地方行政委員会 第7号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/11/25
会議録
○左藤委員長 これより会議を開きます。 消防に関する件について調査を進めます。 この際、去る二十日の川治温泉における川治プリンスホテル雅苑の火災事故について報告を求めます。近藤消防庁長官。
○近藤政府委員 去る十一月の二十日、川治温泉川治プリンスホテルにおいて発生いたしました事故について、先週の金曜日、二十一日に当委員会において報告したところでございますが、その後の事情につきまして若干補足いたして報告申し上げたいと思います。 まず第一点の原因でございますが、原因につきましては現在なお警察当局を中心として究明中でございます。 それから犠牲者の数でございますが、死者が四十四名となっております。したがって行方不明は一名、ほかに負傷者が二十二名という状況でございます。 それから、この火災事故が発生いたしまして、自治省消防庁としてとりました措置について申し上げますと、まず火災が発生いたしました翌日、消防庁内に連絡室を設けまして、県及び町村との間の連絡を緊密にすることといたしました。なお、同日、私消防庁長官ほか六名の係員が現地に参りまして、事情を調査いたしております。さらにその翌日二十二日には、旅館、ホテル等につきまして一斉点検を行うよう、各都道府県知事に対しまして指示いたしております。さらに本日、こういった種類の火災につきましては、ホテル、旅館、これは関係各省が非常にたくさんございますので、関係各省集まりまして、今後の対策を講ずる必要があるということで、消防庁を中心といたしまして、通産省、厚生省、運輸省等と会合を開くということにいたしております。 その後の概況は、大体以上のとおりでございます。
○左藤委員長 以上で報告は終わりました。 —————————————
○左藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤潔君。
○小澤(潔)委員 今回の火災の件につきまして、各省庁及び長官に質問をしてまいりたいと思います。時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたしたいと存じます。 まず第一に、先日の川治プリンスホテル雅苑の火災は、昼の火災でありながら死者、行方不明者が大量に出たわけでございます。この理由をひとつお願いをいたしたい。 次に、大量死の理由の一つとして、避難誘導体制の欠如があると報道されておりますが、同ホテルは、消防法上消防計画の作成等の避難誘導体制は整備されておったかどうか。 次に、旅館、ホテル等には、消防法上いろいろな消防設備等の設置が義務づけられておりますが、同ホテルの設置状況はどうであったか。 まず、三点お伺いいたしたいと思います。
○近藤政府委員 このホテルの火災は昼間の火災でございますので、私ども、発生の報告を受けたときにもこのようなことになるとは、過去の経験に照らして考えてもみなかったわけでございます。それがこういった大きな事故になりましたのは、幾つかの不測の原因が重なったものと思われます。 まず第一に、発見が非常におくれております。したがいまして消防機関に対する通報がおくれ、消火上最も必要な初期消火の体制がとれなかった。したがいまして、消防関係者が現場へ到着いたしました際には、火がすでに全館に回っておったという状況でございます。まあ、消防としては万全を期しまして、隣家へ延焼することだけは食いとめましたけれども、多数の犠牲者を出したわけでございます。 こうした事態になりましたのは、一つには、従業員等によるところの誘導体制というのが非常に不完全であったということが一つであろうと思います。それからもう一つは、この建物が火災というものに対して非常に弱い建物であった。その二点に尽きるのではないかという感じがいたしております。 なお、犠牲者のほとんどの方々が高齢者でございましたために、避難が思うように進まなかったということも原因の一つに挙げられるかとは思います。 それから、避難誘導体制が不十分であったということはいま申しましたけれども、実は消防法に基づきますと、この種の建物については、防火管理者を置いて消防計画をつくって、年に二回は訓練をするということになっておるわけでございますが、そのいずれもが行われておらない。消防本部の方からはそれを指摘しておったところですが、改善されたという報告が来ておらないという時点においてこういった事故が起きたわけでございまして、いろいろ調査いたしましても、十分な避難誘導が行われたという形にはなっておらないようでございます。 それから消防設備につきましては、一応消防法で定めるところの消防設備はついておったわけでございますけれども、たとえば自動消火器につきましては不十分な点がある、誘導のための標識についてももっと大きなのにすべきである、そういった指摘がなされておりますけれども、それの改善が行われておらなかったということでございます。
○小澤(潔)委員 次に、二点についてお伺いをいたしたいと存じます。 まず第一点、増築によって避難路が迷路のようになっていたということでありますが、旅館業法等により何らかの規制はできないのかどうか、この点が第一点でございます。 そして次に、建築基準法上の不備が今回の事故に大きな影響を与えておるのではないかと思うのですが、その一つとして、防火区画、内装制限、避難階段等の防災上の安全措置の規制が緩いのではないかと思いますが、この点についてお答えをいただきたいと存じます。 そしてまた、既存建物に対して規制できない問題を解決していないと思う。いわゆる既存建物に対する遡及適用の法改正が実現されていない。何ゆえ安全上重大な問題を遡及適用できる法改正を進められないのか、お尋ねをいたしたいと思います。 次に、消防法上の規制に十分な強制力が不備ではなかったかと思います。今回の事故に限らず、大きな災害の都度消防機関の勧告がなされ、それが守られていない。何ゆえできないのか、強制力がないのか、その辺もお尋ねをいたしたいと思います。 次に、改善には相当の経費がかかるはずであると思うが、経済上の理由で改善ができないとすると問題であります。人命に関する問題でありますので、資金融資補助等、政府は積極的な改善誘導をなすべきであり、人命安全上の投資に対する税制上の配慮も検討すべきと思いますが、どうでしょうか、お願いいたします。
○近藤政府委員 初めの二点につきましては建設省当局からお話があると思いますが、三点目の、消防機関がいろいろ改善するように勧告しておるのにそれが実現されておらない、消防法上不備があるのではないかということでございます。消防法上は、そういったものに対して最終的には措置命令を出す、それに対して改善されなければ罰則の適用があるという形になっております。 ただ、消防のこれまでのやり方といたしまして、消防法上の不備があった場合には、いろいろその関係者と話し合いましてまず改善を勧告する、そして聞かない場合には措置命令を出すというような体制をとってきております。 今回の事故の場合につきましても、昨年の暮れの査察によりまして欠陥が発見されまして、消防機関といたしましては改善事項について勧告しておるわけでございますけれども、そして、ことしの秋の火災予防週間を利用いたしましてその実現状態につきまして査察しようとしておったところでございますが、そこでこういった火災が起きたということでございます。 したがって、私は消防法上の不備であるとは思いませんけれども、相手によりましてなかなか勧告を実施しないというような者については、断固たる消防法上の措置をとるということが必要であると思います。 今回、この事故にかんがみまして、私ども、都道府県知事に対しまして一斉査察を指示したわけでございますが、その一斉査察によって発見された違反事項につきましては、実情を勘案して適正な措置、場合によったら指示命令を出すようにということを強く指示しておるどころでございます。 なお、消防関係の設備をするに当たりまして相当資金が要ることは事実でございます。こういった面の資金手当てにつきましては、私ども関係方面とも十分連絡をとりまして、その面で支障があるということにはならないようにいたしたいと思っております。
○上田説明員 建築基準法上の問題につきましてお答えを申し上げます。 今回の事故を建築構造的に見ますと、増築を数次にわたって繰り返してまいりまして、そのために全体としての計画性に欠ける点がございまして、避難経路等が複雑になっているというふうな問題が非常に大きく事故に影響したのではないかというふうに考えております。 また、個別項目につきましては、現行法そのものはかなり厳しい内容になっておりますけれども、この川治プリンスホテルの場合、御指摘の防火区画、内装制限、階段の設置等に一部不備があったものと思われます。これが今回の大惨事の要因の一つになったというふうに考えられますが、これが基準法の違反であったかどうかという状況につきましては、なお現在調査中でございます。 第二点、既存建築物であってもこれら防災関係の規定を遡及適用すべきではないか、どうしてできないのだというような御質問でございますが、現行法は数次にわたる改正によって、非常に詳細な厳しい内容になってまいっておりますが、これは新築の建築物を前提にして一律な規制としてつくられております。したがって、新築の場合でございますとそれを条件として設計ができますので、それに適合させることはそれほど困難ではございませんけれども、既存の建物の場合は多種多様な形態をしておりまして、新しく建てることを前提につくられた現在の一律の規定をそのまま遡及適用するということが非常に困難な面があるということから、法的にこれを義務づけるということが困難な実情にございます。既存建築物につきましては、行政指導によってこれを改善するよう、建築物の実態に即した指導をしていきたいというふうに考えております。 最後の、建築物の改修につきましての助成措置でございますが、旅館、ホテル等につきましては、特に中小企業あるいは環境衛生金融公庫等からの政府資金による低利融資を現在行っております。こういう制度を極力活用してやるように、今後行政庁を指導していきたいというふうに考えております。
