地方行政委員会 第5号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1980/11/07
会議録
○左藤委員長 これより会議を開きます。 地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
○小川(省)委員 今回の改正案は、労災法に準じて各種給付水準を引き上げるものであり、評価をすべき内容であると思っております。 しかしながら、地方財政危機の進行につれて、昭和五十年、一九七五年までにだんだん減少してきた公務災害が、ここへ来て、財政危機からの自治体合理化によってまた増加をする傾向になってまいりました。公務災害の発生状況を見ますと毎年約三万件、うち死者は百人前後になっておるようであります。減量経営下の労働災害の増加は官民とも同一の傾向をとっておるようでありますが、適正な人員配置によって労働災害や職業病等を減少させていかなければなりません。最近特に、名古屋の水道局員の事故や彦根の清掃センターの事故、静岡の地下街のガス爆発による消防職員の事故等、地方公務員の重大災害が発生をしており、緊急の対策が望まれておるところであります。以下、お尋ねをいたしたいと思うわけであります。 安全衛生対策の確立、公務災害の完全補償が急務でありますけれども、労働安全衛生法に基づく安全衛生体制はすべての自治体で確立をされているのかどうかという問題になると、どうも確立をされていないようであります。聞くところによれば、彦根の清掃センターの事故でありますが、安全管理者は選任をされていたようでありますけれども、衛生管理者や安全委員会、衛生委員会等はなかったと言われております。この辺の指導がなおざりにされているのではないかというふうに思っています。労働安全衛生法の違反が自治体には横行をしているのではないかとすら考えるわけであります。 五十人以上の事業所では設置をしなければならない衛生委員会は、現在どの程度自治体で設置をされているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○宮尾政府委員 労働安全衛生法におきまして設置義務が課せられております事業所におきましては、安全管理者等の設置が義務づけられておるわけでございます。 そこで自治体における労安法に基づきます整備状況を申し上げますと、本年の三月末現在の状況で、総括安全衛生管理者につきましては約七八%の事業所、安全管理者につきましては約七一%、衛生管理者につきましては約四五%、産業医につきましては三四%、安全委員会につきましては約六〇%、衛生委員会が約二五%という設置状況になっておるわけでございます。 それから安全衛生委員会につきましては、安全委員会と衛生委員会の両方を設置しなければならない場合に、それぞれの委員会の設置にかえまして安全衛生委員会を設置することができるというふうにされておるわけでございますが、この場合の設置状況は、安全委員会が設置をされております事業所が八百六十二事業所、衛生委員会が設置されている事業所が二千九百九十七ございまして、安全衛生委員会という形で設置をしておる事業所はこのうち八百二十四の事業所になっております。
○小川(省)委員 いまの報告を聞くとかなり整備をされつつあるようでありますが、ぜひひとついま一段の努力を要望しておきたいと思っております。 次に、労働安全衛生法第百一条によりますと「法令の周知」といたしまして、「事業者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により、労働者に周知させなければならない。」とされておりますけれども、これは守られているのかどうかということになると、余り守られていないようにも思っております。職場で労働安全衛生法はほとんど知られていないのではないかと思っております。地方公務員法第四十二条の「厚生制度」では、「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない。」としておりますけれども、これらが具体化をされるように公務員部としては指導をしているのかどうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○宮尾政府委員 職場におきます危害防止についての基準の確立とか、あるいは責任体制の明確化等を図りまして労働災害の防止をするということは、地方公務員の安全と健康を確保しながら快適な作業環境の形成をしていくという見地から非常に大事なことであると考えております。このことは、地公法四十二条の規定に基づきまして地方公共団体が自発的に実施をする厚生制度というよりも、むしろ使用者である地方公共団体が遵守をしなければならない最低の労働基準ではないかと考えておるわけでございます。 そこで自治省といたしましては、労働安全衛生法に基づきます安全衛生管理体制を充実して、また危害防止基準等についても周知徹底をしながら安全確保を図っていくという見地から、これまでも各地方公共団体に対して機会あるごとに通達を出しましたり、あるいは総務部長会議等を通じましてその趣旨を徹底するように指導してまいってきておるわけでございますが、今後とも御質問の趣旨を体しながら指導に万全を期してまいりたいと考えております。
○小川(省)委員 通達を出したり総務部長会議等でおろしておるということでありますが、私ども職場を回ってみるとどうも徹底していないような感じを受けますので、さらに一段と指導を徹底していただくように要請をいたしておきたいと思っております。 次に、基金の運営についてお尋ねをいたしたいと思います。 基金本部や基金の県支部等も運営が非常に非民主的であると言われておるわけであります。批判がかなり強いわけでございます。職員が公務上負傷をしたり病気になった場合に、どうも共済の短期や健保によって治療をしている例がかなりあるようでございます。このことは共済短期の赤字をさらに増加をさせている一因にもなっているというふうに思っておりますけれども、この原因の第一は、まず公務災害補償制度の内容、手続等が職員や医療機関に徹底をしないことが第一の理由であろうと思っています。具体的に周知徹底させるように指導をしてもらいたいと思っております。 仮に制度を知っていたとしても、基金の支部や何かが人事課や職員課に併設であるというところが多いわけでございますし、あるいはまた所属長が自己の管理責任を問われるおそれがあるというふうなことから、職員に納得をさせて、とりあえず共済短期で治しておけということも言われておるようでございますので、これらの点についてはぜひ指導をお願いいたしたいと思っております。 そして各県や政令都市の基金支部が、東京や名古屋では独立をしておるようでありますけれども、職員が気安く相談もできない、協議もできないという状況ではまずいと思っておりますので、県支部や地域支部を独立させるようにできないかどうか、あるいはまた基金本部の運営等が民主的に行われるように指導をぜひお願いしたいと思っておりますけれども、いかがですか。
○宮尾政府委員 基金の運営の問題でございますが、基金におきましては、法の趣旨に従いまして災害を受けた職員に対する補償というものをできるだけ迅速かつ公正に実施をしていく、こういうことで公共団体にかわって補償を実施しておるわけでございますから、その趣旨に従った運営をするように私ども指導をし、またそういうふうに行われておるというふうに私どもは考えておるわけでございますが、ただいま御質問にありましたように、そういう御批判の声もあるということであれば、私どもといたしましてもそういうことのないようにぜひ徹底をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 基金の活動といたしまして、周知徹底が足りないではないかとか、あるいは担当職員がもう少し親切に相談に乗ってやるべきではないかというような点につきましては、私どもも今後ともそういうことにつきまして努力をするように指導してまいる考えであります。 それから事務局を独立させたらどうかということでございますが、大きなところでは業務量が相当になりますので独立をさせているケースもあるわけでございますが、すべての府県におきましてそういう形をとるということになれば、それだけ職員をふやさなければならないとか、あるいはそれに伴いましていろいろな人件費、事務費がかさむということもありまして、行政簡素化の趣旨という見地から見ますと、そういう点についてまた問題が出てくるということもありますので、私どもといたしましては事務局を積極的に独立させるということについてはいろいろむずかしい問題があると考えておりますが、仕事のやり方につきましては、民主的でないというような御批判を受けないように十分その指導をしてまいる考えであります。
○小川(省)委員 私も県庁の職員をやっておりましたからわかるわけでありますけれども、どうも人事課というところは非常に気を使う場所でございまして、なかなかドアを押して入るというのも大変重いドアでございます。そういう意味では職員がなかなか相談もできない、こういうケースが多いわけでございまして、ぜひそういう点を気安く相談できるように、また機構を複雑化させるという意味ではありませんけれども、別にセクションを設けるとか何とか方法を考えて、気安く相談ができるような指導をぜひお願いをいたしたい、このように思っております。 それから認定の問題でございますが、認定がかなり厳しいという批判があります。業務の遂行性やあるいは業務起因性が問われることは当然でありますけれども、心不全や狭心症等で死亡したケースがあるわけでありますが、三つのケースで、実は基金が公務外としたものが裁判で公務であるというふうに認定をされたケースがあるわけであります。これは基金の決定に問題があるということを含んでおると思っております。十分に検討して決定を下すよう、改めてこれは指導し直していただかなければならぬというふうに思っておるわけでございますけれども、いかがでございますか。
○宮尾政府委員 公務災害に認定をするためには、公務と災害発生との間に相当因果関係というものがなければならない、これは災害補償制度の基本的な考え方であるわけでございます。そこで、相当因果関係があるかないかということについての認定の仕方が非常に厳しいのではないかという御意見なり御批判でございますが、いろいろな災害のケースの状況によりましては、たとえばただいまお挙げになりました病気等については、それが本人の素因等によるものが大きいのか、相当因果関係が公務との関係において明確にあるのかということを医学的にはっきり立証する過程というものが相当むずかしいというような点がありまして、御指摘がありましたような裁判事例等も出てきておるわけでございます。 私どもとしては、相当因果関係がなければならないという基本は変えるわけにはいかないと思いますが、相当因果関係がどういうふうにあるのかないのかということについての認定過程については、できるだけその事実を明確にし、慎重に対処をして、御指摘のような事例がないようにしていかなければならないと考えております。そういう意味で今後ともそういう点については、基金等も指導しながら対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
○小川(省)委員 ぜひひとつ基金の支部等に改めて指導をしてもらいたいと思っておりますが、いかがですか。事実三つのケースで、基金が公務外としたものを裁判所が判決を下して公務であるというふうにしたケースがあるわけであります。このことは、私は基金の決定にかなり問題があると思っていますから、そういう意味で改めて慎重に認定をやるようにというふうな指導を流していただけますか。
○宮尾政府委員 その三つのケースのほかにもたくさんの、これに類する同じような事例の認定ケースがあるわけでございます。そういう中で三つの判決の事例が出てまいったわけでございますが、この点については医学的な面等もさらにいろいろ研究をし、相当因果関係があるかないかについての判定の仕方について、さらに創意工夫をこらしながら慎重に行っていくように基金に対して指導をしていきたいと考えております。
○小川(省)委員 不服審査や再審査の提出状況でございますけれども、これはどのようになっておりますか。
○宮尾政府委員 地方公務員災害補償法五十一条の規定に基づきまして行われました審査請求それから再審査の請求の数でございますが、昭和五十四年度におきましては審査請求が六十八件、再審査請求が三十件でございます。
○小川(省)委員 再審査請求もかなり出ているようでありますから、そういうものについては特に慎重に扱うようにお願いをいたしたい、このように思っております。 現行の認定基準が業務起因性についてきわめて厳しいということをいまも言われたわけでありますけれども、相当な因果関係を必要としており、これを改めて、実際の認定に当たっては業務と災害との合理的な関連性があれば足れりということにできないのかどうか、まずお尋ねをします。
○宮尾政府委員 公務上であるか公務外であるかということの認定につきましては、公務遂行性と公務起因性の二つの要件についてその因果関係があるかどうかということを見きわめて認定をする、こういうことにいたしておるわけでございます。この点につきましては、これは公務災害補償の基本的な原則でありまして、関連性があるというような形でそれを緩和することは、労災法あるいは国家公務員災害補償法等も通じまして適当な扱いではない。現在相当因果関係がなければならない、こういう制度に立っておりますので、そこを緩和することはできないと考えております。ただ、公務起因性というものがあるかないかということについての認定に当たっては、十分そのいろいろな事実関係というものを見きわめて、しっかりとした判断をするように努力をすべきであるというふうに考えておる次第でございます。
○小川(省)委員 業務と災害との間に相当な因果関係がある、こういうふうな形で認めていくようにぜひひとつ持っていってもらいたい、このように思っております。それから現行の認定基準は、業務遂行性と業務起因性の二条件の立証責任を労働者が負うことになっておるわけでありますが、これを改めていただいて、反証のない限りその災害に業務起因性があると判断をしていく。労働者が立証しなければならぬということになっておるわけでありますから、改めていただいて、反証のない限りはその災害に業務起因性があると判断をするようにできないものかどうか、お尋ねをいたします。
○宮尾政府委員 この認定に当たりましては、本人から提出をされました関係書類等のほかに、その事案につきまして被災状況とか職員の勤務状況等、認定について必要な参考となります資料を任命権者とか医療機関等にも求めて、それらをあわせて判定をしていく、こういうことにいたしております。したがいまして、たとえば被災職員から出されました資料が不備であるために本人の立証が十分でなくてその職員が不利になる、こういうことになるのではなくて、あくまでも本人から出たものと任命権者等から出た資料等を総合的に判断をいたしまして、公務災害であるかないかを認定をしておるわけでございますので、その点につきましては、現在の認定方法でやっていくことがベターであるというふうに考えておる次第であります。
○小川(省)委員 いま部長が言われたようなことであればまあよろしいんでありますけれども、多くの場合労働者側が不利になるというケースが多いわけでありまして、私は、このことは支部の審査会や本部の審査会に労働者を代表する者が参加をしていない、ここに一番大きな原因があるだろうと思うのですが、支部の審査会や本部の審査会に労働者を代表する者が参加できるように認めてもらいたいというふうに思っていますが、いかがですか。
○宮尾政府委員 認定について不服がある場合等におきましては、審査会にかかるわけでございますが、この審査会の委員につきましては、学識経験者のうちから選任をするということにいたしておりまして、基金といたしましても公正な審査というものを期するために適切な人選を行っておると承知をいたしております。 さらに、この審査会には参与制度というものが設けられておるわけでございまして、本部の場合には四名、それから五十七の支部に設けられておる審査会にはそれぞれ二名の参与が指名をされておるわけでございまして、この審査に際しまして、参与の方々から意見を述べる機会が与えられるという形になっております。したがいまして、この参与の意見を述べるに際しまして、職員側の考え方というものも反映できる仕組みとなっております。 なお、国家公務員災害補償制度におきます審査委員会あるいは労災保険における労働保険審査会、これらはいずれも学識経験者で構成する、こういう仕組みにもなっておりますので、私どもとしてはいまの委員構成のあり方について変更を加える必要はないのではないか、審査会でできるだけ公正な判断をしていけば足りる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○小川(省)委員 いまの委員構成を変える必要はないと思うというような御答弁でありますが、私も実は労働者を代表して参与をしておったわけであります。そしてその経験として、審査会が決定をしてきたものの中に、私どもがどんな意見を申し述べてもとってもらえないというような歯がゆい経験を何回か持っておりますので、委員の構成を変える意思はないと言われますけれども、審査会の委員の中に労働者代表を含めていくようなことを含めて、ぜひひとつ再検討をお願いをいたしておきたいというふうに思っています。 最後に、特定の職業性の疾病、たとえば頸肩腕障害であるとか非災害性の腰痛であるとか、あるいは振動病などでありますけれども、そういう職業性の疾病及び災害発生度の高い職種、たとえば清掃であるとか社会福祉施設であるとか学校給食調理員等、こういうような災害発生度の高い職種あるいは特殊な災害が発生をする職種、地下鉄でありますとか病院等の関係、これらについての科学的な調査をぜひひとつ、特にそういうケースについての調査を改めて実施をしていただいて、災害発生を防止するような措置を講じていただきたいと思っておりますけれども、いかがでございますか。
○宮尾政府委員 ただいま御質問にありましたような特定の職業性の疾病あるいは災害発生度の高い職種、また特定の災害が発生する職種、こういうものにつきまして、科学的にその実態というものを調査し、さらに災害発生を防止するための措置を講ずることができるならばそういう措置を積極的に講じていく、こういうようなことはきわめて必要であるというふうに考えておるわけでございます。 ただ、そういう調査は非常にむずかしく、専門的な知識を有する人たちで調査をしなければならない。しかも、簡単に結論が出せるようなものであるかどうかというのはなかなかむずかしい点がありまして、そういう意味では、どういう人にどういう調査を頼んだらいいかということが一つ研究課題にもなりましょうし、また、労災制度あるいは国家公務員制度の中でもそういう研究等を若干行っている向きもありますので、そういうものを含めて今後どういう調査が行えるのか、そういうことを関係省庁とも協議して研究をしてみたいというふうに思っております。
○小川(省)委員 考えておられるようでありますから、大変むずかしいことはわかりますけれども、特に公務災害が起こりやすいような職種や職群等については、ぜひそういう調査をお願いいたしたいというふうに思っています。 大臣、いま私と宮尾公務員部長との間でいろいろ公務災害をめぐって論議をしてまいりましたけれども、地公法の四十二条には「厚生制度」ということで、職員の保健あるいは元気回復についての規定もあるわけでございますから、ぜひさらに一段と督励をして、自治体に働いている職員が公務に起因する災害を受けないように万全な指導を特にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○左藤委員長 斎藤実君。
○斎藤(実)委員 私は、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をしたいと思います。 厚生年金額の改定につきましては、法第五十七条に基づいて政策スライドによりまして引き上げ措置が行われているわけでございます。具体的には労災制度に準じて、今回の労災の改正によりまして、賃金水準の変動幅が一〇%を超える場合には改正となるようになっているわけでございますが、これらにつきまして御質問したいと思います。 さきに申し上げましたように、公務員の災害補償法では政策スライドで行っているわけでございます。労災保険制度におきましては、自動スライド制が明記されておるわけでございます。したがいまして、これらの不均衡を是正するために、公務災害においても自動スライド方式を制度化すべきではないかというふうに考えるわけですが、いかがですか。
