予算委員会 第2号
- 発言数
- 349 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/10/11
会議録
○小山委員長 これより会議を開きます。 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大内啓伍君。
○大内委員 まず最初に、最近急速に問題になってまいりましたナヒモフ号の問題について簡単にお尋ねをいたします。 これは御存じのように、ロシアのバルチック艦隊巡洋艦として日露戦争時代に活躍した船でありますが、これが明治三十八年の五月二十八日、日本の駆逐艦との交戦の中で降伏し、捕獲後実は現在の長崎県の対馬沖に沈没した。その詳細につきましては、防衛庁の戦史資料室の戦史に詳細にこれが載っております。最近、ある海洋開発が同船の財宝の引き揚げを行い始めましたところが、十月三日に、ソ連が日本に対してその所有権を主張してきた。以来、この問題は単なる宝探しの問題ではなくて、日ソ間の外交問題に発展してきた。したがって、日本政府としても、この際筋の通った解決を内外に示さなきゃならぬ。伝えられているところによりますと、この財宝は八兆円というのでありますから、大蔵大臣にとっては大変、財政危機の中で関心の深い問題だと思うのであります。これは国民の皆さんも非常に関心が強くて、一体これはだれのものでしょうという問い合わせが最近私どもの方にも頻繁にきております。 そこで、この際、政府としてこの財宝の所有権について解釈を明らかにしておく必要があると思うのでありますが、まず最初に、そのソ連の要求してきた所有権主張については政府としてはどういう見解をお持ちでしょうか。これはすでに七十五年前の出来事であり、それまでは何もソ連は言ってきてなかった、今度言ってきた、これについてはどういう御見解でございましょうか、まずお伺いいたします。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 いまのナヒモフ号の関係の御質問でございますが、ソ連から、おっしゃるとおり七十五年目に突然申し入れがあったわけでございまして、私どもとしましても、これは常識的に申し上げまして本当に釈然としないというのがその申し入れを受けました第一の印象でございます。ソ連側が言っておりますのは、軍艦は他国の管轄権を完全に免除されておるので、ナヒモフ号及びその資産のすべてに対する自国の権利を確認するというような趣旨のことを言ってきているわけでございます。 私どもとしましては、その主張の根拠はそれ以上はいまのところわからぬのでございますので、問題が七十五年前のことでもあり、先生がいまおっしゃったような日露海戦当時の模様のこともございますし、いろいろそういうことも判断材料にしまして、これは場所がわが国の領海内にある問題でございます。いま海洋開発が引き揚げをやっているということで、まだナヒモフ号であるかどうかということを会社も判然と確認したものではないが、多分そうだろうということを言っているのが現状でございます。でございますので、これは確認ということが問題でございましょうし、会社を呼びまして、実情はどうなっているかということは聞いておるのでございますが、この所有の問題をどういうふうに決着つけるかということは、これはまず国際法上の問題でございますので、これを慎重に関係各省とも集まりまして検討しているというのが現段階でございますが、先ほどから言われましたようないろいろな日露海戦当時の模様もありますので、そういうことも十分踏まえまして、これは常識に合った結論を出すべきだというふうに思っております。
○大内委員 そういたしますと、まだ船名それ自体も確認をされておらないということでありますから、その主張の根拠そのものがないわけなので、私がさっき申し上げたのは、実は相当重要なことを申し上げているのです。このナヒモフ号に対しては、当時の日本の駆逐艦の不知火が発砲しております。そして白旗を掲げ降服をし、そして捕獲行為というものが完了しておると実は戦史には記されているのであります。もしそれが事実であるといたしますと、戦時国際法上当然これは日本が保有することになるという問題であるだけに、その辺をどうか十分調査をし、結論を得られるように、いまのところどういうものが引き揚げられているか、報告を受けていると思いますし、それからもう一つは、ソ連に対していつごろ回答されますか、その二点をお伺いいたします。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 会社の報告では、プラチナのインゴットと思われるものを十数本引き揚げている。ただ、これはまだ鑑定に出しておりませんので、これから鑑定に出して、それが本物であるかどうかということを鑑定してもらうということを言っております。 それから、ソ連に対しましては、私ども十分検討して結論を出した上にと思っておりますので、いま、いつごろということを決めていませんが、なるべく急いで結論を出すようにということを、いま中で督促を命じているというのが現状でございます。
○大内委員 いずれにいたしましても、これは日ソ間の外交問題であり、したがって、私は、申し上げたように、できるだけ筋の通った結論をひとつ早急に出されるように要望いたしておきます。 さてそこで、最近わが国にとっても世界にとっても非常に重要な問題は、イラン・イラク戦争であります。そしてこの発展の仕方いかんによりましては、わが国にとって死活的であることは論をまちません。特にホルムズ海峡の通航権あるいは石油のルートであるシーレーンの安全航行をどうやって確保するかという問題はきわめて重要であり、現在においても、アメリカあるいは英国、フランス、オーストラリア四カ国はペルシャ湾周辺に対して約五十隻の艦船を集結させているというのもそのゆえであろうと思うのであります。 総理は今度の施政方針演説で、自由諸国との連帯というものを非常に強調されました。また、本年度の外交青書におきましても、「米国及び西欧諸国をはじめとする自由主義諸国との連帯と協調を更に強化することが必要である。」こういうふうに指摘しておるとおりでありまして、またアメリカのカーター大統領を初めといたしまして、相当はっきりこの問題については日本に対して注文をつけている。そこで、連帯という問題を広くお伺いいたしますとこれは切りがありませんので、このイラン・イラク戦争に伴いましてホルムズ海峡の安全あるいはシーレーンの航行の自由確保という問題について、日本政府としてはどういう連帯があり得るのか、どういうことができてどういうことができないのか、その辺を、総理の施政方針演説に関連いたしますので、まず総理からお答えいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 大内さん御指摘のとおり、イラン・イラクの紛争また戦争状態、これは中東の平和と安定だけでなしに、世界の平和の観点からも非常に重要な問題であると存じます。わが国が特にあの地域から輸入石油の七〇%以上を輸入しておるというような経済的な事情もございまして、大きな関心を寄せ、このイラン・イラク紛争の早期解決ということを期待をし、また、わが国政府の考え方は両国政府に対しましてもそれぞれ申し入れをいたしまして、早期解決に努力をしてもらうということを努力をいたしておるところでございます。 また、アメリカ政府等からも、ホルムズ海峡の通航に支障を来すような事態が起こりますと、これは世界の経済その他にも重大な影響があるということで、わが国にも連絡があり、緊密な情報の交換また連絡を取り合っておるところでございます。わが国としては、このホルムズ海峡の航行を安全確保するための警備艦隊その他には参加をするということは憲法上も許されない、こう考えております。したがいまして、そういうような問題でない、その他の分野におきまして、この紛争の早期解決ということに力をいたしてまいりたい、こう考えております。
○大内委員 いまの総理のお答えですと、アメリカが提案しているようないわゆる合同艦隊構想、これには日本は参加はできないけれども、その他の問題についてはできるだけの努力をしたい、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。いまうなずいておられますから、あえてお答えを求めませんが。 最近——最近といいますのは十月の八日、ソ連はシリアとの間に友好条約を締結いたしました。この中には、その第十条において軍事的な協力をする。これはやはり中東にソ連が新しい、しかも強力な足がかりを得たという意味で非常に重要な事態だとわれわれも認識をしております。あの昨年十二月のアフガン侵攻を初めといたしまして、昨日はアメリカが、ソ連がイラクに対して何らかの支援を行っているということについて非難をしておりますが、ソ連はイラン、イラク双方に対して今後介入してくる可能性はもちろん皆無ではない。もちろんその可能性はきわめて大きいとは言わないけれども、われわれはその辺を十分注意しなければならぬ。現にペルシャ湾周辺においてはソ連は約三十隻の艦船を集結し、イラン、イラクの国境周辺には相当の軍事力を展開しているということから、私どもは、このイラン・イラク紛争についても、もちろんアメリカの介入という問題を含めて、これが大きな問題に発展しないように努力をしなきゃならぬ。 そういう意味で、外務大臣、いま総理からるるお話がございましたが、もっと具体的に日本がなし得る限界についてお話があれば承りたいと思います。
○伊東国務大臣 いま総理がお答えになりましたので、ほとんどそれに尽きるわけでございますが、われわれも、ホルムズ海峡の安全航行ということにつきましては非常に心配し、重大関心を持っているわけでございます。イラン、イラクに対しましても、両方に早急にまた、一度意思表明をしましたが、早期戦闘行為の停止とホルムズ海峡の航行の自由について、日本として重大な関心があるということを伝えるつもりでございますし、いまのところは、イラクも、ホルムズ海峡の自由は守るべきだということを言っておりますし、イランも、海峡の安全通航に対する国際法上の義務とかいうことは、敵対行為をする国は別だけれども守るということを言っておりますので、両方に対してこれを強く要請をいたすつもりでおるわけでございます。 そして、先生おっしゃいました共同パトロール問題は、現時点ではまだ協議はないわけでございますので、いまこれがあった場合にどうという仮定のもとで御返答申し上げるのは、これはいかがかと思いますのでいたしませんが、共同パトロールに直接参加できないということは、これはもうはっきりしているわけでございますので、その他の点で、どういうことを言ってまいりますか、もしも協議のありました際には、外交ルートを通しまして、特にこれはアメリカが中心になってやると思うわけでございますので、日米外交ルートの中でよく協議をしてまいりたいというふうに思っております。
○大内委員 アメリカも指摘するまでもなく、この中東からの恩恵というのは日本は他国に比しても非常に重要な恩恵を受けている。したがって、いま総理及び外務大臣のお話を聞いておりますと、日本としてもできるだけのことはしたいということはよくわかりますし、また、アメリカの合同艦隊構想には加わらないということはよくわかりましたが、やはり日本の立場からしてもっとこの問題について積極的な平和回復へのイニシアチブというものをとるぐらいの、そういう姿勢が示されていいと思うのですね。 総理、いかがでしょう。もっと積極的に平和回復へのイニシアチブをとる、そういう決意を示されたらいかがでしょう。どうでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 御指摘のとおり、このホルムズ海峡の安全航行の確保を初め現在展開されております事態の早期解決ということは、日本にとりましては大変重大な影響もございますし、大事な問題でございます。 そこで、政府としては、たとえば湾岸諸国等に戦火が拡大をしないように、また、それらの国々に対していろんな協力の問題等が現上実に起こりました場合に対する対応、いろんな角度からこの事態の収拾につきまして日本ができる立場におきまして最善を尽くしてまいりたい、こう思っております。
○大内委員 いまこのイラン・イラク戦争地域には実はたくさんの邦人がおられます。プラントやあるいは建設輸出や船舶、船員等の皆さん、その安全が非常に重大になってきていることは御存じのとおりであります。家族の方々も非常に心配をされておりますし、特に建設に従事する日本人労働者あるいは船員の皆さん、今回バンダルホメイニの従業員もテヘランの方にいま移りつつありますけれども、この安全について政府としては万全の体制を講ずる必要がある。たとえば避難ルートあるいは救出手段といったような問題について、それらの人々に心配をかけないという状態が政府によって保障されることが必要だと思うのです。たとえばバンダルホメイニの労働者はテヘランへ行きましたけれども、帰りたいと言ったら帰れるでしょうか。いまイランの政府としては、これは帰さない。しかし、これは労働基本権の問題とともに基本的人権にかかわる問題でもある。したがって、そういう問題について政府としてはどういう形で万全の体制を保障しようとするのか。 特に、たとえば戦争によって損失が生じた場合の措置というのは、現在、海外建設工事保険というものがございますけれども、たとえば引き揚げや再進出するような場合の保証は全くございませんし、それから工事中断によって代金支払いが中断した場合には、その企業等はつなぎ融資で自分でこれを補てんしなければならぬという形で、この保険自体も危険負担という面では非常に不十分である。 こういう問題もございますし、また、これは法制局長官にお答えをいただきたいと思っておりますが、たとえば自衛艦というものがございますが、これがいざというときに邦人の救出に当たれるのかどうか、そういう点についても政府としてははっきりとした見解を示しておく必要がある。 以上の諸点について政府の見解を特に外務大臣にお尋ねいたします。
○伊東国務大臣 お答えします。 私からは在留邦人の関係についてお答え申し上げますが、御承知のようにイラクの在留邦人につきましては、ヨルダンあるいはクウェートに出国いたしまして、ヨルダンもクウェートも非常に協力をしてくれましたので、相当の人が出国をして日本に帰ってきております。でございますので、イラクの方につきましては比較的ルートがついているということだと思います。 イランにつきましては、バンダルホメイニにおりました石油化学の約七百名の人がいまテヘランに移りつつある。まず第一次退避ということでテヘランに移りつつありますが、それから先のルートにつきましては、トルコへ行くルートでございますとか、パキスタンへ行くルートでございますとか、カスピ海を通ってソ連に出ていくルートとか、三つが考えられるわけでございますが、トルコにもパキスタンにもあるいはソ連にも一般的にそういう場合には協力を頼むということを連絡いたしまして、各国政府から協力をするという返事を実はもらっているわけでございます。 それで問題は、テヘランに集まった後出国をしたいという人をどうするかということでございますが、いまのところは、まだイランにつきましては航空機を乗り入れて安全を保障するという返事はもらってないわけでございまして、日本から直接飛行機を持っていってということができない、話し合いがついておらぬということでございますので、恐らく大量の人々であればカスピ海を通ってソ連を通ってというのが一番可能性があるところかというふうに思っております。われわれとしましては人命を尊重するということを第一にしようということで、石油化学の問題でも通産大臣と密接に協力をしまして、なるべく早くバンダルホメイニからテヘランに行くようにということをやったわけでございまして、テヘランから先の問題はまたイラン政府と交渉しなければならぬわけでございますが、これは人命尊重が何しろ第一なんだということで強くイラン当局にも、もしそういうことが必要な場合には求めていく、便宜供与を求めるということをやってまいるつもりでございます。
○角田(禮)政府委員 イラン、イラク地域の日本人の救出のために自衛隊、たとえば自衛艦を派遣することができるかということが御質問の趣旨だと思います。 この問題につきましては、同様な問題につきましてかねてから政府の見解を申し上げておりますが、まず、外国にある日本人の生命財産が侵害されあるいは侵害される危険にさらされた場合に、このような在外邦人を救出するために武力行使の目的を持って自衛隊をその外国に派遣することはわが憲法上許されないものと考えております。 他方、武力行使の目的を持たず、当該外国の要請または同意を得て、単に平和的手段によって在外邦人を救出することを任務として自衛隊をその外国に派遣することは、もとより憲法上許されないわけではありません。ただ、現行自衛隊法は自衛隊にそのような任務を与えておりませんので、現実の問題として、かかる場合に自衛隊を直ちに派遣するということはできないというふうに考えております。
○大内委員 その辺はよくわかりました。向こうの邦人の安全保障につきましては格段の配慮を一層されますように要望いたします。 そこで私は、最近とみに活発になってまいりました安全保障の問題についてお尋ねをいたします。 総理は、安全保障、防衛の問題について国民のコンセンサスが非常に重要であるということを常に述べられ、私も同感であります。しかし問題は、その安全保障の形成の仕方について政府あるいは総理大臣はどういう責任を負うべきかということがより重要であります。私は、アメリカの大統領でもあるいは西ドイツの首相でも偉いと思いますのは、国民に対してコンセンサスを求めようとするときに、まず大統領、総理大臣というものが日本の置かれた、あるいはドイツの置かれた、アメリカの置かれた現状をつぶさに説明し、そしてその自国がいま直面している国際情勢の中で自分の安全が脅かされる事態というものをつまびらかにし、そしてその中でわが国としてはこういう選択がある、こういう選択もあるといって国民に対してその選択を求める。官僚の方々がそういう説明をするのではなくて、やはり政治家であり、トップの人々がそういうことを国民にじかに申し上げて国民のコンセンサスを求める、私はこの姿勢というものが日本においてはわりあいに欠けていたのではないだろうか。政府としてもそれなりに努力をしたと思うのでありますけれども、私は、これからはそういう問題が重要だと思うのです。しかし、たとえば施政方針というのは非常に短い時間で限られたことしか言えませんので、そういう問題について総理がおっしゃっても非常に抽象的な、国民にとってはなかなかよくわからない、こういうことが一般的な傾向になっている。 私はそういう見地から実はお伺いをしたいのでありますが、たとえば英国の戦略研究所、そのストラテジックサーベーという最新版によりますと、アフガン侵攻は十年前に始まった東西デタントの終了を示したように思われる、こういうふうに結論をつけております。もちろん、デタントの崩壊という問題は決してアフガンだけではなくて、この数年来続いてきた傾向であるという中で、このアフガンの侵攻という問題がそのことを決定的にした、こういう解釈をしているのであります。総理が国民の皆さんに対して安全保障、防衛問題を考えてくれというときには、そういう問題について総理自身がどういうふうに考えているのか、それからもう一つは、たとえば日本の周辺に脅威が増大してきたというけれども、一体どういうことを指して脅威が増大してきたと言っているのか、国民はまだよくわからないと思うのです。私は、ある会議でその問題を具体的に指摘したのですけれども、そういう問題についてもやはり総理なり外務大臣なりが、いま日本の安全を脅かす要素があるとすれば、こういう状態は好ましい状況ではございませんと、はっきり国民の前にそれをできるだけ具体的にお示しになるということが、私は国民のコンセンサスをつくり出す大前提だと思うのです。いまこのイラン・イラクの戦争が持ち上がりまして、アメリカのアジア太平洋艦隊というものは、好むと好まざるとにかかわらず、スイング戦略をとらざるを得なくなった。そしてあの緊急展開部隊という、沖繩の海兵隊をも含めたそういう緊急展開部隊の派遣という問題を考えなければならなくなっている。そのことが実は日本の防衛の今後のあり方についてどういう影響を持つのか、あるいはどういう要請を突きつけているのかということを、もう少しきちっと整理して国民の前に政府は言う必要がある。私は、これは決して一部の偏見ではないと思うのです。常識的なことだと思うのです。 そこで、まず総理からデタントの認識を聞きたい。日本の周辺の脅威という問題について、どういう認識を持っているか聞きたい。そして三つ目には、このアメリカの戦略の変化というものが日本に対してどういう防衛努力を要求しているか。この三つを、これはテレビにも入っているし、国民の皆さんが見ている。はっきりどうかお知らせをいただきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 総合安全保障に対する御見解、全く同感でございます。 そこで、情勢認識についてどのように見ておるかというお尋ねでございます。 最初に、デタントの問題でございますが、アフガンに対するソ連の軍事介入というものが、米ソの間、また東西の間におきまして確かに不安な状態、緊張した状態を生み出しておるということは御指摘のとおりでございます。しかし、このデタントが、しからば全面的に後退をし、またデタント時代はもう過去のものになった、こういうぐあいに見るかという問題につきましては、私は必ずしもそうは見ておりません。と申しますことは、ヨーロッパにおきましても、この中距離弾道弾、ミサイルの問題につきまして米ソの間でも話し合いをしよう、こういうことも出ております。また、仏ソ首脳会談あるいは独ソ首脳会談というようなことも行われておりまして、この平和の確保の問題につきましていろいろ話し合いもなされておるということでございまして、私は、デタントが今日非常にむずかしい局面には立っておりますけれども、全面的にそういう情勢が解消された、こういうぐあいには実は見ていないわけでございます。 それから、ソ連の脅威という問題につきましてどう考えておるか、こういう御指摘がございました。確かに、極東に対するソ連軍の軍事的な増強あるいは北方四島に対する軍事施設の強化、こういうものが潜在的な脅威としてわが国の国民に対しまして大きな不安を与えておる、こういうことを私は認めておるわけでありますが、これらの問題につきましては、機会あるごとに、先般も国連の場において、あるいはソ連の外務大臣と伊東外務大臣との間で、こういう事態が話し合いの中で平和裏に改善の方向に進むようにという努力も実はいたしておるところでございます。 さらに、中東の情勢等に伴いましてアメリカの機動部隊、機動艦隊等がインド洋その他に配備がえをしておるということも承知をいたしておりますが、しかし、アメリカは機会あるごとに、西太平洋に対するプレゼンスというものははっきり確認をいたしておりますし、日本との日米安全保障に基づきまして、必ず日本の防衛には全面的な責任を持っていくものであるということも確認をいたしておるところでございます。 しかし一方、わが国におきましては、やはり日本の安全と平和を確保するということはみずからがこれをまずやらなければならないという信念で取り組まなければならない問題でございます。私どもは「防衛計画の大綱」がまだ完成の時期に達しておりませんが、この「防衛計画の大綱」に沿いましてできるだけ防衛努力というものを進めてまいる、こういう考えでございます。
○大内委員 よくわからないんですな。両面を余り言い過ぎるものだからよくわからないのですが、防衛庁長官、いま極東ソ連の展開、私はこれは実は昨年も指摘したところなのでありますが、この実態は日本にとって脅威ですか。 防衛庁長官、出て来ないからもう一回続けて聞きますが、そうすると、最近水晶島にソ連はトンネルを掘った、これ確認していますか。
○大村国務大臣 お答えいたします。 水日明島のトンネル云々のことにつきましては、防衛庁といたしましてはまだ確認をいたしておりません。(大内委員「脅威かと聞いている」と呼ぶ) 極東ソ連軍の顕著な増強が行われていることは、北方領土への地上軍部隊の配備、空母ミンスク等の極東回航などに見られる太平洋艦隊の増強、SS20、IRBMやバックファイア爆撃機の配備等に示されるように客観的事実でございます。 ソ連の軍事力増強に伴いまして、艦艇、航空機の外洋進出やわが国周辺における活動も活発でありますが、特にソ連の艦艇、航空機によるベトナム基地の常時使用については、このような軍事力増強をより効果的なものとするためであろうと考えられ、これらによってソ連太平洋艦隊は西太平洋の西側諸国と中東区域を結ぶ重要な海上交通路であるインド洋及び西太平洋に確固たる存在を示しつつあると考えます。 これらはわが国の安全保障にとって潜在的脅威の増大であると考えておる次第でございます。
○大内委員 私は冒頭に、なるべく政府は素直に、日本の置かれた状況というものを国民にわかりやすく明らかにする必要があるという前提でお伺いをしてまいったわけでありますが、一つは、総理は、デタントは全面的にだめになった、こういうふうにはまだ断定できない、しかし、そのお言葉の背後にはデタントというものが大きく崩れているという事実もお認めになっていることであろうと思います、うなずかれておりますし。あの昭和五十一年に防衛大綱をつくりまして、その当時の国際情勢と今日の国際情勢とではもう比較にならないほどの変化が起こっているということは、これは世界の常識であります。あたりまえのことであります。ですから、その起こっていることを、こういう点で、こういう点で、こういうことが起こっているのでこういう変化が起こっているが、しかし、そのデタントというものの中にはこういう面でまだ継続している面があるというようなお答えが、私は国民にはわかりやすいのじゃないかと思うのです。 たとえば、いまソ連の脅威という問題について聞きましたけれども、いろいろ申し述べられましたが、それらが潜在的な脅威であるとおっしゃっておられるとおりなんですね。しかし、いまの防衛大綱を見ておりますと、実は国際情勢の認識というものが相当狂っているということは、これは認めなきゃならぬ。そして防衛大綱の一つの大きな特徴というのは没脅威論に立っている。脅威というものが日本の周辺にどうあろうか、そんなことは構わない、独立国家として必要な最小限のものはこれだけ持つのだ。そんな防衛論を立てている国家がどこにありますか。自分の国家の置かれたその状況とその周辺諸国の状況に応じてどこの国でも防衛を考えている。それをいま日本の防衛大綱というのは没脅威論。したがって、いまその計画が達成されていないから、達成されるまではその防衛大綱を維持してやってまいります、どうしてそういうばかなことをおっしゃるのですか。設計図が間違っているのに、どうしてその設計図に従っていろんなものをお立てになるのですか。だって、そんなことをやっている国家というのはないでしょう。そして限定的小規模紛争に対処することを想定して防衛力の整備を図る。何のことですか。いま私は偶然に、ソ連の脅威とか日本の安全に対する脅威という問題を聞いているわけじゃありませんよ。その脅威というものが存在するなら、どういう形でそれに対応できるような体制をつくるか。じゃその脅威の中に限定的小規模の紛争があるのですか。それだけですか。それ以上はアメリカが守るのですか。そういうちぐはぐなことを言って、そして形式論だけで、防衛大綱を守ります、まだその水準は達成しておりません、そういう子供だましのことをこの予算委員会で言うものじゃありませんよ。 私どもが防衛大綱を見直せと言っている意味は、国際情勢も変わった、そしてアメリカの戦略も大きく変化してきた。没脅威論というような、そんな安直な考え方で日本の防衛問題を考えるわけにはいかぬ。そして、防衛大綱が想定しているような限定的小規模な紛争などというものはソ連の戦略にはありませんよ。そういう仮空のものを想定して、そして防衛力整備だ、さあ概算要求では防衛予算は九・七%別枠で認めるのだ、こんなことで国民の皆さんはわかりますか。わからない。 たとえば、自衛隊の欠陥、日本の政府や防衛庁当局が本当に指摘したことがございますか。指摘したのは、今度の防衛白書がほんのちょぼっとやったのが初めてですよ。自衛隊の欠陥というのは、アメリカからまあ山ほど指摘された。私はびっくりした。あの五月九日の読売新聞等の新聞をごらんになりましたか。あそこでは「日本の自衛隊は、現在のところ全く戦える状態にない」そういうふうに書いてあるのですよ。そういうふうに指摘してありますよ。ばらばらで総花的な防衛力整備が無原則に行われているだけだと書いてありますよ。しかし日本では、そんなことを国民の前にあらわしたことはない。そしてそういうことをひた隠しにして二兆二千三百二億円もの予算を使う。私は、独立国家として日本の安全保障に責任を持つ防衛体制を整備するということは重要なことだと思っている。そして自衛隊のその持っている状態というものがそれに全く対応できないような形で、ただ予算だけを使っているというのなら、そんな予算はやめた方がいい。自衛隊の欠陥をはっきり言いなさい。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 政府は「防衛計画の大綱」を準拠として防衛力の整備に努めてきたところでございますが、防衛力の現状における不備点について見ますれば、本年度の防衛白書においても明らかにしたとおり、全般的にいまだ「防衛計画の大綱」に定められた防衛力の水準に達しておらないほか、陸上装備、艦艇、航空機等の装備の老朽化、即応態勢の不備、基地等の抗たん性の不足、弾薬備蓄の不足等による継戦能力の不足等、種々の問題を抱えており、今後とも可及的速やかにこれらの不備の是正を図っていく必要があると考えております。 このため、具体的には装備の更新、近代化等を進めるとともに、中央指揮システムの整備等による即応態勢の整備、航空機用掩体、基地防空用火器等の整備による抗たん性の向上、ミサイルを初めとする各種弾薬等の拡充による継戦能力の向上、三自衛隊の統合演習等による統合運用態勢の充実等に努力してまいりたいと考えております。 また、「防衛計画の大綱」の見直しについてお尋ねがございましたが、最近のわが国周辺の国際情勢は、わが国北方領土における地上軍配備を含め、極東ソ連軍の著しい増強等、厳しさを増しつつあることは事実でございます。わが国は米国との安全保障体制を堅持するとともに、みずからの適切な規模の防衛力を保持することにより、いかなる侵略にも対処し得る態勢を維持することによって侵略を未然に防止することを基本としており、「防衛計画の大綱」に従って防衛力の整備に努めているところでありますが、いまだ同大綱が定める防衛力の水準に到達していないのが現状でございます。したがいまして、同水準の可及的速やかな達成を図ることが目下の急務であると考えており、いま直ちに「防衛計画の大綱」を改正することは考えておりません。
○大内委員 それなら一つだけ伺いましょう。 防衛庁長官、原稿を見ないで答えてください。脅威というものを想定しない防衛力の整備というのはありますか。私は、脅威というものを戦争に発展させないために事前に抑止する態勢をつくるというのが防衛力整備だと認識しておりますが、脅威を念頭に置かない防衛力の整備というものはありますか。
○大村国務大臣 私どもは潜在的脅威を念頭に置いて対応することを考えている次第でございます。
○大内委員 それならば、防衛庁長官は防衛大綱を見直さなければならぬということをいま立証した。いまの防衛大綱というものは没脅威論です。脅威論なんというものは問題にしていないで、勝手に防衛力整備を考えている。じゃあなたは防備大綱を見直さなければならないじゃないですか。——答弁、答弁。そんな、官僚に聞いてから物を言うもんじゃない。
○大村国務大臣 「防衛計画の大綱」が没脅威論であるという前提でお尋ねのようでございますが、私ども必ずしも没脅威論ということは書いてないというふうに理解いたしておるわけでございます。
○大内委員 どうしてそんなうそをつくのです。何を言っているんです。じゃそんなことがどこに書いてある、防衛大綱に。いまの防衛大綱は、間違いなく没脅威論に立っている。われわれは防衛庁の政府委員からそういうふうに説明を受けている。どうしてそういううそをおっしゃるのですか。
○大村国務大臣 そのようなことは書いてないと理解いたしております。
○大内委員 ちょっと議論がかみ合いませんが、それでは防衛大綱の水準はいつ達成しますか。
○大村国務大臣 お答えいたします。 現在努力中でございますが、いつ達成できるか、はっきり申し上げる時期に至っておりません。
○大内委員 まあ、このぐらい無責任な答弁ができるのですから、相当なものです。 それでは別の問題にいきましょう。ここで押し問答しても時間がありません。 これは総理も含めてぜひ御検討いただきたいのでありますが、中期業務見積もりというものがございます。そしてこれは本会議等における総理の答弁でも、防衛庁の概算要求上の一資料にすぎないということをおっしゃっておりますが、私ども及び外国の方々はそう見ていないのです。中期業務見積もりというのは、わが国の防衛力整備計画そのものですね。ですから、たとえばE2Cを採用するのかあるいはP3Cを採用するのか、どういうミサイルを置くのかという問題は、実はわが国の防衛力の質そのものを決定する重要な計画なんです。ですから、単なる概算要求の一資料などというようなものではない。したがって、たとえばカーター大統領も、防衛大綱を問題にするよりか中期業務見積もりというものを問題にして、ここをこう変えてもらえないだろうかという注文をされる。したがって、防衛庁が言うような単なる一資料ではないとすれば、当然こういう重要なものはシビリアンコントロールのもとに置く。最近、世論もそのことが非常に盛り上ってきております。 そこで、私は一つ提案をいたします。これは防衛庁長官で結構です。この中期業務見積もりというものの持つ重要性からして、いままでのようにこれを国防会議にもかけない、あるいは閣議にもかけないというようなことではなくて、少なくとも国防会議の議に付すべきである、また、私どもはそれを強く要求したいと思いますが、いかがでございましょうか。
○大村国務大臣 中期業務見積もりにつきましては、御指摘のとおり、防衛庁が毎年度の概算要求等の見積もりをする際に部内の参考資料といたしまして作成したものでございまして、これまでは閣議や国防会議にかけることにはいたしておらない次第でございます。この中期業務見積もりは、各年度の業務計画、概算要求作成のための防衛庁の参考資料として作成したものではございますが、御指摘の御趣旨もよく理解できますので、最近における国会での御議論、性論の動向なども踏まえまして、防衛庁といたしましては、次の五六中業の作成に当たりましては何らかの形で国防会議の議題とするよう努めてまいりたいと考えております。
○大内委員 これは重要なお話でございました。これまで中期業務見積もりというは、国防会議にも閣議にも諮られないで、防衛庁が独走しておりましたけれども、いまの防衛庁長官のお話によりまして、この業務見積もりを今後の五六中業については国防会議に付議するということを言明されたと思うのです。これは総理におきましても十分この答弁を銘記されまして、国防会議の議長として対処されるよう要望いたしておきます。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま防衛庁長官から申し述べたことは、私も了承いたしております。さよう取り運びます。
○大内委員 防衛費の問題について大蔵大臣に聞きます。 いま国防大綱では御存じのとおりGNPの一%まで防衛費を確保し得るという方針が確認されておりますが、大蔵大臣、ほかのことを考えていましたか。そして最近、防衛費の増額という問題が非常に大きな課題になってきていることは御存じのとおりでありますが、私どもは、防衛費の決定というものは、もちろん周辺の状況からしていかにして防衛力を整備しなければならぬかという視点とともに、国民のコンセンサスとかあるいは財政事情というものをやはりある程度考慮しなければならぬ、こう思うのでありますが、もし一%水準を確保しようとしますと、これは大蔵省が出した計算でも三年間で約一兆二千億円の純増が必要になる。これは大蔵大臣、年率一五・四%です。この防衛費支出というものは、いまの財政事情からいってできる可能性はありますか、政策の選択の問題かもしれませんが。
○渡辺国務大臣 きわめて困難であります。
