社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 289 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/10/21
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 まず最初に、行政改革に関連した問題でお尋ねしてみたいと思いますが、政府は財政再建を進めるということから行政の見直しを関係各省庁にわたって行っているようでありますが、労働関係に係る事柄についても出されていると聞いているところであります。そこで具体的な問題をまず一つ、最初にお伺いしておきたいと思います。 公共企業体の労働者は御承知のように公労法によってスト権が禁止をされておりますが、この公共企業体労働者が長い年月にわたって要求してきましたスト権問題は、実体的には、その解決に向けて具体的な作業が進んでおりません。そういう現状の中で、さまざまな問題を公労委、いわゆる調停委員会において扱うこととなっているわけでありますが、このスト権の代償機関である調停委員会の任務はきわめて重いと私は思うのであります。しかるに信越地方の調停委員会を廃止する方針を打ち出しておられますけれども、たとえ、これが政令で定めることになっているとはいいましても、スト権の代償機関である調停委員会を、一般的な行政改革と同次元に扱うことについては、やはり慎重さを欠くと言わざるを得ないのではないかと思いますが、この関係についてお聞きをしたいと思います。
○細野政府委員 ただいま御指摘ございました地方調停委員会を含む公労委制度全体につきまして、三公社五現業職員の労働基本権を制約しているところの代償措置として重要な役割りを持っているという先生御指摘の点につきましては、私どもも十分承知をしているわけでございます。しかしながら現在の情勢の中で政府としましては、行政改革の実効を上げるために今回の計画におきまして、ブロック機関につきまして各省足並みをそろえて整理を行うという強い方針を決定いたしているわけでございます。労働省としましては、いま申しましたような地方調停委員会の役割りの重要性ということも十分認識しつつ検討を重ねてまいりまして、単に一律だからということでなく、中でもよく議論をいたしまして慎重に検討いたしました結果、やはり行政改革の実効を上げるという政府の方針に沿って信越の地調委を整理するということはやむを得ないのじゃないか、こういう判断に立ちまして今回の適用になったわけでございまして、その点につきましては御理解をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございます。
○永井委員 それでは信越地方の調停委員会が廃止された後、同地方に労使紛争が起きてきた場合、その調停は一体どのような措置をとるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
○細野政府委員 信越地調委が廃止されました場合には、その近隣の地方調停委員会におきまして案件をそのまま、そっくり引き継いでやっていただくということで、極力、関係労使の方の御不便がないようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
○永井委員 今後この種の問題が必ずしも起きないとは言えない、こう私は心配をするわけでありますが、この種の問題は労使紛争の関係にとって非常に重要な役割りを果たしている問題であるだけに、特段の配慮と慎重さが私は必要だと思うのでありますが、どうでございましょうか。
○細野政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、地方調停委員会を含む公労委制度というものの全体の重要性については、私どもも十分理解をしているつもりでございますので、御指摘のように、この種の問題につきましては今後も慎重な配慮をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○永井委員 これから、そういう関係を取り扱うことになっていくといたしましても、関係機関とりわけ労働組合側の意見を十分聞いて対処するようにしてもらいたいと思いますが、その辺の関係についてお聞きいたします。
○細野政府委員 御指摘のように今後の問題につきましては、私どもも関係の労使の意見をよく聞きまして、これを踏まえて対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○永井委員 労働大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、労働大臣は去る十四日のこの社会労働委員会におきまして所信を表明されました。その中で労働行政のあり方として、人いわゆる人間というものを重点に置いた政治への転換という立場から所信を強調されました。そのことは、とりもなおさず福祉国家の建設を目指したものと私は理解をして受けとめたのでありますが、そのような理解でよろしいか、ちょっと大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○藤尾国務大臣 福祉という概念のとり方いかんでございますけれども、私は一番広くこの概念を取り上げまして、その中にすべてを含めていただいて結構である、かように考えております。
○永井委員 福祉国家の建設ということは、私の理解でいきますと、国民一人一人が安心して生活できるようにすることだと私は考えるわけでありますが、しかし財政再建という、いまの政府が最も大きな柱としている政治課題をめぐる最近の一連の議論、発言などを聞いておりますと、政府に福祉国家の建設に対する積極的な姿勢というものは私は見られないように思えてならないわけであります。 総理大臣は国会冒頭の所信表明演説の中で、恵まれない立場にある人々に対してきめ細かい配慮の行き届いた、思いやりのある社会を築いていかなければならないと言われているわけであります。大臣もまた、いま重ねて強調されましたように、人に重点を置いたということを強く言われておるわけでありますが、これらが言葉だけで終わってはならないし、実行を伴う具体的な施策を明示してこそ、初めて国民の政治信頼というものを高めることができる、こう思うのでありますが、この辺の関係について大臣の所見をお聞きしたいと思います。
○藤尾国務大臣 仰せのとおりでございまして、財政があって、この財政に政策がはまっていくということではございませんで、政策があって、その政策に合った財政が政策の後にくっついてくるわけでございますから、財政を健全にしなければならぬという話は当然でございますけれども、その財政を健全にするために政策が犠牲になるというようなことがあろうはずはございません。総理大臣は、その点をしかと心得られまして、そうしてあのような所信の表明をなすったのだ、私はそのように信じておりますし、私自身もさような所信でこれから労働行政に当たっていく覚悟でございますから、そこら辺のところに御懸念のようなことが起こらないようにいたしますということを申し上げてよろしいと思います。
○永井委員 いま大臣は、財政という問題に政策が犠牲になってはいけない、このことを言われましたので、私自身として非常にりっぱな答弁だ、こう思って受けとめておきたいと思うのであります。 そこで幾つかの問題について、ちょっとお尋ねしてみたいと思うのでありますが、同じく、この大臣の所信表明の中で、わが国の労働行政で、これから当面する最大の問題というのは高齢化社会にどう対応するかだ、このように言われました。その認識を私は素直に受けとめているわけでありますが、しかもその中で、これに対する対応というのは内閣を挙げて取り組むとも言われているわけであります。具体的にどういう対策をとろうとされるのか、簡単で結構ですから大綱的に考え方をちょっとお聞きしたいと思うのであります。
○藤尾国務大臣 高齢化社会といいますことは、人が高齢化していくということだけではないわけでございまして、私は人口構成がバランスがとれて高齢化していくのであれば、特に、そこに問題は起こってこない、さように思います。ところが一方におきまして私どもが長寿を達成をいたして高齢者の方々の数が非常にふえておるに対しまして、出生率が非常に低下をしておるということが同時に、これは並行して起こっておりますから、そういうことになっていけば人口構造が、これから先五年、十年、十五年とたちますに従いましてバランスが欠けてくる。そうなりますと一切の物の考え方、法律でありましても、あるいは制度でありましても生活慣習でありましても、そういったことが全部ひっくり返っちゃうわけでございますから、そういうことになってからでは遅いわけでございまして、それになる前に、そのバランスをとるために何をすればいいかということを内閣全体として考えていかなければならない。 これは私が申し上げておりますように出生率を上げるということは、言葉で言えば簡単なことでございますけれども、いまのこの憲法下におきまして子供を産んでくださいとかなんとかというようなことを権力でお願いをする、押しつけるということはできません。でございますから当然ありとあらゆる政策を駆使いたしまして、その条件を完全に具備させるという努力が必要なわけでございます。そのために私どもは、労働とか厚生とかという問題だけでなくて、内閣全体で政治全体として、この問題にひとつ向かっていただかなければいけませんということを申し上げておるわけでございます。
○永井委員 いま言われましたように、最近の出生率の減少の傾向でありますけれども、この出生率の減少傾向というものが現状でとどまったとして、六十五歳以上の高齢者の総人口に占める割合というのは、政府の出している統計資料を見ましても今年度は大体八・九%、二十年後には一四・三%になっていく、そして四十年後には一八・八%になるというふうに推定がされているわけですね。そうしますと一九七五年に四・八人の労働力で一人の高齢者を養っていたというふうになっているわけでありますけれども、この政府の出している推定資料の数字でいきますと、二十年後には二・四人で一人を養わなければいけないということになってきますね。私はこれは大変なことだと思うのです。 その大変なことだということについては大臣の認識も私も一緒だと思うのですけれども、その大臣の所信、決意というものを、やはり当然の認識として受けとめていく以上、社会的にも経済的にも与える影響が深刻だ、このことを政府全体の施策の中に生かしてもらわなくてはいけない。たとえば労働省の管轄する雇用の問題だけではない、年金の問題にも医療の問題にも、あるいは核家族時代と言われている時代でありますから住宅環境の問題あるいは高齢者に対する生きがいを求めるための教育あるいは文化活動、こういうものに多方面にわたって、いま言われておるように総合的な政策が詰められていかなければいけない、私はこう考えるのでありますが、これらについて労働大臣が、この高齢化社会の問題を一番自分のエリアとして考えていかなくてはいけないという立場におられるだけに、このことについて政府全体の対策委員会的なものを設置するとか、その中で積極的に有識者の意見を聞くとかいうことを進めるお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
○藤尾国務大臣 このことは総理大臣も非常に御心配でございまして、この国会は臨時国会でございますので、そこまで言及されることをお避けになったんだろうと思いますけれども、通常国会におきます総理大臣の施政方針の中には、一番中心課題として登場するというように私は信じておりますし、そのようにしていただきます。でございますから、政府を挙げてこれに取り組んでいくという非常に強力な一歩を、そちらの方向に向けていくということだけは間違いがない、さように思っております。
○永井委員 大臣の基本的な考え方は伺いましたけれども、当面する具体的な問題について、お伺いしてみたいと思うのであります。 大臣の所信表明ばかり取り上げて申しわけないのでありますけれども、やはり、この大臣の所信表明を大切にしたいという気持ちがあるだけに、お聞きするのでありますが、六十歳で仮に定年になるとして、その後はのんびり暮らしていくということであってはならないのだ。たとえば七十歳になろうと七十歳を超えようとも健常者である以上、健康な方である以上、国のため社会のためにがんばってもらわなくてはいけない、働いてもらわなくてはいけないのだ、こう大臣は言われておるわけですね。その前提は、年をとっても働く意思と能力を持つ者は働けるような、そういう雇用条件、環境というものをまずつくることだと考えますが、どうですか。
○関(英)政府委員 私ども雇用政策として現在一番大きく取り上げておりますのは、昭和六十年までに六十歳定年を一般化したいということでございますが、同時に雇用政策としては、六十歳で終わりということでなくて、六十歳を超える方々につきましても、いろいろな対策を講じていかなければならぬだろうと考えております。ただ六十歳を超えてまいりますと人により、体力なり職業能力なり非常に差が出てまいります。そういう意味で六十歳までと同じように一律的に定年を延長して、企業が雇用していなければならぬということは非常に無理が出てまいろうかと思います。そういう意味で、もちろん定年延長できるところは定年延長していただく、あるいは再雇用、勤務延長、あるいはフルタイムでなく短時間の就労とか、あるいは、もっと臨時的なお仕事についていただくとか、多様な対策を講じていきたい、こんなふうに考えております。
○永井委員 わが国の雇用形態というものは国際的にも、たとえばILOに行ってもよく問題になりますね。日本型雇用形態というのはいわゆる終身雇用制度だ、年功序列型賃金だ、こう言われておるわけですね。しかし、いま職安局長が言われましたように現実的には、働き盛りで解雇されるという、そういう中身になっているわけですね。 いわゆる五十五歳定年制というものが民間の大手企業含めて、まだまだ、まかり通っている。六十歳未満で定年制を採用しているという企業あるいは、これから一、二年のうちに採用していくという企業はどの程度存在しているのか。言いかえると六十歳に到達しない年齢で定年制ということで、まあ言葉で言えば強制的に失業を余儀なくされているという、そういう実態にある企業はどの程度か、把握されている現状をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○関(英)政府委員 現在、一律定年制を定めている企業の中で五十五歳という定年制を決めているところが、これは昭和五十五年の一月現在でございますが三九・五%でございます。それに対しまして六十歳以上という定年制を決めているところが三九・七%になっております。 ただ、これはことし一月現在の、その時点での制度でございまして、同時に、そのときに近い将来、一律定年制を引き上げる予定、改定の予定のあるところ、検討中の企業、それは何歳くらいに変える予定かということを聞きましたところ、五十五歳定年は三二・三%まで減りまして六十歳以上の定年が四七・五%になる、二年くらいの間に、そのくらいの数字まではいくのではないか、こんなふうに考えております。
○永井委員 ILOでは、ことしの六月二十日に中高年齢労働者に関する勧告というものを行っていますね。ついこの間の話でありますから、これを国内法の整備ということには、なかなかいかぬとは思いますけれども、しかし、その中で重要なことを言っているわけですね。労働することから引退する時期というのは労働者が選択すべきだ、こう言っているわけですね。退職を強制するような法令があれば、それは再検討していかなくちゃいけないということを求めてきているわけですね。 わが国の現状は世界有数の高齢化社会を迎えようとしている、こう考えていきますと、いま職安局長が言われましたように二年後には五十五歳定年というのは現在の三九・五%から三二・三%に減少していくだろう、六十歳定年制をしくところが三九・七から四七・五に増加していくだろうということだけでは、この高齢化社会を迎えるわが国の労働行政としては、やはり不十分過ぎるのではないか。少なくとも六十年と言わず、もっと早い時期に最低限、たとえば民間企業にあっては、厚生年金の受給開始が六十歳だとすると、この六十歳に連動させるということを、六十年という先の長い話ではなくて、もういまから早速それが実行に移せるくらいの意気込みで対応してもらいたいと思うのですが、その関係については、ひとつ労働省側の所見を聞きたいと思います。
○関(英)政府委員 わが国の定年制というものが、先生の御指摘にございましたように他国に例のない終身雇用あるいは、その背後にあります年功序列賃金体系、そういったものに根差して定年制というものが生まれているわけでございます。おっしゃるとおり、できるだけ早く少なくとも六十歳定年というものは私は一般化させなければいかぬと思いますけれども、そういったわが国の雇用慣行、賃金慣行に根差して生まれておる定年制だけに、これを延長しますには賃金、退職金、そういったものをどうしたらいいのか、あるいは人事管理をどうしたらいいのか、あるいは延長後も延長前と同じように活力ある労働者として働けるような体制を、どうやってつくっていったらいいのか、非常にいろいろむずかしい問題がございます。そういう意味で私どもは、労使がこういった問題を十分話し合い、そして、そういった阻害要因を解決するに当たりましてどうしたらいいのか、いろいろな好事例を提供するなど援助に努めて、何とか昭和六十年には六十歳定年が一般化するよう懸命の努力をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
○永井委員 中高年齢者の雇用促進法の関係で、雇用率というものが設定されていますね。これが現実に守られているのかどうなのか、ひとつ、この現状について明らかにしてもらいたい。
○関(英)政府委員 ちょっと申しわけありませんが五十四年六月一日現在の数字で申し上げますと、企業規模百人以上の企業におきます高年齢者の雇用率は平均で五・八%、法律で定めている努力目標が六%でございます。したがいまして、まだ、それに達しておりません。五・八%という状態でございます。それから六%を達成していない企業の割合は五三・九%という状態になっております。 これを少し規模別に申し上げますと、企業の規模が大きくなるに従って雇用率が低く未達成企業の割合が大きくなる傾向がございます。 それから産業別に申し上げますと、サービス業なり建設業等で雇用率が高くて未達成企業の割合が少ないのに対しまして、卸売・小売業とか金融・保険・不動産業等で雇用率が低く未達成企業の割合が大きい、こういう状態になっております。 なお、ことしの六月一日現在の数字は現在、集計中でございますので、近々まとめることができると考えております。
○永井委員 現実からいって、まだまだ達成率が非常に低いということが、いま明らかになったわけですね。これはやはり政府の指導というものが十分に守られようとしていないのか、あるいは徹底的に守らせるような強い態度で臨むのかという問題、いずれかわかりませんけれども、しかし、いずれにしたって、この達成率というものは少なくとも一〇〇%にしていくようにしていかなくてはいけない。この行政指導に幾ら指導しても従わない企業については、どうされるのですか。
○関(英)政府委員 未達成の企業につきましては、実雇用率の非常に低いところにつきましては達成計画というものをつくるように命令をいたします。そして、その計画に従って達成していただくように行政指導をしていく、こういうことをいたしております。特に定年制が五十五歳ということでございますと、これはどうあっても五十五歳以上の高齢者は雇っていないわけでございますから、どうしても雇用率は上がらないわけでございます。 そこで未達成企業に対する指導におきましても、まず定年制の延長ということを最重点にして指導していく、こういうことで具体的に取り組んでいるわけでございます。
○永井委員 いま言われたように、やはり五十五歳の定年制をしいている企業が存在するということが、雇用促進法に基づく高齢者の雇用の達成率を高めていくということについても大きな障害になっているということが、ここでも明らかなわけですね。だから最前申し上げたように、五十五歳で定年制をしくということについては一日も早く直していく、このことの努力がさらに必要だということを、ここで再度強調しておきたいと思います。 そこで、いま言われた高齢者の達成率について、その計画策定というものがなされて事務当局から、すでに地方に対して指示がされているというふうに聞いているわけでありますが、ちょっと私が聞くところでは、その対象事業所というのは促進法の十一条二に定める百人以上ということではなくて、とりあえず千人以上の大きな規模の事業に対して行われたと聞いているのですが、それは本当でございますか。
○関(英)政府委員 まず達成計画の命令を出しますに当たりましては、千人以上の規模の大きなところで雇用率が二%未満という低いところには命令を出しまして、計画をつくりなさいということで出していただく。で、その御指導をしているところでございます。なお、企業規模五百人以上で雇用率四%未満のところは、命令という形でなく自主的に計画を作成して職業安定機関の方へ提出していただくよう行政指導をいたしておるところでございます。
○永井委員 地域の実態に合わせて雇用を拡大していかなければいかぬという観点から考えましても、達成計画を作成する場合に、この法の定めるところによって地方の職業安定所長に権限を委譲するといいますか、これをきちんとやって、その地域の実情に合ったような形で雇用率達成の計画を策定させる、それを強力に指導していくということをやってもらいたいと思いますが、それはどうですか。
○関(英)政府委員 ただいま千人以上の規模について命令ということを申し上げましたが、それは本省の方から地方に、法律に定める命令というような権限を行使するに当たって一つの基準として示したものでございまして、それは基準でございますから、地方の実情に応じて、その基準をもとにしながら地方の実情に照らして運用していくという実態になっております。先生のおっしゃるように地方の公共職業安定所が管内の事業所の実態に応じて行政を進めていくということが現実には必要でございますので、そのような運用については今後とも十分配慮してまいりたいと考えております。
○永井委員 現在の失業率、求人倍率についで、昨年までの状態と現状との比較、それから、ここ数年間の失業率がどういう傾向をたどろうとしているのか、政府側で一応分析したものがあったら、ちょっと体系的に示してほしいと思います。
○関(英)政府委員 まず現在の失業率のお尋ねでございますが、総理府の労働力調査によります八月の季節調整値による完全失業率を申し上げますと二・〇九%、こういうふうになっております。五十二年では二%、五十三年で二・二%、五十四年二・一%というような推移で来まして、五十四年度は二%だったと思います。そんな推移で来ておりまして、最近は二%をやや下回るか、あるいは二%程度のところで推移している、こういうような情勢にございます。
○永井委員 ちょっと観点は変わるのですけれども、農業に従事する人たち、農家の方々ですね。これは労働省の計画ではなくて農水省の計画なんですけれども、いわゆる減反政策がどんどん進められてきて、農業労働者にも潜在的であるかどうかは別にして、失業者がずいぶんふえてきていることは事実なんですね。失業率という中に、この農作業に従事する労働者が含まれているのかどうなのか、ちょっとこれを聞かしてください。
○関(英)政府委員 労働力調査の失業者の定義でいきますと、その調査の行われます週において収入を伴う労働に従事した場合には失業者にならないわけでございます。そういう意味で農業の経営者自身あるいは農家の家族の方々、一緒に農業に従事している方々は失業者には入らない、こういうことになろうかと思います。
○永井委員 失業者のことを考えていく場合に、いま言われたように農業の関係を除外するということであっては本来の労働行政ではないと私は思うのですね。たとえ農林関係が農林水産省であろうとも、働くということについては一緒なんですから。この関係は労働省側も、農業政策に関連して起きてくる問題については積極的にむしろ労働省側が取り上げていくというぐらいの姿勢が欲しいと私は思います。 たとえば東北とか北海道関係の農業労働者が出かせぎをやりますね。この出かせぎの関係は、では農林水産省任せでいいのかというと、そうはならぬと思うのですね。そういう観点から、もうちょっと視点を変えていただきたいと思うのでありますけれども、では出かせぎ労働者には、どういう対策をこれからとられていくのか。特に農業地帯は、ことしなんかは非常に厳しい状態ですね。その関係について、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
○関(英)政府委員 出かせぎ労働者につきましては労働省では、出かせぎ者が、できる限り安全な形で正常の経路で出かせぎをしていただくようにということを、まず第一といたしまして、できるだけ公共職業安定機関の紹介で就職していただくということに努める。あるいは市町村と連携いたしましてグループで就職する。そのグループリーダーをいろいろ指導、養成をいたしまして、グループで就労するというような形で、できるだけ正規のルートで、あるいは公正なルートで就職していただくということが、いろいろなトラブルを防ぐまず第一であろうかと思います。 その次に、出かせぎ先で安全に就労していただくという意味で、たとえば出かせぎに出る前に健康診断をするとか、あるいは安全衛生の講習をするとか、あるいは出かせぎ先の監督機関で十分な監督をしていくというようなことが第二だろうと思います。 それから第三には、公正なルートで行けば労働条件が明確化しているわけでございますが、とかく建設業等におきましては倒産その他いろいろな関係から、賃金不払いその他のトラブルも起こりがちでございます。賃金立てかえ払い制度も労働基準局の方で運用していただいておりますが、そういったトラブルの発生をできるだけ未然に防ぐとともに、トラブルが起こった場合には、それへの対策をしていく、こういうようなことで、出かせぎの地元から出て帰るまで一貫した施策をやっていこうということでございます。 特に、ことしは冷害あるいは西の方では風水害等がございまして、出かせぎ者は近年だんだんと減少傾向にございますが、ことしは、そういった地域で出かせぎ者がふえるのではなかろうかということを予測いたしております。私ども把握しております求人は例年の出かせぎ希望者の三倍ぐらいございますので、そういう意味で数の上から、そう不安はないと思いますけれども、冷害等で初めて出かせぎに出かける方もいらっしゃるだろうということで、そういった初めて出かせぎに出る方には特に事前の健康診断なり安全衛生講習なり、あるいは出かせぎ者の希望に見合った求人を確保する、そういう意味で需要地と出かせぎ県と両方に対しまして、特に、ことしは対策の強化を通達いたしておるところでございます。
○永井委員 農家のことに、ちょっと触れて申し上げなければいけない気がするのでありますが、農家の主婦というのは農家にとれば一人前の働き手なんですね。りっぱな労働者です。ところが、そういう役割りを持ってきたのですが、減反によって事実上の失業を余儀なくされた。大黒柱になる人は出かせぎの方法もまだ残されている。しかし農村地帯に行きますと、現実的に減反で農作業に従事する時間がぐんと少なくなってしまったということもあって、生活を維持するためにはパートでもいいから働きたい、こういう希望が非常に強いわけですね。ところが農村地帯ですからパートもままならない。農村地帯に行きますと生活をどうやって維持をしていくかという問題が、いま深刻に語られているわけです。 そうすると居住地において、自分の住んでいるところにおいて就労を求める声に、どう、こたえていくのかということは非常に大きな政治的課題だと思うのです。わが国の農業政策からいっても放置できない問題なんでありますが、たとえば、そういう農村地帯において地域に合ったような雇用創出を考えていかなくてはいけない。これについて、いまどういう雇用政策があるかということは、なかなかむずかしい問題ではありますけれども、放置できない問題であるだけに、この農村地帯における、たとえば主婦業をされている方々を対象にした雇用創出ということについて、どういうふうにこれから考えていくのか、ちょっと労働省側の見解を承っておきたい。
○関(英)政府委員 お話は、基本的には雇用機会の乏しい農村地域に雇用機会をどうやってふやしていくかということでございますが、一つは農村地域工業導入促進法というものに基づきまして農村地域に雇用の場を創出していくということだろうと思います。 それからまた、先ほどの冷害等の話で非常に特殊な事情で、ある時期、特別にその地域に就労の機会を確保する必要があるということがありとすれば、たとえば公共事業の施行に当たって、そういう地域の特殊事情を配慮していただく、あるいは、それぞれの県で救農事業のようなものを、すでに行ってきているところもございます。私ども公共職業安定機関としては、そういった公共事業なり、あるいは救農事業につきまして、できるだけ綿密に事前に把握をいたしまして、そういったところへの就労希望者のあっせんに努める、こういった緊急、応急の措置が第二として考えられるのではなかろうかと考えております。
○永井委員 いずれにいたしましても高齢化社会を迎える、あるいは片方で、いろいろなそういう失業の実態が存在する、こういうことから考えまして、年をとってからも働く意思と能力のある者については就労の保障が与えられなければいけない、そういうふうにしていくのが労働行政だと私は思うのです。不可欠の課題だと私は思うのでありますが、国や自治体は、この高齢者の要求にこたえるように、あるいは、そういう地域の実情にこたえていくように職業の再教育であるとか研修の場を確保するとか、あるいは、たとえば高齢者のための事業体を新たに設立するとか、こういうことで公的な職業あっせんや地域の就労政策というものを、やはり早急に私は確立してもらいたいと思うのです。 労働省設置法の精神からいっても、労働者の福祉と職業の確保を図るとか、あるいは国民生活の安定に寄与するとか、あるいは労働者の労働条件の向上や労働者の保護を目的とするというように、労働省設置法では明確にうたわれているわけです。そうなりますと高齢化問題あるいは地域の特徴、こういうものに対して、やはり労働大臣は法の原点に立って強い指導力を発揮してもらいたいし、政策を進めてもらいたい、こう思うのですが、労働大臣の決意をちょっと伺っておきたいと思います。
○藤尾国務大臣 そのつもりでやっていきます。
