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93回国会参議院1980/11/26

安全保障及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第6号

発言数
148
登壇者
17
会派数
5
開催日
1980/11/26

会議録

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) ただいまから安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖繩及び北方問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 総理府総務長官に二点だけお伺いをいたしたいと存じます。  大臣が総務長官就任以来、積極的に北方領土の返還に熱意を持っておられることは、われわれのひとしく感謝にたえないところでございます。そこで、政府においては北方領土の日を設けるやの一応風聞を聞いておるわけでございますが、その点に関して、お差し支えない範囲で大臣からそのいきさつ等について承りたいと存じます。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 岡田委員のお尋ねの北方領土の日の問題でございますが、これは本年八月の北方領土返還要求北海道東北国民参加総決起大会で決議をされたのが最初でございまして、引き続きまして十月二十五日に行われました東京での北方領土返還の要望の国民大会におきまして、この参加団体の中の一つの団体から、北方領土の日を制定するようにという要望が出たわけでございまして、その要望に対して政府としては前向きで検討をいたしたい、こういうふうなお答えを申し上げたのが民間団体の動きに対する私どもの考え方です。ただし、御案内のように、こういうふうな領土の返還というようなことにつきましては、これは国民全体の主権の問題でございますから、国家の主権に対する国民の考え方というものは国民の中から沸いてくる、それによってやはり領土返還の外交というものが前向きに進んでいくし、相手国もそのつもりで話を聞いていただけると、こういうことでございますので、私どもとしましては、民間団体の御意見というものを今後引き続き伺いながら、政府といたしましてはその御意見に従って適当なときに結論を出さしていただきたい、このように考えております。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 大臣の意のあるところもよくわかりましたし、ついては北方領土の返還の促進に関しては、従来どおりひとつ引き続き熱意を持って取り組んでいただきたいと要望を申し上げておきます。  次に、最近閣議において総理が北方領土からの引き揚げを余儀なくされた島民の方々に対して一応何らかの援護対策をしたらどうかと、こういうようなことを新聞等で承っておりますが、その点に関してひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 根室地域を中心といたしますいわゆる北辺の地域では、終戦時の北方領土におられた方々の引揚島民という方がずいぶんいらっしゃいます。その当時の数は一万六千七百四十五人でございました。昭和五十三年四月の調査では、生存者が一万二千五百二十九人、死亡者が三千七百八十七人、不明の人が四百二十九人となっております。およそ四分の一の方々が死亡された模様でございますが、生存者の約七割が北海道内に居住をされているというふうに私どもは考えております。  これらの引揚者に対する援護措置といたしましては、十億円の基金による融資事業、それから宿泊、集会施設としての千島会館の供用、船員講習等の生業研修というものを実は行っておるわけでございますが、先日現地に参りましたときに、根室地域の漁業関係者から、ぜひこの漁業権を失った自分たちを含めて引揚島民及びその子供たちに対する政府の援護措置というものを考えてもらいたいと。沖繩のときに政府は非常に熱意を持って沖繩返還をやったけれども、この北方問題については沖繩と比べると政府の熱意が足らぬじゃないか、こういう強いお話もございましたし、また先日、北海道知事を団長とされる東北、北海道の有志の方々の総理に対する陳情がございました。北方領土の四島一括返還運動、それから北方領土の日を制定しよう、それから地域住民の特別の援護措置をやれと、こういうふうな御要望がまいり、さらに総理の北方領土視察もお願いをしたい、こういうことでございましたが、それから数日後の閣議におきまして総理から、北方、根室地域を中心とする方々への援助を強化いたしたいと、こういう御発言があったというふうに認識をいたしております。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 どうぞひとつ大臣の熱意で取り組んでいただくことを要望して、大臣に対する御質問をこれで終わります。  次に、防衛庁の施設庁にお尋ねをいたしたいのですが、十一月十八日の沖繩タイムスにトップ記事で、特別措置法を適用した、こういう記事が載っております。私は、昭和五十二年にこの特別措置法の延長の問題と、いわゆる沖繩の地確法の問題に対しましては、当時、参議院の内閣委員会における理事として、一応私なりに苦労をした法律でございますので、この新聞を見て、皆さんの若干の調査資料を出していただきましたが、この点に関して若干の御質問をいたしたいと存じます。  先般、沖繩の米軍施設に対して地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法が適用されました。これについて新聞紙上では、沖繩を差別するものだと、あるいは新しい琉球処分じゃないかと書かれております。この法律は昭和二十七年に制定されて、本土においても多くの適用事例がございます。かつ現在、沖繩の公用地暫定使用法によって暫定使用している土地を引き続き収用でなく使用するためのものであって、差別だとか、あるいは琉球処分だとかいうのは当たらないと私は思っております。  そこで、以下これに関して施設庁当局に若干のお尋ねをいたしたいと存じます。  まず第一点は、沖繩復帰以来、防衛施設庁の皆さんが非常に努力されて、その結果、多くの地主の方々に御理解をいただき、また地籍の確定の作業も順調に進捗しておることは、私が当時沖特の委員長として数回にわたり視察した結果、その実態をよく承知しておりますが、現在どのくらい未契約地があるのか、まずお知らせをいただきたいと存じます。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) お答え申し上げます。  沖繩の防衛施設用地、つまり自衛隊と米軍が使用しております土地のうち、未契約の土地、いわゆる暫定使用法で使っている土地は、昭和四十七年の五月十五日の時点では、両方合わせまして二千九百件余りございました。その後八年近くにわたりまして、所有者の方々に担当の沖繩防衛施設局の職員が個々に御説明申し上げ、御説得申し上げまして、その結果ことしの十一月二十五日、つまり昨日でございますが、昨日現在では両方合わせまして二百九件の未契約地主の方が残っておられます。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 よく現況はわかりました。  次にお尋ねいたしたいことは、そもそも土地を借りる、あるいは建物を借りる場合、その所有者と話し合って借りるというのが私は原則であると思っております。まして前大戦において痛手をこうむり、かつ長年米国の施政権下にあって苦労された沖繩県民に対しては一層礼を尽くすべきは当然であろう、かように考えております。したがって、先ほど申された未契約地については、従来に増して話し合いをし、あるいは地主の要請にこたえ、土地を返還する努力を払う必要があると思いますが、施設庁の見解はいかがでございますか。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 沖繩復帰の際に国会におきまして暫定使用法を御審議いただき法律を制定いただきましたが、その法律の中には、法律でもって暫定使用は許すが契約による説得の努力は依然として続けなさいという条項がございます。その条項に従いまして私ども行政庁といたしましては契約努力をいたしてまいりましたが、去る十七日に特別措置法に基づく手続に着手をいたしましたが、残された期間、法律の手続と並行いたしまして所有者に対する説得の努力は今後引き続き続けさしていただきたいと思います。  また、返還の問題でございますが、確かに御指摘のとおり、沖繩では大変防衛施設用地というものの占める比重が大きうございます。その意味で、私どもも米軍の基地の使用実態に着目し、あるいは地元の利用計画その他を勘案いたしまして返還の折衝をやり、あるいは部分的には可能なものは共同使用といった形でのきめ細かな措置をやっております。今後ともその努力は引き続き続行したい、このように考えております。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 そういたしますと、未契約の、未同意の土地については最終的にはやはり全部をゼロにすることは不可能だ、やむを得ず必要なものについては引き続き公用使用をせざるを得ない、こういうことであろうかと私なりに推察いたします。しかし、さきの昭和五十二年五月のときのような困難な状態を引き起こすことがあっては当然ならないわけでございます。きちんと法的手続をとって、この法律の期限である昭和五十七年五月までに間に合わなければならないのじゃないか、かように私は思います。  そこで、まずどのような手続をとらなければならないのか、その手続について具体的にお伺いいたしたい。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 御質問の手続の具体的な順序について申し上げますと、まず駐留軍用地特措法というものは大部分が土地収用法の手続を準用してございます。以下それにのっとりまして御説明いたします。  まず第一番に、那覇防衛施設局長から未契約土地の所有者等に対します意見照会というものが一つございます。意見照会の結果、回答を得ますと、それを添えまして内閣総理大臣に対して那覇防衛施設局長は使用認定の申請書を提出いたします。それを内閣総理大臣は審査いたしまして使用認定いたすわけでございますが、使用認定をいたしますと、認定に関する処分の告示というものをこれは官報で行うようになっておりますが、告示を行いますし、同時にその旨を那覇防衛施設局長に通知いたします。四番目といたしまして、内閣総理大臣の認定がございますと、那覇防衛施設局長は、そういった認定に係る土地の所在でございますとか、処理数量といったものをやはりこれも官報で公告いたしますと同時に、具体的に該当の土地所有者等への通知をいたします。と同時に、当該土地が所在する場所の周辺に認定に係る土地等の調書、図面といったものを縦覧するという形になっております。この縦覧をしました後、防衛施設局長は、そういった認定土地についての補償等の手続が収用法できめ細かく決められておりますが、それについての周知措置を行います。そのほかの関係者、権利人その他に手落ちがないようにやるわけでございます。そして次には、当該土地の調書というもの、それから当該土地にございます物件の調書というものの作成のために現地に立ち入って測量調査をいたしまして、その場合には所有者等の立会を得て作成するわけでございます。こうしまして土地調書あるいは物件調書というものができてまいりますと、最終段階として沖繩県の収用委員会の方に那覇防衛施設局長が裁決申請を行うわけでございます。そこで、収用委員会で御審議願いまして裁決を求めるという形でございます。  なお、収用委員会の方では、こういった裁決申請書が出ますと、当該市町村、その物件が所在する市町村に係る部分の写しを市町村長に送付いたしまして、土地所有者に対する申請があった旨の通知であるとか、もろもろの手続はあわせて行うわけでございます。最終的に権利取得の裁決あるいは明け渡しの裁決というものがございますが、これがあった場合には補償金の支払いを行って使用権を取得する、こういう順番になろうかと存じます。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 いま御説明がありましたように、繁雑な、しかもそれぞれのチェック機関があって正当に手続されることは、私も資料をいただいておりますのでよく飲み込めましたが、しかし、この特別措置法の手続をとってまいります上においても、当然地主の意思なり意見なりを述べる機会を与えることが基本的人権を尊重するという考え方に照らしても必要じゃないかと思いますが、その点どのように取り組んでまいるおつもりか、ひとつ御所見をお伺いいたしたいと思います。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 特別措置法の手続を開始する前にも説得いたしましたが、先生御指摘の特別措置法の手続の中で所有者等の意見を十分聞くことはどうかという御指摘でございますが、この点に関しましては、先ほども若干触れましたが、防衛施設局長が内閣総理大臣に使用の認定申請をする際にあらかじめ意見照会を行うというのが一つございます。それからまた、土地調書を作成する場合に立ち会いを求め、あるいは調書の記載事項に異議があるときには異議を述べることができるというのが収用法の規定にございます。また、裁決申請書が出ました段階におきまして、それを受けて市町村長が裁決申請書を縦覧したときには、収用委員会に対して所有者等が意見書を提出することができます。また、収用委員会の実際の審議の場におきましても意見書を提出し、あるいは口頭で意見を述べるということが法律に明記されておりますので、そういった機会があろうかと存じます。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 十分その辺の配慮をひとつ重ねて要望申し上げておきます。  次に、駐留軍用地特別措置法は、使用する土地が特定されること、つまり土地の位置境界が明確にならないと法手続はとれないと聞いておりますが、未契約者の中には特別措置法阻止のために、地籍明確化に非協力的な地主もおります。たとえば十八日の沖繩タイムス紙上で、平安常次反戦地主会長さんのお話が載っております。要約いたしますと、「施設局は地籍確定していない土地でも強制使用できると言っているが、そんなことはない」云々と、このように言っております。  そこで、私が第一にお尋ねしたいのは、三年前、政治的に社会的に非常に困難な中で明確化法が制定されましたが、同法律は土地を公用使用するためのものだったのか、その辺のところをひとつ当局の考えをお伺いしておきます。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 御指摘の点でございますが、御承知のとおり、沖繩は過ぐる大戦におきまして戦禍の真っただ中に置かれ、地貌が著しく変化し、かつまた、その直後において米軍の接収によって地ならし等、基地群の建設によって大変いわゆる戦前の地籍が混乱しております。そういった状況の中で琉球政府としましていろいろな手だてを講じて、とりあえず、小字マップと通称申しておりますが、そういったものをつくっておりますが、実際にそれがかつての状況を完全にあらわすものじゃございません。そういった意味から、沖繩県におきまして、沖繩の社会経済の発展の中で土地の地籍の問題というものが大きくネックになってまいりました。そこで、復帰五年後でございますが、国会で御審議願いまして、そういった地籍の混乱をこの際明確化する手だてを政府の援助あるいは地方自治体の手によって確実なものとする、この時期において行わなければその機会が失われるという状況にございましたので、そういった法律の制定をされたというふうに承知しております。したがいまして、私どもが特措法を予定し、そのためにやったということは誤解でありまして、私どもとしては、そういう考えは持っておりませんでした。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 それでは、そういう非協力の地主に対して公用使用手続をとる際にどのような対処の仕方をするのか、施設庁の本当の腹をひとつお聞かせ願いたいと思います。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 私ども防衛施設庁、具体的には現地の那覇防衛施設局が地籍の明確化を担当しておりますのは、現に防衛施設の用に供されている土地を中心にやっております。現在のところ七割以上の明確化の手続が終了しております。ただ、その過程の中で、いろいろなお立場からどうしてもこの手続に参加できないという地主さん方が若干おられます。そういった方々の土地を含む周辺の土地は、率直に申し上げまして地籍明確化の手続にのれないわけでございますので、私どもの立場としてまことに残念でございますが、明確化の手続が進んでおりません。しかしながら、私どもといたしましては、地籍明確化の手続が進まなくても、具体的に特別措置法による土地の特定というものは、現地の実情であるとか、あるいは周辺の地主さんの御理解による証言であるとか、その他もろもろの現地の具体的な当該土地の実情から特定可能である、このように判断しております。そのような判断の上に立ってこの手続を進めさしていただきたいと考えておる次第でございます。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 それでは、私が思いますのに、沖繩にはわが国の米軍基地の半数余が存在しております。沖繩の振興を図る上で基地の返還が進められておりますが、すでに返還を予定されている土地もあろうかと思います。そういう土地についても公用使用するのか、施設庁のお考えをひとつ聞かしてください。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 確かに御指摘のとおり、沖繩におきまして米軍の基地の占めるウエートが大変高うございます。この問題でわれわれがその対処に苦慮しているわけでございますが、幸いにして日米安保協議委員会におきまして、中南部地区を中心とした米軍の基地の集約移転というものも逐次進んでおります。そういった状況を踏まえまして、将来とも米軍が返還する、ことを明らかにしているというふうな土地につきましては、あえて機械的に特措法を適用するというようなことは差し控えたい、このように考えております。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 それでは、今回駐留軍用地特別措置法によって使用する土地の使用期間は何年ぐらいを考えておるのかお伺いいたします。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) ただいまの段階におきまして、私ども防衛施設庁といたしまして、何年の使用期間の裁決申請を行うかというところまで完全に結論を得るに至っておりませんが、具体的な土地の事情に応じまして、あるいは移設計画その他もろもろの状況を勘案して一つ一つ決めたいと思っておりますが、原則的には五年程度をいまのところ念頭に置いている次第でございます。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 時間もなくなりましたので、最後に、内閣委員会においても防衛施設の問題はお金の面とかいろいろなことで問題になっておりますが、国の存立を左右する重要なものだと私は考えております。なぜならば日米安保というものが日本の国策だ、こういう大前提に立つからでございます。それでは、自衛隊の施設については以上御答弁をいただいた土地収用法を適用するのかしないのか、その点をひとつお伺いいたして、私の質問を終わりたいと存じます。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 結論から申し上げまして、自衛隊の使用している土地のうち未契約土地につきましては収用法の適用を考えておりません。未契約土地が自衛隊使用地についてどのくらいあるかと申しますと、那覇空港の近くにございます航空自衛隊の基地その他に約二十数件の未契約土地がございますが、現場の実情から申しまして、これを返還しても、若干の支障というものはございますが、基地の運営上特に大きな支障がないというふうな判断に立ったから、この土地収用法の適用を差し控えるということにただいましております。

