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93回国会衆議院1980/10/16

物価問題等に関する特別委員会 第2号

発言数
239
登壇者
22
会派数
6
開催日
1980/10/16

会議録

井上泉日本社会党

○井上委員長 これより会議を開きます。  理事の補欠選任についてお諮りいたします。  理事関谷勝嗣君の委員辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上泉日本社会党

○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事に谷洋一君を指名いたします。      ――――◇―――――

井上泉日本社会党

○井上委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、当面の物価問題等について河本経済企画庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。河本経済企画庁長官。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 当委員会が開催されるに当たりまして、当面する経済情勢と経済運営の基本的方向について、所信の一端を申し述べたいと存じます。  わが国経済は、五十三年末以降の第二次石油危機のため、再び試練に見舞われ、特に、国際収支や物価の面で大きな影響を受けました。  これに対し、国民の賢明かつ冷静な対応の結果、これまでのところ、第二次石油危機の影響が深刻化する事態を避けることができました。国際的にも、良好な成果を上げたとして高い評価を得ております。しかし、石油危機の試練が完全に終わったわけではなく、また、イラン・イラク紛争など不透明要因もあり、わが国経済を安定成長路線に定着させるためには、なお一層の努力が必要であります。  最近のわが国経済の動向を見ますと、物価については、卸売物価は、本年春ごろまで原油など海外の原材料価格の高騰、円安の進行等から大幅な上昇を続け、四月には前年同月比二四%の上昇となりました。その後、円高や海外原材料市況の落ちつき等から騰勢が鈍化し、ほぼ峠を越えたものと思われます。  消費者物価は、卸売物価高騰の影響等から本年二月以降おおむね前年同月比八%台の上昇が続いております。八月、九月には天候不順の影響による野菜価格の高騰などのため高い水準となりましたが、卸売物価からの波及は漸次鈍化しており、基調的には、落ちつきの方向にあると判断をしております。  一方、景気については、昨年から本年の初めにかけて比較的順調な拡大が続いてまいりましたが、このところかげりとも目される状況が見られるに至りました。  国内需要は、民間設備投資が堅調な増勢を続けているものの、民間最終消費が伸び悩み、民間住宅投資が停滞するなど総じて増勢が鈍化しております。これに伴い、生産、出荷の拡大テンポも次第に緩やかなものとなっております。  また、企業の収益は好調が続いていると見られますが、今後の動向については、慎重な見方がなされております。  この間、雇用は、昨年来の改善傾向を続けている反面企業倒産は高水準で推移をしております。  輸出は、これまでのところ順調な増加を続けてまいりましたが、欧米の景気は総じて停滞を示しており、わが国の輸出をめぐる環境は、必ずしも手放しで楽観しがたい状況となっております。  以上のような経済の現状を見ますと、今後の経済運営のあり方としては、物価と景気の両方を注意深く見守り、早目早目に的確な対策を講ずることが何よりも肝要であると思います。  このような考え方のもとに、政府は、去る九月五日の経済対策閣僚会議で、物価の安定と景気の維持を図ることを基本方針とし、物価対策の推進、公共事業等の円滑な執行、金融政策の機動的運営等八項目の経済対策を決定した次第であります。  次に、この八項目の経済対策についてその概要を申し述べます。  初めに物価対策について申し上げます。  物価の安定は、あらゆる経済政策の基本であり、国民生活安定の基礎であります。同時に、物価の安定は、ひいては国内需要の着実な拡大につながり、経済の安定的成長に資するものであると考えております。  このような観点から、今般の経済対策では、物価の落ちつき傾向を定着させることを目指し、物価対策に特に重点を置いております。  このため、通貨供給量を監視しながら、生活関連物資及び国民経済上重要な物資の需給、価格動向の調査、監視を行い、必要に応じ供給の確保を図ってまいります。また、野菜等生鮮食料品の安定的供給に努める等各般の物価対策を積極的に進めてまいります。  次に、公共事業の執行につきましては、最近の経済情勢を考慮し、地域の実態、現状に十分配慮をしながら、下期においては、前年度に比べ相当程度の伸び率を確保することとし、当面、第三・四半期の契約目標額を、前年比三〇%程度増加させることにしております。  さらに、住宅建設の促進、民間設備投資の推進、エネルギー対策の推進を図り、中小企業対策に十分な配慮を行うとともに、調和ある対外経済関係の形成に努めることとしております。  また、金融政策につきましては、今後とも、内外の経済動向及び国際通貨情勢を注視しながら、機動的に運営することとしております。  今般の経済対策は、民間部門中心の成長を維持するために必要な環境整備を行おうとするものであり、経済の実態を踏まえ、政府として可能な限りの工夫と努力をしたものであります。  わが国経済は、民間部門を中心とした旺盛な成長力を持っております。早目早目の環境整備により、着実な経済の発展が可能であると考えております。  今般の経済対策によりまして、わが国経済は、下期から再び堅実な拡大傾向を回復し、年度全体として、政府見通し程度の実質成長率が確保される見込みであります。  物価につきましては、天候不順の影響や原油価格の動向等厳しい情勢にありますが、物価対策を引き続き強力に推進することにより、消費者物価の上昇率が政府見通し程度におさまるよう最大限の努力を傾けてまいる所存であります。  以上、最近の経済情勢と今後の経済運営の基本的方向につきまして所信の一端を申し述べました。  今日、石油問題等わが国経済を取り巻く環境には厳しいものがありますが、政府はあらゆる努力を払い、国民各層の期待に十分こたえる政策の展開を図ってまいる決意であります。  本委員会の皆様方の御理解と御支援を切にお願い申し上げます。

井上泉日本社会党

○井上委員長 次に、橋口公正取引委員会委員長から、当面の物価問題等に関連して、業務概況の説明を聴取いたします。橋口公正取引委員会委員長。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 当面の物価問題等につきまして業務の概況を説明させていただきます。  最近の物価情勢は総じて見れば落ちついた動きを示しておりますが、なおその動向には警戒を要するものがあり、物価の安定には引き続き最善の努力を払う必要があると思います。  公正取引委員会は去る九月五日の経済対策閣僚会議において決定されました「経済の現状と経済運営の基本方針」に沿い、競争制限的行為による違法な価格引き上げを防止するため、独占禁止法の厳正な運用を図るとともに、同調的値上げの動きを注視するほか、現在一部の業界において行われている減産についてその実態を調査しておりますが、これらは、現下喫緊の課題である物価の安定に資するものと考えます。  以上の諸点につきやや詳細に申し上げますと、本年一月から九月末までの独占禁止法違反被疑事件の審査件数は百十七件であり、同期間中に審査を終了したものは四十一件であります。このうち法律の規定に基づき違反行為の排除を勧告したものは、価格協定事件を含めて十一件でありました。  また、同期間中に課徴金の納付を命じた事件は十一件であり、合計二百六十三事業者に対し、総額十六億三千九百六十九万円の課徴金の納付を命じました。  独占禁止法違反行為に対しましては、このように厳正に対処しているところでありますが、違反行為の未然防止を図るため、昨年八月二十七日に作成公表した「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」について、全国各地において説明会を開催するなどその趣旨の徹底に努めているところであります。  次に、価格の同調的引き上げにつきましては、法律の規定に基づき、本年一月以降自動車タイヤ、チューブ、家庭用合成洗剤(台所用)、インスタントコーヒー、一般用カラー写真フィルム、写真印画紙、ビール、ウイスキー、鋼材七品目及び調製粉乳の計十五品目について価格の引き上げ理由の報告を求めました。  また、価格の同調的引き上げの対象品目は、従来五十六品目でありましたが、本年九月に改定して六十七品目となっております。これら六十七品目については、常時価格の動向を注視しているところであります。なお、価格の同調的引き上げの対象となっている商品の卸売物価指数の平均上昇率は、卸売物価指数の総平均上昇率を下回っており、価格の同調的引き上げに関する規定が物価上昇を抑止する効果を持っていると考えております。  次に減産についてでありますが、粗鋼、紙パルプ、エチレン、塩化ビニール樹脂及び小形棒鋼の五業種における減産の実態及び価格動向等について調査を実施しつつあるところであります。  このほか非製造業分野の比重が増大し、同分野における競争阻害要因が重要な問題となっていることにかんがみ、前年度から引き続き自動車、出版物、百貨店、大型スーパー、冷凍水産物、石油製品など十四業種につきまして流通の実態調査を行い、これらのうち、独占禁止法上問題のある行為につきましては、その是正に努めるほか、医業その他の自由業の団体による新規開業規制等の問題にも積極的に取り組んでおります。  また、やや中長期的観点から申し上げますと、OECD理事会勧告もあり、わが国経済における民間の活力と効率性を維持促進していくため、本年度に入りまして政府規制と独占禁止法適用除外の見直しに着手したところであります。  以上簡単でございますが、当面の物価問題等に関連して、公正取引委員会の業務について、御報告申し上げました。今後とも独占禁止法の厳正かつ効率的な運用を通じて物価の安定に寄与してまいる決意でありますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。     ―――――――――――――

井上泉日本社会党

○井上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木正久君。

青木正久自由民主党

○青木委員 日本の経済、特に物価の問題を議論する場合に、油の問題は避けて通れないところであります。そういう意味におきまして、産油国、つまりアラブ諸国の国民の心を知るということが物価問題を論ずる原点だとの判断のもとに、当委員会の何名かの者が先月、アラブ何カ国かを回ってまいりました。そして、私の得た感触では、日本が油に非常に頼っているという割りには日本のアラブに対する接近の仕方というものはまだ足りないのじゃないか、そういう感じを深くしたわけでございます。  アラビアといいますと、日本人一般といたしましては、「月の砂漠をはるばると……」というようなエキゾチックな幻想を持つ方が多いと思いますけれども、現実には日中で五十五度あるいは七十度という灼熱の世界でございます。そういう地域にアラーの神の恵みによって油がわいた、それをもとに国づくりに励むというのが現実の姿だと思います。  そこで、日本はこれからどうしても二十年、三十年、中近東の油に頼らざるを得ないという状況だと思いますけれども、その割りには日本のアラブに対する接近が少ない。現実には外務省が主になりまして、大使館、総領事館などがあって活躍しているわけでございますけれども、たとえばアラビア語をしゃべれる外交官が果たして何人いるか、私は昨日の外務委員会でも聞いたわけでありますけれども、二十カ国のアラブの中でアラビア語の専門家は三十八人しかいない。毎年新しい人を養成しておりますけれども、大体四人前後だ。こういうことでは、油に頼っている日本として非常に心細いのじゃないか。外交官は外交官といたしまして、もう少し日本の国全体として政府として、アラブを理解するといいますか、アラブにもう少し接近するという方策をとるべきじゃないか。大臣は、経企庁長官であられると同時に鈴木内閣の非常に重要な国務大臣でございますので、アラブに対する姿勢につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 日本の経済は石油によって動いているわけでございますが、しかもその石油の大部分を外国から輸入し、かつそのまた大部分が中近東依存である、こういう状態を考えますと、中近東と日本との関係は非常に重大である、このように私ども理解しなければならぬと思います。  しかるに、中近東との接触は、欧米諸国に比べますと御指摘のようにきわめて貧弱でありまして、この点は、これからもよほど考えていく必要があろうかと思います。もちろん、現在のような中近東に非常に大きく依存しておる石油輸入というものは当然だんだんと是正の方向に持っていかなければなりませんが、しかし急には参りませんから、やはりアラブとの接触というものは欧米並みの、あるいはそれ以上の努力が必要である、このように理解をいたしております。

青木正久自由民主党

○青木委員 私どもがバグダードにおりますときにちょうどいまのイラン・イラク戦争が始まったわけでございます。この影響につきましては、いままでの各委員会並びに本会議の政府の答弁で、百十一日分の備蓄があるから大丈夫だ、こういうお話でございます。しかしながら、政府のこの戦争の見通しにつきましても、初めは、早く終わるんじゃないかという御答弁をされておりましたけれども、最近は、長期化するんじゃないかというふうに変わってきております。そうなりますと、これは、百十一日分あるにいたしましても、もしあのホルムズ海峡あたりがおかしくなった場合油が手に入ってこないということになりますと、売り惜しみあるいは買いだめなんか起こりまして大変なことになるのじゃないかと思うわけでございます。  私ども、バグダードにおきまして、計画省というのがあるのですが、計画省の顧問のイスマイルさんという、来年から始まりますイラクの第三次五カ年計画の立案者でございます、その方に会いましたら、日本に油は幾らでも出す、しかし値段だけは高くなるのは勘弁してくれということを言われておりました。イラン・イラク戦争の行方によっては、政府側のいままでの御答弁のように楽観的な見通しだけではいけないのじゃないかというような感じがいたしますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 イランとイラクから入っております油はそんなに大きな数字ではありませんし、イランの方は、この戦争が始まります前からストップしておりましたから、直ちに影響が出てくるという状態ではございません。しかし、この戦争が長引きますと、不安な点が幾つかございます。中長期化する場合にはよほど十分な対策が必要であろう、このように考えております。

青木正久自由民主党

○青木委員 きょうですか、イラン、イラクから特使が来ると思います。戦争の問題についての話だと思いますけれども、その特使に政府として油のことで何かお話をする御計画ございますか。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 ただいま先生から、両特使に対して油の問題について何か政府としてお話をするかということでございますが、私どもといたしまして、先ほど河本大臣から御答弁がございましたように、当面イラン、イラクからの輸入がとまっておっても、かなりの長期にわたって対応できるというふうに思っております。ただ、いずれにいたしましても、油の問題よりも、まず第一に紛争を早く終結に導いていくということが何よりも必要ではないかと思っておるわけでございます。そういうことで、そういう観点から恐らく両特使に対してお話を申し上げるということになるのではないかと思います。