○永井委員 次に、来年は国連提唱による国際障害者年ということになっていますね。これに関連して幾つかの質問をしてみたいと思うのでありますが、国際障害者年のテーマは「完全参加と平等」というように私は聞いていますけれども、その取り組みは総理を長とする国際障害者年推進本部というものが設置をされて、そこでいろんなことを推進する、政策ということについても策定されていくということになっています。 訓練局長にちょっと聞いてみたいのでありますが、その主要な事業の一つに国際身体障害者技能競技大会というのが開かれることになっています。これは簡単に言って、このことをやることによって、どういうことが出てくるのか、その目的、それをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
○岩田政府委員 いま先生御指摘のように、この趣旨は、身体障害者が技能を向上いたしまして、積極的に社会に貢献するということを奨励したり、身体障害者が作業活動に従事する能力、そういったものを世間に周知させまして、その雇用の促進を図って社会参加を進めていくということにあるということでございます。
○永井委員 この身体障害者技能競技大会に参加できる人は、もちろん、その人自身が自分の障害を克服して、それに参加できるほどの能力を開発することに努力をした。このことについては私は心から、その方々に賛辞を送りたいと思うわけであります。しかし十分な訓練を受けることのできない人々もまだ多数いると思うのです。 そこで身体障害者の方々全体の能力開発という問題、雇用の促進という問題、これは国としても大きな責任を持っていると私は思うのでありますが、安定した職場を得て健常者とともに積極的に参加できるようにするための施策、なかんずく技能の習得それから向上というものについて、それを容易にするための対策というものは、もっともっと深いものがあるし必要不可欠だと私は思うのですけれども、これについて身体障害者の能力と適性に応じた多様な職業訓練というものが幅広く提供されなければいけない。そこで身体障害者を対象とする職業訓練校あるいは職業訓練校において実施されている大綱はどういう現状になっているのか。ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○岩田政府委員 いま先生御指摘のように、身体障害者がその適性と能力に応じて職業について自立していくということは非常に重要なことでございますが、現在、国並びに都道府県等におきまして、身体障害者向けの職業訓練を行っているところが全部で十七校ございます。その内訳は、国がつくっておりますものが十二校でございまして、都道府県でつくっておりますものが五校ございます。国がつくっておりますものの十二のうちの一つは、所沢にございます国立職業リハビリテーションセンター、これは私どもの方では中央身体障害者職業訓練校と言っておりますが、それが一つございます。そして、そこで三十六の職種につきまして延べ百三十科目、つまり同じ職種のものを、いろいろなかっこうでやっておりますから百三十の科目につきまして二千五百七十名の定員でもって現在運営しておるという状況にあります。
○永井委員 国の十二校、県の五校というのは大体どの個所に設置されておるのですか。
○岩田政府委員 国の十一校について申し上げますと、これは大体ブロックごとでございますが、地区別に申し上げますと北海道、宮城、東京、神奈川、石川、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、鹿児島の十一でございます。それから県の方で申し上げますと青森、愛知、兵庫、京都、静岡の五県でございます。
○永井委員 いまの御説明によると身体障害者訓練校というのは大体ブロック単位になっている。しかし実際に、その身障校に入って技能をみがく、訓練を受けたい、こういう希望の人は全国に散在しているわけでありますけれども、遠隔地の人は、たとえ訓練校に寄宿舎設備があったとしても、なかなか利用がしにくいというのが現実ではないかと私は見ているわけです。私の手元にも、ずいぶんそういう要望が参りました。行きたいのだけれども遠い。寄宿舎に入れと言われるけれども、家族にすれば、身体障害者であるがゆえに健康な人々以上に家族の目の届くところで訓練を受けさせたい、これは人情ですね。また、そういう人情にこたえていくことも政府の大切な姿勢だと私は思うのでありますが、一般訓練校というものがこれ以外にずいぶんありますね。この一般訓練校に障害者の人をもっと積極的に受け入れる、こういうふうな対策を私は講じてもらいたいと思うのです。とりわけ、たくさんある職業訓練校の中に、国が設立をしている一般訓練校もありますね。そういうところはまず率先をして、そういう受け入れを図っていくべきではないか、こう思うのでありますが、これについてちょっとお聞きを申し上げます。
○岩田政府委員 一般の職業訓練校におきましては健常者を中心として、その訓練をやっているわけでございますけれども、身体障害者のうち非常に軽度な者につきましては、できるだけ健常者の方と一緒にやっていただく方がいいのではないかということで、従来から一般訓練校において、軽度の方については健常者と一緒に訓練をやってもらっているというのが現状でございます。 ただ、いま先生御指摘のように、非常に遠いとかというような事情等々もございまして、身体障害者のこれからの雇用を促進していくということのためには、各県に一つくらい、一般訓練校のうち、そういった身体障害者を十分受け入れるに足るような施設、職種、そういったものに今後できるだけ受け入れるように努力していきたいというふうに考えております。
○永井委員 軽度の者は積極的に受け入れているということでありますけれども、軽度の者よりも、むしろ重度の者が本当に今後たくましく生き抜いていこうという熱意がある以上、その人たちに、もっともっと訓練をしやすいようにしてやるのが本来の訓練校の目的でなくてはいけない、このように私は実は考えるわけです。そこで、重度の者がなぜ入れないのか、ちょっとその辺のところをお聞きしておきたいと思います。
○岩田政府委員 いままで身体障害者につきましては、軽度の者がかなり実際上は訓練校において訓練を行っているわけでありますが、身体障害者雇用促進に関する法律等ができまして、そういった人たちがどんどん就職をしていって、現在残っているのは大体重度障害者というのが現状でございますが、こういった人たちにつきまして、やはりその人たちに適応したような訓練職種というもの、あるいは訓練校におきますいろいろな設備、施策というものが必ずしも十分でないというふうな点もございますので、今後は新しい訓練職種を開発していく、たとえば構内電話交換等々、重度身障者に適応した新しい職種を開発するとか、あるいは従来の訓練科目を転換していくというふうなことを十分考えて対応していきたいというふうに考えております。
○永井委員 新しい訓練校を新たな観点でつくっていくことは、また非常に大事なことでありますから、それは後で触れたいと思いますが、いま言われたように現在、身体障害者の訓練校については十二ある、県では五つある、合計十七校存在するわけですね。しかし訓練校が国立であっても、この運営というものは県に任されているわけですよ。県に任しているということは、県のこの種の問題に対する、職業訓練に対する姿勢のあり方によって、県ごとに大きな落差というものが生じてくるし、また現に生じていると思うのですね。軽度の場合は容易に一般訓練校に入れる、重度の者が入れない。現実には新しいものをつくると言っても、いますぐ間に合わない。そうすると一般校における施設というものを重度の者も受け入れることができるように改善していかなければいけない。その施設改善が、たとえば仮に県任せということであったのでは、障害者年の事業の推進という政府の方針の中でも、身体障害者訓練を推進するということが一つの大きな項目として挙げられているわけですが、実行が伴わないことになってくる。そう考えますと県の運営任せではなくて国自体がもっと積極的に、重度の者も一般校に対しても利用できるような、そういう施設改善を推進すべきではないかと私は思うのでございますが、どうでございますか。
○岩田政府委員 国立の身体障害者の訓練校につきまして県に委託していることは、いま先生御指摘のとおりでございますが、これにつきましても国としても、その施設の改善、整備を毎年それぞれ所要の計画に基づいて十分やってきているわけでございますが、県の一般訓練校におきます施設等におきまして、その一般訓練校が身体障害者を受け入れて訓練ができるようにするということのために、これも年々、県とも相談をしながら、その設備の改善、訓練職種の転換等々につきまして整備をしてまいっておるところでございます。
○永井委員 具体的に示してほしいのですが、そういう積極的に改善をする、もちろん、これはかなりの資金が必要になってくるわけですね。この点、予算は現在、措置されているのですか。
○岩田政府委員 県の訓練校をつくる場合には国が二分の一の補助を行っておりますから、身体障害者を受け入れるための所要の整備を行う場合には、国が二分の一の補助を今後ともやってまいりたいと思います。
○永井委員 私の聞いているのは、二分の一を補助するとか、県が二分の一を措置をするとか、これは定められたことでありますから、それを聞いているわけではないのですね。しかし、いま現状の中で満足できない、こういう状況のときに、たとえば県任せでは、身体障害者の重度の人たちを受け入れるということは、指導する側についても非常に困難な、いろんな課題を乗り越えていかなければいかぬ。そういうことを考えると、できれば触れたくないということが、もし姿勢の中にあったのでは大変だ。むしろ積極的に一般訓練校に受け入れさせるような行政指導を強めてもらわなければいかぬ。その場合に施設がない、こうなりますね。では、県がたとえ二分の一を負担をして、あとは国に助成を仰ぐとしても、やはり県も資金を出さなければいかぬ、こういうことになってきて、また、それが障害になって、なかなか施設の改善ができない。これは私の地元の訓練校でも、そういう現実が事実あるわけですね。幾ら県に要請をしても県がなかなか腰を上げない、こういうことになってくるのです。 だから、そうなると来年が障害者年であるだけに、これから国自体がもっと積極的に、そういう施設改善に大きな役割りを果たすということがあっていいのではないか。仮に県の方で、これだけの施設改善をしてもらいたいということを強く政府側に要請してきた場合に、政府側がどのように対策をとるのか、それについて予算措置をすることが可能なのかどうなのか、その辺のところを私は聞いているのです。
○岩田政府委員 県の方のいろいろな実情等によりまして、いろいろな要望が参るだろうと思いますが、そういったものにつきましては、その実情に対応できるような努力を、できるだけ、やっていきたいと考えております。
○永井委員 来年度の予算要求では、この関係についてはどういうふうに考えておられますか。
○岩田政府委員 来年度につきましては、ある県におきまして身体障害者訓練校をつくりたいということでございますので、その県の身体障害者訓練校の設立につきまして予算要求をいたしているところでございます。
○永井委員 身体障害者訓練校の入校率というのは、私がちょっと調べたところでは大体七〇%程度だ、こういうふうに言われているわけですね。多様な訓練設備が必要だし、あるいは多様な訓練の要望にこたえていくための受講機会というものを提供していかなくてはいけない。多少、入校率が低くても、その低いというゆえんの中には、いま申し上げたように入りたくてもなかなか行けないとかいう、いろんな問題がそこに存在をしているわけですね。 だから、いま言ったように一般訓練校を活用するということも考えてもらわなくてはいけない。あるいは現代社会に即応したような、たとえば、そこの訓練校を卒業すれば身体障害者であっても就労が容易にできる、こういうふうなことを考えた場合に、最前説明があった、いまの膨大な数の訓練科目、この科目だけで、そのまま踏襲していっていいのか。その訓練科目の中身を洗い直す必要が現在出てきているのではないか。あるいは現在の社会に即応するように、新しい技術を教育するための科目をもう一回新設をすることも考えていかなくてはいけないのではないか、こういうように考えていますが、どうでしょうか。
○岩田政府委員 先生御指摘のように、現在の身体障害者訓練校におきます入校率は七割前後になっているようでございます。これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、最近、重度障害者とか重複障害者、こういったものが非常にふえてきているということのために、訓練の受講が困難であるというふうな人たちがかなり増加しているということが一つ大きな要因になっているのではないかというふうに考えまして、こういったものに対しまして、身体障害者の適性に応じました訓練職種というものを新しく開発していくということが一つ重要になってくるだろうと思います。 もう一つは、やはり御指摘のように、最近のそういった身体障害者の実情、希望、適性に応じた訓練科目への転換を積極的に推進していくということが重要でございまして、毎年二つ三つずつは計画的に転換をしてきているところでございます。と同時にもう一つは、たとえば耳の聞こえない聾唖の方たちに対しましては、手話で話ができるような人たちを訓練校に配置するとか、そういった受け入れ体制の整備ということにつきましても十分考えていきたいというふうに考えております。
○永井委員 この入校状況、七〇%程度だと私はいま申し上げましたけれども、これをちょっと分析してみると、いわゆる軽度の身障者の方々は比較的就職がしやすい、こういう条件にあるわけですね。だから、この軽度の者の入校率というのはきわめて低い。逆に、重度の人がなかなか就職の機会に恵まれないだけに、重度障害の方々や、あるいは障害が二つ三つ重複している方がありますね、こういう方々の入校率が増加をしてきているという傾向に、調べたところ、あるわけです。しかし就労状況ということで見ると、いま言ったように逆の立場で、重度の者は非常にむずかしい、困難だ。たとえば全盲者の方の就職というのはきわめて範囲が狭められているわけですね。いままで社会常識的に通ってきておったのはマッサージをやるお仕事とか、あるいは、はりをされるお仕事とか、ごく限られておるわけですね。そういう重度障害の方の適職の開発というものは、私は一企業に任せたり、あるいは一地方に任せておいて、できるものではないと考えるのですけれども、これの開発について今後どのような対策を講じていかれるのか、ひとつ、お聞かせを願いたいと思います。
○関(英)政府委員 目の不自由な方の新しい近代的な職種を開発していくことは非常に重要なことでございますが、すでに民間の団体におきまして、先ほどちょっと訓練局長が申し上げました電話交換あるいは最近のコンピューター関係の職種、そういった訓練を手がけて実績を上げておられるところがございます。先生お話しのように公共職業訓練の拡充強化も必要でございますが、そういった民間で非常に先進的に手がけられてノーハウを積んでおられるところ、そういうところへの訓練委託というようなことにも私ども努力いたしまして、職域の拡大を図ってまいりたいと思います。
○永井委員 身体障害者の訓練をする場合に、ただ技術を教える、学んでもらうということだけでは所期の目的を達することはできないわけですね。たとえばリハビリと連動させていかなくてはいけない、こういう問題が私は存在すると思うのですね。そのリハビリの関係については厚生省がやる、訓練の関係は労働省がやる。対抗的にこうやっている、縦割り行政になっているわけでございますね。労働省も労災病院を持っていらっしゃるわけですよ。もちろん、お医者さんは厚生省の管轄かどうか知りませんけれども、労災病院は労働省が設置したものだ。そうすると、この労災病院というものが職業訓練ともっと具体的に連動していいのではないか、こう考えるのですが、どうでございましょうか。
○岩田政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、身体障害者のリハビリテーションと職業訓練を連動してやるということは、身体障害者の社会復帰、社会参加というものを促進するということで、きわめて重要な問題だと思います。このために職業能力の評価とか、その職業への適応性、こういったものを調べた上で職業訓練を適確に行っていくというふうなことが必要になってくるわけでございますが、先生あるいは御承知かと思いますが、所沢に設けております先ほど申しました中央身障校、国立職業リハビリテーションセンターにおきましては、同じ敷地内に厚生省で行っております身体障害者リハビリテーションセンターというのがございまして、そこで密接な連携を保ちながら一貫した体系で、職業リハビリテーションから職業訓練に至るまでの課程をやっているというふうな状況でございまして、今後は、こういったところで得られました重度身障者その他社会復帰との関係での、そういった成果を十分に、ほかの方にも地域にも普及いたしまして、一貫した連携プレーを十分に強化してまいりたいというふうに考えでおります。
○永井委員 私の知っている実情を一つ申し上げますと、私の地元に加古川の職業訓練所というのがございますけれども、この加古川の職業訓練所と川一つ隔てて国立病院がございます。ここでは、その両当事者間の話し合いによって、たとえば労災でけがをされて入院された方、手を失ったとか指に傷害が起きたとか足に傷害が起きたとか、こういう不幸にして労災にかかられた方々を国立病院で治療していくという、その過程で、その人の持っておったいままでの職業、これから、その人が身体障害を克服して、どういう職業につきたいかということを実際に本人に事情聴取をして、それに合ったように、片方でリハビリをやりながら、片方で職業訓練をやらせるという連動をやっているわけですね。非常に大きな効果を上げているわけです。 ところが、ほかの訓練校へ行くと必ずしもそうなっていない。そばに国立病院があっても、あるいは公的病院として県立病院があっても、なかなかそこまで連動していない。そこには、片方は厚生省、片方は労働省という、やはり縦割りの最も悪い面が出て、きていると私は思うのです。 最前言われておりましたように、新しい職業訓練校をつくることなど含めて、もっとりっぱなものを、近代社会に合ったようなものをつくる、こう言われておりますが、もし、そういうことがこれから積極的に進められるとするなら、厚生省、労働省の連携はもちろんのこと、少なくとも労災病院のそばに訓練校をつくるとか、訓練校のそばに病院を誘致するとかいうぐらいの勇断を、労働大臣、持ってもらいたいと私は思いますが、どうでございましょうか。
○藤尾国務大臣 仰せのとおりでございまして、私どもも対策が、労働省の対策であるとか、あるいは厚生省の対策であるとかというようなところで分け隔てをするようなことは許されません。したがいまして、何であろうと、ありとあらゆる私どもの能力を結集いたしましてそのニーズにこたえていく、そのために、あらゆることをやっていく、あたりまえのことでございますが、厚生省、労働省に限らず、文部省であろうと何であろうと、ともにその境目をなくするようにやっていきたい、かように考え、その一歩はもう踏み出しておるつもりでございます。
○永井委員 これも障害者年の推進行事の中に、雇用率達成の指導を強化するとか、あるいは雇用機会を確保するとかいう項目が、この政府の掲げておる中に挙げられていますね。訓練を受ければ就職がきわめて容易である、間違いなく就職できるということであれば、それはいまでも訓練を受けたい人がたくさんいるのですが、ますます、この職業訓練校というものの必要性が高まってきて、国民にも理解をされて、労働行政も非常に広く発展をしていくと思うのです。しかし、この現実というのは、事業主の雇用義務というものが守られている状況からは、実態を見ると、きわめて不十分だ、こう思うのですが、最前の高齢者の問題じゃありませんけれども、この身体障害者に対する事業主の雇用義務というものはどの程度守られているのか、この実態をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○関(英)政府委員 身体障害者の雇用率の達成状況についてのお尋ねでございますが、法律によりまして民間の企業におきましては一・五%という雇用率が定められておりますが、昨年の六月一日現在では一・一二%ということで、まだ一・五%に達していない状況でございます。本年六月一日現在の調査がようやくまとまってきたわけでございますが、雇用率としては一・一三%ということで、わずかながら上昇している、こういうようなことでございます。まだまだ未達成企業が、大企業を中心に非常に多いというのが現状でございます。
○永井委員 身体障害者雇用促進法の八十五条の、達成率を守っていない企業に対するペナルティーですね、これはペナルティーを科するために、この条文が存在するのではなくて、雇用率を達成するために法律がつくられて、達成できない場合はこうなりますよということになっているわけですね、法律の体系としては。 ところが、いまの現状というのは、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、身体障害者を雇用するということはその企業にとって好ましくない、そう判断した場合に、ペナルティーを受ければ、それで雇用義務というものは免責されるんだというぐらいにしか受けとめていないのではないか、いまのこの実情を見るときに。なるほど一・一二から一・一三と、わずか〇・〇一上がってきましたけれども、これだけで身障者の方々の雇用を非常に積極的に受け入れているということを言うことの証左とはならない、私はそう思うのです。だからこの関係については、そういうペナルティーを科すことがなくなったというぐらい、やっていかなければいかぬ。このような関係については、やはり大臣が先頭に立って、積極的に毅然とした態度で、企業に対する、事業主に対する指導というものをやってもらいたいと思いますが、大臣の、この問題に対する決意をお伺いいたします。
○藤尾国務大臣 誓ってやらせます。
○永井委員 さらに身体障害者用の機械、器具類ですね。障害者年事業の推進方針にも「福祉機器技術の研究開発」ということが書かれていますが、これについては私が見たところ、日本の実情というものは必ずしも他の国に比べて、すばらしい状態まで開発されているとは思えないのですね。たとえば車いすにいたしましても、私の聞くところでは欧米諸国では電動式になったものがかなりふえてきたというふうに聞いているわけであります。義手、義足にしたって、日本で私たちが知っているものよりも、もっともっとすばらしいものが開発されているというふうに実は聞いているわけですね。なかなか日本はそこまでいっていない。しかし、この心身障害者対策基本法の第十条では、国及び地方公共団体は、これらの用具の研究、開発を促進するということを明確にうたっているわけですね。事実はどうなっているのですな業者任せということになっているんではないですか。これはどなたにお答えしていただきましょうかね。
○関(英)政府委員 車いす等の補助具の開発のお話だろうと思いますが、これは主管としては厚生省になりましょうけれども、労働省関係では労災病院の関係で、そういった研究をしているところもございますし、私どもの職安局関係におきましても、身体障害者雇用促進協会において、いろんな研究開発に取り組んでいる。厚生省の方と密接に連携をとりながら、そういう問題に力を入れていきたいと思います。 御指摘のとおり外国から比べますと、そういった器具において日本に非常におくれがあったわけでございますが、最近、各方面で非常に熱心に、そういう研究開発に取り組んでおりまして、私どもも、そういった新しいものをできるだけ利用していただく、そういうものを知っていただくように、そういうものの展示の部屋をつくりまして、できるだけ身体障害者の方や相談に来られた事業主の方に見ていただいて、利用をすすめるというようなこともやっておるわけでございます。今後とも、そういう方面には力を入れていきたいと思っております。
○永井委員 まことに結構なんですけれども、日本の現状の場合は、政府がプロジェクトチームをつくって、この開発を進めるというところまで、まだいっていないわけですね。こういう関係の企業に研究を任せるという実態にあるのではないか。もし、そうだとすると国の行政が停滞をするという危険を持っている、私はこう思うのでありますが、できれば、このプロジェクトチームをつくるぐらいの熱意を示してもらいたいと思うのであります。 それとあわせて、多種多様にわたる身体障害者の方々のために訓練を行っていくのでありますが、それに対する指導員、これは訓練大学校で教育を受けられているはずでありますけれども、この指導員の方々がりっぱな技術を持って教えることができるということだけでは、一般校と違って、身体障害者に対する十分な訓練を全うすることはできないわけですね。 たとえば、こんな話があるのですよ。これも私の加古川の訓練校の実例でありますけれども、身体障害者の方が入校される。どういう仕事につきたい、どこそこへ実はいきたいのだ、そのために、いろんな話をしたら、加古川の訓練所へ入って訓練を受けてきなさいという話もあって、私は入ってきたんだという話があった。そうすると、その身体障害者の人が求めている企業に通勤するのに、技術は持っても、なかなか通勤がむずかしい、身体障害者用のバスがしょっちゅう走っているわけじゃありませんしね。そういうことから、その人は足が不自由な方だったのですけれども、指導員の方がみずからのボランティア精神で、自分が一緒になって、まず自動車の運転免許証を取らす。運転免許証を取らすことに精いっぱいやって、運転免許証が取れたところで、自動車を使いながら訓練校へ通わせる。そして就職する先に対して、その自動車で通勤をさせるぐらいのところまでやっていらっしゃる、りっぱな指導員もいらっしゃるわけですね。 そうしてみると、単に自分の教える技術に対してりっぱなものを持っているから、りっぱな指導員だというだけでは済まされない問題があるんですね。そう考えると指導員の訓練という面では、もっと変わった形で訓練を進めていくということも必要だし、あるいは、そういうことまでずっと幅広くやろうとすれば、指導員の配置体制というものも現状のままでは不十分ではないか、こう考えますが、その辺の関係についてはどうですか。
○岩田政府委員 御指摘のとおり身体障害者訓練校の指導員は、ただ単に技術を教えるというだけではなくて、やはり自分が一生懸命教えた人たちが最後の就職できるところまで、一生懸命、親身になってお世話をするという態度が基本的に大事であろうというふうに考えるわけでございまして、身体障害者の指導に対しましては、長期、短期の研修を行って、その技術、技能の進歩に対応したものをやると同時に、特に身体障害者の指導につきましては、そういった親身になって就職の世話までできるような基本的な態度でやるような研修、講習をやっているところでございます。
○永井委員 いま身体障害者の問題をずっと取り上げてきたのでありますが、次に精神薄弱者の方の問題について、ちょっとお聞きしておきたいと思うのであります。 厚生省の福祉課長にお聞きをいたしますが、身体障害者雇用促進法の附則において精神薄弱者の雇用についても国が助成措置を行うことになっていますね。その前提になっているのは、この附則四条で明らかなように、精神薄弱者の雇用促進に関する検討を進めていく、その検討が進められていくまでの間という前提になっているわけですね。そうすると、この精神薄弱者の方々の雇用促進に関する検討は、現在どの程度進められているのか、ちょっとお聞きをしてみたいと思います。
○関(英)政府委員 身体障害者雇用促進法におきます精神薄弱者の規定は、先生御指摘のとおりでございます。それで精神薄弱者につきましては、まだ、どういう場合に雇用になじみ、どういう場合に雇用になじまないか、その辺の判断が非常にむずかしい問題がございます。身体の障害の場合には、ある部位が欠けておれば、残りの部位での能力というものを、これは客観的にわりあい判定しやすい、職能評価というものがしやすい。言葉に語弊があるかもしれませんが、することが可能であり、したがって、この方はどういう作業ができる、どういう仕事なら就職可能だという判定が非常にしやすいわけでございますが、精神薄弱者につきましては、まだ、その辺の勉強が私ども不十分でございまして、現在も、そういう検討を続けている段階でございます。
○永井委員 この促進法が制定されてから大分たっているわけですから、いつまでも検討、検討ということではどうにもなりませんので、該当者の方々、家族の方々がたくさんいらっしゃるわけですから、もっと早くこの検討をして、その結論が明らかに雇用に示されるように私は努力を強く要望しておきたいと思います。 それで、この精神薄弱者の雇用についての助成の現状というのはどうなっていますか。
○関(英)政府委員 身体障害者雇用促進法の規定によります、いわゆる納付金を原資とします助成のお話かと存じますが、それにつきましては、身体障害者と同様に精神薄弱者につきましても適用するようになっております。 それで御質問は、むしろ、あるいは数のお尋ねかとも思いますので、幾つか申し上げてみたいと思いますが、たとえば重度心身障害者を雇用した場合の雇用管理助成金というものにつきまして、二月の時点で調査したのがございます。二月で二千百七十七人が対象になって助成を受けておりますが、うち精薄者が四百五十一人ということで率として二〇・七%になっております。それから職場適応訓練という制度がございます。事業主に、職場になれるような訓練を委託して訓練をしていただくわけでございますが、これが同じ時点で二千六百九十四人、うち精薄者が千四百六十三人ということで、こちらは五四・三%の比率を占めております。こういうぐあいに、できる限り私ども、精神薄弱者の方につきましても助成を活用して雇用の場につけていく努力をいたしているところでございます。
○永井委員 身体障害者のためには福祉工場などが設置をされているということがあるんですが、精神薄弱者のために通所援護事業というものがございまして、これは法的には無認可なんですね。たしか無認可のはずなんでありますが、その存在数は現在、全国にどの程度あるのか。かなりあるというように私は聞いておるのですが、どの程度あるのか。また、それに対して助成はどうなっているか、それについて、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
○菊池説明員 厚生省では御存じのように授産施設というものをつくっておるわけでございまして、これについては、かなり施設数もふえておるわけでございます。これは通所につきましては二十人以上ということなり、あるいは設備基準等がございます。そういう意味で認可施設となり得ないような小規模の作業場等を五十三年に調べましたところ、学齢期を超えた精神薄弱者の通所による生活指導あるいは作業指導等を行う援護事業の実態は百六十カ所程度あるというふうなことが出ております。
○永井委員 この無認可になっている援護事業というのは、実際調べてみると雇用主はいないわけですね。ボランティア活動ではありませんけれども、父兄などが中心になって、あるいは、こういう精神薄弱者に対する理解を持っている方々が集まって、仕事をあちこちから持ってきて一カ所で与えている、これが実態なんですね。これらについて社会福祉法人を通して、ある程度、助成がされていると聞くのですが、それはどうなっていますか。
