社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 251 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/11/05
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
○田口委員 まず大臣に、このことを一つだけ、お伺いをしたいんですが、前の、この委員会でも取り上げられましたし、いま毎日のように新聞に取り上げられております富士見病院の件なんです。 この富士見産婦人科病院の乱療事件をきっかけにして、医療行政や監督体制の不備、対応の甘さというものが指摘をされております。私ども日本社会党は、先月の六日に現地調査の結果をまとめまして大臣に申し入れたことは御存じいただいておると思いますけれども、その申し入れの最後のくだりに、こういうことを私どもは言っておるわけであります。「患者・被保険者負担を中心とする健保の赤字対策は、以上の措置によって医療内容の適正化が全体として進むまで、手をつけるべきではない。」以上の措置というのは、いろいろと申し上げておりますが、なぜ私どもが、こういったことを大臣に申し入れたかといいますと、富士見産科病院の乱療事件というものは、ああいった院長が無資格であるとかといった特殊な事件ではなくて、残念ながら今日のわが国の医療荒廃の氷山の一角である、こういう言い方がなされているんですけれども、私どもも氷山の一角であるという見方に立っておるわけであります。もちろん、そうでないという方もあります。あと、いろいろな問題も具体的に申し上げますけれども、まず大臣、こういった事件が氷山の一角であるかどうか、その御認識について承りたいと思います。
○園田国務大臣 富士見病院はまことに遺憾なことでありまして、当事者として反省をいたしております。御意見のとおり残念ながら、これは氷山の一角であって、このようなひどいことはないかもわかりませんが、委員の各位あるいは婦人会議の一一〇番あるいは、その他の私に寄せられますお手紙等を拝見すると、ここで医療に対する厳正なる指導と国民の信頼を回復しなければ、これは大変なことになる、氷山の一角であると私も考えております。
○田口委員 いま、お答えの中にもありましたように、日本婦人会議の医療一一〇番の話がありましたが、私どもが今度のこういった事件は日本の医療荒廃の氷山の一角であるという認識に立つ理由として二、三申し上げて、あと、お考えをただしたいんです。 これは日本婦人会議から先月の三十日だったと思いますけれども申し入れがありました。御存じいただいておると思います。この医療一一〇番は今回に始まったことじゃないんですね。ちょうど三年前の昭和五十二年だったと思うのですが、東京と大阪で延べ五日間、医療一一〇番ということで、やったそうであります。そのまとめが、ここに、こういう冊子にしてあるのですけれども、延べ五日間で千百八十二件のいろいろな苦情があったというのですから、まあ四六時中電話の鳴りっ放しという状態だったと思うのです。さらに今度の富士見病院の事件に関連をして茨城県でも医療一一〇番をやったそうですけれども、三日間で百四十七人、百八十四件の一一〇番があった。この内容をいま一つ一つは申し上げませんけれども、ちらっと見る限りにおいでも医療の荒廃の実態ということを、この上なく示しておるわけであります。 そこで先般、日本婦人会議が申し入れたことにも関連をするのですが、昭和五十二年、初めて一一〇番をやった際に、当時の渡辺厚生大臣に対して三つほど、医療の荒廃の実態にかんがみて、その是正方を申し入れておるのです。一つは、医師会などから独立をした苦情処理機関の設置をすること、二つ目は、医師に、給付内容がわかる領収書と薬の明細書を義務づけること、三つ目は、差額ベッドであるとか付き添いなどについて申し入れておるのです。すでに三年前にも同様のことを申し入れておりますが、これに対する対応、どういう措置をとってきたか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 昭和五十二年に日本婦人会議が医療一一〇番を開設されまして、その結果を集計され、それに基づきまして当時の渡辺厚生大臣に、いま先生が挙げられましたような要請書を出されたわけでございます。これにつきまして私どもといたしましては、特別、新しい機関をつくるとか法令を改正するとかいうようなことはいたしませんでしたが、その後も厚生省初め都道府県あるいは保健所に、いろいろな形で患者さんの苦情が寄せられておるわけでございまして、今回の富士見病院の事件を契機といたしまして、医療機関の運営、管理に直接の指導監督権を有しております都道府県に医療相談コーナーを設置いたしまして、国民の医療についての心配あるいは不信というものに適確に対処してまいりたいというふうに思います。
○田口委員 いまの医務局長の、これから対処してまいりたいというふうな言い方なんですが、私が冒頭に、今度の事件をきっかけにして医療行政なり監督の体制の甘さといいますか、そういった指摘があると言いましたけれども、それを、いまのお答えは如実に物語っておると思うのです。私どもが、また婦人会議が三年前に、そういったことを申し入れた、あのとおりやっておれば、こういったことは起こらなかったであろうとは断言はいたしません、断言はしませんけれども、少なくとも未然に防止ができたんじゃないかという気がするわけです。 先般の新聞を見ますと大臣は、医療相談コーナーというものを暫定的に各府県に設置をする、こういう御意向のようでありますけれども、ちょっと失礼な言い方をするならば、いまのような及び腰、右顧左べんをしておるような態度であると、せっかくの医療相談コーナーというものが魂が入っていかぬのじゃないか。新聞報道によりますと、現に大臣が婦人会議の代表と会われたときにも、ちょっと触れておるようですが、このコーナーの設置についてさえ日本医師会は人民裁判だと言って反対、批判をしている。それを乗り越えてやるという毅然たる態度をお持ちのようでありますけれども、旬日を経ずして、こういう記事を私は地元で見たのです。埼玉県のことですから、これは全国紙にも載ったと思います。 今月一日の朝日の夕刊なんですが、見出しだけ言いますと、乱診自衛策についての県の広報が医師会の圧力で廃棄処分になった。まあクエスチョンマークをつけていますが、この広報は、廃棄処分になりましたから私は中身は知りませんけれども、新聞の報ずるところによれば「診察を受けたら、支払った治療費の領収書を受け取るように」とか、まあ、あたりまえのことを書いてある。このこと自体が医師会のげきりんに触れて廃棄処分にされたという。こういうことから、いまのような及び腰では医療相談コーナーに魂が入らぬのではないかという危惧を私は持つものであります。 同時に、ここのところをお伺いをしたいのですが、医療問題に門外漢がとやかく口を出すのはおかしいと言っているのですね。ということは、医療の問題は専門家に任せて素人は黙らっしゃいということだと思うのです。高度の技術に対してまで、どうだこうだと口をはさむということはなんですけれども、こういった事件が起きておる、それをきっかけに、あたりまえのことを県の広報で出そうとしたら廃棄処分にする。医師会は、何も言ってない、圧力はかけてないということを言っておるのですけれども、しかし言葉の端々に、門外漢は黙っておれ、素人は黙っておれという、こういう態度は、医療相談コーナーを人民裁判だと言うことと軌を一にしておるのではないか。となると医療相談コーナーを設置することによってトラブルをよけい助長するのではないかというふうに医師会の方々は見ているのではないかと思うのですね。これでは、せっかくのことがどこかに飛んでしまう、こういう心配もあるのですが、このことを一つ。 そして、それに関連をして薬務局長にお伺いをしたいのですが、去年の八月に日本医師会が医薬品の薬効について、素人わかりのよい病名方式から専門家でなければ、ちょっとわかりにくい薬理作用方式に改めるべきだ、こういう申し入れを厚生省にしておるそうですが、日本医師会からの薬のそういった扱いの申し入れについて、御無理ごもっともと言っておるのか、どういう対応をしておるのか、このことも関連をしてお答えをいただきたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。 おっしゃるように昨年の八月に日本医師会から、薬効表示というものは医薬品の臨床薬理上、効果を持つと判断される範囲を包括的に表示すべきだ、病名、症状名は例示とすべきである。それから第二点としまして、医薬品の使用というのは能書き記載の病名等に拘束されないで、臨床薬理上の作用機序に基づいて医師の処方権にゆだねられるべきである、こういう見解を明らかにしたことは御指摘のとおりでございます。 それにつきまして同じ月の二十九日に医師会長に対しまして厚生大臣から、能書きにつきましては薬理作用を重視して、その記載内容を充実する方向で改善していく、いわば、こういう御返答を申し上げたということでございまして、その線に沿いまして、つまり能書きの記載の上において薬理作用をできるだけ重視する、こういうことで、その改善方策につきまして現在、中央薬事審議会に薬効問題小委員会を設置しまして、過去九回の検討を重ねているという経緯でございます。
○田中(明)政府委員 厚生省が現在考えております医療相談コーナーの設置につきまして、日本医師会から反対の申し入れがあったわけでございます。そういう申し入れをした真意ということにつきましては、先生が御指摘になったような、医療のことについては、よけいな口を出すなというような考えに基づいて、されたのかどうか、ちょっとはかりかねるわけでございます。診療内容につきましては、これは私ども、お医者さんが責任を持って患者さんに対してベストの診療をするという現在の制度の根底をなしていることについて、よその者がとやかく言うことではないかと存じますが、診療をめぐる医療費の問題その他につきましては、別に専門の医師でなくてもといいますか、主治医でなくても、いろいろそれに対する要望等が出てきて当然であり、行政もこれに対して対応すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、これから府県に設けられます医療相談コーナーにおきましては、患者さんのいろいろの要望、苦情等に十分耳を傾けて聞き、それぞれのことについて、できるだけ適確な対応をいたしたいというふうに思っております。
○田口委員 この医療相談コーナーの設置、暫定的らしいのですが、この運用については後ほど体制の問題も含めて、ちょっと御質問をしたいのです。 それとよく似た——よく似たといってはなんですが、被保険者への医療費の通知運動というのがありますね。このことに絡んで、ちょっと申し上げてみたいのですけれども、毎年、税務署が発表する高額所得者の中に医者が多い。これを見て大臣も同感をされるのではないかと思うのですが、それを見るたびに私は、こういうせりふを思い出すのですよ、「あれだけ金持ちになるまでには大分人を殺してきたに違いないな。」これはモリエールの「気で病む男」とかいう芝居の中に出てくるせりふです。まあ人を殺したから金持ちという言葉はちょっと不穏当ですが、芝居ですから御勘弁いただきたいのです。所得番付の高位に、しかも一税務署管内で大体五割ぐらい、半分くらいが医師であるというところもありますけれども、それと直接結びつけると、ちょっと語弊があるのですが、一昨年健保連の全国大会で医療費の通知運動を決めました。そして、その結果、発見された不正請求ということは、残念ながら驚くほど多い。 そこで問題になりますことは、昭和五十五年度の予算に政管健保の中で厚生省が、これに類したことを約五億近い予算を組んだというのですから、私は解消したと思っているのですが、去年の八月二日、保文発第二百七十六号、この保険局の通知によって、この運動にブレーキをかけるような通知を出しておるのですけれども、約五億近い予算を組んだということによって、あの通知が撤回されたに等しいのか、ここのところが一つ。この考え方いかんによっては、また後でお聞きをしますが、この医療費通知運動なるものについて、いまでも好ましくないという考えを持っておるのかどうか。
○大和田政府委員 健保連の行っております医療費通知運動につきましては、被保険者等がこれによりまして、みずからの病気であるとか医療費について認識を新たにするという観点から健康管理の面で効果があるというふうに私どもも考えております。 ただ、この運動につきまして注意をしなければなりませんのは、医師と患者との間の信頼関係、これを損なってはいけないという問題、それから患者のプライバシー、これを保護していかなければならない、こういう問題がございます。したがいまして、そういった点に十分な配慮が必要ではないかという観点から健保連に通知を出したわけでございまして、この運動自体に否定的な見解をとっている、あるいは、この運動を禁止するというような趣旨では全くございません。先生のおっしゃいましたように政管健保におきましても、この医療費通知運動を五十五年度から行うことにしておりますので、そういったようなことは否定あるいは禁止といったような趣旨のことでは全くございませんので、その点、御了解いただきたいと思います。
○田口委員 約五億近い予算を組んだのですから、政管健保自身も、それに類したことをやる、否定をしてないという言い方は、私は、なるほどそうだと思うのです。ところが末端といいますか健保組合の支部なり、いろいろなところで聞いてみると、あれは厚生省からだめだと言われておるのですよ、このことをなぜ健保連が曲げてやるのか、けしからぬじゃないかと言って、多少の行き違いがあるようですね。確かに、この医療費通知運動の真のねらいというのは、保険医の不正請求をチェックするためにのみ、やったというふうに私はとっておりません。それだけなら問題があります、先に相手をどろぼうみたいに決めつけてしまうわけですから。そうじゃなくて、いまもちょっと局長言われたように、健康管理という面もあるだろうし、それから限られた医療費という医療の資源を有効に使っていこうじゃないかということもあるだろうし、被保険者個々の健康管理ということを、むしろ呼び起こす、自覚を喚起をするという意味で大いにあずかって力があるものだと私は思っております。その中で不正請求なり水増し請求といったことがクローズアップされてきた、こう見るべきではないか。 ところが不正請求といった方がうんと大きくなって、本来ねらった健康管理とか、自分の健康は自分でひとつ、やっていこうじゃないかということは陰に隠れてしまったということは否めない。私は、こういう点も否めないと言いながら、そういうことを言うのですが、たとえば政管健保の財政状態を見た場合に、五十三年度には百二十六億の黒字だ、五十四年度は百五十億程度の赤字で済むのではないかという見方すら流れておるのです。私は、こういう黒字が出たから、また赤字幅が少なくなったから、保険料率の引き上げだ何だかんだというようなことで法改正をすべきじゃないという短絡的な言い方はしません。たとえば国民健康保険ですら五十三年度決算では実質一千億余の黒字になっておる。ここのところを見た場合に、ちょっと極端な言い方になるかもしれませんけれども、こういう黒字の原因は、厚生省の方では、流感がことしは少なかったとかなんとかということを、かつて言われたのですけれども、新聞で医療費通知運動の結果なんかをどんどん書き立てる。そのことによって、これは変なことをしたらまずいぞ、うっかりしたことはできぬぞというととが保険医全体に行き渡って、その積もり積もったものが百何十億といった黒字になり、また赤字幅を縮小したというようなことになったのじゃないかなと私は思うのです。ちりも積もれば山となるということがありますけれども、もし、そうであるとするならば大変な水増しがあった、こう思います。 そこで私が言ったように、ちりも積もれば山となるということで、むだが排除される、こういうことであるならば、政管健保だけの医療費通知運動にとどまらずに、厚生省が音頭を取って、国民健康保険であるとか、それから各共済組合の短期、こういったところにもひとつ、やってみたらどうですか。いま局長がおっしゃったようにプライバシーを侵害するとかということにも十分注意しながらも、健康管理の自覚を喚起をするという意味も含めてやってみたらどうですか。こういう音頭を取ったらどうか。そのことによって副作用である不正請求の方が静まっていくのじゃないか、両々相まって効果を上げるのじゃないか、こう思うのですが、この医療費通知運動について他に及ぼしていく、また音頭を取ろうというお考えはあるのかどうか。
○大和田政府委員 すでに国民健康保険につきましては、都道府県を通じまして各保険者に対しまして医療費通知運動、これを行うように指導を行っておるところでございます。問題は共済組合でございますけれども、共済組合につきましては、まだ私どもは行動をとっておりませんが、先生の御指摘がございますので、共済組合につきましても、医療費通知運動の趣旨が理解されるように関係各省と協議をしてみたいという気持ちを持っております。
○田口委員 ちょっと念を押しますが、共済組合はそれぞれの官庁関係が多いですから問題はないと思いますが、国民健康保険ですね、ある町村長は私にこういう言い方をしておったのです。やりたいと思う、しかし自分の管内、市町村内にお医者さんがおるわけですね。それからにらまれると、ためらうというわけです。これは私は無理はないと思う。町内の、また村内の有力者と一ぱい飲んだら、大黒柱の前に座るのがお医者さんですから、そういう人に、これはだめですよと町村長が言われたら、くじをくるということは、これは局長、そういう気持ちはわかるでしょう。だからその辺を、国民健康保険という一兆円余の医療費を持つところでこそ必要なんじゃないかと思うのですが、行き渡るような保証をできぬものですか。
○大和田政府委員 この通知を行いますのは国保の保険者である市町村でございます。したがいまして市町村が行わなければ、これはできぬわけでございます。したがいまして市町村が管内のお医者さんなどとよくお話し合いをすることが必要かと思いますが、すでに五十四年度におきましても、国民健康保険の医療費通知を行っております市町村が約二百くらいあるわけでございます。それを逐次拡大をしていこうということで、私ども先ほど申しましたような指導通知を流しておるわけでございまして、都道府県を通じましてそういう指導を強めておるわけでございますが、それによりまして私どもは各市町村が積極的に、そういう医療費通知を行うことを強く期待をしておるところでございます。
○田口委員 行き渡るように、ひとつ強く期待をしたいと思います。 そこで先ほど、ちょっと残しました医療相談コーナーの具体的な運営などについて、三つほど具体的な問題をお尋ねしたいのですが、私は医療の問題に対しては素人ですから、ちょっと見当外れなことを言うかもしれません。 一つは人工透析の問題です。先般も、たしか同僚議員が人工透析で質問をされたように聞いておるのですけれども、人工透析を安易にやっておるのではないかという批判もある。そこで、いまは、どうやっておるか知りませんが、かつて結核患者にストマイとかなんとかといった薬を投薬する場合に、保健所で関係医師の合議の上で、この患者には何グラム投与すべきだということをやっていましたね。ああいった式で審査会というのですか、いま診て、あした、すぐに人工透析をしなければ、その患者さんはだめだということもないでしょうから、そういった人工透析を必要とする患者について、その担当の医師を含めた複数の医師で審査会をつくって、そこで人工透析の可否を決める、こういったことはやれないものか。もちろん、お医者さんの相互チェックということはむずかしいそうですけれども、結核予防法関係でそういうこともあったのですから、人工透析でも、できるのではないか。これは素人考えですが、まず、これはいかがでしょう。
○田中(明)政府委員 現在、人工透析を受けております患者が約三万おるわけでございますが、その約半数以上が更生医療の適用を受けておりまして、これは公費負担の制度の適用を受けておるわけでございます。それで、そういう患者さんにつきましては、先生御指摘の結核予防法による公費負担医療を受ける場合と同じように、身体障害者の更生相談所におきまして、その医療費のチェックをいたしております。そして、その残りの更生医療の適用を受けていない患者につきましては、現在のところ、そういうチェックシステムの適用がないわけでございます。したがいまして結核予防法の場合にも、人工透析で更生医療を受けている患者につきましても、公費負担をする、その条件として、しかるべき検討を専門の委員会がやっているというシステムになっておるわけでございまして、その公費負担の適用を受けていない者についてまで何らかの形で、そういうチェックができないかということにつきまして、われわれ、いま、いろいろ検討をやっておるわけでございますが、私どもといたしましては従来から、人工透析は患者にとりまして非常に重大な問題でございますので、厚生省に腎不全対策検討会というのを設置いたしまして、その適用基準を決めております。それで、この基準を関係者に講習会等を通じて徹底を図ってきておりますので、先生御心配のようなことは非常に少ない。全くないということを願っておるわけでございますが、しかし、まだ、それでは不十分だという御意見もあるようでございますので、そういう更生医療を受けていない人についてチェックするという方法が、何か適切なものがないかということは今後、検討いたしたいと思っております。
○田口委員 公費負担の場合には、いま言った更生医療の例のように結核予防法に準じた措置をやられておるそうですが、そうでない場合の扱い、これはむずかしいと思うのですけれども、人工透析をやられておる患者さん全部とは言いませんが、これは厚生年金や何なりでも障害年金の申請が多いのですね。そういったことまで結びつけて考えると、確かに人工透析ということに対して一定の基準は定めておるでしょうけれども、障害年金の受給者になりかねぬのですから、その基準を一人で判断するんじゃなくて、複数の者で判断するというぐらいな慎重なことが必要なんじゃないのか。単に医療給付費に占める人工透析の費用の割合が多いからということではなくて、その本人の将来を考えた場合にも、死ぬまでのことですから、ちょっとやそっとで人工透析はできないぞ、こういう考えに基づいて結核予防法による審査会程度のものを、びしっと、つくるべきではないのか。これは私の素人考えだけではなくて、人工透析を受けておる患者さんも私によく、そういうことを話してくれるわけです。したがいまして、できれば、こういう問題についての基準、やり方を急いで一定をしていただきたい、これをお願いしておきます。 それから二番目は、例の支払基金にちょっと私が行きましたら、そこでも言っておったのですが、こういうケースが最近ふえてきたというのです。どう言ったらいいですかね、一言で言いますと何か第二薬局というらしいのですけれども、同じ敷地の中に病院がある。そこで診てもらうわけです。普通の病院ならば内科なら内科、小児科なら小児科で処方せんをもらって病院内の薬局で薬をもらうというのが普通ですね。ところが、そうじゃなくて、そこの病院で診てもらう。その病院を、たとえば健康病院といいますと、同じ敷地なんですけれども健康薬局というのが隣にあって、そこへ薬を買いに行けといって処方せんをくれるというのです。そうするとレセプトで請求を受けた支払基金でやりますと、薬の欄が載っておらぬわけですね。何を投与したかということは載りませんからチェックのしようがないというのです。これでは健康薬局といいますか、そこから請求のあったレセプトを見ても、何の病気のために、こんなにも薬を出したかということのチェックのしようがない。そういったところから、架空とか水増しということはないと思うのですけれども、俗に言われておる薬づけ医療というパターンが生まれてくるのではないかな、こういう懸念をしておるのですが、これは防ぎようがないのですか。防ぎようといいますか、これに対する規制の仕方ですね。 〔委員長退席、湯川委員長代理着席〕 同じ敷地ですから経営者は同じですよね。そして、こっちの医者が処方せんを書いて、まあ患者にとっては、すぐに隣に行くのですから便利ということもあるでしょうが、病院の薬局じゃなしに健康薬局という一つの薬屋へ買いに行くのです。だから表面上は別々だ。この中に薬づけという心配もあるし、水増しということもあるし、支払基金ではチェックしようがない、何とかならぬでしょうかという現場の声なのですが、いい悪いの判断も含めて、これに対するお考えはないでしょうか。
○山崎(圭)政府委員 薬局の開設の許可の問題について薬務局から御答弁申し上げるといたしますると、すでに、そういう問題をある程度、意識しておりまして、五十年のことでございますが、通達を出して開設自身についての適正な指導を行ってきたつもりでございます。つまり薬局につきましては、構造の上におきましても機能の上におきましても、あるいは経済的な面におきましても、医療機関から独立していることが本来のあるべき姿だ、こういうことで、そういう通達を出しております。しかしながら、いわゆる第二薬局、先生のおっしゃるようなものにおきましては、どうも、そういう構造的、経済的あるいは機能的に独立分離しているかということから見ますと問題なしとしない。こういう意味で薬局の開設許可につきましては、これらの点について特に指導方を十分に配慮すべきであるということでやってまいりましたが、今後とも、そういう方向で努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