青木正久自由民主党

○青木委員 終わります。

井上泉日本社会党

○井上委員長 次に、岸田文武君。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 私、後ほど石油をめぐる情勢についていろいろ実情もただしてみたいと思っておりますが、せっかく河本経済企画庁長官お越しでございますので、いまの経済情勢をどう認識するか、またどう対応していくか、こういった点からまず質問に入りたいと存じます。  私、物価の問題については実はこのように考えておったわけでございます。世界の主要な先進国が非常に大幅な物価上昇に見舞われており、経済的にも非常に苦労しておる。なおかつ、経済の成長も脚踏み状態にある国もたくさんある。そういう世界の先進国の動きの中にあって、日本は今日までも物価の面でかなりうまくやってきた、またこれからもうまくやっていくだけの力を持っている、こういうふうに私どもは基本的に認識し、そして政府が考えておりました消費者物価の上昇の見通しについてもおおむねこれは達成できるであろうという気持ちを持って、これをながめておった次第でございます。ただ、この認識の前提にありますのは、四月にエネルギー価格が非常に大幅に上昇し、そして消費者物価も対前年同月比で大幅な上昇を示した。このことは、いわば昨年来の石油価格の上昇の後始末をつけるようなもので、そのこと自体は最小限度やむを得ないことと考えながら、四月以降は、その影響が漸次波及はするものの、次第に鎮静化の方向に向かっていくであろう、そうしてその結果として、年度全体を通じて見れば、六・四%の消費者物価の上昇という姿におさまっていくだろう、こんな姿を頭に描いておった次第でございます。また、先国会におきまして質問いたしましたときにも、政府から大体そういうような感じのお答えをいただいたと記憶いたしております。その後の情勢を見てみますと、確かに四月以降五、六、七とだんだん鎮静化の方向に向かっていくということが前月比の指数の動きによっても示されておりまして、当初の見通し、そう大きな変更がなくて済むんだなと見ておりましたが、実は先般発表されました九月の東京都における消費者物価指数八・九%というかなり高い数字が出てまいりましたことを、私、一抹の危惧あるいはそれ以上どうこれを受けとめたらいいのかという心配の念を持って見た次第でございます。今年度の物価の推移につきましては、考えてみますと、為替レートが、当初想像していた以上に円高に推移したというような面、日本経済全体への影響はともかくとして、物価対策から見てみますと、かなり有利な条件が備えられていたにもかかわらず、九月かなり高い水準が出たということをどう受けとめたらいいのか、こういった点を一つの足がかりにしながら質問を進めていきたいと考えておる次第でございます。  そこで、まずお伺いいたしたいのは、日本経済全体の景気の動向をどう判断するかという点でございます。先ほどお話の中に、設備投資の動向はまずまずであるし、それから輸出の方もまあ何とかいっておる。その中で懸念されるのが、個人消費支出が非常に低迷しておるという点だということが大臣のお話の中にも出てまいったわけでございます。私は、個人消費支出というものが最終需要の中でも非常に大きなウエートを占めておりますだけに、これの沈滞というものが、結果としては、政府が考えております経済の成長の足を引っ張る大きな要因になるのではないか、こういう点を心配いたしております。  そこで長官にお尋ねいたしますが、今日の個人消費支出の動向をどう見ておられるのか。また、これからをどう見通しておられるのか。まずその辺からお尋ねをさせていただきたいと存じます。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いま経済の動きを、ここしばらくどのような形で推移したかということを考えてみますと、第一次オイルショックによりまして非常に大きな打撃を受けまして、それからいろいろな対策が引き続いて行われまして、五十三年末以降だんだんと経済は回復の方向に進んでまいりました。五十四年も順調に推移したと思います。五十五年も、前半は、ことしの中ごろまでは比較的順調に推移したと思うのですが、中ごろから、先ほど御指摘のように個人消費が、計画といいますか、政府の方で考えておりましたよりも低い水準で推移しておる、これが相当景気の足を引っ張っておる、こういう感じがいたします。  それからもう一つは、住宅投資が予定よりも大幅に落ち込んでおりまして、これもやはり景気に悪い影響を与えております。そのほかにも若干のかげりはございますが、特に経済の足を引っ張っておるのは住宅投資と個人消費、こう思うのですが、個人消費が計画どおり伸びていないということは、これはやはり消費者物価が比較的高い水準で推移しておるということ、いま御指摘がございましたが、新年度になりましてから、七月は少し低かったのですけれども、大体八%台で推移しておるということ、そういうことで、ベースアップも比較的低かったということもございまして、実質国民所得が減少しておりますから、そこに私は個人消費が伸びない一番大きな背景があるのではないか、こう思っております。  そこで、いま消費者物価を安定させるということは個人消費を盛んにするということに非常に大きな影響があるのではないか、どうしても消費者物価を政府の計画どおり下げる方向に持っていきたい、こう思っておるのです。  それから、住宅投資の落ち込みは、これは土地の値段が非常に高くなって手に入りにくいということ、地価対策、ここに問題がございます。それと、住宅金利が非常に高くなっておりますので、皆さん計画しておられました家を建てるのは延ばそう、こういうことで計画の変更が相次いで出ておりまして、いまのところは相当大幅に落ち込むのではないか、こういう感じがいたします。  だから、景気の足を引っ張っておりますのは、消費者物価の水準が高いということ、それと金利が比較的高いということ、この二つが景気のかげりの背景にある、このように私どもは理解をしております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 いまお話しいただいたような事情を背景にしまして、日本経済全体の動きを見ておりますと、昨年はまずまず皆元気を出して、ひとつ経済活動に取り組もうという感じであったものが、今年春から、どうも多少いろいろな面でかげりのような姿が出ておる。たとえば自動車の国内販売が必ずしも順調に伸びていかない、あるいはいまお話ございましたような個人の住宅建設に非常に手控えの傾向が見られる。  そういう情勢の中にあって、もう一つ私心配いたしました要因としては、ことしの夏が非常に異常低温であった、そのことの結果としまして、衣料品の売れ行きが落ちたとか、あるいは長雨のために建設が長引いて、非常に建設業に打撃を与えたとかいうような問題、これも一つ心配をしておかなければならない要因ではないか。これがどういうふうに日本経済に影響を及ぼしたのか、また及ぼすであろうか、この辺の認識もただしておく必要があるのではないかと思うわけでございます。  そこで、第二番目の問題としまして、異常低温の影響をどのように把握しておられるか、どういうふうに認識をしておられるか、この辺について、もしお調べになった点がございましたら御報告をいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 現在消費者物価が比較的高い水準にありますその一番の背景は、ことしの夏の異常気象にあると思います。八月、九月の消費者物価の上昇の一番大きな背景はここにございました。そこで政府の方といたしましては、異常気象による生鮮食料品の異常な高騰に対処するために幾つかの対策を進めてまいりました。最近になりまして、だんだんその効果が出てきておると思いますが、具体的な内容につきましては政府委員から答弁させます。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 冷夏に対応しての野菜の被害、これは主として東北地方に起きたわけでございますが、このことによりましてかなり入荷量が減るという見通しが出てまいりまして、現実に入荷量が減ってまいりました。そういうことで価格も上昇してまいりましたので、そういう事態が予想されるときに、まず当時として野菜の中で値上がりが予想されたキュウリそれからトマト、キャベツにつきまして出荷促進のための対策を講ずるということをいたしたわけでございます。同時に、通常の状況であれば市場に出てこない並み級野菜、これもひとつ市場に出してもらおうということでございまして、その関係につきまして、企画庁に計上されております国民生活安定対策等推進費三十億円の中から必要な金額を出しまして、そして大消費地市場等に集中して出荷をお願いするという対策をとったわけでございます。その金額は合計で一億三千万円でございます。その関係で実際に市場の状況を見ますと、かなり並み級品等が出てまいりまして、全体としての価格の高騰をかなり抑えた面があるというふうに思われます。現在まだその対策が現段階でも実行されております。九月の上旬から十月の下旬にかけて実行中でございます。  それから同時に、こういう異常気象が続く状況におきましては今後とも非常に心配でございますので、秋冬季の野菜につきましてもあらかじめ手を打っていこうということで、九月に入りましてからいろいろな対策をとっておりますが、たとえば鹿児島県とか沖繩県等にキャベツ等の栽培を行って、そしてこちらの方に非常に異常気象等によって野菜の不足が生じた場合には緊急輸送するということをかねてからやっておりますが、その野菜の種類を拡大するとか、それから量もふやすということをすでにやっております。  それからもう一つは、特に問題になりますキャベツにつきましては、被害が起きたときにすぐに後から追っかけて植えることができるように予備苗を用意するということもいたしました。それからタマネギ、バレイショ等保管のきくものについてはできるだけ保管をしておいて、そして一――三月に問題が起きたときにそれを放出するということもやっております。そういうようなこれからの野菜価格の安定についての対策も、今回緊急対策とあわせて実施をしておるということでございます。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 いまいろいろお話ございましたような事情を背景にして、私、日本経済の状況を考えてみますと、たとえば中小企業の倒産がごく最近、従来にない非常に高い水準を示しているようなことを考えるにつけましても、やはりある程度日本経済全体の運営について、ブレーキを踏むというよりはむしろ緩やかにアクセルを踏むというような段階に来ておるのではないかという気がいたします。  それに加えて、先般河本長官、予算委員会の席におきまして、来年の経済成長を五・五%程度に持っていきたいというような答弁をされたやに聞いておるわけでございます。この辺の根拠がどういうふうなお気持ちであるのか、こういうこともぜひお伺いをいたしたいと思いますが、仮にそういうふうなお気持ちであるとすれば、やはりいまの状況からそこへ持っていくためのアクセルというものが必要になってくるのではないか、こう考えられるわけでございます。こういった経済運営の方向、こういった点についてひとつ御見解を聞かしていただきたいと存じます。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 五十五年度予算編成に当たりまして、政府は経済運営の基本方針、経済見通し等について発表いたしましたが、その際ことしの経済成長率の目標を四・八%に置こう、それから七カ年計画の平均成長率、これは昨年十二月の予算編成までは五・七%と想定をしておりましたが、第二次石油危機等もございますので、これを若干引き下げまして平均五・五%成長ということを目標にいたしましょうということを、昨年十二月予算編成と同時に決定をしたのでございます。もっとも五・五%成長といいましてもこれは平均のことでございまして、その年々の経済事情によりまして六%台のときもあれば四%台のときもある。昨年は六%台でございましたが、ことしは四%台、経済の実情に合わせまして若干この目標の数値は違いますけれども、しかしながら平均五・五%という目標を達成する。それは日本経済を安定成長路線に定着させるためだ。雇用問題を解決する、国際競争力を維持する、こういうことからその程度の成長は必要である、こういう戦略を立てたわけでございます。  ところが、ことしの四・八%成長目標というのが、この夏ごろの情勢では若干問題が出てきておる。いま自動車の販売が減ったという御指摘もございましたが、たとえば鉄鋼生産などは昨年に比べましてざっと一割減っております。それから倒産もずうっと高い水準が続いておりまして、昨年に比べまして約二割ばかりふえておる。こういう状態でございまして、やはり相当かげりが出ておると見ていいのではないかというので、九月五日に総合経済対策というものを立てたわけでございますが、普通の年の景気対策でありますと、御承知のように五十二年、五十三年と大規模な補正予算を組みまして、相当強力な内容の景気対策を進める手配をしておりましたが、今回は財政事情等もありまして現行予算の枠の中で若干の工夫を加えていく、こういう程度のことでありますから、対策としてはそんなに強力なものではございません。  ただしかし、景気そのものがまだ悪くなりかけである、悪くなってしまっておるということではないということから、私どもはこの程度の対策でもいまの段階では相当効果があるのではないか、こう思っております。ただ、何分にも対策が弱いものですから、一体どの程度の効果があるかということに対しては実は確信は持てません。そこで、十一月にはまたいろいろな経済指標がそろってまいりますので、果たしてどんな効果が出ておるのか、予定どおり私どもが期待しておるような成果が上がりつつあるのか、あるいはそれともまだ不十分であるのか、こういう点を十一月末の経済指標を見まして判断をしたい、こう思っております。  いずれにいたしましても、下半期経済の活力をある程度回復をいたしまして、年度間を通じては四・八%経済成長がぜひ達成できるようなそういう方向に持っていきたい。下半期に経済の活力が回復いたしますと、来年の経済成長見通しにつきましては、十二月には諸般の事情を総合的に判断をして具体的にどこに目標を置くかということを決めるわけでございますが、五・五%という平均目標を達成することも必ずしも不可能ではない。また財政再建という最大の課題を抱え込んでおりますが、これを達成するためにもやはり景気が悪くなってしまったのではこれはとてもできるものではございませんから、そういう観点からもぜひある程度の経済の活力を維持、拡大をしたい。そのためには来年五・五%経済成長が達成できるような、そういうことを配慮しながらただいまからの経済運営というものを進めていく必要があるのではないか、こういうように考えております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 そのような積極的な経済運営を行うに際しまして、やはりいつでも注意をしておかなければならないのは物価の動向でございまして、この辺さえ安心できるという見通しがつけば思い切ってやっていけるわけでございます。こういった意味合いにおきまして、最初申し上げましたように九月の消費者物価指数がかなり高い水準を示したことをどう受けとめたらいいのか、この点の問題に入っていきたいと思うわけでございます。  その前に一つ伺っておきたいのは、先般公共事業を、いままでは多少抑制ぎみにやってまいったのを思い切って追加的に実施をしていこう、こういった方向が打ち出されたわけですが、これが建設資材の価格にはね返ってきて悪影響を及ぼすというような心配はないか、この辺を簡潔で結構でございますからお答えをいただきたいと思います。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 建設資材につきましては、現在のところ需給が非常に緩和しておりまして落ちついた状況にあります。このところ四カ月ほど卸売物価が建設資材について毎月マイナスの状況が続いておりまして、前年に対して約六・五%というような状況でございます。  そこで今後の問題でございますが、需要はある程度増加することが見込まれますが、やはり供給力に余裕がございますので、需給のバランスは十分とれていくのではないかというふうに思われます。しかし公共事業の今回の抑制緩和ということに伴いまして、九月五日の対策におきましても建設資材の需給、価格動向の監視を強化するということにいたしておりまして、その具体的な推進に当たりましては、政府の物価担当官会議の中に建設資材価格連絡会というものを設けまして、関係各省が随時連絡をとっていくことにいたしておりまして、すでに会合も開いております。さらに建設省におきましては、公共事業につきまして地方に連絡協議会というのを設けて、十ブロックでやっております。そういうことで地方の状況も的確につかめるということでございますので、そういうような会合を活用しながらこれからも監視を強化していくということにいたしておるところでございます。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 今後景気の浮揚というか、経済全体に活力をつけていくという意味合いにおきまして、一つは公共事業の追加ということが問題になったわけですが、やはり基本的には公定歩合の問題を考えていかなければならない。いま金利負担が非常に大きな問題になっておるということだけでなくて、経済運営全体の問題としても公定歩合の見直しが当然課題になってくる。現にけさの新聞にもいろいろ報道がなされておるような状況でございますが、私その問題を考えてみますと、いまの物価の動きが一つの問題になってくるのではないか。思い切って公定歩合を動かし、預貯金の金利の連動をも考えていくというようなときには、いまのような物価水準でございますと預貯金の目減りの問題につながってきかねない。さらにまた、現在の水準でございますと、ここしばらくの間勤労者の実質賃金のマイナスが続いておるというような問題がある。一体八月の消費者物価の上昇というものが本当に一時的な要因なんだろうかどうだろうか、これから先下がっていくというような見通しを果たしてお持ちなんだろうかという点を、お尋ねをさしていただきたいと思うわけでございます。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 九月の消費者物価、東京の数字は八・九%でございますが、この前年同月比が出るもとになりました月間上昇率でございますが、これは一・七%でございます。これの一番大きな原因は野菜が非常に上がったということでございまして、季節商品全体での一・七のうちに占める寄与度が〇・九%ということでございますので、非常に大きかったということになりますが、他方、季節商品を除く総合で見ますと、月間上昇率は〇・九%でございまして、これは昨年の同期が一・四%でございますから、昨年同期に比べては低い数字になっております。そういうことでございますので、全体としての前年同月上、昇率が八・九%でございますが、季節商品を除く総合におきましては八・三%ということになっております。その前月の数字が東京で見まして八・八%でございますから、除く季節商品ということで見ますと前年同月比の低下の傾向があらわれているということではないかと思っております。同時に、卸売物価の方の消費財につきまして、この動きが消費者物価の商品にタイムラグをもって及んでくるわけですが、これも七月、八月、九月と大体〇・二%から〇・四%程度の上昇になっておりまして、六月までの上昇から比べると著しく鈍化しておる。そういうこともありますので、基調として毎月のそういうものの上昇というものは明らかに弱くなっているというふうに思っております。そういうことでございますので、季節商品の野菜の方について現在の冷夏による高値が是正されていくことになりますれば、総合としての消費者物価の上昇率も鈍化をしていく、それに伴って前年同月比の上昇率も下がっていくというふうに判断をしております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 実は昨年の実績を見てみますと、秋以降非常に消費者物価が上昇ピッチを上げていったという実績がございます。ただ、その前年の五十三年を見てみますと、むしろ夏から秋にかけて低下をしていったという実績もあるわけでございますから、何とかそういう姿に持っていっていただきたい、そして、それを前提にして経済が活力のあるような形に持っていっていただきたい、こういうことが私の率直な願いでございます。消費者物価の政府見通し六・四%を何とか守っていきたいというような点につきまして、大臣の御決意のほどをひとつ最後にお聞かせいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 物価の動向につきましては、いま具体的な数字を挙げまして物価局長が説明をいたしましたが、この六・四%ということしの消費者物価の目標を実現するということは政府のことしの最大の責任課題だ、こう私は思っております。あらゆる工夫とあらゆる努力をこれに集中しなければいかぬ、こう思っておりますが、幸いに大勢としてはいい方向に行っておる。すでに卸売物価は完全に峠を越しまして九月などはマイナス〇・三%、こういう水準でございますし、季節商品もおおむね対策が功を奏しつつある、こういうことでございます。  さらに、先月の五日に消費者物価を安定させるための六項目を決めましたが、この六項目を強力にかつきめ細かく実施していきたい、こう思っております。  また、二十一日には与野党四党の間で、先般の国会で予算修正が行われましたが、物価対策として五百億を使う、そういう合憲ができておりますが、一体これを具体的にどう使っていくのかということについての相談もあるようでございますので、私どもはそれもまた物価政策に大きな成果が期待できるのではないか、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、六・四%という目標を達成するためには引き続いて最大限の工夫と努力を続けていく、こういう決意で進めてまいりたいと考えております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 それでは、先ほど申し上げましたように、次の課題でございます石油動向についての質問に移りたいと存じます。  イラン、イラクの紛争が起こった。いずれも従来はわが国にとってあるいは世界の経済にとって大きな石油の供給源であったわけでございますので、これが今後の石油動向にどういうふうな影響を及ぼすのか、この問題が物価問題としても看過し得ない問題であろうと思いまして、その辺の実態をひとつ尋ねてみたいと思うわけでございます。  一つ一つ伺ってまいりますが、まずイランの生産ないし輸出というものがイランの動乱以降どういうふうな姿をたどってきておるのか、そして今日それがどういう状況に置かれているのか、簡単で結構でございますから御説明をいただきたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 お尋ねのイランの石油事情でございますけれども、イランの政変が起こる前、これは生産が五百万バレル・パー・デーとか六百万バレル・パー・デーとか非常に高い生産レベルをとっておりまして、輸出も非常に多かったわけでございます。当時、日本のイランに対する依存度も非常に高い、こういうことであったわけでございますが、その後イランの政変が起こりまして生産量が落ちた。今度のあの紛争前の状況を申し上げますと、イランの生産量が大体百五十万バレル・パー・デーぐらいというふうに言われております。当時の輸出量でございますけれども、大体六十万から七十万バレル・パー・デーぐらいの輸出が行われておったというふうに言われております。この六十万ないし七十万バレルの輸出、これは大体ペルシャ湾を経由して出ておったということでございますけれども、これはカーグ島あるいはラバン島その辺の積み出し施設から出されておったわけでございますが、現在の状況は恐らく岡積み出し施設からの輸出というのは停止しているだろうというふうに思われます。  日本との関係を申しますと、価格改定問題をめぐっての話し合いがつかないということで日本に対する積み出しは四月二十一日以降とまっておるというのが実態でございます。  今後の見通しでございますけれども、現在のところ被害の状況がよくわかっておりません。そういうことから申しまして、紛争が収拾され、その後石油施設が修復されていつごろから輸出されるかという点については、現在のところ必ずしも明確に申し上げられないというふうに思っております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 それでは、イラクについて同様の事情を説明していただきたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 イラクでございますけれども、イラクは紛争前大体三百五十万バレル・パ・ー・デーぐらいの生産、それに対して三百二十万ないし三百三十万バレルくらいの輸出が行われております。その三分の二ぐらいがペルシャ湾経由、それから三分の一ぐらいがパイプラインを通じまして地中海から輸出されておるという状況であったわけでございますけれども、現状はこのペルシャ湾経由あるいは地中海経由両方ともストップしておるというのが状況でございます。  日本との関係を申しますと、大体三十九万バレル・パー・デーぐらい、これはDDあるいはGGという形で輸入をされておったわけでございます。依存度が大体八ないし九%ぐらいという状況でございます。これがとまっておるわけでございますけれども、今後の見通しにつきましては、同様に被害状況その他必ずしも明確でないということでなかなか申し上げにくいわけでございます。いろいろな情報がございますけれども、被害状況を申し上げますと、地中海へのパイプラインの被害というのは修復にそれほど時間がかからないのではないかという情報がございます。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 そういたしますと、イランの方は当分輸出が行われる見込みはない、イラクの方はパイプラインが復旧すればある程度の供給が行われる見通しがある。そういう状況を前提にした上で一体日本経済にどういう影響を及ぼすだろうか、どういう対応を考えておられるのか、あわせて、世界経済へどういう影響を及ぼすのか、特に石油の需給との関係を中心にして説明をしていただきたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 いま申し上げましたように、イラン及びイラクからの輸出が一応とまっておる。これはいろいろな意見がございますけれども、大体三百八十万バレル・パー・デー前後の輸出が現在とまっておるということだと思います。それで、これは先般IEAで、このイラン・イラク問題をめぐりまして、石油問題についての合意が行われたわけでございますけれども、そのときのIEAでの現状認識は、現在世界の原油需給というのは緩和基調に推移しておる。先進国の需要が非常に落ちついた形で推移をしておる。それに伴って、IEA平均で申しますと、備蓄水準が七月一日現在百四十日ぐらい、いままでにかつてない高水準にございます。そういったような備蓄レベルが非常に高い、あるいはその需要が落ちついておるということから申しまして、当面、世界の原油需給はバランスを維持することが可能であるというような現状認識をしております。  ただ、そのためには、そういった現状認識を踏まえまして、原油価格の高騰を抑制していくという意味におきまして、クールに、冷静に対応することが必要であるということで、スポット市場における高値買いの抑制あるいは備蓄の弾力的な運用、そういった問題についての合意が行われたわけでございます。日本について申しましても、現状国家備蓄七日分を含めて百十一日分の備蓄がある。それで、日本も同様に石油について需要は非常に落ちついた形で推移してきております。そういうことからいって、私どもとしても日本の石油事情、需給について、相当の期間イラン、イラクからの輸出が行われなくても対応し得るというふうに思っておるわけでございますけれども、ただいずれにいたしましても、冷静に対応していくことが今後の原油価格の高騰をできるだけ抑えていくという面から必要であるということで、先ほど申し上げましたIEAの合意に基づきまして、すでに日本の石油企業に対して必要な指導をしておるわけでございます。そういうことで、原油価格の高騰を招かないようにできるだけの努力をしてまいりたいというふうに思っております。  今後の石油をめぐる問題につきましては、イラン、イラク以外の、たとえばサウジであるとかあるいはUAEであるとかクウェートであるとか、そういった国々の生産動向、これは増産の動きもございます。そういった働きがどうなっておるのか、あるいはサウジアラビアの価格政策がどうなっていくか、そういった問題とも絡んでくる問題でございます。そういった動きを十分注意しながら、私どもとしてはできるだけ冷静な行動をとっていくことが必要だというふうに思っております。  なお、国内の石油製品価格について申しますと、最近非常に落ちついた動きを示しております。消費者物価で、六月をピークにいたしまして最近は下降傾向をたどっております。今後の石油製品価格がどうなるかという点につきましては、原油価格の動きあるいは円レートの動き、そういったいろいろな要素が関連してくるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった石油製品価格につきまして便乗的な動きがないように、従来も厳に私どもとして指導してまいったわけでございますけれども、今後も引き続いて十分な指導をやってまいりたいというふうに思っております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 冷静に受けとめて、そう大きな影響がないのだから安心をしておれという話でございますが、私それに関連してちょっと聞いておきたいと思いましたのは、スポットの価格の動きが、私見ておりまして、イラン、イラクの紛争以降わりあいに冷静な動きであったものが、最近また少しずつ上がってきておるのではないか、その最近の上がっておる状況というものをどういうふうに考えたらいいものだろうか、もしお考えがあれば聞かしていただきたいと思うのであります。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 ただいま先生から御指摘のスポット価格でございますけれども、これは八月の末から九月の初めにかけましてアラビアン・ライトで大体三十一ドル二十五セントくらいというようなところまで落ちたわけでございます。これは一ころは、ことしの五、六月ごろでは大体三十五、六ドルくらいではなかったかと思いますけれども、それが八月の末ないし九月の初めくらいには需給緩和を反映いたしまして三十一ドル二十五セントくらいまで落ちたわけでございますけれども、最近、先生御指摘のようにやや上がっております。ごく最近のあれでは三十七ドルというような声も私ども聞いております。ただ、これについては売り手の方がそういう価格をつけておるということで、実際その価格で契約ができておるというのは少ないというように聞いております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 イラン、イラクだけに問題を限定して考えれば、備蓄も非常に高い水準にあるし、またほかの供給ソースからの増産も期待できるから、おおむねそうじたばた騒ぐほどのこともない、この辺の感じは私も理解できるような気がいたすわけでございます。ただ、それはあくまでもイラン、イラクの紛争に局限されるということが前提でございまして、仮にそれ以外のところへ問題が波及する、一番端的な問題としてホルムズ海峡の航行の安全が確保しがたいというような問題になったときには、これはまた非常に大きな別の問題にぶつかってまいるのではないか、この辺が私どもとしては一番心配の種であろうと思うわけでございます。とりあえずまずホルムズ海峡の航行の現状、それからこれらについての今後の見通し、もし把握しておる状況があれば聞かしていただきたい。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 先生御指摘のようにホルムズ海峡は大変重要な海峡でございます。現在の世界の原油の貿易量のうち大体六割ぐらい、これがホルムズ海峡を通過して世界の各地に配られておる、こういう状況でございます。日本について申しますと、最近では日本の原油輸入のうちの七割がホルムズ海峡を通過しておるということでございます。したがって、このホルムズ海峡の航行に重大な支障が出てくるということになりますと、これは日本はもとより世界に非常に大きな影響が出るわけでございます。ただ、現在のところホルムズ海峡の通航には特段の支障はないというのが現状でございます。  むしろ現在の状況という点から申しますと、ホルムズ海峡の問題ではなくてホルムズ海峡からペルシャ湾の中に入ってからの問題で、イランが航路指定をしておりまして従来の航路が通航できないという関係から、若干水深が浅いという点で、支障が若干ございます。ただその支障は、三十万トン以上の大型タンカーの航行にやや支障があるという程度でございまして、大宗でございます二十万ないし三十万トンクラスのタンカーの航行には支障がないという状況でございますので、特段の大きな影響はないというふうに私どもは考えております。  いずれにいたしましても、このホルムズ海峡の重要性というのは、関係国皆十分認識しておるということで、イラン、イラクとも、ホルムズ海峡の安全については、一応それを保っていくというような態度をとっているというふうに理解をしております。

岸田文武自由民主党

○岸田委員 以上で大体質問を終わりたいと思うわけでございますが、いずれにしましても、イラン、イラクの動乱、私はそう簡単に終結しにくいのではないかという受けとめ方をいたしております。また、ああいう地域の特殊性としまして、いつ、どこで、どういうことが起こらないともわからない土地柄でございます。エネルギーの安定供給という意味におきまして、エネルギー庁においては、今後とも十分細心の注意を払い、またできるだけの努力を傾注をしていただきたいと思っております。  以上をもって、質問を終わります。

井上泉日本社会党

○井上委員長 引き続いて、武部文君。

武部文日本社会党

○武部委員 まず最初に、いま日本の経済の中で景気問題か物価問題か、いろんなことが言われておりますが、企画庁長官は、特に景気問題を非常に重要視をしておるということがいろんな角度から報道されております。私どもは、今日この物価の安定がいま何よりも大切な問題だ、このように考えておるわけです。  うまい言葉があったもので、両にらみという言葉がありますが、企画庁長官は両にらみに転向したというようなことさえ報道されております。両にらみというのは、にらんでばっかりおって何もせぬことだとさえ極言できるわけですが、経企庁長官は、一体この景気の問題と物価の問題についてどういう見解を持っておられるか、まず最初にそれをお伺いしたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしの初めから中ごろまでの政府の物価に対する考え方は、景気の方はほっておいても心配なかろう、しかし、物価が非常に心配だ。特にこの二月、三月は、当時の政府の言葉をかりますと、狂乱物価前夜の状態にある、こういう非常に激しい形容詞を使って心配をしておったのでございます。したがいまして、ことしの上半期までの前半の政府の基本政策は物価中心であった。これはそう言えると思います。ただ、夏ごろから、御案内のように、景気の方にかげりが出てまいりました。そして、一方で物価の方が安定の方向に進んでまいりました。卸売物価は、まずこの夏ごろで峠を越したと思いますが、消費者物価も大勢としては安定の方向に進んでおります。  そういうことで、やはり今後は物価も十分注意をしなければならぬが、同時に景気の方に対してもほっておくわけにはいかぬではないか。十分な配慮が必要である。だから、物価と景気と双方に対して十分配慮をしながら、政策を総合的に進めてまいりましょうというのが現段階の認識でございます。

武部文日本社会党

○武部委員 物価の上昇の原因の一つに、卸売物価と消費者物価の連動性の問題がありますが、私どもは、日本の物価の動向を私どもなりに見ると、卸売物価と消費者物価の連動性は薄いと見ておるわけです。そういう意味で、卸売物価は確かに下がっておりますが、卸売物価が下がったから日本の消費者物価はそれに連動して今後は下がるだろうという見方は甘いじゃないかという見方をとっております。これについてどうお考えか、それをまずお伺いしたいのです。  もう一つは、確かに成長も大切です。しかし、物価の安定がなくて成長ということは私は考えられない。どんな経済政策、成長政策をおとりになっても、それは役に立たないものだというふうにも思うわけですが、その点はいかがでしょう。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 物価重視のいまのお考えは、私どもも全く賛成でございます。現在の段階では、物価が安定しませんとすべての経済政策は成功しない、こう思っております。したがいまして、九月五日の対策も、これまでの景気対策と違いまして、物価を非常に重く見ておりまして、対策のスペースの半分は物価対策に割いておる。この点からも御理解していただけると思います。物価を安定させ、それを機軸としていろんな政策を展開していく、これがいまの基本的な姿勢でございます。  卸売物価と消費者物価との具体的な関係につきましては、物価局長から説明いたします。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 消費者物価の中で、いわゆる卸売物価の影響を受ける商品のウエートを計算いたしますと、約五千三百ございます。残りが、一つは季節商品、これは生鮮魚介、野菜、果物、サービス関係、それから公共料金ということになりますが、そういう状況でございますから、いまおっしゃいましたように、すべてが卸売物価の影響を受けるということでないことは御指摘のとおりだと思います。しかし、五割近く占めているということは、消費者物価の動きに非常に大きな影響を持っているわけで、そういう意味で卸売物価との連動は十分考えられると思っております。しかし、他方、季節商品とかサービス、公共料金等のウエートもかなり大きいわけでございますから、そういうものはそういうものとして、また別途その動向を見ていかなければならないと思います。

武部文日本社会党

○武部委員 長官は七月ごろに、八月までの数字を見てから考えたい、したがって、その月々の数字自体よりも傾向である、こういうことをあなたは記者会見で述べておられることが報道されておりました。確かにその一月一月の数字よりも、これからどうなるかということが問題だとおっしゃった。したがって、八月までの数字を見てからということでしたが、九月は、先ほど同僚議員から話がございましたように、東京都区部で八・九という数字が出ております。これは前月比一・七でありますから、年率換算は二二・四という数字になります。この年率換算がいいか悪いかは別としまして、そういう数字が現実に出てまいりました。九月にそうです。こういう中で、一体今後の見通しはどうだろうか、これが私は一番大きな問題として、国民の関心も深いだろうと思うのです。  先ほどお述べになりました、九月五日の経済対策閣僚会議の「経済の現状と経済運営の基本方針」、この中に確かに物価の項目が載っております。六項目ありますが、この六項目を読んでみましても、これはいままで何回か物価問題が論議されるたびに政府が対策を立てましたものと、ほとんど変わりありません。そう極端に大きな対策が出ておるものではないのでありまして、これによって今後の日本の消費者物価が大幅に緩和されるということを考えることはできないのではないか、このように私は思うのであります。  そこで、先ほどからいろいろ話を聞いておりますと、物価上昇の最大の原因は天候である、冷夏である、そこから生まれてきた野菜だ、こういうふうに、いわゆる自然現象が犯人扱い、野菜や果物が犯人扱いになっておる。しかし、ウエートの点から見るならば、野菜というのは一万分の二百八十にしか当たらないのであります。むしろ生鮮魚介なりあるいは塩干魚介の方のウエートが、両方で四百五十ですから、この二百八十の野菜よりもはるかに高い。また、外食あたりは七百二十七というウエートであります。したがって、野菜だけがこの原因であって、野菜対策をやれば、あるいは天候が回復すれば物価が安定するのだというようなことは、これは他の物価値上げの犯人から目をそらすようなやり方ではないか、このように私は思うのですが、これについてどうお考えでしょうか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 八月、九月と八・七%、八・九%となった原因の相当部分は冷夏による影響であったと思うわけでございます。そういうことで、先ほど申し上げましたが、九月の一・七%上昇によって寄与度が生鮮食料品等で〇・九%となったということで示されていると思います。しかし、一方季節商品を除く総合の方も現在の段階まで八・三%ということでございますから、これはまだ高い水準にあるということは、私どももそのとおりだと思っております。ただ、この季節商品を除く総合につきましては、先ほども申し上げましたように毎月の上昇率がかなり鈍化してきておりますので、前年同月比ということで見てまいりますと逐月低下していくというふうに見ているわけでございまして、私どもとしては季節商品を除く総合についての低下を図りますと同時に、季節商品について、特に野菜を中心としてこれもこれから水準が下がっていくように努力をしていきたい、両方について対策を進めていこうということで考えておる次第でございます。

