文教委員会 第1号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1980/10/15
会議録
○三ツ林委員長 これより会議を開きます。 まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 すなわち 文教行政の基本施策に関する事項 学校教育に関する事項 社会教育に関する事項 体育に関する事項 学術研究及び宗教に関する事項 国際文化交流に関する事項 文化財保護に関する事項 の各事項につきまして、本会期中、国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○三ツ林委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 当面する文教行政の諸問題について、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。田中文部大臣。
○田中(龍)国務大臣 まずごあいさつを申し上げます。今回文部大臣を拝命いたしました田中でございます。よろしく御協力をお願いいたします。 第九十三回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、日ごろ考えておりますことの一端を申し述べます。私は、文教の振興を図ることが国政の基本であると考えております。特に、資源に乏しいわが国が、厳しさを増す内外の諸情勢の中で、世界各国との協調のもとに発展を続けていくためには、たくましく、かつ創造力のある、心身ともに健全で国際的に開かれた日本人の育成を期していくことが、今日、最も重要な課題であると確信しております。 私は、このような認識の上に立ち、教育、学術、文化の振興に全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。 以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。 第一は、学校教育の改善充実についてであります。 まず、初等中等教育につきましては、教育内容の改善及び教育に関する諸条件の整備が重要な課題であります。 ゆとりのある、しかも充実した学校生活を実現するため、小学校においては本年四月から新学習指導要領による教育が実施されており、中学校及び高等学校についても順次新学習指導要領に移行する措置が講じられております。また、これにあわせて、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数につきまして、本年度から第五次改善計画を発足させ、多年の懸案であった小中学校の四十人学級の実現に着手するとともに、公立高等学校等の教職員定数につきましても、本年度から第四次改善計画を発足させ、習熟度別学級編成を実施するために必要な教員の確保等の改善を図っているところであります。今後とも、これらの改善計画の円滑な実施のため努力してまいる所存であります。 私は、学校教育の成否を左右するものは、究極的には教員の力によるものと信じております。今後とも、教員の資質能力の向上と教員養成の充実に努めてまいります。 また、人間形成の基礎を培う幼稚園教育の普及充実、心身に障害を持つ児童生徒のための特殊教育の振興、児童生徒の健康の増進と体力の向上を図るための体育指導、学校保健、学校給食、学校安全等の普及充実、公立の小中高等学校の施設の整備など各般の施策につきましても、一層の推進を図ってまいりたいと存じます。 次に、高等教育につきましては、その質的水準の向上と、地域的不均衡の是正に重点を置いて、地方における国立大学の整備充実を図るとともに、公私立大学に対する助成の充実等の施策を引き続き推進し、全国的に均衡のとれた高等教育の発展を期してまいります。 また、かねてから創設準備を進めてきました放送大学については、本年度にその設置主体となる放送大学学園を設立して、多年の課題であった放送大学の創設を推進することとし、放送大学が国民の期待にこたえ、十分成果を上げるものとなるよう最善の努力を払ってまいる所存であります。 さらに、大学入試の改善、育英奨学事業の拡充についても、一層の努力をしてまいりたいと考えております。 私立学校の振興につきましては、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、私立大学等に対する経常費補助及び高等学校から幼稚園までの私立学校に対する経常費助成費補助を中心に一層の拡充を図り、また、専修学校につきましても、その特色を生かした適切な振興方策について引き続き配慮してまいりたいと考えております。 第二に、学術の振興と教育、学術、文化の国際交流の推進についてであります。 学術研究の推進は、わが国のみならず世界の進展を支える上においてもきわめて重要であります。このため、世界に貢献し得る独創的、先駆的な学術研究の振興に努めるとともに、今日特に急務となっている核融合など各種エネルギーの研究開発を初め、地震予知、がん等の難病対策など社会、経済、国民生活に深いかかわりを持つ重要な課題の解決に資する基礎研究の推進に格段の努力を払ってまいる考えであります。 私は、このたびベオグラードで開催されております第二十一回ユネスコ総会に出席いたしましたが、わが国の国際社会における地位とその果たすべき役割りに対する世界各国民の期待を目の当たりにして、今後とも、教育、学術、文化の国際交流を積極的に推進すべく、決意を新たにいたしました。特に、発展途上国の人づくりへの協力のための留学生の受け入れ、ユネスコを通じての協力等の諸施策の拡充、日米科学技術協力を初めとした諸外国との学術交流事業の拡充を図るほか、海外子女教育の推進にも力を尽くしてまいりたいと存じます。 第三に、社会教育、体育、スポーツ及び文化の振興についてであります。 今日、国民一人一人がその生涯を通じてみずからの向上を図り、スポーツや文化に親しみ、心豊かにして健康な生活を築きたいという願望はこれまでになく高まっており、これにこたえ、必要な諸条件を整備していくことが重要な課題であります。 このため、国民の各層の要求に見合った学習の機会を提供すべく、また、広く国民が日常生活において体育、スポーツに親しむことができるように、社会教育施設及び体育、スポーツ施設の整備充実、指導者の養成確保等に一層努力してまいります。 また、わが国は古来より美しい風土と自然に親しみつつ、すぐれた特色ある文化を形成してまいりましたが、このよき伝統文化を継承しつつ、新しい文化を創造していくことが現代のわれわれの使命であります。このため、国民がすぐれた文化に接する機会が得られるようにするとともに、みずから、歴史と伝統に根差し、地域の特色を生かした新しい文化を創造していくような文化環境の醸成に意を用いてまいります。 わが国の教育、学術、文化の振興のため、文教委員各位の御協力と御支援を得て、微力ではありますが、全力を尽くして取り組んでまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○三ツ林委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時十三分休憩 ————◇————— 午後一時六分開議
○三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。三塚博君。
