決算委員会 第6号
- 発言数
- 362 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/11/20
会議録
○國場委員長 これより会議を開きます。 昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、大蔵省所管、日本専売公社、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行います。 それでは、まず大蔵大臣から概要の説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
○渡辺国務大臣 昭和五十三年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。 まず、一般会計歳入決算について申し述べます。 昭和五十三年度の収納済み歳入額は三十三兆八千五百九十五億千九百十八万円余でありまして、これを歳入予算額に比較いたしますと四千六百四十億六千七百五十五万円余の増加となっております。 以下、歳入決算のうち主な事項につきましてその概要を申し述べます。 第一に、租税及び印紙収入でありますが、その決算額は二十一兆二千五百八十二億六千七百十一万円余で、これを予算額に比較いたしますと八千四十二億六千七百十一万円余の増加となっております。これは、法人税等において課税額の伸びが見込みを上回ったこと等によるものであります。 第二に、公債金でありますが、その決算額は十兆六千七百三十九億八千三十二万円余で、これを予算額に比較いたしますと六千百十億千九百六十七万円余の減少となっております。これは、租税収入等が見積もりより増収となることが見込まれたこと等により、公債の発行額を予定より減額したことによるものであります。 以上のほか、専売納付金七千二百二十八億千二百九十万円余、官業益金及び官業収入四十七億七千八百五十一万円余、政府資産整理収入六百二十三億九百十六万円余、雑収入七千六百三十五億九千七万円余、前年度剰余金受け入れ三千七百三十七億八千百八万円余となっております。 次に、一般会計歳出決算について申し述べます。 昭和五十三年度の歳出予算現額は四兆九百四十三億七千三百十万円余でありまして、支出済み歳出額は、四兆二百五十二億七千七百三十万円余、翌年度繰越額は九十八億二千二百八十八万円余でありまして、差し引き不用額は五百九十二億七千二百九十二万円余となっております。 以下、歳出決算のうち、主な事項につきましてその概要を申し述べます。 まず第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため三兆二千三百十七億九千二百五十二万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債、借入金の償還及び利子等の支払い並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。 第二に、政府出資につきましては千五百七十億円を支出いたしましたが、これは海外経済協力基金等への出資であります。 第三に、経済協力費につきましては百八十八億九千六百二十四万円余を支出いたしましたが、これは、開発途上国等に対する食糧増産等援助等のためのものであります。 この支出のほか、食糧増産等援助費につきましては、相手国の国内事情等のため七十二億九千八百六十五万円余が翌年度へ繰り越しとなっております。 第四に、産業投資特別会計へ繰り入れにつきましては、同会計の行う産業投資支出の財源の一部に充てるため二百九十二億円を支出いたしました。 以上申し述べました経費のほか、科学的財務管理調査員、国家公務員共済組合連合会等助成費、国庫受け入れ預託金利子、公務員宿舎施設費、特殊対外債務等処理費、アジア開発銀行出資、国際復興開発銀行出資、米州開発銀行出資、国際金融公社出資、特定国有財産整備費、特定国有財産整備諸費及び万国博覧会記念施設整備費として千七百五十二億六千三百七十四万円余並びに一般行政を処理するための経費として四千百三十一億二千四百七十八万円余を支出いたしました。 なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費及び特殊対外債務等処理費につきましては、二十五億二千四百二十二万円余が翌年度へ繰り越しとなっております。 次に、各特別会計歳入歳出決算につきましてその概要を申し述べます。 まず、造幣局特別会計につきましては、収納済み歳入額は百八十六億五千六百二十九万円余、支出済み歳出額は百八十五億六千三百三十九万円余でありまして、損益計算上の利益は千六百八十八万円余であります。 この会計の主な事業である補助貨幣の製造は三十億枚、額面金額にして六百二十億五千万円を製造し、その全額を発行いたしました。 次に、印刷局特別会計につきましては、収納済み歳入額は五百九億千三百四十三万円余、支出済み歳出額は四百六十一億三千四百九十二万円余でありまして、損益計算上の利益は六十二億八千五百十三万円余であります。 この会計の主な事業である日本銀行券の製造は二十九億二千万枚、額面金額にして八兆八千四百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。 以上、申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、賠償等特殊債務処理、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出の決算につきましては、さきに提出しております昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算等によって御承知いただきたいと存じます。 なお、賠償等特殊債務処理特別会計につきましては、昭和五十三年度限りで廃止し、この会計に属していた権利及び義務は一般会計に帰属させることといたしました。 最後に、各政府関係機関収入支出決算につきましてその概要を申し述べます。 まず、国民金融公庫につきましては、収入済み額は二千二百一億六百二十五万円余、支出済み額は二千三百五十八億七千六百二十七万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。 この公庫の貸し付けは、九十九万件余、金額にして二兆百六十七億九千二百四十八万円余でありまして、これを当初の予定に比較いたしますと、千八百六十五億七百五十一万円余の減少となっております。 このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の収入支出決算につきましては、さきに提出しております昭和五十二年度政府関係機関決算書等によって御承知いただきたいと存じます。 これをもちまして、昭和五十三年度における大蔵省関係の決算の概要説明を終わりますが、これらの詳細につきましては、さきに提出しております昭和五十三年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御承知をお願いいたしたいと存じます。 なお、会計検査院の検査の結果、不当事項として税務署における租税の徴収に当たり過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。 次に、昭和五十三年度日本専売公社収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。 まず、たばこ事業の概況について申し上げますと、昭和五十三年度の製造たばこ販売数量は三千六十五億本余、金額にして一兆九千二十四億六千九百六十七万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において七十三億本余、金額にして三百二十八億八千百三十二万円余の減少となっております。 また、葉たばこの購入数量は二十五万三千トン余、金額にして三千二百八十八億六千八百十四万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において一万五千トン余、金額にして四百三億二千八十二万円余の減少となっております。 次に、塩事業の概況について申し上げます。 昭和五十三年度の塩販売数量は、一般用塩百五十七万一千トン余、ソーダ用塩五百八十六万四千トン余、金額にして合計六百四十四億四百四十六万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百十七万トン余、金額にして八十六億七千三群七十一万円余の減少となっております。 また、塩の購入数量は、国内塩百七万二千トン余、輸入塩六百三十四万一千トン余、金額にして合計四百二十一億三千二百二十一万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百二十四万六千トン余、金額にして八十一億五千三百八十万円余の減少となっております。 次に、決算の内容について御説明いたします。 まず、収入支出について申し上げますと、昭和五十三年度における収入済み額は一兆九千七百六億一千九百四十五万円余であり、収入予算額二兆百二十億九千二百八十四万円余に比較いたしますと、四百十四億七千三百三十八万円余の減少となっております。 これに対しまして、支出済み額は一兆四千二百九十二億二千七百九十六万円余、翌年度に繰り越した額は二百三十四億六千九百六十五万円余、合計一兆四千五百二十六億九千七百六十一万円余であり、支出予算現額一兆五千九百六十三億四千六百十二万円余に比較いたしますと、差し引き不用額は一千四百三十六億四千八百五十一万円余となっております。 次に、損益計算について申し上げます。 総収益一兆九千七百七十一億三百九十万円余から、総損失一兆三千二百二十五億九千二百五十八万円余を控除した純利益は六千五百四十五億一千百三十一万円余であります。これから日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積み立てる利益積立金八百八十五億九千八百四十一万円余を控除した五千六百五十九億一千二百九十万円余が専売納付金であり、予定額五千五百三十八億七千七百九十万円余に比較いたしますと百二十億三千四百九十九万円余の増加となっております。 また、昭和五十三年度においては、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律第三条第一項の規定に基づく特別納付金一千五百六十九億円を昭和五十四年三月三十一日国庫に納付いたしております。 以上が昭和五十三年度日本専売公社の決算の概要であります。 最後に、会計検査院の昭和五十三年度決算検査報告におきまして、不当事項として一件及び是正改善の処置を要求された事項として二件、合わせて三件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。 今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○國場委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長。
○佐藤会計検査院説明員 昭和五十三年度大蔵省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。 検査報告番号一一号は、租税の徴収に当たり徴収額に過不足があったもので、これらの徴収過不足の事態は、当局が課税資料の収集や活用を適確にしていなかったり、法令適用の検討が十分でなかったり、納税者から提出された申告書に記載されている所得金額や税額の計算が誤っていたのにこれを見過ごしたりするなど調査が十分でなかったことによって生じたものであります。 なお、造幣局及び印刷局については、第五局長から説明いたします。
○國場委員長 次に、小野会計検査院第五局長。
○小野会計検査院説明員 昭和五十三年度大蔵省造幣局及び印刷局の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。 これらのうち検査報告に掲記いたしましたものは、印刷局に係る意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。 これは、練肉機に使用している冷却用水の循環使用に関するものであります。 印刷局滝野川工場では、東京都から工業用水の給水を受け、練肉機の冷却用として使用するほか、作業用水、洗浄水等として使用し、工業用水道料金及び下水道料金を支払っておりますが、その使用状況について調査いたしましたところ、練肉機に使用しております冷却用水を循環使用することなく、一回使用しただけで排水しており不経済となっている事態が見受けられましたので、本件冷却用水について、受水槽、冷却塔及び配管等を設けて循環使用することによりまして経費の節減を図るよう是正改善の処置を要求したものであります。 次に、昭和五十三年度政府関係機関のうち、日本専売公社ほか一公庫及び二銀行の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。 昭和五十三年度日本専売公社の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項二件であります。 まず、不当事項について説明いたします。 検査報告番号一二九号は、ファイル等の購入価額が著しく高価となっているものであります。 日本専売公社本社及び東京病院におきまして、市中で一般に販売されているファイルほか八品目の庁用物品を、昭和五十二年五月から五十三年八月までの間に六十五回にわたり市販価格等を著しく上回った価額で購入しているもので、その購入価額は約八百万円高価となっていると認められます。 これら物品の購入の経緯について見ますと、団体等の職員と称する者から長時間にわたり執拗に物品購入の要請を受けるなど異常な状況のもとで、契約事務を行う権限を持っている職員または契約事務を行う権限を持たない職員がその購入を約束し、これを受けて契約事務を行う権限を持っている職員が価格調査を行う十分な余裕もないまま団体等の職員と称する者から依頼を受けた業者等と契約を締結し、この種の購入を繰り返して行ったものであります。 しかし、これらの物品の購入価格は、この種物品の販売業者について調査すれば著しく高価であることが判明したと認められますのに、このような事態の再発を防止するための対策も講じないまま同様の購入を繰り返したのは、その処置当を得ないと認められたので不当事項として掲記したものであります。 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。 その一は、建物等の取り壊し工事費の積算に関するものであります。日本専売公社では、工場施設の近代化を図ることなどを目的として、老朽化した施設を更新してきており、これに伴って旧施設の工場棟、事務所棟及び倉庫棟等の取り壊し工事を施行しておりますが、これらの工事費の積算に当たりましては、同公社で定めている建築工事積算基準を適用して工事費を算定しております。本院において、五十一年度及び五十三年度施行の取り壊し工事についてその内容を検査いたしましたところ、取り壊し労務手間については、スチールボール工法による場合の歩掛かりにより算出しておりますが、この歩掛かりには、同工法による作業工程等から見て不必要なはつり工等の労務手間が計上されているのにそのまま適用して計上しているなど、取り壊し工事費が過大となっていて適当でないと認められましたので、実態に即した積算が可能となるよう積算基準を改め、もって予定価格の適正を期するよう是正改善の処置を要求したものであります。 その二は葉たばこ倉庫の管理運営に関するものであります。 専売公社では、国内産葉たばこが著しく過剰在庫となっております中で、社有倉庫に収容できない多量の葉たばこを営業倉庫に保管寄託し、多額の保管料を支払っている状況にありますが、本院におきまして公社の社有倉庫の管理運営状況について調査しましたところ、たる詰め葉たばこを保管しております十三カ所におきまして通路、通風路等積み付けに使用されない部分の面積が過大となっているため貯蔵効率が低くなっているなどの事態が見受けられました。 葉たばこの過剰在庫は今後も当分の間解消されず、引き続き多量の葉たばこを保管せざるを得ない状況となっているのでありますから、これらの社有倉庫を効率的に使用することによりましてその貯蔵量を増加して営業倉庫の保管料の減少に努め、もって経費の節減を図るよう是正改善の処置を要求したものであります。 以上のほか、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の昭和五十三年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。 以上、簡単でございますが説明を終わります。
○國場委員長 次に、日本専売公社、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行各当局の資金計画並びに事業計画等について、順次説明を求めます。泉日本専売公社総裁。
○泉説明員 昭和五十三年度の日本専売公社の決算及び業務の概要を御説明申し上げます。 まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済み額は一兆九千七百六億一千九百四十五万円余、支出済み額は一兆四千二百九十二億二千七百九十六万円余、差し引き収入超過は五千四百十三億九千百四十九万円余となりました。 これを損益計算面から申し上げますと、総収益は一兆九千七百七十一億三百九十万円余、総損失は一兆三千二百二十五億九千二百五十八万円余、差し引き純利益は六千五百四十五億一千百三十一万円余となっております。 この純利益から日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積立金として積み立てる八百八十五億九千八百四十一万円余を控除いたしまして、専売納付金は五千六百五十九億一千二百九十万円余となりました。これは予定に比べまして百二十億三千四百九十九万円余、また、前年度に対しましては九十九億九千六十六万円余、それぞれ増加となっております。 なお、昭和五十三年度におきましては、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律の第三条第一項の規定に基づく特別納付金として一千五百六十九億円を国庫に納付いたしております。 次に、たばこ事業及び塩事業につきまして、それぞれの概要を区別して、御説明申し上げます。 まず、たばこ事業でございますが、昭和五十三年度の製造たばこ販売数量は三千六十五億本余でありまして、これは予定に比べましては七十三億本余の減少、また、前年度に対しましては八億本余の増加となっております。 たばこ販売面におきましては、マイルドセブン等の売上増加により、前年度に対し数量で〇・三%、売上高で一・七%の増加となりました。 また、たばこ製造面におきましては、たばこ工場の作業の合理化と製造設備の改善によって生産性の向上に努め、あわせて円滑な供給体制の整備を図ってまいりました。 以上の結果、損益計算におきましては、総売上高は一兆九千二十五億一千六百三十二万円余、売上原価は五千四百七十九億九千六百八十八万円余、差し引き売上総利益は一兆三千五百四十五億一千九百四十四万円余となり、これから販売費及び一般管理費一千百八十二億九千四百五十一万円余、たばこ消費税五千九百五億八千九百十七万円余を控除し、さらに営業外損益五十億三千百九十六万円余を加えたたばこ事業純利益は六千五百六億六千七百七十万円余となりました。これは予定に比べましては五百八十億七千二十七万円余の増加、また、前年度に対しましては五十三億六千八百三十九万円余の減少となっております。 たばこ事業の純利益が前年度に続いて減少いたしましたのは、売上高の伸びが低かったこと、売上原価、販売費及び一般管理費並びにたばこ消費税の増加によるものであります。 次に、塩事業について申し上げますと、昭和五十三年度の塩販売数量は一般用塩で百五十七万トン余、ソーダ用塩で五百八十六万トン余、合計七百四十三万トン余でありまして、これは予定に比べまして百十七万トン余、また、前年度に対しましては四万トン余それぞれ減少となっております。 以上の結果、損益計算におきましては、総売上高は六百四十四億四百四十六万円余、売上原価は四百六十四億九千百四十六万円余、差し引き売上総利益は百七十九億一千三百万円余となり、これから販売費及び一般管理費百四十一億九百二十二万円余を控除し、さらに営業外損益三千九百八十二万円余を加えた塩事業純利益は三十八億四千三百六十一万円余となりました。これは予定に比べまして三十四億九千百八十七万円余、また、前年度に対しましては十一億六千七百七十六万円余それぞれ増加となっております。 塩事業の純利益が前年度に対し増加いたしましたのは、一般用塩売上原価の低下並びに販売費の減少等によるものであります。 最後に、昭和五十三年度決算検査報告におきまして、会計検査院より不当事項として一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。今後は、このようなことのないよう十分注意し、適切な事業の運営を図っていく所存でございます。 また、是正改善の処置を要求されました事項につきましては二件ございますが、事務処理の改善を図り、予算の効率的運用に努める所存でございます。 以上簡単でございますが、昭和五十三年度の日本専売公社の決算及び業務の概要について御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○國場委員長 次に、大倉国民金融公庫総裁。
○大倉説明員 国民金融公庫の昭和五十三年度の業務の概況について御説明申し上げます。 昭和五十三年度の中小企業の景況は、わが国経済が長期的な不況からの回復過程にあった中で前年度に比べやや明るさが見られました。 しかしながら、業種間で顕著な格差が見られるほか、中小企業を取り巻く環境も四十年代中ごろから大きく変化しており、中小企業は依然として厳しい状況下にありました。 このような状況に置かれた中小企業者に対して、当公庫は、中小企業金融の円滑化のために積極的に対処するとともに、米子、梅田、小松及び東灘の四支店を新設しまして中小企業者のために一層の便宜を図ってまいりました。 さらに、昭和五十三年度には、高校、大学等への進学のために必要な資金を融通する進学資金貸付制度を新たに設けました。 昭和五十三年度の貸付計画は、当初、二兆二千三十三億円を予定しておりましたが、年末融資として三百億円の貸付規模を追加いたしました。その結果、前年度に比べ四・四%増の二兆百六十七億九千二百四十八万円余の貸し付けを実行いたしました。 貸付種類別に貸し付けの実績を申し上げますと、普通貸し付けは、七十五万五千件余、一兆八千九百十六億八百八十八万円余、恩給担保貸し付けは、十九万五千件余、一千九十二億八千五百七十七万円余、記名国債担保貸し付けは、七百件余、九千九百四十四万円余、進学資金貸し付けは、三万九千件余、百五十五億一千四百四十七万円余となりました。 なお、普通貸し付けの貸付実績のうちには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸し付け、流通近代化資金貸し付け等の特別貸し付けが二万四千件余、七百三十一億九千四十四万円余及び小企業等経営改善資金貸し付けが二十二万二千件余、三千五百八十二億三千四百二十一万円含まれております。 一方、五十三年度において貸付金の回収が一兆六千九百九十八億九十六万円余、滞貸償却が六十一億九千三百三十二万円余ありましたので、五十三年度末現在の総貸付残高は二百二十六万六千件余、二兆九千八百六十八億一千二百九十三万円余となりました。 前年度残高に比べますと、件数が五万件余の増加、金額が三千百七億九千八百十九万円余の増加となり、これを率で見ますと、件数で二・三%の増加、金額で一一・六%の増加となりました。 貸付金の延滞状況は、五十三年度におきましては延滞後六カ月以上経過したものが五百六億一千九百九十六万円余で前年度に比べ九十三億七千百七十八万円余の増加となっております。総貸付金残高に対する割合は、一・七%であり前年度の一・五%に比べ〇・二ポイント増加しております。 昭和五十三年度の貸し付けに要した資金は二兆百六十八億七百六十万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金一兆二百八十五億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金五百五十億円、一般会計からの借入金二百三億円のほか、貸付回収金等九千百三十億七百六十万円余をもってこれに充てました。 環境衛生金融公庫からの受託業務につきましては、五十三年度における貸し付けの実績は十万六千件余、二千八十六億六千八百八十九万円余、回収額は、一千四百三億七千七百九十万円余となり、五十三年度末残高は、三十九万六千件余、四千九百七十六億五千百七十四万円余となっております。 五十三年度中における収入、支出の決算について申し上げますと、収入済み額は二千二百一億六百二十五万円余、支出済み額は二千三百五十八億七千六百二十七万円余となりました。 損益の計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は二千九百八十億六千三百四十七万円余、借入金利息、事務費、滞貸償却引当金繰り入れ等の総損金は二千九百八十億六千三百四十七万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので国庫納付はいたしませんでした。 以上をもちまして、昭和五十三年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。
○國場委員長 次に、渡邊日本開発銀行総裁。
○渡邊説明員 昭和五十三年度における日本開発銀行の業務の概要について御説明申し上げます。 まず、五十三年度資金の運用計画は、当初計画九千百三十億円と補正追加九十八億円の合計九千二百二十八億円を予定しておりました。 これに対し、五十三年度中の運用額は、貸付実行額が五十二年度中に貸付承諾をした一千五百二十二億円を含め九千八百四十四億二千三百万円となっており、また、特定不況産業信用基金への出資が八十億円あり、合計九千九百二十四億二千三百万円となっております。 これの項目別内訳は、都市開発一千七百五十七億四千五百万円、地方開発一千五百億円、国民生活改善一千七百八十二億一千四百万円、資源エネルギー二千七百三十四億五千六百万円、海運三百三十一億三千八百万円、技術振興一千二百九十億四千五百万円、その他五百二十八億二千五百万円であります。 以上の五十三年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金四千八百二十八億円と貸付回収金等五千九十六億二千三百万円をもってこれに充てました。 次に、五十三年度の貸付運営の特色を申し上げますと、 一、都市開発については、都市交通の整備改善、市街地の開発整備及び流通機構の近代化に寄与する事業等に対する融資を引き続き拡充したこと。 二、地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため融資を引き続き強化するとともに、地方都市の機能整備、地方適地産業の育成、工業拠点の開発整備について特に留意したこと。 三、国民生活改善については、環境保全の観点から公害防止の推進を図るとともに、ビル防災、コンビナート防災等の推進のための安全対策設備に対する融資、都市ガスの高圧、高カロリー化設備に対する融資及び食品供給体制の近代化のための融資についても引き続き拡充を行ったこと。 四、資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、石油の民族系企業育成強化を図るための融資、石油備蓄タンクに対する融資、水力発電、液化ガス発電等エネルギー源多様化を図るための融資のほか、資源エネルギーの有効利用と産業の省資源、省エネルギー等を促進するための融資を積極的に行ったこと。 五、海運については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から計画造船による外航船舶の建造に対し引き続き融資を行ったこと。 六、技術振興については、わが国自主技術の開発促進及び技術水準の向上を図るため、引き続き国産技術振興融資、電子計算機振興融資等を行ったこと。 七、その他については、新たに不況産業の事業転換融資を行う一方、引き続き工場分散、海洋開発及び福祉関連機器振興等の融資を行ったこと、また、構造不況業種の構造改善を進めるため、特定不況産業安定臨時措置法に基づき、特定不況産業信用基金の設立に際し八十億円の出資を行ったこと。などが挙げられます。 次に五十三年度における既往貸し付けの回収は、外貨貸付金の回収二十二億七千三百十九万円余を含めまして五千五百二十七億八千九百四十五万円余となっております。 また、このほか、国内資金貸付金について十四億四千四百九十六万円余の債権償却を行いましたので、五十三年度末における貸付残高は、国内資金貸し付け四兆五千二百七十一億五千百五十六万円余、外貨貸し付け百五億二千百八十二万円余の合計四兆五千三百七十六億七千三百三十八万円余となりました。 貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十三年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は三百五十五億九千六百八十万円余で、前年度末に比して三十七億六千六百八十三万円余の増加となっております。貸付残高に対する割合は、前年度末と同率の〇・八%となっております。 また、五十三年度において、外貨債務の保証を行いました額は、航空に対する八十一億八百二十五万円余であり、年度末保証残高は二千四百九十三億九千七百九十九万円余となっております。 最後に、五十三年度決算の概要について説明いたしますと、三百八十億七千三百八十八万円余の純利益を計上し、このうち三百十七億六千三百七十一万円余を法定準備金として積み立て、残額六十三億一千十七万円余を国庫へ納付いたしました。 以上、五十三年度における日本開発銀行の業務の内容につきまして御説明申し上げた次第でございます。
○國場委員長 次に、竹内日本輸出入銀行総裁。
○竹内説明員 昭和五十三年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要を御説明申し上げます。 まず、昭和五十三年度は年度当初の事業計画において一兆四千三十八億七千五百万円の貸し付けを予定いたしました。 これに対し昭和五十三年度の貸付額の実績は一兆三千四百四十四億二百九十八万円余で、年度当初の事業計画における貸付予定額を四%程度下回りました。なお、この昭和五十三年度の貸付額を昭和五十二年度の貸付額九千三百七十八億一千八百九十万円余に比較いたしますと四三%程度の増加となっております。 以下、昭和五十三年度の貸付額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。 まず、輸出資金の貸し付けは四千百九十九億八千八百七十万円で、昭和五十二年度の五千三百八十九億二十五万円に対し一千百八十九億一千百五十五万円の減少となりました。これは、プラント輸出に対する貸し付けは微増したものの、船舶輸出に対する貸し付けが低調に推移したことによるものであります。 次に、輸入に必要な資金の貸し付けは五千八百九十八億一千六百五十七万円余で、昭和五十二年度の七百六十一億百二十一万円余に対し五千百三十七億一千五百三十五万円余の増加となりました。このように輸入に必要な資金の貸し付けが著増したのは、昭和五十二年十二月に発足した緊急輸入外貨貸付制度に基づく貸し付けが五千七百五十一億八千三百二十四万円余に達したことによるものであります。 また、海外投資資金の貸し付けは九百七十七億四百十九万円余となり、昭和五十二年度の八百五十六億八千三百三十七万円余に対し百二十億二千八十一万円余の増加となりました。 このほか、外国政府等に対する直接借款に係る貸し付けは二千三百六十八億九千三百五十一万円余で、昭和五十二年度の二千三百七十一億三千四百五万円余に対し二億四千五十四万円余の減少となりました。これは、バイヤーズクレジット・バンクローンについては大型案件に係る貸し付けを中心に増加を示した一方で、政府ベース借款が減少したためであります。 以上の結果、昭和五十三年度末の貸付残高は四兆七千八百八十三億九千三百七十七万円余となっております。 昭和五十三年度の貸付資金の原資といたしましては、産業投資特別会計からの出資金二百五十億円、資金運用部資金からの借入金三千六百三十億円、外国為替資金特別会計からの借入金五千七百五十一億八千三百二十四万円余のほか、自己資金等三千八百十二億一千九百七十三万円余をもってこれに充てました。 以上申し述べました業務の運営により、昭和五十三年度の一般勘定の損益計算上における利益は三千七百八十六億七千五百五十一万円余、これに対し損失は三千七百八十六億七千五百五十一万円余となり、当年度は利益金を計上するには至りませんでした。 なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、昭和五十三年度の特別勘定の損益計算上一億一千五百六十一万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積み立てました。 以上、昭和五十三年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、御説明申し上げました。
○國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○國場委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。植竹繁雄君。
○植竹委員 五十三年度決算について質問申し上げるわけですが、まず、本年七月鈴木内閣が発足いたしまして、この内閣の基本方針として、二十一世紀の足固めとして財政再建をしようとしておられますが、五十六年度予算がゼロベースというきわめて厳しいものがあるわけでございます。しかしながら、わが国の景気というものは、九月期の中間決算では、大型企業では非常に好況決算でありましたけれども、中小企業の方は住宅投資の低迷や在庫調整の長期化等によりましてきわめて厳しい状態にあるわけでございます。企業の倒産も、五月には危機ラインと言われる千五百件を一カ月超えまして、自来八月まで連続千五百件以上、また九月には千六百七件、十月には千六百六十八件というふうにきわめて中小企業にとっては厳しい状況にあるわけでございます。 こういう状況であるので、政府当局においても先般、公定歩合の引き下げ等によりまして対策等をやっておられますけれども、年末を控えまして、通産当局も考えておるところはありますけれども、財政当局としてどういうようなことを考えておられるか伺いたいと思います。
