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93回国会衆議院1980/11/11

法務委員会 第5号

発言数
100
登壇者
11
会派数
4
開催日
1980/11/11

会議録

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所大西総務局長、勝見人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 聞くところによりますと、当委員会は一週間三回やって、火曜日と金曜日には法案の審議、それから水曜日は一般質問、こういうことだそうでございまして、きょうは法務大臣お見えになっておりまするし、しばらくぶりでひとつ格調の高い質問をやりたいと思いましたが、残念ながらきょうは法案日だということでございまして、一般質問ができないということで、これは残念でございますが、ついては、法案に対する審議に対して私は、きのうからやかましく大蔵大臣と総理府長官、この出席を要望いたしておりました。これは委員長に要望いたしたわけであります。ずらっと顔を見ましたところ大蔵大臣もお見えにならない、総理府長官もお見えにならない。これは一体どういうことになっておるのでございましょうか。しかし、その中でも大蔵大臣は今朝私に電話がありまして、他の委員会もあるし、いろいろの様子できょうはどうしても出られないからひとつ御勘弁をいただきたい、そのためには不満足ではありましょうけれども政務次官をしてかわりに出席せしめる、こういう連絡がありました。それはおっしゃるとおり不満ではございまするが、事情やむを得ないということで了承をいたしましたから大蔵大臣はそれでよいとしまして、一体総理府長官はどうしたのでありまするか。どうなっているのでございましょうか、ちょっと理由を承りたい。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 ただいま事務担当者の方に確認をいたしましたところ、総理府は人事局森次長が政府委員でございますので、したがって、小林先生の方に政府委員である森次長をもって答弁に当たらせたいということで御了解を得たいというふうな連絡をとっておったやに、いま事務局の方ではそのように承知をしておったようでございまして、その点もし行き違いがありましたらお許しいただきたい次第であります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 確かに何か総理府長官は出られないから森何がしにしてもらえないかという話は、この委員会が始まる五分前です、私の部屋に来ましたのは。しかし、仏の小林と言われるくらい筋が通ればちゃんと了承するのが私の哲学でございまするので、総理府長官は一体何の理由で出られないのか、理由を明確に言いなさい。筋が通れば私は五分前であろうと三分前であろうと了承する。言わないじゃないですか、その理由を。筋を通してやる国会の審議の中で、理由も言えなくて、ただ出られないから勘弁してくれという、一体そういう物の交渉事がありますか。私はそんなことは了承できない。理由も言わないで、ただ出られないからという、何か自分の私用かゴルフにでも行くのか、好き勝手でも思わせるような、そういう理由も言わないで、政府の何か使い走りをよこして、そしてこの神聖なる委員会において国家の運命を決しようという重大な質問があるいは出るかもしれないにもかかわらず、出られないからよろしく。あるいは委員長のところに出られない理由でも言ってあるのですか。何ならば委員長からひとつ承りたい。そういうふまじめなやり方はいけませんよ。それは立法府に対する重大な侮辱です。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小林委員に申し上げます。委員長も総理府総務長官が出席できない理由については聞いておりません。この小林委員の御質問時間中に速やかに確認をいたしたいと存じます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はその点においては、これは理事諸君に言えばいいのだろうけれども、理事に諮りませんが、了承できません。そういうふまじめなことで、質問やりながら質問の途中に理由を持ってきて、理由を言いますから、そんなことは立法府と行政府の問題の処置の仕方としても、それは行政府の立法府に対する非常な軽べつの処置です。そういうことを一つ一つ許すことによって国会の権威というものが失われてきまするし、立法府の尊厳というものも失われる。だめです。その理由が明確になって、なるほどと筋が通るまで、私は質問することができません。やりません。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小林委員に申し上げます。ただいま総理府に確認いたしましたところ、長官は叙勲の伝達中ということでございますので、したがって御了承願いたいと存じます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いま委員長からお話がありましたとおり、そういう叙勲という総理府にしては重要な仕事の一つですから、ちゃんとそのことを理由を話していただければ、私も何も了承するにやぶさかでないのでありますから、そういうような筋の通った話があるならそれを言えばいいのです。それはわかりました。けれども能力がないですな。そういうようなことも言えないような総理府長官じゃ、それだけでも失格ですよ。後で委員長から厳重に注意をしておいていただきたいと思いますが、そういう事情があれば了承いたしました。  それでは長官にかわっていまどなたが見えていますか。人事局の次長ですか。次長くらいじゃとてもしようがないけれども、これは一応言うことだけ言っておきますよ。  私は、この給与というものは、これは何も労働組合じゃない、職員においてもしかりでありまするが、これはその人たち、生活している者にとつては人生における一番重要な事項である。したが、って民主主義の原則下においては、この賃金、俸給に関するものは労使対等の原則で話し合いで決めるというのが、これはもう民主主義国家の憲法上における一番基本的なたてまえだ。そのたてまえですが、やはり公の職につくとかもろもろのいわゆる関係があって、その労使対等の原則で決めるべきものの団交権あるいはそれに基づくストライキ権というものを賃金をもらう側から取り上げている。取り上げているそのかわりに、人事院という、あるいはそういう機関を設けて、そして第三者機関を設けて、そこで客観的な一つの勧告というものを行う。それには原則として労使というか国家もあるいは使われておる者もそれに服するというのが民主主義下におけるたてまえなんです。これは重大なたてまえだから、やはり人事院制度があり、その勧告が行われたというならば、何をおいてもそれに正しく従うというそういう気持ち、態度、姿勢というものがなければならない。  ところが、どうも最近これは崩れてきてしまったのでありますが、特にことしであります。一体この人事院勧告というものを、どういう理由か理由は後で大蔵大臣にも聞きたいと思いまするけれども、それを一方的にどうも手直ししたり恣意的にこれを変えたりしているということは一体どこに根拠があるのか、どういう理由があるのか。これは私は政府としては本当に重大な問題だと思っている。その重大な問題の窓口をなしているのが総理府であり総理府長官だから、私は、この人事院勧告というものをこんなに安易に、われわれから見れば実に安易な扱い方だが、その理由が一体どこにあるかを私はお聞きしたいのです。総理府総務長官になったつもりで、できれば内閣総理大臣になったつもりで返事をしてもらいたいのであります。

森卓也総理府人事局次長

○森政府委員 お答えいたします。  人事院の勧告につきましては、ただいま先生から御指摘のとおり労働基本権の制約の代償としてある制度でございますので、政府としてもこれを尊重するというたてまえで今日まで来ておりますし、したがいまして、今回、八月八日に出ました人事院勧告につきましても、一般の職員につきましては人事院の勧告どおり本年四月から四・六一%アップということで実施をするという決定をしたわけでございますが、ただ財政事情が大変厳しい折からでもございますし、昨年も大変財政事情が厳しかったということで、私ども指定職につきましては六カ月おくれまして昨年も十月から実施をいたしました。今年も昨年にまさる財政事情の厳しさもございますし、国民一般の納得を得るためには昨年よりもいわば甘い線を出すわけにはいかないだろうということで、先月の二十八日に給与関係閣僚会議を開催いたしまして各閣僚間で御審議をいただきました結果、昨年と同様に、指定職につきましては六カ月実施をおくらせるという決定をいたしたわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 尊重するたてまえということをあなたは冒頭に言われているのだから、その尊重するたてまえというものをいまひとつ真剣に考えたら、それは一般職と指定職を離して指定職だけを六カ月もおくらせるとか十月にするなどという、そういう処置が出てくるわけがないのです。特にあなたは去年もやったからことしもやるなんということは、むしろ逆説ですよ。去年だけはやむを得ずそういう特例処置をしたのだが、それは去年一回にとどめて、ことしからもとへ返るというのが、人事院の勧告を尊重するあたりまえの態度でなくちゃいけない。去年やったから、ことしやる。あなたの言葉をもってすれば、また来年もやることになる。それではもうせっかくの人事院の勧告を尊重をしないで、新しい、むしろ逆コースのルールを、去年やったことを理由にして、むしろそれを慣習化しようとするというか一般化しようとする、そういう悪意の意図まで私どもは予想しなければならない。いまの説明は逆ですよ。去年だけはやむを得ずやったが、ことしはまたもとへ戻しましたというのが、あなたの冒頭で言われた尊重の措置でなければならない刀尊重の趣旨でなくちゃいけないのですよ。逆じゃありませんか。  しかし残念ながら、次長と議論したって話にならぬ。あなた、次長だろう。あなたの上には局長がいるのだろう。その局長まで出さないで、そして次長あたりが来て、小林進の質問に任しておこうなんというのは、しかし小林進もなめられたもんだね。おれはここで二十五年、三十年、質問を繰り返しているけれども、こんなになめられた答弁者を見たのは初めてだよ。一体、法務委員会というのはちょいちょいこういうことをおやりなんですかな。しかし、君と議論したって私の格が上がるわけではないんだ。格が下がるだけだからやめておきますけれども、そういう逆説で人にぶつかることはやめてもらいたい。あなたが言っていることは矛盾しているのですよ。去年一回やって、申しわけないから、ことしからもとに戻しましたというなら、まだ了承する余地もあるけれども、そういうやり方は言っちゃいけません。そこで、この問題はひとつ残しておきますよ。私は、総理府長官のやり方、総理府長官を通じてこの政府のやり方は了承できない。  いま一つ聞くけれども、民間においてもそのとおりだ。会社が何か破産したとかあるいは生産管理に入ったというような場合においても、そこにある破産財産でも最優先的に確保しなければならないのは、そこに働いている労働者の賃金じゃな、いかね。そういう趣旨の規定はありませんか。あるかないかちょっと教えてくれませんか。