岡田広自由民主党・自由国民会議

○岡田広君 もう答弁は結構でございますが、まだこの法律の期限も相当ございます。渡邊長官もこの沖繩タイムズの紙上で、記者会見をして、公用地暫定使用法が切れるのは再来年なので、すなわち五十七年なので、それまで未契約地主への説得はお互いの善意を持ってひとつ説得に努力したいと、こういう談話が載っております。私は、きょうは長官お見えでございませんので、あなたからひとつ、この趣旨を踏まえて十分いざこざのないように善処することを要望いたしておきます。  私の質問はこれで終わります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 一番最初にお伺いしたいことは、先般来、当委員会でいろいろと論議が行われてまいりましたけれども、その中で北方問題についてのいろいろな見解があるわけでありますが、北方領土が果たして日本の防衛にとって脅威となるのかどうかということがやはり本委員会としても問題となるところであります。  先般の本委員会の北海道視察の際に、地元の市長から陸上自衛隊一個連隊を根室周辺に配備してほしいという意味の陳情がございました。そして、この陳情の趣旨というのは、北方領土におけるソ連軍の軍備の増強ということを根拠にしているように私どもは聞いたわけでありますけれども、一体、いわゆる北方領土にソ連軍の配備というものがどのぐらい増強され、いまどのぐらいあるかということになっているのか、それらの情報は一体どういうところから出ておるのかといったような点について、まずお伺いをいたしたいと思います。

宝珠山昇防衛庁防衛局調査第二課長

○説明員(宝珠山昇君) 御説明いたします。  北方領土には、昭和五十三年夏以降、国後、択捉に、それから昭和五十四年の夏以降は色丹島にも地上軍が配備されております。現在も基地建設などが行われていると見ております。なお、択捉島には第二次大戦後ずっとミグ17の防空戦闘機の部隊が配備されております。ミグ17の機数は、およそ二十機が配備定数だと推定いたしております。このほかには、軍の部隊ではございませんけれども、国境警備隊が、およそ三千人程度と推定いたしておりますが、配備されておりまして、これは全島に少しずつ配備されているものと思われます。これらの地上軍部隊が装備しておりますものは戦車、装甲兵員輸送車、それから火砲、それから対空機関砲などがございまして、これらは普通のソ連の師団が装備しているものでございますけれども、このほかに攻撃ヘリコプターハインドというもの、それから百三十ミリの加農砲と言われる通常の師団が配備していない、装備していないものも持っているようでございます。以上でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 これらの情報は、どういう筋からの情報によるものでありますか。

宝珠山昇防衛庁防衛局調査第二課長

○説明員(宝珠山昇君) 防衛庁といたしましてはいろいろな資料を使いまして先ほど申し上げたようなものを判断いたしておりますが、個々のものがどういう資料に基づくかということは御勘弁願いたいと思います。ただ、先ほどの百三十ミリの加農砲とか戦車とか、そういうものにつきましては、艦艇が輸送する際に見かけることができたものはございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 百三十ミリ加農砲というふうに、かなり具体的なんですが、のぞいてきたようなお話だったんですがね、何か。別にのこのこ行って上がって見てくるというわけにいかないだろうと思うのですが、実際問題として。そうすると、一体どういう筋の情報か。アメリカの情報ならアメリカの情報でいいじゃないですか、ここで隠したって始まらないんだから。わかることはちゃんと言ってもらった方がかえっていいと思うのです。だから、アメリカの情報によればということなのか、あるいはイギリスの情報によるのか、あるいはいろいろな刊行物等によるものであるか、推定だというふうにおっしゃるのか、その辺をちゃんと言っていただきたいということであります。

宝珠山昇防衛庁防衛局調査第二課長

○説明員(宝珠山昇君) 百三十ミリの加農砲は、宗谷海峡を通過いたしますときにはっきりと視認できたわけでございます。その他につきましては、いろいろな情報からの私どもの判断でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 百三十ミリというと十三センチなんですよね。飛行機からのぞいただけでその寸法までわかるということは大したものだと思うのですがね。まあしかしそれはいいとして、そのほかに三千名ほどの国境警備隊と、こういうふうに言われましたが、この前たしか一個師団ぐらい配備されているのじゃないかというふうな答弁もいただいたような気がするのでありますけれども、何個師団配備されているのかということもわかっているんですか。

宝珠山昇防衛庁防衛局調査第二課長

○説明員(宝珠山昇君) 北方領土に配備されておりますのが師団の編成をとるものとは見ておりません。先ほどの百三十ミリの加農砲あるいはハインドヘリコプターというものがソ連の通常の師団では装備していないものであることなどから推定いたしまして、かなり広範な地域に散らばっております島々に配備するために特別に編成されたものではないかというふうに見ております。ただその規模などにつきましては、師団規模に近いものであるということを申し上げているところでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 先ほど国境警備隊三千名ぐらいと、こういうふうに言われたんですけれども、国境警備隊三千名ということになると、普通三千名じゃ師団の規模にならないですな。しかし、警備隊は三千名ぐらいだけれども、百三十ミリ加農砲などというのもあるから、まあ師団単位と見てもいいのではないかという推定である、こういうふうに理解をされますが、そんなところですか、率直に言って。

宝珠山昇防衛庁防衛局調査第二課長

○説明員(宝珠山昇君) 国境警備隊は地上軍には属さないわけでございまして、師団規模と申し上げましたのは、国境警備隊を除く地上軍についてでございます。したがいまして、三千名の地上軍が北方領土に配備されているという意味ではございません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 どういうことなんですか。

