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93回国会衆議院1980/10/21

科学技術委員会 第2号

発言数
219
登壇者
15
会派数
4
開催日
1980/10/21

会議録

中村弘海自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  八木昇君外五名提出、日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案、八木昇君外五名提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。日野市朗君。     —————————————

日野市朗日本社会党

○日野議員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  そもそも、原子力船「むつ」の原子炉は、蒸気発生器のチューブが大量に減肉し、破損し、燃料棒も破損して、使用にたえない美浜原子力発電所一号炉と同じメーカーが、ほとんど時を同じくして製作したものであります。欠陥は遮蔽装置だけにあるのではなく、原子炉本体や燃料棒や蒸気発生器や配管などに、重大な欠陥のあることも懸念されるところであります。  このような欠陥原子力装置に対して、臭いものにはふたをすればよいと言わんばかりに、遮蔽装置を厚くするだけでは、何の解決にもならないばかりか、こうした糊塗策によって試運転や運航を強行すれば、取り返しのつかない大事故を招くおそれがあります。悲劇的な事故を未然に防止するためには、日本の原子力技術はまだ研究室、実験室を一歩も外に出てはならない段階なのであります。  一昨年十月十六日、佐世保市民や長崎県民及び多くの国民の反対を押し切って佐世保に入港した「むつ」は、一年十カ月間、修理契約すらできずに、無為の日々を送ってきました。佐世保における修理の協定期間は三年であり、あと一年しか残されておりません。あの困難な改造工事をたった一年余りの短期間で、突貫工事のごとき無理な工程で強行するようなことになれば、遮蔽装置自体も再び欠陥を持つことは目に見えております。  しかも、新しい定係港はというと、いまだに決定されないありさまであります。大湊港を再び定係港とすることについては、青森県民が以前にも増して強く反対しております。このような欠陥原子炉を持った「むつ」の定係港を、引き受けてよいと考えるところは永久にないでありましょう。  今後、本格的な試運転や運転が実施され、核分裂生成物が蓄蔵されてからでは、どんなに大きな欠陥が明らかになっても、原子炉等を船体から切り離し、回収することはほとんど不可能となります。いまのうちであれば、原子炉等と船体との切り離しは、困難ではありません。  以上を総合的に考察すれば、遮蔽装置等の改造計画は中止して、原子炉等を船体から切り離し、日本原子力研究所に移して、陸上において、舶用原子炉の基礎的研究を開始することが最善でありましょう。  船体、建物等の財産は、日本原子力船開発事業団の解散とともに、法律の定めるところにより、国及び関係事業者の間で、速やかに清算措置されるべきでありましょう。  なお、日本原子力船開発事業団の職員については、出向社員は原則としてもとの企業に戻り、事業団によって新たに雇用された者は、国と関係事業者(企業)と日本原子力研究所と自治体との責任において、本人の意志を尊重する場で継続雇用するものとせねばなりません。  社会党は、このような意味において、この法律案を提案する次第であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一は、日本原子力船開発事業団法の改正であります。  この法律は、一九八〇年十一月三十日限り、その効力を失うものといたしました。事業団はそのときにおいて解散するものといたしました。ただし、この法律は、そのときまでにした行為に対する罰則の適用と、事業団の解散及び清算に関しては、そのとき以後も、その効力を有するものといたしております。  第二は、日本原子力研究所法の改正であります。  第二十二条(業務の範囲一の第一項第三号「原子炉の設計、建設及び操作を行うこと」の中で、「原子炉」の下に「(舶用炉を含む。)」を加えることにより、舶用原子炉の研究は、日本原子力研究所において、長年月をかけた陸上での基礎的研究から実施することができるものといたしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。御審議の上、速やかに御可決されんことを切望いたします。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 次に、八木昇君。     ————————————— 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関  する法律及び放射性同位元素等による放射線  障害の防止に関する法律の一部を改正する法  律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

八木昇日本社会党

○八木議員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  日本の国民がたん白源の多くを依存している水産物は、いわゆる高度経済成長の中で、すでに重金属や合成化学物質等により深刻に汚染されております。水俣病のようにその影響が短期間に激しく顕在化した場合もありますが、問題はそればかりではありません。PCBが、南極でも検出されるほどになっている状態で、これから長期的に見て、私たちや子孫にどのような遺伝的影響があらわれようとしているか、またがんを初めとするさまざまな病気の発生率にどのように影響していくのか、解明はこれからの課題であります。  今日、日本の政治に課せられている重要な任務の一つは、海洋のこれ以上の汚染を確実に防止しなくてはならないということであります。このことは、単に日本のみではなく、南太平洋諸国民にとってもきわめて切実な問題なのであります。  もしこの上に、放射性廃棄物が海に投棄されるようになれば、それを許した者は、後世の者から必ず強い非難を受けることとなるでしょう。  陸上の建屋に貯蔵、管理されている場合と違って、海洋に一たび投棄されてしまえば、どのような事態になろうとも、もはや人間の手を完全に離れてしまい、回収などは全く不可能となります。  政府は、廃棄物その他の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の批准を契機として、すでに前国会で国内法を整備し、来年からは、放射性廃棄物の海洋投棄を大々的に開始しようとしております。  しかし、その安全性評価の根拠として使われている一九七六年八月に科学技術庁から出された「試験的海洋処分の環境安全評価に関する報告書」を見ると、底層流の調査は最大二週間の記録にすぎません。しかも全体としてきわめて不十分な、欠陥の多い調査しかなされておりません。それをもとに、あとは不正確な仮定を積み重ねて、放射能は広大な海洋に拡散し、希釈され、魚類にはほんのわずかしか吸収されず、人体に影響はないとされております。プランクトンから小さい魚へ、さらに大きい魚へという食物連鎖による濃縮汚染は軽視されております。この報告書の論理によると、あの有機水銀ももう少し深いところに捨てておけば、水俣病は発生しなかったことになります。  一九七九年十一月に安全審査をパスした「低レベル放射性廃棄物の試験的海洋処分に関する環境安全評価について」も、基本的には全く同様なことが言えます。  トンガ海溝等、世界の十二の海溝を詳しく調査したソ連のクレプス教授等によると、深海底の海水の動きはかなり速く、海溝の底に沈められた廃棄物は必ず海面に達することが確かめられ、海水中のこの放射性物質は遅かれ早かれ植物に吸収され、それをえとする魚類の体内に入ることが報告されております。  前述の条約の第四条には、「この条約のいかなる規定も、締約国が廃棄物その他の物であって附属書1に掲げられていないものの投棄を自国について禁止することを妨げるものと解してはならない」と規定されております。日本が低レベル放射性廃棄物の海洋投棄を禁止するのは、この条約の精神と規定に反しないばかりか、むしろ公害先進国でもあり水産国である日本の、世界に率先してとるべき道であると言わねばなりません。しかも、アメリカでも日本でも、過去において海洋投棄されたドラムかん等が破損して、海底や海水や魚を汚染し、われわれの主張の正しさがすでに実証されるところとなっております。  日本社会党は、このような状況にかんがみ、この法律案を提案する次第であります。  この法律は、さきの国会で成立し、十一月中旬に施行予定の一部改正案を再改正することによって、放射性物質またはそれにより汚染された物を、船舶、航空機もしくは人工海洋構築物から海洋に廃棄し、または船舶もしくは人工海洋構築物において廃棄する目的で燃焼させてはならないことといたしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。  この法律案は、全国民にとっての、いや世界諸国民にとっての切実なる課題であることを十分に配慮され、御審議の上、速やかに御可決あらんことを切望いたします。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————

中村弘海自由民主党

○中村委員長 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。椎名素夫君。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 先週の委員会におきまして中川新長官の御所信を伺ったわけでありますが、大変に実力と行動力のすぐれた長官の御就任で、この内外ともに非常に重要な科学技術行政の推進に期待する向きが多いかと思っております。当面の懸案を片づけるということだけでなしに、八〇年代から二十一世紀を見通した科学技術行政の方向の基礎を固めるということにも、ぜひ心をお配りいただきたいというふうに考えております。  きょうは最初の委員会でありますが、主としてせんだっての所信表明に関連して原子力の分野、それからそれに関連する原子力の安全性について御質問を申し上げたいと思っております。  言うまでもないことでありますが、これからの日本にとってのエネルギー問題というのは非常に大きな問題である。長期的に見ますと、化石燃料からの脱却ということが恐らくあるのでしょうが、まきから石炭になって石油になってきた、そのうちには石油も枯渇するから、さらにできることならば更新ができる、しかも公害性の少ないようなエネルギーを開発するという一つの大きな方向があるわけであります。しかし、そういうことばかりを言っていても仕方がないので、現在はとにかく資源の問題及び政治が絡んだエネルギーの供給の不安定性ということについても、われわれは近未来において対処していかなければいかぬというふうに思うわけであります。少なくとも五年、十年、これだけの大きな経済社会をつくっております日本にとって、石油代替のエネルギー源というものを開発して、そして石油への依存率を急速に減らしていかなければいかぬということだろうと思います。もちろん、できるだけ効率的なエネルギーの使い方をするという省エネルギーの問題もありますし、いろいろございますけれども、どう考えても、現実的にいまわれわれが手をつけてやっていけるものとしては、原子力というものを考えざるを得ないというふうに思うわけであります。  そういうような位置づけの中で、原子力というのは、私も初期以来、実際に科学者、技術者として最初の時期にこれに従事したことがございますけれども、依然としていろいろな論議を呼んでおります。この中で、これからの日本の原子力の開発促進について今後どういうふうに取り組んでいくか、最初に中川長官の御見解を承りたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 原子力が石油代替エネルギーとしてきわめて重要な点についての認識は、椎名委員と全く同感でございます。  先般フランスに参りまして、日本と同じ事情にある石油を持たないフランスが、すでに二〇%は原子力に頼っており、十年後は七三%まで原子力に代替をするというプランを着実に進めておりますし、国民も理解し、国会においても、共産党を含めて野党も認識を持って協力している体制を見、さらには核燃料サイクルと開発研究についても非常に日本より進んでおって、代替エネルギー時代を迎えて万全の策を講じているのに比べ、わが国がこれらの国に比べてやや劣っておる、ややというよりはかなり劣っておるということは、石油の値上げによる電力料金から来る物価問題あるいは外貨事情、こういった当面する問題のみならず、長い目、五年、十年、二十年を考えた場合、これで国民に対してエネルギーについて責任を持てるのだろうかという感を強くいたした次第でございます。  そこで、私としては、さらに今後原子力発電については安全規制行政を充実していくということ、また安全研究の推進を図り、安全確保対策に万全を期すること、同時に、発電所の立地に伴う地元の福祉向上のための施策を十分やっていくということ、こういったことを含めて国民の理解、御協力をいただいて、現在二十一基、千五百万キロワットの規模を持つ原子力発電を、十年後には五千三百万キロワット、電力量の約二三%、そこまで拡大できるように努力をしていきたい、こう思っております。  さらに長期的に見るときには、原子力発電を拡大していくに当たっては、高速増殖炉等新型炉の開発を積極的に進めていかなければなりませんし、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理、処分等、いわゆる核燃料サイクルを早期に確立をしていきたいと思って、研究開発についても最善を尽くす努力をしてまいりたいと考えております。そして、将来にわたっても、原子力がわが国の安定した代替エネルギーとなるよう努力してまいるつもりでございます。  以上、必要性と今後の努力についての基本的な考えを申し述べましたが、どうか当委員会におきましても、世界の情勢、非常に厳しくなってくること等考えたときに、原子力行政がもっともっと推進さるべきであることについての御理解と御協力をいただきたいものと存じます。

