公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
- 発言数
- 236 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1980/10/29
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 昨二十八日付託になりました内閣提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から提案理由の説明を聴取いたします。石破自治大臣。
○石破国務大臣 ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概略を御説明申し上げます。 この法律案は、昨年九月に行われました航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言を受けて、政治家個人に係る政治資金の明朗化を図るため、その政治資金を取り扱うべき政治団体の届け出、収支の公開等に関する制度を新たに設けようとするものであります。 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。 第一は、目的及び基本理念等についてであります。 まず、公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、その政治活動の公明と公正の確保に関する事項を政治資金規正法の目的に加えることとし、また、基本理念等といたしまして、公職の候補者は、その政治資金をその他の資金と明確に区別するとともに、選挙運動に関するものを除き、その政治資金を政治団体に取り扱わせることとするよう努めなければならない旨を明らかにすることといたしました。 第二は、今回新たに設けます制度の具体的内容についてであります。まず、制度の対象となるべき者の範囲は、衆議院議員、参議院議員、都道府県の議会の議員もしくは長または指定都市の議会の議員もしくは長の職にある者並びにこれらの職の候補者及び候補者となろうとする者とすることとし、これらの特定公職の候補者は、もっぱらその者を推薦しまたは支持することを本来の目的とする政治団体のうちから、その者の政治資金を取り扱うべき政治団体を指定することができることといたしました。また、これらの指定団体については、その届け出及び公表について所要の措置を講ずることといたしております。 次に、特定公職の候補者が指定団体に寄附する政治資金の取り扱いについてであります。 特定公職の候補者がみずからは政治活動に関する寄附を受け取らず、政治団体が直接これを受け入れる場合は、現行制度の手続によることとなりますが、特定公職の候補者が政治活動に関する寄附を受領した場合においても、みずからこれを管理することなく、当該寄附の内訳を付して指定団体に寄附するときは、これを受け取った指定団体において、所要の事項を当該団体の収支報告書に記載して報告をすれば足りることとし、個人としての収支報告は要しないことといたしました。 なお、この場合については、現行の寄附に関する量的制限を適用しないことといたしております。 次に、特定公職の候補者がみずから管理する政治資金の取り扱いについてであります。 特定公職の候補者が指定団体として指定すべき政治団体を有しない等の事情により、その者が受けた政治活動に関する寄附の全部または一部について、これを指定団体に寄附することなくみずから管理する場合においては、その者から、直接、個人としての収支報告を求めることとし、毎年十二月三十一日現在で収支に関する所要の事項を記載した報告書を、翌年の三月末日までに、国会議員に係る公職の候補者にあっては自治大臣、その他の者にあっては都道府県の選挙管理委員会に提出しなければならないことといたしました。また、これを受けた自治大臣または都道府県の選挙管理委員会は、これを公開することといたしております。 指定団体を通じて報告される場合及び特定公職の候補者が直接報告する場合を含め、報告の対象となるべき収入及び支出の範囲は、政治活動に関する寄附及びこれによりされた支出とし、自己資金等の寄附以外の収入あるいは寄附のうち金銭等によらないものについては、この際、報告の対象としないことといたしました。また、選挙運動に関するものについては、すでに公職選挙法に基づく収支報告の制度がありますので、それによることといたしております。なお、政党及び指定団体からの寄附については、これを受けた個人としては、改めて収支を報告する必要がないことといたしております。 次に、指定団体及び特定公職の候補者の収支報告書に記載すべき事項についてでありますが、収入については、現行の政治団体に関する取り扱いと同様に、その総額のほか、特定公職の候補者に対する同一の者からの年間百万円を超える寄附についてのみ寄附者の氏名等の報告を求めることとし、支出については、現行の政治団体に関する取り扱いを含め、若干、簡素化を図ることといたしております。 最後に、この法律の施行期日は、昭和五十六年四月一日といたしております。 以上が、この法律案の要旨であります。 何とぞ慎重にご審議の上速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○久野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○久野委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 ただいま提案になりました政治資金規正法の改正案に関しまして、自治大臣の御所見を数点にわたってお伺いいたしたいと存じます。 まず第一に、ただいま提案の理由の説明にもお話がありましたように、この問題は、昨年十月、前大平総理の時代において執行せられました第三十五回の総選挙の直前、総理が、ロッキード事件以来続々と各政官界に不祥事が相次いで起こりまして、この不祥事を根絶して何としても政治の信頼を国民に取り戻さなければならぬという切なる願いから、わが国の最高の識者の方々を集められて、いわゆる航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というのをおつくりになりました。そしていろいろの提言を求められたのでありますが、この協議会は昨年五十四年九月五日に大平総理あてに提言をなされております。 その提言は「対策の基本は、政治の浄化にあり、そのためには、まず政治家自身が自浄作用に真剣に取り組み、政治倫理の確立とこれを担保する制度の創設に努めるべきであり」ということをまず最初に述べて、その具体的ないろいろな、どういう点について考えなければならぬかということを提案しておりますが、その第一は、金のかからない選挙にするということがまず第一である、このためには、国会及び政党と緊密な連絡のもとに、現在の個人本位の選挙から政党本位の選挙に移るように考えるべきであるということが提案せられ、そのためには、選挙制度の基本問題やらあるいは選挙費用の党費負担であるとか、あるいは選挙運動の規制のあり方等について考えるべきだ、検討すべきだ、こういうのが第一の提案でございます。 第二は、政治家の私人としての経済と政治活動に必要な経費とを厳にひとつ区別して、政治資金の明朗化を図る、そして、その届け出義務をはっきりさせて、政治資金規正法の見直しをすべきである、これが第二の提案であって、これが今回の法案の提案せられる一番大きなもとになったと存じます。 その他、国会において倫理委員会の設置をしたらどうか、政治家の資産の公開をしたらどうかといろいろの案が第三に提案せられ、そして最後に、国民の間にもひとつ政治の倫理化運動を起こすべきである、こういうことが提案せられておるのであります。 この貴重な提案に基づいて、昨年十月の総選挙後大平前総理は非常に御熱心に党に指示をせられて、いま委員長をしていらっしゃいます久野先生がその調査委員長となられて、さらに三つの小委員会をつくってこれらの具体化について非常に御熱心に精力的に活動をやりました次第であります。 提言の第一の選挙制度に関します問題は、これは非常に大きな基本的な問題でございまして、各政党間にも十分相協調し連絡して練り上げなければならぬ基本問題でありますので、これは慎重にやらなければならぬということでありましたが、とりあえず選挙運動の規制のやり方あるいは政治資金の問題、明朗化、これらの問題はすぐにかかればできることでございますので、これらはひとつぜひ早くやろう、なかんずく政治資金の明朗化については、これはいま政治倫理の確立の上からも一日もゆるがせにできない問題である、こういうことで鋭意成案を得るように努力をせられました。また私らもいたしました。必ずしもこれは十分とは言えないけれども、とりあえずの案として第一段階として、いままでやみからやみに不透明のまま放置せられておったところの議員の政治献金、個人的な政治献金、個人に対する政治献金、これらの問題をひとつ明朗化を図るという案が一応ここにまとまって、そして前の国会に提案せられる運びになっておりましたが、残念なことには国会の突然の解散でこれが流れてしまったことはまことに残念であります。 私は、生涯清廉潔白な政治家として終始せられまして政界の浄化に政治生命をかけておられましたところの故松村謙三先生の衣鉢を継いで政界に出させていただいた者といたしまして、平素から政治の倫理化の問題につきましては、異常な執念を燃やしてこの実現に及ばずながら努力をさしていただき、その立場からも、この成案ができてそして国会に提出せられる段階になりましたことを大変にうれしく存じておりましたところが、前の解散で流れてしまいましたが、幸い今度鈴木現総理も、この大平前総理の衣鉢を継がれまして、これはどうしてもやはり政治の信を回復するために一番大事なことであるということで今回この提案をせられましたことは、私にとっても大変喜びにたえないところでございます。何としてもこれはひとつぜひ成立させたいものと、こう思っておるのでありますが、自治大臣石破先生、これに対して従来の経緯からどういう感懐をお持ちであり、またこれに対してどういう御熱情を持っておられるか、その点でまず御所見を承りたいと存じます。
○石破国務大臣 お答え申し上げます。 ここ数年、国民の皆さんの政治に対しまするお考えまことに厳しいものがございまして、政治に対する不信感と申してもいいぐらいの国民の皆さんの御感情がありますこと、お話のとおりと思います。原因はいろいろありましょうけれども、やっぱり政治倫理が必ずしも確立されていない。特に政治に関しまして金がかかり過ぎる、あるいは政治資金が明朗化されていないというような点も大きな原因であろうと思います。片岡委員御指摘のとおりと思います。 お話のとおり、まず第一に考えなければなりませんことは、何としても政治にあるいは選挙に余り金がかからないで済みますように、さらにできれば、金がかかるといたしましても、政治家個人あるいは選挙運動をやります個人があれこれ苦労して金を調達するというようなことは何とかして少なくて済みますように、できますならば個人がそうあれこれしなくても、あるいは所属政党、所属会派等で必要なやむを得ない政治資金あるいは選挙資金等は調達願うようにするというのも有力な案ではなかろうかと思いますけれども、これにはまた御承知のとおりなかなかむずかしい問題があるわけでありまして、言うべくして簡単に実現可能なものとは考えられません。 さらに、政治全般の倫理の確立ということもこれは根本的には大変必要なことでありますが、これは重要な要素ではありますけれども、必ずしも金の問題だけでもない。広く政治家に求められます倫理ということになりますと、範囲も広く金だけの問題でもなかろう、これまた一朝一夕に、そう早急に成案が得られるものでもなかろうと思いますし、また選挙全般ということになりますと、議会制度の根本に触れますルールの問題でもありまして、政府があれこれ積極的に容喙するというよりか、あるいは国会御自身、各党各会派等で十分お話し合いをお願いし、共通の問題として国会みずからので御検討いただくというのも方法だろう。いずれにしましても時間を要する問題と思います。 そこで、抜本的な解決策としては不十分かもしれませんけれども、御指摘のとおり、前大平総理大臣が特別の御関心をお払いになりました政治資金の明朗化の問題だけでも取り急いでこれを実現する。御承知のとおり、政治資金明朗化に関しましては、かねてから法改正等が行われまして、ずいぶん進歩して現在に至っておるのでありますけれども、個人が受け取ります政治資金につきましては、必ずしも十分とは申せなかったと思います。そこで、今回御審議いただきたいと思っております案は前内閣で提案され廃案になった法案ほとんどそのままでありますけれども、これをとりあえずの措置といたしまして御提案申し上げた次第であります。 政府といたしましては、慎重御審議の上一日も早く御承認いただければ大変幸せだ、ぜひともお願い申し上げたいと存じておる次第であります。
○片岡委員 伺いますと、大臣は十時半から参議院の方へお出ましになるということで、ちょっと順序を立ててお伺いしたいと思っておりましたが、お帰りになってから少しまたお伺いしたいと思いますが、とりあえず順序を変えましてお伺いいたしたいのでございます。 一つの大きな問題は、いま大臣のお言葉の中にもございましたが、ここにも政党本位の選挙にすべきである、こういう提案があるわけです。これは先ほど申し上げましたように非常に基本的な問題であり、普通言われております小選挙区制というのが、そういう点から非常に合目的的な制度であると言われております。このことについて大臣が御就任の当初、小選挙制に賛成であるようなお言葉がございました。これはだれしもそういうふうに考えておるとは思いますが、これを実行するにはいろいろな問題がありまして、そう簡単にはできない問題であると思います。 私はそれにつけましても、政党というものがいまの民主主義の政治において非常に大事である。特にいまの民主主義は、当初のデモクラシーのような制限的なものではなしに、大衆が政治に参加をする、こういういわゆるマスデモクラシーといいますか、大衆の参加する民主主義、民主政治である。こういう点から、私はこの大きな大衆の意見を組織化する、統合化するというためには、やはり政党というものはなくてはならぬものだ、こういうふうに思うわけでございます。前にベルリン大学のトリーベルという人が政党に関しての提案をした「憲法と政党」という本の中に非常に有名な言葉がありますとおり、デモクラシーにおいては政党というものは第一段階では敵視せられておった、第二段階では放任をせられておった、第三段階になってだんだんこれは大事なものだということで承認を受けるようになり、あるいは合法化されるようになってきた。最後には、西ドイツのような基本法の中に取り入れられるというように、非常に重要視せられる段階にまで進んできたのでありますが、私はいま申し上げましたように、これは比例代表制でありますとか、小選挙区制をいろいろ検討するという段階でも、やはりどうしても政党というものがはっきりと政治上の公の機関としてある程度法的に承認せられるということが必要でありますし、また政治資金等の明朗化を図る意味においても、やはり政党を中心にした、いま西ドイツがやっておりますように、政党への交付金といいますか、政党が政治運動に使う費用について、国がある程度の補助をするといいますか負担をする、国民一般が税金の中から負担をしていく、こういう制度が私は非常に大事であり、考えなければならぬ問題であると思いますし、また大衆政治でございますから、政治運動に非常に費用のかかる今日のような状況においては、政党に対する交付金制度、すなわち国費で政治資金の一部を負担するという制度が必要であると存じます。 そういうためにも、やはり政党というものにある程度法的にちゃんとした地位が与えられる、したがってもらったところの金はガラス張りできちんと報告をする、こういうことによって政党というものが非常に国民からも理解せられ、そして信頼を得る一つの基本になると私は思うのです。 そういう意味で、自治大臣は政党法について、これは戦争直後内務省が地方局で立てた案は御承知のとおりでございます。これについてもいろいろの議論があって、成案を得たのではあるが、物にならなかったということでございますが、その後大分事情が変わってきたという今日において、これを何とか法制化するようなお考えをお持ちであるかどうか、そしてまた、もしそれでなくても、国で政治資金の一部を負担をするという制度を何かお考えになる御所見があるかどうか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 非常に重要な御質問でございまして、必ずしも十分なお答えにならないかもしれませんけれども、お聞き取りいただければ大変幸せと存じます。 善悪は別といたしまして、選挙を行い、有権者の方々に候補者の人格なり識見なりあるいは主張を十分承知していただく、これは選挙をやります以上はどうしても必要なことと思います。それにはあれこれ方法はありましょうけれども、相当の経費を伴うこと、善悪は別でありますけれども、これはやむを得ないことと思います。つまり善悪はともかくといたしまして、また多寡も別といたしまして、候補者のよしあしを有権者に間違いなしに御判断願いますためには、どうしても相当額の金を必要とする、これは事実であろうと思います。ではその金をどうして明朗に国民の皆さんの御期待を裏切らないような方法で調達するかということになりますと、一般論といたしまして、個人よりか公の政党というものが責任を持って調達した方がどうしても国民の皆さんの御信頼を得やすいものと思います。したがいまして、むずかしい問題ではありますけれども、政党というものの存在あるいはその性格づけ、お話がございましたが、国民の皆さんにも十分の御理解をいただいて、政党というもののあるべき姿、これを明確にする必要があろうと思います。 そこで、政党というものの位置づけを法律的にも正確にする、適正にするということになりました場合に、お話のようにそのものずばりで政党法というようなものを制定するのがいいのかどうかという問題があります。御承知のとおり政党を法制化すると、たとえば政党法というようなものを制定するといたしました場合に、憲法の保障します政治結社の自由の問題等に触れるところはないかどうかというような点も若干の問題が残されておるようにも思いますし、何も政府が責任回避をしようとは思いませんけれども、これは議会制民主主義の根本にも関します問題でございますので、しかるべき方法によりまして国会御自身の御判断をむしろ積極的にお願いした方が適当ではなかろうかと一応考えております。 さらに、先ほども申し上げましたとおり、選挙ということになりますと、どうしてもある程度の金が必要であります。個人が調達しますよりか政党が調達していただいた方かどうしても明朗化されるというのは、もう争われないことと思いますが、さらに一歩進めまして、お話にもございましたとおり、どうせ要るものは要るということになりますと、西ドイツで実施されておりますような制度、つまり国費で、程度はありましょうが、これを負担するということも検討をされてしかるべき問題ではなかろうかと思います。これを政府が一方的にどうこうという考えは持っておりませんけれども、御検討になる価値はあるではなかろうかと思います。 ただ、これも申し上げるまでもありませんけれども、そうした場合に、国民の皆さんにこれにつきまして御理解がいただけますものかどうか。さらに政党に、若干でも国費でこれを負担するということになりますと、政党がこれを何に使ったかというような点にも国民の皆さんは当然御関心があることでありましょう。場合によりますと、政党の国庫負担をしました金の使途についてあるいは行政権で明確化しなければならぬ、そうしなければ国民の皆さんが御理解にならないというような問題が起こりました際に、立法機関に行政権か介入していいものかどうかというような問題もありましょう。いろいろな問題もあろうと思いますが、御質問の御趣旨につきましては、もちろん政府が一方的にどうこう申し上げるつもりはありませんけれども、十分傾聴しなければならない御意見と存じます。
○片岡委員 残念でございますが、ではまた後、時間がございますれば大臣がお帰りになりましてからお伺いいたすことにいたしまして、政府委員によって御答弁を願いたい事案に移っていきたいと思います。 まず最初に私がお伺いしたいのは、今度の政治資金規正法の改正は、届け出の、個人献金の場合、入ってきた金に対して報告の義務を負わせたわけでございますが、これは出ていくものに対しては余り制限がない、しかもこの報告の義務は、倫理的な規定で罰則がない、だからそんなものはなかなか担保されないのじゃないか、こういうことが言われておるのでありますが、私は、それはわれわれ国会議員あるいは県会議員、選挙区の皆さん方から選ばれて出てくる者は、やはり選挙区の方々から人格的な信頼によって請託を受けて出てきた、いわば選挙民とわれわれとの間は一つの道義的なものに、信頼関係に結びつけられたものである。世には選良と言うのですが、選良と言うと、われわれ少なくとも選良のつもりでしっかりやらなければならぬですが、国民の間からは、選良と言うのはおこがましいぞというお話が出るかも存じません。いずれにしても、国民に対して道義的な責任を負うて出てきておる、こういうふうに思います。そういう立場の人間でありますから、もらった金について一々届け出るということに決まりましたら、その決まりをきちんと励行するというのが、やはり少なくとも立法機関におる者としてそれを守ることは当然のことで、これを罰則でないと守れないなんというのは情けないことだと思います。そういう意味で、これは罰則がなくても十分ある程度の大きな成果が上がるものと私は思っております。 ただしかし、例の公職選挙法百九十九条の二ですかによりますところの、いわゆる寄附禁止の問題でございます。選挙区内における一切の寄附を禁止する、こういう項目がございます。ところが、これはいま、抜け穴と言うとおかしいのですが、社会通念上、また慣習上許され得ることは処罰の対象にはしない、こういうことになっておるわけでございます。このために、最近いろいろな一最初この規定が決まった当時は、われわれも選挙民の方々に、これは厳しくなりましたので、もう香典や祝儀や何も持っていけなくなりましたのですから御了承賜りたい、東京へ出てこられてもごちそうもできませんぞということを常々と、言っておったのですが、中に金を持っている人はちょいちょいとそういうことを実行されないで、だんだんこれが守られなくなってきた。そうなると、金を持っておらぬ私なんかいま非常に弱っておるのですが、これはやはりせっかく決められた、金のかからない選挙にしようということで決められたことですから、これはやはり道義的だけで済むものではございません。ことにこれは選挙民との間の関係でございまして、あの議員は祝儀もくれなかった、香典も持ってこないというのは、何かおつき合いの上、社会通念からも非常に問題のあることが多いわけでございます。したがって、これはやるとすれば、やはり処罰されるからできないのだということでやらないと、なかなかこれは実行が担保せられないと思います。 その後、これは自治省の選挙部長さんにお伺いしたいのですが、これらの問題でいろいろな質問なりあるいは問題が起こって、何かいろいろ、こういうことはいいのか悪いのかということを聞かれたり、また、いろいろ問題が起こった事案があるかないか、これらの問題で最近の動向を漏らしていただくと大変ありがたいです。これに対してやはり罰則をすべきだということについてどういう考えであるか、現実の問題を取り扱っておられて、それはちょっと無理じゃないかという考えであるかどうか、それをちょっとお伺いしたいのです。
○大林政府委員 百九十九条の二つに書いてありますように、公職の候補者たる者は、およそ寄附はすべて禁止されるということになっておるのは御承知のとおり。ただ、これはかなり沿革的なものがございまして、政治資金絡みで制定された条文でございます。 過去におきまして、たしか昭和四十二年ごろだったと思いますか、第五次選挙制度審議会におきまして、政治資金の規制をする一方、やはりできるだけ政治家自身も金を使わないように心がけるべきじゃないかという議論から、余りにも常時の寄附、花輪であるとか香典であるとかその他いろいろなお祝い物であるとか、これを競争でやっておるので、これをまず禁止するのが先決であるというような御意見が審議会の中の、国会から出ておられます各党の特別委員の方々から異口同音に出されたわけであります。その趣旨はまことに〜とされたわけでありますけれども、むしろこれを全面禁止するということにつきましては、当時、いわゆる学識経験者の方の一般委員の方が大変な疑問を持ちまして、法律で全面禁止をしたところで、結局人間の行動であるから、要するに隣に何か御不幸があった、これも法律で禁止されているからだめだとか、あるいは御子弟が行っておられる学校のPTAに寄附を求められた場合に、父親が政治家であるというだけの理由でそういった寄附を断れるであろうか、いろいろ万般、私生活、社会生活自体がむしろ大変むずかしくなるのではないかという心配を、一般委員の方か異口同音にされたわけであります。それに対しましても、そういうことがあるかもしれないけれども、なおかつ政治家としては、各党同士の話し合いあるいは党内の約束事によってこれは守るから、必ずこれをひとつ答申に入れるべし、こういう御意見が大変有力になってまいりまして、最後に答申として入りまして立法化されたということでございます。 ただその場合にも、万般にわたる社会生活的な要素を持つつき合い全体に対して、すべて一律に罰則でこれを処理するということが一体立法上可能であるかという問題で、私ども大変苦しんだわけであります。当時の法制局とも相談をしましたし、あるいは取り締まり当局、法務当局とも相談をいたしましたが、すべて一律に罰則でこれを担保するということは少し大ごとではなかろうかということで、御承知のようにそのうちで度を超すであろうと思われるものに限って、つまり選挙に関する寄附と目されるもの、あるいは社会一般の常識を超えるようなものについてだけ罰則をかける、こういうふうにしたという経緯がございます。 先ほど来御質問のように、当初はそれがかなりPRされまして、世の中も静まっておったわけでありますけれども、最近になりまして、どうも全面的な罰則がないということを理由に、あちこちで再びいろいろ寄附が行われておるという声を最近耳にしております。各党の先生方の間にも、またそういう御意見がしょっちゅう私どもにも出ておりまして、今後立法上何か考えるといたしまして、いまの罰則以上にもう少し何か具体的な事案というものを詰めて、さらに新しい罰則の対象というものがつくり得るかどうか、私ども、今後の研究課題として心得ておりますし、さらにまたいろいろ御意見をちょうだいしたいと思います。
○片岡委員 ここで私は、法務省、警察庁の関係の方にお伺いいたしたいと存じます。 今回、この政治資金規正法の改正案を鈴木総理もぜひ実現したいという切なる御希望をお持ちになったのも、最近例の富士見産婦人科病院の問題あるいはまた、最近また環境衛生法の改正をめぐって何か告訴事件が起きたというようなことで、国民の皆さん方にもいよいよ政治資金に対し不明朗な——これは政治資金としてもらったんだと言えば何でも大手を振って通れるということでは、国民の不信をますます招くということになると私は思います。ことに、この富士見産婦人科病院の問題につきましては、これは前の厚生大臣の齋藤さん、それから澁谷さんというのが大きく新聞に取り上げられ、御自分でも知らないうちに受け取っておられたというようなことで責任を感じておやめになったということでございます。ところが、これは新聞紙上の伝えるところでございますから、私は真偽のほどもわかりませんし、ただ新聞に出ておったことをもとにしてお尋ねするわけでございます。 この新聞の報道によりますと、埼玉県やあの近くの地元の方々、国会議員のみならず元の代議士であるとか、あるいは市会議員であるとか、あるいは県会議員であるとか、いろいろな方に相当広範囲に金を配っておる、五十万、百万、百五十万、二百五十万、八十万、五十万というふうに相当大きな金を市会議員の方あるいは県会議員の方にさえも配っておる。しかも、それは政府与党の自民党のみならず、これは新聞のことですから私は真偽のほどはわからぬのですが、お名前も出ておるからはっきりしているのだと思います。社会党の方もおられます。公明党の方もおられます。非常に清廉潔白であるはずの共産党の人もあるということでございます。共産党の県会議員、市会議員もおられます。そういうことで政党のいかんを問わず——社民連の方も入っておるということでございまして、ここの表に出ておるのには共産党が一番多いようですな。そういうことで、政治資金がこういうふうに本当にきれいな政治資金であるのかどうかということは、これは捜査しあるいはよく調査をしなければわからぬわけでございますが、一応新聞記事で、これは配ったというものと受領したかどうかということを調べたのには、受領したかどうか不明であるという方もありますし、それから先ほどから各党にわたって申し上げたのですが、その各党の方の中でも、もらったことは受領した、そして後援会へ入れたという人もあるし、どこへ行ったかわからぬというようなのもあるようでございます。そういうことでございまして、したがって、これは公にちゃんと収支の報告か自治省へ出されたというようなものも——個人寄附として明らかでないというのが非常に多いようでございます。 そういうことで、要するにこういう政治家個人に対しての献金がきわめて不明朗なものである、こういうことを思うのですが、これらに関して警察庁がいままで相当捜査をされておると思いますが、この新聞に出たことが真実であるかどうか、いま捜査をしておられるかどうか、そして捜査をしておられるとするならば、これは規正法の違反、中には百五十万の総額規制の範囲を出ておる人もあるわけでございます。少なくともそれらのそういう額について個人の総額規制を超過しておるものは、これはやはり違反になるというふうに思うのですが、そういう点について捜査の現状はどうであるか、これをひとつお伺いしたいと思います。