森卓也総理府人事局次長

○森政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして公務員につきましても、こういう赤字財政のときではございますけれども、一般の職員につきましては人事院勧告を勧告どおり実施するということにいたしまして、人事院の勧告のとおりでございませんのは私ども指定職、本省の局の次長以上のごくわずかの職員に限ってそれを半年間おくらせたということでございます。一般の職員につきましては、先生の御指摘のとおり、民間の企業の倒産の場合でもとられているような措置と同じような措置をとつているわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたは指定職、指定職と言っているが、私は指定職をやったこと自体がけしからぬというのだよ。指定職というのはかすみ食って生きているのかね。生活していることに間違いはないだろう。そういうところにあなたたちの理屈の間違いがあるということだし、私は指定職と一般職と分けて言っているのじゃない。  いま民間とあなた方の国家公務員、地方公務員に対するやり方の違いを言うために私は言っているのだが、その民間においても指定職——民間には指定職も一般職もないけれども、働いている給料生活者の給料については、破産した会社あるいは生産管理に入った会社においても賃金、俸給に対しては最優先的にそれを確保するという特別の措置が講ぜられているではないかと私は言っているのです。それほど生活に直結する賃金というものは何よりも重要視されているのが民主主義国家だ、文化国家のたてまえじゃないかと言うのです。そうでしょう。これはあなたが否定できないならば、国の財政が赤字だといったって国はまだ破産したわけじゃないですよ。わが日本は、世界百五十有余ある国家の中で日本が破産国家と言っているわけじゃないし、発展途上国や後進国のようにそんなに貧しいわけじゃない。ただ、国家財政が七十兆円だか八十兆円の国債を発行して借金をしょっているというだけの話であって、日本ほど経済的に豊かな国はないですよ。その中に、いわゆる国家の成立の基本的原則に立っておる人事院勧告までもこういうふうに細かく分けて、指定職と一般職だからといって指定職だけにそれを六カ月おくらせて十月からしかやれないような、そんな小刻みないやらしいやり方をなぜやっているかということを私は言っているのです。理屈が合わないじゃないか。たった六カ月だと言うけれども、その中には国家の基本に関する重大問題が含まれているじゃないか。もしそんなことをやるならば、もう人事院なんかやめて、労働者の原則に立って、ストライキ権も団体交渉権もやったらいいじゃないか。やって、労使対等の原則で話し合いをするという原則に返ればいいじゃないか。そういう理屈の問題が全部含まれているのだ。その含まれているそれらの問題をないがしろにしておいて、去年もやったから今年もやりますという理屈は納得ができないというのです。私はそれを言っているのですよ。言ったってしょうがない、あなたと議論したって。それで、やむを得ないからこの問題だけは私は言いっ放しにしておいて、また期日を決めてやります。  その次に、それならば指定職以上は十月からは実施だというのですね。そうすると、あなたも次長だから指定職だと言った。特にいま裁判官と判事、検事の給与の問題をやっているからそっちで言いますけれども、検事でいうと八号俸以上が指定職だ、それ以下は一般職になる。一体、一般職と指定職の接点において、片一方は十月まで給料をストップされる、片一方は四月からやるということによって逆転しないのですか、ちょっと言ってごらん。指定職の最低と一般職の最高との賃金が一体どんな形になるのか、ちょっと数字をここで言ってみてくれないかな。

森卓也総理府人事局次長

○森政府委員 私、ただいま手元に資料ございませんが、逆転はしないと思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 何も数字見せないで、思いますなんて言ったって、それは了承できない。明確な数字を持って来い。いいですか、あなた。  これは一般職の簡易裁判所の裁判官の五号俸、それになると、これはボーナスといってはなにだが期末手当時期が六月と十二月だから、四月から上がるというと六月の夏期手当に影響してくる。十二月の期末手当も、十月から実施せられるものと四月に実施せられるものとでは、期末手当が二回変わってくる。そういうことを総合的に全部含めると、やはり一般職の最高は指定職の最下位よりもよけいになる。私の計算ではどうもよけいになるような気がするのだが、どうかね。あなた、思いますではだめだ、ちゃんときちっと言わなければ。答弁できるか。答えられないでもじもじしているけれども、裁判官でも検事の場合でも、どっちでもいいです。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 裁判官の場合に、いわゆる指定職に対応するものの一番最下位といいますか一番少ない報酬をもらうのが判事八号でございます。そして一般職の一番高いところに相当するのが簡易裁判所判事の五号でございます。この関係を、五十五年度すなわちことしの四月から来年の三月までということで片一方は十月からベースアップ、片一方は四月一日からベースアップということで計算いたしますと、簡易裁判所の五号俸の者につきましては、扶養手当の支給がございますので扶養家族が何人かということによって計算上違いが出てまいりますが、配偶者と子供一人という程度で計算をいたしますと、年間の金額といたしますと簡易裁判所五号の方が二、三万程度多い、指定職に相当する判事八号の方が少ないという計算に相なります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そうでしょう。あなたはやはり裁判所の給与関係をやっているから正直だよ。そのとおりなんですよ。たとえ二、三万でも少ないということは、俸給生活者にとっては重大問題なんですよ。同じ苦労をして、同じ一生懸命に国家、公に尽くしておきながら、給料をもらってみたら一年間を通じて少ないということは、これはやはり重大問題ですよ。  だから、そういうことをやらないために、この給与体系というものはあらゆるものを総合して長い経験の上に英知を傾けてでき上がっているのですよ。それにもかかわらず、それをそのときの政府の思いつきでこういうことをちょいちょいやられるということは、これは全く人類、人類と言っては大げさだけれども、日本でもいいが、長い歴史と英知を傾けたこの給与の体系というものがそこで乱れるのだから、そしてそれを予定している俸給生活者にとっては、そのために受ける精神的、物質的な痛手というものは、これは中央で総理大臣や閣僚が考えているようなそんな安易な影響ではないのだ。私はそれを言いたいのですよ。それをそんなに安直に扱ってはいけない。  一番悪いのは大蔵大臣なんだ。だから、私はきょうはここで大蔵大臣に言ってやろうと思ってきた。こういう発想を出したもとはみんないまの大蔵大臣だ。大蔵大臣が、ともかく国家財政が赤字だということで大蔵省の官僚に全国的にそのPRをやらせたり、この間はゼロリストなどというつまらない資料を出して、国家公務員を何万人も減らさなければならないとか、これをこうしなければならないというようなつまらない資料を出して、そのとどのつまりが内閣やら総理府等に対して、人事院の勧告をひん曲がらしてこういうようないびつな制度を行わせるに至ったものでありまするから、大蔵省としては軽率ではないかという考えで私は大蔵大臣に質問をするつもりだったのだけれども、残念ながら見えられないからあなたに言うのだけれども、大蔵省が率先をして人事院勧告をいびつにしなければならぬなどというようなこういうばかなことをする理由は一体どこにあるのだ。大臣にかわってここであなたちょっと説明してみてください。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先生御指摘のように、人事院勧告を尊重しなければならない、国家公務員の給与というものは国家の仕事を支える最も基本である、重視しなければならないということはそのとおりだと思います。しかしながら、いま人事局の次長が答弁しておりましたとおり、財政事情がそれを許さない。いま財政再建が緊急、緊要な課題になっていることにかんがみて、そこにはおのずからそのときの事情によってとらなければならないことがあるというふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それはさっぱり理由にならない。そのときの事情によってと言うが、それではそのときの事情というのは何です。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先ほどお話し申し上げましたとおり、財政事情でございますけれども、八月八日に出された人事院勧告を実施した場合における給与改定の所要額は約二千八百四十億円であります。予算上措置されている一千百九十億円を差し引いた所要の追加財源が約一千六百五十億円見込まれました。この追加財源は前年度のそれを約一千億円上回るものでございます。  このように、人事院勧告の所要の追加財源は多額に上りますが、先ほど来申し上げているように、わが国財政は危機的な状況にあって、その再建がいまや最も緊要な課題になっていることにかんがみて、人事院の勧告の取り扱いについては簡単に結論が出せないということで、納税者である国民の納得を得られるかなど、財政事情を初め諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断する必要があったという事情を御理解いただきたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そのいままでの財政事情というものがちっとも理解がつかない。また、いまあなたの言う理由で指定職を十月に延ばしたり、また後でもちょっと言いますが、閣僚会議か何かで大臣以上はこれを三年据え置きにして辞退しようなどということは、大衆は喜ぶだろうと思うけれども、そのことによる目に見えない損失というものは莫大なんですよ。私はそういう目に見えない精神、物質の問題をここで議論してもしようがないけれども、昔のことを思い出してください。  われわれが学生時代は例の緊縮の問題や金解禁の問題なんかがあったり何かして、井上準之助でしたか浜口雄幸内閣でしたか、結局それに手をつけた。いまのあなたの言葉と同じで、国家財政が赤字だから、重大だからということで、いわゆる公務員、当時のお役人さんの給料を一割ばかり減らそうというわけだ。いまは一割とは言わないで人事院勧告の停止と言っておるけれども、これは事実上は一割の減俸と同じになる。そのときに役人は何を言ったか。役人は全部立ち上がって時の政府に抵抗したじゃないか。われわれは苦しいのだ、一割も減俸されたのでは国家公務員としてとても国の行政をやるわけにはいかないと言って重大問題が起きたじゃないか、そして内閣がぶっつぶれたじゃないか。  いまのところはあのやり方と同じになる。いまは指定職という一つの線を引いて、ストライキ権も団交権も団結権も失われているが、まあまあ私どもは上級役人でございます、上級官僚でございますという若干の誇りがあるから、苦虫かみつぶしながらも上級職の役人様は黙っているけれども、腹の中は煮えくり返っていますよ。この連中が一番苦しいのだから。それが毎日の行政に、仕事の上に反映してこないという自信が一体ありますか、あなた。もしも役人様がみんな満足して、営々として喜んで国務に精励しているなんて考えたら大変な間違いだ。耳そんなことで六カ月も延ばしたりボーナスも減らすようなけちなことをやるなら、まだほかに国家財政の中でいわゆる手抜きをしている乱脈のやり方が幾つもあるじゃないかと言うんだ。一体なぜそれに手をつけないかと言うんだ。私どもが考えたって、ちょっと手直しすれば三千億や五千億の金が出るところはまだまだ山ほどあるよ。それをやらない。もしこういう問題で一番大切なお役人の給料などに手をつけることならば、そういう安易なやり方じゃなくて、人事院それ自体に手をつけて、法律改正なり人事院の改組なりというところへ問題を投げかけて、そして堂々と論陣を張って国民に訴えるというような公正なやり方でこの問題に手をつけなくてはいけないと言うんだ。安易な、本当にいやらしいこういうやり方でやることがけしからぬと私は言っているのです。  いいですか、政務次官に言っておくけれども、あなたと議論してはいけないけれども私は了承できません。いまあなたの言った理屈などというものは全く子供だましの理屈です。いわば人事院だとかその勧告を正しく行う、行わぬなどというのは、これは国の基本に関する問題だから、国家構成の基本の問題なんだから、そんな理屈はそういう問題を安易に修正をするような理由にはならないということだけを私は申し上げておきます。いま少しきちっとした、緊張した取り組み方をしてもらわなければならないということを私は申し上げておく。  それで、時間が来ましたから今度は各論に至って申し上げまするけれども、指定職の上にはまた特別職というものがある。その中で、国務大臣以上の者に対しては給料を三年間据え置きとすることになっているのだが、一体政務次官というのは特別職ではないのか、一般職なのかあるいは指定職なのかわかりませんが、政務次官の給料はこの人事院勧告で一体どうなんでありまするか。