椎名素夫自由民主党

○推名委員 いま御説明ありましたが、フランスなんかは、おっしゃるとおり、国全体の発電量の非常に大きな部分を原子力で賄っていこうということであります、日本も将来のエネルギーの依存度ということで、いろいろ目標を立てられてきまして、ただいまも十年後には二三%を原子力で賄うという御計画なわけでありますが、いままでのところは、残念なことに計画を立ててもそれからおくれがちである。しかし、そういうことがこれからも起きますと、非常にわれわれの社会経済の発展とか国民福祉の増進ということに阻害要因になるということが考えられるわけであります。  もちろん、いま強調されました安全性の確保ということ、これも実際に安全性の確保に技術的な努力をするということ、またそれをよく理解をさせる、この努力も必要でありますが、一番ネックになっておりますのは立地の問題である。どうもあちこちで原子力発電所の立地をやろうと思っても、それがなかなか難航しているというような状態があるかと思いますが、この問題をどういうふうにとらえていらっしゃるか、またそれにどう対処していかれるかということについてお尋ねしたい。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、今日の原子力発電所の立地問題、必ずしも円滑に進んでいないわけでございます。先ほど大臣からも御答弁申し上げました計画がややもすればおくれぎみであるということは、残念ながら御指摘のとおりでございます。  しかし、やはり立地問題の推進の基本は安全の問題である、安全に対する信頼の問題であるというふうに私ども認識しておりまして、その意味で、安全規制の強化あるいは安全性のより一層の追求という意味での安全研究の推進に努めてまいりたいと思っております。そして、それらを踏まえまして、原子力発電の国としての必要性、そして原子力発電そのものの安全性につきましての国民の理解を積極的に求めるというのが基本であろうかと思っているわけでございます。  一方、立地地点におきましてのいろいろな御要望があるわけでございます。一言で申し上げますれば、地元における福祉の向上ということを考えた施策というのがもう一本の柱になろうかと思っているわけでございまして、電源三法によります公共施設の整備を初めとします立地市町村等への財政措置についても、年々拡充改善に努めてきているということでございます。  なお、立地につきましては、それぞれ固有の問題もあるということでございますので、主として通産省が担当になっておられますが、重要地点につきましては、要対策重要電源ということで、いろいろ地元と直接に知恵を出し合って、立地の促進に努めているというのが現実でございます。しかし、そうは申しましても、現実には立地問題の打開というのは、きわめてむずかしい多くの困難を抱えているわけでございまして、政府のより  一層の強力な施策が必要であるという認識のもとに、何かもっと強力な立地方策を探求していかなければならないという姿勢のもとに、いろいろ各方面の御意見も伺いつつ、新たな施策も追求、探求しているということでございます。  とりあえず来年度におきましては、原子炉、発電所等の建設に伴います地元の福祉の増進ということのために電源特会を活用いたしまして、新しい制度を考えております。  一つは、地元の方々及びその地元に存在いたします企業の電力料金の負担を実質的に軽減するという制度でございます。第二点は、県が実施をいたします、主として産業振興対策にかかわります財政的な援助を考えたいというのが第二点でございます。それから第三の点は、従来立地交付金の交付によりまして整備されましたいろいろな公共施設がございます。その施設の維持に必要な市町村の財政負担の軽減措置、この三本を新しい措置として考え、予算要求をいたしまして、新しい施策を講じたいという観点で検討を進めているところでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 いま最後におっしゃったようなさまざまな措置、安全だ安全だと言いましても、大型の発電所をつくるわけですから、電気は地元で余りたくさん使うわけじゃないので、結局われわれだけが割りを食うというような感情というものは、私、非常に強いんじゃないかと思うのです。そういうことでなかなかいい方向への御工夫があると思いますが、さらに、何といっても両方ですくんだような形で実際に立地が進まないということでは困るわけでありますから、ぜひまた前向きの御努力をいろいろと工夫をしていただきたいということを要望しておきます。  いまもおっしゃいましたが、結局立地の問題も安全性の問題であるということでありまして、全くそのとおりだと思います。しかし、いままで二十一基の発電所が日本にはありますし、また世界においても、原子力発電所の実績というのは相当長期間にわたって積み重ねられてきているわけでありまして、すべて機械というものはときどき故障をするということはありますが、幸いにもいままで世界じゅうで、原子力発電所の間違いによってすぐに直接の原因で死亡したというのは一人もないというような実績もあるわけであります。もちろん、もうすっかり確立してこれで大丈夫だというようなものは、原子力に限らずないわけでありまして、自動車なんかのような確立したような技術でも、年々間違いが起こったりする。それを絶えず改良していくという努力が必要なことはもちろんであります。しかし、問題は、技術的に実際にどうであるかということよりも、安全性についての国民の皆さんが持っておられる不安感というものの方が、実際の事の成り行きには大きな影響を与えているのじゃないかという気が私はしております。  その点で、昨年アメリカのスリーマイルアイランドで起こりました事故というか故障が、人間のヒューマンファクターの間違いで事故に発展してしまったということだと私は理解しておりますが、そういう意味で大変に不安感をまたもとに戻したような面があるのじゃないか。より一層原子力の安全性ということに対する要求も強くなってきている。その後、政府においてはどういうような検討をされ、またどういうような措置をとられているのか、御説明をいただければと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、原子力発電の推進を図っていくに当たりましては、安全性の確保が大前提である、われわれ関係者皆そういう覚悟でやっております。言いかえますと、安全あってこその原子力利用であるという覚悟でございます。このため、原子力発電所の設置許可に当たりまして、新しい体制をしいたわけでございます。  まず行政庁、たとえば発電所の場合は通産省でございますが、ここが厳重な安全審査をいたしまして、さらに第三者的な学識経験者の高い水準を持った原子力安全委員会において、これをダブルチェックするという形をとることにしたわけでございます。これは、見る目を変えて、違う角度からさらに落ち度がないようにするという意味がございますし、御指摘のような不安感に対しても、そういう第三者の権威ある審査によりまして信頼感を高めようということでございます。  御指摘のように、すでに相当の実績を持ちまして、発電所の運転も安定した方向へ向かっておったのでございますが、アメリカのスリーマイルアイランド発電所の事故がございましたことは非常に残念なことでございまして、いろいろ後から考えると、なくてもいいような原因があったかとは思われますけれども、やはりこれは実際に起きたこととして一〇〇%教訓に生かさなければいけないというのがわれわれの考え方でございます。そのために原子力安全委員会の中に、米国原子力発電所事故調査特別委員会というのを設けまして、徹底的に前後の関係、原因等を検討いたしました。昨年九月、わが国の安全確保対策に反映させるべき事項というのを五十二項目にわたりまして指摘されたわけでございます。  この指摘事項は、大きく分けますと、安全審査にかかわる事項、安全研究にかかわる事項、運転管理にかかわる事項、それから防災対策にかかわる事項、こういうことが含まれております。それぞれの分野ごとに安全委員会の部会の中で具体化のための検討をずっと行ってきまして、本年六月までにその結果が取りまとめられました。  そのうちの主なことを申し上げますと、安全審査にかかわる事項につきましては、たとえば最近関西電力の高浜発電所の三、四号炉の設置許可が行われましたが、この安全審査に十分反映されております。それから防災対策にかかわる事項につきましては、指針が示されました。これに沿いまして地域防災計画を、これは従来からございましたが、さらに見直して充実させる。そのために関係自治体にいろいろ指示、指導を行っております。また運転管理に関しまして、特にこれはスリーマイルでも重要な事項であったわけでございますが、事業者に対して指導を行っております。また安全研究は、従来からのものをさらに大幅に強化して進めているところでございます。  それから、スリーマイルほど大きくはございませんけれども、内外いろいろなトラブルの教訓が非常にたくさんだまってまいりました。これらを十分に解析いたしまして、わが国の安全性向上に資するように取り入れているところでございます。あくまでも、今後基本的に原子力安全委員会の意見を十分に尊重いたしまして、安全性の確保に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 現在の原子力発電所をいかに安全に動かすか、これももちろん非常に大事なことでありますが、これから、先ほどもお示しがあったような開発計画というものがある。現在まででもたまっておりますか、どうしても原子炉を動かしておりますと放射性の廃棄物が出てくるわけであります。これをどういうふうに処分していくかが将来とも非常に大きな問題になってくるわけでありまして、このあたりについて十分に配慮をしておかないと、またそこで問題が起きる。  私の承知しているところでは、すでにドラムかんの本数で二十六万本たまっているということだと思いますが、先ほどのような、十年後に五千三百万キロワット、二三%やっていこうというようなことになると、たまり方も激しくなっていく。もちろん放射能の強さは、全部たまり込んでいくわけではなしに、崩壊していくものがありますから、どこかでならされていくのでありましょうけれども、それにしても相当大きな量になるだろうと思うのです。  これは伺った数でありますが、昭和六十年度には六十万本、七十年には二百万本ばかりにもなるかもしらぬというような膨大な量になるわけであります。それに対する対策として海洋投棄ということを、日本のような狭隘なところではどうしてもやっていかなければいかぬというようなお考えのもとに御計画、研究を進められていると承知しておりますが、この安全性をいかに確保していくか。皆が納得する安全なやり方でやらなければいけないわけでありまして、その安全性の確保についてどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 ドラムかんに詰めました低レベルの廃棄物は、現在サイトの中に保管されております。こういう形でも当面の安全上は問題がないわけでございますけれども、将来長いこと考えますと、最終的な処分をしなければいけない。その一つとして、海洋投棄を考えておるわけでございます。これはすでに西欧諸国でも安全に実施した実績がございまして、わが国もその経験を踏まえて、十分安全を評価した上で実施したいという考え方をとっておるところでございます。  この安全を確保するために、その準備はすでに昭和四十七年から、たとえば農水省、運輸省等の協力を得まして、海洋調査を開始するとともに、固化体の形につきましても、日本原子力研究所あるいは電力中央研究所というところで、高圧水素の実験等を含めまして、固化体からの浸出試験等総合的な試験をやってきたわけでございます。実際の海域についての調査としましては、海洋調査を行いまして、これが、後に申し上げます安全評価にも反映されております。  それからまた、コンクリートの固化体は、アメリカ等でやっているような、中が空になった方式ではございませんで、日本の考え方としては、完全な一体の固化体にしてしまう形でございますので、実験を行いましても、水深六千メートルの海域で模擬投棄物をやってみたわけでございますが、水圧によって破壊されるということは全くございません。したがいまして、固化体が健全な状態のまま海底で放射能は減衰していくという考え方でございます。  安全評価といたしましては、海洋データ等を参考にしまして、まず昭和五十一年に科学技術庁、当時の原子力局が評価を行いました。その結果をさらに五十四年に原子力安全委員会に諮りまして、さらに考え方を充実しました上で、六千メートルの海洋処分については安全性は十分に確保できる。簡単に申しますと、人間社会への影響はほとんどゼロと言ってよいという結論が出されております。  この安全評価の仕方でございますけれども、水圧によって破壊されることはないということはすでに実験でわかっているわけでございますが、仮に厳しい条件をとりまして、海底に到着してすぐ放射性物質が海洋中に拡散されてしまう、これは最悪の条件なわけですが、それを仮定いたしまして、さらに海流や拡散、食物連鎖ということを考慮いたしまして評価したものでございます。その結果、人間が自然放射線あるいは宇宙線というものを現在受けておるわけでございますが、年間の量に比べまして、試験投棄の場合、これは五百キュリー、一万本程度を予定しておりますが、それの場合、自然放射線の一千万分の一、それから本格投棄で仮に十万キュリーくらいの大量のものを捨てても、一万分の一ぐらいの影響しかないという評価がなされております。これは、そういう最悪の条件を設定して計算したものですので、一応数字には載っておりますが、現実にはそれをまたはるか下回るものになると想像されます。さらに試験投棄を行うことによりましていろいろな調査を行い、そして十分な安全性についての実証が得られた上で本格投棄に移ってまいりたいと考えております。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 ちょっと伺いたいのですが、いま十万キュリーぐらいやってもというお話がありましたが、この十万キュリーというのはどういう数なんですか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 実際に投棄いたしますものは、先生先ほど御指摘のように、当面はたとえば年間数万本程度出てまいりますし、予想されますキュリー数としては、一本の中に〇・一キュリー以下ではないか。かなり薄いものになりそうでございます。したがって、数千キュリーを毎年捨てるというのが本格投棄になるかと思われます。  ただ、この安全評価をする場合に、できるだけ危険といいますか、厳しい条件をとるという意味で、十万キュリー捨てた場合という仮定で計算したわけでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 さっきのお話で、外国でもいろいろ捨てたことはあるというお話だったわけですが、最初のうちは余り取り決めもないうちに少しやったような例もあるわけですね。いまは、これは将来人類全部の問題だというので国際的にもいろいろ取り決めはあるかと思うのですが、そこらあたりもうちょっと御説明願えればと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 低レベルの放射性廃棄物を海洋投棄するに当たりましては、いわゆるロンドン条約、それからそれの技術的な基準につきまして国連の国際原子力機関、IAEAと申しております。それから実施につきましてOECDの原子力機関、NEAと申しております。ここにあります監視機構、こういった国際的な枠組みがすでに整備されておるところでございます。ヨーロッパの国は、最近ではこの枠組みの中で投棄を実施してきておるわけでございます。わが国としましても、すでにこの国際協調のもとで行うべきだということを五十一年の原子力委員会が決定しておりまして、これを基本方針として堅持していくつもりでございます。  ロンドン条約の批准はさきの九十一回の通常国会で御承認をいただきまして、わが国の批准書がちょうどこの十五日、十月の十五日に、決められておりますメキシコ、ソ連、イギリス、アメリカ各政府に寄託し終わったところでございます。三十日後の十一月十四日に発効するという手はずになっております。それから、加盟に伴いまして国内法令の整備、これも前国会で御承認をいただきまして、十一月十四日に発効するわけでございますが、政省令の整備も進めておりまして、近く完了することになっております。  それから、OECDのNEAの監視機構へはまだ加盟しておりません。このロンドン条約を機会にしまして、できるだけ早い機会に加盟手続をとるべく関係省庁と協議を進めておるところでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 ちょっと戻って、さっきのところでひとつ数をいただきたいのですが、六千メートルのところに沈めて、それでもその水圧で大丈夫だというお話でしたけれども、六千メートルのところで水圧がどのぐらいあって、試験は何気圧ぐらいだったのか、教えていただけますか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 水深十メートルで大体一気圧でございますので、六千メートルで約六百気圧になります。試験は七百気圧で行いました。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 いまのお話で大体わかったような気がするのですが、しかし最近問題になったのに、相模湾と駿河湾で、昔、放射性同位元素協会が捨てた同位元素ですか、何かこれによって汚染が起きているというようなことが報道されております。