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93回国会衆議院1980/11/12

法務委員会 第6号

発言数
188
登壇者
21
会派数
4
開催日
1980/11/12

会議録

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所大西総務局長、勝見人事局長、西山行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 最初に法制局長官にお尋ねするのがいいと思います。  昭和五十年十一月二十日の参議院内閣委員会の議事録第四号十四ページの下段ですが、ここに矢田部君が質問しておるのにこういう質問があります。「天皇が公式行事として靖国神社を参拝すれば憲法二十条の第三項に抵触することになると考えているのか。イエスかノーかだけ答えてください。」というのがあるのですが、それに関連して吉国一郎法制局長官のお答えは「先ほど申し上げましたように、第二十条第三項に直ちに違反するというところまでは徹底して考えることはできないと思います。ただ、第二十条第三項の重大な問題になるという考え方でございます。」こういうふうに答えがありますね。まず最初のこの「重大な問題になるという考え方でございます。」という「重大な問題」というのはどういうことを意味しておるわけですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 矢田部委員の御質問に対して吉国法制局長官が御答弁申し上げた趣旨は、私どもの一貫した考え方でございますが、いわゆる公式神社参拝というものが憲法との関係においては第二十条第三項との間で問題になるわけでございます。ただ、私どもとしては、それが合憲であるか違憲であるかということについては、これは断定いたしかねますが、しかし問題があるという意味は、このような参拝が違憲ではないかとの疑いを否定できない、そういう意味において、事は宗教にかかわる問題であり、きわめて重要な問題であるということを申し上げているつもりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いままでのところでは「重大な問題」というふうには言っていない場合が多かったですね。ここの場合に吉国さんが「重大な問題」というふうに言っておるわけですね。ということは、公式参拝というものが憲法に抵触するおそれが多分にある、だから重大な問題なのだ、こういうふうな意味に受け取ってよろしいでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 多分に抵触するおそれがあるというところまでは言っていないと思います。ただし、事は憲法にかかわる問題であり、かつ宗教にかかわる問題であるから、違憲であるという疑いが否定できないということを言っているのだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、ここにあります質問は天皇の場合ですね。しかし、それは国務大臣の公式参拝の場合にもそのまま同じように考えてよろしいというふうに理解してよろしいですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 憲法第二十条第三項には「國及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」ということが書いてあるわけでございます。したがいまして、二十条第三項との関係においては、天皇も国務大臣もそのほかの公務員についても原理的には同じでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私がお聞きしておりますのは、たとえば前には真田さんはこういうふうに言っているわけですね。これは昭和五十四年の四月二十日、衆議院内閣委員会会議録第九号の九ページの一番上「政府としては最もかたい見解をとりまして、公務員が公の資格で神社仏閣にお参りをすることは、やはり憲法二十条三項に照らして問題があるという考えで一貫しております。」こういうふうに言っておりますね。いま言った吉国さんのは「重大な問題」というのが入っていますね。それから真田さんのこの答えの中には「最もかたい見解をとって」とこういうふうに入っていますね。そこのところは一体どういうふうなのかひとつ御説明を願いたい、こう思うのです。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 先ほども申し上げましたが、基本的には合憲か違憲であるかということを断定しがたいという立場をとっているわけであります。したがいまして、そういう意味では先ほど稲葉委員がおっしゃいましたように、非常に違憲であるということの方に傾いているといいますか、そういう疑いを非常に強く持っているというような立場ではございません。「重大」というのは多少言葉のあやじゃないかと思いますが、基本的には私どもは吉国法制局長官の答弁も真田法制局長官の答弁も同じだと思います。  ただ、先ほど来申し上げているように、憲法にかかわる問題であり、かつ宗教にかかわる問題でございますから、一法制当局がそれを専断的に法理だけの一点でもって決定をするというようなことは、これは問題でないかという気を持っております。そこで、そういう立場から言いますと、あえて解釈として断定はいたしておりませんけれども、どちらの立場をとるかということになれば、それは俗な言葉で言えば安全な立場をとるべきであるというのが私どもの気持ちでございます。そこで、公人として参拝することは差し控えて私人として参拝をするということで一貫すべきである、こう考えておる次第であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや私の聞いているのは、真田さんは「最もかたい見解をとって」とこう書いてあるでしょう。それはどういう意味かということを聞いているわけですね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 結果として、私人として参拝をするということにいたしますれば、それは違憲という疑いを持ちながらそれを避けるということでありますから、一番安全な立場、かたい立場、こういう意味であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、このかたい立場というのは、安全な立場というふうに読みかえても結局は同じことだ、こういうふうな理解の仕方である、こういうふうに考えていいわけですね。  そうすると、これは官房長官にお聞きをするわけですが、あなたが何か五日の日だと思いましたが記者会見の中で——一応二十八日に私の質問に対する政府の答弁が出ましたね、それに関連をして奥野さんがいろいろしゃべられたというか、そういうことに関して五日夕べの記者会見で、これはどこの新聞でもそう出ているのですが、奥野法相見解は政府の見解とは違うと言わざるを得ないというふうに述べた、こういうふうにどこの新聞でも皆伝えられておるのですが、あなたの真意というか、そこら辺のところはどういうふうになっておるのでしょうか。こういう言葉を使われたように、一つの新聞だけではなくて全部の新聞に出ているのですが、そこはどうなんでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そういう質問が記者会見でございまして、私はそのとき、奥野法相が法務委員会でどのように言われましたか詳細に聞いておりませんでしたので、詳しく聞いていないと述べましたところ、質問の記録によりますと、奥野法相が法務委員会で靖国神社の公式参拝は憲法二十条に違反しないと発言されたが云々、こういう質問に対して、私は、それは詳しく聞いていない、こういう答えをしておりまして、もしそういう発言をされたとすればどう考えるか、こういうことでございますから、それは先ほど法制局長官からお答えをいたしましたとおり、この辺は政府としては疑わしきは避けた方がいい、こう考えておるわけでございますから、仮にそういうことを発言されたとすれば、それは私どもの考えておることと違うであろう、しかしそう発言されたかどうか私は確認しておらない、こういうやりとりがございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、その後確認をしたわけですか。確認した結果はどういうふうになっているというふうに御理解なんですか、官房長官としては。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 その後、速記録によりまして奥野法務大臣の答弁を承知いたしました。  それで、私としては、これは憲法論というよりは靖国神社というものをどう考えるか、そういう問題であろう、こう考えておりまして、憲法についていろいろ見解が違うということになりますと、これはなかなか問題でございますけれども、靖国神社というものをどう考えるかというぶうなことについて、これは人一人一人によっていろいろ見解が違うことはあり得る、そのことは何もそれほど政府としてこうこうあるべきだと申すほどのことではない、私はそう考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこがよくわかりませんがね。憲法論ではなくて靖国神社論だということは——しかし靖国神社は宗教法人になっておるわけですね。それで、いま法制局長官の答弁などによっても、重大な問題があるというか非常に大きな問題がある、こういうことを答弁しておるわけでしょう。あなたの言う憲法論でなく靖国神社の問題だという意味がちょっとよくわかりませんが、それは後で説明していただくとして、奥野さんにお伺いをいたします。  そうすると、奥野さんの方では、靖国神社に対する公式参拝というのは、あの憲法二十条三項にはあなたとしては触れないというか触れるのはおかしいというふうにお考えなのでしょうか。これは鈴木内閣の一員としてはどうとかかんとかということは別として、その点どういうふうにお考えなんでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 稻葉さんが内閣に対しまして靖国神社問題についての質問書をお出しになり、答弁をお受け取りになった後の私に対するお尋ねでございました。しかも、腹蔵のない考えを聞かせろというお言葉でございましたから、政府見解をそのまま述べろという気持ちではないのだと私は受け取っておったわけでございます。  その際に、靖国神社は憲法上の宗教団体だとお断りをしている。しかし、靖国神社に国の機関が参拝することについては違憲だとは言い切っておりません、こうも申し上げました。しかし、問題があるということだから、私は、靖国神社にお参りするときには法務大臣としてお参りしているのではない、個人としてお参りしているのだ、こう申し上げてきている。しかし大変ぎごちない気持ちを持っておるのです、また自民党はこの間の選挙公約で靖国神社の公式参拝を実現するということもうたっているのだ、だから早くすっきりしたものにしてもらいたいな、こう思っておりますということも答えました。そして二十条三項が、宗教団体ではあるけれども、他の宗教団体とは一つ違った性格を持っておるのじゃないかと疑問を抱いていますということも申し上げました。そういうことから私としては、国の機関——国の機関という場合には法務大臣もあれば、また刑務所もあれば学校もあれば病院もありますが、一切靖国神社に機関として参拝することを禁止していると受け取るべきかどうか疑いは持っております、すっきりしてもらいたいと思っていますと、こういうようなお答えをしたのがありのままの再現じゃないかな、こう思っておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、官房長官にお聞きするわけですが、その法務大臣の見解が、憲法の問題ではなくて、靖国神社の性格ですか、何かちょっとよくわからぬけれども、その問題だという意味がはっきりしないのですね。靖国神社は宗教法人でしょう。東京都に届け出があって宗教法人ですね。すると、それが何だというんですか、ちょっとよくわからぬ。なぜ憲法の問題でなくて靖国神社の問題だというのですか。その意味がよくわからぬですよ。ちょっと詳しく説明していただけませんか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 法務大臣はむろん憲法第二十条をよく御承知でいらっしゃって、その上で、靖国神社は確かに宗教法人であるということも法務大臣これも御承知で、しかし、この靖国神社というものができたゆえん、持っている性格等々から言うと、いま御答弁になったとおりのことですが、そういうところはちょっと割り切れない気がするではないか、こう言っていらっしゃるのだと思うのです。私は実はそう思っておりませんけれども、そう思われること自身は、これは何も政府としてそれがいい悪いと申すほどのことではない、そう思っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、いまあなたのお話で、私はそう思っていないというと、あなた自身の靖国神社に対するお考えはどういうお考えなんですか。あるいはそれは鈴木内閣のと言ってもいいかもわからぬけれども。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そういう点について内閣が統一した見解を持つというようなことは、私は必要がないと思っているのでして、私自身は、先ほど法制局長官が申し上げたような考え方に従っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、靖国神社の性格というものをほかの宗教と違うんだというふうに奥野さんは大体御理解されているようですね。あなたは靖国神社もほかの宗教法人と同じだというふうに理解をされているというふうに聞けるのですが、それでよろしいのでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 宗教団体であるということは客観的に事実であろうと私は思っておりますし、恐らく法務大臣もそれはそう思っておられるのだと想像いたしますが、しかし、もっとその宗教団体というものの実態について考えてみると、これはやはり一つ特殊な背景と内容を持っているのかもしれないなということを恐らく法務大臣はお考えなのではないかと思うのです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、法務大臣の考えはわかったわけですね。これは法務大臣は非常に率直にお話ししてくださっているのですからわかるのですが、あなたの話はよくわからないのですよ。宗教法人であるということはわかった。ほかの宗教法人と違う性格を持っているのか持っていないのかということを聞いたのに対して、あなたのお答えはよくわからぬ。あいまいもことしておる。あいまいもことしてあなたが何かそういうふうに答えているところに、あなたのよさがあるかもわからぬけれども、よさというか、ずるさというか、利口さというか、よくわからぬけれども、それを聞いているわけですよ。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そういたしますと、きちんと論理だけを申し上げれば、靖国神社は宗教法人である、これでおしまいでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはわかったのですよ。だから、ほかの宗教法人と違う性格を持っているのか持っていないのかということを聞いているのですよ。それに対してあなたはどう理解しているのかというのですよ。ほかの宗教法人と同じように理解しているというのなら、そういう理解の仕方もあるし、いや、それは宗教法人だけれども違うんだというのなら違う理解の仕方もあるし、どっちかと聞いているんだ。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 宗教法人であるという意味ではほかの宗教法人と同じであると考えています。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすれば、鈴木内閣としては、その公式参拝ということについては問題があるというのは、違憲のおそれがある、こういうことでしょう、結局ざっくばらんに言えば。違憲のおそれがある、だからそういうふうなことについてはしないでくれ、そういう違憲の疑いのあるようなことについては言動を注意してくれということが、私の質問に対する答弁書であるということになるわけでしょう。そうでしょう。そうなれば、奥野さんの言うことはやはり、その違憲の疑いあることについて、違憲ではないというふうに断定をしているから合憲なんだという論理で来ているのじゃないんですか。そこら辺に非常に論理の飛躍が奥野さんの考え方はあるのじゃないですか、これは後で聞きますけれども、そういうふうにお考えになりませんか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 政府のこの点についての公式見解は、先ほど法制局長官が申し上げましたように、いろいろ問題があるので、少なくとも疑わしいことはやはりやめておくのがいいのではないか、平たい言葉で言えばそういうことでございます。その点については奥野法務大臣も、何も自分は公式参拝をするのだあるいはされたというようなことはなくて、靖国神社というものの性格から考えると、そこは果たして割り切れるものかどうかな、そういう形で前回もこの委員会でお答えになっておられると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 では奥野さんにお伺いしますけれども、七日の日の閣議がありました後に、あなたが法制局長官を呼びとめたか何かして、その点についての法律上の見解を聞いておられますね。八日の新聞に出ていますから、たしか七日の日のようですね。その間の経緯はむしろ法制局長官の方から先にお答えしてくれませんか、奥野さんからどういうことでどういう話があって、どういう答えをしたのか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 五日の衆議院法務委員会における稲葉委員と奥野法務大臣との質疑答弁というものは、私はこの場所におりませんでしたから詳細には承知しておりません。ただ、七日の日に奥野法務大臣と私とは二回にわたって、あえて議論と申し上げますが議論をしたわけでございます。それは事実でございます。私がそのときに奥野法務大臣から伺ったところというか、奥野法務大臣が主張されたことと、私がそのときに言ったことをこれから申し上げたいと思います。私が奥野法務大臣の言われたことを私なりに理解したことを申し上げますが、もし間違っておりましたら、ここに法務大臣おられるわけですから訂正していただきたいと思います。  まず四つの問題が、項目があったわけであります。第一は、奥野法務大臣は、自分は公式参拝というものが合憲であるとまでは断定していない、そこまでは言っていない。しかし気持ちとしては、果たして違憲だろうかということについてずっと疑念を持っている、こういうことを第二に言われました。それから第三は、それだからといって、自分は公式参拝をしたこともないし、またしようとも思わない、公式参拝は差し控えるという政府の方針には従う、こういうことを言われました。それから第四には、靖国神社の法律的な性格が宗教団体であるという政府の見解については認める、こういうことを言われたわけであります。  それで私の方の立場で申し上げますと、いま申し上げたうちの終わりから言えば第三と第四は全く私どもの見解と一致しておりますから問題はないわけであります。それから第一は、これは断定していないという点においては同じでございますけれども、奥野法務大臣は、合憲とは断定していない、こういう言い方をされております。私どもは合憲とも違憲とも断定していないということを言っておりますから、そこは言葉のあやと申しますか多少違いはありますけれども、合憲とも違憲とも断定してないという意味に広く考えれば、これもそれほどの違いはないということになるわけであります。  問題は第二であります。これは先ほど来申し上げておるように、奥野法務大臣は気持ちとしては果たして違憲だろうかという疑念を持っていると言われておりますし、私どもは違憲ではないかという疑いを否定できないという言い方をしているわけであります。奥野法務大臣の見解に従って言えば、法制局が違憲だともし断定している、その場合に自分が合憲だと断定したならばそれは問題じゃないか、しかし法制局は合憲とも違憲とも断定してないし、自分も別に断定はしていない、しかも自分は私人として参拝しているのであるから政府の考え方の許容範囲でないか、こういうことをしきりに主張されたわけであります。私は、奥野法務大臣のお考えが政府の説と真正面から反対であるとか矛盾しているということではない、特に私人として参拝をしているという点については確かに政府の方針に結果的には従っておられる、しかし先ほど申し上げた第二の点については、やはり厳密な法律的な発想方法から言えばどうも違っているような気がするということを申し上げたわけであります。  大体それが議論のやりとりでありますが、ただ奥野法務大臣は、これから先は多少主観にわたることでございますけれども、私が奥野法務大臣の説にかなりの理解を示してくれた、こういうふうにおとりになったようであります。ただ私は私で、私の考えを奥野法務大臣に完全に理解してもらう、説得といいますか納得させられなかったということを非常に残念に思っているという気持ちで実は別れたわけであります。この辺は政治家と法制局長官の違いだからしょうがないのかなというのが現在の私の気持ちでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 奥野さんには後でお聞きいたしますけれども、そうすると、その議論というものを二回したということをあなたは言われましたね。なぜ二回する必要があったのですか。もう少しそこら辺のところを説明していただけませんか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 実はだんだん話が細かくなって恐縮なんですが、閣議の後で立ち話が第一回なんです。閣議が終わった後にいつまでも閣議室にいるわけにいきませんから、そのまま帰ったわけであります。それからテレビ、新聞等でいろいろ報道があったわけでございます。そこでその日の夜でしたか夕方かにまたもう一度、これは電話でお話し合いをしたわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、いま法制局長官が、二回というか、いろいろ議論をされたことについていろいろお話しになりましたね。それについて奥野さんのお考えを、事実関係が違うかどうかということと、それからあなたのお考えと両方をお伺いいたしたい、こういうふうに思うのです。一つは、いま言われたことによると、何かあなたの方で法制局長官の話を、やはり人間ですから非常に御自分に都合のいいふうにとられておるところもあるのじゃないでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、内閣法制局長官と私の意見と一緒にするという意味でお話をするということよりも、ここでの稲葉さんとのやりとりの後で閣内不一致という言葉がどこかで出たと思うのです。私の言動が閣内不一致ではないじゃないか、そういう意味で私は法制局長官に、私はこう思っているから、それは閣内不一致とは言えないじゃないか、こういう気持ちでお話し合いをしたつもりでございます。  記者会見のときに、総理に会っていたのですかというお話がございましたから、法制局長官に会ったんだ、閣内不一致という言葉があったものだから、それは私はそうは思わないのでその話をしたんだと。そうすると、記者の方々がそれは理解されたんですかと言いましたから、理解されたんだと思っています、こう答えたわけであります。その後どういう経緯か知りませんが、官邸の記者の皆さん方が法制局長官に奥野の考えと同じかという意味のお尋ねをしておられたようでございます。ですから、次元の違う話を違ったところでそれぞれにやるものですからあの混乱になったのじゃないかな、こう思っておるわけでございます。  なお私は、国家、社会のために命をささげられた方を靖国神社でお祭りしておるわけでございますから、国家、社会の機関がそれにお参りできないということは、どうも靖国神社の本質から考えますと申しわけないなという感じを常日ごろ抱いているのが一つございます。もう一つは、この前、津の地鎮祭に関する裁判所の判断が異なっておることも稲葉さんに申し上げたことがございました。あの最高裁判所の判断の中で、国が宗教にかかわり合いを持つことが一切許されないという趣旨じゃないんだということも述べておるわけであります。そうすると、一体国が宗教とのかかわり合いを持つことを許すのは何だろうか、私なりに言えば、靖国神社に国の機関が参拝することまでけしからぬと言っているというわけにもまいらぬという考え方もあるなという気持ちが一つございます。もう一つは、またその中で、宗教的活動につきまして、その効果が宗教を助長、援助、促進するような行動あるいは干渉、排除する、何といいましたか、ような行動を言うんだ、こうも書いておるわけでございまして、宗教的活動の範囲が憲法上も必ずしも明確じゃない、こういうこともございますので、ぜひ早くすっきりしてもらいたいなという気持ちを、腹蔵ない考えを聞きたいとおっしゃるからお答えをしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いやそうじゃなくて、あなたが法制局長官にいろいろ話したわけでしょう。それについては、いま法制局長官が話しましたね。そのことは間違いがないかという事実関係を一つ確かめたつもりなんですが、それが一つと、それからいま法制局長官は、何か主観的にわたるけれども、あなたとしては法制局長官もあなたの説に理解を示してくれたというふうにおとりになったように言われましたね。この点についてはあなたはどういうふうにお考えになっているかということが一つと、もう一つは、何か自分の、法制局長官の言ったことが納得していただけなくて非常に残念であるというような意味の言葉もありましたね。だから、残念であるという言葉と理解を示してくれたようにあなたが思ったという言葉が、最終的な二つの結論だというふうに思うのです、ちょっと正確じゃないかもわかりませんけれどもね。そこら辺の事実関係と、その二つのことについてのあなたのお考えをお聞きしたいのです。  それから津の地鎮祭の場合は、これはなかなかむずかしいですよ。いまのは「圧迫、干渉」ですね。圧迫、干渉というのはこの逆な場合ですね。それから「援助、助長、促進」と言っていますが、これは結局目的と効果とをつなぎ合わせて社会通念上で判断をしなければならないというのが津の地鎮祭の判決ですね。  ですから、私は法務大臣にお聞きしたいのは、いま法制局長官が述べた事実関係はそのとおりかということと、それから法制局長官が、いわば主観かどうか知らぬけれども最後に二つ述べた、そのことに対するあなたのお考えをお聞きしたい、こういうことです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 法制局長官が正確に記憶してお話しになっているのでございましょうから、そのとおりだと思います。同時にまた、お互いの考え方でございますから、学問的な考え方を突き詰めていっての法制局長官のお話でございますから、私との間にニュアンスの違いがあることは当然だと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、あなたのお考えを示すと、なるほどこの天皇の参拝のところに関連しても、吉国さんが言っているのですが、これは法制局長官にお聞きした方がいいと思うのですが、これはこういうことを言っているんですね。「第二十条第三項に直ちに違反するというところまでは徹底して考えることはできないと思います。」というんですね。この意味は、なぜ徹底して考えることができないのかということですね。ここら辺をちょっと御説明願いたいわけですね。徹底して考えて、内閣なら内閣としての見解を示したっていいんじゃないですか。なぜ示せないのか。それはいろいろ考え方はありますね。勘ぐればと言っては言葉が失礼かもわからぬけれども、いろいろ選挙対策もある、選挙対策上その他から徹底してこれを示すことができないという意味もあるとぼくは思うんだ。この問題についてなぜ徹底して考えることができないのです。事が宗教だからというのでは答えにならないと思います。宗教だって徹底して考えようと思えば考えられるのですからね。そこら辺のところはどういう意味ですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 いわゆる公式参拝が合憲か違憲かということにつきましては、これは結局参拝行為というものが憲法二十条三項に言う「宗教的活動」の範囲に入るかどうか、それに当たるかどうかという問題に帰するわけでございます。  ところが、いま稲葉委員御自身がおっしゃいましたように、宗教的活動の範囲について唯一の権威ある見解というのは最高裁の五十二年の判決であるわけであります。ところがあの五十二年の判決も、御承知のように、一々申し上げませんけれども、ああいう一般的な定義に照らしてみて、そしてたまたま神式による起工式は合憲であるという判定を下したわけでございます。  ところが、あの定義自体を公式参拝に当てはめてみて、果たして合憲と言うか違憲と言うかというのは、あの判決を見ても私どもは断定できないと思います。いろいろ言っておりまして、そして最後は健全な社会的な通念によって決めるべきものだということを言っているわけでございますから、そういう意味では、私どもがかねて言っている、問題はある、違憲という疑いは否定できないけれども、断定できないという考え方は、私は、最高裁判決を虚心にながめて照らしてみても、そういうのが一番謙虚な態度ではないかというふうな気がまず第一にするわけでございます。  それから、実は私どもの見解というのは、先ほどは五十年の吉国法制局長官の答弁を引用いたしましたけれども、公式参拝の問題というのは大体昭和四十年前後から起こっておるわけであります。その四十年前後に、御記憶だと思いますけれども、自衛隊の外国へ行くあの練習艦隊の人たちが靖国神社へ参拝するという問題が起こりまして、そのときに私どもはいろいろ内部で研究したわけでございます。しかし、そのときにもやはりこれは合憲か違憲かということについてはなかなか結論は出しにくい。しかも、先ほど来申し上げておりますけれども、これは事は宗教にかかわる問題であり、国民的な意識というものが非常に大きな問題である。宗教というのはそれぞれの人によって考え方が違うわけでございますから、そこで単純な法理だけの一点で決めるということはどうかなと実は四十年来思って、そしてそういう気持ちを持っていたわけです。五十年に答弁をしたところが、五十二年に最高裁の判決というものが出て、私どもはそのとおりだと思い、また五十四年に答弁をし、また最近の稲葉委員に対する答弁書でもそういう考え方を述べたわけであります。  それじゃ決めればいいじゃないかと言われると思います。決めないのはおかしいじゃないか、ほかのことなら決めているじゃないかと言われると思います。しかしこれは、そういう場合には、ある行政を進めていく上に、ある規定が合憲であるかどうかをどうしても決めなければ次の行政が進められないということであれば、一応政府の責任で決めていかなければいけないと思います。ただし靖国神社の参拝につきましては、先ほど来申し上げましたように、安全な立場をとって、これは公式参拝をしないということにしているわけであります。そうしますと、その憲法論を最後まで突き詰めるよりは、むしろいまの状態においては、そういうものは最高裁の判決が出るまでは断定できないわけですから、私どもとしては、公式参拝を避けるという政府の方針によってやれば、それはあえて解釈をとことんまで決めなくてもいいじゃないか、こういう気持ちであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 官房長官、もうお時間ですから結構でございますが、最後にそれじゃ官房長官にちょっとお聞きしたいのは、安全な立場ということを盛んにいま言われますね。  そうすると鈴木内閣としては、第一、靖国神社に対する公式参拝ということについては、これは避けてほしい、公式参拝が憲法に違反しないというような言動についても、これも避けてほしい、この二つのことを含んでいると理解してよろしいですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 靖国神社に公式参拝をすることは避けてほしい、これは内閣の方針でございます。  次に、それが合憲であるか違憲であるかということについての議論を避けてほしいということは考えておりません。この点は、靖国神社をどう考えるかということについて、いろいろな見解があり得るであろうと考えますから、そこまで見解を統一する必要はない。ただ内閣として法制的な見解で申せば、この点には少なくともいろいろ疑いがある、合憲だと断定することにはちゅうちょをする、こういうことだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いろいろお話がありまして、まだ煮詰めるところが足りないように私は思うのです。  そこで法務大臣にお聞きしますけれども、大変変なことを聞いてと思うのですが、あなたは靖国神社というのは国の犠牲になった方をお祭りしているんだ、そういうふうに言われているわけですね。そうすると、東条英機や何かああいう人たちも国の犠牲になった人なんだ、あそこに祭られておりますね、国の犠牲になった人だ、こういうふうにあなたはお考えになっておられるわけですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 一般論として国家、社会のために命をささげられた方々をお祭りしている、こう思っております。特定の人の問題につきましては、批判は避けさせていただきたいと私は思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 特定の人と言ったって、東条英機さん以下のいわゆる戦犯の方々があそこに合祀されているわけですね、何年ぐらい前かな。それについてのあなたのあれは、どうも国民感情から見てもあらゆる点から見てもおかしいというふうにはお考えにならないでおられるのか、あるいはそういうことについては全く答弁するのは差し控えさせてほしいと言うことは、あなたが、東条さんたちがあそこへ合祀されるのもやむを得ない、こういうふうにお考えになっているんだと世間はとるかもわかりませんよ。それでもよろしいのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 特定の人のことについて批判的な言動を弄しますことは、靖国神社全体の問題として考えます場合に穏当でないように私は思いますので避けさせていただきたい、こう申し上げているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そういうふうにお考えになっておられて答弁を差し控えさせてほしいと言われるのに、無理に私の方から答弁を求めるわけにもいきません。一応この問題はこれで終わりにしておいて、終わりと言ったって全部終わりじゃないですよ、この問題だけでなく、また別の機会に全体を通じてもう少し論議を進めてみたい、こういうふうに考えております。  そこで、別の問題に入るわけです。司法行政の問題になるのですが、これは司法権の独立とも絡みましてなかなかあれだと思いますが、たとえば東京地裁の民事十一部というのと十九部というのが労働部ですね、これは間違いありませんが、そこに古館清吾さんという裁判官がいらっしゃる。これは十一部の部の統括者のようでございますが、この方の若干の経歴を御説明をお願いいたしたいというふうに思います。私の方の調査では、三十五年から五十年の十五年間の長きにわたって訟務検事として仙台あるいは本局、広島等におられた、こういうようなことが調査の結果わかっておるのですけれども、もう少し詳しく御経歴を説明願いたい、こう思います。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 お尋ねの古館判事の経歴につきましては、正確なところは調べてまいりませんでございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 正確なところはと言って、そこまで前の経歴との関連でいろいろ問題があるということもあって私の方で調べるように通告したつもりですが、じゃあれしましょうか。  昭和三十年に試験を受けられたのかな、三十三年に任官をされて山形地裁ですか家裁ですかに行かれてやられて、三十五年から五十年の間訟務検事をずっとやられておられた。仙台それから本局というと東京法務局かにもおられたし、それから訟務局にもおられたのですか、それから広島にもおられた。五十年の四月から東京地裁の方に入られて、最初は保全の方をやっておられた。保全は九部ですか、これは約二カ月くらい、非常に短い。それから十三部、十四部におられて、五十三年九月から民事十一部の部の統括者になられた、こういうことにお聞きしておるわけです。これは間違いないと思います。これは別に争いがあることではございませんから調べていただければいいですが、その間訟務検事として例の百里基地の問題の国側の訴訟代理人としてタッチされた。恐らく口頭弁論にも代理人として御出席になったのだ、こういうふうに思うのです。  私のお聞きしたいのは、こういうふうに長く訟務検事を勤めておられた方、国の代理人として仕事をやられた人、それが非常にしみついておられるような人が、労働部、労使関係の事件の問題に部の統括者としてタッチされるということは、これは人事だから司法行政の問題ですから、人事上どうも少し問題があるのではないか。それは人間ですから偏りがないと言えば——それは職業的な裁判官だからぱっと切りかえていけばいいわけですけれども、なかなか切りかえできないということから、そこで問題意識がどうしても偏ってくる。国側の代理人を長くやっておったからこそ、やはり労使の紛争についてはどうしても資本家側というかそういうふうなものに肩を入れ過ぎるような印象というものを持つのではなかろうかというので、こういうような訟務検事を長くやっておられた方が労働部の部の統括者になるということについては人事行政上少しく問題があるのではなかろうか、私はこういうふうに思うのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。     〔委員長退席、木村(武千代)委員長代理着席〕

