商工委員会 第7号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/11/21
会議録
○野中委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 来る二十六日のエネルギー・鉱物資源問題小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの小委員長からの申し出がございます。 つきましては、小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○野中委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。薮仲義彦君。
○薮仲委員 私は本日当委員会で、人命にかかわるような事故は絶滅したい、そういう願いを込めて質問をさせていただきたいと思うわけでございます。特に、昨日からまた川治温泉での痛ましい災害による事故も伝えられておりますが、御冥福を祈りながら、私は災害あるいは事故によりとうとい人命が失われることをなくさなければならない、そういう決意に立って、先般静岡で発生しました史上二番目と言われる悲惨なガス大爆発事故、この再発を防止したい、そういう念願から何点か質問させていただきますが、きょうは非常に時間が限られておりますので、大臣は別として、政府委員の皆様方、どうか私の質問に対し、答弁書を長々と読むことはおやめいただいて、ポイントを簡潔、明快に短くお答えいただくことをまず要望しておいて質問に入りたいと思います。 まず最初に、警察庁からいただきましたこの経過の資料でございますが、五十五年十月十四日発行の警察庁の資料、そこにこう書いてあります。「第一回目の爆発は、第一ビル地下湧水槽部分に滞留した可燃ガスに何らかの火源により引火爆発したものであろうと思われます。また、第二回目の爆発は、第一回目の地下街の「チャッキリ鮨」「キャット」付近の天井部分等に配管されているガス管が破損し、これから都市ガスの漏れが生じ」「それが滞留し、何らかの火源により引火爆発したものではないかと推定されるところであります」と、こういう事件の概要報告があったわけでありますが、ここで冒頭に何点か確認させていただきたいのは、建設省おいでだと思いますが、このビルは三十九年建設でございますが、その後現行建築基準法が改正されております。現行では、建築基準法施行令の百二十九条の二、建設省告示第千五百九十七号、この基準によって湧水槽の基準が定められておりますけれども、三十九年当時の湧水槽であっても、この湧水槽はいわゆる通気性、それからたまった水をポンプアップする装置、それから汚水等が流入しにくい構造になっていると思うのでございますが、当時の建築基準法を満たしておったか、またいま申し上げた三点はその構造上守られておったかどうか、その点いかがでしょう。
○上田説明員 お答え申し上げます。 先生おっしゃいましたとおり、その後の五十年の改正で、汚水管には通気管を取りつけることが義務づけられておりますが、それ以前のものについては通気管について特に規定はございません。また、実態においてもそこにそういう汚水が流れ込むというような構造にはなっておりませんで、汚水槽と湧水槽とは完全に分離されております。
○薮仲委員 私の質問のポイントは、ポンプアップするようになっておりましたかということを聞いておるのですが、それはいかがでしょう。
○上田説明員 湧水槽部分については特にポンプアップというような構造にはなってない、湧水槽から流れ出したものは、その流末においてポンプアップするという形にはなっていたのではないかと思います。
○薮仲委員 その問題はまたほかの委員会で詳しく聞きます。 次に、警察庁にちょっとお伺いしたいのでございますが、いまの警察庁の報告書で、誤解を生じないために何点か伺っておきたいのですが、簡単な御返事で結構です。 まず、第一回目の爆発を湧水槽部分と特定なさったのかどうか、これが一つ。 それから、滞留した可燃ガス、いろいろ言われておりますけれども、たとえばメタンガスに特定したのかどうか。もしもメタンガスに特定しないならば、都市ガスを含めて他の可燃性ガスの可能性もありとするのかどうか、この点はいかがでしょう。
○加藤説明員 お答えいたします。 第一次爆発の場所をちゃっきり鮨、キャット等の床下、湧水槽部分と断定したかということでございますが、その報告書に書きましたのは、あくまで中間段階、中間検討結果でその辺の可能性が強いということでございまして、最終的に断定をいたしたわけではございません。 それから、第二の、その第一次爆発の原因となったガスはメタンに特定したのかということでございますけれども、これも中間検討の結果メタンの可能性が強いということでございまして、それのみであるということを断定したわけではございません。その他のガスのことにつきましても、現在鋭意検討、捜査を進めておるところでございます。
○薮仲委員 警察庁もう一点だけ。 第二爆発は都市ガスであると特定なさったのですか。
○加藤説明員 第二次爆発につきましては、いろいろ捜査を進めました結果、都市ガスと申し上げてほぼ間違いはなかろうというふうに思うわけでございます。
○薮仲委員 私は、ちょうど大臣がお見えになりませんでしたけれども、この静岡の事故があった後の八月二十八日の商工委員会において何点か指摘いたしました。一つは初動体制、それから消防あるいは関係機関との連絡体系が非常によろしくないという点、それから現場においては、ガス事業法によるガス事業者の遮断権限だけでなく、消防等、いわゆる責任者等による遮断を検討しなさい等々含めまして要望しましたことが、ようやく本日結論として消防と通産の間で申し合わせができたようでございますが、私は当時、静岡のガス漏れ事故に対しましても、警察、消防並びに当該事業者の間で藤枝のガス事故にかんがみて協定のあったことは存じております。協定があってもその精神がなければ何ら事故は未然に防げなかった、その観点に立って、私は協定を結ぶという話し合いができたことはいいけれども、その基本的な姿勢について何点か通産当局のお考えを伺っておきたいと思うのです。 この事故にかんがみまして、東京通産局が静岡瓦斯を調査いたしましたが、ガス事業法に違反事項はございませんでした、こういう報告をいただいておりますが、ここで一番問題にしたいのは、先ほども申し上げましたけれども、私は初動体制についてお伺いしたいのでございますが、この初動体制のとき警察はパトロールカー四台その他警察署員が十九名、最終的には約千名近い九百六十四名の方がその避難誘導に当たっておられますし、消防も第一次爆発のときに、いわゆる第一出動で七隊、指令車、はしご車、総勢三百五十六名が出動しております。それに対して、ガス漏れという通報を受けた当該事業者が一名であった。確かにガス事業法には違反していないかもしれませんけれども、ガスというものは漏れたということ自体、そこに生命の危険と二次災害の大きな危惧をはらんでおる。一名でも事業法には違反しません。事業法そのものではなく、いわゆる事業者が出した保安規程に違反しておりませんということだと思います。しかし、事業者がつくる保安規程は、それは指導監督権限は通産省が持っておるわけです。ならば、一名でも違反がないというその姿勢に私は問題があると思うのです。この点、この事故にかんがみて、一名でいいというお考えにまだ立っていらっしゃるのかどうか、改善するお考えはないか、その点がまず一つ。 それから、パトロールの車でございますけれども、一名であった。そこで、あそこではガス検知器を持っておったけれども、さらに精度の高いFIDという検知器を本社の方へ取り寄せる連絡をした。私は、パトロールカーの中に必要にして十分な器材を積み込んで、どのような対応もできるようにしておくことがパトロールカーとしてあるべき体制ではなかろうか、その体制も一名でいいのか、必要器材を十分そろえるべきではなかろうかと思うのですが、その点いかがか。これも、そうする必要があるかないか、その点が二点目。 三番目。私は遮断弁についても伺いました。これはいわゆる通産大臣の監督権限になりますけれども、工作物の基準を定める省令七十二条、容易に遮断できなければならないと規定されております。あれは歩道の下にあって場所もわからなかった。遮断弁によって遮断したのではございません。私は現地を何回も見ておりますけれども、あれは低圧管を両側を遮断して、詰めて遮断したのであって、約三時間有余の時間がかかっております。この三時間有余ということが果たして二次災害を防ぐ上において、事業法には違反しなかったかもしれませんけれども、この三時間有余もかからなければ遮断できない装置そのものに改善の必要があると私は思います。 この三点について、簡単で結構ですから、必要あるならばある、ないならない、まずお答えいただきたい。
○石井政府委員 ただいまの御指摘の第一点、初動体制の改善に関しましては、いま先生御指摘のように、昨日付でガス事業大都市対策調査会の結論が出されましたので、現在その報告に基づきまして、年内に省令及び必要な告示改正を大車輪で実現するということで、具体的内容につきまして検討いたしておるところでございます。初動体制に関しましては、特に事故の区分に応じまして三区分の出動体制を組み、特に地下街に関しましては第二カテゴリーである二人以上の緊急出動体制を組み、必要な器材を積んだ緊急車によって対応するというようなことで、現在その方向で必要な省令及び告示の改正を準備いたしておるところでございます。 第二点のパトロールカーにつきましても、同様の方向で現在検討を進めておるところでございます。 それから、遮断弁に関しましては、先生御指摘のように遮断弁は一応法律どおり装置されておったのでございますが、その地下街に参ります遮断弁はとりあえず一時間以内には閉められたわけでございますが、その上に建っておりますビルに通ずる導管の遮断は先生のおっしゃったような状態で初めて閉められたわけでございます。緊急遮断装置の創設及び遮断弁の設置、こういったものにつきましてもあわせて省令及び告示で改定をする予定にいたしております。
○薮仲委員 私は決して地下部分の一時間有余というような質問をしませんでしたけれども、適当であったとは思っておりませんので、いち早く遮断できるということが最も好ましい体制だと思いますので、その辺も含めてよろしく御検討のほどをお願いいたしておきます。 ここから大臣、これは大臣にも御意見を伺いたいのでございますが、私が申し上げたいのは、私はさきの商工並びに災害等の委員会でこの点を何回か御質問いたしました。そのときに、このような事故の再発を防ぐために、通産当局としては総点検の実施をいたしました、こういうお話を私はいただいております。総点検の実施をなさった、それはまことに結構なことであると私は思うわけでございますが、総点検の実施をした以降も、依然として同じような事故が幾つも幾つも出てまいるわけでございます。具体的に申し上げますと、九月十五日には静岡市の駒形通り、ガス漏れ、これもやはりガスが路上で火を噴いた。十月十七日には静岡駅前、やはり同じゴールデン街でガスが漏れた。十月二十二日、これは大きな記事になっておりますけれども、プロパン本管を切断して大変な事故になりかねない大きな事故があった。十月二十五日、丸子の路上でやはりガス漏れが起きた。全部静岡市です。十一月七日、静岡市新川一丁目でやはりガス漏れがあった。このようにあの静岡ガス事故以降総点検なさって、事故のないように高圧管、中圧管、低圧管についてそれぞれガス漏れ検知を行っておりますが、こういう検査をなさっても、このように頻繁にガス漏れ事故が発生するということは、ここに大きな問題点があるのではないか。現在の静岡瓦斯の技術上あるいは工事上に問題点が指摘されることはなかったのか、改善しなければならないことはないのか、都市構造も変わっております。不等沈下も起きます。交通量も変わります。埋設管の深さはこれでよかったのか、工法はこれでいいのか、導管の強度はこれでいいのか等々、技術上改善をし、そしてまた改めなければならない問題が数多くあり過ぎるのではないか、こう思うのです。 ちなみに、世間の例で言うならば、食べ物を扱う食品業者が食中毒を起こせば営業停止です。私は、公益事業であり、ガス事業が独占であるという観点から、これを営業停止とかそういうことができないのは百も承知です。ならばなおさらのこと、現在供給している部分が安全であることがまず何よりも優先しなければならない。新規にどんどん事業を開拓するのも結構です。でも、私は、静岡県民の立場から言うならば、いまのガス管、そして技術は大丈夫であるか、安全が確認されて、その上で新しい事業が進められて当然だろう。安全が確認されるかされないかということは、われわれ静岡に住む人間にとっては非常に重要な問題です。この点違反はなかったかもしれないということではなく、やはり総点検の結果いろいろな面で改善もしなければならない。東京通産局は現地に行って指揮をしていないとおっしゃる。私はこれであってはならないと思いますが、今後こういう事故をなくすために、やはりいろいろな意味で技術並びに工法等を考えて改善すべきだと思いますが、その点いかがでございましょうか。