○中平政府委員 お答えします。 先生御案内のように政治献金が即犯罪を構成するものではございませんので、ただいまいろいろな各党派にわたって多くの政治献金がなされておって、そのことは事実かどうかというお尋ねがございましたが、私ども、犯罪捜査機関でございますから犯罪捜査になった段階で初めて事柄が明らかになるわけでございますので、その前段階についてとかく申し上げることは御遠慮いたしたいと思います。 ただ、この問題につきましては、報道等もすでに相当なされておりまして、そういう立場でまた確認を求められたものと承知いたしますので、その範囲でお答えをいたしますと、現在、北野を中心に政治献金、そしてその政治献金の中に犯罪を構成する事実があるかどうかということを私どもは確認しているわけでございますが、その前段階の政治献金の事実でございますが、これは私どもの押収いたしました資料あるいは北野の供述等から、新聞報道等に伝えられているようにかなり広範な政治献金が行われたことは事実でございます。しかしながら、繰り返しになりますが、それが犯罪を構成するかどうかということについて、いま鋭意事実の調査と申しますかそういうものをしておる、こういうことで御理解を願いたいと思います。そうして、調査いたしました結果、御指摘のございましたような政治資金規正法等も含めまして犯罪を構成する事実がございますれば、私どもとしてはそれなりの適切な対処をしてまいらなければならぬ、こういう基本的な考え方でいま、処理に当たっている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○片岡委員 いま捜査の段階でありましょうから、詳しいことをお尋ねしてもなかなか説明していただけないことはよくわかります。しかしながら、富士見産婦人科病院というのは、毎日、新聞で見ますように被害者が大変広範にわたって、そうして、しかも非常に悲惨な結果が生まれておる。一生涯子供を産めなくなるとかなんとかいうことは、それも非常に気の毒なことではあるが、かたわになってしまって生命の維持にもやはり問題がある方も相当あるのじゃないか。そういうことを考えますと、私はこれはやはり非常に大きな問題だと思います。 そういうでたらめなことをやる男がでたらめにあちらこちらにまいている、そのことを政治献金である、非常によい意味における政治献金であるというふうにだけ理解することは、それではやはり国民は承知しないと私は思います。これに対して相当厳しい考え方を持って、そうしてしっかりとした捜査をしていただかなければならぬと思いますが、さっき言いました総額の出ておるものについては、これは当然よくない、違反になると思いますが、その他どうも贈収賄関係が成り立ちそうだというのが、現捜査の段階でありますかありませんか。そういうこともなかなか言えぬのかもしれませんが、私はそういう点も一応厳重に国民の納得のいくような捜査をしていただかなければ、これは警察の信頼にも関係してくると思いますので、もう一遍ひとつその点、刑事局長。
○中平政府委員 まず捜査の現段階をごくかいつまんで申し上げますと、先ほど御指摘ございましたように、現在多くの被害者が出ておる事件でございます。したがいまして、まずこの事件につきましては、告訴の出ております傷害の事実につきましていま捜査の大半の力をかけているわけでございます。それとあわせまして、ただいままた御指摘のございました政治献金の処理の経過、その中で犯罪を構成する事実があるかどうか、こういうものについてこれまた私ども重大な関心を持ち、また国民の納得いただくように、これは法律的にきちんと処理しなければいかぬわけでございますから、厳正に処理をいたしてまいりたい、こういう決意で一応臨んでいるわけでございます。
○片岡委員 もう一つ、前から問題になっておりました税理士法の改正に伴う告訴が出、そして一部の方からこれが贈収賄になるのではないかというようなことでいろいろ批判がございました。それから最近の環境衛生、あれは全美環連というのですか、そこから相当な金が政治資金として贈られたということでございます。これも一部から告訴されておるようでございますが、これらの問題は何か検察庁の方へ出されたようでございますが、法務省の刑事局の御見解、また現在、その告訴を受けられてどういう捜査をしておられますか、できるだけ具体的にお伺いできたらと思います。
○久野委員長 片岡委員に申し上げますが、御要求がございませんでしたので、法務省の方はただいま出席をいたしておりません。警察庁だけ出席をいたしております。 いま直ちに出席していただくように手続をいたします。
○片岡委員 法務省からだれも来ておられないですか。
○久野委員長 出席しておられませんので、御要求がございましたので、直ちに出席していただくよう手配をいたします。
○片岡委員 それでは一般論として私は申し上げたいのですが、われわれ政治をやっている者はいろいろな面に金がかかる、これは国民の皆さん方にはなかなかおわかりにくい金がかかります。したがって、これを全部きれいに、ガラス張りにしろということは、これは私はなかなか無理なことだと思います。それならどんないいかげんな金を使うんだ、たとえを言ってみろと言われても、それはちょっとむずかしいと思います。たとえば自分の平素お世話になっている市会議員とか村会議員とか町会議員とか、そういう方々に対してお見舞いをするとかなんとかということは、選挙法でも候補者であり、議員であれば認められるのじゃないですか。だからこういう点で、また細かいいろいろな問題で、全部領収書をそろえて報告せよと言われても、これはひとり自民党のみならず、各党派も同じことだと思います。したがって、なかなか理想どおりにはいかぬものですが、ただしかし、政治をやる者はやはりある程度の節度を心得ていなければならない、こういうことだけは大事なことだと思います。ことに、いま問題になっております告訴の問題でありますとか、あるいは富士見病院の問題でありますとかというものは、何か特別にたくさんの金をくれた、あるいはまた、それがどうも知らないうちにもらうということはしょうのないことですが、これはやはり秘書にも十分そういうことは徹底して、それでたとえばその法案について直接関係を持っておるところの委員会の理事であるとか小委員長であるとかという者は、やはり汚職になる可能性があるんだ、知らなくても——知らなくてもというわけてはないが、そういうふうに疑われる可能性があるから、そういうものはできるだけもらわないようにしようという、そういう節度だけはわれわれはしっかり持っていかなければならぬ。そうしなければやはり際限なく政治献金の問題は国民の疑惑を招く結果になる、こういうふうに思いますので、私は、そういう節度をお互いに持ちたいものだ、こういうふうに思っております。 したがいまして、正当な政治献金であるのか、あるいはどうも事態から見て贈収賄の疑いがあるというようなものであるか、非常に区別しにくいと思います。こういう区別をするときに、どういうことを基準にして捜査をされておるか、ひとつ刑事局長、御所見を承りたいと思います。
○中平政府委員 政治献金が賄賂性を持つかどうかということにつきましては、これは端的に申し上げますと、当該議員、当該公務員の職務に対する対価、職務行為に対する違法な報酬、そういう性格をその金が持つかどうか、こういうことで事柄が決まるわけでございます。したがいまして、そういう金の授受が行われました動機、それから目的、それからその趣旨、その趣旨に対する相互の認識、そういうものを総合的に判断をいたしまして、それが単なる政治献金であるか、あるいは政治献金を超えた一種の賄賂性を持つ、職務行為に対する対価性を持つ金であるか、そういう認定が出てまいるわけでございまして、今回につきましてもそういう立場で個々のケースについて一応検討いたしておるということでございます。
○片岡委員 今回の規正法の改正はどうもしり抜けである、入るところだけ規制をしておるが、出たものについてさっぱり規制がない、ことに個人献金を受けた者が一応指定政治団体に入れて、そしてまた取り出す、そうすればあとは五万円以下のものであろうと、五万円以上のものであろうと余り報告は必要ない、こういうことになっておるわけでございますが、これらの問題について、これは非常にしり抜けである、だからこういうものは余り役に立たぬのじゃないか、こういうふうにマスコミあたりからかなり厳しい批判も前にございました。今回もそうですが、ことしの春でございましたか、この案がまとまりましたときに大新聞がそろって批判をされた、その中にもかなり厳しい、一方に光が当たるけれども、出の方にはさっぱり、依然として暗いやみじゃないか、こういう批判がありました。しかし私は、金をもらうときにどこからもらったんだということを登録をし、そしてそれが公に発表せられるという、報告義務を課すということが、これはやはりそんな危ないところから金はもらわぬぞということに対するチェックをする気持ちをわれわれに起こさせる、こういう意味で、かなりそういう贈収賄の犯罪の防止——悪意てなしに贈収賄の疑いを受けることがあると思います、そういうものを防止する、あるいはまたそういう平素からの心構えをつくる七において、そしてまた政治の倫理性を自分で心の中で喚起していく、そういう意味で私は相当大きな成果があるものと思うのですが、刑事局長、あなたは取り締まりの立場から見て、この法案はかなり政治家にとってはよい警鐘になり、そういう犯罪を防ぐのに予防上非常にいいものだというふうに理解されますか、そんなものは大したことはないと思っておられますか。その点、どうぞ御所見を承りたいと思います。
○中平政府委員 私の立場は政治資金規正法の評価をする立場ではございませんので(片岡委員「防犯の立場もある」と呼ぶ)この種の問題につきましては、これは私どもは一歩一歩前進をするところに大きな意味があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味では、当委員会でこういう法案が御審議されていること自体が大変いいことではなかろうか、私どもこういうふうに考えておるわけでございます。
○片岡委員 まだ大臣は見えませんか。
○久野委員長 もう間もなくお見えになると思います。
○片岡委員 私いろいろ準備をいたして、大臣にお聞きしたいと思っておったのですが、残念ながら大臣がまだお見えにならぬようでございます。後の小泉委員の方も大臣にぜひ質問したいと言うておられますので、大臣が来られたら若干時間を借りまして、その後すぐ小泉先生にお渡ししたいと思っております。 そこで、これは事務当局にお伺いしても、なかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、選挙部長にお伺いしたいのですが、この現行政治資金規正法の附則第八条において「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」ことが決定せられておるわけでございます。この見直しの時期が来年の一月に迫っておるわけでございます。これに対して、政府として何かこの見直しについての準備をしておられますかどうか。 そしてまた、この第八条の規定はできるだけ政治資金を個人の拠出によるものにしたい、そして団体、会社、法人等からのものは、いわば社会悪だ、よくない、こういうことで、将来できるだけ個人の拠出にしていこう、こういう考え方からこの問題が出ておるようでございます。ところが、わが国ではなかなか個人の献金といつのはやるべくしてできない。ことに政党はそれぞれ会員をふやして、そして会員の会費でかなりのものを賄っていくということが最も望ましいことで、これは各党とも大いにやっておられます。自民党は三百万以上にふくれ上がったのですが、どうもそれがまたいつまでも続かないということでございます。社会党さんもこのごろ一生懸命に百万以上の党員獲得のために御努力になっておる。そういうことは本質的な一番大事な問題であって、それが可能であればまことにいいのです。ところが、先ほど申し上げましたように選挙運動に要する費用というのは、マスコミが大きく発達した今日において、いろいろなところへ金がかかる。こういうことを考えますと、なかなか党員の会費だけでは賄えない、こういうことが感じられます。 そして事実、この間、そういう法人、団体から資金を集めておるのと、それから個人からの献金との実地調査をやったものを自治省にお持ちのようでございまして、それがどうも個人献金は全体の数%しか占めておらぬということのようですが、その実情がおわかりになればそれをお示しいただきたいことと、そしてこれが見直しをされるときの政府の基本的な考え方として、団体の献金というものを将来全部なくするということについて踏み切れるという自信をお持ちかどうか。法人といえどもやはり法律上の人格を持ったものでありますから、それが政治的に応援をする、応援をしない、いろいろな考え方がありましょうから、その献金がきれいであれば、私は必ずしもそれは問題はないのじゃないかというふうに思うのですが、これらのことについて御所見を承りたいと思います。
○大林政府委員 まず、寄附金額の中に占める個人寄附の割合についての数字でございますが、過去三回ぐらいちょっと拾ってみますと、政党、政治団体に対する寄附のうちで個人寄附の占める割合が、五十二年の集計では七%、それから五十三年七・二%、五十四年七・三%と、まだまだ非常に伸び悩んでおる状況でございます。 政治資金規正法五年後の見直しの問題に関連いたしまして、会社その他組合の寄附のあり方についての御質問があったわけでありますけれども、現在の政治資金規正法もそうでありますし、今後の考え方としましても、私どももちろん会社とか組合の政治献金というものが悪いものであるというようなことは毛頭考えておりません。現在の政治資金規正法でも、やはりその度を超すのがいろいろ疑惑を招くということからいろいろな規制が行われておるのでありまして、そのもととなりました選挙制度審議会の議論におきましても、もちろん会社その他の組合の献金を禁止するという議論はほとんど出ておりません。 ただ、政治資金の問題というのは、審議会におきましても、もとはと言えばやはり選挙制度の問題に非常に密接に関連をしてまいる問題でありまして、本来であれば、現在のような個人に金がかかり過ぎるような選挙制度でなしに、政党が政策で争い得るシステムを立てた上で、それと一連の問題として政治資金の規制を行うべきだというのが大多数の意見であったわけでありますけれども、当時のいわゆる黒い霧事件といった特別な政治情勢がございましたために、政治資金の規制だけが先行した、こういう経緯もございます。 同時に、答申におきましても、できるだけ政党自身が近代化し組織化するような制度をつくると同時に、政党が努力をすべきだ、こういうつけ足しもいたしておるわけでありまして、そういう考え方で今後も取り扱うということになろうと思います。 一方、個人献金の促進についても今後の努力目標ということになっておるわけでありますが、なかなか個人献金が集まらないというのも実態でございます。これは何も日本だけではございません。ヨーロッパ諸国においても全く同じであります。先ほど来政党補助金のお話もございましたけれども、そもそもヨーロッパ諸国が政党補助金というものに踏み切った一番の原因というのは、結局個人献金が集まらないというところにあったわけでございまして、ドイツを初め、その他比例代表諸国で何がしかの補助金制度をつくっておりますし、イギリスにおいてもぼちぼち補助金というものを真剣に考えるかという検討をやっておるようであります。そういったものとの絡みもございます。今後の問題については、私どもは私どもなりに過去の資料その他の分析をしながら研究を続けてまいりたいと思いますが、選挙制度あるいは政治資金の基本的なあり方の問題ということになりますと、各党それぞれ非常な利害関係というものがやはり出てまいりましょう。せっかく御論議をお願いしていただければ幸いと思います。
○片岡委員 それでは法務省にお伺いしたいのですが、例の税理士法改正に関連いたしまして一部から贈収賄事件として告訴があったり一最近また全日本美容業環境衛生同業組合連合会の環境衛生法改正に伴って贈収賄があったということで告訴が出ておるようでありますが、これらについていま捜査がどのようになっておりますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○井嶋説明員 まず最初に御指摘のあった事件はいわゆる税政連と呼んでおります団体の贈収賄事件であろうと思われますが、この事件は昭和五十四年の十二月に告発を受けまして、東京地方検察庁で捜査を遂げまして、本年五月十五日にいずれも不起訴処分にいたしております。 それから、次に御指摘のありました全日本美容業環境衛生同業組合連合会に関する告発事件でございますが、これは新聞等でも報道されましたように、本年十月二十三日、つい最近でございますが、環境衛生法の一部改正に絡んだ贈収賄の疑いがあるということで告発状が東京地検に提出されております。まだ提出されたばかりでございまして、今後捜査が行われるという段階になっております。
○片岡委員 いま大臣来られましたが、一問だけお願いして私の質問を終わりたいと思います。 それは、先ほど選挙部長にもお伺いしたのですが、現在の政治資金規正法を来年、五年後に見直す、ことに政治献金を個人に将来やっていって、団体や組合その他のものをできるだけもらわないようにしよう、そういうたてまえから見直しをすることになっております。いま選挙部長から御意見を承ったのですが、そういう見直しの時期が来ておるのだから、われわれの仲間の方の中からも、そのときに政治資金規制のいまの問題もあわせて、もっと徹底的にいろいろ洗ったらいいじゃないか、だからそう急いでやる必要はないんじゃないか、もう時期が来ているのだから、そのとき一緒にやったらどうかという意見もございますが、これに対して大臣はどういうお考えを持っていらっしゃいますか、それをお伺いして私の質問を終わります。
○石破国務大臣 お答えいたします。 選挙部長もお答え申し上げたかとも思いますけれども、御承知のとおり五年後の見直し時期は昭和五十六年一月一日、もうあとわずかで期限が参ります。しかしながら、これまた御承知のとおり、附則第八条によりますと、いわば政治資金全体というものを見直す、力点の置いてあるところは承知しておりますけれども、全体として見直せということに相なっております。もちろん政府といたしましても、その場合に備えまして、いまからあれこれ準備はいたしておりますけれども、延ばすつもりはありませんけれども、なかなか問題は簡単でないと思います。したがいまして、これと今度の改正を絡めてという有力な御意見のあることも承知いたしておりますけれども、今度お願いします案は、前内閣当時にすでに成案を得られましてせっかく御提案になった改正でございます。必ずしも矛盾する要素は含んでいないと思いまするし、これだけ切り離しても差し支えないではなかろうか、できるものからでも一部といえどもお願いした方がいいんではなかろうか、ぜひとも成立させていただきたいと思いまして御審議をお願いする次第でありますので、御了承の上よろしくお願い申し上げます。
○片岡委員 では、終わります。
○久野委員長 小泉純一郎君。
○小泉委員 久しぶりの公選法特別委員会であります。また、石破大臣が就任されて答弁に立たれる最初の委員会でありますので、政治資金さらには選挙制度あるいは選挙運動全般にわたり大臣に質問なり、また議論をしてみたいと思います。 いまの片岡委員の質問、選挙部長、大臣等の答弁にありましたように、政治と金にまつわる問題は大変むずかしい問題でございます。三木内閣のときに政治資金規正法が改正されまして、ことしはちょうどその五年目、再検討を加える年に来ているわけであります。三木内閣当時の政治資金規正法の成立過程を振り返ってみますと、もっと政治資金を明朗化しなければいかぬ、同時に、企業献金は悪であるという風潮が非常に強かったのであります。本来党費なり個人献金によって政党が運営されるのが望ましい、そういう強い風潮のもとでこの政治資金規正法が成立を見たわけでありますが、実情を見てみますと、確かに党費なり個人献金によって賄われればそれは望ましいと思います。しかし現実を見ますと、五十四年分の各政党の収入の内訳を見ても、個人寄附による収入はきわめて微々たるものであります。一番収入のある日本共産党は五十四年の収入額が約百六十九億ある。その共産党でも個人の寄附は二億八千万。自由民主党、二番目でありますが、百四十三億の収入のうち個人寄附は約二億二千万。そして社会党におきましても四十三億の収入のうち個人寄附は約二億九千万。そして新自由クラブでありますが、当時新自由クラブもかなりいいことを言っておりました。できるだけ企業献金はやめて、個人寄附でやろう。私どもも参考にする、はつらつたる提案をされて、私もいいなと思ったのです。その一つに、月一杯コーヒーを飲むのをやめて、その分を自分の支持する政党なり、好きな政党なり、大きく育ってもらいたい政党に寄附してくれということを国民に呼びかけたことがあります。なるほどな、新しい感覚でいいなと私も思いました。しかし、その新自由クラブも現実はやはり厳しくて、五十四年の収入におきましても、約五億の収入のうち個人寄附はわずか九百万、一千万に満たない。私は、自由民主党の党費を集める際にも感じたのですが、わずか年額二千円、これでも大変な苦労をいたしました。議員の個人の後援会なら会費は要らないから比較的入りやすい。ところが、千円でも二千円でも、選挙のときにも応援する、さらに金も出すのかという、そういう根強い抵抗に遭いまして、自由民主党の党費を集めるのにもかなり苦労した経験もありますが、現実的に言って、私は率直に言いますと、月にコーヒー一杯なりたばこ一箱を節約して自分の支持する政党に献金したいという人よりも、それだけ献金する余裕があったらばコーヒー一杯なりたばこ一箱買いたいという人の方が多いのではないかというのが率直な感じなんです。 確かに一部にはそういう善意のある方がおります。しかし、まだまだそういう政治家を育てよう、政党を育てよう、あえて自分の金まで出してその政党なり政治家を育てようという人が、国民の間に大多数にはなっていないと思うのでありますが、こういう風潮に対して、大臣も率直にお答えいただきたいのですけれども、現実の認識から始まって、コーヒーなりたばこを節約しても自分の好きな政治家なり政党なりに寄附する人が多くなっているか、あるいはそれよりも、現実の姿において、そういう政党なり政治家なりに寄附する金があるのだったらば、むしろ自分のために使いたいという人の方が依然として圧倒的に多いということを私は率直に感ぜざるを得ないのですが、大臣はどういうふうに認識されておるでしょうか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 五年前に政治資金規正法の一部改正が行われました際に、企業献金につきましての一般の考え方、何となしに企業献金は余り好ましくないものであるというような風潮がありましたことはよく承知いたしております。人様のことは申し上げる資格はありませんけれども、私個人といたしましては、当時そう深く考えたわけではありませんけれども、その後あれこれ実際等を見まして考えておるのでありますけれども、どうも政治献金のうち企業献金が悪である、個人献金は間違いないのだというのには、率直に申しまして同感するというところまで至っておりません。企業献金は悪であると言うつもりはありません。むしろ、政治資金についてよからぬ点がありとしまするならば、何かどこかの段階で虚偽がある、うそがあるという点、あるいは直接何かの対価を求めるというような点にありはしないか。それは企業、個人に関係のないことである、かように考えております。
○小泉委員 一部の政党には、企業献金は悪であるという立場から、企業献金を禁止せよという主張も確かにあります。確かに、現実の姿から見ると、企業が多額の賄賂を政治家に贈る。そういう問題から政治腐敗なり汚職が起こってくる。そういう面は憂うべき事実でありますけれども、そもそも企業献金は悪であるというその背景には、政党なり政治というものが企業から協力を求めるべきでないという思想から来ていると私は思うのです。 しかし、現実に日本の社会を見ると、日本というのは企業国家と言ってもいいくらいあらゆる人々、あらゆる職業、あらゆる団体が企業からの協力を受けているのですね。福祉団体もそうです。地域もそうです。お祭りがあっても何かあっても、必ず地域の企業に寄附を求める。福祉団体でも慈善団体でも何か事があると必ず企業から協力を求める。野球でもテニスでもゴルフでも、企業の協力なくしてはこのような繁栄を見ることはできない。新聞でもそうです。新聞でも企業からの広告収入がなかったらやっていけない。企業から協力を求めている。テレビでもそうであります。テレビでも、NHKは企業から求めないかわりに強制的に料金を取っている。現実の姿を見ると、企業の協力を求めずに、あるいは企業の繁栄を願わずに一国のいろいろな経済活動というものはスムーズにいかないんじゃないか。政治というものがその現実の姿をとらえて離れることができない。理想を追いながらも現実を直視せざるを得ない、しなければならない。そしてあらゆる人々、あらゆる団体の協力を求めていくのが政治だと私は思うのです。政党もしかり。そういうことになりますと、企業献金を禁止せよというところにそもそも無理があるんじゃないか。当然節度は必要でありますけれども、私は、企業献金禁止というよりも、節度を持ちながらある程度やはり企業献金は認めていく。現実の姿を見ながら、そしてでき得ればもっと個人献金なり個人寄附をふやしていくような奨励策をとっていく、そういう形しかいまのところはあり得ないんじゃないか。大臣もそういうような考えであります。 ですから、五年を経過いたしました、企業献金を抑えていこうということ、結構であります。しかし、これからの政治資金規正法を改正するに当たって、むしろ企業は悪であるという観点には立つ必要はない。やはり政党もそれなりに責任ある企業の協力を求めるという考え方もあってしかるべきだと私は思うのであります。要は、その受ける政党なり政治家なりが節度を持って、そしてより厳しい倫理観といいますか、道義観を持って、国民から信頼を得るような活動をしていかなければならない。あくまでもバランスを保ちながら、あるべき企業献金の姿、そして個人献金をいかに奨励していくかという方向を考えていく方が現実的でないか、また、その方が望ましいんじゃないかと私は思うわけでありますが、大臣はどう思いますか。簡単に述べていただきたいと思います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 先ほどの御質問の中にもございましたとおり、現実には各党各会派とも企業というものの存在価値をお認めになった上で資金調達等をなさっておるのが現実のようであります。 五年後の見直しに際しましては、お話のとおり、節度は必要でありますけれども、各方面の御意見等も十分拝聴いたしまして、現実に即して、余り無理をやりましてもかえってまた別の無理が、不自然な現象が起こりますので、節度を守りながら、無理がまいりませんように、各方面の御意見を十分拝聴して適切な案を立ててまいりたい、かように考えております。
