内閣委員会 第8号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/11/06
会議録
○江藤委員長 これより会議を開きます。 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。中山総理府総務長官。
○中山国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 去る二月二十七日、人事院から、国家公務員法第二十三条の規定に基づき、国会及び内閣に対して国家公務員災害補償法の一部を改正すべき旨の意見の申し出がありました。この法律案は、この人事院からの申し出に基づき、国家公務員災害補償法を改正し、一般職の国家公務員の処遇の改善を図ろうとするものであります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 今回の改正は、同じく今国会に提出されております労働者災害補償保険法の改正法案にあります給付改善に対応するものでありまして、 その第一は、遺族補償年金の額の改善であります。遺族補償年金の給付水準は、すでにILOの条約及び勧告に示された水準を達成しているところでありますが、遺族の人数区分に応ずる支給率につきましては、災害補償の損害賠償的側面から見てなおその改善を図る必要がありますので、遺族が一人の場合を中心にその改善を図り、全体として支給率を平均六・一%引き上げようとするものであります。 第二は、身体障害に対する評価の改善であります。これは、頭部外傷、脊髄損傷等により神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、またはけい肺等により胸腹部臓器の機能に著しい障害を残している場合の障害の評価について、現在は、常に介護を要する程度の重度の障害を第一級とし、それに次いで重い障害として、終身労務に服することができない程度の障害を第三級として評価しているところでありますが、随時介護を要する程度の障害を新たに第二級として評価することとし、身体障害の評価の改善を行おうとするものであります。 第三は、障害補償年金差額一時金の支給に関する制度の創設であります。これは、障害補償年金の受給権者がその支給開始後早期に死亡した場合、その間の年金の受給額が軽度の障害者に対して支給される障害補償一時金の額にも達しない場合もあり得ること及び障害補償年金前払い一時金の支給に関する制度の創設との均衡上の必要等を考慮して、すでに支給された障害補償年金等の合計額が労働基準法上の障害補償に相当する額に満たないときは、その差額を障害補償年金差額一時金として遺族に支給しようとするものであります。 第四は、障害補償年金前払い一時金の支給に関する制度の創設であります。これは、障害補償年金の受給権者の社会復帰の促進に資するため、その申し出により、労働基準法上の障害補償に相当する額を限度として人事院規則で定める額を障害補償年金前払い一時金として支給しようとするものであります。 第五は、小口資金の貸し付けを受けるための措置であります。これは、年金たる補償の受給権者が一時的に必要とする資金の需要に応ずるため、年金たる補償を担保として国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から小口の資金の貸し付けが受けられるようにするものであります。 以上のほか、現在実施されている遺族補償年金に係る一時金に関する規定を整備するとともに、年金たる補償の支給事務の簡素化を図るための措置を講ずることとしております。 なお、以上の改正は、労働者災害補償保険法の改正法の施行時期に合わせて、第一の遺族補償年金の額の改善、第二の身体障害の評価の改善については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から実施し、第三の障害補償年金差額一時金の支給に関する制度、第四の障害補償年金前払い一時金の支給に関する制度、第五の小口資金の貸し付けを受けるための措置については昭和五十六年十一月一日から実施することとしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○江藤委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 最初に総務長官にちょっとお伺いをしたいことがあるのです。これはある新聞に自民党の総務会が「財政再建が大きな課題となっている時に、公務員給与のあり方を考えないでよいのか。とくに民間との比較だけでベアを決めるような勧告をそのままにしておいてよいのか」「民間企業なら経営が悪くなれば昇給停止、ボーナス減額などをするのが常識だ。大蔵省がつくった「歳出百科」にも「ゼロリスト」のどこにも人事院勧告の問題点が書かれていない。この制度を聖域にしておくのはおかしい」というふうな意見が出て、総務会で人事院勧告制度の問題を検討する、こういう新聞記事が出ています。私は、総務会のやりとり、あるいは決定というか結論の模様を詳細に知り得る立場にはいませんけれども、人事院勧告制度というのは、日本の公務員労働者がスト権を剥脱された、そしてその上で民間との給与に差別のないようにという性格を持ったものであり、そして中立的な機関としての人事院が大変な御努力をして積み上げてきた実績と定着をした事実があるわけなんですが、こういうことについて総務長官はどのようにお感じになっていらっしゃるか、御見解を承りたいと思います。
○中山国務大臣 先生御指摘の点につきましては、私は人事院の勧告は国家公務員の労働基本権制約の代償の機能を果たしているものであるというふうな認識に立ちまして、すでに政府はここ数年来人事院の勧告を完全実施するという姿は慣熟していると認識しております。今回の人事院勧告を受けるに当たりましても、私といたしましては、完全実施について政府におきまして強く主張してまいった経過は御存じいただいておるとおりだと思っております。今後ともそのように対処してまいりたいと考えております。
○岩垂委員 制度としていろいろ議論が出てくる可能性があるとすれば、いままでの制度というのは日本のいわゆる歴史的な――私たちは労働基本権の問題について、それはむしろ付与すべきだという考え方なんですが、それはそれとして、現実にない条件のもとで人事院勧告制度というものがすぐれた制度になっている、こういう御認識はお持ちですか。
○中山国務大臣 そのように存じております。
○岩垂委員 つまり勧告についていろいろな意見や批判があることはやむを得ないことかもしれませんけれども、しかし、人事院というものが持ってきた中立的な機能、そして日本の賃金構造の中で占めているさまざまな条件をも含めて、勧告に対して十分な配慮をしながらやってきたという歴史的な経過を、総務長官のお立場で総務会が云々というようなことになると大変しんどい思いをするかもしれませんけれども、私はむしろそういうことをやるとすれば、私どもとしては、じゃ労働基本権を回復しなさい、そうでなければそんなことは合いませんよというふうに言わざるを得ないのですが、私どもと認識は一緒だと理解してよろしゅうございますか。
○中山国務大臣 御趣旨のとおりでございます。
○岩垂委員 人事院総裁もお見えでございますので、私は質問を繰り返しませんけれども、いま言った意味のことを含めて、その点についてぜひ御見解を賜りたいと思います。
○藤井(貞)政府委員 いま岩垂委員も申されましたし、これを受けて総務長官からも御答弁があったとおりでございまして、人事院といたしましては、まさしく公務員について労働基本権が制約をされている、これは公務の特殊性からいってやむを得ない、これの代償機能として給与の問題は取り扱うべきであるという重大な使命を持っておると思っております。その観点に立っていままで営々と努力してまいりました。口幅ったい言い方ですが、制度としては定着し慣熟しておるというふうに見ております。 御専門の先生に対してとやかく申すべきことではありませんが、労働関係というものは長年の積み重ねでもって具体化してくるものであります。それを急激にいろいろな角度から――絶対に改めてはならぬというものではございますまいが、そこについてはやはり慎重な配慮がなければならぬと思っております。特にこの公務員給与の問題は、欧米諸国でも戦後大問題になりまして、いまや先進諸国では日本がとっておりまする民間給与との比較に基づく均衡性の問題あるいは匹敵性の原理というようなことでむしろ日本が先行したような形になっておりまして、その点はわれわれとしても陰ながら自負をいたしておるのであります。そういう意味合いをもちまして、これは給与制度、給与勧告の問題だけを切り離して事を論ずるわけにはまいりません。その背景にあるいろいろな問題の絡み合わせの上で成り立っているものでございますので、いまの制度をそのままに定着せしめていくことが最善の措置ではないかというふうに私は確信をいたしております。
○岩垂委員 そういうことで対応してほしいというふうに私どもも思います。 総裁にもう一言。実は私七月の本委員会で、人事院勧告というものは国会と政府に出されるものである、したがって早期実施というか支払いといいましょうか、そのことが必要ではないか、とりわけそれらが政治のあるいは国会の中のやりとりのメカニズムの中に巻き込まれて何か政治的な使われ方をされることは好ましくないのではないかという意味の御質問を申し上げたところ、国会と内閣に対して出すものなのだから、ほかの法案とは切り離してもできるだけ速やかな実施が望ましいと思っていると、国会のことに大変口幅ったいことを言ってはなんだけれどもという前置きを置かれて御答弁をいただいたことを記憶しております。総裁はいまもその御見解はお変わりございませんか。
○藤井(貞)政府委員 御指摘のように、給与勧告というのは内閣及び国会、国会及び内閣に対して同時に出すものでございます。したがいまして、この勧告というものは、勧告の精神からいって尊重をしていただくべきものであるというふうに考えております。同時に、早期にこれを実施することが望ましいということはわれわれ常日ごろ考え、また申し上げてきておるところでございまして、その意味の願望はいまにおいても無論変わっておりません。 それ以上に具体的にいろいろ申し上げますことは、これは国会審議なり何なりの問題にも関係することでございまして、その点はせんだっての七月のときには少し勇み足のようなことを申し上げたと思いますが、しかし、気持ちとしては、早期にやっていただきたいという願望は強く持っております。
○岩垂委員 総務長官にお尋ねしますが、御存じのとおりまだ給与法がおりてこないのです。総務長官も完全実施のために一生懸命に努力していただいたことは私は心から感謝したいと思う。せっかく完全実施についてお骨折りをいただいたのですから、これがこんな形でもたもたして今度の国会で成立ができなかったなどということになったら、国家公務員もそうですが、特に地方公務員というのは地方議会がございますから、十二月の県、市議会で間に合わなかったら来年の三月とか、もっとひどいことになると五月になってももらえないことになってしまう。一年おくれて賃上げが行われるというふうなことは、今日のような物価の状況、まさに八月の消費者物価指数が八・九というふうな条件のときに、しかも、七月を除いて年間を通して実質賃金が目減りをしているという傾向を労働省の毎勤統計が示しているときに、これはちょっとひどいじゃないかと私は思うのです。だから総務長官、われわれの委員会がもう次の定例日からでも給与法が扱えるように御努力をいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○中山国務大臣 先生御指摘のように、給与改正の法律案につきましては、すでに四日に政府としては提案をさせていただいておりまして、御審議をいただくことをお願いしているわけでございますが、国会の運営等につきましては、政府としてはとやかく口出しすべき問題ではございませんので、当委員会で速やかに御審議いただくことを期待しておるということを申し上げておきたいと思います。
○岩垂委員 それならお伺いしますが、給与関係閣僚会議でワンパッケージだとかあるいは定年と退手が片づかなければだめだとか、そういうことを言うのは、これこそ差し出がましい国会の審議権に対する介入じゃないですか。いまの総務長官のお言葉があるとすれば、私はそのくらいのことだけはその場所でがんばってほしかった。それは確かに自民党の総務会を含めて上がってきたことだからという議論はあるかもしれない。しかし政府は、議会との関係について言えば三権分立のたてまえがあるわけですから、議会に対してワンパッケージだとかなんとかかんとかというようなことをおっしゃるのは、ぼくは越権ではないかと思う。その点はどうですか。
○中山国務大臣 御案内のように、現在の日本の財政事情は大変厳しい。こういう中で大蔵当局は、その財源が厳しいということから人事院勧告の完全実施に対する踏み切りがなかなかつかなかったというのは御承知のとおりでございまして、総務長官といたしては、公務員の立場を守るためにも完全実施を強く主張してまいり、労働大臣も強く主張してまいったところでございますが、いま人事院総裁からも申し上げたように、すでにこの完全実施は慣熟している、こういうことで、厳しい財源の中にもかかわらずひとつぜひ完全実施をやるように要望にこたえてもらった。そういう中で財政当局としては、納税者の立場というものがどうなるのか、納税者の十分な御納得をいただくためには、民間と比べた退職手当が一割高いという現状からの退職手当法の一部改正の問題とか、あるいは民間中小企業を含めて八〇%近く定年制が実施されている現状から、納税者に対して、政府としては、この際、この定年法の制定というような問題について御審議をいただくことが必要であるという財務当局の強い要望があったことは事実でございまして、そういう点を含めてのことでございましたので、その点はひとつ御理解をいただきたいと考えております。
○岩垂委員 総務長官には御努力をいただいたのですから、その上にこういうことを言ってはいけませんけれども、しかし、やはり筋はおかしいですよ。いま総務長官なり人事院総裁が人事院勧告制度についてきちんと位置づけをなすった。制度というのは、長い間の労使関係の中で積み上げられてきた背景を含めて、やはりそれは実施するという前提が制度を守っていくことなんですよ。それをこういう形――こういう形と言っては速記にのらないけれども、ワンパッケージにしてやらなかったらいけないみたいな言い方は、私は少しおかしいと思う。それは制度に対して忠実な態度ではない。その制度に対して忠実でない意見がまかり通ってくるというのは、それは財政事情は私もわかりますが、だからといってという論理になると総務会の論理に落ちていってしまうのです。国鉄や郵政は赤字なんだから賃上げなんかやらなくてもいいじゃないか、民間は景気の悪いときにはボーナスを払わないことだってあるから、それでもいいじゃないかという議論がまかり通ってしまうのです。だから、これ以上言いませんけれども一つだけ、給与法の審議を早くさせていただきたい、していただきたいと言ってください。
○中山国務大臣 速やかに実施されるように努力をいたしたいと考えております。
○岩垂委員 入り口のところでやりとりをしていると長くなってしまいますから法案に入ります。 実は私、素人なものですから教えていただきたいということで伺うわけですが、労災の附帯決議との関連事項について伺ってみたいと思うのです。民事賠償保険と補償との調整規定はすでに法的に整備されているということだそうですが、使用者責任として、国の職員に対する損害賠償と補償との調整についてはどのような基準で運用なさっていくつもりか、また労災改正法案における損害賠償との調整規定と国公災における調整基準とは同様なものであるかどうかということをまず伺いたいと思うのです。 それから、ついでですからもう一つ関連しますので伺っておきますが、調整について労災、国公災両制度間に違いがあるとしても、人事院では運用基準の再検討を考えているのかどうか。労災において使用者としての保険料の納付に対する保険利益の享受といった面もあるけれども、国公災においてこの点異なっているのではないだろうかということを聞きたいのです。これは附帯決議の問題ですからぜひお聞かせいただきたいと思います。
○金井政府委員 お答えいたします。 国の過失によりまして公務災害が生じた場合の補償と損害賠償との調整につきましては、現行の国家公務員災害補償法は第五条に規定しておりますとおりでございまして、いわば法律上労災と若干異なりまして整備されているわけでございます。その調整は、補償を先行して支給した場合には、損害賠償額からすでに支払われた補償の額を差し引くことにより、また損害賠償が先行した場合には、災害発生日から三年を限度といたしまして補償義務を免責されるということに現行はなっているわけでございます。 今回の労災改正法案におきましては、損害賠償との調整方法について、使用者は前払い一時金の限度額に相当する期間の範囲内で損害賠償が免責され、またその期間後は、免責分を除く損害賠償に相当する労災保険給付は労災保険審議会の議を経て定める一定の基準に達するまでその支給を行わないことができるという改正を行うことになっておると聞いております。したがいまして、その調整方法は現在の国家公務員災害補償法とは異なっておるわけでございます。 先生おっしゃるように、労災においては使用者としての保険料の納付に対する保険利益の享受といった面があるので、国家公務員災害補償法においてはその点違うじゃないかというお考えでございますが、公務員の災害補償の実施につきましては、労災保険との均衡を図っていくということが国家公務員災害補償法上のたてまえでございます。したがって、従来もその趣旨に沿ってその制度を運営してきたところでございますが、今回労災保険法の改正によりまして、保険給付と損害賠償との調整の取り扱いが改正されることになれば、人事院といたしましては、公務部内におけるその調整の取り扱いについても今後見直しを図る必要があると考えております。 ところで、国家公務員災害補償法上は、災害補償と損害賠償との調整につきましては、先ほど申しましたように現行規定上整備されております。したがいまして、その取り扱いの改正については、新たな法律改正は必要とせずに、制度運用上の問題として措置し得る状況にございます。労災保険制度における具体的な調整基準につきましては、昭和五十六年十一月までに労災審議会の議を経て検討されることになっておりますので、公務部内における調整方法については、労災保険制度における調整基準を勘案しながら、国の災害補償と損害賠償との重複する状態を避ける方向でその基準を今後検討してまいることに相なると存じます。