○大内委員 私は、防衛費の使い方というものはやはり相当慎重にしてほしいと思うのです。 そこで、私は具体的な問題を一つ取り上げます。これは防衛庁長官よく聞いてください。 今回、防衛庁が大蔵省に出している概算要求のうちで、地対空ミサイルというのがあります。これは短距離SAMと言いまして、略称短SAMと言っております。そしてこの購入要求が概算要求で出ておりますが、私どもの判断では、この要求はむだ遣いになる可能性がある、こういうふうに見ております。これは大蔵大臣も十分注意してほしいのであります。と申しますのは、このミサイルは実際に役に立たない可能性が強いということなんです。今度の概算要求では空が四基、陸が六基、計十基、長期計画では大体十年ぐらいを念頭に置きながら百二十基、これは買い物にして約三千億ぐらいになるのですよ、総理。これは大変な買い物です。その地対空ミサイルの概算要求が行われていますが、このミサイルは実際に役に立たない可能性が強い。われわれは詳細に検討いたしました。なぜかと言いますと、その一端だけ申し上げます。 第一に、このミサイルは全天候性能がないということなんです。つまりこのミサイルは赤外線の追尾方式であるために、たとえば相手の飛行機が太陽の方向から出てきた、あるいはその相手の飛行機とこっちのミサイルとの間に雲や霧や雨があった場合には撃ち込むことができない。戦争は別に晴れのときあるわけじゃありません。つまり全天候性能がない。このことはテストでもちゃんと出ています。私は、これは防衛庁の人に聞いてみたのです。全天候じゃなくて大丈夫かと聞いてみたら、あれは当たりませんよとおっしゃる。どうしてそんな物を買うのですか。 二つ目。このミサイルは発射後終始白煙の航跡を残すのです、あの飛行機雲のように。したがって、相手の飛行機が回避行動をとりますと、命中精度は著しく低下いたします。これは日本ではやられておりませんので、外国の映画を実戦パイロットに見せている。私はその実戦パイロットから聞いた。そうしたら、ああ、ああいう状態の場合は逃げられるのです、実戦のパイロットがそうおっしゃっておる。 三つ目。このミサイルは発射後無力化ができません。最近の近代的なミサイルというのは、発射をいたしまして、これはまずかったと思えば、途中で爆発をさせているのです。ところが、このミサイルは発射後無能力化ができません。このために味方を撃つケースが非常に高いのです。いままでのデータで、三割から四割、味方の飛行機が撃たれているのですよ。 四つ目。日本にも外国にもこれを射撃訓練する場所がない。射場がない。つくって、どこで演習するのですか。日本ではありませんよ。こういう欠陥を持っています。 しかも、私が非常に重要だと思うのは、これは防衛庁長官、よく聞いてください。空幕が作成した単価表を見ておりますと、この競争相手は、アメリカやイギリスやドイツやその他ヨーロッパの諸国で使っているローランドというものと比較してみますと、発射機はローランドが一基十三億三千万円。ところが短SAMは十五億八千八百万円。ミサイルの値段はどうかというと、ローランドは一千九百九十七万円で二千万円以下。これに対して防衛庁がいま買おうとしている短SAMは四千五百九十万円。私はこの数字もうそだと思っている。現に川崎重工が試作した評価試験用の一発のミサイルは九千万円近い。そうでしょう。量産すればこのぐらいになる。何の見通しもなく架空の数字を出している。したがって、これは膨大な経費のむだ遣いになる可能性がある。 しかも、もっと重要なことがある。そうした欠陥の高い買い物であることを十分承知しながら、空幕長はこの決裁を強引に行っている。これは三十数名の稟議を経て決裁をしておりますが、ことしの九月六日にやられている。ここにその決裁書の写しがある。ここにはこう書いてある。つまり、短SAMとローランドを比較した比較表というのがあります。この比較表も大分どんどん都合のいいように変えてきましたけれども、この比較表に基づき「以下のごとく両機の比較の結果はローランドがすぐれている。」こう書いてある。だけれども、諸種の事情からこの短SAMを採用すると書いてある。私は不明朗なものを感じる。いろいろなことも聞いている。 どうしてこんな欠陥ミサイルを、この財政再建の折から役に立たないミサイルを買おうとするのですか。しかも、長期計画になればこれは三千億に上る膨大な買い物ですよ。私はいま大蔵大臣に一%論についてただしましたけれども、国民の税金を正しく使えば、防衛費というものが相当規模になっても、これは日本の安全を確保するためにいたし方ないと国民は納得するだろう。しかし、こういう買い物をされたのでは、防衛費の九・七%の別枠要求というものが一体何かということが国民に批判されると思う。責任ある答弁をお願いいたします。
○大村国務大臣 短距離地対空誘導弾につきましては、五十六年度の概算要求におきまして、陸上自衛隊に六セット、航空自衛隊に四セットをそれぞれ調達することを予定しております。 以下、その理由を簡単に御説明させていただきます。 陸上自衛隊については、現在各師団は、野戦防空火器として三十五ミリ二連装高射機関砲のほか、七十五ミリ高射砲または自走高射機関砲を装備しております。しかしながら、このうち七十五ミリ高射砲及び自走高射機関砲は米国供与の旧式化した火器であり、最近の運動性能の向上した航空機に対しては対処が困難な状況となっております。また、諸外国においても近年、短距離の防空の主要な手段として命中精度のすぐれた地対空誘導弾を用いる趨勢にあります。このため、わが国におきましても、師団の七十五ミリ高射砲及び自走高射機関砲にかえ、短距離地対空誘導弾を逐次配備することとし、五十六年度からその整備に着手することといたしております。 航空自衛隊については、航空侵攻を受けた場合に、これに対処する戦闘機等がその本来の防衛力を発揮するためには、当該戦闘機等が所在する航空基地等が抗たん性を有していることが必要不可欠でありますが、この抗たん性を向上するためには、航空基地等に防空火器を整備することが主要な手段となってきております。そのため、諸外国においてはこのような防空火器の充実に鋭意努めているところでありますが、航空自衛隊では、現在までにこの面の整備がほとんど行われていないのが実情であります。したがいまして、今後は短距離地対空誘導弾を航空基地等にその防空火器の主力として逐次配備する必要があると考えており、五十六年度からその装備に着手することといたしております。 ただいまお尋ねの短SAMの性能につきまして、全天候性がないということとか、いろいろ御指摘がございましたが、それらの点につきましては、防衛庁内におきまして長年検討を進めました結果、今回これを調達することに決定した次第でございます。 また、単価の点につきましてもお尋ねがございましたが、これらの点につきましては、政府委員の装備局長からできればひとつ御説明をさせていただきたいと存ずる次第でございます。
○大内委員 私は、本当はそういう面を詳しく議論したいのでありますが、時間がありません。防衛庁長官の答弁は私の質問の時間を空費している。私が聞きたいことに何一つ答えてはいない。本当はここを詰めなければならぬ。しかも、空幕長の決裁なんというこの文書は大変な問題だ。これは防衛庁においてももう一回再検討してもらいたい。 そして大蔵大臣、こういう状況でございますから、その予算査定については厳しくチェックをしてほしい。これはやはり国民の素直な意見だと思うのですよ。私は防衛力整備に反対じゃないのです。そういう立場からもこういう問題を許せないと言っているのです。再検討していただけますね。頼みます。
○大村国務大臣 選定の過程におきましてはいろいろ意見があったことは事実でございますが、防衛庁内において慎重かつ総合的に検討して選定したものであり、一部の反対の意見を強引に封じ込めたというようなことはございません。
○大内委員 みんなの意見を聞いてやったというのですけれども、みんなの意見を聞かせる方法だってたくさんあるのです。しかし、一番重要なことは、その相手の飛行機に当たらないミサイルを大変な予算を使って買うものじゃない、そういうことを言っているのです。 大蔵大臣、これはチェックしていただけますね。一言頼みます。
○渡辺国務大臣 非常に財政の厳しい折でございますから、大変いい話を聞かせてもらって、もしそれが本当であれば——私は専門家じゃないからわからない。専門家の意見を聞いた上で厳重に査定します。
○大内委員 私は、外交、安全保障の問題でまだたくさん聞きたいことがあるのでありますが、これから財政の問題等も聞かなければなりません。しかし、どうしても総理に聞いておかなければならぬことがあります。 私は、これから日本の安全保障というものは相当厳しく考えていかなければならぬ事態に入った、そういう意味では、単なる架空の議論のやりとりはしたくありません。しかし、防衛という問題を考える場合に、それは内の問題であります。もちろん周辺の諸国の対応というものも考えなければならぬが、内の問題であります。しかし、やはり最高の安全保障は世界平和です。そういう面から見ますと、日本政府がどういう平和戦略に立って、どういうことを進めていくのかということが非常に重要だと思うのです。 私は、平和戦略として重要な課題は、特に日本にとっては、一つは対ソ関係をこれからどう調整していくか。二つ目には、米ソのデタントが崩れ、そしてだんだん厳しい状況の中に入ってきた。そして軍拡がどんどん行われてきた。この軍縮を日本はどういうイニシアチブにおいて進めさせるか。三つ目には、南北問題の解決という視野に立って、発展途上国に対する経済協力、なかんずく政府開発援助、これは御存じのとおり日本では〇・二六%です。先進国の平均水準は〇・三四%です。一番低い。世界第二の経済大国と言われながら、そういう面での貢献はまだ日本はおくれている、こういう問題をどうするか。私は、そういう平和戦略というものを推進し、その実態を明らかにしながら防衛力という問題を提起していけば、国民のコンセンサスというものはおのずから固まってくると思う。そういう意味で、総理はこれからどういう平和戦略を日本としてはとろうとするのか。特に対ソ関係については、これは通産大臣、経済関係の問題もございますから、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 大内さん御指摘のように、わが国の安全を確保するというためには、単に防衛的側面だけでこれが達成できるものではない。いまの世界の平和を確保するという中で初めて日本の安全と平和と繁栄が確保できるわけでございますから、そういう観点で今後あらゆる政策を総合的に判断をして進めていかなければならない、このように考えるものでございます。 まず、御指摘がございました対ソ関係につきましては、私は、日本の隣国の重要な国でございますから、日ソの関係を本当に両国が納得できる形で友好関係を再構築をするということは、ただに両国の利益になるだけでなしにアジアの平和安定、ひいては世界の平和にかかわる大事な問題である、こう考えております。今後私どもは誠意をもって日ソ関係の改善に努力をしてまいる考えでございます。しかしながら、今日のような日ソの関係というものは、アフガンに対する侵攻でありますとか、あるいは北方に対するソ連の軍事力の展開、軍事施設の増強、そういうようなソ連側の態度に起因するところも大きいわけでございます。私は、日本だけでなしにソ連側もまずそういう要因をなくするように、そういう改善を図るようにやっていただかなければならない、このように考えておるものでございます。 さらに、発展途上国、開発途上国に対するわが国の協力、援助、こういうことは日本が責任ある国際社会の一員としてなさなければならない大きな仕事である、また日本の経済力からいたしまして、それは私は、日本として今後あらゆる努力をしなければならない課題である、こう考えております。御承知のように、開発途上国に対する無償援助等につきましては三年間に倍増というようなことも大体今年で達成できる。今後もそういう方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。 また、世界の東西間の均衡、いろんな状況の変化というようなことも十分私ども踏まえまして、今後平和外交を強力に展開をしたい。特に自由と民主主義をとっておりますところの共通の価値観の上に立つアメリカ及び西欧諸国、そういう国々と十分連携、協力をいたしまして世界の平和に努力をしてまいる、こう考えております。
○田中(六)国務大臣 大内委員にお答え申し上げます。 日ソ関係は、いま総理が申し上げましたように、両国の平和、世界の平和というような観点から友好関係をあくまで維持していかなければならないと思っております。 ただ、私どもの経済の面から見ますと、輸出が日本から二十四億六千万ドル、それから輸入は十九億ドルございまして、合計約四十四億ドルの貿易量がございます。こういう観点から、さらにシベリア開発に原料炭の開発プロジェクト、それからもう一つの問題は第三次森林開発ということがございますし、これも輸銀ベースで融資をすでに日本にある通商部に通告しておりますし、経済面からあくまで日ソ関係の交流、平和維持あるいは経済の発展というものは維持していかなければならないというふうに思っております。
○大内委員 財政問題、経済問題についてお尋ねいたします。できるだけ大蔵大臣、簡潔に結論的にお答えをいただくとありがたいのです。というのは質問時間がちょっとおくれておりますので。 一つは、昭和五十六年度予算編成における二兆円の国債減額ですが、これは全額赤字国債が対象ですか。
○渡辺国務大臣 全額赤字国債とは決まっておりませんが、極力赤字国債を対象にしたいと思っております。
○大内委員 そうすると、大部分が赤字国債の減額に当てられる、こういうふうに理解していいのでしょうかね。たとえば、昨年の場合は一兆円の国債減額が行われましたけれども、このうち赤字国債は五千七百億ですね。もっと比率を高めるわけですか。
○渡辺国務大臣 まだ内容については決めてありません。先ほど言ったとおりであります。
○大内委員 二兆円の国債減額の大部分が赤字国債を対象とするということになりますと、その対象は必然的に福祉とか教育予算になっていくわけですね。したがって、これが相当厳しく削減されるという可能性が出てくるように思われるわけです。 そこで、さきに大蔵省が発表いたしましたサマーレビュー、ここでは税収は三十兆七千億ですね。その他は税外収入並びに二兆円の国債減額による公債金収入、そういうものを合わせますと歳入総額は四十五兆七百億円、こういう発表がありますね。これでいきますと、一般歳出の伸びはしばしば言われるように事実上ゼロになりますね。というのは、国債減額二兆円、そのほか国債費あるいは地方交付税交付金の当然増、これでほとんど全部自然増収は食われてしまう。しかし他方、一般歳出の当然増は約一兆五千億ある。たとえば法律上、制度上どうしてもやらなければならぬという当然増は一兆五千億ある。そうすると、この二兆円の国債減額を仮にやった場合には、この一兆五千億円の出然増も消化できないで予算編成は事実上困難になる。これは自明の理ですね。それは間違いありませんな。いかがです。当然増も消化できませんね。仮に二兆の国債減額をやった場合できませんね。
○渡辺国務大臣 昨日もお答えをいたしましたが、あなたのおっしゃるように四兆円程度の自然増収では国債費等に食われてなくなってしまうわけですから、予算額はそうすればことしと同じ、一般歳出は五十五年度と同じ額の予算ということにならざるを得ない。ということになれば、どこかで当然増経費を生み出すことができない限りは当然増にはこたえられないということになるわけです。
○大内委員 そうですね。そこで十月八日、ゼロリスト、つまり一般歳出の伸びをゼロにした場合にどういう状態になるかということを発表されました。私は、大蔵省が日本の財政の状況をできるだけ国民の皆さんに知っていただくという意味でショック療法を大蔵大臣が考えようとした意図はわからないわけでもないのですよ。しかし、私はこれを見ながら思いましたのは、財政当局がみずからの責任を避けて国民にその責任を転嫁するやり方じゃないかなという感じがするのです。しかもその内容は、行政サービスの低下というものをたくさん挙げました。これは大出さんが九日にやりましたから重複は避けますけれども、傑作なのは、パトカーも老朽化するので犯罪検挙率はずっと下がって犯罪はふえるだろうというに至っては、私は何か語るに落ちたような感じがいたしましたね。余りにもこれはえげつない。もう国民に対してはこれは恐喝としか受け取りようがない。そして、それを見せられた国民はいやおうなしに増税を認めていかなければならぬという手法がここで展開されている。私は、これは責任ある財政当局のやり方ではないと思う。私は善意に解釈して、大蔵大臣は、ある意味でショック療法をやろうとしたのだろうと思う。しかし、もっと客観的な評価としては私はそう思わざるを得ない。もし本当に財政当局が日本の財政の厳しさというものを国民にわからせようというなら、そこから手をつけるのではなくて、いま中曽根行管庁長官が手をつけておられるように、日本の財政の中にどこにむだがあるか、どこを削るべきかといったような問題について徹底的にこれを掘り出して資料として国民の前に提供する、私はこれが国民の立場に立った財政当局の姿勢だと思う。もしこんなゼロリストを出すというならなぜ財政演説をやらぬのですか。あたりまえのことじゃありませんか。日本の財政事情の厳しさというものを国民に対してはっきり知ってもらうような財政演説を大蔵大臣が堂々とやる、そしていま日本の行政の中でこういうむだがあるということをつぶさに言いながらその上でこの資料を出すなら、私はなるほどな、わからないこともない。そういう意味で、いま政府がやろうとしているやり方をずっと見ておりますと、八月二十日から財政再建のキャンペーンをずっとやる、その次は今度は二兆円の公債減額を打ち出した、そして十一月には税調に対して増税の答申を求める、そしてその税調に対してはこのゼロリストを見せることによって、いやおうなしに税調も国民も増税へ増税へと追い込んでいくという手法が実に頭脳プレーとしてとられている。大蔵大臣、そうでしょう、やり方は。 いま言いましたように、当然増すらもいま財政当局が示している案ではできなくて、予算編成そのものもできない。たとえば今回の五十六年度の概算要求を見ておりますと、一般歳出分での増額要求は二兆六千億円ですね。これは八・六%増です。しかし、公務員給与の改定分と福祉年金の増額分、これは三千七百億円前後でしょう。これは含まれておりません。もちろん、これはことしの補正でやるか、あるいはことしの予算で消化するとともに来年度もやらなければなりませんから、そうすればこの二兆六千億と三千数百億、合わせて約三兆円、これは別財源がなければできません。ですから仮に、たとえば昭和五十五年度の一般歳出の伸びが五・一%、これは大体当然増に匹敵しますが、一兆五千億ぐらいになりましょう。四・九%でそういう計算になります。それに抑え込んだとしても別財源が必要になる。つまり二兆円の国債減額というのは、増税を想定しなければ予算編成はできませんよ、こういう提案に等しい。われわれの計算では、一般の歳出増一兆五千億円を確保しようとすれば、新規財源は増税によりまして一兆四千三百億円必要です。いま申し上げた三兆円の一般歳出を確保しようとしますれば二兆九千三百億円の財源を新たに捻出しなければならぬ。 そこで大蔵大臣、いま大蔵大臣が提起されている二兆円というこの減額構想それ自体が増税提案、増税路線ではありませんか。
○渡辺国務大臣 公債というのはいつかは払うのですから、発行したときにすでに増税なんです。公債は発行したけれども払わなくたっていいというわけじゃない。私は、発行したときにそれだけの覚悟というか決意というか、それが国民全体に徹底していなかったということは言えるのじゃないかと思うのです。したがって、二兆円の減額をするということは、返済じゃないのですから、借りるものを二兆円だけ少なくするというだけのことであって、その分はそれは財源をどこかで捻出しなければならぬことになるのは私は当然だと思います。
○大内委員 いずれにしても、二兆円の国債減額をやろうとしますと、私がいま申し上げたような新規財源の捻出、つまり増税は不可避である、これは間違いない。来年度は何を増税されますか。法人税あるいは印紙税、酒税その他がいろいろ取りざたされております。何の増額を図ろうとしておりますか。いまここで法人税を上げれば、大企業の法人税だけなら結構ですが、中小企業はいま倒産が激増しておりますよ。減量経営で一生懸命経営を建て直してきた中小企業に法人税の増税をぶっかけますか。私はこれは中小企業にとっては非常に酷な措置だと思う。何を来年度増税されますか。
○渡辺国務大臣 まだ何をするというようなことは決まっておりません。いま出されておる予算について概算要求が出ていますから、その中身についての吟味をしておる最中であって、切れるものは極力切っていく。そしてもしどうしても不足が生じた場合にはサービスの低下か、あるいは何らかの国民の御負担をいただく。税金ばかりとは限らぬわけです。それしか方法はないわけですから、そこを目下検討しておるところでございます。
○大内委員 いま切れるところは切る、こういうお話がございました。御存じのように昨年、ことしでございますか、政府及び党六者の間で福祉の見直しについての覚書が交わされております。この福祉の見直し、切り捨てという問題は実行に移す、つまりこの覚書は実行されるのですか。そういう考えですか。大蔵大臣どうでしょう。
○渡辺国務大臣 覚書はまだ見ておりませんが、約束されたものは尊重されるべきものではないかと思っております。
○大内委員 これは昨年の十二月二十八日付で、竹下大蔵大臣、野呂厚相あるいは安倍政調会長ら政府・与党六者の間で取り交わされている。大蔵大臣、これは継承していなければだめですよ、ちゃんと知っていなければ。これは重要なことです。ここで児童手当、老人保健医療制度、社会保障における所得制限、こういうものについては全部見直します、やり直します、こう言っている。しかし、たとえば厚生大臣は児童手当については維持したい、こうおっしゃっている。ちぐはぐじゃありませんか。大蔵大臣、これは見直すのですか。どうしますか。
○渡辺国務大臣 当然、大蔵大臣、厚生大臣、官房長官と党三役の取り決めでありますから、それは十分に尊重していかなければならぬと思っています。
○大内委員 いま大蔵当局が提案しております二兆円減額という問題を強引にやろうとした場合には、来年度の増税というものは少なくとも一兆数千億、そういうものが必要になってくる。そして同時に、いま大蔵大臣がおっしゃったように、まさに国民が本当にいやがっている福祉の切り捨てというものをやらなければならなくなる。しかし、これを避ける方法はある。 私どもは、実はいろんな計算をやりました。本当はこの数字を全部解説しながらやるといいのです。この数字を私どもはたくさんこうやってはじき出しました。その結果一つの結論に達しましたのは、もしこういう方法をとれば政府が考えているような大型の増税やあるいは福祉の切り捨てはやらないで済む、そういうふうに実は考えるのであります。 それは何かといいますと、一つは、二兆円の減額についてはこれを再検討して、もっとモデレートな額を設定する。ここに実は数字を私どもは持っておりますが、それは時間の関係でちょっと申し上げられません。二つ目には、五十九年度の赤字国債発行をゼロにするというこの方針に固執される必要はない。これを六十二年度ぐらいにまで延ばすべきだ。そうすれば、来年度の国債減額についても必ずしも二兆円やる必要はない。したがって、それによって増税も避けられる。そして同時に、自然増の伸びを見きわめながら大企業法人税等の引き上げあるいは不公平税制の是正、これをある程度やれば乗り切れる。さらには、郵便貯金が急増していることから考えまして、資金運用部資金による国債引き受けの増大を図る。 もっとたくさん申し上げたいわけでありますが、以上のようなことを本当に大蔵省当局が考えていただければ、たとえば厚生大臣がもっと児童手当をよくしていこう、堅持していこうというような構想や、あるいは老人医療も何とか堅持していこうというこの方針が守られるだけじゃなくて、国民に過大な増税を強いなくても済む。これについて直ちにお答えをいただくということはなかなかむずかしいと思いますが、私どもは後でこの数字等を差し上げますから、どうか大蔵省当局におきましても真摯な姿勢を持って御検討いただきたい、こう思うのでありますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 いろいろな御意見は十分参考にさせていただきます。いただきますが、私どもも、それは借金を去年と同じくするのなら楽に予算が組みやすいのです。ただしかし、後年度に延ばすというだけでそれだけ借金がよけいにふえるということが出てくるわけなんで、どちらをとるかということはやっぱり政治的判断に最終的にはなるのじゃないか。しかし、あなたの御提案は十分検討はさせていただきます。
○大内委員 政府が国民に向かって行政サービスの低下か増税かというような訴えをする前に、政府として行政機構改革の具体的なプランを示しながらそれを国民に本当に約束していくという姿勢が重要だと私は思うのです。たとえば、昭和五十五年度行政改革による節約は二千二百七十億円、こういうふうに言われていますね。これはできそうですか。五十六年の財政節減は幾らと見積もりますか。大蔵大臣の問題です。
○松下政府委員 予算に計上しております措置は、現在おおむねそのように上実施をしております。一部実行のおくれているものもございますけれども、当初の所期した金額にほぼ近いものは達成せられると思っております。 来年度につきましては、本年度に引き続きましてさらに新たな措置も加えまして、行政改革の推進ということに行政管理庁と協力して進んでまいりたいと存じております。
○大内委員 私は、やはり国民の立場からいたしますと、真っ先に政府は行政機構改革をやって、できるだけの経費節減を図ってほしい。私は、行政機構改革ではなかなか経費節減はできないと思いますけれども、これは政治姿勢の問題です。したがって、これは中曽根行政管理庁長官あるいは大蔵大臣にも、四党という立場に立ちまして、これは民社党、公明党、新自由クラブ、社民連でございますが、行政機構の改革をすでに申し入れてあります。この中身について、本当はるるお尋ねしたいし、特に第二臨調というような問題もございますのでお尋ねしたいのでありますが、奥野法務大臣にもちょっとお尋ねをしなければならぬ問題がございますので、本当はこういう重要な問題について深く論議する時間が欲しいのでありますが、残念ながらありません。 そこで、中曽根行政管理庁長官に結論だけお答えをいただきたいのであります。 この四党が提案をいたしました行政機構改革案についてはどういうふうに受けとめておられるかということと、もう一つは、情報公開法、プライバシー法、これは必ずしも中曽根行政管理庁長官の所管ではないかもしれませんが、オンブズマンを含めまして、この三つについては政府はどういう方針をとるのか。たとえば情報公開法については立法化するのか。あるいはプライバシー法案、これはもうすでにOECD等から勧告を受けているわけです。やらなければならぬ。やってないのは日本とその他一カ国くらいです。プライバシー法がないのは。これをやるのかやらないのか、その結論だけお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 四党の合意事項申し入れにつきましては、私たちも非常に真剣に検討しております。私は、本会議で申し上げましたように、非常に御苦心の作であり、かなり勇断をふるった案であると敬意を表しております。本会議場でも申し上げましたが、賛同して積極的に検討して実行したいという方向と、これは無理だと思っておりますという方向と申し上げましたが、あの本会議場で申し上げました線に沿いましてやりたいと思っていますが、この御方針全般の感触につきましては全く同感でありまして、真剣に検討してまいりたいと思っております。 それから、公開法とプライバシーの問題でございますが、この公開法やプライバシーの問題につきましては前向きに実はやりたいと思っております。公開法につきましては民社党の法案も拝見いたしました。これも非常にまじめに御苦心してつくられてあると敬意を表しました。それからプライバシー関係の問題につきましては、OECDからの勧告もございまして、これにつきましてもいま各省等とも協議しておる最中でございます。しかし、この公開とプライバシー保護という問題は矛盾するものであります。これらにつきましてもいまわが方でも研究しておりますが、第二臨調のやはり大きなテーマの一つになるのではないか、そういうように考えております。しかし、第二臨調をまつまでもなく、いまプライバシーと公開の問題につきましては、われわれの方で真剣に検討を加えておりまして前向きに進めたい、そう考えております。 オンブズマン制度につきましては、四党の合意の内容は国会にパーラメンタリーコミッショナーというような形でお置きになる考えですが、これは行政管理庁の権限外のことでございまして、国会の方の審議を見守りたいと思います。しかし、わが方といたしましても、行政内部におけるオンブズマン制度の適否につきましては、林修三委員をヨーロッパに派遣いたしまして研究会をやり、いま真剣に検討を加えておる最中でございます。
○大内委員 まだ財政の問題で聞きたいこともありますし、本当は物価問題もお聞きしたいと思ったのでありますが、時間がございませんので、法務大臣にひとつお伺いをいたします。 一昨日の当委員会での鈴木総理の釈明によりますと、「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」こういうふうに述べられております。もちろんこの文言から言いまして、憲法改正に関する法務大臣の最近における一連の発言というものを指している、こういうふうに思われるわけでありますし、そのことは同様に、八月二十七日の衆議院の法務委員会における憲法改正に関する法務大臣の発言をも含まれると解釈することが当然であり、論理的だと思うのであります。宮澤官房長官も、その日の記者会見においてそのことを指摘しておられます。 この点は改めて聞くまでもないと思うのでありますが、もし間違いがあるといけませんので、これは総理の発言ですから総理に一応お答えをいただきたいのでありますが、いま申し上げたような一連の発言というものは含まれる、こういうことですね。
○鈴木内閣総理大臣 一昨日、奥野法務大臣の当委員会における発言、これが委員会で大変議論を巻き起こしまして紛糾をいたし、中断をするという事態に相なったわけでございます。これが収拾につきましては、与野党の理事の皆さんを初め、大変皆さんが御心配をいただきまして、あのような収拾に相なったわけでございます。私は、各党がいろいろ御苦心をなさっておりますことを承知をいたしまして、あのような解決ということを了承いたしております。
○大内委員 そうすると、最近の奥野法務大臣の一連の憲法発言というものが、その総理の適切を欠くものというものの対象になっているということがいま明らかになった。 しかし、同時に行われました法務大臣の釈明では、憲法改正に関する遺憾表明は全く行われずに、単に主権に関する表現について遺憾の表明が行われたわけです。つまり、総理及び法務大臣の両者はそれぞれ別個の問題について遺憾の意を表明された、こういうことになるわけです。(「ノー、ノー」と呼ぶ者あり)ノーって、そういうことなんです。片っ方は主権に関する発言、片っ方は憲法改正に関する発言について遺憾の意をそれぞれ表明したわけなんです。そして、法務大臣の憲法改正の発言について適切を欠くとして遺憾の意を表明した総理大臣の発言、これは奥野法務大臣はどのように受けとめておられますか。 続いてちょっと申し上げますが、新聞報道によりますと、そのことを知らされていなかったために法務大臣は不満の意を表明したと言われているし、もっと本質的には、あなたの憲法改正に関する発言が総理大臣によって否定されたということについて不満を表明された、こういうふうに実は伺っているわけなんであります。したがって、この辺をひとつはっきりさしておいていただかないと、この間の収拾が一体何の収拾だったのかということにもなりますので、法務大臣の明快な御所見を伺いたいと思います。
○奥野国務大臣 私が知らされておりましたのは、官房長官から統一見解の表明がある、それを総理がそのとおりという確認をする、そして私が、申し上げたような答弁をする、こういうことであったわけでございます。ところが当日、まず総理から御指摘のような御発言がございました。私はそれが何を意味するのか理解できなかったわけであります。したがいまして、自民党の理事の方々、さらにまた総理に対しましてその趣旨をお尋ねしたわけでございます。そうしましたら、おとといの午前中の私の主権等をめぐる問題について紛糾をしたので、そのことについての適切を欠くという意味の発言だ、こうお話を伺いまして、それなら私も表現に適切を欠いて遺憾でありますと申し上げておりましたので、何ら意見の相違はないわけでございます。そういう意味で、私はきょうようやく私なりに納得をしたところでございます。
○大内委員 これは非常に重大なことになってきましたけれども、一方においては、この予算委員会において総理大臣は、法務大臣の一連の憲法改正に関する発言は適切ではない、こう言い、当の法務大臣はこの委員会において、この総理の発言とは違った解釈をとられている。これはちょっと内閣不統一になってしまいますな。総理大臣の威令が行われないことになりますな。総理が法務大臣の憲法の改正発言については不適切だ、こう言った以上、このつじつまを合わせるためには、法務大臣もみずからの最近の憲法改正に関する発言は不適切であったと認めることにならないと、実は符合しない。つまり内閣として一致しないわけなんです。私は、奥野法務大臣が憲法改正等について一つの御見識をお持ちになるということについて差しはさんで物を言っているのではありません。私はそのこと自体は政治家としての見識だと思っています。しかし、少なくとも総理が法務大臣の憲法発言は適切ではないと言い、そのことについて法務大臣が理解していないとすれば、これは内閣不一致として重要な問題になります。重ねて御答弁をいただきたいと思います。
○奥野国務大臣 私と総理との見解には差がないと、こう私は理解しているわけでございます。同時にまた、私のこれまでの発言につきまして適切を欠くというようなことが与野党一致で総理大臣から発言されたといたしますならば、私はそれなりに、私個人の意見は別といたしましても、国会でそういう結論が出たことにつきましては重大な意義を持つものと理解すべきものだ、こう心得ておるわけでございます。したがいまして、先ほど私が答弁したように理解している、こういうことでございます。
○大内委員 それなら話は合ってくるのです。 そうしますと、たとえば八月三十七日の衆議院の法務委員会における憲法発言は不適切であった、つまり鈴木内閣の閣僚、法務大臣という立場から、その答弁というものは個人的見解として述べられたけれども、それは不適切であったということをあなたはお認めになることになりますね。そうですね。
○奥野国務大臣 最初に申し上げましたように、総理のここで述べられましたことはおとといの私の主権等をめぐる発言、これが適切を欠いた、こうおっしゃったと理解しているわけでございまして、それ以上のものではないと、こう理解しているわけであります。
○大内委員 わかりました、わかりました。これはまた重大なことになってきました。 それじゃ、総理の発言をもう一回繰り返して読んでみましょうか。総理はそんなことをおっしゃっていないのです。「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」と言っているのです。いいですか。いま奥野法務大臣がおっしゃったように、おととい奥野法務大臣の発言をめぐって紛糾した主権に関する表現について、総理大臣は遺憾の意を表明しているのではありません。憲法改正に関するあなたの発言が不適切であると、こう言っているのであります。明らかな内閣の不統一だと思いますが、いかがでしょうか。(「そのとおり」と呼び、その他発言する者あり)これは不統一です。完全な不統一です。これでは野党は何のために収拾に入ったかわかりません。
○小山委員長 大内君、この問題については理事会で相談したいと思いますので……。
○大内委員 それは同意できません。おとといの鈴木総理の発言の中で、憲法問題について内閣には不統一はありません、こういうことを言明されました。そして、ああいう収拾がなされました。しかし、私はあのときに非常に奇異に感じました。総理大臣は憲法問題について遺憾の意を表明されているのに、法務大臣は主権の問題について遺憾の意を表明されている。両者の間にはっきりした食い違いがある。しかし、もしそのままでいく場合には、法務大臣は総理大臣の、つまり法務大臣の憲法発言について不適切であったということを、法務大臣自身がこの場ではっきりしなければ、それは内閣不統一になってしまう。つまり総理の言明された憲法問題について内閣に不統一はないということ、そのことも崩れてしまう。これはどうしますか。理事会の問題ではありません。両者においてはっきりしていただかなければならぬ問題です。 総理、いかがでしょう。総理、答弁。いかがでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど私が申し上げたとおり、一昨日あのような経過で当委員会が紛糾をいたしました。そして中断をいたしました。その収拾につきまして与野党の理事の皆さんで大変御苦心をされました。その結果あのような収拾に相なったわけでございます。私はこの間の事情、皆さん方がこの予算委員会を再開をし、審議を進めようという立場での御努力、そういうものに敬意も表しておりますし、私はその経過を踏まえて発言をいたしておるわけでございます。
○大内委員 いや問題は、総理のお気持ちはよくわかります。しかし、総理は、この予算委員会という重要な委員会において、みずからの閣僚である法務大臣の憲法に関する発言は不適切であった、こうきめつけられた。そして遺憾の意を表明された。これは総理としては異例のことです。しかし、その遺憾の意を表明された当事者である法務大臣は、その総理の発言を認めていないとすれば重要じゃございませんか。しかも、実はあの紛糾しているさなかに、自民党の本部におきましては、奥野法相の憲法発言を支持する国民集会というものが開かれ、そこには政府の一員である、これも法務省佐野法務政務次官、三枝運輸政務次官の二人が出席している。これは個人の立場で出席していると言っているけれども、つまり内閣に憲法問題で不統一がないということを言っているやさきから、行動をもってその不統一が立証されているではありませんか。そしていま、総理大臣と法務大臣とこの重要な問題について見解が違う。これは間違いなく内閣不統一です。その責任は重大です。これ、どう処理されますか。 残念ながらここで私の質問時間は切れてしまいました。私は、その答えだけははっきりさせておきたい。内閣不統一である、これは間違いない。奥野法務大臣、もう一回答弁してください。