○小泉委員 企業献金、個人献金、確かに問題があると思いますが、必ずしも個人献金はいいかというとそうでもない。富士見病院の北野理事長のあの献金を見ても、ああいう人物、医道に反するどころか人道に反するとんでもない人物から、やっぱり献金を受けていた人もいると思います。そういう個人の献金でも非常に危険のある、また汚い金もあり得るわけであります。企業献金、個人献金を問わず、政治家というものはやっぱり常にこういう倫理観というものを厳しくしていかなければいかぬという一つの好例だと思いますが、いまの現行法でも、大体年間同一人物からあるいは同一団体から百五十万円を超えている寄附をしてはならないという規定があります。これでも、何回か幾つもの団体に分ければ、これは百五十万だけでなくて、三百万でも四百万でもあるいは五百万でも取り得るわけであります。しかし、そういうところは個人の一つの道義観に根差すものでありますから、これは幾ら法律を厳しくしても抜け道を考えれば切りがないわけでありますから、これはやはり規制、規制と言うだけで政治がきれいになるものでもない。規制も必要でありますが、同時にそういう社会的風潮といいますか、国民の政治に対する関心というものを盛り上げていく、できるだけ政党の収支なり政治活動の実態、そういう材料も国民に提示していく、そういう中からより多くの政治に対する関心を盛り上げるということによって、政治の浄化というものはなされていくと思うのであります。 現に、政治の風潮もだんだんいい面に変わっている傾向もあると私は思います。かつては政治家、候補者が同じ選挙区内で金まで集めるということは非常に抵抗があったのです。しかし、最近、悪い面、悪い面ばかり指摘されていますけれども、いい面も一部にあると思います。それは、いま私の選挙運動、政治活動におきましても、かつては、昔の政治家から言いますとちょっと考えられないことだと思うのですね。というのは、選挙区では票ばかりお願いする、金はお願いしないというのが一昔前の政治家の、あるいは国会議員の姿だったと思うのです。選挙区においては皆さんにいつも票の御苦労をさせている、金までの苦労はさせません、金は選挙区外で調達します、選挙区で金集めなんかしたら落選するというのが一時の風潮でした。最近ではどの候補も、多い少ないは別といたしまして、多少選挙区の人に対しても、票の協力もお願いする、お金の協力もお願いするという立場にだんだん変わってきている。結局政治というものは多くの国民の参加と協力なくしてやっていけないという観念から、一つの会合をやりますと、あるいはパーティーをやりますと、一昔前だと大体政治家個人のお金の持ち出しかあるいは政治家の後援団体のお金の持ち出しになるのがあたりまえだった。ところが最近では、むしろ選挙区内における会合においても、選挙区内の人から会費を取る、寄附をもらう、そして来てもらうという形で、むしろ選挙区内における会合というのは、ある面においては政治家個人の金の持ち出しなしに、選挙民の協力によって十分選挙民との意思疎通ができるという場もだんだん出てきた。こういう面は、政治というものは金がかかるんだな、お互いに票だけじゃなくて金も協力しようじゃないかということで、むしろ国民が政党の収支にも政治資金にも関心を持ってもらって、参加してやろう、応援してやろうという風潮というのは、私は一面では今後も伸ばしていきたい風潮だと思うのであります。 現に私なども、ある人から言えば厚かましいと言われるかもしれませんが、選挙区の人にも選挙区外の人にも、小泉を応援してください、票だけでなくてお金でも応援してください、しかし政治資金規正法がありますからその範囲内でどしどしその意思のある方はお願いしますよと言って、私は票も金も協力を求めております。そういう際に、この金はきれいか汚いか、この人物は果たして素行が正しいか正しくないかといって調べることまでできないのです、率直に言って。そういう面から考えますと、ある程度これからも、ああいう北野献金なんか考えてみますと、本人が名誉村民である、しかもりっぱな医師をしているということだったらば、ある面においては信用しちゃう面もなくはないのですが、だれでも政治家というのはそういう危険性があるということを十分察知しながらも、それだけに誘惑が多い。この誘惑を断ち切ると同時に、多くの人の協力も得なければならない、このジレンマに悩まされると思うのでありますが、これはやっぱり政治資金規正法というそういう一面だけでなくて、本来この政治資金改正の背景には、いまの現行選挙制度に矛盾があるんだ、弊害があるんだというのは、もうずっと前から指摘されていたわけであります。当然政治の浄化というのは政治資金規正法だけじゃなくて、選挙制度全般にその視点を移さなければその本来の浄化というのが、あるいはあるべき姿というものにはいかないと思うのでありますが、大臣は、聞くところによりますと、現行法には矛盾がある、小選挙区制の論者だと聞きます。就任直後それが新聞に取り上げられましてかなり紙面をにぎわされ、あるときは野党から叱責を買ったというような新聞報道も私は読みました。しかし憲法と同じように、憲法を守るのはあたりまえである、しかし現行憲法におかしい点があると言うのは大臣といえども私は勝手だと思います。自由だと思います。同じように、いま大臣として現行法に矛盾があると言うのは私は当然自由だと思います。現行法を守るということと、現行法に矛盾があるから将来改正したいんだという個人的意見を持たれるというのは私は両立し得ると思うのであります。 そこで大臣は小選区制論者だと聞きましたが、当初は積極的な、かなり率直な意見を述べられたと思いますが、最近になりまして引っ込めちゃった、何にも言わなくなっちゃった、どうしてそういう心境の変化になったのか、その経緯なりをお聞かせいただきたいと思います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 小泉委員の御質問を伺っておりましてふっと思い出したのでありますけれども、一昔前ではありませんで、五昔前にあるいはもっと前に小泉又次郎という私の尊敬します衆議院議員がいらっしゃいました。たしか小泉委員はそのお孫さんかなと思って拝聴いたしておったのでありますが、いろいろ政治に対する国民の皆さんの御信頼を取り戻す、どうしても取り戻さなければいかぬ。そのためにはあれこれたくさん考えなければならぬ問題がありますけれども、一番わかりやすい具体的な方法としましては、政治に関係します者がたちのよくない金に手を出さないということが、わかりやすい政治信頼を回復する早道ではなかろうかと思いまして、衆参両院の同時選挙が行われました際に、私は政界浄化のためには、自分は参議院の候補者であるけれども、人様のことで恐縮だけれども、やっぱり本筋は衆議院の選挙に候補者自身の方が余り金を使わずに済む方法を講じて差し上げなければ、どうしても人間が選挙をします以上は、無理とは知りつつも個人であれこれ御苦労なさる。そうするとどうしても国民の指摘を受けるような結果に陥る危険なしとしません。ついては、政党本位の選挙をおやり願うようにしなければならぬじゃなかろうか。そうしまするならば現在の中選挙区制——政党選挙にしなければいかぬ。それには現在のままの中選挙区制度では、少なくとも同一選挙区に複数の候補者を立てる政党は政党本位の選挙というのはできない。したがって、小選挙区制にして党営選挙をする以外には方法がないではなかろうか。現在はなるほど同一選挙区に複数候補者を立てておるのはわが自由民主党だけではありますけれども、いつまでもそういう事態が続くものとは思いません。将来同一選挙区で複数候補者をお立てになる党もあろう。わが自由民主党のためだけで申すわけじゃありません。どうしても衆議院の小選挙区制を実現し、党営選挙を行い、候補者自身が余りよくない金に手を出すことがなくて済むようにしたい、する必要がありましょうというのを参議院選挙のときに申しました。自治大臣就任直後にNHKの録画がございました際に、選挙についてどういう考えを持っておるかという質問がありました際に、以上申しましたようなことを申し上げ、さらによくは知りませんでしたけれども、選挙制度審議会において、結論ではありませんけれども、小選挙区制という有力な意見があったということも承知いたしておりますので、どうもその辺、個人的見解なんというつもりでもなかったのですが、余りはっきりしませんで、立場がはっきりしませんままに小選挙区是というような意見らしいものを述べたことは事実であります。 いまでも私は間違っていなかったとは思いますけれども、物には順序もありましょうし、実現困難なものをあえて大きな声をしますことが最終目的を達成しますために果たして有利かどうかというようなこともあります。現内閣におきましては、政界の浄化を図るためには金のかからない選挙をしなければならぬ、あれこれ方法はあるとは思うけれども、衆議院の小選挙区制度は言うべくしてそう簡単な問題ではなかろう、参議院の全国区については、自由民主党のみならず他の会派におかれましてもある程度の御議論が進んでおるように思うから、もちろんこれは国会の御決定にまった方がいいとは思うけれども、政府としても参議院の全国区制というものをまず御検討願う、それが順序ではなかろうかというようなことになりまして、したがって、これと同時に並行的に衆議院のことをあれこれ申しますことはかえって混乱を来すもとだと考えまして、私の衆議院の選挙区制についての個人的な意見はあえて差し控えさせていただいておる次第であります。
○小泉委員 奥野法務大臣の発言というのは憲法問題に対して大変な物議を醸しましたけれども、いままで憲法を論議すること自体、しかも改正を論ずるということ自体、すぐ一方では軍国主義に導くんだ、戦争になるんだという非常に偏見に満ちた論議があったわけです。ところが、国会の場でああいうふうに言われ論議を重ねていきますと、必ずしもそういう方向ではない、いろんな考え方がある、問題点もあるということで、いわばいままでの憲法論議というタブーを打ち破った面があると思います。やはり大臣も長年の政治家としての抱負なり、現行の矛盾を改正したいという意欲を当然持たれて政治家になられたと思うのです。そしていま自治大臣、選挙制度を直視してよりよい方向へ持っていかなければならない一番重要な席にあるわけであります。そういう面におきまして、現行の矛盾に目をつぶっていては一歩も進まないのですから、もっと積極的に現在の選挙制度の矛盾点というものを指摘して、論議を盛り上げていただきたいと思うのであります。現に、全国区が第一であって、衆議院を言うと大変だというような答弁もありましたけれども、本来この選挙制度というのは衆参一体であります。全国区が大変ならば参議院の地方区だって大変だし、衆議院も大変なはずであります。大変な点、矛盾点いろいろあると思いますが、一方だけ手をつけるということになるとなおさら問題点があると思うんであります。 そういう意味におきまして、かつては小選挙区制を志向するということだけで、これは一党独裁を目指すんだとか四割の得票で八割の議席を目指すんだという、きわめて誤解に満ちた一方的な宣伝が一部の政党からなされたことがありますが、小選挙区制度をとるから軍国主義になるとか一党独裁になると言うんだったら、イギリスも小選挙区制度、西ドイツも変形の小選挙区制度、アメリカも小選挙区制度、そんなばかげたことはあり得ないのです。そういう点につきましても、たとえ反対の野党から論議があっても、持論として堂々と展開していただいて、あるいは閣議におきましても、当然選挙制度の衝にある大事なポストなんですから、総理とも論議していただきまして、よりよい選挙制度を目指す方向で活発な議論をしていただきたいと思うのです。いま参議院の方にだけ目がいっていますけれども、本来、本当の本元は衆議院選挙というものをどうしていくか、これが積年の課題なんですから、その点を忘れないで活発に反論を恐れることなく批判を恐れないで堂々と論議していただきたいと私は思うのです。 さらに、選挙制度はもちろんでありますが、いまもっと国民的な注視を浴びているのは、一票の重さの格差です。参議院においてもそうなんです。大臣は鳥取県選出、私は神奈川県選出。不思議なことに、まあ偶然の一致でありますけれども、大臣の選挙区の有権者というのはいま一番政治的発言力が強いのですね。私、質問しておりますけれども、神奈川県の有権者というのは政治的発言力が一番軽い。毎年毎年一票の重さの格差が広がるばかりであります。そしていま、議員一人当たりの有権者数というのは鳥取県が全国でも一番少ないのです。大臣の選挙区、鳥取県の参議院地方区の五十五年九月十日現在の議員一人当たりの有権者数を調べてみますと、これが二十一万九千三百五十五人。そして一番議員一人当たり有権者数の多いのは神奈川県で百十八万三千七百五十三名。鳥取県と神奈川県を比べると、鳥取を一とすると神奈川県は実に五・四。鳥取県の有権者百人と神奈川県の有権者五百四十人が同じだというのですから、法のもとの平等を保障する憲法に違反している、そういう裁判が各地で出ております。私は、これは裁判の問題よりも本来政治の問題、立法府の問題だと思うのです。これほど格差が広がっていながら放置していくということは政治的な怠慢の最たるものだと私は思うのであります。大臣がたまたま鳥取県の選出である。質問している私が神奈川県選出である。こうして一票の重さを論議するわけでありますが、この問題についてただ、政党の利害が非常に複雑だから国会に任せておきますよ、政党に任せておきますよというのは、私は責任逃れとしか考えようがない。そんなことを言っていたら大蔵省は予算を組みませんよ。予算というのは各政党に利害がある、国民に利害がある、これは政党に任せましょう。政党も大きな責任を担っておりますが、最初のたたき台をつくる一番の責任を担っているのは大蔵省。この一票の格差、一票の重み、法のもとにおける国民の政治的発言力を平等に保障しなければならない一番の責任があるのは国民のための政府なのです。その政府の中で一番責任があるのは自治大臣ですよ。こういうことに対して何も主導権を取ろうとしない、おかしいですよとも言わない。ただただ政党に任せますよ。総理もそうでありますけれども、そんなことで一体政治家が勤まるのでしょうか。役人にやらせるのはかわいそうですよ。議員の死活問題にかかわる、いじればむしろ役人の死活問題にかかわってしまう、だから役人は何も言えない。これはあたりまえです。それを、事務の者が言えないのを政治家としてやらなければならないのが大臣の立場じゃないでしょうか。こういう問題は何もしないで済むのでしょうか。大臣、いかがでございますか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 小泉委員の御発言、拝聴いたしました。しかしながら、御承知のとおり少なくとも参議院におきましては、全国区の問題もさることながら、地方区の選挙区別の定数の問題も国会みずからの責任として従来から長年にわたりまして御論議になっておるところでありますけれども、いまだ結論に至っておりません。所管の大臣として無責任ではないかという御批判、謙虚に受けとめなければいけませんけれども、従来の経緯もございますので、御意見を改めてきょう拝聴いたしました、御意見のありますところも十分考慮させていただきまして、将来の問題として検討させていただきたいと思います。 なお、一票の重さ、有権者だれにも同様にという御主張、理の当然であろうと思います。選挙区により一票の重さに差異がある。これは何も自由民主党のためとか云々という意味でなくてという御指摘がございましたが、お話にございましたとおり、私は神奈川県と全く正反対の一票の重さを非常に重く見ていただいております鳥取県の選出でありますが、率直に申しますと、鳥取県の有権者、自由民主党でありましょうと社会党でありましょうと、恐らく各会派ともと思いますけれども、法律は別として、鳥取県も小なりといえども三年ごとに一人ずつ、合計同時に二人の参議院議員はぜひとも何とか確保してくれぬかというのが各党挙げての熱願ではなかろうか。法律論ではありません、その辺も御了承いただきたいと思います。
○小泉委員 確かに参議院の場合は人口の数あるいは有権者の数だけでは規定し切れない面があります。地域的な重要性というものを十分加味しなければならない。しかし、そういう点を配慮したにしても、いま北海道の地方区なんというのは、五十五年五月現在の有権者数を見ると約三百八十六万、ところが神奈川県はそれよりも八十万以上多い約四百六十九万。神奈川県がこれだけ多いにもかかわらず、割り振られた定数は、神奈川県は裏表で四名、北海道は裏表で八名。逆転現象が起こっているわけです。こういう点まで放置していくというのは余りにも無理があるのではないか。百歩譲って、確かに参議院の地方区の場合は地域的な重要性があります。しかし衆議院の場合はやはり基礎は人口なのです。この法律で現行中選挙区制が採用された時点からその基本は人口なのです。その衆議院の方を見ても、これまた議員一人当たりの有権者数が一番少ない兵庫五区、これは議員一人当たりの有権者数は、五十五年九月十日現在によりますと八万一千七百六十二名です。一番多い千葉四区、これは議員一人当たりの有権者数が三十二万八千二百十七名、これだけ比べてみても、実に兵庫五区と千葉四区の場合は四倍以上格差が出ている。これは一票の重みの格差是正をめぐる裁判がいろいろありますけれども、ずっと昭和三十七年以来続いていますが、五十一年四月には最高裁が四十七年十二月の衆院選に関し、選挙の効力は有効としながらも、五・〇八対一の格差は違憲という判断を示しています。何倍までは合憲かというのはむずかしいと思いますが、これは裁判にゆだねるという以上に、政治家としてこれだけの格差に目をつぶるということは余りにも無責任過ぎると思うのであります。 私はこういう観点からも、制度上からもあるいは一票の重さから言っても、現行の選挙制度全般に大きな問題点があり過ぎる。これについて反感が強いから、批判が強いから黙っているというのじゃ、私は自治大臣は勤まらないと思うのです。黙っていれば一年間ぐらいは任期が続くでしょう。しかし、それで政治家としていいのでしょうか。私は、政治家としてだったら、やはり自分の理想というもの、自分がやらなければならないということを当然持っているはずです。大いにいまの責任を自覚されて、しかも論争を高めようと思えば大臣の立場だったらできるのです。閣議でこのような選挙制度の矛盾について自治大臣が率先して主張したという話を私は一度も聞いてない、こういう点は実に情けないと思う。総理の見解はどうか、現実の問題としてこういう大きな問題がある、これについて政府として何にも対処しないのは無責任じゃないかというぐらいは、私は閣議の席で、大臣、言ってもらいたい。そういうところから現行の選挙制度の矛盾の改正というのが一歩一歩進んでいくのだと思うのです。黙っていれば任期は続くかもしれませんが、私は大いに論争していただいて、国民的な議論を選挙制度の方向に向かわしていただく一つの大きな役割りを大臣は担っている。やろうと思えばできるのです。大臣の意思の問題です。情熱の問題です。ぜひともこの一票の重さの問題と選挙制度の問題につきましては、その責任というものを十分自覚されまして、大いなる閣議内での論争、そして各政党の論争の正面に立って堂々と論議を進めていっていただきたい、心からお願いしたいと思います。 時間がありませんから最後になりますが、これは私の選挙区に関することであります。神奈川県第二区は川崎市と三浦半島が飛び地で一つの選挙区になっております。全国でこういうのはないのです。小さい飛び地はあります。ところが、神奈川県二区は、五十五年五月におきまして人口において百六十九万余、有権者の数において百二十二万以上なのです。これは両方の選挙区が川崎市と三浦半島、離れても十分一選挙区を形成し得る選挙区基盤です。たとえば川崎は人口が百万以上であります。有権者は七十一万人以上おります。しかし、大臣の鳥取県は有権者は四十三万人です。この鳥取県全県四十三万人で定員四名与えられているのです。川崎は七十一万以上いて、なおかつ五十万人以上の三浦半島と一緒になって五名しか与えられていないのです。三浦半島だけ分けてみても、鎌倉、逗子、横須賀、三浦市合わせて五十万以上いるのです。ところが、総理の選出の選挙区は岩手一区、三浦半島と大体同じくらいの五十八万の有権者で定員が四名与えられている。福田元首相のいる選挙区には群馬三区、この選挙区におきましても、三浦半島よりも少ない四十九万の有権者であるにもかかわらず定員四名与えられている。ですから、三浦半島と川崎を分けても十分定員四名から五名以上の選挙区となし得る選挙区であるにもかかわらず、横浜をはさんで飛び地で、なおかつ定員が五名しか与えられていない。行政的にも地域的にも何ら必然性がないのに、二つの選挙区を一緒にして、なおかつ五名である。これほど特異な選挙区はないのですね。おかしいと思うのです。これはやはり何とか直すような方向を検討していただきたいと思うのですが、事務当局と大臣の両方の答弁をいただきたいと思います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 小泉委員の御質問中、最初から選挙制度、とりわけ選挙区制度等について自治大臣として積極的な発言をしたらどうだという御意見がございましたが、貴重な御意見として拝聴し、今後できる限りの努力をさせていただくつもりでありますので、この上ともの御指導をお願い申し上げます。 なお、神奈川県の具体的な選挙区割りの問題につきましては、御承知のとおり、これは参議院と違いまして、国勢調査の結果によって検討するというような法律の条項もたしかあったようでありまするし、政府委員から正確な答弁をさせますので、お聞き取りいただきたいと思います。
○大林政府委員 神奈川二区の問題につきましては、小泉委員が一番御承知のように、飛び地という非常におかしな形になっております。衆議院の選挙区であろうが何であろうが、およそ選挙区というのは行政単位を基準とすると同時に、全体が一体性を持つというのが一番素直な形であろうと思います。たまたま神奈川二区の場合には昭和十四年でございましたか、横浜市の大合併ということによってああいう変なかっこうになったわけでありますが、それがずっと長い間続いてきたというのは、これは戦前のことでございますから詳しくはわかりません。 一方、選挙区というものを決めた以上、その間にいろいろな合併で多少区域の変動があっても、それをさらにいじるということについてはまたゲリマンダーの批判が起こるのじゃないだろうかということを当時は恐らく一番心配したのだろうと思います。 ただ、確かにおかしな形であることはまこと間違いがないのでありますから、これをどうするかという問題につきましては、神奈川二区の定数配分の問題は当然に全体的な定数配分の問題と関連をいたします。確かにいまの飛び地それぞれに定数配分ができ得る人口を持っておることも承知いたしております。機会を得て、御要望は御要望として承り、地元の意見も聞きながら、今後検討してまいりたいと思います。
○小泉委員 時間が参りましたからやめますが、いまいろいろ話がありましたように、現行の選挙制度はいろいろ矛盾があります。この点につきまして十分御認識されまして、勇気を持って、そして情熱を持って、よりよい選挙制度の確立のために大きな論議を巻き起こす先頭に立っていただきたいことを大臣にお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
○久野委員長 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十五分休憩 ————◇————— 午後一時三分開議
○久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 考えてみますれば、昭和五十年に大改正を、政治資金規正法そして公職選挙法をやって以来、本格的にいろいろな問題についてこういった形で審議をする機会というのはなかったわけですので、これから審議を始めるに当たりまして、まず二つばかり大臣に前提のお話をお伺いしたいと思うのであります。 第一番目は、先ほど小泉委員との質疑の中でも大臣の個人的な所信が表明されましたけれども、小選挙区制の問題でございます。 これは私たちも、日本の議会制度の発展のためにどうあるべきかということはいろいろな角度から考えなければいかぬと思います。ただ、いまのいろいろな情勢の中でそういった機が熟していない。いろいろなものが熟さなければそういった論議に入れないだろうと思うのでございます。細かいことは途中省きますけれども、大臣が就任なされてから、NHKのビデオ撮りその他新聞等で小選挙区制について意見を述べられております。次の国会のときには、参議院全国区の改革とかその他いろいろな改革案が出されることになると思いますけれども、当面、この衆議院の小選挙区制というものは少なくも大臣が政府案として出される意思はない、こういう前提でこれからのお話を伺ってよろしいでしょうか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 私が自治大臣在任中に衆議院の選挙区制についての改正法案を提出いたしますことは、事実問題として不可能であろう、困難であろうと考えております。
○佐藤(観)委員 それから、選挙法の改正というものは、大臣もたびたび言われますように、これは単なる政府だけの責任ではなくて、私は国会に応分の責任があると思うのであります。そこで私たちもいろいろな形で審議をするわけでございますけれども、七月十八日でございましたか、鈴木総理が、選挙制度の問題については、第八次選挙制度審議会を発足させて、そしてそこで議論したらどうだろうかということを発表したように報道されているわけであります。私も第七次審議会までの、とりわけ第七次審議会の報告等を全部読んでいるわけでありますけれども、話によりますと、どうも報告を答申に直したらいいじゃないか、ずいぶん前の話を答申だけするというのも、これもおかしな話だと思いますが、したらどうかとか、あるいはいずれにしろ八次審というものを発足させるやに一時は報道されたのでありますけれども、りっぱな方々が審議会で審議をされていることは、これは非常に重要だし、いまでもずいぶん生きるものがあの中にあるわけでありますけれども、実際に行き詰まっておりますいまのいろいろな意味での選挙制度、これを考えますと、従来の経緯からいって、審議会で審議されたものをそのまま国会の側が受けて成立をさせるということになってなくて、いわば適当に——適当にというのは言い方が悪いかもしれないが、適宜いろいろな政治的な条件を考えながら、そこからエキスなりいいところだけを持ってきて改正をしているという、こういう経緯から考えますと、八次審をやられて、これは本格的にやれば恐らく二年なり三年なりまたかかる、また七次審の報告を、毎回人をかえて答申を出すのも、これもおかしな話だと思いますし、選挙制度というのは、政治資金規正法につきましても各党いろいろ考えているわけでありますので、八次審をやるということになりますと、私たちの方もある程度そちらの審議の状況を見なきゃいかぬということになってくるわけでありますので、そういうことから考えますと、八次審というのは、私たちにとりましては、極端な言い方をすれば、あるとかえって実際の改正を早くやろうと思ってもできなくなる結果になるのじゃないだろうかと、私は思っておるのでございます。 その見解は別といたしましても、大臣として八次審というものを設置されるおつもりがあるのか、構想が煮詰まっていらっしゃるのか、その点はいかがでございますか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 総理大臣が七月総理大臣御就任直後に御発言になりました選挙制度審議会についての御発言の御意図等につきましては承知いたしておりませんが、佐藤委員も十分御承知のとおり、本来審議会なるものは、自分がわからぬことについて学識経験者等の方の御意見を承ってというのが審議会だろうと思うのです。選挙制度につきましては、国会議員の皆さん、先輩各位もうすでにいろいろ御検討になりまして、七次選挙制度審議会の答申、正式のものが出ていない段階ではありますけれども、さらにお聞きになるほどのこともあるまいと思いますし、自治省といたしましては目下のところ、過去いろいろ意見を承っておりますので、改めて八次審のごときものをお願いする意思は持っておりません。
○佐藤(観)委員 次に、提案されました政治資金規正法案につきまして、抜本的な問題についてお伺いをしたいわけであります。 まず、この法案の全体的な位置づけなんでございますけれども、先ほど小泉委員からも片岡委員からもお話がございましたけれども、この法案自体は、政治資金規正法が五十年改正をされたときに言われました、いわゆる五十六年一月に見直しをするというものの一環ではない。これは前の内閣から引き継いでまいりました一つの政治倫理確立の一環としての話であって、五十年改正のときの延長のいわゆる見直しの一環ではない、こういうふうにまず理解しておいてよろしゅうございますね。
○石破国務大臣 五十年改正のときの附則によりますと、見直しの目的についてはある程度の限定的な表現があるようでありますけれども、広く全般に政治資金のあり方の見直しをしてはいけないと限定されたものとも思いません。したがいまして、今回御審議をお願いいたしておりますのも、あれによってやってもいい問題だとは思います。しかしながら、午前中もお答えいたしましたが、あれによると、相当広範囲にわたって検討させていただきたいと思っております。時間もかかります。今回御審議願っておりますのは、あれとは矛盾するとは思いませんので、まとまったものを取り急ぎ御審議いただきたいという趣旨であります。
○佐藤(観)委員 そこで、この見直しの問題について少し立ち入ってお伺いをしたいのでありますけれども、新聞等に出てくる、たとえば自民党の中で論議されている議論、いま個人のできる献金の額、あるいは一団体へできる額が百五十万、これは少ないではないかとか、あるいは選挙の年にはひとつその枠はふやしたらどうかというようなことが議論されているように、新聞等では報道し言っているのですから、聞いているのでありますけれども、こういった話の延長から考えますと、五十年の大改正、私たちもかなりいろいろな抵抗があった中をやったわけでありますけれども、いまいろいろ言われている話の方向性、つまり政治資金をむしろ拡大をしろという方向と、一体これから政治資金のあり方をどうすべきかという、これは午前中審議があったように、企業献金——企業といっても大から中、小、零細までありますけれども、こういったものをどうするかという議論とは、少しく方向性が違うのではないかと思うわけです。 一体いま大臣の頭の中に、これから政治資金規正法の見直しを本格的に五十六年一月から始められるというときに、何らかの方向性をお持ちなのかどうなのか。たとえばそれは、企業献金は漸次廃止していくべきであるとか、そういう方向性をお持ちなのかどうなのかということが一点。 それともう一つ、いわば八次審とまではいかないにいたしましても、この政治資金規正法の見直しのそれなりの機関というのでしょうか、八次審というような大げさなものではないにいたしましても、政治資金のあり方について審議をする何か特別な会を自治省の中につくる、こういうお考えがあるのかどうなのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 私は、御承知願っておりますとおり、年はずいぶんとっておりますけれども、選挙につきましては諸先輩にとうてい及ばぬ経験浅い者でありまして、大きなことを申し上げる資格は持っておりませんけれども、選挙制度なり選挙資金という問題につきましては、選挙制度審議会で御審議を願うとかどうとかの問題の前に、私のような一年生が申し上げて大変恐縮でありますが、率直に申し上げますけれども、政治に関係します者は俗にたてまえと本音というものがあります。生身でありますから、本音ばかりで私は生きていく自信も持っておりませんけれども、やはり制度云々とか審議会とかの前に、選挙に関係します者が本当にたてまえと離れまして、率直な意見を率直に交換し合って、国家、国民のためになるにはどういう選挙制度でやったらいいか、選挙資金をどうしたらいいかというのを何らかの形で話し合うような場所ができないものか、本心からそういうことを願っております。
○佐藤(観)委員 それで、そのために具体的には、たとえば自治省の中に、さらに諸外国の例やその他のことも含めまして、いわゆる見直しということが附則に出ているわけでありますので、政府の出された法案の見直しということが附則に出ている限りは、やはり政府としてもやらざるを得ないと思いますので、そのための何らかの機構的なものを設けてやるおつもりはあるのですか。
○石破国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、本式の議論をするということになりますれば、役所といたしましてもそれ相応の心構えをし、具体的な制度等も考えていく必要があろうと思います。何らかの方法によりまして各党各会派等の御意見も承った上で結論を出すようにさせていただきたいと考えております。