○菊池説明員 通所援護事業につきましては、五十二年度から一定の基準を設けまして、全国精神薄弱者育成会というものを事業主体として国庫補助を行っております。これは一カ所当たり七十万程度でございますが、五十五年度においては五十七カ所、その対象としておるところでございます。
○永井委員 これはいま言われたように実態はもっともっとたくさんあるわけですね。単に五十七カ所だけにとどまらないということが明らかになったわけでありますが、助成の金額をふやすこともそうでありますが、助成の対象をふやしていくということはお考えになりませんか。
○菊池説明員 この事業は地域のボランティアなり、あるいは親の活動等を得まして、じみちながら非常に大きな役割りがあるというようなことで、特に精神薄弱者の社会的参加という観点からもきわめて大事ではないだろうか。来年は国際障害者年でもあるというようなこともございまして、個所数の増加というものも来年度、特に力を入れてまいりたいと考えております。
○永井委員 身体障害者の人々は、平たく言えば決して同情は求めていないと思うのですね。大臣、そうだと私は思うのですよ。健常者と同様に扱ってほしい。扱ってほしいんだが、身体障害者の方も精神薄弱者の方も、あるいは労災やいろいろなことでけがされた方も、それぞれハンディキャップを持っている。そのハンディキャップの克服を手伝ってくれと言っているのが本当の姿だと私は思うのですね。 きのう不具廃疾者という問題が差別用語だ、あるいは不快用語だということで、実は、この席上でも質問しようと思ったのですが、きのう、もう結論が出ているようでありますから省略いたしますけれども、しかし最近の公共施設というものを見た場合に、身体障害者用の特別な施設もつくられているところがある。身体障害者の利用するところは、たとえばトイレにしたって、つくられているところがある。しかし、これは身体障害者用ですよ、こういうふうに明確になっておることが、ある意味では被害者意識を持たしてしまうということにもなっていく。たとえば車いすに乗った方が公共施設を利用する場合に、一般人も障害者の方も同時に共用で使えるようなスロープをつけると、そこには差別意識を持たなくて済むとか、そういうようなことまで考えていくぐらいの配慮が政治の姿勢の中で必要ではないか。建築基準法においても、そのくらいのことをこれから義務づける、きょうは建設省来ておりませんけれども、労働大臣の方も、そういうことを一回考えてもらいたい、こう思うのであります。しかし、いずれにいたしましても身体障害者に日の当たるような、一般の健常者と同じように扱っていくということの姿勢を強く貫いてもらいたい。 そして授産所の話も出ましたけれども、この授産所というのは現実はきわめて低賃金なんです。雇用関係も十分にいかないものですから、授産所そのものが、ある意味では身体障害者の長時間にわたる、悪い言葉で言えば、たまり場的になってしまう傾向もなしとしない。こう考えますと、来年の障害者年が、このような多様な課題に向けて内閣でつくっていらっしゃる推進事業、こういうものを達成していくためには労働大臣の役割りというものがきわめて大きいと思うのです。そういう意味で総括的になりましたが、障害者年を契機にした、これからの対応について、労働大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。
○藤尾国務大臣 確かに、おっしゃるとおりでございまして、身体に障害のある方がそこにおいでになる。それに特別に、この方々に対しましてはこうしますということをやっておるうちはだめだと私は思うのです。おっしゃるとおり、あるがままに、どこにお出かけになられても、そういう施設がすべて、それに順応できるような体制になっておるということが望ましいわけであります。ところが非常に残念なことながら、歴史的に見ましても、また日本の経済の発展過程におきましても、それに追いついていけなかった。まことに申しわけのないことで、そのおくれというものに対します責任を私どもは重々に感じなければならぬ、こう考えておりますけれども、もう、ここまで日本の経済も進んでまいったわけでございますから、これからできるもの、あるいは、かってできていなかったものに対しましても、それを充足するような方向に持っていくということが当然のことでございまして、私どもは御職業の選択に対しましても、あるいは御居住の御便宜にいたしましても、そのようなものに対応のできるような方向に向かって、勇気を持って進んでいかなければいけない、かように考えます。 国際障害者年というものが国連で決められてきたということも、世界的に見ますと、そのような欠陥が現実にそこに存在をしておるということにお気づきになられて、それを世界的に直していく運動を、ここで起こそうではないかというところに大きな意義があるわけでございまして、障害者年があるからどうとか、障害者年が済んだからどうとかいうことではございませんで、こういう一つの節目、節目といいますものを十二分に、その意義を踏まえて、そこを出発点といたしまして、そのようなことをしないようになれるまで進んでいかなければならない。そのための努力を十二分に積み重ねていかなければならぬ、その責任を重々感じております。
○永井委員 時間がなくなってしまいましたので、まだお聞きしたいことがずいぶんあるのでございますが、最後に一つだけ簡単にお聞き申し上げます。 いま言われたように来年は障害年でございます。来年だけに終わってはならない、ずっと続いていくわけですね。同じことが、たとえば、いまから五年前に国際婦人年というものがございまして、十年間、行動年間ということになっています。ことしはちょうど中間に当たるわけですね。母性の保護を求める国民の要望も非常に幅広く存在しておる。片方では富士見事件のような問題も起きてきて、女性が女性でなくなってしまうというような医療の荒廃も片方に存在している、こういう状態であります。たとえば母性保護の関係で言えば、ILO条約一つとってみても、百三号条約が一九五二年に採択されて、もう二十八年たっているが、いまだに国内法が整備できない。いろいろ聞いてみると出産給付がうまくいかないということなんです。こう考えていきますと、東京サミットを主宰するぐらいの先進国の一つのりっぱなわが国の現状から考えて、障害者年もそうでありますが、ILO条約の批准率もきわめて低いという状況から考えて、少なくとも国際年として制定された婦人行動年間に、この種の母性保護に関する条約ぐらいは早急に批准できるように国内法の整備を進めてもらいたい。これを強く要望しまして、時間が来ましたので私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○山下委員長 川本敏美君。
○川本委員 きょうは二点ばかりについて労働省や関係省庁に御質問申し上げたいと思うわけですが、まず最初に「部落地名総鑑」の問題についてお聞きいたしたいと思うわけです。労働大臣もこれから日本の政治の中で、まだまだ伸びられるお方ですから、ひとつ、きょうは各省庁に対する私の質問についても十分お聞きいただいて、労働大臣の本当に積極的なお答えをいただきたいと思うわけです。 御承知のように「部落地名総鑑」という、いわゆる差別図書が発見されてから、もう五年以上たつわけです。昨年末にも全国で二十五社、二十九冊の「地名総鑑」を購入しておる企業が明らかになっております。安田信託銀行の問題も後で触れたいと思いますけれども、そのほか、これは解放同盟が独自の調査をして、それによって購入企業が明らかになったのも二十四社あるわけであります。この中には東洋工業とか久保田鉄工、倉敷紡績、積水ハウス、日立製作所、昭和石油、小野田セメントといったような、いわゆる大手の上場会社が数多く含まれておることは、ゆゆしき問題だと私どもはとらえておるわけです。こういう中で今日までずっと計算しますと、いま購入企業として公表されておるだけでも二百十二社あるのではないかと思うのです。しかし、この二百十二社というので終わりかといいますと、これは全く氷山の一角で、その水面下に隠れておる部分の方が大きいのではないかということは想像にかたくないわけです。私たちは、このような基本的人権にかかわる深刻な問題について、きょうは率直な御意見をお聞きしていきたいと思うわけです。 そこで法務省においでいただいておると思いますが、まず最初に法務省にお聞きいたしたいと思うわけです。 いままで法務省は、三十人以上の事業所に対して、いわゆる「地名総鑑」等の差別図書を購入したところがあるかどうか、こういうことを何回も調査されておるけれども、その都度、買ってありません、購入してませんという答弁をいただいておる。ところが、その答弁をしておった企業が、最近になって、購入しておることがわかってくる。全く調査というのはなってませんね。本当のこと調査はできてないんじゃないですか。おたくは購入してますかと聞いたら、いえ購入してません、そうですかと聞いておいて、後で購入したことがわかってくる。こんなに政府の調査というのは無力なものですか。法務省、今日まで法務省が調査した中で購入企業が明らかになっておると思うのですが、もし購入企業が明らかになっておるところがありましたら、この際、何社で、どういう会社か、いままで発表しておる以外に明らかになっておるところがあれば御答弁をいただきたい。
○篠田説明員 いま御指摘がございましたように、われわれの調査によりまして購入企業であると判明した企業の中で、法務局の方から購入の有無について照会をしたにもかかわらず、そのときは買ってなかったというお返事をなされて、その後の調査で、われわれの方で判明しましたものの中に、一部の企業におきまして購入しておられたということが判明したわけでございます。 現在の法務局の調査、人権局の調査の場合には、強制的な調査権限を有しておりませず、任意的な調査でやっておるわけでございます。そういう中で、こういう同和対策特別措置法の精神に逆行するような措置をなされておる企業が、その非を認めて、われわれの調査に協力をしていただけないのは非常に遺憾に思っておるわけでございますけれども、先ほど御指摘がありましたように、照会しましたところ七、八社につきまして、そういう企業があったということが判明しております。その企業の名前につきましては、この席ではちょっと申し上げかねるわけで、御容赦のほどをお願いしたいと思います。
○川本委員 こういう雇用の際に、憲法で定められた職業選択の自由というか、あるいは新しく高校や大学を卒業した子供にとって、就職するのは一生の生存にもかかわる問題です。そういうことを差別するために、その本を買った企業の名前がわかっておるのに、あなた方はこの席では発表できないとは何ですか。ここは国会ですよ。いやしくも尊厳な国民の信託を受けた最高の立法府ですよ。そこで発表できないというのはどういうわけですか。
○篠田説明員 申しわけない次第でございますけれども、いままでの経緯から申し上げましても、守秘義務ということで申し上げてないわけでございまして、慣例によりましても、委員会の御要望がございますと提出することを検討させていただいておるわけでございます。そういう次第でございまして、この席で申し上げられないと申したのは、そういう趣旨でございます。
○川本委員 これは私は大変な問題だと思うのですよ。守秘義務という言い方で、そして実際には、そういう「地名総鑑」という図書を購入して、雇用の場において人を差別してきた、そういう企業を守ることにつながるわけですね。法務省は、それを守るという意図で守秘義務だと言っておるのですか。基本的人権と企業の自由と、どちらの方を重く見ているのですか。
○篠田説明員 そういう実質的な判断をして申し上げられないと申しておるのではございませんで、形式的に申しまして国家公務員法に基づくところの守秘義務ということで、現在までも委員会から御要望がございましたならば、そういうふうにわれわれのところでは考えております。
○川本委員 私は、それはけしからぬと思うわけです。あなた方のやっておることは間接的には企業を守ることでしょう。それだったら差別を増大させることをやっておるのでしょう。あなたは人権擁護課長でしょう。基本的人権を守ることと、企業のそういう雇用差別をやることの自由を守ることと、あなたは、どっちが大切だと思っているか、はっきり言ってください。
○篠田説明員 国民の人権を守ることが最も大切かと思います。そこで、われわれといたしましては、そういう企業が発覚いたしましたならば、各行政機関と共同して、その非なることを十分に諭しまして、今後このようなことが起こらないように、いわば啓発を行っております。それが従来のやり方でございます。
○川本委員 この前、シャープ精機という会社が五十三年九月に、この「地名総鑑」の本を買いましたと言って、その本を法務局へ届けておるのですよ。その前には、調査したときには買ってありませんと言っておる。五十三年九月に届けておるにもかかわらず、それを公表もしない。法務局が隠しておったのじゃないですか。これは一体どういう意図を持ってそれを隠すのかということです。それだけじゃない。ほかにもチトセとか安治川鉄工とか栗本鉄工とか兼松羊毛とか、そういう会社は全部そうでしょうが。全部、法務局には本を届けたり、あるいは始末書を書いたり、ちゃんと購入したということを認めて法務局に届けておるにもかかわらず、法務局はそれを一向に公表しないで今日まで来た。それで人権擁護の目的は達せられていますか。
○篠田説明員 御指摘いただきましたように、非常に時間がかかったようなこともございます。御承知のとおりに「地名総鑑」につきましては、いま八種類あるように、われわれの方で認めておるわけでございまして、それによって対応が違うわけでございますけれども、一応ある種の「地名総鑑」につきましては、販売した人の種類によって区分けしておるわけでございます。その販売元の調査とかいうこともございまして、共同啓発する場合は、同じものについては同じ時期に啓発した方がいい、こういう原則もとっておりました関係で、先ほど御指摘のような早く申し出ておられた分については、その企業につきましては当然十分その非を悟っておられるということで、ほかとの調査の足並み上、形式的な共同啓発に入るのが遅くなったということでございまして、決して隠すとか、そういう意図を持ってやったのではないということは御理解をいただきたいと思います。
○川本委員 いま、おたくの話を聞いていますと、法務省の見解では、企業の方がその非を反省しておるから、それで啓発、宣伝の効果はあったと思う、そんなことで基本的人権が守られておると思っておるような法務省なら、これは大間違いだと思うのですよ。いまも就職シーズンですよ。大学卒業生や高等学校卒業生の就職採用試験が全国的に行われておるわけです。その中で一人でも二人でも、またこういう事件が起こったときは、その責任は法務省、とりますね。あなたがここで、きょう、そういう姿勢を貫いて、もし仮に本年度の採用で雇用差別が一人でも出てきたということが判明したら、それはあなた方の責任ですよ。法務省がそういう態度をとってきて、雇用差別を助長する方針をとってきたから、そうなったのだという結論になるわけでしょう。あなた方は行政の責任というものを感じておるのかどうかということに問題があると思う。 そこで、まずお聞きしたいのですが、いままでアンケート調査とか調査書を配付して調査していますね。それを全部公表することはできますか。
○篠田説明員 法務局によりましては、企業に対しまして、まず「地名総鑑」の性格等につきまして、きわめて遺憾な文書であるということをおのおの啓発をして、その上で、そういう購入の事実がないかどうか、こういうことを照会しておるわけでございます。ですから大体、大きい企業、先ほど申し上げましたような企業につきましては、必ずその文書が届いておるわけでございまして、その文書を出せということで、これはもう当然、提出をいたしております。
○川本委員 次に、あのアンケート調査の中で、もし偽りの回答をしたときには最大限の厳しい措置をとります、こういうことが付記してあるわけですね。最大限の厳しい措置とは、どういう措置を考えておられますか。あるいは「その非を反省するに足る諸施策」という言葉をあなた方はよく使われるし、ここでも書いてある。「反省するに足る諸施策」ということは、どういうことを想定しておられるか、どういうことを考えておられるか。
○篠田説明員 御指摘のように、いまのは多分、大阪法務局から出した文書だろうと思います。これは企業を監督する立場にある各行政が連名して出しておるわけでございますけれども、これは各行政庁によって、やる立場はいろいろあろうかと思いますけれども、法務省において申し上げますと、一応内部の規定によりまして人権侵犯事件処理規程というものがございます。これに基づきまして、できる限りの調査をして、そしてその規程に基づくところの勧告処分等を行いまして啓発を粘り強くやっていく、法務省に関しましては、そういうことでございます。
○川本委員 人権侵犯事件として告発しないの。告発できないの。
○篠田説明員 通常、告発ができる場合ですと、それが刑法とかの犯罪を構成する場合に告発して、検察庁、裁判所において刑事責任を問うていただくということになろうかと思っておるわけですけれども、この種の事案につきましては、現在それを罰するような規定がない、こういうふうなことから人権侵犯事件としては法務省だけの処理で終わっております。ですから告発はいたしておりません。
○川本委員 そうすると雇用のときに差別をしても適用する法律が現在のところはない。そこで人権を侵犯されても、それを処罰する規定もどこにもない。法的根拠がないから、それはできないから勧告とか啓発に終わっておるのだ、こういうふうに理解していいですね。
○篠田説明員 それに基づきまして、たとえば人権侵犯をした場合に損害賠償の請求、民事上の制裁は科せられることがあるかと思うわけでございますけれども、刑事的な責任というものは、いまのところ、できない段階でございます。
○川本委員 幾ら勧告をしても啓発をしても、いつまでたっても、それが是正されない、そういうことが残っていくという時点が来たときには、法務省としても、そういういわゆる人権を守る立場から、罰則規定を伴った人権侵犯、雇用差別の問題についての法的制度を考えなければいかぬ時期が来るんじゃないかと私は思うのですが、そういうふうに思いますか、どうですか。
○篠田説明員 行政と共同いたしまして、本来、真の意味では企業におかれまして就職差別を行わないために企業自体がその気になってもらうということが一番大事なことでございますけれども、そういうことができない、非常に困難であるという場合ですと、何らかの措置が必要でないかという観点から、雇用に関係あるところの省庁と現在、検討しておるところでございますけれども、現在の場合は、先ほど申し上げましたように任意的な啓発ということでございますから、何らかの法的措置をも含めたところの措置が必要ではないかという見地からの検討はいたしております。
○川本委員 そこで典型的な事件であります安田信託銀行の雇用差別の実態について、私はこれから一つ一つ指摘をしながら質問を進めたいと思うのですが、その前に、購入企業に対する指導を実施しておる労働省は、安田信託のこのような点について問題ありとしてとらえて、従来、指導した経過がありますか。
○関(英)政府委員 御指摘の事案につきましては、本店及び若干の支店において「地名総鑑」類または、そのコピーを持っていたということが判明して、九月に法務省から通知を受けたところでございます。そこで早速、本店、支店それぞれを管轄いたします都道府県の職業安定機関に対しまして、総理府の示すところによりまして、法務局を初めとする関係行政機関と共同して企業に対する啓発活動に当たるよう指示をいたしました。そういうことで現在鋭意、企業を指導しているところでございます。
○川本委員 それは法務省から連絡をいただいてからの話で、私は、その以前に労働省が、安田信託銀行では、こういう雇用差別をするようないろいろな雇用の規定、内規を用い、いろいろなことをやっておるという実態を知らなかったということになると、これは労働省の責任だと思うわけです。これは安田信託銀行だけじゃない、全国のたくさんの企業がこういうことをやっていると言うたら、これは大変なことだと思うのです。そういうことを知りながら放置しておるとしたら、これは行政の責任ですよ。 まず私の手元にあります書類だけで見ましても、安田信託銀行の場合こういうことが書いてあるのです。いわゆる学校は指定校を指定して、その学校の担当教官や職員と日常的に親密になるように、いわゆる信頼関係を維持し、深く耕して、日常、直接のコミュニケーションを図るようにしなさい、そのためには先生とおつき合いをして一杯飲んだり、いろいろやれということですね。そういう中で、いわゆる担当教官とのコミュニケーションを図っていきなさい、こういうことで、新しい指定校を追加したときには、まず担当教官というものを非常に重視をしておるわけです。そういうことのために学校側では、生徒から提出するとき、あるいは学校側が推薦するときに、点検するためということでテストとか面接とかアンケート用紙を学校内部の資料まで安田信託銀行に提示をしておるというような親密な学校もあるということが判明をいたしております。 そのほか従来、労働省は、いわゆる履歴書には本籍地も書かない、あるいは父兄の職業等も書かない、こういうことを基本方針としてきたと私は思うのですけれども、現実に安田信託銀行の場合は、身元調書というもので戸籍謄本を提出させるとか、あるいは身元調書というまた別の書類を記入させるとかいうことで、いわゆる親の職業とか、あるいは勤め先とか周囲の環境とか具体的に細かいことを繰り返し繰り返し調査をしておるわけです。そういうことが内部の資料の中にちゃんと印刷してあるじゃないですか、安田信託銀行の。こんなことを各会社、企業がやっているというのを労働省知っているのか、知らないのか。
○関(英)政府委員 新しく人を雇います場合に、本人の適性と能力に着目して採用選考すべきである、出身校とか出身地とか、そういった本人の適性能力と関係のないもので判断をするということはきわめて遺憾なことでございまして、労働省として、そういうことのないように従来から指導してきている、あるいは統一応募書類というようなものを広める努力をしてきている、こういうことは先生御承知のとおりだろうと思いますが、現実に本件の事案におきましては、そういったような差別につながる書類を書かしていたということがあったことは、まことに遺憾なことだと存じております。
○川本委員 来訪者カードというのが安田信託銀行にはありまして、この来訪者カードにも、また別に父兄の欄で父兄の職業をきちっと書く欄があるわけです。あるいは大学のゼミナーの担当教官の名前を書かすようになっておるわけですね。担当教官との間に意思を疎通して、担当教官が、これは同和地区出身でないというような保証をしたり、これは優秀だという保証をした者だけを雇うという意図を露骨に、ここでは出しておるわけです。担当教官を通じて、そこでまず第一の選別をやらしているということが会社側の意向の中でも明らかになっているわけですね。こういうことを知っておったのかどうかということです。 それから次に、これは身元調書ですけれども、身元調書には、ここに本籍それから出生地、主な成長地。最前、局長の言われたことと大分違いますね。本籍も書け、出生地も書け、主な成長地、主に成長した土地はどこか、全部それを書きなさい、こういうふうになっておるわけですよ。そして父母の関係の欄では、いわゆる家が持ち家か公営住宅か借家か借り間か私営アパートか、こういうようなことまで。そして家族の状況で、親兄弟全部の職業と勤め先を書きなさい、そして両親、兄弟と姉妹のほか同居中の者とあって、すでに死亡した人であっても書きなさい、こうなっておるのです。死亡した人を、親が死んでおったら死んだ親のことを書きなさいというのですよ。微に入り細にわたって、物すごくやり方が緻密ですよ。 さらに次には、最終的に、ここでいろいろやるわけですけれども、その中で一つの例を申し上げますとテストをやっておる。テストの中で安田信託銀行の場合は、たとえて言いましたら、企業と言うたら会社とか組合とか官庁とか株式とか、そういう答えが並べてあって、その中で第一印象ぱっと頭にきたものに丸を打ちなさいというわけですね。島崎藤村という名前を聞いたら、いわゆる若菜ですか、ちょっと印刷わからないのですが、破戒とか千曲川のスケッチとか夏草とか、そういう中で第一印象きたものに丸を打ちなさい。平和という言葉を聞いたときに、ハトとか女神とかベトナムとか反戦とか、そういう言葉の中で第一印象きたやつに丸を打ちなさい。これも思想調査とか、あるいは部落出身者かどうかというのを調査するための問題だということを確認会の席上で安田信託は答えておるわけですよ。島崎藤村で破戒というところに丸を打った人は全部、部落の人だと思って再調査をしました、身元調査をしましたと答えておるわけです。平和というところで反戦に丸を打った者は全部不採用にした、こう言っておるわけです。 こういうような、いわゆるテストのやり方を労働省は是認をしておるのか奨励をしておるのか、それとも、こういうことはいけないことだと思うのか、ひとつ局長の意見を伺いたい。
○関(英)政府委員 大学卒の職業紹介につきましては先生御承知のとおりに職安法の規定によりまして各大学が行っておりますので、私どもの目の行き届かない分野が多うございます。そういう意味で、いままでの取り組みが必ずしも十分でなかったということを反省しておるわけでございますが、もとより私ども、採用選考というものは本人の適性と能力で判断すべきものであって、出身地とか家族の職業とか、そういったようなもので差別につながるおそれのあるようなことを調べることすら、いかぬことだということで従来から指導してきておりますし、そういう意味で今後とも、そういう指導は強めていきたい、こういうふうに思います。 実は、高卒までの職業紹介につきましては大分そういう点は全国的に徹底してまいったと私は思うわけでございますが、大学卒につきましては先生御指摘のとおりに、まだまだ不十分な点があろうかと思いますので、今後一層力を入れていきたいと思っております。
○川本委員 さらに面接選考調書というのがあるのです。ここでは家庭環境の欄をこまごまと面接のときに聞きただして、それによって三・五点とか、三・二五点とか三点とかいうような、いわゆる採否の基準の点数を入れるようになっているわけです。思想、信仰などの問題について、も「思想・信仰に問題はないか」というような項目を設けて、それを面接で聞こうとしておるわけですね。特に私たち、これで許せないと思う問題は、身元調書として、こうやって会社の中にちゃんと内規として印刷物になっておる中で「ただし、家庭環境、素行関係、経済状態の問題のある者については、」「興信所または社員による身元調査」をやりなさいということを明確に書いてあるわけです。そこで今度は興信所がどのような調査をしたのかということになりますと、この安田信託銀行の場合は綜合警備保障という会社が調査を担当してやっておるのです。この綜合警備保障が会社側に提出した書類の中に日共——日本共産党ですね、(民青)及び反日共系の各派、右翼団体等に該当あるかないか、そういうような思想関係。また過激的なことをやったことがあるか、過激闘争を支持した事実があるか。実践運動で検挙された前歴があるか。担当教授のそういう団体への加盟状況はどうかとか、そういうことのほかに、最後に、その他としてマル特というのがあるわけです。印刷してあるのです。このマル特というのは何かということを聞いたら、これは同和地区かどうかということの調査でございますをいうこと。ここではマル特「該当なし」こう明確に興信所が、同和地区でないということを、こうやって書いて回答をしなければならないようになっておる。 もう一つの、これは東亜興信所というところが出しておる書類は、中にこういう文言がある。「一般に忌避されるような部落ではなく、」とちゃんと書いてある。回答書の中に文章で書いてある。同じく東亜興信所の回答文ですけれども「部落関係(村八分等)に関しては満願寺町一帯何等懸念はなく、」と、これは満願寺町に住んでいる人を調査した場合です。全部、興信所の調査の中では同和地区であるかどうか、部落民であるかどうかということを明確に会社に回答を出して、会社はそれによって採否の決定をしてきたことは明らかなんです。 そのほかにも言い出せば切りがないほどあります。母子家庭の子供は雇うなとか障害者は雇うなとか、大学や高等学校を夜学で卒業した者は雇うなとかというようなことまで末端の支店、営業所に指示をしておるじゃないですか。そういうような、部落差別だけではなしに、いわゆる夜学生を排除したり、あるいは母子家庭の子供を排除したり、あるいは障害者を排除する、こんなことが公然と行われておって、労働省は今日まで何の手だてもしてきてない。幾ら身体障害者の雇用率だとか中高年齢者の雇用率だとかいったってむだですよね。労働省は会社がこうやっておるのを認めているのだから。 そうして両親の職業ということを身元調査等で調べたことについて、安田信託銀行はどう言っておるかといったら、勤め人の子弟を中心に採用しました。商売屋のうちで肉屋と革屋とくつ屋については、これはもう十分注意しました、こういうふうに確認会の席上で答弁しておる。親の職業で肉屋とか革屋とか、あるいはくつ屋といったら、これはいわゆる部落産業と言われる産業ですよ。同和地区の人たちに多い職業です。だから、そういうのは注意しました、こういうことをはっきりと、この間の確認会の席上で言っておるのです。こんなことが行われておって、労働省が口ではいろいろ言っておるけれども、内実は、こういうことをやることを暗黙の了解をして今日まで素知らぬふりをして黙認してきたんじゃないですか。 これは安田信託銀行だけじゃないと私は思います。全国の企業は全部これに類したことをやっておる。その証拠に、この間、九月二十日の週刊サンケイで「入社試験直前対策」という特集の中で「これからは親も“選択”の対象になる!」大きな見出しで、親の職業や生活環境が子弟を採用する場合の選択の対象になるんだということを堂々と言っておるじゃないですか。こういうことを黙認しておって、いま労働省が幾ら、先ほど来言うように公式応募書類でやりなさい、統一応募書類でやりなさいと言っておるんだといったって、それは空念仏、口先だけで、たてまえだけで、現実は企業とぐるになって差別、選別を進めるのに協力をしていると言われても仕方がないんじゃないかと思うのです。その点、局長どうですか。
○関(英)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、採用選考に当たりましては本人の適性と能力に基づいて行われるように従来から労働省は考えておりまして、そういった意味で企業の指導を強めているところでございます。 一般的に企業につきましては、企業内に同和問題の研修推進員というのを置いていただいて、そういった差別につながるおそれのあるようなことのないように、企業内における体質をみずから変えていくような指導もいたしてきておるところでございます。 ただ先ほども申し上げましたとおり、大卒関係につきまして私ども直接扱っておらない面がございまして、その点で今日までの指導が必ずしも十分でなかったということを重々反省しておりまして、これから、その点に十分取り組みを強めていかなければならないと思っております。
