社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 353 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/11/20
会議録
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十九日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として前島英三郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(片山甚市君) 前回に引き続き健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○沓脱タケ子君 それでは、お許しをいただきまして、ただいま上程をされております健康保険法等の一部を改正する法律案について質疑を行いたいと思います。 本来は、本日は労働日でございますので私は同意しかねたのですけれども、委員会運営の運びで本日質疑をすることになりましたので、質問をさせていただきたいと思います。 最初に、政管健保の構造的な問題をまずお聞きをしたいと思っています。組合健保と政管健保との比較ということで見てまいりますと、いわゆる政管健保というのが非常に構造的な脆弱さを持っているというのは明らかにされてきておるところでございます。保険料収入を見てみましても、たとえばこれは厚生省からいただいた五十三年十月の政管健保と組合健保との比較をしてみますと、いわゆる標準報酬月額、これを見てみますと、五十三年度は、各階層の平均金額で、組合健保の場合には十八万九千四十四円になる、政管健保の場合は十四万九千二百二十七円、その差額が三万九千八百十七円になります。五十四年度になりますと、その格差がさらに開きまして、組合健保は二十万二百八十七円、政管健保は十五万八千四百九十四円、その開きというのは四万一千七百九十三円、さらに開いてきているわけでございます。仮に政管健保の労働者の賃金が組合健保並みになっていたら保険料収入がどうなるかということで計算をしてみますと、五十三年度、たとえばこの賃金格差は三万九千、約四万円の格差を千分の八十で計算をいたしますと五千三百億の増収になります。五十四年度も同じく計算をしてみますと五千七百億の増収になるわけでございますが、計数的には間違いございませんか。
○政府委員(大和田潔君) 計数的にはそのとおりでございます。
○沓脱タケ子君 そして、一方、支出の方はどうかということで見てまいりますと、政管健保と組合健保の受診率一件当たりの日数及び一日当たりの診療費という資料をいただいておりますが、それによりますと、受診率では、これは組合健保よりも政管健保が外来、入院ともに高いです。政管健保の被保険者は、入院の場合に、これ一人当たり年間〇・一五六二なんです。ところが、組合健保は〇・〇九七五なんです。入院外を見ますと、これは被保険者が、政管健保の方では年間五・三一九五と、組合健保では四・一八二二ということで、受診率も明確に高いわけです。数字が、計数が示しております。一件当たりの日数、一人の労働者が年間どのように受診しているかという日数ですけれども、かかったら長いですね。政管健保の方は入院の場合に十八・五一日です。ところが、組合健保は十六・六一日。外来でも、同じく政管健保は三・三八日ですね、組合健保は二・八九日ということになっているわけです。ですから、一人当たりの医療給付費というふうなのは、当然のこととして費用負担が大きくなっています。政管健保では十万二千三百三十九円、組合健保では七万二千百六十一円ということになっておるわけでございます。これは当然ふえると思うんですけれども、これは間違いありませんですよね。
○政府委員(大和田潔君) そのとおりでございます。
○沓脱タケ子君 明らかに、構造的な弱さというのがはっきり出てきていると思うわけです。 しかも、その構成を見てみますと、被保険者が、政管は約千四百万人、組合健保が約千百万人ですね。組合数が千六百六十五組合になっておりますが、従来、歴史的に見てみますと、政管健保からどんどん組合健保に、特に大企業が中心になって組合健保が、どんどん組合をつくってふえていった。したがって、昨今千四百万人という政管健保の被保険者の内容というのは、主として中小零細企業の労働者になってきているということは明らかになっています。賃金が先ほど申し上げたように低いこと、受診率が高いこと、つまり病人が多い。こういう結果を見ますと、これらの賃金が低いとか、受診率が高くて病人が多いというようなこと、これは労働者、被保険者の責任なのかどうかという点はひとつ大切な問題点であろうと思うんですが、その点についてはいかがですか。
○政府委員(大和田潔君) ただいま先生の御指摘になりましたことは、政管健保と組合健保の構造的な違い、こういうことをおっしゃったんだろうと思います。それが労働者、被保険者なりの責任でそうなるのかというお話でございますが、構造的な問題でございますので、責任というようなことではないというふうに理解しております。
○沓脱タケ子君 それは、明らかに労働者の責任でそんなことになるはずがないので、労働者の責任でないことは明らかです。 で、大和田保険局長が過日の、十月三十日の衆議院の社会労働委員会で「政管健保につきましては所得の低い階層が多いということ、高齢者が多いということが国庫負担の根拠になっておるものと考えております。」という御答弁をなさっているんですね、会議録を拝見しますと。これは、言いかえれば、政管健保は構造的な違いというものを持っておる、つまり賃金は低い、病人は多いという状態を持っているという、まさに労働者の責任でない構造的な特徴を持っているということで国庫補助をするということだと思うんですけれども、そういうふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(大和田潔君) 構造的な差異というものがある、その構造的な差異の理由はいま先生が挙げられましたようなことであり、さらに私申しましたように、高齢者が多いといったようなことによって構造的な差異が出てくる。これを、やはり方向としては、この差異というものをできるだけ埋めるために足の弱い制度に国庫負担をしていくということが方向としてあるべき姿であると。そちらの方向へ一歩努力をするという意味におきまして、国庫負担が行われているというふうに考えておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、今回の提案されております原案を見ますと、当分の間、二八・四で国庫負担を据え置きにするというわけでしょう。いま局長がおっしゃった趣旨から言いましても、これは好ましいことではないんではないかと思うんですがね、据え置くということは。だから、まあ仮に据え置く理由として、財政的な理由でということを盛んにいままで御答弁になっておるのはよく存じております。しかし、財政事情を別にすれば、当然これは続けるべき性格のものではないだろうかと思うんですけれども、大臣、どうでしょう。
○国務大臣(園田直君) 連動制の問題は各委員から御指摘をされているとおり、国家財政許せばこれは連動制の方がよいと私も考えており、やむを得ずこのように修正されたわけでありますが、これも国家財政が財政再建終われば、なるべく速やかに検討すべき問題であると考えております。
○沓脱タケ子君 その点は、財政事情さえ別に考えれば、当然この据え置くということは好ましくないというお立場だと思います、表明されたと思いますが、しかし、今日日本の国民、特に中小零細企業で働く労働者、被保険者の立場を考えますと、どちらの立場をとるかということがやはり非常に重要な問題点だと思うわけです。国庫補助を引き上げるのか、あるいは据え置くのか、これは全く政策的な課題だと思いますが、いわば国民本意の立場、特に中小零細企業の労働者である被保険者の立場を貫くのか、そうでないのかという二つに一つだと思うわけでございますが、もちろんこれは自民党を中心とする修正案でございますから、自民党は据え置きの立場を選んだのだというふうに思いますが、この点は明確にしておきたいと思いますが、大臣、そういうことになるでしょうね。
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたようなやむを得ざる事情で、四党で合意をされ、修正されたものだと承っております。
○沓脱タケ子君 私は、これは、国家財政の据え置きというのは、今日のこの脆弱さ、特に賃金格差等が開いていっている、組合健保と比べまして、一年ですとんと開きが大きくなるというふうな段階ですから、当然これは据え置くのではなくて、連動条項は少々困難であっても実現をするべきではないかという点を特に申し上げておきたいと思うわけでございます。 そこで、次にお伺いをしたいと思いますのは、これは衆議院から送付をされました修正案のこの健保法一部改正案ですが、ちょっと最初にこれ計数的に社会保険庁にお伺いをしたいと思いますが、改正案によりまして保険財政からの支出増はどれだけふえますか。そして、その内訳はどうなってますか。
○政府委員(吉江恵昭君) 五十五年度、満年度の財政効果というように見てまいりますと、家族の給付割合のアップ分、これは純増で申し上げますと百二十九億円の支出増ということになります。それから、低所得者の高額療養費、つまり一万五千円以上は保険負担というこの制度の新設によりますところの純増が三十億円ということになります。 それから現金給付の改善分、分娩とか、埋葬とか、その他でございますが、これが合わせて百四十七億円で、合計いたしますと三百六億円の改善ということになります。
○国務大臣(園田直君) 先ほどの私の答弁の中で、四党で修正されたような発言いたしましたが、これ間違いでありまして、自由民主党の修正でございますから、訂正をして、おわびをいたしておきます。
○沓脱タケ子君 いま支出増と言われたのは、家族の入院を七割から八割へ引き上げるということで、五百十五億じゃないんですか。あなたの方の資料もらったのでは。
○政府委員(吉江恵昭君) はい。支出増としては五百十五億でございますが、入院が七割から八割になることによる、カウント上のと申しますか、高額療養費の減分が三百八十六億あります。したがいまして、五百十五億引く三百八十六億円で、純増百二十九億円ということに相なるわけでございます。
○沓脱タケ子君 そうすると、支出増が百二十九億。これ、まあ高額療養費を除くと六百九十二億になるんですねこれ高額療養費は支出増でもないわけでしょう。増収の部分もあるでしょう。
○政府委員(吉江恵昭君) 同じようなことになろうかと思いますが、いま申し上げましたように、七割、八割による支出増が五百十五億円、それから高額療養費による支出減が三百八十六億円ということですが、よろしゅうございますか。
○沓脱タケ子君 そうしますと、支出増としては差し引きをして三百六億円と、こういうことですね。
○政府委員(吉江恵昭君) はい、さようでございます。
○沓脱タケ子君 それで、これはいま支出増をお伺いしたんですが、保険財政から見て支出の減になる部分、これはどうなりますか。どういうふうに見込んでおられますか。
○政府委員(吉江恵昭君) これは患者の一部負担のアップ、これが保険財政から見た支出減になりますが、これが百九億円でございます。したがいまして、ここで改めて申し上げますと、保険からの支出分が三百六億円。それから支出減の要素がいま申し上げました百九億円。これを差し引きますと、全体として百九十七億円の改善と申しますか、そういうように相なるわけでございます。
○沓脱タケ子君 そうすると、差し引きの数字はいろいろありますけれども、結局は、今回の改正によって厚生省が計上している支出増、つまり給付改善分というのが金額、計数にしますと百九十七億円だということですね。
○政府委員(吉江恵昭君) はい、さようでございます。
○沓脱タケ子君 それで、百九十七億の給付改善のうち、現金給付というのは幾らになりますか。
○政府委員(吉江恵昭君) 結論から申し上げますと、百四十七億円でございます。中身は、分娩費はいままで異常分娩でございますと半額になっておりましたが、これを正常分娩と同じように出す。つまり半額にするという規定を廃止したことに伴うものが二十五億円、それから埋葬料、これを五万円から七万円にしたことに伴う支出増が十四億円、それから分娩費が十万から十二万、これが百八億円、合計百四十七億円ということになっております。
○沓脱タケ子君 そうすると、今度の改正案での給付増というのが百九十七億で、そのうちの百四十七億円が現金給付費になるので、実際に医療給付費に充てられる分というのは、直接現物給付として改善をされるという部分は、この計算でいきますと、五十億になるんですが、そうですね。
○政府委員(吉江恵昭君) さようでございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、保険料についてちょっと聞きたいんですが、保険料が千分の一では五十五年度で二百九十億になるというふうに伺っておりますが、これを来年度、収支均衡のために千分の八十四にする、そうして累積赤字の解消に千分の一毎年償還をするとして、千分の一をプラスするとして、千分の八十五に引き上げられるということになりますと、保険料は二百九十億の五倍ですから千四百七十億、ざっと千五百億ですがね、千四百七十億の増収になるということなんですね。そう理解していいですか。
○政府委員(吉江恵昭君) はい、繰り返しになるかもしれませんが、確認のために申し上げますと、保険料率千分の一当たりの保険料収入は約二百九十億円でございます。したがいまして、保険料率が八十五のときは保険料収入は約千四百五十億円ということに相なります。
○沓脱タケ子君 そうしますとね、いままでちょっと計数をお聞きしてきたんですが、結局千分の八十五に保険料率を上げるとすると、約千五百億ですね、千四百七十億、正確に言うたら七十億ですが、いま五十億とおっしゃったんですが、千四百七十億、まあわかりいいように約千五百億、これを被保険者からたくさん集める、徴収する。しかし、保険からの給付のふえる分というのはこれは約二百億ですね、百九十七億とおっしゃったから、約二百億。そのうちの現金給付が百四十七億、まあこれも約百五十億、実際の現物給付の医療給付費は五十億の改善になるというわけですね。そうして、これに加えて初診料の一部負担の増でまあ受診抑制が起こるとしますと、本改正案は、結果的には保険料の引き上げと国庫負担の据え置きということにならないですかね、どうですか。
○政府委員(大和田潔君) この改正案につきましては、入院給付がやっぱり七割から八割と——家族の入院給付が、これはやはり改善だろうと思いますし、先ほども医療保険部長の方から話ありました現金給付の改善というものもございますし、それから、それ以外に、いま先生御指摘のように、政府管掌健康保険の健全な運営が図られるといったような趣旨が盛られておるわけであります。それ以外に、具体的に自民、社会、公明、民社四党間の話し合いを踏まえまして、差額ベッドとか付添看護婦の解消というような方向へ努力をするということに大きく一歩を踏み出したというようなこと、あるいは具体的な事柄で申しますと、薬剤問題の解消に不可欠な薬価調査について新しい規定を設けたといったようなことがございまして、そういった意味で今回の健康保険法の改正、これはかなり大きく前進をしているんだというふうに私どもは考えておるわけであります。
○沓脱タケ子君 それはまあ厚生省はそう言わなきゃ、だって千五百億とにかくかっちり保険料はふやしてもらいますと、しかし計数的には百九十七億、ざっと二百億円の給付の改善にしかなりませんと、医療費直接の改善は五十億でございますと、片方では受診抑制を言われておる初診料の一部負担が六百円から八百円に値上げされます、入院料のときの一日の一部負担金が二百円から五百円に値上げいたしますと、それで国庫負担金は、とにかく国家財政困難だから財政問題がなければ出すのが当然だと言うんだけれども、しかし国家財政の事情もあるので、当分の間据え置かしてもらいますと、こうなっているわけだ。これ被保険者たまったものじゃありませんよ。うまいことおっしゃるけれども、数字で言うたら、これはごまかしの、だからさっき数字を確認したんだけれども、数字で言うたらそういうことになるでしょう。しかしそういうことになって保険料よけいもらったら何とかしますというわけですけれども、これは保険財政の収支均衡を図る、あるいは累積赤字、四十九年以降の分は六年で償還するというようなことも含まれていますからね、それは後でちょっと触れますけれども、しかし、だから社会保険庁にお伺いしたのは、計数的に言うたら端的にそういうことになりますねということを言うているんですよ。だから、保険局長はそれはお立場上そうだけれども、計数的には間違いありませんね。
○政府委員(吉江恵昭君) 計数的にと申しますか、確かに支出増と収入増を比べますと差があるわけでございますが、一言つけ加えさしていただきますと、昭和四十九年以降ほとんど毎年、一年だけ例外がございましたが、収支不足額を生じ、累積赤字も五十四年度末で千二百九十億円に達しております。それから医療費の伸びもこれからも続くことというように考えられますので、この際事業主、被保険者の御協力を得て、負担の適正化を図って、政府管掌健保の健全な運営を図りたいというように、私ども事業実施に当たるものとしては考えておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 私の聞いていることに答弁にならぬよ。累積赤字の解消の問題、これから聞くんです。先ほどから御確認いただいた、計数で言うたら私が申し上げた結果になりますねと、あなたが数字言ったからきっちり聞いたんですがな。そのとおりを集約して言うただけですよ、そうでしょう。もう一遍繰り返しましょうか。保険料を千分の八十五に千分の五引き上げるということで一年間にざっと千五百億の増収を被保険者から余分に集めますと、しかし今度の改正案による医療給付の改善の金額は百九十七億の支出増だと、そうなんでしょう。百九十七億の支出増の中で現金給付として分娩費、それから葬祭費の改善分が百四十七億でしょう、さっきお話しになったのは。そうして差し引きいたしますと、医療給付、直接に現物給付に改善分として波及する計数というのは五十億だというふうに御説明をいただいた。片方では国庫負担は当分の間据え置きだと、直接的には労働者、被保険者にとっては初診料はこれは一部負担金が上がる、入院料の一部負担金も上がるという結果になりますなと、その総計を丸めて言うたら、先ほど社会保険庁のいわゆる財政収支の増減の結果がこうだというお話だったんでしょう。そのことを確認してもらったら結構です。余分のことは要らぬです。
○政府委員(吉江恵昭君) はい、数字は確認いたします。
○沓脱タケ子君 だから、早く言えば、労働者、被保険者、特に中小零細企業の労働者が中心だということを冒頭に申し上げましたが、そういう零細な賃金も低い、労働条件、生活条件も悪くて病気も多いという客観的な条件が出ておるそれらの被保険者に対して、保険料はとにかく八十五で千五百億余分にもらいます、しかし給付の還元は財政支出から言うたらわずか二百億だと。これはいただけませんよ、こんな案を。だから被保険者は反対をなさる、こんなことあたりまえですよ。しかし、それはまとめてまた申し上げるといたしまして。 そこで、先ほどから御説明の中に出ております、本改正案ではいわゆる四十九年度以降の累積赤字を六年間で解消するとおっしゃる。そのために保険料の引き上げもなさろうとしている、やるんだとおっしゃいましたね。そこで、まず最初にお聞きをしたいんですが、四十九年度以降の累積赤字の千二百九十億円の性格は一体どんなものかということを、各年度の内訳と赤字の原因、こういうものをお伺いをしたいと思うわけです。そしてこの赤字の性格というものも検討の対象にしてみたいと思うんですが、各年度の内訳と赤字の原因を言うていただけませんか。
○政府委員(吉江恵昭君) 四十九年度から五十二年度までの赤字の理由は、いずれも社会的背景が先生御承知のようにオイルショックという非常に激動の時代であったということでございます。それを前提にいたしまして、四十九年度は医療費改定が二回にわたって行われております。これが大きな原因だろうと思います。大きな原因を申し上げます。五十年度は保険料収入が当初の予定を大幅に下回っております。これは景気の落ち込みが始まったということであろうと思います。五十一年度はやはり医療費改定がありました。それから保険料収入も引き続いて落ち込んでおります。それから、患者負担額の改定を国会にお願いしておりましたが、これが削除されております。大体そういうようなことで、医療費の改定、それに見合う収入の対策というものがうまくかみ合わなかったということが大きな原因ではなかろうかと思います。五十三年度、五十四年度、これは若干の黒字ないしは赤字でございますが、これは、言われておりますとおり、インフルエンザの流行が本当に異常に少なかったということではなかろうかというように考えております。
○沓脱タケ子君 四十九年度以降の赤字の内訳を言うてくれていなかったので、私資料をいただいているから申し上げますが、間違っていたら訂正してください。 四十九年度は三百六十八億の赤字、五十年度は三百十二億の赤字、五十一年度は五百六十一億の赤字、五十二年度は百五十三億の赤字、五十三年度は百二十六億の黒字、五十四年度は二十三億の赤字、その総計が千二百九十億ですね。 いまお述べになりましたそれぞれ各年度の赤字の原因なんですが、これは余りはっきりおっしゃっていただけなかったんですが、四十九年度の赤字の原因は、いまおっしゃられたようにオイルショック、狂乱物価のあおりを受けていた経済情勢、そういう中で医療費改定が一年間に二回やられた。それが一つは赤字の原因だとおっしゃるのですね。五十年の三百十二億というのは、これはオイルショックの影響が非常に強くて経済不況、経済悪化がとみに顕著であった年だと思いますが、これによって保険料収入が減った。この理由というのは、「国の予算」という大蔵の関係者が出しているあれの「昭和五十四年度予算」という中にそのようにお述べになっておられるのです。だからその点は間違いないですね。経済不況の悪化で保険料収入が落ち込んだというのが五十年度の大きな理由です。五十一年度の五百六十一億の赤字の原因というのは、一つは、同じく経済不況の影響による保険料収入の落ち込み、それからもう一つは、患者の一部負担金の増を提案をしたけれどもこれが国会で削除をされたというので見込み違いが起こった。この二つだとおっしゃるでしょう。五十二年は、改正案の成立がおくれた、もっと早いこと成立しておいてくれたらこんな見込みになるはずではなかったと。ところが十二月になった。改正案がおくれたのと、内容が思惑どおりいかぬで国会修正があったこと、こういうふうにこれにも述べておられますわ。それは間違いないですね。
○政府委員(吉江恵昭君) そのとおりでございます。
○沓脱タケ子君 そこで問題にしたいと思うのは、不況によって保険料収入の大幅な減が起こったということを原因とする赤字、これは大蔵省も社会保険庁もお認めになっておる。五十年度三百十二億、五十一年度百数十億プラス——五十一年度はこれは予算の段階で初めから赤字予算ですね。当初予算から四百五十二億の赤字予算で、そうして百数十億の赤字を出しているわけですから、合わせて四百数十億ですね。これ少なくとも五年間の累積赤字というのですが、この赤字の中で、これは赤字全体に一つは問題があるんですけれども、不況によるということを明確に大蔵省も厚生省もお認めになっている。不況によって労働者の賃金がダウンをした、失業者がふえた、そのことによって保険料が大幅に収入減を来した、これは全く労働者の責任でないわけです。被保険者の責任ではないというのは明らかです。そういうことになりますと、まさに政府の経済政策の見通しやあるいは経済政策の失敗のツケが国民の生活に対して収入減になり、そのはね返りが保険料の収入の減になるという形になってあらわれているわけです。それなのになぜ、その不況のツケの分まで労働者つまり被保険者の保険料の引き上げで穴埋めをしなければならないのか。これはお話にならぬと思うのです。こんなもの、少なくともこの経済不況の影響で保険料の見込み収支が落ち込んだんだということで出てきている、お認めになってきているこの赤字分は、これは累積赤字から削除するべきだと私は思うんですけれども、いかがですか。——そんなもの政策的な問題ですよ。
○政府委員(大和田潔君) 国家財政の見地というお話でございますが、実は私どもの方といたしましては、やはり政管健保の運営上の問題といたしまして、本来政管健保につきまして、あるいは政管健保以外の医療保険につきまして、保険料で賄っていくというそういう前提で、足らざる部分は、先ほど先生おっしゃいましたように国庫負担があるわけでありますが、これは一六・四%というかなりの高率の国庫負担に四十八年から逐次ふえてまいったわけでございますけれども、そういったような事態にもかかわらず赤字が出てきたと、それを国庫負担でというようなお話は、なかなかやはり政管健保と申しますか、医療保険の保険料でもって運営を行う、収支を賄うという立場からいたしますと、なかなかそういうような議論も出てまいりません。やはりこれは保険料でもって返還をするというようなたてまえで考えていかざるを得ないというような判断がどうしても成り立ってまいるわけでございます。これは政管健保の運営、責任といたしまして、どうしてもこれは保険料でもって返すというようなたてまえで物事を考えていかなければならないというような判断でもってこのようなことになったわけであります。
○沓脱タケ子君 政管健保の運営に責任を持っておりますと言うけれども、だってあなた、累積赤字を六年間で、このいま出ている法案では六年間で償還するんだと、そのために保険料率をアップするんだと言うてるんでしょう。だから言うているんです。その赤字の内容というのは一体何なんだと。明らかに政府もお認めになっておる政府の経済政策の見通し、特にあのときは不況が起こったんでしょう。経済政策の見通しの誤りとか経済政策の失敗ですよ。そのことのツケが、労働者には賃金ダウンになり、首切りが起こり、失業がふえ、その結果が保険料収入をダウンさしたんだということをお認めになっているんじゃないですか。その分まで累積赤字でございますから、六年間で保険料上げて労働者から頭割りで集めて返済しますなんていうようなことを労働者許せますか。そんなばかなことを、少なくとも政策的に起こってきた赤字なんだということは認めている以上は、累積赤字の中から少なくとも差っ引いてたな上げするなり、政府が責任を負うなり、労働者に転嫁をするべきでないということを申し上げているんです。そうでしょう、大臣。
○国務大臣(園田直君) 御意見でございますが、健康保険、特に政管健保というのは給付と負担と両方の均衡ででき上がっておるわけであります。かつまた累積赤字についての補てんの方法等は、これまた財政当局と厚生省の関係ではなかなか厳しい足かせ手かせがありまして、なかなか簡単にはそのようにまいりません。したがいまして、政府全体として赤字財政を再建するためにやむを得ずとられた処置であると考えております。
○沓脱タケ子君 大臣が、大蔵省との関係でなかなか困難でしようがないんだとおっしゃるんだけれども、これははっきりしておきたいと思うんです。わが党は保険料の引き上げでこんなものを償還するということには基本的に反対なんですが、しかし特にいま私が指摘しました五十年度、五十一年度の赤字の原因というのは、明らかに景気変動の影響、政策的な影響で出てきているものだということを政府が認めているんですから、こういう赤字の、保険料による償還というのは反対であるということをはっきり申し上げておきますよ。こんなもの認められませんよ。——何か御意見があれば聞きますけれども、ありませんか。
○政府委員(大和田潔君) ただいま私、申しましたとおりであると思いますが、大臣もいまのようなお答えをいたしました。大臣のお答えのように、やはり大蔵、財政当局との絡み、これがやはりこういうような結果といいますか、こういうような仕組みをとらざるを得なかったという一つの大きな原因であることは間違いないと思います。
○沓脱タケ子君 そのことはわかっているけれどもできないんだということですね。 それで、時間の都合ありますから、問題次へ進めますけれども、保険料の値上げによる累積赤字の償還というようなことはやっぱり再検討をするべきだと思うんですよ。私は全額償還に反対なんですが、わけても五十年、五十一年度の赤字の性格から考えて、これを保険料収入の引き上げによって償還を要求するなどというのは、これはまさに道理に合わないという点を重ねて申し上げておきます。 さらに、初診料の一部負担金の引き上げですね、六百円から八百円。それから、入院時の一日二百円から五百円、この引き上げというのは、金額はわずかだからというふうな御意見もあろうかと思いますけれども、しかし初診時の一部負担の引き上げというのは、過去の例から見てまいりますと受診抑制につながらないかということが一番大きな心配になっております。ちなみに、一部負担金の増をやったときにはどうなるかという問題を政管健保の月別本人・家族の受診率の一覧表をいただいて検討してみました。そうしますと、過去の例をちょっと見てみたいんですが、昭和四十二年の九月一日から初診料が百円から二百円に引き上げられた。それから一十月から薬剤費が一剤について十五円ずつの一部負担金になったと。このときの変化を見てまいりますと、これはちょっと、お持ちでしょうが、数字をちょっと申し上げますと、四十二年の九月一日からこれが制度改正になりまして、その八月には政管健保の本人の受診率が五三一・九八なんですがね、千人当たりですね。千人当たりの率が五三一・九八なんです。翌月すぐには落ちてないんですよね。十月になりますと、これは薬剤費一部負担一剤十五円になったときですが、やはり被保険者千人当たりの数値が四七三・九七というふうに下がってきているわけですね。そういう、ずっと四百台に下がりまして、同じく翌年の同月ぐらい、大体翌年はずっと四百台になって、一部負担金が制度改正をされる前には五三一という、八月、一番最後の八月が千人当たり五三一・九八というのがずっとダウンをしてきまして、四百四十台あるいは四百五十台、四百台に四十三年度、四十四年度もほぼそういう状態になっている。妙なもので、経過を見てみますと、四十四年のこれは八月ですね、八月で薬剤の一部負担一剤十五円というのは大分悪評だったのですが、この制度をストップしたんですね。だから、九月からはこの薬剤の一部負担というのを取りやめました。そうなりますと、その後はずっと千人当たり五〇三・九四、九月ですね。八月の末でこれが中止になったんですよ。九月は五〇三・九四、十月は五一六・一一というふうにずっと受診率が上がっていっているというのが見られます。さらに、その次の制度改正のときが五十三年なんですね。五十三年の一月から初診料が二百円から六百円に引き上げられました。それをちょっと見てみますとそれほど顕著だとも思えませんけれども、しかし五十二年の十二月これは千人当たり五六七・一六なんですが、それが翌年になりまして大体五百四十台、五百三十台というふうに若干の変化が見られます。で、こういうふうに詳細によく見てまいりますと、資料によると、過去二回のこのいわゆる一部負担金の改正がやられるという際には、計数を見ますとやっぱり受診抑制になっていると言わざるを得ないと思うんですけれども、これはいかがですか。
○政府委員(大和田潔君) いま拝見いたしましてお話を伺っておるわけで、なかなかこの一部負担と受診率との関係が非常にむずかしいのでございますが、たとえばいまおっしゃいましたようなことで、四十二年確かに九月から十月、九月と十月に一つのあれが出ておりますが、この五百幾らに上がったのは、五百台に上がったのはもう五月から上がっておって、四月は四百台であるといったようなこともございます。また家族は、この四十二年の九月以降、一部負担に関係ないわけでございますが、家族も何かこう受診率が十月から何か下がっているといったような結果が見えておりますし、ちょっとその辺の正確などうも相関関係は読めないような感じがいたします。 また、先生もおっしゃいましたように、五十二年ですね、五十二年の法律改正の場合はそう顕著な変化というものも確かに見られないというようなことで、どうも私ども非常に歯切れの悪い申し上げ方で大変恐縮でございますけれども、一部負担と受診の抑制との関係は必ずしもはっきりわからないのじゃなかろうかと。で、今回の場合の一部負担の増でございますが、六百円を八百円、二百円を五百円という、こういったような額であれば、特にそう御心配あるような影響はないんでないかというふうに私どもは考えるわけでございます。