○石井政府委員 静岡駅前ガス事故以降、静岡瓦斯供給区域内におきまして事故が再発しておるということについてはまことに遺憾に存ずる次第でございます。その意味におきまして、八月十六日の事故以後、静岡瓦斯を指導いたしまして総点検を実施させたわけでございますが、さらに事故の多発状況にかんがみまして、十一月七日に改めてその総点検の上に立ちまして、同種事故の再発を絶対防止させるという意味におきまして、すでに起こりました事故と同種の項目につきまして一斉の点検を実施するということ、及び日常点検の強化を図るということを指導いたしたわけでございます。異例でございますが、通産局所管でございますが、私、昨日静岡瓦斯の社長に来ていただきまして、具体的に今後のいわば保安問題、保安強化を静岡瓦斯会社の当面の運営の最優先課題として取り組む体制をつくるようにお願いした次第でございまして、一応会社側といたしましても十一月十四日、各部門の総出動体制をつくりまして、プロジェクトチームをつくり、年内の緊急対策の実施及び恒久対策の実施に全社挙げて取り組む予定と聞いております。
○薮仲委員 わかりました。 きょうは時間がないので、もっと具体的な問題は次回に譲りますが、大臣、なぜ私が言ったかといいますと、いま公益事業部長がおっしゃいました。ところが、ここにまた、地元の新聞には数多く出ているのです。「穴だらけ?静岡のガス管」こう出ているのです。 ここでちょっと簡単にぼんぼんとお答えいただきたいのですが、導管の耐用年数、事業法で決まっておりますか。決まっているか決まっていないか。
○石井政府委員 規定はございません。
○薮仲委員 ガス漏れ検知の方法については、いま、いわゆるボーリングをしてガス検知器によってガス漏れを調べる、あるいは密閉して圧力をかけてガス漏れを検査する、大きく分けてこの二つが法令によって、ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示、これの八十七条等々によって決まっておりますけれども、大きく分けて私がいま申し上げた二つのことだと思いますが、いかがですか。そうであるかそうでないかだけで結構。
○石井政府委員 そのとおりでございます。
○薮仲委員 なぜ私がいま申し上げたかといいますと、これは同じガス爆発があった第一ビル前の低圧管です。これで、いま耐用年数はないとおっしゃったガス管が穴だらけ、これでは四カ所も穴があいておりますよ。私がいろいろ当局に伺ってみますと、ガス管についてはほぼ半永久的で耐用年数は決めておりません、三年に一度の検査はいたします、あるいは高圧管は一年に一度ですといろいろ御説明はいただきます。しかし、密閉して圧力をかけた検査でも発見できなかった、あるいはまたボーリングした検査でも発見できないけれども、掘り起こしてみるとこのように腐食して穴があいておる。こういう事態から、今後やはりガス漏れ検査の技術的な問題をもっと向上させる必要があるのではないか、この点が一つ。 それから、ガス管は耐用年数を決めないということではなく、安全のためにこの経年変化について通産当局として検査あるいは調査して、正確なデータのもとに、何年たったものはかえなさいとか、そういう行政指導があってしかるべきだと思うのでございますが、大臣、この点いかがでしょう。
○田中(六)国務大臣 ガス事業は、薮仲議員御指摘のように独占事業、公益事業であるだけに慎重な上にも慎重を期さなければなりませんし、あらゆる観点から十分行政指導をしなければならないというふうに思っております。
○薮仲委員 大臣にもう一点お伺いしますけれども、この事故は都市ガスの工事がプロパン業者の導管を切断したということであります。これは静岡瓦斯と東海瓦斯の間の事故でございますが、ここに事前の保安連携なし。この両者に保安についての協定がないことがこの事故を起こした理由でございます。これは、行管の指導にもありますように、業者間の安全を確認するため、行管の方から紛争解決のための協定、話し合いの場を持ちなさい、通産はその行管の指導に対して、両業者間において保安引き継ぎ等のための協定等を締結することを促進します、こうなっております。私は、いまプロパンを都市ガスに転換するしないという問題でトラブルがあることは、後刻また詳しく質問したいと思いますけれども、この問題で必要なのは両業者間の信頼と、そして安全確認、技術上の確認と責任を明確にすることが必要で、どうしても協定と、両業者間で立ち会って工事を行うことを原則にしてもらいたい。ということは、昨年あの藤枝で十名の方が亡くなり、三十有余名の方が被害に遭われました。そして一年足らずしてまた静岡はガスの事故に遭っているのです。その藤枝の事故のときに何が約束されたか。立ち会いましょうということを確認されたのです。そしてまた今回もこのようになっております。生命の安全の上から、ガス事業を行う人が立ち会うということと、両業者間で円満に安全等の協定を結ぶということが大前提であります。いま静岡瓦斯とここに協定はございません。各地区会ともございません。大臣、この協定とそれからいわゆる立ち会いの二つについて、私は必要だと思うのですが、大臣のお考えを聞いて、きょうは私時間がありませんので、質問を終わりたいと思うのです。大臣、いかがでしょう。
○石井政府委員 プロパンガスから都市ガスへの転換に際しまして、保安の確保という観点で両当事者の立ち会いを励行するということにつきましては、きわめて有効な対策という先生の御指摘のとおりだと思っております。現在多くの地域におきまして立ち会いに関する規定を含めました協定があることも事実でございます。御指摘の静岡瓦斯につきましては、当該地区につきまして支部段階におきます基本協定はできたわけでございますが、地区会におきます協定について現在両当事者で折衝中と聞いております。私ども地域の実情に即してその協定をできるだけ早く実現できるように指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
○田中(六)国務大臣 いま事務当局が説明いたしましたように、きのうガス事業大都市対策調査会の調査が出ておりますし、その線に沿って、具体的な案ができておりますので、まずそれを実行しつつ、両当事者間の話し合いが進むように私どもも行政指導していきたいというふうに考えております。
○薮仲委員 私の質問はこれで終わりますか、同僚の北側委員の関連質問がございます。私も関連しまして一つ。保安、安全を強化するということには負担がかかってくる。特に液石法を改正いたしますと、その保安強化のために器具に非常に費用負担がかかってくる。こういう費用の負担を考慮していただきませんと、保安、安全の強化は業者、関係者を非常に苦しめる、こういう問題についていかがお考えか。これについては北側委員の方から質問がございますので、私はこれで終わります。
○野中委員長 北側義一君。
○北側委員 きょうは、委員長のお申しつけによりまして時間内ということでございますので、まとめて御質問申し上げたいと思っております。 ただいま大臣からお話のありましたとおり、地下街対策専門委員会の方で報告書がまとめられた。それによりますと、地下街のガス保安体制の強化につきまして、私は当然人命尊重の上からこれは強化しなければならない、こう考えております。しかし、強化をやっていく上で、できないような強化の仕方を押しつけられてもかえって混乱するのみでいけませんので、その点で二、三の質問をやってみたいと思うのです。 まず報告書によりますと、十一項目にわたる報告がある、このように報道されておるわけですが、その中でも特に集中管理システムのガス漏れ警報器、防災センターから遠隔操作ができる緊急遮断弁装置の設置義務づけ、このようなことがいわれておるわけです。そしてまた報道では、十二月中に省令を改正して、ガス会社や地下街のガス使用者に改善、強化策等の実施を義務づける、このようにいわれておるのです。 実は私、この前も質問させていただいたのですか、地下街のテナント、入っておられる方、こういう方は非常に零細な方がたくさんおられるわけです。そういう零細な方にこういう義務づけの費用というものが負担されますと、これは実行不可能だと私思うのです。そういう面から私ちょっと調べてみたのですが、たとえば緊急遮断弁、これは大阪の四つの地下街で調べてみたのです。四地下街でこの緊急遮断弁が六ヵ所、各分岐ごとの遮断弁が四十六ヵ所、合計五十二ヵ所。大体一基の取りつけ費が大阪瓦斯で聞いてみますと約三百万円。そうしますと、三百万掛ける五十二ですから一億五千六百万という金が要るのです。また、ガス漏れ警報器及び電磁弁、これはテナントで持ってもやむを得ないと思うのです、こういうものは普通の家庭でもつけている場所があるわけですから。これが四百二十店で四千二百万。これは四百二十店で一店舗十万ですから、そんなに大きな負担にならぬと思うのです。ところが、集中管理システムですね、いわゆる緊急遮断弁のみを防災センターで集中監視した場合、いわゆる監視盤を含む配線及び工事費、こういうものを見ますと約六千七百六十六万かかる、こう言われております。このように莫大な費用がかかるわけです。やはりこういうものを実施するためには、実施できるような措置を講じなければいけないのじゃないか、私はそのように考えておるのですか、それに対してどのようにお考えか、まずこれをお聞きしたいと思います。
○石井政府委員 御指摘の、ガス漏れ警報装置の設置及び緊急遮断装置の設置等に関しまして、先ほどお答え申し上げましたように十二月中に省令改正をすべく現在急いでおるところでございますが、これに伴います地下街管理者サイドの費用負担ということは、先生の御指摘のようなその辺の額まで達するかどうかちょっとわかりませんが、相当大きなものであることは間違いないところだと思っております。 そういう観点で、私どもとしましては五十六年度開銀融資制度の新設を要求いたしておりまして、ガス漏れ警報器に関しまして、リース事業について開銀から融資をするようにという制度の創設を現在財政当局と折衝いたしておるところでございます。 このほか、中小公庫におきます災害防止枠の活用等を図ってまいると同時に、これはある意味におきましてガス事業者と共同で地下街管理者がこれを設置していくことになるだろうと思いますので、ガス事業者が極力それに協力するようにあわせて指導をしてまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、これの円滑な実現が図れるような必要な資金対策については、今後ともさらに研究を重ねていきたいというふうに思っております。
○北側委員 先ほどちょっと申し上げましたが、十二月中に省令を改正して、そうしてガス会社または地下街の使用者、これに改善強化の実施の義務づけを行う、こう報道されておるわけですが、私がお願いしたいことは、やはりこういうものをやる場合には相手の意向というものを相当聞いて、そうしてこれが実施されるようにならなければこれは事実上押しつけになってしまいまして、そうして結果としては混乱してできなかった、こういうケースがいままで見ておりますと多いわけです。そういう点でこの問題を実施するに当たりましては、やはりそういう地下街の管理者またテナント、こういうところとよく話し合いをしていただいて、そして何とかひとつやってもらいたいと思うのです。たとえば、これはガス事業法ではないでしょうが、防災センターの設置にしましても、地下街がいっぱい埋まってくると、防災センターを設けろと言ったってこれは事実上はできないのです。これは建築基準法から見ても非常にむずかしい問題が出てくるわけです。そういう点をいろいろ事情を聞いてやって、そして相手に納得させてひとつやらせていただきたいと私は思うのです。そうしなければこれは実施不可能じゃないかという感じを私自身は持っておるわけです。その点どうでしょうか。
○石井政府委員 私どもといたしましては、事が保安の問題でございますので、省令を改正した段階におきまして早急にこの実現方を期したいと思うわけでございますが、何分にもいま先生御指摘のような中小企業を含む地下街で、多くの地下街がそういう状態にございますので、これの実施につきましては、地下街の管理者及びテナント、それとそれに供給いたします都市ガス事業者、この間に十分な相談の上でこれを実現するように指導をしてまいりたいと思っております。
○北側委員 時間があともう五分ですので、これでやめますが、これからこの問題につきましてまたいろいろ質問したいことも多々あるのですが、きょうはできるだけ早くやめろ、こういう委員長の指示でございますので、その委員長の指示に従いまして、これで終わらせていただきます。
○野中委員長 米沢隆君。