○川本委員 労働大臣どうでしょう、先ほど来のそういう雇用の場における、いわゆる就職時の選別だけじゃない差別が行われておるという実態をお聞きいただいて、率直に大臣はどういう感想をお持ちですか。
○藤尾国務大臣 私も、その実態をいま初めてお聞きをしたわけでございますので、本当に慄然としたわけでございますけれども、そういった企業は、みずからのところに来ていただけるはずの才能を、みずからが拒否しておるわけでございますから、非常に大きな損失を、みずからの会社にかけておるわけだと思います。人事の担当者といいます者が、その人事を扱う上において会社に対して非常に不忠実である、かように思います。もし、そのことを会社の首脳といいます者が意思決定をして、させておるというようなことでございましたならば、私どもといたしまして、それを黙認をしていくわけにはまいらぬ、これを厳しく糾弾しなければならぬと思います。
○川本委員 この安田信託銀行の事件では、私の住んでおります奈良県でも桜井市の初瀬というところの人が、はっきりと差別で不採用になったということが確認会の中で明らかになっておるわけです。そのほかにも何人かの部落差別による不採用というのが出ておることは確認会の席上明らかになっておる。さらに一九七四年には、そういうことだけではないかもわかりませんけれども、大学卒業生が不採用になって自殺をしておるという深刻な事態があるわけです。未来を担う、私たち日本の国の運命、国民の運命を将来担ってもらわなければいかぬ青少年の夢や希望をなくしてしまう、自暴自棄に陥らせてしまう、そして、ついには死にまで追いやる、このようなことをこれ以上放置することは私は労働省の責任だと思うのです。法務省だけの責任じゃないと思うのです。労働大臣、雇用の場における、こういう同和差別をなくするために全力を挙げてがんばっていただけますか、もう一度念を押します。
○藤尾国務大臣 当然のことでございますから、早速でございますけれども安田信託銀行の責任者を呼びましてどのような所存で、そのようなことをしたかということを問いただしまして、その返答を当委員会を通じて御報告をいたします。
○川本委員 そこで大臣、もう少し申し上げたい。 特に、現在判明しておる「地名総鑑」二百十二社ですけれども、その中で金融、保険関係が非常に多いわけです。三十三社に上るわけです。商工組合中央金庫、安田火災海上保険、東洋信託銀行、大生相互銀行、長野県信用組合、新潟相互銀行、協栄信用組合、滋賀銀行、九州相互銀行、宮崎相互銀行、大垣信用金庫、山陽相互銀行、群馬銀行、幸福相互銀行、平和生命保険、日本勧業角丸証券、日本債券信用銀行、太陽信用金庫、福岡相互銀行、京都中央信用金庫、但陽信用金庫、広島銀行、福井銀行、同和火災海上保険、大同生命保険相互会社、日本生命保険相互会社、不動信用金庫、第百生命、豊中信用金庫、日の出証券、南京都信用金庫、西陣信用金庫、神戸信用金庫、三十三社すでにある。 先ほど来の話にもありましたが、特に安田信託銀行の担当者の、その後のいわゆる反省文といいますか回顧文の中でも、住所や本籍地を「地名総鑑」と照らし合わせて採用試験のときに確認をしましたとか、部落出身者ではないかと思われる者を含み、問題ありと思われる者につきましては興信所へ調査を依頼しましたということは全部、会社側が認めておるわけです。そういう中で、驚くべきことには安田信託銀行の場合には「地名総鑑」照合の際に便利なようにということで、白地図を購入してきて「地名総鑑」に書いてある土地を全部、地図の上に丸で印をつけて、わかりやすくしたというようなことまで言っておるわけですよ。徹底的なことをやってきておるわけです。そういう中で、特に銀行とか保険会社は人の金を預かる商売だということで、ともかく、できるだけ、まともな人を採用したいんだという言い方もしております。いわゆる部落出身者だけを差別したのではないと言っておりますけれども、その中の一つとして、こういうふうに「地名総鑑」と照合して地図までつくって排除をしたということを明確に答弁をしておるわけですから、私たちは、こんなことはもう承知ならぬと思っておるわけです。一九七一年から一九七六年までは、応募者の住所と本籍地と「地名総鑑」との照合を行ったということを大阪の安田信託銀行ではすでにはっきり確認しておるわけですよ。こういう状態ですから、ほかのこの三十三社の銀行、保険会社、こういうところも多分、同じことをやっておるのではないかと私は推定するわけです。 労働省としては、こういう保険、金融機関に対して、先ほど来申し上げた、いわゆる応募書類あるいは選考のための書類、身元調書、いろいろなものについて、もう一度、立入調査をして徹底的な調査をする必要があると思いますけれども、やる意思はありますか。
○関(英)政府委員 去る九月十五日付で、私の名前で金融関係を含む百の業界団体に対しまして、就職シーズンを目前に控えて公正な採用選考体制の確立が図られるように通達を出したところでございます。 一つは応募書類に本籍の地番まで書かせるようなことのないように、あるいは家族の職業の記入を求めることのないように、また二番目には戸籍謄本等の提出を求めないこと、三番目には身元調査を行わないように、四番目には、その他本人の適性と能力によらない選考を行わないようにということで、参加企業に対して強く指導を徹底してもらいたい、こういう文書を出したところでございますが、先ほど大臣のお話にもございますので、金融関係につきまして特に今後、指導を強めるようにいたしたいと思います。
○川本委員 いま局長も言われましたけれども、いま就職シーズンですね。だから、ことしの就職採用試験に、この安田信託の教訓を生かすことができるかどうかということは、一にかかって労働省の早急な指導、点検にあると私は思うわけです。いま、そういう指導通達を出したとおっしゃったけれども、それだけで果たして十分なのかどうかということについては私も危惧の念を持つわけです。その点もう一度、徹底的にやるように強力な指導、指示をしてもらいたいと思うわけです。 そこで差別選考を受けて一生をふいにされた、あるいは自暴自棄に陥った、そういう自分の生存権を踏みにじられた部落出身者に対して、その責任は一体どこにあると思いますか。大臣は企業みずから自分の芽を摘んでおるのだとおっしゃいました。しかし、これは先ほど法務省も言われましたが、そういうことをしても差別する者に対する処罰の規定がどこにもない、だから告発はできないのだ、こうおっしゃっておるわけです。いま雇用差別をやられた場合に、先ほど来、局長も言っておりますように指導、指示程度でしか何事もできない。国内法で、そういう同和地区出身者の雇用差別を禁止するような法律規定はないと思いますが、一体いま基本的人権、就職の機会均等、平等、こういうことを守る法律は、職安局長、国内法のどこにあるでしょう。
○関(英)政府委員 同和対策特別措置法第三条で「国民の責務」として「すべて国民は、同和対策事業の本旨を理解して、相互に基本的人権を尊重するとともに、同和対策事業の円滑な実施に協力するように努めなければならない。」これはもちろん企業にも適用されることだと思います。第四条で「国及び地方公共団体の責務」を書いております。「国及び地方公共団体は、同和対策事業を迅速かつ計画的に推進するように努めなければならない。」国、地方公共団体として、こういう責務を負っている、こういうことが同対法によっては明らかでございます。
○川本委員 いま局長に御答弁いただきましたけれども、いわゆる法的な根拠というのは同和対策特別措置法の第三条、第四条だというわけですね。そうしたら、労働大臣御承知のように、その法律があと一年半余り、五十七年の三月で期限切れになろうとしておるわけです。そういう期限が切れたら根拠の法律もなくなるわけですね。そういう点について労働大臣どう思われますか。
○藤尾国務大臣 私は法の精神というものは生きていくと思います。いままでも十二分に、それに対する啓発活動は行われておりますし、今後も十二分にやるはずでございましょうから、そういった趣旨がすでに徹底をしておる、また徹底させるのはあたりまえである、こういうことで、そのような違反者が顔を出す余地がないように、できるだけ厳しく指導監督を強めてまいり、御心配のないようにいたしたい、かように考えます。
○川本委員 いま職安局長が言いましたように、これを指導しようと思っても、指導する法律の根拠は労働基準法にも職安法にもないわけですよね。そうしたら同和対策事業特別措置法の第三条、第四条を根拠にしながら事業所に対する指導、啓発を行っていかなければいけない。精神でいくといったって、根拠の法律がなくなったらできないとぼくは思うわけです。大臣どうでしょう。そういう事態が続くとしたならば、いまのような雇用差別が依然として続くとしたならば、特別措置法にかわる何らかの制度を考える必要があると私は思うわけです。
○藤尾国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、そのような事態を続けさせるようなことはいたしません。絶滅させます。
○川本委員 大臣、絶滅させるとおっしゃいますけれども、私は、なかなかいまの深刻な——これは安田信託銀行一つ言っただけですよ。大臣がいかに、そうみえを切っていただいても、現実にはできないんじゃなかろうかと私は推測するわけです。これは身元調べの問題でも、興信所に依頼することをやめさせますと安定局長言っていますけれども、法務省は構わぬと言っておるのですよ。法務省は「単なる身元調べなら興信所を使うことも差しつかえなく、対象が同和地区出身者でも被爆者でも問題にならない」という見解を、この前、発表しておるのです。法務省これはどうですか。
○篠田説明員 お示しのものは朝日新聞の報道かと思いますけれども、これは法務省の真意を正しく伝えてないというふうに考えております。法務省におきましても差別を意図する身元調査とか、あるいは差別につながるおそれのある身元調査は許されないというふうなことを考えておりまして、この趣旨につきましては、昭和四十五年ごろから企業及び興信所に対して啓発を行ってきたところでございまして、労働省の御見解と矛盾はいたしていないというふうに考えております。
○川本委員 これは「地名総鑑」を購入したダイハツ工業の担当者の方が書かれた文章ですけれども「「日本の部落」という本を購入した動機は、この本がないと企業防衛ができないというふうにダイレクトメールに書かれておったので、これを買いました。」こういうふうにこの方は言っておるわけですよ。大臣、そうおっしゃいますけれども、向こうは、そういうことは企業防衛だと思っておるのですよ。大臣が根絶させますと言ってくださるのはありがたいのですが、果たして根絶できるのかできないのか。もし大臣がそうおっしゃって、なおかつ根絶できなかったときには制度を考える以外にないと私は思うわけです。 そこで次に、ILO第百十一号条約について私は意見を聞かしていただきたいと思うのですが、これは国際労働機関の総会で一九五八年六月二十五日に採択されたもので「人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身に基いて行われるすべての差別、除外又は優先で、雇用又は職業の機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となる」ことを禁止する条約ですね。この条約について、やはり批准をすべきではないかと私は思うわけです。このことについては第八十七国会でも同僚の田口議員が質問しておられますし、あるいは九十一国会でも中西議員が質問しておられるわけですけれども、その中で中西議員に対するこの前の藤波労働大臣の答弁は「非常に重要な条約であるということを十分認識をしてかかっておりますので、なるべく短い当分の間に検討を進めまして、」こういうふうに言っている。「なるべく短い当分の間に」というのはちょっとわかりにくい言葉なんですが、労働大臣、これは宣言的条約と言われておるわけです。だから、その前に国内法規を全部整備をしなければならぬというよりも、宣言的条約だから、まず批准をして、抵触する国内法があれば逐次それを整合性を持たせるように努力をしていくということでいいのじゃなかろうかというふうに解釈している学者もおられるわけです。そういう見地から、この宣言的条約であるILO第百十一号条約を、なるべく早い当分の間にということでは、どうもすかっとしませんので、ひとつ大臣の前向きなお答えをお聞きしたいと思うのです。
○藤尾国務大臣 いろいろ前大臣がこの問題について意思の表明をしておられるわけでございますから、私がそれと著しく違った見解の表明をいたしますと、何かそこに労働省とし、あるいは労働大臣としての一貫性が欠けるというような印象を与えてはなりません。したがいまして、この点は事務当局におきましても十二分に検討を進めておる、その責任を持っておる、私はそう思いますから、改めて十二分に検討させまして、できるだけ早い機会に御報告が私からできますようにいたします。
○川本委員 いま大臣の明快な答弁で、私から御報告ができますようにというところを、大臣の任期中に報告をしていただくということで理解をいたします。この前、八十七国会のときにも、実態は余り問題でないということを当時の大臣は答弁しておられるわけです。この条約の批准に関して、宣言的な条約だから非常に重要な条約であるという認識は持っておるけれども、しかし実態上は余り問題はないというふうに言っておられるので、その点ひとつ、いまの大臣の答弁を、最近、失礼ですけれども大臣は大体任期は一年ぐらいですから、大臣の御発言をそういうふうに理解をしておきたいと思うわけです。 そこで特別措置法の問題についてですが、先ほども申し上げましたが、あとわずかで期限が切れるわけですけれども、速やかなる法の総合的な改正に向けて取り組んでもらうという附帯決議がなされておるわけです。労働省自身が一九七七年に調査いたしました「全国の部落の労働実態」を見ても、たとえて言えば雇用形態において臨時工や日雇いの割合は全国平均は六・九%だけれども部落出身者は一五・二%、いわゆる日々雇い雇用とか臨時工が多いということです。あるいは百人以上の規模の企業に就職している者の割合は、部落出身者は一五・一%、全国平均は四〇・二%。全国のほかの地域では四〇・二%まで百人以上の企業に就職できておるのに、部落の人は一五・一%しか就職できていない。職種における事務的関係の仕事についている率を見ますと、部落が八・五%で全国平均は一五・四%。こういう数字を拾ってみただけでも、いわゆる部落大衆がいかに就職の場で差別をされておるかということが明らかだと思うわけです。だから、先ほど大臣は根絶しますと言っていただきましたけれども、これが根絶できなかったときには特別措置法の強化改正あるいは、それにかわる法律の制定ということは、当然その時点になると必要になってくると思うわけです。その点について、もう一度、大臣の御見解をお聞きいたしたいと思うわけです。
○藤尾国務大臣 ひとつ私にやらせていただけませんか。その結果をごらんになられて、いまの御質問をもう一遍ちょうだいいたしたい、かように思います。
○川本委員 それでは続きまして、私はまだ半時間、時間がありますので、労災保険法の問題についてお聞きをいたしたいと思うわけです。 労災保険法の問題につきましては、山林労働者の白ろう病と言われる振動病の患者の問題についてでありますが、労働省にお聞きしたいのですけれども、いま治療継続中といいますか、振動病の認定患者の数は一体どうなっていますか。全国で何名おりますか。その中で、いわゆる寒冷な仕事に暴露するような作業はいけないとかいうような、いろいろな条件をつけながら、軽労働はしてよろしい、そういう条件つきで通院治療しておる患者の数はどのくらいおりますか。
○倉橋政府委員 まず療養継続中の振動障害者の方々でございますが、五十五年三月におきまして四千九百四十九名でございます。なお、年度ごとに新規に認定された方は、昭和五十三年度におきまして千四百三十一名、五十四年度におきまして千八十二人でございます。なお現在、療養者の中で通院している方につきましては四千七百二十七名でございます。
○川本委員 そこで、いわゆる通院治療中の振動病患者の軽労働という問題については、さきの通常国会でも何度か質問が繰り返されて、その都度、労働省や林野庁が早急に対策を検討するという約束をされておるわけです。その対策はできていますか。林野庁と、さらに労働省の職安局の方から、ひとつ御答弁をいただきたい。
○安橋説明員 振動障害対策につきましては、従来から林業労務改善促進事業というようなことで実施してまいっているわけでございますが、五十五年度から新たに振動障害対策巡回指導事業というものを発足させたわけでございます。これは林業の振動機械使用者の多い市町村におきまして振動障害巡回指導員を委嘱いたしまして、この指導員が振動障害の予防その他、振動障害につきましての万般の相談に乗るということでございまして、いま御指摘の軽労働可となった者に対しましての就業相談につきましても、この巡回指導員が相談に応ずるということで、この指導員が市町村段階の事業実施検討会におきまして、受けた相談を森林組合なり市町村当局なり、あるいは地域の林業事業体などに伝えるというようなことによりまして、就労問題解決の一助になろうかと考えているわけでございます。
○関(英)政府委員 私どもには、軽労働可能となった者の雇用の面についてのお尋ねだと思いますが、職業安定機関といたしましては、林野庁あるいは労働基準監督機関等と連携をとって、できる限り求職者の方の希望に応じた雇用の場をあっせんしたいと思いますが、そのような人たちは、まだ、ときどき通院することが必要でございますし、したがって雇用の場のたくさんあるような地域に移ってというようなことも、なかなかむずかしゅうございます。そうなりますと結局、山林関係の事業主の団体等のお力で林業関係の仕事の場をできるだけ生み出していくというようなことが望ましいので、関係者への働きかけを初め、就労の場の確保に今後とも鋭意努力していきたいと思っております。
○川本委員 いま私のところへ北海道の方二人から手紙が来ておるわけです。一人の方は、名前はわかっておりますけれども仮にA子さんということにして、これは北見市内の方ですけれども、五十一年の秋ごろから手のしびれ、頭痛等で体調が悪く、定期健診の結果、五十二年一月二十三日に帯広監督署から振動障害者、患者として認定された。そして最初は連日、通院治療をしておったのですけれども、その後、北見市内の病院へ転院して治療を継続してまいったわけですが、ことしの七月に入って、お医者さんから、監督署もうるさいし、症状もよくなってきておるので軽い仕事についたらどうですかということを言われた。そして、その直後の七月十九日に帯広の監督署から自宅に電話があって、軽い労働につきなさい、北見職安に連絡してあるから行きなさいという指示を受けた。そこで七月二十二日に北見職安の高齢者障害者等特別指導員という方のところへ行っていろいろ話をしました。振動障害の患者ですから週二回通院しなきゃいかぬ、症状が天候等で悪化したときは治療しなければいけません、こういうことですから、それを条件として、ひとつ仕事を世話してほしいということをお話しした。ところが七月二十五日から二十八日まで何遍も職安と話し合いをしましたが、八月五日になって職安から呼び出しがあって治療の条件、職場環境等について話し合いをしたが、その中で特別指導員から、あなたの条件に適合する仕事は当面ありませんから、治療して完全に治してから、いま一回、相談に来てください、こう言われたというわけです。 もう一人は、これも氏名はわかっていますが、B男さんとしておきましょう。この方は留辺蘂町の人で、民間の造材や製材業者のそま夫、集材人夫として働いてきた方ですけれども、五十一年の健診で振動障害と診断され、五十一年五月九日に北見労働基準監督署で振動病患者に認定されたわけです。その後留辺蘂町の病院で全休で連日、通院治療してきましたが、ことしの三月の初めに、お医者さんから父親を通じて——この人は三十一歳です、だから若いのです。父親を通じて、若いので仕事を探してはと言ってきたそうです。お医者さんから親に言ってきた。また本人に対してもレイノー現象がほとんどなくなったから仕事を探してはどうですかと、こう言われた。そこで、この人は五月ごろから就労する気持ちで、認定前に、病気になる前に勤めておった製材業者のところへ行って働かせてくれということを頼んだところが、その事業主は、全治をしたというお医者さんの診断書を持ってきなさい、それなら働いてもらうけれども、お医者さんにかかっておる、そんな患者を使うような仕事はないというて断られたそうです。また、四月の中ごろに森林組合を訪問して、そして何とか森林組合で仕事をさしてくれぬかと頼んだところが、これも全治したという診断書を持ってこないことには仕事をさせられない、振動障害患者には就労させることはできません、こうはっきり言ったそうです。そうなると、もう行くところがないわけです。そこで今度はお医者さんのところへ行って、全治の診断書を書いてくれ、こう言っていったそうです。そうしたらお医者さんは、あなたはまだ全治してないのだから全治の診断書は出せません。それだったら就労はできないんや、仕事ができないんやということを話したら、一遍、労働基準局と相談してみるとお医者さんは言われたそうですけれども、そのままです。 そこで私がずっと調べてみますと、これはいろいろな問題があるわけです。宮崎県の西都市という町では、お医者さんの富田次雄さんという方が「振動病患者の就労について」と、自分の治療しておる患者十人に対して、ちゃんと文書を渡しておるのです。「振動病は、はなはだしく経過の長い疾病でありますので、ある程度症状の改善をみた患者については好条件の職場であれば、徐々に軽作業を許可又は、すすめることがありますが、好条件の職業とは、寒冷の職場でないこと、雨にぬれないこと、騒音のないこと、強い筋肉の緊張を長くかけないこと、等であります。もちろん振動工具の使用は禁物です。」そういうことで軽労働を探してください、こういうふうに十人の患者にお医者さんから、いわゆる指示書というのが渡された。 そこで、ここの労働組合の人たちが、就労させなければいけないということで県の林政課に相談に行ったところが、初めてのことですので、そういう体制はありません。職業安定所へ行ったところが、振動病で治療中の者に就職あっせんすることはできません、治療中の者は法的に雇用契約関係があることになっておるので、そのような者に就職あっせんすることは行政上問題がある。月に二日か四日就職あっせんしてくれと言われても、雇ってくれるような理解のある事業場はおまへん、こう言った。農林事務所へ行ったところが、私のところは振動病問題については無関心ではないが、策もなければ体制もない、こういうことで断られた。県の職安課へ行っても、雇用契約のある者の就職あっせんをすることは行政上問題がある、こういう言い方で断られておるわけです。これは大変な問題だと思うのです。 労働大臣、昭和三十六、七年だったと思いますが、当時の農林大臣だった河野一郎さんが奈良県の吉野郡十津川村というところへ行った。そのとき河野さんが村の人たちを集めて、どういうことを言ったかといいますと、私は農林大臣をしておるけれども日本の農村にこんなところがあるとは知らなかった。鎮守の森があって田や畑があって部落があって川が流れているのが日本の農村だと思っておったけれども、ここへ来てみたら山と川だけしかないじゃないか。山と川だけしかないところに道一本ついておるだけじゃないか。そんなところが日本の農村にあるということを農林大臣の私は知らなかったんや。言いかえれば、あなた方は——その当時は沖繩は返還になっていなかったのですが、沖繩の人間と同じだ。あなた方、勝手に日本人だと思っておるだけで、担当の農林大臣が、こんなところに人間が住んでおるということを知らぬのやから、あんた税金払っとっても、わしらはあんたのための行政は全然やっとらぬ。これは、きょうはいい勉強になりました、こういう話をされた。 山村というのは山と川と道だけしかないのですよ。そんなところにしかチェーンソー使うて振動病になるような、いわゆる山林労働者はいないわけです。だから軽作業と言われても、山に行って働くか、それ以外は仕事ないわけです。山仕事しなかったら、ほかに何にも仕事がないわけです。そういう実情がわかっていながら、通院で軽作業をしなさい。月に四日分の休業補償しか出さぬで、そしてあとは仕事ができない、仕事がないということを知りながら、そういう患者をほうり出しておるのが労災保険の現状ですよ。 ことしの二月に、これも奈良県吉野郡大塔村の方ですけれども、山林労働者の方が私のところにお見えになって、実は川本さん、ことし、うちの息子が高等学校へ入学しますねん、ところが上にもう一人、高校二年の女の子がおります。家から高校へ通学できませんからね、下宿して寮へ入れて行かねばならぬぐらいの山村ですから、その二人を寮に入れて高校卒業させようと思ったら一カ月最低十一万円、一人五万五千円なければ高等学校へもやれませんねん。ところが自分の体は自分が一番ようわかっています、お医者さんに診てもらわぬでも自分の体が白ろう病、振動病にかかっておるということぐらいは私はわかっております、この手を見てくださいと手を見せるわけです。しかし私は振動病の健診は受けませんねん、振動病の健診を受けて振動病患者やとなったら仕事はできない。通院で治療せいと言われて結局は収入が減ってしもうて子供に高等学校を退学させねばいかぬ。だから私は、この下の子供が高校を卒業して就職するまでは断じて振動病の健診は受けぬつもりですねん、こう言われた。病気が悪くなれば自分の命がなくなりますよ。いままでに全国で六人も七人も自殺しておる人がおるわけです。亡くなった人はおるけれども治った人はないわけです。そういう悲惨な振動病の実態を知りながら、自分の子供を育てるために、高校を卒業させるために、あるいはお嫁にやらねばいかぬ娘、そういう子供のために親は自分の命の切り売りをして、振動病患者は山で働いておる現状じゃないですか。 そういう状態を知りながら労働省はいままで何をしてきたのか。いま山林労働者は、この恐ろしい振動病という職業病と闘いながら苦労しておると私たちは思うわけです。振動病の患者であるけれども労働に従事しなさい。山の中で、山村には軽労働みたいなものはないわけですよ。そして先ほど来言うような、お医者さんの言う条件に適合するような仕事は山村にはない。だれも仕事をさせてくれないのですから、最後には、また隠れて山へ行ってチェーンソーを使うて働いて収入を得る以外にない、生活保護も適用してくれないのですから。そうなれば、治療を一方でしておっても、一方でチェーンソーを使っておったら、病気はいつまでたっても治りませんよ。いま、そういう大きな問題を抱えておると私は思うわけです。 労働基準法の第十九条では、いわゆる業務上負傷または疾病にかかって療養中の者を解雇してはならぬという規定がありますけれども、山林労働者とか、その他の日々雇用、日雇いの労働者は、大体日雇いですから、解雇の制限がしてあるから大丈夫だと思うても、そんなもの、そこと縁が切れておるわけですから、軽作業に従事させなさいと言ったって受けてくれる事業主がないわけですよ。こういう現実を労働省はどのように理解をしておるのか。そういう労働者はどの法律で守っておるのですか。労働基準法の十九条でも守れない、そういう労働者いわゆる療養中の患者である労働者の生活を保障する法律は、いまどこにあるのですか。労働基準局長から答弁をしてください。
○吉本(実)政府委員 先ほど来の先生の御質問でございますが、主治医といろいろな相談をして、個々の症状に応じまして一般的な労働が可能と判断される者については、就労先がないということで、通院する日以外の日まで休業補償給付を支給できないということは先生御承知のとおりでございます。そしてまた、医学的に見て一般的に労働可能と判断された振動障害認定患者の症状は、先ほど来のお話のように週一、二回の治療を受けるということでございまして、振動業務なり重筋労働以外の業務であれば、通常の労働に従事することは可能な状態にあるというふうに判断されておるわけでございます。 そこで、ただいま先生の御指摘のように、軽快者の就労の場が山林地区については、なかなかないではないかということでございますが、私どもは職業安定機関はもちろん、林野庁当局ともいろいろと協議をしながら、市町村の協力も得て、何とか就労の場を守るような形で対処していこうという基本的な考え方で臨んでいるわけでございます。
○川本委員 私はもう時間がありませんので、はしょりますけれども、これは労働基準法制定当時に、こういう日々雇い入れ、あるいは山林労働者が振動病というふうな病気で長い間治療せなければいかぬ、その間に軽労働、通院治療の問題が出てくるということを想定していなかった、法の一つの盲点ではないかと思うわけですよ。 さらに労災保険が保険財政だけにこだわって、保険財政を中心に考えて、自分のところが振動病患者だと認定しておきながら、それに対して生活保障しない。通院治療で休業補償を打ち切ってしまう。そのために、また山へ行ってチェーンソーなり刈り払い機を使って働かなければ仕方がない。安定局やあるいは安定所や林野庁の方では幾ら言ったって、それはあくまでも指導であって、現実には、はっきり雇用を保障してくれる場が何もなければ、法律も何もないわけです。 こういうような悲惨な実態というものを私たちははっきりと見きわめていかなければいかぬ。人の命の方が大事なのか、それとも金の方が大事なのか、この問題ですね。労働大臣どうですか、この山林労働者の振動病患者の命と労災保険の財政と、どちらが大事だと思いますか。
○藤尾国務大臣 これは言うまでもない話でございまして、人の生命にまさる重さのものはないわけでございます。銭、金の問題ではございません。生命を守るというところに焦点がいかなければならない、当然のことだと思います。
○川本委員 ありがとうございます。大臣の明快な答弁を聞かせていただいて、私はすっと安心をしたわけですが、そこで私は、いま関係省庁間で、そういう人たちの仕事の場をつくるために、いろいろ努力しておるというお話を聞いておりますけれども、これはまだまだ始まったばかりで、これからですが一年も二年もかかるのじゃないか。その間、振動病の通院治療中の患者については、やはり労災保険で所得の保障全給ということで、毎日治療するという形で休業補償も渡して生活を保障しながら、チェーンソーを使わせないということで早急に治療できるような措置を講ずる必要があると私は思うのですが、その点、大臣、明快な答弁をいただきたいと思うのです。
○藤尾国務大臣 私は法律だとか病気だとかいうことに対して知識は余りございませんので、私の方針に従わせて検討させますから、どうぞひとつ、さように御承知おきを願います。
