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93回国会衆議院1980/11/12

外務委員会 第7号

発言数
141
登壇者
15
会派数
4
開催日
1980/11/12

会議録

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 大臣、初めに私は若干金大中氏の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは新聞の報道ですが、八月十四日力金大中氏に関する韓国の軍事法廷で起訴状が朗読をされているわけですが、その朗読された起訴状と、われわれが外務省を通じて起訴状の訳文を配付していただいておりますその中身に食い違いがある、実はこういうことがあるわけですね。どこが食い違っているかというと、あの起訴状の前の部分はずっと背景説明ということで、具体的に一、二、三、四と数字の番号をふったところ、これが訴因に当たるところである、こういうことでいままで御説明を受けてきたわけですが、その一の番号をふった場所が、実際に法廷で朗読された起訴状では、金大中氏が日本へ来て以来の行動、日本で韓民統の結成のためのいろいろな打ち合わせをしたり準備をしたりというそこら辺のところに一の番号がふってある。ところが、われわれが配付をいただいた起訴状によれば、そういうところの後の方、韓国で金大中氏がこれこれというところに一という番号がふってある。  こういうことなんですが、起訴状は法廷で朗読したものが本物だと思いますが、もしそちらの方で日本における金大中氏の行動に係るように一が打ってあるとすれば、これはまさに政治決着の申し合わせに明らかに違反しているということになると思うのですが、この点は政府としてはどういうふうに状況を掌握されているか、お尋ねしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 当時、外交ルートを通じまして私どもも確認をしたことがございますし、その詳細につきまして政府委員の方からお答え申し上げますが、また必要であれば私がお答えします。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 御指摘の番号を付した部分が違う起訴状があるということは御指摘のとおりでございます。一部の韓国の新聞に間違って報道された事実は私どもも掌握いたしておりますが、私どもが入手いたしましてお配りしましたテキストが公判廷で朗読された起訴状でございまして、それがお配りしたものと一致しているということは、私どもも確認いたしております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 われわれに配付されたものが正式な起訴状であるということは、つまり韓国の当局がそういうふうに説明しておる、こういうことですか。それとも、あの法廷には日本の大使館の職員の傍聴もあったわけですから、その職員が傍聴していてそうであった、こう確認しているのか、どちらでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 両方でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は、金大中氏の死刑という判決の内容から見ますと、われわれに配付された起訴状の一の番号以下、金大中氏の韓国においての韓民統との関連というところはいずれも、私、前にもこの委員会で申し上げましたが、自分のいないところで議長にされたわけであって、とても議長としての職責が果たせない、だからやめたい、あるいはやめたいということを日本の韓民統の人に伝えてもらいたいというようなことを会いに来た人に話しているという、それ以外には何もないわけなんであって、したがって、仮に韓民統が反国家団体だという前提に立ったとしても、自分のいないところで議長に決められたのをやめたい、やめさせてもらいたい、こう言っていることがなぜ一体死刑に値するのか、私はこういう当然の疑問を抱くわけであります。そうなりますと、死刑というこの判決は、内容的に言えば、むしろ金大中氏が日本にいるときの行動の責任を問うているということしかあり得ない、こう思うわけです。  そうであるとすると、いまの一という番号をつけた場所が、法廷で読んだ本来の起訴状には一は日本の行動の部分についていた、その方がむしろ実態なのではないかと私は思わざるを得ないわけです。その点についてアジア局長のお話では、そうではない、こう言われるわけですが、私はこの点についてはなお依然として重大な疑問が残るわけです。  そこで、その点の確認を求めるには正規の判決文をきちんと入手してこれを照合することがどうしても必要だ、私はこう思うわけです。前回の外務委員会でも、そういう正規の判決文の入手について、ある程度タイムリミットを決めてちゃんとやるべきだという意見も出たわけですが、それについては大臣の確たるそういうお答えはまだ得ておりません。もし万一そういう正規の判決文の入手がないままに結局最終的な結論が出てしまうということになった場合に、大臣の政治的な責任になると思いますが、いかがでしょう。お考えを聞きたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私どもは判決文の入手につきましては引ぎ続き努力をしておりますし、今後も何とか向こうから手交してもらうという努力をしたいと思うのでございます。  ただ、判決要旨というのはもう手交されておるわけでございますが、これにつきましては何回も御答弁申し上げておりますけれども、友邦国との関係を考慮してということで日本における行動は問わない、むしろ韓国内の犯罪事実で十分であるというようなことで判決の要旨が来ているわけでございまして、実は日本におった場合の行動は問わないという政治決着のことを何回も注意した結果、そういうことを向こうから言ってきておりますので、われわれは政治決着に抵触はしないというふうに理解しておるわけでございます。それは起訴状ということもさることながら、判決の要旨でなおそうだという考え方をとっているわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういう大臣のお答えは、この委員会でももう何回もお聞きしているわけであります。しかし、その判決の正文を求めなければならぬとわれわれが言い、また大臣も求めるために努力する、こう言われているが、やはり正文によって確認しなければあの政治決着のとおりかどうかということは最終的に判断できない、こういう前提があると私は思うのです。あの要旨と言われますが、大変簡単な要旨であって、何とでも解釈のつくものであって、したがって、どうしても正文を得なければならぬという議論が続いてきておる。大臣も得るために努力をしますと言われるのはその前提があるからだと思うのです。  したがいまして、先ほど言いました、まだ仮定の問題ではありますが、仮にその判決正文を得ないままに最後の結論が出るという事態になったときの責任について、大臣ひとつ決意をお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私どもは最後まで努力する決意でございまして、私はそういう点が要旨ではっきりしていると思いますが、なおいろいろなルートでその点ははっきりさせたいと思いますし、先生のおっしゃったような事態にならぬようなことになることが私どもが本当に努力しなければならぬことだと思いまして、それに集中して努力をするつもりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、この点は最終的には政治責任の問題になりますよということを申し上げて、最大の御努力をお願いしたいと思います。  それでこの金大中氏の事件を、いろいろ複雑ないきさつや経過があったのですがごく要約して考えてみれば、金大中という人は、韓国における民主化、その民主化を通じて朝鮮の南北の自主的平和的な統一を進めていこう、こういう立場を代表するいわばシンボルのような人である、こう私は考えるわけです。そうであるだけにそういうシンボルのような人を、韓国の前朴独裁政権にせよ、いまの全斗喚独裁政権にせよ、これほどまた目の上のたんこぶの存在はないということから、この韓国の独裁政権はかねてから金大中氏を抹殺するということについての意図を持っている、私はこう思うわけです。  七年前に東京から拉致したこの事件も、何のために拉致したのかということです。何のために拉致したのか。拉致していってそして途中でやみからやみにこれを殺すということがその拉致の目的であったと思うのです。ただこのときは、KCIAに対してさらにその上の方から、殺すのは待て、こういう連絡が来たので殺すのをやめた、こういう経過になっておりますが。  さて、その後七年の経過がありましたが、結局今度軍事裁判にかけて、軍事裁判にかけるときは初めに死刑ありきで、初めから死刑にするということでもって裁判にかけて抹殺するというところへいま来ているわけであって、その点においては、裁判にかけて殺すという手続は拉致して途中でどこかで殺してしまうという手続とは確かに違いますけれども、しかし拉致というところから始まって結論は殺すというここに結びついていくということは、私は全体が初めから一貫している、こう実は思うわけです。  今度の金大中氏の事件の本質はそこにあるのだ、こういう立場でとらえるべきではないか、私はこう思いますが、大臣、御見解はいかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 高沢先生の御意見でございますが、私どもはそういう考えは持っておりません。金大中氏が民主化のために努力をした人であるというそういう評価は私はわかります。それはわかりますが、それに関連しまして先生の一つの御意見でございますが、私どもはそういう考えは持ってはおらないわけでございまして、これは韓国の国内問題でございますのでそれ以上私がとやかく言うのはどうかと思いますので、意見は差し控えたいと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は実はいま申し上げたようなこの事件についての見解を持ちますが、そういう立場から見れば、その拉致していってそして裁判にかけてそして殺すという手続、これは韓国の公権力によって一貫して進められているわけです。したがいまして、拉致事件の実行者は明らかに韓国の公権力だということが振り返ってみれば証明されている、私はこう考えるわけですが、そういう立場からすると、政治決着の見直しの問題、繰り返しわれわれいままで要求してきておりますが、このことを私はもう一度きょうこの場所で大臣に要求して、御見解をお聞きしたいと思うのです。  実はこれは十一月七日の日本経済新聞でございますからつい最近であります。その日本経済新聞に「日韓政治決着を見直せ」という社説が出されているわけなんです。そのポイントの部分を、ちょっと長いけれども読んでみます。お聞きください。   一九七三年八月に金氏をホテルから強制連行  した事件は、韓国で発生したのではない。日本  の東京で、韓国人グループによって組織的、計  画的に遂行され、駐日韓国大使館の一等書記官  が関係していた事実も、韓国政府首脳が認めた  ことであった。その過程で、日本の主権が侵害  され、同時に金氏の人権が損なわれたのであ  る。ところが、同年十一月に金鍾泌首相が来日  した際の日韓会談で、韓国側は金大中氏が出国  を含めて自由であり、日本や米国での同氏の言  動を不問にするとして、日韓両国政府間で”和  解”を成立させた。事件の最も基本的な本質を  不問にしたところにこそ、「政治決着」の核心  があった点を想起すべきである。しかも、そう  いう政治決着のあいまいな建前さえも、崩れか  けているように見える。いま、その当否の見直  しを厳しく迫られている、といえよう。ということで、この政治決着をいまや見直すべきだ、こういう社説が展開されているわけです。これはきわめて常識的な、またきわめて良識の立場に立った社説だと私は思うわけでありますが、国民の世論はいまやここにあるということを私は大臣にひとつ御認識をいただきたいと思います。そういう前提に立って、この問題についての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 政治決着というのは当時の両国の最高首脳が政治的な立場に立ってやった政治的な了解でございますので、私はその決着を見直すということのためにはよほどのことがないといかないと思うわけでございますが、あの政治決着の中に書いてありますのは、先生おっしゃったように、公権力が介入したかどうかということがはっきりした場合には見直すこともあるべしということに実はなっておるわけでございます。その後御承知のような捜査がずっと続いておるわけでございまして、いままでのところ公権力介入という新しい証拠が出てないというふうにわれわれは連絡を受けておるわけでございまして、そういうことが歴然と出てきた場合に政治決着をどうするか、政治決着そのものの中にそういうことを前提にしておりますので、いまのところは政治決着を見直すべき公権力介入は出てこないというのがわれわれの考え方でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 その点はこの日本経済新聞の社説にもありますように、金東雲という韓国大使館の一等書記官、それはしかもKCIAのメンバーである、それの指紋が出ている、私はこれ以上の証拠はない、一体これ以上の証拠が何が出るかというふうに言いたいわけでございますが、これについてはひとつ大臣の政治家としての大きな御決断をお願いしたいと思うわけです。  さて、そこで時間がありますから次に移りまして、その決断をまたお願いしたい問題がもう一つあるのです。在日の韓民統の皆さんの海外渡航に関する再入国の許可の問題であります。  実はことしの六月、社会主義インターの幹事会がノルウェーで開かれて、そして韓民統の皆さんは再入国許可を得てそれに出席をされた、こういう経過があります。今回またその同じノルウェーから、ノルウェーの労働党の招待で韓民連、世界的には韓民連ですね。その日本における組織が韓民統ですが、その人たちに対する招待状が来て、そこで出国をしたい、再入国の許可を求めるということをされて、それに対して十一月七日にその要望に沿いがたいという法務省の答えがあった。法務省は関係省庁と協議してというふうに答えられたというのですが、関係省庁といえば当然外務省。またこれはわが社会党の飛鳥田委員長も大臣にお会いしてお願いしたという経過があります。  結局ノーの答えが出たわけですが、六月の段階で再入国の許可が出て、同じノルウェーに今度はこの十一月の段階でなぜ行けないのか、これをまずお聞きしたいと思います。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 六月の段階で韓民統の人々がノルウェーに赴きまして、その際に再入国の許可を法務省が与えたことは御指摘のとおりでございます。その後の問題でございますが、当時はまだ裁判というものが進行していなかったという意味で、事態が今回と六月と違うのではないかという側面もあり得るのではないか、かように考えるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまあなたの裁判と言われたのは、つまり金大中氏の裁判ですね。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 さようでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そのことによっての状況の変化というのをもうちょっと説明してくれませんか。今度十一月にノルウェーに行かれるのを再入国の許可を出す場合に、金大中氏の裁判との関係でどういう支障が出るのか、それをちょっと説明してもらえませんか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 本件につきましては、累次御答弁申し上げておりますとおり、私どもとしては慎重に検討して結論を出すということが必要であるというふうに考えるわけでございますが、六月段階と違いますのは、裁判との兼ね合いにおきまして韓民統との関連というものが指摘されておるということを一応考えざるを得ないんじゃないか、私としてはかように判断するわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、いまのはノルウェーのケースでありますが、今度は、御承知のとおりあしたからスペインで社会主義インターの総会が始まります。この社会主義インターの総会は、ことしの六月ノルウェーで幹事会が開かれた、そこでその国際的な韓民連という組織のインターに加盟する問題が討議されて、今度のあしたからの総会で最終的に決定するという予定になっている。そこで韓民連、日本においては韓民統の人たちは、今度はスぺインの社会主義インターの会議へ行きたいということでいま申請の手続をとっておられます。  これは韓民連の人たちの正式な加入を決める大会ですから、関係者としてその大会に出たいということはこれはまた当然のことである。