋インテルサット五号衛星用地球局を完成させましたほか、茨城衛星通信所におきまして太平洋地域海事衛星用地球局の建設に着手いたしました。 海底ケーブル施設につきましては、わが国と韓国との間の通信需要の増大に対処するため建設を進めてまいりました日本−韓国間海底ケーブルは敷設工事を終わり、近く運用を開始するほか、将来の太平洋地域諸ケーブル建設の準備も進めているところであります。 これらのほか、非常災害時における通信の確保に一層の努力を傾注し、大阪地区にも加入電信電子交換設備を設置するとともに、大阪国際電話局の電話電子交換設備を増設する等、非常障害対策関連設備の充実を図ることとしております。 なお、最近切断事故が多くなっている海底ケーブルにつきましても、障害原因を究明し、関係方面の御協力も得ながらその対応策を十分講じてまいりたいと考えております。 新技術の研究開発につきましては、光ファイバー海底ケーブル通信方式、ミリ波衛星通信方式、国際交換方式及び埋設海底ケーブル修理工法を重点に研究を行い、技術革新に対応するとともに、国際通信サービスの向上と運用、保守業務の効率化を図ってまいる所存でございます。 また、職員の能力開発と資質向上に資するため、国際電気通信学園の拡充を引き続き計画しております。 以上の設備投資計画に対しまして総額三百八十七億円を予定しております。 次に、対外回線の拡充計画でございますが、本年度も、直通回線設定等、積極的に回線の拡充を図ることとし、電報回線七回線、加入電信回線百九十三回線、電話回線三百三十五回線を初め、デーテル回線、専用回線等、総計六百二十九回線のほか、テレビジョン伝送対地五対地の新増設を計画しております。したがいまして、昭和五十五年度末の総回線数は四千七百五十一回線となり、テレビジョン伝送対地は六十対地となる見込みでございます。 昭和五十五年度の収支につきましては、主要業務の需要量を国際電報三百四十三万通、国際加入電信三千七百三十九万度、国際電話二千五百三十五万度と見込みまして、この見込みのもとに収入は一千五百五十億円、支出につきましては、経費の節減と資金の効率的使用に努めることとし、一千四百三十七億円を予定いたしております。 以上、はなはだ簡単ではございますが、事業概況の御説明といたします。 何とぞ今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 ありがとうございました。
○委員長(福間知之君) 次に、日本放送協会昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。 まず、政府から説明を聴取いたします。山内郵政大臣。
○国務大臣(山内一郎君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の国会提出につきまして、概略御説明を申し上げます。 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。 日本放送協会から提出された昭和五十二年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十三年三月三十一日現在における資産総額は一千八百七十億七千六百万円で、前年度に比し百四十一億五千万円の増加となっております。 これに対しまして、負債総額は七百四十六億一千四百万円で、前年度に比し三十八億八百万円の減少となっております。 資本総額は一千百二十四億六千二百万円で、前年度に比し百七十九億五千八百万円の増加となっております。 資産の内容を見ますと、流動資産四百九十億八千五百万円、固定資産一千三百六十一億五千五百万円、特定資産十六億五千二百万円、繰り延べ勘定一億八千四百万円であり、固定資産の内容は、建物五百二十六億九百万円、土地百五十五億九千四百万円、機械三百七十五億九千四百万円、その他の固定資産三百三億五千八百万円となっております。 また、負債の内容は、流動負債二百五十九億四千三百万円、固定負債四百八十六億七千百万円であり、固定負債の内容は、放送債券百六十五億二千万円、長期借入金二百五十四億五千百万円、退職手当引当金六十七億円となっております。 資本の内容につきましては、資本七百五十億円、積立金百九十五億四百万円、当期事業収支差金百七十九億五千八百万円となっております。 次に、損益について御説明を申し上げます。 経常事業収入は二千九十一億二千四百万円で、前年度に比し百七十六億一千九百万円の増加となっております。 これに対しまして、経常事業支出は一千九百三億五千九百万円で、前年度に比し二百一億四千四百万円の増加となっております。 この結果、経常事業収支差金は百八十七億六千五百万円となっております。 これに、特別収入二億九千七百万円及び特別支出十一億四百万円を含めまして、事業収入は二千九十四億二千百万円、事業支出は一千九百十四億六千三百万円で、事業収支差金は百七十九億五千八百万円となっております。 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。
○委員長(福間知之君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。坂本日本放送協会会長。
○参考人(坂本朝一君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明を申し上げます。 まず、財産目録、貸借対照表の当年度末現在の資産総額は一千八百七十億七千六百万円で、この内訳は、流動資産四百九十億八千五百万円、固定資産一千三百六十一億五千五百万円、特定資産十六億五千二百万円、繰り延べ勘定一億八千四百万円でございまして、このうち固定資産の内容は、建物五百二十六億九百万円、土地百五十五億九千四百万円、機械三百七十五億九千四百万円、その他の固定資産三百三億五千八百万円でございます。 この資産総額を前年度末に比較いたしますと、百四十一億五千万円の増加となっております。 これは主として、事業収支剰余金六十二億三千六百万円と受信料前受け金の増加七億二千百万円などにより流動資産が八十八億三千四百万円増加し、また、当年度の建設計画に基づきテレビジョン放送網の建設、放送設備の整備等を行ったことにより固定資産が五十四億八百万円増加したためでございます。 一方、これに対する負債総額は七百四十六億一千四百万円で、この内訳は、流動負債二百五十九億四千三百万円、固定負債四百八十六億七千百万円でございまして、このうち固定負債の内容は、放送債券百六十五億二千万円、長期借入金二百五十四億五千百万円、退職手当引当金六十七億円でございます。 この負債総額を前年度末に比較いたしますと、三十八億八百万円の減少となっておりますが、これは長期借入金の減少等により固定負債が五十一億三千万円減少し、一方、受信料前受け金等の増加により流動負債が十三億二千二百万円増加したためでございます。 また、資本総額は一千百二十四億六千二百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金百九十五億四百万円及び当期事業収支差金百七十九億五千八百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、百七十九億五千八百万円の増加となっております。 次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず受信料等の経常事業収入は二千九十一億二千四百万円で、前年度に比較しまして百七十六億一千九百万円の増加となりました。 これは主として、受信料の増加によるもので、昭和五十二年四月以降沖繩県の区域における放送受信料額の調整を行うとともに、極力受信者の維持、増加に努めました結果でございます。 また、有料受信契約者数は、カラー契約の増加等により六十八万件増加し、当年度末の有料受信契約者数は二千七百十一万件となりました。 次に、経常事業支出は一千九百三億五千九百万円で、この内訳は、給与六百九十九億七千五百万円、国内放送費四百八十三億四千三百万円、国際放送費十一億八千百万円、営業費二百六十二億五千二百万円、調査研究費二十三億五千三百万円、管理費二百三十九億八千九百万円、減価償却費百五十億八千九百万円、財務費三十一億七千七百万円となっております。 これを前年度に比較いたしますと、二百一億四千四百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容の充実刷新、受信者の維持、増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等の増加によるものでございます。 以上の結果、経常事業収支差金は百八十七億六千五百万円となりました。 この経常事業収支差金に、特別収入二億九千七百万円を加え、特別支出十一億四百万円を差し引いた当期事業収支差金は百七十九億五千八百万円となりました。 このうち、債務の償還に充てた資本支出充当は百十七億二千二百万円であり、事業収支剰余金は六十二億三千六百万円であります。 なお、この事業収支剰余金のうち二十億一千万円は、翌年度の予算において予定する財政安定のための財源の一部に充てるものであります。 これをもちまして、協会の昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。 何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
○委員長(福間知之君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。小野会計検査院第五局長。
○説明員(小野光次郎君) 日本放送協会昭和五十二年度決算の検査結果につきまして御説明を申し上げます。 日本放送協会の昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十三年十一月七日内閣から送付を受け、その検査を終えて、同年十二月八日内閣に回付いたしました。 同協会の会計につきまして検査をいたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○委員長(福間知之君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大森昭君 ただいまの会計検査院の報告によりますと、特に不当と認める事項はないという報告が行われましたけれども、会計検査院当局で検査をいたします実地検査の内容また陣容はどのような形で、またどのようなことを重点事項に置いて検査を施行したか、その概要をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(小野光次郎君) 昭和五十二年度の決算に関する日本放送協会に対する実地検査でございますが、これを担当しておりますのは第五局の第三部門というところが担当しております。この部門におきましては、上席調査官ほか十五名をもちまして日本放送協会本部ほか十カ所について延べ三百八人目で検査を実施いたしました。 検査に当たりましては、収入については、受信契約の状況及び受信料の収納が的確かっ経済的に行われているか、また支出につきましては、国内放送費、営業費、建設費等の執行が経済的かつ効率的に行われているかにつきまして重点を置いて検査をいたしました。
○大森昭君 実地の検査と同時に、いろいろ多額の財産購入だとかあるいは工事契約だとかということについての書類検査を行うということも聞いておりますが、それはどのような内容で書類検査を行うわけですか。
○説明員(小野光次郎君) 日本放送協会につきましては、計算証明規則によりまして、検査上必要な書類について指定をいたしまして必要書類を提出させていることになっております。その指定に基づきまして常時提出されております書類は、毎月の総合合計残高試算表及びその証拠書類といたしまして、一件一千万円を超える工事、一件五百万円を超える財産の購入契約に関する契約書とその附属書類等でございます。そして、これらの書類につきましては常時在庁して検査を実施しております。また、これと並行いたしまして、先ほど申し上げましたように実施検査を行って確認しておる次第でございます。
○大森昭君 不正なことがなかったということでありますから喜ばしいことなのでありますが、しかしNHKは、御案内のように国民の多数からの受信料をいただきましてそれを効率的に使用するわけでありますから、会計検査院としても、不当であったとかなかったとかという以前の問題として文書では書けないのでしょうけれども、いろいろ効率的な使用について文書以外に、よく会社なんかでもいろいろ口頭指示なんということがありますが、そういうようなこともないわけですか。
○説明員(小野光次郎君) 昭和五十二年度の決算につきまして、先ほど申し上げましたように本部ほか十部局について検査を実施したわけでございますが、その検査の結果につきましては不当事項として掲記したものはございませんですが、その検査の結果に基づきまして日本放送協会に御意見を聞くべく質問を発した事項は三件ございます。また、そのほか、それぞれの検査に当たりまして、各部局の段階でその都度口頭により御指摘申し上げていることはございます。
○大森昭君 そうしますと、概括的に言いまして、五十二年度決算は良好であるということが検査院当局の検査結果と理解していいんですね。
○説明員(小野光次郎君) 私どもの検査の結果ではさよう考えております。
○大森昭君 それじゃ、次の問題に移りますが、NHKは本年度二四%の受信料の改定を行いました。引き上げ率は五十一年度の状態から見ますと、五十一年度は五〇%強でありますから、それに比較しますと低率でありますが、しかし五十一年度から前回ということになりますと、わりあい短期的な間に値上げをいたしましたので、この値上げに伴う視聴者に対するPRなどについても万全の措置を行っていると思われますが、今日現在における受信料の収納、受信契約の状態、あるいは新しく何か開発したことがあるかどうか、御質問したいと思います。
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。 いま御指摘の新しい受信額がことしから施行されたわけでございますけれども、その契約収納の業務は、四月が暫定でございます。それからNHKとしましては二カ月間を一期として集金しておりますので、実際には六月から開始をいたしました。事前の周知活動、たとえば新聞、雑誌などに広告を掲載するとか、あるいはNHKの放送を通じまして周知をできるだけ行う。それから収納活動にも万全を期する。たとえば委託の方が病気でやめたというようなところには前もって確保してあった委託の方を入れる。一例を挙げますれば、そういうようなことで積極的な活動をいたしました。その結果、新料額によります受信料の収納につきましては、五十一年のときには不払い運動というようなことがございましたけれども、格別の問題がなく推移して新しい料額は一応の定着を見たというふうに考えております。 で、いま先生収納のことをおっしゃいましたが、五十五年度の上半期のうらはらの滞納の数でございますけれども、現在上半期が終わりまして最終集計をしておりますが、確定的なことはまだ言えませんが、上半期におきましては、前年の後半に比べまして三千件程度の増加にとどめ得るというふうに考えております。これは日常の滞納抑止の努力、あるいは今回の料額改定に当たって円滑な改定への移行を図る事前の収納活動の基盤整備、先ほど集金を先行して入れるということを申しましたけれども、そういったもの、あるいは五十二年の秋から行っております特別営業対策員というのがございますが、この辺も有効に活用した。それから最終的には九月に営業の特別対策月間というのを設けまして、営業のみならず他の部門の管理職も動員いたしまして滞納していらっしゃる方との対話活動をやるというようなことなどをいたしまして、いま御報告申し上げたような結果、これが収納の方でございます。 先生二番目の御指摘の契約の方でございますけれども、受信料額の改定に伴う収納の定着をいま申し上げた最重点ということでいたしましたので、受信契約の取り次ぎ業務には前半は若干手が回らなかった部分がございまして、受信契約数の伸びは低調でございますけれども、しかし、このおくれを早期に挽回するために、十月以降営業関係の各局所で未契約の対策、これに重点を注ぎまして諸施策を講じるということで、年度目標五十五万に何としても接近したいということで現在努力中でございます。
○大森昭君 年度の途中でありますから、見通しの問題でありますから、ここでどうこう言えないのでありますが、いずれにしても、いま御報告のように本年度の増加目標五十五万を達成するように最大の努力をする、こういうことですね。せんだって調査に東北の方へ参りましたけれども、なかなかむずかしいという話もちょっと聞きましたので質問しているわけでありますが、ぜひひとつ目標を最大限努力をして達成するようにしていただきたいと思います。 それはとりわけ本年度の値上げの時期で多少もたもたいたしまして、一カ月間暫定予算を実施したわけですね。そうしますと、年度全体の予算の執行に当たりましても、この一カ月分が四十四億円と言われているわけでありますが、それだけ収入も減っているようでありますから、そうなってきますと、最大限の努力をすると言いながらもなかなか収納、契約などの営業面の成績もそう思わしくないし、四十四億円が冒頭これは歳入が欠けるということになっていますので、いろいろむずかしい問題があると思うんですが、いずれにしても本年度全体の収支の見通しというのは何とかやりくりがつくということで理解していいんですか。
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。 いま先生おっしゃいますように、暫定予算の執行によりまして四十四億というかなり大幅な減収があるわけでございまして、その後の受信契約者の増加状況につきましても決して楽観を許さない現況ではございます。十月に入りましたので、いよいよ下期の時期に入ったわけでございますが、これにつきましては、いま営業担当からも申し上げましたように、できるだけ早い時期にこの受信者の増加目標を達成いたしまして、受信料収入の欠落の取り戻しをいたしたいというふうに思っているわけでございます。 それからいま先生御指摘の五十五年度の収支はどうかということでございますが、最近やっと上半期の実施が終えたところでございまして、ただいまその収支の状況を分析中でございますので、年間の見通しを申し上げるのには若干時間をかしていただきたいと思いますが、いずれにしましても四十四億という大減収がございますものですから、下期についてはあらゆる工夫と厳正な執行をやるように各局に徹底をしておりますので、できるだけの改善をいたしたいということで執行しておることを申し上げたいと思います。
○大森昭君 次に、NHKの組織をことしの七月に改正いたしまして視聴者の本部を設置するとか、あるいはこの間、東北へ行きましたら、東北地方本部を仙台ですか、たとえば近畿地方本部を大阪放送局と、こういうふうに、郵政省の方は大体仙台を東北郵政局、大阪郵政局を近畿郵政局と、こういうふうに前に改正しているんですが、何か今回はこれと逆の形のような組織改正を行ったわけでありますが、この組織改正というのは単なる組織いじりじゃないんでしょうから、一体この組織改革と効率化というのはどういう意図を持って実施されたわけですか。
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、ことし七月に組織改正をやったわけでございますけれども、その大きなねらいと申しますか目標は、時代の要請とそれから今後の事業運営の新しい展開というものを予想いたしまして、それに対する体制整備をしておきたいということと、それからさらに効率的な業務の運営の推進ということをやりたい、これを目指しまして三つのねらいを持ってやったわけでございます。 一つは、いまの協会業務というものは何と申しましても視聴者の理解と支持を得なければいけませんので、視聴者との結びつきというのを一層強固にしていく、各部門の視聴者関係業務というものを一括したい、こういうことでもって視聴者本部というものをつくったわけでございます。 それから二番目のねらいといたしましては、今後のいろいろ事業を運営してまいります上に、それぞれの重点事項というものを踏まえまして、そしてそれを積極的にやっていけるようなそういう体制の基盤整備をやっておきたい、これが二つ目でございます。 それからさらに三つ目といたしましては、いままで業務全般をずっと見回してみまして、すでに任務の終わった組織というものは廃止をしなければいけませんし、また必要があれば統合いたしたりあるいは再編成をいたしまして、そしてこれから立ち向かうべき業務に対する体制というものをつくりたいということと、それから責任体制を明確化し組織を簡明化したい、こういう三つのねらいを持って組織改正をやったわけでございます。 そういうことでございまして、視聴者本部その他につきましても、視聴者の関連の業務というものを総合的、有機的にやりたい、あるいは視聴者の窓口業務というものを一元化したい、こういうようなつもりでもって視聴者本部というものを設けました。こういったことで、われわれとしては、国会からも御指摘を受けておりますように、これからの業務というものを一層効率的に、しかも視聴者に対しましてはいい番組を送出するという形でもって対応してまいりたいと思いますので、それを目標にいたしまして今回のすべての機構改革をやったつもりでございます。 いま先生の御指摘の地方本部というのがなぜ放送局に変わったのかという御質問でございますが、それもやはり同じ精神にのっとっておりまして、何となしに本部と申しますのはちょっと固苦しい感じがするということが、実はこれまでの視聴者との対話あるいは中からの意見としてもそういうものがございました。やはりわれわれとしては放送というもので視聴者にサービスをしていく関係でございますので、それぞれ放送局と呼ぶことによってより親しい感じを持っていただきたいということが実は地方本部というものをそれぞれの放送局に変えたゆえんでございます。
○大森昭君 いずれにしても時の流れは激しいわけでありますから、いろんな角度で機構の整備をしたり呼称の変更をしたりやることについて私は否定をしませんが、ただ問題は、いずれにいたしましても効率化の問題あるいは国民、視聴者の方々とのつながりの問題、これは働く人たちの問題は意欲の問題、そういうことがやっぱり一番大きな問題ですから、そういう意味からいきますと、ある程度はやむを得ないんでしょうけれども、今年度は百名の減員を計画して、増員が五十名ですから実質的には五十名のようでありますが、いずれにいたしましても効率を上げるには職員の皆さんとの話し合いが大変重要だと思うのでありますが、労使の関係で十分意思の疎通を図っていただいて効率を上げてもらうということになっているのだろうと思うのでありますが、現状はどうなんでしょうか。
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。 昨年来、この効率化につきましては労使の問で特別な委員会を設けまして意見を交わしております。しかし、まだ意見の一致を見るという段階にはなっておりませんけれども、われわれとしては、どうしてもこれは視聴者からの強い要望にこたえるためにも効率化というのは実現をしなければいけない、これは協会全体としてそうあるべきだというふうに考えますので、なお今後とも実際の具体計画その他につきましては労使間で十分な協議を行いながら、何としてもこの効率化というのは実現をしてまいりたいと考えている次第でございます。
○大森昭君 受信料をいただくわけでありますから、ある一定の収入の中で事業を経営するわけでありますから、どうしても人員の削減とかなんとかというのが先に来るんですけれども、私ども、いま財政再建で行政改革に必ずしも反対していませんが、しかし、やはり事業は、これからふえる事業もありますし、それからある程度ふえたやつを整理する事業もありますし、そういう個々に問題をとらえませんと、せんだっても見学に行ってまいりましたけれども、技術の開発は一生懸命やらなきゃいかぬし、番組をよくしなきゃいかぬしということになりますと、そうやっぱり簡単に収入がなかなか厳しいからということで問題をとらえますと全体の運営を見誤りますので、ぜひいま言われたような状態でひとつ労使間でうまく話をつけるように要望しておきます。 とりわけ、この受信料の長期滞納の問題だとか契約拒否の問題だとか、いろいろ委員会で議論がありますが、その中で、幾つかの問題の中で難視対策があると思うのであります。これも委員会でしばしば討論しているのでありますが、幾つかの問題の中でこの受信障害の制度的解消は建設省がその調整をする任が大きいと聞いておるのでありますが、なかなか郵政当局と建設省の間で十分話し合いが進まないというふうに聞いておるのでありますが、これはどういうふうになっているんでしょうか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。 テレビジョンは、いまや国民の日常生活におきまして必要不可欠のものとなっておりますが、都市における受信障害問題の解決を図るということはその意味でも喫緊の問題であるというふうに考えておるわけでございますけれども、郵政省といたしましては、テレビジョン放送の受信障害に関する調査研究会議の提言を踏まえまして、受信障害の制度的解消策について検討しているところでございます。しかしながら、この問題には非常に複雑多岐な問題が含まれておりまして、また関係者の利害というものも大きく絡んでまいりますので、建設省を初め関係方面とも十分調整を図っていく必要があるということで、郵政省といたしましては全力を傾けたいというふうに考えておる次第でございます。さしむき五十五年度におきましては、制度的解消方策実現のための基盤整備を図るという見地から複合障害の認定基準の策定等を行うこととしておる次第でございます。
○大森昭君 難視対策というのは、端的に申し上げまして、ただ映像の映りがいいとか悪いとかという問題じゃなくて、まさに見えなければならないものが見えないわけですし、それからちらちらすれば目にも悪いんだし、もっと言えばストレスもたまりますから、これはそういう意味からいくと、やっぱりNHKとしては幾つかの問題がある中の最大の重要項目だと思うんですね、実際。そうなってきますと、建設省なんかはいろいろ言われるようでありますが、今度は郵政大臣は建設省出身ですから、いままでいろいろ各大臣にも骨折っていただいたわけですけれども、とりわけ建設省出身の山内郵政大臣にひとつ政治的手腕を発揮していただきまして、早期にひとつ解決していただくようにお願いしておきたいのでありますが、大臣、どうですか。
○国務大臣(山内一郎君) いま電波監理局長が説明しましたけれども、私も就任いたしましてこの問題を聞いて、これは大変むずかしい問題であるなあというまず認識を持ったわけでございます。電波放送をやっているその途中に新しい建物ができてくる。そうすると、大体常識的な線で言えば、後で建築物をおつくりになった方が負担すべきじゃないかということも考えられますけれども、その影響するところが非常に大きい。特に反射波におきましてはどうなっているかということがいろいろ調査してもわからないという影響もあるというふうに聞いているわけでございます。したがって建設省のいわゆる土地の所有権というものは上の方にも及ぶんだ、地下にも及ぶそうでございますけれども、そういう点を両方踏まえまして何とかひとつ早急に解決をしたい、こういう気持ちはいっぱいでございます。ただ非常にむずかしい問題でございますので、一生懸命やらさしていただきます。
○大森昭君 次に、放送大学の問題なんでありますが、これは当委員会に付託されていないんですが、とりわけこのNHK問題を議論する際に、私は放送大学というものができるということになりますと放送の基本体系が従来と根本的に変わるんじゃないかというふうに理解をするのでありますが、一体この放送体制の抜本改正問題と切り離して放送大学を設置するということについて、従来いろいろ議論されております言論の自由を確保する問題だとか、あるいはNHKの存立基盤にも影響があるのじゃないかと思うのでありますが、この放送大学の放送を導入するということに対してNHKはどのようにお考えになっておりますか。
○参考人(坂本朝一君) いま先生の御指摘のとおり、放送大学が実現いたしました場合には、昭和二十五年以来日本のNHK、民放二本立ての基本的な体制に対しまして放送大学という第三の新しい放送事業が誕生するわけでございますから、当然NHKの経営責任者としてはその影響について十分考えておく必要があるだろうという認識に立っております。この場合、放送大学という放送がどのような態様になるのか、その結果によりましてはNHKの教育番組に影響を与えるということにならないだろうか。また受信料を財源といたしますNHKと広告費を財源とする商業放送、民放との中に新たに国費を財源とする放送大学の放送が加わることによりまして、受信料の契約、収納という面に影響を与えることにならないだろうか。そういう点については、私としては十分考えておかなければならないというふうに考えておるわけでございます。ただ放送大学のその後の状況の中で協会としてどう対応していくかということは、その時点において十分対応していきたいというふうに考えている次第でございます。