○沓脱タケ子君 まあしかし、判断がむずかしいという点は確かにありますけれどもね。計数を、これは私ども感情を交えずに見ましても、やっぱり一定の受診率が特に本人のところで下がっていると。それで非常におもしろいなあと思うのは、薬剤の一部負担を中止した翌月あたりから、これはずっと上がっていっているわけですね、実際。それは百円から二百円になったということは、確かに国民生活の中でそんなに大きな影響が四十二年のときにはなかったのかもわかりません。しかし、それにプラス薬剤の一部負担というのが出たというのが相当な影響になってあらわれているんじゃないかというふうに見られないことはないんですね。これは厚生省、そんなこと認めたらまたえらいことになるとは思いますから、率直になかなかそうむずかしゅうございますということでしかおっしゃらないと思いますけれどもね。やっぱり心情的にはそういうことが抑制になるんですね。ちょっと仕事の帰りに病院に寄ろうかと思うけれどもああ六百円かと、今度は八百円かと、それならしようがないなあ、ちょっと薬屋で何か薬でも買うて帰ろうかと、こうなるんですね、気持ちの上で。 だから、いわゆる軽い疾病、いわゆる初期診療ですね。そういうところがどうしても低下してくるというのは考えざるを得ないと思うんです。これは笑い話みたいなものだけれども、厚生省のある課長さんが五十二年当時、後で具体的に言いますが、薬事関係の会合で、今後軽医療は、これは五十二年当時ですから、二百円から六百円にするときですよ。今後軽医療は売薬の方に行く可能性があるんではないかという意味の発言をされている、そういうことを。これは後でちょっと触れますが、だれでもそう思うんですよ、気分的に。そのことが、全体の心情的な抑制というものが一定の受診率に依然としてやっぱり影響するということなんですね。だから、今度の場合にもそれがあるんではないかということを心配いたします。そんなことがあってはならぬと思うわけでございますが、そういう点でそう関係ないとも言いにくいと思うんですよ。で、たとえば入院時の一部負担金が二百円から五百円、今日の経済情勢だからということでお考えになっておられるのかもしれませんけれども、これはやっぱり入院料の一部負担金の増についても、被保険者には相当な影響を及ぼすということです。 たとえばこういう実例があるんですね。単身の独身者の被保険者本人、この人が入院をしたときにどうなるかといいますと、月収十五万円の労働者、一カ月入院したとしなさいよ。傷病手当金が単身者ですから四〇%ですね。だから、十五万円の月収の労働者でも傷病手当金は六万円しかもらえないわけでしょう。六万円から一日五百円ずつ一部負担金を引かれて一万五千円、一カ月ね。そうすると、残るのが四万五千円ですわ。四万五千円の中からやっぱり健保や年金、雇用保険等を含めまして大体一万二、三千円から一万四、五千円、すると、大体残るのが三万円内外しか残らないんですよ。これは税金除いても。単身労働者ですからアパートを借りて生活をしているとしますと、これは東京の近郊のアパート代というのは一体何ぼするか、うんと安いところだって三万五千円や四万円かかるでしょう。大体通常の相場というのは、いわゆる一部屋のアパートでも四万円や五万円はするという時代ですね。そうしたら、このほかに光熱水費なんか含めたら、残り三万円言うたらアパート代も払われないでしょう。病気は治ったけれども、アパート代が払えなくてアパートを返してしまって、治ったけれども帰るところがないということにだってなりかねないんですよ。ですから、こういう法改正というのは給与の低い労働者にとってはこういう実態になるんだということを、これは大臣、御存じですか、こんなに影響あるんですよ。
○政府委員(大和田潔君) この方の場合の例というのは、確かに月十五万で独身者という場合には傷病手当金等六万円、一部負担の額が一万五千円になる、そのようなことで推計いたしますと、先生のおっしゃるようなことになろうかと思いますが、しかし一カ月入院するといったようなケースは、実際事例としては私はそうないのではないかという気がいたしますし、またそういった場合におきましては、アパート代等もございましょうけれども、いまの経済情勢、いまの国民生活におきますれば、やはりこの程度のひとつ蓄え等含めましてカバーが何とかできるんではなかろうかというふうに私どもは考え、期待をいたしておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 そんなたびたびないとか、蓄えもあることだから言うて、そんなことを言うたら困るんで、純粋に計算してみたらこんなことになるんですよと、だから一部負担金の増というのはほんのわずかしか上げてないんだというふうなお考えが厚生省にあるかもわからぬけれども、被保険者、労働者にとってはこんな影響が出てくるんですよということを申し上げているんですよ。それはね、アパートあけて病気せっかく治ったけれども帰るところがないということにならぬように借金もするでしょうしね、職場もあることだから、金も貸してもらうということもあって段取りをして、それはアパートを明け渡さにゃならぬというところまでいかないかもしれないけれども、病気は治ったけれども借金がたまっていたということになるか、帰る場所がなくなったということにならざるを得ない。こんなに被保険者には影響が顕著に出るんだから、一部負担金の引き上げというようなものは、本当に慎重に扱わなければならないんだということを私は申し上げている。そんなのはまれでございますから、そんなにちょいちょいないと思いますから、そんなこと言ったら国民全体、被保険者全体千四百万の労働者をカバーしなければならないのに、そんな例は少ないから構わないなんてなことを、そんな態度で健康保険法の一部改正なんというふうなことをやったとしたら、これは許されませんよ。そうでしょう。だからこそ慎重な扱いが必要なんだということを私は申し上げているんでね、そんなのは少ないんだし、めったにないだろうから、まあまあ何とかなるでしょうみたいな話は、国会でこの法案の論議の中では伺える話ではございません。
○政府委員(大和田潔君) めったにないというような言い方は確かに不謹慎だったと思います。ただ、私申し上げたいのは、月一万五千円でございますので何とか御負担を願いたいと、このように申し上げたいということでございますので、御了解願いたいと思います。
○沓脱タケ子君 その一万五千円でさえも生活全体に影響を及ぼす被保険者がおるんだということを忘れちゃならぬということを申し上げているんです。繰り返していますと時間がたちますので次へいきますが、しかも一部負担金がふえますと、その上におもしろいことも起こってくるんですわ。 先日、厚生省から大衆薬のかぜ薬、胃腸薬、ビタミン剤の価格の推移という資料をいただいたんです。これを見ていて変だなと思った。ちょっと聞きたいんですけれども、かぜ薬の武田薬品のハイベンザカプセル「タケダ」の二十四カプセルというのは昭和五十年から五十二年までは五百六十円、五十三年、さっき申し上げたように一部負担金がついた年ですね、この五十三年にはそれまでずっと据え置きの五百六十円だったのがびよんと六百五十円に上がっている。さらに、これはいま言うたのは二十四カプセルですが、四十八カプセルもやっぱり上がっているんですよ、五十年から五十二年までは千円、同じく五十三年では千百六十円に上がっている。武田の薬品だけかと思って見たら、三共の新ルルゴールドA錠というんですね、よくテレビでコマーシャルやっていますが、あの三十錠も昭和五十二年八月に三百六十円で発売されて翌年四百円にぽんと上がっている。それだけかと思ったら大正製薬のパブロン三層錠というんですか、よくこれもテレビでやっていますね、パブロン三層錠の四十五錠が五十二年の七月には五百五十円で発売をして翌年五十三年には七百円になっている。同じく六十五錠入りは五十二年の十一月に七百五十円で発売をして、五十三年にはこれ九百五十円に上がっている。いずれもきれいに五十三年からぴょっと価格がアップしている、このいただいた資料を見たら。そうなっていますね。
○政府委員(山崎圭君) ただいま御指摘の点につきましては確かにそのとおりでございます。ただ、五十三年だけに全部上がっているとも言えません。五十四年に上がっているものもありますし、五十五年に上がっているものもございます。
○沓脱タケ子君 いや、だから国民がいわゆる大衆薬として薬局で、テレビでもじゃんじゃん宣伝をされて、手近に買うという大衆薬を代表的にとらえて申し上げたんでね。それが大体五十三年からぴょっと上がっている。かぜ薬だけではなくて、胃腸薬の場合も三共の新三共胃腸薬錠百二十錠入りですが、これは五十年から五十二年までは四百二十円ですね。これが五十三年に五百円にやっぱり上がっている。ところが、栄養剤のビタミン剤というのはほとんど上がってないんですよ、この五十三年に。 そこで、この値上げというのは、五十三年、先ほども指摘いたしましたように初診料が二百円から六百円に上がった年でしょう。健康保険法による患者負担が大幅にアップする、五十三年一月からアップしたときですから、まあ言うたら、勘ぐれば一部負担金が大幅にアップして受診抑制が起こってくる、そうなれば大衆薬の売れ行きがようなるやろうということを勘定して便乗値上げをしたと見られないことはないでしょう。そうなってくると、被保険者というのは踏んだりけったりなんです。一部負担金を上げられて、病院へ行ったら一部負担金がたくさん取られると、それもかなわぬからと思って薬局へかぜ薬買いに行ったら、一部負担金が上がったときにはぱんと上げられていると、こうなったら、これは被保険者、労働者は全く踏んだりけったりですよ。そう思いませんか。便乗値上げというおそれありませんか。
○政府委員(山崎圭君) 確かにそういう先生の御指摘のような見方も成り立たないこともないのかもしれませんけれども、私どもどうも、ちょっと何とも言えないんじゃないかというのが、何といいますか、本当のところでございます。と申しますのは、いま確かにお出ししました資料は大手の六社のあれなんでございますけれども、全体的に大衆薬としてのかぜ薬なり、あるいは胃腸薬考えてみますると、消費者物価指数で見てみますとどうも五十三年以降に異常な値上がりが出たというふうには、数字的にもなっておりません。たとえば総合の消費者物価指数で見ますると、五十年を一〇〇としますと五十二年で一一八・一でございますが、大衆の医薬品のうちの感冒薬が一一四・四でございまして、五十三年ではそれが総合で一二二・六、感冒薬で一一七・六と指数の差が年間で三でございます。ところが、五十一年から五十二年ではその指数の差が七というふうなことでございまして、むしろ五十三年に際立ったそういうものがあるとはどうも見受けられない。そんなことをも考えますと、しかも消費者物価指数の中での医薬品の指数は、総合指数と比較しますと五十二年以降いずれの年次でも下回っております。どうもそういうことから見ると、そういうことはちょっと言えないんじゃないかとも考えております。
○沓脱タケ子君 厚生省はそれを認めるわけにいかぬと思いますが、しかし、さっきもちょっと私が言いましたように、便乗値上げだとそれは断定できないと思いますよ。しかし、そういう疑いがありはしないかということを私提起しているのは、たとえば当時薬務局のある課長さんが、これは昭和五十二年の二月十五日に開かれました全国薬務主管課長会議、これに先立って開かれた全国課長協議会の席上で御発言になっていることで、これは薬業時報に載っているんですが、拝見したらこんなふうに書いているんですな。「保険財政の悪化などから軽医療面の一部負担が増えるなどから大衆薬が伸びる可能性もなくはない。」と、こういう、これは一連の発言の中での一部ですけれども、そういうことがぱんと出てくるような、他意なく、そういうことになる傾向というのは出てくるなあということをだれでもが感じるということで、特に私はこの課長さんが悪いと思わないですよ。しかし、そういうことが、そういうふうに制度が変わったらこういうふうになりそうだなということは、だれでも類推できるという意味のことを発言しておられますよ。これは必要なら後でまた教えますがね、何月号か。そういうふうにだれでもが思うわけでしょう。前回の健康保険法の改正というのは五十二年の二月二十三日に国会へ出されているんですね。ちょうど国会へ出ているころにその話出てるんです。もう提案されているころです、国会にね、法案が提案されているときに。だから厚生省の中でお仕事しておられる課長さんでさえも、一部負担金がふえれば大衆薬の販売というのはふえてくるだろうなということを感じておられるわけですから、ましていわんや製薬資本というようなものは、今日の保険財政への製薬資本の寄生ぶりというんですか、大変なものなんだから、そういう製薬資本が黙って見ているというはずがないわけですね。見逃すはずないと思うんです。だから、便乗値上げのおそれさえなしとしない。私は、こういうことはやっぱり行政指導の権限を持つ厚生省としては、きちんと対処するべきだと思うんです。 私は、こんなことがまさかと思っていましたけれども、たまたまいただいた資料をしさいに見たら、余りにもきちんと出るので、これはやっぱり行政としてもそういうことに十分留意をしていただかなきゃならないと思うんです。大臣、実際、風が吹けばおけ屋がもうかるという話がよくありますけれども、健康保険制度が改正されて一部負担金が上がるということになったら、こんなことまで起こってくる。やっぱり、非常にこういう国民全体に影響するような法案の改正の内容については、きわめて慎重な留意が要るというのは、まあ予測せざる影響さえ出てくるものだというふうに思うんですが、御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 五十三年度の大手六社の大衆薬の値上げの事実は御指摘のとおりであります。その後五十三年以降、大衆薬の価格推移を消費者物価の上昇と比べてみますると、五十三年以降は特別に上昇しているところは見られないわけでありまして、一部負担と大衆薬の上昇、関連性ないと言えませんが、なかなかむずかしい問題であると思いますが、しかし御指摘のとおり、このようなことにも十分注意をしてやらなきゃならぬことは御指摘のとおりでありますから、今後十分注意しながら、価格の安定その他には努力をいたします。
○沓脱タケ子君 それで、次に問題を進めますが、私、ただいま提案されております法案の内容に触れてるるお伺いをしてきたり、それによる波及効果等についても御意見を賜ってまいったわけですが、大蔵省の財政制度審議会ですね、桜田武会長ですが、審議会は一月十日にこういう建議をしているんですね。ちょっと関係部分だけ読みますが、「今後は、保険料負担の強化等の収入面での対策を強化することはもとより、保険給付を受ける者と受けない者との間の公平を図るとともに、一部に見られる受診の行き過ぎを防止する観点から、受診・受療時における合理的な負担を求め得るよう、支出面での対策に漸次重点を移すべきである。」と、保険料負担の強化と受診時における合理的な負担を求めるよう、ということが言われているわけでございます。 さらに、これまた桜田武さんが参加をされております産業計画懇談会が「財政再建のための一拠点」という提言で、歳出抑制の考え方ということでこういうことを言っておられます。「今後の福祉の拡大は、財政によらず、国民各自の手で自らの福祉を高めていく方向に発展していくことが望ましい。真の福祉は、歳出の増加を通じて実現していくべきものではなくて、国民自身が自らの手で築き上げるものとするところに根拠が置かれるべきである。」と、こういうことが言われている。結局、国民から負担をたくさん取って福祉というのはやりなさいと、財政制度審議会ではそう言うているんでしょう。産業計画懇談会という、これはまあ財界の懇談会ですが、ここでも同じことが言われて、こんなものは国家の金を出すべきではなくて国民自身がやるべきだということで、全く受益者負担論ですね。 こういうことが言われているんですが、結局本改正案は、私十時からずっといろいろ聞いてまいりましたけれども、この立場の延長線上のものでしかないじゃありませんか。大臣、基本的にそういうことになっているというふうに考えざるを得ないと思うのですけれども、御見解どうですか。
○国務大臣(園田直君) いまの審議会、懇談会等の御提案は、これは財政の面からのみ考えられた、重点にして考えられたことでありますから、それをそのまま承るべきでありませんけれども、今日財政的な影響も相当大きいと、こういうことは心に入れざるを得ないと、こう考えております。
○沓脱タケ子君 それでは次に問題を移したいと思いますが、次に薬価の問題。 保険財政と薬価の問題というのは言われだして久しいわけでございますし、薬の使用量と保険財政の問題、これは両方とも大変大きな関係があるということはすでに論ぜられてきたところでございます。これまあ大きい関係がありますね。 ところで、日本の薬の使用量というのは諸外国、特にヨーロッパ諸国と比較いたしましても格段に多いということは計数が示しております。政管健保だけ見ますと、これは昭和五十三年度が三四%、五十四年度が三六%というのが薬剤費だということになっておりますが、これを五十五年度に当てはめてみると、まあ正確にはいきませんよね、一部負担金が除外されておりますから正確にはいかないと思いますけれども、医療給付費の二兆五千七百七十億円ね、五十五年度、これまあ全く正確というわけじゃありませんけれども、五十三年度が三四%だというんだから、まあ三六%にもしてもいいんだけれども、どっちでもいいと思うんですよ、幾らも違わぬのだから。これを三四%として当てはめてみて、ざっとこれは八千七百億ぐらいになるんですね、これは三四%にすれば。若干の変動はあると思うんですよ、一部負担金が含まれてないですからね。まあその程度にならないですか。
○政府委員(吉江恵昭君) 大体その程度になります。
○沓脱タケ子君 仮に薬価を一〇%下げただけで、そうすると五十五年度は八百億円保険財政への支出が助かるわけですね。五十五年度の収支見込みというのは六百五十一億円の赤字でございますから、これでは逆に一〇%下げただけで百四十九億円の黒字になりますね。二〇%を引き下げると九百五十億円の黒字になると思うんですが、間違いありませんね。
○政府委員(吉江恵昭君) 大体さようになります。
○沓脱タケ子君 そこで、本当にこれは長い間の課題に、相当長期にわたる課題になっているんですが、薬価というのは本当に下げることができないのか、薬価の決め方というものに問題はないのか、まずこの点について聞いていきたいと思うんです。もちろん同時に薬のいわゆる使用量の問題、同時に薬づけと言われている医療のゆがみ、こういう問題も非常に大きな問題になっています。もちろん、昨今出てきておりますような不正請求だとか水増し請求あるいは非常識な薬づけというような問題は、これはもう医学の常識から言うても論外なんですが、いわゆる薬づけと言われている今日の医療の実態、この医療のゆがみ、これは本当に医師や医療機関だけが悪くてこういうふうになったのか、あるいはこの医療のゆがみは果たして政府の責任がないのか、その点がやっぱり私ははっきりしないとこの問題は解決しないんではないかと思っているわけです。そういう立場でひとつ御質問をし、論じてみたいと思っているわけでございます。 まず、薬価についてお尋ねをしていきたいと思います。 わが党は、かねてから保険医薬品というのは公共品だと。だからしたがって薬価は製薬会社の製造原価をもとに、それに適正な利潤を加えたものを政府決定の薬の値段とするべきだという主張はずっとやってまいっております。薬価を下げるならメーカーの蔵出し価格そのものをその段階で抑えるべきだというのが、わが党の主張してまいっております政策でございます。この主張の正しさというのは後ほど明らかになると思いますが、百歩譲りまして、薬価基準をせめて実勢価格に近づけるべきだという点が、これは各党各派の質疑の中でもう繰り返しやられてきているんですね。この点で薬価調査の方法を改善するということのようでございますけれども、どのように改善をするのか、ちょっとそのことをお聞きしたい。
○政府委員(山崎圭君) 薬価調査につきましては、かねてからいろいろの問題が指摘されておりまして、こういうことも十分私ども考えに入れまして、実は五十三年の七月の薬価本調査におきましては、ひとつ本調査の直前直後に特別の調査を行う、こういうことで特別調査の導入をいたしまして、その後また六回の経時変動調査を実施してきたわけでございまするけれども、いろいろ言われております中に、何と申しますか一つは本調査が自計による調査である、これは数が非常に膨大に上るという点からやむを得ないところなんでございますが、それから実施前に予告しているではないか、こんなことも言われておるわけでございまして、そういう意味で先ほど申しました、確かに自計方式ではあるけれどもその欠点を補うと、こういうようなことで事前事後、直前直後に特別調査を実施してきたわけであります。一方、自計調査はそれなりとして、何といいますか私ども職員の手による他計方式の調査の充実を図るべきであると、こういう御指摘もございますので、残された課題の一つとして、そういう他計調査方式の充実を検討してまいりたいと、これが今後の課題であろうと思っております。
○沓脱タケ子君 府県に委託じゃなくて厚生省が直接やっていく体制をつくるんだと、こうおっしゃるわけですね。これはなかなか実勢価格をつかむというのはむずかしいようですね。医薬業界の方々の話聞いてみても、百錠入りと一万錠入り、百錠入りと千錠入りの薬というのは一錠当たり同じ値段じゃないですからね。ところが、百錠入りの値段でずっと実勢価格というかな、百錠入りの小袋しかないようになっておるわけですわね。ところが、実際には手錠入りか、一万錠入りというのはあるわけですよ。こういう実態まで含めて実勢価格をきちんと握っていくというふうなことは、これは厚生省が責任を持っておやりにならないとなかなかできないであろうと思います。それは大いに新しい制度としておやりをいただくということなんですから、鋭意やっていただくということで、実勢価格を把握いたしましたら、これはいわゆる収載価格に載せていかなきゃいかぬわけですね、変更しなきゃいかぬのですが、これはどのように対処していきますか。
○政府委員(大和田潔君) ただいまの先生の御質問は薬価の算定方式ということであろうかと思います。薬価調査が行われまして、薬価の実勢価格というものを把握いたしました場合に、薬価基準に反映させる、薬価基準の改定というようなことに相なるわけでございますが、その算定方式につきましては、もうすでに御承知のように九〇バルクライン方式をとっておるわけでございまして、九〇バルクラインを引きまして、九〇バルクのところで薬価基準の価格を設定をしていくというようなことで薬価基準を決めていくわけでございます。その際、ただいま先生おっしゃいましたように、包装の単位がどうかというような議論もありまして、現在は御承知のとおりいわゆる二倍の法則という原則をとっておりまして、二倍の法則によりまして薬価算定を行っていくというようなことになっておるわけであります。
○沓脱タケ子君 二倍の法則なんて言われたら、噴き出すんだけれど、結局、百錠入りは一万袋売れるということだから、これを袋かえるといったら、一万錠入りがそれの二倍売れないとそれをとらないという、この二倍の法則などというのがまた非常に業界では問題になっているんですね。こんなことを言うていたら肝心の話できませんから、これはまた別の機会にしますけれども、それで私聞いたのはね、厚生省が直接行政権限を持っていわゆる実勢価格の調査を把握しようという努力をなさるわけでしょう。それをおやりになったら、把握したら、その薬価基準に収載をいつやるんですかと、いつから反映するんですかということを聞いている。それは九〇%バルクラインだ何だというようなことはもういいですよ、それなりに知ってますから。
○政府委員(大和田潔君) 薬価調査が行われましたその後の手順というふうに承ってよろしゅうございましょうか。——そういうことでありますれば、一応手順を申し上げてまいりたいと思うわけでございます。 薬価調査が行われましたならば、この薬価調査は特別調査、経時変動調査というものがそこに行われるわけでございますけれども、薬価調査が行われますと、集計というものが当然のことながらコンピューター集計が行われる。集計をいたしました結果、バルクライン品目につきましては基準包装、それから九〇バルクライン値の確認というものを行う。バルクライン品目でない場合には、相場品目につきましては、相場により薬価決定、その他はまたその他の指数決定を行うということによりまして、品目の補正をいたしまして、改定薬価を決めるというようなことになるわけでございます。その結果、改定影響率表というものを作成し、薬価品目一覧表を作成いたしまして、薬価基準表の官報原稿をつくり、それを告示いたしまして施行というようなことに相なるわけでございます。で、その間経時変動調査、先ほどもちょっと触れましたけれども、物価あるいは公共料金等の変動というものがありました場合には、その他の場合もございますけれども、経時変動調査を行いまして、薬品の市場価格がどのように変動しているかということにつきましても並行して調べていくというような手続をとっておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 せっかく厚生省がお調べになって、それで手順をいまお述べになりましれけれども、その手順は長いことかかるんですか。私ね、いわゆる保険財政の収支均衡を保つためにということで大変な、私に言わせればずいぶんひどい改正案をお出しになっているわけだから、これはもう国民的な合意ができ上がっているほど、薬価の実勢価格というのはきちんとつかんで引き下げるべきだということは国民的合意ですよ、医療関係者だけでなく。これは早くやらにゃいかぬと思う。せっかく厚生省がじかに御調査に手を染められる、しかし長いことかかるというようなことじゃ困るんです。現に、この間も新聞に出ていましたけれども、実勢価格とずいぶん違う価格で薬が販売をされているということが報道されていたでしょう。現にそうなんですよ。だってあんなに安く売っても薬屋さん損してないから売っているんです。安いのを買う医者が悪いんじゃないんです。薬屋は値段を下げて売っても、これは何にも損をしてないんです。いつまでたっても薬価基準が、実勢価格がやたらに下がっているのに、薬価基準をいつまでも高いままに置いているからさやかせぎに結果的になるんです。そういうところをちゃんとやらないで、収載の薬価基準は実勢とかけ離れた形でいつまでもほうっておいて、それは薬買うのに、高いのと安いのとあったら安いのを、薬じゃなくたって、国民の今日の資本主義社会の中で生活していて、安い物と高い物とがあれば、安い物を買うのはあたりまえじゃないですか。薬価基準が低ければ、下がっておれば問題がない。厚生省がいつまでも下げないでほうっておくから、やっぱり請求するときにはその薬価基準でしなきゃならぬというのが保険の制度なんですよ。ところが、薬のさやかせぎで、さやかせぎしなきゃならぬような仕組みにしているのは一体だれなんです。そこなんですよ。だから私は、せっかく厚生省が御調査に直接乗り出されるというんなら、できるだけ早く実勢価格を把握されて、薬価基準の収載に早く反映させるべきだと思うけれども、それは大体目安としていつごろできるようでございますかということを聞いているんです。
○政府委員(大和田潔君) 従来からも薬価基準の全面改正につきましては、四十二年、四十四年、四十五年、四十七年、四十九年、五十年、五十三年と行ってきておるわけでございます。最近におきまする薬価調査、これは五十三年の七月に行ったわけでございますが、その後経時変動調査を行っております。それで、現在第六次の経時変動調査をことしの九月から実施をしておるところでございます。この経時変動調査の結論を、何とか年内にでも経時変動調査の作業を終えまして、全品目の規格、改定薬価の再チェックというようなこと及び薬価改定率を算定するというような作業、それで、先ほど申しましたような全品目につきまして確認し、薬価改定率を決めていくというようなこと、官報に登載するという手順を踏むわけでございますので、何とか今回の第六次経時変動調査は年内にその作業を終えたいと思いますが、その後の手順というものがございますので、どうもいまのところいつこれが、薬価基準の改定を実施できるかということにつきましては、ちょっとお答えできない状況でございます。
○沓脱タケ子君 そんなこと言うたら困るんだな。あれでしょう、さっきも私前段で申し上げたように、保険財政の中の薬剤費を二〇%下げても五十五年度にこれ当てはめたら九百五十億も黒字になるんですわ。保険料の引き上げなんて要らなくなる。実勢価格を反映していないというのは、これは衆議院だって参議院だって本委員会あるいは各委員会で、関係委員会ではしばしば問題にされてきているところです。資料を見てみましても二〇%や三〇%は下げられるのではないかというふうに考えられます。そういうことがはっきりしてきているのに、片方で保険料を上げようということでいま法案出ているんでしょう。運営上の最大の問題点である薬代の、薬価調査の結果を早いこと公表してこれを実現させるということが、やっぱり私、財政の収支均衡を厚生省もこのようにしっかりやっていきますということを示すべきだと思うんですがね。いつになるか発表できませんなんてなことを、この法案審議の席上じゃなかったら、私はおっしゃっている意味が全然わからぬわけじゃないから見過ごすかもわかりませんけれども、重大な国民に対する負担増が起こるという可能性のある問題が論議をされている席上でございますので、いつになるかわからぬということはちょっと受け取りかねるわけでございまして、その点はもう少しはっきりしていただきたいと思うんですよ。
○政府委員(大和田潔君) 御趣旨はまことにそのとおりでございまして、私どもも薬価基準の改定につきましては、できるだけ早くやることによりまして実勢価格というものを反映させる。先生のおっしゃるように、そういうことにつきましてはできるだけ早くやりたいという気持ちは全く変わりません。しかし、いわゆる事務上の手続というものがどうしてもございまして、御承知のように、薬価基準では約一万五千品目という非常に膨大な品目が薬価基準に登載されているわけでございまして、これらの品目を一つ一つ実は当たりましてこの品目につきましての薬価の改定をしていかにゃならぬと、こういうことになるわけでございますので、どうしても事務的な作業というものがかかってまいるわけでございまして、そういったようなことから、先ほどのように大変どうも申しわけないことでございますけれども、いま、いつになったら結論が出て、いつになったら改定できるかということを明確にどうも申し上げられないというような段階でございますので、どうぞひとつ御了承いただきたいと思います。
○沓脱タケ子君 私、大臣ね、申し上げている趣旨は十分御理解いただけると思うんですね。で、近くこの薬価調査の結果を公表する等のことが言われておりましたが、それに基づいておやりになるんですか。これは公表しないんですか、薬価調査。
○政府委員(大和田潔君) これは当然のことながら、作業の手順が終わりますれば、どれだけの薬価改定率になるかということにつきましては当然公表申し上げることになるわけでございます。
○沓脱タケ子君 で、これはここで突いたり押したりしてもしようがないんですが、重大な課題だということでひとつ御理解をいただきたいと思うんです。ぜひ、できるだけ早く対処していただきたいと思います。 ところで問題は、薬の値段という問題はそれだけではないんですね。幾らこの実勢価格を基準にして薬価を下げてみても、医療費に占める薬剤費というのは、割合はそう大幅に下がることがないという仕組みになっているんですね。薬全体がいわば高値安定するという仕組みになっているんですね。これは本気になってここにメスを入れなければ改善できないというふうに私ども考えますが、これはちょっと時間の都合があって、途中で切れると話がわかりにくくなると思うので、午後にこの高値安定の仕組みの問題についてお伺いをしていきたいと思っています。それで昼までの残された時間にちょっと別のことをお伺いしておきたいと思いますが、やっぱり薬の問題に関してですが、いわゆる治験薬の臨床実験、これに第三者審議機関などをどうしても置かなきゃならないんじゃないかという問題についてお伺いしておきたいと思います。 で、先日、日本弁護士連合会が第二十三回人権擁護大会を開かれて、その「第一決議」というところでこの問題が取り上げられております。 御承知かと思いますが、これはきわめて重要な提起だと思うんですが、ちょっと簡単なところだけ読んでみますと、「第一決議」というのは、 医療は、人間の生命と健康を守るための技術である。しかし医療の進歩の歴史は、人体実験の歴史でもある。精神障害者、施設に預けられた乳幼児、貧困者などの社会的弱者が数多く被験者とされてきた事実をわれわれは直視しなければならない。また新薬の開発に伴ういわゆる臨床試験において、大学病院などの患者多数が全国各地で被験者とされており、これを看過することもできない。 われわれはここに、人体実験に携わる医師、研究者、人体実験の実施される大学病院などか、ヘルシンキ宣言などを指針として、人体実験についての医療倫理規範を定立し、その遵守に努めるとともに、次のことがらを実現するよう提言する。 一、大学病院などは、人体実験についての第三者審査委員会を設置し、委員会の事前承認を実験実施の条件とする制度を確立すべきである。第三者としては、動物実験などのデータや人体実験の計画管理について科学的評価のできる基礎医学系医師、および、被験者が実験の目的、方法、危険性などについて充分に情報を与えられたうえ任意の承諾を与えたかどうかについて法的評価のできる法律家を加えること。 これらの者は、いずれも大学病院などと雇用関係があってはならない。 二、人体実験の結果については、情報を与えられたうえでの被験者の任意の承諾が得られ、かつ、第三者審査委員会の承認が得られている旨明示してある研究についてのみ学会、機関誌などに発表の機会が与えられるべきである。 新薬開発等のいわゆる人体実験、この問題についてきわめて重要な決議だと思うのですけれども、御見解、どうでしょう。