しかもこの場合には、アメリカに在住する韓国の人たち、カナダに在住する韓国人、ヨーロッパに在住する韓国人、それぞれの国の在住韓国人が、韓国の民主化と朝鮮統一を進めるための韓民統に当たる政治組織をそれぞれ皆持っています。その各国の代表が全部インターの会議へ来るわけです。日本の韓民統だけが行けないということになるわけですね。そして、これについてはすでにスペイン政府の入国許可も出ている。スぺイン政府は、当然日本政府が出国の許可を出すだろうという前提で入国の許可を出し、すでにビザも出している。  これについてまだ政府当局からお答えがない、こういう状況にあるわけですが、いま裁判の関係を憂慮してとこう言われましたけれども、すでに各国に在住の韓民連の関係の人たちは皆そのインターの会議へ来るというときに、日本の韓民統の人もその一つとして参加するということは、何らこういう国際関係の中においては裁判に響くというふうな性格のものではない、こう私は考えるわけですし、相手のスぺイン政府もすでにビザまで出しておるということであるわけですから、この社会主義インターへ行くケースについてはひとつ決断して出国の許可を出されるべきではないのか、こう考えるわけですが、これはひとつ大臣の御判断をお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生の御質問にありましたように、委員長にもお会いしました。その他の方々にもお会いし、また全然別な方面の方からもいろいろな御意見があったり、私意見を伺ったことはございます。  私どもも中でよく相談をしたのでございますが、向こうへ行かれてのいろいろなことを考えまして、われわれは片方で韓国政府に意向を伝えているという際に、何とかその意向を実現してもらおうということで意向を伝えておるわけでございまして、そういうことにとってこれはプラスかなマイナスかなということで実は慎重に考えたのでございます。  まあその結果、先生の御要望には沿えないような結論をいま持っているのでございまして、その点は私どももよく考えまして、われわれの向こうに伝えている意向が何とか実現するように、それにはむしろオーケーを出さない方がプラスになるのじゃないかという判断で、実はそういう結論を出しました。御意見と違うことははなはだ遺憾でございますが、実はわれわれも中でよく検討した熟慮の結果であることだけをお答え申し上げておきます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 社会主義インターの問題はあしたからという非常に切迫した時間の関係でありますけれども、ノルウェーの場合には、何か十一月の八日、九日に会議をやるためにという招請であったわけですが、これは後にノルウェー側から必ずしもその八日、九日に時間を限定せず、こちら側の都合のいい時期に、日本の韓民統の都合のいい時期にまたおいでください、こういう別な招請も来ているとのことでありますから、これはまだ今後に問題が残るわけであります。そういう点において、このインターへの出国許可の問題あるいは将来に続くノルウェーの招待の問題についての出国許可については、またぜひ前向きの御判断をお願いしたいということをもう一度申し上げて、この点は終わりたいと思います。  次に、アメリカのレーガン大統領が実現をするということについて、一言大臣にお尋ねをしたいと思います。  レーガン氏の新聞記者会見が伝えられまして、その中で伝えられていることは、リンケージという方式をとるんだということが出ているわけであります。このリンケージという方式は、たとえば軍縮問題で米ソで何らかの話し合いをつけるその際に、ほかの問題、たとえばアフガン問題であるとかあるいは何か農産物の問題であるとか等々、ほかの問題も関連づけて、幾つかをセットにしてパッケージで合意しようというふうなやり方。もともとアメリカにはそういう考え方が強くあったわけですが、今度レーガン氏はそういう立場をとるんだということが伝えられておりますが、その組み合わせる問題の性格によっては、そのことがかえって米ソの話し合いをもうにっちもさっちもいかぬ状態にしてしまうのじゃないかという大変な憂慮すべき面も出てくるのじゃないか、私はこう考えるわけですが、この点については日本政府としてどう考え、またアメリカに対してその問題についてどういうアプローチをされるお考えか、お聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 レーガン氏が新聞紙上でそういうことを語ったということを私も拝見しました。また、選挙中の演説等でもいろいろな意見を公約といいますか、出されたことは新聞紙上で知っておりますが、実はまだ正式に就任されて政策がはっきり出たわけでございませんで、どういう具体的な政策になるかということはまだ定かでございませんので、いまここでどうこうと言うことは、まだ時期尚早だというふうに思っているわけでございます。公約がそのまま政策にならなかったことも過去においてたくさん例がありますし、現実にやられますと、なかなか選挙中に言われたことがそのとおり行われなかったということも過去の例はあるわけでございますから、いまこの際どうこうは申し上げませんが、アメリカもSALTIIIの交渉ということをよく言っておられますし、ソ連もブレジネフ書記長が祝電を送ったというようなことで、両方とも話し合いで平和を維持していくという努力をされると思うのです。また当然されなければいかぬと思うわけでございます。  その場合に、いまのリンケージという何かいろいろなものと関連させて軍縮、軍備管理交渉が行われるかどうかということは、これからどうなるかという問題でございますから、向こうの新しく政権につかれようとする人々、スタッフがまだはっきりしませんし、そこと折衝をしたというわけでもございませんので、いまの段階でとやかくは申しませんが、私はアメリカとソ連の間でいろいろな問題が平和裏に話し合いで解決されるということを期待しておりますし、また恐らくそういうことを考えておられるだろうと思うわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 確かにどういう政策、方針が出てくるかはまだこれからの問題ですから、いまの大臣のお答えも私もわからぬわけではございません。私も大臣と同じようにレーガン政権のもとで大いに米ソの話し合いが進行して、そして国際緊張が緩和していくことを大変望むものであります。  ところが、仮にそうでなくて激化の方向に行く、そしてにっちもさっちもいかぬというようなことになった場合には、まず予想されることは、恐らくヨーロッパ諸国がゴーイング・マイ・ウェー、じゃおれたちはおれたちで、どんどんやるべきことはやるということにもなってくるのではないかという感じがいたします。  したがいまして、そういう場合に日本だけ取り残されるというようなことになってはならぬと思いますので、これはむしろお答えというよりは、そういうことをきちんと腹の中に踏まえて今後の日本外交を進めていただきたい、こう考える次第であります。ひとつ御所見をお願いいたします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 その点は私も同感でございまして、日本は日本として世界の平和にどういうふうに役立っていくべきか、それがまたアジアの平和にどういうふうに関係してくるかということを十分自主的に考えなければならぬと思いますし、EC、ヨーロッパの国々とも経済、政治面でいろいろ緊密な連絡をとっておりますので、西側陣営の一員として、その点は十分国際的な協調、連絡といいますか、を密にして外交に取り組んでいくということはやってまいりたいと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 テーマを次へ移したいと思います。  ことしの八月から九月、核防条約に基づく例の五年ごとの検討会議が開かれた。われわれニュースで見る限りでは具体的な成果なしに終わった、こういうふうに言われているわけですが、この会議の経過、またその中で特に問題になったのは何か、日本の代表としてはどういう立場をとられたかということを御説明いただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 詳しくは政府委員から申し上げますが、見直しを五年ごとにやるわけでございまして、また五年たったらやろうという合意ができたわけでございますが、核軍縮の問題あるいは核の平和利用の問題、大きく言いますとそういうことでございます。  平和利用の面では相当理解が進んでいると考えているわけでございますが、核軍縮等については、先生御承知のように米、英、ソで包括的な核実験の禁止条約というようなことを話しておりますが、そういう問題を軍縮委員会の場所に持ち込んだらどうかというような意見があって、それがまとまらなかったとかそういうような問題がございます。しかし、この核拡散防止条約を廃棄しようとか、これではだめだとかいうことではなくて、この条約を中心に、このいいところを守り維持していこうということでは、参加国がみんな合意はしているわけでございますので、日本としましては、そういう態度でこの条約の精神または具体的な実現ということに努力をしてまいろうと思うわけでございます。  詳細につきましては政府委員から御答弁申し上げます。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 大臣から主要点についてすでに御答弁があったわけでございますが、細かい点を若干申し上げますと、核軍縮の促進というものが、わが国としてこの会議に参加いたします場合の重要な焦点であったわけでございます。  すでに御答弁ございましたように、包括核実験の禁止その他の交渉に対しまして、開発途上国の非同盟諸国が、なるべく早く参加したいという気持ちがあったわけでございますが、具体的にはジュネーブの軍縮委員会に作業グループ雪承けてそこで発言をさせろという意味にもつながるわけでございますけれども、これに対して米ソがいわば呉越同舟で難色を示したことが、核軍縮が十分に進まなかった今回の会議の一つの出来事であったわけでございます。  しかしながら、わが国といたしましては、この点についてはしんぼう強く米ソに対して核軍縮の努力を促進することを要請する立場でございますので、五年後の会議におきましては、またそれに至らない期間におきましても、こういった事態ができるだけ早く実現するようにということであろうかと存じます。  それから原子力の平和利用の方につきましては、これは余り報道されておりませんのであたかも進歩がなかったというふうになっておるわけでございますし、また事実、合意文書ができておりませんけれども、実際問題といたしましてはかなり話し合いが進みまして、特に、NPTの中に入っていることがNPTの外に立っているよりも魅力がなければいかぬ、魅力を高める必要がある、そのためにはどういう方策を講じたらいいかということで出てまいりましたのが原子力技術基金で、中に入らなければ使えないよというような形の基金を考えましたり、あるいは非加盟の非核保有国に対しますフルスコープセーフガードをさらに厳重に実施したらどうか、これによって入ることを促進するというようないろいろな手だてが議論されたわけでございます。  この方はかなり話が進みましたけれども、先ほど申し上げましたような核軍縮の方のまとまりがございませんために、全体が五年後の再開を確認いたしまして散会をしたということでございますが、大臣の御答弁のとおりでございまして、核不拡散体制が堅持されたということで、当面いろいろうわさされました脱退の国は一つもなかったということは大きな成果であるということでございまして、私は五年後に向けてさらに努力を続けていくべきであろうと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は、いまの人類の生存にかかわる問題としてこの核軍縮問題は非常に重要な焦点だと思いますが、ぜひ成果を上げるように御努力をいただきたいと思います。  そこで、ただ心配は、核を持っていない国に対しては持つなということですから、今度は持っている国はその軍縮を進めるという相対関係がなければいかぬわけで、そこのところが、持っている方の軍縮が一向に進まぬと、持っていない国の方はそれではおれたちも持つぞということで、もうすでにインドの例がありますし、続いてこれから、やれパキスタンとかやれイスラエルとか、南アフリカはこの間実験をやったんじゃないかというような説もありますし、次々にそうなってくると、この核軍縮問題というのは収拾のつかぬことになるおそれが大変あるわけです。したがって、そういうことのないような方向でひとつ大いに政府の御努力をお願いしたいと思います。  この五年後の会議ももちろんさることながら、八二年にはまた国連の軍縮特別総会がありますね。したがいまして、そういう場に向けて私は大いに日本政府の積極的な役割りをお願いをしたい、こう思うわけです。  さて、そういう前提で考えてみた場合、持っている国に対して軍縮を要求していくということと同時に、今度は持っていない国でじゃあ核軍縮のために何ができるか、こう考えた場合に、持っていない国同士が集まって地域的に、地球の上のこの地域はもう非核武装の地帯にするんだ、やれこの地域もするんだというような形で、次々に地球上を非核武装地帯の網で覆っていって、そして最終的には持っている国も軍縮を受け入れるというふうに進めていく、こういう一つのやり方があると思うのです。  その点においてすでに中南米の非核武装地帯の条約が成立をした。これについては持っている五カ国も非保有国に対する核攻撃をしないとか核の脅迫をしないとか等々の義務を負うということを受け入れているという非常に理想的なケースが、中南米ではすでにできているわけです。  したがいまして、これを積極的に評価して、こういうものをわれわれのできるところからさらに進めていくということが必要じゃないかと私は思いますが、この点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 一般論として先生のおっしゃるそういうことに賛成という意味で、日本もいろんな決議に参加するとか賛成をしているというのはそういうことでございます。  中南米が御承知のように条約ができました。非常に私は結構だと思っております。一般論としては私は、日本はそういう考え方に賛成である。ただこれは地域地域で非常にいろんな事情がございますから、どの地域にもすぐ当てはめるというわけにはいかぬわけでございますが、中南米にできたということは、私は非常に結構なことだというふうに思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いま大臣の前向きの評価は非常にいいのですが、地域地域の事情がございますというこの一言がちょいと私としては気にかかるところであります。  そこで具体的にお尋ねしたいのですが、わが国会の問題としては、一九七六年の四月二十七日、当時核防条約に加盟を決めたこの衆議院の外務委員会で、核不拡散条約に伴う国会決議がなされておりますね。それから一九七八年の五月二十三日に、国連の軍縮特別総会に関する決議が衆議院の本会議で採択されているわけです。  これらの決議を見てみますと、いずれもその中に、非核武装地帯構想の実現のための国際的な努力を政府に要請する。つまり、日本政府はそういう非核武装地帯の構想が実現できるような国際的な努力をしなさい、こういう国会決議になっているわけですが、これを受けて政府がいままでどういう努力をされたか、あるいはまた今後その国際的な努力をどういう形でやられるか、それをひとつお尋ねをしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 お答えをいたします。  御引用されましたいろいろな決議にも、適切な条件がそろっておる場合に、なおかつその地域の国のイニシアチブということを尊重しながらやっていくという趣旨が含まれているように私は思うわけでございます。  そういった意味では、やはり現実的な努力といたしましては国際環境の改善、これは非常に広い意味でございますが、またさらに信頼関係の醸成措置と申しますか、これは具体的なものはいままで余り出ておらないことも事実でございますが、そういったものをできるだけ高めてまいるというような状態によって、全体的にそういう地域的な高まりが出てくるということに対して努力をするということであろうと存じまするが、現状につきましては、先般の大臣の御答弁にございましたように、いわば地域的な環境においてそういう要件が十分に具備されていないという状態に直面しておるということも否定できない事実だと思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それでは次へ議論を進めます。  私たちはアジア太平洋地域に生活しているわけであります。したがって、われわれにとってはアジア太平洋地域でそういう非核武装地帯ができる、そのために努力をする、こういうことに当然なろうと思うわけです。その前提として、何といっても日本の政府がそういうことを他の国の政府に働きかけていく場合には自分自身の非核三原則は当然堅持する、こういう大前提になろうと思うわけです。余りに当然のことかと思いますが、ここでもう一度非核三原則についての大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 その点はもう政府が何回も答弁しておりまして、従来どおりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そこで若干それに関連するのですが、先般沖繩の沖合いでソ連の原子力潜水艦の火災事故がありました。