○田口委員 予言めいたことを言って失礼なのですが、いま申し上げたような第二薬局については、支払基金でやっておる職員の方々の意見を聞くと、委員の先生方も言っているそうですが、数多いレセプトですから、そこまで不信の気持ちで検査することは不可能でしょうが、ちょっとおかしいなと首をかしげる向きが多いですね。これが先ほど私が申し上げたような薬づけ医療の新しいパターンになることのないように、ひとつ厚生省の方も十分な監視と、それの扱いについて研究を進めていただきたいと思います。 最後に、先ほど言った医療相談コーナーの設置に絡んで、ちょっと細かい点を聞きますが、ひとつ暫定的でなくて継続してやってもらいたい、これが一つです。 それから医療相談コーナーをやる場合に、健康保険法を与野党折衝した際に出てきたのですが、医療機関に対する指導、監査、また従来、都道府県の保健所が持っておる機能のうちの一つに医療監視ということもありますけれども、指導、監査、医療監視そして今度の医療相談コーナー、これを実際にやっていく役所といいますか、窓口といいますか、それは都道府県、政令都市、保健所などが当たるのではないかと思いますが、医療監視ということについて言いますと、年に一回はやっておるそうですが全く形式的なのですね。そこで数字を概括的にお答えをいただきたいのですが、たとえば保健所を例にとりますと、医療監視をやろうと思ったって、お医者さんがおらぬ、薬剤師がいない、予防課長が事務屋だという例もあるようです。したがいまして保健所の医療監視の現状、それから医療監視を進めていく上にいろいろな職種があると思うのですが、職種別に充足状況を、概括で結構ですから、お答えをいただきたい。 それから二つ目に、病院全般に対する指導ということで保健所の指導監督があるそうですが、どういう基準で保健所管内の病院に対して指導をやっておるのか。その基準を大まかで結構ですから伺いたい。 さらに現在、都道府県の保険課に、保険医療機関の指導、監査という権限を持った職員がおるそうですが、それはいままで大体どういう仕事をやっておったのか、お聞きをしたいと思うのです。 ですから、これから医療相談コーナーということをやる場合、いまある保険課の指導、監査をやる者、保健所の医療監視をやる者、それから本省の機能で言えば指導助成課というのですか、そういったところで総体的に指導をする者と、もし職員が充足をしておればですが三通りになるわけです、いま、おりませんから中途半端になっておるのですけれども。こういった者の中に医療相談コーナーを設けていくと、人が足らぬところに相談コーナーがあっても何もならぬ。何もならぬと言うと、ちょっと言い過ぎですけれども、やりようがないのじゃないかということになるのです。これらを総体的に見ていくこともあるし、いまの状況から見て人員の充足ということもあるでしょうし、どこへ行ったら、ぴしっと医療苦情が受けつけてもらえるのか。あっちへ行け、これは保健所に行きなさい、いやこれは保険課に行きなさいということになってしまうのではないか、こういう心配もあるのです。そこのところを、コーナーはまだ、これからつくるのですから、絵の中に、頭の中に描いている一つの組織図といいますか、それも含めて、お答えいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 私どもが医療相談コーナーを都道府県に置くというふうに考えましたのは、先生御指摘のとおり患者さんの訴えは、その内容が医療費に関することもございますし、病院あるいは診療所のサービス、診療の内容等に関するものもございますし、大別して、その二つではないかと思います。前者は健康保険あるいは生活保護等の公費負担を所管するところの問題でございますし、後者は主として私ども医務局の関係の所管する問題でございます。この両方が、同じ場所といいますか役所にいるということを考えますと、保健所では前者の方の専門の職員がおりませんし、市町村あるいは社会保険の出張所では、健康保険のことはわかりますけれども、医療の内容といいますか、医療そのものについての、いろいろの問題はわからないということがあるわけでございまして、その両方の関係の職員がいるところということになりますと都道府県ということになろうかと存じますので、私どもは医療相談コーナーは都道府県に置くというふうに考えたわけでございます。 現在の医療機関の医療監視でございますが、これを行っております職員は、御指摘のように都道府県あるいは政令市の保健所の職員が大体その九割でございまして、保健所の職員を含めまして全国で五千三百二十七名の医療監視員が置かれております。その内訳を申し上げますと事務系の職員が二千五百七十二名、技術系の職員が二千七百五十五名となっております。これは昭和五十四年九月末の数字でございますが、技術系の職員のさらに内訳を見ますと、医師、歯科医師が八百十名、薬剤師が三百六十名、放射線技師が千六十四名というようなことになっております。その他、栄養士等もございますが主なものは、ただいま申し上げた職種でございます。 医療監視に当たっての指導基準でございますが、これは厚生省におきまして医療監視要綱というのを定めておりまして、それによりまして診療、入院、給食及び管理の四つの部門につきまして、それぞれの部門に必要な人員が置かれているか、あるいは構造設備が医療法の基準に合致しているか、あるいは診療録等、帳簿書類に必要な事項が記載されているかというようなこと、二百三十二の検査項目を掲げて、そのそれぞれについて所定の判定をするという仕組みになっております。なお毎年、この要綱に基づきまして医療監視を行う際の重点項目というのを決めまして都道府県知事に通知しておりますが、本年度昭和五十五年度につきましては、診療放射線の適正な管理、それからもう一つは院内における防災対策の強化というのを重点項目として取り上げて指導したところでございます。
○大和田政府委員 保険関係の指導、監査体制でございますけれども、保険医療機関に関する指導、監査は厚生大臣及び都道府県知事が一体となって実施するということでございまして、その指導、監査の根拠規定は健康保険法にあるわけでございます。都道府県におきましては都道府県保険課に医療係という係がございます。その係が中心になりまして指導、監査を行う。医師の資格を持つ専門家といたしまして医療専門官、これが従来から、この指導、監査を中心的に行う仕事をしてきておるわけでございます。 ところで、この指導、監査の強化は先生の御指摘どおり非常に重要なことでございまして、特に、この指導、監査体制の充実強化というものを図ることにいたしまして、これは昭和五十四年度には中央に医療指導監査官、お医者さんでございます、これを置きます。地方には医療事務指導官を新設いたしました。それを昭和五十五年度におきましては増員を行ってきておる。今後さらに、こういった指導、監査体制の充実強化を図ってまいる所存でございます。 問題といたしましては、先ほど申しました地方に置いております医療専門官の充足率が実は非常に低いというところに一番大きな悩みがございます。医療専門官の定員が五十五年度で百七名でございますが、実員は七十六名ということで七〇%程度の充員しか行われていないというところが一番大きな頭痛の種でございまして、これを何とか、できるだけ早急に充員を図っていきたい、努力をいたしたいと存じております。
○田口委員 そろそろ時間ですから、もう終わりにしますが、大臣、私がいま言っている指導、監査とか医療監視の体制をもっと強めるべきだ、まあ口では強めるべきだと言いますけれども、富士見病院の件でも調査に行って、いろいろと話をしてみますと、前に保健所に通報があったのに何もしてくれなかったというような不満もあるわけですね。だからといって、ここで都道府県保険課のいま言った専門官を充実をして七〇%を一〇〇%にし、さらにまた保健所の医療監視を充実するために、それぞれの医師、薬剤師、こういった専門家を充実をしてということで足れりとは私は思いません。やはり、いま日本の医療のほとんど九割近くを開業医が受け持っていただいておるのですから、その方を敵として監査をやるぞ、監視をやるぞというのでは、うまいこといかぬに決まっておるのですね。 だから医師性善説とか医師性悪説ということが最近よく言われておるのですが、私は性善説だ性悪説だということは一応おくとして、もっと協力をいただいて、しかも協力をいただくお医者さんが、同病相哀れむということで、ふたをしてしまうということじゃなしに、同僚は同僚で相互批判で、いかぬじゃないかというふうなシステムにならぬものか。そうすれば富士見病院のようなことも、これはなくなるだろう。それを監査だ、監視だということでやっていけば、向こうも、よけい反発をするでしょうし、そこのところ私も苦慮をするのですけれども、いまの保健所なり保険課の現状を見る場合に、人がおりませんから全部お医者さんに頼みますよと任せっきりなんですね。だから最低限の、そういった職種というものを充足することが必要なんじゃないか。乏しい中で、そういう相談コーナーもつくる、監視もやりなさい、監査も強化しなさいということになると、どうしたってお互い人間ですから、仕事が忙しくなる、人繰りが足らない、とげとげしくなって、結局あれはもともと悪いんだというふうにきめつけてしまう、こういうことになりかねぬわけですから、ひとつ新年度予算編成を前にして、保健所の機能強化それから保険課の専門官の強化、これらを含めて、単に医療担当の医師を敵視するという意味じゃなくて、双方が批判されないような状態をつくっていくということが目的なんですから、そのための、もっとゆとりのある体制ということが必要なんではないか、私はこう思うのです。 やや抽象的な言い方になりましたが、それに対する大臣のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
○園田国務大臣 御意見の数々はよく了承いたしました。 昨日、私のところへ地方のお医者さんの奥様から手紙が参りました。その内容は、いま医者がいろいろ言われておるが、私の主人は開業以来三十年、まだ車も持っておりません。こういうまじめにやっている医者も全国には、いっぱい、いらっしゃいます。どうか、そういうまじめな医者と脱法行為をしながら金もうけ専門にやっている医者と、はっきり区別してください、こういう手紙でありまして、医師会から私に来た申し入れとはまる反対のお手紙でございます。 私は、医療というものは、こういうまじめなお医者さんが良心と自制心によって医療をやってもらいたい、これが本心であって、大臣は、できるだけお医者さんを法律や制度で縛りたいとは考えておりません。しかしながら、このように事件が起こり、このように医道が荒廃した段階では、これは別問題でありまして、しばらくは厳正にやる以外に方法はない、こう思います。そこで各委員の御意見も承りまして、早急に各県に相談所をつくることにいたしました。これは暫定的と言っておりますが、私は、まず暫定的にやって、その結果これを恒久的なものに移していきたい。したがって性質がやや変わる。暫定的には、脱法行為などをやる、あるいは保険の二重請求などをやる不正なお医者さんは厳正に、これはできないようにしていく。そして、それが静まったら将来は患者とお医者さんをつなぐ、そして正しい医療の基本ができる。 と申しますことは、私は医師会から申し入れを受けまして一番感じたことは、今日の荒廃の原因はいろいろありますが、お医者さんが主人公で患者がこれに奉仕をするという間違った考え方を持っておられる。患者が主人公であって、お医者さんはその病気を診る、その人を診るという従属した奉仕者であります。これが直らぬうちは絶対に医療は正しくならぬというふうに考えておりますので……(「直すのが厚生大臣の仕事だ」と呼ぶ者あり)確かに厚生大臣の仕事であります。責任であります。 そこで指導監査官の問題でありますが、やはり、これは将来、お医者さんににらみのきく、素人が黙っておれと言われぬような、にらみのある人をつくることが大事でありますが、残念ながら今日では待遇の問題で、なかなか、そういう方が得がたいわけでありますが、十分そういう点はお教えを承って、その方向で努力をいたす所存でございます。
○田口委員 終わります。
○湯川委員長代理 次に、佐藤誼君。
○佐藤(誼)委員 まず第一に、政管健保の最近の年度ごとの財政収支と累積赤字の状況についてお知らせいただきたい。
○吉江政府委員 お答えします。 昭和四十九年度から五十四年度まで申し上げますと、四十九年度の収支不足額は四百五十六億円、五十年度は三百十二億円、五十一年度は五百六十一億円、五十二年度は百五十三億円、それぞれ収支不足でございましたが、五十三年度に至りまして百二十六億円の黒字でございまして、五十四年度はまた二十三億円の赤字となっております。 なお四十九年度から五十四年度までの累積の収支不足領は千二百九十億円でございます。
○佐藤(誼)委員 そうしますと、ただいま報告があったとおり、ずっと年度別に見てまいりますと五十二年以降、つまり五十二年度が百五十三億円の赤字、五十三年度が百二十六億の黒、それから五十四年度が二十三億の赤、こういうことですから、全体的な推移を見ると、ごく最近は政管健保の財政状態は好転しつつある、こういう理解でよろしいですね。
○吉江政府委員 確かに五十二年度以降、赤字幅が減少ないしは五十三年度は黒字になっておりますが、少なくとも五十三年度につきましては、先ほども田口委員の御質問の中にありましたように、珍しいことにインフルエンザが全然はやらなかった、これが明らかに大きな原因の一つでございます。それから五十四年度につきましては、年度の末に登りまして、ちょっとインフルエンザの影響がありましたが、あとは、いわゆる暖冬の影響で受診率がきわめて低かったということでございます。
○佐藤(誼)委員 次に質問を続けます。 国民総医療費の現在までの推移と今後の見通し、それの金額と増加率の推移、この二点。 〔湯川委員長代理退席、戸井田委員長代 理着席〕
○大和田政府委員 お答え申し上げます。 国民医療費は、五十四年度の推計をいたしますと十一兆六千三百億円という推定を行っております。今後五十八年度の推計をいたしますと二十兆二千八百億円というのが国民医療費の推計でございます。
○佐藤(誼)委員 そうすると、おおよそで結構ですけれども、現在までの国民総医療費の増加率、それから今後の増加率の見通し、これはどうですか。
○大和田政府委員 国民医療費の対前年伸び率を申し上げますと、昭和五十年では二〇・四、五十一年は一八・四、五十二年は一一・七、五十三年では一六・八、このように相なっております。それで五十八年度までの推計をいたします医療費の伸び率といたしましては一五%、つまり四十五年度から五十年度までの実績に基づきまして、今後の国民医療費の伸びを年平均一五%と見込んで計算をいたしておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 そうしますと現在までの伸び率、その年度によって若干の曲折はありますが、二けた以上であることは間違いないです。それから今後の推計の数字を出す伸び率も大体一五%、つまり二けたということですね。そうなりますと、国民総医療費を分担する国民の側の賃金上昇率あるいは国民所得の伸び率を見ますと、たとえば賃金上昇率は昭和五十一年は一・五、五十二年は八・五、五十三年は六・四、五十四年は六・二、こうなっています。それから国民所得の伸び率も五十一年が一二・一、五十二年が九・八、五十三年が九・五。つまり現在までもそうですが、これからも国民総医療費の伸び率は大体一五%で二けただ。ところが、それを負担すべき国民の側の所得、賃金上昇率あるいは国民の所得の伸び率、特に、これからも低成長を考えますと、二けたになることは考えられません。そうすると負担すべき総医療費は二けた台に伸びていって、それを支払う側の賃金や国民所得の上昇率は一けただ、こういうことがずっと続いていくならば、これからどうなりますか。
○大和田政府委員 これを伸ばしていきますと、政管健保に例をとりますと、やはり保険料率というものによりまして負担をふやしていかなければならぬと思いますが、ただ、これらの医療費の増という原因といたしましては、今後の人口の高齢化であるとか、あるいは医学、技術の進歩その他の問題があろうと思いますけれども、そういった構造的な要因というものがある。これらの構造的な要因に基づくところの医療費の増というものを、それでは、どうやって負担するかが非常に大きな問題であろうか思います。 それで、この医療費の負担につきましては、いずれにせよ医療費の増加というものは避けられないわけでありますので、これを公平な形で負担をさせていかなければならぬ。特に国民健康保険におきましては高齢者がかなり被保険者に入っておる。こういったものを国民健康保険の被保険者だけが高齢者の医療費を負担するということになりますと、やはり国民健康保険の被保険者の負担がふえることになる。これらは、どうやって負担の均衡を図っていくかという問題が今後の大きな課題であるというふうに考えられます。
○佐藤(誼)委員 いみじくも保険料率を引き上げなければならぬということを、ずばり言われましたが、これは先ほどから言っているように、総医療費が二けた台に伸びていって、負担すべき国民の側の所得が一けたであるならば、当然それは考えられることです。ただ、そういう状況に対応してやるべき方法は、保険料率を上げるということは、他の条件を一定にすれば必然的に実は出てくるわけです。ただ、そのほかにやり得ることは国庫負担の増大ですよ。もう一つは国民総医療費を抑えることです。私はこの三つしかないと思います。そうでしょう。 その三つのうち、いま政府が出している健康保険法の改正は、保険料率を上げるということに重点を置いている。しかも国庫負担率は、いろいろ内容はありますけれども一六・四%に事実上抑えるということでしょう。国庫負担は頭打ちになっている。そうすると当然、保険料率を上げざるを得ないということになってくるでしょう、国庫負担の方はストップがかかっていますから。これは伸びていったら、どこまで伸びるかわからぬわけです。つまり国民総医療費が二けた台、負担するところの国民の側の所得は一けた台、そうなれば当然、保険料率を上げざるを得ない状況にいく刀しかも、これは国庫負担の連動を抑えてきているということで拍車がかかっていくわけです。では、それはどこまでいったら保険料率の限度が出てくるのか。国民はそんなに負担し切れませんよ、家計を守らなければなりませんから。そういう趨勢に対して皆さんどう思いますか。
○大和田政府委員 その負担の限度、それはちょっと私ども申し上げられないわけでございますが、短期保険でございますので、やはり支出に対して負担というものを行うことが、どうしても必要でございますが、問題は先ほど先生がおっしゃいましたように、それでは支出の面で、どれだけ効率的な適正化を図っていくかという問題になってくるのではないかと思います。短期保険でございますので、支出を賄うための収入、これを法的にふやしていくということにつきましては、先生のおっしゃいますような問題があるとすれば、支出の方をどうやって適正に抑えていくか、医療費の効率化をどうやって図るかというのが、これからの大きな課題ではないかというふうに私ども考えるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 若干、意見を述べながら質問を続けますが、いまもありましたように、結局二けたと一けたという状況でずっといきますと、安易に皆さんは保険料率を上げると言う。しかも、それに拍車をかけるように連動の国庫負担率を抑えてしまえば、当然それは勢いづいていくわけですよ。そういう皆さんの改正案に対して私は納得がいかないわけです。恐らく国民だって、国庫負担の方は抑えて、二けた、一けたの状況で、保険料率だけどんどん上げていくという、いまの改正案に対しては、非常に将来に対して危惧の念と心配を持っていると思うのです。では、どこで歯どめをかけるかといったら、はっきりしないでしょう。これがいまの改正の骨子のポイントだと私は思う。いま国民医療費の伸び率を抑えると局長は言われました。だとするならば、どの辺を、どうされるつもりですか。
○大和田政府委員 医療費の効率的な使用ということでございますが、具体的には診療報酬の不正請求あるいは医学常識から極端に外れた不当な診療行為というものもありましょうし、あるいは重複受診等の患者の不適正な受診ということもありましょう。あるいは薬価基準、これは再々御指摘いただいておるわけでございますけれども、市場価格との乖離というものを埋めていかなければならないといったようなことがあろうかと思うわけでございます。さらにまた、これも再々御指摘いただいております指導、監査の推進、こういったようなことがあろうかと思いますし、国民の健康教育の推進ということもあろうかと思います。それらの施策を総合的に進めていくことが、どうしても必要ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
○佐藤(誼)委員 大体そのことをやっていないのだよ。いま総医療費を抑えるということを、いろいろ言われましたけれども、やっていないから伸びっ放しになっているのじゃないですか。いまの医療費の伸びを現状から言えば、そのままの状態にしておいて、窓口負担の増大だ、先ほど言った歯どめのない保険料率の引き上げだということを言ったって、総医療費は勢いづいて伸びていくわけですから、それに対して国民の負担だけ、どんどんふやしていって、こんなことをやったって、私はざるに水を注ぐに等しいと思うのです。問題を先にどんどん延ばし、矛盾を拡大していくだけだと思うのです。 今日、国民が望んでいることは、保険料率の負担の問題もさることながら、いままで十分議論されてきたように今日の医療の荒廃、いまもありましたけれども医療のむだをなくする、このことに当局も国民の協力を得ながら努力するということが最大の課題だと私は思う。どうですか皆さん。
○大和田政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
○佐藤(誼)委員 厚生大臣どうですか。
○園田国務大臣 いまの問題は御指摘のとおりでありまして、老齢化、社会経済情勢の変化というものを考えると、まさに予測するだけでも大変な問題であります。したがいまして、いま、やむを得ず一六・何%ということになっておりますが、これは固定されるべきものではなくて、国家の財政再建ができたら、この固定は外すべきである。同時に医療費の伸びをどうやって縮めるか、医療だけに頼ることなく、疾病の予防ということに重点を置きながら、もう一つは、むだ遣い、むだ払い、あるいは不正の払いというものを摘出する。このためには、ただ大臣や事務当局がそのつもりでおるだけでは、なかなかおさまりません。あらゆる面において、たとえば支払い方法であるとか、あるいは薬価の問題であるとか、こういう問題を、しばしば委員の方から承っておりますように真剣に検討しなければならぬと考えております。
○佐藤(誼)委員 国庫負担の連動の一六・四、この頭打ち、これは当分の間ということを言っていますね。それはいままで、いろいろ質問されました。しかし私もそうですし、国民の側も、この当分の間という用語自体に非常に疑問を持っていると思うのです。幾多の法律を見たって当分の間がある。十年はもちろん、三十年、三十三年というのがいっぱいあるでしょう。これはどうにでもなるわけです。あるいは空手形に終わるかもしらぬ。この辺のところが、国庫負担の方はそれなりに抑えて、あとはどんどん保険料率だけ上げていくのじゃないかということにつながると思うのです。 以上の見解を述べながら、先ほど医療のむだと荒廃をなくするということに関連して幾つか言われまして、いままでも質問がありましたが、私も、その点について皆さんから所信を聞きたいと思うのです。 まず第一は薬づけの問題です。ここに十月二十九日の読売新聞があります。そこに今日の医薬品の値引き販売の実態が出ております。これはたしか、この新聞によりますと関西方面の保険医団体協同組合が医薬品の共同購入をする場合の目安にしているリストです。これを見ると約二百五十品目についてリストがありますが、驚くなかれ八割、九割引きというのが圧倒的に多いのです。しかも最高が九五・四%の値引き、最低で二〇・八%なんです。これがすべてとは言いませんけれども、永山の一角をあらわしていると思う。それから九月十九日の新聞、これはたしか朝日新聞だと思いますが、この中にも同じような報道がなされておりまして、添付販売つまり、おまけ薬の実態がずっと出ている。 どっちにしたって、これは数量差であるのか、あるいは単価差であるのか、つまり実勢の価格と薬価基準との差益、このことが明確に出ているわけです。しかもこの薬価差が、皆さん御承知のとおり今日の点数出来高払い制という制度に乗って、よく言われるように馬に食わせるほど薬が出てくるということで、薬づけ、そして医療のむだをここから生み出しているわけです。これは先ほど局長も言われました。したがって私は、こういうことについて皆さんも十分わかっていると思うのです。このことについてどう考えるのか、これが一つ。もう一つは、厚生省は薬価差益率をどのくらいに見ているか、この二点について。
○大和田政府委員 ただいまの新聞の報道につきまして、部分的に、このようなことがあることにつきましては把握しておりますが、総体の取引につきましては、なお、このようなものではないのではないかと思うわけでございますが、つまびらかではございません。 現在の薬価の差益がどれくらいあるかということでございますが、これは現在、薬価調査を行っておるところでございますので、総体の薬価差益率はまだ把握はしておりませんが、私ども把握しておりますのは、一つは自治省の調査しております自治体病院の薬価差益率、これは全数九百六十一病院の調査の結果でございます昭和五十三年度地方公営企業決算の概況から試算いたしたものでございまして、これは薬価差益率は二〇・四%ということになっております。それから厚生省で昭和五十三年度病院経営収支調査年報から試算いたしました地方公共団体、日赤、済生会、厚生連及び国家公務員共済連合会病院、これは調査対象が二百二十八病院でございますが、この薬価差益率は二三・七%という数字を把握いたしておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 つまり若干のデータをいま挙げられましたが、あなた方が押さえている数字でも、いずれにしても二〇%は下らない、これは共通しているわけですね。 そこで、先ほど総医療費の伸びがありましたが、昭和五十四年度を例にとると総医療費約十一兆円、その中に占める薬剤比率三六・四%、したがって薬剤費総額は約四兆円である、これは数字が出てくるわけです。いま二〇%以上の薬価差益率があるということを言われましたから、仮に二〇%の差益のうち一〇%だけ薬価基準を下げるとすれば四千億の医療費が節約できるはずである、これは小学校の子供だってわかる。これも先ほどありましたが昭和五十四年度累積赤字千二百九十億。四千億の医療費を浮かすことができるならば、千二百九十億の赤字を整理しても、なお、おつりが来るのじゃないですか。なぜ、こういうことをやらないのですか。また総医療費に占める薬剤比率が、いま日本の場合三六・四%です。ところがヨーロッパの場合を見ますと、国によって若干違いますが二〇%台と考えてよい。もし日本もヨーロッパ並みに、この薬剤比率を二〇%台に持っていったとするならば、薬価差益の部分と加えて、さらに大きく医療費のむだを節約することができると私は思うのです。 そこで、これだけの薬価差益がありながら、なぜ薬価基準を引き下げないのか。それから薬剤比率の引き下げについて積極的に努力する意思はないのか、この二点について。
○大和田政府委員 薬価につきましては実は再々御答弁申し上げておりますが、現在、薬価調査を行っておるところでございまして、昨年の十一月の調査、これが第五次経時変動でございます。これがことしに入りまして公共料金とか、あるいは相当の社会情勢の変動で、実は第六次の経時変動調査というのを始めておるところでございまして、この第六次の変動調査の結果を把握いたしまして、それによりまして薬価基準改定作業に入りたい、かように思うわけでございます。この薬価基準の改定が行われますれば、先生おっしゃいましたように薬価差益というものを縮めることができるというふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、いま、そういった取りまとめの作業中、第五次、第六次経時変動調査の作業中でございますので、この結果を見まして早急に処理をいたしたい、かように考えるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 調査調査、調査調査で、出すのか出すのかと言えば、いま出す、いま出す、そば屋の出前持ちみたいな返事ばかり返ってくるわけです。一方においては健康保険法の改正ということで保険料率や窓口負担だけは、どんどんふやす、一方の肝心のところのデータは出てこない。これじゃ片手落ちじゃないですか。そんなことで国民は納得できますか。しかも、これだけの差益があるというのは明確になっているのでしょう。少なくとも、そういうデータを出して、いまの段階では、これだけ薬価基準を引き下げます、それでもなおかつ、いまの状況では困難であるから、窓口負担はこれだけ、保険料率はこれだけ上げざるを得ませんというのであれば、この多寡は別にしても国民の側がそれなりに理解できると思う。こういうやり方では、私は国民は納得できないと思うのです。 そこで五十三年七月実施したとありますが、この前の二月の二十一日衆議院の予算委員会、これは議事録に出ております。政府委員の側では、いまの薬価調査について第五次の補正まで経時変動調査をやってまいりました、大体いまのスケジュールで四月二十日前後には補正作業は終了する、それから医療費に対する影響率等を算定し、算定品目を決めたいと思います、こういう回答をしている。そして、それに加えて野呂厚生大臣は「可能な限り速やかに」ということで総体的に、周知のような四月いっぱい目途ということで出している。ところが、この間の十月になっても、まだ何も出てこない。この間の園田厚生大臣によれば年内ということです。これでは国民は納得できないんじゃないですか。だとするならば、窓口負担なり保険料率の引き上げの方もストップして、皆さんが誠心誠意、徹夜しても努力して、そのデータを出して、国民の納得のいくような施策をしてから、こちらもやらなければならぬのじゃないですか。どうなんですか。