宝珠山昇防衛庁防衛局調査第二課長

○説明員(宝珠山昇君) 地上軍の規模につきましては、師団規模に近いものとは推定いたしておりますが、それが具体的に何名であるかということにつきましては御勘弁願いたいと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 長官に今度お伺いします。  具体的には御勘弁願いたい、よくわからないということです、平たく言えばね。よくわからないけれども、いるのじゃないかというようなお話なんです。そこで、こういう一つの推定、防衛庁の話もきわめてあいまいで、率直に言わしてもらうといいかげんなんですが、このいいかげんなソビエト軍の配備状況といったようなことを根拠にして、根室に陸上自衛隊一個連隊の配備をという陳情があったのでありますが、これらの陳情が受け入れられるものであるのかどうか。防衛上価値があるのかどうか、戦術的に見てどういうものか、あるいは地域の過疎対策なのか、一体ねらいはどのようにあるというふうに考えておられるのか、それに対してどういうふうに措置を講ぜられようとお考えになっているのか、その辺をお伺いしたいと思います。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 防衛担当の大臣でもございませんので、地元からの陳情も私の方には参っておりません。そういう意味で、ここの席でお答えする立場にはないかと考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 長官のところに陳情に行かないということは、まあそんなに熱心じゃないのだなというふうにいま私は思ったんですよ。この前私どものところへ来たから、当然これは長官のところにも行っているのだろうと思ったんですよ。いま話を聞いてみると、全然長官のところに行っていない。そうすると、何か思いつきのような感じがしたわけでありますけれども、では、特に長官としてはその陸上自衛隊の配備などということは考える必要はないというふうに確認してよろしゅうございますか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先ほども申し上げましたように、防衛問題に関しましては防衛庁長官が責任者でございますし、さらにその上には内閣総理大臣がおることでございます。私はあくまでも北方領土担当の閣僚でございまして、いわゆる自衛隊配備に関する発言の立場にございませんので、その点はひとつ御理解を賜りたいと考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 長官の役職からいって、自衛隊を動かす立場にないということは承知しております。しかし、地元の市長が陸上自衛隊を一個連隊当市にひとつ配備してほしい、こういう話だったから、そういう話になってくると、話に問題があるとすれば、長官を抜きにしてまさか防衛庁にだけ話をするというわけにいかないでしょう、これは。当然長官の方にだって話されてしかるべきことであるというふうに思ったから私は質問したのです。だから、もしそういう要望があるとすれば、これは総理府長官としても捨ててはおけない問題だというふうに私は思うのですよ。だけれども、いまお話を聞くと、専門外であるから私は知りませんということなら、それならそれでいいのですよ、ああその程度だなと私の方は認識するから。では、いま長官がお答えになったように、私のところには話がない、特別に軍事上のねらいであるのか過疎対策であるのか、その辺のところは要するにわからぬ、こういうことでよろしいのですか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) お考えのとおりだと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 この問題はそれで結構であります。大変に明快でございました。  それで今度は、北方領土の返還のいろいろな地元の運動があるわけです。運動があって、早期返還を要求するということなのでありますけれども、四島の返還ということがいろいろと問題になっております。ところが、きょうもちょっと問題になったのでありますけれども、北方領土の日というものを制定しようじゃないか、こういう動きがあったということです。それが二月七日である、こういう話もあります。この二月七日を北方領土の日として制定をしようという動きが長官の方にも行っておるのかどうか、その理由、根拠といったようなものは何であるか、御存じだったらお答えいただきたいと思います。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 北方領土の日を設定しろという御意見は、昭和四十三年ごろから実は始まっておったと承っております。実際問題今年に入りまして、八月に開催されました北方領土返還要求北海道東北国民参加総決起大会、この時点で北方領土の日を制定しろという大会決議がなされました。それが私の方に要望事項として参ったわけでございます。また、十月二十五日の北方領土返還要求国民大会、これは実行委員長が前川和昭さんでございますけれども、この大会でやはり動議として出てまいりました。そのお話を承ったわけであります。また、さらに十一月二日、北方領土返還要求全国集会、これは推進委員会の会長が佐々木更三先生でいらっしゃいます。この団体からも同様な決議が出てまいっております。私どもは、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり国民の願望というものがどういうふうなところで結集されてくるのか、そういうふうな各団体の御意見を承りながら政府としては国民の要望にこたえることが必要であろうというふうに判断をしておりまして、今日どの日がどうというふうに断定をしておることはございません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 二月七日という話を先般ちょっと聞いたのでありますけれども、そうすると何日でも構わない、構わないというのは少し言い過ぎだけれども、要するに北方領土の日さえ決めればいいということで、日については詰まったことになっていない、このように理解してよろしいのですか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生お尋ねの二月七日というふうに決まっていないか、こういうお話でございますが、もちろん決まっておりません。御案内のように、幾つかこの領土に関する歴史的な事実を物語る日がございます。二月七日とか、あるいは八月二十八日とか、いろいろな説がございまして、意見を申し立てておられることはございますけれども、私どもといたしましては、国民の関係団体の御意見がおおよそ集約ができたところでその御要望にこたえてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いや、実は本院でも決議をしようという話がある。それは北方領土の日というのが大きな目玉になっているんですよね。だから、ではどういう根拠で何月の何日がいいのかということを明確にしないと、決議だけして後から日にちをはめ込もうというのも変な話なんですよ、これはね。何月の何日というのはこういう意義のある日である、したがって、この日をどういう日にしようじゃないか、こういうことなら話はわかる。日だけ最初に決めちゃって、後からいつがいいか相談してはめ込もうじゃないか、こういう記念日の決め方というのは余りないのですよ。ところが、衆議院でやはりそういう決議が行われたという話を聞いて、衆議院で決めたのだから参議院でもどうだと、けれども衆議院で決めたこともいろいろいま聞いてみますと問題があったようであります。そうすると軽々しくわれわれも決めるわけにいかないなという感じがしたわけです。たとえば、聞いてみると全千島の返還の日であるとかいろいろな日があるということになるのでありますが、そうなると日にちそのものを検討してみなきゃならぬという気がいたします。  そこで、北方領土の日ということでありますけれども、「北方領土」という名称は、これはいつごろから出たものであるかということですね。戦前はたしかなかったような気がするのです。こういう日は、あるいはこういう名称は。その点はどうですか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 「北方領土」とは、現在わが国が固有の領土としてソ連に引き渡しを要求しております歯舞色丹、国後、択捉の四つの島であるというふうに政府は理解をいたしております。この背景となりますものは、さきの委員会で先生からのお尋ねもございましたが、安政元年に日露和親条約ということで、ロシア帝国と日本国との間できわめて平和のうちに、択捉島と得撫島の間を両国の国境線とする、樺太は両国民の混住の地としてその所有権、領有権を明確にしない、この条約が下田で安政元年、いわゆる新暦になりますと二月七日に結ばれたわけでございまして、私どもは、一九四四年のカイロ宣言の基本精神であります領土不拡大という線に乗りまして、これはあくまでも戦争によってかち得た領土ではない、あくまでも両国が平和のうちにこの領有権を認め合った、こういうふうなことから、政府はこの四島が固有の領土であるという一つの基本的考え方に立ちまして、今日、かねがねソビエト政府に対して四島の一括返還を要求しておることは御案内のとおりでございます。  この北方領土というのがいつごろから使われたかというお尋ねでございますけれども、最初に使われましたのは、昭和三十一年三月十日、衆議院の外務委員会におきまして、下田条約局長の答弁の中に北方領土という言葉が出てまいりました。それから、昭和三十七年一月十九日、施政方針演説で、池田総理、小坂外務大臣から北方領土という言葉が出ております。三十七年三月八日の衆議院決議でも使用され、三十七年七月十九日、北海道議会の決議で使用され、さらに、三十九年六月十七日、外務次官通達で北方領土の名称が使われておりますし、四十三年五月、外務省欧亜局長の回答文書に北方領土という言葉が使用されております。四十四年五月、北方領土問題対策協会法で使用をいたしておる、以上のような経過をたどっております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そうすると、北方領土という名称が使われるようになったのは昭和三十年代以降であるということになるわけですね。それ以前は北方領土という名称はなかったわけですね。  そこで、千島列島の問題でありますけれども、領土不拡大という方針をとるとするならば、当然千島列島全島がその対象に入ってもいいのじゃないかという気がするんですよ。これは占守島だとか松輪島だとか得撫島だとか、いろいろな島がありますけれども、これらの島々は、日本が出かけていって武力でもって占領をして征服したというような事実はないと思うんですね。そうすると、なぜ安政元年の国境を今日国境として、できればこの日を記念日にしようじゃないかという意見が出てくるのか、ちょっと理解できないところがあるのですね。まあ、二月七日という日が決まったわけじゃないというふうに長官はお答えになりましたけれども、具体的には、その下話としては二月七日を記念日としてどうだという話があったから、あえて私はこの点を確かめたいと思ってお聞きしたわけなのです。したがって、領土不拡大という原則に立つならば、千島列島全島に区域は及んでしかるべきではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 政府が何代かかわっておりますけれども、日本政府としては一貫してこの四島が古来の領土であるという方針を貫き通しておるわけでございますので、今日、政府として考え方を変えるという立場にはないと考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 サンフランシスコ条約の際に千島列島が公式に放棄されたかっこうになっている。ところが、そのサンフランシスコ条約の際にこの北方領土の問題について明確にされていなかった、つまりサンフランシスコ条約のときには千島列島というものはどこまでが千島列島であるかということは明確にされないまま放棄をされたという形になっておるように思うのでありますけれども、その点はどうなんですか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) この四島以外の島につきましては、サンフランシスコ平和条約で政府は放棄をいたしておるわけでございますから、放棄をしたものについていまさらそれが自国の領土であるというふうなことを主張することは政府としてはとらないところでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 その辺が国際的に通用する話かどうか非常にむずかしい問題になってくると思うのです。千島列島について言うならば、千島列島全島がわれわれは武力によって征服した土地ではないという認識に立っているわけなのです。ところが、この安政元年の下田条約の国境が択捉島と得撫島の間に引かれたということを根拠にして、得撫島以北についてはこれを放棄する、択捉島以南については十何年もたってから北方領土という形でもってこれは千島じゃない、こういうふうに主張をするというところに今日の北方領土問題のむずかしさがあるのじゃないかと私は思うのです、率直に言って。だから、その辺の理解は一体どのようになさっておられるのかということです。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) このサンフランシスコ条約第二章領域、第二条領土権の放棄という項の中で(C)項に「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」と条約上の確認をいたしております。以上のような立場でございますが、この平和条約の際にソビエト連邦政府が署名していない、こういうことから両国の考え方の違いというものが今日まで尾を引いているというふうに理解をいたしております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 北方領土返還要求という運動が展開をされる場合に、この辺の認識というものが明確にならないとむずかしいと思うのですよ、率直に言って。北方領土という名称自体が昭和三十年代以降だというんでしょう。昭和三十年代以降に政府が考えついたわけでしょう。昔の安政元年の歴史を思い出して、千島列島というのは得撫島から向こうであるという定義を昭和三十年代になってから初めて下したということになってしまうわけですね。昭和二十年代は北方領土という名称はなかったわけですね。そしてサンフランシスコ条約のときにもその点は確認はしていなかったということになるわけですね。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 念のために、きわめて重大なことでございますから、一九五一年九月八日サンフランシスコ平和会議における日本国の吉田全権の発言をここに念のため申し上げておきます。   千島列島および南樺太の地域は、日本が侵略  によって奪取したものだとのソ連全権の主張は  承服いたしかねます。   日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国  後両島が日本領であることについては、帝政ロ  シアもなんら異議を挿さまなかったのでありま  す。ただ得撫以北の北千島諸島と樺太南部は、  当時日露両国人の混住の地でありました。   一八七五年五月七日、日露両国政府は平和的  な外交交渉を通じて樺太南部は露領とし、その  代償として北千島諸島は、日本領とすることに  話し合をつけたのであります。名は代償であり  ますが、事実は樺太南部を譲渡して交渉の妥結  を計ったのであります。その後樺太南部は一九  〇五年九月五日ルーズヴェルト・アメリカ合衆  国大統領の仲介によって結ばれたポーツマス平  和条約で日本領となったのであります。   千島列島および樺太南部は、日本降伏直後の  一九四五年九月二十日一方的にソ連領に収容さ  れたのであります。   また、日本の本土たる北海道の一部を構成す  る色丹島および歯舞諸島も終戦当時たまたま日  本兵営が存在したためにソ連軍に占領されたま  まであります。