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 法務省と裁判所とのいわゆる人事交流につきましては、従来からいろいろ御批判をいただいているところでございます。  私どもといたしましては、現在もある程度の相当数のいわゆる交流人事をやっておりますが、そのことがいま稲葉委員御指摘のようなことにつながるということについては、私どもはそのように考えておりません。裁判所に戻って裁判官として仕事をしていただくときには、あくまでも裁判官としての立場でやっていただいているというふうに信じております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは信じるのはあれで、信じなければ、あなた裁判官として任命できないわけです。  そこで問題は、私は事実関係を最高裁はどういうふうにお調べになっているかわかりませんが、私どもの聞いている範囲ではこういう事件がございました。総評全国一般東京地本に微生研労働組合というのがある。それがどうも会社の組織が、別の森産業というのですか桐生にあります、そこが本社だとかいうこともあって、そことの団交拒否の問題で都労委の命令を求めた。東京都の労働委員会は団交しろという命令を出した。ところが会社側はこれに対して行政訴訟を起こした。これは法律で決まっていることですから御自由ですが、それに対して労働委員会側が緊急命令の申し立てをしたということに関連をすることなんですが、これが十一部に係属をしてそこにいる赤西という判事補の方といろいろ折衝をしておられた。  これは最初にお聞きいたしますけれども、これは単独でやる場合と合議でやる場合とあるわけですね。この事件についてはどうだったのですか、単独だったのですかあるいは合議だったのですか、その辺のところはどういうふうになっておられますか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 東京地裁の取り扱いといたしましては、労働訴訟は原則として合議体で審理裁判をするというたてまえをとっておるわけでございます。  ところが、そういたしますと事件が非常に遅延するということもございまして、合議体の判決を予定しながらも、当初は単独体で主張、証拠の整理をしていくというふうにやっている例が多いようでございます。本件の場合も恐らくそういう形で審理が始められたのではなかろうか。御指摘のように、赤西裁判官が最初は単独で審理をしていたということは事実のようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは西山さんはこの部の統括者を前にやっておられたのだから、よく御存じのわけですね。  そこで、赤西判事補ですかこの方がその申立人や何かと話をしておった。そしてそれはいかにもというか緊急命令を認可するような状況に至っておった。そこら辺のところは多少事実関係が、あるいは十分な確認がまだこちらもできてないし、あなたの方もできてないかもわかりませんが、そこへ十二月二十一日に、古館という部の統括者が話し合いをしているところに出てきて、これは問題があるんだということを言われた。そのときは、その古館さんは担当の裁判官ではないわけですね。担当の裁判官でない部の統括者というのは行政上の問題でしょう。それが担当の赤西判事補と話し合いをしているところか何かのところへ出てきて、これは問題があるというようなことを言われたというようにわれわれは調査をしておる。そこのことについて、当時赤西さんが担当だったということはいま言われた。古館さんが、そういうようなことで部の統括者が出てきて十二月二十一日、これは問題があるということを当事者の前で言ったということについてはどういうお調べをされておられますか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 事柄が裁判事務の具体的な審理に関連することでございますので、事務当局の方で積極的に事実関係を正式に調査をしたというわけではございませんし、また東京地裁の方からも何らの報告がございませんので正確なところはわかりませんが、非公式に得た情報を総合いたしますと、いまお話しのように、合議決定がなされる以前に組合側から赤西裁判官に対して面会の要求がありまして、これに対しまして古館裁判官を含む合議体の全員が組合側の代理人と面会した。古館裁判官は、その際には合議体の裁判長という立場で事件の内容について発言をしたというふうに聞いておるわけでございます。その合議体の全員がその席に立ち会うようになったのは、先ほども申し上げましたような経緯で合議含みの事件でございますので、部の内部といたしましてはすでに合議体で処理をするという方針が決まっておりましたところで赤西裁判官からの希望がありましたので、合議体で面接をしたということに聞いておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いやいや、合議体といったってまだ合議体は決定してないんだから、合議体というものはできてないんじゃないですか。それで面会したというのは、大体あれは三名がおられるわけですか四名おられるわけですか、どっちですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 お尋ねの人員の関係はどういう御趣旨かちょっとのみ込めませんけれども、合議体とすれば三名で面接したと思われるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の言うのは、合議体はもちろん三名ですけれども、その部に配属されておる人が三名の場合と四名の場合とあるわけでしょう。だから四名が配属されておって四名の人全部があれしたのか、三名しか配属されてなくて三名の人がお会いしたのか、どちらかということを聞いておるわけです。調査ができてないなら調査ができてないでいいですよ。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 その点は調査いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そのときに古館裁判官が、この事件は問題がある、こういうふうに発言をしたということについてはどうですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 そのような点は聞いておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはあれですか、仮に私が質問をするとすると、その点は国会が司法権の独立に介入するということになりますか。それはどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 少なくとも最高裁事務総局の方からそういう点について調査をするということは、訴訟の進行について干渉がましいという印象を裁判官に与えるということを恐れているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 別に干渉でない、事実を調べてくれというだけのことでしてね。  そこで、いま言われたように赤西さんが前に会っていて、そこである程度——この緊急命令というのは、一見して明白な誤りがない限り緊急命令を出すというのが従来の取り扱いじゃなかったんですか。そういうことじゃないですか。東京地裁の労働部は、今度は二件、吉野石膏の事件、これは十九部ですね。それから微生研の事件が十一部、これは却下というのか棄却というのかしていますが、都労委が団交しろというように命令を出しておるわけですから、行政訴訟が起きたとしても、それに対して緊急命令を申請があれば出すというのが普通の例ではないんですか。大体出しておるんじゃありませんか。その割合なんかわかりますか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 出すのが普通であるか、その割合がどうかということは調査をしておりませんが、実務の運営といたしましては、緊急命令を出す必要性、相当性がなければならないということで処理をしているように思われます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはあたりまえの話でね、法律に書いてあるのだから。緊急というのですからそれはあたりまえの話ですが、従来の取り扱いは、結局労働委員会だって命令を出すまでにいろいろ証拠調べをしておるわけですからね。ちょっと時間がかかり過ぎるくらい労働委員会はかかっておるわけですね、私もよくやったことがあります。そういうような点があって十分やっておるのですが、それを尊重してやるというのが筋だと思うのですが、この点は裁判の内容に触れてきてはいけませんから私も控えます。  いま私が聞いておるのは、赤西という裁判官が話をしていて、赤西さんが要請したのかどうかよくわかりませんが、そこへ自分の方から出てきて、そして問題があるというようなことを言われた。しかも合議決定があったのはいつですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 組合と面接いたしましたのが十二月二十一日でございまして、合議決定があった日は十二月二十六日ということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そのとおりですね。だから合議決定のない前は赤西裁判官の担当だったわけですね。そこに関係ない人が出てきて、これは私の調査では問題があるというようなことを、いかにも却下しろというような意味のことを言うことは、赤西裁判官の職務に対する干渉であり、そして司法権の独立、裁判官の独立というものを害することになるのじゃないですか、私どもの言っていることが事実とすれば。だから合議決定をすぐすればいいじゃないですか。しているのは二十六日じゃないですか。クリスマスで休みがあったのかどうか知らぬけれども、合議決定があって、それから面会したときにその人がどういうふうに言おうと、これは裁判の内容の問題ですからわれわれが関与すべき問題ではございません。ございませんけれども、いまのは合議決定がある五日も前です。五日も前にわざわざ出ていって、その当時は法律的には関係はないのですが、部の統括者だから上司だ。上司が出ていって問題があるというようなことを言ったということは却下しろということでしょう。そういうやり方は裁判官の独立に反することだ、こういうふうに考えざるを得ないと思うのです。  これはだれに聞いたらいいのですか。本来なら事務総長だろうと思うけれども、だれに聞いたらいいかわからぬが、それは裁判官の独立を害するというかあるいは害すると疑われるというふうに考えざるを得ないのじゃないですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 私どもの承知しております事実関係は先ほど申し上げたとおりでございまして、最初から三人で面接した。その面接をするに当たっては赤西裁判官の希望で合議体で面接をするようになったという時点で、合議決定が内部的になされたというふうに理解しておるわけでございます。そういう関係でございますので、上司による介入というふうなことは私どもとしては考えておらないところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 事実関係は最初から三人で会ったのですか。最初に赤西さんが会っていて、そこへ古館さんが来て問題があるというようなことを言ったのじゃないのですか。  われわれはそういうふうに聞いているのですが、そこら辺はあなたの方の調べでは違うわけです。初めから三人ですか。初めから三人ならすぐその場所で合議決定をしたらいいじゃないですか。決定するのは簡単ですから、その日のうちにできるのです。二十六日まで延びたというのはどういうわけですか。最初に赤西さんがいて話をして、そこへ古館さんが来て問題があるということを言って、それから合議決定が二十六日に出てきた、こういう経過じゃないですか。最初から三人というのはどうもちょっと違いませんか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、赤西裁判官が単独で審理の整理を始めていた段階では、もちろん一人で組合とも折衝していたことは間違いなかろうと思われますが、問題の十二月二十一日の時点におきましては、最初から三名で面接をしているというのが真実でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると最初から三名で会った。では、どうして合議決定が二十六日まで延びたわけですか。その日にすればいいじゃないですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 合議決定と申しますのは、訴訟法上の決定とは異なりまして、裁判所の司法行政上の事務の分配を定める内部的な性質を持つ決定でございますので、合議体で審理をするという意思が決定されたときに、その合議決定は成り立っていると思われるわけでございます。  稲葉委員も御承知のように、よく実務におきましては、口頭弁論の際に、この事件は合議体で審理、裁判をするという告知をいたしまして、それを調書に記載するという方式をとっておりますけれども、その場合でもすでに合議決定はそれより前になされていて、それを単にその場で告知するということが行われているわけでございまして、本件の場合の合議決定の日付が十二月二十六日になっているということは、別にそういう合議決定がそれから後でなければ合議としての行動がとれないということを示すものではないと考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、本件については合議決定はいつなされたということですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 組合と裁判官三名が面接した、そのときが最初であるとすれば、その時点に合議決定がなされたというふうに理解しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 では、合議決定がなされたということについては、組合側なら組合側に通知しなければいけませんね。それをそのときに通知したのですか。それは余りにもあなた方は理屈をこね回し過ぎるよ。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 理屈をこね回すということで、もう一つ理屈をこね回してまことに申しわけございませんけれども、この場合の組合と申しますのは、この事件から申しますと当事者ではございません。  この事件は、先ほど委員が御紹介になりましたように、原告が森産業株式会社、被告が東京都地方労働委員会という当事者でございまして、その中身は組合が関与しておるわけでございますけれども、この段階では組合はまだ純然たる第三者ということでございますので、その者に対しての告知は必要がないということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは形の上では確かにそうですね。利害関係人として参加しているのかどうか知りませんけれども、そういう形になると思うのです。  そうすると、あなたの方では、よくわかりませんが、十二月二十一日にどこで合議決定したというのですか。はっきりしませんね。裁判官室でやったのですか。どこで会ったのか知らないけれども、会ったところで合議決定したのですか。具体的な事実関係はどうなっているのですか。後から質問が出てきたものだから、そこで合議決定があったということにしたのですか。合議決定したということは調書に載っているわけでしょう。内部の意思の形成というものと合議決定とは別じゃないですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 合議決定の場合には内部の意思の決定が決め手になるように思われます。それをいつ告知するかというのは、便宜的なものと言ってはあれですけれども、その合議体で行動することについての効果には影響を及ぼさないものだというふうに考えております。ただいまの件で言いますと、具体的な場所がどこであったかということは正確には把握しておりません。     〔木村(武千代)委員長代理退席、委員長着席〕