○大森昭君 会長にこれ以上詰めても無理なのかもわかりませんが、端的に申し上げますと、どうも少しそうなるのではなかろうかとかというような次元を超えている問題だろうと思うんですが、きょうは別に放送大学法案の審議をしているわけじゃありませんから打ち切りますが、どうも私はこの放送大学は余り納得しないのであります。とりわけ、いま財政再建が叫ばれておりまして、聞くところによると、これは相当な金がかかるという話も聞いておりますし、それからいま会長はちょっと抽象的だったですけれども、私どもの理解からいきますと放送の全体的な問題に触れるということになりますから、大学をつくって開放をするということ自体に反対はしないわけでありますが、しかし、いずれにしてもこの実施というのはこれからの放送体系の上から言っても重大な影響を及ぼすという視点からもう少し、何か文教委員会がどこかでいま討論するようなぐあいになっているようでありますが、当委員会などについても直接関係をする問題だろうと思うので、論議をして取り組むべきだと思うのでありますが、郵政大臣はどう考えますか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。 ただいま学園の放送というものはNHKの教育放送と競合しないかというようなお話かと思いますけれども、放送大学学園の放送につきましては、大学教育のための放送、具体的には放送大学の定める教育課程に準拠した放送を主眼といたしておるわけでございます。NHKの教育放送は、これに対しまして広く幼稚園から中学、高校、大学番組も一部ございますけれども、それらの各層を対象といたしました学校教育番組あるいは社会教育番組から構成されておるというふうに理解しております。したがいまして、両者の間はかなり異なるのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、より一層の教育放送の充実を期するためには、番組内容については両者間で十分調整していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○大森昭君 ここで議論すると時間が大変かかりますからこれは打ち切りますが、正直言いまして、会長さんも多少は遠慮しているんでしょうけれども、そういう先ほどの御答弁があってみたり、それからいまの局長の答弁も放送内容が違うんじゃなかろうか、問題はそういう視点じゃないんですよね、私の言っているのは。NHKと民放と放送大学の関係と、いわゆる言論の自由といいますか、従来やってきた放送体系が根本的に変化するのじゃないかという視点で議論しているんですけれども、これは答弁要りません。この委員会で議論する問題じゃないでしょうから、いまのところは。私の個人的な意見としては、皆さん方の考えが理解できないわけじゃありませんが、今日の状態の中でそうせっかちにこれをつくるということについては考え直した方がいいんじゃないかという意見だけ申し上げておきます。 それから前国会で廃案となりました放送法の第三十二条の改正です。私も逓信委員会に参りましたけれども、ずっと前回から見ていますと、いろいろな法案が懸案になっておって、廃案になったやつだとか継続になったやつが全部提案されておりますが、この三十二条の改正案というのは今国会に提案されていないわけでありますけれども、恐らくいろんな事情で三十二条の改正というものはあきらめたんじゃないかと思うのでありますが、大臣、そういうふうに理解していいですか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。 第九十一通常国会に、受信料制度の趣旨の一層明確化を図りたいということと受信者の負担の公平に資するという趣旨から改正案を提出したところでございますが、先ほどNHKからのお話にもございましたように、現在、ことしの五月に行いました受信料値上げ後の収納状況につきましてその集計を行っており、その動向を注目しておるというところでございますけれども、いずれにいたしましてもNHKの受信料制度の整備等はNHKの財政基盤の根本にかかわる問題でございますとともに、受信料負担の公平を図るという観点からも必要と考えており、さらに引き続き検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○大森昭君 従来から放送法全体の改正の問題いろいろ議論しておりまして、たしか私、当選したときだったと思うんですが、新谷先生の方から、委員会で余り議論してもあれだから少しフリーで討論しようじゃないかというお話なんかもたしか三年ぐらい前にあったと思うんですが、私も出かせぎで別なところに行っておりましたからその後どうなったかわかりませんが、いずれにしても放送法の体系全体についてはとにかくお互いにいろいろ手直しをしようじゃないか、戦後これだけ目覚ましく発展してきたんだからということは、大体当委員会のどなたも意見は一致しているんです。ところが、三十二条をちょこちょこと直すとか、放送大学も入ってくるにもかかわらず放送法の全体の問題の取り扱いをしないというのはどうも、私は端的に申し上げますともう少し抜本的にお互いに議論をして、直すところは直す、どうするところはどうするという議論をなしにして、場当たりにこの放送法の問題が取り扱われるということが大変疑問です。一体、全体の放送法の体制を見直すべきだという考え方について、郵政大臣はどのようにこれを処置していこうというふうに考えているか、御答弁していただきたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) 放送法改正というのは、これは一度出したことがあるそうでございますけれども、審議未了となり廃案となっております。現在の放送のいろいろな点を考えてまいりますと、いまの放送法の範囲を出るような問題、宇宙衛星の問題とか多重放送の問題とか、いろいろなかなか進歩いたしておりますので、根本的にやっぱり考え直して、大森委員の言われるようにひとつ徹底して案をつくりまして検討する時期が来るかと思いますけれども、そのように準備をしてまいりたいと考えております。
○委員長(福間知之君) 会計検査院の小野第五局長、御退席いただいて結構でございます。
○大森昭君 どうも済みません。ありがとうございました。 大臣も一年でかわられますし、局長さんもしばしばかわられますし、なかなか当委員会でいろんな約束をされても実効が上がるのはむずかしいのでありますが、ですから私は、新谷先生が前に提案されたように、余り法案できっちりまとめて提案をするということになりますと時間もかかるし、また提案されたものを通さなきゃいかぬということになりますから、ですから、もう少しフリーで討議もするし、その素材も多少こっちが修正されて、こっちがこうなってもいいという問題提起でもって討論するというかっこうで進めていきませんと、正直申し上げて、これはいつもそういう御答弁をいただくわけでありますが、なかなか実現できませんから、ひとつ討議の仕方といいますか、審議の仕方といいますか、理解を深める方法といいますか、そういうものをひとつ郵政当局の方で工夫をしていただいてやっていただきたいと思います。 そしてまた、ちょっとあれですが、NHKの長期的な経営構想といいますかビジョン、なかなかむずかしい今後の情勢だろうと思うんです。従来は白黒からカラーに来ましたからある程度収益も上がったし、放送会館を売却してこうやったり、いろいろありましたけれども、なかなかこれからは契約もそう大幅に伸びない、それから料金の値上げもそう簡単にはいかない、こういうことになるのだろうと思うのでありますが、そうなってきますと、とりわけ技術の革新を図りまして、いろんなサービスをして収益を上げるというようなことも考えているかどうかよくわかりませんが、いずれにしても、この財政安定化施策として何かお考えありますか。
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。 NHKでは、現在、現行放送でもって欠落している部分、たとえて申し上げますと、双方向性の問題、記録性の問題、さらに番組多様性の問題、こういうような部分を補完するような新しいサービスというものに期待をかけまして、静止画放送とか、文字多重放送とか、高品位のテレビ放送とか、ファクス放送とか、新しい放送サービスの実用化に向けて研究を行っていることは先生御高承のとおりでございます。で、この新しいサービスを実施するということにいたしましても、当然のことでございますけれども、現行の放送と同様に国民の福祉と文化の向上を期するということが主目的でございまして、当然でございますが、視聴者の要望動向というものを見ながらこの新しいサービスというものが協会の将来の財政安定策として資することができないかという観点につきましても、料金を改定するとか、付加料金を設定するというようなことも含めまして部内的に将来の長期構想の中で研究してまいりたい、さように考えている次第でございます。
○大森昭君 いずれにしてもNHKも大変むずかしい立場にあるのだろうと思うのでありますが、と申しますのは、NHKの長期ビジョンを作成いたしましても、郵政省の方がどのような放送政策をとるかによってこれまたNHKも左右されるわけであります。そうなってきますと、国の、NHK、民放にどのような役割りを果たさせるのかという放送に関する基本政策、これを郵政省の方がしっかり決めていただいて、法制の整備だとかあるいは免許の政策、これをとる必要があると思うんですが、郵政省は今日この放送政策ということについてどういう見解を持っているんですか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。 現行放送法のもとにおきましては、受信料によってその維持、運営が行われます全国的な公共放送事業としてのNHKというものと、自由な経営をたてまえとし地域社会に密着した放送事業を行う一般放送事業者が併存する体制となっておるわけでございます。郵政省といたしましては、このNHKと一般放送事業者のおのおのがその長所を生かしながら切磋琢磨することによって国民によりよい放送番組を提供し、放送の普及とその効用を最大限に発揮してもらいたいと期待しておる次第でございます。その目的達成のため、NHKの受信料制度の整備、あるいは放送界の発達に伴います。一般放送事業者のあり方等に関する制度上の整備などにつきましては、必要に応じ検討し対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○大森昭君 NHKと民放の現状の説明をされたって問題はどうにもならないのでありまして、問題は、いま多重放送は音声多重ということでやっておりますが、せんだっても研究所へ行ってきましたけれども、文字放送だとか静止画放送とか、私も専門家じゃないからよくわかりませんが、いろんな技術開発をしているわけです。これをどういう形で採用していくか、どういう形で放送していくかという問題にかかわるので、いまの電波監理局長の話のように、NHKと民放、片っ方は金をいただかないでやっていきます。片っ方は金をいただいてやっていきますというような区分けだけじゃ、いま技術をどんどん進歩さして、その進歩さしたやつをどう商品化しようかという考えでもって商品開発しているわけですから、だから、その開発をしたときに大体そういう分野についてはNHKがやりなさいというおおよそのめどを——技術の開発でありますから、それが完成されるかされないかという問題もあるでしょうけれどもね。 ですから、そういう視点でやりませんと、どうも正直に申し上げまして、従来のような体系の中で、いろいろ報道関係の問題に金がかかる、あるいは人件費が上がる、あるいは物が高くなる、そういう計算を積み重ねて料金を幾ら幾らに改定いたしますということだけのパターンではこれはどうにもならないと思うんですが、なお局長にこれ以上詰めるのもあれでしょうけれども、とにかく多重放送に関する調査研究会議の報告書などとかいろいろ出ていますわね。いろいろ審議会だとか何とかというのはよくつくるんですけれども、出てきた答申についての報告書というのは大体二、三年寝ているような状態でありますから、そういうことのないように、電波というのは急速に発展をしていますので、どうかひとつ各種の皆さん方の御意見を十分に早急にひとつ検討していただくよう要望して終わります。 さらに、この問題とは直接じゃありませんが、新聞の報道によりますと、九月の末に郵政省に対しましてUHF電波を使って有料テレビ局を開設したいということで申請を行ったように新聞記事で理解をしておりますが、郵政省というのはこういう問題についてどういうふうに対応していくのか、お聞かせ願いたいと思います。同時にまた、この免許問題は将来の放送体制のあり方にも重大な影響を及ぼすと思いますので、法的問題も含めて考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) お答えいたします。 今般、日本有料テレビ株式会社から提出されました有料テレビの免許申請でございますけれども、その内容は、UHF電波を使うということで、サービスエリアといたしましては、空中線電力五キロによりまして東京都一円及びその近郊の約四百三十万世帯を対象とする、受信者の支払うデコーダーという解読装置の利用料として一件につき月額三千五百円を予定したというようなものになっておるわけで、番組内容といたしましては広告放送は行わないというのが一つの特色、それから番組編成に当たりましては、利用者の意向を重視した既存の民放とは少し違った特色のものを出そうとしておるものでございます。 これにつきましてどう考えるか、どう対処していこうとしておるのかということでございますけれども、今般申請の有料テレビは、現行放送法におきましては日本放送協会以外のものの放送であるという意味においては一般放送事業者の範疇に入ろうかと思いますけれども、先ほども申しましたように、広告放送を主たる経営の基盤といたしております現在の民放と異なっておるデコーダーというものの利用料を経営基盤とするというもので、現在の民放と同一に扱うことが妥当かどうか、その他いろいろ検討を要する事項があろうというふうに考えておるわけでございます。 まず、最も根本的な問題は、わが国では放送事業者の事業というものは広く公共の福祉のために放送を行わなければならないという放送の公共的使命というものを強く意識しておるわけでございますが、今般のように、直接別料金を支払います国民に対してのみ放送番組を提供するというような放送形態を認めるということが果たして妥当かどうかという一番大きな問題があろうかと思います。 その他、利用料を支払ってデコーダーを借りる者だけが周波数を利用する、それが果たして周波数の有効利用あるいは公正な能率的な利用ということになるかどうかというような点、あるいはNHKの受信料制度への影響はどうかというようないろんなむずかしい問題があろうかと思っておりますけれども、情報の多様化と申しますか、そういう効果はあろうというような面も含めまして制度上の問題を検討するとともに、社会的ニーズあるいは導入によります社会的影響というようなものも見きわめながら慎重に対処してまいる必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
○大森昭君 慎重に対処するのはいいのでありますが、現行の放送法ではこれは実施ができないということですか。まず第一点。
○政府委員(田中眞三郎君) その辺も含めまして、先ほども申しましたように非常に問題点が多いということでございます。また、それにUHFの電波を利用するといいますか、放送電波を利用するわけですが、チャンネル利用上あるいは有効な利用になるかどうかというようなことで、いままでのところではそういうものは予定していなかったという意味で、非常に検討をするに当たりましても問題点が多いというふうに考えておる次第でございます。
○大森昭君 問題点の多いのはわかるんですよ、新しいことなんですから。たとえば放送大学だって、じゃ放送大学は余り問題なかったということですか、逆に言うと。
○政府委員(田中眞三郎君) 放送大学につきましては、四十四年以来いろいろ御審議いただいたわけでございまして、これにつきましては何度も御議論があったかと思いますけれども、大学教育のために限定して開放するということにつきましては、その意味におきまして現在の放送体制に根本的な影響と申しますか、基本的な影響を与えるものではないという理解のもとに御提案申し上げておる次第でございます。
○大森昭君 また放送大学に入っては問題ですからあれしますが、いずれにしても、この問題というのは問題点多いんでしょうけれども。 そこで、いまいろいろ検討していると言うのですけれども、これだけ各新聞に報道されるということになりますと、いろいろむずかしいからといって中途半端にほうっておくわけにはいきませんね。相当利用する方というのは期待もしていますし、とりわけ、これで経営は成り立つというようなことの自信もあって問題提起しているのでしょうから。この作業の運びはどういうぐあいになりますか。作業というか、結論を出す手段といいますか、方法といいますか。
○政府委員(田中眞三郎君) 御説明する前に、放送大学の場合の……
○大森昭君 大学はいいですよ、大学は後でやりましょう。
○政府委員(田中眞三郎君) 非常にむずかしい問題で、拒否をすると申しますか、受け入れられないという結論ですと早くつくかと思いますけれども、何らかの形で導入するという方向をもし打ち出すといたしますとそれには大変に時間がかかるだろう。特に私思いますのは、チャンネルの面でいま非常にむずかしいというようなことを感じておる次第でございます。これは物理的な理由でございます。
○大森昭君 むずかしいということばっかりでよくわからないんですが、仮に、許可するしないという問題の結論を求める以前の問題として、現行の放送法の体系上ではできない、仮にですよ、そういう状態だとすれば、さっきから問題提起をしているでしょう、途中で。放送法の問題について全体の取り扱いをどうするかという問題にも係ってくるわけですね。そうでしょう。ですから、もはやこの問題というのは、結論を先に求めておいて作業するということもむずかしいといういろんなことがあるにしても、現行の放送法ではできるのかできないかぐらいはわかるんじゃないですか。局長、わからないんですか、それも。これもまたむずかしいんですか。ただ、あなたはチャンネルの問題だけ言ったけれども。
○政府委員(田中眞三郎君) 電波というものを一般の国民のために広く公正に能率的に開放するといいますか、電波法の精神からいたしましてきわめてむずかしい問題だというふうに思っております。
○大森昭君 むずかしいということはわかっているんですが、放送法上はやろうと思えばできるということなのか、そこをどうかと言っているんですよ。そこもわからないと言うのならしようがないですよ、これ以上やったって。わからないものを幾ら質問したってしようがないんですけどね。現行の放送法上はやればできるんだけれども、しかし、それは料金をもらうとか、この一社だけに許可するのか、あるいはこういうことを許可すれば一斉に各企業からこういうものをやりたいと来るからどうだとか、そういう複雑なむずかしさと放送法上むずかしいのとはちょっと違うでしょう、むずかしいと言っても。
○政府委員(田中眞三郎君) できるということで、放送の枠内のものであるということで十月十四日受理した次第でございます。ただ、できるということで十月十四日放送局の申請として受理いたしたわけでございます。
○大森昭君 わかりました。こういう形でいろんな角度から民間の企業は民間の企業なりに、NHKはまたNHKなりに、それぞれいろんな意見を持っておるでしょうから、それに電波は速いわけですから乗りおくれないように、郵政省の方もひとつ努力していただくことを要望いたします。 次に、放送番組でありますが、この十月から番組を少し改定したようでありますが、改定後における視聴率の高い番組なんというのはどういうぐあいになっていますか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 五十五年度の番組改定をこの四月から行いまして、この十月からはNHKの場合は小規模の番組改定というような形になっております。五十五年度の番組改定に当たりましては、私たち視聴者の意向を十分にくみ取り、八〇年代にわたります内外の動向に的確に対応していこうというような内容の長期の視点に立った番組刷新をこの四月に行ったわけでございます。 具体的な内容を一つ二つ申し上げますと、特にニュース、報道番組の充実ということで、先生御存じだと思いますけれども、朝の七時台のところで「NHKニュースワイド」というような新しい番組、あるいは土曜日の午後七時二十分から海外の新しい情報を入れます「海外ウイークリー」とか、あるいはこれも御存じの特別企画番組であります「シルクロード」、こういったようなものを数多くこの四月から放送いたしまして、改定後半年たちましたけれども、「シルクロード」など私どもの予期以上の視聴者の支持を得まして非常に好評でございました。この十月の番組改定の中では、御存じの朝のテレビ小説のところを「なっちゃんの写真館」から「虹を織る」と大阪発の番組にかわったり、夜の八時台の時代劇をかえたりというような手直しもしております。 こういったことで、番組の内容をより緻密に充実していきたいというふうに考えているわけでございますが、お尋ねのこれらの番組の視聴率につきましては、「シルクロード」が私どものことしの六月世論調査所で調べました調査によりますと大体一二・八%、これは一%が大体百三万人というふうに推定されておりますので約千三百万人ぐらいというふうな形になろうかと思いますが、そのほか、朝の「ニュースワイド」が約一八%、それから朝のテレビ小説が大体これも一七%というふうに、先ほど申し上げましたように、五十五年度の番組改定につきましては私どもおおむね視聴者の支持を得まして好評であるというふうに感じておるわけでございます。
○大森昭君 人気投票をしておるわけじゃないのでありまして、視聴率が高いということはいい番組は多く見るということでありましょうし、御答弁にあったように「シルクロード」などは大変視聴率が上がっているということでありますから、なお一層NHKの番組づくりには努力をしていただきたいと思います。 実は、名古屋のオリンピックですね、これはまた一九八八年に国で誘致をしているようでありますが、名古屋でオリンピックをやるということになれば、これはNHKの役割りも大変大きいと思うわけなんでありますが、まだ確定をしていないから対策があるのかないのかわかりませんが、前回の轍を踏まないようにこれまた努力してもらわなきゃいかぬと思うのでありますが、名古屋のオリンピックに対してはいまどのような状況になっていますか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 いま先生御指摘のように、名古屋にオリンピックを招致する件につきましては非常に現在前向きに検討されているということは承知しております。まだ正式の招致が決まった段階でありませんので、私ども、いま御指摘のように十分今後の推移を見守りながら対応してまいりたいというふうには思っておりますが、もし決定した場合におきましては、私ども過去東京オリンピックあるいは札幌の冬季オリンピックなど数多くの経験もしておりますので、その辺の経験を十分生かしながら対処したいということでございまして、それ以前、四年後のロサンゼルス・オリンピックにつきましては、これは御存じだとは思いますが、NHKと民放が共同して放送権の取得とかあるいは番組制作などについて十分共同しながらやっていこうという話し合いがついておりますので、名古屋のオリンピックにつきましても、この辺については十分民放と今後共同体制をとれる方向で話し合いを進めていくつもりでございます。 なお、名古屋のオリンピック問題協議会というところが、現在立候補に際しましてIOCに提出いたしますいろんな書類をつくっておりますけれども、その中でNHKに協力を依頼したいという部分もございますので、その辺につきましては、私ども、先ほど申し上げましたように過去のオリンピックの経験なども十分踏まえて積極的に助言を行っていきたいというふうに考えております。
○大森昭君 八八年といっても、もうすでに八〇年もこれは終わりでありますし、とりわけ名古屋でやるということになりますと、名古屋の出先の方も相当な規模のものをつくらなければいかぬでしょうし、設計をして施工をして建築をするということになりますと、これは技術的な建物でありますから相当長期間かかりますので、いま言われたように、準備おさおさ怠りなしという話もありますが、少し先だということじゃなくて、いまのうちから名古屋のオリンピックが万全に放送ができますような各整備をする必要があると思いますので実はきょう質問をしているわけでありますが、そういう視点でひとつやっていただきたいと思います。 次に、さっきもちょっと触れましたけれども、郵政省の方も電波行政の一環として将来の放送の多様化に備えましていろいろ研究会議などを設けておりますが、現在の調査研究会議の中での審議の状況あるいはこの調査研究会議が将来の放送の方向づけにどのような形でこれは進行しているのか、御説明していただきたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) 御説明申し上げます。 近年、わが国の社会は科学技術の進歩と経済の発展に伴いまして高度化と多様化が進んでおる、それとともに国民の需要に関する認識が高まっておるというふうに理解しておるわけですが、このような情勢を反映いたしまして放送の分野でも専門情報の放送と需要が多様化しておる、一方、多重放送、衛星放送等、放送のメディアも多様化してきているというふうに思うわけでございます。 こうした状況に対処するために、郵政省は昭和五十五年度に、いまお話のございました調査研究会議というものを部外の学識経験者を入れまして設け、この調査研究会議において今後の放送サービスの需要動向、各種メディアの開発等の諸問題を検討していただいて、将来におきます放送サービスのあり方につきまして見通しを得たいというふうに考えておるわけでございます。 審議状況でございますが、これまでに三回開催いたしております。いままでの議題は、わが国及び諸外国におきます放送の現状、ニューメディアの概要、わが国におきますニューメディアの開発状況等、放送の将来動向をお考えいただくに当たりましての審議に資するために、放送全般の現状について御説明し検討を行っていただいておるというところでございますけれども、今後の予定といたしましては、新しい放送サービスの需要動向の把握、アンケート等によるものでございます。新しい放送サービスを導入するに当たりましての問題点等につきまして検討を加えていただいて、来春をめどに調査研究の結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。 また、将来の放送の方向づけでございますけれども、いま申しました調査研究会議の結論を踏まえまして、放送サービスの多様化を望んでおります国民の要望にこたえてまいりたい、かよう考えておる次第でございます。
○大森昭君 いろいろ質問してまいりまして、決算を承認するに当たりまして、私は、いずれにいたしましても、NHKが公共放送として今後の経営のあり方を検討するに当たりましては、放送技術の革新を背景とした放送サービス、つまり多重放送だとかあるいは放送衛星の活用施策等、多重放送などによる付加料金の設定による財政がポイントじゃないかと思います。もちろん、それ以外にもいろいろ問題があろうかと思いますが、その検討を続けなければなりませんが、郵政当局では放送衛星などの活用に伴う法制の整備、多重放送の免許政策を早急に確立すべきではないかと思いますが、郵政省の見解はどうでしょうか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答えいたします。 いま先生が挙げられました放送衛星、多重放送等の新しい放送の形態につきましては、仰せのとおり既存の放送体制に与える影響が大きいというふうに考えておる次第でございます。現在、ところで、その技術的諸条件につきましては、電波技術審議会において放送衛星、多重、両方とも諮問いたしておるところでございまして、方式の統一、技術基準の取りまとめに鋭意努力しているというところでございます。 法制の整備、免許政策につきましては、これら技術的の諸条件も踏まえつつ、本年七月に発足いたしました放送の多様化に関する調査研究会議の進捗状況等も見ながら鋭意検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○大森昭君 時間ですから、終わります。
○成相善十君 大森さんは審議に協力される意味かどうか知りませんが、大変時間を短縮されたようでございますので、私もできるだけ簡潔に質問をいたしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 ところで、まず私は、NHKに対しまして敬意と賛辞から申し上げたいと思います。 先日、NHKの総合技術研究所と放送科学基礎研究所を見学さしてもらいまして、懇切な説明を聞きながら感じたことでございますが、さすが五十年の歴史と、そして皆さん方の努力の上に築かれた技術研究の成果を目の当たりにいたしまして、わが国の放送技術が世界的に非常にすぐれているということをいまさらながら知らされた思いがいたしております。大変心強く思ったわけですが、まず、その努力と実績に対しまして敬意を表したいと思います。 そこで、これに関連いたしまして、放送技術開発の問題について若干の質問をいたしたいと思います。 まず、たくさんの研究開発が行われた技術研究所のこれまでの成果、特にわが国の放送界や放送産業に対してどのような貢献をしてこられたか、まず、それから伺いたいと思います。
