社会労働委員会 第1号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1980/10/14
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 厚生関係の基本施策に関する事項 労働関係の基本施策に関する事項 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○山下委員長 この際、厚生大臣及び労働大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。園田厚生大臣。
○園田国務大臣 このたび、齋藤前厚生大臣の後を受けまして、厚生大臣に就任いたしました園田直でございます。 国民生活全般に深くかかわり合いのある厚生行政を急速担当することとなり、責任の重大さを痛感いたしております。 社会労働委員会の御審議に先立ち、お許しを得て、就任のごあいさつを兼ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。 厚生行政にとって一番大切なことは、人間の生命と幸せを守り育てるための活力ある社会の建設を目指して温かい血の通った行政を推進していくことであると考えております。 昨今、国民の健康と生命を守る重要な責務を有する医療機関において、医療に関する国民の信頼を著しく損なう行為が見られたことは、この意味においてまことに遺憾であり、不祥事を起こした医療機関に対しては厳正な態度で臨む所存でありますが、あわせて今後このような事件が二度と起こらないよう医療機関に対する指導監督を強化するとともに、国民の医療に対する信頼を回復すべく医療に関する諸問題について広範な角度から検討を進める所存でございます。 今日わが国は、諸外国にも例を見ない速さで高齢化社会を迎えつつありますが、こうした社会情勢に即応した新しい厚生行政の路線を敷くことが最も重要な課題であり、とりわけ今日のように財政状況を初め周囲の環境が厳しくなればなるほど、力を合わせて厚生行政の真価を発揮していかなければならぬと考えております。 当面、さきの通常国会において種々御審議を煩わした健保、年金両法案について改めて御審議を願うこととしておりますので、速やかに改正が実現されますようお願いする次第であります。 また、懸案の老人保健医療制度につきましては、すべての国民が健やかな老後を迎えることができ、しかも、それに要する費用をすべてり国民が公平に負担するという制度を確立することが重要であります。 この問題につきましては、現在社会保障制度審議会に諮問し、御審議をお願いしているところでありますが、厚生省においても先般老人保健医療対策本部の第一次試案を公表したところであり、今後関係方面の意見を聞きながら、できるだけ早く厚生省としての成案を得たいと考えております。 このほか、厚生行政は、生涯を通じる国民健康づくり対策の推進、国際障害者年を来年に控えて心身障害者など社会的、経済的に不利な条件を抱えた者の社会参加の促進、次代を担う児童の健全育成、医薬品等の安全性の確保など国民生活に密接な課題が山積しており、これらに積極的に取り組んでまいる所存であります。 私は、委員各位の御縦樋を得ながら専心努力し、国民福祉の着実な前進を図ってまいる所存であります。何とぞ絶大なる御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)
○山下委員長 藤尾労働大臣。
○藤尾国務大臣 御審議をちょうだいをいたしますに先立ちまして、私の所信を申し上げたいと存じます。 御案内のとおり、私ども労働省が抱えております問題は、人に関する問題でございます。これから先、物と金といいますものを中心にいたしました政治課題は、人を重点に置く政治に大きく変わっていかなければならないと考えます。そういった大きな政治の転換期に当たりまして、私ども労働行政が考えていかなければなりません担当をいたします問題の重大さは非常に大きくなってきておる、かように考えるわけでございます。一生懸命に勉強をいたしまして、皆様方の御協力をちょうだいをいたしまして、何とかこの仕事を完遂をいたしたい、かように考えておるわけでございます。 ただいま私ども労働省が直面をいたしております問題のうち最大の問題は、何と申しましても高齢化社会を迎えておるという事実に、どのように対策を打っていくかということでございます。 このことは、私どもは、ただ単に日本民族の寿命が延びてまいりまして、高齢者の方々が多くなってきたという側面だけからでは、なかなかこれが解決に対処し切れない、かように思います。と申しまするのは、何といいましても、そのこと自体が意味しておりますることは、同時に、わが民族の出生率がきわめて低下しておるという状態がここ数年続いてまいっておりまして、これから先も、これが急速に解決をするという方向になかなかまいらぬだろう、私はかように考えるからでございます。でございまするから、こういった問題につきましては、私どもが、ただ労働省といたしまして考えるというようなことで解決し切れる問題ではないわけでございまして、総理大臣初め政治全体の問題といたしまして取り組んでいただかなければなりませんし、なかんずく厚生大臣あるいは文部大臣等々の御協力をちょうだいをし、ともに、こういった問題に対処してまいらなければならぬ、かように考えるわけであります。 高齢化社会ということでございますから勢い、いままでの制度あるいは慣習というようなものでは追いついていけないわけでございます。したがいまして、ただ単に就労者を私どもが確保するというような意味からだけではございませんで、もっと広い意味から考えていかなければいけないわけでございまするけれども、いずれにいたしましても、お年を召したから、それで御隠退というようなわけにはまいらない。