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93回国会参議院1980/10/24

安全保障及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第2号

発言数
373
登壇者
27
会派数
7
開催日
1980/10/24

会議録

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) ただいまから安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨二十三日、野田哲君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国の安全保障問題に関する件の調査のため、来る十月三十一日午後一時に参考人として、三菱電機株式会社顧問白川元春君、憲法擁護国民連合代表委員遠藤三郎君及び京都産業大学教授漆山成美君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、国の安全保障に関する諸問題並びに沖繩及び北方問題に関する調査を議題といたします。  第九十二回国会閉会中に本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員より報告を聴取いたします。衛藤征士郎君。

衛藤征士郎自由民主党・自由国民会議

○衛藤征士郎君 去る八月五日から七日まで三日間にわたり、原委員長、堀江理事、瀬谷理事、宮崎委員、神谷委員、中村委員、秦委員と私の八名は、北海道を訪問し、北方領土問題及び自衛隊の業務運営の実情を調査してまいりました。  今回の調査において、私ども一行は、北方領土問題につきましては、地元住民の生の声を聴取するため、根室市、羅臼町、標津町の三カ所において、現地の当局者及び関係団体の代表者多数と懇談する機会を持ったのでありますが、この懇談を通じて現地側から、北方領土早期復帰に対する悲願と復帰遅延に伴う深刻な諸問題について切実な訴えがなされたのであります。  また実際に、陸上自衛隊のヘリコプターに搭乗して、納沙布岬上空から北方領土を展望するとともに、根室から海上保安庁の巡視船「きたぐも」に乗船して、根室海峡の中間線付近を航行し、ソ連の監視船を間近に見ながら、羅臼までの間、国後島の山並みや海岸線を指呼の間にながめてまいりましたが、この視察により、元居住者を初めとする現地関係者の厳しい生活の一端を感じとることができたのであります。  自衛隊の業務運営につきましては、航空自衛隊第二十六警戒群根室分とん基地におきまして、業務内容の説明を聴取しレーダーサイトを視察したほか、釧路の陸上自衛隊第二十七普通科連隊において、第五師団長から北海道の陸上自衛隊の配備及び第五師団の状況説明を聴取いたしました。  各地で受けました要望等のうち、ごく主要な点を申し上げますと、北方領土復帰促進に関しましては、現地側は、北方領土のソ連軍事基地化の現実をも踏まえ、強力な対ソ外交交渉を展開するため、まず、国論を統一すること並びに総理大臣及び外務大臣の現地視察の実現を熱望しております。また、領土復帰運動の高揚を図るため、啓蒙活動費に対する国の財政援助、並びに学校教育及び社会教育の場における北方領土教育の実施を要望しております。  領土問題が解決されるまでの措置としては、北方領土元居住者等に対する援護対策の拡充強化、すなわち、旧漁業権者に対する内地における旧漁業権補償に見合う救済措置を講ずること、根室地域の産業経済の振興と民生の安定を図る諸事業に対し国が手厚い財政援助措置を講ずること、元居住者等の権利の次の世代への継承を認めるよう法改正を行うこと、昭和五十一年より中断されている北方地域への墓参の再開等を強く望んでおります。  このほか、昭和五十二年以降休漁のやむなきに至っている貝殻島周辺海域におけるコンブ漁業の再開を図るため、民間協定の早期締結、並びに領海十二海里設定以降失われた羅臼地区における国後島三海里沖合い漁業権益の回復について配慮されたいとのことでありました。  次に自衛隊関係について申し上げますと、本地域が寒冷、積雪地でありますので、隊員管理の基本的要素である隊舎等施設の整備に特段の配慮をすること、各種装備の近代化及び定数の確保を図ること、隊員特に士の階級の充足率を一層充足すること等の要望がございました。  第五師団におきましては、厳しい自然条件及び必ずしも十分とは言えない装備及び人的条件の中で、道東第一線部隊としての自覚のもと、日夜、厳しい訓練を追求し、精強な部隊を練成するよう精進しているとのことでありました。  以上をもって簡単でございますが、報告を終わります。  なお、別途、詳細な報告書を委員長に提出いたしますので、これを本日の委員会会議録の末尾に掲載するよう、委員長においてお取り計らいくださいますようお願いいたします。  以上でございます。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 以上で派遣委員の報告は終わりました。  なお、ただいま報告がございましたが、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、伊東外務大臣、大村国務大臣及び中山国務大臣からそれぞれ所信を聴取いたします。伊東外務大臣。

伊東正義自由民主党外務大臣

○国務大臣(伊東正義君) このたび、参議院において、安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会が発足を見ましたことは、わが国の安全保障問題について広く関心が高まりつつある折から、まことに有意義かつ時宜を得たものであると存じます。この機会に私の若干の所感を申し述べたいと思います。  戦後の国際政治・軍事情勢は、基本的には米ソを中心とする東西関係を軸に推移してきましたが、近年においてはソ連の一貫した軍備の増強及び第三国への進出等により不安定化の様相も見られます。また、インドシナ、中東等の地域において対立と抗争が続くなど不安定要因が増大しており、全体として国際情勢は厳しいものとなっております。このような厳しい国際環境を背景として、わが国の安全保障問題に対する国民の関心はとみに高まってきております。  国際社会の平和と安定に、当面、最も深刻な影響を及ぼしつつあるのは中東情勢であります。在イラン米大使館人質事件、ソ連のアフガニスタン軍事介入に加えて、最近ではイラン・イラク紛争が本格的な軍事衝突にまで拡大しております。同軍事衝突は、その発生以来すでに一カ月を経過しましたが、世界各国の努力にもかかわらず、いまだ停戦の道は開けず、長期化の様相を呈しています。わが国としては、戦闘が一日も早く停止され、紛争が平和的に解決されることを強く希望しており、また、わが国として果たすべき適切な役割りを探求しているところであります。  中東は国際政治及び世界戦略上最も重要な地域の一つであるのみならず、わが国を含む世界経済全体は、同地域において産出される石油に大きく依存しております。今日の国際関係においては、政治と経済は不可分であります。このような国際情勢の中で、わが国がその安全と繁栄を確保していくためには、単に政治・軍事的な脅威に備えるのみならず、エネルギー、食糧等の経済面における安全保障を含めて総合的に考えていかなければなりません。そのためには、わが国としては単に防衛努力のみならず、外交、内政両面において整合性のとれた政策を推進していくことが重要であると思います。  特に、国際社会の平和と安定に貢献するための外交努力は、わが国の安全保障を確保する上で基本的重要性を有するものと考えます。すなわち、かかる外交努力は、国際社会における摩擦や不安定要因を除去することを通じ、わが国に対する脅威を未然に防ぎ、また、エネルギー・食糧等の安定供給の確保を図らんとする努力そのものなのであります。  かかる観点を踏まえ、わが国としては、平和に徹し軍事大国にならないとの基本的立場を堅持しつつ、経済面のみならず政治面においても、わが国の国際的地位にふさわしい役割りを積極的に果たすとの積極的平和外交をさらに推進していく所存であります。そのために必要な外交実施体制の量質両面にわたる拡充についても、関係方面の御理解を得つつ、努力してまいりたいと考えております。  わが国が平和のための外交的役割りを強化していく上では、守るべき共通の価値と利益を有する米国を初めとする先進民主主義諸国との協調と連帯を基軸とすべきことは言うまでもありません。今日の厳しい国際情勢に効果的に対処し、国際の平和と安全の維持を図っていくためには先進民主主義諸国が協調しつつ、それぞれが与えられた条件のもとでなし得る最大限の努力を払っていくということがとりわけ重要となっております。かかる努力の一環として、現在米国及び西欧諸国においては、ソ連の世界的な軍事力増強が西側にとって不利な状況をもたらすことのないよう、防衛努力の強化に努めているのでございます。  また、米国は、中東地域の平和と安定を図り、同地域における海上航行の安全等を確保するため、インド洋への米軍展開を増大しておりますが、その結果アジア・西太平洋における米軍事力を割くことを余儀なくされてきております。このような状況においてわが国としてなし得ることは、軍事大国にならず専守防衛を貫くという国民の決意に従い、あくまでも憲法の枠内で、国民の理解を得つつ、わが国の自衛力の整備を促進し、日米安保体制の一層円滑で効果的な運用を図っていくことでございます。  日米安保体制は、戦後一貫してわが国の安全と繁栄を確保する基盤となってきているのみならず、現在のアジアにおける国際政治の枠組みの重要な柱として、アジアひいては世界の平和と安全の維持に寄与するものとなっております。  わが国としては、今後ともかかる安保条約の抑止効果を万全なものとするために、一朝有事の際米国が来援しやすいような体制をふだんから整備しておくとともに、米国がわが国を守ることは米国自身の国益でもあるとの十分な認識を持ち得るような日米関係の実体を確保するよう努力すべきであります。  近年安全保障の分野における日米両国の協力関係は、かつてないほど良好に進展しております。  第一に、日米防衛協力に関する、基本的な枠組みとなる「日米防衛協力のための指針」が一昨年十一月の日米安全保障協議委員会で了承され、現在これに基づき共同作戦計画の研究を中心とする具体的研究が自衛隊と米軍との間で進められております。  第二に、わが国には現在約四万五千の米軍が駐留しており、米国はそのための経費として毎年十数億ドルの支出を行ってきております。政府としては、この経費の面において、地位協定の枠内でなし得る限りの協力を行ってきておりますが、このことは安保体制の安定的運用の面で大きな役割りを果たしております。  次に、日米安保体制の円滑で効果的な運用を期する上において、米軍によるわが国施設・区域の安定的な使用が重要であることは、いまさら指摘するまでもありません。このためには国民の理解、なかんずく、施設・区域の周辺地域の住民の方々の理解と支持を得ることが不可欠でございます。このため政府としては従来より施設・区域の整理統合計画を推進するとともに、安全対策・騒音防止等各種の施策を講じてきております。  特に沖繩県においては、施設・区域の密度が高く、米軍の活動に伴って住民の生活にもいろいろと影響が及んでおり、運用面における一層の配慮、また整理・統合を求める声がかねてより強いことは十分承知しております。政府としては、このような沖繩県民の声に十分耳を傾けながら、安保条約の目的達成との調整を図りつつ、県民の要望にこたえるよう努力を傾注するとともに、米軍の活動に伴う安全管理には万全を期し、住民生活への影響が最小限に食いとめられるよう、今後とも米国側との不断の接触を通じ鋭意努力してまいる所存でございます。  ソ連はわが国にとり重要な隣国の一つであり、対ソ外交はわが国の対外関係の中でも重要なものの一つでありますが、不幸にして最近ソ連との関係においては、北方領土におけるソ連の軍備増強、アフガニスタンへの軍事介入等きわめて遺憾な事態が続いております。  日ソ間の最大の懸案である北方領土の祖国復帰は、広く国民の願望であるにもかかわらずいまだ実現を見ず、いまなおソ連の不法占拠のもとに置かれ、さらに最近、これら北方領土においてソ連の軍備強化の動きが見られることはきわめて遺憾であります。政府としましても、かかる事態を重大に受けとめ、累次にわたりソ連政府に対して、北方領土の速やかな返還を求めつつ、ソ連のかかる行動は日本国民に対する非友好的な行為であるとして厳重抗議し、新たな軍事力の配備や施設の構築を速やかに撤回するよう強く要求する申し入れを行っております。  また先般の国連総会一般討論演説において、私は、北方領土問題を直接取り上げ、これを国際世論に強く訴え、さらにその翌日、グロムイコソ連外相との会談においてもわが国の立場を改めて強調した次第であります。これに対してソ連側は依然として「ソ連には余分の領土はない」などと述べてかたい姿勢を崩さず、誠意ある態度を示そうとはしておりません。このようなソ連側の態度は、わが国としてはとうてい受け入れることのできないものであり、今後ともわが国民の総意を背景にわが国の立場を絶えず明確に貫き、毅然たる態度で息長く、粘り強い対ソ外交を続けてまいる考えであります。私自身、かかる決意を新たにして、対ソ折衝に臨むべく、明日、北方領土の現地視察に赴くことにしております。  一方、ソ連のアフガニスタンへの軍事介入についても、政府はこのようなソ連の行動はいかなる意味においても容認し得ないとの立場から、米国初め西側友好諸国との協調を重視しつつ、今後とも、かかる遺憾な事態の速やかな是正を求めて、適切な対処を行っていく考えであります。  以上申し上げましたような状況のもとで、一方においてソ連側に対し通すべき筋は通すとの態度を持しながら、他方において、ソ連との間に真の相互理解に基づいた安定的な関係の確立を図ることが、わが国外交の枢要な課題の一つであることは申すまでもありません。かかる考え方に立って、今後とも北方領土問題を初めとする諸懸案解決のために努力を重ねてまいる所存であります。  わが国の安全保障をいかに確保していくべきかは、まさに国民の一人一人が自分自身の問題としてとらえ自主的に取り組んでいくべき国民的な課題であります。わが国の真の安全は、このように国民各位が国際的視野に立って、国民の総意に基づく安全保障政策を一貫して進めていくことによってこそ図られるものであります。  この特別委員会が、原委員長を初め委員各位の高い識見と豊かな経験に基づく審議を通じ、わが国の安全保障及び沖繩・北方問題に対する国民の理解と認識を深める上で重要な役割りを果たされることを期待し、あわせてこれらの問題に対する政策を推進していく上に当たって、格段の御指導と力強い御支援を賜りたくお願い申し上げます次第でございます。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、大村国務大臣。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 原委員長を初め、委員各位におかれましては、平素安全保障問題について何かと御指導をいただき、感謝にたえないところでございます。  また、先般は自衛隊の部隊を御視察いただき、自衛隊に対する御理解を深めていただきまして、厚く御礼を申し上げます。  本日は、せっかくの機会でありますので、国際軍事情勢及びわが国防衛政策に関する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。  まず、最近における国際軍事情勢についてでありますが、東西間における対立と協調という関係は、その基本において変わらないものの、ソ連の長期にわたる一貫した軍事力の増強、とりわけ昨年末のソ連のアフガニスタンへの軍事介入によって、東西間では不信感が深まっております。  米国は、総合的な国力では依然としてソ連に対し優位に立っており、また、信頼するに足る多くの同盟国を持っている強みはありますが、ソ連は、一九六〇年代以降における大幅な軍事力の増強によって、地上兵力における従来からの優位に加え、いまや核戦力、海・空軍力等の分野においても米国に迫りつつあり、米国の優位はかつてのように圧倒的なものではなくなっていると見られます。  このようなソ連の世界的規模の軍事力増強は、わが国周辺においても例外ではなく、極東ソ連軍の質量両面にわたる増強とこれに伴う行動の活発化には顕著なものがあります。地上軍及び太平洋艦隊の増強は言うまでもなく、SS20中距離ミサイル及びバックファイア爆撃機の配備による戦域核戦力の大幅な増強も見られるところであります。加えて、まことに遺憾なことながら、わが国固有の領土である北方領土にまで師団規模に及ぶ地上軍部隊を配備し、基地建設を続けている状況であります。  このほか、昨年の中越紛争を契機にベトナムの海・空軍基地の使用を開始し、いまやこれを常時使用する状態に至っていると思われます。このことはソ連艦隊の西太平洋、インド洋へのプレゼンス能力を飛躍的に向上させるものであり、有事におけるわが国海上交通路の安全にも大きな影響を及ぼす可能性があります。  これらに示される極東ソ連軍の増強と行動の活発化はわが国の安全に対する潜在的脅威の増大と受けとめざるを得ないものであります。  他方、中東方面におきましては、ソ連のアフガニスタンへの軍事介入とイランにおける米大使館員人質事件等に加え、今般イラン・イラク間に武力衝突が発生したことによって、情勢は一層流動化の度を加えており、わが国としても重大な関心を抱かざるを得ないものであります。すでに米国は、昨年十一月以降、二個空母機動部隊をインド洋周辺に継続して派遣しております。これは北東アジアの軍事バランスに影響を与えるおそれがありましょうが、わが国を含む西側諸国はこの地域の石油資源に大きく依存しており、その確保と安定した輸送のためには必要不可欠な措置と考えられます。  西側諸国は以上述べましたようなソ連の軍事力増強に対応して、すでに一昨年NATO首脳会議において長期防衛計画の合意、防衛費の実質年三%の増加等の決定を行うなど、それぞれ困難な政治経済情勢下にありながら防衛努力の強化を図っているところであります。中でも米国は、みずから国防支出の持続的な実質増に着手するとともに、西ヨーロッパ、日本等の同盟国に対し、より一層の防衛努力を強く期待している状況にあります。  このような国際環境の中にあって、わが国はみずから適切な規模の防衛力を整備するとともに、米国との安全保障体制によって、みずからの安全を確保することといたしております。  わが国防衛力の整備につきましては、政府は昭和五十一年十月、「防衛計画の大綱」を国防会議及び閣議において決定し、昭和五十二年度以降、この大綱に従い、質的に充実向上した防衛力整備の具体的実施を進めてきているところであります。  防衛庁は、この大綱に基づく防衛力の整備を計画的に進めるため、部内資料として昭和五十五年度から五十九年度までの陸・海・空各自衛隊の主要事業等を見積もった中期業務見積もりを作成いたしておりますが、最近のわが国をめぐる国際情勢が厳しさを増しつつあることにもかんがみ、これをできるだけ早期に達成するとの考え方のもとに、昭和五十六年度概算要求を行っているところであります。  本年度の防衛白書におきましても御説明いたしておりますように、わが国防衛力の現状は、規模的にもいまだ「防衛計画の大綱」の水準に達していないのみならず、装備の老朽化、抗たん性の不足、即応態勢の不備、継戦能力の不足等種々の問題があるところであり、私としては可及的速やかにこれらの是正を図り、バランスのとれた質の高い防衛力を整備しなければならないと考えている次第であります。  もとより精強な自衛隊を育成するためには、装備の近代化のみならず、それを駆使し得る士気旺盛な良質かつ練度の高い隊員の存在が不可欠であることは言うまでもありません。このため、私は、今後とも良質隊員確保のためのきめ細かい施策に配意するとともに、規律の振粛及び教育訓練の充実に努力してまいる所存であります。  また、防衛力の整備に当たっては、研究開発の推進についても従来以上に配慮していかなければならないと考えております。  次に、日米安全保障体制についてでありますが、申すまでもなく、わが国は安全保障の基調を日米安全保障条約に置いていることから、同条約の円滑な運用態勢の整備を図るべく、平素から不断の努力を払う必要があると考えております。このため防衛庁は、一昨年まとめられた「日米防衛協力のための指針」に基づき、共同作戦計画、情報交換、後方支援等についての各種研究を在日米軍当局との間で鋭意進めているところであります。  日米防衛協力のあり方についてこのような指針が作成され、この指針に基づいて所要の研究が行われることは、同条約の有する抑止効果を高め、もってわが国の安全及び極東の平和と安全を一層効果的に維持することにつながるものと確信いたしております。  また、政府は従来から在日米軍の駐留を真に実効のあるものとして維持するため、在日米軍の駐留経費の負担について、地位協定の枠内においてできる限りの努力を行うとともに、自衛隊の活動と在日米軍の駐留の基盤をなす防衛施設の安定的使用を図るため、周辺地域の生活環境整備事業など各種施策を進めてきているところであります。私は、わが国防衛にとってきわめて重要なこれらの努力を今後とも鋭意続けてまいる所存であります。  以上、防衛政策等に関する私の所信を申し述べましたが、原委員長初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻を切にお願い申し上げる次第でございます。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 次に、中山国務大臣。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 沖繩及び北方問題についての所信の一端を申し述べたいと存じます。  初めに、沖繩の振興開発について申し上げます。  沖繩が祖国に復帰してすでに八年有余が経過いたしましたが、この間政府は、沖繩振興開発計画に基づき、社会資本の整備を初め、各分野における本土との格差是正や沖繩の自立的発展に必要な基礎条件の整備のための努力を鋭意続けてまいりました。その結果、空港、道路、文教などの公共施設の整備は順調に進展し、その他多くの分野でもそれなりの成果を上げ、本土との格差は次第に縮小されております。  しかしながら、沖繩は、産業の振興を初め、雇用問題、特に今後の沖繩の将来を考えるに当たっては是非とも解決しなければならないエネルギー問題、水不足の問題など、多くの課題を抱えており、今後一層の努力が必要とされております。  さらに、沖繩においては、今日においてもなお戦後処理問題が残されており、その主要なものとして、いわゆる対米請求権問題があります。このうち、漁業関係事案と人身関係事案につきましては、すでにそれぞれ措置を講じたところでありますが、残る土地関係等事案につきましては、地元の関係団体の要望等を考慮して、昭和五十六年度から予算措置を講じてまいりたいと考えております。また、土地の位置境界明確化につきましても、地元と密接な連携を保ちながら調査の推進に努めているところであります。  ところで、沖繩振興開発計画は、昭和五十六年度で計画期間を終了することになっておりますが、その後の沖繩振興開発のあり方をどうするかにつきましては、計画目標の達成状況、沖繩県の経済的・社会的諸情勢、さらには、沖繩県民の意向等も踏まえながら検討を進めているところであります。  以上申し上げましたとおり、諸般の施策を鋭意推進しているところでありますが、沖繩の振興開発につきましては、今後とも格段の努力を傾注してまいる所存であります。  次に、北方領土問題について申し上げます。  北方領土問題に対する政府の基本方針は、改めて申すまでもなく、歴史的にも、また国際法理の上からもわが国固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島の一括返還を実現して日ソ平和条約の締結を図ることにより、真に安定した基礎の上に両国の友好親善関係を発展させるということであります。  今国会における鈴木総理の所信表明演説においても、この政府の基本方針を明確にするとともに、ソ連に対し、日ソ間の真の相互理解を発展させるためには、まずその誠意を具体的行動をもって示すことを強く期待すると述べております。また、伊東外務大臣も九月に行われた国連総会の一般演説及びその後に行われたソ連外相との会談において、ソ連に対し、北方領土の返還を強く要求されたことは御高承のとおりであります。  一方、北方領土問題に対する国民世論の盛り上がりは最近特に顕著なものがあり、一千七百万人に迫る返還要求署名運動、国会を初め都道府県、市町村議会における相次ぐ決議、全国各地で開催されている返還要求大会等力強い運動が展開されていることは、政府としてもまことに心強いことと考えております。ちなみに、明二十五日には、東京において、民間団体主催による第十二回の北方領土返還要求国民大会が開催されることになっております。  現在、北方領土をめぐる情勢は、北方領土におけるソ連の軍事基地の整備増強等大変厳しいものがあり、また、ソ連は、領土問題は解決済みであるとの一方的かつ独善的な主張をいささかも崩そうとはしておりません。  しかしながら、このように北方領土問題に対し、ソ連が態度を強めている現在においてこそ政府の対ソ交渉を支える最大の基盤である国民世論をさらに確固たるものとし、この問題の解決に向けて一層の前進を図らなければなりません。このために政府としては、今後とも広範な啓発事業の推進に努めることにより、国民の一人一人、全国各地域のすみずみに至るまで、北方領土問題の理解が深められ、一様に活発な返還運動が展開されるよう所要の施策を積極的に講じてまいります。あわせて、元居住者の方々への援護の拡充はもとよりのこと、北方領土問題が未解決であることに伴う諸問題についても、関係省庁において適切な施策が講ぜられるよう緊密な連携をとってまいることにより、地元における要望等に対し十分意を尽くしてまいる所存であります。  ここに、沖繩及び北方問題に関する所信の一端を申し述べ、原委員長を初め、委員各位の御理解と御協力を切望する次第であります。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 以上で所信表明は終わりました。     —————————————