○奥野国務大臣 私なりに予算委員会の理事の方に経過を確かめ、また私の理解どおりであるかどうかということも確かめ、また総理に対しましても御連絡申し上げて、そして私の理解に間違いがない、こう確信をしたわけでございます。
○小山委員長 大内君、時間が参りました。
○大内委員 委員長、私は、非常に佳境に入ったところで自分の質問時間が切れましたことは非常に残念ではありますが、この後の同僚の議員の質問においてこの面はさらに究明されなければならぬ、こう思っている次第でございます。 以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○小山委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。 次に、正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党を代表して、総理並びに閣僚に当面する諸問題について若干の質疑をいたしたいと思います。 まず第一に、金大中事件について申し上げたいと思います。 金大中氏が九月に韓国内において死刑の判決を言い渡されましたが、金大中氏は、昭和四十八年の八月八日、わが国から拉致されて韓国内に連れていかれたこともあり、人権の問題としても、わが国の主権にかかわる問題としても、日本国民が非常に大きな関心を持っている問題であります。この死刑判決に対して政府はいかなる態度をおとりになるのか。本会議でも伺いましたが、念のために、簡潔に総理並びに外務大臣から伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 私から申し上げます。 御質問でございますが、金大中氏に第一審で死刑の判決が出ました。われわれとしましては、この問題は政治決着のついた問題で、韓国の国内の問題であるという基本的態度でございますが、拉致事件がありましたことは先生のおっしゃったとおりでございますから、金大中氏の身辺、この判決については重大な関心を持っておるということでございまして、従来も何度も韓国政府にそういう意思を伝えまして、今後も伝えてまいるつもりでございます。
○正森委員 いまの答弁を聞いておりますと、金大中氏の裁判の問題は韓国の国内問題である、その言葉の意味は、したがってとやかく言うことは相手国の内政干渉になりかねない、だから関心を持っておるということを言う程度である、こういうように私としては理解いたしました。それは従来政府が公言していることであります。けれども、この金大中氏の処遇の問題やあるいは死刑になるかどうかという問題は、単に韓国の内政の問題ではありません。わが国内において韓国の公権力が行使され、そして韓国内に拉致されたという意味で、わが国の主権が侵害されたという事件であります。したがって、主権が侵害されたとすれば、当然日本は原状回復、犯人の処罰及び謝罪等を国際法上の権利として韓国に要求する権利があり、同時に義務があるはずであります。したがって、単に重大な関心を持っておるとかあるいは懸念をしておるということではきわめて不十分であると思いますが、いかがですか。
○伊東国務大臣 公権力の介入があったかどうかということにつきましては、これは政治決着をしましたときも、公権力の介入ということは明らかになってないということで政治決着をしたわけでございます。ただ、その後捜査当局では、そのことにつきまして捜査は続行しているというのが現状でございます。
○正森委員 政府は公権力の行使がなかったという前提で物を言っておられます。そこで、その問題について、きょうは若干新たな事実も含めて質問を行いたいと思います。 御承知のように、当時の法務大臣であった田中伊三次氏は、昨年の五月の「公研」という名の雑誌の中で、事件が起こりました昭和四十八年八月八日に在日韓国人が電話をかけてきた、そして大臣、御心配をかけましたが、某大国の秘密警察から韓国の秘密警察に指示があって、殺さないことになりました、命が助かることになりましたから御安心くださいという電話があったということを言うておられます。また、それより前、テレビが報道する前に、わが政府の高官が法務大臣室にやってきて、金大中氏が拉致された、だれがやったのだと言ったら、そばへ寄ってきて韓国のKCIAがやったのですよ、こう言ったということを言うておられます。 そこで私は、金大中氏が死刑判決を受けたことであり、来年まで放置すれば死刑が場合によっては執行されるかもしれないという重大な事態にかんがみて、約一週間前に、田中伊三次氏が居住しておられる衆議院九段宿舎一階の応接室で面談をして、当時の状況を詳細に聞いてまいりました。その結果、田中伊三次氏はこう言っておられるわけであります。 昭和四十八年八月八日、金大中事件が発生した夕方以降のことを従前から面識がある在日韓国人から電話があって、いま私が申したように、某大国の秘密警察から韓国の秘密警察に殺すなという指示が出て、いま殺さないという回答がありました、殺されるという心配はもうなくなりましたという電話があった。そこで私は、この人とは大臣は面識があったのかというぐあいに聞きましたら、従前、二、三回、在日韓国人の帰化問題について私に陳情のため関係者と一緒に来たことがあるので知っておる。どこへ来ましたかと言ったら、あなたと話をしているこの九段宿舎のこの応接室で会うたのだ、こう言っておるのです。そして当日、もっと詳しく聞きたいから夜の八時にこの九段の応接室に来てくれと言ったけれども、以来音信がない、こういうぐあいに言っておられるわけであります。したがって、電話での聞き違えというようなことは全くないと言わなければなりません。 そして私は、この人物について、この九月アメリカへ調査に行ってまいりましたが、金大中事件についてフレーザー委員会などで種々犯人等について証言している金炯旭氏、これはKCIAの部長だった人であります。あるいは最近金載圭というのが朴大統領の射殺に関与いたしましたが、その義理の兄で、つい最近までKCIA担当の駐日公使をしておりました崔世鉉氏等にも会って、熟知している在米韓国人から、この人物が当時わが国に駐在した韓国大使館付の駐日公使である金在権であるということを聞いてまいりました。もし金在権であるとすれば、これはきわめて重大であると言わなければなりません。 そこで私は、そのことを念頭に置いて田中伊三次元法務大臣にも種々の角度から聞きましたが、田中伊三次元法務大臣はこう言っておられます。その人物はいまから十分前に回答があって殺されないことになった、こう言ったが、その人物は某国大使館の中でこの話を知ったようである。この人物はCIAにも一つの机を持っているようだ。こういうように指摘して田中伊三次当時の法務大臣は、この人物がKCIAとCIA双方に連絡のある人物であることを私に対して認めておられるわけであります。そして、この人物は犯行の進行順を知悉していて、小さいボートから大きな船に移される前に指示、回答があったということを知っておる。まさか海岸で一同あぐらをかいていたわけではあるまいから、一時的な隠れ家、待機場所まで知っていて、そこに連絡したことは間違いがない、こう言っておられるわけであります。これは実に重大な発言であると言わなければなりません。 この事実と事件等について関係者から詳細に聞いている在米韓国人が金在権公使であると言うていることが事実であるとすれば、これは現職の駐日公使がこの事件に関与して、フレーザー委員会では実行の日本における最高責任者だと言われておりますが、その人物が種々連絡をして、いまから十分前に殺さないことになったのだということをわが国の現職の法務大臣に知らせてきておったということがあれば、韓国の公権力が行使されたことは、これ以上確実なことはないじゃありませんか。 そこで、こういうような事実に基づいてどのような態度をおとりになるべきか。これで何らのアクションを起こされないということになれば、わが国は主権の存在する独立国ではありません。独立国なら当然国際法に基づいて原状回復や処罰やあるいは陳謝を要求すべきものであります。政府は一体どうなさるおつもりか、総理大臣のお考えを聞きたいと思います。
○伊東国務大臣 私から先に答えます。 お答え申し上げます。 いま先生るるお話しになりましたが、私どもは捜査当局を通して捜査を聞いておるわけでございまして、いまだ公権力の介入はないということを知っておるわけでございます。それで、先生がおっしゃるようなことがあれば当然捜査当局はそういうことも調べておりましょうし、田中先生の名前が出ましたが、捜査当局にもお話しになっていると私は思うわけでございますが、私の方には捜査当局からは、公権力の介入はない、いまのところはそういう証拠はないという報告でございます。
○正森委員 それじゃ私伺いますが、当時の法務大臣が言っておられることでありますから、捜査当局として法務省あるいは国家公安委員会、そういうところはどういうような態度をとっておりますか。すでに田中伊三次氏から礼儀を尽くして事情を聴取されましたか。もし聴取されていないとすれば、総理は、本会議のわが党の市川正一議員の質問に対して、田中伊三次元法務大臣がそういう事実を知っておられるとすれば進んで言われるはずである、こういう答弁をされたようであります。しかし、わが国の捜査当局は、あらゆる犯罪について、証拠があっても、その重大な端緒があっても、先方から言うてこなければ捜査をしないというような慣習があるのですか。証拠があればみずから出向いて、そして事情を聴取するあるいは情報の提供を求めるというのは当然じゃないですか。しかも、わが国の主権に重大な侵害があったかなかったかという重大事件であります。国家公安委員長並びに法務省の答弁を求めます。
○石破国務大臣 お答えいたします。 田中伊三次氏は、事件発生当時の法務大臣であります。法務大臣としてのお方でありますから、韓国の公権力が金大中氏事件に関与しておるというような証拠をお持ちでございますれば、当然当時あるいはそれに基づいて捜査を御命令になったかもしれませんし、その後におかれましても政府当局にそういう御通知が当然あるはずであります。したがって、目下のところ警察としては、積極的にこちらからあれこれ事情を田中伊三次氏について調査しようという考えは持っていないというふうな報告を受けておりますが、警察庁当局の責任者も参っておりますので、御答弁申し上げます。
○鈴木(貞)政府委員 御返答いたします。 いま大臣から、田中元法務大臣に対する警察の姿勢といいますか態度、かかわり合いということにつきましては答弁あったとおりでございますが、警察といたしましても全然田中先生にお会いしていない、あるいは事情を聞いてないということではございませんで、田中さんは御承知のとおり京都の御出身でございます。したがって、京都府警の幹部をして田中先生に、いろいろの記事その他の経緯をつかまえまして、いろいろお話を伺わせておるという経緯がございます。しかし、その過程において捜査の端緒となるような特別のものは何も出ておらないというふうなことで経緯をしておるということでございます。
○奥野国務大臣 公権力の行使があったかどうか警察当局で捜査を継続している、こう承知しておりますので、その結論を待ちたい、これが法務省の立場でございます。
○正森委員 法務省は何もやっていないのですか。
○奥野国務大臣 警察当局が捜査をいたしておりますので、その信頼の上に立って結論を待っておるわけでございます。
○正森委員 私はとんでもないことだと思うのですね。検察庁法その他を見ましても、あるいは刑事訴訟法を見ましても、捜査は警察だけしかできないということは書いてないのです。検察官もみずから捜査することができるのだ。自分のところの法務大臣が主権の侵害問題について重大な発言をしているのに、警察にお任せして、法務省は全然調べておりません、そんなことで、わが国の主権を守るために法務省は全力を挙げておる、あるいは検察は全力を挙げておると言えますか。また田中元法務大臣としては、自分が法務大臣のときには内閣の方針やあるいは総理の方針等があって言えなかったことでも、その後になって事態が容易ならぬことになった、まして金大中氏が、自分がいま言わなければ死刑になるかもしれないというときとでは、言われる内容は違うのです。現に一週間前には私に、従前は言われなかったようなことまで言っておられるのです。それに対して礼儀を尽くして事情を聴取するのがあたりまえではありませんか。 さらにまた、田中元法務大臣はこういう重大なことを言っておられるのです。テレビが放映する前に、ある政府高官が自分のところへやってきて金大中氏が拉致されたことを報告した、そしてだれがやったのだと言うたら、耳元にまでやってきて、KCIAがやったのですよ、こう言う。そこで、私が一週間ほど前にお会いしたときに、その政府高官はなぜ法務大臣のところへ報告に来たのでしょうか、こう言ったら、当時の田中法務大臣はこういう重大なことを言っておられる。捜査になれば検事の指揮ということもあるから私にだけは耳に入れておこうと思ったのだろう、こういうように言っているのです。そして同じく田中伊三次氏は、従前毎日新聞に対して、この私のところへやってきた政府高官は、国会議員以外の法務省と関係の深い政府高官、最高責任者である、こう言っているのです。捜査になれば検事の指揮ということもあり、法務省に非常に関係の深い官庁の、国会議員以外の最高責任者と言えば、あと一人か二人しかいないのです。私はここで言ってもいいぐらいです。こういう最高責任者が、事もあろうにテレビが放映する前にKCIAの犯行だ、こう言うて法務大臣のところへ報告に来た、こう田中元法務大臣は言っているのです。そのことを事情聴取するのがあたりまえじゃないですか。それをやらないで、最近の状況はどうです。判決文さえわが政府は写しを見せてもらえない。それなのに、政治決着に触れるかどうか、判決文を見ないで触れないというようなことを外務省は言うておる。それでは全く主権国家としての権利も誇りもないではありませんか。金大中事件の共犯者として金大中氏を殺すのだと言われても仕方がないじゃないですか。 総理、あなたは、田中伊三次当時の法務大臣がこれだけ言っておられるのだから、礼儀を尽くして、わが国の主権を守るためにいまや遠慮せず関係当局には本当のことを言っていただきたい、そう言って、わが国の主権を守るのがあたりまえじゃないですか。独立を守るということは、防衛力を増強することだけではない。こういうことをやらないでどうしてわが国の独立と主権、誇りを守ることができますか。総理の見解を承りたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど石破国家公安委員長からお話もございましたように、地元の警察当局の責任者をもって田中元法務大臣のところを訪問さして、礼を尽くして当時の事情を聴取したということも先ほど御報告があったとおりでございます。 私は、そういうようなこともいたしました結果、いま韓国の国家権力が金大中氏の拉致事件に介入したというぐあいに断定するような証拠をはっきり確認しておりません。
○正森委員 いま警察庁の警備局長が、京都へ行って事情を伺ったと言われましたが、一体それはいつのことなんでしょう。私は田中伊三次氏から一週間前に伺っております。つまり田中伊三次氏が昨年の五月に言われたときと、現在のように死刑になるかどうかというときでは事情が違うわけであります。ですから、田中伊三次氏が共産党の衆議院議員である私にまで九段の衆議院宿舎でお会いになって、言えるぎりぎりまで言っておられるのです。もし同僚であられた鈴木総理が礼を尽くして、わが国の主権を守るためには、あなたの言われたことが本当なら実に重大なことであるから、もうこの機会には言うてもらいたい、こう言われれば、さらに捜査に有力な手がかりになることについて言われるに違いありません。私は、それをなさるかどうかが、本当にわが国の主権を守るかどうかについての鈴木内閣の姿勢に対する試金石であると言ってもいいと思います。 重ねて、改めて礼儀を尽くして、かつて法務大臣をされた方ですから、検察庁の有力な幹部が出向くべきであります。そういうことをなさるかどうか、重ねて伺いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 この問題につきまして、重ねて田中元法務大臣に丁重に御意見を伺うという問題につきましては、それぞれの所管がございますから、それを通じまして丁重にお伺いをするようなことを検討してみたい、こう思っております。
○正森委員 法務大臣は、それでは検討すると言われましたから、所管といえば法務省か警察しかありません。問題の法務省はどうされるのですか。
○奥野国務大臣 捜査は一貫して警察当局が当たっておるわけでございますし、法務省としては警察当局の努力を信頼しておるわけでございますので、警察当局の結論を待ちたい、こう考えております。
○正森委員 私はとんでもないことだと思うのです。自分のところの役所の長であった法務大臣が言われていることですよ。しかも、法務大臣に報告に来た政府高官というのは、法務省に重大な関係のある役所の最高責任者なんですよ。私はあえて名前を言いませんが、察しがつくでしょうが。そういう人物から事情を聴取するのについて法務省が動くのがあたりまえじゃありませんか。それをやらないというのは、やる気がないということにほかなりません。あなたは憲法改正についてはえらい熱心でいろいろ言うが、自分の本来の職務については何もやらない、そんなことで法務大臣が務まりますか。
○奥野国務大臣 警察当局がそれぞれの判断に基づいて努力しておられるわけでございますから、法務大臣がそれにいまの段階で干渉することは穏当ではない、こう思っておるわけでございまして、総理大臣の御意見を基礎にして国家公安委員長が行動されることだ、こう考えておるわけでございます。やはりあくまでも警察当局の御努力をまっていくのが検察あるいは法務省当局として大事なことじゃないだろうか、こう思っております。
○正森委員 それじゃロッキード事件のときはどうしたんですか。ロッキード事件のときには警察に任したんですか。田中角榮元総理を逮捕したのは検察じゃありませんか。それじゃあれは間違うておったんですか。ああいうことはやるけれども、わが国の主権の侵害されたときにはやらない。どっちも大事ですよ。なぜ法務省はやらないのです。
○奥野国務大臣 事柄によりましては検察庁みずからが当たります。また、事柄によっては警察当局が独自で捜査に当たります。事によりましては検察がみずから当たりましたり、事柄によりましては警察当局がみずから当たりましたりしておるわけでございまして、この問題につきましては警察当局が一貫して捜査に努力しておられるわけでございますから、私はその捜査の努力にまつ、これが私のとるべき道だ、こう思っておるわけでございます。
○正森委員 私はいまの答弁を聞いて、奥野法務大臣というのは改憲発言だけはいやに積極的だけれども、自分の職務に関係のあることにはいやに消極的な人物だ。検察当局はみずから捜査する権限が十分にあり、私が指摘したことは、当時の法務大臣であり、法務大臣のところへ報告に来た政府高官というのは、法務省に関係のある役所の最高責任者だと、こう言っているのに、それをわざわざ警察でないと調べるのはおかしいと言う。そんなばかなことがありますか。それはやる気がない。結局わが国の主権を守る気がない。そしてそれをあえて言えば、この問題について韓国の金大中氏殺害の共犯者の立場に立っておるということ以外の何物でもないというように私は考える次第であります。そうでないとすれば、法務大臣、法務大臣としては法務省当局が礼儀を尽くして田中伊三次元法務大臣に事情聴取するのをとどめる気持ちはないということをおっしゃっていただきたい。——総理に聞いているのだ、総理に。
○奥野国務大臣 法務省としては、警察当局が、元法務大臣であろうとあるいは検察当局者であろうと問いただされることに何ら異存はありません。
○正森委員 総理、御答弁願います。——総理、御答弁願います。
○石破国務大臣 最初に私からお答えいたします。 先ほども申し上げましたとおり、警察庁におきましては、事件発生以来今日まで、鋭意事実の究明に努めております。しかしながら、現在のところ、韓国の公権力が関与したという証拠を持っておりません。引き続き警察当局におきまして責任を持って調査してくれることと信じております。
○正森委員 総理いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま石破国家公安委員長からお答えをしたとおりでございます。
○正森委員 私はいまの総理の御答弁を伺って、金大中氏がまさに死刑に処せられようとするとき、しかもわが国の主権が侵害されたという重大な疑惑があるとき、しかもそれを言うておるのが当時の法務大臣であるということまで明らかにしているのに、総理のそういう態度はわが国の主権をお守りになる姿勢がきわめて不十分であるということを断定せざるを得ないし、そのことは全国民がよく了解されたことであろうと思います。 時間の関係で、私は次へ進みたいと思います。 鈴木内閣は政治倫理の確立ということを言うておられますが、私は政治倫理の確立というのは、総理が本会議で言われたように、金のかからない選挙制度をつくるというだけでなしに、疑惑については徹底的にその政治的道義的責任を明らかにするということを抜きにしては政治倫理の確立はできないというように考えております。この問題については後で総理の十分な見解を伺いますので、まず事実関係について私は若干の点を指摘させていただきたいと思います。 私どもが承知しておるところによりますと、七月九日の第百五回の公判におきまして、ロッキード事件関係でありますが、当時の松尾邦弘検事は、伊藤被告を調べておったときでありますが、伊藤さんが檜山社長から、トライスター以外の航空機について大事なときになって相談されたというように言ったのに、しかもその飛行機はP3Cであるということを知りながら、それ以上捜査をしなかった、それはなぜかと聞かれて、P3Cなので一つ問題になろうかなと思いまして、というように言うているわけであります。この問題については、午後の公判廷で、トライスターに関係がなかったのと、伊藤さんの言ったことが漠然とししていたので調書にとらなかった、こう言うております。これについては八月二十七日に、法務委員会で同僚議員が質問をされました。法務省は、当時トライスターには松尾検事が当たっておったが、P3Cについては別の検事もやっておったので調べなかったんだろうということを答弁しているようであります。しかし、これはきわめておかしな話であって、自分自身も捜査をするか、あるいは他の検事に引き継いでその点をさらに追及すべきであるにもかかわらず、それを十分にやらなかったのはいかなるわけですか。これは当時の捜査当局がP3Cという軍用機については不問に付そうという意図がありあり明らかであったと言わざるを得ないと思いますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの松尾検事の証言でございますが、過日の法務委員会でも申し上げましたように、その調書にとらなかった理由というのは、伊藤宏の供述が漠然としておりまして、それ以上に詳しい供述がなく、そういう事情から調書にとらなかったわけでございまして、いま御指摘のように、何か疑いのあるものを伏せるというようなことでそういう措置をとったものではございません。
○正森委員総理 いま漠然としておったから調書はとらないと言われました。これは八月二十七日の法務委員会でも、初めは漠然としているのだ、それを詰めていくのが検事の仕事ではないかというように同僚議員がお詰めになった問題であります。 私は、この松尾検事の態度がきわめて異常であったということをこれから皆さんに御説明をしたいと思うのであります。 ここに、その一部の写しでありますが、東京地方裁判所がコーチャンなどの嘱託尋問調書を採用したときの決定書の写しがあります。この中で、裁判所はこう言っているわけであります。「検察官吉永祐介作成名義の昭和五一年五月二二日付証人尋問請求書の記載によれば、本件被疑事実は、」こうなって、途中省略しますが、「被疑者数名は、航空運送事業に関する免許、許可等国の行政事務を行う職務権限あるいは日本国政府の購入する各種航空機の選定、購入の決定等に関する職務権限を有するものであるが、ロッキード・エアクラフト社の製造・販売するエア・バスL−一〇一一及び対潜しよう戒機P3Cの販売代理権を有する丸紅株式会社の前記桧山、大久保、伊藤及び全日本空輸株式会社の前記若狭らから、全日空がL−一〇一一を購入しこれを運航することに関し種々便宜な取扱いをしてもらいたい旨、あるいは日本国政府がP3Cを選定、購入するよう取り計ってもらいたい旨の請託を受け、数回にわたり多額の金員を収受した」こう書いているのです。つまり、五十一年五月二十二日段階で嘱託尋問を請求したときには、P3Cについても請託があった、それも含めて数回にわたって金員を収受したのだということをちゃんと言っているわけであります。しかも、私どもが事実によって調査いたしますと、コーチャンに対する尋問は、昭和五十一年六月二十六日から七月九日まで行われております。同調書は七月二十八日に日本に到着いたしました。一方、伊藤宏は、五十一年七月二日に逮捕され、七月二十三日に起訴されており、問題となった取り調べは七月三日に行われたものであります。つまり、まだコーチャンに対する尋問が終わっておらない、それについての調書が日本に到着しておらないということになれば、少しでも関係する言明があれば、それについて調べるのがあたりまえじゃありませんか。これは調べても事件にならないとか、まだそういうことを判断する以前の問題であります。それなのに松尾検事は、P3Cですから問題になろうかと思いましてなどというのは言語道断ではありませんか。 私は、ここに、P3Cという軍用機について初めから捜査をするという姿勢がなかったのではないかという重大な疑惑があるということを指摘せざるを得ないわけであります。検察当局の答弁を求めたいと思います。法務省です。
○前田(宏)政府委員 ただいま正森委員がお読み上げになりましたようなことがあることは事実でございますが、当時、検察当局といたしましては、いろいろなことが問題になっておりましたので、考えられるいろいろな場合を想定いたしまして、嘱託尋問もいたしたわけでございます。したがいまして、いま御指摘のようにP3Cについての解明ということも十分問題として意識しながら事に当たっていたわけでございます。 先ほど来、調書にとらなかったということを問題にされておりますけれども、これは一種の捜査技術の問題といたしまして、調書にとります場合には、ある程度具体的なことになった場合にとるのが通常でございます。そのことから直ちに、そのことについて捜査をしなかったとか、全然問題にしなかったとか、そういうことを意味しているわけではございません。
○正森委員 調書をとらなかっただけでなしに、P3Cですからいろいろ問題もあろうかと思いまして、それ以上追及しなかったと言っているのですよ。追及しなければ、具体的なことが出ないで、調書にとるだけのことが出てこなかったのはあたりまえじゃありませんか。しかも、そのときには、海の向こうではちょうど問題のコーチャン氏を調べている最中なのに、早々と、P3Cが問題になろうかと思いまして、こう言って、十分聞きただすことをやめてしまっているという態度は、検察が初めからP3Cを問題にする節持ちがなかったのだというように言わざるを得ない、こう思うわけであります。 鈴木総理、こういう問題も、われわれはもし検察がやらないなら国会で、わが国の防衛の基本にかかわる問題ですから明らかにしなければならぬというようにも思うわけであります。 次に、ボーイングの問題についても重大な疑惑が出ております。 総理、手元に配付いたしました資料のうち、二枚目と三枚目を見ていただきたいと思います。 これは海部八郎氏の公判において公判廷に提出されたものであります。昭和四十八年十二月十日付で島田三敬氏の署名があり、判こも押してあります。これを見ますと、「昨年(昭和四七年一〇月)、B−747SRを日本航空に契約した時、当時極めて難しい情勢下にあり、(ロッキードL−一〇一一及びダグラスDC−10が有力候補であった)何んとしてでも日航に契約したいとのボーイングの思惑もあり、資金はボーイングが負担すると言ふ事で特別工作をした。1対日航についてはXX氏(成功の場合は五〇万ドル支払ふ約束で)日航内部工作を依頼し成功。2総理については直接に(成功の場合、日航、全日空両社の場合は二〇〇万ドル、一社の場合は一〇〇万ドルの献金を約束で)依頼し、日航については成功した。依って12両者合せて、一五〇万ドルがボーイングからNICに支払はれて来るので、此れを円で支払ふ義務が生じた。(勿論NICに対する口銭は別途支払はれてくる)入金、支払のスケジュール次表の通りです。」こういって、二枚目には入金の順序と円貨支払いの予定が詳細に記してあります。下の方は、こういうことについて指示を受けた当時アメリカ日商の総務経理担当だった松尾という男が、これを実行するために心覚えとして書いたものであります。 総理、そうだとしますと、ボーイングの問題については国会でまだ十分論議されておりませんが、ロッキード事件が起こりました昭和四十七年十月には、ロッキードだけでなしに、ボーイングについてもこういうことが行われ、総理が関与していた疑いが非常に濃いということを言わなければならないと思います。検察庁はいろいろよく知っておると思いますが、法務省はこの点についてどう思われますか。
○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘になりました資料は、いわゆる島田メモというふうに言われているものでございまして、前々から問題にされているところでございます。そういう意味では特に新しいことではないというふうに理解するわけでございますが、そのことにつきましては、この事件の公判におきましても、裁判所においても関心を持って裁判長から質問があったというような経緯もあるわけでございます。それはそれといたしまして、その当時捜査当局といたしましてはこういうメモがあることは十分承知しておるわけでございますから、そのことに関して、その真偽あるいはその裏づけ等も十分捜査をいたしました結果、この関係につきましては特に政界に金が流れたというようなことを含めて犯罪の疑いはないという結論に達したわけでございまして、その結果につきましてはすでに御報告もいたしておるところでございます。
○正森委員 刑事局長、うそを言ったらいけませんよ。私は海部八郎氏の記録について裁判所の許可を得て全部見てまいりました。そうすると、この経緯については、松尾などはXXという、伊大知、久保の両者と田中総理に支払われたということについては一点疑いを持っていない調書が、昭和五十四年三月三十日、三十一日段階には作成をされているわけであります。またこの問題は、昭和五十一年の三月三日、つまりロッキード事件が発生してから間もなく日商岩井首脳部の間で問題になり、ここに山村謙二郎氏の調書もありますが、山村謙二郎などが島田を問いただしたということが書いてあるわけであります。その中で島田は、これは海部八郎の承認を得てやったものである、この金のうちまだ使途が明らかになっていない二十五万ドルは自分が三回にわたって受け取ってから全額海部へ渡した、こう言っておるわけであります。そうしたらそれをどうしたのだと言ったら、島田は、海外の口座に入れたと思う、それはスイスにあるということを言っているわけであります。そうすると、検察当局としては海部八郎はそれを総理に渡したのか、渡してなくてスイスの口座へ振り込んだまま私しているのであれば重大な横領行為であるから、その横領事件について調べるのが当然であります。ところが、海部八郎についてこのぐらい調書をとっておるけれども、その点については一言も尋問していないわけであります。一体あんたはどうしたのか。横領したのか、それとも総理に渡したのか。もし渡さないとすれば、なぜ島田がこんなことを書いてきたのを海部承認と言って署名したのか。司法修習生でも聞くようなことを、当時の検察首脳は一言も聞いておらない。これはこの関係を意図的にうやむやにしようと思ったものに間違いないと言わなければなりません。そういうことをやっておいて、別にこれは目新しくもないとか、そういうことを言ってこの予算委員会をごまかそうとしたって、そんなことはできないのです。 それだけではない。この金は一たん島田に渡されてから、伊大知という人物がシアトルに持っておる秘密口座、そこへさらに入れて、出した場合には伊大知の小切手用の署名をさせて出るように工作をしたということが伊大知の調書に書いてある。つまり、二重の裏金操作をして、万が一ばれても、だれがもらったかわかる最終は伊大知であって、その先の人物には行かないような工作までしたということがこの調書に書いてあるのです。そんな重大なことをやって、この金を受け取った先が重大な疑惑があることは明らかじゃありませんか。ところが、それについては何も調べていないじゃないですか。なぜです。
○前田(宏)政府委員 正森委員が記録をごらんになって、その上で、調書にそういう点が出ていない、こういうことからおとがめをいただいているようなことでございますけれども、これは正森委員に改めて申し上げるまでもないと思いますが、取り調べをいたします場合に、質問を発したことを一から十まで調書にとるわけではございませんし、また、それに対して答えがない場合に、一々問答体といいますか、そういうことで調書をつくるわけでもございません。したがいまして、裁判所に出ました記録だけをごらんになりまして、その上で、その質問的なものが出ていないということから、捜査あるいは質問がなかったと言うわけにはまいらないのじゃないかというふうに思うわけでございます。 それから、当時いろいろの問題が国会でも御論議がございましたし、新聞等でもいろいろと取り上げられていたわけでございます。そういうようなことで、海部氏にいたしましてもいろいろな角度から取り調べをしたわけでございますが、これも御案内のとおり、この関係での一番重要な関係者と申しますか、例の島田氏が自殺をされたというようなこともございまして、この金の解明につきましては若干不明確な点があることは事実でございます。しかしながら、わかりました範囲で、検察当局ができるだけの範囲でやりました範囲では、先ほども申し上げましたように、この金の流れの中で犯罪の疑いはなかったということになっているわけでございます。
○正森委員 前田刑事局長がそういう答弁をしたってだめです。私も弁護士を二十数年やっておりますし、短い時間ですが検察官の事務の取り扱いをやって、どういうぐあいに捜査をするかということを検察指導官から聞いたこともあります。こういうような重大な事実については少なくとも問い、この島田メモに書いてある総理に対してはどうしたのですか、あなたがもしスイスの口座へ行ったとしたら、それはどうしたんですかということを聞いて、たとえ不十分な答えであっても答えを書いて、聞いたということを残しておくのが検察の常道であります。それさえやっていないではありませんか。だから、私だけでなしに裁判所も重大な疑問を持って、判決の日に裁判所はこう言っているのです。「本来、裁判所は検察が持ち込んだものをやるが、それは事件の切り口にすぎない。」つまり事件の切り口だけで、背後があるということを言うておるのです。「このような奥行きの深い事件では、切り口からウミが出ている背後の腐敗の実態についても審理することが大事だ。」これは裁判所が、検察官の切り口について重大な問題点を感じているからこそこういうことを言っているのです。そして、「もし、腐敗をおおい隠し、適正な処置がとられなくなれば、民主主義が危うい。」裁判長がこんなことまで言っているのです。民主主義が危うくならないように国民の期待にこたえるのが国会の責務であり、行政庁の責任ではありませんか。私は、そういう意味で、いまの法務省関係者の答弁は非常に遺憾だというように思わざるを得ないわけであります。 そこで、次に行きたいと思いますが、ここに私は田中角榮氏らの事件の冒頭陳述を持ってきておりますが、この中には検察官は、昭和四十八年の六月ごろに「大久保は桧山と協議し、同人の指示に従い、コーチャンに電話し「桧山が、ロッキード社において五億円を出損しない場合、ロッキード社はその製品を日本においてこれ以上決して売ることができないと知ってもらいたいと言っている」旨を告げて、支払い方を強く要求した。」そこでコーチャンは支払うことにしたと書いてありますが、これは証拠によって証明されることに間違いありませんね。
○前田(宏)政府委員 ただいまお読み上げのことは、いわゆる冒頭陳述書に書かれていることであろうと思います。そうなりますと、冒頭陳述書と申しますのは、検察官といたしまして証拠によって証明すべき事実ということで主張している事実でございますから、それが今後の立証活動の中で出てくるわけでございますけれども、検察官側として立証したいと思いましても、弁護人側、被告人側の争い方もあるわけでございますので、裁判の結果どのようなことに相なるかということは今後の問題でございます。