○宮尾政府委員 労災保険では賃金の変動というものに着目をいたしまして、毎月勤労統計の賃金変動率が一定率以上になった場合にはその率で年金額を改定する、こういう方式をとっておるわけでございます。地方公務員災害補償制度におきましては、国家公務員の場合の災害補償制度も全く同じでございますが、平均給与額を改定するという形で実質的な年金額の改定というやり方をしております。 労災保険で採用しております賃金水準の変動に応じた一律のスライド制、これは一定の率をすべて掛けていくわけでございますが、そういう考え方と、それから公務災害では、個々の職員の平均給与額をベースアップ等を見ながら個別にやっていくというやり方をしておる、そこに違いがあるわけでございます。そういうことにつきまして、御指摘のように労災法のようなスライド方式というものも一つの考え方ではありましょうけれども、地公災でとっております、個々の被災者ごとに平均給与額を変動させていくというやり方は、公務災害補償制度としてはやはり一番適切な方法ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 いま御答弁がありましたが、理解できないわけではないのですが、現行の指標となっております賃金上昇率が用いられているわけでございますね。現在のように賃金より物価上昇率が上回る時代におきましては、実質的に年金水準が下がることになると思うわけですね。したがいまして、物価上昇分も加味した形の改正方式がとられてもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○宮尾政府委員 年金の基礎となる給与額等をスライドさせる指標としましては、賃金指数だとか物価指数だとか生計費だとかいうような、いろいろな指数を基準としてやるというやり方があるわけでございます。どれが一番それぞれの補償制度に見合ったやり方に適しているかということの選択の問題になろうと思うわけでございます。 それで、公務災害補償というのは、先生御承知のように、それぞれの災害を受けた職員の稼得能力の補償ということを目的にして制度づくりをしておるわけでございますので、そういう地方公務員災害補償制度のもとにおきましては、給与というものを基礎に置いておる平均給与額というものについて個別の職員ごとに改定をしていく、物価とか平均賃金というような一律の改定でなくて、個別改定方式という制度をとることが一番よかろう、最も適する、こういう考え方に立って国家公務員災害補償制度も地方公務員災害制度もそういう組み立て方をしておるわけでございます。 確かに、物価の上昇率という賃金の上昇率がいろいろ変わるとかありますけれども、それをそのときそのときに応じて変えるわけにはいきませんので、私どもとしては、なお検討する余地はあるかもしれませんが、いまとっておる制度が一番適しているのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○斎藤(実)委員 実は今度の改正によりまして、賃金水準が六%を超える場合に限ってのみ平均給与額が引き上げられることになっておるわけですね。共済年金制度におきましてはそうではなく、人事院勧告に基づく現職の公務員の給与改定率が低い場合でも、たとえば昨今のように三%ないし四%のような低い場合であっても改正が行われているわけでございますね。賃金水準の変動幅が六%を超えるというような考え方は撤廃して共済に合わせるべきではないかという考えを私は持っているのですが、どうでしょうか。
○宮尾政府委員 現在、これは労災制度でも公務員災害補償制度でもそうでございますが、変動幅が一〇%を超えたときには改定をする、こういう考え方に立っておるわけでございます。しかしこれは今回の制度改正と関連をいたしまして、六%にする予定といたしております。したがいまして、たとえば本年の公務員給与の改定率は四・六一%となっておりますし、そういった状況をも、最近の給与改定が低いということも考慮しながら、一〇%から六%に変えようとしているわけでございますが、そういう形で改正をすることによりまして、おおむね給与改定に伴った平均給与額の改定というものが、ほぼ並行して行われるような形になるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 現行の平均的な給与額の算定方法は、現在もらっている給与、これは過去三カ月間が対象になっている。特に若年者の補償額が非常に低いわけですね。一般に若年者の家族構成を見ますと、子供さんはまだ小さいし、低い給料で両親を扶養しているというようなケースが非常に多いわけです。一家の大黒柱として働いているわけですが、こういうような若年者の補償額を今後どういう形で引き上げていかれるのか、見通しについてお尋ねをしたいと思います。
○宮尾政府委員 若年者につきましては一般的に平均給与額が低い、こういうことによりまして、若年で被災をした場合には年金額が非常に低くなってしまう、こういうことはそのとおりでございます。そこで、これをどういうふうにしていくかということでございますが、やり方として考えられるのは、一つは、平均給与額の算定に当たりまして将来の昇給分等を含めて何か措置ができないかというような方法、それからもう一つは、そこまでいかないとしても平均給与額の最低保障額というものをもっと大幅に引き上げてはどうか、こういうようなやり方があるわけでございます。 最初に申し上げました昇給等を見込んでいろいろ考えていくということについては、いまの公務員はいわば年功序列的な給与体系という形になっておりますが、それ以外の職種年功序列型の賃金体系でないような職種も対象にしておる労災保険との関係をどう考えるのか、均衡を失することにならないかどうかというような問題がありますし、また定型的かつ定額的な損失補てんということを旨とします補償制度のもとで、そういうものをどこまで盛り込むことができるのかというむずかしい問題がいろいろありまして、そういう考え方を取り入れることについてはなかなか憤重でなければならないということになろうかと思います。 ただ、そういう若年者についての補償というものをもう少し考えられないかということは議論としては相変わらず残るわけでございますので、これは労災あるいは国公災共通問題でございますので、そちらの方でのいろいろな検討なり動向等を見ながら、今後ともさらに引き続き検討していきたいというふうに考えております。
○斎藤(実)委員 若年者の補償額の引き上げについては、十分ひとつこれから御検討いただきたい。現在は、遺族補償を受ける遺族が夫あるいは父母、祖父母の場合は、年齢が五十五歳以上でなければ年金が受けられないわけでございます。死亡の時点でその夫、父母が五十四歳以下であるならば、遺族一時金として給与の千日分だけで終わってしまうということになっているわけです。一時金の支給を受ける権利を保留して五十五歳になってから年金で補償を受けるというように、この災害補償についても、共済年金にも同じように年齢要件があるわけでして、この年齢要件を満たすまで停止されて五十五歳から支給される制度になっているわけでございますが、若年停止して将来に備えるというような制度を考えるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○宮尾政府委員 若年停止制度を導入したらどうかということの議論は、やはり若年者に対する補償の問題に絡む御議論であろうと思います。そこで、一般的には若年者が被災を受けた場合には、まだ父母が五十五歳に達していないというような状況が多いわけでございますし、またその被災者本人の平均給与額が低いということからしまして、遺族補償が年金では出ないで一時金になってしまう、またその額が低い、こういう御指摘のようなことが出てくるわけでございます。 そこでこの問題について、若年停止制を導入したらどうか、こういうことは人事院においても専門家会議等を通じましていろいろ検討がこれまで行われたことがあるわけでございますが、補償制度の損害補てんとしての性格から言いまして、五十五歳未満の父母についても年金の支給対象者にして、かつ相当期間五十五歳に達するまで停止をしておく、そういうやり方についてはいろいろ制度上疑問がある、こういうことで結論が出ておりません。したがってこの問題は、人事院でもさらに今後そういう点を引き続き検討する、こういうふうになっていると私ども伺っておるわけでございます。 したがいまして、御指摘の若年停止制度を設けるかどうかという問題につきましては、私どもとしてはそういう専門的な検討をしておる人事院の検討状況というものを見守ってまいりまして、その結果が出ればその結果に基づいた対処の仕方というものを考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 公務災害の認定につきまして一、二問お尋ねしたいと思うのですが、一般的に業務災害であるというような立証ができない限り、認定されないわけですね。業務災害であるのか、あるいは私的な傷病であるのか、中間的なものはほとんど認定されていないのが実情なわけでございます。 そこで、むしろ認定に当たりまして、逆にそれは私的な傷病であって業務災害ではないというようなことが証明されない限り、業務災害であると認定するようにすべきではないかと私は思うのですが、できるだけ災害を受けた方を救済するということが立法の趣旨でございますので、現在、現実には業務とのいわゆる相当因果関係の認定基準が厳し過ぎるのではないか、したがって認定されないことが非常に多いというふうに言われているのですが、いかがでしょうか。
○宮尾政府委員 災害と公務との関係の相当因果関係の認定につきましては、私どもとしては、相当因果関係というものが認められればそれはすべて公務災害に認定する、こういう方向で基金も対処しているというふうに考えておるわけでございます。 ただ、たとえば脳とか心臓というような疾患に絡む公務災害の認定の場合には、これはその本人自身の素因といいますか、そういうようなものにどれだけ起因しているのか、それから公務とのかかわり、相当因果関係というものがどうなっておるのかということの立証が非常にむずかしいケースというのがたくさんあるわけでございまして、そういう中で幾つか厳し過ぎるんではないかというような批判、御意見がある事例もないわけではないというふうに思っておるわけでございます。 私どもは、その認定基準を甘くするということではなくて、やはり相当因果関係というものをしっかりもっと見きわめて正しい認定を下すように、さらに事例を積み重ねたり研究をしたりしながら努力をしていくのが本来の姿であるというふうに考えておりますので、今後ともそういう方向で努力をさせてまいりたいと思っております。
○斎藤(実)委員 実は最近の事例を見ますと、ある市役所の課長さんが公的な会合の直前に急に倒れたわけですね。病院に運ばれたところ脳出血と診断され、その後回復に向かいましたが、再発をして死亡したという事例がある。基金は公務外と認定したようでありますが、こういう例も私ずいぶんあると思うのですね。多くの職員は相当過密な勤務にある場合が私は多いと思う。この職員の勤務内容等を見ますと、学校や道路用地買収の交渉等の非常に仕事が過密だった。こういう過密な勤務によって発病したと考えられる面もあると思うのですが、こういう事案を部長はどのようにお考えですか。
○宮尾政府委員 非常にむずかしい認定をしなければならない問題だと思うのです。いまのお話のように、脳出血で倒れられたというようなことのようでございますが、脳出血によって死亡した場合にそれが公務とどれだけのどういう相当因果関係があるか、あるいは私的な事由、事情が相当絡んで、そういうことで脳出血で倒れられたのか、そこらのところが、これはなかなか外から簡単に認定できるものではないだけに、いろいろな周辺の事情なりそのときの状況なりというものを資料を集めながら判断をしていかなければならない、こういうことで非常にむずかしい問題であるというふうに思います。 お示しのケースにつきましては、これは、したがいましてその事例がどちらが正しかったかということは、ここで私が申し上げるべき筋合いでもないし、またできないわけでございますが、私どもとしては、そういう非常にむずかしい事例というものが幾つかのケースについてあるわけでございますから、個々の認定に当たっては慎重に十分検討して判断を下すように指導さしていきたいと思いますし、またそういう幾つかの類似の事例というものを集めて、より正しい的確な判断というものが速やかにできるような研究というものも、今後積み重ねていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 脳疾患あるいは心臓疾患というのは最近非常に多いわけです。脳疾患あるいは心臓疾患、これについての認定はなかなかむずかしいということはよくわかります。こういうケースは、脳疾患、心臓疾患等についての認定基準をもう一遍見直すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○宮尾政府委員 いまの認定基準が確実に間違っておるということではないと私は思うのです。ただそういう認定の仕方というものが、たとえば脳疾患等については非常にむずかしいケースがたくさんあるわけでございまして、そういうものを、私どもとすれば今後幾つかの事例を積み重ねたり、あるいは医学的な面からのいろいろ研究等も重ねてまいりまして、そして認定の仕方、認定方法についてここはこう直した方がいいというものが出てくれば、それは随時その認定の仕方というものについて改善を加えていく、こういう努力はしていかなければならないというふうに思っております。 ただ、いまの段階ですぐどういう改善をする、しなければならないということではないと思っておりますので、将来のそういう研究の努力の積み重ねというものを期待をしていきたいというふうに思っております。
○斎藤(実)委員 以上で私の質問を終わります。
○左藤委員長 部谷孝之君。
○部谷委員 ただいま議題となっております法案に関しまして、以下若干の質問をいたしたいと思います。 まず、遺族年金の給付水準の改善についてでありますが、この改善は、災害補償の災害賠償的な側面から見ますと、損害賠償的側面から見て現行を改善する、こういうふうなことであります。その損害を賠償して損害がなかったと同じ状態にする、こういうことになると思うのですが、今回の改正によってその損害がなかったと同じ状態にすることができるのかどうか、その点まずお尋ねをいたします。
○宮尾政府委員 御質問の御趣旨は、今度の改正によりましていわゆる補償基準というものが適正な形のところまでいくのかどうか、こういう御質問と考えるわけでございます。現在のわが国の公務員についての災害補償の水準でございますが、これは制度発足以来たびたび機会あるごとに改正をしてまいりました。その結果、現在では災害補償についての国際的な基準を示しておるILOの百二十一号条約というもの、またそれに伴うILOの百二十一号勧告というのがあるわけでございますが、この基準は十分満たしておるという状況になっておりまして、先進諸国の水準に達しておるというふうに考えております。 ちなみにちょっと申し上げてみますと、遺族年金につきましてはILOでは給与額の最低五〇%と言っておりますが、わが国の遺族年金は特別給付金も含めますと約七割という状況になっております。また障害年金等につきましても、ILOでは条約が六〇%、勧告が六七%という水準を示しておりますけれども、わが国の一級障害の場合の補償水準というのが一〇四%くらいという状況になっておりますので、そういう意味では諸外国の事例に照らしてもあるいはILOの基準に照らしても、相当なところまで達しておるというふうに全般的には考えておるわけでございます。 ただ、この給付水準をもっと改善すべき点があれば改善をして、その水準を引き上げていくべきであるという点については、私どももそういう必要性があればその方向でやっていく努力をしていくべきだという基本方向に立っておりますので、今後労災補償制度あるいは国家公務員災害補償制度の動向を見ながら、そういう点については努力をしてまいりたいと考えております。
○部谷委員 ちょっとここである比較をしてみたいと思うのです。標準四人世帯の生活扶助基準額は、五十五年四月一日現在で十二万四千百七十三円となっておりますが、今度の改正によって遺族年金額は、標準四人世帯の御主人が亡くなった場合にどれくらいになるか、平均数字で結構ですが、調べたものがあればお示しを願いたいと思います。
○宮尾政府委員 夫婦、子二人という世帯を考えた場合の生活保護の基準は、一級地の場合十二万四千円余であります。それから二級地が約十一万三千円、三級地が約十万二千円、こういうことになっております。 そういう世帯の御主人が公務によって亡くなられた場合の遺族補償年金を計算をしてみますと、この場合には御主人が亡くなっておりますから遺族三人ということになるわけですが、福祉施設であります特別給付金も含めてみますと、月額十四万五千円ということになろうと思います。
○部谷委員 私は、その損害を賠償して損害がなかったと同じ状態に戻せるのかどうかというお尋ねを最初にしたわけですが、そうした絡みから見ますと、いわば生活扶助費に約二万円上積みをした程度になるわけでございまして、その点十分な賠償の責を果たしていない、私はそういう感じがするわけでありますが、この問題はそれでとめておきます。 そこで、そうした災害補償制度が、単なる社会保障だけでなくて損害賠償的な側面を持っておることはもちろんでございますが、本年二月二十七日に人事院から出されております国家公務員災害補償法の改正に関する意見書にも書かれておるのでありますが、その意味からいたしますと、期末手当、勤勉手当というものについても平均給与額に算入すべきではないか、つまり年間総所得を基礎とした平均給与額とすべきではないか、このように考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
○宮尾政府委員 現在の平均給与額の基礎といたしまして、期末・勤勉手当が入っていないわけでございます。その考え方といたしましては、賞与等の支給につきましては、民間では景気がいいか悪いかということによって年ごとに異なることがありますし、また従業員個々の勤務成績等にもよりましてその賞与の額に変動がある、こういう仕組みになっておりますために年金の算定の基礎にすることは適当ではない、こういう判断から労災制度におきましても給付基礎日額の算定にこの期末・勤勉手当を入れてない、こういうことにしておるわけでございます。 そういう労災制度の仕組みに準じまして、全体として公務災害補償は労災制度に準じておるものですから、国家公務員の災害補償法あるいは地方公務員の災害補償法におきましても、年金の基礎となる平均給与額の算定には期末・勤勉手当は入れない、こういう方式をずっととってきておるわけでございます。 ただ、この問題については、御指摘のような考え方、御意見というものは確かにあるところでございます。そこで、平均給与額の中にそういうものを入れるかどうかについては、もっと労災制度の問題とも絡めて十分検討しなければならないわけでございますが、しかしそういう点があるということを考慮しまして、補償制度ではなくて福祉施設という形で、年金受給者に対しましては傷病特別給付金、障害特別給付金あるいは遺族特別給付金を、補償年金額の原則百分の二十を補償に付加して支給するという仕組みを別途講じておるわけでございます。なお基本的な問題については、先ほど申し上げましたように検討していかなければならないというふうに考えております。
○部谷委員 この法律では地方公務員の公務上の災害、災害と申しますのは負傷、疾病、廃疾あるいは死亡、こういうことを指しておるのでありまして、公務上の負傷というものはだれが見ましてもはっきりわかるのですけれども、公務上の疾病という定義、判定と申しますか、先ほどもいろいろ御議論がございましたけれども、きわめて不明瞭な場合が多いわけでございまして、これに関するいろいろな希望もありますし、また所要のいろいろな改正等々の作業も行われておるわけであります。 職業病と言われております頸肩腕症候群あるいは非災害性の腰痛、急性心臓死、こういうふうな内容の災害がふえておるわけでありますが、そうした認定基準がむずかしくて認定されない場合が多い、こういうふうに言われておるのですが、これらの認定状況というものはどういうふうになっておるのか。また、こうした職業病的な傾向がふえておるというのであれば、認定する方向で新しい客観的な認定基準を明示するように努めるべきである、こういうふうに思うわけでありますが、その点いかがでありましょうか。
○宮尾政府委員 外傷の場合には、公務に起因する災害であるかどうかということは非常に明確にしやすいケースが多いわけですが、心臓病とかあるいは頸肩腕症候群というようなものにつきましては認定になかなか時間を要し、相当専門的に研究しなければならぬというケースがたくさんあるわけでございます。 そこで、頸肩腕症候群の認定状況でございますが、これは基金本部に出てきておるものについて私どもとして調べてみたわけでございます。これは年度によりましていろいろと変動がありますので、単年度だけで申し上げるのはあるいはいかがと思いますが、たとえば五十一年度におきましては、保母さんに限ったものですが、頸肩腕症候群の認定件数は公務上と認めたものが二十一、公務外が二十一というような状況で四十二ほどあります。五十四年度は若干数字が低くて公務上二、公務外五、こういうような認定状況になっております。いずれにしても、こういうものが本部協議に出てくる事例として非常に多いことになっております。 そこで、そういういろいろむずかしい病気について認定基準というものをもう少し明確にする、あるいは緩和をするということはどうか、こういう御質問でございますが、公務災害の制度のたてまえといたしまして、公務との相当因果関係というものを緩和するというのはなかなかむずかしい話でございまして、公務との因果関係というものをむしろ的確に判断をする努力というものをもっとする必要がある。認定の誤りがあって公務上であると認定すべきものを公務外と認定をしてしまうというようなことのないように、さらに努力を積み重ねていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。 これはひとり地方公務員の災害補償の問題だけでなくて、労災とも通ずる基本的な問題でございますので、そういう基本的な制度の仕組みの中でいま申し上げましたような的確な判定をする、こういうことについてさらに努力をしていきたいと思っておるわけでございます。