○保岡政府委員 お答えいたします。 最近の経済情勢を見ますと、物価については、卸売物価は安定した動きを続けておりますし、消費者物価も落ちつきの傾向が定着し始めたものと見られます。 他方、景気については、拡大テンポの鈍化が依然続いております。すなわち、設備投資や輸出は堅調に推移しているものの、消費者物価や冷夏等の影響により個人消費が鈍化しており、また住宅投資も停滞気味に推移をいたしております。こうした背県のもとに在庫調整が続いており、生産、出荷の基調も弱含みで、先生御指摘のような景気のかげり現象も出てきております。 今後については、在庫調整の終了とともに生産は上向くであろうと思いますし、また設備投資は伸び率が若干鈍化することはあっても堅調さは依然として続くものと考えられます。さらに、消費者物価の安定に伴って個人消費が回復してくることが期待できますので、景気の方は次第にまた回復、拡大をしていくものと考えております。 今後次第に景気が拡大していく勢いが来年度につながっていくことを期待をしておりますが、来年度の経済見通し作業については、いまのところ事務的に詰めておる最中でございますので、ここでお答えすることができないところでございます。
○植竹委員 また、五十六年度予算、これは二兆円という国債減額を鈴木内閣の基本方針としておられますが、五十九年度まで毎年、七兆五千億に対する二兆円減額。この歳入につきましてちょっと伺いたいのですが、これは国有財産の売却やあるいは自然増収の四兆三千億というものを考えても、なお国債の利子の利払いやあるいは地方交付税などの増額によりましてとてもこの歳入ではカバーはできない。そういうことになりますと、これを国債ではもちろん考えられないということになれば、これは増税しか考えられないのじゃないか。巷間、物品税に対する増税は必至だ、あるいは法人税あるいはその他の大型消費税等がいろいろ言われておりますが、この点について大蔵御当局の御見解を伺いたいと思います。
○梅澤政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘になりましたように、五十六年度の予算編成に当たりまして歳出削減に歳出当局でいま鋭意作業を進めておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、国債の二兆円の減額等々を考えました場合に、どうしても歳入が不足するということも当然想定されるわけでございまして、その場合にはやはり増税を、現行の税制の枠内での増収措置を検討せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。 ただ、具体的にどういった税目でどういった内容の増収措置を講ずるかということにつきましては、ただいま申しました全体の予算のフレームと申しますか、お願いしなければならない増収の規模が具体的にまだ固まってまいっておりません。したがいまして、今日の段階で、どういう税目でどういう措置をとるかということを申し上げる段階にはないわけでございますけれども、御案内のとおり、先般答申が出されまして、政府の税制調査会から出ました答申の中で、各税目につきまして詳細な検討が行われておりますので、私どもといたしましては、あの答申の趣旨を踏まえながら、今後政府の税制調査会などにもお諮りして、具体的に五十六年慶の税制改正の作業に取り組むという段取りになるということでございます。 繰り返して申し上げますが、そういう事情でございまして、今日の段階でまだ具体的なことを御報告申し上げる段階にはないということを御了承賜りたいと思います。
○植竹委員 そうしますと、税制調査会で結論が出るまではどれをするかということはわからないということですが、増税するということには間違いないのでございましょうか。
○梅澤政府委員 現在までの作業の過程では、既存の税制の枠内で何らかの措置をお願いせざるを得ないのではないかということは申し上げられると思います。
○植竹委員 それでは次に、財政投融資の件について質問いたします。 昭和四十八年の第一次石油ショック以来、わが国の経済は、高度成長政策より安定成長へと政策の転換を行い、今日の繁栄をもたらしたわけでありますが、この中で財政投融資の果たした役割りというものはまことに大きいものがあるわけです。しかしながら、依然として高度成長時代の惰性というか、その形態は相変わらずのあり方で、現在の経済が一つの壁に行き当たったという点について問題があると思います。 そもそも、財政投融資の本来の姿というのは、国民経済全体の中から、そのニーズに従って総枠どのくらいの資金量が必要かということで決定されねばならないと思うのです。現状では、逆に郵便貯金、厚生年金の余裕金など、年々膨張する資金源に沿って、これにあわせて、その投融資先を年々拡大していくだけの、つまり資金があるから使えるのだというような惰性で投融資が行われているというのが現状でないかと思うのです。この民間の資金量が少なかった昭和三十年代の半ばごろまでは、財政投融資は電力、海運、石炭で総貸付額の八五%ぐらいを占めておりましたが、基幹産業の育成強化に大きな役割りを果たしてきたわけでありますが、その後四十年以降になりますと、財政投融資の対象というのはエネルギーや都市開発あるいは国民生活の改善という公共投資に向けられまして、また大きな役割りを演じてきたわけです。しかし現在、今日では情勢が変わりまして、民間の資金の蓄積は昔と違って非常に潤沢になってきたわけであります。もちろん、技術の開発、中小企業、農業などで特別に低利な資金を必要とする部門があるわけでありますが、これはあくまで民間の補完的な役割りを果たすのが財政投融資の本来の姿であると考えるわけです。 公共投資で財政投融資の対象になり得る部門ももちろんありますが、ここで一番ネックになっているのは、何といっても高度成長期を通じまして起きた土地の価格の上昇であるのではないかと思うわけでございます。しかしながら、いずれにしろ、財政投融資の資金源の年々の膨張に対応しては、投融資先の拡大の国民経済的なニーズが起こっていないところに現在の問題が生じておるのではないかと思うのです。 五十三年度は十四兆八千八百億円余、五十四年度は十六兆八千三百億、五十五年度は十八兆一千八百億となっております。そして五十三年度の財政投融資を見ますと、国民生活の充実という観点から、景気の回復ということで、住宅、生活環境整備、文教等、国民生活の向上と福祉の充実を目的に大型予算を組んだわけでございますが、そのうち住宅対策として前年比二〇・八%増、三兆六千七百億の財政投融資を計画して、特に住宅金融公庫につきましては、前年度に比しまして十六万戸増の五十五万戸の貸し付けを考えておりまして、さらに日本住宅公団では、一般貸付枠をこれも四九%ぐらい拡大し、住宅対策を検討しましたのですが、しかし実際に当初組まれました予算、たとえば住宅金融公庫では、二兆二千三百億の当初予算のうち二兆一千六百億しか使われておらないのでございます。また、住宅公団では、九千六百億の予算のうち実績は五千八百億で三千八百億が不用となっております。先ほどの住宅金融公庫では七百億が不用になっておるわけでございます。また日本輸出入銀行等は、八千八百六十億のうち実際に使われました量は三千八百八十億で、約五千億も不用となっておるわけでございます。さらに開発銀行におきましても、五千九百億のうち五千三百億が使われ、六百億が不用になっており、石油公団におきましてもまた八百億のうち四百億しか使われない、五〇%も不用の金が出ておるわけであります。またさらに地域振興公団の六百二十億の予算のうち、実にこれは四苦六十七億円というものが不用となっておるわけでございます。そして、この五十三年度全体では一兆五千億円、全体の八・五%というものが使われないままになっておるわけでございます。当初この五十三年度予算というものは、景気の回復ということで大型予算を組まれましたが、重点的な施策をとったこういう産業に対しましてもこれほど不用の金が残ったということはどういうことか、この点につきまして大蔵御当局の御見解を伺いたいと思います。
○渡辺(喜)政府委員 財政投融資計画の策定に当たりましては、もちろんそのときどきの経済情勢でございますとか、金融事情とか、もろもろ勘案いたしまして、資金の最も効率的な配分ということに心がけてまいっておるわけでございます。 したがいまして、先生御指摘のように、財投計画というのは昭和二十八年度から始まっておるわけでございますが、当初におきましては基幹産業というものに非常なウエートを置いてやってまいったわけでございますが、その後の経済情勢の変化に対応いたしまして、最近におきましてはむしろ生活環境基盤の整備というふうなことにウエートを次第に移してまいっておるわけでございます。 ただ、財投の原資というのは郵便貯金が主体でございまして、さらにそのほかに年金資金等があるわけでございますが、一般会計等と違いまして、ある意味ではこれは受動的な資金でございます。集まってきた資金をいかに効率的に使っていくか、こういうところに主眼があるわけでございまして、政策的需要に応じて原資自体をふやしたり減らしたりするというふうな面はきわめて乏しいわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、何よりもまずこの集まった原資をできるだけ有効に活用したい、こういうことで対応してまいりました結果、いま申し上げましたように、経済の実態に応じた変遷を経てきておるという現状であるわけでございます。 御指摘のように、五十三年度におきましてはかなりの額の不用繰り越しを発生いたしておるわけでございます。ただ、財投の運用先というものは、どうしても経済情勢等の変化を大きく受けやすいプロジェクトが多いわけでございます。したがいまして、この繰り越し不用というものを全く出さないような運用というのはきわめてむずかしいわけでございますが、しかし、その中におきましてもできるだけそういうものを少なくしていくというのが効率的な資金運用でございますので、そういうことに努めてまいっておるわけでございますが、五十三年度につきましては、御指摘のように、民間経済が非常に沈滞しておりました中で需要を喚起したい、こういう政策目的に沿った財投計画を組んだわけでございますが、その後の経済情勢の変化、金融の非常な緩和というふうなことを受けまして資金需要が沈滞し、あるいは繰り上げ償還というふうなものが非常に出てまいりまして、資金に繰り越し不用というものが発生したわけでございます。その後そういう面につきましての努力をいたしてまいっておるわけでございまして、五十四年度につきましてはおおむね不用等は前年度の不用額を半減するというふうなことになっております。 しかし、まだ依然として不用額等もかなりの額でございますので、さらに五十五年度、今年度の計画実行あるいは来年度の計画作成というものを通じまして、できるだけ不用繰り越し等が生じないような努力を重ねてまいりたいと考えておるわけでございます。 ただ、その繰り越しにつきましては、実はこれは大部分が地方公共団体において発生しておるわけでございます。地方公共団体は出納整理期間というものがございまして、大体長期の起債等はこの出納整理期間に行うというような事情にあるわけでございます。財投の面からいきますと、三月を越えて四月、五月というのはこれは繰り越しになるわけでございますが、地方財政の方から見ますと、これは出納整理期間の中でございますので、必ずしも繰り越しということではないわけでございます。現に繰越額の大部分、地方公共団体の繰り越しはほとんどが四月、五月には支出されておる、こういうふうな事情にあるわけでございます。 問題は不用の方でございますが、不用の方も、先ほど御指摘がありましたように、相当部分というのは輸出入銀行において発生しておる。これは何といっても相手のある仕事でございます。発展途上国、中国でございますとかあるいはイラン、イラク等、あるいはまたソ連関係の案件等々、相手国の経済事情の変化あるいは政治情勢の変化等によって、出初計画したような支出がなかなか出ていかないという面があるわけでございます。そういうことはございますが、なお一層そういうところを十分精査いたしまして、今後とも繰り越し等が発生しないような努力は続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○植竹委員 いま財投の目的がプロジェクトによっていろいろと投資されているというお話でございましたが、しかしながら、本来の財投の目的というのは、やはり性格上、産業基盤の投資、社会開発等、そういうものが政策金融の基本でなければならないということじゃないかと思うのです。そして民間の企業に対する補完的な役割りを果たす。しかしながら、昨今開発銀行あるいは北東公庫等が出しておるように、財政投融資の資金量の拡大がホテルやスーパーというような、本来なら民間部門で資金調達がされるところまで圧迫してきているのではないか、こういう点についてちょっとお伺いしたいと思うのでございます。 さらにもう一点。財政再建が言われておりますとき、あるいは不用になった金も、そのときの相手先の関係で不用になることもあるというお話でございますが、一般会計予算では財源がない、しかし財政投融資面では金が余っておるというこの現状を考えましたときに、財政投融資のあり方というものをこの辺で再検討される時期じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。 私は、この点につきましてもちょっと御意見を申し上げたいと思いますが、高度成長を通じまして国民生活水準が向上し、それに比例して貯蓄水準というものも非常に高まっているわけでございます。しかしながら、郵便貯金や簡易保険などはいままでどおりに活発な勧誘が行われている、そうしまして民間企業などを非常に圧迫しておる。これは直接財政投融資には関係ないにしましても、こういうようなことで資金の裏づけができるということはやはり是正すべきではないか。先ほど申し上げましたホテルやスーパーの民間部門を圧迫するということと同じように、やはり郵便貯金や簡易保険というものは本来の姿であってしかるべきではないかと思うのが第二点。 それから第三点は、財投の投融資の相手先を無差別にやるということではなくて、先ほど申し上げました本来の役割りに従いまして選別する必要があるのではないか。それと、大事なことは、こういう財投の問題は資金運用部というところによって運用されるわけですが、資金運用部で国債の引き受けができないものかどうか、この点もお伺いしたい。 もう一つなのですが、特別会計の余裕金や積立金あるいは共済組合の余裕金の一部などまですべて資金運用部に強制的に預託させるような現在のあり方というものは再考できないか。そういう意味におきまして、いわゆる財投のあり方が再検討される時期じゃないかと思いますが、御当局の御意見というものをお伺いしたいと思います。
○渡辺(喜)政府委員 財投に特別会計の余裕金、積立金等を全部集中するという制度になっておるわけでございます。これは国の資金というものはできるだけ統合して統一的に運用するということが一番効率的である。特に国の資金でございますから、公共性というものにかなった運用をしなければいけない。もちろん安全で確実な運用ということは当然でございますが、さらに公共性にかなった運用を図っていかなければならない。経済政策あるいは金融政策等々との整合性というものを十分図りながら公共的な運用を図っていくという面では、各資金、各特別会計等が個別に運用していくというよりはやはり統合いたしまして、統一的な運用を図っていくということが一番効率的ではないか、こういうふうな考え方に基づいて現在の制度はできておると考えるわけでございます。 現在の運用につきましていろいろ御注意いただいたわけでございます。開発銀行あるいは北東公庫等が、たとえばホテル等に融資をしておるというのは民間と競合するのじゃないかというふうな御指摘がございました。開発銀行あるいは北東公庫等の資金運用につきましては、それぞれの政策目的に従いまして法律的に融資分野というものが限定をされておるわけでございまして、ホテルに対する融資というものも決してホテルに融資するという目的ではないわけでございまして、たとえばその地域の開発計画とかそういう法律にのっとりました開発計画を達成するというふうな政策目的に照らして融資を行っておるということであるわけでございまして、私どもは民間と競合して、民間のやるべきものを侵して政府金融機関がやっているというようなことは万々ないと思いますが、今後ともそういう批判を受けることのないようには十分注意をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。 それから国債の引き受けでございますが、御存じのように、昭和五十年度以降国債の大量発行というものが始まっておるわけでございます。民間の金融機関等におきましても、資金事情、金融情勢等のいろいろな変遷がございまして、この大量発行の国債を消化していくということはなかなか大変な現状にあるわけでございます。私どももその辺の事情は十分承知しておるわけでございまして、資金運用部におきましても可能な限り国債の引き受けを行ってまいりたいと考えております。現に昭和五十四年度、五十五年度と国債の引受量を飛躍的にふやしてきておるわけでございます。今年度につきましては当初の計画で二兆五千億円の国債引き受けというものを計画したわけでございますが、年度中さらに七千億円追加引き受けをするという方針を決めております。したがいまして、現在の計画では三兆二千億円の引き受けを行う、こういうことを予定いたしておるわけでございます。 なおまた民間の金融機関の方におきましては、最近の郵便貯金等の伸びが好調であるということでもございますので、資金運用部にさらに国債引き受けをふやしてくれ、こういうような強い要請があるわけでございますが、私ども今後の資金運用部の資金事情等も十分勘案しながら検討を続けておるところでございます。来年度は現在予算編成で二兆円の国債発行枠の圧縮を目途に、せっかく努力をしておるという段階でございますが、総量を圧縮すると同時に、民間の引き受けと運用部の引き受けとの配分というふうなものにつきましても、十分金融、経済情勢あるいは財政投融資の資金事情等を勘案しながら配慮を加えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○植竹委員 よくわかりました。それで、いまお話しのように、特別会計なども総合的に運用されるというお話でございましたが、その特別会計におきまして、積立金として残っているところがいろいろあるわけでございますが、その点につきまして一言お伺いしたい。 それは、外国為替特別会計の貸借対照表において五十三年度では七千四百五十億の外国為替の利益が計上されているわけであります。そして、五十四年に積立金として繰り越されているわけでございますが、前年度の繰越金から一兆一千二百億円と合わせまして一兆八千億のものが五十四年度に持ち越され、これがそのまま資金運用部として残っておる。さらに、五十四年度におきましては、五千百五十六億円の利益が計上され、これもいまと同じようなことでもって合計二兆三千億円の五十五年度への積立金繰越金となっております。さらに、五十五年度の予算では約三千億、二千九百億幾らかの利益というものが見込まれておるわけでございます。特別会計から一般会計へ二兆三千億というもののうち一兆あるいは一兆五千億というものが繰り入れられればもっと効率的な財政のプラスになるのじゃないかと思うわけでございます。外為の会計におきましては、操作上におきまして為替の利益というものは大体見込んでいけるのじゃないか。評価損につきましては、そのときどきの時期において考えられていきますが、これは実際に民間の銀行における評価損とそれから外為会計における評価損とはちょっと異質なものであるのじゃないか。そういう点から考えますと、この資金運用部に預託されております約二兆三千億円の、先ほど申し上げました資金運用部への資金というものを一般会計に回すことができるよう、法律改正できないものかどうか、その点、全般の財政政策の点から考えまして、大蔵当局の御見解を伺いたいと思います。
○大場政府委員 ただいま先生御指摘の外国為替資金特別会計の問題でございますが、五十三年度で見てみますと、御指摘のとおり、積立金が約一兆一千億、それから五十三年度の利益として約八千億、ですから、約一兆九千億近い金があるわけでございます。ただ一方、借り方の方を見てみますと、同じ五十三年度に外国為替評価損、これが実に三兆五千億ございます。と申しますのは、特別会計の経理というのは一般の銀行、会社の経理と違いまして、評価損益は別経理してそのまま残しておく。ですから三百六十円以来三百八円、また現在、きょうは二百十二円ちょっとになっておりますけれども、この間の評価損はすべてそのまま累積して計上していく、こういう立て方になっておるわけでございます。ここが会社、銀行ですと各決算期ごとに処理するわけでございますが、そういう考え方はとっていないわけでございます。したがいまして、この会計は実質的には三兆五千億の累積評価損がございますものですから、いま御指摘の一兆九千億を引きまして、実質的には一兆六千億の損を持っている会計である、このように御理解いただきたいと思うわけでございます。 将来、為替評価損を上回るような積立金ということもないわけじゃないと思うのです。仮に将来そのような事態になったときのことを考えてみました場合にこの会計がどう対処していくかという問題ですが、この会計は為替の平衡勘定——平衡勘定と申しますのは、ドルが安いときにこれを買い入れ、ドルが高いときにはわれわれの方でドルを供給する、ドルを市場に売る、こういうような操作をしておるわけです。こういう平衡勘定を管理する会計ですので、ある年には決算上剰余が出る、ある年にはまた不足が出る、こういうことでございますから、積立金を国庫に納付するということはちょっとできない会計でございます。また、先ほどからるる申し上げさせていただいておりますように、現在は評価損三兆五千億に対しまして一兆九千億という積立金及び利益でございますので、実質損の状態では国庫納付はできない、このようなことを御理解いただきたいと思います。
○植竹委員 いまの三兆五千億という点はわかりましたけれども、五十四年度には今度は九千百億の益も出ておるわけでございます。それもわかっておりますが、いまのお話で基本的にはわかりました。 もう時間もないのですが、最後にちょっと納付金制度についてお伺いいたします。 現在政府関係の出資法人が百五のうち納付金制度をとっているのは三十三件、そして実際に納付しているのが六件、全然納付してない法人が七十二あるわけでございますが、財政再建、財政欠乏の折から、この納付金制度全般のあり方について当局の御見解を伺いたい、かように思うわけでございます。
○西垣政府委員 お答え申し上げます。 特殊法人の納付金という御質問でございます。先般の「今後の行政改革に関する基本的な考え方」にも示されておりますけれども、特殊法人につきましてはその「経営基盤の強化に配意しつつ、財務の厳正化を図る観点から経営の実態を見直し、」あわせて「赤字国債の縮減に資するよう、国の歳入増加を図るための所要の措置を推進する。」こういう方針でございまして、私どもはこのような考え方のもとで具体的には行政管理庁等とも十分協議を行いながら、電電公社を初めといたします特殊法人につきまして十分な検討を重ねながら、五十六年度予算編成過程を通じまして極力歳入の増加を図り、そうして財政再建にも資するということで、それぞれの方策につきまして検討を進めているところでございます。いまそういったことで検討の過程でございますので、具体的なことを申し上げるのはお許しいただきたいと思います。
○植竹委員 質問を終わりますが、五十六年度予算はきわめて厳しい予算となります。しかし国民経済全体というものの先行きはなお非常に暗いものがあるわけでございますから、この少ない予算の中からも効率的な運用をもって国民全体の景気上昇という点を考えながら取り組んでいただきたいとお願いする次第でございます。 ありがとうございました。
○國場委員長 原田昇左右君。
○原田(昇)委員 まず、来年度の予算編成に関しまして昨日新聞で報道がなされております。予算規模が四十六兆五千億円ぐらいになるだろうというようなことに報道されておりますけれども、どういうようにお考えになっておるか。
○保岡政府委員 先生御指摘の読売新聞や朝日新聞等の昨日の報道は、これはもう憶測に基づくものと思われまして、当局がコメントしたものではございません。 五十六年度予算編成においては公債発行額を二兆円程度縮減することを目途として作業を進めております。このため、まず歳出の厳しい洗い直しを進めることが必要だということで、歳出の抑制を徹底的にする。その歳出の抑制については、いろいろ必要なものも、意義のあるものもあると思いますけれども、このような異常な大量公債発行下においてなお行うべきかどうかについて十分検討するという態度で臨んでおります。したがって、歳出の全般にわたる厳しい洗い直しを進めることになりますが、そういうことから、従来実施してまいりました水準を維持することが困難となったり、あるいは例年であれば改善を続けてきたもの等についても改善を見送らざるを得ないというものも出てくると思いますが、財政再建をするためにはそのような措置もあえて行わなければならない状況でございますので、御理解を賜りたい、このように思っております。 こうした検討の結果、五十六年度の一般歳出の規模が最終的にどのような規模になるかということについては、まだその作業を全力を挙げて進めている途中でございますので、現段階においてこれを申し上げることはできないという状況でございます。
○原田(昇)委員 いま正確にどうするかということを申し上げることはできない、これはそのとおりだと思いますけれども、新聞に伝えられておるのはかなり真実だと思うのです。自然増収が、結局国債減額の二兆円、これに食われ、そしてさらに地方交付税と国債の元利償還ということになれば、大蔵省はこの前出してこられたゼロベースということになる、こういうことだと思うのです。 そこで、まず二兆円の国債減額についてでございますが、これは財政再建を意図する政府として断固としてやるのだという姿勢はりっぱだと思うのですけれども、われわれ承知しておきたいのは、一体財政再建ができ上がった姿というのはどういうことを言うのか、ここではっきり伺っておきたいのです。赤字国債を発行しない状態なのか、もう七十一兆もある借金の中にも赤字国債が相当ありますけれども、これがだんだん減っていくという、それがゼロになるまでは財政再建と言わないのか、どういうことを財政再建の状態とおっしゃるのか、ひとつはっきり教えていただきたいと思います。
○西垣政府委員 お答え申し上げます。 現在の財政が大変な公債依存である、これは大変なことでございまして、一日も早くこの公債依存体質から脱却しなくちゃならないということでございます。その中でも特例公債が五十五年度におきましても七兆五千億も発行されるというような状況でございますが、五十年度から発行されました特例公債の償還が六十年度には始まるということでございまして、私どもといたしましては五十九年度までに特例公債をゼロにするようにしたいということを財政再建の当面の目標としているわけでございます。
○原田(昇)委員 そうしますと、五十九年までに特例公債ゼロにしようということで、その初年度としての二兆円だ、こういうように了解してよろしいわけですね。 そこで、自然増収について四兆五千億ぐらいのものが大体考えられておると思うのですけれども、これも来年度予算の編成の前提としての経済成長率をどう考えるかということによってかなり変わってくる。それから税をどういうふうに考えるかによってかなり影響があるというように考えますけれども、まず経済成長率の問題ですが、どのぐらいに考えておられるのか。一説によると名目一〇%ぐらいだというようなことも聞いておりますが、この点どうでしょうか。
○保岡政府委員 来年度の税収見積もりというものは、その見積もりをする時点までの課税実績を基礎とするということと、もう一つ、いま先生御指摘のように、経済見通しをどう考えるかということによって決まってくるものでありますが、いま来年の経済見通しについては事務当局でいろいろな諸表について詰めて検討を進めているところでありますので、現在の段階でお答えすることはできない状況でございます。
○原田(昇)委員 これがはっきり決まりませんと、増収率も決まってこない。そこで、私はやはり来年度の予算編成で、景気を振興しながら増収を図っていくということは一方であって、それと同時に歳入不足をどうしてもある程度増税というか、現行税制の枠内で税収を図るという両方二律背反的なことをやらなければならないわけですね。その辺どういうようにしてうまくこの連立方程式を解いていい答えを出していくかということが非常に大事だと思うのですが、その点についてどういうようにお考えになっていますか。
○西垣政府委員 お答え申し上げます。 現在私ども予算の編成作業を進めているところでございます。先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、五十六年度予算につきましては公債の二兆円を減額するということを目途としてやっているわけでございますが、夏季点検作業、サマーレビューの際に示しております枠組みからもわかりますように、自然増収だけで予算を組むということになりますと、国債費の増額それから地方交付税の増額で二兆円の減額をした後の財源はほとんどなくなってしまう、こういう状況でございまして、あらゆる政策経費を含めた一般歳出の伸びがゼロになってしまう。その中でどうしたらいいかということでいま作業を進めておるところでございます。その過程におきまして、いままでの行政水準をあるいは下げなくちゃならないかもしれない、あるいはいままでのような増額ができないかもしれないというようなことの中で、どれだけ縮減ができるかという作業を進めているわけでございますけれども、どうしても縮減しきれないものが残りましたときに、自然増収で見れないものが残った場合には税制改正ということもお願いしなくちゃならないということで、私どもといたしましては、いまそのめどを出すべく作業を進めている、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○原田(昇)委員 そこで、いま新聞等によると、一兆円程度の増税が必要じゃないかということが取りざたされておりまして、大蔵大臣はいろいろな場所で法人税あるいはその他の増税が必要だ、こういうことを言っておりますけれども、どういう税目について考えておられるのか。増税するとすると、法人税のほかに印紙税とか酒税とか、そんなことになってくるのだろうと思うのですが、この辺はいままだ詳細は言えないということだろうと思いますけれども、これは相当考えないと、一兆円ぐらいの財源は出てこない。 それから、いまのお話で、何か余りはっきりしないわけですが、もう一方において景気を維持し、発展させていくには、ことし現実において、先ほど植竹委員からの発言にもありましたように、いま非常に悪くなってきておる。このまま行ったら、来年大変だぞ、相当浮揚力をつける必要がある、それには公共事業の執行率等をこの前三〇%、十—十二月でふやすのだと言ったが、ところが実際に見ておりますと、その執行率が前年度に比べて余り高まっていないのですね。それから住宅投資については、なお悪い、非常に悪い。そういうようなことで景気はだんだん冷えてきておるというのが実態ではないか。景気対策について相当考えていかなければならぬし、来年度の増収を期する上から言っても、また日本経済の健全な発展を期す上から言っても、実質五%ぐらいの成長率は維持できるようにしていかなければならぬ。いまのままだったら三%も切ってしまうのではないか、こういうような感じがするわけです。こういった点について、もう少し突っ込んで話を聞かせていただけませんか。
○水野政府委員 お答え申し上げます。 去る九月五日、経済対策閣僚会議が開かれまして、第三・四半期の公共事業執行額を対前年度三〇%増にするということを決定し、現在実行しておりますのは、先生御指摘のとおりでございます。 また、そのほかに、日銀も……(原田(昇)委員「いや、そんなことを聞いているんじゃないのだ。もっと端的にやってもらわぬと……。そんなことはわかっておる。」と呼ぶ)はい。経済の拡大テンポが若干鈍化しておるということでございますけれども、在庫調整も進み始めておりますし、それから物価が鎮静し始めております。それにのっとって、個人消費も出てくることを期待しております。そういった観点から、設備投資なんかについても若干鈍化のところは見えておりますけれども、公定歩合なんか下げておりますので、それを通じまして民間の活力が上昇していくことを期待しております。 先生いまおっしゃられました来年度経済見通しについての数字はまだでございますけれども、そういったものを絡ませて活力増進を生みつつ、今後政策を実施していく、こういうことでございます。
○原田(昇)委員 時間もありませんので、もう少し簡単にお答えいただきたいのですが、来年度の景気見通しは作業中だというのはわかるけれども、私が言っているのは、公共事業の執行率が非常に低いぞ、住宅投資もうんと落ち込んでいるぞ、そういったのに対して対策を講じないと、来年度は、景気がいま大変な勢いで下降線をたどっておるから大変だよということを御指摘申し上げたわけだ。それに対していまの答えじゃ何にも答えになっていないよ。
○保岡政府委員 原田先生御指摘のような、公共事業等の執行面で経済に悪い影響が出ているということについては大蔵省としても十分注意をして、今後の執行の面についてどうするかということをまた本年度末には考えなければなりませんので、その際十分考慮して検討したいと思います。