○佐藤(観)委員 それでは話を前に進めますが、この提案をされた政治資金規正法の改正案で最も私が不思議に思うのは、これだけ政治資金の明朗化をしなさい、政治家個人について金にまつわるいろいろな話が出れば出るほど政治不信というものを増してくる、これはお互いに考えなければいかぬことであるわけでありますけれども、こういった大きな政治家個人にまつわる政治資金のあり方が問われているときに、今度の法律案の中には、この政治家個人への献金はいけないのだ、政治家個人への献金を禁止をしたらいいではないかという発想というのが出てないわけです。これは第二条で、あくまで自分に入ってくる資金を扱う政治資金団体を指定をするというやり方になっていて、政治家個人への献金というものを禁止をしていない。この積極的な禁止ができなかった理由はどこにあるのか。 たとえば、私個人をとってみましても、いま国会から歳費が千何百万出ているわけで、足りない分は後援会からいろいろな形で援助してもらって秘書を雇ったり事務所の経費にしているわけですが、それは全部支出といたしましては後援会が政治資金規正法に基づいてやっているわけです。ですから、私は、個人として何ら政治資金というのを受け取らなくても政治活動はできるわけなんですよ。私は、ここまで政治家個人にまつわる政治資金の明朗化の大きな世論があるときに、ひとつ政治家個人への政治資金というのは受け取ってはいけませんぐらいの発想と法律が出てきてもよかったのではないか、こう思うのです。あえて禁止までしなかった積極的な理由を開陳をしていただきたいと思います。
○石破国務大臣 佐藤委員御指摘のとおり、政治家個人への禁止というのも一つの方法であろうと思います。あるいはそれが理想かもしれません。しかしながら、現行法といいましても、諸先輩各党会派の方々が長年御議論、御意見を御交換になった上で現行法というものができておるものであろうかと思うのであります。佐藤委員御指摘のような方法があるいは理想的な姿かもしれませんけれども、なかなかそう一挙にはいきにくいんではなかろうかと考えまして、一歩でも政治資金が明朗化すればと考えまして今回御審議を願っておるような姿になったわけであります。
○佐藤(観)委員 これはちょっと法律論その他になりますので、選挙部長でも結構ですが、何か聞くところによりますと、政治家個人への献金を禁止するということは、憲法で言うところの政治活動の自由というのでしょうか、有権者の方がどうしても佐藤観樹個人にこれは政治献金として出したいのであって政治団体ではいやなんだ、こういう行動を規制をするということになるとか、あるいは私は信条としてとにかくそういった政治資金を扱う団体というのは持たないんだ、これはあくまでも私が私の責任において処理をするという、そういう自由までこの政治資金規正法が奪うことはできないんだ、こういう論をなす者もあるのでありますけれども、今度のこの政治資金規正法の改正案には、そういった、何といいますか、広い意味で言えば政治活動の自由というのでしょうか、こういった発想上どうしても政治家個人への政治献金を禁止をするということは立法上できないんだということなんですか。
○大林政府委員 御質問のように、政治家個人に対してはもう禁止した方がわかりやすくて一番手っ取り早いではないかという御意見があったことは承知いたしております。ただ現在は、おっしゃいましたように、いわゆる政治活動の自由という大原則のもとにいろんな諸法ができております。たとえば企業献金もそうでございましょう、組合献金もそうでございましょう、これは個人がどうこうするという問題、団体がどうこうするという問題すべて政治活動の自由という原則にのっとって法律をつくっておるわけでありまして、個人の政治活動というのは、たとえば選挙を例にとりましても、それぞれの公職の候補者に将来の政策を負託する、その負託の仕方にはいろいろありましょう、行動で行う場合もあり得るし、それから献金で行う場合もございましょう。やはり政治献金というのは、個人に対するものでも、出す側の政治活動の自由というものについて大変大きなウエートを占めておるものだろうと思います。したがいまして、特定の公職の候補者に政治献金を禁止するということは、やはりこれは政治活動の自由に反するという理解をしておりまして、そういうつもりで一歩前進ということで今回の法律になったと御了解賜ればありがたいと思います。
○佐藤(観)委員 いまの選挙部長の答弁ですと、いわば立法上の限界があるわけですから、少なくとも政治活動の自由というこの大前提を置く限り立法上当然限界が出てきてしまうわけですから、いわばさらにそのたてまえを崩さない限りは、この提案をされております政治資金規正法を政治家個人への政治献金禁止ということにすることは、あくまで政治活動の自由という大前提を踏まえる限りは、これ以上はいかないということになりますね。
○大林政府委員 そのとおりであります。
○佐藤(観)委員 そこで、私は物の考え方だと思うのですね。何度も言っておりますように、いま国民世論の中で、政治家に対する献金の問題あるいは政治活動資金の問題がこれだけうるさく言われ、さらに明朗化を求める声が多い、このことは私はだれしも否定をしないと思うのでありますが、こういった世論、そして政治家個人への政治献金を禁止して政治というものに対する信頼が得られるという公益の大きさと、いま部長がお答えになりましたような政治活動の自由というこの大前提とをはかりにかけて比較してみたときに——私は政治資金団体までいかぬと言っているわけじゃないので、政治資金団体さえ持てばそこに政治献金というのは受け入れることができるわけでありますから、私が言っているのは、あくまで政治家個人への献金は禁止をしたらどうだろうかということでありますから、そういうことになれば一切合財政治活動の自由が禁止をされるわけではないので、ちゃんと自分が政治資金団体を持てばいいわけで、そこに入れて活動すればいいわけでありますからその比較の問題じゃないだろうか。 もう一回繰り返しますけれども、この政治家個人の金にまつわる問題についてもっと明朗化をしてもらいたい、そしてそれを実現して、政治家個人への献金は禁止です、こうやって得られる政治に対する国民の信頼、公益、このトータルと、政治家個人へ政治献金ができなくなったことによって政治活動の自由が幾分かは束縛されるというデメリットというかマイナスというのか、この比較の問題でこの問題はできるのじゃないだろうか。もっと政治というものが本当にきれいになれば、ある意味では政治家個人への献金なんというのは禁止を外してもいいと私は思うのでありますが、政治資金の明朗化、とりわけ政治家個人への献金について不明瞭さが大き過ぎると言ってこれだけ大きな世論になっているときに、この二つをはかりにかけて、そして当分の間は政治家個人への政治献金というのを禁止するくらいの姿勢が、やはり国民の前に必要なのではないかと私は思うのでございますが、大臣いかがでございますか。
○大林政府委員 もちろん、おっしゃいますその公益の比較考量の問題、政治活動の自由であろうが何であろうが、憲法関係の大原則を考える場合にはそういった比較考量の問題が非常にウエートを占めると思いますが、ただ献金者の側としましては、政治団体に献金するよりはやはり候補者本人に献金をしたいという気持ちがあるのも、またこれそう否定すべきものでもないと思います。問題は、おっしゃいますように、個人が金を受け取る場合には何らか疑惑というものが起こりやすい、だから、もう禁止してしまえば疑惑が起こらなくなるから、そういう公益の面をおっしゃるわけでございますけれども、しかし、それを達成するのであれば、要するに禁止するまでもなく、受け取ったものを世間に公表してその批判を受けるという方法によって十分また疑惑解明にも役立つであろうという考え方をしておるわけでありまして、そういう気持ちで今回の法律をつくっておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 いま後半に言われたことも、全部が全部公表されるのじゃなくて、これは百万ですか、百万以下のものは公表されないわけですし、それから贈る側の意思というのか自由というのか気持ちというのか、これも、確かにそれをそんたくすることも私は非常に重要というか必要なこととは思いますけれども、自分を後援してくれる後援団体に入れてくださいという話なんですから、全く無関係な政治資金団体に入れろという話じゃないので、確かに個人に直接行かないにしても、その個人の政治活動を助ける資金団体に行くのですから、そこまで贈る側の気持ちというのを重大視しなくてもいいのじゃないだろうか。 いま一番重要なことは、政治家個人への献金というものについていろいろ疑惑を持たれる、そしてこれを禁止した場合、政治家が政治活動できないのかというと、できるわけですから、私はいまあえて当分の間と言ってもいいけれども、もう少し日本の政治がいろいろな意味でレベルアップするまで、当分の間政治家個人への政治献金というものは禁止するくらいの姿勢があっていいのではないだろうか。それは確かに一部ではまさに政治活動の自由その他を損なう点もあるけれども、あえて損なったといたしましても、日本の政治の明朗化、政治資金の明朗化等々を考えてみれば、そちらの方が公益上はるかに大きいと私は思うのでございますが、大臣の所見をお伺いして次の問題に移りたいと思います。
○大林政府委員 まさにそのとおりでありまして、個人のところに献金の申し込みがあっても、それは自分の後援会に入れておいてくれということで入れば、これはもう現行法そのままでありますから、それが本当は一番好ましい姿であると思います。 ただ、場合によりまして、また相手方によりましては、やはりこれはどうしても先生に受け取っていただかぬと困るのですとか、あるいはまた献金の枠の関係がございまして、要するに政党には幾ら、政治団体には幾ら、こういう枠がございまして、片っ方の枠はなくなったからどうしてもこっちの枠で受け取っていただかぬといかぬというようなケースも当然予想されるわけでありまして、その辺ちょっと御了解いただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 この点は一番基本的な点で、いま部長の言われるような枠の問題はまた別の観点で考えなければいかぬ話でして、私としては余り納得ができる話ではないので、提案をされた大臣、私が言うように、いまの大きな世論の中でいろいろなことが確かに政治活動の自由とか、あるいは個人の方が実は石破さん個人にどうしても政治資金として贈りたいのだとか、こういった気持ちは損なわれるけれども、それはひとつ日本の政治の明朗化のために、いまの制度はこうなっているんですから私の後援団体の方に入れてください、私個人は受け取ることを禁止されているんです、こういうことになっても政治活動ができなくなるわけではないから、トータルで物を考えた場合、それの方が非常に大きな、まさにこの法案の意義というのが出てくるんではないかと私は思うのでございますが、部分的な話はいま部長からお話がございましたので、高い立場から政治家としての大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 佐藤委員の御指摘の点、ごもっともな点が多いと思いますけれども、選挙部長がるる申し上げましたとおりの事情もございます。御審議願っております法案、いろいろ御意見はありましょうけれども、政治資金を明朗化して国民の皆さんにちょっとでも現在よりはよくなったというようなお考えはお持ち願えるだろうと思うんでございます。一歩前進させておると考えますので御了承賜りたいと思います。
○佐藤(観)委員 私も、大臣が言われるように、ちょっと前進ぐらいのことを認めないわけではありませんけれども、しかし、これだけ大きな明朗化を求める世論の前には、姿勢として少し甘いのではないだろうか。私はまさにこの問題は基本問題だと思いますのでお伺いをしたわけであります。 そして、ちょっと前進のちょっとでありますけれども、問題があるのは、寄附者が政治家個人へ寄附をする、そして政治家個人を通っていわゆる政治資金を扱う指定団体に寄附をする、しかし、指定団体から今度また政治家個人へ戻った場合に、百万以上の場合には記載をしなければなりませんけれども、あるいは指定団体の方も、たしか五万円以上になった場合には支出を公にすることになっているはずでありますけれども、要するに指定団体からまた政治家個人に還流してしまうということについてはやはりこの不明朗さというのがぬぐえないのではないか。この点は、せっかく指定団体に入れたのでありますから、今度はまた入れた政治家個人へは戻してはいかぬ、この逆流防止装置をつけることが必要だったんではないだろうかと思うのですが、その点いかがでございますか。
○大林政府委員 当然その点が御議論になると存じます。ただ、今回の法律の趣旨というのは、とにかく疑惑の生ずる金というものの処理、これに集中して考えられたわけでありまして、とにかく自分の政治団体を通じて報告をされる、それで一たん自分の政治団体にお入れになる、その政治団体とお入れになる政治家との関係というのは恐らくは全人格的な信頼関係に立って活動されておると思います。そういう信頼関係に立った団体から信頼をする候補者に移る金というものにそもそも疑惑の生ずる余地というものがあるんだろうか、こう考えたわけであります。もしもそういう場合にもなおかつ後援会からいただいた金をたとえば私的に使うというようなことになりますと、その政治家御自身の破滅そのものであろう。そういう趣旨で、政治資金の規制といろいろ言われますけれども、りっぱな政治家の方に対する一つの取り決めというものは余り性悪説で考えるべきものではないだろう、こういう趣旨でございます。
○佐藤(観)委員 冒頭に、疑惑の生ずる金について処理が明朗になるようにということで言われたのですが、後の方を聞きますと、何か非常に性善説に立っているのですね。お互いにまことに残念な話だけれども、こういった問題はやはり性悪説に立たないと、選挙運動でもそうだけれども、必ず裏を抜けてくる人がたくさんいるわけですね。ですから、まことに残念な話だけれども、選挙法や政治資金規正法の問題というのはやはり性悪説に立って、最悪の場合もそれに備えられる制度にしなければならぬということで、どうもその点の逆流問題についても、確かに今度の中で、なるべく指定団体を設けてそれにするように努めなければならないということで、大臣ちょっと前進と言われるけれども、そのちょっとをもう少し貫徹する必要があるのではないかということを指摘をしておきたいのであります。罰則がないという問題も、それは努めなければならぬでありますから、いわば訓示規定に近いわけでありますから罰則がつけられないということになるわけでありますけれども、そういった意味で、果たしていまの政治資金を明朗化しなければいかぬというのに十分こたえ得るだろうかどうかということについては、私は大変な疑問を持つということを指摘をしておきたいと思います。 次に、公職選挙法の改正の問題なんでありますが、実は五十年改正のときもある程度このことは予想されたのでありますけれども、今度の衆議院、参議院選挙の直前になって後援団体なるもの——あれは形さえ変えれば幾らでもできるようになっておりますので、それよりもむしろ立て札、看板が立てたいがために無尽蔵の後援団体ができているわけですね。大体立て札、看板が最低で一枚三千円というのでありますから、膨大な金がこのためにかかるということなんでありますけれども、確かに私たち、五十年改正のとぎにも若干性善説に立っていたところがなきにしもあらずだったんでありますが、このように立て札、看板が乱立をしてまいりますと、後援団体につき何枚といういまの法律の規制自体は意味がないのではないか。後援団体というのは法律上だれだれを後援をしなければならぬということになっておるわけでありますから、その候補者及び候補者となろうとする者、これにつき何枚ということで、あの金のかかる立て札、看板、とりわけ選挙の前にばたばたと立つ、こういったものはやはり法律改正が必要なんじゃないかと思いますが、自治省の見解、いかがでございますか。
○大林政府委員 後援会をたくさんつくって一つの後援会当たりに配当されるべき立て札、看板を乱立するという弊はここ数年前から相当出てきておりまして、各党におかれましても何らかの規制をすべきだという声がございます。私どもも十分承知しておりますし、また各党同士でもかなりその点のお話が煮詰まっておるやに伺っております。確かに現在の状況を見ますと、御意見のとおりだと私どもも考えておりますので、そういう方向で現在検討しております。さらに論議をお詰めいただければ幸いと存じます。
○佐藤(観)委員 それから、私たちも選挙の公営化ということをずいぶん今日まで考えてまいりましたし、これは総理大臣からも石破自治大臣の方に指示というのでしょうか、あったようでありますけれども、世界を調べてみて、これほど公営化が進んでいる、いわゆる政党法とか選挙援助法という形ではなくて、推薦はがきの郵送料が無料だとかパスをくれるとか、こういった個々の選挙公営の拡大がこれだけなされているところは世界にないわけでありますけれども、その中で一つは、有効に働くべきテレビの政見放送が何とも型にはまってしまって、三分たったらアップになるとか、その後また引いてとか、何とも無味乾燥で、顔は真っ正面にしか見ていられないし、何とも、せっかくのいい媒体でありながら、実は有権者にしてみれば余り喜んで見てくれないという感があるのですね。それでこれは自治省に宿題で出しておくのでありますけれども、いまは五分半でございましたか、五分三十秒のいわば個人を売り込むためのコマーシャルをつくらしたらどうだ。たとえばそれは国会での活動のフィルムがあってもいいだろうし、日常の座談会の活動があってもいいだろうし、その他みずから所見を述べる、政策を述べる部分があってもいいだろうし、それは適宜自由に五分二十秒のテレビコマーシャル候補者版というのをやるようにすれば、もう少し有権者もおもしろく見てくれるんじゃないだろうかということを考えるわけでありますが、これは自治省の側から言わせますと、そういったコマーシャルをつくるための費用とかその他何とかがかかるということになるんだろうか、それをやった場合にどういう支障が起きてくるのか、いま思いつく点があれば御答弁をいただき、あとはそれを実現するためにひとつ自治省の方でも前向きに考えてもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
○大林政府委員 政見放送が四十四年に始まりました際にすでに実はそういう御議論があったわけであります。少し活動的な態様あるいはいろいろな諸資料、そういうものを画面に映した方が色合いがあるし味わいがある、こういうふうな努力をしろという御希望があったわけでありますけれども、当時テレビ局といろいろ相談をしました結果、やはりたくさんの候補がおられまして、中にはテレビ局が大変困るような場面も出てくるであろう、こういうことで当面はいまのような非常にかたい感じの画面から出発したわけであります。その後またほうはいとしていまのような御意見が出ておるわけであります。御意見のように、御自分の方であるいは場合場合の場面というものを繰り入れながら一つのフィルムをつくって、それをたとえばテレビ局に提出する、テレビでそれを放映するというのも確かに一つの御意見だろうと思います。 ただその場合、私ども技術的な問題というのはよくわかりませんが、テレビ局の専門家にちょっとお伺いしておりますところは、現在のテレビに映る、つまり放映をしておる政見放送については、それなりの放送技術、撮影技術、そういう器具というものがそろっておってああなっておるのであって、恐らくはいまテレビ局で政見放送を撮っておる画面を、ああいう解像力を持たすほどの器具をもってフィルムをつくることはかなり困難じゃないだろうか。場合によっては像がかなりぼけるとかいう危険性もあるのではないか。 ただ、その味わいをつける工夫というのはテレビ局においても現在確かにやられておるわけであります。また私どもの方でも定期的にいろいろ御相談する機会もございます。宿題としてお預かりしたいと思います。
○佐藤(観)委員 次に、選挙が終わると必ず選挙違反の話で、国民にしてみれば本当に、買収や供応でずいぶんつかまっていながら議員が失格しないということ、百日裁判も空文に等しいじゃないかということでずいぶん批判があるのでありますが、裁判の問題につきましてはずいぶん私たちも考えてみたけれども、これは結局むずかしいのですね。そこで、最後に残された問題としてもう少し連座制の強化ということを考えなければいかぬのじゃないだろうか。現在の公職の候補者と同居している父母、配偶者、子または兄弟姉妹に係る連座制については、これらの人々が公職の候補者等と意思を通じていないと適用にならぬということになっているわけですね。あるいはこれらの者が同居していないと意思を通じていても連座制にかからぬということで、きわめて狭くなっているわけで、私は、世論の、幾ら選挙違反をしてもとにかく当選したら勝ちだという風潮を改めるためには、意思を通じていない場合であっても、あるいは同居していない場合であっても連座制を適用するということにして、世論の厳しさにこたえるべきだと思うのでございますが、いかがでございますか。
○大林政府委員 連座制の問題につきましても前国会中にいろいろ各党で御勉強していただきました。最近の選挙違反の状況から見て、従来の親族連座の規定が確かにぬるい、したがって仰せのとおりのような姿で今後改正に持っていこうという方向に現在あるというふうに承知いたしております。
○佐藤(観)委員 承知しておりますということは、そのように連座制の適用をいわば拡大をしても、法律上なりあるいは法務省の見解になるのかどうかわかりませんが、そういった観点からいっても問題はない、こういうふうに理解してよろしいですか。
○大林政府委員 親族連座の範囲を拡大することについては問題はないと存じます。
○佐藤(観)委員 大臣、それと、きょうの午前中の議論にもあったんでありますけれども、これほど公営化が進んだところはない。あと調べてみますと残っているのは、財政難の折から大変言いにくい話でありますが、推薦はがきの印刷代だとかあるいは選挙事務所の費用を一部国で持ってくれとか、そんないろいろな要望があるんでありますけれども、とにかくこれだけ公営化が進んでいる。しかしやはり選挙にはいろいろな形で金がかかるというのが実態なわけですね。 そこで政党法なりあるいは選挙援助法なりというものの発想になってくるわけでありますけれども、先ほど午前中片岡委員の御質問に対しましても、政党法というよりも選挙援助法というんでしょうか、こういったものについてかなり前向きのお話がございました。しかし、これだけ財政難の中でやろうと思えば、どこを規制するかは別といたしましても、いま行われております寄附というもののあり方を片面で変えないと、どこかの部分を禁止するかわりにこれはひとつ税金でめんどう見ましょうというようにならないと、恐らく世論には受け入れられないのじゃないだろうかと私は思うのであります。しかし、いずれにいたしましても、これから政治資金に関係する問題の中で、この選挙援助法といった問題というのは避けて通れないと思うのでありますが、これをさらに積極的に自治省の中でも関係者等々いろいろ集めてそれなりに前向きに検討する御意思がおありなんですか、どうでございますか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 当然、選挙に関係します者、個人といい、政治団体といい、政党といい、金の使い方を合理化しまして、何とかして少ない金でより大きな効果が上がるようにという努力をしなければなりませんことは第一に心がけるべきことではあろうと思いますけれども、午前中も申しましたが、有権者の皆さんに何とかして候補者自身を御理解いただきますためには相当の運動が必要であります。そのためにはどうしても金が必要であります。その際に金の入手方法、使い方、これは一点の疑念を与えないようにあくまでも明朗化しなければいけません。しかしながら、金がかかる、正当な金である、したがって国民の負担でこれを出せ、税金で賄ってくれ、いきなりそこにいくのが国民の理解を得られる方法として適当かどうか。その前に、いま企業献金、個人献金についても枠がはめられております。それを本当にもう一遍検討し直す、たてまえだけでなしに本気で検討し直す、それをやった上で、どうしてもこれは税金にお願いする以外には方法がないということにならないと、公営の範囲拡大なり政党に対する補助等はなかなか困難ではなかろうかと思います。 政府あるいは役人等がいきなりこういうものにあれこれ飛び込むのはどうかと思いますが、各党各派御理解をいただき、御支持をいただきまして、役人でひとつ研究してみよというような御意思でございますればあらゆる努力を払ってまいりたいと考えております。
○佐藤(観)委員 それから、参議院全国区制の改革の問題でありますけれども、この問題については先ほど一番初めにお伺いしましたように、選挙制度調査会もいろいろな情勢で私は発足させなくてもいいという見解を個人的に持っていたわけで、大臣もそのような御意向で結構なのでございますが、問題になっております参議院全国区制のあり方については、自治省みずから一つの案を出してどうこうする、国会に提案するというお気持ちはあるのですか、ないのですか。
○石破国務大臣 現内閣の方針といたしましては、選挙制度、特に選挙区の問題等は、いわば議会制度のルールづくりの問題であるからして、国会みずからの力によって各党各会派が御納得になりますような結論を出していただきたいという方針でございますので、自治省あるいは政府がこの際積極的にこれに対処するという考えはありません。幸いにして、御承知のとおり自由民主党を初め、程度の差はございましょうけれども、全国区制について御検討になっておる由でありますので、一日も早く各党間の適切な合意が成立しますことを期待しておる次第であります。
○佐藤(観)委員 いまの大臣の答弁は、たとえば自由民主党が一つの案をお持ちになる、与党でございますからその案を政府案として国会に提案することは含まれているのですか、含まれていないのですか。
○石破国務大臣 自由民主党単独での全国区制についての結論が仮に出るといたしましても、目下のところ自由民主党だけの案を政府案として提案する意思は持っておりません。
○佐藤(観)委員 さて、全国区制の問題について、大変な改革でありますので少し憲法論議をしていかないといかぬと思うのでありますけれども、憲法四十三条では「両議院は、全國民を代表する選擧された議員でこれを組織する。」ということになっているわけです。これは自治省に聞くのではなくて内閣法制局にお伺いをするのでありますけれども、この憲法四十三条で言うところの「全國民を代表する選擧された議員」というのは、憲法制定当時の金森徳次郎大臣から始まるいろいろなこの条項に関する議論の中で、いわゆる間接選挙というのはこの条項においても認められるのだ、こういう見解を内閣法制局はお持ちなのでしょうか。その際に、間接選挙というのは一体どの辺までが間接選挙なのだろうか。たとえば地方議会で参議院議員を選ぶということが間接選挙と言えるかどうか、あるいは憲法学者の多数意見と言えるのだろうか、あるいは参議院議員を選ぶ代議員のような選挙、それはできるのかどうなのか。四十三条に言うところの「全國民を代表する選擧された議員でこれを組織する。」というのはどういう解釈に内閣法制局としては立っていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。
○前田(正)政府委員 憲法制定議会におきまして、第四十三条に関連いたしまして金森国務大臣から、四十三条につきましては間接選挙が含まれるものという答弁がなされていることは承知いたしておりますけれども、内閣法制局といたしまして四十三条の解釈上間接選挙が含まれるという意見を出したということはございません。それから間接選挙は何を言うかということは、最終的には法律上定義をすればそれで確定するということであろうかと思いますが、現在のところは、御承知と存じますけれども、選挙人が直接に被選挙人を選挙いたしませんで、特定の中間選挙人だけを選挙いたしまして、その中間選挙人が被選挙人を選ぶといいますか、いわばアメリカの大統領制みたいな形のものが間接選挙であるということで一般に理解をされておりますので、そういう前提で申し上げた次第でございます。
○佐藤(観)委員 そうなりますと、もう少し具体的に入ってまいりますけれども、いま自由民主党の方でも一生懸命いろいろな議論がなされ、わが党でも議論をしているのでありますけれども、いわゆる一票制と言われる全国区を廃止をしてしまって、簡単に言えば、参議院を拘束名簿式の比例代表制、小選挙区の併用案のようにした場合、つまり投票者は地方区の候補者の個人名を書く、その票の合計をもって政党名に読みかえ、そして比例代表制の議員を名簿の順位から誕生させるというやり方が、この憲法四十三条で言うところの「全國民を代表する選擧された議員でこれを組織する。」というものに当たるのかどうなのかということについてはいかがでございますか。
○前田(正)政府委員 先ほどからお話がございますように、参議院の全国区制につきましていろいろ御検討があることはお聞きしておりますけれども、その全貌と申しますか、具体的内容なりあるいは仕組みにつきまして、当局といたしまして承知いたしておりません。そういうことでございますので、いまお尋ねの問題につきまして、憲法との関係につきましてあれこれ申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じます。 ただ、御紹介いたしますれば、御存じと存じますけれども、選挙制度審議会におきまして、衆議院の小選挙区比例代表の併用案でございますが、これにおきまして宮沢先生等の憲法学者が、ああいうような制度も許されるということでお答えになっている点がございます。