武部文日本社会党

○武部委員 政府の五十五年度の見通しは六・四であります。一体この六・四という数字はどんな数字だろうか。これにはいろいろと問題があると私は思うのです。私は、高過ぎると思うのです。かつて、この委員会に参考人としておいでになりました方から、私どもは日本の物価の水準はいかにあるべきか、どの程度が大体正しい水準だろうかということをやりとりしたことをいま思い出すのでありますが、中山伊知郎さんはそのときにこうおっしゃった。わが国のいろいろな状態、経済状態、国民生活、そういう点から見て消費者物価の上昇は五%以内が最も理想的だ、五%以内でなければならぬと思う、こういう答弁があったのです。もちろんこの数字につきましてはいろいろと異論、意見もあるでしょうけれども、この六・四という数字は、今日の国民の生活水準、これから後で申し上げますが、勤労者の生活水準あるいは老齢化社会の中における年金の水準、そういうものから見て決して低い数字じゃない、むしろ高過ぎるのじゃないか、この目標は高過ぎると思うのですが、この六・四すら現在非常にむずかしい状態になっている。したがって、私は、この六・四にするために今日この高い物価をこれからどのようにして政府が下げようとしておるのかという具体的なことをお聞きしたいのですが、その前に、いま申し上げたような点から若干の問題を提起したいのであります。  ことし春闘が行われましたが、五十四年は四・八%、五十五年は六・四%という消費者物価、この中で最低八%を目標にして春闘が行われたわけです。結果は七%弱という数字になっております。現在までの実質賃金の上昇率を調べてみると、昭和四十九年以来全産業でほぼ二%台、昭和五十二年には〇・五%という実質賃金に低下しておるのであります。賃金の上昇、賃上げが労働生産性を上回ると物価が上がるのだ、そういう意見があります。したがって、物価が上がるのだといって賃上げを抑制する、そういう傾向があったことは否定できないのであります。先ほどから申し上げておりますように、実質賃金の上昇というものは、ここ数カ年はほとんど問題にならぬ数字になっておる。昭和五十年を一〇〇として、五十四年、昨年名目賃金では全産業で一三九・九です。製造業で一四〇・八。この数字に対して労働生産性の方は一四七・六、はるかに高いのであります。労働生産性を名目賃金がはるかに下回っておる、こういう状況が出ておるのであります。したがって賃金コストはだんだん下がってまいりまして、五十年を一〇〇とすると九五・四という賃金コストになっておるのであります。そこで、この結果から見るならば、勤労者の賃金が現在の物価を抑制する上で非常に大きな功績を上げた、このように結果としては見ることが間違いないことではないだろうか、私はこのように思うのであります。二%台の実質賃金をそれでも保っておったのですが、ことしに入ってからずっと実質賃金はマイナスが続いています。ここに具体的な資料を持っていますが、時間の関係で一々読み上げることはできません。ことしの二月以降実質賃金はマイナスがずっと続いておるのであります。しかも八月には三・五%という大幅ダウンであります。こういう実質賃金の減少が現実に出ておるのであります。  さらに総理府統計局の家計調査、これを見ましても、同様に勤労世帯の実収入は、一月と七月をはねまして、七月はボーナスが入りますから除いて、全部マイナスであります。そういうふうに実収入もマイナス、可処分所得、いわゆる手取り、これもマイナスが続いておるのであります。こういう中で四月には何と可処分所得は五・四%もマイナス、こんな数字が出ておるのであります。  なぜこのようなことになったのでしょうか。賃金はろくに上がらぬのに物価だけがどんどんどんどん上がっていく。八%台で上昇する、こういうことであっては、賃上げをじっと耐え忍んできた大衆が大変大きな不満を持つことは当然だと思うのです。したがってこういう状態の中でこれ以上実質賃金をマイナスにさせて、そして物価の上昇が続くということは大変なことだと思うのです。一体政府が約束したところの六・四、この数字をどうして守っていくのか、これが守られなかったということになるならば、これは勤労者に対して大変な裏切りだと思うのです。賃上げを耐え忍んできた勤労者、マイナス、こういう状態がどんどん続いておる、こういう中で六・四すら守り切れないということになるならば、これは勤労者に対する大変な裏切りだ、こう言って差し支えないと私は思うのですが、その原因が、いまおっしゃるように、ただ単に季節物の値段が上がっておるからというようなことで、その対策のみに目を奪われていくというようなことでは、私は六・四という数字は決して守れない、このように思います。すでに新聞紙上ではバス運賃の値上げの申請が行われるのではないか、こう言われております。郵便料金の値上げ問題もすでに国会にかかっております。先ほど来石油の問題がありますが、すでにタンカーの保険料は三倍に値上がりになっておる。スポットの値段だってすでに、先ほどもお話がございましたけれども、私はそんな数字ではなくて、すでに三十八、九ドルぐらいになっておるのじゃないか、こういうふうに思いますから、そういう物価値上げの火種がほかにもまだある。こういう中で一体六・四%という数字をどうして実現するか、この点について企画庁長官の見解をひとつ聞いておきたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしのベースアップ、約六・七%というものが決定されました背景は、政府がことしの消費者物価六・四%というものを責任をもって実現をいたします、こういう約束の上にこのベースアップが妥結されたものと私どもは理解をしております。それで、この六・四%という消費者物価水準を実現するということは、これは政府としては、先ほど来申し上げておりますように、最大のことしの責任だ、私はこう思っております。  そこで、先ほども九月五日の六項目対策、これを強力かつきめ細かく実行するということを申し上げましたが、それによりまして順次ことしの後半の消費者物価を下げていきたいと思っておりますが、上半期が比較的高い水準、八%強という水準で推移いたしましたので、下半期は平均四・六%という水準にしなければ、六・四という数字が実現できません。そこで、下半期平均四・六という、一遍にはこれは実現されません。漸次下げてまいりまして、そしてその平均を四・六とするという、その目標を達成するために、最大限の努力を引き続いて行ってまいりたいと考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 いま六項目の問題を取り上げられたわけですが、私は、それでは次のような具体的な数字を示して、見解を承りたいのであります。  ことしの四月からの物価上昇率をずっと見てみますと、前月比で見ますと四月が一・七、五月が〇・九、六月が〇・三、七月が〇・二、八月はマイナス〇・一ですが、九月は、先ほど申し上げるように一・七です。これは東京区部ですが、大体東京区部の数字は全国にほぼ横ばいいたしておりますから、恐らく九月は一・七という数字が間もなく出るでしょう。そこで、これを合計して今後の物価の指数との対比をしてみました。そういたしますと、九月に一・七上がった、そのまま十月以降来年三月まで全然物価が上がらない、そんなことはちょっと考えられませんが、仮に十月以降全然物価が上がらないという数字をずっとはじき出してみても、合計は七・六%という数字になるのであります。六・四じゃないのです。後の十、十一、十二、一、二、三、六カ月全然物価が上がらないということを見てさえ、七・六という数字になるのです。こういうことは、いままでのずっと長い物価の上昇、たとえば一月、二月、三月には何が上がってくるか、これはもう出ておるのです。ほとんど変わりはない。そういう傾向を否定はできないと思うのです。そうなってくると、この七・六、最低でもですよ、こういう数字が算術計算の上で出てくる。もし、六・四にするためには、いまあなたがおっしゃったように、これから物価をどんどん下げていかなければ、そういう数字にはならないのです。下げていくためには、一体何をどのぐらい下げるのか、何に最大の重点を置いて、どんな政策をとるのかという具体策がなければ、やはり国民も安心できないし、納得できないと思うのです。むしろ値上がりの方の火種の方が、先ほど言うように、バスだってそうです、公共料金だって、すでに値上げの法律が出ておるのですからね、石油だってそうです。そういう火種の方がむしろある。こういうときに、六・四ということが、現実にどんなにこの六項目をお述べになっても、具体的な対策がなければ、国民は納得できないと私は思うのです。いま一度この点についてお伺いしたい。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 いま、数字で御指摘になりましたが、最初の御指摘の七・六%につきましては、その前提として九月の物価水準がそのまま横ばいで行くという前提で計算されたのでございまして、その限りにおいてはそのとおりの数字になると思います。ただ、消費者物価の動きを見ますと、九月の水準というのは季節性がありまして、非常に高いところにございます。それは、たとえば繊維製品でございますと、秋冬物衣料が登場してまいりますと高値で出てまいります。しかし、それはシーズンが深まるにつれて下がっていくものでございます。また、季節商品につきましても、野菜等はやはり九月ぐらいが一年の中で一番高い水準にあるということでございますので、そういう季節性を考慮しなければならない消費者物価につきまして、九月の水準がそのまま維持されるという前提で計算するというのはどうも適当ではないのではないかと思っております。特にことしは野菜が異常な高値にありますから、それがまた横ばいでいくということもどうかというふうに思っております。  ただ、いずれにいたしましても、現在まで八%台で来ておりますから、その点についてはこれから非常に厳しいというふうに私ども思っております。  そこで、対策でございますが、まず季節商品につきましては、何と申しましても野菜が非常に高い水準にあるわけですから、これが今後さらに供給の安定を確保して平常の水準に戻っていくように、そういう努力をしなければならないと思っているわけでございまして、緊急対策は実施いたしたわけですが、さらに一-三月につきましても、価格の安定を図るような対策をすでにとっているところでございます。  それから、その他のものにつきましては、公共料金は厳しく査定をしていくということはもちろんでございますし、一般商品、サービスにつきましても、現在の六項目の対策を動員いたしまして、ともかくその価格の値上がりを抑えていくような努力をしていかなければならないと思っております。そういう際に、下がっていくものがあるのかということでございますが、繰り返しになりますが、野菜等は、九月の水準は大体一年で一番高いものでありまして、これは当然に下がっていく傾向にあるわけですが、それをさらに推進するということでございますし、一般商品につきましても、たとえば非常に大きなウエートを占めております繊維品等は、月を追うに従ってだんだん下がっていくものでございますので、そういうようなものをあわせて今後の価格が安定していくような努力を続けたいということでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 そういう自信がおありになって大変結構なことで、ぜひそれの実現を図ってもらわなければなりませんが、私は、並み大抵なことでは、この六・四などという数字に近づくということはむずかしい、そう思っているわけです。  そこで、時間の関係で、いずれまたこの問題は次の委員会でやりたいと思いますが、先ほどちょっとお述べになりました四党合意の五百億円の問題であります。この四党合意の五百億円の物価対策費について、大蔵大臣はちと勘違いをしているようです。狂乱物価になったら使うんだというようなことを予算委員会の中で述べたようでありますが、これは認識不足もはなはだしいのでありまして、この五百億円が合意になったのは、予算編成の最終決着を見る直前に四党合意の中で生まれたものであります。しかも、この物価の上昇がどうも六・四を上回るようだ、心配だ、したがってこの予備費の中から五百億円の金を捻出して、これで何とか考えようじゃないかと言い出したのは、ほかならぬ自民党の安倍政調会長だ。この四党の合意事項の協議に出た私の方の政審会長がそう言っておるのでありますから、間違いない。非常に積極的だったのはむしろ自民党の政調会長だった。そういうことであったにもかかわらず、大蔵大臣は出し渋って、狂乱物価でなければ出さぬとか、いま物価は安定しておるから金を使う考えはないとかいうようなことを予算委員会で述べておったようですが、私は、これは大きな間違いだというふうに思います。二月ごろの合意でありますが、すでに実績に、四月は前年同月比で八・四という数字になっているわけですから、それがずっと続いて今日に来ておるわけです。したがって、いまお話がございましたように、六・四ということをあなた方が至上命令としてやりたい、と。具体策を聞くと、なかなかいいものは出てこない。それならば、この五百億円を使って、当面一体何ができるだろうか。これはむしろ経企庁なら経企庁が積極的にこの問題を取り上げるべき責任があるように私は思うのです。この間のやりとりを聞いておりますと、長官は、ゴーが出れば一日でりっぱな結論を出してみせる、こういうようなことが出ておりますが、一体どういうりっぱな案があるのか、ひとつ示していただきたいと思うのです。国民の前に、われわれはこういう考え方があるんだということが出れば、なるほど、あなた方が六・四にするという熱意のほどが具体性を帯びてくるのですけれども、それなくして何とかがんばってやるとか、天候が回復するだとか言ったって、それはちょっと国民の側としては受け取れませんし、私自身もそれを納得することができません。したがって、この五百億円という問題について経企庁は一体どういう考え方を、また大臣としてはどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ積極的な意見を聞かせてほしいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 実はこの五百億円の使途につきましてまだ完全な意見統一というものがないのじゃないか、私はこういう感じがするのです。と申しますのは、四月に野党三党から消費者物価安定のために三つの具体的な方策を示されまして、こういう方向に至急お金を使え、こういう申し入れがございましたが、それに対する自民党の回答を見ますと、いま物価は生活二法を発動するような急上昇の状態にはない、まだ使うのは早い、こういう趣旨の回答がされております。そういうことで若干の認識の違いがあったのじゃないかと思いますが、しかし、幸い予算委員会、本会議等の議論を通じまして最近は大分進歩してまいりまして、有効な対策があればひとつ使いましょう、こういう合意が大体でき上がりつつあるのではないか、こう思います。しかしながら、完全にゴーのサインが出たわけではございませんで、二十一日に野党三党と自由民主党の四党の政策担当者の間でこれについての最終の相談があるようでございます。私どももゴーのサインが出れば、十分いま案を練りつつありますので、いつでもこれが直ちに今後用意できる、こういう準備をしなければならぬと思っておりますけれども、何分ゴーのサインが正式に出ないものを私の方から先走ってこういう案があるというようなことを言うのもいかがかと思いまして予算委員会でも差し控えさせていただいたわけでございますが、ゴーのサインが出ればできるだけ早く具体案を示したい、こう思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 確かに四月に申し入れをいたしました、生活二法が確かにその中に入っておりました、これは私も承知しております。  それから、使い道についても、われわれは五百億円を何に使おうかと思って、一生懸命、ない頭をひねって考えました。ここに当時示した原案を持っておりますが、たとえば野菜に何ぼ金を使うとか、モニターをどうするとか、オンブズマンをどうするか、いろいろなものを出しました。自民党はにべもなく当時これを拒否をしたのですよ。私、拒否の回答を持っていますが、もうにべもなく回答した。しかし、六・四はいま現実に達成不可能ですよ。そうなってくれば、この五百億円というのは願ってもない金なのですから、これを当面直ちに発動して使って、そうして物価鎮静のために国民の前にこれを明らかにすることは必要なことだし、大変私は時宜を得たものだと思うのです。あなたはゴーがなければ言わぬとおっしゃるけれども、もうすでにゴーが出たと同じことなんですよ。みんながそういう空気になって、もう物価も六・四はむずかしい。それではどうして下げるか。下げてみせるとおっしゃるが、それでは具体案はと言うと何だかわけのわからぬごとになってしまう。ですから、もう具体案をお出しになったらどうでしょうか。あなた方が野菜ということを言われるなら、野菜に対して作付面積をふやせ、作付面積をふやしてそれが暴落したらどうするかと言って必ず反論が出る。暴落をしたときにはその金をもって充てるとかいうようなことだってすぐにでもできることじゃないでしょうかね、ただ一つの例ですが。そういうようなことをしながら、季節商品季節商品、野菜だとおっしゃるなら、野菜対策について一つの方法だって出るはずなんですよ。そんなことをお考えでしょうか。そういう具体性がなければ、このゴーが出れば一日でもつくってみせると言われたって余りどうも信用できぬので、そんなことをお考えでしょうか。その点をちょっと触れていただけませんか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いずれにいたしましても、だんだんとこの五百億は使っていくべきだ、こういう議論が深まっておるということは私は大変いいことだと思います。また、事実、常識から考えましても、狂乱物価にならなければこの金は使わないのだというようなことでは、これは予算修正当時の趣旨から考えましても少しおかしいのじゃないか、こう私も思います。六・四%を実現するためにこれを使うのだ、当然そういうことでなければならぬと私は理解をいたしますが、しかし、いずれにいたしましても少し食い違いがございますから、早くこの意見を調整していただく、これがもうぜひ必要だ、こう思います。私どもの方もこの準備を進めてまいりまして、二十一日に完全な合意ができれば具体案がすぐに発表できますようにその準備は十分進めてまいりたいと思います。

武部文日本社会党

○武部委員 二十一日はもう間もなくですから、私どももこの二十一日のことについていろいろな案をいま練っておるところですから、ぜひ自民党側としても一日も早く合意をし、決まればいま長官おっしゃるように早速具体案をつくっていただいて、国民やわれわれに示してもらわなければならぬ。そうでなければこの六・四ということについての危惧はいささかも薄らぐものではない、このように思いますから、その努力をぜひお願いをしておきたいと思います。  私は経済成長率のことをちょっとお伺いしたがったのですが余り時間がありませんから、ただ、先ほど同僚議員からもお話がございましたように、四・八というのは非常にむずかしい状態になっておる、これは間違いないと思います。たとえば実質国民総支出を見ますと、ことしの一月から三月は〇・八でした。ところが、四月から六月になると〇・一です。これは年率にして二・五%です。それならば七月から十月まではどうだ、これもいまの予想では四月から六月までとほぼ同じ数字が出てくるのじゃないか。したがって、上半期は実質成長二・五、こういうことになる可能性は非常に強くなっておる。予定の約半分ですね。こういう中で一体四・八という実質成長ということが可能になってくるかどうか、大変疑問に思います。  企画庁が「五十五年度経済見通し暫定試算」というものをお出しになっておりますが、見通しと暫定が大変に狂っておりますね、大幅に変わっておる。特に民間住宅なんというのはほとんどお話にならぬ数字になっています。民間最終消費支出、これは経済成長の半分以上を占める大変重要な項目であります。先ほど申し上げるように、勤労者の実質賃金はダウンです。消費支出もダウンです。みんなが軒並みにダウンになっておる。こういうときに五〇%以上を占める民間の実質最終消費支出を二・二%に訂正されました、名目は八・三ですが。実質三・七という政府の見通しが二・二に下がっています。これすらいまのような状態ではとてもむずかしいじゃないかというように思われます。したがって、この経済成長率というものに対して経済企画庁長官はどういう見解をお持ちなのか、一つだけお伺いいたします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 大勢は御指摘の方向だと思います。ことしの上半期は四・八%以下の成長で推移しておると思いますが、そこでこれではいかぬというので、先月の五日に八項目の対策を立てたわけでございます。強力なものでございませんけれども、まだそんなに景気が悪くなってしまったという段階ではありませんので相当な効果があると考えております。しかし、私も確信があるわけじゃございませんので、十一月の末にはまたいろいろな経済指標が出てまいりますのでそれを精細に分析をいたしまして、必要とあらばまたいろいろな対策を考えることもやらなければならぬのではないか、こう思っております。  いずれにいたしましても、ある程度の経済成長をいたしませんと雇用問題にもかげりが出てまいりますし、国際競争力の維持もできない、こういうことでございますから、やはり何といたしましても日本経済を安定成長路線に定着させる、そして実質国民所得を充実していく、国民生活を向上させていくというのがいまの内閣の基本路線でございますから、安定成長路線に定着させるためのいろいろな方策は引き続いて進めてまいりたいと考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 この実質成長の問題で暫定試算をお出しになった説明書もございますが、民間住宅に相当ウエートを置いていこうというのはこの経済対策閣僚会議の中にもございます。しかし、現実にこれだけ実質賃金がダウンをしてふところが寒くなって貯金もどんどん目減りをしておるのです。調べてみると貯金も全部マイナスなんですよ。そういう中で住宅公庫が何ぼ金を貸してやるから家を建てろと言ったって、とてもじゃないが家なんか建てるような気持ちになりません。ですから、お出しになったこの暫定試算の住宅だって、こういう数字でとどまるということは私は考えにくい、考えられないというふうにも思うわけです。  それはそれといたしまして、先ほどから申し上げますように、消費がふえなければ景気は上向かないわけですから、そういう意味で、消費がふえるためには一体どうするか、それはもちろん実質賃金も向上しなければなりませんが、とにもかくにも物価が下がらなければ問題は解決しないというところに最後には戻ってくるだろう、私はこう思うわけでありますから、ぜひとも六・四%というのは経済成長を達成するためにも何としても守り抜かなければならぬ重大な数字だ、このように指摘をしておきたいのであります。  時間が来ましたから、そこで私は、今度は石油問題についてお伺いしたいのであります。  先ほど同僚議員からいろいろお話がございましたように、石油問題というのは、日本の物価にとっては大変大きなウエートを持つものであります。私も開戦前夜のイラクへ行った一人でございますが、イラクからの輸入量というのはどんどんふえています。イランから一滴も油が入らなくなってからイランの肩がわりがイラクになって、八月の通関ベースは八・九%のシェアがイラクにあるようです。したがって、イランの石油の肩がわりはイラクとアラブ首長国連邦、サウジアラビア、どうもこれに肩がわりしておるように見えます。今後サウジアラビアがどれだけ増産するか、アラブ首長国連邦がどれだけ協力していくかわかりませんが、青木委員からお話がございましたように、中東の政治情勢はわれわれが日本で考えるようななまやさしいものじゃないということを、私は現実に見て帰った者の一人であります。中東で最も大きい産油国のサウジアラビアが、一体いまの政権がこのまま安定して続くだろうかということについてさえ私ども六人の意見は一致しました。これは大変な国だ、そういうことになったときにはとてもサウジアラビアからこれだけの大量の石油をわが国が輸入することは不可能になってくるのではないだろうか。したがって、これからの日本の石油対策というのは中東依存から、あるいはメキシコ、南方、中国というところに目を向けていかなければ、石油対策としては万全ではないだろう、こういうふうな見方も持っておるわけです。  これは改めてまたの機会に譲ることにいたしますが、こういう中で、先般石油会社の決算が新聞に発表されました。これは九月でありますが、大法人の三月期決算が発表になっています。石油会社は一挙に十倍の所得、こういう大見出しで報道されたのであります。大体十・六五倍というのが正確な数字のようでありますが、その中で、興亜石油に至っては何と四十一倍前期に比較して所得が伸びておる、こういうことであります。順番の中ではるかに下であった日本石油も十四番手に躍り出ておるのであります。一体これはどういうことだろうか。  確かに、石油会社が円安の問題や、あるいはOPECの値上げに関連をして値上げを始めたということは大体わかっておりましたが、ずっとこれを調べてみると、五十四年三月から五十五年四月までの一年間に石油製品は八回値上げをされておるのであります。しかも、この中で最大の値上げをやったのは昭和石油でありまして、キロリッター当たり四万三千五百七十円も値上げをしておるのであります。一番低いところでゼネラルの三万六千八百六十円、したがって、キロリッターで平均四万円ぐらい値上げをしておるのであります。そういう中で、いま申し上げたように、石油大手が莫大な利潤を上げておる、こういうことであります。  この報道が新聞に出ましてから、新聞に投書が相次ぎました。私はそれをちょっと見出しを拾ってみましたが、投書には何と出ておるか。「経済倫理問われる石油会社の大黒字」「納得できぬ石油好決算」、こういう投書が相次いで新聞をにぎわしておったのであります。一体、エネルギー庁は、四十一倍にも上るような興亜石油、そういう石油会社の好決算はどこに原因があったと見ておられるのか、それをちょっとお伺いしたい。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 五十四年度の石油会社の決算でございますけれども、これは三十六社ベースで申し上げますと経常利益で二千九百十五億円でございます。確かにこれを前年度五十三年度の五百三十四億円の経常利益と比べますと二千四百億円の増益ということで非常に大きな増益であるわけでございます。ただ、対前年度比二千四百億円の増益というものについてどう評価するかという問題であろうかと思いますが、これは一つには私どもの考えでは、五十三年度の五百三十四億円というのが、当時ガソリン市況が乱売によって著しく混乱をいたしまして落ち込んだわけでございます。そういったことで、五十三年度の五百三十四億円の経常利益というのがやや悪過ぎたのではないかというふうに思っております。この五百三十四億円の売上高、経常利益率というものを見ますと、これは〇・三七%でございます。非常に低いわけですね。当時の製造業の売上高、経常利益率、これは三・四九%でございます。製造業平均と比べましても非常に悪いということで、五十三年度の石油産業の収益状況というのはむしろ非常に悪い時期であったというふうに思っております。  それに対して五十四年度、これは先ほど申し上げましたように約二千九百十五億円の経常利益でございますけれども、これの売上高、経常利益率を見ますと一・三五%でございます。五十四年度の製造業平均を見ますと四・五六%でございます。そういう面から申しますと、なお、もう一つ申し上げますと、五十二年度の石油産業の経常利益、これは二千八百五十億でございます。したがって五十三年度というのが非常に悪い時期であって、五十二年度と比べてみますと五十二年度の水準をやや上回る水準、これが五十四年度の水準ではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、五十四年度の石油会社の高収益というのは、収益状況が非常に好転したというのは五十三年度においてガソリンを中心として非常に乱売が行われて価格が下落したということによる五十三年度の低収益、そこに原因があるというふうに思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 そうすると、こういうことになったのはあたりまえのことだ、これは何も別に大したことない、こういうお考えですか。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 私どもといたしましてこの二千九百十五億という経常利益について、これをもって非常に高収益であるというふうには必ずしも言えないのではないかというふうに思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 それは全く私どもと考え方が違います。そんなばかなことはないのです。石油会社はこれだけ大もうけをし、石油製品を八回も値上げされてこれを買う方は大変なことになっているのですよ。そういうときに二千八百、二千九百、三千億近いものを上げたからといって別に大したことはないというような考え方は、私は間違いだと思うのです。このことについては、私一つ一つの会社のあれがございますから、それでは改めて次の委員会でやりましょう。  それから、毎年この委員会でいろいろ問題になってきますが、灯油の問題です。  灯油の値段を調べてみると、一遍値下げしていますね。片っ方ではどんどん、どんどん上げておるが、ちょっとぐあいが悪いと見たか、灯油だけをちょっと下げています。七月に下げていますね。しかし、これは下げたのは五百円から六百円ぐらいですね。キロリッター五百円下げていますが、五百円下げると、灯油一かん十八リッターに換算すると九円から十円にしかなりませんよ。そういうふうに、灯油はちょっと下げたようなかっこうをとっておりますが、片っ方では四万何千というのをどんどん上げておるのですからね。一体、現在市場に出回っておる灯油の値段というのが妥当な数字だ、金額だ、そのようにお考えでしょうか。  五十五年八月、総理府統計局の東京区部は千五百九十四円という数字であります。これからいよいよ需要期に入るわけでありますが、こういう中でこれだけ利益を上げ、しかも灯油はだぶついておるということが言われておりますが、この千五百九十四円という数字、これはどうでしょうか。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 先生御指摘のように、この六月末から七月にかけまして、これは灯油だけとおっしゃいましたけれども、元売仕切り価格の引き下げというのを石油会社におきまして行ったわけでございます。これは当時石油価格、GSPの引き上げがあったわけでございますけれども、反面円高であったということで、その辺を考慮いたしまして、元売各社におきまして石油製品価格の引き下げを行ったわけでございます。  それで、現在の小売価格の状況でございますけれども、先生御指摘のように、東京都区部におきまして、八月、十八リットルの配達価格でございますが、千五百九十四円、これは九月ではまた引き続いて千五百八十一円というような形に、若干でございますけれども、下落をしております。それで、ピークが大体六月ということで、六月をピークに七、八、九と小売価格が低下を続けておるというのが現状でございます。  これについてどう見るかということでございますけれども、一つの比較をしてみますと、五十三年の十二月、これはイラン革命、イラン政変の直前でございます。イラン政変を契機にいたしまして、GSPの引き上げその他が非常に行われたわけでございますので、そのイラン政変の直前の五十三年十二月とこの八月の原油の輸入価格、CIFを比べてみますと、円ベースで申しますと二・八倍でございます。五十三年の十二月からことしの八月までの間において、原油価格は円ベースで二・八倍になっておるわけでございます。  それに対して灯油の現在のレベルというのは、東京都区部の数字で申しますと二・一七倍ということで、まあ約二・二倍でございますね、その程度の水準になっておるということで、私どもといたしまして、確かに石油製品、特に灯油の価格について、これは国民生活に非常に大きな影響があるということで、元売仕切り価格の引き上げに際して十分に会社の方から事情を聞いておりますし、また、流通過程において不当な行為があってはいけないということで、従来から自治体あるいは通産局あるいは消費者モニターを使いまして厳重に監視を続けてまいっておるわけでございますけれども、そういう便乗値上げであるとかあるいは不当な行為があってはいけないということではございますけれども、同時に、原油価格が上がった、それによってコストが上がる、そういったコストについてはやはり市場を通じて適正に反映させていくということが、これはまた適当ではないかというふうに思っておるわけでございます。  そういう観点から申しますと、先ほど申し上げた原油価格が二・八倍になっておる、それに対して現在の灯油の価格レベルというのは二・二倍弱というような水準になっておるということでございますので、これをもって不当な便乗値上げがあったというふうに考えるというのは必ずしもできないのではないかというふうに思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 いろいろ御説明がございましたが、現実に大手の石油会社がこれだけの利益を上げておるのですから。しかも、いまは円高ですよ。円安と違って円高。この四月の円レートは二百五十二円十八銭、今日十月ではもう二百八円から二百九円。この円高でまたこの石油会社は、異動はございますけれども、円高で利益はどんどん出ておるのですよ。そういう中で、特に国民に最も重要な、これからの需要期を控えた民生用灯油、そういう問題については、わずか五百円や六百円ぐらいの値下げを一遍やってお茶を濁すような、そういうことではなくて、通産省としては、この民生用灯油の値下げの行政指導、そういうことを私はやるべきだ、このように思うのですが、見解はどうですか。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 先ほど申し上げましたように、六月から七月にかけて値下げをしたわけでございますけれども、その後の状況を申し上げますと、現在確かに当時と比べてかなり円高になっておるということは事実でございます。ただ、同時に、七月一日及び八月一日からサウジ、イラク、クウェート、UAE、そういった有力な産油国において価格の引き上げをやっておるわけでございます。  現在の状況を私ども考えてみますと、この円高と、それから、いま申し上げたような各産油国の原油価格の引き上げ、これが大体見合ったような状況ではないか。いずれにいたしましても、レートというのはかなり変動いたしますし、今後の先行きというのは必ずしも明らかでないというような状況だと思います。したがって、現在、価格につきましては、先ほど申し上げましたように、便乗的な値上げ、そういったものについては厳重に私どもとしても監視をしていくつもりでございますけれども、ただ基本はやはり市場の自主性に任していくというのが基本ではないかと思っておるわけでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 何もこれから入ってくるものを使うのじゃないのでして、いまストックで山ほどあるのですよ、余るほど。そういうものをこれから使っていくのですから、別にいま二ドル上がったからといってそのことが直ちに灯油の値段に影響するとかいうようなことでは私はないと思う。そんな単純計算じゃないかもしれませんが、現実に量がだぶついてあるのですから、こういうときに、これだけの好決算をやり、さらには円高でまだふところが肥えていくようなかっこうなんだから、少なくとも国民の最大の関心である灯油、民住用灯油は、下げる行政指導を皆さんおやりになったらどうですか。それが物価の今日上がっていく中でせめてもの、一つでもやれることじゃないでしょうか。私はそういうことを言っているのですよ。  だから、いまの、二ドル上がったから――確かにサウジも上げましたよ。一・七ドルですか上げました。これからのことでしょう。入ってくるのは先の、これは何十日も後のことでしょう。そういうものをいま引き合いに出してどうだこうだとおっしゃったって、それはちょっと納得できません。ですから、民生用灯油の問題は、そういう国民に非常に関心の深い問題ですから、石油会社の利益、円レート、そういう問題もひっくるめて、ひとつ通産省としては最大の検討をして、物価値下げのためにもそういう行政指導に踏み切るということをひとつ協議してもらいたい。  この灯油の問題は改めて次回でやらせていただきたいと思います。  最後に、時間が来ましたから、この間から新聞をにぎわしております日本消費者協会の犯罪事件についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  いまのところ、私どもは新聞紙上や週刊誌で知る以外にございませんが、いろいろなところでいろいろな犯罪が起き、横領、詐欺、いろいろなことがございますが、消費者団体がこういう問題を起こしたということは寡聞にして私どもは知らないのであります。しかも、この日本消費者協会は、数少ない消費者団体に対する補助金をもらっているところの団体であります。一体どうしてこういうことが何年間もわからないで今日に至ったのか。聞くところによると四年以上たっておるようでありますが、「消費者保護を食い荒らす」というような大見出しで新聞が書いておりますように、国民、消費者はショックを受けたと私は思うし、私自身も、この日本消費者協会というのは過去、これはいろいろないきさつがあった団体でありまして、何回か委員会で取り上げたことがございますが、そういうことが突然出てきた。この原因は一体何であるか。現在、どういう程度にまで判明しておるのか。この対策をどう考えておるのか。きょうは時間がございませんからお聞きするだけにいたしますが、この日本消費者協会の横領犯罪事件について所轄官庁である通産省にひとつ見解をお聞きしたいと思います。