このように当時の吉田全権は発言をいたしております。こういう私どもは一貫した考え方の上に立って今日もやっておりますが、先生の御指摘の北方領土という名称につきましては、なるほど昭和三十年代から出たことでございますけれども、その基本となる領有の問題につきましては、このサンフランシスコ平和条約における吉田全権の発言以降、引き続いて一貫した姿勢をとっておるというふうに政府は考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 一貫しているということは、昭和二十年代から、あるいは終戦の直後からずっと北方領土問題は日本の領土である、千島列島の中で南千島は含まないんだということを主張していれば別なのですけれども、そういうふうになっていないんですな、残念なことには。そこに私は問題があると思うのです。たとえば千島列島というふうに一口に言いますけれども、千島列島というのは、安政元年の時点においては、得撫島と、択捉島のこっち側——南と分かれていたんです。これは確かに日本の史実なんですね、歴史上の事実なんです。だけれども、その後の千島列島というのは南千島を含めて千島列島になってしまっているのですね。教科書に載っていることなんですけれども、これは昭和十五年の尋常小学校の文部省で出している国定教科書なんです。その国定教科書にどういうふうに書いてあるかというと、「千島列島は北海道本島とロシヤ領のカムチャッカ半島との間に連なり、択捉島その他、多数の島々から成立ってみる。」、こう書いてあるんです。だから、国定教科書で千島列島の定義として択捉島は入っちゃっているのです。択捉島も国後島も入っちゃっているのです。さらにその区域はどういうふうになっているかというと、北海道地方で、行政庁として北海道庁は「渡島国、後志国、石狩国……」というふうに書かれていて、「根室国、千島国」と、こうなっているのですね。そして、その根室国の中に国後、択捉は入っていないで、歯舞、色丹が入っている。それで国後、択捉は千島国の中に入っている。そうすると、戦前までの、安政元年は別として、昭和に入って千島列島の定義というのは、この国後島から一番向こうの占守島ですか、あの辺の島まで全部が千島列島ということになっている。だから、この定義が間違っているのかどうか文部大臣にいつか予算委員会で確かめた際に、文部省で発行している国定教科書に間違いはない、こういうふうに言われたわけです。間違いはないということになると、千島列島の定義の中に国後と択捉が入っちゃうのですよ。いまも吉田全権の話でありますけれども、「千島南部の二島」、こういうふうに言っている。そうすると、千島の南ということになっているのですね。南千島は千島じゃないというのは、これは南関東は関東じゃないと言うのと同じで、やはり説得力を持たないのですね、この辺のところは。だから、その辺私どもはやはり千島列島全島を、これは日本が征服した地域じゃないのだというふうな理解をしないと、得撫島から向こうはかっぱらってきたように思われても大変に困るのじゃないかという気がするわけです。だから、その辺千島列島の定義、特に北方領土の問題については後から考えてつくった、特に北方領土という名称がですね。そういう点があるので、その辺を国際世論に訴えるということになれば、一体アメリカ以外のどこの国にどういうふうに理解をさせるという手だてを考えておられるのか。そこまでは総理府長官の権限じゃないとおっしゃるなら、これはまた別でありますけれども、その辺の解釈についてお伺いしたいと思うのです。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) この領有権の解釈につきましては、担当部門である外務大臣の所管事項でありますから、私から申し上げる立場にないと思いますけれども、われわれは史実に基づいて国際的な世論に訴えてまいりたい、しかもそれが平和的に両国間で認められたいわゆる領土であるということが一つの原則でございますし、もう一つは、サンフランシスコ平和条約において日本政府が放棄をしたものについては要求をしないということもきわめて必要な事実であろうと私どもは考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 だから、問題は放棄をした千島列島の中に入っているか入っていないかという解釈の問題なんですね。それで千島列島の中に択捉と国後が入っているかいないかという問題は、昭和三十年代になって初めて北方領土という言葉でもって返還を要求しようじゃないか、あれは千島列島じゃないんだ、安政元年の下田条約のときの話はそうだった、こういうことになっている。だけれども、安政元年だけを問題にすると、昭和に入ってからの千島列島の定義というのはどういうことになるのかという問題にぶつかるのですよ。だから、国際世論に訴える、いま何とかして北方領土の返還を要求しよう、その気持ちは私どもにもよくわかるわけです。特に北海道からすぐ鼻先に見える、あんな細かい島なんか日本に返してよこしたっていいじゃないかというふうに単純に言えば思うところですよ。ところが、それが返ってこないということは何が理由になっているのかということを考えないと、いたずらに返せ返せということを言っただけじゃ、これは国内でもってそういう声が反響しただけでは何もならないわけです。国際的な説得力というものがないと私は問題は前進しないという気がするのです。向こうが応ずる応じないは別として国際司法裁判所のようなところに持ち出しても、十分にこれはわれわれの方に利があるのだということでないと話はむずかしいのじゃないかという気がいたします。だから、あえてそのことを型どおりの答弁じゃなくて、具体的に返還運動を進めようとするならば、地元の人たちに対して返還運動をやろうというだけでは事は済まないと思うから、国際的に訴えるということになれば、果たして自信があるのかないのか、どういうふうな手だてをとったらいいのかということですよ。その手だての問題を考えるのはやはり閣僚としては必要じゃないか、こういう気がいたしますが、どうですか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生の御指摘の点は私は一つの大きな問題点だろうと思います。御案内のように、政府の公式な発言というような形では承っておりませんけれども、南樺太はどうなるのだとか、いろいろな意見が外交上の場で出たことも承っております。あるいは民間の接触の中で日本政府というものは一体どこまで返還を要求するのだというような声も出ておりますので、まず国論の統一ということがきわめて肝要であるというふうに私は認識をいたしております。しかし、日本政府の立場としては国連の場で伊東外務大臣か外務大臣として演説をいたしました姿勢が、いわゆる発言の内容がわれわれ政府の考え方であるというふうに御理解をいただき、非常にむずかしい問題でございますが、やはり各界層の国民が少しでも多く自分の古来の領土が欲しいというこの願望をできるだけ相手国にわかっていただいて、平和のうちにこの四島の返還を進めてまいりたいと、このように念願をしておるところでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 国連で幾ら日本の外務大臣が力説をしてみたところで、よその国が取り合ってくれなきゃ何にもならないわけです。国際的な圧力にならないわけです。だから、国際的に理解を求められるような根拠というものを示す必要があると思うのです。ところが、これは弱点としてわれわれ自身か認めなきゃならないのは、昭和三十年代に至るまで北方領土というような問題は起きてこなかった。昭和三十年代になって初めて千島列島のうちの択捉からこっちの島は、あれは千島じゃないというふうな言い方をして北方領土という言葉が出てきたわけです。これはだれが考えたってそこに無理があるというふうに思わざるを得ないんです。無理があれば国際的にそれがなかなか通りにくいということになる。そうすると、やはりこの北方領土の問題を解決するためには、相手国の理解というものを求めなきゃならぬだろうし、相手国に理解を求めずにいたずらに反ソ的な立場をとるということになると返ってくるものが逆に遠ざかってしまうということになるおそれがある。もっともおどかしでもって何とかなるというふうに思っているならまた別ですけれども、そうはいかないだろうというふうに思います。おどかしでもって返ってくるような仕組みになっていないという気がいたします。  そこで、総理府長官としては、いたずらにあそこへ総理大臣を連れていったって、外務大臣を連れていったって、それによって問題が解決するわけじゃないだろうという気がいたします。根本問題は一体どこにあるのか、この北方領土問題を解決するための一番適切な効果的な方策というものをどのようにお考えになっているのか、そのことをお伺いしたいと思います。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 政府は、私率直に申し上げて、国会の全会派一致の決議に対して、少し国会決議を軽視しておったのではないかというふうに考えておるのであります。国会は、衆議院において十回北方領土返還の決議を全会派一致で議決していただいておりますし、参議院においては五回決議をしていただいております。そういう決議を受けながら政府は積極姿勢をとっていなかった、ここに一つの大きな問題がある。こういうことで伊東外務大臣が、鈴木内閣になって、この国際連合の場でいわゆる国会決議を背景に国際世論に四島の一括返還を訴えてまいったというふうに私は理解をいたしておるのでございます。あくまでも国会の北方領土返還に関する全会派一致の御決議に基づいて政府は行動しているというふうに御理解を賜りたいと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 型どおりのことをやっていたところで何回やったって私は前進がないと思うので、そこであえてお聞きしたわけです。それは確かにあれだけの広大な領土を持っているソビエトなんですから、あんな千島の端っこの細かな島々をよこしたっていいじゃないか、単純に言えばそういう感情になりますよね、ところがそれがそう簡単にいかない。簡単にいかないのはなぜかということを掘り下げてみる必要があるのじゃないかと思うのです。国際世論に訴えるといってみても、どこの国も耳を傾けてくれなきゃ何にもならないわけだ。まず第一に当事国であるソビエト自身が耳を傾けるというような体制にならないことには、ソビエトが向こうを向いていて、ほかの国に対して国連の場面で幾ら一生懸命に力説してみたところで問題は前進しないのじゃないですか。そういうことを繰り返しているということは、これはまことにむなしい努力になってしまうわけです。だから、むなしい努力ではなくて、有効かつ適切な、効果のある方法は何であるか、それは所管である総理府長官の腕前でもあるということになるのです。その点を考えたならば、この問題を前進させるためにどうしたらよろしいというふうにお考えになるかということをこれまた再度お聞きしたいと思うのです。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私は担当の外務大臣ではございませんけれども、国際外交というものは、きょうがあすでなし、あすはあさってでないと、毎日変化をし流動するものだと実は考えて政治家として生きております。  かつて日中関係は非常に悪かった。そのときに野党の方々あるいは日中の民間交渉、こういうことのいろいろな努力を踏まえた上でやはり田中訪中ということになりまして、日中関係というものは意外な展開を見せてまいったことは御案内のとおりでございますし、ソビエト政府と日本政府の間も決して固定化したものではない、国際情勢の変化によって変化を起こす日が必ずやってくると。そういう中でやはりソビエト政府の理解を求め、協力を求めながらこの領土問題というものの解決を図るように努力をせなければならない、しかも、それが平和のうちに交渉を進める必要がある。先般来、学者の方々がモスクワへ行かれていろいろ領土問題についてもお話し合いがされたと新聞紙上で承っておりますが、私は、今後とも野党の方々も、あるいは民間の方々も政府も挙げてやはりこの問題については国会決議を背景に平和のうちに交渉を進めていくことが日本政府にとってきわめて大切なことであるというふうに信じております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 過日も外務大臣がいらっしゃいましていろいろ御質疑を申し上げたところでございますが、北方領土、現職の総務長官また外務大臣がいままでですともう任期ぎりぎりになりましてからお伺いするというところを精力的に訪ねられた、また現地のいろいろな陳情を受けられた、現状を視察なさった、こういうことで地元の方は大変に歓迎をいたしておるところであります。  きょうもいろいろお話がございました。時間もございませんので一つだけお伺いを申し上げたいと思うのでございますが、先ほどもちょっとお話ございましたが、根室地域の振興開発について総理から御発言があり、閣議で援助を許可することにしたというお話がございましたが、私も北方の特別委員会に所属し、また北海道におりましたので現地もよく存じておるわけでありますが、一万六千人という方がこちらへお帰りになりまして、月日がたつに従いましてだんだん老齢化していく。現在四千人ぐらいの方がお亡くなりになったという現状の中にありまして、北海道で旧島民の方が、もとお住まいになっていた方々がそれぞれの立場で歯を食いしばってがんばっておるわけでありますが、特に根室、あの周辺に多くの方がいらっしゃるわけですけれども、特にこの二百海里という問題が起きましてから漁業には大変な制約がございまして、ことしは根室地方も漁獲量もそう多くございませんで、大変に経済が疲弊しておるのが現状である。その点はよく御存じのことだと思います。今日までも、当委員会で私どももこの地域の振興のために漁業を中心としての対策を講ずべきことを訴え続けてきたところでございますが、政府もようやく何らかの施策をしようということのようでございます。今日まで北方協会を中心としまして国の十億の預託を中心にして何とか細々という感じであったわけでありますが、やはり根室地域の大きな開発が進みまして、そこに一つの希望というものが出てくる、地域の大きな発展がやっぱり北方返還に対する一つの大きなまた希望にもつながっていく。これは外務大臣もそのとおりで、そういう観点からもいろいろ検討したいというお話がございましたが、何といいましてもこの根室地域が疲弊をしておるようなことではやっぱり熱が上がらない。息の長いこれからの闘いを展開するということでありますが、外交は相手のあることでありますから、こういうことからいいまして、この根室地域の振興開発というのは実に重要なことだと思いますし、それだけに、私どもは、いままでのこういう北方協会を中心といたしましての動きからさらに大きく発展させていこうという政府の真剣な取り組みが今度のこういう施策にあらわれたのだと思います。各省庁でそれぞれいろいろな施策は考えてやっておるようでありますが、しかし、これはもう所管といいますか、中核になる省庁があって、そして物事を進めていくという形のものはいままではございませんでした。それぞれ農林省は農林省で何らかの施策を、開発庁は開発庁でやっておったんでありますけれども、ぜひこの根室地域の振興開発に当たりましては、そういうことで総合的な対策を講じていただきたい。  そこでお聞きをするわけでありますが、新聞等で私どもは閣議でこういう話があったということしかお伺いしていないのでありますけれども、この所管、どこの官庁が所管をいたしましてどういう形で話が具体的に進められていくのか。それからまた、この地域開発に対しての予算規模なり実施時期なり、そういうもう一歩踏み込んだ形で、現在検討されていることだけでよろしゅうございますが、ぜひお伺いをしたいものだと思うのであります。時間もございませんのでこれで終わるわけですが、ぜひひとつ強力に推し進めていただきたいということも要望いたしたいと思います。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 北海道開発庁を中心に、関係各省庁でこれから鋭意努力をしてまいるわけでございますが、細部につきましては政府委員から答弁をさしていただきます。