○部谷委員 次に、申請して認定されるまでの期間が非常に長い、そういう不平が多いと聞いております。大体平均的な期間はどれくらいなのか、それから審査を受けるための資料、これが複雑であるというふうに言われておるのでありますが、これを簡略化していく、そういう御検討はなされておるのかどうか。さらにまた、たとえば学校の先生で例をとりますと、所属長である学校長から市の教育委員会へ行き、また県の教育事務所へ行き、あるいは県へ行ってさらに基金に送られるという、大変多くのところを経由していくわけでありますが、こうしたものの簡素化、そういったものは考えられないものかどうか、お尋ねをいたします。
○宮尾政府委員 認定に要する日数等の問題でございますが、これは五十二年の状況で調べたものでございますが、災害発生から基金支部の認定までに要した日数は、四十八日間が全体の平均でございます。それから、全体の件数の中で一月以内に処理ができておるものが四五%、六十日以内で処理ができておるものが全体の八〇%、こういう状況になっております。できるだけ迅速に処理をしていく、こういうことで基金も努力をし、私どももそういう指導をしておりますが、なお工夫を要する点等については改善を加えて迅速化を図っていきたいというふうに考えております。 そこで、書類をもっと簡略にできないかということですが、この認定というのは書面審理を基本とするたてまえになっておりますから、そこで先ほどもいろいろ御議論の中にありましたように、むずかしい病気等でいろいろな角度から検討しなければならない、こういうことになりますと、当然それに必要な書類もたくさんになってくるというケースがどうしてもあるわけです。ですから、提出書類等について、もちろん簡略化できる点は今後も創意工夫をこらしながら簡略をする方向で検討をしなければならないと思いますが、難病等の場合にはどうしてもそういう書類が多くなってくる、こういうケースがあることも御理解をいただきたいと思います。 それから手続が、教育委員会へ行ったりいろいろなところを通していくために時間がかかる、こういう点については、本人のいろいろな提出書類だけでなくて、任命権者のサイドからも、公務上のものに起因するかどうかということに関連をする参考資料を求めるという点もありますので、必要なところにはやはり意見を聞いたり回したりというようなことが出てくるだろうと思います。これもしかし、いまの点について全く創意工夫をすべき点がないかどうかという点については再検討して、簡略できるものがあれば簡略化していきたいというふうに思っております。
○部谷委員 司法上の取り扱い、言葉の中に、疑わしきは罰せずというのがあるのですが、いま非常に期間が延びる、そうした原因の中に、疑わしきを認定していないからそういうふうになるんだと思うのですが、その辺が少し緩和されなければならない、考慮されなければならない問題点として残っておるのではないかというふうに考えますが、これは御答弁は要しません。 次いで、消防の関係についてお尋ねをいたします。 第九十回臨時国会で消防施設強化促進法の一部が改正されまして、施設整備の促進が図られておるのですが、そのときに六項目にわたる附帯決議が付せられました。その中で「消防職・団員の職務の特殊性にかんがみ、その処遇改善を図るため、出動手当等の増額、勤務体制の改善、職場環境の整備等に努めるとともに、消防団員については、その報酬の改善、退職報償金の充実、服装の改善等を図り、団員の確保に努めること。」というふうな決議がされております。 この決議が本法案に直接関係があるわけではありませんけれども、特に消防団員というものは、犠牲的な奉仕精神に基づきまして災害から郷土を守るために活動しておるのでありまして、地方都市においては、消防団員の初動活動によって災害を最小限に食いとめて大きな成果を上げておるということは、いろいろな資料の中で示されておるところであります。 そこで、こうした非常勤の消防団員に対する災害補償の水準、これはどうなっておるのか、地方公務員災害補償法第四十六条によりますと、警察職員あるいは消防職員等、いわば生命、身体を張って危険に直面しながらそういう仕事に従事される人々については五〇%の加算、こういうことが認められておるわけでありますが、消防団員や水防団員、そういう人々にはそのような措置がとられておるのかどうか、お尋ねいたします。
○鹿児島政府委員 非常勤の消防団員の公務災害補償につきましては、基本的に一般の公務員と均衡のとれた措置をとるということがたてまえになっております。ただいま御指摘がございました一般の公務員の場合、警察官、消防職員等のいわゆる特殊公務災害補償でございますが、これにつきましても非常勤消防団員の場合にはその損害補償の基準を定める政令によりまして、特殊な公務災害につきましては特殊な割り増し措置をとるという措置をとっておるところでございます。
○部谷委員 団員についても、そのような大体類似の措置がとられておるということでございます。そうありたいものだと思うのですが、常勤職員に対しましては公務員としての身分の保障がされておるわけでありますが、消防団員のような非常勤職員にはもちろんその定めがないわけでありまして、まして身命を賭して非常の場合にいわば協力をしてくれる、そういう立場の人々に対しては、さらにそれを上回る処遇措置をすることが私はむしろ適当ではないかと思うのでございます。これはどうでしょうか。そうしたボランティアに報いる姿勢というもの、これはできたら大臣の方から御答弁をいただきたいと思うのであります。
○石破国務大臣 お答えいたします。 消防団員の皆さんの処遇の問題でありますけれども、御指摘になりましたとおり、消防団員は消防職員と相協力していただきまして、全く犠牲的な精神から地域の皆さんの生命、身体、財産を守るために、献身的な御努力をいただいておる方々であります。 不十分ながらも、公務災害補償につきましてはおおむね消防常勤職員と同じような処遇をすることに相なっておりまするが、何分にも犠牲的な精神からお働きいただいておる方々でありますから、あるいは報賞制度でありますとかあるいはその他の叙勲制度でありますとか、精神的な面で感謝の気持ちをあらわすようにしておるわけでありますけれども、今後ともその辺につきましてはさらに努力し、団員の皆さんの御好意にこたえなければならない、かように考えております。
○部谷委員 最後に一点お尋ねをしたいのでありますが、去る八月十六日に発生した静岡駅前のゴールデン街のガス爆発事故、これは多数の犠牲者を出しました。消防職・団員五名が殉職され、さらに三十名が負傷されるという犠牲を出したわけでありまして、これに関連をいたしまして、現行のガス事業法においては、ガス事業に関して消防機関がガス事業者を指揮監督できる道が閉ざされておる、非常に大きな不合理があるというふうに指摘をされておるのでありますが、この点について所要の措置をとられておるのかどうか、この点最後にお尋ねをいたします。
○鹿児島政府委員 お話がございましたように、去る八月十六日の事故におきましては、消防職・団員三十五名が殉職あるいは負傷いたしておる状況でございます。 このような状況にかんがみまして、私どもといたしましては、ガス事業法の中におきまして消防機関が関与し得る道、具体的には一定の必要な報告を求め、あるいは立入検査を行い、緊急の場合に措置を命ずる、かような権限が必要であるという認識のもとに、現在関係省と協議を行っておるわけでございます。 具体的には、個々の内容につきまして現在詰めておる最中でございますけれども、さしあたりの問題といたしまして、十一月になりますとガスの需要というものも非常に高まってくる時期になりますし、かかる事故の再発を防ぎますために、とりあえず両省で協議をいたしまして、ガス事業者あるいは消防機関に対しまして一定の申し合わせを行い、初動体制を確保し必要な連絡体制を確立するという形で処置をしてまいりたい、かような形で現在協議を進めておる段階でございます。
○部谷委員 終わります。
○左藤委員長 三谷秀治君。
○三谷委員 昭和四十四、五年ごろから保育所従事者の間に頸肩腕障害、腰痛症というふうなものが発症しまして、四十六年——四十九年にかけて社会的問題として注目をされましたが、その頸肩腕障害などの実態はどのようなものか、お尋ねしたい。 〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
○宮尾政府委員 地方公務員災害補償制度上の頸肩腕の認定上の取り扱いの御質問かと思いますが、これにつきましては、たとえばキーパンチャー等の頸肩腕症候群につきましては、それを職業病として認定をするというようなことにいたしておるわけでございますが、その認定状況の実態は、本部に協議されたものの状況を見ますと、保母の場合、五十一年度では非災害性のものについて四十二件本部協議がありまして、公務上と認定されたものが二十一件、公務外と認定されたものが二十一件であります。それから五十二年では二十五件のうち公務上が十七件、公務外が八件、五十三年では公務上が十六件、公務外が七件、計二十三件、五十四年が公務上二件、公務外五件、計七件であります。 なお、災害性のものについては一件もございません。
○三谷委員 私は、この頸肩腕症の発症の状況についてお尋ねしたのです。
○宮尾政府委員 頸肩腕の発症状況については把握いたしておりません。ただ、公務災害におきます保母の頸肩腕の認定状況と絡めますと、先ほど申し上げたような数字でございます。 なお、保母の関係については民間の保育所の関係もあろうかと思いますが、これについては私どもでは承知をいたしておりません。
○三谷委員 保母さんの頸肩腕症状あるいはその前期症状といいますか、それはかなり広範なものがあることが学者の調査で明らかになっております。 関西医大の細川汀助教授等の共同調査の資料がありますが、これを見ますと、川崎保母会と大師病院という病院の調査によりますと、「肩がこる」というのが八五%、「腕がだるい」というのが六八%、「腰がいたい、だるい」というのが五〇%、こういう数字が出ております。調査対象は保母さん二百三人であります。それから横浜市の市立保育園の保母さん、これは百五十二名でありますが、汐田病院での健康調査の結果明らかにしたのを見ますと、「肩こり・いたみ」が八一%、「腰だるい、痛い」が七二%、「腕だるい、痛い」が四九%に及んでおります。また名古屋市職が四百四十二名の保母さんについて調査した結果では、「肩がこる」が六七%、「頸がこる」が四一%、「腰がいたい、だるい」が六三%。そのほか、東京北区の保母会の依頼で神谷病院が行いました検診とか尼崎市職の調査などによりましても、非常に高い率の症状あるいは前期症状が認められておるわけであります。 こういう状況、つまり一般的、普遍的に保育従事者の間にこういう症状が出ておるにかかわらずこれが職業病として認定をされないのはなぜか、はなはだ疑問に思うわけでありますが、この点をお尋ねしたいと思います。
○宮尾政府委員 預肩腕症候群の問題につきましては、キーパンチャー等の頸肩腕症候群を職業病として認定をしていくということにいたしておるわけでございますが、保母さんの頸肩腕症候群の問題については職業病と認められるようなケースはほとんどないために、個別、具体的にその当該保母の職歴とか勤務状況とか業務量とか、あるいは作業の態様、生活状況、既応の病歴等を調査いたしまして、いろいろな医学的な検討も十分詰めて総合的に判断をしながら、公務との相当因果関係が認められるものについては公務災害と認定をしていく、こういう考え方によって対処をしておるわけでございます。
○三谷委員 私はそこに疑問を持っておりますが、いま申しました調査結果を見ますと、六〇%、八〇%というふうな高い比率で訴えが出ているわけです。ですから、百人調べて一人か二人がそういう症状であるからそれは個人の素因に属するという論理が成り立つ性質のものではない。大部分がそういう状況になっておりますが、その資料は単にいま挙げましたものだけではないのです。たとえば、つい最近関西医大が寝屋川市の依頼を受けて行いました調査の結果を見ましても、非常に高い率の訴えがあるという結果が出ておるわけであります。そうしますと、これはその職業に付随して、関連して発生した病症であるということが認識されるわけであります。 ところが、労働省もお見えになっておるようでありますが、労働省のこの頸肩腕症に対する考え方は相当因果関係という説を非常に固執している。相当因果関係、つまり労災補償制度を損害賠償の一つの形態というふうに判断している。もしもそういうものでありますならば、まあいろいろな問題が出てくるわけでありますが、損害賠償の一形態ととらえるとしますと、必然的に行為と損害との間に相当因果関係が必要である、あるいは公務と障害との間にも相当因果関係が必要である、こういう見地になってくるわけであります。 しかし、私はこの災害補償制度というのは、無過失賠償理論によります損害賠償の制度ではないと思っている。もしもそのようなものであれば、つまり対等な市民相互間の損害の公平な負担を目的とする市民法の次元に立つわけであって、公務員の災害補償というのはそんなものではない。もしも損害賠償という市民法的な次元で物を考えますならば、財産的な損害だとかあるいは精神的な苦痛に対する慰謝料も含まれてこなくちゃいけないわけです。そういうものは全然災害補償に入っていない。 ですから、この災害補償制度といいますのは、憲法二十五条の生存権の保障を目的とする社会法的な次元のものだ。そして二十七条で言っております、すべての国民に勤労の権利を保障していくという観点のものである。その憲法の規定する生存権、勤労の権利の保障を公務員の災害補償の面で具体化し、制度化したのが災害補償の制度である。ですから、今日の社会制度のもとで法則的に発生をします労働災害や職業病の犠牲者であります労働者とその家族の生活を保障し、勤労の能力を回復させる生活権保障の制度ではないだろうか、そういうふうに私は考えるものであります。そういう観点に立ちますと、相当因果関係というふうな損害賠償的な見地でこのものを見る性質のものではあるまいと私は思うのであります。 それから、その点につきましては、そもそもこの法案を提案されました当時の提案理由の説明の中にもそのことがうたわれておるわけであります。これは昭和四十二年の五月十八日の速記録でありますが、ここでおっしゃっておりますのは、「社会保障立法」という言葉が使われて、そして「公務員の生活保障」「福祉というものの増進に役立たしめる、そうして生活の安定に資する」という点が強調されておるわけでございます。 そういう点からしますと、いまの取り扱いはおかしい。この非常に高率な発症者を見ながら、個別に判断をして、個人の素因がどうであるとかこうであるとかいうふうなところで問題をすりかえていくという態度は、災害補償の本質に反するのではないかと私は思いますが、その点はどうでしょうか。
○宮尾政府委員 公務災害補償制度は、被災者に対します逸失利益の補償等を行いながら、職員の生活の安定等にも寄与していく、こういう考え方に立っておることは確かでございますが、この公務災害補償の基本的な考え方は、大変いろいろむずかしい議論があるわけでございますけれども、公務によりまして災害を受けた場合には、無過失責任の原則に基づいてその逸失利益を補償する、こういう考え方に立っておるわけでございます。 その場合に、どういうケースについて補償措置を行うかということにつきましては、その公務と災害との相当因果関係があるものについてそういう補償を行う、こういう考え方をとっておるわけでございます。これは先生も御承知のように、公務員の災害補償の仕組みというものが、労災法の仕組み、考え方を取り入れながら、民間におけるその災害補償制度というものを、公務員の場合にもそれに準拠した形でやろう、こういう制度の仕組みになっているというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、たとえば被災職員の生活安定とかあるいは福利厚生とかいうような、いまある災害補償制度を抜きにしたそういう考え方に立てばいろいろな議論は出てまいるでしょうけれども、私どもとしては、労災制度がとっておる補償制度並びに現在公務員がとっておる災害補償制度というものは、あくまでも公務と災害とに相当因果関係があるものについて補償をしていく、こういう基本的な考え方に立って法律の制度がつくられておる、したがって運用もそういう形の中でできるだけ的確な運用をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○三谷委員 いま法律がそのようにつくられておるとおっしゃっておりますが、法律にはそういう規定はない。 そこで、労働省が「保母等の取扱い」という内部指示を出しておる。そこで、いまおっしゃいました点ですけれども、要するに公務関連性といいますか、公務に関連をして発生したという蓋然的な状況が認められれば、これは公務として扱っていくという性質のものでなければならぬと私は思うのです。 労働省の方がお見えになっておればお尋ねをしますけれども、「作業態様と、いわゆる「頸肩腕症候群」の発症とが医学的に十分解明されていない。」ということが言われております。そういう状況の中では個別に判断をせざるを得ないというわけでありますが、しかし、「なお、この場合においても前記と同様な医学的調査研究をとりすすめてゆくことの必要なことは当然である。」とされている。つまり、医学的に十分解明されていないから、医学的な調査研究を進めることが必要であるとなっておりますが、その医学的な調査研究はどのように進行しておりますでしょうか。
○原説明員 頸肩腕症候群についての医学的な研究についてどういうふうになっているかというお尋ねでございますが、私ども、頸肩腕症候群の業務上疾病としての扱いについては、従来から医学専門家の御検討をいただきまして、専門家会議をもって検討をしていただいておるところでございます。 もともと頸肩腕症候群というのは、典型的な職業性疾病とは異なりまして、どういう生活の中でも発症してくる疾病でございまして一職業性疾病としての特異性を持っていないわけです。そういう疾病の中で業務と因果関係が認められるものについて業務上疾病として扱っていこう、こういう考え方がとられておるわけでございます。したがいまして、現在、労働基準法施行規則三十五条で職業性疾病の範囲を定めておりますが、その規定の中では、上肢の過度な使用によって過度な負担がかかる作業、業務との関係におきますところの頚肩腕症候群については業務上の扱いをするという考え方がとられているわけです。 こういう業務以外のところから業務との関係が出てくる頸肩腕症候群がどういうふうに立証されてくるのか、医学的に因果関係がきわめられるのか、この辺は以前から大変問題があるところでございまして、一部の文献ないし学説等はこの点について広く認める考え方が出ておりますが、上肢の過度使用ということと離れた業務との関係の中では、まだ一般的には研究成果が医学的にコンセンサスが得られるという段階まで達していないようでございます。 私ども、そういう段階ではございますが、各種の研究データ、文献、医学的な情報、こういうものについては常に収集をいたしておりますし、また私どもの方の研究委託等の分野で、この面についての専門家の先生方に研究を依頼している等措置をいたしておりますが、保母さん等についての業務上の因果関係につきまして、まだ医学的に結論が出る段階にはなっておらないというのが実情でございます。
○三谷委員 どのような医学的な調査研究が進んでおりますかとお尋ねしたわけですけれども、御説明は大変あいまいなことであります。 労働衛生学的見地からの研究というのはいろいろ発表されております。滋賀医科大学の研究もありますし、関西医科大学の研究もあります。そして現実の問題としましては、観念的にあれこれというよりも、現実に保母さんの中からそういう症状が多発しているという状態です。これは何といいましてもゆるがせにできない一つの重大な根拠だと思います。ですから、多発しているのがどういう医学的根拠によるものかという研究は、時間がかかれば時間をかけてやってもらってもよろしいけれども、いま発症して実際に苦痛を甘受しているこの保母さんに対してはどういう処置をとるべきか。その場合には当然公務関連性という観点に立って、公務に関連をして発生をしたものである、因果関係というほど医学的な追求が明確でなくても、とにかく公務に関係をしてこの職業についておる方の間に多発している症状であるという現況に立てば、これは何らかの処置を講ずるのが至当であると私は考えるものであります。 いわんや労働省というのは、労働者の権利や生活の擁護という観点に立って行政が行われるべき性質のものでありますし、労働基準法といえば特にその点が重大な使命になっているわけであります。不明確であるから適用しないのでなしに、不明確であるから現実の発症状況に対しては処置をするという態度をとるべきだ。そうでなければ、それではいっ因果関係を明確にすることができるのか、それができるまではこの保母さんの苦痛に対してどのような救済措置が講じられるのか、そういう疑問を私は持つわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
○原説明員 頸肩腕症候群関係の医学的な研究、その見通しについてのお尋ねでございます。 私ども、職業性疾病の範囲等につきまして常に各面からの検討をいたしておるわけですが、頸肩腕症候群につきましては、先ほど申しましたように昭和五十年に専門家会議を持ちまして検討いたしておりますし、さらに昭和五十三年に職業性疾病の範囲を全面的に見直すために専門家会議をまた持ちまして、わが国及び国外の各種の文献をもとにして検討いたしております。 そのほかにも最近の情報等を得ながら常に検討しているところでございますが、諸外国の文献なりあるいは法制度なりを検討してみましたところ、頸肩腕症候群に対する諸外国の扱いは業務上の疾病としての扱いがきわめて少ない。症状自体はそういう形でどこの国にも出ておるわけでございますが、これを業務上疾病として法定している国はわが国をおいてほかにはないというのが実情でございます。 もともと頸肩腕症候群というのは、業務と関係のない場所でも発生する疾病でございますので、その中で業務との関連性を医学的に認められる分野がどの部分か、こういう点に研究の中心がいかなければならないものでございますが、さらに私どもは各種の研究文献あるいは医学的情報を収集いたしまして、新しい結論に従って行政を適切に運営するよう今後とも努力をしてまいりたいと思います。