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。 御高承のとおり、技術研究所は昭和五年に開設いたしまして、ラジオの早期全国普及ということを目的にいたしまして、ラジオの送信機並びに受信技術の研究等、電波伝搬の研究を開始したのが当初の研究所の業務であったわけでございます。それ以降、昭和十年ごろからテレビ技術の研究調査にかかりまして、その成果は昭和二十八年のテレビの本放送の開始につながったというふうにわれわれ考えておるわけでございます。 その間、ラジオ、テレビ、FM、各メディアにおきますところの画質並びに音質、それの向上という形の中では、たとえば標準型受像機の設定、それから高音質の受像機並びに低廉価の受信機、受信環境の維持ということを含めまして、そういうものの研究に邁進したわけでございます。 で、この間、新しい放送に対しましては、国内外の放送界並びに工業界に対しまして十分なる貢献をしてきたつもりでございます。ここ数年のところでございますが、直近の成果といたしましては、最近外国並びに日本の各放送事業者でも使われております高画質の撮像管のサチコンの発明、それから衛星放送用の受信機の発明、それから最近LSI、ICに使っております電子材料の結晶格子の欠陥を直視する装置の発明、最近図形並びに文字のパターン認識の研究というものが進んでいるわけでございますが、その中での神経回路の一モデルといたしましてのコグニトロン理論の発展、こういうものが国内外におきまして大変大きい評価を受けており、その間におきまして、国内におきまして郵政大臣並びに科学技術庁長官賞、海外からも名誉ある賞を受けておるというのが実態でございます。 で、その成果というものにつきましては、当然のことでございますが、技術業務の改善、効率化、そういうものに資すると同時に、外に対しましては、ただいま申し上げましたような成果というものが九百六十一件の新案特許という形に結びついておりますので、こういうような特許というものを工業界に安い値段でもって提供いたしまして、放送技術の進歩を阻害しないような形というものをとりながら一般に公開しておるということを行っておるわけでございます。 さらに、この論文等につきましては国内外で発表し、これを基本にしまして、そこから出てまいりました成果というものがさらに工業界の新たな成果につながっているというふうにも考えておる次第でございます。 なお、規格関係、そういうものにつきましては、たとえば電波技術審議会とか、それから国際無線通信諮問委員会、こういうものを通じまして電波メディアにおける国益の確保、それから世界の放送の発展に寄与しているというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
○成相善十君 言われますように、放送の歴史は急速な技術革新に支えられてきたということが言えるわけでございますが、また、さらに今日話題となっております放送衛星あるいは多重放送など新しい放送技術の開発も可能になりつつあるのですが、このように放送の発展には技術の研究開発が欠かせないものである。わが国の放送法によりますと、こうした技術の研究開発というのはNHKに課せられた基本的な使命の一つだ、こういうふうになっておるようでございますが、この分野におけるNHKの活動に対する社会的の期待もしたがって非常に大きい。そこで、NHKとしては、今日どのような技術分野に重点を置いて研究されておるか、また今後二十一世紀の放送技術というものはどういう形態に進もうとしておるのか、そういった点をひとつこの際明らかにしてもらいたいと思います。
○参考人(高橋良君) 二十一世紀に向けましての放送技術がどのような方向に進もうとしておるか、大変むずかしい御質問でございますが、今後ますますあらゆる面におきまして多様化する社会の要請にこたえるというために、現行の放送方式に欠けるところがないか。これは双方向の問題とか、一過性を防ぐ記録性の問題、それから情報の現行放送方式以上に多様性にこたえるような方式、こういうものに対するニューメディアの研究というものにつきましては、たとえて申し上げますと、テレビ音声多重、これは実用化試験局としてやっておりますが、それ以外に文字放送とか、それから非常災害時に警報を視聴者の方々に早く予告して差し上げるというような緊急警報放送のシステムとか、それから自動選局をやりながら聞くことのできる交通情報放送のシステムとか、さらに高品位テレビ、現在のテレビよりもさらに画質のよいテレビ、さらに現在のラジオ放送よりも混信、雑音のないPCM音声放送の研究、そういうものに視点を当ててやっているわけでございます。 さらに、番組制作につきましては、最近ディジタル技術というものを非常に放送技術にも採用してきているわけでございますが、これは何かといいますと、機械の信頼度を上げる、それから事故を防ぐという面に非常に貢献しているわけでございます。さらに機器がLSIの進歩によりまして小型化する。一例を申し上げますと、昭和三十五年にNHKでつくりましたカラーのテレビカメラが二百五十キロあったわけでございます。それが現在では、十六ミリのカメラが約五キロでございますが、それより一キロほど多い六キロぐらいのテレビカメラまでそのLSIの進歩並びに撮像管の小型化、そういうものによりまして進歩したわけでございますが、こういうものを積極的に採用いたしまして経費を安くする、さらに信頼度を向上させるという形でこの番組機器の方には採用してまいりたい、さように考えております。さらにディジタルのエフェクト、こういうものを十分に利用しました番組制作技術、こういうものの開発に邁進してまいりたい。 さらに、ビデオの保存の問題でございます。ビデオの番組関係がVTRで保存するということにつきましては非常に大きい倉庫を必要とするということにもなってまいりますので、将来はたとえばビデオディスクに例示されるような形のものにいたしまして、われわれの放送職員の英知の結集である番組を簡単に保存するという考え方に力を注いでいく、この辺が私の考えておりますところの放送技術をどのように進めていくかという視点として考えていただければよろしいのじゃないかと思います。 その次に、それではどういうところに研究視点を置いてやっておるかということになりますと、ただいま申し上げましたニューメディアの研究以外に、たとえばさらに高密度のVTR並びにディスクの開発、それから視覚関係、聴覚の心理と情報処理機構の研究、それから光、電気、磁気の境界領域の物性関係の研究、そういうものに重点を置くと同時に、開発関係といたしましてはマイクロエレクトロニクスの応用関係の研究とか、SHF回路の送受信機の研究、こういうところに視点を置いて研究を進めてまいりたい、さように考えておる次第でございます。
○成相善十君 ありがとうございました。 大変熱心な努力でサービス向上に努められ、また多様化するニーズに対応されるような努力をしておられるわけでございますが、研究開発を進めるに当たって当然いろいろのネックがあろうと思うわけですね。まず研究者の研究活動についてのさまざまの問題もあろうと思いますし、そういったことと技術研究所の当面している問題、そういうネックとなっているような問題、運営上の問題点、こういった点があればお答え願いたいと思います。
○参考人(高橋良君) 現在、NHKの研究開発関係に支出している予算面につきましては、他企業平均より若干上回っておるというふうに考えておりますので、現在一番の研究面におけるネックと申し上げますと、将来を見通した場合の研究テーマの設定、さらに高度な研究に携わらせるための技術職員の育成、これが一番の問題だというふうに考えております。 なお、その社会に応じました研究体制の整備というものにつきましては、その社会の動向を見ながら、技術の進歩を見ながらこの体制を整備してまいりたい、さように考えております。
○成相善十君 以上、いろいろお話の中で大体技術研究所の役割りとか課題とか問題点、こういったような点をお答え願ったと思うんですが、NHKの経営の現状から考えますと、技術研究所であれだけの大きな研究成果を上げておられるわけでございますので、これを経営改善の上に生かしていかなければうそじゃないかというふうに思うわけですし、また当然考えておられると思います。これはいまNHKが持っておられる特許権あるいは実用新案権の状況を見ますと、特許権で七百九十一件お持ちのようですね。実用新案で百三十八件、これはそれぞれ高度な技術革新の中で非常に重要な柱となるようなものだけだというふうに私は考えるわけですが、大体五十四年度のこの収入額から見ますと、七千七百万円余りがこれらからするところの収入ということになっておるようですが、これは私は非常に少ないような気がしてならないわけなんですが、こういった点についての、今後経営上にこれを生かしていく、こういうことに対してお考え方をひとつお聞きいたしたいと思います。
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましてのいままでのこの特許権の確立並びに許諾の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、放送技術をある会社でもって一社に独占された場合に放送技術の進歩を妨げる、そういうきらいのあるものにつきましてのオリジナルなものは特許権として確立し、それを適正な特許料でもって各メーカーに許諾をいたしまして、一社に独占させることによる高額な送信機なり受信機なりになるということを防ぐという形でもってこの特許権の確立の方針を決めてただいままでまいったわけでございます。それによりましての特許件数ということにつきましては、確かに御指摘のように少ないという考え方になるわけでございますが、これは前段申し上げたような理由のために少ないという御判断をしていただいて結構じゃないかと思うわけでございます。 今後、これを経営の改善にどう使っていくかということになりますと、この特許使用料なりノーハウによる技術協力でもって財務の安定化策につながるということは非常にむずかしい問題でございます。非常に少ない額でございますので。ただし、われわれといたしましては、今後この副次収入を図るという面につきましては、さらにこの特許権の確立というものをもう少し見直すという考え方も至当じゃなかろうかという面からと、さらに特許の取り方、これにつきましてももう少し検討する必要があるのじゃないか。さらに特許料の使用料の問題でございますが、これにつきましても、現在たとえば電電公社の研究所とか各省の研究所並みの特許使用料でもって許諾しているわけでございますが、この辺についての適否についても今後検討してまいりまして、できるだけ副次収入の増ということも検討してまいりたい、さように考えておる次第でございます。
○成相善十君 先ほど述べましたように、NHKの技術研究開発は基本的な使命である、こういうたてまえから言えばわからぬこともないわけなんですが、かといって、そういう大きな成果を上げておられることを、料金問題等にも今後これが非常に大きく影響してくると思うんですね。だから、そういう成果を大いにPRされて国民的な認識、理解を得られておくということも大変大事なことであろうと思います。 なお、私は全然素人でよくわからないんですが、今後新しいメディアとして衛星放送とか多重放送、いろいろ新しい分野が開けていくわけですが、先ほど大森さんからの御指摘の中にもございましたが、衛星の使用方策とかあるいは多重放送の独立的な免許問題等いろいろ複雑な問題があると思いますが、これを突っ込んでいきますと時間もありませんので、それはそうといたしまして、こういうような複雑になっていく放送に対してNHKは何かこれに付加料金を取るとか、何かそういうような経営上これをうまく生かしていくというお考えがあるかどうか。また郵政省の方に免許の問題とか何か聞けば長くなりますのでそれはおきまして、何かそういう期待が持てるか持てないか、これは大変素人の質問で恐縮ですが、そういう点についてお答え願いたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) いま担当から御説明いたしました、いろいろな技術的な問題の経営への反映ということは当然経営責任者として考えるべきではないか。ただ先生の御指摘のその都度の付加料金というようなものがどういう形で国民の理解が得られるか、それはそれなりのまた別の検討も必要ではないかというふうに思っておりまして、先生御承知の長期ビジョン審議会等も設置いたしまして、そういう経営上の問題も含めていろいろ今後施策を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○成相善十君 それでは技術研究所の問題はそれぐらいにしておきまして、あと経営問題、特に受信契約と受信料の収納状況について質問したいと思います。 五月からカラー受信料が八百八十円、それから普通の受信料が五百二十円と値上げになったわけですが、その後の受信料の収納が当初の見通しどおり確保されているかどうか、その状況について承りたいと思います。
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。 御質問のように料額を改定したわけでございますけれども、新料額によります契約及び収納、この業務につきましては当初から協会挙げて周知をする、新聞あるいは放送ということをする、あるいは部内的にも特別の対策を講じて進んできたということで、御報告申し上げれば、現在における特に収納に関しましては格別の問題もなく推移しているというふうに御報告できょうかと思います。
○成相善十君 大した問題がないということであるようですが、しかし例年四月から五月にかけては減少する。それで昨年の推移は六月には前年度三月末の水準に回復しているという状況であるようですが、ことしは前年度の三月末の水準に回復するのに八月までかかっておるようですね。これは大変契約確保のペースがおくれているというふうに思われるわけですが、このような状況で、いま問題もないとは言われましたが、今年度契約の獲得や受信料の収納の目標は達成できるのかどうか、そういったお見通しの点について伺いたいと思います。
○参考人(海林澣一郎君) 契約の状況でございますけれども、受信料額の改定に伴いまして収納の定着を最重点にしたということは、ただいま御報告したとおりでございますけれども、御指摘のように、後半において契約の方を増加せしめる、五十五万という目標を立てておりますので、それにできるだけ接近していくという努力をいたさねばなりませんので、特に十月以降におきましては営業の関係各局所で未契約者の対策を万全の措置で積み上げていこうというふうに現在考えておりまして、個々の指令を下半期におきまして出しつつあるということが現状でございます。
○成相善十君 その不払い者の問題ですが、五十一年度は値上げをされたときなんですが、このときには大幅に不払い者がふえているんですね。五十年が五十九万八千あったものが五十一年には七十五万六千件、いわゆる十五万八千件も急速に大幅にふえた、こういう経過があるわけなんですが、今回の受信料改定後の不払い者の状況はどういうふうになっておるか。
○参考人(海林澣一郎君) ただいま上半期の末については集計中でございますけれども、確定的なことはまだ申し上げられませんが、五十四年度末に比べまして大体三千程度の、不払い、滞納でございますけれども、増加であろうというふうに考えております。先生御指摘の五十一年のときには、上半期を見ますと四万九千件の滞納増加ということでございますので、本年度におきましては、現状では、先ほどから申し上げたいろいろな内外の努力によって三千程度に抑止できるというふうに現在推計しております。
○成相善十君 不払い者の方も大したことない、問題はないということで、それは非常に結構ですが、ここ数年間の不払いの状況が滞納契約者数で見ましても、昭和五十一年度末七十六万件、五十二年度末は八十五万件、五十三年度末は九十三万件、五十四年度末が九十八万件、このようにだんだん悪化してきておるわけなんです。このことは大変大きな重大な問題であるわけでございまして、今後不払い対策というものをさらに強力にやっていかなきゃならぬ。今回の値上げで負担の不公平がさらに拡大するというようなことがあってはならないわけでございまして、この点に関して会長も大変な決意を持っておられると思いますが、会長の所信を伺っておきたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 先ほど担当が問題なくという表現を使いましたけれども、それは滞納が値上げ等によって五十四年度等の経過を見て、著しくふえるのではないかという心配をいたしまして、それに対して営業のみならず放送現場の連中までいわば滞納抑止のためにそれぞれ戸別訪問するというような努力をいたしました結果、滞納の増加の点がどうやら新受信料の視聴者への御理解がいただけたのではないかという、そういう趣旨でございます。半面、契約の増加の点につきましては大変厳しい状況でございまして、年度後半、目標の五十五万件を達成するということは並み並みならない努力をしなければならないのじゃないか、そういう意味でございますので、ひとつ誤解のないように御理解を賜りたいと思う次第でございます。 そして、いま先生の御指摘の、何といっても不公平感の是正ということは、これは受信料制度の根幹を揺るがすものでございますから、私は何としてもその点を重点に考えていかなければいけないのではないか。ほかの企業等における貸し倒れというようなものはある程度やむを得ないのじゃないかというような、そういう考え方は受信料制度にはとれないというふうに思っておりますので、なかなか至難なことではございますけれども、そういう考え方で私は現場を指導したいというふうに考えている次第でございます。
○成相善十君 この「NHK昭和五二年度決算審査参考資料」の表の中で見てまいりますと、長期滞納者数というのが大体五十何%かあるわけですね。それらの欠損償却額から見ますと、これらの滞納者からは一年おくれで追徴しておられるようですが、ほとんど収納されていないというふうに思うわけなんですが、それはそういうことですか。計算上見ますと、そういうような感じがしますが、どうなんですか。
○参考人(海林澣一郎君) 受信料の収納に関しましては、まず営業といたしましては二年間を目途に収納活動をいたします。そうしまして、それと欠損償却との連動になるわけでございますけれども、しかし、その後におきましても債権を放棄するということではございませんで、欠損償却上の処置はございましても、その後の滞納者に対する支払いの要求ということにつきましては継続的に行っているのが営業の実際でございます。
○成相善十君 経営の合理化について伺いたいと思うんですが、NHKの昭和五十七年度までの三年間において大体六百人の要員を削減する計画だ、その初年度に当たる五十五年度は百人の削減を図るということであるようですが、この実施状況はどうなっておるか。そしてまた組織の簡素化、責任体制の明確化等組織の見直しについて、まず御説明を願いたい。簡単で結構です。
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。 ただいまの御指摘のとおり、効率化につきましては、今後五年間に千二百人、五十七年までに六百人、それで五十五年度は百人の効率化をしたい。ただ、その間に五十五年やむを得ず業務の拡大というのがございまして、これに対応するために五十人の増を行いましたので、実質的に五十人の減ということでこの効率化をやってまいりたいという計画を立てております。 で、六月に機構改革をやりまして、その後に人員の異動を行いました。新しい人員配置を行ったわけでございます。これによりまして、この百人の効率化をやるということは、実質五十人の減ということは今年度中に達成できる、こういう確信を持っていま対処いたしております。 効率化と関連をいたしまして組織の面でございますけれども、組織の面につきましては、大体ねらいを三つ持ちまして、視聴者との結びつきを強化しよう、こういうことで視聴者本部を設置いたしました。これは視聴者関係が、いままで視聴者といろんな各部門でそれぞれ対応いたしておりましたものを、できるだけ全体的なものは統合しよう、こういうことで役員を長といたします視聴者本部というものを設置いたしたわけであります。これがねらいの一つでございます。 それから二番目には、これから事業運営をやっていきます上に、重点項目を踏まえましてそしてその基盤整備をしようというわけでございますけれども、具体的に申しますれば、たとえば新しい視野に立った番組の企画とかあるいは番組開発というようなことをやるために一層機動的な番組制作の推進をする、そういう体制をつくろうということで、番組制作体制というものをいままで十二の班でやっておりましたものを新たに九つの部に分けまして総合的な新しい番組制作に当たるというようなことにしたというのも一例でございます。また放送は御承知のとおりにだんだんと国際化してまいります。こういった関係の中で海外関係業務というものを総合的にやろうということで海外業務部をつくる、こういう種類のこと、あるいはただいま御質問の中に出ておりましたけれども、営業関係につきましては今度は首都圏部というものをつくりまして、首都圏に対応する営業の特別な部をつくる。これは今後われわれが事業を運営していく上にどうしてもそれが必要だと考えましたので、そういう形をとったわけでございます。そういうふうな事業運営の重点項目を踏まえた基盤整備ということを行ったのが二点目でございます。 それから三つ目には、いままでございましたものを廃止をいたしましたり、あるいは業務を統合、再編成をいたすというような形で、新たな責任体制のもとに責任体制を明確化すると同時に組織を簡素化しよう、こういうことでもって組織改正を行ったわけでございます。たとえば協会全体の庶務業務というものを統合いたしまして一つの総務局という局に統合いたしましたこと、あるいは難視対策本部というものがいままで難視の基本的な政策の立案に当たってまいりましたけれども、これは一応の方向を相定めましたので、それぞれ技術本部あるいは営業総局というところで、実質的な部局でこれに具体的に対応していくということにいたすというのもこの一例でございますし、あるいは西日本研修所、北日本研修所、この二つを廃止する、こういうようなことをいたしたわけでございます。 その結果、組織の簡素化といたしましては、協会にいま三十三の局がございますけれども、そのうち三つをなくし、それからさらにただいま申し上げました研修所二つを廃止するというような機構改革をやったわけでございます。これによりまして、この機構改革だけで出てまいりましたのは、実はこの業務というものはいままで必要があって置いてきたものでございますから、どこかの部局に実質的には、機能的には残してまいりたい、こういうことでこの機構改革で生み出しました効率化の人数は四十人でございます。それからさらに、われわれの業務を見直しまして、管理、間接部門で四十人の効率化を行い、その他の部門で二十人ということで、百人の効率化というのは予定どおりに施行ができるという確信を持っております。
○成相善十君 料金体系の見直しなど、会長が先ほど大森さんに対する御答弁の中でも長期ビジョンの策定についても触れられたと思ったんですが、もう時間も来ておりますので、これはもとより積極的に、いまおやりになっていることを一日も早く確立していただきたいわけなんですが、いずれにしても今回の受信料値上げを含んだNHKの財政再建というのも三年間ということなんですね。その後また再び経営状況は悪化するというおそれがあるわけなんですが、これらをあれこれ考えましても、NHKの経営というのは将来私非常に厳しいんじゃないかということが言えると思います。その意味からもこの長期ビジョンは単なる作文なんかであってはならぬと思うわけなんです。本当にこれがいま一つの大きな転機に来ていると考えなきゃならぬわけであるわけですが、会長の全知全能を傾けられてひとつしっかりしたビジョンを打ち立てていただきたい、真剣に取り組んでいただきたい、このように思うわけですが、会長の見解を伺いたいと思います。 また最後に、郵政大臣から、そういったようなNHKのあり方というものを十分に見守っておられると思うんですが、今後のNHKの経営のあり方について所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、NHKというのは国民の受信料で経営されている企業体でございますから、何といいましても、国民的な理解と申しますか、共感と申しますか、そういうものの上に立たなければ経営できないわけでございますから、したがいまして、重点主義に基づきます事業計画の推進、さらにはそれの効率的な運営というようなことを十分認識してやるという決意でございます。したがいまして、今後のNHKを取り巻く経営環境は大変厳しいという先生の御指摘はそのとおりでございますので、それに対応するために、先ほど申し上げましたように、長期ビジョン審議会等も設けましていろいろ先生方の御示唆もいただき、われわれ自身もそういう認識の上に立って協会の将来を切り開いていきたいという決意でございますので、何とぞよろしく御指導のほどをお願いしたいと思う次第でございます。
○国務大臣(山内一郎君) いま、るるいろいろとお話ございましたけれども、私もNHKは公共放送の使命を体してよくやっておられると思っております。技術の開発を初めとしていろんな困難な問題を打開しながらやっておられますが、一番基本的なほとんど受信料で経営されている、こういう点が非常にむずかしいいろんな問題を構成しているわけでございます。といって、営利を目的とするような業務をNHKにやってもらうというのもこれはまたどうかと思いますので、非常にNHKにおかれても大変でしょうけれども、いわゆる経営の合理化、それから受信料の不払いは極力ひとつなくするようにいろんな努力をしていただく、こういう点でお願いを申し上げ、郵政省としても指導してまいりたいと思っておるわけでございます。また法制的にこういうことをやった方がNHKの経営にプラスになるというようなことがあれば、また法制面で考えてまいりたいと考えておるわけでございます。
○成相善十君 ありがとうございました。 終わります。
○委員長(福間知之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 —————・————— 午後一時二十一分開会
○委員長(福間知之君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、日本放送協会昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○白木義一郎君 本日は、NHKの五十二年度決算報告をもとにした質疑が午前中から行われておりますが、その前年の五十一年に受信料を約五三%値上げをした後だけに当然黒字決算ということになるのはあたりまえのことでありますが、問題は、それから四年たった本年、ことし受信料の一律二四%の値上げを実施をいたしました。さらに、一説によれば五十八年度にもまた値上げをしなければならないと伺っております。赤字になれば受信料を上げればよいという視聴者に対する負担を押しつけるというような姿勢はきわめて安易であり、よくないと私は思うのでありますが、NHKとしては、そのような問題について今後あるいはいままでどのような努力を続けられてこられたかということについて冒頭にお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘のように、NHKの経営基盤というのは、基本的には受信料収入によって支えられておりまして、その受信料のもとになりますテレビジョンの受像機の普及というものがほぼ限界に到達しているわけでございますので、今後、事業の収入の大幅な伸びはなかなか期待し得ない。したがいまして、いかなる経営努力をいたしましても将来再び収支構造が悪化するということは当然考えなきゃならない状況かと思います。しかし、さればといって、先生がいま御指摘になりましたように、赤字になれば受信料の値上げというそういう考え方は、やはり受信者の皆様方の御理解を得るという上から言ってなかなかむずかしいのではないか、そういう認識は持っておるつもりでございます。そして御承知のように五十五年から五十七年度までの経営計画によりまして、いろいろと重点主義そして効率的な経営に徹するということで、午前中にも担当からいろいろ御説明いたしましたような組織の簡明化その他の努力をいたしまして、そして現在に至っているということでございます。 なお、本年度の事業計画を御承認いただきます際に、当委員会におきましても、その問題についてNHKの長期の経営に対する検討をすべきではないかという附帯決議などもいただきましたので、ことしの七月にN日K長期ビジョン審議会というものを設置いたしまして、一九八〇年代の社会におきますNHKの果たすべき使命、役割り等を中心に御調査いただき、そして御検討を願っているということでございます。この審議会の御検討をいただいております経過を踏まえながら、今後、公共放送としてのNHKの使命達成に全力を注ぎたい、経営環境は厳しゅうございますけれども、そういう中で格段の努力をしたい、そういう決意でございますので、よろしく御指導を賜りたいと思う次第でございます。
○白木義一郎君 そこで、その問題について、少し具体的な点についてお伺いするわけですが、最近、この受信料の不払い問題が盛んに取りざたされておりますが、現在の受信料支払い状況を御報告を願いたいと思います。
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。 現在の受信料の収納状況でありますが、確定債権額に対します収納額の割合を収納率と言っておりますけれども、九七%で推移してございます。
○白木義一郎君 一般的に言えば、九七形の支払い状況といえばきわめて優秀であると言わなければならないんですが、それでは残っている三%の内容はどうなっているんでしょうか。
○参考人(海林澣一郎君) 滞納者は五十四年度の末の計算で九十八万件でございます。
○白木義一郎君 そこで、この受信料の徴収ということは、これは大変なことだろうと私は思いながら、ふと気がついて、私の会館の部屋の受信料は払ったかなと、どうもお支払いした記憶がないわけです。それから同僚の議員に聞いたところが、たしか払っているはずだ。それからよその党の議員諸公に当たりますと、さっぱり確信あるお答えをいただけないということで、われわれの方が早速調べましたところ、事務局で一括して支払ってあるから御安心をということで安心したんですが、事ほどさようにこの受信料を徴収するということは大変な仕事であるとよく理解ができるわけですが、そこで、その三%の内容はいまお聞きしたんですが、この春でしたか、毎日新聞紙上に在日米軍の家庭九千八百世帯の受信料不払い事件が掲載されておりましたけれども、その状況を御報告いただきたいと思います。