○三塚委員 午前の会議で新文部大臣田中先生の所信表明、文部行政に関する御見解を承らせていただいたわけでありますが、それに関連をしつつ数点につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。 特に、本国会が終わりますといよいよ予算編成、こういうことに相なるわけでございますが、昨今の財政当局のキャンペーンというのでしょうか、また財政事情がきわめて困難な現況に相なっておりますことも、よく私ども理解をするところでございますが、ともいたしますと、文教につきましてそのしわ寄せが大きくなっていくのではないだろうかという懸念が昨今強いのであります。 そうこういたしておりますうちに「一般歳出の伸びをゼロとした場合の問題点」というゼロリストというものが大蔵当局から世間に発表をされたわけであります。これを見てみますと、五十五年度並みに歳出を抑制しなければならない、厳しい財政状況にあります、自然増収四兆とは言うものの、それは公債の発行を二兆減らしていく、また地方交付税、これで三二%、こういうこと、償還金等をやりますと、これでも足りませんよ、こういうことの中に、各省の概算要求に対する大蔵側の見解が申し述べられておるわけでありますが、その中におきまして文部省のものを見ますと、特に義務教育国庫負担金の問題を一つ取り上げてみましても、このままの現況では四十五人学級を維持することができなくなり、逆に四十六人以上の学級となる場合が生じます、こう指摘をいたし、一万二千人程度の教職員を削減しなければならないと指摘をいたしております。 また、教科書の問題につきましても、このままでありますれば一六%程度の低下、下げざるを得ない、ページ数を削減する等、こういうことになるわけでありますし、約三百七十万の児童、生徒について、国が無償給与しておるわけでございますが、これができなくなりますよ、こう指摘をいたしております。 私立大学及び高等学校の助成、これは御案内のように私学振興法の精神に基づいて、教科書の場合もそうでありますが、これの助成の道を講じてきたところでございます。ようやく全体として三〇%程度計上し、三二という数字もあるわけでございますが、そういう状況下にあるわけでございますけれども、それでもなおかつ教育の内容の充実あるいは質の向上の問題、父兄負担の解消の問題などの点から考えてまいりますと、まだまだの感のあります中に、この問題については非常に容易ならざる状態であるものでございますから、大学においては一〇%程度の授業料の値上げ、これは通常予想される分にプラスしてそういうことであります。高校の場合には五%程度、以下就園奨励金、育英貸付金等々、数え上げますと数カ点に及ぶわけでございます。こういう状況の指摘、これは財政当局の一つのサマーレビューというのもございましたが、それへの問題の指摘ではあろうかと思うのでありますが、えてして役所というものが大蔵にコントロールされがちな昨今の現況の中におきまして、これを見て、よもや田中文部大臣、びっくりしてこれは困った、もう容易じゃないなとは思ってはおらぬだろうと思うのであります。文部省の皆さんも、これを見てさらに勇気りんりん、文部省の本来の設置目的を達成するためにここでますますがんばる、こういうことに相なりますればよろしいのでありますが、何となく沈滞ムードもあるようではないだろうかというふうに心配もいたしておるところであります。 多年兄事をし、御指導いただいてまいりました田中龍夫先生、今度文部大臣という大任におつかれになられたわけでありまして、大変期待もし、また力強く感じておるわけでございますが、この概算要求に対し年末の予算折衝を通じましての心構えについて、まず、どういう気構えで臨まれようとしておるのかお聞きを申し上げたい、こう存ずるわけでございます。
○田中(龍)国務大臣 三塚先生から大変な御激励を冒頭より賜りましたことに、まず厚くお礼を申し上げます。 なお先生は、もうすでにベテランでございますので、よく御存じでございますが、御案内のとおりに今回大蔵省が出しました「歳出百科」といい、あるいはまたゼロリストといい、ともに歳出が非常に苦しくなるぞという一つの警鐘を乱打した、かように心得るものでございます。ただいまお話がございましたとおり、すでに概算要求は五十六年度のものを提出しておりますので、大蔵当局に事務当局が説明をいたしつつある過程でございますが、この点は査定とは全く違った一つの警鐘である。しかしながら、国といたしまして非常に財政の苦しいことはよく承知もいたしておりますが、「歳出百科」の方におきましては、義務教育あるいは教職員の定数の改善であるとか教科書の無償給与のほかに私学助成などの経費につきましても、財政当局から見た問題点、こういうふうなものを主張し、ゼロリストの場合におきましても、文部省の義務教育費の国庫負担金や教科書の無償給与、私学助成などの経費に対して、仮に伸び率がゼロとなった場合の問題点を試算したというものでございます。 ただいまお話のように、文教の重要性を十二分にわれわれは承知いたしておるだけに、この文部省の試算に対しましては、これはこれなりに聞きおいて、別途概算要求に対する今後の事務折衝にゆだねたい、かように存じておる次第でございます。
○三塚委員 どうか御奮闘をいただきたいと思うのでありますが、特に私流にささやかな経験の中で申し上げますと、年末査定の中において切り込まれますのは教科書無償、この制度、こんなのはけしからぬ、こういう声も聞こえるわけでございます。 私学振興助成費の問題、この私学振興助成の問題は後ほど申し上げるとしまして、教科書無償制度、これはここにおられる長谷川峻先生が当時文部政務次官で荒木先生が大臣のときに、各党の了解をいろいろ求めつつやられた経過があります。戦後の厳しい中にありまして、この辺からというので三十八年スタートかと聞いておるのであります。言うなれば、憲法二十六条に掲げる義務教育無償の精神にのっとりましてこの点がスタートいたしたわけでございまして、さらに、その当時のその法律の提案についての趣旨弁明を読んでみますと、大変りっぱな見識が示されております。 簡単でありますので、これを思い起こすために読んでみたいと思います。「教育の目標は、わが国土と民族と文化に対する愛情をつちかい、高い人格と識見を身につけて、国際的にも信頼と敬愛をうけるような国民を育成することにあると思います。世の親に共通する願いも、意識すると否とにかかわらず、このような教育を通じて、わが子が健全に成長し、祖国の繁栄と人類の福祉に貢献してくれるようになることにあると思うのであります。この親の願いにこたえる最も身近な問題の一つとしてとりあげるところに義務教育諸学校の教科書を無償とする意義があると信じます。」、こううたっておるわけでございます。 まさに、この教科書無償制度というものの今日までの状況の中におきまして初等教育の中において果たしてまいりました役割りは、きわめて大であったというふうに思います。そういう点で集中的にここにポイントを合わせてくると私は思っておりますので、十二分の理論構成と、これからのPRを、大蔵のキャンペーンに負けないで文部省もおやりをいただきつつ、先人の残しました、と言っても、まだお元気な長谷川峻先生ですが、そういう点で大いにこれを守っていかなければならぬだろう、こういうふうに思うものですから、よろしくお願いを申し上げる次第であります。 そこで、そういうことで私どももこれは一生懸命がんばりますが、問題は、ただでもらっておる、あたりまえのことだという感じがあってはならぬと思うのです。国が次代の青年に託するわけでございますから、国民の期待感というものは教科書に集中をしておるという、真心、期待感、こういうものがあらわれていかなければなりませんが、昨今は、聞いてみますと、ただ配るだけの話なんですね。またもらう方も、子供たちももらうのはあたりまえだ、こういう感じで感激がなくなってきておる。人間社会が進歩してまいるのは飢餓感、感激、こういうものがその要素だと言われておるわけでありまして、教育に感激がなくなったらいけません。この無償制度を廃止しろという論者の主要な意見はそこにあるわけです。それと、ある程度生活も安定してきたことであるし、親が子に買い与えることは当然ではないかという点と、せめて親子のコミュニケーションが、一冊の教科書を買い与えることによって、その人が仮に収入が少なかろうとも、自分の働きの中でこの子のためにと言って、その教科書を買い与えるところに愛情が通じるし、親子のコミュニケーションというのが確立するのではないかという指摘もございます。学校給食をやめろという議論の方々の、せめてやはり弁当をつくってあげてそれをやれ、こう言うのとほぼ軌を一にしておるわけです。 学校給食はきょうの問題でありませんから、あれですが、こっちの方は一生懸命にやらなければいけませんのに、この議論がときどき出るのはおかしい。ですから、いま言いましたような議論だけはいいと思っているわけですが、それ以外はだめであります。 そういう点で、そういう無償であります意義を徹底せしめて、子供たちに教科書が配られるようにしなければならない。そういう意味で私の認識は、そのことがマンネリ化し、惰性の中に行われておると認識をいたしておるのでありますが、その辺について初中局長どうなっていますか。