○大和田政府委員 どうも先ほどの繰り返しで恐縮でございますけれども、内外におきます政治経済情勢の変動、石油問題あるいは公共料金の引き上げ、これらが直近の医薬品の市場価格にどのような影響を与えたかということにつきまして、やはりことしになりまして、その影響を把握する調査をする必要が出てまいりましたので第六次の調査に踏み切ったわけでございますので、この結果を、できるだけ早く取りまとめていきたい、かように考えておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 その点について厚生大臣の重ねての答弁を求めます。
○園田国務大臣 この問題では、しばしば厚生省は、速やかに、なるべく早くという答弁をし、最後には、遅くとも今年四月までに終わりますという答弁と承知しております。まことに申しわけございません。そういうところで私が答弁しても信用なさらぬかと思いますけれども、もうぎりぎり切迫でありますから、今月中に間違いなしに取りまとめをいたしまして、そして、これを保険局の方に回して作業をいたさせます。
○佐藤(誼)委員 きわめて答弁は不満だけれども、それ以上のことは物理的にどうするわけにもいきませんので、次を続けます。 同じく医療費のむだの検査づけの問題です。医療費のむだ、医療の荒廃、今日は第二の薬価と言われる検査づけの問題があるわけです。そこで総医療費に占める検査費の割合は年次ごとにどうなっているか、これをまず、お聞きします。
○大和田政府委員 昭和五十一年から申し上げますと、昭和五十一年には七・八%でございます。それが五十二年には九・〇、五十三年には九・一、五十四年には一〇・六ということで上がってまいりました。これは社会医療調査によるところの結果でございます。
○佐藤(誼)委員 そうすると昭和五十四年度で見ると一〇・六、前年度五十三年度九・一ですから一・五%ですか、対前年伸び率では一八・六、しかも私の調べたところですと昭和四十九年度は七・一%ですから、これは大変な伸び率になっています。その原因は何が原因であるのか。もちろん検査をすれば点数がふえて収入がふえるという現在の点数出来高払いに基本的な問題があるのですが、同時に薬と同じような検査差益がそれに拍車をかけているのではないか。とりわけ、いまどんどん広まっている民間検査所に対する委託差益の大きいことが挙げられるのではないか。私がこのように述べてきたことは、その辺どう考えますか。
○大和田政府委員 この原因につきましては、どうもいろいろ論議があると思います。私は基本的には、こういった検査は、検査技術の発達というようなことによりまして、あるいは医学の進歩によりまして、的確な診断を行うためには正確、迅速な、そういう検査が必要であるというところから、ふえてきたというふうに考えられるのではないかと思いますが、そのほかの原因もあろうかと思います。 それで、おっしゃいました検査所と検査費、検査所の委託検査におきますところの差益が大きいのではないか、こういうような御質問でございます。これにつきましては、もう少し内容を検討していかなければならぬと思いますが、一つは委託検査料というものの中に、どういうものが入っておるか、それから検査の点数に、どういうものが入っておるか、その差がどうなっておるか、というのは実は検体の採取料であるとか、あるいは検査手技料、検査結果の判断料といったようなものが診療報酬における検査料の中には入っておるわけでございますけれども、これが委託いたします場合には、そういったようなものが含まれていないという問題が一つあるわけでございます。それが一つの価格の差になる。もう一つは、やはり検査所におきます大量一括処理といったようなものが経費減につながってまいりまして、診療報酬点数表による検査料と委託料との間に、ある程度の差というものが生じておるのではないかと考えられますが、この差が大きくなりまして、また不必要な検査が行われるといったようなことは、まことに好ましくないということでございます。このような点を含めまして、実は検査点数のあり方、この問題の検討が必要かと思いますが、これから中医協におきましても、この問題につきましては十分検討をお願いいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○佐藤(誼)委員 検査費の増大、これは検査比率の増大とともに、いろいろな要因があると思うのですが、いまの現状を考えますと検査の点数と、それにかかった経費との、つまり差ですね。これは医療機関でやっても出てくるのですけれども、それが今度委託をしますと、委託される方は過当競争になってきていますから、どんどん下がっていくわけです。そうなりますと、この差がますます出てくることは明らかなんです。そうなれば、これは一個当たりについての検査の単価が、これだけ大きな差が出てくるわけですから、これを数多くやれば大変な利益になることは、だれが見たって明らかです。したがって、それが検査づけなり、あるいは、むだ遣いに大きく影響してくるのだと私は思うのです。 特に重ねて聞きたいのだけれども、いまの民間の検査所といいますか、これがどういうような状態になっているか。たとえば許可制になっているのか自由になっているのか、あるいは実態はどうなっているのか、その辺どう押さえていますか。
○田中(明)政府委員 現在の衛生検査所に関する制度は昭和四十五年に設けられたものでございます。現在の制度では、一定の構造設備あるいは管理組織等を備えた衛生検査所は都道府県知事に登録することができるという、いわゆる任意登録制度になっております。登録いたしました検査所につきましては、構造設備あるいは管理者の資格等について基準が設けられております。現在、登録しております衛生検査所は、五十四年十一月現在でございますが四百二十九カ所となっております。このほか都道府県で把握しております未登録の衛生検査所が二百十四カ所ございまして、合計いたしますと六百四十三カ所となります。
○佐藤(誼)委員 いま概要、話があったのですけれども、人命にかかわる基礎的な検査を行う検査所、これを掌握する医療行政としては私は粗雑じゃないかと思うのです。もし検査が営利主義に走って、その結果いろいろな間違いが出てきたとなれば、それに基づく治療が皆、間違ってしまって人命にかかわるのじゃないですか。私は、いまのような医療行政の統括の仕方は、きわめてずさんなものではないかと思うのです。もっと、その点については諸外国にならって、単なる任意登録ではなくて登録許可にするとか、何か、そういうきちっとした掌握と、それから規制を加えていかないと、これは営利の点からもそうですが、同時に人命尊重の点からも重大な問題が出てくると思うのです。 その点は先ほど局長も言われましたが、四月十日の社会労働委員会、その中で次のようなことを答弁として言っているのです。「少なくとも不必要な検査が行われないような形にするにはどうしたらいいかということにつきまして、今後十分検討してまいりたい」それから野呂厚生大臣は「衛生検査所の許可制とか届け出制の問題も含めて今後どのような取り締まりを進めていくべきか」検討したい。すでに四月十日に、こういう答弁をしているのです。検討すると言って、検討してましたか。
○田中(明)政府委員 民間の検査所の登録の義務化並びに都道府県知事によります指導監督の強化というのを内容にいたしました、この関係の法規の改正につきまして、前国会におきまして議員提案によって諮られたわけでございますが、残念ながら前国会では成立しなかったわけでございます。その内容につきましては先生御指摘のとおりの点を改正するということでございまして、また今国会におきましても、そういうことで改正を議員提案によってしていただけるというふうに了解しております。
○園田国務大臣 いまのことで一言お許しを願います。 いまの問題、御意見のとおりでありまして、議員立法で提案していただくと聞いておりますが、一面にはありがたいと思い、一面には厚生省の足ののろいのを、おしかりになったことだと思って恐縮をいたしております。
○佐藤(誼)委員 そのあり方については十分検討を加えて、しかるべき対処をしていただきたい。 次は、今日の検査づけの大きな要因の一つに、高額医療機器の導入が、それに拍車をかけているのじゃないか、こういう問題です。 たとえば高額医療機器、今日いろいろありますね。ME、メディカルエレクトロニクス、CTSなど、たくさんあるわけです。こういう高額医療機器が導入されることは、それ自体悪では、もちろん、ございません。それは医療水準の向上にとって望ましいことだと言えば確かに、そのとおりなんです。しかし一面、今日の実態から見ると検査づけや富士見病院に見られるような不正診療を誘発するという面もなくはない。この後者の方に私たちは目をつけなければならぬというふうに思うわけです。したがって、そういう点から言うならば、この高額医療機器の適正配置及び効率的利用について指導または規制を加える必要がないかどうか、この辺についての見解をお聞きしたいと思う。
○田中(明)政府委員 御指摘の点につきましては、厚生省といたしましては従来から、補助金の配賦等の場合には、高額医療機械が重複、過剰の配置をされることのないように、また効率的に運用されるようにという観点から対処してまいりましたが、現在さらに、こういう適正配置あるいは効率的な運用という観点から、五十六年度の予算におきましても、都道府県に高額医療機器等の医療資源の共同利用を促進するというような協議会をつくる、あるいは公立の病院に高額医療機器を整備いたしまして、一般の開業医さんの共同利用を図ってまいるというような予算を要求しております。
○佐藤(誼)委員 高額医療機器の導入は、もろ刃でありまして、もろ刃の一面をいま指摘しましたね。そういうことが、これから医療行政の重要な分野になってくると私は思うのです。 特にCTスキャナーの例をとりますと、世界の総数が二千五百台、日本に、そのうち八百四十一台あると言われる。三分の一を日本で使っている、こういう状態ですね。しかも、これは価格についてはいろいろあるところだと思いますが、CTスキャナー一台一億とも二億とも言われます。大体二億だというふうになりますと、金利だけで毎月百万円です。いまのCTスキャナーの一回の検査が千二百点つまり一回一万二千円です。そうすると月百人やったとしても金利がちょぼちょぼぐらいですね。元金に手がつけられないわけです。そうなりますと、やはりおのずと、元金、金利をかせぐという衝動に駆られ、検査づけになったり過剰検査をやったり、ひいては不正診療というのにつながってくると思うのです。 ですから私は、確かに医療水準の向上という一面を持ちながらも、そういう大変な医療荒廃につながる一面も、もろ刃の一面として持っているんだということを十分考えなければならぬと思うのです。そういう点から、この点については富士見病院のことも、もちろん皆さん記憶に新しいし、国民も関心の深いところですから、今後この辺については医療行政上、十分検討を加えて、しかるべき対処をしていただきたい、このことを申し上げます。 次に、医療機関に対する指導、監査の問題、これは何遍も言われてきていることでありますけれども、これも八月二十七日ですか、厚生省が発表したものです。この発表によりますと昨年度の医療費不正請求は過去最高である。ちゃんと新聞に出ていますね。水増し返還約十億円、保険医取り消し三十七人と発表しております。これは今日の医療の荒廃、むだ、これを如実に示すと同時に、国民は一層その指導、監査の徹底を何より望んでいると私は思う。このことについて、しばしば指摘されているように厚生省、医療行政が十分こたえているかということについては多くの疑問と問題点を持っておると思うのです。 そこで、いままでも、この常任委員会でいろいろ指摘されたことですが、やはり第一には昭和三十五年、厚生省と日本医師会及び歯科医師会の申し合わせ、つまり監査に当たって医師会及び歯科医師会が立ち会うという申し合わせ、これをやめて、いま、こういう時節柄、国民の納得のいく厳正中立な指導、監査を行う、こういうことについて踏み切る意思はないのか。厚生大臣どうですか。
○大和田政府委員 実は、この指導、監査に際しまする医師会の立ち会いの問題につきましては、私ども、むしろ一つの前向きの効果というものも期待をしておるわけでございます。これは、ある医者に対しまする指導を行う、あるいは監査を行う、その際に地元の医師会の役員、指導者というものが立ち会うことによりまして、医師会の会員に、こういうようなことをしている人がおるんだということを十分知ってもらう、それは今後の管轄の医師会員に対するところの指導というものを自主的にやってもらうために、やはり非常に効果があるというようなことで、私どもは、この立ち会いにつきましては指導、監査の執行を妨げるものではなくて、むしろ指導、監査の円滑な執行というものに用いられるように、これから、そういうふうな線で話し合っていくということが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。もちろん、これはたびたび御答弁申し上げておりますように、指導、監査の強化というものは、まさしく急務でございます。私どもは、この指導、監査につきましての強化を十分強力に図ってまいりたいということは、もう当然のことでございます。
○佐藤(誼)委員 大臣どうですか。
○園田国務大臣 今度の、各県に医療相談所の窓口を設ける、こういうことについても全国のそれぞれの方に内々話をしてございますが、そのときの話に、私の地区は医師会がやれやれと盛んに激励をしているというところ、それから私の方は反対しているというところ、こういうことで、理事会の名前で私に文句は入れましたが、実際上は意見は分かれているようであります。 医師会と厚生省との申し合わせは、こういうような状態で不正があってはならぬ、専門的なこともあるから力を合わせて不正監査をやろう、こういうのが目的でありますから、それに協力されるなら別でありますが、それが邪魔になる場合には、私は遠慮なしに仕事は進めていくつもりでございます。
○佐藤(誼)委員 まあひとつ、がんばってもらいたいと思うのですが、ただ、この立ち会いの問題は、指導という点から言えば、運用の仕方によっては、すべてがマイナスとは思いません。しかし私は、素朴な国民の感情から言えば、あるいは気持ちから言えば、指導、監査をされる側が立ち会わなければ指導、監査ができない、こういう土俵づくりが国民の側は納得できないと思うのです。ここのところは、やはり国民が納得できるような共通の土俵にしてもらわなければ困ると思うのです。その上に立って、どう適切有効な指導、監査をするかということは進め方の問題ですから、これは皆さんが英知を出さなければならぬと思うのです。こういう観点で、ひとつ、その点については十分考えていただきたいと思うのです。 特に十月二十七日、医道審議会は四人の医師の免許取り消しを行っています。これは過去九年間で三人ということを考えますと、まさに異例の事態ですね、一年に四人ということは。しかも、この医道審議会は、単に刑事罰の対象になった者だけではなくて、今後、悪質な医療費の不正請求を処分の対象にするということを言っているわけなんです。まさに医師会あるいは医師そのものが、国民に対し医道の、あるいは医師のモラルを確立するという、みずからの自己規制ということで、私は非常に評価すべきことだと思うのです。こういう規制の中で、厚生省も単に、そのしり馬に乗るというだけではなくて、やはり、みずからが医療行政の責任者として、いま申し上げた国民の納得のいくような指導、監査を中心として、医道のモラル、むだ、そして荒廃をなくするような医療行政をぜひ進めていただきたい、私はこういうように思うのです。厚生大臣どうですか。
○園田国務大臣 医道審議会は御指摘のとおりに医道の本質を守るということでありまして、医師としての品位を汚した者、こういうのが第一に書いてございます。いままでは不正請求その他がありましても一カ月間の営業停止であるとか、あるいは戒告であるとか、まるで食堂の営業に対するような態度でありましたが、今度はきちんとして四名の医師の免許を取り消したことは、大臣として、きわめて満足であります。今後も、こういう方向で医道審議会は進んでもらいたいということをお願いするつもりでございます。大臣自身も、そのつもりでやります。 委員長、速記録をちょっと。
○戸井田委員長代理 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○戸井田委員長代理 速記を戻してください。 佐藤君。
○佐藤(誼)委員 それでは次に進みます。次は点数出来高払いです。 今日、国民の医療行政に望んでいることは、先ほどから、しばしば申し上げているように医療のむだをなくすること、医療の荒廃をなくすること、これだと思うのです。その観点から私は、いままで薬づけ、検査づけ、そして医師の、医療機関の指導、監査、これらの強化について見てきたわけであります。しかし、いま申し上げた幾多の医療のむだや荒廃、これを助長し拍車をかけているのは、私は今日の医療制度の下敷きになっている点数出来高払いの制度だと思うのです。すべてが悪だとは言いませんよ。私は、大きくこれに拍車をかけているのは紛れもない事実だと思う。ここにメスを入れない限りどうにもならぬ。特に今日の点数出来高払い、医療によって、どれだけの成果を上げたかということではないのですね、本質は。つまり、どれだけのものをつぎ込んだかによって、その点数が出てき、収入が変わってくるわけです。とするならば、お医者さん、医療機関だって人間ですから、ある一面の方向に走るということは考えられるわけです、出来高払い点数ですから。しかも、どれだけつぎ込んだかということですから。そうなれば、先ほど挙げたような医療の数々のむだ、荒廃というのを必然的に生むような要因を、この点数出来高払いは内包している。こう言っても過言でないと私は思うのです。したがって、この問題はきわめて構造的な問題であり、制度上の根幹に触れますが、この際、厚生大臣はこの制度に検討を加えてみる気はないか、どうですか。
○園田国務大臣 いまの現行制度は昭和十八年以来いろいろ問題はあるが定着をしてきたということで、これに対する検討、事務当局はきわめてかとうございます。しかしながら、この出来高払いが、いまの弊害の大きな原因になっているのではないか、これは衆参両方を通じて各委員の方から御提案がございます。かつまた現代総研では、ごく最近これに関する提案等をいたしておりまして、この提案は私は一つの有力な提案であると考えております。いま御理解いただいたように構造的な問題でありますから、これは大変な問題ではありますが、やはり、これについては検討、研究をすべき問題であると考えております。
○佐藤(誼)委員 引き続いて質問したかったのですが、いま、いみじくも厚生大臣言うように、八月三十日に現代総合研究集団が、いま言われました、かぜや腹痛など第一次的な病気の診断や治療について出来高払いをやめ、診療委託方式による登録医制度をとってはどうかという提起をしているわけです。もちろん第二次の問題は、またさらに、その上の問題ですけれども、これは私は十分に検討に値する問題提起だろうと思いますので、厚生省としても、いま厚生大臣の答弁ありましたが十分検討していただきたい、このことを要望します。 そこで最後に、いま国民に対する医療行政という点から言いますと、必要なことは、この乱診乱療、薬づけ、検査づけ、そして不正請求など医療の荒廃とむだをなくすることだということを私は終始言ってまいりました。私は、このことに手をかけずして窓口負担をふやす、保険料率をいじる、こういうことをやっても、当面ざるに水を差すに等しいし、長期的な、国民が安心して医療を受けるという、そういう一つの医療行政をつくることにはならぬと思うのです、私の考えでは。ましてや、この国庫負担の連動規定を抑えようとするやり方は、さらに国民の医療負担を増大化させていくことに拍車をかけると私は思う。 したがって、この際、先ほどもありましたけれども今年中に薬価調査も出るということを言うのですから、しかも当面する政管健保の財政も幸い、やや好転しつつあるという状況にあるのですから、いま、あわてて窓口負担なり、あるいは保険料率の増大というところに中心を置いた健康保険法の改正ということで急ぐことなく、私がいままで申し上げてきたような医療のむだ、医療の荒廃、こういうことに徹底的にメスを入れ、そして長期の対策を立て、やがて国民の理解と納得と協力を得たという民度の高まりの中で、皆さんがいま出している健康保険の改正問題、とりわけ負担の問題、こういう問題を解決していくべきでないか。そういう意味で健康保険の改正は先に延ばしながら総合的に、まずやるべきことをやっていくべきじゃないか。私は、これが国民の望んでいることだと思うし、私も、そういう考えを持っているのです。その辺についての見解はどうですか。
○園田国務大臣 御意見は一つ一つごもっともであると考えます。さはさりながら、この法律案がもし成立しない場合には、社会経済情勢はもっとだんだん悪化をしてきまして、いま提案している案よりも、さらに後退したことになると心配をいたしております。御意見ごもっともでございますが、まげて御審議、成立のほどをお願いいたします。
○佐藤(誼)委員 まあ事は流れているということはありますけれども、私がこの際、特に力点を置きたいのは、冒頭から述べているように医療のむだ、医療の荒廃、その要因を徹底的に突き詰め、そして国民の納得のいくような形で長期的な対策を立てる、当然、保険料の負担にも限界が出てきますから、そういう一つの対策を立てるということを第一義的に考えるべきだ、このことを特に私は主張しておきます。 そのことを重ね重ね私は要求し、主張して、私の質問を終わりたいと思います。
○戸井田委員長代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時四十分開議
○湯川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、きょうは社会党のしんがりの質問を引き受けたことになるわけでございますが、けさほど来、同僚議員が何回かいろいろとお伺いいたしましたけれども、その質疑の中からでも、くみ取っていただけますように健康保険法の改正の問題は、従来から常に政管健保の赤字解消対策でしかなかったということが、はっきりわかるわけでございます。過去における何回かの改正については、改正の論議が行われる都度、批判が伴っていたのも事実でございます。もともと健康保険制度というのは国民に医療を供給する手段なわけでございますから、これが医療そのものじゃないので、医療を供給するための手段、国民の側から言えば医療を受ける手段というふうに考えるものでございますから、その制度の改正が医療の制度の改正そのものと、何か結びつきが混乱してきているような感じがするわけです。言葉をかえで申し上げれば、手段である健康保険の制度に本来の医療の制度が振り回されているというような感じすら、ないでもないような気がいたします。 そういうことが論議されてから大変に久しく時間がたっているわけでございますが、今度の出されております、この健康保険法の改正案は五十三年に提出されたものでございますが、確かに提出された時点での理由は政府管掌健康保険の赤字対策であったということは事実でございます。先ほど来もお話が出ておりましたように五十四年度までの累積赤字が千二百九十億円ある。だけれども単年度で政管健保の財政のことを調べてみれば、五十三年度は百二十六億円の黒字になった。その黒字の原因もどうだこうだというお話もあったように伺っております。黒字になった、好転したじゃないか、政管健保は好転している。その次の年、五十四年度は黒字にならないで、また赤にはなったけれども、わずかに二十三億円の赤で済んでいるじゃないか、こういうことになっているわけでございますね。ですから大変好転してきていると考えられる政管健保の赤字対策を主たる目的として、この法律の改正を行おうということが果たして正しいのかどうか、適当なのかどうかということは、先ほどの議論の中にも出ておりました。私もまた、そのように思うわけです。そういう問題、政管健保は好転してきているじゃないかということが一つ片っ方にあります。 いま一つは、けさの質疑の中にも出ておりましたけれども例の富士見産婦人科病院の事件ですね。この事件で見るように、営利を目的とした単なる営利目的の医療だけではなくて、計画的な医療犯罪だと考えられるような実態が発生してしまった。これはもう前回の質問のときにも私は申し上げましたように、日本の医療の荒廃も、ここまで来たかなと思わないでおられないような残念な実態であるわけでございますが、けさほど大臣もおっしゃっていらっしゃいましたように、この事件は氷山の一角にすぎない問題だと考えるというふうにおっしゃっていらっしゃいます。とすると政府も、このことを認めていらっしゃるわけでございます。そうだとすれば、氷山の一角であるというふうに考えられたのならば、そのほかにも、まだまだ似たような事件が起こっているということを御承知のはずでございます。先般、日本婦人会議が実施いたしました産婦人科医療一一〇番の報告もお持ちいたしまして、大臣に説明申し上げたと思いますし、そのときに大臣は、これほど、ひどいとは思わなかったと感想を述べておられたことを私も一緒におりましたので覚えておりますけれども、それほど大臣の心を動かしたような事件が事実として存在しているということでございます。 そうだといたしますと、いろいろ話も出てまいっておりましたように、この氷山の一角である、隠れているたくさんの問題をそのままにしておいて、ただ医療を受ける手段である健康保険の制度だけを手直しをするということは、やはり、いまやるべきときじゃないんじゃないか。まず、その隠れている氷山の大部分の問題を解決しなければいけない、それが先決ではないか。厚生省の医療行政としては、それがまず大事なことなんではないだろうかというふうに考えます。そのことは再三申し上げているはずでございます。 もう一つ、また別の問題がございます。それは最近、政府も検討を加え始めていらっしゃる問題でございますけれども老人保健医療制度です。これはもうすでに高齢化社会に入ってしまった日本のいまの実情から言えば、ここで、いろいろ数字を申し上げる必要もない、すでに皆さん御承知の点でございますけれども、急速な勢いで老人化社会に日本が移行していこうとしている。いまの時点で老人保健医療制度を抜本的に考えていかなかったならば、健康保険制度そのものも破壊されてしまうおそれがあるんじゃないかということは、みんなが考えていることでございます。ですから私は、どっちかと言えば老人保健医療制度を、この緊急課題をまず解決をすることが先決なので、そして、そのことをきちっと整理した後で一般の疾病保険制度、いまの健康保険制度というのは疾病保険ですけれども、疾病保険制度を改善するということを手がければいいんじゃないだろうか。少なくとも私は、それが当然の行き方だと思いますが、そうでなくて、もしもう一歩近づこうとするならば、せめて老人保健医療制度のあり方と一般の疾病保険制度のあり方とを並列しながら、一緒に考え合わせながら、両方の制度をきちっと仕上げていくというふうにするのが、いま、やるべきことではないのだろうか。なぜ健康保険制度だけを、医療を受ける手段である、この制度だけを急いで、いましなければならないのかという、その理由がどうしてもわからないわけです。大臣、お尋ねするのでございますが、いま申し上げましたようなことは、いま初めて申し上げることではなくて、もう再三、何回も何回も、それこそ聞きくたびれるぐらいに聞いていらっしゃるでしょうし、私どもも申し述べてまいったわけでございます。ですから、いろいろの問題が、未解決の課題が幾つかあるわけです。しかも健康保険の制度と関連のある課題が幾つかあるわけでございますから、そういうものの解決を考えないで、ただ単に政府管掌健康保険の赤字だけを最重点にして、いま急いで改正しなければならないという、その理由を、私が納得できるように御説明いただきたいと思うのです。本筋が原則的に間違っているんじゃないだろうかとすら思えるのでございますが、その辺、大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまの御意見はしばしば承っているところでございまして、私自身も、それが理想であるとは考えております。しかしながら、取り巻く社会経済情勢というものは非常に厳しゅうございまして、この健康保険改正の法律案が時期がおくれればおくれるほど、財政的な支配を受けることが強くなってまいりまして、われわれの考えることとは逆に、この成立がおくれれば、だんだん厳しい、皆さん方が考えていらっしゃるのと逆の方向に行く可能性が非常に強い。したがって、御意見のとおりでございますが、富士見病院類似の問題、これの摘発、厳正なる監視あるいは薬価の問題あるいは老人医療の問題、なるべく並列しながら、ぜひ、この法律案は成立させていただきたいとお願いしているわけでございます。