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) これより質疑に入ります。質疑のある方は御発言願います。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 本日は、国民が長く待望しておりました安保特別委員会が参議院にも設けられて実質的な審議を初めて行う日でございます。そこで私は、今日以降の当委員会の審議に臨む政府、特に防衛庁の基本的な姿勢について一言申し述べてみたいと思います。  従来は、国会におきまして、野党のほとんどが自衛隊違憲、日米安保否定、こういった立場から、およそ世界の情勢、日本をめぐる情勢とは関係のない、いわゆる不毛の論議が多く展開されてまいりました。こういうようなことから、政府はいわば専守防衛に徹してひたすら刺激を避け、消極的な姿勢を堅持しながら、この間を縫うようにして少しずつ実質的な成果を積み上げるのにきゅうきゅうとしてきた、これが実態じゃないかと、このように私は認識をしておるわけであります。しかし、最近になりまして、大分の政党が、野党が防衛に対する基本的な姿勢を変えてきたことは御承知のとおりであります。各党を支持する国民の防衛意識の変化や世界情勢の厳しさ等がその大きな原因となっておるんだろうと、このように私自身は認識をしております。  そこで、いまや防衛問題というのは、具体的な政策について国民の前で堂々と論ずることができるような政治的な環境が醸成されてきたんだ、いや、真正面から本当の防衛論議をしなかったならば、国民も納得しないようになってきたし、また日本の置かれている厳しい情勢というものは、好むと好まざるとにかかわらず、そのようにしなければならない環境に置かれているんだと、このように私は思うわけでございます。  そこで政府、特に防衛庁にお願いするわけでありますが、従来のパターンであった消極的な姿勢から脱却をしていただかなければならない。特に防衛庁は要求官庁でもありますし、さらに責任官庁でもあるわけであります。防衛庁としてのその本音を堂々と、しかもはっきりと国民の前に述べることによって、初めて国民の積極的な理解と支持と信頼を得ることができるんじゃないかと、このように私は思われてなりません。この厳しい現情勢下、防衛庁がこのような態度でなければ、防衛についての国民に対する第一義的な責任を負っている官庁としての、責任と使命も果たすことができないんじゃないかと、私はそのように思うわけでございます。  また、今日のこの厳しい事態のもとにおきますところの国会での、特に防衛庁のこの発言の姿勢、態度、こういうものは二十数万の自衛隊員というものが非常に注目しておる。注目するだけじゃない。その士気にも影響する問題であろうと、こう私は思うわけであります。こういうことに関連をして、ひとつ長官の御見解を承りたいと、このように思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) ただいま堀江委員から貴重な御意見の数々をお聞かせくださいまして、謹んで拝聴いたした次第でございます。大変厳しい情勢下に防衛庁の仕事を担当することになりまして、身の引き締まる思いがいたしているわけでございます。  今回、参議院におかれましても、安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会が設置されまして、きょうから実質的な審議が開始されるときに当たりまして、防衛庁に対して、国民の理解に資するよう積極的な態度で臨むようにという趣旨の御発言がございました。御趣旨を体して防衛庁として最善を尽くしてまいる決意でございますので、どうぞひとつよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第であります。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 ただいま長官から非常に力強い御答弁をいただきまして、この委員会というものを具体的な論議の場にしていかなきゃならない、そのためには防衛庁のそういうような姿勢というのが基本になるんだということから私は申し上げるわけでございまして、ぜひともこの点お願いをするわけでございます。  最近、防衛問題が国民の関心を引き、防衛問題の重要性がだんだんと認識されるに従いまして、政府の要路の人々の中でも、これに関連した発言というものがいろいろと行われております。その発言の中には大変誤解を招くような言葉も非常に軽易に使われておるということを私感ずるわけであります。二、三の例示をしまして、ひとつ防衛庁長官のこれについての御見解も承らしていただきたいと、こう思います。  その第一は、先ほども外務大臣が所信の表明の中で二度にわたって申し述べられましたが、日本は軍事大国にならない、こういった軍事大国という言葉でございます。これは福田元総理がマニラでの声明のときに言われ、その後歴代の総理がよく使われておりますが、また同時に、軍事大国になることは許されないんだといったようなこともいろいろと言われておる。この軍事大国という言葉でございますが、言っておる人が、果たして軍事大国という言葉の意味をどのように理解をし、どのような軍事力というものを頭に置いて言っているのか、これもきわめてはっきりしないわけであります。不分明であります。恐らく言われる人によってその中身も違うんじゃないか。また同時に、聞く方も自分流に理解をしておる。これが実際じゃないかと、こう思うわけでございます。現在世界の中で軍事大国と言われる国はそうたくさんあるわけじゃない。それは強大な核戦力と通常戦力をあわせ持っておるところの米ソだけなんだと、このように私自身は理解をしておりますし、これが世界の常識だと思います。  そこで、日本が現憲法下で、もちろん核は持たない、そしてみずからの自衛のため必要とする範囲内の通常戦力を強化して、このことを目して軍事大国と言うのであれば、これはもうまさにナンセンスじゃないか。まして中期業務見積もりあるいは防衛計画の大綱で達成しようとしておるところの防衛力、これなんかは、その中身をよく見れば、およそ用事大国なんていう言葉とは無縁のものだと、私はそのように思うわけであります。したがって、少なくとも政府の責任者が、中身のはっきりしない、どうにも受け取れるような軍事大国などという言葉を軽々に使うということは不見識じゃないか。同時に、国民の正当な防衛意識を混迷させかねない問題だ。さらに言えば、国際的にも疑惑をかえって生じさせかねない問題である、私はこのように思うわけです。したがって、防衛庁は、日本がいま、今後持とうとしておる、また持つことのできる防衛力について、政府部内でこのような言葉を使用しないような考え方の統一をしてもらう必要があるんじゃないかと私は思うわけですが、防衛庁長官、いかがお考えでございますか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 軍事大国という言葉につきましては、いろいろ用いられている例があるかと思うのでございますが、先生が御指摘になりましたような強大な軍事力を擁している国が、いわゆる軍事大国ということになるのではないかと思うわけでございます。  そこで、わが国は御指摘のように専守防衛の原則に基づき、わが国の自衛のために必要な限度内での防衛力を保持することとしておるのでございますが、この範囲を超えて他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるような防衛力を保持し、あるいはそれを背景にして外交政策をとるようなことが万一あれば、それはあるいは軍事大国というものに相当するかもしれないと思うのでございますが、もとよりわが国といたしましてはそのようなことは全く考えておらないのでございまして、そういう意味につきまして外務大臣も申されたのではなかろうかと私は存ずる次第でございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、憲法で認められている自衛力の範囲内で五十一年に策定されました防衛計画の大綱に従い、質の高い防衛力の整備に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 少なくも政府内において軍事大国という言葉を今後もお使いになるならば、私は軍事大国という意義はこうなんだということをはっきりさした上で最小限使っていただかなきゃいけないと思いますですね。非常に誤解を招く。この点は十分に特に防衛庁当局として政府内においてひとつお考えいただきたい、このように思う次第であります。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) いまの点につきましては、関係省とも連絡いたしまして注意してまいりたいと思っております。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 もう一つ、こういった関連のことにつきましてお聞きしたいと思います。  それは、ソ連の最近の日本周辺をめぐる軍事力の増強に基づきまして、その脅威の増大が国民の間でも大きな関心事となっておることは御承知のとおりでありますが、これに関連しまして、脅威脅威と余り験ぎ立てることはかえってソ連の術中に陥るものだ、こういったような論がときどき見受けられるわけであります。また、従来政府の要人の中でこのような発言もした人がおるというふうに記憶をしております。恐らく国民にいたずらに不安を与えてはいけないんだと、下手をすると、かえって敗戦思想、抵抗意思の喪失を助長することになりかねない、こういったような配慮に加えて、ソ連を刺激したくないという思惑が絡んでおるんだろうと思うわけであります。もちろん、ありもしない事態をいかにもあるがごとく言う、これはもうまさに国民に対する欺瞞以外の何物でもないと思います。  しかし、その増強や脅威の実態というものを正しくしかも時宜に適して国民に知らせる、これは政府としては国民に対する当然の義務じゃないかと私は思います。特に戦後、自国の安全と防衛を米国に依存をして、いわば平和ぼけになってふやけ切っておる、これがまあ現在の日本の実態じゃないかと思いますが、こういう実態下に真の愛国心、国を守る気概というものを覚せいさせるためには、日本の置かれておる厳しい情勢というものを正しく国民に理解させることからまず始めなきゃならない、私はそう思うわけでございます。実態から目を覆うと、これはかえってソ連から侮りを受けることになるだろうと、こう思うわけなんです。  で、防衛庁はひとつ特に毅然たる態度で今後もソ連の軍事力の実態というものをできるだけ詳細に、かつ、機会を求めて活発に国民に知らしめるということが日本の防衛をまともにする第一歩であるという考え方に立って今後もやっていただかなきゃならないというふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) ただいまお話がございましたとおり、極東ソ連軍の最近の動きにつきましては、北方領土への地上軍部隊の配備でありますとか、あるいは空母「ミンスク」の運航でございますとか、あるいはSS20、バックファイアの配備等、非常に顕著な動きがありますことは客観的な事実でございます。国民の皆さんも非常に関心を寄せられているところでございます。  そこで、防衛庁といたしましても、そういった事実が把握できました場合には、その都度新聞紙等を通じて国民にお知らせしているところでございますし、また毎年の防衛白書等を通じてその事実についてお知らせをしているところでございます。今後一層客観的な事実についてはお知らせする努力を続けてまいりたいと思っているわけでございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 まだそういった関連の問題でいろいろとお聞きしたいことがございますけれども、実はきょうは防衛計画の大綱の見直しの問題を時間をかけて私はいろいろ防衛庁の真意というものを、また現在日本の置かれている実態というものをはっきりさせていきたいと思うわけでございますので、そのほかは割愛をしまして、いま申し上げました防衛計画の大綱、中期業務見積もりの見直しの問題に入らせていただこうと思います。  報道によりますと、きょう午後、総理と民社党との防衛についての会談が行われるということでございます。  また、これに関連してだろうと思いますけれども、長官、きのう総理とお会いになったようでございますが、恐らく新防衛計画大綱の見直しの問題もそこで大きな問題点になったんじゃないかと、こう思います。少なくもそこで結論をどういうことにしたかということは、ここじゃあるいは言うのはひとつ遠慮したいと言われるかもしれませんが、防衛庁長官としてこの問題についてどのような見解を総理に示されたのか、それをひとつ伺わせていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) ただいまお尋ねの鈴木総理と民社党の委員長との党首会談は、本日午後行われるように伺っておるわけでございまして、どういう問題が話題となってどういうふうなお話になるのか、私よく承知しておらないところでございます。  ただ、昨日総理にお目にかかりましたのは、防衛庁の所管事項につきましていろいろお尋ねがございましたので、私どもの考えを総理に御説明したと、またそのときには、いずれ衆議院の安全保障特別委員会に、参議院におきましては、安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会がございますので、いずれ出席しなければいかぬと思うので、ひとつそういう問題についても防衛庁の意見を聞いておきたいと、こういうことであったわけでございます。  そこで、いまお尋ねの防衛計画大綱についての防衛庁の現在の考えでございますが、防衛庁といたしましては、厳しさを増しつつある国際情勢にかんがみまして、防衛計画の大綱で定める防衛力の水準を可及的速やかに達成する必要があると考えているところでございます。そのためには、まずもって中期業務見積もりを早期に達成しなければならないと考えておりまして、その点につきましていませっかく努力中であるということを総理に対しても明確に申し上げた次第でございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 なかなか新防衛計画大綱の問題についてはここではどういうふうな進言をしたということはお言いにくいだろうと思います。そこで、ストレートにそういう質問をするのを遠慮しましょう。遠慮しまして、以下いろいろとお尋ねしていきたいと思います。  いまお話しになりました、また所信の中でも述べられましたが、五十五年から五十九年までの中期業務見積もり、これを前倒しでなるべく早く達成したい、そういう考え方が五十六年度の概算要求の中に盛られていることは私どももよく承知しております。  そこで、現在の情勢からできるだけ前倒しをしたいと、こう言われますけれども、少なくとも防衛庁としてはこの中業見積もりの防衛力というのはいつまでに完成したいというふうに考えておられるのか、これが質問の第一であります。  それから、この中業の前倒しの問題についての第二の質問は、防衛庁の五十二年に決められました計画制度の中で、毎年中業の見直しをやるんだといったようなことが書いてあります。どういうような手続を踏んでこの前倒しというふうに防衛庁は踏み切られたのか、これが第二番目であります。  三番目は、一般的に情勢が厳しいからだと、こう言われておりますが、もっと適確に中業を前倒ししなければならない理由、こういったようなものをお聞きしたい、このように思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 政府委員の防衛局長からお答えさせます。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) まず第一点の、いつまでに完成をしていくつもりかという点でございますが、御承知のように、現在の、五十三年度のいわゆる五三中業につきましては、五十五年度から五十九年度までの期間を予定しておるものでございます。いまお話のございました前倒しを含めていま検討いたしておりまして、五十六年度にもその配慮のもとの概算要求をお願いしておるわけでございますが、いずれにしましても五三中業自体を、たとえばいまの五十九年度の予定を前倒しをした結果、何年になると、五十八年になるとかいうふうに考えておるわけではございませんで、五三中業はあくまでも五十九年までが完成目標でありまして、その中の主要なものにつきまして前倒しを考えているということで、全体的には五十九年度完成という当初の目標はそのままでございます。  それから二番目は、五十二年度にできましたこういった計画についての見直しの手続でございますが、それについてどういう手続でやったかという点でございますが、中期業務見積もりにつきましては、御承知のように、翌年度の業務計画なりその業務計画に基づく概算要求の資料としてつくっておりますので、これは当然毎年見直しをするという考え方に立っております。別途三年ごとに新しく作成するという考えでございますけれども、毎年毎年につきましては、毎年見直しをするという考え方に立っております。その手続でございますけれども、これは中期業務計画をつくりますときと同じでございますが、統合中期業務見積もりというものを統合幕僚会議でまずつくりまして、それを各幕が受けまして、各幕ごとに各幕の中期業務見積もりをつくりまして、それを内局に持ってきて相談をして決めていく、こういう形でございますが、いま御指摘の見直しにつきましても同様の手続でございまして、各幕からどこをどう見直したいという要望が出てまいりまして、それを内局の方と突き合わせながらやっていくということでございます。それは結局、五十五年度のことしの作業でいいますと、来年度の五十六年度の業務計画は、その業務計画案に基づく概算要求案というものに、何といいますか、結集されたといいますか、そういうかっこうで業務計画案、概算要求案を庁議決定いたした段階で最終的に今年度の見直しが決まった、こういうことでございます。  第三点は、そういう前倒しを含めた見直しをする理由ということでございましたが、これは先ほど来大臣からもお答え申し上げておりますように、近年における、特に極東におきます国際軍事情勢といったものを考えまして、私どもとしましては一日も早く大綱の別表の水準に達したい、そのためには中期業務見積もりを一日も少しでも早く早期達成をしたいという考え方から、今回前倒しを含めた見直しをしたわけでございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 どうもよく私いまの御答弁わからないのですけれども、情勢が非常に変わってきたから少しでも早く達成しなければならない、こういう考え方で前倒しというものが考えられておると、こう言われるかと思いますと、いや完成するのは五十九年度だ、やはり期間は同じなんだ、ただ必要なものを少しピックアップして前に持ってきただけだと、こういうことですね。どっちなんでございますか。その辺もう少しはっきり聞かしてください。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 中期業務見積もりといいますものは、五年間の主として主要正面装備につきまして、五年間の整備計画を持っておるわけでございますが、その間に何年度に何をするという年度割り的なものは考えておらないわけでございます。毎年、五十五年から始まったわけですけれども、五十五年度についてはそのうちこれだけ予算化をお願いしよう、五十六年度はそのうちどれだけお願いしよう、こういうことでやっておりますものですから、五カ年計画の前倒しである以上、たとえば五十九年度はなくなってしまって五十八年度までに終わるのだ、一年繰り上げだというような意味での年次割り、年度割りというのを持っていないわけです。したがいまして、毎年毎年、来年度その中から、計画の残った計画の中からどれだけ業務計画に盛り込み予算化を要求していくかという考え方をとっておりますので、全体的にはやはり五十九年度までの中期業務見積もりであるということは変わらないわけでございますが、先ほどからお話に出ております前倒しにつきましては、そういう考え方の中での前倒しでございまして、主要な装備につきましてはその達成のテンポを速めていくということで考えたものでございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 そうしますと、従来言われておりました前倒しというのは、大体五十九年までを五十八年ぐらいまでに終わらす、情勢緊迫している状況下において、というふうに理解されているのは必ずしも正しくないというふうに理解されるわけでありますが、それはそれにしまして、じゃそういうふうに理解しましょう。  そこで、中業というものなんですね、これはもちろん政府がシビリアンコントロール、こういうことで防衛計画の大綱というものを決めたと、その中でその防衛力の量を達成するための一過程として防衛庁が具体的に計画をした、しかも防衛計画の大綱のときに決められた、当面GNPの一%以内という予算見積もりの中で決めた自主的な計画なんですね。したがって、これは防衛庁でその状況に応じていまおっしゃったように随時やる年度も変えられるでしょう。また中身も防衛計画の大綱の中であるならば随時変えてしかるべきものじゃないかと、こう思いますですね。この点はどうでございますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いまお話ございましたように、あくまでも現在の防衛計画の大綱の中におきます整備計画でございます。そういう意味ではいま先生の御指摘のとおりでございますが、その中の主要な装備品についての整備計画であるということでございますが、中身はそれではまあ防衛計画の大綱の中である限りは自由に変えられるではないかという御指摘でございますが、そう言えばそのとおりでございますけれども、そのために私どもは五年間の装備のめどをつくって、その計画に従ってやっておるということでございまして、また一方、先ほど申し上げましたように、見直しにつきましては情勢に応じた見直しということは、これはもう毎年やっていくんだという考え方をとっておるわけであります。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 そうしますと、いまのお話ですと、年次も年次割りというのはないんだ、情勢に応じて従来考えておったものをなるべく早くやろうという一つの考え、見直し、それから中身それ自体も当然見直すんだと、毎年ですね、ある程度は。ということでございますが、じゃ五十六年度はどういうようなそういう観点からする中身の見直しというものが従来の計画に対しては行われてきましたか。それを一つお聞きしたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 五十六年度につきましては、結局見直しという点から申しますと、二点あったわけでございます。  一つは五三中業をつくりましたときに宿題になって残しておった点でございますけれども、航空自衛隊の航空輸送力の整備についてどうするかということがペンディングになっておりました点につきまして、今回中業期間中にC130型を十二機導入したいということを決定——決定といいますか、中業の中でやり直しをしました。  それからもう一点、もう一つこれもペンディングになって残っておりました海上自衛隊の対潜水艦用飛行艇PS1でございますけれども、これについてどうするか、今後の運用結果を検討して今後の整備計画を決めるという形で残されておりましたが、これにつきましては今後取得をしないという点を決めました。  それ以外の点は五十六年度で予算要求の段階に、たとえば戦車なら何台とか、護衛艦なら何を何隻とかということは決めましたけれども、全体的に五十三年度中業の中身を変えたわけではなくて、その中から五十六年度にどれだけのものを要求していくか、それにつきまして主要なものについて先ほど申し上げましたように早期達成を図っていくという配慮をしたと、こういうことでございまして、その点につきましては見直しをした結果変えたというわけではございません。ことしの作業で決めました点は以上の二点でございまして、あとは来年度の予算要求にどれだけを盛り込むかということを決めたと、こういうことでございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 たとえば、こういう情勢になってきますと、やはり即応態勢を強化しなきゃならないという一つの大きな要請というものがクローズアップしてくると思うんです。そういうことからしますと、たとえばよく言われておりますけれども、航空自衛隊の抗たん性を強化する、そのためには飛行機のシェルターをうんと早くもっとたくさんつくらなければいけないじゃないか、あるいは基地防空能力というものを中業見積もりで防衛庁が予算の枠内でいろいろ考えて抑え込んでおった、そういう程度では即応態勢という面から見ると非常に心もとないじゃないか、あるいは弾薬も、これは大変金がかかるわけでございますけれども、いままで考えておったのと大分環境条件が変わってきておるということになると、それなんかももっと量をふやしていくというような、中身の具体的な検討、修正、これはもう当然なければならないと私は思うんです。これはそこまでやられる気があるのかないのか、年度ごとにでも。ただいまもう即刻にでもやる気があるのかどうか、その辺いかがでございますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 御指摘のような防空態勢なり、あるいは弾薬の点につきまして、いまの時点で中期業務見積もりの計画を見直すかどうかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、五十六年度はその点につきましては見直しはいたしておりませんが、次につくります中期業務見積もり計画、これは五十六年度に作業を始めまして五十八年度からの五年間を考えておるわけでございますが、そのときは見直しといいますよりも新しく五六中業に入るというふうに私どもは考えているわけでございますが、そのときにはまた先生のおっしゃいます意味の見直しは当然あると思いますが、いまの五三中業の中でいまのような御指摘の点を見直して数字を変えるというようなことは考えておらないわけであります。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 いま五六中業で見直すということはあり得ると、五六中業の話が出ました。それに関連をしまして、新防衛計画の大綱を五十一年の暮れに決めたときに、当面GNPの一%以内をめどとすると、こういうことが決められております。ところが、この当面というのが非常にあやふやな期間でございまして、まさに当時の坂田長官、三原長官、金丸長官、山下長官、さらに細田長官時代、当面というものの考え方、大変変遷があるわけなんですね。もうここで一々申し上げる必要はないかと思いますが、坂田長官は新防衛計画の大綱をつくった直接の責任者であったわけですが、これは当面というのを五年ぐらいだという考え方で、とりあえずこれでもってやっていくんだというお考えをはっきりさせておられる。それからその次の三原長官になりますと、これは四、五年ぐらいだと。昭和五十年代の前半ぐらいがこの当面一%のめどなんだと、こう言われております。お二人までの段階では答弁というのは期間的なめどというのはそう差はなかったわけです。ところが金丸長官時代になりますと、恐らくこれはすでに五三中業というものの作業を始めておった時期だと思いますね。そういうこともあったんでしょう、四、五年というけれども、自分としてはもっと延ばしたいんだと。当面というのは四、五年になるかもしれないけれども、別に固定的なものじゃないんで、期間を定めているものではないという意味が当面という意味だと。ようわからないわけですけれども、こういうような回答もしておられるわけです。今度は山下長官になりますと、五十九年までを念頭に中業というものの作業をしておるんだと。いつの間にか五十九年まで、これはもう制定当時から見ますと、八年間まで当面が延びてしまいました。それが今度は去年の三月でありますが、大平総理がこれにつきまして言われておりますのは、大綱の防衛力というのは一%以内で策定をするんだ、一%以内というのを当分変えるつもりはないんだ——これは何かの総理、誤解だと思いましたですね。大綱が一%以内そのままイコールということでは初めからなかったはずであります。当面はあくまでも当面。そして当面というのは、少なくも防衛庁は中業期間というふうにされたわけですね。私はいつの間にか当面がずるずる無限に後に引っ張られていくような気がしてなりません。それで五六中業を今度はそろそろ作業にかかられるんでしょう。五十七年の春までにつくらなきゃならぬと思います。そうすると五六中業ではこの経費はどのように考えてやられるんだろうか、心配でならない。下手するとまた五六中業の末期の昭和六十二年まで一%範囲内だといったようなばかげた考え方のもとに作業をされるんじゃないかというような気もするんですけれども、この一%問題について本当にどうお考えなのか、ひとつお聞きしたいと思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 当面一%以内をめどとして防衛力の整備を図るという閣議決定が五十一年の十月でございますか、行われておることは事実でございます。そしてお尋ねの当面というのはどういう意味かということでございますが、この言葉自体は何ら固定的な期限を予定しておるものではなく、内外諸情勢の変化に伴って必要があると認められる場合には決定内容等について改めて検討さるべきものであると私は考えておるわけでございます。ただ、この当面一%以内となりますと、この分母の国民所得というのが経済情勢の変動によってなかなかテンポが違ってくるわけでございます。長期の見通しが立てにくい。御承知のとおり、毎年予算編成に当たってぎりぎりのところで次の年の国民所得を決定すると、こういったようなこともございますので、当面だけとりましてもなかなか判断がいたしかねるのではないか。国民所得、国民経済の動向、そういったものをやっぱり一体として判断すべきものではないか、そのように考えておりまして、歴代長官の御答弁等もございますが、そういった点も参考に置きながら今後の問題に対処していかなければならないと、私はさように考えている次第でございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 新防衛計画大綱を決めたときというのは、振り返ってみますと、ベトナム戦争が終わった、世界じゅうデタント、デタントで非常に世界情勢が鎮静化しておったときの考え方、計画でございますですね。そのときに当面やはり五年間ぐらいの間には基礎的につくっておかなければならない防衛力なんだと、こういうふうに考えられた。ところがその後、私が言うまでもございません、もう情勢は大きく変わってまいりました。こういうような情勢下において、まだいまお話しのように、当面というのは何かようわからないようなことで防衛庁はそれでいいんですか、本当にこれは。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 確かに現在の防衛計画の大綱が策定されました昭和五十一年当時におきましては、米ソ両巨大国の間におきまして、いわゆるデタントの問題についてそういうムードがあったことは事実であったと思うわけでございます。その後数年経ましていろいろな事件も発生いたしましたし、そのままでないことも事実だと思います。さらばといって、いわゆるデタントが崩れ去ったという表現に相当するような事態になっているとも受け取れない節があるわけでございまして、そう大きな戦争が直ちに巨大国の間で発生するような状態ではない。ただ、先ほども申し上げましたように、最近における極東におけるソ連軍の増強でありますとか、北方領土における陸上部隊の常駐とか、そういった点から見ますると、これらを一連として考えました場合、私どもは潜在的な脅威の増大であるというふうに受けとめておるわけでございます。ただ、潜在的な脅威でございますので、顕在的な脅威が本当の脅威じゃないか、そういう意味ではそこまでは私どもは受け取っておらないわけでございます。そういった客観的な情勢の推移も考慮に入れまして、現在進めております防衛計画の大綱、先生よく御承知のとおりまだまだその水準には手が届かない、防衛計画の大綱でその枠内で五十五年度から始めたばかりの中期業務見積もりが五年後の五十九年度に達成されるとしても、防衛計画大綱の水準にいろいろな面でまだ隔りもある、こういう現状でございますので、基盤的なものと言われる大綱の線をまず着実に築き上げていくということが当面の急務ではないか。そういう意味で現在の中期業務見積もりの繰り上げと申しますか、あるいは早期実現とか、そういうことに必要な概算要求を五十六年度の概算要求にいたしたというわけでございます。そして現実の問題は、何と申しましても財政再建という厳しい制約もあるのでございますので、防衛の必要性とそういった点ともにらみ合わせまして二兆四千億円余の概算要求をいまいたして、何とかその線は実現いたしたいということでせっかく努力しているわけでございます。  そこで、この一%の問題につきましても、私どもは直ちにこれを見直すという必要は出てこないんではないかと、そういったような感じを持っているわけでございますので、御参考に申し上げておきたいと思います。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 御承知のように、アメリカは本年度は大変苦しい財政の中で軍事費の実質的な伸びを五・数%、それから西ヨーロッパのNATO各国は実質三%去年から継続をしております。こういうことであります。しかもそのような軍事的な対応をやっても、それは本当かうそかしりません、アメリカの国防報告によりますと、一九八二年から九年代がきわめて危険な時代に入る。要するに、それだけ努力しても現在のソ連の核戦力、通常戦力に対して対応する力が持てるのは段階的でありまして、その期間というものは大変危険な時期に入るんだと、こういうふうに言われております。  防衛力を整備するのに、私は、平和な、戦争がない、事態は世界じゅう鎮静しているんだという事態であればまあ逐次逐次つくっていきゃいいじゃないか、マンマンデーで。こういうことが言えると思います。しかし、世界じゅうが、自由主義陣営の主要な国々が非常な危機を感じながら軍事努力を積み重ねてきておる。そういうときに、日本はどうなんでしょうか。いつまでにそれでは新防衛計画の大綱——防衛庁は五十二年度防衛白書の中で、防衛大綱の基礎になっています基盤防衛力構想というものについて解説をしております。当然事態が急迫してきたならば、この新防衛計画の大綱によって造成される基盤的な防衛力というものをもとにして、必要な防衛力を急速につくっていかなきゃいけない。しかもこの防衛力の造成というのは数年を要する。私はすぐにできるとは思いませんですね、そう簡単には。  こういうような考え方の上に立った新防衛計画の大綱、それにも及ばない中期業務見積もり、これを世界の大きな情勢の中にあって、これを全く無視して、まあいままでと同じペースでもってやっていこうと。どう考えてみても理解できない。  そこで、私は、少なくとも防衛庁は、国民に対して、それならば、この情勢に対して、中期業務見積もりで達成できる防衛力あるいは続いて達成できる新防衛計画の大綱で造成される防衛力で、日本の安全は確保できますということを言ってもらわなきゃいけないと思いますね。そんなこと言えないでしょう、言えるはずありません。私は、その辺を、むずかしい問題がたくさんあることはもちろん知っています。むずかしい問題があることは知っておるけれども、この問題は日本の安全と独立に関する問題なんです。やはり防衛庁が責任官庁として、もっとはっきり物を言っていただかなきゃならない、こう思いますですね。少なくとも防衛庁は、それじゃこのアメリカあるいはNATOがやっている、それに見習えというわけじゃない、それは間違っているんだ、そういう情勢判断が、というふうにお考えですか、どうですか。それをひとつ聞きたいと思います。  それから、それでは、特に日本は国際的な責任と役割りが重くなっているんだということを外務大臣も言っておられました。もう国民の認識でもあります。少なくともこの四つの島は自分で主体性を持って、もちろん日米安保、これが大事でありますけれども、やらなきゃならない。いつまでにそれじゃ国民が安心できるものをつくっていこうとされているのか。それひとつお聞きしたいと思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) ただいま御指摘のように、アメリカや西欧諸国が国防予算の実質増加を目指して最近非常な努力を払っているということは、私どもよく承知しているところであります。アメリカが実質五%でありますとか、あるいは西ドイツ等が実質三%でありますとか、目標を申し合わせて、それぞれきわめて厳しい財政、経済の状況下にもかかわらず、実現に努力しているという点は私どもよく承知しているところでございます。また、西側諸国の一員として、日本に対してそういう期待が高まっていることも事実だと思うわけでございます。しかしながら、私どもは、やはりわが国の防衛の問題は国民の理解と支持のもとに自主的に進めなければならないと考えているわけでございます。その辺の諸情勢も十分念頭に置きながら、国民の各界、各層の御理解も得なければ進めていかれない。  そこで、せっかく御策定になりました防衛計画の大綱、昭和五十一年でもう五年たっているわけでございますが、なかなか目標の線に届かない。特に質的な整備という点につきましては、いろいろな足りない点が多いという点は先生よく御存じのところだと思うわけでございます。これを何とか早目に仕上げたい。やはり基礎が固まりませんと、新しい情勢に移行する場合にも、基礎がぐらぐらしておったのでは、新しい情勢に即応する必要ができました場合にも、円滑に推移できなくなるおそれもあると思いまして、私は現在の防衛計画の大綱をできるだけ速やかに達成したい。ただ、いまの時点で何年までということを申し上げることができませんのはまことに残念でございますが、できる限り早く達成したい。そのためには、また大綱の枠内である中期業務見積もり、五十三年中業が実現しても大綱にまだ足りないわけでございますから、これなんかはできるだけ急ぐ必要がある。しかし、そのためにも現実の財政、経済の制約を無視することはできませんので、まあそういった点を彼此勘案して最善の努力を進めていくという状況でございますので、詳しい数字等につきましては、私の足りない点を政府委員に補っていただきたいと思います。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 私は防衛庁のいま言われることはわからぬじゃないんです。わからぬじゃないんですけれども、そんなことを言っておったんでは本当の意味の国民の理解は求められやしませんよというふうに私は言っているんです。本当のことを言わなきゃ。  それで、私は防衛庁が本当に危機の年代というのをいつと考えておるのか、それに対応して必要な防衛力をいつまでにつくろうとしておられるのか、それをひとつはっきりと言っていただきたいと思いますですね。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 危機の年代という御質問でございますけれども、俗に八五年危機説であるとか、八五年後半危機説であるとか、それからあるいは八二年以降が危機であるとか、これはもうアメリカで発表されております種々の分析あるいは公式資料、いろいろな数字が出ております。事実、先生御指摘のとおり、まず戦略核につきましては、八二年ごろからがアメリカの核弾頭の残存率が非常に低くなりまして、これが回復するのはやはりこれは相当の年月がかかるものと思います。それから通常兵力につきましては、海軍兵力などはソ連はいま増強しておりまして、このまま続けば幾らでも拡大するわけでございますけれども、海軍力の増強もソ連は限界があるのではないか、やはり八〇年代半ばごろにはソ連が一番強くなるのではないか、そういうことを言っております。  ただ、全体としまして何が危機かということでございますけれども、われわれ米ソを比べましていずれが——まだアメリカが少しは強いとか、もうすぐ追いつくとか、そういう表現でいろいろ危機を表現しておりますけれども、問題は、六〇年代初めごろに米ソの力がまるで大人と子供の力であったと、もうソ連が幾ら暴れても自由なようにさせて結局アメリカが勝つと、そのくらいの余裕を持っていたのでありますけれども、もう最近になってまいりますと、実力はかなり接近してまいりました。戦争になりますといろいろな状況を考えなければいけませんのでございまして、たとえば東西の場合は東が先制攻撃をかけるということを考えなければいけない。その場合に、まず相当のハードウエアのロスが出るということを考えて、その上で勝たなければならない。そういうことも全部考えてまいりますと、もうソ連とアメリカの力がここまで接近してきたということが危機的状況でございまして、その間において力が接近する場合もありますし、またある程度アメリカが努力によりまして差を離す時期もございますけれども、もう大人と子供の差というような時代は返ってこないのではないか。そういう意味を考えますと、もうこれはかなり長期的な危機の時期に入ったと、そういうふうに判断しております。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 いまの、いつまでに……

