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93回国会衆議院1980/11/14

環境委員会 第3号

発言数
132
登壇者
18
会派数
2
開催日
1980/11/14

会議録

山崎平八郎自由民主党

○山崎委員長 これより会議を開きます。  環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。

野口幸一日本社会党

○野口委員 まず、きょう私が質問いたしますことにつきまして御答弁いただく関係の各位に申し上げたいと思います。  従来この委員会で、しばしば質問に対する皆さん方の御答弁を聞いておって感ずるのでありますけれども、よその委員会もそうかもわかりませんが、質問をいたしました趣旨と答弁とが必ずしもかみ合っておりません。聞くところによりますると、国会においては、答弁というのはわかったようなわからぬような、的を外して上手にしゃべるのが一番うまい答弁だと言われておるそうでありますけれども、私はこういう慣習はやめなければならぬと思うのです。少なくとも、現状については正直に、議員がわからないというような立場で質問しているときには、懇切丁寧に教えるという立場をおとりになって御説明いただくことが必要でありましょうし、また、その問題が的を外れているようなときにあっては、もう一度問い直して、いわゆる質問者に対してどのような趣旨でそのことを問われているのかということをもう一度お聞き直しいただいて御答弁いただくという姿勢があってしかるべきだと思うのですけれども、どうも最近の国会の答弁を聞いておりますと、私は本当に情けないと思うのであります。的を射ていないというより、わざとずらして御返事いただくというような傾向があるようでございまして、私は残念に思うのであります。私も誠心誠意をもって御質問申し上げておるのでございますので、どうか内容のある誠意あるお答えをちょうだいいたしたい、前もってお断りを申し上げたいと思います。  そこで、大臣にお伺いをいたします。  いま問題になっておりますところのアセス法案の件であります。大臣もたびたびこの委員会でお答えになっておりますように、この国会は終わりに近いわけでありますから無理だけれども、次の通常国会には何としても出したい、こういう御決意のようでありまするが、私どもとしましては、いま漏れ承っておりますところの政府案というものは、決してそれが最上のものだとは思っておりません。大臣にも申し入れをいたしましたように、評価の主体はだれがやるのかとか、関係住民の範疇の問題、公聴会の問題、あるいはまた一般の皆さん方がこのアセス法ができて本当によかった、こういうような状態になり得るために必要な案件が盛られているかということになりますと、現在お聞きしております内容ではいささか不十分だという立場に立って私は申し上げておるわけであります。しかし、仮にそれを抜きましても、現在の政府案すらも非常に圧力が強くて出そうもない、こういう世上のうわさであります。先月、十月二十九日に出されました読売新聞にも、非常に圧力が強くて、それでなくても不十分だと思われている内容なのに、さらに小骨も抜かれてしまうのではないかというような、非常に手厳しい批判が掲載されておりますが、この場に立ちまして一体何がその障害になってこのような状態にあるのか、大臣、ひとつつまびらかにお聞かせいただけませんでしょうか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 野口委員の質問に対してお答えいたしますが、私どもの役所は、私からも厳しく申しておりまして、委員の先生方の御質問に対して的を外したような答弁をわざわざすることはいけないと厳に戒めておりますので、決してそういうことはありませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。  アセス問題について、いまいろいろ心配する向きがあることは事実であります。それはものをやろうとする方から言えば、自由濶達に自分の思うとおりにやれるのが一番いいだろう、これは私もそう思います。しかし、そのことによってわれわれは過去に何回もひどい目に遭いまして、それで多くの犠牲者を出して、その犠牲者はいまでも苦しんでいるわけです。二度と再びそういうようなことがあってはならないというところから、国民の声として、事前にこうやればこうなるという評価をしておいて、再びああいう悲惨な目に遭わないようにということでアセスをやるわけですから、私どもの方の立場から言えば、たとえば代替エネルギーの、いろいろ油を使わないで電気を起こすというようなことをやる場合に、それはとてもいいことだと思います、決して悪いことだとは思いませんけれども、われわれの方は、つくる立場じゃなしに、それによってどういう影響が出てくるかということに重点を置いてやっているのですから、必ずしも立場が一致していません。立場が一致していない以上は、そこにある種の論争が起こったり心配が起こったりすることは当然のことであります。われわれは、せっかく誠意をもって国民の立場に立ってこれを説き伏せて、この次の通常国会にはぜひとも先生方の御審議をいただいて、国会の御審議のもとに権威あるルールをつくりたい、こう考えているわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 長官がみずから範を示さなければなりませんのに、いまの御答弁はやはり上手な御答弁でございまして、核心を射ている御答弁だとは思えません。ちまたで言われておりまするのには、いわゆる状況変化論、つまりこの法案の考えられたときといまとは状況が変わっておるのだ。だから、必ずしもこの法案をそのまま、いわゆる修正——提出される前のいわゆる修正ですが、われわれから言いますと骨抜きというのですけれども、そうしなければだめなんじゃないかという具体的な議論が出ているやに伺うのでありまして、自民党内で、特にお聞かせいただきたいのは、状況変化論と言われるものは一体何のことを指して言われるのか。長官がおっしゃったようないわゆるエネルギー問題を指して言われているのか、それともそのほかにあるのか、その辺はいかがでございますか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 私も、先生御承知のとおり、まだ十分に、論戦と言ってはなんですが、この点について話し合いを展開をしておりませんので、十分に核心をついているかどうかわかりませんが、私はやはり二つあると思います。  一つは、油が自由に心配なく入ってきて値段も安かったという時代から、値段は三十ドルでは買えないというようなことになり、イラン、イラクからはほとんどここのところ入ってないですから、百十幾日分の備蓄があるとは言いながら、先行きを考えれば安心していられない。ですから、油に頼らないで、何かエネルギーを求めなければならぬ。そういうふうなことは確かに情勢の短い期間における急激な変化だと思います。これを心配なさることは、私も先生もみんな心配しているわけで、だれもこれを心配していない人はいないわけです。これが一つですね。  それからもう一つは、多少勘ぐりかもしれませんが、主として先生方の御心配によって、公害防除のためにはもうすでにいろいろなことをやってきたわけです。またお金もかけているわけです。当然そのお金は商品に転嫁されているわけですが、もうほとんどやり尽くしてしまった。なおこの上まだいろいろなことを言われたのではかなわないなというような気持ちはないでしょうか。そうすると、それはお金がかかるというだけでなしに、物価の問題もやかましいですから商品にも転嫁できない。ですから、その点についての心配も多少あるのかもしれません。私、それはわからないわけじゃないです。わからないわけではないですが、私どもの立場とすれば、当初から申し上げますように、経済は何ぼでも発展しなければならないことは言うまでもないのですが、健康や生命を多少でも犠牲にしての経済の発展ということは考えられないですから、そこで、どうしても私どもは、国民の健康、生命という立場に立ってこれらの問題を説得していかなければならぬと考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 この問題、押し問答のようになってしまいますのでこの辺でとどめをいたしますが、いずれにいたしましても、いま大臣が後半の中でお答えになりましたように、この問題は、一つは環境保全論といいますか、そのものに対する認識が、国民の中にもあるいはまた一般の常識としてといいますか、まだまだ十二分に浸透していない。そして、この地球上に人間が生存しておるということの中にありまして、先行き一体どう展開していくであろうという大きな考えに基づくところの環境保全というものを、国境を越えて、あるいはまた産業、文化を越えて考えなければならない分野についての認識が、まだ台頭していないのじゃないかというところに、一つの大きな原因が存在をしているような気がしてならないのであります。  後ほどまた、大臣が御提案になっています水質保全法のお考えについてお聞かせいただきたいと思いますが、いずれにしても、いまの自然というものを守っていくことによって人間の将来をより確かなものにしていくための施策がどう講じられていくのかということは、非常に大切なことでありまして、これは単にイデオロギーの問題でもなく、かつまた、もちろん党利党略の問題でもありませんし、人間として、人間社会がこれから進展していく上に欠くべからざる要素として考えなくてはならない問題であります。真剣に考えなければならぬと思うのであります。そうでなければ、食糧危機の問題これあり、人口問題これあり、あるいはまた大気汚染、水質汚染といったものが進んでいきますならば、もう人間がこの地球に住めなくなってしまうということが決して想定されないというわけではないわけでありまして、その意味では、環境アセスなんという問題はその中の小さなものであるかもわかりませんけれども、しかし、時の政府が積極的にそれと取り組むという、その姿勢を示すことはきわめて大事なことでありますし、大臣は自民党内にありましてもニュアンスの違ったお方だと私は思っておりまして、御期待を申し上げておる政治家の一人であります。ひそかに敬愛を申し上げておるのでありまして、どうか勇断をもってこの問題についても取り組んでいただきたい。それが鯨岡大臣の大臣としての評価にも大きくつながるものだと思っているわけであります。このアセス問題については、いろいろな問題があるかもわかりませんけれども、どうか振り切ってお出しをいただいて、私どもも決して原案に賛成という意味で——まだ出ておりませんけれども、お聞きをしておりますところの内容について必ずしも賛成の意を表しているわけではありません。しかし、少なくとも出すという姿勢というものは、いま政府部内にあってちゅうちょされているというのであるならば、これは遺憾きわまりないことでありますので、ぜひともそれを突破していただきたいということを付言をさせていただきまして、改めて大臣にもう一度その御決意を伺っておきたいと思うのであります。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 御激励いただいてまことにありがとうございます。  野口先生言われたとおり、私は真剣に、われわれ一代はいいです、二代もいいでしょうが、いまや人間が生き残れるか否かという瀬戸際に立っていると言っても、そんなにオーバーな表現ではない、そういう時代だと私は思っています。  ところで、世の中が油やいろんなことで厳しくなってまいりますと、どうしても、政治も行政も、きょうもしくはあしたといったような短期のことだけが気にかかって、これは国民だってそうだと思いますよ。そんな、きょうやあしたのことでない、ずっと先のことなんか言っていると、のんき者みたいに思われるおそれがありますが、私はそれは間違いだと思っています。  ですから、こういうときにこそ特に心配しなければならぬ。できるときはだれでもやりますよ。余裕のあるときはだれでもやりますよ。余裕がなくなってきたらできないというのでは、ついにわれわれは方向を見失いますので、こういう厳しいときこそ、先生方の御協力と御激励をいただいて、転ばぬ先のつえを出したい、こう考えているわけであります。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そこで、大臣の姿勢の一つとして、過般、新聞にも御発表になりました水質保全法なるものでありますが、これは大臣にお聞きするよりも水質保全局長にお聞きした方がいいのじゃないかと思いますが、この法を発想されました基本的な視点は一体どこにあったのかということをもう一度お聞かせいただきたい。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 細かい点は馬場局長から答えさせますが、皆さん方の御協力をいただいていろいろ規制をしてまいりました。湖沼などはそれぞれ利水の目的が違いますから、あるところはお魚の養殖、あるところは水道の水だめなんというふうにそれぞれ目的が違います。そこで、ずっといろいろ御協議をいただいて水質保全でやってまいりましたから、ややとまる状態にはなっているのですが、これは安心した状態にはいかない。このままやっていくと、油断するとますますおかしくなってくるということになりましたので、どう考えたらいいだろうか、それでちょっと考えて、それぞれの県にあるのですから、県知事さんあたりに、私のところのこの湖はこういう目的で使っているのだからこうやらなければいかぬというような計画を立てていただいて、それをわれわれが後ろからバックアップするというようなことにでもしないと、ばらばらになっているいろいろな目的の湖に対して適切なことができないのではないかという心配から、いま審議会にお願いをして、どういうふうに考えたらいいでしょうか、ひとつ先生方の知恵をしぼってくださいとお願いをしている段階であります。まだお答えをいただいておらないのですが、ぼつぼつお答えをいただいているところで、どんなふうに考えているか、水局長の方からお答えをさせます。