○小澤(潔)委員 ただいま答弁を聞いておりますと、遡及適用できる法制化を進めていただきたい、これにつきましては、いま建設省の見解がありましたが、消防庁におきましてはすでに遡及適用の改正がされていると思います。大阪のあの「プレイタウン」災害であるとか熊本の大洋デパート等によってできておりますので、ひとつ建設省、この点をもっと煮詰めていただいて鋭意努力をしていただきたいと要望いたしておきます。 そしてまた、税制問題にも関係する、旅館は改善すれば金がかかる、金をかければ税金がかかる、こういった点でいろいろな問題があると思いますので、政府も鋭意努力する中で、やはり特例を設けるぐらいの点をひとつ出していただいて努力していただきたいと思います。これも要望しておきます。 終わりに臨みまして、ただいま今回の川治プリンスホテルの火災を中心に五点にわたってお尋ねをいたしてまいりました。より基本的な問題を前提にして、まず日本の消防対策については、現行の法律では所管が建設省、消防庁、運輸省の多岐にわたっておるところでございます。これを川治温泉の例にならいまして、一元的、総合的な対策が必要と思いますが、これらについてひとつ消防庁長官の所見を承りまして終わりたいと存じます。
○近藤政府委員 御指摘のように、こういった事故がございますと関係各省が非常にたくさんある、したがって船頭多くして船山に登ると申しますか、それが災害を拡大する原因になっておるのではないかというような御指摘があるわけでございますが、世の中が複雑になるにつれまして行政も複雑になり、各省がそれぞれの立場から一つの事態に対して対応していくということになるわけでございます。 先日も当委員会においていろいろ御議論ございました、静岡の駅前のガス爆発事故あるいは愛知県大府の青酸ソーダによる火災、これらも関係省庁がたくさんあるわけでございます。消防庁ひとりだけでこういった火災を全部責任を負って防止しろ、災害を防げと言われても、それはなかなかできないことである。関係各省が防災という面に重点を置いて、それぞれの行政を展開していただく。幾ら関係各省が万全を期して防災という面に注意して行政を行っていただいても、万一という場合がございますので、そういった場合には消防が責任を持つという形でございますので、私ども、関係各省とその面においての連携を今後とも強く持っていきたい、そのように考えております。
○小澤(潔)委員 終わります。
○左藤委員長 佐藤敬治君。
○佐藤(敬)委員 このところ続けざまに毎日のごとく、大韓航空のジャンボの墜落だとか川治のホテルの火災、ラスベガスのホテル火災、イタリアの地震だとか、私ども、どぎもを抜かれるような事件が次から次へと出てきております。 今度の川治の事件につきまして非常に特徴的なのは、いままでのホテル火災というものは、真夜中で酔っぱらった人がたくさん死んだというような形でありましたけれども、たかが四階建ての低い建物で真っ昼間にこういう大惨事を起こしたというところに、非常に大きな特徴があると思います。したがってそれだけに、原因の真相究明あるいはこれに対する対策等が真剣に討議されて、将来に大きな教訓として生かされなければいけないと思います。 特に、この川治の問題につきまして、消火活動が不備だとかそういうものではなくて、一つはホテルの防火体制が非常にずさん、不備であった。と同時に、指導する消防署あるいは消防本部、その指導体制というものにも非常に大きな欠陥があった。消火活動の欠陥というよりも、ホテルの防火体制並びにそれを指導する消防署の指導体制ということに非常に大きな原因があるのではないか、私はこういうふうに考えますが、長官の御意見を……。
○近藤政府委員 まさに御指摘のとおりだと思います。消防用の設備につきましては、このホテルというのは一応整えておったわけでございます、不備な点はもちろんございましたけれども。私どもこれまで消防法を逐次改正いたしまして、必要に応じてそういった消防用施設設備の義務づけを強化してきたわけでございます。それはそれで必要だとは思いますけれども、一方ソフト面、今回の場合は管理者の選任であるとか消防計画の作成であるとか訓練であるとか、そういった面が全く欠けておった、それがこの大災害を招いた大きな原因であるということでございます。 私ども今後の消防、防災体制という面から申しますと、そういったハード面の設備の拡充は当然でございますけれども、それとあわせて、それ以上にソフト面について留意していかなければならないのじゃないかという気持ちを強く持っております。したがって、今回の一斉査察につきましても、従来でございますと、消防法上に定められておるところの設備があるかないかというようなことが主になるわけでございますが、たまたま秋の火災予防週間でもございますので、この機会に訓練を行えということもあわせて指示しておるような次第でございまして、今後は特にそういったソフト面の充実に力を入れていきたいと思っております。
○佐藤(敬)委員 消防法によりますと、三十人以上の不特定多数の人間が出入りする特定防火対象物、こういう場合には、経営者は必ず防火管理者を置かなければいけない、こういうふうに決められております。しかし、今回のこのホテルの場合は、防火管理者が一年間も不在であった。それに対して藤原町消防本部から五十四年十二月十日に八項目にわたる指示が出され、しかもその点検結果を報告しろ、こういうふうな指示まで出されておるのに、この指示がほとんど守られておらない。そのために、これらの防火設備その他の不備というものが今回の大惨事につながった、こういうふうに考えられておりますが、これには二つの意味がある。 一つには、このホテルの改善命令、特にそれを責任を持ってやるべき防火管理者がいない。昨年の十二月に防火管理者がないとわざわざ指摘しておきながら、設備は金がかかるからともかくとして、防火管理者を置かないで、それを一年間も放置しておったということは、私は、先ほど冒頭に申し上げました消防の大失態だと思うのです。知らなかったのではなくて、わざわざ防火管理者を置きなさいと言って指示をしておきながら、一年間も放置しておってこういう大惨事を引き起こした、非常に大きな責任だと思います。 石破自治相は原因を、消火活動というよりも旅館の施設、客の避難誘導に大きな問題欠陥があった、こういうふうに閣議で報告しておりますけれども、それと同時にいま言ったように、消防の怠慢、責任というものが非常に強く問われなければいけない。一体八項目の指示というものは、いつまでにこれを完成しろとかそういう期限がなかったのか、いつまでにやれという期限がなかったのか、その期限は一体いつであるか、教えていただきたい。
○近藤政府委員 御指摘の点まことに遺憾でございます。私どもも遺憾に思っておる次第でございます。その指示いたしました事項につきまして、期限というのはつけておらなかったと聞いております。消防本部といたしましては、先ほども申しましたように、本年の秋の火災予防週間に査察をして、やっておるかどうかということを確認するつもりであったと聞いておりますが、防火管理者の選任、消防計画の提出といったようなことにつきましては、やはり一刻もゆるがせにできないことであって、それが指示されたけれどもなかなか実施されなかったということについては、抗弁の余地はないと思います。現地消防本部に対しましても強く指示しておるところでございます。
○佐藤(敬)委員 いまの長官のお話、私はまさにそのとおりだと思います。金がかかる、時間がかかる、こういうものはまずまずとして、最大の問題であるそういうものを計画してやるところの防火管理者について、指示を出しておきながら一年間も届け出もなしにそれを放置しておいたということは、私はこれからの大問題で、厳重に強くこれから指導体制を整えていかなければならない、こういうふうに思います。 私どもは現地を見ておりませんが、新聞の伝えるところによると、せっかく消防のホース等をつくったけれども、モーターに電源がつながっておらなかった、こういう事実さえ出てくるというのは、一体何のために査察をしているのか、何のために指導をしているのかという、指導体制の甘さというものを私どもは疑わざるを得ない。ホテルの人よりも、まず、なぜこういうことを何にもやらないで、そしてこういう大惨事を引き起こしたか。 しかも、いまだけじゃないんですよ。あの磐梯熱海の磐光ホテルあるいは有馬の満月城、至るところに同じような問題が出てきている。それを指示はするけれども後の点検が何もできていない。そしてこういうような惨事を次から次と繰り返している。前に三十人死んだ、その次は何人か死んだ、今度は三十数人死んだ。だんだん少なくなるのならいいけれども、だんだん死ぬ人が多くなってきているじゃないですか。こんな消防の指導体制というものは、これから十分に戒心をして注意をしてやらなければいけないと思いますが、もう一遍。
○近藤政府委員 御指摘のとおりでございまして、今後十分注意したいと思います。
○佐藤(敬)委員 それから、警察にお伺いしますが、この大惨事を起こした原因は、いま申し上げましたように指令書を出したにもかかわらず何にもそういうことをやらなかった、こういうことが最大の原因だ、こういうふうに認識されております。消防法によりますと、先ほど申し上げましたように、消防法に違反すれば経営者は三カ月以下 の懲役または十万円以下の罰金、こういうふうに決められております。この問題がそういうふうな刑罰に発展する状態であるか、そういう意思があるのか、お伺いいたしたい。
○中平政府委員 警察といたしましては、現在捜査本部長以下百五十名の体制で鋭意真相の究明に当たっておるわけでございます。遺体の搬出あるいは身元の確認等が一応終わった段階から、本格的な捜査に入りたいと思っております。当然、刑法の業務上過失等の責任のほかに、ただいま御指摘の消防法あるいは建築基準法等多角的な立場に立って真相の究明と責任を明らかにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○佐藤(敬)委員 前に何回もホテルの火事その他の火事がありまして、多くの人が死んでおります、あるいはけがをしております。しかしそれにもかかわらず、行政上の損害補償みたいなのはあったでしょうが、人を殺しておいて何の責任も問われない、こういうことは許されないと私は思うのです。そういう面からも十分に検討されるべきだ。そうでなければ、何にも反省がなくて次から次と同じような問題を起こすのではないか、こういうふうに思います。刑罰を与えることが目的じゃありませんけれども、こんなに引き続きどんどん惨事を引き起こすようでは、やはりそういうこともブレーキとして考える必要があるのではないか。 それからさらに、閣議の中で亀岡農林大臣が建設大臣当時の経験だと言って、行政の措置が行き届いていない、一遍災害が起こったときは一生懸命になるけれどもその後は忘れ去ってしまう、これが非常に大きな原因だと言っておりますが、私もそのとおりだと思います。災害が起きれば一生懸命やるけれども、後は指示の出しつ放しで一向アフターケアしない、こういうことが大きな問題だと思っておりますので、どうかひとつそういう点にも十分心がけていただきたい。 それから、厚生省にお伺いします。 新聞の報道によりますと、旅館業法の運用を再検討していきたい、こういうふうに書いてありますけれども、どういうふうに再検討するのですか。