○政府委員(山崎圭君) 新薬開発に関連いたします薬務行政の立場からまずお答え申し上げたいと存じますけれども、先生も御承知のとおり、先般の薬事法の改正におきまして、治験を依頼する際の基準というものが法律で明記されまして、これはいわば治験について、治験依頼者——これはメーカーになるわけでございますが、メーカーが守らなければならないそういう基準を決めると、こういうことになったわけでございまして、そういうことで、その基準の中身につきましては、被験者の保護を図ると、こういう見地から、必要な臨床試験の前の前臨床試験、これを完全に完了しているということが一つ。それから、その新薬についての情報の提供を十分依頼先に行う。あるいはまた、被験者の同意を受託者に要請すると、こういうこと。あるいはまた、万一の場合の補償対策、こういうものをとっておく、こういうようなことを義務づけたわけでございます。まあそういうことで、薬事法もございまするから、依頼者の義務として負わせるということの限界があるわけでございますが、あとはその治験を受け入れる医療施設、研究施設の問題に相なるわけではございまするけれども、それは先生御指摘の、まあ私どもとしましてはヘルシンキ宣言、そういったものについてのお医者様の倫理規定と申しますか、そういうものにのっとって行われると、こういうことが望ましい姿だと、さように考えております。
○沓脱タケ子君 薬務局長おっしゃったように、非常に大事な点なんですね。この日弁連の指摘というのは私はきわめて重要だと思うんですが、これ直ちにやるといったらなかなか大変だと思うんですね。 で、たまたま筑波大学の臨床医学系の教授の内藤裕史先生という方が、新聞にこういうことを述べられておられるんですね。朝日新聞の「論壇」に書いておられたんですが、「治療を目的として新しいくすりを患者に使って、どれくらい事故がおきたかを調べた最近の米国の報告によれば、十人中一人に、なんらかの障害がおきている。 こうした事故が発生したばあい、その医療行為に適法性が認められなければ、治療目的とはいえ未知の要素をふくむくすりを患者に使用した医師、ならびにそのくすりの危険性について医師に十分な資料を提供しなかった製薬会社に責任が生ずるのは当然である。」で、「わが国は、そのような研究は研究者が自主的におこなうことであるとして野放しであり、研究者は密室での作業であるとの批判にうしろめたさを感じながら、個人の判断で、いうなればこっそり使っている状態であり、筑波大学などきわめて限られた施設での試みを除けば、この問題への対応はゼロにひとしい。」ということを言っておられます。で、「患者の人権はまもられ、研究者も保護され、以下の理由によって研究もまた発展する。」ということで、結局今日では製薬メーカーがその実験をしてもらう薬を個々の形でやられていると。それではだめだということを言っているんですね。 で、内藤先生は、これはまずその薬の実験を、たとえばある大学の教室なら教室、大学が引き受けていいかどうかを審査する第三者機関が要るんじゃないか、これを確立するべきだと。何となく引き受けてこっそりと後ろめたさを感じながら実験して、そしてデータを出して、それで新薬でございますというようなことになっていくと、これは大変だということを言っておられるわけでございますので、これは私どもの調査によりますと、こういう内藤先生の御意見で、筑波大学では製薬メーカーから治験など薬の実験を依頼された場合に、まず実験するかどうか。——あそこは学系長と言うんですね、普通の大学と呼び名が違いまして。学系長を通じて薬事小委員会、それから薬事審議会が審議するところから始めると。まず引き受けるかどうかということを、集団的に知識と権威を持っている人たちの中でやられると。こういうことが集団的に検討するようになっているんですね。まず、その動物実験のデータの評価を集団的にきちんとやる。それから副作用の分析をやる。有効性についての検討を行う。有用性についての比較を行う。剤型、投与方法及び投与量、こういった点をまず検討するというところから始めるというんですね。そしてさらに念書をとることにしている。「薬事審議会は、その治験薬の使用に際して必要と認めたときは、治験依頼者よりあらかじめ「念書」を提出させ、万一事故が発生した場合は、これに従って被験者の救済及び補償を行うものとする。」という念書をとるというんですね。非常に慎重な態度でやっておられますが、少なくともこういう施設内の審議機関を置くように指導を徹底させる必要があるんではないでしょうか。大学ということになりますと、大学の機構上の問題にもかかわってまいりますから、文部省に対してもこれは厚生大臣として働きかけていただかなきゃならないんですが、国公立病院等はやっぱり大臣直接の御指導のもとにあるわけでございますから、そういう点は非常に大事な点だと思いますので、ひとつこういう審議機関を置くような指導の徹底、そういった点をやっていただけるでしょうか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりだと私も考えますので、そのように検討をし、そのようにやるように努力いたします。
○政府委員(田中明夫君) ちょっと補足させていただきたいと思いますが、現在厚生省所管の国立病院につきましては、新薬の臨床試験を実施する場合には、各病院におきまして院長、副院長、医長及び薬剤課長等を委員とする受託研究費審査委員会というのをつくりまして、試験の目的、試験の方法及び試験の結果等をきっちり審議してから受託するということにいたしております。
○沓脱タケ子君 すでに始めていらしたら非常に幸いだと思うんです。 特に私、厚生大臣にお伺いいたしたいのは、大臣も全く御異存がないと思いますので、これは文部省関係というのは、大学の機構にかかわると思いますから、それは文部省の仕事だということになるんですけれども、事はやっぱり国民の健康にかかわる厚生省サイドの非常に重要な課題だと思いますので、ひとつ文部省にも働きかけていただいて、ぜひそういうことを実現さしていただきたいと思うんです。 筑波大学の先ほど申し上げました内藤先生は、いま筑波大学と、これは鹿児島大学といいましたかね。全国では二カ所しかそういう制度としてのきちんとした取り組みをやっていないということを率直に申しておられます。ぜひこれはすべてのところに普及をさせて、そういう制度化が必要ではないかと思うので、ぜひ文部省に対してもそういうお立場で働きかけをしていただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 医科各大学は文部省の所管でありますけれども、しかしその内容、行為等については当然厚生大臣も関係があり責任があるわけであります。いまの問題は、いまのような方針で文部省にも相談をいたします。
○委員長(片山甚市君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十五分まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○沓脱タケ子君 それでは午前に引き続きまして、薬価の問題についてお尋ねをしたいと思います。 実勢価格を基準にして薬価を下げるという問題について午前中お伺いをしたわけでございますが、いずれにしても実勢価格を反映して二〇%下げれば五十五年度でも九百五十億も黒字になるということですから、これはまずどうしてもやらなければならない。しかし、これだけやっても問題のすべては解決しない。幾ら実勢価格を基準にして薬価を下げてみたところで、医療費に占める薬剤費の割合が大幅に下がるということにはならない。つまり、薬価全体がいわば高値安定する仕組みになっているという点がきわめて問題であります。したがってここに本気になってメスを入れて改善する必要があると思うのでございます。 ちょっと具体的にお聞きをしていきますので、大臣ちょっとお聞きおきを願いたいと思います。 まず、ケフレックスという塩野義製薬の製品で、これは抗生物質でございますが、この問題についてお伺いをしたい。 資料によりますと、国立病院、国立療養所でもこれはお使いになっておるのでございます。国立病院では、資料によりますと、ケフレックスカプセル二百五十ミリ、一カプセルを薬価基準の価格が二百二十円五十銭、これの購入単価は百五十九円九十八銭、値引き率というんですか、購入をしているのがいわゆる薬価基準の七二・六%ということで購入をされているという資料があります。ちょっと聞きたいんですけれども、国立病院というのは、これは塩野義のばっかり使っているんですか。だって百二十円ぐらいのものがいまはもう二十八社ぐらい出ていますね。このケフレックスでもよろしいわ、これが七二・六%に、何でこんなに安くなるんですか、ちょっと説明を。
○政府委員(田中明夫君) 国立病院で使用しております医薬品の種類、銘柄の選定は各病院の判断に任せておりまして、各病院では院内に薬剤委員会というものを設けまして、この委員会で銘柄別の各種の資料及び病院での臨床経験等をもとにして採用を決定しておるという仕組みになっております。 先生、ただいま御指摘のセファレキシンカプセルにつきまして国立病院・療養所ではケフレックスを一番多く使っているというのは事実でございますが、これは各病院が先ほど申しましたような決まりに従いまして選定した結果がたまたまそういうふうになっているということでございます。なお、価格につきましてはこれは各病院が卸あるいはメーカーといろいろ価格の折衝をしてできるだけ安く買う努力をしているということでございますが、その結果が御指摘のように薬価基準の七二・六%ということになっておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 まあとにかく折衝して値切っていると。だから国立病院でも薬価基準の七二・六%で購入していると。 この薬は、薬価基準収載はいつでございますか。
○政府委員(大和田潔君) 昭和四十五年八月でございます。
○沓脱タケ子君 そうすると、これは四十五年八月というと十年以上たってますね、約十年。だから安くなっているんですか、それはどうですか。
○政府委員(大和田潔君) 実勢価格によりましてこれは現行薬価が下がっておると、こういうことで現行薬価は当初薬価に比べてかなり下がっておると、こういうことでございます。
○沓脱タケ子君 もう一つ、やっぱり国立病院・療養所でよくお使いになっておられるクレスチンという、これは抗がん剤ですね、三共の製品ですが、一日の標準使用量はこれは幾らになりますか。
○政府委員(大和田潔君) 医療課長にお答えさせます。
○説明員(仲村英一君) 一日三グラムでございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、一日当たりの薬価というのは、これは幾らになりますかね。このクレスチンというのは扱うと言って事前にお願いをしておいたんですね。
○説明員(仲村英一君) 一日三グラムでございまして、現在の薬価基準の価格が千百四十一円九十銭でございますのでその三倍、三千四百円程度になるかと思います。
○沓脱タケ子君 そうすると、一日分が薬価基準でいきますと三千四百円余りかかる。かなり高い薬ですね。このクレスチンですけれども、国立病院では薬価基準、一グラムの単位が千百四十一円九十銭のものを千二十七円二十銭で買っている。九〇%ですね。先ほどのケフレックスカプセルは七二・六%で購入しておられるんですが、この薬は一〇%しか値引きをしてもらってない。大体これずっと見たら、主要購入薬品状況を見せていただいている範囲ではクレスチンが一番高く買うておられます。なぜ、これは値引き率が一〇%しかないんですか。
○政府委員(田中明夫君) これは個々の医薬品につきまして、それぞれの病院が経営努力の一環として一般の市場価格等も参考にしながら、卸あるいはメーカーと折衝の結果決まるものでございますので、先生確かに御指摘のとおり、クレスチンあるいはフトラフールというような抗がん剤は比較的薬価基準との差が少ないわけでございますが、国立病院の結果はそういうことですが、恐らくその他の医療機関においてもこういう抗がん物質はわりに格差が少ないんじゃないかというふうに了解しております。
○沓脱タケ子君 実際、この薬を新薬として薬価基準に収載をしたのはいつですか。
○説明員(仲村英一君) クレスチンは五十二年五月二日でございます。
○沓脱タケ子君 このクレスチンというのは、新薬として薬価基準に収載をされたのは五十二年の五月。といいますと、要するに古いものは値引き率は大きいけれども、収載をしたときの期間が、さっきのケフレックスは十年ですね、それで七二%でしょう。新しい新薬はなかなか値引きしないということになるんですね。そういうことなんですね。国立病院の医師と薬屋とが相談をして買い入れていますという話だけではなくて、現実にそうなってますね。
○説明員(仲村英一君) 私どもは直接購入する立場にはないわけでございますが、おっしゃるようなことはあろうかと思います。
○沓脱タケ子君 もう一つちょっと聞いておきますが、やっぱり両方とも抗がん剤でございますが、フトラフールカプセルという薬があります。これは二百ミリ一カプセルが、薬価基準の価格というのが六百七十九円二十銭で、国立病院の購入単価というのが四百九十六円七十一銭、これは薬価基準の七三・一%で購入している。それから、同じく抗がん剤でございますフトラフール・ズポ、ズポといったら座薬のようですね。この七百五十ミリ一個が、薬価基準単価が二千四百六十一円五十銭、これを国立病院では二千百八十円八十九銭、薬価基準の八八・六%で購入をしているようでございます。この二つの薬は、それぞれ薬価基準への収載年月日はいつですか。
○説明員(仲村英一君) フトラフールカプセルの方でございますが、四十九年の二月一日、フトラフール・ズポの方は五十三年三月十日でございます。
○沓脱タケ子君 やっぱりこのフトラフール、同じフトラフール剤でございますけれども、カプセルの方は収載年月日が四十九年二月、それでズポの方が五十三年三月、これもやっぱり古い方は値引き率が高くて、そして新しいものの率が低いわけでございます。これが共通をしているということを示しています。ですから、古い薬ほど値崩れがして、それをカバーするために新しい新薬をどんどん出していく、それでこれに高値をつけていくということになっているわけですが、新薬は大体一社で、その一社の独占期間というのはどのくらいありますか、年が。
○政府委員(山崎圭君) 独占という意味がよくわからないんでございますけれども……
○沓脱タケ子君 先発ですよ、先発期間。
○政府委員(山崎圭君) 先発期間ということでございましたら、従前はいわば保健衛生上の観点で言うわけでございますけれども、いわゆる先発権というような経済的な意味で認めているわけではございませんで、従前三年間ということでございましたが、今回の薬事法改正によりまして、再審査期間として六年間、こういうことに相なっておるわけでございます。これは御案内のとおり、この再審査期間中には、新薬の薬としての承認のときには予想されなかった有効性なり安全性に関する新しい知見あるいは情報、こういうものを収集しまして、その期間内にいろいろそういうものを集めまして、その期間終了後、つまり六年後においてその再審査を行う、こういう観点から行われているものでございます。
○沓脱タケ子君 そうすると、新薬が新しく薬価基準に収載をされて、いわゆる先発権という形で保障されるのは従来は三年で、これが六年に延長されたということですね。 そこで、薬価基準に新薬を新しく収載するとき、一体何を基準にして決めるんですか。
○政府委員(大和田潔君) 新薬が新しく登載されます際の登載価格の算定方式ということになろうかと思いますけれども、新薬につきましては、既収載の品目の価格と、しかもそれが薬効が非常に似ております類似薬効、それと比較いたしまして、その薬効であるとか薬理作用、臨床効果等、そういったようなものが類似するものと比較をいたしまして、新薬の価格決定をしていくというような仕組みになっておるわけでございます。 なお、先ほど薬価の低下という問題につきまして若干御質疑がありましたけれども、やはり競争の強い、競争が多いものはもちろん薬価が下がるというようなことが多い。競争が少ないものは薬価の低下が余りない、こういったような関係になりますので、ちょっと一言つけ加えさせていただきます。
○沓脱タケ子君 同じような効力を持つ薬品ですでに薬代が決まっているというと、一日の使用金額がそれと比べて割高にならぬように均衡のとれたものに決めていく、こういうお話ですね。それはどういう仕組みで、どこで決めていますか。
○政府委員(大和田潔君) これを決めますのは厚生大臣でございます。 で、ただいまの比較につきましては、各種の、ただいま申しましたように使用量であるとか薬理作用、それから副作用、そういったようなこと、平均用量とか平均投与期間といったようなものを勘案いたしまして、総合的に比較考量するというようなことでございます。
○沓脱タケ子君 それで、まあそれは決定するのは、最終決定は厚生大臣でしょうが、厚生大臣がお決めになっているんだけれども、最終的には。実務はどこでやっていますか。
○政府委員(大和田潔君) 保険局でございます。
○沓脱タケ子君 保険局何課ですか。
○政府委員(大和田潔君) 保険局の医療課でございます。
○沓脱タケ子君 そうすると、実務は保険局医療課でおやりになっているというわけですね。 ちょっと時間の都合がありますから先へ進めますが、抗がん剤というのが御承知のように使用量が多くなるというのは世界的な傾向でございますが、日本でもそういう増加をする見通しというのはお持ちでございますか。
○政府委員(山崎圭君) なかなか抗がん剤として有効性においていろいろと問題のあることは、先生御専門家でいらっしゃいますからよく御存じのとおりだと思いますが、いずれにしましても抗がん剤の開発ということは各社において相当力を込めて進めていると、こういうふうに承知しております。
○沓脱タケ子君 いや、私は一般的傾向を聞いているんですよ。世界的にふえる傾向だということが言われておりますので、わが国もそうでしょうかと。 先ほどから申し上げているように、一日の使用量が大体四千円内外でしょう。非常に高価な薬で、がんというのは治療薬ということになれば三日や五日の使用量じゃないですね。一年、二年あるいは数年にわたって使わなければならない。そういうものの使用の傾向というのはふえるというふうに見ておられるのかどうかというのは、保険財政にとって大変重要だから、見通しはどうなのかということをお聞きしておる。
○説明員(仲村英一君) がんの治療は、先生御承知のように外科療法でございますとか、放射線療法とかございますが、最近はこれに加えまして薬物療法というのが非常に進んでまいっております。ただ、特効薬的な意味で効く薬というのはまだそういう意味ではございませんが、先ほど例に引かれましたような、患者側の個体の免疫機能を高めるとか、いろいろな薬理作用でがんに結果的に効くというふうなことで多種多様の抗がん剤が生まれる可能性もございましょうし、それから御指摘のように、特効的でない部分もございますので、使用期間が長期にわたる、あるいは量は副作用のない限りはできるだけ大量を使うというふうなことで患者さんの治療に当たるために、がん自体がふえることと同時に、抗がん剤の使用というのも恐らくふえるのであろうと私ども考えております。
○沓脱タケ子君 世界的には、抗がん剤の使用というのは多くなるというのは世界的な傾向だということが言われております。たまたま「世界医薬品産業の現状」という雑誌の五十四年度版に、「世界の制ガン剤市場」という記事が出ている。これによりますと、見通しについてはこんなふうに書いています。「将来においては、制ガン剤市場の年間売上増加率は二〇%から二五%になると思える。この高度成長の原動力が、新製品、既存製品の新しい投与システム、併用治療剤の開発、薬価のアップである。」で、なぜ薬品メーカーが続々と制がん剤の市場へ参加するのかという点ではこういう分析をしています。 1 制ガン剤市場は巨大市場ではないが、非常に利益率が高い市場になる可能性が強い。 2 治療的にみた場合、現在市販されている制ガン剤はいまの医学水準ではまことに不適切な製品ばかりであって、効力のある制ガン剤さえ出せば、黙っていても売れる。 3 市場規模は決して大きくはないが、ガン化学治療剤は投資をすれば収益面で充分見返りが期待できる高度成長市場である。一九八〇年半ばには、制ガン剤市場は二十億ドル市場に成長する可能性が充分ある。 という見通しを書いている。そして、「世界制ガン剤市場の売上と一九八二年までの売上予想」というところでは、 いろいろな理由があるが、日本が全世界で最大の制ガン剤市場である。日本市場における一九七八年の制ガン剤の売上げは三億ドルから三億五千万ドルに達したと推定される。第二位の市場がアメリカで売上げ一億一千万ドル、第三位がイギリス三千万ドルだ。 日本で一番売上げが高い制ガン剤はフトラフールである。これは5−FUの経口薬で、日本でのみ販売が認可されており、治療面では画期的な製品ではないものの、予防薬として使用されることにユニークさがある。 と、こういうふうに制がん剤が今後薬剤の分野で非常に大きな分野を占めてくるであろうということが世界的な傾向だという問題が出ています。 そこで、もとに戻りまして先ほど聞きましたフトラフール、これは四十九年二月に新しく薬価基準に収載をされた。そのときに二百ミリグラムの一カプセルが七百二十九円ですね。だから、一日の標準使用量というのがいわゆる八百ミリないし千二百ミリ、四錠ないし六錠ですから、金額に直しますと二千九百十六円から四千三百七十四円、大体四千円内外という高くつく薬ですね。しかし、抗がん剤だから長期投与になるということは先ほども申し上げましたが、ずいぶん高い薬だし、これがかなりの勢いで伸びてくるということになりますと、保険財政に与える影響というものは大きいということは明らかですね。だから、私は、新薬の価格を決める問題というのは非常に大事だと思うんですね。だから、さっきもお聞きをしましたけれども、こういうフトラフールが七百二十九円、一カプセル二百ミリですね。七百二十九円という、こういう価格というのはどういう基準で決めたかというのが、やっぱり非常に大事な点だと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(大和田潔君) まさしくその決め方自身非常に大事なものでございます。これも、先ほど申しましたように、類似薬効方式ということで、新薬の薬価を算定する際には、類似の既収載薬品の化学構造あるいは薬理作用、効能効果、用法用量、平均日数、使用総量、副作用等と、そういったものを総合的に勘案いたししてこの価格を決めていくというようなことで、適正な決め方を図っておるところでございます。さらに、その後、市場価格を的確に把握いたしまして、これを的確な適正価格に持っていくという努力をしていくということによりまして、これら先生おっしゃいましたような価格の適正化というものを図っていくという努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
○沓脱タケ子君 同効薬品と比較して決めたというんでしょう。非常におかしいんだな。新薬なんだから、開発にどれだけ金がかかった、だからどれだけ売り上げを保証して開発費を補償しなきゃならないからこうしたとか、もっと、あなた、科学的な基準がなくちゃおかしいですよ。何しろ、同じような薬がこういう値段だから、それより余り高くならぬように、余り安くならぬように、これもそこそこで決めましたと言ったら、あなた、市場の競りと変わりはしませんよ、実際。 それで、そんなことを言うのだったら、その当時、これの収載をしたのが四十九年ですか、四十九年二月でしょう。そのころにもつと安い抗がん剤があったでしょう。確かに薬効は少し違う、副作用もあったようです。しかし、あったでしょう。ナイトロミンという、これは吉富製薬の製品で五ミリ一錠は八円四十銭ですよ。一日十錠飲むんで一日分八十四円だ。それから住友化学でつくっていたテスパミン、これは二ミリグラムの一錠三十円五十銭。一日に二錠ないし六錠、だから六十一円ないし百八十三円、一日量。こういう安いものがその時期にあったんです。同効薬品というのはすでにあったのに、何でフトラフールだけ七百二十九円の高値をつけたか、これは大変疑問ですよ。あなたのいままでの説明から言うたら。そういう説明から言うたら、同効薬品との勘案でというのは、これは理解できない。明らかにこれは高過ぎるというふうに思いますが、どうですか。
○説明員(仲村英一君) 御指摘のように、抗悪性腫瘍剤は、ただいまおっしゃいましたような、たとえばナイトロジェンマスタードの製剤とかございましたが、同種同効といいましても抗悪性腫瘍ということでくくっておるわけではございませんで、その中でも化学構造式でございますとか、副作用の点でございますとか、種々の観点からどの薬と比べるということを決めるわけでございまして、その価格に着目をしたということでない部分もあるわけでございます。
○沓脱タケ子君 だから、あれでしょう、保険局長のいままでの御説明では、たとえばフトラフールの新収載のときの七百二十九円というのは、何の基準もないわけでしょう。大臣は、恐らく、そんなものどんなふうに決めていいかわからぬのだから、実際に医療課長のところで何をしておるのかということになるんですよね。 それで、そんなことを言っていると時間がたつので、高過ぎるんですが、四十九年二月に新しく収載をした。これ一社だけの先発品なんですね。一社だけで、先発権が七百二十九円で保障された、三年間。ところが、五十一年の九月には若干引き下げまして、薬価基準が六百七十九円二十銭になりました。そういうころになりますと、いわゆるゾロゾロ品、ゾロゾロ薬品と言うのでね、同じ薬を他社も製造できるようになって、ぞろぞろと同じ薬が出てくるというのをゾロゾロ品と言うのだそうですけれど、こういうゾロゾロ薬品が出てきて、現在三十八社が売っているはずですね。これは間違いないでしょう。
○説明員(仲村英一君) 間違いございません。
○沓脱タケ子君 ゾロゾロ薬品の実勢価格知っていらっしゃいますか。いま、新しい値段ですよ、六百七十九円二十銭のものの実勢価格御存じですか。
○説明員(仲村英一君) 保険局といたしましては、現在申し上げる資料を持ち合わせておりません。申しわけございません。
○沓脱タケ子君 これ、いま市場でどうなっているかといいますとね、同じ薬品の一カプセル百円程度です。六百七十九円二十銭、薬価基準収載ね。ゾロゾロになると百円程度。まあ民間で七十円で購入している実例も知っていますよ、私。だから、薬価基準が六百七十九円二十銭で、実勢が百円、御存じないですね。
○説明員(仲村英一君) そういう事実につきましては私ども承知しておりません。
○沓脱タケ子君 こういう状態になっているから、国立病院・療養所で、さっきも言うたように、購入価格を見ても、六百七十九円二十銭のものが四百九十六円七十一銭、値引率が二六・九%と最も大きく値引きをしている品目になっている。これは、国立病院というのはやっぱり大名商売ですから、民間から見たら大分甘いですよね、さっき言うたように。百円や七十円で民間では売られている。国立病院だから四百九十六円七十一銭で、それでも安く買うている。この事実から見ましても、もともとの収載の七百二十九円、一日にしますと四千三百七十四円にもつくこの新規収載の値段、高過ぎたんじゃないかと言うんです。だって、三年したら百円で売っているところ損していませんよ。会社つぶれるのに百円で売るあほうはないんですからね、資本主義社会の中ですから。いま申し上げた経過を見ますと、当初のいわゆる七百二十九円という新収載値段、これは高過ぎたんじゃないかと言わざるを得ない。しかも何にも基準がない。同効同種の薬と見合っているというような、こんなええかげんなことを言うて、この大事な保険財政を任しているところが何を言うておるかと言うんです。そうして、さあ薬のさやかせぎだ、さやかせぎだと言う。何を言っているのですか、これ。いま申し上げた経過から見て、そうなっていると思いませんか。
○政府委員(大和田潔君) 私どもといたしましては、当時の適正な価格というふうに存じておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先生のような御意見もございます。要は適正な価格にしていくというのに極力努力をしていかにゃならぬという、これが私ども全く同意見でございますので、これは今後——今回も初めて経時変動調査に新薬の実勢価格を調査いたしたところでございますので、そういったようなことで先生の御趣旨を体しまして、前向きに適正な価格にすべく努力をしてまいりたいと、かように存じております。
○沓脱タケ子君 もうちょっと聞きたいのは、フトラフールカプセルの話をいま申し上げましたが、さっきお聞きしたように二つ、フトラフール・ズポという座薬ですね、この値引き率は八八・六%ですから、低いんですよね、国立病院の買い入れ単価。わずか一一・四%しか値引きがないんです。このズポとかまだほかにフトラフールEというのもあるんですが、実勢価格はやっぱり国立病院で購入しているのと変わらないんです、ほとんど変わりません。このズポとフトラフールEというようなものがなぜメーカーが強気なのか、値引きをしないのかというと、これまたこの製造会社である大鵬薬品一社だけがいわゆる剤型変更申請をして座薬のズポとそれからフトラフールEの製造権持っているんですね。だからこれもカプセルの例から見て、他の競争会社が出てゾロゾロがずらずらと三十八社も出てきたら百円になると、こういう例から見て、もう競争会社が出たらこれではもうからぬということになると、剤型変更申請して薬の形を変えるわけです。カプセルを錠剤にするとかあるいは座薬にするとか、そういう申請をすると、これはまた製造権というのは大体何年保障されるんですか。
○政府委員(山崎圭君) いろいろ例外のケースもございますけれども、おおむね六年の範囲の四年と承知しております。四年でございます。
○沓脱タケ子君 四年もですか、剤型変更で。
○政府委員(山崎圭君) 原則として四年です。
○沓脱タケ子君 だから初めに先発権で高値を新薬でつけてもらって、それをだあっと売り込んで、それでじゃかすかかせぐ。先発期間がなくなったころには、さっきのフトラフールじゃないけれど三十八社がぞろぞろと出てきたら、七百二十九が一遍に百円、七十円ということになるから、もうこの薬ではもうからぬわけでしょう。その期限が来る前に薬の形を変えるわけですよ、剤型変更。それならいま言われたように四年間またこれ権限が出てくるわけです。だから同じ薬だけれど、形の違う新しく収載された分については値引きはしない、非常に強気で一〇%そこそこしか値引きをしない、こういうことになっている。 同じ抗がん剤で5−FUというのがあるんですね、これは製薬会社によって名前が違うんだが、これは協和醗酵ですね、ここから五十年の九月にこのドライシロップが新しく収載された。この収載されたのを見ますと、五十ミリ一グラムが七百二十九円、これもその後下がって六百七十九円九十銭。この薬は一日標準使用量というのは大体二ないし六グラムですから、六グラム使えば一日使用量四千七十九円四十銭になります。 そこで聞きたいんですが、どうしてこの5−FUドライシロップというのを五十ミリなのに七百二十九円に決めたのか、これまたちょっとわからぬ。これはどうですか。
○説明員(仲村英一君) 5−FUが薬価基準に収載されましたのが四十三年三月でございまして、これは注射薬でございます。それからドライシロップは名称のとおり経口剤でございまして、五十年九月に収載されておりまして、この剤型によります差で、このような値段がついたのではないかと考えております。
○沓脱タケ子君 それで注射薬が幾らですか、5−FUの。
○説明員(仲村英一君) 四十三年三月一日に二百五十ミリの注射薬が出ておりますが、当時は八百八十五円でございましたが現在八百二十円でございます。
○沓脱タケ子君 5−FUの五百ミリの注射液は千五百十円ですね。
○説明員(仲村英一君) 五百ミリ一かんが千五百十円でございまして、これはメーカーが別でございます。
○沓脱タケ子君 千五百十円、間違いないですか。
○説明員(仲村英一君) 五十一年九月収載でございまして、現在の薬価千五百十円でございます。