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 合議するのは裁判官室で合議するのに決まっているでしょう。裁判官室以外で合議することは普通あり得ないんじゃないですか。あるいは裁判官の後ろの部屋がありますよ。合議室とかなんとかいう部屋をつくっている場合も場所によってはありますね。そこで合議する場合もありますが、これは組合の人に会っているときに合議したというのですか。その前に合議したというのですか。そこら辺のところははっきりするんじゃないですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 組合の人と会う前に合議決定がなされたというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは考えておるということで、後から考えて、そういうふうにしなくては話の筋道が合わなくなってくるし、あなたの方が困ってしまうからというので、そういうふうな形にしたんじゃないかと私の方は思いますね。あなたの方としても、理屈をこねるという言葉があれならばあれですけれども、あなた方の言いたいことがあれば幾らでも言ってくださって結構ですよ。お互いに言いたいことを言って、その中から真実を求めていくのが国会ですから遠慮しなくていいですよ。ただ私の言うのは、どうもそういう点が理解できにくいのです。  それからあなたの方としては、くどいですが、合議決定というのは面会する前にあった。どこでどういうふうにあったかよくわからぬ、そういうことですね。それは記録にも残っていない、こういうことですか。会ったときにこの事件には問題があるというようなことを言った、こういうのですか、そこら辺のところの調査はできてないということですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局行政局長