藤江弘一総理府北方対策本部審議官

○説明員(藤江弘一君) ただいま御指摘のように、地元から振興策についての強い要望が出されておりまして、総理からも先般の閣議で特段の指示があったということでございます。これにつきましては、ただいま御指摘ございましたように、所管が各省にまたがっております。したがいまして、十分な調整を図らなければいけないということで、その受けざらといたしまして開発庁あるいは総理府が音頭取りをいたしまして、大蔵等の財務関係、それから厚生、農林、建設の事業官庁等が構成メンバーとなりまして北方領土隣接地域安定振興対策等関係省庁連絡会議を構成いたすことになっておりまして、近くこれが発足する段取りでございます。また、ただいま御質問ございました予算規模等につきましては、この連絡会議で、ただいま地元から出ております要望等についてどう対応していくか、既存の制度等の中で処理できるのか、あるいは新しい手法が必要なのかどうかということについて早急に詰めなければいけないというふうに私ども考えている次第でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 では、私は沖繩問題にしぼってお尋ねをしたいと思います。  いま来年度の予算に向けて概算要求があって、各省庁とも大蔵との折衝がこれから始まるわけでございますが、来年度は、長官御案内のとおり、沖繩が本土に帰ってまいりまして十年目の歴史的な年であり、同時に沖繩振興開発計画の終了の年ということになっております。  そこで、まず最初にお尋ねをしたいのは、地元の沖繩県でも振興開発計画の推進状況を調査しているようでございますが、開発庁として、来年最終年度になりますこの開発計画の推進状況、これを最初にお示しいただきたい。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 沖繩振興開発計画につきましては、ただいま先生から御指摘のとおり、四十七年以降十年計画で現計画が策定され、それに基づきましてただいま沖繩の振興開発に鋭意努力をいたしているところでございます。御指摘のように、五十七年の三月をもって現在の計画期間が切れるわけでございます。その後の沖繩振興開発施策のあり方をどうするかという問題につきましては、私ども開発庁内に検討委員会を設けまして、本年の当初から現状それから問題点等の検討を行ってまいったわけでございます。それによりまして、なお多くの問題が残されておるということで、私ども開発庁といたしましては、やはり第二次振興開発計画が必要なのではないかという基本的な考え方に立ちまして、現在その検討を進めておるという状況にあるわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 推進状況をお尋ねしておるのですが、当然いまの推進状況から見て私も特別措置法を延長して第二次振興開発計画の策定をしなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、一番現在目立って立ちおくれている分野、これはどうとらえておられますか。    〔委員長退席、理事堀江正夫君着席〕

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 現在の振興開発計画におきましては、まず本土との格差是正ということ、それから沖繩が自立的発展をするための基礎条件の整備ということが二つの大きな柱になっておるわけでございます。これによりまして私ども種々の公共施設等の整備を進めてきたわけでございます。その結果、道路、空港あるいは上下水道、さらに公立学校等々につきましては順調に進展をいたしまして、おおむね本土との格差を是正し得る段階に来ておるものというふうに考えております。しかしながら、他方では沖繩におきまして、たとえば産業振興等につきましては四十七年当時の二次産業が非常にウエートが低く三次産業に偏っておるというような産業構造の問題あるいは雇用の問題、さらに最近の石油ショックに始まりますエネルギーの問題等多くの問題を現在なお抱えておるという状況にあるわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 いま御答弁がありましたように、産業構造を見ましても一つも変化しておらぬ。特に二次産業は全国最低で三次産業が全国最高と、こういう状況。やはりこの構造の変化も引き続いて目標を立ててやっていかないとならぬのじゃないか。また、一人当たりの県民所得も全国最低ランクという状況でありまして、ぜひこれは長官に御答弁をいただきたいのですが、いま事務当局から答弁がありましたが、現状から見まして、やはり第二次の振興開発計画というものを策定して、目標達成に努力をしなきゃならぬという状況であると私は思うのですが、長官の御所見はどうでしょうか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 中野委員のお尋ねのとおりでございまして、私も第二次振興開発計画の策定は必要であろうと考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 それでは、時間に制約を受けておりますので問題を変えまして、先ほど質問もございましたが、沖繩では米軍の基地が非常に多い。日本にある米軍の基地の半数は沖繩にあるということなのですが、過日も私は当委員会で総理がお出ましになったときに質問をしたのですが、米軍の演習による事故というのが沖繩に集中して多い。これは基地が多いからということもその一つかもしれませんが、とにかく続発しているというのですが、なぜ沖繩にそういうふうに演習による事故が起こるのか。これは施設庁ですか、外務省になりますか、どのように受けとめておられますか。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 先生御指摘のとおり、わが国に駐留する米軍の基地が沖繩には大変多うございます。また、それに関連いたしまして御指摘のような事故が比較的集中的に発生しております。正直に申し上げまして、私ども事故のたびに心を痛めているわけでございますが、米軍も米軍なりに私どもの指摘あるいは抗議、要望に対しまして安全対策というものをそれなりに講じているのが実情でございますが、残念ながら事故を完全に絶滅するに至っていないというのが率直な実情でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 部外者というのですか、私が感じますのは、どうも米軍の演習に対する態度といいますか、そこに気分的に、やはり十年たっているのですけれども、占領時代のそういう考え方がいまだにずっと尾を引いているのじゃないだろうか、そういう気がしてならぬのです。本土の基地では起こらぬような事故まで起こっているし、もうこの間ですわね、嘉手納から飛び立って、民間機が飛んでいる那覇空港へ不時着している。嘉手納と那覇といったら、飛行機でしたら恐らくわずか一分もかからぬのじゃないかというような気がするわけですけれども、そういうような事故が起こったりしているということは、やはり米軍は、いまだに占領下におったときと同じような気持ちで演習をしているのじゃないだろうか、そういうような気がしてならぬのですが、この点どうなんでしょう、抗議をなさったそれぞれの立場でどういうふうにお感じになりますか。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 航空機事故、その他砲撃、射撃等に関連します事故が事実起きております。私どもも事故の起きます際、また事故の有無にかかわらず、いろいろなレベルで、現地におきましてももちろんのこと、中央の施設特別委員会あるいは合同委員会等の席、それからそれ以外の公式、非公式の接触の機会をとらまえまして、米軍の事故防止について強く注意喚起はいたしております。それに対しまして、米側の方におきましても、事故防止に努力をしているのだが結果的に起きる、まことに申しわけないと。先月末のキャンプ・ハンセンにおきます山火事事故につきましては、米軍の方も異例のことではございますが、現地の海兵隊司令官が金武町長に謝罪文を出すというふうな事態が生じております。まことに残念でございますが、米軍も米軍なりに努力しているということは、私どもも承知しているところでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 いまキャンプ・ハンセンの問題が出ましたが、この山火事というのは、非常に私どもも遺憾に思っておりますが、その後の被害状況と補償の問題はどの程度まで進んでいるのですか。被害の状況とそれから補償の交渉の問題。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 先生御指摘の先月末のキャンプ・ハンセンの山火事でございますが、約百十ヘクタール、相当広範な延焼がございました。私どもはこの事態をまことに遺憾に存じておりますが、補償の問題につきましては、十一月の十日以降現地に係官を連日派遣いたしまして、現場の被害状況を調査しております。目下のところ、施設の周辺にも若干類焼が及んでいるやに承知しております。したがいまして、私どもとしては、施設区域中の立木等の補償につきましては、なるべく早期に被害実態を掌握いたしまして、中間補償と私ども申しておりますが、米軍の使用途中における補償措置を講じたいと思います。  なお、外におきます事故につきましては、    〔理事堀江正夫君退席、委員長着席〕 手続は別でございますが、地位協定十八条五項に基づく損害賠償の手続を別途早急に講じたい、このように考えておる次第でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 被害額は出ておりませんか。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 目下のところ被害実態調査に全力を傾けておりまして、まだ被害額の試算がいかほどになろうかというところまで掌握するに至っておりません。これも早急に掌握したいと存じております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 先日も総理が御答弁になりまして、県民の納得のいく解決をしたい、このように当委員会でも申されておりますが、私、それに関連しまして、御承知かと思いますが、今回の三全総でも、沖繩の「米軍施設、区域については、できる限り早期に縮小されるべきであり、特に、那覇市及びその周辺に広がる米軍施設、区域については、那覇市及びその周辺地域の整備を進める見地からも、その整理縮小を図る必要がある。」、このように述べております。やはり県民の納得を得るという上からも、米軍基地も、不必要と言えば語弊がありますけれども、県民の目から見て逐次縮小されてきている、どういうんですか、急を要さないというようなところはどんどん縮小し返還されている、こういう実情が出てきて初めて県民の皆さんも納得がいくのじゃないか、そういうような気がするのですが、三全総でうたわれておりますこの整理縮小の交渉はどうなっておりますか。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 先生ただいま御指摘の問題につきましては、過ぐる日米安全保障協議委員会におきまして、二次にわたりまして、沖繩の特に開発が促進されるべきであり、また、現にそういう問題が生じております中南部地区を中心にした米軍の基地群を逐次コンパクトのものに、嘉手納飛行場等を中心にいたしますところに集約移転の事業を私どもが年度計画に従ってやっているのが実情でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 見通しはどうなんでしょうか。大体この趣旨に沿って少しでも整理縮小される見通しがあるのですか。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 逐次、毎年度施設の返還が、リロケーション、つまり集約移転の事業の結果として行われているのが現状でございます。  なお、蛇足でございますが、現実に基地の使用とそれから周辺の公共目的の水道とか電力とか、そういったものの共同使用につきましては、また具体的なケースに応じまして現地あるいは中央で折衝し、共同使用という形での問題の解決も図っております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 次に問題を電気料金に移しますが、私、予算委員会でも長官に、沖繩の本年二回にわたる電気料金の値上げで、二月に四二・四%、九月には一九・一八%で、累計をしますと七一%、一年間に七一%の電力料金の値上げということで県民の生活なり開発計画に非常に大きな影響を与えたと、また与えつつあると私思っておりますが、これほど大幅な値上げをいたしまして、一体沖繩県の物価にどの程度の影響が出ているというふうにとらえておられますか。これは開発庁でも結構ですが、通産でも結構です。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 沖繩の電力料金の値上げがどのような影響を与えているのかという、特に物価に対してどの程度のというお尋ねでございますが、これをなかなか定量的に私ども把握するのは困難でございまして、そこのところの把握は十分にいたしてございません。ただ、大まかな方向といたしましては、電力を多消費しておる産業への影響はかなり大きいのではなかろうか。特に平電炉によります製鉄とかセメント、ソーダ等々の工業にはかなりの影響があるのではないか、このように考えておる次第でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 専門の経企庁でなければわからぬのかもしれませんが、物価には大変な影響を与えると私も素人なりに考えるわけです。特に結果から見まして、いろいろこれは計算の仕方があるやに聞いておりますが、電灯も沖繩の方々が本土でわれわれが電灯を使用しているのと同じ時間使ったとしたら、一キロワットアワー当たりの単価が最終的に非常に高くなる。これは事実のようでございます。そういうことから見ますと、県民の生活にストレートに、まず家計にはね返ってくる。同時に、その他電気を使う物価には全部はね返ってくるということは間違いない事実でありまして、そういう状況の中で沖繩の人たちの強い要望も出てきておりますが、長官も先日は閣議で決定された沖繩電力の民営への移行について、これは再検討の余地があるのじゃないかという意味の御答弁をなさいましたが、通産とも話し合ってということでございますが、通産省としては、そういう点をどのように見ておられますか。