これは大分前のことですけれども、これから本格的な海洋投棄というようなことをやっていくに当たって、こういうことも本当であるとすると大変にマイナスの要素であるというふうに考えます。私の聞いている範囲では非常に微量であるということを聞いておりますが、この問題について政府はどうお考えになっているか、伺っておきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 情報の事実関係から申し上げますと、科学技術庁が中心になりまして日本じゅうの放射能調査を行っておるのでございますが、その中の一つのデータに、水産庁の東海区水産研究所が昭和五十二年の七月に、相模湾のほぼ中央部の水深千二百六十メートルのところで採取しました海底土から、乾燥した土一キログラム当たりコバルト60が三十二・七ピコキュリー、それからセシウムが五百一ピコキュリーという数字で測定されたことがございます。一部の報道で、これが昭和三十年に当時の放射性同位元素協会が行ったアイソトープの廃棄物の海洋投棄と関係があるように伝えられたということから、この問題が起きたかと思います。  当庁としてこれを検討いたしましたところ、セシウムの方がずっと多く検出されておるわけでございますが、昭和三十年の相模湾の投棄一回だけ〇・二キュリーであったわけでございますが、これにはセシウム137は投棄されておりません。それが大量に発見されているということ、それから、この程度の数値は、平均よりはかなり高うございますけれども、日本沿岸のほかの海域でもときどき出る数字でございまして、そう不思議なものではございません。  それから、コバルト60とセシウムとの比率が十倍以上ございますが、他の地点でも、これは必ずしも一定の値ではございませんが、コバルト60とセシウム137の比は、大体こういうふうにセシウム137の方が何倍か多いという傾向が一般的でございます。  こういうことを総合的に判断し、また海底土中に吸着された放射性物質は人間生活にすぐには影響をもたらさない、そういうような挙動はしないというようなことがいろいろな過去の経験でわかっておりますが、そういうこと、それから千三百メートルの海であるということ、そういうことを考え合わせますと、この相模湾でとれた魚介類を摂取しても人体に安全上問題はないと総合判断したわけでございます。  なお、相模湾に投棄しました量は〇・二キュリー、大部分コバルト60でございますが、現在では七ミリキュリー程度に減衰している、これは計算上確実にそうなるわけでございます。  こういうことを総合判断いたしまして、さらに原子力安全委員会にもお諮りして了解を求め、十月十三日に公表申し上げた次第でございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 捨てた場所とそういう高い放射能が出たところと同じところだったのですか。それと、要するに投棄と関連性があったのか。あるいはないとお考えだったら、どういう原因でそういうスポットが出たのか、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、教えてください。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 御説明が不十分で申しわけございませんでした。  まず、測定点は投棄地点と多分約十キロ離れております。そういうことで、わずかなコバルトが影響を及ぼすとは普通考えられないわけでございますけれども、それ以上に、先ほど申し上げましたように、セシウムとコバルトとの比率が日本の各地にありますような数倍の関係というのは、その両方のものが過去の外国の核実験によって降ってきたものの蓄積ということでございますので、本件も核実験による放射性降下物としか考えられないと考えております。十キロメートル離れているということで、投棄したもののコバルトとは考えられないということでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 その問題はいまの御説明でわかりましたが、やはり最近問題になったもので、アメリカの何かサンフランシスコの近くで、昔捨てたものが大変に汚染の原因になっているという話があります。この話がまた、われわれのところでいま御計画中の試験的な海洋投棄をやる上において、太平洋の諸国の心配の原因にもなっている。また、将来的に言っても問題でありますが、どんなふうにしてこの昔のアメリカの海洋投棄というのはやったのか、その結果、最近問題になったその放射能あるいは汚染の数値というものは、どんなものがいまどこから出てきていて、どのぐらいの問題になっているのかというあたりを教えていただきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 アメリカの行いました投棄の全貌が必ずしもわかっているわけではございませんが、その後環境保護庁等が発表しました情報等を総合いたしますと、まず、ドラムかんが海底で壊れているということがよく言われますが、これはドラムかんそのものあるいはドラムかんの中にコンクリートを内張りした容器型のものに放射性廃棄物を詰めて捨てたということが言われております。こういう中空部を残しておきますと、アメリカの場合、かなり浅いところ、深いところ、いろいろなところへ捨てているようでございますが、いずれにしても水圧で、すぐにかあるいはある時間たって弱くなったときに壊れてしまう。壊れたところから中に詰めてあった廃棄物、これも固めてない状態のものがそのままこぼれ落ちているという形がずいぶんあるようでございます。そして、それが海底土に吸着される。一説では投棄したものの四分の一までが壊れているという説もございます。こういうことがアメリカのカリフォルニア大学のデービス教授という方の報告にも出ているわけでございますが、そういうどろの高度の汚染が発見されている、壊れている、あるいは生物がいるというようなことから放射能汚染が深刻であるという警告がされているわけでございます。  もちろん、これは現在のようなIAEAを中心とします経験に基づく厳重な国際基準が制定される前に、まあそう言ってはなんですが、いまから考えますと、やや粗っぽい捨て方をしたように思われるのでございますが、現在ではアメリカの環境保護庁がこの問題を担当しておりまして、せんだってでございますが、ファクトシートという報告書を出しております。結論としましては、海洋環境に特別の害を与えるような汚染の心配はないという見解でございます。  たとえば一例でございますが、デービス教授の論文に、二十六万倍の汚染というような言葉がございましたけれども、これはバックグラウンドというのが大体そんなに安定した割り算のできるような数字でないことは、これは常識から言ってもそうでございますし、環境保護庁の方の数字から言っても、とうていこういう大きいものではないというようなことを言っております。それから、米国原子力学会あたりでも、もう少し別の評価の仕方があるはずだというような批判が出ているということも聞いておりまして、さらにこの詳しいことは調べようと、いま情報収集に努力しているところでございます。  ちなみにでございますが、わが国の海洋投棄の場合は、ドラムかんの中に中心にまで非常に均一に、しかも強度が十分高い状態に保てるようなコンクリートをつくって、一つの岩のごとくしたものを六千メートルの深海に捨てる、そしてその捨てたときには壊れないという形のものを予定しておりますので、アメリカの方とは全く違ったものになり、ああいったアメリカのケースでもそれほどの害はないと言われておりますが、それとは全く違った形で、全くそういう心配のない形でやる予定でございます。  なお、御指摘のように、アメリカの問題というのは、やはりいろいろ不安感をあおり立てることにもなります。さらに詳しい事実関係を調べるように努力をしているところでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 いまの中でもうちょっと補足していただきたいんですが、サンフランシスコ沖で粗っぽい捨て方とおっしゃいましたけれども、どのくらいの深さのところに捨てたのか、これが一つと、それから、たしかもうやめてしまっているわけですね。いつごろまでそれをやっていたのか、これだけ教えていただけますか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 サンフランシスコの沖のファラロン島周辺ということが言われております。この辺の水深、一定のところではないようでございますが、九百メートル−千七百メートルの比較的浅いところが多いようでございます。一九六九年まで投棄が行われておったと聞いております。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 先ほど御説明の国際的な枠組みというものも確立されておる、安全性についても十分に確認してやるというお話でありますが、とにかくこの試験投棄というのをやってさらに経験を積まなければいかぬというわけだと私は思うのです。しかし、やはり太平洋の諸国だとかあるいは漁業関係者の方々の十分の理解を得た上でないと強行するわけにいかぬというふうに考えますが、どういう努力をされているか、その点をお伺いしたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 やはり低レベルの放射性廃棄物を海洋に捨てるということになりますと、一番関心のあるのは水産関係者だと思います。それからまた、南方には多くの島がございます。このため、原子力委員会の五十一年に決められました方針、それから安全評価、そういうものをもとにいたしまして漁業団体等への御説明の努力を重ねてまいりました。これまで二十数団体に対して説明を行っておりまして、特にこういう遠洋に出ます漁業界の方には詳しくお話し申し上げているわけでございます。また、太平洋諸国につきましては、本年二月に北マリアナ連邦の信託統治領の施政国としてのアメリカに対しまして、説明して協力を求めました。また、オーストラリア、ニュージーランドからも照会がございまして、説明を行いました。さらに、フィージー、パプアニューギニアというような南太平洋諸国に対しても説明を行ったわけでございます。さらに、ことしの八月になりまして太平洋地域拡大首脳会議というのが開かれました。そこへ担当官が出席いたしまして、首脳の方々に直接御説明申し上げました。これに引き続きまして、さらに専門家が西サモア、ソロモン等多くの国々に順次回りまして、御説明を申し上げてきたわけでございます。  これだけではまだ幹部の、首脳の方への説明にとどまっております。さらに深めた説明を行うために第二次の派遣団を派遣する、それからまだ行っておりません国にも説明に伺うという準備を現在進めておるところでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 新聞の報道でよくわかりませんけれども、やはりアメリカで捨てた昔のものが大変に汚染の原因になっているというようなことは、あの説明を聞いても太平洋諸国にずいぶん懸念の原因になっているんじゃないかと思うのですが、そのあたりはどういう感じでございましたか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 私ども現地に派遣して説明した者から聞きましても、あるいはほかの情報源から聞きましても、全く御指摘のとおりでございまして、いままで太平洋が核実験の場所に先進国によって使われてきた。それから、いまから見ると、アメリカが太平洋にかなりいいかげんな廃棄をしておる、先進国というのは一方的に何をするかわからぬという不信感が現地にあることを非常に強く感じております。わが国は、国際的な基準はもとよりでございますが、自分自身も身を引き締めて経験上非常に厳しい措置をとってきた、国内の考え方がこうであるということを誠実に現地の方々に御説明申し上げることによって、いままでの核実験とか乱暴な廃棄とは全く違った次元で、魚を一緒に食べる日本と南方の方々との連帯のもとでの安心感を持っていただくように、誠実な説明を続けていきたいと考えております。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 アメリカの人たちもずぼらなことをやって、しまったと思っているのだろうと思うのです。アメリカも日本の原子力開発ということに反対しているわけじゃないし、こっちが説明するだけでもいいんでしょうけれども、連中に来てもらって、おれたちのやり方は実はまずいことをやっちゃったんで、あれはこういうわけだというようなことを説明してもらうわけにいかぬでしょうか。これは一つの例、考えとして申し上げておくだけで、質問じゃありません。  最後に、「むつ」のことを伺いたいのですが、今国会でも法案が出るのでちょっと関連して御質問申し上げたいのです。  「むつ」自体いろいろやっかいな問題が起こっております。しかし、それとは別にというわけにはいきませんけれども、日本で原子力船について十分研究をし、実験をやり、そしてこれの経験を積んでおくということは、将来のいろいろな面でのエネルギー問題の一環でありますから、大変重要なことだというふうに私は考えております。「むつ」にも関連をいたしますけれども、全般にこの原子力船の開発ということについてどういう考え方で取り組んでいこうとしておられるのか、その点を伺いたいと思います。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 お答え申し上げます。  原子力船の研究開発を考えます場合に、非常に大きな前提になりますのは、世界的にそれがいつごろ実用化になるのであろうかという見通しが基本になると思うわけでございます。この点につきましては、昨年の暮れに原子力委員会に設けられました原子力船研究開発専門部会におきまして総合的に判断をいたしたわけでございますが、その結論といたしましては、来世紀、二十一世紀に入るころには、欧米先進国において原子力商船の導入が相当進んでいる可能性があるという前提に立ったわけでございます。その後石油情勢はさらに逼迫しておりますので、この見通しが甘いのではないかという御意見もございますが、私どもといたしましては、この判断を一応基礎にして今後の原子力船開発を考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。したがいまして、先生御指摘のように、中長期的なエネルギー情勢を考えます場合に、海外との貿易等に大きく依存している、また世界有数の造船海運国であるという立場を考えますと、世界の先進国におくれることなく原子力船の実用化を目指して研究開発をじみちに、しかも積極的に推進していく必要がある、かよう考えておるわけでございます。  その方策といたしましては、現在せっかく建造いたしました原子力船「むつ」の定係港、あるいは修理点検を完了いたしまして、これを最大限に利用する形で実験航海のデータを十分取得いたしたいということが一点。それから、「むつ」の開発と並行いたしまして、経済性に力点を置きました次代の舶用炉の研究開発についても、スタートからじみちに、相当の時間をかけて進めていかなければならないだろう、かよう考えているわけでございます。この考え方を基礎にいたしまして、本国会にも、現在の日本原子力船開発事業団の改組を中心といたしました法案をお願いしている次第でございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 改修しても定係港が決まらないと、その後また進まないということになってしまうわけでありまして、何とかして地元の納得を得て定係港というのを見つけなければいかぬ。これは非常に大事なことだというふうに考えますが、どうも不安を増すような材料というのが幾つかあるんじゃないか。たとえば、大湊港のむつ事業所に予備の新しい燃料体があった。一部の報道によると、秘密に置いてあったというような話になっているわけですが、これは一体どういうことになっているわけでしょう。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 ただいま御指摘のございました予備燃料体二体の話でございますが、現在むつ事業所に貯蔵されております二体の予備燃料体は、去る昭和四十七年一月に同事業所に搬入されました三十四体のうち三十二体が原子炉に装荷されたわけでございまして、予備として二体の燃料体が保管されているということでございます。この事実は原船事業団の年報に記載されておりますし、当時の県あるいはむつ市の関係者も当然御了解のことであったわけでございまして、政府あるいは原船事業団が故意に隠していたかのごとき報道がなされたことについては、まことに心外であると考えております。  御参考までに、遅まきになりましたが、そういう誤解があってはいけないということで、去る九月の十二日に、報道関係の方々にも、この二体につきましては公開をいたしまして、十分ごらんいただいたというふうに聞いております。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 それからもう一つは、何か廃液を相当大量に流してしまったことがあるというような話もございますね。これも一つの不安の原因になっておりますが、その話をお聞きしたいと思います。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 廃液につきましては、確かに湾内に約六百トンを排出したという記録が確認されております。そのもの自体は十分処理をし、また十分確かめた上での排出の行為が行われたことは確認されております。したがって、安全上何ら問題はなかったということでございますけれども、今日の時点で規制当局に御検討いただいたところ、手続的には適切さを欠いた面もあったということでございまして、昔のこととはいえ、厳重に原船事業団に対して注意を促したところでございます。