○金子(み)委員 私が申し上げましたのは理想ということでなくて、むしろ本筋だと思って申し上げたわけでございます。 そこで、いまの話につながりますが、十月六日に私ども社会党では、富士見産婦人科病院事件の直後でございましたので、これに関連する医療制度全般にわたる改善の申し入れをいたしました。大臣にも直接申し上げましたし、事務次官にも申し上げたわけでございます。それで数項目改善の申し入れをいたしましたわけですが、そのときに遅くとも今月末までに文書をもって御回答をいただきたいと申し上げたわけでして、それは大臣も御了承のことですし、事務次官も聞いていてくだすったわけなのです。今月もう月が変わりまして十一月に入りましたが、まだ御回答がいただけておりません。それはどうしてでしょうかということが伺いたいわけです。 私どもとしてみれば、あれほど申し上げ、そしてまた、この問題については大臣もいろいろと全国の病院に監査や指導をやらせるように、いち早く手をお打ちになった、そういう園田厚生大臣の行政の進め方に大変期待をしているわけです。ところが、これが回答をしていただけないというのは、大臣のそういう気持ちがありますのにもかかわらず、事務的に回答ができないのか。言葉をかえれば事務局がそのことについて怠慢であるのか。私は、この申し入れについて何か誠意がないという感じを受けとめてしまうわけです。せっかく、ああいうふうに大臣が考えて、いろいろと、いままでにないような動きをしてくだすっている、それに期待をしているにもかかわらず、このことができないというのは、やはり誠意が見られないというふうに思うわけなのですけれども、これに対する回答をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中(明)政府委員 十月六日に先生たち厚生省においでになりまして要望書をお出しになりまして、それに対しまして十月中に文書で回答するということでございましたが、何分、問題が非常にむずかしい問題もあり、また多岐にわたっておりまして、私ども、いま一生懸命、文書による回答を作成中でございますが、おくれていることにつきまして深くおわびするとともに、いましばらくの御猶予をいただきたいと思います。
○金子(み)委員 私が申し上げたいと思いますのは、この問題十月中に回答していただきたい、急ぐ問題だからと思って、そう申し上げたわけです。事件が、問題が大変に幅広うございますし、いま医務局長おっしゃったように一つ一つ返事ができるところまでいっていないということも、わからないわけではないのですけれども、それだったならば、やはり十月中にというお約束があったのですから、実はこういうわけで十月中にはできなかったということを一言なぜ、おっしゃっていただけなかったか。私はやはり、それは当然あってしかるべきではないかというふうに思ったわけでございます。 そのことを一つ申し上げたかったのと、いま一つは、今後いましばらくと、いま、おっしゃいましたけれども、政府の言う、いましばらくと暫定期間というのは大変に疑問がございまして、いましばらくがどこまで続くのかわからないわけなのですが、お見通しとしては、いつごろでしたら、ちゃんと回答がいただけますでしょうか。
○田中(明)政府委員 関係の部局も幾つかにまたがっておりまして、ただいま、それぞれの部局で、それぞれ担当の問題につきまして回答を作成中でございまして、でき上がりましたところで、また官房で取りまとめるということになるわけでございますので、ちょっと日にちは、はっきりとはお答えできませんが、そう遠くない時期に文書でお答えいたしたいというふうに思っております。
○園田国務大臣 私からも、おわびを申し上げます。 確かに十月中に回答せよという御指導であり、事務当局も承っておったはずであります。おくれたことは申しわけなく存じますが、なお、さらにおわびをすることは、おくれるならおくれるで、問い詰められてから、おくれたということを言うべきではなくて、その経過を報告し、おくれることの御了解を得るのが事務当局の当然の責任でありますが、この責任を果たさなかったことについて心からおわびを申し上げます。
○金子(み)委員 できるだけ急いでお願いしたいと思います。 次に、これも、けさ同僚議員からも質問があって御答弁もあった問題でございますけれども、私の質問にも答えていただきたいと思いますので、お尋ねします。 富士見病院事件が起こりましてから、この国会の中でも予算委員会それから社会労働委員会、そのほか関係の委員会で、この事件に関する質疑が非常に多く行われたわけでございます。そして、その問題について厚生省側の御答弁としましては、こういうような事件が起こることに関しては、従来ほかの問題では窓口ができていたけれども、医療に関するものも、国民の相談を受けるとか、あるいは国民の苦情を受け付けるとか、あるいは国民の希望にこたえて指導するとか、そういった、いわゆる医療相談あるいは苦情処理窓口のようなものを厚生省でも持ちたいのだ、このように私の質問にも大臣は答えてくださったわけです。積極的に、そういうものをつくりたいというお考えを持っていらっしゃる。 医療一一〇番というのを日本婦人会議がいたしましたのは、苦情処理の機関ではなくて、苦情を受け付けるだけの役目しかないわけです。ですから医療一一〇番を厚生省にも持ちたいと新聞にいつか載っていましたが、私は、厚生省は医療一一〇番では実は困ると思っているのです。医療一一〇番は受け付けるだけですから、そうではなくて、それを処理できなければいけないわけですから、処理の窓口でなければ困るというふうに考えておりましたので、そのように今後、図っていかなければならないし、やっていただきたいと考えしておりますが、この問題についても大臣は、事務当局に、そのことについて実現できるように指示をしていらっしゃるというふうに承っております。 ところが御案内のように、この問題について日本医師会の武見会長あるいは理事会ですか、これに反対を出しておりますね。大変におかしな意見で反対が出ています。人民裁判だみたいなことを言っておられます。私は日本医師会の考え方は筋違いだというふうに思っておりますけれども、あのようなことを言われるたびに従来の厚生省は大変に腰を落としまして、そういう意見が出ると立ちどまってしまうわけですよ。せっかく進もうと思ったところに水を浴びせかけられたような感じで萎縮してしまうということが、いままで多々ございました。しかし、そのようなことは今回はあってはならないと思いますし、今度の園田大臣以下の厚生省の姿勢としては、そういうことはないのじゃないだろうかと期待を持ち続けるわけでございます。 そこで、この問題については具体的にどういうふうに考えて、そして、どのように進められて今日まできておるのでしょうか。大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、あるいは、その窓口設置の状況はどうなっておるのか、これは事務的に聞かせていただければと思いますが、お願いいたします。
○園田国務大臣 医師会の理事会の名前で、新聞に出たような申し入れが私のところに参りました。私は、医療行政が今日まで荒廃した原因はいろいろあると思います。制度の見直し、あるいは保険制度の見直し、いろいろあると思いますが、正直に反省して、一つは厚生省自体が消極的ではなかったか。と申しますことは、いろいろ答弁を聞いておりましても、こういう制度で、これ以上はできませんという答弁が非常に多いわけでありますが、実際に目的を持った行政当局であるならば、その制度でできなかったら、直ちに制度を改正するなり、あるいは法律を改正することをお願いして、医療行政、監督の目的を達するように進んでやろうという姿勢がやや欠けておったのではないか。 次には、世間の国民の人は、厚生省がびしびしやれなかったのは、医師会をこわがってやれなかったのだという評判が大部分の評判であります。したがいまして医師会が、医療の荒廃を取り返すためにやろうとすることについて積極的に援助をされて、医師というものは、こういうものだということをお示しになるべきはずのものが、逆に余りあばくなと言わんばかり——言葉はたけだけしいが内容は、余りあばいてくれるな、こういう趣旨だと私はとっておりますので、これによって、いささかも変更されるものではございません。 なお窓口についての具体的な進み状態は事務当局からお答えをいたさせます。
○田中(明)政府委員 富士見病院の事件を契機として起こりました、国民の中におきます医療に対する不安あるいは不信というようなものを解消すべく、医療の相談コーナーというようなものを、関係する部局が集まっております、また医療機関の運営に直接、指導監督権限を有する都道府県に、暫定的に設けるということで、ここ数週間来、具体的な設置の要綱あるいは実施の要領というようなものを関係の部局が集まりまして作成中でございまして、予算のめども大体つきましたので、遅くても今月中には都道府県において、そういうような医療相談コーナーというようなものを発足できるというふうに思っております。
○金子(み)委員 大臣のお考え、よくわかりました。そのとおりに進めていただきたいと思います。 いま医療コーナーを都道府県に窓口としてつくるという方針で進められていると伺いましたが、それはそれで大変結構だと私は思いますが、これは確かに今月中でしょうね。今月中にできるのでなければ困りますね。 それで都道府県の段階だけで間に合うかどうかという点ですが、それはお考えになっていらっしゃいますか。都道府県といったら一々県まで持ち上げてこなければなりませんわね。この都道府県のネットのほかに、さらに、その下に組織的にネットを広げるというふうなことをお考えになっていないですか。
○田中(明)政府委員 国民の医療に関する苦情といいますか、問題は、医療費に関すること、それから医療の内容に関すること等、いろいろ多岐にわたっていると想像しているわけでございます。それで保健所の段階あるいは社会保険の事務所の段階に参りますと、医療費については社会保険の事務所あるいは社会福祉の事務所というようなところで対応すべき問題になってまいるかと存じますが、医療の内容については保健所が窓口になるというようなことで、やはり、そういう関係の部局が集まってチームをつくって国民の方の相談に応ずるというためには、都道府県というのが一番適切ではないかというふうに考えて、都道府県に置くということにいたしたわけでございます。それで問題によりましては、また実際の医療機関を管轄する保健所あるいは社会保険の事務所に問題をおろして調査するというようなことも起きてくるかと存じますけれども、一応、窓口は都道府県で受けたいというふうに考えております。 それで、一応、暫定的に実施しまして、その結果を見まして、さらに都道府県より下の当局といいますか、保健所あるいは社会保険、社会福祉の事務所におろすことができるかどうか、あるいはおろす必要があるかどうかというような点は、暫定的の実施をやりました後で考えたいと思っております。
○金子(み)委員 とりあえず都道府県に置いてみた上でというお話のようで、大変に石橋をたたいて渡る感じで、また行政はそうでないといけないのかもしれませんけれども、私ども国民の立場から考えれば、一番持っていきやすいところ、身近に持っていけるところ、相談に乗ってもらえるところ、そういうものが必要だと思うのですね。一々県庁まで行かなければ聞いてもらえないというのは、つくっても余り直接の意味がないのじゃないだろうか。たとえば、いまのお話のように専門家でいらっしゃるから、福祉事務所、保険の事務所の方だとか、あるいは保健所だとかというふうに区分しておっしゃいますけれども、国民の側からいけば、そんなに一々区分してなんか相談に行かないですね。ですから、お金の問題であろうと健康に関する問題ですから、保健所へ行こうとどこへ行こうと、とにかく行けば、そこから話をつなげてもらえるというふうにして、国民の人々は一番身近なところで物が言えるというふうに仕組んでいただかないと、私は余り役に立たないのじゃなかろうかというような気がいたします。ですから、これはお返事をいただく問題ではありませんけれども、そういうことも考えて、どうせ、つくってくださるんだったら、本当に、みんなが役に立ってよかったということになるようなぐあいに、ぜひ考えていただきたいというふうに思うわけでございます。 続けて質問させていただきます。その次に、お尋ねしたいと思っておりますことは、今度の健康保険法案の改正の問題については、いろいろと審議もございました。ですから、そのことはそのこととして受けとめるわけでございますけれども、私はここで、直接その問題の中に触れてこなかった問題、いわゆる、いま大変に問題になっている周辺問題というものがございますが、周辺問題というのは、あれは本当は周辺じゃなくて基本問題だと私は思うわけでございます。そういう言い方がされていますが基本問題だ、大変重要な点だと思います。ことに私がいま取り上げたいと思っておりますのは、国民の側に立って、健康保険の仕組みその他むずかしいことは、みんなにはわかりません。だから、そうではなくて自分たちに直接かぶさってくる問題で、どういうふうになっているのかというので非常に問題があるわけですから、この点について申し述べてみたいと思うのです。 それは何だと申しましたならば、いわゆる健康保険が見てくれない問題なんです。見てくれない部分なんです。健康保険で取り上げてもらえない部分、いわゆる保険外負担、自己負担の問題でございます。これはもう前々から問題になっています、自己負担の問題を解決してもらわなかったら困るということはですね。ところが、これは余り手がつけられないで、放置されたままになっておりますので、大変に深刻な問題になってきております。 実は五十二年十一月、政府が医療保険制度の抜本的な考え方について十四項目の公約をなさいましたね。これも御存じですから一つ一つ申し上げませんけれども、その十四項目を実現するということによって、保険外負担を含めた問題の解決に当たろうという御計画だったわけです。しかも、この十四項目には、ごらんになればわかりますように項目のほかに、それの立法の時期だとか、あるいは実施の時期だとかいうことまで、きちっと計画を立てて公約をなさったのです。 ところが、それが一向に実行されていないというところに問題があるわけなんでして、五十三年の二月の予算委員会で、私の質問に当時の小沢厚生大臣が答弁をしてくださいましたことでは、それらの問題は、今度、医療費を値上げする——九・六%の医療費の改定があったときでございますが、これが問題の解消には効果がある見通しだからということを強調なさったわけでございます。しかし、それは実際問題といたしましては、そのとおりにいかなかったんですね。大臣はそうお思いになったんでしょうけれども、実際問題としては、そうなっておりません。 この九・六%の医療費の改定の結果、何ができたかといいましたら、病院、診療機関では今回のアップで物価のスライドと人件費の赤字が何とか片づいたということだけであって、いわゆる一般の国民が一番問題にしている差額ベッドの料金ですとか、あるいは付添看護の料金ですとか、こういうものには一つも関係しなかった、一つも効果をあらわさなかったわけです。ことに、このとき五十三年一月、全国公私立病院連盟の会合で厚生省の保険局の当時の医療課長さんがおっしゃった言葉は「今回の引き上げで室料を千円にして室料差額が解消できるのかという批判をいただいておりますが、私どもは今回の改定に際して医療費をただ上げただけでは室料差額問題は解決するとは思わない。」とおっしゃっているのですね。厚生省の課長さんが、そうは思わないと言っていらっしゃるというのは、私どもとしてはどう理解したらいいだろうと思うわけですね。大臣は、そのことによって解消するというふうに見通しをつけているんだとおっしゃったんですけれども、事務当局は、そうは思わないという返事をしておられるのですね。そうだとすると、この医療費の値上げというのは余り意味がなかった。 どういうことで、そのように大臣がおっしゃったのかわかりませんけれども、それをいま園田大臣に御答弁をいただくのは無理かと思いますから御答弁はいただくつもりではおりませんけれども、そういう矛盾が省内でもあるということは大変問題だと思うわけでございます。事務当局の御説明が十分行き届かなかったのか、あるいは大臣はそのつもりだったけれども、そういう方向には全然なるようにはならなかったのか、そこら辺のところが、私はやはり行政庁としては、お考えいただかねばならない問題ではないかしらんというふうに思っております。 それで今回また、いまも提出していらっしゃるように健康保険法の改正があるわけですが、今回もまた、これらの問題はそのまま素通りにいってしまうのじゃないだろうかという不安が非常にあるわけでございます。いつでもいつでも素通りされているわけです。ですから、具体的に効果的な措置を今度はお考えになっているかどうかということを私、伺いたいわけなんです。たとえば、また医療費をお上げになりますか。いま診療報酬を上げるように上げるようにという声はあるようでございますね。また、それをお上げになれば解決つくと思っていらっしゃるのでしょうか。上げても、また病院の赤字対策になるだけで目的は達成されないんじゃないだろうかと思います。あるいは前回は通達をお出しになりましたね、通達を二回も三回もお出しになった。それで果たして解決がついているかというと、そうでもございません。今度はどうなさろうと思っていらっしゃるのか、私それを伺いたいのです。
○大和田政府委員 先生のおっしゃいますように付添看護の問題、差額ベッドの問題、これら保険外負担、この解消というのは非常に重要な問題でございまして、私どもも、これにつきましてはできるだけ、これを解消するように努めてまいったわけでございます。差額ベッドの解消、付添看護の解決策というものを私ども努力してきたつもりでございます。 具体的には診療報酬改定、これは五十三年二月の診療報酬改定に当たりまして、室料及び看護料等の入院料関係につきまして約二〇%の引き上げを行うというようなことをいたしまして、保険外負担問題の改善を図るために、これら引き上げを行いますとともに、一層の指導を強化するということで都道府県知事に指示をいたしたところでございます。それで、この付添看護の問題につきましては、この二〇%の引き上げ以外に、さらに二類特別加算の新設を行うといったようなこともいたしておりまして、こういったような診療報酬引き上げによるところの、いわゆる病院に対する手厚い医療費の確保ということによりまして、間接的かもしれませんけれども付添看護の充実というものを図ってまいるのが、やはり一つの大きな行き方ではないか。と同時に、いま申しましたように一層の指導監督の強化をはかりまして、適正な基準看護病院におきまして付添看護というものを強要されるといったようなことに対しましては厳しい指導を行っていくことが必要ではなかろうかと思っておるわけでございまして、それはそのようなことで局長通知を出しておるわけでございます。 それから差額ベッドでございますけれども、これにつきましても、やはり診療報酬以外に厳しい指導を行っておりまして、差額ベッドにつきましても逐次改善の跡が見られているというふうに私ども思っておるわけでございます。特に三人部屋以上の差額ベッドにつきましては、だんだんと、この解消をしておるわけでございまして、まだ若干は、もちろん、あるわけでございますけれども逐次、解消を図っていっておるものというふうに考えておるわけでございますが、なお、この問題につきましては、おっしゃいますように非常に重要な問題であることは十分認識をしておりまして、これからも、これらの問題につきましての改善策に十分努力をしてまいりたい、このように考えております。
○金子(み)委員 時間がありませんので、余り詳しく、この問題に入っておられませんけれども、いまの御答弁ですと厚生省は認識していらっしゃらないんじゃないかしらという感じがいたします。私どもの手元にいただいております、いろいろな資料で見ますと、解消したと思っているとおっしゃいますけれども、差額ベッドの問題でも民間の私立大学の付属病院なんてひどいものです。ほとんど一〇〇%近い差額ベッド料を徴収しておるという事実もございます。それは皆、厚生省御存じだと思います。ですから解消しているなんておっしゃるのはおかしいと思います。厳しい通達が三回出されました結果、国公立病院は確かに、やや改善の事態が見えるということは私どももわかっておりますけれども、国公立以外のところは、ひどい実態でございますから、そういうふうに認識していらっしゃったら、もう一遍、資料を見直していただきたいと思います。 それで、そのときの私の質問に対する厚生省の御指導は、改善されない場合は保険医療機関の再指定をしないとか、それから正当な理由がなく付添看護を行った場合は基準看護の承認を取り消すという大変厳しい指示をしていらっしゃるのですけれども、お尋ねしたいのは、この指示に基づいて取り消しをなさった病院がございますか。
○大和田政府委員 保険医療機関の指定の取り消しとか、あるいは基準看護の承認の取り消しという例はあったとは承知しておりません。つまり、そういうような例は実はまだございません。大学病院というものにつきまして指定の取り消し、あるいは基準看護の承認の取り消しは社会的な影響がかなり大きいということのために、そういった例はないわけでございますが、これにつきましては、先生のいま、おっしゃいましたように私立大学付属病院におきます差額ベッド問題については私ども十分認識をしておりまして、この問題の解決のために文部省とも十分協議をいたしまして問題の解決に努力してまいる、こういう姿勢でございます。
○金子(み)委員 姿勢はよくわかりましたけれども、やはり実体として、それをやっていただかないと世間の人は承知しないわけです。世間の人は、あそこの病院がどんな内容かということは、みんなよく知っていますからね。それが放置されていても知らぬ顔をして済まされておるということでは、国民は政府を信用しなくなるんじゃないかと思うのです。病院は、室料差額の問題も、いわゆる病院の赤字対策、医療経費の不足を補うものだ、補てん分だというふうに考えて、必要悪だとすら言っておるわけです。ですから、そういうようなことを逃しておくことはできないと思います。それだったら別の方法を考えて、必要悪でない正当な収入が得られるような形を考えるべきじゃないかというふうにも思いますし、付添看護の場合でしたならば、私はこの際いろいろ申し上げませんけれども、いまの基準看護の基準のあり方を再検討していただきたいと思います。あの数字では、いまの実態には合わない。ですから、あれをもう一遍、再検討していただきたいことを要望しておきたいと思います。その問題は、そこまでにしておきます。 次にお尋ねしたいことは、今度の健康保険法の改正案に対して、いろいろな議論がなされているわけでありますけれども、いろいろとお話し合いを双方でやりまして、お互いが理解できる範囲内で最善の方法にこぎつけようじゃないかということで努力しておられることは、よくわかるわけでございますけれども、一つだけ私どもがどうしても理解できない問題があります。それは健康保険制度というのは本来、給付面に重点が置かれるべきはずであるというふうに考えます。その給付をするために、本人が保険料も出しますし国の負担もあるわけですね。国も補助をする。こういうふうに、いままで行われてきたんだと思っておりますが、今度の改正で、このことが断ち切られるんではないかという不安が非常にあるわけでございます。それで給付は大変に少ない。いままでに比べて今度の改正案は必ずしもよくなったというふうには言えない。大変にわずかな給付だけしか増加されておりません。少しでも、よくなったということで国民の目をそらすのかなと思いますが、ところが国民の負担は逆に大変に大きくなるように定められそうでございます。しかも、それが国庫補助と何の関係もなくということで、私は、その辺を申し上げたいんです。 本人が医療を受けるんだから、あなたも責任を持ちなさい、そういう意味で保険料をアップしようということを考えておられるんだとするならば、国もこれと連動して補助を同時に上げるべきじゃないかということです。国民にだけ負担をかけて、国は、その負担を逃れようとしている姿勢は、私は問題だと思うんですね。ですから今回その辺はまだ議論の余地はありましょうけれども、国の補助が、国民が負担をする保険料と結びつかない、国はそういうことは知らぬ顔しているんだ、あなた方は医療を受けるんだから金を払いなさい、だけれども国はそれに結びつけて物は考えない、これは私は非常に問題だと思うんです。このことについて、これは政策の問題ですから事務的に御答弁いただくよりは大臣からお考えを伺わせていただいた方がいいと思いますが、いかがでございましょう。
○大和田政府委員 この問題につきましては、いろいろ御意見があろうかと思いますが、すでに国庫補助率が現在、給付費の一六・四%、これは同種制度と比べましても決して低い率ではない、かなりの高率に達しておるわけでございます。もう一つは、非常に厳しい国家財政という状況から見まして、国庫の依存というものを、どうも、これ以上は期待できないという判断でございまして、国庫補助の連動制、先生おっしゃいました保険料の引き上げに伴う自動的な連動制というものは、これを継続するのはどうも困難である、こういう判断に立ったわけでございます。したがいまして連動制ではなく一六・四%から二〇%の範囲内で政令で定める、そういうような規定を今回の健保法の改正の案に盛るというようなことに相なったわけであります。
○金子(み)委員 大臣いかがです。
○園田国務大臣 午前中の委員会でも申し上げたつもりでございますけれども、今日これで御相談をいたしますが、財政上再建が終われば、この法案に示してある幅において変わっていくべきだと考えます。