馬場道夫環境庁水質保全局長

○馬場政府委員 湖沼につきましての環境保全についての新しい制度の問題でございますけれども、御承知のように、閉鎖性水域でございます湖沼につきましては、滞留時間が非常に長い。琵琶湖につきましては十九年と言われておりますけれども、そういう滞留時間が非常に長いために、汚濁物質が非常に蓄積しやすいということでございまして、そういう意味で非常に水質汚濁の影響を受けやすいということでございます。そのために、環境基準の達成状況等を見ましても、河川が約六〇%、海域が七五%に対しまして、湖沼は三八%というように非常に低い状況でございます。その上、近年富栄養化問題が非常に深刻な状況を呈してまいりまして、水道関係あるいは養殖業その他に大きな被害、影響を与えておるわけでございます。  そこで、私どもは、湖沼につきまして、現在各個別法でそれぞれの規制なりいろいろな対策をとっておるわけでございますけれども、やはりこれには一定の限界があるという認識に立っておるわけでございます。  そこで、湖沼につきまして、ただいま長官が申し上げましたように、総合的な対策を考える時期に来ているのじゃなかろうかというふうに考えておりまして、その基本的な考え方は中公審でいま御審議をいただいているわけでございますが、ほとんど毎週のように専門委員会を開きまして、年内には御答申をいただこうと思っておる段階でございます。  ただ、そういう中で、湖沼につきまして国としての一定の基本的な考え方を示しまして、あとは、湖沼については自然的条件、社会的な条件なり、あるいは湖沼が平地にあるか山地にあるか、利用目的はどうだとか、いろいろなことで非常に条件が違いますので、それぞれの条件、特性に応じまして知事さんが具体的に目標を決めて一各種の施策、規制なりあるいはその他水質改善対策なり、そういうものを総合的、計画的に実施ができるような体制をつくったらどうだろうかというように私ども考えておるわけでございまして、そういうものを法律の上ではっきり決め、またそれに対するいろいろな対策を講じていくという規定を考えてみたらどうだろうかということでやっておるわけでございます。  なお、それにあわせまして、湖沼の富栄養化問題が大変重要な問題になっているわけでございます。いろいろ従来から御指摘があるわけでございますけれども、富栄養化の要因であります燐、窒素についての環境基準がないじゃないかというような問題もございますが、私どもも鋭意検討を進めておりまして、学識経験者の方々にお集まりいただいて検討を重ねておりまして、湖沼につきましては燐の水質目標の一応の結論を得たわけでございます。窒素についても、年度内に何とか結論を得たいということで、来年度には中公審にまたお諮りをいたしまして、燐、窒素の環境基準につきましても検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 私が話をいたしますと琵琶湖の問題ということで、まあ琵琶湖に限らないのでありますが、琵琶湖の問題を中心にお返事をいただいておるようでありますけれども、いまお答えをいただきましたように、水質保全法をつくろうというその趣旨についてはよくわかりました。  ただ、私は、こういった法律ができたら、それじゃ水質が守られていくのだろうかということについてはいささか心配なんです。というのは、幾ら基準を設けられても、それぞれの利水の目的なりあるいは置かれている条件なりというものが異なりますがゆえに、かえってその施策の面にあっては、お答えの中にもありましたように、知事の裁量というのが非常に大きく作用いたします。そういたしますと、一定の基準を守っていくのだということについての考え方がいろいろと左右をいたしまして、本来の目的であるものが将来ともに本当に貫かれていくのだろうかということについてもいささか疑念があります。と同時に、たとえば水質を守っていこうとするならば、大きくは人口問題から発しまして、農林水産対策もさることながら、下水道も住宅建設も、あらゆる施策が一致協力をしなければこの水質を守ることはできない。だから水だけが、こういう基準だよ、これを守るんだぞと言われても、それを取り巻く環境というものが改善されなければ意味がないのでありまして、水質保全法というものができただけで湖沼の水質が守られあるいは維持、改善されるというのはちょっと甘いのじゃないだろうか、こういう心配をするものであります。そうじゃないよとおっしゃれば、これはまた別ですが、そういう心配をいたします。  そこで、きょうは、そういった意味で若干、他省の方にもお越しをいただきまして、水質保全についての今日の行政のあり方あるいは施策の進行状況等をお聞かせいただきたいと思うのであります。  まず最初に、農林省の関係の方々にお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、今日全国各地で農業政策についていろいろな御意見がございます。その中で、その一つでありますところの水質保全という立場から見た農政の改革といいますか推進状況というのは、一体那辺にその主点を置いてお考えになっておられるのか。特に水質保全という立場から農業手法に特別な対策、あるいは一つの地域指定といいますか、閉鎖性水域を持っている地域におけるところの農業手法はこういうように変えなければならないとか、農薬あるいは肥料の使用の状況、手段、またそれに対する技法についても今後こういうような指導を行わなければならぬと思うとか、当然そういったものが総合的に出てこなければ、私は先ほど申しました水質保全という問題についても効果を上げられないのじゃないかと思うのです。したがって、その立場から、大ざっぱでありますけれども、まず大枠のお話を伺って、今日の農業政策の一環としての水質保全をいかなる視点でとらまえておられるのか、行政指導の中にどういう形で反映させようとしておられるのか、その点をちょっとお伺いいたしたいと思います。

村上治正農林水産大臣官房公害環境保全対策室長

○村上説明員 ただいま先生からお話がございましたように、湖沼の水質保全を図っていきますためには、湖沼に流入いたしますいろいろな水に対する対策が必要でございまして、私ども農林省といたしましても、農業面からの湖沼の水質保全のために協力をしていかなければいかぬというふうに考えております。  御承知のように、農業というのは、食糧を供給する機能とともに、一方では環境を保全する機能をあわせ持っております。しかし、この食糧を供給する生産活動に伴いまして農薬とか肥料の使用が過度になりますと、御質問にありますように、湖沼の水質に悪い影響を及ぼす懸念があろうかと考えておるわけでございます。農薬とか肥料の使用等に関しまして、今後とも私どもは、使用基準を作成することなどによりましてそれが適正に使用されるように指導を行いますとともに、農地の適正な保全をいたしまして、こういう農業の持つ環境保全機能を一層有効に活用してまいりたい、こういうふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それは概括的にはそうでありましょう。  そこで、ちょっと具体的にお尋ねいたします。肥料の中で、農薬の場合もそうでありますけれども、窒素、燐の農産物に対する吸収率といいますか、それをオーバーいたしまして流出していく部分というもの、これは全国平均でいいのですが、およそ何%ぐらいは外に流れていくものだろうということをおつかみになっていらっしゃいますでしょうか。

吉田茂政農林水産省構造改善局計画部資源課長

○吉田説明員 ただいま御質問ございました、水田から窒素、燐などがどの程度流出しているかという量的な問題につきましては、気象条件あるいは土壌の性質、それから施肥とか水灌とかいった栽培技術によりましてもいろいろ異なっておりまして、一概に幾らということを断定することはむずかしゅうございますけれども、国とか県の試験場で行いました事例的な調査結果によりますと、水田の場合には、栽培期間全体を通して見ますと、窒素、燐を排出している場合も御指摘のようにございますけれども、逆にかなり水田の浄化機能が働きまして、排出量が流入された量よりも少なくなっている場合もございます。しかし、特定の時期、たとえば田植えを行います前後のような特定の時期をとらまえてみますと、若干やはり窒素、燐といったものが流出しているようでございます。しかし、水田につきましてはそのようでございますけれども、畑につきましては、通常、表面流出がきわめて少ないということで、窒素、燐の流出は水田に比較しますと非常に少ないのではなかろうかというふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 数字では示されないわけですか。わからないわけですか。

吉田茂政農林水産省構造改善局計画部資源課長

○吉田説明員 一概にちょっと申し上げられません。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それはおっしゃるように、たとえば肥料だといたしますと、その置かれている位置だとか、その施肥をいたしました時期だとか、あるいは土壌、それに伴いますところの水量の問題等によって、流出をしていく量というのは異なるのでありましょうけれども、私の選出県でありまする滋賀県の場合は、窒素の発生の原因をたどっていく場合に、農業関係でどのくらいのパーセントを持っているだろうか、農薬等におけるところの影響のパーセントはどのくらいだろうかということを、いわゆる発生負荷量を見ておりますると、全体の三二・一%だ、こういう見方をしておるのであります。したがって、これは農業関係といいましても畜産も含まれているわけでありますけれども、全体の二二%というのは決して低い数字ではありませんで、水質の保全という立場から考えると、何らかの措置といいまするか、手法の変更といいまするか、いろいろな規制といいますか、そういうものをいろいろ重ねないとこれは大変なことになるのじゃないだろうか、こういう気がするわけであります。特に、湖沼における窒素、燐の発生負荷量というのは一体およそどのくらいになっているかということは、国では把握されておりませんでしょうか。

吉田茂政農林水産省構造改善局計画部資源課長

○吉田説明員 ただいま琵琶湖の例を先生御指摘ございましたけれども、先ほども申し上げましたように、その地域によりまして非常に異なっておりまして、いろいろな湖沼につきまして調べましたところでは、十アール当たり浄化作用でマイナス一キロくらい浄化する場合と、また十アール当たりプラス一キロというようなことで、一概に全国平均幾らというふうな調べは非常にむずかしい状況でございます。そういう意味で、特定な地域をとらまえてどうかということであれば、いろいろな調査を通じたデータがございますけれども、全国的な数字で申し上げることはちょっとむずかしゅうございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 わかりました。それではそのことはお尋ねいたしません。  では、化学肥料が全国で、これは全国的な量でいいのですけれども、その消費量につきまして、この二、三十年間どのような変化をしているか、ちょっと参考までにお聞かせいただけませんか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 化学肥料の使用状況でございますけれども、使用というと、多くの五百万の農家が使いますので、なかなか使用というベースではつかみにくいわけでございますけれども、出荷統計というのがございまして、そちらでつかめばわりに正確につかみやすいので、出荷統計というので見ますと、約二十年前、昭和三十五年度においては、窒素量に換算いたしまして六十六万五千トン使っております。それが、昭和五十四年について見ますと七十七万七千トンということになりますので、この間使用量はふえておるわけでございますが、これは単に使用量のふえという点だけでなくて、この間に、たとえば水稲の十アール当たりの収量等を見ますと、三百数十キロから最近では五百キロ近くまで上っているというふうな、そういう生産増強等の影響がかなり多いのではなかろうかというふうに理解しておるわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 いまのは窒素ですか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 窒素でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それではカリはどんなものでしょうか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 カリにつきましては、二十年前の昭和三十五年五十三万トンばかりでございますが、五十四年では七十四万トン程度ということになっております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 これは私も専門でありませんので、わからないからお尋ねするわけでありますが、もちろん施肥が非常に消費量がふえたということは、結局生産量もふえているということでありますけれども、そのいわば施肥と生産量との割合から見て、現在の化学肥料の消費というものは、およそ皆さんからごらんになって適正だと思われますかどうですか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 生産量と施肥の関係、細かくいま分析したデータを持っておりませんので、細かい点についてはあれでございますけれども、私ども施肥の指導を行う場合に、生産する目標収量をどう考えるかというふうなことを念頭に置きまして、それで施肥量を、その地域の土壌条件あるいはまたその地域の気象条件等に応じて、農業改良普及所等でかなりきめ細かく指導しているわけでございます。したがいまして、農業生産も経済行為として行っておりますので、むだな資源の投下を行わないように、資源の有効活用ということを考えながら適正な施肥を行うように対応しているわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そこで、これはいま考えるわけですが、逆に、たとえば、先ほど申し上げましたように、湖沼に関係する農業地において、今度は逆に窒素、燐の使用量を非常に規制をする、規制をするということによって生産量がもちろん減る、ということはいわゆる尺度がきちっとある程度出てまいりますか。たとえば、燐を半分に減らしたらどれだけ収穫量は減ってくるのかということがおよそつかむことができますか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 ただいま先生の御指摘の、何をどれだけ、窒素をどれだけ減らせばどれだけ減収になるか、あるいは燐をどれだけ減らせばどれだけ減収になるかというお話は、これは試験管の中とかあるいはごく限定された条件下での試験を行った場合には、たとえば水耕栽培などが一番厳密に申せばございますけれども、そういうふうな水耕栽培等をやった場合でございますればかなり厳密に両者のコレレーションは出てくるかと思いますけれども、農業の場合は、先生御案内のとおり、土壌という自然を相手にし、しかも、雨が降ってくれば当然その雨水の中に窒素が入ってくるというふうな条件等がいろいろございますし、また、土壌の中にも有機質その他が入っていまして、それが天候条件によってはかなり出てくるとか、あるいは出方が少ないとか、出る時期がまた変わるとかいうふうなことがございますので、窒素を何ぼ減らせば実際農業生産の場において何割減収するというふうなことを厳密に出すことはなかなかむずかしいかと思いますし、また同時に、農業生産の収量性というのは、施肥以外に、病害虫の発生状況だとか、あるいはまた栽培作業が適切に行われているか否かとか、そういうふうなこととかなり深い関連を持ってまいりますので、現実の場において施肥量と収量との差を厳密に出すということはなかなかむずかしいかと考える次第でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、たとえば、閉鎖性水域における農業の窒素、燐の使用量を制限いたしまして、そうすることによって農業生産物、たとえば水稲だといたしますと、水稲が減収になった場合を想定いたしまして、現在政府がとられている減反政策を、逆に閉鎖性水域においては、減反という制度をとらないで、いわゆる化学肥料等を使用させることを制限することによって減収を図る。つまりそれは減反と同じ成果を得られるわけでありますけれども、同時に湖沼の水質を守るという立場からも成果が上がるのじゃないか、こういうような考え方から、いまそういうふうな質問をさせていただいたわけであります。  大体いまむずかしいということでありますから、私もこれから研究いたしまして考えたいと思っておりますが、一般にいま水田におけるところの窒素の収支の状況、吸収率と流出浸透度、排出率というのは平均してどのくらいになっていますか。それはわかりませんでしょうか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 どうも私ども、農業というのは条件がいろいろございますので……

野口幸一日本社会党

○野口委員 だから一般論で結構です。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 一般的には、窒素について見ますと、施用されたもののうち四割弱くらいが稲に直接吸収されて、それが生産物の中に移行し、四割程度が土壌の中に残る。土壌に残って、土壌の地力の高揚といいますか、そういう面でのプラスになっていく。残りの二割強でございますか、これが特に水田の中においては酸化層の中に入っていって窒素ガスとして脱窒されて空中に排出されるということが言われておるわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 わかりました。  こうした状況下にありまして、農薬並びに肥料の使用の適正化また汚濁負荷童の明確化ということについては、どのような対策がいまとられておるのでしょうか。明らかにしていくというのは、どのような施策をいま講じておられるのでしょうか。明らかにできないからもうしないというのではないのでしょう。汚濁負荷量の明確化、どのくらいが原因になっているかということをきちっと、わからないとお答えなのですけれども、これはこれから一生懸命解明しようとされているのか、もうわからないからそのままだとおっしゃっているのでしょうか。——意味がわかりませんか。つまり、水の中にいろいろありますけれども、もちろん地下水の場合も含めまして、いま土壌に吸収されるのは四割だとおっしゃいましたけれども、この四割が永久に、未来永劫に土壌にあるわけではなくて、これは雨水等によって浸透してまた流出していくわけですから、結果的に、農薬をたとえば一〇〇なら一〇〇といたしますと、水に与える影響といいますか、それに何%は落ちていくんだということは最終的にはわかりませんでしょうか。