神谷和男通商産業大臣官房審議官

○神谷政府委員 御指摘のように、財団法人日本消費者協会におきましていわゆる使い込み事件が起きましたことはきわめて遺憾でございます。私ども同協会を監督する立場にございますものといたしましては、特にただいまも御指摘がございましたように、なぜもっと早く発見できなかったのかというような点、要すれば協会の内部管理体制の整備についてより深く調べ、より早く十分指導しておればもっと早く発見できたかもしれないというふうに考えておりますので、その点、きわめて申しわけなく思っておる次第でございます。  経緯並びに法人の概況等につきましては当委員会に書類で御提出をする運びになっておると存じますが、一言で申し上げますと、私どもといたしましてはことしの五月ごろから経理内容、この協会、いままでも本事件とは別にきわめて悪かったものでございますから、これを健全化するための一環として財務内容を再検討するよう指示しておったところでございますが、その過程におきまして七月の初め、協会から決算書類に不整合がある旨が判明したという連絡がございましたので、引き続き詳細に調査するよう指示しておったところ、本年の八月四日、経理関係を一手に所掌しております当時の庶務室長高田から不正流用の事実の申し出、不正流用の事実を認めたという事実がございましたので、協会といたしましては同人を九月一日付で懲戒免職処分にいたしますとともに、九月五日に東京地方検察庁に同人を業務上横領の疑いで告訴した次第でございます。十月二日、同人が逮捕されまして現在取り調べ中でございます。  原因といたしましては、先ほど申し上げましたように同協会の内部管理体制に基本的な欠陥があったというふうに考えられます。私どもも事業の実施状況等につきましては、補助事業を実施させておることもございまして常時報告を徴収し、補助事業の実施状況については監査、監督も行ってまいったわけでございますが、この体制の整備についてのチェックが不十分であったというふうに考えられます。  まず当面はやはり事実の解明、これを待って基本的に今後同協会をどのように持っていくかという問題について検討をすべきものと考えられますが、しかし、何よりもやはり内部管理体制は現在も動いておりますので、これを至急に整備するよう指導をしておるところでございますし、さらに大きな金額の穴があいておりますので、協会の財政面、財務面からも再建がどのようにできるかということについて協会の理事者側並びに職員一同と現在鋭意検討をしておるところでございます。私どもといたしましても十分指導し、相談には乗ってまいりますが、やはりそういう独立した公益法人でございますので、協会として自主的に今後の問題を真剣に検討してもらいたいと思っておりますし、私どももそれを受けながら一緒になって考えてまいりたいと考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 時間が参りましたから、私はこの問題は後刻に譲りますが、一億二千万円の横領、しかも五十五年度でこの協会には補助金として通産省から八千万円の金が出ておる、自転車振興会から一億円の金が出ておるわけです。こういう小さな日本消費者協会でどうしてこんなことが起きたのか、この一億二千万円の使い道は一体何だろうか、これもまだよくわからない点があるようです。したがって消費者協会という消費者問題に直接関係の深い協会だけにわれわれはこの問題を非常に重要視しておるわけですから、きょうは一応の概要だけお聞きをし、次回改めてその内容について、あるいは今後の対策についてお伺いをしたいので、きょうはこれにとどめたいと思います。  以上で終わります。

井上泉日本社会党

○井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議

井上泉日本社会党

○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小野信一君。

小野信一日本社会党

○小野委員 先ほど大臣のごあいさつの中で、わが国の物価、景気についての所見をお伺いしましたけれども、実際の経済に直接携わってこられました大臣といたしまして、経済企画庁の部下が書いたものではないこれからの景気と物価について所見をお伺いいたします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 経済の現状と見通しにつきましては、午前の委員会でも申し上げましたが、そのとおりの私の考えでございまして、やはり現状では景気にやや心配がある、こういう感じがいたします。特に個人消費、住宅建設、ここに相当大きな問題があるように思います。それから貿易、設備投資は、若干問題はありますけれども、大勢としてはいい方です。こういう感じがいたします。  そこで、何と申しましても、いま一番大事なことは物価を安定させるということ。物価が安定いたしますと、金融政策の当事者におきましても機動的に金融政策を展開できます。現在の高い金利水準は相当経済の足を引っ張っておりますから、何としてももう少し金利水準を下げるということがキーポイントだ、こう思っております。だから、物価を下げるということは金融政策を機動的に行うことにもなりますし、あるいはまた国民の消費活動を盛んにするということにもなりましょう。それから、もちろんそれだけでは住宅投資は活発にはなりません、ほかにいろいろ事情がございますから。けれども、住宅投資を活発にする若干のプラスになるのではないか、こう思いますので、いま一番大事な対策は、やはり物価の安定、そしてそれによる金融の機動的な運営、こういうところにあるのではないか。これをしっかりやりますと、基調としてはそう悪くないわけでございますから、年度間を通じての四・八%成長というものは十分達成できる、来年の成長も安定成長路線に定着させることは可能だ、こう私は思っております。  以上が大体のキーポイントではなかろうか、こういう感じでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 大臣の答弁はおくといたしまして、次に局長にお尋ねしますけれども、昭和四十八、九年の狂乱物価の際には、卸、小売ともに三十数%の値上げでありました。第二次オイルショックは、卸売物価は確かに二十数%の上昇でありましたけれども、小売物価は九%前後で抑えられております。復習という形になりますけれども、なぜ第一次オイルショックの際にはあれほど狂乱物価になり、今回の場合にはまずまずの物価に抑えられたのか、どこに国の政策として、あるいは日本国民として違いがあったのか、その点を御説明願いたいと思います。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 前回のショックのときは同じ卸売物価の中でも原材料が上がって、そのすぐ後に消費財も上がるということでございましたが、今回は原材料価格の上昇と消費財の価格の上昇との間に非常に大きな差がございます。それが消費者物価の方にも影響してきているわけでございます。その大きな原因は、何と申しましても、第一次ショックのときの経験にかんがみまして、企業の行動も非常に落ちついた行動で、いたずらに価格の引き上げに走るというようなことがなかったということがございますし、消費者の面でも、当時のような買い急ぎの行動もなくて、必要なものを手当てしていくということがあったことが非常に大きな原因の一つではないかと思います。  それからまた、企業の面では非常に合理化が進みまして、それから省資源、省エネルギーといいますか、そういう面での努力もございましたので、その面でコストの上昇をかなり吸収したということもございます。それから賃金決定の面におきましては、経済全体の立場というものを非常に考えた賃金の決定がなされましたので、片方の生産性向上と相まって、賃金コスト圧力というものが非常に低かったということがございます。  それからさらに政府、日銀等におきまして前回の経験もありますので早目に対策をとったということでございまして、特にその中で通貨供給量の動きについては注意を払ってきた、そういうような国民全体の努力が今回の第二次石油危機に当たって大きな上昇をもたらさなかったという原因ではないかと思っております。

小野信一日本社会党

○小野委員 私は個人的には、昭和四十八、九年の第一次オイルショック、狂乱物価の最大の理由は、何といっても通貨供給量が非常に大きかった、二十数%昭和四十六年から三年間続いておった、このことだと思います。消費者も買い急ぎをしなかった理由は、過剰流動性のマネーが手元になかったから買おうとしても買えなかった、こういう金融環境が非常に厳しかったという理由じゃないのか、こういう見方をするのですけれども、もしそういう見方が正しいとすれば、当然、なぜ昭和四十六年から四十八年までの三年間過剰な通貨を市場に放置しておったのか、あるいは続けてマネーを供給しておったのか、これは経済政策の失敗といま評価しなければならないと考えるわけですけれども、当時はそれなりの事情があったにしても、なぜ過度の通貨増発を行っておったのか、その理由を説明願いたいと思います。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 前回のマネーサプライは、四十七年のころ二七%程度まで増加していたわけですが、一つには、いまおっしゃった当時の関係の中で円レートの動きその他について現在のような環境ではなかったということがございますし、経済全体として景気を高めていくというような動きがあったことは事実でございますが、同時にマネーサプライと物価との関係についての非常に密接な関係があるということについての認識がまだ足りなかったのではないかと思います。そういう点について前回の石油ショック以後、金融政策の面で通貨供給量の取り扱いを厳密に行うべきであるということが出てまいりまして、今回の対策の初めから、といいますのは、昨年の初めに海外の原材料価格さらには石油価格の上昇が見られた当時に早くから、そういう金融政策についての発動の中で通貨供給量の監視といいますか、管理、それを非常に大きなテーマに取り上げてやっていくべきであろうということでスタートしたわけでございまして、昨年の二月の第一回の総合対策のときにも通貨供給量の監視を取り上げてやってきたわけでございます。全体の経済環境の違いと、それからマネーサプライと物価との関係についての認識、そういうものがあったのではないかと思っております。

小野信一日本社会党

○小野委員 第一次オイルショックから学んだ最大の要因は、何といってもマネーサプライとインフレとの関係を理論的にも実際的にも確かめられたということだと思います。ただ、いま局長が言うように、マネーサプライとインフレとの関係を非常に軽視しておった、こういう点のほかに私は、当時失業率を自然失業率よりも低い率に抑えようとした、景気をよくしようとした過度な政策があったのではないかという気がいたすのですけれども、当時の景気を振り返ってみて、どのようにお考えになるのか、局長のお考えをお聞きすると同時に、大蔵省は、当時の狂乱物価は明らかに政策的な失敗の要素の方がオイルの高騰よりも大きかったといま判断しておるのかどうか、お聞きいたします。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 前回と今回との違いの中で非常に大きな要因としては、供給力に余裕が今回はある、前回は非常になかった。それは、一つは労働力の点でございまして、要するに、有効求人倍率の数字も今回の方がはるかに低い、それから稼働率につきましても今回の方が低い。それは、全体として、第一次ショックが起きたときの環境として景気がかなり進行していた、そういう段階で起きたということが大きな原因だろう。今回の場合は比較的落ちついていた経済の中に出てきたということがありますから、それは設備についても労働力についてもそうですが、そういう需給面で大きな違いがあるというふうに考えております。

小野信一日本社会党

○小野委員 そういう第一次オイルショックの狂乱物価の大きな教訓を得ながら早目の対策をとっておったわけですけれども、本年度の消費者物価の見通し六・四%、現在は九%前後になっておるようですけれども、なぜこのような違いがことし出てまいったのか、その見通しの違いの最大の要因は何だったのか、お聞きいたします。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 ことしの、五十五年度の物価の動きにつきましては、昨年来石油価格の上昇が相次ぎまして、それが経済の各分野に及んでいくということでございますが、特にことしの初めぐらいから石油価格の浸透が始まっておりまして、それが、一つは電気料金、ガス料金という形でもあらわれております。そういうことで、ことしの上半期については石油価格の浸透の過程が予想されるということで、物価としては非常に厳しい状況にあるということでございます。そういうことで、三月の第三次対策におきましても総需要の管理ということを取り上げて、さらに個別物資対策等もあわせてやろうということで、相当強力な対策を実施しているわけですが、それは一にかかって海外要因によります輸入価格の上昇が国内の要因によって加速される、いわゆるホームメイドインフレになることを避けるということがともかく大事であるということでその対策を実施してきたわけでございます。そういうことにつきましては、現段階では国内要因でインフレになるということについては防止できたのではないかと思っております。しかしその過程で、いまの東京の九月の速報で見ますように八・九%、それから上期全体を通じて八%台ということでございますから、これは非常に高い数字になると思います。私どもとしては、前半は高く、後半は漸次上昇率が低下していくというパターンがことしの物価の見通しの中には予想されるのではないかというふうに考えております。それが、前半の上昇率がやや高かったということはそのとおりでございます。十月以降漸次上昇率が鈍化していく、低下していくということを想定しているわけでございます。  見通しとの関係でどうかということになりますと、あえて挙げますれば、一つは冷夏によって野菜その他が相当値上がりしたということがあるのと同時に、一方で、石油の輸入価格について、当初見通しでは三十ドル弱で出ているものが現在では三十四、五ドルになっているというようなこともあるかと思いますが、全体のそういうことは別といたしまして、当初立てました六・四%というものを、ともかく今後の下期においていろいろな対策を講じて実現していこうという努力を現在もしておりますし、これからも強力にやっていくということでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 そこで大臣にお尋ねしますけれども、十三日の参議院の予算委員会で大臣は、消費者物価は十月から十一月にかけて七%台、十二月には六%台、一月から三月までにはより低率に抑えて、下期四・六%に抑制して、一年平均六・四と、こう達成したい、そのために強力な物価対策を打ち出したい、こう発言しておりますけれども、この強力な物価対策というのは具体的にどういうものがポイントになっておるのか、お聞きいたします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ただいま考えております対策は、先月の五日に六項目の対策を決めましたが、これは抽象的に書いておりますが、これを強力にかつきめ細かく、具体的に進めてまいりたい、こう思っております。  六項目の進め方につきましては局長から説明させます。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 六項目の第一の項目は、生活必需物資、それから国民経済上重要な物資についての需給を確保していく、それによって価格の安定を図っていこうという考え方をとっておりまして、これにつきましては、まず地方公共団体におきましてモニターにもお願いをして、物資の数としては五十二品目を選んで、これを定期的に店を回って調べていく。そして、そういう中で動きが出てくればそれに対して手を打つということを全国的にやっておりますが、同時に、中央におきましてはもっと大きな立場から、全体の物資の需給、価格等についての動きを常時フォローしているということでございます。その過程で問題が起こりますれば、これまでもやってまいりましたのは、備蓄を放出するとか、それから原材料段階に問題がありますれば原材料の手当てをする。それは主として指導という形でやっておりますが、そういうようなことで、ともかく供給を確保して価格の安定を図っていくということを考えてやっているわけでございます。  そこで、今回の対策におきましてもそういう基本線を維持いたしまして、その問題に引き続き取り組んでおりますが、特に最近の状態では建設資材についての価格の動きが非常に問題でございますので、それを強力にやる。さらに、一部業種において減産が行われておりますが、その減産が行き過ぎて需給の逼迫を招くということのないような配慮をする。それから、当然のことですが、独禁法の運用を的確に行って、違法カルテル等の防止を図る。さらに、同調的な値上げに対して報告を求めるというような法律の運用を的確にやるというようなことをまずやっております。  それから第二の問題としては、その一環でございますが、今後需要期を迎えます灯油等の石油製品についての調査、監視、これは昨年も非常に心配されました石油の確保についていろいろな手を打ってきたわけですが、引き続いてそういう体制で臨んでいくということにいたしております。  それから、いわゆる消費者物価に非常に大きな影響のあります生鮮食料品につきましては、野菜について先ほども御説明いたしましたけれども、冷夏等の問題が起きたときには、それに対応して緊急対策を打つということでやっておりますし、また来年一-三月の野菜の安定に対して、いまから事前にいろいろな事態を想定して手を打っておくというようなこともやっております。  さらに水産物につきましては、特に冷凍水産物の価格の形成が非常に問題があるということで指摘があるところでございますが、その冷凍水産物につきましての輸入とか生産とか、そういう供給面を把握すると同時に在庫状況も見る。そして、需要の見通し等とあわせて需給見通しを立てていこうじゃないかということを新しく調査を始めております。そういう点も対策の中の一つの項目として取り上げております。  さらに、公共料金については従来とも厳しくやっておりますが、これを厳正に取り扱うという考え方を第四番目の項目として掲げております。  それから地価については、すでに国土庁等でいろいろ地価の規制の面での対策をとっておりますが、同時に、建設省等の宅地供給の確保ということもあわせて対策を行うということで取り上げております。  六番目には、地方公共団体が物価対策の非常に大きな部分を担当しておられますので、その協力を要請するというようなことでやっております。  いずれにいたしましても、この対策は基本的な考え方を掲げたものでございますので、事態に応じて具体的な対策を考える。それは非常にきめの細かいものになるわけでございますが、そういう細かい具体的な対策をこの基本線に即して実行していこうということで現在進めているところであります。

小野信一日本社会党

○小野委員 大臣にお伺いしますけれども、九月五日に発表になりました「経済の現状と経済運営の基本方針」では、国際収支の見通しを「原油価格の高騰もあり予想を若干上回る赤字額」と記してありましたけれども、その後、一週間たった十三日に、九十一億前後の水準と赤字を見通して大臣は話しておりますけれども、最初の経済企画庁の見通しでは赤字百億ドルを大幅に上回るのではないか、こういう見通しを九十億前後までダウンさせました理由について、大臣の所見をお伺いします。背景をお尋ねいたします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 新年度に入りましてから、四月から七月まで四カ月間相当大幅な赤字が続いておりました。年率に直しますと大体百七十億ドル近くなる、これは大変なことだ、こう思っておりましたが、幸いに八月以降貿易の方もだんだんと改善をされまして、八月、九月と順次いい方向にいっております。この状態が必ずしもそのまま続くとは思ってはおりません。若干の紆余曲折があろうかと思いますが、大勢はそう大きく狂わぬのではないか、こう思っております。  そこで、政府の見通しは、年初につくりました政府見通しは九十一億ドルという赤字でございますが、その数字がそのままきっちり実現できるかどうかは別といたしまして、おおむねその線に近づけることは可能でないか、こういう判断をいたしまして先般参議院の予算委員会でその見通しを述べたのでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 その後に大臣は、新年度の予算編成に当たり、経済成長率五・五%、消費者物価の上昇率五%程度を政策目標とする、こういう発言をいたしておりますけれども、この目標が達成させられるためには、いままで話したようなことしの物価の六・四、経済成長率四・八、こういうものをすべて条件としてこの発言がなされておるのですか、それとも独自な前提条件として大臣はお考えになってこの発言がなされたものですか、所見をお伺いします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしの予算編成に際しまして、本年度の経済見通しを立てますと同時に、昨年八月決定いたしました新七カ年計画をある程度調整をいたしました。たとえば成長目標は当初の原案では五・七%になっておりましたが、第二次石油危機の悪い影響も若干出てくるであろうということで、これを平均五・五%、それから物価も五%以下の目標になっておりましたけれども、これを若干修正をいたしまして、七年間を通じて平均五%程度を目標にする、こういうことに目標を修正したのでございます。これはついこの間この目標をつくったばかりでございまして、現時点では、この平均目標というものを達成させるということがわが国の経済を安定成長路線に定着させる、このように私は考えております。  そこで、その目標を実現するということが日本経済運営の最大の基本的な線である、私はこう思うのですが、ただ、毎年の事情が若干違いますので、平均でそうでございますけれども、十二月には、その時点におけるいろいろな情勢を総合的に判断をいたしまして、最終的に翌年度の数字をどうするかということについて決めることになっておりますが、私といたしましては、その目標が実現できるような、そういう経済運営をしていかなければならぬというので、いま努力しておるというのが現状でございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 大臣の言う経済成長率五・五%、消費者物価の上昇率五%、こういう政策目標は第二次オイルショックの調整、要するに、今年度中に原油の高騰を初めとするオイルショックの影響が全部調整されてしまって、新年度には中期的な安定成長路線に経済が乗せられる、こういう見通しだと理解してよろしゅうございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いま申し上げました成長と物価の目標を達成するためには、やはりことしの目標が達成されるということがその前提条件だと思うのです。つまり、ことしの上半期経済成長は若干力が弱まっておりましたけれども、これを四・八%という目標が達成できるように経済の活力を回復するということ、それと、消費者物価を年度間を通じて平均六・四%という水準に持っていくということ、これが、絶対の条件ではございませんけれども、非常に大きな背景になるであろう、私はこう思っております。

小野信一日本社会党

○小野委員 私は、そのような経済運営をしてほしいと思いますし、希望するわけですけれども、心配するのは、いま大臣がおっしゃいましたように、経済に活力が失われつつあるのじゃないか、こういう心配であります。要するに、景気は少しかげりがあり、あるいは停滞ぎみじゃないのか、こういう分析がある。大臣は、かげりという言葉を使ったように以前記憶しておりますけれども、私どもが景気動向指数、不景気の定義を教えられる場合には、五〇%ラインを割る、この前後を不況の分岐点と教えられておるのですけれども、四月から六月まで、二十五系列の景気動向指数は五〇%を割っております。したがって、現在はかげりなのか、それとも不況という判断に立ってわが国の経済を考えるべきなのか、大臣の所見をお伺いします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は、まだ不況という状態ではない、こう思います。いまのところは、非常にうまくいっておる分野もございますし、相当心配しなければならぬ分野もある、そういう状態でございまして、総合的に考えますと警戒すべき状態ではあるけれども、しかしまだ不況という状態ではない、こういう判断でございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 私は東北の出身であり、岩手の生まれでありますので、全国的な平均値で見る景気論と、私が岩手県で感ずる景気の実感とは、まことに大きな乖離を感ずるわけです。特にわが国の経済成長を支えてまいりましたのは、省エネルギー投資であり輸出の好調だった、こう言われております。ところが北海道、東北は、この省エネルギー投資も輸出も、この二つに依存する割合が非常に小さい、ゼロに近いわけです。そこに冷害が加わり、物価の高騰を抑えるために公共投資の抑制が行われるということで、全国の景気感とは全く違った不景気がわれわれの周囲にあるわけですけれども、このような実態を大臣はどのように分析しておられるのか、その所見をお伺いします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 地域地域によりまして、いまお述べになりましたように、相当な開きがあるということは事実でございます七特に東北は、今回非常に厳しい冷害がございまして、これが国民生活に与える影響はもちろんでございますけれども、景気の足を相当引っ張るのではないかということを非常に心配をいたしております。  そこで、すでに御案内のように、天災融資法とか激甚災害法の指定をするとか、あるいは農業共済金をできるだけ早く支払うとか、あるいは救農土木的な仕事をできるだけ考えていくとか、いろいろな対策を総合的に考えまして、農家の収入が落ち込まないように政府の方としてもいろいろ積極的に配慮していかなければならぬ、こう思っておりますが、幸いに農林省、建設省の方では、そういう趣旨でいろいろ配慮をしていただいておるようでございます。冷害からくる悪い影響をできるだけ少なく抑えていきたい、このように考えております。