○金子(み)委員 財政状況が変わればと、けさも佐藤議員に答弁をしていらっしゃいましたけれども、財政事情が変わるというのは、いつのことかわからぬわけですよ。これは当分の間ということに、また、なるんだと思うんですけれども、それは非常に不安でございます。国民としては医療を受けるんだから自分が保険料を支払うことについては文句を言わないと私は思います。当然だと考えて保険料を払うと思いますけれども、国が、そのことについて、もうあずかり知らぬぞと言われることは余りにも冷淡じゃないか。それは大変単純な素朴な考え方ですけれども、私は、国も一緒になって国民の健康のめんどうを見ているんだという姿勢を、そこにあらわしていただけないということが大変残念だと思っているわけです。ですから、その辺はもっとよく十分に考えていただかなければならないというふうに思うわけでございます。 時間がございませんから、これでおしまいになりますけれども、大臣、御存じでございましたでしょうか、二、三年前に東京で健康と医療の経済学の国際シンポジウムがございました。そのときは経済学者が集まられる専門家会議で、医療関係、医師側は現状説明に行っただけで討論の中には加わっていなかったわけです。そのときに日本の医療費の中の四二%は薬剤費だというので全員がびっくりしたそうでございます。一体、日本の医療というのは何をやっているんだろうということで大変びっくりしたということが新聞報道に出ておりました。それはまあ、ともかくといたしまして、そのときの統一見解として、必要なときに必要な医療が与えられるということ、貧富によって医療内容の格差があってはならないということ、この二つが大原則で統一見解になった。私は、これはもう全くそのとおりで本筋だと考えております。 大体、医療を受けるのは人間の基本的な権利でございます。人間の権利というのは無限にございますが、これに有限の医療を結びつけようとするから大変むずかしいのだということは私もわかるのです。そのことはわかるのですけれども、本筋を間違えないでもらいたいということだけは申し上げたいわけなんです。やはり医療は患者さんの、国民のと言ってもいいでしょう、欲求というものがまずあります。欲求の問題、それから、その欲求に対する医療の必要度、これは足りなくてもいけないし、多過ぎても意味がないのですね。だから全く適正な必要度。そして、いつでも、どこでも医療の需要に供給をする。この三つの原則が守られて本当の医療だというふうに思うわけです。 その医療を受けるための手段としての健康保険制度があるわけでしょう。この結びつきが、健康保険制度の方が先へ行くわけですよ、日本の場合は。そして原則であるところの日本の医療のあり方というものが後からくっついていくかっこうです。後からついていっても、できればいいですけれども、なかなかできていない。そこに非常にいまの医療の荒廃があったり矛盾があったりするわけだと思うのです。ですから、この三原則をもう一遍、厚生省はしっかりと踏まえてくだすって、では、その三原則に立った上での方法、手段として、どういうふうにすればいいかということで健康保険制度を、手直しするといいますか改善すると申しますか、やっていただくべきじゃないかと私は思います。これができないものですから、幾らやっても同じことを繰り返すことになる。私は、繰り返し繰り返しで全くむだになるのじゃないかというふうな不安を持ちながら、いま、この健康保険制度の改正案について議論を進めているわけでございます。このことについて、私はそう思っているのですけれども、厚生省ではどうお考えになっていらっしゃいますか。時間がございませんので、これは私は大臣から承りたい。そして、きょうの質問を終わりたいと思いますので、どうぞお願いいたします。
○園田国務大臣 御指摘の三原則は全くそのとおりでありまして、特に厚生行政の中で目の前の徴候に奪われて改正とか右往左往いたしますと、長期にわたっては逆に財政的にも、あるいは医療行政の不備が出てくるわけでありますから、やはり事を処するについては、早い、遅い、前進できないの差はあっても、その三原則を見つめながらやるべきであるということは、全く同意見でございます。そういう方向で努力をいたします。
○金子(み)委員 どうもありがとうございました。
○湯川委員長代理 次に、草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 まず園田大臣にお願いをするわけでございますが、園田さんが大臣になられてから私どもも、本会議での答弁あるいはまた本委員会におけるいろいろな質疑の中で御意見を拝聴するわけでございます。非常に明快な論旨で、今日、大蔵当局の財政上からのいろいろな働きかけについても、児童手当等を含めまして、将来にわたる日本の国民の立場から、はっきりとした態度を表明されておりまして、私どもも非常に尊敬をするわけであります。特に、いま健康保険法の問題についても最終的な詰めの段階に入っておりますが、この医療問題等も含めまして園田さんが持ってみえる明快な哲学、論旨というものを、ぜひとも貫いていただき厚生行政を指導していただきたい、これが私どもの願いでもあるわけであります。 特に健保の問題についても、財政上の問題が中心になるわけでありますけれども、もっと本質的な質的な問題について私どもは、いまこそ論議をしなければいけない、こう思うわけです。そういう意味で私は実は、かねがね薬価という問題、薬という問題について問題提起をしてまいりました。同時に、ここ最近、薬価基準改正等に関する質問主意書というのも前国会を通じまして出してきたわけであります。 そこで、前厚生大臣の野呂さんから、この薬価問題について園田さんがどのような引き継ぎをされておられるのか、まず取っかかりになりますけれども、お伺いをしたいと思います。
○園田国務大臣 お答えをいたします。 私は野呂さんの次の齋藤さんから受け継いだわけでありまして、そこは違っております。しかしながら、国会の答弁その他、詳細に読ませていただいておりますが、多分、先生の御質問だと思いますが、最終段階では、ことしの四月までには調査を終わって、やりますという答弁になっておると思います。草川先生は終始この薬価の問題については熱心に議論を展開されておるという、その議論の筋も拝承いたしました。したがいまして、ことしの四月という具体的な約束をしたことが、十一月になって、なおできてないということは、これはもう弁解の余地もなく、申しわけないことであると存じます。そういう何回も速やかに速やかにということで、いま私が言っても、にわかに信用はされないと思いますけれども、大臣の生命は一瞬ではありますが、あと二、三カ月は首にならぬと思いますから、ここで、はっきりした責任のある答弁をいたさなければならぬ、こういうことから答弁をいたしますが、遅くとも今月中には調査の総まとめをやりまして、これを保険局に回して、最後の薬価基準の改定は来年になると思いますが、そういう手順で必ず行いますので、いままでのことは、お許しを願いたいと存じます。
○草川委員 今月中に総まとめをし、来年には明らかに改定に着手をするという一つの展望が、これで出たわけでございますが、今日までの期間、何回か申し上げておりますけれども、もう少し薬価という問題について、たとえば中間報告でもできないのだろうか。あるいはまた、大変な予算をかけてきておるわけでありますから、少なくとも、この健康保険法の改正案の審議の中に、この問題を大きな話題として、いわゆる平場での論議でもいいわけですけれども論議をする中でこそ、健康保険法の改正案というものが一つの実りあるところに落ちつくのではないだろうか、こう私は思うわけです。 これは、ことしの二月六日の予算委員会でございますけれども、前々大臣の野呂さんは「医療行政の中でこの薬価の問題が大変大きな役割りを占めておることは言うまでもございません。私、厚生大臣に就任いたしますと同時に、どうも風通しの悪いのはここでないだろうか、速やかに処置をするようにということで、今日なお督励をいたしております。」こういうお話でございました。やはり厚生行政の中で、この薬価問題は風通しの悪いポジションであるかどうか、これを一回、大臣にお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 風通しがいいか悪いかわかりませんけれども、少なくとも、これが医療費に絡み、それから物価に非常に影響しておる。したがって、この改定が一日おくれますことは消費者物価の伸びに非常に影響してくる、こういうあらゆる面から、草川先生の御意見のとおり、これは速やかに改定をしたい。かつまた、その改定は、ただいま総まとめ中でございますから大臣がうかつに申し上げるわけにはまいりませんけれども、大体推測をして、いままでのような小幅のものであってはならない、こう考えております。
○草川委員 大臣の方から、しかも、その内容について小幅ではなくて、かなり大幅になるだろうということが示唆されたわけでございますけれども、実は私どもも、いろいろな関係者の方とお話をしておりますと、ことしの春ぐらいは、多分一三・六%ぐらいではないだろうかというお話があったのです。これはどうなるかわかりません。しかし最近になってまいりますと、いや、そうではなくて二けた台であろうという話も出てきておるわけであります。 そこで実は日本製薬団体連合会が「昭和五十五年度薬価基準大改正に関する要望」というものを厚生大臣に出しておられるわけであります。これは多分、野呂さんの時代になりますか、あるいはまた、その後の齋藤さんの時代になるかわかりませんけれども、とにかく要望というのが出ております。製薬団体連合会ですから、やはりメーカー側ですから大きな力があると思うのですけれども、近く予定をされておる薬価引き下げは、大幅なものであると、これはメーカーだけではなくて「卸業界、医療機関などに重大な混乱を及ぼすことが深く懸念されます。」人件費の高騰だとか、いろいろな理由があるわけでございますけれども、「このような状況において国民医療を担う関連業界の混乱を避け、製薬企業の健全な発展を可能ならしめる」ために要望をしたいというので、一番から五番までの要望があります。 それでまず「薬価基準改正と医療費改正とを同時に実施」してもらいたい。「予め薬価基準改正の公表を行わざるを得ないとすれば、平均引下げ巾の公表のみとし、市場の混乱を最少限にとどめるよう配慮されること。」 二番目に「薬価基準価格で購入するという制度が未確立の状況で、著しく大幅な薬価引き下げを実施することは、製薬企業のみならず、医療機関、卸業界の経営を」困難にするので、適当なアローアンスを配慮されたい。 それから「少くとも国立病院などにおける薬価基準価格をもとにする大巾な値引き購入姿勢を早急に是正し、同時に薬剤購入予算の適正化を図るよう配慮」されたい。 そして「販売姿勢、購入姿勢の適正化に資する合理的な薬価基準制度を検討し」——薬価基準の制度も検討してくれ、こう言っておるのですね。「現行の蟻地獄的薬価基準制度を改善すること。」だからメーカーの方も現在の薬価というのはアリ地獄的だ、こう言っておみえになるわけです。だから、この問題は非常に深刻なんですね。 そして「新薬の研究開発を促進するための薬価基準への早期定時収載を制度的に確立」してもらいたい。 こういう要望がありまして、かなり大幅だというようなことを言っておられますが、一部の新聞だと多分これは二けた台になるのではないかというような話も出ておるわけでございますし、それから、いろいろな業界の新聞とかを見ましても、前々回あるいは前回に比べて今回は大幅だということを言っておりますが、少なくとも引き下げ幅は二けた台であるということは間違いございませんか。
○園田国務大臣 数字を、いま、この段階で申し上げるわけにはまいりませんが、大幅ということだけでお許しを願いたいと存じます。 なお、メーカーその他の団体からの申し入れは私も拝見しておりますが、私の考え方は、この方々には申し伝えてございますが、これを全面的に受けるわけにはまいりません。もちろん企業でありますから若干の適正なるマージンは見てやる必要があって、原価までたたこうなどとは考えておりません。しかし、いままでのように薬価が決まる、決まったものから、さらに医療側からたたかれる、たたかれると売りたいから下げる、こういう現象はないようにしたい。なおまた新薬の研究、開発、これは日本の医薬業界としては大事な問題であって、相当膨大なお金を使っていることも承知しております。しかし、それは薬価基準改定で見るべきものではなくて、収載をなるべく早くやるべきだ。厚生省は年に二回収載をやれということを国会で言われておりますが、ことしは二月に収載をやって、いまなお、やっておりません。したがいまして収載はなるべく早くやって、研究、開発の原価償却ができるようなめんどうは見るべきだと考えております。
○草川委員 ですから、やはりメーカーの方々の経営も、ある程度、安定をさせないと研究、開発もできませんし、そしてプロパーも、いたずらな過当競争の中で薬というものを取り扱えば、厚生省が禁止をしておりますところの添付の問題だとかという弊害が出てくるわけでありますから、いずれにいたしましても私は安定をさせることが必要だと思います。安定をさせることによって、診療機関側も、それを購入して自分たちの経営の安定化を図るという理念も、そこで出てくるわけでありますから、薬価差というものに依拠して医療を続ける限り、医療の不信感というのは、どうしても、ぬぐい切るわけにはまいりません。 ですから私は、かねがねから薬価については調査方法というものを、ぜひ定着をさしてもらいたいという問題提起をいたしております。きょうは、その調査方法については触れませんけれども、しかし薬価調査のあり方をずっと時系列的に逆算をしてまいりますと、いま大臣は、今度はとにかくまとめる、こうおっしゃったから、いいわけですけれども、私は厚生省として、政策的というよりも政治的な配慮が多過ぎたと思うのです。特に時系列的に見ますと第一回の経時変動調査が五十三年の十月、それで第二回目が五十三年の十一月と十二月、第三回目に去年の五十四年の三月、そして第四回目が五十四年の六月、第五回目が五十四年の十一月ですから、去年は三回やって非常に熱心にやっておられるわけです。ここまで非常に熱心にやっておみえになるわけですから、ある程度、中間発表ぐらいしたっていいと思いますね。ですけれども、それをやらなくて、ことしの二月になって私どもが国会で問題提起をしたら少なくともと、こうおっしゃる。そこで今度は衆議院が解散になってしまったわけですけれども、この間は、ずっとやっておみえにならぬわけですよ、ことしは。去年は三回も熱心にやりながら、ことしになったら途端に空白になって、今度やられたのは、一番最近やられたのは九月ですか、とにかく国会が始まる前にやられるわけですね。ですから勘ぐると、非常に恣意的に調査をやられるのじゃないか。まじめに三回やられるのなら、ことしも三回やられればいい。今度のも、間があいてしまって、また国会が始まると、うるさいから、おい、やろうじゃないか、こんな感じでとられるような勘ぐりをするわけですけれども、私は少なくとも統計調査とはそういうものじゃないと思うのです。調査というのは年に三回なら毎年三回やる。これは事実、昭和四十七年でございますか、毎年とにかく薬価調査をやろうということを審議会の方でも論議をされておるわけですから、私は、この点、どうしてことし、こんなに問に中抜きがあったのか、担当の局から、ちょっとお伺いしたいと思います。
○大和田政府委員 中抜きと言われると大変どうも困るわけでございますが、実は五十四年の十一月の第五次の経時変動調査をかなり続けてはおったわけでございますが、そのうちに石油問題等の海外の情勢の変化であるとか、あるいは公共料金の引き上げ等の物価の動向が直近の医薬品の市場価格にどう影響を与えるかということを、やはりもう一度調べなければならぬ、調査する必要があるということで、第六回の経時変動調査をやることになったわけでございます。それで中抜きということでなくて、やはりその間、第五次につきましては調査は続けておったわけでございますので、出面だけ見ますと、どうも先生のおっしゃるようなふうに言われるのかもしれませんけれども、私どもといたしましては続けておったというととでございますので、御了解いただきたいと思います。
○草川委員 いずれにしても二十八カ月近く、まだ報告をされていないわけでありますから、厚生省としては、どう言われたって、これは仕方がないと思うわけです。 それから年間約四兆円と言われているこの薬剤費でも、いまの二けた台に少なくとも切り下げられるとしますと、たとえば一五%としても年間六千億という金額になるわけであります。そういう金額があるだけに、この薬価というものをぜひ安定させて、そして、つくる方も、売る方も、使う方も信頼あるルールというものを、ぜひ確立をしなければいけない、私はこう思うわけで、この薬価基準改正に関する質問主意書も出したわけであります。ところが、こういうような私どもの質問主意書に対しましても、厚生省の方は非常に簡単でございまして、現在とにかく集計中で、いましばらくの期間が必要なんだ、そして、この調査結果を踏まえて算定作業を行っていきたいという言い方で終わっておるわけでございますが、そういう態度を続ける限り、いま国民の皆さんの間に、この薬というものは非常に急速に浮上をしてきておるわけでありまして、一体、薬の値段というのはどうなっているのだろう、こういうわけであります。 もうすでに何回か私どもも申し上げておりますから、くどくどと申し上げませんけれども、いま私もどの方にも、いろいろな資料が来ておりますけれども、ことしの八月二十日現在の大阪府下の流通価格表を私ここに持ってきております。その中に最もポピュラーな薬だと言われておりますセファレキシン・カプセル、いつも名前が出るわけでありますが、これは各メーカー共通のものでございますが、二百五十ミリで薬価が百二十円でございますけれども二十円で手に入りますよという、こういう数字が出ております。これは別に大阪へ行かなくても、医薬品御見積書というのが調剤薬局に出ておりまして、これなんかを見ましても大体セファレキシン系は二十円前後になっております。ひどいのになりますと二十円を割るような数字もあるわけであります。私は非常に残念でございまして、たまたま、これも同じ二十円の品物が十八円なんという数字があります。 こうなってまいりますと、一物一価というのが流通の原則だと思いますけれども、もうこれはむちゃくちゃであります。もちろん全国のお医者さんがすべて、このようなものを使うというわけではございません。しかし一応申し込めば手に入るというのは、どこかで狂っておるわけでありますから、これは何も高いところに位置づけをするという意味ではございませんけれども、どこかで何かおかしいわけですよ。どこがおかしいのかということを、われわれは知りたいわけです。その知りたいのが薬価調査ではないだろうか。 しかし厚生省の方は、今度の薬価調査につきましても、その数字というものを発表できません、それは今度というよりも従来どおりの、調査は行政管理庁に何か届けるのだそうですね、そういう法律があって、行管の方で、これは発表するのかどうですかと聞かれて、厚生省の方は、メーカーに迷惑をかけるから、これは一応内部資料として参考にして発表だけするんだというようなことを言われて、調査をされておるようでございますけれども、私はそれはおかしいと思うのですね。もう、どこどこのメーカーについては、こういうような品物ですよといって、天下国家で周知のことになっておるわけです。こんなにオープンになっているわけですから、いまさら厚生省が中間発表をしても、各メーカーに次の協力が得られないというものでもないわけですよ。何か厚生省が、対外的にまずいからと言ってメーカーに気がねをしているような気がしてなりませんが、今後、調査方法については従来どおり非公開で調査を依頼をされるわけですか、どうでしょう。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように薬価調査の生の資料そのものは、もちろん薬価基準改定のための基礎資料を得るという目的で行われていることが薬価調査それ自身の目的でございますし、それは、そういう目的以外には使用しないということを条件にしまして、調査客体であります卸の業者が中心でございますが、それの協力を得て行われている、こういうことで今後とも正確な調査を円滑に実施するためには、どうしても調査客体の協力が必要だ、そういう観点で、この資料それ自身を公表することは差し控えさせていただきたい、こういうことなんでございます。
○草川委員 目的は、この数字を発表するのが目的ではなくて薬価改定が目的ですから、あれでございますが、しかし、これだけ、いま新聞等にも実勢価格というものが発表されていく。そうすると、お医者さんの方はお医者さんの方で困ると言うのですね。たとえば私がお医者さんだとすると、こういう金額で実際は買っておりませんよ、もっと高いもので買っておりますよということを、一々というわけじゃありませんけれども、ある程度は患者に言わないと、それがすべてであるかのように思われちゃ困る、こうおっしゃるんですね。それも一理あると私は思うのです。ですから厚生省は、せっかく毎年五千万近い、四千八百万とか、五千万とか、五千七百万、八百万というような薬事経済調査というものを委託費として計上しておるわけでありますから、そういう現在の実態というものを度正式に国民の皆さんの前に発表する、実勢価格の実態というものを発表することが必要だと思うのですが、そういう気はございませんか。
○山崎(圭)政府委員 同じようなお答えになるかもしれませんが、結局、私どもが薬価調査という形で得られる資料というものは、個々の医薬品ごとの取引価格でございますとか、あるいは取引数量、これが個々の品目ごとに明記されて出てくるものでございまして、いわば卸業者の企業活動そのもの、こういうことに関連するのではないか、かような考え方のもとに、資料そのものは公表できないというようなことでまいってきておるわけでございます。
○草川委員 そうしますと製薬団体連合会の方から五十五年度の大改正に対する要望が出ておりますが、薬価基準改正と医療費の改定を望みます、その次ですが「予め薬価基準改正の公表を行わざるを得ないとすれば、平均引下げ巾の公表のみとし、市場の混乱を最少限に留めるよう配慮されること。」こういうことに結局これは通じていく考え方になるのではないだろうか、こう思うのです。私はいまメーカー側の意見もわかりますけれども、それよりは、あるべき実勢価格というものを、しっかりと一遍国民に報告して、そして下げるものは下げて、あるべき姿というものを明確にしなければいかぬと思うのですよ。これをやらない限り、いつまでたっても薬に対する不信感というものは残ると思うわけです。これは厳重にひとつやっていただきたい、こう私は思うわけです。 いま厚生大臣の方から、何とか薬価調査については早急に、十一月中にはまとめていきたい、そして来年の早い時期には、というようなことをおっしゃっておるわけでございますけれども、私は、二十八カ月も発表しないということは行政監察上からいっても問題があるんじゃないか、行政渋滞もはなはだしいのではないかという意見があるわけですが、きょう、ここに行政管理庁の方からもおいで願っておるわけですから、行政管理庁として、一体、他の役所は、調査をして二年数カ月も、その発表というものを基礎に次のアクションを起こさないという例があるのかというようなことを一回お伺いしたいのですが、どうでしょう。
○宮地説明員 御説明申し上げます。 行政の運営が迅速的確に行われるということは当然のことでございまして、行政監察というのは、そういう行政運営の改善を図ることを目的といたしておりますけれども、御指摘の件につきましては、すでに厚生省におきまして調査をし、現在その結果を取りまとめておられるというふうに伺っておりますので、早晩、一応の措置がとられるというふうに考えております。
○草川委員 同じように会計検査院にもおいで願っておるわけでございますが、ここ最近の調査費用が本当に適切に使われておるのかどうか、あるいはまた、この調査結果を発表していないような状況で、こういう調査費用が有効に使われておるとは思われぬわけでございますけれども、どのように考えておられますか、お伺いします。
○大谷会計検査院説明員 五十三年度について言いますと、医薬品価格調査費予算額は二千九百四十九万二千円でありますが、このうち千五百万円は集計業務に要した委託費としまして、千四百十万五千円は調査先に対する謝金等として、それぞれ支出し、残りの三十八万七千円を不用額としております。これらの経費の使途につきましては適切に使用されており、この支出に見合う業務がなされているものと考えております。 この調査につきましては薬価基準の見直しのために行われるものでありますから、検査院としましては事柄の性質上その内容について余り立ち入ることは適当ではないと存じますが、せっかくの調査でありますので、その結果が速やかに、かつ有効に活用されることが肝要であると考えております。
○草川委員 わざわざおいで願ったのは大変恐縮でございましたけれども、いま会計検査院のおっしゃったことが市民の声だと思うのです。せっかく予算を立てて調査をして、中身を知りたいわけですよ。一体どうなっておるのだろう、本当に百二十円の薬が二十円で買えるのだろうか、そんなばかなことはないじゃないか、こうみんな思うわけですよ。思うがゆえに次のアクションを私どもは求めているわけでありますが、何回か申し上げておりますけれども、どちらにいたしましても大臣の方からの決意が出たわけでございますが、薬価調査と健康保険法の改正と医療費の改定という三つの問題は、いい悪いは別といたしまして一つの渾然たるものになっておるわけですよ。厚生省の基本的な考え方は、まず健康保険法を上げるということが第一なのか、あるいは薬価を、こんなに話題になっておるから下げるということが第一義なのか、あるいは、そうではなくて、医療費の改定という問題も何回か、ここで質問されておりますけれども、診療機関の方の上げろという要求に対してこたえるのか、あるいは、その場合に薬価というものをどうするのか、この順番を一回ここで総まとめとして大臣にお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 薬それから薬価の基準その他の問題については、全く御意見と私も同じくいたすものであります。ただ、いまの調査の結果を報告せよという御意見は、医薬業界からも非常な懸念を持って私、申し入れを受けておりますが、この点は、おっしゃる御意見もわかりますので、今後、調査をどのようにやっていくかということは勉強してみたいと考えます。 次に、いまの三者の関係でありますが、三者は当然、関連性のある問題でございます。しかしながら今日の段階では、それぞれ三者とも、薬価基準の改定も健保法も急いでやらしていただきたいという考えでありまして、まず国会の都合で健保を先に成立をお願いして、それと並列して薬価の方も急ぐ、医療の問題はその後だ、こう考えております。
○草川委員 大臣のお考えで、それがいいか悪いかは別といたしまして、いろいろな問題があると思いますが、私の真意というものは、少なくとも薬というものを安定させて、信頼というものを中心にして、医療というものが安定的に発展することを願いたい、こういうわけであります。 次は新薬の薬価基準への早期収載という問題に移らさしていただきたいと思うのです。 いまもお話がございましたように年二回新薬の収載ということが、一方では厚生大臣の権限で行われていくわけであります。そして薬価というものが決まるわけです。たまたま、いま、がんという問題が非常に大きなものになっておりまして、がんの撲滅というものは実は国民的な課題になっておるわけです。そして私どもも切実な認識をし対処すべき問題であると思いますし、特に監督官庁である厚生省の役割りというものは非常に重要なものがあると私は思うのです。 そこで、これも私かねがね丸山ワクチンの問題につきまして厚生省の方に、丸山ワクチンの製造承認申請に関する経過は一体どうなっておるのかということを何回となく質問主意書を提出をしてきておるわけですが、答弁は一向に要領を得ておりません。そこで、その見通しについて、これもやはり私は大臣の決断がないと、この問題も動かぬと思うのです。それは専門家の方々がたくさんお見えになる前で、私がこういうことを言うのはおかしいのでありますが、きょう私が質問をする実は真意というのは、何回か繰り返しますけれども、薬が効くとか効かぬとかということは私ども素人ではわかりませんし、そういう問題をこの国会で、どうのこうのという論議をするつもりはございませんが、少なくとも行政上に差別があってはいけないということを訴えたいわけです。Aという薬がAという条件で認可をされるならば、Bというメーカーから申請された薬も同じ条件で厚生省は認可すべきだ、そこにえこひいき、あるいは、いやがらせ、こういうものがあってはいけないという趣旨から私はきょう質問をするわけです。この立場をまず明確に申し上げておきたいと思うのです。 たまたま東京大学法堂部の教授で篠原一さんという先生がおみえになりますが、この方を中心に、いま国会に大変な請願運動ということがやられて、厚生大臣にも面会をされておるということが報道されております。何とか丸山ワクチンというものを製造承認をしてもらいたい、こういう要望だと思いますけれども、大臣は篠原先生等にお会いをなすって、どのようにお話をなすっておられるのか、御見解をまず賜りたいと思います。