○田中説明員 お答えいたします。 旅館の防火安全対策につきましては、四十三年の有馬温泉火災事故を教訓にいたしまして、四十四年に通知をしたわけでございます。その中で、旅館業の営業許可に当たりましては、所轄消防機関とか建築関係機関の設備面での問題がない旨の確認を得なければ営業許可を与えないというような措置をとったところでございます。そのほか、従業員の防火教育等につきましても、消防関係機関の御指導を得ながら十分徹底するように指導を行ったところでございます。
○佐藤(敬)委員 よくわからないんだけれども、それでは具体的に聞きましょう。 有馬温泉の火事の後で旅館業法の運用を再検討して、「消防上の安全が消防署によって確認されない限り旅館の営業を許可しない」、こういうような第一項目があるのです。それでこの際お聞きいたしますけれども、四十四年以降に川治プリンスホテルは改築されていないのか。
○田中説明員 お答えいたします。 この川治プリンスホテルは、私どもの調べましたところでは、四十六年の十二月に営業許可を与えておるわけでございます。これは従来の古い旅館を利用して新たな営業許可がなされたということでございます。その後五十四年に増築がなされているというように報告を得ております。
○佐藤(敬)委員 そこで消防の方にお伺いしますけれども、川治温泉ホテルが安全だというので厚生省に対して確認したのですか。
○近藤政府委員 そういったことにつきましては、現時点では私聞いておりませんので、ちょっと御答弁いたしかねますが……。
○佐藤(敬)委員 それじゃ厚生省の方に聞きますが、これは安全だという消防署からの確認を得て許可したのですか。
○田中説明員 お答えいたします。 旅館業法上は、増改築等が行われた場合には届け出がなされることになっておるわけでございまして、今回の場合その届け出がなされたかどうかにつきましてはいま調査しておりますけれども、当然それ以前に建築基準法によります建築確認等がなされ、それに並行して消防法上のチェックがなされておるというように理解をいたしております。
○佐藤(敬)委員 何を言っているのかよくわかりませんが、この厚生省の指示が出されたのは四十四年ですよ。それでいまあなたからお話を聞きますと、四十六年に営業許可をしている。それから五十四年に改築しているのです。それで、いま問題になっているこの川治温泉ホテルが大きな火災で大惨事を引き起こした一つの原因は、継ぎ足し継ぎ足しで迷路のようになっている、それが非常に大きな原因として取り上げられておるのです。満月城の火事の後で、安全でないのは許可しないということをはっきり決めてある。それなのにこういうものを許可するというのは、消防がいまみたいなものを安全だと——それじゃ消防の方に聞きますが、これは安全だといって許可しますか。どうです、安全だといって確認しますか。
○近藤政府委員 事実関係がちょっとわかりませんので、早急に現地消防本部にその間の事情を問い合わせます。
○佐藤(敬)委員 その間の事情がわからぬじゃなくて、いまこれほどの大惨事を起こして、何が足りない、何が不備で、何がどうだということはわかっておる。しかも、いま構造上の欠陥もみんなわかってきておるのです。だから現在のわかった時点で、これが安全だということを消防が確認しますかということを聞いているのです。
○近藤政府委員 こういう事故を起こしたことの一つの大きな原因が、構造上非常に火災等に弱いということでございます。このホテルにつきましては、過去数回にわたって増築がなされておるようでございますが、それが建築基準法の関係でどうこうということにつきましても現在調査中でございますので、その調査とあわせていまの時点についても私ども慎重に調査いたしたいと思います。
○佐藤(敬)委員 消防じゃなくて厚生省の方に聞きますが、この建物あるいはまた防火施設なりいろいろなものが安全だということはだれも認めないと思うんですよ。いまこの第一項に「消防上の安全が消防署によって確認されない限り旅館の営業を許可しない」とはっきり出ている。それなのに、こんな危険なあれを許可しているということは、この指示にもとっているじゃないですか、どうです。
○田中説明員 お答えいたします。 旅館業法上の営業許可につきましては、先生御案内のとおり、衛生上の設備を具備しておるかどうかというような観点からのチェックでございますけれども、当然その以前に防災関係の設備も十分備えていなければならないわけでございます。そのような意味で、このような通知の措置になったわけでございます。ちょっと事実関係は、私どももはっきりつかんでおりませんけれども、営業許可に当たりましてはこの通知にのっとってやられておるものと存じますが、なお詳細については調査をいたしたいと思います。
○佐藤(敬)委員 いまお聞きのとおりで、恐らくこれは通知の出しっ放しで、何もあれしないで許可しておると私は思うのです。先ほどから申し上げているとおり、消防庁長官が言っておるとおり、指示を出しても何をしても、後できちっとそれをアフターケアしなければ何にもならないということの一つの見本なんです。有馬のホテルの一つの経験にかんがみてこういう指示を出して、それをきちっと守らせておけばこういうような惨事は出てこないのです。そこのところはよくこれから戒心して、事実関係を確認して、そして、この指示というのは私は非常にりっぱだと思いますよ。この指示をきちっと守って、再び災害が起こらないようにひとつ考えていただきたいと思います。 それから、十五分というふうに限られていて非常に時間がないので、建設省の方にちょっとお伺いしますが、今回の惨事を引き起こした原因の一つが、論じられているように、温泉旅館をどんどん増改築をして迷路になっているということが非常に大きな問題になっておるのです。一つ一つ増改築する段階では、その改築した部分が建築基準法には違反していないかもしれないけれども、それが継ぎはぎでどんどん大きくなっていくと、全体として非常に危険なものになる。いまの基準法でいきますと、一つ一つでしか見ないで全体を見るような物差しがないように思うが、ここのところを考えて、特に不特定多数の人間が集まるようなものについては、改築の場合には全体としての危険度なり安全度なりというものを考えて、そして許可するなり法の改正をする必要があると思いますが、いかがですか。
○上田説明員 御指摘のように増築が行われた場合、その増築のくっつく本体の方につきましても、その接続関係等、これは当然チェックしなければいけないわけでございまして、そういうチェックは建築確認段階で必要な範囲でやっておるはずでございます。 ただ、迷路のようになっているという問題につきましては、実は建築基準法上の規制は、個別の歩行距離、階段の設置、防火区画、そういう要素ごとに規制せざるを得ない。したがって全体の計画性、設計上のそういう避難上の配慮というようなことは、建築主なり設計者が十分配慮していただかなければ、総合的な避難計画の達成ということはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
○佐藤(敬)委員 いまのあなたの言ったことはすこぶる役人的な考え方で、われわれは一つ一つの部分について法的に正しければいい、全体は設計者なり経営者なりが考えなさい、と。まことにそのとおりかもしれないけれども、しかし全体の構造として考える場合には、やはりそこに全体としての見方というものが必要だと思うのです。だから、こういうような不特定多数の人間が集まるところについては、個々の見方と同時に全体的な安全上の見方が必要ではないか。法律にないからそれができないと言うならば、法律を改正するなりそういう方向に心が向いていないか、それをお聞きしているのです。
○上田説明員 建築確認等の機会に、そういう全体的なチェックにつきまして行政側がどの程度タッチするか、あるいはまたそういうことにつきまして客観的な基準的なものがうまくできるかどうか、問題は非常にいろいろあるかと思いますが、そういう面の指導につきましても今後検討いたしたいと思います。
○佐藤(敬)委員 時間がないのでどんどん突っ走っておりますが、このプリンスホテルの小黒社長が、新聞などで見たのですが、防災体制はすべて宇都宮の会社に任せている、こういうあれがありますが、これは何という会社ですか。
○近藤政府委員 聞いておりません。