小野信一日本社会党

○小野委員 冷害からくる悪影響を最小限に抑えていただくことは当然であり、私どももお願いするわけですけれども、わが国の経済を支えておりましたさっきの二つの条件は、東北、北海道にないわけですから、その他の条項が加わらなければ、東北、北海道の景気は全国並みにはいかない、これは明らかであります。したがって、公共投資の傾斜配分あるいはその他の方法、特に東北、北海道は公共投資による景気の上向き、その要素が非常に強いわけですから、その他の政策をお願いしなければならない、不可欠の条件であると考えるのですけれども、大臣の考え方をお聞きします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 この点につきましては、第三・四半期の公共事業の執行率を去年に比べて三割ふやすという基本路線をいま進めております。でありますから、東北、北海道地方はもちろん平均三割ふえるわけでございますが、同時にその別枠として、若干の増枠を農林省の方でいま考えておられるはずでございます。そんなに大きな数字ではございませんけれども、いま農林省の考えておられるような数字でも、これを短期間に実行するということであればやはり相当な効果が出てくるのではないか、私はこう思います。  なお、公共事業ではございませんけれども、公共事業的な性格を持ったいろいろな仕事を起債で、県、市町村に希望があればやってもらうということで、県の方でどういう仕事についての希望があるか、いまその調査をしておられると思うのです。市、町についても同じくそういう希望を出してくださいということで、自治省がいまやっておられるはずでございます。  ですから、以上のようなことを総合いたしまして、ある程度の仕事の量は別枠として確保できるのではないか、私はこう思っております。

小野信一日本社会党

○小野委員 次に、民間設備投資が好調にもかかわらず、経済成長率が四月から六月まで、あるいはそれ以降、大幅に鈍化しております。この最大の理由は個人消費需要が停滞しておることだ、こう言われますし、衆目の一致するところです。したがって、私は、今回九月五日に発表になりました経済運営の基本方針の中心は、個人消費の回復策がその中心政策でなければならなかったのではないか、こう考えるのですけれども、個人消費が停滞した理由、個人消費を経済運営の基本方針の中心に設定しなかった考え方について、大臣の所見をお伺いします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 個人消費が経済成長に果たす役割りは非常に大きいと思っております。いま個人消費はその伸び率が計画以下に下回っておりますが、それは結局、ここ数カ月間実質国民所得が減っておるということが最大の原因であると思います。なぜ減っておるかといいますと、所得はそんなにふえないけれども消費者物価の上昇率が比較的高い、そこに原因があるわけでございます。だから、とにかく消費者物価を政府目標の線に安定をさせまして、消費活動が盛んになるような前提条件をつくるということがキーポイントだ、こう思っております。先月五日の対策もそれを十分心得まして、消費者物価対策というものをいまお述べになりましたように景気対策の一つの大きな柱に考えておる。いまでは、単なる物価対策ではなく景気対策の前提条件である、こういう理解のもとに総合政策を進めておるというのが現状でございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 私は個人消費が停滞した理由は二つあると考えております。一つは、物価の上昇と税負担の増加によって個人可処分所得が過去一年間横ばいであるということ。二つ目は、個人貯蓄率が非常に上昇しておる。不景気にもかかわらず個人貯蓄率が上昇した理由は、高金利であること、それから国民の方に金利選好の意欲が非常に高い、こういう二つからだと思います。したがって、個人消費を増加させるためにはどうしても可処分所得をふやす政策がなければならない、こう考えます。その一つには、やはり物価調整減税その他の必要が、経済運営の基本方針になるべきだと考えます。物価の安定を通して個人所得の可処分を多くするということではおくれがちになるのではないかという気がいたしますけれども、局長の考え方をお聞きいたします。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 やはり何といいましても個人消費が減退している。その個人消費というのは実質個人消費でございますが、その最大の理由はやはり物価であろうと思います。したがって、個人消費を喚起する策としていろいろございます。先生が言われたような方法がございますが、しかしながら、一方において所得税の減税というのは現在のような財政状況の中ではきわめてむずかしいんではないだろうか。それよりも、基本に立ち返って、やはり物価の高騰を抑えていく、そのことによって健全なる実質消費が伸びていく、これを志向するのが正道ではないかというふうに考えるわけであります。

小野信一日本社会党

○小野委員 経済運営の基本方針の中に安定成長路線という言葉が使われておりますけれども、私は、安定成長路線というのはどういう条件を満たしておるときに使われるものなのか、担当者の御意見をお聞きいたします。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 ある程度、といいますのは、たとえば最低限雇用の悪化を来さない、そういうふうな成長で、しかもそれが常にフラクチュエートしない、そういうような感じで進む成長を安定成長と言うべきだと思いまして、かつまたこれはそれぞれの国のそのときの状況によっていろいろ違ってまいると思います。そういう意味からいいますと、わが国の場合は諸外国、特に先進諸国に比べれば相当程度高いラインというものが考えられる。新七カ年計画ではこれを五・五%と想定しているわけでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 私は安定成長路線というものを維持する条件として、一つは赤字国債が非常に少なくなるということ、それから物価が安定していること、それから国際収支が均衡する、こういう三つの条件が満たされなければ、安定成長は非常にむずかしいのではないかという気がいたしておるのですけれども、そこで、国債と、もう一つ石油の問題がここで出てまいるだろうと思います。  今後日本がインフレに再度脅かされるという可能性があるとすれば、やはり石油の高騰が一つ考えられます。その場合に、非常に莫大な国債を発行しておるわけですから、新規発行する国債の政府が支払わなければならない利子率は当然上昇機運になります。この利子負担の上昇を当然政府はきらうわけですから、国債の保有者を民間から中央銀行にかえようとする意識が経済の中に生まれてくることは否めないと思うのです。その結果としてマネーサプライが急上昇する、これが私は今後心配されるインフレ加速化のメカニズムじゃないのか、こう考えるのですけれども、この危険性はわが国の現状の中にないものなのかどうか、あるとしてもこういう歯どめをかけることによって阻止できるのだという政策をお持ちなのか、その点をお聞きします。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 御指摘のように国債の償還というのがだんだん大きくなってきております。これは大蔵省の試算でございますし、前提としては五十五年度ベースの財政収支試算を前提としておるようでございますが、五十九年まではまだその償還が数兆、一けたにとどまるということでございますが、ちょうど五十年から発行をいたしております赤字国債の償還期限である六十年からはこれが二けたになる、十兆を超えていく、こういうふうな状況でございます。もちろんその間経済の規模は大きくなるわけでございますけれども、いずれにいたしましてもそれだけの金が出ていく、流動性が多くなるということになりますと、経済全体としてはそれが過剰流動性にならないような金融政策というものが必要である、こういうことになってくるわけであります。

小野信一日本社会党

○小野委員 過剰流動性を抑えるために、現在企画庁としては大蔵あるいは日銀に対してどのような提言なり組織的に発言できるような立場がおありになるのか。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 具体的に通貨発行は日銀がやっておりますし、金融政策は大蔵省が行うわけでございますけれども、しかしそうした通貨需要自体は、これは経済活動によって必要になってくるということになるわけであります。さかのぼりますればこれは経済活動全体をどういうふうに運営していくかというふうな問題になるわけでございまして、現にこの間の九月五日の総合経済対策におきましても、「総需要を適正な水準に維持しつつ、物価の安定をより確実なものとする」というふうな表現をいたしてございますし、あるいは物価対策の中では、引き続き通貨供給量を監視しつつ、物価の安定を図っていくというように書いておるわけでございます。そういうふうな全体的な経済運営の基本方針に従って金融政策がやられていく、こういうことになるわけでございまして、われわれは経済総合対策、こういうふうな企画立案というふうなものに直接携わっているわけでございまして、そういう意味で総合対策と金融対策、そして過剰流動性対策につながると考えておるわけでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 現在のように大量の国債が発行される現状下ではやはりマネーサプライの過度な増大が起こりやすい、その危険性が非常に高いと言えると思います。したがって、マネーサプライの増加率を直接政策目標とするような新たな金融政策あるいは運営方式が必要だと思いますけれども、そのような考え方はないものでしょうか、大臣の御意見をお聞きいたしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 その点につきましては、いま局長が申し述べましたように政府全体としては非常に重要に考えておりまして、もう日本銀行が毎日のようにその点は気をつけて運営をしておられますので、私は現状で十分だ、こう思います。

小野信一日本社会党

○小野委員 安定成長路線の中でもう一つ心配なのは原油の高騰であります。そこで産油国の原油の値上がりにつきましてはわれわれの力でこれを抑えることができませんので、国内値上げの要因になる可能性について、その要因についてこれを阻止していく、排除していくということが必要であります。そこで現在石油税が三・五%賦課されておりますけれども、この石油税は創設当時五十三年では一千五百九十億円、五十四年度では三千八百三十七億円、本年度の予算では五千五百六十八億円と見込んでおります。この石油に課せられる税金によって製品価格は押し上げられているわけでありますけれども、石油の高騰によって製品価格を抑える、インフレを国内で抑えようとする場合にこの税金は時代に逆行するような気がいたしますけれども、どのように考えますか、経済企画庁のお考えを聞きます。エネ庁でもいいです。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 ただいま先生御指摘のように、三・五%の石油税がかかっております。その分だけ石油の原油の価格というものが上がるわけでございます。この三・五%の石油税、これはたとえば石油で申しますと備蓄をやっていかなければいけないあるいは開発をやっていかなければいけない、たとえば開発で申しますと、それは地域の多角化、原油の安定供給確保のために開発をやっていかなければいけない、そういった面でも非常に多額の金が要るわけでございます。また最近では代替エネルギー開発促進、これもやっていかなければいけない、そういう日本にとってエネルギーの確保あるいは石油からほかのエネルギーへの転換、そういった問題は長期的に見て日本の経済の安定的な発展を図るために非常に重要な問題でございます。そういういろいろな施策に使うためにこの石油税というのが課せられているわけでございます。したがいまして、結局確かに石油の価格は上がるわけでございますけれども、やはり中長期的に見ればこれは日本の経済の発展のために必要な一種のコストというふうに観念すべきではないかというふうに思っております。

小野信一日本社会党

○小野委員 イラン政変を契機にして石油備蓄の重要性は非常に認識されました。石油の備蓄というのは本来国が全体として安全保障政策として行わなければならないものでありますけれども、世界の先進諸国の中で備蓄の主体はどのように、どこが行っておるのか、その報告と、石油の備蓄は国が責任を持って行うべきだという考え方は現在のわが国の実情に合致するのかどうか、大臣の所見をお伺いします。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 先進国の備蓄のやり方についてはいろいろございます。たとえばアメリカでございますと、民間もやっておりますけれども政府もやっておるわけでございます。日本の場合にこれは民間と国が両方でやっておるということで、日本の場合について申しますと、民間については、普通は民間の経営上必要なストックというのは四十五日あるいは五十日というように言われておりますけれども、それを超えて備蓄をしてもらうということで九十日備蓄というのを、これはIEAの申し合わせもございまして現在日本においても民間備蓄九十日ということでやってまいっております。加えまして国家備蓄を三千万キロリットルまで持っていこうということで、国家備蓄についても現在その推進を図っているところでございます。この三千万キロリットルの国家備蓄と申しますのは、大体日数で申しますと四十三日くらいということで、となりますと九十日と四十三日合わせまして百三十三日くらいということになるわけでございますが、IEAの現在の平均備蓄日数というのが百四十日くらいということでございます。われわれといたしましては、国家備蓄、民間備蓄合わせまして現在の先進諸国並みのレベルにまで持っていこうということでやっておるわけでございます。ただ、この民間備蓄九十日になりますと、これはかなりの金が実は要るわけでございまして、それにつきましては従来からタンクの建設資金であるとか、あるいは原油の購入資金であるとか、そういったいろいろな面につきまして国として助成をやってまいっておるわけでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 本年わが国で、石油備蓄法に基づいて石油企業が九十日備蓄を達成しました。五十六年以降も石油の需要増を考えてこの備蓄の増強に必要な用地、資金、規模等を関係団体が試算してみますと、毎年新たな用地が百十万平米、三十五万坪、タンクが二百二十万キロリッター、資金が一千六百億円必要だ、こう言われております。これらの莫大な資金が石油企業の中に覆いかぶさり、これがコストとして国民にかぶさっておるわけですけれども、先ほど石油法に基づいて三・五%を取り、これが石油政策の遂行のために使われておると言われますけれども、たとえばガソリン税、軽油引取税、石油ガス税、石油税、原重油関税、これらを加えますと本年度の予算で三兆円、それらの投資と、あるいは国が補助をしておる金額と国が吸い上げる金額を比較しますと非常に不合理を私は感ずるわけです。したがってこの問題について根本的にメスを入れて、原油の高騰が国内要因によって上乗せできる部分はこれを極力排除する、こういう政策が国の方針として打ち出されるべきだと考えます。したがって物価、備蓄資金、石油諸税との関係を根本的に考える時期に来ているのではないかと考えるのですけれども、大臣の所見をお伺いします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私はまず、基本的にやはり石油の安定確保ということを考えていかなければならぬと思うのです。特に日本のような場合はほとんど全部石油を外国から買っておりますから。いまIEAの平均の備蓄量が約百四十日ということを通産省から説明がございましたが、日本は現状はるかに下回っておる。ところが一番世界で条件が悪いのはどこかといいますと日本である。だから日本としてはやはり石油の安定確保という面において、この一面を取り上げてみましてもなおその努力が不十分である、こう思うのです。もし何かの形で石油が手に入らない、こういうことになりますとこれはもう大変なことになりますから、やはり安定供給確保ということもそのコストの中に考えていかなければならぬ、こう思っております。  それからまた、日本が大量の石油を世界から確保するためには、世界全体の石油の増産ということに対しても極力努力をしていかなければならぬ、こう思うのです。そういう面では一切努力をしない、石油だけを買いたい、そういうことでは、わずかな石油であれば別でありますけれども、世界の石油生産のざっと一割を日本が買う、こういうことになりますと、そういう面の努力も私は必要だと思います。これもやはり私は石油の一つのコストだ、このように思います。いまお述べになりました極力値段を下げるような努力をしなければならぬということは当然でございますが、同時に安定供給確保ということもこれまた一つのコストである、こういう考え方に立っていくことが必要ではないか、こう思っております。

小野信一日本社会党

○小野委員 安定の確保という意味では私も大臣と同じ意見であります。その安定供給するために備蓄する施設をいま民間石油会社が行うということではかなり無理が出てきたのじゃないか。国家的に備蓄しなければならないのではないかということが一つと、それから石油会社にこれ以上負担さしておくということに無理がある、あるいはこの石油諸税を使って安定供給のために早急に何らかの抜本対策を立てるべきじゃないのか、こういう意見なのであります。したがって、安定供給を必要とするからこそ私は税金を備蓄のために使うべきだ、こう考えるのですが、いかがですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 先ほども通産省から御説明がありましたが、民間の石油企業が自分の仕事をしていくためにも、どうしても五十日別後の備蓄は必要だ、それがないと石油はうまく回っていかない、この見当のことは当然民間会社の一〇〇%の責任でやるものだ、私はこう思います。ただそれを超えまして、いま九十日まで備蓄をしなさいということを法律で決めまして、もうほとんどそれが実現しておるわけでございますが、そういうことを考えますと、いま民間会社の備蓄に対してはできるだけ政府の方も応援をしていく、めんどうを見ていく、こういうことが必要だと思います。  そこで、この備蓄の施設をつくるためにはいろいろ資金を供給するとか、しかもその資金が安く手に入らなければいけませんから、いろいろ補助をするとか、あるいはまたタンクができましたら油を張ってそこへ置かなければなりませんから、油の代金もかかります。その資金もやはり政府の方でいま供給しておりますが、それに対する金利が高くては困りますから、その金利が非常に安くなるようにいろいろな配慮もしております。だから最小限度の負担において民間の施設をしてもらう、九十日備蓄を達成してもらう、こういう方針でいま進めておるわけでございます。  ただ、九十日を超えますと、これは世界各国でもそれ以上民間にやらせるというのは無理だ、こういう議論が多うございまして、日本でもそういう議論に従いまして九十日を超える分については政府が一〇〇%全面的にやりましょう、こういうことで、先ほどお話しのように三千万トンの国家備蓄を目標にして、国家の全責任においていまいろいろな施策を進めておる、こういうことでございます。

小野信一日本社会党

○小野委員 以上で質問を終わります。  一層の御努力をお願いいたします。

井上泉日本社会党

○井上委員長 長田武士君。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 初めに、今後の景気と物価対策についてお尋ねをいたします。  政府は九月五日、総合経済対策を発表したわけでありますが、これは三月に発表された物価対策と余り変わっていないのじゃないか、非常に抽象的であると私は考えております。そこで、私は果たしてこのままで下半期を乗り越えられるかどうか、非常に心配をいたしておるわけであります。特に消費者物価の上昇を見た場合、政府の年度内目標である六・四%の達成、これは非常にむずかしいのじゃないかという考え方を持っております。と申しますのは、上半期が八・一%と予測されておるわけでありますが、そうなりますと下半期は四・六%に抑えなければこれは達成できません。そうなりますと、局面といたしましては非常にむずかしいと判断せざるを得ないわけであります。  こうした点を踏まえて、経企庁長官、今後の見通しについてお尋ねをいたします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしの消費者物価目標を六・四%にするということは、これはもうなかなか容易なことではないと思うのです。非常にむずかしいと思いますが、しかしながらこの消費者物価が安定するということはすべての経済政策の基本でありますし、消費者物価が安定をしないでどんな政策をやりましてもこれは成功するはずがございません。そういう観点に立ちまして、あらゆる努力を集中いたしましてこの六・四%という目標を達成しなければならぬ、こう思っております。  それで、これを達成するためには下半期平均いまお述べになりました四・六という数字が必要でございます。そこでいま考えております方向といたしましては、十、十一月、この間に何とか七%台という目標の実現をいたしまして、十二月には六%台にしたい、一月以降はさらに大幅に下がる方向に努力をしていきたい、こういうことを大筋として考えまして、この六項目を中心とする物価対策をこれから強力かつきめ細かく進めていきたい、こう思っておるのです。  いま六項目は抽象的だということをお述べになりましたが、これは基本原則だけを書いておりますので抽象的でございますが、これをこれから具体化していく。もう現に具体化しつつありますけれども、かつきめ細かく進めていかなければならぬ、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 長官は六・四%にかなり意欲を示されておるわけでありますけれども、下半期の平均四・六%を達成するためには、下半期の平均指数が政府見通しの五十五年度の平均指数でありますところの一三七・五を下回る一三七・四にしなければ達成できません。これは長官、私は現実としてとても無理だと思うのです。その引き下げるというような具体的な品目はどういう品目でしょう。あるいは引き下げる決め手になる具体策といいますか、この点については、こういう具体策をお持ちなのか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 下期の前年同期が大体四・六%程度にならないと六・四%には年度間を通じてならないということは、御指摘のとおりでございます。  そこで、四・六%というように現在の前年同期八%台が低下していくということを考えます一つの理由としましては、まず季節商品がございます。特に野菜でございますが、八、九月に冷夏によって非常に上がった野菜につきまして、その冷夏の影響がそろそろなくなってくる、そういうことが一つございます。その冷夏の影響がなくなっていく過程におきまして、政府としても野菜緊急対策を実施したところでございますが、今後産地さらに作型が変わっていくに伴いまして、秋野菜の価格の動向についても安定が期待されるわけでございます。  そういうことでございます一方、昨年の野菜価格というものは十月以降非常に高騰いたしました。特に一-三月につきましては、その前の年に対して七割とか倍とかいうような状況になったわけであります。そういうことでございますから、季節商品全体で見ますと、昨年との比較でいいますとそれはむしろ消費者物価を押し下げるようになるというように私どもとしては考えております。もちろんその一-三月の野菜価格安定についていろんな手は打たなければなりませんが、それにつきましてはすでに異常気象対策として先ほども御説明いたしましたが、契約栽培の拡充とか保管放出とか、そういうような手を打っているわけでございます。  もう一つ、季節商品を除く総合で見てまいりますと、これはやはり一般商品、サービスが主体になりますが、これにつきましては個別の価格についての不当な値上げを監視するという体制、さらには生活必需物資の供給確保というようなことを通じまして、これは個別の具体的な項目に即して対策を実行していかなければなりませんが、現実の問題としてはかなり卸売物価の消費財からの波及が鈍化をしてきておりますので、そういうものの安定が期待をできるのではないか。そういたしますと、これにつきましても昨年の後半は石油価格の上昇に応じてかなり上昇度がきつかったわけでございます。そういうことでございますから、前年同月比の上昇率というのはその面からも低下をしてくるということでございますので、全体として十月以降その総合としての前年比上昇率が低下していくという形を想定できるのではないか。そして、さらにそれはまた月を追って低下が期待できるというふうに考えておりまして、いろいろな努力によりまして下半期四・六%ということになるように、そういうことについて現在対策を進めているところでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 四・六%という点については私はこだわるわけではございませんけれども、非常に実現不可能な状況だろうという考え方を持っておるのです。いま話がありましたとおり、季節野菜等の値下がりを期待しておるというような要素もあるでしょう。しかし、去年の例をとりますと、秋の長雨によって野菜が極度に不足をした、一-三月はものすごい値上がりをいたしました。ことしはそういう状況にはならない、そういう見通しの上に立っての季節野菜等の見通しなんですね。そういう点では不安材料というのはたくさんございます。そういうことについては順調であればそれに越したことはありません。ありませんけれども、そういう不確定要素というのは非常にはらんでおる。そういう意味で、何となく四・六%はいけるだろうという考え方については非常に甘いんじゃないか、私はそういう点を考えるのですが、もう一度答弁してください。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 現在の秋冬野菜の状況につきましては昨年と比べて非常に状況はよろしいということでございます。一つは、昨年におきましては九月、十月に二回台風があったということでございますが、今回はそういうような心配もありましたけれども、いまのところ順調に生育しているということでございます。しかし、いずれにいたしましても、天候のことでございますから楽観は許されないわけでございますので、先ほども申し上げましたように、一-三月の気象に変化があった場合に備えていろいろな対策をとっているわけでございますが、そういう対策が実行されなくても済むようなことを期待しておりますが、そういう事態になりましたら、いままでやった対策の発動といいますか、それによって対応してまいりたいと思いますし、また新しい事態が起こりますれば、それに対しても緊急的な措置を講ずるということでできるだけの手を尽くしていきたいと考えております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 そこで、物価抑制を図るために予算修正で四党合意の物価対策費五百億円というお金があるわけでありますけれども、大蔵大臣は非常に消極的のように思っておりますが、長官は、この使途については、一日あれば強力な施策が講じられる、考えられることが可能だ、物価対策には相当な資金が必要だと衆議院の予算委員会で答弁をしておるわけですね。具体的にはどのような対策をお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまいろいろ準備をしております。しかしながら、五百億円という予算は予算修正の際に四党の間で合意をされたんですが、これを一体本当に使うのかどうかについて、どうもこれまでのやりとりを見ておりますと、若干問題なしとしないという感じがいたします。そこで、今月の二十一日には野党三党と自由民主党の政策担当者の間でこれを一体どうするのかということについて相談されるそうでございます。私はそこでゴーのサインが出れば大変結構だ、こう思っておるのですけれども、それを考えながらいま準備をしておるところでございます。ゴーのサインが出ますと、できるだけ早く案をまとめ上げるつもりでございまして、いま準備をしておりますけれども、まだゴーのサインが出ておりませんのにその案の内容を申し上げるのはいかがかと思いますので、これは遠慮させていただきます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 ゴーのサインが出ますと、この総合経済対策の具体策の中の「物価対策の推進」、六項目ありますけれども、大体これに使われるのじゃないかという感じがするのですが、その点どうですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 もちろんこれも一つの大きな対策、これを強力、きめ細かく実行するための対策になると思いますが、野党の方からこの四月にもいろいろな具体案をお示しいただいておりますので、これも参考にさせていただきたい、こう思っておりますし、なお野党におかれましても、いまいろいろまた新しく案を御検討中のようでありますから、そういうことも参考にさせていただくつもりでおります。  いずれにいたしましても、いま物価事情が深刻な状態になっておりますから、やはり私は一刻も早くしかるべき対策が進められることを強く期待しておるというのが現状でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 先日の予算委員会で経企庁は物価安定のための準備金三十億円についてそのほとんどを使っておるという答弁でありました。使途の内容並びに残額の使途については具体的にはどういうふうに考えていますか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 国民生活安定対策等経済政策推進費三十億円でございますが、ただいまのところ二十三億二千六百万円使用いたしております。  大きく分けまして、一つは、先ほどの六項目の中の生活関連物資等の調査、監視というあれがありますが、その調査、監視事業に八億六千二百万円。それから緊急対策的なものといたしまして三億一千二百万円。これは先ほどのことしの冷夏対策としての野菜供給確保、それから一-三月の野菜高騰時対策、それから冷凍水産物の調査というようなことについて三億一千二百万円を使っております。それから、生活必需物資の特別価格による提供事業ということで、フードウィーク等につきましてフードウィーク商業サービスセールというのがございますが、三億六千二百万円。それから、消費者啓発情報提供、これは主として地方公共団体が行うものに対する補助でございますが、そういうものも含めまして六億三千四百万円。それから、その他の経済政策遂行に伴います調査一億五千七百万円ということでございまして、現在のところ六億七千四百万円の残額がございます。これは今後の物価動向に応じて、その事態に応じて具体的な項目を決めて実行していくということで考えておるわけでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 次に、実質経済成長率についてお尋ねをいたしたいと思っております。  政府は年率四・八%の目標に強い意欲を示されておるわけでありますが、現状は四月から六月までの四半期は二・五%、七月から九月までの四半期は三・三%という状態であります。したがいまして、十月以降明年三月まで年率五・六%の成長率がなされなければ政府目標の四・八%はちょっと困難だろうと思うのですね。そこで、下半期における成長率の予測をどのように考えていらっしゃるのか、また物価が六・四%を上回って推移した場合、政府目標の達成が可能であるかどうか、その根拠をひとつお示し願いたいと思います。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 先般九月五日に総合経済対策を政府が発表いたしました際に、経済企画庁といたしまして五十五年度の見通しの暫定試算をいたし、これを同時に発表いたしたわけでございます。政府見通し、一月につくったわけでございますが、その構成項目がやはり少し変動がある。ただいま委員からの発言がございましたように、当初見込んでおりました民間最終消費支出がそれほど進まないというふうな点等々ございました。そういうふうなことを考慮に入れまして暫定試算をいたしました結果、GNPとしては政府見通しと同程度の四・八%が実現できる。  その中身でございますけれども、民間最終消費支出、四-六はきわめて低い水準でございます。七-九もそう高い水準が望めないという状況でございますけれども、下期物価が安定をしていくということに従って最終消費の実質としては上がっていくということが期待される、これが一つの点。  それからもう一つは、民間企業設備が当初政府見通しのときに考えましたのよりは特に大企業においてその後増額修正がされております。現在の省エネルギー投資あるいは合理化投資等々非常に根強いものがございまして、こういう傾向を入れますと、中小企業では当初の見通しよりもダウンをするという傾向ではございますが、全般ではこれが上がる。下期においてもこうした強い設備投資意欲が経済政策のよろしきを得て持続をする、民間企業設備全体としては当初の見通しよりも上回る、こういうふうな前提に立っておりまして、結論的に四・八%、当初の見通し程度は実現できるということでございます。  それから六・四%が達成できない場合に四・八%はどうかということでございます。先ほども申し上げましたようにGNPの構成項目が大きくさらにこの暫定試算よりも伸びる云々ということになりますれば、その分だけさらにプラスというものが出てまいりますし、そういういろいろな要因がございますが、全般的に言いますと、名目、実質のデフレーターというのは、これは物価ときわめて関係がございますし、四・八%と六・四%は密接な関係がございますけれども、これが少しでも欠ければどうにもならないというものではございません。しかし、基本的には密接な関係があるということでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 理由といたしましては個人支出がさらに伸びるだろうという見通しですね。これは非常に甘いですね。第二番目の民間設備投資、あと輸出についてはどういう見通しですか。これは大きな柱ですよ。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 輸出は実は現在きわめて根強い趨勢を示しておるわけでございます。いままでのところ八月までの数字しか出ておりませんけれども、通関輸出、金額といたしましては、たとえば一-三月は対前年比一七%、四-六は二七%というような数字でございますし、七月二八%、八月二五%という状況でございます。特にこの中で数量的に言いましたら、一-三が一六%アップ、四-六月が二〇・八%アップ、七月が二五%、八月一七%、多少二〇%は切っておりますもののきわめて根強い姿を示しております。どうも九月も非常に強いのではないか。したがって、上期におきましてはきわめて強い姿で輸出ができるという状況でございます。ただ、下期につきまして上期と同じような状況を想定するわけにはいかない。この伸び率はダウンを考えざるを得ない。これはたとえば対アメリカ、対EC等々、経済摩擦を避けるというふうな意味もあります。あるいは円高の影響が輸出に出てくるということもございます。それらの原因もございまして、われわれとしては上期ほど強い姿を見ておりませんけれども、しかし、ある程度の伸びが期待できる、こういうふうに考えておるわけでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 輸出も下期は相当期待できるというお話でありますけれども、御存じのとおりアメリカ、ヨーロッパ、EC、そういう諸国では日本に対する輸出規制を求める声が非常に根強いんですね。私も現地へ行ってみましたら、その点を非常に強く感じて帰ってまいりました。特にEC諸国では自動車やカラーテレビの輸出の自粛だけではどうもおさまりそうもないんじゃないかという感じを受けております。そうなりますと、勢い保護貿易主義的な考え方がどうしても台頭してまいります。こうした状況を見てまいりますと、今後における輸出の見通しというものは決して楽観できないんじゃないか、私はそう考えざるを得ないのですね。いま非常に好調であるというような報告がありましたけれども、この輸出の数量ベースでは確かに好況を示しておるのです。しかし、通関統計の円ベースで見てまいりますと、前月比では三月はマイナス四・三、五月はマイナス一・一、六月はマイナス七・五と非常に低くなっておるわけであります。さらに前年同月比を見てまいりますと、四月をピークに下がってきておるわけであります。こうした状況を考えますと、輸出に対して明るい見通しを立てることは危険であろうと私は考えますが、どうでしょうか。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 円レートの問題がございますので円ベース、ドルベース、それぞれの違いがあろうかと思います。しかしながら基本的には先ほど申し上げたように実質、すなわち数量がどうかということを中心にしてその趨勢を考えなければならないと思っておるわけでございますが、その数量につきましては、先ほど申し上げましたように上期のような強い、二〇%あるいはそれを超えるような姿を下期においても期待することは無理だ、われわれといたしましてもそこまでの期待は無理であろうと考えております。しかしながら上期の中身を見てみましてもすでに対米あたりについてはほかのところほどの伸びは示していないという状況でございまして、むしろ、たとえばASEAN諸国、これはインドネシアその他産油国もあるわけでございますが、あるいは産油国という方へ向けて相当商い伸びを示している。それからまた、数量がある程度伸びが落ちてまいりますと今度は価格面をアップをしている。競争力が非常に高いわが国の製品でございまして、そういう余地はあるんではないか。そういうことによって下期も、上期ほどの数字ではないけれども相当程度の伸びは期待できるというふうに考えておるわけでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 次に、設備投資のお話がありました。これを見てまいりますと非常に堅調であるということは、確かに大企業を見た場合はそういうことが言えると私は思っております。しかし一方中小企業を見ますと、設備投資は一向に足踏みの状態から脱却できない状況であろうと考えます。  と申しますのは、最近における商工中金や中小公庫の調査が如実に証明をいたしております。これによりますと前年に比べて申し込みの件数が三〇%から四〇%も減少をしております。経企庁の月例経済報告でも明らかなように、五十四年十月から十二月期には前年同月比で三一・七%あったものが、五十五年に入ってからは一月から三月期に九・八%、四月から六月期には六・三%と減少傾向をたどっております。七月から九月期にはマイナス九%と予測されておるようであります。こういう状態が下半期に大きな影響を及ぼすのではないかという危惧を私は抱いております。この点いかがでしょうか。  また、現在の金利水準が非常に高いということで、中小企業も果たして金融機関から金を借りて設備投資をしていいかどうかという点で非常に不安を持っております。この点、二点御答弁いただきたいと思います。