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。 在日米軍人関係の受信料問題の経緯を若干申し上げさせていただきます。 実は、昭和五十三年の一月に在日米軍司令部が所属の軍人、軍属に対しまして、受信料は一種の税金であり、日米地位協定によって支払いが免除されるので支払いを拒否すべきであるという趣旨の指示が出たということが発端にございました。これに対しまして、NHKといたしましては抗議文を送りまして、その指示の撤回と受信料支払いについての協力を要求する。それ以来、この問題につきまして米軍との間で文書あるいは会談等によって折衝に当たっているという経緯でございます。この、たび重なる折衝にもかかわらず、米軍側といたしましては見解を変えておりません。五十三年六月二十八日でございますが、従来の米軍見解に変更はないという公式な回答書が出てまいりました。NHKといたしましては、これ以上折衝を続けていきましても事態の進展は図れないという判断をいたしまして、郵政大臣に対しまして五十三年七月四日付の要望書を提出して問題解決のための積極的な協力をお願いしたということがございました。 その後でございますけれども、米軍側からの要請で五十三年の十一月から五十四年の一月にかけて四回にわたりまして米軍側と話し合いを行った結果、米軍の見解としては全く変更はないものの、協会がもし郵便によって契約勧奨を行うことについては異議がないという見解が出たわけでございます。したがいまして、五十四年の六月から五十五年の一月にかけまして、全国の米軍基地内の居住者でございますが、延べ九千人に対しまして郵便による契約勧奨を実施いたしました。これにあわせまして、基地内のテレビの設置とかあるいは視聴の状況を知るためのアンケート調査を実施したわけでございます。また米軍人への契約締結を呼びかける広告をジャパンタイムズ、英字新聞に出すということもいたしました。しかしながら、勧奨の結果はきわめて悪うございまして、九千の勧奨に対しまして契約締結数は六件ということでございます。この間、五十四年の十月には、郵便による契約勧奨の中間結果を踏まえまして、米軍側と改めて会談して、契約、収納活動に関する四つの項目、たとえばアメリカ軍の一括の肩がわりの支払いができないかとか、あるいは米軍が協会にかわって集金してくれないかとかいうような項目を出して協力要請を行いましたけれども、これも拒否されたという状況でございました。このような状況の中で、ことしの五月に、五十一年度の協会の決算審議のこの参議院の逓信委員会で、郵政省及び協会に対しましてアメリカ軍の基地関係の受信料の収納確保についてさらに努力するようにという御要望がなされたわけでございます。このため、協会としましては、郵政省に対しまして日米地位協定の解釈の調整あるいは協会職員の基地内立ち入りの許容等につきまして協力を要望している。これが、長くなりましたけれども、米軍関係の経過でございます。
○白木義一郎君 いま御説明をいただいたわけですが、私が承知している段階では、日本側すなわちNHKと米国側では受信料を支払うという考え方それ自体に大きな意見の食い違いがあるというお話で、そのとおりであると思います。問題の解決は全く進展をしていない。これは、まじめに公共放送に協力をして聴視料を支払っている方々、あるいはそういう必要はないんだといういわゆる不払い運動の両面の考え方に非常に大きな影響があるだろうと思うんです。そうしますと、何とか健全な財政を維持していくために、この三%の未払い、未契約者に対する非常な努力がなかなか実を結ばない、こういうところに発展し、あるいは悪影響があるということを心配せざるを得ないわけでございます。 そこで、いまの御説明によりますと、途中から米軍も若干考え方を変えて、郵便物で催促して、払う払わないは本人の自由である。ところが、それをやったところ九千世帯でわずか六世帯が払った、あとはですから未解決、ほとんどが未払いだというような状況で、そこで、やはりこれはNHK側としては非常に歯がゆい作業が最前線で繰り返されているんじゃないかと思います。 そこで、郵政省あるいは外務省、この両省も積極的な協力をすべきじゃないか、このように思います。ですから、単に軍人、軍属に対する聴視料、受信料の徴収にとどまらず国内的に大きな影響があると思いますので、その点、両省からお考えを伺っておきたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) ただいまの問題でございますけれども、先生のお話にもございましたように、この問題は根底に地位協定についての日米間の解釈の食い違いということが一つあります。それと、米軍人、軍属のテレビ受信設備の状況も把握できていないということが解決を困難にしている大きな根底であろうかと思います。したがいまして、本件を解決に向けて何とか前進させるためには、NHKと政府がそれぞれの立場で努力する必要があろうというふうに考えているわけでございまして、NHKに対しましては、昨年から始めました郵送による契約勧奨というのをさらに、二十年来の懸案の問題でございますので、粘り強く実施していただきたい、その他の効果的な方法というものについても検討してもらいたいというふうに考えているわけでございますが、郵政省といたしましても、それらNHKのなお一層の契約勧奨の努力の状況等を見ながら、必要に応じまして外務省や米軍と話し合っていくつもりでございます。なお、それでも解決できないというような場合には、外務省に対しまして、たとえば日米合同委員会の議題にしてもらいたいというようなことも考えておる次第でございます。
○説明員(丹波実君) お答えいたします。 本件につきましては、過去におきましても郵政省当局の御要請を受けまして、外務省として本件の地位協定の解釈をめぐる誤解を解くというために対米折衝をしたことがあるわけでございますが、現在はこれから先ほど電波監理局長が申し上げましたとおり、再び勧奨活動が再開されるということでございますので、その結果を踏まえながら、郵政省から御相談があれば外務省としてその対米関係上とるべき措置を考えていきたい、こういうふうに考えます。
○白木義一郎君 この問題は、先ほども申し上げたように、単に米軍が食い逃げしている、聴視料を取るのに大変な苦労というだけで私は申し上げているわけじゃないんです。将来の公共放送としてのNHKの立場、これは非常にわが国、国民にとっても大きな問題が待ち構えているわけです。そういう点で、NHKの財政という問題もこれあり、やはりこういう問題は政府として片づけられる、応援できるところはどんどんしていただいてNHKの公共性をはっきりとすべきじゃないか。こういうことも含めてぜひひとつ、電波監理局長のようにそれがだめだったらということじゃなくて、直ちにできることは推進をすべきじゃないか、こういうようにお願いをしておきます。 それでは次に、NHKの将来に向けての財政確保の問題についてお尋ねをするわけですが、私は、先日、財団法人放送文化基金から出版されている、この基金の常務理事である野村常務理事が先般アメリカへ調査に行かれたその報告を読ましていただきました。その報告によりますと、世界の公共放送が非常に危機的状態になっておる、その大きな原因は財源の確保と放送の独立という問題にあると論じられておるのを読ましていただいたわけですが、NHKとしては独自の試案なりあるいは計画を考えておられるのか。また郵政省の方にもお考えを伺いたいと思います。
○参考人(山本博君) ただいまお尋ねの件でございますが、この問題につきましてはいま総合的に、先ほど会長が申しましたビジョン委員会を設けまして、今後のNHKの財政をどう考えていくか、どういう改善案があるか、こういうものを現在ビジョン委員会で審議中でございますので、ただいまここで私がこういう試案があると申し上げる段階までまとまっておるという状態ではございませんが、将来のNHKの財政問題に取り組むに当たりまして、私たちがNHKなりに考えておる問題を申し上げてお答えにかえたいと思います。 ただいまお話がございましたように、世界のどの公共放送も財政的に非常に苦しんでおる状態でございまして、むしろ現状におきましては、NHKの財政というのは他の国の類似のものに比較しますと、たとえばイギリスのBBCなんかになりますとほとんど毎年のように料金の改定をしなければならないという状態にございますし、それから国営の放送局も、毎年度予算の大蔵省からの査定というようなことで財政が思うに任せないというような状態もございます。しかし御指摘が毎国会ございますように、今後のNHKの財政というものも非常に弾力性を失ってきておりまして、今後、御指摘がありましたNHKのあり方という基本的な問題にもかかわってこようか、すなわち自主性とか独立性とかというようなものにも全く無関係でない問題が出てくるのではないかということを感じております。受信料という問題がやはりNHKとしましてはこれは基本的な財源でございますので、しかも自主、独立の一つの保障にもなっておりますので、この点につきましては、基本的に現行の受信料、国民の皆様から分担をしていただいておる受信料制度というもの、これはあくまで基本的にNHKとしては考えていく、この基本は守ってまいりたい。 では、そのほかにどういう財源があるのかといいますと、これは世界じゅうのいろいろな放送機関の例なども考えあわせますと、一つは、国からの予算に組んでもらって補助金とか交付金とか、こういうものをもらうということも一つの財源でありましょうし、それから民間放送がやっております。あるいはヨーロッパの国営放送で一部採用されております広告放送というようなものも、これは一つの財源としての考え方であると思います。しかし、そういうものをNHKに今後取り入れていくときにはいろいろむつかしい問題がたくさんございますので、これは具体的な内容を付しまして十分検討を私たちもしていき、またビジョン委員会でもそういう問題については検討をしていっていただくという予定にしております。 なお、NHKとしまして、そのほかにどういう財源というようなものが考えられるかといいますと、これは先ほどお話がありました技術革新による新しいサービスというようなものと付加受信料といいますか、そういうものとの関連がどうなるかということが一つございます。あるいは現行制度の中で考えますならば、複数台数制という方法を取り上げてみたらそれが財源の一つとして考えられないかということもございます。しかし、こういうそれぞれの問題につきましては、いろいろむつかしい問題もありますので、今日までなかなか取り上げる、あるいは日の目を見るところまで参っておらないという実情もございますので、この点につきましてもビジョン委員会で問題の提起をいたしまして、むしろ現行の枠を外しても考え得るのかどうか、こういうようなことの検討をしていっていただくつもりでおります。 なお、そのほかに、副次収入という形で現行NHKが法律上許されている範囲内でいろいろな仕事をいたしまして、わずかでございますけれども副次収入という財源をいままで活用してまいっておりますけれども、これも現行の枠の中ですとおのずから限度がございますので、これも他の外国の例などをいろいろ勉強しながら、こういうものが財源としてどの程度拡充できるのか。こういうこともあわせて、いま考えております全体の問題を申し上げて、これが試案だという形にはなっておりませんけれども、私たちの考えだけ申し述べさせていただきました。
○委員長(福間知之君) 外務省丹波安全保障課長、御退席いただいて結構でございます。
○白木義一郎君 先日、当委員会の視察に参加さしていただいて技術研究所を拝見さしていただいたんですが、特に新しい放送方法とかあるいは形態の技術的発展が目覚ましい限りであると承知をしたわけですが、その中でも放送衛星の打ち上げあるいはテレビによる多重放送の技術的な発展、それによる文字放送の技術的開発とその実用化、さらにはビデオ装置の完成と実用化など、八〇年代に向けて放送社会としては全く新しい時代に突入をしようとしていることを認識したのですが、NHKはこれらを進めるに当たって、当面いろいろと諸問題がおありだろうと思いますが、その点お伺いしておきたいと思います。
○参考人(高橋良君) ただいま先生の御指摘いただきましたように、NHKでは現在国民の要望の多様化に備えまして、そのニーズを予測しながら御指摘のようなニューメディアの放送方式の研究調査を行っておるわけでございます。あくまでも、これは現行放送同様に国民の福祉と文化の発展に資するというところを命題にしているわけでございますが、今後どういうところにこれの問題があるのかということになりますと、たくさんあるニューメディアの中から、たとえば衛星放送について申し上げますと、われわれがいま問題としておりますのは、衛星の製作、打ち上げに関しまして、いかにして衛星の寿命を長くするかというような一つの命題のために問題点として取り組んでまいっております。 それから所要経費の低減の問題でございます。これはビッグイベントでございますので、これにつきましては、われわれユーザー側としてはできるだけ開発部面につきましての所要経費の負担というようなことも御検討していただけたら幸いじゃないかなというような形で問題点を把握しております。 それからこの衛星を打ち上げて万が一失敗した場合の補償措置の問題、これにつきましても郵政省の方にもいろいろとお願い申し上げているわけでございますけれども、国家的にも十分なそういう配慮というものをいたしていただきまして、今後このようなニューメディアがスムーズに開発できるような形を整えていただけるならばというふうなところが問題点だというふうに考えております。
○白木義一郎君 いま御答弁がありました中で、五十八年度の打ち上げ予定の実用衛星でこれは六百億の費用がかかると伺っておりますが、その六割、六〇%である三百六十億がNHKの負担である。ところが、この衛星はとかく問題のあるロケットであり、もし失敗したらというお話がいまもありましたけれども、もし失敗したらば、この三百六十億は一体どこが負担するのかということが心配なわけですが、郵政省にという御答弁もありましたので、その点も少し伺っておきたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) BS−2でございますけれども、この衛星は、さきに打ち上げ実験を実施して多大の成果を上げましたBS「ゆり」でございますが、その成果を踏まえて、これと同規模、同性能の衛星として開発を行っているというもので、実績のある技術を用いたものでございますけれども、いまお申し越しもありましたように、一般的に宇宙開発というものは、万全を期して進めてまいったといたしましてもやはり失敗という結果を招くということは全くないとは言い切れないものであると考えられるわけでございまして、その万一の場合に対処いたしまして、NHKからの御要望もございまして、国としても何らかの措置を検討するよう現在郵政省から宇宙開発委員会の方に要望いたしております。宇宙開発委員会としましては、今後検討をしていただくわけでございますけれども、その検討に当たりましては郵政省としても適切な措置が講ぜられるよう最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 わが国におきます宇宙開発というものは、外国の先進的技術の導入を図りながら、国策としてこれまで多くの国費を投入して早期に自主技術の確立を図ろうという考え方でございます。ただ、わが国初の実用衛星となりますBS−2は、いま申しましたような国策によります自主技術の開発に資するという点がございますが、一方、テレビジョン放送の難視聴解消を図るというNHKの強い必要に基づきまして実用にも供するという、いわば開発と実用との相乗り衛星という形で開発を進めておるわけで、その意味におきまして国とNHKが相協力して計画を推進するという形になっておりますので、応分の経費をNHKにも御負担していただくという予定であるわけでございます。
○白木義一郎君 そこで、われわれ単純な考え方ですが、この衛星は、いまもお話があったように、NHKだけが使うものではなくて、幾つかあるチャンネル、よそも使うわけですが、これに対してNHKが何も全体の六割も負担する必要はないんじゃないか。ということは、いわば国策というふうにおっしゃいましたけれども、国のロケットの開発に、先ほどからお話ししたように、非常に苦労して受信料を集めたその中から払っていかなきゃならないというのはちょっと解せない、こういう気持ちがするんですが、大臣、この点いかがなものでしょうか。
○国務大臣(山内一郎君) このBS−2につきましてはNHKだけ使うことになっているわけでございますが、主として難視聴解消という目的で五十八年に打ち上げる計画で着々やっているわけでございます。したがって、国も持ちますけれどもNHKにも応分に御負担をいただく、非常に受信料を集めるのに御苦労をされておりますけれども、そういう線が妥当ではなかろうかというので、いまそういう計画で進んでいるわけでございます。
○白木義一郎君 NHKに改めてお伺いしますが、いまの御答弁ではNHKが使うんだからと、こういうことですが、これは開発していただかなきゃならないわけですけれども、できた場合にはこれはNHKだけが独占して電波あるいはチャンネルを使われるのかどうか、その点ただしておきたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっと補足させていただきます。 ただいまやっておりますのは実験放送「ゆり」といいまして、BSと呼んでおるわけですけれども、私が申しましたのはBS−2、五十八年度に打ち上げる予定の初めての実用放送衛星でございますが、これは能力の関係等で番組といたしましてはこの段階では二つしか乗らないというようなことでございまして、それ以上乗せますためには次の世代、五十八年に続いて考えられます第二世代と申しますか、そういう段階で考えられるということでございますので、ただいま申し上げましたのは、五十八年度に計画しておりますBS−2についてのお話であるということで御了承いただきたいと思います。
○白木義一郎君 いまのお話だと、将来——専門的なことわからないわけです。衛星衛星といっても、私の知っている星は花よ星よのあの星ですから。ですけれども、いまのお話だと後からふえてくる、こういうお話ですが、その場合にもやはり相当NHKが受信料の中からそれを負担しなきゃならぬということになるんですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答えいたします。 BS−2に続きます次代の衛星につきましては、これはまだ余り固まっておるわけではございませんけれども、たとえばチャンネルで申しますと三つなり四つなりおりてくる、おろせるという能力ができようかと思いますけれども、その場合には、その使用の形態あるいは開発要素がどの程度あるかというようなことで、NHK、国を含めまして、その他の利用者も含めての分担の話になろうかと思う次第でございます。
○白木義一郎君 私の伺っているところでは、大体これが開発完成すると四チャンネルになる。鋭意その方面の技術者が連日連夜開発に取り組んでいるわけですから何とか一日も早く成功をしていただきたいし、させたいという気持ちですが、この四チャンネルのうちで、一つはNHKが、それからもう一つは放送大学に使う予定だ、あとの二つがいまお話がありましたように未定というようなことですが、この点もう少しわかりやすくお話しいただきたいんですが。
○政府委員(田中眞三郎君) 第二世代の実用放送衛星につきましてはまだ何も決まっておるわけではございませんけれども、その辺につきましては、いま第二世代の放送衛星の利用のあり方、それから実用の通信衛星も含めてでございますけれども、第二世代の放送衛星なり実用衛星についてのあり方につきましては、実はこれも調査研究会議というもので鋭意目下検討をしていただいておるところでございます。したがいまして、第二世代の利用のあり方ですが、BS−2自体がすでに実用の衛星として、NHKの難視聴解消というものに五十八年から実用として使われるわけでございますから、それは第二世代の中でも当然含まれるべきもの、二チャンネル分はそういうふうに考えるわけでございます。 また、ただいま先生の御指摘ございました放送大学の利用につきましても、放送衛星というものは放送大学の利用の形態を考えました場合に、一発でほとんど日本全国がカバーできるという能力のあるものでございますから非常に有力なものであり、この点につきましては文部省とも十分相談しながら利用の形態を考えていきたいということでございまして、その他の利用のあり方につきましては、先ほども申し上げましたように、第二世代の実用衛星の利用の仕方ということで鋭意御検討をいただいておるというのが現状でございます。
○白木義一郎君 そういうわけですから、大臣、このNHKの健全な公共放送の発展のためにもひとつ慎重に検討また推進方をお願いしたいと思います。 そこで、さきに発表された大臣の業務姿勢の中で、「電波放送行政につきましては、宇宙通信、テレビジョンの音声多重放送など、多様化、高度化する国民の情報需要の動向と国際的動向とに即応するとともに、今後もさらに増大する利用に対処し、適時適切な電波行政を推進してまいる」、こういうように述べられておりますが、放送衛星、多重放送、さらにはビデオや文字放送に対してどのような適時適切な行政をとられていくのか、具体的なお考えが伺いたいし、また、その決意を立ち入ってお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) 非常に情報化社会でございますが、いろいろと電波に関する研究も進んでおりますし、また社会的な御要望もそれにつれて進んでいるわけでございます。したがって、研究ができれば適時適切にそれを開放して一般の国民の皆さん方にも文化を享有していただこう、こういうことを申し上げているわけでございます。たとえば多重放送は現在二カ国語とステレオの二つでございますけれども、この程度では御要請にこたえるわけにはいかないということは、余り普及しておりませんということでわかります。したがって、いまいろいろ検討してもらっておりますけれども、画面に出ている補完的な多重放送、たとえばスポーツを画面で流している。まだスポーツのルールも知らない方はたくさんおいでになります。したがって、そのスポーツの競技を見せながら、ルールを多重放送で流しながら興味深く見ていただくような問題とか、日本の文化、歌舞伎、浄瑠璃等についても解説を多重放送でやっていったらどうか、こういうことでいま鋭意研究をしている最中でございますが、その他の問題についても、それぞれ研究ができ次第一日も早くひとつ皆さん方に提供したい、こういう気持ちでいるわけでございます。
○白木義一郎君 私は繰り返し申し上げるのですが、公共放送の重要性ということを中心に考えているわけですが、これらの、いま非常に世界的に日本のこの関係の技術開発が進んでいる、それをいま大臣の決意としては大きく国民に普及発展をさせたい、これはまことに結構なことでございますが、ただ、それにまつわるNHKの支出があるわけです。金がかかるわけですね。それについて、せっかく生んで育てた子供がもうけにならないとなると、よそに取られるようなことがあるわけです。その点、よく検討、研究をしていただきたい。せっかく開発したものが民間に企業化されてそして一般に市販されたりというようなことになりますと——という心配もしているわけです。 そこで、さらにお尋ねするわけですが、アメリカやイギリスなどの主要国では、公共放送がどのような独自の収益事業を行ってその財源の確保に努力しているか、計画段階のものも含めてお尋ねしておきたいと思います。
○参考人(坂倉孝一君) 外国の公共放送等の収入について、今後の開発の問題も含めての御質問でございますけれども、御承知のように世界各国の放送の形態はさまざまでございまして、イギリスのBBCのように、これはわが国、NHKと同じでございますけれども、受信料を唯一の財源といたしまして民放と並立をしているというようなところ、それからフランスでありますとか西ドイツ等ヨーロッパ諸国におきましては、公共放送が受信料収入と広告収入、この両方を収入として運営をしているところがあるわけでございます。それからアメリカにおきましては商業放送が絶大な力を持っているわけでございますけれども、それだけでは飽き足らないということで、公共放送というものの育成のために連邦政府の資金の導入あるいは自治体あるいは寄付金といったような形で公共放送というものが運営されているというように、さまざまな形があるわけでございますけれども、このうちBBCにつきましては、副次収入といたしましては出版事業あるいは番組の販売といった事業部門、こういったようなものからの収入も得ているわけでございます。しかしながら、これは金額にいたしますと、その利益といたしましては、BBCの受信料収入の一%程度でございまして、それが大きく収入財源のパーセンテージを占めるような形にはなっていないわけでございます。先ほど山本専務がちょっと触れましたけれども、昨年のBBCの値上げにつきましても、BBCの希望の六〇%というのが三六%程度に抑えられまして、これが下回っているといったようなことから、BBCとしては、今後については有料テレビであるとかあるいはケーブルテレビあるいはホームビデオの番組制作の可能性というようなことも含めて検討を進めたいという考えもあるやに聞いているわけでございます。 それからアメリカにつきましては、CPBという公共放送協会が設立されまして、そこでもって連邦政府の資金、それから地方自治体の資金、それに寄付金といったような形でやっておりますけれども、これはやはりアメリカの三大ネットワークの約七十億ドルの収入に対しましてこの公共放送機関では約五億ドル足らずの規模でございますので、ここにおきましてもいろいろな面で独自の収入を得るような努力はいろいろ検討されていると聞いております。それと同時に、第二次カーネギー委員会というところが昨年報告といいますか、勧告を出しまして、やはりこの公共放送につきましても、少なくとも八五年までには年間予算が十一億六千万ドル程度まで引き上げるような方策を考えるべきであるといったような勧告も出ている状況でございます。こういったようなことで、世界各国とも公共放送機関は非常にその財政基盤につきましては、先ほど先生おっしゃいましたような非常に危機といいますか、そういったような状況があることは以上のようなことでございます。
○白木義一郎君 いまお話しいただいたように、各国の公共放送も非常に収入源について苦心をしているというお話ですが、それではNHKとしてはできるだけ受信料は値上げをしたくないと思っていらっしゃるに違いありませんし、赤字は出したくない、しかも大いに技術開発をしつつ公共性を日本じゅう、あるいは国内にあるいは世界に広めていきたいという抱負をお持ちでしょうが、そこで具体的に独自の収益事業計画を何かお持ちですかどうか、現在やっていることはどんなことか、その点をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 冒頭申し上げましたように、そういう問題も含めて長期ビジョン審議会でいろいろと御示唆もいただきたいということで現在経営内部で検討しているわけでございますけれども、先ほど坂倉理事から御説明いたしましたように、やはりBBCあたりでもそういう形での副次収入ということに積極的に取り組もうじゃないかというようなことが言われておりまして、われわれも法の許す限りにおいてはそういう努力をすべきでございましょうし、さらにはそれが法体制の中でどういうことになるのか、場合によれば法体制そのものの御検討をいただくというようなことになるのか、そういうところが現在のわれわれの検討いたしております中心でございます。
○白木義一郎君 仰せのとおり、やはりそのルールを特に守らなければならないのは当然ですが、時間があれば、現在その法体系の枠がここまで広がればこんなことも考えているということまでお聞きしたいんですが、そこで大臣にお尋ねするんですが、NHKが公共放送であることを十分踏まえた上で、民放と当然異なる範囲を持った中でNHKにそろそろ独自の収益事業を認めていい時期に来ているんじゃないか、こういうように私は考えるのですが、大臣は、先ほどは私伺ったところでは消極的な御返事ですけれども、この放送事業とかあるいは電波事業ということは、大臣は建設専門ですから何とか道路をつくって建てていくということがあれですけれども、この放送事業というのは大変なことなわけです。電波というのは、いつ宇宙が始まったか地球が始まったか知りませんけれども、その宇宙の始まりからこの電波というのはあったわけです。これは空気と同じで各国地球上平等なわけです。それをいかに使うかということは、この使い方にもよく使うのと悪く使うのと将来はっきりしてくるんじゃないかと思います。恐らく放送公害とか電波公害というような問題も近い将来に必ず出てくる。そのときに強力なNHKの対策、基盤、それを確保しておかなければいずれNHKは衰弱していく、しぼんでいく、こういう心配を私は最近特に強く感じるわけでございますので、この辺で法体系の枠をある程度広げてNHK独自の事業計画を認めて、収益を図る努力を認めて力のある公共放送の方向へさらに向かっていかなければならないと思うのですが、どうも一部にはNHKが強く大きくしっかりするということを好まない風潮もあるように聞いておりますが、この収益事業計画の拡大とその二点、大臣にお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) 最後の方のNHKが余りやり過ぎるのを好まない風潮があるというのは私は全然聞いておりませんから、またいろいろ調査をしてやってまいりたいと考えております。 それから最初の、NHKはほとんど受信料でやっているたてまえ上経営が非常に苦しい。私はよくやっておられるなという気持ちを持っているものでございますけれども、そこでどういう事業を営利的にやったらいいかどうかということもよくわかりませんし、それからやはり営利の業務をやるということになりますと、公共性が私ちょっとずれてくるのじゃないかと思うんです。全然別の方向に行くとは思いませんけれども、営利の業務をやるためにずれるようなちょっと気がいたしまして先ほども消極的なお答えをしたのでございますが、もう少し研究をさしていただいて、NHKでも研究していただいて、この辺まではどうだろうというような点があればひとつ調査をしてまいりたいとは考えておりますが、私はやはり公共性ということを保持するために、やはり一部の企業的なあれをやるという点については現在のところ消極的でございます。