○米沢委員 私は、繊維製品の国際貿易に関する取り決め、すなわちMFAに関連いたしまして、日米繊維協定の問題、MFA延長並びに適用に関する政府の基本的な方針の問題、綿製品を中心とする輸入急増問題、以上三点につきまして御質問をいたしたいと思います。 まず第一に、いささか旧聞に属しますが、政府の繊維産業政策の姿勢を問う意味で、昨年の日米繊維取り決めの合意内容につき若干の質問をさせていただきたいと思います。 御承知のとおり、昨年の一月、MFAに基づく日米繊維新取り決めが合意されました。それによりますと、日本政府が規制に合意したものは、すでに規制枠が設定されていた六品目と、新しく規制枠を設けられることになりました四品目の合計十品目についての合意であったわけです。昨年の合意の特色は、MFAで言えば、通常の扱いとなる伸び率六%に達しているものは合繊毛混織物の一品目だけでありまして、あとは伸び率ゼロから、伸びても一%から三%の伸び率というきわめて厳しい内容であったということであります。特に毛織物とアクリル紡績糸の二品目につきましては、前年枠をさらに縮小、カットバックした厳しい制限枠でありました。 そこで、まずお伺いしたいことは、このような厳しい規制枠となった背景ないしはこのような厳しい枠を認めざるを得なかった交渉経緯、あるいはこれを認めた政府の真意はどのようなものであったのか、まず大臣から御答弁いただきたい。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 今次交渉、五十四年の交渉の経過につきましてですが、五十一年、五十二年、繊維製品の対米輸出が非常に増加するのじゃないかというアメリカ側の危惧の念が発端にあったわけでございます。それで、アメリカ側は、すべての品目について一定水準以上になれば協議を必要とするということを要求してきたわけでございますが、結果としては、基本のベースは、数量枠は決めない、そして市場撹乱の危険がある場合には協議をするということで、原則自由ということは一応維持したわけでございますが、先生先ほど御指摘のとおり、十品目につきましては、一部前から枠があった面もありますが、十品目については数量の枠が、時期はあれですが、逐次設定されてまいりました。それの基本ベースでございますが、繊維輸出は非常に上下いたしますので非常にむずかしいのですけれども、われわれとしては相当がんばってやっておるつもりでございまして、現実に申し上げますと、アクリル紡績糸等はすでに五十五年、本年からもう枠はなくなりましたが、カットバックの面も一時経過的にはありました。しかし、おおむね毛織関係の御承知の三品目以外は、枠は実績よりも大幅に上回っておるわけでございます。実績の方がずっと下回っておるという実情もございます。それで、アクリル関係の紡績糸につきましては、確かにカットバックがあったわけですけれども、当時の全体のパッケージの問題が第一。それから、第二は、五十四年は相当激減するという見通しが当時あったわけでございます。そういうような背景がありまして、全体のパッケージもあり、かつ急減する予想もありましたので、一部の品目についてカットバックがあったということでございます。総じて言えばそう大きな不利な交渉をやったというふうにはわれわれ理解してないわけでございます。
○米沢委員 当時を振り返りましたとき、たとえばアクリル紡績糸は、御承知のとおりその当時は日本の対米輸出というものは激減をしておりました。そういう状況であるにもかかわらず、政府は厳しい規制枠に応じたわけでございます。ところが、他方、同じアクリルのステープルのアメリカからの輸入につきましては激増しておるわけですね。そういう意味では日本政府はこれを放置しておる、これは私は問題だと思いますね。いまアクリル紡績糸については自由化という話がありましたけれども、これはダンピング等の問題があっていまさら出しても何ももうからない。そういうことから、これは結果的にはゼロに近いわけでありまして、実際は枠いかんによってふえたり減ったりしておるものじゃないとわれわれは認識しておるのですが、そういう意味で、一方ではアクリル紡績糸等のアメリカに対する輸出というものはかなり激減しておるにもかかわらず厳しい枠を設定する、逆にアメリカからやってくるものについては激増しておるにもかかわらず放置しておる、私はこれは片手落ちではないかと思うのですが、いかがですか。
○若杉政府委員 先生おっしゃるとおりの事態が一瞬、一年か二年あったことは事実でございます。しかし、アメリカからのアクリルの紡績糸は本年に入ってこれまた激減をしておるわけでございます。その過程でわれわれとしてもアメリカ側に自粛の申し入れもした経緯もございますが、本年に入っても激減しておる。それから、アクリルの紡績糸については五十五年からアメリカの枠はなくなった。確かにダンピング問題が先生御指摘のようにあることはわれわれ十分承知しているわけでございますが、裏にはいろいろ背景がございますけれども、この問題は一応枠とは直接切り離さざるを得ないということで、先生御指摘のとおり、確かにある一年なら一年をとると、おっしゃる気持ちもよくわかるのでございますが、現状においてはバランシングは十分回復しておる、かように考えておるわけでございます。
○米沢委員 たとえばその時点におきまして私が先ほど申しましたような事実があるとするならば、いまのところ化合繊の綿につきましてはMFA第四条の対象範囲には入っておりませんね。しかしながら、やりようによってはMFAの第十二条の第二項によりまして第三条の規定は適用されるわけでありますから、もし強い姿勢で臨むならばそういう対抗措置も考えながらの取り決めの議論であってほしい、そう思うわけです。そのあたりがどうも、私は事実は余り知りませんが、そういう姿勢がないというところに私は不満があるわけです。 と同時に、たとえばアクリル紡績糸等に関しましては、日本以外の対米輸出国を調べてみますと、アメリカの政府統計を見ますと、イタリアとか、フィリピンとか、南アフリカとか、英国あたりがあるわけですが、規制枠を受けているのは日本と南アフリカだけなんですね。こういうことを見ておりますと、ことにイタリアなんかは対米輸出に占める割合というのは二〇%前後もあるわけです。そのあたりは逆にアメリカは何も問題にしていない。にもかかわらず日本を規制の対象にする。こういうのを見ますと、アメリカの思惑というものが日本に対して余りにも意図的である。同時に、日本政府が事この繊維貿易に関する限りどうも弱腰に過ぎるのではないかという印象が、失礼ではありますけれどもするわけでございます。どうも釈然としませんから、その点をちょっと御説明いただきたい。
○若杉政府委員 イタリアのアメリカへの輸出シェアが約二〇近いとおっしゃったのですが、われわれの承知している統計では、五十三年は一五・八%、それから五十四年は七・五にイタリアも落ちております。ところが、先生御承知のとおり、日本はいまでこそアクリルの対米輸出というのはダンピング問題その他もありまして減ったのですけれども、五十二年は何と六五%、イタリアはそのころは三%強、それから五十三年におきましても日本が四一%、イタリアは一五%という状況だったわけです。したがいまして、それはいま現在の時点でアクリル紡績糸についてイタリアとかなんとかいろいろあるけれども、日本だけやったとおっしゃるわけですが、五十二、五十三年の経緯を考えますと日本がほとんど過半を制していた。そうして、さらにそのときに急増しておった。もちろんこの急増はアメリカの国内需要が強いという背景も実はあったわけでございますから、一概に向こうへそんなにダメージを与えたかどうかわれわれも疑念なしといたしませんけれども、向こうも中小企業が非常に紡績糸関係ではあったという背景もあったのでしょう。それから、急増したという事情もあったのだと思います。したがって、イタリアを無視して日本だけねらい撃ちにしたというふうには過去の経緯上考えておりません。現在は日本ももう枠はなくなった、かように考えているわけでございます。
○米沢委員 私が申し上げたいことは、確かに過去の輸出、輸入の状況を見ながらの議論だと思いますけれども、少なくともその時点において将来を予測した場合に、アクリル紡績糸がもうアメリカにはほとんど行かないであろう、そのかわりアメリカから、御承知のとおりアクリルだけではなくて合繊綿は急激にふえておりますよね。そういう事実が予想されたはずなんです。そうであるならば、もう激減しつつあるであろうというのを厳しい枠で制限をし、あっちから入ってくるものについては放置しておる、そういう感覚はちょっと問題ではないか、私はそう思うのです。
○若杉政府委員 率直に申し上げますと、アクリルについてはわれわれは当時の交渉その他ではね返すことができたと思っています。しかし率直に申し上げまして、全体のパッケージの中で急減するということも考えていましたし、先生おっしゃったダンピング問題もございました。したがって、はね返す力はわれわれは十分持っていましたけれども、あえて受けたということもひとつ御賢察いただきたいと思います。
○米沢委員 それから、たとえばアクリル紡績糸が七八年度の枠の千百五十万ポンドから七九年度枠七百七十五万ポンドヘと約三割削減されております。八〇年、八一年度についてはその時点において未決定に終わった。その背景にはいわゆるダンピング問題があったわけです。御承知のとおり、アメリカは約一年かけましてダンピング調査をやり、ことしの三月に米国際貿易委員会がクロの判定を下した。そして、ことし四月、ダンピングデューティーを三〇%かけまして、御承知のとおりいまアメリカの関税裁判所で係争中ですね。いま欧州等ではこの問題に関しましてアメリカのクロの判定はちょっと早きに失し過ぎたのではないかという批判があるやに聞いておるのでありますが、日本政府はこの問題に関してどのような見解をお持ちですか。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 率直に申し上げまして、問題はなしとしないということで、われわれとしても引き続き内容その他検討しております。
○米沢委員 もう時間がありませんから深追いできませんが、次はMFAの原則に日米繊維協定は違反しておるのではないかという疑問があります。その一つは、たとえば日米取り決めによりますと「アメリカ政府が、ある品目の日本からの輸入が増加し、アメリカ市場における市場撹乱の真の危険を引き起こしていると認めたとき、日本政府に協議を要請する」と、こうあるわけですね。この文章は、「日本からの輸入が増加し、」となっておるわけです。先ほどから何回も言うておりますように、その時点においては日本からの輸入は激減し、なのですね。にもかかわらずアクリル紡績糸の場合には前年度以上に厳しい規制を設ける。これは私は、日米取り決めというのはMFAの条文からいたしますと原則に違反する問題だ、それを認めたのはおかしいという問題と、たとえばこの日米取り決めによりますと、「規制水準は、最近実績を下回ることは許されず、二年目の枠は前年の枠を下回ることは許されない」、これがMFAの第三条規則の原則ですね。となれば、さきの合意でも毛織物とアクリル紡績糸について枠を前年枠以下に削減したということは、これも根拠法規に抵触するのではないかと思うのです。その点どういうふうにお考えですか。
○若杉政府委員 原則としてMFAの数量というのは、前年、ある特定の実績年次から増加させるということ、枠も増加させるということが原則であることは当然でございます。ただ、先ほど申しましたように、それが原則であるけれども、やはりあくまで協議がベースでございますので、いろいろなパッケージで横ばいになったり削減したりすることも間々あることも事実です。全体のいろいろな品目間の取引でありますが、特にアクリルについては実は先ほど申しましたような裏があったわけでございまして、原則としてはわれわれとしては拒絶する気持ちも背景も力もあったと思いますが、さようなことでやったわけです。 それから、毛織につきましては、これは実は年別の統計上では実績より減ったか横ばいみたいになっているのでございますが、実は昨年、五十四年協議したときには、二ヵ月前の九月までの過去一年から考えて次はどうするかと、こうやったわけです。ところが、実はそのとき急カーブで毛織が上がっていたわけです。したがいまして、その期間を暦年ペースでとると余り実績から伸びてないということだったのですが、MFAルールの過去の三ヵ月前からの一年という実績からは上がっておる、細かい話でありますが、かような経緯がありまして、おおむねはそういうことで、実績を下回るとか、規制枠を前年よりもさらに締めるということは原則としてやらせておりません。 現実に、先生御承知かと思いますが、先ほども申しましたように毛の三品目、しかもそのうちのさらにいえば一品目以外はほとんど半分もいってない。枠は半分ぐらい余っておる、かような実情だ。毛製品の三品目につきましても、一品目だけでございましたので、二品目ですね、振りかえを要求いたしました。ことし、去年からやっていましたけれども、ことしようやく成功いたしまして、振りかえが実施できるということで、実質的には前進を見ているところでございます。