○佐藤(観)委員 細かな前提と申しますか、具体的な案を提示をしていないので専門家としてお答えにくいのかと思いますけれども、地方区に個人名を書いた名前を比例代表制部分では政党名に読みかえる、これが果たしてこの四十三条で言うところの「選擧された議員」ということになるのかどうなのかというのは、私は非常に重要な課題だと思うんですね。四十七条で、その諸手続は要するに国会で決めればいいのだというふうに書いてありますので、一票制か二票制かということさえちゃんと国会の中で手続を踏んで、そしてその諸手続が済めばこれは一票制でも、制度的には、いわゆる地方区に投票した政党と、それから比例制部分に投票したいと思った違う政党に投票するということがあっても、論理的には非常にむずかしいかもしれないけれども、あっても、それはその手続を国会で了とすれば、四十七条で言う手続が踏まれているのだから、それはこの憲法四十三条に触れるものではないということになるのでしょうか。なかなかお答えしにくいでしょうか、どうでしょうか。
○前田(正)政府委員 具体的な内容が細かくわかりませんと、確定的なことを申し上げるわけにいかないと思いますが、抽象的な表現でお答えさせていただきますと、要は、とられようとします選挙制度の内容が合理的なものであるかどうかということに帰着するのではないかというふうに考えます。
○佐藤(観)委員 その合理的なものかどうかということは、これは憲法上の、四十三条の問題ではなくて、国民の代表であるところの国会が認めるか、あるいは国民に十分納得され得るだろうかという問題であって、憲法に抵触するかどうか、ここで言うところの間接選挙というのは憲法学者の大勢論としては、宮沢先生を初め容認をしているけれども、一体参議院を小選挙区、つまり地方区を小選挙区とするところの、四十七都道府県のうち二十六がいわば一名区でありますから、小選挙区の比例代表制併用案というようなやり方で、果たしてここで言うところの四十三条に触れるかどうかというポイントは、それではどういう具体的なところが詰まれば、これは憲法で言うところの間接選挙の域も脱しています、これでは無理ですということになるのか、どこがポイントなんでしょうね。逆にお伺いすれば、大体憲法学者の大勢論としては、たとえば地方議会が議長等を推薦してその方を参議院議員にするというのは、これは間接選挙ではなくて複選制だからだめだということはほぼ定説、これは法制局としてもそういう理解でいいのですか。
○前田(正)政府委員 ただいまお尋ねの点はそのとおりでございます。
○佐藤(観)委員 それでは、少し角度を変えまして、この一票制の場合には、参議院議員になろうとする者は必ず地方区に出なければいかぬわけですね。全国区というのはなくなってしまうわけですから地方区に出なければいかぬ。それで、ある程度の団体はあらかじめ名簿を持っているというシステムでありますから、いずれにしろ、名前を出して悪いけれども、青島さんにしろ市川房枝さんにしろ地方区に出なければいかぬというシステムになる。そしてグループを組んで、一つの票がまとまれば当選人となり得るということになるわけでありますが、このように地方区にしか出られないというシステムをとろうとも、これはその諸手続がちゃんと踏んであり、しかも両院で合意をされた、つまり法案として成立をすれば、少数の方々が不利になろうとも、全体の大方の方が合理的であると認めた制度である限りは別に構わない、こういうことになるのですか。
○前田(正)政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、なかなか即答申し上げかねるわけでございますが、要は、先ほどからお話に出ておりましたように、選挙でございますので、いろいろ技術的な制約もあろうかと思います。そういう技術的な制約にまつわる問題を、先ほどこれまたお話がございましたいろいろな比較考量の問題を考えまして、全体といたしまして合理的な制度である、要するに選挙と申しますのは、国民主権が基礎になっている必要がございますから、国民の意思に基づいて選出された、あるいは指名されたという姿がとられる限りは、恐らく憲法上許されるのだと思います。ただ、その内容が具体的にどういうものであるかということにつきましては、いろいろ煮詰めなければならない材料が多いと思います。
○佐藤(観)委員 これは憲法に触れないのでしょうかね。つまり自民党の方でも二票制というものを考えている。つまり地方区は地方区で従来どおり選挙をやるわけです。全国区の方は政党名を記載してもらう。たとえば、あらかじめその投票用紙に政党名を全部刷り込んでおいて、そこに印をつけてもらうということにする。そうすると、国会にいわゆる院内会派を持っているところは別といたしましても、そうじゃない方も政党名で選挙をやってもらう。そういう政党の、これは中身にもよりますけれども、少なくとも政党という、政党でも確認団体でもいいですが、そういう形式をつくらないと全国区は出られませんよ、そういうやり方は、法のもとの平等の問題とか結社の自由の問題とか政治活動の自由とか、こういったものに触れることになるのでしょうか。これも、やはり政党というものの決め方の細部まである程度確定をしないと、これは憲法上違反になりますということは断定できない、こういうことになるのでしょうか、どういうことでしょう。
○前田(正)政府委員 これまた非常にむずかしい問題でお答えがしにくいのでございますが、一つ法のもとの平等との関係で申し上げれば、法のもとの平等は、御承知のようにいわれなき差別の禁止でございます。したがいまして、合理的な理由があってそういう仕組みをつくるんだということが納得できるといたしますれば、憲法違反という問題はないと思います。そのほかはまだよくお答えできません。
○佐藤(観)委員 ありがとうございました。きょうはこれで終わります。
○久野委員長 新村勝雄君。
○新村委員 私は、いままでの論点に重複しないように幾つかの点を大臣に伺いたいのです。 まず一つは、今回の改正でありますけれども、ロッキードからグラマン、そして最近は富士見病院の事件に至るまで政治資金にまつわる多くの問題が続発をしまして国民に深刻な政治不信を与えておるわけでありますが、こういう状況の中で今回の提案がなされた、これは五年後の見直しということとは別だということでありますけれども、今回の改正の中で政治資金の質的な面に迫る姿勢、あるいは政治資金を明朗ないわゆる透明度の高いものにしていこうという姿勢が残念ながら余り見られないという点は非常に残念に思うわけでありますけれども、この一連の不祥事件を踏まえた現在の自治大臣の政治資金に対する基本的な認識なり御決意なりをまず最初に伺いたいと思います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 お話のいわゆるロッキード事件あるいはグラマン事件でありますけれども、御承知のとおり現在公判係属中の問題であり、あるいはすでに時効の成立した問題でありまして、事の真相はいずれも私は具体的に正確なところを承知いたしておりませんけれども、おおよその見方といたしましては、両事件ともいずれも真相はわかりません。真相はわかりませんけれども、一応想像されますところは、政治家個人に対する見方はいろいろありましょう。政治献金という見方もありましょう。いや、それは贈賄であったという見方もありましょう。私もこれを現在どっちだったという断定はいたしかねますけれども、世間で伝えられ、あるいは検察当局の司法事件になっておる問題につきましては、起訴状等によりますると、個人に対する金であったというふうに理解しておりまするし、さらにすでに時効の成立しておる問題はいよいよ私真相は承知しませんけれども、御本人の国会における御証言等によって考えますると、個人に対する政治献金であったように思います。当時の政治資金の規制がどういう制度であったか正確に記憶いたしておりませんけれども、やはり届け出義務等は存在をしていない当時の事件であったように思います。 今回御審議をお願いいたしておりますのは、個人に対する政治献金の取り扱いを、指定政治団体に渡すようにというようなのを原則といたしておりますので、政治資金を明朗化することに役立つものと考えております。したがいまして、過去のロッキード事件あるいはグラマン事件等は、改正案が成立いたしますれば、政治献金であったとしまするならば当然届け出られるべきものと、さように考えております。
○新村委員 最近、日本の政治をゆがめておるというか毒しておる大きな原因は政治資金、しかも大量の企業献金であると言っても差し支えないと思います。そういう点からして、今回の改正にはその企業献金を段階的に縮小していこうという姿勢、あるいはまた政治資金の流れを明らかにしていわゆる政治資金の透明度を増していこうという姿勢がほとんどない、これは非常に残念でありますけれども、これは五十六年の五年後の見直しということもあると思いますけれども、しかし、もう少しそういう面での明確な姿勢が欲しかったと思うわけであります。 そこで、五十六年の見直しに当たっての最大の論点というか最大の問題点として、大臣はこの企業献金を根本的に見直すというお考えがあるかどうか伺います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 五年前の法改正の際の附則第八条に、五年後に見直すという規定が入っております。全体としての考え方は第八条に定めてあるとおりでありますけれども、いよいよ来年の一月一日でありますから、あれこれ内々は検討いたしておりますけれども、まだ具体的に検討いたしておりませんので、何とも中身について申し上げる用意を持っておりませんけれども、企業献金を全面禁止するとか規制を強化するということで政治資金を明朗化し、政治倫理を確立する、国民の皆さんの政治に対する信頼をそれで回復できる具体的な方策が得られるものかどうか、私、必ずしもまだ十分の結論を持つに至っておりません。検討してまいりたいと考えております。
○新村委員 企業献金というものが現在の日本の政治資金あるいは政治の中において大きな問題を提起しておるということは疑いのないところだと思いますし、また資本主義先進国におきましても企業献金は廃止の方向にあるということは、時代の趨勢であって疑いのないところだと思います。 そこで、企業献金というものについての問題点が幾つかあると思いますけれども、主要な問題点として次のようなことがあるのではないかと私は思います。それは確かに企業献金は悪ではないと思うのです。裁判所の判例でも企業献金を認めておりますし、社会通念からしてもこれは必ずしも悪という受け取り方はされていないと思いますけれども、少なくとも現在の企業献金というものは、政治の世界における公平さをはなはだしく害しておるというふうに考えます。民主主義の原則という傘のは、これは個人でも政党でも同じでありますけれども、ひとしく同じようなチャンスを与えられなければならないという一つの原則があると思うのです。ところが、現在の政治資金、特に企業献金なるものは、各政党に公平なチャンスを与えていないと思うのですね。ひとつこれは、もしそういう資料があればお伺いしたいのですけれども、公表され合法的な手続によって献金をされた企業献金の総額のうちで、政党別にしたらどの党にどのくらい行っているという統計がございますか、あったらひとつお願いします。
○石破国務大臣 具体的な数字につきましては選挙部長から正確にお答えすることにさしていただきたいと思いますけれども、なるほど選挙に当たりましては各候補者平等な条件のもとに選挙するのがこれは当然であろうと思いますけれども、何をもって平等と言い何をもって公平とするか、これはなかなかむずかしい問題だと思います。あるいは言い方によりましては、金を持っている者は金でひとつ一生懸命選挙を応援してやろうというのもありましょう。あるいは手足をたくさん持っておるからして、金はないけれども労力でひとつ補ってやろうというようなのもあろうと思います。金も手足も持たないけれども口を持っておる、これでひとつ応援してやろうというのがあろうと思います。一概に口で応援してやるのはいい、手足がないなら幾らでも協力してやろう、あるいは両方ともないけれどもおれは金を持っておる、金でひとつ自分は応援してやろう。どれがよくてどれが悪い。よく金というものは汚いものだ、金というものはよくないものだというような見解の方が一部にはあるのも事実でありますし、あるいはやむを得ぬ面もあるかもしれませんけれども、金というものだけをそう悪と考えるのはどうかと私は考えております。皮肉な言い方をする者は、一部でありますけれども、まだそれでも金で片づく世の中はいい世の中だ、事実であります。そう言う者すらあります。反面には、それじゃこういう世の中はどれだと言えば、明言はしません。私もよくわかりません。だけれどもおよその見当はつきます。物事は何によりませず節度の問題であろうと思います。何にいたしましても、金のない者は労力で協力してやろう、金も労力もないけれども、言論によって援助してやろう、どっちもだめだけれどもある程度は金でひとつ協力してやろう、あながちどれも私は否定すべきものじゃなかろうと思いますけれども、それぞれに節度を持ってやるということは、これはぜひとも国民多くの方々の御理解を得るためには必要であろうと思います。そういうふうに考えております。
○新村委員 金を悪いということは一言も言っておりませんし、金はいいものなんですよ。オールマイティーとは言わないにしても大変な力を持っております。力を持っておるからこそ、この金の問題についてはやはり機会均等でなければいけないというふうに私は考えるわけです。特に資本主義の世の中では地獄のさたも云々と言いますし、選挙ではかばん、地盤、看板と言いますね。地盤、看板はみんなそんなに違わないのです。違うのは金が違うのですよ。その金のチャンスを、やはり一人一人の候補者にも、あるいは各政党にも同じチャンスを与えなければ公平な選挙はできないだろう、こういうことを申し上げたいのですよ。その金の格差を一番つけるものは企業献金なんですね。わかりますか。そういう観点から、私は、企業献金は悪とは言わないまでも、選挙の公平を大いに害している、こう申し上げたいのです。ですから、そこで選挙の公平さを害しておるこの企業献金は改めなければならないのではないか。企業献金の最も顕著な特性は不公平をつくるにある、こういうふうに私は考えるわけですけれども、大臣はいかがお考えですか。 それからまた、企業献金は、これは企業といえども資本主義の社会の中における経営者ですから、企業の利益を考えるということが念頭から去らないと思いますね。ですから企業献金をする場合でも、これは直接賄賂性がなくても、やはり潜在意識としては自分の企業に有利な政治をしてもらいたいという期待感が必ずあります。そういう点で政治を曲げはしないかという心配がある。これが企業献金にまつわる第二の心配。 それから第三の心配というか、これは不公平に通ずると思いますけれども、企業献金というのは大体において企業の利潤の中から出されるわけですね。原価の中にはまさか入っていないでしょうね。利潤から出される。それから個人献金にしても、これは可処分部分から出されるわけでありまして、課税はされない。ところが企業の利潤というのは、もちろんこれは社長以下幹部の方々のすぐれた手腕によるわけでありましょうけれども、これは何十万、何百万という労働者の労働の成果として生まれてくる利潤ですね。その利潤から出される企業献金が特定の政党に著しく偏向しているということであっては、これは社会的に不公平ではないか、私はそう思うのですが、いかがでしょうか。
○石破国務大臣 非常にむずかしい御質問ばかりでありまして、お答えする用意も持っておりませんけれども、午前中小泉委員の御質問中にお話しになりました各党各派別の政治資金のうち、何党は企業の献金が幾ら、個人献金が幾ら、各会派別、党派別の御指摘がありました。伺っておりますと、そう各党、各会派によって企業献金と個人献金との比率に差があるようには感じません。むしろ私の常識が非常識だったかもしれませんけれども、私の想像しておりましたよりか小泉委員の御指摘が正しいものでしょう。正しいものとしますならば、ははあそうか、私の所属しまする自由民主党の方が私の想像よりか個人献金の比率がむしろ高いような感じを持った次第でありまして、それだけ企業献金と個人献金との問題は一概に論ずることはできない要素を含んでおると思います。企業献金を野放しにするといいますか、これを悪と言わぬけれども、これが不公平になりはしないかというお話でございましたが、これは企業なり個人の自主的な御判断の結果でありまして、私どもあれこれ批判するのはいかがかと思いますけれども、これは企業、個人においてお考えになる問題であり、さらに政党なり各会派におかれまして、企業の献金をもう少し得るためには自分はどういう政策をとった方が自分の政党、自分の会派の主張に合致し、自分の勢力を伸長するのに役に立つかというような御判断の結果出るべき問題であろう、かように思います。一概に企業献金を悪とまで言わぬでも、これを抑制すればどうこうということ、いろいろ考える余地がまだあるのではなかろうかと私は考えております。
○新村委員 企業献金の総量のうちで、政党別にどういうふうに流れているかという統計はありませんか。
○大林政府委員 現在、各政党別の個人献金であるとか、法人その他の団体の献金であるとか、政治団体からの献金であるとかいう統計はとっておりますが、法人その他の団体のうちで、それぞれの政党別に企業から幾ら、何%、それから組合から何%という統計はとっておりません。
○新村委員 さっきの大臣の御答弁の、各党によって余り違わないというのは、それは誤解だと思うのですよ。企業献金のうちで恐らく八割、九割は自民党さんに行っていますよ。これは私そういう統計を持っておりませんけれども、客観的に観察をしますとそういうことだと思うのです。そういう企業献金が各政党の機会均等というかイコールチャンスをはなはだしく害しているではないかということを御質問したわけです。そうして、これは時代の趨勢として、先進諸国で次第に企業献金を少なくしていこうというのはその点にあると私は思うのです。選挙の機会均等を確保するために企業献金を少なくしていく。企業というのはいわゆる財界ですね。財界によって代表される勢力ですから、これは当然自民党さんを初めとして保守党さんの方へ圧倒的多数が流れていきます。そして、その企業献金によって相当部分の税金が減収になりますね。その企業献金によってどのくらい税金が減収になるという統計がありますか。
○大林政府委員 そういう統計も持っておりません。
○新村委員 これは計算すればすぐわかると思いますので、ぜひ御調査をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○大林政府委員 いろいろ調べてみたいと思います。
○新村委員 そういう観点から、私は企業献金を決して悪とは言いませんし、それは現在の体制の中ではある程度許されるとは思いますけれども、やはり選挙の公正を確保するという意味、それからまた政治の浄化、これは抽象的な言い方になりますけれども、政治を進歩させていくためには、企業献金を漸減の方向に持っていくことがどうしても必要だというふうに考えるわけですが、いかがですか。
○石破国務大臣 何とかして企業献金等が少なくなりますことを期待いたします。しかしながら、と言ってそれでは個人献金がふえることを希望するかということになりますと、これも減る方を私は希望いたします。しかしながら、その大前提としましては、選挙に金のかからないようにする、かからない選挙をやるということが大前提だと思います。しかしながら、繰り返して申し上げておりますけれども、選挙ということをやります以上は、多くの有権者の皆さんに、候補者自身の人格なり識見を十分知っていただく必要があります。そのためには、善悪は別でありますけれども、ある程度の選挙運動をしなきゃなりません。それには金がかかります。あるいは足がかかります。それをどうして調達するか。個人に調達せいと言いますといろいろの問題が起こります。帰するところは結局、私のあるいは個人的見解になるかもしれませんけれども、党が選挙を責任を持って行うという方向に一歩でも近づけますことが、政治の倫理化に一歩近づくことになるように自分は考えます。
○新村委員 そこで、やはり企業献金の段階的な縮小、それにかわるものとして選挙の公営化、同時にまた政党に対する交付金という問題がそこで出てくると思うのです。 企業献金というのは、その何十%かは税金の性質を持っているわけですね。そうでしょう。税金の性質を持っているわけですよ。ですから、その企業献金を廃止をすれば、税金が増収になるわけです。その税金を交付金に回すということ、これはきわめて大ざっぱな議論にはなりますけれども、そういう事実は非常に厳然としてあるわけでしょう。 ですから、そういう点を考えた場合には、やはり企業献金の段階的な縮小、それにかえるに選挙の公営、それから政党に対する交付金という方向が必然的な方向として出てくると思いますが、その点はいかがでしょうか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 税金で選挙に要する金の一部でも支弁するあるいは選挙の公営を強化する、範囲を拡大するという問題でありますけれども、御承知のとおり、日本の公営選挙、公営の範囲はずいぶん広くなっております。これ以上どこをどう拡張するかと申しましても、公営の範囲を直接拡大するという余地はそう多く残されていないと思います。そうしますると、税金で何か援助をするとしますると、直接政党なり候補者に税金の一部をお渡しする、補助、助成の方策しか残されていないように思います。国民の皆さんが税金という形で政党なり候補者個人に助成するのがいいのか、あるいは明朗化ということが大前提でありますけれども、その前に企業の献金制度をもう少し合理化して、明朗化した上で、企業の献金の方が国民の皆さんの御理解が得られやすいのではないかというような点もありましょう。まあその辺のところをよく詰めていかなければ、なかなかむずかしい問題ではなかろうかと思います。
○新村委員 もう重ねて申しませんが、企業献金の本質、これは先ほど申し上げたとおりで、大臣もお認めだと思います。それから、時代の趨勢としては、やはり企業献金を縮小して個人献金及び公費の拡大ということだと思いますけれども、この方向についてはお認めになりますか。
○石破国務大臣 御承知のとおり、政治活動なり選挙運動につきましては、何とかしてこれを自由にというのが理想だと私は思います。過去の経過を振り返ってみますと、ヨーロッパ各国、アメリカとの間に相当の差があるようであります。御承知のとおり、ヨーロッパ各国は、政治活動あるいは選挙活動あるいは政治資金、選挙資金に対する法的の規制は比較的緩く、自由にされております。ごく最近、一部にそれを若干でも強化しようという動きがあるやに聞いておりますけれども、一般にヨーロッパは非常に自由になっております。アメリカはそれに反しまして過去ずっと相当厳しい制限措置がとられております。特に政治資金につきましては、厳しい制限がついております。しかしながら、それではヨーロッパの制度、アメリカの現行の選挙がどちらがきれいな選挙、きれいな政治が結果において行われておるか、私はどっちがすぐれておる、どっちが劣っておるという比較をするだけの資料を持ち合わせておりません。しかしながらせっかくの御意見であります、責任ある立場にある自治省といたしましては、御意見のほども十分検討の資料にさせていただきたいと考えております。
○新村委員 次の点に移りますが、政治家の資産の公開及び政治活動における収支の公表ということは、これはすでにかなり論議されております。そして、歴代の総理も、三木さん以来、総理だけは資産の公開をなさっておるようでありますが、これを一定の範囲の政治家、あるいは政治活動に従事する者に拡大をしてこれを制度化するというお考え、あるいはそれを検討されるお考えがございますか。
○石破国務大臣 お互いひとり政治をやる者だけに限りませんけれども、できますことならば、単に自分の資産だけじゃありません、心の中に持っておりますことも全部世の中にさらけ出しておわかりいただくというのがあるいはいいのかもしれませんけれども、少なくとも私は生身の人間でありまして、世間様の前に自分の腹の中を全部、洗いざらいお見せするだけの勇気を、私個人、持っておりません。したがいまして、道徳といいますか、倫理といいますか、その面ではできるだけ世間様に隠し事のないようにしなければならないということはみずからに言い聞かせておりますけれども、人様にこれを強制するというだけの自信も持っておりません。したがいまして、政府として個人の資産を公開してくださいというようなことを法律措置によってお願いするというだけの用意を現在のところいたしておりません。
○新村委員 大臣、全く別のことを混同されては困るのです。お考えになっておることを全部洗いざらい外に出すことはできないという、これはそれをやったら世の中はもたないと思いますよ。そうじゃなくて、一定の範囲の政治家あるいは政治活動家というのは、みずから名のりを上げて、そして選挙の洗礼を受けて公職につくわけですから、それはある程度プライバシーを犠牲にしても有権者あるいは国民に対して自分の行動を明らかにして、特に経済的な面での収支を明らかにしていくというくらいの心構えというか決意が当然要求されると思うのですね。現在のような汚職と腐敗が言われておる政治の世界では、そのくらいの、やはりプライバシーとはいえども、これを放棄をする、そして公明正大な自分の姿を見てもらうという決意は必要だと思うのです。そういう意味で申し上げているのであって、本音もたてまえも全部さらけ出してしまうことはできないという議論とは、これは次元が違うのです。政治活動における政治家の収支を明らかにする、こういう意味での御質問ですから、誤解のないように願います。
○石破国務大臣 お答えいたします。 今回御審議をお願いいたしております個人に対しまする政治献金は、一切を挙げて報告するようにという制度に改めようといたしておりますのも、まさに御質問の御趣旨にこたえるゆえんであろう、かように考えております。
○大林政府委員 資産と申しますと、おっしゃるように政治家それぞれの全財産ということになるわけであります。いみじくもおっしゃいましたように、それは政治家御自身の問題、まさにそれこそ一〇〇%政治家自身の倫理の問題であろうと思います。したがいまして、たとえばドイツであろうがイギリスであろうが、そういうところで資産公開をやっておりますけれども、これは議会の議決に基づいてやっておりますし、あるいは議会の倫理規則というものでやっております。航空機疑惑問題協議会の提言におきましても、政治資金の収支報告は別としまして、資産公開の問題というのは国会において検討していただきたいという提言もあるところでございます。
○新村委員 本質的にはそうでしょうけれども、政府においてもやはりそれに対する一定の見解を持つべきだと思います。そういう意味で申し上げたわけですから、よろしくお願いしたいと思います。 それから次は、大臣は最初の御就任の直後に、選挙制度の抜本的な改正をしたいとおっしゃって、先ほどは選挙制度の改正については任期中やらぬとおっしゃいましたね。大臣の任期はこれから先いつまで続くかわかりませんね。それなのに選挙の抜本的なことをやらぬということをおっしゃるのは、これは大変心もとないわけですよ。いいことはどんどん断行されて、そして政治の浄化をされるごとが大臣の、そしてまた閣僚としての責任だと思うのですが、任期中やりませんということでは、これは全く困るのですね。その点、どういうお考えですか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 現内閣の方針といたしまして、政界の浄化を図る必要がある、そして国民の皆さんに政治に対する信頼を回復していただくことがまず大切なことである。いろいろ方法はあろうけれども、できるものからやっていこうじゃないか。そうとしまするならば、いろいろ問題があるにしても、衆議院の小選挙区というものは長年議論をしておるけれども、なかなか一朝一夕にこれは結論を得られる問題ではないからして、世間で現在一番問題になっておるのは参議院の全国区制である。問題になっておる点は余りにもたくさん金がかかる、あるいは選挙区が広過ぎて、短い選挙運動期間中に政見、政策を有権者にわかっていただくというのは大変なことである、現在の参議院選挙はいかにも不合理な点が多いからして、まずこれを改めようじゃないか。幸いにして、自由民主党を初め各会派においても、程度の差はあれ全国区制の見直しについてそれぞれの党内において御議論が進んでおるようである、これをまず手がけようじゃないかということでありまして、自由民主党におきましては、現在、選挙制度調査会を中心とされまして御検討願っておる段階であります。一日も早い各党間の合意ができますことを衷心から期待いたしておりますけれども、実際問題としてそう簡単な問題ではなかろうと思います。来るべき通常国会で改正案が成立しますれば、これはもう大変な前進だと申さなければならないほど大問題であります。それが無事、所期どおり解決した上で、衆議院の小選挙区制度などは手をつける問題である、同時に手をつけたらもう問題にならぬ、ごちゃごちゃ混乱するということであります。 そこで、おまえの在任期間はいつまであるかわからぬのに、在任中は小選挙区制度を提案せぬなんというのは不見識きわまるじゃないか、頼りないじゃないかという御指摘がございましたが、そういう御趣旨の御質問と受け取りましたけれども、御指摘のとおりかと思います。私の任期はいつまであるかわかりませんが、ずっと戦後の歴史を見てみますると、平均的に見まして、そう三年も五年も自治大臣という職を続けた例はないようであります。過去、平均しまして一年前後のように思います。したがいまして、私は過去の先輩ほどすぐれた資質を持ってはおりません、平均までいけば私個人は望外の幸せであると考えております。そういうことからいたしまして、任期中に衆議院の小選挙区制の御審議をお願いするということは不可能ではないかと思いますという御答弁をしました。余りいいことではないと思いますけれども、やむを得ないと思います。しかしながら、自分個人の任期はいつでありましょうとも、自治大臣という職責は永遠に続きます。自分の任期はいつまでに終わるとか終わらぬとかは別といたしまして、衆議院の選挙区制度に役所としてどの範囲のことができるか、これは問題外でありますけれども、あらゆる場合に備えて、衆議院の選挙区制につきましては、私の任期がいつまでなんというようなことにはこだわらないでふだんの研究はしてまいるつもりであります。