芦澤利彰農林水産省農蚕園芸局農産課長

○芦澤説明員 土壌に吸着されるのが四割程度と申し上げましたけれども、土壌に吸着されているものは、また翌年あるいは次につくる作物、これに吸収されるわけでございまして、そういうふうな施肥した四〇%弱だけしか使われないというのは、すでに土の中にある肥料、そういうふうなものを作物が吸収するからこそ施肥したもののうちの四割しか吸収しなくて済むわけでございます。ですから、土壌に吸着されたものはまた来年あるいは再来年時点でそういうふうな作物に吸収されていくわけでございます。水田における窒素の循環といいますか、そういうものは、先ほど公害対策室長からもお答え申し上げましたし、また資源課長からもお答え申し上げましたように、土壌の条件その他によって違っていますけれども、むしろ、私どもは、水田あるいは畑というものは一般的には土壌が水質の浄化機能を持っているというふうに考えておるわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 わかりました。  それでは、ただ汚濁負荷量を、農薬だとかあるいはまた肥料がどのくらい持っているのだろうかということを明確にできない、流出、流入のメカニズムが解明不十分だということ、これはたびたび言われているのです。はっきりわからない。しかし、わからないといってほっておかれるのじゃなくて、何とかしていわば汚濁負荷星が明確になるようにする方法はないのだろうかということをひとつ考えているわけなんですけれども、そのことによって、農薬の規制だとか、あるいはまたそのことによるところの減収分をどのように水質保全の方に向けることができるかというような考えが浮かぶわけであります。いまのところでは、その辺のところは将来ともに汚濁負荷量のパーセントというのはつかみ得ませんでしょうか。——じゃ、滋賀県がやっておりますような、琵琶湖の水質の中で何%は農薬あるいはまた肥料によるところの流出によって出てきた窒素なら窒素だということを出しておるのは、どういう測定によってそれは出そうとしているのでしょうか。

吉田茂政農林水産省構造改善局計画部資源課長

○吉田説明員 いま私ども、それぞれが幾つかの湖沼を持っている県に委託いたしまして、それぞれの地域でどの程度のそういう負荷量が実際にあるのかという事例的な調査はいたしておりますので、そういった調査を通じましてひとつ検討してまいりたいというふうに考えております。もちろん滋賀県の琵琶湖につきましても、県に本年度千三百万の予算の中から委託費を出しておりますし、あるいはあと諏訪湖その他のもやっておりますので、そういうものを、今後とも試験結果を見まして、できるだけ究明できるように努力してまいりたいというふうに思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 またこれは、時間がありましたら、委員会じゃなくてお教えをいただきたいと思います。  そこで今度は、手法の話でありますが、圃場整備の現状の中にありまして、用水の反復利用を考えていろいろ改良なされておるようでありますけれども、全国的に見てどのような状況にございますでしょうか。用水の反復利用の現状というのはどのくらい、圃場整備をやった中で反復利用をやったのはどのくらいの程度になっているか、わかりますか。

吉田茂政農林水産省構造改善局計画部資源課長

○吉田説明員 ただいま御指摘のありましたそういう調査を現在やっておりませんので、ちょっといますぐお答えできませんが、また追ってお答えさせていただきたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 余り時間がありませんからもうやめますが、とにかく私が考えておりますのは、特に閉鎖性水域におけるところの農業という問題については、少しく視点を変えて手法においてもあるいはまた施策においても考えなければならぬだろうというのが私の発想であります。少なくとも、先ほどもちょっと申し上げましたが、単に減反政策をそのまま押しつけていくというような形ではなくて、同じ減反政策をやるにしても、それを農薬規制という形の中で何とかできないものだろうかとか、あるいはまた、用水の反復利用等によってでも、そういったものを防止する、水質の汚濁の進みを防止する方法はないだろうかとか、あるいはまた、水田の用水を一定のところにとどめて、そして流水をすることによって農薬の流出というものを防ぐ方法はないだろうかとか、いろいろなものをやはり総合的に考えなければ、湖沼におけるところの水質保全というものはむずかしかろう、こういうような考えを持つものであります。  もう一つだけ、お聞かせいただきたいと思いますが、今日の林業でありまするが、林業もやはり今日、木材の育成だとか素材の生産というのに視点が注がれていると言われておるのでありますけれども、やはりこれは私どもから言わせるならば、水質保全という立場から具体的にどのような施策をとっておられるか、この辺もひとつお聞かせいただきたいと思います。

谷口純平林野庁指導部造林課長

○谷口説明員 林業から見た水質保全対策でございますけれども、森林は木材の生産のみでなく水源の涵養あるいは自然環境の保全などの多面的な機能を有しておりますので、林野庁といたしましては、これら諸機能を総合的に発揮するための施策を種々講じているところでございます。特に水質保全に関しましては、森林法に基づく水源涵養保安林など保安林制度の運用、重要な水源地域における水源涵養機能を向上させるための重要水源山地治山整備事業、さらに、水源地域におきます計画的な森林の造成整備などの水源対策を通じまして、水質保全対策に資しているところでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 では、林野庁、もう一つだけお聞かせいただきたいと思いますが、たとえば閉鎖性水域におけるところの林業対策として、特にそういったところに重点を置くというような指導指針はございますか。

谷口純平林野庁指導部造林課長

○谷口説明員 ただいま申し上げましたのは一般的な水源対策ということでございまして、特に閉鎖性の水域独自のものに対する対策といたしましては、現在のところこういう諸施策を重点的に配慮するということで対応しているところでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 時間がありませんので、また時間をいただいて詳しくその辺についてお聞かせいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、いま、大臣が先ほど来もおっしゃっておりますように、水質保全という問題は、人間の生命に関する問題でもありますし、また、諸施策の一番先頭に立たなければならない問題であります。ただ、水質保全法などについて積極的にこれと取り組もうとなさっておるお姿に対して敬意を表するわけでありますが、これを効果あらしめるためには、いま若干申し上げましたように、農業施策の問題にありましても、あるいはまた林業の立場にありましても、あるいはまたこれから問題になるところの住宅政策の中にも問題がありましょうし、大きくは人口問題というようなこともあるだろうということを申し上げましたけれども、特に湖沼の水質を守るということは、その総合的な施策が十二分にありませんと達成できませんので、そういった問題が、ひとつ水質保全法というものができるに当たりまして協力を得られるような、あるいはプロジェクトチームのような形で、そういった問題に中核的な指導ができるような法案にぜひともしてもらいたいということが、ぜひともお願いしたいところでございます。  これは馬場局長にお尋ねしたかったのでありますが、時間がありませんのでやめますが、特に一番大事なことは、その中にありましても家庭雑排水の問題に対するいわゆる下水道普及の問題、これはもう密接不可分の問題でありまして、この湖沼の水質保全をするためには、どうしてもその湖沼に流れ込む家庭雑排水、いわゆる下水道を中心とするものの完備が密接不可分でありまして、この点についても特段の配意を施さない限りは、やはり他地方と同じような状況で進めておっては、湖沼の水質保全というものはとてもじゃないができそうもありませんので、その辺のところを、やはり国庫の補助率においてもあるいはまたその他の施策においても、特段の配意をその湖沼の水質保全にかかわる地域においてはお考えをいただくという基本的なものを、何らかの形でこの水質保全法の中に入れていただくようにぜひお願いしたいのですが、この辺、大臣、どうですか。そのお考えはいかがなものでしょう。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 先ほど水局長の方からお話しいたしましたように、ただいまどういうふうにやったらいいか、審議会の方にお答えをいただこうとしているわけで、どういうお答えが出てくるかわかりませんが、いまのお話は、やはり住民の下水の問題とともにあわせて考えなければならない重要な問題だと承りました。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それでは、その問題についてはまた機会をとらえまして御質問をさせていただくことにいたしまして、最後に一つだけ、若干趣の違うお話をお聞かせいただきたいと思います。  いま新潟県の佐渡にトキが生息をいたしておりますが、現状の生息状況はどのようになっているのか。保護対策として、これを補獲をいたしまして、これを人工的に生存をさせていくようにしたいというようなことが述べられておりますが、現状はどのようになっているのか。  あわせて、もう一つだけお聞かせいただきたいのは、沖繩の西表島におりますところのイリオモテヤマネコでありますが、このイリオモテヤマネコも学者によってその生存しておる頭数が非常に定かでありません。一説には、二百頭ということは余り聞いたことはありませんが、百五十頭くらいいるのじゃないか——頭と言うのが正しいのか、匹と言うのが正しいのか、知りません。ネコだと匹と言うのがいいのかもわかりませんが、百五十とも言われておりますし、あるいはまた、もっと極論になりますと五十ぐらいしかいないのではないかというような人もありますし、一体どのような状況としてつかんでおられるのか。具体的にこれらの問題についての対策、指導は現状どのようになっておるか、ちょっとお聞かせをいただきたい。

正田泰央環境庁自然保護局長

○正田政府委員 初めに新潟のトキの件でございますが、トキにつきましては、自然保護と申しますか、鳥獣保護の原点に立ち戻った形で、私ども慎重にかつ緊張して対策を推進したいと思っておりますが、現在は新潟県佐渡、御案内の場所に五羽、それから飼育中のもの一羽、こういうことでございます。そこで、あの場所で自然に増殖するのは期待できないというような学識経験者の意見が固まっておる関係上、捕獲をして増殖を図りたいというふうに考えておりまして、この十二月から来年の二月にかけまして、できるだけの力を結集して捕獲をして増殖に踏み切ってまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、ヤマネコでございますが、沖繩のイリオモテヤマネコにつきましては、現在、権威ある人々の推定でございますが、大体三十ないし四十頭と言っている方々が多いようでございます。しかしながら、これは数万年前からの動物でございまして、現在までかつて頭数を正確に把握した歴史がございませんので、果たして現在何頭であるかということ、あるいは減っているのかふえているのかということもよくわかりません。しかしながら、周囲の客観状況、それから自然環境の状況の変化から見まして、絶滅のおそれなきにしもあらずということで、いろいろな対策を考えなければいけませんが、大事なのはやはり生息数の把握でございまして、これにつきましては、先般から展開しておりますところの六カ所の地点における給餌作戦でこのヤマネコの行動様式、そういったものを把握をいたしまして、頭数の推定をきちんとやってまいりたい。あわせて、頭数のいかんによりましては、現在先生御案内の一頭おります雄のヤマネコと交配等を考えた人工増殖も考えてやっていかなくてはいけないのじゃないか、こういうふうに存じておる次第でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 トキが五羽になってしまってから人工増殖を考えられたのでありますけれども、遅いと思うのですね。イリオモテヤマネコが、これもわからないわけでありますが、いま五十頭未満だと言われるならば、これはもういまのうちに種族保存という立場で施策をおとりになるのが賢明じゃないのか。一説には、局長も一緒に行ったのですからあれですが、いま飼っておりますあのヤマネコを島へ帰してやれという議論もあるようですね。そうじゃなくて、あれは雌でしたか雄でしたか忘れましたが、何とかしてあれに対応するものをつかまえて人工増殖の道をもういまから考えられてしかるべきじゃないだろうか、こう思いますので、ぜひともそのような形でお進めいただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎委員長 野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 まず初めに、きのうの新聞にも報じられておりますが、環境庁調査として「有機塩素汚染進む」、こういう表題で、環境の悪化、汚染の度合いというものが公式に環境庁から発表されております。内容は大体御案内のとおりでありますが、「分解されにくい性質を持つ有機塩素化合物がわが国の環境を広く汚染、環境庁がこの五年間に水質、ヘドロ、魚のいずれかから検出した百六の各種化学物質の四割にのぼっていることが十二日、環境庁のまとめた「化学物質環境調査」の結果、明らかになった。」こういうことで以下ずっと書いてあるわけでありますが、これは五年間で全国各地で調査をされた結果であるのかということが一点。  それから、全国的に非常に環境が汚染されておる。特に水質が汚濁されておるという指摘がありますが、全国の一級河川等の水質はすべて検査をされたのであろうかどうか、その点はどうでしょう。どなたでも結構です。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 環境庁では、環境中に放出されておる化学物質の挙動につきまして、その安全性を点検するという目的を持ちまして、四十九年度以降環境調査を実施してきております。現在までに三百の化学物質の点検を完了いたしております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 環境汚染が広がっておるということは確認をされておるわけですが、全国的にその傾向は強い、そのための指導、調査は強化をするというふうに考えてよろしゅうございますか。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 いま申し上げましたように、四十九年度から実施いたしてございますが、何せ環境中の化学物質は数万点に上ると言われております。そこで、環境庁といたしましては、プライオリティーリストをまずつくりまして、約二千点の化学物質をリストアップしてございます。それについて順次検討をしていくということでございますので、この化学物質の点検につきましては、私たちといたしましても非常に重要な施策と考えておりまして、今後とも大いに力を入れていきたい、さように考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 各県各市町村等で住民から強い要求があれば、環境庁は直接に有機塩素化合物等の調査等は十分やっていただけますか。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 非常に一般論的なお答えになろうかと思いますが、私たち、そういう要望が各市町村からどんな実情で上がってくるか全くわかりませんし、そういう実態を踏まえまして検討させていただきたいと考えておりますが、一般論を申し上げますと、先ほど申し上げましたようにプライオリティーリストでリストアップいたしました化学物質を重点的に、順次年度別にやっていくということを考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 その二千点のリストアップで順次実施をされますが、特に人体への影響、環境の汚染、こういう問題が住民の心配になって環境庁に要求をされた場合は、当然行政府としてはそれを実施しなければならぬのではないのか、私はそう思います。それがたとえば水俣病問題とか六価クロム問題とかいうことに結果的に出てきた場合は手落ちになる、要求したけれどもやらないという結果になるわけでありますから、事前に住民の強い不安がある場合は、行政官庁としては、住民サービスという立場と健康を守る、環境を改善をしていくという意味でも実施をすべきではないか、私はそう思いますが、長官はどのようにお考えでしょうか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 地方自治体から正式にそういう話が上がってくれば、私どもの方としては当然注意をしてそれにこたえなければならぬ、言うまでもないことだと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 ありがとうございました。  これから私が質問をしたいと思いますのは、私の出身は鳥取県であります。鳥取県の西部に、米子市を中心にして日野川という一級河川がございます。この上流に藤本製薬という、製剤工場といいますか、薬品工場が設置をされるという話があります。おいおいお話をいたしますが、そういうことを頭に入れておいていただいて、いまからまず建設省にお尋ねをしたいと思います。  日野川の流量は年々どういう動向をたどっておるのか、この辺を明らかにしていただきたい。