○三谷委員 腕が痛い、肩が痛いという症状は一般的にある、特に年が寄ればかなり普遍的な症状である、このことは私はわかります。しかし私が申し上げているのは、若い保母さんの中にそういう症状が集中的にあらわれておるという現実の問題です。 いま諸外国の例などをおっしゃいましたけれども、御承知のように日本の保育所の保母さんの政府の認めております定数なんというものは格段に劣ったものです。そのために地方自治体が独自に単費で保母を雇い入れて、そのための超過負担が年々増大をするというような状況にあることも御承知だと思うのです。要するに労働条件と関連をしてこういう症状があらわれてきている。それに対して医学的な研究が不十分だからというのでこれを放任することは妥当ではありません。 関西医科大学の細川汀氏が一九七〇年に日本産業医学会総会で保母さんの頸肩腕障害、背腰痛について発表されておりますが、この内容についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○原説明員 細川医師が日本産業衛生学会で研究報告を行いました結論につきましては、私どもも承知をいたしております。 〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 この研究発表につきましては、発表後に設けられました私どもの頸肩腕症候群に関する専門家会議で、この文献を検討の対象文献として検討いたしておるわけでございます。その専門家会議の結論によりまして、現在の認定基準が示される形になっておるわけでございます。
○三谷委員 その間の経過が明確でありませんから議論がしにくいわけですけれども、時間も余りありません。 いずれにしましても、こういう症状が一般化した状況の中においては、当然それを救済する立場に立つというのが行政の立場です。行政というものは住民の安全や福祉の観点に立つべきものであって、いろいろ議論があるというような場合には、当然多数の住民の救済のために行政がその機能を発揮するという性質のものでなければならぬと私は思うわけであります。これについて公務員部長、どうです。 いま労働省の話を聞きましたけれども、これは災害補償という観点に対する積極性が非常に乏しい。最初に結論があって、その結論を押し通すために何がしかの論理を構成していくというふうな感じを受けるわけです。これについては医学的な研究もやっていかなければいけませんが、同時にこの救済措置につきましても、時間がありませんから申し上げられませんけれども、京都府あたりから再審請求を受けまして、これに対して一定の結論を下しているというような事態もあるわけでありますが、改善のための研究をやってもらいたいと私は思うのです。その点どうですか。
○宮尾政府委員 頸肩腕症候群の取り扱いの問題については、最近事例も多くなってきておりますし、いろいろな御議論というものがたくさんあるということは、私どもも十分承知をしておるわけでございます。 それで、その認定の考え方につきましては、これは基本的にはやはり公務に対する相当因果関係というものをどういうふうに具体的に判断をしていくかということを基本にしなければならないわけでございますが、そのために一つには、医学的にそういう面を早く究明をして、何らかの判定基準というものをさらに具体化できればそれをしていくということが一つ。それから全くそれを公務上の災害と認定をしていないわけではありませんで、先ほど申し上げましたような個別の事情等もいろいろ調べながら、個々の事例に即して公務上と認めるべきものについては認めておる事例もあるわけでございます。 したがいまして、そういう医学的な面からの解明あるいは個別事例の積み重ねというようなものを通じまして、非常にむずかしいこの公務との相当因果関係というものを早く煮詰めて、取り扱いというものが適正になるように私どもとしては努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○三谷委員 大臣、いまいろいろ指摘しました件について、大臣としても努力してほしいと思うのですよ。頸肩腕症候群ですね、これに労災を適用するための努力をお願いしたいと思うのですが、どうでしょう。
○石破国務大臣 頸肩腕症候群の地方公務員の方々の、これを公務災害補償として救済する点についてでありますけれども、地方公務員の公務災害補償制度も、いわば地方公務員の給与とは申しませんけれども処遇の問題でありまして、民間あるいは国家公務員と別個に考えるわけにはまいるまいと思います。一般労働者、さらに国家公務員、地方公務員、平仄を合わせていかなければいかぬと思うのでありますけれども、労働省の関係当局からお話がございましたとおり、医学的にもまだ問題があるようであります。といって、医学的な結論が出るまで待っておれと言って放置するわけにもまいらぬと思います。関係方面ともよく協議いたしまして、一日も早くこういう問題が解決しますように努力してまいりたいと思います。
○三谷委員 終わります。
○左藤委員長 田島衛君。
○田島委員 二、三点聞かしていただきたいと思いますが、それは施行令に基づく別表の中に負担の職務区分に基づく割合があるわけですけれども、たとえば義務教育学校職員は給与総額の千分の〇・五、以下警察職員、消防職員、電気・ガス・水道事業職員等ずっとあるわけですけれども、この別表の内容であるところの職務区分に基づく負担割合の決まったのはいつだったのか、教えてもらいたい。
○宮尾政府委員 この負担金率の定めでございますが、この法律ができた四十五年に定めまして、それを五十四年の政令改正の際に一部改正をしております。
○田島委員 それを伺った上で、この負担区分のこのような割合に決められた理由、それを改めてひとつ簡明に説明をしていただきたいのと、あわせてその四十五年に決められたものが一部五十四年に改定された、その改定の理由を改めてもう一回ちょっと聞かしてもらいたい。
○宮尾政府委員 職種ごとに災害の発生率等も違っておりますので、地方公共団体の負担金率を定めるに当たりましては、御質問にありましたように、義務教育学校職員とかあるいは警察職員、消防職員、清掃事業職員等九種類の職員の区分ごとに、過去三年間の職員数とか補償費、福祉施設費等の業務運営費、さらには職員に支給されます給与総額の実績、こういうようなものを実績調査をいたしまして、そしてそれを基礎にして、職員数、補償費あるいは業務運営費、給与総額、そういうものを将来三年間について推計をして、そして三年間の収支が均衡が図れるような算定をして負担金率を決める、こういうのが基本的な考え方であります。 その率を決める算定方法でございますけれども、それは三年間の全体の総支出というものがどれだけになるかという見込みの金額から、負担金を除く運用益等がございますので、そういうものを差し引いたものを出して、それを給与総額で割ったものを負担金率として定めて、それぞれの団体から負担をしていただく、こういうことにいたしております。 そこで、先ほども申し上げましたように、負担金率がそれぞれの職種によって違うということについては、そういう災害の発生件数が異なっておりますので、そういう点で割合が異なってくるということになっておるわけでございます。
○田島委員 たとえば一例を挙げると、清掃事業関係というのは非常に多いわけですね。これは四十五年初めて決められてからずっと変わっておりませんか、いまのような算定方式でいって。一つの例ですけれどもね。それと、さっきお伺いした五十四年に一部改定していますね。その五十四年の一部改定はどことどこで、それはどのような理由に基づくものか。
○宮尾政府委員 三年ごとにその負担金率を先ほど申し上げましたような観点から計算をし直して必要があれば改正する、こういう仕組みをとっているわけでございます。五十四年のときには、すべての職種について負担金率を変えております。 それから……(田島委員「その理由」と呼ぶ)それは先ほど申し上げましたように、三年ごとにその見直しをする、そのときに見直しをする要素としては職員数が変わるわけでございます。ですから、そういう職員数が過去どういうふうに変わってきておって将来どういうような増減が見込まれるか、それから災害発生件数もいろいろ年によって動いてまいりますから、そこで過去の傾向から見て、将来の災害発生件数とそれに対する補償費というものはどのくらい見込まれるのか、それからそのほかの福祉施設等に要する経費がどれだけ要るのかというような歳出の要因というものの見込みを立てて、それから割る方の分母の問題については当然職員数が変われば給与費も変わってまいりますし、またべースアップ等の要因もどうなのかということを見込まなければならない、そういう見込みを立てて計算をしてみた場合に、いま現在定められておる負担金率を変えた方がいいと見込まれる場合にはそれを変える、こういう仕組みになっておるわけでございます。 なお、一番最初に四十五年と御答弁を申し上げましたが、四十二年の間違いでございますので訂正をさせていただきます。
○田島委員 人間の耳ですから落とすこともあるだろうと思うのですが、いま聞いた中に、一例を挙げて清掃事業関係が千分の三・四と一番多いわけですよ。この当初からの経過、そして清掃事業が本当に、そういう算定の結果そのような数字が必要とされるのか、もう一回ちょっと簡単に説明してください。
○宮尾政府委員 先ほどの御説明に若干補足をいたしますと、職種別にそういう算定をするわけでございますから、当然その災害発生件数が多いところでは負担金率が高くなる、こういうことになるわけでございます。清掃職員につきまして災害発生率というものを千人当たりで見てみますと、六十九・九人という発生件数とされております。いわゆる一般の職種ですと五・五人というような状況、平均で十・四人、全部底ぐるみで十・四人、ですから平均値よりははるかに高い災害発生件数がある。こういうことから、清掃部門の職員についての地方公共団体が負担をする負担金率は他の職種に比べて高い、こういう状況になっておるわけです。 なお、当初に定めたときにはいろいろな見通しを立ててその数字を決めておるわけですが、それが五十四年度の場合に三・六から今回改定後では三・四というように下げておりますが、そういう三年間の推計でございますので、時によりましては負担金率が若干下がったというようなケースも出てくるわけでございます。その点についての御疑念があるとすれば、そういうことでございます。
○田島委員 清掃事業関係のいわゆる補償の原因になる事故ですね、災害というか、それはどういう災害があるのですか。もちろん十分その実績に応じた割合を出しておられることは私も信用しますけれども、警察、消防等の職員に比べて清掃事業が一番災害が多いということはちょっと理解しにくい面があるので、どんな災害があるのか。災害といったっていろいろあります。本人がぼやぼやしておって災害を受ける場合もあれば、そうではなくて大変逆な面もある。それは大体どういう事由ですか。
○宮尾政府委員 清掃関係でございますが、こういう非常に車が混雑をしておる大都会等におきまして、そういう交通渋滞、交通が非常に混雑している中でポリバケツに入ったものを車に素早く入れまして、そしてそれに飛び乗ってまた次のところに回る、そういうような業務形態でありますし、取り扱うものもきれいなものではなくて汚れておるもの、そういうものでございますから、この清掃業務について災害が起きる事例といたしましては、たとえば車等にぶつかってのことだと思いますがむち打ち症状になったり、あるいは皮膚炎を起こしたり目に障害を起こして眼疾患になる、こういうようなケースが比較的多いわけでございます。そこで、そういうことで清掃については特に災害発生件数が多い、こういう結果になっておるというふうに思います。 なお、ちなみに警察職員は千人に対して三十二人でございますが、清掃関係は先ほど申し上げましたように六十九・九人、こういうように約倍以上の発生率を見ておるという状況にございます。
○田島委員 今度の法改正に際しては、この負担割合の改定は必要ないと認めたのか、その資料が整わなかったのか、どっちですか。
○宮尾政府委員 負担金率の改定は、先ほども申し上げましたように三年ごとにこれを見直しをする、こういうたてまえにしておりまして、この前の改正では五十四年度から五十六年度間の三年間の見通しのもとに負担金率の改定をしたわけでございます。したがいまして、次の改定を三年目にやるとすれば、五十七年度から三年間の分を見込んでその所要の改定措置を行うかどうかということを、五十六年度に作業をしてみる必要があるわけでございまして、その際、今回こういった給付内容の改善等も出てまいっておりますので、そういう要素も織り込んで、必要があれば五十七年度からの負担金率の改定の際に改正をするように検討したいと考えておるわけでございます。
○田島委員 その三年ごとというのは何か規則で決まっているのですか、それともどのような理由に基づくものか。もちろん、それは短時間に急速に変わるべきものではないかもしれないけれども、こういうことについてはやはりできるだけその変化に応じて改定されていくことが望ましいと思いますけれども、三年というふうに決められておるのか、それとも便宜上なのか、ちょっとその点説明をしてください。
○宮尾政府委員 三年でなければならないということではございませんし、また三年ごとに何か法律等で決まってそういうことをやっておるというものではありません。ただこれは、たとえばその災害の発生というものも年によっていろいろな変化が出てまいります。また給与等についても、三年ぐらいたてば給与費というものもいろいろな変動があるだろう。したがってめどといたしまして、三年程度の期間で見直していけば、基金財政と補償の支払いというものとの関係で支障が出るようなことにはならぬだろう、こういう見当で慣例としていままでそういうことにいたしてきておるわけでございます。 それで五十四年にそういう改定措置を行いまして、五十六年までの三年間の見積もりをその前にいたしたわけでございますが、私どもとしてはいまの状況では三年間は支払い備金等もありますので運営ができる、今度の改正等による経費の支出増等はこの次の見直しのときに十分織り込んで支障のないようにしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田島委員 特別な拘束がなければ、本来毎年毎年その実績を調査してさしたる変化がなければよろしい、だけれども一年でも大きな変化のある場合もあるのだから、あったらたとえ一年でも二年でもやはり別表だけですから、そのぐらいの改定は精力的にやっていくべきだと思いますけれども、違いますか。
○宮尾政府委員 たとえば、その負担金率の計算の一つの大きな要素となっておる給与というようなものをとってみましても、これは明年度の給与改定が幾らぐらいになるかということは、社会経済情勢の変動によりまして非常に変わり得る要素が大きいわけでございます、毎年毎年という単位で考えますと。ですからそういうものをある程度三年ぐらいまとめて見れば、大きな流れとしてやや近い見通しを立てやすいという要素が一つあります。そうかといってそれが余り長いと、情勢が非常に大きく変化した場合に即応し切れないという問題があるわけでございます。 先生の御指摘は、毎年毎年やれば変化に即応できるように負担金率も実態に合った改定ができるではないか、こういう御指摘だと思いますが、そういう考え方もありましょうけれども、いま申し上げましたように給与等の変動を考えた場合、余り短いとかえってその実情に合った改定率にすることはなかなかむずかしい面も逆にある。そういう観点から過去の経験等も踏まえて三年ぐらいでやっていくのが適当であろう、こういうことで改定をしておるわけでございます。
○田島委員 私は、毎年改定をしろと言ってないのですよ。毎年、一年ごとに調査をして、その調査の結果大して変化がないなと思えばそれまで、たとえ一年でも相当大きな変化があったとしたらそれに即応すべきだろう、こう言っている。それは三年の方がいいという理由があれば別ですけれども、私は三年置いた方がいいという理由は存在しないと思うのですよ。ただ、だからといって毎年改定をしなさいと言っていませんよ。一応ちゃんと一年ごとにでも実績を調査して、給与ばかりが要素じゃないのですから、むしろどっちかというと重要な要素というのは災害の発生ですからね。だからそれを毎年調査をして大した変化がなければそのまま、相当大きい変化があれば一年目だって改定をすることの方がいいんじゃないかと言っておるのですけれども、それでも三年の方がいいのだと言うなら、これは考え方の違いでやむを得ませんけれども、そのことも最後にもう一回聞かしてもらいたいのと、それからいままで聞いてきたことに対する答弁の資料になっておる三年なら三年間のデータ、この負担が適当であると決めておるデータはありますな。後で求めたらちゃんともらえますね。それを二つ確認して、これで最後にしますから答弁をお願いします。
○宮尾政府委員 第一点目は、御指摘の点は十分私ども理解をいたすわけでございます。私どもも三年間の期間について見通しを立てて、その後翌年からほうっておくということではございませんで、毎年その見通しが的確であるかどうかというチェックは、それぞれ大きな変動がある場合にきちんとやっていきます。したがいまして、三年目ごとにというめどでやっておりますが、御指摘のように非常に大きな変化があって、いろいろ前にやった計算をチェックしてみたらこれでは改定する必要がある、そういう事情が出てくれば一年目でも二年目でも必要に応じて改定をする措置を考えていく必要があると思っております。 それから第二点目の負担金率の改定の積算根拠につきましては、後刻また資料を整えてお手元にお届けをするようにいたしたいと思っております。
○田島委員 ありがとうございました。終わります。
○左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○左藤委員長 この際、本案に対し、中山利生君から修正案が提出されております。 まず、修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。中山利生君。
○中山(利)委員 ただいま議題となりました修正案の内容につきまして御説明申し上げます。 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するもののほか、昭和五十六年十一月一日から施行することといたしておりますが、各種改善措置のうち、遺族補償年金の額の引き上げに関する措置については、遡及して本年十一月一日から適用することに改めようとするものであります。 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○左藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○左藤委員長 本修正案については別に発言の申し出もありません。 これより原案及び修正案を一括して討論を行うのでありますが、別に討論の申し出もありません。 これより地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、中山利生君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○左藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○左藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 この際、お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○左藤委員長 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山丘君。
○青山委員 自治大臣にお尋ねしたいと思います。 十月十八日の夕刊を読んでおりましたら、「無罪の半数がウソ自白 “密室捜査”打破を」という近畿弁護士会連合会のシンポジウムの報道がなされておりました。私、それを読んだときに、無罪の半数がうその自白と書いてあるものですから、うその自白をして罪を逃れて無罪になったと判断したのです。ところが読んでみますと、実はそうではなくて逆で——ちょっと読ませていただきます。 「近畿弁護士会連合会第十一回人権擁護大会は十八日午前九時半から大阪市東区の大阪商工会議所ビルで開かれ「刑事裁判の誤判原因」(第一分科会)と「関西新空港計画について」(第二分科会)にわかれシンポジウムなどを行った。「誤判」分科会では、財田川事件などさまざまな再審事件が起きているのをきっかけに大阪、神戸両弁護士会が会員の全弁護士に無罪判決を得た過去のケースをアンケート調査。ここ十年間の二百件にのぼる無罪例を詳細に調べた結果、誤判」——誤判という言葉が正しいかどうか、私も疑問を持ちますけれども、「誤判を生む原因としては「捜査段階でのウソの自白」が八十七件」あったというのです。 「ウソの自白に追い込まれるのは捜査員の誘導警察での長期留置などさまざまな理由があるが、同分科会はこの調査結果をもとに「誤判を防ぐには捜査の密室性を打破することが先決」と指摘。同日午後マル1現在のように起訴後でなく、捜査段階の被疑者にも国選弁護制度を設けよマル2被疑者の取り調べにあたり弁護人の立ち会い権を認めよ——など六項目を決議する。」との報道を受けているのです。 このような報道に対する自治省の見解をまず伺っておきたいと思います。 それからいま一点は、これらの各項目について知っておられるかどうか、知っておられたとすればどのような見解をお持ちか、お尋ねをいたします。