○新村委員 大臣に小選挙区制と選挙制度の改正とをすりかえられてしまったのですが、私はそういう意味で言ったのではなくて、大臣は先ほど、選挙制度の改正は私の任期中やりません、そういう御答弁があったのです。そうなんですよ。これは小選挙区という意味ではないですよ、選挙制度の改正は一切やらぬと。そういうことでは政治の進歩がないだろう。現在の選挙制度の中で改正すべき点がたくさんあるわけですよ。小選挙区と言っているんじゃないですよ。 たとえば次にお願いする定数の是正、これは私もお願いしますが、そういった点もいまの選挙制度の中の重大な欠陥ですよ。そういう点を私はお願いしたいということです。小選挙区じゃありませんからね、それは誤解のないように。 それからまた、いまお願いした企業献金の段階的な廃止にしても、これはやはり同じですよ。こういう重大問題をひとつ大臣、政治生命をかけて断行される御決意を伺いたいわけなんです。 そこで、時間がありませんので最後ですが、すでに出ましたけれども定数の是正、定数の是正については先ほど議論がありましたけれども、先ほどの小泉先生と同じように、私は全国的に一番票の軽い千葉四区なんです。そこと重いところとを比較すると一対四、今回の国勢調査の結果が出ますとそれがさらに開くと思います。こういう状況を捨てていいのかという問題がありますね。 それからもう一つ、これは国の段階だけではなくて、地方議会においてはさらにそれがはなはだしくなっているという事態があるわけです。これは千葉県の例ですけれども、かなり古い数学ですけれども、海上郡という郡がありますが、ここは一万四千七百人の有権者に対して定数が一名、ところが一方、八千代市という市があります。これは人口急増地帯で人口十三万、ここでやはり一名、こういう極端なアンバランスがあるわけです。 現在の公職選挙法というのは昭和二十年代にできたと思います。ところが、三十年代に全国にわたって町村合併がきわめて大規模に行われました。そのために三万市というのがたくさんできたんです。そのために、「郡市の区域による。」というふうな規定がありますから、「郡市の区域による。」という規定に基づいてどんなに小さくとも市であれば一名配当される。それから合併が進んでそのあとに小さな町や村が一つか二つ残ったところ、郡が残っておる、そういうところにもやはり一名、郡市の区域ですから配当される、こういう全く弾力性のない規定からこういう不合理が起こっておるわけです。 そこで、これは国会の各党の責任ではありませんね、大臣。自治大臣の責任だと思いますよ。これは公職選挙法を改正をして、その中に、郡市の区域による、ただし、一定の比率を超えた場合には郡市を統合するなり分割をするなりして合理的な選挙区をつくって、一定の比率を超えたアンバランスはいけない、こういう規定を公職選挙法の中に入れればいいんです。そこで、これについては大臣それから選挙部長、ひとつ真剣に御検討をいただいて、特にこういう現象は大都市周辺に多いです。千葉県にはこういうところがたくさんあります。埼玉にもあると思います。これをひとつぜひ御検討をいただきたいと思うのです。 それから、国会の衆議院、参議院における定数の不均衡、これについてはすでに最高裁の判断が出ております。それからまた、千葉四区に関する訴訟が選挙ごとに出されております。こういう事態をひとつ御検討を願って、これは各政党の責任だとおっしゃらずに、場合によったら第三者機関をつくるなりあるいは選挙制度審議会にお諮りをいただくとか、こういう方法をぜひお考えをいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 まず一番初めの御質問の、自分の在任中に選挙制度の改正等御審議をお願いすることはあるまいと私が申したという御指摘がございました。あるいは私が勘違いしたかもしれません、お答え間違いしたかもしれませんが、申し上げましたのは、申し上げたいと思いましたのは、自分の在任中衆議院の小選挙区制について御審議を煩わすというようなことは実際問題として不可能と思いますと申し上げたのでありまして、お話しのように、選挙制度全般には小選挙区の問題以外にたくさんの問題があります。御指摘のとおりに思います。一つでもできるものから改正に手をつけますように努力をいたしたいと考えております。 第二番目の企業献金を縮小する方向でという御指摘がございましたが、五年前の改正法の附則第八条には、御指摘のような方向でというニュアンスが出ておるようでありますけれども、この問題は重要な要素を含んでおると思います。十分の御論議をいただかなければ何とも申し上げかねますけれども、一概に企業献金を悪という立場でなしに、その企業献金の問題を含めまして、選挙資金を明朗化して、選挙が明朗に行われるようにして、政治に対する国民の皆さんの御信頼が得られるという方向で政治資金の問題を真剣に検討さしていただき、御審議を賜りたいと考えております。 定数是正の問題でありますけれども、参議院の地方区の問題、いろいろ矛盾点があるように思います。多年論議されておりますけれども、なかなか結論に至ってはおりません。しかしながら、これも全国区の問題だけじゃありません。この問題も今後全国区の問題と同じような考え方で論議をしていただき、御結論を得るようにしていただきたいと思います。 衆議院の選挙区別の定数是正の問題でありますけれども、最高裁判所の判例もすでに出ておりまするし、法律の附則にも国勢調査ごとに見直すような趣旨の規定もあるようでございますので、政府でやるか、国会の自発的な御発案にまつか方法は別といたしまして、この問題も政府としても真剣に取り組んでまいります。 地方議員の定数の是正の問題でありますけれども、担当の部長からお答えいたしますが、私は御趣旨に賛成であります。その方向で私は努力いたしたいと思いますが、選挙部長からお答え申し上げます。
○大林政府委員 地方議員の定数の問題につきましては、従前は御案内のように人口比例という原則が貫かれておったわけでございますが、昭和四十年代に入りまして、大変な人口の都市集中化という問題が起こりました。たとえばある地方では、昼間人口がいっぱいいるのに夜中になると全然いなくなる、こういう問題もありましたし、あるいは過疎問題というのが非常に深刻な地域間の政治問題になったわけであります。 そういった事情もございまして、昭和四十四年の改正で、人口を基準とはするけれども、特別の事情があるようなときは、地域間の均衡を考慮して多少のアローアンスを認める、こういうシステムにして現在に至ったわけであります。 その後、人口の都市集中問題というのも当時と余り変化もございません。それぞれの県議会におきまして、各政党同士でそれぞれに長い時間を費やして検討をされた結果が今日になっておると思いますけれども、確かに御指摘のように、かなりそのために格差がひどくなっておるというところもまま見受けるところであります。今後その都度、定数是正、定数改正の問題の協議に当たりましては、御趣旨に沿った指導をしてまいりたいと思います。 ただ、御指摘のように何倍が限度だというような具体的な数字を法律上明確にするということは、これはきわめてむずかしい問題でございます。そのあたりは、特別の事情なり地域間の均衡と、ただあくまでも人口が基準だということを踏まえまして指導してまいりたいと思います。
○新村委員 大臣の任期中、小選挙区制はやらないということについては了解しました。 それから、選挙部長のいまの御答弁、ちょっとあいまいなんですけれども、これは明らかに最高裁の判断が出ておりますように、国の段階でも地方公共団体の場合でも、原理的には全く同じだと思うのですよ。ですから、その点については即刻法律改正をされるか、あるいはそれが直ちに困難であるとすれば、しかるべき指導をぜひお願いしたいと思います。 時間でありますので、終わります。
○久野委員長 伏木和雄君。
○伏木委員 先ほど大臣は何か任期が一年みたいな心細いお話をされておりましたが、そういう弱気じゃなくて、ひとつ積極的におやりになっていただきたいと思います。と申しますのは、わが国の国政で非常に重要な問題は、何といっても財政再建にあると思います。もう一つは、政治不信の一掃、政界の浄化と申しますか、わが国の民主政治において最も大事な政治の浄化に対しまして切っても切り離すことのできない政治資金、政治姿勢というもの、これを主管する大臣でございますから、私はわが国の国政の中にあって非常に重要な立場をお占めになっているんじゃないかと思います。そういう意味から、ひとつこの政治資金に対しまして、いま国民の中に非常に不信を持っております政界の浄化につきまして、大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。
○石破国務大臣 敗戦後三十五年たちました。敗戦当時、われわれ国民は今日のごとき日本の繁栄ぶりを想像した者はほとんどなかったろうと思います。それだけの発展を遂げて今日に至っておりますが、その原因は、国民みんなの努力、政治に関係する者、経済の運営に当たる者、これらに協力しまする一般国民、全部の者の協力があって今日に至っておるものと思います。 しかしながら、世界各国、過去の長い歴史を振り返ってみますと、「おごる者、久しからず」というような格言もありますし、過去の民族興亡の歴史をひもといてみましても、なかなか永遠に繁栄するというような国家民族は、過去残念ながら見当たりません。日本民族だけが現在のままで永遠に過去例を見ないほどの繁栄を続け得るものという保証はないと思います。何とかして日本民族の繁栄を今後末長く続けますためには、国民みんなの努力が必要だと思います。国民一致結束しての、いい意味での一致結束しての努力が必要だと思いますが、それには、その中心をなします政治がしっかりして、国民皆さんが政治に信頼して協力する、努力するという気持ちになっていただくことが肝要だと思います。 この際、日本は経済的には繁栄しておりますけれども、問題ないといいますけれども、油断は禁物だと思います。特に日本の政治、一番これが弱点だという指摘さえある現在であります。政治姿勢を正しますために最善の努力を払う必要がある、かように考えております。
○伏木委員 いま大臣から、国民の皆さんの御協力というお話がございました。もとより、国政に対して国民各位が協力していくその姿勢は十分持っていることと私どもも信じておりますが、協力するには、協力するように政治の姿勢を改めなければならない、私はこう思います。 そこで、この政治資金にまつわる疑惑というものが国民の中に非常に多いわけです。したがいまして、国民の皆さんがその疑惑を解消するためには、この政治資金は相当大なたをふるわなければ、私は国民の政治不信は一掃されないし、その不信は政治に対する非協力というようなことになりかねないとも思います。投票率が極端に低いなどというようなときもございますが、こういう国民の主権の行使である投票に行かない方が大分多いというようなことからも、政治不信に対してわれわれはもっと深刻に考えなければならないと思います。 そこで、この政治資金規正法でございますが、昭和二十三年に制定されまして三十七年まで、きわめて事務的な改正があったのみで、政界にいろいろ黒いうわさがあるにもかかわらず、ざる法ということで参りました。昭和四十年でしたか、四十一年でしたか、共和製糖の汚職事件がございまして、国会は黒い霧解散という名のもとに解散をいたしました。当時、第五次選挙制度審議会であったと思いますが、この審議会は、いかなる事項よりも優先して政治資金規正法改正を行うべきである、緊急課題として政治資金のみに限って答申をされたわけであります。四十二年、佐藤内閣の当時からえらい議論になりまして、私どもはその当時から、政治不信の一掃は政治資金規正法の強化改正以外にないということを声を大にして叫び続けてまいりました。その答申が出て十年たってからようやく、昭和五十年にこの政治資金規正法の改正ということになったわけであります。 しかし、この改正も、従来質的規制であったものから、いわゆる総量規制というところに踏み切ったわけでございますけれども、われわれから申し上げますと、この総量規制といえども、青空天井ということで強い批判をいたしてまいりました。それでも五十年の改正、五十一年度からこれが施行されまして今日に及んだわけでありますが、その規制以後にもいわゆるロッキード、グラマン、ダグラスという大きな問題が世論を沸騰させまして、五十年の改正があったにもかかわらず、相変わらず政治資金に対しては厳しい批判がございます。 そこで大平内閣としても改正に踏み切るという決意をされ、それを踏襲して鈴木内閣が今国会提出という段取りになったのであろうと思いますが、それでは今回の改正でこのような政治不信を払拭することができるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 国民皆さんの御協力を得ますためには、政治不信の一掃が大切であるという御指摘、ごもっともと思います。あえて異論を唱えるつもりは毛頭ありませんけれども、政治不信の原因——あえて伏木委員の御質問に異論を唱えるつもりはありませんけれども、政治家に求められる倫理の一番の根本は何かといいますと、金ももちろん重要な要素の一つではありますけれども、やはり政治に関与しまする者が、自分の言動が国家、国民の利害に直接関係するのだ、自分の一身を犠牲にしても国家、国民のために努力するというのが、政治家に求められる最大の要素ではなかろうかと私は思います。金にきれいにというのは、その前に、前提として、おかしな金に手を出すようなやつがああいうことを言ってもだめだというようなことになりかねませんので、そういう意味で、政治資金を明朗化しなければいかぬ、いろいろ理屈づけはありましょうけれども、そういうことではなかろうかと思う。したがいまして、政治倫理を確立します前段階として、おかしな金に手を出さないようにするということが必要だろうと思います。 そこで、今回御審議願います法案でありますけれども、この大前提といたしましては、今朝来しばしば申し上げておりますとおり、選挙に金がかからぬようにする。しかしながら、選挙といいます以上は、いい悪いは別でありますけれども、どうしても金というものは必要である。しかしながら、これを候補者個人が苦労して調達するという制度にしておくと、どうしてもよからぬ金に手を出す危険がある。それを防ぐためには、何としてもできる範囲で、できるところから政党本位の選挙に改めていくというのが必要であろう、私は根本的にはそう考えますけれども、遺憾ながらそこまでの根本的な検討をいたす余裕は現在ございません。不徹底かもしれませんけれども、従来とかく問題になりがちでありました個人に対する政治献金をできるだけ明朗化しようという前内閣以来のロッキード問題等の調査会の御答申等も踏まえまして、前内閣以来の法案を再提出させていただいた次第であります。
○伏木委員 政治倫理の確立、これはもう当然のことでございまして、私もそれを否定するわけではございません。また、政治資金の規正法改正が万能であって、これで一切政治不信が払拭できるということも毛頭考えておりません。しかし、今日国民の間で議論されている中には、政治不信に対するウエートと申しますか、その中においては政治資金にまつわる問題が一番多い。したがいまして、これを解明しないで、政治倫理の確立とかどうとかと精神訓話的なことを言っておっても始まらぬという意味で私は申し上げているわけでございます。 したがいまして、今日国民世論を騒がせているこうした一連の政治資金にまつわる問題について、今回の改正で今後の防止措置を取り得るかどうかをお伺いしているわけです。
○石破国務大臣 お答えいたします。 御承知のとおり、五年前の法律の大改正の際の附則第八条というものがございます。期限は来年の一月一日であります。具体案はもちろん得ておりませんけれども、見直すべき事項につきましては、内々ではありますが、検討中であります。根本的な解決はその際にさせていただきたい。今回は用意のできました取り急ぎのものだけ御審議願おうというわけであります。
○伏木委員 五年の経過措置につきまして、次の国会がちょうど五年目になりますので、そこで見直しに対するお考えを発表されるということでございますから、企業献金の問題につきましてはまた後で時間があれば申し上げたいと思いますが、企業献金とかどうとか別にいたしましても、今回の航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会という私的諮問機関の提言を見ますと、「政治の浄化のための対策」の中の二項目にこの法案の重点があるのではないかと思います。要するに「政治家の私人としての経済と政治活動に必要な経費とを明確に区別し」こうありますが、果たして今度の法案で明確な区別ができるようにされているかどうか、この点を伺います。
○大林政府委員 今度の法案を考えました前提としましては、おっしゃるように、政治家というのは公的な面と私的な面があるのであって、資金につきましても、いわゆる政治献金とそれから私的な資金があるであろう、それをまず明確に区別して政治献金に関するものを明らかにしようという出発の仕方をしたわけであります。 ただ、政治献金を私的な資金とどうやって区別するかという問題は、いろいろ考えてみましたが、何か法律の上で具体的な一つの基準というものができるかどうか、これはなかなかむずかしい問題でございます。御承知のように、要するに政治活動に関する寄附を政治献金と申しておりますから、政治活動というものから始まって、こういうものは政治献金であり、こういうものは政治献金でないという区分けはなかなか立法技術上むずかしい。しかもお一人の方として両面を持たれておるものの区別というのは、やはり倫理の領域であろう。したがって、提言に書いてあります公的資金と私的資金の区別の明確化というのは、まず政治家お一人お一人御自身に判断をしていただかざるを得ない、判断をしていただいた上で、政治献金と考えられるものを公にする、こういう立場で考えたわけであります。そこでいろいろ考えてまいりますと、疑惑を受ける金というのは、どうしても政治献金を御自分でずっと持っておられるというとやはり世間がまた変な目で見るであろう、こういう考え方も一つあるわけであります。したがって、受け取られたものをずっと御自分で持っておられるというのではなしに、受け取られたものは第三者である適当な経理機関に持っていく、そこで経理をし、報告をしてもらうというのが、つまり第三者の手を通じて行うのが筋道としては公正に近いのではないだろうか。こういうことから、それではその第三者を、やはり御自分の一番信頼できる政治団体であり、なおかつ従来の政治資金規正法のルールに乗っかって報告をされてきた会計責任者の専門家のおられる後援会を指定団体として、その指定団体に経理をしていただいたらどうだろうか、こうなったわけであります。 そこで今度は指定団体に一たん入れていただくとしましても、入れていただいたものがまた政治家の手元へ返ってくる場合もあろうかと思います。この問題が抜けているではないかという批判が前々からよくあったわけでありますが、ただ問題の発端は、要するに政治献金と申しましても、要するに世間が疑惑の目で見る政治献金というものが中心であろう。したがって、ルールとしまして、御自分の大変な信頼関係にある政治団体の手で経理するためにそこへ持っていった金で、再びその信頼関係のある団体から信頼すべき先生方のところへ返ってくるという金については、これはもうやはり信頼関係に立った政治献金であるから、そもそも初めから疑惑の余地はないものと考えるべきではないだろうか、こういう考え方で、いわゆる還流分と称せられるものについては報告を要しない、こういたしておるわけであります。
○伏木委員 そこのところが問題であると私は思うのです。と申し上げますのは、入りの部分は確かにどこかでチェックされる。しかし入ってきたものをどう使ったか、政治活動に使ったかどうか、ここのところが一番問題点ではないかと私は考えます。入ってきた金が何億入ってこようとも一切報告義務はなし、どのように使ったかも明細を出す必要もなし、こういうことになりますと、果たしてそれは政治資金であったのか、あるいは私的経済活動に使われたのであるか、全く判別できないわけです。少額の金ならばいざ知らず、何億という金になっても、これは報告義務がないということになれば、政治資金を一体どのように使っているんだろうかという国民の疑問はますます大きくなってくるのではないか、このように考えますが、この点いかがでしょう。
○石破国務大臣 御指摘でありますけれども、従来でありますと、政治家個人が献金を受けます際には、もちろん同一人から受け取ります総額につきましては規制はありましたけれども、報告義務はありませんでした。今度は入る方のそれにつきましても、指定する後援会等の政治団体に個人がそれを寄附するようにということ、例外的に自分がそれを経理するなら自分みずから報告せい、こういう制度です。入る方は若干でも明朗化されたと言われます。それでは出る方はどうだという御指摘でありますが、なるほど政治家個人が、自分の一遍寄附しました政治団体から受け取って、それを個人が政治活動に使う、その明細は報告する義務はありません。しかしながら、政治団体が政治家だれそれに幾ら政治資金として渡したということは管理委員会なり自治省に報告されるわけであります。そうしますると、個人たる政治家が政治団体から幾ら幾らもらったということは世間に明確になります。何億円ももらうということが事実あったとしますか、それを何ら明確にせずにおったということになりますと、これはもう明細を報告する、せぬ以前に政治的な大問題になるだろうと私は思います。したがいまして、なるほど個人は報告する義務はありませんけれども、政治団体から受け取ったという事実が報告されますから、政治に使わずに、それをよからぬ用途に使ったというようなことは世間が許さぬだろうと私は考えます。
○伏木委員 その政治団体は幾つつくってもいいわけですね。指定する政治団体というのは、特定公職の候補者がつくる政治団体というのは幾つつくりても構わない。百万円以下であれば、これは受けた方の相手方の届け出も必要ないわけですから、九十九万円ずつ百の企業から集めてきて一億、それを政治団体から特定の候補者が受けた、そうすると、入ってきたところもわからなければ使途もわからない。自分の政治団体からもらったんだということはわかったとしても、その政治団体がどこから集めてきた金であるかということは報告義務がない。一つの団体で一億からの金を受けても、今度は、受けたというだけであって、それをどう使ったかという明細の義務もない。そうしますと、入りも出もわからなくなってくる。従来は、個人献金というものは報告義務がないからということでしたけれども、今度は、法律どおりやっているんですよ、法の名のもとに入りもわからなければ出もわからなくなってくる、こういう事態が起きてくる可能性は十分考えられると思いますが、この点はいかがでしょう。
○大林政府委員 いろいろ政治団体の数が多いというところから、各方面からその政治団体が金を受け取って、それをまた指定団体に寄附をする、そうすると相当な金額になり、それはまた百万以下であればどこからもわからないという御批判が一つあるわけでありますが、これは現行の政治資金規正法でも実はそうなんでありまして、その問題をどうするかというのは今後の見直しの問題として残したわけであります。とりあえず今回の改正というのは、現行の政治団体のルールにのっとりながら、その改正というのは将来の問題として残しておきながら、ともかく現行の政治資金規正法のルールの中で個人献金を明らかにしようというところに主眼があるわけでありまして、前段申し上げました資金の出所という問題は、今回の問題において特別に手当てはいたしておりません。つまり、指定団体から受けられたものについては、これは信頼関係、もしその信頼関係が崩れるようなことになるともう政治生命の問題であろうということから、除外したということでございます。
○伏木委員 それからもう一点、従来は、特定の団体に個人献金としては百五十万しか献金できませんでした。それを、指定した団体には幾らでもできるようになるわけです。現行政治資金規正法の総量制限ですね、これを破ることになりますが、この点はいかがです。
○大林政府委員 現行の制度では、御自分の後援団体に対しても年間百五十万という制限がかぶってございました。ただ、原則的に、現行のルールは変えないという方向で進みましたものの、つまり第三者として一番信頼できる指定団体制度を使う以上は、この点をそのままにしておけば指定団体を通じて報告するということが不可能になりますので、そういう観点から、御自分の指定団体に限りましては百五十万円の制限を外す方向にしたわけでございます。
○伏木委員 そうしますと、現行の枠は個人献金に関しては崩れるということになると思います。そこで、冒頭伺いましたように、現行制度の枠を余り踏み外さないでというお考え方、私はここが問題なんじゃないかと思います。現行制度で数々の不祥事件が起きて、現行制度が批判を受けているわけですから、政治資金規正法改正といったならば現行制度の欠陥を是正するのが本来の姿ではないかと思うのです。それを、現行制度を温存しながら、入りの部分だけ明らかにすればいいんだ、そこにまた今度新たな抜け穴というものができてしまう、相変わらず政治不信の一掃ができないと私は考えます。 それでは来年、五年の見直しということで大臣次の通常国会というようなお話もございました、来年五十六年が見直しの時期なのでそのときということですので、こうした金額面における規制あるいは手続上の規制についても、個人献金、企業献金とはまた別に、政治資金の内容をもう一回見直すというお考えは大臣にございますか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 五十六年一月一日で満五年たつわけでありますから、附則の規定によりまして政府は当然見直しの責任がございます。何とかして来るべき通常国会におきまして御審議を煩わし得るように最善の努力を払いたい、かように考えております。
○伏木委員 時間がございませんのでまた次の機会に質問をさせていただくといたしまして、先ほどの同僚議員の質問に対する大臣の御答弁の中でちょっと問題な発言がございましたので申し上げておきたいと思いますが、企業献金の御質問の際に、各党の報告を見てみると企業献金と個人献金の比率というものは各党そう差がない、こういう御発言がございました。これはとんでもない間違いでございまして、事務当局にちょっと伺いますが、それでは公明党の企業献金の比率がもし出るのでしたらお答えいただきたいと思います。
○石破国務大臣 いま御質問の数字は事務当局で調査いたしておりますので、その間私から、釈明の意味合いにおきましてもちょっと御答弁させていただきたいと思います。 私が申しましたのは、午前中小泉委員の御発言を承っておりますと、各党各会派がお集めになりました政治資金の内訳、企業の献金と個人の献金と比率においてそう大きな差がないように承りましたがと、こういう発言をいたした次第であります。たまたまその際に小泉委員席をお立ちになっておりまして確かめるすべもありませんでした。あるいは私の耳の聞き間違いであったかもしれません。私の聞き間違いでありましたならば深くおわびいたします。
○伏木委員 念のために申し上げておきますが、公明党は、法律では企業献金は認められておりますけれども、企業献金は受けない、こういう政策のもとに党の運営を行っておりまして、公明党が届けているところの政治資金の内容を見ても御承知いただけると思いますが、機関紙誌の発行、それによる収入、それと党員の党費、これが大部分でございまして、このような姿で党の運営が行われているということはこの際申し上げておきたいと思います。 最後に、国勢調査もございましたから、この国勢調査の結果が十二月ごろあらあら人口の面においては出てくる、私どももそう認識しております。先ほども御質問ございましたように、定数の是正につきまして、選挙制度の方が詰まらなければ、選挙法に国勢調査によって定数の見直しが規定されているにもかかわらず、これはやらないのか。今日何カ所かで裁判問題が起きております。参議院地方区の定数是正、逆転現象が非常な問題になっておりますけれども、この逆転現象は衆議院にもございます。したがいまして、各党一致せずになかなか選挙区制度の改正がうまくいかないという以上は、それに先駆けて定数の是正はやるべきではないか、このように考えますが、お答えをいただきたいと思います。
○大林政府委員 五十五年十月一日現在の国勢調査が、概数としては十二月の末に発表されると承っております。その結果に基づきましてまた各選挙区別の定数問題というのが当然出てくると存じます。私どもも、その時期には当然に資料その他の整備をいたしまして研究はいたしますけれども、衆議院の定数是正の問題は、特に、先生も御承知のように各党深い関係のある問題でございます。定数をどうするかということは総定数がどうなるのか、それからその総定数が決まりましても、三名ないし五名という定数の限度というものがございますから、どうしてもやはり選挙区の再編成、境界がどうなるのかという問題とも関連をいたします。非常にむずかしい政治的な問題になりますので、各党におきましてもよろしく御論議をいただきたいと存じております。
○伏木委員 あと企業献金の問題を少し掘り下げてお聞きしたいと思いましたが、時間もございませんので、また次の機会に譲るといたしまして、きょうはこれで終わります。(拍手)
○久野委員長 高橋高望君。
○高橋(高)委員 大臣、私はきょうは本来お隣の席に総理がいてほしかったのですよ。と申しますのは、今度の鈴木内閣の大きな柱に倫理問題が取り上げられておりますし、倫理問題の底流というのは、やはり私は政治資金の問題だろうと思うからなのです。 そこで、きょうは、石破大臣には大変申しわけないですけれども、まず鈴木さんにかわったおつもりで、今回の改正に当たって基本姿勢をひとつ伺ってみたい。今度の政治資金規制の基本姿勢ですね。それと、大臣はこの程度の改正で十分とお考えになっておられるかどうか。この辺、まず冒頭お伺いをしたいと思うのです。