○白木義一郎君 そこで、消極的ということは反対なのかどうなのかというところまで伺っていいかどうかと思いながら伺うんですが、いまの御答弁だとちょっとNHKに対する不信が……
○国務大臣(山内一郎君) 不信はないですよ。
○白木義一郎君 いや、不信はないけれども、どうも心配だ、独走するんじゃないかというような大臣がお考えをちらりと述べたことも、ひとつ会長さん初めNHKのスタッフの方そのような心配をかけないように今後やっていただきたいんですが、その心配の具体的なイエスかノーかというと、結局はこれを法体系を広げてということに対しては消極的であり反対であるということになると、大臣の反対の理由をもう少しわかりやすく話していただくといいんですが。
○国務大臣(山内一郎君) 私は一般的なことを申し上げたのでございまして、NHKが不信であるとかなんとか、そういう点を申し上げたわけではございません。まず普通一般に考えて、何か営利事業をやって収入を得ようとすればそちらの方にやっぱり力が傾いていくのじゃないか。それでだんだん事業を広げていきますと、一般公共性が薄らいでやっぱり営利の放送をやった方が、営利関係の放送に重点を置かれるような気がして私は一般論を申し上げたわけでございますから、NHKが不信だとかなんとかという点ではございませんから、その点を補足して修正さしていただきたいと思います。
○白木義一郎君 そこで、情報格差の点についてお伺いをしておきたいんですが、現在、わが国においては情報化社会の時代であると言われておりますが、これは何も日本だけに限ったことではない世界的な傾向だと思います。現在では茶の間で世界に起きた事件がお茶を飲みながらわかるような時代に入ってきたわけです。 そこで、いま日米間で大変問題になっております自動車の輸出の問題なんかは、アメリカの報道が、日本の車がどんどん上陸してきてそのために大量な失業者が出て非常に困っている、日本はけしからぬというような状況に、アメリカの国民はそのような報道を聞きまた見ているわけです。ですから、いわば一方的にアメリカの国民はニュースによってそういうふうに受けとめて日本の国はけしからぬ、対日感情が悪化するんじゃないかという心配もあるわけですし、またいつごろでしたか、壱岐の方ですか、イルカをとるところをアメリカへニュースを流した、そのために非常に日本人というのは残虐な人種であるというような印象をアメリカ国民が持ったとか持たないとか、そういうこともあります。それについては、本来ならばわが国はいやそうじゃないんだ、われわれ自動車産業に従事する者はウサギ小屋に住みながら技術開発とかあるいは健全な企業の管理をしてそしてやっているんだということを、いわばアメリカ国民に打ち返す必要があってあたりまえだと思います。 そこで、アメリカにはUPIとか、イギリスにはVISニュースとかいうのがあって、どんどんそういう点について実態を国民に知らせたりPRをしたりしていることが行われているということを承知し、また世界にそのニュースを配給している。ところが、わが国には、私の知る限りではそういう組織がなく、世界のニュースを一方的に受け入れてしまうだけだ。今後こういう役目、こういうことをするのがNHKの任務ではないかというように考えますが、その点、どのようにNHKで対処あるいは検討をされておりますか。
○参考人(田中武志君) お答えいたします。 先生御指摘のように、海外情報が大量に日本の方へ流れ込んできて、それに反して日本に関する情報が諸外国に行くのがそれほど大きくないというような情報量の格差ということについては、確かに私も存在しているというふうに思います。しかし最近になりまして、いま先生御指摘の自動車の貿易摩擦などを契機にいたしましてアメリカ、ヨーロッパ諸国からの日本に関する関心が非常に高まってきております。たとえばNHKでも放送いたしましたけれども、アメリカのNBCの「日本にできてなぜアメリカが……」というような番組も向こうでつくったのをこちらで御紹介いたしましたけれども、そういうふうにいろいろ動きもございます。そういう意味合いから、こちら側の日本側の国内情報を積極的に現在提供して理解を求めるという時期だと私は思っております。 そういう意味合いで二、三具体例を御紹介いたしますと、特にニュース関係の映像素材につきましては、東京サミットのときでは約十六件も諸外国にいろいろ衛星を使って提供したというような事例もございます。また毎月一回ではございますけれども、世界の十二の放送機関に対しまして日本各地の話題、そういったものを紹介する文化ニュースを送っております。 それから二番目に申し上げたいのは、外国への情報提供ということにつきまして、NHKと海外の放送機関との協力取材でございます。これにつきましては、昭和五十四年度だけでも二十五カ国、三十五の放送機関といろいろ協力要請を受けまして対応してきたということで、その一例を申し上げますと、ことしの夏フランスで放送されました「今日の日本」、これはフランスの第二テレビという放送機関が日本の紹介番組、向こうの方からスタッフが来まして、NHKも協力しましたが、つくったものでございます。これが大変フランスの国内で高い関心を呼びまして、その週の視聴率三位だったということも聞いておりますけれども、こういったこともやっております。 そのほか、御存じのように海外の、番組コンクール、これにはNHKとしては積極的に参加いたしまして、できるだけ番組交換、国際交流ということに意を尽くしておりますし、また、この秋の初めでありますけれども、アメリカの公共放送であります。ネットワークでありますPBSを通じまして、向こうがNHKの番組、ドラマとかドキュメンタリー五本を毎週一回ずつ五週間にわたりまして、NHKから購入したそういった五本の番組を全米に紹介して、これも大変好評を得たというデータを持っております。先生御指摘のように、こういうふうにできるだけ外国へ日本国内の情報を提供するということについては積極的な姿勢でひとつ取り組んでいきたいというふうに思っております。
○白木義一郎君 大臣、そういうわけでして、NHKとしては大変な努力をして、ない金を都合して盛んに、表現は悪いですけれども世界に向かって打ち返している。PRをしている。こういう状況で、これは必ず将来、各国でも民間放送とそれから公共放送の接点、日本でもこれが急速に近い将来に問題になってくるだろうと思います。したがって、今度は世界的な問題として電波をどう扱うかということは非常に重大な問題になるんじゃないか、このように思っております。 そこで、民間放送と公共放送の接点という点で、最近野球放送の解説者の上田君だとか藤田君が巨人軍の監督にまた返り咲いてしまった、これはいい事例になるかならないかはあれですけれども、いわば引っこ抜かれるわけです。そうしますと、そのうちにアメリカのように、すばらしいアナウンサーが、ようやく長年NHKで訓練を受け育ったアナウンサーがぱっとすばらしいギャラで民間放送へ引っこ抜かれた。というのはアメリカであるらしいんですね。そういうようなことが起きがちだということを心配して、その点でNHKがしっかりした経営基盤をいまのうちに持つように、また政府としてもこれをしっかりと応援をしてていただきたい、そういうことで申し上げているわけでございます。 そこで、NHKが真に公共放送としてその使命を果たしていくためには、編集権や経営の主体性が尊重されなければならないのは当然だと思いますが、ところが、このたび特殊法人が行政監察を受けるようになってNHKもその対象となっております。しかし百十一ある特殊法人の中でも公共放送としてのNHKの持つ使命というのは他の特殊法人とは非常に大きな隔たりがあると思います。たとえば同じ特殊法人でも、競輪なんかとNHKとは全然比較にならない内容の問題があるわけですが、そこで大臣は、NHKの言論の公平、そういうことを保障する点についてどのようなお考えか、伺いたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) 行政管理庁が特殊法人をいろいろ監察に関連して調査をやることになったわけでございますが、私は、やっぱり放送というのは公共性があるものでございますので、郵政省の管轄である放送法ですね、放送法に厳としてこの条項が入っているわけでございます。したがって、行政管理庁がどういう調査をやって結果をお出しになるかわかりませんけれども、事放送の中立性といいますか、放送には放送法の所管の大臣である郵政大臣もその中に入り込むことができない、こういうふうに厳に書いてあるわけでございますので、行政管理庁がいろいろ調査をやりまして話し合うような場合にはこの放送法の立場を厳として守って、先生のおっしゃったような心配がないようにひとつやっていきたいと思います。
○白木義一郎君 それで最後に、もう一度大臣のお考えを伺っておきますが、これは放送文化基金の、先ほど申し上げましたけれども、常務理事のレポートの中の「PBS年次大会におけるアメリカのミノー理事長の演説」の翻訳ですが、パブリック・ブロードキャスティング・サービス、公共放送の組織だろうと思いますが、その中でミノー理事長はこういうことを述べられているわけです。 われわれが片時も忘れてはならない最優先の原則があります。………われわれは決して連邦政府によって作られたものではなく、またそれに従属するものでもありません。われわれは連邦政府の放送システムではありません。われわれはホワイトハウスの放送システムではありません。われわれは資金提供者の放送システムではありません。われわれは公共の放送システムなのです。そしてこのことこそ、われわれが片時も離れてはならない基盤なのです。 こういう演説をされておりますが、私はまさにわが国の公共放送NHKの精神、あり方もこのとおりだと思いますが、最後に大臣のお考えを伺います。
○国務大臣(山内一郎君) 全く同感に考えております。
○白木義一郎君 どうもありがとうございました。
○山中郁子君 NHKの五十二年度決算の審議に当たりまして、私は具体的な幾つかの問題について質疑もし、改善方のお約束もいただきたいと思っております。 初めに、NHKの経営の基盤をなす主要なファクターとして受信料制度の問題がかねてから論議もされているわけですけれども、私も逓信委員としてこの参議院の逓信委員会でもそれらの問題について何回か議論もいたしてまいりました。その経過の中から現在の受信料制度というもののすぐれた面、それを支えるものは公共放送であるNHKの放送内容の引き続く向上、国民から支持を受けるというものと同時に、もう一つはすべての国民がそれを享受できるという、具体的には難視聴問題として一貫して議論になっているわけですけれども、そういう二つの柱によって、そのことを克服し解決していくことによって国民の支持も得、現在の受信料制度に依拠してNHKの経営基盤もそれから公共放送たる使命も発展をさせていくという基本的な考え方ということでNHKの考え方もいままで披瀝されてきたところですけれども、その点について会長さんの所見をまず初めにお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 山中先生のおっしゃるとおりでございまして、私、会長に就任以来、NHKの使命は番組で視聴者にサービスするということであるのだから、何をおいても番組の充実ということをまず第一に考えるべきであろう、と同時に、幾ら番組をよくしてもそれが良質の電波という形で御家庭に届かなければこれはもう全く意味がないわけですから、そういう意味で良質の電波でもって御家庭に届けるという難視の解消、この二つが私のしなければならない大きな柱であろうということを当委員会でも機会あるごとに申し上げてきた次第でございまして、その考え方に毫も変わりはないということを申し上げたいと思います。
○山中郁子君 具体的な、国民が良質な電波によって放送を享受するという側面の問題について具体的な点できょう若干の質疑をしたいと思うわけですけれども、たとえば先ほどいろいろお話がありました現在の不払いの方たちの中にも、基地周辺における不良ですね、受信不能ないしは不良ということで、私の理解ではたしか十数万件が基地周辺のそれらの問題に起因しているということも把握しております。それらのことについてお伺いもするわけですけれども、すべての国民の放送、テレビの享受という意味から、来年国際障害者年という年を迎えるに当たりまして、障害者関係の施策について初めにお伺いをしたいと思います。 この点につきましては、政府を初め関係方面で鋭意総合的な検討が進められ、また具体化が図られているということが国会の中でも幾つか披瀝をされているわけです。その一つとして、さきに中央心身障害者対策協議会が内閣総理大臣あてに「国際障害者年事業の在り方について」ということで具申をいたしました。当然のことながら政府の諮問に基づく答申という性格を持っておりますので、政府がこれらの具申を尊重して、その要求について解決を図るための万全の努力をされるということは間違いのないところだと思っておりますけれども、とりわけ、その中で指摘をされております啓発活動というのが強調されておりますけれども、これらの点に関しては公共放送たるNHKの負う役割りというものも大きなものがあると思います。 初めに、この中央心身障害者対策協議会が総理大臣あてに具申をいたしました「国際障害者年事業の在り方について」という八月十二日付の意見ですが、これは郵政省としてもこの意見を効果的に、政府においても具体化努力をされるというお考えに変わりはないと思っておりますけれども、初めに郵政大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) ただいまの国際障害者年に対します政府としての取り組み方については、郵政省の所管のこともいろいろあるわけでございますけれども、その辺については十分対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○山中郁子君 いまも申し上げましたけれども、この中でも国際障害者年の趣旨等に基づき啓発活動、障害者対策及び国際協力の三点に重点を置いて国際障害者年事業を進めるべきであるということで啓発活動というものが一つの大きなウエートを占めて提起もされているわけです。当然、NHKにおけるこれに果たす役割りというものも大きなものがあると思いますし、NHK自身もそれなりの準備なり検討なりをされていらっしゃると思いますが、啓発活動なり広報活動なり、国際障害者年に向けてのNHKとしての準備状況をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(田中武志君) お答えいたします。 来年、五十六年一月から十二月まで国際障害者年ということで、われわれ番組編集の基本でありまする五十五年度の国内番組編集の基本計画の中にも一つの柱として、国際障害者年に当たっては関連番組を編成して広く一般の理解と認識を深めるというような柱を立ててすでに作業を始めておるわけでございます。これにのっとりまして、具体的にはすでに放送総局の中に障害者年に取り組むプロジェクトを発足させまして、いまいろいろ番組その他についての準備を進めております。 一、二御紹介しますと、これから進んでまいります障害者年に関する行事だとか催し物などの計画の進みぐあいに合わせましていろいろ具体的な計画を進めていくということのほかに、番組面では、昨年の国際児童年で大変好評を得ました一分間のミニキャンペーン、昨年は「世界の子供」ということでありましたけれども、今度は「地球の仲間」というテーマで障害者年を一年間キャンペーンを続けたいということで、すでにいろいろオーディションもつくっているわけでございます。そのほか、年間幾つかの特別番組などもすでに企画をいたしまして、その一、二はすでに取材にも当たっているという状況でございます。そのほか、定時番組の中のいろいろ関連のものにつきましても、この趣旨を踏まえまして内容をこういったものの中でいろいろ盛り込んでいきたいということを考えております。
○山中郁子君 もうちょっと具体的なイメージが知りたいという感じもするんですけれども、いまおっしゃいました国際児童年の例の「世界の子供」というミニキャンペーン、あれは何かゴダイゴの歌だけ——ゴダイゴの歌だけじゃないけれども、あとミニキャンペーン「世界の子供」というのが入っていて、それはそれで、それにけちをつけるつもりはないんですけれども、どうもNHKの国際児童年のキャンペーンというとどうもあれだけがぱっと思い起こせるという感じで、いま国際児童年に関する番組の論評をするつもりはありませんし、個人的な見解でもありますけれども、国際障害者年は、やはり医療とか労働、教育、生活、あらゆる分野にわたっての系統的な、かつ総合的な特別番組的なかなりウエートを持った期待をしていていいのかどうかというような点について、もう一つ教えていただければと思うんです。国際児童年に関しては、やっぱり皆さん、あ、あれはゴダイゴの歌でやっていたなということはあるんだけれども、よりやはり障害者の方たちが国際障害者年という形で、私はやはりかなり人類社会における世界的な意味での歴史的な意義を持つ障害者年という問題だと思いますので、かなり総合的な系統的な特別番組なんかにも力を入れていただいているというように理解してよろしゅうございますか。
○参考人(田中武志君) そのとおりでございまして、もう少し詳しく申し上げますと、現在海外取材などをしておりますのは、たとえばサリドマイドで障害を受けられた、すでにわれわれの放送の中でも取り上げました方などをさらに海外取材などで幅を持たして特別番組で放送するとか、あるいはいま御指摘のように、北欧を中心に障害者に対する理解あるいは医療制度、そういったものが非常に日本より進んでいるところが多うございますので、そういう社会あるいは医療制度、そういったものをつぶさに紹介するような番組、そういったようなことをわれわれ現在考えております。そして年間の一年間を大体一期、二期、三期ぐらいに分けまして、それぞれテーマを設けながら重点的にこういう障害者年の意義を強調していきたいというようなことも考えております。
○山中郁子君 具体的に障害者の方たちのテレビ放送の享受という問題になるんですけれども、これは前にも参議院の公職選挙法特別委員会で、ことしの四月二日でございましたけれども、わが党の議員の質問に対して自治省などが答弁をされていらっしゃる問題です。つまり手話通訳の導入の問題ですね。とりわけ国民の政治参加の一つの基礎的な基本的な問題としての政見放送での手話通訳の導入の問題です。これは、このときにNHKともいろいろ相談もし研究もしたいという御答弁があったんですけれども、協議もされていらっしゃると思いますし、障害者年を迎えるに際してのやはり一つの前進させるべき分野であると私どもは思っておりますけれども、その点についての研究、御協議の経過などはいかがになっていますでしょうか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 政見放送の中に手話を導入してはというお話でございますけれども、先刻御存じのように、現在実施しております政見、経歴放送というのは公職選挙法に基づいて行っております。これについては自治省の方が中心に研究を現在なさっておりまして、私たちも助言的な立場でいろいろ参画しているわけでございます。ただ、これも御存じのように、手話による情報伝達というものがその正確さ、それから政見放送の持ちます。番組の持ちます公平性の確保というようなところの点でいろいろ問題もまだ多々残っておりますので、その辺については今後慎重にひとつ検討してやっていきたいというふうに思っております。 なお、最後のお尋ねでございます手話などにつきます研究につきましては、私ども五十二年度から御存じのように「聴力障害者の時間」ということで手話を前面に押し出した形での番組を放送しておりまして、ことし五十五年度からはその時間枠もわずかでありますけれども広げたりしてやっておるわけでございまして、それに呼応いたしまして私どもの総合放送文化研究所におきましても基礎的な研究を五十二年以来続けております。 五十二年度におきましては、新しくつくりましたこの「聴力障害者の時間」の内容の理解度の調査というのをやりましたし、また五十三年度におきましては、手話の地域差と理解度の調査、それから字幕つき番組の視聴反応というような研究も行いました。昨年は、さらに基礎的な手話の単語の理解度というような研究、それから「聴力障害者の時間」、現在やっておりますこの番組の内容の希望などについての調査も行っているということで、これからもこの辺の調査につきましては鋭意続けていきたいというふうに思っております。
○山中郁子君 努力されていらっしゃることを否定はしませんけれども、いま公正性とおっしゃいましたけど、それは私本末転倒しちゃまずいというふうに思うんです。聴力障害者の方たちが公正にテレビ政見放送、政治参加の一つの基本的な権利でありますテレビ政見放送を聞けるかどうかという問題が、聞けない状態が不公正なんであって、それをやはり公正にテレビ放送を享受できるように努力するということが一番最初に坂本会長からも御所見を伺った中身の一つなんですね。努力なさっていることはいいんですけれども、これは大分やっぱり長い問題になっているんですよね、この手話通訳の導入の問題は。私、全然おやりになっていらっしゃらないとは言いませんし、多少おやりになっていらっしゃるということもあるんですが、それの理解度の調査、地域性の調査、いろいろお挙げになったけれども、じゃどのぐらいそれで調査して、どのぐらい導入のめどをつけられるのかというふうなことについて、具体的な御計画はどうですか。
○参考人(田中武志君) いますぐここでいつごろというめどはちょっとつけがたい状況でございますけれども、先ほど申し上げましたような研究も続けて行っておりますので、そういった内容なども十分勘案しながら自治省と私どもとの間でいろいろ研究していくということでございます。
○山中郁子君 いまNHKでは、それじゃどういう番組でどのくらいの手話通訳を導入していらっしゃるのかというのを伺いたいんですけれどもね。私の知る範囲では民放の方がより多く手話通訳番組を登場させていると思うんですよ。そういう点では、私はもっともっとNHKがそれの問題について積極的におやりになるべきだと思うし、民放におくれをとっているようだったら、本当に熱心に積極的に一生懸命そのことを研究して一日も早く実現したいと思っていらっしゃるのかどうか疑いたくなるという、そういう気持ちさえあります。もう少し何とかめどをつけて誠意のある答弁をしていただきたいところなんですけれども、会長、いかがですか。
○参考人(坂本朝一君) 私ども、聴力障害者の方々に対するサービスはゆるがせにすべきでないというそういう山中先生の御見解には全く同感なんでございますけれども、多少言いわけめきますけれども、御説明をお許しいただきますと、手話というものが、聴力障害者の方々に手話をサービスするということが一番望ましいことなのかどうか。要するに読唇と申しまして、くちびるを見てそして御発声になって御自分でおしゃべりになる、そういうことも聾唖者の方の幸せにつながるんじゃないか。かたがたスーパーで文字をお読みになってその中身を知るということ、そういう方法も聾唖者の方々には大事な一つの要素ではないか。手話というのは、何と申しましてもボキャブラリーが乏しゅうございまして三百ぐらいしかない。それは小学校の一、二年程度のボキャブラリーしかない。ただし日常のことには手っ取り早くわかるのですけれども、少し複雑なことということになりますと手話だけに頼るということには問題なしとしないという御見解も実はあるものですから。そして、手話というのは、手話と言うけれども、あれは体全体で表現しておりまして、そしてやはり体全体が映りませんと聾唖者の方々に十分なサービスにならないというようなこともありまして、私どもは手話の時間というのは全身を出して手話をするという演出もとっておりまして、そこら辺のところの兼ね合いがなかなかむずかしいものでございますから、民放さんがおやりになっていることも確かに承知しておるのでございますけれども、耳の不自由な方、言葉の不自由な方の幸せということを考えますときに、手話一辺倒になっていいのだろうかどうかということに多少の不安もございまして現在検討しておるという、そこら辺のところもおくみ取りいただきたいと思う次第でございます。
○山中郁子君 私も、その辺のことは重々いろいろよく承知しています。だから手話一辺倒でやれというふうに言っているわけではないんです。だけれども、現実の問題として、私どもさまざまな点で、国会議員としての活動の一つであります演説会だとか、そういうところでもやはり手話通訳です。ほとんどいま。だから、いわゆる読唇とおっしゃった口話ですとかテロップだとか、いろいろありますわ。だけど、どれが万全であるかないかということを何か長々検討されていていつまでたってもそれが実現しないということについては、むしろ不公正じゃないかということを私は申し上げているわけです。 だから、その点では、御承知だと思いますが、全日本聾唖連盟という団体ないしは障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会などが、いま坂本会長もおっしゃった統一手話だとか、ボキャブラリーが少ないなどのそういう難点についても一定の見解を持ってさまざまな本も出しているし、考え方も出しています。だから、たとえば手話が限定されるから、ボキャブラリーも限定されるから正確に伝わらないおそれがあるというふうなことなら、たとえば希望者だけでもいい。そういうことによって、言いたいことが全部伝わらないのは困るという方には何も無理やりしなくてもいい。希望者だけでも、私はそれでもいい。それでもいいから、ぜひ聴力障害者の方にも聞いてもらいたいということだって出てくると思うんですね。だから、その辺まで入れば、それはNHKだけの問題じゃなくて、公選法の関係ですから自治省との関係にもなりますけれども、自治省それ自身も、先ほど申し上げましたように、放送関係者の方ともいろいろ協議をしてと、こうおっしゃっているわけですので、私はそういう点を申し上げているんです。 そこら辺のことはぜひNHKとしても、いま私が申し上げました団体の方だとかこういう方たちは、やっぱり全体の聴力障害者の方を何らかの形でカバーしてパイプにもなるところでもございますから、その辺はぜひ直接お話し合いをなさるなり何なりして、その道を開いていっていただきたいということです。私、NHKがいつまでたっても研究しています。研究していますと言ってそれで終わらせるとはもちろん思っていません。思っていませんけど、国際障害者年というのは、そういう意味では大きく前進させるいい機会だし、また、そういうことを前進させるためにこそこうした国際障害者年というものも設定されているわけですから、そこのところをぜひともお考えいただきたい、こういうことでございます。再度具体化について、ぜひとも、いつとおっしゃらなくてもいいけれども、お約束くださいな、慎重だけじゃなくて。
○参考人(坂本朝一君) 私の言い方が不十分でお気にさわったらおわびいたしますけれども、決して消極的ではございませんで、むしろ積極的である。したがって手話の時間を設けているという積極性を持っておるわけでございますが、ただ、いま田中担当理事から御説明したような問題もあって、多少時間的な経過が長引いているということになろうかと思いますけれども、そういう問題の解決には鋭意努力したいというふうに考えておりますので、ひとつ御了解願いたいと思います。
○山中郁子君 私が一番最初に申し上げました、すべての国民が享受できるということの一つの重要なファクターであるということ、同時に、国際障害者年というそういう設定された意義にも照らして提起をしたということについて十分おくみ取りいただきたいと思います。一層の積極的な、障害者年を契機としての具体化の道を開いていってくださいますよう重ねて要望しておきます。 それで、中心的な問題はやはり難視聴の問題だと思います。国民のテレビを享受するという問題に関しては。中身の問題はもう一つの柱としてありますけれども。その点に関して、ひとつ具体的な問題でお尋ねをしたいんですが、電力線によるテレビ電波の障害の問題なんです。これは、ことしの五月の当委員会でわが党の沓脱委員が質問をしておられる問題なんですが、ここで郵政省は電力会社には原因者責任主義をもって指導していると答弁されています。この点については間違いないところだというふうに思いますけれども、もう一度確認をさせていただきます。
○政府委員(田中眞三郎君) 原因者責任主義というたてまえでいままで参っております。