○園田国務大臣 丸山ワクチンについては、丸山先生とお会いしたことはありませんが、篠原先生とは先日お会いいたしました。この問題は、部外者でありますが、学問的にいろいろ意見が闘わされることも現状もよく知っております。かつまた、このワクチンを使わしてもらって助かった、完全に治った、治らない場合でも痛みが薄らいで、なくなっていったという実例を私はたくさん知っております。そこで薬務局長に次のようにお願いしてございます。御承知の薬事審議会で個々の方で特別この丸山ワクチンに反対の方があるか、これはないということであります。そこで、どうしてとまっておるのかと伺いますと、資料がいまなお不十分である、こういうことでありますから、それでは薬事審議会で論議され、審査を受けるような十分な資料が整うように、厚生省の方でも好意的にお手伝いをしてやってくれ、こういうふうにお願いしておるところでございます。
○草川委員 いま、いみじくも大臣が関心を持ってお聞きになられた、資料がまだ来ていないのだ、これは私の質問主意書にも同じような答弁がなされておるわけであります。そこが実は問題でございまして、一回ぜひ大臣が日本医科大学へ朝八時でも七時でも行かれたらいいと思うのです。一週間に一日か二日は休みがあるわけでございますが、北海道から九州から沖繩から、ひどい場合は台湾からアメリカから、患者が大体五百人くらい、寒い日も暑い日も雨の日も毎日ずっと並んでおみえになるわけです。患者の方もあるでしょうし、家族の方もおるようでございます。私どもも実情調査に行きますと、ずいぶんりっぱな方がお見えになって、じっとがまんをして並んでおみえになるわけです。いま日本の国内で行列をするということがありますか。それは盆暮れに飛行機の切符を買うときに並ぶということはあるかもわかりませんけれども、少なくとも病気というのは国民にとって一番身近な切実な問題です。そういう切実なもので、毎日のように、とにかく五百何人全国から、もうここ十何年でしょう、並んでおみえになるわけですけれども、私はこういうことは近代国家にとって恥だと思うのです。 一体なぜ並ばなければいけないのか。これは承認されないからなんです。承認されないというのも、薬事審議会では資料がないという。資料はあるんですよ。出したわけですよ。出したら、こういう程度の資料ではいけないといって三年間もじっと温めおいて、三年目になったら基準が違う、こういうわけですよ。やり直せというわけですよ。三年目になったら、またスタートから研究をやり直して持ってこなければいかぬわけですよ。これはもう、いやがらせ以外にはないでしょうね。だから、いま資料はないことは事実なんですよ。しかも、その資料の中身は、飲んだら何年生きるかどうかということを明らかにしろというわけでしょう。たとえば私がいま、がんで薬を飲んで、これから何年生きるかどうか五年たたなければわからぬでしょう、十年たたなければ。五年たってみてAとBを比べてみなければわからぬような資料を出せという方が大体無理でしょう。だから無理なことを言っているわけですよ。それを私は大臣に聞いてもらいたいわけです。だから私が何回か質問主意書を出しますと、いまだ、その資料がない。何となく資料を出さなければ、それはだめよということですよね、世間体は。そうじゃないですよ、いやがらせをやっておるわけですよ。 だから同じようなクレスチンとかピシバニールという免疫療法剤があるわけですが、それはもう、とっくの昔に通っているわけですよ。それが最初に申請したのは五十一年でしょう。同じような薬が二件もうパスしているわけです。恐らく、もう薬になっているわけです。みんな買えるわけです。どこでも打てるわけです。同じように丸山ワクチンが申請になると、いやがらせによって、それができない。あの資料を出せ、その資料を持っていくと、もう一回やり直し、基準が違う、入り口が違うからやり直せ、三年たってまた行く、今度資料を持っていくと、どれだけ寿命が長引くかはっきりしてくれよ、こういうわけでしょう。 そういうやり方では、厚生大臣がいま言われたように、ちっとは厚生省しっかりせいや、もう少し何かないのかとおっしゃるのはよくわかると思うのですけれども、私は、いままでの薬事審議会のあり方は明らかに、どこかおかしいと思うのです。どこか狂ったところがあると思うのです。白い巨塔があるということだと思うのです。特に、われわれがいままで余りタッチできなかったものがあるのでしょう、われわれの知らない世界ですから。しかし、少なくとも私どもは同じような取り扱いをしていただきたい。Aという薬があるならば、丸山ワクチンも同じ審査でやらせたらどうなんだろう。そして、もしも間違っておるとするならば、みんなで応援をしてあげて、こういうことがあるじゃないか、ああいうことがあるじゃないかといってヘルプをする、それが私は厚生省の立場だと思うのです。丸山ワクチンを承認することによって、ある大変偉大な権威がある先生の心証を害する、あるいは、そういういろいろな影響力に立ち向かおうとするならば、それが反発を受ける、そんなことを乗り越えるのが、やはり今日のがん対策だと私は思うのです。がん撲滅の問題だと思うのです。だから従来の流れ、考え方の中でいく限り、丸山ワクチンは永遠に幻のワクチンだと私は思うのです。認可されないと思うのです、永久にいやがらせが続きますから。 だから私は少なくともここで厚生大臣に一つ、まず基本的にお願いをしたいのは、行政上絶対に差別をしないんだという、薬事審議会では、そういうことをさせないように努力をするということを、まず言っていただいてから担当の局に質問をしたい、私はこう思います。
○園田国務大臣 過去のいきさつは存じませんが、また、わざと聞かないことにいたしております、白紙の状態で、これに対して処理をしてもらうように。 篠原先生からも、たくさんの嘆願書やその他持ってまいりましたが、篠原先生には次のように答えました。私もよく知っております。しかしながら大臣が政治的判断を下すべき筋合いのものではない。やはり医薬、薬でありますから、薬事審議会でこれを承認することが必要でありますから、役所の方でも好意的に、そういう資料をそろえられることに協力しますから、先生の方も過去のことはおっしゃらずに、もう一遍、白紙の状態で資料を集めてください。そして両方で努力いたしましょう、こう答えてございます。
○草川委員 だから、そこら辺から、ちょっとおかしくなってくるのですが、白紙の立場からと言いますけれども、五十一年に、とにかく申請が出ておるわけですから、その時点に一回戻っていただいて、そして、そのときにはクレスチン、ピシバニールという免疫療法剤で許可を取っておるところがあるわけですから、同じように、どうしてこれがやれなかったのか。これは一回、担当の局長の方から、なぜ差があるのかということを、まずお伺いしたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。 クレスチン、ピシバニールという、いわば免疫療法剤というような感覚で受けとめられております医薬品につきましては、それぞれ提出された資料が薬事審議会において審議、評価されたわけでございまして、申請された効能につきまして、その有効性が確認された、このように考えておるわけでございまして、抗悪性腫瘍剤として承認された、こういう関係でございます。丸山ワクチンにつきましては、少なくとも過去提出されてきました資料に基づいて薬事審議会において十分審議、評価がなされたはずでございますし、なされたその結果が、有効性の確認には、いまだ資料としては不十分だ、こういう結論、こういうことになっておるわけでございます。
○草川委員 それは私が第一回に出した丸山ワクチンの製造承認申請に関する質問主意書の厚生省の答弁の第一項に書いてあるところを、いま答弁されたと思うのです。これは厚生省が審査をしておるわけではなくて、中央薬事審議会において審査をしておることでありますから、局長が直接タッチをしておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、少なくとも、いままで十二万八千人の方々がそこへ通院をなすっておみえになるわけです。そして、ある方々は大変がんの治療に役に立った、延命効果もあった、あるいはまた治ったという方もおみえになるわけでありますし、それぞれの評価があるわけでございますが、たとえば「昭和五十四年秋の日本癌学会及び日本癌治療学会における研究報告については、申請者から資料として提出されていないので」審議の対象になっていないというふうに答弁書では片づけられておるわけです。しかし、それではなくて、この当時は、もう現実的に、いろんな形で学会では発表されておるわけでございますから、書類の形式の手続上それが出ようと出まいと、そんなことは関係なしに、もう周知の事実になっておるわけですから、そういう学会の報告があるならば、それを参考にしたらどうだろう、少し考えてあげたらどうだろうということが、なぜこの五十一年、五十二年、五十三年の間に行われなかったのかということが私どもは言いたいわけであります。 そして五十一年に申請をして五十三年になったら、今度は基準が必要だ、この免疫療法剤の資料は、いままでの基準と違うから新しい基準をひとつつくろうじゃないかと言って、今度窓口を変えたわけですよ。やり直さしたわけですよ。これが一年前です。そして一年間たって、この丸山ワクチンに対する評価をどうしようというので、その基準をいまつくったわけでしょう。これから、さあやろうというわけですから、いまが実際この審査の入り口になるわけですよ。まる四年間遊んだわけです。まる四年の間、申請者は宙ぶらりんですよ。 私も申請者、メーカーの方に最初は一回か二回聞いたんですが、もう最近はメーカーの方もびびりまして来ないです。私どもがお話をしても、先生悪いけれども勘弁してくれ、こう言うわけです。逆に言えば、こんなに十何万人の人に効く薬は、もっと胸を張ってメーカーも堂々とすればいいじゃないかと言うのですが、とにかく、そっとしておいてくれと言うわけです。これはどう考えてもわからないのです。そっとしておいてくれというのは、われわれがこういう問題提起をするということも、何か厚生省は気に入らぬのだということになるんじゃないかと思うのです。あるいは厚生省よりも薬事審議会に影響力を与える偉い先生のお気に召さない、こういうことになっていくと、日本の国民の体を預かる、しかも国民的な、がんというものを撲滅しなければいかぬという大キャンペーンを張っておる、命を預かる厚生省として、おかしいと思うのです。どうして、そんな雰囲気が出てきたんでしょうね。だから、とにかく余り騒がぬ方が早く承認されますよというような雰囲気があるんですね。 これは大臣、非常に重要なことなんです。だから私も篠原先生に申し上げておるのは、国会で請願運動が始まって、どんどん国民運動になってくるのはいいけれども、下手をすると、こんなことをやられると、これはますます承認されぬかもわからぬよ、そういう雰囲気かもわからぬよ、そんなばかなことはないだろうという、これはやりとりなんですが、もしも私が心配するようなことがあるとするならば、日本はこれはもう世界最新鋭の、先進国でも何でもなくなってしまうと思いますよ。そんな封建的な審議会しかも、この審議会の運営というものに行政はどうしても拘束されるわけですから、そういうものによって、せっかく国民的な願望というものが認められないとすれば大変なことになると思うのです。 だから逆に、それは神話を生むことになるわけですよ。逆に神話を生むということは、かえって、それは問題解決につながらぬと思うのです。私はこれは冷静に五十一年の時点に戻って、五十一年に申請をしたんですから、その時点での、いわゆるクレスチン、ピシバニール——いま違うと言うのですが、じゃ、その違うという根拠を示してくださいよ。クレスチンとピシバニールを同じような免疫療法剤として許可をしたんだから、同じようにしてあげたらどうなんだろう。なぜ丸山ワクチンだけ三年間も足踏みをさせるのか。いまは四年目ですよ。四年目になっても、まだ審査の対象になっていない。資料が出ていない、あるにもかかわらず、資料が出てこないといういやがらせ、こういうことですよ。しかも私どもがこういうところで取り上げたり、あるいは、いろいろと国民の皆さんの関心を呼ぶということになると、厚生省はメンツにとらわれる、あるいは厚生省というよりも、その審議会の人たちのメンツを逆なでするようなことになる、こういうことから、さらにこれが遅延をするということになると、私は重大な問題になると思うのです。だから、もう一回前に戻して、行政上差別をしないということを、今度は局長の方から言ってくださいよ。
○園田国務大臣 大臣から申し上げます。草川先生の御意見は十分理解するだけではなくて、裏の裏まで私はのみ込んでおるつもりでございます。したがいまして、今後は差別待遇であるとか、いやがらせ、これは絶対にさせないことを、ここで誓います。そして私が白紙に返るということは、おっしゃいましたとおり、一番最初の段階に返って、感情やいきさつがあったとするならば、それは全部なしにして公平な立場で、これを審査をしろ——もっと御質問に対して的確に答弁したいわけでありますが、事の性質上、私がここで右左をお答えすべき筋合いでございませんので御了承願いたいと思います。
○草川委員 いま大臣の方から、そこまではっきり言っていただくなら、裏の裏まで承知しておる、ひとつ私が大臣になった以上は差別一切なしでやろう、こうおっしゃっていただくわけですから、それ以上、私は申し上げるものは何ものもございません。がんの問題については国民的な重大な関心を呼んでおることでございますし、患者の立場に立てば、もっともっと早く、いまのような大臣のお考えも聞きたかったことだ、こう思うのです。しかも前々厚生大臣の野呂さんの場合も、専門の、がんの権威の先生方ともお話しになられて、厚生省当局にも早急に促進方をやられたと漏れ承っておるわけであります。これは行政以外に一つの審議会あるいは審議会を取り巻く先生方の問題もあるわけでありますから、余り、これ以上立ち至っては申し上げませんけれども、いま園田大臣のおっしゃったことを私もしっかりと受けとめまして、ぜひ早急に審議会が再開される、あるいはまた足らない点があるならば、国のいろいろな研究機関もあるわけでありますし、さらにまた現在進んでおります、たとえば愛知がんセンターの研究報告でも非常に明るい意味での報告も出ておるわけでありますから、早く当局としても促進方をやられて、これこそ薬価調査と同様に、少なくとも、これが早急に朗報になって出るようにしていきたいということをお願いをするわけであります。 きょうは、そういうことを申し上げて、いまの大臣の答弁を私は非常に高く評価して、以上で終わりたい、こう思っております。どうか、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○湯川委員長代理 次に、塩田晋君。
○塩田委員 健康保険法の改正の問題が重大な時期に差しかかりました本日、厚生大臣に健康保険法案につきまして御質問をしたいと思います。 現在、国の財政の上で大きな問題になっております、いわゆる三Kの問題、そのうちでも健保の赤字の問題は国民の重大な関心を持っておるところでございます。保険料の値上げという問題も含まれておるわけでございまして、給付の改善には、それ相応の保険料の引き上げを伴うわけでありますけれども、この健保の赤字につきましては、医師そして薬、医療機器、これがもうけ過ぎであるという厳しい国民の批判がございます。 もちろん良心的、まじめにやっておられますお医者さん、また研究、開発を非常に熱心にやっておられる薬屋さん、製薬会社、近代的な精密な医療機械をつくっている、こういったことを一生懸命やっておられる方があることは承知をしておるところでございます。昔から医は仁術なりと言われますように、そのような良心的な方がおられる反面、世間から非常に指弾されるような不心得の者もあることは確かでございます。さきの問題になりました富士見病院のみならず、いろいろあるわけでございますが、こういった医療問題その中において特に税制について非常な不公平があるということが指摘されておるところでございます。 素朴な国民感情としても、このような健保の赤字の中において、医師にきわめて有利な税制が戦後ずっと行われてきておることについても批判が非常に強いわけでございます。最近、政府も、これについては是正の方向で努力をしてこられたことはわかるのでございますが、なお不公平税制についての批判はあるわけでございまして、医は仁術なりと言われたところから、医は算術なりと言われるようなこともあるわけでございます。この医療の荒廃とも言うべき状況は、厚生行政がかくさせたのだというような声もあるわけでございます。こういったことを踏まえて厚生大臣は、この不公平税制について今後どのように対処されようとしておられますか、現在の心境をお聞かせ願いたいのでございます。 もちろん税制の関係は大蔵大臣の所管でございまして直接、厚生省がということではないかもわかりませんが、しかし内閣の厚生行政を預かる最高責任者としての厚生大臣の気持ち、これに対する姿勢というものが大きな影響力を持つことは言うまでもないと思うのでありまして、この点についてお聞かせ願いたいと思います。 この不公平税制と言われる反面、これは先ほど申し上げました良心的まじめにやっておられる医師が大部分だと思いますが、その医師の技術を正当に評価する必要があるのじゃないか。そのためには診療費の適正化、改定ということが問題になろうかと思うのでございますが、このようなことについて園田大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○園田国務大臣 税の不公平の是正ということは長い間、言われてきたことでありまして、いま御指摘のありましたとおり、これは段階的に解消していくよう政府としてはやっておるわけでありますが、この方向に従って一日も早く不公平な税制は是正さるべきであると考えております。 なお二番目の医療の技術、年とった経験の深い、まじめなお医者さんの技術が買われずに、大学を出てきた若い人が、何十年やった人よりもどんどん収入が上がるという、こういうあり方に問題があることは御指摘のとおりでありまして、いま日本の医療技術は世界の最高水準に達しておりますものの、このままでいけば、この技術はだんだん低下するおそれがある。また国民医療の問題、種々の問題が出てくる。こういうわけで経験のある医療の技術それから適正な診療所の配置はきわめて大事であると思いますので、今後これは十分検討すべき問題であると考えております。
○塩田委員 大臣から前向きの御答弁をいただきました。そのことを了といたします。 医師の技術の正当評価ということになりますと、診療費の適正化、これは診療費の改定、増額ということも起こるかと思いますが、これは直ちに保険料の引き上げで賄うということだけでなくして、なすべき手はまだまだたくさんあると思います。その大きな一つの問題は薬価基準の改定でございまして、これはたびたび議論されてきたところでございますが、改めてお伺いいたします。薬価基準の次期改定はいつでございますか。
○園田国務大臣 大変おくれて申しわけないこととおわびをいたしますが、少なくとも第六次調査の総まとめを今月中に終わりまして、これを直ちに保険局に回し、薬価基準の改定は明年にかかると考えております。
○塩田委員 この改定の幅でございますが、二けた台の大幅改定と考えてよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 ただいま総まとめをやっているところでありますし、この席で私が、これを推測・することは軽率であると存じますけれども、少なくとも、いままでのような小幅でないことだけは、推測で御報告申し上げられると存じます。
○塩田委員 いろんな説があろうかと思いますけれども、この薬価改定を思い切ってやりますと、四兆円と言われている薬価、これが半分近くなるということも議論されておるところでございまして、こういった問題を適正に処理されることによりまして、先ほど申しました医師の技術の正当評価、診療費の改善も可能になるかと思うのであります。 ところで薬価算定に当たりましては、いま市場価格主義というもので行われておるようでございますが、この方式はやめまして原価計算主義に改めるべきではないかと思います。いかがでございましょうか。公共料金の電力、ガス料金等につきましては原価主義が貫かれてきておるところでございます。薬価につきましても、そのような考え方に立って踏み込むべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○大和田政府委員 薬価を、いまの方式を改めて原価主義に改めるべきではないか、こういうお尋ねでございます。 結論的に言いますと、なかなかむずかしいということでございますが、わが国の現状におきまして薬価を原価計算方式によりました場合に、その開発に要した経費とか設備費、人件費、品質管理に要する経費等、これをいかに算定するか、技術的に非常にむずかしい問題がございます。また薬価基準の収載、これは一万五千という非常に多い品目でございますが、これにつきまして原価計算方式に基づく薬価改定を行うことは、現体制では実際上むずかしいということが言えるわけでございます。しかし、薬価算定方式につきましては、これまでも中医協におきまして審議されてきたところでございますけれども、今後とも中医協の御審議を踏まえまして、薬価の適正化のために検討、対処をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○塩田委員 ただいま大和田保険局長が言われましたように、薬価につきましては品目が一万五千もあるという問題、それから個々に原価を計算するのはきわめてむずかしいということ、これはよくわかります。おっしゃるところはよくわかるのでありますが、現在、市場価格主義であるために非常に矛盾が出ておる、高くなっておるという面についても否定はされないだろうと思うのです。 各種の薬で、そういう関係が出ておるのでございますけれども、たとえば、ここに一つの例を挙げて申し上げますと、結核治療のための非常な特効薬と言われておりますヒドラジッドとリファンピシンという薬について申し上げたいと思います。 このヒドラジッドとリファンピシンというのは、薬効といいますか、双方とも非常にいい薬で薬効はそれほど変わらない。若干リファンピシンの方が後でございまして、もちろん若干すぐれておるとは思いますが、ほとんど変わらないという医師の意見でございます。ところが価格の面について見ますと驚くなかれ、ヒドラジッドの場合は一人一日十円程度で済むと言われております。リファンピシンにつきましては一日三錠ほどで、一錠が二百七十三円でございまして約九百円。となりますと、これは薬九層倍と言いますけれども、九十倍といった差があるわけです。もちろん市場価格主義で、市場で、そのように売られ、買われておるから、そういう価格が形成されておるということだと思いますけれども、薬効においてそれほど変わらない、現在、医師も十分使っておる、有効性を認めておる二つの薬につきまして、そのように価格の差があるということは非常に問題ではないかと思いますが、いかがでございますか。
○大和田政府委員 細かい点につきましては医療課長から答弁をさせますが、リファンピシン、これは短期間で、かなり有効性が高いと言われておる薬でございます。したがいまして、確かに先生のおっしゃいますように価格につきまして、かなり差がありますけれども、効能につきましては、やはりリファンピシンの方がかなり高いというふうに考えておるわけでございます。
○仲村説明員 お答えいたします。 技術的な部分でございますので私から答弁させていただきたいと思いますが、御指摘のようにヒドラジッドですと私どもの計算ですと一日分が三十円でございます。それからリファンピシンの場合には一日分が八百十九円というふうな薬価になっております。御承知かとも思いますが、結核の場合には単独療法というのは余りやりませんで、各種の薬を組み合わせて耐性菌が出ないようにということで、治療法もいろいろ工夫しております。かつてはストマイ、ヒドラ、パスというような三者が非常に流行をしておりましたが、現在リファンピシンが出てまいりましてからは、初期に、こういういい薬でたたくという初期強化療法というのが非常に学会等でも評価されておりまして、この場合にはリファンピシンと、いま比較されましたヒドラジッドとを併用して、たとえば早い場合には三カ月くらいで結核菌が陰性化するというふうな例もございますので、薬の値段の差と作用というのは必ずしもパラレルではございませんけれども、抗生物質であるリファンピシンと局方の合成剤でございますヒドラジッドとは、そのような製造過程等も違いまして、このような価格の差があるものと思われます。
○塩田委員 薬の効果、これの比較につきましては、かなりリファンピシンの方が高いということの御答弁でございますが、かなりか、ややというか若干というか、高いことを私は否定するわけではございませんが、私が聞いた範囲では、かなり高いというような印象ではないわけです。まあ高いとしても、そんなに九十倍もの価格の差があるほど——いま課長が言われたのは一日ヒドラジッドの場合は三十円だということでございますが、これは使用の量の違いが若干あるかと思います。ヒドラジッドの場合は〇・一五グラムないし〇・四四グラムということで一日の使用量が決められているようでございますから、そこにも若干差があるかと思いますが、十円から多くて三十円ということに理解いたしましても、九百円ほどの、八百十九円と言われましたか、いずれにしても大変な何十倍という差があることは間違いありません。これが市場で販売され買われておるということにおいて価格が成り立っているということだと思うのですが、原価にすると、どのようなことになるか、おわかりでございますか。
○仲村説明員 お答え申し上げます。 先ほど局長の答弁にもございましたように、各製薬メーカーは多種類の薬を同町に製造しておりまして、それに関係いたします開発費でございますとか品質管理費とか、それをどのように振り分けると申しますか、個々の薬に振り分けるかということは、宣伝費等も含まれておりますので非常にむずかしいわけでございまして、局長の答弁にもございましたように、そういう点からも原価主義というのは非常にとりにくいというのが実情でございます。したがってリファンピシンについての原価というのは私ども、そういう形での計算は実は、しておらないわけでございます。
○塩田委員 いま市場価格主義をとっておられるわけでございますから、原価主義で計算をしてみたらどうかということをお尋ねしても、直ちに回答が出ないということは、いまの段階ではやむを得ない。これは原価主義に変えていただきますと、これが明らかに下がるということを証明することにもなるわけでございますが、原価主義は、そうむずかしく考えられなくても、いろいろな方法で研究すれば、できないことはないのです。戦後、物価庁なんかございましたときは、薬のみならず、あらゆる商品についてコストの計算をやったものです。今後も研究をされて、ひとつ原価主義に立ち返ってやれば、薬価がかなり下げられるということになると思います。 いま、このリファンピシンは言うならば世界的には独占商品、ほとんど一社でつくられておると聞いております。また日本国内におきましても、これを扱っておるものは二社ないし三社、ほとんど二社の独占市場である、こういうふうに見られるわけでございます。そういったところから、言うならばシェアを協定した、それによってでき上がっている独占価格という性格のものが、この中に見られるわけでございます。このような高い価格が成立しておるということには、そのような事情と、やはり厚生省におきまして、そういった算定をされて薬価基準を決められたというところに問題があることは言うまでもないのでございますが、いま一つ海外との比較におきまして日本のリファンピシンの価格がどのような状況にあるか、国際比較において御説明いただきます。