○沓脱タケ子君 現在千五百十円が薬価基準に出ているでしょう。注射薬が五百ミリで千五百十円ですね。さっき私が言いました同じ5−FUのドライシロップという、飲み薬に形が変わっているんです。注射じゃない。これは五十ミリが七百二十九円。大体、注射液が五百ミリなんかなら、これ考え方によったら十分の一でもいいんだな。ところが、これが七百二十九円に決められているわけですね。普通は注射液の方が内服薬よりは少し割り高になるのが通例でございますね。違いますか。
○説明員(仲村英一君) 単純に内服薬と注射薬の価格だけで比較するということは、私ども、先ほどから局長も御説明申し上げておりますように、効能効果等が違う、あるいは用法、もちろん用法は違いますが、用量等も違うということで単純な比較では一概に申し上げられないのではないかと考えております。
○沓脱タケ子君 だめですよ。同効薬品でしょう。同じ薬品の剤型が違うだけじゃないの、注射液か飲み薬か。単純に考えられませんて、あなたそんな単純に考えられない論拠は何なんですか。そんなむちゃ言うたら困ります。
○説明員(仲村英一君) 私申し上げましたのは、たとえば静脈注射と筋肉注射で当然吸収の速度でございますとか吸収の率でございますとか違うはずでございますし、一般的に考えれば、静脈注射が一番吸収率ようございましょうし、その次が筋注、その次が内服というふうなことであろうかと考えますので、そういう意味で、薬ごとにまたそれぞれの代謝系に入るスピード等が違いますので、そういう意味で一概に比較はむずかしいのではないかということを申し上げたわけでございます。
○沓脱タケ子君 これは私も医療関係の人間の一人としてよう知っているんですけれども、同じ薬は注射液の方が通常は高いんですよ、同じ単位ならね。それが通常なんです。これはシロップの方が高い。それで、フトラフールカプセルが収載時が七百二十九円で、これは四十九年二月です。いま六百七十九円二十銭。5−FUのドライシロップというのが七百二十九円。これは、フトラフールとの均衡を考えたということですか。これを決めた論拠というのはそれ以外何か考えられることがあるんですか。これは、さっき言うたように、注射液が千五百十円だから単位から言うたら十分の一でよい理屈になるんだけれども、そういうふうに決まったというのは、フトラフールカプセルの先発のときの値段七百二十九円との均衡を考えたというふうに見てよろしいか。
○説明員(仲村英一君) フトラフールカプセルと5−FUドライシロップという関係ではなくて、5−FUの注射液との比較ということでこのような値段になったのではないかと考えております。
○沓脱タケ子君 そんなことを言うたら、5−FUの注射液は五百ミリでしょう、それが千五百十円。ドライシロップと言うたら五十ミリでしょう。
○説明員(仲村英一君) 5−FUの、メーカー名を申し上げますが、協和醗酵の二百五十ミリとドライシロップの五十ミリということで剤型比率等を掛けてこの値段が出たと、このように考えております。
○沓脱タケ子君 いずれにしても、単位が少ないんですよ。それにもかかわらず七百二十九円というふうに決めたというのは、フトラフールの最初の新収載のときの七百二十九円、これの均衡を考えたとしか考えられないわけですよ。こういうことで基準なしに新薬を同効の薬品と均衡を保つのだというような形で決めていかれたら、最初の、先発の新薬を高く決めたら次から次にそれと同じように、何も基準がないのだから大体それと均衡がとれるように、まあ同じ値段にするかちょっと高くするかちょっと安くするか、それはどこで相談するのか知らぬけれども、何の審議機関も何もないわけだから、最終的には大臣が判こを押すんだろうけれども。こういうことでやられますと、これはどんどん高値安定が行われてくるのはあたりまえなんですね。従来、最大のシェアを誇っていた抗生物質が主力であった時期も同じやり方ですね。だから、新薬は初めて薬価基準に載せるときには高い値段をつける。その次に申請された分はこれとどっこいどっこいの高値をつける。それで先発期間がなくなってぞろぞろとたくさん出てきたら七百円のものが一遍に百円に安くなる。そうなるとうまみがなくなるから、先発権が消えるときには、また新たな薬を開発するか、あるいはカプセルを錠剤にするか穎粒にするかズポにするかといって剤型を変えて今度はまた四年間保証させる。こういう高値を次から次へと保証していく仕組みというのが今日高値安定の仕組みじゃないですか。 これは非常にたくさん重大な問題があると思うんですが、もう一つ聞きますと、たとえばクレスチンという、これも抗がん剤です。これは国立病院では薬価基準が一グラム千百四十一円九十銭、これを購入単価千二十七円二十銭、一〇%の値引きで購入をしています。このクレスチンというのは三共製薬の製品ですが、これを一日三グラム使うのですね。だから一日の価格というのは三千四百二十五円七十銭かかります。何ぼ高くても抗がん剤というのは治療上必要であれば、半年であろうが一年であろうが二年であろうがそれ以上になろうが、これは治療上必要で有効なものは投与するのは当然だと思います。しかしここで問題になるのは、薬は公共品でしょう。これが、高値安定で新薬の価格が、何の基準もなしに先発のものの同効薬品と均衡を保つためにということだけで値段を決められるというようなことが依然として続いていく限り、これは薬剤費を抑えることはできませんよ。保険財政の薬剤費が三六プロだ、やれひどいときは四六プロだったんだ。それが三六プロ、三四プロというようなことになってきているんですが、ヨーロッパ諸国と比べても格段に薬剤費が高いというところはここにあるわけですから、この新薬収載のあり方というものに厳重にメスを入れる。ここにメスを入れぬ限り、薬剤費の問題というのは片がつかぬというところに来ていると思うわけでございます。 これは、簡単に言うと、さっきからむずかしく一つずつ言うたから、お聞きの皆さんもわかりにくいと思いますが、大臣、こうなっているんです。とにかく新薬は高く値段決める。これが古くなってきて先発権がなくなるころになると値崩れがする。これをカバーするために新薬を新しく開発をしてまた高い値段をつけてもらう。新薬は今度は、いわゆる先発権というのは独占期間になるんですが、六年間、この切れる前に剤型変更でカプセルを錠剤にするとか、顆粒にするとか、あるいは時によればズポにするという、薬のかっこうを変えたら剤型変更申請をやって、さらにこれさっきのお話では四年、私は一年て聞いておったのだけれど、四年もやったら前後十年ですね。それでその間というのは値引きもせぬで、さっきの話ね、みんなあれでしょう、薬価基準の一〇%そこそこの値段で売り値をとっているわけ。まさに独占的な収益がむさぼれるわけですね。ここの新薬の値段の決め方というところが、今日医療関係者あるいは薬剤関係者の中では最大の問題点になっていますよ。何の基準もなしに先にある薬と、さっき言うたように先にある薬とどうも均衡もとってない分もあったでしょう、さっき言ったように。安い薬もあるのに、このフトラフールだけ七百二十九円に決めたという例もあるから、均衡もどうやら何の均衡やら基準がわからぬ。こういう基準も何にもなしに、とにかく先の薬は高いからあれに合わしていくんやというような形で新薬の値段を収載決めて収載をするというようなことをやる限りは、薬剤費を減らすということはできない、大幅に減らすということはできませんよ。値崩れしたときに実勢価格とさやがあるじゃないかというところが問題になっていますよ。それは、値崩れするまでの間は独占価格でがぼっともうけているんだから、それはだめですわ。ここを大臣、本当にメスを入れなかったら薬剤費を基本的に減らすということはできないと思う。この点、まずちょっと御感想を伺いましょう。
○政府委員(大和田潔君) 先ほど申しました現行の薬価基準は、従来から市場価格に基づきまして薬価を決めておる、いわゆる市場価格主義をとっておりまして、新薬の価格決定につきましては従来から公正を期すようにやっておるわけでございますが、その新薬の適正な価格ということで、やはり先ほど来先生おっしゃっておられますような適正な価格を実現しますために今後とも努力すると。そのために先ほども触れました第六次変動調査でこの新薬をその対象にしておるわけでありまして、今後ともそういうことで努力をしてまいりたいと私ども考えておるところでございます。
○国務大臣(園田直君) かんでくだいて話していただきましたので、私にもよくわかっております。薬価の算定、それから収載、この問題は医療行政、健康保険医療についての最大の問題であると私もかねてから考えております。 この問題については、第一は時期の問題、いまのように長々と調査をしておって、一年も二年も三年もためて、世の中の物価はどんどん変動していくと、そういうことでためて薬価の改定を行ったり収載をするということでは、これはもう現実離れのしたものであって、これはいけない。やっぱり今後はどのような障害がありましょうともこれを克服をして、年に二回ぐらいは国会で言われておりますように調査、算定、改定をやるべきときにはやるべきだと。 第二番目には、この問題は支払い側からも医療機関からいっても、あるいは薬事界にとってもこれは非常に大きな問題だと思います。いまのように薬価の実勢価格と収載された価格と、それから取引の価格と違う、そこに大きなむだがあり、かつまたそれが薬づけの大きな原因になっていることも間違いないこれは事実でございます。かつまた今度は一般消費者の側から言えば、これが不当な薬価で続けられることは消費者物価の中枢をなしているところでありますから、この物価を切り下げていきたいという、抑えたいという考え方からすれば、非常に逆の効果を来しているわけであります。 もう一つは、いま薬価の改定を前にして薬事界から言われることは、これを極端に切り下げられると流通機構の混乱が起こるから、極端な改定は避けてもらいたいということが、表にも内にも陳情があるわけでありますが、それは結局は今度はそろそろ大幅の、引き下げされるんじゃなかろうか、それに対する心配だと私は黙って聞いておるわけでありますけれども、実際面は薬事界の方も適正な原価というか、薬の原価をわかるようにして、それにやっぱり企業でありますから、みんなが納得のできる企業の利潤、それから特に日本では過当競争もありまして、新しい薬をどんどん開発しているわけであります。この開発については相当な研究費を使っておるということもまた間違いないところでありますが、残念ながら特許というものが、日本の特許は製品特許であり、ドイツなどの特許は製造過程の特許でありますから、どうもそういう点で日本の薬品の特許は守られて、擁護されていないわけであります。そこでどうしても無理して早く減価償却をしたいというそこにまた企業としての無理も出てくる。 こういうことを考えると、どの面からいっても適切に時期を失せず適切なる薬価を算定し、これを収載するということはこれは非常に大事なことで、私は適正なる薬価の算定をやったら、収載はなるべく早くやるべきだと、収載を延ばすことは、これはやっぱりまじめに研究した薬事界には気の毒だ、ところがまた長くなりますといわゆる製品課程の特許じゃありませんから、あとの薬屋がどんどんこれまねして、同じ製品をつくって、かっこうだけ変えて、そしてどんどんもうけるというようなところもあります。こういう点から考えて、まず第一は適正なる算定、その算定はやっぱり前の品物と比べてやるのじゃなくて、素人が骨とう品見るみたいに並べてみて、こっちが上等でこっちは下等だというような値段の決め方では、やっぱりこれはちょっと正直言ってお粗末じゃないかと、こう思います。やはり何とかの方法で薬事界の協力も得て、そして的確なる原価というものを把握をして、これに対していろいろな環境なり利潤なりもちゃんと納得するような方法でやって、そして算定をする、収載をする、その収載したやつももう短い期間ごとにどんどん改定していくものは改定していく、こういうふうにやることが医療保険のむだを省く私は一番大きな問題じゃないか、こう考えております。
○沓脱タケ子君 大臣、非常に御理解をいただきましたから、余り重ねて申し上げませんけれども、私は冒頭に申し上げたように、わが党が本当に薬代を抑えるというのは実勢価格を下げる、実態をつかんで下げるということ、と同時にそれだけではだめだ、特に新薬も含めて適正な利潤を保障しながらメーカーの蔵出し価格を基準にして薬価を定めないとだめだということを冒頭に申し上げております。わが党はそういって一貫して主張してきているのだと、そういう主張をしてきた理由というのはここにあるんですよ。実勢価格をできるだけ正確に反映させる、同時に新薬の高値に合わせていくという方式をこれ、続けることを何としても抑えなきゃならない、これをやりませんと、実際には薬価を下げることはできません。現に私が申し上げるまでもなく、製薬大メーカーというのは、これはもう非常に利潤を上げているというのは他の産業と比べましても、全産業の売上高の経常利益率から見ても、これは大手十社の製薬メーカーというのは約五倍ぐらい他産業に比べて利益率高いというのが現実なんですよ、これ。だから、そういう点も見たら、これは解決しなきゃならないと思う。製薬メーカーだけもうけさしたってしようがないんだから。それで保険料足らぬからといって労働者からどんどん保険料を値上げするというようなことをやるわけだから、片方では。 少なくとも薬に関する施策については厚生省の責任で解決をする。医者が使い過ぎだ、やれ薬づけだと。薬づけに何でなるのかと。これは時間がないから言えなかったけれども、先発で高い値段ついたら、それをうんと売り込みにどんなに走っているかということですよ。そういう情勢になっているんですよ。薬づけ医療をやらしているという原因は、これはいまの厚生省における医療行政の怠慢がこういうことを助長してきているんです。その点をひとつしっかりと握っていただきたいと思います。特に大臣にこの仕組みを本気になってメスを入れていっていただくというためには、何としてもこれはあれですね、この膨大な保険財政に影響のある薬価を、まあ実際にはさっき保険局長は、大臣の判こを押す前は保険局でやっていますというけれども、実際には保険局の医療課で二人か三人の担当者がやっているんですよ。そんなことをやっているということはみんな知っているんです。こういうところにやっぱり私無理があると思う。少なくとも、国民的な合意が得られるような、公正な審議機関などを研究する必要がありますよ。とにかく調査しているんだから、しているんだから、調査の対象になっているんだからというようなことでは局長ね、これはなかなか国民は了解できませんよ。その点大臣、ひとつ公正な審議機関なども置いて、少なくとも関係者、国民の合意の得られるような新薬の決め方のルールというようなものをおつくりになるつもりはございませんか。
○国務大臣(園田直君) 大事な問題でありますから、事務当局の同僚ともよく相談をして、どういう方法でやれば、どういうレールを敷けばそういう方向にいくか、よく検討したいと考えます。
○沓脱タケ子君 今度はちょっと逆のことなんですが、薬というのは厚生省、よほどしっかりしてもらわぬとぐあい悪いと思いますのは、もうかる薬は高値をどんどん新薬につけるでしょう。一方、長い間使ってきて、副作用もなくて使いやすいなじみのできている薬で、しかしそれをつくったらもうからぬ、採算がとれぬという薬はどんどん製造販売中止ですね。これはもう第一線の診療機関では大変困っております。たとえば結核の治療薬のヒドラジットというんですが、これは大塚は製造中止の動きが出て、医療関係者がびっくりして大塚へ申し入れをしたというようなこともございますし、これは局方から外したのは、副作用の再評価でこれはよくないということで外したのは別といたしまして、現に使われている、使いたい、そういう薬、しかも有効であり副作用がないというふうな薬が局方から外されたり製造販売中止品目というのが大分出ております。これは私ども医療関係者の中では具体的にいろいろな薬出て、言われておりますが、こういう大事な薬、国民医療を守るについて必要な薬は、今日の薬価基準の収載の値段では、製造が原価が合わないという場合には、適切に引き上げたらいいじゃないですか。下げるだけが能じゃないんですよ。必要なものをそんな製造販売もできぬような安値でとめておく。それで大事な必要な薬も使えぬというようなことにしたんでは、厚生省の薬事行政やっぱりひずみがありますよ。この点は時間がありませんので具体的には申し上げませんけれども、そういう点をひとつ考えてもらいたいということです。 最後に、実は私は冒頭に申し上げたように、薬づけなどと言われている医療のゆがみというのが、本当に厚生省に責任がないのかという点を明らかにしていきたいということで質問を始めたのでございますが、その点については十分御検討いただきたいと思いますし、同時に今日の医療のひずみを直していくためには、いわゆる薬のさやかせぎをしなければ医療経営が成り立たないというような状況になっている。いわゆる医師及び医療技術者の技術に対する適正な評価をしなければ、これを抜本的に解決をしなければ、本当に国民医療を守るという体制は確立できないんだということを、これは本会議でも申し上げましたけれども、そういう点を具体的に実はお聞きをする予定でございました。しかし、これは次回に譲ることにいたしますが、そういう点を、薬剤費を抑えるという、あるいは薬剤費を本当にきちんとメスを入れていく。同時に今日の医療費のひずみをどのように直していくか。直していくために必要な医療技術保障、技術料の評価、技術評価というものを本当に抜本的にきちんと評価をするということとあわせてお考えをいただかなかったら、今日の医療行政のひずみ、国民医療のひずみというのは直らないと思うわけでございます。 この点は具体的に次回のときに取り上げて御見解を伺いたいと思いますが、その辺をあわせてぜひやっていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 薬の問題につきましては、上げたり下げたり、適正な価格を早く探すようにいたします。なお、これに土台とした医療体系、診療体系についても、仰せのとおりで、特に私自身も前々から、技術料が多く加味されていない日本の診療というものは世界で最高だなどと言っている、医師の技術をだんだん低下さしていくと心配をしておる一人でありますから、これについても十分御意見を承りながら対処していきたいと思います。
○柄谷道一君 私は十一月十二日の本院本会議におきまして健康保険法等の一部を改正する法律案に対して質問をいたしましたが、その第一に、医の倫理の確立について指摘をいたしました。 ここで私が改めて例を引くまでもなく、最近における医療の荒廃は目に余るものがございます。医師と患者の相互信頼を前提とした医療の主体性確立を図ることは当面の急務であろうと信じます。これに対する鈴木総理の決意は本会議でお伺いいたしましたが、決意や理念だけで医の倫理が確立されるものとは考えません。問題は、これを実現するための実効性のある具体的施策であり、その方策こそが重要であろうと思います。 そこで私、過去の経過をいろいろ私なりに調べたわけでございますけれども、この医の倫理の確立について厚生大臣に対して意見具申が行われたのは、遠く昭和三十八年にさかのぼります。すなわち昭和三十八年の三月二十三日、医療制度調査会は約三年にわたる慎重な検討を行った結果、医療制度全般についての改善の基本方策について答申、建議を行っております。その内容は、医療制度改善などの基本的方向として、すべての国民はその生命を尊重せられ、健康な生活を営む権利を有する。医療制度の基本的目的は国民のこの権利の実現に奉仕し、すべての国民に高い水準の医療をたやすく十分に享受せしめることにある。そのように理念を明らかにした上で、医の倫理の高揚と医療の主体性について具体的方向を示しております。あわせて、医療は医師と患者との一対一の人間関係を中核として遂行されるものであるから、単に医学、医術のみでなく、医師の人格も医療の成果に重大な影響を及ぼすものである。このような意味から「医は人なり」と言うことができると、このように指摘をいたしまして、国は医療関係者の養成と資質の向上、各職種団体の自主的実践、必要な範囲の制度化、患者教育の充実等、貴重な提言を行っているのでございます。それから十七年経過いたしております。事態がほとんど改善を加えられることなく今日に至り、むしろ現状はそれに逆行しておるありさまであります。私は、その政治責任はきわめて重大であると指摘せざるを得ません。 そこで厚生大臣に、今後具体的にどのような施策で医の倫理の確立を行うのか、その方策を明らかにしていただきたいと存じます。
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおり、今日医の倫理の確立は最も重要であって、欠くべからざるものであることは御指摘のとおりでございます。いま言われました三十八年三月の医療制度全般についての改善の基本方策に関する調査会の答申、これが出されて以来、すでに二十年近くなっておりますが、努力はしつつもその実績が上がらず、今日のような荒廃を招いたことはまことに残念であって、深くおわびを申し上げると同時に、今後、遅いとは申しながら、最後の時点で立ち直って医の倫理を確立をしたい。そのためには、まず第一には、私の所管ではなくて文部省の所管にはなっておりますが、医科大学、医学校その他における学校教育の基本的な問題からわれわれ検討し、学内における医者としての人格、倫理観の確立、同時に卒業後の研さん、開業されて医療行政に従事される方々の倫理、人格の養成ということについても具体的に努力をしていく所存でございます。 かつまた、御承知のとおりに、厚生省内には、この事態においてプロジェクトチームをつくって、国民の医療に対する信頼を回復するというチームをつくっておりまして、どんどん研究をしているところでありまして、このチームと衆参両方の委員の方々の御意見を素直に取り入れて、研究をしながらこれを実行に移しておるところであり、一つは二十日から出発をいたしました各県における医療に対する苦情申し立て、あるいは相談所、こういうものを開設をいたしております。全県一緒にと思いましたが、準備の都合等で二十日に開設できないところも四、五県あるようであります。かつまた、兵庫県ではまだ開設に至っておりませんが、これは私の方針に反対で開設しないというのではなく、兵庫県は以前からこういうことをやっておりまして、したがって、その県でやっていることと私が県にお願いした問題とどのように調和していくかということでこれはおくれているようでありますが、遅まきながらこれは発足いたしましたので、走りながら考えるという趣旨に基づいてこれを実施をしながら、それぞれの地元の意見を聞き、予算等がつくに及んだら市町村にこれを及ぼし、そして、ただいまは不正な医師、不正な医療機関というものに対する批判というものをやや重きに置いておりますが、将来はそういうものではなくて、いま先生がおっしゃいました、お医者さんはお医者さんの良心と倫理と自制心によって国民の健康、生命を守られるべきことであって、法律や制度や権力をもってこれをお医者さんに強制すべきものではないと、こう考えておりますので、将来この窓口は、患者が主人公になり国民が主人公になる、国民とお医者さんの一人一人を結んでいく一つの窓口にしたいと考えており、かつまた、残念ながら当初から営利を重点に考えて、計画的に医療機関を営利の手段としてやっておるというところがなきにしもあらずでありますが、そういうところについては、行政指導なり私の持っております権限で、なるべく本来の医療機関としての倫理を確立し、それに従って努力をしてもらいたいと念ずるものでありますが、やむを得ざる場合は、先般閣議で発足いたしました、警察、国税、厚生省の三者で合議の上、一斉にそういうことに対して、こういうことができないようにと。一方には不正に対する追及、一方には正しいお医者さんを守っていくという両面から医の倫理を確立していく所存でございますけれども、実際にやってみまするといろいろ足らぬところが出てまいりますので、今後とも各委員の御指導、御批判を期待しておるところでございます。
○柄谷道一君 ただいまの大臣の御答弁の中に、所管外ではあるけれども文部大臣と十分話し合い云々というお言葉があったわけでございますけれども、大臣のそのお言葉は、今後文部省当局で、医学教育のやはり改革というものに対して手をつけられると、こういう御意思と受けとめておってよろしゅうございますか。
○国務大臣(園田直君) 私は、十三年前就任いたしましたときも、いま先生のおっしゃいましたような方針で、進んで医学教育については厚生省並びに厚生大臣が責任を負うべきであり、責任を分担すべきであるという意見で文部省には相談しておったところであります。
○柄谷道一君 私は決算委員もやっておりますので、今後文部省関係のときに、医学教育の内容はまた改めて所管大臣にお尋ねをいたしたいと思います。引き続いて大臣の方でも文部大臣と緊密な連携をとられまして、医学教育の改革のために全力を尽くされますように強く希望いたしておきたいと思います。 医の倫理の確立に関連をいたしまして、本年十月に医道審議会が開かれております。過去九年で処分三人しかなかった免許の取り消しが、本年度医師二人、歯科医師二人の計四名に免許取り消しが適用された。医師五人、歯科医師二人の計七人に対して一カ月から最高六カ月の医業停止の処分が行われたと、このように報道を通じて承知をいたしております。その中に、これは新聞報道でございますから、その真相をお伺いしたいんでございますが、委員の中から、「医療費の不正請求については、従来対象とされてこなかったが、職業倫理にもとるような極端なケースも多くなってきた。今後は、処分の対象とすべきではないか」という発言があり、全会一致で了承されたと。そして、何回も繰り返す悪質なもの、その金額が大きいもの、これについては医道審議会で処分の対象にすると、こういう方向が打ち出されたと報道されておるわけでございます。その真相はいかがでございますか。
○政府委員(田中明夫君) 従来、健康保険法に基づく処罰を受けました者につきましては、健康保険法による行政罰を受けているということで、医師法による行政罰をさらに加えるのは適当ではないんじゃないかというような御意見が医道審議会にございまして除外しておったわけでございますが、先生ただいま御指摘のとおり、現在の医師のいろいろな不正事件等にかんがみ、今後は健康保険法において処罰された者につきましても特に悪質な者は重ねて医師法においても処分をするという原則が承認されたわけでございます。
○柄谷道一君 大臣、医道審議会は厚生大臣の常設諮問機関でございます。ただいま局長から答弁なされましたことは、大臣としてもそのようにお考えであると、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
○柄谷道一君 あわせまして十一月十九日のこれはサンケイ新聞の「主張」でございますけれども、医師と患者の関係を改善し、その信頼関係を回復するために医師の自浄作用、みずから浄化するこの動きというものがなければ、本格的な医の倫理の確立はむずかしいのではないか。そこで、古くは明治二十三年以来の医師内部におけるこの自浄作用というものを指摘しつつ、最近ではこの自浄作用というものが顕著でない。ただ現在、日本病院会が手術摘出物の病理学的検査の義務化という見解をまとめた。これは一つの前進ではなかろうか、このような点を指摘しつつ、最後に医師集団の内部からみずから監視し、医療を社会的活動へ開放する行動が、とりもなおさず医療の腐敗改善の一石になることを強調したい、こう社説で結んでおります。私はこれはまことに適切な一つの提言ではないかと思うのでございますが、大臣としてこうした医師集団に対して、やはり自浄努力というものを求めていく、これは強く要請されるべき問題ではないかと、こう思うんでございます。いかがでございましょうか。
○国務大臣(園田直君) 医師会、歯科医師会とも各地域において非常にまじめな医療機関に従事する人でなければ出てこないいろいろな研究であるとか、あるいは医の倫理の確立を熱心に考えられ、実行されている方々が近ごろだんだんこれまた表面に浮いてきているわけでありまして、非常に喜びを感じ、これこそが本当の医の倫理の確立の大もとであると考えております。私は、ぜひこういう点は積極的に各地域の医療に従事される方方に訴え、御相談をし、このために私が援助できることがあればできるだけの手段は講じたいと、こう考えております。
○柄谷道一君 次に問題を移します。 大臣は本法改正案の提案趣旨説明の中で、「医療保険制度の基本的改革に当たりましては、医療保険制度のみにとどまらず、医療制度、健康管理対策など、関連各分野においても逐次改善を図ってまいる考えであります。」、こう趣旨説明の中で述べられております。これは医療保険制度の前提諸条件の整備について努力する方針を明らかにされたものと受け取めております。 そこで、厚生省は前回の健保改正案が提出されましたとき、昭和五十二年十一月二十二日でございますが、本委員会に対しまして制度改革の基本的考え方といたしまして十四項目にわたりそれぞれの項目ごとの立法時期と実施時期を提示されました。そのときはこの健康保険法案が廃案になりまして、私も提示した資料をいまだ持っておりますけれども、時期がずれ込んでしまっておると、こういう実態でございます。本法案が成立した場合、この十四項目の各点について前回同様に当然その立法時期と実施時期を明らかにし、本委員会にその資料が提出されるのが前回の法案審議との関連において妥当なことではないかと、こう思うんでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) 十八日だと思いますが、十八日の委員会で御指摘のとおり十四項目について申し上げたとおりでありまして、この健康保険一部改正法律案が成立をいたすと、並行してこの十四項目の問題は逐次改善を図っていきたいと考えております。
○柄谷道一君 これは委員長にお願いしたいんでございますが、これは五十二年にも提示された資料でございますので、具体的に各項目ごとにその立法時期、実施時期等について改めて厚生省としての正式見解を文書をもって本委員会に御配付いただきたいと、私は要求いたしますので委員長の方で御配慮賜りたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) 承知いたしました。
○柄谷道一君 そこで、医療制度の改革はこれから引き続き進めていかなければならないわけでございますが、これも過去の実情調査いたしますと、社会保障制度審議会は昭和四十六年九月十三日、四十七年四月六日、四十八年二月十六日の三回にわたり、また社会保険審議会は四十六年十月八日、四十七年十二月二十六日、四十八年二月十六日のこれまた三回にわたりまして医療保険の前提諸条件に対する改正の方向を大臣に建議されております。私は、今後追って提示されます十四項目を改善していくに当たっては当然これらの答申が尊重され、それが下敷きになるべきであり、それが審議会尊重の政府姿勢ではないかとこう考えますが、いかがでございますか。
○政府委員(大和田潔君) 御指摘の各答申におきまして、十四項目の各項目の施策の推進に当たりまして指針となるべき指摘がなされておることは十分承知をしております。今後ともお説のとおりに、両審議会の答申の御趣旨を十分踏まえまして十四項目の実施に努力をしてまいりたいと考えております。
○柄谷道一君 同じく私は、本会議で高額医療用電子機器の取り扱いについて質問をいたしました。厚生大臣は私に対する答弁の中で、地域における共同利用の検査センターの設置構想を明らかにされました。しかし、私はその共同利用構想とあわせ、一定の基準を設けて許認可制を採用してはどうかと指摘いたしたわけでございますが、これに対する大臣の答弁がなかったと私は記憶をいたしております。この点に関して大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(園田直君) 高額医療機器の弊害というのはいろいろ出てきております。しかしながら、これを法的規制によって規制することは、なかなかいろいろ困難な問題があるようにいまなお考えております。しかし、法的な規制ではなくて、これを共同購入するとか、あるいは地域のセンターにおいてオープンにしてみんなが使うとか、そういう実質上の配置や実質上の問題でこれを有効、適正に規制していく方法はあると思いまして、いまその案を検討中でございまして、一部はすでにモデル地域等をつくってそれをやってみるなどという案もできておるところでございます。
○柄谷道一君 私は共同利用方式、これも一つの方法であろうと思いますが、やはり組織医療を行う公的病院の役割り、こういうものを考えれば何でもかんでも共同購入だ共同施設だというのではなくて、やはりその地域における中核的病院に対しては、新鋭な検査機器を整備し、そして地域における検査センターとしての機能を公的病院に付与していくということも、これはきわめて必要な施策ではないかと思うのでございます。御検討中ということでございますから、そうした私の一つの提言も検討の中で十分に御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(園田直君) 先ほどの答弁でうまくいきませんでしたが、いまおっしゃいましたような案が一つの柱になって、具体的に検討していることでございます。