○岩垂委員 今度遺族補償年金の給付水準を平均六%に改善した理由をお聞かせいただきたいのです。 それと関連しまして、遺族補償年金が改善されるということはそれなりにいいことなんだけれども、年功賃金体系が補償にそのまま反映をするという形になりますと、若い人に対する補償の額が少し低過ぎはせぬか。採用されて二、三年の者が公務上死亡した場合の遺族補償一時金の額は三百万円程度だというふうに聞いているのです。それじゃちょっと大変じゃないかという感じがするのですが、その点についてどんな見解を持っていらっしゃるか。 それからもう一つは、補償以外の支給金などがある程度上積みされたこと、これも私、改善措置として評価したいと思うのですが、同じように、若年層、若い人に対する最低補償額の設定などの点では、やはり制度の基本的な問題を検討する必要があるのじゃないだろうか、こんなことも言われております。これらについてどんな御答弁を用意なさっておられるか、承りたいと思います。
○金井政府委員 遺族補償年金の給付水準の問題でございますが、今回平均六・一%改善したわけでございます。これは昭和二十六年の災害補償制度発足以来数次の改善措置をとってまいりましたが、現在ILO百二十一号勧告の水準にすでに一応達しておるわけでございます。今回は、遺族の人数区分に応じたそれぞれの支給率につきまして災害補償の損害賠償的側面から見てなお改善を図る必要があるということで、遺族の人数区分に応じまして平均六・一%引き上げたわけでございます。 お尋ねの若年者に関する問題でございますが、現行の補償制度は、平均給与額を基礎といたしまして、その平均給与額に日数あるいは率を乗ずることによりまして補償額を算出する仕組みになっております。若年者は一般に平均給与額が低く、かつ父母が比較的若いことから、結果的に遺族補償が年金ではなくて一時金で行われることになる。採用されて二、三年の職員でございますと、八等級の四号ぐらいと仮定いたしますと、一時金といたしまして約三百万円が支給されるほかに、葬祭料が二十五万円、それから福祉施設といたしまして遺族特別支給金が二百万円、遺族特別援護金が二百万円、それから特別給付金が六十万円支給される。総計いたしますと約八百万円程度ということになります。この支給額は、自賠責保険の給付額あるいは民事損害賠償の給付実態などを考慮いたしますと、御指摘のように必ずしも問題がないというわけではございません。 そこで、若年者に対する何らかの措置ということについて問題になるわけでございます。ただ、現行の災害補償制度は、基本的には職員が公務上の災害をこうむったことによるいわゆる将来に向かっての稼得能力の喪失分を補てんするという性格を持っておりますので、このような意味合いで、補償法上職員の一日分の稼得能力を正確に評価するものとしての平均給与額を各種補償の算定の基礎として用いているのでありまして、その結果、給与の低い若年者では相対的に補償額が低くなる事情にあるわけでございます。 そこで、若年者の優遇措置ということにつきまして、私どもも災害補償の専門家会議などを設けまして、実は従来からもいろいろ検討し、苦慮してきたところでございます。その中で、たとえば平均給与額の算定に当たりまして、将来の昇給分を見込んだらどうだろうかとか、共済組合法におけると同様に父母について若年停止制度を取り入れたらどうであろうかとか、平均給与額の最低保障額を大幅に引き上げる、あるいは補償額自体に最低保障制度を設けるということはどうであろうかといういろいろな改善措置というものを思いつくわけでございますけれども、人事院といたしましても、こういう専門家会議等を通じて検討いたしましたが、なかなかむずかしゅうございまして、たとえば最低保障制度を設けるべきであるという議論につきましては、年金化したことに伴いまして所得保障的機能が加味されたものの、社会保障的機能を第一義とする厚生年金等とはその本質を異にしておりますので、最低保障制度を設けることが災害補償制度になじむものであろうかどうであろうかという根本的な問題がございます。 それからまた、その他の措置につきましても労災との関係もございますし、いずれも補償制度の根幹にかかわる問題でございますので、今後とも関係機関とも協議しながら、かついろいろ専門的立場の方々の意見等もお聞きし、人事院といたしましても、この問題については真剣に考えをまとめるべく検討していきたいというふうに考えております。
○岩垂委員 最低保障額をつくるということにいろいろな矛盾があるにしても、それくらいしか手はないような感じもするので、今後とも検討を煩わしたいと思います。 特別支給金というのはどういう性格を持っているのでしょうか。またどのような場合に支給されるかということをぜひお伺いしたいと思うのです。 それから、傷病補償年金を受給する者は特別支給金の支給の対象になっていないというのはどういう理由か。傷病補償年金を支給される者は、重度の廃疾の状態にある者でありますから、特別支給金の性格からして障害補償との受給の均衡からも支給すべきじゃないかという御意見があることは皆さんも御存じのとおりで、この点についてはどうお考えか。 それから三番目は、意見の申し出の際の説明では、特別支給金の額の引き上げを十一月に行う旨表明しているけれども、その改善内容はどんなものか。また規則の改正はどんなふうになっているか。こんなことを承っておきたいと思います。
○金井政府委員 特別支給金は一時金でございますが、昭和四十九年十一月から福祉施設として行っておるものでございまして、その性格は災害補償そのものではありませんで、見舞金的な性格を持っているものでございまして、補償本体に対して密接な関係を持つ加給金的な性格があり、各種補償の補完的な役割りを果たしています。特別支給金は障害補償または遺族補償を受ける者に支給されるわけですが、障害等級三級または遺族補償年金受給の場合では二百万円となっておるわけです。 それで、傷病補償年金を受給する者は、特別支給金の支給対象に現在なっておりませんが、傷病補償年金は、療養の開始後一年半を経過してさらに治らない者がその廃疾程度が重度な者である場合に、その者に対しまして休業補償にかえまして年金を支給するものであります。傷病補償年金受給者の傷病が治癒いたしましたときは障害補償に移行するわけでありまして、不幸にいたしましてその傷病が原因で死亡した場合には、その遺族には遺族補償が支給されることになって、その時点で、いずれの場合にもそれぞれ一時金としての特別支給金が支給されることになっているわけでございます。しかしながら、御指摘のような点もございますので、傷病補償年金の受給者の実情及び労災保険法における取り扱いなどを考慮の上、慎重に検討してまいりたいと思っております。 それから三点目でございますが、特別支給金の引き上げの時期の問題でございます。障害特別支給金及び遺族特別支給金の支給額は、自賠責保険における給付のうちで滅失利益以外の部分や企業内労災付加給付の弔慰見舞分の額を参考としてきておりまして、最近におけるこれらの動向を考慮しまして、障害特別支給金については、障害等級三級で二百万円から三百万円に引き上げるなど、障害等級に応じましてそれぞれ五割増額する。それから遺族特別支給金につきましては、年金受給者の場合で二百万円から三百万円に引き上げるなど、遺族の区分に応じて五割増額することといたしております。 この改善のための人事院規則の改正でございますが、同様の改正を予定しております労災における実施時期との均衡を十分に考慮いたしまして決定していきたいというふうに考えております。
○岩垂委員 昭和五十一年五月の衆議院内閣委員会の附帯決議がございます。これは民間企業で業務上等の災害の場合に、労災保険による給付のほかに独自の被災職員に対する金銭給付が行われています。これは制度として行われているところがどのくらいあるのか、私もよくわかりませんが、その実施企業の割合はかなり多くなっていますか。そのデータを教えてください。
○金井政府委員 民間における法定外給付の支給状況でございますが、人事院では、昭和四十七年以降毎年十月に調査を行っております。今回の改正の基礎となりました昭和五十三年度における調査でございますが、これは企業規模百人以上の企業二万四千社から産業別、企業規模別に抽出した四千社を調査対象として行っておるわけでございます。 その結果の概要を申し上げますと、法定外給付を実施している企業の割合は、死亡の場合では業務災害で六七%の企業、通勤災害では四八%、それから廃疾の場合には業務災害で五八%、通勤災害で三九%というふうになっております。 それから、給付額の状況でございますが、死亡につきましては、法定外給付を行っておる企業の支給額、これは支給形態で一番多いのが一律定額制でございますので、それによっておりますが、その平均を見ますと業務災害では九百五万円、通勤災害では六百九十二万円であります。ただ、これは先ほど申しましたように企業割合約三分の二でございますので、そういう法定外給付を実施している企業の割合を考慮に入れますと、民間企業における死亡の場合の法定外給付の平均支給額は、業務災害では六百六万円、通勤災害では三百二十二万円ということになると思います。 それから、廃疾についてでございますが、法定外給付を行っている企業の支給額、もちろん一律定額制でございますが、これは障害等級三級で見ますと業務災害で七百十万円、通勤災害で六百三十七万円であり、これに先ほどと同様法定外給付の実施企業の割合を考慮に入れて、民間における廃疾の場合の平均支給額を出しますと、業務災害では四百十二万円、通勤災害では二百四十八万円というふうになります。 そこで、法定外給付を含めて官民の補償水準の均衡を図ることが大切でございますので、この点につきましては、さきに御指摘ございましたような附帯決議もございます。そこで、その後の措置でございますけれども、これらの民間企業における法定外給付の支給の実態にかんがみまして、公務員の実質的な補償水準の均衡を図っていこうという観点から、国がいわば個別の事業主としての立場で、その遺族または障害を残した者の生活を援護するために、昭和五十年一月から遺族特別援護金、昭和五十一年四月からは障害特別援護金を設けまして実施してきたところでございます。その支給額は、法定外給付の実態等を考慮いたしまして、本年の十一月一日に、遺族特別援護金にありましては遺族の区分に応じて二百万円から八十万円まで、障害特別援護金にありましては二百二十八万円から、これは一級でございますが、七級百六万円まで、それぞれ改正前に比べまして二倍に引き上げて法定外給付に見合う措置ということで今回措置をいたしたわけでございます。今後もこの法定外給付の問題につきましては、十分に民間の推移等を注目いたしまして万全を期していきたいというふうに考えております。
○岩垂委員 かなり努力をなさっていらっしゃるのはわかるのですが、官民格差、官民格差と言われますけれども、民間と比べると、これは公務員の方が大変低い、逆格差というふうに言っていいのでしょうか、そういう状況であります。だんだん制度を採用する企業が多くなってきていると思うのです。それから金額も恐らくスライドしていると思います。ですから、そういう実態に合わせて民間に合わせるような御努力を引き続いてお願いをしておきたいと思います。 それから、特別援護金というのが通勤災害被災職員について支給されないのはどういうことですか。こういう人たちに対する民間における法定外給付の状況はどうなっているかということが一点と、それから今度の国公災制度というのは、公務員にとっては、今度だけではなしに非常に重要な勤務条件の一つなんですけれども、民間における法定外給付との格差を是正するということのためにいろいろな面でやっていかなければならぬと思うのですが、その点についてのこれからの方針を承っておきたいと思います。
○金井政府委員 災害補償制度上は通勤災害に対する補償及び福祉施設について原則として公務災害に対するものに準ずる給付を行うこととしているのに照らしまして、通勤災害につきましても特別援護金制度を設けるべきではないかという議論もあるところでございます。民間企業における法定外給付の実情を見ますと、通勤災害による死亡または高位障害に対して何らかの法定外給付を行っている企業の割合は、それぞれ五〇%に満たないわけでございます。今後この点は民間企業における実施状況の推移を見きわめながらいきたいということでございます。
○岩垂委員 特別公務災害の範囲の拡大の問題について五十一年五月の当委員会でやはり附帯決議がついております。その後どんなふうになっているかということを承りたいと思うのです。 少し話がそれますが、実はこの間内閣委員会の海外調査で、たとえばナイジェリアだとかエジプトだとかあるいはパキスタンなどへ行ってきまして、武装強盗が出るというところだとか、どろぼうが入っておどかされて大変だったという話を外務職員、外交官の諸君がそんな経験をずいぶん話してくれましたけれども、こういうようなことも含めてどんなふうになっているか、ちょっとその後のこと、検討の経過を教えていただきたいと思います。
○金井政府委員 特別公務災害の適用範囲の拡大の問題につきましては、国会における附帯決議を初めいろいろの団体等からの強い要望もございまして、人事院としても種々の角度から種々検討を行ってきたところでございますが、五十一年五月の内閣委員会の附帯決議がございました。それの後昭和五十二年四月に、重大災害時におきまして河川とか道路の応急作業に当たる職員につきましては、これを特別公務災害の対象職員の範囲に含めるとともに、在外公館に勤務する職員あるいは公務で外国旅行中の職員等が内乱等の異常事態が発生した際に、特に危険な状況下におきまして外交領事事務に従事し、そのために被災したという場合につきましては、特例的な補償の割り増し措置を人事院規則において講じました。これらにつきましては、続きまして昭和五十三年の四月からは機動通信隊に編入された警察通信職員につきまして特別公務災害の適用範囲に含めるということ等順次その範囲の見直しを行って今日に来たところでございます。 先生のおっしゃる在外公館等の職員の問題でございますけれども、これは先ほど申しましたように、内乱等特殊な状況下で、非常に危険があるという状況下で進んで外交領事事務に従事するという場合に、これは警察官等の特別公務と見合った形で割り増し制度を設けているわけでございますので、外国に居住している在外公館の職員が治安が多少よくないということに伴って種々の不安、危険があるということを、すべて外交官のいま申しました特別公務にするというわけにはちょっとまいりませんけれども、個々の事案につきましては、それぞれ実情を十分に調査した上でまず実施機関が判断されることになると思いますし、人事院といたしましても、そういう件につきましては個別に御相談に応じておるわけでございます。
○岩垂委員 むずかしい言葉ですが、瘴癘の地と言うのだそうです。私はそんなむずかしい字を読めなかったのですが、教わったのです。そういうところに勤務する人たちのある種の特地勤務手当というか、そういうことを外務省は要望しているけれども、こういう問題というのはやはり人事院にかかわりますか。一般論で結構です。
○藤井(貞)政府委員 これは直接人事院の所管ということではございません。要するに外務公務員の給与の問題でございます。ただ、給与全般の問題の取り扱いをいたしておりまする私どもとしては、これは関心を持っております。いま岩垂委員が海外の瘴癘地に近いようなところも御視察になっていろいろつぶさに事情を御聴取になっておられるようでありますが、私の方も機会のある場合にはそういう点の実情も調査をいたしておりますし、また外務省からもいろいろ事情を承っております。事柄の性質はやはり勤務地の問題でございますので、特別のそういう勤務地手当と申しますか、一般的な外務公務員の加給制度ということとはまた別に、そういう瘴癘地の関係とかいうようなものについては特殊な勤務手当あるいは勤務地手当と申しますか、そういう制度というものはやはり考える余地があるんじゃないだろうか、大変な勤務条件の差がございますので、一律にやっていくことは問題があろうか。これは一般公務員の場合でも先生よく御承知のように、いろいろ勤務の特殊性に従って特殊勤務手当というものも出ておりますし、また勤務地が非常に隔遠の地であるというようなところには隔遠地手当というようなことでも措置をいたしておるという実例がございます。そういう点は今後とも実態に十分に目を走らせながら、外務当局とも十分相談に乗って対処してまいろうと考えております。
○岩垂委員 これは委員長を初め実は各党の理事の皆さんで行ってまいりまして、みんなで意見一致しまして、特定の国の名前を挙げてはいけないけれども、たとえばナイジェリアなどの状況は、これは大変なことです、これ以上は言いませんけれども。ですから、そういう点では、ある意味で特地勤務手当というものを考える必要があるという認識に党派を超えて一致しましたので、そういう立場を含めて御陳情を申し上げておきたいと思いますし、ぜひひとつ速やかな御配慮を願いたいものだ、外務当局とも御相談をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。 少し外れまして申しわけございません。被災職員あるいは遺族の福祉に関連する事項についてちょっと伺いたいのです。公務上の災害などによって公務を離れた被災職員あるいは遺族については金銭的な補償でおしまいということではなくて、被災職員の福祉についても温かい措置をきめ細かく講ずることが必要だと思うのです。来年は国際障害者年でもございますし、そういう点で関連して一、二お尋ねしておきたいと思うのですが、そういう問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるかということと、それから重度の廃疾伴う場合に、被災職員本人の精神的な苦痛も大変ですけれども、やはり日常生活の状況を見ていると、介護など家族の肉体的精神的な負担というものも大変なものだというふうに想像できます。この点について何か措置をとろうとなさっていらっしゃるか、この二点、最初に伺っておきたいと思います。