○西山最高裁判所長官代理者 そのような調査はいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いろいろ問題点があるのですが、たとえばこの方が、ある事件で東京都交通局の労働者が仕事中乗客に殴られたというのを労災として訴えた、この事件において、私が使用者だったら家に呼んで飲ませて終わりにする、だからこの件もビールーダースで和解してはどうかと言ったというのですが、なかなかしゃれた裁判官だと思う。ビールーダースで和解することもあり得るわけだから、そのこと自身決してどうこう言いませんけれども、ちょっとあれですね。それから証人尋問の場合も、いろいろな事件で使用者側に助け舟や何か出したりなんかしていることも言われておるわけですね。  それから、何か準備書面を出すと、それを、準備書面を出せば陳述するわけですね。それはあたりまえでしょう。直接審理の場合は時間の関係で、準備書面を出したから準備書面のとおりですといまやっているけれども、準備書面というのは、直接審理でいってそこで陳述するのが当然のやり方ですね。これは兼子一さんなんかも盛んにそういうことを言っておられるわけですね。そうすると、準備書面を口頭で陳述しようとしたらいかぬというようなことを言われたりなんかしておるということもあるのだけれども、それは訴訟指揮の問題ですから、それをここで論議するのは私もちょっと筋が違うと言えば違うような気もするから、そのことについてはかれこれ言いません。  いずれにしても出発点は、訟務検事を十五年もやって、しかも百里基地の訴訟代理人になっている、こういう人が、それは途中多少ありますよ、普通民事部に一年か二年あるけれども、それをすぐ労働部の部の統括者にするというところに人事関係で問題があると私は思うのです。それは職業的な裁判官だから頭を切りかえてやると言えばそうかもわからぬけれども、そう簡単に頭が切りかえられる問題ではないと私は思うのですね。だから、こういう人事のやり方に問題があるように私は思うのです。  それから組合側の人が、地裁の所長代行はいま可部さんかな、可部さんに会ったときは合議決定が前にできていたなんという話は全然出てなかったようですよ。可部さんはスモンの和解をやられた方だと思います。そのときにはそういう話は出てないですよ。だから、合議決定ができていたなんというのは、質問が出るということで後からあなた方の方でつけ加えたことではなかろうかというふうに思うのです。  いずれにしても、この全体の流れ、ことに労働部のやり方というものが、ことに訟務検事か何かをやっていた人を交流するという、これは一つの行き方であることは間違いありませんけれども、そのことから逆に非常な弊害が出ておる。特にこの方については、訴訟のやり方あるいはそういう点についていろいろ問題がある。ことにいま言ったようなのは司法権の独立、裁判官の独立を侵すように私は考えられてならない。こういうことで、あしたどういうふうになるかわかりませんが、いろいろなことがあると思います。  それからまた問題になりますのは、陪席判事が非常にちょこちょこかわるそうですね。これは訓練のために置くのかもわからぬけれども、部の統括者は大体三年ぐらいいるわけです。ところが陪席判事は本当にくるくるかわる、非常に困っちゃうというようなことも聞かれるわけです。担当者が決まっているから行くと、今度はかわっちゃうということで、部の場合に、陪席はいろいろあちこちの仕事にならすためにぐるぐる回しますね。そういう関係もあって回すのかもしれませんけれども、ここら辺のところがどういうふうになっているのか。部長の方は三年ぐらいいて、陪席の方は非常に短いですね。また全然関係ない人が労働部に入ってくる。陪席をやった人がまた労働部に戻ってくるなら、わりあいに本人もなれているから、よく事情を知っているからやりいいかもわからぬけれども、全然関係のない人がまた入ってくる。そしてある程度なれるとまたかわっちゃう、こういう形の人事が行われておる、こういうふうに聞くのですね。この点については人事行政上問題があるのではなかろうか、こう思うので、こういうやり方を実際にどういう意味でとっているのか、これは人事局長にお尋ねしたいと思います。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 部の構成につきましては、具体的には、ただいまの件の場合には東京地方裁判所の裁判官会議でお決めいただいていることでございます。  ただ、一般論として申し上げれば、稲葉委員御指摘のように、いわゆる主任の陪席裁判官がしょっちゅうかわるということは好ましくないと思っておりますが、先ほど御指摘のように、特に陪席だからといって、ある部からある部へしょっちゅう見習いのために回すということはないように私どもは理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、行政訴訟が起きていますね。いま言った森産業が原告で、東京都の労働委員会か何かを相手にした行政訴訟。これは、労働部の場合は普通の民事の二部、三部へ係属しないで労働部へ係属する、こういうふうになっているようですが、そこで三回ぐらいやってはいるのだけれども、いろいろなことがあって実際には一回ぐらいしかやっていないそうですね。第一回が九月二十五日ですか、いきなり、自分の方で緊急命令を却下しておいて、今度は話し合いをしたらどうかというようなことを言い出してこられたらしいですね。これは訴訟の進行ですから、訴訟指揮権の問題だから、かれこれ言うのは筋が違うかもわかりませんけれども、こういうことから考えると、緊急命令を却下したということと何か一貫性がないようにも考えられる。だから、ちょっとそこがどうもおかしいのじゃないかとも思うのです。緊急命令を棄却しておいて、今度は行政裁判になったらいきなり、三回目ですけれども実際は第一回目で、今度は両当事者で話し合いをしなさい、こういう形に持っていく、これはちょっと話がよくわからないのですが、いずれにいたしましても、そういうようなことから見て、民事の十一部から十九部ですか、ここへ来るのがいわゆるタカ派の裁判官というか、タカ派とかなんとかという言葉で言ってはいかぬけれども、そういう裁判官が非常に多いようですね。名前を言うとあれだから言わぬけれども、まあ西山さんは違うけれども、あとの人なんか、言えばいるでしょう、高裁の裁判長をやっている人もいるね。札幌へ行って札幌から帰ってきた人もいるでしょう。有名なタカ派の人らしいけれども。タカ派だって悪いことはない、タカ派といってもいろいろあるんだけれども。  だから、そういうふうな人事はやはり労働部には労働部に適した人、よく理解のある人を回してもらわないといけないんじゃないですか。そういう点の人事がうまくいかない点じゃないかというふうにも考えられるのですが、この問題については別のところで、いずれにしてもまた何かあしたあたりから展開があるのじゃないかというふうに思いますので、いまの問題は、裁判官が裁判官の独立を害したというふうに私どもは理解しているのですが、そのことについての質問は終わりにしたいと思うのです。  そこで、話は別になりますが、本来ならきのうのあれでやるんだったのですが、若い判事補の人たちとよく会って話をしますと、第二カード、第二カードと言って、第二カードのことを非常に心配するのです。もう本当に心配する。この第二カードというのは一体何が書いてあるのですか。書いてあることは出さなくていいですが、ひな形があるでしょう。ひな形だけでも当委員会に出してもらうわけにはいきませんか。内容を見るなんてことはしないですよ。ひな形だけでも出していただけませんか。何が書いてあるのか、本人の酒癖まで書いてあるかどうか知らぬけれども、どうもそういう説も聞くのだけれども、これはどういうのですか。ひな形だけでも出してくださいよ。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のいわゆる第二カードは、内部通達に基づきまして毎年一回裁判官の全員の方に書いていただいているものであります。  これをつくってもらっている目的は、裁判官の人事異動計画に資するためのものでございます。内容でございますが、任地、補職庁それから担当事務、本人の希望等を正確に把握したいということが主でございまして、御指摘のような若い判事補の諸君が何か恐れているとおっしゃっておられましたけれども、どういう趣旨か私どもはちょっと理解いたしかねるわけであります。なお、その点につきましては、たとえば所長の意見として、この裁判官はこちらの方に向いている、あるいはこういう任地を希望しているからかなえてほしいというようなことも書き添えてあることもございます。  なお、ひな形でございますが、人事行政上のことでございますので、正式にお出しすることはひとつ差し控えさせていただきたいと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこへ所長のいろいろな意見が入っているのじゃないですか。この人はこういうあれがあるとか、成績がいいとか悪いとか、職務に非常に熱心だとか熱心でないとか、事件の処理がどうだとかこうだとか、そういうことも入っているのじゃないですか。一番下の方に所長の書く欄があるでしょう。そこに書いてあるのじゃないですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 毎度お尋ねがございますが、所長からの人事に関する意見等につきましては、正式には高裁を通しまして私どもで伺っていることは事実でございます。これはいつも申し上げておりますように、その裁判所における当該裁判官の評価というとちょっと言葉が過ぎるかと思いますけれども、それ自体はおのずから固まってまいりますので、所長を通じまして私どもの方に報告をいただいているというような実情でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 では、そこはまた別の機会にしましょう。おのずから評価が決まってきて所長がそういうふうなことを報告すること自体がおかしいのですよ。これが裁判官の独立を害するのだ、こう思うのですよ。だから私は一回見せてもらいたいと思うのですが、これは後にします。  そこで、あと時間が少しですが、刑事局長、読売新聞の十一月七日に「えん罪の苦い味をかみしめよ」というので社説が出ているのですが、「東京地裁(刑事十二部)で近く、強盗事件の再審裁判が始まることになった。」川崎市に住む大工のTさんと書いてありますね。いろいろな事件がたくさんあるし、これはその一つらしいのですが、横浜の事件のアリバイの証拠は、これは横浜で起きた事件だけが再審開始を決定して検察側も特別抗告をしなかったというのですが、「事件のアリバイの証拠は、警察や家裁の古い記録だった。」こう書いてありますね。この点の概略の説明と、アリバイの証拠がこうだったというのは事実ですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねの事件は昭和二十八年に判決のありました事件でございますが、その判決で有罪となっておりますのが十九の事実についてでございまして、あと三つの事実については無罪になっているわけでございます。  その十九の事実の中のまた二つにつきまして再審の手続がとられておったわけでございますが、そのうちの一つは認められない、最後にいま御指摘の二十五年五月の横浜における強盗時の事実、この点につきまして再審の開始決定があったということでございますが、何分にも古いことでございますし、記録もすでに廃棄されておるというようなことでございますので、アリバイがあった、つまり別な事件でその時点では逮捕中であったということで再審開始が認められておるわけでございますけれども、その証拠といいますか裏づけがはっきりしないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 はっきりしない、だけれども、これには「横浜の事件のアリバイの証拠は、警察や家裁の古い記録だった。」こういうふうに書いてあるのですね。そうすると、記録そのものは廃棄されたとしても、何らかのものは残っていたんですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 再審の手続の中におきましても、御案内かと思いますが、昭和五十一年に東京地裁で、請求のありました二つの事実につきまして、地裁の段階では理由がないということであったわけでございます。  ところが即時抗告の申し立てがございまして、五十五年の十月に東京高裁で先ほどのような結果になったわけでございますが、その間におきまして、いろいろとその点が争点といいますか議論になりまして、二十五年五月の当時別件で逮捕されていたわけでございますけれども、果たしてその日と犯行の日ということが一致するかどうかという点がまた問題になったようでございます。再審の一審では、犯行自体は一応明らかであるので、犯行日とされている日にアリバイがあるというだけでは再審における明白性、新規性がないという判断もあったわけでございます。その後、いま申しましたように高裁で審理がなされている間にいろいろと当時の新聞等を調べまして、その当時の新聞で犯行がどうも五月二十日であるというふうに認められるということから再審の開始が認められた、こういうふうに聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 時間が来ましたので終わりますが、再審の問題については、私ども再審法を出していますし、世界の再審の動きが非常に大きく変化をしておるというふうに私ども見ているんですね。今度再審法の研究で非常に厚い本が出ました。鴨先生の本だったかだれの本だったか何か出まして、世界各国の再審の問題についての研究がいろいろされておりまして、日本の場合は、白鳥決定以来事実上は再審の門が広がったと言えないことはありませんけれども、まだまだ問題があり得る、非常にきつ過ぎるんじゃないか、こういうふうに思いますので、この点についてはいろいろな面から私どもも冤罪で泣いている人のないような形でこれからもいろいろ質問をさせていただきたい、こういうふうに考える次第でございまして、私の質問は終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 委員長にお伺いいたしますが、先般からこの委員会でもお願いいたしておきました例の衆議院の議運で取り扱いました松野代議士に対する法務委員会——あるいは偽証告発問題と野党は言い、与党は松野問題というふうに若干のニュアンスが違うようでございますが、この法務委員会で取り扱うことにおいては、積極、消極の違いはあっても支障はないというふうな話し合いになっているというのでありまするけれども、これを受けて当委員会はどう扱うことに決まりましたのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小林委員にお答えをいたします。  先般の理事会におきまして、私の方から、いまの松野問題につきましては、当委員会において松野さんの行われた証言——当委員会ではなくて航空機等輸入に関する特別委員会において行われた松野さんの証言でありますが、その証言並びにその後の裁判の結果あるいはその後に発表されたいろいろな資料等に基づいて幅広く御質疑が行われて、その結果として松野さんを証人として当委員会に出席を求めるというようなことが行われるとするならば、それはそのように各党間の協議に基づいて進めてまいりたい。ただしかしながら、松野さんが航空機等輸入に関する特別委員会で行われた証言に基づいて、直ちにその二とを偽証として告発することを当委員会が当然の権限として持っているとは考えられない。したがって私は、松野証言が行われた事実は残っている、しかしその担当委員会は消滅しているので、これを告発すべきか否かということの問題を取り扱うところは院である、このように理解をいたしております。  したがいまして、衆議院が本会議において当委員会に、松野証言について調査をし、そして告発すべきであるかどうか、告発すべき事由がある場合には告発せよという御付託の決議があるならば、当委員会としては当然に扱わなければなりませんが、そうでなければ、いま申し上げたような順序を踏んだ上で御検討をいただくことにしたらいかがなものであろうか、そういうことを理事会に申し上げまして、各党国対において十分御検討願いたい、そのように申し上げてございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いまの委員長の御発言によりますと、そうすると、これはまだ当委員会理事会としては決定していない、いま委員長御発言の趣旨を各党はそれぞれ持ち帰って、自分の所属政党の結論を持ってまた相寄る、こういうふうに承っておきたいと思います。  ただ、いまの御発言の中でちょっと疑問点が残りますことは、同様な問題が実は予算委員会、私も予算委の理事を長くやったりして関係をいたしてまいりましたが、これはその委員会で、ロッキードの問題に関連をいたしまして国会で呼んだ幾人かの証人の中で、その会期ではなくて、一たん国会が終わったその次の国会、次の会期のときに、前回の会期でおやりになったその証人としての発言が偽証に値するということで、偽証罪で告発をいたしました。それがいまなお生きて第一審裁判所でまだ公判が続けられている、偽証罪の問題に関連して裁判が続けられているようでありますが、これは予算委員会という常任委員会の場合だ。  今度の航空機等輸入に関する特別委員会の松野証言を偽証として告発するかどうかは、これは常任委員会ではなくていま委員長お話しのとおり特別委員会、しかもその特別委員会はいま消滅をしてしまった。この消滅した委員会における発言が仮に偽証に値するとした場合にも、一体当委員会においては、当国会においては告発ができないのかどうか。いまの委員長の御発言じゃ、本会議を開いて何か国会で決議でもしなければならぬ、決議をしてそれに基づいてどこか所属委員会にそれを還元しなければ、告発もできなければ、再調査といいますか再喚問といいますか、むしろ告発の前の証人として喚問もできないというふうな御発言のように承ったのでありますけれども、これは国会審議上における基本的な問題だと私は思いますので、いま一度これを委員長にお聞きしておきたいと思う。もし委員長で御判断ができなければどこか法制局でも呼んで、いまここでひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 委員長としての見解はさきの理事会において申し上げたとおりでございますが、なお重ねて申し上げますと、松野さんを証人として改めてこの委員会に喚問するということについては、前に行われた松野証言と直接にかかわりを持ってこの委員会で喚問するということについては若干の疑問があるのではないだろうか、このように判断いたしますので、前に行われた松野証言並びにその後の一連の事態を踏まえて、当委員会は司法並びに法務行政に関する調査をする権限を与えられておりますので、それらを踏まえてもう一度松野さんを改めて当委員会に証人として喚問するということでありますならば、それ自体はその時点において各党間の協議でどのようにでも決められると私は思います。  ただ、他の委員会ないし特別委員会において行われた証言をもとにして、それがその後の裁判に出た記録等と違うということをもって直ちに当委員会が偽証の告発者になるということについては、そのような権能はない、したがって、本院の決議によって付託をされなければそれはできないことではないでしょうか、このように申し上げておるところでありまして、松野さんを証人としてこの委員会に呼ぶことはできないのだという意味で申し上げているつもりはございません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ちょっとくどいようでございますけれども、問題は二点ほどあると思います。  一つは、松野問題というか、幅広く当委員会でそれを審議するあるいは質疑を繰り返す等、そういうことから始まって、その過程でいま一度松野さんを証人あるいは参考人として喚問する必要が出てきた場合には、委員長はその時点でそれは可能な場合も考えられるということなんだな。最初から、消滅したというか他の委員会で始まったこと自体を持ってきて、ここで偽証罪として扱うということはこれは不可能だ、不可能といいますか、できないという判断に委員長は立っている、そういうことですな。そういうことでよろしゅうございますか。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小林委員に申し上げますが、当委員会で不可能とは申しておりません。ただ、本院の決議が必要ではないか、当委員会が初めからその権限を有しているわけではございませんので、たとえば松野さんの前回の証言についてはあるいは内閣委員会にかかわることもございましょうし、当委員会にかかわることもございましょう、いろいろ関連がございますが、本来関係のあった特別委員会が消滅していることでありますので、したがって、院の決議をもって御付託があればそのような手続はできます、こう申し上げておるところでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 委員長の答弁は一応それで終わることにしましょう。大体ある程度筋も通っているようですから、あれしましょう。  そこで刑事局長、これは法制局長官の仕事かもしれませんけれども、あなたのところの所管事項だから聞くけれども、いまのように特別委員会の中で松野さんがいろいろ証言をされた、ここに速記録がありますよ。大変気楽にこれはやられています。昭和五十四年の七月十一日だ。やられているが、その後法務省がお出しになりました、これは時間がないから私は内容にまでわたりませんけれども、日商岩井事件の判決だな、この判決文と比較してみると、うそと言ってはなんだけれども、実にこれは明らかな偽証に値するような事実を気楽に陳述していられるのでありますが、こういう問題は立法府として、何々委員会だ何々委員会だ、これは消滅するの、これは消滅しないの、これは特別委員会だ、これは常任委員会だとかどいう細かい議論は別として、立法府は一つなんだから国会としてこれは偽証として扱うことが一体可能であるかどうか、これは政府側の見解を承っておきたいのですよ。これは法務大臣でもよろしゅうございますが、どうですか法務大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 申しわけありませんが、経過を詳しくは承知しておりませんので、意見を述べるだけの自信がございません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ちょっと聞こえなかったのですが、刑事局長いかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 国会でのことでございますので、先ほど委員長からお述べになったとおりではないかと思いますけれども、私から申し上げるのは適当でないと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これは委員長、今後の国会運営の問題ですから、きょうは呼んでおきませんでしたけれども、法制局長官に法制局として法的に筋の通った解釈を言っていただきたいから、これはひとつ法制局から文書で提出していただくことを要望いたしておきます。  次に、私は法務大臣にお伺いしたいのでありまするけれども、こういう松野問題も含めて国会議員が相当関係をしている被疑事件と言っていいのかあるいは灰色事件と言っていいのか知らぬけれども、世間から見れば疑惑のある問題がまだ他にたくさんあるわけですが、こういうことに対してこの国会がそれぞれの所管の委員会において解明することについて、法務大臣は一体どうお考えになっておるのか。私は何かの新聞でながめて、何かそれに対し消極的あるいは反対のような法務大臣の意向をどこかで見たような記憶がありまするので、あえて御質問申し上げるのでございまするが、ひとついかがでございましょう、法務大臣の見解を承っておきたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 政治の一番大切なことは、国民からその政治の運営について信頼を得ていくということだろうと思います。そのためには、政治家個々が姿勢を正していくことが非常に大切でございます。そういう意味合いにおいて、いま政治倫理の確立ということが大きな政治課題になっていると思いますし、また国会でも、政治資金規正法の改正でありますとかその他いろいろな問題が取り上げられて努力がなされていることでございます。そういう意味合いにおいて、政治倫理を正していくということでいろんな方面から政治家自身が努力をしていかなければならない、こう考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いまの法務大臣のおっしゃる、政治家が特に姿勢を正し倫理の確立に努めて世間の疑惑を避けるようにする、私は賛成ですよ。しかし、どこかの報道によるとそうじゃなしに、何か法務大臣は、選挙を理由にしてもはや国民の洗礼を受けたんだし云々という談話の、記録にはありませんけれども、どうもそういうふうな言い方で、この姿勢を国会の中でただすことに対しむしろ反対のような主張をされたのをぼくは見ているのですけれども、いかがでございますか。どこで発言されたのか、いま一度ここで繰り返していただきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 どの委員会であったかちょっと覚えておりませんけれども、具体的に申し上げますと、二階堂さんを自民党が総務会長にしたのは、政治倫理を確立すると言いながらこれはまことに不穏当なことじゃないか、どういうふうに考えているのか、こういうお尋ねをいただいたことがございました。  そのときに、私なりに人権尊重ということも考えなければならない大事な問題だという意味で答えたことがございます。繰り返し申し上げることは失礼だと思いますので、またお尋ねがございましたらお答えさしていただきますけれども、小林さんがどこかで見たとおっしゃっているのは、そのことに関連してじゃなかっただろうかなと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はいま若干それでわかりましたが、だれそれと言って個人の名前を指して言うことは私は差し控えたいと思いますけれども、政治家全般といたしまして、最初に大臣がおっしゃったように、一般人よりは特に厳しく姿勢を正す、一般人よりも正しく倫理性を高める、そういう常時の心構えが必要だと思いますから、政治家がいやしくも世間の疑惑を受けておる、あるいは道義的、政治的、社会的に非難を受けるようなそういう疑惑の中に投げ込まれた場合には、先んじてみずからの身のあかしを立てるべきだし、また国会も世間の非難にこたえるように進んでその疑惑を解明するように行動を起こすべきだと私は思う。  それをどうも何か大臣の言葉として、二回とか三回とか選挙という洗礼を受けてきたのであるから、そこまでも追及してその人の人格をも損なうようなことをやるべきではないというふうな意味のことを言われる。私は選挙によって洗礼を受けたという言葉は非常に気にかかったわけです。もしこういうことが政治家に許されるならば、政治家はどんなことをしておったって、選挙をやって再び当選してくればいままでの疑惑とか灰色は全部それで払いぬぐわれたというような、これは私は考えようによっては、大変なへ理屈といいますか筋違いな議論ではなかろうかというふうに感じたものであります。この点ひとつ大臣の見解をいま一度承っておきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 いまおっしゃいました灰色問題でございますけれども、いま私が例に挙げましたことは、国会の秘密会で、政界浄化のために法務省に最大限度の協力をしろということで、法務省が法務省なりに若干の把握をしている事実を報告をした。しかし、それは職務権限がないとかあるいは時効になっているとかということで起訴しなかったということでございました。  それが表に出まして、自来灰色という言葉が一般に言われるようになったと思います。そのことだけをつかまえて、いつまでもその人をなじっていくことは人権に差しさわりがあるんじゃないか、こう私は思っておるわけであります。その人について別な事実をつかまえていろいろ論議をしていく、これは私は結構なことじゃないか、こう思うのであります。  法務省としては起訴するか起訴しないかしかないのでありまして、起訴しなかったということは無罪であります。それをいつまでも有罪なるがごとく言うていくことは、その人の政治活動を阻害することになりはしないんでしょうか。しかも、その人はそういう事実がなかったと言っておられる。もし起訴になっていれば裁判で争われて、どちらが本当であるかという判決がなされるんじゃないでしょうか。また国際人権規約などには、判決があるまでは無罪と推定するんだとまで明記されている。人権は尊重しなければならない。日本の憲法も人権尊重には特別な配慮をしているんだ。しかも、その間に三回も選挙があって有権者から信託を受けているわけだから、有権者としてはその人に政治活動を最大限度にやってもらいたいという期待を持っているんだから、不起訴になった事案をつかまえて、いかにも有罪なるがごとくいつまでもその人を責めていくということについては人権尊重上問題があるんじゃないでしょうかと、こう申し上げたわけであります。新しい事実についてどんどん議論をしていく、これは私は大切なことだと思います。ただ、不起訴にした事実を、本人は否定をしている、それをあるがごとくにずっと言い続けてきていることは、人権尊重ということを考えた場合にはやはり問題があるんじゃないでしょうかと私は申し上げたわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、そこで法務大臣とわれわれの考えに開きがあると思うのです。法務大臣とかあるいは裁判所とか検事局とかいう一つの、刑事訴訟法に載っておりますが、法律上の問題としてやる場合には、大臣がおっしゃるようにクロかシロしかないかもしれません。起訴しなければ不起訴だ、不起訴はシロだ。そのシロになった人を時効もなしに非難するのはどうかとおっしゃる。それはいいが、しかしわれわれ政治家の側から見た場合にはシロかクロかじゃないのです。そこには、灰色という言葉が悪いならば、別な言葉で言えば道義的社会的責任というものが出てくる。シロでもない、クロでもないかもしれないけれども、やはりわれわれの選良として、国民の代表として国政を任すためにはまだすっきりしないものがある。  たとえて言えば、いまでも国民の側にもたくさん、われわれが行けばまだ口にせられるのは、ことしの解散前にも出てきたいわゆるKDD事件に関係している国会議員は百九十名だ、あるいは税理士法の改正問題に関係している国会議員が九十何名。これはいまも言うように、ここに検察陣としては、いわゆる法を取り扱う者としては、いわゆる犯罪の構成要素を欠いているということで、これは起訴を免れた。では、いまの大臣のお話によればそれはシロだ、起訴にならないんだからシロだということになるが、国民の側から見れば、あるいはまたわれわれ同僚国会議員の立場から見れば、それだけで済まされない問題が残っている。それはどこか。私は国会の場所だと言うのだ。それぞれの委員会で、その人たちが社会的にも道義的にも問題を国民の前に解明する責任もあるだろうし、われわれはそれを解明して、国民にその疑惑を明らかにする。問題点があるなら問題を提示して国民の審判を受ける、それほどの謙虚なる姿勢が必要ではないか、私はそう考える。これは全く私は大臣と違うのです。  それを大臣が、もう不起訴になったからシロだ、あくまでも道義的政治的責任などというものを追及する国会のその姿勢はむしろ間違いだといまあなたは言われたようにも受け取れる発言があったから、そんなことでは私は了承できない、こう言うのであります。これが違いです。その意味において、あなたが何と言われても、選挙でもう二回も三回もやったから追及するのは人権問題だというその主張には私は賛成できない。やはり道義的問題として、政治的問題として、社会的問題として、国民の中に疑惑が残っている限りは私はやはりこれは明らかにすべきだと思いますが、いかがでございますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私が先ほどお答えした問題と、いま小林さんが提起された問題とはちょっと違うと思っております。  私は、疑惑がある問題を追及して悪いとは一つも考えていないわけであります。いつまでも言い続けておって、せっかく有権者がその人の政治活動を期待している際に、その人の人権を損なうような結果になる場合にはやはり慎まなければならないんじゃないかな、こう思っております、こう答えたわけでございます。  新しい問題が起こりまして、それを国会がいろいろと追及していかれる、そのことを私は批判をしているものではございません。後でおっしゃいました問題と私が申し上げた問題とは、時間的にもまたその後の経過もかなり違っていると思いますので、あえて小林さんのお考え方に異を唱えているわけではございません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 新しい問題というその言葉をおっしゃるので、私はそれにこだわるわけなんでございます。  具体的な例を一つ申し上げますと、あなたの党に所属している福永一臣君、これはロッキード問題に関係した。ここには元法務大臣の田中先生もいらっしゃいます。田中先生の時代にこれは灰色高官として表に出された。彼は、私はその事実を否定すると言った。福永さんの場合は、ちょっと二階堂さんの場合と違って否定するのではない、確かに政治献金は受けたけれども、それはロッキードに関連をする、そういう贈収賄のにおいのする金ではなし、純粋な献金なんだ、このままに持っていかれたら私は生涯自分の汚名を晴らす機会がないんだ、だからどうかひとつ私を証人として喚問しろ、頼むから呼んでくれ。そのときの委員長は、いまここに絵があります廣瀬正雄先生が委員長であった。委員長も、呼ぶべきだ、本人が希望しているんだから本人の身のあかしを立てる意味においても証人台に呼んで宣誓をしてやるべきだと言われたのです。けれども当時与党の委員が全部反対しまして、彼が証人で出ていって本当のことを宣誓してしゃべられるとほかの人に影響してくる、だからしゃべらせないといって、本人の希望するのを抑えて、そしてついに政界から引退せしめた。私は彼に最近お会いしましたよ。まだ残念がっていました。これはあなたの言われる新しい事案ではないのです。ないけれども、犯罪は構成しなくても、そういう人たちに政治的道義的に解明する場所を与えない、あるいはわれわれ仲間がそれに協力をしてやらなければ、終生の恨事としていまでも残っている、私はそれを言うのです。  これは裏からいった話ですけれども、表から見ても、国会議員たるべき者はやはり社会的な非難に値するような行為は積極的に明らかにすべきである、私はこう考えるわけでありますが、いかがでございましょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 灰色と言われた方々も事情はそれぞれ区々だったようでございますし、また当時、委員会でそれぞれの人の陳述もお聞きになったように思っているわけでございます。また、これらの事柄に対しますそれぞれの判断、これはまた人によっていろいろあってしかるべきだと考えているわけでございまして、国会でおやりになりましたことに対しまして私が批判がましいことは避けた方がいいのじゃないか、こう思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 法務大臣、あなたは秀才だったそうですね。秀才というのはどうも考えが少し偏狭過ぎるのではないかと思うのだ。あなたは新聞紙上に出てくるとどうも、稲葉代議士も先ほどからも言われたが、靖国神社の問題でも憲法の問題でもあるいは国会議員のこういう政治的社会的道義に関する問題でも、あなたの発言を聞いていると一味違うのです。  どうですか大臣、これは時間もないから私は言うのですが、あなたは国会議員として、立法府の一員として憲法改正論などを自己の信念に基づいておやりになることは実にりっぱだと思うのです。そういうときに私はきっとだれよりも奥野さんという人を尊敬するだろうと思う。しかしいまあなたは、立法府の議員であるかもしれないけれども、一つはやはり行政府の長なんだ。そしてまた内閣では閣僚の中に入った連帯的責任を背負う一人なんです。あなたの立場は行政府の長でもあり、連帯的に一体性を持っている閣僚の中の一人としてのあなたの発言がいまの内閣といつでも一味ずつ違っていることだけは事実だ。それは何とあなたが抗弁せられようとも、私は許されることではないと思う。  それを、聞いていると、あなたは法務大臣をやめたくない、どうも行政機関の長としてやめたくないという物欲しげな顔をしながらそういう発言をされるから、いつでも問題は尾を引いて解決しない。きょうも稲葉委員と官房長官、法制局長官とあなたの応答を聞いておりましたが、私は幾つも感じた、ああこれはまた新しい問題ができたわい、これはまた今度の臨時国会の最後の仕上げの、これまた火を噴くわいという感じを強めたのであります。これは率直に言って、これも法律問題ではありませんが、政治問題としてもきっとあなたを抱えておられる総理大臣は頭を抱えてお困りになっておると思うのだが、あなたはすぱっとおやめになったらどうですか。おやめになって、そして信念ある哲学ある国会議員の一人として、あすからでも憲法改正運動でも全国的におやりになったらいかがでしょうか。そのときには恐らくあなたの驥尾に付して立ち上がる者もいれば、確かに奥野でかしたりという国民の声も成り立つと思う。ぼくはそこに、同じ政治家でありそれが言論の自由だ、そういうしゃべる自由があっていいだろうという、あなたのおっしゃる自由が初めて生きてくる、これは忠告いたします。いますぐ御返事ができなければ、今晩一晩でも考えて態度を明確に決めていただきたいと思います。これで私の時間も終わりだそうですから困っちゃった。  せっかくですから刑事局長、これは御返答はもらいましたよ。私が多年要望した「検察庁法第二五条について」これは法務省と検察庁との接点の重大な点なんです。けれども、これによりますと「検察官は、前三条の場合を除いては、その意思に反して、その官を失い」その官を失うというのが問題なんだ。それが同法第三条、検察官というものは検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事とあるんだから。問題は、次長検事から検事長に転出をさせられることは、その官を失うことになるという解釈とならないという解釈と、これがいままでずっと尾を引いてきた問題でありますから、私はこれを御質問いたしたかったわけです。  そうすると、きょう初めて文書でいただいたが、それによると、次長検事から検事長に転職をさせられることは「同条の「官」を失わせることにならないと解することも可能であるが、」とこうきた。ところが「次長検事という官を失わせることになると解することも可能であるので、」とこうなんだ。これがどうも何ぼ文書をもらっても私はわからないのです。どうこの日本語を解釈すればいいんですか。これ以上明確に文章化することはできませんか。どうですか。だれにもわかるようにすぱっと書いてくださるのが文章でございましょう、法律解釈でございましょう。  先ほどの靖国神社の違憲論と同じようなもので、さっきの法制局長官の言っているような、ああいう解釈が出てくるんだな。行政官になって時の政府の下につく法制局長官なんていうものは、ああいうことしか言えないのかと思って、全く聞いておって腹の中が煮えくり返ったけれども、やじると稲葉委員が手を振って、やじるなやじるなと言うものだから途中でやめましたけれども、あんな解釈はいけませんよ。  いまのあなたの解釈もそうなんだ、こっちもいいがこっちもいい。これはやはり検察に関する基本的な重大問題ですし、いま少し文章を変えていただくわけにいきませんか。いかがでございましょう。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 これまでもしばしばお答えいたしましたように、この二十五条の解釈につきましては両説は一応あり得るだろう、そのいずれもが、片方は絶対に間違いであるというほどの自信はまだないわけでございますので、そのようにまとめさせていただいたわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 将来ともこの文章を変えていただくお考えはございませんか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほどの靖国神社の問題と似ているというわけでもございませんけれども、たまたま三十年前にそういうことが起こりまして、そういうことが問題になったわけでございますが、その後、この前もお答えいたしましたように、そういう問題は全然起こっておりませんし、そういうことで、一方を直ちに間違いであるというふうに決めつけるのはむしろ適当ではないのではないかというふうに考えているわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたのお出しになった文書です。いま御答弁になりました。「検察官の人事異動に当たっては、同条の趣旨を尊重し、本人の意思に反するような異動は行っていない。」こういう文章が書いてありまするし、いまあなたもそうおっしゃった。ところが実際はそうではないという感触です。これは例証があるとは言いません、けれども私は感触は得ているのです。やはりこういうことが検事特に特捜部、あるいはそういうところの独立に基づく自由活発な捜査活動あるいは検事活動の中に支障なしとしないという感触と言っておきましょう、感触を私は受けているから、まことにしつこいようでありますけれどもこういう御質問を申し上げたわけであります。  前田刑事局長は、私は残念ながらあなたの経歴を知りません、知りませんが、あなたは一体法務省の中の行政官としてずっと今日まで二十年なり二十五年なりの生活をおやりになってきたのか、あるいは第一線検事として、第一線でものを取り調べる苦労をずっと重ねてこられた方なのか私はわからぬ、わからぬが、あなたが本当に行政畑で飯を食ってきた経歴よりも、第一線において本当に生々しい事件を扱って血みどろになって問題の処理を重ねてきた経験があるとすれば、こういう問題でいま少し生々しい生きた御答弁がいただけるのではないかというふうに期待したのでありますけれども、余り期待はできぬようでありますから、きょうのところはこれでおさめることにいたします。時間も参りましたから、後日また改めて御質問することにいたしまして、これで質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時八分開議