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま情勢につきましては岡崎参事官から申し上げましたけれども、そういった情勢はもちろん私どもよく踏まえながら、われわれの努力をしていかなければならないということは当然でございますけれども、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、いまの時点で何年に防衛計画の大綱の線に達するかというような具体的な年度の目標といったようなものを立てておるわけではございませんで、なるべく早く達したいということを申し上げているわけでございますが、いまの段階で申し上げられるのはそういうことでございまして、いつまでというふうにはちょっと申し上げられない状況でございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 新防衛計画の大綱を決められたときには、平和時に機能する防衛力だということで、当時脱脅威論だとかいろいろ言われたわけです。ところが、最近の防衛庁のいろんな防衛白書あるいは一連の発言等を見ましても、情勢が当時とは非常に変わっておるという認識は機会あるごとに声を大きくして言っておられる、国民の理解を求めておられる、これはよく承知しております。  それで、この間衆議院でございますか、防衛計画の大綱の基本的な考え方になっておった基本防衛力構想、この前提になっておったところの五つの国際情勢の枠組み、これについても、これは防衛計画の大綱それ自体とは関係ないんだ、こういうようなことも言われたかに新聞では理解をします。間違っておるかもしれません。私は、こういうような情勢になってきますと、確かに防衛庁としては、新防衛計画の大綱がいつになったらいまの財政状況、いまの国内状況でできるかわからないというときにとやかく言うことはできないんだという考え方もわかりますけれども、少なくも、当時は恐らく持っておられなかったと思いますね。いざというときにはこれだけの防衛力が要りますよ、こういう防衛体制でなければ日本の安全、独立は守れませんよというようなものは、いかに何でももう持っておられるだろうと思うんですがね。そういうものは持っておられるのか、あるいは検討しておられるのか。検討しておられるとすれば、いつごろまでにそれを検討しようとしておられるのか、ぜひひとつ聞きたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 何か枠を想定して持っておるのかというお尋ねでございますけれども、私どもは、再々申し上げておりますように、防衛計画の大綱の別表にいま一つの努力すべき水準が示されておるわけであります。それに向かって整備をいま努力しておるわけでございますが、先ほど来何回も申し上げますように、まだ中期業務見積もりを達成してもそこまで達しないという段階でございますので、来年度五六中業の作業に入りますけれども、そういったようなことは十分踏まえながら新しい作業に入りたいとは思いますけれども、先ほど申し上げました防衛計画の大綱の示す水準に早く達したい、そういう考えでございまして、それ以上先生のおっしゃいますように、いざというときにはどれだけのものが要るのだ、それをいまもうすでに描いているのではないかということでございますけれども、そういうものを数字的に描いておるわけではございません。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 それはおかしいんですね。平時の防衛力としては新防衛計画大綱でこれだけのものをつくろうということにはっきり政府は決めていますよね。それに向かっていまやっている。それで、先ほども言いますように、いざという場合に十分やれますよというんならいいですよ。  それじゃもう一度聞きます。それでやれるんですか、やれないんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先生もよく御存じのように、先生のいまおっしゃいました防衛計画大綱の中のいわゆる基盤的防衛力の考え方というものは、平時にこれだけのものを持っておって、限定的小規模のものにはそれで対処するけれども、それ以上のものについてはいわゆるエキスパンドしていくという考え方であるということは、先生よく御存じのとおりだと思います。  そこで一方では、もし有事になれば、その平時の基盤的防衛力の上にエキスパンドしていくという考え方と、一方で日米安保体制というものとによって日本の防衛を全うしていきたという考え方でいまの大綱ができておると思うのです。そのうちのいわゆる平時に示されておるのがいまの別表に示されておる兵力量、防衛力の目標であろうと思いますが、それにまだ達していないので、早く達したいというふうにいま申し上げておるわけでございます。

堀江正夫自由民主党・自由国民会議

○堀江正夫君 いまおっしゃったように、新防衛計画の大綱ではいざというときに役に立たないんだ、当然それに対してプラスアルファしなければならないんだと。これはもうそのとおりだと思うのですね。そうだとすると、そのプラスアルファをするその姿というものがないのに、どうするんですか。そんなもの防衛庁本当に持っていないんですか。また、そういうものを持とうとしていないんですか。それは国民から見て本当におかしいじゃないか、何のための防衛庁だと。その上にいま日米安保、もちろん日米安保との整合の上において日本の安全というものは保持されなければなりません。ところが、一昨年ガイドラインを決められた。ガイドラインを決められたその後、いろいろと検討を加えられておりますですね。もう二年たちましたから、そろそろその検討結果は出ているんだろうと思いますよ、私は。出ておるとはおっしゃらないと思いますけれどもね。出ておると思います、その結果は。いままではそんなこと何もしないで、勝手に新防衛計画大綱でこれ以上はアメリカが来てくれるんだ、足らないところは全部やってくれるんだとやった。それがやってみると大分違ったものに恐らくなるだろうと思いますね。現実的になっていると思いますよ。そうすると、それに基づいてさらに計画を考え直すというのは当然のことじゃないですか。だから、二つのことを言っているわけです。新防衛計画大綱をもちろん見直さなければならない。事態も変わったんだ。前提としていた事態が全く変わってきている。また、その前提ともしていなかった、初めから夢みたいに描いておったアメリカの協力という問題が、だんだん詰めてみると、どうも変えざるを得ない。いまのままでは通用しなくなるんじゃないかというようなことも起きているに違いないというようなことからすると、防衛計画の大綱は変えざるを得ないじゃないかと。しかも防衛計画の大綱をやり、平時的な防衛力を持ったからといって、そのまま有事に機能するものじゃないということになれば、私は有事に必要な防衛力というものを検討し、それを持っておくということが国民に対する責任じゃないか、こう思うわけですが、最後にこの点をお聞きをして私の質問を終わろうと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 最初に、いまの日米ガイドラインの研究の点について申し上げますが、これは当然御承知のように、いまの自衛隊の持っております防衛力をベースにしまして、それにアメリカの協力体制ということで、どういう作戦計画を立てていくかということを考えておる。そういう作業を現在進めておるわけであります。  大綱の見直しの点につきましては、先ほど来のお答えを繰り返すわけでございますが、一日も早く達成したということで今後とも努力をしていきたいというふうに考えておるわけであります。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後十二時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      —————・—————    午後零時五十二分開会