これがその後引き船に引かれて帰っていったわけですが、日本の領海を通りました。その通ったときに核兵器を積んでいるかどうか、あるいはまた周辺に異常な放射能を出しているかどうかということが問題になって、放射能についてはその周りを日本の当局が調査されてそういう異常な放射能はない。それから積んでいるかどうかについては、積んでいない、こういう答えがあったわけです。ただ、答えのあった時期と実際に日本の領海へ入った時期の前後の関係が逆であった。先に積んでいないという通告があってから領海へ入れば一番よかったと思いますが、入った後でそういう通告があった。  こういうことになっておるのですが、それにしてもこの種の原子力潜水艦が核兵器を積んでいない、こういう明確な答えがあったということはある意味においては画期的なことじゃないのか、私はこう思うのです。  このこととの関連で言いますと、わが国の非核三原則、持たず、つくらず、また持ち込ませず、こういう立場からすればソ連の原子力潜水艦であろうとアメリカの原子力潜水艦であろうと日本の非核三原則との関連においては当然同じことになるわけでありますが、アメリカの原潜の日本に対する寄港、日本の領海へ入ってくるというような場合に、ソ連の場合には積んでいないということを明らかにしたというこの前例が出た上に立って、一体これはどういう扱いになるのか、それをお尋ねしたいと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 高沢委員御承知のとおり日米間には安保条約がございまして、安保条約六条に基づく事前協議の対象に核兵器の持ち込みというくだりがございます。私たちは、日米間が信頼関係に基づいておりまして、アメリカ側が仮に核兵器を日本に持ち込むということであれば当然事前協議をしてくるというふうに考えておりますので、ソ連の場合とは事情を異にしておりまして、事前協議の条項で十分であるというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 つまり事前協議がないから、したがって積んでいないはずだ、こういうことですね。それでよろしいですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 そのとおりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そうすると、いままでまだ一回もアメリカの原子力潜水艦、原子力航空母艦等々の出入りでそういうことがないからいずれも核兵器は持っていなかった、こういうことになるわけですが、しかしこれはだれが考えてもそんなことはあり得ないということになろうと私は思いますが、これ以上の議論はきょうの場合にはやめておきたいと思います。  そこで、そういう核軍縮ということに関連いたしまして、実はわれわれ社会党の問題であります。大臣も御承知かと思いますが、一昨年の十一月に私たちは、オーストラリアの労働党、ニュージーランドの労働党と日本社会党の間でアジア太平洋地域の非核武装地帯の設置を進めようじゃないか、こういう共同声明に実はサインをいたしたわけですが、このことについての大臣の評価、御見解をお聞きしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答えいたします。  私は、各地域に関係国の信頼の上に立ってそういうことができるということは非常に結構なことだというのは一般論としてお答え申し上げたとおりでございますが、太平洋、アジアの地域で各国との間でそういう信頼関係ができているかどうかということになりますと、率直になかなかむずかしい問題がまだ残っていると私は思うのでございます。  日本は、日米安保を中心にしまして核は持たない、アメリカの核の抑止力に依頼するというのが日本の立場でございます。中国も核兵器は持っている、あるいはソ連も持っているということでございますし、そういう勢力がお互い十分に信頼し合った関係にいまアジアではないわけでございますので、先生おっしゃったような非核地帯がアジアでできるかどうか、あるいは太平洋地域でできるかどうかということにつきましては、まだそういう環境、条件がそろっていないんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。  社会党がオーストラリアあるいはニュージーランドの労働党とお話し合いをされるということにつきましては、それなりに私は評価をいたします。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私も、アジア、太平洋地域全体を含めてそこにおける関係国全部が参加するというような形の非核武装条約というふうなものができ上がるのは、これはいまの状態で直ちにいかぬということはよくわかります。ただ、アジア、太平洋地域のたくさんある国の中の、たとえばAの国あるいはBの国、そういう国と日本との間で、それが二国間であってもあるいは三国間であっても、アジア、太平洋地域の非核武装地帯というものをつくろうじゃないか、こういう合意について共同宣言のようなものをやっていくということは、この地域全体のものをつくり上げていく過程のステップとして非常に重要なステップになるだろう、私はこう思うのです。  そういたしますと、オーストラリア労働党あるいはニュージーランド労働党、これは今度はその国の国内の政治のことになりますが、労働党の政権ができるという可能性も決してないわけではないのであって、そういうふうなものができたときに、オーストラリア労働党政権あるいはニュージーランド労働党政権と日本政府の間で、たとえそれが二国間あるいは三国間であろうと、アジア、太平洋地域で非核武装地帯をつくることは大変いいことだ、お互いにそういう努力を進めましょう、こういうふうなことはお話し合いはできるのじゃないか。またすべきじゃないのか。日本と豪州、ニュージーランドとの間の相互信頼感というものはそれによって一層促進される、私はこう思うわけですが、この点は大臣、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 非核地帯ということを考えた場合に、関係する地帯はどうかということは非常に問題になると私は思うわけでございます。いま先生のおっしゃったことだけでいいのか、それをどの辺まで広めていくかという問題もありましょうし、またそれがアジア地帯にどういう影響を持つかということも考えなければなりませんので、私はこの際、ここで日本政府としていますぐどうということの御返事はできません。  ニュージーランド、豪州ということを限定されたわけでございますが、それはどういうふうにしますか、申しわけございませんがまだそこまで考えておりません。政府部内としてこの問題をどう取り扱うということはアジア、太平洋全部の問題として考える必要があるんだろうと私は思うわけでございますが、先生の御意見は承っておきます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私もいま言いましたように、最終的にでき上がるのは全体ででき上がる形になりますが、そこへ行く過程として日本とAの国、Bの国の間でそういうものをお互いに進めようじゃないか、こういう合意、取り決めをしていくということはきわめて積極的な意義があると思うのです。私が仮に大臣の立場にあれば、大いにやります、こういうお答えをやりたいと思うのです。  さて、具体的にもっと日本の近くでもっと日本の安全保障問題に関連する朝鮮半島の問題でお尋ねをいたしたいと思うわけです。  朝鮮といえば北東アジアあるいは東北アジアということになろうと思います。これはもう大臣もニュースで御承知かもしれませんが、朝鮮労働党と日本社会党との話し合いで合意ができまして、近く飛鳥田委員長が朝鮮を訪問いたしまして、朝鮮労働党と日本社会党との間で、東北アジアの非核武装地帯の設置をお互いに進めましょう、こういう共同宣言にサインをする予定になっているわけであります。私は、朝鮮という日本の隣のしかも日本の安全保障の問題に非常に密接な関連のある国との間でこういうことが進められるということは、大変積極的な意義があると思うのですが、この点は大臣、御見解いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 日本と朝鮮民主主義人民共和国の間は国交がないわけでございますので、朝鮮民主主義人民共和国と話し合いをするとか、そういうような段階にないことは先生御承知のとおりでございますが、日本にとりまして朝鮮半島は非常に大事なところだ、日本の平和にとって朝鮮半島の平和というものが非常に大切だということは、私もこれは本当に痛感をいたしております。  しかし現実は、朝鮮半島が韓国と民主主義共和国と二つになっておる。周辺国が中国であり、ソ連である。中ソは対立をしておるというような問題もございますし、日本はアメリカと安保条約でアメリカの核の抑止力というものにまっているというような非常に複雑な情勢がございまして、南と北の間でも十分な話し合いがなかなかできないというような情勢がございますので、先生のおっしゃることもわからぬことじゃないのでございますが、まだまだそういうことができる基盤といいますか環境といいますか、国際情勢といいますか、そういうものは熟していないというふうに私どもは見ております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 このことについて大臣の御所見いかがでしょう。  カーター大統領が当選した当初、韓国からアメリカの地上軍が撤退するという方針が出されて、その際あわせて韓国にあるアメリカの戦術核兵器、六百八十ほどあると言われるわけですが、そういうものも全面撤去するということを、これはアメリカの一九七七年六月の議会の秘密会で、ハビブ国務次官とブラウン統合参謀本部議長が証言しているということも伝えられているわけです。この南朝鮮における米軍の核の撤去ということはその後行われたのか、あるいは撤去をやめて依然として核があるのか。この辺は日本政府としての判断は、どういうふうに事態を見ておられるか、お尋ねしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生おっしゃったような新聞報道があったことは承知しております。また、カーター政権、韓国駐留米軍の撤退というようなことがあったのでございますが、一部でまた取りやめになったということも事実でございます。  それで、その新聞報道に基づきます核兵器の所在がどうかということについては、これは日本政府はそれを知る立場にございませんので、その事実は知りませんし、またアメリカも、核兵器の所在については一切発表するということをしておりませんので、日本政府としましてはそのことがどうなっているかということにつきまして、いまここでお答えする立場にないということだけ申し上げておきます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それはわからぬ、こういうお答えであるわけですが、それでは今度は非常にわかっている話を前提にお尋ねします。  北の方の朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席が核の問題について非常に明確な態度の表明をされているのですね。  これは一九七六年の雑誌「世界」に出ているのですが、その雑誌「世界」の編集部の安江さんという人と会談をした中で、核兵器の問題についてこう言っていますね。金日成主席は、「われわれには、核武装する考えはありません。われわれには核兵器を生産するだけの金もなければ、核兵器を生産して実験する場所もありません。」こういうことですね。だから、つくらない、持たない。  それから「われわれは「南侵」する」、つまり南の方へ攻めていくという「意図をもっておらず、また朝鮮で戦争がおきても核兵器を使うことはできないので、われわれには核兵器は必要でありません。いま南朝鮮の支配層は、アメリカ帝国主義者に核の傘を執ように要求していますが、われわれは、外国に核兵器も、核の傘も求めません。」つまり持たず、つくらず、それからよその国の核兵器を朝鮮民主主義人民共和国へ持ち込んでくるようなことを頼むこともしない、まさに非核三原則です。非常に明確なこういう発言があるわけですね。これは七六年です。  ことしの十月、朝鮮労働党の大会がありました。その大会の中央委員会の活動報告、これは金日成主席がやられたわけですが、その中でもちゃんとこういうふうなあれがあるのです。  今日、世界戦争の危険を除去し、世界の平和と安全を守るためにたたかうのは、全世界の平和愛好人民のもっとも重要な任務であります。世界の革命的人民は列強のいかなる侵略と戦争行為も絶対に許してはならず、他国の領土にある  すべての外国の軍事基地と侵略軍隊を撤退さ  せ、世界のいたるところに非核地帯、平和地帯  を設けて、強固な平和と安全を保障しなければなりません。つまり、これは世界至るところに、条件のあるところから次々にそういう非核武装地帯をつくっていこう、こういう考えを述べておられるわけですね。この立場に立って、日本社会党と朝鮮労働党の共同宣言も行われるということになってくるわけです。  社会党がやること、これは大変重要なことですが、同時に、現に政権を持っておられる自民党政府がそういうアプローチをされるということは、もう東北アジアの緊張緩和に決定的な影響を与える、こういうふうに私は実は考えるわけですが、もう一度大臣のお考えを聞きたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先ほど申し上げましたように、北東アジアということになってきますと、ますます中国、ソ連あるいはアメリカという大国も非常に関係、影響力のある地域でございます。また朝鮮半島自身にとってみましても、われわれは、南北が将来本当に平和的な統一をされる前提として平和的な話し合いということを期待して、そういう環境ができるようにということで、常に中国と話すときもアメリカと話すときもそういう話をしているわけでございます。非核地帯ということの前にまだまだ朝鮮半島、北東アジアの平和といいますか、そういうことについての具体的な話し合いができておらぬというのが現実でございます。  私どもとしましては、先生のおっしゃるような事態に将来なることは望ましいことなのでございますが、いまの現実はそこまで至っておらぬ、なかなかむずかしい。まず朝鮮半島の平和が維持される、具体的な話し合いが進んでいくということが前提ではなかろうかと私は思いますので、先生の御意見は御意見として承りますが、現実はなかなかまだそこまで至っておらぬという状態ではなかろうかというふうに思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ぜひ前向きな努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 井上泉君。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 時間が非常に限られておりますので、実はきょうは、中近東のイラン、イラクとの関係における日本の企業の状態や将来の展望、あるいはこの辺に進出しておる企業の、この紛争に基づく処理等について関係省からも出席を求めておったわけでありますけれども、その問題についてはいずれまた次の機会に御質問を申し上げることにいたしたいと思います。  中東のイラン・イラクの紛争というものは非常に長期化する様相を示しておる。アメリカで自動車の輸入制限をするとか、あるいは日本からの輸入品の制限をするとかいうような状態の中で、これから日本経済としてはアジア、中近東諸国、こういう諸国との友好協力関係、経済関係を深めていかねばならないところだと思っておるわけですが、そういう点について一番大事なのは、外交関係においてこれらの国々との友好関係を密にしていくということだと思うわけです。その点についての大臣の所見を承りたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生がおっしゃるとおりだと思います。それで、安保理事会あるいはイスラム関係、非同盟関係とも日本の国連の代表が十分連絡をとりまして、何とか中東地帯の和平ということで努力をしているところでございますが、先生がおっしゃったように、日本としまして本当に外交的な平和的な関係で何とかあの地帯の平和、安定、安全ということをやっていかなければならぬ、こういうことで今後も努力してまいりたいと思います。     〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 今後そういう地域の安全ということは大事なことであるし、そしてまた世界どこの地域においてもこういう軍事的な紛争は回避すべきであることは当然でありますが、イラン、イラク両国とも日本とは非常に親密な関係にある国だし、経済関係においても非常に密な国である。それなのに、いま、国連を通じてとか安保を通じてとかいう話をされるわけです。