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。きょうは、私は法務委員ではございませんけれども差しかえていただきました。  国際人権規約が昨年の六月に国会での批准を終えて、九月に日本の加盟も発効したわけでございまして、それに伴いまして、永住権を持つ在日外国人はたくさんの方がお見えになりますけれども、なかんずく非常に歴史的な経緯のある在日韓国人の方々からもいろいろな問題が寄せられておるわけでございまして、私どもも、かねがね社会労働委員会だとかあるいは予算委員会の場でこの問題を取り上げてきたわけであります。  私どもがこの問題を取り上げております基本的な立場というのは、せっかく国際人権規約をわが国も批准をしたわけでありますから、行政上の差別というものがあってはならないのではないだろうかということで、それぞれの所管庁に、特に人権上の問題を中心にいろいろと問題提起を行ってきたところでございます。一応、たとえば今日社会的に非常に問題になっております就職差別の問題等につきましても、国鉄、電電公社あるいは専売公社の入社試験には差別をしないということになりましたし、住宅の場合も住宅公団あるいは公営住宅、住宅金融公庫の開放をする、あるいは庶民金融でありますところの国民金融公庫の融資の適用も四月一日から実施をされるというように徐々になってきたわけでございますけれども、特に法務省関係では、いわゆる入国管理なり外国人登録の問題あるいはまたそれに伴う取り締まり上の問題で、非常に従来の差別あるいはべつ視の立場からの行政というのが残っておるのではないだろうか、そんな気がするわけでございまして、その問題を主として第一に取り上げさせていただきたい、こう思うわけです。  そこで、外国人登録法なり出入国管理の問題に入ります前に、厚生省にちょっと来ていただいておるわけでございますが、国民年金について、永住権を持つ在日外国人特に在日韓国人の場合は八五%がもう二世という段階になりまして、永住をするということをはっきりと明示をしておるし、もうここで生活をする以外にはないという立場の方、日本に定着を前提とする二世が八五%にも達しておるわけであります。これからは年金時代ということが言われておるわけでございますけれども、つい最近、これは十一月一日の新聞でございますけれども、国民年金については難民条約の加入問題に関連をして厚生大臣の方から外国人にも適用をすることを指示した、こういう報道がなされておるわけでございますが、厚生省の方から、在日外国人の国民年金加入のその後の経過について現状を説明していただきたいと思います。

佐々木喜之厚生省年金局年金課長

○佐々木説明員 お尋ねの問題について、ただいまの状況をお答え申し上げたいと思います。  国民年金は御指摘のように対象を日本国民に限っておるわけでございます。これは二十年前にこの制度ができましたときに、年金制度というのは何と申しましても長期間にわたりまして保険料を納めていただきまして老後に年金を支給する、こういう制度でございますので、外国人の方を適用対象にいたしました場合には保険料を掛けていただきましても年金に結びつかない、いわゆる掛け捨ての問題を生ずるということでございますので対象から外した、こういう経緯があるわけでございます。  その後時間も経過いたしまして、年金に対する世間の認識も高まってまいっております。関係の団体の方々等から、国民年金の対象に外国人も含めよ、こういう御要望があるわけでございます。それから、ことしの春におきましても草川先生初め国会においてもたびたびお尋ねがある問題であるわけでございます。私どもといたしましては、一番の問題はやはり長期間掛ける、特に国民年金は二十五年間掛けていただきませんと年金が出ないわけでございますので、この権利の保全の問題が一番大きな年金制度としての技術的な問題であろうと考えておるわけでございますが、先生ただいまおっしゃいました国際人権規約の批准ということもございますので、部内におきましていろいろ検討してきたというような状況でございます。  ただいまお尋ねの新聞報道につきましては、ただいま難民条約の問題につきまして厚生省、外務省の話し合いをしておりまして、この問題については私どもは外国人一般の問題として扱う、どこの国ということではなしに外国の方は全部同じ扱い、こういうことで対処するほかないのではないかと考えておるわけでございます。したがいまして外国人の適用問題として検討しておるわけでございますが、先生お尋ねの内外人平等の精神に立って、こういうような厚生大臣の御意向もございまして御指摘のような新聞報道になったものというふうに考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 これはぜひ法務省の方も、後で出てくるところですから、いまの厚生省の答弁についてもちょっと関心を持っておっていただきたいわけでございますけれども、私がいま問題提起をいたしましたのは、歴史的な経緯がある非常に不幸な戦前の日本の植民地政策というのですか、そういう中で強制的に日本に移住というか連れてこられたという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、いわゆる在日韓国人の方々は一世はもう五十数年を経ておるわけであります。一時旅行者だとか日本にたまたま立ち寄って芸能生活をするというようなタレント等ではないわけでありまして、本人の意思ではなくて、日本の過去の忌まわしい歴史の中で日本で生活をせざるを得なかった。しかも今日は二世の方、三世、四世まで生まれてきておるわけでありますし、本人たちは日本に永住するという意識があるわけでありますから、入るという条件があるならば問題なしに、ちょっと日本に立ち寄ったからまた本国へ帰るという方々でないわけでありますから、その意思があるわけでありますから、世界人権規約というような問題提起の中から平等に問題を取り扱おう、こういうことが出てきたのではないだろうか、私はこう思うわけでありますから、難民条約の締結に従ってこの問題を考えようということは、実は本質的にきわめて間違った考え方であるわけでございまして、これはぜひとも過去の歴史と経緯、この問題の中で素直にわれわれは世界人権規約を認めたわけでありますし、批准をしたわけでありますから、その方向に従ってやっていただきたいと思うわけであります。  あるいはまた少し古い話でございますけれども、一九六五年に日本と韓国の間で法的地位協定というものが結ばれておるわけでありまして、在日韓国人の日本における法的な根拠でありまた基準であるところのものでございますけれども、この問題についても締結以来十五年たっておるわけでありまして、当時と内外情勢がずいぶん異なってきておるわけでございますし、二十五年を経過するまでは協議を行っていかなければいけない、こういうことで対処することになっておりますし、それから協定の前文には明らかに安定した生活を行うということを行政側も努力することになっておるわけですが、そういうことについても国民年金という問題については難民条約に基づいて考えるということは私はおかしいと思うのです。  これは前々代の野呂さんのときに私どもこの問題を取り上げたときに、特に在日韓国人あるいは朝鮮人の方々の国民年金の取り扱いについては二国間方式で解決をせざるを得ないのではないか、本質的にはこれしかないというようなことを野呂さんは言っておみえになります。特にこれは私どもだけが言っておるのではなくて、地方自治体からも、知事会からも、在日韓国人あるいは朝鮮人の方々の年金適用の問題については要望が出ておるわけでございまして、厚生省としてはもう二国間方式は放棄をされたのかどうか、お伺いしたいと思います。

佐々木喜之厚生省年金局年金課長

○佐々木説明員 お答えいたします。  ただいまおっしゃいました社会保障についても内外人の平等の精神で、私ども人権規約を留保いたしませんで批准をいたしておりますということで姿勢は宣明しておるわけでございます。日本が外国人について適用すると同じように、外国におきましてもその国に在住する日本人について同じ扱いをしていただくというような、いわゆる相互的な適用ということを目指して進む場合には、やはり二国間協定方式によるのが最もよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この年金制度のまだない国の問題もございますし、二国間協定がすべてであるというふうに考えておるわけではございません。一番問題が深うございます韓国につきましては、年金制度を実施するという話もあるようでございまして、それについて日本人の適用はどうなるかということについても私どもは関心を持っておるわけでございまして、この春以来韓国大使館ともいろいろ接触をしておるというような事実もあるわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いま、いわゆる厚生省の方の窓口としては、二国間でもこの問題についての進展があるというようなことをおっしゃっておられますが、私どもは、この地位協定の問題とも関連をして市町村からも要望が非常に強いわけでございますから、この問題の一層の促進方を難民条約の締結というような形でなくて本質的な基本的な問題として進展を図っていただきたい、こう思いますし、要望を申し上げる次第です。  そこで、今度は法務省の方にお尋ねをいたしますけれども、現在、外国人登録証明書というものについて常時携帯しなければいけないことになっておるわけでございますが、なかなかこの点についてたくさんの問題があるわけです。たとえば、そういう在日韓国人の方々から私どももいろいろと要望を受けたりすることがあるわけでございますが、たまたま夏場で非常に暑いときに、ワイシャツ一枚であるいは非常にラフなスタイルで町に出ることもあるだろう、買い物に行く場合もあるだろう、近くへ少しパチンコ屋にでも遊びに行く場合もあるだろう。そういうときに、たまたま外国人登録証明書の常時携帯違反で摘発される場合が非常に多い。しかし、これは少し過酷じゃないだろうか。日常の生活範囲内はいいではないだろうかという一つの問題提起があるわけでございますけれども、必ずしもそれが、じゃスーパーへ行く場合はどうなのか、歩いて行く場合ならばいいけれども、車に乗って行った場合にはそれは通常の生活の範囲外だというような形で、いろいろと起訴される場合もあるんだということを訴えられることがあるわけであります。  そこで、きょうは警察庁の方からもおいで願っておるわけでございますが、たとえば交通取り締まりの場合に運転免許証の提示を求められる場合があります。その場合に、免許証の中には国籍というところがあるわけでありますから、そこに韓国籍なら韓国と書いてあるわけですね。韓国ということが書いてあると直ちに外国人登録証明書を見せろ、こういうように十のうち九・九は呈示を命令されるということを私ども聞くわけでございますが、警察庁の方としては、交通取り締まりの場合に、外国人の籍があるならば外国人登録証を見せろというような指示をしておみえになるのかどうか、お伺いしたいと思います。