○三角政府委員 御指摘のように国民の間にすでに昭和三十八年以来実施してまいりまして、ややこれは当然のことだという感じが出ておるであろうという気はいたしますが、ただ、学校によりましていろいろ、教科書を特に新入生に渡すときには、こういう制度があって、子供に対する期待が込められて国から無償で支給されるのだという趣旨を説明していただいておるところもあるであろう。しかし、その辺御指摘のようなことでありますと、やはりせっかく国会の御意思で法律をもって定めたこの制度が生かされないということにもなり、それでは問題でございますので、私どもは、各都道府県の教育委員会の指導部課長会議等におきまして、そういった趣旨が担任の先生なりあるいは校長先生などに子供たちに理解され、認識されるようにやってほしいというような希望はその都度申しておるのでございます。
○三塚委員 なおひとつその辺は十二分に調査の上、徹底を期していただきたい、こう要望しておきます。 そこで、この教科書の問題で次にお伺いをしたいのでありますが、教科書の検定制度というのでしょうか、この仕組みをちょっと簡単にひとつ、どういうふうにしてどうやって選ばれるのか……。
○三角政府委員 教科書の検定制度は、小学校、中学校、高等学校の教科書につきまして、この教科書を著作するということは民間にゆだねておるわけでございます。そして、その著作者の創意と工夫を尊重しつつ、他方、検定の申請がございました図書が、教育基本法、学校教育法のそれぞれの趣旨に合致して、学校で必ず主たる教材として使わなければならないところの教科書としてそれが適切であるかどうかということを認定する、そういう趣旨のものでございます。このことを通じまして、公教育という教育における教育水準の維持向上、それから全国的な意味合いでできるだけ教育の機会均等の保障をしていく、それから適切な教育内容が盛り込まれておるようなことを確保したい、さらには、教育内容の中立性の確保もいたしたい、そういったようないわば公的な要請、これにこたえようとするものでございます。 文部大臣が検定をするわけでございますが、検定に当たりましては、御承知のとおり、教科用図書検定調査審議会に諮問いたしまして、その答申に基づいて検定を行うことになっておるわけでございます。
○三塚委員 まあ手続はそうですが、学校指導要領の精神に基づいてやることですね。 そこで大臣、今度教科書の内容について、実は私ども教育に関心を持つ、きょうもおられるわけでありますが、代議士の諸君と一つのプロジェクトチームをつくって、教科書全般についてずっと素読をしながら、どういう教科書が子供たちに使われておるのであろうか、こういうことで勉強してきたささやかな一つの結果の上に、非常に疑問に思っておる二、三の点がございますものですから、ここでお聞きをしてまいりたいというふうに思います。 特に五十六年四月から全国の中学校で使用されてまいります社会科の教科書であります。これは御案内のように、日本書籍以下七社がこれをつくっておるわけでございますが、たとえば社会科でありますから、本当は歴史教育、地理教育、公民教育という分かれたカリキュラムの中で教育をしてまいりますことが、国際社会における今日の日本、やがてこの国を背負う子供たちの教育の基本でなければならぬ。これは洋の東西を問わず、体制のいかんを問わず、そういうことであろうと思うのでありますが、わが国は社会科という中に包含をされておるのであります。 そこで、これを読んでみて、前は若干載っておったのでありますが、国を愛すること、言うなれば愛国心であります。これに触れておる教科書がない。不敏にして、いろいろ読んでみたのですが、見当らぬのであります。中学校指導要領には国を愛すること、つまり愛国心についてこれを指導する、記述することになっておるのにもかかわりませず、新しいこれから使用されるであろう教科書には愛国心の記述が見当たらないのであります。国を愛することといいますと、直ちに復古調でありますとか軍国主義に結びつくとかいろいろな議論が一方において出されるわけで、きわめて短絡的な意見であるわけでございますが、その国に生まれた者のその郷土を愛する心、これは当然であります。やはりこのことが義務教育の中においてしっかりと、その国の生い立ち、その国の置かれておる立場、この国はやがて自分たちが背負い、孫子の代にこれを継承してまいる大事な財産というよりも大事なものであるわけでございますから、そのことについてしっかりとしていただかなければなりません。 そういう意味で、この点についてどのように検定をされたのか、これは故意に落とされたのか、もう愛国心について言わぬでもわかっておるんですよ、こういうことなのか、ちょっとお聞かせください。
○三角政府委員 ただいま三塚委員御指摘のように、教科書は学習指導要領の内容並びにそれが示しておる目標に即して編さんされるべきものでございますので、検定に当たりましても、検定の基準というものがございますが、とりわけ学習指導要領との一致ということが必要なわけでございます。学習指導要領の中には、学校教育におきまして、児童、生徒の心身の発達段階に応じまして、社会科あるいは道徳などにおきまして、日本の国土に対する認識でございますとか日本の歴史に対する正しい理解を深める、そして国民としての自覚と国を愛する態度を育成するというようなことを定めておりまして、さらには憲法の基本でございますとか国際政治などの学習の中で平和の重要性について認識させるというようなことにいたしておるわけでございます。 教科書の検定の際には、こういった学習指導要領の教科の目標との一致でございますとか、さらには内容とその取り扱いにおきましても、取り扱う範囲が学習指導要領によっていること、それから、その程度が児童、生徒の心身の発達に適応していること、内容の選択や扱いが学習指導を進める上に適切であること、ほかにもございますが、さらには内容の記述について不正確や誤りがない、表記や表現について不適切な面がないといったようなことを観点に検定をいたすわけでございます。 しかし教科書自体は、先ほど申し上げましたように、著作者が書いて持ってまいりますので、それについて、いま申し上げましたような見地からの検定を行います。したがいまして、ただいま御指摘のように、国を愛するということについて書いてあるものを落とすということはあり得ないわけでございますが、国を愛するというような事柄についての記述について、検定する側がこういった内容を書くべきであるというような対応については若干限界がございます。やはり著作者が自主的に書いて持ってくるものについて検定をするというようなことでございますので、教科書によりましては、御指摘のように国土に対する愛情とか認識とか、そういった面についての記述の濃淡が見られるということは事実であろうかと存じます。