○正森委員 そこにおってください。 小佐野賢治に対する冒頭陳述によれば、「小佐野は、そのころ」、昭和四十八年七月ごろですが、「児玉とP−3Cについて種々話し合い、コーチャンに対し、日本政府に対するP−3Cの販売についてロッキード社を援助するためには、児玉がロッキード社との間に暫定的に取決めている追加報酬を増額すべきである旨勧告した。コーチャンはこれを了承し、その後間もなく前記修正四号契約が児玉とロッキード柱間に締結されるに至った。」と、こう書いてあります。そして修正四号契約というのは、P3Cが五十機以上売れれば二十五億円出すという契約であります。これもいまと同じように、検察側としては十分に証拠を握っていることだから冒頭陳述に書いたとわれわれが了解してこれは当然のことであると思います。 そこで、総理、私はこの間九月にアメリカへ調査に行ってまいりましたが、名前は申し上げるわけにはいきませんが、当時ロッキード社を代表して日本国内で売り込みに非常に活躍したロッキード社の首脳部は、私に対してこう言っております。当時丸紅側から、五億円出さなければロッキード社の飛行機は決して日本では売れないということを言われた場合に、それはロッキード一〇一一だけと思ったか、それともP3Cも絶対に売れないと思ったかと聞いたら、P3Cも売れないと思った、こうはっきり言っているわけであります。そうすると、この五億円はP3Cにも絡む献金であったと言わざるを得ません。また、小佐野が増額を要求した追加報酬については、一体何のために追加報酬を払う気になったのだと言ったら、その人物は、トライスターを売り込むのについて種々困難があったが、それを突破して売り込みに成功した、それと同じようなことをP3Cについても小佐野や児玉にやってもらうために追加報酬に同意したのだ、こう言っているわけであります。つまり、当時のロッキード社の首脳部は、あの五億円を払わなければP3Cも売れないのだ、また、児玉や小佐野への追加報酬は、ロッキードのあの賄賂工作も含めたさまざまの工作をP3Cについてもやってもらうために契約したのだということを言っているわけであります。これは実に重大なことだと総理は思われませんか。
○鈴木内閣総理大臣 そういう事実は、私承知いたしておりません。捜査当局の方から報告をさせます。
○前田(宏)政府委員 ただいま正森委員が米国等におかれまして調査をされた結果、そういうような御発言を聞いてこられたということでございますが、まあそれ自体、率直に申しまして必ずしも明確でない点があるような感じもするわけでございますし、ロッキード社といたしまして、トライスターさらにはP3Cも売り込みたかったであろうということは、その当時からあっただろうと思いますが、それだけで直ちにいまの事件につながるかということになりますと、そうはまいらないんじゃないか、かような感じを持つわけでございます。
○正森委員 私は、日本国民の一人として、当時のいわゆるロッキード事件というのは、トライスターだけでなしにP3C絡みのものであったという十分な疑いがあり、それをただすのが国会の政治的道義的責任を明らかにする非常に大事な点であるというように考えております。その一端として総理に聞いていただいたわけであります。 それだけではありません。ここに海部八郎氏の昭和五十四年五月十三日付調書があります。また、昭和五十四年四月二十三日付調書があります。それを見ますと、松野氏に対するあの五億円は決して政治献金ではない、賄賂まがいの金であったということを海部八郎氏がはっきりと認めているわけであります。しかも、この中には国会としても無視することのできないことが書いてあります。 こういうのです。「松野先生に一体何を期待し、どのような協力を依頼し陳情したかについて、以下申し上げます。第一は、防衛庁内部にF4Eファントムを推せんする雰囲気を醸成することについて陳情しました。」こう言って、防衛庁の人事を変えること等についていろいろ陳情をしたという趣旨のことが書いてあるわけであります。 そして第二番目には、「国会つまり衆参両院をしてF4Eファントムの予算を承認通過させる必要がありました。」「松野先生の実力によって同僚の予算委員など関係議員に口をさいていだだき大蔵省に圧力をかけ、」、大蔵省よく聞いておきなさいよ。「或いは衆参両院の予算委員に根回しするなどしてF4Eファントムに予算がつくよう有利に導いていただくようにお力添えをお願いしたわけでした」こう言っているのです。 第三、「内閣の最高方針がどのように出るかといった点についても注目する必要がありました。」「そうした中で、日本が外国の脅威にさらされていることを強調し、日本の国防強化のためにはその脅威に備えてF4Eファントム程度の重戦闘機をどうしても必要なんだということを総理を頂点とする国防会議の構成委員でもある閣僚クラスに認識させ、内閣の最高方針として国防上の見地からF4Eファントムが決定されるよう松野先生から同僚の議員等を通じて働きかけをお願いし、同先生もその方向で動いてくれたのではないかと思っております。」こういうように言っているわけであります。 また、具体的には、「防衛庁最高幹部更迭運動があり、これは防衛庁内部にF4Eファントムを推せんする環境づくりの一環として松野先生はじめ、岸事務所の中村長芳秘書らに依頼し、T・38をかつぐ伊藤忠一派を一掃してもらったわけでした。」こう言っているのです。 まさに職務権限に関係する賄賂そのものではありませんか。こういうものをぬけぬけと松野頼三氏は国会で証言してきて、何も頼まれていない、単なる政治献金だ。また、おれは自分から請求したことはない。こういううそをついてしゃあしゃあしておるのが現在の状況であります。 ところが、賄賂は松野氏が要求したということは、海部八郎氏がはっきりと認めているのです。日まではっきりと書いておる。「松野先生にいわば賄賂として約五億円からのお金」を差し上げた、こういうことを言うた後で、第一回は「昭和四十三年五月末頃、空幕がFXとしてCL1010、F4E、ミラージュの三機種を候補機にしぼるとの発表をしたということでありますが、我々はほぼこれでF4Eに決まりかけたなとの感触を得ました。その頃、私がホテル・ニュージャパンの事務所に松野先生を訪ねた際、じつは同先生からお金の要求をされたのです。」はっきりこう言っておる。さらに、昭和四十四年の十二月末近く、衆議院総選挙がありましたときに、その前に五千万円調達してくれということを同年秋ごろ松野先生から要求されたと書いております。さらに、「年がかわって四十五年の前半に再び松野先生から二億円の要求があった。」こう海部八郎氏は言っているわけであります。 完全な偽証じゃないですか。つまり、松野防衛庁長官は三回にもわたって自分の方から、五億円持ってこい、まだ二億円足らぬ、こういうことを言い、何をやったかといえば、一から三まで書き上げてあるように、まさに国会議員として絶対にやってはならないことをやっておる。これがまだ国会ではいままで明らかにされていないのです。私は、こういうことでは航空機特別委員会を廃止するなどということはもってのほかのことであるというように言わざるを得ない、こう思います。 そのほか、総理、私は九月にアメリカへ行ってまいりましたが、そのときにグラマン社の関係者から、松野頼三氏はPFという暗号で呼ばれ、それはポリティカルフレンドというような一般的な呼称ではなしに、松野頼三氏個人を指す暗号であるということを確認してまいりました。また、グラマン社に商社変更を推薦した人物は岸信介元総理であるということも聞いてまいりました。そうだといたしますと、この航空機疑獄というのは、四十七年の十月を頂点とし、それまでるる続いてまいりましたロッキード、ダグラスあるいはボーイング、民間機だけでなしに軍用機も含めた複合的なあるいは立体的な疑獄であると言わなければならないと思います。私は、これを絶対に解明しなければ、政治倫理云々について、総理は国民に対しおっしゃることはできないのではないかと思います。 そこで私は、総理にこれを見ていただきたい。まさか総理は、総選挙で勝ったが、そのときに言ったのは大平内閣が言ったことだけであって、鈴木内閣は関知しないとはおっしゃらないでしょうね。本会議の総理の所信表明演説でも、総選挙でこういうことを訴えたから国民が信頼して多数を得たんだ、こう言っておられるはずであります。 ところが、ここに自由民主党の法定ビラの第一号を持ってまいりました。こう書いてある。これには 楽しい時も苦しい時もみなさまと共に歩んできた自民党。いま、自民党は結党以来の危機です。しかし、この危機を厳しい反省のうえに立つて乗りきつてみせます。わたくしたちは清新で多彩な人材の参加を求め「清潔な政治勢力」として自民党をよみがえらせます。新生 自民党を約束します。 こう書いてあり、その裏には、「一つの誓い 三つの安全」と書いてあって、真っ先に一つの誓いを挙げておられます。そしてその一つの誓いの中ではこう言っている。 「誓います!新しい政治倫理の確立」こうして、「国民のみなさまの信頼を回復するために、厳しい政治倫理の確立と党紀の厳正につとめる決意を新たにしています。」「政界、官界の綱紀を粛正して、国民のみなさまの信頼と期待に応えることを誓います。決意もあらたな、新生自民党をご支援ください!」と書いてある。 こういうことを書いて、あなた方は二百八十数名当選した。ところが、多数を得るや否や真っ先にやったことは、こういう私が言いました数々の疑惑、政治的道義的責任を明らかにしなければならないのに、それをやる舞台である航空機調査特別委員会を特別国会でも臨時国会でもつぶすということをやったじゃありませんか。それでは国民をペテンにかけたと言われても仕方がないじゃないですか。私は総理の所信を承りたい。
○鈴木内閣総理大臣 航空機にかかわる疑惑につきましては、国会の各党、各会派におきましてそれぞれ認識が異なっておるようでございます。私は、これは国会の問題でございますから、国会におきまして各党が十分お話し合いを願いたいところでございます。しかし私は、自由民主党の総裁の立場からいたしまして、政治倫理の確立、政界の浄化と刷新ということは民主政治を守るためにきわめて重要な問題でございます。したがいまして、この際私どもは、各党、各会派が御賛成をいただけるならば、衆議院あるいは参議院、国会に倫理委員会のような、すべての問題を審議できるような、そういう政治倫理の確立に対する委員会を設置する等について各党間で話し合いをしてほしい、こういうことを自由民主党の執行部に指示いたしておるところでございます。どうか各党においてお話し合いを願い、そういう方向に進むことを願っております。
○正森委員 政治倫理を確立するために倫理委員会をつくるというお話でありますが、新聞等の報道しているところでは、議院証言法の改正と絡めるんだというようなことを言われております。そういうことでは、この重大な疑惑がある問題について国民の信頼を確保することはできませんし、自由民主党が六月の選挙で言われた「一つの誓い」が泣くというものであります。 そこで、ロッキード調査特別委員会、航空機調査特別委員会は、本来予算委員会で証人喚問をいろいろやっておった、ところが、それをやっておったんでは予算が人質になって予算が上がらない、だから特別の委員会をつくってくれと言って設けた経緯があります。だから、それをつくらないというなら振り出しに戻って、この予算委員会で徹底的に証人喚問をして審議するというのが筋であります。 そこで、私は委員長にお願いしたい。いま私が若干の事実を挙げましたが、そういう問題について単に法律的責任だけでなく、政治的道義的責任を明らかにして国民の信頼にこたえるために、そして自民党が「一つの誓い」を実現することができるように、証人として松野頼三氏、中村長芳氏、岸信介氏、海部八郎氏、検事の松尾邦弘氏、以上五名をこの予算委員会でお取り調べいただくように申請いたします。
○小山委員長 この問題については、いずれ理事会で御相談いたします。
○正森委員 そこで、時間の関係がありますから私は次に移らせていただきます。 先ほど同僚議員が質問された憲法問題についてであります。 この憲法問題について総理大臣は、「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」と何らの留保なしに言っておられます。ところが、きょう同僚議員の質問によってもなおかつ奥野法務大臣は、これは十月九日の、日本に主権が占領中はないと言ったあの発言だけである、こう言い張っております。同僚議員が閣内不統一だと言うのはあたりまえのことであります。 そこで総理に伺いますが、総理は、予算委員会の理事会でいろいろ御努力なさって、審議を進めるためにああいうぐあいに言ったんだと言われましたが、それならば、意見が食い違うということを百も承知で、審議を進めるために予算委員会や野党をペテンにかけたんだと言われるのですか。そういうことにならざるを得ないでしょう。あなたは、この内容は本心ではないんだ、こう言われるのですか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほどお答えしたとおりでございます。
○正森委員 先ほど答弁したとおりだと言われるとすれば、法務大臣の憲法改正に関するすべての発言が適切を欠くものである、こういうように解さざるを得ません。(「すべてなんて言ってないじゃないか」と呼ぶ者あり)あるいは少なくとも——横からいろいろ言う人がおるようですが、十月九日の主権の問題だけに限るものではないというように日本語として解釈すべきは当然であります。ところが、奥野法務大臣はああいう重大な発言をしておる。これを断じてこのまま放置するわけにはまいらないというように私は考えるわけであります。いかがですか。
○小山委員長 だれの答弁を求めているのですか。
○正森委員 総理大臣に答弁を求めるわけですが、お立ちにならないようですから、それでは私はもう少し詳しく聞いていきたいと思います。 まず第一に大蔵大臣に伺いますが、あなたはゼロリストを十月九日に発表されました。あれを見ると、予算の伸びがゼロだったらこんなにひどいことになるのだということが書いてあります。これは財政問題が非常に厳しいということを意識されて、それを国民に理解してもらいたいと思ってお書きになったと思いますが、そうだとすれば、概算要求などで役に立たないような予算要求というものをお認めになる、こういうことは断じてなさらないでしょうね。
○渡辺国務大臣 どれが役に立つか役に立たないか、まだ具体的にはわかっておりませんが、もちろんそれは役に立たない予算要求は認めないわけです。
○正森委員 防衛庁長官に伺います。 大体、大蔵省がゼロリストを発表するぐらいの世の中であり、ほかの省庁は七%台だ、こうなっておるときに九・七%の別枠を認めてもらったわけですが、それに基づいて出した概算要求にわが国の防衛上要らないもの、役に立たないもの、そんなものは含めておらないでしょうね。
○大村国務大臣 お答えいたします。 役に立たないものは要求いたしておりません。
○正森委員 そこで、私は総理大臣に伺いたいのです。 総理大臣が国会での所信表明演説をどうするかということを閣議で御相談になりましたとき、憲法遵守を削除せよという意見が出ました。その一方の旗頭は奥野法務大臣でありました。奥野法務大臣は閣議で重大なことを言っております。「自衛隊が違憲といわれる存在では、いくら装備を充実しても役に立たない。」これは朝日新聞も読売新聞も、新聞に全部載っているのであります。それも御丁寧に、法務省へ帰ってから記者会見をしてもう一遍言っておる。ゼロリストまで発表しながら、内閣の重要な一員が装備を充実したって役に立たないと言っている。役に立たないものなら削除したらいいじゃないですか。それとも役に立つように内閣一体となって成文憲法を改正するか、それが政治の筋というものじゃないですか。そういうことを言うような法務大臣を放置しておいていいのですか。私は、閣内不統一もはなはだしいし、法務大臣の資格がないと思います。あなたがもし、先ほどの「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」と言うなら、このような発言こそ遺憾じゃないのですか。これは個人としての発言じゃありませんよ。大臣中の大臣としての発言、閣議での発言ですよ。(発言する者あり)
○小山委員長 静かに願います。
○鈴木内閣総理大臣 一昨日来当予算委員会におきまして、鈴木内閣は憲法を尊重し擁護いたします、こういうことを明確に国民の皆さんにも明らかにいたしておるところでございます。また、奥野法務大臣を含めまして、閣僚は全員現行憲法を遵守してまいる、忠実にこれを履行していく、こういうことも申しておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、鈴木内閣におきましては憲法に関して閣内不一致はございません。
○正森委員 そんな答弁が納得できますか。 八月二十七日の法務委員会での発言は、稲葉議員が法務大臣といいますか国務大臣といいますかということで聞いたのですが、御自分で勝手に政治家としての意見をお聞きになったと思うのでと言うて、ああいう答弁をされたのです。そして内閣では、個人的な見解というのはまあまあある程度は言うてもいいというようなことを言われたが、その後はちょっと行き過ぎがあったようなことをにおわしておられるときもある。しかし、私がいま指摘しました発言は、個人としての見解では絶対にない。閣議での発言なんですよ。しかも、総理の所信表明の演説にけちをつけて、重要な憲法遵守の文言を削除させるときに発言をされたものですよ。 しかも、その発言の内容たるや、この財政困難のときに大蔵省はゼロリストまで出しておる。田中美智雄大蔵大臣は……(笑声)失礼しました。渡辺美智雄大蔵大臣は、査定をして要らないものなんかは認めないと言っている。防衛庁長官の大村さんは、これは全部必要なものばかりだと言っているのに、法務大臣だけは「自衛隊が違憲といわれる存在では、いくら装備を充実しても役に立たない。」こう言っているのです。こんなことは内閣の姿勢に誤解を与えるものであるということはきわめて明らかじゃないですか。 総理、あなたは、国会の本会議での答弁で閣僚の改憲発言について言われたときに、鈴木内閣の一員である以上、鈴木内閣は憲法改正しないんだから、その姿勢に誤解を与えるような言動というのは慎んでもらうということを再三、各議員に答弁されたはずであります。このような発言こそ、まさに誤解を与える発言ではありませんか。こういう問題についてきちんとしたお答えをお出しにならないようでは、幾らあなたの発言の中で「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」ということを抽象的におっしゃっても、それは国民としては納得しないと思うのです。こういう具体的な問題について、それはやはり遺憾であるとか、あるいは総理大臣の指導的な御見解を国民の前に明らかにされるということが、私は議会制民主主義のたてまえからいって非常に大事なことではないかというように思うのです。これは政党政派が違うからどっちでもいいという問題ではありません。鈴木総理の誠意ある御答弁をぜひお願いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 最終的に総理大臣の所信表明が決定いたしますまでに何遍か推敲いたしております。その過程の問題でありますが、ただいま御指摘になりました問題は、装備とともに国を守るという精神も大事である、そういうことを言っただけでございまして、私はこれが憲法違反とかそういうものではない、こう思っております。
○正森委員 私は、その発言自体が憲法違反だなどとは一度も言っていませんよ。私は、こういうようにゼロリストまで出しているときに、装備を充実しても役に立たぬというようなことを言って、それを理由の一つにして憲法遵守というようなものを削除するということを言われる。閣議の中でそういう発言をしている閣僚がおっていいのですか、それをそのまま許しておいていいのですか、首にするか、首はかわいそうだけれども注意するか、そういうことをなさる必要があるんじゃないですか、こう言っているのです。私はあの発言が憲法違反だなんて一言も言っていませんよ。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、装備とともにやはり精神も大事であるということを言ったことでございまして、私はそれをもって不穏当あるいは不適切とは思っておりません。
○正森委員 私は、先ほども同僚議員が閣内不統一であるというように言われましたが、まさにそのとおりであると思います。しかも、具体的な問題について私が聞きましたのについても、あの発言が別にどうということはないと思っておられるようですが、そういう姿勢では、鈴木内閣の重要な閣僚が装備を充実しても役に立たぬと言っているのに、それだけは枠を超えてつける、一方、国民にとって切実なものはどんどん削る、こんなことで国民が納得されると思いますか。私は絶対に納得することはできないと考えるものであります。 法務大臣、私は伺いますが、九月二日にあなたはフジテレビに出られたときに、国会でいろいろ発言するけれども、大体議員というのは国会の内外で言うたことについては責任を問われないはずだ、それをとやかく言うのは脅迫だという意味の発言をされたようですが、それはそのとおりですか。
○奥野国務大臣 国会は活発な論議をすべき場だ、そう心得ておりまして、そういうたてまえに即して、具体的には覚えておりませんけれども意見を言うたことはございます。
○正森委員 私はこの点でも重大だと思うのですね。私はそのときの新聞を見ましたが、国会の内外での発言について責任を問われない、こう言っておられるのですね。ところが、憲法五十一条をあなたはお読みになりましたか。五十一条というのは「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。」こうなっているのです。つまり国会で論議したことについて刑事上の責任を問われたり民事上の責任を問われたりしないということであって、憲法は、院内であるいは不穏当な発言があるということで懲罰になって除名される、あるいは政治責任を問われて閣僚として罷免されるというのは当然のことで、議員としてはイロハのイではありませんか。それなのに院の内外では責任を問われない、あたかも何をやってもいいようなことを言うて、そういう事実を前提として他の議員を誹謗される、勝手に憲法を自分で改正した上でいろいろ発言をしておる。まさに法務大臣としての資格がないと言わなければなりません。私は、そういう点について法務大臣として言語道断であると思います。
○奥野国務大臣 憲法の規定でございますから、よく承知しているつもりでございます。そういう規定があるほどに院内においては活発な論議が期待されているのだ、こう申し上げているわけであります。
○正森委員 フジテレビにもう言ってしまわれたことですから、いまの発言がうそであって、院の内外で責任を問われないとおっしゃっていることは当時の新聞にも報道されたことであり、明白な事実であります。私は、それをもう一度聞かれて反省されることを法務大臣に申し上げて、時間がありませんから次の問題に移りたいと思います。 そこで大蔵大臣に伺います。大蔵大臣はゼロリストをお出しになりましたが、このゼロリストは自民党の内部でも非常に不評であります。自民党の中でも、何か裏にあるとか、全体の整合性に欠けており、こんなものを苦労してつくるまでもないとか、増税の環境づくりを図るのがねらいだ、こういうように言っておられる。あるいは朝日新聞でも、これは増税などの負担の増加もやむを得ないと結びつけたいのが財政当局の本音である、こういうぐあいに言っておられるわけでありますが、大蔵大臣はこのゼロリストをお出しになり、あるいは前に「歳出百科」をお出しになりました。これはやはり財政の実情が非常に厳しいので、場合によっては、受益を保つためには負担をふやさなければならないのだということを国民に懇切丁寧に訴えたいというのが心の底にあるんじゃないですか。
○渡辺国務大臣 国の財政についてはなかなか一般の方にはなじみにくいという御批判が非常にあるわけです。予算雷等もむずかしくできておる。余り読まれない。私も長いこと国会議員をやっているけれども、なかなか予算書なんというのはそんなによく見ていません。したがって、わかりやすい形で知ってもらうということで財政白書を出しました。しかし、財政白書でも厚過ぎてよくわかりづらいと言うから、もっとやさしくということで「財政再建を考える」というパンフレットを出しました。しかしながら、ゼロリストの方は、これは要は財政審で、来年の予算の四兆円程度の自然増収では一般歳出が全然とれない、それではなかなかぴんとこないから、たとえば具体的に例示的に、ことしと全く同じ予算の一般歳出の規模になったらどんなものができるかということをひとつ考えてくれというようなことで、それは財政審に出す参考資料として機械的にこしらえてみただけのことであります。
○正森委員 ゼロリストについては機械的にこしらえてみただけだとおっしゃいましたが、「歳出百科」についても、これは国民に対していろいろPRしようということでおつくりになったと思うわけであります。 この点について本来お聞きすべきですが、時間がありませんので省略して申しますが、この中でたとえば三ページを見ますと、受益と負担の関係について、五十五年度当初ベースで試算が載っております。それからまた、参考資料のところの二百二十四ページから二百二十五ページまでにも、「個人についてみた場合」ということで受益と負担の割合について書かれております。そこで私は、これをいかなる基礎において計算されたのかということについて伺いたいと思うのです。 まず負担について申します。国民の負担について書かれておりますけれども、これは私が大蔵省に秘書を通じて確かめたところでは、給与所得者の場合の所得税プラス消費税の一部、消費税には酒税、砂糖消費税、物品税、トランプ類税、通行税、入場税の各税及び専売納付金、これを間接税の負担としてお加えになってこういう負担をお出しになった、こう聞いておりますが、間違いありませんか。
○松下政府委員 負担につきまして計上いたしました税目の内容は、御指摘のとおりでございます。
○正森委員 そこで伺いたいわけですが、そういうことでございますために、いま申し上げました税目の消費税関係を挙げますと三兆五千百九十八億円でありますが、それを全国民の一億一千七百万で割りまして、一人当たりの消費税の負担は三万八十三円になる。そして平均世帯人員は三・八三人であるから、これに三・八三を掛けて十一万五千二百二十円、これを三百万なり五百万なり七百万の給与者の所得税の負担額にプラスをなさって負担額をお決めになった、こういうことですね。
○松下政府委員 間接税の負担の計算につきましては御指摘のとおりでございます。
○正森委員 そうすると大蔵大臣、あなたは大分一生懸命に独特の話術で行脚をなさったようですが、これを見ますと夫婦、二人、つまり四人の家庭の場合と夫婦、二人プラス老人一人、五人の家庭の場合になっております。ところが、いま松下主計局長が認めたように、消費税の負担については一世帯平均の三・八三人分しか負担に入れていない。そうすると、五人世帯なのに負担は三・八三人分しか計上していないということで、明白な数字の誤りが出てくるじゃありませんか。つまり、それだけ国民は負担が少ないのに受益だけは多く得ておるんだ、こういう印象を与えることになるのですね。これは明白な数字の誤りではありませんか。あるいはペテンではありませんか。
○松下政府委員 御指摘のような計算をいたしましたのは、酒あるいはたばこに関する財政負担あるいは電気器具でございますとか家具でございますとか、そういう物品の消費につきましては、子供さん等も含めました厳密な世帯人員の数に比例すると申しますよりは、むしろ一世帯当たり大体一定の金額で消費される場合の方が多いのではなかろうかという考えで計算をしたものでございます。いずれにいたしましても、そのような一定の前提を置きまして実情を御説明するために作成をした資料でございます。
○正森委員 そういう説明は断じて納得できないですね。そうすると、三・八三人分だけは砂糖も使うし、あるいはいろいろなものも食べるけれども、ほかの一・何人分は砂糖も食べなければ消費もしない、こういう計算になるのですね。そんなでたらめな計算はあり得ないと思うのですね。 それからさらにあなた方は、一般消費税関係でいま私が言った税目だけを挙げたというように言われますけれども、そのほかにもたとえば石油税だとか航空機燃料税だとかとん税だとか関税だとか、こういうものは入れておられないけれども、これは全部個人の負担にかかってくるわけですね。そうしますと、われわれの計算ではそれを合計すると約六兆円あって、国民一人当たりにすると五万一千円の負担になります。したがって、四人家族なら二十万四千円、五人家族なら二十五万五千円負担がふえるはずであります。それと三・八三人と四人ないし五人との差を計上いたしますと実に負担関係では差額が四人家族の場合には二十万九千百円、五人家族では二十九万二百円ほどこの大蔵省の例示というのは負担を軽く見積もって、そして国民に、あなた方は負担は少ないのですよ、少ないのですよ、だから増税されてもやむを得ないのですよ、こういうことをPRする、そういう手段に使われておる、こういうように言わざるを得ないと考えるわけであります。大蔵大臣、いかがですか。
○松下政府委員 申し上げましたように、非常に技術的な計算でございますので、一定の前提を置きまして、個人の家計からごらんになりまして御理解のしやすいものを選択をしたのでございます。 この歳出の方の受益につきましても同様の計算をいたしてございますので、この計算によりますと、歳出の面では全体の大体四〇%ぐらいカバーし、また負担の面では大体五〇%ぐらいをカバーする、常識的なふうに考えて、家計と密接な関連があると思いましたものを選択をいたしました。
○正森委員 私どもはそういう説明には納骨できません。この点については受益の点についてもごまかしがあります。受益の点については、大蔵省はどういう点を受益にしたのか、この表の中には書いてありますが、一応大蔵省が多分こうだろうと思って私が計算してみて合致するのですが、医療費と教育費と米価と国鉄、地方財政、下水道環境衛生、住宅、老人医療費、老齢福祉年金、こういうものを国民の受益として計算したのではありませんか。
○松下政府委員 そういう経費を計上してございます。
○正森委員 ところが大蔵大臣、これには重大なごまかしとペテンがあります。たとえばこの「歳出百科」には、夫婦、二人の家庭の場合、夫婦、二人と老人一人の家庭の場合、子供は小学生と中学生、こう書いてありますね。ところが、この大蔵省の計算でいきますと、五十四年度の基準財政需要額の集計八兆八千億円のうち国費負担分、約半分ですが、それは全部受益としてほうり込んでおるのです。 自治省に伺いますが、その中には高等学校の費用も入っているでしょう。私の計算では経常費の中に高等学校の費用が少なくとも一兆三百億入っておるのです。そうでしょう。高等学校の子供はいない家庭だと言いながら、高等学校の生徒が受ける受益までこの中にほうり込んでおる。言語道断じゃないですか。
○松下政府委員 教育費の中には高校教育の分は入っておりませんが、地方財政の交付税の金額を計上してございますので、その交付税の金額につきましては地方の一般歳出の一定の割合でございますから、内容に何が入っているかという計算はできないわけでございますが、国の一般会計の歳出で地方の行政の財源となるものという意味で計上してございます。
○正森委員 非常に回りくどい言い方でしたが、私の主張を認めたわけであります。昭和五十四年度の基準財政需要額の集計がここにあります。それは半分近く地方交付税等で賄われているわけですけれども、その中には高等学校の経常費もちゃんと入っているのです。つまり、小学校、中学校しか行っていない家庭の受益としてそれまで計算しておる。こういうようなごまかしがあります。 また、この中を見ますと、たとえば生活保護費の経費が相当たくさん入っておりますが、収入が三百万も五百万も七百万もあれば生活保護を受けられないのはあたりまえであります。ところがその分までほうり込んでおる。あるいはまた、建設省の関係ですが、公営住宅についての受益を入れておりますが、公営住宅については現在、二種住宅は夫婦と二人の場合には二百四万円、老人の場合には二百十万円で、三百万円以上の収入の者は入居の資格がないわけであります。ところが、そういうものについても受益を得ておるということで中へほうり込んでおる。 こういうように、挙げてみますと、この「歳出百科」というのは、国民の負担についてはできるだけ軽く見せるようにごまかしを行い、受益については利益を受けられないものまでほうり込み、つまりペテンを行って、いかに負担が軽いか、受益が大きいか、増税やむを得ない、こういうPRをやっておることにほかなりません。政府ともあろうものが、大蔵省ともあろうものが、そういうペテンやごまかしをやってまで増税キャンペーンをやるということは言語道断ではありませんか。増税をやるなら正々堂々と正直な数字を出して国民に訴えるのが当然であり、この「歳出百科」はそういう点について訂正をすべきであると私は思いますが、大蔵大臣、いかがです。
○渡辺国務大臣 細かいことを言いますとあなたのおっしゃるようなこともあるでしょう。しかし、受益の中に入っていないのもあるのですよ。たとえば道路を歩いたからといって、道路が舗装になっていた、そこを歩いたらそれじゃ幾ら受益を受けた、これは計算してないわけですし、それから警察とか消防、警察なんかの場合だって、それは全部計算しているわけじゃない。したがって、全体的に見ればそう大きな狂いはない。例示的に出しますから、部分的に取り上げるといろいろ議論があります。しかし、全体から見るとそうでかい違いはない。まずまずである。したがって、こういうものはわかりやすくということになれば——それは正確にということになればそれ自体予算書なんですから、それではわからないと言うから、わかりやすくするためには多少正確さを欠くところもあるが、まずまずのところが出ておるということなんです。それは御理解をいただきたいわけであります。予算書じゃないのですから。
○正森委員 大蔵大臣の非常に御苦労な答弁を評価はいたしますが、私としても一言言っておきたいのです。 大蔵大臣は、道路がいいようになっている、そういう受益を入れていないんだ、こう言うておりますが、道路などは揮発油税だとか自動車重量税とか、こういう目的税でやっているのですね。それはそもそも受益にも負担にも入れていないのです。だから、そういうものを持ち出して本当はもっと受益があるんだぞなどと言うのは、うそをもう一遍つくことになるのです。だから、そういうことを公認会計士の御資格のある大蔵大臣が言われたら困るのです。 それからまた、いろいろあるけれどもという大きな話をされました。私もこれを言っているのは、何もかみそりで切るようなことを言っているのではなしに、国民に、財政が苦しいんだから助けてほしい、しんぼうしてほしいと言うなら、うそをついてはいけませんよという大きな話をしているのです。うそをついてはいけません。本当のことを言ってなおかつ納得させられるようなものを出さなければ、これはかえって大蔵省の信頼を落とすだけなんです。せっかく渡辺美智雄大蔵大臣が行かれたのだから、だから渡辺ある限りそういううそはつかないんだということを国民の前に明らかにして、そうして信頼を回復するようにしていただかなければならない。主計局長以下の官僚の手綱を締めるのがあなたなんですから。そういうことで、誤りがあればそれを正すにやぶさかではないと孔子様もおっしゃったということで、本当のことを言っていろいろ財政再建のためにがんばられるということでないといかぬと思うのですね。いかがです。
○渡辺国務大臣 誤りがあることを正すにやぶさかではありません。ありませんが、いまのやつを細かいことをきちっとということはできませんから、それは御了解願います。
○正森委員 時間でございますので最後の一問だけ伺いたいと思います。 九月二十六日に石油カルテルについて判決がありました。この問題について、私は灯油の問題も含めて詳しく伺おうと思ったのですが、時間がございませんので、通産大臣及び公正取引委員会に一言だけ伺います。 判決を見ますと、要旨ですが、通産省は、昭和三十七年の石油業法制定当時から、石連に対し行政指導をして生産調整を行わせた。三十九年四月通産大臣は、行政指導のもとに石油業法運用の一環として行っている生産調整を遵守すべき旨の談話を行った。公正取引委員会は右生産調整について何らの措置もとらなかった。昭和四十一年三月衆議院商工委員会で公取委委員長は、石油の生産調整は石油業法によるもので、粗鋼の勧告操短とは異なり容認されるとの趣旨に受け取られる答弁をした。昭和四十一年度下期以後も業界紙等には生産調整に関する記事が出たが、公取委は警告、調査等の措置をとらなかった。こう言って、結局、違法性の認識がなかったのだから、価格カルテルについては有罪だけれども生産調整については無罪だというような結論にしたわけであります。 これについて通産省は、みずからが行った行政指導についてどういう反省をし、今後どうしようと思っているのか。公正取引委員会は、第一次カルテルについてどのような反省をし、第二次カルテルが今度石油危機の第二次石油ショックについてあったと疑われる状況がありますが、どうされようとしているのか伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○田中(六)国務大臣 お答え申し上げます。 御承知のように、独禁政策と、通産省が行っておる産業政策というこの関係は、長い間、学者並びに私どもも実地にいろいろ問題がございましてその調整が困難でございますけれども、今回の裁判所の判決にございましたように、生産調整については無罪、価格カルテルについては一応有罪ということになっておりますけれども、本当は産業政策である今回の石油価格問題につきましても、私どもはあくまで独禁法というのは一つのルールづくりで、ルール、規則に違反しないように、ちょうど警察で言えば、警察が犯罪をつかむことが目的じゃなくて、社会の秩序を維持するというようなことがやはり一面の目的にあるように、独禁法をそのようにルール、秩序づくりというような判断をすれば産業政策と矛盾しない。したがって私ども、行政指導というものが産業政策の中に大きくすわっておるという観点から、これからも行政指導というのは、石油というものの経済に持つ意味あるいは国民生活と関連する大きな意義から考えまして、行政指導については独禁法と抵触しない範囲でこれからもやっていきたいと思いますし、今回の裁判で行政指導が一応指摘されておりますから、私どももその点も十分考慮の上対処していきたいと思います。