きのうの新聞ですか、田中通産大臣が中東訪問に出かけるということも載っておるわけですが、これはイランの石化の事業がどうのこうのということで行くのか、どういう目的を持って行くのか知りませんけれども、今日日本が果たすべき役割りとしては、イランとイラクとの紛争を早くおさめるために一歩進んだ外交姿勢をとるべきではないか、こういうことで私は歯がゆい思いで見ておるわけですが、国連を通じてやる以外に日本としてはとるべき道はないのですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私どもも、イラン・イラクの紛争に第三国が介入しない、あれが拡大しない、両国だけで平和になるようにということ、またどういう方法でそれをやるべきかということに本当に苦慮しているところでございます。いま具体的に、イスラムが話をするとか、あるいはアラブ諸国の外相が集まって話をするとかということをやっておりますが、イランとイラクの主張が非常に隔たっておりますので、テーブルに着いて話し合いをするという糸口を見つけ出すのに本当にいま苦労しているところでございまして、これはただ行ってどうというわけにもいかぬ問題がございます。宗教の問題もございましょうし、民族の慣習の問題もございましょうし、いろいろな問題があるわけでございます。  日本としましても、いまやっておりますのは、イスラムの国に働きかけ、あるいは国連の安保理事会の中の非同盟の国々に話しかける、そういうことを実はやっているということでございまして、先生のおっしゃるように、日本が真っすぐに飛び込んでテーブルに着きなさいよと言うことの具体的にそこまでの段階にまだなっておりませんので、先生のどうもまだ足りぬじゃないかというお気持ちもわからぬではございませんが、いまわれわれはどういうチャンスにどういう方法でそういう糸口がつかめるかということで苦慮をしているところでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 大臣がその道に苦慮されておるというお気持ちは理解をされるわけですが、仮に人質問題が解決をするというようなことになって、これは解決しなければならぬのですが解決する、そうしてアメリカがイランに力を入れるということになればイランとイラクとの紛争は長期化する、そういう一方でイランの石油積み出し施設もだめになる、イラクもだめになる、そして両方の国がどろ沼のような状態の中に入っていく、さらに聞くところによれば、冬を迎えればああいう暑い国だけれども大変な気候状況だ、ますますどろ沼化した戦争の状態に今度は入っていくことになる。  これは人質解放というどうしてもなさねばならないことと同時に、これで戦争を終結さすための、私は日本がアメリカとのいわゆる日米外交が日本の外交の基軸というならば、そういう人質解放問題にも絡ませて何らか前向きな努力を、そしてまたイラク、イラン双方に対しても日本としては外交姿勢の面からも、向こうから来た人と話をするだけではなしに、こちらからも突き進んで特使を派遣するとかいうことをするのが、イラク側にとっても日本はよくやってくれると思う、イラン側にとっても、事の成否は別としても日本はよくやってくれるな、やはり日本は平和を求める国であり、そしてイランやイラクにとっても友好国であるぞ、こういう事実認識をすると思うわけですが、ひとつそれだけのことはできないでしょうか、その点。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生いろいろなサゼスチョンがありまして、ありがとうございます。  私どももいろいろなことを、こういうことはできないか、こういうことはできないかということを実は中で相談をしているところでございます。ただ、行って、成算なしにしっかりした案を持たないで行ってというわけにはいかぬわけでございまして、もしもやる段になればよほどの根回しが必要でございます。またイスラム諸国も非同盟の国々も具体的な案を出してこうというところまでいけない、いまは実は国連の事務総長が特別な特派する人を指名しまして、そしてその人が行くという、いまだれをやるかということで事務総長が考えているというのが、これは国連での決議に基づきました一つの具体的な動きとしてこれから出るわけでございます。  日本はどういうことができるかということは、先生いろいろおっしゃいましたが、私らもいろいろ頭に置いて考えているわけでございますので、これは最善の努力を私どももするということを申し上げておきます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 私は田中通産大臣がどういう目的を持って中近東に訪問をされるか知りませんけれども、少なくともいまイランとイラクとがそういう戦争状態にある、国際的な紛争、こう言われておるのですけれども、そういう状態の中で田中通産大臣の行動というものは非常に大事なものを持つわけで、ただ日本が物欲しさ油欲しさというような形の中での通産外交であってはこれは意味をなさないと思うわけなので、そういう点についても私は外務省が、やはり田中通産大臣が行けばそれに外務省のしかるべき高官が随行していくとかいうようなことがあってしかるべきだと思うわけですけれども、大臣、その点はどうでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 これは日本政府全部として考えなければならぬことだと思いまして、何省何省などと言う必要はないと私は思うのでございますが、通産大臣はエネルギーの問題で特に方々、豪州は石炭の問題とかインドネシアに油の問題を話すとか、あるいは通産の中小企業の問題でございますとか製品輸入の問題でございますとか、そういうことでずっと外国訪問をしておられるのでございますが、あの通産大臣が中東の諸国に行ってエネルギーの問題その他について話したいという希望を持っておられることはよく知っておりまして、われわれもできるだけのということで、いま通産大臣が行きたいと言われている相手国に連絡をしているということでございます。  どういう方法がいいかということは別にしまして、私は日本政府としてどういうふうに糸口をつかむかということに非常に苦慮しているわけでございますが、われわれ外交第一線にある者でございますから、先生のおっしゃったことは日本もしっかりやれという激励でございますので、よく受けとめまして取り組んでまいりたいというふうに思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 日本外交は平和外交ということがにしきの御旗ですから、そのにしきの御旗の中で、このイラン・イラクの問題等についても対処していただきたい。その外務大臣としての苦心といいますか苦悩といいますか、それが一日も早く解消されるような努力をお願いをしたいと思うわけです。  そういう平和外交に徹するという点からも、いろいろの意見のある中でカンボジアのいわゆる民主カンボジア政権を承認をし、そして民主カンボジア政権の存在というものを認識をして行動をされておる。  ところで一体、今日のカンボジアにベトナムがなぜ侵攻したのか、あるいは侵攻した軍隊は一体どのくらいの者がベトナムから侵攻したのか、そういう点について大臣としてどういう認識をされておるのか、承っておきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 カンボジア、ベトナムの問題でございますが、これがインドシナ半島の平和、アジアの平和にとりまして非常に大きな問題であるということは私ども十分認識しまして、日本としましても平和を回復するためにできるだけの努力をしていこうと思っております。  それでベトナムがカンボジアへ侵攻した理由でございますが、これはベトナム側の主張は、カンボジアがベトナムの国境侵犯をしているということをベトナム側は一つの口実にしております。それから中国からの脅威があるので長期駐留をしなければいけないんだというようなベトナム側の主張はございます。それはベトナム側の主張でございまして、どういう目的でベトナムが入ったか、武力介入しているかということは、日本として論評することは差し控えたいと思うのでございますが、恐らく約二十万ぐらいの軍隊がカンボジアに介入しているんじゃないかということが言われておるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 私は、カンボジアにベトナム軍が侵攻したことについては、これは速やかに撤退せよという国連における決議等もなされておるし、そういうことは、理屈はどうあろうともよその国に自国の軍隊を大量に進駐さすということは、平和を守っていくためにもあるいは国の主権というものから考えてもこれは間違っておると私自身思っておるのですが、大臣はどうでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 その点は私も同意見でございまして、そういう意味で、この前の国連の代表権の場合にも民主カンボジア政府の代表権の維持ということをわれわれは各国にも呼びかけた、ASEANの考えを支持するという意味で各国に呼びかけましたのは、そういう理由からでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 カンボジアに民主カンボジア政権、つまり旧ポル・ポト政権がカンボジア人民を非常に虐殺した、二百万あるいは三百万と言われるような虐殺をしたということが言われておるわけで、私もそのニュースは聞いておるわけですけれども、一方においては、いまの民主カンボジアのキュー・サムファン首相が言うのには、民主カンボジアが自国の国民を虐殺をしてどうして今日ベトナム軍またベトナムのかいらい政権と戦うことができるでしょうかと言われ、そして多くのベトナム人に殺されたというようなこと、それを、カンボジアのこうして殺した遺骨を集めて、それを報道機関に写真を撮らして、そしてカンボジアのポル・ポト政権はこういう虐殺行為をやったというようなことを言っておる、キュー・サムファン首相は今日そのことを言っておるわけです。  私もそれほどな、虐殺という言葉が当てはまるか、どういうなにか、民主カンボジアの政府側の言うことによれば、たとえば東の国境で戦った人々、その数千の負傷したカンボジアの兵士が多くベトナムに殺された、病院に残っていた多くの兵士たちも全部殺した、これはほんのわずかなことですが、彼らがこうして殺したカンボジアの遺骨を集めることは容易でしょうと。これは自分が殺した兵隊の遺骨を集めることは容易でしょう。これをポル・ポトが虐殺をした、こういうふうに宣伝をされておる。そういうことの宣伝の中で、いわゆる民主カンボジア政府は、そういう西側の報道される、ソ連、ベトナムから流される報道に対して、これが事実であるかどうかということ、これも明らかにしたいということで、日本から行かれた調査団にいろいろと話をされておるわけです。  そこで、この間カンボジアの人口が六百万を超しておる。これは旧シアヌーク政権時代においてもカンボジアの人口は六百万ないし七百万という話をされておったわけです。ところが、ポル・ポト政権になってプノンペンの町は空っぽになるほど虐殺をしたというようなことで、カンボジアの人民は非常に激減した、こういう報道がなされておる中で、カンボジアの人口が今日六百万を超し、推定人口は六百四十万人ではないか、こういうことが国連の調整機関によって調査結果が発表されておるわけですが、これは別に民主カンボジア政府がやったのではなしに、ヘン・サムリン政権の各当局が調査した人口数を集計したものだ。  こうなりますと、カンボジアにそういうふうな大量の虐殺事件があったというようなことは考えられないわけですが、この調査というのは外交関係においてある程度権威あるものでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 ただいま井上委員御指摘の調査につきましては、私どもも承知いたしております。ただ、これが通常の常識で言ういわゆる国民人口統計というものに値するかどうかというと、疑問に思われるわけでございます。国連の代表が申しておりますとおり、これはベトナムそれからヘン・サムリン政権の推計値にすぎないわけでございまして、ただ援助を供与する場合の一つの目安の程度のものと把握すれば足りるのではないか、かように考えるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そういうカンボジアに対するいわゆる援助計画を策定するために六百万人。しかし人口数というのはヘン・サムリン政権が調査したものを集めてきた調査であるわけだ。だからポル・ポト政権時代に約三百万人のカンボジア人が死んだとかいうようなこと、これはちょっと誇大ななにではないか。そうしてそれと同時に、カンボジア人民をそれほど虐殺しておいて、今日いわゆる民主カンボジアの政権を維持し、そしてこういうベトナム軍あるいはカンボジアが言うベトナムかいらい政権の手先というものと戦うことができるはずがない、私は常識的にそう思う。  そういう中で日本が民主カンボジア政府を承認し、そうして国連における正当な権利を守って、ベトナムの侵略をやめさせ、カンボジア自身の自由な意思による新しい政権の誕生を願う、これは私は当然な平和な外交政策だと思うわけですが、この政策をさらに堅持し続けていかれる用意があるのかどうか、その点を承っておきたいと思います。大臣。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 カンボジア問題でございますが、この間、先生も御承知のように国連で決議がありまして、ベトナム軍の撤退の問題でございますとか、あるいは救援物資の確実に渡るための平和地帯の設置の問題でございますとか、いろいろあった中に、ひとつ国際会議を開いて政治的に解決をという考え方も決議の中に盛られておるわけでございます。そしてその結果、自由な意思の表示できる自由な選挙をやって新しい政権を選び出すというようなことが書いてあるわけでございまして、日本としましてやはりアジアの一員としてあの地帯に平和をという考え方から、国際会議というものをぜひ開いて成功させたいというふうに私どもは考えております。  実は総理が一月東南アジア、ASEANを回られるわけでございますが、そのときの討議、協議をされる大きな問題の一つだと私は思っておりますし、つい最近もASEANの大使の方々に来てもらいまして、国際会議の見通し、開けるかどうか、そこにベトナム側も参加しなければ永続的な平和は来ないわけでございますから、ベトナムも参加するにはどういう呼びかけがいいかというようなことを実は意見を聞いたわけでございます。私は十二月に中国にも参りましてその話もしようと思っておりますし、何とか一日も早くあの地帯に平和が来るような努力を続けていきたいと考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 こういうふうな状態で一番被害を受けるのは民衆ですから、そういう民衆の被害をなくするためにも、カンボジアに平和をもたらすという国際的な世論が大きく影響するということを申し上げておきたいと思うし、大臣もそういう見解でありますから、ぜひまたそのことが一日も早く実現するように御奮闘願いたいと私は思います。  時間がありませんので最後に一つだけ、きょうの朝日新聞だったか読売新聞だったか、どの新聞紙にも載っておるわけですけれども、自民党の有志議員の方がソ連の大使と懇談をした。それは場所が俗に世間で言うまじめな場所じゃないのですから、料亭で会った話ですから、その話の内容でどうこうということはないと思うわけですけれども、首脳会談に応ずる、そのことについては領土問題も避けることはない、領土問題もあわせてよいというような意味のことが書かれておるわけです。  私は、そういういろいろな形でソ連との関係を密にするための努力をされるということは結構なことだと思うのです。しかし一番日本の対ソ外交の中心に据えなければならぬのは、やはり今日における領土問題に対する国民の願望にこたえる形での外交政策でなくてはならない。ソ連が経済危機に陥っておるとか、あるいはシベリア開発に日ソの経済関係で合意をしておるとか、いろいろなことが言われ、それのおくれを指摘する声もありますけれども、しかし、やはりイラン・イラクの紛争でも、もとは領土問題。どこの国の紛争でも全部領土問題というものは出ておるし、私たちは今日北方領土の問題を抜きにした形におけるソ連との話し合いというものについては、これはもう大臣としてはきちんと整理をしてかかってもらいたい、こういうふうに思うわけですが、その辺に対する見解を承って、私の質問を終わります。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私も、新聞できのうのそういう会合があったということを知ったわけでありますが、いろいろなレベルでの人が話し合いをされるということは、それ自体は結構なことだと私は思うのでございます。  ただ、その場合は、先生がおっしゃったように、筋を通すべきことはちゃんとこちらは主張するということでないと、かえって私は相手から軽んぜられるという気がするのでございます。日本人は日本人としての国益はちゃんと主張する、言うべきことは言う、対等な立場に立って主張することを主張した上での相互理解ということが、私は大切だというふうに思うわけでございますので、その点、先生と同意見でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 終わります。