○佐藤(敬)委員 防災は、ホテルの従業員あるいはいろいろな経営者、こういう人の訓練が非常に大きな問題になっていると思うのです。一番大きな要素だと思うのです。ところが、それをそっくり防災会社、何という会社か、いま名前もわかりませんが、よく調べておいていただきたいと思いますが、防災会社に任して、会社に任したからいいというものじゃないのです。会社が来て、火事だと言って避難誘導するものじゃないのですから、従業員がやらなければいけない。これを会社に任して、おれは知らないと社長が言っているなどというのは、これはとんでもない話なのです。経費を節減する、責任を回避する、いろいろな意味からほかのホテルも宇都宮かどこかの防災会社というのにばかっと任しておいて、同じような体制になっているのじゃないかということを私は非常に恐れるのです。だからその点をよく調べて、もしそうであったならば、この問題を直接経営者がきちんと掌握して、災害の起こらないように、そうした面に十分タッチするようにひとつやっていただきたい。 それから、その会社というものは、こういう大事な仕事をやるのに、一体資格というものがあるのか。防災会社というのはどういうものか私もわかりませんけれども、その点をひとつよく究明していただきたい。 それから、これから老人社会になって、老人の集団旅行というのがどんどんふえると思うのです。だからこの老人の旅行、宿泊者に対する特別な配慮が必要なのではないか、こういうふうに思います。たとえば、一つは旅行業者に対する指導、宿泊ホテルの安全を確認する、あるいは老人は余り高いところじゃなくて二階以下になるべく泊まらせるようにするとか、あるいは今度の火事は入ったら三十分ぐらいして起きてきているんですね。心が緩んだところにいきなり火災が、災害が起きてきている。こういうことがあるから、入らない前にオリエンテーションを十分にやって心構えをつくらしておく。あるいはまた老人がたくさん来るときは、特別に誘導する人をつけておくとか、何かそういう老人の旅行者に対する安全対策というものを考える必要があるのではないか。これは運輸省の方にもひとつお聞きしたい。 それから、これからホテルというものは、単に外観ばかりを意識して、大ホールをつくってたくさんの人を集めればいいという経営方針ではなくて、これほど次から次と大惨事が起きてきているのであれば、やはり安全である、私のホテルは安全ですよ、安心していらっしゃいというような一つの心構えと宣伝というものが必要ではないか。そして、泊まる人もやはり安全なところに志向して行く、こういうふうな、これは建設省であるのか、運輸省であるのか、自治省であるのか、消防庁であるのかわかりませんが、全体として一つのそういうような雰囲気というか世論をつくり出す、こういうことが必要だと思いますが、それぞれ関係の方々から御答弁を願います。
○石出説明員 御説明いたします。 旅行業者が宿泊施設等の旅行の手配をなすに当たりましては、まず第一に、旅行者の安全確保を基本にして行動すべきでありますことは、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして旅行業者は、旅行者の安全確保につきましてできる限りの措置を講ずべきでありまして、特に旅行が老人客等を対象にしている場合におきましては、旅行の日程でありますとか宿泊場所、また宿泊施設の事前調査、宿泊施設におきます非常口、防災施設、避難方法につきましての旅行者への事前の告知、事故時における添乗員の避難誘導措置等につきまして、特別の注意をもって対策をとる必要があると考えております。今後はこのような観点に立ちまして、宿泊施設の管理者との必要な調整も含めまして、旅行業者が旅行者の安全確保につきまして徹底を期するよう十分指導してまいりたいと存じております。
○近藤政府委員 第一の御質問の件の宇都宮の安全保障会社でございましょうか、その委託の件につきましては、どういうことになっておりますのか、実情を早急に調査いたして善処いたしたいと思います。 なお、老人の旅行の安全対策、それからホテル、旅館というのは安全なものであるということの周知徹底、あるいはそれに対応するところの措置、これらは先ほども申しましたように各省いろいろ関係しておるわけでございますので、本日消防庁を中心といたしまして関係各省が集まりまして協議会を設けることといたしておりますので、その議題の一つとして検討いたしたいと思っております。
○佐藤(敬)委員 最後に、せっかく政務次官が参られたので御質問いたします。実は大臣に御質問いたしたいと思っておったのですが、やむを得ませんので政務次官からお答えを願いたい。 消防というのは、国民の生命、財産を預かる非常に大事な仕事だと思うのです。ところが歴代の消防庁長官を見ますと、消防庁長官になって半年からひどいのは三カ月ぐらいになると、事務次官になったり知事選挙に立候補したりしてすぐいなくなる。いわば消防庁長官というものは次のステップヘの腰かけにすぎない、歴代の消防庁長官を見ますとそういう感じが非常に強くするのです。 いままで財政を何十年もやってきて、消防のことなんかこれっぽっちも知らない人がいきなり消防庁長官になって、そして帽子をかぶって肩章のついた制服着たって、中身は何もわからぬのですよ。そういう人が消防庁長官になって、しかもそれが三年なり五年なりどっしり腰を据えて指導するならばいいのですよ。ひどいのは三カ月か半年でいなくなってしまうじゃないですか。そういう人が国民の生命、財産を預かる。そして、現実にもうしょっちゅう大惨事が起きている。こういうものの最高の責任者として、私はすこぶる不適当だと思う。 だから私は、願わくんばそういうような腰かけの消防庁長官を知事にしない。いまの長官だってずっと財政畑で何十年もやってきた人で、消防なんか余りよく知らないと思う。にわか勉強にすぎないのです。そういう人じゃ困ると私は思うのです。だから、消防庁長官になったらじっくりと、少なくとも三年なり五年なり腰を据えてやるように政府としても考えるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○北川政府委員 ただいま佐藤委員から大変適切、厳しい御質問をちょうだいいたしました。御承知のとおり、その任務についた者が半年ぐらいでかわるようでは、指導者のなにが生かされないということは事実であると思います。ただ、過去のいろいろの例の中におきまして、各政府の形の中においてそういうこともあったと思っておりますが、現長官は二年半この地位で指導していただいておりまして、このたびの惨害に対しましては、自治省といたしましてもみずからもまた大変深く反省しながら、消防庁の充実に対しましてはきつく指令いたしておる次第でございまして、御指摘のようなことのないように今後も考えてはまいりますけれども、政治は受け継ぎながらこれを充実していくものであるという考えを持っておる次第でございますので、御了承賜ります。
○佐藤(敬)委員 終わります。
○左藤委員長 石田幸四郎君。
○石田(幸)委員 時間がありませんから、簡潔に質問をいたしたいと存じます。 まず一つお伺いをいたしたいのは、いまこういった旅館、ホテルあるいは雑居ビル、その他人が集まるところについては、スプリンクラーの設置等が義務づけられてきたわけでございますけれども、最近のこういった火災の状況を見てみますと非常に火の回りが早い。これは建築物の中に使用されているじゅうたんも化繊のじゅうたんを使われたり、あるいは塗料の関係、接着剤の関係等いろいろあるわけでありまして、今度の川治のプリンスホテルの火災を見ても、火の回りが非常に早いというのが特徴ですね。そうしてみますと、もちろんスプリンクラーはそれなりの消火効果というものはあるのだろうと思いますけれども、ここら辺の問題についての研究をしっかりやっていかなければならない、対策をやっていかなければならない。 これは消防庁と建設省の方にお伺いをするわけですけれども、この対策は一体どうなっているのか。最近の火災の状況というのは、もう二十年前、三十年前の火災の状況とは違うわけだから、当然建設省等においてはできるだけそういった不燃性のものをというようなことで研究もし指示もしているようでございますけれども、なお効果が上がっていないということはもう一遍考え直さなければいかぬ、こう思うのですが、お答えをいただきたい。
○近藤政府委員 御指摘のとおりだと思います。私どもの従来の消防行政の上におきましては、まず火事を消すということが主でございまして、したがって防火対象物も指定しておりますけれども、それが火を出さないように、出しても最小限で食いとめるように、そういう観点からの規制がほとんどでございました。最近の火災の状況を見ますと、特に今回もそうでございますけれども、煙に巻かれて死亡された方も、まだこれは十分調査が行き届いておりませんけれども、相当あるかと思います。そういった面につきましての防災体制につきましても、今後十分建設省当局と御相談して強化していかなければならないと思っております。
○上田説明員 建築基準法上は特殊建築物あるいは大規模建築物につきまして、居室の内装あるいは居室から外部に避難する避難経路につきまして、その内装仕上げ材につきましての規制を行っております。具体的には不燃材料、準不燃材料、難燃材料等、重要度に応じて義務づけております。 今回のプリンスホテルの場合、この内装仕上げの点で果たしてこの規制が守られていたかどうか、あるいは違反があったのではないかというふうに見られます。一般的に言えば、現在の規制が守られていれば建築物本体としては非常に燃えにくいはずでございますが、内部的には可燃物もたくさんございますので、それらで総合的に効果を上げる必要があろうかというふうに考えております。
○石田(幸)委員 建設省の方にお伺いをいたしますけれども、今度のプリンスホテルの場合でも現在の規制が十分守られておればというようなお答えがありましたけれども、しかしこういうものは不断に研究をされていかなければなりませんが、その研究体制は一体どうなっているのですか。
○上田説明員 お答えいたします。 研究体制としましては、建設省自体は建築研究所を付属機関として持っておりまして、そこにおいて材料あるいは防火関係の試験方法等の研究もしておりますし、またそういう建築材料、生産されたものがそれらの基準に合うかどうか、これはそういう半ば公的な民間の試験機関もございまして、そういうところのチェックを経て建設大臣が認定するというような方法をとっております。
○石田(幸)委員 体制そのものはわかっておりますけれども、最近の火災の状況等を見ると特に煙害、煙害死と言ってもいいぐらいの状況が出ておりますので、なおこの問題についてのチェックをひとつ厳重にお願いしたい。また、そうしていかなければならないということを特に要望いたしておきます。 それから、このプリンスホテルに限らず、非常階段というものが設置されておりますけれども、ビル等の非常階段を見ても、らせん階段がかなり使用されておりますね。私たちもらせん階段をおりた経験もありますけれども、これは若い人にとってはかなりてきぱきおりられますが、特に今回の老人クラブの親善旅行というような状況の中では、大変に足元が不安定ですからこれは避難にしても大変時間がかかる、そういうような状況が出ていますね。私はそういった意味で、もちろん土地の高騰という問題等がありますから、あるいは建築立地条件というものもありますから困難だとは思うけれども、これは、らせん階段というのは非常階段の用をなさないのではないか。わずかな人数が住んでいるところならばいざ知らず、少なくとも何十人、何百人というような宿泊施設においては、このらせん階段は非常階段の用をなさぬのではないか、こういうふうに感じざるを得ない。この問題について建設省、どうお考えになりますか。