椎名素夫自由民主党

○椎名委員 まだまだ伺いたいことはたくさんあるのですが、時間が参りましたので終わりにしたいと思いますけれども、いろいろと昔の話が次々に出てきて不安材料が大変に、これで終わりになったかと思うとまた出てくるというような感じがするわけであります。  最初に申し上げましたけれども、原子力の安全性というのは、もちろん技術的な問題が非常に重要でありますが、それと同時に、われわれの日本の歴史から見て、普通の国以上にそういう懸念が強いところである。ですから、さまざまなことを進めていく上の手続というものについても、きちっと説明のできるようなことを、やはり各段階で踏んでいかないといかぬということを私、思うわけであります。いままでいろいろ出てきたわけですが、これからもますます大きな規模で原子力の開発というものは進めていかなきゃいかぬということでありますから、ぜひそういう点について政府においても、あるいは関係の各機関においても、遺漏がないようにしていただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 日野市朗君。

日野市朗日本社会党

○日野委員 新しい科学技術庁長官、それも大物を迎えまして、科学技術庁も恐らく非常に張り切っておられると思いますし、われわれも、科学技術庁がきちんとした成果を長官のもとにこれから上げていただきたいというふうに強く期待をするわけであります。  ただ、長官ももうすでに御承知のように、科学技術庁の抱える問題については、国民の中でいまだにコンセンサスを得ていない、原子力をどうするかという大問題があるわけでありまして、この点については余り暴走されても困ると思うのです。     〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕 もう国内に賛否両論がある、これはやむを得ないことでありまして、それをいかに調整し、両者の意見をうまくくみ上げながら、これからの科学技術の発展を図っていくかという非常に大事な側面、それをしも科学技術庁は担当をしなければならないわけでございます。そういった意味からも、科学技術庁の新しい長官に対して、いろいろな御要望をこれから私の方からも申し上げていかなければならない、このように思っているわけであります。  それで、まず原子力の問題については、これは国民の意見に非常な分裂というようなものが見られているわけでありますが、究極するところ、この原子力の問題についてはいろいろ問題もありますが、一体日本は核武装に向けて進んでいくのかどうかということについては、非常に根太い底流、これに対する批判的な底流、またはこれに賛成して推進しようという底流、こういった太い底流があるように私には思われるわけであります。それで、そういう観点について大臣がどのような考え方を持っておられるかということは、これからの原子力行政に非常に大きな影響をもたらし、影を落とさざるを得ないと思います。そういう見地から、大臣のお考えをこの際ただしておきたいというふうに私、考えます。  まず、この問題は、非常に広い背景と申しますか、広大なバックグラウンドを持っているわけでありまして、どこからどのように伺ったらいいのか、私も非常に困っているところでありますが、まずその原点になる、一体日本の防衛というものをどのように考えるかというような角度からアプローチをしてまいりたいというふうに思います。  それで、日本の防衛について、大臣は一体どのように考えておられるのでしょうか、この点をまず伺いたいのですが、非常に大きな問題を真っ向から投げかけてもお答えになりにくいでありましょうから、どの程度のことをやれば日本の防衛はできるというふうにお考えになっておられるのか、ひとつお考えになっておられるところを伺いたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 せっかくのお尋ねではございますけれども、いま私の所掌は科学技術行政でございまして、防衛の責任者ではないわけでございます。したがって、お答えするべき立場にはございませんが、要は自主防衛、自分の国と自分の財産は自分で守っていこう、こういう範囲内で防衛は考えるべきだ、これが憲法に定められた最小限度の基本的な考え方ではないか、こう思う次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 非常に差しさわりのないようなお答えでありますが、少なくとも国民の信託を受けて国会に出てきている以上、これはやはりお考えがあろうかと思います。専門家ではないというふうにはおっしゃっているのでありますが、少なくとも国会議員である以上、きちんと押さえておかなければならない防衛の考え方というものはあろうかと思います。もちろん私は、これは非武装であって中立であるべきだというふうな考え方でございますが、この非武装に対する大臣のお考え、いかがですか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 非武装中立で国が安全であるならば、これにこしたことはありません。一番理想の形態ではございますけれども、私どもの見るところでは、世界の情勢等、あるいは非武装中立といわれている国々においても、国民皆兵といったような、国を守る体制というものは、どこの国でも最小限度持っているのじゃないか。そういう現実性からいっても、残念ながら国を守るという防衛力だけはやはり持っていかなければならないというところであって、非武装中立論には賛成しかねるところでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私に言わせていただければ、非武装中立というのは理想だということをいま大臣もおっしゃったわけですが、いままでの日本の政治、政策の進め方というのは、総合的に物を見て言うわけでありますが、残念ながら、この理想を実現していこうという方向には進んでこなかったように思います。私は、これは総合的に、外交、経済、そういったもの一切を含めて、そういう理想が実現されるような国際環境をつくっていくことが必要だというふうに思っていますが、大臣、いかがでしょう。     〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 これも私の担当ではありませんけれども、理想は追っていかなければなりません。したがって、わが国は全方位外交とも言われるように、いかなる国とも仲よくするのだ、これは中立というのかどうかわかりませんが、いかなる国とも仲よくしよう、そして国際紛争が起きないという努力をしていくことは、もう言うに及びません。しかし、だからといって非武装で国民の生命、財産に責任を持てるかということを考えたときには、国民の経済力の最小限度の範囲内において国を守る体制ということもつくっていく、この国を守っていく体制も国際のトラブルをなくしていくゆえんではないか、あれやこれや考えますときに、やはり国は最小限度守るという体制が必要だと考えます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 国を守っていくための最小限度のものは必要だ、こういうお立場かと思いますが、いつも論議になることなのですが、一体最小限度のものというのは、それはどこで最小限度と言うのかということが非常に議論のあるところでございますね。最近は、防衛庁あたりでは、核砲弾あたりまで持つべきだというようなことまで言い出してきているわけでありますが、大臣の言われる最小限度のものというのは、一体どの辺のことを指しておられるのか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 これも私の答弁するところではありませんが、通説言われておるのは、国民総生産の一%の範囲内というようなところがよかろうではないかということが国会で議論されていることは承知いたしておりますが、それは防衛費についてであって、内容その他については専門家がしかと勉強して、しかるべきことを考えてくれるものと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 ここは余り深入りしてもいけないことかもしれませんが、よく言われるのは、専守防衛であるとか、それともさらに攻撃の能力を持った軍備とか、そこいらのことがよく言われるのですが、そこいらを、大まかな分け方でありますが、どんなふうに考えておられますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 これも私の答弁するところではございませんが、言われていることは、間違っても外国に行って戦うというようなことはない、あくまでも本土に押し寄せてきたときにこれを守るというのが基本的考え方のようでございますし、私もそうあるべきだと思っております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 実は私、余り委員会で演説はしない方なのですが、きょうは少しやります。  それは、やはり科学技術庁という役所が原子力にかかわるというところから、この防衛問題にかなり密接に結びついているというふうに考えざるを得ないことがあるので、わざわざ私は聞いているのです。  実は科学技術庁長官におなりになったときには、この平和に対する考え方、それから核兵器に対する考え方、核武装に対する考え方ですね、こういうことについては、やはりきちんとした認識を持っていただかなければならないし、科学技術庁の長官というのは、そういうお立場であろうというふうに思うので伺っているわけですね。ですから、科学技術庁長官の答弁としては、これは私の答弁すべきところではないというのは、私は非常に心外に聞こえてならないわけなのであります。ぜひお逃げにならないで、所信とされるところをひとつお答えをいただきたいというふうに思うのですが、長官としては、専守防衛ということにあくまでも徹すべきだというふうにお考えだ、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 全くそのとおりで結構でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 これは時代が変わろうと、憲法が現在の憲法である限りそのように考える、これでよろしゅうございますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 憲法は守っていかなければなりませんし、擁護していかなければなりません立場でございまして、この精神から言っても、その考え方は守り抜いていくべきだと考えております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 憲法のことがちょっと出ましたけれども、もちろん憲法をお読みになっておいでになりましょうね。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私は法律学者ではありませんから、そんなに詳しくは読んでおりませんが、国民常識、国会議員としての常識程度は読んでいるつもりでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 憲法第九条から、いかに専守防衛だといえ、どういう解釈をとれば軍備が持てるということになるのか。これは、やはり専守防衛でも、一応軍備をお持ちになるという立場でございましょう。そうすれば、憲法第九条からどのような根拠によって軍備が持てるというふうにお考えになるのか。これはまさに大臣として所管外ではありましょうけれども、これもやはり国会議員として、国民に対し憲法を守り、そして国民の信託にこたえるという立場からは、ここらの認識はきちんと踏まえていただきたいと思いますので、軍備を持てるという根拠としてお考えになっているところをお聞かせいただきたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 その辺は、憲法論者でも分かれるところでありまして、非常にむずかしい議論のあるところでございますが、私ども政府の統一見解としては、自国を守る最小限度のものは、憲法の定めるところ違反をしておらないという解釈でございまして、条文についてどうのこうのという議論になってくると、国会議員以上に、憲法学者ですら意見があるところでありますから、私が申し上げるべき立場にはございません。

日野市朗日本社会党

○日野委員 確かに、憲法の解釈の論議をここでやろうというのではございませんけれども、少なくとも憲法を擁護、尊重すべき立場、これを政府の、公務員を初め国会議員は全部負っているわけでございまして、憲法の解釈としてこういう武装はできるのだという解釈、それはあることもよくわかります。しかし、そういうことではなくて、自分はどういうふうにすれば、どういうふうにこの憲法九条を考えればいいと考えておられるのか。それとも、憲法という問題よりも先に、やはり日本の国を守る必要があるのだという立場と二通りお答えになったようにも私は思いますので、そこいらもう一度詰めた御答弁をいただきたいのですけれども。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 自国を守るということは、憲法以前の問題であるという議論もございます。しかし、いまの憲法は、自国を守ることも否定はしておらない、こういう解釈で自衛隊は合憲なりという判断が立っておるわけでございます。ただ、議論の中に、違憲であるという有力な説が一方にありますから、そういうわからないことにしておいたのでは国民が迷惑であるから、わかりやすくした方がいいだろうというのが一方にあって、それがけしかる、けしからぬという議論になっておるところでございまして、この辺はなかなかむずかしいところであり、いま私は、憲法について、科学技術庁関係ならば答弁できますけれども、ここでどうこうということを申し上げることはお許しいただきたい。私も政治家ですから、それなりの考え方を持っておることは言うに及びませんが、ここで憲法論議をすることはいかがかと存じますから、お許しをいただければと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 余りそこいらのところに入り込みたくないお気持ちはよくわかりますけれども、しかし、事はこれからの科学技術の行政の進みぐあいに密接に関係をいたすことであろうと私は思います。そして、そのキャップであり、当該役所のボスである科学技術庁長官が、そこいらをどのように考えているのかということは、私は国民全体が知りたがっていることだというふうに思うのですね。これからの日本の科学技術行政の進む道はどうなのか。これは後で触れてまいりますが、プルトニウムなんというのを扱います。それから核弾頭なんかの運搬手段、これも科学技術の凝縮された形で、総合された形で大いにかかわってくるところでございますので、国民としてもやはり無関心ではいられないのじゃないでしょうか。私も無関心ではおられません。それで伺っているわけでございますから、余りそこいらに深入りすると、想定問答集やなんかのことが出てくるんじゃないかという先の方は勘ぐらないで、ひとつ率直なお答えをいただきたいのです。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 憲法論議は別として、九条との関係において、あるいは防衛との関係において、あるいは核武装との関係において、科学技術行政はいかにあるべきかということになりますと、原子力基本法には平和利用に限るというしっかりした縛りもございますし、またそれを上回るものとしては、わが国が非核三原則、持たず、つくらず、持ち込ませず、この三原則もありますし、またその上には、国際的に核拡散防止条約に加入をして、現段階においては核は持たない、こういう約束もございます。したがって、国際的にも、あるいは国是としても、あるいは原子力の基本法であります原子力基本法においても、核武装に通ずるようなことは科学技術行政あるいは原子力技術行政にあってはならない、この基本線だけは明確にしておるところでございます。でありますから、私が長官に就任し、あるいは政府・自民党は、原子力が核武装につながる、あるいはそっちへ持っていこうとしているんだということは、どうか誤解にならないように、みじんもそういうことは考えておらないことを御理解いただきたいと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私も、原子力の平和利用、それから非核三原則、こういったものに忠実であってもらいたいということは常々思っているところ、願望しているところなんですが、どうもちらりほらりとそこいらの枠からはみ出したりなんかすることが散見されたりなんかしますと、なかなか心穏やかでないので、こういうことは国民も恐らく知りたがっているだろうということを思いまして、いま大臣に伺っているわけなんで、もう少し憲法の論争を、憲法論争というか、憲法をめぐる問題を若干やりたいのです。  もちろん、これは大臣も自民党の党員でございますから、自民党の政綱、政治綱領というようなものには縛られることになると思います。それで、いま問題になっているのは改憲のことでございますね。憲法の改正、このことが問題になっているようでありますが、どういうふうに憲法改正の問題を考えておられますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 これは私から申し上げるまでもなく、自民党が立党いたしました、すなわち自由党と民主党が合併をして自由民主党をつくったときの政綱に、明らかに自主憲法制定という趣旨のことを書いてございます。もちろん平和主義、民主主義及び基本的人権の原則を堅持しつつという縛りはございますが、改憲政党であることには間違いありませんし、私も改憲を選挙公報にうたって、そして国民の支持を得て議会活動をいたしておるわけでございます。私は、護憲、憲法を改正しないという議論が一方にあり、一方に国家繁栄の道として改憲論があって何が悪いのかと思うのです。ただ、私たちとしては、内閣としては改憲は行わないということになっておりますから、改憲議論をしようとは思いませんけれども、おおよそ世界じゅうで改憲論を封鎖する国はないのではないか。憲法の定めるところに従って改憲議論があってしかるべきだということだけは、私は申し上げていいのじゃないか。じゃどこをどう直すのか、九条かと言われると、いまここで申し上げる何物もありませんで、いろいろと皆さんで議論して、よりよいものがあるならば改める議論というものはあってしかるべきだ、こう思っております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 確認させていただくようなことになりますが、改憲論争は大いにやってよろしいというお考えでございますね。そしてさらに、一応科学技術庁の長官としても、やはり個人的には改憲論争は大いにやるべきであると考えている、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 それは正確じゃありませんで、改憲論争を抑えるということはおかしいではないか、大いにやっていいというわけじゃありませんが、自然発生的にあるものを、政治家としての見識を持っておるものを、これを抑えるということはおかしいのであって、これは総理大臣も、研究し、調査し、議論することは一向差し支えないということを申しているのと私の考え方には全く違いのないところでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 一方では憲法を守るという立場、これは国務大臣としては当然要請されるわけでございますね。そうして一方では、憲法を改正するという政綱を持った自民党の党員でおられる。ここのところには矛盾はお感じになりませんか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私は、全然矛盾を感じないのですね。成立しておる憲法はこれを尊重し擁護しなさい、これは当然です。尊重しなかったり、そして憲法と違ったことをどんどんやるようになったら、これはもう国家の体をなしませんから守らなければいけませんが、また九十六条でこれを改正する議論もあるわけですから、改正議論があって何も不思議じゃないし、そのことについて研究調査することは悪いことじゃないし、またこれがおかしいというのは私にはわかりません。このことはもう鈴木総理大臣も明確にいたしておるところであって、九条も九十九条も尊重しなければなりませんが、九十六条による議論があっても結構である。ただ、閣僚が発言をして、あたかも鈴木内閣は憲法を改正するのだというような誤解を国民に与えるようなことはないように注意してほしいということであって、憲法について守るための議論、擁護するための議論、そしてまた改正する議論があっていいということだけは間違いないのじゃないかと思います。