○石破国務大臣 お答えいたします。 ただいま御指摘になりました本年十月十八日付の毎日新聞の夕刊に載っております近畿弁護士会連合会第十一回人権擁護大会で、具体的な数字、たとえば誤判を生む原因としては捜査段階でのうその自白八十七件、その他の数字が載っておりますけれども、これが事実かどうか警察当局もまだ詳細に調べていないようでありますので、直ちにこれについての自分の意見をあれこれ申し上げることはできません。 なお、こういうことを知っておったかどうかというお尋ねでありますけれども、実はきょう先ほどこういう新聞記事があるということを承知した次第であります。
○青山委員 先に進まなければいけませんので、余り深追いをするつもりはありませんけれども、うその自白で無罪になったというケースが、無罪になったうち四三%である、半分近いのです、この報道が真実としての前提の話ですけれども。そうすると捜査に相当な誘導があったのではないか、あるいは強制、脅迫行為、そこまでは言いませんけれども、あったのではないかと私どもはこの報道で受けとめました。 そこで警察庁の見解を求めますけれども、憲法第十三条個人の基本的人権と刑事訴訟法に言う三百十九条一項自白の任意性について、この兼ね合いについての御見解を伺いたいと思います。
○中平政府委員 どうも御質問の趣意がちょっと私も判然といたしませんが、憲法には人権の尊重をうたい、公共の福祉に反しない限り最大限の尊重をする、こういうことになっておりまして、それを受けて刑事訴訟手続の三百十九条でございますか、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。」こういうことに決めてあるわけでございますが、これは当然のことでございまして、刑事訴訟法の第一条にも、この刑事手続を進めてまいるに当たって「この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」こういうことを書いてございます。 したがいまして、私どもといたしましては、犯罪が行われれば当然これを検挙いたしまして、適正な刑罰権の行使という公共の福祉の維持に寄与してまいらなければならぬわけでございますが、同時にその過程におきまして、憲法でうたわれております個人の基本的人権というのは最大限に尊重してまいる、そういうことでございまして、それの具体的な手続を決めたのが三百十九条であろう、こういうふうに解しております。
○青山委員 実は、きょうは捜査と人権についてお尋ねをしたいのですけれども、そのためには現行法制度に触れながら質問したいのですが、その前に一点だけ自治省の見解を伺っておきたいと思います。 一、選挙運動と政治活動というのはなかなか理解しがたい問題だと言われてきました。選挙運動と政党及び個人の政治活動についての見解をお持ちであろうと思います。まず伺っておきます。
○大林政府委員 選挙運動と政治活動の限界の問題は、長年の間その都度非常にむずかしい問題とされております。候補者間の選挙運動の平等あるいは費用の節減というような観点から、戦前からすでにいまのような制度になっておるわけでありますけれども、選挙運動と申しますのは、政治活動のうちでも選挙が特定をされ、特定の候補者の当選を目的として投票を獲得するための選挙人に働きかける諸般の行為、こういう定義が大審院以来一貫した定義でございます。
○青山委員 自治省の見解によりますと、選挙運動とは、一、特定の選挙において、二、特定の候補者または立候補しようとする者の当選を得または得しめるために、三、選挙人に直接間接働きかける行為というものと理解をいたしました。したがって、この三つの要素を欠く行為は選挙運動とはならないはずであります。したがって、立候補前の候補者の選挙運動の準備行為は選挙行為ではありません。また選挙運動にわたらない限り、政党及び個人の政治活動は、公職選挙法で制限された行為以外は全く自由なはずであります。そして、政党の本部または支部において県全体または党全体にわたる根本対策を講じ、政治活動資金を調達、配分する等の具体的行動をしても、それは単に党としての選挙対策の実行にすぎませんので、選挙運動にはならないはずであります。 ところが、正当な政治活動資金を買収資金ときめつけて、地方議員十九人を逮捕し、そのうち十三人を公職選挙法違反で起訴した。実はこれが滋賀事件でありますが、この事件についてはいずれ公正な裁判の結果そのクロシロが判明すると確信しますので、起訴自体の正当性いかんの問題についてはここでは触れません。 そこで、一つお尋ねしておきますが、刑事事件の取り調べ、捜査についての法的規制ないし取り調べ基準はどのようになっておりますか。
○中平政府委員 御案内のように、選挙違反も一つの刑罰法令に触れる行為でございます。したがいまして、刑罰法令に触れる行為を具体的にこれを適用実現していくために刑事訴訟法というのがあるわけでございます。したがいまして刑事訴訟法では、先ほど申し上げましたように第一条でその基本的な理念をうたっておるわけでございます。その理念の上に立って、捜査の目的と基本的人権との調和を具体的な刑事訴訟法の各条文で図っておるわけでございます。 一つには、これには私ども訴追側に取り調べ権というものを認めておるわけでございます。それから一方、今度は被疑者の側につきましては、これまた御案内のように供述拒否権等々で一応不利益な供述をみずからしなくてもいい、こういう保障をしているわけでございます。それからさらに、各種の取り調べの結果得られた証拠、取り調べの記録、そういうものについてはそれぞれ刑事訴訟法で法的な評価を加え、一条で規定しております公共の福祉の維持と基本的人権の保障を全うしつつ、刑罰法令が適正かつ迅速に適用されるようにしてまいっておる、こういうことになっておろうかと思います。 なお、私どもの方では刑事訴訟法の手続を受けまして、内部的には捜査規範というのを決めまして、捜査規範で具体的かつ詳細に私どもの捜査員の守るべき事項というものを決めておるわけでございます。さらに詳しく言えば、それを受けて諸種の指示、教養、通達等なされまして、さらに捜査の適正の徹底を期してまいっている、こういうことになろうと思います。
○青山委員 法的規制ないしは取り調べ基準というものが一応できているということですね。捜査というのは、捜査機関が犯罪の嫌疑のある場合に公訴の提起、追行のために犯人を発見し、証拠を収集する手続であり、被疑者の取り調べはその手続の一環として行われるものであります。 いまおっしゃったように、なるほど憲法で、第三十六条で拷問及び残虐刑の禁止がされて、第三十八条では自己に不利益な供述、自白の証拠能力について規定がしてあります。刑事訴訟法にもそれを受けまして、第一条では基本的人権の保障を全うしつつ等、この法律の目的が定められて、百九十六条に捜査関係者に対する訓示規定ができています。百九十八条には被疑者の出頭要求、取り調べについての規定がなされております。この中には供述拒否権の告知を義務づけてもおります。百九十九条、これは後でちょっと触れます。三百十一条では被告人の黙秘権、供述拒否権、任意の供述についての規定がなされております。 そういうのを受けて、いまおっしゃったように司法警察職員である警察官に関して犯罪捜査規範が制定されて、その中にはこのように規定されておるわけです。たとえば、いま一部おっしゃったけれども、第二条には特に二項「捜査を行うに当っては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。」第三条には「個人の自由および権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。」と法令厳守の規定がなされております。第九条「秘密の保持」、第七章第百六十三条には「取調の心構え」、第百六十四条には「取調の態度」、第百六十五条「任意性の確保」、第百六十六条「自己の意思に反して供述をする必要がない旨の告知」、第百六十七条には「供述の符合を図ることのないように」するということで、「共犯者の取調」の規定が出ています。 そこで、滋賀事件においての取り調べについて触れさせていただきます。 捜査官の取り調べの心構えと態度等については、取り調べ基準ないし法的規制があるわけでありますが、現実の警察権力の運用はさてどのようになっているのか、法のたてまえが厳密に守られているのかどうか、残念ながら、取り調べを受けた数名の人たちから私が聞いた範囲においては、このような取り調べ基準が守られていない、かなりの人権侵害があったのではないかと見受けられる点がたくさんありました。後でちょっと触れさせていただきますが、権力行使の誤りや行き過ぎがあったのではないかと見受けられます。それによって個人の人権がどのように侵害されているのかということを、私は今回幾つか調べてみて感じました。半ば公然と人権侵害が行われていたのではないか。 実は私はこれまで、個人の生命、身体及び財産の保護のために、警察がそれなりの大きな役割りを果たしてくれたと率直に認めております。むしろそういう崇高な使命に対して敬意を払ってきました。いまでもそれは変わりません。しかし、すべての警察権力のもとで、おっしゃったように取り調べが正当に行われていたかどうかということについては、今回幾つかの件から私愕然とした例がたくさんあります。そうなってきますと、そのような取り調べが実は一般的にあったのかしらと認識を改めるようなこともありました。 その点で、第一点ですけれども、警察官は、取り調べに当たってはあらかじめ被疑者に供述拒否権を告知しなければならないことになっておりますが、果たして告知されていたかどうか、お尋ねをいたします。それから、取り調べ警察官が交代した場合には改めて告知しなければならないことになっておりますが、現実には告知されていないのではないかと思われます。被疑者に対して黙秘権、供述拒否権の侵害があったのかなかったのか、お尋ねをいたします。
○中平政府委員 供述拒否権の告知は、被疑者としての取り調べの前提になる必須の要件でございます。したがいまして、これはすべての被疑者に対して行われなければならぬ、こういうものであるわけでございます。滋賀県の選挙違反に関連して供述拒否権の告知が正確に行われていなかったではないか、あるいは取り調べ官が交代したときも当然やるべきものが行われていなかったではないか、こういう御指摘のようでございますが、選挙違反の取り締まりにつきましては、私ども全国的な会議等も開催いたしまして、捜査の適正を一層期するためのいろいろな指導とか指示というものを行っているわけでございまして、今回、先般の選挙についても同様の措置、方針をとっております。 そして、選挙違反の取り調べについては、少なくとも最下級の警察官である巡査ではなくて、巡査部長以上の階級の者、つまりある程度の経験を積み、ある程度全般的な判断のできる幹部をもって取り調べの衝に当てる、こういう原則でやっておりまして、滋賀県警からの報告によりましてもその基本にのっとって一応捜査を遂げた、こういう報告を受けておる次第でございます。
○青山委員 押し問答をするつもりはありません。警察庁は調査されましたね。警察庁の調査では、供述拒否権の告知がなされていたと調査されていると受けとめてよろしいですか。
○中平政府委員 私どもの調査した範囲ではさようでございます。
○青山委員 被疑者の取り調べは任意の供述を求めるのでありますから、強制することは許されません。強制された自白については、これを証拠とすることができないということが憲法三十八条、刑事訴訟法三百十九条に規定されております。したがって犯罪捜査規範でも、「強制、ごう問、脅迫その他供述の任意性について疑念をいだかれるような方法を用いて」取り調べをしてはならないし、また「みだりに供述を誘導し、供述の代償として利益を供与すべきことを約束し、その他供述の真実性を失わせるおそれのある方法を用いて」取り調べをしてはならないという規定がなされております。 しかし、草津市の杉江市会議員の取り調べに当たっては、取り調べ警察官は、これはお金のことですが、後になってもらいましたと言ってもそのときはもう遅い、かえって罪は重くなる、いま素直にもらったと言い、悪かったことを反省すれば、私からも寛大な取り計らいをしてもらうよう、調書にも書くし、上司にもお願いするがどうかと言っているのですね。犯罪捜査規範百六十五条では「みだりに供述を誘導し、供述の代償として利益を供与すべきことを約束」してはならないと規定しているのですけれども、後になってもらいましたと言っても、そのときはもう遅いぞという感じなんですよ。かえって罪は重くなる、いま素直にもらったと言い、悪かったことを反省すれば、私からも寛大な取り計らいをしてもらうよう、調書にも書くし上司にもお願いするがどうか。実は、この話を私直接本人から聞きました。 それから、何でも調べられるんだ、選挙のことだけではない、徹底的に調べる、そうすれば代議士も党もみんなひどいことになると言っているのです。犯罪捜査規範百六十五条では「強制、ごう間、脅迫その他供述の任意性について疑念をいだかれるような方法を用いて」取り調べをしてはならないと規定しているのです。 このような取り調べの後、ありもしない脱税問題をにおわしながら、他に取り調べるぞなどと言って、詐術的、誘導的、脅迫的な言葉を弄してうその供述を強要している。このような警察官の精神的な威迫に耐えられず、県連の副会長である杉江市会議員は、苦悶の末自殺を図るに至ったのです。他の被疑者はみんな自白している、証拠は挙がっている、自白すれば釈放してやる、刑が軽くなるなどとも言って、自白の強要が行われたのではないかと思われます。これは明らかに違法な取り調べだと私は思いますが、御見解を伺いたい。また調査された結果をお聞かせいただきたい。
○中平政府委員 ただいま御指摘の事実は、七月二日買収容疑で逮捕され、七月五日守山署で自傷事故を起こされ勾留執行停止になり、その治療後の八月一日に収監され、八月七日に起訴後釈放された方のことだと思いますが、この問題につきましては近く第一回の公判が開かれるようでございます。したがいまして、今後の公判の維持上いろいろな問題がございますので、公判の維持は当然検察側がやるわけでございますが、その捜査の内容の詳細にわたって御説明を申し上げることは、そういう立場上ちょっと御遠慮申し上げたいと思っておりますが、少なくとも私どもの方で種々調査した結果につきましては、ただいま御指摘のございましたような自白の誘導だとかそういうたぐいのものは認められない。 なお、個別的にいろいろ問題がございましたら、また今後公判の過程で私どもの方も、警察官も証人として出てまいりましょうし、そうした形の中であれしますが、私どもが調べた範囲におきましてはそういう事実はない、こういうように考えております。
○青山委員 警察庁の御答弁ではそういう事実はないということなんです。そういう調査をなされたと思います。 そこで、どのような調査がなされたのか、だれがいつどのような形で、だれからそのような事実がないとお聞きになったのか。現実に自殺者が出ているんです。正当な取り調べを受けて、なお勝手に自殺したというような印象を与えてはいけませんので、それなりの原因があって自殺しようとした、結果的には一命を取りとめておりますけれども、取り調べの中に相当な行き過ぎがあったのではないか、取り調べの誤りがあったのではないかと思われる節があります。そのことは、私は公判との兼ね合いで聞いているのじゃありませんので、誤解をしていただくと困ります。そういう取り調べがあったのかなかったのかとお尋ねしているのです。
○中平政府委員 御指摘の方が逮捕勾留中に自殺をはかられたこと、これは事実でございまして、私どもといたしましても警察の逮捕留置中の人がそういう行為をされたことについての手落ちにつきましては、これは遺憾の意を表しておりまして、内部的にそれぞれの責任はとらせております。ただ、自殺をされるに至った原因ということになりますと、私どもは取り調べが過酷であったということではない、こういうように考えておるわけでございまして、なお御本人からは、かなりいろいろその間のいきさつについて私どもの方からも事情を聴取した記録等もございます。 そういうことで、内容については詳しく申し上げられないわけでございますが、選挙というのは事柄の性格上、これは関係者がたくさんおるわけでございますから、その辺の諸般の配慮が働く場合もありますし、したがって、選挙違反の特に自殺事故等の防止につきましては格段の努力をいたしておりますが、もしそうしたことが起こったときには、内部的にやはりそれなりの責任をとってもらう、そうして今後の事故の絶無を期していきたい、こういう立場でやっておるわけであります。 なお、調査をどういう方法でやったかという問題でございますが、調査につきましては当然そうした自殺未遂の事故がございましたから、当時の県警本部長、担当の刑事部長、そうしたところに私どもの主管の捜査二課の方で詳しく事情を聞かせております。なお、その後も一応私どもの方で、やはり選挙の総括的な反省をしなければいかぬわけでございますから、現地の刑事部長なりあるいは捜査二課長なり通じましてそうした事実関係を十分に明らかにして、今後さらにそういうことの絶無を期するように、そういう立場から具体的な調査をやっておる、こういうことでございます。
○青山委員 現在における御答弁はそれでやむを得ないかもしれません。ただ、一つだけ触れておかなければならぬと思いますことは、私は自殺しようとされた本人に直接会って聞きました。今回の取り調べ事案が原因で自殺しようとされたのではないと、本人ははっきり私に言明をしております。この取り調べを受けた事案が原因で自殺しようとしたんじゃありません。取り調べの中で他の件について調べるぞというような、まあこれは具体的に言いますと、ちょっと誤解を受けるといけませんから読まさせていただきますが、取り調べを受けた事案というのは運動費云々の件です。運動費だったと仕方なく認める供述をしかけたけれども、否認をした。なぜかというと、それはこの取り調べはこれで打ち切り、別の件で徹底的に取り調べると脅迫をされたので、別の件が調査されるのが不安であった。 しかしその後、弁護士に会って聞いてみれば、別の件というのは何ら違法性のものではない、合法的なものだ、これは県連全体で取り扱っている寄付金制度の問題なんです。今回の件とは全く違う問題です。それが脱税行為であった云々などというやりとりも実はありますけれども、自殺をしようとされたこの方の寄付金処理のまずさから脱税行為だとでっち上げられたら党に大変な迷惑をかける、そうなっては申しわけがないと思って、この件が不安になったために自殺をはかった、こう言うんですね。取り調べの中でそのような別件の問題がやりとりされたというのを本人から聞いております。私の印象では、自殺の原因だと本人もはっきり言ってますし、私もそういうふうに受けとめています。ですから、今回の事案による取り調べ云々ではなくて、自白を強要させるために他の問題を取り上げてきたのではないか、それが自白の強要につながっているのではないかと思われます。これはもう少し後になって触れさせていただきたいと思います。 捜査官が被疑者を取り調べるに当たり、偽計を用いて被疑者を錯誤に陥れ自白を獲得するような尋問方法を厳に避けるべきであることは言うまでもないとして、このような自白調書を証拠に採用することを認めない最高裁の判決が昭和四十五年十一月二十五日行われております。 そこで、被疑者を逮捕するにはあらかじめ発せられる令状によるのが原則であって、捜査官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときには、裁判官のあらかじめ発する逮捕状によりこれを逮捕することができる。しかし、裁判官は、相当な犯罪の嫌疑と逮捕の必要性がなければ逮捕状を発してはならない。逮捕に続く勾留についても、裁判官が検察官の請求により発する勾留状については、裁判官は勾留の理由がないと認めるときは勾留状を発しないで直ちに被疑者の釈放を命じなければならないと規定されております。刑事訴訟法百九十九条一項及び百九十九条二項、二百七条二項。 すなわち、逮捕勾留は何らかの罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつそれを必要とされる理由があって初めて容認されるものでありますから、別件逮捕や別件の取り調べのごときは違法捜査と言うべきではありませんか。逮捕状を請求するだけの証拠のそろっていないA罪について被疑者を拘束して取り調べることは別件逮捕となり、違法な捜査であると思います。まあ別件逮捕はよくありますよということでしょうけれども、これらの条文の理解からしますと、別件逮捕は私は違法だと思う。証拠のそろったA罪について逮捕勾留したのに、証拠のそろっていないB罪について取り調べることは同じく別件の取り調べであり、別件の捜査ではないか。 杉江市会議員の取り調べに当たっては、警察官が杉江市会議員に脱税違反をにおわせて、今回の選挙違反容疑を認めないときは脱税行為を取り調べる、こう言って脅迫しているのです。このような別件の取り調べをどのように理解しておられるのか。