○金井政府委員 公務上の災害等によりまして、公務を離れた被災職員または遺族につきましては、御指摘のとおり金銭給付をもって定型的に行われる補償のみで事足りるというわけのものではございませんことは同感でございます。 これら被災職員または遺族の生活安定、福祉の維持向上を図るために、補償に対する補完的な側面といたしまして、従来から福祉施設というものを活用してやっているわけでございますが、福祉施設の内容といたしまして、被災職員に対し治癒後に補装具を支給する、外科後の処置をする、あるいはリハビリテーションの実施をする、子弟に対しましては奨学援護金、家族の就労に伴う就労保育援護金及び介護に伴う介護料の支給などを行ってきております。今後とも被災職員の福祉の向上の面からは、この福祉施設を活用いたしまして一層の努力を払っていきたいというふうに考えております。 それから、特に重度の廃疾を伴うような被災職員本人の精神的苦痛ということも非常にございますし、日常生活における家族の介護に伴う肉体的精神的な負担というものも非常に大変なものがあると思います。長期の自宅療養者の介護のためには、家人等が身の回りを世話するための苦労に対する労苦賃といいますか御苦労賃というものの支給、それから介護のための諸雑費に対する援助ということで介護料というものが設けられておりますが、現在脊髄損傷者その他神経精神障害、胸腹部臓器の機能障害により一級の傷病補償年金または障害補償年金を受ける者で、自宅で常に介護を受けておる者に対しましては月額三万九百円を支給しておるところでございます。その他こういう脊損患者等につきましては、住居の改善であるとか、もろもろのそういう援助の手も今後考えていかなければならないということで、この点については検討を続けてまいりたいと思っております。
○岩垂委員 これから聞こうとしたらお答えいただいたのですが、特に脊髄損傷などで車いすを余儀なくされている被災職員がいるわけですが、日本の住宅事情というのは車いす生活には非常に不便でございますし、たとえば住居を少し直すということになれば大変なお金がかかるというわけです。労災では百万円を限度として十年返済、無利子の貸し付けを行っておるように承っています。こういう人たちに対する援助をお考えいただきたいことと、それからよく私もわからないのですが、車いす生活者の社会復帰を促進するために、こうした人たちの足になる改造自動車の購入に際して、同じように労災では低利の貸付制度があると聞いていますけれども、これらについて不幸にして災害を受けた職員が再び社会復帰が図れるような努力を国公災制度の枠内であったとしてもなさるべきではないか、そんな点について御答弁いただきたいと思います。
○金井政府委員 重度の障害のある者、たとえば重度の脊髄損傷者のように、半身が不髄となっておる者は、病院から退院し自宅に帰りたいと考えても、家屋の構造上車いすで日常生活をすることに適しない、支障があるというために結局退院できない、あるいは退院したとしても寝たきりの状態に置かれているということがございますし、また車いす生活を余儀なくされている脊髄損傷者など重度の後遺障害を残した者の日常生活の行動範囲というものは、自宅内に限られるのが通常でございまして、その範囲を健康者に近づけ積極的に社会へ復帰させることが被災職員にとっても社会にとっても重要なこととなっているのでございます。労災保険にありましては住宅改造、それから自動車購入等のための貸付制度がございますことは承知しておるところであります。国公災ににおきましては労災と仕組みが違いますので、いまだこの点十分でございませんが、私どもにありましても、これら被災職員の自宅復帰あるいは社会復帰の促進のために適当な措置を鋭意研究いたしまして、今後できるだけ充実したものに持っていきたいというふうに思っております。
○岩垂委員 国公災法の改正は四年ぶりなものですから、素人が知ったかぶって質問をしていてもぼろが出ては困りますからこの辺でやめますが、一夜づけで大変申しわけございません。本委員会でいま理事会で御相談しているわけですが、できれば従来の経験にかんがみて附帯決議を出したいというふうに考えております。それらについてぜひ御尊重願いたい、そのために努力いただきたいということをちょっと差し出がましい言い方ですが、まだ文案がまとまっていない段階で申しわけございませんけれども、御努力を願いたい、このことをお願い申し上げたいと思います。 最後に、もうちょっと時間がございますから一言だけ、総務長官もう一遍お願いをいたします。 本委員会はけさの理事会で、十一日の定例日は第二臨調をやろうかということになりました。それはきょう議運でどういうふうになるのか私もわかりませんけれども、政府の出してきた法案に対して、ぼくらはいろいろあります。しかし、今日まで慎重にしかも誠意を込めてこの委員会を進めてまいりました。まだ給料がひっかかっているという状態を私は大変遺憾に思うのです。しかし、それも御考慮いただきながら、やはりその後ぐらいには給料をやらなければ率直なところおさまらぬ。それはいろいろ問題があります。勧告でないものがいきなり出てきたりして、勧告自身が置き去りになっているなんという状態はどう考えたって不合理です。この法案だってそうなんです。地方行政委員会には地方公務員のやつが出ている。国家公務員は何遍催促しても国公災法の提案というのは行われない。明らかに意識的です。明らかに政治的です。こういうやり方をされたんじゃ私は人事院勧告制度というものが持っている意味を疑いたくなるのです。勧告をなさったのは人事院です。それを誠実に守っていかなければならぬのは政府であり国会であります。国会のことについて総務長官がいろいろ申し上げることはできないかもしれませんが、総務長官のお気持ちとして、本委員会に対して給与法を一日も早く審議して決定をしていただきたい。もう一遍くどいようですが、私は心から要請をいたしたいと思います。御答弁をいただきます。
○中山国務大臣 本委員会において一日も早い御審議を心から期待いたしております。
○岩垂委員 これも人事院総裁に、大変恐縮ですが、いまのようないきさつです。十分御理解をいただいているとおりだと思うのですが、やはり一日も早くこれらの審議が行われ、公務員のベースアップがおくれている状況を回復をするように私はぜひお願いをしたいんですが、人事院総裁からも一言お言葉をいただきたいと思います。
○藤井(貞)政府委員 先ほども申し上げましたとおりでございまして、人事院は例年のような精細な調査の結果、官民較差が出てまいりましたので、その差額を埋めていただきたいという意味で本年も国会並びに内閣に対して勧告を申し上げました。この勧告制度の趣旨から申し上げまして一日も早く完全に実施されるということがわれわれの長い間の念願でございます。これはこの時点においても強い念願として私はぜひできるだけ速やかに実現をいたしていただきたいという気持ちでおるわけでございます。
○岩垂委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○江藤委員長 上田卓三君。
○上田(卓)委員 国家公務員の災害補償に関して遺族年金などの給付内容が少しでも改善されるということは私たちは基本的に賛成であります。しかし、災害補償で常に問題になるのは公務災害の認定問題ではないか、このように考えるわけでございます。 そこで、まず公務災害の認定の状況をお尋ね申し上げたいわけでありますが、第一点は公務災害の発生件数は年間どのくらいあるのかということであります。 次に、そのうち申し立てと認定の食い違いによって一定のトラブルが生じていると思うのですが、そういう件数はどうかということであります。 それから三番目は、特に認定基準のむずかしい職業病関係の事例としてどのようなものがあるのか御報告いただきたい、このように思います。
○金井政府委員 昭和五十三年度中に実施機関に係属した災害発生件数でございますが、全体で一万七千百四十二件ございます。そのうち公務災害と認定されました件数は一万五千六百六十件で全体の九一・三%に当たります。公務災害でないと認定された件数は七百三十二件で四・三%に当たります。それから認定が昭和五十四年度に繰り越された件数が七百五十件で四・四%、こういう内訳でございます。 なお、公務災害認定件数の発生事由の内訳といたしまして、負傷が一万四千五百九十七件、九三・二%、疾病が千六十三件、六・八%であります。 それから次に、認定の対象になって公務上と認定されなかったもののうちで、公務上の災害として認定を要望されているものにどのようなものがあるかというお尋ねでございますが、職員団体等から要望されているものといたしましては、林野庁における腰痛事案、それから振動障害事案、郵政省における腰痛、それからバイク振動障害、頸肩腕症候群などが主なものでございます。ただ、この件数はちょっと明確にはわかりません。 なお、公務災害でないと認定された場合でも、国家公務員災害補償法の第二十四条によりまして人事院に申し立てができることになっておりまして、現に相当件数が人事院の方に申し立てされております。
○上田(卓)委員 公務災害のうち物理的な事故による傷害などは比較的因果関係がはっきりしておるわけでありますけれども、いわゆる職業病と言われるものの中には因果関係の証明がなかなかしにくいものが多いわけであります。そういう意味で職業病に関してそういう認定をめぐるトラブルが絶えない現状があるだろう、このように思われるわけであります。 そこで、公務災害の認定に当たっては、職務との因果関係がないとはっきり断定できるもの以外はできるだけ多くの人が認定されるようにするのが最も望ましいのではないか、私はこのように思っておるわけであります。 そこで、いまちょっと御報告がありましたように郵政関係を中心にバイクによる振動病が問題になっておるようでございますが、人事院としてどのようにバイク振動病に対処されておるのか、いわゆる認定の基準はどうなっておるのか、そういう点についてお尋ねをいたします。
○金井政府委員 お尋ねの郵政省におけるバイクの振動障害に関する問題でございますが、昭和五十五年九月末までの間に三百十八件のバイクによる公務上の認定の申請がございまして、そのうち公務災害と認定されたものが二十九件、公務外の災害と認定されたものが百三件となり、現在審査中のものが百八十六件というふうに聞いております。 このハイクによる振動障害の訴え――これはほとんど郵政省でございますが、郵政省におきましては振動障害対策協議会というものを設けまして、そこで専門家を集めましていろいろ研究検討をしたわけでございます。バイク振動障害の発症の機序の解明ということについて努力したのですけれども、結局十分に解明されない、結論が出ないという結果になったわけでございます。 そこで、現時点におきましては直ちにバイクに対応した認定基準というものを単独で作成するということがちょっと困難な状況にございます。振動障害でございますから、一応チェーンソー等によります振動障害に関する認定方針というものがございますので、それに準拠いたしまして個々の事案ごとに公務上外の認定を行うように私どもも関係省庁を指導するということにいたしております、今後医学的知見の推移であるとか、あるいは労働省におけるこの種のものに対する検討の結果ということなども見守りながら対処していきたいというふうに考えております。
○上田(卓)委員 いま御報告のように、郵政省関係では公務災害として認定された件数は非常に少ない、こういうように考えるわけであります。御存じのように、郵政省関係の方々がバイクに乗られるあのバイクは普通のバイクじゃなしに、大変重い荷物を運ぶ関係で丈夫にできているというのか、それだけ振動がきつい、こういうことになるのではないか。普通のバイクではないということをひとつ御認識をいただきたい、このように思うわけであります。特に人事院としては、林野関係の振動工具によるところの白ろう病の基準を援用しているというように私は聞いておるわけでございますが、やはり独自の認定基準が必要なんではないか。郵政省関係については特に必要なんではないか。このように考えるわけでありますが、その点についてどう考えておるのか。 郵政省の調査では、わずかに二百名程度の調査で振動病の原因は不明との結論が出されているように聞いておるわけでありますけれども、全逓労組が約七万人を対象にして調査をした結果では、やはりバイク振動病を訴える労働者が数多くおる、こういう調査が出ておるようでございます。産業衛生学会でもこの問題が取り上げられつつある、このように聞いておりますので、ぜひとも独自に調査を進めて前向きに検討すべきだ、このように思いますが、どのように考えておられますか。
○金井政府委員 バイクによる振動病の関係は、実は最近になって起こりましたもので、労災所管関係の一般の民間企業におきましてもまだ類例がないし、公務部内におきましても郵政省が初めてということで新しい問題でございます。私どもも、相当件数が発生した、申し立てもあったということで重大な関心を持ちまして、郵政省とはその点につきまして十分連絡等もとっておるわけでございますが、一省だけのことでもございますので、郵政省の方で研究協議会をつくりまして専門的に十分に詰めたいということなので、非常に結構であるということで見守っておるわけでございます。 残念ながら発症の機序というものがその研究の結果でも明らかにならないものですから、認定基準はもちろんあった方がいいわけでございますけれども、どうしても適切な認定基準をつくるに至らないということなので、やむを得ず他の振動病関係につきましての基準というものに一応準拠しまして、個別の事案ごとに十分検討するというところで現在のところは行っているわけです。もちろんこの問題につきましては重要なものとして認識しておりますので、今後とも郵政省と連絡をとり、的確に認定できるように努力していきたいというふうに考えております。
○上田(卓)委員 郵政省関係で特にバイク振動病の患者が多いという数値が出ておるわけですから、やはりそういう点で前向きにひとつ検討して、早く独自な基準を持つようにお願い申し上げたい、このように思います。 次に、いわゆる心臓病を初めとするところの循環器系の心疾患は公務災害の認定が非常にむずかしい、こういうように聞いておるわけでありますが、人事院はすでに中枢神経及び循環器系疾患の公務上外の認定の指針についてというのを出されておるようでございますが、さらに詳しい勤務状態等についての判定基準のようなものがあればぜひとも出していただきたい、このように思います。たとえば残業を月に何時間というようなこともお聞かせいただきたいわけでありますが、この指針は、公務上の災害を明確にすることを強調する余り、全体としてきわめて厳しい基準を設定しているように思われるわけであります。神経系あるいは循環器系の疾患というものは、激務が続くうちに少しずつ病気が進行し、ある日突然に発症するという性格のものではないか、このように思うわけでありまして、余りそういう直前の勤務状態にのみ目を奪われる、こだわるということは非常に誤りではないか、このように私は考えておるわけでございます。 そういう点でやはり公務災害の認定基準の拡大というのですか、そういうものをぜひともすべきだと思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○金井政府委員 中枢神経及び循環器系の公務上外の認定の問題でございますが、これに対する基準というものは実はないわけでございます。各実施機関から、それぞれ認定の指針に関するようなものでもないかというような要望もございまして、私どもは中枢神経及び循環器関係の医学専門家の方々の意見を徴しまして、一方また労災における認定基準というものがございますが、これらも十分に参考にした上で、昨年の十月に中枢神経及び循環器系疾患の公務上外認定の指針というものを作成いたしまして、各実施機関に配付し、認定の際に少しでも役立つようにということで出したわけでございます。 〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 もともとこの脳、心臓疾患系の疾病と申しますものは、素因がなければ起こらないものでございまして、ただ問題は、その素因が環境あるいは職務というものにどういうふうに影響されて増悪し発症するに至ったかという問題になるわけです。したがいまして、この私どもの出しました認定指針というのは、別に基準としてふるい分けをするようなものでもございませんので、いわば認定をするに際して留意する点を細かく述べたものでございます。そういう意味で現在この指針を直ちに拡大するというわけにもまいりませんので、今後個別の事案の認定に当たりましては、やはりいま申しました環境と職務、そういうものの変化というものにも着目しまして、あるいは認定時の医学水準等も十分に考慮して、個別に認定に当たっていきたいというふうに考えているわけでございます。 以上でございます。
○上田(卓)委員 心臓病とか心疾患とか、それに関連して、最近特に公務員の中でノイローゼなどの神経病が非常にふえている、こういうふうに聞いておるわけでございますが、人事院の国家公務員死因調査の結果を見ても、自殺というのが第五位と高い順位を占めておるようでございます。精神衛生管理の重要性が指摘されておるわけでありますが、特に朝早くから夜遅くまで激務の多い国家公務員、たとえば日銀とかあるいは大蔵省関係でも、ある時期においては大変な激務だというようなことも聞いておるわけでございます。そういう点で、精神病についてもやはり公務と何らかの因果関係があるのではないかというようにわれわれは考えざるを得ないわけです。ただ単にノイローゼなんだ、あるいは精神病なんだという形じゃなしに、やはり仕事柄そういうふうになる機会が多いというふうに考えざるを得ないと思うわけでありまして、たとえ公務災害の認定ができなくとも、何らかの救済措置というのですか、そういうものがあってしかるべきだ、このように思うわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