日野市朗日本社会党

○日野委員 あなたは選挙のときにも憲法改正を公約してこられた、こういうことでございますね。国会活動は、その公約実現のために憲法の改正の方向に向かってなされる、これは政治家として当然のことであろうかと思います。そうすると、大臣は、いまここで改憲するかどうかの検討を進める、その枠では構わないんだというお答えでございますが、さらに大臣の立場、一歩を進めて、憲法改正に努力をする、こういうことになるわけでございましょう。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私の長い政治家としては、憲法改正について党の決め事、憲法の決め事の範囲内でやっていくということは間違いありませんが、鈴木内閣に入っている以上は、鈴木内閣は憲法改正をしないということであるならば、閣僚であるうちは、改正しないということについて閣僚としての責任を果たしてまいりたい。選挙公報に書いてあるからといって、鈴木内閣に入って改正するとうたったわけではありませんで、長い政治家の私の基本的な考え方を申し上げたところでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 後、もっと核心に触れた質問をいたしますが、その前に、周辺部分を若干埋めさせていただきます。  自主憲法制定議員連盟ですか、あの岸信介さんがやっておられる団体がございますね。これにはあなたは入っておられますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 当初のころから入っております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 それでは、今度は科学技術庁長官としてストレートにお答えになれる部分についての質問をいたしますが、現在の日本の科学技術、これで核兵器をつくるに十分なだけの技術水準は持っているというふうにお考えになりますか。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 私どもは、原子力基本法のもとに仕事をさせていただいておりまして、核兵器ということを一度も検討したことがないものでございますので、われわれの技術水準がそういうものに値するかどうかということについて検討したこともないし、考えたこともございませんので、今日ちょっと御質問にお答えいたしかねます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 日本は潜在的な核保有国だ、こう言われる現状をどういうふうにお考えになりますか。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 確かに先生御指摘のように、潜在的核保有国として日本の名前がときどき外国の文献に散見されるということは事実でございますが、どういう判断でそういうことを言われているのかかいもくわからないまま今日まで過ごしているわけでございます。想像いたしまするに、恐らく日本の科学技術及び工業技術水準が高いということを指して、そのような推論がなされているのではないかと想像しているところでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 科学技術庁としては、核兵器をめぐっての検討をしたことがないというふうにおっしゃっておられますが、私はそんなことはないと思うのですね。科学技術の総和について私、いま話をしているのでありまして、核兵器といったものは決してそんなに原理的には複雑なものではありません。むしろ非常に簡単なものと言った方がよろしいかとも思いますし、それから外国の例では、大学院の学生程度の者が核兵器をつくることができるんだなどということまで言われたりしている。そういう現状を見ながら、日本の技術力の総和としてできるというふうな判断がなし得るのか、できないという判断がなし得るのか、そこらを伺っているわけです。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 主として米国だったと記憶しておりますが、一部の学者あるいはまだ学生の段階の人が、原爆について、簡単にできるんだという論文あるいは記述をしているということは耳にしております。これは想像の域を出ませんが、恐らくいろいろなノーハウがありまして、一度そういうノーハウを乗り越えた国あるいは技術集団についてはそういう判断ができるかと存じますが、私ども全くノータッチでございますので、それかできるのかできないのかという判断はいたしかねるということを申し上げているわけでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いろいろなノーハウというふうにいまおっしゃったわけでありますが、一番のノーハウは、核兵器をつくるときに一番問題になったのは、いかにウランをうまく取り出すかというところであったわけなんですね。その障害が乗り越えられた以上、それはそんなにむずかしいことではない。これは率直にお答えいただいていいのですよ、これはできたって、つくるかどうかという問題はまた別の問題ですから。ぜひお願いします。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 確かに、非常に高濃度のウラン235の製造あるいは非常に純度の高いプルトニウムの製造は、乗り越えるべき一つの大きな段階かと思います。したがいまして、そういう物質が得られたならば、原理的に何かできるのではないかという範囲においてはわかりますけれども、それ以上実は検討したことがないと申しますか、考えたことがございませんので、最終的に、いや、できますということが申し上げられないということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 どうもそのお答えでは、何か非常に逃げの答えをしておられるようで、率直にもっとお答えをいただきたいのですね。現在日本が潜在的な核保有国だなどと言われているような段階ですらそういうお答えをなさるというのは、私、とても理解に苦しむのです。いや、できる状態なんだが、それは絶対つくらせないための覚悟があるんだ、そして、そのためにはこれこれの措置をとっているんだということがあればですが、検討もしたことがありませんでは、これから検討が始まった場合に、どっちの方向に向けて一体進んでいくんだなどという疑念をかえって増幅することになるのじゃありませんか。いかがですか。私は、これはつくろうと思えば簡単にできると思います。非常に単純な形であれば、核燃料を、プルトニウムでもウランでも構わぬ、一定量を用意して、そして核分裂を始めさせればそれで結構なんで、どうでしょう、できるんじゃありませんか。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 同じお答えになって恐縮でございますが、そういうデータの蓄積もございませんし、検討もしておりませんので、そういう判断はいたしかねますが、そういうものはつくらないんだということだけははっきりしていると考えております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 核兵器の爆薬に相当するウランとかプルトニウム、こういったものの量は、もう核兵器をつくるに十分なだけのストックがあるということだけは間違いございませんね。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 現在研究炉に必要な高濃縮ウランにつきましては、アメリカから買っておりますので、蓄積はございません。それからプルトニウムにつきましては、単体の形での蓄積はございませんが、溶液の形あるいは、少量でございますが、ほかの金属とまざった形でのプルトニウムは日本に存在しております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 それから、核兵器の運搬手段について伺います。  ロケットの技術というのは、いまのところ日本は余り進んではいないと思いますが、ロケット以外の運搬手段なんかについてはいろいろ検討しなければならないところだと思います。運搬手段一般について見て、科学技術庁としてどうでしょう、核兵器の運搬手段をつくっていくことも、現在の日本の技術水準では可能だというふうにお考えになっておられますか。

勝谷保科学技術庁研究調整局長

○勝谷政府委員 お答えいたします。  宇宙開発事業団法の目的で、平和利用に徹することがうたわれておりますし、当時宇宙事業団法を通していただきますときも、国会の決議で、平和利用に徹するよう決議をいただいております。当時総理大臣も、平和利用に徹して宇宙開発を進めることを明言いたしているわけでございます。  その後、この法律の目的並びに国会決議に従いまして、宇宙開発につきましては、平和利用に徹して開発並びに研究を進めてまいりました。したがいまして、現時点で、先生、そういうものがどうかということを御質問いただきましても、残念ながらそれにお答えするような研究と開発を進めていないわけでございますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 平和手段に徹するんだというふうに私、いまずっと聞きました。本当に私もそうあってほしいと思うのですが、残念ながら、いやどうも本当にそうかいなということを疑わせる現象といいますか、事実というか、そういったものが幾つか私、挙げることができるのだと思うのですね。  それでは、まずここでその一つの例についてちょっと伺っておきたいのですが、そんなにむずかしいことじゃありません。原子力の開発、これは中曽根さんが、科学者や何かがこれから原子力に日本も手をつけるかどうかということでいろいろ苦悩しているときに、いきなりもう札束で科学者の顔をひっぱたいて、やるんだというようなことを言いながら原子力開発の予算をつけたというようなことがありまして、突然ある日何かが起きるということだって、これはあるわけですね。  それで私、いま原子力の三原則というものをどのように考えるべきかという点について若干の質問をいたしますが、もちろん大臣、原子力の三原則は御存じでございますね、自主、民主、公開。一体どういう経緯でこの三原則というものが言われ出したのか、これは御存じですか。自主、民主、公開というそれぞれの柱が一体どういう意味を持っていたのかということは、御存じでしょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 自主、民主、公開の三原則はよく承知いたしております。  まず、民主でございますが、これは役人だけじゃなくて、原子力委員会というような、民間の人も入っていただいて民主的にこれを進めなければいかぬということでしょうし、自主というのは、外国からああやれ、こうやれということではなくて、平和利用に徹するということについて自主的にやっていかなければいけない。これを担保するためには、原子爆弾をつくるとか核兵器をつくるというようなことではない、公開の原則に立って国民に疑惑を与えない、こういうところから真剣に議論した結果、この三原則ができた、こういうふうに認識いたしております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 非常によく御承知なんで、私も実は安心をいたしました。特に公開の原則というものは、いま大臣がおっしゃられたような非常に重大な内容を内に秘めているわけですね。これは核兵器なんかは絶対に持たぬのだ、そのためには、何をやっているかが国民にオープンにわかるようにしておかなくちゃいけない。特に学者の側からは非常に強いそういう意見が出されまして、この公開の原則というものが定められたというふうに思います。  しかし、公開の原則が、いま実は公開の原則と実際上言えないような形になって運用されているわけでございますね。ここでもしばしばその点は問題になるのですが、科学技術庁の答弁は判こで押したように、これは成果の公開である、こういう形なんです。しかし、私、そもそもそういった公開の原則というものが定められた沿革を見てみるときに、これは成果の公開だけでは足らぬのだと思うのですよ。いま何が進んでいるかということすべてが公開されるべきだというふうに考えるわけですが、いかがでしょうかね。——いや、これは大臣に聞きたいな。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 当初から成果の公開とうたわれていたわけでございます。確かに先生御指摘のような議論があるかと存じますが、一方、財産権の問題あるいは核拡散の防止といった観点、核物質防護といった観点、いろいろ新しい情勢もございますので、そういうことを踏まえまして、成果の公開の原則ということはできるだけ厳正に行われるように、また要らぬ疑問を与えないように行われるというふうに運営してまいるべきだと考えております。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 いま答弁ありましたように、公開の原則は守らなければなりませんが、そしてまた、それに努めてきたところではございますけれども、やはり成果の公開の原則というものを守ってまいりませんと、そこにはまたいろいろの問題もありますので、その点は御理解いただきたいと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 これは、財産権を守るとかそういった側面は、確かに重大な側面として考えなければならないことは、私も否定はいたしません。しかし、政治的ないろいろな価値判断の基準から見て、より重大な守るべきものというものはあるんじゃないでしょうかね。たとえば、少なくともこの核の問題に関しては、財産権なぞよりも、むしろ国民の疑念をきちんと晴らすのだ、われわれは核武装をしないのだという方向に向けて進んでいる担保をきちんと持つこと、これは政治的に見て、より高い守られるべき国家的な法益であるというふうに私は思いますが、いかがでございましょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 両面があるのだろうと思いますが、公開の原則によって、すべてどこにどんなものがあって、どういう技術によってどうだという公開をすることが、これは財産権の問題もあれば、核拡散、たとえば盗難その他の問題もありましょうし、その辺は節度ある公開でなければならない。やはりそうなってくると、成果について公開するという原則だけは守り抜きませんと、御指摘のように、過程もすべて公開せいということになると、むしろ大きな被害がそこに出てくるということも御理解いただきたいと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いま、たとえば核拡散の防止というような話がございましたけれども、それは、私はこう思うのですよ。  それが漏れて拡散するかもしれないからそれは絶対に秘密にするんだという手段ではなくて、むしろ公開するものは公開して、そして拡散しないだけの努力をさらにやればいいことなんでありまして、公開の原則をそこに矮小化した形で成果の公開だけだというふうにやることが、かえって要らざる不安を国民の各層に与えることにもなりやしないか。むしろそちらの方が心配だという観点で見るべきだと私は思います。成果の公開といっても、その成果をできるだけ広く解釈して、できるだけ国民の目に触れるように運営されるべきだ、今後の方向としてそう思いますが、いかがでございましょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 原子力の利用についての三原則はございますことですから、財産権の侵害あるいは核拡散にならないような範囲内においてできるだけ公開をしたいということでありますけれども、基本的な、大事なところはやはり守り抜いていかなければならぬ、こう思います。

日野市朗日本社会党

○日野委員 この点についてはもっともっと話し合いをしたいところでありますが、後の機会に譲りましょう。  もちろん非核三原則というものも御存じのはずでありますし——御存じですね。これはいつごろから御存じでしょう。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 たしか昭和四十二年佐藤内閣の時代に国内外に声明した、持たず、つくらず、持ち込まずという原則は、国会等においてもしばしば御決議になっておるところでありまして、十分承知し、十分尊重してまいりたいと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 大臣に御就任になって直後の新聞記者会見で、時代の流れがあれば、時代が変われば核武装することは考えるべきだというようなことを大臣が記者会見でおっしゃったらしい。そのように新聞では報ぜられている。あの真意は何でしょう。その記者会見においては、非核三原則は十分に御承知の上での発言だったと私は思いますが、いかがでしょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私は、非核三原則も、核拡散防止条約に入っておることも、原子力の基本法が平和利用に徹するということも承知の上で、ただ、長期的に先々どうかと言うから、先々のことは国際情勢その他でわからぬが、三十年四十年先のことまではお約束できないがと言った言葉が、あたかも三十年先四十年先になったら持つべきだという印象で報ぜられたことは、私にとっては不徳のいたすところであって、守り抜いていかなければならないということだけはもう間違いないということでございまして、どうかその点、もし誤解があったら、本委員会を通じて正式に誤解のないように訂正しておくところでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私は、ほかの方が科学技術庁長官として御就任になったのであれば、きょうのような質問は実はしないのです。これが中川さんであるから質問するのです。単に大物ということばかりではなくて、いずれはもっともっと上の段階まで上っていかれて、恐らく日本をリードしていかれる方だと思います。私は、そうなってほしいという一面もございます。ですから、これは核武装してもらいたいからではないのですよ、そういう立場におありになり、かつそういう資質も十分にお持ちの方だと思うから、くどくどと憲法の問題から防衛の問題から、余り私の質問には乗っておいでになりたくないことはよくわかりますけれども、あえて質問をさせていただいているわけなんでありまして、三十年先四十年先のことはわからぬというようなお話をちょっと前置きにされたようでありますけれども、それにしても、軽率な発言であったのか、それとも先を見越しての発言であったのか、そこいらも非常に気になるところなんであります。  いまずっと周辺部分でいろいろ伺ってきたところでは、いろいろなことは私もわかったつもりでおりますが、特に非核三原則についてはきちんとした認識もお持ちになっておられたらしい。科学技術庁の長官として、その立場上、いまは核兵器を持とうなどということは言えないというのか、いや、核兵器を持つべきではないという信念を持っておられるのか、いかがでございましょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私について激励やら、いろいろお話がありましたが、私は正直言って、大東亜戦争のときに育っておりますし、われわれの仲間もとうとい命を捨てておりますから、戦争だけは絶対に避けるべきだ、これは基本方針です。したがって、核兵器による武力衝突なんというのは人類の滅亡に通ずる、これは私の不滅の根本精神でございます。しかしながら、国際情勢は、この間も中国の核実験があったように、核武装国は、核拡散防止条約に入った国、入らずにひとりで進んでいる国等があって、国際的にも核保有国がかなり勝手ではないかという議論もございます。したがって、私がもし先々のことを言ったとすれば、持たなくても済むように、世界がそういう方向に進んでほしいという願望があっての気持ちであって、さあ目には目をというような気持ちは毛頭ございません。科学技術行政のみならず、わが党も、われわれ政治家、タカ派と言われる私も、核がどんなに恐ろしいものであるか、日野委員以上に、核武装などということがあってはならないというのが政治家としての信条でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私の杞憂と言ってもらいたいわけでありますが、私が防衛問題について前置きをしましたのは、どうも特にタカ派と言われる方々の間では、失礼ですけれども、青嵐会のメンバーでもございましょうし、私も、大臣はタカ派だと思っておるわけですが、タカ派の方々の論理というのは、相手がこれだけのことをやったら、こっちもこれだけで対抗しようというような発想がどうも目についてしょうがないわけなんであります。  そうすると、どうですか、大臣の立場としては、日本を取り巻く国々は皆核武装しているではないか、日本も核武装すべきであるということが当然の論理として私は予定されるような感じがするのです。いかがなものでしょう。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私をタカ派と言う人があるんだけれども、私は、自民党の政綱、政策の域をはみ出したことは一回もないんです。自由民主党の政策綱領の範囲内において発言をし、自由民主党の政策を遂行していこう、こう思っております。  それから、いま決めつけるように、向こうが持ったならこっちも持つんだという思想だろうと言うけれども、そうじゃないんです。世界じゅうがそういうことにならないように努力をしていく、こういうことであって、向こうが持ったらこっちも持つぞ、こういう姿勢ではございません。持たなくて済むような努力をまずしていこうということで政治家としては貫いていきたい、こう思っておりますし、特に科学技術行政にあっては、そういうことを予定して、予見をして、そっちの方についても頭を使っているというようなことだけは絶対ないということを明らかにしておく次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 非常に気になることなんですが、核兵器を持たなくてもいいような状況をつくっていくことが大事だ、こうおっしゃった。私たちは、軍備をしなくてもいいような状況をつくっていくべきである、こういうことを言っているんですが、これは何か同じようなことを言っているなというような感じがしたんです、誤解があったら後で御解明いただきたいのですが。そうしたら、状況の変化があれば核兵器は持ってもいいんだ、持つべきだ、こういうお考えになるんでしょうね。私は、何があろうとも核兵器は持つべきではない、そういう強い覚悟で懸命になって、軍備も、もちろん核兵器も持たなくてもいいような状況をつくり上げていくべきだと思うんですが、いかがでしょう。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 きのうも国会で議論になりましたように、憲法上からも、自国を防衛するならば核兵器を含めて保有し得るという見解はあるけれども、わが国としては核武装は避ける、持たない、持ち込まない、つくらないということを世界に宣言し、核不拡散条約にも入り、原子力行政に当たっても平和利用に徹する、こういうことでございますから、将来にわたっても持つべきでない。そしてまた、持たなくても済むような社会建設に、国際社会を醸成するということに努力していくべきであって、そういうことがあるから将来持つんだと決めつけられないように、どうかひとつ御理解をいただきたいと存じます。  ただ、それとの関連において、防衛力については、やはり経済力の許す範囲内において核武装ではない自主防衛というものは、国民の合意も得ておりますし、これは当然あるべきだ。いま核武装について国民の合意が得られるなんて考えたら大間違いですし、核武装と防衛力とは混同しないように、私は画然としておりますので、ひとつ御理解いただきたいと存じます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 最後に、ずばり伺っておきましょう。  新聞に報ぜられた、場合によっては核兵器を持つのもやむを得ないという新聞記者会見をやった当時と現在とでは、心境の変化があったわけですか、考えか方が大きく変ったわけですか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 変わったとは思いませんけれども、将来は別だ、持つんだという報道は、私の気持ちとは一致しておりませんで、そう伝わったとしたら、そういう気持ちはなかったということも申し上げておきますし、また、この仕事に携われば、いよいよ日一日と新たに、急ではありませんけれども、平和に徹した原子力開発をやっていきませんと、これは大きな過ちを犯すという気持ちは日に日に強くなっているということだけは申し上げておきます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 では、時間のようでありますから、  これで質問を終わります。     —————————————