○川本委員 大体時間も迫ったようですので、これをもって私の質問を終わりたいと思います。
○山下委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○今井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 まず最初に労働白書の問題を中心に、特に「五十四年度労働経済の分析」が出ておるわけでございますが、その点について質問をしたいと思います。 この白書の中身をずっと読んでいきましても、昨年の一つの労働経済の特徴としては、長い調整期を経て雇用の面でも改善の方向が出ておるということが触れられております。私もそのとおりだと思います。ただ問題は、その分析というのですか内容、視点の置き方ということについて、私は若干の意見があるわけであります。 雇用の増加の面で、本質的には日本の経済ということを考えれば、二次産業の製造業で、もう少し雇用の面が拡大をすればいいと私は思うのでありますけれども、実は五十年から五十三年までの数字を見ると年間わずか〇・五%の増加率にすぎません。しかし第三次産業における就業者の方は、同じ年代で全体の六・四の伸び率の中の大半の五・八という占め率があるわけであります。こういう傾向が、将来ずっとこのまま伸びていくとするならば、わが国の経済の条件というものと、果たして、それが並行するものであるかどうかという点についての若干の疑念があるわけでありますし、さらに内部を見てまいりますと、いわゆる常用労働者というか正規の従業員ではなくて、非常に下請労働者的な面での雇用というものが伸びつつある。あるいは第三次産業の場合だと明らかにパートというような面が増加をして、正規の社員というものの増加率が同じ第三次産業の中でも少ないという面が見受けられます。ところが「労働経済の分析」等においては、そのような点に視点を置かれてはいないと見るわけであります。 さらにまた、いわゆる労働組合法あるいは労働基準法というもので労働者が保護をされておるわけでありますけれども、その法律の対象外である、いわゆる不安定就労というのですか不完全就労というような、先ほど触れた下請化の傾向というものを、もう少し大きなウエートで労働経済の分析をする必要がある、こう私は思うわけであります。 さらにまた、一般的には製造業で雇用の伸び率が少ないという一つの特徴で、私はいま下請化という問題も触れたわけでありますけれども、そのほかに、たとえばセールスマンだとかエージェントというのですか代理店だとか、あるいは一人親方だとか、そういう面での第二労働市場というのですか、私かねがね主張しておるわけでございますけれども、第二労働市場的な面も非常に多くなってきておるわけでありますので、そういう点についても「労働経済の分析」で、日本の高度成長を支える少し裏の面として、ぜひ重点を置くべきではないかと私は思います。 そこで、きょうはひとつ、そういうような前提に立ちまして、最近、非常に急速に増加をしておる海外労働者の問題について触れてみたいと思うのです。特に中近東で最近、大型プラントの建設が非常にたくさん行われておりまして、その内容も多岐にわたっておりまして、建設労働者あるいは電気工事、電気配線の労働者あるいは鉄工、さまざまなものがあるわけでございます。従来は海外労働者といえば代理店とか営業所とかセールスマンが多かったわけですが、いわゆるブルーカラーの人たちが現実に来ておりまして、イラン・イラク紛争等で非常に急激に、この問題が浮かび上がってきておりますし、アルジェリアの地震等でも、かなり海外労働者の犠牲が出ておるわけです。 そこで海外労働者の統計なり集計なり管轄というものを、どこがやっておるのかということからお伺いしたいのですが、まず外務省は海外労働者の定義あるいは把握をどのようにしておられますか。
○大村説明員 お答えいたします。 外務省は実は毎年十月に在留邦人の数を調べておりますが、この目的は在留邦人保護の観点からでございまして、実は労働者数というような形での調査は行っておりません。 御参考までに、五十四年十月現在で長期滞在者の数は十八万人に達しております。
○草川委員 いわゆる海外労働者としての調査は、領事業務ですから限界があると思うのですが、つかんでいないというお話でございます。 では通産省の方に、産業という面から、どういう形で海外労働者を把握しておられるか、お伺いします。
○新説明員 私どもといたしましては経済協力という観点から、たとえば基金出資という形で政府が支援をいたすようなプロジェクトに関しては、常に推進主体である民間の御協力を得て報告をいただいたりして把握をしておるという状況でございます。
○草川委員 では同じく建設労働者として、建設省はどういうように把握されておられますか。
○三谷説明員 お答えいたします。 海外の建設工事に従事しております日本人関係者の数は、ことしの三月末現在で約七千人、主として中近東、東南アジアが中心であります。その後、工事の進捗状況によりまして若干の変動があるかと思われますが、特に最近のイラン・イラク紛争においてイラクから日本人関係者が多数引き揚げているというところでございます。
○草川委員 いま三省の方々に、それぞれの所管でお伺いしたわけでございますけれども、私いろいろと調べておるところでは、明確な労働者の把握というのは、建設省が民間の協会を通じて把握をしておられるにすぎません。 そこで基本的に労働省にお伺いをしますが、海外労働をどのように把握されておみえになりますか。
○吉本(実)政府委員 労働問題が国際的な広がりを見せている現在でございますが、労働省自身としましては全体的に把握しているところは、いまのところ、ございません。
○草川委員 そうすると、いま労働省としても全体的な海外労働者の把握はできていない。いま数字でわかったのは建設省関係の七千人だけです。七千人程度の海外労働者であるかどうか私は疑問に思うのです。 そこで労働省に伺いますが、海外における労働者の災害は一体どのようにめんどうを見るのかという問題が出てくるわけです。国内においては労災保険があるわけですし、海外の場合には特例の加入制度というのがあるわけです。ここで海外労働者が一体どれだけあるのかということを若干調べてまいりますと、一万五千五百八十二人というのが、五十四年度の海外派遣者でいわゆる特別加入申請書に基づいて労災保険に加入しておる、こういう数字があるのですが、この点については間違いないのですか。
○吉本(実)政府委員 ただいま先生御指摘のように、労災保険法で海外で働く日本人労働者について保護されておりますのは、海外出張中の業務上災害をこうむった場合だけでございます。そこで先生がただいま御指摘のように、日本国内の事業場が行う事業目的のために外国で事業に従事している労働者であっても、その保護が及ばないということで、実際に海外で仕事をしていて災害をこうむった場合、派遣先国の補償制度の不備で、日本国内と比較すると、その程度の十分な保護が受けられないというようなことが出てまいりましたので、五十二年の労災法改正によりまして、ただいま御指摘の特別加入制度というのを特に新設をいたしたわけでございます。五十二年度につきましては海外派遣者が一万三百四十九人、五十三年度が一万二千五百七十四人、五十四年度がただいま御指摘の一万五千五百八十二人でございます。
○草川委員 ですから、いまおっしゃられたように海外労働者は労災保険に入っているだけで一万五千五百八十二人です、特例で入っているのが。これは決して無視できない労働者の実態だと思うのですが、どうして、この労働経済白書にこの問題が触れられていないのですか、御質問します。
○松井(達)政府委員 労働経済白書と申しますか通称労働白書と言われておりますが、これは雇用とか賃金とか労使関係とか、いわば労働経済をマクロ的に見まして、その変化とか問題点を分析するというようなことでもってつくっておりますので、いま先生が申されましたような点につきましては、実は私どもとしましては現在の「労働経済の分析」という観点から見て、なじみにくいのではなかろうかというふうに思っております。
○草川委員 労働経済をどのように分析するのかというのは、いわゆる経済だけの問題ではなくて、日本の労働者全体の位置づけというものがまず前提に出てきて、そして、それがどう稼働するかということによって日本の経済にかくかく、しかじかと答えてくるわけでしょう。海外労働というのは大型のプロジェクトを現実に向こうでやるわけですから、日本経済にとっても労働経済にとっても、なじみのないというものじゃない、私はきわめて重要な問題だと思うのですが、今後、労働白書に海外労働については触れられませんか。あるいは海外労働については、いま労働省に「海外労働経済月報」というのがある、あるいは「労働統計調査月報」というのもある。しかし、この中にも海外労働者の姿、数字は少しも出ていない。これはどうでしょう。
○松井(達)政府委員 労働経済白書につきましては、ただいま私が申し上げたような性格のものだと思っております。先生のように広い立場からの御理解ということは重要なポイントだと思いますが、いままで取り扱ってきました観点としましては、国内労働経済というものを中心に取り扱ってまいっておったわけでございます。 それから、先生がいまお引きになりました「海外労働情勢」「労働統計調査月報」この点につきましては、私、申し上げるのは恐縮でございますが、統計調査部の方で編集の方針をつくっていらっしゃるというふうに思うのでございますが、「海外労働情勢」につきましては、先生も御存じのとおり海外諸国の労働経済の動向というものを中心に編集されてきておったのではなかろうかというふうに存じております。
○草川委員 全然答弁になってないと思うのです。私は、現実に二万人近い日本の労働者が海外で仕事をしておるのだから、それを少なくとも労働省はもっとつかんで、しかじか、かくかくのことをおやりなさいということを主張申し上げておるわけです。ですから、この点は海外労働の問題について、もう少し、これは後で大臣から、ぜひ答弁をいただきたいのですけれども、労働省として積極的な取り組みをすべきだと思うのです。 それで、もう一つ言いますが、アルジェリアで積水化学の方々等が地震で亡くなられておるでしょう。こういう方々は一体労災の関係はどうなっているのですか。
○吉本(実)政府委員 一般に地震等、天災地変の場合におきまして、労働者であるか否かを問わず地域民として被災するということでございますので、業務上災害であると言うことはできないのが原則でございます。しかしながら天災地変により被災した場合でも、業務の内容を中心にしまして、当該の地域の条件あるいは被災時の状況等によりまして業務に関連して被災したものと認められるものもあろうところでございます。 なお、アルジェリアのただいまの地震については、まだ詳細には不明でございますけれども、関係機関と連絡をとりまして調査の上で判断してまいりたいと思っております。
○草川委員 日本の国内なら、出張中は出てから帰るまでの間の事故があれば労災ですね。海外の場合は、天変地変であろうと、そういうことが予期できないわけですから、出て帰るまでは、国内で労災法が適用されておるならば当然、適用すべきだと私は思うし、あるいは特例納付という手続を経て労働者がみずから払った場合も適用すべきだと思うのです。しかし、これはいま個々のケースだとおっしゃる。しかし、これは新聞等でも出ておるわけですが大変なことですね、個々のケースによっては労災の適用外だという面もあるわけですから。これは私は、日本の国の方針で、好き勝手に海外旅行をしておるわけではなくて、外国で仕事をするわけですから、そういう労働者の立場に立つ行政というのを、もう少し真剣に考えていただきたいと思うのです。 それから労災保険の特例納付は、使用者側が払うのではなくて現地で仕事をする労働者が任意で加入するというところに問題があるわけですよ。労災保険というのは使用者側が払うものでしょう。どうして海外労働者だけは自分が払うのですか。そこの点の見解を教えてください。
○吉本(実)政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほど申しましたように、いわゆる特別加入制度という形で、特に、その点についての御要請があって保護したわけでございますから、内部原則の例外という形でつくられておるということであります。
○草川委員 局長は、ぼくの言っていることが全然わかっておみえにならぬですよ。だって好き勝手に外国へ遊びに行っているわけではないのですよ。会社の命令で仕事に行くわけですよ。現実に仕事をやっているわけです。そしてIJPCのように七百五十人が行っているわけでしょう。それぞれ下請の人もありますし、元請の人もありますから、全部が全部、国内で労災保険に入って、それの延長、海外出張ということでやっておるかどうかわかりませんけれども、私は、これから非常に多岐にわたる仕事がふえると思うのです。日本の中で下請、零細、一人親方がたくさんいるのですから、そういう形態のままIJPCへ行っているわけです。私つい最近、行ってきたからよく知っているのです。イラン石油化学に、イランに紛争前に約五日間行っておりましたから、現地の方々、コントラクターの方々によく話をしてきましたから、それだけに、これは大変だと思っておるわけですよ。 海外労働というのは、まだ文部省管轄の協力隊等もたくさんありますが、この労災保険という面については、やはり使用者側が払う。そして海外の労働者は労働省がしっかりと統計上で義務づけする、そしていつでも対応ができる、こういうことをやらないと、イランの場合でも日本に早く帰りたいという方はずいぶんお見えになりますけれども、いま、これは労働省は全然ノータッチでしょう。私は、現地で仕事をやってみえる方々が早く帰りたいという希望があるならば、少なくとも労働省として、日本にお見えになるところの大使に話をするとか、あるいは外務省に、現地で働いておる海外労働者の安全についてはどうなんだというようなアクションを起こしたってあたりまえでしょう、これは。大臣、どういうような御見解でございますか。
○藤尾国務大臣 御案内のとおり海外におきます日本人の生命あるいは身体の保護、これは一括いたしまして政府を代表いたしまして外務省が管轄をいたしておるわけでございます。でございますから、この問題につきましては、それが労働問題に関係をいたしましょうと、あるいは、ほかの省の方々と関係がございましょうと、一括をいたしまして、それは政府といたしまして外務省が全責任を持ってやるべきである、私はかように考えます。その外務省に対しまして、私どもがどのような影響力を行使するかという問題は、また別個の問題だ、かように考えます。
○草川委員 その別個の問題だということについての大臣の御見解はどうですか。
○藤尾国務大臣 そのような事態がございましたならば、早速、私から外務省に厳重に申しつけておきます。
○草川委員 では具体的なことを言います。 IJPCの場合、これはもうすでに新聞に出ておりますし、外務大臣としてのアクションがありますが、現実に七百五十人のIJPCの日本人の方おみえになりますね。この方々は早期に帰りたいという希望を持ってみえるわけですが、労働大臣としてはどうお考えになられますか。
○藤尾国務大臣 日本の政府といたしまして、外務省あるいは通産省から、早急に帰国させてほしいという意思を相手国に伝達をいたしておるはずでございます。でございますから、その伝達が聞かれるか聞かれないかということは相手国の判断でございますけれども、その相手国の判断が私どもの希望に合致いたしますまで、私どもは要求し続けなければならぬ、かように考えております。
○草川委員 いまの大臣の答弁は、海外の労働者の安全という立場について政府一体として取り組むけれども、労働大臣としても十分関心を持つ、こういうように理解していいわけですね。(藤尾国務大臣「結構でございます」と呼ぶ)では、そういうような姿勢で、ぜひ海外労働者の件についても関心を払っていただきたい。 同時に、私が繰り返し申し上げますように、海外労働者の労災加入は労働者自身が払わなければいかぬことになっているのです、特例加入。これはどうしても筋が通らぬことなんです。現実には使用者側が立てかえて払っている場合が多いと思うのです。しかし法律的には労働者個人が払わなければいかぬことになっている。それはおかしいと思うのですが、その点についてはどう考えられますか。
○藤尾国務大臣 この問題は技術的な問題でございます。法の問題でございますので、私が感じで申し上げるよりは、専門的な、その法の運用を図っております事務当局から答弁をいたさせます。
○吉本(実)政府委員 ただいま先生が、いわゆる海外派遣の場合は労働者の負担だということをおっしゃいましたが、この制度としましては、やはり派遣元の事業主が保険料を支払うということでございまして、ただ、それを一括してやるかどうかという点につきましては、現在の制度としては、それぞれの事業主から支払っていただくということになっております。
○草川委員 だから、ぜひ私は、これから海外の労働者については事業主負担で払うように強く指導をしていただきたい。そして、これからふえると思いますから、ぜひ明確な実態把握をしていただきたいと思うわけです。私がいま、このように問題を取り上げましたのは、従来は海外労働なんというのは予想しなかったと思うのです、こんなにふえるということを。だから、いろいろな手抜かりというのですか、そういう問題が出てきたと思うのです。 私がいまから申し上げたいのも、たとえば労働者といえば何々株式会社、何々という役所あるいは、それなりの雇用関係が明確になっておるものを主として労働者だと言う常識があったわけです。しかし私がいまから申し上げるのは特例の世界かもわかりませんけれども、たとえばスポーツの選手だとか、あるいは芸能界だとか、あるいは私がこれから取り上げようとする相撲の力士なんかも、一体、芸人なのか、あるいは労働者なのか、あるいは雇用関係はどうなっておるのか、非常に封建的なまま放置してある、私なりに言うならば一つの職場があるわけですよ。一体そういう職場の問題点というものはどうなっておるのかということを、私いま具体的な例を取り上げて申し上げてみたいと思うのです。 たまたま私のところに幕下というのですか、序二段というのですか三段目というのですか、いままで余り触れられていなかった力士の方が、廃業に伴って相撲協会からは正規の退職金なりせんべつ金が出るのだけれども、わずか、これだけしかないというお話がありました。ところが私が調べてみると、その人の資格状況からいいますと、幕下経験等で言うと退職金は少なくとも五万円以上払わなければいけないということになっているのですが、本人は三万円しかもらっていない。それからBというケースも、三段目の方ですが、退職金が三万円以上支払われるべきなんだけれども、それを受け取っていないという話が出ました。 これが本来の労働者ならば完全に中間搾取だということになるのですけれども、それが中間搾取になるか、ならぬのかということが出まして、相撲協会の方といろいろ調べてまいりますと、実は昭和三十二年のときに国会の予算委員会あるいは文教委員会等で封建的な従来の徒弟制度も改善するとか、あるいは部屋制度、茶屋制度を抜本的にとにかく改革をしたいということが出まして、昭和三十二年のときには力士は健康保険に全部入ったのですね。その健康保険も日本相撲協会の組合健保に入っておるのです。それから失業保険にも入っているのですよ、いまの雇用保険ですが。それから厚生年金にも入っているのですよ。まあ近代化したわけですね。非常によくなったと思っておったわけでございますけれども、どうしたことか三十三年の十二月八日に、厚生年金なんかは、もうやめちゃっているのですね。それから失業保険もやめておるわけです。 きょう文部省の方に来ていただいておるのですが、相撲協会は御存じのとおり財団法人相撲協会です、公益法人です。ですから文部省の管轄になるわけですが、三十二年のときに国会で大変な騒ぎがあったわけでございます。そういう改善案が途中で、しり切れトンボになっておるのですが、これは文部省に相談をされておるのかどうかお伺いします。
○戸村説明員 ただいま先生のお話がございましたように、三十二年の六月から厚生年金保険及び失業者保険に加入しておった。それが受給資格の諸条件を満たす被保険者が僅少であったとか、あるいは被保険者のほぼ全員が保険からの脱退を希望したというようなことなどがあったということでございまして、お話のとおりに三十三年の十二月八日で加入取りやめということに聞いております。ただこの際、文部省には相談がなかったというふうに聞いております。
○草川委員 やはり全然相談がなかったというわけですから、これは、きょうは協会の方に聞く会ではございませんけれども、一般の労働者なら自分たちの失業保険が一方的に相談なく取り消されたり、あるいはまた厚生年金というのは、国民皆保険ですし非常に重要な問題なんですが、そういうものも、いわゆる使用者側によってなくなるというのはあり得ない話なんです。 力士というものの使用者側、俗に言う、労働者でいうところの雇用主というのは協会になるのですか、それとも部屋になるのですか、その点ちょっと文部省の方にお伺いします。
○戸村説明員 ただいま前相撲から横綱まで、すべて協会所属というように承知しております。
○草川委員 そうすると使用者は協会ということになりますね。また事実この三十二年のときに月給制になったわけですから、力士はそれぞれの給料というのが出ておるわけですが、廃業したい、やめたいとか、あるいは自分でほかの部屋にかわる、プロ野球で言うならば球団をかわるとか、労働者だったらAという会社からBという会社にかわりたいというのは自由ですが、相撲の場合は師匠が了解をしない限り廃業できない。まして、この前トンガの力士の例があったのですが、部屋をかわるということは、もうその職業につけないということで、やめて帰らなければいかぬという。こういうことですが、これは労働省にお伺いをするのですが、一体どういうように理解をしたらいいのですか、職業選択の自由はなくてもいいわけですか。
○吉本(実)政府委員 ただいまのように、力士は日本相撲協会に所属をしておりまして、その廃業につきましては、その力士本人と、その親方が連署して協会に廃業届を提出して、その許可を受けるということになっておると聞いております。それからまた、従来からのしきたりでもって部屋がえについては、できないことになっておる、こういう御指摘でございます。このような制度なり、しきたりというものは相撲社会独特のものでございますので、憲法上の問題も含めまして、その当否については、やはり相撲社会なり、あるいは相撲競技の特殊性、こういったようなものとの関連の中で考えていくべきものではないか。したがって御指摘の点につきましては、いわゆる公序良俗の観点からいかがかというような判断になろうかと存じます。
○草川委員 やはり労働省の見解の方が私は正しいと思いますし、そして、いろいろな歴史もあるとは思いますけれども疑問があると思うのです。しかし、これも昔からそういう世界だから、いいじゃないかということだったのですが、三十二年のときに改革をしようじゃないかというので、この茶屋制度だとか、それから入場券の販売だとか、いろいろな問題があったわけでございますけれども、この相撲の世界というものは、いわゆる興行という面も一つはあるわけでありますけれども、何せ国技というものが表に出てきて、そして国の方も公益法人として協会というものを認めて、いまの話ではないけれども、そこが使用主になる。だとすれば、もう少し今日的な近代化があってもいいではないか。 しかも私が、きょう、ここで取り上げさせていただいた最大の問題は、力士の退職金が非常に安いので、退職金を引き上げるために来年の初場所から入場料を上げるというのです。いま民間企業で現場の労働者なり労働組合の方から声が出たので退職金を上げる、上げなければいかぬ。だから売り値をひとつ上げましょうということが簡単に通るわけではないのです。しかし、こういうものが簡単に通るところに私は問題があるような気がしてなりません。しかも相撲協会の決算報告なんかを見ておりますと、五十三年度の剰余金は約十六億円もあるわけです。こういうことが非常に安易に行われていくわけでございますが、こういうことは一々所管の省には連絡があるわけですか、どうですか。
○戸村説明員 ただいま先生の入場料値上げの問題ということでございますが、私どもの方には相談は一切ございません。
○草川委員 財団に対して日本の国のお金が出ていませんから、それはそういう運営があってもいいと思うのですけれども、私ども労働省と、こういうところでいろいろなお話をしておりますと、退職金を引き上げるために入場料を上げるということを、いま申し上げましたが、そういうことは全く考えてもつかぬことなんです。ところが一方では、そういうものが行われているということも、これは、ここの委員会で論議すべきことではないかもしれませんけれども、私どもは非常に強い不満があります。 そして私も三十二年から三十三年の当時の改革案なんかを見ていますと、茶屋制度だとか入場券のことについても、ずいぶん問題になっておりまして、入場券なんかもオープンにするという話があったので、当時も何か四割とか六割、いろいろな割り振りがありまして、一般のプレーガイドでも売れるというようなことが言われておったようでございますが、プレーガイドなんかを調べてまいりますと、当日売りの割り当てというのは非常に少なくて、東京でも有名なプレーガイドへ行きますと、八枚しか割り当てがないというようなことを言っておるのです。特別席の「特い」だとか「特ろ」というような、いいところが全然なくて、わずかの升席とかスタンドしかないというようなこともあるわけであります。しかもその中で、なくなったはずのかつての相撲茶屋というのが、名目的に株式会社相撲何とかという名前になっておるのですけれども、従来どおり茶屋を通じないと、いい席なんかはまず入らぬということが言われておるわけですが、その点について文部省は、三十二、三年のときに何回か、この問題については論議をされておるわけですが、どういうようになっておると思われるわけでございますか、詳しくわかれば数字等を挙げてお知らせ願いたいと思います。
○戸村説明員 現在、入場券につきましてはプレーガイドそれから当日、木戸にて扱われております入場券、これが全体の約五〇%、それから残りの五〇%が、ただいま先生おっしゃいました、いわゆる茶屋、現在これは相撲案内所という名称になっておるわけでございますが、そこにおいて扱われておるわけで、それが五〇%というふうに聞いておるわけでございます。ただ升席について申し上げますと、その七〇%が相撲案内所にて取り扱われている。しかし、この相撲案内所で取り扱われております升席は一部拠出して公開するというような形にしておるということも聞いております。ただ、お話のように三十二年の改革というようなこともございまして、ただいまのお話につきましては今後、協会の方に伝えてまいりたいというふうにも考えております。
○草川委員 一般の声もあるわけでありますし、やはり国会で約束したことは忠実に実施をされるように、昔のことは昔のこと、いまのことはいまのことではなくて、ぜひ、それは文部省にお願いを申し上げておきたいというように思うわけです。 それから私ども定年退職だとか、あるいは、ある程度の年齢になると引退をするわけでありますけれども、そういう引退をした方々の取り扱いというので、定年制延長だとか、あるいは再雇用だとか、いろいろなことを論議をしておるわけですが、こういうような特殊なことをやっておみえになる方々に対する老後保障というようなものは一体どうあるべきかということを、やはり同じように考えていかなければいかぬと思うのです。相撲協会というのは民法に基づいて公益法人として、公益事業というのが義務づけをされておるわけでありますけれども、一体、公益事業というのはやられておるのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○戸村説明員 ただいま協会では本場所の相撲を通しまして、わが国の古来からの競技である相撲の普及発展に努めておるわけでございますが、こういうような本場所以外の公益事業ということについて、小中学生を対象に夏休みに相撲部屋を開放するとか、あるいは各地のアマチュア相撲競技会へ指導員を派遣するとか、さらにアマチュアの相撲競技会へ援助をするとかというようなこと、また国技館を無償で貸与さす、あるいは相撲博物館を開放するとか、そういうような公益事業を実施しておるわけでございます。
○草川委員 公益事業として、いまの博物館の開放だとか、いろいろなことをやっておるのですが、本来ならば、いま申し上げたように引退した、リタイアした人たちが青少年の育成指導をする、そのために協会はもっと支援をするということだと思うのです。ところが、それがほとんどやられていないところに、今日この相撲協会の問題点があると思うのです。いま触れたように約束したことを実施をしていない。そして退職金の引き上げというような言い方をしておりますけれども、それを入場料に転嫁をする。私どもも会計士あたりに五十四年度の収支決算書について、どういうふうに見られますかと聞いてみると、積立預金の支出あるいは有価証券取得などの名目で、いろいろな資産隠しというのですか利益隠しがある。経費として十二億も支出されておるのだけれども、こういうものをもう少し取り崩して、力士が非常に苦労をして支えておるわけですから、そういう方々の老後生活のめんどうを見たらどうなんだろうというような問題もあるわけです。そういうことは監督官庁として、ぜひ厳重に取り上げていただきたいと思うわけです。 それから同時に、最近、週刊誌等で本場所の八百長問題などが取り上げられているけれども、普通の株式会社のプロだとかプロレスだとかいうようなものなら、そういうことがあっても私はあたりまえだと思うのですが、先ほど来、申し上げますように一定のルールがあるわけですから、世間の疑惑を招かぬように文部省は協会を指導していくべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
○戸村説明員 相撲というのは古来から、わが国の国民の中に深く広く普及してきた、そういうようなことで現在のこういう隆盛を見ているというふうに思います。そういう意味から申しましても、今後、国民の皆様方に一層愛好されていくことを私どもとしては期待してまいりたいというふうに考えるわけでございまして、先生のおっしゃいますように国民の中から疑惑が出るというふうなことのないように、今後とも期待してまいりたいというふうに考えております。