鳴海国博警察庁警備局外事課長

○鳴海説明員 ただいま先生お尋ねの問題でございますが、外国人の方が警察官等の外国人登録証の呈示要求を受けた場合に、これに応すべき法的根拠がどうであるか、あるいはそれが義務関係でどうなっておるか、警察官がこういった場合にこの呈示を要求することの法的根拠、権限といったことはどうかという問題に触れることでございますので、その点からお答え申し上げたいと思うわけでございます。  御案内のごとく、外国人の方につきましては外国人登録法第十三条、詳しくは第二項によりまして警察官等、これはいろいろな官職があるわけでございますが、警察官等がその職務の執行に当たりまして登録証明書の呈示を求めた場合には、これを呈示しなければならないということが義務づけられていることは御承知のとおりでございます。  また一方、警察官の立場に立ちますれば、警察官はその職務の執行に当たり登録証明書の呈示を求める権限があるということは、幾つかの判決の明示いたしておるところでございます。この場合における警察官の職務というものがいかなる種類の職務であるかということで、これについては限定的な職務ではない、警察官の行える職務であるということを規定しておるわけでございますが、警察といたしましては、こういうことから交通取り締まりの場合を含めまして、そのほかいろいろな場合があるわけでございます。そこで職務質問であるとか犯罪捜査であるとか、その他警察官の行い得ますいろいろな職務の執行に関し、必要な場合においてはその身分関係、身分事項を確認するということで、外国人の方に登録証明書の呈示を求めることができる、こういうことについて適法妥当に行うべきであるということについては常々指導いたしておるところでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は起訴件数については前回の委員会で質問しておりますから、数についてはきょうはお尋ねいたしませんけれども、いわゆる適法であるかないかというのはいまおっしゃったとおりでございますから、そのことについて私はいま聞いておるわけではございません。  ただ交通取り締まりの場合に、外国人の籍がある場合には、外国人登録証明書を十のうち八人か九人の警察官の方が呈示を求められるわけです。そういうように指導しておるのかどうかという具体的なことを聞きたかったわけであります。いまのお話だとやはり指導をしておる、こうおっしゃっておられますから、指導しておられるのでしょう。しかし、そこの中に本質的な問題がある。  というのは、外国人は登録証明書を常時携帯しなければいけないという法律にはなっておりますけれども、少なくとも当該の方々は日本に在住五十年以上の方でもある。あるいは地域で全く日本人と同じような生活をなすってみえるような方々、しかも税についても約千七、八百億から二千億はわれわれ一般と同様に負担をしてみえる方々に対して、そういう態度で果たしていいのだろうかどうか。いわゆる犯罪人扱いで在日外国人の方々を見られる、そういう過去の偏見というのですか、そういうものをいいかげんのところでなくするというのが、この国際人権規約に署名した精神ではないか。いまおっしゃったような立場ならば、国際人権規約を日本はまだ批准をすべきじゃないと私は思うのです。外国人の場合は犯罪のおそれがある、あるいは偏見がある、そして生活の範囲内で少し行動しておっても、登録違反を遠慮なく摘発をする。こういうことでは国際的にかなり時代に逆行をしておるような気がしてなりません。  そこで、同じように法務省にお伺いをするわけですが、指紋押捺義務の問題で、特に外国人登録法等の関係でございますが、私どももかねがね、指紋を切りかえのときに押すということについては犯罪人捜査にイメージ的にもなるわけですから、指紋は変わるわけではございませんので、第一回のときに、十二歳ですか十四歳でございますか、そのときに指紋を押せばもうそれでいいのではないだろうか。特に市町村の窓口で、公衆の面前で若い人たちが指紋を毎回押すということはいかがなものかと私ども思うのでございますが、その点最近どういうように改善をなさっておみえになるか、お伺いします。

小杉照夫法務省入国管理局長

○小杉政府委員 お答え申し上げます。  指紋押捺の制度と申しますのは、結局外国人登録の一貫性の確保の問題と、さらに登録証明書の偽造、変造を防止するという二つの大きな目的がございまして、およそ外国人登録制度を維持していく上では、私どもは指紋制度は不可欠であるという基本的な考え方を持っておるわけでございますが、ただ御指摘のように、現在指紋押捺をしなければならない回数がかなり多いということはこれまた事実でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、指紋押捺の回数を何とか軽減することは可能ではなかろうかということで、その方向での検討を目下いたしておるところでございます。さらに申し上げますと、指紋押捺の対象年齢の引き上げというものも一つの問題点としてあり得るのだろうと思いますが、これも例の登録証明書の常時携帯義務の年齢、十四歳以上の者は持たなければならないというのがございますが、これとの関連でもあわせ検討いたしておるというのが現状でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 指紋押捺の問題はぜひ再検討をしていただきたいと思います。  それから外国人登録の証明書の切りかえについても、確認申請制度というのですか、これは現行三年に一回ずつやられておりますけれども、少なくとも五年とか、もう少し年数を引き延ばしてもいいのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

小杉照夫法務省入国管理局長

○小杉政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、現在の切りかえ期間は三年でございます。私ども、現在これを延ばす方向で検討を進めており、近日中にかなり具体的に一定の結論を得るのではないかと予想しております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 近日中というのは年度内というように理解をしてもいいわけですか。

小杉照夫法務省入国管理局長

○小杉政府委員 そこまではちょっと明言いたしかねますけれども、実は外国人登録法につきましては、ことしの通常国会、第九十一回国会に私ども外国人登録法の一部改正法案を提出いたしまして、当委員会においていろいろ御審議いただいたわけでございますが、その際に私どもが申し上げましたことは、外国人登録法の根幹にかかわるような、たとえば指紋制度であるとか罰則のあり方あるいは常時携帯義務というような問題点も含めまして外国人登録法の抜本改正を考えておる、現在のところ、いつそれが改正実現に至るかわからないけれども、私どもの事務的なめどとしては、三年程度をめどに検討を進めたいということを実は委員会で再三申し上げた経緯がございます。したがいまして、最長三年ぐらいの間にはこの点についても解決のめどを得たいと考えておるところでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 非常に基本的な重要な問題ではございますけれども、ぜひこれは早急に新しい改正を考えられるように、あるいは厳しければ通達で運用改善もできるわけですから、ぜひ通達で運用改善ができるよう強く申し入れをしておきたいと思います。  それから、余り時間がございませんので、実は私もいろいろなデータを調べようと思っておるのですけれども、法務省の入国管理局で「出入国管理」というどちらかと言えば白書みたいなものがいままで出ておったわけでございます。一体どういうような条件になっておるのかというのを調べたいわけですが、この出入国管理白書というのは五年ごとに出ておったのですか。ところが最近はどういうわけか出ていないですね。いまおっしゃられたように非常に重要な問題で、国際的にいろいろなことを認めながらも白書が出ていないというのは一体どういうことでしょう、お伺いします。

小杉照夫法務省入国管理局長

○小杉政府委員 確かに過去におきましては、いわゆる入管白書的なものが五年程度の間隔でできておりまして、実は先般十月一日に私ども入管発足三十周年記念という行事を行ったのでございますが、この記念行事の一環として入管白書を出そうということで鋭意準備を進めておったのでございますが、いろいろ仕事等繁忙をきわめまして、現時点でまだ刊行されておりませんが、年内には恐らく発表できるのではないかと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 予算のやりくりもあると思いますけれども、いまおっしゃったのは年内ですか、十二月という意味ですか。

小杉照夫法務省入国管理局長

○小杉政府委員 年度内という方が正しいようでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ぜひ年度内に、新しい時点でこういう白書というのはいつも出しておいていただきたいし、おたくの方の法曹時報には、若干ときどきのレポートが出ておりますけれども、そういうものでなくて、やはり非常に重要な時期ですから出すべきものは出していただきたい、こういうように思います。  それから、この問題について最後ですが、お暇のようでございますからちょっと大臣にもお伺いしますが、この種のものについていろいろと役所の方だとか他党の方とお話をしますと、在日韓国人だとか朝鮮人の問題は片づいておるじゃないかとか、余りぶつぶつ言うなら帰化すればいいじゃないかというようなことを言われる人が案外多いのです。そういう発想で、一体日本と今後の国際的な関係が友好的に発展するかどうか私は非常に疑問です。特に在日韓国人の方々の過去の歴史的な不幸な事実を考えれば、われわれはいまこそ世界人権規約に基づいた対応というのが必要だと思うのですが、その点について大臣の御見解をひとつ賜りたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 おっしゃっているとおりでございまして、在日韓国人、朝鮮人の問題は、一たびは日本の選挙権まで与えた時代があったわけでございます。でございますゆえに、国際人権規約にのっとった処遇が早くしたいものだなと思います。しかし日本側にだけ問題があるわけではなくて、御承知のように、民団と総連に分かれまして向こうでも対立したりしているわけでございます。不幸にして一方の国はまた国交を持っていないというようなこともございますので、そういう問題と並行してぜひ早い機会に解決して、何ら非難されないような状態をつくり上げたいなと私も心から念願している一人であります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ぜひ大臣の立場が具体的な政策に反映するように要望申し上げておきます。  この問題についての最後に文部省にお伺いをいたしますが、私はことしの予算委員会で、永住権を持つ在日外国人の方々の国民体育大会への参加という問題で、日本体育協会国体委員会に大会参加実現の趣旨を十分伝達したいという答弁を得ておるわけでございますが、その後国体参加の実現に向けてどのような努力をなされておるのか、経過をお伺いしたいと思います。

戸村敏雄文部省体育局スポーツ課長

○戸村説明員 去る二月の予算委員会の先生の御質問の御趣旨につきましては、早速に日本体育協会の方へお伝えを申し上げたわけでございます。体協では四月以後国体委員会に小委員会を設けまして、この問題を含めて現在検討を重ねておるという報告を受けておるわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 それは国体側で前向きになっておるのかどうか、もう一言お願いします。

戸村敏雄文部省体育局スポーツ課長

○戸村説明員 国体というのは、先生も御承知のとおりに、いろいろと関係する機関、団体が多うございます。そこで、いろいろとその面との調整とかいうようなこともございまして時間がかかっておるものと承知しております。御質問のように、一応いまのところ前向きの検討をされておるものと承知しております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ありがとうございました。前段の方の関係の省庁の方、これで終わりますから結構でございます。  続いて、これも法務省官房の司法法制調査部の担当の方にお伺いするわけでございますが、法令編さん事業の現状という問題についてお伺いをするわけであります。  法令集という、いわゆる差し込みと私ども言っておりますけれども、法務省組織令の中に「内外の法令及び判例の収集及び整備並びに法令集等の編さん及び刊行に関する事項」というのがございまして、加除式の総合法令集、法務省の場合は百十巻ですか現行日本法規、こういう差し込みのあれでございますが、これを編さん、刊行しておみえになるわけであります。せっかく法務省組織令に基づいて法務省が各種の法令集を編さん、刊行しておる、こういうように意義づけされておるわけでございますから、私は、この本は法務省の一つだけだ、こう思っておったのです。  そうしたら、きょうは総理府の方にもお伺いをいたしますけれども、それにもかかわらず、総理府の方も同様の内容の現行法令輯覧というのを編集しておみえになるようであります。法務省は現行日本法規というのを編集しておみえになるわけですが、法務省組織令で書いてあるのだけれども、どうして内閣の方でもやられておみえになりますか。まず総理府の方からお伺いします。

加藤陸美内閣総理大臣官房総務課長

○加藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました現行法令輯覧という法規集でございますが、これは明治四十年から編集発行されておるものでございます。発行される趣旨は、申すまでもなく御承知のとおりだと存じますが、法規は年々改変されるものでございますので、その時点時点に応じて正確な法規を、かつ一般の国民の方々に利用していただきやすいように整備していこうということで始まっておるものでございます。それが連綿として続いてきておるものでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 では、今度法務省の方にお伺いします。  法務省がこのような編さんをされたのは昭和二十三年二月のことだというようにお伺いをいたしておるわけでございますが、いまのように総理府の方が昔からあるから継続的にやっておるということならば、こういうような組織令にならなかったのではないかと思うのですが、どうお考えでございますか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 戦争後わが国の法令が一斉に改廃が行われまして、また法治国家というふうな面から法令の普及徹底というものが戦後急速に要請されたわけでございます。  そういう面から、当時は法務省ではございませんで法務府と言っておりましたけれども、法務府の中に、現在の内閣法制局のような仕事もする、一切の法律関係を集中的にやるというふうなことが考えられまして、そこで法制意見局というようなものも設けられたわけでございます。そういうふうな次第でございますので、当時法務府において内外の法令の収集、編さん、また刊行までやるというふうなことがうたわれたわけでございます。  法令集の関係につきましては、ただいま総理府の方からお答えございましたように、内閣官房の方で明治以来連綿として伝統のある法令輯覧というものを発行しておられたわけでございますけれども、戦争中には、当時の事情でございますので追録というふうなことも若干滞ったというふうな実情もございます。またポツダム勅令と言われるような急激ないろいろな新しい法令ができたことに直ちに対応できないというようなこともあったんだろうと思いますけれども、若干法令輯覧の方が現行をそのまま映すということが当時できていなかったように私どもは見受けたという記録が残っておりますが、そのために法務府の新しいそういう仕事の精神から、あわせて法務府独自の法令集というものを編さんすべきではないかということで、内々は内閣官房の方とも協議をしたようでございますけれども、そこで法制意見局として責任の持てる法令集をつくるということに踏み切ったというふうに私ども先輩の方からも聞いておる次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 きょうは重箱のすみをほじくるようでございますが、実はこれは後で地方の自治体にものすごい影響があることになるので申し上げるわけでございますけれども、いまおっしゃったように、法務省が組織令があるんだから、ぼくは法務省だけでおやりになったらどうなんだろう、こういうことなんですよ、素人の立場から言えば。ところが、いまもお話がございましたように内閣官房の方からも出ておる。そのほかに別なところでございますが、衆議院、参議院の法制局でも現行法規総覧というのが出ておるのです。だれが見たって法律ですから同じ中身なのです。新しい法令ですから、差しかえをするだけですから違うわけがないのです。  ところが、この中身を見てまいりますと値段がずいぶん違うのですね。いまわかっておるだけでも、たとえば法務省の方は全部で百十巻十三万円でございますし、一追録分の定価は、ページ数関係なく五百八十円というような値段になっておるわけでございます。主なところだけ比較をしてまいりますと、会社の名前を挙げてもいいんでございますけれども、大きなメーカーというのですか担当のところでは、第一法規という会社と、もう一つ「ぎょうせい」というのと、新日本法規というような会社があるわけです。たとえば地方税法規というのがありますけれども、これは「ぎょうせい」というので法務省もやっておみえになりますし、同じ印刷会社を使いまして総理府の方もやっておみえになるわけでございますが、たまたま百六十二ページA5版、皆同じ条件です。第一法規の場合はA5で二百二ページ四千二百八十円、一ページ二十一円十九銭。ところが新日本法規の方は、ほとんど同じ内容の地方税法類集、名前は違うわけですが、A5版二百七十ページで、少しページ数が多い。ところが逆に値段は二千三百五十円です。一ページ当たり八円八十銭。片一方は八円八十銭で片一方は二十一円十九銭というような差があるわけです。こういう例をずっと挙げていきますと、もうこれは切りがないくらいあるんですね。もう一つ危険物関係法令、特に石油なんかの問題とかの法令集ですが、第一法規の方が百六十二ページで「ぎょうせい」の方は百六十八ページ、ほとんど同じですけれども、値段が、千五百二十円の第一法規に比べて三千二百八十円、倍ですね。第一法規の方が一ページ九円五十八銭ですが、こちらが十九円五十二銭、同じ差し込みでもそんなに違うのでしょうかね。  ですから、いまたまたま明治以来の関係だとおっしゃったからこういうことになったんじゃないでしょうかね。いまは財政再建あるいは行政改革、いろいろなことが言われておるわけですけれども、このように大変な値段の違いがあるわけですが、これが、惰性でやっているというならば惰性になるんでしょうね。  しかし、この問題が中央官庁だけではなくて地方の場合になってまいりますと、実は今度は地方自治体が発行をいたしますところのいろいろな条例だとか例規集があるわけでございますが、これが随意契約になっておりまして、都道府県四十七団体、東京都の特別区二十三団体、市町村を合わせまして三千三百二十五の団体があるわけですが、これを全部調べますと全部随意契約になっております。しかも、この出版社が第一法規ともう一つの「ぎょうせい」というところに集中をしておるわけです。そこで、地方自治体の方も、現在の金額だけ私どもが試算をいたしますと、一つの団体で平均二百五十万円ぐらいの例規集の予算があるわけでございますから、法規集購入だけで大体八十三億になるのですね。この値段がいま言ったような形で、同じような類型ですけれども、片一方は九円五十八銭で差しかえができる、ところが一方では十九円だ、どういうように価格が設定されておるのかわからぬ。しかも、第一法規と「ぎょうせい」というところにどうも集中をしておるようなんで、もしもたとえば二割なら二割この問題を下げることによって十六億円も地方自治体が助かるじゃないか。地方自治体の窓口では図書費がなくなってきておるのですね。どうしても法規集で図書費の予算がとられてしまうというので非常に悩みが多いということがあるわけでございます。  自治省の方の広報課長がお見えになっておられますけれども、少なくとも地方自治体にこのような規則集の公開入札ということをさせるように御指導願うようなことをお考えにならないのかどうか、お伺いしたいと思います。