中村弘海自由民主党

○中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興の基本施策に関する件について、本日、参考人として、動力炉・核燃料開発事業団副理事長飯田正美君及び同理事永根五郎君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村弘海自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議

中村弘海自由民主党

○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。八木昇君。

八木昇日本社会党

○八木委員 私は、低レベル廃棄物の海洋投棄に関して若干の質問をいたしたいと思います。  春の通常国会で、低レベル廃棄物の海洋投棄が実施できるようにする法改正案が成立したわけでございますが、その後、この問題に関するいろいろ重大な事実が次々に明るみに出ておるわけであります。たとえば南太平洋諸国や小笠原島民が非常に強い反対をしておるということ、あるいは相模湾において高濃度の放射能が検出されたということ、あるいはアメリカでの海洋汚染が予想以上の深刻なものであるという事柄、あるいは韓国によるところの放射性廃棄物の投棄の事実等々でございます。  そこで、私は、最初に大臣にその姿勢と申しますか態度を伺いたいと思うのですが、いわばこのような四面楚歌というような新しい状況の中で、なおかつ大臣としては、既定方針どおり低レベル放射性廃棄物の海洋試験投棄を実施し、そして本格的投棄に向かうお考えなのかどうか。もっと具体的に言いますると、予定の地点に予定の本数のものを初年度投棄して、そして後二年ぐらい投棄後の海洋調査等をやり、しかる後本格的投棄をやっていきたいという既定方針どおり断固やられるお考えなのかどうか。そこら辺のことを伺いたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 最近、海洋投棄についてはいろいろ新聞をにぎわし、またいろいろ御意見のあるところでございますが、私から申し上げるまでもなく、わが国の行おうといたしております低レベルの放射性廃棄物の海洋投棄には、ロンドン条約あるいは国際原子力機関、IAEAの基準、OECDの原子力機関といった国際的枠組みが確立されておりまして、欧州等でもこの枠組みの中で海洋投棄が行われている。わが国もそれにならって行おうとするものであります。  御指摘のように、最近米国の海洋投棄の結果等について新聞等をにぎわしておりますが、詳細また必要があれば御報告いたしますが、そういった国際的枠組みの中で行われたものではなくて、非常に荒っぽい、ドラムかんの中に低レベルのものもそのまま入れて投げた。したがって、ドラムかんが水圧によって壊れたり、あるいは腐食してきて壊れる、こういう荒っぽいやり方でありますから問題が起きたことは事実でありますが、これとても、米国政府当局の発表によれば、魚に、人間に影響を与えるものではないと言っているぐらい、それほど騒ぐほどの問題ではないと向こうでも言っております。  わが国がやろうとするのは、やり方も全然違って、ドラムかんそのものは、私から見れば型枠、その中にコンクリートに埋め込んで、そして放射性物質が外へ出るのを——仮にドラムかんが着底と同時になくなっても支障がないというしっかりしたものを投棄するというやり方をとっておりますし、この点については原子力安全委員会における安全評価も十分やっていただいて、大丈夫だ、こういうことで、安全性については自信を持ってやっておるわけでございます。  また、北西太平洋における海洋投棄の実施は、今度投げようとしておるところの海洋投棄の実施は、水産関係者を初めとする国民の理解を得なければならないということで、国際的な協調を図りつつこれを進めていきたい、こういうことでいままでも国内の水産業者等に説明を行い、また国際的にも協調を図りつつ、やはり関係諸国にも職員を派遣して、十分資料提供、説明を行う等をやってきたところであり、今後もさらに水産業者あるいは関係諸国に十分そういったことを説明して、予定どおり試験投棄、そして試験投棄によってさらに安全性の確認を行った上で本格投棄を行いたい。  ここで補足いたしますと、何か諸外国では、自分のところで始末すればいいものを人の庭に持ってきて投げる、こういうような意見もありますが、私どもは、国際的ルールに従えば日本の近海に投げるというようなことは好ましくないという結論、言ってみれば、海の深さあるいは海底の動き等々基準がありまして、基準に合ったところがいま予定しておるところであるということです。  それから、いま米国の問題を申し上げましたが、韓国あるいは相模湾等でいろいろ御指摘がございました。これらについても、新聞で言われているようなものではなくて、韓国でもほんの一時期少々投げたということで、十年にわたって引き続き投げたとかそれが害があるとかいうものではございません。相模湾についても、確かに投棄についてはいろいろ御指摘もあろうかと思いますが、害を与えるものではないし、最近出てきたいろいろな伝えられる害は、原子爆弾の廃棄物が原因ではなかろうかと言われるところでございまして、いろいろ言われておりますが、言われているほどの問題でもないし、またわれわれがやろうとするところは、国際的にも、そしてまた昔と違った基準によって、本当に安全性ということを第一に考えて、しかも関係者の理解、協力を得てやろうということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。

八木昇日本社会党

○八木委員 大臣の答弁でありますけれども、実際問題として、たとえば南太平洋諸国がこのように強烈に反対をしておる限り、それを押し切って強行するということ等できることでもないと思いまするし、やはりこの際もっと抜本的に、いろいろな情勢も判断し、また検討も深めて、そして慎重に対処していただかなければならぬと私は思うのでありますけれども、その点は、また時間があれば大臣に質問の最後に改めてただすといたしまして、具体的に若干の点をお聞きしたいと思います。  日本放射性同位元素協会によってこれまでにRIの廃棄物の海洋投棄が、昭和三十年以来昭和四十四年まででございますか、行われたのでありますが、それに関する資料を私は科技庁からいただきましたが、やはり幾つかの不審な点がございます。  第一の点でありますけれども、私もこれまでずっと科学技術委員会に属していたわけでありませんので、全部調べてみたわけじゃありませんけれども、これまでのラジオアイソトープ廃棄物の海洋投棄はすべて房総沖、館山沖に投棄をした、そしてドラムかんの数でほぼ千六百本、放射能量で四百六・八キュリー、そして館山沖四十キロ地点、深さ二千六百メートルの海底、こういうふうに国会等で答弁をされてきたと言われております。またそのようであります。  そこで、今度いただいた資料をずっと見てみますと、昭和三十年には相模湾、そうして昭和三十二年には駿河湾に投棄をされております。この分を含めまして、トータルとしてこれまで科学技術庁が説明をしておる約千六百本、四百六・八キュリーという数字は合致をしております。でありますから、新聞等にも報ぜられておりますように、故意にもしくは意識的に相模湾並びに駿河湾への投棄を、あえて隠すと言わないまでも、言わなかったのじゃないか、そういう疑いはこれはもう当然出る疑いでございます。  時間がありませんからきょうはずっと羅列的に聞くことになると思いますので、私の感じを先に言っておきたいと思うのですけれども、相模湾、駿河湾ということになりますと、やはり国民の生活環境に近い湾内であるということ、そうして、なるほどそこはわが国の沿岸地帯としては水深は深いとはいいましても、千四百メートルか五百メートルぐらいの深さのところである。でありますから、あえてそういうところに捨てたのかというようなことが言われないように、後の館山沖以降のことだけを言った、だれしもそう考える。どうですか、その点は。率直に答えてください、前任者たちのこのですから。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 御指摘のとおり、昭和三十年と三十二年に相模湾及び駿河湾に、コバルト60を〇・二キュリー及び〇・八キュリー投棄した事実は記録上そのとおりでございます。ただ、これは十五回あるいは御指摘の四百六・八キュリー、そういう中に、全部合計の中に入った内数としておりました。いまから過去の御答弁について詳細にわからない面もございますけれども、主な投棄場所という意味で、房総沖あるいは館山沖と呼んできたのではないかと考えられます。

八木昇日本社会党

○八木委員 お答えとしてはそうしか答えられないだろうとは思っておりましたが、それじゃ、以後は全部房総沖に変更したのはどういうわけですか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 一回目、二回目の昭和三十年、昭和三十二年当時は、まだ規制法なり障害防止法ができておりませんときでございまして、これもいまからの推量が入るのですが、法律の施行によりまして二千メートル以上の深いところ、それから投棄物の堅牢性、そういうことが基準として定められまして、それの一番適地として房総沖を選んだものと思われます。

八木昇日本社会党

○八木委員 ところで、実際にその後この放射能の調査を水産庁の方で実施されたわけでありますが、これも新聞等にも大きく報道されておるのでありますけれども、その結果、私が申し上げるまでもありませんけれども、コバルト60が三十二・七ピコキュリーですか、それからセシウム137が五百一ピコキュリーというまことに異常に高い数値が示されたわけでございます。  この点、これも先回りをして私は質問をいたしますけれども、そのことについていろいろと科学技術庁は釈明をしておりますね。一つは、相模湾内でいまのような高濃度の数値が出たという地点は、実際に投棄をした地点よりも十キロ離れておる地点である。だから果たしてその影響であるかどうか、そうとは言えない、そういう意味の釈明をしておられますね。  それならば私はお伺いをいたしますが、その投下地点そのもののいわゆる濃度は幾らでございますか。それから、投棄する以前に当然相模湾内全般、駿河湾内全般、それから沖合い全般の放射能の数値というものを事前にちゃんとはかっておらなければなりませんね、いわゆるバックグラウンドの数値を。それと照らし合わせて、その当時からそこの地点はコバルト60はこのくらいであったとかなんとかというのならば、あるいはその当時でなくても、昭和三十五年当時にこのくらいの数値がその地点で出ていた、あるいはどうこうというようなことならば説明にもなりましょうが、そういう言い方は無責任じゃありませんか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 バックグラウンド調査、これは昭和三十年当時はまだ日本でシステマチックな放射能調査をやっておりませんでした。実際に行い出しましたのは昭和三十三年ごろから、バックグラウンドあるいは核実験の影響調査という意味で、日本周辺のプールや水の分析を行うようになったわけでございます。したがいまして、この相模湾、駿河湾の投棄に先立つバックグラウンド調査というのはしてございません。また、投棄地点そのものの調査も、それを意識してその場所を選んだ調査というのはかつてございません。     〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕 しかしながら、相模湾は比較的一般的調査、核実験の影響調査が主でございますが、よくやられている場所でございまして、湾の沿岸海域を十数年にわたって生物、海底土、海水の調査をやってきておりまして、十分なデータがございます。特に異常ということもございません。  そして、御指摘のコバルト及びセシウムについての三十二・七、五百一ピコキュリー、これの解釈につきまして御指導がございましたけれども、投棄点から十キロメートル離れているというのが主たる理由ではございません。もちろん、コバルトでございますから、海水の中ではほとんど沈でんしやすい性質、このことは海水を調べましてもコバルト60というのは分析にかかってまいりません。こういうことからもわかりますように、沈でんしやすい性質で十キロメートル流れていくということは普通あり得ないことという前提はございます。  しかし、われわれの解釈のもっと大きいポイントとしましては、コバルト60とセシウム137の関係が、日本全国やや共通の関係がございまして、コバルト60の数倍のセシウム137が核実験の結果、要するに投棄物等ほかのものの影響のない場所でもそういう関係があるという一般的な傾向がございます。そこまで至るには、セシウムとコバルトは非常に動きが違いますので複雑な経路をとっておるとは思いますけれども、結果的には大体そういう原則がどこでも通用しております。特に相模湾のデータにつきましては、セシウムの方が十何倍ということで、その多いセシウムに対してコバルトがずっと少ないということは、核実験の影響と見て全然おかしくないという解釈をしたわけでございます。  それから、多くの日本周辺でのデータの中で、三十二ピコ、五百一ピコ、これは大きい方の数字には違いございませんけれども、場所によりましては幾つも観測されておる数字でございまして、やはりこれも投棄の影響のない場所で、投棄したことのない場所でその数字がございまして、これも特に異常な数字とは考えないわけでございます。