森卓也総理府人事局次長

○森政府委員 お答えいたします。  政務次官は一般職ではございませんで特別職ということになっておりますので、人事院勧告の適用は直接には受けておりませんが、従来から一般職のうちの最高でございます指定職の十二号俸と同額という取り扱いをいたしております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 一般職の指定の十二に該当するのが事務次官か東大の総長か、どっちですか。

森卓也総理府人事局次長

○森政府委員 指定職十二号の給与を受けておりますのは東大と京大の総長だけでございまして、事務次官は指定の十一号でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 指定職の十二号が東大の総長ということになりますな。これは京都もそうでしたかな、二つの大学でしたな。東大、京大の総長が指定職の十二号ということになりますと、政務次官は東大の総長と一緒になるわけですが、これは一体どういうふうな扱いになりますか。東大の総長は指定職の十二号だから、あなたの説明ならば、これは六カ月据え置かれて十月から実施になるという勘定になるが、政務次官の方はどうなりますか。

森卓也総理府人事局次長

○森政府委員 ただいま国会の方に御提案いたしております特別職の給与について簡単に申し上げますと、特別職にはいろいろの種類がございまして、先ほど先生御指摘の総理大臣あるいは国務大臣も特別職でございますし、それから政務次官あるいは法制局長官等も特別職でございますし、大臣の秘書官も特別職でございます。  そういうことで、特別職にはいろいろの種類がございますので、ただいま私どもが御提案しております法律は、先ほど先生お話しのように、総理大臣と国務大臣あるいはそれと同等の者、と申しますのは、国務大臣と同等と申しますのは会計検査院長と人事院総裁でございますが、これにつきましては三年据え置きということになります。それから、指定職に対応するそれぞれの特別職につきましては、指定職の方を六カ月据え置きにいたしましたので、特別職の方も据え置きにする。それから一般の職員と同等、対応するような大臣の秘書官等につきましては四月から実施をするということで法案を御提出いたしております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そういたしますと、政務次官と東大と京大の総長は十月から上がることになりますな。  そうすると、これは自分のことを言っちゃいけないのですけれども、事の一つの論理構成から申し上げるが、国会議員は一体どうなる。国会議員は、憲法では、国会議員は国費から相当額をもらうという規定があって、それを受けて、国会法の何条かに、国会議員は一般職の最高よりは少なくあってはならない、そういう規定がある。それを受けて国会議員の給与か何かに関する法律というのがあったじゃないか。国会議員の歳費、旅費及び……、これは何ページか、四百十一かな。この中には、ともかくこれは政務次官の給料と同等か何かでなければならぬというのがあるでしょう。だから、これはやはり構成上は、憲法、国会法、国会議員の云々という一連の法律体系をなしている。  その中で自民党は、いまの大蔵大臣の発想なんだが、実にこれは単純無碍で困るんだが、それで財政不如意の中から国会議員の歳費は御辞退しようというふうなことを自民党でおやりになっているという。やられることはいいですよ。私なんか、こんなものもらわない方が最もいいと思っているので、歳費などもらって非常に迷惑をしているが、その迷惑その他と法律の構成は別なんだ。もしこれをもらわなかったら、一体法律上どういうふうになりますか。政務次官だけは十月から上がっていくが、国会議員はもうこれはもらわぬでおこう、三年でも五年でも据え置きにしていこうというようになったら、これを法律改正をしないでそういうように便宜的にどんどんやったら、一体、法治国家と銘打ったり、国会においてわれわれが法律を論議したりすることはむだじゃないか。一体どうなります。これはおまえさんよりは大蔵政務次官、ひとつ答弁してください。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小林委員に申し上げますが、御質問は、この衆議院要覧の五十ページの第三十五条「議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける。」これを受けての御質問だと思いますか……。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それを受けて細かく何かあるんですよ。  委員長、もう一回言いますけれども、あなたのいまのその条文を受けて、今度は国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律というのがその後ろにある。その中の第一条に「各議院の議長は内閣総理大臣の俸給月額に相当する金額を、副議長は国務大臣の俸給月額に相当する金額を、」その次に「議員は政務次官の俸給月額に相当する金額を、それぞれ歳費月額として受ける。」こういうのがあるわけなんだ。それだから、いわゆる政務次官の俸給が変わっていけば当然国会議員もこれは変わっていかなくちゃならない。これが私の言うあなたに対する質問の趣旨なんだよ。  それをそういう恣意的に、大蔵大臣の思いつきや内閣総理大臣の思いつきで、国会議員だけはひとつ値上げするのを遠慮しようとかやめていこうとか言うと、法律がみんな崩れていくじゃないかと私は言うんだ。だから、そんなことを言うのなら法律を改正するという——われわれは立法府じゃないですか。法律をつくり、かつ法律を正しく実施するというのがわれわれの仕事なのに、その法律の本場において、そんな思いつきで勝手にやられたらわれわれはここに住んでいる理由はないじゃないかということを私は申し上げているわけなんだ。どう措置するんだ。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先ほど人事局の次長が申し上げましたとおり、特別職については政府としては、国会議員については先生御指摘のような内容の提案をいたしておりません。したがって、国会議員の給与については国会でお決めをいただくということでお願いをしているところでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それはまあ行政府の長としてはあなたの答弁のとおりだと思いますがね。けれども、あなた方も政党人であり、片一方はやはり立法府に対する責任をお持ちになるのですから、私がいま申し上げたような問題はよく考えて、余り軽率な発言をなさらないように私は申し上げておきたいと思います。  もう時間もありませんから私は駆け足で申し上げる以外にはありませんけれども、せっかく最高裁お見えになりましたから私はお聞きします。  裁判官の勤務に一体拘束制度というものがあるか。普通なら八時間労働だとか七時間労働だとか週休二日だとかという問題がありますが、この裁判官の給料を論ずる場合に、裁判官は、判決を書いたりする場合には普通の一般の人たちのように朝八時、九時に出勤して五時に帰るというようなわけにいかない、もろもろの問題がある。そこで裁判官の勤務については宅調制、制度として存在するのかどうか知らないから、まあ在宅において、お役所へおいでにならないで家において執筆作業等をやられるのもこれを勤務として認めるというようなこともあるやに聞いておりまするが、一体裁判官の勤務というのはどういう形になっているのか、ちょっと御説明願いたいと思うのであります。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  ただいま御質問の宅調の問題でございますが、いわゆる宅調制度というふうな法令上の根拠に基づく制度があるわけのものではございませんが、実際問題といたしましては、裁判官がたとえば記録を読みますとか判決を起案いたしますとか、長期に集中して仕事をする必要がある面がございますので、そういう場合に宅調というものをとりまして自宅あるいは役所以外の場所で仕事をするということが現在も若干はございます。  もう少し申し上げますと、かつては、たとえば東京とか大阪というような大きな裁判所におきまして、裁判官の数が多いのに必ずしも庁舎が十分整備されなかった時代におきましては、かなり広く宅調が行われておったわけでございますが、最近では庁舎、裁判官室の整備等が十分行き渡ってまいりまして、そういう物理的な面からの宅調をやる必要はございませんが、いま申し上げましたような実際の仕事をする面におきまして、役所でなくて自宅で仕事をするということが若干残っておる、こういう状況でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 こういう知能的作業に従事せられている方々、われわれもそうですが、国会に来て事務所におりますと人が来たり雑音が入ったり、なかなか執筆作業だとか知能を要する仕事ができない、どこかにホテルを借りてやるとか自宅にこもるとか、別のところでそういう作業にかかるという必要は常に私も感じておりますから、やはり裁判官も当然だと私は思います。思いますが、その宅調というものが事実上勤務される日数に比較して一体比率はどんな程度のものか、あるいはまた、そういうふうに勤務しないで自宅なり他の場所に行ったりして執筆あるいは勤務されているという場合に一体だれがそれをチェックするのか。やはり所在を明らかにしなければならぬだろうし、うちで寝て欠席をしているのと自宅で仕事をしているのとはおのずから差別があるわけで、それをチェックされるのは一体どういう機関か、お聞きしておきたいと思います。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 まず最初に宅調がどの程度行われているかという御質問でございますが、これは裁判所によりまして、特に大きな裁判所と小さな裁判所では必ずしも一律ではございませんで、地方の裁判所に行きますほど毎日役所に出て仕事をするという面が多くなり、大都会、大きな裁判所ほど家で仕事をするというのが多くなっております。それは事件の性質、量等にもよることでございますが、そういうことでございます。  宅調等をしております場合に、それをどういうふうにチェックをしておるかということでございますが、これは基本的には裁判官が自主的にやっておるわけでございまして、たとえば陪席裁判官が宅調をとるという場合には総括裁判官に告げるということがございますし、それから裁判官が宅調をとっております場合には、書記官というのがついてやっておりますから書記官室でそれが十分にわかることになっております。御承知と存じますけれども、裁判所は法廷を開く日、開廷日というのが決まっておりまして、そのときは必ず出ておりますが、開廷日以外の日に役所に出てくる場合もありますが、出てこない場合は大体宅調をとっておる、そこら辺のところは書記官室で十分わかっておる、こういう体制になっております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 この問題についても若干質問したいのでありますが、もう十分しかないそうでございますから、これは残念ながら後日に延ばしまして、駆け足で申し上げます。  次に、これはもう何回もここで繰り返されたと思うのでありますが、この俸給表の中で同じ高裁でも東京高裁の長官とその他の高裁の長官との報酬、給料の異なる理由、これは同じく検事長にも言えるのですが、東京高検検事長とその他の検事長あるいは次長検事との報酬、俸給の違い、一体どういうことでこの差別を設けられているのか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 私は裁判所の人事局長でございますが、裁判所の方だけ申し上げさせていただきたいと思います。  