望月美之自治大臣官房文書広報課長

○望月説明員 お答えいたします。  お尋ねは、条例集等の出版について公開入札制度というものをとるべきではなかろうかという御趣旨に承ったのでございますけれども、御承知のように、地方公共団体が売買とか貸借とかそのほか契約を行うということにつきましては、法律上、地方自治法の上では競争入札によるということが原則にされております。お尋ねの中にもございましたような公平あるいは経済性という見地で、昭和三十八年にはっきり法律の上でそのような原則がうたわれたというふうな経緯でございますが、その点では条例集等の印刷につきましても、原則を申しますればやはり同様なわけでございます。ただ同時に、競争入札の例外としての随意契約によるということにつきましても、法律を受けまして政令で規定をされておるわけでございます。  先ほどお尋ねがありました単価にいろいろな差がある、三千三百の中で出している団体もまた多々あるわけでございますので、それぞれの状況に応じていろいろな理由でそういう差があろうかと思うのでございますけれども、いまの制度の上では施行令でも随意契約によることができるということについて規定がありまして、要は、それに当たるか当たらないかという執行の問題になるわけでございますけれども、この点についてはそれぞれの団体が具体的なケースに即して客観的に行っていく、そのようなたてまえになっております。契約の実務、事務につきましてそれが適正に行われるようにという指導は、やはり今後とも心がけてまいりたいというふうには考えておるところでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 これは、きょうは法務委員会の場をおかりして、地方自治体にぜひ指導していただきたいということを申し上げておるわけでございます。  人のふところをとやかく言う必要はないのですけれども、日本の高度成長の産業の中でもこの出版社に限って大変な高度成長でございまして、たとえば第一法規の場合は、昭和四十九年に八十九億の売り上げが五十三年には百五十億、そして五十四年には百七十一億というような売り上げで、もうむちゃむちゃな倍増であります。それから「ぎょうせい」というところでも、昭和五十年に百四十六億の売り上げでありますが、五十四年には二百三十九億、しかも利益も、五十三年の場合は三十二億、五十四年には四十一億というようにふえていくわけであります。従業員わずか千五百人程度です。一人当たりの最大の生産性を上げるわけでありますが、いま民間企業はお互いに苦労して努力をしておるわけですから、生産性を上げることはいいわけですが、どこかで独占的な要因があって利益を上げるということはやはり私は差別だと思うのですね。  そうではなくて、印刷業界も日本はかなり幅広くあるわけでありますし、何か特別な権能というのですか、ギルド社会というのでしょうか、そういうような排他性というものは許されないことだと思います。しかし法規でありますから、だれでもやっていいかげんなものをつくるというわけにはまいりませんから、おのずと権威というものが必要であり、セレクトされることは必要でございますけれども、たとえば新日本法規の場合でも、これは小さい企業でございますが、五十四年の八十八億から九十三億に上がっていく、しかも利益も十億から上げておるわけでございますが、配当が五〇%だというような高配当なんですね。  こういうのを見ますと、私が先ほど触れたように、法規というものについていままで余り目が向けられていなかったわけでありますけれども、今日のような財政再建、しかも地方自治体にも影響するような法規の出版という問題についても少し目を向けていただきたいということを私は要望を申し上げて、この問題を終わりたい、こう思う次第でございます。  では、次の問題になりますが、少年院の整備状況の問題についてお伺いをします。  法務省の予算をいろいろと見てまいりますと、官庁の建物の中でも法務省の収容施設というものが非常に劣悪な条件にあるわけです。たまたま私の選挙区でございます瀬戸に瀬戸少年院というのがあるわけでございますが、これは老朽化が著しいわけでございまして、昭和九年にできて百六十五名の収容でございますが、ことしの一月にも五人ぐらいの脱走があったようでございます。十一月十一日、きのうの朝、便所の天井を破られて二名の逃亡というのですか脱走があるわけであります。私は何も厳重にして監視をしろという意味ではないわけですけれども、少年のこういうような施設の場合には、悪いことをやったから悪い建物でいいというわけにはいかぬと思うのですね。そうではなくて、より近代的な感覚の中で更生を図っていく、あるいは技能訓練をして社会に対応させるということが必要だと思うのですけれども、少年院の建てかえについては特別会計で、その周辺の土地を売るなら売って、その金でなければ改善ができないということで放置されておるように聞いております。この老朽施設の整備順位は、第一番が小田原で大正十三年の建物、第二番目にこの瀬戸の少年院で昭和九年の建物、こういうことを一体いつまで放置するのか、お伺いしたいと思います。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 御指摘のように矯正施設の中には大変古いものがございます。少年院のみならず、刑務所の場合を例にとりますと、明治の建物がまだ残っておるというような状況でございます。これらの施設をよくするということがとりもなおさず少年たちのよい処遇につながるものであると私ども実は考えておるわけでございます。さはさりながら国家財政との関係がございまして、毎年八十億近くの営繕費を私ども矯正の関係にもいただいておるわけでございますけれども、十分な手当てができておらないという御指摘は無理からぬものがあるのだろうという気がいたすわけであります。  瀬戸の場合もそうでございますけれども、特別会計に基づきまして改築をしていくという構想でおりましたところ、現状では市当局の財政事情もございましてうまくいかないという状況でございますけれども、私どもは特計のみにすがるということでなくて、やはり一般予算を投入して漸次施設をよくする、そして矯正の処遇をよくしていくというふうに考えておる次第でございますので御理解をいただきたいというふうに思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 御理解願う間に脱走するような状況になってくるわけですから、地元といたしましても、なかなかそれは理解できぬわけですね。  それで法務省にしてみれば、付随する土地を地元の自治体に売却をしてその金で建てるんだという特別会計の考え方があるわけですが、地方自治体もそうそうお金があるわけではございませんし、たとえば住宅公団の方に逆に法務省の方が売却を依頼をいたしたとしても、それの屎尿処理は全部地方自治体が受けるわけですから、これも絶対反対ということになるでしょう。ということになりますと、特別会計という制度がある限り、これらの施設というのは改善がおぼつかないわけです。放置をされる、天井も腐ってくるあるいは床も荒れる。収容者の士気もはなはだ悪い方にいかざるを得ませんし、現地の管理者の御苦労というのは私は並み大抵のものじゃないと思うのですよ。地域社会に対する心配なり不安を与えることにもなる。さりとて予算をと言ってもこういうような現状ですから。  こういうところに一番いましわが寄っておるわけでありますし、これらの収容施設は、法務省全体の老朽率というのは、官庁建物の中でもワーストワンじゃないでしょうかね。平均すると老朽率一一・四。ところが法務省の場合は四二・七ですね。これは法務省の建物が一番老朽化しておるわけでございますが、非常に失礼ですけれども、中央の事務関係だけの建物が犠牲になるというならいざ知らず、これは法務省にしてみればいわゆる最大の現場ですから、この最大の現場の老朽率が四二・七ということは、いま幾ら御理解を願うと言ったって、それは理解の範囲を超えておるわけでございますから、一体この点は大臣とうなんでしょう。大臣の予算獲得という面、特に来年度五十六年度の予算に臨まれるわけでございますけれども、どういうようにお考えになっておられますか、お伺いします。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 いま矯正局長からお話をしておりましたように、特定国有財産整備特別会計、この方式で解決をしたいということで苦労しているようでございまして、市の当局もそういうことについての考えもお持ちのようでございますので、ぜひ話し合いが早くまとまりますようにわれわれとしても努力をしていかなければならないと思っております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 こういう現地の動向というものは、何回か申し上げておりますように、地方自治体が法務省の余剰地約七万坪、二十一万平米ですか、それを引き受ければこの少年院の改築ができるわけでございます。それが一番望ましいわけですけれども、これは残念ながら当分の間いまの財政事情から考えて受け入れる余地はないと思うのです。だから私は、どこかで一回特別会計方式ということを再検討し直すか、あるいは営繕費を特別にこのような老朽施設に対しては優先的に配備をしませんと最悪の結果より生まれてこない、こういうように私は思うわけでございまして、きょうは営繕課の方もお見えになっておられると思いますけれども、現地の空気というものを十分つかんで対応を立てていただきたいということを厳重にこれは要望を申し上げておきたい、こういうように思います。  きょうは、なおそのほかに刑務所の中における作業のいろいろな条件のことについてお伺いをする予定でございましたが、時間がございませんので以上で終わりたいと思います。その御用意をなさった方には大変恐縮でございますが、おわびをしながら、時間が来ましたので私の質問を終わりたい、こういうように思います。どうもありがとうございました。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 安藤巖君。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 私は、昨日の簡裁判事の任命それからその処遇の問題について引き続いてお尋ねするつもりでおりますが、総務局長さんお見えですけれども、人事局長さんがおくれて来られるということですので、後の方でまとめてお尋ねしますが、御了承いただきたいと思います。  まず最初に、法務省の方にお尋ねをしたいと思います。いま法制審議会の商法部会で商法の改正作業が進められていると伺っております。そこで、昭和四十九年の商法改正のときに衆参両院で決議がなされておるわけですが、このうち参議院の決議、これは全文読みませんが、私がこれからお尋ねしたいと思うところの関係だけ読み上げてみます。「大規模の株式会社については、その業務運営を厳正公正ならしめ、株主、従業員及び債権者の一層の保護を図り、併せて企業の社会的責任を全うすることができるよう、株主総会及び取締役会制度等の改革を行なうため、政府は、すみやかに所要の法律案を準備して国会に提出すること。」というのがあるわけです。それからもう一つ、これは大平内閣当時に総理の諮問機関として、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というのが設定されました。そしてこの協議会が昭和五十四年九月五日に提言を出されたわけですが、これも全文読みませんが、細かく第四項までずっと書いてあります。その前文に「企業の倫理を確保するための所要の措置が講ぜられるべきである。」というのがあって、あと細かいことがあるのです。  こういうような参議院の決議あるいは協議会の企業倫理——この企業倫理といいますのは、これまでの経過からいたしますと航空機疑惑に関与したような大企業の倫理だと思うのです。その倫理を確保するための所要の提言措置というのが要望されておるのですが、こういうようなものにこたえようとするような改正作業なのかどうか、あるいはそれと全く別のことを考えているのかどうかということをまず最初にお尋ねします。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 ただいま昭和四十九年の法改正の際の附帯決議からお言葉がございましたので、ごく大まかにいま私どものやっております改正作業の方向づけと申しますか、そういったものを御説明申し上げたいと思います。  ただいま仰せのとおり、昭和四十八年、四十九年に両院の法務委員会で附帯決議が行われました。そこで私どもといたしましては、この附帯決議に織り込まれている事項は非常に広範であると同時に商法の根本的な改正を目指すものであるというふうに理解いたしたわけでございます。  そこで、それにこたえますために私どもといたしましては、本格的な、全面的なと申しますか会社法の改正作業に着手をいたしたわけでございます。そこで、企業の社会的責任あるいは株主総会制度の改善案、取締役及び取締役会制度の改善策、株式制度の改善策、株式会社の計算・公開、企業結合、合併、分割、最低資本金制度及び大小会社の区分、こういうような大きな項目に分けまして、基本的な改正を目指して各方面にも大まかな意見の照会を行ったわけでございます。  そこで、その作業の第一歩といたしまして株式制度それから会社の機関の制度というようなものに手をつけまして、法制審議会の商法部会で審議をお願いいたしまして、昭和五十一年から本格的な部会の審議が始まったわけでございます。そこで五十二年、五十三年の二回にわたりまして改正試案を発表いたしました。ところが、たまたま先ほど仰せになりました航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言がなされるというような状態に相なったわけでございます。その中には、ただいま御指摘のように企業倫理の確保のための対策として「監査制度の充実等企業の自主的監視機能を整備強化するための法改正を行う。」というのが一つの項目として掲げられていたわけでございます。  そこで、法制審議会の商法部会といたしましては、従来の方針を続けますと広範な問題点につきましてかなり年数がかかるであろう、また根本的改正をやるためには、そう急いで短期間に仕上げるわけにはいかないという認識であったわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような提言がなされるというような事態にかんがみまして、従来の方針をやや転換いたしまして、昨年の七月十八日の部会でございますけれども、従来の根本的改正を相当年月かかって仕上げるということよりは、さしあたって分離いたしまして、いま求められている点に限って早期に立法化をしようではないか、こういう態度決定をいたしたわけでございます。それが昨年の七月十八日でございます。  そこで、そのためには株式制度あるいは株式会社の機関に関する制度というのももちろん必要でございますけれども、計算・公開に関する制度の改正がぜひとも必要であるということで、昨年の暮れに試案を発表いたしまして各界の意見を求めたわけでございまして、本年に入ってからはそれのいわば第二読会ということで作業を続けまして、近くその作業に一応のめどをつけようという段階に差しかかっているわけでございます。  そこで、根本的な問題だとえば大小会社の区分というような問題は、これは現在の改正においても私どもといたしましては相当考慮をいたしておるつもりでございますけれども、これはいまやっております作業が成案ができました後に続く問題であろう、大小会社の区分でございますとかあるいは企業結合に関する問題でございますとか、そういった問題がなお今後に残されている、したがって、いまやっております作業が近く一応のめどがつくということを期待しておるわけでございますけれども、それが法律案となりまして、法律として成立した後にさらに根本的な改正作業が必要になるであろう、そしてそれこそが四十八年、四十九年の両院の法務委員会の附帯決議にこたえるゆえんであろう、かように考えている次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そうしますと、大小会社の区分ということについてはまだ未確定な部分があるけれども、最初に私がお尋ねしましたような航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の意見を踏まえるということになって、急遽問題点をしぼって、いま求められている点を改正しよう、こういうことになった。となると、いわゆる大会社、これから後ちょっとその点もお尋ねしますけれども、その経理、計算の公開いわゆるディスクロージャー、その点に相当ポイントを置いていま作業が進められている、こういうふうに理解してよろしいですか。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 大小会社の区分という根本的な改正はなお将来の問題でございますけれども、現在御承知のとおり、いわゆる大中小の会社が監査特例法によって定められているわけでございまして、その基準についてはなお問題がございますけれども、おおむね現在の特例法のように分けましてそれぞれ規制をするという態度に変わりはございません。したがいまして、試案におきましてその点がやや明確を欠いていたといううらみがあるわけでございますけれども、規制を強化すると申しますか公開制度を十分行うという対象としていわゆる大会社というものが私どもの脳裏にあり、その中心になった、法制審議会の商法部会でもそのように考えられて議論が進められたということは間違いのないことでございます。  あの試案を発表いたしましてから、内容についてはいろいろ変遷がございまして、それは近く結論が出ることと思いますけれども、あの試案につきましても、資本金一億円以下の小会社に適用される部分は非常に少のうございまして、小会社につきましては現行とそれほど大差はないというふうに御理解いただいてよろしいかと思うのでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 改正試案が昨年の暮れに公開されたというお話ですが、昨年の十二月二十五日に公開されたことは私も知っております。その全般についてきょうはお尋ねする予定はございませんが、いま小会社の問題をおっしゃった。  改正試案によりますと、計算書類の公示・公開の関係のところですが、「取締役は、定時総会後遅滞なく、貸借対照表、損益計算書、業務報告書及び附属明細書を商業登記所に提出しなければならない。」こうなっております。これには注がついておるわけですが、「商業登記所の受入態勢」これはいままだ試案でございますけれども、これが実施されたら商業登記所はたちどころにパンクしてしまうという話です。だから、その「態勢が整うまでは、適用することができないと考えられるが、」という注があるわけです。しかしそれまでは、これは会計監査人の監査を受けなければならない会社以外の会社、まあ収入二百億円以上とかそれから——資本金だけでお話します、資本金五億円未満の会社は、その態勢が整うまでの間は貸借対照表またはその要旨のみを公告するだけでいいということにする、こういうような注もついているのです。  そうしますと、商業登記所の受入態勢ができたらすべての会社は、いま言われた一億円未満の資本金の会社も制限をつけていないのですから、これはやはり先ほど言いましたような計算書類を商業登記所に提出しなければならぬことになるわけなんでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 ただいま御指摘の点は、私ども非常に迷っておると申しますか悩みもある問題点でございます。  試案を発表いたしました当時と現在では、また細かい点でいろいろ案も変わっているわけでございますけれども、この試案にそういった内容を盛りました趣旨でございますが、現行法によりますと、商法の規定によりましてすべての会社が貸借対照表の公告をしなければならないということになっておりまして、もしそれを怠りますと三十万円以下の過料に処せられることになっているわけでございます。これは商法の二百八十三条三項と四百九十八条一項二号でございますけれども、さような仕組みになっているわけでございます。  しかしながら現状を申しますと、これは小会社にとって非常に無理な点があるということを聞いております。公告が行われるのはほとんど大会社に限りまして、現実には行われてないというような話も聞いているわけでございます。公告ということになりますと、官報あるいは日刊新聞紙に掲載してしなければならないわけでございまして、その公告にも相当な費用がかかるということでありますから、中小企業の負担は非常に大きくなる。それならばむしろ登記所に提出をしてもらうというようなことの方がよろしくはないかというのが、ずっと前の法制審議会の御意見としてあったわけでございます。  そこで、そういった試案も一応作成したわけでございますが、先生御指摘のとおり、登記所の事務処理といたしまして、小会社についてこれをやるということは非常に問題が多かろうと思います。現実の問題としてそういう余地があるかないか、これは非常に問題であります。全国で百万以上の株式会社がございますけれども、大中会社は一万七千程度でございまして、百万を超える会社は小会社でございます。でございますから、私どもの現在の考え方といたしましては、これは法制審議会の部会で今後御討議願うわけでございますけれども、少なくとも小会社について登記所に貸借対照表等を提出をしていただいて、閲覧等の業務を登記所において行うということが現実に可能であるというふうには考えておりません。したがって、少なくとも小会社についてはさような改正を行うことは非常に困難であろうというふうに現在のところは考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 大体わかりましたが、もう一つ、これは念のためにお尋ねするのですが、試案の注に、そういう商業登記所に計算書類を提出して、そこで公開するということをとらない場合でも、資本金五億円未満の会社にあっては、貸借対照表またはその要旨を公告するかあるいはその要旨を公告した旨を記載した書面を商業登記所に提出しなければならないものとする、こういうような考え方もあるようなんですね。これまた、いまおっしゃったようになかなかできにくい話じゃなかろうかと思うのですが、こういうような点については、いま終わりの方でおっしゃったように実際問題としてはなかなかできにくいので、いわゆる小会社についてはそういうようなことは省略をするという方向は考えられないものかなと思うのですね。  というのは、これは一つの意見でございますけれども、小会社においては、それは一億円未満と五億円未満とではまた違いがありますが、社会的な影響もそう大きくはないし、取引上の問題は、これまでの取引の実績あるいは経営努力、そして経営者個人の信用度というようなことで賄われてきている場合が非常に多いと思うのです。  それから罰則として、現行法もあるのですが、今度の改正試案の中にも、それを怠ったら罰則があるというのと、そういうのを怠った場合は解散したものとみなすというのが一つあるのです。だから、いわゆる小規模な会社は、そういうことを怠ったことによって解散させられてしまう、抹消されてしまう、こういう危険度も負わなくてはならぬということにもなるものですから、いま私が申し上げましたような方向で考えられることはできないだろうか、これはお尋ねですが、どうでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 小会社の計算書類の公開の問題に関しましては、確かに先生御指摘のような考え方もあると思うのでございます。したがって、登記所の事務能力というようなことを考え合わせまして、公告をさせて、公告の要旨をまた登記所に提出をさせるというようなことは、現在のところはやはりむずかしいのではないかと考えております。むしろ、現行法よりももっと簡易化すべきではないか、そういう御趣旨だと思うのでございます。  確かにそういう考え方もあり得ると思います。