八木昇日本社会党

○八木委員 短い時間で聞かねばならぬことがたくさんあるものですから、端的に答えてくれませんか。  それで、大体海洋環境の放射能濃度の測定調査というのは、これはいままでに十数年にわたってRIの投棄をしたから調査をしておるわけでしょう、主としてこの地点は。だとするならば、それはRIを投下した地点ははからないのですか。ただ漠然とあちこちをはかったってしょうがないじゃないですか。ほかのところの数字を聞いたら、それは相模湾のずっと沖の方の地点ばかりですということをおたくの方で説明をするんですけれども……。それが一つです。  それから、セシウム137は、昭和三十年当時相模湾に投棄をしていないという釈明をしておりますね。それは一体何を根拠にそういうことが言えるわけですか。先はどの答弁の中でも、当初のころはノーチェックの時代であって余り定かにはわからぬという趣旨の答弁をしましたね。確かに、昭和三十年当時というものは、文字どおりノーチェックの時代でありまして、放射線障害防止法というのは昭和三十三年に初めて制定をされているわけです。セシウムは投棄していないなどということをどうして断定的に言えますか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 相模湾のデータがたくさんあると申し上げましたのは、核実験の影響を調べるに当たりまして、水産庁の各水域別の水産研究所にお願いしましてはかっているわけでございます。水産研究所の方では、漁獲の多いところ、あるいはいそ等で放射性物質が生物に入りやすいような場所、多分そういうところをお選びいただいてはかっていると思われますが、そういう点で相模湾がやはり東海区水研の注目場所であったと思われます。これはあくまでも原爆実験の影響を調べる調査でございます。  それから、セシウムを投棄してないということは、投棄物をつくるに当たりまして立ち会った者等からの証言がございまして、コバルトだけであったということがございます。  もう一つ、傍証としまして、昭和二十九年までセシウムの輸入量がきわめてわずかでございました。当時のコバルトは、たとえばコバルト60の総輸入量は六百二十キュリーでありましたのですが、セシウムの方はわずか一・六キュリー、しかも、その大部分が密封線源として加工された形で輸入されております。コバルトの方は、国内での密封作業をしておりますけれども、これは記録ではっきり残っておるのですが、こういった事情を考えましても、セシウムというのはまだごみが出てくる段階ではなかったということでございます。

八木昇日本社会党

○八木委員 私も多少調べてみたのですが、昭和三十年以前にやはりセシウムは輸入されておりますね。その事実だけは明らかなんですよ。  そこで、そのように関係者がとおっしゃるならば伺いますが、これは読売新聞九月三十日の記事、一面トップの大きな記事ですね。お読みになったとおりです。本人は、いろいろと差しさわりがあるから名前は出してくれるなということだったんでありましょう。その記事の中で、昭和三十年の相模湾投棄に立ち会った関係者の談話を載せておりますね。「今回の調査の状況からみて、投棄物が漏れたと思う」、当時相模湾に投棄した模様もこの人は話しておりますよ。今回の調査の状況から見て、相模湾に投棄したその投棄物が漏れたと思うが、当時としては良心的にやったつもりだ云々と言っておりますね。お読みになったはずです。これについて調査されてみましたか。当時の関係者がそう言っております。

後藤宏科学技術庁原子力安全局次長

○後藤政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問の関係者について、私どもはまだ調査をしておりませんが、同時に、その新聞のところに私の発言が入っておると思います。私がそこで申し上げております点は、放同協で三十年でございますか三十二年でございますか、相模湾に投棄した放射能量はきわめてわずかであって、これは〇・二キュリーということであって、しかも半減期が五・二年ということでございますので、この五十三、四年の時点では、恐らく放射能量は七ミリキュリーといったきわめてわずかな量になるので、そういったものが五十三年時点の測定結果と因果関係を持つことはきわめて無理であるということを、そこの新聞では強調しておると思います。そういった面で、われわれとしてはあえて関係者を調べるということをしなかったのであります。

八木昇日本社会党

○八木委員 そういう無責任な答弁を了承するわけにいかないのですがね。当時のその同位元素協会、実施した法人は明らかなんですから。当時の主要なる位置にあってこの投棄にかかわり合った人で現在生存者というのは、調べればすぐわかるわけです。だから、関係者からずっと当時の事情等を、科学技術庁ならば厳密に調査すべきじゃありませんか。私はそれを要求します。そして、その調査の結果の資料をください。  それから、次は、これは大臣に伺いたいと思うのですけれども、いま申し上げましたように、いわゆる放射性廃棄物の海洋投棄というのは、今度法案が通って初めてやるわけじゃないわけですね。     〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕 昭和三十年から四十四年までの十四年間にわたって行われておるわけです。しかも、そのトータルの総放射能量といいますのは、それなりに相当なものなんですよ。しかも投棄地点が日本の近海ですからね。でありますから、その後の追跡調査なるものはまことに一般的な、勝手にあっちこっちの地点を拾って、「海洋環境の全ベータ線放射能濃度」という表を、以後の追跡調査の結果の資料をよこせと言うたら、これだけしかぼくはもらえなかったのだけれども、そういうことじゃいかぬのじゃないですか。すでに十四年間にわたって海洋投棄が行われたのですから、少なくとも投棄された地点の放射能の濃度記録というものは今後もずっととるべきであるし、それから、少なくともその廃棄物のドラムかん、容器の破損や腐食状況、そういうものを何も調査していないということは第一けしからぬ、科学技術庁として怠慢だと思うのですけれども、これからでも遅くない、そういうものの破損、腐食状況というものを具体的に調査して、そうして新たなる検討をすべきではないでしょうか。  それに対して、日本には潜水艇がないなどという理由を科学技術庁が述べて、そういう投棄したドラムかんの破損や腐食状況の調査などは不可能だというような意味のことを科技庁が言っていることはけしからぬ、そんなことは理由にならぬということを、東大の名誉教授である小野周さんなんかも語っております。それも新聞に載っております。どうでしょうか、そういう調査をおやりになるおつもりがございましょうか。これまでやらなかったことは怠慢だと思う。今後でも、少なくとも容器の破損、腐食状況等の調査はやるべきだと思うのです。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私の承知しているところでは、投げた量も非常に少ない、そしてこれが被害を与えるようなものではない、したがって、安全委員会にも報告した結果、追跡調査までは必要ないだろうという結論ではございますけれども、海上保安庁等とも協力して、今後、放射性物質が投棄された房総沖の海域については、海水あるいは海底土などの採取を行ってみたい、こう思っております。

八木昇日本社会党

○八木委員 放射能量としても決して少ないとは言えないと思うのです、四百六・八キュリーですからね。それと、やはりいま容器破損、腐食というのが大問題になっておりますから、そしてこれは過去において廃棄したものですから、ある意味では貴重な資料ですから、これはぜひ徹底的に調査を願いたいと思います。そういう趣旨の御答弁のように聞きましたけれども、なお念のために申し上げておきたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 ちょっと間違うといけませんから。その容器までどうなっているかという調査は行わなくていいんじゃないか。ただ、その影響がどうなっているかという海底土あるいは海水について調査したい。  それから、八木委員にここで申し上げますが、私たちが海洋投棄をするときに、容器の問題は、これはもう着底と同時に破損したという前提で海洋投棄を行おうとしているのであって、それからもう一つは、これはもう調査するまでもなく鉄ですから、十年とか十五年たてば腐食する、こういう前提でもなおかつ安全な固形化、コンクリートの中に埋めるという前提でやっておりますので、私どもとしては、容器が腐食するしないということは、少なくとも今後については余り問題にしないでいきたい。仮に腐食しても大丈夫、着底と同時に壊れても大丈夫、こういう投げ方をしようとしていることも参考に申し上げたいと存じます。

八木昇日本社会党

○八木委員 いまの大臣の答弁じゃ、局長、困るんじゃないですか。そうじゃないでしょう。仮に着底をした時点で容器が壊れ、そしてコンクリ自体も破損したとしても、今度やろうとされておる試験投棄の場合、魚を通しての食物連鎖やその他で、その魚を食べたとしても人体に与える影響はかくかくしかじか、ミリレムにしかすぎない、害はないという説明はしておるけれども、そうじゃないでしょう。やはり相当期間容器は破損せずにおる、また相当期間腐食せずにおるということを踏まえて試験投棄はやろう、それについては確信があるというのが科技庁の態度でしょう。いまの大臣の答弁と違いましょう。そうでないと、それは大変な答弁です。それはぶつ壊れる、それを承知の上でおれは投げるんだ、それじゃ、もう南太平洋では大ごとになります。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 いえ、いえ、壊れないであろうけれども、壊われても大丈夫、腐食しても大丈夫、それでもなおかつ安全性は、試験投棄ならば平常の一千万分の一、それから本格投棄でも一万分の一程度、容器が十年たって壊れても、着底と同時に壊れても大丈夫だ。もちろん海洋に投げた場合、壊れたり、すぐ腐ったりすることはないという前提ではあるけれども、仮にそうなってもということですから、これが壊れるとか腐るとかということはそれほど大きな問題ではない、こう申しておるので、何も違ったことは申しておりません。

八木昇日本社会党

○八木委員 やはりそれは違いますな。それは違うが、それをやっていると、あと二十五分しかありませんから、また一般質問の機会は何度もありますからなにをいたしますが、そこで、その容器の問題というのは、いま大臣がお答えになっているほど簡単な問題じゃないのですよ。やはりあれほどアメリカで大問題になっているのは、一つは容器の問題でしょう。それで、相当期間それが健全な姿でいなければ、その期間の間にある程度その半減期間を過ぎるというのが一つの安全性の説明にもなっておるわけなんでありますから。  そこで、その容器の問題について主として聞きたいのですが、カリフォルニア大学のジャクソン・デービス教授の報告が大々的に報道されましたね。ある新聞のごときは大きく、廃棄物による海洋汚染は予想以上、魚で最高八千五百倍、汚泥は二十六万倍もという見出しで報道しております。おとといでしたか、私は直接見なかったのですが、家族の者がそういうのをやっていたと言ったのですが、恐らく事実でしょう。おとといの朝、NHKでもデービス教授等が出たそうでございまして、アメリカでは、この投棄されたドラムかんは、程度の差こそあれすべて破損していたということをNHKのテレビで発言をしておったそうですね。そこで伺いたいのですが、そのデービス教授の報告、それはもう詳しくお読みになっておるでしょうね、科学技術庁で。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 お答え申し上げます。  デービス教授の報告もいろいろございますけれども、アメリカの環境保護庁が正式なリポートを出しております。それによりますと、四分の一壊れている、ただし金属は健全な状態にあるというようなことを言っております。ただ、ここで基本的に違いますのは、わが国が考えております、あるいはかつて放同協が行いました投棄の場合いずれもですが、ドラムかんの中で完全にコンクリート、しかも強度の強いコンクリートにいたしまして、一切空隙を残しておかない形の投棄物に限って投棄すると考えております。  それに対しまして、アメリカの場合は、かなりのものがドラムかんの内張りをコンクリートでして、中に空隙を残し、そこに廃棄物を封入して捨てた。こういう形ですと、それほど深くないところでも水圧によって壊れる。入手しました写真等を見ましても、ドラムかんの中ほどがへこんでおって、これは明らかに水圧によってへこんだものということがわかりますが、わが国の場合は、そういう空隙のある、要するに水圧に耐えられないものは一切捨てないという考え方でございます。それから、一体固化体をつくった場合も、模擬物的なものをつくりまして、圧力をかけて試験いたしましたが、実験結果としても十分丈夫でございました。

八木昇日本社会党

○八木委員 局長、私が聞いたことに答えなければいかぬですよ。聞いたことには全然答えぬで、ほかのことばかりあなた答弁したが、私はここに原文を持っているわけで、ことしの八月十九日それから九月十五日、二回にわたって出されたデービス教授の報告書を読みましたかという質問ですよ。それには答えずに何だかんだ、つまらぬことばかりいま答弁しましたがね。いわゆるアメリカの環境保護庁、EPAの報告はどうもいまの御答弁から十分お読みになっておるようですけれども、その報告に基づき、そうして問題点をずっと指摘しておるのがデービス教授のこの二つの報告でしょう、その欠陥を指摘しておるのが。これは私、資料要求をしましたところ、原文は確かにいただきました。ですけれども、まだ訳していないということでありますから、原文できっと全部もうすでにお読みになっておってもしかるべきだと思うのだけれども、その要約というのだけはいただきました。その中でデービス教授は幾つかの重要な指摘をしておりますですね。  たとえば、いまの容器の問題についても指摘をしております。いま申し上げたように、ほとんどやはり破損しているということであります。それから、商業用魚類を含む放射能の食物連鎖が相当やはり大きいという点、それから季節的湧昇流による深海廃棄物の移動の可能性が大いにあるという問題等を指摘しておりますね。  その湧昇流について私はなお若干聞きたいと思うのですが、日本の原子力安全委員会の環境安全評価という昭和五十四年十一月のこの結論でありますけれども、そのもととなる昭和五十一年八月の、科学技術庁の環境安全評価に関する報告書によりますというと、この十四ページの一番下から十五ページにかけて書いてあるわけでありますが、環境安全について大丈夫だと原子力安全委員会が結論を出したそのもととなっておる科学技術庁の報告であります。これでは、いわゆる海底の海水の横の流れ、水平方向の流れというものは調査をしてあるけれども、いわゆる湧昇流等の縦の動き、流れというものについては調査はなされておりませんね、この文章から見て。それから横の流れについても、「得られた記録は最大二週間」たった二週間。これは横の流れもシーズンによってずいぶん違うらしいんですが、たった二週間の記録だ。「その数も限られているので、底層流の実態把握にまでは至らない」が、「各点」というのは調査地点ですね。「各点とも流れの構造は複雑でかなり速い流れの存在することがうかがえる。」こう書いてありますね。ですから縦方向について、垂直方向についての流れというものは調査をしていないんじゃありませんか。  それから、いまのデービス教授もそのように深海底のものでも海面の方へ上がってくるということを指摘しておりますし、この点もう一つそれを非常に明確に指摘しておりますのは、ソビエトの海洋科学船ビチャージ号で調査をした結果をソ連の科学アカデミーのゼンケビッチ博士という方が発表をしておりますね。その主要点は私、持っておりますけれども、読む時間がありません。一口にそれを申し上げますならば、太平洋海溝はすべてどこの地点でも原子廃棄物の投棄には適当でない。それから、深海底の水は必ず浮上して水面に達するというゼンケビッチ博士の結論です。その点についてどのように考えておりますか。確信を持ってそのようなことはないと言えますか、この調査で。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 まず海洋の調査でございます。四十七年から四十九年にかけましていわゆる第一次海洋調査を行いまして、このときには最大で二週間の気象庁による測定でございました。御指摘のとおりでございます。その後、五十年以降にも測定を続けておりまして、五十二年には三十六日間の連続測定、五十三年からには渦の観測等さらに細かい調査をいたしております。そういうことを総合しての結果でございます。  それから湧昇流につきましては、非常にわずかな動きがあるかもしれませんが、測定にかからない程度のわずかなものしかなかった、上下運動の繰り返しはございますが、観測できるほどの目立った湧昇流はないということを確認してございます。  それからソ連の話でございますが、海溝、深いみぞになった海のところには廃棄が適当でないということを言っております。現在のIAEAの基準、今回われわれも従う基準でございますが、これも海溝には捨ててはいけない、陸から離れた平らな海底、四千メートル以上の海底に捨てる、そのほか火山帯とか地震帯、いろいろ基準がございます。要するに海溝は適当でないと言っておりますのは、海水が不安定であるということによっていると患われます。現にIAEAの勧告の中にも、海溝の深層水が大陸棚の海水と交換しやすい、それで不適当であるということが指摘されております。