東京高裁長官の報酬額が他の高裁長官より高く定められましたのは最初からのようでございます。当初へ昭和二十二年の裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律が制定された際に、最初の政府原案が同一になっておったものを衆議院において修正されたということでございます。  この理由といたしましては、東京高裁の場合はほかの高裁と比べまして管轄区域も広うございますし、事件数も多い、いわば格が上というとちょっと語弊がありますけれども、規模において相当大きいことと、それから東京高等裁判所だけが取り扱う事件がございます。特許法の事件、独占禁止法の事件等々特殊な事件につきましては東京高裁のいわば特別管轄事件ということに相なっております。当時の経過的な措置といたしまして、大審院から東京高裁が大審院の事件を引き継いだというようなこともあったようであります。そういうことで当初から東京高裁長官の報酬が他の高等裁判所長官の報酬よりも一段と上に格づけされておったということでございます。現状におきましても、管轄が広うございますし、先ほど申し上げました特別管轄事件がございますので、東京高裁長官は引き続き他の高等裁判所長官よりも一段上の格づけをしていただいているということでございます。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 東京の高検検事長につきまして他の検事長よりも格が高いということは、先ほど最高裁の方から御答弁がありましたように、東京高等裁判所が特別な管轄を持っておる、非常に重大な事件、独禁法の関係ですとか内乱罪ですとか、そういうふうな事件につきましては東京高等裁判所の管轄になっておりますので、それに対応して東京高等検察庁は特殊な任務を帯びておるというふうなところから他の検事長とは違った扱いをするということで、裁判所の方と合わせて一ランク上ということにされておるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 時間がありませんが、二十二年からだというと、これは創立当初からこういう差をつけられたということになるのでありますね。いまここでは言えないけれども、何かいま独禁法と内乱罪とおっしゃいましたか、そういう特別のものだけ扱うとおっしゃる点は若干違いがあるかなと思いますけれども、その他の理由を承ってみますと、これは能率給の問題で、範囲が広い、仕事が多いということになれば、それは基本的な俸給に五万も七万も差をつけなくたって能率給という別個の制度があるんだから、それで補っていいのじゃないか。私は、法律のたてまえは、検事で言えば、検事はともかく最高検の検事総長、最高検の次長検事、検事長、検事、副検事というふうにちゃんと差別されて、検事長という中で何も東京検事長と他の検事長というふうな差別は法のたてまえはないんだから、私はここに俸給の上でこういう差を設けておくこと自体がどうも矛盾ではないかという感じはいたしますが、時間が来たそうでありますから、これもさっぱり満足を得られないままで、しょうがない、後日この問題をやらしていただくことにいたしまして、委員長、これで質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今回の人事院勧告に伴う給与改善には内閣総理大臣及び国務大臣を除くというところがございまして、したがいましてこれに準じて最高裁判所の長官、最高裁判所の判事並びに検事総長は今回の増額の対象から除かれている、こういうことがあったり、そのほかの各職員の給与の改善につきましても、給与の等級おおむね三十二万から三十三万円前後のところに線引きがなされまして、それ以下のものについては四月一日から、それ以上の関係者には十月一日から増額支給されるという、言うならば分離実施となっているわけです。また諸手当の改善につきましても、たとえば寒冷地手当にも新たに上限が設けられたり、あるいは定率部分の率や定額部分の額の大胆な改定措置が図られているようでございますが、これも果たして改善なのかなと頭をかしげるところでございます。立場によっては改悪じゃないかなという印象すら与える状況さえございます。あるいは裁判官、検察官の初任給調整手当などももう長い間据え置かれたままになっているという状況ですが、このような経済変動の激しい中で、これでいいんだろうかという理解に苦しむところが多々ございます。今回の改正の複雑な内容、こういうものにはいろいろと疑問を残すわけではございますが、先ほどからいろいろ議論がなされておりますように、人事院勧告の内容そのものが今日の深刻な財政事情などを十分考慮した上でまとめ上げられたものだ、その勧告には従い、かつ準じて給与改善が図られるという今日の仕組みになっているということから、非常に複雑な気持ちでこの法案を見ているところでございます。  法案に対する意見を申し述べまして、まず初めに私は法務大臣に基本的なことをお尋ねをしてみたいと思います。  それは最高裁判所の裁判官の任命の方法についてでございますけれども、現行憲法は平和、人権、民主の原理の確立を保障するために三権分立制を採用していると存じます。ところが近年、三権分立あるいは抑制、均衡が崩れつつあるという不安を抱いている国民は少なくないと私は思うのでございます。  その一つの問題点といたしまして、最高裁の長官の指名権あるいは最高裁の判事の任命権が内閣にあるということ。すなわち、その指名または任命というものが内閣の自由裁量にゆだねられてしまっているという形になっている、このような姿勢では司法の独立と民主化を図る立場からは大いに疑問が生ずるところでございます。  そこで、わが党はかねてから基本政策の中に任命諮問委員会の設置を主張し続けてまいっておりますが、お尋ねしたいところはここなんですけれども、この任命諮問委員会の諮問を経る方法によるいわゆる指名または任命というものが望ましい姿勢ではないかと私は考えるのです。それで法務大臣の所信を伺ってみたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 最高裁判所の判事を内閣が任命する、結果的には三権分立の姿勢が崩れているんじゃないだろうかという御疑問でございました。  私は、日本国憲法のたてまえ、国会が総理大臣を指名する、その国会は国民が衆議院議員総選挙をやる、その都度内閣は総辞職をして、国会はまず内閣総理大臣を指名する、こういうことになっておるわけでございますから、内閣はやはり国民の総意に基づいてでき上がっている、こうお考えいただくべきじゃないだろうかなと思うわけでございます。同時に憲法の前文には、国政の権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使すると書いてあるわけでございまして、政府は常に国民の代表者たる性格のもとに行動しなければならない、そういう責任を負わされているんじゃないかと思うのであります。したがって、国民の総意に基づいてでき上がった内閣が、国民の代表者たる性格に外れないような自覚を持って最高裁判所の判事を任命してきているということじゃないだろうかな、こう考えるべきじゃなかろうかと思うわけでございます。これまでも、いろいろな分野から判事を選考してきておるわけでございまして、大体今日ではそういう考え方が定着してきておるんじゃないかな、こう思いますし、おおむね国民の理解が得られる選任であるのじゃないかな、かように考えておるわけでございます。  同時に、いま諮問委員会のことをおっしゃいましたが、その諮問委員会をどう構成するかということでございますけれども、最高裁判所の判事の任命を内閣の権限に置いている以上は、諮問委員の選び方も内閣が選ぶということにせざるを得ないんじゃないかな、こう思います。そうしまして、諮問委員会がだれかを決めていくとしますと、諮問委員会をつくった以上は内閣はその推薦に拘束されるんじゃないかな、こう思うわけでございます。そうなってまいりますと、一体最高裁判所の判事の選任は内閣が責任を持っておるのか諮問委員会が責任を持っておるのか、明確を欠くようになるんじゃないかな、こう思うわけでございます。やはり責任の所在は憲法の定めておるとおりに明確に行使していくことが妥当ではなかろうかな、こう思うわけでございまして、私は、これまで内閣が任命してまいりました経過、大体これで国民の理解が得られておるんじゃないかな、こう思いますし、また憲法が定めておりますように、責任の所在を明確にしておきますことが将来にわたって必要なことじゃないかな、こうも思っておりますので、諮問委員会の制度というものが果たしてうまくいくものかどうか、いま申し上げましたような理由で疑問に考えておるものでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 かつて昭和二十二年ですか、この任命諮問委員会が設置されたということを聞いておりますし、それはもう翌年には廃止になった。どういう理由なんだろうかということでいま一生懸命勉強しておるところでございますけれども、大まかには、構成そしてその運営が政令にゆだねられていだ、その成果が期待に十分こたえられなかったのだということのように実は私は感じているわけですが、政府がこの諮問委員会を設置しようとしない大きな理由は別にあるんじゃないか。それは、行政権を握る政府・自民党がいわゆる司法権に対して政治介入を強めようとする考えがあるからなんだという声も実はあるわけです。また、内閣が司法権の最高人事を通じて意図的に司法権の行政権への従属を図っているという見方も少なくないということであります。  そこで、最高裁判所の長官初め同裁判所の判事の大半をいわゆる政府寄りといいますかの人物で占めていっているという批判をなくすためにも、そっけなくいま必要じゃないんじゃないかなということでなぐて、任命諮問委員会の設置について前向きに検討してみるという気持ちが大事じゃなかろうか、もう一度その点お気持ちを聞かしていただきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 最高裁判所の構成をどうするかということは非常に重大な問題でございます。常によりよい方法を求めていくべき重要な課題でございます。私は、日本国憲法の現在の規定から私なりの考え方を申し上げたわけでございます。今後とも、どうするかということにつきましては十分な検討を怠ってはならない課題だと思っています。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 裁判官というものが自分の良心に従ってそれこそ重要な判断、発言をしていくところに司法の独立性の意義があると私は思うのです。要するに、政府の顔色を見て気にしながら仮に自説を曲げるようなことがあっては公正な司法は望めない、こういうことを申し上げまして次の問題に移りたいと思います。安川元簡裁判事に関連して若干お尋ねしたいのでございますが、彼はスキャンダルが発覚しまして罷免訴追それから弾劾裁判を受ける身となりますや、まさに法の裏をかきまして公職選挙に立候補したわけです。ということは、弾劾を免れたのみならず、ちゃっかり退職金までせしめるということをやってのけまして、世間の大きなひんしゅくを買ったのは御承知のとおりでございます。まさに法の盲点を浮き彫りにした事件であると思うのでございます。したがいまして、当然第二の安川防止への対策が打ち立てられてしかるべきだと思いますし、先般弾劾裁判所におきまして上村私案なるものが作成されまして、具体的検討の段階に入ったということを聞いているわけでございます。これにつきまして、法務省及び最高裁においても当然検討されていると思いますけれども、その状況はどうなっているか。