○金井政府委員 精神病、ノイローゼは、医学的立場から申しますと、実は本人の素因というものがきわめて大きいものでございまして、職務柄こういう精神病、ノイローゼになるということが全くないとは断言できないと思いますけれども、素因がきわめて大きいというふうに一般的にされております。したがいまして、公務災害との結びつきの問題といたしましては、いわゆる認定基準というものをつくって処理するというのにはちょっと至らないというふうに考えております。 しかし、こういう問題につきましては、救済ということももちろん必要でございます。公務員の場合は、健康管理の面で、精神病、ノイローゼ、うつ病、こういうものにつきましては、日常の管理の場におきまして周囲の者、監督者等が十分に気を配ってやるというようなこと、それから処遇などにつきましても十分に意を配って、そういうノイローゼ等に持っていかないようなことができる道はないだろうかということで、いわゆる精神病関係の健康管理ということで従来から検討はしておるわけでございますけれども、何分効果的な対策もなかなかむずかしゅうございます。今後ともこの点は健康管理の専門家等の意見等を十分にくみながら、健康管理対策の充実という形でこの問題は対処していきたいというふうに考えております。
○上田(卓)委員 個人の責任になすりつけるのじゃなしに、公務員だけではないとは思いますけれども、特に公務員の方も、仕事がえらいという状況の中で、憂さ晴らしをどこでするかというようなこともあるわけで、その点は民間と違った側面も持っております。たとえば団体交渉であるとか、あるいは現場へ出向かなければならぬとか、いろいろ気も使うし、肉体労働という側面もありますけれども、やはり精神的に板ばさみになって非常に考え込んでしまうというようなことになりがちでありますから、ケース・バイ・ケースというお話もありましたし、この点についてはひとつ十分配慮すべきではないかということで強く要望しておきたい、このように思います。 そこで、いずれにしても公務災害について余りトラブルのないように、被害者の立場に立って運営を進めてもらいたいわけでありますが、同時に、災害の起こった後の補償も大事でありますけれども、本来はまず災害を起こさないように、そういう労働安全衛生対策の強化ということが非常に大事かと思うわけであります。その点についての決意というものをお聞かせいただきたい、このように思います。
○金井政府委員 先生御指摘のとおり、災害の発生した後よりもむしろ発生させないようにということで、いわゆる安全、健康関係の事前対策が必要なことは当然でございます。人事院といたしましても、各省庁に対しまして、健康管理につきましては、その対策上の各種の基準あるいは健康担当者会議等におきまして各種のアドバイス等をしてきておるところでございますが、そういう事前の安全対策、健康対策というものにつきましては、今後とも十分に検討をして万全を期していきたいというふうに考えております。
○上田(卓)委員 人事院規則一六-〇の第十七条では、遺族補償年金と障害補償年金の算定基礎でありますところの平均給与額の最低保障額が規定されておるわけでございます。現在の最低保障額は二千六百七十円であるようでございますが、これをたとえば遺族二人の場合、今回の改正案の百九十三日分で遺族補償年金額を計算してまいりますと年額五十一万五千三百十円、月額にして四万二千九百四十二円、このようになるようでございます。これでは国が決めておりますところの生活保護の基準よりもはるかに低いのじゃないかと私は考えるわけでございまして、幾ら民間に準拠しているとはいえ余りにもお粗末過ぎると考えるのですが、どのようにお考えでしょうか。
○金井政府委員 平均給与額の額の問題だと思いますが、若年職員の場合におきましては平均給与額がどうしても低い。昭和五十三年度実施の補償の給与額の平均は、常勤職員では六千九百円、非常勤職員では四千六百円、全体の平均では五千七百円、それが昭和五十四年度におきましては、常勤職員では七千三百円と四百円アップ、非常勤職員では四千六百円を二百円アップの四千八百円というふうにしておりまして、全体の平均でも五千七百円が六千円というふうにアップしているわけでございます。この点は、最低保障につきましても、雇用保険における賃金日額等を参考にしまして、それとの均衡をとって定めておるし、労災との間の均衡もとっておるところでございますので、御指摘のように若年職員については平均給与額は確かに問題があると言えばあるかもしれませんけれども、現在のところはそういう官民の均衡をとって決めておるところでございますので、今後ともその点についてはさらに検討させていただきたいというふうに考えております。
○上田(卓)委員 いまお認めのように若年の最低保障額が、幾ら若年といっても生活保護基準よりも劣るというのは問題があり過ぎる、私はこのように思いますので、ぜひともこの点については改善してもらいたい、強く要望しておきたいと思います。 それに関連してですが、人事院規則の十六―三、災害を受けた職員の福祉施設という項がありまして、第十五条、第十六条の奨学援護金について見ますと、中学生が月五千円、高校生が月六千円、大学生が月一万二千円、このように支給額が決められておるわけであります。しかし、日本育英会の奨学金の額と比べてみますと、片方は支給で片方は貸与という差はあるにしても、それだけのお金が要るんだということから日本育英会の奨学金の額が決められていると思うわけですけれども、育英会の場合は高校の公立が月七千円、私立が月一万八千円、大学は公立が月一万八千円、私立が月二万七千円、これは一般貸与額でありまして、特別貸与額はこれに一・五倍というような基準になっておるようでございまして、やはり日本育英会の貸与基準の水準まで引き上げるべきだ、私はこのように思うのですが、その点どうですか。
○金井政府委員 奨学援護金につきましては、昭和四十二年に制度を創設以来、文部省の学生生活費調査、それから父兄が支出した教育費調査、これに準拠してこの援護金の額というものを割り出し、改定をしてきたところでございます。 御指摘のように、育英会の方の調査ということもあるでございましょうが、私どもといたしましては、従来この制度ができたときから文部省関係の、文部省自体の調査というものに準拠いたしましてこの額を求めてきてまいりましたので、本年も改定したわけでございますけれども、毎年そういう調査の結果を見まして額を改定してきているところでありますので、一般に低いという御指摘はあろうかと思いますが、現在のところはこういう形で処理してきているわけでございます。
○上田(卓)委員 いずれにしても、政府で全体としていろいろ施策がなされておるわけで、そういうレベルに上げてもらわぬと、いろいろ事情があるとはいうものの非常に問題があるのじゃないか。 さらに関連して、就労保育援護金についても、支給額は保育児一人につき月額四千円と余りにも実情を無視したものではないか、このように思うわけでありまして、今日私立保育所の保育料は、これの軽く十倍ぐらいは要るのじゃなかろうか、もっと実情に即して施策をすべきである、このように私は思います。人事院規則に定めるところの各種の福祉施設その他についても充実を図るべきだと思いますので、決意だけを最後にお聞かせいただきたい、このように思います。
○金井政府委員 御指摘のごとく一般の保育所等のそういう経費というものがいまの保育援護金とかけ離れているじゃないかという点もあろうかと思いますけれども、いろいろの補償で各種の年金というものを給付しているわけでございますが、大体いわばそれの側面からの付加給付的な福祉施設としての援護金でございますので、独立して全く実勢どおり援護金として額を確保することができるかどうかという点は若干問題があろうかと思うのです。しかし、被災者の生活を保護し、一保障していくという立場からいいますれば、御指摘のとおりの点もあると思いますので、今後こういう福祉施設関係のものについてはさらに一層充実できるようわれわれとしても努力をしていきた いというふうに考えます。
○上田(卓)委員 総理府総務長官なりあるいは人事院総裁に最後にお聞きいたしますが、高度経済成長時には、いわゆる景気のいいときには民間の経営者にしても労働者にしても、国家公務員に対して風当たりはそう強くない、逆に民間はいいなというような状況があるわけですけれども、景気が悪くなってきて民間の企業が倒産に追い込まれていく、あるいは労働者の生活が圧迫されていく、こういう状況の中で今度は逆に公務員はいいなと、いわゆるねたみ差別というのですか、そういうような形で特に国家公務員、地方公務員、そういう方々に対する風当たりが強くなってくる。私はそうじゃなしに、政府がもっとそういう景気のてこ入れを図っていく。輸出を伸ばすということも非常に大事でありますけれども、これには国際環境もなかなか厳しいものがあるわけでありまして、国内需要の喚起、国内市場をどのように開拓していくのか、こういうようなことも含めて考えていかなければならぬ、このように思っておるわけでありまして、何か民間が悪くなったから、公務員に対する風当たりが強くなったから、公務員の方を下げていって民間に合わしていくんだというようなことになりつつあるのじゃないかということで、私は非常に危惧をするものでございます。 いずれにいたしましても、そういう感情があることも事実でありますけれども、余りそういうものに迎合するのもどうかなと私は考えるわけでございます。そういう点で、少なくともストライキ権というのですか、そういうものが禁止されているという状況のもとで人事院勧告なりあるいは裁定というものがあるわけでございますので、そういう勧告に基づくところの給与の法案に対しては、先ほど岩垂委員からも御指摘がありましたけれども、ぜひとも早く出していただきたい。そういう点で若干私が申し上げたことも含めて長官から御意見をお伺いしたい、このように思うわけです。
○中山国務大臣 公務員の給与に対する人事院の勧告を裏づけるものは、あくまでも民間の各種にわたる企業の労働賃金の調査が基本となっておることは御承知のとおりだと思います。そういうことで、人事院は、政府に対して、公務員の罷業権を否定しておりますから、こういうことの代償的機能として人事院の勧告を政府が尊重する、こういう姿勢をとってまいっております。政府といたしましても、公務員の給与はすべて民間が払っていただく税金で賄われるわけでございますので、納税者たる国民の御意思がどうか、御納得がいただくかどうかということも、これを無にして公務員の給与を決めていくわけにもまいらない、こういうふうな二つの構造があるのじゃなかろうかと考えております。 御指摘のように、公務員の給与が家庭生活の安定をもたらすものであるということが行政をやっていく上で不可欠の要素でございますので、政府としては、今後とも人事院勧告を尊重してまいる、こういう姿勢を貫き通したいと考えております。
○藤井(貞)政府委員 御指摘がございましたことは、事実そのとおりであると私も思っております。民間の景気がいい場合は、公務員の給与等について余り論議はございません。これが非常に不景気になって、民間でも大変な出血とかあるいは合理化を迫られる、それにさらに加えて国の財政というものも非常に公債の発行率が多くなってくるというような状況になってまいりますと、大変公務員の給与その他についての風当たりが強くなるという、そういう状況は今度だけじゃなくて従来もございました。そのことは一つの例を申しますと、公務員試験の受験者の数等においても端的にこれはあらわれます。民間の景気がいいときは、それなりに公務員の受験者というものの数は減る、また民間の景気の落ち込みということになりますと、これに対して公務員の受験数がふえていく、そういう繰り返しをやっておるわけでございますが、しかし専門家の委員に申し上げるべきことではございませんが、公務員の場というのは、行政というのは別にもうけ仕事をやっているわけじゃありません。治安の問題、教育の問題、社会福祉の問題を通じまして、やはり国家としてやらなければならぬ最低限度のことというものはあるわけでして、その事務を支障なくやっていくためには、そこにやはり適当な、また才能のある公務員が配置されておらなければならぬわけであります。それだけに、公務員にはやはりそれにふさわしいりっぱな人を確保してまいりませんと、将来にわたって私は国政が渋滞して困ったことになるという信念を持っております。したがいまして、民間のいろいろな声はございます。それはそれなりに謙虚に受けとめるという気持ちには変わりはございませんですが、しかし、それかといって、財政問題だけの見地から人事院がいろいろ物申すということになりますれば、これはやはり人事院制度の根幹に触れる問題でありまして、私はその方向はとりません。やはり与えられた使命というものをはっきりと持って、それに対する努力を今後とも着実に続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○上田(卓)委員 中山総務長官がお見えでございますので、せっかくの機会でございますので部落問題につきまして若干の時間御質問申し上げたい、このように思います。 長官も大阪の出身でございまして、私と同じ大阪でございますので部落問題についてはよく御存じのことではないか、御認識されておられる、このように思っておるわけでございますが、まず長官の部落問題に対する基本的な考え方について述べていただきたい、このように思います。
○中山国務大臣 先生御指摘のように、私も同和地区の方々のことはよく認識をいたしております。同和問題の解決という問題については、国及び地方公共団体の一つの大きな責任であるという観点から、今後とも同和対策の問題についての推進に努力をいたしたいと考えております。
○上田(卓)委員 同和対策審議会の答申にも述べられておりますように、いわゆる同和問題の解決は地方公共団体の責任でもありますけれども、ひとえにこれは国の責任である、また同時に国民的課題である、こういうふうに述べておるわけでございますが、この点は基本的に御認識いただいておりますか。
○中山国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○上田(卓)委員 そこで、国会でも大きく取り上げられたわけでございますが、一九七五年から今日まで約五年間に、いわゆる部落地名総鑑と言われる悪質な差別図書が発売されて、そしてそれを企業が買って就職採用のときに部落の人間を排除する、こういうのに用いるというような非常に忌まわしい事件が起きておるわけでございます。今日九種類、若干個人もありますが、購入企業数が二百十二に上っておるわけでございまして、こういうことについて長官自身が御存じであるのかどうか。それと特に十月二十七日に藤尾労働大臣に安田信託銀行の社長さんが謝罪文を出されておるわけでございまして、その中でこういうことも述べておるのです。社会へ旅立とうとする前途有為の青年に対して、本人の責に帰さない家庭環境あるいは同和地区出身者であること等を理由として当社の門戸を閉ざしてまいりました、差別してきた、差別図書を買って門戸を閉ざしてきたということをはっきりと述べて、今後こういうことを絶対にいたしませんと決意を述べておられるわけでございますが、この安田信託にかかわって京大出身の学生が自殺を遂げる、こういう痛ましい事件も起こっておるわけでございます。 決してこの地名総鑑の問題だけじゃなしに、たとえば駅のトイレであるとか大学とか郵便局の至るところに悪質な差別落書きが本当にもうはらわたが煮えくり返るような、もういままでに例を見ないような、そういう悪質な落書きが書かれておったりしておるわけでございます。あるいは大臣も御存じのように、旭区に生江町というところがありますが、そこで、その同和地区のど真ん中で、解放会館の前に、長官ももうすでに目を通していただいておると思うのですけれども、こういうような本当に――これはもう読み上げません、はっきり言って。そういうようなことが起こっていることに対して長官は一体どのように考えておられるのか。地名総鑑などは民間の企業が買うているというだけじゃなしに、商工中金とかあるいは銀行あるいは大学が買うているとかあるいは高等学校も買うているとか、そういうような状況があるわけですし、大企業というたって長官自身がすぐなるほどというような、そういう一流の大企業でありますので、そういう点で最近の悪質な差別事件についての考え方というものについてどのようにお考えかお聞かせいただきたい、このように思います。
○中山国務大臣 先生御指摘の地名総鑑等については、きわめて遺憾なことであると私は考えております。政府は、今年度の予算でこのいわゆる差別問題、そういうものをなくすための啓蒙活動費として三億一千万余りの予算も計上して目下PRに努めている最中でございますし、先ほど御指摘の点は、政府内部におきましても関係各省庁でそのようなことが一日も早くなくなるように鋭意努力をしておることを申し添えておきたいと思います。