○石破国務大臣 国の経済を発展させ、また文化を発展させ、国の発展を図りますためには、国民の一致協力しての御努力を願うことが何よりも大切でありますが、その前提として、政治が国民の皆さんの御信任をいただくということが不可欠の要素と考えます。あれこれ政治として、あるいは政治家としてやらなければならないことがたくさんありますけれども、やはり身をきれいにして、身辺を公私ともにきれいにして、一身を国家国民のためにささげるという姿勢をとることが一番必要であろう、かように考えます。 そのためには、あれこれやるべきことは多いかと思います。国会で御論議になっておると承知いたしております政治倫理の確立に関する委員会の設置等も、あるいはその有力な一手段かと思いますが、とりあえず政府といたしましては、選挙に金がかからないようにする、また、それにはいろいろむずかしい手段、手続等もあろうが、それだけを待つというわけにはまいらぬ。したがって、できるものからでも手をつけていこう。幸いと申しますか、前内閣において御提案になりました政治資金規正法の一部改正案、つまり中身は、政治家個人が受け取りましたいわゆる個人献金の明朗化を図ろう、とりあえずの措置としてそれを今臨時国会で御審議を煩わそう、根本的には政治資金規正法を、五年前の改正の際に附則にうたっております五年後見直しという措置によって、政治資金全般の明朗化を図るようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
○高橋(高)委員 私は、実は今国会に出されてきたこの改正案について、取り組み方として何かもう少しきついというか、厳しい線がなければいけないんじゃないかと思ったんです。というのは、傾向としては第九十一国会のときに出されたものでよかったのかもしれません。もちろん九十一国会に出されたものも、私たちが審議するというところまでいかないうちに廃案というか解散になっちゃいましたから、そういう意味ではまあ幻の案みたいな感じがなきにしもあらずなんですけれども、あれ以来新しい鈴木総理になられて、公にこの問題を大々的に宣伝されて、いわば鈴木内閣の目玉の一つに挙げられている以上は、九十一国会で私たちに検討を命ぜられようとしたものとは何かもう少し中身の違うものでなければいけないんじゃないか、私はそのように期待していたわけです。 ところが、どうも先ほど来伺っているところによると、昭和五十一年の一月一日から施行されたものの見直しというような形で今度の国会にこの法律案を出してこられるということは、私は、何か鈴木内閣の姿勢としても大変におかしいし、もっとはっきりとした鈴木内閣の目玉というか、国民の声を考えたものというものを期待していたわけなんですが、そういう点ではこの九十一国会で廃案となったものの再提出ということで本当によろしいんてすかと——いま大臣は、とりあえず考えられたものからと一口におっしゃいますけれども、私はむしろ抜本的に思い切って、大蔵の方で言えばゼロベースと言いましょうか、とにかくもう一回基本的に考え直したもので検討するといったような姿勢が必要ではないかといまだに思っているんですけれども、この辺については、事務当局を含めていかがでございますか。
○石破国務大臣 お答えいたします。 五年後見直しと申しましても、もう目の前に迫っております。政府といたしましては、来るべき通常国会において、あの規定に基づきます根本的な見直しの結果を御審議いただこう、かようなつもりでおりますけれども、何分にも大作業であります。もうその日も間近に迫りましたけれども、しかし大事業であります。まとめ上げるにはある程度日数が必要だろうと思います。したがいまして、それまで、あるいは全部一括してというその考え方も成り立つかもしれませんけれども、若干の時間的な関係もありますので、まとまっております分だけでも一日も早く、五年後見直しとは切り離して御審議願おう、こういうつもりであります。
○高橋(高)委員 事務当局、いかがでございましょう。
○大林政府委員 大臣からお答え申し上げましたように、もう来年に見直しが迫っておる現在、ひっくるめて一つの問題として処理すべきではないかという御意見もいろいろあったわけでありますが、最近の政治情勢にかんがみ、そういう政治決定がされたとわれわれは承知をいたしております。 もちろん前国会の法案そのままということではございますけれども、前国会の法案自体、相当の月日を使いまして、各方面に大変御苦労いただきまして取りまとめたものでございまして、現時点においてこれを御提案申し上げるという場合の内容としては、前国会提案をした法案そのものが一番適当であろう、こう考えられたわけでございます。
○高橋(高)委員 大臣、私が若い立場でもう申し上げるまでもなしに、この種の問題というのは、俗に言う蛮勇をかなりふるわなければできないのです。勇断というか、蛮勇というか、そうしなければ、従来のいろいろのしがらみもあったりして、なかなかまとめ上がってくるものじゃない。私は、実は、一つの内閣が一つの仕事をすればもう十分な時代だと思いますから、その立場に立ったときに、この政治資金の問題、規正法の問題というのは、蛮勇を持って処理すべきことであって、その底流にはとにかく少々の声があっても、あるいは閣内でいろいろな声があっても、とにかく突っ切ってしまう、こういう御意向がなければ、とてもこの種のものはまとめ上がるものじゃないと私は思うのです。そういう点を考えていったときに、どうも先ほど来伺っていると、大臣、勇断を持ってやるよという感じがなかなかつめないのですけれども、閣内において、あるいは自民党さんの内部においても、これをひとつ勇断を持ってやるというような御決意はいただけませんか。
○石破国務大臣 勇断を持ってという御指摘でありまして、けさも申しましたけれども、ごらんいただくとおわかりいただけますとおり、私も政治経験は浅うございますけれども、年はとってまいりました。体もそう蛮勇がふるえるだけの力も持っておりませんので、あるいはそういう御批判をいただくかもしれませんけれども、熱意においては人様に劣るつもりはございません。何回も申し上げますとおり、何にも増して政治がしっかりしませんことには、国民の皆さんの御協力はとうてい期待することはできません。政治の姿勢を正すことがまず第一と、その熱意におきましては人後に落ちるとは自分では考えておりません。 しかしながら、ここ数年と申しますか、自分個人といたしましては、これはちょっと筋違いかもしれませんけれども、五年前、現在の政治資金規正法が改正に至りました当時の社会情勢あるいは世間の認識と今日と同じものか違うものか、違うとして、あるいは同じとしましても、そういう認識が正しいかどうかというには若干の意見を持つものであります。さらに、仮に私の意見が正しいといたしまして、国民の多くの皆さんの御理解をいただきませんことには、何ぼ蛮勇をふるいましても事の成就は期待できませんし、最終の目的を達成することは不可能と思います。若干の時間は必要と思いますけれども努力させていただきたい、かように考えます。 事柄の考え方の中心は、よしあしは別でありますけれども、余りいいことじゃありませんけれども、選挙をするといいます以上は、どうしても自分の政見を有権者の皆さんにできるだけ広く多く知っていただく必要があります。そのためには最大限の選挙運動をしなければなりません。それには直接金でやるか、あるいは足でやるか、言論でやるか、いろいろ方法はありましょうけれども、どうしてもある程度の金は必要であろうと思います。一概に金を悪ときめつけるわけにはいくまいと思います。ある程度の、世間の許します常識の範囲では、金を使うことはやむを得ぬだろうと思います。その際に、金を調達するのに、よからぬ金に手を出すようなことをしてはいけない。また、金をちょうだいして集めた以上は、どういう方法で集めたということを明朗化する必要があるであろう。さらに、せっかくちょうだいした金であります以上は、その使途を明確にして、いやしくもそれを個人の用に供したというようなことがあっては相なるまい、かように考えております。 午前中も、さらに先ほどまでも申し上げましたが、そうなりますと、企業献金は悪だ、まあそう極言はされなくても、何となしに五年前にはそういう空気が世間の一部にはあったように私は感じました。事の順序といたしまして、その辺の考え方について、国民の皆さんに広く御判断をいただくような機会も必要ではなかろうか。したがいまして、おまえ、どうも手ぬるいのでだめじゃないかという御指摘があろうかと思いますが、努力いたすつもりでありますので、御批判の上、御協力を賜れれば幸いと思います。
○高橋(高)委員 大臣、大変闘争的で、政治資金のお話と選挙資金とが重なっちゃって、いろいろその辺については混乱がおありになるようなんですけれども、私はきょうはあえてできるだけ政治資金——政治資金ということになると、選挙があろうがなかろうが毎月々の活動の費用というふうにお考えになっていただいて、ひとつ御整理を願いたいと思うのですが、その立場に立ちますと、これは事務当局に伺いますけれども、現在の事務当局のお立場で、一体政治資金の基準というのはどういうことに置いておられますか。
○大林政府委員 これは大変むずかしいんでありまして、政治資金規正法におきましても、政治献金の定義というのは、政治団体に関する限りは政治団体の収支すべて政治献金と考えておりますけれども、公職の候補者つまり政治家個人でございます、政治家個人については「政治活動に関する寄附」、こういう定義しか置いてないわけであります。 しからば、その「政治活動に関する寄附」とは何ぞや、それ以上の法律上の具体的な基準をつくるべきではないか、こういうお声も前々からあるのでありますけれども、これまた大変むずかしいんでありまして、政治活動とは何ぞや、社会活動、労働活動とどこが違うとか、いろんな問題が出てまいりますし、それを個々の具体的な基準に当てはめて、すぐこの金は政治献金である、これはそうでないというような基準は、これは立法技術上なかなかむずかしい。結局、かかって政治家個人個人の御判断、倫理の問題と割り切っておるわけであります。
○高橋(高)委員 そこで私が申し上げたいのは、いまもお話に出てきましたけれども、政治資金の判断の一つの基準に倫理ということをおっしゃるのですね。私、大変失礼ですけれども、私たちの先輩がもしこの倫理というものを十分に心得ていらっしゃったら、一今日までにいろいろ起こってきたような不祥事件というのはなかったと思うのですよ。やはりこの倫理という問題に対して、言葉で倫理というふうに片づけちゃうのですけれども、やはりここにどうも何か私は不十分さがある。できることであれば、むずかしいとはおっしゃるけれども、政治資金というのはどういうものなんだというふうな割り切り方をされないで、これを倫理で判断するんだというようないままでの割り切り方だと、私は逆に言えばいままでのようなことが再び三たび起こるんじゃないかと思うんですね。ですから、今度みたいなときに一番私は省庁の仕事としては大変な負担にはなろうかと思いますけれども、やっぱり原点に返って、政治資金というのはどういうことを言うんだ、あるいはそれをこういうふうに守るのが政治の道に志す者の基本の路線だ、こういうふうなPRの仕方というか、説得の仕方というか、あるいはこれから先の若い連中などで政治を志す連中に対する、大臣、御配慮でなければいけないような気がするのですよ。ただ政治資金はいけないよ、政治資金に注意しろよと言っても、一体何を考えるんだ、いまもお話のように、政治活動というようなことを言われても、一体政治活動というのは何だろうというようなこともはっきり何かのときにPRしていただく必要が私はあるように思うのですがね。やはりこういう問題は原点に返らないとなかなかわかりませんからね。できるだけそういう点で、大臣御在任中にでも、何か一つ、石破見解というような歴史に残るものを残しておいていただきたいように思うのですが、いかがでございますか。
○石破国務大臣 高橋委員の御発言、まことに含蓄の深いお言葉でありまして、これに私が適切にお答えするというだけの能力も持ちませんけれども、お話にございましたとおり、倫理という言葉は非常にむずかしい言葉だと思います。人様のおやりになっておることでありますから私はあれこれ御批判はいたしませんけれども、国会の中に政治倫理に関する委員会のごときものを御設置になるやに承知いたしておりますけれども、果たしてその倫理という中身はどういうものになるだろうかというのを、いい意味で興味を持って拝見さしていただいております。それだけむずかしい問題だと思います。政治資金の明朗化といいますのはその一部をなす問題ではあろうと思いますけれども、政治資金を明朗化してそれでもう政治倫理が確立したというような簡単な問題ではなかろうと思います。そこで蛮勇をふるって早うというような意味のお話がございましたけれども、その辺からして国民の皆さんの御理解を得てやらなければ本当の政界の浄化というものにはつながらない、実現困難であろうというふうに考えまして、そう急速に事を運ぶというのはむずかしかろうと申し上げた次第でありますが、といってこれをほっとくわけにはまいりません。努力して、一歩でもそういう方向に努力を積み重ねてまいりたい、かように考えております。
○高橋(高)委員 どうぞひとつ、これは大先輩としてわれわれに何かお与えくださって、私たちの道を誤らしめないように何かのときにいろいろと御指導いただきたい、これは私からお願い申し上げておきます。 そこで細かなことは、恐らく第二巡があると思いますのでできるだけ触れないようにいたしますが、私どうしても今度の改正案について納得のできないのは、先ほどのまた倫理じゃございませんけれども、倫理にまって罰則を付さないということが非常にあるんですね。これは事務当局にまずお答えいただきたいのだけれども、罰則を今度出さなかった。ここまで世の中で何回も悪いことというと大変先輩には失礼ですけれども、いろいろな問題を起こしているにもかかわらず、この問題に罰則を付さない理由というものについて事務当局の方からまずお答えいただけませんですか。
○大林政府委員 法案をいろいろ協議させていただいた時点におきまして、罰則をどうするか。現在政治団体の収支につきましては罰則が御承知のとおりございます。今回、政治家個人の政治資金の収支につきましては罰則を見送ったのでありますけれども、これは考え方としましては、政治団体の収支というのは、これは法律上政治団体の扱う収支そのものすべて政治資金として踏まえておるわけであります。だから、範囲は非常にわかるわけでありますけれども、個人の場合は、どうしても公的な面と私的な面というものがまざり合っておるわけでありまして、まさにいま高橋先生が最初に御質問されましたように、政治献金と私的な資金があるので、その中で政治献金とは何であるかという話になるわけであります。それを、法律上の具体的な基準をつくるということはとてもむずかしゅうございますから、出発点として、ともかく私的な資金とそれから政治献金とを区別していただくのは、これはもう政治家個々人の御判断でお願いをせざるを得ないというところから出発をしておるわけであります。つまりその資金の区分けの限界が法律上明らかでないというものについていきなり罰則をかけるというのは、構成要件がはっきりしないものに罰則をかけるということになるんではないだろうかという疑問がまず最初に非常に強く起こったわけであります。 それから同時に、この政治資金というものにつきましての考え方が、確かに現在の法律では政治団体について罰則を設けておりますけれども、本来政治資金規正法の目的というのは、罰則はついておるけれども、結局はその報告というのは世間に対して報告するのであって、その世間のそれを受けとめた上での批判というもの、これが罰則以上の痛みになるものだという思想が非常に強いわけであります。確かに外国の例を見ましても、罰則を設けておりますのはアメリカだけでございます。つまりヨーロッパ諸国のいろんな規制につきましては、政党あるいはその他の収支につきましても罰則はございません。やはりこれは罰則という問題で物を考えるよりは、世間に対して批判を求めるというところに本質的な思想がある。たまたま日本の政治資金規正法は二十三年に、要するに最初は腐敗行為防止法という名前をつけるかと言われておったくらいにアメリカ的な色彩を受けておったわけでありまして、そのあたり、現行法のたてまえとそれから法律の中に流れておる思想というものが形式的には必ずしも一致しないわけでありますが、本来はやはり政治資金というものは、罰則で担保するよりは、まずもって世間の批判を一番のむちとし痛みとすべきものだとわれわれは理解しておるわけでございまして、前段申し上げたことと後段申し上げたこと両々相まって、今回は罰則はつけないという結論に達したわけでございます。
○高橋(高)委員 私は、現在までは別として、国民の良識を期待し、また今後もそういう意味でいまお考えのような線で国民のいろんな目が向けられることを望みたいと思います。それは私も全く同様でございます。 きょう私は大蔵省の方をちょっとお呼びしたのですが、どなたかいらっしゃいますか。——国税庁の方に伺うのですが、大変唐突なお伺いをして恐縮なんですけれども、国税庁あたりでは政治家の収入というのはどういうものであるというふうにお考えになっておられるのですか。
○冨尾説明員 お答えをいたします。 国税庁、税務当局といたしましては、政治家のいわゆる政治資金につきましては、所得税法の規定の中の十あるうちの一つの雑所得という形で取り扱うことにしております。これにつきましては、いわゆる政治資金の収入につきましてはこれを雑所得の収入金額、政治資金として支出されたものは雑所得の支出金額といたしまして、差し引き残りがございましたらこれを雑所得の所得金額という形で課税をする、こういう取り扱いをいたしております。
○高橋(高)委員 私が伺いたいのは実はそのことではなくて、国税庁の御判断で、要するに税の対象として考えられている所得というものはどういうものをお考えになっておられるのか。たとえば毎年三月十五日に確定申告をしますね。大変失礼ですけれども、そのときに、私よりもはるかに大先輩の連中が私よりも収入の多い方がいらっしゃる、どう見たって、どう日常生活の行動をごらんになっても私よりははるかに収入が多いはずだとだれでもが思える方が、実際問題としては私よりは税の申告は少ない。また国税庁はそれを認めていらっしゃるわけでしょう。そうなると私としては、国税庁がお考えになる政治家の収入、要するに政治資金じゃなしに政治家の収入というのはどういうものをお考えになっていらっしゃるのですか……。
○冨尾説明員 お答えいたします。 政治家の収入、いわゆる税法の上で所得と申しますと、単に政治資金にかかわるものだけではございません。現実にいろいろなカテゴリーのものがございます。事業所得の場合、給与所得のもの、それから原稿料その他講演料、こういうものにかかわる雑所得もろもろがございます。ただ、その中でいま先生が御指摘のお話は、恐らく私どもとしては、先ほどのお答えの繰り返しになるかと思いますが、政治資金と言われるものの課税の仕組みにかかわる問題であろうかと思います。それで、政治資金の場合には私どもとしては雑所得ということにいたしますので、政治資金の収入自体が即所得税法上の所得というふうには考えておりません。それはあくまでも、収入金額として受け入れられた政治資金から現実に政治活動のいろいろな費用に充てられた支出を差し引きましたところのものが、雑所得としての所得だというふうに理解をしておりますので、そういう形で受け入れられた政治資金が全部そっくり政治活動のために支出されたという場合には、所得金額はゼロ、こういうことになるという扱いを現実にはしておるわけでございます。
○高橋(高)委員 そうしますと、私がお伺いしたいのは、それらについての申告、要するに査定の基本になるのは本人の申告になるわけだろうと思うのですね。本人がそれを虚偽の申告というか過少申告をしたような場合に、大変失礼ですけれども先輩連中のことも含めて、年間でこういう過少申告で、国税庁としてこれはちょっとおかしいぞという警告をなさったりあるいは調査をなさるというようなことは大体どのくらいおやりになるものですか。
○冨尾説明員 お答えいたします。 政治家の方々につきましても一般の納税者と同様、私どもは申告がございますといろいろな課税資料と突き合わせて内容を拝見させていただいておりますし、もし申告内容について疑問がありますれば、一般の納税者の方と同様に税務調査、それから調査に至らなくても、申告書の内容を拝見して事後修正申告等をしていただくという処理をすることにいたしております。
○高橋(高)委員 何度も申しわけございませんけれども、年間に具体的にそういうのはどのくらいの例がおありになりますか。
○冨尾説明員 お答えいたします。 私ども非常にたくさんの所得税の納税者を抱えておりまして、政治家の方だからどうこうという意味での、政治家の方についてだけの計数というものは現在のところ把握しておりません。
○高橋(高)委員 私が申し上げるのは、それはゼロと言わなければならぬですよね。言わなければならぬですけれども、まずそういうことについて国民の方が持っておられる基本的な疑問というか疑惑ですね。政治家というのは余り税金を納めないで済んでいてうまくやっている、こういう空気を打開する意味からいっても、国税庁の方に私はすっきりとした状態での調査もお願いしたいし、発表もお願い申し上げたい。失礼なお話ですけれども、どうもとかく手抜きをされるような感じがなきにしもあらずなんで、その点についてはどうかひとつすっきりとした状態で国民の皆様にこの実態というものを知っていただくようにお願いを申し上げたい、そう私からお願いを申し上げておきますが、よろしゅうございますか。大臣、どうでございましょう。有権者全体を考えたときに、そういう問題で絶えず私たち政治家に対してどうもある種の疑惑があるのですね。ここにもマスコミの方いらしゃいますけれども、マスコミの方のいろいろと筆の力もあるのかもしれません。しかしながら、とかくわれわれのやっていることに対して何らかの意味でのいろいろな声が起こりがちでございまして、それが知らない間に実態以上に政治家に対する不信感といいましょうか、政治に対する不信というようなものを醸し出しているところがあるのですね。きょうは私余り時間がございませんから申し上げられませんけれども、少なくとも税法上については同じようにお扱いいただいて、そしてその意味でのわれわれに対するいわれなき疑惑がとれるように、大臣、ひとつどんなものでございましょう。
○石破国務大臣 税務当局は税収の確保を図ります上からも公平を旨とし、いやしくも政治に関係する者に手心を加えるというようなことは万ないと確信いたしておりますけれども、高橋委員御指摘のごとき政治家に対する国民の厳しい目のありますことも事実と思います。結局は、少なくとも私に関します限りは不徳のいたすゆえんと思います。何事によらずやはりみずからの姿勢を正す、それが国民の正しい御批判を得るゆえんではなかろうかと自戒いたしておる次第であります。
○高橋(高)委員 残念ながら時間が参りましたので次の機会に譲らせていただきますが、井戸端政談ではございませんけれども、国民の方が持っている政治家に対する疑惑、そして政治に対する不信というものが、たとえばあんなに少ない収入のはずはないじゃないかということを考えたり、あるいはあの収入にしてはりっぱな家に住み過ぎているじゃないかとか、そういった声が案外政治全体に対しての不信になっていると思うのです。ですから、お互いに自戒して実態をさらけ出すということが私は必要だとも思いますし、先輩各位におかれましてもひとつその辺について十分なわれわれに対してのガイダンスをお願い申し上げたい。 残念ながらきょうは時間がございませんので、細かなことについては触れないでこの程度で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○久野委員長 安藤巖君。
○安藤委員 最初に大臣にお尋ねをいたしますが、いま審議されております政治資金規正法の一部を改正する法律案ですが、これは午前中からいままでのいろいろの質疑、それから大臣の答弁を伺っておりますと、何か用意のできた取り急ぎのものだけ、これは大臣の答弁の言葉ですが、とりあえず提出をしたんだというようなことになりそうなんですが、そうしますと政治資金の明朗化、これを多くの国民が期待していると思うのですが、その期待にこたえるものではないけれども、とにかく用意のできたものだけ取り急ぎ提出した、こういうようなことになりますか。
○石破国務大臣 政治資金全般の見直しにつきましては、法律の命ずるところによりまして、来るべき通常国会で御審議いただけるような案を作成いたしたいと考えております。 お話のとおり、今回御審議願いますのは、特に急ぎます個人の政治献金を明朗化するという点につきまして、前内閣において御苦労の末成案を得ていただいておるものがございますので、それを御審議願おう、こういうわけであります。
○安藤委員 これからいろいろお尋ねをするわけですけれども、この法律案に対しまして評論家あるいは世論、マスコミも入るわけなんですが、午前中からもいろいろ話も出てきたのですが、ざる法じゃないか、抜け道があるじゃないかというような批判が出ているということを私はいろいろ聞いているのですが、大臣はそういうような批判はお聞きになったことはないのでしょうか。
○石破国務大臣 今朝来の当委員会におきまする御質問等を拝聴いたしておりましても、たとえば罰則規定のないのはどういう理由であるかというような趣旨の御質問もございましたし、これもいわばざる法とでも言うべきものではなかろうかという意味をお含みの上での御質問と拝聴いたしております。
○安藤委員 そうしますと、質問の中身はそういうような趣旨のことだというふうにお聞きになってみえるようですが、ざる法だという批判があるけれども、最初にお尋ねしましたように、とにかくとりあえず提出したんだ、こういうようなふうにも聞こえるのですが、どうでしょうか。
○石破国務大臣 従来の現行法律によりますと、相当進歩した、国民の御期待にある程度は沿い得る法案である、かように考えております。
○安藤委員 大臣はそういうふうに思ってみえる。しかし先ほどおっしゃったような提出の趣旨というか理由というか、そういう言葉もあるということですが、そこで特定公職の候補者がこれから候補者というふうに言いますけれども、政治資金を取り扱うべき政治団体を指定した場合、この場合に指定団体が候補者から寄附を受けますね。その寄附金を自治大臣または選挙管理委員会に収支報告書に記載をして報告をするわけですが、一年間に同一人から受けた金額が百万円未満の場合は、複数の者から候補者が幾ら受け取っても、指定団体にそのお金を寄附しても、指定団体はどの候補者から受けたということも言わなくていいし、だれがその候補者に幾ら寄附したかということも記載しなくていいし、その総額だけを記載すればいい、こういう仕組みになっているわけですね。これは聞かぬでもいいと思っていたのですが、その点はいいですね。
○大林政府委員 候補者が指定団体に寄附します場合に、その内訳をその都度通知をするわけですが、結局指定団体から報告をいたします場合には、現行の政治団体のルールと全く同じように百万を超える金額については、この候補者にこれだけ入ったんだけれどもそのうちこの金額はだれからであると寄附者の氏名が出る、百万以下の金額につきましては一括して出る、こういうことでございます。
○安藤委員 そこで、これはまず入りの方をお尋ねしておるわけですけれども、その指定団体が報告書に記載して報告をする場合、百万円を超える場合の話ですが、この場合は寄附を受けた候補者の氏名もその報告書に記載するということになりますか。
○大林政府委員 指定団体から候補者に寄附を行います場合には、これは常に候補者の相手方の名前が出るわけであります。したがって、候補者にその指定団体から幾ら金が行ったかということにつきましては、これはもう後援会つまり指定団体の支出面をごらんになりますと、そこで明らかになるわけでございます。
○安藤委員 だから、最初に私は支出面でなくて入りのところをお尋ねしていると言っているのですよ。百万円を超える寄附を同一人から候補者が受けて、それを指定団体に寄附するわけですよ。その入りの関係を指定団体が報告書に記載して出す。そのときに当該候補者の氏名もその報告書に明記されるのかどうかということです。
○大林政府委員 要するに、指定団体が収支報告をします場合には、指定をしたその候補者の名前はもちろん出るわけであります。つまり、この候補者からこの指定団体に年間総額幾ら入った、この総額がまず出ます。その総額の内訳として、要するにその候補者がどなたかから百万を超える金額をもらっておられる場合には、この候補者の総額はこれであるけれども、百万を超える金額についてはこの候補者はだれからもらわれたんだということが報告されるという意味であります。
○安藤委員 どうもようわからぬけれども、百万円を超える寄附を同一人から受け取った候補者の氏名が、入りの報告の中にも載るのかどうかということなんです。
○大林政府委員 だから、指定団体からの収支報告にはおっしゃるようなケースはすべて出るわけであります。
○安藤委員 そこで、これからいろいろお尋ねしたいのですが、一年間に百万円を超える金額の寄附を同一人から受けても、これはこれまでもよく行われているというふうに私は聞いておるんですが、これを細分化する。たとえば、ある企業から百万円を超える金額を受け取っても、会社、社長あるいは専務、だれだれ部長とかというふうに名前を書いて、これを細分化して百万円以内というふうにしてしまうと、これは先ほどのお話のように、その収支報告書には総額だけが載るにすぎない、こういうことになるわけですね。
○緒方説明員 一たんその政治家個人が百万円を超える寄附をお受け取りになりまして、それを複数の御自分の指定団体に分割をして寄附をするという場合には、仮に分割された結果が百万円以下になりましても、その名前を書いていただくということにいたしております。
○安藤委員 その候補者が百万円を超える金額を受け取るときに名義を別々にしてくれというようなことになると、これは総額しか載らないということになりますか。