○上田説明員 一般的には御指摘のように、らせん階段というのは避難、緊急の場合、非常に使いにくいという面があることは事実でございます。したがって、一般にこういう避難階段はらせん階段が普通であるということではなくて、むしろ避難階段はらせん階段でない一般的な形の階段の方が望ましいし、行政指導としてはそういう方向でいきたいと思いますが、先生のお話もございましたように、この川治のホテルの場合なども、おりる場所は非常に狭い場所におりている、こういうような条件からああいうものが出たのかと思いますが、あの場合は階段の構造として幅あるいは手すりの高さあるいは階段の踏み面、ちょうど足を踏むところでございますが、この辺について非常に狭い、不十分な、違反の構造であるという感じがいたします。その点、現在なお調査中ではございますけれども、幅なり手すりの高さ等、使いやすい階段にするような最小限の規制は建築基準法でも行い、またできるだけ使いやすいようにするように行政指導してまいりたいと思っております。
○石田(幸)委員 それから、消防庁の方にお伺いをいたすわけでございますが、先ほど話題にしましたスプリンクラーの設置の問題でございます。これは設置義務を課しているわけですが、それ以前の建物は一時緩和されたというような状況もございますが、しかし私も二、三の建物を知っております。これはかなり大ぜいの、公的に近い性格を持つ宿泊施設ですけれども、スプリンクラーの設置というものは建物の構造それ自体を全部変えなければならぬ、大変な経費がかかるわけですね、実際問題として行われておらない。そういう問題に対して、今後どういうような対策を進めようとしておられるのか。 それから、これは新聞等にも報じられておりますけれども、そういうような防火の野放し状態と推測されるものが約一万二千棟ぐらいあるのではないか、こういうふうに言われておりますね。この問題についても、もう少しひとつ、スプリンクラーをつけることが不可能であるならば、どういうふうに総合的な防災体制をしこうとしているのか、この点についてもお伺いをいたしたい。 それから査察の問題でございますが、これはもちろん定期的におやりになっているわけでございますけれども、この中で非常に疑問に思うのは、改善勧告というものがかなりの件数が出ている。それも防火が不備であるというような、そういう数字。テレビ報道等によりますと、査察の結果防火不備であると言われたのが二万件ぐらいある。それに対して措置命令を下されたのが九百件弱、非常に少ない。さらに大変不可思議に思うのは、こういう問題について告発をしたという例は全然ないのですね。 私は、そういう査察の結果においては、あんまり極端にひどい防火不備の場合は、やはり消防庁として積極的に告発をするぐらいのことにしなければ、これは全国的な警告にはならないと思う。この点についての答弁をいただきたいということ。 それから査察の結果報告について、もちろん消防署が主体になってそれぞれの建物に勧告するんだと思うのですけれども、これは地方の自治体、特に小さな市町村になりますと、それぞれ旅館の経営をしている人たちが土地の有力者というようなことで、ともすればそういう改善勧告なりあるいは措置命令なりがしにくい、そういう状況もあるわけでございまして、そういった意味においては、私は、もう少しそれぞれの地方自治体がこの防災体制と真剣に取り組まなきゃならない、ですからその査察の結果については、地方自治体と協力の上でやっていかなければならないのではないか、こういうふうに思う。 それはどういうふうな発表の仕方をするか、どういうような対策を立てるというふうにするかは、それぞれ地方自治体の状況もあるとは思いますけれども、もう少し、消防庁だけではなくて地方自治体も、この問題について、毎年毎年こういうようなことをやっておるというようなことを、やはり住民にもあるいは集まってくる旅行者にも知らしむるような、そういう措置が講じられなければならないはずだと思うのです。その点についての御意見を承りたい。
○近藤政府委員 まず第一点の、スプリンクラーの設置を義務づけられておるもの以外に野放しになっておるものが一万二千件程度あるというようなお話でございますが、新聞紙上でそういった数字が出ましたが、根拠がどこにあるのかも、私ども実はその数字についてはわからないわけでございます。ただ、スプリンクラーの設置を義務づけておりますのは、現在御承知のように六千平方メートル以上の防火対象物ということになっておりますので、この川治プリンスホテルの場合には、六千平方メートルに満たないものですから、スプリンクラーの設置は義務づけられておりません。屋内消火栓、火災警報機その他によって防災体制をしいておるというような状況でございます。 スプリンクラーの設置には、いまお話がございましたように、相当の経費も要しまして、いろいろ検討の結果、過去の火災事例から見まして、六千平米以上については設置を義務づけよう。もちろん高層建築などになりますと例外がございますけれども、あるいは雑居ビルにつきましてはもっと狭い面積にしておりますけれども、一応四十七年にこういう基準を設けております。これをもっと狭い面積のものについても適用すべきではないかという意見はもちろんございます。ただこれも、経費の面、社会通念の問題、いろいろございますので、この問題につきましては、関係方面とこれから十分検討をしていきたいと思っております。 次に、査察の関係でございますけれども、査察をいたしましても、すぐ措置命令あるいは告発に結びつけていないということを先ほど申し上げましたけれども、全国的な査察の数字はございませんけれども、御参考のために少し申し上げますと、東京消防庁管内で、昨年一年間で三十一万一千百八十八件の予防査察を行っておりまして、改善の指摘をいたしました件数が三十九万二千三百十六件でございまして、その指摘に応じて是正されましたものが十五万七千五百八十九件、この段階で四〇・二%が改善されたということであります。 そこで、改善されなかったものに対しまして、今度は警告を発しております。この警告の段階で是正されたものが六七・五%でございます。それで、これでも是正されなかったものについて措置命令を出しておりますが、五十四年、年間で東京消防庁管内では九百六件の措置命令が出されておりまして、これによって是正されたものが四百三十九件、四八・五%というような形になっております。したがって、査察は行い、いろいろ指導という形での是正を要請しておるわけでございますが、最終的な措置命令という段階に至るものは、先ほど申しましたような数字でございます。 ただしかし、その間相当の年月がたつ場合もございますし、今回のような不測の事故にも結びつきかねない問題でございますので、私どもこの関係につきましては、できるだけ早急に改善させるという趣旨に基づきまして、必要に応じて措置命令も出し、場合によっては告発をすべきであると考えておりまして、今回の一斉点検通達におきましても、その旨を特に指摘しておるところでございまして、今後はそういった方針で指導してまいりたいと思っております。 なお、査察の実態につきまして、消防当局が捕捉しておるだけでは不十分なのであって、やはり関係地方団体の協力を得る、このことは非常に必要なことだと思います。それぞれ消防本部と関係地方団体と協力して、違反が一つでも少なくなるように今後とも努力してまいりたいと思います。
○石田(幸)委員 十一月二十五日に関係省庁による防火安全対策連絡協議会を開催するというようなことが先ほど発表になったわけでございますけれども、ぜひその中で十分な検討をしていただきたいと思うのです。これは時間がありませんからやりませんが、先ほど運輸省あたりからも旅行業者あるいは旅行者に対して防災の知識を周知徹底することになっておる、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、私どもも実際いろいろな旅館でもホテルでも参りますけれども、現実問題、余りやってないのですよ。ですから、もう少し効果のある措置をとらなければならないと思いますよ。 たとえば旅館の宣伝のパンフレット等には、当館の避難状況はこういうようなことでやっておりますとか、そういうものももう少し具体的にやらなければならない。家族旅行なんというのはかなりそれぞれ気をつけていますからいいですけれども、団体旅行等になりますとなかなかそういうものを周知徹底することがむずかしいわけですよ。それをもう少し実効の上がる措置を考えてもらわなければいかぬ。こういう問題もぜひこの協議会で検討をしていただきたい、こう思うわけでございます。 それから特に政務次官にお願い申し上げますが、いま申し上げました地方自治体との協力体制、地方自治体が防災体制に対する協力体制というものをもっともっと積極的に推進をしなければならぬし、それがやはり公表されながら進んでいかないと実効は上がらないと思うのですね、自覚も出てこないし。そこら辺の問題も十分ひとつ自治省でも御検討されまして対策を進めていただきたい、こう思いますが、最後に政務次官の御答弁をお伺いしまして終わりにします。
○北川政府委員 石田委員のいろいろ御指摘のとおり、また消防体制に対して心配をしていただいて、どのように今後やっていくかという点についての御質問に対しまして、自治省といたしましては前向きで、各市町村に対しましてもよくこれを理解してもらって、消防庁に今後消防のいろいろの観点、その装備その他についても遺憾のないように、自治省として全力を挙げてまいります。大変ありがとうございました。
○石田(幸)委員 終わります。
○左藤委員長 部谷孝之君。
○部谷委員 今回の川治プリンスホテルの火災による犠牲者四十数人を数えまして、戦後のホテル、旅館火災といたしましては最大の惨事となったわけでありますが、出火が深夜でなくて、通常の防災体制さえ整っておればこれほどの事故にはなり得なかったであろうと考えられるだけに、きわめて遺憾な事件だと言わなければなりません。特に犠牲者の方々がほとんど老人であられるという、まさに痛ましい事件でございました。こうした事件を再び繰り返してはならない、このように考えるわけであります。 そこで、私はまずお尋ねをしたいのでありますが、新聞報道によりますと、鬼怒川の水量が少なくて、現場に到達いたしました消防団員は水を求めて走り回ったというふうに報道されておりますけれども、消防法の第二十条にあるところの基準をこの鬼怒川は満たしておったのかどうか、まずお尋ねをいたします。