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) ただいまから安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の安全保障に関する諸問題並びに沖繩及び北方問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 最初に奥野法務大臣にお伺いいたしたいと、こう思いますが、憲法改正の問題で予算委員会を初め、いろいろな委員会で大変話題をにぎわしてまいりましたが、この問題で、一応政府側のたてまえというものをわれわれも承知はいたしておりますけれども、本委員会は予算委員会でもなければ法務委員会でもないわけでございますので、防衛問題を論議をするところであります。したがって、改憲問題等についてたてまえだけの議論をしてみても始まらないということになってしまうんです。つまり、改憲論が自民党の中にあるということはすでにもう紛れもない事実でありまして、したがって、その改憲論というのは、一体なぜ、どういう理由で、どういう事情でいま憲法を改めなければならないのかということを明らかにしないと、防衛問題に対する論議が展開しにくいと、こういうふうに考えるわけです。  だから私は、あえて奥野法務大臣にお伺いをするんでありますが、あなたは衆議院の予算委員会でも、できる限り率直に意見の交換をし合った方が国政の審議に役立つのではないかと思うということを言っておられるので、あえてこの改憲問題等の背景となっておりますもろもろの点について、率直にやはり見解を表明していただいた方がよろしいのではないかと、こういう気がいたしますので、その点を御質問をする次第であります。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 御承知のように、鈴木内閣は憲法改正を全く考えない、こういう政治路線をとっているわけであります。したがいまして、鈴木内閣の閣僚であります私が、その政治路線に疑惑を持たせるような発言は慎んでいかなければならない、こう思うわけであります。いまいろいろなお話がございまして、そういう立場で答えなければならない事情は御理解いただいておきたいと思います。  私が、八月の末に衆議院の法務委員会で自主憲法について意見を求められたわけでございますが、そのときに、国民の間に合意が生まれて、同じものであってもいいから、もう一遍つくり直してみたいという考え方が生まれるなら、それは好ましいと考えておりますと、こう答えまして、その理由を三つ挙げたわけでございまして、一つは、日本国憲法は占領軍の指示に基づいて制定されたものであると心得ております、ということが一つでございます。もう一つは、当時も国会はございましたけれども、自主的な活動は許されておりませんでした、ということが第二でございました。第三には、国の独立を守っていく上で非常に重要な規定である九条について、有力な政党の間でその解釈に百八十度の食い違いがある、ということを申し上げたわけでございます。  さらに、いま瀬谷さんは、ここは防衛の問題を論じているんだと、こうおっしゃったわけでございまして、私がよそでしゃべったことが国会で、予算委員会でございましたか、取り上げられたりしたこともございましたので、その点だけつけ加えさしていただきますと、憲法が制定された当時の国際情勢といまの国際情勢、全く違ってきている。同時にまた、憲法が制定された当時の国際社会における日本の地位といまの国際社会における日本の地位、全く違ってきている。そうなってくると、日本の独立を守っていくためにいろいろ考えていかなきゃならないこと、それは、憲法が制定されたときといまとの間にはいろんな配慮をめぐらさなきゃならない問題が起こってきてるんじゃないかなと、こんな気持ちもあるわけでございまして、強いてそれだけつけ加えさしていただいておきたいと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いまの法務大臣の答弁、取り上げようによってはいろいろまた問題になり得る内容も含んでおると思いますけれども、私はまずここで申し上げますが、あなたが何を答弁をしようとも、そのことについて私は追及をいたしません。そう言っておかないと、どうも型にはまった答えしか出てこない。型にはまった答えはもうすでにいままでわれわれは聞いておる。そこで、あえて申し上げるから、多少これは問題だなと腹の中で思っても追及はいたしませんから、遠慮なく、思ったままを述べていただきたい。そうしないと実はこの防衛問題について突っ込んでいくことができないわけです。  そこで、いま憲法九条の解釈の問題が出てまいりました。この憲法九条の解釈の問題について、いろいろの違いがあるということをおっしゃられましたけれども、どこが、どういう点が違っておるのか、どういう解釈があるのか、二通りあるとすればどのような解釈かという点についてお伺いしたいと思うんです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法九条につきまして、自衛隊が違憲であるという解釈と自衛隊が合憲であるという解釈、まさに百八十度の違いがあると考えているわけであります。私たちは、憲法の九条第一項、これは侵略戦争を放棄しているのだと、こう考えているわけでございますけれども、違憲だという考えをとられる方々はそうではないという解釈をとっておられるわけであります。第一項に国際紛争解決の手段としてはという言葉を使っておるのは、不戦条約に使われている言葉でございまして、その場合には自国を守るための戦争まで放棄しているわけじゃないんだという声明も出されておるわけでございまして、そういう立場で侵略戦争を意味するのだと、こう解釈しているわけでございますけれども、違憲だという方々は広く戦争を放棄しているのだと、こういう点え方をとっておられるようでございます。同時に、第二項の冒頭に「前項の目的を達するため、」という表現が芦田修正で入ったわけでございます。したがって、戦力を保持しないのは、侵略戦争の目的を達するための戦力は保持しないと、こう書いているんだから、自衛隊は合憲だと、こう考えるわけでございますけれども、一項を違った意味で読まれる方々は、同時に、戦力を持たないと書いているから自衛隊は違憲だと、こう解釈されておられるように私は理解しているわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 「世界」という雑誌の十一月号に、宇都宮徳馬さんと遠藤三郎さんの対談が載っているのです。その中で遠藤さんがこういうことを述べておられるんですね。芦田さんが、憲法制定のころ遠藤さんに対して、遠藤さんは軍備反対論者だということを知ってか知らないかそれはわかりませんが、「「憲法第九条の第二項に「前項の目的を達成するため」というまくら言葉を入れておきました。だから将来、軍備をつくるとき「自衛のためならば軍備つくってもいい」という解釈もできますぞ」と直接話してくれた」と、こういうことが載っているんです。それはいまのあなたの御答弁と合うわけなんであります。そうすると、この憲法九条の中で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」、こう書いてある。だから素直に読めば、この憲法の中で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と、こう書いてある。いまの自衛隊が陸海空軍の戦力に該当するかしないかということになりますと、これはだれが見ても該当すると思うんですよ。それから「国の交戦権は、これを認めない。」というふうに書いてあるわけですね。だから、ここのところが解釈でもってうんと違ってくるんじゃないかという気がしますね。「前項の目的を達するため、」というのは、つまり「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と、こう書いてある。しかし、そのために、つまり武力による威嚇といったようなことのために、陸海空軍その他の戦力は持たないためだという解釈をこのまくら言葉でしようとしているということなので、私はやはりこの解釈には無理があるというふうに思います。しかし、無理があるけれども、ここをまあ理由にして自衛隊を合憲であるとみなしたいということだろうと思うんです。しかし、このまくら言葉を抜きにして考えて、素直に解釈するならば、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と、こう書いてあるんですから、まともな解釈から言えば「陸海空軍その他の戦力」は自衛隊とイコールになるかどうか、こう考えてみると、私はイコールになるんじゃないか、こう思うんですよ。いまの自衛隊が戦力じゃないということはこれは言えないんじゃないでしょうか。その点はどうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 政府の解釈もだんだん変わってきているんじゃないかなと、こう思いますし、その辺の問題になりますと、私が答えるのには適当でないと思います。同時に、占領軍が最初に考えておりましたときには、完全に武装解除させられておったわけでございますし、またマッカーサーノートには、自衛のための戦争も許さないようなことが書かれておるわけであります。またそれを日本文にしていく過程におきましていまのような表現になったわけでございますけれども、芦田修正が総司令部に承認を求められました暁に、占領軍の方で、これでは将来自衛のための軍隊を持つようになるんじゃないかなということを、さりげない調子で修正についての承認を求めましたにもかかわらず感じ取ったように見受けられるわけであります。だから衆議院の段階で、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」という規定の挿入を求めてきたわけであります。その際に、衆議院側は軍隊を持たないのに「文民でなければならない。」ということはおかしいじゃありませんかという返事をしましたら、あっさり引き下がったけれども、参議院の段階でまた強硬にその規定の挿入を求めてきたわけであります。結果として「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」というあの規定が入ったわけでございます。  したがいまして、交渉の過程を通じまして、私は、日本が将来自衛の軍隊が持てるということが占領軍の中でも暗黙的には認められてきた経過をたどったんじゃないだろうかなと、こう思うわけでございますし、同時に、芦田さん自身は「前項の目的を達するため、」という規定を入れるのは、自衛のための軍隊が持てるようにしようとして入れたんだと、ただ当時はそれを公にできない。しかし日誌にも書かれておられる、その後の芦田さんの著書にも明らかにされている。こういう経過をたどっておるわけでございますから、私は、いま申し上げましたように、戦力であろうとなかろうと自衛のための軍隊が持てるんだという解釈がとり得るんじゃないだろうかな、こう考えておるわけでございます。  戦力に関しまする問題につきましては、これはその関係の省庁の方でお答えをしていただくのが適当だと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いまの御答弁、これはやはり予算委員会等だったらかなり問題になりそうな気がするんですよ。だけれども、先ほど私がお約束したように、何を言っても追及をしませんから、なるべく本音を吐いてもらいたいと思うから、あえて申し上げているんです。  それでは、自衛のための軍隊は持てると、こういう解釈なんですけれども、しかし憲法で書いているのは、まくら言葉はまくら言葉なんで、本来ならば、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」ということは、素直に解釈をすれば、軍隊は持たないということになると思うんですよ。もっとも戦力なき軍隊なんという言葉も当時あったように記憶いたします。しかし、戦力なき軍隊なんということは事実上あり得ないんですよね。これはアルコールのない酒というようなものなんで、それじゃジュースになってしまうんです。だからそういうものは本来ならばあり得ない。言葉の上のごまかしにすぎないと思うんです。ところが、事実上は、いまその陸海空軍に該当するのは、陸上自衛隊であり海上自衛隊であり航空自衛隊であるというふうにわれわれはみなさざるを得ない。しかし改憲論者がいろいろと言わんとするところは、むしろこういうあいまいな、解釈の上でごく無理な解釈をしなければ、自衛隊は合憲でないと、こういうふうになっているから、無理な解釈をしなくてもそのものずばりで軍隊を認めさせよう、それから交戦権も認めさせようというところに改憲論者のねらいがあるのではないかというふうに私は思うんです。そうしないと、これはなかなかこの改憲の目的というものは達成されない、そこにねらいがあるのではないか、そこに背景があるのではないかというふうに考えられるから、私はあえてその改憲論の背景というものは何かということで法務大臣の見解をお伺いをするわけであります。やはり私が言ったとおりに、改憲論の背景というのは、この条文でもって無理な解釈をしなくともストレートに陸海空軍その他の戦力を保持できるようにしろということではないかと思われるんですが、そのように理解してよろしいですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法九条の解釈、沿革、あるいは現在の表現等をめぐりまして二つの解釈が出てくることはやむを得ない、私はこう思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そして、あなた自身が、法務大臣自身が、やはり憲法改正ということを法務大臣の立場で言うことは禁ぜられたかもしれないけれども、一議員として考えること、あるいはまたそれらの運動を進めるということは、これはあってもいいというふうにお考えになっているように感じられるわけでありますけれども、その点はあえてあなた個人の、法務大臣としての見解ということにこだわりませんが、あなた自身の見解はどうなんでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 自衛隊が違憲の存在などという話が出ないように、気概あふれる自衛隊を持っていかなきゃならぬ、こういう気持ちは非常に強いものがございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そうすると、自衛隊そのものを違憲論がないように、つまり堂々と憲法の上でも認められる、認知をされたという形での自衛隊でなければならないと考えておられるというふうに私は受け取りました。そういう受け取り方でよろしいですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 平和主義を徹底させながら、自衛隊がその存立を憲法上疑われるようなことのないようにしたいという希望は持っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それでは、そういう希望があるということと、それからあと、たとえばいまの自衛隊が、制定当時やはり占領軍のいろいろな制約があった、したがって、心ならずもいまのような憲法の姿になったんだという意味の先ほどの御発言がございましたけれども、その形の上では、じゃ日本の国会がこれを認めて制定をしたけれども、その裏の方を考えてみると、当時は進駐軍の命によりというのは最高至上の命令であった、したがって、アメリカ軍の意向というものが多分に作用をしているんだという解釈をやっぱりとってもよろしいんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 二十七年に独立いたしますまでは最高権力は占領軍が持っておったわけでございます。日本は無条件降服したままであったわけでございます。したがいまして、また日本国憲法は占領軍の指示に基づいて制定されたものだ、九条も同じような関係になっている、こう思っているわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 やはり、自主憲法を制定しなければならないという一つの考え方、その考え方の一番のポイントになるのは九条である。そして九条の戦力の問題、交戦権の問題、これが一番のポイントであるという理解は、これはあなた自身も認められるところですね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 独立を守っていかなきゃならない、一たん独立が失われたらもう後取り返しがつかなくなってしまう。政治家の最大の任務は国の独立を保全していく。そうなってまいりますと、自衛隊の役割りというものも非常に大きなものがある。その自衛隊につきまして、いろいろな、違憲的な存在であるような、士気を阻喪させるような話が出てくることは、何としても避けるようにしたい、こういうことでございまして、自主憲法をもしつくるとすれば、最大の眼目は私はそこにも置かれるんじゃないだろうかなと思っておるわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 じゃ、それ以外に現行憲法について、これは欠陥であると言うと問題になるかも知らぬけれども、不十分であるといいますか、改めなければならないというふうに考えられる点がもしあるとすれば、どういう個所が問題になるとお考えになっていらっしゃいますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 自民党の憲法調査会で、三年ぐらいの間にいまおっしゃったようなものをひとつまとめてみようじゃないかということで作業を始めておられるわけでございますし、私また鈴木内閣で憲法改正を全く考えない、そういう政治路線をとっている中の閣僚でございますので、そういう点になりますと控えさせていただいた方が妥当じゃなかろうか、こう思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いまここに並んでいらっしゃる閣僚の中では憲法の解釈等について述べていただくには法務大臣が一番適当であるというふうに私が思ったから、あえてお伺いをしたわけなんであります。  そこで、まあ恐らく、うかつなことをしゃべるとまたまた後で問題になるだろうという心配を多分になさりながら発言をされているだろうと思うんですがね。しかし、やはりこれは憲法の解釈論でもって、たとえば現行憲法を素直に解釈をして、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」のだと、したがって自衛隊は違憲であると、こういう立場に立つと、防衛委員会の防衛論議そのものをやることがおかしくなってくるというふうになるんで、そこであえてこれは解釈上の食い違いというものを明らかにしたいと思って私は質問をしたわけなんであります。  それでは、もし、これは言いにくいとか、言いたくないとかということならば、その点はあえて無理にとは言いませんけれども、いまの憲法を変えるという場合には何がサンプルになるかということになるわすです。サンプルになるというのは昔の明治憲法ですね。明治憲法というのは主権在民ではなかったわけです。「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」と、こういうふうに書いてあるわけです。天皇に主権があると、こういうことになっている。そして「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」というふうに書いてある。絶対的な存在になっておった。こういうのが明治憲法の特色だったわけですね。しかも欽定憲法であった。これがやはり戦前においては最も大事なところだというふうにわれわれは教えられたように記憶しているんですけれども、そのような個所を新憲法にもう一度復活をさせるというようなことになれば、これはまた軍備の問題とは別に、国家の性格の問題としても大変問題になってくると思うんでありますが、それらの点についての論議というものは、いま自主憲法制定といったような動きの中ではあるのかないのか、その点はどうでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 自由民主党が自主憲法制定を言うております場合にも、日本国憲法の持っております平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この三つの原理は堅持していくんだと、こううたっておるわけでございます。私個人も明治憲法に戻すようなことは夢にも考えていない。いも持っておる日本国憲法のよさをさらに伸ばしながらも、やはり自分たちなりに論議を詰めてよいものにしていきたいものだと、こう念願しているわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 もしそのようにお考えになるならば、やはり憲法九条の問題でも、軍隊を公然と認めるというような考え方は非常な危険を冒すということになるということを考えなきゃならぬじゃないかという気がするんですよ。ということは、軍隊が政治の実権を握ったために日本は太平洋戦争で苦い経験をしたわけです。しかし、その軍隊が政治の実権を握るということはいままでの例でわれわれは経験をしているだけに、たとえば、いかに言葉の上でうまいことを言ってみても、有事立法などというものが出てきて、軍そのものの目的のためには他の言論、集会、結社、思想の自由というものを制約をしなければ軍事力を発動することが困難になると、こういうふうになってくるわけでありますから、そこに結果的には明治憲法とやや類似した性格のものが再現をするおそれがあるのではないかというふうに心配せざるを得ないわけですが、その点についてはどのようにお考えになりますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、日本がかつて破滅を招いたのは帝国憲法の中の統帥権の独立ではなかったかと、こう考えておる人間でございます。いまの日本国憲法にはもとよりそういう関係の規定はございませんし、同時にまた、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」、こういう規定も入っているわけでもございますし、また基本的人権の保障で学問、思想、信条、言論等々の自由も保障しているわけでございますので、帝国憲法時代の社会と、日本国憲法のもとに置かれている社会とは全く違ってきていると思いますし、軍隊を持つからそれが変わっていくんだということは私はあり得ないことじゃないだろうかと思います。ことにシビリアンコントロールなどということも強く言われておるわけでございますので、これからの自衛隊のあり方、自衛隊と呼ぼうと何と呼ぼうと、いま私が申し上げましたようなもろもろの仕組みが変わるわけじゃございませんので、それによっておっしゃられるような帝国憲法下における軍隊のような存在になるということは考えられないことではならろうかと、こう私は思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それはまあ希望としてはそうであろうというふうに考えられますが、実際には軍隊というものは、軍隊自体が一人歩きをするということになりますと、すべてに軍事目的が優先をするというのが古今の例でありますから、シビリアンコントロールというものがどこまで維持できるのかということは実際問題としてきわめてむずかしいというふうに思います。  そこで、やはりこの第九条の問題は、軍隊そのものを認知するのかしないのかというところに一番大きなポイントがあるという気がいたしますし、ここでもって軍隊が持てる、あるいは交戦権放棄という条文をとってしまう、戦争ができる、こういうふうに歯どめをなくしてしまった場合には、これは大変にむずかしい問題が出てくるんじゃないかということを私どもは懸念せざるを得ません。  たとえば、防衛予算等についてもそうであります。防衛予算がどれだけ必要かというような問題につきましても、たとえばアメリカから防衛予算を増額をしてほしい、こういうように言われた場合に、本来ならばそれらの点は制服組の意向でもって決められるべき問題ではないけれども、じゃ実際問題として、いまの自民党内閣がアメリカの要請に対してこれを断るということが果たしてできるのかどうか。これはわれわれも十分に注目をしているところなんですけれどもね。その点、自衛隊自体の必要というものが表面化してきた場合に、予算の組み方でもむずかしくなってくるんじゃないかというふうな気がいたします。その点どうなんでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、軍国主義の排除ということと軍事力を持つということとは別問題だと思います。軍国主義の排除は、軍事が政治や経済や教育やその他の面において優先するということだと思います。戦前は軍事が優先しておったと思います。だから軍国主義の排除に国民みんなが力を尽くしたんじゃないかと思います。今日では完全に軍国主義は私は排除されていると思います。戦前の帝国議会におきましては、軍を批判した方々が逆に国会から去っていかなきゃならないような事態に追い込められたりしたわけでございましたけれども、いまのこの日本の議会でそういうことは考えられないわけでございます。  同時に、政府の面におきましても、先ほど申し上げましたように、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」、軍人の入ってくる余地を排除しているわけでございます。同時にまた、自衛隊の問題につきましても、シビリアンコントロールの仕組みなどをとっているわけでございますから、私は議会がしっかりさえしていれば軍国主義の台頭をいかに軍事力が大きくなっても許すものではない、こう考えるわけでございますし、そういう姿勢を国会が持っていくためには、私はいろいろなことを自由にひとつ論議を許してもらいたいものだな、憲法九条の問題であれ、日本国憲法の問題であれ、自由にひとつ論議する、揚げ足取りなどしないで本当に国の将来を憂える論議を積み重ねていかなきゃならない、そういう国会でなければならない、そういうことが私はいまおっしゃいましたような危険を排除する一番の力になるはずじゃないだろうかな、こう念願しているものでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 憲法九条の解釈の問題で、ここで法務大臣とやりとりをしようとは私は思いませんが、しかし憲法九条を改正しなければならないというその背景としては、軍隊という存在がクローズアップされてまいります。そこで、軍隊を必要とするかしないか、防衛力を増強するかしないか、こういう問題がやはり非常に大きな問題になってくるんですよ。今日日本がなぜ憲法を改めてまでも軍隊の存在を認めなければならないのか、そういう理由があるのかないのか、そういう背景があるのかないのか、それがやはりこの委員会の中心的な問題になるわけです。  そこで、今度は、それは防衛庁長官なり外務大臣なりの領分になってくるわけではありますけれども、しかし、こういう背景があるからこそ、この改憲是非の問題がいろいろと論議をされて、そして予算委員会等でもにぎやかな話題になっているということでありますから、この改憲の必要性というその武力の問題、さらに日本の今日置かれている国際情勢が当時とは違っておるということを先ほどあなたは言われましたけれども、どう違っているのか、具体的に、その点をどう認識しておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 日本国憲法が制定されましたころのアメリカの軍事面、経済面における力は絶大であったと思います。世界をリードする力を持っておったと思います。アメリカに身を任せておって日本の安全を守っていけたと思います。しかし、いまはそういう時代でなくなっていると思うわけでございまして、経済的にも軍事的にもアメリカ一国で世界をリードできるような状態ではございません。同時にまた、世界各国、各地におきましてその後どういう事態が繰り返されてきているか、またアジアの情勢がどうなっているか、いろんなことを考えますと、やっぱり日本は侵略を抑止する力をちゃんと持っていかなきゃならない、そういう態勢をを整えなきゃならない、こう考えるわけでございまして、それはやっぱり自衛隊の皆さん方がそれだけの気概あふれる方々にわれわれが環境をつくっていかなければならないんじゃないかなと、こうも思ったりしているわけでございます。  同時にまた、憲法のお話がございましたが、交戦権を認めずという言葉一つでも瀬谷さんのような解釈もございましょうし、交戦国の権利を認めないということだから商船の検閲をする、臨監する、臨検するということは認めないという趣旨だと、だからそのことは自衛隊を持つことが合憲になる支障にはならないんだと、こういう解釈もあることは御承知だと思いますけれども、そういういろいろなことがございますので、私はきちんとできるものならしたいなと、こういう願いを持っているわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いまの憲法でも自衛隊の存在というものは十分に認められるんだという解釈が素直に成り立つならば改憲論の必要はないわけですよ。私はそう思うんです。改憲論が出てくるということは、いまの憲法を素直に理解をすれば、戦力を持っちゃならない。陸海空軍その他の戦力はこれは保持しないということが一番の素直な解釈になってくる。だから、これでは自衛隊は確かに違憲になってくる、だれが解釈しても。小学生に解釈させたってそうなると思うんですよ。だからこそその改憲論が出てくるんじゃないでしょうか。それでなければ改憲論の必要はないわけだ。改憲論が出てくるということは、まさしくいまの自衛隊が違憲の疑いが濃いということを立証しているというふうに私は思うんですよ。そういうことになりませんか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、日本国憲法制定の経過、同時にまた九条の表現、そういうことから解釈が分かれてくることは避けがたいことだと、こう思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 先ほど堀江さんから質問がありましたときに、この違憲論争については不毛の論議が展開をされてきたと、こういう趣旨のお話がございました。そして、この不毛の論議という解釈はもういろいろありますけれども、私はやはり問題の本質というものを的確に表に出さなければ形だけの論争になってしまうと思います。たとえば違憲、改憲、いいか悪いか。それだけでやっておりますと、中身の問題に触れないで、入れ物の箱のかっこうだけでもっていいとか悪いとか言っていることになる。そういうことをやっていれば確かに不毛の論議になるかもしれない。しかし、じゃその背景になっている憲法改正の必要性があるのかないのかという問題について触れてくるならば、これも大変に見解の大きな食い違いが私は出てくると思うんです。だからいま私があえてお聞きしたかったのは、改憲論等がある、あなたがどっちを支持しているかということは聞かないけれども、あえてそんなことを法務大臣からまた言わせようとは思わないけれども、しかし、その背景というものは何かということをやはりずばり指摘をして、それを明らかにしなければ改憲論なんかをみだりに振り回すというのはこれはけしからぬことになるんですよ。つまり、改憲論だけを先に出して、なぜ改憲を必要とするかという問題を隠しておくというのは国民に対する一種のごまかしなんですよ。ごまかしておいて、それで言葉の上だけでもって憲法改正の必要があるとかないとかということをやっておったのでは、これはまことに国民にとってはわかりにくいことになると思うから、それは私は余り国民に親切な方法じゃないと思う。もっと親切にしたければその本質をずばり突いて、そしていまこういうわけだから憲法改正しなきゃならないんだということを国民の前に提示すべきではないかと思うんですよ。いままでの改憲論の中にはそういう核心を突いた問題の提起というのがなかったような気がいたします。  しかし、それは本当はよくないと思うんですね。理由があるから改憲の必要性というものは出てくるんじゃないか。理由もなしに憲法を改正しろなんてことをやたらと言われたんでは、これは困るわけです。中古自動車のエンジンがいかれたから新しいのと取りかえようというのとはわけが違うんです、憲法だけは。  そこで、やはり表向きの言葉では憲法改正の意思がないということをあなたも言われました。それはさんざっぱらいろいろ憲法論争で、いろんな論争があった中で結論的に鈴木内閣として形を整えるためにそういうふうに言われたものというふうに思いますけれども、憲法改正の気はないんだということは、解釈としては防衛力をこれ以上ふやすという差し迫った問題は日本には現在のところないんだという理解をするのが素直な解釈ではないかと思うんでありますが、その点はどうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 防衛力の問題は防衛庁の方でお答えをいただきたいと思いますが、私が申し上げておりますのは、やはり自衛隊の皆さんたちにひとつ気概を持ってその職務に精励してもらえるような環境を整えていく、それは政治家としての責任がお互いにあるのじゃないかなと、こう思っておるということでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それでは、その解釈の問題等についてこれ以上いろいろとやってみても、法務大臣から出てくる答えはこれ以上のものがないような気がいたしますから、今度は防衛庁とそれから総理府と両方の大臣にお伺いをしたいと思うんでありますが、まず防衛庁長官にお伺いをしたいと思うんでありますけれども、潜在的な脅威ということをしきりに言っておられます。ソ連の世界的規模の軍事力増強といったようなことと、日本に対する潜在的脅威ということを言っておられますけれども、それは具体的に何を指しておられるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 最近の極東におけるソ連軍の増強、あるいは北方領土における陸上部隊の増加、配備、さらには航空母艦「ミンスク」の極東回航、あるいは足の長いSS20、中距離爆撃機の配備等々の一連のソ連軍の極東における増強は、わが国にとりましても潜在的脅威の増大であるというふうに私ども受けとめている次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 極東におけるソ連の軍備力のことについてお話がございましたが、たとえば「ミンスク」の配置ということを言われました。しかし、この「ミンスク」という航空母艦といいますか巡洋艦といいますか、これはアメリカの正式な航空母艦の半分ぐらいのトン数しかないと思うんですが、ところが五万トン、六万トンという大型航空母艦は日本の横須賀を初めとする基地に対して自由に出入りをしているし、また日本の基地を中心にして日本の周辺を幾らでも走り回っているわけです。そうすると、それに対して、そのアメリカの航空母艦の半分しかない「ミンスク」といったような航空母艦が一隻や二隻極東に回ってきたということを取り上げて、これを北方の脅威である、あるいはソビエトの潜在的脅威であるというふうな解釈をするのは果たしていかがなものかという気がするわけですがね。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 私は、一連の最近におけるソ連軍の極東における配備の増強が全体として潜在的脅威として受けとめると申し上げたわけでございまして、「ミンスク」はその一例にすぎないわけでございます。  もう少し時間をかしていただきますると、まず地上兵力について見ますと、全ソ連が百七十三個師団、約百八十三万人のうち、そのうち四分の一程度に当たる四十六個師団、約四十五万人を主として中ソ国境に配備し、そのうち極東、おおむねバイカル湖付近以東地域には三十四個師団、約三十五万人が展開しております。航空兵力については、全ソ連の作戦機約八千五百機のうち、その四分の一程度に当たる約二千六十機が極東に展開しており、その内訳は、爆撃機約四百五十機、戦闘機約千四百五十機、及び哨戒機約百六十機であります。海上兵力は、全ソ連の艦艇約二千六百二十隻、五百一万トンのうち、その三分の一程度に当たる約七百八十五隻、百五十二万トンを保有する太平洋艦隊が展開しております。  このような極東ソ連軍は、近年、質量の両面にわたり顕著に増強されているものがありますが、中でも北方領土に地上軍が配備され、師団規模に近づきつつあること、極東、ザ・バイカル、シベリアの三軍管区及びモンゴル所在の部隊を統轄する統合司令部が設置されたと言われること、ソ連太平洋艦隊は総トン数が百三十八万トンから百五十二万トンへと十四万トン増加し、隻数が七百七十隻から七百八十五隻へと十五隻ふえており、その内訳として、潜水艦が百二十五隻から百三十隻へ増加しておりますが、この増加はすべて原子力潜水艦であり、この結果、原子力潜水艦は五十五隻でありましたのが六十隻になっております。また、主要水上艦艇としては、空母「ミンスク」、カラ級巡洋艦二隻、揚陸強襲艦「イワン・ロゴフ」等が新たに配備され、この間新型駆逐艦への更新を行われました結果、ミサイル搭載の巡洋艦、駆逐艦は二十隻から二十四隻へと増加しております。また、戦域核戦力としましては、日本及び中国を初めとする東アジアの大部分を射程におさめ得る移動式IRBM・SS20ミサイル、また西太平洋一帯を無給油で行動半径におさめるバックファイア爆撃機を新たに極東配備しておりますことなどがその代表的な事例でありまして、この全体を受けとめまして、私どもはわが国の安全保障に対する潜在的脅威の増大であると考えておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 本会議でありましたか予算委員会でありましたか忘れましたけれども、決して日本はソビエトを仮想敵国視しているということはないんだという意味の御発言を聞いたように私は記憶しているんです。ところが、いまの御報告を聞きますと、日本の自衛力を増強しなければならないという主たる理由のほとんどがソビエトの軍事力の増強である、潜在的脅威であると、こういうふうに聞こえるわけであります。そうすると、言葉の上ではソビエトを仮想敵国視するんじゃないと言いながら、実際問題としては日本の軍事力というものはソビエトを対象にしてことごとく考えられているというふうに理解せざるを得ないわけです。そういうふうになりませんか、防衛庁長官。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) わが国は平和外交を基本方針としておりますので、特定の国を仮想敵国視していることはございません。私がいま申し上げましたのは、潜在的脅威の増大であると申し上げたわけでございます。先生御存じのとおり、脅威には二つの要素があるわけでございまして、能力と意図でございます。いま申し上げましたように、極東一円にソ連の陸海空が最近質も量もふえているということは客観的な事実でございます。能力の増大でございます。これを私ども潜在的脅威の増大であると言っておるわけでございまして、もう一つの要素である意図の方ははっきりしておらないわけでございます。決して脅威が顕在化しているとは私ども考えておらない。そういう意味で、外交の基本方針である特定の国を仮想敵国視するというようなことは考えておらないわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 北方領土に師団規模に及ぶ地上軍部隊を配備して基地建設を続けている状況であるというふうにやはり述べておられますけれども、じゃ、これは具体的に師団規模に及ぶ地上軍部隊をどこの島に配備をしているのか、どうやってそれをのぞいてきたのか、ちょっと聞かしてもらいたいと思うんです。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 政府委員にお答えさせます。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 仰せのとおり、北方領土には一個師団近くのソ連地上軍が配備されておりまして、それで配備されております島は択捉、国後、色丹であるとわれわれは判断しております。  それを探知する能力でございますけれども、これは内外いろいろな方法がございますけれども、いずれもこれは秘密事項に当たる事項でございますので差し控えさしていただきたいと思います。ただし、このことはもう、われわれはまあ当初探知いたしまして、そのことを国民の前になるべく早くということで御報告申し上げたんでありますけれども、その後も結局はソ連も暗には認めるようになっておりまして、これはもうすでに、もともとわれわれは事実と承知しておりましたけれども、もう疑いを入れない事実でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 択捉と国後と色丹と、この三つの島に一個師団が分散をしているという意味でありますか、それとも各島に一個師団ずついるという意味なんですか、どうなんですか。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 各島の兵力をすべて集めて一個師団近い規模であろうと、そう考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 別に出かけていって勘定したわけじゃないと思うんでありますけれども、つまり一つの推定なんですね。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 推定と申し上げますか、われわれの判断でございます。一つや二つの事象ではございません、非常に多くの事象を総合いたしまして判断いたしまして、その後今度は外交的いろいろな検証手段がございまして間違いない判断でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 たとえば水晶島にトンネルをつくっているとか、いろいろな話がありましたけれども、いまの判断は要するに秘密だと、こういうふうに言いましたけれども、現行憲法の上から言うと秘密なんというものはなくていいんじゃないかというふうに私どもは思っていたわけでありますが、秘密な方法でもっていろいろと探ってみたら、どうやら一個師団ぐらいいるらしいと、こういうふうに理解されるわけであります。  そこで、それじゃこの択捉、国後、色丹の兵力が一個師団であるから、これが北海道に対する脅威になるというふうにまた判断をしているんですか。その点はどうなんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、最近の極東ソ連軍の増強ぶりを潜在的脅威の増大というふうに申し上げておりますが、北方四島に展開いたしました地上軍につきましても、その一環であるというふうに考えておるわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 先ほどの御答弁の中にも、軍事大国というのは米ソである、こういう御趣旨の——これは堀江さんの質問だったかな。米ソであると、こういうふうに言われましたね。それに対して異論を差しはさまなかったから、恐らくやはり米ソである、こういう判断に立っておる、防衛庁自体が。そう理解してよろしいでしょう。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 先ほど堀江先生の御質問に対しまして、軍事大国という言葉はいろいろな場合に用いられております。堀江先生のお使いになったような米ソ両超大国を目して軍事大国の例だというお考えもございますし、いろいろあるわけでございますが、外務大臣が軍事大国にならないと言われましたのは、外国に対してもっぱら脅威を与えるような軍事力を擁し、またそれを背景として外交政策をやる、そういうようなことはわが日本国としては今後やらない、そういう趣旨で申されたんではなかろうかという趣旨のことを私は先ほど申し上げた次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 別にこの種の問題についてむきになって弁解をしなくとも、米ソ両国が軍事的には世界で一番大きいであろうということはだれしもが認めているところだし、それはそれでいいんですよ。そのことをけしからぬと言うつもりは毛頭ありませんから。そのほかにもいろいろありますが、というふうにあなたいまおっしゃったけれども、いろいろあるというと、一体どんなことがいろいろの中にあるのかというふうに今度は聞いてみたくなるんです。その点どうなんですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) どうも、先生大変御勉強家なんで、堀江先生の御質問の趣旨が、軍事大国にならないというのはどういう意味かということだったもんですから、先ほど申し上げたように私お答えしたわけでございまして、その途中、米ソが軍事大国の例で、ほかにも軍事大国のあれがあるようなことを言ったのはどういうわけかといいますと、私は、軍事大国という言葉を自分で勉強のためにいろいろ字引を引いてみたんですが、私の持っている字引には書いてないんです。そこで、最近発達した言葉ではないかと思うんですが、恐らくこれは経済大国に見合うような意味で、非常に強大な軍事力を持って、それを政策の手段に使うような国を言っているんではなかろうか、その典型的な事例が米ソではなかろうか、こういうふうなことが一般に言われているんではなかろうかということが頭にありましたので申し上げた次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 米ソというものが一番クローズアップされる。そうすると、日本はその軍事大国の仲間には入ってないんだと、こういうふうになってしまうわけなんでありますが、いま問題になりますのは、北方領土にまで部隊の配備があって、これが潜在的な脅威であるということを言われるから、それじゃ、この潜在的な脅威と言うけれども、北方領土に配備されたソビエトの軍隊も、ライバルはアメリカであると理解をするのは妥当じゃないかという気がするんです。つまり、ソビエトの軍備というのは、海軍にしても陸軍にしても空軍にしても、その対象はアメリカにある、こういう理解になるんではないでしょうか、米ソという関係から言うと。もし米ソでなくて、日ソであるということになれば、日本もそれ相応の軍事大国の仲間に入っておるという理解でなければ出てこないわけです。だから、日本がいま対象になっていないので、米ソがやはりライバルという関係で、ソビエト軍の増強というものは、米ソの関係を意識した軍事力の増強である、こういうふうに見るのは妥当ではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 米ソの関係、あるいはその場合においてソ連がどういうふうなことを考えているかということは、私どもにはわかりませんけれども、日本にとりましてソ連が、先ほどから申し上げておりますような、やはり潜在的脅威であるということは、私どもはそういうふうに考えておりますし、また、米ソの二大軍事大国がお互い同士ライバルであって、ほかは、全然関係ないのかというわけでもございませんと私ども思うのですが、たとえばアフガニスタンにしましても、いまソ連に軍事介入を受けておりますし、中国にしましても、いまソ連といろんな意味での、まあライバルという言葉がいいかどうか知りませんが、対立関係にあるというふうなこととかいろいろございます。ですから、確かに米ソが二大軍事大国でありますけれども、米ソだけがお互いにライバル意識で対立しているというのでなくて、われわれから言えば、やはり日本にとって、極東ソ連軍の増大ということがやはり潜在的脅威であるというふうに受けとめておるわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 しかし、その北方領土の一個師団程度の判断という言葉で言いますと、じゃ北海道に日本の自衛隊は何個師団あるんですか。四個師団か五個師団あるんでしょう。そうじゃないですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 師団の数で言いますと、北海道の自衛隊は四個師団ございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 北海道に四個師団、そのほかにもあるわけですね。そういう配備を日本が行っている。かつての戦前の日本は、そんなに北海道にはなかったわけですよ。旭川に第七師団があったぐらいなものだった。いま四個師団も五個師団も北海道に配備している。それでいて北方領土に一個師団ぐらいあるのではないかという判断が脅威になるんですか、具体的には。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど来いろいろ申し上げておりますように、北方四島に展開したソ連軍部隊のみを指して潜在的脅威というふうに受けとめているわけではございませんで、先ほど大臣も申し上げましたが、極東地域全般におけるソ連軍の増強ぶりを指して先ほど来申し上げているわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 じゃ、「このほか、昨年の中越紛争を契機にベトナムの海・空軍基地の使用を開始し、いまやこれを常時使用する状態に至っていると思われます。」それが「有事におけるわが国海上交通路の安全にも大きな影響を及ぼす可能性があります。」これは一体どういう意味なんですか。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) ソ連は一九六〇年以来建艦に非常に力を入れています。現在われわれの推定では五百万トンと数えられる大海軍を擁しております。それから、ソ連海軍の従来の最大の弱点は海外に十分な補給基地を持っていないことでございまして、これが大きな制約になっておりました。ところが中越戦争を契機といたしまして、カムラン湾、ダナンの使用がほとんど常時化している。この結果、従来ソ連が持っていた最大の制約が相当程度緩和されたというふうに解釈されます。まさにカムラン湾、ダナンと申しますのは、わが国からペルシャ湾にかけまして石油ルートの中間に位置しておりまして、これは有事の際の海上交通妨害能力を非常に高めるものである、そういうふうに考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 「有事におけるわが国海上交通路の安全にも大きな影響を及ぼす可能性」があるというふうに防衛庁長官の発言があるわけなんですよ。だけれども、カムラン湾か、とにかくベトナムの海岸線にソビエトが基地を置くことが日本の海上交通路の安全に大きな影響を及ぼすと。これは一体どういう意味なのか。現に沖繩に日本はアメリカの基地を認めているわけでしょう。そして、沖繩におけるアメリカの基地からアメリカの航空部隊がかなり遠隔の地まで出かけているという事情があるわけでしょう。そうすると、沖繩に米軍の基地を許しておいて、そしてベトナムにソビエトが基地を設けたからといって、どういうわけでこれを日本の海上交通路の安全に大きな影響があるというふうに考えるのか。この点は、ちょっといささか勝手なような感じがするんでありますけれども、その点はどうなんですか。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 一国が海外に基地を置くことの是非、これは外交的な問題でございますので、ここでは判断を差し控えさしていただきまして、ソ連がベトナムにおけるカムラン湾、ダナンに海空軍基地を使用できる、それがわが方の海上交通路にとって、有事の際はこれを妨害する能力を増大せしめることになるということを申し上げたわけでありまして、これは客観的な事実でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 有事の際はという言葉でいま言っておられるけれども、有事の際は何もベトナムの基地であろうとどこの基地であろうと、有事ということは、あなたが言っているのは日本とソビエトが戦争をした場合はと、具体的にはそういうことなんでしょう。そうじゃないんですか。どうなんですか。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 日本が侵略を受けた場合のことでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 じゃ聞きますけれども、そういうふうに話が発展すると、あなたはソビエトが日本に対して侵略をするんだという前提に立ってこの大臣のあいさつをつくったのかどうかわかりませんけれども、今度は大臣にお聞きしますが、そうすると、ソビエトの艦隊あるいは航空部隊、陸軍部隊、択捉や国後の一個師団ぐらいの配備、さらにベトナムの海空軍基地までことごとく、ソビエトが日本を侵略する前提として考えておられるのかどうか、これは大変に外交上問題になることだと思います。そういう前提に立って、防衛庁というのは軍事予算をこれからも増強していかなければならないと考えているのかどうか。その点はどうですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 先ほど私が先生の御質問に対しまして、ソ連軍の極東における最近の増強の点を申し上げましたのは、勢力なり能力の事実を申し上げたわけでございます。もう一つの重要な要素である意図の点につきましては、いまのところわからないわけでございます。そういう意味におきましては、顕在的な脅威というふうには考えておらないわけでございます。いずれにいたしましても、これまではカムラン湾だとかダナンというところにはソ連の艦隊は平時はおらなかったんですが、最近はたくさんふえてきているということは事実でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 仮想敵国がないんだというふうに一生懸命に言っておられるけれども、じゃ、具体的にどうかという話になると、ソビエトの海軍の増強、陸軍の配備その他は「わが国の安全に対する潜在的脅威の増大」と受けとめているわけです、ここに書いてあるんだから。書いてあると言うより、あなたおっしゃっているんだから。だからきわめて具体的でしょう。片っ方、いま、侵略を受けたならばという政府委員の話がありましたね。じゃ、その侵略を受ける侵略の相手はソビエトということになるわけですね、あなたがおっしゃっている意味は。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 繰り返しお答えしまして恐縮でございますが、私は、事実としての能力が高まっているということを申し上げているわけでございまして、外交方針として仮想敵国を設けないという点は何ら変わっておらないということを明言申し上げる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それならば、「ソ連艦隊の西太平洋、インド洋へのプレゼンス能力を飛躍的に向上させる」とか、「極東ソ連軍の増強と行動の活発化はわが国の安全に対する潜在的脅威の増大」だとかいうことを述べておるのは、一体どういうことになるんでしょうか。それは、仮想敵国は考えていないと言いながら、具体的にはソビエトを仮想敵国に見ているということをここには具体的には述べているというふうに理解をされるんですが、そうじゃないんですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 再三申し上げて恐縮でございますが、仮想敵国としては考えておらないわけでございます。能力がふえてきているという事実を率直に申し上げているわけです。その点はどなたも認めざるを得ぬ事実だと思うわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 私の方でも再三申し上げるんだけれども、「潜在的脅威の増大」ということは、仮想敵国とはみなさないという言葉とはうらはらなんですよ。潜在的脅威がなければ何も仮想敵国もへったくれもないでしょう、実際問題として。だから、その点を仮想敵国がないと言うならば、何もソビエトの艦隊が、「ミンスク」がウラジオストックに行こうと、ベトナムにソビエトの艦隊が入ろうと、そんなことはわれわれの知ったことじゃないというふうに思うんですよ。それが「海上交通路の安全にも大きな影響を及ぼす可能性」があると、海の守りが危ないんだよということをソビエトの艦隊の問題と一緒にして言っているんですからね。仮想敵国は認めていないという言葉とは全然これは性格が違ってくるわけです。だから、余り型どおりのことを言わないで、おっかないと思うなら思うと、正直に言った方がいいんじゃないですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) くどくて恐縮でございますが、潜在的能力が高まっているということと仮想敵国と見るということとは相当隔たりのある問題だと私ども受け取っていますので、先生のように、同じことだというふうには理解しておりませんので、何度でもこの点は申し上げさしていただきたいと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 何度答弁をされても、言っていることはやはり同じことなんで、ここに書いてあることはもはや消しがたいのです。ソビエトの軍隊が、あっちでこうだ、こっちでこうだと、艦隊はこうだということを言っておいて、これは潜在的脅威だということになれば、ソビエトを対象にしているというふうに理解をする方があたりまえなんですよ、これは。あとで仮想敵国とは決して認めておりませんと言うのは、こういうのはつけ足しというやつですね。  それで、まあいい。同じことを言ってもらってもしょうがないから、その点はそれでいいですがね。——まだ何かおっしゃることあるんですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 私も、公の席上で所信表明として申し上げたことでございますので、責任を持たぬばなりません。何度でも繰り返しまして、潜在的能力と仮想敵国とは違うということを申し上げます。  また、先生のお言葉の中で、恐縮でございますが、ソ連の艦隊がどこへ入ろうと知ったことじゃないというふうに言われましたが、恐らく一億国民の大部分の方は相当関心を持っておられるのじゃないか。私ども国会議員としてもその点に全然目を覆うということは許されないのではないか、私はさように考えておりますので、あえて申し上げる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 潜在的脅威として、侵略をするという動機と理由と可能性というのがあるんだというふうに理解をしていらっしゃるのかどうか、今度はその点についてお伺いをしたいと思うんです。  理由もなく動機もなく口実もなしに、侵略が突如として始まるということは、これは考えられないわけです。その点についての動機、可能性等はあるんだというふうに理解をされた上で潜在的脅威というふうに考えておられるのかどうか、その点はどうなんですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) これも繰り返して恐縮でございますが、まあ能力と意図、二つの要素があります。後の方の意図があると私どもは現在判断しているわけではございません。意図があるのかないのかまだわからないという状態でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 わからないことをやたらと述べない方がよろしいというふうに私は思ったから、このあなたの主張の中のソビエトの問題について何回も触れたわけです。  最後に、時間が参りましたのでこれで防衛庁長官は打ち切りまして、総理府の長官に、北方四島の問題について強調されておりますけれども、これは返還要求をすると盛んに強調されておるけれども、これはどうやってその返還要求をするつもりなのか。もう答えは決まっているわけです、何回やってみても。答えは決まっているんだし、問題の打開の方法はない。その場合に、じゃ北方四島の問題については今後どういうふうにされるつもりなのか。  一方において、もう一つ沖繩の問題についてもちょっと触れたいと思うんでありますけれども、沖繩が返還をされたけれども、沖繩にも米軍基地が存在しているわけです。そして、この沖繩における米軍基地というものを、先ほどもありましたけれども、米ソの対立の中でソビエトは多分に意識をしているだろうと思うんです。そうすると、沖繩における米軍基地も返還をしてもらうということが沖繩県民にとっては沖繩開発のためにも非常に望ましいことではないかというふうに考えられますけれども、この沖繩における米軍基地の返還という問題は北方四島の問題と並行して考えてもいいことではないかと思うんでありますが、その点についての理解はどうなんでしょうか。