○草川委員 先ほど労働省の方から、職業の選択の自由ということについて疑問があるというような趣旨のお話がございましたが、いろいろなことを調べていきますと、労働者としての位置づけならば、部屋制度というのは完全な搾取の対象です。これはもう問題にならぬと思うのですね。それから協会のやっていることも、労働者としてなら、これはもう完全に間違っておるわけですし、先ほど触れましたように厚生省所管の健康保険の場合は、力士というのは健康保険法の第十三条なり第十四条で正規の従業員扱いになって組合健保を構成しておるわけですよ。これは行司も呼びだしも含んでおるわけですね。ですから労働省として、こういうような世界の人たちを労働者として今後見るつもりが一体あるのかないのか、一遍、定義のことについて、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○吉本(実)政府委員 労働基準法上の労働者であるかないかにつきましては、先生御承知のように、まずは適用事業において使用従属関係のもとで働いているかどうか、また働いていることに対して、それが労務の提供自体に着目して対価、いわゆる賃金が支払われておるかどうか、この点で判断されるというふうに解釈するわけでございます。 ところで力士につきましては、先ほど来いろいろ御議論がありますように、なかなか複雑なやり方をとっておりまして、相撲社会独特の制度、しきたり等もあるし、たとえば力士は親方のところ、相撲部屋に所属しているけれども、力士と、これらとの間に果たして雇用契約というものがあるのかどうか。あるいは日ごろのけいこ等によって、いろいろ自己の技能を練摩しておるわけですが、自己の裁量、判断でこれを行っている点がどの程度あるのか。あるいは本場所におきまして、いろいろ自分の力を発揮するという点についても、一般労働における作業上の指揮、監督と親方からの助言が一体どんなふうに解釈されるのか、こういったようなこともございまして実態はなかなか複雑でございますし、必ずしも明瞭でない点もございますので、労働者であるかどうかについての判断は大変むずかしい問題であろうというふうに考えております。
○草川委員 別に、これは力士だけでなくて、呼び出しだとか、それから床山というのですか、いわゆる髪結いさんですね、床屋さんというのですか、そういうのは完全に労働省の所管の、指揮、命令のもとに動く人たちですよ。特に個人の技能が云々で、そのために興行が上がるものではないわけです。月給がそれこそ五万円とか、あるいは数万円とか、ほとんどゼロに近いような退職金、そういう力士以外の従属する立場で劣悪な労働条件で働いている付随する作業員というのですか、そういう方だっているわけです。力士そのものが指揮、命令で仕事をやっておるとは言いませんけれども、結果としては興行になるわけですから。しかし分解をしていきますと、ずいぶん問題があると私は思うのです。国技だとかいうことを言われるだけに、これは労働省としても放置すべき問題ではないと私は思うのです。それで、その付随する労働者というのですか、付随する人々の問題についてはどう思われますか。
○吉本(実)政府委員 ただいまおっしゃいました力士以外の行司、呼び出し、そのほかいろいろ雑務に従事している人々もございますが、それらはいわゆる協会の使用従属下にあって労務を提供しておる点が非常に多いように思います。そういう点もございますので、なお、いろいろ検討をいたしまして、そういった方向で判断してまいりたいというふうに思います。
○草川委員 同じ働く人という立場に立てば、そのような仕事をしてみえる方も、ずいぶんおいでになるわけですから、ぜひ、そういう方向で関心を払っていただきたいわけでございます。 それから現場で働く労働者の立場で言うとすると、収入というものは全部源泉で税をかけられるわけですが、こういう協会だとか、あるいは、こういう所属をするいろいろな方々の税は、どういう立場で納税をされておみえになるのですか、あるいはまた対策を立てておみえになるわけですか、国税庁にお伺いします。
○冨尾説明員 国税当局といたしましては、大相撲の親方や力士につきましても他の業種と同様、従来から、できる限りの資料収集を行いまして適正な課税を行うように努力してまいっておりますが、今後とも適正な課税につきましては一層配意してまいりたいと考えております。
○草川委員 ついでに、ちょっとお聞きしますけれども、これはたまたま退職金をピンはねされた方の——退職金というのですか、廃業する場合にもらうお金を正規に受け取っていないという方の言葉でありますけれども、まあ力士もスターになれば非常にはででございますし、ある人なんかは結婚のときにも五万円以上お金を持ってきてもらいたいというようなことで披露のパーティーなんかをやっておるのだけれども、われわれ下積みの連中に比べれば非常におかしいじゃないかという話があるのですね。五万円以上のパーティー券を持ってこいというような結婚披露宴があるのだそうですが、そういうのは普通の冠婚葬祭の範囲になるのですか、ならないのですか、ちょっとお伺いします。
○冨尾説明員 私、お答えする立場にあるのかどうか、ちょっとわかりませんが、いまの先生の御質問は、そういう冠婚葬祭の際の、たとえば御祝儀とか、そういうものが課税の問題としてどのように扱われるか、こういう御質問だと理解してよろしゅうございますか。
○草川委員 ええ、具体的に五万円以上持っていらっしゃいというようなものに対する歯どめというのですかね、そういう一つの呼びかけがあっても、それは通常の冠婚葬祭の対象になるのですか。普通の冠婚葬祭の場合は税は関係ないでしょう。だから、それになるのかならぬのかということをお伺いしたいのです。
○冨尾説明員 冠婚葬祭の際のお祝い金等につきましては、社会通念上相当と認められる範囲であれば課税の対象とならない扱いをしておりますが、社会的通念といいますか、社会常識の範囲内ということにつきましては、たとえば力士とかという立場もございましょうから、その辺、一概に線を引くことは私どもとしては大変むずかしいのではないかと思います。
○草川委員 文部省にお伺いをしますけれども、私、何回か申し上げておるように相撲協会が公益法人という形態をとり続けておるところに実は問題があると思うのです。一般の興行ならば株式会社の経営にして、従業員として扱うべきグループと、そうでないグループと分け、そして興行を目的にするわけですから中身は、どうなってもいいと思うのですが、なまじ国技だとか公益法人というようなことに位置づけされるものですから、非常に複雑な問題がいろいろ出てくると思うのです。私の意見としては、協会というのはもう思い切って民間の興行会社にして、プロ野球と同様に、それなりの取り扱いをした方が、かえって、すっきりすると思うのですけれども、こういうことについて今後検討していくべきではないだろうか、こう思うのですが、どのようにお考えになられますか。
○戸村説明員 まことにお答えしにくい問題でございますが、相撲協会が今後とも公益法人としてふさわしい運営がなされるよう、私どもも相談に応じ、あるいは協力してまいりたい、このように考えております。
○草川委員 最後になりますが、労働省にお伺いをします。 いま私は協会の話を出しましたが、そのほかのスポーツ選手それから芸能界、特に芸能界の場合も単なるスターではなくて、最近は聴視率を上げるがために、スターに対する、かなり際どい演技の強要というのがあるようであります。たとえば芸能人を何とか驚くようにさせるために、ライオンとかの猛獣の中に入れてびっくりさせるというような例もあるわけです。あるいは非常な高所作業、労働省の基準で言うならば足場の完備あるいは命綱とかいう厳重なところですけれども、そういうところにほうり上げて、おもしろく見せる。私は、これは単なる芸能の世界から逸脱していると思うのです。いわゆる労働条件ということから考えれば、もう絶対と言っていいほど許されない職場というものを、単なる労働者ではないということで見過ごしている例が多いと思うのです。ですから、そういうように従来と非常に違った意味で、同じ働く人なら働く人の立場から、安全とか、あるいは衛生とかいうことについても、もう少し視点を変えてみて対応を立てられることも必要になってきたのではないだろうか、こう思うわけでございますので、その点について最後に大臣の御見解を承りたい、こう思います。
○藤尾国務大臣 いかんとも私からお答えするのは非常に困難な問題が多いようでございますけれども、確かに歌舞伎役者でありますとか、あるいは芸能人の中でも冒険をする人がございます。こういったことをやっておられる方々のお仕事が労働であるかどうかという認定は非常にむずかしいところが多いと思います。しかし、いずれにいたしましても、そういったことで非常に身の危険があり、災害を起こす可能性が非常に濃いとか、あるいは、ただいま相撲協会の例で御指摘になられましたように、いま非常に近代性に欠けたところが残っておるとかいうようなことは、漸次、御注意申し上げることは御注意を申し上げて、そして改革していただけるところは改革をしていただくことがよろしいことだと思いますから、どんどんと、その種の——私はいまちょっと、そう考えておるわけでございますけれども、いま御指摘をちょうだいして、たとえば舞踊の世界とかなんとかいうものとか、あるいは踊りだとか、お花だとか、お茶だとかいうものの免許の問題でございますとか、いろいろ変な割り切れないようなことが、まだまだ世の中には多いわけでございますから、関係の方々ともよく御相談をして、適宜、御趣旨に沿うような方向に持っていけるように努力をしてみたいと思います。
○草川委員 以上でございます。どうもありがとうございました。
○今井委員長代理 次に、塩田晋君。
○塩田委員 私は労働大臣に、国の経済政策に対して労働大臣として、どのような基本的姿勢で関与をしていかれるか、注文をつけていかれるか、そういった問題につきまして主としてお聞きしたいと思います。 そこで最初に申し上げたいと思いますのは、現在、政府におきましては、物価対策を重点にやってきておった経済政策を、九月五日の総合対策の線では物価と景気の両にらみという方向に転換をしていく。その根拠としては、物価は高原状態ながら横ばい状態、しかし景気におきましては、かげりが見え始めた、また特定の業種においては、かなりの不況状態もある、こういう中において景気対策がやはり重点の一つに据えられなければならないという認識だと説明を受けておるわけでございます。 そこで労働大臣、この景気対策という場合に、雇用・失業情勢というものが非常に大きな要因になると思います。その雇用・失業情勢を現時点で労働大臣として、どのように認識され、そうして経済総合対策を新しくつくられるときに、どのように関与し、今後どのように労働政策、労働行政の面から注文をつけていこうとされておりますか、この点につきましてお聞きしたいと思いますが、その前提といたしまして、最近における雇用・失業の情勢につきまして主な指標を中心に御説明をいただきたい。
○関(英)政府委員 最近の雇用・失業情勢についてのお尋ねでございますが、御承知のように設備投資あるいは輸出が基調として増加傾向を続けておりますものの、個人消費の面で鈍化が見られまして、経済の拡大テンポは緩やかと申しますか、あるいは最近かげりの現象が出てきたところでございますが、こうした中で雇用・失業情勢につきましては経済の動きと多少のタイムラグがございます。そういう意味で、これまでのところは、まだおおむね改善傾向が続いているというふうに申し上げていいのではなかろうかと思います。 具体的に申し上げますと、就業者あるいは雇用者の数は増加傾向にございまして、八月の数字で申し上げますと、雇用者は前年に比べて八十二万人増ということになっております。 それから完全失業者につきましては、水準としては、なお高い水準にございますものの、前年に比べると減少するという傾向が続いておりまして、八月時点では完全失業者数百十五万人、前年の同月比で二・五%減というような状態でございます。完全失業率は季節修正値で二・〇九ということになっております。なお前年同月は二・一七%でございました。そういうふうに就業者、雇用者の増あるいは完全失業者の減というような形で八月までは改善傾向が続いているということが言えるかと思います。 なお有効求人倍率につきましては、五十四年に非常に顕著な改善を示した後、このところ横ばいぎみで推移しております。具体的な求人の中身を見てみますと、製造業の中で機械関連部門等ではなお増加傾向を続けておりますが、それ以外の製造業の業種においては増加から、むしろ求人減に転ずるような業種も非常に多くなってまいりました。全体としての求人の伸びが鈍化してきておる、こういうような情勢になっております。 それから今後についての見通しはどうかというお尋ねでございますが、これから後につきましては、海外の景気動向なり、あるいは石油問題の動向がどういうことになるか、それから個人消費の鈍化が今後どんな影響を及ぼしてくるかというようなことから、経済情勢の先行きについては予断を許さないものがありますが、御指摘の総合的な経済対策、九月五日の経済運営の基本方針によりまして、今後、物価はもとよりでございますが、景気の面といたしましても、公共事業の下期の三〇%増等々、種々の対策が行われますので、私ども、こういった経済対策の効果を期待したい、こういうことでございます。
○塩田委員 雇用・失業情勢につきまして概略わかりました。これに加えまして学卒労働市場の関係がどうなっているか。高校、大学別に、わかりましたら御説明いただきたいと思います。 また地域別にも雇用・失業情勢かなり違っておる場合もございますが、いまの状態はどのようでございますか。また職業あるいは産業別に、どのような状況で推移しているか御説明いただきます。
○関(英)政府委員 学卒の数字、いま手元にございませんので、後ほど出ましたら、またお答えいたしたいと思います。 オイルショック以降、学卒求人につきましては企業は非常に慎重な態度をとってまいりましたが、昨年ごろから求人に意欲が見られまして、ことしは、さらに引き続き学卒求人は好調に推移しております。そういうわけで高校、大卒ともに求人数は非常にふえている現状にあるのではなかろうかというふうに考えております。地域的にも求人関係については相当のアンバランスがございます。いずれにいたしましても具体的な資料で、また後ほどお答えを申し上げたいと思います。
○塩田委員 なお加えまして中高年齢の求人求職関係、どのようになっておりますか。身障者については後ほど、またお伺いしたいと思います。
○関(英)政府委員 中高年齢者の求人倍率でございますが、年齢別求人倍率は毎年十月に調査いたしておりますので、現在、手元にございますのは五十四年の数字がございます。五十四年の年齢別常用求人倍率でございますが、年齢計でいきますと全体では〇・八二という求人倍率でございましたが、五十五歳以上でくくりますと〇・一七ということになります。なお四十四歳以下ですと、たとえば二十五歳から四十四歳層ですと一・〇三というふうに一を上回っておるわけでございますが、五十五歳以上になりますと〇・一七という求人倍率になります。年齢全体を合計いたしますと〇・八二というのが五十四年十月の状態でございます。 学卒の求人倍率でございますが、五十五年の求人倍率が中卒で二・八倍、高卒で一・九倍という形になっております。 それから地域別求人倍率でございますが、たとえば関東地区が一・三、中部地区が一・三あるいは中国が一・一というふうに一を上回っておる面もございますが、九州では〇・七、北海道で〇・八、東北で〇・五、四国は〇・八というふうに求人倍率についても非常に地域差がございます。
○塩田委員 ありがとうございました。 学卒の関係は中学校と高校の状況しかわかりませんか。大学のウエートがかなりふえて、ずいぶん就職を頼まれたりするのですけれども、どのような状況ですか。
○関(英)政府委員 先生御案内のように大学卒業者に対します職業紹介につきましては、職業安定法の規定に基づきまして大学当局がみずから実施しております関係上、求人も各企業から直接、大学に行くというようなことがございまして、従来まで私どもで一元的に大学卒に対する求人を把握するということができませんでした。 〔今井委員長代理退席、湯川委員長代理着席〕 ただ私どもとして関心もございますので、私立大学の有名なところ何校かを選んで御協力いただいて調査をするというふうなことをいたしておるわけでございますが、現在その資料が手元にございませんので、後ほど、また申し上げたいと思います。
○塩田委員 大学卒につきましては、就職関係の業務は大学当局、文部省の所管になると思いますけれども、雇用・失業情勢全般の把握という観点から、だんだん大学卒のウエートが大きくなってきましたから、今後、文部省とも連絡をとっていただいて把握をしていただきたいと思います。 そこで大臣、いま御説明いただきましたような雇用・失業の情勢で、全般的には好調が持続しておる、悪くても横ばい状態であるという御説明を受けたわけでございますが、積極的な景気浮揚対策というものは公定歩合の引き下げとか、これは下手をするとインフレに結びついていく問題をはらんでおるわけでございます。実質賃金は昨年度よりも低下している、これがことしに入ってから毎月の状況でございます。名目賃金の上昇が春闘その他によるベースアップにかかわらず、消費者物価が余りにも上がるために実質賃金が下がっている。これは勤労者の生活水準が低下しているということですね。生産性が上がり経済成長が行われ、言うならばパイが大きくなってきている。ところが一生懸命働いて大きくした勤労者の分け前が昨年より小さくなっている。これはもう大変な事態だと思うのです。社会主義国ですと物価問題だけで暴動が起こるような事態も、御承知のとおり、あるわけでございまして、このような事態は放置できない。むしろ物価に重点を置いて、勤労者の生活を守り向上に努められるのが労働行政を預かる労働大臣の基本的態度であるべきだと思うのでございます。 そういった観点からいいますと、景気浮揚を積極的にやっていかなければならない差し迫った雇用・失業情勢というものがない。先行き、かげりということでございますが、どの程度の雇用・失業情勢を考えておられるのか。そして、どのように経済政策に関与していかれるか。物価対策、景気浮揚対策そして雇用・失業対策、実質賃金、生活向上のための対策という面から、労働大臣は基本的にどのようにお考えであり、国全体の経済政策に、どのように関与していかれようとしておりますか、お聞きいたします。
○藤尾国務大臣 非常に広範な、かつ複雑な問題をはらんでおるわけでございます。 まず、いまの概観から申し上げますと、日本の経済だけを世界の国際経済の中から抽出をしてまいりまして、そうして日本の経済だけで論ずるということが非常にむずかしい、こういうことでございます。たとえば自動車問題一つ取り上げてみましても、御案内のとおりにアメリカでは関連産業だけで約百万近い失業者の方々がレイオフという形で出てきておって、それに対して国を挙げての対策を打たなければならぬということで、大統領選挙の帰趨にも、これの対策いかんでは響いてくるというような情勢すらあるわけでございます。それは直ちに私どもの貿易問題に絡んでくるわけでございまして、貿易の内部におきます輸出容量というものも、これに絡んでくるわけでございます。でございますから企業が設備投資をされまして、その設備投資の枠の中でフル生産をいたされまして、そのうちの、どれだけが国内消費で、どれだけが対外依存になっていくかというバランスが、国際経済、国際貿易の趨勢によって変わってくるということになりますと、たちまち、それが産業全体の将来の構造に影響を及ぼしてくる可能性をはらんでくるわけでございます。こういったことは自動車産業のみではございませんで、鉄、化学工業、薬品、機械あるいは電気機械すべてに影響してくるわけでございます。私どもといたしましては、そういったあらゆる産業の総和というものの中で私どもの経済の動向を把握していかなければならぬ、こういうことだろうと思います。 そういった際に全体的な傾向が、日本の場合には御案内のとおり終身雇用でございますから、これは先行き少し、だいだい色のランプがついてきたなというような感じがいたしましても、雇用という問題につきましては、だいだい色に対する対応を直ちにとるわけにはいかない、こういう非常にむずかしい問題がございます。しかしながら経済全体として見てまいりました際に、特段と経済企画庁その他におかれましては、あらゆる統計上の資料と各界の反応をごらんになられて、これはちょっと危ないなというサインが、少しでも、そこにあらわれてきますと事前にそれをチェックして、直せるところは色が変わらない先に、それに対する対策を打とうというような傾向にあるわけでございまして、日本の経済全体に対する対応が、私は、きわめて予防的かつ非常に敏感な対応を示しておる、さように思います。これは公定歩合の問題もしかりでございますし、あるいは金融引き締め、金融緩和その他に影響してまいります。あるいは私ども直接関連をいたしておりますところによりますと、御案内のとおりの公共事業の前倒しとか、あるいは抑制とかいうようなチェック作用、あらゆる点で、できるところでやっていって、それがサインがつくまでに至らないところで事前の措置をとろうというのが、いまの体制ではないか、私はかように考えます。 したがいまして、ただいま職業安定局長が申し上げましたような雇用にかげりが見えておる、こういうかげりという言葉でございますけれども、そのかげりというのは、では、どの程度までいったら、かげりなのかということになりますと、きわめて微妙でございまして、私どもが、かげりだなんということを言いますと、かえって、そのこと自体が他に影響していくおそれさえある、私はかように思うのです。いま考えられておりまする問題は、現実ただいまの問題ではございませんので、恐らく、これから三月、半年先を見ていって、いまのままでいくと、これは危ないかなというような感じが、そろそろ感触的にし出した、こういうものをもって、かげりという言葉で言っておるのではないかという気がいたすわけでございます。 でございますから、それが失業問題に関連をしてくるようなところまでいってしまいますと、これはもう、かげりじゃございませんので、大変な経済的な不況とか深刻な表現になっていくだろうと思います。そういうところに落ちていかない前に措置をとろうということでやっておるわけでございますから、事前に経済指標をごらんになられて、この際は公共事業を中心にして、たとえばこの間の九月五日の総合経済対策のように、一応、抑えてありました公共事業を三〇%ぐらいよけい、ここで意識的に出すということによって、しまい込まれておって、あるいは本当はランニングをしなければならぬはずの原材料というものが、その刺激によって少しでも動き出すというような方向にいくならば、そのかげりを避けることができるのではないか、こういうことで対策をされておられるように思います。 いずれにいたしましても、そういう経済の場というものを考えてみまして、今日では企業全般に対しまして、これは日本の特異体質でございますけれども、自己資本で運営をしておるというような企業は非常に少のうございます。金融に頼って借金運営をやっておる企業が非常に多いわけでございますから、その企業の体質に対する打撃力をできるだけ軽くしてやろう、この際は軽くした方が将来のためにいいだろう、こういう判断をされますと、それが公定歩合の引き下げというようなところに連動してくるということでございます。いま盛んに言われております公定歩合の引き下げ問題等々も、そういったかげり問題との絡みで考えられておる、さように思っております。いずれにいたしましても世界の金融の動向というものと日本の金融動向というものが著しくかけ離れるというようなことになりますと、たちまち世界の流動性といいますものの移動が、これまた変わってまいりまして、その負担も大変でございますから、これも当を得なければならぬわけで、なかなかむずかしい問題がございますけれども、そのようなことを、あらかじめ大蔵省当局におかれましても、あるいは経済企画庁におかれましても十二分にお考えになられて、計量された上で、その措置をされておるのではなかろうか、かように考えます。 私どもの立場から考えてみますと、非常に場を狭くして国内的な経済市場というようなものから考えてみますと、日本の経済市場におきます繁栄の総和といいますものは、日本の各界の労働される方々のお力の総和であろう、私はかように考えるわけでございます。でございますから、その労働される方々のお働きに対する評価が実質賃金という面で変わってくる、そういうことがあっては一大事でございますから、そういうような傾向を示していくなというおそれがあるときには、それは困るということで私どもが警鐘を乱打して、そのために実質賃金が下がらないように、たとえば物価対策なら物価対策というようなことで、賃金が圧迫されることのないように十二分の措置を講じてもらいたいということを事前に大蔵あるいは経済当局に申し上げまして、そうしてこれを全体の経済政策といたしましてお取り上げを願って、そのような措置をとり、勤労者の各位に御安心を願えるような措置にしていきたい、かように考えておるというところが、いまの正直なところでございます。
○塩田委員 労働大臣の経済に対する御認識、海外経済要因を含めまして広範な御認識につきまして承ったわけでございますが、大臣は経済対策閣僚会議のメンバーでございますね。
○藤尾国務大臣 はい。
○塩田委員 そういった閣僚会議のメンバーの一人として、いま何が労働行政の立場から最も重要であり、経済政策を策定する際に主張していただきたいか。先ほどから申し上げておりますように働く者の生活水準が、実質賃金の低下を通じて下がっておるという問題、これの大きな原因になっておりますのが消費者物価の高騰でございますから、これを何としても抑えるということを重点に経済政策の中で主張していただきたい。四千万人の労働者のために、ぜひとも強く主張していただきたい。労働大臣以外には、それを強く主張する方はおられないと思うのです。四千万人の労働者といいますと、家族を含めますと恐らく八千万人以上になるでしょう。国民の七割に当たる者が何らかの形で賃金で暮らしておるのでございますから、そういった労働者の立場から、経済政策の中において特に当面、物価抑制のための対策に重点を置いてやるべきだということを主張していただきたい、このことを希望いたします。この点についていかがでございますか。
○藤尾国務大臣 これは新聞等でも報道されておるわけでございますけれども、およそ、いまの鈴木内閣の閣僚の中におきまして、この物価の問題について最重点を置くようにということを一番強く主張いたしておりますのは私であろうと確信をいたしております。しかも、そのことは確信をしておるとか主張しておるとかということでは済みませんので、これをやらなければ、私どもが年頭以来、お働きになっておられます方々ともお約束をしておるわけでございますから、私どもが政治の基本といたしましてお約束をしたことが、他の要因が何がそこに入ってこようと、その要因のために非常に御迷惑になられる、お約束が守れないというようなことがあったのでは、政治がどこにあるか、こういうことになるわけでございますので、私どもは政治の信頼を賭して、約束をしたことは必ず守る。年間の消費者物価水準を六・四%以内におさめるんだということを申し上げておるわけでございますから、年間の消費者物価水準が六・四%以内にとどまりますように、ありとあらゆる策、ありとあらゆる手を打って努力を集中してやるのがあたりまえでございますから、そういった立場に立ちまして申し上げておるわけでございます。 しかも、さらに申し上げなければなりませんのは、御案内のとおり日本の景気動向といいますものを左右いたします一番大きな要因の一つは個人消費でございますから、日本の国民の全部が、それぞれのあらゆる分野で生活防衛に当たられる、あるいは生活を存続させるために、生命を維持されるために消費をされておられるわけでございますから、それの総和によって日本の景気動向が非常に大きく変わってくる、そういう可能性を持っておりますから、実質賃金の低下によって個人消費がどんどん落ち込んでいくというようなことがあっては、日本の経済全体が破滅でございます。でございますから、景気動向からいたしましても私どもは物価水準を守るということをやっていかなければなりませんわけで、両々相まちまして、経済対策にいかなる変更が見られたというようなことを言われましても、その一番底には常に物価というものに最重点が置かれておるというように御認識をいただいて結構だと思います。
○塩田委員 この問題につきましては、いま大臣の御決意をお伺いしたわけでございますので、ぜひとも、そのような基本的態度で臨んでいただきたいということを期待申し上げます。 したがいまして、物価を下げる、安定する要因、これは広範にございます。大きくは総需要管理政策、海外との関係におきましては石油、エネルギーの安定的な供給、安く仕入れてくるという価格安定の問題、独禁法の運用の問題、それから赤字公債を少なくしていく、これに相当な決意で取り組まないと問題だと思います。それから生鮮食料品を初めとしての市場の価格安定、個別物価対策も進めてもらう。それからやはり全般的には生産性の向上ということがなければならないと思うのです。代替エネルギーの問題としては、安全性を確保した上での原子力発電、これは電気料金が石油の半値で済むわけです。原子力発電の推進につきましても、そういう観点から大臣もどんどん主張していただき、また運賃の値上げの要因になっているような違法なストライキこういったものに対しても毅然たる態度で臨んでいただきたい。そして行政各部における、また公共企業体含めての行政改革、むだ遣いの排除といったものについて、全般にわたって物価の安定のために言うべきところはどんどん発言をしていただく。大臣は発言をよくしておられる有力大臣でございます。そういう点を期待いたしましてこの質問は終わりたいと思います。次に、身障者対策でございますが、御承知のとおり国際障害者年を前にいたしまして身障者雇用対策につきまして一層重点的に、これを取り上げて推進をしていただきたいと思うのでございます。 身障者の雇用状況につきまして中小企業、大企業別の雇用率の達成状況あるいは産業別とか、あるいは公務員の関係等、状況を御説明いただきたいと思います。
○関(英)政府委員 身体障害者の雇用状況につきまして、ようやく、ことし六月一日現在の雇用状況がまとまりました。そこで昨年と比較しながら申し上げたいと思います。 まず民間企業におきましては法定雇用率一・五%でございますが、ことしの六月一日現在の雇用率が一・一三%、昨年が一・一二%でございまして、わずかでございますが改善を見ております。それから、まだ達成してない企業の割合は四八・四%となっております。それから特殊法人、これは法定雇用率一・八%でございますが、実雇用率は一・三四%、昨年が一・二八%でございました。それから官公庁では非現業の機関、法定雇用率一・九%のところの実雇用率は一・八二%でございます。昨年が一・八三%でございました。現業的部門は法定雇用率一・八%のところでございますが、雇用率は一・八五%、昨年と同様でございます。 それから民間の企業規模別のお尋ねがございましたが、千人以上のところが〇・九%、それから五百人から九百九十九人のところで一・〇五、三百人から四百九十九人一・二〇、百人から二百九十九人一・四五、六十七人から九十九人一・六八、こういう規模別の状況でございます。全体を総計いたしましたものは先ほど申し上げましたように一・一三でございます。 産業別のお話がございました。実雇用率だけを申し上げます。農林・漁業の関係が一・二三%、鉱業二・九七%、建設業一・〇六、製造業全体では一・三四、卸・小売業〇・六四、金融・保険・不動産業〇・七一、運輸・通信業一・三〇、電気・ガス・水道事業一・〇八、サービス業一・三八、こういうような状況でございます。なお官公庁の関係で、国の機関について申し上げますと非現業的機関は二・〇〇、それから都道府県の機関では一・五三、市町村が丁九八という状態になっておりまして、全体を合計いたしますと、非現業機関全体では一・八二ということでございますが、都道府県の機関がまだ未達成ということになっております。