○山中郁子君 この障害状況については全国的な状況を調査して対策を検討するというふうに、NHKは四月二十四日同じく沓脱委員の質問に対して答えておられますが、調査の状況だとか対策なんかについてお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。 この前、国会でそのような答弁を私の方で申し上げたわけでございますが、それ以降電力線の障害につきまして、神奈川県の橋本送電線を対象にいたしまして、できるならばこれを正規化することができないかということを主目的にいたしまして、これは国会で御答弁申し上げた中身は、もしもサンプリング調査をすることによって全国における送電線の障害の把握ができないかということにつながるわけでございますので、そのために正規化するための調査ということを実施してみたわけでございます。それをやってみますと意外に非常に複雑でございまして、たとえば送電線の構造並びに高さ、それから送電線の種類でございますが、これは二線式、正確には二導体送電線、四導体送電線、六導体送電線というようなものが複雑に架設されておるような状態。そういうものと、それから架線の方法でございます。言うなれば送電線のたるみでございます。こういうようなものが非常にパラメーターが多くて正規化することが非常にむずかしいということがわかったわけでございます。 それで、今後のこれの調査といたしましては、この送電線の障害範囲というものを、たとえば高層物の障害のときに開発いたしましたようなゴーストアナライザーみたいな送電線の長いものに対しての測定器、こういうものの開発を取り進める必要がある、これがまず一点でございます。 それともう一点は、橋本のようなところというのは、一つは、これは全国の送電線の架線地に必ずしも適用できるわけではございませんので、ある程度全国の障害数を把握するための障害の形状の測定、そういうものをそろえまして今後調査を引き続きしてまいろう、さように考えている次第でございます。
○山中郁子君 神奈川県の国鉄の相模線に沿った形での東電の相模川線ですね。
○参考人(高橋良君) そのとおりでございます。
○山中郁子君 それで、これなんですけれども、私がいま一つ問題にしたいのは、東電が地元に説明したりなんかしているいわゆるこれによって起こってくる電波障害の対策を講じなければならない地域、この地域は実際上障害が起こる地域の中の一部なんですね。そこからトラブルが一つは起こっているんです。この問題は、もともと電波障害だけの問題でなくて、いろんなほかの問題もありまして、地元の方はいわゆるこの高圧線に反対するという運動になっているんですけれども、きょうは、こちらのあれに照らして私は電波障害の面から申し上げるわけですけれども、当然ですけれども電波障害の場合には反射障害、それから陰の障害、それから誘導電波ですか、その辺のファクターがあると思うんですけれども、その点間違いないですね。
○参考人(高橋良君) そのとおりでございます。
○山中郁子君 ところが、東電がそういうことで対策が必要だというふうに言っているのは反射部分だけなんですよ。しかも、この反射部分の全部じゃないんですね。約三分の二程度なんです。だから反射部分だけでも三分の一の地域は抜けちゃっているし、陰の部分は全部抜けちゃっているという、そういう対策だというふうに言っているんです。このこと自体、私は大変問題があると思うんですけれども、先ほど郵政省も原因者負担ということで基本的にはっきりしているとおっしゃったんですが、電力会社が実際問題としてそういうやり方でもってサボるというか手抜きをするというか、というふうになっている面がどうしたってあるんですわね。この辺についての御認識があるかどうか、ちょっと聞かせていただきたいんです。郵政省にも聞かせていただきます。
○参考人(高橋良君) 大変失礼でございますが、寡聞にいたしまして、先生ほど詳細には東電の方から報告は受け取っておりません。
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。 受信障害でございますけれども、非常に初期の段階では原因者責任主義ということで、皆様の、建築主側の御了解も得ましてかなり私どもといたしましてはそういう思想が定着したやに感じておりましたわけですけれども、近年になりまして非常に高層物がたくさん出てまいった、あるいは複合をしてまいった、大規模化し複雑化してまいったというようなことで原因者の特定そのものが困難になってきたというようなのが実情でございます。そういうところで、私どもといたしましては、やはりだれにも納得のいく障害であるという基準がないといかぬだろうというようなことで、高層建築物等による受信障害の技術基準というものを確立しなきゃいかぬということで、この六月から学識経験者から成ります受信障害の認定基準に関する調査研究会議というもので受信障害の客観的な手法による認定基準を策定したいというようなことで、複雑化する障害に対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○山中郁子君 それはそれとしてまた議論のあるところなんですけどね、いわゆる原因者が単純に特定できないというふうなケースの場合。だけど、これは特定できるんですよ。高圧線の鉄塔ではっきりしているわけなんです。先ほども確認されましたように、反射部分、つまり簡単に言うと送電線によってこういうふうに線が引かれるでしょう。そして鉄塔があるでしょう。電波がこっちから来ますね。そうすると、この反射部分こっち側、それと陰の部分こっち側、その両方が障害になるわけですね。ところが、この相模川線の場合の東電が地元との話で言っているのは、この反射部分しか言っていないんです。しかも、この反射部分の一部は残しちゃっているわけね。三分の一は残しちゃって三分の二の範囲だけしか言ってない。そこから一つは問題が起こってくる。そこのところをだから私確認してほしいと思うんです。行政指導としても。さっきNHKでも認められましたけれども、反射それから陰、それから誘導電波、そうしたファクターが電波障害としてはある。しかも高圧線の場合に、その鉄塔に基づく原因者というのがはっきりしているといった場合に、それにもかかわらず東電はそういうやり方をしているわけよ。つまり手抜きもするし、サボるしということで、何とか自分たちがいろんな点で負担をするところを少なくしょうとしているというふうにしか考えられない。その辺のところを私いま申し上げているので、一つは、いま報告をそれほど詳しく聞いていないとおっしゃいましたけれども、それはぜひ改めて確認してください。私の方で確認したものもありますし、現実の問題としてはそうで、実際問題として座間のその問題に関して言いますと、相模川線の問題に関して言いますと、桜田住宅だとか、それから座間高校だとか、そういうところはみんな手当ての地域から抜けちゃっているんです。そして相当の戸数がそこに密集している。それから陰の部分でも、これはちょっと見当つきませんけど、私なんかが地図でざっと見ても五百戸やそこらの住宅はあるんです。そこに対して何にも手当てはしないというのが東電の姿勢なんですということをいま私申し上げているので、NHKさんに対しては、そこのところをもう一度とにかく早急に調査もしていただくということと対応、それは東電との関係で。それから郵政省に対しても、その辺についての行政指導を、具体的な問題として認識していただいた上で、それをやっていただきたいということなんです。お答えを両方から。
○参考人(高橋良君) ただいま先生から御指摘いただいた部分につきましては、東電の方から十分情報をとりまして、できるだけ調査するようにこれから計画してみたいと思っています。
○政府委員(田中眞三郎君) 先生御指摘の具体的ケースにつきましては、私、不勉強で詳しく存じ上げていないのでございますけれども、一般に高層建築物等を建てます場合には、私、火力発電所の場合で、ちょっと地方は違いますけれども、そこの場合ですが、当然この火力発露所の建設によりまして障害が予想されるということでございましたので、建設を開始する以前に受信状態を調べる、それから建築中に調べる、建築後に調べるというようなことを行いまして、住民の方々とも御納得の上で火力発電所の建設者に対しまして必要な措置を講じてもらったケースが記憶にございますけれども、やはり建設前の状態と、建築中も問題ですが、建築後にどう影響が出てくるかというような、どう言いますか、実際に即しました手の込んだ手当てというものが必要ではないだろうかというふうに思っておる次第でございます。
○山中郁子君 電波監理局長に伺うというか、もう一つはっきりさせたいんですけど、いま私が具体的な問題で申し上げたのは、郵政省は電力線の問題に関して電力会社に原因者負担という立場からきちんとした指導を、そういう立場できちんと立てています。こうおっしゃっているわけ、もともとがね。それは電力会社だけに限りませんけれども、少なくとも四月、五月の逓信委員会での沓脱委員の質問に対して、具体的な電力線の問題で申し上げたわけですから、そういうふうに言っていらっしゃる。先ほどそれを私は確認しました。 いま私が具体的に申し上げているのは、東電が反射部分だけ、しかも全部じゃないけれども、陰の部分を全然影響があると見ていないということなんですよ。いま高橋さんにも確認したんだけれども、電波障害は反射部分と陰の部分と両方出るわけです。出ることがはっきりしているのに、最初から陰の部分を問題にしないで、障害が起きるのはこちらだけだというふうに言うのは間違っているんだから、その結果が実際問題としてどういう結果になるにしても、最初から陰の部分はないというようにすること自体が手抜き、手抜きという言い方おかしいけれど、電力会社の出し惜しみになるんじゃないかということを言っているので、そこの辺の行政指導をきちんとしてくださいということを申し上げている。
○政府委員(田中眞三郎君) 非常にブロック的になっております高層建築物等では、その辺、陰、反射等も非常に明確かと思いますけれども、電力線の場合、私、不勉強で、何十層も線を並べるということになりますと、陰の部分も出てまいりますし、反射も出てまいろうかと思いますが、その辺の実際にそうした電力線等を張りましたときにどういう影響が出てくるのか、陰として、また反射として。ということで、その辺も先ほど申しました受信障害の認定基準の研究テーマの中に十分入れてもらいまして、それによりまして指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○山中郁子君 余り時間使うつもりないんだけれど、私言っているのは、最初から東電はこの問題について陰の部分を頭に入れていないわけ、そのことについて言っているの。それはけしからぬでしょうと言っている。だって、当然反射の部分も陰の部分も障害として基本的に、理論的にはある。それにもかかわらず反射の部分だけしか言わない。考えない。そして陰の部分は全然頭から考えないんだから入れていないんですよ。地図見せましょうか。東電の説明です。これ。このことはけしからぬでしょうと言っているの。そういうふうにちゃんと言ってくださいよ。だから、そのことをちゃんとやってください。電力問題についても原因者負担だということは、そのことがはっきりするしないなんという問題をいま言っているんじゃないんです。陰の部分は全然もともと何にも影響がないというふうに決めちゃうこと自体がおかしいでしょうと言っているの。
○政府委員(田中眞三郎君) 影響の実態を認識いたしまして、十分指導してまいりたいというふうに考えます。
○山中郁子君 なぜいつまでもそういうふうな言い方にこだわるのか私わからないんですけれども、何で郵政省が東電の味方をしなきゃいけないんですか。——でしょう。言ったらいいじゃないの。陰の部分もあるんだから、陰の部分についても同じようにちゃんと調査もし、それから調査した上で陰の部分はより少ないとかより多いとかということがあれば、またそれは別の話ですよ。全然陰の部分を最初から考えないという、そういう調査なり対策はおかしいでしょうと言っている。そのことをなぜ認めないの。
○政府委員(田中眞三郎君) 十分検討した上で必要とあれば対策を講じさせたいというふうに考えます。
○山中郁子君 もう一つだけ確認いたしますけれども、先ほど高橋さんは、NHKに私が質問したのでは、高圧線電波障害の場合に、つまり鉄塔も建つわけですから、それで反射の部分と陰の部分と電波誘導のそういう障害が出るということをおっしゃったわけ。それは電波監理局長としても異論はないわけですね。
○政府委員(田中眞三郎君) ブロック的な建物あるいは鉄塔あるいはこういう送電線等、それの本数等々によりまして陰の出方、反射の仕方というものは多少やはり変わってくるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。その影響の度合いによりまして、やはり対策する仕方の程度に差が出てくるだろうというふうに予測しておりますので、私、奥歯に物のはさまったような言い方でございますけれども、影響が出た場合にはその程度に応じて適当な措置が必要であろうということでございます。
○山中郁子君 程度がみんな同じだなんて私一言も言っていないですよ。そんなこと質問していないですよ。もう一度言いますけれども、反射部分、陰の部分、電波の誘導、そういうファクターがあるということをお認めになるんですね。その程度はいろいろあるということはあたりまえなんだから、そんなことを聞いていないんですよ。ちゃんと質問に答えてください。
○政府委員(田中眞三郎君) 当然でございます。影響の範囲をすべて調べるべきであるというふうに考えております。
○山中郁子君 当然であれば、東電がやっていることがいかに手落ちであるかということは当然わかるんです。 技術的なことでお尋ねをいたしますけれども、影響範囲の客観的な問題その他について先ほど電波監理局長もおっしゃっておられましたけれども、いま、たとえば高さの二乗の範囲というような影響範囲の基準、そういうような話も聞くこともあるし、その辺の見当なり基準なりというものは大体どの程度までにいま考えられているんですか。たとえば鉄塔の場合に、この鉄塔が、ここの具体的な場合で申し上げますと、六万六千ボルトで三十五メートルの鉄塔が建つわけですけれども、その場合には三十五メートルの二乗の範囲が障害が何らかの形で、程度はいろいろありましょう、だけど何らかの形で障害が出る範囲というふうに大体計算できるという説もあるというように私は伺っているんですけれども、その辺についての、それがどの程度信憑性があるのか、あるいは研究なり何かがいまどの程度までいっているのかということを、範囲の問題としてとりあえずお伺いします。
○参考人(高橋良君) ただいまの先生のお話の鉄塔の高さの二乗ということの理論については、私、浅学にして存じ上げておりません。ただ、高さと、それから先ほど申し上げましたように構造物の形状並びにその送電線の導体、そういうふうなものが非常に複雑なパラメーターできいておるということで、先ほども申し上げましたように、それを測定することによって、たとえばどこかでサンプリング調査したものを別なところにアプライするような正規化するのが非常にむずかしいということが現在わかっておるということが一つと、繰り返しでございますが、そのための精度の高い測定器を開発する必要がある、それがないとそういう予測をするような形のデータはつくりにくいということを、先ほど申し上げたことでございますが、繰り返し御報告申し上げたいと思います。
○山中郁子君 そうすると、予測がしがたいということではあるんだけれども、でも、一応、当然電波障害が予想されるさまざまな問題については住民運動も当然起こるわけですけれども、NHKとしての被害予想は、それはむずかしいとは言いながら、ある程度きれるべきだと思っていますけれども、その辺は全然できないわけですか。
○参考人(高橋良君) 繰り言で恐縮でございますが、ただいま申し上げましたように、正規化するような形のものができないかということでいま研究中であるということでございます。
○山中郁子君 そうすると、この点は、さっき電波監理局長はいろいろ調査して予測してというふうにおっしゃるけれども、片方では予測はなかなかできない、結局、できちゃってから障害が実際に起こって、そしてそれでああだこうだというふうになる以外にないということになりますか、先ほどおっしゃったことは。 〔委員長退席、理事成相善十君着席〕
○政府委員(田中眞三郎君) 私が申し上げましたのは、建物等が建つ前のそのあたりの受信状況というものを調査して記録しておくわけでございます。それから建築中にも、途中の段階で適当な半分ぐらいできたような状況でも調査に参る。それからでき上がった後に調査に参りまして、同じところを測定いたしまして、どの程度その建物によって悪化したかというようなことを調べまして、これはNHKとも一緒になったわけですけれども、そういうことで、その建造物の建てたことによる被害範囲というものを決めておるということでございますが、一方、これは具体的なケースについて御説明しましたわけでして、先ほどNHKの高橋さんの方から御説明になりましたのは、たとえば技術研究所あたりが、一般に、そういう具体的に特定の場所に出かける前にも図面等々で予測できないか、そういうことのお話じゃないかというふうに思っております。
○山中郁子君 NHKにお尋ねしたいんですけれども、これから高圧線だけじゃもちろんなくて、高層建築その他次々起こってきますよね。一層それは頻繁になる。この前、私も放送技研に伺いまして、乱反射を吸収する新兵器ですか、いろいろ開発されていらっしゃるというのも見てきたんですけれども、いずれにいたしましても被害の事前予測というのを何らかの形でしないと問題はややこしくなるばっかりだという感じがするんですけれども、その点はもちろん方針としてはお持ちになっていらっしゃるのだと思うんですが、ぜひともその辺の具体的な進展を御努力いただきたいと思っておりますが、いかがですか。
○参考人(高橋良君) ただいまお話ございました中で、平面台地のところに一つ建造物ができる、ビルができる、こういう場合においての予測はできるような形までノルマライズすることには成功しております。ただし、送電線のように非常に長いものが架設される、そういうものについては、先ほど申し上げましたように現在研究の途上でございまして、そういう送電線が架設する前に、そこの地上並びにその辺の電波の事情、それとの絡みでもって予測が非常にむずかしいので研究中であるということを申し上げたわけでございます。 〔理事成相善十君退席、委員長着席〕
○山中郁子君 私、その辺を鋭意進めていただきたいということでございます。このことに関しては、住民の側としては単に電波障害だけじゃなくて、居住環境の分断だとか、農作業の障害だとか、さまざまな問題がありまして、埋設にしてほしいという要求をしていらっしゃるんですよね。私も、それは一つは大いに検討すべき方法だと思っておりますが、いずれにしましても、それはこの委員会でその問題について議論するということではありませんので、実情はそうである、その中の主要な一つの要素として電波障害の問題はかなり大きくなっているということを御認識いただいておきたいと思います。 最後に、成田空港の問題での電波障害についてお伺いしたいんですが、公団においでいただいて、お忙しいところ恐縮です。 これがどうも、ずっと経過を見てみますと、一向に空港の開設に伴う、そしてまた引き続く受信障害の問題で対策が進展していないというふうに理解せざるを得ないんですけれども、再三にわたって私どもの方でも対策を講ずる必要があることを指摘してまいりましたし、その都度公団も、早急に整備をする、予算も、お金も手当てをしているというふうにおっしゃっているんですが、フラッター防止アンテナの問題だけをとりましても、そちらからいただいた資料によりますと約一万三千というふうになっているんですが、一年たってもこの一万三千以降ふえていないんですよね。結局、手当てが進んでいないと思うんですけれども、その点はどうしてですか。
○参考人(角坂仁忠君) お答えします。 このフラッター防止につきましては、いま御指摘のアンテナ、ここにあるものは一万三千、さらに本年度もう三千本ぐらい追加したいと思っておりますけれども、私、たびたびこの委員会で答弁いたしましたように、やはり非常に離れた地区の電波強度の低いところは防止アンテナではどうにもなりませんので、いわゆるサテライト局をつくってそこで新しい電波を出すということで、これで約三万世帯くらいをカバーできるということで、いろいろ関係方面にお願いいたしまして、三局契約いたしまして、昨年の暮れに茨城県の鹿島のサテライト局が完成いたしまして、先月は千葉県の小見川のサテライト局が完成いたしまして、もう一カ所の佐原がまだ用地等の問題で残っておりますけれども、本年じゅうに完成いたします。そういたしますと、これでカバーするのが約三万世帯ぐらいになろうかと思いますので、フラッター防止アンテナだけですと一万三、四千でございますけど、御案内のとおり、飛行機が大きくなるとまたフラッター現象がふえるというようなことがございますので、さらに調査を続けまして、そういう実害があれば早急に手当てをしていきたい、かように思っております。
○山中郁子君 そうしますと、佐原はことしじゅうにミニサテが完成するということですね。鹿島、小見川、佐原で約三万世帯カバーできるというふうになりますと、前にNHKが、ひどいということで三万世帯、軽微なものまで含めれば九万世帯にも被害が及ぶという判断を示されているんですね、たしか五十三年十月十七日の委員会だと思いますけれども。この辺の全体をカバーする問題についてはどういう手だてがされるのかということなんです。いま伺いました小見川、鹿島、佐原は一応そういう手だてとして伺いました。このほかに、結局、大栄町、八日市場、神崎町なども実際上放置されている状態なんですね。こういう点はどうですか。
○参考人(角坂仁忠君) 程度の差で、何らかの影響が起きるのが九万戸ということでこの前お話がございましたけれども、私どもNHKさんといろいろあれしまして、要するに対策をどこまでやるかということで、一から五のランクがございまして、対策をやるのは大体四万五千程度というふうに判断いたしておりまして、大体これでカバーできるというふうに考えております。さらに、これはまた便数がふえたりあるいは飛行機の機種が変わったりいたしますので、この予測よりふえた場合には早速それに応じて対応していきたいということでございます。 それから先ほど佐原につきましては、本年着工いたしますとやっぱり何カ月かはかかりますので、完成ということじゃございませんので、その点……
○山中郁子君 完成はいつですか。
○参考人(角坂仁忠君) 完成は来年の春以降になると思います。五、六月ごろになると思います。
○山中郁子君 ミニサテ局でしょう。そんなにかかるんですか。
○参考人(角坂仁忠君) いわゆる新しいUHF局のサテライトでございます。
○山中郁子君 それで、いま私が申し上げましたそのほかの地域も含めて、あなたの方も、これはたしか五十四年三月の委員会ですけれども、参議院の逓信委員会で一市二十町村の調査をして報告するとおっしゃっているんですけれども、きょうの質問に当たりまして事前にお伺いしたら、まだその調査が整理できていないというお話でしたんですけれども、これはぜひ早急に調査の結果を御報告いただきたいと思いますが、いついただけますでしょうか。
○参考人(角坂仁忠君) ここで答弁申し上げました五十四年の三月には二百六カ所の地点をやっております。開港前あるいは開港直後も調査いたしておりまして、さらに先ほどのように少し情勢が変わりましたので本年の二月に調査いたしまして、全部で四百二十四地点調査いたしております。これは地点がダブったのがございますので、これを整理いたしまして、各地点におきます調査の概要と申しますか、そういうものを整理いたしましてお届けしたいと思います。
○山中郁子君 範囲がこういうふうに広がっているのは飛行経路がやっぱり変わっているんですね。私も調査して驚いたんですけれども、コース違反というんですか、最初はこういうコースだからその範囲はこうだというふうにして、これは電波障害だけの問題じゃありません、騒音問題その他も含めてなんですけれども、それはきょうの委員会のあれではありませんから横に置きますけれども。それでいろいろ予測をされていながら、実際上調べてみますと、コースを変えて外れて飛ぶ飛行機の率というのがひどいんですね。高度とコース両方。どちらか外れたものは九三%にも及ぶという数字も出ているんですね。こういうのは一体どういうことで出るんですか。そうすれば最初に予測した電波障害の範囲、騒音の範囲なんというのは全然めちゃくちゃになってしまうわけでしょう。その辺はどうなっているんですか。
○参考人(角坂仁忠君) 飛行コース、当初地元へ示しましたコースから幾らかずれていることは率直に認めます。これにつきましては航空局にお願いいたしまして、各エアラインに指示されたコースをとるように厳重に申しておるわけでございますが、特にひどいのは佐原——佐原は確かにコースが乱れている事実も承知いたしておりますが、これは佐原はサテライト局でありますと、電波障害だけ、フラッター現象だけについて申し上げますと、コースの乱れを弁解する意味じゃございませんけれども、サテライト局をつくりますとコースの乱れには影響ない、むしろ騒音対策とか何かに影響するということでございますが、コースが乱れましてそれによります影響範囲が広くなっているということは御指摘のとおりだと思います。
○山中郁子君 そうしますと、そういうものもかなり広範囲に、私もいま指摘しましたけれども、八日市場、大栄町、光町、神崎町、成東町、そうしたところに全部広範囲に電波障害でもって難視聴が広がっているんですね。その辺については、そうすると対策は立てられますね。大丈夫ですね。
○参考人(角坂仁忠君) いま御指摘の市町村につきましては一応調査いたしております。程度の差がございますけれども、やっぱりフラッター現象が見られますので、いま全部の調査をいたしまして、申請を受けつけまして、いま考えておりますのは、この地区で約三千本程度フラッター防止のアンテナを本年度やる予定にいたしております。
○山中郁子君 本年度というのは五十五年度ということですね。
○参考人(角坂仁忠君) そうでございます。
○山中郁子君 先ほど佐原局が来年の春、何月になるかよくわからないんですけれども、その辺はNHKさんに、佐原局の完成がいつになるのかということをちょっと教えていただいておきたいと思います。
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。 私どもの予定といたしましては、五十五年度末までに何とか完成したいというふうに努力してまいりたいと思っております。
○山中郁子君 三月ね。
○委員長(福間知之君) 山中君、時間が来ていますから。
○山中郁子君 はい。 それじゃ最後に、この航空機障害と関連をして一言お願いをしておきたいんですが、厚木基地ですね、厚木基地のもとでの障害が、皆さんも御記憶だと思いますが、横浜市の緑区にジェット機が落ちて飛行コースが変わったんです。あれ以降。その飛行コースが変わったことによる新たな障害地域というのが生まれているんです。そのことをぜひ御調査もいただき、手当てのための御努力をいただきたいということを最後にお願いをして、具体的な問題について必要ならまた後ほど私ども資料も持っておりますし、そちらでも御調査いただきたいと思いますので、お約束をいただきたいと思います。
○参考人(高橋良君) 御指摘の部分につきましては、今後調査をひとつ進めてみたいと思っています。
○山中郁子君 終わります。
○委員長(福間知之君) 空港公団の方、ありがとうございました。
○中村鋭一君 会長さんにお伺いしたいんですけれども、公共放送だとわれわれNHKを承知しておりますけれども、NHKで理解をしていらっしゃる公共放送の定義についてお話し願いたい。
○参考人(坂本朝一君) 先生も御承知のように、日本の放送法の中で公共放送という形で法律的に規定してある定義はございません。ただし、第七条で日本放送協会の事業目的の中に公共の福祉のために全国あまねく電波が届くようにしなければならないという、そういうNHKの事業目的をお示しいただいている部分から考えますれば、やはり公共放送というのは視聴者の要望にこたえるとともに、わが国の文化水準の向上に資する放送番組を営利を目的としないという点で全国あまねく送り届け、そして公共の福祉のために努力するということが、私どもが考えなければならない公共放送の定義ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、経営基盤といたしましては、直接視聴者の方々の御負担による受信料収入をもとといたしまして、視聴者の意向を受けとめて、そしてその反映を業務の中に出していくということが基本ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○中村鋭一君 冒頭に公共放送についてどのようにお考えかを伺いまして、五十二年度の決算に関連して二、三質問をさしていただきます。 NHKは、われわれが一般に言っております民間放送を民間放送と呼んでいらっしゃいますか。それとも商業放送というふうに呼んでいらっしゃいますか。
○参考人(坂本朝一君) 私どもは民間放送という言い方で申し上げているつもりでございますけれども。
○中村鋭一君 大分以前になりますけれども、民間放送が波を出したのは昭和二十六年でございますけれども、そのころにNHKは民間放送とは呼ばない、営利を目的とする金もうけのための放送局であるからわれわれは商業放送と呼ぶんだというふうに聞いた記憶がございますけれども、現在は民間放送かもしれませんが、以前においては商業放送とお呼びになっていたことございませんか。
○参考人(坂本朝一君) いま先生のお言葉の中に、民間放送は金もうけのためにやるんだから商業放送だというふうにNHKが言ったという御指摘がございましたけれども、そういう大それた乙とを言った記憶はございませんで、ただ一般的にコマーシャルというような言い方で外国では商業放送というような言い方がございますので、そういう意味合いでの商業放送という言い方をしたことはございますけれども、商業放送ということを何か金もうけ主義などというような一種の差別、べっ視のようなことで発言した記憶はさらさらございませんので、その点は御了解願いたいと思います。