○米沢委員 いま御答弁を聞いておりますと、結果的には枠のでこぼこはあったにせよ、結局は協議がベースである。しかしながら、私はMFAの原則を考えるとき、パッケージとして、いろんな理屈が成り立ったとしても、少なくとも交渉に当たる場合にはMFAの原則に従って交渉されることが筋であり、この前、一九七七年のMFA延長議定書という中に、御承知のいわゆる合理的逸脱という条項がありますね、大体アメリカはそういうものを念頭に置いて日本と交渉をし始めておる、私はそう理解をするのですけれども、そのあたり私はちょっとおかしいと思うのです。もう専門家ですから御承知のとおり、この合理的な逸脱条項というのは、当時ジュネーブにおいてこの議論がなされたとき、少なくとも日本政府はこの条項を適用されたら困るという強力な交渉をされたと私は聞いておるのです。あとはそれが文書にならなかっただけ。結果的にはアメリカもECもほぼ口頭では約束をした。にもかかわらず彼らはこういう条項を適用しようとして強腰でやってくる。結果的にはそれを日本政府がのむ。そのあたりに私は疑問がある。その点いかがですか。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 合理的逸脱というのもまたむずかしい概念ではございますが、少なくとも日米交渉上相手が合理的逸脱条項を振りかざして、これに基づいて日本に譲歩を迫るという交渉経緯は一切ありませんでした。それから、確かにさっき先生に申し上げましたように、パッケージの中で条文上は若干日本が譲歩したようなケースはありました。これは認めますが、しかし合理的逸脱というものを振りかざして押し込まれたということは一切ありません。 ちなみに、MFAについては、御承知のように国際監視機構というのがジュネーブにございまして、そこで合理的逸脱の問題についてもいろんな判定といいますか、チェックといいますか、やっておるわけですが、日本に関してそれをこうむったというような通議論がされたこともございません。あくまで御承知願いたいのは、全体のパッケージの中で若干疑義があるケースも出たことは事実である、かように考えております。
○米沢委員 次は、MFAの延長並びに適用に関する基本方針をちょっと伺いたいと思います。 御承知のとおり、現行のMFAは来年末をもって期限切れを迎えるわけでありまして、このために、十二月に入りますとガット繊維委員会で更新に関する検討が開始される見通しであると聞いております。さきの十月二十二日から二十四日に行われましたガット繊維委員会ですでにその論議は始まっておるわけでありますが、一応世界各国のMFA延長をめぐる論議はどういう形でいま展開され始めておるのか。さきのガットの繊維委員会におきまして日本代表はどういう発言をなしたのか、そのあたりをちょっと御説明いただきたい。
○若杉政府委員 まだ十月の会議は本当のはしりでございましたので、全体的な評価なりについての大ざっぱな各国コメントということで終わったわけでございまして、具体的な駆け引きを含むような提案とか、具体的な内容はまだ出ておりません。日本側の方は、さような趣旨で、全体としてのフレームワークについてはこれは評価し得るという発言をいたしております。ただ、その具体的な提案問題その他につきましては、率直にいいまして日本は先生御承知のように輸出と輸入と両方の面を持っているものですから、非常に一本調子の議論がしにくい国でございますけれども、業界なり関連者といま話しておりますので、その辺の意見もまだまとまっておらない、さような段階でございますので、大枠については評価できるけれども、具体的に、延長する場合にどういう点をどう直すとか、あるいは微調整程度で終わるのか、もっと根本的な改善をするのかという点については特にまだ発言を控えております。
○米沢委員 そういうことであれば、現在の段階では十二月に行われますガット繊維委員会に対してどういう形で臨むかという方針についてはまだ決まっていない。業界等からは条件つき延長、そのためには伸び率、キャリーオーバー、条項の解釈、フレキシビリティー等々についていろいろと案件があるというふうに聞いておりますが、ぜひそのあたりは業界の意向も十分お聞きになって、それが生きるような形でこの委員会に臨んでいただきたい。お願い申し上げたいと思います。 さて次は、この問題はいつもこういう会議で問題になるわけでありますが、MFAは御承知のとおり繊維貿易の国際ルールである、こう割り切って主要先進国もMFAに基づく繊維輸入規制を堂堂と行っているわけです。言うまでもなくアメリカは三十二カ国と、ECは二十五カ国と、カナダは十五カ国と、スウェーデンは十三カ国と二国間協定を締結して国内繊維産業を保護しておるわけですね。しかし日本はMFAに参加しておるにもかかわりませず、貿易立国というたてまえに固執されましていまだに先進国中唯一の非適用国となっているわけです。そのために繊維輸出奨励策をとる諸国の絶好の目標市場となって、おかげで業界は四苦八苦しておるというのが現状だと思います。 そこでこの際、政府は日本の繊維産業の置かれている立場をどのように実際理解されておるのか、ちょっとわからない。同時に世界主要国の繊維産業と比較しまして、日本の業界はMFAで保護するに値しないくらいに進んでおるというような理解をされておるのかどうか。私はこのMFAができた経緯等についてもう少し生かしてもらいたい、そういう気持ちでこの質問をさせていただきたい。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 非常にむずかしい御質問でございますが、日本の繊維産業は一言でいえば相当強力であるとわれわれは思っています。ただし、問題なしと言いません。たとえば、繊維の一番ウエートの大きい化合繊につきましても、ナフサ価格、電力価格、かなりのハンディを特にアメリカとの関係で負っているということは御承知のとおりでございます。したがいまして、織物段階では、特に差別化商品の織物では相当強大な力を持っているわけでありますが、原料面において弱点を持っている、したがって油断はならないというのが化合繊についてのわれわれの基本的ポジションでございます。それから綿その他の系統について申しますと、特に綿につきましても高級差別化商品についてはかなりの力を持っている。ただ定番品の綿糸あるいはそういうたぐいの綿織物については韓国、中国について相当な潜在的脅威をわれわれは持っております。それ以外の毛織等については、現在幸いにして輸入圧力は余りございません。絹については先生御承知のとおりでございます。非常にもろいということでございます。 さような認識を持っていますので、基本的には非常に強いし、これから輸出を相当伸ばしていかなければならぬという感じも持っています。現に繊維の輸出はかなり大幅に伸びておりまして、明らかに原料を除いた繊維輸入との比較ではかなり大幅に輸出の方が上回っておる状況でございます。したがって、日本としては輸出入の問題で複雑な立場にあるということと同時に、先ほど申しました全体としては相当強いけれども一部の点について問題はある。したがって、われわれとしては繊維産業を守るという立場から、そういうような点に常時注視しつつ、全体としていい方向に持っていきたいということで、輸入につきましてもわれわれは、全部の輸入じゃないですけれども、特定のものについては非常にセンシティブになっております。したがいまして、韓国綿糸あるいは中国織物につきましても事あるごとに向こうの政府に対しては自粛要請はしております。ただ、最近は先生御承知のようにかなり減っております。さような事態もありますが、またいつどういう状況でふえるか、十分慎重に見守っておる、かような状況でございます。
○米沢委員 MFAの適用に関しまして、一体MFAは何のためにできたのだろうか。いまおっしゃいましたように確かに日本は繊維強国である、しかし業界においては部分的にはでこぼこがある、だから繊維の先進国であるから、微妙な立場にあるからMFAの発動ができないという理由は、ならば先進国であるということが本当に優先してそんな議論になるのか。現在の国内の業界の状況、特にもう専門家ですから御承知のとおり、輸出がいまふえつつあるという議論でありますけれども、過去のいろいろなデータ、動きを見ておりますと、国内の生産が上がったときには逆に輸入がどんどんふえていますね。おかげで市況が低下して、そのために今度は市況を維持するために業界は大変な苦労をして合理化努力をやる、労働者がどんどん首を切られる、そこまできて市況が回復したらまた輸入品がふえてくる、こういう流れをとっておるわけでして、実際繊維先進国であるからMFAが発動できないというよりも、もう少し国内産業の中の細かな実態を見てもらったら、そのためにMFAは発動すべきである、私はそんな気がするわけです。そのあたりをぜひ私は御理解をいただきたい。同時に、日本はアジアの先進国であるとか、輸出入に関しては非常に微妙な立場であるとか、あるいはまた繊維に関しては先ほどからおっしゃっておりますように輸出の超過国であるとか、そういうことで慎重にならざるを得ないという理由でありますけれども、私はもう少しアメリカやECみたいに割り切ってこの問題は発動してもらいたいと思うのですね。先進国というならばアメリカだって先進国ですよ。ECだって先進国ですよ。にもかかわらず彼らは割り切ってこれを発動しておる。そういう点でどうも日本がこの発動に関してちゅうちょしている理由が余りわからないのです。輸出は出過ぎだという議論がありますけれども、アメリカなんかも完全にこれは輸出超過国ですよね。にもかかわらず割り切ってこの問題は発動しておるわけですね。そのあたりを一体どう考えるのかということで、どうも政府の答弁は納得できないのです。いかがですか。
○若杉政府委員 日本が自由貿易が原則の国だとか、あるいは繊維輸出が輸入よりも矢幅に上回っている、だからMFAはしてはいけないと私たちは考えておりません。おりませんが、そういうものも頭のすみに置かざるを得ないという意味でございます。したがって、現実にMFAがある以上、日本の産業に被害が生じ、輸入が急増するという事態には十分考えていかなければならぬと思っております。
○米沢委員 そうなると、一体どういう条件が整ったら政府としてMFAの発動をされるのか、そのことを私は具体的に明確に聞きたい。同時に、御承知のとおり綿糸、綿布につきましては業界はいま大わらわですね。そういう意味で、時間がないのが残念でありますけれども、韓国との綿糸に関するたとえば二国間協定、中国の綿布に関する、ここはMFAに入っておりませんから政府間ベースでの自粛要請しかありませんでしょうけれども、そのあたりについていまの段階でどういうことを考えておられるのか、そのことを聞かしてもらいたい。
○若杉政府委員 現状は先ほど申しましたように二割程度綿糸、綿織物も減っておるわけでございますが、同時にしかし、国内産業の方もかなり先生御承知のように不況という事情でございます。減ったからいいというものでもありません。したがいまして、われわれは中国、韓国に対して日本の産業の状況をよく説明して、非常に採算割れになっておるのだということで、自粛をしてほしいということは折り返し十分向こうに要請をしておるところでございます。 そういうこともあって鎮静化しておるわけでございますが、今後とも情勢の推移を見守りながらそういう指導、あるいは場合によっては国内業者に対する指導というものも含めまして、それで第一次的には対処していく、そしてそれでもどうしても輸入がふえ、国内産業が危殆に瀕するという場合には当然MFAも考慮せざるを得ない、かように考えております。
○米沢委員 もう時間が参りましたけれども、私は、いまあちらからの輸入が鎮静化しておるのは、いま日本の業界が不況だからだと思いますね。皆さんの、政府間のベースにおける自粛要請等が成果を出しておるというふうに考えるよりも、私は、現在の局面が不況であり、持ってきても余りもうからない、そういう段階にあるからこそ鎮静化しておるのであって、将来的には私は完全な脅威だ、おそれがある、そういう意味で、いま業界は四苦八苦しておるわけでありますから、慎重に検討された上、ぜひそのあたりも時を移さずいつでも対応できるようなかっこうで御検討を賜りたい。 大変時間がなくて意を尽くしませんけれども、ここで時間が来ましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
○野中委員長 横手文雄君。