○三塚委員 局長さんの言うことはなかなかわからない。結局こういうことです。指導要領では「公民的分野1目標(3)各国が相互に主権を尊重し、各国民が協力し合うことによって、世界の平和を維持し人類の福祉に貢献できることを認識させ、国際協調の精神を養うとともに、自国を愛し、その平和と繁栄を図り文化を高めることが大切であることを自覚させる。」というのがこの部分なんです。 それで、昭和三十三年版の「中学校社会」学校図書、ページ百七十三から百七十四、この本はよくできているのです。ずっと「正しい愛国心」ということで長いから抜粋をしますが、「わたしたちは、日本人として、日本の国を愛する。日本にもいろいろな欠点があり、短所も少なくないが、政治をよくし、経済をおこすことによって、日本を美しい、住みよい国にしていくためには、日本人が日本の国を愛し、日本のためにまじめに働くことが、まずたいせつである。政治が乱れるのは、国民が自分一個の利益だけを考えて、いいかげんな気持ちで選挙に臨んだり、」云々、こうあるわけです。 いかに国を愛するということが国家存立の基本であるかということをきちっと教えているわけであります。国を愛するということは、祖国に対する自然な愛着心であり、御国の存在は国民の国を思う心によって支えられるわけでありますから、中学校の段階において、国家というものは何なんだろうかということについて記述をせしめるようにしてまいりますこと、リードしてまいりますことが指導要領に従うことになるわけです。これはできてしまったわけで、五十六年からスタートしてしまって三カ年変更できないのです。ですから、せめて今後の対応においてそれを補足できるような公民教育をしていただきたい。後で総括的に大臣に聞きますからお聞きになっておいてください。これは本当に大事なことであります。 次に、家族関係などについても指摘をしてみたいと思います。学習指導要領には「望ましい家族の人間関係について理解させる。」、こう書いておるんですね。これは当然なことです。ところがある図書は、核家族がすぐれておる、核家族の方がいいのだという記述をしている。これはどうも現状に合いません。「今日の家族の型は、夫婦と子供からなる夫婦家族(核家族)がもっともふつうである(図3)。これは、個人の人格を重んじ、家族の話し合いにより自主的な家族生活をつくりあげていくうえですぐれている。」、こう書いておるのです。 これはどういう意味なのかなかなかむずかしいところであります。核家族も、経済社会状況の中でそうならざるを得ないコースを持っておりますことも理解できないわけではございませんが、望ましい家族環境というものはそうではないはずであります。こういう点の指摘をせざるを得ません。 それから親と子の関係、自分とお年寄りとの関係、こういうことについても記述が的確ではございません。言うなればお年寄りと私たちの関係は親であり、おじいちゃんであり、当然なことであります。しかし、それなりの環境とそれなりのお年寄りになられた状況がございますから、社会保障制度の中でそれが補完をされておるわけでございます。 この記述をきょうは時間がありませんから、一々ずっと読み上げませんけれども、老人ホームに行った方がいいような記述に相なっているのです。それを奨励するかのように、家族は夫婦単位であります、このことを強調するの余り、親に対する子というものの関係がきわめて希薄に阻害されていっておる。このことは、わが国の将来にとりまして非常に大きな問題点だと言わざるを得ません。この点について今後ひとつ十二分に御検討をいただきたいと思います。 特に参考のために申し上げますが、スウェーデンやノルウェーはお年寄りの自殺率が高いというのが常識的になってきておりますが、そうではない。いま世界の先進諸国の中において老齢者の自殺率を調べてみますと、わが国は六十五歳から七十四歳までで世界第二位であります。十万人当たりについての自殺者の割合でありますが、デンマークは四十三人、わが国は四十二人で第二位、ギリシャ、チリなどは四人程度であります。七十五歳以上になりますと香港が八十八人、日本が六十八人で、これまた第二位であります。どうしてお年寄りがこのように死んでいくのだろうか。社会が悪い、政治が悪いという批判も一つは出てこようかと思うのでありますが、それはそれとしても、やはり年寄りの支えというものは肉親の愛情であります。まさに子と親の関係、この関係が健全である限り自殺はしませんよ。そういう意味で、人間関係というものを核家族化という一般的なマスコミ的な物の取らえ方で、社会科の中にそれを中心として人間関係を打ち出すということはいかがなものか、この点を強く指摘しておかなければなりません。この段階で大臣、感想を……。
○田中(龍)国務大臣 三塚先生の御意見を拝聴いたしておりまして、一々まことに感を同じゅうするものがございます。ことに経済の最高度に達しました日本が最も反省を要するのは、心の問題であり精神の問題、ことに愛情を基本に置きました家庭生活等々が最も重大なときでございます。文教の府をおあずかりいたしました私といたしましては、その点が最大の関心事であり、また心して今後の行政をいたしてまいりたい、かように思った次第でございますが、ただいま御指摘のような今回の教科書、社会科の内容の問題につきまして、いま先生御自身がおっしゃいましたように、すでにでき上がりました教科書に対してどういうふうに調整したらよろしいのか、今後三年間固定いたしました教科書をどうしたらよろしいか、その今後のあり方につきましては、教科指導の面におきまして事務当局とも十二分に話をし合ってまいりたい、また指導もしてまいりたい、かように考えております。
○三塚委員 憲法論議盛んな今国会でございますが、憲法の規定にいたしましても非常に問題点があるように私は思うのです。 学校図書の二十三ページの「日本国憲法は、一九四六(昭和二十一)年に公布され、翌年五月三日から施行された。この憲法は連合国軍総司令部の改正要綱をもとに、はじめて選出された婦人議員をふくむ国会で、しんけんに審議されて決定をみたものである。」、こういう記述、これはまだまともな方なんです。これは「事実は連合国総司令部の改正要綱をもとに、」と書いてある。これはこれでいいと思うのです。 その次が教育出版、十六ページ。「また、日本国憲法が、その制定過程で連合国側からの強い影響を受けたことは事実であるが、その内容は「人類普遍の原理」に基づくものであり、また、戦争により苦しい経験を味わった国民の率直な願いに基づくものというべきであって、けっして一方的におしつけられたものということはできない。」と、こう書いてあります。 この辺の事実、このまま見ればこのとおりかなと思うのですけれども、奥野法務大臣の主権がないという議論が予算委員会でありましたが、主権の上に最高主権があるという政府の考え方、沖繩には米軍施政下におきましても潜在主権がありましたという考え方、主権というのは何だろうか、みずからの方向はみずからが決定をする権利を持つとき主権だという解釈からすると、奥野法務大臣の見解は正しいわけです。自分で決定できなかったのですから、発案もできなかった、そういう点の記述もきちっとしなければなりません。 自衛隊の規定にいたしましても、自衛隊は私生児でありますがごとき記述を社会科の中でなしておりますことは問題であります。政府見解によりまして、それを待つまでもなく、自衛隊。今日の国民の認識は、八〇%以上の方がこれを認め、認知をいたしておる現況にあるわけでございますから、自衛隊の位置づけにつきましても、社会科の中できっちりと教え込んでまいりますことが大事であります。 次に、これは自民党のことを言いたくはないのですけれども、議会制民主主義の基本に関する問題でありますので、これを取り上げますが、「政党の役割」、こういうことですね。清水書院、八十八ページ。政党政治というものをちょちょっと書きまして、言うなれば議院内閣制であります。選挙に勝った、過半数を占めた政党の党首が内閣総理大臣となります、政治を運営してまいります、こう書いておるわけです。