○中平政府委員 ある罪名で逮捕勾留中の被疑者を、取り調べ中に逮捕事実とは別の事実を調べる、これを通常別件逮捕、こういうふうに言われているわけでございますが、これは判例でもそういう捜査の手法は認められているわけでございます。たとえばどろぼうでつかまえた犯人がどろぼうの余罪がたくさんあるとか、あるいはどろぼうを調べておったらそのどろぼうが強姦をしておったとか、そういうことがありましたら、これはどろぼうの逮捕留置中に出てきた別の犯罪事実として当然調べてまいるわけでございますから、そういうことはあり得るわけでございます。 ただ、当初からある犯罪をねらって、そのために別の材料を拾ってきてやるという形は、下級審の判例の中ではそういう捜査の手法は適法ではない、こういう判断を下しているのもございます。しかしながら上級審の方ではいずれも、そういう捜査の手法は一応差し支えない、こういうことになっているわけでございます。 ただいま具体的な御指摘のありました何か脱税を云々して買収罪を調べた、これは別件ではないか、こういうお尋ねでございますが、本件につきましては私どもの承知している範囲では、買収の容疑で逮捕した後、先生にはそういうおっしゃり方をされているかもわかりませんが、むしろその方自身の口から若干そういう話が出まして、私どもの方としては、そういうものは本件の買収とは関係ないから、要するにそういうものはわれわれとしては取り上げるつもりはない、こういうことで一応話が終わっておる。したがいまして、そういう問題を私ども取り上げる気持ちもさらさらございませんし、そういう形の処理になっている、こういうふうに理解しているわけでございます。
○青山委員 本人が心配していたのは、取り調べの中で、警察は何でも調べられる、何を調べるかわからない。ちょっと話が横道にそれてはいけませんけれども、滋賀県連には盗聴器をつけておるとか、君の世話になった人たちを呼んで取り調べるとか、いろいろなことを言われますと、その事案については何ら不安を持っていなくても、しかしあの件はどうかなと、本人の無知につけ込まれることがやはりあるのですね。 ちょっと読ましていただきますが、これは本人が私に言ってくれたことですが、やがて再び取り調べが始まるだろう、そのときは脱税容疑としてであり——脱税容疑というのは別件ですよ、全く違う。県連で寄付制度をつくろうではないかと言い出したのはこの本人なんです。別の件で、脱税容疑としてであり、逮捕状執行と同時に報道関係者にもこのことが流されるであろう。そうなれば当県連は、選挙違反と脱税行為との二重の事件で壊滅的打撃を受けるのではないか。 この自殺された方は、その原因は自分がつくったと言うのです。これは死んでおわびするしかない。いますぐ引責自殺をすれば、別件のことは逮捕状も出ていないし取り調べもされていない。これは取り調べた人ですけれども、名前は伏せておきます。いままでこの人との取引、約束とのこともあったので——これは本人が出したようです——自殺をすれば不問にされるだろう。引責自殺するならばいまだといちずに思い込んだ。そこで毛布を頭からかぶって、ズボンのホックで頸皮を裂き切り、両手指を突っ込み、さらに頸皮を引き裂いて指で頸動脈をちぎり、出血多量での自殺を図ったが、水野外科病院の適切な治療で一命を取りとめたというのです。 自殺の経過を聞きますと凄惨な自殺ですね。ズボンのホックをとって自分の首の皮を切り、頸動脈を自分の手で、突っ込んでちぎって、私も医学的によく知りませんが、血管を二本までちぎって三本目に傷が入って、出血多量で苦しんでいるところだった。こういうことのようですけれども、この辺の取り調べが若干誤りがあったのではないか、かなり行き過ぎがあったのではないかといろいろ見られておりますが、警察庁としても自殺がありましたのですでに取り調べについて調査をなさったと思いますけれども、ひとつ十分な調査をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○中平政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは私どもの立場で一応の調査を遂げているわけでございますが、ただいま先生からまた具体的にいろいろと御指摘もございましたので、そういうことも踏まえまして滋賀県警にそういう事実を正確に伝えたいと思います。 なお、この種のことはこれはあってはならない。この種というのは、いまの留置中の被疑者が自殺を図るという問題でございますが、そういう事故があってはならないことでありますし、そうした事故防止の観点からも一応この問題を受けとめたいと思っております。 それから捜査の適正をさらに徹底をしていくためにも、御指摘の事実等につきましては私どもの立場でもまたそれなりに謙虚に受けとめまして、正すべきところは正す、さらにその万全を期していく、そういう方向で努力をしていきたいと思います。
○青山委員 調査をされたということですけれども、引き続き事の解明、取り調べの状況がどうであったか、調査していただけますか。
○中平政府委員 調査をいたすつもりでございます。 この問題につきましては今後公判の問題もございますし、ただいま先生の御指摘のとおりであれば、これは任意性に疑いのある供述を得たということになりまして、当然大変な問題になるケースでございますから、そういう立場からも、私どもはそういうことはない、いままでの調査ではないと考えておりますが、さらにそういう立場からもひとつ十分に事案の真相を明らかにしていきたい、こういうふうに思っております。
○青山委員 滋賀事件の被疑者の取り調べに当たっては、警察官にいすをけ飛ばされ、足払いをされて床に倒されたり、つばを吐きかけられたり、机の上にあぐらをかいてくつを顔に近づけられたりされております。こんな取り調べはないと私は思っていました。しかし私は、直接取り調べを受けた本人から聞きました。それは暴行じゃないかと言ったのです。一体、暴行とはどういうものかと調べてみたのですが、違っていたら指摘してください。暴行とは、人の身体に加えられた物理的力の行使を指して、その物理的力が人の身体に接触することは必要ではないとされているというのです。 そこで、昭和二十九年八月の最高裁の判決ですけれども、「被告人等が共同して、その身辺近くにおいてブラスバンド用の大太鼓、鉦等を乱打し同人等をして頭脳の感覚鈍り意識朦朧たる気分を与え又は脳貧血を起さしめ息詰る如き程度に達せしめたときは人の身体に対し不法な攻撃を加えたものであって暴行と解すべきである。」という判決があるのです。刑法二百八条によれば、暴行罪は二年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処するとありますが、取り調べに当たってこのような暴行が許されるものかどうか。また、もしもこのような暴行が加えられたとすれば、それはそれなりの処分がなされなければならないと思うのですけれども、調査の結果をお聞かせいただき、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○中平政府委員 どの事実を御指摘かよくわかりませんが、少なくとも滋賀県で行われました御指摘の選挙違反全体につきまして、私どもといたしまして、ただいま御指摘になったような事実はない、こういうふうに考えておりますし、私どもの調査からもそういう事実は全く出てきておりません。
○青山委員 これは後で、それではちょっと具体的に申し述べさせていただきます。 それから警察官が取り調べ中に使った言葉です。これはこういうところで使うことは、私は伝えるだけですけれども、伝えることもはばかられるような言葉が使われております。「「バカヤロー」、「なめとんのか」、「うそつき」、」これは関西弁ですね。「「コノヤロー」、「コラッ」、「バカモン」、「なめやがって」、「このガキ」、「五、六発ドツイてやりたい」」等わめきながら、机をけ飛ばしたり横倒しにしたりしたというのです。 私が言っておること全部うそだと思われれば、それは何とも言いようがありません。また、やった、いややらなかったという平行線で水かけ論をするつもりはありませんから、それはどのように理解されるのかわかりませんが、横倒しにされたり、壁に当てたり、頭を押さえたり、額を突き上げたり、えりをつかんだり、いすをけったりしているが、このような行為は暴行罪のほか侮辱罪を構成するものだと考えますが、いかがでしょうか。
○中平政府委員 捜査における適正手続、さらに言えば任意性の確保というのは捜査の基本の問題でございまして、任意性を欠くような捜査をやりますと、当然そういうものは将来公判廷で問題になり、これは無罪になってしまうわけでございます。さらに、ただいま先生から御指摘になったようなことがあると、これは公務員暴行陵虐だとかいうふうな公務員自体の犯罪行為になる場合も出てまいるわけでございまして、私どもは長年にわたって捜査をいかに適正にするか、そういうことで努力をしてきているわけでございまして、幸い御案内のように日本の国では無罪率というのは大変に低いわけでございます。たしか去年は第一審の判決では〇・〇三%でございますが、それであってもなおかついけないということで、捜査の適正を期しておる。 無罪の中には証拠が不十分なものもありましょうし、いろいろな形があるわけでございますが、そういうことで努力をしているわけでございまして、その努力の根幹に触れる問題をただいまいろいろと具体的に御指摘になっておりますので、私どもとしてもこれは大変な、ある意味のショックを受けているわけでございます。私どもの調査の限りにおいてはそういうことは絶対ございませんし、繰り返しになりますが、そういうことがあると、これは今後の公判でも大変な問題になる、私はこういうふうに考えております。
○青山委員 捜査に当たってはばり雑言は許されるものではない。これはお互いに一致した見方だと思います。しかし、竜王町のある町会議員は、破った調書の写真をとって裁判のとき出してやるぞ、実際に調書を捜査した人が破って、目の前で破った調書の写真をとって、裁判のとき出してやる、こういうような一種のおどしに近い行為。それから、中に入って——中にというのは留置場のことだそうですが、中に入って考え直してこい。手錠を勢いよくかけられ、手に食い込む、内出血と書いてあるのです。それから取り調べの最中に、おまえは警察に反感を持っているので、警察への挑戦状を書け、書くまで朝になっても調べ室から出さぬ。事実そんなことはありませんよ。朝まで出されなかったというのではありませんよ。夜遅くまで調べられたというのです。ですが、そのときに取り調べ官から、警察への挑戦状を書け、書くまで朝になっても調べ室から出さぬ、こう言われているのです。これもやはり取り調べの行き過ぎだと私は思います。 それから県会議員の取り調べのときは、おまえの日常生活を聞くために妻、母を警察に来てもらうことにしたといっておどかされた。いすをけ飛ばされ、足払いをされて床に倒されたことが二、三回ある。おまえが罪を認めないので、ある人に来てもらい、この労組を調べ、金の流れを確認することにしたと言っておどかされた。入れかわり立ちかわり刑事が入ってきて机をたたき、耳元でどなられたというのです。それから議員の辞職願を提出せよと迫られたというのです。議員の辞職願を書きなさい。それからいま申し上げた、県連に盗聴器をつけているから全部わかっておるとも言われているのです。それから取り調べ状況を写真撮影され、自宅に送付したと言っておどかされた。事実は送られていません。が、こう言われているのです。 それからこれはちょっと問題があると思うのですが、警察法第二条には「警察の責務」が規定されておりまして、その中には「責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、」「個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と規定されておりますけれども、武村知事の批判をして、県民のためには何もなっていないではないかとか、そのときの参議院候補者の批判もしたというのです。これは私は「警察の責務」の違反になるのではないかと思います。 それから、これは彦根市会議員ですけれども、「こらっ、なにが議員だ、えらそうな面しやがって。議員だろうがなんだろうが、逮捕されたらそこらのチンピラと同じだ。普通の立場とちがうんだぞ。わかっておるのか。」こう言われているのですね。「おまえら人間のげすだ。てめえのようなやつはたたきのばさにゃならんのだ。わかっとるか、聞いておるのか。」人権を傷つけるという言葉を全部知っておられる、本人はこう言うのです。人の心を揺すぶり、人の心を傷つける言葉を取り調べをする人は全部知っておられる。「国家権力の力を思い知らせてやる。日本の警察捜査能力は世界一なんだ。」ここらは本当かもしれませんね。 しかし、「会社や組合をやっつけるぐらいへいっちゃらだ。おれの首をかけてやってやる。こうなったらもう感情だ。」と言うのです。犯罪捜査規範百六十四条には「取調に当っては、冷静を保ち、感情にはしることなく、」云々と取り調べの態度が規定されております。「感情だ。刑事をおこらせたらどうなるか知っているか。刑事をなめるんじゃないぞ。」「今度の日曜日、おまえの家に行って調べ上げてやる。日曜日は子供も家にいるだろうからちょうどよい。パトカーをのりつけてやる。おやじは警察に引っ張られているし、家にはパトカーが横づけされるし、家族や子供もたまったものじゃなかろう。普通の時でも警察が行けばあまりよい気がしなく気持ちがよいものでないのに、パトカーを横づけにされてみい、それは大変なことだ。近所の人々もびっくりするし、家族、子供は大変なショックをうけるぞ。女房や子供に心配させるな。はずかしい思いをさせるな。」こういう取り調べの状況なんですね。 もう時間がありませんから最後にします。このような取り調べがあった。私も実は調査をしてみまして、それまで警察に対して信頼もし、愛着も持ち、それなりの評価をしてきた私にとって、実は愕然とするようなことでした。認識を新たにしたのです。これがもし事実であったとしたら大変なことだ、そう思って、これらの取り調べの中でこうして人権無視、捜査の行き過ぎや誤りが行われて、半ば公然とこうした行為が行われていると思えばこれは座して見逃すわけにはいきません。これは警察庁の刑事局長さんも同じ考えだと思うのです。法のたてまえにのっとって正しい取り調べがなされていると、きっと確信を持っていらっしゃると思うのです。しかし、現実にはこういうのもあった。私が言ったのが全部うそだと言われれば、それはそれで結構かもしれません。しかし、私は信頼をして、数人からこのような事実を確実に私自身が聞きました。最後に御見解を伺って質問を終わります。
○中平政府委員 捜査における人権の保障というのは、先ほど来繰り返しておりますように、これは捜査の基本にかかわる問題でございます。したがいまして、捜査をいかに適正にやっていくかということにつきましては、私ども全国的な指導をしておるわけでございます。ただ、先ほど無罪率が〇・〇三と申し上げましたが正確には〇・三の誤りでございまして、この席をおかりして訂正さしていただきたいと思います。 そういうことでやっておるわけでございまして、この滋賀県の問題につきましても、先生は先生のお立場でいろいろ関係者からも御事情をお聞きになって、御自身自信を持っていまこの席でお話をなさっていると思いますが、この問題というのは、先ほど来言っておりますように捜査の基本にかかわる問題でございますから、私どもの立場でも相当詳細かつ綿密に調べまして、私どもの方では少なくともそういう御指摘のような事実はない。では具体的にどこがどうだということをここで議論しろと言われれば、それなりに私どもは用意がございますが、そういうことは私どもはないと考えております。 しかし、御指摘の事項全般につきましては、確かに捜査の適正というのは今後とも大いに私ども努めてまいらなければならぬことでございますから、そういう趣旨で御質問を謙虚に受けとめまして今後努力を重ねていきたい、こういうように考えております。
○青山委員 もう時間が来ましたのでやめなければなりませんが、一つお願いをしておきたいと思います。 いまるる申し上げました。これらの一つ一つがなかったという裏づけがありましたら、そのような調査をなさって私の方に示していただきたい。もしどういう事件だったかと言われれば、私の方で提示します。調査の結果を示していただきたいのですが、求められますか。
○中平政府委員 具体的に事実を御指摘いただければ、私どもの方でもそれなりの対応をいたします。この問題というのは、先ほど来聞いておりますと私どもとしても大変基本的に重大な問題でございますから、この席でお互いに言いっ放しのようなかっこうでは済まない問題である、こういうように考えておりますし、今後さらに、近くは第一回の公判も開かれるわけでございますから、私どもの立場でも厳正に調べたい、こういうように思っております。
○青山委員 私はいま具体的に提示しました。それをひとつ調査していただきたいと思います。
○中平政府委員 私どもの立場でも具体的に調べたいと思いますが、先生の方でもひとつお調べいただきたいと思います。
○青山委員 終わります。
○左藤委員長 午後四時より再開することとし、休憩いたします。 午後一時八分休憩 ————◇————— 午後四時十五分開議
○左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小澤潔君。
○小澤(潔)委員 私は、農地の宅地並み課税について関係各省庁に対して質問いたしたいと存じます。 昨年末に政府の税制調査会がまとめました土地税制に関する答申を受けて、建設省、国土庁が五十七年度に向けて準備を進めているA、B農地の宅地並み課税に加えまして、新たにC農地も宅地並み課税の実施を進めようとしているやに聞いておりますが、いろいろの問題があると思われますので、それらの問題について質問をいたしたいと思います。 C農地の課税は、現在地価上昇が年々進み、宅地確保がますます困難になり、国民の住宅確保がより一層むずかしくなっている現状から、土地流通の促進と地価上昇の防止を図ろうというものであろうと思います。 確かに、住宅は人間生活の基礎的条件の一つであります。古事記伝を引き出すまでもなく、住むということは夫婦の交合の場所であり、睡眠、休養、教育、エネルギーの再生産の場として、住宅の持つ意味はきわめて高いのであります。 七〇年二月二十日の朝日新聞の投書欄の記事が、私の記憶からどうしても離れません。それは「現在子供三人の五人家族の私たちは、結婚以来この十年間六畳一間の共同アパートに住んでいます。主人は定期便の運転手。仕事の性質上どうしても家に帰ってきたときは休ませてあげたいと思い、私は、どんな寒い日でも、雨の日でも、子供を外に連れだします。せめて家に帰った時ぐらい静かに休ませてあげたい、夜走るので昼間はぐっすり眠ることがどうしても必要です。せめてもっと広い公共の賃貸住宅でもと願っております。」 この投書が物語るように、かつて物議を醸したウサギ小屋の働きバチといった日本人の一面を如実に示しているように思えてならないのであります。経済大国として世界の第三位に位置している日本の見えざる一面が、何とも心苦しくなるのであります。 戦後政府が進めてきた住宅政策は、いわゆる住宅三法があります。低所得者用の公共住宅、中間所得者用の住宅供給公社住宅、そして高額所得者用の住宅公団住宅、いずれも年次計画によって大量建設を進め、今日ではいずれも土地の確保が困難なるがゆえに戸数はかなりダウンいたしているのが現状であり、一面、民間も戦後最大の戸数を建設し、今日では世帯数より空き家戸数が上回るほどの住宅が建設されるに至っているのであります。需要と供給の関係から見て、供給が需要を上回るという状況に至っておるのが現状であります。 このような視点に立つとき、農地に対する宅地並み課税が大都市地域の宅地問題の解決の決め手になるかどうか。むしろ震災による二次災害や、水、エネルギーの供給難、ごみ、下水等の終末処理の行き詰まり、交通難の増加等が付帯して、生活環境をむしろ悪化させる懸念を抱くのであります。 たとえば東京都に隣接する三県を見てみると、かつての東京のように、増加する人口、住宅による無計画なスプロール化の道をたどりつつあるのが実例として示されているのであります。これは世界に類を見ない都市公害問題が拡大することによって、住民は、住宅を確保した代償として環境がますます悪化という耐えがたい反対給付を受けることになるのであります。 私は、現在準備が進められている市街化区域内の農地の全面的な宅地並み課税にはきわめて問題が多いと考えております。そこで、この際問題点についてお伺いしておきたいのであります。 まず第一は、都市への人口集中についての基礎的な考え方についてであります。 過去猛烈な勢いで人口、産業の都市集中が進み、大都市での過密な問題になっていることは御承知のとおりであります。この問題は現在でも基本的に変わっていないと考えられるのであります。そこで政府は、三全総において人口、産業の地方分散、地方定住を大きな柱として掲げ、その線に沿って政策を推進されているのでありましょう。しかしなかなか思うに任せず、依然として首都圏への人口、産業の集積が続いているようでありますが、人口の地方分散は国家的方針であり、地方の時代と言われる今日、ますますその必要は増大していると思うのであります。 こうしたとき、三大都市圏の人口をさらに拡大させることに通ずる市街化区域農地の宅地並み課税は果たして妥当な政策かどうか、まずこの点について基本的な考え方を自治大臣にお伺いし、あわせて国土庁の見解をいただきたいのであります。
○石破国務大臣 お答えいたします。 大都市圏の農地に対しまして課税強化措置をとり、宅地の供給を円滑化しようという考え方はわからぬでもありませんし、ほかに方法なしとするならばやむを得ないと思いますけれども、御指摘のとおり三大都市圏にこれ以上人口が集中しては、とうてい人間らしい生活は営むことができないように思います。農地の宅地並み課税等を行わなくても、日本人はいわゆるウサギ小屋に住んでおるという悪口を言われなくて済むような宅地政策、住宅政策をぜひともやっていただきたいと考えております。