○横手委員 私は、わが国のエネルギー問題、特に国産石油の開発について、日韓大陸棚開発問題について大臣に御質問申し上げたいと存じます。非常に大きな問題でございますので、わずかな時間で解明することは非常に不可能であろうと思います。次の機会にさらに個々の問題についてお伺いをすることといたしまして、本日は基本的な考え方だけをお聞かせをいただきたいと思う次第であります。 わが国のエネルギー事情は大変厳しい情勢の中にありまして、とりわけ石油の安定需給のために大臣も大変な御苦労をなさっておりますし、来月もまた産油国を訪問をされるやに聞いておるわけであります。大変御苦労さんでございますし、この訪問が実り多いものでありますようにお祈りを申し上げる次第でございます。しかし、何とかしてこの輸入石油の依存度を下げていかなければならない、こういうことから、この国内開発のために日韓大陸棚の問題が出てきたわけであります。 御案内のとおり、わが国の長期エネルギー需給暫定見通しの中を見ましても、五十二年度は国内石油、天然ガスを含めて三百七十九万キロリットル、これが六十年度には八百万、六十五年度には九百五十万、こういう見通しが立てられておるわけであります。事務当局に聞きますと、これを求める地域はすなわち日本海近海であり、大陸棚にこの期待を求めておるということが述べられております。この大陸棚協定は昭和四十九年の一月に協定がなされ、同年十二月に韓国国会は批准承認いたしましたけれども、わが国では継続が三回、廃案が二回という憂き目に遭いながら、五十二年の六月、自民党とわが民社党の賛成によってようやくにして日の目を見たわけでございます。しかし、その後の工事の進捗状況は、成果がなかったというぐあいに見ざるを得ないわけであります。したがって、わが国の将来のエネルギーの需給安定のために、国家的見地からわが党はことし一月の代表質問で春日常任顧問が、そして今国会においては中村副委員長が代表質問に立ちまして、日韓大陸棚の開発を急ぐべし、こういうことを提言をし、一応政府答弁も前向きの状態にあるわけでございます。 しかし残念ながらその実態は遅々としていると言わざるを得ません。今年に入ってようやく試掘に入って、五月から七月にかけて第五小区域において日本側が一本、七月から十月にかけて第七小区域において韓国側が一本試掘したにすぎませんし、いずれも空振りであります。そして冬を迎えて海が荒れる、あるいは漁期に入った、こういうことで中断をされ、リグの第三白竜はインドシナへ移っていっておるわけでありますけれども、こういうことで、この長期エネルギーの暫定見通しが示すような形でわが国の国内の石油開発はいいのであろうか、こういうことを大変憂うるわけでございますけれども、まず大臣の御決意をお伺い申し上げます。
○田中(六)国務大臣 横手議員御指摘のように、長期エネルギー需給暫定見通しでは、わが国の石油依存度を十年後に少なくとも五〇%にするということから対策を立てておるわけでございまして、やはり私どもの周辺をながめますときに、日韓大陸棚は大きな魅力でございます。したがって、この開発につきましては私どもも強い関心を持つと同時に、その成り行きを注目しているわけでございますが、いま御指摘のように日韓の間に協定がございまして、いろいろスムーズにいかない点もございますし、いま御指摘のように漁業の時期あるいは海がそういうふうに荒れる、そういうシーズンでなかなか掘削ができないというようなことなどもございまして、遅々として進んでおりませんけれども、これはあくまで民間のやっておることでございますので、私どもといたしましてはその民間から要請が細目についてあり、きめの細かい申し入れがあるならば石油公団がいつでも相談に乗るという態勢はできておりまして、これを何とかスムーズに持っていきたいという気持ちは十分持っております。
○横手委員 私は、この問題を所管をされる大臣の答弁として大変なまぬるいような感じがしてならないわけであります。御承知のとおり経済活動の血液、これが石油でございまして、そのほとんど全部を他国から輸入に頼っておる日本にとって、自主的な石油供給源の確保あるいは石油供給源の分散化、こういうことは石油安定供給あるいはエネルギー政策上の至上課題でございまして、とりわけ他国の主権及び政情等に影響を受けることのない本邦周辺の大陸棚において石油の供給源を開発をし、これを確保するということは、備蓄効果からもあわせて国家的な急務であると考えるわけであります。 この東シナ海における埋蔵量は九億キロリットルともあるいは十二億キロリットルとも言われておりますし、昭和四十三年の十月から十一月にかけて行われましたエカフェの調査によりましても、中東油田に匹敵する有望な油田地帯とも言われておるわけでございます。私は、もっと多くのいろいろな問題はあるのでございましょうけれども、主管大臣である通産大臣が、多くの問題を抱える、しかし進める気はあるんだということをお示しであるとするならば、もっと積極的にこの問題について取り組んでいただかなければならないと思うわけであります。 先ほど触れましたように、本年じゅうに日韓それぞれ一本ずつの試掘が行われておるわけでございますが、よく比較をされることでございますが、わが国と同様の石油事情の中にありながら、いまではりっぱに産油国になりましたイギリスの例がよく引き合いに出されます。この北海油田の開発については、地球上で最も気象条件の厳しい北海において、イギリスの北海油田の開発は十年間のうちに約四百数十本の試掘が行われているわけであります。しかも、九十八本目にして初めて石油が出てきたとも言われております。現在の技術水準からいって、百本掘って二、三本石油が出てくればいいというのが今日の石油開発の常識であります。ところが、十年後に国内石油の依存度を大きく求めるわが国のこの開発の状況、一年がかりで二本しか掘らなかったということになり、仮に北海油田と同じような形でもし石油が噴出をするということになると実に五十年間かかってしまうということでございます。多くの問題はございましょうけれども、大臣もっと積極的にこれをやるというような決意はございませんか。
○田中(六)国務大臣 国会の附帯決議などもございますが、私は、国会の皆様がこのように非常に熱意を持っておりますし、もちろん政府といたしましても、私も横手議員御指摘のように、できるだけ日本の将来にエネルギー問題を起こさないようにということで諸外国を歩いておりますけれども、国内あるいは日本が手をつけられる範囲にあるわけでございますので、この点、企業に対しても、進んで助言やあるいは進言、そういうものをしていく決意ではございます。
○横手委員 かつて、石油開発公団の倉八正総裁は、疑わしきは掘れ、この姿勢が大切だということを口癖のように言っておられたということであります。いま申し上げましたように、イギリスの例を見るまでもなく掘ってみなければわからない、こういうことでございます。しかも、一本の試掘におおむね二十億円から二十五億円かかる、こういうことが言われておるわけでございまして、現在日本の場合は、日本石油開発会社がこれをやっておるわけであります。親会社の日石、今日石油会社は大変な利益を上げております。 しかし、私はこういうことで、たとえばイギリスの開発の状況を見ましても、いわゆる地球上の緯度の一度四方、約百十キロぐらいになりましょうか、そういった面積の中で三十区画に分けてそれぞれ試掘を行っておる、こういうようなことが言われておるわけでございますが、さっと地図上に書いてみましても、いま調査が終わりました日本のこの日韓大陸棚の状況を見ましても、五鉱区、七鉱区、ざっと見ても大体四分の一か五分の一ぐらいでございます、ここを三十区画に分けて掘っておる。しかもわが国ではこの四倍も五倍もある広い区域の中でたった二本しか掘ってない、こういうことはまことに嘆かわしいことであると思われる次第でございます。 あるいはまた、御指摘のようにこの日韓大陸棚の協定に当たっては附帯決議もついておるわけでありまして、当時の通産大臣は、中国との間に領有権のトラブルがあるうちは石油公団の金を使うことはいかがなものか、こういう発言がなされておることも事実であります。しかしその後、日中の国交についても正常化しておるわけでございまして、あるいはまた中国の関係においても渤海あるいは尖閣列島周辺における共同開発等の話も出てきておるわけであります。外務省の努力によってこれらも解消されることでございましょうけれども、さてその前においても、この石油公団の金が仮に使えないということであったにしても、民間資金を導入をしてこの開発を急ぐべきだ、私はこういうぐあいに考えるものでございます。 あるいはまた、特にこの開発につきましては、仮に石油が出てきたということになりますと、そのプラットホームの建設あるいはパイプラインの設置こういうことによってわが国産業に対する大きな波及効果があることも事実でございます。こういった総合的な観点に立ってぜひ積極的な開発をお願い申し上げたいと思いますが、最後に御決意をお聞きしまして私の質問を終わり、次の機会にさらに具体的な個々の問題についてお伺いを申し上げたいと思います。
○田中(六)国務大臣 横手議員御指摘のように、私も先ほどから答えておりますように、日韓大陸棚が一日も早く成功することはもちろん願っております。したがって、関係企業に対しましても必要に応じて、また積極的に助言やあるいはこれの開発についての足らないところは補っていくと同時に、各企業にこの促進方を強く要請していくという決意ではございます。
○横手委員 終わります。
○野中委員長 渡辺貢君。
○渡辺(貢)委員 まず初めに、日本の経済構造の基本的な特徴について田中通産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 アメリカやヨーロッパ諸国に比べて特に指摘をされるわけでありますけれども、日本経済の構造を見た場合、欧米諸国と違った特徴がある、こういうふうに指摘をされております。それはたとえば資本金十億円以上の大企業、この大企業は、製造業約二百万と言われておりますけれども、その中の〇・一%も占めておりません。つまり日本の経済構造の特徴というのは、一部の大企業を頂点にすそ野の広い中小企業から成っている、つまり二重構造がその最大の特徴の一つである、こういうふうに言われております、この点についての御見解。 第二番目に、わが国の経済、産業の発展を見た場合に、たとえば八〇年代の通産ビジョンでも資本の活性というようなことが言われております。しかし、私はこの資本の活性という問題を考えてみた場合に、とりわけ資本主義的な今日の生産構造、商品生産の過程を見た場合に、資本と労働との最も有効な結合がなければ商品生産を発展させることはできない、こういうふうに考えておるわけであります。 この二点について、まず通産大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 わが国の経済構造が二重構造だという点でございますけれども、二重構造の定義でございますが、大きな資本が一〇%あって、そのほかは中堅、中小企業であるから二重構造だというふうな定義づけをするならば、そういうふうな二重構造もあるでしょうけれども、私はいまの日本の経済あるいは社会情勢というものは、二重構造はほとんど解消しておるんじゃないかと思います。 と申しますのは、国民一人当たりの所得は九千百ドルから九千二百ドルぐらいになっておりまして、自由世界でも上位、私は実質的には一位かもわからないという気持ちも持っておりますけれども、いずれにしても一人当たりの所得が九千ドルをオーバーしておるということは事実でございますし、現実に雇用面におきましても失業率が一・九%から二%、そういうことを考えれば、世界的な経済情勢から見まして、中産階級が非常に安定しておりますし、ひいては政治も安定しておるということから、二重構造という物の見方は実質的には私は解消されているんじゃないかと思います。 それから、活性的な経済の運営でございますけれども、これも私は、日本経済そのものは共産主義あるいは社会主義経済とは違いまして自由主義経済でございますし、マーケットオペレーション、市場の機能、需要と供給によって価格が決まるというようなことでいっておりますので、体制あるいは経済の運営の仕方を変えるなら別でございますけれども、こういう点、創意工夫がそれぞれ生かされて十分経済が活力を持っておるということは、やはり自由主義経済の大きなうまみあるいは活力の根源でございまして、四つのこの小さな島で、原材料もない中で、自由主義経済それから世界の自由貿易主義というものを標榜していくことが日本経済の大きな活力になっておるのじゃないか。したがって、これは自由民主党の政策でもございますけれども、私どもはそういう政策をあくまで貫いていくことこそ、日本経済の繁栄あるいは日本国民の生活の安定につながるというふうに確信しております。
○渡辺(貢)委員 ちょっと答弁の角度が違ったようでございますけれども、国民の所得格差の問題とかあるいは階層の変化ということではなくて、基本的な経済構造の問題であります。そういう点では大臣もお認めであろうかと思いますが、そういう基本的な経済構造は変わっていない、これは後ほども指摘をしたいと思いますけれども、通産省のいろいろの政策の中でも展開をされているわけであります。 また、私が主張したのは、労働と資本という問題でありまして、絶えず生産の分野においては生産性の向上が問題になります。あるいは品質の管理、品質の精度が問題になるわけでありますけれども、この場合に、有効に労働が作用しなければそういう商品生産はできないんだ、この原則的な問題を指摘をしているわけでありまして、改めてその点をもう一度明確にいたしたいと思います。 次に、日本の自動車産業の問題でありますが、アメリカのITCの審決がシロであった。しかし、依然として政治問題は残されております。また、一昨日でしたか、ECの自動車工業会の代表と日本自動車工業会の代表との会談もございました。これはかなり重要な内容を含んでいるというふうに報道されているわけであります。この自動車産業を見た場合に、たとえば昭和三十二年にわが国の生産台数は十八万台、アメリカは当時七百二十二万台であります。そして今日、昭和五十五年度においてはわが国の生産台数はほぼ一千万台を突破する、こういうふうに推計をされております。世界第一のアメリカの生産台数を抜くのではないか、こういうふうに言われているわけであります。 そこで私は、この自動車産業の発展の経過を見た場合に、とりわけ昭和三十一年以降、通産省の一貫した自動車産業振興策が、ある意味では今日のわが国の世界屈指と言われる自動車産業の発展を図っている政策的な主要な要因である、こういうふうに考えるわけであります。昭和三十一年の機械工業振興臨時措置法、機振法でありますが、この法律、さらに昭和三十六年の機振法の第一次延長、さらに昭和四十一年の第二次延長、そして昭和四十六年には特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法、電振法と機振法が一体となった機電法が成立をいたしております。さらに近くは昭和五十三年、特定機械情報産業振興臨時措置法というふうに、法律によって、たとえば自動車部品メーカーのいわゆる到達すべき目標数値が出されて、また、その数値を達成するためにも機械設備の更新等を図っていく、そういう点から開発銀行などの融資制度が確立をされているわけであります。 こう見てきますと、歴史的に日本の自動車産業の発展の中で非常に大きな政策的な指導の力、これを持っているのは通産省であったし、ある意味ではそういう政策、行政が今日の発展の一つの大きな要因であったというふうに私は考えるわけでありますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