○塩田委員 ありがとうございました。詳細に御説明いただいたわけでございますが、その一つ一つについてお尋ねする時間的余裕がございませんので、こういった未達成の部門につきましては、今後とも一層きめ細かな対策を、ぜひとも推進されますことを希望いたします。 ところで身障者問題につきましては最近、国民各方面の総力を挙げての努力によりまして関心が非常に高まり身障者雇用も促進されつつある。特に労働行政の面におきましても雇用率の設定あるいは納付金制度といったもの、また雇用奨励金制度といったものでもって、かなり有効に対処しておられると思うのでございますが、私は端的に言いまして、まだまだ足らない面が多いと思います。 この間も日曜日、各地の運動会に出かけたのでありますが、あちこちで非常に盛大に運動会が行われておるのでございますけれども、一カ所身障者の運動会に私、行きましたところ、非常にさびしい思いをしたのです。ボランティア活動の人たちが世話をして運動会をやっておるのですが、他のところが余りにも華やかに楽しく行われておるというのに比べまして非常にさびしい思いをした。まだまだ身障者に対する思いやり、対策、関心というものが十分でないという感を深くしたわけでございます。 一方、母親、父兄を含めての身障者大会あたりは非常にたくさんの方が集まりまして、国や市町村に対する要望をいろいろとされております。悲痛な訴えもお聞きします。そして子供がだんだん大きくなっていった場合に、壮年から老年になっていった場合の身障者対策というものが本当にむずかしいということを痛感したわけでございます。そういう父兄の大会は非常に盛り上がって熱気にあふれて対策の要求が非常に強いのですけれども、一方そういった、いまの実際行われておる身障者対策の実情というものは、まだまだ不十分だということを感ずる次第でございます。ヨーロッパ諸国、先進国に比べましても、この点はまだまだ十分でないということを言われておりますが、そういった面、なお一層これに取り組んでいただきたい、このように思います。 そのような立場から以下二点について御質問を申し上げたいのでございます。一つは、厚生省お見えになっておると思いますが、全国に福祉工場というものが幾つございますか。
○兒玉説明員 現在、身体障害者の福祉工場は十九カ所ございます。そのうち公立が四カ所、それから民間立と申しますか社会福祉法人ということになりますけれども、これが十五カ所。しかし経営の方は公立の場合もいずれも社会福祉法人に委託して経営いたしております。 以上でございます。
○塩田委員 この福祉工場に働いておられる身障者の方の程度別ですね、軽度か重度か、あるいは精薄関係か、その辺、数はわかりますか。——後で結構ですから、わかりましたところで教えてください。 そこで、この福祉工場には希望者がかなり多いのですね。ですから定員一カ所四十人とか五十人というようなことで、なかなか入れない。全国に十九カ所で、しかも定員がそんな状況ですから、希望があっても入れないという状況でございます。こういった施設を国の援助によって、あるいは市町村、都道府県と協力してふやしていくという方向で力を入れていただけますかどうか。
○兒玉説明員 先生御指摘のとおり身体障害者の福祉工場というのは、一般の企業に雇用されることが困難な障害者の方々の働く場として設けられたものでございます。今後とも厚生省の立場といたしましては、これの増設を図っていきたい。ただ御承知のとおり福祉工場に働く大部分の方々はハンディキャップを持っておる方々でございます。ということになりますと、仕事の内容とか、それから仕事の能力といったものに、いろいろ制約がございますので、これから福祉工場を建設されるについては立地条件とか、あるいは永続的に仕事量が確保できるかどうかといった点については慎重に、やはり検討し、私ども、できることは御協力申し上げるというようなことでございます。
○塩田委員 この福祉工場につきましては希望者が多いと申し上げましたが、今後、増設の希望が非常に多いのですけれども、そこへ入ってこられる方は、どうしても重度の障害者になると思われます。といいますのは、職業安定局長からもお話ございましたように、最近の雇用情勢の好転から、軽度の障害者については、かなり就職が促進され、そして求人もかなり多いという状況がありまして、どうしても残っておるのは重度障害の関係です。したがって福祉工場というところは一番雇用環境がいいという状況が出てくる。したがって希望が多く、今後そういった重度障害の方がよけい入られるということになってくると思うのです。 そこでお聞きしたいと思いますのは、福祉工場で働く人たちに作業、仕事を持ってこないといかぬわけです。その場合に親会社から、言うならば子会社、下請のような形で福祉工場に仕事が発注されるというわけです。その際に身障者の仕事に適したものであるということが前提でございますけれども、これを増設していくためには、親会社がなおよけい、その仕事を、そういう福祉工場に出してもらわないといけない。その出す際に、いま非常に障害になっていることがあるわけです。といいますのは雇用率の計算です。 親会社の雇用率算定、納付金算定の際に、仕事を出した分は算定されないということになっておるわけです。しかし民間企業におきましては、いろいろ御配慮いただいて、現時点では下請、子会社の場合は一定の条件を満たせば親会社の雇用率にカウントするという制度にしていただいて、これは非常にありがたいことで、身障者の雇用促進には非常に役立ったと思うのです。ところが、いまの厚生省所管の、御説明ございました福祉工場に対しましては、この制度が適用されないのです。これは民間の方で一歩踏み切られたわけですから、同じような立場にあり、そして、なお一層希望も多く、厚生省でもふやそう、こういうことでございますから、同じようなひとつ御配慮をしていただきたい。これはぜひとも、この点前向きの御答弁を得たいわけです。
○関(英)政府委員 雇用率制度といいますのは先生御承知のとおりでございますが、企業の社会的責任として一・五%までの身体障害者を雇わなければならないという法律上の義務でございます。一方それを雇わない場合には納付金を納める、そうして、たくさん雇った場合には、その納付金から奨励的な助成を受けるということで、身体障害者を雇用する、あるいは、しないとによる経済負担を調整するというふうなものにもリンクしている制度でございます。 そういう意味で、自分のところで雇っているか、あるいは自分のところと同一会社、全く同一のものと見られるような密接な子会社につきましては、これを雇用したものとしてカウントすることにしておりますが、ただいま御指摘の福祉工場につきましては、これは雇用関係という関係に入っておらないわけでございます。そういう意味で、確かに、そこに仕事を発注するにつきましては、普通の下請工場に仕事を発注する場合と違って、やはり身障者の問題に非常に理解の深い、そういった熱意からの発注であろうかと思いますけれども、いま直ちに、その発注したことを雇用率に還元するということを考えることは非常に困難であろうかと思います。
○塩田委員 いま困難であるという事情について御説明があったわけでございますが、身障者の雇用を促進する、働く場を広げるという意味におきまして、民間で同じような関係になっているところは、この福祉工場に適用されてもいいじゃないかということについて、これは、いますぐということではなく、いろいろ事情があると思いますので、御検討をいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 福祉工場のように一般の雇用には直ちになじみがたい人が一緒に働いている場というものも、これは厚生省の施策で行われているわけでございますが非常に重要なことでございますし、私どもとしても、そこからできる限り、また雇用に結びつけていくという施策を強めていかなければいかぬだろうと思っております。そういう意味で、実は一般雇用に直ちにつくことが非常に困難な重度の障害者の雇用問題につきまして、本年三月に重度障害者特別雇用研究会というのを設けまして、そういった福祉工場あるいは共同作業所、そういうところで働いている方々を、どうやって雇用に結びつけていこうかというふうなことを研究していただいております。その中の一環として、御指摘の点についても研究してまいりたいというふうに思います。
○塩田委員 どうもありがとうございました。 厚生省サイドとしては、いまの点はどうお考えですか。
○兒玉説明員 身体障害者の雇用率との関係で、特に福祉工場は十九ありますけれども、その中には自主生産というのがあります。それから企業の方から下請といいますか、企業と提携して仕事をしているところ、そういったような福祉工場の経営者の中から、企業の雇用率の算定に当たって、ぜひひとつ労働省の方でお考えいただくように厚生省から強く言っていただきたいというふうなお話がかねてございます。ただ、いま労働省の職業安定局長さんからもお話がございましたとおり、私どもの方としても、かねがね福祉工場の健全運営というふうな観点から、労働省の方にもいろいろ御協力申し上げ、御相談申し上げておりますので、ただいまも御要望がありますし、いま局長さんの方からお話がございましたので、私どもの方としても、いろいろ念頭に置いて今後、考えてまいりたい、かように思います。
○塩田委員 労働省、厚生省の間で十分意思を疎通されまして、身障者の雇用が全体的に広がっていくように、働く場が得られるように、ぜひとも前向きに御検討いただきたいと思うのです。 あと、もう一点でございますが、最低賃金法との関係についてお尋ねしたいと思います。 身障者の雇用の促進を図る上におきまして、最低賃金法の運用上これを阻害しているといいますか、雇用促進を抑えるような面がございますので、その点についてお伺いしたいのですけれども、最賃法の第八条には最賃の適用除外の規定がございますね。身障者については監督署の厳重な調査を経て認められれば、最低賃金の適用除外の許可がおりるということになるわけですが、これはいま、どのように運営されておりますか。大体どれぐらいの水準で、それを許可しているかということについてお伺いします。
○吉本(実)政府委員 ただいまの御質問でございますが、御承知のように最賃法八条におきまして、都道府県の労働基準局長の許可を条件にして個別に適用除外を認める制度が設けられております。これの具体的な運用に当たりましては、中央最低賃金審議会に諮りました許可基準によって行われておるわけでございます。 その許可基準というのは、中央最低賃金審議会で決めた基準でございますが、「精神又は身体の障害がある労働者であっても、その障害が当該労働者に従事させようとする業務の遂行に直接支障を与えることが明白である場合のほかは許可しないこと。」それから「当該業務の遂行に直接支障がある場合にも、その支障の程度が著しい場合のみ許可すること。この場合に、支障の程度が著しいとは、」ということで、その基準でございますけれども「当該労働者の労働能率が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者のうちの最下層の能力者の労働能力にも達しない」こういうふうなこと。それからさらに「当該労働者に支払おうとする賃金」につきましては「最低賃金額から、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者のうちの最下層の能力者より労働能率が低い割合に対応する金額を減じた額を下ってはならない」というようなことで運用を実施し、それの個々の具体的な申請に当たりましては、具体的な支払おうとする賃金を明示させまして、それに基づいて、それを条件として許可をする、こういうような仕組みになっております。
○塩田委員 ありがとうございました。この許可が非常に緩くなって何でも許可されるようなことでは、これは障害者の立場から言うと非常に困るわけですね。といって、これをまた高い水準で厳密にやると、これまた雇用の促進を阻害するという問題がございますね。したがって、その問の兼ね合わせ、これは非常に大事だと思うのです。この点の運用について、なおお聞きしたいのでございます。 それともう一つ、いま聞かれますのは、地域によって、かなり許可の状況が違う、水準が違っておる。どっちかというと都市型は非常に厳密に高い、田舎の方では、わりあい緩くというか、わりあい許可される場合が多い、こういうふうに聞くのですが、これを含めまして雇用促進との関係、余りこれをやりますと雇用促進を阻害するという問題を含めまして、この運用を慎重にやっていただきたいということと、もう一つ、賃金は労働能力に対応して、どんどん下げてもいいのですか。どこまで下げられるのか、その歯どめ、それはどうなっているのか、実際の運用方針、これについてお伺いして終わります。
○吉本(実)政府委員 ただいま申し上げた基準の中で「支障の程度が著しい」ということでございますが、その場合、最下層の労働者のそれに比べまして大体八割未満と判断される場合を指しております。 そういった基準に基づきましていたしますと、労働能率の程度が三分の二程度の場合には適用最低賃金額の八〇%程度、それから労働能率の程度が五割程度の場合には最低賃金額の六〇%という形で許可する、こんなことにしております。
○塩田委員 ありがとうございました。
○湯川委員長代理 次に、小沢和秋君。
○小沢(和)委員 私は、定年制問題など幾つかの点でお尋ねをしたいと思います。 まず定年制の問題でありますけれども、第四次雇用対策基本計画などでも、労働力の急速な高齢化が見通されるということで、これに対応して六十年までに六十歳定年を一般化したいということが方針として言われているわけです。私はこれは当然のことだと思うのです。 こういうような六十歳定年制を広げていく上で私は、鉄鋼が、この前の十月八日に定年延長の具体的な提案をどういう内容で行うかということを大変注目しておったわけでありますけれども、ずばり言って、これまでやられてきた定年延長に比べると、ずいぶん内容の面で後退しているんじゃないかということなんです。 たとえば賃金の問題を一つとってみますと、今回の鉄鋼の場合には、五十歳から従来の三〇%の率でしか賃上げをやっていかないということになるわけです。これは私鉄などの定年延長の中身というのを見ると、五十七歳までは従来どおり、そして六十歳まで定年延長をするというような内容になっておるというような点から見ましても、あるいは皆さん方がつくられた五十四年度の「労働経済の分析」これを見ると大体八〇・三%が少なくとも、これまでの定年の労働条件は落とさない、あるいは五・一%は逆に若干にしろアップするというような内容で定年延長が行われているわけですね。こういういままでの流れから見ると、もう五十歳から早々と頭打ち、従来の三〇%しかアップさせないというのは、私は、ずいぶん大きな後退ではないかというふうに考えるわけです。高齢者の人たちに本当に希望を持って、これから働いてもらうということにしていくためにも、こういうような労働条件の引き下げと引きかえの定年延長というようなことではよくないということで、労働省としても積極的な指導を行うべきじゃないでしょうか。
○吉本(実)政府委員 ただいまの鉄鋼大手五社が、具体的な提案に基づいて、この十月八日に案が出されたということは承知しているところでございます。 ただいま先生の御質問でございますけれども、やはり労働省としましては、現在、労使がそういった点で協議を重ねていこうということでございますので、今後、労使が円満に合意に達することを期待したいというふうな形で私どもは臨みたいと思います。
○小沢(和)委員 労使が円満に話し合うのを待っておったのでは、こういうようなものは、固まってしまってから、いろいろ言っても手おくれじゃないですか。 それから、次の質問をいたしたいと思うのですけれども、職場の中では一方では、こうやってもう五十を過ぎたら労働能力が落ちてくるんだということを前提にしたかのようにして、賃金のアップ率なども下げるというようなことをやっておきながら、他方では労働者の人たちの配置については、高齢を理由とした特別の扱いは行わない、つまり、いままでと同じように三交代なら三交代の職場で働けということでやっていくというわけですね。これは私は矛盾しておるのじゃないかと思うのですよ。いままでと同じように働けるということならば、賃金も同じように上げなければいけないのじゃないかと思うのですよ。 それと、さらにもう一つ、お尋ねしたいのですけれども、いまの高齢を理由として特別の配置を行わないということで、仕事をいままでと同じようにやらせるということについては、私は実態としては、これは非常に過酷なものになっていくのじゃないかと思うのですね。私どもが職場の人たちの声をいろいろ聞いてみても、いままでは五十五歳の満期までもつだろうかということが心配だった。だから満期が来たら、それでほっとして、ころっといっちゃうのじゃないか、まあ満コロというふうに言うのですけれども、ところが、これからは中コロじゃないだろうか。本当に六十歳の定年を迎える前に死んでしまうのじゃなかろうかということが多くの人たちの声として出てきておるわけです。実際私は、そういうような心配には根拠があると思うのです。 新日鉄の八幡で、最近五十歳以上の高齢者について健康診断をやっているのですよ。ところが、その結果は驚くべきもので、正常、異常がないという人はわずか七・八%で、残りの九二・二%はみんな何らかの意味で異常がある。日常生活に支障がないという判断をされる人をのけてみても、直ちに治療を要するとか日常生活上注意を要するとかいうような人たちが五五・九%、半分以上いるのですよ。そうだとしたらば、こういうような高齢者について何らの配慮もしないというようなことじゃなくて、これはやはり積極的に、高齢者の人たちが定年延長の後も安心して働けるような、労働条件について保護的な配慮を払っていくというように指導すべきではないだろうか。この点どうお考えでしょうか。
○吉本(実)政府委員 ただいまの御提案でございますけれども、やはり先ほど申しましたように、定年延長という形での一つの提案がなされ、それに基づいて今後の労使間の協議を進めていただくということでございますので、私どもとしては、それが円満にいくことを期待しておるということでございます。
○小沢(和)委員 だから、さっきも言ったように、そういうことで中身が固まってしまってからでは、結局いつも、あなた方が後で手おくれだったというようなことにしかならぬのじゃないですか。それで、いま言ったような案がもし固まっていくというようなことになれば、これは定年延長どころか、逆に定年を繰り上げるような結果にしかならぬのじゃないかと私は思うのです。 というのは、今回の提案に、五十歳から早期退職を定年扱いで認めて、その場合には若干の優遇措置をするという条項が入っておるのですね。そうすると仕事はこんなにきつい、しかも賃金なども、そういうようにはっきり差別されていくというようなことになるならば、もう体が心配だから、やめておこうかということになったら、五十五歳を延長するどころか、気がついてみたら、みんな五十五歳より前にやめるようになってしまったというようなことになりかねないのじゃないかというふうに私は思うのです。私に言わせれば、特に新日鉄の八幡などというところは、いつも高齢者が多いということを何かというと問題にしている。これは、こういう定年延長という形式だけれども、実際上は高齢者がやめるのを促進するような提案になっておるのじゃないかというように考えるわけです。そういうような結果にならないというふうに、あなた方はこの提案を評価するかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
○吉本(実)政府委員 ただいまの要するに定年前に、どういった形になっていくかというような問題につきましては、やはり、そういった点もあわせて労使間でいろいろ協議がなされることと思いますので、そういった合議の上で、そういった点がなされるならば、私どもは、それも一つの方法であろうというふうに考える次第でございます。
○小沢(和)委員 どうも、かみ合ってこないようですね。 それじゃもう一つ、ちょっと別の角度からお尋ねをしたいと思うのですけれども、ILO百六十二号勧告というのをあなた方は御存じだと思うのです。これは高齢労働者に関する勧告ですね。この内容を見てみると、一方では、高齢者といえども同じように働いている場合には機会及び待遇について均等に扱わなければならないということを規定しておる。同時に、保護という条項があって、たとえば危険なあるいは困難な仕事をしているような高齢労働者については、一日当たり及び一週当たりの労働時間を短縮することとか、あるいは長いこと交代勤務に従事をしておったような人については、昼間の労働にかわれるような配慮をすることとか、こんなことを具体的に、この中で勧告しておる。これは、あなた方は日本政府として、これに賛成しておるのですよ。 〔湯川委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、いま言ったように、そのような保護は一切行わないという提案が行われても、それは労使でやられることですからということで、あなた方は、これを全く見逃していくということになるのだったら、これは国際的に賛成して、こういう方向で日本の国内で行政をやりますと言って、あなた方は受け合っているわけですから、いわば国際的にも、これはペテンだといって後で問題になりはしませんか。
○吉本(実)政府委員 ただいまのILO百六十二号勧告の関係でございますが、これにつきましての内容は先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。 特に、その中で交代制労働の問題につきまして、一定期間従事した高齢者の昼間勤務への配置転換を容易ならしめる措置を、実行可能な範囲で、これをとるべき旨を定めておるということでございまして、そういった交代制労働なり夜間労働をめぐる問題というような観点から高齢者についての問題を検討することにはやぶさかでございませんし、また、先ほど私が申しましたのは、定年制の延長という一つの提案という形で出てきたことということの理解で申し上げたわけでございます。
○小沢(和)委員 そうすると、私は先ほどILOの百六十二号勧告の中身について御紹介しながら質問したわけですが、あなたも、それはそのとおり書いてあるというように認めた。認めたということは、つまり日本政府は国内的に、そういう立場から行政をやるということを、あなた方は保証しなければいけないわけですよ。たとえ、それが労使間の話し合い中の問題という形で出てきても、これに触れるのではないかというようにあなた方が思ったら、それについて何らかの指導なり勧告なりをすべきじゃないのですか。あの提案の内容、私ははっきり、さっきも言いましたように、今後も高齢者について一切、配置その他については考慮をしないというように言い切っているのですよ、それでもなおかつ、これについては何ら抵触しない、問題ないというふうに、あなた方は考えているわけですか。
○吉本(実)政府委員 先ほども申しましたように、百六十二号勧告の御説明と、それに対する私どもの考え方でありますが、高齢者に対しますいろいろな健康問題その他、夜間労働、交代制労働、そういったものをめぐる問題について、私どもは今後とも、それについての調査研究を進めていこうということは考えている次第でございまして、先ほど申しました勧告が、もう先生御承知のように、一つの勧告としてなされているわけでございますので、そういった形で私どもは、そういった問題を参考としてさらに検討したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○小沢(和)委員 答弁になっておらないのです。私は具体的に、このことを指摘して、それについて、あなたの方がどういうふうに考えて行動するかと言っているのですよ。まあしかし、これだけ私が聞いても答えないということは答えられないということだというふうに判断して、先に質問を進めたいと思うのです。 定年制の問題は一応これくらいにいたしまして、第二にお尋ねしたいと思うのは労働時間の短縮と週休二日制の問題です。 これまた第四次雇用対策基本計画などを見ますと、六十年をめどにして欧米先進国並みの水準に近づけていくという目標を掲げているわけです。この問題については労働大臣も先日の所信表明の中で、日本の労働条件などについては、いろいろ国際的な誤解があると述べていますが、私は誤解じゃなくて、西欧諸国に比べると、まさに労働時間などの面で格差が大きい、日本が非常に劣悪だというように考えているわけですけれども、こういう諸外国の非難を浴びないようにしていくためにも、労働時間短縮あるいは週休二日制というのは緊急の課題だと思うのです。この認識には変わりはないと思うのですが、まず、お尋ねしたいと思うのは、あなた方の指導の中で実際にどういう成果が上がっておりますか。
○吉本(実)政府委員 労働時間の短縮、週休二日制の改善という点につきましては、私ども、かねがね行政指導でこれを行っていこうということで詰めておるところでございます。昨年来、中央におきますいろいろな業種別の会議あるいは地方段階におきます同一地域、同一業種の企業集団をとらえまして、地域行政に応じた形で個別に行政指導を行ってきておるわけでございます。特に地域におきまして、地方段階では、それぞれの集団について、ある程度の合意を得て、それに基づいていろいろな施策を進めていく例も近ごろ出てきておるような実態がございまして、全体として必ずしも十分改善が進んでいるとは思いませんが、徐々に、そういった方向へ進んでおるのではないかというふうに私どもは理解しておる次第でございます。
○小沢(和)委員 期待しているほどではないけれども徐々に成果は上がっているという認識ですか。これは私はとんでもない話だと思うのです。あなた方が発行した「昭和五十四年労働経済の分析」これに付属統計表の六十ページから六十一ページにかけて労働者の実労働時間数というのが載っています。この一番最初のところに「調査産業計」という欄がある。これは全体を通じての、いまの労働時間がどうなっているかということの数字です。これを見ると五十年までは若干減ってきているけれども、昭和五十年以後は総実労働時間にしろ所定外労働時間にしろ、ずっとふえてきているではないですか。ここ五年間ずっとふえてきているのです。あなた方は、まさに時間短縮、週休二日が最大の急務の一つだと言って指導している。若干成果は上がっていると言うが、これはどこに成果が上がっているのですか。
○岡部説明員 統計面のことをお答え申し上げたいと思います。 先生おっしゃるような数字が昭和五十年から五十四年の間に出ていることは事実でございます。すなわち「調査産業計」で百七十二時間が百七十六・二時間ということで四・二時間、実労働時間がふえております。しかしながら、このような労働時間の問題といいますものは景気の上がり下がりと関係がございまして、特に昭和五十年といいますのは、御承知のとおりオイルショックの後の年でございまして、非常に経済不振の年であったわけでございます。このときにおきましては大量の人員整理減量経営あるいは合理化ということで、所定労働時間もおのずときわめて短縮された時期であったと思うのでございます。その後の経済回復に伴いまして労働時間が延びたというのは、労働時間が経済界の動きと連動するという観点から、ある程度あり得ることだと思います。 この点につきましては長期的なスパンをもって考えるべきことではなかろうかと思うわけでございまして、たとえば、この労働時間問題が論じられましたのは昭和四十六年に、すでに中央労働基準審議会から労働時間行政につきましての建議をいただいているところでございます。そこで昭和四十五年と五十四年の比較をお願いいたしますと、たとえば実労働時間につきましては一〇・四時間、それから所定外労働時間につきましては三・五時間の短縮を見ております。つまり所定の時間で言いますと六・九時間の大幅な減少が、この十年の間にあった。これは必ずしも行政の努力ということばかりではなく、労使の御努力にもよるところが大きかったと思うわけでございますが、そのような大きな尺度で見た場合に、やはり効果は上がっているというふうに言えるのではないかと思う次第でございます。
○小沢(和)委員 十年前に比べたら幾らかよくなっているというふうに言われるけれども、昭和五十年までは、とにかく幾らかずつにしろ下がってきたのですよ。それが五十年以後の五年間の統計を見ますとずっと上がっておる。いまあなたが、景気の変動によって実労働時間に変動が生ずる、景気がよければある程度延びるのはやむを得ないといったような趣旨の説明をされたようですけれども、常識的には、それはたとえば残業時間の延びというような形であらわれてくるだろうと思うのです。ところが、この統計数字を見てごらんなさい。所定外の労働時間の伸びよりも総実労働時間の伸びの方が、この五年間をとってみたら大きいのですよ。ということは、つまり所定内労働時間、決まった労働時間も伸びておるのです。この事実はそれを示していると思うのですよ。一体これで指導したと言えるのですか。あるいは成果があったと言えるのですか。それは景気がうんといいときに臨時的な残業がちょっとかさみましたとかいうことが起こり得ないとは私は言いませんが、しかし、こういうふうに所定内までふえておって、どういう努力の成果が上がっているのですか。
○岡部説明員 この点につきましては、先ほど申し上げましたように昭和五十年という年は、やはり異常な年であったというふうに私どもは理解をしているところでございます。その所定労働時間につきましても、そういう経済情勢というものが影響したということで、いま先生お示しの数字は、確かにその間の状況を見ますと、実労働時間が四・二時間増加している中で所定外労働時間は二・六時間増加をしている。つまり所定労働時間が一・六時間、この数字だけを使ってみますと増加しているように見えるわけでございますが、しかし、その辺では、そのような経済情勢というものが、わが国の場合は、どうしても労働時間について回る。つまり、わが国の雇用構造というものが終身雇用ということでございますので、不景気になった場合に、その冗員を排除することなく企業の中に抱えていく。しかしながら、景気がよくなってきた場合には、やはり多少の労働時間延長をもって対処するというふうなことが慣行としてあろうかと思うのでございます。そのことは、わが国の雇用慣行から生ずる一つの帰結というような面もございまして、あながち非難するというわけにもまいらないのではないかというふうに私どもは評価しておる次第でございます。