○近藤政府委員 消防庁が定めておりますところの消防力の基準に準拠して藤原町当局におきまして、自分の町の消防水利がこうあるべきであるとして算定しておりますものに対しましては、約七〇%の充足率でございます。その意味においては、十分であったとは言えないと思います。
○部谷委員 水利の基準の中ではっきりと示されておるわけでありますが、その基準値、大体あの辺が二百五十一というふうに聞いておるのですけれども、その七〇%程度であった、そうした水量の不足というものが今度の火災を大きくした原因の一つであろう、このように思うわけであります。 そこで、市内を流れておりますこの男鹿川、これが最大の水利である上に、上流に五十里ダムがあるわけであります。そういうことで水量が極端に減少しておりまして、今回の消防活動の最大のネックになったというふうに考えられるわけでありますが、建設省はダムを建設いたしますときに、地元の藤原町に対しまして水量の確保を約束しておったということでございますが、この点はいかがでありましょうか。
○広瀬説明員 お答え申し上げます。 建設省といたしましては、鬼怒川上流に現在ダムを二つ完成いたしておりまして、一つ工事中でございます。それで、御案内のとおり今回火災がありました場所は男鹿川に面しておりまして、男鹿川の上流には五十里ダムが完成しているわけでございます。五十里ダムの放流でございますけれども、昭和三十八年当時から観光放流をいたしておりまして、その後所期の目的を達成しておると考えておりまして、今回の消防活動につきましてダムが支障になったということは、私たち聞いてございません。
○部谷委員 重ねてお尋ねをいたしますけれども、水量の確保については、恐らくいろいろなところで日量何個というふうな町との契約をするはずだと思うのですけれども、その何個という契約を充足しておったのかどうか、重ねてお尋ねします。
○広瀬説明員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、昭和三十八年当時から、〇・四六トン毎秒でございますけれども観光放流をいたしておりまして、当時も〇・四六トン放流しておったというふうに報告を受けております。
○部谷委員 実は、これは地元のある県議会の人から私にあててまいりました要望の中に、いま私が指摘をしたように、「市内を流れる男鹿川が最大の水利であるのに、上流に五十里ダムを建設したため水量が極端に減少し、今回の消防活動の最大の障害となった。建設省は、ダム建設時に、地元藤原町に対して水量確保を約束していながら、約束を守っていない。約束通りの放水をお願いしたい。」というふうな、実は私に対する陳情書が来ておるわけであります。これはすれ違いになりますので、事実をもう一度お調べの上でひとつ措置すべきものは措置していただきたい、このように思うわけであります。 それから、川治温泉と同じように温泉地に旅館が密集しておるようなところが多いわけでありますが、そうした消防水利を再検討する必要はないのか、その点お答えをいただきたいと思います。
○近藤政府委員 今回の火災において、消防水利が不十分であったためにこうした事故になったという点については、実は私ども消防本部からそういった報告は受けておりません。御承知のように今回の事故におきましては、犠牲者は不幸にしてたくさん出ましたけれども、火災につきましては、ああいった住宅密集地の中にありながら一戸だけで消しとめております。したがって、消防活動上支障を来すほどの水不足であったということはちょっと考えられないと思います。 ただ言い得ることは、河床が非常に低うございますので、水を川から取水するのに相当ホースをつながなければならない、したがって取水が相当困難であったということは聞いております。それからなお、この火災に対応いたしまして、五十里ダムが臨時的に放水をしたということも聞いております。 さて、川治温泉の場合は別といたしましても、特にこういった山合いにあるところの温泉地などにおきましては、消防水利が非常に不十分であるという事例が多々ございます。火を消す場合には何をおいても水を確保することが必要でございまして、そのため私ども「消防水利の基準」をつくりまして毎年毎年、自然水利だけでは時期によって活用できないという場合もございますので、特に水槽の増設ということにこのところ力を入れておるところでございますけれども、一方、そういった水槽の増設とともに現在、「消防力の基準」そのものが果たして現状において十分であるかどうかという点を含めて再検討しておる段階でございますので、消防水利につきましても同様に今後検討してまいりたいと思います。
○部谷委員 先ほどお尋ねしました水利の基準の問題でありますが、藤原町が約七〇%、百七十基というふうに聞いております。全国平均も大体六十数%というふうに聞いておるわけであります。そうした一〇〇%を満たしてないということは、水利の基準として十分でないというふうに理解することができると思うのでありまして、水利の基準に近づけるような努力が必要だ、私はこのように思いますので、そうした御努力をいただきたいと思います。 さらに、こうした大規模な火災を防止する決め手は、スプリンクラーの設置だとかあるいは基準法上の煙封じの問題だとか、そうしたことを十分やっていくことが必要であるわけであります。特に先ほどお尋ねがありましたけれどもスプリンクラーの問題、何か新聞によりますと、「防火野放し一万二千棟以上」こうした見出しで書かれております。スプリンクラーが設置されればこうした惨事が防げると思われる件数が一万二千もあるということでありますが、この問題を重ねてお尋ねしたいと思います。
○近藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、現行法では原則として六千平方メートル以上の防火対象物につきましてスプリンクラーの設置を義務づけております。これをもっと小規模のものについても設置すべきであるという御意見かと思います。防火上という見地から見れば、まさに私どもそうしたいわけでございますけれども、これは相当の経費を要することでもございますし、関係方面のいろいろな御意見もあるところでございまして、四十七年に現行六千平方メートルといたしましたのも、いろいろ関係各省協議の上でこういった基準ができておるところでございます。ただ、時代は変わってきておりますので、私ども改めてまた関係各省とも、この点についてもいろいろ御相談申し上げたいと思っております。
○部谷委員 こうした消防法上の施設の問題と、先ほどもお話がありました建築基準法によるところの遡及適用のいろいろな問題等々、たくさん問題を抱えておるわけでありますけれども、こうした経済的な理由というふうなことでどうも消防体制が後手後手に回る一つの原因は、やはり温泉街という特殊な状態の中で、いわば町の有力者がほとんど旅館の経営者であったり、あるいは市町村の財政が温泉の旅館収入によって支えられている、そういうふうなことが実は行政を進ませることを足を引っ張っておると私は思うわけでありまして、今後、こうした問題を乗り越えてそうした対策をとっていかなければ、このような大火災事故というものは繰り返し発生すると私は思うわけであります。 こうした町の特殊事情を乗り越えて、さらに強力に防火体制をつくってまいりますために、特にまた一斉点検その他改善の措置の強化を進めていかなければなりませんし、また先ほどもお話がございましたように水上温泉では、地方自治体等とのいろいろな連係プレーをとりながら非常に理想的に近い防災体制をつくっておる。それは過去のそうしたとうとい経験の上に立って、反省の上に立って進められておるわけでありますが、こうした地方自治体等に対する協力を求めながら万全を期していかなければならぬと思うのですが、最後にひとつ次官の方から御決意をいただきたいと思います。
○北川政府委員 部谷委員の、地方自治体の中における旅館経営、特殊な人の経営にあることもあって至難じゃないかという点、御指摘の点もあると思いますけれども、ただいま水上温泉の例をとられまして、一つの災いを転じて福となすように対処していく必要があるのじゃないかということは、大変温かい御理解ある御指摘であると思いますし、自治省といたしましても、消防庁の長官が答えましたように、山間にあるところあるいは温泉街にあるところがそういう情実にこだわらないところの整備をしながら、そこに来られる方たちの安全確保をする必要があると思います。
○部谷委員 終わります。
○左藤委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 栃木県川治温泉の火災は死者、不明者四十五人と、ホテル火災としては日本で戦後最大の犠牲者を出す大惨事となりました。犠牲者の御冥福を心からお祈りいたします。 私は現地調査に行きましたけれども、現場を見て、また関係者の方々からお話を伺って、二度とこのようなことを起こしてはならない、こう痛感をいたしました。 そこでお聞きしますけれども、私どもの調査によれば、川治プリンスホテルに対し県の土木部建築課長名で五十年十二月十九日付で、「防災査察の結果について」という建築基準法に基づく細かい指示が出されていますが、それは確認をしていますか。
○上田説明員 お答えを申し上げます。 御指摘のように、五十年の秋に防災査察を行った際に構造上の問題等について、不備な点につきましての勧告、指導を行っております。