特に上村私案にある公選法第九十条の適用除外あるいは訴追委による訴追前における免官留保の仮処分等についてどう考えているか、お答え願いたいと思います。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 法務省の考え方を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、この問題は現在裁判官弾劾裁判所の方が中心になって御検討になっておられます。その場に法務省の意見も出せということでございますので、実は昨日その会議が開かれまして法務省の考え方を述べたわけでございますが、その内容は、上村私案と言われているものの中に含まれておりますところの公職選挙法九十条を適用しない、適用しないということになりますと公選法の八十九条が適用になりまして立候補ができないということになるわけでございます。この立候補ができないということになりますと、被選挙権というのが国民の非常に重大な権利でございますので、これを制限してしまうというのは少し問題ではないかという観点から、私どもは、むしろ立候補を制限しないで弾劾手続がうまくいくというふうな方向を考えるべきではないかという立場から、昨日の会議の際には、裁判官が弾劾手続中に立候補しても、それによって九十条の規定が適用になって一般的な意味では裁判官の身分を失うことにはなるけれども、しかし弾劾手続が続く限りは裁判官の身分は失わないものとするというふうなことで考えられないかという案を申し上げたわけでございます。  そういうことからいたしまして、御質問のまず第一点の立候補制限については、私どもはむしろ制限しないという案で考えられないかというふうな意見を申し上げております。  それからもう一つ、一種の仮処分でございますけれども、これも私どもの考え方から申しますと仮処分的に立候補制限するというのはこれまた同じように問題である、よけいに問題かもしれないというふうな立場から、そのようなことなしに、いわば立候補いたしましても裁判官の身分が弾劾手続の上では残るということで考えられないかというふうな意見を申し上げておる次第でございます。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 冒頭に、私どものこの問題に関する立場を御理解いただきたいと思いますので、一言申し上げさせていただきます。もともと裁判所の場合には法案の提出権がございません。しかも現在問題になっております裁判官弾劾法は国会で提案される法律になっております。積極的に裁判所の立場でどうのこうの申し上げる立場にないということをまず御理解いただきたいと存じます。ただ、このたびの安川簡裁判事の事件はいわば私どもの身内から出た身内の不祥事でございます。これがもしその法の不備を脱法的についたものとすれば、その法律に手当てをしていただくということにつきましては異存のあろうはずはございません。私どもといたしましても、事務当局限りではございますけれども、どういう方法で彼のこのたびしたような行為を防げるかということをいろいろ考えてみました。それで、すでに当委員会でも申し上げておりますけれども、立候補を制限する前提で、最高裁から訴追の申し立てをしたとき、それから訴追委員会から弾劾裁判所に訴追の申し立てがあったときには、公選法の九十条適用をしないという考え方もあるのではなかろうかということで申し上げている次第でございます。先ほど申し上げましたように、この案につきましては立候補を制限する前提でございますので、そのところに問題がなくはないということは十分承知の上で申し上げているところでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 おおむね内容はわかったわけでございますが、私も上村私案を見てまいります限りにおいては事実上立候補制限の措置がとられようとしている内容でございまして、裁判官の立候補制限がいわゆる参政権を侵害するのではないかなというところに問題が集中していると思うわけでございますが、けさのある新聞には、きのう議論された中で、裁判官は日ごろ十分な保護を受けているのだから裁判官の立候補制限というものはあってもいいのじゃないかというのが大半の意見になったやに聞いておりますし、むしろ今国会でそれが成立するのではないかという予測記事すら出ていたわけでございます。今回の安川元簡裁判事の事件を通じて、むしろ法律に詳しい者がそれを逆手にとるとあんなこともできるのか、ああにもなるのかということで国民の大変な不信にもつながっているわけでございますので、二度とそういう事件が起こらないためにも私は何としてもこれを仕上げてもらいたいという気持ちでいっぱいです。そのことを申し上げて次に移りたいと思います。  安川事件の後に、最高裁判所は簡裁判事の任用制度を改正したようなことが新聞報道に出ていたわけでございますが、これはどういうことなのか、通達か何か出したということなのでしょうか、またいかなる理由なのかを聞かしていただきたいと思います。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 このたびの不祥事につきまして、かかる簡裁判事を任用した責任はどうかという、いわば私どもも非常に恐縮に存じておるわけであります。  現在、簡裁判事を任用するにつきましてはいろいろな手続がございますが、御指摘のいわゆる任用推薦基準というものを変えた内容でございますが、従前年齢三十五歳以上、在官年数十三年以上ということを年齢四十歳以上、在官年数十八年以上というふうに引き上げたわけでございます。実は、御承知と存じますけれども、簡裁判事の資格といたしまして、多年司法事務に携わりまして簡裁判事にふさわしい者もいわゆる特別任用の簡裁判事として裁判所法にうたわれているところであります。どの程度の社会経験があるいは法律事務についてどの程度の経験があれば簡裁判事として適格かどうかというような問題に相なります。これも従前、当委員会でも申し上げておるところでございますが、この種の手当てをしたからといって、安川簡裁判事のような事件が将来こういうことをしたためになくなるという特効薬ないし即効薬的な手当てとは思ってはおりませんが、とりあえず簡裁判事の任用に当たってできるだけ慎重を期するという意味で、ただいま申し上げたような改正をいたしたわけであります。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 要するに、法曹資格のない人の推薦基準がいま言うように三十五歳以上が四十歳以上、それから在官年数十三年以上が十八年以上というふうに改められるということでございますが、私は、この安川簡裁判事の事件はきわめてまれな事件であり、とんでもない事件とは思いますけれども、その改善はもとよりではございますが、それに事寄せてむしろ締めつけていくような方向というものは望ましくないのじゃないか。  こうして年齢を引き上げたりあるいは年数を引き上げたりしていることは、むしろ第一線で働いていこうとする書記官の皆さんなどの仕事に対する熱意、そういうものをなくしていくのではないか、このようにすら私は思うのでございます。やる気をなくしていくのではないかということですね。私がちょっと調べてみたのですけれども、現在簡易裁判所は五百七十五カ所、そこで働いている簡裁判事は七百九十一人。その中で四分の三が資格のない人のようでございまして、五百九十四人になりますか、そのうちの七〇%の四百十六人程度がいわゆる書記官であるということで、書記官から簡裁判事になっている人が大半を占めて、庶民の問題を真剣に第一線で裁いているわけでございまして、そういう人々のやる気をなくさせるようなことだけはやらない方がいいのじゃないかと私は思うのでございます。だから私は、これは改正にはつながらない、むしろ改悪じゃないか、のように思うのでございます。  ここで、時間がございませんので簡単に申し上げますと、むしろ簡裁判事を退職した場合でも弁護士資格を付与するぐらいの道を開くという前向きの措置を講じていくようなことを考えるべきではないか、私はこう思うのですけれども、いかがですか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 ただいまの一番最後の、簡裁判事にも弁護士資格を与えるように考えたらどうかという点についてお答え申し上げます。  この問題につきましては古くから議論のあるところでございまして、昭和三十八年に開かれました臨時司法制度調査会におきましてもかなりの議論がなされており、ある一定の選考試験のようなものをして弁護士資格を与えたらどうだろうかという意見も出されておるわけでございます。その理由は、簡易裁判所の裁判官を長い間やっておればもちろん裁判ということに熟達するわけであるから、同時に弁護士としての仕事もできるということが言えるのじゃないかということと、もう一つは、いま御指摘のあったように、将来に対するある一つの張り合いというところから、簡易裁判所の判事の中に活発な気風が生まれるのではないかというようなところから、そういう意見が出るわけでございます。ところが、いわゆる判事、検事、弁護士共通する一つの法曹資格というものは、非常に厳格に一定の水準を形式的に決めるということが法曹の質を向上し保つために重要であるというふうな観点からの反対がまた一方大変強うございます。そういうことで法曹内部でも議論が分かれており、まだまとまっておらないという現状でございますが、私どもも、ただいま御指摘のようなところは十分問題点としては意識しておるところでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 話に聞けば、大学の法学部の先生は、一定年数、五年ですか勤めれば自然に法曹資格が与えられる、こういうことも事実あるわけでございますので、いろいろなむずかしい問題はありましょうけれども、一歩でも二歩でも前進させる内容で今後検討を進めていっていただきたいと思います。  そこで、大臣にちょっとまたお尋ねしたいのですけれども、裁判官の資質の問題です。これは思想的に革新的な人あるいは保守的な人という立場からその裁判官を見る場合、評価はおのずと変わってくるわけですね。あの人はすばらしい人だ、そうでないということは見る人の思想の状況によって変わってくるわけですが、これには試験という一つの制度で判断していかざるを得ないということもわかるわけでございます。現在の法律試験あるいは教養試験を見てまいりますと、法律試験の方にきわめて比重がかかっているように感じられてならないのです。とにかくこの試験に受かるというのは大変な難事業と私は聞いておるわけでございますが、確かに司法の仕事というものは重要な仕事、むずかしい仕事だからそれなりに切れる頭脳は大事でございます、知識も大事でございますが、それにあわせて教養試験、いわゆる人間としての幅が大事だと思うのですね。要するに社会科学あるいは自然科学等、そういうところに大いに比重を深めていかねばならぬのではないか。すなわち法律試験の方は、レベルを下げると言えば語弊があるかもしれませんけれども、比重を下げても教養試験の方をむしろ上げていくべきではないかという考えを私は持っているんですけれども、大臣どうお考えですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 大変重要な問題を御提起いただいたように存じます。私も、いまの司法試験のあり方のままでいいものだろうかという疑問を深く抱いておるわけでございます。  司法試験の合格者の平均年齢が二十八歳でございますから、さらに二年間の研修を終えますと三十歳、平均年齢が三十歳でございますからずいぶん年齢の多い方々もいらっしゃるわけでございます。