○田中(六)国務大臣 御承知のように、日本の産業というものは西欧の先進国と違いまして、自己資本というものが非常に少のうございます。日本の過去の歴史から考えましても、経済の発展即日本の国勢の発展ということになっておりまして、その点から民間と政府の共同一致、言いかえれば政府の支援というものがあって国際競争力を得てきたのは事実でございますし、自由主義経済におきまして、自由社会国家におきましてはやはり政府の支援というものがどの産業にもあると思います。したがって、資源のない日本といたしまして貿易立国ということをたてまえとする限り、競争力の確保ということは当然でございます。したがって、そういう面で政府の行政指導がいろいろあったことは事実でございますし、今後もあらなければならないというふうに考えております。
○渡辺(貢)委員 いま通産大臣も答弁の中で認めていらっしゃるわけでありますが、最近アメリカでは日本に学ぶというようなことが大変強く主張されております。その第一人者であるエズラ・ボーゲル氏が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という書物の中で、とりわけ日本に学ぶのは、産業問題では通産省と企業との間に最も強力な協力体制がとられている、こういう点大いに学ばなければならないというふうに指摘をしているわけでありますが、まさに通産大臣の答弁のとおりでございます。 そこで、私は次に、きょう法務省並びに警察庁の出席を要請したところでございますけれども、警察庁並びに法務省に御質問を続けていたしたいと思います。 まず、警察庁に質問をいたしたいと思いますが、これはまず一般論としてお聞きをいたしたいと思います。 警察がいわゆる捜査、刑事訴訟法で言う捜査に入るというのは、つまり犯罪が発生する、その場合に捜査に入るというふうに理解をいたしておりますし、その警察の捜査の中で指紋の採取というのはどういう位置を占めるのか、この点についてまずお答えをいただきたいと思います。
○長尾説明員 お答えいたします。 私ども、たとえば殺人事件あるいは強盗事件といったような事件が発生いたしますと、犯行現場からいろいろな捜査資料を細大漏らさず入手いたすわけでございます。指紋もその一つでございます。したがって、一般的なお答えとしましては、犯人を割り出すために指紋を入手するということでございます。
○渡辺(貢)委員 そうしますと指紋採取の場合には、被疑者の指紋と、そのほか採取する指紋はありますか。
○長尾説明員 すなわち犯行現場、たとえば銀行強盗などを頭に置いて考えますと、犯人の指紋ももちろんあるでしょうし、銀行であればお客もおりますし行員もおる。したがいまして、遺留された指紋が本当に犯人の指紋であるかどうかということを識別する必要が出てくるわけでございます。したがいまして、そういった関係者の方々から、捜査の必要性を十分御説明申し上げ、御協力をいただいた上で関係者指紋というものをとります。
○渡辺(貢)委員 そうしますと、犯罪者指紋と関係者指紋と二種類あるということになりますね。
○長尾説明員 二種類あるということでございます。
○渡辺(貢)委員 ここで参考資料として関係者指掌紋票を提示いたしたいと思います。通産大臣、委員長並びに警察庁と法務省に。 これは、埼玉県の上尾市に本社を持つ日産ディーゼルの誠和寮というところで採取された関係者指掌紋票であります。この日産ディーゼルは、日産グループの中で特にトラック、バス部門を担当している日産ディーゼル工業株式会社と称して、日野、いすづ、三菱と並ぶわが国トラック、バス企業の大手であります。この日産ディーゼル工場の誠和寮、上尾市にございますけれども、この寮の定員は約千二百名で、本年五月現在で九百七名が、男子独身の従業員、青年労働者がこの寮に住んでおります。この誠和寮において昭和五十一年五月にこの指掌紋票が採取されたわけであります。 ここでお尋ねいたしたいと思いますが、この用紙の中に「警察署」と書かれております。つまり民間の企業がこういう指紋を採取する場合に、警察署などの発行した用紙を民間に貸与することがあり得るのかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
○長尾説明員 警察のそういった様式を民間に貸与するということは考えられませんし、ありません。と申しますのは、関係者指紋をとります場合は警察官がとるということになっております。
○渡辺(貢)委員 そうしますと、「警察署」と刷り込まれている関係者指掌紋票は警察官によって現認されない限りとられない。しかもこれは掌紋だけじゃなくて、一指ごと非常に精密にとられているわけでありますが、こういうことはあり得ないとお考えでしょうね。
○長尾説明員 企業がどういう経過でその様式を入手して、どういう目的でとられたかは知りませんが、私どもとしては、関係者指紋をとりますのは、先ほどから御説明しておるとおり具体的な事件の発生に際し、その事件を解決するために警察官がとるわけでございますので、そのようなことはあり得ないと思います。
○渡辺(貢)委員 そうしますと、この用紙でありますが、これは埼玉県議会でも追及をされまして、埼玉県警察本部長は、埼玉県警で使用している用紙に非常に類似しているという趣旨の答弁をいたしておりますが、御確認はその後いかがなっておりましょうか。
○長尾説明員 埼玉県警からそういう報告は受けております。したがって、きわめて類似した様式を用いた用紙でそういう指紋がとられておるということは報告を聞いております。
○渡辺(貢)委員 確認はまだされていないわけですね。
○長尾説明員 似ておるということについては確認いたしております。
○渡辺(貢)委員 それでは、早速すぐに確認していただきたいと思います。 次に、この中に「警察署」と書かれておりますが、警察署という名称は公記号ですね。
○長尾説明員 直ちに確認せよということでございますので、それは確認もいたしましょうが、いま提示されましたのはあくまでも現物ではございませんですね。(渡辺(貢)委員「これは現物です」と呼ぶ)いや、それはコピーでしょう、あくまでも。現物をいただいたならば、果たしてそれが同一であるかどうかということは、ただ目で見て似ておるということでの確認ではございませんので、紙の形状、紙の質、いろいろと細かく、時間を費やして確認する必要があろうかとは思います。 法的な問題につきましては法務省の方でお答えいただきます。
○川崎説明員 ただいまの「警察署」という表示が公記号に当たるかどうかという御質問でございますが、刑法百六十六条に定めております公記号が何かということについては、いろいろな説もございますけれども、最高裁判所の判例によりますと、一般には商品あるいは物産等に押捺されるものであるということでございまして、そういう点から考えますと、このような書類に押捺したものは一般には公記号とは言いにくいのではないかと考える次第でございます。
○渡辺(貢)委員 ここに刑法第七条がありますけれども、ここでは「公務員、公務所」と規定されておりまして、公務員の働く場所を公務所と言うというふうに規定されております。また、第百六十六条では、公記号の場合には「公務所ノ記号」と明確に規定されているわけでありまして、警察署というのは公務所じゃないのですか。民間が警察署というのを自分のうちの前に、工場に張るということはあり得ますか。ないでしょう、それは。はっきり答弁してください。
○川崎説明員 警察署が公務所かどうかということで申し上げたのではございませんで、百六十六条に言う公記号は、普通商品あるいは物産に押すスタンプのようなものを言っておるということでございます。
○渡辺(貢)委員 ちょっと答弁になってないんじゃないですか。警察署というふうに限定して言っているのですよ。
○川崎説明員 公務所という表示はむしろその前にございます百六十五条の署名あるいは通常記名と言われるものに当たるのではないかと考えられるものでございまして、最高裁の判例によりますと、このような書類に表示するものは普通記号とは言わないというふうに考えておるわけでございます。
○渡辺(貢)委員 大分詭弁を弄しているようでありますけれども、警察署は警察署ですよ。公の場所。民間人が自分の工場の前に何々警察署という公示ができますか、できないでしょう。明確に公記号ですよ。こういうふうに「警察署」と印刷されている。また、この中では「(事件名)強盗、窃盗、その他」というふうに書かれているわけであります。こういう指紋票が民間の工場の中で使われている。 もう一回お尋ねをしたいと思いますけれども、大企業の場合には憲法などの適用を受けないのか、聖域であって、どんなことをしてもいいのか、法のもとには平等であるという憲法第十四条の規定もありますけれども、この点についてはっきりした答弁をお伺いしたいと思います。
○長尾説明員 法律論ではなくて、事実の問題としてまず私の方からお答えしますと、警察といたしましては、民間であろうと何であろうと、そういう警察以外のところで警察の名前を使われておるような、警察の用紙と非常に見間違うような紛らわしい用紙を使うということにつきましては、大変遺憾に存じておりまして、私ども埼玉県警にはしかるべき措置をとるように強く指導をいたしております。
○川崎説明員 ただいま御指摘の大企業であれ、はたまたいかなる場所であれ、わが国の法律が適用されることは当然のことでございます。
○渡辺(貢)委員 そうなりますとますます事は重大だというふうに考えざるを得ません。警察庁の答弁もございましたけれども、早急にこの事実を正確に把握し、厳重な対処を強く要望いたしたいと思います。なぜならば、これは昭和五十一年に採取をされたわけでありますけれども、その後、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年と、毎年その寮に入る新入社員に対して採取をされているわけであります。地方から上京をし、希望に胸をふくらませて会社に入社をする、その新入社員から会社の人事部厚生課の人々を中心にして指紋が採取をされている。事はきわめて重大でありますので、厳重な対処を強く要望いたしたいと思います。
○長尾説明員 私が申し上げておりますのは、企業が指紋をとるかどうかということは企業自体の問題でありまして、警察がとやかく言う立場にはないと思っております。ただ、警察の用紙と様式が非常に似通ったようなものでとられるとなりますとこちらとしては大変遺憾でありますので、その点から、そういうことについては決してないようにということをきちんとしていくつもりでございます。
○渡辺(貢)委員 遺憾というより、「警察署」というふうに印刷されたものが使われている、しかも刑法第百六十六条の公記号の偽造、不正使用という疑いもあるというふうに指摘をされているわけでありますから、そういう点でひとつ厳重な対処を求めたいと思います。 さらに、この上尾工場誠和寮においては、昭和四十九年からこの数年間に青年労働者の自殺あるいは自殺未遂が数件発生をしているというふうに言われているわけでありますが、この点について簡単に、ひとつ確認の意味で御答弁をいただきたいと思います。
○長尾説明員 私どもが埼玉県警察から報告を受けておることでございますが、自殺が二件、自殺未遂が一件であるというふうに聞いております。ただ、その中身につきましては、自殺者のプライバシーの問題等もございますので、この場で申し上げるのは差し控えたいと思います。