○柄谷道一君 同じく十一月十二日の本会議と、私はさらにそれをさかのぼって十月二十一日の社労委員会におきまして支払基金制度の抜本改正の問題について質問をいたしました。それは、国の医療制度に対する監査体制の強化とあわせて支払基金の強化充実が医療費の不正請求を解消するために不可欠の課題であると信じたがゆえでございます。この本法改正案には、再審査の法律改正一点が含まれているのみでございます。私がすでに二回にわたる指摘を行いましたように、審査委員選任基準の明確化とその増員、医療機関の診療傾向の把握と重点審査の実施、審査基準の合理化、職員の責任と権限の明確化、財務基盤の確立、組織機構の改善などにつきまして、これを行おうとすれば、当然基金法の抜本改正が行われなければならないと考えます。今後、基金法改正に対してどのような姿勢で取り組まれようとするのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(園田直君) 支払基金が医療保険制度の運営のためのきわめて重要な点であることは御意見のとおりでありまして、支払基金の審査の充実、円滑な業務の運営を期する観点から、述べられました御意見を十分踏まえて、その改善に努力する所存でございます。 なお、最も大事である職員の問題についてでありますが、職員の方々が誇りを持って働くことができるよう、御指摘の点について今後、支払基金のあり方を考える上にその趣旨を尊重して検討してまいります。
○柄谷道一君 そこで、これは局長に、いま大臣の御所見はお伺いしたわけでございますが、二つほど実務的な問題について御質問いたしますが、その一つは、医療機関の診療傾向を把握してその重点審査を行う、これは前回、局長もそのような方向を是認されたわけでございますが、それを行おうと思えば、たとえばコンピューターなどの新鋭機器の導入とか、傾向把握を行うための人の手当て、こういったものが当然必要であろうと思うのでございますが、これに対する対応の仕方はどうされるのか。 第二に、財政基盤につきまして、わずか出資金百万円でございます、これ大臣ね。もう常識外れと言ってもいい低額でございます。しかも、予算を組みまして、予定以上に請求件数が多かった、剰余金が出たという場合は、これ翌年精算の形をとるわけですね。したがって、基金請求単価というものが毎年上昇する幅が相当違ってくるという結果を招いておることはもう局長よく御承知のとおりでございます。私は一定の範囲を押さえて、予算に比べて剰余金が出たというような場合は、これを件数の変動というものに対応する準備金制度的なものをつくって、やはり単価の上昇というものが、年度年度そう大きな波を打つということは防止していくというシステムが真剣に考慮されてしかるべきではないか、こう思います。この二点についてお伺いいたします。
○政府委員(大和田潔君) お答えいたします。 まず前段の問題でございますが、御指摘のとおり、支払基金におきます重点審査はきわめて肝要なことでございます。審査体制の整備につきましては、積極的に取り組むということでございます。コンピューターの重点審査への活用につきまして速やかに検討を行いまして、また審査委員とこれを補助する職員の増員等、審査体制の充実に努めてまいりたいと存じます。 それから後段の件でございます。支払基金の事務費収入は請求件数に応じた手数料によって賄われておりますので、御指摘のような問題も考えられますので、御提案を踏まえまして、支払基金の安定した運営が図られますように前向きに検討いたしたいと存じます。
○柄谷道一君 国庫補助の連動の問題につきましては、私は強く本会議でその再考を求めたわけでございますが、残念ながら大蔵、厚生両大臣は財政難を理由にその余地がないという答弁に終始せられました。現段階でも全く再考の余地はないのか、改めて大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(園田直君) これは衆議院でも問題になったところでありますが、現在の国家財政の状況では、当分これを固定してもらって、上限を抑えて、 〔委員長退席、理事高杉廸忠君着席〕 そしてなるべく早く財政再建を終わって、終わったら再びこれは検討してもらうということで、これ以上の進展は残念ながら見込みはございません。
○柄谷道一君 国庫補助が、保険料とともに保険財政を担う二本柱であることは大臣も認識しておられると思います。そこで、保険料の値上げ、今回は最高上限が決まるわけでございまして、具体的その料率は社会保険審議会で検討し、その諮問に応じて大臣が決定される仕組みでございます。そこで、その社保審で検討される際に、当然これとの関連において国庫補助のあり方について検討が行われてしかるべきだと思うのでございます。国の財政方針として、この国庫補助のあり方については当分触れることも許されないというのであれば、社会保険審議会の持つ権能が大幅に規制されるという結果を招くことになります。大臣の御答弁は御答弁でございますけれども、厳格なそうした前提条件を付すのではなくて、財政負担のあり方について社会保険審議会で十分に検討し、その行われました答申に基づいて国庫負担凍結の時期を大臣が判断していく、それが審議会重視の姿勢ではないかと、こう思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) 国庫負担の問題については、すでに衆議院で一六・四%ということになっておるわけであります。御意見のようなことでありますが、この審議会を無視するわけではありませんので、あくまで今後、当面のいまの措置を将来、保険給付の内容の変更または国の財政状況の変動等に応じて再検討することとされておりますので、そういうことは審議会の御意見を承りつつやっていきたいと考えております。
○柄谷道一君 次に、保険外負担の解消と累積赤字の処理について御質問をいたします。 政策推進労組会議が本年七月に一万人医療アンケートというのを行っております。膨大なものでございますが、私はそれを読んでみまして、被保険者がいま保険制度について何に一番不満を持ち、何を一番改善することを希望しているか、第一位は、私がさきに指摘いたしました医療費のチェック、監査、指導の強化。五三・三%を占めております。第二位に位置しておりますのが保険外負担の解消。二八・八%を占めております。その他の項目は時間の関係から触れませんけれども、被保険者の強い改善の要求が保険外負担の解消に目が注がれていることは、このアンケートの結果を見ても明らかであろうと、こう思うのでございます。 私は、今回の法改正に際しまして、自社公民の四党間で付添看護、差額ベッド等の保険外負担の解消について合意が得られたと、これは大きな前進であると考えております。しかし、その具体的方策についてはなお明らかにされていない部分がありますので、この際、大臣の明快なお考え方を伺っておきたいと思います。 第一は、政府は、衆議院における法案審議の過程におきまして、付添看護問題の解消を図ると約束されておりますが、その具体的方策をどうされるのでございましょうか。
○政府委員(大和田潔君) 付添看護問題解決の具体的方策といたしましては、基準看護病院におきまする重症患者が、一定の部屋または病床に収容された場合におきましては、その病院の職員により看護が行われることを条件にいたしまして、各病院ごとに承認された一定割合の範囲内で、基準看護加算のほかに特別加算を設けることを考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 ただいまの御答弁の中に、その病院の職員によりと、こう局長言われたわけでございます。となりますと、その要員の確保は可能なのか。現在、病院によりましては、労働組合の行う紹介事業等によりまして一定の派出といいますか、看護婦が付添看護の役割りを担っているところもございます。これらは、その病院の職員によりということになりますと、その扱いがどうなるのか。さらに、付添看護の実態を見ますと、正規の資格を持つ看護婦さんでなければならない付添業務もありますけれども、いわゆる食事の世話その他ですね、助手という形において付添看護を行っている実態もございます。こういう面の取り扱いがどうなるのか、あわせてお伺いいたします。
○政府委員(大和田潔君) その病院の職員によりと申し上げましたのは、患者が付添看護婦と付添婦を雇うことによる患者の負担ということがありますれば、それは困るわけでありまして、あくまで病院の職員によりまして看護が行われるということによって患者負担をなくすという、こういう趣旨でございます。
○柄谷道一君 すると、派出看護婦もそこの病院に派遣されるわけですから、それも正規の職員と広義にみなすということでございますか。
○政府委員(大和田潔君) 付添看護婦、これを患者が雇うという場合、これは基準看護の病院ではそれはできないわけでございまして、基準看護以外の病院におきましては、いま先生のおっしゃいますような付添看護婦というものを患者がむしろ雇うという形になる。それを療養費払いで保険に請求すると、こういう形の解決策といいますか、現在体制ができておるわけでありまして、その場合には付添看護婦の費用というものを、これを慣行料金に近づくような保険点数を考えていかにゃならぬという、こういう問題になるわけでございますが、今回の保険外負担の解消ということで合意されました件は、基準看護病院におきます看護体制の整備と、その場合には病院の職員によって看護が行われるということを条件にする。これは基準看護病院におきまして患者が付添婦を雇うというようなことのないように、そういう負担がないようにと、こういう配慮でございますのでつけ加えさせていただきます。
○柄谷道一君 同じく法案審議の過程で差額ベッド問題の解消を図ると政府は約束をしておられます。その具体的方策をお伺いいたしたい。
○政府委員(大和田潔君) 差額ベッド問題解決の具体的方策といたしましては、重症患者が個室または二人部屋に収容された場合には、室料のほかに特別加算を設けることといたしまして、室料差額問題の改善を徹底することを考えておるわけでございます。 なお、先ほどの付添看護にも関連いたしますけれども、これらにつきましては診療報酬上の措置によって実施するものでございますので、中医協におきまする審議状況を踏まえて対処いたしたいと、こういうことでございます。
○柄谷道一君 それでは、そのような措置によりまして保険外負担がなくなり、付き添いなき看護、差額なき入院というものが確保されると理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(大和田潔君) 従来からの行政指導に加えまして、今回の特別加算の措置がとられることによりまして相当の効果が上げられるというふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(園田直君) いま事務当局からお答えをいたしましたが、いずれにいたしましても、四党合意の線でまとまりました保険外負担については、その方針を守りながら、一日も早く改善するように努力をする考えでございます。
○柄谷道一君 それでは、厚生省においてそのような措置を講ぜられましても、医療機関が付添看護や差額ベッドを請求した場合、厚生省としてはどういう措置をおとりになりますか。
○政府委員(大和田潔君) 今回の措置を新たに講じたにもかかわりませず、付き添いを求めるというような医療機関に対しましては、基準看護の承認を取り消すというような厳しい措置で臨んでいきたいと思います。 また、差額ベッドの問題につきましても、付添看護の問題と同様、厳正な態度で臨んでまいりたいと、かように思っております。
○柄谷道一君 保険外負担につきましては、付添看護問題や差額ベッド問題のように、すでに中医協で解消という方向について合意ができ、強くその早期実現を求める意見が出ておりますものと、歯科のように、中医協で審議いたしましたけれども、技術面や受け入れ、実施体制の面で慎重な検討が必要である。場合によっては段階的な実施が必要ではないかと思われるものとがございます。 付添看護や差額ベッド問題につきましては、もう中医協におきましても完全な合意ができておるわけでございますから、これを先議し、分離答申を場合によっては求めても可及的速やかにこれを実施するという姿勢をとることが必要ではないか。歯科の問題につきましては、同じく強くその解消を求めますけれども、これは技術的な問題が絡んでまいりますので、中医協の意見を十分に踏まえて段階的に実施に移すと、こういう実施方法をとることが被保険者の強い要望にこたえるゆえんであろうと、こう思うんでございますが、いかがでございましょう。
○政府委員(大和田潔君) やはりこの問題につきましては、診療報酬の改定に際しまして、これらの保険外負担を解消するような方策につきましてお願いをいたしたいと、このように考えておるわけであります。
○柄谷道一君 技術的な問題が絡んで全部込み込みで実施がおくれるというようなことがないように、ただいまの私の意見も、中医協の審議過程の中で十分御配慮をいただきたいと思う次第でございます。それでよろしゅうございますね。
○政府委員(大和田潔君) 御趣旨に沿いまして取り運びたいと思います。
○柄谷道一君 保険外負担問題の解消のためには、当然中医協の審議が必要でございます。いま大臣から、四党合意を踏まえという明確な御決意が表明されたわけでございますけれども、私は、そのような決意に基づきまして、厚生省みずからがまず原案を作成し、中医協に諮問する、それが四党合意を尊重する政府の姿勢ではなかろうかと、こう思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(大和田潔君) 政府といたしましては、自社公民の四党間の話し合いの内容に沿いまして具体案を作成いたしまして、中医協にお示しをいたしたいというふうに考えております。
○柄谷道一君 すると、白紙諮問ということではないということと確認してよろしゅうございますね。
○政府委員(大和田潔君) 白紙諮問ではないというふうにお考えいただいて結構でございます。
○柄谷道一君 ぜひ、そのような運びをしていただきたいと思います。 次に、累積赤字の取り扱いについて質問をいたします。 昭和四十八年に、それまでの累積赤字三千三十億円がたな上げされました。その時点で、政管健保の財政構造を補強するための手だてが種々講ぜられました。これにより政管健保財政は安定すると考えられたのではございませんか。
○政府委員(吉江恵昭君) 確かに、四十八年に大幅な財政安定の措置が講ぜられまして、政管健保財政は当然安定するものというふうに考えた次第でございます。
○柄谷道一君 そのように考えたにもかかわらず、その後の推移を見ますと、四十九年度四百五十六億円、五十年度三百十二億円、五十一年度五百六十一億円、五十二年度百五十三億円と、毎年赤字を繰り返しました。五十三年度は十七年ぶりで百二十六億円の黒字を出したものの、五十四年度には再度二十七億円の赤字を出しました。その結果、五十四年度末に千二百九十億円の累積赤字ができ、七年にして再び赤字の処理に追われるという結果を招いたこともまた現実でございます。 一体、政府は四十八年当時、これで安定すると見ておった保険財政がこのような現実の姿になったその原因をどうお考えでございますか。
○政府委員(吉江恵昭君) まあ、幸か不幸か、四十八年度に大幅な財政安定措置を講じた直後に、先生御承知の石油ショックというのが来てしまいまして、物価も異常に上がる、あるいは医療費の改定、それから引き続く昭和五十年から大変な景気の落ち込みというような、まことに厳しい社会経済情勢を背景にしたわけでございます。それで、そういうようなことで、たとえば四十九年度に二回にわたる大幅な医療費の引き上げが行われたというようなこともあって、結局するところは五十四年度には四十八年度に比べて医療費は二・七七倍に達しておりますが、標準報酬の方は二・一八倍にしかなっておりません。 こういうような事態を踏まえまして、四十九年、五十一年、五十三年に料率改定を行う、あるいは標準報酬の上限を改定する、それから、ボーナス保険料と申しますか、特別保険料の徴収などの対策を講じてまいりましたが、なお収支の均衡をとるに至らぬ年が多くて、結局は、先生いま御指摘の千二百九十億円の赤字を生ずるに至っておるわけでございます。
○柄谷道一君 ただいまの御答弁を聞きますと、四十九年二回、さらに五十一年、五十三年と、四回にわたる医療費の引き上げが行われた、それがこの累積赤字を出した主なる原因であるように聞こえるわけでございますけれども、それでは医療費引き上げの影響を除いた自然増の動向がどうなっておりますか、お伺いいたします。
○政府委員(吉江恵昭君) 四十九年度以降の各年度における医療費改定の影響を除いた政管健保の自然増の状況は、対前年比、当然対前年比でございますが、四十九年度は九・三%、五十年度は一一・六%、五十一年度は八・二%、五十二年度は九・四%、五十三年度、これは受診率が極端に落ちたこともありまして五・六%、それから先ほどの五十四年度決算では七・〇%というようになっております。いわゆる自然増でございます。
○柄谷道一君 いま申されました対前年比自然増の数値を見ますと、非常にばらつきがあるんですね。五%、五・六から最高一一・六%、このようなばらつきが出ております。これは私自身の推察でございますけれども、たとえば、昭和五十年度一番高かった一一・六%の自然増を示した年は、たまたま医療費の改定が行われておりません。ということは、医療費の改定がなかった年には、その前後の改定のあった年よりも自然増が高くなっておるということは、医師がその収入を図るためにある程度報酬をにらみながら診療を行っておる、それがばらつきの結果となってあらわれてきているんではないか、こう私は読み取るのでございますが、いかがでしょう。
○政府委員(吉江恵昭君) 確かに数字では先生御指摘のようなことになっておりますが、自然増の原因というのはいろいろ複雑でございまして、まだ解明されておらないような状態でございまして、御質問のような原因があるかどうかは、私の方では不明であるというように申し上げざるを得ません。
○柄谷道一君 私は、確かに自然増の内容についての分析は非常にむずかしいと思います、明快な、計数的な分析が困難であるということも承知しておりますけれども、しかし、疾病構造の変化とか、人口の老齢化とか、医学、医術の高度化などの問題は、長期的なトレンドとして動くものであると、こう思うのでございます。先ほどの数字の動きは、このような傾向的なものを私は示していない。とすれば、私の推測するような事情が強く影響しているのではないか、私はそう思えて仕方がありません。このようなことからすれば、医療費の中には、かなり人為的に増加させ得る部分があるという想定が成り立つわけでございます。 〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕 これは医療費のむだな部分でございます。飲み切れない薬の投与、検査の過多、その他、公的審議会が指摘いたしております幾つかの問題が内包しておるということをこれは示すものではないかと私は読み取ります。このようなむだを放置して、ますます増大する医療費を、保険料の引き上げにより支払っていくということは、被保険者や保険者が容認できる問題ではございません。 特に、四十九年度以降五十四年度までの累積赤字を、保険料をもって解消していくという場合には、今後、このようなむだを正されるという保証が私は必要ではないかと思います。このような保証なくして過去の赤字を保険料で穴埋めをするということは、また数年後に同様の処理を繰り返す結果になるのではないかと私は指摘せざるを得ません。これでは保険者や被保険者はたまったものではございません。これに対する政府の具体的対策をお伺いいたしたいと思います、これは政策的な問題ですから。
○政府委員(大和田潔君) 医療費につきまして先生おっしゃいました。要するに医療費の非効率的な使用というようなものにつきましては、これはもう改めていかなければならない。これに対しまする対策といたしましては、指導、監査の推進であるとか、あるいは医療費通知であるとか、幾つか審査体制の確立というようなことで、私どもといたしましては、極力医療費の非効率的な使用に対する対策を立てていかなければならないと思っております。 また、政管の健康保険の運営につきましては、やはり政管健保の行政努力というものを極力進めていくということによりまして、医療費対策を進めていくということは、もう当然なことでございます。その上で、私どもといたしましては、そういったような対策とあわせまして財政対策というものも進めていくことによりまして、政府管掌健康保険の運営の健全化を図っていく、このような所存でございます。
○柄谷道一君 大臣にお伺いいたしますが、いま局長から御答弁があったのでございますが、赤字が出れば保険料の引き上げで賄っていく。そんな安易な姿勢は許されない。国は国として、私の計数的分析が正しいかどうか、私もなかなかこれはむずかしい問題ですから指摘はできませんけれども、やはり国みずからもむだな医療費の合理化について全力を挙げる。その姿勢があって初めて保険者と被保険者に累積赤字の一部を、この部分を償還してくれ、これが当然言い得る姿勢ではないかと、こう思うんです。大臣いかがでございます。
○国務大臣(園田直君) 健康保険法の一部改正で連動制給付の上限を固定するなどの問題もそれに関連して出てくる問題と思いますが、赤字が出てきたからすぐ保険料を上げるという、そういう安易な考え方では、この法律案の改正をお願いすることは甘い考え方であると私自身は考えております。赤字ができました際には、ありとあらゆる努力を払って、給付が上限を固定された段階では、あくまで保険の料率も上げないで必死にがんばるというところで初めてまげてお願いができる筋合いのものだと考えております。
○柄谷道一君 私は、当然それが正当な政治姿勢だと、こう思うんです。 そこで、この千二百九十億円の累積赤字償還の方法でございますけれども、六年間で行うという合意がなされております。しかし私はその方法は幾つかあると思うんですね。 第一は、六年間の各年度にわたり均衡した形で行うという方法でございます。この場合は、さきの委員の質問によりまして、料率は千分の一程度になるんではないかという答弁をいただきました。しかし問題はこれのみではございません。 第二の方法としては、傾斜的償還を考慮するという方法がございます。 第三の方法としては、一年ないし二年は、いま大臣が述べられました医療費の適正化というものに政府がまず全力を挙げる。そしてその後の四ないし五年間で償却するという方法もございます。 いずれの方法をとるか、これはきわめてむずかしい問題でございますけれども、私は、これはフリーハンドで社会保険審議会の検討にゆだねて、いかなる償却方法をとることが国の責任を明確にしつつ、保険者と被保険者の負担というものにどの程度負担をさしていくのか。こういう議論が真剣に社会保険審議会で行われ、その答申に基づいて償還方法が決定される。このような方法をぜひとるべきであると、こう思うのでございますが、大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(園田直君) 審議会の御意見を伺う前に、厚生省自体も真剣に深刻に研究すべき問題でありますが、審議会あるいは各方面の御意見等も承って、十分検討してまいります。
○柄谷道一君 私は、公的審議会である社会保険審議会の審議を拘束しようという気持ちは毛頭持っておりません。しかし、ただいまの私の提言は、今後、社会保険審議会などで検討する際の一つの有力な考え方であると、そう大臣が受けとめておられると理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
○柄谷道一君 次に、診療報酬体系の是正と中医協の改組の問題について御質問をいたします。 医療費増大の一つの要因が診療報酬体系の不合理にあることは、今日まで社会保険審議会や制度審議会がしばしば指摘しておるところでございます。私はこの社労委員会で過去四回、診療報酬体系の抜本的改正の必要性と、それを実現するためには、中医協の改組が必要ではないかということを提言し続けてまいりました。第一回目は四十九年十月二十五日齋藤邦吉厚生大臣に対し、第二回目は五十年十一月十八日と三回目は五十一年五月二十日それぞれ向かいにおられます当時の田中正巳厚生大臣に対し、四回目は五十二年十一月二十二日渡辺美智雄厚生大臣に問題提起をいたしましたが、現実には改善されておりません。富士見病院の犯罪行為や検査づけ、薬づけの実態など例を引くまでもなく、診療報酬体系の抜本的改善を求める声は、いまや国民的要請と言っても過言ではないと思うのでございます。大臣はこれに、こうした国民的要請にこたえる決意をお持ちでございますか。
○政府委員(大和田潔君) 診療報酬の適正化、技術料等の尊重というようなことから、診療報酬体系の適正化に努めていくということはもう当然のことでございます。しかしながら、中医協改組の問題につきましては、実は中医協は長い歴史がございまして、各側にそれぞれの御意見もあることでございますので、御提案の措置を直ちにとるというようなことはとてもできないわけでございます。やはりその趣旨を踏まえて、今後慎重に検討してまいるということになろうかと思いますが、中医協の長い歴史というものがございますので、そういったような態度をとらしていただきたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 社会保障制度審議会は、四十六年の九月十三日でございます、診療報酬適正化は必ずしも成果を上げていない、「保険医療にからまる問題の根源の大半はここにあるので、政府はあげてその強い推進に当たるべきである。」こう述べまして、具体的に 支払い側、医療側、公益側の委員数八、八、四を八、八、八と改める。また公益委員八名中の半数程度を常勤とし、これに若干のスタッフを付け、必要な調査、資料の整備、これらの解析に当たらせる。 国民総医療費についての報告書を作成するために必要な権限を中医協に与えるとともに、これを毎年度国民に公表することを義務づける。また、すべての医療保険制度について、その支払い方式の制度的な審議を行なう権限を中医協に与える。 診療報酬についての両側委員の意見が対立し、しかも事が急を要すると認めたときは、一定の厳格な条件の下で公益委員側が審議を終結して、その意見を報告することができることとする。 この答申を行っておるわけでございます。 いま保険局長がお答えになりましたけれども、齋藤、田中、渡辺、歴代厚生大臣の御答弁も、ただいまの局長答弁と同じく、中医協はその機能を果たしておるので、中医協で本当に適正な診療報酬体系ができないという考え方に立ったときは中医協の改組を考えたい、その答弁から一歩も出ておりません。ただいまの局長の答弁もまたその域の中にあると思うのでございます。その後、診療報酬が部分的改定のみで抜本的改革が行われず矛盾を拡大してきたということは現実の姿がこれを証明いたしております。 そこで私は、これは大臣にお伺いしたいんでございますが、この社制審の答申以来九年経過しております。手おくれの感はございますけれども、この際、勇断を持って中医協の改組の決断を園田厚生大臣は下すべきではないかと、こう思うのでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 御理論はそのとおりでありますが、なかなか中医協を改組をしてこの広範な仕事を進めていくということは、現実問題としてはなかなかむずかしいところであります。しかしながら、御意見も全くそのとおりだと思いますので、この中医協の構成にいろいろな代表者の意見が反映されるようにこの中の構成に入っていただくようにするか、あるいはできなければ、中医協自体がそういう各界各団体の代表者の意見を聞いた上で答申されるというような方法を考えるか、十分検討してみたいと思います。
○柄谷道一君 いま大臣も触れられましたけれども、私はこの際指摘しておかなければならぬことは、中医協の医療側委員がすべての医療機関を代表するものかどうかという疑問があることでございます。委員の中に基準看護を実施し、高度の組織医療を行っている本当の意味での病院の代表というのは含まれていないのではないかと私は思います。 医師の技術料を主体とした診療報酬体系に改め、物の価格、使用量に依存して技術料を補完している現状を改革するという適正化のその方向につきましては、国民的な合意が得られております。要はその内容でございます。組織医療を担当しておる病院代表が不在で、体系の適正化が果たして図れるのかどうか。差額ベッド、付添看護などの保険外負担の解消を実現するためには、基準看護や診療報酬の中で当然配慮が行われなければなりませんけれども、その検討には、病院や看護協会の参加が必要であろうと思います。 また、先ほどから、適正な薬価基準を定めようという意見が出ておりますけれども、それには製薬代表に門を閉ざして物事を進めるということは不適当だと言わなければなりません。私は中医協の改組が直ちにできない場合においても、中医協への諮問に当たりましては、広範な医療担当者の意見、さらに保険者、被保険者の意見、公正な立場をとる学識経験者の意見を広く求め、その調整を図りつつ厚生省案を作成するという配慮が少なくとも必要ではないかと、こう思うのでございます。そのようなことをやらずして、現行の機構で適正な診療報酬体系が確立できるというならば、その保証の根拠を明示していただきたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) 中医協の診療側の委員でございますが、これには病院長と勤務医等が多数参加しております日本医師会の推薦によりまして、五人の委員の方が任命されております。公的医療機関の病院長の方も委員として任命されておられるわけでございます。また、支払い側の委員には健康保険、船員保険、それから国民健康保険の保険者並びに被保険者、事業主及び船舶所有者を代表する委員八名が関係団体の推薦によりまして任命されておりますことは御承知のとおりでございます。 そこで、診療報酬の改定に当たっていろいろな御意見がある、その御意見をどうやって吸収し、踏まえて、適正な医療費の改定ができるかというお話でございますが、ただいま申し上げましたような各界からの推薦の委員という方々が御議論をされまして、各界の意見を吸収されますことは当然と思いますが、また関係団体からさらに意見、要望等がございますればそれを承るということは行政庁としては当然のことと考えております。それはいろいろな方面からの御意見は十分承りながら、適正な診療報酬の改定というものに向かって進んでまいりたいと、このように思っておるわけでございます。
○柄谷道一君 現在の診療報酬を一言で言うならば、原価を大幅に上回って黒字を出しておる部門は、調剤、検査、人工透析だと言われております。原価を大幅に下回っておる赤字部門は、入院、手術、理学療法の分野であると、こう言われておるわけですね。 そこで、医療実態調査の内容、時間の関係がございますからそう詳細申し上げかねますけれども、組織医療を担当し、高度の医療技術を駆使して正しい医療を実践している病院ほどその経営は苦しい、五十五年六月時点で病院の約過半数が赤字に転落をしておる、こういう調査も出されているわけでございます。私は、今後の診療報酬の改定、これは大臣は少なくとも明年三月末までは診療報酬の引き上げは行わないと、こう約束されたわけでございますけれども、その次に来るべき改定に当たっては病院、診療所間、病院相互間の機能というものに留意して高度の技術や組織医療の内容を重視する、さらに、室料差額や付き添い改善のための基準看護のあり方を改善していく、こういう配慮が重点に据えられるべきである、こう思うのですが、大臣はどうお考えでございますか。
○国務大臣(園田直君) 今後、医療報酬の改定に当たっては、いま申されたような方向でこれを改定していきたいと考えております。
○柄谷道一君 次は、診療報酬体系とも関連するのでございますが、人工透析の問題について御質問をいたします。 人工透析、人工腎臓の普及によりまして、これまで末期慢性腎炎の患者が単に生き長らえるだけでなくて、社会復帰までできるようになったこと、また健康保険での支払いが認められ、だれでも利用できるようになったことは大きな福音でございます。 人工透析研究会の調査を見てみますと、昭和四十三年には全国で百五台しかなかったものが、五十四年度末では実に一万六千五百十九台にふえ、透析患者も二百十五人から三万二千三百三十人に激増したとされております。全国腎臓病患者連絡協議会の上田会長は、器械が少なく治療費も高くて自殺者が相次いでいたころとは隔世の時代になったと、こう言っておられます。腎臓病は不治の病、腎不全は必死の病とされてきた現状がこれまで改善されてきたことは高く評価すべきであろうと思います。私は、ここまで人工透析が普及してきたのは、もちろん多くの医療機関の関係者の御努力と、四十二年に透析治療が健康保険の給付対象になり、患者が多大な治療費負担から解放されたことによるものだと思いますけれども、医療関係者の中に、人工透析を手がければ相当の収益を上げることができる、要するにもうかるからこそ普及したのだし、もうけるために診療をゆがめている人もいるのではないかという声があることもまた事実でございます。厚生省は人工透析の現状をどのように認識、把握しておられるのか、まずお伺いをいたします。