○上田(卓)委員 いまそういう差別をなくすための人権啓発を含めるところの予算のことに若干お触れになったのですけれども、しかし、同和対策審議会の答申にも述べておりますように、心理的差別と実態的差別をなぐする、こういうことになっておるわけですが、実態的差別の解消について若干予算を組んで大阪なども比較的進んだところだ、このように思うわけでありますけれども、全国的にまだまだ大変なおくれがあるわけであります。 いま問題になっておりますそういう差別事件に対して、いわゆる国民に対する人権啓発の問題にかかわってくるわけでありますが、こういう予算が事業予算に比べて非常に少ない。これはわれわれ常に総理府に対して申し上げておるところでありますので、人権啓発等について差別事件の根絶のためにぜひとも力強く推進していただきたい、このように思うわけであります。特にこういう悪質な差別事件、いわゆる部落差別を利用して金もうけをしようと差別図書を製造している、販売している、こういう企業であるとか、あるいはそれを買って就職の門戸を閉ざそうという、こういう悪質なものについては、法的規制というのですか、野放しになっておるわけですから、ぜひとも強力な規制が必要ではないか。これは法務省においてもいま検討されておるところでございますが、所管官庁としては総理府でございますので、その点について法の改正も含めてぜひとも検討していただかなければならぬのではないか。 さらに大阪では、大阪府が特に悪質な四つの企業に対しては行政処分というのですか、入札等についても制限するというようなことが発表されておるわけでありまして、長官も御存じだと思いますが、そういう意味で、法的規制の問題についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたい、このように思います。
○中山国務大臣 いまの問題点につきましては、法務省と十分連絡をして、慎重に検討の上で善処するように強く要望をいたしております。
○上田(卓)委員 長官自身もいろいろな事例を御存じでございますから、前向きに熱意を持って対処していただきたい、このように思っておるわけであります。 そこで長官、部落差別の問題については徳川時代は言うに及ばず、明治四年に解放令が出て以来百十年になるわけでございますし、戦後だけでももう三十五年というようなことでございます。あるいは昭和四十年に同和対策事業の同和対策審議会の答申が出され、また四十四年に特別措置法ができた。そして一昨年の秋に三年の延長、こういうことになったわけでございますが、最近こういう差別事件が非常に顕在化してきている。法律のあるもとでもこういう悪質なものが出てきておるわけでございまして、そういう点で各省とも話し合いをしているわけでございますが、たとえば労働問題あるいは産業の問題あるいは教育の問題とか、国民の意識から差別意識をなくする、そういう人権啓発の問題などは一日も早く解決されるべきである、こういうふうに思うわけでありますけれども、現状を素直に見た場合に、環境改善一つ見ても、若干進んでいるところもあれば、まだ全然手がけていないという地域もあるわけでございまして、なお相当時間がかかるのではないか。もう一年二年でこの問題が解決するというようななまやさしいものではない、相当長期にわたって対策をなされなければならない問題ではないか。何月何日をもってこの問題を解決したというようなものではなかろう、こういうように私は思うわけでございますが、そういう点について一回長官の考え方というものをお聞かせをいただきたい、このように思います。
○中山国務大臣 残存事業量のことに関しまして申し上げる前に、一言訂正させておいていただきたいと思います。 先ほどのいわゆる啓蒙宣伝費は三億一千万と言いましたが、私の考え間違いで二億三千万でございます。五十三年度が一億三千万から始まって、本年度は二億三千万までふやしておるということを御理解いただきたいと思います。 なお、来年度の概算要求で要求できるものはすべて要求をいたしております。なお、予算委員会等でも御答弁申し上げておりますけれども、土地の買収等の話し合いがつかないものにつきましては概算要求に載っておりませんけれども、一応私どもといたしましては、できる限り五十六年度中の概算要求に盛り込んでいく、積み残したものについては五十七年度に持ち越すことも考えざるを得ない、こういうふうに考えております。御指摘のように、一朝一夕にこの問題が解決できるものではございません。一広く国民各位の御理解のもとで初めてこの問題は解決するのでございまして、政府としては今後も引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
○上田(卓)委員 くどいようでございますが、長官も決してそれだけだというふうに考えておらないと思うのですけれども、政府はややもすれば残事業ということだけに目を奪われて――部落問題というのは、先ほど申し上げたように産業、労働、教育、人権啓発の問題、そういう相当な間口の広いものでありまして、部落の住宅環境がどうなったとか道路がどうなったとか、そういう外見だけのものでは決してないだろう。たとえば保育所の問題とか学校教育の問題とか隣保館活動一つ見ても、こういうものは息の長い問題ではなかろうか、私はこういうふうに思っておるわけであります。残事業一つ見ましても、総理府の五十年調査の結果が出てきているところの残事業というものと、府県なり市町村が考えているところの残事業の中身と、部落の立場から見た残事業というものは相当な隔たりがあるわけでありまして、やはり政府自身も五十年調査の不十分さというものは随所でお認めになっておるところでありまして、調査の見直しということも大きな問題になっているんじゃなかろうか、こういうふうに思います。そういう点で、決して残事業と言われるものだけではないんだ、国民の中にある非常に根強い差別についての解消は相当の期間が要る、こういうふうに私は先ほど申し上げたわけであります。 その点について、予測のことですからわからないと言えばそうかもわかりませんが、それはあと百年も二百年もかかるというようなことじゃ困るわけでございますけれども、やはり二年や三年で終わるものではないというふうに認識をされているのかどうか、その点についてもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○中山国務大臣 同和問題は、日本の長い歴史の中での一つの事実でございます。法律の施行によってこれが解決をすべて見るものではないというふうに考えております。政府といたしましても、前向きの姿勢で今後とも努力をしてまいるというふうに考えております。
○上田(卓)委員 法律の施行によって解決できるものではないと言うが、法律に基づいてこれは解決してもらわなければならない問題でございます。しかし、恐らく長官がおっしゃっているのは、法律があろうとなかろうと、この問題の解決を図らなければいかぬという意味じゃないかと思うのです。法律がないときにはいざ知らず、法律があって一定の目的に向かって解決のために同和対策がなされているということの中で、なおかつ同和問題が長期にわたって残されるということになれば、やはり法律の存続というものが大きな問題になるのではないか、このように考えるわけであります。政府においてもこのことについて鋭意検討し、各省とも連絡されて努力されているんじゃなかろうか、このように思うのです。 いずれにいたしましても、再来年の三月になればこの三年延長が切れる、こういうことになるわけでございます。御存じのように、一昨年の臨時国会での三年延長のときにいろいろ議論がございました。中にはもう打ち切ったらどうかという意見もあったようにも聞いておるわけでございますが、同時にそのときには法律の見直しをすべきではないか。ただ単にいまの法律を延長するのには問題があるのじゃないか。と申し上げるのは、やはり法律の不十分さから地方自治体が非常に負担が大き過ぎるのではないか。このままいけばそれでなくても地方自治体の赤字財政の中で同和対策をやれば赤字がさらにふえていく。そのことがなぜ同和対策だけそうやって前進するんだという形で、市民の潜在的な差別意識が顕在化する、こういうことがあるので単純な延長には反対だ、こういうことが与野党を問わずあった。このように私は思っておるわけです。ただ、時間の関係からとりあえず三年の延長ということになったと私は思います。当時の稻村総理府総務長官は、三年で打ち切るという意味合いのものではない、今後三年間の中で実態を調べて基本的な問題をどう解決していくか、同和対策事業をどう進めていくか、それを研究検討するところに延長の意義があると本委員会で述べられておるわけでございます。また三つの附帯決議が委員会でなされたわけでございます。その中でも「法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。」など三つの附帯決議がなされておるわけでございまして、そういう点で、臨時国会の冒頭におきましても、鈴木総理大臣は、この三つの附帯決議については尊重するとお述べになっておるわけでございます。 そういう点で、前の三年延長の際の稻村総理府総務長官のそういう発言内容といいますか趣旨を踏襲していかれるお気持ちかどうか、変わりがないのか変わりがあるのか、それと同時にこの三つの附帯決議の実施、尊重について決意を述べていただきたい、このように思います。
○中山国務大臣 鈴木総理が申し上げましたとおり、附帯決議の精神を尊重していくということは間違いございません。先生御自身からきわめて明確な御指摘がございました。私どもといたしましては、この問題はいろいろと意見もあるところでございます。政府内部及び各党の御意見を十分伺った上で、政府としては方針を立ててまいりたい、このように考えております。
○上田(卓)委員 各党なりあるいは各省庁とも検討していただくわけでございますけれども、主管官庁として、当然部落問題の解決については国の責任であるということで、国の責任で解決するのだ、各党の意見を聞くということも当然でございますけれども、そういう各党の意見を聞くということになると、政府の責任逃れということにも国民は考えかねないわけでございますので、政府の責任においてこの問題の解決を図っていくという最後の決意をいただいて質問を終わりたいと思います。
○中山国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府は附帯決議の精神を尊重するということで、鈴木内閣としては対処してまいります。また、国会でも十分御審議をこれからいただくわけでございますけれども、前向きに努力をさせていただくというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
○上田(卓)委員 終わります。
○愛野委員長代理 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ――――◇――――― 午後三時三分開議
○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
○鈴切委員 人事院総裁にお伺いいたします。 人事院がことし二月二十七日に行いました国家公務員災害補償法の改正についての意見の申し出の中で、遺族補償年金の給付水準の改善について、「遺族の人数区分に応じたそれぞれの支給率については、災害補償の損害賠償的側面からみてなお改善を図る必要があると認められるので、遺族の人数区分一人の場合を中心にその支給率を平均六・一%引き上げることとするものである。」そのようにありますけれども、六・一%引き上げて妥当な線になったというようにお考えになっておられましょうか。それとも、どのぐらい引き上げれば妥当な線になる、そのようにお考えになっていましょうか。
○藤井(貞)政府委員 意見の申し出をいたしました時点におきましては、これが妥当な線ではないかというふうに考えておる次第でございます。この給付水準をどのようにするのが一番いい方法であるかという点についてはいろいろ議論のあるところでございますが、その一つは、条約あるいはこれに関する勧告というものの基準に達しておるかどうかということが一つのめどでありましょうし、その他は民間の災害保険の関係の給付というものともにらみ合わせをしなければなりますまいと思います。そういうような点で、損害補償的な意味を持つものでございますので、被災者の立場で考えればこれをできるだけ厚くしていかなければならぬ、またいくべきであるという基本線は持っておりますが、それにはおのずから限界もございましょうし順序もございます。そういう点から、いろいろ勘案いたしました結果、意見の申し出をやった次第でございまして、現時点においてはこれはこれなりに妥当な線ではないかというふうに考えております。
○鈴切委員 身体障害に対する評価の改善についてでありますけれども、一つは神経系統の機能または精神に著しい障害を残し随時介護を要する者、二つには胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し随時介護を要する者の二点が新たに障害等級二級として評価するようにしてありますけれども、これに該当する人はどれぐらいあるでしょうか。
○金井政府委員 精神、神経系統の身体障害または胸腹部臓器の身体障害につきまして評価の改善をいたし、新たに障害等級二級を新設することとしておりますが、これら身体障害によりまして、すでに障害補償年金を受けている者の障害等級についても評価の見直しが行われることになるわけでございます。 そこで、現在これら身体障害により障害等級一級または障害三級に該当している者がそれぞれ二十一名ございます。それからまた、これらの障害によりまして傷病補償年金の廃疾等級一級ないし三級に該当している者が、一級では四十五名、二級では九名、三級では十四名となっております。これらの者のうちで、今回の身体障害の評価の改善によりまして新たに障害等級二級に該当することとなる者は、経験則的に申しますと十名程度になるのではないかというふうに考えられます。
○鈴切委員 今回新しく小口資金の貸し付けを受けるための措置といたしまして、年金たる補償を受ける権利は国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫の担保に供することができるということが明示されましたけれども、このような措置をとった背景はどのような理由なんでしょうか。私の記憶によりますと、災害補償の年金を受けていた人は、いままで証書を担保としての貸し出しが受けられなかったということですが、受けられなかった理由と、今回このようにして受けるという形にしたというのはどういう背景なんでしょうか。
○金井政府委員 小口資金の貸し付けの問題でございますが、年金たる補償は受給者の生活保障をも目的とするものでございまして、一般的に申しますと、受給権を担保に供し、あるいは譲渡することは禁止されておるわけでございます。そこで、受給者の一時的な不時の出費、たとえば入院であるとか子女の入学、婚姻等そういう費用に充てるために、受給者の生活を圧迫しない限度におきまして、年金受給権を担保といたしまして必要最小限の融資を受ける方法を今回新たに開きたいということでございまして、御指摘の貸し付けは、やはり申しましたように、従来担保に供し、あるいは譲渡することが禁止されているために、いままでできなかったということでございます。
○鈴切委員 障害補償年金差額一時金の創設が今回の法案に盛り込まれておりますけれども、「障害補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、」云々とあるわけでありますが、障害補償年金を受けていて、災害が原因で亡くなっていく人はどのくらいおられましょうか。過去五年くらいで結構です。
○金井政府委員 障害補償年金受給権者のうち、死亡によりまして権利が消滅した者といたしましては、各実施機関から、昭和五十二年四月一日から五十五年十一月一日までの間に報告を受けておりますが、その数は十九名でございます。このうちには年金受給期間が四年三カ月に満たない者が八名含まれております。今回新たに設けられる障害補償年金差額一時金の制度には、このようなものが該当してくることになるわけでございます。
○鈴切委員 一級から七級までの年金受給者で亡くなられた方の平均受給年数はどれくらいになっていましょうか。
○金井政府委員 国家公務員におきます障害補償年金受給者の平均受給年数につきましては、現在まで実は調査しておりませんが、労働省におきまして労災保険受給者につきまして調査したところによりますと、約二十五年という結果を得ております。国家公務員につきましても、労災保険におけるとほぼ同様の傾向にあるというふうに考えております。
○鈴切委員 受給者側として見れば、少なくとも平均受給年数ぐらいまでは補償してもらいたいという、そういう要望がありますけれども、最低補償としてその辺まで私はすべきじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
○金井政府委員 今回新たに設けようとしております障害差額一時金の制度でございますが、これは実質的な障害補償年金の最低保障の機能を果たすものと思われておりますけれども、このような長期間の年金相当額をもって最低保障額とすることは、他の制度との均衡を考えますと、適当とは考えられないわけでございまして、今回創設を予定している差額一時金の最高額というものは、労働基準法上の障害補償の額に相当する額を限度としておりますので、やはりその線が妥当な額ではないかというふうに考えております。
○鈴切委員 障害補償年金前払い一時金の制度が創設されるわけでありますけれども、一時金として限度額全部を申し出れば、それはもらえるようになるのでしょうか。
○金井政府委員 法律が制定されますと、その点につきましては、実施の問題といたしましてこれから人事院規則でそれまでに考えて定めることにいたしておりますけれども、大体限度額いっぱいにできるような方向で検討したいというふうに考えております。
○鈴切委員 法案の内容の中で、第十七条八の4と八の8及び八の12に「当分の間」という表現がなされておりますけれども、これはどういう意味なのでしょうか。具体的には何年くらいを言うのでしょうか。
○金井政府委員 大体補償につきましては、いま年金がその中心になっておるわけでございますけれども、自賠その他民事上の損害賠償等におきましては、まだ年金ということには徹底しておらない。むしろ一時金が多いわけでございます。そこで、今回も補償につきましては、主体は年金で行きたいという考えがございますけれども、一般的に年金というものがまだ定着しておりませんので、そこで当分の間一時金という形で支給をしたいというふうに考えております。その当分の間でございますけれども、何年というふうに言うことは、現段階では明確にはまだちょっと申し上げられない状態でございます。