稲垣実男自由民主党

○稲垣委員長代理 次に、玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 まず最初にお伺いいたしますが、わが国最大の海外協力事業でありますところのイラン・ジャパン石油化学、いわゆるIJPCから三井物産は撤退を前提とした損失処理の青写真づくりに入った、つくり上げた、そういうことが二、三日前大きく報道されておるわけであります。また日本人工事関係者は一応全員帰国をしておられるということも報じられているわけでありますが、そこでちょっとお伺いしたいのですが、今回のイラン・イラク戦争によりまして、イラク軍によって五回にもわたって工事現場が爆撃をされたということでありますけれども、その被害の状況につきましてどのように把握しておられるのか、お伺いしたいと思います。

村田良平外務省中近東アフリカ局長

○村田政府委員 イランの石化プロジェクトの建設現場でございますが、過去におきまして五度の爆撃を受けております。九月二十四日、三十日、十月の十二日、十七日、さらに十月の二十二日ということでございまして、イラクの空軍がバンダルホメイニを襲撃いたしました際に、このプロジェクトの建設サイトの隣にございますところのシャプールケミカル工場の門の付近、それからこの建設サイトの空き地に爆弾を投下したということでございます。  関係者からの報告によりますと、これらの爆撃によりまして、燃料用の小型のタンク、それから芳香族プラント、化学品タンク、修理工場、苛性ソーダプラント、オレフィンプラント等が被害を受けたということでございますが、被害の詳細、あるいはこれが金額にいたしましてどれくらいかということにつきましては、今後詳細に調査をしないとわからないというのが現状でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、今後の工事再開の見通しについてでありますけれども、三井物産側の山下社長は、現地における記者会見等の報道によりますと、工事再開については非常に消極的なそういう御発言も報じられておるわけでありますが、外務省とされてはこの工事再開の見通し等についてどのような御判断をしておられるでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げますが、いまイランのIJPCの関係者はほとんど、紛争で危険だということで引き揚げたのは御承知のとおりでございますので、これからの紛争の成り行きを見ませんと、いつごろまた工事を再開するかということにつきましては、いまの段階でまだ申し上げることはできないわけでございまして、紛争の推移をいま見守っているというところでございます。     〔稲垣委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕  それで、方針につきまして、いろいろ新聞で拝見したのでございますが、われわれとしましては、既定の方針が変わるということは全然聞いておりませんので、私はいまの段階では、やはり工事再開ができれば、する状態になれば、従来の方針で工事再開に当たるというのが関係者の考えでなかろうかというふうに思っております。何ら方針変更という連絡は受けておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 よくわかりますが、そこで、いろいろなこれまでのいきさつ等がありまして、イランの政府側はこのIJPCの今後のあり方につきまして、どのような考えを持っているというふうに外務省としては理解しておられるのでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私どもの知る限りでは、イラン政府はこれは国家事業の一つの大きな柱として何としても完成をさせたいんだという非常に強い熱意を持っておられるという連絡は受けております。ただ、いまのような紛争状態ですから、いつ再開するかというのは見守っているというのが現状でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 冒頭にもちょっと申し上げたのですが、二度にわたる工事中断、爆撃による被害等、また工事の再開の時期のめど等まだつかないということで、莫大な経費のこれまでの損失、なお上積みということで、三井グループと関係の方々はいわゆる企業の存立の基盤そのものにも大きな影響を来してくるのではないかというようなことから、これは報道でありますので、当然またそのようにも、状況からしてそういうことかなというような感じもしますが、いわゆるどろ沼的な出費がかさむ、こういうことで、しかもこれは当然国家的なナショナルプロジェクトにもなっているわけでありまして、その辺についてはどのような御判断をしておられるのでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 今後の経費の問題でございますが、これはわれわれ直接関係してどうということではないのでございますが、全度出費が増すというようなことも、これはイラン・イラクの紛争が原因なわけでございますから、恐らくそういう経費の問題になってくれば、これはどっちが負担するのかというような問題が当然出てくる問題でございますので、いまここで先生の御質問にはっきりお答えするわけにはいかぬのでございますが、紛争から起きた出費増というものはどうするんだというような問題が必ず出てきますので、そういうようなことを相談する段階で、いまの先生のようなことが問題になってくるのだろうというふうに見ておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 通産省の方では、イランと三井とのそういう合意等が成り立てば打ち切ることもあるのではないかというような感じのことも出ておるわけであります。したがって、いま大臣もおっしゃいましたとおり、これは今後相当な経費の問題、いろいろな企業に関する問題等絡まってくると思いますし、先行きの見通しがいまのところつかぬわけでありますので、したがって政府としても大変苦しいお立場かとも存じますけれども、率直に大臣とされてこの問題——まあ、企業としてはもう青写真までつくっているんだ、これは大変だということも言っておるわけでありますから、外交的な問題としまして、わが国の国益上この事業というものはおっしゃるとおり、既定方針のとおり、あるいはそれだけの莫大などろ沼的な出費を重ねて、さらに国の関係資金も野方図に投入していくというようなことからすると、あるいは撤退ということも考えられるのか、その辺は外交的な立場も含めて国益上どのような御判断をされるのか、その辺いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 そういう問題はまず企業が判断をし、そして主管省は通産省でございますから通産省と相談し、通産省の見解も私はあると思いますので、それを聞かぬうちに私の方からとやかく申すということはできないわけでございます。  私どもの方は将来の日本とイランとの関係をどうするかということが非常に問題になりますので、その際にIJPCの問題はどうだというような判断を恐らく紛争が終わった後にするわけでございますので、私どもはまず通産省の意向というものを尊重しながら、また国交、国と国との交わりというものを考えて判断をするということになろうかと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題は大変重要かつまた微妙な問題もあるわけでありまして、どちらにしましても大変苦しい状況になるのではないかという感じがいたすわけであります。当然どちらの方にしましても、これは政府がきわめてかかわりが深いだけに、政府としても慎重な対応が望まれる。きょうはこの問題は一応この辺で、また次の機会に譲りたいと思います。  そこで、次は海洋法の問題について、海洋法会議の状況についてお伺いをいたします。  最終的な海洋法条約草案が成立をして、あとは署名の段階であるやに承っておるわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  最終的な条約草案ができ上がったということでございますけれども、実は普通の条約会議における最終的な条約草案というものとこの八月末に一応でき上がりました非公式な条約、海洋法非公式条約草案というものとはかなりその整備された状況におきまして程度に差がございます。と申しますのは、海洋法会議と申しますのは非常に各国の利害関係が複雑に錯綜した問題でございまして、御承知のように、実質審議が一九七四年からもう六年も続けられたものでございます。その間に公式な会議において一条一条審議をするというような形ではなく、いろいろなグループ間において非公式な折衝が続けられ、そのグループ間で決まってきたような一応これで妥結してみるかというところで、条文が一応そこで非公式に固まってきたということでございまして、それを集大成したものがこの八月の末にでき上がりました非公式草案ということでございます。  したがいまして、直ちに採択ということではなくて、今後これを公式化する過程、プロセスというものが必要でございまして、来年の一月早々にはさらに条文の整備をいたします起草委員会というものが七週間くらい行われまして、それがうまくいけば来年の三月からこの非公式な草案というものについて今度はそれを公式化する、各国がいろいろな意見を述べたりしたあげくに、それがうまくいきますれば公式草案が採択されるということになると思います。  そういう状況でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そうすると、署名の時期というのはいつごろになるわけですか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 まだいろいろな残された問題もございますので、果たして来年の春会期、すなわちジュネーブで三月九日から約六週間ないし七週間ぐらいが予定されているわけでございますが、そこで採択に至るかどうか、ちょっと判定がまだつきかねるわけでございますが、仮にうまくいきましてそこで採択がされたとしますれば、その後におきまして、大体来年の九月ごろにベネズエラのカラカスで署名の式典と申しますかそういう会議が行われるという予定にはなっております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、まだ未調整の問題等あるやの御説明でございますが、その主だったところはどういう点ですか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 主だったところといたしましては、まず第一委員会におきまして、深海海底開発に関しまして最大の障害はこの夏の会期で乗り越えられたものというのが一般の評価でございます。と申しますのは、国際海底機関というものの設立が予定されておりまして、そこでその理事会の表決の制度というものをどうすべきか、これは理事会の決定と申しますのは非常に影響力が大でございますので、その利害関係相反するところのものが理事会の表決問題につきまして非常に争っていたわけでございます。それにつきましては一応のフォーミュラが合意されております。  ただその後も、先ほど申しましたようにこの条約が予定されておりますスケジュールのように来年の九月に署名が行われると申しましても、実際上発効するのはかなり先になるであろう。所定の批准国の数を得まして発効するのは、いまの一般の予想では大体一九八八年ぐらいになるのではないか。あるいは早まるかもしれません、わかりませんけれども、そういうような時間的な経過がございます。  その間に、現在深海海底開発など行おうとしている国がそれまで全く手をつけないでいられるかと申しますと、あるいは手をつけるかもしれない。そういう場合に、条約の発効時におきまして実際上深海海底開発に手をつけていた国と、それから条約の発効した暁における国際深海海底機関というものとの関連をどうするかというようないわば経過規定でございまして、一応準備委員会などを設けてやろうとか、あるいはその間に民間等が行っていた深海海底開発に関する投資をいかにして保護していくべきであろうかというような問題がございます。  そのほかにも、最終的な条項でございますけれども、加入条項はどうであるか、あるいは留保条項をどうすべきであるかというような最終規定に関する問題もございます。  なお、さらに残っている問題といたしましては、大陸棚及び経済水域というのは今度非常に詳細な規定が設けられることになるわけでございますけれども、その境界画定の問題も依然として残っておる問題でございます。  そんなところが大体において残っている主要な懸案であると思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 わかりました。  それでは次に、国際海峡についてお尋ねしたいのですが、この国際海峡について新しい海洋法条約はどのような定義をしているのか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  特に国際海峡という定義をした条項はございません。ただ、これは一九五八年の領海条約にもあったのでございますが、十六条の四項でございますが、そこで公海と公海との間を結ぶ「国際航行に使用される海峡」というふうになっております。ところが、先ほどちょっと申し上げましたように、今度は新海洋法非公式草案におきましては経済水域という言葉も出てきたものでございますから、それが若干加わりまして、公海と公海もしくは経済水域と経済水域というものを結ぶ海峡であって国際航行に使用されるものというようなのが定義と申せば一応の定義になっているものと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで伺っておきたいのは、国際海峡というのは、いかなる国の船舶も何の障害もなく自由に通航できる権利があるというふうに考えられるわけですね。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 そのとおりでございます。  と申しますのは、この新海洋法におきましては、五八年の海洋法会議のときにはとうとう国際間で決めることができなかった領海十二海里ということが、今度の新海洋法が採択され成立しますれば、国際法の一般原則として認められてくるわけでございます。そういたしますと、従来一般国際法上は三海里であったわけでございますが、それが十二海里に広がるということになりますと、従来公海が残っておって公海自由の原則で何らの規制も受けることなく通航しておりました船舶が、今度はいずれかの沿岸国の領海を通るということになります。  したがいまして、そこで問題となりましたのは、しかしそういうような海峡——これを国際海峡と言っているわけでございますが、国際海峡におきましては従来享受していた航行の自由というものが確保されるべきである、したがって、そこに一つの従来の領海の通航よりも自由な通過通航というような概念を考え出しまして、その通過通航制度によって公海上における航行と同じような自由な航行を確保しようという考え方があるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで伺っておきたいのですが、この新海洋法ができた場合に、わが国として国際海峡と称されるところ、これはどこどこになりますか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 先ほど国際海峡の定義の御質問にお答えしましたように、実は非常に漠然とした定義でございます、つまり公海もしくは経済水域と公海もしくは経済水域を結ぶ国際航行に利用される海峡ということだけでございますので、果たしてそれがどこであるかということを非常に限定的に申し上げることはむずかしいことであると思うわけでございます。  ただ、最も典型的なものといたしまして、わが国の領海法で特定水域などを設けておりますところ、つまり宗谷、津軽、対馬の東水道、西水道、それから大隅海峡、その辺のところが最も典型的なものである。ただ、これに限られるかということになりますと、これは新海洋法が発効いたしましてから、諸国との慣行なども見定めた上でだんだんと定着していくものであろうと考えられます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで国際海峡ですが、いまおっしゃいましたところ、そこはいかなる国の船舶も通航の自由というものは権利があるのだというように解していいわけですね、この新しい条約との関連で。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 国際海峡におきましては通過通航の制度が、この新海洋法が成立いたしますれば一つの国際法となるというふうに考えられます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そうしますと、その通過通航ということからしまして、このいわゆる国際海峡というものを、理由のいかんを問わず封鎖するとかそういうことはできないわけですね。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 封鎖ということになりますと、やはりそれは何か緊急な事態が起こったとき、端的に申しますれば武力紛争が起こったようなときに行われる行為であろうと思います。その場合でございますれば、これはその海峡の沿岸国がその国の自衛権の行使として必要やむを得ざる最小限度の行為といたしまして、どうしても海峡を封鎖せざるを得ないというようなことになりますれば、それは自衛権の限度内である限りにおいて必ずしもできないことではないと思います。  しかしながら、やはり国際海峡でございますから、国際航行の安全という見地からいたしますれば、その点は封鎖と申しましてもそちらの方にも相当の考慮を払うべきものであると考えるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そういう武力紛争とかそういうことではなくて、通常の場合、阻止するとかそういうことはどうなりますか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 平時通常の場合でございますれば、もちろん沿岸国といえども封鎖などをすることは許されません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そうしますと、そういう特殊な事態が発生したときには必要最小限度の自衛権の行使ですか、そういうことで封鎖する権利もあるということですね。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、武力紛争の事態におきましては自衛権の行使の限度内であれば沿岸国が封鎖するということ自体も全く排除されているわけではないと考えます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 以上です。