○渡辺説明員 御説明申し上げます。 最近におきます地価動向等から見まして、現在の土地対策におきましては、やはり三大都市圏における宅地需給の不均衡の解消ということが非常に重大な課題になっているわけであります。この問題の解決のためには、お示しのとおり、基本的には人口あるいは産業の大都市集中を抑制して地方定住を促進していく、それによっていわゆる過密過疎問題を解消して国土の均衡ある発展を図ることが非常に基本的な課題であるということは、そのとおりでございます。 しかしながら、現在三大都市圏におきまして、現に深刻な住宅あるいは宅地難というのがあるのも事実でございます。また今後におきましても、自然増を中心に人口の増加はかなり見込まれるわけでございます。三大都市圏への人口の流入につきましては、四十四年ごろから減少を示しておるわけでございますが、五十一年には、数字の上でございますけれども逆転という現象を示しているわけであります。 しかし、三全総の数字でありますけれども、五十年から六十五年までの全国の人口増が二千万というふうに見込まれておるわけでございますけれども、東京圏と大阪圏だけでそのおおむね四〇%に当たります約七百六十万人の人口増が見込まれておるわけであります。さらに今後におきます世帯分離の傾向あるいは生活水準の向上、こういったものを考慮しますと、三大都市圏におきましてなお相当の宅地需要があることが予想されるわけでございます。 したがいまして、こういったような需要に対応しまして今後とも住宅宅地の供給の促進を図るということが、都市対策という立場から見ますと非常に重要な課題となってくるわけでございます。そういう中で、遊休地の活用とか再開発の促進とかいうものがございますが、その一環として市街化区域内にあります農地の活用も一つの課題となってくるというふうに考えております。 こういった状況の中で、いわゆる宅地並み課税の取り扱いにつきましては、先生すでに御存じのとおりの政府税調の答申がなされておるわけでございまして、国土庁といたしましては、この答申の趣旨に沿って関係省庁と連絡を密にしながら十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○小澤(潔)委員 次に、もう少し具体的にお伺いいたしたいと存じます。 東京圏の人口増は、三全総では二十年後の昭和七十五年において約七百九十万人増と想定いたしておると承知しているところでありますが、これは人口の地方分散等の政策を進めてもなおかつこうなるとしているのか、またその際の都県別の人口想定や住宅宅地供給も一緒に計画されているのかどうか、あるとすれば東京圏の人口や新たに必要な宅地面積を国土庁からお示し願いたいと思います。
○長沢説明員 ただいまお尋ねの点についてお答え申し上げます。 三全総におきましては、今後増加する人口は極力地方で受けとめ、大都市への人口の集中は抑制していくことを目標といたしておりますが、大都市ではすでに集積された人口規模が非常に大きく、この自然増の圧力がかなり強いために、ただいま先生御指摘のとおり五十年から七十五年までの二十五年間をとりますと、約七百九十万人が東京圏で増加するというふうに見込んでおります。このために三全総の場合、埼玉、千葉、神奈川、東京、これを東京圏という区分で呼んでおりますが、この東京圏の定住人口は、昭和五十年は二千七百万人でありますが、昭和七十五年は三千四百九十万人となりまして、これに見合う五十一年から六十五年の十五年間に必要な新規宅地開発面積は約三万九千ヘクタールであるというふうに見込んでございます。
○小澤(潔)委員 次に、宅地供給が不足していると言われる、このことについてお伺いいたしたいと存じます。 宅地供給が足りないという際によく言われるのは、昭和四十七年当時七千九百ヘクタールあった宅地供給が昭和五十三年には三千七百ヘクタールに落ち込んだという数字が出されておりますが、昭和四十八年の最盛期当時の年間百八十万戸を超えるぺースで住宅建設が続けば、約二十年間で全国の戸数が建てかえできる計算になると思われます。したがって、住宅供給戸数が適当な水準に落ちることは至極当然であるし、宅地供給もある程度減少してもよいのではないでしょうか。 昭和五十三年の住宅調査の結果では、全国世帯数に比べ住宅戸数は二百七十万ほど余っているといいます。そういう中で、最近発表された住宅宅地審議会の答申によれば、最低居住水準に達していない世帯、ことに四人から五人世帯用の住宅が不足しているということであります。そして、その世帯数は全国世帯の約一八%、約六百万世帯あるといいます。 これらのことを考え合わせ、かつ今後住宅供給は市街地再開発や中高層化を重点とすべきであると考えると、新たな宅地供給はそれほど必要ないと思われるが、この点についての計画はどうなっているのか。五年計画なり十年計画なりについてお示し願いたい。全国三大都市圏別、さらには都県別にどうであるかをお聞きしたいのであります。また参考までに、現在の公営住宅の空き家戸数をお示し願いたいと存じます。
○市川説明員 今後五年ないし十年間の宅地の必要量につきましてお答え申し上げます。 今後の見通しにつきましては、実は現在建設省におきまして、五十六年度から六十年度までの五年間、それから六十一年度から六十五年度までの五年間、合わせまして十年間の宅地需給長期見通しにつきまして全国、それから首都圏、近畿圏、中部圏の圏域別に、どの程度の需給の見通しになるかということを作業しておる最中でございます。この結果につきましては、今年度中に出すつもりでおります。 したがいまして、具体的な数字をいまお示しすることはできないわけでございますが、現在の時点におきまして大ざっぱな私どもの見通しをごく簡単に御説明いたしますと、大都市圏を中心といたしまして、住宅宅地に対する根強い需要は今後ともまだ続くというふうに判断しております。 たとえば、今後五年間ぐらいについて見ました場合には、五十一年度からことしまでの五年間につきまして第三期住宅建設五カ年計画というのがあるわけでございますが、それに対応して必要となる宅地の量は、新市街地において六万六千ヘクタールという計画がなされてございます。たとえば、これと比較いたしました場合、今後五年間に必要とされる住宅建設戸数は、第三期よりもかなり落ち込むことが予想されてございます。 それから今後の住宅の立地動向は、たとえばマンション建設等は都心に近いところ、私どもは既成市街地と呼んでおりますが、既成市街地への立地の方がふえてくるのではないかというように見ておりまして、今後五年間で見ました場合の新市街地における新規に宅地を必要とする量につきましては、いままでの五年間に比べまして相当量下回るものではないかというふうに私どもは思っております。
○伊藤説明員 御説明申し上げます。 公営住宅の空き家戸数の現状でございますが、手元にあります数字は、五十四年度に新しく建てました公営住宅で新規に募集いたしましたものが全国で五万二千四百七十戸でございます。そうして五十四年度末、ことし三月三十一日現在で、その五万二千四百七十戸の中の空き家のままで年度を越したものが五千五百十四戸、一〇・五%でございます。 ちなみに東京圏、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県でいまの数字を申し上げますと、募集しましたものが五千五百六十三戸、空き家が四百八十二戸、約九%ということになっております。
○小澤(潔)委員 さて、新たな宅地需要がその程度必要として、次に宅地供給政策の進め方について建設省にお伺いをいたしたい。 第一点は土地利用の進め方についてであります。 現在、都市中心部は銀行やデパート、企業の事務所等が占拠し、中小企業や宅地は郊外へと移動しております。住宅は職住接近が理想であり、ヨーロッパ諸国ではそうなっていると聞き及んでいるのでありますが、わが国では通勤に一時間を要するのはむしろよい方であると言われております。そして東京の区部の人口は減り続けていき、都心部の中央区や千代田区では小学校の存廃が問題となっているようであります。これは都市計画が十分ではないからではないでしょうか。都市計画は、計画的に公共施設を含むさまざまな土地利用が調和を保って混在する可能性を保証するところにあると私は思うのであります。 都市の市街化区域といっても、都市施設の整備がおくれている現状では、農地や山林は安全と環境保全のための緑地として保全することが望ましいし、ましてや市街化区域とは名のみで、道路も上下水道も公園、学校もないC農地まで宅地並み課税で土地利用の転換を図っても、多くはミニ開発を促進するだけとなるでありましょう。 このことを地方自治体ははだで熟知しているからこそ、A、B農地の宅地並み課税を骨抜きにしているのではないでしょうか。ことに東京の現状において三多摩地区は、西多摩の山間部を残してほとんどが市街化区域に編入されており、この広大な地域全部に住宅がべったりと建てられるような町づくりが仮に推進されることを思うと、緑やオープンスペースはどうなるのか、交通問題はどうなるのかということだけを取り上げても恐ろしいことであります。 したがって住宅宅地供給は、良好な町づくり計画の一環において進められるようにするとともに、再開発や中高層化などを重点に推進すべきと思うがどうか、お伺いをいたしたいと存じます。 第二点は、住宅を需要する側の事情についてであります。 私の選挙区である北多摩地区などでは、マンションでも建て売りでも最低で一月三千万円はしているようであります。個人にお金を貸して現在平均居住水準に到達していない世帯の方々に持ち家を確保させることは非常にむずかしいと考えられます。したがって、宅地並み課税を課して農地の宅地化を推進し、民間業者の方々がそこにマンションや建て売り住宅を建設して住宅供給を図るといういままでの住宅宅地供給方式は限界に達していると思うのでありますが、この点についてはどう考えておられるのか、お示しをいただきたいわけであります。公共賃貸住宅の供給を改めて推進する時期であろうと思うがどうか、あわせて御答弁いただきたいと存じます。 さらに、供給過剰の現状から見て、たとえば公営住宅から供給公社住宅へ、さらには公団住宅に住みかえがスムーズにできるような措置を講ずるのもぜひ実現すべきであると考えますが、御答弁いただきたいと存じます。 第三点として、比較的低廉で良質な民間賃貸住宅の供給者としては、土地代を考慮に入れないで建設できる農家に期待するところが大きいのでありますが、現在の賃貸住宅の経営は、建築費の高騰にもかかわらず家賃横ばい状態にあります。環境良好な土地に良質かつ低家賃住宅の建設をさらに促進するために低利融資、税制措置等をさらに拡充する必要があると思いますが、今後新たにどのような措置を考えておられるのか、御答弁をいただきたいと存じます。
○市川説明員 私から最初の二点につきましてお答え申し上げます。 まず第一点は、今後の住宅宅地供給の進め方についてでございますが、先生御指摘のとおりだというふうに私ども基本的には考えております。住宅宅地供給といいますのは、とかく需給ギャップ論等で流されてしまう傾向がございますけれども、やはり将来に大きな禍根を残さないようにするためには、緑とオープンスペースも十分とりました計画的に良好な市街地の形成を図っていくということが非常に大事な問題であると私どもは考えておる次第でございます。こういう見地から、建設省では、従来から新市街地における計画的な宅地供給を進めますとともに、あわせまして既成市街地における土地の高度利用の促進という観点からも、最近の宅地供給政策を鋭意進めてまいっておる次第でございます。 御指摘のありました既成市街地の再開発あるいは中高層化等の問題につきましては、特に最近行政的にも力を入れている点でございまして、たとえて例を挙げますと、まず去る第九十一回国会におきまして都市再開発法の改正を行っていただきましたが、ここでは大都市の既成市街地におきまして都市再開発方針の策定を義務づけるとか、あるいは都市再開発事業を施行する主体を従来よりも拡大するとか、いろんな方策を講じておるわけでございまして、これによりまして今後再開発を積極的に進めてまいりたいという考え方に立っているわけでございます。 また、昭和五十五年度の税制改正におきましても、三大都市圏の宅地問題に対処するという観点から、いわゆる中高層耐火共同住宅、税法上は四階建て以上のマンションでございますが、それの建設のために用地を提供した場合につきましては、その譲渡所得課税につきまして繰り延べ措置を認めるというような新しい制度も創設していただいたところでございまして、このようないろいろな手段によりまして都市の再開発、それから高度利用化を大いに進めてまいりたいと考えておる次第でございます。 それから御指摘の第二点でございますが、やはり今後の宅地供給の進め方に関しまして、従来の方式を少し考え直したらどうかというような御指摘でございます。この点につきましては、民間デベロッパーの方々が行っております一つの典型的な方法として、素地所有者から土地を買収して開発を行ういわゆる買収方式による宅地開発というのは、現在、先生が御指摘になりました価格等の面だけではなくいろいろな問題点がございまして、相当停滞状況にございます。特に大規模なものは、ほとんどできなくなりつつあるのが現状でございます。 この点につきましてはいろいろな理由が考えられるわけでございますが、私どもの分析といたしましては、まず第一点といたしまして、素地所有者でございます都市近郊の農家の方々を中心といたしまして、土地所有者の方々の資金需要が一巡してございますために、土地を売却する意欲が減退しているということが挙げられると思います。 それから第二点は、宅地開発を行いますと、どうしても関連の公共公益施設の整備が問題になってくるわけでございますが、その負担が開発者に相当重く課せられるような状況になってまいっておりまして、それを一つの理由といたしまして、宅地開発の事業採算見通しが非常に悪化しておるという問題がございます。 それから第三点といたしましては、宅地開発が行われる地元の地方公共団体におきましては、いろいろな事情から財政事情が悪化する要因になるというような御判断から、開発抑制策が実施されているというのが現状でございます。 そういったいろいろな問題がございますために、従来の方式はそれ自体なかなか進みにくくなっているというのが現状でございます。 したがいまして、建設省といたしましても、今後の宅地開発につきましては、こうした従来の方式による宅地開発がより円滑に進むような方策も いろいろ検討しなければならないとは思っておりますが、そのほかにまず既成市街地の土地の有効利用、先ほど申し上げました再開発、高度利用等を強力に進める必要があるということが第一点。 それから新市街地で行います宅地開発につきましても、できるだけ土地所有者、私ども素地所有者と通常呼んでございますが、素地所有者みずからの手による宅地供給が今後進められるような方策をいろいろ講じていく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 それで、いまの国会でちょうど御審議いただいております農住組合制度の創設などもそういう一環として、私ども土地所有者みずからの手による宅地供給の新しい方式ということで、その成立を強く望んでおる次第でございます。そのほかに、そういうふうにいたしまして開発いたしました宅地を、土地所有者が土地を手放さない状態で需要者に提供できるような方策として、もう少し借地方式による宅地供給というものも見直す必要があるのではないか、そういったようなことも考えておる次第でございます。
○伊藤説明員 住宅局関係で三点ほどございましたので、御説明申し上げます。 第一点は、大都市地域を中心に公共賃貸住宅の供給を促進すべき時期ではないかという御意見でございますが、私どもも大都市地域の現在の居住水準の状況あるいは低所得層、中堅都市勤労者も含めまして、大都市特有の賃貸需要がございます。そういったものに対して、より適切な規模を持った良質な賃貸住宅を公共の手で供給すべきだというふうに常日ごろ考えております。 五十六年度を初年度とします第四期住宅建設五カ年計画におきましても、同じように一層の努力を進めたいというふうに考えております。 ただ問題は、大都市地域で公共賃貸を供給する場合にどうやって建てていくか、用地難の克服の問題がございます。この点に関しまして、先ほど先生のお話の中にもございました住宅宅地審議会の五十五年、今年七月の答申でございますが、その中では、一つは関連公共公益施設整備へ資金をできるだけ重点的に配分をするということで、公共賃貸を建てやすくしようというのが一点。 それから再開発関連事業、いろいろな手法がありますけれども、広い意味の再開発関連事業との連携を強化をしょう。 それからいま計画局の方からも話が出ておりましたが、土地所有者等ともう少し共同事業方式を取り入れながら公共賃貸も建ててはどうかというようなことが指摘されておりまして、五十六年度の概算要求の中で具体の施策として、いまの三つの方向に沿ったいろいろな要求をいたしておるところでございます。 それからもう一点、これは公営住宅の場合には、過去に、戦後相当の努力をいたしておりまして、ストックとしまして百七十万戸ほどございます。東京都の場合にも二十万戸を超しておるかと思いますが、これが相当老朽化し、狭小のものが相当ございます。立地の非常にいいところにあるということでございまして、これの建てかえを進めたいと考えております。これは居住者対策、すでに住んでおる人たちに対する対策を含めてできるだけ円滑に建てかえが進むようにしたいということで、所要の施策の準備を進めておるところでございます。 それから第二点の御指摘は、公共賃貸住宅相互間つまり公営住宅、公社住宅、公団住宅相互に住みかえをもっとスムーズにいくようにすべきでないかという御意見でございますが、大変ごもっともな御意見だと思います。われわれも、居住水準を向上していくためには住みかえが非常に重要である。特に中高層の賃貸住宅の場合には、大きさをかげんするわけにまいりませんので人が動かざるを得ないということでございまして、家族の人数がふえ、世帯構成が変わった場合に、居住水準を上げるためには住みかえが必要だと考えております。 現在は、公営住宅に入っておられる方々の収入が超過した場合に、公社や公団住宅で新規に募集をするというときに二割程度、つまり収入を超過してしまって公営住宅には本来おられない人たちができるだけ公社や公団の方に移っていただくという意味で、優先的に入居する制度がございます。それから公団住宅も相当、七十万戸近いストックがございまして、公団住宅相互間でできるだけ家族の成長に応じて住みかえていただくということで、公団独自の住みかえ制度がございます。 しかしそれ以外の、全体を含めてもっとスムーズにいかないかという点につきましては、確かに現在ございません。先ほど話をいたしました五十五年七月答申では、こういった住宅変更制度を公団だけじゃなくて公営の中の問題公社の中の問題それと公営住宅、公団住宅、公社賃貸住宅相互間の住みかえの措置について検討する必要があると言われておりまして、私どもも今後こちらの方の検討をやりたいと考えております。 三番目に、農家の賃貸住宅の建設に際しまして、低利融資とか税制措置とかそういうものを拡充する必要があるのじゃないかというお話でございます。われわれ政策担当者としましては、土地所有者、農家も含めました既成市街地の中の土地所有者もございますけれども、そういった方々ができるだけ賃貸住宅を自分の土地に建てていただくことを進めていただきますと、お説のとおり家賃を取る場合も地代につきましてそう厳しいことを計上しなくても済むということがあるわけでございます。したがいまして、土地所有者の協力を得て良質の賃貸住宅を供給するというものにつきましては、制度的には四つほど大きなものがございます。 一つは、住宅金融公庫融資によります土地担保賃貸、それから同種のものでございますけれども特定土地担保賃貸というのがございます。これは前のものは五・五%、後のものは四・五%という金利のお金を貸すことになっております。 それから、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法によりますいわゆる農住制度というのがございます。これは当初の十年間、五・五%程度の金利になるように利子補給をするというものでございます。 それからこれは予算補助でございますが、特定賃貸住宅制度というものがございます。これは木賃の建てかえを主眼に置いておりますが、当初十年五・五%になるように利子補給をするという制度でございます。 それから、住宅公団が地主の土地に賃貸住宅を建設しまして、それを地主に分譲します。そして地主がそれを賃貸住宅として経営していくという、民営賃貸用特定分譲住宅制度というのがございます。これも当初十年間五・五%程度の金利になりますが、そういったいろいろな制度がございまして進めているわけでございます。これは毎年毎年事業の実施状況を見ながら制度の改善を行っておりまして、今後も拡充をしていきたいと考えております。 それから税制につきましても同様に、現在法人税、所得税の割り増し償却制度を初めとしまして、不動産取得税、固定資産税についても減税措置がございます。この点につきましても、実際の経営状況その他を勘案しながら改善の努力をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○小澤(潔)委員 さて、ここで若干整理させていただきますと、私はいろいろなことを考え合わせ、また後からこのことについては御質問申し上げますが、農地はできるだけ残すべきである、そして宅地供給は再開発や中高層化を重点に公共賃貸方式を見直しつつ推進すべきであると考え、必要な新規宅地はいわゆる遊休土地や建てかえ期に入っている木造賃貸住宅等の低利用土地が市街化区域に相当あると思うので、まずそれらの活用を図るべきと考えているのでありますが、これら遊休土地や低利用地の面積等の実態についてどのように国土庁では把握しておられるか、三大都市圏の市街化区域や首都圏についてお聞かせ願いたいと存じます。