中山太郎自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 北方領土返還運動はいままでもいろいろ外交手段を通じてやってきたが、一向にその結果が出ない、幾らやってももう一緒じゃないかという御意見と私承りましたが、政府としましては、やはり北方四島というものは日本の古来の領土であるということが原点になっておるわけでございます。一八五五年にロシア帝国と日本の間で結ばれた日露通好条約、これによって歯舞、色丹、国後、択捉というものが平和のうちに日本領であるということにロシア帝国がこれで同意をしたわけでありますし、また、当時の日本国は、ウルップ島から以北の島はすべてロシア帝国領であるというふうに、これもまた平和のうちに双方が外交条約を結んで決めたわけでございまして、何ら戦火によってこの領土の設定が行われていない、こういう過去の歴史的な事実を踏まえて、この四島というものはわが日本国の古来の領土である、この古来の領土というものが今日においてソ連軍によって占拠されているということは、日本国民としてはまことに遺憾なことである。古来、領土紛争というものは軍事力によって自分の奪われた領土を取り戻すか、あるいは平和的に外交交渉によってこれの返還を求めるかということは世界の歴史が示すところでございます。私ども、この憲法下において、軍事力によって戦火を交えて領土の返還を求めるようなことは厳に考えてもおりませんし、またやるべきではございません。私どもは、やはり領土の返還運動というものを国民の総意のもとに、政府が外交を通じて相手国に領土の返還を求めるということは引き続きやっていかなければならない。御案内のように、トリエステ付近の領土をめぐる外交交渉も百年に近い歴史を物語っております。国家間の外交関係というものは、いつどう変化するかわからないというのが私どもの考え方でございます。  御案内のように、日中関係も、これから十数年前の浅沼・周恩来共同声明の時代と今日とでは、全然日中関係は違ってきたわけでございますが、これも戦の関係ではなしに、あくまでも平和の中に日中友好を推進しようという政府、民間双方の努力の結果が今日の姿になっておると考えておりまして、政府といたしましては、今後とも引き続き日ソ友好の促進とともに、平和のうちにこの古来の四島返還を求め続ける。先般、国連総会においても外務大臣が北方四島の返還を求めたということも御案内のとおりでございます。  また、沖繩米軍基地の問題と、この北方四島にあるソ連の軍事基地との関係におきましては、私どもは一日も早く外国の軍隊の基地が日本の国内からなくなるということが念願である、それがわが民族の理想であろうと思います。しかし、現実の国際政治の中で日米安全保障条約が結ばれて、いわゆる基地提供の義務を負わされているわけでございますので、私どもとしては従来とも米軍基地の返還を促進しておりますし、こういうことで一日も早く米軍の基地のなくなることも理想として掲げ、一方においては北方領土の返還を推進してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 まず初めに、憲法と日米安保条約の問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、長官、一昨々日ですか、総理大臣が自民党の二年生議員の会合に出まして、党としましては改憲党であるけれども、鈴木内閣としては護憲である、こういう矛盾はいたし方ないんだと、こんなことをおっしゃいました。今臨時国会が始まりまして終始党と内閣としての二面性、自民党員として、議員として、閣僚としての二面性、絶えず野党から指摘されてきたわけでありますが、みずから自民党の議員の会合で総理が二面性がある、こうおっしゃったわけでありますが、当然長官も自民党の議員でありますし、閣僚の一員でありますし、なかんずくその閣僚の中でも憲法改正九条、これはもうメーンテーマでありますので、一番関係性が深い閣僚であることはこれ間違いありません。ただ、二面性があると、こういう面を認めることにつきましても、やっぱり内心はじくじたるものがあるんではなかろうか、こう私思うわけなんです。何かいいこの解決方法がないかと、こんな心情的に苦慮しながら、やっぱりいまのところどうしようもないんだと、こんな心境でも総理あるのかなと。であるならば、自衛隊の最高の責任者である長官も、ジキルとハイドみたいなこの二面性を持つ内閣と党とこの板ばさみになるとか、ジレンマを感ずるとか、そんな問題が心情的にはあるんじゃないかなと、私、これ同情的にいま質問させていただくんですが、いかがですか、長官の御心境は。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) いろいろお尋ねいただきましたことはありがたいわけでございますが、防衛庁といたしましては、現行憲法は国家固有の自衛権を否認するものではない、したがいまして、自衛のため必要最小限度の実力は保有することはできる。すなわち、防衛力は九条で否認されております戦力には該当しないと、こういう見解をずうっと持っておるわけでございます。この見解に従って防衛力の充実を図るということに専念いたしているわけでございまして、ただいまお尋ねのございました政府と党の関係等につきましては私は答弁を控えさせていただきたい、かように思う次第でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 私は別に答弁を控えるような大それた質問してないつもりなんですよ。だから、長官が私の非常に単純といいますか簡単な質問でも何かこう重要視して、失言すると大変だと、これがいま私がくしくも言った、矛盾性を感じているんじゃなかろうかなと、こういう点に当たるんです。まあ結構です。  それで、現行憲法と——これは法制局長官、まず長官でいいでしょう、今度はむずかしいですよ。書いてませんよ、そこには。現行憲法と日米安保条約との関係、これはいいですな、現行憲法と日米安保ですから。ところが、憲法を変えよう、改憲、こうなりますと、要するに日米安保条約、この関係は必然的に変化するんではないでしょうか、関連性が。いかがですか長官。ちょっとむずかしいかな。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) やはり法律問題ではないかと思いますので、せっかく法制局長官が御出席になっておりますので、ひとつお願いさせていただきたいと思います。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) せっかくの御質問でございますけれども、鈴木内閣としては第九条を含めて憲法の改正ということを一切考えないということを総理が去る十月九日の衆議院の予算委員会ではっきり答弁しておられるわけでございます。したがいまして、九条をどう改正するかとか、あるいは改正した場合に日米安保条約がどうなるのかということについては、私どもとしてはもう一切そういう検討はいたしておりません。したがいまして、せっかくの御質問でございますけれども、お答えすることができないということで御了承を願いたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 それじゃ具体的に質問しますよ。言うまでもなく、現行憲法におきましては自衛隊は戦力じゃない、交戦権を認められてない、侵略に対してそれを防ぐための力である、こういうわけであります。その中において日米安保条約が補完的役目を果たす、こういうことですね。これが現憲法。  ところが反面、改憲論者の大多数は、言うまでもありません、九条、そして自衛隊に交戦権を持たせる、戦力として認めたい、こういう意思があることは、これはもう既成の事実であります。そうなりますと、いまの自衛隊、ディフェンス一方の自衛隊とは違うわけですね。そうなったとき、現状の自衛隊、それの補完的立場に立っている日米安保条約というものは必然的にその関連性が変わってくる、これは間違いないと思うんです。そうじゃないでしょうか、長官。ですからこれは、鈴木内閣が変えないんだとか、これはわかります。その答弁はいいですよ。しかし、その内閣を構成している与党・自民党は、冒頭に申しましたように、改憲しようと。これが九条で、どう変えるか、こうか、これはいいですよ。わかりませんからね。ですから、それの直接の問題じゃなくてもいいですよ。仮定の問題でもいいですよ。自民党の問題としてじゃなくてもいいですよ。現憲法が変わるとするならば、自衛隊を戦力とし、交戦権を持たせるということになると、必然的に日米安保条約の関連性は変わらざるを得ないと、こういうふうに思うんですが、これはいかがでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先ほども申し上げたことを繰り返す以外はございませんが、私どもは憲法改正というようなことを、たとえ仮定であっても、そういうことについて検討、研究をするということは一切いたさないと、そういうことを深く心に銘じております。したがいまして、大変申しわけがございませんけれども、そういうことを答える能力がございません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 法制局長官、長官として鈴木内閣をりっぱに法的に、ある意味においては国民に対して、あるいは野党の質問に対してきちっと明快な答弁をする、こういう面の大役を受けた長官ですからね。ですから、勉強しなきゃならない、それはあるでしょう、そういう問題もね。質疑通告する。それと同時に予算委員会だなんだって、全部すべて勉強して答えているんじゃないんじゃないですか。その場で仮定の問題として提起された、それに対してはこうですと幾らでも答えているわけじゃないですか、いままでの歴代の長官も。あるいは現長官も必ずしもすべて通告して、それをもう徹底的に勉強して政府の統一見解をつくって答えするなんていうケースばかりじゃないんじゃないんですか。その場で御判断いただける問題は御判断いただける、こういう場合も当然あるんじゃないでしょうか。ですから、ちょっと私、鈴木内閣の見解、これはもう十分知っております。私は瀬谷先生みたいに繰り返しの答弁が非常にきらいなたちでありますので、時間も限りがありますので、結構です。御勉強いただいてない、鈴木内閣は憲法護持、それについては勉強していない、結構であります。  ですけれども、自民党というものは冒頭に申しましたように改憲である、二面性があると鈴木総理大臣認めているんですから、それについてやっぱり私たち知りたいのは、自民党と言わなくてもいいと私言っているんですよ。もし改憲勢力が、大多数の人がやっぱり九条について、自衛隊について戦力と認め交戦権を持たせたいと、これはもう周知の事実であります。そういう考えの人は当然日米安保条約というものについてやっぱり考え方が、いまの現憲法と日米安保条約との関係とは違わざるを得ないじゃないか、当然そうあってしかるべきじゃないか、根本が違うわけですからね、現自衛隊とは憲法によって変わるのですから。そうなれば、それに付随している日米安保条約も当然変わらざるを得ないと、これはもう常識だと、こう思うんです。ですから勉強していなければ、いま私の問いに対して、いまの直覚の御判断でも結構でありますけれども、御答弁いただけませんか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 勉強していないことについては御理解を願ったと思いますが、それ以上、いまここで私が申し上げるだけの知恵を持ち合わせておりません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 私言っていることは矛盾でしょうか、それじゃ。非常に何だか質問が抽象的で、私が言っているこれはちょっと矛盾していましょうか。それじゃ、論理はいかがでしょう。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 仮定の問題を設けましていろいろ研究調査をするということは、御指摘のように決してないわけではございません。そういう意味で、おっしゃいますことは十分原則的には理解できます。ただし、憲法改正の問題については本当に何にも考えておりませんし、勉強もしておりませんから申し上げることがないということでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 私もそんな暇はありませんものですから、憲法の改正を前提にして勉強なんかしていません。ただ、やっぱりこれだけ論議が進み、深まり、やがて通常国会では大変なことに発展する可能性がありますでしょう。そのときはいまみたいに、ここだったらいいんですよ、皆さん非常に寛容な質問者が登壇しますので。ですけれども、この次そういうわけにまいらないと思いますよ。私の言っていることについて矛盾はないと、こう思います。そうするとどうなんですか、自主憲法制定国民会議とは言いませんが、自主憲法と言う方は、やっぱり押しつけられたから、それについて自主の憲法と、こういう考えですな、これは間違いありませんね。そうすると、やっぱり自主憲法と言う人は、いまの国際社会、政治の中、あるいは軍事力のバランスの中にあって、非常に問題はあるかと思いますが、少なくとも自主憲法を制定したい、アメリカに押しつけられたものはもうこの際変えようじゃないかと言う方の考えの中には、やっぱり自主というものは憲法だけではなくて、安全、防衛、それについても自主的であるべきだと、こういう考えが一緒にあるんじゃなかろうかと私は想像するんですが、これは勉強とか何とかじゃないですな、鈴木内閣、自民党じゃない、もういままでの常識の範疇になるかと思うんですが、長官、どう判断しますか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 私の立場は法律的な問題についての処理でございますから、いまの御質問は私がお答えをするやや範囲外のような気がいたします。しかし、御指摘のような考え方は十分あり得ると思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 私が言っていることはそのとおりだなんて言われても、御答弁が返ってこないとちょっと質問がかみ合わないわけでありますが、当然自主憲法であれば、安全保障あるいは防衛についても当然それに伴って自主的な方向にいくべきであると、こういう考えであることは間違いないと思いますですね。そうなりますと、またここに日米安保条約に依存する。補完といったって、いざとなったらこれはもう補完どころじゃありませんな。相当依存しているといういまの体制でありますけれども、それがやっぱり現行憲法と日米安保条約との関連性はやっぱり違ってくるんじゃなかろうかと、こう思うんです、長官。まあこれは勉強していただきまして、私もまたもう一回時期を見まして御質問させていただきますけれども、いまの一連のあれを聞きまして長官どう思いますか。いわゆる自民党、長官自民党員ですからな、議員ですから、自民党が考えている改憲あるいは自主憲法ということは、当然日米安保条約までもやっぱり考えが敷衍せざるを得ないと私は思うんですよ、結論的には。そういう点について長官どうですか、御意見、考え方は。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 御意見は拝聴いたしました。しかし私の意見は控えさせていただきます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 控える——国会審議というのは御意見を控えるところの場じゃないわけでありまして、野党が一方的に言いまして、そして勉強していません、御意見控えさせていただきます——こういう場じゃないわけでしょう。どうですか。防衛局長、どうですか。もうやっぱり事務レベルでは一番の最高責任者ですから、どう思いますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 事務レベルの責任者とおっしゃっていただきましたけれども、どうもこの問題は事務レベルの問題ではないように思いますので、私も控えさせていただきます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 それじゃ、これ答弁を控える特別委員会に変えたらどうですか。安全保障の特別委員会、円卓会議でフリーにディスカッションしましょうなんて、そういう趣旨とは全く違うじゃないですか、長官。どうですか。これはそういう趣旨の委員会なんですよ。私何も長官と対決しよう、法制局長官の法的見解について私がそれはこう云々なんてもう大それた気持ち全然ありません。むしろこの際、より深く憲法問題、そして安全保障、日米安保条約について私がお聞きしたい、知識をふやしたい、こういうふうに思っているわけですよ。何かディフェンスばかりかたくて、またここで何かあれしたら——そこまで総理から指令受けているんですか。もう野党の質問については慎重に答弁しろ。憲法問題、改憲という発言についてはそうでしょう。ですけれども、すべて答えるな、控えろ、こんなこと指示を受けているんじゃないでしょう。指示を受けていますか、総理から。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 憲法改正とも関連のある、また仮定のお尋ねでもございますし、私自身まだ勉強しておりませんので、そういう意味で控えさせていただきます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 仮定じゃないのよ。自民党の問題じゃないですか。仮定じゃないよ。もう現実の問題ですよ。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 自民党か、自民党に関係のある団体か、その辺も私不勉強でよく承知しておりませんので、そういう意味で控えさせていただきます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 ちょっとこれ、人を小ばかにしているかわかりませんな。まあいいでしょう。この次また機会をあれしましてもうちょっと論議しましょう。  問題を変えます。  防衛計画大綱、どうも九月の八日、あの自民党の研修会での発言、それから十八日ですか、参議院の決算、それから二十一日ですか、衆議院の安保、ずっと長官の発言を聞いていますと、何か大綱見直しについてはもう傾聴すべきときだと、あるいはもう大綱は見直さないんだと、あるいは二十一日には参事官がどうも基盤防衛力構想について見直すときだ、まあ大綱ですな、見直すときだと発言もしたとか。きょう総理大臣が会談やっていますね、いまの時間に、民社党さんと。そこでは何か大綱見直しは当面しないんだ、こういうふうに言うんだと、こんなことなんですが、どうなんですか、この防衛計画の大綱というのは当面見直さないんですか。それとも当面を除いて見直さないんですか、どうですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 私は前にもお答えしましたとおり、自民党の研修会におきましては現在見直す考えはないということを申し上げたわけであります。それに対する質問者が五年後はどうかという質問でございましたので、その時点においてはいまのところわからないと、そういうお答えをしたわけでございまして、その後の委員会等の機関におきましても現在は見直す考えはないと。将来につきましては、内外の情勢等もございますので、その時点において見直すことになるかもしれないし、あるいは見直さないで済むかもしれないと、こういう趣旨の答弁を各地でいたしておるわけでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、現在当面見直さない、将来につきましてはまたいろいろその時点において判断して考える、こういうことですね。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) そのとおりです。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、見直さざるを得ないような状況が出る可能性というのはたとえばどんな可能性がありますでしょうか。これは局長からでもいいですよ。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 防衛計画の大綱は、御承知のように、五十一年にできました当時の国際情勢の分析の上に立って、大きく変化しない限り、平時において整備すべき兵力量は云々と、こういうことでできておりますが、その翌年の五十二年の防衛白書で国際情勢とはどういうものかということで例示をしております。五点ばかり例示をしておりますが、それは一つの例示であると思いますが、そういう例示にありますようなこと、あるいは例示にないそれ以外のことでも、わが国の国際情勢をめぐりまして大きな状況の変化があるというように判断される場合には見直すことが考えられるということも、そういう時期も来るかもわかりません。あるいはまた、いま防衛計画の大網の別表の線に早く届くように努力しておるわけでありますが、その努力した結果が到達するという時期が来た場合には、これまたやはり見直すような時期が来るかもしれません。そういうようなことがいまのところ一応考えられますけれども、いまの時点で具体的にどういう状況だったら見直すというふうにはまだ検討をいたしておりません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 五十一年に大綱を設定しましたですね。四年間たった。その間、先ほど論議がありました北方に一個師団がソ連が駐留して基地もつくった。あるいは「ミンスク」がインド洋から近海を遊よくしている。あるいはカムラン、ダナンにソ連の基地をつくった。これは見直す材料じゃないんですね、それじゃまだ。ソ連の潜在的脅威は増大した、こういうものを含めて、アフガンの侵攻も含めてでしょう。ですけれども、見直す材料ではないと。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど私、国際情勢等から計画を達したときと言いましたが、もう一つ、やはり当然のことですけれども、国内情勢も当然考えなければいかぬだろうと思います。  それからいまのお尋ねでございますけれども、先ほど来極東の軍事情勢の変化、潜在的脅威の増大ということについていろいろ申し上げておりますが、その辺は大変私ども注目をしながら注視しておるところでございますけれども、いまの状態で防衛計画の大綱を見直すべき状態であるとはまだ判断をしておりません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 当然ソ連の潜在的脅威に対しての整備ですから、焦点はソ連の潜在、顕在的な軍事の行動ないし拡大でしょうね。その後いま考えられるのはやっぱり東南アジアでしょうね。ベトナム、カンボジア。そうすると、あのベトナム、カンボジア、あそこらあたりの雰囲気がタイ国境まですれすれですな。あそこらあたり、もうちょっと、たとえばベトナムがタイに侵略したとか、ソ連がベトナム援助を活発にしたとか、そういうようなことがあると、これは見直すかもわからないような要因の一つにはなり得るんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いまベトナムとカンボジアとかタイとかいうふうに例示をされましたけれども、いま確かにいろいろあそこで問題が起こっておりますが、いまのような時点でまだ見直す段階と思っていないということを先ほど申し上げましたが、その後、いまの話題になっておる地区でどういうことが起こるかはまだわかりませんけれども、いまの時点で何が起こっても見直すことはないだろうとか、あるいは見直すべきだとかいうふうにはまだ申し上げられないと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 ソ連の「ミンスク」、それから最近は駆逐艦か何かが一隻またあの極東に配備された。そうすると、今度は艦船。飛行機は年がら年じゅう東京急行や何かをやっていますからね。たとえばソ連の飛行機の日本近海に対しての頻度がもっともっとますます、倍になるか三倍になるか、あるいは「ミンスク」を中心にしてソ連の極東の力、艦船がもっと増大された、そういう時点においては見直す可能性というものは出てくるわけですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま御指摘のソ連の艦船あるいは航空機等は、近年増強されておるのみならず、確かにわが国の周辺の行動も活発化してきております。しかし、先ほど来申し上げておりますように、いまそれをもって見直すべきだとは考えていないということを申し上げましたが、今後その動きがどうなっていくかということ、これまた先ほど来申し上げておりますように、いまからの変化がわかりませんけれども、いまの時点でそれを理由に見直すことになるだろうとか、あるいは見直すことにはならないだろうとかいうふうにはやはり申し上げにくいと思います、いまの時点では。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうしますと、いずれにせよその時点で判断はするんでしょう、国内の要因も含めて。だけど、いずれにせよソ連の潜在的な軍事力の整備増強、それに相伴ってこの大綱は見直さざるを得ないという条件だけは間違いないんですな、その条件だけは。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど来、幾つかの条件が考えられるという、五十二年の防衛白書にも幾つかの例示がしてあると申し上げましたが、ソ連の潜在的脅威の増大ということが、一つの要因であるとは思いますけれども、先ほど来申し上げておりますそれだけが見直すという意味にはこれはならないと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 一次防から四次防までの所要防衛計画、それが基盤防衛力に変わったわけですね、五十一年。その根本、これは私言うまでもありません、変化。長官はどうなんですか、脅威対抗論者なんですか、あるいは没脅威論者なんですか、いずれですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  脅威対抗論者でもなく没脅威論でもございません。先生よく御存じのとおり、防衛計画の大綱は、脅威の量のみにこだわらず、限定的小規模の侵略に対して対抗できるすき間のない防衛力を築くことを基礎的なものとして考えると言っているわけでございまして、現在私ども大綱の線に従って防衛を進めておるのであります。そういう意味では、脅威がふえたからすぐ計画を見直すとか、そういう考え方をとっているものではございません。また、大綱を策定しましたときの直後の五十二年の防衛白書を見ましても、脅威のない防衛というものはないということも明確に記しているわけでございまして、そういう意味で没脅威論でもないということを明確に申し上げておきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 ソ連の潜在的脅威に対して日本の防衛力を整備するというわけでしょう。そしたらやっぱり脅威に対抗して整備しなきゃならない。それがいまの防衛庁の考えであり、五十一年から作成した、いまも一日も早く達成したいという防衛計画の大綱の趣旨じゃないですか。いいですか。そうなりますと、これは脅威対抗論じゃないでしょうか。ソ連の潜在脅威、それに対して整備をするということになると、やっぱり脅威に対抗して防衛計画の大綱を一日も早く整備したい、こういうふうになるんじゃないでしょうか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、ソ連の極東における増強は潜在的脅威の増大と受けとめておるわけでございます。大綱が制定されました基本的な条件は大きくは変わっていない、したがいまして、大綱は見直さない、しかし、大綱の促進には努める必要があるというのが私の考え方でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 局長、中業と防衛計画の大綱との関連性というのはどういうふうに理解したらいいんでしょうか。中業の達成、それから防衛大綱、これを一日も早くと。ですけれども、中業の方はもう五六中業は内閣で国防会議にかけると、こういうわけでしょう。達成しましても大綱よりもぐっと下ですな。だけれども、当面は中業だけを達成したいと。それでその後に大綱と中業とのこの開きがある。これもまた一日も早く達成したいと、こういう二段構えになったんですか。そうすると、この二段構えの中の中業というのは、一次防から四次防と同じような、年間計画ですからね、年度の計画ですから、単年じゃありませんから、そういう性格を持たざるを得ない。現に持っているわけですな、中業というのは。その関連性。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) まず大綱に基づきまして、大綱ができた後、御承知のように、今後は五年計画というのはやめて、毎年予算要求という形で整備をしていくんだということになったわけでございますけれども、防衛庁といたしましては、やはり防衛力を整備するに当たって何らかのめどが防衛庁としては欲しいということで中期業務見積もりという考え方を取り入れて始めたわけでございまして、その意味では大綱のできた後の防衛庁のそれ以後の防衛力整備に対します方策として考えた。したがって、考え方といたしましては大綱に基づいて整備をしていく一環であるというふうにまずお受け取りいただきたいと思います。  それで、それではいまあります五三中業、五十三年度に採用しました中業、これがいま先生もおっしゃいましたように、でき上がってもまだ大綱の水準には達しない。これはそういうことを申し上げているとおりでございますが、いま申し上げましたように、大綱の別表の水準に早く到達したいという気持ちをわれわれは持っておって、それを整備していくのに私どもの一つの目安として中期業務見積もりという方式を考えてやっておりますと。それじゃ年次防と同じではないかというふうにいまおっしゃいましたけれども、実はこれもたびたび申し上げておりますように、中期業務見積もりの場合は主要装備品に限っております。それから五年間の一応計画ではございますけれども、年次防のように年度割りを持たせておるわけでもないというような、あくまでも予算要求、業務計画をつくるための参考資料であるということでやっておりまして、そういう意味では年次防とは当然違います。形式的にはもちろん国防会議やら閣議やらの決定とは違いますし、形式的にも違いますし、内容的にもそういう点で異なっております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 時間がないので飛び飛びになりますけれども、北米局長、先だっての国際艦隊のシーレーンの防衛の問題、あれはどうなんですか。局長は政府部内でと、こうおっしゃったのは、やっぱり言葉の間違いであって、政府部内で検討したものじゃないんですか、なかったんですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) この問題については方々の委員会で御質問がございまして、それで実際上はアメリカ側からも要請は全然来てないわけでございますが、どうしても仮定の問題として、費用の分担をすることができるかどうかという御質問でございまして、外務大臣の方から、それでは関係当局と検討して御返事申し上げましょうということになっておりまして、その後外務省が中心になりまして関係当局と御相談した結果、この前の安全保障特別委員会で私の方から御答弁したことでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、あの御答弁が政府統一見解であると、こういうことなわけですね。その後宮澤長官がやったのは、そうするとどういうことになるんですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 私も、国会の答弁の中で統一見解という言葉は用いておりませんで、政府部内で検討した結果ということでございます。  それから、宮澤長官が記者会見で言われました内容を私直接は承知しておりませんが、私の答弁した問題に限ってでなくて、別途のいろいろな質問が記者団から出て、それについては統一見解はないと、こういうふうに言われたというふうに了解しております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 いまのこととは違っているんですか、長官の発言は。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 長官が記者会見で言われましたのは、この共同パトロールについての費用分担でなくて、そのほかのいろいろなケースがあるだろうと、それについては別に政府の統一見解はないと、こういうふうに言われております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、政府部内というのは、当然防衛庁も一緒になって見解をあれした。まあうなずいているからもう答える必要ないですな。それでいいですね。防衛庁も政府部内——統一見解使わないと言ったって、いまの国会用語で統一を使っているから統一と言っているんですけれども、政府部内の見解で防衛庁もそれに関与したわけですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) この問題は、要するに経費の分担ということに限ってのお話であったものですから、直接私どもが、何といいますか、相談にあずかるという立場ではなかったわけですが、そういった事柄については承知いたしております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 たとえば、国連の安保理事会でホルムズ海峡の安全航行を確保するために、ひとつ各国が分担金を出そうじゃないかと。日本も安全保障理事国の一員に幸せなことに当選したわけですな。そうなった場合に、これはどうですか。拠出金を出して、これは憲法との問題はどういうふうになりますでしょうか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 私は外務省でございますけれども、国連を担当しておりませんので、非常に権威的なお答えができかねますけれども、やはりこれはケース・バイ・ケースに応じて検討されていく問題だと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 国連は来てないのかな、外務省は北米局長しか来てないのかな。権威ある答弁のできる人はいないのかな。——国連で決議するわけですよ。そうすると、ケース・バイ・ケースと言ったって、ホルムズ海峡ですよ、安全航行ですよ。だって非常に可能性が強いじゃないですか。これは必ずしも仮定の問題じゃないですな、いま当面の問題ですから。もう現実問題になる可能性ありますよ。その権威ある答えのできる人はいないのかな。国連の安保理事会で決議するわけです、各国で安全航行を確保しようじゃないかと。そうなった場合、日本はこれから出ますから当然分担金拠出します。そうなった場合には、これは憲法との問題はどうなりますか。——だめよ、長官は絶対答えないよ、憲法とのかかわりは。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。  国連の安全保障理事会の決議ということとの関連におきましては、従来いろいろな休戦監視団とか、あるいはその他の平和維持機能を持ちます部隊というものが、国連から安全保障理事会の決議によって派遣されておる例がございます。具体的に何年のいつ、どこの地域へということは、私ただいまここに資料を持ち合わせておりませんのでわかりませんが、そういうことがございます。そしてその際に、大体におきまして、国連決議に基づきまして、各国の分担金というものを特別の支出として各国に要請されるということが通例でございまして、その場合に、日本も従来におきまして出しております。全部出しておるかどうかは知りませんが、私は出した例があることは承知いたしております。したがいまして、そういうことがあったということは申し上げられるわけでございますが、今度のそのホルムズ海峡のような場合に、一体それがどのような任務を与えられて、どのような態様において行われるものであるかということも全く仮定の問題でございますし、それについてすぐに出すとか出さないとかいうことをただいまこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうなりますと、新しいファンドを出すんじゃなくて、拠出してますな、日本がもう国連にね。アメリカの次に大量の金を拠出しているわけでしょう。それから自動的に使われちゃう、こういうケースだってありますね。こうなった場合どうでしょう。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) 一般経費の分担金、各国の分担金から——国連に拠出されます分担金と申しますのは一般経費に使われるわけでございますが、その一般経費の中から使われるということがあるのかないのか、実は私国連の財政面につきましてきわめて知識がないものでございますからよくわかりません。特別の任務がある場合、たとえば国連平和維持軍のような場合には、従来とも分担金が割り当てられていたように承知しております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、今度は二国間、日米二国間、これは安保条約別にしまして、日米の友好関係というのは緊密ですから、その日米間で、要するに在日の米軍基地の駐留費なんか、もう地位協定これを無視して大幅に増額したし、するという構えですな。当然、ですから、日米間というのはもう——知らないの、条約局長。そうじゃないですか。二百四十億からもっとふやそうというんですから。そうでしょう。そうすると、日米間の友好関係ということを踏まえて、それでひとつホルムズ海峡の安全航行を確保しようと、ひとつ金を出そうと、新しい協定か何かでですね、こういうこともあり得るかと思いますよ。アメリカはまたアメリカでEC諸国とどうだやろうじゃないかと、あるいは中東沿岸諸国の国々と、ひとつ安全確保するためにお金を出してと。  こうなりますと、国連という多国間の問題ではありません。二国間の問題になってくるわけですな。日米だけの二国間。こうなった場合に、これは国内におきましては日本が進んで出してますな。拠出してますな。むしろアメリカの負担というものを日本が肩がわりしている。そうすると、ホルムズ海峡にそういう場合を想定したときには拠出してもいいんでしょうか。まあ先ほどのそんなみみっちい話はないよと、こういうことはおっしゃいましたけれども、これはないということを前提にあれしたら、政治というものはある程度見通ししなきゃならない。また、可能性は現実にあるかわかりませんよ。日米間、多国間じゃなくて日米間、二国間の問題はどうなりますか。そして、さらにアメリカがほかの国とそういう拠出をしようと、そうすると結果的にはやはり多国間の中に日本も入るわけですね。どうでしょう。これはあり得ることじゃないでしょうか、二国、日米間の友好の中においては。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) まず最初に先生の御指摘の地位協定、駐留軍経費について地位協定あるいは安保条約の枠外で拠出しているということでございますが、これは地位協定のあくまでも枠内で私たちはやっていることでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうじゃないんですよ。枠を相当大幅にあれしている。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) それからいまの御質問の点については、あくまでも前提としてホルムズ海峡のパトロールのために、これは外務大臣が再三申しておりますけれども、アメリカがそういう金を友好国に負担しろというようなことを、みみっちいことを言うことはないであろうということを言われておりますし、また金を出す場合に、果たしてそういう二国間協定が必要であるかどうかということは別問題でございますし、私がこの前答弁いたしましたのも、いわゆる集団的自衛権との関連で共同パトロールに金を出すということについては差し支えないと、しかし、具体的な支出の目的とか態様についてさらにその場合に研究して調査し精査する必要があるだろうということを申し上げているわけで、いまの御質問についてもアメリカ側から仮に具体的なそういう要請があった場合には、アメリカの要求を見て日本の態度は決定してしかるべきだと思いますけれども、いずれにしても現在の段階でそういうことは具体的になっていないという段階でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 長官、いまの質問とは別ですけれども、総理の外遊やなんかがもうぼちぼち出ていますね。やっぱり長官もアメリカに行かれるというあれはないですか。いまのところはないですか。あるいはこれから検討するという可能性はあるんでしょうか。アメリカからは来ていますね、次官やなんかが。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) いまのところございません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 いまのところありません——そうすると、臨時国会でも終わって通常国会が始まる前に、重要な日米関係というものをもう一回整理するために行くという考えもいまのところ持っていませんか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) いまのところそういう考えも持っていません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 また問題を変えます。  短SAMの問題が解決したようなしないような……。自衛隊の国産装備の、技術開発は短SAM、これはまあいいわけですな。あとどんな技術開発をしているんですか、国産化の。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) お答えを申し上げます。  技術開発につきましては、いまの先生の御質問は、ミサイルに限らないで一般的にということで受けとめまして、主なものを申し上げますと、最近のものといたしましては、いま出てまいりましたところの地対空の短距離のミサイル、それから空対地のミサイルでございます、ASMと言っておりますが、でございますとか、それから七四式の戦車でございますとか、少し古くなりますけれども、C1といいますところの輸送機、それからこれは練習機でございますがT2、それの改造型としてのF1とか、その他……。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 もう終わったものじゃなくて、これから。終わったもの聞いたって、あなたよりぼくの方がよく知っているよ、長いんですから。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) これからの計画でございますか。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 終わったもの聞いたってしょうがない。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 急な御質問なんで……。  いま計画実施中のものといたしましては、対戦車誘導弾でございますとか、それから地対艦の誘導弾、これはミサイル関係でございますが、それから方面隊用の電子交換装置、それからECM装置、非常にいろいろございますが、計画の大きなもの、主なものというかっこうでちょっと申し上げさしていただきますが、それから新戦車のいろいろな要素の研究をいたしております。それから高速ホーミング魚雷、それから小型のターボ・ファン・エンジンとかといったような計画でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 いまの魚雷、それは原子力潜水艦に対する魚雷の技術開発ですか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 原子力潜水艦、特にそういうふうに限ってございませんで……。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 深海用の。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) はい。高速で、かつ、ある程度の距離を持った魚雷であるというふうにお考えいただきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 ですから深海用。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) はい、さようでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 必ずしもというけれども、必ずじゃないんですか、いまの高速深海。要するに、普通型の潜水艦じゃなくて、六百、七百メートルの深海、その原子力潜水艦に対して、要するに、何かこう鋼鉄板の魚雷か何かの開発ということですか、それは。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) いや、そういうことではございません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうじゃないわけですか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) はい、必ずしもそうでございません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 じゃどういう種類のものなんですか。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) お答え申し上げます。  高速ホーミング魚雷と申しますのは、先生がおっしゃいました潜水艦の種類といたしましては、所要の深度より浅いものであれば、原子力潜水艦であろうが通常型の潜水艦であろうが、いずれに対しても有効なものでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 所要の深度の深いものを言っているわけよ、だから。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 有効深度よりもっと浅い……。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 反対の、ぼくは深いものはどうなんですかと言っている。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 深いといいましても数量的なものはちょっとなかなか具体的には申し上げられないんですが……。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 六百、七百ぐらい。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) まあ、通常の性能のものに対しては有効なものをねらって開発しております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 要するに、原子力潜水艦といったって絶えず深海をあれしているわけじゃないでしょうけれども、六百、七百ぐらいの深いところで、それを攻撃するような魚雷の開発というのはないんですか。いま技術開発をしていないんですか。普通型の潜水艦、二、三百メートル、浅いですな。そうすると原子力潜水艦がぐうっと深度を深くしたとき、それに対して攻撃できるような魚雷の技術開発というのは日本はやってないんですか。それはそうじゃないんですか。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 具体的な数字は申し上げられないんですが、現在考えられる原子力潜水艦等の深度に対しても有効なものをねらってやっております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、具体的なことは申し上げられないんで聞くつもりはありませんけれどもね。そうすると、それはあくまでも原子力潜水艦に対して有効なものということはこれはもう大前提ですな。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 特定に原子力潜水艦のみをねらっているわけじゃございません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 「のみ」じゃなくて、さっきから何回も言っているように……。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 潜水艦に対して有効なものでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 ただし、原子力が深海に航行したときも……。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 有効なものです。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 有効でしょう。——ときのために、いまあるものじゃだめだから、開発しているんでしょう。それも含めて。そうでしょう。それよりも、通常の潜水艦よりも深くもぐれる原子力潜水艦に対して攻撃できる魚雷を開発していると、こう言ってもいいんじゃないですか。