○原田(昇)委員 政務次官に申し上げますが、今年度末なんかに考えたのではだめなんですよ。景気対策をもっと早くやってもらいたい、もう少し検討してもらいたい。一刻でも猶予しておったら年末が越せないのがたくさん出てくるわけだから、それはもうぜひやってもらいたい。御答弁は要りません。 それからもう一つ。そういう面で、一般的に政府の景気に対する対策が少し手おくれになっておるし、少し楽観に過ぎるのじゃないかということを私は感じておるわけです。ぜひこれは御検討いただきたいと思うのですが、そのほか、来年度の予算の場合に、確かに増税もある程度必要かと思いますけれども、景気対策の面から言うとやはり増収を図らなければならないわけですから、景気を維持するにはある程度投資減税というものを導入する必要があるのじゃないか。つまりもう財政は窮屈で、財政投資をふやすことによって景気の振興を図る力がなくなってきておるわけですから、民間の投資によって景気を浮揚させることが必要だと思うのです。それは金利を下げるとかあるいは民間の財源をつけてやる、力をつけてやる。そうすると投資減税とかいうことも非常に大事じゃないか。 それから銀行の資金量をふやすには、資金運用部資金で国債を相当抱えてもらって、ことしもかなりおやりになっておるようですが、私は郵貯や厚生の保険料の伸びというのは相当なものだと思うのですね。そこで、先ほど植竹委員が御指摘になりましたけれども、財投の原資についてはかなりのものを見込めると思うのです。そういう原資が民間投資の促進になるような形、あるいは政府関係機関で財投によってかなり投資ができるような形、そういったものをぜひ考えていただきたい。 それから同時に、財投の不用額というのが五十三年度の決算でも一兆三千億ぐらいありましたね。そういったのを五十四年度決算、五十五年度決算でどのくらいのものを考えておられるかまだつぶさでないのですけれども、かなり不用額が生じておるというのが実態でございます。きょうは時間がありませんからこの議論はしませんけれども、しかし、そういったものも少し考えていただいて、できるだけ当初からその辺を見通していただいて大いにこれを活用していただく、死に金にしないようにひとつしていただけないか。そういうことによって民間の活力を増すことが非常に大事じゃないかと思うのです。 それからそのほか、先ほど特殊法人とか何かの剰余金を吸い上げる方法とかいろいろなことが言われておりますけれども、同時に特別会計の剰余金とか国有財産の処分といったようなものも御検討いただく必要があるのではないかと思いますが、そういうことによって民間経済に余りインパクトを与えるような増税というのをできるだけ避けていただいて、そして景気対策を配慮しながら自然増収するということを考えて財政再建の目的を達していくことが必要ではないかと思うのです。同時に、もちろん補助金の整理とか行政改革とかこれは徹底的にやるということによって財政再建の実を上げていくということが必要であることは言うまでもございませんけれども、そういった点について私の考え方をいま申し上げたわけでございますが、これについてひとつ政府側のお答えをいただきたいと思います。
○保岡政府委員 まず、先生先ほどからおっしゃっている公共事業の執行やその他できるだけ経済を拡大して自然増収を図ってできるだけそれで賄っていくこともあわせて考えていけ、こういう御指摘だと思いますが、確かにそういう点で大いに大蔵省としても期待をいたしたいと思いますけれども、一方で、先生御承知のとおり、物価をきちっと安定させて物価の上昇を抑えていくということ、国民総需要に個人消費の占める割合が五二%で非常に大きいということで、個人消費を伸ばすということが経済回復、景気対策の基本であるという認識をまず持って臨まなければならないので、その点を基本として、物価に悪い影響を与えない範囲でできるだけ経済を拡大して自然増収を図るということはやはり政府としても基本的には大事な態度だ、こういうことでやっておるつもりでございます。 あとの点については事務当局から御返事をいたします。
○渡辺(喜)政府委員 資金運用部の原資が最近郵便貯金の好調を主因にいたしまして相当潤沢になっておるのではないかという御指摘でございます。おっしゃいますように、四月から十月までで大体郵便貯金が五兆八千億円弱くらい入ってきておるわけでございます。五十五年度年度間の計画におきましては七兆九千億を見込んでおるわけでございますが、それに対して十月までで五兆八千億弱入っておるという状況でございます。こういう状況が仮に続くといたしますと、年度間に恐らく一兆を超えるくらいの増収がある、こういうことになろうかと思いますが、ただ、問題は、郵便貯金の一番大きく入ります月というのは十二月、一月でございまして、この十二月はたまたま金利の変更というふうなこともございましたので、いままでの状況がさらにこの金利変更後も続いていくかどうかというところは十分注意して見ていかなければいけないと思っている次第でございます。したがいまして、まだ本当に一兆を超えるような自然増収があるのかどうか確信を得る段階には至っていないわけでございますが、当面できるだけこういう資金は民間に還元していかなければいけない、こういう考え方に基づきまして、すでに、先ほども植竹委員の御質疑にお答えしましたように、七千億の国債を追加引き受けするということでこの自然増加の一部を七千億引き当てる、それからさらに最近資金運用部におきまして民間市場から既発の国債をスワップ取引で五千億円買い入れておるわけでございます。これもまた民間への資金還元ということだろうと思います。ただ、これは短期でございますのは、いま申し上げましたように、これを長期固定して運用するだけの余裕が出ておるかどうかまだ確信が出ておりませんので、とりあえず短期に民間に資金還元をする、こういうことを図ったわけでございます。 それから来年度につきましては、今年度のような好調が果たして持続するのかどうか、この辺の見きわめは大変またむずかしいところでございまして、来年度の資金運用部あるいは財政投融資の資金事情がどうなるかという点につきましては、いま郵政省その他と十分詰めを行っておる段階でございます。
○原田(昇)委員 私は先ほども申し上げましたように、何も民間の投資によって景気振興を図る——もちろん消費のことも大事であるわけでございますけれども、何か物価の点を大変御心配のようでございます。物価については、私は物価を安定することは至上命令であることは同感なんですが、しかし、いま為替レートも幸い非常に円高基調になってきておりますし、物価の点で、いまこの間の第二次オイルショックの影響が一巡してくれば大体これは安定基調にある。もちろん通貨量を非常にふやすというようなことをやるような政策をとれと言っているわけではないので、この点は私の考えておることを誤解されないように、ひとつお願いしたいと思うのです。 そこでもう時間でございますので最後にお伺いしたいのですが、専売公社の剰余金、これは五十三年度の決算で見ますと七千億ぐらい国庫納付があるわけですが、これは五十四、五十五、五十六というのはどういう見通しでおられるのですか。
○西垣政府委員 申しわけございませんが、手元に資料も持ってきておりませんので、また次のチャンスにお答えしたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。
○原田(昇)委員 それならそれで結構です。後で御説明いただきたいと思いますが、問題はなぜこういうことを申し上げたかというと、制度も変わりましたのですけれども、相当やっぱり国庫納付ができる状態ではないか、こういうように思うわけです。ぜひひとつこの点も御検討いただいて来年度予算の編成に当たっていただきたい、こういうことを申し上げて、私の質問を終わります。
○渡辺(喜)政府委員 ちょっと先ほどの答弁を訂正させていただきたいと思います。 資金運用部のスワップ取引は、私五千億と申し上げたと思いますが、三千億の間違いでございました。 それから、先ほどの御質問で不用額等をもっと有効に使えという御指摘がございましたが、五十四年度七千億円強不用額が出ておりますけれども、これは五十五年度の財政投融資の原資として組み込んで有効な活用を図っておるところでございます。
○國場委員長 これにて午前中は終わりといたします。 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後一時九分開議
○國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上一成君。
○井上(一)委員 まず最初に、新聞で報じられるところですが、四十六兆五、六千億円にしたいという来年度の概算数字が出たわけです。非常に財政事情が厳しいという中で、今後のいろいろな公共事業に対する取り組み等について、まず大蔵大臣からお聞きをしたいわけです。 具体的な事例に入ります前に、経済企画庁が発表いたしました新経済社会七カ年計画の二百四十兆円、この基礎というか、この数字に対して、せんだって河本大臣は見渡すというニュアンスで当委員会でもお答えがあったのですけれども、大蔵大臣の見解をまず承っておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 新経済七カ年計画の中で二百四十兆という公共事業をこなすということは、過去二年間公共事業費が余り伸びないということになりますと、残りの五年間で全部こなせるかどうかということになれば、物によっては三五%とか四五%とか年々公共事業費を増加させていかなければならないということになります。現実の問題として、これからの経済見通しがそういうことになるかどうか、まだきちんとしたデータを持っておりませんから私は何とも言えませんが、常識的には非常に無理ではないか、こう思っておるわけであります。経済企画庁がフォローアップ作業をやっている最中でありますからそれ以上は何とも申し上げられません。
○井上(一)委員 ごく常識的な判断で結構だと私は思うのです。それで、そういうことになりますと、やはり関連する公共事業は、その基礎になる二百四十兆が狂っていくと、当然配分もスライドしてダウンしていく、こういうふうにならざるを得ない、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 もし基本的な大もとが動けば、それを構成している部分も動くということは当然ではないでしょうか。
○井上(一)委員 あえてここで当然であることをまず聞いておきたかったわけです。そういう中から航空関連公共事業、なかんずく関西新空港について、この関連でひとつ大蔵の見解を私は聞いておきたいと思うのです。
○渡辺国務大臣 関西の国際空港につきましては、運輸省から要求が出ておりますが、内容は目下鋭意詰めておるところであって、これに対してはいろいろ条件がまだはっきりしない点がかなりありますので、至急に詰まるかどうかもう少しやってみないとわかりません。
○井上(一)委員 運輸省は規模縮小というものをせんだって打ち出したわけなんですね。このことについては、やはり財政問題が大きなネックになってそういう方針を打ち出したと思うのです。大蔵省の方から財政問題にかかわって運輸省の方に大蔵の素案というもの、あるいは意見というものを具申をされて、あるいは何らかの形でパイプが通って、その結果運輸省が縮小案を出してきた。この縮小案についても大蔵は相談にあずかったのかどうか。その点についてもここで聞いておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 こういうような縮小案を出せば認めていただけますかというような事前の話はなかったと思います。あったという話は聞いておりません。
○井上(一)委員 縮小案については全然あずかり知らない、こういうことですか。
○渡辺国務大臣 これくらい縮小すればいいですかというようなことで、事前に相談をして提出されたものではない。これは各省庁が予算を要求する前に、全部一々大蔵省に許可をもらって要求するというものでもございませんし、それは各省がそれぞれ思い思いに要求を出してくるわけでありますから、それをどういうふうに査定をするかということと、要求をすることとはまたおのずから別な問題でございます。
○井上(一)委員 大蔵大臣としては、規模縮小案が出てきたわけですけれども、これをどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○渡辺国務大臣 私は専門家でありませんし、どういうふうに縮小したらばどういうふうなことがあるかという細かい点については当然わかるはずがないので、それぞれ専門の者が大蔵省にもおりますし、いろんな人の意見も聞いてこれから詰めるわけでございますけれども、ただ私が言っているのは、こういうような非常に財政の厳しい折に、伊丹空港の処置をどうするのかというようなこともはっきりしていない、環境問題もどういうふうにするのか、どうもまだはっきりしていないようである、漁業補償の問題の見通しは一体どうなのか、いろいろございます。したがって、われわれはあわててこれをすぐやらなければならぬ、それだけ差し迫った状況にはない。長期、中期展望に立てば新国際空港は私は必要でないなどとは申しません。それは必要だろう。しかし、いま言われるほど差し迫って急に必要なのかどうか、そういうことについてはまだ自信が私の方では持てないわけです。したがって、詳しい説明を聞いた上でないとはっきりした返事はもちろんできません。また漠然と考えた私の頭の中でも、ちょっと無理じゃないかなという気がしているわけです。しかし、専門家の意見を尊重しなければなりませんから、それ以上のことは差し控えます。
○井上(一)委員 大蔵大臣が、漠然とした形の中だけれども無理ではないだろうか、中期、長期展望の中ではその必要性はある。確定したわけじゃありませんけれども、現空港との併用説も論じられてきているわけなんですね。もちろん大前提は現空港の撤去、いわゆる航空公害の観点からも新関西空港ということが出てきたわけですけれども、そういう点については、併用論も論じられていますけれども、大蔵大臣としては、現空港と併用しつつ関西新空港の建設に取り組み、三十年かけると言っているのですけれども、そういうことは一体どないやろ、本当にそういうことがいいのであろうか、あるいはそういうことが大蔵として考えられるのであろうか、これは財政的な問題も含めてですね、そういう点については大蔵大臣いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 建設を終わるまで一部分併用するというふうな話は、正式にではありませんが、聞いたことはございます。しかし、問題は永久に併用するのか、それとも暫定的に、三年とか五年とか併用するのか、そこらのことははっきりしていない。問題は、伊丹空港を閉鎖すると言えば、閉鎖することについてもまた反対だという意見もあるらしい。閉鎖して、じゃ、土地の返還をどうするのか、何に使うのかというようなことなど、もっと基本問題を詰めなければ、先に進むと言ってももう少し基本的な問題を詰めてもらいたいな、そう私は思っておるのです。
○井上(一)委員 そういうことになりますと、現空港の併用論も当然検討しながら最終的にはどうなるのかということの問題がまず先決だ、こういうふうな大臣のお考えだと思うのですが、大蔵の意見として、関西新空港についての運輸省に対する事務レベルでの指導を兼ねた意見がすでに八月に出されているのですが、そのことについては大蔵大臣御承知でしょうか。
○西垣政府委員 サマーレビュー等におきまして、こういった問題につきましても事務的にいろいろと議論しているごとは事実でございまして、その間にいろいろと意見は言っております。言っておりますが、これは事務レベルでの話でございまして、外に向けて御説明をするというようなものではございませんので、ひとつお許しをいただきたいと思います。
○井上(一)委員 いや、私は大蔵大臣にそういうことを御承知なんですかと聞いているのです。
○渡辺国務大臣 要求がございますと、当然応答があるわけですよ。現在も別な案が出されても、当然それに対する応答は、ただ黙って見ているわけじゃありませんから、これはおかしいじゃないかとか、これで採算が合うのかとか、ちょっと根拠がおかしいのじゃないかとか、大蔵省はいろいろやりますからね。金を出す方ですから、はいはいと簡単にすぐ出せないから、そういう応答は当然あったろう。しかしながら大臣に全部報告するような話じゃなくて、そういう応答があったということはただいま聞きました。
○井上(一)委員 ただいま聞きましたということで、いままではなかったということ。すでに何回かそういう事務的なレベルで大蔵の見解が表明されているわけなんです。その中の一つに、いわゆる三点セット、三点合意、本体、アクセス、周辺整備ということが同時でないとという強い要望、強い見解がなされているわけですけれども、大蔵としては周辺整備については後回しになってもやむを得ないのではないだろうかというふうな見解を示されているわけですけれども、そのことについては大臣としてはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。 もっと詳しく言いましょうか。大臣、こういうことなんです。地域整備についてどうするのだ、こういうことに対しての大蔵の見解の中で、前段は別として、「大蔵省の考え方を述べるとすれば、全体の交通壁に対する空港からの負荷量が少ないから、当面は、必要になると思われる道路一本を既定計画の進捗状況を見て空港と結び、鉄道は既存路線から引き込み線を敷くということで対応しておけば十分ではないか。」こういうことがあり、それから下にもあるのですけれども、大蔵省の見解が出されているのです。大百もこの見解を持っていらっしゃるのか、いやそうじゃない、やはり当初の地域整備を抜いての関西新空港の建設は無理だとおっしゃるのか、その点についてはどうですか。
○渡辺国務大臣 これは大臣が決裁をしなければならないような問題までまだ来てないということなんですよ。したがって、今後の事業規模、採算の問題、アクセスの問題、いろいろな伊丹の問題等、まだ判断をするには固まり方が足らない、したがってもう少しそういう問題をきちっと詰めてもらわぬと、最終的にゴーサインを出すとかそういうことを私ができるような状態までまだ現段階ではなっておらない、そういうことを申し上げているのです。
○井上(一)委員 ということは、来年度予算の中に関西新空港の建設にかかわる全体計画の部分的なものとして当然検討に値するというか、その枠の中にもまだ入っていない、こういうことなんですか。
○渡辺国務大臣 それは要求があるわけですから、その要求については限られた時間の中で極力詰めていくということでありまして、最終結論は予算の決定までにはどっちにしても出さざるを得ない、しかし、いろいろ非常にむずかしい問題がたくさんございます、なかなかむずかしいのじゃありませんかということを言っているのであって、まだだめだとは言っていません。だめだとは言っていませんが、非常にむずかしいのじゃありませんかということを言っているのです。
○井上(一)委員 だめだとかだめでないとか、あるいは予算案は来年度はまだ今後の審議があるわけですから、大蔵の腹づもり、冒頭に四十六兆五、六千億円という予算規模にしたいという、これはアバウトな話ですから私は何もこれは固まったものだとは思っておりません。しかしそういう中に関西新空港、この建設という問題が部分的にでも包まれているのかどうか、こういうふうに私は尋ねているわけなんです。いやもうむずかしいのだ、九割方無理なんだとおっしゃるのか、三、四〇%は無理なんだと言われるのか、どうなんですか。
○渡辺国務大臣 これはかなり無理ですね。かなり無理ですが、どういうふうな規模でどれぐらい縮小になるのか、それで実際関連公共だって全然無視して考えられるわけはないのですから、そういうものも含めて全体的に、それはもうやってよろしいとゴーサインを出せるまでの材料が詰まってないのじゃないか、これはまだ全部見ているわけじゃありませんからね、まだ一カ月もあるわけですから、盛んにやるわけですから、その間で詰めるから、最終的に専門家が見て、金もそんなにかからない、環境問題もそんなに問題ない、それから年限もうんと長いし金も幾らもかからぬ、大したことはない、採算も合いそうだということになれば別だけれども、まだ現在の段階ではそれらの大丈夫だという心証を得ていないわけですよ。だから一カ月以内にそれを得られるかどうか、これはもう少しやってみないことには実際のところわからぬですな。正直なところ、そういうことです。
○井上(一)委員 これは長くかかって検討できる性質のものでもなく、地元ではもう来年度予算で幾ばくかの予算を計上してほしいという一つの要望もあるわけなんです。いま大臣から聞けば、これはもう非常にむずかしい、専門家に聞かなければいかない。後で大蔵としての専門家に私はもう少し聞きますけれども、まず大臣として、非常にむずかしいというのは来年度の予算にこれが可能性にしてどれぐらいでしょう。
○渡辺国務大臣 これは中身によりますからね。ここで事務当局がよく検討もしないうちに大臣が先にイエス、ノーをはっきりしちゃって余り政治介入してもいかぬし、だからもう少し詰めてください、だけれどもいまの段階では、すぐに来年着工なんというのはむずかしいですよ、そういうことを言っているのですよ。だから、あと一カ月ありますから、詰まり切らなければもう少し詰めてもらわぬことには困る。ただ、関西新空港は中長期的には必要だろう。しかし、その場所でいいのか、別な場所がいいのかわかりませんけれども、そんなに沖の方でなくていいのか、もっと近くていいのか、いろいろまだ詰め切らぬところがあるのじゃないですか。だから、そういうものも詰めて、なるべく急いで、十二月までには詰めなければならぬ、事務当局は鋭意それをやっておるはずであります。
○井上(一)委員 そこで大蔵大臣、関西新国際空港の資料ということで、阪神沖国際空港の提案ということが自由民主党の航空対策特別委員会から出ているわけなんです。この資料はお読みになられましたか。あるいは知っていらっしゃいますか。
○渡辺国務大臣 私はまだ見ておりません。
○井上(一)委員 これは自民党の航空対策特別委員会から出されたものですけれども、阪神沖国際空港の方が財源的に——いろいろと具体的な数字が書かれているのですよ。われわれ、これは大変失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、これだけの資料は事務レベル、いわゆる大蔵も含めてこういう資料に関与しなければなかなかできませんよね、これは私の判断ですが。泉州沖では関連整備を入れれば金が六兆円以上かかるが、阪神沖じゃ一兆円余りでいけるのだ、こういうことなんですよ。こういう資料がいま出てきた。いま期せずして大臣からも沖合いがいいのか、浜に近いのがいいのか、そういう一つのたとえとしてのお答えがあったもので、こういうことを知っていらっしゃるのか。あるいはこれには事務レベルで、大蔵サイドでは、まとめたというそこまでいかなくても、何らかの相談にあずかったのかどうか。この点についても、ひとつ聞いておきたいと思います。
○西垣政府委員 ただいまの資料につきまして大蔵省事務当局が参加をしてつくったのではないかという御疑問でございますけれども、そのようなことは一切ございませんし、私どもノータッチでございます。
○井上(一)委員 それじゃ今度は大臣、関西新空港については非常に厳しい、そういう前段を踏まえながら、少し財源的なことで尋ねていきたいと思います。 私は、こういう永久的な工事に対しては費用負担というのでしょうか、そういう財政負担の問題についてはやはり世代公平論、いわゆる建設当初の受益者のみに負担させていくということがいいのか。やはり次の世代、後々に続いてくる利用する人たちにも一定の負担をお願いしていく、そういうことも必要ではないだろうか。そういうことから問題になるのは、やはり財投の資金投入が必要になる。このことについてはいかがですか。 私は、本会議でも大蔵大臣には財投のあり方について見直すべきだということを申し上げたのですけれども、関西新空港の建設については世代公平論という見地からも財投を投入していくべきである。そして、財投を投入するにはその安全性と有利性、収支のバランス、そういうことを念頭に置かなければいけない。さすれば、どれくらいが財投の投入し得る限度なのか。私は、こういうことについてひとつ具体的に大臣に聞いておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私どもはまず、建設の必要性があるかどうか、いつごろまでに必要かどうか、どれぐらい金がかかるかどうか、そういう金を調達する方法をどうしたらいいのか、仮にそれを特別会計なり別な第三セクターなり何なりでやったとした場合に、その採算が果たして合うのかどうか、採算が合わなかったときにその穴埋めはだれがするのかどうかというものを全部総合的に考えなければならない、そう思っております。したがって、つくるだけつくれば後はどうでもいいというわけにはいかないのです。つくった後がどうなるのか、利用者だけに負担させる、そんなことをしたら、だれも利用する人がなくなっちゃう場合もありますし、そうかと言って赤字をいっぱいつくって飛行機に乗らない人にみんな埋めてもらうということも——物は程度問題ということなので、それは全部考えた中でいかなければなりませんし、もちろん財投資金というようなものももしつくるということになればかなり利用しなければできないでしょう。したがって、返済できないところは困るということもありますから、すべて採算の問題というものは一応の見通しがなければわれわれは賛成しがたいということなんです。
○井上(一)委員 だから、採算の見通しが立たなければ財投は投入できぬ、採算の見通しとは、このバランスは一体どれぐらいを基準にしているのか。これも運輸省から計画として詳しい数字は出ているわけですよね。これは事務レベルでもいいですから、どれぐらい財投を、いわゆる逆に言えばどれだけの国費を投入すれば収支バランスがつり合っていくのか、とれるのか、こういうことであり、逆に言うと、限度これぐらいまでしか財投は投入できない、こういうことになるのですよ。大臣の言う安全性だとかそんなことは私が先に言っているから、安全性はどこまでなのか、あるいは投入するその限度というのはどこまでなのか、それを聞いているのですよ。
○渡辺国務大臣 限度と申しましても規模によって違うわけですから、規模が決まらなければどれぐらいが限度かということは決まらない。したがって、そこから決まってこなければ、先が決まらぬわけです。
○井上(一)委員 運輸省が出した当初の規模、今回の縮小した規模、これは出ているわけなんです。大蔵の事務レベルでもそれは折衝しているわけなんです。その中で私は言っているわけです。全くないものじゃないわけです。そういう中で一体どれぐらいが限度であり、たとえば七割が限度であるとか、あるいは八割が限度であるとか、あるいはそうなれば需給からの収支がどう変わっていくか、こういうことを聞いているのです。
○渡辺国務大臣 したがって、最初の案ではもうとても相談にも乗れないということですよ。第二番目の案はいま出たばかりですから、目下中を詰めておるので、詰めるにしたっていろいろむずかしい問題があるから限度のところまでまだ行ってないというのが真相ですよ。もっと詳しい交渉過程を、——————事務当局から答弁させます。
○井上(一)委員 大臣、——————って何ですか。私の質問に事務当局から答えさすという。——————とは何のことですか。
○渡辺国務大臣 それはちょっと言い回しがまずかったかもしれませんが、そのようにあなたの御要求であれば、事務当局から答弁させます。
○井上(一)委員 私は事務当局から答えなさいということを言っておるでしょう。——————それは言い回しが悪かった、そういう答えがあるのですか。
○渡辺国務大臣 ——————は取り消します。——————ということが不穏当であるから取り消します。
○井上(一)委員 ——————は不穏当であるという、そういう態度——あなた、済まない、大変失礼だ、そういう意思を表明しなければ進まぬですよ。あなた、——————とは何ですか。これは不穏当というような問題じゃないですよ。国会議員が聞いておるのに何を言っておるんだ。——————という、そういう横着な答弁がありますか。
○國場委員長 井上委員、大臣も不穏当であるとそれは取り消しましたので、ひとつこらえて質問の続行をお願いします。
○井上(一)委員 大蔵大臣、あなたは非常にわかりやすい話をされるから、私もそういうことについては非常に共鳴をしておるわけです。だからこちらの方もできるだけわかりやすく、あるいは限られた時間だから事前にもある程度話をして、こういう方向でということで、私は事務当局には私の質問をしたい趣旨というものは言ってあるのですよ。関西新空港についてということを通告してあるわけです。大臣は不穏当であるということだけだが、非常に済まぬというぐらいの気持ちを持たなければあなたはどこかで失敗しますよ。 事務当局、わからぬような答弁をせずに、どれぐらいの限度であれば財投の安全性というものが保障されるのだ、こういうことについて聞いておきましょう。
○西垣政府委員 お答え申し上げます。 通常、この種の事業でございますと、大体二十年程度で償還ができるという程度の採算性があることが前提になるのが普通でございますが、関西新空港につきましては、その事業量それから今後の航空需要、その他不確定なことが多過ぎまして、まだどの程度なら採算が合うかという取っつきができないという状況でございまして、この点は縮小案につきましても同様でございまして、したがって、どの程度をどうすれば採算が合うというようなことをここで申し上げられるような段階にも至っていないというふうに申し上げたいと思います。
○井上(一)委員 それではきょうの段階では、財投を投入するかしないか、その判断にも値しないほど全くもって計画がお粗末であるというか、非常にむずかしいというのか、そういうふうな実情だとおっしゃるのですね。
○西垣政府委員 成田の場合が一般財源が二割、財投が四割、その他が四割というふうな構成でございますから、それが一応の基準にはなろうかと存じますけれども、関西新空港の場合には何と申しましても非常に大規模なプロジェクトでございまして、これをどうするかというふうなことを言える段階にはまだ至っていない、かなり時間をかけてじっくりと検討をしなければならない問題である、こういうふうに考えております。
○井上(一)委員 次に、来年度予算では教科書の無償給与制度を見直す方針だと言われているのですが、この点について、まず大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 非常に財政厳しい折でございますから、あらゆる項目について見直し作業を行っております。
○井上(一)委員 教科書の無償給与ということについての歴史的背景というのでしょうか、流れというものは十分御承知なのでしょうか。あるいは、これを取りやめたときの影響というものも十分御承知をなさっているのでしょうか。
○渡辺国務大臣 十分であるかどうかわかりませんが、一応は知っております。
○井上(一)委員 どのような経緯で無償給与になったのでしょうか。
○渡辺国務大臣 当時、自由民主党の中でも強い要求がありまして、そうして無償給与ということになったのでありますが、諸外国の例を調べてみますると、貸付は非常に多いわけでありますが、無償交付は非常に少ないというのも事実でございます。
○井上(一)委員 それだけしか御承知ないのですか。
○西垣政府委員 技術的な問題でございますから私からお答えいたします。 戦後、教科書の無償制度が部分的に始まりましたのが昭和二十六年度でございますが、その後廃止されたりいたしまして、現在のような制度が発足いたしましたのが昭和三十八年度でございまして、これが完成して現在のような姿になりましたのが昭和四十四年度、それ以来ずっとこのような制度で続いているわけでございます。
○井上(一)委員 文部省は見えていますか。文部省のこの見解についてここでちょっと聞いておきたいと思います。
○鈴木説明員 歴史的経過についてはただいま西垣次長からお答えしたとおりでございまして、二十六年に公立小学校の一年生に入った児童につきまして、これは憲法二十六条に言う義務教育無償というような精神も踏まえまして、国語と算数を給与したというような経緯があるわけでございます。その後それが国公私立に拡大されたということもあったわけでございますけれども、二十九年にそれが財政的な事情で停止されたということで、三十一年に就学困難な児童に対してのみ教科書を給与するというようなことがありまして、その後中学生に拡大されたというような経緯で来たのでございますが、先ほど次長から述べられましたように、三十八年から学年進行でもって義務教育につきまして教科書が無償配付され、四十四年に完成されたというようなことでございます。
○井上(一)委員 大蔵大臣、この無償給与制度を改めたらどれだけの財源が潤うと考えていらっしゃるのですか。
○西垣政府委員 五十五年度予算で申し上げますと約四百億円でございます。
○井上(一)委員 答弁を聞いているのですが、どうも認識については十分でないわけなのです。憲法二十六条というのは、むしろ後から論議になったと思うのです。これはやはり一番大きなのは経済的理由だと思うのです。とりわけ義務教育の長欠、不就学という児童生徒がふえつつある、そういう中から一つの大きな運動が起こってきた、そういうことは大蔵省は知っているのですか。
○西垣政府委員 当時そういったような事情もあったというふうなことは伺ったことはございます。
○井上(一)委員 このことは昭和三十四年大阪、京都、そして昭和三十六年に高知で、部落解放同盟の運動が主体となって、経済的理由によっての就学困難な児童生徒を義務教育に就学さすという中から、部落の実態の中からそれぞれの地方自治体が、大阪府が、京都府がと先行したのですよ。そういうことから昭和三十八年に国が全生徒に対して、いわゆる対象児童生徒全部に無償で給与する、こういう歴史的な背景があるわけです。一つはやはり経済的理由であるということ。さらにこれが五十六年度で予想されるのは四百七十六億円、児童生徒の対象数が一千七百万人。私はここで、生活保護あるいは要保護家庭、そういう児童生徒だけに限っていくということは、貧富、いわゆる貧乏である、あるいは暮らしが非常に窮屈だ、そういう中からむしろ差別の助長を起こすのではないか、こういうことを指摘をしておきたいのです。とりわけこの教科書の一律無償給与制度というものが生まれてきた背景が、長欠、不就学、そういう児童生徒の一つの教育の機会均等を保障する中から生まれてきたということを考えれば、これは決して四百七十六億を切り捨ててはいけないことです。 さらには、国際人権規約というものがあるわけです。この精神にも反するのではないか。国際人権規約の十三条及び十四条、そういうところには明確にやはり初等教育は、義務的なものとして、無償とする、こういうことがあるわけなのです。わが国は中等教育及び高等教育のこの分野については漸進的無償化については留保したわけですが、初等教育については、国際人権規約を批准した時点ですでにこういう論議が起こり得る余地はないわけなんですよ。ただ単に大蔵だけが大蔵の感覚でこの問題を取り扱った、取り上げている。全くもって時代認識の誤った、本当に私からきつい言葉で言えばけしからぬ認識だ。国際上の一つの約束事、国際人権規約、辛うじて批准した、その中にもきっちりとその精神を私たちは尊重しようということ。そしていま言ったように、歴史的背景の中からも差別の助長を促すような今回の一律無償廃止という大蔵の物の考え方にはむしろ強い怒りを私は覚える。大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 われわれとしては廃止をするともしないともまだ決めておるわけではございません。ただ検討項目の中に入っておるということでございまして、国際人権規約の問題もいまお話しになりました、憲法の話もありましたが、授業料等を徴収するということは、これはいけない。最高裁の判例等からしても、教科書まで含むというようには私は考えておりません。