渡辺重幸建設省河川局河川計画課長

○渡辺説明員 お答え申し上げます。  先生も御案内のとおり、河川の流量というのはその年の雨によりまして非常に左右されておりますので、昭和五十三年と、それから過去の平均について申し上げます。日野川のうち、溝口という流量観測所がございまして、ここの観測結果によりますと、昭和五十三年におきましては平水流量、一年の間で大きい方から教えまして百八十五番目、ちょうど半分程度になりますが、その流量が毎秒七・四立方メートル、低水流量、これは大きい方から数えて二百七十五番目ということで、一番流量の少ない方から数えますと九十番目になりますが、毎秒二・七立方メートルでございます。昭和四十一年を除きまして、三十七年から五十三年までの平均値で申し上げますと、平水流量が十四・七立方メートル毎秒、低水流量は六・八立方メートル毎秒という数字になっております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 お話のとおりだと思いますが、溝口と米子市の車尾というところに流量の調査をする個所があって、いまお話がありましたように、五十三年度の低水流量というのは溝口で二・七立方、三十八年から五十三年までの平均では六・八立方、渇水流量は溝口で五十三年は一・六立方、三十八年から五十三年までの平均は二・二立方、こういうことですね。いまお話があったとおりですが、平均して流量というものは年度を追うに従って、雨の関係もありましょうけれども、一般的にこのように減少しておる、こういうふうに考えるわけですが、全国的には平均としての動きはどうでしょうか。

渡辺重幸建設省河川局河川計画課長

○渡辺説明員 お答え申し上げます。  昭和五十三年度というのは全国的に渇水が起こった年でございまして、全国の河川、平均しますと非常に減っております。長い傾向から見てどうかという御質問でございますが、これはいろいろ気象の長期予測というようなことで気象庁の方でも考えておられます。いまのところ特に顕著な傾向は私どもは考えておりませんが、最近ですと、どちらかと申しますと渇水の年というのがわりに頻度が高いように考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 そこで、具体的にこれからお話をさしていただきますが、これはことしの三月四日の予算委員会の分科会でもお尋ねをしたわけでありますけれども、さらに詰めて伺わなければならぬと思うのです。  昭和四十七年、いまから八年前でありますが、藤本製薬山陰工場というのがこの日野川の上流の日野郡溝口町に進出を計画をしました。そして、地元の溝口町と話し合いをしまして、四十八年に企業進出を決定をしました。そして、四十九年の十一月に工場立地法に基づきまして所管の通産省と厚生省が共管をしまして、四十九年十一月のたしか十六日だというふうに理解をしておりますが、十一月の十六日に受理をいたしておるわけであります。この工場立地法によりますと、緑地地帯は二〇%以上、環境の施設の面積は二五%以上、生産設備の面積は四〇%以下、こういう外観的な規制がありますから、それに基づけば自動的に受理するというような法律になっておるわけであります。それを受理したが、今日なお建たないというのはどこに問題があるか、こういうことをお話をいたしますと、この工場でつくられる薬品に有機塩素化合物が入っておるということが考えられるわけでありますし、指摘されるわけであります。  そこで、私がお尋ねしたいのは、工場立地法におきましても勧告条項というのがあります。第九条にありますが、「特定工場の周辺の地域における生活環境の保持に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき。」には勧告をする、こういうことになっております。また、「その周辺の地域における大気又はその周辺の公共用水域における水質に係る公害の防止に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき。」は勧告をする、こういうことになっておるわけであります。これはいま私がお話をしました建設の面積とか緑地地帯とかそういう外観的なものとは直接関係がないわけでありますが、この建物の中に配備をされるところの機械設備、あるいは薬品製造に伴う原料の使用、薬効成分、そういうものを考えてまいりますと、この条項に当てはまるのではないのか、こういうことを心配をするわけであります。これらのおそれのあるときには厚生省としては勧告をする、あるいは通産省としては勧告をするということがあり得ると思いますが、どうでしょう。

黒木武弘厚生省薬務局経済課長

○黒木説明員 お答えいたします。  工場立地法は、先生も御案内のように、工場敷地の有効な利用と申しますか、環境との調和を考えた利用の趣旨でつくられておるわけでございまして、敷地面積における建物の面積の割合とか、あるいは住宅地からの距離だとか、敷地の中における緑地の割合とか、そういうものをチェックするのを目的といたしておりまして、したがって、工場から出ます排水についての考慮までは考えていないわけでございまして、いずれにいたしましても環境についての準則値を決めて運用いたしております。それは、繰り返しますが、緑地の割合ですとか、生産施設の面積でございますとか、あるいは住宅等からの距離でございますとか、そういうものを準則値として決めておるわけでございまして、それに当たらない場合にはチェックをいたすという形になっておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 いまお話があったように、総面積に対する建物の面積とか、緑地地帯とか、そういうことで、それ以外の場合はチェックをするけれども、それに適合されておれば受理はやむを得ぬ、こういうことですね。そうしますと、中の設備なり薬を製造するに当たって薬効成分等をどうチェックをするかという場合は、厚生省としては薬事法に基づいて、薬務局が中心になって、一品目ごとにその成分なりそういう点について十分チェックをする、このときに人体に塩素化合物等の影響があるというふうに判断をされるかどうかという懸念がありますから、その際には一品目ごとに十分にチェックをするというふうに考えてよろしゅうございますね。

黒木武弘厚生省薬務局経済課長

○黒木説明員 お答えいたします。  薬品についての規制を行っているのは御指摘のとおり薬事法でございますけれども、これは薬品という製品についての安全性なり有効性のチェックを目的にいたしておりまして、薬品という製品が飲まれる場合の体の安全性をチェックする、こういうたてまえでございまして、したがいまして、その生産に当たっての排水とかその他の環境面の考慮まではしてないわけでございます。もちろんそういうことで、医薬品という製品を承認をする、あるいは医薬品という商品を製造する場合の製造所についての許可をいたすということでチェックはいたしておりますけれども、排水等についての規制は公害関係立法等にゆだねられているというふうに判断をいたしております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 この構造設備の規則第二章に、「医薬品等の製造業」「医薬品の製造所の構造設備」、そういう製剤工場が具体的に医薬品を製造する場合の規則がございます。その中に「廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えて」おるかどうか、そういう点についても十分チェックをすることになっております。それについては、薬効成分の排出なり廃棄物等はチェックをしなければならぬというふうにこの規則に規定をしておるのではないかというふうに考えておるわけですが、そういう点については、三月四日には薬務局長が、その点については十分に調査をするという意味の御発言になっておりますが、その点についてはどうですか。

黒木武弘厚生省薬務局経済課長

○黒木説明員 お答えいたしましたように、薬事法は主として製品としての品質等の安全を目指した法律でございますが、あわせて製造所を許可する場合に、その設備構造ということで、当然製薬工場として備うべき設備、工場の基準を持っているわけでございますが、そこで現下の公害等配慮いたしまして、環境面での配慮もいたしておるわけでございますが、一般的なたとえばばい煙の処理だとかあるいは排水の処理施設だとかいうことを考えておりまして、具体的にそこから何が出ることはいけないとか、そういう個別具体的なたとえばばい煙だとかあるいは排水中の汚染物質についてのコントロールまでは考えていない、それは公害の諸立法の規制を待っておるというふうに判断をいたしております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 そうすると、あなた方は飲む薬についてはいろいろやるけれども、どういうものが捨てられても、いま問題になっております有機塩素化合物等がどんどん排出をされるということは関係ない、流してもよろしいということですか。そういう設備をチェックをしなければならぬということは書いてありますよ。

黒木武弘厚生省薬務局経済課長

○黒木説明員 私どもの設備構造基準は、そういう排水処理等の設備を持つことを規制いたしておりまして、そこから出てくる廃液が基準に合うかどうかについては、それは先ほど申しましたように、水質汚濁防止法その他の基準による適合性と申しますか、そちらのサイドからのチェックを受けるものと判断いたしております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 それでは、いまお話がありましたように、水質汚濁防止法に関連をしてお尋ねをしたいと思いますが、いまのような道程で有機塩素化合物が排出をされるというおそれがあるということで、下流水域の岸本町、米子市、会見町、日吉津村、淀江町、こういうところは全部議会で満場一致で企業進出反対を決議しました。厚生大臣はこの状況について十分御理解をいただいて、住民の意向というものを十分そんたくをして、われわれは住民に不安を与えないようにしたい、十分措置をして善処する、こういうお答えをいただいたわけであります。そこで、県の方としても非常に苦慮いたしておりまして、これについては——これを渡してよろしゅうございますか。環境庁の責任者にここを見せてあげてください。(資料を示す)いまお渡しをしましたように、野村総研に依頼をして特にクロルメザノン、ジアゼパム、ホモクロルシクリジン、こういうむずかしい名前でありますけれども、これらを特に調査をするということになっております。私たちは素人でよくわかりませんが、クロルという言葉がついておれば大体塩素ということを中学校のときから習ってきたわけですけれども、間違いなく有機塩素化合物であるということであります。これらの薬効成分が、残留性なり蓄積性なり難分解性であるということであります。流量は、いま渇水が非常に多くなった、年々そういう状況であるということが建設省からも明らかにされたわけであります。そういたしますと、これは残留性が強い。県も環境庁の国立公害研究所の須藤隆一博士に尋ねたところが、これは五年ないし十年やってみなければ、それについては毒性がないとは言えない、こういう御回答をちょうだいをしておるわけであります。この水質汚濁について、いまもって具体的に工場も建っていないし、草もたくさん生えておるわけですけれども、そういう住民の猛反対があるということでありますから、もし最悪のときに建つということがあれば、いまの厚生省からの御答弁もありましたように、人体に対する影響、環境の汚染、こういう全国的に広がりを見せつつあるという御認識に立っておるわけでありますから、環境庁としては、十分チェックをして、住民の不安というものはなくするということにしていただくものだろうと思いますが、その点についての環境庁の御見解をちょうだいをしたいと思います。

馬場道夫環境庁水質保全局長

○馬場政府委員 水質汚濁防止法が水質の規制の一つの法律でございますけれども、水質汚濁防止法におきましては、医薬品製造業の用に供する施設といたしまして政令指定をいたしておりまして、その事業場につきましては届け出制にしているわけでございますけれども、ただその場合に、カドミウムとか水銀とかあるいはPCBのようなものであるとか、そういう指定をしております有害物質あるいはその他の汚濁物質、政令指定しております物質を排出するそういう施設につきまして届け出制をとっているわけでございます。その届け出につきまして、まだ先の話であるようでございますので、私どもの方、まだ届け出の段階ではないわけでございますけれども、地元でも大変大きな問題でございます。また、県におきましても、ただいま先生お話にありましたように、野村総研に委託をいたしまして非常に専門的な調査を実施をされておるわけでございまして、来年の三月ごろまでの調査のようでございます。私どももそういう調査結果なり県の御意向等も十分勘案いたしまして、住民の方に不安がないような指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 県はとにかく誘致をしたい、地元住民はいけないと言っておるわけなんです。ここに米子市等の「西部地域水需給予測調査報告書」がありますけれども、この中で渇水量を調べると、十年間に三回も流量ゼロの年があるということを書いて、これから飲料水のためにダムを建設するという状況なんです。伏流水だけではなしに表流水もこの日野川の水を飲まなければならぬ状況に今日あるわけです。ここに毒性のあるそういう薬効成分が水流の中に流されるわけです。毎日二百二十立方メートル程度流すということを会社は言っておるわけです。それで、心配が住民に非常にある。だから、下流水域は住民全体が反対をしておる。  こういう事情にあって、厚生大臣にその事情を話しましたところ、「地元で十分話し合いを進めてもらいたいし、住民の御心配のないように、厚生省としてもこの事態に対しては十分注意をしていきたいと思います。」また、「また厚生省に届け出がありました場合は十分にチェックして、御心配のないように進めてまいりたい、」こういうふうに言っております。あなたの場合は、県が出せば対応していきたい、こういうことですけれども、環境庁というのは、そういう環境の整備をやっていただく、人間の健康に十分留意をするという立場にあるわけでありますから、排水基準を県がつくりますね、そしてその排水基準についても、環境庁がどのように対処しなければならぬかということで、第四条に排水基準に関する勧告をやる条項もございますね。こういう条項を十分活用していただいて、これらの排水に対しあるいはそういう毒性の薬効成分等については十分対応してもらう、そういうチェックをしてもらわなければ安心ができないと思うわけです。住民の飲料水に使う川でありますから、特にそれらの点については遺憾のないように環境庁で十分対応していただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、時間がありませんから、環境庁長官に御答弁をいただいて終わりたい、こう思います。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 川の水を飲むというようなことはどこでもあることですが、飲料水に使うわけです。その川の水がだんだんと少なくなってくる。それはいろいろの理由であります。しかも、そこの上流に工場ができて、その工場から出てくる薬物が川の水を汚染する、これは環境庁として重大な関心を持たざるを得ません。もちろん、これからいろいろ県の方で工場を認可するとか展開してくるのでしょうが、十分監視をして、住民が迷惑をこうむるようなことがないように事前に対処していきます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 ありがとうございました。終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議