年齢だけで判断することはよくないのですけれども、私は、結果的には職人を養成していることになっているんじゃないだろうかなという気がしているわけでございまして、高度な立場で判断をしていかなければならない重要な方々でございますだけに、いまおっしゃいますように視野の広い方、また社会全体から高い尊敬を受けるような判断をなさる方々、こういう方々であることが必要だと思います。  そうなりますと、いまの職人を養成するような試験制度ではなくて、広い教養も求められるような形の試験ということも非常に重要なことだと思います。先日、私は日本弁護士会の方々に対しまして、一遍この試験制度を法曹三者会談の話題にできませんでしょうかというお願いもしたことがございまして、今後とも重要な問題でございますのでみんなでひとつ知恵をしぼっていきたいものだなと思っておるわけでございます。大変重要な課題だと思っております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 私の持ち時間はあと二分程度ですので、ちょっと話は変わるのですけれども、最後の質問として聞いていただきたいと思います。  去る十月の六日、オランダのハーグで国際私法会議が開かれたわけでございますが、そのときに子供の奪取に関する条約というものが採択される予定であるということが新聞で報道されておりましたけれども、法務省もこれに積極的な姿勢を持っているんだというふうに報道されておりましたけれども、いかがなものだろうかということですね。国際結婚する日本人の数というものはこの十五年間に約二倍にふえた。この数年、毎年六千人台を記録しておるということも聞いておりますし、ぜひこれは前向き、積極的な姿勢で取り組んでそれを批准していただき、あるいはまた国内法の整備をしていただきたいという希望も添えて最後の質問にしたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○貞家政府委員 御指摘の条約は、国際的な子の奪取の民事面に関する条約という、これは仮訳でございますが、そういう名称の条約が去る十月二十五日オランダのヘーグの国際私法会議で採択されております。わが国からも政府代表を派遣したわけでございます。  ところで、この条約の批准に関する事項は外務省の所管でございますが、その内容、関連国内法等に関しては私ども法務省民事局の所管でございます。そこで、この条約に関しましては今後外務省と十分協議をいたさなければならないわけでございますが、法務省の立場といたしましては、この条約の趣旨自体において全く異論がないわけでございます。ただ問題は、この条約はいわゆる狭義の国際私法つまり渉外関係の準拠法を定める条約ではございませんで実体面に入っているわけでございますので、国内法の問題、つまり人身保護法であるとかあるいは民事訴訟それから家事審判、そういったものとの関連がございます。そこで、そういった関連国内法の整備の必要性が生じてくるというふうに考えられるわけでございまして、そういった面につきまして今後十分検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 安藤巖君。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 最初に、裁判官の給与、報酬の関係についてお尋ねをいたします。  裁判官の報酬が戦後改めて定められたのは昭和二十三年一月だというふうに聞いておるのですが、この当時、これは三十二年前ですから大分古い話ですが、政府職員の最高職であります事務次官、この人の俸給が月額一万円、まあ感慨無量な感じがしますけれども、これが裁判官の判事の最下位の五号俸の俸給と同一であったわけですね。その当時、政府一般職員の全体の平均べースが二千九百二十円だというふうに調査の結果わかっておるのですが、そうしますと相当な格差があって、これは裁判官に対して報酬を高くするという一つの面でもって憲法に保障された裁判官の身分をきちっと確立する、こういうような趣旨であったんだなというふうにいま思っておるのですけれども、この点については、これは司法法制調査部ですか最高裁ですか、どういうふうに考えておられますか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 古いことでございますので、当時の事情は必ずしもつまびらかではございませんけれども、残存しております資料などから考えますと、当時司法優位という考え方が非常に強く打ち出されまして、給与的にもそれを裏づけていこうという思想がかなり強かったように思います。  その結果、これは現在までずっと尾を引いておるわけでございますけれども、最高裁判所の長官は内閣総理大臣と同格にする、最高裁判所の裁判官は国務大臣と同格とする、それから先ほども話に出ましたけれども高等裁判所の長官、そのときから東京高等裁判所の長官が問題になったようでございますが、につきましては国務大臣と次官の間のところに位置づける、それから判事につきましては、これは当時の一級職といいますか、一般公務員の方で何かそういうことがあったようでございますけれども、そういうものと次官との間で格づけをするというふうな考え方が基本にあったようでございます。  御指摘の二十三年の最初のときには、一般職につきまして最高の号俸が十五級というのがあったようでございます。しかし、そのときにはまだ十五級というのが実は給与の内容が定まらないでいわば空白部分になっていたようでございまして、その点では実際に金額が定まっておったのが十四級、したがって当時は事務次官もそこに位置づけされざるを得なかったのだろうと思います。それと五号とが合っておる。ところが、同じ二十三年の八月ですか半年くらいおくれた後で、その十五級の給与が決まりまして、それが判事の一号から四号までに当たるような金額になった。いわばそのときの、混乱期と申しますか、そういうために当初は事務次官と相当のところに五号が当たったけれども、現在で申しますと事務次官並びに局長クラスのところに大体当たるというところで評価がなされたように考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 その後も少しの手直しをなされたようですが、先ほどお話しのように司法優位という考え方があったということは理解できるところです。  そこで、わが党は従来から、裁判官あるいは検察官の報酬あるいは俸給については上に厚くて下に薄いというような体系を改めるべきだということをこれまで何回にもわたって主張してきたわけでございますけれども、この関係で、法務省の方からいただいた裁判官・検察官・報酬・俸給月額と一般政府職員俸給月額の比較変遷表というのが、昭和二十三年一月からことしの十月までの非常に詳細なのがあるわけなんですが、これを全部お尋ねするわけではございませんが、先ほどの昭和二十三年の一月でいきますと、たとえば判事の一番低い方の報酬で先ほどから言いましたように一万円、最高裁長官二万五千円、これは二・五倍ですね。それから、これは飛ばしますが、二十六年の一月になってきますと、最高裁長官が六万円で判事の最下級が二万五千円で二・四倍ですね。大分ちょっと飛んで三十五年四月にいきますと、最高裁長官が十一万円、同じくが五万五千八百円で約一・九七倍。この十一万円というのはこの表からしますと十五万円になっておりますけれども、据え置きというようなことで実質は十一万円ということですね。これでいきますと一・九七倍。  大体こういうふうに見てまいりますと、三十五年の九月ごろまでは約十二年以上にわたって二倍内外のところに格差があったわけですね。その辺のところの格差で抑えられておったということでですが、これはそのとおり間違いないですか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 最高裁判所の長官と判事の一番下の号俸との比較はただいま御指摘のとおりでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 ところが、最初のころは判事の報酬の段階は五段階になっておりまして、最高裁長官、判事、東京高裁長官、他の高裁長官、それから判事の五段階、こういうふうに非常に簡単明瞭であったと思うのですが、それが昭和三十二年の四月以降大分段階が多くなりまして、たしか私の計算でいくと、いま判事だけで九段階になっているようなんですが、これはどういうようなことでそういうふうな段階がふえてきたということになりますか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 二十三年の最初に法律ができました段階ではいわばアメリカの考え方が非常に強く打ち出されておりまして、法曹一元的な形で裁判官を評価するという思想があったようにうかがいます。したがいまして、判事は大体同質、同じようなものである、したがって余りたくさんの刻みを、段階をつけるということはむしろおかしいという考え方が当時は支配的であった、そのために五段階制がしかれたように思います。  ところが、わが国の全体の賃金体系というのは御承知のとおり年功序列賃金でございます。したがって裁判官におきましても、もし法曹一元ということが文字どおりなされておれば別でございますけれども、現実問題としてはキャリアシステムがとられておるということからいたしますと、やはりそぐわないところが出てまいります。  具体的に申しますと、普通に大学を卒業して司法試験を受かって裁判官になるという人は大体二十四、五歳で判事補になり、十年たって三十四、五歳で判事になるわけでございますが、六十五歳の定年までの間に三十年あるわけでございます。その三十年の間、要するに五段階という刻みでは実情に合わないということが現実問題として出てまいりますために特号というのを設けて、そしてその中間を処理をする。現在でも、その名残が出ておりますために八号のほかに九段階の特号というのがあるわけでございます。そういうふうな状態を重ねながらむしろ繰り入れていくということが何回か行われまして、現在の九段階に相なっておるわけでございます。  余談でございますけれども、昭和三十八、九年に臨時司法制度調査会が開かれました際にも、その点が大変に問題になったわけでございます。要するに、裁判官で一番給与がどっちかといえば不遇な扱いをされているのは判事一号以上といいますか、その上の方の者が昇給もできない、しかも子供の教育費なども一番かかる時代であるというふうなところから、そこに何とかする方法はないかということが一番議論になりまして、そういうふうな思想を受けて特号を設けては本号の中に繰り入れていく、したがいまして上に重ねていくわけでございまして、下を下げるというふうな形で号数がふえたわけではないと考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 上に重ねるということで、下を下げたわけじゃないということですが、その地位、身分、責任に応じた社会生活を送っていくために必要だとおっしゃるなら。下の方をしっかりとお上げになれば問題は解決がつくんじゃないかと思うのですよ。いま法曹一元というようなこともあって一最初のような五段階という簡素な段階をとったけれども云々、やはりキャリアシステムを入れなくちゃならぬとおっしゃったのですが、その一面、先ほどの答弁の中にもありましたように、裁判官の仕事というものはやはり同質だというようなことも重く見るべきだと思うのですね。だから、キャリアシステムを導入するというようなことは私は問題があるというふうに思うのですよ。その辺のところは再検討していただきたいのですが、時間が大分少なくなりまして窮屈になりましたので、また後でやります。  その結果、最初の二十三年のときと比べますと、いま裁判官の一番低い報酬の方で判事三十八万四千円、だから一万円からすれば三十八・四倍です。ところが最高裁長官は二万五千円から現在百五十五万円、ですから六十二倍、こういうふうに開いてきているのですよ。