○渡辺(貢)委員 いま確認をされたわけでありますが、一つの寮としては全く異常な事態であります。 ここに日産ディーゼルの社内報がございますが、「極限への挑戦−品質管理」というふうな見出しで大きく書かれております。先日も日産の座間工場を見学したわけでありますけれども、職場の中では「極限への挑戦」ということが言われている。こういう工場の中で指紋がとられ、そしてわずか数年間に三件の自殺あるいは自殺未遂がある。「極限への挑戦」と書かれているそれの一番最後に、「謹んでおくやみ申し上げます」と自殺された青年の名前が書かれております。私は、家族の方々の心の痛みは大変なものだというふうに思うわけであります。 こういう点で、冒頭にも触れました、日本の経済を支えている、産業を支えている、あるいはこうやっていま世界トップとも言われている自動車産業を支えているこういう職場の中にはこのような実態があるんだ。つまりこのことは、産業政策を考えていく場合に、何%生産性を上げろということだけではなくて、その労働の再生産が保障されなければ日本の経済や産業の発展を安定的に図ることはできないと思います。そういう点で、いまの論議を通じて通産大臣もいろいろお考えのことと思います。通産大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 産業における労使の協調ということはやはり生産には一番大切でございますし、私どももそういうような行政指導はやってきております。今後とも日本経済の発展、産業の拡大、雇用の拡大というような観点からも、労使の協調ということが至上命題ではないかというふうに考えておりますし、またそのように指導していきたいというふうに思います。
○渡辺(貢)委員 それでは時間もないので少し論議を進めたいと思いますがこの日産ディーゼルの上尾工場でもそうでありますけれども、日産全体でいまP3運動というのが進められております。このP3運動というのは二つの側面を持っておりまして、第一は三つのP、パーティシペーション、参加、生産性、プロダクティビィティ、進歩、プログレス、つまり、生産性を中心にして労働者の参加、そして企業の発展、これが三つのPであります。第二の三つの意味するものはメーカー、部品、販売。このメーカー、部品、販売が一体とならなければならない、これがP3運動のねらいといいますか、意図であります。しかも、このP3運動を進めていく中で、これは昭和五十三年度か巨つまり機情法に照応して展開されている運動でありますが、共通の目標として、一つは、直接員一人当たりの付加価値生産性を三〇%以上向上する、二番目に、たな卸し資産の回転率を五〇%以上向上する、つまり下請あるいは部品メーカーを工場と直結させるという点で回転率を高めるという問題であります、第三は、自己資本比率を三〇%向上する、つまり膨大な利益を上げて資本の蓄積を図る、これがP3運動の目標になっておりまして、これを進めていく上でトヨタのかんばん方式また日産のジャスト・イン・タイム方式が採用されているわけです。 そこで、職場の労働者の実態についてはいま触れたわけでありますが、一方、それでは自動車産業の非常に多くの部分を支えている部品メーカーの実態はどうであろうかという点について触れたいと思います。 通産省の資料、統計等においても明らかにされておりますが、今日自動車メーカーはアセンブラー、アセンブルメーカーというふうにも言われておりまして、自動車のコストのほぼ六〇%から七〇%は部品によってコストが決められる。こういうふうに通産省の資料などでも指摘をされておりますが、その点について通産省の見解はいかがでしょうか。
○栗原政府委員 ただいまお話がございましたように、自動車産業、これは非常にすそ野の広い産業でございまして、部品のウエートというのは非常に大きゅうございます。自動車産業全体としての付加価値の中で、アセンブル段階、部品段階に付加価値を分けますと、半分よりも若干部品段階の方が多いというようなことになっているかというふうに存じております。
○渡辺(貢)委員 その部品メーカーでありますが、新車の場合には組みつけ用の部品生産というのは全生産の約八〇%を占めている、こういうふうに言われております。この中で二、三の特徴について触れたいと思うのですが、自動車の心臓部と言われているエンジン、その心臓部の中の最も心臓部であるピストンリングであります。これは昭和三十一年の機振法以来絶えずピストンリング生産についての通産省の告示が出されておりまして、昭和三十二年の二月、さらに十一月、ここでは現行価格を二〇%以上引き下げろ、昭和三十六年の八月にはさらに二五%以上現行価格から引き下げて、均一性及び耐久性を強化しろ。四十六年の八月、これは機電法のもとでの通産省告示でありますけれども、付加価値生産性の平均伸び率を一〇%以上、加工精度及び耐熱、耐摩耗性を大幅に向上する。さらに機情法に基づく昭和五十三年十二月の六百四十四号の告示では、五十二年度の機器の生産費を実質上回らないでなおかつ「五二年度に対し、加工精度を三〇パーセント以上、耐熱性を二〇パーセント以上、耐摩耗性を三〇パーセント以上向上させる」、これが通産省の告示です。そのとおりですね。
○栗原政府委員 ちょっと細かい数字は確認しておりませんが、大筋はおっしゃったとおりだと思います。
○渡辺(貢)委員 これはピストンリングだけではなくて、気化器あるいは制動装置あるいは窓枠など部品に関するすべてにわたってきわめて詳細なそういう計画数値が出されているわけであります。この中でピストンリングの場合には、日本の大手三社、帝国ピストン、理研ピストン、日本ピストン、三社ありますけれども、この三社の業績はきわめてよくないというふうに言われております。たとえば、日本ピストンの場合には累積赤字がすでに五十億円というふうにも言われております。日本ピストンの与野工場ではトヨタのかんばん方式を導入して大変な赤字であったというふうにも聞いているわけであります。しかも、この五十三年の告示に基づいて精度を高めていく。ピストンリングの工程は約二十数工程あります。硬質の金属を加工しなければならない、非常に労働集約型の産業でありますけれども、それが昭和五十年からこの五年間ほとんど価格の上昇を見ていません。素材料だけ若干認めているということで、五年間で約一〇%ぐらいの素材料費は認められておりますけれども、加工賃はほとんど上がっていない。そのために経営もきわめて深刻な事態であります。日産、トヨタなどまさに世界のビッグメーカーに上がっている、そのすそ野が広いというふうに通産大臣も言われましたけれども、すそ野の広い中でこういう重要な部分を担っている部品メーカーの実態はこのような現状であります。そして新しい中期の再建計画も出されて、たとえば年間八十八時間の出勤はぜひ無報酬で協力をしてほしいとか、あるいは賃金はこの程度、一時金はこの程度ということで、きわめて具体的な合理化再建計画も提示をされております。 私は、最後に改めて指摘をし、通産大臣の答弁をいただきたいと思いますが、確かに日米自動車摩擦あるいはECとの関係、いろいろ矛盾が拡大しております。この中で安定的に日本の重要な産業である自動車産業を発展させるためにも、職場で働く労働者のいわゆる労働力の再生産の問題が保障できるように、あるいは自動車産業の半ば以上を担っている部品メーカーが安定的に企業の採算がとれるようにしなければならない。直接労働者は約十七万人と言われておりますが、第一次部品メーカーで働く労働者は五十万人、自動車全体の関連企業で働く労働者の数は四百八十万人というふうに言われている。これは自動車産業の一つの特徴でありますけれども、改めて八〇年代のわが国の産業政策を進めていく場合に、こうした点に十分な配慮が今後の通産行政としてされなければならないということを強く指摘、強調をし、それにふさわしい指導、行政が行われるように要望し、最後に通産大臣の所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○田中(六)国務大臣 御指摘のように、生産から流通機構を含めまして自動車産業は四百八十四万人の関係者がおるわけでございまして、この雇用を考えますときに、非常にすそ野の広い重大な日本の産業であることは事実でございます。したがって、私どももこの点十分頭に置いて、日米経済摩擦あるいはECとの関係、そういうものの国際的な面、国内的な面を十分配慮しつつ、国際的な面では保護主義貿易にならないように、あくまで自由主義貿易を完遂できるようなやり方、国内的にはこれだけのすそ野の広い雇用関係がございますので、この雇用を維持できるような体制、非常にむずかしい体制でございますけれども、鋭意努力することを申し上げたいと思います。
○渡辺(貢)委員 終わります。
○野中委員長 阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 私は、商社の土地問題、私の言葉で言うと土地買い占め、土地転がしというか、これが暴力団絡みになっているという問題、それから絹織物業者の直面しておる問題、わが国の石油、この直面しておる問題をお尋ねしたいのでありますが、その前に、時間の制約がありますので、商社の土地問題については資料を準備しておりますので、委員長の方から許可をいただいて配付をしていただきたいと思います。 そこで大臣、時間の御都合がおありのようでありますから、最初に一問だけ。たとえば西陣織のような伝統工芸と言われるもの、いま御案内のようにいろいろな増税の議論が行われております。こういう場合に通産大臣としては、この伝統工芸のようなこういうものの増税、税そのものは大蔵大臣の方であろうと思うのでありますけれども、伝統工芸品のような、こういうものに増税という大蔵省のこの出方に対して、一体どういうような御方針で立ち向かわれようとしておるのかということを最初にお聞きしたいと思います。
○柴田(益)政府委員 先生御指摘の、いわゆる伝産品についての増税についての通産省の考え方いかんということでございますが、本件につきましては財政当局の方からまだ正式な相談もない現状でございます。 伝統工芸品につきましては、四十九年に法律ができまして、この法律に基づきまして、通産省といたしましては御承知のように税制上、金融上あるいは予算上の助成措置を講じてきたところでございまして、今後ともこれを助成していくという立場には変わりはございません。したがいまして、こういう産品に対します増税問題につきましては、当省といたしましては慎重に対処すべき、そういうふうに考えております。
○阿部(昭)委員 そこで土地問題でありますが、私は長年、十四年間の国会生活を通しまして土地問題に非常な関心を持ってまいりました。 そこできょう申し上げたい問題は、皆様のお手元に資料を差し上げてございますが、丸紅、この商社に登場していただかなければなりません。資料にありますように、全国に約十七ヵ所、土地の取得を丸紅及び西沢商事という、これは大阪の会社のようでありますが、丸紅の言葉で言いますと関連会社と言っております。私の言葉で言いますとダミーだと思います。その下にもう一つ大東何がしという関連のこの土地十七ヵ所の取得に当たった業者がいる。この土地を調査をしてみますると、いまから五、六年前までの間に、昭和四十年代に二十数億円で取得をした。これをいま国土庁の地価公示価格によって、国土庁の方に計算をしていただきますと二百十二億円と言っております。これ以外に、一件はこの地価公示価格がないということでありますから、もっと金額になるのだろうと思います。地価公示価格というのは、御案内のように売買実勢よりは少し安いのが通例であります。五、六年前まで数年の間に二十数億円で取得した土地というのがとにかく二百数十億円しておるということであります。これをめぐってダミー及び丸紅、そのダミーの恐らく手先になって動いたのであろうと思いますが、この三者の間にトラブルが起こっておる。私はこのトラブルの姿を見ると、この膨大な土地値上がりに絡む仲間割れだろうというふうに見るのであります。その中で、お手元にありますようなこの「三社代表(物件)権利者間の協約書」なるものがある。この協約書が本当のものかどうかでいま大変な争いになっておるようであります。私は、本来商社というものは、ひとり丸紅のみならず、いろいろなあこぎなことをやって、もうかることを一生懸命やっておるのだろうと思うのであります。これが前の総合商社の行動基準、こういうものに照らして節度あるものかどうかということは議論は別にいたしまして、私がこの中で最も問題にいたしますのは、お手元に差し上げてあります資料の丸紅のダミー西沢商事、これとその手先だったと思うのでありますが大東コンツェルン何がしというところの関係者、当事者が昭和五十五年の五月二十三日に話し合っておるわけです。ここにありますのは、そのテープのいわば翻訳をしたものなんであります。 これをずっとごらんいただいて、三ぺ−ジ、この中に赤く引いてございますが、この大東の問題について、「加茂田組の親分とモリオカときて」云云、それからずっときて、「もともと金はわし貸してやってあった、」これは丸紅ダミーの西沢商事という会社の社長の言葉であります。「大東に、それで金もってこんので長いあいだ、四十億ぐらいなったんとちがうかな、貸金の金利、金利加算していくと」。五十五年の五月の話であります。金利その他を加算すると四十億と違うかというところを見ると、このトラブルの一番の原因は約二十数億円で十七の物件を取得したといういろいろな状況と合致をする。 