番匠敦彦防衛庁参事官

○政府委員(番匠敦彦君) 潜水艦の性能も年々進歩しております。現在持っているものよりももう少し深度の深いものに対しても有効なものを開発しておきませんと、将来の装備に対して有効でございませんので、開発をやっておるわけでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 もう時間がないから、それはいいです。その次にいきましょう。  陸対陸の訓練。いま空対空の日米の訓練をやっていますね、どこかで。それからリムパック、海と海をやっていますね。陸は五十六年図上作戦ですか。そうすると今度は五十七、八、どうなるかわかりません、実際にやっぱり図上作戦じゃないでしょう。日米の陸が合同してかなんか訓練するという想定の前の図上作戦でしょう。そうすると、どうなんですか、防衛庁が来年は図上作戦をやるという想定の中には、陸上自衛隊、それからアメリカの陸、これは韓国とハワイしかありませんな。そうすると韓国の米陸上部隊が日本に来るのか、ハワイの米陸上部隊が日本に来て日本で陸対陸の訓練をやるのか。それとも日本が韓国へ行ったりハワイに行ったりするのか。それともどこか、グアムか何かででもランデブーして、それでそこで訓練をやるのか。あるいは陸対陸といっても、向こうの陸がいないから、だから沖繩にいるマリーンで、海兵隊でこれを済ましてしまって、陸上自衛隊と海兵隊でどこかで訓練やるのがこれは手っ取り早いと、こんなようなことを想定して来年は図上作戦をまずやろうと、こういうことなんでしょうか。そのあたり、どうでしょう。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 陸上自衛隊につきましては、御承知のように、まだ日米共同訓練をやったことがございません。したがいまして、いまもお話がございましたように、部隊の実際の訓練の前に図上の幕僚の訓練でありますとか、あるいは通信機を、相互に通話できなければ困りますので、通信機の訓練でありますとか、そういうようなことを先にやってみたいということで、五十六年度に計画をしております。  いまお話しの、それから後、実際の部隊を動かす段階の訓練は、いまのところまだ予定はございませんけれども、少なくとも五十七年度以降ということで、しかも具体的にどこの部隊が来るだろうとかいうようなこともまだ考えておりません。そういう具体的な計画はまだ持っておりません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 持ってないけれども、図上だけの作戦が有効的でないことは、これはもう明らかですな。やがてやっぱり陸海でこれはオーソライズされれば、陸だって当然やってしかるべきだという考えを持って図上作戦をやるわけでしょう。そうすると、どこの部隊がどう行って、どこでなんていうことでなくしても、向こうから来てやるのか、こちらから出るのか、あるいは至極便利で有効的にマリーンとやるのか、この辺のことは考えぐらいは持ってその図上作戦をスタートしてなきゃおかしいと思うんですよ。そのことを前提にしてやっぱり図上でやるんじゃないですか。図上でやっているだけじゃ、これはもう困りますよ。困るったって私、推進する場合の困るじゃないですよ。私はもう皆さん方がそんな考えじゃないという前提で伺っているんですから、いま現在どこの部隊とか、どこ行ってということじゃないにはしましても、大体こんなふうな考えぐらいのことは持ってなければおかしいんじゃないでしょうか。こんな考え方でいいですよ。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 担当参事官がおりますので、担当参事官の方からお答えさしていただきます。

石崎昭防衛庁参事官

○政府委員(石崎昭君) 陸の共同訓練につきましては、いまも申し上げたとおり、まだ全然具体化しておりません。まあいままでわかっているところは、日米双方にやる気があるということははっきりしておりますが、いつごろ、どこで、どういう顔ぶれが集って、どういう内容の訓練やるか、これはもう全く打ち合わせが始まっておりませんから、形をなしておりません。で、図上訓練から始めて、そこでいろいろ教訓事項が出てくるでありましょうから、それを参考にして、将来実動部隊を使って訓練やる場合にその成果が生きてくるということになろうと思いますが、それは先ほど申し上げたとおり、五十七年度以降ということになるであろうと思います。それがどういうことになるかは、図上訓練の計画すらまだ決まってない段階ですから、ちょっとまだ申し上げる段階ではないと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 中央指揮所、これは予算がついて、五十七年ですか、六本木と。まあここらあたりしかわからないんですが、どうして場所を六本木にしたんですか。その理由はありますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 全く他に適当な場所がなかったからでございまして、といいますのは、一つの候補として市ケ谷を考えたんでございますけれども、市ケ谷と六本木とどちらがいいか。やはりいろんな一長一短はあったんですけれども、やはり長官のおひざ元が一番いいので、他に特段の理由がなければ、やはり長官のおひざ元に置きたいということが決定的な要素と考えまして六本木に決めました。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 他に場所がないということは、これはどういうことなんですか。他にいっぱい場所はあるんですけれどもね。これは予算の関係か何かという意味なんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 全国の部隊、それから航空機、艦船、全部結びますのにやはり一番重要なのは通信系でございますが、その通信系のことを考えまして、それで長官の行動のことを考えまして、両方いろいろ考えた結果、市ケ谷かいまの六本木かというふうに考えまして、市ケ谷における場所、六本木における場所、そういった物理的な場所のことももちろん考えまして、六本木の方がよかろうというふうに判断をしたわけでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 それはもう相当半永久的な施設になる予定なんでしょう、中央指揮所。場所がないから一時的に通信系統、長官のというようなことですか、一時的じゃなくて、相当やっぱり永久的に考えて。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) もちろん半永久的に考えております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 まあどういう設備をするかわかりませんけれども、やっぱり六本木の真ん中に全軍を指揮し、当然有事のときを仮想してですね、やっぱり指揮系統というものを一本化するわけでしょう。そうすると、あそこは有事のときじゃなくても、災害なんか起きたら、これはもうどうしようもないわけですな。あそこは逃げ場もありゃしません。あそこにいる人が避難所を探すんで右往左往する、そのど真ん中に持っていくわけでしょう。まあ市ケ谷だって大同小異でありますけれども、何か条件は市ケ谷の方がいいというような私たちは感じはするんですが、まあ市ケ谷だって六本木だって大同小異ですな。世界各国を見ますと、たとえワシントンにあったとしても、やっぱり相当離れている。便がいいということも当然含んで、通信系統も含んで、長官も含んでですけど、やっぱり周辺の環境とかそういうものも含んで設置されているんじゃないですか。ですから、いまこの場でやっつけ仕事なんかやると、またできたはいいけれどもちょっとした地震でがたがたになっちゃったとか、半永久的じゃなかったとか、一時的にも使えなかったとか、電波妨害でどうしようもなかったとか、そんなものが全部検討してつくられたのかと言えば、そうですという答弁がくると思いますけれども、どうも六本木のあのど真ん中で、長官の便と言ったって、長官は別に六本木の隣にうちを構えているわけじゃないでしょう。あそこは長官の公舎があるということだけでありまして、総理大臣が行くわけですよ。ですから、少なくともヘリコプターで行けば直ちに行けるんですから。車で行くということだけ仮定しなくていいんですから。六本木にそういう相当な、莫大な国費を使って、半永久的な、むしろある野党の一部でも、そういうものがなきゃだめなんだと、日本の安全保障、防衛にはという期待もされるようなものも、何か防衛庁の姿勢というのは、市ケ谷と六本木だけ検討したんです——東京全体を検討したんですか。ヘリコプターですっと行けるところは幾らもあるじゃないですか。予算の関係があるのかなと、どうしてもそういう感じがせざるを得ません。ひとつ十二分に検討をして、六本木に決めたところで、まだ着工していないんでしょう。いまからもう予算がついちゃって、これからというわけにいかないと思いますが、その点非常に私は、何か六本木ということはもう不安要素がいっぱいあるような感じがいたします。答弁は要りません。  以上です。ありがとうございました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 長官、安全保障の問題については、長官御存じのように、私たちと長官との考えとは大変な隔たりがあるということは長官も御存じのとおりだと思うのですが、私たちも安全保障の問題についてはきわめて重視しておりますし、そういう点から、現存しておる自衛隊がどういうふうになっているのか、また、これから自衛隊がどうなっていくのだろうか、あるいは日米安全保障条約がどのようになっていくのか、これは私たちも重大な関心を持っているわけです。きょうは時間が短いですから、すべての問題について触れることはできませんけれども、特にいままでの国会の中でも問題になってきました防衛予算の問題をめぐって幾つかお尋ねをしたいと思います。  来年度の一般予算については、今年度に比較して七・五%以内というふうな方向になっておりますが、防衛庁の概算要求では九・七%という特別の配慮が認められたという形になっております。防衛庁として特別の配慮を求めた根拠といいますか考え方といいますか、この予算について。先ほどのお話の中でも、財政再建が重大な問題だということは考えつつもというお話がありましたが、最初に防衛予算について要請をされた考え方を長官からお答えいただきたいと思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 政府は、従来から防衛計画の大綱に準拠しつつ装備の更新、近代化等を中心に防衛力の質的改善に努めてきたところでございますが、最近における厳しい国際情勢にかんがみ、五十六年度の概算要求に当たりましては、同大綱に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成することが緊要であると考えておりました。しかしながら、財政再建の観点から、五十六年度概算要求枠、いわゆるシーリングが従来にない厳しいものとなることが見込まれる一方で、来年度の防衛予算においては歳出化等の自然増的経費が多額に上ることが見通されましたため、防衛庁の概算要求のあり方について特別の配慮を求めた次第でございます。  なお、詳しい点につきましては経理局長から御説明さしていただきたいと存じます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大蔵省の方おいでになっていますね。  この問題については、先日決算委員会で渡辺大蔵大臣にもちょっとお尋ねしたんですが、そのとき大臣のお答えでは、防衛予算に関して九・七%の特別の枠を認めたという点の根拠として挙げられたのは、国際条約の実施に伴う既国庫債務負担行為などという説明をされているんですが、その内容を、どういう項目があるのか挙げていただきたいと思います。

畠山蕃大蔵省主計局主計官

○説明員(畠山蕃君) お答えいたします。  国際条約に基づきます既国庫債務負担行為等の歳出化といいますのは、具体的に申しますと、いわゆるFMSと申しまして、安保条約に基礎がございますところの国際条約に基づきます政府間協定による過年度の既往年度の国庫債務負担行為の五十六年度における歳出化分というのが一つでございます。  それから第二番目に、同じように国際条約に基本がございます提供施設整備というものを国庫債務負担行為でやっている部分がございまして、これが五十五年度に国庫債務負担行為を承認いただいている分の五十六年度への歳出化の分でございます。  それから第三番目が、継続費の五十六年度における年割り額分でございます。  これらはいずれも行政府としてはいかんともしがたいところの義務的な経費だということで、要求段階におきましてはこれを例外扱いとすることもまたやむを得ないであろうということから、例外枠にしたものでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大蔵省の考えを聞いていますと、行政上自由にいじくることができない、いま言ったような国際条約とのかかわり合いで問題になっている内容を三点挙げられたわけですが、この点については、先日お尋ねしたとき、渡辺大臣は、長官もその時席上におられましたですよね、決算委員会の席上で。お聞きになっておられたかどうかわかりませんが、査定の過程では厳密に査定をしたいという趣旨のことも述べられたわけですが、もちろんこれは財政再建との関係で言いますと大変な問題であろうし、これは今年一年限りであるというふうに当然大蔵省としては考えているものだと思いますが、その点は大蔵省はどのように考えておりますか。

畠山蕃大蔵省主計局主計官

○説明員(畠山蕃君) この概算要求枠の五十六年度予算の要求に際します特例の問題につきましては、五十六年度におきます財政状況を踏まえての一般原則的な七・五%という要求のシーリング枠を念頭に置きまして、それで各省におきます実情を配慮した結果の特例枠でございまして、その意味におきましては、まさにこの例外枠は五十六年度に必要とされたと判断したものでございますが、五十七年度以降につきましてどうなるかということは、そのときどきにおきますシーリングの原則枠がどうなるか、それを根っことして財政状況がどうあるかといったような広い観点からの検討が必要でございまして、現在の段階ではとてもそういった大前提が想定できませんので、五十七年度以降につきましては、現在直ちに五十六年度方式を踏襲するとかしないとか、そういうことについては申し上げる段階にございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そこで長官にお尋ねしますが、いまも大蔵省としてはいろいろな要素が絡み合うので、いま最終的な結論が出しにくいが、しかし少なくともいま決めたという段階では今年限りという考え方で述べているわけですね。  先ほど来、できるだけ早い期間に中業を達成したいということを盛んに申し述べられておったわけですが、そういうふうに、こういう特別配慮を求めるという考え方は今年限りであるということも、防衛庁としてもそれは異存がないことなのか、それとも引き続いて来年度もそういう特別な配慮を求めたいという意向を持っておられるのか。長官はいかがでしょうか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、防衛計画の大綱の達成を早期に希望しているわけでございますので、いまお尋ねの点につきまして、ことしだけでいいというわけにはまいらぬと思っているわけでございます。ただ、ことしのような扱いをするかしないかはまた来年度以降の財政状況によるわけでございまして、シーリングの枠がもし上がるようなことがあれば、特別のことをお願いしないでも済む場合もあり得るし、またそうでない場合もあり得るし、ちょっといまその点私から申し上げるわけにはいかないと、こう思うわけでございます。    〔委員長退席、理事堀江正夫君着席〕

立木洋日本共産党

○立木洋君 先ほど大蔵省が特別の配慮として別枠を認めた根拠として挙げられたのは、国際条約に基づく既国庫債務負担行為などの分ですね、これについては、御承知のように、今度たとえばC130Hですか、それからE2Cだとかいうのを国の予算でこれが認められたと仮にしますと、そうすると、これは五十七年度からの予算分にまた振りかかってくるわけですね、当然。これはその時点になると、もうこれを行政上どうするという、いじくることは事実上できなくなる。だから、後年度の負担というのは、そういう意味では契約をしますとどんどんふえてくるわけですね。そういう既国庫債務負担行為の分がそういうふうにふえてくるということについて、これからもやはり一定の特別扱いをぜひ求めたいという考え方というのは、防衛庁としては強い考えなのか、これは約束してしまうわけですからね。約束してしまったものを途中で果たさないということになると、またどういう事態が起こるのか。そこらあたりのもう少し明確なお答えをいただきたいんですがね。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 経理局長に、ちょっと専門的なことでございますので、お答えさせます。

吉野實防衛庁経理局長

○政府委員(吉野實君) 概算要求の段階におきまして、五十六年度につきましては、いまるる説明がありましたように、特例枠を認めていただいたわけでございますが、まだ五十六年度の予算の編成は終わっておりません。E2C、C130の話もありましたし、そのほかFMS関連あるいは艦艇等につきましても、これがどういうふうな形でおさまるかもわかりません。それが一つと、それからもう一つ、仮に全部入ったということになった場合に、来年度FMSとか継続費とか、あるいは先ほどありました基地提供の関係の国際義務経費の増加額がことしのような割合でふえるかどうかという、その数字はまだ私の方ではじいておりません。ですから、いまの段階では、つまりこの特例枠を申し出なきゃならぬほど増加額が大きいかどうかということをいまはじいておりませんので、その段階になって私の方は検討さしていただきたい、そういうふうに思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そのそろばんをはじいていないというのは、やはりちょっとおかしいんじゃないかと思うんですがね。たとえばFMSの関係あるいは地位協定の関係、それから継続費の関係ですね、これは大体今度の予算が通ればどれぐらい五十七年度になるかということはほぼ概算がつくだろうと思うんですよ。それで五十六年度の分が五百五十二億ですか、というふうなことを言われていますが、その金額と、それからおよその五十七年度大体の見通しがどれぐらいになるかというふうなことが全く見当がつかないと言われると、これはおかしいじゃないかと思うので、その二つの点をお尋ねします。

吉野實防衛庁経理局長

○政府委員(吉野實君) 五百五十二億を特例枠として認めていただいたことはおっしゃるとおりでございますが、五十七年度でこれよりも多い増加額といいますか、仮に七・五%がシーリングだとされた場合に、上に乗っかる分は五百五十二億より大きいのか大きくないのか、それはいま正確にははじいておりません。  それからもう一つ、たとえばC130の話も出ましたけれども、頭金がどうなるかとか、その支払いスケジュールがどうなるかということは、これからいま防衛庁と向こう側とで通った場合を想定していろいろ折衝しておりまして、頭金も支払いのスケジュールもまだ確定はいたしておりませんので、そういう意味で明確な数字は申し上げられないと、こういうことでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 北米局長、きょうあなたの方からいただいた昭和五十五年一月二十一日の「在日米軍施設の整備について」という、日本側が負担をして行う施設整備プロジェクトの実施内容、これが全部で十二項目ですか、これはこの「施設整備は、昭和五十五及び五十六両会計年度にわたって実施される予定である。」という、十二項目挙げられていますが、これが実施されるとすると金額的にはどれぐらいになるんでしょうか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 数字については施設庁長官のほうから答弁していただきます。