○岩佐委員 委員長、ここに現物がありますので、ちょっと示したいと思います。私の手元にありますのがこの現物でございますけれども、これによりますと、「あなたの監理する建築物は、建築基準法に不適合であるので、安全を確保するため下記のとおり措置されるよう通知します」となっておりまして、不適合な事項として一、構造制限、二、防火区画、三、非常用照明装置など十二項目を指摘しています。措置事項として防火区画、非常用照明装置、排煙設備など十一項目の改善を指摘をしています。 ホテル側がこの指摘されたところを改善しなかったので、県はその後五十三年九月と五十四年十月の二度にわたって指導の徹底を図りましたが、これをホテル側は無視し続けました。そして昨年、藤原町の消防署が査察を行った結果として七項目の改善事項を指摘していますが、七項目目の「建築基準法に合った防火区画とすること」などの指摘は、五十年当時から指摘され、改善が放置されてきた項目です。しかもこの防火区画がきちんとされていなかったことが、今度の火災による被害を大きくしたと言われているところで、非常に重要な点であります。 委員長、これも現場の写真をちょっと示したいと思いますけれども、これが川治プリンスホテルの全体の写真でございますが、防火区画がないということで煙突状になって窓から煙が逃げていっている、これがもうはっきりと示されている写真でございますし、また真ん中が空洞になって、これが本当に建物かと思えるような大変な惨事になっているわけですけれども、こういう問題がどうして起こったのか。 現在の建築基準法では、既存の施設に対しては行政指導のみで法的に規制できないために、改善命令が出されても、事実上はそれを実施させる何の強制力もなく、そのことが今回の惨事を招いていると言えます。火災災害をなくすためには、どうしても既存の施設まで対象とする遡及適用が必要である。このことは私ども共産党は、四十九年から五十一年にかけての建築基準法改正の論議の中で一貫して主張し続けてきたところです。当時政府はこの改正に当たって、遡及適用した場合の資金的措置も考慮していたということが国会の議事録の中で明らかになっております。 消防庁の推定では、火災が起こると大きな災害になりかねない旅館、ホテル、雑居ビルは一万二千棟以上もあるということです。このような大惨事を二度と繰り返さないために、また人命尊重、安全優先ということを守るために、どうしても既存の施設に対する法的規制が必要です。この点について、後で建設省の考えを伺いたいと思います。 また消防本部は、五十四年十二月十日付で七点にわたって最終査察事項を指摘をしておりますけれども、消防本部関係の指摘の部分は、たとえば自動火災報知設備の完備や誘導灯あるいは誘導標識の完備、そして防火管理者の届け出など、旅館を営む者なら当然守らなければならない最低限の義務でありモラルであるとさえ言えます。それが、これさえ行政指導のために守られない、そういう状況であったわけです。ですから、法的規制をする必要というのは私は本当にあるのではないかというふうに思います。 同時に、この建築基準法上の指導もそうなんですが、五十年にこの指示が出されている。そしてこれが守られないからということで、五十三年、五十四年に再度また命令が出されているわけです。ところが、一向にホテル側は改善しない。消防本部の場合も同じです。査察事項を指摘しているけれども、これは改善しない。しかもそのことについて国民には全く知らされていない。この点は私は非常に重要だと思うのです。この問題について何らかの方法で国民に、こういう指導をしたとか、こういうことをやっているのだというような公表をする必要があるというふうに思うのですが、あわせて建設省、消防庁からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○近藤政府委員 消防本部が川治プリンスホテルに対して査察に基づき注意した点でございますけれども、それが全然守られておらないということは御指摘のとおりであり、まことに遺憾に存じます。 中でも、全然金銭的なことに関係のない防火管理者の選任、消防計画の提出あるいは消防訓練、防火訓練、こういったことすらも行われておらないということは、まことに残念でございます。 消防本部に問い合わせましたところ、ことしの秋の火災予防運動の際に査察を改めて行いまして、もう一度指導するというつもりであったようでございますけれども、いずれにいたしましても、一年間これが放置されておったということは重大な問題でございまして、消防当局に対しても強く善処方を求めておるところでございます。 なお、消防査察の結果等が全然公表されない、一般住民の方々はそれを御存じないということ、まさに御指摘のとおり私は問題であると思います。特に、安心してホテル、旅館等に泊まっていただくという意味においては、何らかの措置を講じなければいけないのじゃないかと思います。先ほど申しましたように、旅館、ホテル業界につきましては関係各省いろいろございますので、そういうこともございまして、本日消防庁を中心といたしましてそういった協議会を設置することにいたしましたので、その中の一つの議題といたしまして十分相談してまいりたいと思います。
○上田説明員 御指摘のように、五十年に措置すべき事項の指示をいたしまして、その後五十三年、五十四年と報告を求めておりますが、それに対してもこたえられていないというのは事実でございます。 こういった問題に対しまして、もう少し断固たる措置をとるべきではないかという点につきましては、今回旅館、ホテル等の一斉査察を実施することにいたしておりますが、そういった中で違反是正等重要な項目につきましては、正式な命令をした後でなお措置をしないようなものについては、公表等の措置も含めて検討したいというふうに考えております。
○岩佐委員 次に、政務次官にお伺いをしたいと思います。 死亡者の遺族に対する補償の問題ですが、プリンスホテル側もまた旅行をあっせんした東洋観光も、誠意をもって解決に当たると言っていますが、補償金額が多額に上るため、補償能力に問題があるとも言われています。県や町も見舞い金を出していますが、十分なものとは言えないわけです。特別交付税で措置するなど、静岡のガス爆発の場合も特別な措置をして国が見舞い金を出したわけでありますから、今回も国の責任でそうした措置をとっていく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○北川政府委員 岩佐委員の、遺家族に対する慰労金を静岡の場合出したが今回の場合も出したらどうだ、こういう御意見でございますが、火災は同じでございましても、静岡の場合と今回の場合とは多少の点に相違があるという点を考えなくてはならぬと思っております。御遺族に対しましてはまことにお気の毒であるという点については、自治省といたしましても、各地方団体の中におけるいろいろの罹災に対しましては心を痛めておりますけれども、直ちにこれに対する慰労金をどのように計上するかという点については、ただいまのところ私におきましてはその点の金額はお答えできない、こう思っております。
○岩佐委員 この点は、強く要望しておきたいと思います。 それから最後に、藤原町の消防本部の報告書の中で、「水利状況」としてこういう報告書が出ております。「川治温泉の中央を男鹿川があり普段は五十里ダムで堰止められ水量微々たるものである(火災発生一時間後ダム放流し水利として可搬ポンプ十台使用)公設消火栓一四〇m以内に六基(一五〇ミリ)貯水槽二〇t以下三基で水利状況はやや劣っていた。」こういう報告書が出ております。 私は、これは重大問題であるというふうに思います。藤原町や町議会が何度か建設省に、男鹿川に十分な水、毎秒二トンの水を流してほしいと要望していると聞いています。木造の旅館や家が多い地域です。もしまた火災が起こる、こういうような状況になったら、水が足りなくて手おくれになりかねないというふうに思います。町当局及び住民の方々の要望を一日も早く実現をすべきだというふうに思いますが、建設省に何回か陳情が行われているようですが、建設省のお考えを伺いたいと思います。
○広瀬説明員 お答え申し上げます。 先ほども申し上げましたけれども、今回の火災場所は男鹿川に面しておりまして、上流の川治ダムから〇・四六トンの放流をいたしております。大体昭和三十八年ごろから継続して放流いたしておりまして、今回の火災につきまして、放流が足りなければ放流を増量しますというふうにこちらから申し出て、それに基づき要請がございまして、放流を一・五トンに増量したというふうに報告を受けております。 なお、上流のダムのために河川水がせきとめられて、防災活動に支障があったのではないかというような御意見あるいは新聞等の報道もございましたので、私ども大変心配をいたしまして、栃木県の方に問い合わせいたしましたところ、そういう事実はないというふうなことを確認いたしております。 なお、今後五十里ダムの観光放流を増量するということでございますけれども、御案内のように五十里ダムは、洪水調節それから灌漑、発電等多目的に使っておりますダムでございますので、それぞれの関係者がございますので、観光放流を増量するということは、これら関係者との協議が必要でございます。 なお建設省といたしましては、今回の火災におきましてもとったような措置、すなわち火災等の緊急突発事態につきましては、その機その機に応じまして適切な処置を講じていきたい、かように考えております。
○岩佐委員 私は実際に川を見て、そして関係者から話を聞いてきたのですが、通知を受けてから、町当局の話ではやはり二十分ぐらいしないと水量がふえない、それからある関係者の方は三十分ぐらいしないと水量はふえない、そういう男鹿川の状況であるということを聞いてきています。やはりその点は、今回もこの消防本部の報告書にあるように、全く水が何でもなかったということではないわけですし、その点、建設省に再度きちんと検討していただくようにお願いをしまして、私の質問を終わります。
○左藤委員長 田島衞君。
○田島委員 今回の川治のホテル火災については異常な死者を出したわけですけれども、その原因等についてはいままでも取り上げられたように、構造上の問題あるいはホテル側の対応の怠慢、いろいろあるだろうと思うのですが、私は短い時間ですから少し問題をしぼって、亡くなった四十四名の方、行方不明一名ということで、その一名の方生きておってくださればいいなと思いますけれども、万一その方を含めると四十五名、三分の一以上の死者になるわけですが、その方々の直接受けた死因の第一原因は一体何だったのか。火なのか煙なのかそれともどういうことなのか、その点ひとつ消防本部の見解を長官から聞かしてもらいたいと思います。
○近藤政府委員 現在の状況では、その点がまだ不明確でございます。警察当局を中心といたしまして、死因についても現在鋭意捜査中であると聞いております。