○井上(一)委員 私が言ったように、無償に踏み切っていった過程の中で、そういう差別の実態から生まれてきたということ、これはいま認識をしてもらったわけです。いままで知らなんだと思うのです。これは十分承知をしてもらいたい。だから、検討課題に入ったけれども、きょうのこの機会に、なるほどそうだったのか、そういうことであれば早まってはいけない。大臣、私はどんなことをしてでも有償化してはいけない、無償給与制度を廃止してはいけないということを言っているわけなんです。検討し直す、わかったとおっしゃるのか。絶対に無償制度は廃止になりませんよ。大変なことですよ。大蔵省一省だけが対象にしたわけだ。これは誤った認識だから、ここで私は強く警鐘を鳴らしたいということなのです。どうなんですか。まあ短い時間だから多くは申し上げませんけれども、どんなことがあってもこれは有償なんということはできっこないのです。大変なことになりますよ。それでも大蔵大臣は、自分の首をかけてでもやる、やりまんねんと言い切れるのか、あるいは私のいまの少しばかりの説明で、今度は逆に現行制度をそのまま残す方向で検討するに値するというふうにお考えになったのか。ぜひそうしてほしいのですけれども、ただ検討課題だということで子供たちの心あるいは父兄の人心を惑わすようなことをしてはいかぬよ、逆に私から言えば、どっちでもいいのだったら。まだどっちともわかりまへんというような答弁が返ると思って先に言っている。どっちなんだ、やるのかやらないのか。やっちゃいけないという私の意見、それを理解していただいて、よく検討していただけるかどうか。
○渡辺国務大臣 教科書無償制度ができるのには、もちろんできる理由があってできたわけです。しかしながら、当時の財政事情と現在の財政事情は違うわけであって、ともかく全体の予算は決まっただけの予算しかないわけですから、その中で文部予算でどれを優先すべきか。学校の先生をふやせという話も一方にあるし、いろいろな問題があるわけですから、そういうようないろいろな問題の中でどれを最終的に選択するかということを目下検討中であって、われわれとしてはその検討項目の一つに入っておるのだということを申し上げる以上には現在申し上げられません。
○井上(一)委員 非常に厳しい財政事情だから教科書の無償についても見直しをするのだ、そういう物の考え方がよくない。授業料云々という話がいま出ましたけれども、全くもってそういうのはもう論じるに値しない答弁だと私は思うし、教科書有償ということは全く誤った考えであり、むしろこれは絶対してはいかぬのだけれども、できっこないし、私はそれを断言しておきます。あなたがこれはできると思っていたら大きな間違いだから、できっこない。そういうことはもろに大きな国民の世論を大蔵大臣自身がかぶらなければいけないし、そんなことはあなただってかぶり切れないですよ。そういうことをするのだったら、大手商社のいわゆる申告漏れ所得を徹底して徴収すべきだ、こういうことなのです。 とりわけ、ここで少し場違いかもわかりませんけれども、ごく最近IJPCに百億の追加資金が必要だ、こういうことが論じられています。百億では済みません、まだまだこれは金がかかるわけだ。そんなところへは大蔵省はどんどんお金を出すのですか。
○大場政府委員 お答え申し上げます。 イランのIJPCの問題につきましては、先生御承知のとおりイラン・イラク紛争がまだ続いております。特にこのプロジェクトに対しまして、御高承のとおり五回ほど爆撃がございまして、その被害状況がまだわかっていない状況にございます。したがいまして、こういった状況を勘案しますと、私どもとしては、出資等の問題につきましては現在静観せざるを得ない、被害状況等を見た上で考えるべき問題であるというふうに考えております。
○井上(一)委員 大蔵大臣、さっきも指摘をしたように、一千七百万人の児童生徒に苦しい思いをさせるよりも、IJPCも物産関連グループの手助けです、そんなところに政府資金がどんと投入されるというようなことはやめて、さらにはいま指摘をしたように大手商社の脱税、いわゆる申告漏れ、そういうものに対する正当な徴収をしていかなければならない。そのためにはどうしたらいいのか、どうしたらいいと思います。大臣、どうしたらいいのですか。
○渡辺国務大臣 当然税の不公平は正さなければならないし、そういうような申告漏れがあれば、いろいろ国税庁は目を光らせて、少しでもよけいに取るように努力をみんなやっているわけですから、なかなか実態がつかめないという場合もあるでしょうが、かなり国税当局は脱税とか申告漏れのないようにやっておりますから、それは皆さんからも、もしいろいろ御指摘があって、具体的に教えていただけるところがあれば参考にしたい、こう思っています。
○井上(一)委員 もちろんその国税庁が一生懸命やらにゃいかぬという、やっているのだという……。 現在の実調率はどれぐらいだと把握していらっしゃいますか。
○渡部政府委員 お答え申し上げます。 現在の実調率は、申告所得税の営庶業につきましては五%弱、法人税の実調率はおおむね一〇%前後でございます。
○井上(一)委員 大蔵大臣、大臣は財源確保のために新税導入もやむを得ないという、まだ正式にどうだということはお決めになられていないけれども、現行の税制の中で、やはり一〇〇%実効ある執行を優先させるべきである、こういうふうに私は思うのです。そして、いまもお答えがありましたけれども、実調率がそういう状態で十分だとお考えになられますか。
○渡辺国務大臣 十分だとは考えておりません。
○井上(一)委員 そうでしょう。十分だと私も思わない。だから、それを十分ならしめるためにはどうしていったらいいか。どうしたらいいと思います。
○渡辺国務大臣 これは、日本は申告納税制度でございますから、納税者が納税の観念をよく守ってもらえばいいのでありまして、何と言ったってそれはもう納税者の倫理というものが最優先なんです。幾ら追っかけたって、幾ら法律をつくったって、納税者が納税思想が薄らいだのではとてもとても、一人に一人ずつ税務署員をつけるようなことをしたってむずかしいかもしれない。でありますから、納税思想の徹底ということがまず第一なんです。あとはいろいろと創意工夫をこらして重点的な調査というものはやっておりまして、私は、大部分の納税者は、そんなごまかしてやろうなんという人は非常に少ないのじゃないかと思いますがね。したがって、全部を調べなければならないということでもないのであって、やはりまじめに申告している人を何も全部調べる必要はないので、おかしいものを重点的に調べるということでいいのではないだろうか、私はこう思っております。
○井上(一)委員 おっしゃるとおりに、おかしいものを十分調べたらいいわけですけれども、調べるのはやはり国税職員なんですよ。そしてその重点的な、創意工夫と言っても、現行の多様化する社会の中での事務量の増加、あるいはいま指摘したように実調率が非常に低い、さらに国税職員の数が、実際問題としては、五十五年度は九名の減員であり、二十七年を指数にすれば、五十五年は一〇〇・五なんですよ。全然ふえてない。事務量はうんとふえ、かつまた納税人口が一・五倍になっている。そんな中で国税庁の職員定員が、総定員法云々ということもありますけれども、毎回この問題については指摘をするのですが、その充足が図られてない。 これは大臣、ちょっと私の資料ですけれども、法人税だけをとらえてその申告漏れ所得八千四百八十七億、そして税額にして二千七百二十二億、加算税が二百七十八億、ざっと三千億の、法人税に限ってでもこれだけの申告漏れがある。私、この担当、いわゆる実調の実査官は六千五百四十二名だと聞いているのです。そういうことだとすると、実際に国税職員が実調して、申告漏れを正しく税金をいただく、そういう表現をすれば、一人当たり四千五百八十六万円。一人の国税職員が、端的な数字的な概算でいけば、それだけ徴収を可能にした。片面、では、一人当たりの人件費等、そういうことを考えれば、五百人単位でいけば、初任給、これは税務の七等級の二号が初任給ですが、その場合に、たった七億です。 こういうことを考えたら、現行の税制度の中でもっともっと公平なそして正当な、国税職員がその仕事に見合った人員を確保することによって、税というものが確保されていく。このことは五十三年あるいは五十四年、それぞれの委員会で、予算委員会でも私は指摘しておいたのですが、努力しますということのみで今日に至っているわけです。減数九名だ、こういう状態を続けていくことはむしろおかしいので、大蔵の内部的な問題ですけれども、国税の職員、いわゆる税の徴収に当たる人員については私は十分な確保が必要だと思うのですが、大蔵大臣はいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 先ほど言ったように、納税者が納税思想に徹底をしてもらって納税に御協力いただくことが一番いいわけです。そういうようにまた政府はPRをし、いろいろ説得をしていかなければならぬ、かように考えております。それと同時に、それでも協力をしない、それでも脱税をするという人については重点的に調査を進める、そのために現在の人員が足りないというようなことで大変御苦労なさっているのは結構でございますが、だからといってそこだけ大幅にふやすというわけにもなかなかまいりません。まいりませんが、われわれとしては十分配慮をしてまいりたいと思っております。
○井上(一)委員 大蔵大臣、このことについては十分配慮をしていただきたいと思います。 さらにここで、万博協会のことについて少し質問をしておきます。 万博協会の運営については現在どのように把握をなさっていらっしゃるのか、まずその点について簡単に聞きましょう。
○楢崎政府委員 お答えいたします。 日本万博記念協会につきましては、御案内のとおり、日本万博記念協会法に基づきまして日本万国博覧会の跡地を一体として公園設備として運用を図っているところでございまして、跡地を文化的な公園として緑の整った施設として運営をいたしているところでございます。
○井上(一)委員 大蔵省から聞けばそのくらいのことしか言えないと思うのですよ。万博協会の五十三年度、五十四年度の公園収入は幾らですか。
○楢崎政府委員 五十三年度の公園収入は三億六千三百万円、五十四年度の公園収入は四億三千七百万円でございます。
○井上(一)委員 その中で自然公園への入場料収入は幾らですか。
○楢崎政府委員 自然公園の入園料は五十四年度からちょうだいをいたすようにいたしております。したがいまして、五十三年度は自然公園についての入場料収入はございません。五十四年度につきましては入場者百十四万人でございました。入場料収入といたしまして八千六百万円でございます。
○井上(一)委員 五十三年度の業務収入、公園収入が二十七億六千七百万、これに対して支出が四十一億三千三百万、十三億六千六百万の赤字だ。五十四年度、いま言われたように自然公園に入園料を取った。この入園料が八千六百万である。入場者が百十四万。ところがこれは、自然公園が無料のときにでも日本庭園に入る収入が当然ありますから、そういうことが私の方の手元の計算では一千七百万、だから実質的には、八千六百万と言われたのは六千九百万、こういう数字になります。五十三年度に大幅な赤字が出た。だから五十四年度からは自然公園にも入園料を徴収した。ところが五十四年度は、収入三十五億二千三百万、支出が四十八億七千万、そして同じように十三億四千七百万円の赤字。この支出の中でいわゆる委託料、とりわけエキスポランドに対しての委託料は幾らなんですか。
○楢崎政府委員 万博記念協会の中に、エキスポランドを設営しておるわけでございますが、それの運営費として株式会社エキスポランドに支払っております委託費が五十三年度二十三億一千二百万円、五十四年度二十九億九千七百万円でございます。
○井上(一)委員 五十三年度から五十四年度に、エキスポランドに対して七億近く委託費がふえているわけなんです。委託の内容あるいはいま言ったように七億近い金額の増、このことにも大きな問題があるのです。エキスポランド、いわゆる委託を受けた会社の経理状況は一体どうなんでしょうか、このことがどういう状態になっておるのか、エキスポランド、この会社の実態、収支の状況、これは大蔵省としてどうとらえているのですか。
○楢崎政府委員 お答えいたします。 エキスポランドに対する業務の委託費につきましては、エキスポランドに入っている入場者の数あるいはその収入、そしてまたその支出等を勘案しまして個別に決めているわけでございますが、エキスポランド社自体の経理といたしましては、民間の会社でございますので、私ども若干、聞き及んでおるところしかわかりませんけれども、五十三年度におきまして八千万余、五十四年度におきまして一億五千万余の税引き前利益があったというぐあいに聞き及んでおります。
○井上(一)委員 私の方の調査でもそのとおりなんです。このことは、先ほど申し上げましたように、自然公園の入園料六千九百万、これがすべてエキスポランドの収益金、前年の倍からもうけておるわけです。もうけ過ぎた分は自然公園の入園料だ、単純な計算でもそうなるわけなんです。さらには、エキスポランドは五十年とか五十一年ではもっともっと低い収益金を出しておるわけです。エキスポランドがもうけるために、いわゆる国民大衆、自然公園へ入場する人たちから入場料を取った、端的にはそういうことだ。エキスポランドが余りにももうけ過ぎて、そのしりぬぐいを入場料として取っておるということ。さらには配当率は一〇%、これをずっと維持しているわけです。万博公園というのはやはり世界的な公園ですし、これについては非常に意義ある活用をしてもらわなければいけないし、たくさんの人がそこへ来てもらわなければいけない。そういうことを考えれば、自然公園の入園料がエキスポランドの利益に化けておったというふうに言っても過言ではない、こういうふうにつかんでおるわけです。大蔵省は詳しい実態を承知しているのか、あるいは私が指摘するまでそれほど十分承知をしていないのか、承知をしていないとしたらどのように対応するのか、この点について聞いておきます。
○楢崎政府委員 お答えいたします。 万博協会の経理につきましては、先生御案内のように昭和五十四年度におきまして三億三千六百万円の赤字を出しているところでございまして、私どもといたしましても、万博協会の収支状況を改善するために種々の手段をとらなければならないと考えております。管理費を節減するとかいろいろなことをやっておりまして、その一環として入園料をいただいておるわけでございます。 いま先生御指摘のエキスポランド株式会社の収益につきましては、特に五十四年度は御案内かと思いますが、実はスペースザラマンダーと申します空中三回転遊戯機だそうでございますが、そのような施設をつくった関係で入場者が非常にふえたという事情があったのではないかというぐあいに思っている次第でございます。
○井上(一)委員 新しい設備を導入した。これはエキスポランドが資本投下するのではなくして万博協会がエキスポランドを通してその資本投下をしているのでしょう。たとえばレンタルで借りているとかリースで借りているとかあるいは固定施設を設置するとか、これは何もエキスポランドが自己資金を出したのじゃないでしょう。どうなんですか。
○楢崎政府委員 お説のとおりエキスポランドの施設は万博協会が所有をしましてエキスポランドに貸与する、その業務の運営を委託するというのがたてまえでございます。先ほど申し上げましたスペースザラマンダーという設備は、実は万博協会で手当てをいたしませんで、施設投資としては非常に大きいものでございますから、エキスポランド株式会社が直接業者からリースで借りているというぐあいに承っております。したがいまして五十四年度の業務委託費が若干上回っている原因の一端にもなっているのではないかというぐあいに考えます。
○井上(一)委員 それは協会がそのままストレートで委託料として渡すのでしょう。
○楢崎政府委員 現実に民間の業者に支払いをいたしますのはエキスポランド株式会社でございますが、その経費は業務委託費の中の一環として協会が会社の方に支払っております。
○井上(一)委員 いわば経由をするということで、エキスポランドは自己資金は要らないわけなんですよ。 さらには協会自身の資金として余裕金と基金がありますが、この両方の資金運用のあり方についても若干の疑問がある。基金運用は総額で百五十五億と六億四千九百万で百六十一億。百六十一億の基金運用資金があるわけです。余裕金については大体二十四、五億、こういうことだと思います。余裕金については国債、地方債、貸付信託の受益証券等に限られておりますけれども、基金の方については社債、貸付信託、こういうのも含まれるわけです。運用の利率が平均して余裕金の方では七・五くらいですか、基金運用の方では八・四。 ここでちょっと聞いておきたいのですが、この余裕金なり基金の運用についてはだれが決裁権を持っているのか、まずこれを聞きます。
○楢崎政府委員 当然のことながら理事会の決定をもちまして運用をなすわけでございますけれども、その受任を受けまして現実には経理部長が運用をいたしておるところでございます。
○井上(一)委員 その決裁権が経理部長ということですけれども、それは何らかの内規で明確にされていますか。
○楢崎政府委員 ただいまちょっと詳細にはわかりませんけれども、やれることになっていると思います。
○井上(一)委員 私の承知しているのではそういう拘束力を持つ内規はないということですが、どうなんですか。
○楢崎政府委員 恐れ入りますが、ただいま了知しておりません。
○井上(一)委員 指摘しておきたいのは、その運用いかんによっては、たとえば高利回りでこれを運用することによって具体的には一億や二億の金は変わってくるわけなんです。大蔵大臣、百六十億あるいは総計すれば百八十億からあるのですけれども、運用いかんによっては五千万、六千万はすで変わりますね。どうなんですか。百八十億で〇・五変わればどれくらいの計算になりますか、大臣。
○楢崎政府委員 数字の問題でございますので恐縮でございます。 おっしゃいますように、基金の運用の方法によって運用利益は相当変わってくることは間違いございません。御指摘ありました現実の余裕金につきましては、国債等には運用しておりますが、さらに流動資金として相当の金額も行使していることは事実でございます。その運用等につきましてどのように考えるのか、どういうぐあいにやっていかなければならないのかという点については、御指摘のような点も若干あるかもしれませんけれども、協会においてはそれなりの責任を持っておやりいただいているもの、そういうぐあいに理解をいたしております。
○井上(一)委員 万博公園、いわゆる記念公園に足を踏み入れる。そこへ行ったときに子供たちから百円の入場料、五十円の入場料を取られる。庶民の負担あるいは庶民の本当に軽い喜びが全く無視されているような形である。反面、エキスポランドの利益あるいは資金運用のまずさ、そういうことで、これは幾らでもカバーできるのじゃないか。効果的な資金運用、そして五千万、六千万の金はそこからも浮いてくるし、なかんずくエキスポランドに一億五千万も利益を出すなら五千万、六千万を自然公園から金を徴収するという物の考え方、そういう一つのやり方に不満を持つし、ぜひ改めるべきだ。さっき言ったことに対しての答えもまだ返らないけれども、やはりこの実態を調査すべきである。そしてそのことによって、もし可能であれば去年から徴収をした自然公園の入園料については考え直すべきである。それが現実の政治だと思うのです。どうなんですか。
○楢崎政府委員 御案内のように、万博記念協会それ自身が、昨年三億三千六百万円の赤字を出しておるという団体でございまして、その中でいかにして経費を切りつめ、かつ効率的に収入を上げていくかということは当然のことであろうというぐあいに思っております。いま先生からいろいろな点につきまして御指摘がございましたけれども、エキスポランドとの業務契約をも含めて、万博協会のあり方につきましては検討させていただきたいというぐあいに考えております。
○井上(一)委員 検討するということですが、どのような形で検討に入るかということを聞いておきます。
○楢崎政府委員 万国博覧会協会法の三十四条におきまして、大蔵大臣は協会から報告を求め、かつ検査をすることができるという権限規定がございまして、その権限に基づきまして検査をし、実態を調査する所存でございます。
○井上(一)委員 それはいつごろまでをめどにされますか。
○楢崎政府委員 できる限り速やかにいたしたいと思いますが、私どもも日常の業務がございますので、若干の時間をおかし願いたいというぐあいに思っております。
○井上(一)委員 年度内は。
○楢崎政府委員 できる限り年度内に行いたいと思いますが、いろいろな事情もございますので、そこら辺はひとつ緩やかにお願いしたいと思います。
○井上(一)委員 大蔵大臣、一般的に、近い将来というのは、大体のめどはどれくらいの幅を持つでしょうか。
○渡辺国務大臣 物にもよるし事柄にもよるし、そのときの応答の前後関係にもよりますから、近い将来というのは、まあ半年のこともあるし五、六年のこともあるし、一概に言い切れないのじゃないかと私は思います。
○井上(一)委員 五年も十年もというのは近い将来に入りませんね。
○渡辺国務大臣 それは問題の事柄にもよると私は思います。しかし近い将来というのは、応答の前後で、物によっては半年とか一年とかというのが大体多いのじゃないか……。
○井上(一)委員 一般論で結構です。
○渡辺国務大臣 一般論で大体そんなものじゃないか……。
○井上(一)委員 そこで大臣、大蔵省が出している「財政再建を考える」というパンフレット、これは大蔵省にとってはよくできているけれども、強迫というか恫喝というか、いろいろな意味で国民に非常にプレッシャーをかけていると私は思う。とりわけ、ページ数を言いましょう、七ページの「さし迫った課題」の「高齢化社会、エネルギー新時代に備えて「財政再建を急げ」の警報がきこえます。」というところに、老人の福祉対策の問題ですが、三十年先を「近い将来に」と書いています。おわかりですか。全くもって三十年先を「近い将来」と言うのか。それでいまあえて大臣に聞いたわけです。大臣は目を通されておるのかどうか知りませんけれども、これは考え直すべきじゃないか。こういうことは書くべきじゃない。 それから次のページの「再建へのぎりぎりの選択」というところに「赤字国債を解消するために…財政再建、三つの分れ道。」ここに「社会保障、教育、公共事業などの公共サービス水準の低下負担の引上げ」税負担ですね。それから「公共サービス水準の低下と負担の引上げ」というミックスしたもの、この三つが書かれているのですが、一つ忘れていませんか。どうなんですか。私はぱっと見ただけで、これは大蔵省にとっては非常にいいことを書いているけれども、余りにも勝手過ぎるのじゃないか、こういうことなんですよ。
○渡辺国務大臣 あなたの言おうとしているのは、経費の節減とかそういうことですか、行政改革、財政整理とか。
○井上(一)委員 大臣はよくわかっているわけですよ。いわゆる冗費の節減、それが一番最初に必要なんですよ。大臣、そうじゃありませんか。一番最初に忘れてはいけないこと、そして何が一番大事かということで、冗費を節減するのです、その上に立ってこれこれの対応を考えております、そういうことを書かぬと……。大臣はよく認識していらっしゃるからすぐに反応がありました。やはりそういうことは必要でしょう。
○渡辺国務大臣 それはもう当然のことでございます。
○井上(一)委員 当然のことを書かずしてどうするのですか。だから私がここで指摘をしておきたいのは、国民にはもっとわかりやすく、もっと政府の姿勢を素直に出していくべきであるということで、これを強く忠告しておきたいと思います。 さらに、ここで少し固定資産税の問題で質問をいたします。 三公社の自治体納付金の減額措置を是正していこう、こういうことについて大蔵の見解を聞いておきます。
○國場委員長 もう一回質問を。
○井上(一)委員 私の質問に的確に答弁をしてほしいと思いますが、もうすでに前々から全国市長会等からも、三公社の固定資産税にかわるべき納付金の減額措置廃止の要望が出されているわけなんです。このことについて大蔵省の見解を聞きたい、こういうことなんです。
○西垣政府委員 この問題につきましては、自治省から御相談がありましたら、その段階で私どもも検討させていただくということになろうかと思います。
○井上(一)委員 それでは、自治省から相談があればという前段で聞きましょう。 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律、これは電電公社などの三公社に対して一応二分の一の減額措置をしている。ところが、そのことで市町村に納付される納付金が、ときには固定資産税の相当額の三分の一なり四分の一になるわけです。これは自治大臣が決定する配分額がありますから、それはそれで自治省の見解をまた開くのですけれども、そういうことが自治体の実質的な固有の財源を縮小しているし、むしろ自治体行政を圧迫しているというふうに私は受けとめるわけです。そういうことについては当然見直すべきである。 ただ、二点目として、国有鉄道については赤字だから、その国鉄の赤字財政を救済するために国鉄の納付金については、いわゆる特例的な減額措置を講ずるとするならば、これはむしろおかしい。これは三公社同じような取り扱いをすべきであり、もし国鉄の赤字補てんということであれば、これは国民全体の交通機関としての国鉄の持つ意義から考えて、その減額措置に見合う財源補てんは当然国が補てんすべきである、こういうふうに私は思うのです。もし国鉄だけが減額を現行の二分の一に据え置くということであれば、これは少し論理上正しくない、こういう見解を持っている、大蔵の見解を聞いておきたい、こういうことであります。
○西垣政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもまだこの話は伺っておりませんので、意見を申し上げることを差し控えたいと思います。
○井上(一)委員 自治省から、話がないから——本当は担当がいらっしゃらないのですか。そういうことでしょう。じゃ担当がおらないから次のときにしてほしいと言いなさいよ。あなた方担当がおらないから、じゃ私も次まで待ちましょう、こういうことですから、言いなさい。
○津田説明員 自治省の財政課長でございます。税務局がおりませんので、的確な答弁ができませんが、自治省の考え方としましては、いわゆる交納付金の問題は公社等の事業の公益性と収益性とのかね合いで現在二分の一にしておるわけでございます。もしその性格づけが収益性の方に高まってくれば、現在の二分の一というものは当然見直す必要あるべし、このように考えておる次第でございます。
○井上(一)委員 大蔵は担当はおらぬのですか。
○西垣政府委員 いまのような自治省のお答えでございますので、私どもも検討してみたいと思っております。
○井上(一)委員 このことについては自治省の所管でも触れますけれども、当然そのときに大蔵の詰めた見解をまた聞かしていただくということで、とりあえずの私の質問をこれで終えます。 申しおくれましたけれども、エキスポランド、万博協会の調査の報告については私まで報告をいただけますね。——はい、わかりました。
○國場委員長 新村勝雄君。
○新村委員 大蔵省の問題に入る前に、会計検査院いらっしゃっていますね。お伺いをしたいのですが、最近の報道によりますと、会計検査院では検査機能を強化するために財政監督制度研究会というものをおつくりになるというようなことが言われておりますが、かねてから、会計検査院の院法の改正をして一層その機能を強化すべきであるということが言われておりまして、これについては検査院から政府の方へ要請がすでに出ておる、また、改正案としてわが党からも野党各党の賛成も得まして改正案が出ておるわけでありますけれども、この問題とそれからこの新しい機関との関係、それから新しい機関をおつくりになる意図について伺いたいと思います。
○磯田会計検査院説明員 まず、この研究会を考えた意図から申し上げたいと思います。 再々いままでのお話にも出ておりますように、非常に困難な財政事情のもとにおきまして、国の予算執行を会計検査してまいります私どもの職責は非常に重大なものがございまして、また国会の方の折々の御議論の中でもいろいろな御要望を承っております。こういう時期でもございますので、ひとつ会計検査に対する各方面の有識者の第三者的意見を承って私どもの仕事に反映させ、そして私どもの仕事をより一層効果的なものとしたい、このようなことを考えまして研究会構想を持った次第でございます。現在その実現に向けて進んでいる、関係方面と折衝している、こういう段階でございます。 それからお尋ねの第二点の、研究会とただいま内閣の方に御検討をいただいております会計検査院法改正の関係について申し上げます。 いま申し上げましたように、研究会の構想はあくまでもわれわれの検査機能の一層の強化というようなことで、会計検査院機能全般につきまして虚心坦懐に再検討してまいりたい、こういう考え方でございまして、すでに内閣の方にお願いしてございます院法改正とは全く関係ないものと考えております。
○新村委員 そうしますと院法改正とは関係ない、院法改正については今後とも粘り強くその実現に努力をされるということだと思いますが、十一月四日にもこの問題がここで質疑されたわけでありますけれども、最近の動き、特に十一月に入ってからの具体的な動きがあるのかどうか、その点をお伺いいたします。
○三原会計検査院説明員 お答え申し上げます。 十一月に入りましてからの会計検査院法の動きにつきましては、格別動きと申すほどのものはございません。
○新村委員 そこで大臣にお伺いをいたしますが、財政危機の折、資金の効率的な運用、そしてまた、貴重な国民の税金をいかに有効に使うかというような点、それからまた、行政機構全般をいかに国民に対して最も有効に効率的に奉仕をしていただくかということは、何といっても会計検査院の機能の充実強化、これが基本的に必要だと思うのです。すでに会計検査院の方から政府にその改正の要望が出されてからかなりの時間がたつわけでありますけれども、一向にその反応がない、具体的な進展がないわけでありますけれども、大蔵大臣として、そしてまた有力な閣僚の一人として、この問題についてどういうお考えであるか伺います。
○渡辺国務大臣 先ほども税の徴収問題について質問があったことと私は同じじゃないか、幾ら会計検査院を充実いたしましても、執行体である各省庁の姿勢がでたらめでは、それはとてもじゃないが検査のしようがない。したがいましてわれわれとしては会計検査院の充実もさることながら、まず実際に事業を行い、資金を扱う各省各庁、これらの綱紀の粛正それから冗費節約、効率的な政府をつくるということに徹底をするということがまず先決問題だ、そういうことをもっとやって、会計検査院から調べられてもどこでもパスするということが一番いいのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○新村委員 大臣の考え方はちょっと逆になっていると思うのです。会計検査院をいかに充実してもだめなんだということでありますけれども、そうじゃなくて、各行政機関の機能をフルに発揮してもらう、それからまた冗費の節約をしてもらうためには、やはり検査院の機能を充実することが先じゃないか、また権限を強化することが必要じゃないかということを言っているのですけれども、その必要はないとおっしゃるのですか。
○渡辺国務大臣 これは会計検査院を充実することも一つでございましょうが、やはり検査する人をふやすというだけでは後追いになってしまうのじゃないか。したがって、やはりその前に、調べられて摘発されるからむだなことはなくすのだというのじゃなくて、検査を受けようと受けまいと、いつ受けても大丈夫なようにまず各省各庁がやることが先じゃないか、そういうことを申し上げておるのであります。会計検査院の充実も結構ですが、人員は伴わないというようなことであるならば、できる限りわれわれは協力をしたい。ただ、会計検査院の規模や人員をうんとふやすということについては、行政改革という折からでもあるからわれわれは一概に賛成するわけにはいかないということでございます。
○新村委員 大臣の院法改正に対する御認識がどうもぴんとこないのです。これは人員をふやそうということではないのですね。検査院の権限を強化をして、従来いろいろありましたね、国民から指弾されるような問題がありましたけれども、そういった問題を適時適切に取り上げてこれを正していく。そのためには現在の検査院の権限では足りない。一層検査対象を拡大し、必要な場合には十分な検査ができるように、そういう意味での検査院の権限の拡大ということでありまして、それが直ちに人員拡大には、増員にはつながらない。つながる要因はあるかもしれませんけれども、直接人員をふやせということではないわけです。ですから、検査院の主張されることは正しいとわれわれは思っておりますけれども、そういう点で大臣はどうお考えですか。
○渡辺国務大臣 いま仕事減らしをして人を減らすということをやっておるわけであります。しかしながら、会計検査院が、人員はふやさない、仕事はふやしてもいいということでございますならば、われわれといたしましては、ケースにもよるでしょうけれども、やはり検査院が当然いまの人員で十分にできるものが、検査権限がなくてできないというようなことですね、それらにつきましては、われわれはできる限り協力はしたいと思っております。
○新村委員 そうしますと、大臣としては、検査院から要請をされておる院法の改正について御賛成ですか。
○渡辺国務大臣 私は中身を詳しく知りませんので、直ちに全部賛成ということはいまここで申し切れませんけれども、方向としてはいいのじゃないか、そう思っております。
○新村委員 内容を御存じないということでは大変心もとないのです。大臣の御方針とその法の精神は合っているわけですよ。ですから、ひとつ十分研究をされて、推進に努力をされていただきたいと思うのです。 次に、財政の問題で伺いたいのです。 いま大臣は財政再建に取り組んでおられるわけですけれども、財政再建の目指しておるもの、あるべき姿、これはどういうものなんでしょうか。