○鈴切委員 当分の間を過ぎますと、どういうふうになるとお考えでしょうか。
○金井政府委員 先ほど申しましたように、補償について年金というものが主体であるということ、それからさらに他の一般の損害賠償等が年金というような時期が来た場合には、今回制定していただきたいと考えておる一時金というものは、やはり姿を変えた形で処理しなければならないというふうに考えます。
○鈴切委員 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきましては、私どもも賛成の立場にありますし、審議について協力をするという意味において、時間的にもできるだけ簡単に御質問申し上げたわけでありますけれども、ちょっとそれとは話が違うわけでありますが、厚生省、それから大蔵省、来ておられますか。 花も恥じらう白衣の天使といえば、これは日赤の従軍看護婦、そしてまた旧陸海軍の従軍看護婦であり、もうすでに三十五年を経過いたしまして、当時は若かったそういう彼女たちも、すでに年輩になって、必ずしも生活が恵まれているというわけではないわけであります。日赤の従軍看護婦については、総理府また厚生省が大変にお力を入れていただきまして、それはそれなりに、十分だとは言えないにしても、彼女たちも少なくとも国家から報われたという気持ちで、実は大変に喜んでいるわけであります。しかし、旧陸海軍の従軍看護婦、この方はちょっとまだ、いまのところそれが実現されていないわけです。 そこで、まず厚生省の援護局にお聞きいたしますけれども、厚生省では旧陸海軍の従軍看護婦の救済に対して、五十五年度で千七百万円の調査費をかけて実態調査をされておりますが、その結果はどのようになっておりましょうか。また、その時期はいつごろになりましょうか。
○森山説明員 旧陸海軍看護婦のことでございますが、実は、私どもの方にこれらの人々の資料が乏しいものでございますから、先生いまおっしゃいましたように、ことし実態調査を実施いたしまして、この実態調査は六月から始めまして大体九月いっぱいということでやったわけでございまして、十月から調査票の回収をいたしまして、いま大部分が回収されているわけでございます。それと並行いたしまして、所要事項につきまして集計を行っておりまして、これも大体もう山を越しまして、もうしばらくで結論が出るという段階に来ておりますので、もうちょっと時間をいただきたいと思います。
○鈴切委員 陸軍とそれから海軍とあるわけでありますが、陸軍は当然多いと思いますけれども、対象人員についての調査用紙はどれくらい配付されたか。そしてまたそれからどれくらいが回収できたのか。またちょっと待ってくれということは、大変に近いという感じがするのですけれども、大体どれくらいたてばその調査結果が出ましょうか。
○森山説明員 調査の対象といたしましては、当初は二万三千、これは内地、外地全部合わせましてそのくらい、だろうという推定でございますが、二万三千枚を一応作成いたしまして、これはかなり古い時点の調査でございますので、PRもかなりやりまして、結局出てまいりましたのが約一万三千五百でございます。 ただ、この中には、陸海軍の看護婦じゃなくて、いわゆる日赤の看護婦さんとかもまじっておりまして、これが約二千程度ございまして、正味一万一千五百くらいです。これはいま申し上げましたように、内地勤務、だけの人も入っておるわけでございまして、それを内地勤務の方と戦地勤務のある方と分類いたしまして、そのほかに在職年数、それからその在職年数を裏づける公的な資料があるか、また個人が持っておられる資料があるかというようなことも、在職年全期間にわたりまして個人ごとに全部当たっております。そういうことで、若干時間がかかるわけでございますが、あと十日程度で大体結論が出るという目標でいまやっておるわけでございます。
○鈴切委員 大変に昔のことを調査されるわけでありますから、御苦労の伴うことだろうと私は思います。 今回、大蔵省に厚生省の方から概算要求をされておりますけれども、それはどういう内容でしょうか。項目はどうなっていましょうか。
○安原説明員 旧陸海軍従軍看護婦の問題につきましては、総理府の方から事項要求が出ておりまして、また厚生省の方からは、進達事務費としまして約二千万円の要求が出ております。
○鈴切委員 そこで、総理府の総務長官がいいんじゃないかと思いますけれども、日赤の従軍看護婦については大変に御配慮いただいておるわけであります。こうやって約二千四十八万九千円でしょうか。いわゆる概算要求をされているわけでありますが、その処遇の内容については、旧日赤従軍看護婦に対する内容に準じた、こういう形で概算要求されているんでしょうか。
○関(通)政府委員 処遇の内容につきましては、先ほど厚生省からも御答弁ございましたように、いま結果をまとめていただいておるところでございますので、その結果を待たなければならないわけでございます。ただ、私どもとしましては、大蔵財政当局の方に五十六年度から措置が可能になるようにお願いをいたしているところでございまして、処遇内容につきましては、調査結果を待ちまして十分検討いたしたいというぐあいに考えております。 ただ、頭に置いておりますのは、当委員会の四月の附帯決議におきましても、日赤看護婦に準じてというのがございますので、それを念頭に置いてこれから検討するということになろうかと存じております。
○鈴切委員 総務長官、大変長い期間放置されておりました旧陸海軍の従軍看護婦の方々が、実は一日も早く措置をしていただきたいということを希望しているわけです。実は、きのうも熊本の人が一人亡くなっていまいまして惜しいことをしたわけでありますけれども、総務長官は、この方々に対してどういうお気持ちで、そしてまたどういうふうにされようとされていましょうか。
○中山国務大臣 これらの代表の方々にも私、お目にかかりまして、いろいろ御意見も承りました。また厚生省でも十分な調査をやるように、総理府といたしましては、新聞等を通じて政府広報で広く全国民に向かって呼びかけを何回か行ってきたわけでございます。その結果、いま答弁がございましたような数字が出てまいったわけであります。私どもとしては、当初考えておった数字がなかなか出にくいのではないか。つまり海軍の場合は、海外の病院が少なかったし、艦艇によって相当早期に内地にお帰りになった方々がたくさんいらっしゃる。陸軍の場合は、病院ごとに採用された看護婦さんが非常に多かった。しかも結婚されたりいろいろなことで実態調査ができないという状態もございましたが、いま答弁がございましたような数字が出てまいりましたので、先生御指摘のように、私どもとしましては、当委員会でも御一意見のございましたことを踏まえて、できる限りの措置をいたしたい、このように考えております。
○鈴切委員 大蔵省の主計局の方が来られておりますが、旧陸海軍の従軍看護婦の補償については、本年三月六日の社労委員会で、厚生省は実施の時期は来年度早々にも実施したいと、厚生大臣にかわりまして援護局長が答弁されている議事録があります。それに従って厚生省は、先ほどお話がありましたように約二千四十八万九千円という、言うならば看護婦の進達事務費を概算要求されている。また総理府の方からも、旧陸海軍の従軍看護婦処遇経費としての概算要求を出されております。先ほどから御答弁がありましたように、調査結果を待って具体的な給付内容について決定されるようでありますが、総理府で処遇内容が決まり、要求額が要求された後、内示の段階というふうになるでありましょうけれども、戦後三十五年間、旧陸海軍従軍看護婦の皆さん方の期待を裏切らない配慮が必要ではないか、私はこのように思うのです。大蔵省主計局の方はなかなか渋いということを聞いておりますけれども、わずかのお金でございますし、それについて政府として今日まで前向きに取り組んできたわけでありますが、どういうふうにお考えでしょうか。
○安原説明員 先生御案内のとおり、五十六年度予算編成が終盤にかかってまいっておりますが、これはきわめて厳しいものがございます。財政再建を緊急の課題として取り組んでいかなければならない状況でございますので、一般論といたしましては、新規の要求につきましてなかなか対応しにくい、対応がむずかしいという事情が一つございます。事項によりましては、既定経費の確保すら容易ならざる状況に立ち至っているわけでございます。 それから、いま問題になっております旧陸海軍看護婦の問題は、旧日赤救護看護婦の方に対する処遇の問題と比較しまして、その性格とか勤務の形態の差異等々、たくさんの困難な問題もあるように考えております。しかしながら、いま厚生省の方から御答弁がありましたように、現在鋭意調査結果の取りまとめを急いでおられ、総理府の方では、その調査結果を踏まえてどうするかを検討されるということでございますので、その結果をよく伺いまして、財政当局としてもその実態の把握にも努力をいたしまして、関係省庁と十分協議をして引き続き検討していきたいというぐあいに考えております。現段階では、これ以上のことは申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
○鈴切委員 大蔵省の立場、私、わからないわけではありません。だから、一般論としてその点については私も十分理解するわけでありますが、今日までのいろいろの御苦労等もございますし、なかんずく厚生省の援護局長は、五十六年度早々にぜひそういうふうに措置をしたい、こう言っているわけであります。これからの問題ではありますけれども、五十六年度早々にぜひ措置をしたいという前向きな言葉に対して、総務長官はそれをどういうふうにお考えでしょうか。
○中山国務大臣 総理府といたしましては、この従軍看護婦の方々の実態調査の数が上がってくることを実は待っているような状態でございます。お聞きのように、総理府といたしましては、大蔵省に費目の要求をすでに認めていただいておるわけでございまして、実数をつかみ次第、それに準じていかなる予算措置を要求するか、その点については関係各省庁と十分検討して、できるだけ前向きに作業させていただきたいと考えております。
○鈴切委員 総務長官の温情あふるる御答弁、私は了といたしますから、ぜひ実現に前向きで措置していただきたいと思います。 以上です。
○江藤委員長 神田厚君。
○神田委員 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に関しまして御質問を申し上げます。 まず最初に、国家公務員災害補償法の中で幾つか問題がございますので、その問題につきまして御質問を申し上げますが、災害補償給付と国家賠償との調整について最初に御質問を申し上げます。 公務員が国の責任で災害をこうむった場合に国家賠償金が支払われることになっておりますけれども、その際、災害補償給付との調整はどういうふうになっているのでありましょうか。
○金井政府委員 国の過失によりまして公務災害が生じた場合の補償と損害賠償との調整につきましては、現行の国家公務員災害補償法の第五条に規定がございまして、その調整につきましては、補償をまず先行して支給した場合には、損害賠償額からすでに支払われた補償の額を差し引くことにより、また損害賠償が先行した場合には、災害発生の日から三年を限度といたしまして国は補償義務を免責されることになる、そういう形で行われております。
○神田委員 災害発生から三年間に限ってということになっておりますけれども、この調整の対象としている根拠は一体何でございますか。
○金井政府委員 いまの調整の問題でございますが、その場合、免責の限度を三年といたしましたのは、第三者行為の災害の場合、第三者加害で災害が起こった場合の補償の免責につきまして、労災保険法における取り扱いとの均衡も考慮しまして三年を限度として運用しているところでございまして、国の過失により公務災害が生じた場合の補償と損害賠償との調整問題につきましても、たまたま加害者が、この場合は国であったということでありますので、同様に扱っておるわけでございます。 なお、第三者加害の場合におきまして三年を限度とする考え方は、補償が先行した際の求償は、損害賠償請求権の消滅事項との関係から、事故発生後三年以内に支給した補償についてのみ行っておりまして、これとの均衡上からいいまして、損害賠償が先行した場合の補償の免責についても三年を限度として取り扱っているわけでございます。
○神田委員 私ども考えるのは、第三者行為に基づく調整と同じで、性格が異なっているのに同様の扱いをしているということに問題があるというふうに思うのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
○金井政府委員 現行の補償法の第六条では、事故発生後三年の範囲内で第三者が損害賠償を行った場合には、同一の事由については、その価格の限度で補償を行わず、また補償が先行した場合には、国はその価格の限度で受給者が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得いたしまして、当該第三者に求償することとしておるわけでございます。これに対して、補償法の第五条による調整措置は、国が同一の事由について補償責任と民事賠償責任の双方を負う場面が生ずる点につきまして、その重複を避けることを主眼としているものでありまして、第三者行為災害のケースのような技術的な制約がある場合、これはたとえば損害賠償請求権の時効による消滅であるとか、あるいは不良債権等の場合がございまして、そういう技術的な制約も伴わないので、第三者行為災害の場合と比較するのは適切でないというお考えもあると思います。しかし、現在のところ、さきに述べましたように、第五条の二項の取り扱いについては、たまたま加害者が国であったにすぎない、そういう考え方で第三者行為と災害と同様の見方で均衡をとっているということでございます。 こういうような、御指摘のような考え方もあると存じますので、今後この問題につきましては、なお慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○神田委員 次に、民間労働者の場合は、今国会におきまして審議をされている労災保険法の改正案において初めて民事賠償金と労災保険給付の調整規定が設けられることになっているわけでありますが、衆議院の修正によりまして、調整の具体的基準を労災保険審議会の議を経て決めることになっております。民事賠償金が出た場合、最もよくても七年から十年間労災保険給付がストップすることになっている。公務員の場合は、事故発生後三年までの間にしか調整の対象とならないのに、民間の場合はよくても七年から十年間労災の給付がストップすることになっていますけれども、これは言ってみれば、一種の官民格差の拡大、アンバランスだ、こういうふうに言われておりますけれども、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
○金井政府委員 労災保険制度におきましては、今回の改正におきまして、調整幅につきましては労災審議会の議を経て検討されるということになって、いまだ確定していないと承知しております。そこで、公務部内におきましても、先ほど申しました調整幅三年ということにつきましては、労災の今回の改正案と内容が異なっておりますので、公務部内における調整方法について、労災保険制度における今後の調整基準というものを勘案、しながら、国の災害補償と損害賠償とが重複する状態を避ける方向で公務部内における基準というものを今後検討していきたい。来年の十一月一日までの間にその方向で検討するということにしております。
○神田委員 しかし、現実にこれは官民格差のような形でアンバランスが残ることになりますね。この辺はどういうふうにお考えでございますか。
○金井政府委員 労災保険法も来年の十一月までに、先ほどの労災審議会の議を経て労働大臣が定めるということになっていると承知しておりますので、私どもも、先ほど申しましたように、その労災の調整方式というものを踏まえまして、現行の調整というものについてもう一回検討するということで、均衡を図る方向で検討していきたいということでございます。
○神田委員 ちょっとはっきりしないところがありますが、後でまた質問することにしまして、次に移ります。 公務員災害補償法における原因不明の難病の指定の問題、等級位置づけの明確化、こういうことにつきまして御質問を申し上げたいと思います。 公務上の負傷と言ってもあるいは公務外の疾病と言っても、非常に認定がむずかしい問題がたくさんあると思うのでありますが、疾病という定義につきましても、そういう意味では現今非常に問題がたくさんあると思っております。原因不明、治療方法不明の疾病も大変多いわけでありますけれども、特に職種によりましては、公務執行上または長年の公務執行過程におきまして、本人が無意識のままにこれら難病と言われる疾病にかかっている例があるわけでありますが、まず公務上か否かの認定上大変な問題が生じるわけであります。この疾病が現代的難病と言われる原因不明、治療方法不明ということになりますときに、傷病補償年金あるいは障害補償、こういうものの別表基準の認定について非常にいろいろ問題が生じてくるわけでありますが、この現在の難病というものに対する認定基準、判断の基準はどういうところにとっているのでありましょうか。
○金井政府委員 ある疾病が公務上の災害であるかどうかということに関しましては、現行の災害補償制度上人事院規則一六-〇の別表におきまして各種の疾病を掲げまして、その公務上外の認定の判断基準を示しておるわけでございます。御指摘の原因不明の疾病につきましては、いま申しました別表の第八号の規定に基づきまして――この八号と申しますのは、各種の疾病を掲げたほか、それに該当しないものにつきまして「公務に起因することの明らかな疾病」は公務上にする、こういう規定でございますが、結局これしか判断基準はないわけでございまして、この第八号の規定に基づいて、公務との相当因果関係の有無というものを公務起因性があるかという判断をすることによって明らかにするわけでございます。一般的に原因不明の疾病となりますと、当然に発病の機序等が医学的に解明が十分でないという実情にあると考えられまするので、公務との相当因果関係が明らかにあるということは、一般的に困難であると言わざるを得ないわけでございます。 なお、現在の医学水準では解明し得ないような疾病につきましても、将来医学的知見が進み、発病原因の解明ということがされますれば、その時点以降におきましては、このような医学的知見に基づいて公務上外の判断ということをしていくことになると考えられます。