○小沢(和)委員 だから、それはさっきのあなたの説明から一歩も出ておらぬのです。それでは所定内の労働時間、つまり決まった労働時間自体を延ばしておるということの説明にはならないと私は思う。しかし時間がないから、私はきょうは、そのことはそれ以上論争しませんけれども。 それで、この機会に私はお尋ねしたいのは、五十三年の五月二十五日に次官通達で、労働時間の短縮を積極的に進めなければいかぬという通達をあなた方が出しておられる。私たちは、その姿勢そのものを評価しないわけじゃないのです。しかし、せっかくこういう通達を出しても、私はこの通達をもう一遍いまの時点で読み直してみたんだけれども、労使の自主的な努力を期待するということなんですね、それを国として促進をする。しかし、こういうような手法では結局のところ何年たっても実際にはほとんど進んでおらない。だから私は、もっと国自身の責任を明確にして積極的な対応、たとえば法的な、週二日というのを法制化するというようなことも含めて、これは考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。 労働大臣に、この機会にお尋ねしたい。先ほども私、申し上げたように労働大臣が、西ヨーロッパの諸国に比べて労働条件、こういう面で低いのを引き上げていくということを特に所信表明の中でも言われた。ですから私は、いまのような実際にほとんど時間短縮などが進んでおらないような状態を改善するために、大臣の責任において実効のある今後の方向というのを打ち出していくという決意を、ひとつ、ここで聞かせておいていただきたいのです。
○藤尾国務大臣 仰せの点につきましては、私も一般的に見て日本の労働界の流れといいますものが欧米各国の流れから逆さまに流れておるというようなことでございまして、これは容認するわけにはまいらないと思います。特に、それが不当に日本の産業全体、経済の運営全体に非難となって浴びせかけられるというようなことになりますと、これは容易ならぬ問題に発展しかねないという危険性を持っておりますから、私どもといたしましては、そのような非難の余地がないようなところに向かって、やはり前進していっておりますよということを示す必要がある、さように思います。 しかしながら、そのことをもって直ちに労働時間を法制で決めて、どうしても、ここまでしなければならぬぞ、そうでなければ、このような罰則が加わりますよというような方向にまで強制力を持たせるか否かということにつきましては、これは政治判断でございます。御案内のとおり経済といいますものは生き物でございますから、角をためて牛を殺すようなことがあってはならぬということで、流れといいまするものの全体を見ながら、あなたのおっしゃられる方向に前進させる努力を、どのように具体化するか考えながら指導を強めていきたい、かように考えます。
○小沢(和)委員 では、この問題については今後の努力を見守っていきたいと思います。 第三番目にお尋ねをしたいと思いますのは、いまの問題とも絡むのですけれども、三交代の労働者の労働条件をもっと改善するために努力してもらいたいということです。 私の出身は新日鉄の八幡でありますが、ここは御存じのとおり典型的な三交代職場です。朝出、昼出、夜出ということで、それこそ二十四時間一瞬も工場がとまることがないわけでありますけれども、この三交代労働というのがどんなに過酷なものであるかということについては、私がここでいろいろ言う必要もないぐらいじゃないかと思うのです。いろいろな生理学者などの研究によっても、この三交代、夜勤を長期にわたってやっても生体リズムというのは変わらない。やはり人間は夜になると活動能力が落ちてきて体温なども低下する。ところが、そういう中で昼間と全く同じようなノルマで労働をしなければならない。ところが昼間はなかなか寝られないということから疲労が極端に蓄積をされていく、だから、この三交代労働というのが、どんなに有害な労働であるかということについては、私が余りここでいろいろ言うまでもないと思うのです。 フランスのビスマールという人が調査したところによると、平均寿命が十年は縮むというような研究結果も発表されておりますし、また私も聞いて、これは大変ショックだったのですが、少し古い調査のようですけれども新日鉄の八幡では、労働者だけではなしに、三交代をしている人の奥さんまでが寿命に響いてくる、約二年ほど寿命が短命になるというような調査結果まで出ておるのですよ。ですから全体として週休二日制ということを、これは広げていっていただかなければなりませんけれども、とりわけ、こういう三交代の過酷な労働条件にある人たちのことについては厳しい保護をやっていっていただかなければならないと思うのです。 ところが、私そういうような角度から関心を持って、三交代の実態などについて労働省として、どの程度、把握しているかというようなことについてお尋ねしても、ほとんど資料がないのですね。どの程度のことを御存じなのか。余り資料がないということで、近く、そのことについては調査をするということも聞いているわけですが、どういう調査をするのか。私は単なるアンケート程度のことではなくて、やはりいろいろな学者なども動員して、客観的に見て、どんなに労働条件がひどい状況にあるかということについて具体的に把握をして、今後の改善の資料にしていただきたいし、また特にフランスのビスマールがこういう十年も寿命が縮むというような研究結果を発表しておるわけですから、日本でどうなのか、この三交代労働に従事をした人たちの寿命がどうなっておるかというようなことについても、これは私はぜひ調査されてしかるべきだと思うのです。この点について調査される意思があるかどうかも含めてお答え願いたい。
○吉本(実)政府委員 鉄鋼労働者につきまして、深夜業を含む三交代制の問題と健康管理の問題というお尋ねでございますが、御承知のように先生も、一日を周期といたします人間の生理的機能のリズムの乱れによって生理的機能の変調だとか、あるいは健康状態の低下が生ずる、こういうふうに言われているわけでございますが、これは医学的に私どもの把握しておる範囲では、特定物質によって特定の職業性疾病が起こるというような直接的な有害性は見られない。また、いわゆる量反応関係というものも特別に認められないというところでございます。しかしながら交代制勤務がいろいろな関係におきまして問題があるということは十分承知しておりますので、いま先生御指摘のように、私ども従来の調査もございましたが、さらに本年この調査を実施することにいたして、ただいまのような問題を含めて、そういった問題についての検討を進めていこうというふうに考えております。
○小沢(和)委員 そうすると、私は実態調査のほかに、三交代制についてフランスのそういう研究もあることだから、平均寿命について調査をしてほしいということを特にもう一つ、つけ加えたんだが、それも調査をしてくれるというふうに受け取っていいわけですか。
○吉本(実)政府委員 いわゆる人間の寿命につきましては、いろいろな多くの因子が関与しておって、特定の要因と寿命との関係ということは……(小沢(和)委員「いや、するのかせぬのかと聞いておるのですよ」と呼ぶ)したがって、こういった点について直ちに、それを取り入れるということではなくて、先生のそういったことも十分わきまえながら調査のやり方を考えてみたいと考えております。
○小沢(和)委員 急に、この場で提案したから、即答しろという方が無理だと言われるなら、私は結論が出るのを待ちましょう。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕 ついでに調査をしてほしいという点では、三交代労働者の保護の諸外国の実例についても調査をして、これをぜひ、わが国のそういう人たちの保護に積極的に活用していただきたいのですよ。たとえばフランス、先ほどのビスマールという人の研究の成果を生かしてだと思いますけれども、いまから三年ほど前に積極的な、そういう保護立法を行ったということは皆さんも御存じだと思うのです。私が聞いているところでは、国からの補償金を出すとか、あるいは温かい食事を出すとか、あるいは健康診断、さらには防音、電話つきの——電話つきというのは家族に電話をかけることができるようにという意味だと思うのですが、電話つきの保養室とか、恐らく仮眠を、こういう形で保証しているのだと思うのですけれども、こういうような、日本の三交代労働者の労働条件から考えてみたら、ちょっとびっくりするような、いろいろな保護措置というのを現実にやっているわけですね。これも西欧諸国に比べると、いかに日本の労働者の労働条件が立ちおくれているかということをあらわしていると私は思うのです。 私、この問題についても、そういうフランスなどでの例、資料があったら下さいというように言ったら、新聞記事に毛の生えたのぐらいしか持ってきてくれなかった。これなら私も持っておるのですよ。だから立法例あるいは労働協約などで実際にこういうところまで到達しているというのも含めて、ひとつ、その資料を整備していただくように積極的に進めてほしいと思うのですが、その点はどうですか。
○吉本(実)政府委員 先生も御指摘のように、最近ECの諸国を中心にしまして夜間労働なり交代制労働について検討が行われているというように聞いております。私どもも、そういった諸外国の資料を十分収集いたしまして総合的に検討してまいりたいと思います。
○小沢(和)委員 検討じゃなくて、フランスなどではやっておるのですよ。何か検討されておって実行されてないように認識しているとしたら間違いですよ。その点は別に質問はしません。 それで三交代の労働条件を改善する上で、私ぜひ緊急に手をつけてほしい具体的な問題が一つあるのですよ。それは何かというと休憩時間の問題なんです。労働基準法の三十四条では、御存じのとおり休憩というのは一斉に与えなければいかぬ。八時間までだったら四十五分間与えなければならない。これは強行法規だと思うのですよ。もし、どうしてもそれに従うことができない場合には所定の手続を行政官庁にとって許可を受けなければならないということになっている。大体、一斉休憩というのは、働く人たちが本当に安心して休めるように保証をしていくためには、やはり一斉休憩で機械をとめて、ゆっくりさせなければ休めないんだということで、これは戦前、働く人たちの権利が余り保障されていなかった時代にでも、工場法の中などでも、これははっきりそのことは保証されておったものですよ。 それでお尋ねしたいのですけれども、そういう非常に重要な、働く人たちに保障されている権利でありますから、一斉休憩の例外というのは簡単に何か手続が一本あったから、ぱっとするというようなことではいけないのじゃないかと私は思うのですね。あなた方の場合でも、恐らく、そういうような許可願いなどが出てきた場合には、その内容を十分調査し検討するようにという指導もし、また、その許可に当たっては厳重な許可基準も設けているのではないかと思うのです。その点どうでしょうか。どんな許可基準で、この例外を認めておりますか。
○吉本(実)政府委員 労働基準法三十四条を受けて休憩の付与については三つの原則を規定しておりますが、その中にただいまの、休憩時間は一斉に付与しなければならないということになっております。 ただ、これが業務の性格から一斉に付与することが困難な場合もありますので、同条の第二項のただし書きで、行政官庁の許可を得た場合には、この限りでないというふうな規定をしており、その点を労働基準監督官が監督機関において、この許可を取り扱うことになっておるわけでございます。 その場合の許可の基準と申しますのは、一つは交代制によって労働させる場合は許可をすること、二番目としては汽罐士その他危害防止上必要なものについては許可をすること、三番目に、同一事業場内でも作業を異にする場合で業務の運営上必要なものは許可すること、こういう形をとっております。そのほか参考の通達もございますが、そういったことを十分考慮いたしまして、許可に際しては許可申請書に記載された事項等についても実態を十分見て把握して、これを許可するというふうにいたしております。
○小沢(和)委員 その場合、三交代というのは、もともと労働者が全部一緒に働けない、四つに組を分けて常時三つの組が出勤をして働くということに、新日鉄などの場合でいったら、なっているわけです。だから、これは初めから一緒に食事をするとか休憩をするというようなことは問題になり得ないわけですね。だから、この三交代の場合というふうに言っているのは、そういうことを言うのであって、具体的に三交代の組の中で休憩時間をどうするかということについては、一つの交代番の中では一定の時間に一斉に休憩を与えるのが原則なんでしょう。
○岡部説明員 ここで交代制というふうに許可基準に出しましたのは、一日たとえば二つとか三つに分かれます関係から、物理的、必然的に分かれざるを得ないことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、一つの番の中においては一斉に与えることが法の原則であることは申すまでもございません。その中で、さらにまた一斉休憩除外を認定してほしいということであれば、その旨の許可が別途必要になるわけでございます。
○小沢(和)委員 その場合に、では交代の一つの組の中で一斉休憩がどうしても与えられないという場合の許可基準は、どういうものですか。
○岡部説明員 これはあくまでも一斉に与えることが原則でございますので、私どもとしては、その業務の必要上どうしても一斉に与えられないかどうかという点を調べるわけでございます。 それで先生、具体的に鉄鋼業の点について御指摘があったわけでございますが、この点については問題が監督機関に通報があり次第、その許可がどのような——従来から行われているわけでございますけれども、現時点における判断として果たしていいかどうかということも重ねて考えてみるという措置も随時、行われているところでございます。
○小沢(和)委員 私がびっくりしたのは、新日鉄などの職場の中では、もう大分前から休憩が一斉に与えられていないのですよ。一番ひどい場合は、かつて八交代で食事をしておったというような事例もある。最近では六交代にまでなっているのですが、どうして、そういうようなことが認められているのだろうかと思って、八幡の労働基準監督署に行って、いろいろ話を聞いたところが、何と、たった一枚の届け出用紙で、しかも書かれていることは「その性質からして連続操業を行わねばならず、これらの業務を直接的に行う者、関連して行うものは休憩時間を一斉に与えることができない。」だから食事を交代で食べさせるように休憩時間もばらばらにしてしまうという、たったこれだけの説明で、何と男女合わせて六千五百四名、大変な数ですよ。こういう人たちがたった一枚の許可の申請で認められておるのです。許可の申請が出てから、わずか二十日目には六千数百人の人たちの許可が出ておるのですよ。一体そんなに短時間で、これだけの人たちがどうしても、ばらばらにでなければ休憩をとれない実態にあるかどうかということを調査したのか、何遍調査したかと聞いてみても、調査したかどうかがわからないのです。そんないいかげんなことで、こういう大事な一斉休憩の権利というのが奪われていいものか。 時間がぼつぼつ気になってきたから、具体的なことを一つ持ち出したいと思うのですが、この中には戸畑の第二ストリップ工場というのも入っておるのです。第二ストリップ工場というのは薄板を冷延するところなんですよ。ですから、これはスイッチを入れさえすれば機械はぶんと動くし、またスイッチを切りさえすれば、ぱっと機械はとまって一斉に休むことなどは全然差し支えないわけです。その人たちの話を聞いてみると、増産、増産で追いまくるときには、そこの職場では食事を四交代にして、さあ交代で飯食って働け働けと言ってノルマを上げさせる。減産しなければいけないときになったら、ぱっと機械をとめて、はい一斉休憩だ。一斉休憩というのは、こんなふうに生産をする必要によって勝手に取り上げたり与えたりというようなことをしていいのですか。これはどうしても生産の技術的な必要上から見ても、ちょっと機械をとめて一斉に休憩を与えでもしたら、後々重大な支障やら危険やらが起こるという状態にあるときに初めて、それを許すというようなものじゃないのですか。余りにも安易ですよ。そういう点について見直してもらいたいということを、私は強く、この機会に要求するのですが、その点についていかがでしょう。
○岡部説明員 先生御指摘の本件につきましては、労働者から直接に申告もなされているところでございます。これにつきまして現地の監督署におきまして現在、鋭意調査中でございます。もちろん第二ストリップ工場も含めて調査中というふうに聞いております。
○小沢(和)委員 実際、私が聞いてみると、食事のための休憩を六回に分けてとるということになると、朝出の人は朝七時ごろ会社に出勤したら、もう九時にはおまえ昼飯に行けということになるのですね。一番最後に食べ終わる人は午後二時ごろになる。その後だらだら一人か二人ずつで交代で食事に行くのですよ。先ほども三交代というのは、もともと不規則で人間の生活リズムを無視した非常に過酷な労働なんだというふうに言いましたが、せめて食事ぐらい三交代の中で決まった時間に食べるというぐらいのリズムは保証しなかりたら、実際五十歳になったら九十何%が病人になってしまうというようなことになると私は思うのです。そういう点からも、これについてはぜひ厳しい立場で見直しをしていただくようにお願いしたい。 時間が参りましたから、あと一、二だけ、これに関連してごく簡単に申し上げたいと思うのですけれども、機械整備課という職場の人は、私に、こういうことを言ってきているのです。この休憩のことでは確かに、うちは一斉休憩ではある。しかし機械が故障したりしたようなときに、その修理の都合に合わせて食事をするようになっている。だから場合によると、それっというので会社に来たとたんに昼飯を食わされて仕事を始めたり、あるいはぎりぎりまで、帰る間際まで食事ができなかったり、あるいは、どうかしたら弁当を持って帰ってしまう、こういうような実態もあるというのですよ。だから、これはぜひ是正させるようにしていただきたいし、あるいは休憩時間中に、たとえば皆、弁当持って集まれということで、工長会議などといって、これは一番末端の職制ですけれども、この人たちの会議を食事をしながらやる。これは実際には休憩時間の自由利用の原則に反しておると思うのです。だから、こういうような問題についても直ちに是正させるような指導をしていただきたい。 時間が来たようですからこれで終わります。
○戸井田委員長代理 次に、石原健太郎君。
○石原(健)委員 雇用開発委員会が全国に十カ所、高学歴者のための学生職業センターが六カ所設立されているようでありますけれども、それぞれの目的を簡単にお聞かせいただいて、あと一カ所当たりの予算は、それぞれどうなっているかをお教えいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 地方の雇用開発委員会のお話でございますが、地方雇用開発委員会は、国会におきます与野党間の雇用問題に関する論議から、これの設置というお話が出まして、以後、翌年もまた増設するという形で今日に来ております。 この雇用開発委員会は、その地方におきますところの民間の雇用機会の拡大をどういうふうにしたらいいか、地方における産業や雇用の実態を把握し、今後、拡大が見込まれる産業、職種についての調査研究を行う、また地方の実情に即した施策の検討を行う、こういうことで五十四年度五カ所、五十五年度さらに十カ所という形で、合計十県に設置されておるわけでございます。構成メンバーについては、労働者それから事業主、公益の各代表及び行政側ということで四者構成で委員会が構成されておるところでございます。委員会で論議するだけでなく、調査研究事項を外部の大学その他研究機関にも委託できるということにいたして、そういった予算も計上してございます。 一件当たりでございますが、五十五年度の予算額としては四百四十四万二千円が一カ所当たりの金額になっております。 それから次に、学生職業センターのお尋ねがございましたが、御承知のように大学の職業紹介につきましては、職業安定法の規定に基づきまして大学自体が行うということで、いままで、やってまいりましたが、近年、大学の数が非常にふえた。したがって大学卒業者の数が非常にふえてまいりました。いわゆる高学歴化の現象でございますが、それに伴いまして求人の企業数も、昔はごく限られた大企業だったものが、最近は中小企業からも求人が寄せられるというふうに企業数もふえてまいりました。また学生の中に地元で就職したいといいますか、あるいはUターンと申しますか、出身県での就職を望む学生もふえてまいりました。そうなりますと大学当局だけの職業あっせん、あるいは職業相談といいますか企業情報の提供、これでは必ずしも多様な学生の要望を満たし切れない、こういうことになってまいりましたので、公共職業安定所の一部ではございますが、場所的に、それだけの広さのところを確保できませんので、別の場所に学生職業センターというものを置きまして、広域的な求人情報を集めて大学生に提供する。そして来所しました学生諸君の職業相談を実施いたすものとして職業センターを設置してございます。現在、東京、大阪、愛知、福岡、札幌、仙台まで設置してきておるわけでございます。(石原(健)委員「予算は幾らになっておりますか」と呼ぶ)
○戸井田委員長代理 発言を求めて言ってくだざい。石原君。
○石原(健)委員 先ほど予算のことも、一カ所当たりの学生センターについてもお伺いしたのですが。
○関(英)政府委員 失礼いたしました。 学生職業センターの予算は職業安定機関の予算の中に入っておりますので、いま直ちに一所当たり幾らというのは出てきませんので、後ほど、わかりましたらお答えいたしたいと思います。
○石原(健)委員 できてから日が浅いとは思うのですけれども、雇用開発委員会の成果を労働省としては、どのように見ておられますか。
○関(英)政府委員 雇用開発委員会は五十四年度五県に設置されました。それぞれのところでは、たとえば、その県の雇用・失業情勢の現状と問題点を委員会で検討する、それから、その地域の雇用事情について代表的な業種の事業主あるいは、その団体の人からヒヤリングをする、それから委託調査をやりまして、その委託調査結果の報告を聞いて検討するというようなこと、あるいは、その地域の地場産業の代表者から今後の地場産業の見通しを聞く、あるいは今後、発展が予想されますような大規模小売店の代表者から話を聞く等々重ねてまいってきておるところでございます。五十五年度設置のところは、これから次第に活動していくと思います。 そういうことで五十四年度約一年間をかけて、いろいろ論議を重ねてまいりまして、これから来年度にかけまして、さらに、その地域において今後どんなような産業構造が見込まれるか、雇用機会をつくり出していくという観点からは、どのような産業の発展を見込んだらいいのか、それに対する雇用面からの対応策としてはどんなことが考えられるかというのを、これから論議に入っていく過程になると思います。 こういうふうに公労使と行政側と四者構成で、委員会でときどき会合して、こういう問題を検討し合うことは、雇用問題につきまして関係者のコンセンサスを得ていくという面で非常によい機能を果たしているのではないかと思いますし、今後、雇用の発展が見込まれる産業構造なり、その対応策なりといったものがまとまってまいりますれば、私どもの雇用政策を行っていく上の非常に重要な参考指針になるものと期待しておるところでございます。
○石原(健)委員 先ほど、お話にありました中高年対策というものが、これから非常に大事になっていく時期に、このような大変いい機構ができて大変結構なんですけれども、さきに五十六年度予算の概算をお聞きしましたときに、学生センターは七カ所で二億七千二百万の予算がついておるわけですね。開発委員会の方は十五カ所に対してわずか七千七百六十二万円ということでありますし、冒頭、局長さんのお答えで、学卒者の就職状況は最近非常によいようである、大学のことは就職部に任せているけれども、いいようだという話があったわけであります。ところが一方、五十五歳以上の人の有効求人倍率は〇・一七ということであります。しかも、全国に四百八十カ所もの職業安定所があるわけでありまして、学生の職業センターをさらに設置することは屋上屋を重ねるような気もいたすわけであります。したがいまして、ばらばらに少しずつの予算を分散するということではなくて、今後この開発委員会の方に、学生職業センターの方はさておいて、もっと集中的に予算を使うようにした方がいいと思うのですが、大臣はいかがにお考えでしょうか。
○藤尾国務大臣 仰せのことは確かに一理あると思います。大事なところに集中的に金を使っていく、それは私は結構なことだと思います。ただ、いま職業安定局でやっております学生さんのお世話にいたしましても、学校から出られました方々が、そんなことがあってはならぬわけでしょうけれども、非常に伝統のある評判のよろしい、そういった学校におきましては集中的に学校ではける。ところが、たくさんつくられました後発の学校には、そのようなはけ口が非常に少ないということがあったのでは、若い方々に対します機会均等を失しますから、そういった方々の傾斜をなくするために一応の努力をそこに集中しようという一つの考え方、これはやはり、わかってやってもいいではないかという気がいたします。 いずれにいたしましても御注意のとおり、これからの問題の焦点は何といいましても中高年の方々をどのようにお働きいただくかというところに最重点を置かなければならぬわけでありますから、そのような方針で指導をいたしまして、御意向のような方向でこの問題を解決するように処置させるつもりでおります。
○石原(健)委員 それから各地の有効求人倍率、いろいろ、ばらつきがあったわけで、東北地方は〇・五ということで、きわめて低いわけでありますけれども、この雇用開発委員会等の予算なんかにつきましても、やはりそういうばらつきを見ながら、全部定額一カ所四百四十万というような考え方ではなしに、一生懸命やらなくちゃならないところには少しでもよけいにお金を流す、そういうやり方でやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○関(英)政府委員 地方雇用開発委員会の場合には、各委員の皆さん方それぞれ、行政側はもちろんでございますが、公益の先生の場合には大学の先生とか、あるいは労働組合の代表とか事業主の方々でございまして、月に一度ぐらいの会合に集まっていただく場合の謝金なり、あるいは実情調査に行きます場合の旅費なり、それと研究委託費ということでございますので、先ほど一所当たり平均を申しましたけれども、そういう意味で一カ所当たりの金額は四、五百万ということであれば余り多いとは言えぬと思いますが、もし、これが実情調査をさらに重ねる必要がある、あるいは研究委託がもっと必要だということになれば、私ども、そういう点は十分実行上配慮していきたいと考えております。 なお学生職業センターの場合は、そこにおります私どもの第一線の職員の人件費もございますが、いろいろな求人開拓あるいは学生の指導、そういったあらゆる予算を全部総計して先ほどのような金額になってくるわけでございますが、部屋の借料等まで全部含めて総額の予算でございます。学生職業センターが置いてないところでは、現実に安定所に、大学生で必ずしも学校では就職できなかった方が御相談に見える場合がございます。そういう場合には、そういう地域では学生コーナー等を設けまして、安定所でやっているわけでございますが、先ごろ置きましたような大きな都会では非常に利用者の数も多うございますので、一般の安定所内にそれだけのスペースがございませんから、たまたま外に一つセンターというものをつくって仕事をしているわけでございます。
○石原(健)委員 また最近、青田買いということが大変騒がれておるわけですけれども、これの有効なる防止策がおありとお考えですか。
○関(英)政府委員 先ほども申し上げましたように、大学卒に対します求人、求職の関係は直接、私どもでタッチする部分が非常に少ないわけでございます。企業といたしましては将来、定年延長を考えますと相当長い間、勤務する従業員を採用するわけでございます。その生涯のコストだけを考えても相当多額の金額になる、それだけの買い物をするというわけでございますので、できるだけ、いい卒業生を確保したいということで懸命になるというのは、それもそれなりにわかるわけでございますが、よく言われます青田買いというような状態が非常に過熱化してまいりますと学業にも差し支えてくる、最終学年の勉強がおろそかになるという問題もございますし、また、オイルショックのときに非常に問題になりましたように、余り早目に採用計画を立てて青田買いのような行為をいたしますと、後の経済変動によって内定の取り消しとか自宅待機というような非常に問題のある行為が行われたわけでございます。 そういうようないろいろな経験にかんがみて、事業主の代表者といいますか業界団体、特に中央の経済団体であります日経連、日本商工会議所、中小企業団体中央会、それと重立った業界団体というものが集まりまして、労働省も加えていただきまして、そこで企業側の自主的な協定として現在の就職協定というものが結ばれて、十月一日会社訪問を解禁する、十一月一日採用選考を解禁するという就職協定が生まれたわけでございます。 しかしながら、ことしは特に、オイルショック後、求人を控えていた企業も景気の回復に伴いまして求人を非常にたくさん出してくるということで、必ずしも自主的な協定が守られないという面も多々見えるわけでございます。一方で経済三団体と私どもとが一緒になりまして、その協定の遵守をするための委員会をつくりまして、その協定に違反したという情報が寄せられますと、それを調査して、確かに違反事実が認められれば注意、勧告、そして、たび重なれば、その企業名を公表するというようなことで遵守を図っておるところであります。
○石原(健)委員 発言中、大変申しわけないのですけれども、私は六分までしか時間がなくて、あと二分しかないのです。せっかくの御説明ありがたいのですけれども時間がないものですから……。いまお聞きしたのは有効な防止策があるかどうかということをお伺いしたわけなんです。 それで、もし有効な防止策がないという場合、実際いまは正直者が損をしている現状でありますし、いまのような実態ですと遵法精神というものを非常に損ねていると思うのですよ。こういうみんなが無視しても構わないというような協定に労働省が加わっているということは、ちょっと問題があると思いますので、このような協定が守られないなら、労働省はそこから抜けられた方がいいと私は考えるのですけれども、大臣のお考えはいかがですか。
○藤尾国務大臣 労働省が責任を持ってやる協定が、そのような方向に陥るということはあってはならぬわけでございますから、そのようなことはさせないように厳重に私は処理いたします。
○石原(健)委員 では、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
○戸井田委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五分散会