松本十郎自由民主党

○松本(十)委員長代理 中路雅弘君。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 質問の最初に、前回のこの委員会で同僚の金子議員から、金大中氏の問題で、金大中自身も六日には大法院に上告をされていますが、死刑判決文全文の入手について一定の期限を切って要請するということをお話ししまして、外務大臣も一つの方法として頭に入れて考えるということを約束されましたが、この判決文全文の入手について、いまどういう現状にあるのですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 判決文につきましては駐日大使にその後も話をしておりますし、向こうの須之部大使を通じまして向こうへ話をしているというのが現状でございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 まだ入手するという約束もできないわけですけれども、韓国の法規によれば大法院では書類審査だけだということを聞いておりますし、またこの判決も十一月下旬か十二月ということも言われていますから、大変重要な局面にいま来ていると私は思います。第二審の死刑判決が変更される可能性があると考えられているのかどうか。いま、こうした死刑確定の危険性が非常に高くなっている大事な時期だと思いますが、この点について外務大臣はいかがお考えですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 裁判の結果、大法院の判決がどうなるかということについては、私ども、相手国のことでございますし、特に司法の問題でございますから、いまは何ともわかりません。ただし、非常に時期的にいろいろ差し迫っているという認識は私どもも持っております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 いまもおっしゃったように、時期的には非常に差し迫った重要な局面に来ているということは大臣もお認めになっているわけですが、特に全斗換政権が軍部の若手に支えられているという状況からも、金大中氏の抹殺ということは十分危険性があると私は思うわけです。  また今度のレーガン氏の勝利によって、この影響も大きいと思いますが、レーガン氏、それから共和党のいままでの綱領を見ましても、たとえば在韓地上軍の撤退を発表したということは大変アメリカの同盟に対する価値について危惧を抱かせたというようなことも述べていますし、北からの破壊活動等、潜在的侵略によってもたらされる特殊な諸問題を認識しなければならないということから、カーター政権が表看板にしていた人権外交にも、こうした韓国対策では非常に批判的な評価を下しているという点もあるわけです。この点でレーガン氏がカーター氏以上に韓国のこうしたいわば安全保障という面を重視して全斗換政権に対する、その安定を目指すということになると私は考えるわけです。  こうした次期レーガン政権の韓国に対する対応、これから見ると金大中氏の問題についても一層危険な事態になるのではないか、いわゆる人権問題が二次的になっていくという危険も十分あると私は考えるわけですが、この辺の認識はいかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま先生のおっしゃったようなことが選挙中いろいろ演説等に出たことも、私は新聞紙上で拝見はしております。ただ、選挙中の演説と現実の政策がどういうふうに、ストレートにそのまま出てくるのか、また現実と合ったような軌道修正がされるのかということにつきましてはちょっといまのところ予測がつきませんので、レーガン氏が正式な政権についた場合に対韓政策はどうなるかという見通しにつきましては、私はいまここで触れるというのはまだ時期尚早じゃないかというふうに思いまして、具体的な政策を注視しているというのが現状でございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 いずれにいたしましても、この新しい状況下で金大中氏の抹殺の危険が一層強まるだろうということは予測できるわけです。金大中氏が大法院で死刑判決が決定されるという可能性が大変大きいこういう時期に、いままでと同じように関心、あるいは憂慮というものの表明だけで、死刑の判決文全文もとれない実効ある処置がとられないということは、事実上この金大中氏の抹殺に手をかす行為になると私は思うのです。判決文全文を急いでとるとともに、こうした逼迫した事態、しかし相手はよこさないという場合に、どのような対応を考えておられるのですか。これにかわるべき強い態度がやはり私は必要だと思うのですが、このままとれない場合はずっと大法院の判決まで憂慮の表明ぐらいでいかれるのですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 われわれとしましては判決文の入手に最善の努力をするということでございまして、さっきそれが来るか来ないかという問題、来なかったらどうするかという先生の御心配でございますが、意向を向こうに伝えるというその伝えている内容が本当に実現してもらいたいというのがわれわれの要請でございますので、それが実現するようなことをいろいろ考えたいというふうに私は思っております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 もう一度聞きますが、前回の委員会で大臣も認められているように、大変切迫した事態にあるということは御認識になっているわけですから、その際に、やはり一定の期限を切って判決文についても要請をするという時期だと私は思いますし、もしこれが入手できない場合にそれにかわるべき対応も必要じゃないかと思うのですが、重ねてこの点について大臣のお考えを聞きたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 そういう場合にどういう手を打つかというようなことにつきましては、いまここで私は申し上げる立場にございませんので、それは最後までわれわれは努力するということでひとつ御了解を願いたいと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 私はもしこのまま推移するということになれば、先ほどお話ししましたようにやはり金大中氏の抹殺に事実上日本政府もその共犯者ということにならざるを得ないということも強く指摘しておきたいと思うのです。  限られておりますので次の問題で幾つか御質問したいのですが、レーガン次期政権の問題と日米関係の問題です。レーガン氏の今後の政策の基調ですが、まだ具体的に詳しく出されているわけじゃありませんが、すでに六日には記者会見もやっておられますし、共和党の選挙綱領を見ましてもその特徴はあらわれているわけです。特に、強いアメリカの回復といいますか、力の政策が一層追求されてくるということは予想されるわけです。その中で同盟国に対する責任分担の拡大強化、こうした点の要請が一層強まってくるだろうということは予想できるわけです。これは先日のテレビ討論でも、決してレーガン氏がハトがタカに変わったのではなくて、タカが超タカになるという話も出ましたけれども、そういう一つの変化が予想されるということは、大臣もお認めになりますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  お答え申し上げる前に、共犯者だという御意見でございますが、私はそういうことは全然考えておりませんので、ひとつその点は誤解ないようにお願いを申し上げたい。何とかして意向を実現させたいという努力をしておるのでございますので、それは誤解ないようにお願いしたいと思います。     〔松本(十)委員長代理退席、川田委員長代理着席〕  それから、この前テレビで共産党の上田先生が、タカとかハトじゃなくてタカの中のもっと強いタカだという発言をされたことを私も一緒に出ておりましたので知っておりますが、政策のまだ決まらぬうちにいろいろなことを予想して、いろいろな強い要請が来るだろうとかというようなことを言うこと自体時期尚早じゃないか。政策というものはこれから一月二十日に就任されて初めて出る。スタッフもまだ決まっておらぬ。スタッフにいろいろな人の名前が出ておりますが、みんな非常に常識に富んだ良識のある人だというふうに思っておりますので、いまは政策をじっと見ているというのが一番正しい態度じゃないかというふうに私は思います。風雨強かるべしとかなんとか、いろいろあのときありましたけれども、私は、平静に見守っている、どういうことになるだろうというような予測を言う段階でないというふうに思っておるわけでございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 しかし共和党の選挙綱領でも、これは公に選挙綱領として対外政策は明らかにされているわけですけれども、それがストレートにあらわれるかどうかは別にしましても、この選挙綱領の中ではっきり、同盟国が共同の防衛努力を公正に分担して、共同の目標を支持して密接に協力するということを強くうたっていますし、特に日本については、「われわれは日本の国防努力が大幅に強化されることを強く支持するものである。同地域の軍事的安全保障と増大するソ連の軍事力への対抗がわれわれの長期的目標であり、われわれはそれが日米相互の利益にかなうものであることを再確認する」というような幾つかの個所を見ましても、一層これまで以上に軍事責任分担が強まるということだけは予想ができるんじゃないかというふうに私は考えるのですが、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生のいまお読みになったことがあることも、私はそれは新聞等を通して承知をいたしております。  ただ、それだからといいまして、それがストレートに政策になるかどうかということは問題でございますし、いまの政権のもとでも、日本の自衛権に基づく日本の防衛力のことについて、実はいろいろな期待表明があるわけでございまして、いまは余りないのにということであれば、実はいまでもあるわけでございます。  そのときに日本が一体どういうふうに対処するのかということは、これは日本が自主的にはっきり考えておくのが必要じゃなかろうか。     〔川田委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕  そういう意味で、日本というのは、先生御承知のような平和憲法のもとで、軍事大国にはならぬ、平和外交に徹するんだ、専守防衛で、個別自衛権でやっていくんだというようないろんな制約があるわけでございますし、また毎年毎年の予算で議会の御承認も得なければならぬ。これは国民のコンセンサスということでございますし、いろいろな制約があるわけでございますから、私はやはり、日本がそのときに対応する態度をはっきりしておくということが大切だというふうに考えるわけでございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 私もいま、だからタカが超タカじゃないかという話をしているわけなんですけれども……。  具体的な問題に関連してさらに質問したいのですが、第一回の日米安保セミナーと言われる会議、このアメリカ側の出席者は、メンバーを見ますと、ほとんどレーガン派と言われている人たちが多いですね。御存じのように、そこでは日米安保条約のNATO化の問題やあるいは双務化、攻守同盟化、あるいはそれに障害になる日本国憲法についての問題まで論及されているわけですけれども、最近、この八月末の第一回の日米安保セミナーでも重要な役割りを果たしました、いまレーガン氏の軍事政策立案のメンバーの一人と言われていますウィリアム・ミッデンドーフ氏が、元海軍長官ですが、自民党の安保関係の議員の皆さんのところに書簡を送りまして、今度、来年三月ですか、ワシントンで開かれる第二回の日米安保セミナーでこうした問題、安保の再改定やあるいは日本の憲法上の規定にも論及する問題を正式議題として取り上げるということを提案されているということが発表になっていますし、自民党の箕輪さんも記者会見をしてこのことを認めておられるわけですが、これは大臣、御存じですか、こういう書簡が自民党関係の議員の皆さんに来ているということは。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 新聞で拝見をしたわけでございます。本人の皆さんに確かめるというようなことはしておりませんが、新聞で拝見をしております。  ただ、日米安保セミナーというのは、これは政府間で行っているセミナーではございませんので、いま外務大臣としてこの問題に云々するというのは適当でないというふうに私は思っているわけでございます。これは政府が関与している問題じゃございません。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 いま政府間でないとおっしゃったのですが、政府間ではないのですが、しかしまた、全く切り離された民間の問題じゃないのですね。アメリカ側では、この第一回のセミナーの問題も上院に報告されて、上院の議事録に出ているわけです。  これはアメリカの議会で議事録にされていますし、特に、この第一回の安保セミナーに先立って、八月二十七日にアメリカの上院で、日米安保条約に関する決議というのが行われています。これには、この安保セミナーにも重要な役割りを果たしているハッチ議員ほか上院の過半数を超える五十三名の議員が名を連ねて提案しているわけですが、この上院の決議の中でこういうところがあるのです。  最初に、「民間及び政府のさまざまな場で、相互協力及び安全保障条約の成果について討議し評価すること、またその成果を永続化し強化するために何が最善の方法かを討議」していくということが決議の中にあるのですが、安保セミナーというのはこれに基づいてやられているわけです。  「民間及び政府のさまざまな場で、」安保セミナーの直前にこういう決議が行われ、そして第一回の安保セミナーがやられ、したがって安保セミナーについては上院の議事録に報告されている。だから、アメリカの議会の関係で言えば、全く民間でのものではないということも言えるんじゃないかと私は考えるのですが、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 さっき申し上げましたように、政府間のものではないということを申し上げたのでございますが、日本では、先生も御承知のように、あれが終わりましてから国会に報告されるとか、そういうことは全然ないわけでございます。国会議員の方々が自分の見識でおやりになるということは自由なことでございますので、日本側では、先生も御承知のように、国会に報告するとかいうこともなし、これは政府が関与しているということでもないわけでございますので、私どもは、これについて政府がとやかく言うという立場にはございませんと言ったさっきの私の考え方どおりでこの問題には対処しております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 外務大臣はそういう面では否定されているわけですけれども、アメリカ側は、いまお話ししましたように、これはいわゆる単なる民間のベースというよりも、民間、政府間で今後こういう問題を話し合っていくという上院の決議がやられているわけですから、いわばこうした問題がいずれまた日米間の公式の議題に浮上する可能性というのも、アメリカ側から言えば濃厚になっているんじゃないかというふうに、アメリカでは現実的な動きになっているということはこうした報道を見てもわかるわけですが、全くそれは政府間でなくて日本側は民間のあれだとしても、アメリカ側はこうした話し合いについて議会でも報告され、決議もされているわけですから、これについて何らかの規制のためのあれが必要じゃないかと私は思うのですが、いかがですか。——規制といいますか、日本側が、全くこれは政府が関係していない民間のものだということになれば、アメリカの方は議会でこれが議事録にも報告されているという関係、この関係の問題はきちっとしておかなければいけないんじゃないかと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 アメリカの上院の決議あるいは議事録というのは、日本の国会と違いまして、たとえば一個人の発言でも、議員がこれは議会の議事録に載せるのが妥当であるということで載せるような性質のものでございます。  いま委員が言われました安保二十周年を記念しての決議案、これについて日本側の見解は違うということだから規制をしろということでございますが、この点については大臣が先ほど御答弁されていますように、日本側の立場というものはすでに公の場を通して、たとえば国会の場を通して明らかにされておりますので、特にこの問題で規制云々ということが必要になってくるというふうには考えておりませんで、要は日本政府がこれをどう受けとめていくかということで、これはさきの大臣の御答弁に尽きていると思います。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 しかし、いずれにしてもこういう名前の出る人たちは次期レーガン政権の主要なスタッフですから、それがまた政府間の公式議題に浮上する可能性も私は十分あると思うのですね。  それではもう一度お聞きしますけれども、その際にこういうところで論議になっている、たとえば西太平洋全体に対する日本の軍事的な協力の問題について、日本は個別自衛権あるいは周辺数百海里の防衛ということをいままで言われておりますが、こうした立場からそのような軍事的な協力はしないということを明確に表明し、また相手の方にも伝えておく必要があると私は思うのですが、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 日本の防衛につきましては安保条約があることはそのとおりでございますが、どこまでこれを整備するかというようなことにつきましては、やはり日本が自主的に考えていくという要がございますので、先生おっしゃるように日本の考え方、立場といいますか、そういうものを伝えるということは私も必要だと思いますし、日本がどういう態度をとるかということを伝えることが必要なのだということは国会の場で言ったことでございますから、それを正式に向こうに、どういうルートで言うかは別にしまして、機会があれば事前にそれを説明することも必要かというふうに思っております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 説明するという日本の立場は、やはり憲法上の問題がありますし、いまの安保条約でも集団自衛権は行使できないわけですから、こうした立場に立って、たとえば論議されている、いま言いました西太平洋全域についての軍事的な協力、こういった点はこういう立場からできないのだということをいまの日本の憲法上の立場を含めて伝える、こういうことだと思うのですが、もう一度確認の意味で御質問します。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 鈴木総理も衆議院の安保の委員会ではっきり述べておられますし、私も常に申し上げておるのでございまして、日本の立場というのは、いまの憲法のもとで個別自衛権で、専守防衛でというような平和外交、軍事大国にはならぬ、非核三原則、シビリアンコントロールというようなことは常にお答えを申し上げているところでございまして、これは変わりませんので、もし向こうに日本の意向を伝えるということであれば、そういうことが内容になることは間違いないわけでございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 向こうに伝えるというお話ですが、いまお話ししましたように、安保セミナーというのは、日本は民間のベースだといま大臣はおっしゃっているのですが、アメリカでは議会で取り上げ、そしてまたその主要なメンバーがこれから誕生するレーガン政権のメンバーでありますから、いずれは公式議題になる可能性もあるわけですので、いまおっしゃった日本の立場を明確に伝えておくということはぜひ必要ではないかと私は思うのです。  たとえば、去年の八月ですか、アメリカの議会で、やはり有力な上院議員であるブロクシマイアー議員が特別声明を出して、日本が西太平洋で、経済面だけでなくて軍事面においてもより重要な役割りを担うことは不可避であるということも述べていますから、レーガン氏がこういう方向を要求するということは十分可能性があるわけで、いま大臣は憲法上の日本の立場ということをおっしゃいましたが、これは明確にしておく必要があるだろうと私は思います。  五十八分までという時間なのでもうあとはできないのですが、最初の共犯者の点ですね。大臣はああいうふうにおっしゃったのですが、私は結果として共犯者になるということを言っているわけです。憂慮とか関心という表明だけで実効ある処置は何もしない、判決文全文を取るんだと言いながらこれも取れないまま、しかも大臣も言っておられるように、いまの切迫した事態でこのまま行くとすれば結果として共犯者になるんじゃないかということを言っているのですが、この点は結果として事実そうなる。大臣は、いや、そう言われるけれどもどうだと言われますが、いま強い態度をとらなければ事実共犯者になるんじゃないですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 この事件そのものは韓国の国内の問題でございます。日本政府の責任とかどうとか、そういうことはない。ただ、拉致事件があったということがございますし、その後の政治決着ということがございまして、拉致事件があっただけに特に憂慮しているんだ、こういうことを私は申しているわけでございまして、共犯者と言われますと私は非常にひっかかるのでございまして、私は共犯者であるとは思っておりませんから、この点はどうも私は先生と意見が違います。     〔松本(十)委員長代理退席、稲垣委員長代理着席〕