○橋口政府委員 九月二十六日の石油裁判に示されました高等裁判所の判断につきましては、これはその日に私の談話を発表いたしましたように、厳しくまた重く受けとめておるところでございます。五十四年以降の石油の価格の上昇につきましては当委員会でもしばしば御指摘がございましたし、私どもとしても十分広範な情報を集めておったわけでございますが、五十四年以降今日までの石油価格の改定に関します限りはかなり価格にばらつきがございますから、そういう意味でいわゆるカルテル等はなかったものというふうに考えております。
○正森委員 終わります。
○小山委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。 次に、柿澤弘治君。
○柿澤委員 私は、新自由クラブの仲間の意見も含めて、総理の所信表明その他鈴木内閣の姿勢について御質問を申し上げたいと思います。 財政再建が当面の大変重要な課題になっておりますし、それから都市に住むサラリーマン、そして都市住民の声をもっと重視した政治をというのが、私どもの住む都市の地域、これからの日本は七割が都市人口として生活をしていかなければならないということでございますから、そういう点から特に総理を初め各大臣に御質問をいたしたいと思いますけれども、その前に一つ、憲法問題に絡んで御質問をいたしたいと思います。 奥野法務大臣の発言が再三この場でも取り上げられておりますけれども、私どもは、現在の憲法が国民の間に定着をし、そして自由と民主主義、平和を守る指針として大きな役割りを果たしているという意味で、鈴木総理大臣の憲法遵守の考え方を高く評価するものでございます。その意味で、先般来の総理の御発言についてはそのとおり、額面どおりお受け取りをしたいというふうに考えているわけですけれども、ただ、いろいろと心配がございます。奥野法務大臣だけでなく、憲法改正については大変強い主張を持っていらっしゃる方々がそのほかにも閣内においでになるんじゃないでしょうか。 私、青嵐会の趣意書というのを読んでみました。「自主独立の憲法を制定する。」ということをはっきり書いた上で、「青嵐会はいたずらな議論に堕することなく、一命を賭して右実践することを血盟する。」と書いてございます。青嵐会の方いらっしゃるかと思いましてあれしましたけれども、有力閣僚で御三方いらっしゃいます。渡辺大蔵大臣、中川長官、藤尾労働大臣、御三方のお考えを、現在の心境で結構でございますから、変わったなら変わったということをお話しいただければ幸いでございます。
○渡辺国務大臣 青嵐会のその趣意書には鈴木内閣のときにやるとは書いてないのです。時期が書いてないわけですから。私はいま財政再建で精いっぱいでありますから、ほかのことまでなかなか手が出ないというわけでございます。
○中川国務大臣 改憲につきましては、青嵐会だけではなくてわが党が改憲政党でございます。渡辺さんと同じように私もいま改憲をやっているどころではありませんで、原子力を中心にしっかり、いまのところはがんばりたいと思っております。
○柿澤委員 藤尾労働大臣の答弁の前に、いまのお話ですけれども、「一命を賭して」と書いてございますので、余りその点は軽々しく考えられないんじゃないかと思いますが……。
○藤尾国務大臣 お答えをいたします。 私は自由民主党の政治家でございますから、自由民主党の綱領に掲げられたことは、私の信条として今後も実践をする覚悟でございます。ただし、私はただいま自由民主党鈴木内閣の閣僚でございまして、鈴木内閣におきましてはこの憲法を遵守するということを決めておりますから、この段階におきまして、私は鈴木内閣の方針に従いまして一切の進退をいたす覚悟でございます。
○渡辺国務大臣 「一命を賭して」という言葉は、これは形容詞ですから、私は当選の暁には粉骨砕身というようなものであって、同じように考えてもらって結構です。
○柿澤委員 一命を賭して、粉骨砕身、いずれも同じ言葉だと思いますが、粉骨砕身と一命を賭して実現に努力される方々を抱えた総理大臣も大変むずかしい立場だと思いますが、その点総理の御見解をもう一度お伺いしておきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 御承知のように、自由民主党は立党の政綱におきまして、憲法の崇高な三原則を堅持しながら自主憲法制定に努力をするということがございます。党員の諸君でございますから、憲法についていろいろ意見を持ち、また勉強する、検討するということは、私は差し支えないことである、こう思っております。 ただ、鈴木内閣においては、現行憲法を尊重し擁護していくということを明確にいたしておりますし、閣僚の諸君もこの方針に従って一致してこれを堅持してまいる、こういうことでございますから御了承を賜りたいと思います。
○柿澤委員 鈴木総理の指導性と閣内の不一致が起こらないことを期待しつつ見守りたいと思います。 それでは財政再建の問題に入りますが、鈴木総理大臣の所信表明の中でも、財政再建が当面の急務であり重要な課題であるということをおっしゃっておられます。その中で総理は、「徹底した歳入の見直し」ということをあえておっしゃっているわけですけれども、「徹底した歳入の見直し」というものが、世間ではともすれば一般消費税を含む増税路線、たとえことしやらないにしても将来への含みを持った発言というふうにとられているわけですけれども、その点についての歳入の見直しの内容を具体的にどう考えておられるか、総理からお聞きをいたしたいと思います。
○渡辺国務大臣 随時、歳入は全般的にいつでも見直さなければならない、こう思っております。歳出のために歳入は必要でありますから。
○柿澤委員 歳入の見直しのときに、一つの大きな柱は不公平感の是正であろうと思います。税制の基本は、公平な負担というものが国民に受け入れられる、納得されるということが大前提であろうと思うからでございます。 その意味で、本会議の代表質問でも河野代議士が総理にお尋ねをいたしましたように、財政再建を理由に所得税減税が五十二年以来全く行われていない。所得税の税率が四十九年以来変わっていないために、実収入の伸びをはるかに上回るペースで所得税がふえている。このまま七%程度の収入の増加が続くと、六年間で収入の伸びは一・五倍になるのに対して所得税は二・四倍にふくれ上がるという試算もあります。 所得税は国の税収の四割を占め、そのうち八割は、サラリーマンの源泉徴収として脱税の余地なく営々と税金を納めているわけですから、こうした形で一部の納税者に対して不公平な負担増が強いられるということは、問題ではないかと思います。その意味で、今後のサラリーマン税制についてどう考えていらっしゃるか、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 御承知のとおり日本の所得税は、先進諸国で特に社会保障関係を日本並みあるいはそれ以上にやっているところに比べると、フランスを除いて非常に低くなっております。したがって、現在のところ非常な財政困難な状態にございますので、なおさらに現在よりも調整減税をやれという御主張だと存じますが、非常に困難な状態でございます。
○柿澤委員 財政の現状からというお話がございましたけれども、先ほど申しましたように、税の不公平感、負担感の差が拡大してくる。つまり、それの是正をあえてしないで取れるところから取るということでは、これはやはり納得できない部分があろうかと思います。その意味で、負担感の公平についても十分配慮しながら今後の税制改正問題に取り組んでいただく、その点はお願いを申し上げておきたいと思います。 それから次の問題でございますが、利子配当の総合課税の問題が一つあろうかと思います。勤労所得に対しては、いま申しましたように源泉できちっと取られているのに対して、利子配当については源泉分離という形で、これはいろいろとやむを得ない事情もあることは私どもも承知はしておりますけれども、税負担感に差が出てぐる。たとえばということで私、試算をしてみたわけですけれども、これは決して松下幸之助さんとか超一流の方ではありません、その次のクラスぐらいだと思いますけれども、給与所得その他で一億円ぐらい年間の収入がある。定期預金、公社債等二億円ぐらいの金融資産を持っている。そういう方を考えますと、利子所得が二億円として利率八%で千六百万。全体で一億一千六百万の所得がある場合に、現在の分離課税ですと、所得税は、この千六百万の利子については三五%で五百六十万。住民税は課税をされておりません。それに対して、もし総合課税が行われるようになれば、所得税が、一億円給与の方でございましたら七五%の税率がかかろうと思います。そうしますと、それだけで千二百万。住民税は一八%程度の税率で二百九十万。合わせて千四百九十万の負担になります。そうしますと、現在の分離課税と総合課税をされた場合との差が、この一億一千万程度の年収の方で九百三十万円。一千万円近くあるということになるわけでございます。決して数は多くはないと思いますけれども、億万長者が二千人を超えた。それに近い方々が何万人かいらっしゃるということを考えますと、たとえば一万人と考えても九百三十億。一千億近い税収の違いが出てくるのじゃないか。 その点について政府は総合課税の方向としてグリーンカード制度の導入等の法律改正案を出し、ことしの春の国会を通過しているわけですけれども、この総合課税の実施について、既定方針どおり五十九年、そして六十年から完全実施をする御決意かどうか、改めてお伺いをしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 すでに利子配当所得の総合課税ということは、法律が皆様の御協力で国会を通過いたしておりますから、法律どおりに実行していくためのいろいろ手続をしておるところでございます。
○柿澤委員 その点では、最近大変問題になり、新聞をにぎわしている問題に、グリーンカード実施に伴う民間金融機関、民間の預貯金と郵貯との不公平の問題といいますか、アンバランスの問題というのが出てきております。民間の預貯金については、五十九年以降しっかりと限度管理がされるのに対して、現在郵便貯金に定額貯金をすれば十年間洗いがえの方法がない、そういう形で脱税を目指す資金が郵貯に流れ込んでいるということも、しばしば新聞等に伝えられているわけでございます。その点について、せっかくの制度をつくりながら郵便貯金についてしり抜けになるようですと、これはまた問題だと思います。 これも簡単に試算をした数字がございますけれども、これは毎日新聞の九月十八日、「税金天国」というところに、現在郵便貯金は五十六兆円あるわけですけれども、この試算は五十四年十二月末をとりながら郵便貯金五十兆円、その中で限度を超えている部分というのを試算をしております。方法については私も正確かどうか必ずしも自信はありませんけれども、総理府の貯蓄動向調査等で推計をすると、そのうち二十三兆五千億が少額の零細貯金である。そうなると、十四兆から十八兆円近いものが灰色ではないかというふうな試算も行われております。現在それが五十六兆円、一割ふえておりますから、さらに十五兆から二十兆円近いものが、この試算であると灰色の部分ということになりかねない。その部分の利息の総合課税というものがもしこのまま回避されるとすれば、現在源泉分離でこれをかけるとして、三千四百億から四千五百億円の税収が実は大蔵省のポケットから逃げている、こういう試算もあるわけでございまして、この点について今後しっかりした対策をとっていかない限り、制度としては完備をしたけれども、相変わらず総合課税の実施が中途半端になる。しかも金融資産ごとの不公平が出てくるという問題が出てくると思いますが、その点について大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 全く御趣旨のとおりでございます。したがって、郵政当局ともいま話し合いをいたしまして、ともかく限度管理をきちっとやってもらう。それですでに昭和五十八年までに預入したものにつきましても、それは払い戻しの際にきちっと本人確認を行う。それで限度オーバーのものとか架空のものとか、そういうものは国税庁に通知をしてもらう、こういうようなことなどで、ともかく最終的にはグリーンカードによって限度管理をやっていただきたいということで、いま話をしておるところでございます。
○柿澤委員 その点については、先般郵政、大蔵両省の間で合意事項が結ばれたというふうに伝えられておりますが、その点についての郵政大臣の御見解を伺いたいと思います。その合意事項の中で、民間金融機関預貯金と郵便貯金との取り扱いの公平を期するためということで、特にその二で、五十九年一月以降の郵便貯金の限度管理につき、グリーンカードによって行うことを大蔵、郵政両省で検討の上早急にその具体的方法を定める、こうなっておりますが、具体的方法を定めるための検討はすでに始まっているのでしょうか。
○山内国務大臣 検討は、現にやっております。 それから、ちょっと御説明をさせていただきますと、グリーンカード制度は郵便貯金にも適用されますので、五十九年から郵便貯金をする場合もグリーンカードが必要になってくるわけでございます。したがって、五十九年以降はグリーンカードによる限度額の管理、これをやるべく、いま大蔵省とせっかく詰めているところでございます。それはどうやってやるかということを詰めているわけでございます。 それから、ちょっと一言触れさせていただきたいと思いますのは、先ほど新聞の御指摘がございましたけれども、郵政省は、郵便貯金につきましては三百万円以上預けたらいけない、これは利子とは関係なしにそういう制度に相なっているわけでございます。したがって、その限度額の管理のために従来いろいろと工夫をしてまいりまして、五十三年から五十八年の六カ年計画によってオンラインによってコンピューターで管理をしていこう、こういうことでさらに的確にやるようにいま進行中でございます。さらに内部監査において厳重に監査を行い、また、さらにはいわゆる外務員、勧誘員でございますね、勧誘員にも厳重に注意をして限度額を守るように、こういうことをやっている次第でございます。
○柿澤委員 そういいますと、グリーンカードについて、グリーンカードを利用、使用しながら限度管理をする、その方法を検討中であるというふうに受け取ってよろしゅうございますね。 それから、その具体的方法はいつまでに詰めようとしているのか、その点もお伺いをいたしたいと思います。(「郵政省は金融機関じゃないんだから、国民の生活を守るんだから」と呼ぶ者あり)
○山内国務大臣 グリーンカードの番号ができますのは五十八年からしかできないのです。したがって、それまではいま申し上げたとおりで厳重に管理をいたしまして、グリーンカード制度後はそれによってやっていく方法を研究しているわけでございます。それはまだ五十九年以降の話でございますから、十分に時間をかけて精巧な方法を研究してまいりたい、こう考えております。
○柿澤委員 精巧な方法をということでございますから、ぜひお願いをいたしたいと思います。 それから、いま、郵便貯金、郵便局は庶民の味方だというお話がありました。まさに全国津々浦浦に店舗を張りめぐらし、庶民に密着をして郵政活動、貯金募集活動をしている郵便局の庶民性というものを、私も否定をするわけではありません。しかし、どうでしょうか総理大臣、総理はこれからの行政改革、政府のあり方を考える場合には、官業と民業の役割りの見直しということが非常に大事なポイントだということを常日ごろからおっしゃっておられます。それはつまり民業でできるものについてはできるだけ官業は民業に譲っていく、そして民間経済の活力を十分に活用していくのが日本経済の発展のために必要だ、国民生活の向上のために必要だというお考えと理解をしているわけでございます。その意味では、現在は、明治時代のように津々浦々に金融機関がなかった時代と違って、相互銀行、信用金庫、信用組合、さらには農協の金融機関まで津々浦々にございます。そういうものを活用していくことがこれからの自由経済としての日本経済の基本方針であって、その意味で、郵便貯金が民業と競合しながら資金を集めていくということについては、この段階で抜本的に見直す必要があるのではないかというふうに私どもは感じておりますが、その点について総理のお考えをお聞きをしたいと思います。 明治の初めにも、まず官営製鉄所を八幡につくり、それが順調にいくようになったときには民間に払い下げました。綿業もその他の事業もすべてそうでございます。現在は、その意味で、三公社五現業も含めて、民間でできるものについてはできる限り民間に任せていくという第二次官業払い下げ時代、そう考えてもいいのではないかと思いますが、その点についての基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 わが国の経済運営に当たりまして、できるだけ民間活力を十分に発揮できるようにしていかなければいけない。先般来の第二次石油ショック後におきましても、この民間活力を最高度に発揮するような体制で日本はこれによりよい対応をしてきたと私は評価をいたしております。今後もそういう方向で進みたい。 ただ、いまの郵便貯金の問題は、先ほど来お話もありますように、非常に庶民の生活に密着をしております。また全国農山村、本当に辺陬の地までございまして、庶民の一つの金融機関的役割りを果たしておる、こういう大事な立場にございます。 私は、問題は、この郵便貯金が三百万円の限度まで課税の対象にならないという恩恵をもし悪用して税を免れるような行為があるようなことになりますと大変なことになる、こう思っております。そういう意味できちっと節度を守り、その指導、管理を十分やりまして、そして郵貯は郵貯としての役割り、使命を果たしていくことを願っておるものでございます。
○柿澤委員 本当の意味でこれからの二十一世紀に向かっての日本の経済のあり方、官と民との関係というものを考えていきますと、そして大平総理以来の簡素な政府というものを実現しようとしますと、その点で民の活力というものを十分に重視をしていく。国有化を性急にやった西欧の先進諸国がどんなに経済の面で苦労しているか、官業というものの非能率の中でどれだけ経済が苦しんでいるか、そういうことを考えますと、その点は基本的な問題だと思いますので、鈴木総理の十分の御検討をお願いを申し上げたいと思います。 その点については、むしろ第二臨時行政調査会で検討すべき問題だというふうに考えますけれども、行政管理庁長官、いかがお考えでしょうか。
○中曽根国務大臣 いまの郵便貯金と銀行その他の関係にとどまらず、一般的に官業と民業の間はどの程度が正しいか、そういう点について、第二臨調ができた場合には恐らく諮問され、あるいは検討資料として提示されるのではないか、そう考えます。
○柿澤委員 時間が限られておりますので、もっといろいろ問題を提起したいのですが、行政改革について一言だけ総理の御所見を伺って、次の問題に移りたいと思います。 行政改革については、公明党、民社党、新自由クラブ、社民連の四党で十項目の合意をいたしまして、政府に申し入れをさせていただきました。これは行政改革を主張する自民党の皆さんにとっても、政府にとっても、応援団だと思っているわけです。それに対して総理は、本会議の私どもの代表質問では、参考にさせていただくというお答えをされたわけですけれども、行管長官、大蔵大臣はそれぞれ、できるものは実施する、こういうふうにおっしゃっていただいておりますので、その内閣を主宰する総理大臣としても、できるだけ十項目を尊重し、実現できるものについては誠心誠意努力をするという形でお答えをいただき、取り組んでいただけないかと思いますが、その点お願いいたしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 行政改革に対します四党合意の案は、私ども、大変りっぱな内容を持ったものである、こういうぐあいに評価もいたしております。これを十項目にわたりまして政府に対し御提言をちょうだいいたしました。官庁事務の許可、認可等の整理の問題でありますとか、あるいは能率化を図るためのいろいろな施策でありますとか、私どもはできるものからこれを逐次実施に移してまいりたい、このように考えております。今後とも御協力を賜りたい、こう思っております。
○柿澤委員 ぜひとも誠心誠意取り組んでいただくことをお願いいたします。 次に医療問題に触れたいと思いましたが、時間がございませんので、住宅、都市問題について関係の大臣に御質問を申し上げたいと思います。 最近、マイホームの夢を願って、住宅ローンを借りて家を建てる、家を取得をした人たちのローン破産といいますか、マイホームの悲劇というものがしばしば伝えられております。最近の新聞を見ましても、九月九日の「天声人語」で「千葉県の新興住宅地で、三十代の夫婦が心中した。」「あとには、二人の女の子と六十平方メートルの家と巨額の借金が残されていた。」これは一体なぜだろうかという問いを発して、政府の住宅政策の無策というものがこうした悲劇を生んでいるのではないかということを書いております。 九月十二日の読売新聞でもその問題に触れて、「それはマイホームの悲しい結末だった。今月六日、千葉県市川市の閑静な住宅街で起きた夫婦心中事件。遺書はなかったが、警察は、住宅ローン返済の重圧が引き金となって、借金苦に前途を悲観した夫が妻を巻きぞえにした無理心中、と断定した。サラリーマン家庭に、毎月十五万円のローン支払い。夢にまで見たマイホームの果ては、一度に両親を失って悲しみに暮れる二人の子供と、青だたみのにおいの消えない新居だけが残った。住宅ローンを借りなければ、マイホームがかなえられない時代。とはいえ、こんな残酷な現実があっていいものか。」中学一年生の長女十二歳、小学校五年生の次女十歳が残されて途方に暮れているという記事がございます。 これは決してこの一例だけではありません。その意味で、これからの政府として一番大事な施策は庶民のマイホームの夢を何とか実現をしていくということではないかと思いますけれども、この点について所管の大臣、国土庁長官でしょうか建設大臣でしょうか、お答えをいただければ幸いでございます。
○原国務大臣 柿澤先生にお答えを申し上げます。 そういう悲劇が方々に起こっておることは私どもよく存じております。何とかしてこの、主として地価の暴騰を防ぎたいと思ってやっておりますが、最近の地価の動向から申しますと、それほど急騰というほどではございませんが、やはりじわじわ上がっております。鈍化はしておりますが上がっております。それから住宅地の需要が根強い三大圏を中心とする今後の地価動向は、なお警戒を要しております。地価がこれほど上昇する原因は効用増によるものがあるが、また宅地の需要供給の不均衡にあります。今後としてはどうしてもこの過密過疎を解消していくという大問題が解決しなければならぬと思っております。 当面はどういうふうにやるか。さしあたっては、この国会にもいわゆる農住組合法という法案を提出して御審議を願うことになっております。ぜひこれを通していただきたい。あるいは国土利用計画法の適確な運用、あるいは宅地供給促進のための財政上、金融上の措置、その他土地の再開発をやる、あるいは土地税制の活用をやる等を考える。その他、ごく最近、一週間ほど前に国土庁と経済企画庁との間で担当官をして地価の抑制の具体策を研究するように指示いたして、いまそれに着手いたしている。なるべく早くその対策を出して御期待に沿いたいと思っております。
○柿澤委員 いま地価は暴騰ではない、じわじわ上がっているとおっしゃいましたけれども、まさに暴騰ではないでしょうか。その暴騰地価に対して国土法の発動を見送ったという政府の姿勢というものが、かなり厳しい批判を浴びております。特に、土地暴騰の一番大きな地域は、資料を見ましても三大都市圏でございます。三大都市圏の住宅地がこの一年間に二八%も上がっている。特に東京都では一八%上がっている。これが暴騰でなくて何かということを問いたいわけでございます。 その意味で、宅地の供給をふやすために農地の宅地並み課税というものが政府の中で検討されておりますが、これも遅々として進まない。東京の二十三区の中にも農地が二千四百十八ヘクタールございます。二十三区でございます。しかもその八六%がほとんどC農地、二千八十六ヘクタール。これは全く奇怪なことですけれども、どうせ評価を上げても固定資産税がふえない、そんな判断もあってC農地になっている場合もありましょう。 そうすると、これも試算といいますか、ほとんど実例でございますが、東京都の二十三区の中、練馬区のある地域において、千平米の土地をとって固定資産税の税額を計算してみました。非住宅の事業用地、商店等では、年間に千平米で七十三万三千円の税金がかかります。住宅では四十万一千円。ところが隣にあるC農地は、年間何と二千四百五十五円しか税金を払っていない。つまり事業用地、住宅用地と、C農地とみなされている部分との土地の値段はほとんど変わらないのに、三百分の一、百六十分の一の税負担しかしていない。ここにも税の不公平の問題、そして不公平感をサラリーマンが持っている、マイホームの夢を描いている方々が持っている一つの原因があるのじゃないでしょうか。 この農地の宅地並み課税の問題、いろいろと利害が錯綜するむずかしい問題ではありますけれども、住宅政策こそ現在の日本の緊急の課題だということを考えて、何とか実現の方向でお考えをいただきたいと思いますが、国土庁長官、お願いいたします。
○原国務大臣 柿澤先生の御意見、私もよく承知をいたしております。非常に必要な緊急を要する問題であることも知っておりますが、いろいろいままでの経過を見ますと、むずかしい問題がたくさんございまして今日に来ております。 その一つは、昭和五十五年、政府の税制調査会でも結論が出ております。それによりますと、五十五年度、五十六年度は税を課さない。さて、五十七年度においてはどうやるか。これは五十五年度と五十六年度の推移を見て前向きに積極的にやるという答申が出ております。これは自由民主党においてもそういう結論が出ておるわけでありますから、この五十五年度と五十六年度において地価がもっと上がるような、下がればまた考えは別ですが、上がるようなことがあれば、ぜひ前向きに積極的に宅地並み課税を実施いたしたい、こう思っております。
○柿澤委員 そうした形で外延的な宅地供給をしていくと同時に、いまの東京の既成市街地の再開発も当面の緊急の課題ではないかと思います。西欧の諸国に比べてわずかに平均で一・八階とかいうようなのっぺらぼうな町では、これは土地の有効利用、高度利用とは言えませんし、また木造の木賃住宅が多い。これを放置しておいて、この間来たような東京直下型の地震がこれから再三襲ったときに果たしてどうなるのかと考えると、数百万の都民の命が失われるかもしれないという事態が発生をするわけでございます。 ちなみに、総理は地震が来ましたらどこへお逃げになるか、避難地を御承知でございますか。
○鈴木内閣総理大臣 私は緊急災害対策本部長として先頭に立って災害対策を進めなければなりませんが、家族は馬事公苑になっておるようでございます。
○柿澤委員 馬事公苑、経堂からですからそんなに遠くない、しかもりっぱないい避難地があるわけですけれども、そうした避難地に恵まれずに、二キロ、三キロ歩いて皇居前広場まで行かないと逃げられない地域も実は東京の中にたくさんあるわけでございます。そういう意味で都市の再開発、特に防災に強い安全な町づくりということで、防災のための避難対策、避難路の不燃化、避難公園の設置、これについては五十四年、五十五年と政府も施策を講じていただいておりますけれども、さらに一層の充実をお願い申し上げたいというふうに考えておりますが、その点についての政府の御方針、そして総理の御決意を伺えれば幸いでございます。
○鈴木内閣総理大臣 東京に直下型の大地震が発生いたしました場合に、規模により、また場所によりまして相当の損害が発生をする、こういうことが心配をされるわけでございます。柿澤さんが東京の下町等から選出をされておるお立場、非常に関心を持っておられることを私は承知をいたしておるところでございます。政府としては、中央防災会議の大都市震災対策要綱というものに基づきまして、いま御指摘の避難の場所、避難の経路あるいは建築物の不燃化対策、そういうようなものを今後強力に進めてまいりたい、こう考えておるわけでありますが、しかし、この問題は非常に市民の皆さんの御協力、またパニックが起こらぬように、そういう冷静な判断も必要でございます。政府はそういう点を配慮しながら震災対策に万全を期してまいりたい、こう思っております。
○柿澤委員 時間が参りましたので、最後に一問だけさせていただいて終わりにいたしたいと思いますが、総理のただいまの誠意ある御発言を何とか実際の施策の中で生かしていただきますように、関係大臣、大蔵大臣にもよくお願いを申し上げておきます。 それから、都市住民にとっては交通網の整備というものが大変重大な関心事でございます。その意味で地下鉄の整備、最近の問題では地下鉄八号線の延伸の問題が地域住民の大関心事になっておりますけれども、これを運輸省、そして営団の関係者が自民党の議員連盟で発表したということで、いままで超党派で地域の住民のためにということで進めてきたのに、そうした地域開発、都市開発の問題を党利党略で扱うということに対する怒りが実は出ております。その点で、決して実行したことを批判をするわけでもありませんし、この内閣の中にも関係の大臣がいらっしゃいますので、あえて責めませんけれども、その場での発言の地下鉄八号線の延仲の問題を運輸大臣から正式に公の場で御答弁をいただければ幸いでございます。
○塩川国務大臣 お答え申し上げます。 仰せの線は、八号線の新富町から亀有の線でございますが、これにつきましては、目下免許申請の準備を急いでおりますが、当方といたしましても、極力早く出すように指導しておるところです。 仰せの議員連盟の話は、十月三日、建設促進のための議員連盟が開催されまして、そこへ当局者が出席いたしたことは事実でございますが、しかし、よくあることでございまして、こういう議員連盟等ございまして説明に行ったのでございますが、その際には、まだ事実の問題とかいうことは言っておらないと私は承知しております。きょうお尋ねがございましたしいたしますので、できるだけ早くこの免許申請をせしめて、そして実現に努力するということを申し上げたいと思います。
○小山委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。 この際、三十分間休憩いたします。 午後一時二十四分休憩 ————◇————— 午後一時五十八分開議
○小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。川俣健二郎君。
○川俣委員 今回の予算委員会というのは、理事会でいろいろと設定して入ったわけですが、ただ、鈴木内閣の発足の国会ですから、単に予算がないから、臨時国会だからという観点で、財政方針の説明もなければ、大蔵大臣の所信表明もない予算委員会なんです。 これはどういうものかということで、日程を設定するときに理事会でいろいろやったんですが、このゼロリストをいきなり見せられると、これは単なる参考資料だ、こうおっしゃるのですが、単にわれわれ野党あるいは国民サイドだけではなくて閣僚の中でも、このゼロリストというのはいかがなものかという、これは当然だと思うのです。教科書の無償配付が変わるとか、あるいは厚生大臣だって、黙ってはいるけれどもかなり言いたいんだと思います。農林大臣だって、来年からいよいよ第二期の再編対策に入るわけだ。そうすると、五十三万五千ヘクタールの減反面積が六十七万ヘクタールに二五%の増反になる。増反になれば奨励金だって増額にならなければいかぬのじゃないかというのが、農民の方から見れば当然なんです。国民生活一切に関係のあるゼロリストを出しておいて、これは単なる参考資料だ、こうおっしゃられても、やはりこれは予算委員会で財政という特別な時間を設けてやるべきではなかったかなと、私はきのうから伺っておるわけです。 そこで、そんなことを言ったって一たん設定した時間帯ですから、いま私の持ち時間の範囲内で関連質問をお許し願ったのですが、まず私から一つだけ、鈴木内閣を代表して宮澤長官に伺いたいのですが、やはりこれは一つのテーゼだと思うのですね。これは単なる当面の財政対策なんというものじゃなくて、来年度の予算編成の鈴木内閣の一つのテーゼじゃないですか。そういうことを考えると、これは参考資料としてわれわれ簡単に片づけていいのかな。大分読ましてもらったのですが、私はおととい配るときからおかしいと思った。参考資料というのは委員部から、委員長から配るべきなんだ。政府委員がのこのこ委員長のところに来て、これ配っていいですかと言うところから始まった。ぼくは見ていた。これは姿勢も含めてその辺一遍伺って、関連質問に入らしてもらいます。
○宮澤国務大臣 ただいま、いわゆるゼロリストは鈴木内閣の政策であるかというお尋ねのように承りましたが、これは予算編成作業上に設けられたいわば一つの仮説であろうと考えております。こういう場合にはこうなるという一つの仮説を設けておるものと考えておりまして、これ自身は何ら政策ではないというふうに理解をいたしております。
○川俣委員 こういう問題をさらに阿部委員から深めますから、関連質問でお許し願います。
○小山委員長 この際、阿部君より関連質疑の申し出があります。川俣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 私は総理の施政演説を承りまして、多くの同僚議員がそうだったと思うのでありますが、私もいたく失望をした一人であります。たとえば重要政策の一つ、これにかかわりました財政再建につきましても、何のために財政再建を必要とするのか、どういう方法でこれを実現しようとするのか、私にはどうもその理念も哲学もうかがえないのであります。私の記憶する限り総理は、日本の戦後史の中で、総理になろうと思っておらないで総理になられたただ一人の方だと私は思います。したがって、当然のことでありまするけれども、一国の宰相としての重任を修業したことのないただ一人の総理だ、こう私は見るわけであります。大変な激動の時代、国民にとっては不安の多いことと申すほかはございません。 そこで私は、施政方針の重点政策の一つであります財政再建にしぼって御質問をいたしたいと思います。専門的なことや技術的な問題は避けまして、理念及び基本的な内容をお伺いしますから、前の亡くなられた大平さんがそうでありましたように、首相から直接お伺いをしたいのであります。 まず、総理は施政方針演説で財政再建の必要性を述べられましたが、なぜ必要なのかという財政再建の理念、目的に触れられておりません。財政再建を口実に増税を行い、軍事費、防衛費の増額を図るのではないかという疑問が国民の中に強く出てくるのも当然であります。一体総理は、どのような理由から財政再建が必要と考えられるのか、国民にわかるように明快なお答えを願いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 わが国の財政が今日重大な危機に立っておりますことは御承知のところでございます。そこで、この財政再建をいたしますことにつきましては、ただ単に財政の帳じりを合わせればいいということではなしに、財政の基盤を確立することによりまして、今後八〇年代の新しい情勢に対応して、内政あるいは外交面における経済協力でありますとか援助でありますとか、そういうような時代の求める施策を展開していかなければならないわけでございます。そういう意味で、私は八〇年代以降の日本の基盤を構築する一つの大事な問題である、このように認識しておるわけでございます。
○阿部(助)委員 その再建のためには、この施政演説では、いままである「現行税制の基本的な枠組みの中で」と、こういう程度でおっしゃっておるのですけれども、これは具体的に現行税制の枠組みの中にするにしても国民に負担を求めざるを得ないのだろう、こう思うのでありまして、その辺、総理が国民の大番頭として、総理としてこれからこの重大な財政再建をやっていこうとするならば、財政演説がないのでありますから、施政演説でそれぐらいのことはもう少し明快に国民に訴える必要があるのではないか、私はこう思うのですが、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、今日、財政再建につきまして具体的に措置してまいりますためには、歳入、歳出両面にわたりまして掘り下げた検討、見直しが必要である、このように考えております。歳出の面におきましても、いままでいろいろな補助金でありますとか交付金でありますとか支出をしておるわけでありますが、もうすでに役目を終わったような補助金等もございます。零細なひもつきの補助金等もたくさんあるわけでございますが、それをメニュー化等の方式も一つの考え方だと思います。地方の自治上、また地方のニーズにこたえて、それが最も効果的に運用されるような補助金として統合、交付されるようなことも必要ではなかろうか、こう思っております。また、その歳出の面でいろいろな角度から、なおこういう厳しい財政事情の中でこういう政策をいまやらなければならないものであるかどうかという吟味も必要だ、私はこう考えております。 そういうこともやりますと同時に、なおそれでも財政再建についての財源がどうしても足らない、こういう場合におきましては、私どもは現行税制の枠組みの中で増収というものを考えていかなければならない。しかし、一般消費税等々のような新税というようなものは、選挙の際にも、私どもはやりません、財政の見直し、それから行政改革、そういうことをやりながら財政の再建を図ってまいります、こういうお約束のもとに進めてきたわけでございますから、そういう観点で取り組んでまいりたいと思っております。