山崎平八郎自由民主党

○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場昇君。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 鯨岡環境庁長官が、本環境委員会の審議に先立ちまして所信を述べられたわけでございますが、私は都合によりましてその所信を聞くことができなかったのですけれども、後で記録を十分読ませていただいたわけでございますが、私も全く同感な部分が多いし、非常に心強く感じた点も多くありましたし、鯨岡長官に期待するところも非常に多い、こういう感じを読ませていただいて持ったところでございます。その中で、特に私が同感であり、心強く思い、期待したところは、「環境問題は、現在生存している私たち一人一人の健康と生活に直接関係する問題であると同時に、私たちの子や孫、ひいては人類の将来にもつながる重要な課題であります。」と、こう述べられておるわけでございますし、さらに、こういうことの「使命の重大さを痛感するとともに、環境行政推進の任に当たることに大きな誇りと意欲を感じている」。最近環境行政が後退後退と言われている中で、非常に意欲を持っておられるという点もわかったわけでございますし、さらに、環境行政の中では長期的総合的な視点に立った環境政策を展開していきたい、こういうぐあいに述べておられるわけでございます。  そこで、私は、この長官の所信について、これを具体化するという視点に立って、一つまず長官に提案をしてみたいと思うのです。  それは水俣病にかかわる問題でございますが、長官御承知のとおりに、水俣病は人類がかつて経験したことのない最も悲惨な公害であるわけで、ゆえに公害の原点と言われるわけでございます。その広さとか深さ、深刻さというものにつきましては、原爆の被害にも匹敵するのだ、こう言われておるわけでございます。そういう人類がかつて経験したことのない最も悲惨な公害、私は、水俣病の前には水俣病はありませんでしたし、この水俣病の後に絶対に水俣病があってはならないとかたく信じておるわけでございます。私は議員になりましてから八年になりますけれども、約三十回近い質問を展開しておりまして、ある報道機関の調査によりますと、同じ問題で三十回も質問をするというのは国会の歴史の中で記録だということが書かれておったのですが、私はずっとやり続けてまいりました。といいますのは、私は、完全な水俣病の対策を立てるということは、本当にこの時代に生きている人間の責任であろう、こういうぐあいに思いますし、さらに、今日水俣病の完全な対策を立てなくして将来の公害、環境というものを語ることはできない、こういうぐあいにかたく実は信じておるところでございます。実は、前の総理大臣の三木さんが環境庁長官のときに水俣を訪れられました。私も終始行動をともにしてお供をしたのですが、悲惨な実態を調べられて皆に言われたのですけれども、この悲惨な状況を見てもう絶句するのみだと、言葉はないというようなことをおっしゃって、そして、こういう状態をしでかした政治、あるいは政治家というものに物すごい責任があるのだ、こういうことを私の横で報道機関の関係、住民の人におっしゃったのです。また、元の長官の石原さんは、現地を視察になりまして、この水俣病に対して完全な対策を立てなければ、未来の文明というものを語ることはできない、こういうことを実は言われたわけでございまして、全く私もそのように思います。  そこで、私がこの長官の所信の中に言われたところに共鳴するゆえんもそこにあるわけでありますけれども、やはり子や孫、あるいは人類に対してこういうことを二度と起こさない、起きたものは完全な処置をする、二度と起こさないためには、やはり人間の心というものが、公害を出してはいけない、環境を守らなければならぬということになるのが大切だと思うのです。対策も含めて、基本的には心だと思うのです。  そういう意味におきまして、私は、この公害の原点と言われる水俣に、あるいはまたこの水俣地域に、実は世界に冠たるという名前をぜひつけたいと思うのですが、世界に冠たる国立の環境大学というようなものをつくって、日本だけではなしに世界の環境問題をいろいろ研究するし、そういうメッカにしていただきたい、こういうものは現在生きている者の将来の人類に対する責任じゃないかというぐあいに思うのです。そういう点について、長官は地球規模で物を考えるというようなことも言っておられるわけでございますが、まさにそういう環境大学というようなものをこの原点の地水俣につくるということを、ひとつ文部省等とも話し合われて検討されてはいかがか、検討していただきたいということをまず思うのですが、それについて長官の御見解を聞いておきたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 環境問題については、環境学部というようなものは私の知識の中ではまだどこの大学にもないのですが、講座は方々の大学にできてまいりまして、このことを専門的に研究する人が非常にふえてきたことは先生御承知のとおりであります。  それから、最近、私のところへ環境問題を中心とした勉強をする専門の学校を私立ですがつくってみたいというようなことを言ってきた人がいまして、非常に関心を持ってお目にかかってお話を聞いたのですが、私立のことでもありますので、隘路がまた別にたくさんあります。また、どういうふうな構想でということも余りまとまっておらないように私お聞きして、ちょっと残念に思っているわけであります。  環境問題というのは大変な問題で、四日市とか水俣というところから始まって、そして環境庁というのができて、そして先生方の熱心な御支援のもとに九年過ごしてきたわけであります。いま私が考えておりますことは、この前も申し上げましたように、そのことによって被害を受けていま現在苦しんでいる人がいますから、この苦しんでいる方々に対する援助の手を差し向けていくということと、それから、もしかするとそれが原因であるかもしれないけれども、いまだ原因がそのものずばりというふうにわからない、これは見落としてはならぬことですから、この認定作業を進めていかなければならないという問題があります。これは原点の問題です。それから、二度と再びそういうことのないように、たとえば水の中に含まれるものを分析し基準をつくり、大気の中に含まれるものを分析し基準をつくるというようなことをやって、個々の基準はありますが、総量としてまだだめだというので総量規制をしたり、地域の指定をしたりというようなことをやらなければならぬという問題が出ております。そうやっている間に、今度は民間の騒音とかあるいは資源にも関係するごみの処理の問題とかというような問題がいろいろ出てきたことは御承知のとおりであります。さらに進めて、住民のニーズは、ただ安全だとかいうだけでなしに、気持ちがいいという状態に持っていきたいということで、アメニティーというようなことでこの問題もずっと進んできている。そうやっているうちに、今度はそれは国で言っているだけの問題じゃないよ、このままやっていると地球は人間を殺してしまいますよ、人間を殺すよりは地球が死ぬから人間も死んじゃうのですよというような問題になって、地球的な規模で物を考えていかなければならぬということにだんだん進展してきている。いままさに現在はそういう状態でありますから、考えてみると、これは人類のために学問として定着していかなければならぬ問題であることは先生お察しのとおりであり、私も全く同感であります。  したがって、それを専門とする学問、それを専門とする学校、そういうようなものが国の手によってできてくることは、時代の趨勢として当然起こり得る問題であると私は思いますが、残念ながら、いまだ私の頭の中にそれが具体的な構想としてまとまってはおりません。もしそういうものをつくるということになれば、まあ記念すべきと言ってはなんですけれども、水俣という考えただけでもほぞをかむようなその地点に、再び過ちは繰り返しませんという意味でそういうところを卜するということも一つの有力な考え方かなとお聞きした次第であります。重要な参考として承りました。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 長官の前向きな姿勢には敬意を表するわけですが、いま最後に、参考として承りましたということではちょっと物足らなくて、これはまだいまから検討するというような問題でございまして、工業大学だとかあるいは経済大学だとかなんとかをつくり、公害を出すというような大学、そういう専門大学はいっぱいあるわけですし、そういう意味で、こういう国立の環境大学というものをぜひ検討に着手していただきたいということですね。検討してできるのかできぬのかわかりませんけれども、まあできるとすれば水俣にという御返事もあったのですけれども、その国立環境大学について検討をしていただきたい、ぜひ前向きにと思うのですが、いかがでございますか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 言葉は十分でございませんでしたが、重要な参考として承った以上は、前向きにひとつ文部省などとも考えてみたい、こういうふうに思っているわけでございます。ただ、頭の中にすっとまとまっておりませんので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 第二の提言でございますけれども、あの水俣を取り巻く不知火海、きちっとした海の名前は八代海でございますけれども、通称不知火海と言われているのですが、まさに死の海になってしまったし、現在もまだ続いているわけです。そして、物すごい悲惨な状態でしたから、さっき言われましたように記念という言葉は使いにくいのですけれども、あの水俣とか芦北とか、対岸の天草、あるいは八代、そういう不知火海を取り巻くところは風光明媚なところでございます。こういうところを、災いを転じて福となすという意味で、いま行政の中では、たとえば国土庁がモデル定住圏だとか、環境何とか整備地域とかありますけれども、ぜひあの地域を環境福祉地帯といいますか、いま法的にありませんけれども、そういうようなことに環境庁からでも指定をして、そしてあの悲惨な死の海を生き返らして、世界の環境福祉地域のモデル地帯にここをするんだ、そういう行政があっていいんじゃないかというぐあいに私は思うのですが、そういう点についてもひとつ御検討いただいて、他の省庁とも検討していただくことはできないものか、ぜひそうしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 広大な構想に対して敬意を表します。どういうふうになりますか、先ほどから申し上げますように頭の中にまとまっておりませんので、十分関係者と前向きに検討してみたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思うのです。  そこで、具体的な水俣病対策の問題について申し上げます前に、これは対策のことでございますが、もう一点総括的なことについて申し上げたいのです。  昭和五十三年の六月二十日に、「水俣病対策について」ということで、水俣病対策関係閣僚会議が起案いたしました事項を閣議了解事項として実は決定しておるわけでございます。これはもう熊本県一県の能力は超す、あるいは環境庁だけの能力もこの対策に対しては超してしまう、関係各省庁が力を合わせて水俣病対策をすべきだ。こういう中で関係閣僚会議が設けられまして、その結果「水俣病対策について」という閣議了解事項が決定されておるのはもう長官も御承知のとおりでございます。そして、それに基づきまして同日、昭和五十三年六月二十日に、内閣官房副長官を中心にいたしまして関係各省庁の事務次官が集まって協議をいたしまして、水俣病に関して関係各省庁覚書というのが確認されております。これも御存じのとおりのことだろうと思います。ところが、これが行われましたのはいま言いました五十三年六月で、ちょうど福田内閣の時代でございます。それから大平内閣にかわり、いま鈴木内閣が発足したわけですけれども、五十三年に関係閣僚会議が開かれてこういうことを申し合わされて、それ以降一回も関係閣僚会議が今日まで実は開かれていないのです。そういう中で、水俣病の対策はいままさに八方ふさがりと私は言ってもいいのじゃないか。そのふさがっている中を水がちょろちょろとどこかすき間から流れてきておる、そのぐらいの対策というとなかなか厳しい発言になりますけれども、私は、全体の構想の対策の中から、大きく人類的に世界的に見た対策の中から言えば、本当にすき間から水がちょろちょろ流れるぐらいの対策しかなくて、ほとんど八方詰まってしまっておるというような感じがするわけです。これは、たとえば二十年たってもまだ水俣病の病像さえはっきりしないし、治療体制に至っては、これを一番望むのですけれども、治療方法も研究されていないわけで、苦しみながらまだ死んでいっているのです。それから、こんなに認定がおくれているのは不作為の違法ですよと判決がなったのに、認定の不作為違法状態が全然解消されていないという問題とか、あるいは県債で補償を出しているのですけれども、もう百億を超してしまって雪だるま式にふえているのです。あるいはチッソは再建すると言っておりながら、だんだん縮小して自然安楽死みたいになっていこうとしておる。また、ヘドロ処理もいまから始まっているけれども、大変な問題で、あるいは問題が八方行き詰まっておるわけでございます。  そういう点で、後で内容は一つ一つ質問いたしますけれども、そういう今日的状況の中で、新しい鈴木内閣ができまして、関係閣僚もどちらかというと、水俣病についての知識とか認識とか、新しくなられた方ばかりでございますから、余り十分でないと私は思うのです。だから、この際行き詰まっている状態を打開して一歩を進めるために、関係閣僚会議というものをまた鯨岡長官の音頭でひとつ開いていただいて、行き詰まった諸問題に対して、そこで十分省庁間で連絡をとりながら対策を立てていただきたい。このことは、関係各省庁といいますと、大蔵省とかあるいは自治省、通産省、運輸省、環境庁、国土庁、いろいろあるわけです。そこで、担当の鯨岡長官に音頭をとっていただきたいと思うのですが、このことは私がここで言うのではなしに、熊本県の切なる願いであるし、熊本県議会も大挙してこのことをお願いしておるし、熊本県出身の衆参両院議員も、党派を問わずこの間集まりまして、このことを申し入れをしようということも実は決定しておるわけでございます。中身のことは一々後でお尋ねいたしますけれども、五十三年以来一回も開かれていない中断しておった関係閣僚会議を、長官の手で新しい鈴木内閣のもとで発足させて、十分対策を検討していただきたい、このことについて、長官、どうでございますか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 御提言まことに恐縮に存じますが、お話があったからそれに応ずるように答えるわけではありません。すでに、いまお話しのように県の方からも私のところにその話がありました。それから、党派を超えて各党の先生方からも私に話がありました。また、状態は決して怠けていたために閣僚会議を開かなかったわけではありません。先生方の御支援をいただいてそれなりに仕事が運んでおりましたので、それを開かなかったわけでありますが、ここへ来まして、お話にもありましたように、チッソの今後の運営の問題もあります。それから県債がだんだんとかさんできたという問題もあります。