田中誠一郎経済企画庁調査局長

○田中(誠)政府委員 中小企業の設備投資につきましては、ただいま先生から御指摘ございましたように、最近設備投資の伸びの鈍化傾向が見られるわけでございます。足取りを見ますと、五十一年以降緩やかではございますが中小企業の設備投資が大企業の設備投資をかなり上回って伸びたわけでございまして、その傾向がことしの春まで続いたわけでございます。しかし、御指摘のように春以降伸びが鈍化したわけでございますが、その大きな要因は、一つには、先ほど来お話ございましたように、景気が個人消費の鈍化を中心にいたしまして若干鈍化傾向を見せているということがございます。このため中小企業の売り上げが若干鈍化している、あるいは利益が伸び悩んでいるという状況でございます。  もう一つには、何分にも貸し出し金利が高うございまして、昨年に比べますと商工中金、中小企業金融公庫等の政府関係機関を初めとしまして信金等の金利も高い、金融の逼迫感も出ているといったようなことがその原因ではないかというふうに思います。御指摘のように商工中金の調査によりますと七-九月期は前年同期比でマイナス九%でございます。したがいまして、その先行きは予断を許さないわけでございますが、一方中小企業金融公庫の中小企業景況調査によりますと、三カ月後の売り上げ増加、減少という面で見ますと、そういった事態の中で、若干明るさも見られるという状況がございます。しかし、何分にも、いま申し上げましたように、中小企業の設備投資の鈍化の要因になっている問題もございますので、予断を許さないという状況かと思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 経企庁長官、いま民間の設備投資の中で私問題にいたしておりますのは、中小企業の設備投資なんです。これは非常に鈍化といいますか、マイナス傾向に実は来ております。いま申し上げましたとおり、私は、金利の問題等が非常に要因が大きいだろう、あるいは経済の見通しの不透明な部分が非常に勇気を失わせている、こういうふうに考えるのですが、長官、いまの金利については、公定歩合の問題も含めて、お考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 中小企業の設備投資が縮小傾向にありますのは、やはり最大の原因は、中小企業は外部からの借入金によって設備投資をいたしますから、大企業は内部の蓄積によって設備投資をするのが多いのですけれども、その点が非常に違うと思うのです。現在の高い金利水準で設備投資をいたしますと、将来が非常に心配だ、とても負担に耐えられない、それじゃもう少し先にしよう、こういうことで計画が相当変更になっておる、こう思います。それがだんだん減っておる背景ではないかと私は思うのです。そういうこともございますが、現在の金利水準が、中小企業のみならず景気全体の足を大きく引っ張っておるということは事実でございます。ただいま財政にそう大きな力はございませんから、やはり景気全体を考えますと、金融政策も相当大きな役割りを果たさなければならぬ、私はこう思うのです。  幸いに、国際収支の状態や、それからまた為替レートの状態を考えますと、非常に金利政策を機動的に運営できるような背景はできつつあると思いますし、消費者物価の方も、この十月以降から安定の方向に進んでまいると思いますから、そういう背景を総合的に判断されまして、私は日本銀行当局におかれましても、いろいろといま考えておられるのではないか、こう思います。  九月五日の総合対策でも、金融政策は機動的に運営をする、こういうことを決めておりますが、機動的に運営するという意味は、公定歩合をできるだけ早く下げるようにしなさい、金利全体の水準をできるだけ引き下げるようにしてもらいたいという意味でございますから、そのためにはやはり背景というものができ上がらなければなりませんが、その背景はいま順次つくられつつある、整備されつつある、こういうように思いますので、日本銀行の適当な判断を期待しておるというのが現状でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 次に、第一番目に理由として挙げました個人消費支出であります。この労働省で出しております労働統計調査報告、これによりますと、消費支出は、前年同月比では、五十五年三月以降、実質マイナス二・〇、マイナス三・五、マイナス二・一、マイナス一・九、マイナス〇・一%というように、すべてマイナス傾向であります。一月から六月の平均はマイナス一・三%となりますね。また、実質賃金の方も、五十五年の二月以降、マイナス〇・九、マイナス〇・二、マイナス一・三、マイナス一・二、マイナス一・八、そして七月はボーナスの時期のために、ようやく〇・六%プラスとなったわけであります。八月にはマイナス三・五と、再びマイナスとなっております。これを平均しますとマイナス〇・八%の落ち込みなんですね。  このように消費支出や実質賃金が停滞している中で、政府の見通しの三・七%暫定試算、二・二%の増加が期待できるのかどうか、この点私は疑問に思いますが、どうですか。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 先生が挙げられました数字は、全部そういう形になっております。したがいまして、物価がいまのような状況である限り、それは無理でございます。  われわれといたしましては、先ほどからいろいろ御答弁申し上げているとおり、下期から物価が安定化へ向かうというふうな前提で考えておりまして、そうなりますと、この実質消費というのは健全に上向いていく、こういうことを期待いたしておるわけでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 現在民間の消費支出がマイナスを続けております。これは実質賃金がマイナスになっておるわけですけれども、政府といたしましては、いかなることがありましても、物価上昇率を六・四%に抑える、そして国民生活を守るということに全力投球してもらわなければならぬわけであります。ことしの春闘の値上げ率が七%弱。物価がこれを上回ることになりますと、国民生活を守るために、私は当然物価調整減税と申しますか、こういう対策が必要ではないかと思います。財政問題も出てくるわけでありますけれども、個人消費を伸ばすということは、やはり景気浮揚の決め手でございますから、そういう意味では、タイミングとしては大いに考えられるのではないか。その点、長官、どうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしの春闘が妥結をいたします背景は、消費者物価を六・四%にいたしますという政府の公約を信頼をしていただいて妥結をしたんだと思います。それだけ政府の方は責任が重いわけでございまして、先ほど来議論がございますように、あらゆる手段を尽くしまして、力いっぱい、六・四%という目標を実現するために、いま全力を傾けておるというのが現状でございます。これはぜひ達成をしたい、こう思っております。  ただ、物価調整減税ということにつきましては、これは財政事情もございまして、私はなかなか実現が困難だ、こう思います。やはり消費者物価を引き下げるために、政府の方はあらゆる努力を進めていく、これを中心に物価対策を進めてまいりたいというように思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 ことしの秋から明年にかけまして、米価や郵便料金、私鉄、タクシー等の値上げについて、私は極力抑えるべきだと思いますが、長官のお考えどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 公共料金につきましては、その前提条件は、徹底した合理化をやっていただく、それぞれの企業体で徹底した合理化が必要だ、こう思います。その上でどうしても不足するということになりますと、若干の値上げということになりますけれども、その場合といえども、公共料金が消費者物価に及ぼす影響は非常に大きいものがございますから、その幅は極力小さいものにする。同時に、時期等も十分考えていく、こういうことで善処したい、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 次に、物価に関連いたしまして、需要期を控えております灯油の今後の見通しについて、資源エネルギー庁にお尋ねをいたします。  灯油につきましては、昨年、相次ぐ原油の値上げによりまして、大幅な価格の上昇を招いたわけであります。これが家計に大きな打撃を与えております。すなわち灯油価格は、昨年五月以降約二・四倍、十八リットル当たり約千六百円となっております。こうした中にありまして、イラン・イラク戦争により、国民の間には、灯油の供給は大丈夫であろうか、価格はどういうふうに推移していくであろうかという不安が非常に広がっておるわけであります。灯油の備蓄は本当に心配ないかどうか、その点、どうでしょうか。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 灯油の現在の在庫状況でございますけれども、実は私ども、今年度の石油供給計画をつくるに際しまして、灯油の安定供給は国民生活との関連からいってぜひとも確保しなければいけないという観点から、九月末で六百五十万キロリットルの在庫を確保するということを目標に立てておったわけでございます。今年度に入りまして、灯油の在庫は非常に順調に積み上げが行われてきておりまして、すでに八月末現在におきまして六百八十万キロリットルということで、供給計画の目標をすでに上回っております。  一方、最近の需要を見ますと、七月、八月平均で見まして大体一一%ぐらい前年水準を下回っておるということで、需要の方も非常に安定した動きを示しております。そういう観点から申しまして、確かにイラン・イラク紛争というのが勃発いたしまして先行きの問題はいろいろあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、こういった灯油の在庫状況などから申しまして灯油の需給バランスを確保するということは十分可能と考えております。  一方、価格の問題でございますけれども、これは確かに先生御指摘のように相次ぐ産油国のGSPの引き上げなどによりまして原油価格が上がり、その結果といたしまして小売価格、灯油の価格も上がったわけでございます。ただ、最近の動きを見てまいりますと、東京都区部で申しますと六月をピークにいたしましてやや下降傾向を示しております。七月、八月、九月と引き続いて軟調の傾向をたどっておるというような状況でございます。  今後の見通しでございますけれども、これは一つには原油価格が今後どうなっていくかという問題がございます。この原油価格の動きについては、これはいろいろな国際情勢も影響してまいります。それから、円ベースの原油価格ということになりますと、これまた円レートの動きがどうなってくるかというふうなことが関係してまいります。ただ、私どもの感じで申しますと、現在イラン・イラク紛争があるわけでございますけれども、当面世界の原油事情というのはかなり落ちついているのではないかと判断しておるわけでございまして、確かに不透明な面がございますけれども、日本を初め各国が原油価格の高騰を招かないように冷静に対応していけば、当面原油価格へのそれほどの影響というものはなくて過ごしていけるのではないかと考えております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 それでは、時間が参りましたから最後の質問になります。  政府は灯油の安定供給については大変自信を持っておるようでありますけれども、下期における主な石油製品の内需の見通しをお示しいただきたいということ。第二番目には、御存じのとおり、現在の石油需給について問題なのはC重油の過剰な在庫という点が問題になると私は思っております。C重油のタンクはどこでも満タンの状況のようですね。そこで、今後灯油の需要が増大する冬場に向かいまして灯油を増産していくことになると思いますけれども、石油製品は連産品でありますから灯油だけ増産ということは不可能であります。したがいまして、灯油の増産は必然的に現在過剰を来しておりますC重油をさらに上積みすることになるわけであります。こういう点についてどういう対策を講ずるおつもりなのか、この二点をお伺いします。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 今年度の燃料油の需要はかなり安定した動きを示しております。これには、景気の停滞あるいは消費節約の浸透あるいは冷夏の影響、いろいろな要因があるかと思います。上期について申しますと、燃料油全体で前年同期に対しまして一割減というような水準でございます。これが今後どうなっていくかということでございますけれども、総じて申しますと、消費節約の浸透というのは上期に引き続いてやはり続いていくだろうと思われます。他方、上期は、いま申し上げましたように、前年に対しまして一割減ということであったわけでございますけれども、これには、先ほど申し上げましたように、冷夏の影響とかいろいろな一時的な要因もございます。したがいまして、下期についても、上期と同じように考えるというのはやや問題があるのではないか。また景気についても今後次第に回復するということも考えられるわけでございます。したがいまして、そういう点を踏まえながら、各油種について安定した供給ができるように想定をしながら下期の生産というのを行っていくというようなことで指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  もう一つのお尋ねのC重油との関係でございます。確かに先生御指摘のように、C重油の需要と申しますのは、これは電力であるとかあるいは鉄鋼、セメント、そういった各業種におきます石炭への転換あるいは省エネルギーの徹底あるいは景気の影響、そういったいろいろな要因からC重油の需要というのは非常に停滞しております。その結果といたしまして在庫が非常に高い、そういう状況になっております。御指摘のとおりでございます。  そこで、石油製品というのは連産品でございますから、一つふやすとほかの油種もふえる、こういうことになるわけで、その辺から、灯油の安定供給確保のために灯油をつくっていかなければならない、その場合に、C重油の在庫の重みというのが障害になるのではないか、こういうことでございますけれども、ここのところは、私どもといたしましては、短期的には既存設備の運転条件、これを変えるということで、できるだけ中間三品の得率を上げていくということで対応をしてまいりたいと思っております。  ただ中長期的に見ますと、このC重油の現在の需要の停滞というのは一時的な要因もございますけれども、やはりもう一つは、やや中長期的な構造的な要因がございます。そういう面から申しますと、いわゆる重質油対策の結果、重い油を分解してできるだけ中間三品、軽いところをとっていく、こういった技術開発を進めていくことが必要だということで、重質油対策についてすでに技術研究組合もつくりまして推進しているというのが現状でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 終わります。