○政府委員(大和田潔君) 人工透析の費用の総額は、昭和五十四年度で約二千二百億円、国民総医療費の二%というふうになっており、かなりのパーセンテージを占めておるということが言えるわけでございます。こういった人工透析につきまして悪用といったようなケースがあるかどうかという問題でございますが、私どもといたしましては、この腎透析につきまするそういう不適正な使用というものにつきましてはこれを指導、監査の対象にすると。これは五十四年の一月二十五日の保険局長通達というものによりまして、いわゆる不正請求、診療報酬の不正請求だけではなく、医療内容の不当な請求、不当な請求、濃厚診療といったようなものに対しましても指導、監査を実施すると、重点的に指導、監査を実施するという通達を指示しておるわけでございますけれども、その中に腎透析の不適正なものというものにつきましても厳正な指導、監査を行うというような指導をしておるわけでございます。したがいまして、私どもまだ把握は実はいたしておりません。腎透析による不正ということで指定取り消しを行ったものはまだ一件でございますが、このような腎透析の悪用というようなものがないように、これは十分に指導をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○柄谷道一君 昭和五十三年十一月に兵庫県姫路市の国富病院事件が起きました。一つの大きな問題を提起したと思います。透析のための入院日数と透析液の水増し請求、ろ過装置を再利用しながら一回ごとに捨てたと、使い捨てたとした不正請求によりまして、四年余の間に二億二千万円近い不正収入を得ていた。これは論外の犯罪行為であり、厚生省が行われました保険医取り消しの行政処分もまた当然と言うべきだろうと思います。 ここで注目しなければならないことは、その後の検査で透析の必要なし、こう診断された人が九十人の患者中二人いたということでございます。医師の中には、収入を上げるために安易に患者を透析に導入しているんではないか、このような声が当時上がりました。いま厚生省は通達を出されたということでございますけれども、なかなか通達一本で現状が完全に是正されるものではないと思います。 そこで、端的にお伺いいたしますけれども、国富病院に見られる安易な透析導入はきわめてまれなケースであるのか、それとも氷山の一角であると認識しておられるのか、明確な御答弁をお願いします。
○政府委員(大和田潔君) どうも先ほど実は私の御答弁にも、御答弁の趣旨の御答弁になろうかと思いますけれども、なかなかどうもこれが氷山の一角かどうかということにつきましては、明確な御答弁ができないのは申しわけないわけでございますが、重点的に私どもは指導を行っておるわけでございますが、先ほど取り消しを行ったのは一件といいますのはこの国富病院であります。国富病院以外の人工透析医療機関につきましては、まだ指導というか、取り消しまでいっておるのはこれ以外にないわけでございますが、この人工透析につきまして、特にこういう悪用している者が多いということも私どもまだ把握はしていないというような状態でございまして、どうもこれがまだ氷山の一角であるというようなはっきりした言い方は私どもはできない。またしかしながら逆に、これはもうそれならば人工透析につきましてはきわめてみんな順調に、順当にやっているのかということにつきまして確言をせいと言われても、なかなかできない。これにつきましては、今後ともおっしゃる趣旨を十分踏まえまして、目をみはってと申しますか、そういうことで指導、監査体制をしいてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○国務大臣(園田直君) いまの御質問でありますが、氷山の一角か、それともこれだけかという御質問でありますが、どちらかはわかりませんが、いまのままにしてほっておくとこういうことはありがちではないか。それからまた、あった場合に、監査、指導等を厳重にして果たしてそれが防げるかどうか、私は非常に疑問に思うわけであります。したがいまして、技術的な困難であるとは言いますが、一つには人工透析をやる場合、やった後、他の機関でチェックをする方法、それから一番根本原因は、この人工透析の診療報酬に問題があって、材料と技術とを分離しなければどうしてもいまのようなことは後を断たぬのじゃないかと、こういう感じがしているところでありますが、そういう方で検討してみたいと思います。
○柄谷道一君 なかなか氷山の一角か、きわめてまれなケースか判定しにくいと、こういう御答弁なんでございますけれども、私は医学に関しましては素人でございますけれども、人工透析研究会が昨年暮れに、昨年じゅうに新たに人工透析を受けた新規患者八千五十五人について調査した結果が出ております。で、これを見ますと、地域によって患者の発生率がきわめて違うわけですね。しかも、西高東低という傾向が見られるわけでございます。一体、腎臓関係の疾病が地域によって異なるという因果関係が医学的に証明されるのか、いかがでございましょう。
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘のとおり、人工透析研究会が行った調査及び厚生省で行った調査によって、都道府県別に人口当たりの透析患者の割合を見ますと、西の方の府県が高く、東の方の府県が低いというような結果が出ているわけでございます。一方におきまして厚生省が取りまとめております人口動態統計によりますと、この人工透析を必要とする疾患である、これは全部とは申しませんが、主たる疾患でございます慢性腎炎あるいはネフローゼというような疾患によりまして死亡いたしました患者の発生率というものも、透析の患者とほとんどパラレルの傾向を示しておりまして、やはり西の方の府県に高く、東の方で低いというような傾向になっておるわけでございますので、そういう意味では一応透析患者の発生率が、西に高く東に低いということは説明ができるんじゃないかと思いますが、それではなぜ慢性腎炎あるいはネフローゼというのが西に高く東に低いかというところまでまいりますと、その原因についてはまだ解明されておらないというようなことでございます。
○柄谷道一君 まあ日本は南北に非常に長いわけでございますから、それぞれの気候風土に違いもございましょうけれども、素人的に見てそんなに全国の発生率が、多少の違いがあるなら別でございますけれども、相当の違いがあるということは、私はやっぱり人為的なものがそこに介在していると、こう見なければならぬと、こう思うんです。そこで、去る十月十六日でございますか、衆議院の社労委員会で社民連の菅直人委員は、この人工透析の乱用をチェックするために透析を開始した後一定期間後に別の医師によって再検査し、その必要性をチェックしてはどうかと、こう提言しておられます。 私はさらに一歩進めて、現在の審査制度そのものを改善して、複数の医療機関、専門家による審査によって判定する、こういうシステムを確立してはどうかと、こう思うのでございますが、そのようなシステムを採用されるお考えはございませんか。
○政府委員(田中明夫君) 現在、人工透析を行う必要があるかどうかという適用につきましては昭和四十六年に厚生省に設けられましたその方面の専門家からなる腎不全対策検討会におきましてその適用基準が作成され、この基準に準拠して透析を行うよう、関係者の講習会等でその徹底を図ってまいっておるわけでございます。 また、一方におきまして、透析患者の過半数が更生医療の適用を受けておりまして、その適用を受ける際に、身体障害者更生相談所においてその要否のチェックを受けておりますので、先生御指摘のチェックという点につきましては、すでに半分が受けているわけでございますが、残りの半分についてどうするかという問題があろうかと存じます。 専門家の話によりますと、腎透析を必要とする患者の大部分が慢性の腎疾患の患者でございますので、透析をする施設に来るまでにすでに幾つかの病院あるいは診療所を通ってきているので、実際的にはもうそういうチェックがなされていると考えていいんじゃないかというお話でございますが、制度的な問題、特に愛知県等においていろいろ画期的な制度を採用しておるようでございますので、そういう方法も検討いたしまして、今後、その面の制度的な面についてさらに検討してまいりたいと思っております。
○柄谷道一君 いま局長答弁でも触れられましたけれども、愛知県では県内の透析医療機関のほとんどが参加する愛知県腎不全対策協議会を設置しております。そして、中京病院は合併症を起こした重症患者の治療を行う中央センターとしての役割りを持ち、次に有力なスタッフと設備を持つ五つの病院を地域センターとして配置し、さらに容易に透析治療が行える軽度の患者を扱うサテライトセンターを四十五カ所に設けるといういわゆる愛知方式と呼ばれる透析治療の体制づくりを行っていると聞いております。 そして、この協議会が情報交換を緊密に行い、患者の症状に合わせて収容すべき施設が決定され、社会復帰のために患者は最終的に最も便利なサテライト施設に移ることにしていると。非常に画期的な一つの体制であると私は思うんでございますが、政府はこの愛知方式をどのように評価していらっしゃいますか。
○政府委員(田中明夫君) 先生からただいま詳しく御紹介のありましたいわゆる愛知県方式につきましては、私どもといたしましても非常に高く評価しておるわけでございまして、できればほかの府県でも、このようなシステムがとれたらというふうに考えておるわけでございますが、御案内のように、この愛知県方式が確立された基盤には、中京病院の院長の太田先生の並み並みならぬ努力ということと、もう一つは、愛知県の医療機関というのは大部分が国立名古屋大学及び名古屋市立の大学、この二つの大学の卒業生でございまして、そういう意味でも非常に、人工透析に限らず、愛知県の医師会といいますか、医療機関というのはわりにまとまりやすいというような基盤もございましてこのようなりっぱなシステムがつくられたと存じておりますが、ほかの県でも、できるだけこういう愛知県のようなシステムを導入するよう、われわれも行政指導をしてまいりたいと思っております。
○柄谷道一君 大臣、お聞きのとおりでございます。これはやはり大臣みずからがそうした体制づくりに対して積極的に地域の医師会に働きかけ、やっぱり腎不全、慢性的な腎臓疾患の患者がその症状に応じ適正な医療を受けられる、こういう体制づくりをしていくということがきわめて必要なことだと私は思うんです。 ひとつ大臣、この体制づくりについて、これが広く全国に普遍できるような御努力、積極的な御努力をお願い申したいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) ただいまの愛知県の問題は、単に人工透析とか腎臓の重要なる手術ばかりでなく、医療行政全般について全国の地域でこのような理想的な姿であってもらいたいと絶えず念願しておったものであります。そしてまた、こういうことによって個人開業医とそれから国立、公立あるいは設備を完備したいろいろな病院の使命がはっきりしてくるわけでありまして、これもまた一つの医療行政の将来のあり方だと、こう思いますから、いま御意見のとおり、積極的にこういうことが各地域で行われますよう要請をし、努力をし、かつまたこのようなことをなされたりっぱな医療機関、お医者さん等は、国でこれを表彰したり援助をしたりするという慣例をつくりたいと考えております。
○柄谷道一君 まだまだその体制ができていないために、現実は、ある健康保険組合等では過剰診療を防ぐために、透析の必要があると診断された場合は公的な病院で再診断を受けよ、こういうことを勧告している健保組合も多いと聞いております。なぜ健保組合がそのような自衛手段をとらなければならないのか、それはまだ体制に不十分な面があることをこれは物語っていると思うんです。 同時に、私は当委員会が先日国立がんセンターと聖路加病院に視察を行いました。その両病院において、両院長ともやはり複数の専門家による透析開始の決定が望ましいと専門家としての御意見を述べられたわけでございます。そのことは、やはり現行の制度そのものにまだ問題があることを明確には言われませんでしたけれども、お感じになっておればこそ、社労委員長の質問に対し、その考えが妥当であろうと思うという明確な答弁をされております。ぜひこの問題につきましても、厚生省の決断を求めたいと思うんですが、いかがでございます。
○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりでございまして、積極的にやりたいと考えております。
○柄谷道一君 そこで、透析治療費でございますが、これは局長、ただいまの私の質問に対して、国民総医療費の約二%、二千四百億円程度だと、こう答弁されたと記憶するんですが、間違いございませんか。
○政府委員(大和田潔君) 国民医療費の二%で二千二百億、五十五年度で二千二百億程度、こういうふうにお答え申し上げたわけであります。
○柄谷道一君 それでは、健保連が高額医療費の共同負担事業を行っておりますが、この人工透析に対して傘下の組合に投下されております金額と、その共同負担事業の中に占めるその比率についておわかりでございましたらお教えをいただきたい。
○政府委員(大和田潔君) お答え申し上げます。 昭和五十四年度で、これは高額医療費共同負担事業における腎炎、ネフローゼの医療費を、仮に人工透析の医療費とみなせばという前提でありますが、五十四年度で件数の割合は二五%、金額の割合で二〇%というふうになっております。
○柄谷道一君 保険財政の中に相当のウエートを占めつつあることをその数字は、私は物語っていると思うんでございます。 そこで、私はこの際ダイアライザーの価格について問題提起をし、質問を続けたいと思います。 昭和五十三年二月、厚生省はそれまでほとんど野放しでございました人工透析に対する社会保険診療報酬について、五時間透析の場合四千点という枠をつくられました。しかし、ここで問題なのは、四千点という点数を決めるに当たって、暫定措置として技術料と材料費を統合して点数を定めておるということでございます。したがって、まあ算術に強いお医者さんからすれば、患者に適したダイアライザーを選ぶというよりも、多少性能的に、また品質的に劣っていようとも、安いダイアライザーを買いたたいて使用する。こういう傾向がこういう標準報酬体系から生まれてくる。このような結果を招いているんではないかという指摘は非常に強うございます。全国高額所得者の中に数多くの透析医が名を連ねております。私は何も長者番付に出ることが悪いと言っているのではございませんけれども、問題は、その利益の捻出方法が問題であることを指摘したいわけでございます。 私の調査によりますと、この五十三年二月の健保改正前のダイアライザーの価格は、血液回路組みで一セット一万二千円ないし一万三千円、特殊品で一万五千円程度であったと考えられますが、最近では、ものによっては五千円見当のものまであらわれてきております。なるほど、材料費が下がったことによって医療費が下がればそれにこしたことはないんでございますけれども、問題は、生命を預かるこれは材料でございます。果たして手放しで喜んでよいかどうか大きな疑問があろうと思います。たとえば人工腎臓のそのタイプですけれども、コイルタイプ、プレートタイプ、中空糸タイプと、こう三つのタイプがある。ところが、コイルタイプは開放型のために飛沫が飛び散って臭いにおいが漂う、性能が比較的劣るという問題を抱えておるというために、たとえばアメリカにおきましては、このコイルタイプは一九七三年七二%を占めておったものが、一九七八年では三八%にそのシェアを落としまして、逆に性能的にすぐれておると言われます中空糸タイプが一三%から四四%へとふえております。いわゆる医学、医術の進歩に応じて新しい器材が積極的に投入されていることをこれは示す世界的傾向だと思うんでございますけれども、しかし、わが国のような場合は、どんなダイアライザーを使用しようとも、技術料込みで一定の保険単価で支払われるために、医師の経済的要請が強くて、依然としてコイル型が根強く使用されておると、これが現状ではないかと、こう思います。 そこで、こういう新しい器材の開発に努力しておりますメーカーにおきましても、患者の症状に適し、りっぱな器材をつくってもそれは売れない。お医者さんのニーズからすれば、安い材料費でかせぐにこしたことがないという傾向があらわれつつある。こんなことでは患者の犠牲において金もうけをしておると、こう言われてもやむを得ないんではないかと、こう思うんでございます。品質というものは、よいものはそれなりに高く評価される。それが正しい医療費のあり方であろうと、こう思うんですが、いかがです。
○政府委員(大和田潔君) この透析の点数につきましては、先生おっしゃいますように、五十三年二月の診療報酬改定で、技術料と材料費を統合いたしまして、五時間方式四千点ということで設定されたわけであります。 これはなぜかと申しますと、透析技術が非常に進みまして、器具、器械の改良等によりまして従来より短い時間で透析が行われるようになったというようなこと。それからもう一つは、請求価格、つまりダイアライザーの請求価格と、それから実際の購入価格の乖離というものが見られてきたといったようなことが実はございまして、五十三年二月までは技術料と材料費を分離しておったわけでございますけれども、それをこの五十三年二月の診療報酬改定で統合いたしたという経過があるわけでございます。そこで私ども、統合いたしましてもこの開発意欲というものを損なわないように、やはり安くて、かつ性能のいいもの、それができるということを実は期待をいたしましてそういったようなことをやったという経緯もないことはないわけでございまして、できるだけ安くて性能のいいものというものができますれば、この両方を統合いたしまして、四千点と、五時間方式と時間数に分けまして、三段階の方式でもって点数を決めたわけでございますけれども、そういうような期待を持ちましてこういう点数設定をしたわけでございますが、どうも現状を見ますと、いま先生がおっしゃいましたような現状というものがあるようなことでございます。 そうなりますと、ダイアライザーの新製品の開発意欲がどうも損なわれるといったようなことになりますと、これまた好ましくないという問題が出てまいりますので、これについてはやはり、どうも技術料と材料費というものを統合したということに対する反省がいま行われておるわけでありまして、今度の、次回の改定に当たりましては、中医協にもよく御相談いたしまして、物と技術の分離という方向でやっぱり検討せにゃならぬのかなあというような感じをいま持っておるところなんでございます。
○柄谷道一君 私は、四千点を決定するときの大体暗黙の了解は、ダイアライザーと血液回路で千三百十点、まあ一万三千百円程度を織り込んで四千点を決めたと、まあこういうふうに聞いておるわけでございます。ところが、現在の平均的な価格は九千円でございます。ものによっては五千円程度のものも出ております。で、大体一セット九千円として、三百点引き下げたということにいたしましても、わが国で一年間に消費されるダイアライザーは約五百万個でございますから、実に百五十億円という金額がその実勢価格との間に乖離が生じてくるという計算になるわけですね。しかも私は、さきにタイプの件を申し上げましたけれども、たとえば滅菌方法の推移についても、当初はホルマリン滅菌が行われたようでございますが、これは肝障害を起こすということで現在は使用されずに、大部分がエチレンオキサイドガス滅菌方法をとっておる、ところがアメリカの環境保護庁では発がん性の疑いがあるということで、世界の大勢は逐次より安全な滅菌法ということでガンマ線滅菌、これが採用されつつある、こういうふうにも聞いておりますし、また、新しい膜材料の開発につきましても、これまでセルロース膜が用いられておりますけれども、その性能の限界を打ち破るために新しい材料の開発が進められ、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルですか、こういう新しい材料による飛躍的な材料の開発も行われておる、このように聞くわけでございます。 そこで、私はそのような現在の人工透析の実態を考えますと、この際早急に、まず価格、いわゆる材料費と技術費の分離を図るべきである。同時に、その材料費につきましても使用材料別、型式別、また滅菌法別というように、その価値、効用、これに応じましてやはり材料費にも適正な格差を設けまして、よりすぐれた製品が実勢価格において患者の生命を救うために使用されていく、こういう体制をぜひ確立するべきである。また、そのことによってきわめて保険財政を圧迫しつつある人工透析の医療費の適正化にも道が開けてくるのではないか、こう私は思えて仕方がございません。これらの問題に対して、次の診療報酬改定の際にぜひ、これらの問題は勇断をもって実施に移すべきである、こう私は強く求めるものでございますけれども、これに対する明確な御回答をいただきたいと存じます。
○政府委員(大和田潔君) 先生おっしゃいましたように、単にダイアライザーと申しましても、多くの種類がある、それから性能もいろいろなものがあるということでございます。これらの点を考慮をいたしまして、やはり研究開発の意欲を損なっちゃいかぬというようなことで、研究開発の意欲も損なわれないというようなものとするように、中医協に十分お諮りいたしまして前向きに進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 私はここで、誤解を生じないように一言付言しておきたいと思います。 私は、ある人工透析を受けております私の友人から、私たちは人工透析によって生きることができ、社会復帰を果たしておると、しかし腎臓病が高額医療としていつも取り上げられて金食い虫のように言われておる、自分は、生きるための人工透析であるにかかわらず、そう言われることは非常に心苦しいんだということを訴えられたことがございます。私は単に保険財政のことのみを言っておるわけでは決してございません。患者が医学医療の進歩向上の恩恵を受けて、効果的な治療を受けられるようにという気持ちから質問を行っているわけでございます。患者の犠牲において利潤の追求に走るということは許されない、そのことを指摘しておるわけでございます。 将来四、五十年先には腎不全患者は約十万人に達するのではないかということを指摘する専門家もおられます。そうなりますと、現状をこの際思い切って改革をいたしませんと、ますますそのことが保険財政を圧迫をし、また保険財政の窮迫を理由に、生命を維持いたしておりますこれらの患者が、再び財政上の理由からその治療が後退するということがあってはならない、こう信ずるわけでございます。この点に対しましては、よく私の提言の真意をおくみ取りいただきまして、ぜひ、思い切った改革をお願いをいたしたいと思いますが、大臣いかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) 御意見は十分理解したところでございます。次の診療報酬改定の際、御意見のような方向でこれは改正するよう努力をいたします。
○柄谷道一君 さらに進んで、幼児期からの早期発見と早期治療の体制を充実する必要があるのではないか、こういうことも言われております。また、東京女子医大と東京医科歯科大学のグループでは腹膜透析が研究され、千葉大チームによる活性炭利用の短時間透析の研究が進められ、またろ過装置の研究開発等も行われている、このような情報も聞くわけでございます。こうした研究につきましては、厚生省としても積極的なやはり助成を行いまして、その実用化を促進することが必要であろうと思います。 さらに、より根本的な治療と言われます腎臓移植の問題についてでございますけれども、現在、腎臓提供者の登録制度が始まって三年目になりますけれども、登録者は約九千四百人、五十四年末で移植を受けた人はわずか千四十三人、透析を受けている患者の全体の二%にしかすぎないとも指摘されているわけでございます。こういたしますと、より腎臓移植というものを積極的に推進していく施策もまた行われなければなりません。実際その患者の立場に立って、一面、医療費財政の状態もにらみ合いながら、こうした問題を積極的に推進していくということが私は緊要な課題ではないだろうか、こう思えて仕方がないのでございますけれども、厚生省の御所見をお伺いいたします。
○政府委員(金田一郎君) 幼児期の関係につきまして、私の方からお答え申し上げたいと存じます。 幼児期における腎疾患の発見につきましては、先生御承知の三歳児一斉健診時に尿検査を行いまして、異常が発見されました者につきましては精密検査を実施いたしているところでございます。また、学校健診におきましても同様の検査が行われると聞いております。 慢性腎疾患の児童につきましては、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患の一つといたしまして、医療費に対するいわゆる公費負担を含めた治療研究を現に行っているところでございます。
○政府委員(湖中明夫君) 慢性腎疾患に対する根本的な治療方法と言われております腎移植につきましては、先生御指摘のとおり昭和五十年から五十四年の五カ年間に千四百件ほどの移植が行われたわけでございます。しかも、そのうち大多数が生体腎の移植、通常家族の方の腎を提供していただいて移植するという形で行われているわけでございますが、昨年秋の臨時国会におきまして角膜及び腎臓の移植に関する法律が議員立法によって成立いたしまして、現在、世界各国ではむしろ生体腎の移植にかわって主流になりつつあります死体腎の移植に関しましていろいろな規定がなされたわけでございまして、今後この線に沿って厚生省としても努力いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。死体腎の移植につきましては、昭和五十年ではわずかに四例でございましたが、五十四年におきましては四十九例ということで、絶対数はまだ非常に少のうございますが、非常な勢いでふえておりますので、この面におきましても、また生体腎の移植につきましても今後とも努力をいたしまして、腎移植を進めていきたいというふうに考えております。
○柄谷道一君 次に、母子保健対策について御質問をいたしたいと思います。 総理府にまずお伺いをいたしますが、政府は本年七月の国連婦人の十年世界会議で向こう五年間の行動計画に賛同いたしまして、国連の男女差別撤廃条約に署名するとともに、健康と福祉に対する統合アプローチを議案として提案されております。これは、政府が母性保障に関する諸政策を初め、婦人の地位の向上についてみずから率先して取り組むことを、その姿勢を国の内外に向けて明らかにしたと受けとめたいと思いますが、いかがでございますか。
○説明員(柴田知子君) お答えいたします。 今回の世界会議におきましては、雇用、健康、教育の三つが国連婦人の十年後半期のテーマでございまして、わが国も賛成いたしました後半期行動プログラムを初め、先生御指摘のわが国が提案いたしました婦人の健康と福祉の統合的なアプローチについての決議案も含めまして、四十八の決議が採択されました。で、これらの中で、健康の問題につきましては、婦人の地位の向上や福祉の増進のために基本的かつ重要な課題であるという認識に立ちまして、清潔な水ですとか栄養の確保、伝染病の防止、家族計画、母性健康管理など、健康の確保のための諸施策を推進するということを重要な課題として打ち出しておるわけでございます。で、このような健康、特に母性の問題も含めての健康につきましては、わが国でもすでに国内行動計画におきまして母性の尊重及び健康の擁護と、これを確保するための諸施策を推進いたしてまいりました。現在のところでは婦人問題企画推進本部におきまして、先ほど申し上げました世界会議の結果を踏まえまして、母性の尊重及び健康の擁護という問題も含めまして後半期に重点的に取り組むべき事項というものを決定するために検討をいたしております。このようなことで後半期にもさらに健康の問題につきまして一層推進してまいりたいと考えております。
○柄谷道一君 私は、少なくとも政府挙げて国際婦人十年の後半のこのプログラムについて全力を挙げかつ積極的に取り組もうという姿勢を政府もまたこの世界大会で示されたものと、こう評価をするわけでございます。私は去る十一月七日の決算委員会におきまして人口動態の現状と将来展望に触れまして、施策の拡充について幾つかの提言を行いました。ちょうど大臣御不在でございましたけれども、速記録によりその内容等は承知しておられるものと思います。 そこで、厚生省は五十四年度人口動態の概況を発表されておりますけれども、それを拝見いたしますと、人口千人当たり出生率は一四・二、合計特殊出生率は一・七七と低下をしておる。これはわが国の人口を維持する合計特殊出生率である二・一を大きく割り込んできたというこの現実を示しておるわけでございます。しかも第一子を産む女性の平均年齢は二十六歳、第二子は二十八歳とされておりますけれども、この年齢層の女性は今後も減少を続け、出生率の回復は当分予測することができないと、こうも言われております。さらに出産意欲の低下もこれに加わりまして、入口問題の将来推計についても見直しを行わなければならない時期に至っておると厚生省みずからその概況と展望をお認めになっておるところでございます。また妊産婦の死亡率を見てみますと、出生十万人に対応する妊産婦の死亡率でございますが、デンマーク五・三、スウェーデン七・九、フィンランド八・一、オランダ一三・二、イギリス一七・〇、カナダ一八・二、ベルギー二〇・四、フランス二二・一、アメリカ二二・四と、最低は五から二二ぐらいの範囲でございます。これは国連統計でございますけれども。それに対応して同じような時点の、これは一九六九年から七一年にまたがる各国ごとの統計でございますけれども、わが国の一九七一年の比率をとりますと実に四五・二でございます。これはわが国の母子保健というものがまだまだ外国に対比して不十分であることをこれは物語っていると思うのでございます。そこで、私たちはこういう現状に照らしまして公明、民社両党は国会のたびに共同で母性保障基本法の制定と母子保健法の全面改正を議員立法として提案し続けておりますけれども、これらが、なかなか採択されるに至っておりません。こうした現状にかんがみ、これらの問題に対して厚生省が今後どう対応していこうとしておられるのかお伺いをいたします。
○政府委員(金田一郎君) 健全な児童を産みかつ育てるというこの妊産婦、乳幼児対策を中心とする母子保健対策は、ライフサイクルの最初の問題でございまして大変重要な問題であることは先生御指摘のとおりでございます。これに対応いたしまして、先生御承知のように、母子保健法が現にあるわけでございますが、これが制定されまして以来すでに十数年を経過いたしおります。この間わが国の母子保健の水準は大きく改善され向上してまいったところでございます。御承知のように、たとえば乳児死亡率は世界各国に比べ遜色のない状態にまで現に達しておるわけでございます。しかしながら、今日母子保健に関連いたします社会環境の大きな変化と急速な高齢化社会への推移を考えますと、現行の母子保健対策を単に私どもといたしましては見直すだけではなくして、今後参ります超高齢化社会、静止人口期を迎える二十一世紀を展望いたしまして、新たなより次元の高い母子保健対策を速やかに樹立する必要があると言われているわけでございます。 このため、厚生省といたしましては各分野の専門家の方々の御協力を仰ぎまして、昨年六月に家庭保健基本問題検討委員会を発足させたわけでございますが、現に約二年間ということでそういった目途で御検討いただいておるわけでございますが、この検討委員会におきまして多角的な観点から母子保健の新しい制度、施策の検討を現にお願いしているわけでございます。
○柄谷道一君 それでは、母子保健法の抜本改正についていま検討中ということでございましたが、大体いつごろまでに検討を終え、いつの国会に上程される予定であるのかお伺いいたします。
○政府委員(金田一郎君) ただいまお答えを申し上げましたように、約二年間を目途として御検討願っておるわけでございますが、この御検討が終わりました後にどのような形で制度化するかにつきましては、先生御承知のようにこの検討委員会は母子保健についての検討委員会でございますが、児童関係の対策も母子保健だけではなく、その他の各健全育成対策なりそういった各対策との関連も非常にございますので、全体を御討議いただいております中央児童福祉審議会にいずれその後直ちに御検討いただかなければならないと思います。その検討結果を経まして、これが成案化される等のことになろうかと思っておるわけでございます。