そういう問題を御心配なさるから、県も話がありましたし、それから党派を超えての先生方のお話もあったわけであります。それを受けてそういう会議を開こう、開くということになれば私が旗振りにならなければならぬ、こう考えているわけであります。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 ぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、具体的な中身について一つ一つ質問を申し上げたいのですが、まず、先ほど言いました五十三年六月に決定いたしました閣議了解事項、これについて一つ一つ順序よく質問をいたしたいと思うのです。  まず、閣議了解事項の第一点は、水俣病の認定促進について決定が行われておるわけでございます。すなわちこれは、普通私たちが言っております水俣病に関する処分の問題についてでございます。これにつきまして、実は昭和五十一年十二月十五日に、熊本地方裁判所におきまして、こんなに申請者がいつまでもほっておかれて処分が行われないということは、熊本県の不作為の違法を確認する、やるべき仕事をやらない、違法だ、こういう判決が下ったのは御承知のとおりでございます。しかし、熊本県は、一県の能力を超えるという面もありますが、環境庁の委任事務としてこれをやっておるわけでございますので、この不作為違法の確認というのは、熊本県が裁かれただけではなしに、環境庁、政府が裁かれた状態でございます。  ちょうどこの判決が出ましたときには、申請で処分が保留になっておる、いわゆる滞留しておるのが三千五百二十二名の状況、これは判決時、昭和五十一年に三千五百人ぐらいの滞留者があったのです。これを訴えましたときにはまだ少なかったのです。それが何と今日は五千名、十一月になって初めて五千名の大台を切ったということで、新聞で珍しいと書かれたことがあるのですが、切ったからといって、十一月一日現在は四千九百十二名、五千名の滞留者がまだおるわけです。  これにつきまして私が質問いたしたいのは、この不作為違法の状態はまだ続いておると私は思いますが、環境庁の見解はいかがでございますか。これは担当の局長からでも結構でございます。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 確かに、先生御指摘のとおり、現在約五千人のいわゆる未処分者という方がおられるわけでございますが、私たちといたしましては、五十二年以降県と力を合わせまして、この認定促進につきまして鋭意力を注いできておるつもりでございます。五十四年四月以降からは、それまでの百二十人審査体制を百三十人審査体制ということにいたしまして、それにつきましては、今年度、五十五年度の四月以降は着実に百三十人の審査体制が行われているというところまで来ておるわけでございますので、私たちといたしましては、できる限り審査、認定促進に力を注ぎまして、不作為状態があると言われないように今後とも力を尽くしていきたい、かように考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 私は、限られた時間で多くの問題を質問するのですから、大臣が手本にりっぱな答弁をなさって短く言われたのですが、いまのあなたのは答弁になっていないですね。大臣のを参考にして端的に答弁してもらいたいのですが、私が言っていますのは、五十一年不作為違法の判決が出たのです。今日も不作為違法の状態にありますかと言っただけであって、あるかないかを言えばいいわけです。どうですか。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 現在が不作為違法の状態にあるかと言われましても、私たちといたしましては、当時の状況に比べまして非常に進歩した状況になっておる、さように考えておりまして、当時の状況とはかなり改善されている、さように考えております。  以上でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 あなたはそんなことを言って、当時の状況と何が改善されておりますか。五十一年度、当時は滞留者は三千五百名ですよ。それがいま五千名ですよ。これが何で当時より改善されておりますか。これは滞留者ですよ。そうすると、あなたはいま不作為違法の状態ではないとおっしゃるのですか。はっきりしてください。反省のないところに対策は出てこないのですよ。ごまかしのあるところに真剣な対策は立てられないと思うのです。どうですか。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 確かに累積の未処分件数は、先生のおっしゃるとおり上がっていると思いますが、ただ単年度の、五十一年度以降たとえば五十二年、五十三年、五十四年度の単年度におきます処理件数を見てみますと、五十二年度は三百四件の処理を行い、五十三年度は四百九十件、五十四年度、昨年度は七百七十三件、五十五年度現在もうすでに五百件を超えておる処理件数を数えてございます。そういう点からいきましても、審査の処理件数が非常に上がっておりますので、私たちといたしましては、認定促進が大いに軌道に乗っている、さように考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 軌道に乗っておるか乗っておらぬか、私はここに数字を持っておるのです。毎年の推移、毎月の推移の数字を持っておるのですけれども、もう時間がありません。では聞いておきますが、あなたは、現在は不作為違法の状態ではない、進んでいる。進んでいるということは、不作為違法状態であるのですかないのですか。そこだけはっきり見解を示してください。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 こういう点についてちょっと怠けじゃないか、不作為違法ではないかという点があったら、ひとつ御指摘をして教えていただきたいと思うのです。あえて私が出てまいりましたのは、私も、これは何と遅いのかな、こんなに遅いことではだめだな、就任のときにそう思いました。  それでいろいろ調べてみますと、まず第一に、調べるのはお医者様です。そのお医者様にお願いしますから、一生懸命やってくださいということでお願いをし、またお医者様も一生懸命やってくださっておりますが、熊本大学でもそこだけやっているわけじゃないのでしょう、なかなかわれわれが思うようなだけにはいきません。  それから、あなたは水俣病じゃありませんよと言われた人は、どうして私が水俣病じゃないのだろう、自覚症状から当然そうだと思って、外れたらまた後ろへつきますな。これはなかなか減りませんね。そういう状態だから、数字だけ見るといつまでたっても減らないじゃないかと私は不思議に思いまして、調べましたところが、本人の身になってみれば、ぐあいが悪いから診てもらったのです。ところが、あなたそうじゃありませんよと言われちゃうと、また後ろについてしまいますから、それでなかなか減らないのだというふうに私は思っているのですが、もし、われわれの考えでそれだからだめなんだ、こういうふうにすればいいじゃないかという点があったらひとつ教えてもいただきたい、こう思っているわけです。  先生の御質問は、簡単に言えば怠けているのじゃないかというお話ですが、私は怠けているのではないということだけをお答えいたしたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 大臣、棄却になったから後ろにくっつくとかなんとか、それで滞留しているという事実は全然違うのですよ。その辺だけは認識してもらっておかぬと間違うんじゃないかと思うのです。これは、百五十人体制でやっておることは私も知っているのです。百五十人を検診して、百三十人審査体制をずっとやっていますけれども、申請者もどんどんふえておりまして減らないのですが、この辺について、これは不作為違法状態というのは裁判所が判決したのです。あなた、局長は判決要旨を読んでいるのですか。判決要旨を見ますと、いまの状態は明らかに不作為違法の状態なんですよ。これを私は責めようとは思わないのです、いろいろな情勢は知っているのですからね。しかし、そういう状態を認めて反省をして、その上にりっぱなことをさらに熱心にやらなければならないということで私はいま質問しているわけですよ。そういう意味において、いまのような答弁では、それはあなたがいまからやったって何もできませんよ。そういうような状態だから、いま現地には何が起こっているのですか。もう検診拒否という状態が起こっているのですよ。その基本の問題は行政に対する不信なんですよ。長官、本当は、自分を検診してもらって審査にかけてもらうということをするのが患者の心情でしょう。ところが、その苦しんでいる患者が、もうこういう不信な行政でやる検診は受けたくないということで、検診拒否の状態が実は地元に起こっているのですよ。そのところはいろいろあると思うのですけれども、基本には、行政に対する不信がそういうことを起こしている。そのことがまた滞留するということになるかもしれません。そういう点の基本は、いま局長のような答弁をしておると、そういう状態がますます増して、今度は検診拒否者がどんどんふえまして、この問題はどうにも動かぬということになってくるかもしれませんよ。そういう点、心の通った、患者の気持ちのわかった行政をしなければ……。何ですか。いまはこれは違法状態であります、申しわけありません、一生懸命やります、いまもやっておりますけれども、一生懸命やります、それがいかに素直に患者の心に入っていくことですか。長官、私はそういう意味で申し上げて、サボっているとかなんとかということではないのです。  また後で具体的に申し上げますけれども、そういう意味において、不作為違法の状態というのはいま続いておるし、一生懸命やっている、申しわけないけれども、まだやる、そういうふうな気持ちを率直に県民やあるいは患者に向かって、大臣、表明してもらいたいと思うのですがね。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 認定されない人たちが、どう考えても体は不自由、これは水俣病なんだということで、早く診断を受けて認定されたいというように思っておられることは、私は十分に理解できます。ですから、いろいろな人の御注意をいただきながら、患者の身になってこの認定作業を進めていきたいと私は考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 では、局長に一つ聞いておきますけれども、申請して審査にかけられないで一番長い期間待っている人は何年ですか。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 現在の状況を申し上げますと、五十二年の六月に申請した方が五十五年の十二月、次回の審査会にかかる状況であるというふうに私たち聞いております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 後で言おうと思っておったのですけれども、この検診審査と少し違いますけれども、棄却されて不服審査を環境庁に出している。いまは県のことだからと、皆さん方少し責任を感じないような部長——局長、局長と言っていたが、少し偉く言い過ぎて、部長だそうですが、あなた方のことを言わなかったから少し責任の感じ方が足らないのですが、では、あなた方のところを出してみますよ。これは不服審査ですよ。熊本県から却下されまして、不服審査を環境庁に出すわけです。それがいまどうなっているかと言いますと、四十九年十二月に環境庁に不服審査をした人、この人が六年たったことしに初めて現地で審尋が行われているのですよ。これは環境庁がやる不服審査のことでございます。それから、五十年九月から五十一年四月までに不服審査を申し立てた者が、ようよう去年審尋が行われている。結局、不服審査を申し立ててから審尋が行われるまでに、環境庁がやる仕事で六年ぐらいたっているんですよ。  そういう中で、こういうことも起こっているのですよ。たとえば、不服審査を環境庁に申し出た、いまのように引っ張られておる、その人が亡くなったのです。亡くなって解剖してみたら、水俣病であるということで認定されたのです。早く不服審査が行われれば、生きているうちに認定されたかもしれないのですよ。そういうように、不服審査を申し立ててから六年ですよ。まだ審尋が行われただけですから、あとこれがどういう審査をして、どういう結論が出るか、何年たつかわからない、こういう状況が実は行われておるのです。これは長官、初めてお聞きになったかもしれませんけれども。  だから、そういう点で、個々の例を申し上げますと、熊本県の審査の方でまだ保留になっている方とかなんとか、いっぱいこういう状態の人がおるのです。ぜひ、こういう点については、不作為違法を確認して進めるようにお願いいたしたいと思うのです。  そこでもう一つ、時間もありませんが、さっき検診拒否の動きがあると言いました。この理由は何だと環境庁は理解しておられるのですか。簡単に言ってください。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 最近のこの審査状況によりますと、いわゆる棄却をされる方がかなりの数に上っております。そういう点から、いわゆる審査が厳し過ぎるのじゃないかというような声が患者さんの間に上がっているということを聞いておりますので、そういう点が一つの理由になっているのじゃなかろうかと推定をいたしております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 長官、これは大変な問題ですよ。苦しんでいる患者が、検診をして早く審査してもらって結論を出したいというそういう人たちが、検診を拒否するということは大きい問題です。いま部長の答弁は、こういうぐあいに聞いておりますとか、理解しておりますとか言っておりますが、そういうときにこそ原因をちゃんと調べて、原因を解消するために積極的にあなた方が動くのがあたりまえじゃありませんか。そういう点を少しも感じない。  熊本県のことを言うと県に責任をおっかぶせるかもしれませんが、中央のことを一つ申し上げますと、長官、御承知のように、閣議了解事項があって、国に臨時審査会をつくるという特別立法ができたのです。これは議員提案でです。実は一千名程度、正確に言いますと、九月末現在でこの中央の環境庁の臨時審査会に申請する資格者が八百六十七名おるのです。ところが、これができてからでも、申請者はたった四十七名ですよ。八百六十七名の該当者の中で申請者は四十七名なんです。そして、この中で、一回と二回審査をやっておられますが、三月八日の審査で一人認定、八人棄却、十月二十四日で三人認定、十一人棄却、合計四人認定、十九人棄却と、そういう処分が四十七人の申請者の中で環境庁で行われているのですが、実は八百六十七名の該当者の中で四十七名申請をしたのは去年の十一月までですよ。去年の十一月から今日まで、環境庁のこの臨時審査会に一人も申請をしないのです。そのことでいかに不信を持っておるかということを御理解になると思うのですが、この臨時審査会該当者八百六十七名、去年からもう一年も申請者がないわけですが、この臨時審査会でこういう人を消化するためにどういう打開策を開いて認定を促進なされるつもりか、具体的な方針を聞きたい。