○下説明員 未利用地についてのお尋ねでございますが、一般的に未利用地と申しますと、そもそも何が未利用の状態であるかといういわゆる基準につきましてもなかなかむずかしい問題がございまして、私どもそういう網羅的な未利用地の把握ということにつきましてはいたしておらないわけでございます。 ただ範囲を若干限定いたしまして、取引されました土地で一定期間たちましても、まだ未利用の状態あるいは低利用の状態にあるものがどのくらいあるかという点につきましては幾つかデータがございますが、一つは私どもが実施しております土地保有移動追跡調査というのがございまして、これは首都圏を中心に全国八つの都県におきましてサンプル調査を行った結果でございますが、五十一年に取得しました土地で三年を経ました五十四年度になってもなお未利用のままになっているものがどのぐらいあるかというのを見た調査がございます。 これによりますと、面積で見ましてまだ未利用状態にあるものが二割程度ございますが、このうち約七割につきましては所有者の側にもう利用の計画が立っておるということでございまして、いわばそういう意味で全く利用の計画がないというか利用の意思がないというのは全体の五%である、サンプル調査でございますけれどもそういう結果が一つございます。 さらに、私どもが所管しております国土利用計画法に遊休土地制度というのがございます。これは同じく取引を経て取得されました一定規模以上のまとまった土地につきまして、一定期間たちましてもまだ使っておらない土地があった場合に、周辺の状況から見ましてここは使うべきであるというふうに自治体が判断をいたしました際には、所有者に対しましてここは遊休土地であるから使いなさいという通知をする、それによりまして所有者の自発性を尊重しながら土地の有効利用を図っていこう、こういう仕組みでございます。 この制度によりまして私どもが把握しておりますデータといたしまして、この遊休土地制度の中の附則遊休土地制度という制度がございます。これは国土利用計画法の附則第二条によりまして、国土法が施行されます以前昭和四十四年の一月一日からこの国土法が施行されるまで、具体的に申しますと昭和四十九年の十二月二十三日までの間に取引された土地で一定規模——一定規模と申しますのは市街化区域でございますと二千平方メートル以上、市街化区域以外の都市計画区域で言いますと五千平方メートル以上、都市計画区域外で言いますと一万平方メートル以上、そういう一定規模以上のまとまった土地でまだ使われていないものがあった場合に、先ほど申しました周辺の状況から見て必要な場合には遊休土地の通知を行うことができるという制度でございます。 これによりますと、この間に取引された一定規模以上の土地というのが全国で約十九万件、八十八万ヘクタールあったわけでございますが、このうち適正に使われてないと見ていいのではないか、未利用あるいは利用度が低い状態にあると一応見ていい土地が、市街化区域について申し上げますと、三大都市圏で約五千件、五千五百ヘクタールばかりございます。首都圏について申し上げますと、二千八百件、二千八百ヘクタールばかりあるわけでございます。 ただこの中には、たとえば市街化区域の中にございましてもまだ周辺の公共施設の整備が進んでおらないとか、あるいは周辺の状況から見てむしろここはオープンスペースのままにしておいた方が望ましいとか、そういうことからいいまして遊休土地に指定して積極的に使うという判断は自治体としてはしない、そういうものがむしろ多いわけでございます。そのうち実際に自治体から遊休土地としての通知が所有者等に対してなされました数字は、三大都市圏で七十四件、七十六・八ヘクタール、首都圏だけを取り出しますと十三件、八・八ヘクタール、こういう状況になっております。
○小澤(潔)委員 さて次に、住宅地政策について私の考えを申し述べ、御意見を伺いたいと存じます。 東京都や三多摩の市町村は、人口の急増による後追い公共施設整備のため膨大な財源負担となり、無秩序な市街地の形成やコミュニティーの破壊など大きな問題を残しております。しかも都市づくりの権限も財源も十分に持たず、自主的な問題解決の力も持たない。辛うじて開発指導要綱による行政指導で防戦をしているのが実態であります。 農地の宅地並み課税による農業追い出しが実行されれば、困るのは農業者だけではなく、地方自治体も同じ立場にあると思うのであります。この端的な表現が、前回五十三年、宅地並み課税問題が政治問題化した際、東京都市長会が行った宅地並み課税撤廃の要請決議であります。 私は、大都市圏での宅地需要が依然大きいことも無視できないし、住宅宅地供給の必要性を軽視するものでもありませんが、それが四十年代の延長的発想ではならないと考えるものであります。新たな発想の基本は、計画的な町づくりとしての住宅宅地供給策でなければならないと思うものであります。すなわち、都市圏、都府県、市町村ごとに人口増加と宅地化の必要量について年次別長期予測を立て、それに基づき土地利用計画を作成し、これと表裏一体となる市街化公共施設の整備計画と実施計画を持つべきであると思います。この場合、土地利用計画の策定に当たっては、再開発や既成市街地での高度利用、不良住宅の建てかえを進め、新規の農地壊廃は最小限に抑える努力が必要であります。 このような考えで新たな住宅宅地政策を行うべきであり、現在のように宅地並み課税をかけて宅地供給を促進し、住宅建設はそのほとんどを民間デベロッパーのみに依存し、良好な町づくりにつながらないような進め方は改め、市町村が行う町づくりを尊重すべきと考えますが、どうでしょう。自治大臣並びに建設省のお答えをいただきたいと存じます。
○石破国務大臣 土地利用の計画化、計画的な土地利用についてでありますけれども、基本的な点から申し上げますると、私は本来自由民主党員でありまして、お互いの生活は民間の自由競争にまたなければ、お互いの生活水準は向上しにくいのではなかろうか。一般的に経済活動を計画的にやってという考え方には批判的な考えを持っておるものでありますけれども、しかしながら土地についてだけは若干考えを変えていかなければいかぬじゃないかと思います。 土地につきましては、幾ら自由競争に任せましても寸尺の土地も増加しません。海を埋めたてるならこれは別でありますけれども、そうでない限りは自由競争に任せておいて土地がどんどんふえ、宅地が自由に手に入るというような世の中は望むべくもないと私は思います。したがいまして、必要なものは必要な行政手段によってどうしても確保しなければならぬと思います。 それも批判が恐ろしいというようなことでありましようか、そこまでの強硬手段はとらないで、大都市圏等のせっかく残っております農地に、土地所有者が農業をいつまでも本気でやりたいのだというようなものに、あえて不当と申しますけれども宅地並みの課税をする。それで、いやいやながら農地を手放さざるを得ぬ、それによって何ぼかの宅地を供給しようというのはどうもちょっとこそく過ぎるのじゃないかと思います。 小澤委員の御発言、先ほど来初めから伺っておりますけれども、御指摘のとおり大都市圏にこれ以上人口が集中してはとてもいかぬと思います。古い発想でありますけれども、かつて田中内閣総理大臣は日本列島改造ということを提言されました。あの当時、時が時でもありましたし、また考え方がどうもちょっと、これは悪口ではありませんが、土建屋的なニュアンスがあったものでございますから非常な批判を受けましたけれども、やはりあの考え方は全国総合開発計画に通ずる考えであろうと思います。 したがいまして、申し上げたいと思いますのは、日本全国土にわたって土地の計画的な利用方法、ある程度強制手段も必要だと私は思います。それを講じても人口の地方分散を図って、そして大都市園に必要な緑地を残していくようにしていただきたいと思います。もちろん都市計画税といい、宅地並み課税でいただく金は地方税であります。地方自治体は大変財源に困っておりますので、欲しいことは欲しいのですけれども、といって大事な緑地をつぶされてしまい、それから計画的な町づくりもできないというようなことでは、ちょっと困ったものだと考えております。
○市川説明員 お答えいたします。 大都市圏を中心といたしまして、住宅宅地に対する国民の需要は相当根強いものがあると私ども考えております。それに対しまして必要な宅地の量を確保することは、行政として当然絶対に必要なことだと考えてございますが、ただその宅地供給を推進するに際しまして、宅地がありさえすればいいという考え方に立つことは、先生御指摘のとおり問題であろうと私ども思っております。それを進める場合には、良好な町づくりの一環として進めなければならない。 たとえば、新市街地におきまして宅地開発を行う場合にも、必要な緑とオープンスペースは十分確保し、公共公益施設も十分整えた市街地づくりの一環の中で必要な宅地の量を確保する必要がある。また、同じ宅地の量を確保する場合におきましても、特に都心部に近い既成市街地における再開発、高度利用ということによりまして、良好な町づくりを行いながら必要な宅地の量を確保しておく必要があるという点につきましては、先生の御指摘と私どもは完全に一致しておると判断するものでございます。
○小澤(潔)委員 次に、町づくりと農業についてお伺いをいたしたいと存じます。 東京都三多摩の各自治体は、農業のある町づくりを理想と考えており、多くの自治体は町づくりの基本構想や基本計画において、農業の振興あるいは農業の育成、保全などの項目を設けているのが現状であります。 都市農業は、一つには、東京の場合都民の野菜需要の一〇%以上を賄っているなど、生鮮食料品の供給機能、そしてまた二つには、人間生活に安らぎと潤いをもたらす緑地としての機能、また子供の教育にとっても重要な働きをしているのであります。三つには、地震の際の避難場所としての防災機能など、重要な役割りを果たしていると思うのであります。そしてこの農業は、数多くの熱心な農家がこれを支えているのであります。自治体行政にとってみれば、これら農業者は住民であります。 このような中で東京都は、市街化区域の優良農地の保全育成のための施策や、農林水産省の支援を受けての野菜価格安定対策など、都市農業育成対策を推進し、また私の選挙区である北多摩地区の各市では、市内産野菜を市民へという施策などを推進しているのであります。これらを要約すれば、農業のある町づくりを進めていると言えるのであります。 建設省は、このような町づくりを進めることについて、市街化区域農地は宅地化すべきものであるとする考え方からすると賛成できないのかどうか、お聞かせを願いたいと存じます。 また自治省は、地方自治の立場において、自治体がその基本構想等において計画している町づくりの考え方を尊重いただけると思うがどうか、お伺いいたします。
○市川説明員 お答えいたします。 大都市地域におきます宅地供給を進める場合、やや観点を変えまして整理してみますと、私どもは三つの柱を持っておるつもりでございます。 その第一は、市街化区域内に存在する農地の宅地への利用転換、第二は、先ほど先生の御指摘にもございました未利用地、遊休地の有効利用、第三は、再開発によります土地の高度利用、この三つを並行して進めることがどうしても必要なのではないか。大都市地域におきます最近の宅地需給の逼迫状況から見ますと、このいずれを欠いてもとても需要には間に合わないというのが現状ではないかと思います。 特に農地の実態について見ますと、現在三大都市圏で、市街化区域内には約九万五千ヘクタールの農地が存在するわけでございまして、これらの農地の宅地化ということはやはり一つの大きな課題ではないかと私どもは考えておりますが、しかし何が何でもこの農地すべてを宅地化する必要があるというふうに思っておるわけでございませんで、やはり農業的土地利用との調整は十分図りつつ行っていく必要がある。 一つの表現といたしましては、その農地の存廃が所有者個人の恣意に左右されない形で位置づけられており、それで適正に管理されているものであるならば、むしろそういう農地は都市住民の生活にとっても望ましいのではないかというような考え方もあり得るわけでございまして、そういう意味からも生産緑地制度とか、あるいは場合によりましては穴抜き調整区域とか、そういった問題も含めまして私どもも多角的に考えてまいりたいと思っている次第でございます。
○砂子田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、市町村それ自身はいろいろなスローガンを持ちながら市町村の行政を遂行しておるわけでございます。市町村自身が住民の負託にこたえながらその責務を果たしていくということにつきましては、市町村それ自身が将来どういうふうな発展をするかということにかかわります長期の計画をもって、自分たちの経営の基本としているものだというふうに理解をいたしております。そのために、御案内のとおり地方自治法の中にも、それぞれの市町村におきまして基本構想をつくることを実は義務づけておるわけでもあります。したがいまして、市町村の基本構想というのは、市町村がいろいろな経営をしていきます場合の根幹となる構想でございます。 そういう意味から申しますと、都市計画でありますとかあるいは農業の振興のためのいろいろな計画、その他のいろいろな計画があると思いますけれども、そういうものを基本構想に基づいて作成していくというのが当然であろうと思いますし、御指摘の農業のある町づくりというものにつきましても、その基本は当然に基本構想に即して実施されるべきものだと思います。 したがいまして、市街化区域内におきます農地の宅地化の促進等の問題につきましても、基本構想に示されております市町村の土地利用計画というものについての考え方を尊重しながら、総合的に検討されていくべきものだと考えておるわけであります。
○小澤(潔)委員 次に、自治省にまたお尋ねをいたします。 その一つは、固定資産税制度の中で市街化区域農地に全面宅地並み課税を課すことについて、その考え方なり理由は何であるか、まずお伺いをいたしたい。 二つには、私は農業は収益性の低い産業であるから、農地の価格は安くても当然ではないかと考えております。ただ農地であっても、いつ宅地や道路や工場に転用されるかもしれない可能性がきわめて高いがゆえに、地価が上昇していると思うのであります。したがって問題は、土地政策や都市政策の不合理性ないし無計画性にあるのではないでしょうか。市街化区域の農地はすべて宅地化すべきものかどうか改めて問わなければ、宅地並み課税をかけて都市農業の追い出しを図ることは問題であると考えているのであります。 ことに熱心に農業を続けている農業者が相当数ある現状において、かつはこれら農業者はりっぱな住民であることを思えば、地方自治体の町づくり構想において農業の追い出しを考えることはできないし、だとすれば全面的な宅地並み課税制度は非常に問題であると言わざるを得ないのであります。この点について当局はいかにお考えか、お聞かせいただきたい。
○川俣政府委員 市街化区域内の農地に対しますいわゆる宅地並み課税についての基本的な考え方についての御質問であろうかと思うのでございますが、市街化区域農地に対しますいわゆる宅地並み課税の沿革を振り返ってみますと、昭和四十六年度にさかのぼるわけでございますが、当時は市街化区域内の農地の固定資産税については、周辺の宅地との負担の均衡、さらには宅地化促進という宅地政策上の観点、この二点から課税の適正化を図るべきであるという議論がございまして、実は四十六年度の法改正におきましては、全市街化区域農地について課税の適正化を行うということにされておったわけでございます。 その後、実施の段階におきましていろいろ御議論がございまして、実は昭和四十八年度から、三大都市圏内の特定市の市街化区域農地のうち、A農地及びB農地につきまして段階的に課税の適正化を行うという措置がとられてきておるわけでございます。したがいまして、現行の制度を考えてまいりますと、宅地供給の促進という政策目的に資するために税制上の措置がとられておる、いわゆる政策税制の面が強いというふうに私どもは現在考えておるような次第でございます。 それから第二の問題は、市街化区域内におきましても熱心な農業者がたくさんおられまして、これに対して追い出しを図るようないわゆる宅地並み課税を行うのは問題ではないかという御指摘であったかと思いますが、御承知のように市街化区域内の農地は、いわゆる都市計画法上の市街化区域の中に存在しておりまして、法律上はおおむね十年以内に優先的かつ計画的に宅地化すべきものとされておる地域でございます。そういった意義づけをされました区域内の農地でございますので、先ほどから申し上げておりますような宅地供給促進の観点から現在宅地並み課税が行われておる、かように考えるわけでございます。 ただ、五十五年度の税制調査会の答申におきましても御指摘がございますように、今後農業経営を継続いたす意思のある農地については、やはりいろいろな調整を講ずる必要があろうということにされておるわけでございまして、私どもといたしましては五十七年度、これは固定資産税の一般的な評価がえの年でございますが、五十七年度に向かいまして、税制調査会の答申の御趣旨を体しながら、また各省庁とも連絡をとりながら、この問題についてどのように対処していくべきか、現在鋭意検討中のところでございます。
○小澤(潔)委員 次に、都市農地の宅地並み課税の減額特例措置の廃止についてであります。 C農地の課税と並んで、A、B農地に対しては減額特例措置が、五十六年度までの期限つきの措置がとられております。たとえば東京都の二十三区内ではB農地はなく、A農地が三百十五ヘクタールあり、課税総額は概算十八億となっておりますが、都条例により三分の二の減額措置をとっております。また三多摩地区では、A農地百四十五ヘクタールに対し、ほとんどの市町では八〇%から一〇〇%の減額率で市町税条例をつくっております。このようなことは東京都に限らず、全国の地方自治体の中でも九五%を占めているのが実態であります。 減額対象農地は約八千三百ヘクタールとなり、その金額は固定資産税分約百億円、都市計画税分が約四十億円となり、地方税法の規定によって、このうち七五%を国が地方交付税で補てんをしているのが現状であります。残りの二五%分は、地方自治体がそれぞれ負担しているわけであります。 自治省は、最近この特例措置を廃止することによって交付税を節約するとともに、C農地にも同様の課税を導入しようと考えているやに聞いております。 本年は、冷害により米は例年になく減収となり、減反政策も再考するという事態に迫られており、世界の食糧事情も憂うべき方向にあると言われております。加えて物価の上昇は極力抑えていかなければならない中で、野菜類が消費者物価に与える影響はきわめて大きいのであります。近郊農家のA、B農地は、その大部分が野菜と果物であります。課税がそのまま強化されることは、その生産物に直ちに影響することは言うまでもないことであります。 国民の願望がインフレの抑制と物価の安定にあることは御承知のとおりであります。このようなときに、A、B農地の減額特例措置を廃止することによって起こる物価への影響等について、当局の御回答をお願いいたします。あわせて、課税強化についてはさきにも政治問題となった経過から見て、専業農家を含め一〇〇%の実施を断行する意思がおありかどうか一大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○石破国務大臣 地方自治体が農地に対する固定資産税等の減免措置をとった場合に、交付税によって補てん措置をとっておるわけでありますけれども、これを廃止する意思があるかどうかというお尋ねでありますが、まだそこまで具体化しておりません。先ほど来申し上げましたとおり、大都市圏内の農地、一部はそれは不心得で土地を保有しているのがあるかもしれませんけれども、小澤委員御指摘のとおり大切な緑であります。自治省としましても、あくまでも地方自治体の御要望を尊重しながら、都会地に緑が残るような方向で処理してまいりたいと考えております。
○小澤(潔)委員 最後に、私は土地政策についての意見を申し述べておきたいと思います。 土地に関し、ここ三十年の間にいろいろの法律ができております。まず土地利用計画のために国土利用計画法、都市計画法、建築基準法があります。高度利用のために都市再開発法、宅地供給のために新住宅市街地開発法、土地区画整理法、さらに宅地供給促進のために租税特別措置法、地価の適正のために地価公示法、公共用地確保のために土地収用法、国土の総合開発のための国土総合開発法が制定されております。この所管もそれぞれ多岐にわたっております。 限られた土地、再生産のできない土地の利用に関しては法律は出そろっていると考えられますが、最後の手段として、市街化区域内の宅地並み課税という方途を進めようとしているのであります。 私は、現行法律がそれぞれの目的を持って機能している中で、特に都市再開発法こそ土地の効率利用のチャンピオンになるべきだと思うのであります。次いで土地区画整理法、土地収用法が相互に機能することによって生み出される土地空間は、農地を次々に住宅地に変貌させるための政策より優先させるべきであると思うのであります。かつて日本には、娘が生まれたときにキリの苗を植えまして、お嫁に行くときはちょうどキリが成長して、たんすをつくって着物を入れたという伝統がありました。この親子の情は、日本の農地が生み出した美しいものであります。いまや鉄とコンクリートでつくられた町、また失われていく農地は同時に日本の美しい心まで消失させてしまうのではないかと憂えるものであります。 なお、私は農家の味方であり、農民の一人として、かつ農民の代表として質問をしてまいりました。私の質問に対しそれぞれ答弁をいただきましたが、これからの検討課題がかなり多くあります。次回には、その成り行きとあわせて再びこの問題に対して質問することを付言しておきたいと存じます。ハードとソフトの調和は大都市の町づくりの基本であることを特に強調して、市街化区域内の宅地並み課税問題についての質問を終わります。
○左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十二分散会 ————◇—————