○柄谷道一君 大臣、御指摘のようなスピードでございまして、万事スピード時代になっておるんでございますが、きわめてその速度は各駅停車でゆっくり走っておられるんではなかろうかと思います。もちろん慎重審議は必要でございますけれども、少しでもその検討期間を短縮して、現在私が一例として申し上げました現状にかんがみ、その抜本改正が急がれるべきである、こう思いますけれども、大臣、この二年という目標を短縮して精力的に取り組むという姿勢をお示しいただきたいと思いますが、いかがなものですか。
○国務大臣(園田直君) 民社、公明両党から主張されておりまする基本法の問題、それから十年たった母子保健法の改正の問題、いま事務当局から二年という話がありましたけれども、もう二年たったら私は大臣しておりませんので、そういうことでは答弁する資格もありませんので、全力を挙げてスピードを上げ、当面する社会環境に即応するように、事務当局とも相談して一生懸命にやりたいと思います。
○柄谷道一君 いま大臣が先走って御答弁いただきましたけれども、現在、わが国の法制における母性保護に関する法律は非常に多うございます。労働基準法、母子保健法、勤労婦人福祉法、健康保険法、国民健康保険法等数多くの法律があるわけですね。しかも、それがばらばらであってかつ所管庁をまたいだり各局をまたいだりいたしております。そこで私が見ますと、一貫性に欠けるうらみがあると思うのでございます。やはりこれらを統括する母なる法律と言ってはどうかと思いますけれども、やはり基本法を制定して、母性保障に関する理念を明確化すると同時に、国、地方自治体の果たすべき役割りを明確化し、さらに保障の充実と公正化を図っていく、その基本法に基づいて子なる各法が整備、充実されていく、こういう体制づくりがぜひ必要であり、私は国際婦人十年の後半の最大の目標の一つはここに置かれなければならない、こう思うわけでございます。いま大臣から御答弁をいただきましたけれども、二年たったらおれはいないかもしれぬでははなはだ心細うございますので、在任中にぜひともそれを実現するという意欲をお示しをいただきたい、こう思うんです。
○国務大臣(園田直君) 二年たったら首があるかないかわからぬからという弱気のことではなくて、在任中に何とか目鼻をつけたいという意味の先般は答弁でございます。
○柄谷道一君 ぜひそのような御努力をお願いをいたしておきたいと思います。 そこで、分娩費の問題でございます。私は、この分娩費について、基本的には現物給付とすべきであると、こういう持論を持っておりますけれども、いま直ちに現物給付を実現することはいろいろ問題があることもまた承知をいたしております。しかし、現物給付が直ちに実現できないとしても、その金額は少なくとも現実の出産費用に見合うものでなければならないと、こう思うのでございます。厚生省は今回の法改正で、現行の十万円を十二万円に引き上げる考え方を示しておられます。しかし、これは前回の法律改正案が廃案になりまして、また日が経過しておるわけでございます。そこで、この十二万円という金額では実態と相当の乖離がいまあらわれているのではないかと、こう思います。たとえば、政策推進労組会議が本年九月に調査いたしました全国百六件の出産費用の実態調査によりますと、公立病院平均が十八万五千三百五十三円、私立病院平均が十九万九千二百八十円、産院の平均が二十一万一千四百七十四円、総平均が十九万八千八百八十二円になっていると指摘されております。また女子労働者を多数抱えておりますゼンセン同盟が本年六月に十七市六町、五十二例を調査いたしておりますけれども、それによりましても、公立病院平均は十八万二千五百三十四円、私立病院の平均は十九万三千九百八十三円、産院の平均が十七万二百二十二円、総平均が十八万七千四百八十二円という実態調査の結果があらわれているわけでございます。その他、全化同盟、交通労連、京王百貨店等が行いました、これは各組合でございますが、実態調査の資料も私、ここに持っておりますけれども、大体その数値はおおむね十八万円から十九万円というこの傾向については大きな差がございません。分娩費につきましては、今回の法改正で政令事項とされてなることになっております、これが成立すればですよ。そこで、私は今回の法改正を行うと間髪を入れずに厚生省としてもこの分娩費の実態を早急に調査願い、——ちゃんと資料あるんですけれども、それが信用できないと言うなら、厚生省独自で精査を願いまして、やはり可及的速やかに、これ、政令事項ですから、政府が決断すればいつでも上げられるわけです、実態に見合うようにこの金額の大幅引き上げが必要ではないか、こう思うのでございますが、この点いかがでございましょうか。
○政府委員(大和田潔君) この政令によりまして分娩費の額を規定するということに相なったわけであります。これは予算上、先生おっしゃいましたように、十二万円ということになっておるわけでありまして、当面十二万円という額を決めたいと思っております。これはやはりこの分娩費の額を決めます場合には、国立病院における全国平均というものをとってこざるを得ないというようなことでございます。国立病院の実態を見ますと、五十四年八月時点におきまする分娩費用を調べたところ、全国平均で約十二万円ということに相なっております。先生おっしゃいましたやはり私的な病院とかあるいは国立病院以外の公的病院はもっと高い額が示されておるわけでありますが、国立病院の場合はその額で分娩費用を賄っておるわけでありまして、当面そういったようなことを参酌いたしまして十二万円というふうに考えておるわけでございます。ただ今後の問題、先ほど先生おっしゃいましたように、政令で決めるということはやはり弾力的な取り扱いをするというそういうことでございますので、今後におきましては弾力的な取り扱いができるような運用はしてまいりたいと、このように考えておるわけであります、
○柄谷道一君 ここで私数字の突き合わせをやっておってもしようがないと思うんですけれども。どうもいま言われました数値と私たちが把握しております数値は大分開きがあるんですね。だから、私もあえて公立病院、私立病院、産院とこう分けたわけです。労働組合のいろいろな機関で調べました公立病院の平均は、どうしてもやっぱり十八万円を超えているんですね。その調査のどこにそういう差があらわれてくる原因があるのか、これはきょうここで言い合っておってもしようがございませんから、私はその調査の仕方、内容等につきましてはもう一度本委員会の後にでも突き合わせをさしていただきたいと思います。実態は相当乖離しておるというのは一般的認識でございますから、余り現在の十二万円が非常に整合性のある数字だという先入意識をお持ちにならないで、ひとつその実態を正確につかんでいただきたい。で、実態と乖離しておれば、政令事項にしたわけですから、早くその差を埋めていただきたい、こう思うんです。大臣、ぜひお願いいたします。
○国務大臣(園田直君) ただいま局長から答弁しましたが、少し違いますので、いま局長の言いました十二万円というのは五十四年の八月の時期だと思います。五十五年四月ごろになりますと、国立病院でも数字は申し上げませんけれども、安いところで十六万、高いところで二十一万ぐらいに伸びていると思います。なお、これが実施される明年度はさらに伸びてくることも予測されます。 問題は、この分娩費が適正でないところに産婦人科病院にいろいろ問題が起こる大きな原因になっているわけでありますから、この点はいまの御意見も十分承り、数字も私の持っている数字と局長の持っている数字は同じでありますから、同僚とよく相談をしてやるつもりでございます。
○柄谷道一君 同僚委員の前回のたしか質問では、国立病院十五万円ぐらいと言われたことも記憶しておるわけで、答弁のたびにそう実態の数字がころころ変わりますとこっちも戸惑うわけです。ただ、これはいつの時点で押さえるとかそういう時点の相違もあるでしょう。私はその金額はもっと詰めたいということをさきに申し上げたわけでございますので、やはり実勢の分娩経費と乖離を生じないようにこの原則だけは強く申しておきますので、ぜひ前向きな御検討をお願いしておきたいと思います。 そこで、きょうは労働省呼んでおりませんので、これは国務大臣である大臣に国務大臣としてお願いをしておきたいと思うんですが、産休中の賃金保障の問題でございますが、これはILO百二号条約を最低としてすべきだと私は思うんでございますが、官民間に相当の格差がいまあらわれておるわけでございます。官に対しまして民の方は相当の水をあけられておるというのが実態でございます。これは母性保障とも非常にかかわりの深い問題でございますので、ひとつ労働大臣とも協議していただきまして、その格差是正につきまして積極的な御努力をお願いいたしたいと思います。お願いいたしておきます。
○国務大臣(園田直君) よく労働大臣とも相談をして努力をいたします。
○柄谷道一君 次に財政窮迫健康保険組合の対策について御質問をいたします。財政窮迫健康保険組合に対しまして、政府は保険給付金臨時補助金といたしまして十五億円を支出しておられますと承知しております。また健保連も助成事業として五十四年度約四十二億円の助成を行っております。これらの措置によって辛うじて財政窮迫組合は財政の破綻から免れているというのが現状でございます。たとえば最も財政的に窮迫しております三井三池健康保険組合の場合を例にとりますと、累積赤字三十一億円、五十四年度単年度だけで九億円の赤字を出しております。その決算では、政府補助金約三億五千万円、健保連助成事業交付金五億円、合計八億五千万円の助けを得て単年度赤字を五千万円程度にとどめておる、そういう実態でございます。しかもこの健康保険組合の場合を調べてみますと、保険料は最高の千分の九十を徴収いたしております。また特別保険料も最高限を徴収いたしております。しかも給付は、法定給付のみで付加給付は全くございません。このような現状の健保組合が存在しておることは現実でございます。こうした財政窮迫組合に対して政府は、今後どのように対応していこうとされておるのかお伺いします。
○政府委員(大和田潔君) 健康保険組合の財政状況でございますが、一般的に財政状況は相対的には当然政府管掌健康保険よりもいいわけでございますが、やはり組合設立後のいろいろな事情から財政が窮迫した組合というものが出てきておるわけでございます。これらをどうするかという問題でありますけれども、やはり組合設立の趣旨というものにかんがみまして、まずもって組合間の相互連帯ということによりまする対処というのが、これが基本ではなかろうか、これは一般論として、それが基本であろうというふうにいま考えておるわけでございまして、現在御審議をお願いいたしております健康保険法改正案では、健康保険組合間の財政調整の措置を盛り込んだところでございます。なお、もちろん国といたしましても先ほどございましたように財政窮迫組合に対しまして特例的に国庫補助を行うという措置をとっておるわけでございます。そういったようなことによりまして、財政状況の窮迫した組合に対しましては、そういう一般論の財政対策というものを推し進めていくわけでございますが、ただ、それぞれの組合によりましてやはりそれぞれの事情がある、それぞれの事情があって財政状況が窮迫している、こういったようなことでございますので、それはそれぞれの組合からいまの財政事情、窮迫の事情といったものを十分把握いたしまして、適切な対応策を検討していくということが基本姿勢であろうというふうに私ども考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 それぞれの組合にそれぞれの事情がある、そのとおりでございます。またそれぞれの組合が自助努力をしなければならぬ、これもまたそのとおりでございます。しかし、いま私が例に挙げました三井三池健保の場合を例にとりますと、第一に三池商事、三港運送、三池港運、三井港サービスセンター、サンコーモータース、三井鉱山土地建物、この六事業所を政府管掌健康保険組合に移管をしてもらいたい。 三池港務所従業員は三井健康保険組合に吸収統合をしてもらいたい。 さらにレセプト点検の強化、健康管理、療養指導等の管理体制をみずから自助努力として強化したい。あわせて事業主病院を一般開放することによって、その事業主病院の赤字の減少に努めたい。 こういう案をつくりまして、それぞれ規約の変更申請その他を行っているところでございますけれども、そのような涙ぐましい努力を労使が行って、ある程度赤字は減少することに成功したとしても、それは根本的解決方法にはならないわけでございます。私はこの問題を解決していこうとする場合、私の認識では四つの方法しかないと、こう思います。 その第一の方法は、三井三池健保は五十四年の六月に組合健保として存続不能の状態に立ち至っていると、こういう判断のもとに解散決議を行いまして、福岡県知事と厚生大臣に申請をいたしております。これはまだ留保されておりますけれども。その方法を認めて、政管にこれを移管するというのが第一の方法でございます。方法論としてはですね。 第二の方法としては、母体企業である三井健康保険組合に吸収統合するという方法がございます。 第三の方法としては、——私はこれが最も重要だと思うんですが、被保険者の高齢化、高扶養率等による疾病の増加、そのような構造的要因によって法定の最高保険料を徴取してもなおかつ収支が均衡しない健保組合に対しましては、国が財政的に補助するということを制度化して、これを救済していく、これが第三の方法であろうと思います。 第四の方法は、このような赤字が生じますのは石炭産業の特殊的環境というものが大きく影響いたしておりますから、いま通産省が、エネルギーの安全保障問題の中に占める国内炭の位置づけ等を含めまして、第七次石炭政策の審議が真剣に続けられております。こういう石炭対策の一環としてこの対策を確立するという方法もございます。 いずれにしても、これは健康保険組合が相互に助け合おうということで、いままで何とかこうつじつまを合わして最小限の決算赤字にとどめてきたのでございますけれども、しかし健保連というのは大企業ばかりじゃないんですね。印刷健保だ、その他の職域健保、中小企業が健保を構成しているところもあるわけですね。何年助成をすればこの急迫組合の財政が健全化するという、将来に目標があり明るさがあるときには、これはお互いに助け合っていこうではないかと、これは通るけれども、構造的な要因によって、お互いに助け合えども助け合えども将来の見通し暗くなるばかりだというようなところに対して、やはり問題が出つつあることも事実でございます。 私はこの際、どの方法をとるかはなかなか早急にはお答えはいただけないと思いますけれども、少なくとも抜本的な施策を講ずる必要があるという認識だけは答弁としていただきたいと、こう思うのですが、いかがでございますか。
○政府委員(大和田潔君) 具体的な問題といたしまして、三井三池の健保組合の問題につきましては私ども十分実は承知をいたしておりまして、私どもと、それから当該健保組合との間でいろいろと具体案というものを練っておるところでございまして、これをどのようなことで解決するのが一番いいかという問題につきまして、いま検討をしておるところでございます。まだその結果が出ておらないわけでございますけれども、何とかうまいぐあいな解決をいたしたいということで、関係者一同努力しておるところでございますので、その努力につきましてひとつ御報告をいたしまして、なおまだ具体的な結論が出ないわけでございますけれども、ひとつそのような方向で検討しているということで御了承願いたいと思います。
○柄谷道一君 私はいままで三井三池健保のことを中心に例として申し上げてきたわけでございますが、これはただ三井三池の健保に限らないわけですね。石炭関係の健保は五十三年度末で八組合にございますけれども、四十六年度と五十三年度を対比いたしてまいりますと、以下申し上げます八つぐらいの点において、非常に大きな特徴といいますか、問題点を抱えているように思います。 その第一は、被保険者の減少でございます。この両時点を対比いたしますと、組員健保は一一%組合員は増。これに比べまして、石炭健保は合理化の影響によりまして三七%の減少と、こういう数値が出ております。 第二は扶養率がきわめて高いということですね。政府管掌の場合は一・一人、組合管掌の場合は一・四人でございますけれども、これに対しまして現在は三の台にあるわけでございます。 第三は、平均年齢がきわめて高いということですね。これも組合管掌健保の平均年齢三十六・二歳。政府管掌三十九歳に対比いたしまして、石炭健保では四十二上二歳でございます。 それから第四は保険料でございますが、五十三年度の保険料率は石炭の場合千分の八十八・五、組合管掌の七十八・一、政府管掌の八十を大きく上回っております。 五番目は医療給付費が非常に高いということです。石炭健保の一人当たり医療給付費は二十万六千二十五円でございます。これに対して政府管掌は十五万一千五百六十一円でございますから、三五・九%高くなっておる。組合管掌十二万九千九百六十八円に比べますと五八%も高いと、こういう数値が出ております。 また、医療給付費がこのように高い原因としては、被保険者の老齢化、坑内従業員の比重増加、このことによる高額疾病の増加の問題や、さらに被扶養者の医療給付費が他の産業に比べて高額である。こういう点が指摘され、数値からそれが読み取れるわけです。 さらに、傷病手当金につきましても、石炭健保における被保険者一人当たりの傷病手当金は三万五百九十四円でございますから、政府管掌の七千五百五十三円、これに比べて四・二倍、組合管掌三千九百十二円に比べれば七・八倍という高額でございます。 さらに資格喪失後の継続給付費につきましても、石炭健保は組合健保に対しまして二・五倍の高さでございます。 私は、いまこのように数値を申し上げたわけでございますけれども、全くこれは構造的な要因に基づくものであるわけですね。若年労働者の転出による被保険者の高齢化、扶養率の上昇、主たる被保険者が坑内労働という特殊環境で働く坑内労働者である、そのことによって生ずる疾病の増加と長期化、こういう構造的な要因というものが相絡まってその財政が危機に瀕しておる。そして、たとえば三井、三池健保の場合は、福岡の支払基金に対して三十一億円の金がまだ入っていないわけですから、そこに働く労働者にとりましては、非常に大きな不安を増大せしめている。私は、有能な労働者の確保なくしてエネルギーの安全保障が確立できないということは、もう多くの説明を要しないと思うわけでございます。 こうした実態を細々申し上げましたけれども、これは通産省とも深いかかわりを持つ問題でございます。ただ赤字だから健保連の方でお互いに助け合えよというだけでは済まされない現状にあると思うんです。この際大臣としての積極的な姿勢をお示しをいただきたいと、こう思います。
○国務大臣(園田直君) 先ほど局長から申し上げたとおりでありますが、三池以外の組合のことについても十分話し合い、相談をし合って、いまの御意見の方向で努力をしたいと考えております。
○柄谷道一君 最後になりましたけれども、老人保健の問題について若干の御質問をいたしたいと思います。 厚生省でいま鋭意検討が続けられていると承知をいたしておりますけれども、この検討はいつごろまでを目途として行われているのか、そして次の通常国会に、政府としての改正案を提示する御予定なのかどうか、この点についてお伺いいたします。
○政府委員(吉原健二君) 現在、老人保健医療制度の基本的なあり方につきまして、厚生省といたしまして鋭意検討をしているところでございまして、去る九月に厚生省の老人保健医療対策本部の第一次試案というものを発表いたしたわけでございます。また一方、社会保障制度審議会におきましても、現在いま申し上げました第一次試案というものを参考にいたしまして、鋭意精力的な御審議をいただいている最中でございます。で、制度審議会の御意見が恐らく年内にでもいただけるものと私どもお願いもしておりますし、期待もしているわけでございますが、その制度審議会の御意見、それから第一次試案に対して現在寄せられております各方面、各団体の御意見等も十分踏まえまして、厚生省としての成案というものを年内にでもつくりたいというふうに、まとめたいというふうに思っているわけでございます。
○柄谷道一君 私は、その第一次試案段階も拝見さしていただきましたけれども、この問題は次の通常国会に出されれば、このことに対して真剣な討議が行われるわけでございますので、細部の質問は避けたいと思いますが、一つ疑問に存じますのは、現在健保もしくは国民保険に入っておる者でも、四十歳を超えますとその健康管理といいますか、健康審査については老人医療の範囲の中に包含さしていくという構想が受けとめられるわけでございます。これは私は、健康管理、予防、治療、リハビリ、これは一貫した包括医療でなければならないと思うのでございます。そうなりますと、いま健保に入っておりますものにつきましても、仮に四十歳以上が老人健保の範疇に属してしまうということになると、健康保険制度、四十歳以上の者に関しては健保の受け持つべき分野は、その治療と現金給付のみという結果になるのではないかという疑念が生ずるわけでございます。この点に対して、どうお考えで作業が続けられておるのか、お伺いします。
○政府委員(吉原健二君) 私どもが考えております新しい老人保健医療制度におきましては、今後の人口の高齢化というものに対応いたしまして、健康な老人づくりを目指すということを基本的な理念として考えているわけでございまして、単に七十歳からの医療だけではなしに、四十歳代ぐらいからの健康管理、疾病の予防というものを新しい制度で行いたいという考え方に立っているわけでございます。まあそういった理由によりまして、一応四十歳以上の全住民、全国民の方々を対象に成人病を中心にした疾病の予防なり早期発見を目的として健康審査等の保健事業、保険給付を行うことを考えているわけでございますけれども、その実際の具体的なやり方といたしましては、先生も御案内のとおり、被用者本人につきましては現在、それぞれの事業所あるいは職場の健康保険組合の保健施設活動、そういったものによって実際に相当な成果を上げておられるところもございますので、新しい制度におきましては、被用者の家族でありますとか、あるいは農民、農村の方々、あるいは自営業者、そういった国民健康保険に加入しておられる方々を中心にやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
○柄谷道一君 これは原則論じゃなくて、実際論として、健康な老人づくり、言葉はりっぱでございます。そのために、四十歳を過ぎればその健康管理、成人病の早期発見、治療というものに全力を尽くしていこう、その理念はまことに結構なんでございますけれども、それを一体どの現在の健康保険制度に当てはめてこれを実施していくことがより実効を上げ得るか、これはよほど慎重に考えませんと、制度つくって魂入れずではございませんけれども、かえって現在の実態が後退するということがあってはならないと、こう思うわけでございます。この点についてはまだ検討中の段階でございますので、よく実態を踏まえて、各関係者の意見を十分に聴取した上で厚生省案の作案に努めていただきたい、このように思っております。 なお、民社党といたしましても、近々のうちにこの老人医療問題に対する試案をつくって発表いたしたいと考えておるわけでございまして、審議会における御検討も当然結構でございますけれども、それら各政党の意見も法案審議の際に十分に加味して、そして無用なと言っては失礼でございますけれども、必要以上の混乱が法案審議において起こらないように事前の配慮を、根回しを十分に行う必要があると思うんでございますが、大臣その点いかがでございます。
○国務大臣(園田直君) 事務当局からお答えしましたとおりに、関係方面の意見を承りつつ成案を急いでいるところでありますが、公明党からも意見が出されておりまするし、民社党から御意見が出されれば喜んでこの意見を拝聴し、審議に入る前から厚生省の試案をつくる際にも十分これを承りて、一つの参考にしたいと考えております。
○柄谷道一君 健康保険制度を取り巻く前提諸条件の問題につきましては、議論をすれば切りはないと思います。ただ、財政対策のみに終始することによって国民の生命と健康が守られるものではございません。健康保険法の改正は、よりそれ以上にその周辺の諸問題、長く堆積しております懸案事項をいかにして早く解決していくかにこそ、私はその重点が向けられなければならないと考えておるわけでございます。 私も、議員になります前に、厚生省の社会保険審議会の委員といたしまして抜本改正問題に対する審議にも参画さしていただきました。長期にわたる検討を経てあの答申が出されておるわけでございます。その文章の背後にあるもの、そこを大臣よく洞察を賜りまして、前提諸条件の改善について実効の上がる施策をぜひ早急に実施を願いたい。このことに対する大臣の御答弁をお伺いいたしまして、議事進行に協力し、約十分早うございますが、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 各般にわたって非常に有力なる御提案や御意見をちょうだいいたしまして、厚く御礼を申し上げます。御意見を十分かみしめて、今後の方向に間違いがないように努力をする所存でございます。ありがとうございました。
○前島英三郎君 健康保険法等の一部を改正する法律案に基づきまして、特に医療の面につきまして厚生省に質問を以下してまいります。お疲れでしょうが、しばらくの間ごしんぼうをお願いいたします。 今日の医療の現実を見ますと、医師と患者の信頼関係が崩れてしまっているところに最大の問題があろうかと思います。富士見病院事件を筆頭にいたしまして、医師が患者の信頼を裏切ってしまうような出来事が余りにも多くマスコミでも報じられております。保険診療におきましても、診療報酬の不正請求、カラ請求等目に余るものがありますし、また医師優遇税制の改正に対する医師会や医師のとった態度、そのほか医師の脱税や診療拒否、あるいは薬づけ、検査づけと言われる実態、患者及び一般国民にとって医師を信頼できなくなるのも無理はないと思わせるものがあるのは、だれにも否定できないと思うのであります。 こうした状況の中で一般国民は、保険医療の財政が苦しいから負担増してくれと言われましても、なかなか同意しにくいと思うのであります。医療の質的向上が確かなものとして期待できるような状況が生まれて初めて、負担増を伴う制度改正にも国民のコンセンサスが得られるものではないかと思います。それには医師に対する信頼感を回復できるようにすることが先決だと思うんでありますが、冒頭まず大臣の答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、制度やその他いろいろ問題がありますが、それをどのように変えましても、医師と患者の間の信頼、この間の相互信頼がなければよき医療行政ができるわけではありませんし、国民の健康と生命が守られるわけではありません。これについては、正直に言って、お医者さんだけの責任ではなくて、いままでの制度やわれわれ厚生省の側にも責任が十分あるのではないか、こういうことを反省しながら、早急に緊急の課題として信頼を回復することに重点を注いで、いろいろ努力をする覚悟でございます。
○前島英三郎君 その大臣の御答弁を踏まえまして、以下質問してまいりたいと思います。 患者が医師に対して不信の気持ちをきわめて強烈に表現しているものといたしまして、医療過誤等で患者が医師を裁判に訴えるというケースが最近出ております。こうした訴訟の件数あるいは訴訟の種類、内容につきまして、ここ数年どのような傾向が見られるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 医療過誤訴訟事件といたしまして、各地方裁判所に係属されている訴訟件数は最高裁判所によりますと、昭和五十四年末で約千八十件とされております。 訴訟の内容につきましては、昭和五十年末現在の数字が一番新しい数字でございますが、それによりますと、診断に関するものが一九・六%、治療のうち手術、注射に関するものが三四・二%、その他の治療に関するものが三八・四%、診断あるいは治療以外のその他というのが七・八%ということになっております。 訴訟の傾向についてでございますが、昭和四十七年から五十一年までの各年に新たに各地方裁判所に提起されている訴訟件数についてしか明らかになっておりませんが、それによりますと、昭和四十七年百三十五件、四十八年百三十七件、四十九年百七十件、五十年二百二十三件、五十一年二百三十七件ということになっておりまして、昭和四十七年を一〇〇といたしますと、五十一年は一七六と増加しております。
○前島英三郎君 まことにこれは憂うべき数字だろうと思います。実際は訴訟の件数などはそういう意味ではこの千八十件も非常にわずかなものであろう、氷山の一角であろうというふうな気さえいたします。現実には患者が泣き寝入りするというケースが多々ある。それはもう私の周りにも幾つかそういう問題が提起されております。 そこで、患者が医師のはしごをするといった傾向さえ見られるわけであります。また評判のいい医師のもとに患者が集中するといった傾向もございます。私も、後天的な障害を得て今日までありますけれども、同じような脊髄損傷を受け、救急医療体制の中で貧しい、乱診乱療の中で苦しみ命を絶ったという、そういう実例もございます。ただそれは泣き寝入りをしたケースとしても数限りなくあるような気がするんです。こういう傾向の中で、これは医療技術の水準に、現行の中で非常にでこぼこがあるのではないかという面もありますけれども、患者側が一般的な意味で医師を信頼できなくなっていることを、こうしたケースで私は裏書きしているものと思うんですけれども、厚生省はこういう傾向はただ数字だけで非常に顕著に伸びているというだけでは済まされないこの現実を、どう受けとめているのかもあわせて伺いたいと思うんです。
○政府委員(田中明夫君) 医療機関の間あるいは医師の間で質的な差があると申しましょうか、レベルの差があるということは、これは現実問題といたしまして実際いろいろな差があると考えられるわけで、それぞれのお医者さんが専門とする分野も違いましょうし、また卒後の研修のあり方といいますか、各人の努力というものも違う面もございまして、医師あるいは医療機関の差というのはこれは否定できないのではないかと思います。ただ私どもといたしましては、一般の仕組みといたしまして、現在、日本の医療制度というのは、患者さんがまず身近に何か病気が起きた場合に、すぐ相談に行くというホームドクターというようなものがまだなかなか確立されておりませんで、またそのホームドクターも質的な面で内科、外科、小児科あるいは産科というような、一般に起こるような病気全体について的確な判断をし、患者さんの相談に乗り、必要があれば専門の医療機関に紹介するというようなことが的確に行われているということが、全部の開業医さんに当てはまるというわけにはまだまいっておりません。私どもといたしましては、これは世界的な傾向といたしましても、医学が非常に専門、分化いたしました結果、ただいま申しましたような基本的な患者さんの疾患全体を把握して、適切な処置をとるということができるお医者さんが少なくなってきたという欠陥が指摘されておりまして、従来とかく専門、分化してまいってきた傾向に歯どめをかけ、先ほどから申しておりますように、患者さんが病気になった場合に、まず全体的に患者さんに対応して的確な処置をとり、必要があれば専門医療機関に紹介するというようなお医者さんを養成するというのが世界的な傾向になってきておりまして、私どもも、おくればせながらそういうホームドクターといいますか、家庭医あるいは一般医というようなドクターの養成に努力してまいるべく、現在いろいろな施策を開始しておるところでございます。
○前島英三郎君 そういう意味では病院のはしごなどというのは大変残念なことでありますし、その病院が適切な診療ができないということがわかりましても、その病院でのアドバイスは全く現状の中ではありません。泣く泣く患者ははしごをしながら適切な医師を探すというような、何か逆の形でいま診療が行われているのは何とも残念な気がするわけなんです。医師は高度の専門職でありますけれども、富士見病院事件に見られますように、専門職による自制作用がきかない例というものも出てきているのではないかと思います。私は、医師の専門性は医学的知識と技術という限定された範囲内のものであり、医の社会的、人間的側面については別問題と思います。しかるに、日本医師会は専門家の集団であるとしてきわめて尊大な、かつ横柄な態度をとっているとの印象がございます。 いわば素人は黙ってついてきなさいというがごとし態度であると思います。ところが富士見病院事件のように被害を受けたいわば素人が問題にしたことによりまして真相が明らかにされ、そして医療の問題点が昨今指摘されているのが現状だというふうに思います。十月六日付の医務局長通知の中で、市町村住民からの通報等にも十分配慮することをうたっているように、医師、医師会、それに厚生省はいわゆる素人の批判や意見に、もろともっと耳を傾ける必要があると思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(田中明夫君) 医師は、社会が医師に課している重責と患者の全幅の信頼にこたえて疾病の治療に全力を尽くすということが期待されておるわけでございますが、いま御指摘のようなことも見かけられることははなはだ遺憾でございます。当然医師はプロフェッショナルな職業といたしまして、患者さんの治療ということにつきましては専門的な責任があるわけでございますが、人間といたしまして、当然患者さんの信頼にこたえるよう国民の声に耳を傾けるべきであるというふうに考えております。厚生省も当然、国民の声にもっと耳を傾けるべきであるという御意見はごもっともでございまして、その一環といいますか、その一つのあれといたしまして、御案内のように本日から各都道府県に医療相談コーナーを設けまして、国民の医療についての声をお聞きするということを開始したわけでございます。