だから、これがいまもおっしゃったようなキャリアシステムを導入された結果ですね。こういうような差が出てきているという、まさにこれは上厚下薄の典型的なものの一つだと思うのです。  そこで先ほどもあなたがおっしゃったのですが、臨司の意見書、私もこの当時大分勉強させてもらったのですが、改めて見ましたら、当然知っておいでになると思うのですが、「給与制度の改善合理化」というところで「判事及び検事の報酬又は俸給の刻みを簡素化することを考慮すること。」段階をたくさん設けて複雑なものにするなということでしょう。それから、それはなぜかというのは「判事の給与上の段階をいくつにするかの問題については、昇進の有無、遅速が裁判の独立に影響を及ぼすことも考えられ」だから早く上へ上がっていきたい、早く給料をもらいたい、今度はどの段階に行けるんだ、こんなことを裁判官に考えてもらっては困るわけなんですね。だからそういうことも「考えられ、この意味で、裁判官は、できる限り自己の昇進の問題に煩わされないようにする必要があり」と指摘しているのですよ。それからよく似たことなんですが「判事の報酬及び検事の俸給の号俸の刻みにさらに検討を加え、諸般の事情をしんしゃくして、その簡素化について考慮することが相当である」ちゃんとこれは指摘をしているわけですね。  そうしますと、私どもはこの臨司の意見書なるものが全面的にりっぱで正しいというふうには考えておりませんけれども、この指摘の点についてはうなずけるところがあるのですね。だから、こういう臨司の意見書にも反するような、段階が九段階にふえてきているというようなことになってきているのではないかと思うのですが、その辺はどういうふうに考えておられるのでしょうか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 臨司の考え方をどう取り入れるかというのは大変むずかしい問題でございまして、少なくとも給与の関係につきましては法曹でも一応のコンセンサスのあるような点でございますので、私どもも裁判官、検察官の給与の改善には努めたいということで、昭和三十九年の臨司の答申を受けましてから、一般的な評価といいますかそういう面ではかなり改善が図られたというふうに考えておりますけれども、号俸の段階の関係につきましては、これをどのような段階に整理をするのが現状に合うか、また経過的にもうまくいくかというふうな問題にむずかしい問題がございます。  現在のところ、まだうまい考え方は見出しておりませんけれども、将来の方向といたしますと、法曹一元のこともにらみながら裁判官の、ことに判事の関係の報酬については臨司の考え方を取り入れた方向に持っていかなくてはならないだろうと思いますが、財政難でいろいろな点が問題になるというさなかでは、現実問題としてはなかなか動きにくいという面もあるのが実情でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 最後に財政難云々とおっしゃったことが気に入らぬのです。そういうことをおっしゃると、また小林先生に怒られるのじゃないかと私は思っておるのですが、そういうことは一応別にして、やはりやるべきことはちゃんとやっていただくということが必要だと思うのです。しかもこれは裁判の独立という、それから裁判官の身分保障という憲法に保障せられた大事なところですから、その辺のところはしっかり考え、前向きに検討をしていただきたい。  最高裁にも御答弁をしていただきたいと思うのですが、これは司法法制調査部長さんと両方にお答えいただきたいと思うのです。  今回ちょっと格差是正がなされてきておる。最高裁長官、最高裁判事、検事総長の報酬を据え置いたということは妥当だと思うのです。これはけしからぬというふうにいろいろおっしゃった方も見えますけれども、私は妥当だと思います。  そこで、そういうのはあるのですが、たとえば東京高裁長官の場合は、この一部を改正する法律案関係資料四十八ページのところですか、五・一%のアップなんです。ところが簡易裁判所判事三号ですか、これは四・七%のアップですね。だからアップ率に大分格差があるんです。判検事のアップ率の平均を見ますと大体四・四から四・八%なんです。ところが東京高裁長官は五・一%アップということになってくると、よけい差が開いてくるんじゃないかと思うのです。これは格差是正というような方向からすると逆行しているのではないかと思うのですが、どうでしょう。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 確かに東京高裁長官につきましては五・一%でございますので、一般のといいますかほかの裁判官との比較では若干いい率になっております。  これは、このクラスになりますと、それにこだわる必要はないのかもしれませんが、大体丸めた数字で給与を決めるということになっておりますために、四・六%程度を掛けた分の端数の整理で、切り上げで五・一%ということになっておるわけでございます。したがいまして、同じようなことで次のその他の高裁長官のところは、丸めるためにかえって四・四というふうに下がっておるということがございますので、ここは特に意図的に上げたわけではないということで御理解いただきたいと思います。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 その他の高裁長官のところもいまおっしゃったことは見ればわかるのです。東京高裁長官がほかの高裁長官と違った仕事もやっておられるということも知っております。しかし、いまの丸めてやるとこうなるのだというのはどうもよくわからぬですね。意図的じゃないとおっしゃるのですが、これをちょっと説明していただけますか。よくわからぬのです。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 その計算はいま手元にございませんが、ちょうど四・六%で計算いたしますと百方何千何百円というふうな計算になろうかと思います。そこを要するに万単位で整理をした結果だということでございます。ですから、きちんとすれば少なくとも何千円ぐらいというところまではすることが可能かもしれませんが、このクラスになりますと、ある程度ラウンドナンバーと申しますか、そういうところでやるというのが従来からの扱いでございますので、ただそれだけのことでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 従来からの扱いをそのままやってこうなったという話ですが、せっかく上の方でしっかり据え置きということで、できるだけ上厚下薄にならないようにという御努力をしておられることが少しうかがえるのですから、それならそのようにもっとしっかりとやっていただいて、従来のようにぱっぱっと上げるということではなくて、やはり格差是正ということを検討していただきたいと思うのですね。その点最高裁の方はどうですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 東京高裁長官の格づけにつきましては、いま法務省の方からお答えしたとおりでございまして、私どもといたしましてはっけ加えることはございませんが、委員御指摘のとおり、どうも上の方が少し率が高くなっていささか形が悪いということについては、私どもも全く同感でございますが、理由は先ほど法務省の方から御説明申し上げたとおりでございますので、上げていただいてやむを得ないというのはいささかおかしいと思いますけれども、このたびの東京高裁長官の上げ率は、私どもとしてはちょっとつけ加えて申し上げることはございません。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 それではちょっとほかのことをお尋ねいたします。  簡易裁判所の判事の任命の問題でございますが、簡裁判事の特別選考制度というのがあります。これは各地裁ごとに設けられた推薦委員会の推薦を受けなければならぬというふうになっておるようです。そして試験に合格した者を簡裁判事に任用するという制度、こう聞いておりますが、任用制度の中に筆記試験を免除されて面接のみで任用される制度いわゆる特別任用制度というのがあると聞いております。それは事実ですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 そういう制度としましては面接だけという趣旨ではございませんで、試験科目として口述の法律科目の試験を受けさせております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そうすると、筆記試験を免除して口述で法律関係の試験科目を受けさせておる、こういうことのようですが、そのように違いがあるのはどういう理由ですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 現実には試験委員会の方でお決めいただいておりますが、現実の問題としては、高裁の事務局次長あるいは高裁の首席書記官等が従来多くございました。この点につきましては、多年司法事務に携わっておって途中の段階において簡裁判事を希望したであろうグループでございますので、先ほど申し上げましたように大多数は書記官資格を持ち相当経験も積んでおりますので、筆記試験を免除するということで運用しておる次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 いまもちょっとお話が出たのですが、筆記試験を免除されて簡裁判事に任用される人の前職は、最高裁大法廷の首席書記官とか小法廷の首席書記官、高裁事務局長、地家裁の事務局次長というような人たちであると聞いておるのです。その点間違いないかどうか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そういうような人たちは書記官資格を持っておるし云々という御説明があったのですが、こういう職にあった人は、いわゆる裁判実務から相当な期間離れてきておられる人ではないかと思うのです。その点どうですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 御承知かと存じますが、裁判所の一般職員の場合に、書記官系統と事務官系統がございます。書記官資格を有しておっても事務職の方に回っていただいておる職員もございます。限られた職員の中で、いわば事務局の重要と思われるポストに書記官資格を持っていながら事務官で勤めているということがございますので、御指摘のとおり各人各様でございますけれども、ずっと裁判事務をやってきておった者だけではございません。その意味で、司法行政事務にある程度の期間携わった者ももちろん中にはございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そうしますと、それは試験の成績がどうかということまではわかりませんけれども、現実に書記官としてあるいは主任書記官として裁判実務を担当してきておられる人に対して法律問題についての筆記試験をちゃんとやる、裁判実務から相当期間離れてきた人には筆記試験を免除して口述だけでやる、どうもこれはおかしな話だなとしか思えないのです。逆ではないかと思うのですよ。だから、そういう特別任命制度、特任制度、筆記試験免除という制度についていろいろな批判が出ていることは御承知だと思うのですが、余りはっきりした顔つきをしておみえにならないので一、二例を申し上げたいと思うのですが、これは一つの調査です。  これは全司法労働組合という労働組合が昭和五十三年の一月に簡易裁判所判事の選考問題に関するアンケート調査をやりました。これは全国的なものではございませんが、中国地方の組合員を対象にしてアンケート調査をとったその結果なんですが、こういうふうに出ているのです。