そして「こうしたしくみのもとでは、もし多数党が、国民の意思を無視して、自分の党にだけつごうのよい政策を進めようとすれば、それができるという危険性もある。そこで、少数党である野党は、政府・与党の行う政治を批判し、多数党の横暴をおさえる重要な働きをになうことになる。」、こう書いてあるのであります。これは議会制民主主義、選挙制度の基本を否定しかねない、非常にスマートな書き方をしておりますが、そこが問題だと私は指摘をしておきたいのです。 そして教える先生によってこれがいかようにも変色されるというところに問題があるのです。いまの先生の中に、ある政治思想を持ち、ある革命思想を持つ、こういう方がおる昨今でありますだけに私はこれは看過できない。議会政治というもの、初中局長、先ほどの愛国心の問題じゃありませんが、その取り上げ方の問題があるとすれば、政党の役割りは、政治の読本に書いてありますように、議会制民主主義の基本を書くべきだ、その意見が分かれて帰趨が決しかねるときには多数決によってこれを決する、こういうことが当然のことであります。多数決で決することがけしからぬ、こういうことでありますと、これは問題であります。 この辺が教科書の問題として予見を持って行われる可能性がきわめて強いということになります。「多数党が国民の意思を無視しておる、」、こういう表現なども、これは選挙の結果、国民が決定をしたことでありますから、それがいやだというのであれば、次の選挙でそのように努力をし、政治活動をし、信任を受けてやるわけですから、同じことなのです。そういう点で、このルールが公民教育の中でしっかりと教え込まれていかなければならぬということを主張しておきます。(発言する者あり) それと、野党の皆さん何だかんだ言っていますけれども、いま和の政治で、前々国会からもわが文教委員会などは特に協調と理解の中にこれを進めてきておる、こういう国会もあるわけですからね。大体全体がそういう感じになってきておるんですよ。そういう中で、かつての一時期をとらえてのそういうような記述はいかがかと指摘をしておきます。 また、御丁寧に「強行採決」といって項目を設けて書いている。議長がこうなっているところです。これは安保条約改正のときのですが、この説明がふるっているのです。「多数だからといってすべてを決定できるといったものではないはずです。多数党と少数党とのあいだで真剣に討論が行われ、」、ここはいいのです、このとおりなんですからね。ずっといきまして「多数党による決定がそのまま国会の意思となってしまいがちです。そこで、国会の意思がそのまま国民の実際の多数意見とかけはなれないように、国民の納得のいく、公正な国会の運営が望まれています。」、ここはいいのです。だから、そういう強行採決ということは、原因があって状態が出るわけですよ。何が何でもいやだと言ったわけですからね。安保なんというのは、これがあったためにわが国の繁栄が行われ、今日の安全があるわけです。今日の平和があるわけです。わが党は、このことが、国家、国民のために正しいと信じたから、この時点で——何でもかんでも力の限りを尽くして反対をし、やらせぬのだというからこういう状態なんです。だから、この事実を書いて強行採決とすべきである、こういう指摘をきっちりとしておく次第であります。 教科書検定制度というのは、そういう中できちっと行われておるにしてはたくさんの穴があるわけであります。ですから、また教科書を無償でやることはという意見も一方で出るわけですから、そういうことを出させませんように義務教育は中正、厳正な客観的な記述の中において教育が行われなければなりませんし、先見性、予見性、ましてや政治思想偏向の中でこれが行われることを許してはならぬ、こういうことの意味で申し上げた次第であります。総括的に大臣の感想をひとつ……。
○田中(龍)国務大臣 ただいまの詳細な御意見を拝聴いたしておりますと、いろいろと御指摘のとおり問題の点があるやに感ずるのでございますが、そういう問題こそ本当に文教委員会の皆さま方と御相談をして、御一緒にひとつ今後の問題として考えてまいりたい、かように考えております。
○三塚委員 以上教科書問題、これはもっとやりたいのですが、きょうはこの程度にさせていただきます。いずれこれからも高等学校の検定に入るわけですから、その辺十二分に、慎重の上にも慎重に、学校指導要領に基づいた内容に相なりますように、ひとつやっていただかなければなりません。 そこで、いろいろそのほか国際障害者年の問題や体育、スポーツの問題、たくさんありますが、時間が来たようでありますので、これでとどめたいと思うのでありますが、最後に、宗教法人法についてちょっと御見解をお聞きしておきたいことがございます。 昨今いろいろなことが報道をされておるわけでございますが、宗教は心の問題でありまして、政治の介入するところではありません。信教の自由、そのことも私どもひとしく認めるところであります。そういう意味で、よき環境で私どもソフトに外野から包みながらいくことが政治家として大事であろう、こういう観点でお聞きいたすわけでございますが、宗法には単位と包括という法人が二つあります。この点について、これはどういう違いがありますか、ちょっとお聞かせください。
○別府政府委員 お答えを申し上げます。 宗教法人法は、現在の宗教法人を二つの種類に分けているわけでございます。宗教法人法第二条によりますと、宗教団体は、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成するという目的を持った団体であって、左の二つをいう。その一つが、礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体、これが第一でございます。第二が、第一の団体を包括する教派、宗派、教会、修道会、司教区、その他これらに類する団体、以上二つに分けてございます。この第一のものが通常単位宗教団体と言われるものであり、第二の種類がこの単位宗教団体を包括する包括宗教団体と呼ばれているものでございまして、それぞれが宗教法人になる資格を持ち、一定の手続を経て法人になった場合、前者を単位宗教法人、後者を包括宗教法人と申しているわけでございまして、この二つの種類は、あくまでも単位団体として活動をするか、それとも単位団体を包括しているかということによって分けられているものでございまして、活動が全国的に及ぶか、あるいは宗教団体が大きいか小さいかということとは別の観点から分けられているものでございます。
○三塚委員 宗教法人に認可する場合の要件というのは、どういうことですか。
○別府政府委員 宗教団体が宗教法人になるためには、宗教法人法の規定に基づきまして宗教団体の規則を定め、それを一定の手続に基づきまして申請をいたしまして所轄庁の認承を受けることが必要になってまいります。
○三塚委員 そういたしますと、その規則を忠実に実行してまいるということが認可の今後の継続の要件になる、こう理解してよろしいのですか。
○別府政府委員 そのとおりでございます。
○三塚委員 それでは、八十一条に宗教法人の「解散命令」という規定がございまして、その場合の要件として一項に、法令に違反をして著しく公共の福祉を害する場合、こう書いておるわけですね。この法令に違反して著しく公共の福祉を害するということは、憲法及び規則、これに違反をしておる、こういうことですが、これはどういう場面を想定されておるわけですか、著しく公共の福祉を害するというのは。