○阿部(助)委員 だから、私がお伺いしておりますのは、前の大平さんの場合には、私は、選挙でこの一般消費税を訴えたというのは一つの見識だと思います。途中でおろされたのでがっかりしたけれども、一つの見識です。だけれども、一般消費税そのものにはわれわれは反対ですよ、ああいうやり方には。しかし、増税という国民がつらい思いをする問題だけれども日本の財政再建のためにはこうだ、こう打ち出された見識そのものには私は一応の敬意を表したいと思う。しかし、あなたは総理になられてから約二カ月間にもなられる。そして財政演説もやらない。しかも財政再建は、これを見れば三つの重大政策として掲げておるにしては、中身は余りにもわかりにくい。ある意味で言えば、大変失礼だけれどもお粗末と言う以外ない。もう少し具体的な、国民になるほどそうかい、それならばある程度の負担もしようがないじゃないかというぐらいのことが出てこなければ、財政再建ができるわけはないじゃないですか。いまの御答弁をお伺いしましても、もうこの施政演説の枠の中から一つも外れない、出てこない。しかし片一方では、先ほど来問題になっておりますように、国民に対しては、大蔵省のあのゼロリストなんというのは、国民に対して出したのじゃないと言うけれども、もう新聞でこう出てくれば大変な脅迫だ、こういう言葉がありましたように、そういう問題が出ておる。こんなぼやっとした姿勢で私は財政再建ができるとは思わないのでありますが、もう一遍総理からお伺いしたい。
○鈴木内閣総理大臣 先ほども明快に申し上げましたように、一般消費税のような新たな増税に頼って財政再建をやろうということは、私どもは、五十六年度予算編成の方針としてとっておりません。いま申し上げたような考えでございますから、その方針に従って財政当局がいま五十六年度予算編成の作業を進めておる、こういうことでございますから、いまどういう段取り、どういうことでこれが進行しておるかということにつきましては、大蔵大臣から説明をいたさせます。
○阿部(助)委員 いまいろいろやっておるのだ、こうおっしゃいますけれども、財政再建というものを打ち出す段階では、ある程度この方針、もう少し国民にわかるような方針が出てしかるべきだと私は思うのであります。皆さんの方はすぐ、何か言えば、税調に諮ってから税金の問題は、とこうおっしゃるけれども、一番大事なのは国会の審議なんだから、国会であなたが施政演説をやられる場合にはもうそれぐらいのものは出てこなければいかぬと私は思うのでありますが、どうも私の感じからまいりますと、何か財政再建、財政再建で、大変だ、大変だ、こう言っておる。オオカミが来るぞ、オオカミが来るぞというようなことを言って、そうして片一方では防衛費のふくらましを意図しておられる。社会保障を切り捨て大衆課税を行う、そういう口実にしておるんではないだろうか。 五十六年度予算の概算要求について見ても私はそういう感じがするのでありますが、皆さんの閣議で了解事項ということになっておるのですか、これは。五十六年度の概算要求について、五十五年七月二十九日閣議了解、この文章の中では、一般行政費の伸びは七・五%、そうしてなお書きで「国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等の昭和五十六年度歳出化に係る経費についても、極力、上記金額の限度内で要求するよう努めるものとするが、これにより難い部分を生じた場合には、一部限度を超えて要求することもやむを得ない」、こういう了解事項があるわけですね。これは御承知ですね。その中で私はお伺いしたいのは、「国際条約の実施に伴い必要とされる」というが、国際条約とは何ですか。
○渡辺国務大臣 安保条約その他の条約がございます。委細については事務局から説明させます。
○松下政府委員 地位協定がございます。それからこれに準ずるものといたしまして、また、政府間の調達契約に基づくところの契約上の債務を含んでございます。
○阿部(助)委員 まあいろいろあるけれども、安保条約ですね。そして既国庫債務負担行為等、これで九・七%までは認める、こういうのですね。そうすると、これは大変な増額になってくる。片一方でゼロリストなんか出して福祉はこうなるぞ、こう言っておる。片一方で防衛関係費だけはこれだけ増額をしていくと言う。これで一体財政再建というのは成り立つのですか。総理、どうなんです。この辺までは総理にお伺いして、あと渡辺さんに聞きますから。
○鈴木内閣総理大臣 ゼロリストとただいまお話がございましたところの予算編成に対する枠組みの問題、このゼロリストの問題は、大蔵当局の一つの試案として、仮説として出した問題でございますから、その関連につきましては大蔵大臣から説明した方が適当であろう、こう思います。
○阿部(助)委員 いや、そのゼロリストの方へウエートを置いては困るんだ。あんなもの、どうでもいいですよ。あんなものは私問題にしていませんから。防衛費をふくらましながら財政再建ができるのか。あなたは財政再建を重要な政策の一つに掲げておられる。赤字公債に頼ってきておる、その財政再建をしようというのでしょう。だけれども一方では、金がない、金がないと言いながら防衛費の方はふくらましていくと言う。これで財政再建ができますか。ここだけ聞いておきます。
○渡辺国務大臣 防衛費をふくらますということを決めたわけでもないのです。要するに、要求について各省が幾ら要求していいかわからぬ、一応目安がなければ。ことしは七・五、去年は一〇%という一応の目安をつくったものですから、その目安の中で要求をしてください、それは要求ですよと。その要求された中でさらに必要の程度、その他いろいろ財政の事情等を勘案をいたしまして、査定はもちろんするわけでございますから、私はできると思うのですね。 じゃ仮に国債を減らさない、いままでどおりに発行する、もっとよけい発行するということになったら、財政再建はなお不可能になるわけです。ですから、国債を減らしながら経費の節減も図りつつ、適当な負担は、求めなければならないものは、それはやむを得ないことなんです。そういうものを全部勘案しながらひとり財政の再建をやっていこうということで、防衛費だけを伸ばすということを言っているわけでも何でもありません。
○阿部(助)委員 そうしますと、どうもあなたの御答弁はおかしいんじゃないですか。一般行政費は七・五%、それで防衛関係は九・七まで認めるのでしょう。もちろん査定はするでしょう。査定をしないなんということは考えられない。査定はするけれども、そこまで認めるんでしょう。アメリカの強い要請もあったとか、新聞ではいろいろと報じておるんだが、じゃ防衛関係費も一般行政費並みに七・五まで抑える、そういう査定をするのですか。そうじゃないでしょう。
○渡辺国務大臣 一般の行政につきましても、七・五まで認めるとは言ってないんですよ。ただ、防御関係は外国との条約があって、それで結局、約束があるという継続費、あるいはすでに行われた国庫債務負担行為、こういうものがあるから、それについては別枠で要求することを認める。やむを得ない。しかし、それらは全体として中身を私は見てないわけですから今度中身を見て、これは不急不要ではないかとか、これはどうしろとかという話は当然出てくるわけです。
○阿部(助)委員 どうも予算が出ておりませんから具体的にどうだと言うわけにはいかぬのですけれども、これから来年度予算をつくる。そうしてその予算は、財政再建という観点から言えば、さらに五十七年度、五十八年度を見通しながら財政再建に向けての予算編成をされるわけでしょう。そのときに、いまおっしゃるような話で、まあこの場だけごまかせばいいというわけにはいかぬでしょう。皆さん大体九・七まで、それ以上出てくるだろうけれども、それを査定して、その辺まではやむを得ないというのが申し合わせじゃないんですか。 さらに私はお伺いしたいのは、いままでの国庫債務負担行為ですか、既国庫債務負担行為等を繰り上げていくわけでしょう。そうしたときに、五十七年度以降の後年度負担というか、そういうものがはるかに大きなものとなって出てくるごとは間違いがないんじゃないですか。その辺は先も見通して予算を編成するのであって、五十六年度だけぷつんと切って考えるわけじゃないでしょう、財政再建という場合。そうすれば後年度負担がさらにまた増大する。五十六年度で九・七までいく。大体それはいきますよ。あなたが幾ら査定してみたって、もっとよけい出てくるんだから、そこまで認めざるを得ないんでしょう。特にアメリカの要請があってそこまでいくんでしょう。その上でそれをやれば、さらに後年度負担が増大することは間違いがないんじゃないですか。それはどうなんです。間違いですか、私の言うのは。
○渡辺国務大臣 どの経費を認めて、どの経費を認めないのか決まってないわけですから、だから防衛の問題につきましても、それは財政上できないものはできないわけですし、ある一定の財源は、多いか少ないかは別として、それはあるわけですね。その中で、どこにどういうような配分をするかということは今後の問題でございますので、その財源の範囲でしか何もできないわけですから、それはどこをふやしてどこを減らしてどうするかということは、これから決めることでございます。
○阿部(助)委員 では、私の言い方を変えてお伺いしましょう。 この了解事項は、一般行政費は七・五以下に抑える、こういうことなんですね。そうすると、防衛関係費も同じように査定をして七・五以内に抑える、こう言明されますか。
○渡辺国務大臣 これは要求を認めただけであって、一般行政費も七・五まで認めるとはだれも言ってないのです。要求をしてきただけであって、だからみんなばらばらで、一〇%、二〇%を要求する役所があったり、三%の役所があったりしては困るから、一応七・五と三・七五という上と下を決めて、その中で要求を認めたというだけのことであります。
○阿部(助)委員 だから、私が心配をするのは、防衛費はだんだん、継続費はあり、国庫債務負担行為はあり、そうして後年度へ引き継ぐ。ある意味では、日本の財政法が初めできたときにはいわゆる単年度主義でしょう。その枠をある程度乗り越えてきておるわけなんです、本当は。この継続費をつくるときだって歴史的な経過がある。当時、池田さんが大蔵大臣でこれを出してきた。それは公共事業は一年限りじゃない、続くからということで出した。そのときわが党の木村穂八郎さんは、必ずこれは軍事費、防衛費に悪用されると言って追及をしたという記録がちゃんとあるのです。そういうものなんです。これは後年度にどんどんふえていくのです。 これはさておいて、あなたは、これからだからわからない、要求までは認めたと言うけれども、それならば、なぜ防衛関係だけが一般行政費よりもよけいの九・七%まで要求を認めるのですか。同じにすればいいじゃないですか。
○渡辺国務大臣 それは先ほどもお話しいたしましたように、外国との条約等に基づいてすでに決められておる部分はなかなか削りづらいという点もあって、要求はやむを得ないということを言っただけです。いつまでたっても論争が絶えなくては困るわけですから。
○阿部(助)委員 そうしますと、外国との約束で出ておる分はどの程度かをわれわれに示してもらいたい。大体新聞報道による以外ありませんから、これによれば、中期業務計画いわゆる中業は、アメリカの方から繰り上げろ、こう言われ、そうして繰り上げるようなお話が出ておるわけであります。この新聞の報道によりますと、それによって後年度負担は大変大きくなっていく。これは新聞ですからね。「防衛庁は二十八日の庁議で、五十六年度防衛関係予算の大蔵省に対する概算要求をまとめた。それによると、七月末の閣議で特別扱いが認められた概算要求わくいっぱいの二兆四千四百六十五億円、対前年度当初予算比伸び率九・七%を要求、「この概算要求が認められれば、中期業務見積もり繰り上げ達成の足がかりをつかめる」(原防衛事務次官)としている。しかも、同時に要求した五十七年度以降に予算支出が必要となる後年度負担は、一兆五千五百八億円余(対前年度比伸び率二三・八%)」こうなっておる。この新聞記事は間違いですか。
○渡辺国務大臣 その新聞記事を突き合わしたわけでもないからよくわかりませんが、事務当局から答弁させます。
○松下政府委員 ただいまの二三・八%と申しますのは、防衛本庁全体の予算に係りますところの後年度負担でございますので、外国関係、いま御説明申し上げましたもの以外の国内関係もすべて含んだ数字でございます。
○阿部(助)委員 だけれども、それは間違いではないのでしょう。どうなんです。
○松下政府委員 国内、国外を通じましての全体の債務負担の額としては間違いじゃございません。
○阿部(助)委員 このように大変な増額になってくるわけであります。私はいま、別枠であるとかないとかいう言葉の解釈を言っておるのじゃなしに、事実として、財政再建を重大政策としておる鈴木内閣においてこれで財政再建が果たしてできるのだろうか、私はそういう財政上の観点でお伺いをしておるわけであります。この九・七%を天井として、それでやっていく、その上に五十七年度以降継続費、国庫債務負担行為、こういうものがさらに大きくなってくる。話によれば、何かそれを前倒しにして、一年繰り上げて完了するというようなお話も報道されておるわけでありますが、そういたしますと、予算の規模というものが、五十七年度以降防衛関係の予算が大変大きくなる、私はこう思っておるのですよ。しかも、この中身がさっぱりわからない。この業務見積もりも私は要求したけれども、防衛庁はお出しにならぬわけであります。これはシビリアンコントロールと皆さんおっしゃるけれども、シビリアンコントロールじゃないじゃないですか。シビリアンコントロールというのは、ただ防衛庁長官がわかるだけでは困る。やはり国会がそれをチェックしなければシビリアンコントロールは成り立たない。ところが、これは新聞の報道だけれども、アメリカの大統領の方から繰り上げ実施をしてくれという話が出ておるとすると、もしこれが本当だとすると、アメリカコントロールではあるけれども、日本のシビリアンコントロールじゃないのじゃないか。 総理、なぜこういうものを国会に、われわれに提示することができないのですか。これは総理の問題だと思います。われわれが予算を審議する、そのための資料をお出しにならないで予算を認めろ、こういうことになるのですか。
○鈴木内閣総理大臣 まだ予算編成作業の過程でございまして、なお防衛計画大綱の範囲内で中期見積もり書というものを目安にして毎年度予算の概算要求をしておる。今年度の概算要求につきましては、先ほど渡辺大臣からお話があったとおりでございますが、これからその概算要求を財政再建等と総合的に勘案して査定をして、最終的に決定をいたします。これはもとより国会の御審議、御承認を得る問題でございまして、国会が最終的にシビリアンコントロールの機能を十分お持ちになっておる、こういうぐあいに承知しております。
○阿部(助)委員 いま予算ができてないとおっしゃるけれども、それは百も承知です。だけれども、政府の方でも検討されるだろうけれども、われわれの方にも勉強の資料は出してもらわなければ困る。なぜ中期業務見積もりが防衛庁は出せないのか。アメリカさんの方には出ておるのじゃないですか。なぜ日本の方に——そんなことをやっておるから、何か防衛庁は、何だ、シビリアンコントロール云々だとか言われる。これではアメリカコントロールじゃないですか。
○大村国務大臣 中期業務見積もり全部につきましては秘扱いとなっておりますので提出を御容赦願いたいと思います。しかしながら、そのあらましにつきましては昨年の七月取り扱いについて文書として提出しておりますし、さらに、ことしの四月補充をして国会に御説明しているところでございます。 なお、日米の当局者の相談の機会に、概算要求の説明の機会等に中期業務見積もりのあらましを説明したことがございますが、これは政府の発表した範囲内でございまして、全部を説明しているということではない、そういうことで御了解願いたいと思うわけであります。
○阿部(助)委員 私がこういう質問をしますのは、防衛費や軍事費というものは、えてしてそういう形になるものであります。私がここでこの質問をするのは、五十六年度予算が戦後日本の財政に一時期を画することになる、こう考えておるからであります。それはこの予算で日米安保条約に基づいてアメリカの圧力に屈して予算編成がなされるのではないか。そうすれば国の重大な主権が、財政自主権が侵されるのではないだろうかという点が一点であります。そうして私たちにその見積もりも出せない。概算と言うけれども、防衛関係や何かの場合、皆さんはある程度説明したと言うけれども、私たちによくわかるようにしてくれなきゃ困る。これは財政民主主義の放棄になるんじゃないだろうかという心配を私はするからであります。そういう点で私は、どうも大蔵省の予算書を見ましても、これは余りにも不親切な予算書ではないか、こう考えます。 皆さん、この予算書をひとつ見てください。これは五十五年度の予算書ですか、二百三十四ページの一五二「武器車両等購入費」と書いてある。その金額は千九百七十億余。それで「所掌の任務の遂行に必要な武器、車両、通信機器、弾薬その他器材の購入」と、この程度なんですね。大蔵大臣、一体これで、この程度のことで予算査定ができるのですか。いや大臣に聞いている。これを見て中身がわかりますか。
○渡辺国務大臣 技術的な話ですから主計局長から答弁させますが、実は付属書類には細かく出ているのです。(阿部(助)委員「出ていませんよ」と呼ぶ)
○松下政府委員 御指摘の武器車両購入費は一項目で計上してございますけれども、防衛庁予算の場合におきまして、武器、車両等の調達は、通常の場合は単年度でできるものはわずかでございまして、後年度負担を伴う債務負担行為になるものでございます。そこで、債務負担行為の内容につきましては、財政法二十八条の参考資料を御提出申し上げておりますが、その中に相当の明細を記載をいたしまして、御審議の参考にいたしている次第でございます。
○阿部(助)委員 相当のと言うけれども、二十八条の十号でしょう。「その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類」となっておるけれども、じゃ、その説明書を大蔵大臣に見せてごらんなさい。これでわかるかどうか。わかるわけないですよ。
○渡辺国務大臣 予算書でございますから、大体兵器の明細がわかる程度のことが書いてあればいいんじゃないか。そういう防衛だけが特別に細かく全部書くということになれば、それは農林でも建設でも、一つのダムをつくるからといったって、非常に細かいところまで書かなければならない。したがって、予算書では、大体兵器の種類はどういうふうなもの、何が何機、何が何機とかというようなことは書いてございます。
○阿部(助)委員 ぼくも大体文教関係やほかのものも見ました。ほかのはある程度見当がつくんです。ところが防衛関係は、その次九十二ページにさらに細かく書いてあるとおっしゃるけれども、債務国庫負担行為が幾らだとか何だとか、こう出ておるけれども、少なくともこれは中身はわかりません。これは一度あなた、見てごらんなさい。これはわからない。だから、その基礎になっておる業務見積もりなら業務見積もりがあるならば、それをやはりわれわれに示して、そうして審議を進めるということが私は当然のことだと思う。これは財政法でも、予算、決算及び会計令、いわゆる皆さんは予決令とこうおっしゃっておる。その十二条を読んでみても、時間がありませんから後段の方だけ読みますが、「必要に応じ、更に、各目の金額を細分し、且つ、これらの計算の基くところを示す」のですよ。示す明細書なんです。こういうものを出さなければいかぬのです、各省は。だから、われわれがこの論議のために、審議のために要求したら、それぐらいのものは当然われわれにも示して、そうしてここで論戦をし、そして可決をしていく、それが財政民主主義だと思うが、どうなんです。
○渡辺国務大臣 法律及び慣例に基づき、極力御協力を申し上げます。
○阿部(助)委員 そういう点で、いままでは予算書がこれで出ておりました。しかし、今度要請をし、またこの財政法の精神からいっても、憲法の財政の項目を見てまいりましても、憲法は九条だけじゃございませんで財政の民主化をうたっておるわけでありまして、そういう憲法の趣旨、八十三条あるいは八十五条、こういうものを皆さん踏まえて予算書を作成しておるのだろう、こう思うのでありますけれども、この趣旨をもう少し生かしていく努力をすべきだ、私はこう思いますが、どうです。 〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
○松下政府委員 予算書の形式につきましては、法令等の規定に基づいて内部でいろいろと審議の上、決定したものでございますが、非常に複雑、膨大な予算の内容を比較的短期間の間にまとめますことと、予算書の編成に当たりましては、経費の統制に便なように、あるいは執行の責任を各省で明らかにするようにということを主眼にいたしますために、現在のような形になっております。 ただ、防衛の関係におきましても、私どももできる限り二十八条の参考書類でございますとかその他の説明書類の充実を図りまして、内容をわかりやすく詳細に御説明するように努めておるところでございます。今後におきましても、この両面からの努力を続けたいと存じます。
○阿部(助)委員 そうしますと、いま松下さんが答弁されたように、これからはもう少しわかるようにここへ出してきますね。
○松下政府委員 全体にかかわる問題でございまして、他省庁の項目等とのバランス等もございますけれども、内容につきまして改善の余地がないか、検討してまいりたいと存じます。
○阿部(助)委員 ほかの省のも、文部省や何かは持ってきておるんですよ。これだとまだ見当がつくんです。しかし防衛庁の関係は、いま言ったように、車両等の購入千九百億みたいな形で出ておるのでは、われわれには一つもわからない。それならばもう少し詳しくするか、そうでなければ、われわれが要求した資料はちゃんと出すべきだと思う。そうでなければ、われわれはここでつんぼさじきで盲判を押す、こういうことになるのです。一つは後年度予算、これが大変大きな額になっている。私の計算でまいりますと、業務計画を一年繰り上げますと、正面装備の伸び率はたしか三八%ぐらいの伸び率になるのじゃないか。これは大変なことであります。しかも皆さんは、総理が財政再建が重大だ重大だと言っておるときに、この防衛関係だけはどんどん伸びていく、これで財政再建ができるのだろうかどうか、私は危ぶむのであります。 もう時間がないから私は終わりますけれども、大体この特例公債を出したとき、大平さんが大蔵大臣で、ここで私があの特例公債の問題を論議したとき、皆さん自体が大体法律違反を犯して野方図に出してきたのですよ。返済計画をつけなければならないという法律を自分たちでちゃんとつくっていながら、返済計画をつけない。十年後には必ず現金で返済しますというだけであって、返済計画をつけたことがない。大体野方図に公債を出し過ぎたところに今日のこの問題がある。ある意味ではサラ金でしょう。この特例公債は現金で返しますとあれだけ決意表明をされたけれども、私は恐らくまた書きかえをせざるを得なくなるのではないかという不安を持っておるわけであります。六十年公債は六十年ですからね。六十年たったときの金の価値というものは一体幾らになるかというのは見当がつきません。八%も物価が上がっていけば、もう半分になるのは、これは十年たたずに半分になるでしょう。そうすると、この六十年公債なんというものは、六十年たったときには百分の一ぐらいになるんじゃないですか。だから、そういう点は、皆さん方は安心しておるかもわからぬけれども、毎年毎年予算の中で十何%も公債費に、利息払いにと払わなければいかぬなんという財政をつくってしまったのです。 この辺で、財政再建をおっしゃるならば、総理も大蔵大臣ももっと国民に理解のできるように、親切な本当の誠意を示すべきだと私は思うのです。ただこんな程度の施政演説の中身であるとか、あるいはまた、ただ脅迫めいたような形の宣伝だけではなしに、まあ漫画というのがはやるから、渡辺大蔵大臣、漫画が好きのようでありますけれども、漫画だけじゃ困るのです。確かに漫画はわかりやすい面があります。おでこの大きいのは大きくすればいいし、目の細いのは細くすれば、なるほどこれかいなとわかるかもわからぬけれども、漫画では困るのでして、やはり国会の審議にたえるような資料を出してもらうということを強く要望して、私の質問を終わります。
○金子(一)委員長代理 これにて川俣君、阿部君の質疑は終了いたしました。 次に、大出俊君。
○大出委員 審議が順調に進行するかどうかわかりませんが、同僚委員の一昨日九日の憲法問題をめぐります法務大臣発言、その後の経過もあったわけでございましょうが、質問が出まして、もう一遍ここで再確認を総理からいただく必要がどうしてもある。 〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 その結果によって改めて物を判断せざるを得なかろうという気がいたします。国民の皆さんも注視している中心的な問題でもございますので、そこで、法務大臣のこの発言をめぐる一昨日の理事会においての結論、これを三時過ぎのこの再開の場所で総理に御確認をいただいたわけであります。読み上げていただいたわけでありますが、それは総理発言ということで、「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。私が所信表明で申し上げたとおり、鈴木内閣として憲法はこれを尊重し、これを擁護するとともに、改正の意思はありません。」これが総理がお読みになった、ここで確認をしたものでございます。 この文章以下、官房長官お読みのもの、法務大臣がお読みのもの、三つになっておりますが、これがまとまる経過は、理事会で各党理事が御出席の上で議論をいろいろ続けまして、問題は二つある。一つは、法務大臣が一連の、この憲法改正等に触れた御発言を続けておいでになっている。野党各党はこれに対して、これはよろしくない、こういうふうに予算委員会ではそれぞれが述べていくわけでございますから、そういう意味でこれが問題の一つである。もう一つは、一昨日の私の質問に関する答弁の中で、昭和二十七年の講和条約発効以前を指しておいでになったと思いますが、これまでは日本に主権がなかったという御発言があった。この二つが実は問題の焦点である。これを文章にして総理以下の皆さんに確認を願う、こういうことで議論をした結果が、この二つの問題を解決をするためにというので最後に満場一致でまとまりましたもの、それがいま私が読み上げ、一昨日総理にそこで読んでいただきました中身なんですね。このことは、私は与党の理事の皆さんを通じて総理に話が十分行っていて、きょうの御発言でもそこを踏まえた前段の御発言がありましたが、おわかりの上で総理はお読みになったものだ、こういうふうに思っているのであります。くどいようでございますけれども、問題の焦点でございますから、二つの問題があって、それを解決をする、そのために議論を続けて、この表現で最終的にその二つを包含をしてまとまった。理事会満場一致でございました。このことを含んで再確認を私、総理に求めたいのでありますが、ひとつ御答弁を賜りたいと存じます。
○鈴木内閣総理大臣 一昨日の理事会での各党の御努力を十分理解しております。 鈴木内閣としては、憲法改正は考えて知りません。各閣僚もこれと同様の考えであります。
○大出委員 理事会でるる長時間議論をいたしましたが、その結果満場一致でこの文章になった、この経過を十分御理解をいただいているという実は御発言でございますから、事私の質問で、まとまったときも私がこの席に着席をさせていただいて、総理、官房長官、法務大臣の御発言をいただいたのでございますから、その原点に返って、それが再確認をされるのであれば、私は、対国民という意味で皆さんの懸案をこの委員会が議論をしていく、そういう意味で進行していきたいと思っておるのでありますが、あわせてひとつ法務大臣にも、いま総理が御確認を再確認いただきましたが、その趣旨について御賛同をいただけるものかどうか、御確認を求めたいと思います。
○奥野国務大臣 理事会のお話を私も、与党の理事からいろいろ伺いました。その限りにおきまして、いま総理の御発言には異存はございません。
○大出委員 この経過は大変長い時間をかけ、三時間余にわたってやったわけでありますから、改めて与党の理事さんから経過は総理にも法務大臣にも伝えられたものだと存じます。 それでは議論を続けさしていただきます。 外務大臣に承りますが、金大中氏の韓国における裁判が続けられているわけでありますが、私は、無実の人がこの裁判の結果によってはとんでもないことになりかねないと危惧をいたしております。そういう意味で、まずもって外務大臣に承りたいのでありますが、二回にわたる政治決着の上で、どうも私には理解のできない判決理由要旨というのを私は手にしたわけでありますが、これは一体どう読めばいいのでございますか、御説明を願いたいのであります。「金大中氏に対する判決理由要旨(第一審)」というのがございますが、これは外務大臣お持ちでございましょうな。御説明願います。
○伊東国務大臣 いまの御質問の判決要旨というのは、これは内容につきましては韓国側による確認も得ている内容でございます。先生もお持ちと思うのでございますが、二番目——一番目は「判決宣告に先立ち判決理由の要旨を説明する。」ということで、二番目が出てくるわけでございますが、「各被告人らに対する犯罪事実は公訴状記載の公訴事実と同じであり、被告人らに対する犯罪事実は被告人らの本法廷での判示事実に符合する各陳述、証人等問請求による証人鄭東年等に対する証人尋問調書、検察官が提出した一件記録と証人パク・ヨンフン、カン・ジョンホ等の各陳述及び押収された民族時報、各種宣言文等証第一号から第一二七号の各々の現存を総合してみれば、これを各々認定することができる故、その証明が十分である。」ということで、いろいろ裁判法廷に出ました証拠でございますとか証人の尋問等を挙げているわけでございます。 そして三番目に「被告らの各判示行為に対する法令の適用は、公訴状記載の各該当法条を適用した。」これは起訴状に書いてある法令の適用を書いておるわけでございます。 最も大切なところは四番目でございまして、「また、被告人金大中に対する反国家団体関連部分については、友邦国との外交関係上の考慮のために十分に検討したところ、被告人が韓民統議長の身分を引続き維持しつつ国内で犯した犯罪事実を検察が訴追していることから、国内法上の証拠に依り本件を判断したことを明らかにする次第である。」というのがこれの判決理由の要旨、先生持っておられるのと同じでございますが、政府としましては、判決文全文をひとつ見せてもらえぬか、それによって判断するからということを向こうの外交部を通して申し入れておるのでございますが、現在までまだこれは来ていないことは確かでございます。今後も出してくれということを向こうに頼むつもりでございますが、これを見ました限りにおいては、私どもは、法の適用というものはこの国家保安法、反国家団体関連部分というここだというふうにこれから推定されるわけでございます。それで国家保安法というのは、御承知のように一条の一号に死刑の該当があるわけでございますので、恐らくこの条文で、これは向こうの国内で行われた行為を証拠にしてあの判決が出たんだろうというふうに解釈をしているというのが政府の解釈でございます。
○大出委員 政府の解釈でございますと外務大臣おっしゃるが、判決文はないわけですね。判決文を入手できないままに軽々にこういうことだろうという結論は出ない。出すことが間違い。 そこで私は、これは外務省の責任を追及したいですね。ここに私が持っております資料は外務省の北東アジア課、まず一つは「金大中氏裁判(判決公判)、五十五年九月十七日、北東アジア課」ということで、「十七日午前十時二十分、在韓日本国大使館よりの報告次の通り。」裁判をやっているときですよ。「午前十時二分から開廷し、冒頭、金大中氏に死刑の判決が言い渡された。法務士より約二分間にわたり、金大中氏に関する判決理由を述べ、その中で内乱罪で十分死刑に値するものであり、国家保安法第一条(死刑の条項)の罪ははっきりしているが、友好国との関係を考慮し、本条を適用しなくとも死刑に値するとの趣旨を言い渡した由。」これが当時配られた。外務省がばっとコピーをして各社、新聞記者の皆さんなんかにも配った。外務省の方が公判廷に二人入っていたのだから。 ここで問題は何かというと、国家保安法第一条、つまり死刑の条項、この「罪ははっきりしているが、友好国との関係を考慮し、本条を適用しなくとも」、しないと言う。しない。それじゃ一体何でやるんだろうかということになって、内乱罪だろうと言う。ところが、さてそれは、ここに起訴状がございますが、適用法令の中には入っているけれども罪名にない。罪名にないものを何で適用できるのだという騒ぎになって、さて、これ、ぽんとまた一つ変わっているんですね。その間にもう一つある。やがて少し時間を置いて、もう一つ外務省から取り消し訂正をしている。「金大中氏裁判(判決公判)(第二報)、五十五年九月十七日、北東アジア課」これは皆さんの文書です。中へ入っている人から入ってきている。 「十七日午前十一時十分、在韓日本大使館の報告次の通り。一、午前十時二分より開廷し、同十時九分閉廷した。冒頭法務士は、判決理由を次の通り述べた。被告等に対する公訴事実のすべてを本裁判部は認める。被告らの犯行は、鄭東年らの被疑者尋問調書及び他の証人らの陳述並びに検察による被疑者尋問調書及び種々の証拠により明らかである。被告らの本法廷での陳述においてもその犯行が認められる。本宣告での該当法条文は公訴状に明示の通りである。金大中被告に対する国家保安法の違反については、友邦国との関係によりこれを不問に付するが、」、いいですか。最初のは本当のわずかな、ぱっぱとこう流してきたやつだけれども、おくれて入ってきたやつはその前後を全部つけ加えて書き直しているんですね。この書き直した中で、金大中氏に対する「国家保安法の違反については、友邦国との関係によりこれを不問に付するが、金被告が韓民統との提携で反国家的活動を行った事実は種々の証拠により明白である。」つまり国家保安法そのものの適用は、これを不問に付す。これが第一報、第二報を通じて、多少の違いがありますけれども、一貫している当時の公判廷の状況なんです。向こうが読み上げている。この限りでは国家保安法の適用はないのです。ない。 この点について、当時の外務省の担当課長さんその他の発言は、須之部大使等を通じてあるいは外務大臣を通じて韓国側に日本の——これは私も、韓国の内政に云々、そんな気は毛頭ありませんよ。そうじゃない。日本から拉致されたことは間違いない。国家主権に対する侵害だということで大騒ぎになって、私も当時質問に立った一人だから申し上げている。外務省から、あるいは須之部大使あるいは大臣等々を通じて、韓国側に金大中氏の生命の安全等について強く要請をした。そのことを韓国の行政府が受け取って司法関係の方にいろいろとお話しになったようである。そこのところが、つまり日本側の努力というものが、友好国との関係において国家保安法は不問に付する、こうなったんだという説明までしている。実は国家保安法を使わなければ死刑にできないのですよ。内乱罪やなんかならば、首謀者でなければならないんだから。そうでしょう。しかもこれは適用法令にはあるけれども罪名には入ってないんだから適用できないですよ。 さあ、さてこれは、ここをつかれたら大変だという騒ぎが出てきた。そこでどうなったかというと、いや、これは判決でなくて要旨なんだと。判決文はこれからつくるんだ、韓国の法廷はそういうものなんだという今度あなた方の説明。それじゃ判決文を速やかに入手しなさい、速やかに入手しますと言って延々今日になった。またまた要旨が一つ出てきて、この要旨は前の要旨と全く違う。じゃ一体この前の二つの要旨とこの要旨とはどこでどういうふうに間違ってこうなったのか、このことをあなた方知らぬとは言わせぬ。そういうふざけたことを納得しろと言ったって、できませんよ。これは皆さんが印刷して配ったんだ。前のいま読み上げた二つは。不問に付されている。これは一体どういう処理をすればいいのか、明確な回答がなければ私は審議ができない。答えてください。これはあなたの方の文書だ。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 第一の、公判廷に入っていた係官がすぐ電話してきたということで速報的なもので出しましたのは、確かに先生おっしゃったように、内乱罪の適用はあったと誤解したということで連絡があったわけでございます。私の方の課で早速それで出したのでございますが、後になりましてどうもそれは違うようだということで、それは実は訂正をしまして、先生がおっしゃったように訂正をしたわけでございます。最後に向こうから要旨が来ましたのが先ほど私が申し上げましたような、内乱罪ということじゃなくて国家保安法ということで、国内でやった行為についてということで言ってきておるわけでございまして、その間に向こうから正式にもらったのはこの要旨ということでございます。 一度目と二度目の関係のことにつきましては、これは私が説明して間違うといけませんから、事務当局から御説明いたします。