堀田俊彦資源エネルギー庁公益事業部業務課長

○説明員(堀田俊彦君) 沖繩電力株式会社につきましては、御承知のとおり、昨年十二月末でございますが、離島を多く抱えている沖繩の実態に配意しつつ、諸般の措置を講じて民営移行する、その際、五十六年度末を目途として民営移行するということが閣議決定されておるわけでございます。この昨年末の閣議決定が行われる以前から、沖繩電力の将来のあり方としては民営へ移行する、本土の九電力と同じような形で電力事業を運営していくのがよかろうという方針でございまして、私どもも、これは資源エネルギー庁でございますけれども、現地の学識経験者を集めて沖繩電気事業協議会というものを設けまして、民営移行のあり方について御議論を願っておったところでございます。ことしの七月末その中間報告をいただきまして、この閣議決定、中間報告、それらを踏まえまして私どもとしては民営移行のための措置を講じていきたいと考えておるところでございます。その際、沖繩県民の意向を今後も引き続き十分伺っていくということ、それから政府部内におきましては沖繩開発庁その他関係省庁がございますので、十分御相談をしてやってまいりたいと考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 沖繩県知事の西銘さんから、この沖繩電力の民営移行について、五十七年以降も当分の間猶予していただきたい、こういう要請がそちらへも行っているのじゃないかと思うのですが、それについて、いまのお考えでは予定どおり民営に移行するのだ、こういうふうに受け取れるのですが、この点あなたは責任ある立場ではありませんので御答弁が無理かと思いますが、総務長官は通産省とある程度お話しをなさったと思うのですが、その辺の経緯はどうでしょう。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生の予算委員会での私に対するお尋ねでお答え申し上げましたとおり、この沖繩の経済と電気料金の問題は不可分の問題だと私は考えております。御案内のように、いま中城湾埋め立て計画を立てて企業誘致をする、そのために通産省もいわゆる援助をしているわけでございますが、本土と比べて電気料金が上がってまいりました場合には進出する企業がないという問題が一つの大きな産業構造への影響を含めた問題であろうと認識をいたしております。また、電力そのものにつきましては負債額が大体二百億円ぐらいになっておると見ておりますし、また石油専焼でいくこの電力会社の株を民営移行する際にどこかに買ってもらわないと民営移行することができないわけでありますから、その沖繩電力のほとんど九九・五%ぐらいが大蔵大臣が株主でおるわけでございますから、いわば国営の電力会社というふうに私どもは理解してもおかしくない。この株を幾らで買ってもらえるかという問題が一つございますし、株を買われる側にしては配当がどうなのかという問題もございましょう。そういう問題も含めまして、政府といたしましては、閣議決定がされておるこの民営移行の時期まで通産省と十分連絡をしながら、どういう処置をすればいいか、こういうことを検討してまいりたい、このように考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 地元の方でも、いま私が読み上げましたように、知事からのそういう要請も出ておる現況から見まして、十分これは——閣議決定ですから、確かにそれは決定どおりという一つの考え方は当然でしょうけれども、状況がこれほど大幅に変化してまいりますと、閣議決定もやはり検討をしていただく余地はあろうかと、このように思っておりますので。  それでは、時間がありませんので、もう一点、これは交通渋帯の解消の一手段として前々から私どもも指摘をしておりましたが、沖繩の那覇市に例をとりましても、大体本土の類似的な都市と比べてみて交通渋帯というのは大変なものでして、私どももときどき沖繩に参りますが、ラッシュにかかりますといわゆるバスレーンができて、タクシーとバスしか走れなくなって、目的地に行くのに間ならば二十分ぐらいで行けるところを外回り  一方通行をして行って一時間もかかる、こういう現状であります。その解消策として大量輸送機関のモノレールの設置ということはもう念願になってきました。これについて来年度予算で概算要求を出しておられるように聞いておりますが、見通しと、そしてどの程度のお考え、構想があるのかお聞きしたいと思います。

海原公輝沖繩開発庁振興局長

○政府委員(海原公輝君) 沖繩におきまして、いま先生のおっしゃいましたとおり、交通はもっぱら自動車に頼っておるわけでございますし、那覇市が非常に混雑している、こういうことも実態として存在しているわけでございます。そこで、私どもといたしましては、従来から国、県協力いたしまして、これを打開する方策として何が適当だろうかといろいろ調査をやってきたわけでございます。その結果といたしましてモノレールの導入ということが適当ではないだろうかということでございまして、私ども開発庁といたしましては、来年度の要求といたしまして一億要求しているところでございます。一億と申しますのは、何分にも初年度でございますので、主としてボーリングだとか予備設計とかいう経費に充てられるものでございます。  予算の見通しというお尋ねでございますが、一般の財政状況というのは御存じのとおりでございまして、まだまだ個々のものについてどうこうということよりも、むしろ財政当局といたしましては、全体のフレームをどうするか、こういう方に関心が移っておりますので、一般的に申し上げて厳しいことは事実でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 来年度から一応要求をなさっておるようでありますので、ぜひこれは実現をして、そしてその渋滞の解消をしないと、都市機能も麻律しているような現状であることは御承知のとおりだと思いますので、せっかくの努力をお願いしたいと思います。  それでは、最後になりましたが、対米請求権の補償について、土地関係、これが沖繩推進協議会と開発庁との話し合いがまとまったというふうに聞いておりますが、この経過をちょっと御説明いただけますか。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 対米請求権問題につきましては、地元の沖繩返還協定放棄請求権等補償推進協議会という団体がございまして、この団体から昭和四十九年から昭和五十二年にわたりまして請求を取りまとめましてその早期解決を要望してきておるところでございます。これに対しまして国といたしましては、関係省庁の連絡会議を設けるなどによりましてその解決に努めてきたところでございます。  まず、その請求事案のうち、漁業関係事案につきまして昭和五十三年度から予算措置を講じまして、本年度でその措置を終わった、それから人身事案関係につきましては、本年度予算を計上いたしまして、特別支出金を支給するためのただいま受け付けを行っておるところでございます。ただいま御指摘の残ります土地関係等の事案につきましても、地元の推進協議会の方から早急に解決してほしいという要望が出ておりまして、これらを一括して解決するということ、それから特別支出金につきましては、推進協議会が指定いたします公益法人に一括して支払う、こういうことで合意がなされたところでございまして、この合意に基づきまして私どもといたしましては来年度からこの予算措置を講じたい、このように考えておるところでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 合意ができたように私も承知しておりますが、県の要求額が九百九十七億三千九百万円ですか、十一万八千五百件、それに対して百二十億で五年の分割払いということで合意がされたというのですが、余りにも隔たりが大きいのですが、この状態で納得のいく解決になるだろうかという心配をするのですが、この点はどうなんでしょうか。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) この請求額と現在予算要求いたしております額との乖離につきましては、これまで地元とも種々折衝を行っておるところでございますが、これによりまして百二十億をもちまして予算要求をするということにつきまして合意を見たところでございます。これまた現在予算折衝中の段階でございまして、最終的には今後の折衝にまたなければならないものでございますが、基本的な考え方といたしましては、米軍による布令六十号によりまして米軍が返還前に種々の措置をとっておりますが、私どもそういった支払実績等を勘案いたしましてこの額を考えておるわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 団体の一括払いということになるのじゃないかと私も——そうですね、そうなるようになっております。そうしますと、西銘知事が県議会では、社団法人の一括支払い方式による補償はあくまで行政措置として行うもので、直接被害を受けた請求者の固有の権利は残るという見解を示しておるのですが、この点どうなんでしょう。一括払いをして合意された事案にいきますと一切の解決をするものであるというふうにうたわれているのですが、この知事の見解と合意とにちょっと食い違いがあるのじゃないかという心配をしているのですが、この点は知事の答弁どおりでよろしいのですか。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 沖繩県知事が議会でどういう答弁をしたかということの詳細を私ども承知いたしておりませんが、この対米請求権につきましては、私どもといたしましては、いわゆる政府が沖繩の返還協定におきまして放棄いたしましたものは、これは県民が有しますアメリカあるいは米軍に対します請求権に対します外交保護権を放棄したものであるという考え方に立っておりまして、日本政府が肩がわりしてこれに対して法律上の責任を負うものではない、こういう考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、請求者の方々が国に対して請求という形で要請をしてまいっておりますけれども、これに対する法的な支払い義務は国にはないのだ、こういう考え方でございます。ただ、沖繩が戦後非常に特殊な状況の中で四十七年に本土に復帰をした、こういう特殊な状況を勘案いたしまして、政府といたしましては、これに対して適切な措置をとる、こういう考え方をすでに明らかにしておるところでございまして、それに基づきまして私どもといたしましては特別支出金を支給したい、このように考えておるところでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 もう一度確認しますが、私がお尋ねしているのは、団体の一括払いになってしまって、結局個々の請求権というものが失われてしまうのじゃないか、知事はその点について県議会で、この一括支払い方式による補償はあくまで行政措置として行うのであって、直接被害を受けた請求者の固有の権利は残るという見解を示しておるのですが、この点についてのあなためお考えを聞いているわけです。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) お尋ねの趣旨、あるいは必ずしも正確にとらえていないかとも思いますが、先ほども申しましたように、個々の請求者が有します米軍あるいは米国に対する請求権といいますか請求といいますか、そういった実態をここで奪ってしまうものではないということは御指摘のとおりであろうと思います。これに対しまして、日本政府といたしましては沖繩の返還協定におきまして外交保護権を放棄した、こういう関係にございますので、そういった経緯、それから沖繩の特殊事情等を考慮いたしまして私どもが現在考えておりますのは、いわゆる見舞金的な性格を持った特別支出金を交付しよう、こういう考え方で現在おる、こういうことでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 もう一点だけ。  先ほどおっしゃいました請求権の人身事案で、わが党の二宮委員が当委員会で質問をした際に問題になりました被害者に対する支出金の支払いにおける支給基準づくり、これがおくれているということでしたが、結論が出るように努力するという旨の答弁が出ております。支給基準というのはそれぞれ明確になったのですかということなのですが、その具体的な状況、これをお知らせいただきたい。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 人身事案につきましては、本年度予算に計上されまして、ただいますでに請求の出されましたもの以外に請求漏れがあるのではないかという、できるだけ請求漏れのないように該当者を救済したい、こういう考え方のもとに現在新たな請求の受け付けを行っておるところでございます。その見舞金の積算の基準につきましては、おおむね講和前のものにつきまして、すでに防衛施設庁におきまして同様特別支出金の支給がなされております。そういった際の基準等々を勘案いたしまして一定の基準を設け、これを交付することといたしておる次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先月二十九日のキャンプ・ハンセンの米軍の演習中に発生した山火事の問題です。先ほど同僚議員からも質問があったのですが、関連してお尋ねしたいと思うのです。  これは二十九日に山火事が着弾地から発生して明朝直ちに消火を依頼したけれども、事実上米軍が消火についたのは火災が発生してから三日目だった。それも何といいますか、新聞の報道によりますと、ヘリでタンクで水を運ぶという事実上焼け石に水のような消火態勢しかほとんどとられていない。結局、消火に至ったのが四日目。これだけの期間、こういうふうな火災が起き、民間地にも延焼するとか水源地にも影響を与えるとか、いろいろな被害が出てきたわけですが、このような山火事が起こった原因はもう明白ですけれども、なぜ四日間も消火されなかったのか、一体どこに問題があったというふうにお考えになっておるか、まずその点からお尋ねします。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 防衛施設庁も今回のキャンプ・ハンセンにおきます山火事が広範囲に及びましたことについて大変遺憾に思いまして、原因について種々調査をいたしました。その結果火災は当初二十九日の十六時三十分ごろ、レンジ六と申しておりますが、屋嘉方向から対戦車砲の射撃による火災がまず発生いたしまして、次いで翌日の三十日の十三時五十分ごろ、レンジ九と申しておりますが、名護方向からの機銃弾の射撃により発生して数ヵ所炎上したということでございます。私どもとしては、火災発生後、現地の状況から申しまして下草等がかなり枯れている状況でございますので、沖繩現地が。したがいまして、大火災になっては大変だということで、現地米軍に対しまして、あるいは地元の自治体の要請も受けまして、防火態勢を米軍が早急にとるようにという要請をいたしました。米軍の方も要員六十名、それから消防車六台等を待機させまして、類焼防止の監視態勢をとったわけでございますが、火災の発生の場所が、つまり着弾地付近から発生いたしまして、不発弾が相当多数あるという状況から危険でその中まで入って消火活動を行うことができないという状況がございまして、しばらく火勢のおさまるのを周辺から監視し、類焼防止の対策をとってきたわけでございますが、火災がますます広がるという状況でございましたので、立木先生御指摘のような形で、米軍の方のヘリコプターの措置をとりましたし、それからまた、火勢のひどいところは地上で待機しました海兵隊員六十名が手分けいたしまして類焼防止の措置をとりました。しかしながら、当時の気象条件からしてなかなかおさまらないために、最終的には沖繩県知事からの災害派遣要請ということをもちまして、自衛隊機による空中からの消火剤の散布というようなことも相まちまして、御指摘のような形で四日目にやっと鎮火した、こういう次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 お聞きしていますと、米軍は米軍なりにそれなりに努力したと、施設庁としてもそれなりに努力をし、また知事の要請を受けて努力をして、何か不発弾があって危険だからやむを得ない方法しかとれなかったというふうに聞けるわけですよね。私はやっぱりそうではないだろうと思うのですよ。四日間もそういうふうな山火事が続かなければならなかった原因はそれはそれなりにあるだろうと思う。一九六九年に、これはもちろん沖繩が返還される前ですけれども、同地域において三町村に及ぶ大変な山火事があったですね。あの地域がほとんど焼けるという大変な規模の山火事でした。その後、沖繩が返還されて後も米軍の演習場においては、こういう大規模な山火事には至らないまでも、地元の人々のお話によりますと、そういう演習が行われるたびにいろいろな火災に近い状態というのが発生しているということを目撃しているという話を聞くわけです。そういうような問題について、施設庁としては、沖繩が返還後、たとえばこのような基地内における米軍の作業を行っている中で安全がきちりと守られるようにしなければならないという問題で、米側とこういう問題をテーマとして取り上げて申し入れをしたようなことがあるのかどうか、あるとすればどういう時期にどういう形で申し入れをしたのか、それに対して米側としてはどういう対応をするというふうに言ってきたのか、その経過について説明してください。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 経過につきましては数限りなくございます。率直に申しまして、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブあるいは嘉手納飛行場等々と、いろいろな形で沖繩におきます米軍の演習、訓練飛行によりまして事故がかなり発生している。私どもは、そういった事故の発生の都度、また発生をしない状態の間におきましても、ふだんの私どもの業務上の接触を通じまして米側に口を酸っぱくして安全対策というものを申しております。  先生御指摘のとおり、地位協定三条三項には、施設区域内における米軍の作業は公共の安全に妥当な考慮を払わなければいけないというふうに明記されておりますし、沖繩がああいった沖繩の県民の民生といわゆる米軍の基地との間の調和と申しますか、摩擦と申しますか、そういったものを極力解消する努力は私どもなりにやっておるつもりでございます。ただ、事故を完全に絶てないのがまことに残念でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 繰り返しそういう問題については話し合いをし、また議題として取り上げて申し入れを行ってきた、しかし、現実にはそれが守られていなかったというようにとれるわけですね。先ほどの説明の中にも出ておりましたけれども、不発弾が存在していたというふうなことが消火を妨げる一つの要因だったように述べられましたが、これは沖繩の新聞ですけれども、今月の二十三日の新聞で「金武演習場 人が入り込むには危険 不発弾ゴロゴロ」と、現地に入ったあれで、「着弾地は大小の不発弾がゴロゴロ、人が入り込むにはあまりにも危険な地帯だった。」という書き出しで始まっている状態ですね。これは世界でも、軍隊等が演習をする、その場合に生じる不発弾についてはどのように処理するか、いろいろなそれぞれの国において取り決めがあると思うんですね。だけれども、現実にこうした不発弾がごろごろ存在するような事態というのは、正常な状態だというふうにお考えになるのかどうなのか、その点どうです。