井上泉日本社会党

○井上委員長 塩田晋君。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 物価対策の基本問題につきまして大臣にお伺いいたします。  ただいままでの御議論で消費者物価指数、これの対前年比が六・四%という目標達成が非常にむずかしい状況になってきたということが論議の中に出てきたと思うのでございます。しかしながら、大臣は総理にも並ぶ実力者であり、また経済界にありましても非常に視野の広い、また経営の細部まで透徹した見識を持っておられる。実際にまた実務を担当してこられたという御経験から、経済政策の総元締めとしての経済企画庁長官の御手腕に期待するところでございまして、ぜひともこの六・四%の今年度の達成、これに全力を挙げ、そして知識と経験を生かされまして達成のためにがんばっていただきたい。その辺につきまして大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 六・四%という政府の目標は、それを背景といたしましてことしのベースアップが妥結をした、こういうことでございますし、それからまた、いろいろな経済政策、金融政策を進めていきます場合の消費者物価の安定ということが前提条件でございますから、どうしてもこれは達成しなければならぬ、こう思っております。むずかしい情勢ではありますけれども、しかし、一遍にこれを下げるということではございませんで、だんだん下げていきまして、ことしの下半期平均四・六%という数字を達成いたしますと、年度間を通じて六・四%ということになりますので、いろいろな対策を進めまして、これはぜひ実現したい、こう思っております。全力を傾けたい、こう思っております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 物価についての大臣の基本的なお考えをお聞きしたいのでございます。  物価というもの、特に消費者物価は、これは国民生活の基本であり、生活安定の基礎でございます。過去の歴史に見ましても、また他の国、これはその経済体制が社会主義経済であろうと資本主義経済であろうとにかかわりなく、生活に直接響く大きな要因でございます。この物価の安定の対策いかんでは、結果によりましては暴動さえ起こる。大きな政治問題として、政治を揺るがすような要因になりかねない問題を含んでおると思うのでございます。ところが、今回の、きょういただきましたこの長官のごあいさつによりますと、「物価の安定は、あらゆる経済政策の基本であり、国民生活安定の基礎であります」ということを言っておられるのでございますが、もちろん消費者物価のみならず、卸売物価を含めまして経済政策の基本であって、それが基礎である、その安定の上に経済の安定的な成長が達成されるのだということは理解されるのでございますが、先ほどからの御議論の中にもありましたように、景気対策と物価安定対策と両にらみ、そして長官の言葉の中にもありましたように、景気を回復することに経済政策を移行していく、そういう時期に達したといいますか、物価がかなり安定的に推移しておる状況、あるいは国際収支、海外の経済状況等から見て、そういう景気対策に移行する条件が整ってきておるというようなお考えがあるようにお聞きしたわけでございますが、この点についてお聞きしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 景気の方は、御案内のように五十三年の秋ごろからだんだんと回復に向かいまして、五十四年から五十五年春にかけまして、非常にいい状態になったと思います。ところが、一方、物価の方は、一昨年秋のイランの動乱を契機といたしまして、石油価格が昨年も数回にわたって値上げをされましたので、それが導火線になりまして、いろいろな原材料が値上がりをするようになりました。そこで、ことしの二月、三月ごろの情勢は、物価の状態が非常に心配である、こういう状態になったと思うのです。景気の方は心配ない、物価が非常に心配な状態である、放置をするわけにはいかぬというので、公定歩合も二月に一%、第四次の引き上げが行われる、引き続いて三月には第五次の引き上げが一・七五%行われる、この二カ月の間に二・七五という、両次にわたる引き上げが行われる、こういう異例の事態になったわけでございますが、その後、物価の方はだんだんと鎮静の方向に行っていることは事実であります。卸売物価はまず峠を越したと私どもは考えております。九月などは〇・三%下がった、こういう状態でございます。それで、消費者物価はなお高い水準にありますけれども、しかしながら季節商品を除きますと、これはだんだん下がる方向に行っております。そういうことを考えますと、大勢としては私はいい方向に行っていると思うのですが、なお油断はできない。これが消費者物価の現状だ、こう思うのです。一方で、景気の方が最近は逆に心配になってまいりまして、いろいろな点でかげりが出始めました。そこで、春ごろの経済に対する考え方を修正をいたしまして、景気の方もほうっておくわけにいかぬではないか、景気の方もやはりある程度の配慮が必要になってきた、しかし物価の方もなお手を抜くことはできない、依然として十分な注意が必要である、物価も注意をし、景気の方も配慮をする、そういうことで経済政策を進めていくべきである、春ごろのような考え方と少し変えていかなければならぬというのがこの九月五日の対策だ、こう判断をしております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 物価局長にお伺いいたします。  過去に消費者物価の急上昇あるいは高原的な推移によりまして、実質賃金あるいは実質家計消費あるいは可処分所得の水準、これが前年よりも下回っていったという例はございますか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 いま正確な資料はちょっと持っておりませんが、いま調べて申し上げたいと思いますが、四十九年の春、一カ月程度に実質賃金が前年に比べて下がったということがあろうかと思います。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 過去に余りなかったということだと思いますが、大臣、今回は、ことしに入りましてから、ほとんどもう、物価の上昇によって実質賃金あるいは実質家計費が毎月前年よりも下回っているという事態ですね。これは放置できない、いまだかつてない状態であり、物価はまあまあ何とかいっているというような認識がとうてい立たない、そのような重大な事態だと私は認識するのでございますが、いかがでございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 確かに、六・四%という目標からは相当かけ離れた水準にあることは事実であります。しかしながら、先ほども申し上げましたように、季節商品によりまして相当高くなっておる。ほかの部分はだんだん下がりつつある、こういう方向でございますし、季節商品も、十月になりましてからいい方向に行っておる、こういう感じがいたします。そこで、さらに強力な政策を進めますならば、これはだんだんと必ず下がる、こう思っておるのです。そういう見込みがなければこれはごもっともでございますが、そういう見込みがいま立っておりますから、だから一刻も早く、先ほど来申し上げておりますような政府目標が実現する、そういう方向に持っていきたい、こう思っております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 物価局長にお伺いします。  季節要因を除いた修正値では、最近の消費者物価はどういう状況でございますか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 季節商品を除く総合ということで整理をいたしておりますが、五十五年の九月の数字は、前月比〇・九%でございます。この九月の東京都の速報は前月比〇・九%でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 対前年は……。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 対前年は八・三%でございます。それで、その前の月の八月の東京の同じ数字を申し上げますと八・八%でございます。そういうことでございますので、前年同月比で見まして、季節商品を除く総合ではやや低下を示している、そういう傾向にございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 九月が八月に比べて対前年比が若干低下しているということではございますけれども、いずれも八%を超える大台の言うならば消費者物価の高原状態が続いておるということでございます。今回出されました九月五日の総合経済政策、その中での物価対策、またきょうの大臣のごあいさつの中にもございますが、物価対策の重点、柱になるものをここに挙げますと、言われましたところを挙げますと、通貨供給量を監視する、それから価格動向の調査と監視、それから必要に応じ供給の確保を図る。その中でも特に「野菜等生鮮食料品の安定的供給」ということを言っておられます。例示だと思うのですけれども、こういうた「各般の物価対策を積極的に進めてまいります。」こういうことであり、また九月五日の対策におきましても六項目を挙げて同じような趣旨のことを言っておられます。この考え方は、自由経済体制というものを前提にして、物価が需要と供給で決まる、これを基本にして供給面のネックを解決して価格の安定を図っていく、この基本的な考え方、これはもう結構だと思いますが、ただ非常に市場性といいますか、そこに着目して物価対策を実施しておられるのではないか、そういう考え方が基本にあるのではないかと思うのでございます。もちろん、金融面、通貨面についての御配慮あるいは海外との関係、円レートとか為替の関係にも配慮してあると思うのですけれども、それも非常に必要なことでございます。それが基本であることはわかるのですけれども、もっと基本的に、経済の基盤として、いまの八%以上も、季節要因を除いても上がっておるということも考慮に入れまして考えると、やはり物価対策の基本は生産性の向上というものでなければならないと思うのでございます。  ことしの三月十九日の「当面の物価対策について」という関係閣僚会議の決定におきましては、「生産性の向上が物価安定に欠くことのできない要件である」ということを打ち出しておられます。ところが、今回の対策あるいはきょうの大臣のお言葉の中には一言も生産性の向上という言葉はなかったわけです。九月五日の分を見ますと、これは「また各界が引き続き一層の生産性の向上に努めることを期待する。」という表現が出ております。しかし、これはもう最後のところになお書き程度のような感じで出ておる。ということは、生産性というものの観点が非常に後退しているのではないかと思うのですが、いかがでございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 この点は決して後退はいたしておりません。私どもといたしましては、今回の第二次石油危機が第一次危機のときより大きな混乱なくして切り抜けることができました一番大きな原因は、過去二、三年の間にわが国の産業の生産性の向上が非常に進んだ、合理化が非常に進んだということがやはり一番大きな原因であったと思います。アメリカのこの三月の物価対策を見ましても、やはり生産性の向上を最大の課題に取り上げておりますし、日本でもこの生産性の向上が進んだということが石油価格の急上昇、それに伴う原材料価格の急上昇を加工段階で吸収することができた最大の原因である、そういう理解に立っております。もちろんそのほかにたくさん理由はございますけれども、やはり生産性の向上ということが最大の背景であった、こう思います。  今回の対策にも、いまお述べになりましたように、生産性の向上ということを決して軽視しておるわけではございませんで、表現は変わっておりますけれども、引き続いて生産性の向上に努めていかなければならぬ、こういう表現をいたしておるわけであります。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これは数字で物価局長から発表していただきますと非常にありがたいのですけれども、生産性、特に労働生産性の上昇、これは所得の大きい部分をなすところの賃金との関係が非常に重要でございます。賃金を上げるためには生産性を上げなければならない。そして、インフレにならないためにも物価の上昇原因あるいは原材料の値上げは生産性の向上で吸収していくのだ、こういう考え方をたびたび述べられてきたわけでございますし、私もそれを了承するものでございますが、最近の動きはいかがでございますか。性の上昇はどんどん進んでおるけれども、実質賃金は先ほどありましたようにむしろマイナスになっておる、これはどう理解したらいいのでございましょうか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 生産性の数字を申し上げますと、暦年で申し上げまして、昭和五十四年に日本の場合は一二・一%、これは製造業の生産性の向上の数字でございます。  他方、それに対します賃金指数との関係で賃金コスト指数を出してみますと、五十四年にはマイナス四・一%という数字が出ております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これはどういうことでございますか。大臣はどのようにお考えでございますか。実質賃金のマイナス、生産性の大幅上昇。一二・一%の生産性の上昇、実質賃金がマイナス四・一、この乖離ですね。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 いま私が申し上げましたのは、生産性の向上の関係では一二・一%でありました。一方、賃金が上がっているわけでございますが、賃金の上昇よりも生産性の向上の方が大きいものでございますから、賃金コストということで見ますと四・一%マイナスになっているということを申し上げたわけでございます。  他方、実質賃金でございますが、実質賃金につきましては、先ほども触れましたが、最近時点のところでは、この三カ月ほどを申し上げますと、六月にマイナス一・八、七月に〇・六、八月にマイナス三・五ということでございまして、二月以来マイナスが続いておりまして、七月にプラスになった、それで八月にマイナス、そういう状況でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これに見合った毎月の状況は、生産性はプラスでしょう。対前年一〇%以上ふえているのでしょう。その乖離をお尋ねしているのです。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 労働生産性は統計が相当古うございますが、いままでのところ六月までしか出ておりません。それで、製造業の労働生産性は、五月が九・七、六月が一一・二という数字が出ております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 大臣はいまの実態をどのようにお考えでございますか。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 先ほど五月の労働生産性の数字を申し上げましたが、賃金コストとの関係では名目賃金が問題になるわけでございまして、五月の製造業の名目賃金が八・八でございます。これは製造業でございますから対前年アップ率は一般よりは産業全体が高くなるわけでございまして、六月は九・〇でございます。そういたしますと、労働生産性と名目賃金の関係で、賃金コストとしては五月がマイナス〇・八、六月がマイナス二・〇になります。この賃金コスト、マイナスということは、要するに賃金がコストとしてプラスになりますと、それだけ物価要因になる、したがって物価に与える要因としてはマイナス要因になるということでございまして、労働生産性が高いために物価に対しては悪影響を及ぼさないどころか、いい影響を及ぼしてくる、こういうことになっておるわけでございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 この問題は、すっきりした御回答が得られませんので、また改めていずれかの機会を見て伺いたいと思います。  次に、質問を変えまして、沖繩電力料金の改定でございますが、これについて通産省の方に、どのような経緯で、どのように認可されたか、御説明を願います。

堀田俊彦資源エネルギー庁公益事業部業務課長

○堀田説明員 沖繩電力からはこの八月四日に料金改定の申請が出てまいりまして、三七・二二%の引き上げがぜひとも必要であるという申請でございます。その後、私ども、電気事業法に基づきまして、公聴会等所要の手続をとりまして、経済企画庁とも御相談をし、公聴会その他今回は非常に多方面からいろいろ御意見をいただきました。そういったものを全部踏まえた上で、この九月二十七日に認可をいたしました。認可いたしました改定率は一九・一八%でございます。中十日の掲示期間を置きまして、十月八日から新料金が実施されております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 北海道電力についてはどのような方針でございますか。

堀田俊彦資源エネルギー庁公益事業部業務課長

○堀田説明員 北海道電力は本年二月の十二日から新料金になっておるわけでございます。御質問の趣旨は、沖繩電力と同じ時期、ことし二月に料金改定をして、沖繩電力は再度の値上げがあったのに、北海道電力はどうなるかという御趣旨かと存じておりますが、北海道電力には、認可の際にも通産省の方から、できるだけ長く、一日でも長く料金を維持するようにと指導した経緯もございます。その精神はいまでも変わっておりません。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 二月二日の朝日新聞の記事でございますけれども、「北海道・沖繩電力の再値上げ」について「55年度中は認めず」森山長官の記者会見の発言があったと書いてございます。これと今回の沖繩電力料金の改定との関係を説明してください。

堀田俊彦資源エネルギー庁公益事業部業務課長

○堀田説明員 私ども、料金改定を認可いたします際には、常に、最大の経営努力をしてできるだけ長く認可された料金を維持するように指導しておるところでございまして、本年二月改定を行いました沖繩電力、北海道電力に対しましても同様の指導をいたした次第でございます。  ところが、沖繩電力の場合でございますけれども、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、いわば第二次石油危機のピークに当たった時期、その前に料金改定申請をいたしまして、その最中に認可を受けたわけでございます。その後油の値段の上がりが予想以上でございまして、どんなに経営努力してももはや耐えがたいという状況になってまいった。その結果、ことしの八月、やむなく料金改定の申請に及んだという特殊事情でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これは済んだことでございますけれども、前回八電力、そして北海道電力、あわせまして改定がことし行われたばかりでございまして、そのいきさつからいきますと割り切れないものがあるのでございますが、それにつきましてはこの辺にいたしておきますが、現在沖繩電力は百四十六億の赤字だそうでございますけれども、これの民営移管の問題はいまの時点でどういう見通しでございますか。それと、今後の電力料金、どうにもにっちもさっちもいかなくなったということですけれども、電力料金との関係で今後の見通し、これについて伺います。

堀田俊彦資源エネルギー庁公益事業部業務課長

○堀田説明員 沖繩電力株式会社につきましては、その設置根拠法が沖繩振興開発特別措置法という法律でございます。これは五十七年の三月三十一日に失効することになっております。また、昭和四十七年、沖繩が復帰いたしました際に、電力供給体制をどうするかということを県内で議論いたしました。当初民営が望ましいということでございましたけれども、当時、事情がございまして、特殊法人とせざるを得なかったという状況。沖繩県民の意向としては民間会社であることが望ましいという意向であるようでございまして、これは今日においても変わっていない。そういった事情を踏まえまして、昨年の十二月、沖繩電力を、離島を多く抱えている沖繩の特殊事情に配意しながら、諸般の措置を講じて民営移行するという旨閣議決定したわけでございます。私どもといたしましては、この閣議決定の意向も踏まえまして、また、同時に、一番大事なことだと思っておりますのは、沖繩県民の意向を尊重して今後民営移行のあり方を考えてまいりたいと考えております。  それから、もう一つの問題点といたしまして、沖繩県一県で電力事業を運営していく際にいろいろハンディキャップがございます。将来コストアップになる要因をできるだけ排除していきたい。たとえば、いま一番大きなハンディキャップは、電源をすべて石油に依存しておることにあろうかと思っております。この一〇〇%石油依存という体制から一日も早く脱却するように今後の電源開発計画を策定してまいりたいと思っております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 いまの点につきましては、ぜひともそういうふうに十分な御配慮をいただきたいと思います。石油依存一〇〇%でなくして、安全性を高めた上での原子力発電も含めた総合的な対策、物価抑制対策の上からもこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  それから、最後にお伺いいたします。  大臣、物価対策の基本は生産性の向上であるということについては先ほどお言葉をいただいたわけでございますけれども、これは民間のみならず、官公庁あるいは公共企業体等の事業も含めてのお話と考えてよろしゅうございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 これは、民営はもちろんでございますが、公営的な企業、これに対しましても当然のことだと考えております。特にこの公共的な事業ではややもすると生産性の向上が大変おくれておりますので、これの促進が私は強く望まれる、こう思っております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 大臣からはっきりと公共企業体につきましても、民間からおくれておる、したがって生産性の向上をはっきりと求めるという力強い御答弁を得たわけでございます。  これを前提にいたしましてでございますが、この「物価対策」の中に「公共料金については、」という項目がございまして、そこで、経営の徹底した合理化を前提として、厳正に取り扱う、前の方では「生産性の向上に努める」ということがございますが、後の公共料金については経営の合理化という言葉を述べておられますけれども、これは内容が違うということではなくして、生産性の向上の一つとしての合理化ということでございましょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 合理化をすることによって生産性を上げるということでございますから、同じ意味でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 そこで、お尋ね申し上げたいと思いますのは、生産性の向上ほぼイコール経営の合理化、これを徹底して進めるということでございますが、今日、一時間に一億円の赤字を、動いても動かぬでも出しておるというのが国鉄の現状でございます。国鉄の合理化、そして生産性の向上について、国鉄当局の責任者来ておられますね。――どのように取り組んでおられますか。

池田浩規日本国有鉄道職員局能力開発課長

○池田説明員 国鉄がその使命を達成するというためには、やはり事業の能率的運営を図っていくというのは当然でございまして、そういった意味で過去いろいろな形で近代化、合理化をしてまいっております。そういった中で、能率の向上イコール生産性の向上に努めてまいったつもりでございまして、今後も各種の施策を工夫いたしまして近代化、合理化を図ってまいりたいというふうに考えております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 非常に重大な発言をしていただきましたので、再度確認したいと思います。  国鉄におきまして、生産性の向上に過去努めてきたし、また今後とも努めるということでございますか。

池田浩規日本国有鉄道職員局能力開発課長

○池田説明員 ただいま申しましたように、近代化、合理化を図りまして能率の向上を図ってまいりましたし、生産性の向上を図ってまいりました。今後もそういったことを続けてまいりたいというふうに考えております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これは当然のことで、別段新しいことでもないはずでございますけれども、私はいまの国鉄当局の発言は非常に重大な発言だと受けとめます。これは国鉄総裁からはっきりと言ってもらいたい、生産性の向上に努めると。そこまで言えますか。

池田浩規日本国有鉄道職員局能力開発課長

○池田説明員 いま申しましたように、近代化、合理化を図りまして能率の向上を図り、生産性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。(塩田委員「それは聞いたんだ。国鉄総裁のことだ」と呼ぶ)

井上泉日本社会党

○井上委員長 総裁に伝えるかということでしょう。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 伝えて、それを言ってもらえるかということです、はっきりと。

池田浩規日本国有鉄道職員局能力開発課長

○池田説明員 総裁に申し伝えます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 総裁あるいは理事のかわりに答弁されたものだと理解しますが、そのことをいずれ何かの機会に確認してはっきりと総裁から言ってもらいたい。  私がこれを言いますのは、国鉄においてはかって生産性向上運動をやってきた、ところがいろいろな事情からそれをやめた、そしてそれ以降は生産性の向上をやりますとは言わない、国鉄総裁は。だが、いまの答弁はやりますということですから、非常に重大な発言だと申し上げておきます。  以上で終わります。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○藤井(直)政府委員 先ほどの答弁でちょっと訂正させていただきたいと思います。  先ほどの御質問の中で、過去の実質賃金のマイナスの月はいつかという御指摘でございましたが、ちょっと私先ほど取り違えて御答弁申し上げましたので、いま調べましたところを申し上げます。出所は毎月勤労統計調査でございます。  これで見ますと、四十九年には五カ月でございます。五十年に三カ月、五十一年に三カ月、五十二年に三カ月、五十四年に一カ月。以上でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 終わります。

井上泉日本社会党

○井上委員長 岩佐恵美君。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 石油やみカルテルの刑事判決の問題について伺いたいと思いますが、この判決の中で、通産省容認のもとに行われた生産調整が違法であると指摘されています。通産省が違法な生産調整を指導したということを明記しておりますけれども、この点について通産省はどう考えてどう受けとめておられるか、伺いたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 先般の石油判決につきましては、これは私ども訴訟の当事者ではございません。したがいまして、この判決文を私どもまだ十分に詳細にわたって読むような機会を与えられていないという状況でございます。したがいまして、この判決の詳細についてどういうような事実認定なりあるいは法律解釈であったかという点については、十分に承知しておりません。したがって、その御指摘の点につきましていまここではっきりしたことは申し上げがたいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、あの判決の要旨の中で行政指導の点について触れられている点につきましては、私どもといたしまして、司法当局の一つの見解が示されたものといたしまして厳粛に受けとめております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 その判決の中でこれも指摘されていることですが、公取が生産カルテルについて警告、調整等の措置をとらなかった怠慢、そして石油の生産調整は石油業法によるもので容認されるとの誤った解釈があった、このことが指摘されているわけですが、これについて公正取引委員会がどう認識をされているか、お答えをいただきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 九月二十六日の東京高等裁判所の石油やみカルテル事件に対する判決は、全体としてわれわれにとりまして価値あるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。  いま御指摘がございました昭和四十一年以降の公正取引委員会の独占禁止行政に対するあり方についての裁判所の判断の問題でございますが、そういう事実があったかなかったかという問題とかあるいは四十一年における当時の公正取引委員会の委員長の答弁がどうであったかという確認の問題がございますけれども、事実どうであったかという問題よりは、やはり裁判所はそういう評価をされた、この点につきましてはこれは厳しく受けとめるべきものだというふうに考えておるわけでございます。  ただ、通産省からお答えもございましたように、まだ判決文全体を見るという立場にございませんが、判決の要旨に示されておりますところは、たとえ行政指導がありましても生産調整に関しまして業界の共同行為があればこれは違法性がある。独禁法の領域につきましては違法性というものの認定をはっきりいたしておるわけでございますから、あとは公取委の行動とかあるいは行政指導の有無は違法性の意識の問題として、いわば刑事法の領域として裁判所は判断を示しておるわけでございますから、そういう点で申しますと、先ほど申しましたようにやはり全体としてわれわれにとって価値ある判決だというふうに考えておるわけでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 四十八年当時、五回にも上る違法な価格協定が行われたわけで、それについて判決では、「本件当時、カルテルを結んでまで値上げしなければ被告会社らの企業維持ができなくなり、あるいは著しく困難になり、ひいては石油業法の目的とする石油の安定的かつ低廉な供給確保に支障を生ずるような事情はなかったのに、被告人らは値上げを有利にするため安易に本件に及んだもので犯情は悪い。」こう言っているわけです。この価格協定に関する通産省のかかわり方について判決では、ガイドライン方式というはっきりとした許認可類似の慣行があったとは思われないが、通産省担当官が石油会社の共同行為があった後に、その内容である油種別値上げ幅、時期について業界の代表者に了承したことを認めています。そしてそのことは、石油業界が値上げの実現に有利であると考えて行動したものであると明確に通産と石油業界の協力ぶりを指摘しています。これはまさに私たちが日ごろから言っている官民一体のカルテルという形ではないかというふうに思うわけですが、この点について公取のお考えを聞きたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 共同行為というのは事業者相互間の意思の形成でございます。したがいまして、官民一体としてのカルテルというのは、通俗的な用語としてはあり得ると思いますけれども、法律上の用語としてのカルテルということはあくまでも石油事業者相互間の意思の形成ということでございます。ただ、いまお話がございましたように、行政庁の指導がございますと、業者の共同の意思形成が比較的容易になるという問題がございます。これは判決の要旨の中にもそういう指摘がございますし、また、行政指導がございますと、後の量刑の問題とか、それから先ほど触れました違法性の意識の問題とか刑事罰に影響が出てまいります。そういう点におきまして、あるいはその限度におきましては関係があるわけでございまして、そういう点から申しますと、将来の問題として、行政庁のあり方というものは十分慎重でなければならない、そういう感想を持っておるわけでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 四十八年のときもそうですけれども、通産省の、いわゆる法律に基づかない価格についての行政指導が石油製品の価格の引き上げを誘発しているわけです。昨年からことしにかけて、先ほども同僚議員から指摘がありました八回の価格引き上げが行われ、しかもそれは通産省の行政指導のもとに行われていることははっきりしているわけです。とりわけこの八回の値上げの中で、ガソリンについては価格が非常に低迷していたのに、行政指導の後、いま委員長からも指摘があったように、一挙に値上げが大幅に行われるということが誘発されている。以前から、こうした法律に基づかない行政指導が頻繁に行われるのは独禁政策上から基本的に好ましくない、法律に基づいて行うべきである、そういう従来の公取の見解があったと私は承知しているわけですけれども、この点について公正取引委員会の考え方を明確にしていただきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 独占禁止法と行政指導の関係の問題は、たしか前の通常国会でも先生の御質問にお答えした記憶がございますが、これは古くして新しい問題でございまして、それに対しましては昭和四十九年の三月に衆議院予算委員会におきます政府の統一見解で明らかにしておるところでございまして、また昨年作成をいたしました事業者団体の活動指針におきましても、仮に行政指導がありましても、その結果として、あるいはその影響を受けて共同行為があれば、これは違法性がなくならないということをはっきり決めておるわけでございます。  したがいまして、実体法なり特定の法律に基づかないいわゆる行政指導はいろいろ問題を起こすわけでございますし、責任の所在と申しますか、いわば密室の秘め事のようにして行政指導が行われました場合には、後で実際そういう指導があったかどうかにつきましての争いが生ずるわけでございますから、いわゆる法による支配という民主主義的な行政の基本原則から申しまして、われわれとしましては、実体法なり特定の法律に基づいて明確な指導をしていただきたいということを従来から主張いたしておるわけでございます。  ただ、先ほどもちょっと触れました、昭和四十九年三月の政府統一見解は、物価の急上昇というような異例な事態あるいは緊急の事態の場合には行政庁が価格に介入することもやむを得ない、ただその介入の結果として共同行為があれば、これはやはり独禁法に触れる、明快な結論を出しておるわけでございます。これはあくまでも緊急異例な事態でございまして、これもたしかこの前の通常国会で先生から御質問があって、お答えをした記憶がございますが、第二次石油ショック以降の八次にわたる石油価格の改定は、ある意味ではやや異例緊急の事態に近いわけでございまして、そういう情勢のもとにおきましての行政庁の介入というものはある程度やむを得ないのではないか。ただ、その結果として独占禁止法違反のような事態が生じないように、またそういう御注意もございましたから、広範に情報を集めておったわけでございますが、これはいまの御質問にございませんでしたが、少なくとも第二次石油ショック以降の価格行動に関しましては、かつてのような憂慮すべき状態にはなかったのではないか。つまり価格にかなりばらつきがございます。これはいろいろな角度からわれわれとしては調査いたしておるわけでございまして、われわれが持っている情報が常にすべて正しいというわけではございませんけれども、少なくともいままで得た情報で見る限りは、おっしゃるような共同行為、過去の悪しき慣習としてのカルテルというものはなかったのではあるまいか、こういう感触を持っておるわけでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 昨年の問題については、価格の引き上げ幅がばらついている、あるいは最終末端価格がばらついている、だから共同行為がなかったのではないか、そういう公正取引委員会の認識については、そう単純には言えないのではないか。そのことは前の委員会でも私たびたび指摘しているように、価格の引き上げ、それから量のカルテル、量の締めつけのカルテルといいますか、これはもういつも一緒であって、そして五十四年から五十五年にかけての八次の値上げを非常にしやすくした土壌というのは、たとえば灯油についてもあるいは中間三品についても昨年実績に基づく、それが同月、昨年の同年ではなくて同月比について実績主義をとるというような形での、かつてない非常に厳しい量の締めつけがあった上で価格が八次にわたって引き上げられる。だから、多少ばらばらでも、それは十分値上げが行われ得る土壌があったのではないか。その点について私はしつこく前国会でも公正取引委員会に、こういう縦の系列強化という新しい形での量の締めつけについては調査してほしいと言ってきているわけですけれども、その点について、新しい国会でもありますので、公正取引委員会の作業なりこれからの見通しなどについてもう一度お答えをいただきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 石油製品の流通あるいは価格の問題につきましてはいろいろな角度から調査をいたしておるわけでございまして、第一次から第八次までの価格の行動につきましてのある所感を申し上げたわけでございますが、これはいろいろな角度から調査いたしました過程においてわれわれが得た心証でございまして、いまお話がございました系列化の問題等々につきましても現在調査をやっておるわけでございまして、輸入、精製から元売段階の調査は一応結了いたしまして、これはことしの五月にすでに外部に発表いたしております。現在やっておりますのは卸、小売の川下の段階でございまして、川下の段階の一応の実態調査の中間的な取りまとめをいま急いでおるところでございますが、確かに、おっしゃるように、系列化の傾向がかなり強くなっておるわけでございますし、一たび需給が緩和いたしますと、やはり業転玉が業界の中で問題となるというような、ある意味では大変弾力性に乏しい流通形態ではないかと思うわけでございまして、同時にまた揮発油販売法というような法律もございますから、そういうものとの調整も必要でございますので、われわれとしましては、全体として石油の輸入から消費までの段階につきまして問題の所在をいま解明しつつあるところでございまして、いましばらく時間をかしていただきたいと考えております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 四十八年当時石油業界全体でわずか二カ月間に六百億円以上の便乗値上げによる不当利益があったことは周知の事実でございますけれども、五十四年度決算についても石油業界は前の年に比較し、利益を大幅にふやし、史上空前の利益を上げています。一方で国民がインフレ、物価高の中であえいでいるのに、石油業界が国民生活に欠かすことのできない灯油や軽油、A重油、ガソリンなどの石油製品の価格を大幅に引き上げて史上空前の利益を上げたことについて、国民感情として許せない、非常に不平等だ、こういう声が各地で上がっております。  私は、この問題について昨年十二月六日当委員会で取り上げた際、当時の神谷石油部長は、通産省の価格指導について、「この判断が正しいか正しくないか。これはやはり企業の決算の動向、メジャーのように何十倍もの利益を上げたりするような動きになっているかいないか、事後的に御監視願いたい」、こう答弁をされておられます。五十四年度決算について、先ほど同僚議員からも指摘がありましたように、たとえば出光は前年比七十三倍、ゼネラルは二十八倍、日石は史上空前と、各社軒並みの利益増です。しかも、先ほど言われたように三十六社計の経常利益というのは二千九百十五億円、これはもう史上最高の経常利益となっています。さらに、出光、日石、丸善、興亜、三菱石油、ゼネラル、共石、東燃、エッソ、大協の十社の内部留保は、前年に比較して五百七十三億円積み増しして、私どもはこの内部留保というのを隠し利益と言っていますけれども、これが千八百億円になっています。これは利益を上げて、それを内部留保という形で国民の目から隠すという点ではなお一層不当だというふうに私たちは言わなければならないと思っています。神谷前石油部長の答弁からすると、五十四年度の通産省の行政指導というのは、この石油業界の利益状況からすると、やはり問題があったんだというふうに言わなければならないんじゃないか。先ほどの答弁では、五十一年、五十二年に比較するとこれは大した差がないんだ、まあまあなんですという答弁がありました。ちなみに、五十一年は利益がふくれた一つの大きな要因に、為替差益が一千億円以上上がっている。五十二年の場合には三千億円以上の為替差益が上がっている。しかし五十四年はどうかというと、むしろ為替の面でいったら差損という形で四千億円以上の差損が出ている。それでいて二千九百十五億円の利益を上げている。しかも、私がこの当委員会の四月八日の委員会で指摘しましたように、モービルは今年度の決算が非常によかったのは、製品の販売価格を引き上げたからである、そういうふうに決算書に明確に書いているわけです。この点について通産省からお考えを伺いたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 五十四年度の石油会社の決算について御指摘があったわけでございますけれども、これは先ほどもお答え申し上げましたように、この二千九百十五億円の経常利益についてどう評価するかという問題だというふうに思っております。  確かに前年度の五百三十四億円に比べますと非常に大幅な増加でございます。ただ、この二千九百十五億円が前年度に対比して二千四百億円くらいふえたということで、非常に高い高収益であるというふうに判断するよりも、私どもといたしましては、やはり前年度がむしろ非常に悪い年であったというふうに評価すべきではないかと思っておるわけでございます。これは、売上高、経常利益率の他産業との比較その他から申しましても、決してその一・三五%という五十四年度の売上高、経常利益率――私どもといたしましてはほかの製造業に比べてこの一・三五%によっても非常に低いレベルでございます。片や石油会社として、たとえば備蓄の問題あるいは開発の問題、あるいは、現在非常に重要でございますけれども、流通対策の問題、そういったいろいろなところに力を入れていかなければ、やはり日本の石油の安定供給という面から問題が出てくるというふうに思っておるわけでございまして、そういう点もぜひお考えいただければ非常に幸いであるというふうに思っております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 いまの通産省のお答えは、大変申し上げにくいんですけれども、石油会社に私どもが伺いますと同じような答えが返ってくるわけですね。まるっきり石油会社と変わらない。政府として一体どういうふうに考えているのか、独自の考え方というのがどうも浮かび上がってこないわけです。  灯油は、寒い地方では、生活必需品というよりも、もはや生存物資なんだ、そういうふうに言われていて、仙台通産局に私伺いましたら、通産局の人たちは、そういうふうに住民の方々に言われて、私どもはそういう観点で仕事をしなければならないと肝に銘じております、こういうような話がありました。ことしの灯油の価格というのは、春から比べれば多少は下がっているかもしれませんけれども、昨年の秋の価格に比べると三割から四割の値上げになっています。  私は、今月の十一日から十四日まで東北を視察をしてまいりました。その中で、値段を引き上げることが省エネルギーになるということがよく言われますけれども、こういう考え方がいかに非人間的かということをこの目で見て、そして実感として痛感をしてまいりました。とりわけ低所得者層のところでは大変な思いをしています。  たとえばお年寄りは、電気は上がってしまう、あるいは灯油が使えない、かいろを二つぶら下げて、そして火のないこたつに丸くなっている。それは家族と同居していても、家族に迷惑をかけまいとしてそうしているんだ。家族の人たちはその年寄りの姿を見ると本当に泣けてくる、情けないというふうに言っていました。それから夜テレビを見ているときに、その家に行くとテレビだけしかついていない。電気がついていないんだそうです。もったいなくて電気がつけられないと言うんです。それは目を悪くするということをほかの人が言うと、いや、もともと目の悪い人なんだ、そういうところで笑いがちょっと起こったんですけれども、でも、みんな途中で何か顔が引きつってしまう。つまり、ひどい状況だ。  それから施設のお年寄り――この施設は、私は養護老人ホームに伺ったんですけれども、お年寄りの方が寄ってきて、ちょうど私たちが行ったとき十三度ぐらいの温度でした。寒いんです。そうすると、きょうは冷えるね、十三度だと言って、お年寄りが一生懸命私たちと一緒に歩きながらつぶやいているわけです。だから暖房を入れてくれとは言わないんだけれども、その姿が私はとても印象に残って何ともやりきれない気持ちになりました。  そういうふうに低所得者が大変ひどい打撃を受けている。  そういう中で通産省は、大衆団体との交渉の中で、福祉灯油は必要だというふうに指摘をして、そういうことで関係のところには言っているんだ、そういう話がありました。それは灯油の価格が上がったからそういうふうに通産省が考えておられるんだろうというふうに思うわけですけれども、その点について通産省の考え方を伺いたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 灯油が国民生活に非常に重要な物資であるということは私ども十分承知しているわけでございまして、そういう観点から灯油の安定供給について特段の努力を私どもとしては払っているわけでございます。  また、元売価格の引き上げに際しましても、便乗値上げがないように、会社の方からいろいろ事情を聞きましてチェックをしておる。また、流通段階においていろいろな不当な行為がないように、これは通産局あるいは県、あるいは消費者モニター、そういったものを通じまして従来から承知をしておるわけでございます。  灯油につきましての私どもの基本的な考え方は、まず需要とバランスのとれた供給を確保する、これが第一。そういうことを通じまして灯油の価格安定を図っていくということがきわめて重要である、そういう考え方に立っているわけでございます。  ただ、他方におきまして、原油の価格が上がる、そういった場合に、もちろん先ほど申し上げましたように不当な便乗値上げは容認できないわけでございますけれども、やはりそういったコストの上昇、これが適正に反映されていくということはこれまた必要なことであるというふうに思っておるわけでございます。  確かに、そういう中で、生活保護世帯あるいは母子家庭、そういったお気の毒な方々に対してどうするかという問題があるわけでございます。確かに私どものところにおいでになりまして、そういった御要望がございます。私どもその御要望に対しまして、要望の向きは、これはやはりそういう方たちに対する政策の一環として考えていくべき問題であろうかと思うので関係省に連絡をしますということでお答えを申し上げたところでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 きょうは厚生省においでをいただいているのですが、福祉灯油について各地方自治体で取り組んでいるわけです。その資料がまとまったものが厚生省になくて、現在集めているということを聞いておりますけれども、実態把握を早急にやってほしいと思うわけですが、その点いかがでしょうか。