○緒方説明員 その辺は現在の政治団体と共通の問題であろうかと思いますけれども、故意にばらばらに受け取るということであるのか、あるいはそれぞれの政治団体なり個人がそれぞれ同一の方から受け取るということであるのか、その辺の問題がありますが、それぞれが百万円以下をお受け取りになるときにはもちろん名前は出ません。それはいまと同じことでございます。
○安藤委員 だから、百万円を超える金額を一人の人から受け取る際に、それを細分化して幾人かの人からの名義にして金額は百万円以下にする、そしてその合計をすれば百万円を超えるのですよ。しかし、そういうようなことを、いまあなたがおっしゃったように故意に細分化して名義を適当につけるというようなことをすれば、これは全く総額だけが収支報告書に載るだけだ、こういうことになるわけなんですよ。その辺のところがざる法だという批判が出ているところだと私は思うのです。これは候補者が指定団体に寄附をしなくて、いまの改正法のいわゆる保有金ですね、この保有金というようなことで収支報告を出す場合でも全く一緒になってしまうのですね。だからこうなると、これは現行法でもやられていることなんですから、そういうことがやられるんじゃないかということなんですよ。現行法でも政党、政治資金団体以外のその他の政治団体、これは百万円を超える寄附を同一人から一年間に受けた場合は御承知のように届け出の義務があります。ところがこれも細分化すれば全く届け出しないで済むということで現実に行われている事例がごく最近あるんですよ。だから、いま私が言いましたようなことが行われる、それがざる法のざる法たるゆえんだと言うのです。(「いままでも真っ暗だったんだ。」と呼ぶ者あり)だから、それと同じことが行われる。大臣、いいですか、よく聞いておいてくださいよ。どうもはっきりせぬようなことだから。 これはごく最近の新聞の報道によると、澁谷直蔵前自治大臣、この人が、ほかにも受け取ってみえるらしいのですが、昨年の九月に受け取った五百万円を、百五十万円を個人として受け取ったことにし、これは百五十万円というのはあれですから、そして残り三百五十万円のうち二百万円は澁谷直藏後援会と協和会が百万円ずつ受理したことにし、そして百五十万円は五十万円ずつ地元の支持者に分けたと澁谷さんが話したというふうに新聞の報道があるんです。こういうような事実を知ってみえますか。
○石破国務大臣 今回の改正案なりあるいは現行の政治資金規正法がざる法であるという御批判がありますこと、御指摘のとおり私も耳にしないではありません。そこで、なかなかむずかしい問題でありますが、結局は御承知のとおり法律の網、これは細かくし細かくし厳密にしましても、必要やむを得ぬ場合にはこれをくぐり抜けるという人間の弱点、これは私は否定しがたいものがあろうと思います。つまり、法律で規制すると申しましても、法律でできますのにはおのずから限度があろうと思います。結局は政治に関係します者みずからの心根の問題であろうと思います。つまり倫理の問題であろうと思います。そこで、不見識なことを申し上げますことは慎みますけれども、お互い法律というものの限界というもの、これはある程度認めた上で、その前提に立って正しい政治が行われるように工夫するということが必要であろうと思います。先ほどお答えいたしましたが、国会で御検討になっておると思います政治倫理の確立に関する委員会設置の問題でありますけれども、政治倫理という問題はきわめてむずかしい問題だと思いますが、ねらいとされますところはその辺にあるんではなかろうか、かように考えておる次第であります。
○安藤委員 結局は政治倫理の問題だということは午前中からの議論でもいろいろ出てまいりました。ところがそうなっていないというのは、倫理ということだけでは解決できないという状態にいまのところあるということなんです。だからできるだけこれを法の規制でもってやらなければならぬ、これは残念なことなんですけれども、そういうことも考えていただく必要があるのではないかと思うのですよ。これはまたすぐ後でいろいろお尋ねいたしますけれども、澁谷さんは六分割してしまって、結局五百万円の分についてはやみからやみに葬ってみえる、こういうことになるわけです。これは大臣でなくても結構ですか、これは新聞の報道ですが、五百万円受け取ったということが事実だとすれば、現行の二十二条の二で百五十万円を超えてお金を受け取ってはいかぬことになっているのです。そしてこれは二十六条によって罰則がついているのです。そういうことになりますね。どうですか。
○大林政府委員 百五十万円を超えて同一の人から受け取ってはならないということになっておるのは御承知のとおりであります。
○安藤委員 いや、だからちゃんと罰則もついているから刑罰の対象になるということを私はお尋ねしたのですが、大体それは条文に書いてあるとおりですからあえてお尋ねをいたしません。 そこで、現行法で、先ほど大臣は法律であれこれするのは——あれこれというふうにおっしゃったのですが、政党、政治団体への寄附では年間一万円を超える寄附は届け出義務があるわけですね。これは一万円を超える寄附についてあるのですよ。だからいまの百万円という報告義務の金額をせめてこの程度まで引き下げるということは考えなかったかということなんです。たとえば一千万円だとすると、千人に細分化しなければならぬことになるのです。これはなかなか至難のわざではないかというふうに思うのですが、こういうふうにすれば法的な規制ということも相当効果を上げるのではないかというふうに思うのですが、そういうことは全く考えなかったのか、そういうことはお考えにならないのか、どうでしょうか。
○石破国務大臣 正確な法律上の見解につきましては事務当局からお答え申し上げますけれども、ほかの党の方は私よく承知いたしておりませんけれども、五年前に政治資金規正法が改正されまして以来、私の所属します自由民主党におきましては、だれそれを励ます会というようなのがずいぶん盛んに行われております。以前はその後ほどこういう事例は少なかったかと思いますが、これに対する世間の一般の見方、広くは知りませんけれども、私の耳にしますごく少ない範囲の声にすぎませんけれども、何だ、金が要るのならばそうおかしな形をせぬでも堂々とくれと言ってきたらどうだ、忙しい者に一万円、二万円という会費を持ってこいなんてはなはだ迷惑だ、時期によれば一月に何十回か顔を出さなければいかぬ、そうしないと義理が立たぬ、それで行かないからどうこうという意味じゃないにしましても、どうしても義理を欠くことになってやむを得ず出るというような声を耳にします。そういうことから考えますと、お話のとおり百万円という限度をあるいは下げればということも一つの方法かもしれませんけれども、結果において果たして国民の皆さんが御納得のいただけるような結果になるものかどうか、慎重に検討させていただきたいと思います。
○大林政府委員 献金の金額につきましていまの百万、政党と政治団体というものの扱いが違うではないか、一緒にすればいいではないか、こういう御趣旨だろうと思います。五十年の法改正でこの問題がいろいろ議論をされましたときの考え方としましては、いきなり献金を手広く奨励すると申しましても、国民感情としまして、これは日本だけではございません、諸外国でもそうでありますけれども、特定の政治団体にどれだけを寄附したかということがわかる、名前が出るということについての寄附者側のいやがる気風というのが非常にあるわけであります。もちろん政党本位の選挙制度になってしまえばまた別なんでありましょうけれども、現在の制度の段階で政党以外のそういった団体というものの存在は現実にあるわけでありますし、その現実を無視するわけにはいかないし、同時に寄附者のプライバシーと申しますか、そういう献金に関する寄附者の態度なり感情もまた無視するわけにはいかないということで、現在、百万以下の金額については名前を書かなくていい、すべて現在の選挙制度あるいは政治制度の実態に即して考えられたものと承知しております。
○安藤委員 そういうような抜け道があるということを、今回は時間もありませんから、指摘をしておくにとどめます。 それから、ちょっと言い忘れたのでこれは補足ですが、澁谷直藏さんの件について、これは北野早苗からの、いわゆる富士見病院からの献金の問題です。午前中に片岡委員の方から、北野からの献金は共産党が一番多いみたいなお話があったんですが、これは国会議員の方が完全に抜けておるもので、共産党が決して一番多いというわけではないということを念のためにつけ加えておきます。 それから今度は出の方ですが、出の方もすでに御指摘がありました。逆流という言葉も出ましたが、先ほど言いましたように、出の方も指定政治団体がどの候補者に幾ら渡したかということまでは出るのですね。ところがその候補者がそれを何に使ったかということは全く表面に出てこないということになると、改正案の提案の趣旨、「寄附に係る収支の公開」ということになっておるのですが、この「支の公開」になっていないではないか。だから、入りの方で先ほど私が指摘しましたようなことでもって指定団体に入れる、今度一千万円、同じ金額をまたその候補者が受ける、それを何に使おうとさっぱりわからないということでは、まさにこれは入りも出も決して政治資金の明朗化ということにはならない、その辺のところをきょうは指摘しておくにとどめます。 それから企業献金の問題について、これもいろいろ議論がありました。ありましたけれども、大臣は企業献金は悪という考え方に同調できないというふうにおっしゃるのです。しかし、企業献金あるいは団体献金というようなのは、その企業なり団体なりが制度を改正することによって自分の利益を得よう、あるいはほかの利益を得ようというような希望、願いですね、それは表示されないものもあるかもしれませんよ、そういうようなものでもってそういう政治献金をする。だから、そういう点でこれは賄賂性が非常に濃いものだと思うのですけれども、その辺のところは大臣はどういうふうに考えてみえますか。
○石破国務大臣 ひとり企業に限りませんで、広く政治献金と称せられるものの中におきましても賄路性の強いものとそうでないものとありますことは御指摘のとおりと思います。
○安藤委員 ですからこの改正案には、最初にお尋ねしましたように、さしあたってできたところからというようなお話もあったのですが、企業献金というものをきちっと禁止するということを考えないと、先ほど言いましたような賄賂性が濃いそういうものをきちっと規制するということにはつながっていかないのではないかと思うのです。この問題について、先ほども指摘がありましたけれども、午前中に小泉委員の方から、政党の収入とその中の個人献金の割合が非常に低いというような数字を挙げて指摘をされて、そして個人献金以外の残りの収入はすべて企業もしくは団体からの献金であるかのごとく大臣は受け取られておったみたいなことで、それが誤解だというふうに話があったわけです。これは、聞き間違いは言い手のそそうということもあろうかと思うのですけれども、小泉委員がそういうような持ち出し方をされたのもやはり問題だと思うのです。これは公明党さんも釈明されましたので、私の方の共産党といたしましても、昨年一年間の収入百六十九億、これは御指摘のとおりです。これには企業、団体、労働組合等からの献金は一切ありません。九一・一%は機関紙あるいは書籍の販売収入なのです。だから非常に率の低い個人献金で、あとは企業、団体からの政治献金だというような御理解はやめていただきたいと思うのです。そういうような御理解に立って、そんなに低い個人献金だというのが現状なら別に個人献金をあれこれ言うことはないのではないかというようなことで、それを基礎にして考えていただいては困るわけなんです。 そこで大臣、時間が来ましたからちょっと急ぎますけれども、企業あるいは団体の献金が非常に賄賂性を持っている。これは幾つかありますが、一番新しいもので、これも午前中に話があったのですが、十月二十三日に全国理美容組合連合会、ここの事務局長ら十四人が、齊藤邦吉前厚生大臣ら五人の自民党議員を受託収賄罪、そして全美環連の政治団体の幹部一人を贈賄罪で東京地検に告発した。これは昨年三月成立した環境衛生法の一部改正を有利に取り計らおうとしたというので、まさにあの税理士政治連盟と同じような手口だというふうにいまいろいろ批判されておるわけなんです。税政連のあの問題も、贈った側については賄賂性があるというような認定もなされておる、こういうような事実があるわけなんですね。だから、その辺のところをしっかり踏まえていただきたいのですが、この関係について、法務省から来ていただいておりますね、これは午前中の質問に対するお答えでは、まだ捜査に着手していない、今後だとおっしゃったのですね。いつごろからこれは捜査に着手される御予定ですか。
○石破国務大臣 法務省からお答え申し上げます前に一言お答えさせていただきます。 午前中小泉委員の御発言を承りまして、それを引きまして私が他の委員の方にお答え申し上げました中に、各政党の政治資金のうち、企業献金と個人献金との比率について言及いたしました点のうち事実に相違しました点がありとしまするならば、私の聞き間違いでございまして、深くおわびいたします。 なお、政治資金のうち企業献金は賄賂性が個人献金に比べて強いという意味の御指摘がございましたが、自分といたしましては、それに対しまして直ちにさようでございますという御答弁は申し上げかねますので、その点は御理解いただきたいと思います。
○井嶋説明員 午前中も御説明申し上げましたが、十月二十三日に告発状を東京地検特捜部に提出されたということでございまして、いまでまだ一週間程度の日にちしかたっておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、今後検察庁がこの事件につきまして捜査を進めるという問題でございますので、私どもといたしましては、この場で、いつ着手するとか、どうするとかいうような具体的なことは従来答弁を差し控えさせていただいておりますので御了承願いたいと思いますが、検察庁はしかるべき時期にしかるべく捜査に着手することになるだろうと思っております。
○安藤委員 もう時間ですから、いまの関係はさらに検察庁の方からも来ていただいてお尋ねをしようと思います。 それからいろいろ問題となりました附則の八条関係、これもお尋ねしようと思ったのですが、時間がありませんので、これも次回にやりたいと思っております。 それでは、きょうはこれで質問を終わります。
○久野委員長 小杉隆君。
○小杉委員 すでに各党から七人の質問者が出て、かなり質問も進行いたしましたので、私はできるだけ重複を避けて、時間も二十分でございますので、端的に質問をいたしますので、ひとつお答えもできるだけ簡明にお願いしたいと思います。 今度の政治資金規正法の改正の中身に入りたいと思いますけれども、できるだけ候補者等は政治資金を受ける場合には政治団体において受け入れるようにすべきだというのが、今度の一つの骨子になっておりますけれども、現状はどうなのか。候補者等で政治団体を持っている人、あるいは持ってないで個人でやっている人、そうしたものを分析されたことがありますかどうか。あれば、その現状を御説明いただきたい。
○大林政府委員 私どもは自治大臣所管の政治団体を直接担当しておりますけれども、今回の改正について地方選管にもいろいろ照会をいたしまして、大体ほとんどの方がお持ちのようだという認識を持っております。
○小杉委員 ほとんどの方が政治団体をいま持っているということですが、今度の改正案によりますと、その団体の力、政治資金を取り扱うべき政治団体を指定することができるというふうにしてありますけれども、そうしますと、たとえば一人の政治家がたくさん集めるために多い人は二けたぐらいの政治資金団体を持っているなんということも聞きますけれども、その場合に、指定団体として指定できる団体というのは一つに限るのですか。それともその政治家、その候補者の政治資金を賄っている団体すべてを指定をするのか、その点を明確にしていただきたい。
○大林政府委員 指定団体の数の問題でございますけれども、いろいろの政治家のお立場によって違うと思います。東京を主たる政治活動としておられるお方、あるいは選挙区、地元を主たる活動としておられる政治家、いろいろございます。したがいまして、指定団体については必ずしも一つの団体という限定をしておりません。それではいっぱい指定をするではないか、こういう御批判があるかもわかりませんけれども、大体指定団体をどなたがどういう団体にされたということにつきましては、これは公表制度を設けておりますから、余り非常識なことになりますと直ちに国民の批判を受けるであろうと考えておるわけであります。
○小杉委員 現在政治家が持っている団体というのは、ほとんどその政治資金を調達するための団体ですから、言ってみればすべて指定団体にならなければいけないと思うわけですね。ですから、たとえば三つとか四つ持っている政治家は、その三つ、四つというその全部を指定団体として届け出をしなければいけないというふうに理解してよろしいですか。
○大林政府委員 一つの指定団体に集中されるのも、あるいは二つあるいは三つの指定団体を指定されるのも、これは指定される政治家の御判断でございます。
○小杉委員 そうしますと、今度の改正の目的というのかやはり政治活動の公明、公正ということの確保にあるわけですね。それで、やはり公開ということによって一つのチェック機能を果たそうということなんですから、やはりその政治家にかかわる政治団体というのは、目的がその資金を調達するということである以上は、私は、やはりその政治団体、たとえば三つ持っていれば三つすべて指定団体として届け出なければ、たった一つだけ指定団体にしただけでは、ほかに隠れた団体がいっぱいあって、実質はその政治家にどんどん資金を出しているのに、届け出してある指定団体が一つだけだったら、結局その他の指定に漏れた団体の資金というのは非常に不明朗、不明確になってしまうわけですね。ですから、そういう実態を考えますと、今回のねらっているところとちょっとずれてしまうおそれがあるので、私としては、やはりすべて指定をしなければいけないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○大林政府委員 今回の制度は、指定団体に指定をいたしまして、これが一つであるか二つであるかお人によって違うわけでありますが、指定団体に指定をした団体に寄附をいたしまして、指定団体、その団体を通じて報告をされる限りにおいては、個人からは改めて報告は要らないというシステムにしておるわけでありまして、後援会がほかにございまして、指定していない後援会が残っておる、そこに寄附をする場合には、改めて個人からそこへ寄附をしたという報告が要るシステムにしておるわけであります。したがいまして、そこら辺を考えますと、全部の団体を指定団体にする必要はこれまた毛頭ないということでございます。
○小杉委員 ちょっと答弁がよくのみ込めないのですけれども、公開ということのねらいは、できるだけやはりその政治活動あるいは政治家の資金を明らかにするという目的ですから、その政治家に関係のある団体の収支というのは、やはりすべて指定にして明らかにするというのが望ましいと思うのですが、三つも四つもあっても一つだけ指定すればいいという、その辺がちょっとわからないのですけれども。
○石破国務大臣 お話の中にございましたように、政治団体、実際は特定の政治家のための団体の場合が多いとは思いますけれども、少なくとも表面的には、後援会とか政治団体、何々研究会というのがたくさんありますけれども、表ざたとしましては、特定の政治家とは何ら関係のない姿になっております。 ところが、今度の資金規正法一部改正によりまして、特定の政治家がある団体を指定団体ということで指定し、届け出ますと、政治家個人との関係が明確に公表されます。そうなりますと、それでも間違いないわけなのですけれども、えて世間では——全くの素人てございますよ、世間では、あれの関係する政治団体は今度届け出のあっただけだろう、と。ほかの三つも四つも従来からありますものは依然としてノータッチですから、あるいはそういう誤解をお与えする結果になるかもしれませんけれども、今回はそこまではあえて問題にしないで、あくまでも政治家個人が受け取りました政治献金の使途を明確にしようというのにとどまっておりますので、御理解いただきたいと思います。
○小杉委員 やはり政治を志す者は、その選挙区で他の候補者がたくさん資金を集めて一生懸命お金を使えば、やはりそれに対抗してその人も集めざるを得ないということで、悪循環がどんどん続いていくわけですから、やはりいま大臣が、いまの法律はまだまだ不完全であるということをお認めになったわけですけれども、そういった点で、せっかくこうして指定団体というような考え方を導入した以上は、できるだけ候補者等に関係のある団体の収支というものが公開をされる、そのことによって自動的なチェック機能が果たされるということが望ましいと思うので、この点は今後一つの課題として検討していただきたいと思うのです。 それから、今回富士見病院に端を発して、個人にいただいた寄附をなるべく政治団体というものの中に入れろということですけれども、この程度の改正だったら、今回あわてて出さなくてもよかったのじゃないか。むしろこの大改正があってから数年を経た中で、先ほど来ざる法じゃないかとかいろいろ不備な点も指摘されているわけですけれども、その辺を網羅してやはり見直して出すということでもよかったと思うのですが、何か富士見病院に端を発してちょっと形をつくろったというような感じがするのですけれども、今回のねらいというものがどこの辺にあるのか。それから今後見直して通常国会に出すというようなことも答弁されておりますけれども、主に、いまの法律と実態との合わない点、どういう点をいま検討されているのか、それもあわせてお答えいただきたいと思います。
○石破国務大臣 御指摘のとおり今回の改正は、五十六年一月一日という、法律に明記されております再検討時期も迫っておるじゃないか、一緒でいいじゃないか、そのときに根本的にやったらどうだと、有力な御意見もありましたこと、事実であります。しかしながら、実は反対の見方もあるわけであります。なるほど、時期は迫っておるのだけれども、前大平内閣のもとにおいて、各党各派とずいぶん下相談はお願いしたことと思いますが、あれだけ苦労して、あるいは不十分かもしれぬけれども、あそこまでまとまっておったんだ、である以上は、廃案になっちゃって、時期は二つがくっついちゃったけれども、できておるものだけでも、一日も早くやったらどうだという御意見も、これもまた無視できないことと思います。あれこれ迷わぬ点がなかったとは申しませんけれども、あえて、できましたものだけでも御審議願おうというのが今回の考え方であります。 なお、根本的な見直しにつきましては、何を考えておるかと御質問になりましても、何を考えておりますということをお答え申し上げるまでの準備がまだできておりませんので、しばらく御猶予願いたいと思います。
○小杉委員 しかし、抜本的な見直しというのはもう近い時期にやられるわけですから、いまの段階でやはり検討しておられる点もあると思うのですね。そういう点をひとつ事務当局からでも結構ですから、主としていままでやってきた資金規正法の現状と、それから法律と実態とのギャップ、どういう点が主としていま検討されているのか、お漏らしをいただきたいと思います。
○大林政府委員 五十年に法律が改正されまして、五十一年からもうすでに五年近くたとうとしておるわけでありますが、五年後の見直しの問題としては、いままで過去数年間においていろいろ御意見をあちこちからちょうだいをいたしております。そういったものを踏まえながら、今後政党あるいは政治団体というものが一体どうあるべきか、またどうなっていくかということをも頭に置きながら検討してまいりたいと考えておりまして、現在、具体的にこの点がどうであるとか、あの点がどうであるかということについて御報告申し上げる段階にまで立ち至っておりません。
○小杉委員 第二の問題は、今度の「基本理念」の中で「政治資金をその他の資金と明確に区別する」ということをうたっておりますけれども、この公私の区分というのは非常にむずかしいと思うのですね。いろいろいままでこうした政治資金にまつわる問題点の中に、たとえば書画骨とう類を利用したというやり方もあるわけです。たとえば一千万円するピカソの絵を政治家に寄付をした、政治家はその絵が幾らぐらいするかわからないで壁にかけていた、ところがある一定の時期がたって、これを画商のところへ持っていけば八百万円で売れますよ、画商はそれで二百万もうかるわけですけれども、もらった段階ではただ自分のプライベートにもらったということで届け出をしない、しかし、結果的にはそれが八百万円の政治献金であったという例は、いままでだって架空の話でなくて、実際にやっている人もいるらしいということも聞いておりますから、そういう高価な書画骨とう類なんかをたとえば寄附してもらったときにどういう扱いになるのか。その辺非常に公私の別がむずかしいと思うのですけれども……。
○大林政府委員 政治献金というものがどういうものであるかという根本の問題になってくるわけでありますが、先ほど来の御質問にもございました政治献金とはこういうものだという具体的な法律の基準を一律にぴしっと決めるということが立法技術上はなかなかむずかしいということで、今回の法律では、まず公私の区別というのは政治家御自身が明確にしていただくようにお努めください、こういう規定を設けておるわけであります。 しかも、なおかつ今回の政治献金につきましての問題というのは、とりあえず疑惑の生ずる献金というものに限りまして、要するに物であるとか、つまり金銭以外のものにつきましてはいまのような御疑念が起こると思います。と同時に、それはある段階で換金されるということがあるかもしれませんが、要するに寄付された時点におきましては、それは一体政治献金と考えるのかあるいは資産と考えるのかというような問題にもなってくるわけであります。したがって、物を全部含めるということになりますと、やはり資産的な公開という制度とかなり密接な関連を持ってくるであろう。資産公開というものはやはり国会御自身のお考えになるべき事柄であろうという前提のもとに、この際とりあえずおよそ献金と言われるものに限りまして法律の対象にしたわけでございます。
○小杉委員 今度の法律では、ちょっと確認したいのですが、金銭だけでなくて、金銭以外のものも報告の義務を課しているのじゃないでしょうか。
○大林政府委員 金銭及び金銭と同視し得るという意味の有価証券でございます。
○小杉委員 そうすると、書画骨とうのたぐいあるいは貴金属、そうしたものは報告の義務はないということですか。
○大林政府委員 今回の法律の上では対象といたしておりません。
○小杉委員 だんだん政治資金についての世論も厳しくなってきますと、やはりいろいろなことを考えて、そして現実にいままでもなかったことではないことで、大変高価な貴金属とか書画骨とう類を、その寄付をしようとする人が画商と話をつけてあるいはその政治家と話をつけて、みんなが合意のもとにそういう形で多額な政治献金をするということは当然考えられると思うのです。そういう点ではちょっと今度の法律は、そういういままであったケースも含めて考えたにしてはお粗末じゃないかなという気がするのですが、この点はひとつ今後の検討の中でぜひ考えていただきたいと思うのですが……。
○石破国務大臣 お話の点は政治資金法の問題ではありませんで、あるいは税法上の問題に帰属するのではなかろうかと思いますが、本日当委員会におきまして各委員の方々にお答え申し上げておりますとおり、選挙に金がかかる、政治活動に多額の金がかかる、しかもそれを個人が調達しなければならないという現状のもとにおきまして、政治資金あるいは選挙資金と申してもいいかと思いますけれども、これを法律によって規制しようといたしましてもやはり限度があろうと思います。他方では、どうしても金が要る、個人が政治資金、選挙資金を調達しなければならないという状態のままで、法律で資金を規制しようとしてもおのずから限度があろうと私は思います。書画骨とうについて御指摘のような事実を私も耳にしないではありません。その辺をどうしますか。根本的な見直しの際にはその辺までさかのぼって検討させていただきたいものと考えております。
○小杉委員 時間が来ましたから最後に一点だけお伺いしますが、報告義務者というのがありまして、これは衆参両院議員、都道府県の議会の議員もしくは長または指定都市の議会の議員もしくは長というふうに限定してありますけれども、そうしますとたとえば二十三区の特別区の議員とか長あるいは指定都市以外の市議会の議員または長、こういう方々が抜けてしまうわけですね。私も地方選挙をたびたびやってまいりまして、国会議員の方がいま公営がどんどん進んでいましてかえって金がかからないのですよね。むしろ地方議員の方が何から何まで自分で調達しなければいけませんから非常に金がかかる、そしてまたその調達のためにいろいろ無理をしているという実態があるわけですから、私はむしろこういう特別区とか指定都市以外の人たちをなぜ外したのか大変疑問に思うのですが、その点を一点お伺いしたいのです。
○大林政府委員 理論的に申しますと、確かにおよそ政治家を対象として考えるということでございますから、あらゆる政治家というものが当然対象とされるべきであろうと思います。ただ、何分これは一番最初の問題でもございますし、実は事務的にもかなり選挙管理機関の事務能力というものにも関連をいたします。現在の指定都市以外のいわゆる一般の市町村の議会の議員のところまで対象といたしますと、これは、従来政治資金の取り扱いというのは県の選管に統一をして取り扱わせておりますために、余りにも一挙に事務量が増大をする、果たして処理し切れるだろうかということもございます。片や同じような見地から、政治資金規正法とそれから税法の関係で、個人献金につきまして税制上の優遇措置を講じておりますが、そこら辺を考慮いたしまして、指定都市の段階までにとどめておりまして、これも今後の推移を見ながら、また考えてまいりたいと思います。
○小杉委員 終わります。ありがとうございました。
○久野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十一分散会 ————◇—————