○大出委員 私がさっき読み上げたのは、当時、外務省の皆さんが記録をされてコピーをとって流したものですよ。二つある。これは皆さん方が調べたのだ。皆さん方が調べた書き物の中に、明確に国家保安法は適用しないと書いてある。「不問に付す」と書いてあるじゃないですか。だから、UPですかAPですかの記者が入っておられた。流れたのはみんな同じですよ。どこを見たってみんなそう書いてある。しかも韓国の新聞その他にちゃんと載ったものもある。どれを見たって間違ってはいない。ところが、これを不問に付したら死刑にはできない。国家保安法の適用を不問に付したら絶対に死刑にできないのです。内乱罪でといったって、内乱罪は、ここに起訴状があるけれども、別紙の罪名に内乱罪は入っていない。罪名にないものを適用できますか。できないでしょう。そうなれば死刑には断じてならない。だから、いつになったって判決なんか書けっこない。つじつまが合いはしない。国家保安法というものを不問に付したらいかなる判決を書いたって死刑にはできないからだ。そんなことは外務省はわかっているじゃないですか。それをつい最近になって、この予算委員会が始まるからというので、おたくの課長さん、一生懸命向こうで韓国との間をいろいろやったのでしょう。とうとうとれない。北東アジア課長の股野さんですか。伊東さんは雑談の中で、一にかかって股野君の腕を頼っているのだなんて言ったそうだけれども、仄聞をするところによると、同期だから余りいじめぬけれども、そういう状態だったんでしょう。あなた方はわかっているのでしょう。方々で懇談していられますよ、記者の方とも、あなた方は。私だってびんびん耳に入ってきますよ。そうすると、あなた方だって内心はこれは困ったことだ。この改めて出てきたやつは全部変えてきた。向こうは書きようがないのだから。だから、あなた方はぬけぬけとこれを持ち出して——いいですか、韓民統なんですよ、問題は。国家保安法を適用して死刑にするといえば、反国家的政府、亡命政権をつくったということ、これだけしか死刑にする余地がない。韓民統結成で議長になった、亡命政権だとこれをみなして死刑にするしかないのだから。そんなところにいくはずがないことはあなた知っているじゃないですか。知っていて何でこんなものを持ち出して政治決着に抵触しないなんて言いたがるのですか。そういう態度はいけませんよ。大臣、答えてください。これは事務官僚の皆さんの答える筋合いじゃない。
○伊東国務大臣 判決文を送ってほしい、われわれも検討する要があるということを言ったのはわれわれでございます。これは間違いございません。いまでもそういうことを言っておるわけでございます。 それで、それにかわるものとして、向こうはいろいろ軍法会議法七十九条とか言っておりましたが、その要旨が来た。その向こうから来た要旨が、私どもは公式なものと受け取っておるわけでございます。その間の前の過程では、さっき申し上げましたように、公判廷に入っていた職員が電話でかけてきた点に間違いがあったということは、これは私どももおわびしなければならぬことでございますし、すぐに課の方で間違ったといって訂正をクラブへ配ったということでございます。私どもは、向こうの国内の裁判でございますので、私どもがそれを右にしよう、左にしようなんというつもりはございませんので、それを出して、先生ぬけぬけとおっしゃいましたけれども、そういう意思は全然ないのです。それは私どもも金大中氏の身辺については非常に重大関心を持っておるわけでございますので、そういう気持ちじゃなくて、正式にもらったものがいまの要旨ということでございますので、それを見ればいまのような理解以外の理解はできないということで申し述べておるわけでございます。
○大出委員 宮澤さんがそこにおいでになりますが、第二次政治決着のときはたしか宮澤さんがおいでになったのでしたね。ここに写真が入っていますが、時の経過がございますので、私の記憶がどこまで定かかということについて自信がありませんからただすのですが、たしかおたくだったと思うのですが、そうですな。違いますか。ちょっとお答え願えませんか。 そのときのいきさつは、つまり宮澤さんがおいでになって、ここに宮澤さんの写真入りでありますが、簡単に言うと「疑惑晴れぬまま決着」なんて当時の新聞記事もありますが、韓国からの口上書も公表されて、そして言うならば確証が見出せないで容疑を配慮したというのですか、金東雲さんを解職するとかなんとかいうようなことでしょう。これは宮澤さん、あなたがおやりになったのでしたね。そのときの話をちょっと一言していただけませんか、あなただと思うのだが。
○宮澤国務大臣 仰せのとおり、私、外務大臣でございました。
○大出委員 そうすると、宮澤外務大臣のときの第二次政治決着。伊東さん、あなた、外務大臣でこの文書で先ほど来お答えのように、国家保安法第一条一号というのは、つまり反国家的な亡命政権をこしらえた、そこの議長であるというのは、あの条文からすれば確かにやろうとすれば死刑になる。ところが一次、二次と続いてきている政治決着というのは、国外における活動だから問わないということなんです。そうでしょう。 そうすると、韓民統ができるいきさつというのはあなたの方が調べて御存じでしょう。金大中氏が東京に来た、全部おぜん立てができた、その結成をする前に拉致されてしまったわけですよ。そうでしょう。そのときにこちらの方々は、金大中氏におぜん立てをする準備段階で議長就任の約束を取りつけていたわけですよ。ボートか船か知らぬけれども、朝鮮海峡を渡ってしまったわけでしょう。こっちは後で結成したのです。前の約束で議長になった、こういうことでしょう。向こうに行ったらほうり込まれて監禁されっ放しでしょう。そうなると韓民統の活動なんてしようにもできやしないじゃないですか。それをあなたのさっきの説明では、韓民統の活動を韓国に帰ってきてからやっていた、それによって死刑だと言う。そんなこと、外務省を含めて納得できるはずがないでしょう。韓民統をと言うなら日本における活動ですよ。それしかない。にもかかわらず、これで政治決着に抵触せずと伊東外務大臣がお考えになるのだとするならば、これはまさに第三次政治決着だ。宮澤さんに次いであなたがまた似たようなことをするということになる。こんなものは納得できないですよ。あなたは判決文を入手することを含めて、いまどういうふうにお考えになっているのですか。
○伊東国務大臣 判決文の入手はぜひしたいということで、今後も外交ルートを通じてこれは努力します。そういうつもりでございます。 それから、いまの四番目のことでございますが、ここに書いてある要旨の趣旨でございますが、これは韓民統の議長としての身分を維持しながら国内で犯した犯罪事実、こういうことを書いておるわけでございます。でございますので、これは私どもの理解は、日本においての行動じゃなくて、向こうに行ってからの行動だということで理解しているということでございます。
○大出委員 そこで、大臣にひとつ本音を聞きたいのでありますが、あなたは、ここで書いてあることを外務大臣としてこのままお受け取りになって、これはしょうがないのだと考えているのですか。宮澤さんにしてもだれにしても、経過を知っている皆さんならば、さっき二つの文書を読み上げたが、どこから考えても、ここまできて、韓民統議長として韓国に帰って韓国で行った活動、そんなことできっこない。韓民統はこっちにしかないのだから、関係者もこっちにしかいないのだから、そんな者が行くと言ったって入れないのだから。そうでしょう。韓民統に触れるのなら日本の活動ですよ。それをまさかあなたは、実体が全く何もないものをこのとおり受け取るという態度なんですか。これに対して疑問をお持ちになっていないのですか。韓国がよこした、これはこのとおり仕方がないのだと言うなら、第三次政治決着だと言うのです。そんなことを日本の外務省はおやりになるのですか。そこをはっきりしてください。
○伊東国務大臣 私どもとしましては、先ほど言いましたように、よりはっきりするために判決文を何としても見せてもらいたいという努力を最後まで——いまは一審でございますが、二審、三審とあるんでしょうから、最後まで努力をするつもりでございます。いま書いてある要旨は、私ども、あの要旨以上のことを云々する立場にもございませんので、私どもはあの要旨をもらっていま理解をしておるということでございます。
○大出委員 先ほどの答弁とは大分違って、ほかに方法がないから、あの要旨をもらって理解をしているというような大分苦しいところに答弁が来ましたから、別に伊東さんの責任じゃないんだから余りこれを追及する気はありませんけれども、しかし、だれが見ても、この件について経過を知っている人間が見れば、こんなふざけたことで納得できる筋合いじゃない。いいですか。しかも、判決文がないなんてばかなことはないでしょう、少なくとも判決という名がつく限りは。しかも、政治決着に抵触する、しないということも、判決文を入手しない限りは正確には言えないはずだが、いかがですか。
○伊東国務大臣 私ども、政治決着に反してないということを言ったわけでございますが、正式にもらったのは、いまは要旨以外はないわけでございます。ですから、あの要旨を見る限りにおいてはわれわれはそういうふうに理解している、政治決着と違反しないということをいま考えておるということを申し上げたわけでございます。
○大出委員 しかし、本当にそれが抵触するかしないかというのは判決を見なければわからぬでしょう。いかがですか。
○伊東国務大臣 判決があればなお正確にわかると思うのでございますが、判決のないいまの段階でわれわれが見るものはあの要旨だけなんでございます、公式なものは。でございますから、あの公式なものを読めば、これは国内決着に違反しないというのがわれわれの考えでございます。
○大出委員 ずいぶんたくさんの人たちが心配している問題でございまして、判決文入手になお努力するとおっしゃるのだから、それはぜひお進めを願わねばならぬ。私も当時質問に立った一人といたしまして、これはひとつ外務大臣に最大限の努力をしていただかなければいかぬ、こう思うのですが、御努力願えますか。
○伊東国務大臣 お答えします。 われわれとしましては、できるだけの努力をいたすつもりでございます。
○大出委員 あわせてこの際ちょっと承っておきたいのでありますが、韓国外務省の金太智アジア局長さんが、六日でございましたか、ソウルの日本大使館の村岡公使に対して、日本政府が韓民統メンバーに再入国を許可しないようにという要請をしていますが、これはどういうふうに受け取っておいでになりますかね。大臣、いかがでございますか。
○伊東国務大臣 お答えします。 そういう話があったことも連絡がございました。われわれとしましては、この問題は慎重に考えていく必要があると思っております。まだわれわれのところまで国内的な問題として相談には来ておりませんが、この問題につきましては慎重に検討をするという態度でいまおるわけでございます。
○大出委員 これは韓民統のリーダー諸君が十五日ごろに出発をして、七十一万人の署名を携えて国連に参りまして、折から開かれる国連に対して金大中氏の助命を訴えたいという考え方なんですね。私はこれはぜひやっていただきたい。われわれは、金大中さんはまさに殺されるという認識なんですから。そう考えているのですが、韓国大使館から、韓民統メンバーが反国家的活動をしているんだというようなことで、表街道から外務省に再入国の許可をするな、こう言ってきた。そうですが、しませんと言うのなら、日本は一体どっちを向いているんだということになる。日本の主権というのは一体どうなんだということになる。韓国が言ったら、それじゃ認めないのか。それこそえらいことになると私は思うのですよ。 これはひとつ念を押しておきたいのでありますが、今日まで先例がございますね。この方々は外国へおいでになっています。そこらを含めてどういうふうにお考えかを、大臣からでも事務当局の方からでも結構でございますが、この際ちょっと触れておいていただきたい。
○伊東国務大臣 過去のことは、あるいは事務当局が知っているかもしれませんから事務当局からお答え申し上げますが、私どもは、金大中氏というのは拉致事件があっただけに身辺について重大な関心を持っている、あるいは憂慮を持っていると言った方がいいかもしれませんが、そういう考えでおるわけでございまして、それをどういうふうに伝えるのが一番いいのかなということで、具体的には申し上げませんが、いろいろのルートで向こうへ伝えるということも実はやっているわけでございます。でございますので、いまの問題をどう取り扱うかというのは、これはまさに日本が主体的に考えることでございますから、出てきますれば、これは目的達成に合うか合わぬか、どうしたらいいかというようなことを含めて、慎重に考えたいと思います。
○大出委員 これは赤十字あるいは入管あるいは外国公館の証明、いろいろな方法で今日まで再入国の許可を認めて外国へ行ってきておられる。先例があるはずでありますが、事務当局の方で結構だが、挙げてみていただけませんか。
○木内政府委員 ただいま大出委員御指摘のとおり、韓民統の連中が出国いたしまして、再入国を認めて出国した例もございますし、再入国を認めなかった例もございます。
○大出委員 局長、どうも韓民統の連中がと頭から言われると、これは議事録に残りますから、ちょっと局長、公に言う言葉としては、韓民統の連中がなんて敵のようなことをあなたおっしゃるが、これは訂正なさいませんか。
○木内政府委員 韓民統の方々ということに訂正いたします。
○大出委員 韓民統の代表の方が三人、在日ノルウェー大使館発給の身分証明書をもらって再入国許可を得たという先例がございます。六月、ノルウェーのオスロで開かれている社会主義インター準備会に出席をしておられますね。これは伊東さん、一つの先例でございます。それから在日韓国人政治犯、まあ僑胞なんという字がここに書いてありますが、その会のメンバーの方々が一月と六月に日本赤十字発行の身分証明書でアメリカ、オーストリアにそれぞれ出国をしていますね。これは政治犯の助命の嘆願ということです。だから、再入国を認めているわけでしょう。それからなお、北朝鮮国籍の在日朝鮮人の皆さんが相当たくさんの数、入管局長証明等で海外へ出ておられる。方々行っておられますが、人権にもかかわりますからこういう便宜をそれぞれ与えてきているという歴史があるわけであります。大臣、ひとつ十分ここを御検討いただいて、前向きで物事を処理を願いたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○伊東国務大臣 お答えします。 いろいろな過去の例を挙げられましたが、いろいろ目的がそれぞれ違っている問題もあると思いますので、さっき言いましたようになかなかこの問題はデリケートな問題もございますので、前とか後とか横とかいうのじゃなくて、これは真剣に、慎重に検討してみます。
○大出委員 前とか後とか横とかというのじゃなくて真剣に検討すると言うのですが、真剣に検討するというところをいただいておきましょう。御検討願います。 そこで、時間もなくなりまして、実は防衛問題を少し詰めたい意欲をいつも持ちながら時間がなくなるのですが、ここでひとつ会計検査院の皆さんにお出かけをいただいておりますので、まず、二つ一緒にお述べいただきたいのでありますが、一つはサン・マリンという企業、これはサン・マリン・プロダクト、本店が宝塚市にございますが、北尾さんという社長さんのようであります。ここに海外漁業協力財団、これは政府系財団ですが、政府資金を貸し付けた。相当な額であります。目的外使用の疑いが非常に濃いと実は私は思っておるのです。四億二千万もの金を貸し付けたわけでありますけれども、実際には実体がない。大洋漁業の関係企業であるタイヨウ・アメリカとの関係における借金、二億からの借金その他の返済に使われていたり、しかもこれは貸し付けに当たって、私の調べた限りでは、後から時間のある機会を見て明らかにしたい数々の問題がございますけれども、五十年の一月に、この社長の北尾氏という方の計画で、メキシコに漁業協力使節団というのが行っています。これは新聞その他の記事によりますと、自民党の漁業関係の、漁業問題に関する有力な大物政治家——漁業関係といいますと一番大物は鈴木総理だと思うのです。その自民党さんの大物代議士の方、それに荒勝理事長、前の水産庁長官でございますが、この方が海外漁業協力財団の理事長をやっておられて、この代議士のお供をされたかどっちがお供をしたのか知りませんけれども、わざわざ出かけた。したがって、これは非常な漁業融資不正事件である。現地法人ということになりますからなかなか調べるのは大変だと思いますけれども、ようやく検査院もみこしをしげたやに——それがあるから、実はきょうはちょっと聞いておきたいと思ったわけであります。本筋は改めて申し上げますけれども、検査院の側で今日まで考えておられるこの問題についての所見をいただきたいのであります。海外協力財団からとりあえず事情聴取その他をなさるようであります。 それからもう一つ。防衛庁関係で、これはトップメーカーの一つでございますけれども神鋼、これは電機メーカーでありますが、ここが相当な金を水増し請求をしていた。神鋼電機ですね。工場は伊勢でございますけれども、この二つについて、片っ方はお調べ済みのようでありますから、そこも含めまして、検査院の皆さん、ちょっとそこで御報告をいただきたいのであります。
○高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。 この海外漁業協力財団の関係につきましては、私ども、四十九年以来実は検査指定をいたしまして、検査を実施いたしておりますが、実際の検査に当たりましては書面検査になっております。そしてその中身も検査しているわけでございますが、問題の点につきましては、融資先と現地法人との貸付契約書とかあるいは現地法人と工事請負業者との契約書、それから工事請負業者の領収証などによって書面で見ておった、こういった状況にございまして、問題の点につきましては、実は私ども把握できなかった、こういった状況にございます。したがいまして、この問題が起きましてから現在、財団並びに水産庁に対しましていろいろ報告を求めている、こういう段階でございまして、まだその中身について申し上げるような段階には至っておりません。 以上でございます。
○大出委員 もう一つの方は。
○丹下会計検査院説明員 お答えいたします。 今年の防衛庁の会計検査におきまして、防衛庁が神鋼電機株式会社と契約した航空機に搭載する電装品の修理につきまして、神鋼電機会社が下請会社から作業員を引き入れて分解、洗浄等の一部の作業を行わせていながら、社内工が修理作業の全部を行ったとして書類を作成して防衛庁に修理代金の請求を行いまして、防衛庁では請求どおりその代金を支払っているという事実がございました。この件につきましては、ことしの二月に工場の方に本院の職員が行きまして、仕掛かり品台帳とかあるいは納入伝票などの記録に基づきまして一応事態を確認しております。ただ、具体的な詳細につきましては、現在審議検討中でございますので御説明いたしかねますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
○大出委員 これは両方ともまだ一生懸命検査院はやっておられる。私も実は両方とも調べている途中なんですが、どうも表街道から見ただけでは事は済まない気がいたしますので、問題提起をしておいて、改めてひとつ資料を差し上げて詰めたい、こう思っているのです。時あたかも、どうも防衛庁の契約の仕方を変える、二十年来やっております方法を、オイルショックその他で関連企業の利益が五%割るところも出てきている、だからなどということを最近しきりに耳にする。いまの水増し請求が、知らずに払ったのか知っていて払ったのか、それは知りませんけれども、疑わしい面もあると言えばある。したがいまして、とりあえずこういうことがあるということを指摘しておいて、きょうは時間がありませんから、中身を細かくまたひとつ後から承ろうと思います。検査院の皆さん、どうもありがとうございました。時間がありませんので先に進めます。 次に、仲裁裁定をめぐりまして、三公五現の中で国鉄、郵政二つが残っているわけでありまして、事給料でございますから生活にかかわります。倒産会社であっても、給料というのはある意味で優先権があるわけでありまして、生活にかかわるからであります。どうもいつまでも払えないままでずるずるというのは感心をしない、私はこう思っております。 藤尾さん、細かい中身まで御存じかどうか知りませんけれども、三公五現はずっといままで一緒にきているわけでありますから、やれ承認案件、やれ議決案件という議論もきのうきょう始まった議論じゃありません。今回も藤尾さんのところの法規課長さんと大分長いやりとりをしたこともありますけれども、細かい中身は避けますが、何とかこれは一刻も早い解決を図りたいものだという気がするのでありますけれども、御尽力を願えますか、いかがでございましょう。
○藤尾国務大臣 お答えをいたします。 御案内のとおりでございまして、三公社五現業の方々の労働基本権といいますものを制約をいたしておるわけであります。その制約の見返りとして仲裁裁定といいますものを守りますということで、三十二年以来ずっと完全実施をさしてきていただいておる、こういう経緯がございます。 今回の場合は、たまたまこのうちの国鉄の問題と郵政の問題につきまして、別個政策的な考慮から、これを議決案件にさしていただきたいということを閣議で決定をされたわけでございまして、私どもの立場から言えば、その政策案件の解決は解決といたしまして、仲裁裁定といいますものは三十二年以来完全実施をしてきておるわけでございますから、本年も、またこれから先も、ひとつぜひとも完全実施をしていただきたいということを閣内で申し上げておる、こういう立場でございます。
○大出委員 あわせて運輸大臣、郵政大臣に承りたいのでありますが、私の年来の主張は、給料、賃金なんだから、いまいみじくも労働大臣藤尾さんおっしゃっておられましたが、いみじくもこれは賃金。だから、それならば払うものは払う、ほかの三公五現の労働者に払っているんですから。国鉄、郵政だけ同じ状況、同じ雇用関係にあるのに放任はできないのだから、しょせん払わざるを得ないのだから、払うものは払う。そして、さて企業努力なり何なりをしなければならぬという面は協力を求めるという態度を割り切ってとっていかなければ、労使関係は逆にうまくいかない。これが実は私の長らく経験もあり、議論をしてきた立場なんです。 そういう意味で、国鉄の皆さんだって、五五・一〇と申しまして、五十五年の十月一日のダイヤ改正、大変大きな労働条件の変更もございますから、もめるはずでありますけれども、それなりの協力をお互いがし合ってまとまってきている姿を見ていますが、その協力を求めたのは国鉄、公社の総裁の側なんでございますから、そういう意味で、運輸大臣、ひとつ速やかにこれも解決の努力をすべきだと思うのでありますが、お答えをいただきたいのであります。
○塩川国務大臣 お答えいたします。 御承知のように、仲裁裁定は大平内閣のときに国会の議決案件といたされまして、鈴木内閣になりまして前内閣の方針をあの場合応急的に踏襲するということで議決案件になっております。 つきましては、私たちは一刻も早く議決案件が国会で処理されますように、私たちも努力してまいることは当然でございますが、ぜひ国会においてもお願いいたしたいと思うております。 お話にございました五五・一〇のダイヤ改正は、これはいわばいままでのダイヤを削減するということでございまして、国鉄といたしましては新しい合理化へ一歩踏み出していくことが顕著な徴候として出てまいりました。なお、われわれは、この国鉄の再建問題に懸命に取り組んでまいりまして、その実績を上げてきて、それがためにも労使お互いが協調でき得るように、できるだけ早く仲裁裁定を議決賜りたい、こう思っております。
○大出委員 郵政大臣にひとつあわせて承りたいのでありますが、最近の労使関係は徐々に変わってきているように私も見受けております。いま五五・一〇の話が出ましたが、五十五年十月一日のダイヤ改正、郵政なんかも実はこれに関係がある。東門下り一という、東京から門司に抜けていく列車便の一番最後に郵便車がくっついていまして、ダイヤ改正に当たりましては、陸送便を含めて非常に大きな問題をこれもやはりかぶるわけでありますが、それなりの努力をお互いがし合って、解決に向けて進めている。 これは一例でありますが、そういう意味で、やっぱり新しい労使関係をつくっていく、その前にあるいまの賃金でございますから、そういう意味で、ぜひひとつこれはさっきから申し上げておりますように、払うべき賃金は払う、そして企業努力に求める協力は求めるというふうにすべきだというのが私の前からの持論なんでありますが、郵政大臣からもひとつお答えをいただきたいのであります。
○山内国務大臣 私といたしましても、仲裁裁定はできるだけ早く実施をしたい、こういう気持ちには変わりございません。ただ、財源等の問題もございますし、配分交渉にも相当時間がかかります。したがって、いま配分交渉を鋭意進めさせている段階でございます。 そしてなお、予算的には郵便法で値上げの御審議を願っておりますし、これの裁定の議決案件もこれから御審議を願うわけでございますから、それらをあわせまして一日も早く実施をしたい、こう考えているわけでございます。
○大出委員 だから、私がさっきから申し上げているように、どうせ払うのだから、払うものは賃金なんだから、倒産会社だって優先するのだから、払うものは払う、こう基本的に考えなきゃならぬ。その上で協力を求めるところがあれば求める、そういうことでないと、ひっかけて物を考えるとなると、なかなか物事はうまくいかない。したがいまして、もう何遍も申しましたが、最初に労働大臣に前向きの御答弁をいただきましたが、どうかその趣旨に従って良好な労使関係をつくることも含めまして、ひとつ御努力をいただきたいとお願いをいたしておく次第でございます。 それからもう一つ。どうも経済見通しの面からすると、消費者物価六・四%ということになっているわけでありますが、最近の状況をながめていてなかなかどうも簡単でない。どんどん物価が上がってくる。したがいまして、政府に対して、労働組合のナショナルセンターの皆さんが四団体お集まりの土で、物価調整減税を速やかにやれというふうなことを含めた申し入れをしておられるはずであります。 確かに消費者物価をながめてみますと、もう時間がありませんから簡単に申し上げますが、本年度に入りまして四月以降全国で八・四、八・二、八・四、七・七。七月がちょっと下がった程度で、八月がまた八・七、ずっとこういうことであります。三月は八、二月が八、こうなんです。これは全国で申し上げたわけでありますが、東京都は九月まで出ていますが、東京都の九月は八・九なんですね。だから、いまのまま素直に考えても、六・四におさまりそうもない。企画庁の物価政策課の皆さんとも話してみました。話してみたところが、一生懸命これを六・四におさめるように努力する、しかし大変に厳しいと、ふうふう言っておられる。 この件について、まずもって企画庁長官、大体私は、どうも何らかここで手を打たなければ、物価はちょっと、見通しにあるようなおさまり方をしない、こういう気がするのでありますが、いかがでございますか。
○河本国務大臣 ことしの四月以降九月までの消費者物価の上昇の数字は、先ほどお述べになったとおりでございます。したがいまして、五十五年度六・四という政府目標を達成するためには、下半期平均四・六%にしなければなりません。これはやはりなかなかの工夫と努力が必要でございますが、幸いに生鮮食料品の方はやや低落の傾向にございますので、さらに引き続きまして、先月五日に決めました六項目を強力に推進をするということを中心に物価対策を進めてまいりたい、六・四%という目標を達成するために全力を尽くしたい、こう思っております。
○大出委員 つまり、ことしの春闘は八%春闘でございまして、六・四と政府が立てておられる目標、これを頭に置いてずいぶん組合幹部が苦労して進めたわけであります。それだけに、私はおさまるものならばおさめたい。だが、おさまりそうもないというところに物価調整減税の話が出てくる。 それで、つい最近の九月三十日付のエコノミストなんか見ますと、エコノミストをいきなりあけたしょてっぺんの「展望」を見ますと、「所得税減税の必要」というのがずばり出てきます。大蔵省しきりに逃げておりますが、これはエコノミストの九月三十日の一枚あけたところにある「展望」に詳しく書いてある中身なんでありますが、どっちから言っても同じことなんですが、たとえば総理府の統計その他見ましても、昨年一年間、もうほとんど決まっておりますが、出ておりますが、税引き前の所得で平均大体七%ぐらいふえている。ところが所得税の方を見ると、一八・六ぐらいにふえている。なぜか。二百一万五千円の課税最低限はこ三二年ばかり据え置きになっている。やはりここいらにどうしても目減りするという問題がある。抜けないわけでありまして、この「展望」にはもっと細かく、資料をここに全部持っておりますが、そろえてありますけれども、多角的に論じています。一つをいま私が例に引いたわけであります。 鈴木総理が四団体の方々に会われて、安倍政調会長が同席をされた。必ずしもしょてっぺんから、いやそんなことは、こういうことではなくて、ひとつ検討課題として検討してみたいということを安倍さんも言っておられたというのでありますが、これは八%春闘をやった、物価が上がる、六・四におさまらぬ、おさまらぬときに、という指導者諸君の非常につらいところもあるわけでありますから、そこらも含めて、この問題について総理の答弁をちょっといただきたいのですが、いかがでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 労働四団体の幹部の諸君が、私が総理に就任いたしまして間もなく、表敬のためにお見えになりました。私も親しくお目にかかりまして、いろいろ御意見を伺ったわけでございます。大変参考になりました。特に経済運営、物価の問題等に対しましては、四団体の幹部の皆さんも非常に強く要請をされておったわけでございます。 私は、先般閣議におきまして経済対策を決定をいたします際に、特に閣僚諸君にお願いしまして、労使のよきこの協調の関係というものは今後の経済運営の上から非常に大事だ、それにはやはり消費者物価に内閣としては最善を尽くして、賃金の目減りというようなことがないようにしようではないか、全力を挙げてほしい、こういうことを特に要請をいたしたわけでありますが、今後も、政策の提言等を十分踏まえまして研究いたしまして、努力してまいりたい、こう思っています。
○大出委員 総理は、私が全逓の組合の書記長時代に郵政大臣で、総理が大臣になった初めてでございましたが、なかなかむずかしい労使関係をあのときまとめた相手方でございまして、おわかりいただいていると思うのでありますが、ぜひひとつ、いまお話がございましたが、その方向をもうちょっと深めていただいて、この問題の話し合いをまたひとつお続け願いたい、こうお願いをいたしておきたいのであります。 あわせて河本さんに御答弁をいただきましたが、四党協議の物価対策の千四百十四億の修正部分の五百億の問題でありますが、野菜の出荷奨励など、あるいは作付を決める、いずれも早目に手を打たなければできないわけであります。だから、いまから手当てをしなければ春野菜に間に合わないわけであります。一−三間どの辺におさめるといって努力をなさるのはいいけれども、打つべき手は早く打たなければならぬことになる。あるいは中近東のいろいろな問題で、どうも油の問題、灯油一つをつかまえましても、監視員をもう少しふやすというならふやすように、やはり早く手を打たなければならぬわけであります。あるいは物価モニターをどう使うかという問題等を含めましても、これもやはり早目に打たなければ間に合いません。企画庁、農林省、通産省それぞれにいろいろな事情を抱えておいででございましょうから、そういう意味でなるべく早く、この間から議論がございますが、手を打っていただきたい、そう思うのでございますが、企画庁長官、いかがでございますか。
○河本国務大臣 消費者物価の状況はきわめて憂慮すべき状況でございますから、さらにできるだけ大規模に積極的な手を打つことは必要かと思います。それにつきましては、予算修正に際しまして五百億円の物価対策費を使うということはもう大変結構な決定だと思いますけれども、これを進めますためにはやはり四党間でもう少し詰めていただく必要があるのではないか、こう思います。幸いに政策担当者の間で話をするということでございますから大変結構だと思いますが、それがもう少し詰まりませんことにはゴーのサインが出ませんので、私どもも具体的な対策を立てにくい、こういうことでございます。
○大出委員 あと二つだけ簡単に承りたいのであります。 一つは通産大臣にイランの石化問題につきまして、実は保険なんですけれども、どうも工事中断分等をめぐっていろいろな話が出ておりますけれども、それのみならず、通産省としては一体どの程度の保険を——投資保険ですね、これは本当を言うと財源は六百億ぐらいしかないんだと言うのです。ところが、どうも海外投資保険の適用を本気でやるとすれば千八百億から二千億ぐらいかかるんじゃないか、こう言う。その金を一体どこから持ってくるのだということになるのですね。初め三井なら三井という民間で始めて、途中でぐあいが悪いからというのでプロジェクト格上げで政府に責任を持ってくれと、こう言う。今度はこういうイラク・イラン紛争になった、中断期間だ何だ、被害をこうむった、こうなると今度は全額保険で負担をしろ、まかり間違っても企業は損をしない。私はどうも虫がよ過ぎるという考え方がしてしようがないのだけれども、ここのところは大臣、どういうふうに考えればいいんでしょうか。
○田中(六)国務大臣 お答えいたします。 このIJPCのプロジェクトの問題は、御承知のようにイラン・イラクの戦争があっておりまして、二回ほど爆撃を受けて被害をこうむっておるというようなこと、それから従業員がたくさんおりまして、これがテヘランへいま避難中でございまして、一陣、二陣、三陣と分かれております。そういうようなことでいろいろなうわさが飛びまして、これは放棄するのじゃあるまいか、やめるのじゃないかというようなことがございますけれども、いまのところ、関係者の報告を聞きますと、私ども、これがいまストップするというような判断には立ってないわけでございます。 したがって、御指摘の保険の問題でございますけれども、これは民間の保険会社との契約とは違いまして、物の損害に対する保険ではございません。事業そのものがストップするかどうかということに対する保険でございまして、したがって、先ほど申しましたように、ストップするというような判断に立っておりませんので、いま早急に保険の支払いとかどうということは起こらないわけでございますけれども、これは私どもも、相手国のこともあるし、それから私的な会社の信用というようなこともございまして、その金額については、過去も、それから現在も将来も公表を避けておりますし、そういうことを十分御了承していただきたいというふうに考えます。
○大出委員 当面、深追いをしないことにしておきましょう。 終わりでございますが、最後に、人事院勧告を盛り込んだ給与法、この中に、さきの予算委員会で私が、亡くなりましたが大平さんに質問をした例の件、週休二日制、これが入って出てくるやもしれぬと思いますけれども、これだけ出さぬというのは一体どういうわけなんですか。何か意図があるんですか。人事院勧告は賃金の引き上げと週休二日とあるんですが、鈴木総理は御就任以来今日まで一貫して週休二日できたというんですね。ずっと週休二日で、総理が週休二日を破るのかなんて、ずいぶん虫がいいんだよ。総理が週休二日をずっと通していつまで続くかなんて言っている世の中で、公務員の週休二日はだめだなんてことはよも言わぬでしょうな。総理、いかがでございますか、週休二日をやってみた御感想は。
○中山国務大臣 お答え申し上げます。 公務員の四週半休交代制、この問題につきましては、すでに実施の方向で私ども検討いたしております。御案内のように、半休にいたしましても給与のカットをしないということでございますので、これはやはり給与法の一部改正が必要になってまいろうかと考えております。御指摘の人事院勧告につきましても給与法の改定が必要でございますので、同じ給与法でございますので、この問題二つをあわせて国会で御審議を願いたいと鋭意ただいま進めておる最中でございます。御理解をお願いいたします。
○大出委員 もう一つだけ。長官、給与法改正の中に賃金の引き上げ勧告の分と週休二日の分と、これも本来勧告ですから、両方を入れて給与法改正を出してくる。ただ、いつになっても出てきませんが、これはいつ出すのですか。
○中山国務大臣 御案内のように、八月八日に今年公務員給与に関する人事院勧告四・六一%が政府に対して行われました。政府におきましては、早速同日給与関係閣僚会議を開催いたしました。勧告によりますと、必要な財源が約二千八百四十億ぐらいになります。そうなりますと、千六百四十億ばかりの新しい財源が必要になってまいります。御案内のように、大蔵大臣しばしば答弁申し上げておりますが、財政事情大変苦しい中で、いかにしてこの勧告を完全実施するか、こういうことで、その日は結論が出ませずに、九月十九日に官房長官と大蔵大臣、さらに労働大臣、私、自治大臣と集まりまして、完全実施に対する政府の方針を協議いたしましたが、その段階でも、まだいわゆる勧告どおり実施する決断ができませんで、ただいま鋭意大蔵当局と詰めておる最中でございます。 御指摘のように、公務員に綱紀の粛正を政府が主張する以上は、公務員の生活を安定させるということが公務員の方々に必要なことでございますので、総務長官といたしましても、完全実施ができますように、ただいま鋭意努力をいたしておるというふうに御理解を賜りたいと思います。