七野護環境庁企画調整局環境保健部長

○七野政府委員 臨時措置法によります国の認定処分の現状は、いま先生がおっしゃいましたとおり処分者二十三名ということになっておりますが、私たちといたしましては、この制度の趣旨を踏まえまして、四十七名の申請者のうち二十三名の処分が行われておりますので、残りにつきましてできるだけ早く処分をするということをまず鋭意心がけていきたい、かように考えております。  それで、そういう国の臨時措置法によります認定の促進の事実をよく御理解いただきまして、さらに現地におきまして県ともひとつ協力いたしまして、この臨時措置法によります認定につきまして住民の皆様方の御理解を得るように努めていきたい、さように考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 長官、該当者が千名近くおるのに四十七名しか申請がない、去年の十一月から一年間一人も申請しない、この状況で、まあ鋭意がんばります、このようなことで対策を立てておると言えるのでしょうか。不作為違法を解消するためにこれをつくったのですよ。それが全然機能していない。そしていまのような答弁では、私は絶対納得できないと思うのです。県とも相談してなるべく申請するように努力しますと言う。そうしたら一年間努力しなかったのですか。去年の十一月から、この一年かかって申請者はゼロでしょう。一年間努力をしなかったのですか。そして、ようよう私が質問したあしたから努力するのですか。こんなばかげた話はないでしょう。  これは長官に、そういうことでなしに、具体的に、その申請が行われるように——これは基本的にはやはり患者が環境庁不信なんですよ。だから、そういう点について、いろいろな原因があると思うのですけれども、そういう原因は一々言いませんけれども、原因を調べて、その原因に対して納得できるような対策をとって、そうしてスムーズに申請を受けてスムーズに審査が行われるように、そういうことについて大臣が事務当局に指示されてスムーズにいくようにやっていただきたいと思うのですが、どうですか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 再三申し上げていますように、未認定の方々は、常識的に言って、一日も早くと思っているのでしょう。ただ、どうして認定を拒否なさるのか当惑してしまうのですが、もしいずれの機会にでも、こういうことが本当の原因ですよというようなことで教えていただければありがたいと思うのですが、われわれは誠意を尽くして、御趣旨もありますので認定作業を急ぎたい、こう思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 原因を言えば時間もたつのですけれども、一つだけ言っておきますと、国会でこの法律が通るときに、十分審議をして、そして附帯決議とか行政指導とか通達とかを出してもらったのですよ。その附帯決議なんかが全然守られていないのです。たとえば、審査委員の先生方の任命については、患者の協力と理解を得られるような人にとか、いろいろな付帯条件なんかがついているのですよ。ところが、そんなことは全然患者とも話し合いなしに、そうして一方的に何でもやってしまうから、切り捨て委員会だというような観点で申請がないわけです。だから、ここで議論され、附帯決議がついた、それに基づいて、事務次官通達はこう解釈すべきだという判断も出た、行政指導の通達も行われた、そういうことがここで議論されたとおりまじめにやられておれば、申請者は私はあったと思うのです。そういう点が一つの原因です。まだたくさんありますよ。そういう点を長官が十分事務当局に指示していただいて、それで、私はやはり根本的な問題で拒否しておられると思うのですが、ぜひその根本的な問題の解決を含めてやっていただきたいと思うのです。  このことで少し長くなり過ぎたのですが、まだたくさんありましたけれども、一応認定の問題では以上申し上げて、次に、閣議了解事項の第二点、これはチッソ株式会社に対する金融支援措置についてということになっておるわけでございます。これにつきましては、長官も環境庁も皆御存じと思いますが、正確に言いまして、熊本県は百億を超す県債を出しております。書いてありますのは、この金融支援措置について、患者補償が滞らないようにということと、地域の雇用、経済状況に影響を及ぼさないというようなこと、そういうことで熊本県債を出して金融支援をすることになったわけでございますけれども、実は、現在患者は全国三十一県におるのです。そういう状態でございまして、まだ未申請者、申請が滞留しておる者は、九月三十日現在で熊本県以外二十八県、そして三百八十八人県外の者がおります。  そこで、これは自治省にお尋ねしたいのですが、三十一の都道府県にわたる住民、そういう地方自治体の住民に、熊本県が県債を出して、言うならば補償金を払っておるというようなかっこうになるわけですけれども、こういう者に対する熊本県の権利と義務というかかわりにおいて、どういう法的根拠でこれができるのか、あるいはしてはならないことをやっておるのか、このことについてお伺いしたいと思うのです。

井下登喜男自治省財政局調整室長

○井下説明員 水俣病に関します患者、これは現在三十一府県にまたがっていることは先生御指摘のとおりでございます。ところで、県債の発行というのは、実は直接患者に対して補償金を払うということをやっているわけではございませんで、チッソ株式会社にこの金融支援措置をやらない場合には、チッソの経営が困難になりまして、補償金の支払いにも支障が生じるということのほかに、地域の経済社会に大変な影響を及ぼす、こういうおそれがある、こういう事態を回避するために、やむを得ない措置として行っているものでございます。したがって、補償金が直接患者に支払われるというものではございませんで、水俣工場に対してこれを支払うことによって間接的にその補償金の支払いが滞らないようにしよう、こういう趣旨のものでございますので、その工場の所在県であります熊本県が県債を発行している、こういう理由に基づくものでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 熊本県民の感情からいたしましても、結局、熊本県が県債を起こしてチッソに貸し付ける、チッソが全国三十一県の住民にそれを支払うわけですが、たとえば鹿児島県の患者には、鹿児島県が県債を起こしてチッソに貸して鹿児島県の住民への支払いに充てる、あるいは大阪府の患者に対しては、大阪府が府債を起こしてチッソに貸してそれを大阪府民に払う、こういうことをすべきじゃないかというのが熊本県民の率直な感じです。たとえば、鹿児島県の患者に対して鹿児島県が県債を起こしてチッソに貸し付けてそれをやるということはできないのですか。

井下登喜男自治省財政局調整室長

○井下説明員 先住の御指摘のとおりのことができるかできないかということでございますが、理論的にはこれはできないわけのものではなかろうというふうに考えるわけでございます。ただ、先ほども申しましたが、患者の発生の原因になりました水俣工場が熊本県に存在しております。また認定患者が熊本県下に一番多く住んでいるということで、熊本県債の発行というかっこうでこれの対策をしているということでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 長官、チッソは千葉に五井工場、あるいは水島に工場、主力工場は向こうにあって、そこが言うならばチッソの主力なんです。水俣工場は実は殺そうというぐらいに考えている。そういう点からいって、チッソが熊本だけにしかないというならいまの理屈も成り立つと思うのですけれども、主力工場はもう千葉と岡山に移っているのです。そういう中でそういうことは熊本県の住民感情としては許せないので——理論的にはできるのです。後どう判断するかということだけでございますが、関係閣僚会議なんかでもこれは議論していただきたいと思うのです。  自治省にもう一つ。いま大体百億円を超えております。そうしてこの十二月にはまた二十数億か何か追加する。どんどん追加していって、五十六年に見直すということになっていますけれども、どうなるかわかりませんが、百億が百五十億、二百億となっていくわけです。これは結局、地方財政法の五条一項二号の貸付金、地方債を起こして貸し付けるという条項を実は適用しておるのじゃないかと思いますが、この貸し付けというのは公共事業をするときの貸し付けがほとんどじゃないかと私は思うのですけれども、目をつぶっていろいろきたわけですけれども、これが百億になり二百億になり三百億になる。そういうのが地方財政法五条一項二号の貸付金ということで、熊本県債が雪だるま式にどんどんふえていくということは、地方財政法上許されるものですかどうですか。ちょっと見解を聞きたい。

井下登喜男自治省財政局調整室長

○井下説明員 この起債は、御指摘のとおり、地方財政法の五条一項二号「出資金及び貸付金の財源とする場合」という条項によりまして、起債を発行しているものでございます。したがって、この条文自体からは、これが公共事業に限るということは直ちには出てこないわけでございますが、公共団体が出資または貸し付けをするわけでございますから、公共的性格を有するものでなければならないというふうには考えているわけでございます。  ところで、これが現在百三億を超している残高になっているわけでございますが、自治省といたしましては、これが将来、未来永劫にわたってこういうような起債というかっこうでこの問題を処理するということは、地方財政法五条一項の問題は別にいたしましても、適当なことではないというふうに考えているわけでございます。ただ、当面の措置といたしましては、閣議了解あるいはそれに基づきます次官の覚書によりましても、当面五十六年度までの措置ということで、一応年次を区切ったかっこうでこれをやっているわけでございます。先先の御指摘の点もよくわかりますし、熊本県民の感情もよくわかるわけでございますが、当面五十六年度まではこういった措置でやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 正確に言いますと、熊本県は五十三年から五十五年にわたりまして四回、そして百三億七千四百万円起債を起こしております。そこで、実は閣議了解事項では、「熊本県がチッソ株式会社に対する金融支援を行うために発行した地方債の償還財源の確保が困難となった場合においては、国において所要の措置を講ずるものとし、」ということになっているのです。この辺について熊本県民が一番心配をしておるわけでございます。チッソがもう支払い能力がなくなった——実はヘドロ処理で百六十数億また熊本県が県債を別に出す。その上にまたこれを出しているわけですから、チッソが償還能力がなくなった場合に国で所要の措置を講ずる、こういうことになっているのです。これはたびたび私もここで質問したのですけれども、地方債の一〇〇%を国で保証するのかということです。これについては、大臣がまだ御研究でなければ担当局でも結構でございますけれども、チッソが能力がなくなった場合には所要の措置を講ずるというのは、国が一〇〇%地方債を見てやるのかということについてはどうですか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 五十三年六月二十日の閣議了解では、その第三項の「熊本県財政への配慮」という項で、「国において所要の措置を講ずるものとし、その具体策は、関係大臣が協議のうえ、決定する」。それを受けての次官会議の覚書では、その三項の「地方債の償還財源の確保」ということで「万一、チッソ株式会社からの返済が履行されない事態が生じた場合には、熊本県の当該地方債に係る元利償還財源については、国において十分の措置を講ずるよう配慮するものとする。」こう書いてあります。チッソが支払い能力がなくなった場合にはと仮定しての御質問再三でございますが、チッソが支払い能力がなくなった場合をもちろん想定しなければならないでしょうが、その前に、われわれはチッソが支払い能力がなくならないように努力しなければならぬ、こういうふうにやっておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 そのことは、ぜひ力強くそうしていただきたいということは次に質問をいたします。  ところが、この問題につきましては、実情を申し上げますと、さっき言いましたように、五十三年から県債を出しているわけですが、第一回県債を出すときに、この問題がはっきりしなければ議決されにくいという熊本県議会の状況がございましたけれども、一応通り過ぎてきたのですが、もう百億も超しました。こういう段階になっては、この十二月、県議会でまた地方債のことがかかるわけです。一〇〇%保証するということでなければ今度は議会を通らないというような状況さえもあるのです。だから、このことについてははっきり政府でさせなければ、今度地方債が議決できない。そうしたらまた大変な状態になってくるのではないかと思うのです。そういう点について、閣議了解事項でも関係次官の覚書でもそのことはぴしゃっと書いてあるのですが、所要の措置だとか十分な措置を配慮すると書いてありますが、一〇〇%と言えない。たとえば百億出した場合に、九〇%国が出すからあと一〇%は県が持てといったら、それで十億ですよ。二〇%持てといったら、百億で二十億ですよ。こんなことを県が負担したら大変なことになるわけですが、そういう心配があるのです。だから、一〇〇%国で見ますということになれば安心して地方債を出せると思うのですが、その辺については、倒れないようにということは後で申し上げますから、閣議了解事項にも覚書にも出ておる問題ですから、大臣、ぜひその部分について答弁していただきたい。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 これはきわめて重要な問題でございまして、水俣病のチッソだけではありません。あらゆるこの種の問題は、全部原因者負担ということが原則であります。ですから、同じ水俣病のようなことでも、新潟の場合の昭和電工の場合とチッソの場合とは多少の違いがある。同じようなことでどうして違いがあるのか。もしこれを国がやるのだとすれば同じでなければならぬはずです。それは当然のことですが、そこに原因者負担ということがあるわけでございます。  したがいまして、これはむしろ先生にお願いですが、閣僚会議でも次官会議でもここまで言い切っているわけですから、一〇〇%とか何かそういうことを言わないでも、とにかく国が見ると言っているのですからね。それは限度は五十六年ということですから、その限度も来ましたから、そこで閣僚会議を開いてこれらの問題についてもひとつ相諮っていこう、こういう心構えでいるわけですから、どうぞ県会の方には、われわれがいるのだから安心してやれというようなことでひとつやってください。お願いいたします。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 鯨岡長官を含めわれわれがおるから安心しろということで、それは私は言います。そのとおり伝えますが、そういうときにまた返ってくるのは、安心できるかという心配がやはり返ってきます。だから、きょうはこれ以上押し問答はしませんが、この一〇〇%問題というのはいま一番大きい問題になっておるのです。関係閣僚会議を開かれるときには、ぜひそこでこれは議論していただきたいということを申し上げたいのですが、いかがでございますか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 当然議題になる問題だと考えます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 それではいよいよ、長官の言われましたそういうことにならぬようにというようなことについて質問を申し上げたいと思います。  これについては、もう長官も御承知と思いますけれども、閣議了解事項については第三になっておりまして、「関係行政機関、業界等によるその他の支援措置 通商産業省等関係行政機関は、チッソ株式会社の経営強化について支援を行うとともに、経済団体及び関係業界の協力を要請する。」こうなっておるわけでございますが、実は、これ以前も国会なんかで取り上げて、こういう趣旨のことは答弁なさって御指導をしていただいておりました。これが決まってからももう三年になるわけでございますけれども、その間、いまチッソ株式会社水俣工場の体質改善という言葉を使っておりますが、最初のときは中期計画と言っておりまして、さらに再建計画という言葉も使ったことがございますが、何ら示さないのですよ。水俣工場をこうするということは、現在までついに方針を示していないのです。     〔委員長退席、吹田委員長代理着席〕 もうこの問題が起きてから十年や二十年たち、さらに県債を出すようになりましてからも三年たっているのですが、まだ水俣工場をどうするかを示さない。従業員数は、金融措置が行われる五十三年のときから見ましても、そのときは水俣工場の従業員は千四十八名おったのです。それが自然退職をもちましてずっと落ちて、現在は八百八十七名です。そういうところで熊本県は、チッソが水俣工場をどうするかという計画を出さなければ県債は出さぬぞと言ってチッソに聞きましても、いま出しておりますのは、まあ三年ぐらいで七百名ぐらいに減らして、再建が軌道に乗りますとまた八百名ぐらいにふやす予定ですと、何をどうする、どこをどうするという具体策は一つもない。そのくらいのことしかいま骨子として示していない、こういうことになっております。そしてまた、水俣工場というのは、これがなくなってしまいますと県債を出そうなんという気はもちろん熊本県には起こらないわけですから、これを残して雇用の安定、地域経済に貢献をすべきだということで、そのためには千名体制の工場は残してもらいたいというような意味で、熊本県議会と熊本県知事は、政府に対しましてもチッソに対しましても何回も要望書を出しておるのです。そういう点につきまして、実は、私も、通産省の方に数回、指導しなさいということを申し上げまして、私が千人体制ですぞと言いましたら、それから一名も少なくならぬというようなことではないけれども、先生が言うような姿勢でもって水俣工場を再建するようにチッソを指導するという約束を、通産省の方からもいただいておるのですが、この約束は今日も変わりませんか。     〔吹田委員長代理退席、委員長着席〕