○大和田政府委員 まず先ほどリファンピシンの価格が高いのは何か独占体制ではないかというお話がございましたが、どうも結核薬は他の医薬品と異なりまして、結核予防法等で、その使用方法がかなり厳しい制限下に置かれているといったような問題であるとか、最近、結核患者が減少いたしまして、その薬剤使用量も限定されているといったような理由によりまして、結果的にリファンピシンを製造するメーカーが少ないといったようなことが考えられるわけでございますが、それはそれといたしまして国際的にどうなっているかということでございます。 リファンピシンの国際価格は諸外国でどういうような価格差になっているか。これは私どもが調べました国際機関の調査では、どうもそれほどの差があるという、そういう事実は把握していないというわけでございます。たとえば西独におきますリファンピシンの価格は百五十ミリグラムの一カプセル、これが邦貨換算で二百四十一円でございます。日本の百五十ミリグラムの一カプセル、これが二百七十三円ということになっておりますので、西独におけるリファンピシンと日本におけるそれとを比較いたしますと余り差はない、こういう調査の結果でございます。
○塩田委員 その点につきましては私は一つの資料をいま手元に持っておるわけでございまして、IUATという国際機関、国際結核予防連合といいますか、この一九七七年に公表された資料がございます。これによりますと、これは千錠当たりかと思いますが、メキシコにおきましては三百一ドル、それからアルゼンチンにおきましては四百二十八ドル、ポルトガルにおきましては五百四十二ドル、スイスにおきましては八百五十五ドル、スウェーデンにおきましては九百十一ドル、フランスにおいては千六十七ドル、西ドイツにおきましては千七十五ドル、日本が千八百四十六ドル、こういう公表された資料がございます。これから見ますと、メキシコと比べて約六倍、西ドイツと比べましても一・八倍くらいになりますか、いずれにいたしましても大変な国際的にも高い薬価が決められておるということが明らかでございます。このような高いものを買わされ、また、それを保険料で埋めておるということでございますから、そこに問題があることを例を挙げて御質問したわけでございます。 ほかにも、こういうものはたくさんあると考えております。もっとひどいものになりますと、これは具体的には申し上げませんけれども、薬の原液を大きいかんで輸入しまして、それを小口のびんに詰め直すというだけで、これも何十倍にもなるような薬もあります。また、もっと極端になりますと、買ってきたびん詰めのものをラベルを張りかえるだけの会社、これが製薬会社として堂々と通っておる。張りかえるだけで製薬会社で、大変な利潤といいますか、業績、収入を上げている、こういう例もあちこちにあるわけでございまして、もちろん二千社とも言われる製薬会社におきましては、そのようなものがどれぐらいあるかは把握しておりませんが、そういったものはかなりあると思いますが、実情について把握しておられますか、また、それについて、どのようにお考えでございますか、お伺いします。
○大和田政府委員 実情につきましては余りつまびらかではございませんけれども、薬価の算定に当たりましては、輸入品、国産品を問いませず市場価格の調査を行いまして九〇バルクライン方式で薬価の算定を行っておりますので、輸入品だけが特に高いというようなことはないような形で決められるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○塩田委員 実態をつまびらかにしておられないということでございますので、これ以上の追及は無理かと思いますが、また次の機会に私は具体的なそういう例を持って追及をし、余りにも高い薬価である、原価で考えれば大変な高いものになっているということについて今後質問をし、検討をしていただきたいと思います。 次に健康保険の保険外負担についてでございますが、緊急時の救急医療施設、病院、こういったものを整備していただきたいという国民の強い要望がございます。それとともに、この保険外負担、差額ベッドそして付添看護婦の費用がかさむ。保険料を納めながら、なおそのほかに、ときには一日一万円あるいは、それ以上の保険外負担をせざるを得ない、それに非常に泣かされておるのが実情でございまして、この訴えがわれわれにも具体的にあるわけでございます。 その観点から、差額ベッドは一応別といたしまして、これも、もちろん直していただく必要があるのですが、以前にも御質問いたしまして前向きの回答を得たわけでございますが、付添看護の改善につきまして、基準看護、これは家政婦、付添看護婦をつけないというたてまえでございますが現実はついておる、つけざるを得ない。病人を持っておるところの弱みといいますか、つけろと言われれば、つけざるを得ない、こういうことが実際でございます。これについて改善を検討していただいておるということでございますし、ぜひとも実現をしていただきたいのでございます。これは基準看護のみならず基準外の看護につきましても同じく、そのような保険外負担のないように措置をしていただきたいのでございます。そういう看護が要らない基準内看護の病院に行けばいいじゃないかということでございますが、そういった病院が緊急時にあいていないために緊急に運び込まれて、そこでずっといなければならぬ、あるいはまた、かわろうとしても、なかなかかわるスペアがないというような場合に、そこにいなければならない事情もあるわけでございまして、同じく基準外の看護につきましても、その看護料につきまして十分に見ていただきたいということについて、いかがお考えか、お聞きします。
○大和田政府委員 ただいまの御質問、私ども最も力を入れなければならない点でございますし、従来とも力を入れてまいったところでございます。基準看護病院につきましては御説明は省略いたしたいと思いますが、基準外病院における付添看護の改善でございます。これは御承知のように基準外病院において付き添いをつけました場合は一定の条件のもとに療養費払いということで償還されるということになるわけでございますが、問題は、その償還の額が実際に支払った額に比べまして非常に低いということになりますと患者にとって不利なことになる。これにつきましては私どもも、そのようなことのないように毎年、実態に合わせて改定を行っておるところでございます。 実情を見ますと慣行料金と償還払いの基準との差でございますけれども、甲地(A、B)、乙地といった地域差がございますけれども、看護婦の看護料の場合、基本給では八九%、したがって大体九割ぐらいのところで償還されている。それから准看護婦の場合も大体そんな程度の格差でもって償還をされておる。ただ泊まり込み給の場合が、もうちょっと低い、七五%ぐらいというようなことになっておるわけでございます。こういったことの現状にかんがみまして、なお一層努力をいたしたいと思いますけれども、実態はそのようなことでございますし、今後とも努力をしてまいりたい、かように思っております。
○塩田委員 この問題につきまして前向きの御答弁をいただいたわけでございまして、ぜひとも、その線で万遺憾なきを期していただきたいと思います。 いま慣行料金といいますか実際の料金と償還払いの料金が八九%ないし七五%と言われましたが、私は実際はそれ以上の差があると思います。そしてそのほかに、しょっちゅう交代をするものですから、その際に心づけとか、あるいは人と人との関係ですから何かと心づけ等が要って、この点が非常に大きな負担になり、保険料を払っているのに、こんなにしなければならぬのか、また付添看護婦あるいは付き添いの家政婦に対する人間関係といいますか、労務管理というと大げさになりますけれども、そういった面で病人を抱えた家族が非常に神経をすり減らしてしまう、こういうことが実情でございまして、実勢はもっと料金の面でも半分ぐらいじゃないかという感じが私はするのです。その上になお精神的なものとか、いろいろな料金以外のものを考えますと、かなりのものがあります。これらのものをすべて解決するということはむずかしいことでございますが、少なくとも料金については実勢に合わせて一〇〇%の支払いをしていただくように、ひとつこの点対処をしていただきたいと思います。 次に、審査の問題でございます。診療が乱診にならないように、それをチェックする機能が十分に適正に働くことが必要でございます。そのために特殊法人としての支払基金が審査に当たっておるわけでございます。ところで、この支払基金は医療保険制度の上から非常に重要な役割りを果たすものだと思いますが、どのように評価をしておられますか。
○大和田政府委員 おっしゃるとおりだと思います。現在いわゆる診療報酬請求書、レセプト、これの取り扱い件数は、社会保険、これは国民健康保険も全部含みまして五十四年度で申しますと八億件強の取り扱い件数がある、そのうち支払基金だけで四億八千六百万件、つまり六〇%の診療報酬請求書を取り扱っておるわけでございます。ここで、それだけ多くの診療報酬の適正な審査、支払いを行うわけでございます。これは適正な審査、支払いを行ってもらわなければ医療保険の円滑な運営を期しがたい、そういう重大な任務を帯びて、この任務を適正に遂行してもらう、そういう重要な役割りを果たしていただいておるものでございまして、私どもも、そのように評価をしておるわけでございます。
○塩田委員 支払基金の審査体制についてお伺いしたいのでございますが、職員数それから審査委員数、専任審査委員数についてお伺いします。
○大和田政府委員 職員数は五十五年度で五千五百五十六人、審査委員数は三千二百三十一人、そのうち専任審査委員は二百三十五人でございます。
○塩田委員 いま全国の数字をお聞きしたわけでございますが、都道府県によって非常に差があろうかと思いますが、例を挙げて、大きいところと小さいところと、どのような散らばりになっていますか。
○大和田政府委員 多いところは東京、職員数で申しますと六百四十人の職員数、審査委員数が二百六十一人。あるいは大阪がやはり職員数四百六、審査委員数が百八十というようなことでございます。小さなところで申しますと鳥取、これが職員数四十、審査委員数が三十。島根、職員数四十六、審査委員数が三十六、こういったようなところでございます。
○塩田委員 支払基金の年間の取り扱い件数、また審査委員一人当たりの平均取り扱い件数、それから一件について、大ざっぱに計算をして何秒ぐらいでやっておりますか。
○大和田政府委員 年間の取り扱い件数は四億八千六百十八万件、これは五十四年度でございます。したがいまして同じく五十四年度で審査委員一人当たり取り扱い件数が十五万三千九百件。それで一人一カ月の件数は一万二千七百八十六件になります。そこで一人一日の件数が二千六百九件、平均審査日数が一カ月四・九日でございますので、一件当たり審査時間が七秒ということでございます。
○塩田委員 七秒で、そういった各病院、診療所等から寄せられてくるものをながめて、いいか悪いか、どこが問題かということを発見される、これは神わざ的なことだと思うのでございます。しかも同じような精神力を持って持続的にやっていないと、七秒でも山あり谷ありで、そう常に張り切ってやっておられるということにはならぬと思うのですけれども、いずれにしても一件について七秒というのは大変なことだと思いますが、そのような体制で十分な審査ができているとお考えでございますか。
○大和田政府委員 いま全く平均で七秒ということでございますが、そういった審査体制というものを拡充いたしますために、職員の数それから審査委員の数、これを増員をいたしまして、体制の整備に努力をしているところでございます。また審査につきましても、何か一律といいますか平たん的な審査ではなくて、もっと濃淡のある審査を行うことによりまして、効果を確実に高めるといったようなことも検討し、そういう方向でやりたいというふうに考えておるところでございます。衆知を集めて、いろいろ工夫をいたしまして、できるだけ充実した審査体制に持っていきたいというふうに私どもは考えているところでございます。
○塩田委員 この審査につきましては、審査をする人、これは審査委員になっているはずでございますが、事務職員は審査委員との関係において、どのような関係に立っておりますか。
○大和田政府委員 審査委員は医療内容の審査そのものを行うわけでございますが、事務職員はこれらの補助者といたしまして、書類整備をいたしますとか、あるいはレセプトにつきましての各種の整理点検といったようなものを行っていくということで、審査委員の補助的な業務をやっていくというようなことで両者の関係が成り立っているわけでございます。
○塩田委員 そこで審査委員は審査会でもって、審査会の決定として審査の結果を出されるわけでございまして、個々に出されるものではないということだと思いますが、この審査会はどのような構成になっておりますか。
○大和田政府委員 保険者、診療側、公益と三者構成になって審査委員会は構成されておる、こういうことでございます。
○塩田委員 その三者構成で、それぞれ推薦者が違うわけですけれども、出てきた人は全部お医者さんであるということを聞いておりますが、そうでございますか。
○大和田政府委員 そうでございます。
○塩田委員 それでは、なれ合いというか、三者構成と言うにはふさわしくない、お医者さんの一人舞台ということが言えるかと思います。 それはそうといたしまして、お医者さんが審査会へ出られるというと、いま御説明がありましたように月に四・九日、約五日ということがございましたね。そうすると、その人たちは休んで出てきて、そういう審査業務をされるわけですね。
○大和田政府委員 休んでといいますか、本来たとえば開業しておられる方もおられますし、あるいは大学へ行っておられる方もありますし、病院の勤務医である場合、それぞれの態様に応じまして、休暇をとられる場合もあるし、そうでない場合もあるといったようなことで、それぞれの態様に応じた出席と申しますか、稼働を行っておられる、こういうふうに考えております。
○塩田委員 一日どれぐらいの時間働かれるかですけれども、ほぼ一日がつぶれてしまう、開業医にしても医院をあけて出てこざるを得ない、こういうことだと思います。これに対する審査委員の報酬、手当、あるいは事務職員の処遇、こういったものはどうなっておりますか。
○大和田政府委員 審査委員及び事務職員の処遇につきましては、他の特殊法人と同様に国家公務員に準じております。
○塩田委員 国家公務員に準ずるということしか現在の制度ではきないということだろうと思いますけれども、そういうことでは十分な報酬というか、減収になる分の穴埋めにはなっていないというふうに考えます。こういった問題につきましても十分に御検討を願いたいと思います。 それから、この基金に対しましては国の補助はありますか。
○大和田政府委員 国の補助金という形の補助はございません。
○塩田委員 補助金も交付金もないということだと思いますが、この基金の事務経費は保険料から賄われておるということだと思います。この事務経費の算定が審査する対象の件数によって計算されている。これは、ある意味では当然のことでございますけれども、補助も交付金もないという中で一つのジレンマがあるわけですね。患者がふえなければ事務職員の収入がない、事務費が計上されないということですね。そういったことは矛盾ではないでしょうか。
○大和田政府委員 支払基金の事務費につきましては、いま先生おっしゃいましたようにレセプト、診療報酬請求件数を基準にしておるわけでございます。その診療報酬請求件数に何がしかの、常に一定のといいますか、毎年その単価を引き上げまして、その単価を乗じたものが事務費として交付されるわけでございますが、その単価の引き上げは、やはり必要に応じて引き上げてまいりまして、先を見通しながら財源の確保を図ってきたということでございます。今後とも、これは件数の変動に対応いたしますために、やはり一定の期間を見越して将来安定的な財政運営が図られるような形で単価を決めてまいっていかなければならぬ、今後とも、そのようなことでやってまいりたい、かように思っております。
○塩田委員 次に、審査委員の権限それから身分保障、こういったものはどのようになっておりますか。法令上どのような措置がとられておりますか、御説明ください。
○大和田政府委員 審査委員につきましては支払基金法上、審査委員会の委嘱の方法、任期、権限についての規定がございます。一方、職員につきましては特に規定はございません。しかし、いまのような形で、審査委員につきましては内部の規定があるということでやっておるわけでございます。
○塩田委員 ちゃんとした法的な根拠が審査委員に与えられていないと、審査した結果がいいとか悪いとか、ここは直すべきだということを本当に権威を持って言えない。また言って、いろいろな圧力があった場合に、これを配慮すれば、つい本当のことも言えない、こういうことが起こるのではないかと恐れるわけでございますが、そういった法的根拠を何らかの形で、はっきりと与えるということはお考えでございませんか。
○大和田政府委員 支払基金の審査につきましては、先生御心配のようなことは、法律上の規定に基づいて厚生大臣の定めに照らしまして適正妥当に行っていると私ども考えておるわけでございますが、審査委員の処遇の向上につきましては、基金の審査事務の重要性にかんがみまして、今後とも一層の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
○塩田委員 この審査委員の法的根拠につきましては今後とも御検討をいただきたいと思います。私がこれを申し上げておりますのは、やはり審査委員の権限についての争いがあり裁判も行われたということでございます。そういったことは、やはり法的な根拠がはっきりしていないという面があるのではないかと思います。また、その審査委員の外にといいますか、行政庁として、どのような監査、指導の体制がしかれておりますか。
○大和田政府委員 申しわけございませんが、もう一度……。
○塩田委員 この審査制度の監査、指導の行政庁としての体制です。
○大和田政府委員 失礼いたしました。 行政庁の指導、監査というふうに受け取りまして、行政庁の指導、監査につきましては、厚生大臣と都道府県知事、これが一体となって実施することになっておるわけでございます。私どもの体制といたしましては、国の方、中央におきまして医療指導監査官というのが置かれております。それから地方には医療事務指導官を置いたわけでございまして、中央、地方一体となって指導、監査を行うという体制で臨んでおるわけでございます。地方におきましては医療専門官というのが従来から置かれておりまして、この医療専門官を中心として、先ほどの医療事務指導官、これは最近におきまして設置されたわけでございますが、一丸となって指導、監査を進めておるというのが、国におきます指導、監査の実施体制でございます。
○塩田委員 医療専門官、指導監査官、こういった行政庁の関係、それからいまの審査委員、これが一体となって適正な審査をされるということだと思うのですが、これは書類審査だけでございますか。それとも書類が適正かどうか現実に入院しておられる方あるいは患者、実体を突き合わせるということは行われておりますか、いかがですか。
○大和田政府委員 支払基金では、たてまえは書類審査でございます。ただ審査を行うために必要があると認めました場合には、審査委員会では診療担当者に対しまして出頭を求め、診療録等の書類の提出を求めることができるということになっております。これは支払基金におきまするところの行為であります。 それから、いま先生のおっしゃいました患者に対しては直接、支払基金で調査はできない。それで、先ほど申し上げました行政機関側の職員、これが調査、指導、監査を行うというような形になっておるわけであります。
○塩田委員 この審査委員会の運営につきましては、実体と書類との照合、こういったものをやはり将来ぜひとも検討してもらいたい。書類を一件七秒ながめておるだけでは必ずしも的確なものができるとは考えないわけです。そういったことも、ひとつ考えてもらいたい。全部についてやることは、なかなか不可能ですから重点審査を実施して、その巾でサンプル的に抜き取り抽出して、ときには合わせてみる。その権限がどうこうという問題、実は審査委員に与えてもらいたいわけですけれども、それがすぐの問題で、ないとしても、いまの行政庁のそういう権限をフルに活用して、重点審査をそのような形で工夫をして実施していただきたい、このことを要望いたします。 それと職員は、そういった審査権限がないということでございますけれども、このような大量の件数をこなしていくためには、やはり職員も事務の補助として十分に活用する道を考えられ、それが単なる予算措置でなくして、法令、内規等ではっきりとした根拠を置いて職員の位置づけをしていただいて、事実上だけでなくして審査事務共助職員、これを内規で、はっきりしてもらいたい。そして大いに活用して、知識と経験を生かして審査の補助をして制度の補完を十分にやっていただきたい、このように考えます。そのことについて最後にお伺いいたしまして終わります。
○大和田政府委員 職員の方々につきましては、先ほども規定はない、こういうお答えをいたしたわけでございます。今後、やはり支払基金のあり方を考える上におきまして、御指摘の趣旨を体しまして、この点につきましても、なおよく検討してまいりたい、かように思っております。
○湯川委員長代理 次に、小沢和秋君。
○小沢(和)委員 私は厚生省関係の質問は初めてですので、ひとつ簡潔に、そしてまた的確にお願いをしたいと思うのです。 まず、今度の健康保険法等の改正についての基本的な考え方をお尋ねしたいと思うのです。政府は、もう三年前から、この法案を提出しているわけですが、先ほどから、いろいろ議論されておりますとおり、この三年間に法案を取り巻く状況というのは非常に変わってきているんじゃないかと思うのです。ところが三年前と全く同じ法案が出されてきておる。私はいまでも、本当に厚生省がいろいろな状況を検討した上で、これ以外にないという確信を持って出されておるのかどうかという辺を大変疑問に思うわけです。その点について、まず見解を承りたいと思います。
○大和田政府委員 今後におきましても人口構成の老齢化とか、あるいは医療の高度化等によりまして、どうも医療費の伸びというのが賃金の伸びを大幅に上回るという状況が続くものと考えられるわけでございまして、そういう意味で政管健保の財政状況も依然として、やはり赤字基調である。今回の健康保険法改正案につきましては、こういった人口構成の老齢化の問題であるとか、その他の問題あるいは低成長下の経済社会情勢といったものに対応いたしますために、健康保険制度の改革というものを行おうとするというようなものでございまして、単なる政管健保の赤字対策ではございません。これは財政対策も含みますけれども、単なる財政対策だけではないというようなことで、健康保険制度の改革を行おうというために御提出をしたものでございまして、そういう意味では私ども、健康保険につきまして、現在におきましても、そういう状況下におきまする健康保険制度という意味の改正につきましては、ぜひこれを推進してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
○小沢(和)委員 しかし、この法案が初めて国会に出されたときに比べて、状況は変わっておるということについては、あなた方と私と認識が一致するんじゃないかと思うのですよ。五十三年の二月に厚生省の方で国民医療費についての将来の推計を出した。これは大体年々一五%ずつ医療費が伸びるということで推計をしているわけです。それから、この政管健保も五十三年度の当初の予算では一九・八%伸びるということで予算を立てたわけです。これは五十三年度です。こういうような状況、つまり非常に今後も医療費が大きく伸びるということを前提にして考えて、それに見合って、うんと収入も上げなくちゃいけないということで、一部負担だとか、いろいろなものを考えたということではないかと思うのです。だから、その当時そういうように考えたのと現在の状況と非常に大きく変わっている。先ほどから、そういうことを議論されておったと思うのですが、本当に、その点が大きく変わっているということを、あなた方、認めて考えるべきじゃないですか。
○大和田政府委員 先ほどもお答えいたしましたけれども、この健康保険法の改正案は財政対策だけの改正案ではないということでございます。ただ財政状況につきまする対処ということから考えてみました場合、いま先生のおっしゃいましたように健康保険は赤字基調ではなくなっているのではないかというような御指摘だと思いますが、確かに各年度、五十三年度、五十四年度と、比較的健全財政のようでございますけれども、依然といたしまして、やはり医療費の伸びが賃金の伸びをかなり大幅に上回るという状況は続いておるわけでございます。しかも五十五年度の財政ということは、これは先ほども議論があったわけでございますけれども、五十四年度と違いまして、かなり医療費の伸びというものが見られておるわけでございまして、これはやはり従来から続いております、医療費の伸びが賃金の伸びを大幅に上回る、こういう傾向がさらに出てきておる、こういったような基調があるわけでございまして、財政状況の面からいたしましても、この法案の必要性というものを私たちは信じておるわけでございます。
○小沢(和)委員 それならば現在の時点でも、いろいろ検討した結果、三年前と同じもので妥当だという結論に達したというお話ですから、では現在の状況のもとで、こういう改正を行わなければならない、これを行えば、こういうふうな将来の健保財政になっていくであろうというような推計を、あなた方はお持ちでしょうか。
○吉江政府委員 お答えいたします。 将来にわたって、どのように伸びるかという長い意味での推計というのは、これはなかなか困難でございまして、さしあたり五十五年度の予算というものを私どもは見込んでおるわけでございますが、それによりますと六百五十一億円の収支不足が生ずるものというように私どもは考えております。
○小沢(和)委員 これは単年度の見通しだけで、あなた方が法律の改正をするとしたら、私は大問題だと思うのです。そうではなくて法律として改正をするというのだったら、少なくとも何年間か先ぐらいまでは見越して、これをこういうふうに改正をすれば、こうなっていくのだというものを、はっきり、あなた方なりに研究をした上で出されなければ無責任だと思うのです。それがあるのか、あるならはっきり示しなさいと言っておるのです。
○吉江政府委員 お答えいたします。 先ほども申しましたように、私ども政府管掌健康保険の事業運営に当たる者といたしましては、五十五年度の予算は先ほど申しましたように法律改正がなければ六百五十一億の赤字というように考えておりますが、法律改正七月実施、もう七月過ぎたわけでございますが、そういうことでございますと収入がふえまして、全体の財政状態もよくなるというように考えております。
○小沢(和)委員 あなた、人の質問をよく聞いてくれなければ困るのですよ。将来、何年間かにわたって、こうなるであろうという見通しを持たなければ、法律の改正などというのは軽々に提案できるものじゃないのでしょう。あなた、うなずいたから、そうでしょう。そうだとしたら、それを持っておるか。いままで、それが示されたことはないから即刻示してもらいたいということなんですよ。なければ、そもそれ、これはそういうような検討もなしに法律案が出されたということなんだ。全く無責任だということになる。どっちなのか、はっきりしてもらいたい。