○別府政府委員 先生御指摘の公共の福祉という規定でございますが、これは御承知のとおり、憲法十二条、十三条その他の条項あるいは他の法律にもしばしば出てくる規定でございますが、この公共の福祉というものがいかなる内容を持つものかという点については、憲法その他の法令についても定めがない大変抽象的な概念となってございます。 そこで、これらに対していろいろの学説あるいは判例等もあるわけでございますが、通常この公共の福祉というものに対する説明として言われておりますものは、個々の人間の個別的な利益、これに対しまして、それを超え、時にはそれを制約する機能を持つ公共的な利益、このようにいま理解をされておりまして、よく言われておりますのが社会において互いに矛盾をいたします個々の利益を公平に調整し、個人の基本的人権を実質的に保障するための原理として用いられているというふうに理解をしているわけでございます。 そういった見地から、この宗教法人法におきましては、宗教法人の信教の自由、宗教活動の自主性というものを最大限に保障しながらも、それと公共の福祉というものとの兼ね合いにおきましてこのような規定が設けられていると理解をしているわけでございます。
○三塚委員 なかなかむずかしい解釈です。 それでは、時間もありませんものですから先に進みまして、第二項に「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」、こういうことが書いてあるわけですが、この「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」というのは、どういうことを想定されておりますか。
○別府政府委員 宗教団体の目的として規定せられておりますのは、この宗教法人法第二条で「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」ということが規定をされておるわけでございまして、ここに掲げられております目的を著しく逸脱しておるという場合を想定しておるものでございますが、どのような事態がこれに該当するかという点につきましては、個々具体的な事例に応じて解釈をしていくはかなかろうと考えているところでございます。
○三塚委員 それでは一つ具体的な事例として、自己の意思に反しまして寄付の強要をされる、こういうことなどはどういうことですか。
○別府政府委員 宗教活動との関係も大変密接な事柄でございますので、具体的な事件でないとなかなかお答えがしにくいわけでございます。
○三塚委員 それでは、集団的に政治活動及びその宗教団体が選挙活動等を行うということは、この項に該当しませんか。
○別府政府委員 宗教団体が選挙活動を主たる目的とするということにつきましては、この宗教法人法の規定から申しまして許されないことであろうと思います。ただ、仮に宗教団体がその選挙活動を行いましても、それがその団体の主たる目的ということになるかどうかということにつきましては、具体的な事情に応じて判断をしていかなければならないということだと思います。 なお、その選挙活動、ある選挙に関しまして集中的な選挙活動が行われた場合でありましても、宗教団体の活動と申しますものは、結局長期にわたるその活動全体を判断していかなければならないということであろうかと思いますので、一時期、一断面をとらえて判断をするというわけにはいかない場合もあるのではなかろうかと考えております。
○三塚委員 実はきょうはずっとこれをしたかったのでありますが、時間の関係もありますから、ただいまは基本的な問題点だけをただしたわけでございますが、昨今いろいろと社会問題化しておるケースがあるわけであります。そういう点で宗教法人法、主務官庁は文部省、こういう点におきまして、あるべき姿というものを想定してつくられた法律であります以上、この点について、さらに私なりに調査をいたしております点があるわけでございますが、次の機会に具体的な事例等で質疑をし、本当の姿をひとつ求めていきたいものだというふうに考えるわけであります。 そこで、法律体系でありますけれども、いま言われましたように、非常に抽象的な答弁が出るわけでございますけれども、この宗教法人法だけは政令もなければ規則もないわけですね。法体系とすればこれでもいいという一つの理屈はあるわけでございますが、大体法律というものは、政令、規則をもって決めさせて、きちっとした補完をしているわけであります。そういう点で、こういう具体的な事例などをやはりきっちりと書き込んでおきますことが、宗教法人法体系としていいのではないかというふうにも、きょう抽象的に私は申し上げたわけでございますが、その点について今後ひとつ御検討をいただきたい。私からこれ以上のことを申し上げぬでもわかるわけでございましょうから、そういう点で大臣の感想がございましたら、ひとつお伺いしたいと思います。次長でも結構です。
○別府政府委員 では先に私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、宗教法人法の立案に当たりまして、通常でございましたならば、政令あるいは省令に盛られるであろうような手続に関する事柄等もこの法律の中に取り入れまして、できるだけ法律の中にそういった手続規定も取り入れることによりまして、法律の趣旨を明確にする、あるいは宗教団体の便宜に資するという考え方がとられたわけでございます。したがって、この法律の中には政令、省令に対するいわゆる委任規定も設けられていないわけでございます。ただ、先生のいま御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、慎重に検討いたしたいと考えております。
○三塚委員 終わります。 ————◇—————
○三ツ林委員長 これより内閣提出、放送大学学園法案、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案及び日本学校健康会法案の各案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。田中文部大臣。 ————————————— 放送大学学園法案 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案 日本学校健康会法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田中(龍)国務大臣 このたび政府から提出いたしました放送大学学園法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 わが国の高等教育は、近年急速な発展を遂げ、国際的に見ても高い普及率を示すに至っておりますが、科学技術の進歩や経済の発展に伴い複雑、高度化してきている今日の社会において、国民の高等教育の機会に対する要請は一段と高まり、かつ多様化しつつあるところであります。 このような状況において、放送を効果的に活用する新しい教育形態の大学を設置し、大学教育のための放送を行うことにより、広く一般に大学教育の機会を提供することは、生涯にわたり、多様かつ広範な学習の機会を求める国民の要請にこたえるゆえんのものであると考えます。 さらに、この大学が既存の大学等との緊密な連携を図ることにより、大学間の協力、交流の推進、放送教材活用の普及等の面で、わが国大学教育の充実、改善にも資することとなることが期待されるものであります。 この大学の設置形態につきましては、種々検討を重ねてきたところでありますが、新たに特殊法人を設立し、これが大学の設置主体となるとともに、放送局の開設主体ともなることが適切であると考え、特殊法人放送大学学園を設立するため、この法律案を提出いたした次第であります。 この法律案におきましては、特殊法人放送大学学園に関し、その目的、資本金、組織、業務、大学の組織、財務、会計、監督等に関する規定を設けるとともに、学校教育法、放送法その他関係法律について所要の規定を整備することといたしておりますが、その内容の概要は、次のとおりであります。 まず第一に、放送大学学園は、放送等により教育を行う大学を設置し、当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図ることを目的とするものであります。 