○渡辺国務大臣 これは基本的な大問題で、話をすると長くなりますが、要約してなるべく簡潔に申し上げます。 御承知のとおり、現在日本の財政事情は非常に悪化をしておって、必要な歳出のうち税収は六二%しかない。つまり六割の収入で一〇〇の生活をしているということでございます。その結果は借金が累積して七十一兆円になってしまった。こういうような状態を継続することはもうすでに限界に来ておる。いままではいままでの国債発行の意義があったけれども、すでにそれも経済に悪い影響を及ぼしてもよい影響を及ぼさないような状態に押し迫っておる。一方、六十年からは元金の返済をしなければならないというようなときでございますので、財政の体質を健全化をしなければならぬ。そのためには、一挙にはできないからさしずめ五十六年度においては国債の発行高を二兆円程度減額をする。そして五十九年度までには政府の公債発行、つまり政府の借金のうち消費的な経費に使われるいわゆる特例国債、赤字国債、これは発行しないようにするということを考えておるわけであります。そのためには徹底的な行財政経費の洗い直し、切り詰め、まずこれを行う。そうしてどうしてもそれだけで経費がカバーできないというような場合には、適当な国民の負担を何らかの形でお願いするしかない。そういうような形で財政の健全化を図っていく。それによっていつでも日本の財政というものが、万一また日本経済が昭和四十八、九年のようにマイナス成長になる、失業者が町にあふれる、大々な不況になるというときには財政が積極的に介入できるだけの余裕というものを持っていなければならないし、あるいは大震災が来たというようなときにも財政が介入してもインフレにならないというだけの体質を備えなければならぬ。そういうことを目指して財政再建というものを考えておるわけでございます。
○新村委員 そうしますと、具体的に数字に基づいて伺いたいのです。 いま五十六年度の予算編成の最中だと思いますが、大蔵省はかねて、数カ月前ですか、半年ぐらい前ですか、いわゆるサマーレビューなるものを発表いたしております。この時点での構想、骨格というものがやはり五十六年度予算の基礎になるのではないかというふうに私は考えておるわけですが、これによりますと予算規模は四十五兆七百億、税収が三十兆七千億、そうして公債は二兆減らして十二兆二千七百億、こういうようなことであります。これは財政再建の現時点におけるあるべき姿に接近をする一つのモデルというふうに考えていいわけですか。
○渡辺国務大臣 サマーレビューのときにも、おおよそ二兆円程度の国債減額をやっていこうということを念頭に置いて、いろいろ経費の削減等について御検討をいただいてきたところでございます。
○新村委員 そうしますと、これは決して架空の数字ではない、あるべき姿に向かっての第一歩としてのこれは構想、骨格であるというふうに考えられるわけです。いまの大臣の御答弁でもそうだと思うのです。 そうしますと、それからいろいろ経過があって七月二十九日の閣議ですかにおきます予算の概算要求ということになりますと四十七兆九千三百億というものが概算枠として認められた、こういうふうに報道をされております。そういたしますと、このサマーレビューと四十七兆九千三百億、これとの関連、これがここまでふくれた理由なり経過というものはどういうことになりますか。
○西垣政府委員 事務的な答弁を私からさせていただきたいと思いますが、サマーレビューにつきましては、先ほどございましたように、税制の改正をしない場合には当時の時点で五十六年度の歳入がどのくらいあるかということを前提にいたしまして財源をはかる。それから公債の発行額を二兆円減額をめどにする。そういうことになりますと、歳出がどういう姿になるかということを描きまして、描いた結果は、歳入の増加を二兆円公債減額に充て、あと残りを国債費、地方交付税に充てますと、もろもろの政策経費全部が入っております一般歳出がほとんど伸びないという姿になるわけですが、そういう枠の中で五十六年度予算をつくるとすればどんなことができるかということを中心にいたしまして、大蔵省と各省と検討をずっと続けてきたわけでございます。 その成果といたしまして相当な圧縮をしなければならない、いずれにしても圧縮をしなければならないということで、ことしの予算要求枠、まあシーリングと申しておりますが、これが昨年度よりも低いシーリングで決まった。一般の行政経費につきましては、昨年も伸びがゼロ、ことしも伸びがゼロでございますが、その他の政策経費につきましては原則として、去年は一〇%でございましたのをことしは七・五%ということで、去年と比べますと非常に低いシーリングということで要求が出てまいる。これはサマーレビューの一つの成果ということになるわけでございますが、サマーレビューとシーリングとの関係というのはそのように御説明できるかと思います。
○新村委員 サマーレビューを本当に有効ならしめるためにはやはり相当な決意を持って当たらなければいけないと思うのですが、サマーレビューにおける当然増が二兆四千八百億ということですけれども、そうしますと概算要求、いわゆるシーリングが決まるまでの段階において、何か本質的に財政支出としてどうしてもその後の状況の変化で増額をしなければならぬというようなものがあったのかどうか、それはどうなんですか。
○西垣政府委員 シーリングと申しますのは予算要求の枠でございまして、要求をいただきましてその中でいろいろと議論をしながら、査定を加えながら五十六年度の予算の姿をつくっていくわけでございます。それで、われわれが目標といたしましたのは極力それをゼロに近づけるということで、現在作業をしているわけでございますが、率直に申しましてなかなかむずかしい状況でございます。 先ほどの御質問は、サマーレビューの枠の中にシーリングがそのまま入るというふうな受けとめ方をしての御質問かと思いますが、シーリングと申しますのは要求の枠でございまして、五十六年度の予算がどうなるかは、その要求をいただきました後御相談をしながらそれに近づけていくということでございます。
○新村委員 シーリングというのは大体見当はついているのですけれども。ですから、サマーレビューを踏まえて、そしていかに予算を圧縮していくかという努力がどう行われたかということを伺いたいわけなんですけれども、サマーレビューから比較をすると二兆以上もふえているわけですね。そして、いままでの査定率から推定すれば恐らく四十六兆五千億くらいの予算になるのではないかということが予想されます、新聞では四十六兆六千億とも七千億とも言われておりますが。 そうしますと、サマーレビューというのは、政策的な配慮なり予算の圧縮の可能性、これらについての厳しい検討はなかったのかどうかですね。
○西垣政府委員 サマーレビューと申しておりますのは、日本語で申しますと事前点検作業という言葉で説明しておりますが、あくまでも五十六年度予算をつくるための事前の作業でございます。そういう作業を通じまして、五十六年度に極力財政再建の方向で踏み出したような予算をつくりたいということでございます。その成果として五十六年度予算がどういう姿になるかというのは、これから結果が出てくるわけでございますが、その第一の結果として要求の枠が去年より厳しいものになった、先ほど申し上げたとおりでございまして、それがいわばサマーレビューの一つの成果であったのではないかということでございます。
○新村委員 事前点検という言葉も知っているのですけれども。ですから、サマーレビューを本当に意義あらしめる、意義のあるサマーレビューにするためには、やはりシーリングとの間の差がこんなにあったのでは意味がないのじゃないかということを言っているわけですよ。 その点ではどうも明確な答弁がないわけですけれども、いずれにしても、四十七兆九千三百億という概算要求であれば、従来の例からしても恐らく四十六兆五千億くらいの最終の枠になるのじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがですか。
○西垣政府委員 先ほども申し上げましたように、ただいま作業中でございまして、最終的にどんな姿になるのかというのはこれからのことでございまして、いまの段階で申し上げるわけにはまいりません。新聞等でいろいろと報道しているようでございますが、これはあくまでも憶測記事でございます。
○新村委員 憶測でもいいのですけれども、恐らくその辺で決まることは、従来の例からしても、特に異例の予算でない限りはそうなると思うのですが、そうなりますと、サマーレビューに比較をすると、サマーレビューの場合に税収が三十兆七千億と言っておりますが、これは実際にはかなり大蔵省としては控え目の数字でしょうから、従来の例からしてもいかに控え目に見ても税収は三十一兆程度は間違いないでしょう。それで税外収入が二兆一千億、公債が仮に二兆減らすと十二兆二千七百億ですから、そうしますと、サマーレビューと同じ厳しさでやっても四十五兆三千七百億くらいの規模にはなる。そして一方四十六兆五千億ということになれば、その差は一兆一千三百億ですね。一兆一千三百億をこの際どうにかすれば、これは増税なしでも予算が組めるという計算になるわけですけれども、いかがですか。
○渡辺国務大臣 私がゼロリストを財政審の御要望に応じて出したときにも申し上げましたように、これは来年度の経済見通しによるのですよ。したがって、来年度の経済見通しを幾らに見るのかということがわからないとわからないのですよ、税収の伸びもわかりませんから。まあしかし、去年程度ということになれば、自然増収というものは三兆円から四兆円ぐらいしか出ないだろう。そういうことになれば、二兆円を減らすとすれば国債費と地方交付税で税収の伸びは全然なくなってしまいます。そうすると一般歳出は、ことしと同じ額でございますよ、全然伸びません。ところが、それではけしからぬというお話がいっぱい出てきているわけですね。しかし財源がないのですから、それでけしからぬと言われればその財源をどうして調達するのか、その調達の仕方、現在の経費の切り方、既定経費をどこまで切れるか、既定経費をどこまで切って、伸ばすべきものはどこまで伸ばさざるを得ないかということになれば、切る方と伸びる方とどっちが多いか。伸びる方が多いとすれば、その分は何らかの形で財源調達をしなければならない。問題は、財源調達はするな、経費も伸ばさぬでよろしい、切った経費の範囲内でやれというのが大多数の方の御意見であれば、それも一つの方法。しかしながら、なかなかいままでの状況から見ると、切った経費の中だけで伸ばす、スクラップ・アンド・ビルドだけではおさまりそうもないということになると、最小限度どれくらいの税収を確保しなければならないかということは当然に考えていかなければならない問題であります。でありますから、増税なしで自然増収だけではなかなか、来年度予算はそれだけでおさまるとはちょっと思えない、最小限度のものは仕方がないのじゃないかというように考えておるわけです。
○新村委員 このサマーレビューの四十五兆七百億という数字は、これは経費の削減とかあるいはまた各関係機関の余った金を寄せ集めるとか、そういったことは一切ないわけですね。現在の制度で現在の見通し、サマーレビューでは名目成長が一〇%、弾性値が一・二と言っていますね。そういうことでこれだけの税金が入るわけですから、この段階ではまだそういう財政的な工夫も努力も全然しないでこの数字になるわけです。それで仮に予算が、従来の推定でいけば四十六兆五千億ですから、足りない分が一兆一千億余り。ですから一兆一千億余りをそういういろいろな工夫で努力をして出せば増税なしで済むということになるわけですけれども、大臣、非常に厳しいとおっしゃいますが、いわゆる租税特別措置法による減額の額が大体八、九千億あると思いますね。一兆くらいあるでしょう。その中には政策的なものもありますから全部ゼロにはできないと思いますけれども、厳しく査定をすれば六、七千億はそこから間違いなく出てくるでしょう。そうすると、一兆一千億から一兆一千三百億いま足りないわけですけれども、七千億はそこから出てくる。あと四千三百億あればいいわけですよね。そうすると、いま問題になっておるような電電の利益金であるとかそういったものを調達すれば、優に四十六兆五千億の予算は組める、これは素人の計算でもできるわけですけれども、そこらはどうなんですか。
○渡辺国務大臣 計数的なことで私も詳しく存じませんが、先生のおっしゃる四十六兆円という数字はどこから出てくるのか、そこらのところもよくわかりませんので、事務当局から説明をいたさせます。
○西垣政府委員 混乱がないようにちょっと復習をしておきますと、サマーレビューのフレームといいますのは、当時の段階で歳入を極力見積もるとどうなるかということではじいたものが四十五兆七百億ということでございました。先生おっしゃいましたように、五十四年度の税収見積もりを前提といたしまして五十五年度、五十六年度と一〇%ずつの経済成長があって、租税弾性値が一・二ということではじいた税収見積もりでございます。当時のことでございますからこう置いたということでございます。それで、その他の税外収入等も極力見積もりましたところで歳入が決まってまいります。歳入が決まったところで、その歳入でもって一般歳出がどのぐらいの姿になるのかということをはじいたものがこれでございまして、現在の制度のままの財源にするためにはどれだけ努力をしなければならないのか、というのがサマーレビュー以来私どもがやっている作業でございますが、先ほど申し上げましたように、これはなかなか困難でございます。その結果として一般歳出をどのぐらい伸ばさなければならないのか。大臣がおっしゃいましたように、減るものもあればふやすものもあるということで、全体としてどのぐらいのものをふやしていかなければならないのかということは実はまだ決まっておりません。現に作業中でございます。いろいろと報道されておるものがございまして、恐らく四十六兆数千億ということをおっしゃっておられるのだろうと思いますが、それとこのサマーレビューの四十五兆七百億との差一兆数千億とさっきおっしゃいましたものをどこから捻出してくるか。これにつきましてはいま申し上げましたようなことで、私どもといたしましては、どの程度の歳出を確保しなければならないのかということもまだ出しておるわけではございませんので、これ以上のことは申し上げられないということでございます。
○新村委員 いまはっきりしておるのは、サマーレビューにおける見積もりが四十五兆七百億、これは一つの推定の数字ではありましょうけれども、政府も認めておるわけである。それからシーリングの枠が四十七兆九千三百億、これも発表しておることですから政府もお認めになっておることです。そうしますと、四十七兆九千三百億というのは、従来の例から推定をすれば四十六兆五千億程度になることはほぼ間違いないだろう。ことしの査定がきわめて異例な形で行われない限りは、四十六兆五千億程度は最終的に動かないところだろう。そうしますと四十六兆五千億とサマーレビューの差、そこへその後の若干の税収の修正を入れると、不足額は一兆一千億程度になるのではないか。これは私の推定ですけれども、いろいろの専門家も言っておるわけです。ですから、この一兆一千億をこの際何とかすれば増税をしなくても済むはずだと思うのです。一兆一千億は大変な額だとおっしゃるかもしれませんけれども、不公平税制がいま一兆近くある。政策税制を引いても六、七千億はそこから出てくるのじゃないか。それから、いま政府が検討されておる財源の調達方法、いろいろありますね。これをやれば増税しなくても済むのじゃないかということです。 いまの経済情勢は、午前中からも論議があったふうに決して安易なものではないわけです。設備投資についてはかなり好調だとは言っておりますけれども、大衆の消費水準は非常に冷え込んでおる。鉱工業生産についても決して楽観できないわけです。そういう中で、増税をすることが日本経済のために果たしていいのか悪いのか。財政再建にとってもいいのか悪いのかという議論があるわけです。ですからこの際は、かねてから大臣が言っておられるように、蛮勇をふるって経費の削減、それから不公平税制というか、租税特別措置法の徹底的な整理、これらをおやりになる決意があるのかどうかということですよ。ところが大臣は最初から増税ということを打ち出しておりますけれども、増税というのは財政の大きな逃げ道ですからね。その逃げ道をふさぐというのはおかしいですけれども、みずから退路を断って財政再建をするという不退転の決意がなければだめだと思うのです。そういう点で伺っておるわけです。
○渡辺国務大臣 全く私も同じ考えなんですよ。最初から増税なんて私言ってないのです。ともかく負担の増加を何かで持つためには、経費の削減ですよ。経費削減すればおのずから行政サービスの低下になりますよ、それでなければ負担をある程度増加するほかありませんよということを言っているのであって、そのどっちもだめだというのなら半分ずつやるかというようなことは言っていますね。しかしながら、ふえたものを増税でというようなことは言っていないのです。それは逃げ口は全部ふさぐわけにはいかぬけれども、極力経費の節減というものでやるのです。しかし、経費の節減と申しましても、例示的に申しますと、たとえば人件費は来年は一銭も伸ばしません、それが本当にできるかどうか。ベースアップは一円も上げません、それから生活保護費も一円も上げません、学校の給与も一円も上げませんということができるどうか。できれば一番いいのです、これは。それから年金も上げませんよということは、なかなか完全にできるかどうか、いま検討中ですから。 それから補助金と一口に申しますが、補助金の八割は法律ででているわけです。大蔵大臣蛮勇をふるってやれと言っても、国会を無視してやっちゃえと言ってくれる人はだれもいないのです。法律は国会で決めるわけですから、国会が同意しなくて法律が通らぬと、予算を組んでもおかしくなってしまう。したがって、国会の御協力も得て法律事項も直したい。ところが、法律事項のものはほとんどが社会保障と文教なんです。補助金は社会保障と文教で三分の二ですから、これは一番大口です。社会保障などは、補助金のうち法律の補助金と法律以外の補助金が九七対三ぐらいの割合です。ですから、こういうようなものについてもわれわれは実は見直しもしているのです。しているのですが、それじゃ法律でない二割の補助金があるじゃないか、この二割の部分はむだな補助金ばかりかというと——これもばっさり切りたいのですよ。しかし、たとえばわかりやすく百億のうち八十億が法律の補助金だとする、二十億が法律に基づかない補助金だとする、八十億の補助金が仮に一〇%伸びる、たとえばですよ、五%でもいいですが、そうすると八億円になりますね。二十億のところ八億円捻出するのには四〇%カットしなければならぬ。 たとえば、二十億に相当する二割の補助金の中では、一口で何千億という大口もあるのです。たとえば米の減反補助金、来年はもっと減反をふやすというのに補助金を四割も減らしちゃうということがうまくできるのかどうか、こういうこともいろいろ一つ一つ積み上げながら、現在極力切れるものは切りますよ、しかし、四割はとてもなかなかむずかしいというようなことで、その詰めをいま盛んにやっているわけでございますので、いまはっきりした数字を申し上げられない理由はそこにあるのです、ということを御理解いただきたいと思います。
○新村委員 確かに補助金の機構というのは複雑なことは大体わかっているのです。しかし、それは整理のしようによっては千億単位の整理はできると私は思うのですがね。 それから、大臣まだお触れになりませんけれども、租税特別措置法による整理、これは六、七割はできると思いますよ。政策的にどうしても残さなければいけない中小企業向けの政策、これは別ですけれども、それからそのほかにも政策的なものはあるでしょうけれども、それ以外はできるわけですから、そこで不足額の大半は生み出せる。それから冗費節減によって千億単位の節減が可能だと思います。そうしますと、一兆一千三百億程度のものはそういうところから出るのではないかと思うのですけれども、大臣、それはどうですか。
○渡辺国務大臣 そう簡単に出るのなら大蔵大臣も楽なんですよ、本当の話が。たとえばその特別措置法で確かに御指摘のように約一兆円近い減税額があるのです、九千八百億円あるのです。しかし、そのうちの約八割は個人に関するものですね。たとえば約八千億円近くありますが、そのうち一番大きいのは零細な預金に対するいわゆるマル優制度ですよ。これが五十五年度ベースで約二千百億円ありますから、この際はマル優を全部やめてしまう、郵便貯金も全部課税するという踏ん切りがつけば、これはできないことはないです。 その次は生命保険料控除。これも個人で一人五万円までを限度にして、生命保険をかけている者は税額控除しますと言っていますが、これもそんなものはやめてしまえということで、本当に国会がまとまるならばできるのですよ。ところが、そういう零細なものや低額所得者のものはめんどうを見ろという声が多いのです。あるいは住宅の政策優遇措置の一千億とか、これは住宅なんというのはもういっぱいだからいいというふうに踏み切ってしまえばいいのですが、どれをとっても、全部やめてしまえという声は自民党の中からも野党の方からもなかなか出てこないのではないかと思って、私はむずかしく思っておるのですが、これも皆さんが、そういう声がいっぱい出てくれば、まだ先のあることですから、われわれも考えてもいいのです。 それから法人関係は、法人全部で、特別措置法の中全部で約千九百億円しかないのです。その中の大部分は、中小企業対策費の関係が八百億円、それから公害とかその他のもの、資源対策とか何かで一千億あります。それで、いまは昔と違いまして、特別措置法で減税している分は昭和四十七年には法人税の税収に対して九%あったのです。ところがいまは二・二%しかない。非常に小さなシェアになっておる。しかもそういう一つ一つの中身についても、これとこれとこれはなくせという具体的な話が出てくれば私はいいと思うのですが、それで一千億とか二千億とかいう金がすぐに出るというようにはなかなか考えられない。 それから補助金の問題も、零細補助金を切れと申しますが、百万円の補助金を一万カ所——そんなにありませんけれども、切ってみたって百億という話ですから何千億の話ではない。ですから、零細補助金では非常に数があっても額がない。しかし、これも切りますよ、どんな小さくても切るのですからということでいま作業を進めておるというわけであって、これは簡単に出てきそうでなかなか出てこないのです。一生懸命やっているのです。
○新村委員 その点については、ひとつ大臣の蛮勇と決断力を特に期待するわけです。 次に、地方財政の問題で伺いたいのですが、地方交付税については税率の引き下げあるいは引き上げいろいろ議論があるわけであります。地方交付税の税率を下げよという議論がありますけれども、これについてはどうお考えですか。自治省、お願いします。
○津田説明員 お答えいたします。 地方交付税につきましては、先生御承知のとおり現在の行政サービスの配分におきまして、国民経済計算等によりましても大体地方が七、国が三でやっておる。しかし、それに対して租税の配分は国二、地方一というようなことでございます。私どもとしましては地方税をさらに充実強化いたしたいとは存じますが、正直申しまして地域的な経済格差がある、税源に偏在があるというようなことでそれもなかなかむずかしい。それを調整しているのが地方交付税でございます。そういうような性格を持つものでございまして、単なるほかの歳出とは性格が違うという事情もございます。 また、現実論といたしましても、昭和五十年以降地方財政も大幅な赤字、収支不足を出しておりまして、交付税率こそ三二%でございますが、実際は借り入れその他で四〇%ぐらいの額を確保しなければならない。こういうような事態におきまして、現実論としましても、また性格あるいは制度の仕組みとしましても、交付税率の引き下げ論ということは私ども理解できないような状況でございます。
○新村委員 国の財政危機と同時に地方財政も非常に窮迫して五十年度以降苦しんでおるわけですが、これについての国の方の対応策としては交付税率の引き上げ、これについてきわめて強い要望があるのですけれども、それをやらずに別途のいわゆるルール化によってやっておるわけですが、五十六年度の地方財政における財源不足額はどのくらいの見込みになるのですか。
○津田説明員 来年度の地方財政収支見込みにつきましては現在作業中でございますが、先生御承知のとおりその前提としましては来年の経済の推移、それに対するいわゆる財政金融のスタンス、国の予算編成方針、そういうものが固まってまいりませんと的確な見通しはできないわけでございまして、現段階におきましては具体的にお答えできないような状況でございます。
○新村委員 地方財政収支試算によると五十六年度は二兆五千億の要調整額、財源不足額があるということになっておりますが、この見通しと現在の時点における見通しとではどの程度違いがございますか。
○津田説明員 本年度予算委員会におきまして提出いたしました収支試算におきましては二兆五千億の収支要調整額が出るであろうというようなことでございましたが、この収支試算自体がいわゆる七カ年計画等の見通しに立ってできておるわけでございます。その計画自体をどうするか、またその計画に見込まれたように来年度の経済が推移していくかどうか、そこいらもまだ明確でございませんので、この収支試算は一応書いてございますが、来年度具体的にどうなるかはわからない状況でございます。
○新村委員 とにかくこの数字に近い額が財源不足として出てくるということは容易に想像されるわけですけれども、これに対する対処の仕方としてはやはり従来どおりおやりになるわけですか。
○津田説明員 作業の結果どういうような数字が出るかわかりませんが、大幅な収支不足等が出れば、いままでやってきた対策の例もございますが、そのほか地方交付税法にのっとりまして交付税率の引き上げというような問題も考えなければならないかと思います。いずれにしましても現段階ではどのような措置をするかまだ見通しが立っておらない状況でございます。
○新村委員 交付税の問題について伺いますけれども、数年来公共事業の重点施行ということと関連をして、交付税の性格が当初の時期からかなり変質をしておるということがしばしば指摘をされておるわけです。たとえば事業費補正というもののウエートをだんだん重くしておるという事実があると思いますし、そういう点からして、交付税というのは純粋に一般財源として自治体へ配分されるのがたてまえでありますけれども、事業費補正というようなことのために性格が次第に補助金化をしておるというようなことが言われておるわけです。こういった点は財政再建と同時に、当然前に戻されなければいけない一つのゆがみだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○津田説明員 五十年以来特に財政収支の不足を補うために交付税特会借り入れのほかに財源対策債の発行ということでやっておりまして、それ以前でございますと交付税で算定しておったものをさしあたって財源対策債で財源を賄ってもらう、要するに交付税のかわりにさしあたって起債で地方団体に財源を調達してもらうわけでございますので、それにつきましては償還財源を保障するという意味で財源対策債の償還費を交付税の算定に織り込まなければならない、こういうような事情になっておるわけでございます。 そのほか河川等でいわゆる事業費補正というものがございますが、先生御承知のとおり交付税の算定におきましては、客観的に算定すると同時に個々具体的にもある程度適確な財源措置をしなければならないというような要請がございまして、客観的公平性を保つと同時に具体的な地方負担もある部面においてはとらえなければならない、かように存じておるわけでございます。全体的な仕組みの中におきましてそのような事業費補正はどの程度のウエートがいいのか今後も私ども研究してまいる所存でございますが、現在、特に財源対策債の発行というような事態におきまして、それの償還問題につきましては交付税で手当てすべきものであろう、かように考えております。
○新村委員 それからもう一つ、これはかねてから地方団体から要望が強いのですけれども、零細補助金の整理と関連をして補助金のメニュー化ということが言われておるわけですね。これはある意味では補助金を一般財源のような形で交付するというようなことになろうかと思います。零細補助金を整理をして一定の枠でいわゆるメニュー的な補助金を実現していただきたいという要望が強いわけですけれども、この点についてはいかがですか。
○津田説明員 国庫補助金の問題につきましては、それ自体、国全体としての施策遂行というような面での必要性があるかと思いますが、現在の状況におきましては私どもとしましては、もうちょっと整理してよろしいのではないか、その整理をする場合に、事務、事業をなくすというような場合には補助金自体をなくすということ、それから事務、事業が残って地方団体の自主自律性で事業運営を行うものにつきましては国庫補助金を地方一般財源に振りかえるというような方途で財源措置をする、そのほか、補助金として残さなければいけないにしましても事務、事業の選択等をなるべく地方の実態に合わせるためには統合メニュー化というようなことが必要であろう、さらに補助金の交付手続の簡素化等につきましてもなお一層検討していかなければならない、かように考えております。
○新村委員 地方団体の自主性を回復するためにもそういった方向をとるようにお願いをしたいと思います。 以上で終わります。
○國場委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 大変な政治課題になっております財政再建に取り組もうとされております大蔵大臣として、同じことを聞くようでございますが、まず五十六年度の一般会計予算の大枠といいますか規模といいますか、そういうものについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○渡辺国務大臣 これは先ほどからのお話がございまして、一つは、来年の経済見通しがはっきりわからぬと要するに経済の伸び率がわからない。それによって税額の目安がはっきりわからない。それから予算がどれくらい切れるかということをいまぎしぎしやっておりますが、先ほどの教科書論争じゃありませんが、どこまで切れるか。問題は、そういうような切れるところが大きくなれば予算規模は小さくて済む、切れるところが大きくなければある程度増税をしてでも伸びざるを得ないということになるものですから、幾らの規模になるのだと言われましても、GNPの問題も絡んできて、いまここで金額を表示できる段階ではないというのが本当のところであります。
○田中(昭)委員 けさほどからずっと言われておりますし、金額的に報道もされておりますから、いまから私の申し上げることで、これは大きく違うというものがあれば教えていただきたい。 報道等によりますと、全体の規模が四十六兆六千億とか言われております。端数は別にしまして、それではまずその中身としましていまから申し上げますが、大体当たらずとも遠からずですね。先ほど事務当局の方では憶測記事だと言うけれども、憶測記事にしましても、現実にはそういうものが流れているのです。ですから、流したとはいまの段階で言えないでしょうけれども、中身としては当たらずとも遠からず、こういう感じです。そういうことで、数字を、この費目については大体この程度だろうというふうに申し上げてみたいと思うのです。 まず、言われております国債費の償還等に充てる費用が大体六兆八千億、そして交付税等が、少しは増減がありますけれども大体八兆円。そうしますと、必然的に、行政費も含めていわゆる一般歳出分、これが憶測によりますと大体九%くらいの伸びで、いまの状況でいけば伸びるかもしれないと思います。いよいよ大蔵省と総理を囲んでのまず事前のあれがあるそうでありますし、その後自民党の中でも、悪い言葉ですけれども、いわゆる予算分捕り合戦が始まる、こういうことを考えますと、九%は伸びるかもしれませんが、前年よりもちょっと低いということです。九%にしましても、いまの国債費六兆八千億、そして交付税等八兆円を見ますと、大体三十一兆九千億、三十二兆円となります。問題は、この三十一兆九千億から三十二兆円、これを今度は歳入の方から見てみますと、公債の二兆円減は決まっています。国債の二兆円減は大体目標としていく。税外収入が幾らか伸びるでしょうが、これは二千億伸びると言う人もおりますし、私は四、五千億伸びるのではなかろうかと思います。これは後でまた議論しますが、そうしますと大体三十一兆九千億、三十二兆円ぐらいが税収ということになるわけです。この辺で何か、いま私が申し上げた中で一番間違っておると思われる点がございましたら教えてください。
○渡辺国務大臣 いやいや、それは田中大蔵省がこしらえたものでございますから、間違っておるということは申し上げることはできません。まあまあ来年は経済成長も二けたにはならないのじゃないかということになれば、二けたになることはないと思います。
○田中(昭)委員 あなたがいままで国会等でもどこでもいろいろおっしゃっていることからもう少し聞いてみますが、いままであなたは、五十六年度の税の自然増収は四兆円とか、多いときは四兆四、五千億と言われたことがある。ですから、それが大体どのくらいか、もう予算もここまで来ているときですから、大体は頭にあると思いますよ。ないと言ったらうそだと思います。しかし余り明らかに言えないところもありましょうから、四兆数千億としまして、その自然増収の主力は法人税と所得税だと私は思うのです。四兆数千億、四兆五千億、四兆円でもいいのですが、その中の主力は法人税と所得税だと思う。その法人税と所得税だけで、大体どのくらいその自然増収の四兆円の中に占めておるのか。それぞれ法人税が幾ら、所得税が幾らと、いつも大臣がおっしゃる大ざっぱで乱暴な意見で結構ですから教えていただきたい。
○梅澤政府委員 計数の話でございますが、これは先ほど来たびたび大臣の御答弁にもございますように、経済見通しそのほかのいろいろなデータで私どもいま一生懸命積算なり検討をいたしておりますけれども、オーダーという段階でも、来年度の自然増収が幾らかということを申し上げる段階にはないということをぜひ御了解願いたいと思います。いましばらくお待ち願いたいと思います。
○田中(昭)委員 まあいいでしょう、国会では言えなくても外にはどんどん流れておって、そういうところは日本の政治の問題点でございましょうから。 それでその問題は別に置きまして、それでは仮に先ほどの予算規模の話からいきますと、五十五年度の自然増収が大体五兆円ちょっと切れていますね。ですからことしが大体五兆円の自然増収を見込んであったのですから、昭和五十六年度が五兆円の自然増収を超えても何も私はおかしくないと思うのです。ということは、現在の税収の伸び、さらには景気の見通し等を考えますと、部内でも五兆円の自然増収はあるという人もおるのです。大臣は首を振っておられますけれども、それは報道されております。それでは五兆円の増収がないならば、どれくらいなのか教えてください。
○渡辺国務大臣 これは先ほどから何回も言うように、来年の経済見通しが決まっていないのです。したがって自然増収といっても、経済見通しが決まらぬと税の伸びがわからぬわけですよ。予算の組み方にもよりますよ、成長率というのは裏表みたいなものですから。そこが固まっていないからはっきりしたことは言えない。しかし、どんな予算の組み方をするにしても、財源の問題とかいろいろ問題がありますから、五兆円というような自然増収は見込むことはできない。とてもとてもそれは過大な見積もりになると私は思っております。