梅岡弘防衛施設庁総務部施設調査官

○説明員(梅岡弘君) 私どもも世界各国におきます各国の軍隊がそれぞれの演習場におきまして射撃等を行った場合に、不発弾の処理につきまして完全につまびらかにはしておりませんが、演習場の安全管理に必要な範囲につきましては不発弾の処理をそれなりにやっているというのは当然だろうと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それなりにやっぱり安全の管理は行うという御答弁ですが、これは実際そうだと思うのですね。あの戦争中における不発弾がいまでもそのために事故が起こって、人命に損傷を与えるだとか被害が生じるだとかというのが現実に存在しているんですよ、あのいまいましい第二次世界大戦のあの状況下における不発弾によって。これがいまアメリカが自分たちが基地の使用が認められているからといって安全管理をしないで、日本の領土だからといって、不発弾がたくさんごろごろしている。いずれ日本はこれを返してもらう、日本の領土なんですから。そういう事態になったらこれは危険な状態が各地に存在するというようなことにならざるを得ないわけですよ。こういう問題というのはやはりきちっと考えてもらわないと困るわけですね。  長官お帰りになったから、その点で御答弁願いたいのですが、先ほど言いましたように、米軍が行った演習によって山火事が生じて民有林に延焼する、あるいは水源地にも影響を与えるというふうな事態が発生した、米側も謝罪したそうでありますけれども、こういう演習場というのは沖繩にも大変あるわけですね、射爆場等々。それから、いま申し上げましたように日本の領土に不発弾がごろごろしているという、これはきょうの二十三日付の新聞にちゃんと書いてあるわけですから、現地に行った人の取材として間違いないだろうと思う。こういう状態というのは私は大変なことだろうと思うのですよ。やはり自分たちの領土が、子孫に語り継がなければならない領土にこういう不発弾がごろごろしているような状態、いまだに第二次世界大戦当時の不発弾によって人命が傷つけられるというような状態まであるというふうなことを考えるならば、こういうふうなことについては毅然とやっぱり取り締まらなければならないことだろうと思うのです。ましてや、あの地位協定の三条三項によって米軍の施設、基地内における作業にも安全を考慮しなければならないということが明確に規定をされているわけですね。そういうことも考えに入れて、さらには地元の人々から要望として出されている点、これはもう御承知かもしれませんけれども、たとえば被害を完全に補償する、基地公害を排除する、防火体制が確立されるまで実弾演習の中止等々が地元の人たちから申し入れられているというふうな状況にあるわけです。  こういう実態を踏まえて、長官としてどのように対処されるのか、この点について最後に長官にお尋ねしたいのです。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の今回の山火事の発生及び演習場の不発弾の問題等につきましては、私ども大変遺憾に存じておることでございまして、今後こうした問題で県民の皆様に不安が生ずることのないように、米軍関係当局と十分連絡をとり、慎重な行動をとるように要請をしてまいりたい、このように考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それじゃ次の質問に移りますが——外務省。  沖繩の新聞で、これはもうお読みになっているだろうと思いますが、「化学戦争で一斉に訓練嘉手納空軍基地」という報道がありました。そして「戦闘員は防毒装備」をやって「沖繩に化学兵器貯蔵か」といり見出しが出されております。そして「毒ガス防御服を着てタイプを打つ嘉手納基地の兵士」という写真までちゃんと掲載されております。その記事の内容を見ますと、最近回答があったそうですが、繰り返し質問をしたのに対しても、一ヵ月間関係機関の許可がおりてないといって回答を避けてきたという状況が報道されています。また「米軍の前線部隊が化学兵器を保持しているのは常識といわれ、同基地の部隊が化学兵器を保持しているのではないか−という疑惑も消えない。」という形での報道があります。この「化学戦争で一斉に訓練」をしたという事実を承知されているのかどうか、まず事実関係からお尋ねします。

栗山尚一外務省北米局審議官

○説明員(栗山尚一君) 本件につきましては、米側に照会いたしました結果、沖繩にございます米空軍において、毎週一回米空軍の要員が化学戦争の防御訓練を実施しておるというふうに回答を得ておりまして、その旨承知しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この問題については、私たちの同僚議員が何回かいままでも取り上げてきた問題でもあるわけですね。これは一番最初に指摘しましたのは、米空軍の第四百弾薬整備部隊が七二年八月の二十七日から九月の二日分までにわたる週間整備スケジュールの一覧表、これは米側の資料ですが、その一覧表の中に七月一日の検査分として、MC1七百五十ポンド毒ガス爆弾が挙げられているわけですね。その貯蔵が決定的ではないかというお尋ねをしたときに、当時の外務省側の答弁としては、これは模擬弾という回答があった。これを信頼する以外にないというふうな答弁があったわけですが今回このような化学戦争で一斉に訓練が嘉手納の空軍基地で行われているというふうな事態については、私は、やはり重視して、もうすでに沖繩の関係者の中からは大変な事態になる、現実に化学兵器が存在するのではないかというふうな疑惑も出されている点もあるので、外務省の方としては、米側に直ちにこの毒ガス化学兵器の貯蔵の有無についてきちっと照会をして明確にさしていただきたいというふうに思いますが、そういうふうなことをおやりになるお考えがおありになるかどうか。