○神田委員 現在難病に対する認定基準は、あるいは判断の基準は、厚生省が特定疾患として指定するものをもってそういうふうに言っているというふうに考えておりますが、その厚生省の特定疾患は抹消、追加が行われるのが現状であります。こういう現状におきまして、公務執行上の明確な因果関係が明らかな場合は当然といたしましても、因果関係が疑わしいものを積極的に公務災害と認定をして、そうして事後の生活保障を行うべきだというような要求があるわけでありますが、そういう点につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
○金井政府委員 これは労災でもそうだと思いますけれども、公務員災害補償の観点から申しますと、やはり職務に起因するかどうかということが判断の一番の根幹でございます。したがって、難病と言われるもので、職務との関係において職務に起因してそういう発病をしたということがございませんと、これを公務上の災害というふうに言うことは、やはりむずかしいのではないかというふうに考えられますが、先ほど申しましたように、その点につきましては個別の事案としまして、そういう問題が起こった場合には十分に現在の医学的知見に基づきまして判断をして遺漏のないようにしていきたいというふうに考えております。
○神田委員 次に、災害の認定手続等につきましてお伺いいたしますが、災害をこうむってから業務上あるいは公務上の災害であるかどうかの認定についての手続に大変大きな障害がある。障害といいますのは、やはり期間が長いとかそういうことでございますが、災害補償ということからしますと、可及的速やかに手続を完了し、補償の実を上げることが望ましいということは当然でございます。しかしながら、現在の申請から認定に至るまでの期間は非常に長期だということがその実態から明らかになっているわけでありまして、申請資料の複雑な問題も含めまして、これらについて簡略化をし、認定をもう少し早める必要があるのではないか、こういうふうに考えているのですが、いかがでございますか。
○金井政府委員 公務上の災害の認定につきましては、公務上と認められる死傷病が発生した場合及び被災職員からの申し出があった場合には、それぞれ実施機関には補償事務主任者というのがございまして、この主任者から実施機関に報告され、報告を受けました実施機関の長は、公務上の災害に該当するか否かを通達等で定めております認定基準等に基づきまして判断して認定するわけでございます。 御指摘のように、手続が遅くなるということは、要式行為としての手続が複雑になっているというわけではございませんので、結局判断がむずかしい事案が多い、その判断についてなかなか十分にできない、そういう場合には人事院の方へ個別に協議ということも来ておるわけでございます。したがって、公務上の災害であるかどうかの判断をしやすい事案については、非常に早く認定の判断が下されるわけでございますけれども、判断のむずかしい事案につきましては、認定の結果が職員あるいはその家族に及ぼす影響ということも大きいわけでございまして、勢い実施機関としても慎重に検討を要するので、御指摘のように、認定まで時間がかかるというケースがあると思われます。御指摘のごとく、補償は本来迅速、公正に実施されるべきものでございますので、私どもといたしましても、災害が発生したならば、速やかにこれが上外の認定ができるよう処理するというふうに、今後も実施機関について指導してまいりたいというふうに考えております。
○神田委員 実例があればちょっとお聞かせいただきたいのですが、これは長い場合はどのぐらいかかっておりますか。
○金井政府委員 これは事案によっていろいろ態様が異なりますけれども、一般に長い事案ということになりますと、災害が発生してから二、三年かかって認定に及ぶということであろうと思います。
○神田委員 災害補償の実態面からいいますと、災害発生から二、三年たたないと認定を受けられないというのでは、これはちょっと問題があるようですね。その辺のところはひとつ極力、災害補償ということでございますから、もう少し期間を縮めて、可及的速やかに認定ができるように努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○金井政府委員 一般の事案につきましては、大体一年以内ですべて認定がなされておると思いますが、特定の事案になりますと、内容が複雑だということと判断に必要な資料等の収集あるいは職員あるいは職員団体等との折衝というものにも時間がかかっているようでございます。 〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 私どもとしましては、御指摘のごとく、これはできるだけ早くすべきものだということで、おおむねもう一年以内にすべて処理できるように、今後実施機関に十分指導してまいりたい、かように考えます。
○神田委員 それから、これは通常的なものであって、特に職業病と言われるような疾病が非常に多くあるのですが、これの認定基準が非常に厳しくなっておりまして、特に腰痛、こういうものについてはほとんど認定されない。認定の判断の基準も、あるいは判断そのものも非常にむずかしいのかと思いますけれども、職種によりましては一日じゅう座っていたり、あるいは立っていたりして、そういうことから起こる職業病があると思うのでありますが、こういうふうなものにつきまして、特に腰痛等の、通常的なものであるような形であって、しかも職業病だというものに対して、新しい認定基準、認定の方法、こういうものについて御検討するお考えはございますでしょうか。
○金井政府委員 腰痛につきましては、昭和五十二年の一月に認定基準を定めまして、各実施機関に通達いたし、遺漏のないように考えておるわけでございます。腰痛のみが他の職業性疾病に比較しまして特に認定基準が厳しいということではございませんで、腰痛そのものが、その発生原因が災害性のものとそれから非災害性のものとがございまして、前者につきましては、公務起因性の判断が比較的容易でございますけれども、後者につきましては、いわゆる加齢現象等によるものも相当ございます。その判断に困難を伴う場合が多いわけでございまして、したがって、認定基準につきましては、専門家の意見を十分に徴しまして定めたものでございまして、その内容につきましては、現在妥当なものと考えております。 なお、腰痛の発生機序等につきましては、まだ医学的に十分でない面もあるかと思いますが、今後さらに医学的解明が進めば、その段階において現在の基準というものをまた検討したいというふうに考えております。
○神田委員 最後に、これはこの災害補償法との直接の関連ではございませんが、総理府総務長官が御出席でございますのでお願いを申し上げたいと思うのでありますが、先ほど同僚議員の方から、旧陸海軍の従軍看護婦の問題が出されておりました。私も地元に帰りまして、この看護婦さんの方々と話をするときがあるのでありますが、日赤の看護婦さんにはすでに手当てがされている。そうしますと、その日赤の看護婦さん、婦長さんだった人が自分たちの部下と会ったときに、陸海軍の方に入っている看護婦さんには全然手当てがないというので、日赤の関係の方はいいんだけれども、そうじゃない人は、一緒のところに働いていても補償になっていないということで、非常に矛盾を感じているということを率直に訴えられたことがございました。 そういう中から、総理府等の御努力によりまして、かなり前向きの形でこの問題は進んでいると思いますけれども、そういう意味で、速やかに実態把握からあるいは補償にまで至りますように、どうぞひとつ極力お願いをいたしたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
○中山国務大臣 御趣旨を尊重して努力をいたしたいと考えております。
○神田委員 終わります。
○愛野委員長代理 榊利夫君。
○榊委員 簡単に三つ四つの問題で質問いたします。 今回の改正は、遺族補償年金の額の引き上げ、身体障害についての評価の改善、障害補償年金差額一時金や障害補償年金前払い一時金の創設など一定の改善となっております。 同時に、ここで必要なことは、一つは、公務災害が起こらないような労働環境、労働条件をつくるということ、もう一つは、不幸にして公務災害が起こった場合に、迅速、公正に補償を行い、その原因をも取り除いていくことではないかと思います。従来、この点に不十分さがあるというふうにいろいろ思うのでありますが、国家公務員災害補償法の完全な実施の責任を持つ、こういうふうに同法二条でなっております人事院のこの点での御認識をまずお伺いいたしたいと思います。
○藤井(貞)政府委員 御指摘のように、公務災害補償というのは、不幸にして災害が起こった後始末の問題でございまして、要点は、やはりそういう災害が起こらないような健康管理なり環境管理を優先的に、しかも重点を入れてやっていって、未然にそういう災害が起こらないようにしていくということが第一義的な重要性を持つことは疑いの余地がありません。私たちもそのような観点に立って事柄の処理に当たってまいっておりまするし、今後は特にそういう点に第一義的な優先順位を置いて重点的に措置をしてまいるべき事柄ではあるまいか、かように考えております。
○榊委員 その点で、手続にちょっと時間がかかり過ぎる、こういうことが言われているのです。 たとえば、これは申すまでもなく篤と御承知のとおりでございますけれども、総理府統計局の頸腕障害患者のことですね。これは人事院に対して不服審査申し立てを行っておられます。この人たちは、昭和四十年の国勢調査の際に、光学式読み取り装置に読み込ませるためのマークシートの検査だとか記入業務に携わっておられたわけでありますけれども、頸腕障害が発病した。その申し立てておられる方の一人はこういうふうにおっしゃっているのです。神経と体の機能が半分死んだ人間のようになって、自分の体に鉛でも入っているような感じだ、だるく重い、夜寝るときも体じゅうが痛んで、いっそのこと腕を切り落としたらどんなに楽だろう、そういうふうに毎日のように思ったり、家族に当たり散らしたりしては、また負担をかけず負い目を感じなくて済むなら死んでしまいたい、その方が楽になる、こう泣きながら眠ることもしばしばだった、こんなことを訴えておられるわけでありますけれども、いろいろ調べてみますと、かなり時間がかかっているのです。 いわば、この点では認定理由の問題ですね。開示がなかなか行われない。公務災害補償の審査を行って、この場合は、初めに公務外だというふうに認定を受けたわけです。その職員に対して、書面による認定理由の開示が一切やられていない。民間の労災補償の不服審査の申し立ての場合は、いわば二審制になっている。ちょっと違うわけです、この点では。そういうこともありまして、いろいろ経過があって、要するにこの問題発生以来十年以上の年月が経過しているのだけれども、なかなかそれがそういう点ではうまくいかなかった。そういう点では、補償を迅速に行うということとはかなり外れた問題、実際問題として外れてきている。その点では、今後こういうようなことが二度と起こらないような配慮、努力といったものが総理府、人事院としても必要ではないかと思うのですけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
○金井政府委員 御指摘の総理府統計局のマーク作業の関係で、昭和四十七年三月に人事院はこの事案の協議を総理府から受けたわけでございますが、従来からこういう事務職員につきましての災害のケースということは非常にまれであったために、認定に当たりましては労働衛生学的検査、資料等も必要であるということで、そのためにその提出方を総理府に求めたわけでございます。しかし、申請者本人あるいは所属の職員団体等の理解協力が得られないために、その提出がスムーズに行われなかったということで、若干その間また徒過した。しかし、認定がおくれるということは、御指摘のとおり、迅速、公正を旨とする補償法の精神にもそぐわないことでもございますので、実施機関たる総理府は、人事院とその段階で把握し得る限度の資料をもって認定できるかどうかということで検討の協議を行いまして、昭和五十一年八月に認定を行ってきたところでございます。 そういうことで、これは非常に長くかかったケースでございますけれども、今後はできるだけ迅速にやるということは、先ほども申し上げましたとおりでございます。 それから、補償の認定の通知の際に、認定理由等を記載するという問題につきましては、現在認定理由を書くようにはなっております。ただ、聞くところによりますと、その記載が非常に簡略であるということもありますが、一方では御本人に口頭によりましてその点を詳しく説明しているということでございます。私どもといたしましては、従来外の認定の場合には通知しないところを通知をしなさいという形に改めたわけでございますが、その際に理由を書くようにいたしておるわけですが、その理由の書き方がいま問題になっているわけだと思いますので、今後できるだけその理由が、たとえば相当因果関係がないというその理由というものも書くように各実施機関を指導してまいりたいというように考えております。
○榊委員 その認定の問題ですけれども、つまり民間労働者の場合と比べてみまして差があるのですね。民間労働者の場合の労働災害補償の場合には、仮に不服がある、そういう場合にも、不服審査の申し立てを行っている人の中から、いままでのこういうやり方だと、やはり公正な審査をしてもらえるのかといういろいろな不安の声も出ているというように聞いているわけです。その一つがいま申し上げましたこの認定理由の開示であります。 それで、その申請を行って公務外だというように認定された場合、書面による認定理由の開示がやられていない。この点ではやはり民間労働者の場合とこれは違うわけですね。 そのこともさることながら、私、ここで言いたいのは、やはり申し立て人に十分に物を言ってもらう、事情を話してもらう、それから反論も保障するといったことが必要なんで、その趣旨に沿って文書による理由の開示を行うような方向に改めていくべきではないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。
○金井政府委員 現在でも、外に認定した場合の理由は記載することになっておりまして、ただ、御指摘のように、それが簡略に過ぎるという趣旨ではないかと思います。そこで、先ほど申しましたように、ある程度詳しく書いたらどうかということ、ごもっともだと思いますので、今後そういう方針で各実施機関を指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、不服審査の場合の申し立てでございますが、これは民間と若干は違いますけれども、各実施機関で認定したところに不服がございますれば、人事院に対しまして審査の申し立てができることになっておりますし、そこにおきましては御本人からいろいろ直接に不服の事由なりあるいはそれに関連する種々の陳述というものを聞くことにいたしておるわけでございます。
○榊委員 それから、これはどうでしょうか。災害補償審査委員会の構成の問題ですけれども、労働保険審査会の場合には労使それぞれ四名から成る参与がいるわけですね。ところが災害補償審査委員会の方は、審査に際して労使双方とも意見を陳述するという制度になっていない。この点も、審査の公正を図るという点では、労災制度に準じて改めるべきではないか、こういうふうに言われておるし、私どもそう思うのですけれども、この点いかがでございましょう。
○山本説明員 お答えいたします。 災害補償審査委員会の構成の問題でございますけれども、これは保険審査会とちょっとレベルの違う問題でございます。私どもがこの委員会を設置しておる目的といいますのは、いままでいろいろお話がございましたように、災害補償の審査業務というのはきわめて専門性の高い問題でございますので、特に医学の専門家あるいは補償業務の、行政の専門家等々を委員に委嘱いたしまして、その審査委員会におきまして専門的な見地からいろいろ審査をしてもらう、こういうような趣旨で委員会を持っておるわけでございます。 そういう趣旨でございますので、いま先生お話しの労使双方の立場を代表する者を参加させるということは、専門性ということを趣旨としておるその目的からはちょっと外れた問題ではないかと思います。ただ、その意見を聞くということにつきましては、調査をする段階で申し立て人あるいはそれの代理人となっておられるような職員団体の意見というようなものは十分お聞きしておるわけでございます。
○榊委員 しかしやはり、もちろん民間企業とは違うにしましても、同じ問題を見る場合にも、それぞれの立場で見方が違うということはもう大いにあるわけですから、そういう点ではこの専門性と対立する問題じゃなくて、やはり十分に審査をする、よく事情を知る、こういう点では、審査を公正にするということのために、双方からの意見を陳述するような制度をつくるということは大変意義があるというように思うのです。その意義があるか、あるいは全然そういう意義を認めないか、そのあたりはどうなんでしょうか。意義がないというお考えでしょうか。
○山本説明員 先ほども申し上げましたように、もちろんいろいろ労使といいますか、申し立て人あるいはその代理人の方々から労働者側の意見は十分拝聴いたしております。そういう意味において、私どもは意義ありということでお伺いしておる、こういうことでございます。