○大和田政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の健保改正案は、医療保険制度の抜本改革の第一段階ということで提案をしているわけでございまして、財政対策としてのみの法案ではない、これは先ほどから申し上げておるとおりでございます。もうすでに昭和五十二年に、参議院社会労働委員会において健康保険制度改革の基本的な考え方ということで十四項目につきまして決めたわけでございます。このうちの何項目かにつきまして、この健康保険法の一部改正案の中で処理しようということでございます。したがいまして財政対策だけではない、こういうようなことで、この法案を御提案をしているわけでございます。 財政につきましては、先ほど医療保険部長が申しましたように、少なくとも五十五年度につきましては現行法であれば赤、これを、この改正案を成立させることによりまして五十五年度におきましては黒字財政に転化させるというような趣旨のものでございますので、そういった財政計画のもとにおいて、財政的な面におきましては、そういうこと、それから基本的には抜本改正という趣旨で御提案をしておる、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 同じことを言わせなさんな。私は、今後何年かにわたっての計画を、あなた方が持って提案したのかどうかと聞いている。イエスかノーか、二つに一つで、ずばり返事をしてください。
○大和田政府委員 五十五年度における財政計画、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 大臣にお伺いしますけれども、いまお聞きのとおり、これについては裏づけになるような、その程度の検討もなされずに出されてきておる。これは私は、そもそも審議にたえ得ないような提案の仕方じゃないかと思うのですよ。そういう意味では、これは即刻撤回して根本的に——あなた方が抜本提案をするというなら、先ほどから言っているとおり幸い、そんなに何も大あわてをしなければならないような財政状況じゃないでしょう。これは直ちに撤回をして根本的な検討をされてしかるべきじゃないでしょうか。
○園田国務大臣 事務当局が直ちに数字を挙げられないのは残念でありますが、事務当局が挙げられない数字を大臣が挙げられるはずはございません。ただ腰だめではありますが、この法律案の改正は、財政再建をにらみながら、やっているわけでありまして、財政再建の中で、どのように無理算段をして有効的にやるか、こういうことでございますから、腰だめでありますが昭和五十九年までは、これでやっていける、こういう計算をしてやっているわけでございます。詳細の数字はわかりません。
○小沢(和)委員 大臣は五十九年まではできるとおっしゃるが、五十九年までのその数字が、事務当局によって出されておらないのですよ。出してみなさい。
○大和田政府委員 これは私ども、こういうような考え方をとるわけでございますけれども、給付率を十割にする場合、九割にする場合、八割にする場合、七・五割にするといったようなものを一応考えまして、五十九年度における各給付水準に対応した保険料を私ども算出しております。それによりますと五十九年度におきましては、仮に給付率を九割にすれば千分の九十三になる、八割にすれば千分の七十七になる、十割にすれば千分の百十三になるという計算をいたしておりまして、これが財政計算の一つの物差しということになるわけでございます。一応これが私どもの財政試算でございます。
○小沢(和)委員 だから、それはさっき私が言った五十三年ごろの話でしょう。そんなものを持ち出してきても私への答弁にはならぬのです。だから私は、この法案はそもそも審議にたえ得ないような提案のされ方をしておるということを申し上げておきたいと思うのです。本当なら、そこのところを、もっとやりたいのですけれども、ほかの質問もあるから、それは、そういうことを指摘して、もう少し法案の中身、具体的な点について幾つか、お伺いをしたいと思います。 一つは、いわゆる連動条項ということで、国庫補助制度が大変関心を呼んでおるわけです。最初に私この問題を取り上げてみたいと思うのです。この国庫補助制度というのは、中小企業の労働者が大部分の加入者である政府管掌の健康保険でありますから、賃金は低い。だから保険としての収入の方は少ない。それに対して出ていく方は、大体中小企業の労働者には中高年の人が多いとか労働条件が悪いために病気がちの人が多いとか、そういうようなことがあって出るものが多い。だから、だれが考えてみても保険財政を維持していくことが非常に困難で、それをカバーしていくために、できている制度だ、こういうふうに認識しているのですが、まず、そういう認識でいいのかどうか、お尋ねをしたいと思うのです。
○大和田政府委員 基本的には、そのような考え方ではないかと思います。
○小沢(和)委員 そうだとすると、では、どれぐらい補助をしたらいいかということについては、理論的な問題として解明をすることができるのじゃないかと私は思うのです。そういう点で、もう少し立ち入って、お伺いをしたいと思うのです。 保険料の方、これは政府管掌の健康保険それから組合の方の健康保険、それぞれ平均の報酬月額にいわゆる保険料率というのを掛けたものが一人当たりの収入になって出てくると思うのですね。いま政府管掌と組合と、それぞれ平均報酬月額は大体幾らで、そして保険料率が幾らになるか、お尋ねします。
○吉江政府委員 お答えいたします。 先生がお尋ねになったのは平均標準報酬月額と保険給付費であったというように私はいま聞きましたが、五十四年度で平均標準報酬月額の方は十五万三千六百十一円、それから保険給付費は十七万九千三百八十一円でございます。
○小沢(和)委員 それだけでは足りないでしょう。政管と組合と、それから、それぞれの保険料率はどうなっているのだと聞いているのです。もう待っていられないから、それでは私の持っている数字で間違いないか、お尋ねしますが、平均標準報酬月額は、政管の場合十五万八千三百二十八円、それから組合の場合十九万九千八百八十八円、これは間違いないですか。そして政管の場合は当然、保険料が八十、組合の場合は平均すると七十八。
○吉江政府委員 政府管掌は、私の担当しておりますので申し上げますと、さっきとほとんど同じことになりますが、平均標準報酬月額は十五万三千六百十一円、それから保険給付費は十七万九千三百八十一円、保険料率はもちろん千分の八十でございます。 組合については、いまお答えいたします。
○大和田政府委員 料率は七十八で、おっしゃるとおりでございます。私の手持ちでは五十三年度の組合の平均標準報酬月額は十八万八千八百五十三円というのがあるわけでございます。ごく最近、五十四年の十月分は二十万二百七十八円でございます。
○小沢(和)委員 いや、その時点をそろえないと議論はできないのです。だから政管の人たちと、それから組合の方に属している人たちと、平均標準報酬月額で格差は大体どれぐらいあるのかということです。
○大和田政府委員 お答え申し上げます。 五十四年度の政管の、平均標準報酬月額は十五万四千円、同じく五十四年度の健康保険組合の平均標準報酬月額は十九万九千円、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 格差は何%あるかと聞いているのです。
○大和田政府委員 差が四万五千円でございます。
○小沢(和)委員 数字は私がさっき言ったのと大体合ってきたからいいのですが、この格差はパーセントで言うと二六%になるのです。ですから、これは当然それだけ政管と組合と一人当たりにしてみると収入にギャップがあるということだと私は理解するけれども、そうでしょう。
○大和田政府委員 収入の面では、おっしゃるとおりでございます。
○小沢(和)委員 支出の方ですけれども、そういうことで、あなた方は準備が非常に不十分なので、私もう数字はいろいろ挙げませんけれども、医療費に使う方で見ると、先ほども申し上げたように、政府管掌健康保険に入っている人たちの方が、どうしても年齢が高い。日ごろからの労働条件がきついというようなこともあって、病気で実際にかかる件数あるいは治療に何日くらいかかるか、あるいは一件当たりの金額、こういうようなもの、どれをとってみても組合に比べると高い、こういうことが言えるのじゃないですか。
○大和田政府委員 一人当たり医療給付費の数字がございますが、これを見ましても、おっしゃるように政管健保の方が高くなっておるわけでござ います。
○小沢(和)委員 その格差は何%くらいですか。
○大和田政府委員 パーセンテージはあれでございますが、一人当たり医療給付費は、政府管掌健康保険では十六万一千八百円、それから健保組合 の方の医療給付費は十三万九千円、こういうぐあいになっております。五十四年度でございます。
○小沢(和)委員 ですから、これだけでも、はっきりしているとおり、入ってくる方は二六%も格差がある。今度出ていかなければならない方についても、いま、お話があったように大きな格差がある。これを埋めるための制度が、先ほどから言っている、いわゆる国庫補助の制度だということになると、いま一六・四%で固定するんだとか、いろいろな議論があっておるけれども、それをずっと上回る大きな金額を補助として出さなければ、少なくとも、そういう組合健康保険に入っている人たちが負担をして受けられる恩恵と相対的にバランスがとれないことになりはしませんか。
○大和田政府委員 国庫負担の考え方といたしまして、先生のおっしゃいますように組合管掌と政府管掌との差を埋める、必ずしも、そういうことではないわけでありまして、やはり政管健保自体の足の弱さに対する支えであることは確かに事実でありますけれども、それが必ずしも組合管掌との差ということにはならない。やはり国庫負担の判断といたしましては、年金その他、他の社会保険制度との比較であるとか、共済組合制度との比較といったようなものを基準にして判断すべきものであろう、かように考えるわけであります。
○小沢(和)委員 だから私も、機械的に何か算式があって、ぱっと埋められるようなものだというふうに言っているわけじゃないけれども、少なくとも先ほどから言っておりますように、組合に入っている人たちと、中小企業に働いている政管健保の人たちと、全体としてはバランスがとれるように国が援助をしていくという考え方だとすれば、いま言ったようなギャップを埋めるという考え方に立たなければ、政策としては考えようがないじゃないですか。
○大和田政府委員 先ほど申しましたようにギャップを埋めるための国庫負担というのは、必ずしも私ども考え方としては、とっているわけではないわけでございます。国庫負担の考え方は、先ほど申しましたように、他の社会保険等との比較で妥当かどうかということで決めるべきであると考えているわけでございます。
○小沢(和)委員 では、ちょっと質問の角度を変えて、現在一六・四%というようなことを盛んに議論されているけれども、先ほどから言っているとおり、このギャップは保険料だけで見ても入ってくるものが二六%も開きがある。また出ていく方でも、さらにギャップがある、あなたは、この事実は認めるわけですね。だとしたら、それに見合った補助をしていかなければ、中小企業の労働者に対しては、おまえさんたちは大企業などに比べて大きな負担で組合の運営をやっていくのは当然だといって政府が突き放すような結果にしかならないんじゃないですか。その点は大臣はどうお考えですか。
○園田国務大臣 御指摘のとおりの現実がございますけれども、それを考えると根本的には各種保険の一本化ということが問題になってくるわけであります。これは当然、方向としては考えなきゃならぬ問題でありますけれども、受給者が多数で格差のある、この各種保険をどのように円滑に持っていくかということに非常に問題があります。しかし、その点は十分考慮しなければならぬことであると考えます。
○小沢(和)委員 では、この問題はそれくらいにして、法案に関係して、もう一つ問題にしたいと思いますのは、初診料とか入院料などの一部負担の問題です。 最初に、この問題でお尋ねしたいと思いますのは、戦後から、いままでで結構なんですけれども、この一部負担を法律から外して政令で決めたというようなことはありますか。
○大和田政府委員 戦後はございません。
○小沢(和)委員 私も、そう承知しているわけです。ところが、きょう私の部屋に陳情にお見えになった方から、いま何か、そういうような修正の動きがあるということを聞いて、私もびっくりしたわけですけれども、大体こういう重要な一部負担といったものについては、私も当然、法律で決めなければならないものだと思うのです。ところが近ごろ、こういういわゆる法定主義というものが、この健康保険だけじゃなしに、たとえば、この間、衆議院を通過した郵便料の問題にしても、あるいは国鉄にしても、いわば政府の一存でやれるように、法定制を骨抜きにしてしまうというようなことがあるわけです。この初診料についてまで、そういうようなことをしてはならぬと私は思うのですけれども、政府の提案では、これは法律で決めるという提案の趣旨になっております。私も、そうあるべきだと思うのですけれども、この点について大臣の見解を一言伺っておきたいと思います。
○大和田政府委員 どうも、その問題につきましては与野党間で修正の話し合いが行われておると聞いておりますけれども、その中身につきましては私ども全く承知していないというのが現在でございます。
○小沢(和)委員 そんなことを聞いているわけじゃないのです。あなたは、この法案を提案した人なんですよ。この法案の中に初診料とか、あるいは薬価などについても負担させるというようなことを、あなた方、書いているけれども、とにかく法定主義というたてまえで、あなた方は出してきている。だから私はそれを評価しているのですよ。今後もそうあるべきだと、あなた方が考えて出したかどうか、当然のことを聞いているのですよ。今後もそうすべきだと思って、あなた方、出したのでしょう。そこをはっきり言ってください。
○大和田政府委員 国会におきまして御相談になりまして、国会のお話し合いで決まるということであれば、私どもは、そのお考え方を尊重いたしたい、かように思っておるわけでございます。
○小沢(和)委員 そういう政治的な答弁をしてはいけません。私が言っているのは、あなた方がこの法案を提案した立場というのは法定主義、今後も、その問題については法律で決めていくべきことだという考え方に立って出したのですねという、あたりまえのことを聞いているのですよ。
○大和田政府委員 私どもの法案はそのとおりでございますが、この決め方につきましては、いろいろな考え方があるであろうということにつきましては否定できないのではないかと思っております。
○園田国務大臣 原案で、お願いしているわけでありますから、政府は原案が一番いいと考えておるわけでございます。
○小沢(和)委員 それは大変よく納得しました。 法案に関係して、もう一点だけ、お尋ねをしたいと思いますのは赤字解消問題です。健康保険については三Kだなんと言って、前にも非常に大きな赤字が出たとかいって問題になったことがあるのですけれども、いま赤字の解消ということで政府が考えているのは、あくまで千二百九十億だ、その前のことについては今後も考えないという立場でおられると私は承知しておるのですけれども、その点、念のためお答え願いたいと思います。
○大和田政府委員 四十八年前に生じました累積赤字につきましては、たな上げをする、こういうことでございます。したがいまして先生のおっしやるようなことだろうと思います。
○小沢(和)委員 その点はそれで安心しました。 まだ時間が若干ありますから、私、次にお尋ねをしたいと思いますのは、先ほど大臣も、健康保険の一部改正は腰だめ的というか、あくまで当面のものだ、抜本改正をいま急いでおるのだというようなお話があったのですが、この抜本改正の作業は、どのぐらい進んでおって、いつごろには提案できるという見通しでしょうか。
○大和田政府委員 先ほども御説明申しました五十二年の例の十四項目というのがございます。これが抜本改正の中身でございまして、その十四項目の幾つかを、今回、御提案いたしております健康保険法で規定しておるわけでございますし、それ以外の問題につきましては、保険外の負担であるとか、その他あるいは健康管理問題であるとか、老人医療問題であるとかという問題が、その中に含まれておるわけでございますけれども、それぞれ検討を進めておる、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 だから、それはもう、ずいぶん前から言われているから、いつごろになれば提案できるような見通しかとお尋ねしておるのです。
○大和田政府委員 先ほど申しましたように十四項目でございます。それぞれ具体的な項目が登場しておるわけでございまして、たとえば老人保健医療制度につきましては現在、鋭意検討中でございまして、すでに第一次試案というものも発表しておる、こういうようなことでございます。そういったことで、それぞれの項目につきまして進めておる。たとえば適正な医療費支出対策の推進につきましても、これは法律ではございませんけれども、行政措置として具体的な検討を進め、これを推進していこうというような考え方に立っておるわけでございまして、それぞれ項目につきまして、いま検討を進めておるということでございます。
○小沢(和)委員 それはその程度しか答弁ができないのでしょう。 では次にお尋ねをしますけれども、私は、抜本改正をする場合には、特に現在の治療中心の医療の考え方を予防からリハビリまで一貫したものとして、やっていくようにしなければならないんじゃないかと思うのです。その点で、もう皆さんの方もよく御存じの、たとえば岩手県の沢内とかあるいは長野県の八千穂とか高知の野市とか、先進的な経験がいろいろ出ております。私も一生懸命そういうのを勉強しているわけですけれども、こういう先進的な経験で共通して言えることは、行政が、これまで病気などにかかったりする人が多いという状況を解決していかなくちゃいけないという立場に真剣に立って、開業医やら保健婦さんなどの協力も得ながら、そして住民挙げて部落ごとに組織などもつくるというような大きな盛り上がりの中で、もう全住民と言っていいぐらい徹底した予防検診をやる、このことが大きな力になって、それまでは国民健康保険なども、全国平均に比べても五割もよけいかかっておるというような状態が、全国平均から見たら八割ぐらいに減るというような状況に激減してきておる、こういうすぐれた例が各所に出ておるわけですね。 だから私は、集団検診だとか、あるいは、ちょっとぐあいが悪いんじゃないかなと思ったような状況で、すぐお医者さんに相談に行く、実際、病気だということで診てもらう一歩手前の相談に行くといったようなことも保険で給付の対象にするというようなことも、これは十分にそろばんに合う。いま言ったように保険財政が、こういうようなところで、ぐんと好転しているわけですからね。こういうすぐれた経験に学んで、予防などについても、ぜひ、それを取り入れるというお考えがないかどうか、お尋ねをしたいと思うのです。
○園田国務大臣 御質問中に事務当局がしばしば、まごまごして御迷惑をかけましたが、これは事務当局のあれもありますが、御質問が余りに的確で急所をついておられるから、まごまごしたわけでありますから、お許しを願いたいと思います。 いまの御意見は一番大事な御意見だと思います。将来、医療行政の重点は健康予防管理、それから健康の推進が重点になってくればくるほど医療費はだんだん減ってきて、そして半分以下で済むと私は思います。現に、いま例を挙げられましたが、私の知っている町村でも、これを実施して支出が半分以下に減っているところがございます。したがいまして現行制度の中でも、そういうことに注意をして予防検診、健康管理、こういうことをしたいと思っておりますが、いまだ、この予防管理等に対する法定給付までいっていないことは残念であると考えております。
○小沢(和)委員 大変前向きな答弁をいただいておると思うのですけれども、それでしたら、いま申し上げたような赤字財政のもとでも、これを積極的にやれば間違いなく財政対策としても非常に大きな力になると私は思うので、そういうようなことを踏み切っていくというお考えはないのでしょうか。
○大和田政府委員 ただいまの大臣答弁のとおりでございます。ただ私ども、健康保険、医療保険の各保険者につきましては、国保につきましては、いま先生が幾つか例をお挙げになりましたようなことで予防を進めておる。これはいわゆる保健福祉施設という形のものとして進めておるわけであります。公衆衛生活動、疾病予防活動。政管健保につきましても保健福祉施設活動ということで被保険者の疾病予防対策をいろいろの面で推進しておる、こういうことであります。健康保険組合などは、さらに政管健保よりも、もっと疾病予防活動を進めておるわけでございますが、政管健保につきましても、いま先生の言われましたような趣旨で予防活動という形の保健施設を進めておるということについては当然のことでありますし、これからますます、その必要性というものがございまして、この充実強化を進めていきたい、かように思っておるわけでございます。
○小沢(和)委員 だから予防を重視したいというお考えは一致しているわけですが、私が言うのは、財政的に見ても十分引き合う話なんだから、それを保険の給付の対象にまで、いまの状況の中でも進めていくお考えはないかということをお尋ねしているわけですよ。お答えできませんか。これは大臣どうですか。
○園田国務大臣 財政面から見ても、おっしゃるとおりでございますが、財政当局に理解を求めることは、なかなか急には困難だと思います。財政当局は目の前の支出を考えます。しかし逐次そういう方向に移行して、将来はこれを法定給付にするようにやるのが正しいと考えております。
○小沢(和)委員 では予防はそれぐらいにして、リハビリの問題です。 私も訪問看護という制度を大変リハビリという点では注目をしているわけです。しかし残念ながら、この訪問看護というのは、いまのところ国の制度としては乗らないで、地方自治体あるいは先進的な病院などが自発的にやっておるというような状況なんですね。全国に寝たきりで放置されている老人が四十万近くおられますけれども、こういう人たちに対して医療の恩恵を広げていくという点では、この訪問看護というのを国の制度として取り上げていくということを、ぜひ抜本改正に先立ってでも、やっていただきたいと私は思うのですよ。 私も聞いて感心したのですけれども、実際、寝たきり老人の方々というのは、家族もどういうふうにしていいかわからぬというので非常に暗い気持ちになるし、寝たきり老人自身も、早くお迎えが来ればいいというぐらいの気持ちでいる。そうこうするうちに褥瘡もできるというような状況になったりするのですね。私、写真をもらって、びっくりしたのですけれども、こういうひどい褥瘡がたちまちできるのですよ。ところが、いま申し上げたように、自治体あるいは病院などが訪問看護ということで看護婦さんやら保健婦さんやらをずっと巡回させて、週に一度ぐらい下半身をふいてやったり、こういう褥瘡の手当てをしたり、あるいは患者さんを激励したりという中で、患者さん自身も非常に激励されて、寝たきりだったのが起きてみようということで意欲的になってくるとか、家庭全体も明るくなる。その中で、どうしても必要という場合には短期に入院させて、またちょっとよくなったら、すぐ帰してくれるとか、これが非常に大きな効果をおさめているというふうに私は聞いているわけです。これについても、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。 私が、ある研究を読んでみたところによりますと、大体、全国で十万人の寝たきり老人の人たちに手を差し伸べたとして百億から二百億ぐらいのお金で足りるのじゃなかろうか。何十万という人たちに対して、そういう恩恵を与えていく上では、十兆円にも達するといういまの保険財政全体の規模から考えて、これぐらいのことは、ぜひ踏み切ってやっていただきたいというふうに私は考えるのですけれども、この点はいかがでしょう。
○吉原政府委員 在宅の寝たきり老人の方々に対しまして、現在、昭和五十三年度からでございますけれども、老人保健、医療総合開発事業の一環といたしまして、保健婦さんが御家庭に訪問をいたしまして、寝たきり老人の方々あるいは家族の方々に保健なり看護の仕方についての指導をしていただいているわけでございます。昭和五十五年度におきましては約百四十の市町村がそういった事業をやっているわけでございますけれども、今後とも、こういった事業の一層の拡充強化を図っていきたいと思っております。現在、老人保健医療制度全体についての基本的な見直しをやっておりますけれども、その中におきましても、こういった事業の拡大強化を取り入れていきたいというふうに考えております。
○小沢(和)委員 では、それはもっともっと、ぜひ拡充させるようにしていただきたいと思うのです。 それで時間もぼつぼつ来つつあるから、最後に、もう一つお尋ねしたいと思うのですが、いまのような寝たきり老人などに対する看護の手が十分に差し伸べられておらないという結果、もう、どうにもならなくなった家族の人たちが、老人病院などというような看板に引かれて、こういうお年寄りを老人病院に入れたりしております。多くの老人病院は良心的にやっているのじゃないかと思いますけれども、やはり中には、ずいぶんひどい老人病院があるということで、私どものところにも投書などが来ておるのです。 いま医療の荒廃ということが言われておりますけれども、私もこれを読んで、これは本当にほうっておけない、ひどい話だなと思ったのですが、ちょっと、その一部を御披露してみます。 実は、私の母もやはりまちがって、ある老人 病院に入院させてしまいました。となりの老人 の方(男子、九十一才)は食事も出来、歩いて 入院が出来たのに、あっと云う間に禁食にな り、重態にされ、もう危篤ですから家族の人を 呼んでもらいたいと言って、大勢きていまし た。とにかく、そんなにひどくなく、呼吸も困 難でないのに、すぐと酸素、鼻から「おも湯」 を入れられてしまいます。この部屋に入れられ ると、一日四阡円別にとられます。晒布一反 (病院の規定の品)は、何と病人の体を動かさ ないようにするために体、足をベットにゆわき 付けて、全然うごかないようにして、あおむけ にねたきりにされ、幾日も続いています。お湯 で体、とくに下半身はふいてもらえづ、床づれ がひどく、いたいと云っています。私の母も一 週間で背中まで化膿してしまいました。そして 酸素、鼻からおも湯、重態ですと云はれ、あま りにもおそろしいので退院しました。ある日、 オムツカバーをあけてみましたらものすごい悪 臭とむれで、可愛想でしたので空気を入れるた めにあけていると、あけないで下さいと云って フタをしてしまいました。夜になると、殆んど の患者さんは七度五分以上の熱が出、氷枕にな ります。この熱は、あとでわかったのですが、 尿のバイキンが体内に入ると熱が出てくる事が 他の医師からききました。ずっと書いてありま すけれども、こういうような状況だというわけ です。 こういうように、老人が入ってきたら、いきなり動かないようにということで、さらし布を巻きつけて押さえつけるようなことをやってみたり、鼻から重湯を通したり、酸素をやったりということになれば、わざわざ歩いて入院したような人まで、たちまちひどい病態にしてしまう。これは私、本当に合法的な殺人工場みたいな、ひどい老人病院じゃないかと思うのです。大臣は、こういうような医療の苦情については、これからどんどん取り上げて調査をしていきたいというふうにおっしゃっておられますけれども、こういうような老人病院などの実態についても、ぜひメスを入れていただきたい、実態調査をして厳しく指導をしていただきたいというふうに私は考えるわけですが、最後に、その点について所信を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 今日いろいろ不正な医療行政を摘発することが急務であります。その中に一つは営利専門で膨大な組織をつくっている医療機関、もう一つは、いまの老人病院、もう一つは精神病院だ、ここらあたりに暗い問題が介在すると私も内々にらんでおります。そういう点については御指摘のとおり、全力を挙げて、こういうものを是正するつもりでございます。
○小沢(和)委員 終わります。
○湯川委員長代理 次回は、明六日木曜日午前十時二十分より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十二分散会