○中村鋭一君 結構でございます。私の聞き間違いであれば幸いでございますけれども、もし仮に過去そういう言い方があったとすれば、やはりNHKと民間放送が共存共栄することが国民のためにいいことなんでございますから、そのようなことは今後決してないように、ひとつ御指導方よろしくお願い申し上げます。 公共放送というものについての定義といいますか、考え方を伺ったんですけれども、その中にNHKは視聴率を民間放送と競うことを目的としない、民間放送は、これはスポンサーがあるのでございますから、やはり一定以上の視聴率をとらないことにはスポンサーがおりますので、どうしても高い視聴率をとるために努力をいたしますけれども、そういう点においてNHKは民放と視聴率において競争をして民放に負けない視聴率をとるんだというふうに考えていらっしゃる面はございますか。
○参考人(坂本朝一君) 私は、多少お言葉を返すようですけれども、番組を出すからにはやはり見てもらう努力をすべきだし聞いていただく努力をすべきであろう。いい番組、いい放送をしているのだから見ない方が悪い、聞かない方が悪いというのは独善ではないか。少なくとも番組を放送する以上、できるだけその番組を見ていただこう、聞いていただこうという努力をすることは当然であろうというふうに考えまして、そして番組としての競争は当然民放さんともすべきであろうと思いますが、いま先生の御指摘の視聴率のためにというような気はさらさらございませんし、そうあってはならないというふうに考えておりますので、その点も誤解のないように御理解を賜りたいと思います。
○中村鋭一君 そうしますと、いい番組をつくるために努力はしているけれども民放と視聴率合戦というようなことはこれまでも考えたこともないし、これからもあり得ないわけでございますね。
○参考人(坂本朝一君) やはり視聴率合戦をする気はございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
○中村鋭一君 先ごろ大臣に、この前の委員会でNHKの番組について個人的でも結構ですから御意見をお聞かせ願いたいと、こう申し上げましたら、放送法にそれは大臣は言っちゃいけないんだというふうに規定がある、このようにおっしゃいましたけれども、監理局長、もし差し支えなければ、もう一度その放送法の規定を教えていただけますでしょうか。
○政府委員(田中眞三郎君) 放送法の第三条に、放送番組編集の自由につきまして「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうに書かれてございます。
○中村鋭一君 本委員会の午前中の審議のときに、大臣は今後ともNHKをよく指導していきたいということをおっしゃったと思いますけれども、そうしますと、その放送法に番組の内容等について意見を差しはさむ、介入することはできないわけですね。それと、大臣がおっしゃった今後とも指導をしていきたいという、その指導をしていきたいという内容でございますね、それをちょっとお願い申し上げます。
○国務大臣(山内一郎君) 午前中の質疑で、NHKが大体受信料だけで経営をされておりまして非常に御苦労されている、いろいろ御質問もございまして、何とかもっとやりようがあるのじゃなかろうかというようなお話がございまして、NHKでもいろいろお考えになっていると思いますけれども、そういうような放送法の権限の外において何かあればお手伝いを申し上げたいというような気持ちでございます。
○中村鋭一君 その大臣のお言葉の中に、いい番組を出すように、内容を向上させるようにとたしかおっしゃったように私記憶しているんですけれども、その番組を向上させるという、その向上させるという意味はどういう意味なんでございましょうか。
○国務大臣(山内一郎君) いま御指摘の点は、私全然言った覚えございません。
○中村鋭一君 さようでございますか。 会長にお伺いいたします。番組内容を向上させる、向上させるということは、逆に場合によれば低下する場合もあるわけですね。そうすると、ある番組は向上する、ある番組は低下するというと、どこかに向上し低下をする尺度というものがあるはずでございますが、向上といい低下という、そのNHKが考えていらっしゃる尺度は何でございますか。
○参考人(坂本朝一君) これはなかなかむずかしい御質問で、点数をつけて六十点以上だとか七十点以上だとかというふうに申し上げて御納得いただける点じゃございませんが、しかし、これはやはり何と申しましても、世の中の変遷等を踏まえながら、その視聴者の御要望に沿ってその中での努力ということになろうかと思いますから、そういう点での向上ということだというふうに御理解いただけるとありがたいと思う次第でございます。
○中村鋭一君 現在、NHKの番組を大きく分けて報道、教養、それからいわゆる一般に言う娯楽番組の、大ざっぱで結構でございますから、パーセンテージをお教え願えますか。
○参考人(坂本朝一君) 総合テレビにおきましては、報道番組が三三・三%、教育番組が一六・九%、教養番組が二四・九%、娯楽番組が二四・九%。教育テレビにおきましては、教育番組が七九・八%、教養番組が一九・二%、報道番組が一%。ラジオの第一放送におきましては、報道番組が三九・五%、教育番組が一・四%、教養番組が三〇・四%、娯楽番組が二八・七%。ラジオの第二放送におきましては、報道番組が一二%、教育番組が七七・六%、教養番組が一〇・四%。これが五十五年の四月に改定いたしました週間の実績でございます。
○中村鋭一君 そうしますと、何を報道といい、何を教養というか、何を娯楽というか、その見方によっても変わってくるでしょうけれども、大体娯楽番組は二〇%程度と理解してよろしゅうございますね。 具体的にちょっとお尋ねしたいんですけれども、昨年度のNHKの「紅白歌合戦」の予算は幾らでございましたですか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 大体三千五百万円ぐらいの制作費でございました。
○中村鋭一君 三千五百万円の内訳を教えていただきたいんですが。たとえば出演料が幾らであったか、あるいは衛星中継をもしされたのであれば衛星中継の回線料は幾らであったか等、内訳をお願い申し上げます。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 この制作費の内訳は、出演料、それから委嘱料、それから放送料、セット料の美術費、それからロケ費というような旅費とか、そういったものが入っておりますけれども、細かくそれが何%ずつかということについては、いまちょっと手元に資料がございません。
○中村鋭一君 その出演料ですね、大体出ているんじゃないですか。ごく簡略で結構でございますから、三千五百万円の中に出演料の占めた金額でもパーセンテージでも結構です。
○参考人(田中武志君) 大体半分ぐらいでございます。千七百万ぐらいです。
○中村鋭一君 三千五百万円の中のおよそ五〇%が昨年度の大みそかのNHKの「紅白歌合戦」に占める出演料でございますね。 ここに、私たまたまきょう買った雑誌なんですけれども、こんな記事が出ておりましてね。 破格のギャラ一千万円H「新婚の百恵を紅白へ」NHKの熱い闘い 「新居のマンションに夜討ち朝駆けをしても」と燃えている「紅白」実施本部副本部長。ノゾキ、押売りと間違えられないようにしてもらいたいものだが、NHKらしからぬこの熱情プラス現ナマで百恵はグラリと揺れている! こういう記事でございますけれども、副本部長に御確認はいただいたでしょうか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 決してそういったようなことは申していないという確認をしております。
○中村鋭一君 この中に「NHKを代表して、」と書いてあります。これはちゃんと料金をちょうだいして全国各地で販売をしております週刊誌が「NHKを代表して、」と書いているんです。 「紅白歌合戦」実施本部副本部長・吉岡利夫 氏は、「私どもは、無作為抽法 云々とありまして、 山口百恵クンに是が非でも出演していただきたいのは、私どもの腹蔵のないところです。それも、新聞報道されているような、司会者、審査員、応援団としてではなく、歌手としてです! エクスクラメーションマークが打ってあります。 歌手・山口百恵一本に賭けますヨ。ただ、放送日の十二月三十一日の時点ではすでにもう引退してしまっているわけで、二十数組の紅組のひとりにカウントするのはどうかと思うので、形としては、〃特別コーナー〃なりを作り、そこでたっぷり歌ってもらう、そう決めているんです! ご本人に直接交渉しますヨ。新居のマンションに、夜討ち朝駆けをかけてもネ…… こう書いてあるわけですね。雑誌も天下の公器です。その公器にこのようにはっきりと実名を出して書いていらっしゃるのでございますから、少なくともNHKは山口百恵さんにことしの「紅白歌合戦」に何としても出てもらいたいというふうに考えていらっしゃるのじゃありませんか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 「紅白」の出演者に対しましては、われわれの方ではそれぞれの全国の放送局から集めますアンケート、あるいはことしからできました視聴者本部の方の関連のところの視聴者センターの方からのアンケート、そういったいろいろ意向の調査を、十分データをもとにしながら、さらにいろいろ出演の御意見を伺う会というようなところでも有識者の御意見を伺ったり、それから最終には御本人の意思も十分確認した上で出演を決めるという手続をとっております。そういった意味合いで、正直に申し上げまして、いまの段階では具体的にだれというようなことがまだ決まるような段階ではございません。
○中村鋭一君 いや、私がお尋ねしているのは、そういう決める手順のことを言っているんじゃないんですよ。いま発売している雑誌に出ているんです。はっきり副本部長さんの談話として非常に具体的に。これね、雑誌記者が作文でこんなこと書けやしませんよ。もしそうだとすれば、これNHKとしては重大なことじゃないですか。一千万円のギャラを払ってどうしても山口百恵に出てもらいたい、そんなでたらめなことを雑誌が書いたのであれば即刻告訴するなりしなきゃいけないんじゃないですか。そうでしょう。ですから、私が伺っているのは、少なくとも副本部長さんが山口百恵さんにどうしても出てもらいたいと思っている気持ちがあるんじゃないですかということを伺っているんです。
○参考人(田中武志君) いま申し上げましたように、われわれの部内ではまだだれに出てもらいたいというようなことを決めた段階でありませんで、どういう人に出てもらうかというデータなども十分まだこれから集めながら議論をしていくということでございまして、先生御指摘のように山口百恵さんにぜひ出ていただきたいというようなことは言った覚えはございません。
○中村鋭一君 あなたがおっしゃったと言っているのじゃないんですよ。副本部長さんがおっしゃったんでしょうということを申し上げているんですよ。これ間違いありませんね。副本部長さんおっしゃったんでしょう。
○参考人(田中武志君) 私どもが確かめた段階では、こういったことを言った覚えがないということでございます。
○中村鋭一君 もうこれ以上やめます。それにしては非常に具体的に話が出ているわけですよ。私はやっぱりこのようなことをおっしゃったのだと思いますけれども、でも、どうしてもそれをお認めにならぬわけでございますから、もう水かけ論ですからこれでいいですけれども……。 ということは、山口百恵さんに特別コーナーに出ていただくならば一千万円のギャラを支払う意思があるかないかということは確認していただけませんね。
○参考人(田中武志君) 私どもは、そういうようなギャラをどういうふうにするというようなことをまだ考えている段階ではございません。
○中村鋭一君 私が申し上げたいのは、先ほど会長もおっしゃいましたように、NHKの全番組の中で報道、教養番組がおよそ七〇%から八〇%に達する、娯楽番組は二〇%から三〇%以内ということでございますね。とすれば、私はNHKのたとえば「紅白歌合戦」をいま例に挙げましたけれども、視聴者に最も良質なサービスを提供する、それは大事なことでございますけれども、こういうことがたとえ誤報にしろ出るということは、日ごろのNHKの制作態度が反映しているから、だからこういうのが出てくると、こう思うんですよ。 そこで、会長にお尋ねいたします。会長は、以前はNHKでたしか芸能番組のプロデューサーをしていらっしゃったんですね。失礼でございますが、何年ぐらいおやりでございましたか。
○参考人(坂本朝一君) 私が現場におりましたときはラジオ時代で、ただ昭和十五年のテレビの実験放送の担当者であるということでございまして、これはいささか、テレビをさわったと言うには少しお恥ずかしいんですけれども、大体現場でプロデューサーとして働きましたのは十年ぐらいではないかと思います。
○中村鋭一君 その十年の間に会長は大プロデューサーとして、名プロデューサーとして盛名をほしいままにされたわけでございますけれども、私も今回国会にお送りいただきますまでプロデューサーをしておりました。自分の経験からしても、やはり担当しております番組、自分の専門のジャンルについてはどうしても関心が深くなります。その面の番組に力を入れたくなります。現に、いま会長をしていらっしゃるのでございますけれども、会長の頭の中にやはりNHKの芸能番組をもっと強化しなきゃいかぬ、そういうようなお考えはあるのじゃございませんか。
○参考人(坂本朝一君) 私がともすると「お笑い三人組」の担当者だということで娯楽番組について格段の関心があるのじゃないかという御指摘を受けるんですけれども、私自身の気持ちといたしましては、そのキャリアの中では確かに娯楽番組を担当しておりましたけれども、私は放送人であるということで娯楽番組を偏重するというような気持ちはございません。ただし、娯楽番組というと何か低俗で、何か報道、教養と比べて一段低いものであるというふうに御認識になる向きに対してははなはだ闘争的になる面がございまして、私は、その娯楽というものを軽視する、そういう日本人の考え方は間違っているんじゃないか、そういう考え方がむしろ大東亜戦争などをおっ始めるようなことになったのじゃないかというくらいの気持ちでおりますので、その点は御認識いただきたいと思います。
○中村鋭一君 本当に後輩として、その御見識には敬意を表さしていただきたいと思います。私もまたそのように考えますけれども、ただ娯楽番組に金をかければいい番組ができるとか、あるいは民放の大型番組には負けたくないとか、何とかこの番組は同時間帯の民放の裏番組に一あわ吹かせたいとか、私、そういう考え方で番組をつくるのはぐあいが悪いと思います。NHKは公共放送です。民間放送はスポンサーによって成り立っている企業でございますから、健全にコンピートするのはいいんですけれども、いたずらな無用の争いを、特に私娯楽番組でそれをやることはぐあいが悪いと思います。したがって、先ほどから申し上げておりますように、たとえうわさにもせよ、全体で三千五百万円の予算のうち、たった一人の歌手に一千万円払ってもいいから出てもらいたいというようなことをNHKの副本部長さんが実際おっしゃったのでありとすればこれは私ぐあいが悪いと思います。一千万円ということは副本部長さんおっしゃっていませんよ、山口百恵にどうしても出てもらいたいとおっしゃっている、雑誌ではね。だから、そういう態度、姿勢は厳に指導をしていただいて、本当に良質な番組とは何かということを部内でも討論してやっていただきたいと思います。 「ゆく年くる年」の昨年暮れに放映されたものにつきまして予算をお伺いいたします。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 大体三千五百万ぐらいの経費がかかっております。
○中村鋭一君 「ニュースセンター九時」ですね、これはいま一本当たりといいますか、一日の放映につきまして予算は大体幾らぐらいでございますか。——結構でございます。私どもの資料では一本当たり百二十九万でございますね。 会長、たとえば「ゆく年くる年」あるいは「ニュースセンター九時」、この番組の予算は妥当であるとお思いですか、それとももっと金をかけて充実をしたいと思っていらっしゃいますか。
○参考人(坂本朝一君) あの種の番組でございますから、多々ますます弁ずるということになれば幾らでもかけられる、またかけてもあるいは御理解いただける番組かと思いますけれども、しかし平均して、いまお示しした単価というのは現状においては妥当なんではないだろうかというふうに考えております。
○中村鋭一君 この報道番組について民放がどうしてもかなわないのは、NHKのあの豊富な取材網と、それから良質の番組と情報を誤りなく正確に国民に伝えなければいけない、この使命感だと思うんですね。そういう点で、私はこういった、たとえば「ゆく年くる年」に衛星中継をなさる、あるいは毎日の「ニュースセンター九時」に十分力を注がれる、非常に結構なことだと、こう思います。 現に、NHKの報道局でございますね、報道局内の人員数は何人ぐらいでございますか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 約七百七十名ぐらいでございます。内訳を御紹介しますと、記者が約二百二十人ぐらい、カメラマンが九十人ぐらい、PDが二百二十人ぐらいというような内訳になっております。
○中村鋭一君 制作局の人数は何人ですか。
○参考人(田中武志君) 番組制作局は大体八百四十人ぐらいでございます。
○中村鋭一君 そうすると、ちょっと確認したいんですが、番組制作局の人員の方が報道局よりも多いということになりますか。
○参考人(田中武志君) そういうことでございます。
○中村鋭一君 海外にいま置いていらっしゃる総局、支局並びに海外特派員の数を教えてください。
○参考人(田中武志君) 海外の総・支局数は十六カ所でございます。それで、そこに駐在しております特派員の数は四十三人でございます。
○中村鋭一君 どこの国とどこの町でございますか。
○参考人(田中武志君) アメリカがワシントン、ニューヨーク、それからリオデジャネイロ、ロサンゼルス、アメリカ大陸の方は。それからヨーロッパの方が、パリ、ロンドン、モスクワ、ローマ、ジュネーブ、ボンといったところでございます。それからウィーン、カイロ、ナイロビにも駐在でおります。それからアジアの方では、シンガポール、バンコク、ニューデリー、ジャカルタ、それから北京、ソウル、シドニー、そういったところでございます。
○中村鋭一君 会長、非常に大きな勢いで世界のあちこちで出来事が次々に起こりますし、流れも変わっているようですけれども、NHKの海外取材体制は、たとえば中東でイランとイラクが戦争を始めるというようなときには、非常に機能的に他のたとえばパリから応援を送り込むとか、そういうことはやっていらっしゃいますか。
○参考人(坂本朝一君) 御指摘の点は、やはり機動的にやらなきゃいけないということで、イラン・イラクの問題でも、ヨーロッパ総局のみならずアジアからも送り込むということをやっております。
○中村鋭一君 もっと海外取材網を拡充強化するというような計画はございませんか。
○参考人(坂本朝一君) 海外取材局をふやすということは、現状ではまだ考えておりません。ただ駐在の中身等についてどうするかということは常に考えでいかなければならないのじゃないか。たとえば、どこそこには現在何人いるけれどもむしろどこそこへ移した方がいいというようなことは、これは常時考えるべきであろう。今度も一部そういう手画しをいたしました。
○中村鋭一君 たとえばイランとイラクで戦争が起こりますね。そうしますと、いわゆるセット紙の新聞社も特派員を出しております。NHKも出していらっしゃいます。しかし、われわれが新聞なんか見ておりますと、案外早い情報が入ってまいりますのは、現地に駐在しておりますたとえば三井物産であるとか、こういった商社の駐在員の方からまず電話がかかってまいりまして、それから次にNHKでありますとか新聞社の特派員の方からの情報が入ってきて、一番遅いのは大使館だと思うんですけれども、こういったことについて、NHKはいわゆる速報体制ですね、どのようにしていらっしゃいますか。たとえば直通回線を設けるとかテレックスであるとか。
○参考人(田中武志君) いま御指摘のように、テレックスなりそういったところでできるだけ——いま御指摘のように商社の方も大変早い場合もございますけれども、今度の中東の戦争のような場合にはわれわれの方が早かった場合も多々ございますので、そういった面での通信網の整備については十分やっているつもりでございます。
○中村鋭一君 私は、NHKの皆さんに、できればもっと海外取材網を強化して、もう少しグローバルにカバーができて、常に何か起こったときにはやはり国民の皆さんにどこよりも早くNHKが的確な情報を知らせることができる、だからこそ私、公共放送だと思うんですね。そういう体制をとっていただきたい、こう思うんです。 先ほど伺いますと、制作局よりも報道局の人数の方が少ないわけですね、それは一概に数だけでは比較はできないかもしれませんけれども。だから、私はやはり、何というんですか、娯楽番組は会長おっしゃいました確かに大切なものではあります。けれども、できればこれは民間放送の方にお任せいただいて、報道番組、情報番組、これにもっともっといまよりも力を入れていただきたい。パーセンテージは八〇%かもしれませんけれども、その質、内容はこれ幾らでも努力すればそれこそ向上させることができるんですからね。その面について会長の決意をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 私も、五十六年度のいま番組編集の基本計画を策定中でございますけれども、いま中村先生のおっしゃった報道の充実ということをまず第一に考えるべきであろうというそういう指示をいたしておりまして、そういう点でいま放送総局が検討しておる次第でございます。先般、多少地震なども起こりましたときに、ありがたいことに視聴者の方がNHKはどうしているかなと言って受信機にスイッチを入れていただいて、情報が出たということでおほめいただきましたけれども、何と申しましてもそういう視聴者の御期待に沿うためには報道番組の充実ということをまず第一に考えるべきであろうというふうに考えている次第でございます。
○中村鋭一君 次に、私ラジオについてちょっと質問をさしていただきたいんですけれども、民間放送が実施しておりますラジオの聴取率調査がございます。これは関西地区ですけれども、もう長年の間ラジオの聴取率調査を年に二回やりますけれども、民間放送がグラフで見るとはるか上空を飛行しているのに、NHKのラジオの第一放送、第二放送の聴取率はもう地上寸前で失速同様の低率であります。これが現実だと思います。そういうことについて会長は、テレビの方は脚光を浴びますけれども、どうもNHKのラジオの第一放送と第二放送が国民の皆様に余り聞かれていないという現実をどのように理解していらっしゃるか、お伺いいたします。
○参考人(坂本朝一君) 私も実はラジオ育ちだものですから、やはりラジオというのは非常に大事なものだし、特に生活情報の提供ということから言って皆さんのポケットの中に忍ばしていただいて聞いていただける、そういう態様から言ってやはりラジオを片手間というふうに考えるべきじゃない。何かラジオはただだというような言い方でおっしゃられるので、私は大変その誤解を解くのに苦労をしておるわけでございますが、やはりラジオにも当然聴取者の御要望に沿う努力をすべきであろうと思いまして、事あるごとにNHKのラジオの利用ということを訴え続けておりますので、そういう点についての努力も今後続けたいというふうに考えております。
○中村鋭一君 率直に申しまして、NHKのラジオは、たとえば民放のラジオステーションの番組内容と比べまして非常に内容的にアトラクティブでないわけですね。そしてアナウンサーの皆さん方も大変きれいな言葉をお使いになりまして、正確で美しい表現をしていらっしゃいます。それで、やっぱり最近のリスナーにはそれだけでは訴求しないと思うんですね。したがって、NHKとして、たとえば部内のアナウンサーの中から、高橋先生もいらしゃいますけれども、スター的なアナウンサーが育つことを容認し、そういう人たちが人気が出たらいつの間にか居づらくなってやめてしまうというのじゃなくて、NHKの内部で、たとえばアナウンサーが人気があったって私いいと思います。スターアナウンサーになったっていいと思うんですよ。そういうものを積極的に育てる努力をなさる意思があるのかどうか、お伺いいたします。
○参考人(坂本朝一君) なかなかスターづくりという問題は、やはりもろ刃の剣でございまして、一万六千の職員の中でどうそれぞれの職能があるべきかということを会長として考えます場合には相当慎重に考えなければならないテーマだと思いますけれども、しかし先生のおっしゃるようにアトラクティブでないということは、これはもう何としても放送を送り出す方の側としては落第だと思いますので、そういう意味での指導というのは当然しなきゃならないのではないか。特にNHKのラジオが民放のラジオと比較してアトラクティブでないという御指摘は、はなはだ私としては手厳しい御批判だというふうにいま受けとめて、その点は当然考えなきゃならないというふうに思っておる次第でございます。
○中村鋭一君 これは私、やはりNHKが巨大な機構を持っておりまして、全国ネットですから、どうしてもそういうふうに、ステーションの中のアナウンサーの皆さんも自由に伸び伸びと自分の個性を発揮する放送ができないんじゃないかと思うんですね。ですから、逆にやはり幹部の皆さんはそういった、これはアナウンサーにとどまらずプロデューサーもディレクターも、本当に個人のパーソナリティーを発揮してオリジナリティーのある番組をつくり出すことができるように、そういう手助けをぜひしていただきたいし、それからもう一つは、全国ネットであるからといいましても、私やはり、たとえば大阪ではBKなんかにもっともっと大きな力を与えてやって、特にラジオなんかはいわゆるローカリティーを強調するような——と言いますのは、民放のラジオ局はその都市のラジオでございますから皆さん聞くわけですね。NHKはどうもそれが薄められて、ポピュラリティーはあってもローカリティーがないものですから、だから聴取率も上がらないということになると思いますので、そういう点についてもひとつ格段の御努力をお願いしておきたいと思います。 次に、放送法でございますけれども、電波監理局長、先般の委員会でもお伺いいたしましたけれども、もう一度お伺いいたします。放送法の改正案を前国会で提出をなさいましたね。その中で受信料に関する部分を御紹介願います。
○政府委員(田中眞三郎君) 第九十一通常国会に放送法の一部を改正する法律案を提出したわけでございますが、まず第一点は、NHKの受信料の支払い義務及び通知義務の点でございますけれども、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者はNHKに対し受信料を支払わなければならないことを明らかにするとともに、その設置の日等をNHKに通知しなければならないこととすることが第一点でございます。 第二点は、NHKは受信料の支払いを怠った者または不法に受信料の支払いを免れた者から延滞金または割り増し金を徴収することができることとすること、延滞金等の徴収に関する点でございます。 第三点でございますが、受信料の支払いの時期及び方法、受信料の免除の基準、その他受信料の徴収に関する必要な事項はNHKが受信料規程で決めることとすること、いわゆる受信料規程に関すること。 この三点でございます。
○中村鋭一君 現行の放送法は、ちょっと聞いていただきたいんですけれども、受信設備の設置者に受信契約の締結を義務づけ、その契約によって支払い義務が生ずるものとする、大体これでよろしゅうございますか。
○政府委員(田中眞三郎君) そのとおりでございます。
○中村鋭一君 そうすると、いま教えていただきましたこの改正案と現行の放送法と法的にはどういう点が違うんですか。
○政府委員(田中眞三郎君) 受信料の性格には変わりはないというふうに理解しております。
○中村鋭一君 受信料の性格に変わりがないとすれば、なぜ改正案を前国会で提出されたんですか。
○政府委員(田中眞三郎君) 契約という言葉からきましてあいまいであるということで、受信料制度の趣旨の一層の明確化を図りたいというのが第一点でございます。 第二点は、受信者の公平な負担を図りたいということで、これらを受けましてNHKの受信料の徴収をより一層円滑にいたしたいという趣旨でございます。
○中村鋭一君 先ほども他の委員の方がお尋ねだったと思いますけれども、現在のNHKの受信料の収納状況を教えてください。
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。 受信料の収納状況、収納率は九七%で推移しております。
○中村鋭一君 現在把握しておりますいわゆる不良受信契約者といいますか、要するに受信料を意図的に払おうとしていない人、何人ぐらいいらっしゃいますか。
○参考人(海林澣一郎君) 現在受信料を滞納している方の中で、いわゆる先生がおっしゃるNHKに対する無理解、そういう意味の件数は三十四万件でございます。
○中村鋭一君 その三十四万件の人たちがいますから、だから不公平だ、その不公平感をなくすためにも放送法を改正したい、監理局長、それでよろしゅうございますね。それも放送法改正案を先般の国会に上程なさいました一つの大切な目的でございますね。
○政府委員(田中眞三郎君) そのとおりでございます。
○中村鋭一君 私は、法において同様であれば、現行法を、受信できる受信設備の設置により受信料支払い義務が生ずる、このように改正をする意味はほとんどないと考えております。それはむしろNHKの皆さんの営業努力に帰すべき問題でありまして、法を改正して罰則規定を設けて、それを義務づけて、それで不良受信者が解決するものとも私思いません。特にその意図的に受信料の支払いを拒否している人にとっては、法律改正したらよけいに硬化して、そんなもの死んでも払ってやるものか、よけいそうなりかねません。そうすると、とめどもないこれは争いになっていくわけです。だから、私としては、法の精神において変わらないのであれば、NHKの皆さんの営業努力にまつべき問題だと思いますが、会長はいかがお考えでございますか。