○田中(昭)委員 それでは五十六年度のことはこのくらいで終わりまして、本年度約五兆円の自然増収というのは、過去十年間、景気が高度成長のときも含めて十年間さかのぼってみましても、いままでにない史上最高の増収額ですね。そうしますと、国民は本年度も大変な税の負担をしているわけです。よく言われますサラリーマンはベースアップが少なくて、税金等を引かれると実質赤字になる。そういう中で、一昨日は大臣も、街頭で国民と対話したときにもそういう話が出たわけですね。税金がこれ以上高くなったら生活はやっていけない、そういう状態にある。大臣はおとといもきのうも何かどこかに行ってそういう問題に触れられた。そこでは増税をするとはっきりおっしゃった。おとといは法人税を上げると言われた。きのうは法人税だけではないぞ、ほかのものもあるぞ、こういうことをおっしゃった。そういうことでありながら、ここで自然増収を聞いてもはっきりわからぬというようなことをおっしゃいますから、現実に増収を負担する国民の側に立てばたえられない。史上最高の、過去十年間さかのぼっても五兆円という自然増収はない、そういう状況ですが、この点についてはどうお考えになりますか。
○渡辺国務大臣 詳しくそういうことを計算しておる事務当局から答えさせますが、とてもそういうような過大な見積もりなどは考えられないということなんです、いままで三兆円ないし四兆円ということを大蔵省事務当局は言っているわけですから。
○田中(昭)委員 大臣、私が言っているのは、本年度五兆円と自然増収を見ている、それに対して国民に説得力を持つどういう御意見をお持ちですか、こう聞いているのです。あなたも一昨日なり昨日もそういうことを聞いてきたわけでしょう。それを率直に言ってください。
○渡辺国務大臣 ちょっと何か誤解があるようですから、事務当局から詳しく説明させます。
○梅澤政府委員 ただいま委員が五十五年度で五兆円の自然増収があるとおっしゃいましたけれども、これは五十四年度の当初予算と五十五年度の税収の差額なんでございます。ところが、この五兆円のうち五十五年度で増税をいたしましたものが四千億円でございます。自然増収というのは、増税を除いて現行税制のまま経済の実力で伸びるのを自然増収と言っておるわけでございます。そういたしますと、それを引きますと四兆六千億でございますが、これは前年度の対当初予算との対比でございますから、この四兆六千億のうち一兆九千億は、年度で言いますと五十四年度に生じた自然増収でございます。したがって、自然増収という観念でいま整理させていただきますと、大ざっぱなオーダーで申し上げますと、五十五年度の自然増収額というのは二兆七千億でございます。
○田中(昭)委員 大臣、大蔵省は膨大な資料を持って言いわけをしますけれども、どんなに言いわけしてみても、政府が今年度見た当初予算の自然増収は五兆円近くあるということは事実なんですよ。それがいま言うたように、ベースアップも少なくて実質赤字になるというサラリーマン、そういう人たちはどういうように思っているだろうかということに対する大臣の御意見を開いているのです。税金の内容を聞いているのじゃないのです。どうですか。
○渡辺国務大臣 これはいまもお話があったように、五兆円近くというのは数千億の増税分を含んでおるからよけいに見積もってあるのだということであって、自然増収がふえるということは、所得がふえた分が自然増収の形ではね返っているということは、法人税などでは大きくそれが出ているわけです。
○田中(昭)委員 どうもいつも説得力ある渡辺大蔵大臣にしては、私ちょっといまのところは理解しにくいのですけれども、予算審議もございますから後へ譲ります。 先ほどから歳出を削るということをずっと言っておられますね。ですから、私もまず最初に、あんまりいいことじゃないですけれども、どきっとするような意味で、歳出を削るという乱暴なそれこそ大ざっぱなあれですけれども、補助金等——補助金等と言っておきますが、それを含めて二、三割削ってはどうですか。もう時間がございませんからずっと言います。国全体で本年度は二十五兆八千億ぐらいの補助金等がございます。その中に地方交付税を除けばおおよそ十八兆三千億、その十八兆三千億の中で補助公共事業というのが一般会計から約三兆円、道路整備等特別会計等から十一兆二千億円、合計十四兆二千億円ございますが、これの一割でも二割でも削られませんかね。
○渡辺国務大臣 これも先ほど私がお話ししたように、補助金の八割というのは法律で決まっているわけです。十四兆弱の補助金のうち八割は法律で決まっておる。たとえば社会関係費で見ると約四兆六千億円。(田中(昭)委員「内容はいいです」と呼ぶ)いいですか。——したがって、法律で決まっておりますから大蔵省単独で削るというわけにはなかなかいかない。補助金の大宗をなすものは社会保障と文教だ、これも御承知おきいただきたい。
○田中(昭)委員 そこで、昨年末でしたか、補助金等については何か閣議決定で四分の一を三年間で減らすとかというようなことが決まりましたね。これはどういうことですか。
○渡辺国務大臣 これは細かい補助金、零細補助金といいますか、項目がいろいろたくさんにわたっております。そういうものの項目を減らすということでやったわけであります、統合したりいろいろなことで。
○田中(昭)委員 その項目が減るということは、それでは、項目をきちっと最初しておりまして、それをきちっと三年間で項目を減らす、ですから、項目が減ることは補助金等の金額は逆にどんなにふえてもいいということですか。しかしそれはもうわかっていますから。大体、逆に一兆円ぐらいふえていますね。それで私は先日も大臣がいらっしゃらないとき、農林水産省の補助金を数えてみたのです。これは大蔵省から出しておりますが、農林水産省の補助金の項目だけでも千百九十四あるというのですが、これを見てみますと千百九十四ないのです。でたらめですよ、これは、補助金の項目の数なんというのは、本当に。数えてみて、それだけないのですから。なぜないか、原因を見ると、これは分けておりますとか、ここにあるのは農林水産省の方では三つに分かれておりますとか四つに分かれておりますとか、また逆に減っておりますとか、とにかくつじつまが全然合わない。そこで私はこの前、大蔵省にも、農林水産省の補助金の数は何ぼですかと言ったら、先ほど農林省から言ったように千百九十四でございます、こう答えたけれども、それは違うのです。じゃこの補助金便覧、これは何を出しているのですか。そういうことで考え合わせますと、まず閣議で決まった四分の一は項目を減らすということも、これは問題の基礎があやふやです。まやかしだ。それから、金額もかえってふえてくるのです、補助金は。これも、国民が補助金は切ってください、むだな補助金は切ってくださいと言うことから見れば、私は、まやかしだと言われても仕方がない、こういうふうに思うのです。 ですから、その辺のことはどうですか、大臣。いま初めてお聞きになったようなお感じですか。もう事務局はいいですよ。大臣、感じだけ。
○渡辺国務大臣 本当に補助金の数が減って金額がふえておかしく思うのは、私は国民感情として当然だと思うのです。私もおかしく思ったのだから。ところが、調べてみますと、小さい補助金は整理をしても金額的には余り張らない。でかいものは五%とか一〇%ふえますとでかい金額になるのです。たとえば厚生年金なんかの補助金というものは、それはもうそれだけで一兆円、だから五%乗っけても五百億。百万円の補助金を一万減らしたって百億ということですね。したがって、一つの例だけれども、生活保護、これも補助金になっているわけですよ。八割補助、九千九百何ぼ、約一兆円だ。これなども、物価が上がった分だけふやすということになると八百億とか七百億一遍にどんとふえちゃうわけです。だから、でかい補助金で当然増といいますか自動的にある程度ふえるものがあって、したがって補助金の数が減らされても金額的にふえちゃったというのは、間違いなく事実でございます。
○田中(昭)委員 閣議で決めたことが補助金の数を四分の一減らすということだったそうですが、しかし金額は減らないといういまの大臣の御説明です。私は、それはもう少し事務局がきちっとした本当の実態を大臣に教えておかなければいけないと思いますよ。細かく見たらそんなものじゃないですよ。いま大臣おっしゃったような面もありましょう。だけれどもそれは細かくはもう入れませんから、そういうことだけ注意をしておきます。 いまから補助金のむだということについて。むだというのはいろいろな考え方がありましょうけれども、まず、検査院の指摘等によりましても、補助金に入る前に、この五十三年度の決算検査報告がありますが、これから見ましても、補助金どころか予算の中に大変な不当なものがあった。予算項目の中で経理が著しく紊乱しておる、そして関係書類を作為しているものがある、そして超過勤務とか出張が事実がないものをあったようにして代替をしておったとか、さらには、使い道の確認できなかったものがあったとか、こういうものが指摘されている。これはことしの春の予算委員会をにぎわした問題です。それにも出てきているのですが、こういうことは、やってならないことをやっているということですから、むだとはまた性質が違います。そこで、指摘にあるのは役所の中の三つか四つでございますが、そういうものがあると思われたところは各省庁にわたっていますね。こういう問題は一体どうしたのだ、超過勤務でも出張旅費でも、頭分けしたならばそれは当然その人の所得になって税金もかけなければいけない、税金はどうなったのだということを私はことしの三月に言ったのですけれども、それについては指導しております——一つも明らかになっていない。そういう超過勤務で、してないものをもらったものはまるまる税金に関係しますからね、それはもう大臣よく御存じのとおり。もらった分の半分くらい税金を取られるかもしれない。相当大きいはずです。 それから、何か役所によりましては、役所に来る人から金を集めているものが大部あったらしいのです。来処者から金を集めた。「贈与金」と書いてある。謝礼金とか原稿料、そういうものを集めて役所は持っておった。こういうものこそ国庫に納めさせなければならない。いまは特殊法人から納付金を取るとかなんとか話が出ておりますけれども、それもそうでしょうが、こういう、かつてないような、予算経理の中で不当があるというようなことは徹底してやってもらわなければ困る。国民は、こういうことを大臣が対話のときでもおっしゃってもらうことを望んでおると思いますよ。 あと一、二。大臣は、大きな補助金は間違いないと言いますけれども、そうばかりも言えませんよ。あるダムをつくって、そのダムができないために検査院の指摘等もございますが、これだけでも数百億ですね。六百億ですか。こちらだけで三百七十億ですか。両方で一千億くらいのむだになっているという指摘もあるわけです。また、そのほか今度は補助金やったけれども全然効果がなかったという指摘だけでも、ここにございますね、大滝ダムが二百三十五億、川辺ダムが九十二億、これだけむだになっている。これが先ほどのもので、六百数十億というのは間違いですが、このダムで二百三十五億と九十二億がむだになっておる。ですから細かい補助金だけじゃないのですよ。 それから政府出資の事業団ですけれども、これもまた三百七十五億の土地がむだに放置されておる、こういう指摘もあります。 時間がありませんから一応そのくらいにしておきますが、そういうものに対してひとつよく内容を検討して切ってもらいたい、私はこう思うのですが、いかがでございましょうか。
○渡辺国務大臣 全くそれは御指摘のとおりでございまして、恐らくいまのものは、私個別的に知りませんが、何かダムの補償をやってもダムができないでまごまごしているとか、あるいは土地を買ったのだが何らかの都合で住宅が建てられないとか調整地域に入ってしまったとか、何かそういうふうなケースじゃないかと思います。 しかし、いずれにしても類似のものがあることは間違いありません。したがって、余裕があるからそういうところへ金を出すのだから、そういうことについては非常に厳格に今回は査定をしてまいりたい、そう思っております。私は大変賛成であります。
○田中(昭)委員 ついでにもう少し、せっかく検査院の指摘もございますので大臣にもう少し勉強してもらっておきますが、検査院の指摘によりましても、不当事項は、先ほども申し上げましたが、目的を達せられてないもの、いわゆる補助の対象にしていけないものが農水省の中で毎年繰り返されるのです。 よく聞いてみますと、農水省の補助金というのは、何か深い意味があって、農水省全体の補助金の額の一割か二割は、ことし仮にここにこういう補助金をやった、ところが、この補助金についてまた次のところが要求が出るから、そこにやるための補助金が含まれているのだ、こういうことを聞いたことがあるわけですが、そういうことを聞いたということだけで私はとどめておきます。 問題は、そういう補助金をもらったところは、実際、仮に農地の開発にしましても、水田の再利用にしましても、農民が知らないところに補助金が来て、県が勝手にやっているというところもあるのですから、こういうことを検査院に指摘されますと、農民はその補助金は国庫に返さなければいけない。そうでしょう。不当事項として指摘を受けたら国庫に返さなければいけない。その返すことによって、農民は問題が起こってくるのですね。自分のところに余り利益がないものが補助金に来ておった、それを今度は返さなければいけない、ここに大変な問題、争いが起こってくる。だから補助金を拒否したり、補助金をもらっては困るという、そういう組織まであるということをこの前農水大臣に申し上げたのですけれども、知っておるということを農水大臣はおっしゃておりました。そういうことにならないようにしてもらいたいことから言えば、当然そういう補助金は切るものは切らなければいけないということのために申し上げたわけでございます。 そこで、時間が大分来ておりますから、そのむだだということで、大蔵省がことし財務局の統合をやりましたね、私のところ、九州ですけれども。これは南と北とあったのを、北を南にひっつけるというのです。ところが、その地方出先機関長さんが、機関長さんというのは北の方の人ですけれども、そこにいらっしゃる方ですが、そんなことをしても決して節約にはならぬ、こうおっしゃておるのです。それが一つ。 それから、これは政治的に決まったのだという話もいろいろ出ておりますが、財務局を利用する人、大臣も地理的にちょっと九州がおわかりにくいかと思いますが、北は福岡にございますよ。南は熊本。福岡の財務局で仕事が終わっている人は、たとえば北九州の小倉から、今度は、そこで一遍判こをもらってまた熊本まで行かなければならない。時間的にも、三十分で済むのが三時間近くかかる。そういうことで、財務局にいろいろお世話になる人から見ても大変高い代償を払わなければならない、ということは、いままでよりもむだな能力を使わなければならない、こういうことですね。 それから、これは大臣も恐らく御存じないと思いますが、この熊本の出先機関の長さんが宮崎に出張する、汽車で行けば最低五時間、六時間かかるのです。ところが、熊本から高速道路を使っていって、福岡で飛行機に乗っていけば大体二時間半ぐらいで行くのです。そういう知恵を役人の方は働かせるのです。これはもう奇妙に賢いです。なぜかといいますと、日帰りができるのです。福岡から航空便が八便ぐらいあります。熊本からは一便しかないから、熊本から宮崎に飛行機で行ってもいいのですけれども、わざわざ熊本から官庁車を使って、大事な資源を使って福岡まで行って、いわゆる三角形の二辺を行くことになる。こう来ておれば三角形の一辺になっておると思いますよ。熊本の機関の長さんが宮崎に出張する場合は、熊本から宮崎にこう行かなければならないと思いますよ。ところが、現実は、熊本から宮崎では日帰りができないとか、それは理由はいろいろあるでしょう。理由はつくるのです。わざわざ福岡まで官庁車で行って、福岡から宮崎に行けば楽に日帰りができる、こういうことが行われておる。一緒になったら、統合されたら、今度は堂々と行われるのです。そうすると、いわゆる常識的に、このボタンのかけ違いはずっと残りますよ。国民から見れば、あんなばかな常識から外れたみたいなことをして、そしてむだなことをやっているという批判が出てきますよ。どうですか。
○渡辺国務大臣 話の内容がよく理解できないのですが、恐らく財務局の話に絡んだ話じゃないかと思いますが、財務局の統合をやって、福岡の財務局が消滅して熊本財務局になる。そのかわり福岡市民には余り不便をかけないようにある年限そこに支局を置いて大体そこで便宜が図れるというように考えておるわけでございます。また、行政改革というのはそういうものが多いのでありまして、一つのところをなくすとすることは、その地域にとっては反対、持ってくる方は賛成というのが非常に多い。一方で行政改革をもっとやって行政の効率化を図れと言われるのですが、一方においては一部そういう御不便が出ることは間違いないのでございます。 旅費の関係はどういうことでありますか、私よくわかりませんので、後で調べて御回答いたします。
○田中(昭)委員 旅費のことを言っているのじゃないのですよ。そういうふうに賢いのがお役人さんだから、結局むだ、それから国民から見ればそういうむだを積み重ねるようなことのかけ違いをやってはいけませんよ、こういうことを言っているのです。その問題は一応大臣も勉強してもらうということで、それじゃ次の問題に移っていきます。 いままで申し上げたような指摘事項は、地方出先機関を統合してみても将来に向かって結局むだだ、そして国民から見ればそれ以上の労力を使わなければならぬというむだも重なってくるということを申し上げたわけです。こういうことがこれだけではなくてまたあると思います。それはまたの機会に申し上げます。 次に、大臣は行政改革も補助金の削減もどっちもやらなければならないと思っていると思いますが、優先するとすれば現実にはどちらが優先すべきでしょうかね。補助金の削減と行政改革によるいわゆる節約額で見た場合、どっちが国民に喜ばれるのでしょうか。
○渡辺国務大臣 行政改革というのは確かに地域のサービスがある程度低下するということが多いのです。たとえば登記所が町一つ一つにあった。これだけ交通が発達したのだから一カ所でいいじゃないか、すると歩いて十分ぐらいの人が今度は三時間かからなければその登記所に行けなくなるということになりますから、そういう面では、いままで登記所のあったところの人は、自分のところに登記所があるのなら喜ぶけれども、人の町に登記所が引っ越して合併するのはけしからぬ、こういうことが多い。しからば、住民の言うとおりで登記所は全部明治以来同じところに置いてもいいかということになると、これは人件費も非常に上がって経費もかかってきているということなので、昔は歩いて行ったのだが、いまは車で行くのだから、歩いていったくらいの時間であれば行けるのだからというようなことでやはり行政改革をやってもらわなければならない。こういうことで、一つの例でございますが、一部その地域にとってはサービスの低下になるところもございますが、それほど大した支障ではないという場合には行政改革は進めていかなければならない、こう思っております。ただし、行政改革からまとまったお金が即効的にどかんと入ってくるというようには考えておりません。それはじわじわ効果は出てくるということでございます。むだを省けというのは国民の大きな声であることは間違いないし、官庁の行政機構をなるべく簡素化、効率化しなさいというのも国民大多数の声であることも間違いない。したがって、行政改革は進めざるを得ないということでございます。 もう一つ、補助金の問題につきましても、極力、効果の薄くなったようなもの、目的を果たしたものについては優先的に切っていかなければならぬ、もらっている人からすれば、おれにはもっと効果があるよという御意見もあろうかと存じますが、全体的にながめて最終的な判断をしなければならないだろう、かように考えております。どちらに優先度をつけるかと言われましても、行政改革は後回しでもいいとか、補助金は後回しでもいいとかという優先度を一般的につけるというわけにもなかなかいかないだろうと考えます。
○田中(昭)委員 そのことで、ここに日本経済センターのアンケートがございまして、それをもとにして少し御質問申し上げようと思いますけれども、時間がなくなりましたから結論だけ言っておきますが、一般的な世論は、行政改革をやれ、行政改革によって政府が余り大きくなり過ぎてサービスが行き届かないようじゃいかぬ、チープガバメントという考え方で、民間はこのオイルショック以来相当切ってきたんだから政府も少し身軽になりなさい、こういうことが国民の大半の世論だ、こう言うのですね。ところがお役所の方はそうじゃない、補助金を切れ。そういう経済センターのアンケートの結果が出ているわけですね。ですから、その両方をどう調整し、結論を見出すかというのが私は大臣の政治的な決断だろう、こういうふうなことを思いますから、そういうことをよくひとつ考えてやっていただきたいと思います。 そこで、きのうから問題になっております特殊法人の中から収支差額があれば国庫納付金を出させたい、こういう話がございますが、その中で電電公社は大変な問題を含んでおると思います。そこで、戦後公社になってからの中で、現在までの経過の中で電電公社自体のいろいろな問題はあると思います。大変な体質的な問題はあると思います。しかし半面評価しなければならないものもあると思います。時間がございませんから結論を先に言いますが、そういう電電公社に対していまの制度をそのままにして、いま報道されているような納付金や電話の利用税等が云々されるということは、今度は電話をいままで利用しておる利用者の立場から見れば、高い度数料金を払ってその上にまた税金まで負担しなければならぬということはどう考えても納得できません、賛成できませんが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 電電公社も国の機関でございまして、電電公社を現在までに繁栄させるためには国全体としても協力をしてきたわけでございますから、国の財政窮乏の折りは何とかひとつ逆に協力をしてもらえないかということでいま話をしているということであって、電電公社のいろいろな自主的努力やいままでの成果については、評価すべきところは高く評価をしておるわけでございます。
○田中(昭)委員 だからそういう状況のもとで納付金を取るとか電話利用税をつくるという話が現実に出ているのですから、そのことについてはどうですか。
○渡辺国務大臣 何とか協力してもらえないかということで話をしておるわけでございます。
○田中(昭)委員 その大蔵省の協力してもらえないかということによっていま問題が起こっておりますね。きのう秋草総裁は、黒字のままであっても料金を上げなければならぬ。私はこういう問題だけじゃないと思いますよ。電電公社の職員なり公社の持っている技術、そういうものを考えてみて、また電話が現実にこういう機械化された中で、もしもの事故があった場合に、ことしだったですか、兵庫県の神戸か何かで故障があって電話がとまったときがありますけれども、職員のこの問題に対する考え方、それから機械化された日本の電信電話の技術というものに対する評価、それからいま言ったような機械の中に含まれている、電電公社の機械化したいまの仕事のやりぐあいの中において、私はこの問題は大変な問題を含んでいると思いますが、そういう面でのことは、それは起これば起こるで知ったことじゃないということですか。
○渡辺国務大臣 それは起これば起こるで知ったことじゃないというようなことは申し上げません。十分にそういうような支障のない範囲の話を私は申し上げておるわけでございます。
○田中(昭)委員 ちょっと話を前に戻しますが、大臣がいろいろなところでいろいろおっしゃいますことが、現実に、たとえば大蔵省の現場の中でどういう問題が起こっておるかということについて、ちょっと一言、これはまた大臣の参考にしてもらうために申し上げておきます。 これは大蔵省だけじゃありませんが、いままでの国有財産を売却するということが大変急にいま行われております。この中で、普通財産はそれなりに処分するということもあると思いますが、戦時中にただみたいに取り上げたものを、いまごろになって、実際に住んでおるから占有権もあるのですが、そういう土地を高い値段で買わせるとか、中には行政財産で所有が不明確なものを急速高い値で買わせるという問題がある。それから、実際の税の徴収の現場においては大変な零細企業までの税務調査強化、徴税強化が行われておる。こういうことでございまして、問題が起こらなければいいのですけれども、前もってこういう問題について大臣は行政の中でどのような御指導をなさっておりますか、お聞きしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 ともかく非常に財政窮乏であるから、内閣としては、これは私一人で言っているわけじゃありませんよ、内閣としては、国が持っていなければならないというほどのこともないものについては売却をするとか、活用をするとか、そういうようなことで自分がまず率先をして財源をこしらえて、当然それだけでは足りるわけがないから、その部分については国民に負担をお願いする、こういうふうなのが順序じゃないか。イギリスのサッチャー政権もやっておるし、みんなそういうことをやっておるのだという話でありまして、業務上支障のあるものまで売るとか貸すとか、そういうことを言っているわけではございません。 なお、先ほどもあったように、ともかく一方においては、もう税務職員が足らぬのだから、もっとふやして税務調査を徹底させろという御要求もございます。しかし私は、人をふやすというだけが能ではない、なかなか税務署は大変なことも知っておる、知っておるけれども、まず納税思想を徹底させて、まじめな申告をしてもらうということに重点を置いていきたい。それで、やはり悪質なものについて重点的な調査というものを加えていく、まじめに出したものは、私は簡略化してもいいのじゃないかということをむしろ言っておるわけであります。
○田中(昭)委員 渡辺大蔵大臣は、厚生、農林、そして大蔵大臣になって、ことしの春でしたか、あなたが予算委員会で打ち上げたことはほとんど全部俎上にのりましたね、浮上してきましたね。たとえば三K赤字にしましても、お米の問題、検査員の問題、国鉄の問題、乗らない人が云々とかいう問題、医療の問題、特に医療の問題はさすがは大臣渡辺さんだという感じが私はしております。そのほかの問題についても、自民党の若い層の中にはあなたに対する大変な尊崇者がおるようですね。崇拝者がおるようでございます。これは大変なことだろうと思います。 そこで最後に、これはお願いになりますが、細かい問題でございますが、教科書の無償とか児童手当とかこういうものは、いまの平和憲法の精神、理念の上からいっても、国が強くなる前には国民が豊かになって安定する、そのために制度的につくられたのであるし、それを前提に考えるならば、先ほどのいろいろな公共事業の中にむだな費用が突っ込まれるようなことと思い合わしてみれば、そういうわずかな庶民の願いというものについては、現状維持か、できればひとつ増強をしてもらいたい、こういうような気持ちでおりますが、いかがでございましょうか。これはぜひ願いをかなえていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 田中議員の御主張として承っておきます。これらについては党全体、政府全体として検討しておることでございまして、いま私がここでどうこうするということを申し上げられる段階ではございません。
○田中(昭)委員 終わります。
○國場委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 財政再建を中心にしてお伺いしたいと思います。 赤字国債を中心にして国債減額二兆円、このことについては、先般の当委員会のいわゆる五十二年度決算総括においてもお尋ねをしたわけでございますけれども、先ほど来大臣の御答弁を聞いておりましても、二兆円程度という言葉で返ってまいります。また、これは新聞報道ですけれども、大蔵省の首脳の方は、これは二兆円びた一文欠けても困るのだということを、大臣の御答弁を聞いた後強調された旨の報道がなされたこともございました。私どもは、御存じだと思いますけれども、二兆円にこだわらないという立場をとっているわけであります。現在なお二兆円以上を目指しておられるのか、もう二兆円はきっちりとやるということなのか、むずかしくて幾らか値切られるようなことになるかもしらぬけれども二兆円程度をやろうと思っておるのか、いかがお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 これは、二兆円を目途として国債の減額を図るというのが政府の見解であります。ただ、事務当局の首脳がびた一文というお話をなさったということでありますが、これはそれくらいの決意がなければ二兆円の国債減額はできないというように私は考えております。
○中野(寛)委員 それではお尋ねをいたしますが、この二兆円という数字が出てくる根拠、表面上は、昭和六十四年度から返さなければいかぬとか、また五十九年度までにその発行をゼロにしなければいかぬとか、いろいろなことが言われていますけれども、これをどうしても二兆円にしなければならないという実質的な根拠はどこにあるのですか。
○渡辺国務大臣 こういうものは、実は化学方程式で割り出せるものではないのでございまして、いまあなたがおっしゃったようなこともりっぱな根拠の一つでございますし、昨年の実績は十三兆円で済んでおるわけでございますから、さらに財政再建を強く打ち出してその実績よりも上回るということもいかがなものかというようなこと、あなたのおっしゃったようなことも含めまして、そしてもう一つは、何といってもいま国債がはんらんをしてしまって、国債をふやそうといったって、ともかくふやしようがない。残りのものを建設国債も含めて来年も発行を続けるのだけれども、一体金利水準をどうしたらいいのか。景気刺激をさせるために長期の金利を下げようとしても、政府が長期金利を下げないでおいて民間にだけ下げろ下げろと言ってもなかなかうまくは機能しないわけであります。民間資金をえらく圧迫することになるでしょう。そういうことなども含めて経済全体の問題も考え、やはり最小二兆円がめどであるということを言っておるわけであります。
○中野(寛)委員 それでは、この赤字国債を五十九年度までにはゼロにという目標が立てられています。これも報道によると、総理は六十年度には特例公債の依存から脱却するために云々という発言をしておられます。これは報道だけではなくて、先般の当委員会においての私の質問に対しましても総理の御答弁はやはりそういうことでございました。六十年度、こうおっしゃっておられます。すなわち、「五十九年度予算編成でそれを実現する、達成する。六十年度からこの特例公債依存という体質を脱却しよう、こういう考えでございます。」ということを明確におっしゃいました。しかし、今日まで私どもが大蔵大臣なり大蔵省の御所見をお聞きする中では、六十年度ではなくて五十九年度から脱却するという御答弁をお聞きしてきているわけであります。これは食い違いではありませんか。
○渡辺国務大臣 五十九年度までに赤字国債をなくしたい、こういうことを言っているわけでございます。
○中野(寛)委員 だから、五十九年度はゼロにするということですね。
○渡辺国務大臣 さようでございます。
○中野(寛)委員 そうすれば五十九年度から脱却するということになるのではありませんか、総理は六十年度からとおっしゃっておられますが。
○渡辺国務大臣 速記録を調べないとわかりませんが、六十年と言ったように記憶をしているのです。したがって、そこのところは多少アバウトなところがございますけれども、五十九年度の中には六十年も入るわけですね。ですからわれわれが総理と意思の疎通をしているのは、やはり五十九年度からの脱却、六十年の三月、会計年度も含む五十九年度からの脱却、こういうことでございます。
○中野(寛)委員 私は、先般の自民党総裁選挙の際の総理の政見発表の中に六十年となっておりましたから、これは六十年ですか六十年度ですか、どちらですかと当委員会であえて聞いたのです。そのことを注意を喚起しつつ聞いた。ここに速記録がありますけれども、この速記録では総理は明らかに六十年度とお答えになっておられるのです。新聞報道等もあわせて、これは六十年度と報道がされております。なんでしたらここに速記録がありますからごらんください。六十年度と明確にお答えになりました。その前に私の質問は、どちらが正しいのですかと、そのことを念を押して聞いているのです。その念を押して聞いたにもかかわらず、総理は六十年度と明確におっしゃったのです。
○渡辺国務大臣 私は再々総理にお会いをしてお話をしているのですが、別に意思の食い違いはないのです。ですから、もしおっしゃったとすれば、勘違いで六十年というのを六十年度と言っちゃったかどうかじゃないかと。私の指示されているのも、五十九年度までに赤字国債を脱却するということでやっておるわけでございますから、言葉の端々はどうか知りませんが、考え方は私どもと同じでございます。
○中野(寛)委員 私がいろいろお聞きしている感覚では、むしろ一年間ゆとりを持たせている、総理の意識の中にはそういう意識が明確にあるのではないか、こういう感触があるのです。これは一年の違いで大した違いでないように思われるかもしれませんけれども、そうではなくて、一年間違うということは、たとえば財政再建へのプロセスが変わってくる、金額が変わってくる、そしてまた国民の税負担が結果的には変わってくる。そういうことを考え合わせますと決して小さな問題ではなくて、これは大きな問題なんです。いま大臣がお答えになったような、総理が単なる勘違いでお答えされるような問題ではない、私はそのように考えます。もし総理が勘違いだとしたら、これは重大な問題です。なぜかといいますと、大臣、私がお聞きしたときもそうお答えになった。自民党総裁選挙でのあれには六十年ですけれども、六十という言葉が出てきた。そしてまたきのう、きょうの新聞報道でも六十年度と明確に書かれている。単なる勘違いとは思えませんけれども、いかがですか。
○渡辺国務大臣 一遍総理ときちんと話を私、してみたいと思っておりますが、ともかく五十九年度で脱却をするということでございまして、したがって毎年二兆円程度、二兆円を目標でやれば大体そういうことでございますから、二兆円という数字もちゃんと出てきておるわけであります。現在七兆五千億円あるわけですから、毎年二兆円程度やっていけば五十九年度には脱却できる、こういうことになるわけでありまして、つじつまの合った話ではないかと、こう思います。