渡邊伊助防衛施設庁長官

○政府委員(渡邊伊助君) 五十五年度に関する事業になるわけでございますが、五十五と五十六、後年度負担を合わせまして二百七十二億五千四百万という数字でございます。    〔理事堀江正夫君退席、委員長着席〕

立木洋日本共産党

○立木洋君 もう一回、局長、この一月二十一日以降、これは施設庁の方の長官でも結構ですが、それはアメリカ側と、やはり同様に在日米軍施設の整備について話し合いを進めていると思うんですが、その話し合いを進めている過程の中で、米側が出してきている、すでに決められた以外の要求項目というのはどういう項目が挙げられてきているのか説明していただきたいんです。

渡邊伊助防衛施設庁長官

○政府委員(渡邊伊助君) いまおっしゃいました要求項目というような具体的なものはございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 具体的なものがなければ、どういうふうな内容になっているんでしょうか、話し合いの過程は。

渡邊伊助防衛施設庁長官

○政府委員(渡邊伊助君) いわゆる提供施設整備に係る事業につきましては、平常私どもが在日米軍等と接触をいたしております過程においていろいろな話が出てまいりまして、こういう施設を整備してほしいというような話が口頭でございます。それと、要望という趣旨で一応断片的にお話はございますけれども、具体的に文書をもってこういう施設を整備してほしいというものを私どもは受け取ってはおりません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それからもう一点お尋ねしておきますが、昭和五十三年の十二月二十八日に、これは四百四回日米合同委員会で取り決められた内容のものですが、「在日米軍労務費問題について」という合意がなされた。これについては、五十四年四月一日以降、次の経費を日本国政府が負担するとの結論を表明したということで挙げられておりますが、それから以降、この負担する項目等々について変化があったのかなかったのか。その点お答えいただきたい。

渡邊伊助防衛施設庁長官

○政府委員(渡邊伊助君) 変化はございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それでは次に、防衛庁の方の経理局長になるか、どなたになるかよくわかりませんが、FMSの内容ですね。これは、アメリカの国防総省とそれから防衛庁の方と細目取り決めがなされて、それに基づいて後年度の負担分というのがずっと決まっていくだろうと思うんですが、実際には、これは政府間の内容でありますから国会の議決に係るものではないわけで、その点に関して、われわれとしては、やはり国の予算に関する問題として、その取り決めを行う、FMSの細目取り決めをやっぱり明らかに提示していただく必要があると思うんですが、その内容を説明していただきたいんですが。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) FMSの調達方式、やり方自体については多分先生御存じかと思いますが、もしそれが御趣旨でございましたらそちらの方から御説明させていただきます。  FMSといいますものは、先生御存じのとおり、相互防衛援助協定に根拠を置いておりまして、これに基づきまして……

立木洋日本共産党

○立木洋君 ちょっと、その調達方式じゃなくて、内容そのもの、細目取り決めそのもの。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) FMSの調達というのは非常に数が多うございまして、個別の品目ごと、あるいは役務ごとにそれぞれ引き合いの受諾書というものを取り交わしいたしまして、それによって決めるということでございまして、大変数が多うございますので、そのどの部分についての御質問かということを特定していただきませんと申し上げることができないわけでございます。それが第一点。  それから第二点といたしまして、これは二国間の一応の合意でございますので、FMSの内容そのものを、紙そのものを外に出すことにつきましてはこれまでも差し控えさせていただいておりますので、そのように御了承いただきたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 長官、いま課長がおっしゃったのでは、細目取り決めについては提示するわけにはいかないと。しかし、実際に細目取り決めが行われて、後年度分負担という形で国の予算が支出されていくわけです。国会議員がその内容を全然知らないというふうなことでは困るわけで、いろいろな部品、細目にわたっているから、飛行機一機だけではありませんから、すべての部品にかかわるものですから、それは膨大なものになるということはわかりますけれども、しかし少なくともその内容については明確にこの委員会に提示することができるんじゃないかと思うんですけれども、長官、いかがでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 御質問、いまさっきも申し上げましたように、たとえば、個別の品目につきまして御指定がありますならば、日米間の合意の文書であるというようなことからいきますところの外交上のいろんな配慮その他もございますけれども、そういった関係で差し支えない範囲におきましてできるだけのことにつきましては御説明したいというように考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 長官、長官も御承知だと思いますけれども、武器輸出管理法というアメリカの法律がありますよ。この中の第二章の中の第二十一条のF項に書いてあるんです、はっきりと。これは秘密でも何でもないですよ、課長が変なことを言っているけれども。「本条又は本法第二十二条の規定により取極められた合衆国と外国との契約は合衆国の安全保障に合致する範囲で、最大限の公開検閲をうけても差しつかえないように作成される。」と書いてある。この二十二条というのは、ここに述べられている現金払い販売のために調達するものですよ。このFMSというのは、これは私が言うまでもなく、明らかにアメリカの対外有償軍事援助という内容で、日本の政府との間でこれは契約されるわけでしょう。アメリカが、最大限これは公開検閲を受けても差し支えないものです、とちゃんと書いてあるのに、日本の政府はなぜ国会に出せないんですか。これは、あなた方が取り決められたら、全部後年度、予算に後々みんなかかってくるんですよ。そういうことが全然わからないで、そうして軍事予算がどんどんふやされていくというふうなことになったんでは、われわれとしてはこういう委員会で問題がどこにあるのかということをきちっと明確にさして問題点をはっきりさせることができなくなる。シビリアンコントロールだと言いながら、そういう問題についても政府間で取り決められた内容が明らかにできないというようなことでは困るので、これは、やはり長官、アメリカ自身がそういう法律で最大限公開検閲できるものとしてつくるんだと言っているのですから、これは出すことができると思うんですよ、長官。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 御指摘の点を含めましてよく検討したいと思います。相手もあることでございますが、差し支えない限り資料の提出に御協力したいと思います。  なお、局長でございまして、課長ではございませんから……。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 先生の御指摘ありがとうございました。たまたま、私、先生がおっしゃいましたところの武器輸出管理法の条文を持っておりませんけれども、かつて私が第三国との関係のFMSの内容につきまして、米国防省の担当の方と法律顧問に対しまして、FMSの内容について教えてほしいということを言いましたところ、FMSの内容につきましては教えることはできないことになっているというふうにそのとき法律顧問が言われましたことが頭にありましたのでそういうふうに申し上げましたけれども、せっかくの先生の御注意でございますので、先生の言われました条文等をよく検討いたしまして、いま防衛庁長官のおっしゃった指示に従いまして検討をさせていただきたい、そういうふうに考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それじゃ委員長、これは長官もそういうふうにおっしゃってくださっているので、委員会の方としても資料として提出するように、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 検討してもらってね。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それでは、この九・七%の増額の要求ということで、アメリカ側から、一時、これでは不満であるというふうな話が新聞で報道されたり、あるいはまたその後、不満であるというふうなことを述べたのは軽率であったというような大使の話があったようでありますが、この九・七%という伸び率について、アメリカ側は一体どういうふうに思っているんでしょうか、率直なところをひとつお聞かせいただきたいと思うんです。どういう感触を得ているのかということでも結構です。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 米側としましては、現下の厳しい国際情勢の中にありまして、西側先進諸国が防衛努力を強化していることを考慮して、わが国に対しましても防衛努力を強化するよう期待しているところでございますが、五十六年度の防衛関係概算要求枠の取り扱いを含むわが国のこれまでの防衛努力についてはそれなりの評価をしてるんではなかろうかと、私ども考えております。  いずれにいたしましても、防衛庁としては、あくまでもわが国としての自主的な判断に基づいて防衛力整備を行っているところでありまして、防衛計画の大綱が定める防衛力の水準を可及的速やかに達成したいと考えているところでございます。  アメリカ側の動きにつきましては、私どもちょっと直接の窓口でございませんので、もし必要がございましたら外務省の方もお見えになっておりますのでお答え願えたらと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 淺尾さんの方、何かありますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 九月の末に伊東外務大臣が訪米いたしましたときに、ブラウン国防長官と会談いたしまして、その際に、アメリカ側から国際情勢一般について説明があり、それとの関連で来年度の防衛予算について九・七%の別枠がシーリングとして設けられたことはアメリカ側として評価する、しかし予算策定の過程でそれは減らされるであろう、したがって防衛、外務両当局の健闘を祈ると、こういう話がありました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 どうも新聞を見てみますと、いろいろ何か裏があるみたいに書いてるんですよね。これは、アメリカのマンスフィールド大使のことについて、大村防衛庁長官と渡辺蔵相との間で、情勢の変化により追加要求の必要が生じた場合は別途相談の合意ができたことを二回にわたって指摘、歓迎の意を……、これは外務省じゃないんです。長官の名前が新聞に出ているんですがね。  それからもう一つは、伊東外相と米政府首脳との会談で、わが国の来年度防衛予算が査定やインフレによって目減りする場合は、来年度の補正予算で在日米軍駐留費負担の上積みをさす、埋め合わせるという裏約束ができたようだと、これはようだとはもちろん書いてありますけれども、そのあたりについての実態はどうなっているのか、長官とそれから外務省の方からもお答えいただきたいんです。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 七月末でしたか八月初めでしたか、マンスフィールド大使が私のところに表敬訪問されましたときには、来年度の予算を堅実かつ顕著に増額するように努力してほしいという抽象的な要請があったことは事実でございます。  それから、私の名前を引用されましての追加の点でございますが、これは七月末概算要求につきまして、渡辺大蔵大臣と御相談しまして、いまお話の出ておりますような九・七%のシーリング枠というお話にいたしましたときに、今後の情勢の変化が生じた場合にはその段階でまた御相談したいと思いますからよろしくお願いしますと私が申し上げましたところ、大蔵大臣の方から、そのときはそのときでまた相談しようというお話がありましたので、まあそういったやりとりが耳に入ったんではなかろうかと、これはまあ想像でございますが、いたしてるわけでございます。  あと、補正云々ということは私は全然聞いたことございません。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 伊東大臣が訪米されたときにブラウン国防長官と会談された後、日本の新聞が二紙、補正予算ないし追加予算という話を書きましたけれども、伊東大臣とブラウン国防長官との間ではそういう話は一切出ておりません。かつ、今回は別に交渉でございませんので、そういう密約とか、そういう話が出たということは、私ども非常に理解に苦しんでいたわけでございまして、会談の中でそういう話は全く出ておりません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最後に要望ですが、これはもう防衛庁にしましても、あるいはまた外務省にいたしましても、いろいろと秘密にする部分というのがどうしても生じてくる。なかなか公にして、そして十分に議論して、どうであるのかということをはっきりするという点で、どうしても秘密という部分が多くなるような傾向がいままでもあったわけであります。少なくともやはり、私たちはもちろん考え方は違いますけれども、いずれにしろ、いまの自衛隊というものがどういうものであるかということは国民にはっきりさせる必要がある。それは、長官は長官の立場ではっきりさせる必要があるかもしれませんし、私は私の立場として、いずれにしろはっきりさしていくことが必要だと思うんですよ。そういうような状態が今後議論をこの委員会でされていくわけですから、できるだけ最大限に問題をオープンにしていくというふうなことを今後とも十分に考えていただきたいということを最後に申し述べて、私の質問を終わらさしていただきます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 私がお聞きをしてまいりたいのは、国の安全保障ということはもう大変重要な問題だということはおわかりだと思うんですけれども、仮定の議論じゃなくて、去る八月に起きましたソ連の原子力潜水艦の事故、あれをめぐりまして政府部内がどういう対応をしたのかということが大変不明確なわけなんで、その辺を明らかにしていただきたいと思うんです。  で、八月の二十一日の午前六時四十分に、第十一管区海上保安本部に、ソ連の原潜の事故があったという通報が入っているわけなんです。その後、それをめぐってどういう対応をしたのかということですね。で、航空自衛隊が救難ヘリを派遣したこともわかっているわけなんです。ただ、私が非常に不可解——不可解というよりかも、理解ができないのは、ソ連海軍の練習艦「メリディアン」号が午後二時二十分に現地に到着をしてるわけなんです。ところが日本の場合には、保安庁の放射能観測船の「かつれん」という小さい船を放射能の調査に派遣をした、それがやっと午後の十時に現地に到着をしているというんです。だから、この事故の通報を受けてから、政府部内がどういう討議をして、どういう対応をしたのか、その辺からまずお聞きをしてまいります。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま先生がお話しの中にございましたように、防衛庁といたしましては、八月二十一日の八時十五分に、第十一管区海上保安本部長から南西航空団司令に対して、潜水艦の火傷患者の救出及び那覇基地までの空輸のための災害派遣の要請がありました。それが八時十五分でございますが、この事故の発生を承知いたしました南西航空団では、救難機といたしましてMU2型一機とバートル107型一機を派遣しまして、九時十三分、バートルにつきましては九時四十七分現場に到着した。それから先は、いまもお話がありましたように、実際には救助を拒否されましたものですから、救助活動を打ち切りました。防衛庁といたしましては、それが災害派遣要請に基づく行動であります。あとは海上自衛隊の方で艦艇による監視、それから航空機による監視をずっと対馬海峡を通過するまで続けた、こういうことでございます。

愛知和男自由民主党外務政務次官

○政府委員(愛知和男君) 八月の二十一日午前、ソ連潜水艦火災事故の通報を受けまして、外務省よりは在京ソ連大使館に対し本件事故の発生を通報するとともに、人道的な見地より必要なあらゆる援助を供与する用意がある旨を申し入れた次第であります。

福島弘海上保安庁警備救難部長

○説明員(福島弘君) 当初の段階におきます海上保安庁のとりました対応措置について簡単に御説明いたしますと、英国の商船「ガリ号」から遭難の情報を受けまして、先ほど御説明がありましたように、防衛庁の方にも連絡すると同時に、当方の巡視船、航空機に即刻出動を命じまして、現場に到着して動静の監視をソ連の原潜が曳航を開始するまで続けたわけでございます。  先ほどの御指摘の「かつれん」につきましては、これは非常にスピードの遅い船でございまして、現場に到着する時間が相当かかったわけでございますが、放射能の測定につきましては、昼ごろ当方の航空機のYS11が参りまして測定を開始いたしております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 外務政務次官、そちら紋切り型の答弁で、その程度の答弁ならお聞きをしなくてもわかっているんで、ただ、その辺の点はまた先、具体的なところへ進んでいって、その中で解明していただきたいと思うんです。  次に、もうちょっと外務省の方にお聞きしたいのは、その八月二十一日の夜にソ連大使館に放射能漏れの可能性があるので至急回答せよという通告をしておるはずです。ナシのつぶてで何にも向こうからは返事がなかった。で、翌日の午後六時四十五分に日本の領海を通過することは認められないということをまたソ連側に通告しておるはずです。これもナシのつぶてで何の返事もなかった。その辺の応対というものは、これはほかのことと違うのであって、対象物が少なくても事故だということにはなっておってもソ連の軍艦なわけなんですね。それをめぐってのそういう対応に一日たっても何の返事もない、また文句を言った、それの返事もない、そういう悠長な応対ぶりというのはどういうところから出ているんですか、外務省の姿勢で。

堂ノ脇光朗外務省欧亜局審議官

○説明員(堂ノ脇光朗君) ただいま先生の御指摘の外務省の対応ぶりでございますが、先ほど政務次官からお答えしましたように、八月二十一日午前、事故の通報をソ連大使館に知らせますと同時に、ソ連潜水艦から依頼を受けましたメッセージの伝達を行っておりまして、その後、また日本側で救助を現場において申し入れた、そのときにソ連側からはこの救助を断ってきたわけでございますが、その状況につきましても直ちに同日午前中にソ連側に通報しております。そして、先ほど先生の御指摘のとおり、二十一日の夕方にはソ連側に放射能漏れの状況はないかという点につきましての日本側の懸念も通報しておりますし、翌日夕刻にはまた日本の領海をもし通過するようなことであれば、放射能漏れの事態がないということ、それからまた核搭載がないということが確認されない限りそういうことは認められないということを申し入れておりまして、外務省側としてはソ連との接触をかなり頻繁に行ってきたと考えております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 それも答弁にならぬですわ。  二十二日の夜に、日本の領海を通過することは認められませんよと言ったわけでしょう、外務省は。そうして今度は二十三日の日に現実に午後二時五十分ですか、巡視船「もとぶ」の有川船長からは、いよいよこのまま進んでくれば領海に入ってくるということが確実になったので、ソ連の潜水母艦「ボロディノ」に対して、このままのコースで進めば原子力潜水艦らソ連艦四隻は日本領海に侵入する、領海侵入しないように警告するということを伝えましたでしょう。そうしたらソ連の潜水母艦からは、本船らは日本の領海を航行するんだと、それについて日本政府の許可を得ているという答えが来ているわけですね、巡視船の「もとぶ」へ。当然この巡視船「もとぶ」の船長は、それは保安庁の十一管区かどこかへその通報が行ったと思うんだけれども、それがどういうルートでもって政府の方に伝わってきたのかどうか。  で、外務省とすれば、そういう同意を与えた事実はないと言ってこのソ連のアレクセイエフ参事官を呼んで伝えたのが四時過ぎのはずですね。「もとぶ」の船長が、そのまま進んだら領海に入るぞ、いけませんよと言ったのが二時五十分。そして、すぐ潜水母艦からは、いいえ日本政府の許可は得ていますという返事は受け取っているわけなんです。それは即座にそういう問題については政府部内にも通報が来ていると思うんです。ところが、外務省がそういう同意を与えた事実はないと言っているのが午後四時ということになるんですから、いささか悠長過ぎるんじゃないかというんです。  そのときに防衛庁の方は、外務省の方は、それぞれそれに対してどういう対応をしたんですか、お聞きをします。

堂ノ脇光朗外務省欧亜局審議官

○説明員(堂ノ脇光朗君) ただいま先生から御指摘のございました二十三日の状況でございますが、その前の日の晩にこちらから申し入れました放射能漏れの危険性がないこと及び核搭載の事実がないことについての確認の申し入れに対しまして、ソ連側からとりあえずの返事が参りましたのは、二十三日の午前中でございました。その際、ソ連側は、ソ連の権威ある当局者によれば、放射能の危険はないということであると、それだけの返事でございましたので、この返事をもってしてはわれわれは日本側の要請に対する満足な回答と考えませんでしたので、二十三日の午後二時、アレクセイエフ参事官に対して東欧一課長から、満足な回答がない以上領海の通過は認められないということは申し入れたわけでございます。その後、三時二十分ごろから五時五十五分ごろまでにかけましてソ連潜水艦は日本のあの領海を通過したわけでございますが、その最中にも、先ほど先生の御指摘ございましたような、午後四時ごろでございますけれども、通過に対してはこれを認めてないということを申し入れてございます。その間、潜水艦の方から海上保安庁の巡視艇に対しまして許可を得ているという通報があったという連絡をわれわれは外務省の方で受け取りましたので、それに対しましても、午後四時ごろ、東欧一課長からソ連大使館に抗議を申し入れた際に、そのようなソ連の主張は事実に反するという点も指摘してございます。

福島弘海上保安庁警備救難部長

○説明員(福島弘君) 先ほどの御答弁の補足になるかと思いますが、海上保安庁といたしましては外務省と密な連絡をとりまして、ソ連漁船の領海通航に対しては許可を与えていないということがはっきりしておりますので、現場からの無線連絡等の照会がありました過程におきましてもそんなことはないと、領海侵入時における警告あるいはその他の必要な措置をとるような手順を決めておりまして、あらかじめ指示したとおりに措置させたわけでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 防衛庁長官、いま話のやりとりのところは、ソ連の軍艦が日本の領海を侵犯したんですよ、そういうことでしょう。防衛庁としての対応はどうだったんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど、救助活動に行って拒否されて帰ってきたということは申し上げましたが、その後の措置といたしましては、まず海上自衛隊のP2J——航空機でございますが、八月二十一日の九時五十一分に現場に到着をしております。それから、海上自衛隊の佐世保の地方隊所属の護衛艦「まきなみ」、これが当時現場に一番近い艦艇でございましたので、それを現場に向かわせまして、その日の十五時十五分に現場に着いております。自後、先ほど申し上げましたように、対馬海峡を通過して帰っていくまで、飛行機及び艦艇による監視活動を行ったということでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 じゃ、長官がこのことをお聞きになったのは何時ですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 十五時ごろ報告を聞きました。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 官房長官もおいでになったので……。それから、私決して言葉じりをとらまえたり、そんなことをしてどうこうお聞きをしているんじゃないんです。いまも防衛庁長官がこれをめくって、なにしてみなければ御返事ができない。それで何時ごろですと。少なくとも日本の領海が外国の軍艦に侵犯をされているわけなんです。それは政府もお認めになると思うんです。現実に官房長官が二十三日夜に、政府としては領海侵犯と受けとめる、きわめて遺憾と言わざるを得ないと言って、これについてはソ連政府に抗議をするというのも二十三日の夜に官房長官として談話を発表しているんです。  私が非常に気になるのは、いま言うとおり、二十三日の三時二十分から五時五十五分までの二時間三十五分にわたって日本の領海をソ連の軍艦や、まあタグボートも含まれるけれども四隻が通過をしていっている。手をこまねいていたんですか。そして、その無害通航かどうか、そんなこと私なにしているのじゃなくて、幸いこれはもう過ぎちゃったことで、現実に火災事故があったことも事実なことだしするから、何にも事なかったわけでしょう。しかし、もしもそれが火災ですということが擬装であって、わが国の領海を通りますよと言ってそういうことになったときはどうするんですか。少なくともそれに対応するだけの体制というものが即座にとられていなければ何にもならない。このこと一つの場合を見て、いまの日本の政府のそういう応対ぶりから見れば、どんなに飛行機を持っていようが船を持っていようが、本当にこれは役に立たないで防衛庁長官がというような、いま言うとおり、防衛庁長官の耳にもすぐ入らないことでどうなるんですか。  ですから、もうちょっと、外務省としても、こんな日本外交をなめられた、ばかにされたことはないと思うんですから、その辺についての姿勢をもう一回私はお聞きしたいし、それから防衛庁長官にするなら、当然それは鈴木総理にそのことについて、あるいは官房長官が行かれたか知りませんけれども、鈴木総理の耳に入ったのは何時何分なんですか。それでそれに対しては少なくとも総理大臣が一切の権限を持っているわけなんで、内閣総理大臣としてそれについてどういう指示を出されたのか、それをお聞きしたい。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 先ほど私は当日の十五時ごろ現地の報告を受けたということを申し上げました。二十一日のことでございます。  その後の防衛庁といたしましては、先ほど防衛局長が申し上げましたが、平時の海上における警察活動は第一義的には海上保安庁の任務であることからいたしまして、防衛庁としては閣係省庁との連絡を密にしつつ、冷静に事態を見守ることとし、航空機及び艦船を派遣して監視を実施いたしたのでありますが、ソ連艦の領海通過に対する特別な対応措置はとっておりません。また、総理から特別な指示も受けておらないというのが実情でございます。総理に対する御報告につきましては、ちょっと私の方からは御報告申し上げるわけにいきません。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 官房長官、お願いします。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この日総理大臣は新聞記者団と懇談のために東京を離れておられました。私もまた別途の理由で離れておりましたが、やはり三時ごろであったと記憶いたします。こういう報告が参りましたので、総理にはすぐに同じことを御報告をするように指示をいたしておきまして、その報告は総理に即刻届いたわけでございます。私は総理に対しては、私がすぐ旅行先から東京に帰りますから、しばらくの間、総理は予定のとおりの懇談をしていてくだすって大丈夫と思いますと、こういうことを申し上げまして、私東京に帰ったわけでございます。総理大臣からは格段の指示はございませんでした。ただ記者団の問いに答えて、きわめて遺憾な事態であるということを話しておられますけれども、特段どういう措置をとれという指示はございませんでした。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 防衛庁長官、もうちょっとその辺立ち入って聞いておきたいんだけれども、いまの長官の御答弁だと、まあわかりやすく言えば、海上保安庁に任せておいて、わが防衛庁としては何ら関知しなかったんだと、そういう御返事なんだけれども、長官御自身もそういう判断をお持ちになったんですか。  それから私はもう一つ、さっき時間を聞いたのは、二十一日の午後三時という——それは火災の事故があったということだと思うんです。私が知りたいのは、現実にいよいよ日本の領海に侵入すると言って日本の巡視船が警告をした。そうしたら、いやそれは日本の領海を航行するし、政府の許可を得ているんだというんで、当然日本政府が許可を与えたかどうかということは巡視船からそれらのルートを通じてきていると思うんで、政府としては与えてないことははっきりしている。そうしたら即刻そのことが防衛庁長官のところにも届けられて、それなりの防衛庁としての対応策をとられなくちゃならないと思うんです。その辺のところが、そういう事態になって依然として、いやそれは保安庁のお仕事なんで私たちは関知せずと、その判断というものはどういうところから出てくるんですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 通過の当日の報告はやはり午後三時ごろ私は受けておるわけでございます。その場合の措置のあれにつきましては、防衛局長から御報告を……。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 私が聞きたいのは、長官、さっき言ったように、言葉じりをどうこうじゃないのです。少なくとも長官のところへ——ソ連の軍艦に日本の領海が侵犯されるわけなんですから、緊急事態でもってそのことは少なくとももう海上保安庁の域を出ちゃっているんだから、防衛庁の長官には届けられる。そしたら防衛庁長官はそれについて何らかの指示を出さなくちゃいけないし、総理にもそのことを報告しなくちゃいかぬわけでしょう。ですから、防衛庁長官に、そのことが何時何分にその報告を受けられて、長官がどういう判断を下され、どういう処置をなさったんですかという、日本の国防上の問題として私はお聞きしているんですよ。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) その点を含めまして防衛局長にお答えさせます。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 二十三日の領海通過につきましては、その前に二十三日十四時ごろ領海通過の可能性があるという連絡を受けましたので、関係幹部が集まりまして、先ほど長官の答弁がございましたように、基本的にこれは海上保安庁の所管しておられる事案であるということで、防衛庁といたしましては、二十一日以来続けておる航空機、艦艇による監視活動を引き続き続けていくという方針を確認いたしまして、このことを長官に報告を申し上げた、それが先ほど長官が言っておられました十五時ごろ、こういうことでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 いや二十三日。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 二十三日でございます。二十三日の通過の前に、いま申し上げましたように幹部が集まりまして、先ほどこの事件に対する防衛庁の立場を確認しまして、引き続き監視活動を行うという方針を決めまして、長官に報告をしたのが十五時ごろでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 防衛庁長官、そうすると、陸海空どこでもいいんだけれども、防衛庁が出ていくというか、出動するといいましょうか、そういうことはどういうときなんでしょうか。領海が侵犯されてもそれは保安庁の仕事であってこちらの仕事ではないんだという、その御判断が長官として下された基準は何ですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) 防衛局長に答えさせます。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど長官もお答えいたしましたが、自衛隊法八十二条に海上警備行動というのがございますが、それによりまして、総理大臣の承認を得て防衛庁長官が海上警備行動をとれという命令が出たとき以外は、一般のこういった事案は海上保安庁の取り扱うべき事件でございますので、今回それに該当するかどうかということを先ほど申し上げましたように検討いたしたわけでございますけれども、この事案についてはその必要がないと判断をいたしまして、海上保安庁の活動にお願いしまして、私どもは監視活動を続けた、こういうことでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 長官、答弁してください。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) ただいま局長が答弁したとおりでございまして、自衛隊法八十二条の警備行動の場合に該当するかどうか検討しましたところ、この場合は該当しないという判断に基づきまして結論を出したわけでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 じゃ総理に報告したのはどなたがなさったか、それから先ほどの官房長官のお話で総理からも特別な指示はなかったと言うのだけれども、その場合も、いまの法律がどうこうですね、そんな別に私はむずかしいことをお聞きするつもりはないですから、法律がどうこうじゃなくて、総理もいま防衛庁長官と同じように、それほど大したことではないわ、ああそうかというふうなもう軽い気持ちで受けとめておったというふうに理解してよろしいんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この事件をソ連のわが国に対する非友好的な態度として考えておりますことは私はいまでも変わりございませんが、私がそのとき総理に特にお帰りになる必要はないと思う、私が帰りますと申し上げました主な理由は、この潜水艦は御承知のようにすでに火災を起こしておりまして、いわば事故を生じておる船でございますから、わが国の領海云々はそれといたしまして、積極的にわが国の国土あるいは国民に対して何かの敵意を持って、あるいは危害を加える目的を持っておるものではないという判断を基本的にいたしておりましたので、そこで私は総理大臣にお帰りを願わなくてもいいということを申し上げたわけでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 お忙しい中、官房長官もおいでいただいたんだから、それ以上なにしませんけれど、放射能漏れがないんだということを日本政府側がおつかみになっていたのは、あの問題の日本の領海を通過をする前のはずですよ、時間的に言って。だから、その以前にもうすでに放射能漏れはないんだということがわかっておったんで、あの二十五日になって無害通航だという判断は、もし政府の中で意思統一をしてお出しになるならば、この二十三日の日本の領海に入ってくる前にその判断はできたわけ。そしてよろしいと、無害通航としてわが日本政府も認めましょうということまで言って、そして通すなら通すということもやれたはずなんです。ただその態度を日本政府が、皆さん方がお出しになったのは二十五日のはずです。私は気になるのは、現実に領海は通っちゃいけませんよと言ったって、いやと言って通る。通ってしまったその後になっても、あれは領海侵犯と受けとめると言って政府を代表して官房長官が談話を発表し、ソ連政府に抗議もすると言っているわけなんです。それで二日たって、いやあれは無害通抗だったんだから心配なかったんだと言って、これは事故だったから確かにいいんです。しかしその辺は国の安全保障の上から十分にお考えいただきたいということは、戦争の時代のときだってそうだと思うのです。船の上に十字を書いて、病院船だって擬装していって実際に攻撃する場合だってあり得るわけなんです。ですから、その辺のところが十分に皆さん方がお考えをいただいて対処をしていただかなければ、幾ら安全保障がどうだとか何が大事だとか言ったって、そんなものは用をなさなくなってしまうんで、時間が参りましたので私も終わりますけれども、一つの起きた事実としてこの問題をとらえてきょうはお聞きしたんです。国の安全保障の問題を取り上げて物事をお考えになるならば、もう少し緻密な御判断をして、万全な対策をとって心配がなかったんならばそれはもうああよかったということで済むんだけれども、なに大したことないだろうといってドカンとやられてしまってからあわてふためいたってこれは大変なことになるんであって、そのお取り組みの姿勢というものについて私は非常に疑問を持ってきょうはお聞きをしたんですけれども、私としては十分納得がいきませんでした。しかし時間が参りましたので、委員長、終わります。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 しんがりの質問というのはなかなかハンディキャップが多くて、答弁する側もマスコミの取材陣もげんなりしている。そういう中で質問をするわけなんだが、最初に具体的な問題からちょっと伺っておきたい。  例の作業中の日米防衛協力小委員会の下部機構、作戦、情報、後方支援、この三部会の作業の進みぐあい、どこまでまとまったのか。もう一つは作業がまとまる終了見込み、あわせて聞いておきたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) お話の三部会といいますのは、防衛協力小委員会の中に設けられた三部会のことであろうと思いますが、防衛協力小委員会が五十一年八月設置されまして、おととし五十三年の十一月の終わりに日米ガイドラインというものを出して……