お年を召した方々にも、なおかつ御睡魔であられまする以上は、ひとつお働きをいただかなければならぬ、こういうことになりますわけで、当面、定年制の延長でございますとか、その他の施策を講じていかなければなりませんけれども、これは決して、その定年までお働きを願えれば、それでよろしいというものではございませんで、六十歳の定年制が六十三歳であろう、六十七歳であろうが、あるいは七十歳におなりになられても、なおかつ日本の国の責任の一半をお担いをいただいて、そうしてお働きを願う、社会のため、国家のために御貢献をいただく、そういった喜びといいまするものを付加をしていただきまして、それぞれの御高齢の方々の人生をさらに豊かに大きくしていくというようなことに、私どもの本当の願いが込められておるわけでございます。 したがいまして、何といいましても御健康でいただかなければならぬわけでございまして、そのためには、どういたしましても私どもだけではやっていくわけにはまいりません。これは厚生大臣にお願いをしなければならぬわけであります。 さらに私どもは、この労働という問題につきましては、これはお働きといいまするものの価値が、どなたがお働きになられましても、その価値が同じように評価をされるということが大切でございまして、そのためには家内でお働きになっておられます御内職の方々でありますとか、あるいはパートでお働きになっておられます方々でありますとか、あるいは下請でお働きになっておられます方々でありますとかいうような方々のお働きが、組合の制度で守られておられます第一線の労働の方々といいまするもののお働きと同じように、やはり扱われていかなければならない。そのためには、行政は主として、いままで劣悪な状態のもとに置かれてまいりましたこういつた方々に対しまして、より厚く私どもがこれを考えていかなければならぬ、こういうことであろうと思います。 さらに、何といいましても日本の国は国際的にいろいろな意味で誤解をいろいろとちょうだいをいたしておるわけであります。そういう誤解を解きまするためには、欧米社会の通念になっておりますような労働条件といいまするものを私どもはつくり出していかなければならないわけでございまして、そのためには時間、制度その他いろいろと考え直していかなければならない、かように考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても非常に大きなむずかしい問題をたくさん抱えております。何とか一生懸命にやりまして、ひとつ国家のために御奉公をいたしたい、かように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手) ————◇—————
○山下委員長 次に、内閣提出、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案並びに本日付託になりました内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案及び労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案の三案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。園田厚生大臣。 ————————————— 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案 健康保険法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○園田国務大臣 ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 わが国は諸外国に例を見ない急激な速度で高齢化社会に移行しつつあり、老後の生活の支えとなる年金制度に対する国民の関心と期待は、年金受給者の急速な増加と相まって、かつてない高まりを示しております。昭和五十一年度には、厚生年金及び国民年金を中心に財政再計算の実施とあわせて給付水準の引き上げ等の制度改善が行われたところでありますが、その後における社会経済情勢の変動に対応し、これらの制度について所要の改善を行う必要が生じております。 このような趣旨にかんがみ、厚生年金、国民年金等について、財政再計算を一年繰り上げて昭和五十五年度に実施し、年金水準の引き上げ、遺族年金及び母子年金その他の給付の改善を行うほか、福祉年金の額の引き上げ等を行うことにより、年金制度の実質的な改善充実を図るとともに、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当についても額の引き上げを図ることを内容とする厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を本年二月、第九十一回国会に提出し、御審議を煩わしたのでございますが、成立を見るに至りませんでした。 しかしながら、年金制度の改正に対する国民の要望にはきわめて強いものがあることから、ここに再度この法律案を提案し、御審議を願うことといたした次第であります。 以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。 第一に、年金額の引き上げにつきましては、本年六月から新たに老齢年金を受ける者の標準的な年金額を月額約十三万六千円に引き上げることとし、定額部分について単価の引き上げ、報酬比例部分について過去の標準報酬の再評価を行うこととしております。また、加給年金額につきましては)単身世帯よりも夫婦世帯に手厚い改善を図る観点から、配偶者の加給年金額を月額六千円から一万五千円に引き上げる等大幅な改善を図ることとしております。そのほか、障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることとしております。 第二に、在職老齢年金について、受給者の実態を勘案し、本年六月から六十歳以上六十五歳未満の在職者に支給される老齢年金の支給対象を標準報酬月額十五万円までの者に拡大する等の改善を図ることとしております。 第三に、遺族年金につきましては、受給者の生活実態等を勘案し、年金による生活保障の必要性が高いと思われる有子の寡婦及び高齢の寡婦に重点を置いた改善を図ることとし、寡婦加算額を本年八月から子供二人以上の寡婦の場合、月額七千円から一万七千五百円に引き上げる等大幅な改善を図ることとしております。 