○参考人(坂本朝一君) これは、この前の当委員会でも多少御議論いただいたところでございますけれども、正直言いまして、五十一年以降滞納がふえていくという傾向の中で、契約はするけれども支払わない、支払い義務はないというようなことで、なかなか現場が苦労をいたしまして、そして今回のこの改正の運びになったわけでございまして、そのあり方等についての私どもの考え方はやはり変わっていないというふうに申し上げたいと思うのでございますけれども、しかし、この問題がその後いろいろと各方面の御議論もございますし、いま先生が御指摘のようなそういう御議論もございますし、今後の問題としては慎重にこれに対応していきたい。そして私どもも、先ほど申し上げましたように長期ビジョン審議会等を設けまして、法体制の問題もあわせて御議論いただこうというふうに考えておりますし、かたがた五十五年度の改定後の現在の収納状況につきましても、現場が格段の努力をしてくれているというような状況でございますので、そこら辺のところで慎重に対応したいというふうに考えておりますけれども、冒頭申し上げましたような考え方そのものは、やはり御理解を賜りたいと思う次第でございます。
○中村鋭一君 現に九七%の収納率、そうおっしゃいましたね。であれば、どうなんでしょう、放送法を改正して受信料がもっとスムーズに入ってくるようにしたいというようなお考えはなくしてもいいじゃないでしょうかね。監理局長、いかがでございますか。また次の通常国会あたりに改正案はお出しになるおつもりでございますか。
○政府委員(田中眞三郎君) お答えいたします。 今後改正案を再提出するか否かについてでございますが、現在のところ、ことし五月に行いました受信料値上げ後の収納状況に注目しておるというところでございます。 なお、改正案につきまして、いろいろな御議論もあるということは私どもも聞いておりますので、よく勘案しながらどうするかということを含めまして、引き続き検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○中村鋭一君 私は、単に受信料を義務づけるために、いま問題にいたしましたこの条文だけではなくって、やはり全般的に放送法を見直して、そしてありとあらゆる面について目を配った改正案ならば、ぜひ私は郵政省から御提出願って、そして、先生方皆さんでよく討議していただいたら大変結構だと思うんですけれども、その点につきまして、郵政大臣、見解をお願いいたします。
○国務大臣(山内一郎君) この前提出をいたしました放送法の一部を改正する法律案、これはいま先生の言われましたようないろんな御議論があるわけでございます。しかし、この前は出したのでございまして、これは廃案になったわけでございますが、また片方において放送法全体を根本的に改正すべきという意見も本日の質疑の中でも大分行われていたわけでございまして、そういう点もあわせ考えて、この臨時国会には出す準備は全然しておりませんから、次の通常国会においてはそういう点を勘案して、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
○中村鋭一君 よろしくお願い申し上げます。 NHK会長、放送学園法案ございますね。これにつきましてNHKはどのように理解をしていらっしゃるか、お教え願います。
○参考人(坂本朝一君) 放送大学の放送というのは、先ほども申し上げましたように、昭和二十五年以来NHKと民放という二本立てのわが国の放送体制の中で今度新しく国費をもって賄われる放送大学が誕生するということでございますので、やはり私どもといたしましては、特にNHKの教育番組等には相当影響があるのではないだろうか、こういうふうに考えます。したがいまして、そういうこととあわせて、受信料の契約収納という面にも影響があるのではないか、そこら辺のところをやはりNHKの経営責任者としては考えておかなければならない問題だろうというふうに感じておる次第でございます。
○中村鋭一君 現にNHKは教育テレビジョンで本当に国民のために、私もよく見していただくんですけれども、おもしろくてためになるといいますか、本当にその面では努力をしていらっしゃると思うんですね。ですから、そういうものがありまして、一方には、この放送学園法案は大変お金がかかりますね。四年制の大学、先般の法案によりますと、四年制の大学を出てもいわゆる資格が何もないわけです。教養学士になったって別に国家試験に合格して弁護士になれるとか税理士になれるとか、そういうメリットは何もないわけです。それに大学で一番大事な教授と常に接触し、キャンパスにあって学友とつき合うことによるそういった学園生活の楽しさ、具体的にはたとえばスターリング一つとりましても、これがテレビを通じてやる大学の場合はほとんど絶無になるわけでございますから、その点もよく配慮をしなければいけない、こう思います。 したがって、もう一度お尋ねいたしますけれども、この学園法案について会長御自身は、もし差し支えなければ、ぜひこれは学園法を成立さしたいとか、あるいは慎重にやった方がいいとか、お聞かせ願いたいんですが。
○参考人(坂本朝一君) NHKの会長の立場というところで、この放送大学学園法案に賛成だとか反対だとかというようなことを申し上げる立場にはないのじゃないかというふうに思いますので、その点は御勘弁願いたいと思いますけれども、ただNHK自身も、現在通信高校講座等で電波を利用しての教育というようなことに経験とまた関心もございますし、仮に放送大学というものが誕生するというようなことの暁には、NHKのいままでのキャリアなりあるいは経験なりノーハウなりというふうなものがどういう形でそれに役立つかどうかというようなことは、その時点においてやはり考えるべきであろうというふうには思っておりますけれども、法律そのものについての賛否というようなことを申し上げる立場にはないと思いますので、御勘弁願いたいと存じます。
○中村鋭一君 私は逓信委員の一人といたしまして、こういった国民の教育に関する問題が郵政省関係では一片の附則をもって解決するというものではないと思っておりますので、そのことをテークノートしておきたいと思います。 最後に、オリンピックの先般のモスクワで行われました放送についてですけれども、この放送権はテレビ朝日が独占をいたしました。当時の経緯についてごくごく簡略で結構でございますから、なぜNHKが放送権を取れなかったのか、その辺についてお教え願います。
○参考人(田中武志君) お答えいたします。 当時モスクワにも行きまして、いろいろ金額の面、その他施設の面、受け入れ体制の面、そういったことについていろいろ交渉したわけでありますけれども、テレビ朝日の方の独占になった、いわば力及ばずという感じでございました。 若干蛇足でございますけれども、そういった経緯もございましたので、四年後のロスにつきましては、いまのところNHKと民放連が一緒になって今後は放送権の交渉に当たっていくということになっております。
○中村鋭一君 そうしますと、今回は前回の轍にこりて民放と仲よく相談をしてロサンゼルスのオリンピックの放送をやりたい、その点ではいまのところは非常にうまくいっているということでございますか。
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。 昨年の秋にNHKの会長と民放連の会長が一緒に共同記者会見いたしまして、四年後のロサンゼルスについては放送権なり番組制作なりを一緒に相談しながらやっていこうということを決めました。そういった意味合いで、今度来月の初めごろ第一回の交渉が始まる予定になっております。
○中村鋭一君 私は会長初めNHKの幹部の皆さんにお願いをしたいんですけれども、まさにオリンピックの放送というものは本当に国民的な行事でございます。それを一民間放送に独占されて何か若干残念であったとか、そんなことで済むわけでもございません。私はやはりこういったことこそ民放を横に置いてでもNHKが国民の皆さんに完璧に見ていただく、それが筋だと思います。ですから、ロサンゼルスのオリンピック、あるいはその次にあるかもわかりませんけれども、名古屋のオリンピックはひとつNHKがむしろリードをしていい放送をやってくださるようにお願いをしておきたいと思います。その点について会長の決意をお伺いいたします。
○参考人(坂本朝一君) モスクワ・オリンピックにつきましては、大変先生方にも御心配をかけて申しわけないというふうに存じております。 なお、ロサンゼルスのオリンピック以後のことにつきましては、そういうことを戒めといたしまして国民の期待に沿う努力をしたいと、決意いたしております次第でございます。
○委員長(福間知之君) 中村君、時間が迫っています。
○中村鋭一君 はい。 最後に、郵政大臣に一言お伺いいたしますけれども、NHKの予算は私これまで不案内で知らなかったんですけれども、本日審議いたしましたのは五十二年度でございますね。やはり私、こういった予算が執行されて、その決算というものは早ければ早いほどいいと思うんですね。五十五年も暮れに近くなって五十二年度の決算を承認しなければならない、こういうのは残念でございます。そういった意味で、何というんですか、こういう審議をもっともっとスムーズにするように、郵政業務全般にわたってでもございますけれども、最後にそういった点について一言御意見を。
○国務大臣(山内一郎君) 御趣旨の点は私もわかりますけれども、委員会、国会において、ひとつ十分に早くやっていただきますようにお願い申し上げておきます。
○中村鋭一君 申しわけありません。私は、これはむしろ国会に対して、私も含めて言うべきことでございました。失礼いたしました。 これで質問を終わりますけれども、冒頭に、私は、会長さん初め皆さんに申し上げますけれども、先ほど雑誌を指摘いたしました。副本部長さんの名前について言及をいたしました。副本部長さん、本当にこれ新聞記者におっしゃったんだと思いますよ、否定なさいましたけれども。そんなことを新聞記者に言わないわけはないです。これだけの見出しが出ているんですから。だから、どうかひとつ副本部長さんをしからぬようにお願いいたしますね。副本部長さんはちゃんとそうおっしゃっているんでしょうから、あなた方の方がそれをお認めにならなかったわけでございますから、その点を特に御注意申し上げて私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○青島幸男君 NHKの経営基盤に多少かかわりがある問題かもしれませんが、ペイテレビの問題について二、三質問をしたいと思います。 先ほど大森委員並びにほかの委員の方々からの御質問にもお答えになりまして、電監局長、大変に扱いにくいものが出てきたというようなお立場で、大変苦しげな御答弁をなすっておいでのようでした。実際にこれがどういう形で具体化するかということは私どもにはちょっと想像がつきませんけれども、実際行われておりますアメリカの動向などについてはすでに御調査なりが行き届いているはずと思いますが、どういう形で推移しておるか、把握しておいでのものがありましたらお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(田中眞三郎君) 私ども前々から詳しく調査していたということではございませんけれども、現在ペイテレビは、アメリカでは近年急に発展してまいったというふうに理解しております。現在、八局ばかりのものが放送されておるというふうに伺っておりますが、また直接放送衛星等から共同受信設備で受けまして、これをペイテレビという形で分配しておるというようなことを聞いておるわけでございますが、まだ十分にはその面からの詳しい調査をしているわけではございませんので、早急に調査して対応策等について考えたいというふうに思っております。
○青島幸男君 いまさらのようにそういうことをおっしゃられるのは、ちょっと努力不足と申しますか、見識のなさといいますか、その辺責めたいような気もいたしますけれども、このペイテレビの放送法上に占める扱いとかその他につきましては、先ほど大森委員の質問について御答弁がありましたので私了解しましたけれども、アメリカでは六〇年代あたりにケーブルテレビを通じてまず始めたわけですね。これが余り需要がございませんので一回挫折したというかっこうだったようです。それが連邦通信委員会、FCCというんですか、ここが規制を緩めたということから七〇年後半から非常に活発になったというふうに聞いております。 大体におきまして、そういう文化面——電気機器にいたしましても何にいたしましても、大体アメリカの二十年後を追っていると思えば間違いないんだということをかつて言われておりましたけれども、現在ではやがて追い越すという部門も出てまいりまして、ですから、アメリカにならっていさえすればいいんだというようなかっこうではもう対応し切れないという時期に来やしないかと私ども考えるわけでして、ですから、先ほどの御答弁のような状態では、実際に起き上がってきた事態に的確に対処できないということで混乱を生じせしめやしないかという危惧が私にはあるわけです。 これがどういう形で発展していくのかということはちょっと予測しがたいんですけれども、二十五年前に民放並びにNHKさんが発足した当時、私ども新橋の広場でお互いに肩を接しながら伸び上がって見ていた状況を考えますと、その後十年、十五年でこれだけ受信機が普及して、テレビがこれだけのものになるということは何人も予想し得ませんでした。ですから、このペイテレビの普及につきましても、今後どういう推移をたどっていくかということはちょっと予測しがたいと思うんですね。ですから、その辺のことについて深く思いをいたしておかないと、どろなわ的になって戸惑いばかりで、一般の方々にも迷惑かけることになりはしないかということで苦言を呈する次第でございます。 公共放送と民放とそれからペイテレビができまして、その上に仮に放送大学というようなものができますと、四本立てという感じになりますね。それで、しかもペイテレビというのは実はNHKに一番近い性格になっているわけですね。デコーダーといりもの、発信する電波に暗号が付せられていて、その暗号を解読する装置をお持ちの方が暗号の中から自分の見たい電波を抽出してごらんいただくわけですね。そのデコーダーを貸与する、その使用料として料金を払うというかっこうにはなっておりますが、デコーダーは消耗品じゃございませんので、貸与した賃貸料として払うかっこうにはなっておりますが、実際には受信料と考えた方が的確かと思います。 こういうテレビが一般に普及してまいりますと、NHKと真っ向から対立することになりはしないかと思います。そうなったときに、NHKの経営基盤をひどく侵害あるいは傷つけるようなことになりはしないかという感じもするわけですね。この議論をもっと進めてまいりますと、実際にはこのペイテレビという認識のあり方がNHKのこれからの経営のあり方には一番私は近いんじゃないかという気さえしているわけです。NHKの放送の受信料というものが放送の対価として扱われているのか、あるいは賛助料としてNHKに払っているのか、あるいは米軍の関係者が考えるように一種の税金というような考え方さえあるわけですね。 こういうあいまいなことになっているのは、実は放送法のたてまえから言っても、実際に受信機を買ったら映るんだからおまえ払えと言うのは、基本的には契約でも何でもないわけですね。これを無理やりに契約にさしてしまおう、取り立てようという考え方が基本的に無理なためにさまざまの議論がなされているわけですね。幸いにして、NHKさんの御努力もありまして九七%という収納率をおさめております。これはわが国の国民性にも深く根差すところだと思いますが、非常に従順にNHKというものの姿を容認して、さらに助長させようという受信者の方々の理解と努力がNHKを支えているわけですね。 しかし、こういうあいまいなかっこうにしておくということは、実は後々禍根を残すことになりはしないかという気がします。本来なら、NHKの電波こそデコーダーを持たなければ見えないかっこうになっていて、新しく生産されるキャビネットの中にはデコーダーを収納する空間を設けて、どなたでもお買いになれます。受信機を買ったけれどもNHKが見えない。NHKにお電話をするなり連絡をすると、デコーダーを持った徴収員がおいでになって、これをお取りつけいただくにつきましては御契約をいただきます。そのときに初めて契約というものが本質的に法律的な意味で成り立つと思うんですね。それで、これをごらんになるんでしたら受信料をお支払いくださいというときに初めて近代的な契約が成り立つわけですね。そういうことになるということを、先々のことまで考えますと非常に複雑な問題を含んでいやしないかと私は思うわけです。 で、一般に表に流れている電波を雨の水と考えて有線放送を水道の水と考えるという例を私前にも出しまして、雨の水も水道の水も同じじゃないか、しかし水道を引かなけりゃ水は取れないし、雨ならどこにでも降るんだからという考えであいまいに過ごしてしまったことが一番禍根になっているという気がするんですね。 いまCATVの現状を見ますと、CATVはもっぱら難視聴の方に使われている比重が多うございまして、自主放送はそれなりにいま運営はしておるようですけれども、まだ目立った状況にはなっておりませんが、やがては違ったかっこうになると思いますね。特にアメリカなんかでいまやっておりますのは、実際には新しい電波を一つ認可を受けるということでなしに、普通の民放局が昼間普通の放送を普通の免許で流しているわけですね。夜間にデコーダーをつけなきゃ見られないサブスクリプションテレビともいいますか、このペイテレビを流している。そういう状況すらあるわけでして、いまに民放さんもそういうことを始めんじゃないかという気がしますね。 もう一つは、劇場にわれわれが参りまして映画を見ますけれども、そのときには、いまロードショーを見に行こうとすると二千円ぐらいかかるでしょうね。往復の足代あるいは食事費なんかを入れますと、ちょっと映画を見に行こうといっても三千円、五千円はかかるわけです。たとえばアメリカで何でこれが発達してきたかというと、アメリカでもでき上がった写真は一年か二年ぐらいたたないと劇場用映画はテレビには乗りませんですね。ということは、企業としての相互互換性もあるでしょうしね。しかしクローズドサーキットになりますと、有料でしか見せないというところへ上映権だけを渡すわけですからね、フィルムを渡すのじゃなくて。そうすると、かなり早い時期に渡せるわけですね。そうすると、実際にはそういうペイテレビに三千五百円なり五千円なりで契約をしていると、居ながらにして、ついこの間ロードショーとして上映したフィルムが自宅にいて、しかもCMに煩わされることもなく、時間制限のため重要な部分がカットされたり再編集されたものでないものが自宅にいて見られるわけですね。そうすると、映画好きの方が三本、五本ごらんになるんだったらペイテレビはずいぶん安くつくわけですね。そういうかっこうで発展してきていると思います。 先ほど電監局長おっしゃいましたけれども、放送大学なら公共性があるけれども、娯楽一辺倒で劇映画ばかり流すようなものについては公共性の面からして公共の電波を使用するについてはちょっと考慮が要るのではないかというような御発言もなさいましたけれども、まさに私もそのとおりだと思います。しかしアメリカのその種の局の中には四六時中報道だけ流している局もあるわけですね。そういうものの要求が出たときに、そのことをもってエクスキューズとすることにならないわけですね。拒否する理由にはなりませんね、公共性のたてまえから。そうなりますと、そういうかっこうのものが申請されたときには、いままでの論法ですと拒否できませんことになりますね。ですから、対応の仕方を綿密に考えておかなければならないような気がします。 それから現在のオーディオの機器の発達の状況なんかを見ますと、FMの発達とFMの放送が開始されてからオーディオ機器の産業というのは非常に躍進しましたし、オーディオのファンもふえましたね。ということは、音楽なんかを聞きますと、FMを聞いてたらAMは聞けないわけですね。それと同じように、NHKさんの研究所で開発なさっているような高品位のテレビなんというものがUHFで2を使うようなかっこうでペイテレビが細かい走査線で良質の画を流すようになりますと、これは一回それを見たらほかのが見られないよということになりやしませんか。自宅に居ながらにして大型のスクリーンで見るのと同じような画が見られるということになりますと、NHKの料金を払うんだったらおれは何々ペイテレビと契約したいという方が大ぜいさん出てこられますと、これは受信料収納に全く影響が出てくると思いますね。そうなってからあわててもちょっと遅いんじゃないかという気さえするんですけれども、その辺は電監局長はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま先生が御指摘のとおり、このペイテレビとNHKの現在の受信料制度でございますが、非常に似通った点がございます。したがいまして、これを導入した場合にはNHKの受信料制度への誤解も生ずるおそれがございます。受信料徴収につきまして実務上の影響が出ることも十分恐れられるわけでございまして、そういう意味でもこのペイテレビの導入に当たりましてはよく検討し、NHKの御意見等も十分聴取した上で慎重に検討する必要があろうかと考えておるわけでございます。 それからこの際ちょっと補足させていただきますが、私が申しましたのは、従来日本で発展してまいりましたNHKの放送と一般放送事業者の放送でございますけれども、これは広く公衆に限られた電波が利用されるということであったかと思うわけでございますが、このペイテレビの仕組みを考えますと、いずれにしましても特別な料金を払う必要がある、そういう意味でまずそういう特別な契約をした人にしか見られないということで限られるということがあろうかと思います。それからやはり事業としてペイテレビが成立するということになりますと、かなり世帯の込んだところと申しますか、需要が認められる特定の地域に限られようかと考えるわけですけれども、そういう前提がもし正しいといたしました場合には、そうしたペイテレビというものに限られた周波数を割り当てるということが「電波の公平且つ能率的な利用」という電波法の一条の精神に照らしまして、重要無線等との関連からもいたしまして適当かどうかという意味で、従来、日本の場合の現在発展しております放送という概念からいたしまして公共性の面でいかがかというふうに考えており、そうした点を十分に検討する必要があるだろうというふうに申し上げた次第でございます。
○青島幸男君 それはわかるんです。ですから、私もよくわからないんです。この問題については。率直に申し上げますけれども。これをどうしたらいいじゃないかというアイデアがあれば私申し上げるんですけれども、架空の問題を論じているようで大変恐縮ですけれども、私も結論は出ません。ですから、御一緒にお考えいただきたいというふうな認識があるわけですけれども。 しかし、いま電監局長が言われたようなことになりますと、このサブスクリプションという意味は抽出という意味があるのかと思いましたけれども、サブスクライブの名詞形になっているわけで、雑誌なんかを購読する場合のことを言うらしいんですね。ですから、その論法で参りますと、多様化してくるニーズというものが国民の中にあることも事実ですし、これを全く拒否してしまうというわけにもまいりませんね、もし一般の方々がそういう多様性を求めておられるとすれば。しかもそれがその重要無線その他に影響も限度があると考えられる、しかも大ぜいの方々がそういうニーズをお持ちだということになりますと、それはやっぱり公共の意味になりますね。ですから、新聞はいいけれども雑誌を購読するのはいかぬぞという論法と似たかっこうになりまして、同人雑誌すら封ずるようなかっこうになりはしないかという気がしますと、その論法をもってしても全くこの申請を拒否し続けるというわけには参りませんね、きっと。 そうなりますと、先ほどから電監局長のお話をいろいろ伺っていますと、多様化するニーズも一方にはある、それから革新的な技術がどんどん進歩していく面もあるし、それから放送法上のたてまえもきちっと守っていかなきゃならない。だから大変なことになったので、十分対応できるように外部の方なんかも交えて審議会を設けていま検討しておるところだということも先ほど伺いました。しかし、確かにお集めになっていらっしゃいます学者の方々の見識を疑うわけでもございませんし、郵政省の中の審議会に参加している方々の御見識を疑うわけでもございませんが、私どもと違う感覚をいまの若い人は持っているわけですね。テレビなんという便利なものができて、昔は空想小説にしがなかったものができたということについて私ども大変驚異を感じていたものでしたけれども、生まれたときからテレビがあったという世代がやがて親になろうとしている、いま。いまのその人たちの世代の考え方というのは、われわれとまるで違うんですよ。ですから、もしそういう審議会をお設けになられて対応の手だてを考えられようとするなら、これは提言ですけれども、うんと若い方、映像で育った方々とか、あるいはエイトビートで育った方々の見解とか意見とかというものも十分に組み入れられるようなシステムにしないとぐあい悪いかと思います。 それで、何でこんな架空なことをばかばかしく論じているのかという御懸念もおありでしょうけれども、もうすぐそこまで来ていると思います。ですから、早い時期に対応の仕方をきちっと決めておきませんと、いままでのように本当にテレビがあれよあれよという間にこんなふうになりました。郵政省の管轄に、郵便業務と電信電話を扱っているところに電波行政を一緒に扱うということすらわりあい明治的な発想だと思うんですね。だから、諸外国には電波省というのを別に設けているところすらあります。その対応の仕方をいち早く徹底しておかないと混乱を招くことになりゃしないかという懸念を持っておりますので申し上げているわけです。大臣いかがでしょうね。全く架空の議論で申しわけないんですけれども、いずれにしましても日進月歩で変わってまいりますから、早いところ対応するための手だてを講じておいた方がいいと私は考えますけれども、その点について御見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) 私も最初このペイテレビというのを聞いたときに、これは一つの行き方であるなあというような気がしたわけでございます。したがって、いまの法律に沿って一つ許可した場合、後どうなるかわからない。私は、これは物すごいいろんな種類が出てくると思うんです。この放送の内容の種類ですよ。あるいは映画ばっかりのやつ、あるいはスポーツだけというので。そういたしますと、電波行政から言っても、その数も足りなくなったり、大分大混乱がするようなちょっと気がしたわけですね。 それからもう一点は、いまやっているNHKと民放との関連の問題、どんな影響が出るだろう。せっかく、わりあい秩序よくやっているんですね、一般の方に喜ばれて。そういうような点を考えますと、これはよっぽど慎重に考えてやっておかなければ、一つ許可すると大変だというので、電波監理局長にあらゆる面からひとつ調べなさい、こういう点をいま言っているところでして、これはすぐ出せるような情勢じゃないんですよ、考え方はいいんですけれども。そういうことで慎重にひとつやらさしていただきたいと考えているわけでございます。
○青島幸男君 慎重、結構なんですけれども、事態がどんどん進みますので早いところ手を打たないといけない、こう思うわけです。まさにアメリカなんかでは小さい出力ですけれども、朝から晩までジャズを流している局もラジオ局なんかでありますし、さまざまなことあるわけですね。しかしVHFでやるわけじゃございませんで、UHFでやるとなりますと、一応エリアは決まりますから、わりあいそういうニーズはますます高まってくると思いますね。ですから、このニーズを封じ込めておくというのも、やがては憲法上の疑義すら出てくるようなことになりゃしないかという気がします。そういうニーズを全く制度上不都合だからといって振り切ってしまうわけにもまいらないと思うんです。ですから、慎重は結構なんですが、できる限り早い対処の仕方が望ましいと思うんです。 たとえばNHKさんの方にしましても、いまのような状況がそのまま安易に推移するかということが非常に疑問ですね。たとえば、もともとNHKが映らないテレビという、本源的にもうNHKの映るチャンネルが欠落しているというテレビが売り出されまして、カタログには、当テレビはNHKの番組、総合並びに教育は映りません、しかし受信料は払わなくていいわけですから月賦でお買いになっても五年分はただになりますというようなことをうたって発売されますと、これを拒否することはできますか。どうなんでしょうね、会長、これは。映らないものから取れますか。
○参考人(中塚昌胤君) どうしてもNHKの放送が映らないテレビを設置された場合には受信料は取れません。
○青島幸男君 ですから、そういうテレビを買って、その分でペイテレビを私は払うというような方が続々出てくるようなことになりますと、まさに経営基盤に黒い雲がかかってくるようなことになりゃしないかと思います。これは単にNHKさんの御努力だけではどうにもなる問題ではございませんが、その辺も含めましてひとつ……。私もどうすればいいという結論がないまま終わってしまい恐縮ですけれども、早急に大臣並びに郵政関係の方々、どういうふうにいち早く対処していったら一番国民の要望にこたえて、しかも電波行政の上で混乱を招かないで上手にやっていけるかということをぜひ御検討いただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(福間知之君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 日本放送協会昭和五十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時九分散会