○前島英三郎君 そこで、医道審とか中医協というようなものがございますね、一方では。このメンバー構成というのはどういうぐあいになっているんですか。
○政府委員(田中明夫君) 医道審議会は、御案内のように、医師、歯科医師の処分について審議をする審議会でございますが、十名の委員から構成されております。その内訳は、日本医師会長並びに日本歯科医師会長がこれは法律によって委員になるということになっております。そのほか、現在の構成を申しますと、医学関係の専門家、これ大部分が大学の教授でございますが、四名、それから歯学関係の専門家一名、それから倫理学者一名、それから行政の経験者が二名ということになっております。
○前島英三郎君 私は、障害者の福祉や対策にかかわる審議会等に障害者自身の代表が加わる必要があることを訴え、一部でその訴えが実現しております。いま局長の方の御答弁によりますと、正直言いまして、そういう意味では医療を受ける側からはこうした医道審、中医協のメンバーに加わっていない、これが私は大変残念に思うわけなんです。アメリカやカナダにおいてはそれがあたりまえのことになっておりまして、その呼び方はリハビリテーションの消費者、つまりコンシューマーと言っているんだそうですね。同じように、医療のコンシューマーが対等の資格で意見を述べられるようにしておくべきではないかというような気がいたします。 たとえば住民からの通報というような、何か一方通行の形でこうした問題は終わってしまう、ただ苦情処理的な機関になってしまうのではないかというような危惧をも私は一部感じます。コンシューマーの代表として堂々と発言できるような場とシステムをこの際つくるべきではないか、そういうぐあいに思うんですが、これは前向きに検討をしていただくに値すると思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(田中明夫君) 医道審議会の審議部会は、先ほど申しましたように、医師、歯科医師が犯罪あるいは不正行為を行った場合に、行政上の処分を行うべきか否かについて審議する場所でございまして、審議会の委員は、刑事裁判における裁判官の役割りを果たすというようなことになっております。したがいまして、医道審議会の審議部会の委員は、医師のあり方について、医師の職業倫理という観点から、高度の識見と専門的な分野における知識を有する方が要求されておるわけでございまして、医道審議会におきましては、そういうような方々が公正な立場に立って一つ一つの案件を審議、処分していただいておるわけでございます。 先生御指摘の患者さん、医療を受ける側の代表ということにずばりとなるかどうかはちょっと疑問ですが、一応行政経験者というのは、これは別に医療をする人ではございませんので、これらの方々がそういう立場の代表もしていただいているのではないかというふうに存じております。 ただ、御指摘のように、いろいろ外国では違うような構成をとっておられるということでございますので、今後十分研究、検討いたしたいと思います。
○前島英三郎君 そういう意味では、たとえばいろいろな訴え、それから大きな事件になった発端は、正直言いまして、いわゆる素人からの問題提起なんですね。そういう意味では、何か妙な悪代官集団の中でその子分たちを取り締まるような、これよく時代劇に出てくるような形のそうした審議会であっては、これは真に医療というものは守られないような、倫理というものは守られないような気がするんです。そこで、そういう部分を申し上げているわけですが、検討を心からお願いをしておきたいと思います。 医師に対する社会的信頼を取り戻すために、地域における開かれた医療に、医師及び医師会がもっと貢献するように、一方指導すべきだというふうにも思います。校医として児童、生徒の健康維持、増進に寄与しているとか、予防接種の徹底に貢献しているとか、いろいろやっていると言うかもしれませんけれども、しかし校医辞退を表明したケースなどもあったように、貢献というより、こうしたことを争いの道具にしたり、やっているというような恩着せがましい実態もあったように私は思います。厚生省としてこうした実態をどう見ているか、あるいは今後の問題としてどう考えているか。はなはだとかいうような表現でやっぱり厚生省が答弁すべきではないというふうに私は思うんですが、お答えをいただきます。
○政府委員(田中明夫君) 先生がいま御指摘になったように、地域におきます公衆衛生活動、集団検診であるとか、予防接種であるとか、あるいは学校の保健活動等に、医師会あるいはお医者さんたちにいろいろ貢献していただいているわけでございます。また、とりわけ近年は救急医療の分野におきまして、厚生省からの要請に応じまして在宅当番医制に参加する、あるいは地域によっては、医師会が共同利用型の病院を設置して地域医療の向上に貢献するなど、医師会は地域医療あるいは地域の公衆衛生活動につきましていろいろと御協力いただいていると私どもは考えております。
○前島英三郎君 そういう意味では地域医療の中で休日・夜間の診療協力体制も大変重要でありますし、それに対しては国でも補助金を出しているところでありますし、在宅当番医制の実施状況というのはどうなんでしょうか、いま。
○政府委員(田中明夫君) ちょっと数字が手元にございませんが、各郡市の医師会におきまして、郡市の管轄下のお医者さんの相互の御相談によりまして曜日を決めまして、主として内科あるいは外科というような一般的な広い分野を受け持ったお医者さんが交代でもって、毎日、夜間あるいは休日を受け持つという形で、ほとんど全国においてこの在宅当番医制という形で急患に対する対応の実施が行われておるわけでございます。そのほかに、先ほど申しましたような、特に救急、夜間の診療のための施設をつくって、そこにかわり番にお医者さんが出向いて休日・夜間の診療を行うという形をとっているところもございます。
○前島英三郎君 そういう意味では、医療に関する知識の普及とか、あるいは疾病の予防とか、医療に関する相談等々、医師及び地域の医師会が貢献できる分野というのは大変多いと思います。こうした活動を社会システムとして形成していく必要があると思うんですね。老人医療のあり方を検討する中でこのような考え方が出てきているような気配はちょっと感じておりますが、老人医療に限らず、一般国民にとっても必要なことだろうと私思います。しかし、現状では、医師がそのような地域医療に貢献するとすれば、奉仕活動とならざるを得ない部分もあろうかと思います。やはり、社会的なシステムとして、財源も考慮しながら実現していく必要があると思うんですが、厚生省の見解はいかがでしょうか。
○政府委員(田中明夫君) 救急医療に参加していただいておりますお医者さんに対する報酬は、これは社会保険の診療報酬という形で出されるものもあるわけでございますし、われわれは、一般的な意味での協力に対するお礼というような意味の予算と、それから、先ほど申しました休日・夜間の急患センターをつくる場合の整備費というような形で補助をいたしておるわけでございます。 また、公衆衛生的な活動、集団検診であるとか、あるいは予防接種というような面での協力に対しましては、これは役所の方から謝金が出ているわけですが、その額が非常にわずかであるということは従来から御指摘いただいているわけですすが、これについても、いろいろわれわれとしては適切なる額にふやすべく努力いたしたいと思っております。
○前島英三郎君 なかなかそうした意味での助成がない、だからどうしても指導もしにくいというような遠慮するような部分があってはならないような気がいたします。医師が患者、一般国民の信頼を裏切るような形になりやすい制度的な問題点として、保険の診療報酬体系が、薬剤等のいわゆる物を重視して、技術を軽視している点が大きな要因になっているのではないかと考えます。こうしたあり方、今度のこの中では改善がされてはおりませんけれども、今後の中で改善すべきだと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(大和田潔君) ただいまの先生の御主張は、診療報酬点数における技術料中心の診療報酬体系をできるだけ早く確立せい、こういうような御主張だと思います。おっしゃるように、私ども、診療報酬改定の都度、これは最重要課題といたしまして取り組んできたところでございますが、今後とも、これは中医協の御審議を踏まえまして、積極的に技術料重視の診療報酬の体系を確立するように努力をしてまいりたい、このように思っております。
○前島英三郎君 ことし三月の委員会でリハビリテーションに関する診療報酬が余りに低く評価されているのではないかということで、物の重視の一例であると私は主張しまして、いまと同じようなことの御答弁をあのときもいただいたわけなんです。そこで、その後の検討状況というのはどうなんでしょうか。
○政府委員(大和田潔君) その後、診療報酬改定という段階にはまだ来ておりませんので、具体的にこれをこうしたというようなお答えはできないわけでございますが、すでにそのときに前局長が答えたと思いますが、いわゆるリハビリテーションの点数につきまして、身体障害運動療法、これは四十九年一月には複雑なものでも八十点、簡単なものは四十点という点数であったのが、先般の五十三年二月の診療報酬の改定では複雑なものは百六十点、倍になるわけでございますね。それから簡単なものも八十点、これも倍になった。それで点数アップの五十三年二月の点数の改定率が総体として九・六%であったわけでありますけれども、ただいまの身体障害運動療法につきましては三三%のアップということで、いわゆるほかの平均の改定率よりもかなり高いアップをしております。これは、身体障害者作業療法につきましても、やはり同じようなアップをいたしておるわけでございます。これは、まだまだ先生十分ではない、こういうふうにおっしゃるだろうと思いますが、私どもこれで十分だと思っておりません。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、今後とも重点的にこれにつきましては検討していきたい、このような考えでおるわけであります。
○前島英三郎君 十分な検討をお願いをしておきます。 社会医療調査の五十四年度の結果が出ておりますが、この調査はどのような目的でなさったのかを伺いたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) 社会医療調査でございますが、これは社会医療調査でいろいろな医療行為というものがあるわけでありますが、その医療行為の実態がどうなっているであろうかといったようなものを把握するというのが、この調査の目的であるというふうに理解をしておるわけであります。
○前島英三郎君 この調査結果によりますと、診療、手術、入院の一件当たりの点数が前年度に比較して減少しているのに対しまして、注射が横ばいですね。注射が横ばい。投薬が六・六%増、それから検査が一八・六%増となっております。これは間違いないですね。
○政府委員(大和田潔君) 間違いございません。
○前島英三郎君 なお、詳しく見てみますと、投薬つまり薬代は昭和五十三年に三〇%台を割り下降傾向が見られたのに、五十四年度は再び上昇の兆しが見られておりますね、若干でありますけれども。検査については毎年のように増加し、ついに初めて医療費全体の一〇%を超えております。今後さらにこのパーセンテージはふえるだろうと私は思います。なぜならば、大変高額な医療器械が開発され、それが導入され、そしてまた、富士見産婦人科病院のようなああいうMEという問題で大きな事件に発展したケースを見ますと、このパーセンテージは大変ふえていくだろうと思うんです。 なぜこのような結果が出てきたのか、厚生省の見解とすればどうでございます、この調査結果に基づいて。
○政府委員(大和田潔君) 検査がふえてまいったと、こういう問題でございますが、これはやはり一応医学の進歩と検査技術の発達ということによりまして、より的確な診断を行うための検査の必要性が高まったということが考えられるわけでございます。しかし、やはりこの検査自体は診療上必要があると認められる場合に行うべきであることはもう言うまでもないわけでありまして、どうもこれが、必要以上の検査が行われるということになると非常に好ましくない。これにつきましては、そういうことのないようにこれは今後とも十分指導をしていきたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○前島英三郎君 まあ今日まで何年間かその診療報酬の改定がなかったわけでありますから、一件当たりの全体の伸びというのは一・五%であったと思うんです。で、ほぼこれは横ばいに近いわけです。ところで、診察も手術も入院も減少したと、こういうことですね。これだけだと診療報酬として医師が受ける収入が減少することになると思うんです。しかし、薬代と検査だけが増加していると、こういう結果ですね。 以上の両面を見たとき、実は私は非常に疑問を持たざるを得ないわけなんです。といいますのは、意識しているか否かは別としまして、医師が収入の減少をカバーするために投薬と検査をふやした結果であると理解することができるのではないかという疑問であります。この疑問は間違いかどうかもまた後で指導してください。 このデータは、以前からこの薬づけ、検査づけが問題となっていたんですが、調査結果のデータはそれらがさらに進行していることを裏打ちしていると見ざるを得ないのではないかと思うんです。そこで、いまのこの疑問をどう厚生省ではお考えになるか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) いまの社会医療調査における投薬の伸び、それから検査の伸び、これは診療行為の中の構成割合がふえてきたということでございまして、診察であるとかその他の技術料が減ったというわけではないんであります。構成割合は減っているわけではございますけれども、それは全体として伸びてきておるわけでございますので、技術料等の収入が減ったということにはならないわけでございます。ただ、構成割合の中で投薬それから検査の割合はふえてきたということは事実でございます。で、これらが技術料の減りを、したがって、検査料なり投薬料なりで補っているという、そういうパターンでは私どもあるとは考えられない、補っているというパターンではない、ただ、実際問題として、現実問題として投薬それから検査というものがふえてきたということは事実であるというふうに言わざるを得ないわけであります。そういうような結果でありまして、何が何を補ったと、そのためにふやしたというわけではないというような感じでございます。
○前島英三郎君 そう私は、補ったのではないかというぐあいにこの調査結果から判断をしたわけなんです。 そこで、きょうの新聞の報道からちょっと引用させてもらいますが、けさの新聞で報道されていたことなんですが、兵庫県宝塚市の病院でがんに効くと言われているインターフェロンを海外から無料で提供を受け、一部の患者に使用しまして数百万円という巨額な金を取っていたという、その領収証のコピーが載っておりました。このようなことが事実とすれば、私がこれまで述べてきた国民の医師に対する信頼感はますます崩れてしまうと思うんです。事実関係の調査を行ってからでないと具体的な答弁はできないかもしれませんけれども、重大な問題と考えますので、基本的な問題として質問しておきたいと思うんですが、まず、わが国におけるインターフェロンの研究開発及び生産はどうなっているのか。それから年間どのくらいの量を生産しているのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。 インターフェロンは現在、世界の二十数カ国において研究開発が進められていると、こういう段階でございますが、各国ともいまだいわば大量的な生産には成功しておりません。したがいまして、臨床に応用される、一般的に応用されるという段階には至っていないわけであります。 わが国におきましては、この研究開発の促進を政府としましてもいろいろとてこ入れをしておりまして、たとえば四十七年以来、科学技術庁におきまして特別研究促進調整費というようなものを出しているとか、あるいは厚生省の特別研究費などによりまして、基礎研究あるいは臨床研究が行われております。まあ現在、その量産ということのめどがつきかけてきたというところがいまの現状ではなかろうかと、まだついてはいないと、こういうような感じでございます。そういうことで、その一部が治験用、つまり何といいますか治療実験といいますか、そういう治験用として使用されている段階にとどまっております。その治験は、私どもの入手しております情報では、昨年の末ぐらいから癌研究会の附属病院でございますとか、あるいは国立がんセンターなどを中心に、悪性腫瘍のこれまたごく一部の症例でございますが、に試みられていると、こういう状況に相なっております。 なお、そういうことでございますので、まあ国内生産状況といたしましては今年度、来年三月ぐらいまでの見込みで大体百億単位——これはまあ単位で申し上げるわけですが、百億単位ではないかと見込まれておりまして、したがって、使用状況は月平均で十億単位に足らない。一人当たりの使用量が、まあいろいろ現在研究段階でございますから確定的なことは申し上げられませんが、一人当たり一億単位ぐらいが要るんじゃないかと、こんなことも言われておりますので、大変少ない数の使用状況と、まあ十人未満と、それだけの数では十人未満と、こういうことになっておるわけでございます。
○前島英三郎君 大変詳しく御説明いただきましたが、それはどのような医療機関で、どのような方法で現実に使用されているのか。まあ助成をしているわけですから。有料か無料か。その辺いかがでございますか。
○政府委員(山崎圭君) いま研究段階におけるその使用と、こういうことでございまして、治験と申し上げましたが、そういうことで、先ほども申し上げましたように、たとえば癌研究会の附属病院とか、国立がんセンターなどでごく一部使われていると、こういう状況でございます。そして、これは治験というのは一般的には無料でございます。
○前島英三郎君 そうすると、宝塚の病院には国で治験としていま考えられたものは回っているわけはないんですな。
○政府委員(山崎圭君) 宝塚の点、いま私どもも県を通じて調査しておりますが、少なくともいままでの情報では、つまり薬事法の規制対象でございます、いま申し上げました治験薬ではございませんということがどうやらはっきりしてきておりますが、いまなお調査は続けております。
○前島英三郎君 まあそういう意味では、科学技術庁と厚生省と助成をしているぐらいですから、何らかの期待を込めてきっとその助成もなされ、開発といいますか、研究も続けられてると思うんですね。ですから、そういうルートを通じて、国もこれだけ予算をかけて助成をしているんだから間違いないというような方法で、まあ非常にがんという、これは不治の病と闘う患者側にとりましてはわらにもすがるこれはもう大変な期待を込めているんだけれども、実際問題として、薬としての効果は私はまだ聞いたことがないんですが、その薬としての効果は、研究過程でしょうが、どうでございますか。
○政府委員(山崎圭君) 私も素人でございますのでしっかりお答えできるかどうか多少自信がございませんが、インターフェロンと呼ばれるものは、私なりに申し上げればビールスに感染した人の細胞が放出するたん白物質である、こういうふうに言われておりまして、そのたん白物質が細胞中に生じてまいりますビールスの増殖を抑制する作用がある、こういうことが言われておりまして、そういうことで、二十年前ぐらいにそういうものが注目され、ビールス性の疾患に効くのではないか、そういう学問的な知見が高まりまして、ビールス性疾患に効く以上はあるいはがんの治療薬としてもという、そういう期待を込めて注目されてきている、こういう現状ではなかろうかと存じております。
○前島英三郎君 そこで、宝塚のその病院には国の物はいっているわけじゃないとすると輸入ということになりますね。輸入医薬品としてインターフェロンがどの程度入ってきているかということは厚生省ではつかんでいるんですか。
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。 いわゆる医薬品という段階ではまだございませんので、ですからそういったインターフェロンというようなものが輸入されている、あるいはどのくらいかということはちょっと数字的にはつかめないことでございます。つまり、研究者があるいはお医者様がどこか何らかの外国の研究機関からよほどの便宜があってそういうものが入手できるというのがごく一部分あるかと思いますが、いわゆる輸入薬として日本に入ってくるという関係ではない、こういうことでございます。
○前島英三郎君 そうすると、この程度の規模の医療機関が、報じられているように大量のインターフェロンを入手できるとは何か常識的に見て大変疑問だというような感を受けるわけなんですが、そうすると本当にインターフェロンが使用されたかどうかも疑わしいと思いますね。七百万円も何十万円もインターフェロンとして請求をされているわけですが、どうなんでしょう、率直にこの事件をどういうぐあいに厚生省としては見ておられるのか伺いたいと思います。まあ事件になるかどうかは別としてですよ。
○政府委員(山崎圭君) インターフェロンそれ自身については新聞報道で確認した程度なんでありますが、この院長さんみずからがフィンランドのヘルシンキ中央公衆衛生研究所、ここに赴きまして、そこのカンテル教授から無料で供与を受けて持ち帰った。これは本人自身が言っているようでございます。その程度の確認しかしておりません。
○前島英三郎君 今後、保険診療の高額療養費の支給申請をした場合これは支給されるのかどうか、治験という段階ではなかなかむずかしいと思いますが、あるいは海外から取り寄せたそのいろいろ搬送にはずいぶんお金がかかったと、いわゆる技術料の一環として保険診療を添えて請求できるようなものになっていくのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。
○政府委員(大和田潔君) 事実関係につきましては細かく承知しておりませんが、ただ、いまのケースではインターフェロンは薬価基準にまだ収載されていない、これは当然の話でございます。薬価基準に収載されておりませんものにつきましては、保険診療では使用できないということでございますので、保険診療の請求がありましても、もちろんこれは請求できないということになるわけです。 もう一つは、一たん患者が払って、そして保険者にその分を請求する療養費払いという対象になるかということでございますが、これもならない。つまり薬価基準に収載されていないものでございますので保険の対象にはならない、こういうような整理になるわけであります。
○前島英三郎君 そうすると、したがって薬事法違反とか、そういう部分にもこの部分は入らないということになりますね。いわゆるまあ治験段階ですから。
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。 先ほどのように治験薬でもございませんし、もちろんまだ薬それ自身ではございませんし、そういうことでございますれば、まだ事実関係はっきりしませんけれども、お医者様の治療研究用のものであるとするならば、これは薬事法の問題にはなりません。
○前島英三郎君 そこで今後の調査解明及び適切な処置をこれは早急にとるべきだというふうに思うんです。新聞報道が事実とすればこれはゆゆしき問題だし、実際問題として、ガンというようなわらにもすがる思いの患者にとりましては、これはもう言われるがままに払うよりほかにないわけです。聞くところによると、そのお金で不動産を買っているとか、株を買っているとかいうようなうわさもあるようでございますから、そういう意味では一つの、倫理的に見ましても、先ほど来述べている問題に絡めて大変ゆゆしき問題であろうというふうに思うんですが、今後適切な処置を早急にとるべきだと思うんですが、重ねて質問しておきます。
○政府委員(山崎圭君) 現在いろいろ県を通じて調査をしておるところでございますので、御指摘のように調査結果を待って対処してまいりたいと思います。
○前島英三郎君 その物重視といいますか、技術軽視の問題のほかに、出来高払い方式も医の荒廃をもたらす大きな要因と言えるのではないかと思います。出来高払い方式というのは、簡単に言いますと、国民が疾病にかからなくなると保険財政は好転するものの、医師の収入がなくなるという制度でもあります。被保険者が病気になってくれなければ、医師の生活が成り立たないというような部分も考えられるわけですが、つまり医学知識の普及や予防のための努力をやらない方が得だということに、これは裏を返せばなっていってしまうおそれも感じます。イギリスで実施している方式など先進諸国でもいろいろなやり方があるようですが、これもたとえば行き詰まった一つの医療行政の中で、そうした新しい医療行政というものが確立されたやに伺うわけなんですが、わが国の方式にこうした外国の例がどのように利害得失があると認識しているか、また今後、こうしたふくらむ医療行政の中でどう改革を検討していくおつもりか、あわせて伺いたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) 診療報酬の支払い方式には、日本であるとかあるいはフランス、アメリカなど採用されております。これは出来高払い方式でございます、御承知のように。そのほかに、西ドイツなどが採用しております総額請負方式、それからいまおっしゃいましたような、イギリスが採用しておりますような登録人頭払い方式という方式があるわけでございます。わが国の出来高払い方式でございますけれども、これの長所といたしましては、やはり医師の稼働量に比例して報酬が支払われるというのが一つの長所にはなっておるわけでございまして、診療行為の質とか量が医師の収入に反映されますために、高度の医療が迅速に普及するといったようなメリットはあると、反面、短所といたしましてはなかなか診療報酬の支払請求事務がこれは複雑になってくるというようなことであるとか、各診療行為の頻度がどうしても高くなるというようなことがあるし、審査に手数を要するといったようなこともございまして、やはり長短というものがあるわけであります。 しかし、そういう利害得失があるわけでございますが、結論的に言いますと、どうも私どもの日本におきます出来高払い方式は、昭和十八年以来定着しておるというようなことでございまして、とにかくいろいろ欠陥というものがあるにせよ、現行の方式のもとにおいて、その欠陥を何とか極力短所を押さえていって、適正な医療内容が確保できるように努力をしていきたいというのが私どもの気持ちでございます。
○前島英三郎君 今回の政府提案では、当初本人と家族の給付率をともに十割にすることになっておりまして、衆議院での修正によりまして、現行の給付率よりは若干改善されるものの、本人と家族の給付の格差解消は先へ延ばされることとなる状況でもございます。そこで、家族の給付率が低いために、家族が診療を見合わせる傾向が統計の上にあらわれているのではないかと思うのです。家族といいましても子供や年老いた親も含まれているので、同じ年齢で比較しなければならないわけでありますけれども、たとえばその四十歳から四十五歳の年代の場合どうなっているのか。入院と入院外とでお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) 一日当たりの診療費ということで比較をしてみたいと思いますが、四十歳から四十四歳までの一日当たり医療費の差でございますが、入院につきましては、パーセンテージで申しますが、家族の方を一といたしますと、本人の方が一三・六%高いということになるわけであります。それから逆に今度は入院外にまいりますと、四十歳から四十四歳まででは、本人の方が若干低くなる、家族の方が若干高くなる。家族を一にしますと本人が〇・九八九、こういったような数字がはじき出されておるわけでございます。
○前島英三郎君 そこで、いまの結果を見てみますと、入院を要するほどの病気の場合はがまんできないが、入院するほどでない比較的軽い場合は、わりあいがまんして医者にかからないでいるケースがあることを示しているのではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(大和田潔君) ちょっとその辺が実はよくわからないんでございますが、いろいろ数字を検討してみたんでございますけれども、どうも年齢別の本人と家族の一日当たりをとってみますと、先ほど申しましたように、年齢別でいきますと、入院の場合は本人の方が高くなっている、入院外の場合はどうもその家族の方が高くなっているといったような数字が出ておるということで、いろいろこれは分析してみなきゃわからぬと思いますが、いまのところはそういう結果だけ算出をされて、数字だけが私どもいま手持ちにあるわけでございますけれども、その原因というのがちょっとわからないという段階でございます。
○前島英三郎君 ですから、入院する場合には十三倍。で、給付率が低いから家族は一と。それから外来の場合には一と、〇・九幾つでしょう。だからほぼ外来は変わらないということなんですね。ですから、つまり入院を要するほどの病気の場合はがまんできないが、入院するほどでない比較的軽い場合には、わりあいがまんしているというように、私はこう感じたわけなんです。これは私の推測にとどめておきます。 そこで、その初診料、入院料の一部負担の増額につきまして、低所得層の診療制限につながるというこの批判がありますが、厚生省は、これはどう今後こたえていくおつもりなんでしょうか。
○政府委員(大和田潔君) 一部負担につきまして、本人の一部負担、初診時一部負担が現行六百円を八百円。それから入院時一部負担、現行二百円を五百円。これは一ヵ月でございます。 それで一方家族につきましては、御承知のように、入院につきましては七割給付を八割、一割給付率を上げておるということで改善をしてあるわけでございますが、本人の方の一部負担が先ほど申しましたようなことで引き上げをしておりますけれども、この程度の大変大ざっぱなことを申し上げて恐縮でございますけれども、現在の国民生活、諸物価等から見ましても、この程度の一部負担につきましては、ひとつお願いできるんではなかろうかというふうな気持ちでおるわけでございます。
○前島英三郎君 そのいわゆる所得制限の問題はどうなんですか。つまり何といいますかね、二百円プラスになり、三百円プラスになるということで、やはりそうは言いましても低所得層にとっては大変な負担になるわけなんです。これは軽く数字で言われてしまいますとその程度ということになって、何かこう非常に大したことはないように思われますけれども、そういうことについて、今後、たとえば低所得層とかそういう人たちに対して、あるいは障害者に対してどういう、たとえば見返りとして何か考えている方策があるかどうかも伺いたいわけです。
○政府委員(大和田潔君) 家族の場合は御承知のように三万九千円という高額医療費制度がございまして、低所得者に対しましては新しく一万五千円ということでございますね。低額所得者に対しては一万五千円というそれを新しく導入したと、これが低所得対策というふうに言えると思います。これは保険制度の中に仕組まれた低所得対策であるというふうに言えると思います。それで本人の方の先ほどの一部負担につきましては、特段これに対する低所得対策というものは、この中に仕組まれてはおりませんが、これは先ほど申しました、これは沓脱先生からもいろいろ御指摘を受けたところでございますけれども、初診時の場合は二百円アップである、それから入院時の場合も二百円から五百円、一日三百円のアップということで一万五千円の御負担であるということにつきましては、現在の国民生活上何とか御負担願えるんではなかろうかということでお願いをいたしておるわけでございます。
○前島英三郎君 あとはまた後日に譲りたいと思います。 お疲れさまでございました。
○委員長(片山甚市君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十七分散会 —————・—————