一方、遺族の範囲につきましては、年齢等を勘案して見直すこととし、子のない四十歳未満の妻につきましては、年金の支給対象としないこととしております。 第四に、標準報酬につきましては、最近における賃金の実態に即して、本年十月から、四万五千円から四十一万円の三十五等級に改めることとしております。 第五に、保険料率につきましては、給付改善及び将来の受給者の増加に対応して、長期的に財政の健全性を確保する観点から段階的に引き上げる必要がありますが、今回の引き上げ幅につきましては、千分の十八にとどめることとし、本年十月から引き上げることとしております。なお、女子につきましては、本年十月から千分の十九引き上げるとともに、昭和五十六年以後毎年六月から千分の一ずつ引き上げ、保険料率の男女差の解消を図ることとしております。次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、おおむね厚生年金保険の改正に準じた改正を行うこととしております。 次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。 拠出制国民年金につきましては、まず年金額の引き上げを図ることとし、本年七月から二十五年加入の場合の年金額を月額四万二千円とし、現実に支給されている十年年金の額を月額二万六千五百五十円に、五年年金の額を月額二万千六百円に、それぞれ引き上げることとしております。そのほか、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額を引き上げることとしております。 第二に、母子年金及び準母子年金について、本年八月から母子加算及び準母子加算制度を創設し、夫等の死亡により他制度の遺族年金の支給を受けることができない者には、月額一万五千円を母子年金等の額に加算することとしております。 第三に、保険料の額につきましては、財政の健全性を確保する見地から、昭和五十六年四月から月額四千五百円に改定することとし、以後段階的に引き上げることとしております。 福祉年金につきましては、十年年金の引き上げ率を勘案して、老齢福祉年金の額を月額二万円から二万千五百円に引き上げる等所要の改善を行うこととしております。 次に、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正について申し上げます。 児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額につきましては、福祉年金に準じて、本年八月から児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万八千円に引き上げるなど所要の改善を図るとともに、福祉手当につきましても引き上げを行うこととしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 医療保険制度の基本的改革は、かねてから重要な課題となっているところでありますが、医療保険をめぐる諸情勢は、近年厳しさを加えております。 かつてのような高度経済成長が期待できない情勢のもとにおいては、人口構成の老齢化や医療の高度化等により医療費の伸びが賃金の伸びを上回る状況が続くものと考えられます。また、このような医療費の負担の問題のみならず、医療体制の整備、老人保健医療制度の整備など、早急に解決を図るべき多くの問題があります。 したがいまして、医療保険制度の基本的改革に当たりましては、医療保険制度のみにとどまらず、医療制度、健康管理対策など、関連各分野においても逐次改善を図ってまいる考えであります。 医療保険制度の改革については、まず、社会経済情勢の変化に対応した健康保険制度の健全な発展を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案を第八十四回国会に提出し、その後第九十一回国会に至るまで御審議を煩わしたのでありますが、成立を見るに至りませんでした。 しかしながら、医療保険制度の改革は緊急の国民的課題であり、一刻も早くその実現を図る必要があることから、さらに今国会にこの法律案を提案し、御審議を願うことといたした次第であります。 以下、この法律案の内容について、概略を御説明申し上げます。 まず、健康保険法の改正について申し上げます。 第一は、医療給付に関する改正でありますが、被保険者と被扶養者との医療給付について同一水準の給付を確保することを基本とし、患者負担を適正なものとすることといたしております。 患者負担につきましては、初診時の負担を千円とし、投薬、注射に係る薬剤または歯科材料に要する費用の二分の一を新たに負担願うこととしております。ただし、高価かつ長期間連続して投与される薬剤や、検査、麻酔に使用される薬剤は、負担の対象としないこととしております。さらに、入院の場合には一日につき給食料に相当する額を負担していただくこととしております。 これらの患者負担の額が著しく高額となったときは、高額療養費を支給することとしております。 第二は、分娩費等の給付に関する改正でありますが、分娩費等の最低保障額や配偶者分娩費等の額を実情に即して改定できるものとするため、政令で定めることといたしております。 第三は、保険料に関する改正でありますが、保険料負担の公平を図るため、賞与等についても標準報酬と同様の保険料率で保険料を徴収することとしております。 次に、給与の実態に即して標準報酬等級の上限を調整できることとするため、上限に該当する被保険者の割合が百分の三を超えた場合には、社会保険審議会の意見を聞いて政令をもって上限を改定できることとしております。 また、政府管掌健康保険の保険料率は、厚生大臣が社会保険審議会の議を経て千分の八十を超えない範囲内において定めることができることとしております。健康保険組合の保険料率も同じく千分の八十を超えない範囲内において決定するものといたしております。 第四は、国庫補助に関する改正でありますが、政府管掌健康保険についての保険料率の調整に連動した国庫補助率の調整規定は廃止し、国庫補助率は、主要な保険給付に要する費用の現行の千分の百六十四から千分の二百の範国内において政令で定めることといたしております。 第五は、財政調整についてであります。