○田島委員 もちろん、その正確な答えは時間がかかるでしょうけれども、少なくとも消防を預かる消防庁の幹部として予測できるところ、こういうことだろうと思うということぐらいはわかるだろうと思うのですけれども、その点はどうですか、全然わかりませんか。
○近藤政府委員 いろいろな情報を総合いたしますと、焼死あるいは煙等による窒息死ということになろうかと思いますが、それがどういった程度に、どちらのウエートがどうなっておるかということは、やはり行政解剖でございますか、等によってはっきりいたしませんと、正確なところは申し上げかねるということでございます。
○田島委員 旅館側にも大変いろいろ不備な点があったと思うのですが、ちょうど時間の関係上、在館した従業員の数も非常に少なかったというようなこともありますけれども、当該ホテルのいわゆる災害発生の場合における誘導の常時の対応、誘導する者についてだれとだれというようなことが決められておったのか、それともそういうことも全然決められておらぬのか。それから常時何名は間違いなくおるというようなことについての措置はどうだったのか。そういう点では、いままでの消防の査察の経過の中でわかっているとすれば聞かしていただきたいと思います。
○近藤政府委員 万一の事故があった場合にどのように誘導するかというのは、消防計画の中で定めるわけでございます。ただ、今回の事故がございましたところのプリンスホテルにおきましては、防火管理者も選任されておらないし、その防火管理者がつくるところの消防計画もできておらないという状況でございますので、避難誘導の場合にだれが責任を持ってどうこうというようなことは定められておらなかったと思います。
○田島委員 関連して、そんなぐらいですから、もちろん次に私が聞くことも答えはノーだろうと思いますが、旅館にはいわゆる防煙具、マスクというような器具の備えつけはあったのかないのか。
○近藤政府委員 現行の消防法上は、旅館、ホテル等につきましてこういった防毒マスク等の備えつけを義務づけておりませんので、恐らくこの旅館につきましてもそういったものは備えつけておらなかったと思います。
○田島委員 長官は、時間をかけての検討といいますか、いろいろな調査をした結果でなければ正確なことは言えないというお答えでしたけれども、もしそれ、いろいろの角度からの調査の結果、大半の死者は煙でまず致命的な損害を受けたというか、行動の自由を奪われたということになった場合に、ホテル等多数の人が宿泊する、しかも最近のことですから新建材を多用する、それで満足な対策も講じてないという場合に、訓練もしてない者が防煙具も持たなかったら、なおさら、お客の誘導どころか、自分が何とか逃げ出すだけで精いっぱいでしょうね。 そういうようなことを考えると、私には大体結論は想像がついておるのですけれども、恐らく結論は、煙が多数の死者を出した第一次的な原因だろうと思いますけれども、そういうことになった場合に、防煙具の設置義務すら考えていないといういまの消防庁の指導というか監督というか、そういうもののあり方が余りにも怠慢じゃないですか、余りにも非現実的じゃないですか、どうですか。
○近藤政府委員 最近の火災に伴う焼死の実例を見ますと、火そのもので焼け死ぬよりも、煙に巻かれて死ぬ場合が非常に多うございます。そこで、私どもことしの秋の火災予防週間におきましても、そういった煙による焼死を免れるための避難誘導ということを一つの大きな重点として取り上げて関係方面を指導し、あるいはPRしているところでございます。 ただ、煙予防のためのマスクということになりますと、これまでのところそのマスクの性能が、市販されているものにつきましてはいろいろでございまして、私どもマスクを普及するといたします場合には、まず一定の基準を定めて、このマスクはこういった場合にこの程度の効力があるということを周知徹底させる必要がございます。そうでないと、マスクがかえって害となって被害を拡大するということにもなりかねません。 そこで、私どもといたしましては、マスクの基準をつくるのが先決であるということで、この一年ばかりの間、関係者のお集まりを願いまして審議してきたところでございますけれども、ちょうどこの十一月にその基準がまとまりましたので、それを公表したところでございます。それに基づきまして、このマスクはこの程度の効力があるということがはっきりいたしますので、その状況に応じて、それに適合するマスクを使用していただくということになろうかと思います。 これを法令で義務づけるかどうかはその次の段階のことでございまして、私ども、まずいまの段階といたしましては、煙による焼死者の多い実態にもかんがみ、マスクの設置の普及ということに力を入れていくべきではないかと思っております。
○田島委員 話が横道にそれるようですけれども、最近ようやくマスクのことについてある程度の結論が出そうだとか出たとかという話を聞いておりますが、実は私ども東京都議会にいるころから、東京がいつかは受けるかもしれぬ大震火災というものを想定して、いまの東京で火が出たらまず煙でみんなやられてしまう、だから消防庁が中心になって、だれにもフィットするような優秀なマスクをまず研究しなさい、そしてそれをできれば都が中心になって、無償というわけにはいかぬだろうけれども何らかの補助措置をとって、各家庭に少なくとも一個ぐらいは渡るようにしなさいということを言ってきたのは、もう五年も六年も前なんです。東京消防庁ではやっておるはずです。それが国の消防庁でそんなようなまことにのどかな返事をしておったのでは、そのほかの異常災害に対するいろいろな計画をいままでも聞かされてきたけれども、まるで仏つくって魂入れず。最近の火災で、火で直接第一次的に焼かれて死ぬというよりは、ほとんどが煙でもう行動の自由を奪われてしまう。これはもう想像したってわかるところです。それなのに、これから考えてみるとか、法的措置については云々とかということは、では一体何のために消防行政はあるのか。要するに人々の生命を守ることが第一義でしょう。三分の一以上の死者が出たなんということは大変なことで、しかもその原因が煙だ。その煙に対する措置なんか何にもされてなかった、しかも強い指導もなかった、法的なものも何にも用意されてなかった、それが原因だったとしたら、まさに消防庁何をやっておったということになるんじゃないですか、どうですか。 もう時間がありませんから、ついでにもう一つ、たとえばスプリンクラーの話も出ましたけれども、スプリンクラーには大変費用がかかる。それから比べたら、防煙具、マスクの少し優秀なものを備えつけるぐらいの方がよっぽど簡単ですよ。ホテル側だってよっぽど受け入れやすい。そのぐらいのことを考えるのが生きた頭の使い方じゃないですか。消防庁長官、ひとつしっかりしたところを聞かしてください。
○近藤政府委員 先ほども申しましたように、一口に煙といいましてもいろいろな煙があるわけでございまして、一つのマスクでそれのすべてに適用できるというようなことを考えますと、相当なものになるわけでございます。したがいまして、場合場合に応じてそのマスクを使い分けするということになろうかと思います。その基準をこの十一月に私どもの方で定めましたので、現在市販のいろいろなマスクが出回っておりますけれども、このマスクはこの程度の能力がある、こういった場合に使えるということを認定するわけでございます。認定業務につきましては、日本消防設備安全センターというところがございまして、そこで開始いたしております。 最近の火災、焼死の実態からいたしまして、マスクの必要性は十分私どもも認めておるところでございます。したがって住民の方々が、その用途に応じましてそういったマスクを備えつけていただくようPRすることが先決であると思います。 なお、必要に応じて、これをどの程度、どういった施設に義務づけるかということは、別途関係方面と検討すべき問題だと思っております。
○田島委員 大変長官にきついことを言って恐縮だと思うけれども、物事には何でも急所というものがあるんです。最近の火災においての急所はやはり煙です。火から逃げられても煙からは逃げられない。だから、煙に対する対策はもうとつくの昔に確立されていいはずです、別に毒ガスを振りまいている戦場へ派遣するわけではないのですから。出る煙の中に含まれる毒性はある程度分析されるわけです。新建材の中から出るもの、あるいはじゅうたん等のそういう化学繊維から出るもの、それから単純な一酸化炭素、そのぐらいのことを、これからむずかしいから研究するんだなんて言っているようなことでは、これはまだどんどん死者は出ますよ、出ると思う。そこらのところを長官もう少しふんどしを締め直して、なるほど消防庁はやっておるわいというようなやり方をぜひしていただきたいと思います。 たとえば、今度の火災に消防職員、消防団員計四百二十七名出動した。人数が幾ら出動したって、猛炎に包まれた火災の中で活動できるものは、その煙に対する対策をちゃんと大丈夫、活動できるのだという自信を持った装備にしてやらなきゃできません。これだって、恐らくそんな装備は完全にいってないと思う。だけれども、もう時間がありませんから、私は時間を守りますからね、田島衞というのだから。これ以上聞きませんけれども、ひとつしっかり頼みます。
○近藤政府委員 田島先生からは、毎回地震等に関連いたしましてガスマスクの必要性について御指摘をいただいておるところでございますが、私どもも私どもなりにいろいろ検討いたしまして、もういまは検討の段階じゃございませんで、十一月十七日付で消防庁といたしまして、火災避難用保護具等に関する基準というのを定めました。この基準にガスマスクが該当するものにつきましては、先ほども申しました財団法人日本消防設備安全センターで認定するということになります。したがって市民の方々は、市販されておるこのガスマスクは、こういったことにはこれだけの効用があるということがわかるはずでございます。私ども、まずそれを普及するのが第一。そして今後の推移を見つつ、関係方面とも折衝しながら、義務づけるかどうかということを検討してまいりたいということでございます。
○田島委員 義務づけた方がいいということだけ申し上げて、終わります。
○左藤委員長 次回は、来る二十七日午後一時三十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十三分散会