○大出委員 はい、わかりました。 終わります。
○小山委員長 この際、稲葉君より関連質疑の申し出があります。大出君の持ち時間の範囲内で、これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉委員 始まりのときに法務大臣にお聞きをしたいのですが、総理が読み上げられたことについてあなたがまた答弁されたのですが、ちょっとよく聞き取れなかったものですから結局もう一度お聞きいたしますけれども、総理の発言に対して結局どのようにお考えなのでしょうか。
○奥野国務大臣 総理の御発言に異議ございません。
○稲葉委員 いまの答えにも、率直に言ってまだいろいろ私も聞きたいことがありますけれども、理事会の決定だということですから、いまの問題はこれ以上ここでは追及しないことにいたします。異議ありませんという言葉も何か変な言い方ですが……。 そこで話を変えまして、内政の問題で、これは厚生大臣——では順序を変えましょう。 では、ついでですから法務大臣にお尋ねしたいのは、あなたは新宿のバス事件に関連をして保安処分のことを言われましたね。ところが、新宿のバス事件と保安処分とは一体どういう関係があるのでしょうかね。いかにもあれはこういうふうに聞こえるのですよ。あの犯人がいましたね、あの犯人を保安処分にしておけば事件は起きなかったのだというふうに聞こえるわけです。ところが、あの犯人は、前に事件を起こしてあるいは裁判を受けたとか、あるいは検事のところで心神喪失か何かで、あるいは精神分裂なんかで不起訴になったとか、そういうことがない人ですから、あの人を保安処分にすることはできないのじゃないですか。いかにもあなたはそこを結びつけて話されますから、ちょっとおかしいと思うのですね。
○奥野国務大臣 あの事件も精神障害の疑いがある方が起こされた事件でございます。したがいまして、あの方の裁判の結果精神障害者だということになりますと、現行法では不起訴等の措置がとられることになるわけでございます。保安処分、まあ言葉は別にいたしまして、刑法改正草案の中に盛られているような方向でありますと、裁判の場合に、再犯のおそれがあるかどうか、再犯のおそれがある場合にはやはり社会から隔離して治療に当たるということになるわけでございますので、あの事件に関する犯人の措置につきましては、保安処分があるかないかで大きく変わってくる、こういうことでございますので、あの機会をとらえまして、たなざらしになっている刑法改正草案について日本弁護士会等との間で話し合いを持ちたい、そのために、閣議で御了解を得て日本弁護士会との話し合いを始めさせていただいたということでございます。
○稲葉委員 いや、あの犯人をいきなり保安処分にすることはできないわけでしょう。だから、いかにもあなたのお話は、いきなり保安処分にしてしまえば、してあれば、ああいう事件は起きなかったじゃないかというふうに聞こえるわけですね。だから、非常に誤解を招くわけですよ。だから、あなたの言われる保安処分というのは全く予防拘禁と同じような印象を与えているわけですね。 そこで、一体この保安処分ということでやるとなると、一番長くてどのくらい長く、病院か法務省所管の収容施設へ入れておけるわけですか。
○奥野国務大臣 正確に承知しておりませんけれども、犯罪の種類によりまして二年とか三年とかを区切るというように承知しております。要するに、隔離して治療するか、そのまま社会に帰して治療するか、この違いだと考えておるわけでございます。したがいまして、治療に要する期間を念頭に置きながら一定の期限を定めるというように草案で予定されていると承知しております。
○稲葉委員 私もまだ十分に研究しているわけじゃございませんけれども、最高は七年間だ、更新しますからね。 そうするとこれは厚生大臣、一体この心神喪失、まあ分裂症とかいろいろなのがありますわね。そういう人に対して厚生省で、精神衛生法でちゃんと規定があるわけですね。措置入院なんかさせますわね。それで、厚生省のやり方では足りないから、不備だから法務省の方ではやろう、こういうことであって、私は、厚生省に対する法務省の不信感がそこにあらわれているんだというふうに考えるのですよね。あなたはどういうふうにお考えでしょうか。
○園田国務大臣 精神病患者の種類は御案内のとおり大体三つに分かれておりまして、ほうっておけば、痴呆性で危害を与える、治安を賊するというのが一番重いわけでありますが、法務省で考えておられるのは、そういう犯罪があっちゃ困るから、ある時間あるいはある何か行事があるというような場合拘束するというような趣旨からくる精神病患者の自由を拘束するという点が重点であります。私の方は、一般の人に危害を与えないように注意しながら何とか治療するということが重点でありまして、施設の不十分等あるかもわかりませんが、私は、いまの制度を私どもで拡充して、精神病患者はやはり治療ということを重点にしながらこれを精神病施設に収容するのが正しい姿であると考えております。
○稲葉委員 私も厚生大臣の言うことに賛成でして、この問題は非常に大きな問題を含んでおります。いま言ったように、七年も精神病院へ、法務省の収容所へほうり込んでおくというようなことはきわめて危険で、問題がありますね。人権を侵害するおそれがある。いま厚生大臣が言われたように、何か事があるときに出てきちゃ困るから入れていくのだとあなたもちょっと言われましたよね。そういうようなことを考えると、これは人権じゅうりんのおそれが十分にある、こういうふうに考えるわけでして、私はこれに対しては反対をします。しかし、これは法務委員会で別途十分論議を闘わしていきたい、こういうふうに思いますので、人権じゅうりんのおそれがあるから私はこれは反対だということだけをこの際申し上げておきたい。医療行政をもっともっと充実すれば足りるのではないかというふうに考えております。 もう一つの問題は、厚生大臣にお聞きをしたいのですが、私のところに難病の患者、特定疾患の患者の方がたくさんいらっしゃいまして、たとえば女の方に多い膠原病というのがありますね、手のひらの間のところの肉が白くなってしまったり何かして把握力とか何かがなくなってしまう、そういう病気だとか、ベーチェット病とかスモンの患者の方とか、たくさんのいろいろな患者の方が来られたり何かして、いろいろ相談を受けているわけですね。そういう人が望んでおるのは、いま厚生省の特定疾患として指定しているのが二十一ですね、この数がこれでいいかどうかということが一つと、同時に、その内容を非常に充実をしてもらいたい、こういうようなことを本当に一生懸命になって訴えておられるわけですね。二十一もあって大変なことだと思うのです。その子供さんを持たれた親御さんなど大変ですから、これに対して厚生省当局はどういうふうな態度を今後患者の方々にとっていくということなのか、こういうことをお答え願いたいのが一つ。 それから大蔵大臣は、これに対しては一律的なことをしないで、こういうふうなものに対しては特別な配慮をするというようなことについてもお答えを願いたい、こう思います。
○園田国務大臣 御発言のとおり二十一の指定をし、四十三の研究班をつくってやっておるわけでありますが、専門家の意見等も十分聞いておりますが、なかなか実績は上がっておりません。おりませんが、またこのために非常な苦労をしておられることは悲惨でありますので、私の方では疾患研究班もできるだけ拡充をして、そしてこれを研究、究明、治療法等の解明に全力を尽くしたいと考えております。これは前々から意見を承っていることであります。
○渡辺国務大臣 真に恵まれない者に対してみんなが温かい手を差し伸べようという総理の方針もございますから、財源が非常に少なければ少ないだけにやはりめりはりのきいたことをしなければなるまい、こう考えております。
○稲葉委員 そこで外務大臣にお尋ねをしたいのですが、難民条約の批准の問題ですね。これはいま八十一カ国が加入しているわけですね。それで、問題はいろいろあると思うのです。たとえば二十三条、二十四条、ことに二十四条の(b)項の問題ですね。そういうようないろいろな問題があるとは思いますが、外務省としてはこのことに対して積極的にもっともっとこれをやらないと、ほかの国から、日本は一体何をやっているんだ、こういうふうなことを言われますからね。確かに厚生省との間でむずかしい問題はありますよ。あることはわかりますが、そこをよく相談をして早急に難民条約の批准ということを図ってもらいたい、こういうふうに考えるのですが、お答えをお願いしたいと思います。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 難民条約加入の国会提出の問題でございますが、本会議で鈴木総理大臣からも非常に積極的な御答弁がこの間ございまして、関係省庁で調整をとって一日も早く国会へ出すようにということを各省庁に言うという御答弁があったわけでございまして、私どもとしましても長年の懸案でございますので、関係省と努力をしまして、なるべく早く国会へ提出するように努力をいたします。ちょうど幸い厚生大臣は、外務大臣のときに一生懸命やると御答弁になっているので非常に百万の味方だと思っておりまして、これは調整をやりましてなるべく早く努力します。
○稲葉委員 厚生大臣にこれは希望だけ述べておきます。いまなかなかむずかしい微妙な段階ですから。あなたが去年の三月二十六日の参議院の予算委員会ですかね、外務大臣として、これは積極的に取り組むということを言っておられるのですよね。あなたは実行力のある方ですから、だからぜひ前向きな形で、留保条項なしの形で外務省と相談をしてこれに対する結論を一日も早く出していただきたい。これはお答えはなかなかいまの段階ではあれですから要望だけをいたしておきますので、十分お聞き取りのほどを願いたい、こういうふうに思います。 そこで、これは総理にお尋ねするのが筋だと思うのですが、あなたの所信表明演説の最後の方だと思いますが、今度はASEAN諸国を訪問される。非常に結構なことですが、その前のところで、特にアジアの国々との関係で平和国家として生きていきたいということがありますね。その平和国家として生きていきたいという意味はどういう意味なのか。それは武器の輸出ということについてはこれをさせないようにしよう。このことによって日本に対するあらぬ疑惑というか疑念というものが非常に大きく出てまいりますから、武器の輸出ということについてはさせないようにしようというようなことを当然お考えになっていると思うのですが、その点はどうでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、わが国は平和国家として生き抜いていきたい、こういうことでございまして、武器の輸出につきましては三原則という厳しい原則を立てております。その原則に基づきまして慎重に対処しなければいけない、こう考えています。
○稲葉委員 ただ、その武器の三原則にしても、財界筋からはそれを緩めてほしいという要請が非常に強いのじゃないですか。ということになると、それをやると、アジアの国々その他の国々から、一体日本は平和国家なのか、何を一体目指しているのか、また昔の大東亜共栄圏というか、そういうふうなものを目指しておるのではないかという誤解を非常に受けますから、あらゆるところからの要請があっても武器の輸出三原則というものはしっかり守る、こういうことを再度御答弁願いたい、こう思います。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおり心得ております。
○稲葉委員 そこで、先刻からお話がありました防衛の中期業務見積もりの関係なんですが、これは外務大臣にお尋ねをしたいと思うのです。 大平さんが行かれましてカーターとの間に——呼び捨てにしては悪いからカーター大統領。カーター大統領との間に一体どういう話があったのでしょうか、率直にお話しを願いたいと思います。
○伊東国務大臣 当時私は官房長官をしておったのでございますが、亡くなった総理から聞きましたことは、カーター大統領からも、中期業務見積もりという具体的な名前ではなくて、政府部内の計画というものをなるべく早く達成するように努力してもらいたいという抽象論で防衛努力についてあったということでございます。それに対して大平総理が、真剣に努力をする、日本の防衛については自主的な立場で真剣に努力をする、取り組むということを答えたというふうに私どもは聞いているわけでございます。
○稲葉委員 真剣に取り組むというお話が大平さんからあったことは間違いがないわけなんですが、アメリカ側はそれに関連をして、中期業務見積もりですか、何年か繰り上げをするととっている節があるらしいですね。あなたが九月八日に国民政治研究会で講演しているのです。「対米・ソ外交とアジア諸国訪問」という題で講演をしておるそのレポートです。それを読んでみますると、七ページですが、「この問題は、大平総理が今年五月アメリカに行った際に、アメリカ側に真剣に取り組むといっております。これは何も具体的な約束はしてないのですが、防衛問題に真剣に取り組む、こういったというので、真剣に取り組むということは向こうとしては」——これはアメリカですね、「中業の何年か繰り上げをするととってる節もある。そこでそこに少し行き違いがあるのだろうと思うのですが、大平総理がこういうふうにいったとよくいわれるので、この問題をどういうふうに片付けたらいいのか、私としてはなかなか頭の痛い問題だと思っています。」こう言っているんだよね。正直に言っている。あなたは東北人だから、やはり正直だよね。 それで、相手はどういうふうにとったのですか。アメリカは中業の何年か繰り上げをするととっている節もあるというのですから、これは中業の話がそこで出たのでしょう。出なければ、アメリカがこんなふうにとるわけないですね。これは、あなたの方としては外交上何かいろいろ言いづらい点があるかとも私は思いますけれども、そうでなければ、中業の何年か繰り上げをするととっている節もあるというが、アメリカ側がそういうふうにとる理由がないわけですよ。カーター大統領の方からそういう話が出て、そこで真剣に取り組むという話が出たんじゃないんですか。あなたも「私としてはなかなか頭の痛い問題だと思っています。」と言っていますよ、外務大臣として。どういう点が頭が痛いのかもちょっと説明願いたいのです。
○伊東国務大臣 当時大平総理から聞きましたのは、さっき申し上げたとおり、向こうの発言は政府部内の計画ということを言っている。それが中期業務見積もりというような具体的な名前にはなっていないわけでございます。総理は、防衛問題については日本としても真剣に取り組むのだ、こう言ったというのが私ども、大平総理から聞きました報告でございますが、その後私もアメリカへ行って、この間ブラウン長官に会ったりなんかしたのでございますが、向こうの期待は、着実、顕著という言葉が入ったり、あるいは中期業務計画をなるべく早くという意味のことを言ったり、具体的な期待表明があったことは確かでございます。私はそれに対しまして、外務大臣として、官房長官のときにも言ったのですが、防衛という問題は、これは自主的に判断をする問題であるし、国民的なコンセンサスなしにはそういうことはできないのだから、これは大前提だ。そして財政の問題を話したりいろいろ言ったわけでございまして、向こうがそういう期待を持っているということは、これは人によっては違うかもしれませんが、ちょいちょいそういう期待が話に出るということはあるものですから、私が頭が痛いなどと言つたとすれば、そういうことを頭に置いて言ったのだろうというふうに思っております。
○稲葉委員 向こうが言ったのは、日本の防衛費を顕著に伸ばしてくれという話も出ているわけですね。それから着実にというふうなことも出ているけれども、顕著にということを何か再三言っておって、それに対してこちらの方はある程度のオーケーを与えているか、あるいはオーケーととられるようなことをアメリカに与えているのじゃないですか。
○伊東国務大臣 大平総理のときも顕著という話が出たということは聞いております。だけれども大平総理は、顕著ということは、一切そんな約束はしていない。真剣に取り組むということで、そういう約束はしていない。私のときにも顕著という話は出ました。だけれども、いまの財政状態からいってそういうことは言えることではないので、着実に、日本は自主的に防衛というものを考えていく、それも国民のコンセンサスが要るのだということを言ったわけでございまして、向こうはそういう期待はあるかもしれませんけれども、日本としては、私は、はっきりそういうことを申してきております。
○稲葉委員 その顕著にというのは、どの程度のことを言うのですか。英語で言うと、顕著にというのはどういうふうに言ったらいいのかな。——そんなのはいいよ。英語の学校じゃないからどうでもいいけれどもね。顕著にということが再三出てくることは事実なんだな。それをあなたの方は明瞭には断ってないんじゃないですか。どうも真剣に取り組むというような言葉でぼかす。これが日本とアメリカとのあらゆる場合の誤解のもとになるのですね。向こうは、こっちの方ではっきり否定しないからオーケーだと思っている。だから日本人はうそつきだということになるんでしょう。うそつきというのは一番、アメリカでは大変なことですね。うそつきと言われれば決闘してもいいんでしょう。だから大変なことなんですよね。だから、顕著にというのはどの程度のことを言っているんですかね、アメリカとしては。そこがどうもはっきりしないのですね。それに真剣に取り組むという答えだと、結びつくと、どうも相当大幅なものについての約束をしたんじゃないか、こういうふうにとれるんですがね。
○伊東国務大臣 顕著にということでございますが、私は一回も顕著ということを約束したことはございません、これはもうはっきり。着実にということは、これは日本としては考えていく、それも自主的にだと。日本の防衛に必要なということでやるのですから、それは自主的に考える、コンセンサスが要るということを言ったのでございまして、私は、一言も顕著ということについて約束をしたことはございません。承諾したことはない。 それから向こうも、私行きまして、今度の場合に、GNPの一%にしてくれとか九・七の伸び率では少ないから十何%にしてくれとか、そういう数字の話は一切出ませんでした。抽象的にペルシャ湾の追加防衛の責任の問題でございますとか、そういう話は出たんです。アメリカとして追加的にやらなければいかぬというような話は出ましたが、数字的に、いまのGNPの一%とか九・七を幾らに伸ばすとか、そういう話は、一切数字は出なかったです。
○稲葉委員 一体このGNPの一%とか何%とかということで考えること自身が、どういう基準があるんですかね。そういう考え方はいいんですか、悪いんですか。どういうふうにとっていますか。だれが答えるのかな、これは。どういうふうにとっているの、それを基準にすることを。
○伊東国務大臣 これは私が答弁するよりも防衛庁長官の方が適役だと思うのですが、当分の間防衛はGNPの一%にとどめるということで五十一年に閣議決定しているわけです。それに基づいてわれわれは考えておるというのがいまの現状でございまして、その数字の一%の性格その他については、私よりも防衛庁長官からお答えする方がいいかと思います。
○稲葉委員 その問題は、いずれ内閣委員会なり安保の委員会でやることでしょうから、私は総理にお尋ねをしたいのですが、その前にちょっと法制局長官に聞いておきたいのです。 きのうから話が出ておりますね。主権と施政権という言葉が出ているでしょう。ぼくは、日本で施政権というのは、信託統治の場合やなんかの問題じゃないかと思うのですが、主権と施政権というのは一体どう違うのか、日本の場合に施政権という言葉が当てはまるのかどうか、そういう点を少し明確にしておいてくれませんか。混乱していますからね。
○角田(禮)政府委員 主権という概念は、もともと必ずしも一定の意味に使われてないと思います。また、学者の説くところもいろいろございます。したがいまして、私がここで断定的に申し上げることはできませんけれども、学者の説くところをおおむね総合してまいりますと、主権という言葉には通常三つの意味があるというふうに言われます。 第一の意味は、国の最高の意思という意味であります。これは、国民主権とか、わが憲法で言えば前文の一項だとか第一条に書いてあるような意味でございます。 それから第二の意味は、国家権力が最高、独立であることという意味であります。これは憲法で言えば前文の第三項に、他国の主権を害してはならないというのでしたか——正確に申し上げます。(稲葉委員「いいよ」と呼ぶ)そういう意味がございます。これは主権国家というような場合にもそういう言葉が当てはまると思います。 それから第三の意味では、単純な統治権というような意味に使われると思います。これは憲法の上には、そういう言葉は直接には出ておりません。そういう意味の言葉は出ておりませんが、立法、行政、司法、三権についてそれぞれ章が設けられて権限が規定されておりますが、ああいう三つの権限を総称したものとして統治権という言葉を主権という言葉で言うことがあると思います。なお、旧憲法には「天皇ハ」「統治権ヲ総攬シ」という言葉がございました。 第四の施政権という言葉でございますが、これはただいま稲葉委員が御指摘になりましたように、国際法上の概念としては、国連憲章に出てまいる——直接には「施政権者」という言葉で出てまいります。つまり、人民が完全な自治を行うに至っていない地域について立法、司法、行政を行う権限としてそういう意味が使われていると思います。ただ、施政を行うとか施政を行う権限というような意味で、先ほど申し上げました第三の統治権に近い意味で使われることは常識的にはあるかと思いますが、正確には、国際法上の観念としては、先ほど稲葉委員が御指摘のとおりだと思います。
○稲葉委員 そういうふうな話については、閣議でも皆さんによく話しておいた方がいいですよ、話が混乱していますからね。 さっき金大中事件について、外務大臣、あなたは重大な関心を持っているという話がありましたね。そうすると、それは常識的に言うと外国の裁判ですわね。外国の裁判で外国人のあれだ、それにどうして日本が重大な関心を持つのか、こういう素朴なことを疑問に思う人もいますから、なぜ日本があの裁判に、死刑判決に重大な関心を持つのかということをわかりやすく説明をしていただきたいのです。
○伊東国務大臣 いまの御質問の趣旨が、私は何.でそういう御質問になるのかなと思うのでございますが、実は金大中氏というのは拉致事件があったわけですよ。それで拉致事件があっただけに——それはいま主権侵害でない、そういう証拠がない、公権力の介入はないということで主権侵害はないというのが、もうこれはわれわれのはっきりした考え方でございますが、しかし、それはそれとして、拉致事件というものがあったのだ。でございますから、日本国民はやはり金大中氏という人について関心は持っておるということで、われわれはその身辺について重大な関心を持っているということを伝えておったり、いままでもそういう考えをしているわけでございまして、これは先生もわかってもらえるだろう、こう思うわけでございます。
○稲葉委員 いまのお答えは非常に不十分ですね。答えとしては不十分ですが、それはそれとして、別の問題といいますか、政治倫理の問題で、総理は、二階堂進さんがロッキードの事件のときに五百万円を伊藤宏か丸紅からもらった、こういうことについては御存じだったわけですか。もらったということが政府報告書に出ていることを御存じだったのですか。
○鈴木内閣総理大臣 本人は終始、そういうことはない、こう言っておるわけでありまして、その辺は私が、そうじゃないかというような確信はございません。
○稲葉委員 確信がないというのはどっちに確信がないのか、ちょっとはっきりしないな。私の聞いているのは、政府が出した報告書ですよ。いいですか、その中でこういうふうに書いてあるわけですよ。昭和五十一年十一月四日の議事録に出ているし、その前に出ていますかな。 元内閣官房長官二階堂進。 ロッキード事件の捜査の経過において得られた資料、すなわち、全日空関係者及び丸紅関係者の供述、米国における嘱託証人尋問の結果等によれば、二階堂進は、昭和四十七年七月七日から同四十九年十一月十一日までの間、内閣官房長官であったものであるところ、昭和四十七年十一月初旬ころ、東京都内において全日空株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社取締役伊藤宏から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金五百万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて尽力した謝礼の趣旨のもとに受領したと認められるが、右金員は内閣官房長官としての職務に関する対価であることが認定できないために、収賄罪の成立は認められない。 これが政府の報告書ですよ。これは御案内でしょう、政府の報告書は。だから、総理大臣は政府の報告書——政府継続性があるわけですから、これは三木内閣のときですけれども、政府の報告書と二階堂さんの言うこととあなたはどっちを信用されるのですか。政府継続性の原則があるのだから、これは当然あなたの方でも引き継がれたはずですよ。政府の報告書なんですからね。一個人の報告書じゃないのですから、政府の報告書としてちゃんと書いてあるのだから。 なるほど二階堂さんは、これはもらっていないと言っていますよ。もらっていないと言って、民事の裁判も起こされましたね。起こされたけれども、さっぱり進んでいない。休止ばかり、あるいは延期ばかり。証人申請も何もしていない。もうすぐこれは休止満了になっちゃうわけです。恐らくこのあれを聞いて、急に期日の再開申し立てをして裁判をやろうというふうになるのだと思いますがね。 政府の報告書で二階堂さんが五百万円もらったとここに書いてあるのですよ。政府の報告書なんだから、これをあなたが信用なさるのはあたりまえじゃないですか、これを信頼するというか。これが違うと言うのなら、もうしようがないですよ。違うと言うのなら政府の報告書がでたらめなんで、こういう報告書を出した当時の政府は責任を負わなければいけないわけですよ。政府の報告書が出ているのですから、御案内でしょう。二階堂さん五百万円もらったと書いてあるんだから、ただ官房長官の職務に認定できないために、「収賄罪の成立は認められない。」と書いてあるんだから、二階堂さんもらわないと言ったって、あなた、政府の報告書なら政府の報告書の方を信用するのが総理としては筋ではないでしょうか。だれが見たってそういうふうに思いませんか。そうでしょう。これは間違いだと言うなら別ですよ。三木内閣がこんな政府の報告をしたのは間違いだ、こんなのは党利党略で、何か特定の目的でやったんだ、こう言うのなら、これは別ですよ。そうでない限りは、政府の報告書は生きているのですから、これを尊重するのが総理大臣の当然のことじゃないでしょうか、だれが見ても。そういう疑いをかけられて政府の報告書に出ている人をあなたが総務会長に任命するというのは、これは政治倫理の確立というところからいって、単なる党内の問題ではないですよ。 あなたの公約、全部覚えていられますか、選挙の公約。大体みんな覚えていないから、忘れちゃう人が多いからあれだけれども、あなたの選挙の公約は「一切の不正を許さない厳しい政治倫理を確立する」と書いてある。だから、政府の報告書で五百万円もらった、ただ職務権限がなくて収賄罪にならなかったという人を、「厳しい政治倫理を確立する」というふうにうたっておるあなたが党の重要な総務会長に任命するということは、私は国民は納得しないと思いますよ。どういうことでしょうかね。その点をあなたの掲げる政治倫理との関係において、国民の皆さんにおわかりになるようにひとつ御説明願いたいと思いますね。
○鈴木内閣総理大臣 二階堂氏は、政府のいわゆる発表というものに対して容認できない、そういう事実はないと言って争っておるわけでございます。 それはそれとして、その後において行われましたところの衆議院選挙、三回の選挙に当たりまして国民の審判を受けておるわけでございます。そして連続当選もしておることは御承知のとおりでございます。そして自由民主党の中におきましては、二階堂氏の長い政治経歴、その識見、手腕、そういうものを高く評価しておりまして、党の役員として党のために働いてもらいたい、こういう強い要請もございました。総務会長になります際におきましては、全会一致で推されまして総務会長に就任をした、こういう経過でございまして、そういう本人は、納得しない、容認できないと言って争っておる、しかもいま申し上げたような経過をたどっておりますので、私は二階堂氏の総務会長就任、これを認めておる、こういうことでございます。
○稲葉委員 私の聞いておりますのは、この政府の報告書は間違いなんですかと聞いているのですよ。あなたは政府の報告書と二階堂氏の言い分とどちらを信用されるのですかと聞いている。あなたは二階堂氏の言い分を信用されているとするならば、三木内閣に対する——三木内閣か出したのでしょう、この報告書。これに対する全面的な不信をあなたが明らかにされていることではないでしょうか。取り消したのならいいですよ、この報告書。取り消してないのですから、これ。それに対して争っていると言っても、ちっとも争ってないですよ、二階堂さんは。訴えを起こしましたよ。訴えを起こしたのは昭和五十三年ですよ。さっぱり裁判進んでないですよ。両方とも出てこないのが二回ぐらいあって、延期になったのが何回かあって、ただ書類だけ出しただけ。書類だって新聞記事出しただけ。新聞記事を内容証明で出した、内容証明の回答書出したと聞いている。この裁判では、伊藤宏の方は争っているのですよ。渡したと言っているのですよ。二階堂氏はもらわないと言っているけれども。もらわなくて自分の名誉を棄損されたと言っているけれども、片っ方の伊藤宏は、いやそんなことはありませんよ、ちゃんと五百万円上げましたよ、こう言っているのだ。この裁判はまだ決まらないですよ。決まりもしないし、七月二十一日に休止になってしまっているのだから、三カ月たって十月二十一日の満了で取り下げになりますよ。二階堂さんは、本当に自分の言うことが正しいなら、裁判でもっと徹底的に争うべきです。全然争ってない、形だけ。国民の目をごまかすためにと言っては悪いかもわからぬが、形だけ整えてやっているというだけですね。刑事の告訴をすると言ったけれども、全然やっていません。こういうやり方ではぼくはいけないのじゃないかと思う。 それは選挙の洗礼を受けたのなら、これはもういいんですか。田中角榮氏も選挙の洗礼を受けましたよな。そうすると、この人ももう自民党へ復党してもいいんじゃないのですか。そんなことはよけいなことだな。あなたの党の内部のことだから、これは取り消しますがね。政府の報告書だからぼくは聞いているのですよ。政府の報告書で、くどいけれども五百万円もらったと書いてあるじゃないですか、ここにちゃんと。これを間違いだと言うならいいですよ。間違いだ、三木内閣の三木武夫さん以下のあの人たちはみんな間違いだ、だからけしからぬと言うのならこれはまた別だ、河本さんおられるけれども。それならそれでもいいけれども、それが事実として出ておって、そしてそれを信用しないで二階堂さんの言い分を信用する、そして三回だか選挙の洗礼を受けたからいい、そういうようなことで一体国民は納得するでしょうか。私は納得しないと思いますよ。 この前、ある新聞見ましたら、あなた、鈴木さんに対して、あなたはハト派かタカ派かと聞いた人がいるのですね。そうしたらあなたが、いや、ぼくはハト派でもタカ派でもない、私はメジロ派だと答えているのです。(笑声)いや、本当だよ。それは新聞に載っていたんですよ。載っていたからぼくは聞くんで、国民はそういうふうに非常に敏感なんだな。非常に敏感で、何というのかな、事実というものを本当によく見通すのですね。だから、直角内閣とかなんとか言いますけれども、そんなことはどうでもいいけれども、あなたがメジロ派だと新聞に載っていたのは間違いありませんからね、あの小ちゃな欄にね。あの投書欄の小ちゃなところ、あれは本当におもしろい。(笑声)あれは国民の意思を実によくあらわしている。ぼくはあんないい欄はないと思って、あれが民主主義の一つの基本というかな、あれだと思いますがね。 それはそれとして、だから、こういうのはおかしいのじゃないですか。それで、田中さんの力をかりなければ、田中さん一派の力をかりなければ、あなたとしては、失礼だけれどもなかなか総理大臣になれないわけでしょう。だって、みんな言っているんだもの。この中の人にもいるけれども、田中さんのところに行っておじぎしたり、どこかの料亭かなんかで頭を下げている人もいるとかいないとか、いろいろ伝えられているわけですわね。それは私、刑事被告人でも有罪の判決があるまでは無罪の推定がありますから、そのことをかれこれ言うつもりはありませんけれども、二階堂さんの件は、ぼくは納得できませんね。国民も納得しないのじゃないでしょうかね。こういうふうに思いますね。 それはりっぱな方かもわかりませんよ。あなたと非常に仲がいい方で、何かシャムの双生児だとかなんとか言われているとか新聞に出ていましたけれども、非常に仲のいい方かわからぬけれども、政府の報告書の中ではっきり書いてあるのです。これを取り消していない。その段階で、政治倫理の確立を叫ぶあなたが重要なポスト。これは聞くところによると、いろいろな話の中では、何か大平さんのときに幹事長にしようとしたのでしょう。そういう話もあったけれども、大平さんは——私がここでこういう質問をしたことがあるんです。大平さん、あなたは田中角榮氏と非常に親しい友人ですか、親しい友人ですか、単なる——単なるとは言わなかったな、友人ですかと聞いたときに大平さんは、一番最後の、友人ということを言った。だから、それが終わってからぼくがそこら辺にいたときに大平さんが来られて雑談をしたことがある。ぼくは大平さんに、あなた、田中さんのことを非常に親しいとか、親しいとか言うのなら話はわかるけれども、三番目の、友人だなんて言うのは、これはあなた、冷たいじゃないですかと言ったのよ。そうしたら大平さんが、いや稲葉さん、それは違うのだ、ぼくと田中氏との仲は世間の伝説だ、世間の伝説が非常に多いんだ、こういうことを盛んに言っておられて、田中さんとの仲が非常に密接だということについて気にしておられた。これはゼスチュアで言ったのかもわかりませんよ。あるいは本心で言ったのかもわかりませんけれども、そういうふうに言ったことは事実なのね。そこで、どうも私にはよくわからぬですね。いろいろまだほかのことも聞きたいこともあります。だけど、内部のことを余り立ち入って聞いては失礼ですからね。 私のところにいろんなことを言ってくる人がいるんだ。いや、田中派の議員の人が言ってくるのよ。田中派の議員の人があることを言ったんだ。この中の——まあよしましょう。それは悪いからよしますがね。だから、そういうふうなことを私も慎みますから、きょうは非常におとなしくやっておるつもりです。きのう質問したら、あちこちから電話がありまして、もっと上品にやりなさい、栃木県人というのは元来非常に上品なんだから、そういうふうにやりなさい、このことについては渡辺さんにもよろしく言っておいてくれ、こういう話があったので、ぼくもきょうはおとなしくやっているんですが。 そこで、いま言ったようなことは、その他まだあるんです。これはあなたが齋藤厚生大臣をやめさせたか何かしたでしょう。やめさせたのかやめたのかして遺憾だと言うんだけれども、何が遺憾なのかさっぱりわからないのよ。齋藤さんが五百万円の小切手をその管轄からもらったことが遺憾なのか、あなたがそういう人を厚生大臣に任命したことが遺憾なのか、さっぱりわからない、あなたの話は。聞いている方が遺憾になっちゃうんですよね、これ。そういうふうにあなたの話は、何かそこら辺のところがはっきりしないですね。だから齋藤さんの場合でも、それをよくわからないで任命したあなたが遺憾なんですか、それが一つね。二階堂さんの場合は、あの人を、そういうようないま政府の報告書があるけれども、それについて総務会長に任命したことについては私は毫もかれこれ言われる筋合いではない、こういうふうに開き直られるのか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。 後は、法制局長官が何か答弁を訂正したいというのがありますから、それが終わってからでいいですね。そうしてください。
○鈴木内閣総理大臣 齋藤前厚生大臣のあのような事態になりましたこと、全体として遺憾の意を表したわけでございます。二階堂氏の政府の報告、報告のあったことは事実でございます。しかし、それは納得できないと言っていま争っておるということでございますから、その決着がつかない間はどっちという、どっちを信用するというわけにはいかない。報告のあったことは私は認めます。認めます。しかし、政府の報告に対してそういうことは納得できないと不服を唱えて、いま法廷で争っておるという段階でございますから……。
○小山委員長 内閣法制局長官角田禮次郎君。
○角田(禮)政府委員 先ほど主権の第二の意味を御説明申し上げました際、憲法前文第三項の文章を過って引用いたしましたので、大変申しわけありませんが訂正させていただきます。 わが憲法では、前文第三項で「自國の主権を維持し、」というふうに用いております。 以上でございます。
○稲葉委員 時間が来ましたから、私は時間を守ってこれでやめにいたします。だけれども、いまの答弁については納得ができないということだけを私は最後に申し上げておきます。
○小山委員長 これにて大出君、稲葉君の質疑は終了いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十一分散会