第二に、放送大学学園は、法人といたしますとともに、その設立当初の資本金は一億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。 第三に、放送大学学園の役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事三人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年といたしております。 なお、この学園の設置する大学の学長は職務上理事となることといたしております。 また、この学園には、その運営の適正を期するため理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。 第四に、放送大学学園の業務については、放送等により教育を行う大学を設置すること及びこの大学における教育に必要な放送を行うことを規定するとともに、この学園の施設、設備及び教材を他大学における教育または研究のための利用に供することもできることといたしました。 なお、この法人は、これらの業務を行うほか、主務大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要なその他の業務を行うこともできることといたしております。 第五に、放送大学学園の設置する大学の組織等についてでありますが、この大学が、特殊法人によって設置される大学であること、放送を利用して教育を行う大学であること等をも考慮し、大学の運営が適切に行われるよう所要の規定を設けることといたしております。 まず、この大学に、学校教育法に規定する学長、副学長、教授その他の職員を置くこととし、学長は理事長の申し出に基づいて文部大臣が、副学長及び教員は学長の申し出に基づいて理事長が、それぞれ任命することといたしております。 なお、学長及び教員の任命の申し出は、評議会の議に基づいて行われなければならないことといたしております。 次に、学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて学長が定めることといたしております。 また、この大学に、学長の諮問機関として評議会を置き、大学の運営に関する重要事項について審議するとともに、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を行うこととし、学長、副学長及び評議会が定めるところにより選出される教授で組織することといたしております。 さらに、この大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教員等の参加を積極的に求めるよう規定いたしております。 第六に、放送大学学園の財務、会計及びこれに対する主務大臣の監督等については、この学園の業務の公共性にかんがみ、一般の特殊法人の例にならって所要の規定を設けておりますが、この法律における主務大臣は、文部大臣及び郵政大臣といたしております。 第七に、放送大学学園の設立と関連する関係法律の一部改正についてでありますが、まず学校教育法につきましては、この学園が大学の設置者となり得ることを規定するとともに、通信により教育を行う学部の設置に関する規定を設ける等所要の整備をいたすものであります。 また、放送法につきましては、この学園の放送等について、放送番組の政治的公平の確保、広告放送の禁止等所要の規定の整備をいたすものであります。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。 次に、このたび政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 私立学校教職員共済組合が支給する既裁定の年金については、昭和四十四年度以後毎年改善措置を講じてきているところであり、昭和五十五年度におきましても、第九十一回国会において成立いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律により、昭和五十五年四月分以後、その増額改定措置を図ったところであります。 本法律案は、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案による厚生年金の年金額の引き上げに伴い、さらに改善を図る必要があるため、提出することといたしたのであります。 次に、この法律案の概要について申し上げます。 この法律案においては、私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定の通算退職年金及び通算遺族年金の額を、厚生年金の年金額の引き上げに伴い行われる国公立学校教職員の通算退職年金等の額の改定に準じ、昭和五十五年六月分から増額することといたしております。 なお、この法律の施行日につきましては、公布の日から施行することといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。 さらに引き続きまして、このたび政府から提出いたしました日本学校健康会法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 児童、生徒等の健康の保持増進を図り、心身ともに健康な国民の育成を期することは、教育の重要な課題であります。このため、児童、生徒等の健康に関する諸施策の推進に努め、その一環として、学校給食及び学校安全について、日本学校給食会及び日本学校安全会を特殊法人として設立し、それぞれその業務を遂行してまいりました。 特に最近、児童、生徒等の心と体の健康に関する種々の問題が生じており、児童、生徒等の健康の保持増進に関する諸施策を総合的に推進することは、文教行政の重要な課題となっております。 今回、行政機構の合理的再編成を図る観点から、日本学校給食会と日本学校安全会とを統合し、それらの業務を総合的に推進することにより、心身ともに健康な児童、生徒等の育成に資するため日本学校健康会を設立することとし、この法律案を提出いたした次第であります。 この法律案におきましては、日本学校健康会に関し、その目的、組織、業務、財務、会計、監督等につきまして所要の規定を設けるとともに、従来の両法人の解散等につきましても規定することといたしておりますが、その内容の概要は、次のとおりであります。 まず第一に、日本学校健康会は、児童、生徒等の健康の保持増進を図るため、学校安全及び学校給食の普及充実、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒等の災害に関する必要な給付、学校給食用物資の適正、円滑な供給等を行い、もって心身ともに健康な児童、生徒等の育成に資することを目的とするものであります。 第二に、日本学校健康会は、法人といたしますとともに、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事二人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年としております。なお、役員数につきましては、行政改革の趣旨に沿って統合の前に比べその数を縮減いたしております。また、法人運営の適正を期するため、理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。 第三に、日本学校健康会の業務につきましては、従来の両法人の業務を承継して、学校安全及び学校給食の普及充実に関すること、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒等の災害に関する災害共済給付並びに学校給食用物資の買い入れ、売り渡し、その他供給に関する業務を行うことといたしております。