そこでずっときまして、この問題は暴力団——警察庁のお話を聞くと暴力団と言っておりますが、三億五千万で話はつけたんだ、こう言っておるのであります。そこで、つけたのでありますからこの協約書なんというものはいまごろ効力を持つはずがない、こういう言い方になっておるように私はとるのでありますが、この問題は、モリオカという人物は警察庁によると暴力団まがいの方のようでありますけれども、その人に丸紅のダミー西沢商事の社長、山本さんという人は「処置付けさす」、こういっておるのであります。そしてこのテープでは、加茂田組の親分とかモリオカとかというのが随所に出てくるのであります。そうすると、丸紅の言葉で言いますと関連会社というのでありますが、この西沢商事はわれわれの常識ではダミー。少なくともこの十七の土地に関するやりとりの中に、私は丸紅グループと呼んでおるのでありますが、暴力団絡み、こういうことが商社のあり方として許されていいのかどうかということであります。 実は私はこの問題はちょうど一カ月近く前にいろいろ問題があるというので調査を開始いたしました。そういたしましたら、二週間ほど前であります。私の議員宿舎に夜の十時ごろえたいの知れない電話が入ってまいりました。その電話は、あなたは代議士の阿部昭吾ですか。そうです。丸紅相手に何か国会でやるそうだが、あなたの身辺はきれいなんでしょうな。こういう意味の電話でありました。これはたしか私の記憶に過ちがなければ、今月の七日の日だと思う。名前は名のりませんでした。 それから私は、冒頭申し上げたように、この問題はこの三者間のべらぼうな土地のいわば値上がりをめぐっての仲間割れだろうと、私は総体の枠組みを私の調査では見ておるのでありますが、その仲間割れをいたしました部分が丸紅社長の松尾さんあてに内容証明か何かで手紙を出した。先月の十月七日の話であります。二日三日たってその手紙は丸紅社長のところに着いたでありましょう。そうしましたら十月十七日に——丸紅の社長や丸紅の会社からはその手紙を出した方に何の意思表示もない。ところがこれも警察庁のお話だとそっちの関連の人であるようでありますが、加茂田組の相談役だと言われておるそうでありますが、大山武夫さんという人から、手紙を出した、仲間割れをした方の組であろうと思うのでありますが、その人のところに、あなた何で丸紅にああいうものをやったか、おれとおまえでさしで話をつけようじゃないか、こういう電話が来るというのであります。 私はこれを見ると、少なくとも日本の大商社丸紅、たとえばロッキード事件などをずっと振り返ってみると、田中元総理にもいろいろな過ちがあったでありましょう、政治家の基本的な過ちがあったでありましょう、しかし見ると、商社というものの、丸紅というもののすさまじさを感ずるのであります。総理大臣をやったほどの政治家が、実際は丸紅絡みで政治的には食いつぶされるという事態になったのではないかとさえ私は思います。私はいま海外に行った人々からいろいろな話を聞く。そうすると日本の商社のあり方というものに対して、一面では日本の商社の猛烈活動というものが、ある意味では今日の日本の貿易なり経済なりいろいろなものに一つの活力を与えておることも事実でありましょう。しかし同時に、この行動基準に照らしてみると非常に逸脱をしておる。私は、このはみ出しがどうも国際摩擦なりいろいろな問題を引き起こしておる根源のように思えてならないわけであります。 そこで、私はきょうは具体的なことを申し上げましたので、通産省は捜査権はございませんが、きょう提起いたしました問題について、通産大臣におかれてぜひひとつ商社のあり方に対して、行動基準は出されました。確かにいま私が提起いたしました土地問題というのはあの狂乱物価時代のころの話で、いまはその後始末問題で仲間割れが始まったということだろうと私は見るのであります。あのときはばっと買い集めた。したがって、この商社に対する通産大臣の指導のあり方というものをぜひいま一歩進めていただかなければならぬのではないかと私は思うのでありますが、通産大臣の御所見をぜひお聞かせいただきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 商社に対する行動基準を私どもは公表し、またそういう点で行政指導しておりますし、これから商社の行動が社会の批判を浴びないようにさらに一歩進めて、阿部委員の質問の中にございますようなことのないように心がけていきたいと思います。
○阿部(昭)委員 大臣、御都合おありのようですからどうぞ。 そこで、法務省及び警察庁におかれて、これは国土庁もぜひ、あるいはどういうことになってくるのかよくわかりませんが、私が恐れるのは、私がさっき仲間割れと申し上げました。そのとおりだと思います。同時にもう一つの側面は、何はともあれ四十年代、五、六年前までかかって二十数億で買い集めた土地が地価公示価格で二百数十億するということも異常であります。なぜこの異常が起こったかということになると、この十七の物件はそれぞれいわく因縁のある物件なのではないか。ある意味で言えば事件物というか、大商社丸紅がバックになって、主として事件物を事件物なりにいろいろな手だてをして安く手に入れることができる、そうすれば短期間に急激な値上がりという事態が起こる、いろいろ問題の、いわくつきの物件であるがゆえにここに暴力団絡みということが起こってこなければならぬということになってくるのではないか、これが私のいままで調査をした総枠の認識であります。そういう意味で、ぜひひとつ警察庁あるいは法務省におかれて、いま申し上げました十七の物件はどういう経過で今日まで金利関係その他が動いて、その中で、私の恐れます暴力団絡みの状況がどういうかっこうで起こってきておるのか、この御調査をひとつぜひしてほしい。 それからもう一つは、「三者代表権利者間の協約書」なるものも読んでみると実は非常に奇々怪々な文書であります。この文書がもしこのとおりだとすれば大変な文書であると思う。したがって、この文書についてもぜひひとつ警察庁、法務省におかれて鑑識技術の粋を集めてすっきりさしていただきたい。そうしないと、この巨大な土地の行方と絡んで、暴力団絡みのおそれが私は常にじめじめ続いていくというふうに思います。この点についてぜひ調査をしていただきたいということを希望いたします。
○漆間説明員 お答え申し上げます。 確かにお渡しをいただきました資料を拝見しますと、電話のやりとりの中に暴力団の名前が出てくることは事実でありますが、ただ本当にあの種の暴力団がこの事件に関与しているかどうかという点については、私ども実は把握いたしておりません。ひょっとしたらあの人物がその名前を適当に利用しているかもしれませんので、この点はぜひ確かめる必要があると思いますけれども、そのような本事案をめぐる暴力団の介入の実態をよく解明しまして、その結果私どもとして措置すべき点があれば適正に対応していきたいと考えているわけでございます。
○阿部(昭)委員 この件については私もっといろいろな調査をいたしておりますけれども、きょうのところは以上申し上げて一こういう事態の中で、商社が中心におって、ダミー、そしてそのもっと手先、その周りに暴力団、こういうような図式は少なくとも日本社会の中では私は許されないことだと思います。そういうおそれの出ないように正確な御調査を希望して、この件は一たん、きょうのところは要望申し上げて終わりにいたしたいと思います。 それから先ほど大臣に申し上げましたが、農林省とかかわり合いが出てくる問題であります。 私は、実は長年養蚕農家のいろいろ直面している問題に深くかかわってきました。同時にまた絹織物業者、そこで働いている皆さんの直面しておる問題、こういう問題にも深く関心を持ってまいりました。その中で、いま一元輸入というものを蚕糸事業団は行っておるわけですね。そうすると、日本の国内の価格というのはある意味で言えば政策価格であります。国際価格との間には相当の差がついておる。現在蚕糸事業団は莫大なストックを抱えておるわけであります。この状況をずっと見ておりますと、私どもは、養蚕農家が成り立つようにしていかなければならぬという側面と、同時に国内価格、国内価格は政策価格でありますから、これと国際価格との差の中で、そうやってつくった日本の絹織物、しかし外国からもいろいろな製品がどんどん入ってきておりますから、ここでどうしても競争をやるのには非常に困難な状況が、さっきの西陣を初め至るところで起こりつつある。こういう問題に一体通産省はこれからどういう対応をしようとするのかということが一つであります。 それから第二の問題は、いま蚕糸事業団で抱えておるストックは莫大な数量と先ほど申し上げました。私はその中で、これは通産省と農林省と協議をしてもらわなければいかぬ問題だと思うのですが、減反をやらなければいかぬ、そこで、相当の地域に新たな植栽をやって養蚕を広げつつあるのであります。蚕糸事業団は莫大なストックを抱えておる。私が恐れるのは、生産地においてはどんどん減反にかわる転換作目の一つとして養蚕を進める、何年かたったらそれがばたり養蚕地はだめでしたということになると、これは大変なことになるのであります。したがって、通産省及び農林省の間で、この間の政策の整合性というか、長期的なあり方というか、これははっきりさしてもらわぬといけない問題ではないかと私は思っておるわけであります。この点についてのお考えをぜひお聞かせをいただきたい。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、基本的に重要な問題がこの問題に横たわっているわけでございます。率直に申しまして、産地、蚕糸業だけが栄えるわけにはいかない。絹織物業と両方栄えるように工夫しなければ両方まいってしまうというジレンマに直面しておるわけでございます。短期的には先生御承知のとおり、絹織物も含めて輸入の調整といいますか、はっきり言えば制限をかなり大幅にやっております。そういうことで何とかもっといいますか、何とか防いでいるわけなんですけれども、基本的にはいま申しましたような、先生がおっしゃったような大きな問題が横たわっているわけでございます。 それで、まずいろいろな手は講じております。実需者割り当てを絹織業界に相当大量に渡すとかということはやっていますが、それにもかかわらず需要の減退、これまた構造問題がありまして、和装需要の減退ということで、需要自身の絶対水準が落ち込んでおる、そういうことで蚕糸事業団に大きなものがたまっておる、これがまた市況を圧迫しておる、悪循環を起こしておる、かような実態でございます。したがいまして、私たちがまず中長期的に現在取り組んでおるのは、何とか需要を開拓したい。単なる和装も当然でございますけれども、洋装需要についても開発したい。これにはやはり技術開発というものがないと、幾らいいものでも扱いがしにくい、洗たくとか何かがしにくい、それから丈夫でないということになりますと、幾ら消費水準が高くてもなかなか買ってくれませんので、需要開拓を一生懸命やっていきたい。 それから農林省との関係で、この事業団の関係あるいは蚕糸業と絹織物の橋渡しを一体どうやっていくかということは現在真剣に両省において取り組んでおる。ただ、御承知のように根はなかなか深いものですから、解決のすぐの糸口はできない。ややびほう策と言っては若干われわれも情けないのですけれども、それをいまやっておって、ようやく需要開拓の方に動きを出してきておる。しかしそれだけではどうもおさまりそうもないということでいま研究をしておる、かような状況でございます。
○阿部(昭)委員 いま言われましたように、残念ながら現状やっておるのはびほう策である。農村の方は米を縮小しなければいかぬ、だから必死になって転換を図らなければいかぬ。ぼくらも転換の問題についてずいぶんいろいろな努力をしておるわけですね。そういたしますと、何年かかったらそっちの方はやはりだめでしたということになるわけにはいかないのです。したがって、びほう策じゃなくて、長期的な見通しの上に立った確たるものをぜひやっていただかなければなりません。したがって、通産省としては農林省ととことんまで詰めて、整合性のある、長期見通しの立つことをしっかりやってもらわなければいかぬということを強く希望しておきます。 石油の問題をちょっとやりたかったのでありますが、時間の関係もあるようでありますし、本会議の時間も迫っておるようでありますから、先ほどの理事会における委員長の強い御要望に従いまして、きょうはこれで私の質問を終わりたいと思います。 ————◇—————
○野中委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 本日、理事宮田早苗君が委員を辞任され、先ほど再び委員に選任されましたが、このため、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野中委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に宮田早苗君を指名いたします。 次回は、来る二十六日午後一時三十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十七分散会