加藤栄一厚生省社会局保護課長

○加藤説明員 地方自治体におきまして灯油を現物で給付するという例はございますが、私どもの方では、原則といたしましては生活保護基準の中で対応していくという原則で算定しております。ただ、そういうものの地方自治体におきます福祉的な措置の実態につきましては、監査、これは全県必ず一回やるわけでございますので、そういう折を通じまして十分に実態把握に努めたいと思っております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 ことしは灯油が前年に比べて三割から四割上がっている。それから電気料金が四月一日からの値上げは福祉料金ということで据え置かれたわけですけれども、これが十月からは本人が五〇%増しで払わなければならない、そういう深刻な状況に置かれて、生活保護世帯の方々は大変どうしていいかわからないというような状況に置かれているわけです。そういう中で、厚生省は従来の福祉灯油あるいは各地方自治体がやっている冬季加算、こういう独自に行っているものに対して収入認定を行う、あるいは自治体の措置に対していろんないやがらせをする、そういうような訴えが来ているわけですけれども、その事実について、そういうことが実際にあるのかということを伺いたいと思います。

加藤栄一厚生省社会局保護課長

○加藤説明員 生活保護の基準につきましては、翌年度の国民生活の動向、物価の動向等を勘案いたしまして、一年間を通じまして必要な限度におきまして算定しておりますので、それに地方自治体で特にその基準の上積みをするという必要は私どもとして認めてはおらないわけであります。そういうたてまえで算定しておるわけでございますが、ただその地域の実態に応じまして、地方公共団体におきましてある程度の福祉の措置をする、これはその地域の均衡等を勘案いたしまして、そういう現物でありますとか、あるいは少額のものでありますと、その消費を認めるということにしております。特にいやがらせというような筋で干渉するということはいたしておりません。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 厚生省にやはりお願いしておきたいのは、そういうことをぜひやらないでほしい。これはないというお答えですので、その点そういう関係の団体の人は安心すると思いますけれども。  それからこれは大臣に最後にお伺いしたいというふうに思うのですけれども、いままで申し上げたように生活保護世帯あるいは年金生活者、身体障害者、母子家庭、そういう方々が、灯油が大変上がっている、あるいは電気、ガス料金が上がっている、そういう中で非常に生活が圧迫をされて、ともすると栄養的にも十分とれないというような状況に置かれていることが訴えられているわけです。こういうことについて、大衆団体の方々が、国やあるいは各級地方自治体、そういう合同での負担で福祉灯油をぜひとも何らかの形で国民生活を守るために実現してほしいんだ、そういう訴えがあるわけですけれども、そのことについて大臣のお考えを伺いたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いま政府の進めております物価対策の大きな柱に、冬場を迎えまして石油製品の価格が上昇しないように十分配慮をしよう、こういう一項目がございますが、その趣旨にのっとりまして、灯油価格が上がらないということは非常に大事な課題だと思います。ただ、国の方で福祉灯油、こういう考え方をいま具体化するという段階ではない、こう考えております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 この問題についてはもう少し煮詰めていかなければならない問題だというふうに私自身も思いますけれども、ただ現実にたとえば青森め場合には九十かんぐらい一冬に使うということですね。東京では二十かん前後ですから、灯油だけでもかなりの違いでございます。それから岩手に参りましても、多い人でやはり六、七十かん使う。多いというか年寄り、病人、そういうところではやはり六、七十かん使う。団地で二階なんというところでかなり使わないところでも四十かん前後は使う。そういうような状況ですので、やはりこの灯油の問題についてはかなり生活を圧迫している要因となっておりますので、今後検討していただきたいというふうに思うわけです。  最後に、これは消費者の方々から非常に強く要望されていることですけれども、生協を初め消費者が物価高から生活を守るために自衛的に取り組んでいる灯油の共同購入活動というのがあります。これが昨年の場合には量を確保することができなくて運動が非常に苦境に立たされた、そういう経験があるわけです。国民生活を守り物価を安定させる、そういう意味から、この共同購入活動についてやはり政府として積極的に位置づけをして、そしてそういう苦境に立たないような援助をしていくべきである、こういうふうに思うわけですけれども、大臣の考え方、そして通産省の考え方をお伺いしたいと思います。

志賀学資源エネルギー庁石油部長

○志賀(学)政府委員 灯油につきましては、先ほども御説明申し上げましたようにことしの需要に対しましては現在の在庫レベルから申しまして十分対応できるというふうに思っておるわけでございます。  そこで共同購入の問題でございますが、共同購入につきましては、これはやはり流通の合理化に資するということで、基本的には当省として従来からもそういう観点から意義のあることであるというふうに考えているところでございます。ただ問題は、いずれにいたしましても共同購入というのは供給者とそれから消費者相互の話し合いによって、相互の信頼関係をベースにして、そういうことで共同購入というものが実現していくということが好ましいというふうに思っております。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 家庭の負担を軽減するために共同購入をされるということは大変結構だと思います。と同時に、先ほどもちょっと申し上げましたように、石油製品が国民経済上非常に大きな影響を及ぼしますので、私どもはこの価格動向には非常に注意を払っておるわけでございます。  そこで、イラン・イラク戦争で大勢としては油が上がる方向にございますけれども、一方で円高ということがございまして、一円円高になりますと石油の輸入価格は五百億円減少する、こういうことでもありますから、そういうことを十分考慮しながら総合的にこの冬の石油製品価格が上がらないように十分配慮してまいりたいと思います。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 終わります。

井上泉日本社会党

○井上委員長 依田実君。

依田実新自由クラブ

○依田委員 けさほど長官からいろいろ最近の景気見通しなどについてお話がございましたけれども、きょうは中小企業を中心にいろいろお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。  けさの長官の御報告では、このところ景気にかげりが見られる、そういう状態になったというようにありましたが、特に中小企業関係では不況が深刻になっているのじゃないか、それもいわゆる建設関係、こういうものを中心に深まっておるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。建て売り住宅業者などの倒産もございますけれども、あるいはまたそのほか連鎖倒産、いろいろあると思うのであります。  そこで、現在のこの景気の中で中小企業の現状をどういうふうに認識されているか、その辺のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 日本では中小企業が非常に大きな役割りを果たしております。企業の数も非常に膨大な数になっておりますし、そこで働いておられる方々の数も非常に多い、また国全体の生産において占めるシェアも非常に高い。外国でも中小企業は活動しておりますけれども、日本のように大きな役割りを果たしていない、こう思います。それだけ日本といたしましては中小企業対策というものが非常に重要な課題になるわけでございますが、最近の倒産の状態を見ますと、昨年に比べまして約二割ふえております。これはほとんど中小企業関係でございまして、中には異常気象のために倒産をしたというようなものも若干ございます。九月の数字の分析をいたしますと、分析の仕方によっては若干違いますけれども、大体千六百件のうち百件前後が異常気象による倒産、一部の分析によりますと百二十四件という数字も出ておりますが、いずれにいたしましても、異常気象もありますけれども、しかしながら景気にかげりが出ておるということがやはり一つの大きな背景ではなかろうか、このように考えております。  そこで、先月一連の景気対策を進めまして、景気が活力を回復するような方向に、いま物価に注意をしながら総合的な経済政策を進めておるというのが現状でございます。

依田実新自由クラブ

○依田委員 いまのお話にもありましたけれども、九月五日の経済閣僚会議で八項目の景気対策、経済対策、こういうものが出ておるわけであります。この中にもちゃんと中小企業に十分配慮をする、こういうふうに書かれておるわけでありますけれども、具体的にどういう配慮をされるのですか。その辺についてお伺いしたいと思います。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 中小企業対策の中心はやはり金融ということになります。したがいまして、まず金融につきまして各種の手段を講じて、中小企業が金融上制約を受けることがないようにというふうなことをやるわけでございますが、具体的には中小企業金融機関のそれぞれのいろいろな制度を活用して、中小企業に支障を及ぼさないようにするというのが一つ。それから、さらには公共事業を促進をするという項目がございますけれども、公共事業促進に当たりまして、具体的に中小建設業等々を十分配慮していくというふうなことを規定いたしておるわけでございます。

依田実新自由クラブ

○依田委員 けさの長官のお話で強調されたように、最近の景気に重大な影響を及ぼしている中にいわゆる住宅建設の落ち込みがある、こういうことがお話にあったわけであります。われわれが見ていても確かにそうでありまして、中小建設業者あるいは土木業者の現状を見ておりますと非常に深刻ではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、いま局長が言われた中にも公共事業を中小企業向けに発注したい、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますけれども、しかし具体的になりますと、かけ声はかかるのでありますけれども中小企業が受注するというのは非常にむずかしいのじゃないかと思うのであります。この五十五年の七月十一日に閣議決定した中に「五十五年度の中小企業者に関する国等の契約の方針」こういうのが出ておりますけれども、これを実施に移す実際の行政が大事じゃないかと思うわけであります。  きょうは建設省の方にいらっしゃっていただいておりますので、いま局長が言われた公共事業の発注について中小企業に具体的にどう受注できるようにしていくのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 建設省の直轄工事についてお答え申し上げますが、建設省の直轄工事におきましては、第一に資格等級区分によりまして相応の工事を相応の業者に発注するということといたしまして発注標準を設けておりまして、これを遵守することといたしております。  第二といたしまして、中小業者に受注機会を与えますために、できる限り分割発注を推進するということをいたしております。  それから第三に、中小企業の受注能力を高めるために共同請負を実施することというような手段によりまして、中小建設業者の受注機会の確保に努めてきたところでございまして、昭和五十五年度の建設省直轄工事の執行に当たりましても、建設省の事務次官通達によりましてこれらの趣旨のなお徹底を図っておるところでございます。

依田実新自由クラブ

○依田委員 そこで、ひとつこの際ぜひ建設省の皆さんにお考えをいただきたい、こういうことがあるわけであります。  それは、前に出ております官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、こういう法律がありまして、その中の第二条に中小企業者とはどういうものが該当するのか、こういうことが書かれておるわけであります。要するに資本の額が一億円以下、常時使用する従業員の数が三百人以下、こういう業態が中小企業だ、こういうふうに規定されておるわけであります。しかし実際問題といたしまして、建設関係あるいは土木関係、こういう業界を見てみますと、資本金一億円以下はいいのでありますけれども、常時使用する従業員の数が三百人以下、この規定が実際問題としてはいろいろ妨げになるのじゃないかと私は見ておるのです。と申しますのは、皆さん方は従業員常時三百人以下だからその企業に出している、つまり中小企業に出しているのだ、こうおっしゃるのですが、そういう業界で常時三百人を使用しておるというのは実際問題として中小企業じゃない、こういうのが現状ではないかと思うのであります。確かに法律に規定はあるのでありますけれども、実際の運用上でそういう業界の現状を考慮していただけないものかどうか、この辺についてお伺いをさしていただきたいと思います。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 おっしゃいますとおり、建設業の三百人というのは業界の中ではかなり規模が大きいかと存じます。建設省直轄工事は、御承知のように広域的かつ大規模な事業に係るものが多うございます。また国の事業でございますので、施工能力のある業者に発注をしていかなければならないという必要がございますためにおのずから限界がございますけれども、中小企業の育成も非常に重要な国の施策でございますので、先ほどもちょっと申し上げましたとおり登録業者を分類いたしまして相応の業者に相応の工事を発注する、大企業が下の業者に相応するような工事をできるだけ取らないようにするというかっこうの仕組みをつくっておりまして、いわゆる零細業者に対しましても施工能力のあると認められるものに対しましては積極的に受注機会を与えるというような方針で臨んでおるところでございます。

依田実新自由クラブ

○依田委員 いま建設省の方の御意見を聞いておりますとそのとおりなんでありますけれども、しかし、実際それを実施する場合のいろいろの御配慮が大事なんじゃないか、こう思います。地域の仕事はなるべくその地域の中小業者にやらせていただきたい、こう思います。また業界の皆さんがよく地方建設局へ伺うわけでありますけれども、もっとも一々話を聞いていたのでは役所としても能率が悪いということなんでしょうけれども、どうも中小企業の皆さん方に対する応対が冷たい、こういう感じをよく訴えられるわけなんです。その辺のことについて末端によくこの法律の趣旨を御説明をいただいて、実質、そういう中小企業が仕事にありつけるようにこれからひとつ御指導を賜りたいと思いますが、いかがなものでしょうか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 先ほど申し上げましたとおり、国の事業という制約がございますのでおのずから限界はございますが、先ほどのことしの七月十一日の「五十五年度の中小企業者に関する国等の契約の方針」で触れられておりますとおり官公需相談担当者というようなものを地方建設局あるいは事務所等の担当の課に設けておりますので、中小企業の方が御相談にお見えになりましたような節は丁寧に応対するように指導いたしたいと思います。

依田実新自由クラブ

○依田委員 ぜひひとつその辺を御配慮していただきたい、こう思うわけであります。  ところで、少し話題は変わりますけれども、最近目立つ社会現象の一つに住宅ローンの行き詰まりによる悲劇というのが多々見受けられるわけであります。新聞紙上にもときどき社会ネタとして出てまいりますけれども、ローンの金利が高い、あるいはまた景気が悪くなって計算していた収入が入らないということで、ローンで住宅は買いましたけれども、しかし途中で行き詰まるというケースであります。まあ、経済企画庁はいわゆる消費者苦情の相談などもおやりになるし、そういうデータもお持ちになってしかるべきだろうと思いますけれども、経済企画庁としてこういう実態についていまのところ把握されておりますか。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 御指摘の住宅ローンの事故の発生状況につきましては、われわれこれを直接所管しておるわけではございませんので、また、一般に利用できるような統計情報がないために正確に把握することはむずかしい状態でございますが、住宅金融公庫等からの数値を見ますと増加傾向にございます。それは御指摘のように、従来高度成長期におきましてはローンをいたしましても所得がどんどん伸びたので返済が比較的容易であったものが、最近所得の伸び悩みのために苦しくなるということであるかと思います。なお、参考までに申し上げますと、全国全世帯で住宅ローンを持っている世帯は二八%ございまして、これらの世帯では平均して年収の約一三%、六十五万円くらいを返済に充てております。なお、このローンを持っております世帯というのは、たとえば四十九年ごろに比べますと約五割くらい増加いたしまして、当時二二%くらいであったものがいま勤労世帯で三一%、そういうような状態になっておりますので、われわれのところでわかります状況というのは大体こういうことでございます。

依田実新自由クラブ

○依田委員 きょうは与えられた時間が非常に短いものですから、その一端だけ御質問をさせていただいて、また機会を見て詳しくやりたい、こう思っております。  ローンに行き詰まりまして、早いうちにたとえば新しい買い手を見つけてローンを肩がわりしてもらって売る、こういうことで切り抜けられればいいのでありますけれども、その間にサラ金などからお金を借りましてにっちもさっちもいかなくなった後とうとう行き詰まる、こういうのが非常に多くなっておるわけでありまして、そういう場合は御承知のように競売に付されるわけでありますが、しかし競売がいまいろいろ問題があるわけであります。この間も新聞に出ておりましたけれども、競売の実態というのは、暴力団関係の者に大体落ちる、大体というのは非常に失礼かもしれませんけれども、そういうケースが非常に多くなっておるわけであります。御承知のようにこれまでは競売が競りで行われておったために普通の人はそういう中でなかなか競り落とすという能力がないわけであります。組織的に声の大きい者、こういう者へ落ちる、あるいはまたほかの人へ落ちたものをそこから上前をはねる、こういうようなことが非常に行われておるわけであります。そのためにせっかく競売である程度金をもらって、そして少しでも借金を返そうと思うのが、不当に安く買いたたかれまして、そのために一層惨めな状況へ追い込まれるというケースが非常に多いわけであります。  そこできょうは法務省にお尋ねさしていただきたいのでありますが、これまでの現状に対して法務省としてはいろいろお考えになっておるはずでありまして、十月一日から新しい法律もできた、こういうことでございますので、その辺のことについて法務省に御説明をいただきたい、こう思っております。

吉野衛法務大臣官房参事官

○吉野説明員 御承知のように新しい民事執行法が十月一日から施行されております。新しい民事執行法によりますと、従来の競り売りの原則を廃止いたしまして入札の方法もとれる、しかもむしろ入札の方法を積極的に前向きに進めていきたいということを考えて立法しておるわけでございます。それを受けまして最高裁判所の民事執行規則が制定されまして、入札の方法にいわゆる期日入札という方法と期間入札という方法を設けました。特に期間入札につきましてはあらかじめ一定の期間、一週間から一カ月の範囲内の期間を定めまして、その期間内に一般民衆が買い受けたいということであれば書留郵便の方法によって買い受けの申し出をすることもできる。その申し出を受けまして、開札期日を設け、一番高い申し出をした者について競落許可を与えるというようなことも考慮されておるわけであります。  次に、しからば一般民衆がそういう競売物件が売りに出されているということがどういうようにわかるかということでございますけれども、これも民事執行法に規定を設けまして、売却すべき不動産の表示それから最低売却価額、売却の日時、場所等を公告することにいたしております。最近、東京地裁の実情を伺いましたところ、今後東京地裁の競売の執行部では期間入札の方法を原則として取り扱う、一定金額以上のものは日経新聞に公告するということで、一般大衆が容易に競売に参加できるようにしようということを配慮しているように聞いております。

依田実新自由クラブ

○依田委員 せっかくこの法律が改正になったわけでありますから、ひとつぜひこの際、暴力団関係の者の入る余地のないようにやっていただきたい、こう思うわけであります。  それと同時に、いま日経新聞に公告を出す、こういうお話でございます。私はそれも非常に結構だろうと思うのでありますが、できましたら、その際ぜひ、その物件の内容について非常に詳しく載せていただきたいと思うのであります。と申しますのは、大体こういう物件は債権債務が非常に入り組んでおりまして、落札しても後裁判で三年も四年もかかる、こういうケースが非常に多いわけでありまして、少なくとも素人の方が見ても内容がわかるように物件内容を公告をしていただきたい、こう思うわけであります。  もう時間が参りましたけれども、きょうは大蔵省の方に、私の方の時間もない、向こうもお忙しいということで来ていただかなかったのでありますけれども、もう一つ住宅ローンの行き詰まりの件でこれから大きな問題になるのは、いわゆる損保会社がたくさんそういうものを保証しておりまして、抱え込んでおるわけであります。そして、いろいろ債権債務がいまのように入り組んでおってひもを解きほぐすことができない、結局抱え込んで非常な累積の赤になる原因にこれからなるのじゃないか、こう思います。  要は、経済企画庁に申し上げたいのは、先ほどそういう統計資料がないというお話だったのでありますけれども、これからいろいろな消費者の苦情というものがどういうところに出てくるかということをよく時代の先取りをしていただきたいと思うのであります。その時世時世によりまして消費者の苦情というのはいろいろ変わるわけであります。食品添加物のこともあれば、不動産売買のこともある。時代の要請で消費者の苦情というのは変わるわけでありまして、これからはそういう住宅ローン、そういうものについてのトラブルあるいは消費者の苦情というものが非常に大きく社会問題になるはずでありまして、早いうちに経済企画庁としてこういうものに対する窓口をどうするかあるいは対策をどうするか、こういうものについてひとつ御検討おきいただきたい、これがきょう私の質問をいたしました趣旨でございまして、また機会を改めまして時間のあるときに詳しくやらせていただきたい、こう思っております。ありがとうございました。

井上泉日本社会党

○井上委員長 次回は、来る二十三日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会

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