○榊委員 ひとつ御検討願います。 それから三つ目に、同じ趣旨の問題でお伺いしたいのは、審理の方法です。労働保険審査会の場合ですと、当事者や代理人が審理の場に出て意見を述べることができる、こういうふうになっております。ところが災害補償審査委員会の方は、当事者や審査委員会の書記のつくった書類だけによる審査というようになっているわけです。その点では、審理の場に出て意見を述べる機会がないわけです。この点についても改めるべきじゃない一か、改めた方がいいんじゃないかという見方があるわけでございますけれども、この審理の方法についてはどうでしょうか。
○山本説明員 いまお話しの点は、審査委員会の審査の段階のお話でございます。審査は書面によってやるというのが原則でございますが、申し立て人の口頭による陳述の機会を与えなければならぬ、これは人事院規則の一三-三の十七条に御案内のように規定があるわけでございます。したがいまして、私ども書面だけではなくて、口頭による意見の陳述も十分拝聴いたしております。ただ、委員会の段階でどういう手続でやるかということにつきましては、規則で特段の規定がございませんので、委員会が適切と判断する方法で意見をお伺いしておるわけでございます。 現在どういう方法でやっておるかということを御紹介申し上げますと、私どもの委員会が指名する職員がそれぞれ申し立て人のところへ参りまして、その申し立ての理由なり趣旨なりを十分お話し願いまして、それを記録いたします。それで、その記録を御本人に見せて御納得を得たならば署名、捺印をしていただきまして、その書類を委員会に付託する、こういうような形で十分その意見を反映させておる、このように考えておる次第でございます。
○榊委員 この点では、これまでの経験で見まして書類だけの審査で大体事は足りていると言うことができますか、それともまだ補足的な方法も考えられるのではないかとお考えなのか、経験上どうなんでしょうか。
○山本説明員 その点につきましては、私ども事実調査を十分やっておるつもりでございますので、その点はカバーしておるのではないか、さように考えております。
○榊委員 私どもいろいろ聞いたりなんかしてきたわけでございますけれども、実際そういう立場に置かれた人に言わせると、書類だけでなくて、できたら自分の意見も述べるような機会があればという希望はあるのですね。したがって、ぜひこれまでの経験なども、十分そちらに資料がございますし、そういうのを参酌しながら、そういう声も参酌しながらひとつ前向きで研究検討はしていただきたい、こう思います。その点よろしゅうございますね。
○山本説明員 ただいまお答えいたしましたように、十分拝聴しておるつもりでございます。ただ、委員会の場でということになりますと、すべてがそのようにということになりますと、これは事実上困難な問題がございますので、ちょっと困難ではないかと思いますけれども、御意見は拝聴いたします。
○榊委員 それからもう一つは、労働保険審査会の審理の場合ですと、原則として公開とされていますね。災害補償審査委員会の方は一切非公開となっておるわけです。労働保険審査会の審理の場合と、その点原則として違いますので、これもそれぞれ歴史はあるのですけれども、一切非公開というのはどうか、やはり公開という方向で検討していいではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。 〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
○山本説明員 先ほど申し上げましたように、規則上これは書面審理が原則ということになっております。不利益処分の審査のように対審審査、そういうような方式になっておりません。事実調査をやる、調査をした結果に基づいて人事院会議に御判断願う、こういうような形になっておりますので、いま申し上げましたような審理手続で、先生のおっしゃいますような審理手続という形はとっておらないわけでございます。
○榊委員 現在はそういう方法をとっていない、これはわかっているわけでありますけれども、労働保険審査会のそれと比べて余りに対照的なものですから。書面審理だけで事足りるということならばあれだけれども、やはりそれだけでは言い尽くせない、あるいは情景が完全にわかるとは言えないという面がやはりいろいろとあるのですね。そういう点では、一切非公開、こういうことじゃなくて、やはり原則として公開されている方がこういう問題の円満な解決に役立つというふうに私は思うのです。ですから、いまはというのじゃなくて、そういう問題についても、言ったような歴史がありますから、その上に立って研究してみる、そのことが必要じゃないか、こう思うのであります。そのことを含めまして、この点どうでしょうか。そういうことは一切検討の余地はないという判断ですか。
○山本説明員 何度も申し上げるようでございますけれども、私どもは現地へ調査員を派遣いたしまして申し立て人の意見等は十分拝聴いたしておりますので、そこら辺は十分カバーできておるのではないかというように考えておる次第でございます。
○榊委員 いまおっしゃった十分だということを含めて、実態に即してひとつ御研究をお願いします。 以上幾つかの問題で述べさせていただきましたけれども、要するにこれは、公務災害不服審査について国家公務員災害補償法第一条が言うとおり「迅速かつ公正に」、精神はいいわけですから、「迅速かつ公正に」補償を実施するという上で改善点として申し上げたつもりでございます。こういう点については、手続という点から言えば、人事院規則を改めさえすればすぐにできるというものでございますので、十分だということではなくて、やはり改善努力をいろいろと試みていただきたい、努力をしていただきたい、こういうように思うのです。その点で総裁の御意見あるいは決意といったもの、最後に聞かせていただければと思います。
○藤井(貞)政府委員 公務災害補償法の精神というものは、法でも明記いたしておるところでございますし、不幸にして災害を受けた職員の保護なり身分的な保障というものについては、万全の措置を講じなければならぬことは申すまでもありません。しかも、この手続は累次お話が出ておりますように、これはあくまで公正、迅速でなければならぬというふうに考えて、その方向の努力は絶えずやっていくつもりでございますし、またいまの審査手続自体が、これはもう一切改正を要しない理想的な万全なものだという思い上がりもわれわれは持っておりません。その点はいろいろの事態もございますし、また局長も申し上げましたような人事院の性格からくる公平審査委員会のやり方という一つの限界もございます。しかし、やり方自体については、やはり絶えずいい方向に持っていくという精進、努力はやらなければならぬことは当然でございまして、そういう意味におきまして、広義の研究調査というものは絶えず精力的にやっていくつもりでございます。
○榊委員 終わります。
○江藤委員長 中島武敏君。
○中島(武)委員 公務災害の問題に関連をして、この公務災害の未然防止の問題について一、二お聞きしたいと思います。 公務災害の未然防止、いわば予防措置の一環として「能率増進計画」が義務づけられております。国家公務員法の七十三条です。ところが、私きのう各省庁から報告書をいただきました。これですけれども、これを見てみますと、各省庁の計画の樹立と実施の状況、これは大変不十分だということがわかります。七十三条の二号は「職員の保健に関する事項」、三号が「職員のレクリエーションに関する事項」、四号が「職員の安全保持に関する事項」、五号が「職員の厚生に関する事項」となっておりますけれども、これを見てみますと、この二号から五号までの計画をまともに立てているのは行管庁と国土庁、それに労働省だけであります。内閣官房、沖繩開発庁、北海道開発庁、それから郵政省、環境庁、科技庁は計画を立てておられません。もっとも内閣官房と沖繩開発庁の方は総理府本府のものを準用しておられる。それからまともに計画を立てている国土庁について見ましても、安全保持の計画といいますと、交通安全の講習会とそれから防火訓練、こういう計画でありまして、内容は大変お粗末だと言わなければならないと思います。そのほか職員の保健に関する計画について見ましても、各省庁とも定期の健康診断を行うと言っておるところがほとんどでありまして、やはり内容が充実をしていないと言わざるを得ないのであります。しかもこの計画の樹立とその実施について、御存じのように「総合的企画並びに関係各庁に対する調整及び監視」、こういう任務に当たる総理府がその職責を果たしていないだけでなく、みずからまともな計画を立てていないということもわかるんです。 そこで、総理府でやはりしっかりと計画を立て、実施をされると同時に、各省庁についてもその任を果たしていただきたい、こういうふうに私は思いますけれども、長官、いかがですか。
○亀谷政府委員 御指摘のございましたいわゆる「能率増進計画」でございますが、いま先生の御指摘のように、いわゆる総合的にかつ恒久的な計画という意味では、確定した計画を立てているわけではございません。しかし、諸省庁におきまして毎年度当初必要に応じ、その年度に実施することを予定しております健康診断、レクリエーションその他の厚生に関する事項についての年間計画の樹立をお願いしており、またこれに基づきます個々の行事の実施に際しましては、具体的な実行計画を樹立して対処してもらうようにいたしておることは御案内のとおりでございます。総理府といたしましても、ただいまの御指摘にもございますように、各省庁の福利厚生施策の総合調整をする責任の立場がございますので、毎年度の人事管理運営方針の中で、特に職員の福利増進という項目を設けまして、その中で当該年度の重点施策を各省庁に示すことといたしておりますほか、重要施策の具体的な実施に際しましては、必要の都度各省庁の厚生担当課長会議を開催いたしまして、その推進を図っているところでございます。 いずれにいたしましても、「能率増進計画」の内容にあります職員の保健、レクリエーション、安全保持、厚生に関することの人事管理上の重要性につきましては、私どもも十分認識をいたしておるつもりでございますが、今後なお一層その推進を図るため各省庁の指導に当たっていきたいと考えております。
○中島(武)委員 もう一つ、やはり似た問題なんですが、人事院にお伺いしたいのです。 これは職員の休憩時間の問題であります。これは御存じのように、憲法の二十七条で、「すべて國民は、勤勞の権利を有し、義務を負ふ。賃金、就業時間、休息その他の勤勞條件に關する基準は、法律でこれを定める。」というようになっております。確かに労基法には休憩時間の定めがありますが、しかし、国家公務員に関しては、これは除外されております。一般職の給与法を見ますと、勤務時間の定めがありますが、休憩時間の定めがありません。そこで人事院は国家公務員法の百六条で、「勤務条件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定めることができる。」となっているんだ、こういうふうに言われるのです。言われるのですけれども、しかし、人事院規則というのは、申し上げるまでもなく法律でありません。実際的にも、国立の病院や療養所の看護婦さん、特に重心を抱えておられるようなところはそうですけれども、昼飯も食べることができないぐらい非常に忙しく走り回っておられるわけであります。空港の税関職員にしましても、同じような状態であります。あるいは国会の各省庁の職員にしましても、これは私どもの質問等にも一生懸命駆け回っておられるというのが実態でありまして、私はこれをやはり法律でしっかり決めるというようにするべきではないか。そして休憩時間が実際的に保障されるようにするべきではないか、このように思いますが、いかがでございますか。
○金井政府委員 憲法二十七条の二項におきましては、休息を含めまして、勤労条件については「法律でこれを定める。」という規定がございます。御指摘のとおり、休憩時間は勤務時間と一体的なものでございまして、勤務条件の基礎事項と言えるかと思います。ただ、憲法で申しております「休息」というのは、いわゆる休憩時間だけではございませんで、いわゆる勤務時間に対しての休息、すなわち、休暇の問題あるいは休日の問題まで全部含めて言っているというふうに一般に理解されていると存じます。 そこで、御指摘のごとく、現行給与法には勤務時間の定めはございますけれども、休憩時間のあることは予想して規定はしておりますけれども、直接の規定がございません。御指摘のとおりでございます。国家公務員法の百六条に、勤務条件について必要な事項は人事院規則で定めるということがございます。そういうことで、憲法上の「休息」というものをどの範囲にとらえるかということについては、若干議論があるところと思いますけれども、御指摘のとおり、立法論といたしましては、勤務時間と休憩時間というものは一体的に規定するのが一つの方法であろうということは、一般的には理解されるところでございます。しかし、現在人事院規則におきまして種々の基本事項、基礎事項というものを定めておることでもございますので、御指摘のごとく、各職場におきまして休憩時間が十分にとれないという問題は、制度的には人事院規則におきましてはっきりと休憩時間の定めをしておりますので、現在はそれによって対処しておるということでございます。
○中島(武)委員 私が言いましたのは、それは説明されたとおりになっているのです。だけれども、本当はきちんと保障するためには法律で決めるのがよろしいのじゃないかということであります。その点については検討されてしかるべきだと思いますけれども、どうでございますか。
○金井政府委員 現在の公務員の勤務時間につきましては、給与法で一カ条設けているだけでございます。こういう点も労働基準法等と対比いたしますと、あるいは規定が簡略ではないかということも考えられるわけでございます。そういう意味で、将来勤務時間制度というものをさらに大幅に見直して改変するというような事態がありますれば、確かに御指摘のごとく、休憩時間というものは勤務時間と一体のものとして、そういう場合は法律をもって規定することも十分に考えられるというふうに考えております。その点は今後勤務時間制度等の検討の際に、その一環として研究させていただきたいというふうに思います。
○中島(武)委員 これで終わりますが、最後に、二人の同僚議員から元陸海軍の従軍看護婦の処遇の問題について先ほどお尋ねがありました。あの戦争中においては、日赤の看護婦もまた陸海軍の従軍看護婦も何ら変わらないわけでありますから、来年度の予算できちんと希望がかなえられるようにぜひひとつ努力をしていただきたい。 最後に、総務長官の努力と決意を伺って終わります。
○中山国務大臣 御趣旨を尊重して努力をいたす覚悟でございます。
○中島(武)委員 終わります。
○江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○江藤委員長 この際、愛野興一郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの共同提案により、本案に対する修正案が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。愛野興一郎君。
○愛野委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの各派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げますと、この法律は、公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するもののほか、昭和五十六年十一月一日から施行することといたしておりますが、各種改善措置のうち、遺族補償年金の額の引き上げに関する措置については、遡及して本年十一月一日から適用することに改めることを適当と認め、これを修正しようとするものであります。 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○江藤委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○江藤委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、愛野興一郎君外五名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○江藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、愛野興一郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ各派共同提案に係る国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。 一 補償水準の向上、なかんずく若年死亡者に対する遺族補償の増額等の基本問題の検討を引き続き進めて、その改善に努めること。 一 傷病補償年金受給者に対する特別支給金の給付について、その実現を期すること。 一 民間企業における業務上の災害等に対する法定外給付の実情にかんがみ、公務員の場合においても適切な措置を講ずること。 右決議する。 本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて明らかになっておると存じます。 よろしく御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。中山総理府総務長官。
○中山国務大臣 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきましては、ただいま御議決を賜りましたことを深く感謝申し上げます。 また、同時に議決されました附帯決議の御趣旨につきましては、今後人事院の調査研究を待って十分検討いたしたいと存じております。 ―――――――――――――
○江藤委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○江藤委員長 次回は、来る十一日火曜日午前十時理事会、午後一時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十八分散会