中路雅弘日本共産党

○中路委員 ひとつ共犯者にならないように最善の努力をし、具体的な措置をとっていただきたい。これは前回金子議員も提案しておりまして、これは頭に入れて考えるというお話なので、私はいまがこれを実行するときだということを重ねて要望して、時間ですので終わりたいと思います。

稲垣実男自由民主党

○稲垣委員長代理 次に、川田正則君。

川田正則自由民主党

○川田委員 きょうは外務大臣は非常にお忙しいようでございますので、むしろ質問というよりも若干意見を述べさせていただくことになるかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。  先般、奥田委員長を団長にいたしまして外務委員会で各国を視察したわけでありますけれども、そのときにパキスタンに参りました。その際、大統領にお会いいたしましたら、実はあなた方が来る数日前に伊東外務大臣がお見えになったと言って非常に感激をしておりました。非常にというよりは異常なまでに感激をしていたように私どもは感じ取ったわけであります。  まあ、考えてみますと、パキスタンは非同盟国ということで対アメリカ、対ソの問題をもちろん抱えているでしょうし、インドの問題もあるでしょうし、また日本との援助の問題ももちろんあるということであったかと思いますけれども、外務大臣の訪問をとても喜んでおられました。そして、数時間にわたって大統領と伊東外務大臣とがお話をされたと承っておりますが、それだけに両国間の友好関係が深まってきているというふうに私は感ずるわけでございます。また伊東外務大臣のことですからお二人の話以外の、いわゆる言外に含まれるものも感じ取ってお帰りになっただろうと思われるわけでありますけれども、そういうことで私は、外務大臣はできるだけいろいろな国々に行っていただきたいと考えております。  そしてまた、非常に失礼な、生意気な言い方になるかもしれませんが、外務大臣の御答弁を伺っておりますと、外務大臣がじかにお会いになった方々、たとえばソ連のグロムイコさんあるいはブッシュさんなどにお会いになったときの感じ、あるいはその国の事柄について外務大臣は非常に自信を持って明快に答弁をされているように、聞いていると感ずるわけでございますけれども、これもやはりじかにお会いになればそういうことになるのではなかろうかというふうに感ずるわけであります。  私は、憲法問題も非常に重大だと思います。もちろん論議を尽くしてもらわなければなりませんけれども、そうやっているうちに、国際情勢は刻々といろいろ変化をしていっているいまの時代であります。また同時に、国内問題というのも世界の中の日本という立場で物事を判断し、あるいは解決をしていかなければならぬという時代でありますだけに、私は平和外交を標榜される伊東外務大臣とされてはしょっちゅうでもいいから行っていただきたい。これはもうお体の都合もございますし、なかなか大変だろうと思いますが、私は行けば行った以上のいろいろな友好関係が醸し出されてくるというふうに感じます。  特にいろいろな経済援助をやっておりまして、七八年末の累計からいきますと四兆円以上に及ぶ有償、無償の対外援助をやっている。しかし、実際各国を回ってみますと、せっかく日本がそれだけの援助をしているのにもかかわらず余り評判がよくないということにも気がつきます。対外援助の仕方に問題があるのか、あるいはこの前土井委員が質問されたような買春ツアーの問題だとかあるいは日本人のマナーの問題だとか、そういうことが折り重なって評判が悪いのかもしれませんけれども、やはり私はそういったことを払拭するためにも日本の外務大臣として各国にぜひ行っていただきたい。これは大国に限らず、小さな国と言うと語弊があるかもしれませんけれども、そういう国にも気をつけて外務大臣としては行っていただきたい。これがまず第一点であります。  それから、数日前にITCの裁定が下されました。日本の自動車問題で三対二ということでシロというふうに判定をされたわけでありますが、ほっとしている時期ではなくて、むしろこれからが大変だというのがわれわれの認識をしているところであります。新聞などを見ましても、やはりアメリカ議会でも輸入規制を行うのではなかろうかというような記事が出ておりますし、またアメリカの大統領に対しても日本との交渉権を付託してやらせるというような、思っている以上の厳しさが両国間にこれからは出てくるのではなかろうかというふうに感じます。  私は、数年前から苦い経験を持つ繊維交渉、それから農産物の問題があり、電電の問題があり、たばこがあり、自動車がある。日曜日のNHKの討論会を見ておりますと、外務大臣も出席されておられて、年内に幾つか解決できるものもある見通しだというお話がございましたので安心しているわけでありますけれども、たとえばこの自動車の問題が終わったからといって経済対立、経済摩擦が終わるものかどうかということになりますと、私は非常に疑問に思います。  いろいろな方の御意見を聞いてみますと、これは運命だと言う人もおります。これは日本が異常なまでにGNPが伸びてきている、アメリカが予想していないくらい伸びてきている。それなのにまだ日本はただ乗りをやっているじゃないかというような感じもあるだろうし、また一つには構造的な日本の輸出超過の問題もあると思います。また、これも日本の科学技術の進歩といいますか、ICなどの問題にいたしましてもアメリカに迫る勢いで、いまいる。アメリカもそこで焦りを感じている。そんないろいろなことが総合されて、運命だと言う人がいるのかもしれませんが、私は日本とアメリカの関係において、こんな友好的な間柄の国においてなぜ経済対立というものが起こるのだろうかということを非常に疑問に思います。外務省、直接の所管でないかもしれませんが、このことが私は重大な影響を将来及ぼしてきたら日本は一体どうなるのだろうかということが懸念されます。  今日の日本の繁栄というのは、いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、私はアメリカあっての今日の日本の繁栄があるというふうに理解をいたしておりますので、こういった対立というのが後を絶たないということになれば大変な結果を生ずる。東京の有力新聞とギャラップとの世論調査の結果を見ましても、そういう点では友好関係が非常にいいという数字が出てきております。良好だと思うアメリカの国民は六一%もある。日本の場合は四八%。ですから国民同士は案外そうでないのかもしれませんが、どこに原因があるのか。いろいろあろうかと思いますけれども、私は何とか事前に手が打てないものか、火を消していかなければならないと考えるわけであります。この火が燃え上がると私は本当に大変だと思います。  そこで、私は伊東外務大臣にできるだけ早くアメリカに行っていただいて、この火を消すことの相談をしていただきたいというふうに感ずるわけであります。同時に、鈴木総理に対しましても早い機会に行っていただきたいという気持ちは変わりありませんけれども、新聞を見ておりますと、何か政府の要人が、五月の連休は総理は休ませなければいけない。私はこれもわかります。わかりますけれども、そういうことを言っている時期かどうかということについては非常に疑問に思うわけでありますので、外務大臣御自身の渡米の問題それから総理の渡米の問題について御見解をお聞かせいただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いろいろお話がございまして、順序は違うかもしれませんが、お許しを願います。  ITCの審決が出ましたが、これは私は一つの節みたいなものだと思うわけでございます。節目が一つできたのだ、またここから伸びていかなければいかぬ、こう思うのでございます。伸びていくという意味は、これで安心してはいかぬ。自由貿易を守ろうというアメリカ側の考え方、これは政府の考え方もございますが、非常に私どもは高く評価をしておりますので、日本は自由貿易が守られるようにするには、やはり輸出の場合でも集中豪雨的な輸出ではなくて、秩序立った輸出をするとか自粛といいますか、そういうことはこれからも考えていかなければいかぬ。これは自動車だけでなくて、いろいろな問題に私は出てくると思うわけでございます。  アメリカとの経済摩擦の問題でございますが、先生おっしゃるとおり、これは何とか政治問題化しないでなるべく早い時期にこれを解決する。問題を起こさないのが一番でございますが、大きな問題でも小さな問題にし、小さな問題を何もなかったことにするということが大切だと思いまして、私はアメリカへ行きましたときにも、向こうの要路の人に、そういう考えでやるべきだ、これだけ大きな経済関係があるのだから、若干の摩擦はさざ波のようなものはある、それは否定できないけれども、それを政治問題化しないのが政治家の役目じゃないかということで向こうとも話してまいりました。この点は今後もそういう態度で進みたいと思います。  いま問題になっておりますたばこ、電電は、前の外務大臣の大来君に政府代表になってもらいましてアスキューさん相手に交渉しているわけでございますが、大体八合目までは来ているということを私はテレビでも言ったのでございまして、年内には何としてもこれは片づけたいという努力をしたいと思います。  車の問題は、これは審決が出ましたが、今後も向こうの政府と十分意思の疎通を図りまして自粛した輸出をやっていくということで、何とか政治問題にしないように心がけようと思っております。  先生のおっしゃいました、新しい政権が一月二十日にできるのだから、なるべく早く向こうへ行って日本側の立場もはっきり言い、問題を大きくしないようにすることが必要だ、おっしゃったことは私は全然同感でございます。全然同感でございますが、向こうの政権ができますのは一月二十日でございます。政権ができました後、なるべく早く外務大臣が行って日本の立場を説明することは必要だと思うことは先生と一緒でございます。  またサミットが、あれは七月でございますか、あるわけでございますが、やはりなるべく国会の日程が許せば総理もおいでになって、向こうの大統領とさしでいろいろ意見を交換これるということは非常に大切なことだと私は思いますので、総理にはまた申し上げたいと思っております。  総理も実は今度一月にASEANに行かれるわけでございます。私も、先生がおっしゃったように、この前アジアを回ったわけでございますが、アジアの人々から非常に喜ばれました。総理もおいでになれば非常に歓迎されると私は思うわけでございます。その場合に、先生がおっしゃったように、経済協力をしたわりに案外評判悪いところがあるじゃないかとおっしゃった、これは日本が十分に注意しなければならぬことだと私は思うわけでございます。いわゆる経済大国になったんだからといってそういう振る舞いをしてはいかぬと私は思うのでございます。  われわれとして気をつけなければなりませんことは、経済の問題はもちろん経済の問題で協力しますが、そのほかに政治的な問題あるいは文化的な問題、そういうようなものにも力を入れて、総合的な外交をやっていかなければいかぬというふうに私も考えまして、先生の御注意は十分注意をしてまいるつもりでございます。  開発途上国でございますとか非同盟の国でございますとかあるいはイスラムの国でございますとか、そういう地帯にもなるべく行って話すことが必要だとおっしゃった。そのとおりでございまして、日程の許す限り出かけまして、相手の担当の外務大臣あるいは首脳と話してくるという人的交流は非常に大切だと私は思いますので、その問題には真剣に取り組んでまいるつもりでございます。  いま一つの例としてパキスタンの例をお挙げになりましたが、委員長以下皆さん超党派でおいでになりましたこと、私も知っておりまして、先生方にも注文、要請があったと聞いておりますが、難民に対して亜鉛鉄板の話が出たということでございますが、七日の閣議でこれを決めまして、三億円緊急援助をする、亜鉛鉄板ということで決めたわけでございます。行って、話して、約束してきたことはなるべく早く実行するというようなことで、国と国との信頼関係を強めるということが何より大切だと私は思いますので、いまおっしゃったことは全然私は同意見でございまして、努力をしてまいります。