栗山尚一外務省北米局審議官

○説明員(栗山尚一君) ただいま御指摘の点につきましては、外務省の方といたしましても、従来からアメリカ側は沖繩には化学兵器は貯蔵していないということを申しておりますが、今回の件に関連いたしましても、私どもの照会に対しましてアメリカ側からは一切化学兵器は貯蔵していないという返事を得ております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 結局、現実に自分の目で調べるということができなくて、相手側の回答だけによるわけですよね、事実存在していないかどうかということを問題にするのは。前回の場合でも、これが明らかに米軍の資料によって、現実に七百五十ポンドの毒ガスが、MC1が存在するという事実の一覧表が出されたにもかかわらず、結局、米軍を信頼する以外にはないという答弁しか得られなかった。こういう事態が沖繩にあるということは私はきわめて遺憾なことだと思うのですよ、繰り返しですね。  それで、最後になりますけれども、長官の方にとりわけ要請し、また長官のお考えもお尋ねしたいのですけれども、沖繩と言えば基地問題を除いて——除いてと言ったら語弊かありますが、基地問題というのは沖繩県民にとって重大な関心事の一つですね。これはただ単に沖繩の県民だけの問題ではなくして、日本の国民全体にとっても、日本の領土の一部である沖繩に存在しておるこの基地がどうなるのか、そのことが日本の本当の平和と安全にどういうかかわりがするのか。現実に住んでおる沖繩の県民自身がそのことによって常に不安を感じなければならない、あるいは騒音等々で生活に影響を受ける、こういう深刻な事態があるわけですね。こういうような米軍の基地から生じるいろいろな問題、私たちは、これは完全に基地を撤去すべきであるという主張をしておりますけれども、それは長官がさよういたしますというふうに御答弁をいただけるわけがないと思うので、当面、長官がお考えになっておる、この基地に対してどういうふうな考え方で今後臨もうとしておられるのか、最後に長官の所見を伺って私の質問を終わります。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 御指摘のとおり、外国の軍隊の基地がこの独立国にあるということにはそれなりの理由が存在するということは御認識のとおりであります。私どもといたしましても、基地は提供しておりますけれども、できるだけ不必要な部分については基地の撤去を求めていくということで今日まで米側と交渉し、ある程度の実績を積んでまいったというふうに考えております。今後ともそのような方針で進んでまいりたい。しかし、最小必要限のものはこれは認めざるを得ないという従来の政府の方針に変わりはございません。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 中山総務長官にお聞きをしてまいりますが、鈴木内閣として北方領土返還をどのようにして実現させようとしているかということなんです。  沖繩のときは、当時の佐藤総理が沖繩に参りまして、沖繩返還が実現しない限りは戦後は終わっていないのだというあの有名な演説をなさって、その努力をされたわけですが、それで実現いたしました。これはもう本当にりっぱなことで、私も戦後の歴史をずっと分析しましても、政治が前面に出てリーダーシップをとったというのは、どうもあのときだけじゃないかと思うのです。あとはもういつもむしろ経済が前に出て、政治はそれを後から追認をしておったというのが日本の歴史だと思うのです。ところがこの北方領土になると、その佐藤総理のような勇気ある発言をし行動をしたという総理はまだだれ一人もおらないわけです。幸い鈴木内閣になって外務大臣も早速行かれましたんですが、鈴木総理としてそのようなことをお考えになっているのかどうなのか、鈴木内閣として北方領土返還についてどのようなお考えを持っているのかということをお聞きしてまいります。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 鈴木内閣としての外交姿勢のお尋ねでございますけれども、鈴木内閣といたしましては、先ほども申し上げましたように、過去たび重なる国会決議を背に受けまして、さらに国民の声を受けながらソビエトに対して北方領土の返還を要求してまいる、そういう基本姿勢から国連の総会における伊東外務大臣の北方領土返還要求の演説がなされたというふうに御理解をいただきたいと思います。また、ソビエト連邦というような大国との交渉でございますから、御案内のように、わが国はいわゆる軍事力というようなものはソビエトに比べるともう問題にならないような弱小国であります。事は解決のためには外交以外の方法はないと政府は考えております。政府が外交を進めてまいるという背景にはやはり国論の統一と国民の願望というものが結集して初めて外交には力が出てくるというふうに考えております。いまお尋ねの総理の北方領土視察につきましても、総理自身、きわめて適当なときにぜひ自分は視察を行いたいという御意思をお持ちでございますこともこの機会に申し上げておきたいと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 それじゃ、総理がいつごろ行かれるかということはわからないけれど、そう遠くない時期を見て、半年も一年も先ではない範囲でもって行かれるというふうなごく大まかな判断をしてよろしいでしょうか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 総理の具体的な日程等について申し上げる立場にございません。ただ、総理のお気持ちとしては、できるだけの機会をつかまえて参りたいというお気持ちを持っていらっしゃいますが、御案内のような激しい政治日程でございますので、そういう時期がいつになるかということをきょう申し上げる立場にはないということで御理解をいただきたいと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 長官、できるだけ早く実現をされるように閣議やその他の場で御努力をいただきたいと思います。やはり総理が行くと行かれないではかなり現地の状況も変わると思いますし、そういう点を要望します。  次にお聞きしたいことは、いまも長官が言われておりますように、何といっても外交でやるしかない、その外交をやるにはバックに国論の統一が必要なんですということをお答えになったのですが、私もそう思うわけなんです。それで、国民の世論の結集ということがそういう点に立つとなかなか十分じゃないと思うのです。労働組合でも、同盟なんかもやっている、私ども民社党もかなりやっておりますけれども、国民世論そのものが全体にということになりますと、特にもう関西なんかに行きますと余り関心がないような——北海道とは条件が違うんです。総務長官も北方領土の日を設定するということの御決意のほどを、別な委員会でですけれども、お述べになったり、そういうことをいろいろ新聞で私たちも受けているのですけれども、国民世論を喚起する上において、具体的にどういうことをおやりになろうと考えているのか、そして盛り上げようとしているのか、その辺の具体的な何かあったらお聞きをしたいのです。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 政府は、各県に北方領土返還の推進委員会というものをお願いしておりますし、また県民会議というものが各県で編成されつつあるということでございますが、具体的な数字につきましては政府委員から答弁させていただきます。

藤江弘一総理府北方対策本部審議官

○説明員(藤江弘一君) 現在のところ、北方領土問題に対する国民の関心というものは近年着実な盛り上がりを見せておると考えております。署名数からいたしますと、たとえば一千八百万人を超す署名運動、過日の特別委員会にも提出されたとおりでございます。また、都道府県や市町村議会におきましても大多数が決議され、また、返還要求大会等が各地で力強く展開されているところでございます。しかし、御指摘のように、まだまだ必ずしもこの運動に対する理解が十分でない地域のあるのも事実でございます。したがいまして、私どもは、その展開のための足がかりといたしまして、ただいま長官が申されましたように、各県における地方組織の整備をまず充実させたいというふうに考えているわけでございます。推進委員につきましてはすでに各県とも設置済みでございますが、民間団体のエネルギー等を結集しました形での県民会議の結成は現在までのところ十数県しか結成されていないという段階でございます。これを私どもとしてはできるだけ早く、できれば年度内にも全県において結成されるような促進のための活動を進めたいと考えているわけでございます。  また総理府としての広報といたしまして新聞、テレビ等の各種媒体による広報を重点的に実施するということ、またパンフレット等の大量配布によりまして地域住民のすみずみまで行き渡る広報活動を展開するというふうなこと、さらには従来から提唱いたしておりますが、北方領土を目で見る運動、これをより一層強力に国民に呼びかけまして、一人でも多くの国民に自分の目で北方領土を確かめてもらうようにいたしたい。そのためには、現地での啓発施設の整備というふうなものについても努力いたしたい、かように考えているものでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 予算的にはどのくらい用意をして、いろいろそういう啓発運動をやっているのですか。最近テレビなんかでいろいろおやりになっているのも私も見ていて、いいことだなと思っているのです。しかしながら、現実に北方領土のあそこに行って、あの現地を見たという日本人はごくわずかなのです。あそこへ行ってあの現地を見れば、本当にだれもがソ連に向かって声を大にして、わが日本の固有の領土なんだ、返してくれといって叫びたくなると思うのです。ですから、その辺のところが、いまも千八百万からの署名があるといっても、これはほとんど北海道の署名なんで、日本全国からのあれじゃないのですから、そういう点に立ったときに、これはもう民間がもっともっとやるということも必要だと思うのだけれども、政府の立場に立っても、先ほど総務長官が言われたように、やはり何だかんだと言って世論が沸き上がってきて、国論が結集をしてそれをバックにして、おまえたち何をもたもたしているのだといって、政府なり外務大臣のけつをたたくぐらいになってやっと向こうにもある程度のプレッシャーがかかるのだから、そういう点に立てば、よほどのことをやらなければまだまだ十分ではないので、多くの国民があれはもう北海道の一部の人たちだけのことなんだという認識があることは事実なのです。ですからその点を考えて、もうちょっとその辺のお答えをいただきたいのです。

藤江弘一総理府北方対策本部審議官

○説明員(藤江弘一君) ただいま御指摘いただきました予算の規模等でございますが、これは一つの系列といたしまして、総理府広報室におきましての広報予算の枠内での重点的運用というものが一つございます。これにつきましては広報室の所管でございますが、私どもから言いますと、大変なウエートを占めていただいているものというふうに考えているわけでございます。もう一つの柱といたしましては、私どもの実施機関といたしまして、北方領土問題対策協会というものがございます。これに予算を流しまして、先ほど申しました啓発のためのもろもろの措置を講じているということでございます。ただ、その規模につきましては、端的に申し上げまして、現在の要請に対応いたしましては余りにも少ないというふうな御指摘もいただこうかと存ずるものでございます。したがいまして、私どもとしましては、今後できるだけその拡大、したがいまして運動の強化に全力を尽くすようにいたしたいと考えております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 わかりました。  じゃ次に、長官、十一月十四日の閣議で鈴木総理が北方領土の未解決に伴う根室地域の振興策について指示をして、これを受けて北方領土隣接地域安定振興対策等関係省庁連絡会議ですか、新設されたわけなのですが、目的は、といってもこれはわかったようなものだけれども、もうちょっとその辺、どういう目的を持って具体的にどういうことをおやりになろうとしているのかというその辺をお聞かせいただきたいのです。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) お尋ねの総理の閣議発言における北方、特に根室地域及び周辺の方々への援助策というものの強化につきましては、先生御案内のように、北海道開発庁を中心に十省庁が連絡会議を持ちまして、鋭意いま具体策を詰めておる最中でございます。いままで、引き揚げられた島民の方々への金融助成とか、いろいろございましたが、さらにその予算枠等もこれから増額を要求してまいりたいと考えておりますが、その件につきましては政府委員から細かく御説明を申し上げたいと思います。

藤江弘一総理府北方対策本部審議官

○説明員(藤江弘一君) ただいま御指摘ございましたように、関係省庁におきまして連絡協議会を構成いたしまして、ただいま道あるいは根室地域から出ております要望につきまして、これに対しましてどう対応するかという具体策を検討するということになっているわけでございます。  現在要望として出ておりますのは、たとえば水産業等の基幹産業の振興策のための諸措置あるいは基幹交通網の整備、あるいは教育、福祉施設等の整備、さらにはそれらについての地方公共団体に対する特別の財政措置等の要望が出されているわけでございます。これに対しまして、各省におきまして既存の制度にどうはめ込んでまいるか、あるいはまた新しいシステムが必要であるかどうか、またそれが可能であるか等につきまして鋭意検討を進める所存でございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 それじゃ長官、最後に、もう先ほどもいろいろ御答弁を聞きましたので、それで北方領土の日を設定したいというその御決意のほども、いつにするかは私とやかく言うあれじゃないのですけれども それもぜひ実現をしていただきたいし、そういう点でもって長官としての北方領土返還への御決音心のほどをお聞きして終わります。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生お尋ねの北方領土返還の運動につきましては、私どもあくまでも民間関係団体の御意見を十分お聞きした上で、最終的に北方領土の日の設定もしなければなるまいと考えておりますが、あくまでも国論の流れというものは大切にしてまいりたい、このように考えております。そして返還につきましてはあくまでも平和的にお返しを願うように外交交渉を展開していく、国際世論に訴えていく、こういうような努力をしてまいりたいと考えております。  たまたま本日は沖繩におきまして北方領土返還の県民大会が開かれておりまして、佐藤副長官が出席をいたしております。随所で行われる返還運動につきましても、それぞれ私ども関係の者が出向きまして皆様方の声を受けて努力をしてまいりたい、このように考えます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 終わります。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度といたします。  速記をとめて。    〔午後五時十二分速記中止〕    〔午後五時四十一分速記開始〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 速記を起こして。  この際、堀江君から発言を求められておりますので、これを許します。堀江君。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 私は自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラグの共同提案に係る北方領土問題等の解決促進に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     北方領土問題等の解決促進に関する決議     (案)   今日まで、北方領土問題解決促進に関する国会決議が再三行われてきたところであるが、いまなお解決をみないのは、誠に遺憾である。   よつて政府は次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一、北方領土の早期返還の実現を促進するため、諸行事等の設定などを検討すること  一、北方地域旧漁業権者等及び北方領土元居住者等に対する救済援護措置を拡充すること  一、北方領土隣接地域の振興のための強力な措置を講ずること  一、北方領土におけるソ連の軍事的措置の撤回を要求し、北方領土の早期返還をはかり、平和条約を諦結して日ソ間の安定的平和友好関係を確立すること   右決議する。  以上でございます。何とぞ御賛成くださいますよう、お願いいたします。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) ただいま堀江君から提出されました北方領土問題等の解決促進に関する決議案を議題とし、直ちに採決に入ります。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  本決議に対し、中山国務大臣から所信を聴取いたします。中山国務大臣。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分体しまして、今後とも引き続き北方領土問題の解決促進、北方対策のために努力をしてまいる所存でございます。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) これより請願の審査を行います。  第二〇九三号北方領土復帰実現に関する請願を議題といたします。  まず事務局から説明を聴取いたします。桐澤室長。

桐澤猛安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会調査室長

○参事(桐澤猛君) 今国会本特別委員会に付託されました請願は、お手元の資料のとおり、第二〇九三号北方領土復帰実現に関する請願一件でございます。  その趣旨は、日ソ平和条約締結交渉に当たっては、わが国がソ連に返還を求めている固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の北方領土の祖国復帰を実現することが全国民の総意であるとの民意を国政に強く反映されたいというものであります。  以上でございます。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) ただいま説明のありました請願につきましては、先ほど理事会において協議いたしました結果、採択すべきものと意見が一致いたしました。  理事会協議のとおり、本請願は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国の安全保障に関する諸問題並びに沖繩及び北方問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中に委員派遣を行うこととし、その取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会      —————・—————

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