山本雅司通商産業省基礎産業局基礎化学品課長

○山本説明員 ただいまの先生の御指摘のとおり、以前にも従業員の体制について御質問がございましてお答えをしたところでございます。  基本的には、現在御指摘のように、水俣の工場の体質改善について鋭意検討をしている段階でございます。検討の内容といたしましては、不採算部門はどうしても削らざるを得ない、そのかわり新規の部門はできるだけ拡大したいということで、計画を練っている段階でございます。そこで、地域経済に混乱を起こさないように、なお雇用の安定にも混乱を起こさないようにという基本方針のもとに指導してきておりまして、従業員の問題につきましても、再建あるいは改善の過程におきましていろいろの変遷はあるかと思いますが、基本的な方向といたしましては、雇用の安定に支障を来さないような形で水俣工場の維持発展を図るということで指導しております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 少しきょうは抽象的なことをおっしゃるようですが、私が質問したのは、もう過去四、五回にわたりまして、千人体制というようなことでもって言って、そのとおりそういうことで指導するとおっしゃっているわけですが、それが変わりませんかということを質問しているのです。どうですか。

山本雅司通商産業省基礎産業局基礎化学品課長

○山本説明員 端的にお答え申し上げますと、千人体制と申しますけれども、ただいまの先生の御指摘のように、現在九百名前後になっております。したがいまして、基本的な考え方として、現状の数字を維持するあるいはそういう形でいくということは全く変わっておりません。ただ、千人という具体的な数になりますと、これは企業体の関係でございまして、必ずしもぴたっとした数字を申し上げることはできませんが、基本的な方向としてそういう形でいくという方針には変更ございません。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 おかしいのですよ。たとえば千名従業員がおったときには、現在を維持するという形で指導するということ、そこで千名体制という言葉が出てきた。ところが、だんだん自然退職で少なくなっていく。いま言いましたように、現在は八百八十七名。いまのあなたの答弁では、現状を維持するということで指導していきます。だんだん減るわけですよ、毎月減っていくのだから、退職が出るものだから。これが五百名になったら、現状を維持するように指導していきます、三百名になったら、あなたの方は現状を維持するように指導していきます、あなた方の答弁というのはそういう理屈でしょう。それじゃ雇用確保とかあるいは地域経済に影響を与えるじゃありませんか。  そういう点についての意見を聞きたいのと、もう一つは、なぜあなた方も困るかというと、千名おるときに再建計画を千名を維持しようと思って出せば、千名でいくのです。ところが、再建計画をずっと出さないものだから、故意に減らしておるのかもしれませんが、減ってくるからこそ、なかなかあなた方の答弁もむずかしい。答弁がむずかしいのじゃなしに、本当に閣議了解事項の指導をあなた方はやっていないのですよ。いつ再建計画を出させるのか、いつごろ出すのかということを、日付だけを言って、そして、五百名に減ったら五百名を維持するということじゃないということ、その二点を答えてください。

山本雅司通商産業省基礎産業局基礎化学品課長

○山本説明員 ただいまの体質改善の計画でございますが、これは先ほども御指摘がございましたように、ことしの六月に基本的な考え方については県議会に説明したということを承知しておりますし、私どももその内容を聞いております。ただ、具体的な計画の実行につきましては、事業の方は相当詰まってきておりますが、それを実行するためには、いろいろ資金計画と申しますか、具体的にはどういう資金をどうつけるかということも含めまして、企業として現在最終の詰めをやっている段階でございます。したがいまして、この資金計画が全部固まりまして、全体として整合性のある計画がいつできるかということにつきましては、現在のところ、残念ながらまだ私どもとして最終の日付を持っておるわけではございません。  それからもう一つ、人数の問題でございますが、これは私どもといたしましても、現在の水俣工場を維持するためにはもはや一刻も猶予ならないような実態に来ております。したがいまして、とにかくできるだけ早く再建のための計画を実行に移すということで、そうすることが従業員の雇用の安定にもつながるということで考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 答弁がどんどん変わっていきますから、この次にはもう少しなにですけれども、あなたにもう一遍言っておきます。  少なくとも、県に体質改善計画の骨子を示しております。一歩譲って、これは通産省としても必ず守らせるということ、指導方針としてそう理解していいですか。

山本雅司通商産業省基礎産業局基礎化学品課長

○山本説明員 ただいま御指摘のとおり、六月に示しました基本的な再建計画につきましては、何としてでもこれを実現したいということで、現在私どもも懸命の努力をしている段階でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これはだんだんと五百名を認める、四百名を認める、そういうことではなしに、これを最低のものとして指導方針として守らせるということを確認していいですね。

山本雅司通商産業省基礎産業局基礎化学品課長

○山本説明員 私どもの指導方針としては、これは何とかして守るようにしたい、こういうことでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 長官、いまチッソの経営状況も聞こうと思ったのですけれども、時間がありませんから……。  オールチッソとしては黒になっているのですね。水俣工場は実は赤でございます。そこで、もう三年あるいは五年あるいは八年とずっとこのことを質問しているのですけれども、チッソがいま水俣工場の再建計画を出し得ないのは、結局利益がありました場合でも、全部それは県債との関係で補償金に回すわけですよ。だから、設備投資する金が出てこないのですね。いまの閣議了解事項、覚書からいっても、設備投資に回せる金はいまのところチッソから出せないというかっこうになっているのですよ。そういう意味で、あそこの基本的な再建計画をつくるについては、資金計画が立たないからいま言ったように出てこないのではないか。こういうところは政策として、日本開発銀行なんかから水俣工場の再建融資というようなものをやらせて、そして水俣工場をきちっと再建をするというようなことをやって、そこでたとえば赤字が出ないようにとかあるいは利益が出るようにやる。そのことが閣議了解事項に書いてあります「関係行政機関、業界等によるその他の支援措置」の中の「チッソ株式会社の経営強化について支援を行うとともに、経済団体及び関係業界の協力を要請する。」こういうことじゃないかと思うのですが、たとえばこれは政策問題として、政策資金というようなかっこうで日本開発銀行から水俣工場だけ、チッソ全体じゃない、水俣工場の再建融資というようなものを出して助けてやってはどうかというようなことを、長官の方で政策問題としてお考えいただくわけにはいかないのですか。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 その件についてはチッソからも相談がありました。近く行う腹づもりでおります閣僚会議においてもこのことは議題となると思います。すでに四百五十億円くらいチッソは出しているわけです。チッソがもし支払い能力がなくなってしまえば、一番困るのは患者です、その金は全部患者の方へ行っているわけですから。そこで、いま先生御指摘のように、私の記憶に誤りがなければ、会社全体としては黒字になっていますが、水俣工場はちょっと赤字になっているのです。それで、多少のチッソの利益も全部返済の方に充てられること御承知のとおりなんです。それではとてもだめです、工場はだんだんだめになっていく一方ですから。そこで、再建計画はチッソが立てるのですが、たとえば新しい機械を買ってきて製品を合理化してつくる。これは売る場所だって相当心配してやらなければ、これは完全な競争原理でやったならば、それでやれるのだったらどこの商売だって苦労する商売なくなっちゃいますから、だから、あらゆる面で援助してやらなかったらやっていけないだろう。これは関係閣僚会議の十分な議題たり得る、こう思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 それでは、もう時間も余りございませんけれども、この閣議の了解事項に、水俣病にかかわってあの地域、水俣、芦北、この芦北は私の生まれたところでございまして、郷里ですけれども、この水俣芦北地域振興計画をやる、閣議了解事項になっているのです。これにつきまして、もう時間がございませんから、国土庁の方、普通のペースでいったならば、大体各省庁からお金が出ておると思うのですが、この閣議了解事項によりまして五十五年度はこういうような資金が出た。資金のトータルで結構です。来年度はこの了解事項によってこれだけで地域振興を図るのだ、これだけの了解事項に基づく資金が出るのだ、この二点について、あと質問ございますものですから、ぜひ説明をしていただきたいと思います。

清水英明国土庁地方振興局総務課長

○清水説明員 お答えいたします。  国土庁といたしまして、閣議了解の線に基づきまして、政府の窓口といたしまして説明会あるいは予算措置につきましての要請など、鋭意対処してまいっております。お話の五十四年度分につきましては、各省庁の御配慮によりまして、県計画額約九十八億でございますが、これに対しまして総予算額約百億でございまして、一〇二%と県の計画を上回る状態になっております。五十五年度分につきましては、現在の厳しい財政事情あるいは地元の用地確保の都合などもございまして、県計画額約百六億でございますが、これに対しまして六月現在で約九十七億というふうな数字になっております。なお、五十六年度につきましては、地元におきまして水俣湾の堆積汚泥処理事業、交通ネットワーク、生活環境、教育、文化、産業振興等々ございまして、約百五十三億の事業が計画されておりまして、これに対しましてすでに各省庁の説明会も終わっておりまして、予算措置につきましても要請を行っているところでございます。今後とも県の計画がますます推進されますよう努力してまいりたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 ヘドロ除去の仮工事が始まっておるわけでございますが、大体知事は四百億か五百億要るのじゃないかというようなことを言っておるのですが、この事業の経費あるいは計画も聞きたいと思っておったのです。後で資料をいただきたいと思うのですけれども、私はこの事業は、こんなヘドロ除去事業なんというのは世界で初めてのことですから、物すごく大変な事業で、これは運輸省の所管でやっているのですけれども、私が質問しまして、運輸大臣がこれは心臓手術よりもまだ慎重にやらなければならぬ仕事だ、もちろん二次公害を起こしては絶対にならないわけですから、これについても地元も賛否両論あるのです。  私は、ここで運輸省に指導方針を聞きたいのです。二五ppmがいけないというような議論もあるのですけれども、除去基準、こういう除去基準についても今後ずっと検討していくのだというような姿勢。それから、やはり地域の海の底とか何か知っているのは地域の住民です。この住民の参加というようなものをなるべく拡充していく。それから、あらゆる資料とか工場を公開していく。危ないと思ったときには必ず直ちに中止する。こういう四原則というようなものを頭に置いてきちっと守ってこの工事をやるのだというような方向でやっていただけるかどうか。そういうことが行われますと、住民も非常に協力するのじゃないかと思うのですが、その原則について、私がいま言いました四点についての御見解を聞きたいと思います。  それからもう一つ、ヘドロ事業にかかわって、この担当省はどこですかね。環境庁からでもいいと思いますが、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、財特法、これが五十六年三月三十一日に切れるわけです。これはぜひ延長していただきたいと思うのですが、これに対するお考えを聞きたい。  それから、最後ですけれども、ここで締めくくりに大臣にぜひ検討願いたいと思うのですけれども、最初言いましたように、いままでいろいろな問題が出てまいりました。やはり私は、基本的には、たとえばチッソに資金を援助するというような問題から、返済の問題から、あるいは汚泥処理の問題から、認定促進の問題から、とにかくいまの法律の体系の中でやろうと思えば完全な対策ができないのじゃないかと私は思うのです。たとえば原爆について、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律とか、あるいは原子爆弾被爆者の医療等に関する法律とか特別立法が二つあるのですけれども、水俣病の完全な対策のためにも、私が出しておりますところの総合調査法というようなものを含めながら、やはり特別立法をしてでも完全な対策を立てるべきだというような考え方を私は持っております。そうしないと最終的にはできないのじゃないかと思うのですが、それに対する考え方も含めてひとつお答えをいただきたい。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 財特法につきましては、御趣旨のとおり、期限切れになってこれでおしまいとなりますと大変ですから、これは先生方の御協力を得て引き続いてやっていきたい。財政状態は御承知のとおりですけれども、その中でもぜひひとつ続けていきたい、こう考えておりますので、特段の御協力をお願いをいたします。  それから、水俣問題等に対しても、御趣旨のような抜本的な徹底した対策を立てるのには、いまの法制度下だけでは不十分である、こういうお話でございます。いままででもずいぶん御心配をいただいてそれぞれやってまいったことでもありますので、当面はその中でできるだけのことをやってみたいと思いますが、なかなか当惑する部面もないわけではありません。私はこの役目についてからも、このくらいむずかしいことはないなと実は思っているわけでございますので、なお具体的なお話を承りながら考えていきたい、こう思います。

高田陸朗運輸省港湾局環境整備課長

○高田説明員 まず、四原則の話でございますけれども、工事そのものは二次公害を決して発生させてはいけないという基本方針にのっとって、慎重には慎重を重ね、当面ヘドロのしゅんせつ工事に入る前に試験工事を行うというようなことも考えながら、安全確保に努めて実施することとなっております。  それから、あらゆる場面で住民の参加を前提とすべきであるという御指摘に関しましては、例の公害の監視委員会、そういったものにも漁業組合の代表者の方あるいは地元市議会の代表者の方々等住民の声が反映されるような措置が講ぜられております。その原則は守っていくこととなっております。  それから、あらゆる資料を公開すべきであるというお話に関しましては、水質等の監視結果は常時地元の公害事務所の掲示板に掲示することとなっておりますし、月に一回開かれる公害監視委員会の議事内容、審議内容等も公開を原則としております。  それから、四原則のうちのもう一つ、危険が予測された場合工事は直ちに中止するのかということでございますが、それも監視委員会等で定められたとるべき措置に従って、工事中止などの所要の措置を随時臨機応変にとってまいりたい、そういうことになっております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これで終わりますが、水俣病に関しましてはまだ残ったのですけれども、ぜひがんばっていただきたいと思いますが、最後に、長官を激励しておきたいと思うのです。  これは水俣病ではないのです。環境アセスメント法案についてですが、最近、新聞報道等伝えられるところでは、環境庁の案に対しまして公害を出す側が大変文句をつけておるようでございます。孤軍奮闘なさっておるようでございますが、実は、公害で被害を受ける住民のサイドは、この環境庁案では公害の免罪符になってしまう、これでは不十分だという物すごい強い意見があるんですよ。これは出す方からは強過ぎるといった圧力が来て、大臣がんばっておられますが、受ける方では、本当はこれでは不十分だ、もう少し規制の強いものをやりなさいという意見もあるわけですから、そういうことも考えて、環境アセスメント問題についてはぜひひとつがんばってもらいたいということを申し上げて、質問を終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時三十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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