秦豊新政クラブ

○秦豊君 間は省いて、要点だけ答えてください。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) その作成までの間にいま御指摘の三部会が作業しまして、したがっておととしの十一月でその作業は終わった、こういうことでございます、三部会の作業としましては。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 ならば、作戦構想も完全に日米間の合意を見たと、こういうことですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) そうではございません。おととしの十一月の末のガイドラインができました後、閣議に報告いたしました後、十二月の十五日だったと思いますが、改めて長官から作業命令が出まして、日本側は統合幕僚会議事務局、アメリカ側は在日米軍司令部が中心になって、それから先の研究作業をいまなお続けておると、こういうことでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 だからあなたの答弁が的確でないの、角度が甘いの。どこまで進んだかという意味は、ぼくの言ったことは内容に立ち入っているわけ。いつごろまでに基本的な作業を終えるのか。その答弁を重ねてやってもらいたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま申し上げましたようなことでおととしから始めておりますが、幾つかの部門に分かれてやっております。そのうちの共同作戦に関する研究の分野につきましては、かなり進んでおります。しかし、それ以外の情報でありますとか、後方支援でありますとか、そういった分野につきましては、まだほとんど進んでおるというふうに申し上げられる段階には至っておりません。したがいまして、全体がいつごろとかいうふうなことをまだ申し上げられるような段階に至っておりません。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 ユニホーム同士の作業がそんなずさんなものですか、そんなにアバウトなものですか。大体いつごろまでに……、まずシナリオを煮詰めなきゃ、日本を共同防衛しようが、日本以外の極東の事態に対して共同対処しようが、日米のシナリオを、大きな前提が一致しないで、それから向こうに進まないでしょう。一応のタイムテーブルはあるんでしょう。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) これはタイムテーブルというものではございませんで、言うなれば、日米の共同対処のための共同作戦計画でございますから、言うなればエンドレスに続くような性質のものでございまして、その時点その時点における研究を進めていって、何か一朝事ある場合には、その時点の研究に基づいて作戦計画を立てると、こういう性格のものでございまして、具体的にいつまでというふうに決めて作業をしているわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、二年前に取りかかりましたときに、まあそうは言いましても、一応のめどとしては一年ないしそれより少し遅いぐらいにまあめどみたいなものはつけて、あと逐次進めていくと、こういうことで進めたわけでございますが、実際に取りかかってみまして、なかなかやっぱり日米間のいろんな調整事項が多くございまして、作業に入るまでにかなり時間がかかりました。現在はいま申し上げたような進度であると、こういうことでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 法制局長官、ちょっと伺っておきたいんですが、これは念を入れるために聞くんですよ。  あなたは、十月九日の衆議院の予算委員会で、たしか稲葉質問に対する答弁というふうに理解しますけれども、日米安保が双務性を深めた場合には、憲法との抵触関連がやや考え得るという意味の、私の誤解でなければそういう答弁があったと思う。いま塩田さんが言った、まさに日米共同防衛の防衛協力のガイドラインというのは、私の認識では双務性深化、つまり軍事同盟としての実態面の整備、促進、拡充であるという私認識を持っているわけです。ならば日米安保の双務性を深めれば憲法との抵触が出るという意味のことを答えられたあなたが、ガイドラインの前途について評価する立場にはない、あなたは、法制局長官だから。憲法との関連についてはどう認識していらっしゃいますか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先日の十月九日の衆議院の予算委員会で私は次のようにお答えをしたと思います。  「いわゆる集団的自衛権はわが憲法においては認めていないと解釈しております。御指摘の双務的なものにするという意味が集団的自衛権の行使という意味でございましたら、そういうことは憲法九条に反する」というふうに申し上げたと思います。したがいまして、日米安保条約でわが国が集団的自衛権の行使を内容とするような、そういう内容を含ませるということはできないわけでございます。したがいまして、日米安保条約に基づく共同対処行動についてのいわゆるガイドラインにおきましても、同じように集団的自衛権の行使というような内容のものには決められない、こういうことが言えると思います。ただ私どもの理解しているところでは、ガイドラインにおきましては、憲法上の制約というものには触れないということを大前提としておりますから、そういう意味においてはそういう制約の範囲内のことしか決めていないというふうに考えておりますが、理屈としてはそういうことは決められないということだけは申し上げられると思います。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 関連しまして、大体日米間のこの防衛構想というのは、塩田さん、あなたがさっと答えたように安直なものじゃなくて、融合点なものじゃなくて、基本が食い違っているんですよ。日本は個別自衛権、アメリカは国連憲章五十一条を踏まえた集団自衛権。ベースが違うの、次元が、フレームが違うわけ。だから絶えずその矛盾とあつれきが随所に吹き出すわけ、随時随所に。この矛盾があるわけ、現状も。  そこで、法制局長官にさらにもう一問だけ伺っておきたいのは、シーレーンのこの費用負担の問題、聞きませんよ、あれは仮定の仮定で実現しないだろうから。そうじゃなくて、シーレーンの共同防衛というものを法制的に憲法上見た場合に一体全く問題はないのか。たとえば、二つの主権国家が行う同一海域面における共同作戦がなぜ集団自衛権の発動行使ではないのか。こういう疑念がぼくは根本にあるから、シーレーンの共同防衛は憲法上全く問題がないのか。どこまで許されるのか。ちょっと念のために聞いておきたい。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) これも先ほど申し上げたことと同じ理屈になろうかと思いますが、御質問のシーレーンの共同防衛といわれるものが、仮にわが国の集団的自衛権の行使を内容として含むものであれば、これはもうわが国がそれに参加するということは憲法の認めるところではないと思います。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 日本とアメリカが、たとえばバシー海峡以北——日本の海上自衛隊の能力はまだまだ低いですからね。そこで、バシー海峡以北を考えた場合、どうも私はなかなか単独防衛は不可能である、そういう認識を持っていますけれども、日米共同の場合を越えて日米豪、日米豪プラスASEANというふうな枠組みを持ったら当然憲法に触れますね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど申し上げたような、仮にわが国の集団的自衛権の行使を内容として含むような、そういうシーレーンの共同防衛というものは、共同防衛の関係国が日米間であろうと、米国以外の他の諸国であろうと、同じように憲法上できないということでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 さらに関連してもう一問だけあなたに。だんだん聞きたくなるから。  その安保を双務的なものにつくり変えようとする場合、これも一つの仮定論かもしれないが、論理的には当然憲法第九条を乗り越えなければ、改めなければそれは整合しませんね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) たびたび申し上げて恐縮でございますが、私は憲法改正を前提とするような議論は一切いたさないことにいたしております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 それはわかっている。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) したがいまして、直接にはお答えにはならないかもしれませんが、先ほど来申し上げているように、集団的自衛権の行使を内容とするような条約というものは、現在の憲法に違反をするということだけは確かでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 したがって、堀江先生を初め、失礼ながら、自民党国防会議の皆さんが構想していらっしゃる安保改定の路線というのは、明らかに厚い壁として憲法がある、九条がある。これをダイナマイトで、TNTでぶち破らなければあなた方の構想は実現しないと、こうなるわけです。  官房長官に一つ伺っておきたいんですけれども、御多用の中、恐縮です。  鈴木総理が地方紙に述べられた例の総合安全保障会議ですか、あれは一体どうなったのか。ぼくは第三者ですから、この辺から見ていますと、やや失礼ながら、総理独走のきみあり、周辺もてあましぎみありという感じで、月末に関係閣僚会議を開いて、それでお茶濁しですか、どうですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この点は総理からその後私に指示がございまして、私が中心になりまして構想を練り上げつつあるわけでございますが、目的とするところは、わが国の安全というものは、単にいわゆる防衛庁が所管される種類の防衛力ばかりでありませんで、もっと広い意味での国民生活の安定ということになりますと、外交の問題でもあり、あるいは経済援助の問題でもあり、エネルギーの問題でもあり、食糧の問題でもあるわけでございます。そういう問題は、現在各省庁においておのおの所管してはおりますけれども、国の安全という視点からそれらを整合的に考える必要があるであろう、そういうことを考える場としての総合安全保障会議、そういうものを考えるべきではないかということで、総理にも中間報告をいたしまして、御了承を得まして、それではそのような会議をどういうふうにして構成をしたらいいかということをただいま各省の意見も聞きながらまとめつつある、そういう段階になっております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 ならば、月末に開かれるか開かれないかは不確定として、定例閣僚会議というのは、そういう中での位置づけはどうなりますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) もし、この設置の具体的内容が決まりましたならば、閣議で決定をしてもらう必要があると思います。法律は必要といたさないと思いますが、閣議決定を必要といたします。そうしてその後に毎月一回というような厳密な意味でのことではなく、時に応じて開催をしてもらおうと、私としてはただいまそう考えております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 ならば、ときどきアトランダムに開くその定例閣僚会議と国防会議の区分、位置づけ、調整、整合、これはどうなりますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 国防会議につきましては、法律をもってその任務、内容等が定められております。したがいまして、今回この総合安全保障会議との関連で国防会議を改組するというようなことは考えておりません。国防会議は国防会議として現在の姿で存続をすることが適当であろうと、私はそう判断しております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 つまり、総理がせっかく言い出したから何とか形にしなきゃまずいですよと、総理のプレスティージに関するというふうなロイアルティーが働いたとは思いませんが、しかし、アトランダムに何カ月に一回か開くとなると、かなり運営はむずかしいですよ、実際に。うんと重要なことは法に基づく国防会議、そうでないものは関係閣僚会議、屋上屋じゃありませんか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、ただいま申し上げましたような、広い意味での国の安全というものを国防会議は従来取り扱っておりません。いわば各省がおのおのの行政の立場からやっておるわけでございますから、安全という視点からそれらのものを整合的に見る場というものは確かに私は必要であると考えておりまして、そのようなものとしてこの総合安全保障会議を考えていきたいと思っております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 官房長官、私も福田政権のころに、国防会議がいささかならず形骸化している、したがってトータルにロングレンジで国防を発想し、構想し、策定する場は国家としてなければならないという立論、提言をしたことがあります。したがって、反対しているのじゃなくて、いかにも及び腰ではないかということ、中途半端なものを幾ら積み重ねてもそれは実態的に機能しないという前提で申し上げているんですが、じゃ官房長官の構想あるいは総理から受けられている指示の枠内では、八一年度ぐらいには総合安全保障会議なるものはスタートできるかもしれない、こういう見切りの中ですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 八一年度と仰せられましたか。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 八〇年度あるいは八一年含めて、今年度を含めていかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) その中では発足できると考えております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 官房長官には恐縮ですが、後で九・七%論でもう一回だけ伺いたいんですが、その前に一つだけちょっとアトランダムに伺いたい。  亡き大平総理は、御自分の基本的な安全保障認識の中で、対米認識に絡みますが、アメリカはすでに軍事超大国の一員ではなく、単なる大国の一員である、したがって、わが国は、という例の同盟国発言を五月のワシントン訪問で初めて展開をされたんです。イコールパートナーじゃなくて、同盟という言葉が入ったのは初めてなんです、少なくとも私の認識の中では。そうすると、いまの鈴木政権ですね、最近非常に官僚が気負いと惑いとチャンポンになりながら、じくざぐになりながら、総じて言えば衣の下のよろいがちらちらとちらついている、たとまえと本音のバランスに苦慮している。御苦労のほどを察するわけなんだけれども、それはやっぱりこうしたいというゾルレンの姿勢がちゃんとあって、構想が、おぼろげながらそれは絶対にしゃべれない、明らかにできないが、なるべく緩やかに、なるべくできればそこにいざなっていきたいからという本音が絶えずある、先行するものだから現実の国会答弁との矛盾、閣僚と官僚との矛盾、乖離、不協和音、こうなって訂正したり釈明したりするんです。それは私の認識。  それで鈴木政権の防衛力増強の論理というのは、いまや対ソ脅威論と関数関係であるというふうな朝以来の議論を飛び越えて、同盟国としてグローバルな、ないし北東アジア全域、極東アジアでの同盟国としての日本の義務と貢献ということを第一義にされているんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 六〇年代から七〇年の初めにかけてアメリカが持っておりました、かなり圧倒的に優勢であった対ソ戦力の軍事力のバランスは、確かにその後かなり失われつつあるという認識は私どもも持っております。と同時に、昨年来、たとえばアフガニスタンの問題でありますとか幾つかのことが起こっておりますが、やはり自由民主主義あるいは市場経済といったような、いわゆる価値観を同じくする先進工業国家の間で共通の価値観を守るために緊密に連絡し合うということはきわめて必要なことであると、そういう認識も持っております。ただこれを同盟と呼びますと、別に呼んでも差し支えないようなものでございますけれども、同盟という言葉にはいろいろな連想が浮かびますので、私自身は余り同盟という言葉を使っておりません。ただ共通して守らなければならない価値観があるということは、政府全体同様の認識を持っておると思いますが、そのことは何国がわが国にとって現実の脅威であるという認識に立つものではございません。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 この際に、つまり総理にきょうはいらしていただきたかったが、どうもかなわないから、宮澤長官にあえて申し上げるわけですが、一番新しい世論調査をちょっと引用しますと、これは東京新聞の十月十三日付の報道ですが、防衛費ないし防衛力、現状程度でよいが四八・七%、少し増額してもよい二五・〇。安全保障の重点は何でしょうという設問に対しては、平和外交四二・二%、経済協力一九・六%、最後に日米安保が一四・八%。これが非常にクールな私は国民合意の現状の反映だろうと思うわけです。つまり、まさに世論の動向の方が総合安保を冷静に踏まえていらして、鈴木政権の現状の方が気負い立っている。進め進め、まるで歩行者天国で進軍ラッパを吹くような違和感がある。私はそう思っているんです。けど、いまの世論調査の結果は当然鈴木内閣が踏まえるべき現状認識の根底でしょうね、長官。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 国の安全というものを広い意味でとらえるべきだと、そういう考え方がいまの世論調査にあらわれておるとすれば、それは私は同感いたします。ただ、ちょっといま伺いました限りでは、日米安保体制というものについての評価がちょっと低過ざるのではないか。これはやはりわが国の安全には現状におきまして不可欠の要素であると私は考えております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 さっき同僚議員から質問があったこととちょっと重複するかもしれませんが、例の防衛費増の九・七%論ですね、あれは日米間ではなおさら決着がついてないわけですよ。霞が関と檜町ではあいまいに渡辺スタイルで、渡辺・大村会談で、まあ要求はわかったと、査定は別だよとこう言っているわけです。これは政治家的な表現ですよね。だから大村長官が安心していいかどうかわかりませんよ、いざ始まったら。そうでしょう。いわんやワシントン−東京で始まった——これはまあ独立国の予算だから自主的に決めるのは常識ですよ。そうじゃなくて、こわいのはミスター・コマーだけじゃない。マンスフィールド大使からあなた方にもたらされる感触は、必ずしもワシントンのすべての空気とニュアンスを正確に反映はしていない、伝達はしていないというぼくは認識を持っているものだから、やっぱり日米間ではこの問題、決着はついてないでしょう。九・七プラスアルファ、これがワシントンのミニマムな要求でしょう。要求に屈しろと言うんじゃないですよ。どうなんですか、決着はついていないんでしょう、これから大変になるんでしょう。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(大村襄治君) これまでは概算要求を提出したわけでございまして、年末にかけて予算編成が行われるわけでございますから、そういう意味では決着がついておらないわけでございます。よほどがんばらなければいかぬと考えております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 淺尾局長に伺いたいんですが、これはそんな簡単なものじゃないですよ。独立国の主権行為だ、一部だ、何を言うかと、これはいいですよ、爽快でよろしい、男性的。だけどアメリカの空気はそうじゃない。いま概算要求でやってるでしょう、予算編成期がだんだんとなって、やがてこれ、あと九日で大統領決まりますよね、いや、あと八日で。そうなったら一斉に反撃しますよ、ワシントンから太平洋を越えてね。さまざまなチャンネルを全開してきますよ。そこで、伊東さんは慎重なよくわかった外務大臣でいらっしゃるとぼくは思っていますから、まさか妙な含みを持たした約定は交わしていらっしゃらないでしょうな。断定的に言えますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 先ほども同じような質問がございまして、私そこではっきり答えましたけれども、先般、伊東外務大臣が行きましてブラウン長官と会ったときに、アメリカ側から国際情勢の説明があり、さらに、日本の九・七%のシーリングが設けられたことについて評価するということがございまして、それに対して外務大臣は、国民のコンセンサスを得ながら自衛力を整備していくということでございまして、その間に日米間で、もともと交渉でございませんし、ましてや約束というものは一切ございません。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 大村長官の方がやや生きている言葉で、よほどがんばらなければと——直接の窓口は淺尾さんとのところですよ。伊東外相ですよ。これはよほどがんばっても大変ですよ。ミスター・コマーだけが野武士的なバイタリテューを発揮しているんじゃなくて、アメリカ全体の空気なんですよね。インフレ率を引いたら一・五じゃないか、あるいは一・八じゃないか、何をもって実質的増強が可能かというふうな論理は、わりと多くのアメリカの上下両院議員のハートをとらえる。マスコミが連動する、経済と絡む、まさに新たな日米摩擦の主因になりますよ。違いますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) アメリカの議会の空気は、いま秦委員の言われたように、根っこで経済と防衛の問題が結びついているという可能性はございますし、この間、伊東大臣が行きましたときにもいろいろ説明がございました。しかし、行政府に関する限りは、この防衛力増強については、これは日本が自主的に決めることであるということはもうはっきり了解しております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 これは恐らくこのままでは無事に済むまいという、私は、取り越し苦労だと、杞憂かもしれませんがね、なかなかそんな安直な問題じゃありませんよ。佐藤・ニクソンのときの糸と沖繩じゃないけれども、奇妙な、国益を害するような、あるいは議会を愚弄するようなあいまいな決着だけがなからぬことを強く要望しておいて次の質問に移りたいと思いますが、この点についての宮澤長官の御答弁をこの項では最後に伺っておきたい。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 国の防衛というものは大切なものでございますから、予算編成に当たりましても決して優先度が低くあっていいものではないと考えておりますが、同時に、このような財政再建の際でございますから、防衛はいわゆる聖域であるというわけにもまいらない。その辺のわが国の事情はアメリカ政府もよく了解しているものと考えます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 聖域でないとおっしゃったことは、鈴木総理の御発言ですよね。あの「聖域でない」という意味は、大村・渡辺会談で、シーリングで九・七プラスということを合意したというか、了解したというか、そのことを含めてさらに再検討の対象にし得るということですか。そういう意味で「聖域でない」と重ねて言われたんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 各省庁の予算編成に当たりましては大蔵省との間に折衝がありますことはよく御承知のとおりでございまして、その点は防衛費といえども同じであるという意味と考えております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 くどいようですが、九・七は必須のものとして、これだけは最低のものとして積み上げについての査定を厳正に実行するという意味合いですか。九・七という前提は、これは檜町と霞が関の前提にすぎない、内閣全体ではないと、こういう御認識ですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 九・七%は概算要求の上限と心得ておりますので、したがって、他の概算要求と同じく大蔵省の査定の対象になり得るものであると、こう考えております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 最後に、非常に具体的な問題を、これは防衛局長でしょうかね、C130は防衛局長でしょう。  概算要求の文書を拝見しますと総額四百十三億円、概算で頭を出しているのは二十五億円ですけれども、なぜこの時期にC130H型機を六機計上をしたのか、一体どういう運用を考えていらっしゃるのか伺いたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど中業の御質問のときに、どなたかのときにお答えいたしましたが、五十三年度中業を計画しましたときに、航空自衛隊の輸送態勢をどう持っていくかということにつきまして検討をいたしました結果、ペンディングにしておりまして、つまり三十六機態勢ということを考えておるわけですけれども、三十六機を全部C1で整備するか、ミックスした形にするかということをペンディングにしてその後検討してまいったわけであります。その結果、現時点におきましてC1二十四機、C130Hを十二機……

秦豊新政クラブ

○秦豊君 いや、C130の運用。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 運用につきましては、つまりC1三十六機の態勢で運用した場合に比べまして、たとえば戦闘機部隊の三スコードロンをどこか展開するという場合の輸送能力でありますとか、あるいは空艇部隊の輸送能力というようなことを考えました場合に、いまのC1ばかりでやった態勢ではどうしたって時間がかかる、あるいは遠くへ持っていけないというようなことがございますので、ミックスした形で組もうと、こういうことでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 余り率直な答弁じゃないと思いますね。何かをやはりこうしたいと、言いたくないというかわしの答弁と言うのかな。  それならばC1の改造型の川崎C1には一〇二七号とか一〇二八号という増タン、キャパシティーを多くした足の長い輸送機があり、十分に運用に耐えるじゃないですか。なぜC130Hなのか、それを聞いている。そのポイントをあなたははずそうとする。これは三海峡封鎖と関係あるんでしょう、違いますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 今回の構想におきましては、直接三海峡封鎖とかということじゃなくて、いま申し上げましたような航空輸送の作戦時における需要を考えまして考えた構想でございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 ちょっとやっぱりおかしいな。だって、昭和四十六年の春ごろだと思うんだが、海幕がC1を機雷敷設用として検討した事実がある。それはもちろんあなたはいらっしゃらなかった、大蔵省じゃなかったかな、あのときは。それはそういう事実があった。それで中業にそれを八機ほど出すことにしていたという、恐らくぼくのマスコミ時代のあれだから、メモには残っていますけれども。ならば、C1の改造型で優に運用に耐え得るのに、なぜこの時期にC130ハーキュリーズを購入するのかという、その辺がどうしてもわからない。短SAMのところではいとも簡単に——いとも容易にかいとも複雑か知らないけれども、軍事的あるいは経済的合理性を打ち捨てて、やや政治的にこの解決をする。軍需産業、防衛産業の基盤を強化するという路線に踏み切りながら、こういう点についてだけは、これは対米協力の一環ですか、依然としてその辺が不分明だし、あなたの答弁ではC130の運用が輸送用、とんでもないとぼくは思いますよ。特に標的は宗谷海峡じゃないのかとあえて言いたいが、あなたがどうそれを答えられるか、それを伺ってから質問を終わりますがね。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま四十六年ごろにというお話ございましたが、確かにそのころに、海幕としましてはC1を改装して機雷敷設に使いたいという原案はあったようでございます。それは私も承知いたしておりますが、第四次防として固まる前の段階でその案は見送られております。その後C1を改装して機雷敷設に使うという案はございません。今度のC130を仮に入れたとしました場合に、機雷敷設に使えるかどうかということにつきましては、これは輸送機でございますから、C1を改装してもC130を改装しても使えることは当然使えますが、いまの時点で構想したのは、航空自衛隊の——もちろん航空自衛隊の輸送能力といいますのは海や陸のことも考えてのことでございますけれども、全般の輸送需要を考えました構想に基づいて二十四機と十二機のミックスでいこうと、こういうふうに判断をしたものでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 敷設用もあり得ると、イエス、ノーだけでいいです。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) その必要な機雷を設置すれば可能ではあります。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 設置もできるということですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 現在その設置の機雷はございません。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 いやいや、機雷はアメリカから来るんだから。  終わります。

原文兵衛自由民主党・自由国民会議

○委員長(原文兵衛君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会      —————・—————

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