ただ私ども、これは結局大小会社の本格的な検討ということにまたざるを得ないのではないかと思うのでございますけれども、いやしくも株式会社、これは有限責任でございまして、債権者にとっても関心事であるということもございますし、また従来倒産というような不幸な事故が起こりますのも、かなり中小企業においてそういう事故があったということになりますと、現在よりも全く公開の道を制度としてなくしてしまっていいかということは、やはりちゅうちょを感ぜざるを得ないのでございます。私は、そこまでいきますためには、やはり株式会社法というものを根本的に見直す、小会社というものを非常にかけ離れたものとして制度化をするような段階で初めて考慮されるべき問題ではなかろうか、したがいまして、私どもの現在の考え方といたしましては、小会社に対するそういった意味での規制は、しばらく現行のあり方を維持するということが最も現実的ではなかろうか、かように考えているわけでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そうしますと、これは商業登記所の態勢が整うという状態になっても、先ほどおっしゃいましたように計算書類等を全部作成をして、そこへ届けさせて、提出させて、そこで閲覧させることによって公開する、そこまでは無理だろうと考えておられる、こう理解していいわけですね。そしてそれは五億円未満の会社、だから当然資本金一億円未満の会社も入る、こう理解していいわけですね。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 おおむね仰せのとおりでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 それから、半期報告制度というのが改正試案の中に盛られておるのですが、これも営業年度を一年とする会社にあっては、取締役の責任として、営業年度の中間のいわゆる中間期における会社の財産の概況並びにその営業年度の初めから中間期までの会社の損益及び営業の概況を記載した半期報告書、これを作成しなければならぬということですね。  これについても、先に言ってしまいますが注がありまして、半期報告書を作成すべき会社の範囲についてはなお検討するというような注があるのですが、これは検討しようというようなお腹づもりなんでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 半期報告書につきましては、現在のところ会計監査人の監査を受けなければならない会社、これを対象として議論が進められ、私どももさように考えているわけでございまして、現在の上場会社におきましては、半期報告書というものを大蔵大臣に提出することになっておりますし、株主あての中間事業報告書というものを株主に送付するというのは九二%の上場会社が実行している、こういう現実を踏まえての提案でございまして、いわゆる大会社ということを前提にして考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 これも先ほどの業務報告及び附属明細書等々の書類の作成の問題と同じように、小規模の会社にとっては非常に負担になるというような意見がいろいろ出されておるように聞いております。だから、いまのような考え方で、これは法制審でいろいろ検討しておられるわけなんですけれども、法務省当局といたしましても、その辺のところで腹づもりをしてやっていただきたいと思うのです。  ところが、私が気になるのは、ジュリストの七百十四号、これに法務省の民事局参事官の元木伸さんとか同局第四課長の稲葉威雄さん、そして参事官の濱崎恭生さん、このお三人の連名で、改正試案の概要という、これは解説論文というのですか、これがありまして、この中に半期報告制度の問題については大会社よりも中小会社において情報開示の必要性は大きい、こういうような意見を述べておられるのです一だから、これはもちろんお三人の意見にすぎないのかもしれません。しかし、それぞれの立場におられる、まさに中心的にいろいろ検討しておられる方々の御意見じゃないかと思うものですから、こういうようなことだとすると、いまおっしゃったことともちょっと食い違っているし、どうかなということを心配するのですが、どうなのでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、確かに理屈の点で、先ほど申し上げましたように、中小企業に連鎖倒産が非常に多いとかいろいろなことを考えますと、純理論的にはこういう考え方もございますし、学者その他の方面でこういうような御意見をお持ちの方もあったことは事実でございます。  しかしながら、事立法ということになりました場合に、そういった一面と申しますか、そういった理屈だけで事柄を決するということは私は相当ではないと思うのでありまして、中小企業の現状、経済の実際の動きというようなものを十分理解いたしまして、現状把握の上に立って適切な策を樹立しなければならない、かように考えております。そういった観点から申しますと、先ほど申し上げましたように、この中間報告制度はいわゆる大会社についての制度である、かような態度でいま検討を進めているという状態でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 大体わかりました。そのほかの点につきましては、またおいおい私も勉強いたしまして質問をさしていただきたいと思いますが、最初に申し上げましたようなことで、特に大会社のいろいろな取引上の疑惑あるいは疑獄の再発を防止するというような趣旨もあっていまの商法改正も作業が進められているというお話もありましたし、私もそう思うのですが、やはり大企業に対する経理あるいは業務についてディスクロージャーをきちっとやるというような方向で検討作業を進めていただきたいということを強く要望いたしておきます。どうもありがとうございました。  それから今度は、最初に申し上げましたように最高裁の方へお尋ねしたいのですが、まだ勝見さんお見えになっておりませんね。それでは勝見さんがお見えになってからお尋ねすることは後回しにいたしまして、きのう簡裁判事の任命の問題についていろいろお尋ねをしまして、推薦基準の年齢もしくは経験年数の五年あるいは五歳の引き上げというのが簡裁判事任命の対象を狭めるというようなことになるではないのかということをいろいろお尋ねして、それから簡裁判事の常駐していない非常駐庁、これが約百五十以上あるということもお尋ねしたのです。  そこで、この非常駐庁というところは扱う事件も非常に少ないというお話もこの前ありまして、これは近いところで廃止していくというようなことをお考えになっておられるのか、あるいはそうではなくて、やはり国民の裁判を受ける権利、これにきちっと対応していくという趣旨を生かして、非常駐庁をなくして常駐庁にしていくという方向でお考えになっておられるのか、どちらなんでしょうか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 日本国憲法の上で簡易裁判所が設立されましてから三十年以上たっておるわけでございまして、その間の社会経済上の変化は申し上げるまでもないことでございますけれども非常に著しい。当時と現在とを比べますと、たとえば交通事情なんか一つをとってみましても隔世の感があるというふうに言えるのではなかろうかと存じます。  そういうことで、簡易裁判所の中には事件数が非常に多くなったところもございますし、一方において非常に少なくなってきた、当初から少ないにかかわらず、ますます少なくなってきたというふうなところもございます。事情は相当変化しておりますので、簡易裁判所の再編成と申しますか配置の再検討ということは、そういう情勢の変化に伴いましてやはり検討しなければならぬ問題である。私ども事務的に申し上げますならば、そういう意味での問題意識というものは持っておるわけでございます。ただ、そうは申しましても、簡裁の配置につきましては、一方におきましては、司法の能率的な運営という面からの考慮も必要でございますが、他面、それにも増してということになるかもしれませんが、地元住民の方々の感情、裁判所を利用する、そういう利便と申しますか、そういうことをも総合的に勘案してやっていかなければならない問題である。そういう意味で、単に事務的な観点からだけで問題を検討していいというものではございませんで、政治的影響も非常に大きいものでございます。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように問題意識は持っておりますけれども、いまのところ、それをたとえば廃止するとか、逆に申しまして事件の少ないところに今度は全部裁判官を置いていくかというふうなお尋ねになりますと、これはもう少し具体的に申しますと、七百数十の裁判官で、五百何十の簡易裁判所がございまして、それを全部置くとなりますと、片方の事件の多いところの裁判所から引き揚げてやっていかなければいかぬ、ずっと遠い将来を考えれば別でございますが、当分の間はそういうことになる。そういう意味で、いまのところ常駐を進めていく方針であるということまで言えないというふうな実情でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そうしますと、現状のままで非常駐庁に対してはきのうお答えいただきましたようなてん補というようなことで賄っていくんだという現在のやり方を続けていく、それをいまどうこう変えようということもない、現状維持だ、こういうことなんですね。簡易裁判所の判事の定員をもっとふやしてほしいというような希望、御要求、こういうのは持っておられないのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の判事は御承知のとおり法曹有資格者でなくてもいいという意味におきましては、判事、判事補等の補充と比べまして比較的容易であるということは申し上げられるかと思います。ただ、そうは申しましても簡易裁判所判事はやはり裁判官でございまして、一定の法律的な素養というものは必要でございますし、人格、識見の豊かな方を採用していかなければいけないという問題がございまして、そう一時的に大量に裁判官を充員できるものでもございません。徐々にということでございますならば別でございますが、そういうわけにいくものではございません。  そういう意味で、逐次最近御承知のように少しずつは各種の裁判官の増員が行われてきてはおりますけれども、全体としていま申し上げましたような、たとえば百五十庁あるような簡易裁判所に逐次置いていくというふうな、そういう方針を立てて、そこに増員をしていくということは、充員の関係から申しましてもそう急にいくものではないのではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 いま素養あるいは法律的な実務の知識等々、そういうことも必要だというお話の方からの、だからそう何でもかんでもばんばんふやすわけにはいかないんだというようなことだったのですが、やはり簡易裁判所判事何名という定員が決まっておって、その枠があって、その枠の範囲内でしか賄うことができない、任命することもできない、これがあるわけでしょう。だから、まずその枠をふやす。国民の要望にこたえていくためにはいま非常駐庁の百五十幾つを一挙にということでなくても、たとえばそのうちの二十なり三十なりを、こういうような情勢だ、それは過疎になったところもあるかもしれません、あるいはそうではなくて発展によってはまた人口がふえてきておるところもあるわけですから、そこの増員をするなりあるいは非常駐庁を常駐庁にするなりというような計画を立てて、そして定員をふやせ、こういうような積極的な御要望も必要ではなかろうかと思うのです。しかし、これは大臣にお尋ねした方がいいのではないかと思うのですが、いま聞いておられましたか。——では、まずこちらからお聞きします。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 先ほど充員の点から主として申し上げたわけでございますが、事件数の関係につきましては昨日も申し上げましたが、そういう非常駐庁、百五十庁というような庁はほとんど、訴訟事件で申しますと年間二件とか三件とか、そのほかに略式とか督促というようなものが若干あるというふうな、そういう簡易裁判所でございます。個々の庁としてはそういうことでございますし、簡易裁判所全体の事件数というものを一方とってみましても、かなり長期的に見ました場合にふえているというよりはむしろ若干減のきみもございます。  そういうところから考えますと、増員のお願いをするにいたしましても、たとえば地方裁判所の民事、刑事事件等でございますと複雑困難あるいは事件の量もふえております。そういうところの方がむしろ説得力はあっても、簡易裁判所の増員につきましてはそういう意味での説得力は比較的少ないというふうなことにもなるわけでございまして、裁判所として全体としての増員をお願いする場合には、どうしても地方裁判所等をまず優先的にお願いをしていくことにならざるを得ない。そういう意味で簡易裁判所の充員からの制約もございますし、事件数等の面からの説得力というふうなことになりますと、やや地方裁判所よりは劣る、そういう事情もあるわけでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 私、詳しいことはよくわからないから申しわけないのですが、判事の中に地方裁判所判事それから簡裁判事というふうに定員の枠が別々になっておるのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 裁判所職員定員法という法律、毎年通常国会にお願いしておる法律でございますが、それによりますと、下級裁判所の裁判官で判事、判事補、簡易裁判所判事それぞれ、第一条の中に別に員数を書き分けてございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 いま、いろいろ総務局長さんから簡裁判事に限ってそうふやす必要もなさそうなお話があったのですが、これは大臣にお尋ねしたいのです。  この前、この法務委員会で山陰地方、山口、島根、鳥取というふうに調査に行きまして、いま特にサラ金の問題が非常に多い、それが小さな町でも多い。その点について、お金を借りた方ですね、これは調停事件でいろいろ解決しておられるようですが、これが非常にふえてきて、しかもその解決が懇切丁寧で住民の人たちに大層喜ばれているというお話を伺ってきて、いろいろな役割りを果たしておられるのだなと思ったのです。だから、こういうサラ金ばかりではなくて交通事故による損害とかいろいろ、これだと総額が大きいから簡裁にならないのかもしれませんが、そういう一つの例をとりましても、簡易裁判所というのが国民のあるいは地域住民の人たちに重宝がられているという面も非常に多いわけですね。そしてなかなか多忙だ。サラ金の被害事件が非常に多いのだそうです。だから、そういうようなことから見まして、簡裁判事に限って言いましても、それぞれ別枠で定員が決まっておるようなんですが、その辺のところも事情を一遍お調べいただいて、もちろん事情をお調べいただかなくちゃいけませんが、いただいた上でしかるべく増員というようなことも考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 最高裁の方で責任を持って人員の配置をお考えになっておるわけでございますので、最高裁判所の御意見に従って法務省としても努力していかなければならない、こう思っておるわけでございます。  簡易裁判所の問題につきましては、先ほど来最高裁の方でお話しになっておりますように、必ずしも常駐を必要としない簡易裁判所もかなりあるように思います。しかし、サラ金の問題など大事な役割りを果たしておられるところにつきましてはできる限り人事配置を充実していかなければならないということも最高裁の方でもお考えいただいておると思いますが、御指摘の点はよく検討していくべき課題だと思います。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そこで、これも総務局長さんにお尋ねしていいと思うのですが、きのういろいろお尋ねしました簡裁の判事の任命で筆記試験の免除された特任による簡裁判事さんと試験を受けられる簡裁判事がおられるという話ですが、簡裁判事になってからの任地、これは配置の問題ですね、これがいろいろそういう特任で任命をされた方、これは私はきのうも論功行賞じゃないかというふうに申し上げたのですが、そういう論功行賞によって任命された簡裁判事の方が地裁の本庁所在地あるいは支部所在地に多く配置をされておって、いわゆる独立簡裁といいますか、相当離れたところにある簡裁は試験を受けてこられた判事さんが多いというような、何か偏りがあるような話を聞いておるのですが、そういう事実があるのかどうか、あるとすればそれはどういう理由によるのか、お聞きしたいのです。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 個々のことは別といたしまして、ごく一般論として大まかに申し上げますと、ただいま安藤委員御指摘のように筆記試験の免除の方が比較的最初大きなところで、そうでない方がいわば田舎の方に行かれる例がかなりあるように私ども伺っておりますが、ただ、いわゆる筆記試験免除組でおなりになります方は比較的高齢の方でございまして、六十ぐらいになったような方が多うございますが、そうでない方は比較的若い四十前後というような方もおられるわけでございまして、そういう意味で、その御本人の肉体的条件とかその他の条件を勘案してそういう人事配置になっておるというふうに伺っておるわけでございます。  一般論としてはそうでございますが、ただこれを個々的に見ますと、若い方々でも、たとえば体の弱い方でございますとか家族にいろいろな事情があるというふうな方につきましては、最初から比較的大きな本庁または支部所在地に行っておられる方もありますし、またそういう若い方々で初め地方の方へ行かれた方でも、言ってみれば試験免除組の方と同じような年齢と申しますか、そういう高齢になられた方は比較的大きなところへ来られるというふうなぐあいになっておるようでございまして、そういう意味で御本人の条件を見ての人事配置ということでございまして、いわば平等と申しますか、そういう差別を設けた人事配置ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 勝見人事局長がお見えになりましたのでお尋ねしたいのですが、お忙しいところをどうも済みません。  簡易裁判所は、新憲法が施行されまして司法制度の民主化、国民のための裁判所というようなことの一環として、民衆裁判所あるいは駆け込み裁判所というか、民衆にあるいは国民に親しまれる少額のあるいは軽微な事件を簡易迅速に処理してもらうというような趣旨でできたと思うのです。それがもう三十数年たっているというお話も先ほどありましたし、そのとおりなんですけれども、こういう簡易裁判所をこれからもずっと維持し拡大強化していくという方向でやっていただきたいと思うのです。  それから、先ほどもちょっとお話ししておったのですが、この前山陰の方へ法務委員会で調査に行きましたときに、サラ金の事件なんかについては簡易裁判所が非常に大きな役割りを果たしておられて、地域住民の人たちに大層感謝されておるというお話もたくさん伺ってきたわけです。そうなると、そういう調停なんかも解決する能力それから人格識見、法律実務というような点についても相当程度の人でないといけないのではないかという気がするのです。  その点、この簡裁判事の人間像というものについて最高裁はどういうふうに考えておられるのか、まずお聞きしたいと思うのです。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 おくれてまいりまして大変御無礼いたしました。  簡易裁判所判事ももちろん裁判官の一人でございますので、裁判官としてのいわば必需要件といいますか、これは当然備えなければならないというふうに考えております。特に簡易裁判所の判事につきましては、ただいま御指摘のとおり少額裁判所、民衆に接着した裁判所ということでございますので、その意味でも簡易裁判所判事として民衆性といいますかそういうようなことがより要望されるべきだというふうに考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そこで、これは私はきのうも申し上げたのですが、高裁事務局次長さんとかあるいは地裁の事務局長さんあるいは最高裁の首席書記官の方などが相当な年配の経験者であるということはもちろん認めます。  だから、先ほど総務局長の方から、相当の年配だから大都市、地裁の本庁のあるところに集めるのだというようなことを一般的な話としておっしゃったのですが、多年裁判所の司法行政に堪能してあるいは有力な一員としてやってこられた、だからその論功行賞というような意味で筆記試験も免除して任命するというような特別待遇、これは試験を受ける側からすればまさに差別待遇だと思うのですけれども、そういう差別待遇による論功行賞ということをおやりになっておられることと、いまおっしゃったような簡裁判事に対する人間像といいますか、これとはどうも食い違うのではないかというような気がしてならぬのです。だから最高裁としては簡易裁判所の設立の趣旨をだんだん変えていかれる、あるいは変えてきておられるのではないかというような気がしてならないのですが、その辺のところをどういうふうに考えておられますか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 簡易裁判所という新しい裁判所が設置された趣旨はすでに御案内のとおりだと思います。  そこで、簡易裁判所にいわば勤務する簡易裁判所判事というものにつきまして特別の手当てをしているわけであります。きのうも読み上げましたように裁判所法の四十五条は「多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者」こういう法律上の文言になっているわけであります。ただいま御指摘の最高裁の首席書記官あるいは高裁の首席書記官、高裁の事務次長等々につきましては、一応外見的に見ますと多年司法事務に携わっておりまして、学識経験と私が申し上げるのは口幅ったいようでございますけれども、やはり一般的に見ますとそれなりの処遇を受ける裁判所職員は簡易裁判所判事としての必要性を満たしているという考え方でございまして、簡易裁判所発足当初の民衆裁判所的なことと決して矛盾はしないというふうに考えておる次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 私は何も試験を免除されて任用される人たちに特に敵意を持っておってあれこれ言うわけではないのですよ。しかし、地裁の事務局長とか高裁の事務局次長とか最高裁の大小法廷のそれぞれの首席書記官と言えば司法行政のトップクラスのところにおられる方です。だから簡単に下世話に言えば司法行政でいばっておった人なんです。そういういばっておった人たちが、先ほど私が申し上げておったような民衆裁判所あるいは駆け込み裁判所的な役割りを担っておる簡裁判事に果たして合うのだろうかと、本当に疑問に思えてしょうがないのです。  これは、いま私がお尋ねしてもまた同じような答弁をされるだけじゃないかと思いますから、これ以上申し上げませんが、いま私が申し上げましたようなことも頭の中に入れておいていただきたいと思うのですよ。いままで上の立場からいばっておった人が、直ちに民衆の立場に立っていろいろややこしい細かい話をじっくり聞いて納得のいくような処理をするかどうか、私は非常に疑問に思えてしょうがないのです。このことを最後に申し上げて、時間はちょっと早いですけれども質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会

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