今後、被用者医療保険間において財政調整措置が講じられるまでの間、健康保険組合間の財政調整を実施することとしております。 第六は、保険医療機関などの登録、指定等に関する改正でありますが、個人開業医については保険医の登録があった場合、保険医療機関の指定があったものとみなすものとして手続の簡素化を図る規定、保険医療機関等の指定を拒否できる事由を法定する規定、未払いの一部負担金について、保険者が保険医療機関等の請求により徴収処分をすることができるものとする規定を設けることとしております。 その他、給付の平等を図る見地から健康保険組合の付加給付を規制する規定を設けるほか、療養費の支給要件を緩和するための規定、海外にある被保険者等に対する保険給付の実施と保険料の徴収を行うための規定その他の規定の整備を行うこととしております。 次に船員保険法の改正について申し上げます。 船員保険の疾病部門につきましても医療給付、分娩費等の給付などについて、さきに述べました健康保険の改正に準じて所要の改正を行うものであります。 次に、社会保険診療報酬支払基金法の改定について申し上げます。 社会保険診療報酬支払基金における審査について再審査に関する規定を整備するものであります。 なお、この法律の実施時期につきましては、公布の日から起算して六月を超えない範囲において政令で定める日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○山下委員長 藤尾労働大臣。 ————————————— 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○藤尾国務大臣 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 労働者災害補償保険制度は、今日まで数次にわたり改善を重ねてまいりましたが、重度障害者その他の年金受給者等に対するきめ細かな配慮の必要性、関係制度の動向などにかんがみ、その改善について、かねてから労働者災害補償保険審議会において検討が行われてきたところであります。 同審議会における検討の結果、昨年十二月、当面措置すべき制度の改善について労使公益各側委員全員一致による建議をいただきました。 政府といたしましては、この建議を尊重し、必要なものを予算化するとともに、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承する旨の答申をいただきました。また、船員保険につきましても、同様な改正案を社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ同様の答申をいただいたところであります。 これらの関係審議会の審議を経て、さきの第九十一回国会に労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、衆議院で審議未了となったところであります。しかしながら、この法律案による制度の改善は、早急にその実現を図る必要があるため、再度提出することといたした次第であります。 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。 第一は、遺族補償年金の給付額について、たとえば遺族一人の場合、現在、給付基礎年額の百分の三十五に相当する額を原則といたしておりますものを給付基礎日額の百五十三日分、すなわち給付基礎年額の約百分の四十二に相当する額とするなど、その引き上げを行うこととしたことであります。 第二は、障害補償年金について、その受けた年金の合計額が一定額に達しない間に受給権者が死亡したときは、その差額に相当する額の一時金を当該受給権者の遺族に支給することとしたことであります。 第三は、障害補償年金について、受給権者に対して一定額の範囲内で前払い一時金を支給することとしたことであります。 第四は、年金たる保険給付等の額のスライドの発動要件について、現在は賃金水準が一〇%を超えて変動することを要することとしておりますが、この賃金水準の変動幅を六%を超えることで足りることとしたことであります。 第五は、通勤災害に関する保険給付についても、これらに準じて措置することとしたことであります。 第六は、年金受給者のために、厚生年金保険等と同様の年金担保融資制度を設けることとしたことであります。 第七は、同一の事由についての労災保険給付と、それと重複する部分の民事損害賠償とを調整するための規定を整備することとしたことであります。 第八は、最近における労働災害の発生状況にかんがみ、事業場ごとの災害率に応じて保険料を調整するいわゆるメリット制度の調整幅を拡大するとともに、その調整率の計算の基礎となる収支率の算定に関し技術的な改善を行い、労働災害の防止努力が的確に反映できるようにしたことであります。 次に、船員保険法関係の改正について申し上げます。この改正は、船員保険の職務上の事由による保険給付の内容について、おおむね労働者災害補償保険法関係の改正に準じた改正を行うこととしたことであります。 以上のほか、この法律案においては、この附則において以上の改正に伴う経過措置を定めております。 なお、労働者災害補償保険法関係の施行期日は、スライド制の改善及び遺族補償年金の額の引き上げにつきましては公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日、保険料のメリット制度の改正につきましては一般事業は本年十二月三十一日、有期事業は昭和五十六年四月一日とし、その他の改正事項につきましては同年十一月一日としております。 また、船員保険法関係の施行期日は、労働者災害補償保険法関係の施行期日に準ずることとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○山下委員長 これにて三案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、明後十六日木曜日午前九時五十分より理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十八分散会 ————◇—————