「任用別のなかで、もし簡裁判事の任用方法として妥当でないと思われるものがあれば、該当の番号に〇印をつけて下さい。」というのがあって、「試験免除の特別任用者」これは妥当でないというのが五百八人おって、全体の五四%に上っておるのです。それからもう一つ申し上げますと、日本弁護士連合会が編さんして日本評論社から出版されております「簡易裁判所」という本があるのですが、その中にこういう文句がある。「司法行政上の主要な地位にあった者は、筆記試験を免除され、面接のみで選考されるということがある。」途中省略しますが、「これを免除することは、実務的にもきわめて問題であるといわなければならない。論功行賞と批判されるこのような免除は、理由のない差別であり」云々というふうにあるのですが、「この意見に賛成、特別任用の制度を廃止すべきだ。」という回答を寄せた人が四百二十九名あって、これまた四五%、こういうような調査結果になっておるわけなんです。  だから、まさにこれは、そういう高裁の事務局次長あるいは地家裁の事務局長あるいは最高裁の首席書記官、こういうような人たちに対して論功行賞的に簡裁判事の地位を与えるというような趣旨、あるいは大過なくというのか司法行政について最高裁の方針に忠実に一生懸命働いておれば簡裁判事に任命する道があるよ、筆記試験免除しますよというようなことでの職員に対する統制の手段、こういうような批判が出てくるのは当然だと思うのですが、こういうような措置を改めて、とにかく試験するなら筆記試験も全部やる、こういうような方向で検討されることは考えておられませんか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお示しいただいた御批判のあることは私どもも十分承知しております。要は、簡裁判事として適任者をいかにして得るかという問題でございます。  裁判所法には多年司法事務に携わり簡裁判事として学識経験の適性がある者ということになっておりますので、そういう者につきまして、そういう選考方法をどういうふうに運用していくかという問題でございます。いま御指摘のいわゆる試験免除組につきましては、先ほど申し上げましたようにそれなりの合理的な理由があると思って、いままで運用してきておるところでございます。もちろん、この運用に当たっては十分慎重を期さなければならないというふうに考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 慎重にということで、それ以上お尋ねしてもそれ以上の御答弁はなさらないような気がしますので、またいろいろな意見が出てさましたら、それに従ってこの問題についてはお尋ねをしたいと思います。  そこで、最高裁は簡裁判事の選考、任命の対象を広げるという方向で考えておられるのか、狭めるという方向で考えておられるのか。たとえば法曹資格のある人、地裁、高裁判事あるいは所長をしておられて定年になられた方あるいは先ほどのような筆記試験を免除するという特別任用制度、特任制度、こういう人たちに限ろうということを考えておられるのかどうか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 いわゆる有資格判事で定年になられまして退官いたします。その際に簡裁判事を希望される方につきましては簡裁判事になっていただいております。その点は従来と一つも変わりございません。ただ、最近は定年で退官される年齢層が比較的少のうございますので、いわば簡裁判事になっていただく歩どまりと言っては失礼でございますけれども、現在のところ絶対数はそう多くはございません。したがいまして、その余のいわば補充すべき簡裁判事につきましてはいわゆる特別任用をせざるを得ない。特別任用というのば一般に試験を実施して職員ないし外部の方から来ていただく方法で、これにつきましては、数等につきましては従来と基本的な方針を変えるつもりはございません。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そこで、先ほどもちょっとお話が出ておったのですが、簡裁判事の推薦基準を年齢五歳引き上げ、経験年数五年引き上げという通達をお出しになったということを当委員会でも答弁されたのですが、これは安川簡裁判事問題が理由でそういうような方針をおとりになったのか、あるいはそれ以前からお考えになっておられたのをこの機会にお出しになったのか、どちらですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 従前から、特に年齢の問題につきましては三十五歳というのは少し若過ぎるのではないかという意見は内部にもございました。このたびの安川簡裁判事の事件を契機として具体化したというふうに御理解いただきたいと存じます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そうしますと、前々からその検討というのか、そういうような考え方があっていろいろ議論をしておられたというふうにお伺いしておきます。  ところで、そういうふうに五歳引き上げるあるいは経験年数を五年引き上げるということについて、全司法労働組合という労働組合があることは御承知だと思うのですが、この労働組合の方に、こういうふうにしたいがどうだというような相談をなさったことがございますか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 推薦基準の年齢それから在官年数の問題につきましては、結局、裁判所法に多年司法事務に従事しという条文がございますが、この「多年」をどういうふうに考えるかという問題だと考えております。いわばこの裁判所法の簡裁判事選考委員会の運用についての問題でございますので、全司法労働組合とは相談はいたしておりません。ただ、事後に委員長以下抗議に見えまして、私どもの考え方を伝えてございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 事後では何もならぬと思うのですね。五歳引き上げますと、三十五歳になった人あるいはそれに近くなった人はいよいよ試験を受けて簡裁判事になろうかと準備もされる。心の準備もあるいは受験勉強の準備もされると思うのです。これは一つの期待権ですね。ところが、これが全部五年引き上げられてしまいますと、この期待権を侵害することになるのですよ。最高裁あるいは裁判所というところは国民の基本的権利をしっかりと守るという一番大切なところ、総本山のところですが、事前に相談しなかったという点は、そういうような期待権を五年間侵害してしまうのだというようなことを全くお考えにならなかったのでしょうか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、簡易裁判所判事の採用は最高裁判所の責任において行うことでございます。その結果、いま御指摘のとおりのようなことが決してないという趣旨ではございません。ただし、この種のことにつきましては職員組合との間で事前に相談をすべき事項ではないというふうに考えて、先ほど申し上げたような手続きでやったわけでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 これは私の考えとしては、先ほど言いましたようなことで期待権を裏切ることになると思うのです。それからもう一つは、年齢と経験年数を引き上げるということは、それだけ管理職につく方も多いわけですから、結局は管理職優遇制度あるいは管理職対策制度、こういうようなことを最高裁がねらっておられるのではないかということを危惧せざるを得ないわけなんですね。  そこで、簡裁判事の任用対象をそういう特別選任制度の中で年齢、経験年数を引き上げるということになりますと、それだけ任用対象者が減ることになると思うのですけれども、そうなると、これは任用の対象を狭めるということになるのではないかと思うのですね。その関係で、いま簡裁判事の充足率といいますか、これは本当は何人要るのだけれども何人足らないのだというような数で言いますと、どうなりますか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 最初のお話の前段でございますが、これはもう絶対数が、対象者が減ることは御指摘のとおりだと思います。  なお、簡裁判事の現在におきます定員の充員状況でございますが、ことしの七月一日現在、定員七百九十一に対しまして七百三十六でございます。実は七月一日現在の数字でございますが、先ほどから御質問のありました特別任用の簡裁判事の任命は八月一日にしておりますので、八月一日現在ではこの欠員は大分少なくなっているはずでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 現在、簡易裁判所で簡裁判事の不在のいわゆる不在庁、これは時間がありませんから私の方でちょっと言いますが、百五十三庁、全体の約五三%あるというふうに聞いております。そして、これは昭和四十一年に百六十四庁あって四十六年に百五十五庁、五十一年に百五十一庁、大体百五十庁以上をちょっと超すところが不在庁になっているわけです。簡裁の判事がいないのですよ。これは本務庁というところに簡裁判事の本務する庁があって、そこには簡裁判事が見えるわけですね。不在庁の方へはてん補ということで月に二回あるいは三回ということでいわゆる出張されるわけです。そういうことになりますと、不在庁の管轄区域内にある国民は憲法に保障された裁判を受ける権利を全うされない、侵害されている、こういうようなことになろうかと思うのですが、これに対する手当てはどういうふうに考えておられるのでしょうか。時間が参りましたから、この御答弁をいただいて私終わりにいたします。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所に簡易裁判所判事が常駐していない庁ということでおっしゃいますならば、約百五十庁あることは御指摘のとおりでございます。ただ、簡易裁判所全体で五百七十庁ばかりございますので、率にいたしますと必ずしも五〇%ということではございません。もう少し率は少なくなるわけでございます。  これはもう安藤委員すでに御承知と存じますけれども、簡易裁判所では非常に事件数の少ないところがたくさんございまして、普通一人前の事件のところを基準にいたしますと、〇・一人分くらいのところが約半分くらい、二割程度の仕事しかないところでとってみますと、約九〇%がそういうところでございます。九〇%が〇・二くらいしかないというくらいでございます。したがいまして、簡易裁判所の判事の充足率の問題とは別でございまして、むしろ二つの簡易裁判所をかけ持ちで一人でやっていただくということが全体としての能率、事件の処理の能率化を図るゆえんであるということから、そういうことをやっておるわけでございまして、てん補もできるだけやっておりますし、必ずしも事件処理にすぐに支障があるようなやり方にはなっていないのではないか。それは常駐いたしておりますよりはやや不便であることはおっしゃるとおりでございますが、それほど御迷惑をおかけしていることもないのではないか、実はそういうふうに考えておる次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 それは大きな認識の誤りであると私は思いますが、時間が来ましたから、これはまた後日質疑をいたすことにいたしまして、終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 次回は、明十二日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十七分散会

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