川田正則自由民主党

○川田委員 どうもありがとうございました。お忙しいようでございますので、どうぞ御退席ください。  外務大臣がいらっしゃらないので、実は経済援助のいろいろなあり方について御質問を申し上げたいと思っておりましたけれども、それは後に譲らせていただくことにいたします。  新聞で見る限りでありますけれども、鈴木総理が来年の一月に東南アジアの方に行かれるということを承りました。特にその中で、インドネシアのジャカルタあたりで元総理の田中角榮さんが行かれたときと同じような暴動が起こるのではなかろうかというふうなことが、ちらっと新聞に出ておりました。対外援助を調べてみますと、インドネシアに対する日本の援助というのはほかの国に比べますと相当大きな数字になっておりますが、どうしてこういうことになるか。私はいまも外務大臣に質問したときに申し上げたように、せっかく対外援助をしているのにもかかわらず対日感情が悪いということの問題について非常に不思議でならないわけでございますけれども、外務省自体としてはどういうふうにお考えになっているか、お尋ねをいたします。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 一月八日から鈴木総理は十二日間東南アジアを回られますが、そのときに七四年の一月に田中総理が行かれたときのような不祥事がないように、万遺漏なきを期したいと思っております。すでにインドネシア側当局者とも打ち合わせを重ねておりまして、今回はそういうことがないものと私どもは確信いたしております。  確かにインドネシアは、経済協力あるいは技術協力の面でも最大の援助の受益国であることは御指摘のとおりでございます。にもかかわらず、いろいろ暴動が起きたり反日運動みたいなものを新聞なんかでもちらちら報道されるというのは非常に残念なことでございますが、間々日本側がスケープゴートというのですか、そういうものに利用されている面もあり得るわけでございます。  一つにはインドネシアと華僑との関係、どうしても日本の企業は華僑との距離が近いということですか、そういうものに対する反発もあり得るわけです。  それからもう一つは、これは日本側の事情なんですが、いかんせん大変な過当競争でございまして、インドネシアに限ったことではございませんけれども、そういう国々に対するアプローチというものが場合によっては激し過ぎたり配慮に欠けたりする面もあるわけです。  したがいまして、そういった行き過ぎというものはこれまで企業の方におかれてもずいぶん反省もされ、私どもとも相談して慎重を期してやっておるわけですが、こういった努力というものは今後ともしんぼう強く重ねていきまして、川田委員御指摘のようなことにならないように、ぜひ努力いたしたいと思っております。

川田正則自由民主党

○川田委員 極力努力をしていただいて、二の舞を踏まないように、これは何としてもやっていただきませんと、またそこで世界的に日本の評判が落ちてくるような気がしてならないわけでございますので、何としてでもこれは外務省の責任だ、外務大臣の責任だということで善処をしていただきたいというふうに考えております。  次に難民の問題でございますけれども、先般来自民党の中で難民問題に関心のある方々が集まられてそこでいろいろ討議を重ねました。その中で、これは私個人のアイデアとかそういうものでなくて、その会議の中で出てきたことを幾つかお話を申し上げてみたいと思うわけであります。  とにかく結論としては、相手に喜ばれるようにしてあげなければならぬということでございます。いまの経済援助と同じように、せっかくしてあげても、相手に喜ばれないようなことをしてあげたのではこれは全く問題にならない。そしてまた実際に向こうでボランティア活動なりいろいろやってくださる方が働きやすいようにするのもひとつ問題として取り上げるべきでないか。これは実際難民キャンプのところへ行ったり、あるいはいろいろ医療センターで働く人たちの御意見を聞いても、何となくそんな感じがするわけであります。  たとえば日本から薬をせっかく大量に送っても、日本語でそれが書かれてあるために向こうではさっぱり何の薬かわからないというようなこともあったというふうに聞いておりますし、またお医者さん方も医療センターの中で本当に一生懸命働いておられますけれども、たとえばそれが大学チームで行ったような場合には文部省の所管になる、外務省でもこういう問題をやっている、それからまた厚生省でも一部やっているようだし日赤でもやっている。非常にわかりにくいしやりずらいということがずいぶん言われておりますので、これは何としても是正していかなければならない一つの問題だろうと私は思います。  そんな中で話に出てまいりましたのは、難民救済基金を設立したらどうだろうかという御意見がございました。先ほど申し上げましたように私の考えではございませんが、その席で出てきた中に、難民救済基金制度というものを設けて税制上の優遇措置も一緒に考えあわせてやるべきでなかろうか。  いろいろな企業におきましても難民問題というのはいまや避けて通れないということから、ある程度いろいろな援助をしたいのだけれども、一体どこにどういうふうにしたらいいのかということがわからない。ですから、こういう基金制度を設けますと、そこが一つの根っこになってまとまっていくのではないかということを感ずるわけでありますけれども、こういうことは外務省でおやりになることなのかどうか、それも私はよくわかりません。そんなことが一つございます。  それから、難民救済の機動部隊のようなものを、名前が適切でないとその方も言っておりましたけれども、そういうものをつくってみたらどうか。というのは、日本の場合非常に対応が遅いということであります。せっかくいいことをやってあげる場合に、非常に対応が遅かったりもたもたしたり、連絡あるいは手続に非常に手間がかかり過ぎる、そういう点非常に問題があるような気がしてなりません。  難民問題だけでなくて、アルジェリアの地震の場合にも、地震の翌日にはほかの国は医師団を派遣して救援活動をやっているのに、日本の場合は日本の大使館を通じていろいろやっても、一週間も十日近くもかかってしまう。  私は、そこに国民性の違いがあるのかどうかはっきりわかりませんけれども、いま申し上げましたような救済の機動部隊、というと何か軍国主義のようにとられがちでありますけれども、機動班のような一つのグループをつくって、そのグループが行けばある程度の救援活動はできるという、あらかじめ班編成をやっておいて、間髪を入れず行動できるようにしなければいけないのではなかろうか。こういうのもどこが中心になってやるのかわかりません。ぜひ教えていただきたいと思うわけです。  三番目は、難民キャンプに行きまして日本人が一生懸命やっている姿をなぜもっと世界各国にPRをしないのだろうか。これも私はうなずける点がたくさんございます。外務省に広報費がどのくらいあるかわかりませんけれども、せめて日本人の記者の方あるいは外国人記者の方に何人か外務省で行っていただいて、これを各国にPRをしていただきませんと、せっかくああやって涙ぐましいほどの大変な努力を現地で日本人の人たちがやっているのにもかかわらず余り喜ばれないというのは、私は本当に不思議でならないわけであります。  先ほども外務大臣に申し上げましたように、いろいろ小さな要素がかたまって日本の評判を落とすようでは、せっかく外務省も一生懸命やり、あるいは経済援助も一生懸命やっても効果が上がらないようでは本当にうまくないと思いますので、これらの点についても十分関係のところと外務省は御相談いただいて、記者団派遣については外務省で十分やれることではなかろうかと私は思います。  ですから、この機動班の編成、それから救援の基金制度、これらについて御見解をちょっとお聞かせいただければと思います。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 川田委員御指摘のように、相手に喜ばれる、すなわち難民の方々に喜ばれる援助をしなければならない、それから、日本から参られる方々が困難な環境のもと、働きやすいように外務省としてももう少し努力しろという御指摘は、ごもっともなことでございます。  そのうちでもたとえば難民救済基金の設置でございますが、これまでは外務省にも窓口がございましていろいろの寄付をお預かりして有効に使っておりますが、もっと大がかりなものとして、御示唆のありました難民救済基金を設立してはどうかという御意見については、私どももぜひ前向きに取り上げてみたいと思います。  また、手続に時間がかかるという御叱責でございますが、これは遺憾ながら耳新しい御叱責ではございませんで、確かに政府の対応の仕方はしばしば間髪を入れないということが言えないわけでございます。  しかし例外もございまして、たとえばパキスタンに対する経済援助は、ことしの初めに園田元外務大臣が行かれたときに日本がほかの国に先駆けてやった。したがいまして、パキスタンからも大変評価され、外務大臣も大変な歓迎を受けられたということは、川田委員もパキスタンにおいでになられて見聞されたことと承知いたしておりますが、一般的には確かに対応が遅いわけでございます。  機動部隊と申しますかタスクフォース的なものを設置するとすれば、恐らく総理府ということに相なるのではないかと思いますが、この辺につきましては関係の省庁、厚生省、文部省あるいは労働省、いろいろ多岐にわたりますので、関係の当局と相談して考えてみたいと思います。

梁井新一外務省経済協力局長

○梁井政府委員 ただいま川田先生からお話しのアルジェリア地震の際については、日本から三億円の基金をもちまして医療器具並びにドクター、看護婦さんに行っていただいたわけでございますが、そのときの対応が遅かったではないかという御指摘をいただいたわけでございます。  確かに日本の対応は、先ほど木内局長からも申し上げましたとおりヨーロッパ各国に比べまして遅かったことは事実でございます。私どもといたしましては地震の三日目に三億円の支出を決めたわけでございまして、いままでの先例から申し上げますと相当早いということを考えておりましたけれども、にもかかわらずいろいろのところで批判をいただいたことも事実でございます。  そこで、私どもがいま考えておりますことは、川田先生御指摘のとおりある程度の医療班を事前に編成しておいて、こういう地震なり災害が発生した場合に直ちに看護婦及びドクターの方に行っていただく体制をふだんからつくっておく必要があるだろうということで、現在各省といろいろと御相談しているところでございます。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 先ほどお答え漏れになりましたけれども、日本あるいは日本のボランティアの方々の難民救済に対する努力についてもっとPRをやれということは、御指摘のとおりでございます。これまでもとりわけタイとカンボジアの国境につきましては、バンコクにも大ぜいの特派員の方々がおられましてかなりPRに御協力いただいておるわけですが、改めてパキスタンあるいはタイに記者団の方々においでいただいて、もう少し積極的にこれを取り上げることができるかどうか、恐らく私は新聞社の方の御了解さえあれば可能だと思いますので、これも前向きに検討させていただきたいと思います。

川田正則自由民主党

○川田委員 時間ですからこれで終わります。ありがとうございました。

稲垣実男自由民主党

○稲垣委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十分散会

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