また、この法人は、これらの業務を行うほか、文部大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要な業務を行うことができることといたしております。 なお、災害共済給付事業につきましては、災害共済給付契約、給付基準、学校の管理下における児童、生徒等の災害の範囲、学校の設置者の損害賠償責任に関する免責の特約、共済掛金等に関し、学校給食用物資の供給に関する業務につきましては、売り渡し価格、供給の制限等に関し、従前と同様の規定を設けることといたしております。 第四に、日本学校健康会の財務、会計、監督等につきまして、一般の特殊法人の例にならい所要の規定を設けることといたしております。 第五に、従来と同様に保育所の管理下における児童の災害につきましても災害共済給付を行うことができる規定を設けることといたしておりますほか、日本学校健康会の設立と日本学校給食会及び日本学校安全会の解散等につきまして所要の規定を設けるとともに、関係法律の規定の整備を行うことといたしております。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。 以上であります。
○三ツ林委員長 次に、長谷川正三君外三名提出、児童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関する特別措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。長谷川正三君。 ————————————— 児童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関する特別措置法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○長谷川(正)議員 ただいま議題となりました法律案について、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。 いま、東京、大阪等人口急増地域では、人口の社会増と自然増に押され、交通戦争、住宅不足と狭隘化、公害の多発、自然の喪失等、環境条件は著しく劣悪化しており、生活、労働、文化のあらゆる面で問題を引き起こしています。 特に、学校では児童、生徒の急激な増加に伴って、学級、学校の新増設計画が、その実勢に追いつけないため、運動場をつぶしてのプレハブ教室の建築や特別教室の普通教室への転用、あるいは四十六名以上の学級編制等によって急場をしのいでいる学校等が目立っています。 こうした状況の中で、過大学級、過大学校は次第に増加し、教室、職員室、運動場、校具等、学校の施設、設備は不備のまま、異常な形で教育活動が展開され、子供の遊びと遊び場は奪われ、子供同士の人間関係、子供と教職員の人間関係、教職員同士の人間関係は阻害されています。 こうした教育的対人関係の破壊、揺れ動く学校生活の中で、子供の学力の低下、非行の増加等、「教育荒廃」の現象は次第に進行しつつあります。 一方、地方自治体では子供の学習権を守り、行き届いた教育を保障するためにも、児童、生徒の急増に対応しながら、学級、学校の新増設計画に取り組んでいます。 しかし、自治体においては、実勢に見合わない現行の国庫補助制度や地価の高騰、校地取得難等のもとで、膨大な教育財政の支出をもたらされています。このことは、また、ただでさえ危機的状況下に置かれている地方財政をますます圧迫し、一般行政水準を低下させる要因ともなっています。 それだけに、人口急増市町村の財政力をもってしては、正常な教育を行うための施設、設備を確保することは、もはや困難な状況下にあると言わなければなりません。 幸い、昭和四十六年度より児童、生徒急増市町村に対する校地取得に係る定率補助制度が発足し、昭和四十八年度には校舎の新増設に対する国庫補助率の引き上げが行われることとなりました。 しかし、これらの措置は一定の効果を果たしてきたとはいえ、いまだ当該市町村の要望をとうてい充足するまでには至っていません。また、公立高校新増設に対する国庫補助制度は、昭和五十一年度より発足し、その予算は増額されつつありますが、補助条件の制約があることや校地取得費が補助対象となっていないこと等もあって、高校の新増設計画に大きな障害点となっています。 これらの助成措置は、元来義務教育諸学校施設費国庫負担法の抜本的改正等により、その改善、充実を図らなければなりませんが、当面、人口急増地域に山積する教育上の諸問題点を解決するためにも、当該県市町村に対する特別措置を講ずることが緊急の課題となっています。 以上、児童、生徒の急増地域における公立の小学校、中学校、及び高等学校の施設整備に係る国庫補助制度の実情にかんがみ、これらの施設整備を一層促進するため、国の行財政上の特別措置をさらに拡充するための法的措置を講じることとし、もって学校教育の円滑な実施を確保するため、本法案を提案する次第であります。 次に、本法案の内容の概要を御説明いたします。 第一は、この法律は、児童または生徒が急激に増加し、または増加する見込みのある地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関し必要な特別の措置を定めることにより、学校教育の円滑な実施を確保することを目的としております。 第二は、この法律において、児童急増地域または生徒急増地域とは、市町村における過去三年間の児童または生徒の増加数などを基準として各年度ごとに文部大臣が指定する市町村の区域を言うこととしております。 第三は、第二の両急増地域における公立の小中学校に係る校舎及び屋内運動場の新増築費並びに学校給食施設及び水泳プールの整備費に対する国の負担率または補助率を四分の三に引き上げるとともに、生徒急増地域を通学区域とする公立の高等学校の水泳プールの整備費に対する国の補助率についても、これを二分の一に引き上げることとしております。 第四は、国は、政令で定めるところにより、両急増地域の公立の小中学校の用地取得費について、その二分の一を補助するとともに、第三の公立の高等学校の用地取得費及びその校舎等の新増築費についても、その二分の一を補助することとしております。 第五は、国は、第三及び第四の児童生徒急増対策事業に係る地方債の資金について特別の配慮をすることとし、その元利償還金についても、これを地方交付税で措置することとしております。 第六は、国は、児童生徒急増対策事業に係る用地取得を容易にするための税制上の優遇措置を講じなければならないこととしております。 第七は、地方公共団体は、その区域内で大規模宅地開発等が行われる場合において、特に必要があると認めるときは、その開発事業者に対し、公立の小中学校または高等学校の用地の確保を求めることができることとし、その場合の用地確保を開発事業者に義務づけております。 第八は、地方公共団体は、大規模宅地開発等に伴い、公立の小中学校または高等学校の施設の整備事業を行う場合、財政事情等によりその事業を適時に行うことができないときは、その開発事業者に対して、その事業の立てかえ施行の申し出をすることができることとし、申し出を受けた開発事業者は、その地方公共団体との協議に基づき、その事業を行うものとすることにしております。 第九は、この法律は、昭和五十六年四月一日から施行することとし、昭和六十一年三月三十一日までの時限立法としております。 以上が、本法案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○三ツ林委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。 次回は、明後十七日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十四分散会 ————◇—————