○中野(寛)委員 つじつまは決して合ってないのですよ。もう一回読みますと鈴木総理の答弁は「五十九年度予算編成でそれを実現する、達成する。六十年度からこの特例公債依存という体質を脱却しよう、こういう考えでございます。」そこで私の質問は、その次に「この六十年までにというのは、」最初総理の所信はそういうことでしたから、「一年伸びたということではなくて、六十年度からは全くゼロだという意味ですか。幾らか変化があるのですか。」これは重ねて聞いたのです。「六十年度からは全くゼロだという意味ですか。」私はそういうふうに重ねて開いたのです。そうすると総理は「六十年度からは特例公債依存という体質を脱却する、そういうことでやっていこうということです。」こういうふうにお答えになった。これはいま速記録を読んでいるのです。私は何回も一年の違い、または脱却する、それは何年度からか、または何年度までにとか、「から」とか「まで」という言葉はややこしいからわざわざ聞いたのです。そしてこういうお答えが返ってきたのです。食い違いはありませんか。
○渡辺国務大臣 六十年からは償還が始まるわけですから、五十九年度で脱却するということだと私、思いますがね。ここで押し問答しても仕方がないので、そういうふうな議事録があるという話を聞きましたので、私の方でもよく調べまして、きちっとした統一した見解を申し上げます。
○中野(寛)委員 もう一点、しつこいようですが、私がなぜこれをお尋ねするかといいますと、五十年度発行赤字国債には借りかえの禁止の規定がないのです。ゆえに、六十年度に借りかえを行うことは法律上可能だ、また一年おくれれば別ですよ。そういうこと等も踏まえて一年ゆとりを持たせているのではないのか、このことが私の聞きたい内容なんです。 そしてもう一つ、私はそれだけではなくて、六十二年度脱却くらいまでに少し幅を持たせれば、いろいろ技術的な手続、便法はあると思います、持たせれば、少なくともいまの、もうあえてこういうことだから、いま増税路線になっているとかなんとかいう裏づけまで言いません、増税が必要だということはむしろいままでの論議の過程の中ではっきりおっしゃっている、こういう受けとめ方を私どもはしています。そして、その中身として幾つかの内容について私どもも決してそれを拒否しようと思っているわけではないわけです。たとえば法人税の税率を二%引き上げる、しかし、これについては中小零細企業も一緒くたには扱わないでほしいという希望はあります、前提はあります。しかし、法人税の税率二%引き上げですとか、有価証券取引税であるとか交際費課税であるとか、こういうものにまでわれわれは反対しているわけではないわけです。ただ、酒税だとか印紙税だとか、また物品税の一部については問題点がある、こういう認識を持っているわけで、そういうふうなことを考えれば、大衆課税というものを最小限度に抑える、むしろわれわれとしてはそれをしないで、そして最小限度の部分的な増税によって国民の負担というものを抑えながら財政再建への道というものが歩めるのではありませんか、そのことを申し上げたいわけです。そして、そのことによってわれわれは財政再建というものが国民のためにあるのだということ、そして、そういう努力、配慮を政府がされることが国民の協力を得ることにもつながっていく、理解を深めることにもつながっていく、そのことを申し上げたいわけです。いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 この間、予算委員会ですか、民社党の大内さんからも同じような趣旨の御質問がありました。それは借金を後ろへ延ばしていくことは私にとっては楽なことです。それによって抵抗も少なくなることも私は十分承知しています。しておりますが、結局たれ流しの借金をただ一年後にずらしていくというだけのことでありまして、しょせんは、その分だけは借財が累積して一年分ふえるということも事実なわけです。問題はどちらをとるかという話なんでございまして、現に国債を来年発行するにしても、すでにもう国債がだぶついておってなかなか売れない。国債の値段というのは、政府の発行する債券ですから、社債よりも本当は安くて利回りが悪くて、それで売れてもいいはずなんですね、民間の方よりは国の方が安全確実なわけですから。民間の会社の債券はつぶれることだってないとは限らない。普通はそうあるべきなのにかかわらず、すでに国債の値段をどんと下げることがますます売れないという状態になってきておる。したがって、公定歩合を下げてもそれと全く同じだけ国債を下げるなんてとてもできる市況の状況じゃない。ということになってまいりますと、では高い値段で利回りをもっとよくして発行する、売れるじゃないか、それは売れますよ。しかし、そうなれば長期の金利というものは下がらなくなってしまう、設備投資について非常な不便になる。現にそういう状態にぶつかっちゃっているわけです。貸出金利の値下げ問題、きのうから銀行局が交渉をやっておりまして、いつその具体的内容を発表するかというだけのいま話になってきておるわけですから、それらの経済の現実という姿から見ても、できることならもっと国債を少なくしたいというのが本当の私の気持ちなんです。したがって、国債発行額を多くしないで、なるべくなら、できることなら、事情が許せばもう二兆円以上やりたい、それくらいの気持ちでございます。したがって、私どもとしては、さらに赤字国債増発分を一年、仮に何千億か一兆円か知りませんが、それを上積みしたままで延ばしていくということは考えられない事態になっているのです、ということも御理解いただきたいと存じます。
○中野(寛)委員 その大臣が目指される御趣旨はわれわれもよくわかっているのです。しかし、そのことによって国民負担が、いまこれだけ国民生活だって楽ではないときに国民負担にそれが転換されることをおそれるがゆえに、そして、それをできるだけセーブしながら、財政再建を弾力的に段階的にやっていくために、われわれとしては一つの提案を申し上げてきたわけであります。たとえば、今日の物価が幾ら安定してきたとはいえ、やはりかなりの高率になっているわけです。そして、ことしの春の労働者の賃金は、その物価の上がりぐあいがいまよりも低いという前提で組まれている。そして、いま実質賃金が下がったということで労働者は大変大きな怒りを持っているし、来年のまた賃上げの問題も、そこから一つの大きな問題が派生してくる、そういう心配だってあるわけです。実質賃金をいかに保障するかということは、経企庁長官まだはっきりはおっしゃらないけれども、せいぜい物価を抑える努力を精いっぱいやりますという答えしか返ってこないけれども、しかし労働者はむしろ物価調整減税をやってくれ、この方にさえ大きな声を出そうとしているわけです。もう出ているわけです。そういうときにわれわれとしては、国の財政も厳しいけれども国民の生活、そのことを考えればもう少し弾力性を持たせたやり方というものが必要ではないのか。このことのために、大臣の先ほどの御答弁の気持ちはよくわかる、われわれも同じ気持ちだけれども、あえて国民生活を考えてそのように申し上げているわけです。 そういう意味で、たとえば赤字国債の発行をゼロにする年度を六十年度、六十一年度、六十二年度というふうに仮定をして、その場合の必要な国債の減額、とりわけ来年の国債の減額、または増税額というものがどれだけ必要になってくるのか、そういうふうな試算を示されてこの二兆円を語るべきではないか、このようにも考えるわけでありますが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、東家委員長代理着席〕
○渡辺国務大臣 私個人にとりましては、大蔵大臣にとっても大蔵省にとっても、国債減額を少なくすることの方が、それはできればですよ、できれば一番これは安易なことなんです。いままでどおり発行し続けられればもっと安易なことなんです。しかし、それは国債がうんとふえるだけであって、ふえてしまうわけですから、現実にはすでにいま国債を発行しようとしてもなかなか売れない。売れないという現況にぶつかっちゃってるわけです。したがって、結局国債の金利の値段が、仮に公定歩合一%下げたんだ、銀行の金利も一%、物によって下げるのだから国債も一%下げたらいいじゃないか、それすらもできない。そのために長期金利がなかなか下げづらい、したがって設備投資ができない、景気に影響するということになってくるわけなんですよ。ですから、それは考え方の相違で、その気持ちは私もよくわかるのです。よくわかりますが、そういう経済の実態にぶつかっておるということですから、これ以上国債をもっと、二兆円減らすものを今度は一兆円しか減らさないということになれば、よけいに国債がその分出るということになるわけですから、そういう状態にこれはもう拍車をかけるということです。大げさな話かも知れぬが、まあそういうことですね。したがって、できる限りわれわれとしては設備投資もふやして景気の維持も図っていくというためにも、国債をこれ以上ふやすことはできないし、減らすにしてもできるだけ多く減らした方がいいという考え方に立っておるわけです。ですから、気持ちは同じだけれども、手段、方法について私は苦しい方の手段を実は選んでおるというのが実情でございます。
○中野(寛)委員 大臣が苦しんでくださることには大変敬意を表しますが、しかし、そのことはやはり国民の負担をいかに抑えるかという苦しみでも当然あるだろうと思います。そして、私どもはそのことに主眼を置くためにいま申し上げたようなことを申し上げている。 同時にまた、後ほどお尋ねしようと思いましたけれども、たとえば国債と運用部資金の問題は大臣も前向きにお考えのような報道がなされていますけれども、そういうふうなこともわれわれとしては、いろいろ工夫をなさる方法がまだまだあるのではないのかということもあわせて申し上げたいわけであります。いや、それにしたってそれも微々たるものだよと、また大臣例の調子でおっしゃるかもしれないけれども、しかしながらあらゆる努力の中で国民負担を軽減するという努力は、それはたとえわずかであってもその方向というものは大切なのではないだろうか、こういうふうに思うのですけれども、運用部資金のことも含めてどうでしょうか。
○渡辺国務大臣 運用部資金で国債を買ったらいいじゃないかというお話かどうか、そういう御趣旨だと思いますが、いずれにしても、何でどうするにしても、要するに国債を増発するということはその分だけ民間資金を吸収しちゃうわけですよ。民間資金を少なくしちゃうのです。民間資金を少なくしてしまうということは、その分だけ民間にお金がなくなることなんです。民間は全部国から金を借りて中小企業もそれから大企業もやっているわけじゃないのです。ですから、民間の資金を余り圧迫するということはできるだけ避けていかないと今後の経済に悪い影響を及ぼす。運用部資金で買うにしたって、それは郵便貯金で集めた金で買うという話ですから、余り国が吸い上げ過ぎるということは民間を苦しくするという面もありまして、国債というものはやはり増発するよりも少なくしていくということが、もう大体限界に来ている、だから少なくすることがいいのだ、こういうことです。 運用部資金については、一部、利回りという点から考えて、それは運用の面で国債を臨時的に買っているものはあります。
○中野(寛)委員 それじゃ視点を変えますが、二兆円減額をする、そして五十九年度には赤字国債から脱却をする、その場合の原資はどうなさるのですか。増税の話が当然出てこざるを得ないでしょうけれども、その増税は何をいまお考えなんですか。政府税調に任しておるということではなくて、当然そこには大蔵省のもくろんでいるものがあるはずです。そういう見通しもなしにこんなことは言えるはずはないのです。
○渡辺国務大臣 まず極力経費を切ることなんです。つまり、増税と申しますが必要のない増税は必要ないのです。だから極力経費を切る。どこまで切れるか、問題はそこなんです。経費をばっさり切れれば必要ないわけですから。ところが先ほど言ったように、補助金の問題を一つ取り上げても、そうばっさりとみんな思うほど二兆円も一遍に切れるというようには思っていない。当然増のものも、どうしたって認めなければならないものも出てくる。ということになれば、その額は一体幾らであるか。それをカバーするだけの増税はこれはせざるを得ない。それは幾らだ。切ってもなおかつどうしても当然増で伸びるものを抑え切れないという部分は何ぼかがわからなければ、それに見合うものを増税するわけですから、私としては一税目だけではとてもできるものじゃない。法人税ということがいま出ておりますが、やはり景気問題とも絡んでおるし、世界の税率との均衡といいますか、おおよそのめどもつけなければならない。並びというものも考えなければならない。すでに日本の法人税は世界の水準の高いところへ実はいっているのです。したがって、それを飛び抜けて高く法人税だけにしわ寄せすることになれば、すぐにそれは景気の足を引っ張ってくる、設備投資を少なくするし、そこに働いている労働者の頭に振りかかってくる問題が起きかねない。したがって、限界がある。そう思いますと、世上言われているように仮に二%だというようなことになれば四千六百億円ぐらいの金目でしょう。しかし、その三分の一近いものは地方交付税でいきますから、手元にはもう三千億かそこいらしか残らぬという話になる。三千億円だけでおさまり切れればそれだけでいいのですが、おさまり切れるかどうかということは歳出との関連でございまして、歳出をもっとぎっしり詰めた上でどうしてもどちらが——税金を取らなくても歳出をばっさりやってしまうのか、それとも歳出はそんなむちゃくちゃな切り方は気の毒でできないということになれば、その分を何かで一部負担なりあるいは税収なりで賄うというほかに方法がないわけですから、それとの見合いの問題です。だから、いますぐ言えないかと言われましても、歳出で切れないものは幾らかということがはっきりわからないと、税額を最初から幾らでというふうにもなかなかできない。もし取るとしたらどれくらい取れるだろうか、検討はしていますよ。しかし、それは最悪の場合の話であって、できるだけ増税は少ない方がいいに決まっているのです。だから、いまはっきりした数字を言えないというのは、そういうために言えないわけです。
○中野(寛)委員 それではもう一つ、大臣の御答弁に合わせて質問しましょう。 補助金の節減、そして行政改革による経費の節減、こういうものが当然まず先になされなければならぬ、これはわれわれも今日まで常に主張をし続けてきたことです。そして、今年度五十五年度、行革による経費節減二千二百七十億ですか、こういう努力もなされました。五十六年度はそのめどはどこに置かれますか。そして、その経費節減、いわゆる歳出を抑えるためのめどと見通しをどこにどの程度に持っていま予算編成をなさっておられるのですか。
○渡辺国務大臣 具体的なことは、いま事務当局でそれぞれいろいろな面にわたってやっております。しかし、この間の、あなたが言う行政改革二千二百数十億というお話は、四党の予算の修正案なんかのときに出した数字ですか。
○中野(寛)委員 いえ、五十五年度の政府の目標でしょう。
○渡辺国務大臣 ですから、それらにつきましては極力、各部門において行政改革ができるべきものについては一つ一つ吟味をしてやっておるところであります。委細は事務局から説明をさせます。
○西垣政府委員 大臣から御説明しておりますように、いま予算編成作業を現に進めているところでございまして、いわば胸突き八丁と申しますか、結論を生み出すべく、いま苦労をしておるところでございまして、大体のめどがどうだというふうなことにつきましては、先ほど言われました行革による節減額というようなものを含めまして、いまの段階ではまだ固まっておりません。
○中野(寛)委員 いま予算編成の最中、そしてきわめて微妙なところに来ているからこそ、われわれはわれわれの立場、すなわち国民の立場に立って、決して大臣も国民の立場に立ってないとは言いませんけれども、国民の立場に立って、御要望はいまのうちに申し上げておきたいと思うから、いまの御質問をしておるのです。 行革によってどれだけ生み出せるのですか。補助金の節減がどれだけできるのですか。歳出の節減がどれだけできるのですか。そして、たとえば電電公社等からの納付金の問題等もわれわれは前向きに考えることもあっていいと思う。あらゆる努力、工夫をするということが必要だ。そういう努力をして、おおよそどれだけのものがもくろめるのですか。そして、それによって足りない分は増税とおっしゃるけれども、どれだけこれ以上国民に負担をかけられるのですか。それは可能なんですか。私ども自身もいろいろ試算をした、苦労をして考えてもみる、しかし、なかなかむずかしい。そうすれば二兆円という数字が崩れてくる、五十九年度という年度の設定が崩れてこざるを得ない部分が出てこないか。それを崩さなければ、国民が大変なことと意識を持つほどの負担を国民に押しつけざるを得ない状態になるのではありませんか。それを心配するためにわれわれはいま一連のことをお聞きしているのです。その一つ一つのことについて、われわれを、また国民を納得させ得るような御説明をしてください、こう申し上げておるのです。
○渡辺国務大臣 ですから、二兆円の国債減額をやらないということになれば、その分、一兆円にすれば一兆円分の財源がすぐできたような話になるわけですから、私にとっては一番楽なのですよ。だけれども、それは結局は後に回したというだけになってしまうわけです。利息もかかるわけですし、借金をふやすという話ですから。私は借金を減らすことをいま考えているわけです。十の幅を減らすのか、五の幅を減らすのかの論争ですから、私は二兆円を減らして、あなたは何兆と言っておりませんが、恐らくそれより少ない数字でしょう、一兆円というのか一兆三千億というのか知りませんけれども。だけれども、現在の国債の状況から見ると、極力減らした方が日本経済のためになるという話は私がるる申し上げたところなのです。 行政改革については、いろいろなところの不補充というようなことによって減らす。しかし、全然人はふやさないわけにもいかないが、行政改革の最たるものは人ですね。何といったって一番の金目は人ですよ、生首はばっさばっさ切れるわけはないのですから。生首を切っておいて、退職金もやらないで、ともかく当分やめてくれというわけにはいかないのですから。そういうことをやれば、何千人も切ったら、その人の月給の何年分かの、何倍分かの人件費を払わなければならないのであって、当面はよけいに財政負担になってしまうのです。ですから、行政改革で極端な大きな金目というものはなかなか出てこない。ただ、やめた後不補充にする、補充しないというようなことで、配置転換をうんとやって、片っ方の役所では増員要求を抑えていく。やはり増員要求をやる役所もありますよ。それは外務省にしたって、病院関係者とか大学とかいろいろあるのです。全部抑え込んでしまうというわけにいかないところもあるのです。三年の大学生を四年に進むのを進ませないとか、後は新入生を採らぬとか、なかなかできないですね、これは。当然ふえざるを得ないところもある。しかしそういうところには余った方から定員を回すとか言っても、それは農林省の端数をどっちにやるとか行管がいろいろ考えてやっていますよ。そういうあらゆる工夫は極力やってまいります。しかし、何名でどこで幾らの金目で、どこで幾ら切れてという数字をいま言ってくれと言われましても、いまの段階は詰めておる、ヒヤリングしている最中ですからまだ言うことはできません、そういうことなのです。予算の編成が決まった場合には当然明らかにするわけです。
○中野(寛)委員 それでは、五十五年度の経費節減目標二千二百七十億、これに類するような数字はまだできていない、こういうことですね。
○西垣政府委員 先ほど申し上げましたように、ここでこれだけのものを目途にしてということを申し上げられればわれわれまことにハッピーなのですけれども、経費を節減したり、従来ある機構、制度を削っていくというのは大変なことでございまして、いまの段階でこの程度までを目途にしてというようなめどがまだつく段階に至っておりません。まことに残念でございますが、そういう段階でございます。
○中野(寛)委員 それでは、今年度以上にそれをやるという努力をされているのか、最初からそれはむずかしいとあきらめているのか、その程度はお答えできるでしょう。
○西垣政府委員 最大限の努力をしているところでございます。
○中野(寛)委員 余り、これ以上やりましても水かけ論争になりますから、これ以上申し上げませんが、もう一つ予算の算定をいたしますときに、先般税調の中期答申で、自然増収を三兆ないし四兆円、こう見込んでいるという文書が出てまいりました。国税収入の伸び率、これは平均大体一二%という形で計算をするのが普通だと思います。ただ、税調等の答申というのは、数字は大体控え目に抑えて発表するのが、これもまた常識のようです。しかし私どもの計算で、この一二%の伸び率を掛けてやりますと、これから四年ないし五年先までの計算ですけれども、大体四兆円ないし五兆円。となりますと、これは税調の中期答申より一兆円多くなるのです。一兆円多いというのは、これは大変な違いなんです。そしてまた、そのための努力もしなければなりませんけれども、この点についてはどのようにいまお見通しを持っておられますか。
○梅澤政府委員 ただいま委員の御指摘のありました、先般出ました中期答申におきまして「当面、毎年の自然増収はおおむね三兆円ないし四兆円程度と計算される。」というふうに記載されておることは、御指摘のとおりであります。それからその前提になっておりますのは、毎年度一二%ずつぐらいふえるであろうという計算になっておりまして、機械的に計算いたしますと、恐らくいま委員がおっしゃいましたように、六十年度以降に延ばしていきますと五兆円ぐらいの数字になるということで、試算上は委員の御指摘、誤りではないと思います。 ただ、今回の答申は、総論の部分にもございますように、五十九年度に特例公債からの脱却、答申では歳出総額の大体八割までを税収で充てたいという目標を立てておられまして、中期答申ではございますがおおむね五十九年度までに焦点を合わせた御議論をされておるわけでございます。したがいまして、答申作成の過程では五十九年度までの一二%で計算いたしますと、五十九年度の計数が四兆三千億ぐらいになります。したがいまして、五十六年度以降大体五十九年度ぐらいを見ますと、毎年度の自然増収額、これはその間に景気の変動もございますのであれでございますけれども、おおむね三兆ないし四兆ということでめどを立てるべきではないかということでこの答申の文章になったわけでございます。
○中野(寛)委員 答申の数字を云々してみても始まりません。むしろこの自然増収については、これは大蔵省の仕事ではないかもしれませんけれども、できる限りの努力をしていかなければなりません。これについては、しかしでき得る限り的確な見通しを立てながら、その中で国民負担を最小限度に食いとめていくという努力はやはりしていただきたい、こう思います。 それから、これからまさに予算折衝の季節がピークになっていくわけであります。その予算編成の課程においても、できるだけ国民の納得のいくそういう予算編成の作業が行われなければならぬと思うのでありますが、たとえば官房調整財源、これなんかも国民の目から見ると非常にわかりにくいものであります。これは去年の新聞なんですが「終わってみたら、あれもこれも復活——厳しいとされた大蔵原案の個別経費が折衝を重ねるたびにふくらんだ。しかも予算の総ワクが動かないというので、「緊縮予算」の実像に首をかしげる人が多い。」こういう書き出しで実は解説記事が出ております。いわゆる大蔵原案に仕込まれた復活用の財源、こういうことでありますけれども、一つは公開調整財源というのがあります。そしてそれ以外に官房調整財源というのがある。そしてこれは野党サイドのひがみと聞こえるかもしれませんけれども、国民の目から見ると非常にわかりにくいものです。そして結局は大臣折衝、またお役所の偉い方の折衝、または自民党との折衝で、それぞれの方のお顔を立てるためにこういうものが残されているのではないかというのが一般的見方です。しかし、そういうものをそういう見方をさせない、またそういう誤解をさせない、そして緊縮財政なら緊縮財政ででき得る限り最初からシビアに見ていくという姿勢がやはり必要ではないか、こういうふうに考えますと、このような調整財源的なものは、もしこれを取っておいたとしても、それは最小限度のものでなければならぬはずですし、でき得ることならばこういうものはなしにして、調整とはすなわち総枠がそこで動くとか——総枠が動いてもらっては困りますけれども、むしろそういうものではない、ここをふやせばここは削られるというぐらいの厳しさがこういう編成の場合には必要なのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
○西垣政府委員 事務的なことでございますから私から一応お答え申し上げます。 予算編成の作業過程におきまして、大蔵省の内示の後、いわゆる一般の公開財源のほかに官房調整というような枠を設けましてその中で調整を図っているのは事実でございます。これは予算の内示、復活、調整、そういったものを円滑にするためにとっているわけでございまして、私どもはこういう仕組みを通じまして適当な規模に予算をまとめていくということに役立っているのではないかというふうに考えております。これは各省に内示をいたします枠の中にその中身が決まってないものを若干残しまして、各省の優先順序と大蔵省の方の考え方との調整をその中に図っていく、そして意見が合ったところで具体的な内容を決めていくというものでございますし、それと並行いたしまして、中身の決まった内示予算の中で、実は内示を受けとめた各省の方では、もらったものよりはこちらに振り向けてほしいというふうな過程もございまして、その中で予算の調整を図っていくということでございます。これはいわば大蔵原案の内示から政府原案決定までの行政部内の調整の過程でございますので、私どもとしてはある程度必要なものだというふうに考えております。
○中野(寛)委員 これが大蔵省のある意味ではいろいろな形の予算折衝の防波堤的な、または弾力性を持たせることが大蔵省の引き下がれない一つの防波堤なのかもしれません。しかし少なくとも国民に誤解を生む、そのようなもとになることだけは避ける努力をしていただきたい、このように思います。 時間が来ましたので、大変恐縮ですが、一点だけ大臣の御所見をお聞きしたいのです。 先ほど来会計検査院の機能の強化だとかいろいろな問題が同僚議員から指摘をされました。それから補助金だとか、また予算をつけましても、それが、どの省だとは言いませんけれども、おおよそ想像がつくと思います、例年会計検査院から似たような指摘を決算で受ける問題があるのです。そういう事例を考えますと、でき得る限り会計検査院の意見を予算編成の段階で取り入れるということは大切なことだと思うのです。 先般私も会計検査院長にお聞きをいたしました。予算査定に入る時期に主計官とそれから担当の検査課長の会合があって、そういう検査上の問題点は意見交換しているという答えでしたけれども、むしろ西ドイツでやっているように、「個別予算の所管官庁は、予算の見積もりを連邦会計検査院に対しても送付する。連邦会計検査院はそれについて見解を表明することができる。」こういうふうになっているのですね。会計検査院の意見等をもう少し効果的に、実効が上がるように制度化をしていくというふうなことは決して大蔵省の予算編成権を侵すものでも狭めるものでもない。むしろ会計検査院と大蔵省が協力をし合うことが間違いのない、そしてむだのない予算を組む上において大切なことではないかと思うのです。そういう意味で会計検査院長は新しい提案だから十分検討したい、こういうふうなお答えでしたけれども、これはやはり大蔵大臣の御所見も大変大きく左右する問題だろうと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 私は、会計検査院が適正に機能することは賛成なんです。しかし余り過剰介入ということもいけないことですから、どこまでで線を引くか、これはケース・バイ・ケースで決めていかなければならない、そう思っております。また、会計検査院がいままでも検査の過程でいろいろ指摘されたことについては、貴重な御指摘であって、そういうものについては二度とそういうことが起きないようにそれはその省庁にもまず自粛をしてもらい、反省をしてもらうと同時に、予算の編成査定に当たってもわれわれ十分参考にしていきたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 これで終わりますが、いまの問題も、先ほど申し上げましたように、毎年同じ指摘をされるようなケースがあるということ。それは会計検査院の機能を強化したからなくなるというものでもないかもしれないけれども、しかしやはり一つの努力の上限としてそういうものがあるべきではないか、検討されてしかるべき内容ではないかというふうに思いますのと、先ほどは水かけ論争になりましたのであえてそれ以上突っ込みませんでしたけれども、しかし国民負担を最小限度に食いとめる努力は大臣御自身も十分認識されておられるようでございますので、予算編成のいろいろな手順の中で最大限の御努力をしていただきたい、こう思います。 終わります。
○東家委員長代理 辻第一君。
○辻(第)委員 私は、国民金融公庫など政府系金融機関の融資業務のあり方に関して質問いたします。まず最初に、年末融資の問題について質問いたします。 〔東家委員長代理退席、委員長着席〕 この十月度の企業倒産は千六百六十八件、今年最高、過去四番目の記録となっておるわけであります。そして新日鉄や電力会社など大企業の多くが戦後最高というような莫大な利潤を上げている一方で中小企業、零細企業は深刻な不況の中で倒産がどんどんふえておるという状況であろうと思います。しかもことしの春闘で賃上げ率が低く抑えられた。その一方で公共料金の大幅な値上げなど物価の上昇がこれを上回って実質所得の低下、購買力の低下というような状況、さらに冷夏だとかあるいは西日本の長雨などが追い打ちをかけておる、このような状況の中で中小商工業者は大変でございます。私どもの奈良の吉野杉の製材業者を初めとする中小零細業者は深刻な状況でもあります。年末を控えて深刻な不安を抱えているのが現状でございます。 こういう状況の中で年末の資金需要が当然高まってくると思われるわけですが、国民金融公庫など政府系金融機関の役割りはますます重要性を増している、また、そこへの期待も高まっているというのが現状でございます。すでに全銀協なども年末対策として融資枠の拡大を決めたようですけれども、国民金融公庫などの中小企業向けの年末融資についてどのような対策を考えておられるのか、大蔵大臣にお尋ねをしたいと思います。
○渡辺国務大臣 具体的対策については、銀行局長をして答弁させます。
○米里政府委員 中小企業の実情につきましては、御指摘のように分野によりましてかなりいろいろなむずかしい問題が発生しておるという状態であろうかと思います。そういった状態に対処いたしますために、中小企業に対します融資を担当いたしております政府関係の金融機関、具体的に申しますと、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、この三つになりますが、この三つの機関におきまして中小企業向けの年末融資といたしまして、第三・四半期の資金枠を一兆六千五百二十五億円準備いたしております。ちなみに、この一兆六千五百二十五億円という資金量は昨年同期の実績と比べてみますと二六%増ということでございます。現段階で中小企業の資金需要というものも勘案いたしますと、この金額で十分中小企業の年末融資にこたえることができるのだというふうに私どもは考えております。
○辻(第)委員 いま大蔵省は、中小商工業者の期待に十分沿えるものだ、体制をとっている、こういうことでありますけれども、問題は資金があっても中小零細業者が実際に必要な資金が借りられるかどうかという点で問題があるわけであります。 そこで国民金融公庫総裁にお尋ねをするわけでありますが、いま中小零細業者が問題にしているのは、必要額が全部借りられるかどうか、申し込んでも、なかなかその全額を借りることができないというケースがあるようであります。 また、第二番目に、たとえば百万円借りて、すでに二十万円を返済をした、あと八十万円残っている、こういうときにさらに百万円を借りたいというような状況になっても追加して借りられるのかどうかという点。 第三番目に、申し込んでから貸し付けを受けるまでにほぼ一カ月近くかかる、こういうことがあるわけであります。本当に緊急に必要なというような場合には間に合わない。だからサラ金なんか、ついつい借りてしまって大変なことになる、こういうこともあるわけであります。資金があっても、実際は十分に末端まで融資が届かない、受けられない、また選別融資が行われているという状況で役立たない、こういうこともあろうかと思うわけであります。中小業者の切実な要求に対しまして、その実情に十分対応して融資をされるべきだ、こう考えるわけでありますが、国民金融公庫総裁の御見解を承りたいと思います。
○大倉説明員 お答え申し上げます。 私どもの一番大切な使命が、真に資金を必要としていらっしゃる中小企業の方々にできるだけ早く資金融通をしてお助けをするということにあることは、私どもの基本的な使命でございますから、本当に資金を必要としていらっしゃる私どもと取引願っているお客様に必要量だけお渡しできないということはないように、十分注意をして運営をしておるつもりでございます。もちろん、個別の金融でございますから、お申し込みの総量につきまして、それは資金計画とか返済計画上、若干それを切り詰めてお考えいただきたいということを申し上げることは、これはございますけれども、しかし考え方としましては、必要な資金はできるだけ早くお手元に届くように運営をするというのを基本方針にしているつもりでございます。 それからなお、すでに借りている金額がある、そういうお客様が、もう少し追加資金が欲しいとおっしゃる場合には、もちろん御相談に応じます。もちろん、制度上、一人のお客様に対しましてお貸しする総額が普通貸付でございますと一千五百万までであるというのは、それは他の機関との調整の都合上、どうしてもそこは守らざるを得ませんけれども、たとえば普通貸付で申せば、千五百万の金額の範囲内であります限り、追加してこれだけの資金が欲しいというお話は十分よく伺いまして、資金計画、返済計画を伺いました上で十分御相談に応ずるという姿勢で臨ましております。 なお、審査に要します日数はできるだけ早くいたしますように、技術的に申しますと即日審査とかいろいろなことで工夫をいたしております。ただ、何分、人間が非常に潤沢におるというわけでございませんものですから、どうしてもある程度の日数はかかるわけでございますが、また個別の事情に応じまして、全く初めてのお客様の場合にはやはりそれなりのちゃんとした調査もいたしませんと、私ども機関全体としてのそれ以後の運営の問題もございますので、そこは御了解いただけると思いますが、ただいまのところ私どもの方でお貸ししておりますのを平均的に申しますと、お申し込みから資金をお渡しするまで大体三週間ぐらいで処理できているというふうに考えております。
○辻(第)委員 何分深刻な不況であります。本当に実情に即した、血の通った措置をとっていただきたい。重ねて要望して、次の質問に移ります。 次に、国民金融公庫など中小企業向けの政府系金融機関の運営の具体的な問題について聞きます。 国民金融公庫などの中小企業向け融資のうち同和関係の融資について大蔵省はどのような指導をされているのか、お尋ねをいたします。
○米里政府委員 同和地区の中小企業に対します融資でございますが、政府関係の中小三機関に対しまして通達を昭和四十四年九月と昭和四十八年二月と重ねて出しております。この通達の趣旨は、同和地区における中小企業の振興を図るために、融資もできるだけ適切に——適切にと申しますのは、具体的には、迅速、かつ丁寧にサービスするというような意味合いで配意するというようなことを内容にしておるわけでございますが、そういったような通達を出して、一般的に円滑な融資が行われるよう指導しておるわけでございます。
○辻(第)委員 この通達によって、一般の場合の扱いと同和関係の扱いに違いがあるということでしょうか。簡単にお答えをいただきたい。
○米里政府委員 ただいま申し上げましたように、同和関係の中小企業に対しましては、一般の場合よりもさらに懇切丁寧な金融相談あるいはまた迅速な処理ということについて配意するということになっております。
○辻(第)委員 現在、国民金融公庫などの政府系金融機関の融資をめぐって、いわゆる三団体、全国部落解放運動連合会、部落解放同盟、全日本同和会、この三つの団体ではない、みずから同和と名乗る団体が多数あるわけでありますが、同和に関係のない人に手数料をとって融資のあっせんを行う、融資をさせる、会員になれば円滑に融資が行われる、会員を集めるための宣伝を行っている事実があります。この問題に関係しては、すでに二年前、昭和五十三年十一月に衆議院の大蔵委員会でも取り上げているわけでありますが、いまなお事態は改善されていないということで、再び取り上げるわけであります。 まず、その五十三年十一月に取り上げられたのは、福島市のある製造業者が五十二年の五月に商工会を通じて国民金融公庫福島支店に三百万円の融資申し込みをしたが、審査の結果、融資ができないということになった。ところが、今度は五十三年五月、再度申請をしたけれども、これも認められなかった。ところが、その直後、今度は北日本同和協助会の会員として申し込んだら、二週間後に三百万円満額融資を受けられたという件であります。しかもこの北日本同和協助会は暴力団とのつながりがある、このように言われております。この件について大蔵省はその後調査などをされたのかどうか、お尋ねをいたします。
○米里政府委員 御指摘の件は個別融資の問題でございますが、そういったような状態があったというような事実の報告は私どもは聞いておりません。
○辻(第)委員 調べられたのですか、調べられてないのですか、どうですか。
○大倉説明員 お答え申し上げます。 私、当時まだ国民金融公庫に勤務いたしておりませんでしたけれども、当時のことを調べてまいりました結果、大蔵委員会で安田委員から御指摘を受けたような事実はなかったのだ、二回お断りしたけれどもさる名称の方から御紹介があったら急にお貸しをした、そういう事実はなかったのだという報告を受けております。
○辻(第)委員 私どもとしては確かな事実でもって言っているつもりであります。再度調べていただきたい、このように思います。 次に、こうした団体が日常行っている宣伝や勧誘について触れるわけであります。 全同和事業者対策促進協会神奈川県相模支部のチラシには、上の方に「会報」と書いてあって、次に「不当差別をなくしすみよく明るい社会を作る」との見出しがある。この中で、「当会ではかねてから当会員の皆様に対し運動の一環として、国民金融公庫・環境衛生金融公庫・中小企業金融公庫等、国策による金融機関を利用される皆様のため、円滑に融資が行われるようお手伝いしております。」と述べています。 また、東京の練馬区のある商店街のクリーニング店に日本同和促進会の桜井某という人物が訪れ、同和会に入れば国民金融公庫の融資が受けられる、入会金三万円、手数料は融資額の三%だと勧誘に歩いている。実際に入会した人もあるようです。 このような形で全国各地で同和を名のる団体が動いております。福島のように実際に融資を受けた例も少なくない。このような団体の幾つかは、暴力団かまたは暴力団と密接な関係があります。いわゆる同和三団体では、それぞれこうした動きに対し、同和事業を食い物にする利権団体として厳しい批判の見解を表明しているところでありますが、さきの通達はこうした同和を名のる団体にまで特別扱いをするという趣旨のものですかどうか。
○米里政府委員 先ほど申し上げました通達は、同和団体に対しての取り扱いでございます。ただ、御指摘のような同和団体と名のる団体が暴力団と関係があるような、実は同和団体とは関係のないような団体であるかどうかというような認定は、実際問題としては非常にむずかしいように思います。向こうから同和団体と名のっております場合に、それを同和団体であるのかないのか、どの程度関係があるのかということを判断することは、実際問題としてはかなり困難な点があろうかと思います。ただ、もしそれが同和団体とは関係はないのだということがはっきりしました場合には、もちろん一般的な金融の取り扱いによるということになろうかと思います。
○辻(第)委員 次に、五十三年九月ごろ、北九州市の国民金融公庫八幡支店の融資をめぐって、同支店の課長らが贈収賄の疑惑で県警捜査二課と宮田署から事情聴取を受けた事件がありました。この事件は暴力団がらみの事件であり、贈収賄は証拠不十分で捜査は打ち切られたようでありますが、問題は、ここでも全国同和総合協議会なる団体が介在した融資でありました。この事件は、ある人物が全国同和総合協議会の肩書きで公庫に接触、公庫の貸付対象にならない人を業者に仕立てて公庫より融資を引き出し、その際一〇%から二〇%のあっせん料を取っていたもので、融資は七回以上、三千万円に上ると言われています。また、同じ国民金融公庫八幡支店で、全国同和総合協議会の木村武志なる男が、暴力団員松浦某が設立した架空の会社の資金として二百万円を融資させたという事件もあります。これらは当時新聞でも取り上げられているが、大蔵省は知っておられるのかどうか、これらについて大蔵省はどのように考えておられるのか。
○米里政府委員 当時そういった問題が新聞紙上に出たということは承知しております。
○辻(第)委員 承知をされておるわけですか。承知をされておるのなら、どのようにお考えなのか、簡単で結構です。
○米里政府委員 新聞紙上で承知しておりますが、実態がどうであるかということはつまびらかにいたしておりません。
○大倉説明員 率直にお答えいたしまして、当時そのような事件がございました。私どもといたしまして大変恥ずかしいことであると考えております。それ以後、そういうようなことが二度と起こらないように厳密な審査をするようにということで厳重に注意をいたしておりまして、最近その支店をたまたま私見てまいりましたが、非常に締まった姿でただいまは対応いたしておると私は信じております。
○辻(第)委員 ところが最近では、国民金融公庫だけではなしに、商工中金でも例があります。商工中金は、中小企業等協同組合など中小規模の事業者を構成員とする団体に、無担保で国民金融公庫よりはるかに高額まで貸し付けています。同和を名のる団体がこれに目をつけ、組合をつくり融資を求めてきています。たとえばことしになってからも、新東京同和食肉事業、東日本総合開発事業連合会など数件の事例があります。これらは、大きいものは十億円以上の融資申し込みをしているとも言われています。大蔵省はこのようなことを知っておられるのかどうか。
○米里政府委員 具体的なケースは承知いたしておりませんが、一般論として、もし第三者が借入者、借入申込者の意に反して手数料を取る、あるいはあっせん料を取るようなことがございますことは非常に適当でないということから、国民金融公庫の借入申込書を見ましても、手数料等は一切不要だというふうに記載しておられますし、あるいはまたパーセンテージによっては出資法の問題も起こってまいるということで、一般論としてはそういったことは適当でないと思います。
○辻(第)委員 ぼくがいま聞いているのは、商工中金でも最近こういう例が出てきている、このことを知っておられるのかどうかということです。
○米里政府委員 具体的なケースについては承知いたしておりません。
○辻(第)委員 具体的でない事実については御存じなんですか。
○米里政府委員 具体的と申し上げましたのは、おっしゃいました個別のケースについては承知いたしておりません。
○辻(第)委員 それでは個別でないケースは御存じなんですか。そういうことになりますね。
○米里政府委員 ケースという言葉の意味でございますけれども、そういった個別の具体的なケース、一般論としては先ほど申し上げたように考えておりますが、個々の事実については承知していないということでございます。
○辻(第)委員 それでは、これらの先ほど申しましたものの中には返済が延滞をする、また回収ができないというケースが多いのですね。私の調べたところでは、一般の貸し付けでは延滞をしていくのが一%、ところが、このような形の同和を名のる団体に対するものは一〇%から一二%、こういうふうに一般の貸し付けの十倍もの延滞があるということでございます。先ほど来聞いておりますと、個々のケースは知らないということでありますので聞いても無意味かもわかりませんけれども、一般的にでもよろしいが、大蔵省はこのような実態を知っておられるのかどうか、お尋ねします。
○米里政府委員 具体的な事実の報告は受けておりません。
○辻(第)委員 十分調査をし、実態を把握されることを強く要望しておきます。 次に、これらを見てまいりますと、一般の融資申し込みならとうてい融資が受けられないものでありますが、部落解放と縁もゆかりもない者が一見まともな団体を装い、同和を名のって行っているこれらの事例を見ますと、全国各地の国民金融公庫の支店においてはこれら団体の対応に大変苦慮をなさっているだろうということもよくわかるのでありますが、結果から見てまいりますと、本来対象とはなり得ないものにまで同和の名がついているためだけで特別の配慮をして、丁寧に迅速に、事実をわきまえず融資をしている、このように考えざるを得ないのであります。直ちに改められるように、再度要望しておきます。 また、これらの事例には暴力団と関連したものが少なくありません。手数料が一つの資金源となっているのではないか。こうした公庫融資を食い物にしたいわゆる括弧つき同和団体の絡んだ融資申し込みに対し、どのような防止措置をとられるのか、お尋ねをいたします。
○大倉説明員 幾つかに分けてお答えを申し上げたいと思いますが、まず辻委員のおっしゃいますように、いわゆる三団体でない団体が同和という名称を入れて私どもの方にあっせんをしてこられるというケースはいまだに皆無になっておりません。ただ、率直に申し上げまして、その団体の方に対して、あなた方は同和というお名前をお名のりになっているけれどもどういう方のお集まりですかとかいうようなことをいろいろと細かくお尋ねするということは、また別の意味で、言葉はむずかしゅうございますが、批判を招いたり問題を起こしたりいたしかねませんので、私どもの方といたしましては、そういうケースが参りました場合でも、申し込みあっせん自体はその場でお断りするということはいたしません。いたしませんが、それはいわゆる三団体の場合も同様、共通の問題といたしまして、あくまでもこれは個別の金融でございますから、実際に資金を必要となさっている、その事業をやっていらっしゃる方御本人から十分事情を伺いまして、先ほど来銀行局長がお答えいたしておりますように、懇切に相談に応じ、できるだけ早い処理をするという態度で臨ましていただいているわけでございます。 もう一つ、それが場合によって暴力団関係が実は背後にあるとか、あるいは実体がそのものであるとかいうことも決してないとは申せない、残念ながらそれが事実であると思いますけれども、その点につきましては、先ほど私、まことにお恥ずかしいと申し上げましたが、過去にそういう苦い経験もいたしておりますので、事が起きましてからというよりは、むしろ事前に警察当局と十分にその地域内において連絡をとって、双方の情報を十分に交換して、後になって、しまったということが起こらないようにということで、いま各営業店に十分慎重に対処するようにという注意をいたしております。
○辻(第)委員 全国にこうした団体は私が調べただけでも、東日本同和会、同和新風会、同和民主連盟、同和地区融合促進協議会など三十三団体もあるわけであります。大蔵省や国民金融公庫はこうした団体の名称などをつかんでいらっしゃるのかどうか。こういう問題を防止していくには、やはり実態を把握することが大変必要であると考えます。実態を把握されるように指摘をするわけでありますが、このような団体の名称を大体御存じでしょうか。
○大倉説明員 先ほどお答えいたしましたように、現在もまだいろいろな団体の名前でお越しになるということが残念ながら皆無ではございません。私どもの方としましては、一度いらっしゃったことがある団体で、その御紹介になったお客様とのおつき合いの経験から見て、何と申しますか、いわゆる三団体と同じように考えていい団体ではない団体というものはわかるわけでございます。ただ、事前に、何という団体が全国に幾つあって、それがどう動いておるかというところまで私の方で全部シラミつぶしに調べ上げるというような態勢にも実はございませんし、いわばケース・バイ・ケースに、いらっしゃった方の事情に応じて対応をするということでやらしていただいておりますので、御質問に端的に答えるための、何団体ありましてこうでございますというお答えをいたす用意はございません。
○辻(第)委員 こうした団体の絡んだ、さきに例を挙げたような融資は、国民金融公庫などの金融機関の目的からして当然正しいものだとは言えないと考えます。さらに、同和と称したものなら一〇〇%近く、かつ事実上フリーパス同然に融資をするなどは、格差是正を目的とする同特法の趣旨にも反するものであります。特に、これらの被害を防ぐには、金融機関の毅然とした対応がまず第一に必要であると考えます。厳しく対応するよう関係金融機関を指導すべきであります。大蔵省の決意のほどをお伺いしたい。そして次の質問に移りたいと思いますが、大臣、一言お答え願えませんでしょうか。
○渡辺国務大臣 同和問題につきましては、同和法があるわけでございまして、その趣旨に沿ってやるべきものと考えております。
○辻(第)委員 いまのは私の聞いたのとはちょっと違うのですけれども、時間がありませんので次へ移ります。 時間が切迫をしてまいりましたので、幾つかの質問をまとめてお答えをいただきたいと思うわけですが、最後に、多国籍企業が海外の小会社、関連会社との間で行っているトランスファープライシングに関連する課税について質問いたします。 日本では一昨年タックスヘーブン対策税制が導入をされましたが、これは多国籍企業のトランスファープライシングのほんの一部をとらえたものにすぎません。去年の五月OECDが出しました関連企業のトランスファープライスの決定に関する理事会勧告及びこれに先立って出されたOECD租税委員会報告では、このような狭い範囲ではなく、当時、国に親会社を置く多国籍企業やあるいは他国に親会社を置き、当事国に子会社、関連会社を置く多国籍企業すべてをとらえ対象としたものになっています。政府はこのOECDの勧告の方向で多国籍企業のトランスファープライス対策についての税制改善を考えているのかどうか、これが第一点であります。 第二番目に、OECD勧告の方向で改善するならば、まず少なくとも対象の拡大をしなければなりません。トランスファープライシングはペーパーカンパニーだけでなく実質的事業活動をしている子会社、関連会社との間で頻繁に行われています。また、株式保有五〇%以下でも実際に子会社、関連会社となっているものが多数あります。したがって、実質的な事業活動を行っている会社も対象とし、また五〇%以上の株式保有という子会社の定義も実態に合ったものにしなければならないと思いますが、政府はそのような対象拡大をするつもりがあるのかどうか、あるとすればどのようなものにするのかお尋ねをします。 第三番目に、多国籍企業に適正な課税を行うためにはトランスファープライスの実態をつかまねばなりませんが、その実態把握の担保をどのように行うつもりか伺いたいと思います。OECD租税委員会報告では、税務当局にとって不可欠の問題として、多国籍企業ごとにその集団の構造と組織に精通し、各構成体がさまざまな活動にどの程度のリスクと責任を負っているのか、利益発生の時期、種類などをつかむことを挙げています。また、課税額を決定するのに必要な注文書や説明資料、その他十分な資料を多国籍企業に出させることを挙げています。そのほかにも幾つかの項目が挙げられているわけでありますが、これらはトランスファープライシング対策として最低必要なものと思われますが、この報告書に挙げていることをすべて満足させる準備を考えているのかどうかお伺いをいたします。 第四に、OECDが指摘するように、トランスファープライシング対策には関係国の税務当局の協力が不可欠だと思います。政府は今月初めアメリカ、カナダ、オーストラリアと話し合ったということですが、そこではどんな検討が行われたのか。また、関係国間協力という意味では、これだけの国では不十分と思われますが、その他の国との関係をどうするつもりでしょうか。 以上四点について答弁を求めて質問を終わるわけでありますが、大変短い、あと私の残された時間は五分ほどでありますが、大変恐縮です。しかし、簡明にお答えをいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 御質問が四つあったわけでございますが、一番最後の問題は国税庁の方から御答弁を申し上げます。 順序不同になりますが、二番目の御指摘だったと思いますけれども、五十三年に制定されましたタックスヘーブンの税制でございますが、委員にいろいろ御議論があるようでございますが、当時租税回避の目的のための税制、これをきちんとやるという意味でずいぶん議論を重ねましてあの税制ができたわけでございまして、ごく最近課税事例も上がってきております。したがいまして、私どもは現行の税制を今後適正に運用していく、いろいろ経済社会情勢が変わってまいりますと、当然、税制でございますからそれに適応していかなければなりませんけれども、現行のタックスヘーブン税制を適正に運用していくという考えでおります。 それから第一点のトランスファープライシングの問題でございますが、これは御承知のようにOECDで報告が出ました、かなり詳細なものでございますが。諸外国の法令を見ますと、アメリカはかなり詳細な税制をすでに持っているようでございますけれども、先進諸外国の関連法令は必ずしもまだ熟してきている段階にはございません。わが国も現在の法人税法の中にそれに対応するような規定が皆無ではないわけでございますけれども、この問題につきましては今後の研究課題と申しますか、諸外国の立法の動きなども見まして勉強してまいりたいと考えております。 それから三番目の、多国籍企業の課税の実態を把握すべきである、これは当然のことでございまして、国税庁当局とも協力をしながら、今後ともその実態の把握には努めてまいりたいと思っております。
○岸田政府委員 先ほど先生御指摘になりました、先進各国、日本、カナダ、アメリカ、オーストラリア四カ国で十一月の六、七日にオタワで会合いたしました。これは出席をいたしましたのは大体各税務担当の上級者ということで、その中の話題といたしましては、やはり多国籍企業の問題というのが今後の先進国の課税の問題で重要な問題になるなという点と、そのためにはどうするか、特に情報交換の強化ということについて、具体的にどうやっていくかということを議論いたした次第でございます。
○辻(第)委員 以上で終わります。
○國場委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 冒頭に委員長にお伺いいたしますが、広島県竹原市忠海町五三八三番地伊勢本花市という人から委員長あてに「国有財産処理について」という請願書が出されておりましょうか。
○國場委員長 届いております。
○楢崎委員 大蔵省にお伺いをいたしますが、同じくその請願書が出されておるかどうか。そして、その請願書はどういう内容であって、大蔵省としてどういう処理をされたか。並びに、一般的に旧軍物資の処理については当時どういう手続をとって処分されたか、あわせてお答えをいただきます。
○楢崎政府委員 お答えいたします。 伊勢本花市氏から請願書が仰せのとおり大蔵大臣あてに出ておりまして、本件は、昭和二十一年広島県忠海大久野島におきまして窃盗事件があったので、それの返還請求を国が行うべきであるという内容のものでございます。 本件につきましては、若干前後いたしますが、このような物資は実はいわゆる旧軍の物資に相当するものだろうというぐあいに思っております。旧軍物資につきましての一般的な取り扱いはどうなっていたかという仰せでございますので、概略御説明をいたしたいと思いますが、旧軍の支配下にあったすべての財産につきましては、昭和二十年九月二十四日、連合軍最高司令部から帝国政府に対する覚書「日本軍隊より受領し、且受領すべき資材、補給品、装備品に関する件」により次のように決定を見ております。 第一は、旧軍の支配下にあったすべての財産は連合軍に引き渡される。第二は、武器等はスクラップにされ、民生用に役立つその他の資材等とともに日本政府に送還される。第三に、日本政府内務省はこれらの返還物件の受領及び処理の機関となる。これが連合軍の指令でございます。 これらの特殊物件のうち土地、建物、機械、船舶等は国有財産法上大蔵省所管でございますので、内務省が受領後直ちに大蔵省に引き継ぎを受けました。これら以外の、いわゆる国有財産以外の物件につきましては、次のように内務省を中心に管理、処分をされました。 すなわち第一は、特殊物件の処理の実務は、内務大臣の訓令によりまして各知事に委任をされました。しかし、内務省は昭和二十二年の末に解体をされましたので、特殊物件に関する事務はそのまま建設省に引き継がれたということでございます。これらの特殊物件の処分は昭和二十六年にほぼ終了いたしましたので、残存する物件につきましては特殊物件現在調書等を作成の上、その管理、処分事務が昭和二十六年度末に建設省から大蔵省に引き継がれたわけでございます。 本請願書にございます事件は、昭和二十一年の事件であるように請願書には記載されております。その当時、大蔵省としては当物件を所管しておりませんでしたので、大蔵省としてはこれを直接了知する立場になかったということは申し上げておきたいと思います。しかしながら、本請願書につきましては大蔵大臣に対しましても請願書が出ております。その内容等を拝見をいたしまして、事実関係が必ずしもつまびらかではないというようなことがございますが、私どもも念のため本件について調査をしてみましたけれども、残念ながら関係資料等見つかっておらない、これが現状でございます。
○楢崎委員 要するにこの嘆願書の内容は、簡単に申し上げますと、大久野島という毒ガス島の旧軍物資を正規の手続によらずに不法に当時の帝国人絹が持ち去った、だから調査をして国に返しなさいという趣旨であろうと思うのであります。 この請願書の付書がことしの九月一日に出されております。その付書においては、いろいろ請願をやったけれどもさっぱり取り扱ってくれない、だから「昭和五十三年〜五十四年〜五十五年、予算及決算の内閣提出国会の議決は公文書偽造であり、憲法第二十九条違反事件である故、憲法第九十八条の規定により無効である。」と指摘をしております。 したがって、わが決算委員会としてはこの請願を看過することはできないと思うわけで、できれば決算委員会の責任と義務において、この指摘している内容についてその信憑性を速やかに徹底的にやる必要があるのではないか。そういう意味で私のところにも再三請願が参ります。決算委員会の仕事にまで言及をされた内容でありますから、私も私なりに調べたわけです。私なりに調べたところを御報告して、取り扱いについてあと委員長の御判断をお願いをしたいと思います。 この請願書にあります陸軍東京第二兵器廠忠海分処というのは、非常に有名なところであります。これは忠海町の沖合い二キロメートルのところにある周囲四キロメートルの大久野島というところ、ここに昭和二年に東京陸軍造兵廠忠海研究所が置かれました。そこでドイツ、フランス式のイペリットの実験製造が開始されたのであります。これが東京第二陸軍造兵廠忠海製造所と発展したものでありまして、日本における唯一の毒ガス兵器を製造する工場を持った毒ガス島であります。ここではイペリットなりルイサイト、青酸あるいはホスゲン、そういった致死性の強い毒ガス、そのほかに催涙、くしゃみガス等が製造されていたわけであります。このほかに火薬、爆薬の製造及びガス弾の製造も行っておったわけでありまして、そういういろいろな製造の設備も当然そこにあったわけで、またその毒ガスや火薬弾の原料となった多量の薬品も貯蔵されていたわけです。私もABC兵器を過去何回か取り上げまして、この毒ガス島の問題も取り上げたわけですが、その当時の仕事の携わっておった人がこの毒ガスの影響を受けて補償が続いておる該当者がいまだに約千五百人くらいある、こういういわくつきの島であったわけであります。 私が調べた経過を御説明したいと思いますが、まず請願書を出された伊勢本氏側の関係者に対して私が調査した結果を申し上げますと、この帝国人絹というのは終戦間際までマル呂、つまり火薬の製造もやっておった。それでいよいよ終戦になって、そういうことですから仕事ができなくなった。この伊勢本氏側によりますと、連合軍の毒ガス処理作業に従事して旧軍物資を不法に処分してやみの利益を上げたというものであります。 帝人三原工場忠海作業所というものが編成されまして、昭和二十一年四月一日から作業を開始し、昭和二十三年三月三十一日、この大久野島毒ガスの処理作業は終了した。 その間、伊勢本氏側によりますと盗品ということになるわけですが、その盗品が日本通運三原支店によって、夜間、大久野島よりまず三原へ、そして貨車で大阪駅、大阪駅からトラックで武田製薬、第一製薬の倉庫に運び込まれた。運搬者の証言もあります。それに伴う日通の日誌等もあるようでありまして、それは検事総長にすでに出されておるということであります。大久野島より帝人三原工場倉庫へこの品物を運んだ運搬船は徳一丸二百トン、万盛丸百二十トン、こういう船で運んだ。これについては証言者が多数あるようであります。いずれにしてもはっきりしていることは、忠海分処の倉庫から約一千トンの保管物資が消失した、こういうことであります。 伊勢本氏は、昭和二十一年六月ごろ町会議員として繊維関係労働者の賃上げ交渉のために当時の商工省の始関伊平氏に会った際に大久野島の旧軍物資不正処理の話を始関氏から聞いて、忠海に帰って調査の上、その翌月、七月でしょう、全町内会長、隣組長を忠海劇場に集めて町民大会を開いて、帝人に対し返還要求と衣料等日用品の払い下げ要求を行ったというものであります。そのときに帝人が持ち去ったというこの事実を町助役の福永徳一郎という方、もう故人でありますが、この方がはっきり言明した。 それを聞いた帝人側は衣料等を忠海の倉庫に返し、米田豊という人が中心となって、事件の発覚を防ぐために賄賂工作に出てきたというのであります。伊勢本氏には百五十万円、漁業組合には十五万円、婦人会関係には十五万円、町内有力者等に数万円、合計百数十万円がばらまかれた、こう言っております。 このことを聞いた当時の谷川昂という内務省の警保局長、故人でありますが、この谷川さんは昭和二十二年の五月ごろ帝人社長以下役員五名を局長室に呼んで、伊勢本氏立ち会いの上で局長が仲介、証人となって、国や県に対して何らかの返還を帝人側は行うこと。伊勢本氏の方は立ち会っておりますが、盗品サッカリン売却代金三十億円の一割、三億円を町に寄付するように要求をそのときされた。帝人側はこれに対して、余りもうけてはいないけれども、とりあえず町の不足予算分二百万円をすぐ送る、あとは相談をしようということで谷川局長が処理をするから了解をしてほしい、こういうことで話がついたというのであります。 賄賂を取ったと言われた伊勢本氏は、その金はもちろん返すとともに、昭和二十三年七月二十八日、検事総長に対する告発文を持参して上京をし、参議院決算委員長室で山田節男参議院議員と面会をした。その夜、伊勢本氏が泊まっておった東京都神田神保町二丁目東越館に大屋晋三氏が、そのとき出された名刺がここにありますけれども、大屋さんの名刺を出されて尋ねてこられた。旅館前の喫茶店で会談をした。そのとき大屋さんは参議院議員でありますから、そのときは会長になられておったと思うので、帝人社長も同席をされた。大屋さんは、事件は認めます、帝人の所有する物資なり、土地なり、お望みのものをあなたに差し上げるからどうか助けてくれ、従業員、家族、下請関連者全国で十五万人以上になるから、この人たちを救うためにもよろしく頼むというふうに懇願をされた。伊勢本氏は、自分は要らないんだ、従業員が困るということであればよく考えてみようと返事をしてそのときは別れられたそうであります。なお、検事総長への告発文は、総長のところへ持っていったところ、地元の方に出してくれということであった。 その後、町長の話では、帝人が二百万円を送金したと言ってきたという話が残っております。町側としては、これでは少ないと再三大屋氏のところに抗議に行っている。これは昭和二十四年から二十五年にかけてです。二十六年ごろになって大屋氏が約束を守る気持ちがないと伊勢木氏は判断をして、検事総長あて告発書を正式に提出したというのであります。二十六年夏になって、広島の高検検事正から二度呼び出しを受けたけれども、検事正は、事実なら大変なことだから正式に取り上げますとそのときは言われたそうですが、その後いろいろ問い合わせした結果は毎回、いま調査中だ、そういうことを言われるだけであった。 これが私が調べた伊勢本氏側の説明であります。 よく考えてみますと、問題というのは、この伊勢本氏側の請願書というのはあくまでも帝人が正式の許可なく勝手に旧軍物資を処分したという前提に立っての説明であります。だから帝人側にもしその大久野島の旧軍物資を正式に払い下げられたことを証明するもの、もう一つは払い下げ品に対する対価支払いを証明する、たとえば領収書等があればもう問題はないことになるわけです。 それで私は、今度は帝人側の関係者を呼んで調べました。当時の資料を探してもらいましてここにあります。帝人側の資料を見ました結果、以下のようなことが判明した。 帝人は終戦後直ちに忠海製造所の建物、諸施設及び薬品の払い下げを受けて、製塩を中心とする化学工業を経営することを計画した。これに基づいて昭和二十年十二月二十四日、東京支社幹部が商工省無機化学課の佐枝課長、霜永技師と折衝した。この折衝を証明する資料はここに現存しております。それで終戦連絡中央特殊事務局、大蔵省、広島県その他と折衝を続け、昭和二十一年一月十五日、同製造所の化学工業への転用を正式に申請した。その書類も残っております。 二十一年二月二十三日、忠海で会議が行われ、同製造所保有の薬品の大部分を帝人に払い下げる方向で話し合いがまとまった。その話し合いの方向を裏づける資料もあります。 昭和二十一年三月二十九日、広島県知事と帝人の間で毒ガス処理についての協議が成立した。その知事との協定書もあります。ただ、ないのは一番肝心の払い下げを正式に許可したという、それがないわけですね。もう一つは、払い下げを受けていれば当然お金を払わなければいけない。その対価支払いを証明する領収書がない。三十数年前になりますから、探したけれども見当らない。 これは私の判断でありますけれども、この前後の帝人側の資料を連結させますと、これはそういう重要な資料が、領収書なり払い下げ証明書がなければおかしいということを類推はできると思うのです。これは類推になります。しかし、その肝心の払い下げ証明書と領収書がないということも事実であります。伊勢本さん側は、あるはずがないのだ、これは盗品だから、こうなりますと水かけ論になる。それで、これは刑事事件としても民事事件としてもすでに時効である。裁判でシロ、クロを決めるということもできない。たとえばもし帝人側にその気があれば、これは企業としてはイメージもダウンするし、重大なことだから名誉棄損ででも訴えられれば裁判に持ち込んでシロ、クロがそこで出てくるであろう。それがない以上は、私としてはこれ以上調べても決定的なあれが双方ない。伊勢本さん側にはそれなりの証言者もたくさんいる。帝人側には帝人側で肝心なところが抜けておる。しかし経過から言うと、どうもあったには違いないと推測はできる。 したがって、これから先この問題をどうするかという点については、どうぞひとつ取り扱いについて委員長の方でしかるべく理事会に諮るなり、委員長の御措置にお任せをしたい。こういうものがいつまでも宙ぶらりんであることはよくないし、ずっと昭和二十三年ごろからこの種の請願が続いておる。これがいままでほうっておかれたのも一つは問題であったと思うのですけれども、速やかにひとつ、この措置に対する取り扱いを決めていただきたい。 以上で終わりたいと思います。
○國場委員長 この問題につきましては、楢崎委員もおっしゃるように何分三十何カ年という終戦直後の問題でございまして、請願書の書類をよく拝見してみますと関連する関係方面は政府と言わず議会筋と言わず、いろいろ問い合わせ、請願も受けて今日に至った経過を見ました場合に、なかなかこれは古くて実態が把握できない、こういうような状況でありますので、理事の方々とも相談いたしまして、それで検討していきたい、こういうことを申し上げておきます。
○楢崎委員 よろしくお願いします。 ————◇—————
○國場委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 すなわち、決算の適正を期するため 一、昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算 昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算 昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書 昭和五十三年度政府関係機関決算書 二、昭和五十三年度国有財産増減及び現存額総計算書 三、昭和五十三年度国有財産無償貸付状況総計算書 四、新村勝雄君外四名提出、会計検査院法の一部を改正する法律案 五、歳入歳出の実況に関する件 六、国有財産の増減及び現況に関する件 七、政府関係機関の経理に関する件 八、国が資本金を出資している法人の会計に関する件 九、国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件 以上九件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十一分散会