八木昇日本社会党

○八木委員 これも時間がなくて内容まで入れないのですけれども、ゼンケビッチ博士はただ理論的に言っているんじゃないのですよ。マリアナ海溝という世界で最も深い海底を海洋船で実際に調査した結果の報告の結論であるということであります。もしそういう資料を持っていないとするならば、これは私、直接じゃないのですけれども、国立国会図書館にあった本の中の記述でありますから。それはソ連あたりの内容というものは取り寄せられると思いますよ。研究をしてもらいたいと要望をしておきます。  時間がなくなりましたので、あと、いまの南太平洋諸国の首脳会議の決議の問題について、これは大臣に伺いたいと思うのですけれども、この決議の内容は御承知だと思います。  ことしの八月十五日、グアムのアガナにおいて採択をされた太平洋地域における核廃棄物の投棄及び貯蔵に反対する太平洋地域首脳会議の決議、その決議の内容は御承知のとおりでありますけれども、要するに、日本政府が核廃棄物を国際的な太平洋海域で投棄する計画を停止するよう強く要求する。さらに、米国及び日本政府が南太平洋島嶼に核廃棄物を貯蔵することの可能性を研究するための努力をやめるべきであることを決議する。さらに、太平洋地域でのあらゆる核廃棄物の投棄と貯蔵に強く反対するとともに、これを阻止するための必要なあらゆる法的手段を模索することを決議する、こういう非常に強い決議ですね。要するに、海洋投棄によるところの安全性というものが相当長期間にわたってはっきりと確立するまで試験投棄も含めてわれわれは承知できない、それをあえて日本政府が強行するようなことがもしあるとするならば、それを阻止するための必要なあらゆる法的手段に訴えてでも阻止するという決議ですね。  それから小笠原島、小笠原母島それぞれの漁業協同組合からの陳情文書、それから小笠原村長、小笠原村議会議長から長官あての陳情書も、要するに絶対に海洋投棄反対だという要旨のものでございますが、これらの問題が解決できない以上、実際投棄はできないと私は思うのであります。これはもう当然だと思うのでありますけれども、そのように大臣もお考えになっておるかどうか。そしてさらに、何とか先方の理解を得るような努力をするというふうにお答えになるのでしょうが、それでも先方の了解が得られない限り強行投棄ということはやらない、それは事実上できない、こういうお考えであるかどうか。私は当然そうだと思うのですけれども、確かめておきたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 わが国の放射性廃棄物の、低レベルでありますけれども海洋投棄、試験投棄に対しても、もちろん本格投棄に対してもそうだと思うのですけれども、南太平洋諸国の反対、小笠原島の反対、よく承知いたしております。今後とももっと努力をして、大方の賛成を得て海洋投棄を実施したいと思っておりますが、御指摘のように、大方の賛成が得られないままに強行するということは実際上不可能だと存じます。

八木昇日本社会党

○八木委員 非常に明快なお答えでございましたのですが、私もそう思うのですよ。あそこはビキニ水爆実験とか、一つはやはりまだ被爆者のそういう深刻な問題があるという地帯ですね。ですから私は、これは実際問題として容易でないと思いますよ。いろいろなことを考えますときに、やはりこれは相当慎重にやってもらわなければならぬと思います。  それで、韓国の鬱陵島近海に廃棄物を投棄したことが過去においてあるという問題ですが、どうも韓国側の説明は、これは私は新聞で見る限りしか承知をしていないのですけれども、韓国原子力委員会の李炳暉委員が語っておるのに、非常にあいまいな言い方ですね。十年くらい前に一度だけドラムかん一、二本、コンクリートに詰めた低レベルの廃棄物を投棄したことがある、こういうふうに言っておるというのですけれども、これは全然科学者らしくないので、一、二本なんということは大体公式に言える表現じゃないのであって、何本なら何本、それでどういう時期に、それからどういう場所に、正確な場所、それからどれだけの本数、どれだけの濃度のものをどういう方法で投棄をしたのか。それらは何か駐韓日本大使館を通じて情報を得たなんというようなことではなくて、どうも外交上の問題は私は弱いのですけれども、やはり正規の外交ルートを通じてその実態、資料等々を要求すべきじゃないでしょうか。そうしてそれを入手してもらいたい。入手されたならば、その内容を私どもにもいただきたい。韓国は残念ながらロンドン条約にも加盟していない国でございますから、あえて申せば、やはり相当問題があると思うのです。  わが国としては、日本海には放射性廃棄物を投棄できるような地点はないという判断でしょう。ですから、そういう日本政府の立場、考えというものもやはり先方に申し入れるべきだと私は思うのですが、この点いかがでしょうか。  それから、時間が参りましたから最後に、アメリカやソ連など主要各国の放射性廃棄物の地中処分あるいは地層処分の方法と実情、そういうものの資料を私どもにくれませんか。これはおたくの方の局の担当の方にお話をしましたところが、ないのかどうなのかわかりませんが、ちょっといますぐは持ってこれないというようなことで手に入っておりません。こういうものがないということは許されないと私は思うので、ひとつぜひ私どもに届けていただきたい。科学技術庁としては、これまでにそれらを十分に検討しておいてしかるべきものであるし、当然そういうものは持っておられると思うのです。これは要望です。以上二点。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 まず韓国の問題でございますが、外務省の在ソウル大使館から関係者に質問いたしまして、その回答が得られております。御指摘の新聞で言われたのとほぼ同じだと思いますが、鬱陵島の領海内で少量の放射性物質の投棄を十年前に試験的に一度やったことがある、しかし、その後はありませんということでございました。それから、調査をしたけれども汚染は見られていないということも言っております。さらに説明といたしまして、現在韓国で発生しております低レベル廃棄物の状況は、発電所は動いたばかりでございますし、研究用あるいは医療用も活動が小さいし、原子力研究所等に保管しておく余裕がまだありますので、特段現在から海洋投棄を考える必要がないという説明を得ております。そういうことでございますと、これ以上特に何か申し入れをするという状態にはないかと思われます。  それから、アメリカ等の地中処分の資料につきましては、すぐぴったりのものは見つかりにくいかと思いますが、何か工夫いたして御要望に沿うよう努力いたします。

八木昇日本社会党

○八木委員 終わります。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 吉浦忠治君。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 まず初めに、日本は資源小国でございますので、これからの八〇年代は特に科学技術によって立たなければならないというふうに考えるわけであります。長官がその最高責任者として着任をされて、いわゆる長期的な展望並びに当面の諸問題について御所見があれば、先にそれをお伺いをいたしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 吉浦委員御指摘のとおり、エネルギー資源を初め物的資源に乏しい、しかも狭い国土に多数の国民が生活しているというわが国が、この厳しい制約を乗り越えて、二十一世紀に向かって経済の安定成長と国民生活の向上を図っていくためには科学技術立国を目指す以外にない、こういう考え方でございます。このため、私といたしましては、研究開発資金の確保、自主技術開発の強化、官、学、民の連携方策の充実及び国際協力の推進等の施策を講ずることを基本的方針としており、先般の当委員会のごあいさつでも申し上げたとおりでございます。  この方針に基づき、当面急務であります原子力を中心としたエネルギー資源に関する科学技術、また宇宙、海洋、ライフサイエンス等の先導的、基盤的科学技術、防災等の生活環境の整備に資する科学技術の振興等に積極的に、精力的に取り組んでまいりたいと思っております。何とぞ委員の皆様、特に吉浦委員の御理解、御協力をお願い申し上げる次第でございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 御承知のとおり、特別委員会でございましたけれども、衆議院において今回初めて常設の科学技術委員会に格上げをされたわけでございますが、これについて長官はどのような認識をお持ちなのか、お尋ねをいたしたい。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 去る第九十一国会におきまして国会法が改正され、衆議院に環境委員会と並んで当委員会が特別委員会から常任委員会にさま変わりしていただきましたことは、委員各位初め国民の皆様方に科学技術の重要性を認識していただいたものと思いまして、担当する者としては感謝いたしておるところであります。今後とも、私自身も科学技術の振興に一層の努力をいたすとともに、常任委員会とさま変わりしました当委員会の使命もますます大きく、今後一層の御指導、御鞭撻を賜りたい、そして科学技術行政に全きを期したい、こう思う次第でございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 長官が着任されたのが七月の十七日だったと思いますけれども、ちょうどそのころは五十六年度の予算概算要求の真っ最中のようだったわけでありますが、大臣はいわゆるニューリーダーの一人とも言われておりまして、また大物大臣とも言われております科学技術庁の長官でございますが、大変期待が大きいと思うわけでございます。特に長官、新しい施策をお持ちなのかどうか、これを来年度の概算要求に盛り込まれたかどうか、また何も注文をつけられなかったのかどうか、その点ちょっとお伺いをいたしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 まず最初に、概算要求のシーリングの問題が閣議で議論をされました。ここにおいて私も、財政状況の厳しいことはわかるけれども、一律に要求から抑えるのはいかがであるか、やはり科学技術のように二十一世紀に向かって大事なものについては前向きで要求すべきことを認めるべきではないかというようなことも発言いたしましたが、財政上厳しいことでもあるのでという話もありましたが、総額においても科学技術庁としてはかなり前向きの予算要求ができたと私は思っております。  中身につきましては、重点は、石油代替エネルギー等の中心となるべき原子力の研究開発、利用増進といったことに重点を置くこと、二番目には宇宙開発あるいは海洋開発、航空技術開発、ライフサイエンス等の先導的、基盤的科学技術の振興、それからもう一つは国際科学技術博覧会の準備に着工できる予算、もう一つは官、学、民連携によるいままでにない流動研究システムによる総合科学の推進ということで、わずか十一億ではありますけれども、この柱を新規の重点事項として概算要求をする、こういうようなことについて、私みずから事務当局にしっかりがんばるように、こうして概算要求を行ったところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 渡辺大蔵大臣とは同志の中でも特に親しい同志でございましょうが、このゼロリストなんかがそのまま国民に騒がれているような形で強いられてまいりますと、核融合の問題でありますとか、そういうものを中断しなければならないというような点に立ち至ろうと思うわけであります。その概要はいま大臣申されましたけれども、そういう点について、冒頭私が申し上げましたように、これから科学立国としての日本の長期展望というものを、大臣への期待が大きいだけに、予算等の面においても明確にしていただきたいと御要望申し上げる次第でございます。  続きまして、これは大臣の記者会見のことでございますけれども、まさかこういうことを大臣おっしゃったわけじゃないと思いますが、お尋ねをいたしたいと思います。  長官が新任直後の記者会見で、原子力平和利用は現段階では非核三原則を堅持し、平和利用に徹する、国際情勢の変化で三十年、五十年先のことは言えない、しかし、将来わが国が核武装するということではなく、そのような国際情勢にならない方が望ましい、こういうふうにお述べになったと思います。  そのように報道されておりますけれども、その中で、原子力の平和利用に徹すると言いながら、国際情勢の変化で三十年、五十年先のことは言えない、しかし、将来わが国が核武装するということではなく、そのような国際情勢にならない方が望ましいという発言は、三十年、五十年先において国際情勢が変化すればわが国も核武装することもあり得るということなのかどうか。もしそのように受け取られるとすれば、わが国の非核三原則の立場からも、原子力の平和利用を定めた原子力基本法の趣旨からも、これは大問題になろうと思います。この際、あいまいな言い方では誤解を招くもとになりますので、大臣から明確な御答弁をお願いしたい。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 私は、午前の委員会でも申し上げましたように、原子力基本法には平和利用に徹するという縛りが一つはっきりとございます。二番目には、国内的には国是とも言うべき非核三原則、持たず、つくらず、持ち込まず、これがございますし、もっと国際的なお約束としては、核不拡散条約に署名をして、国際的に誓いを立てている国でございます。したがって、科学技術行政、原子力利用については平和に徹する、これ以外考えられないということだけははっきり申し上げておきます。  就任のときの記者会見で、三十年先、五十年先のことまでは私はわからぬがと言ったことが、三十年先、五十年先になったらそうなるかもしれぬぞというふうに伝わったことは、これは私の真意でございませんで、三十年先、五十年先になっても、国際情勢その他がそういうことの議論が出てこないように期待をしたいという気持ちはございますけれども、先々そういう情勢になるかもしれぬという気持ちは全くございません。誤解があるとすれば、この際そういった気持ちはさらさらないということをはっきりとこの委員会で明らかにしておく次第でございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 大臣の方から明快なお答えが返ってまいりましたのでそれ以上申しませんが、私は、前に農林水産大臣をおやりになっていたときに同じ委員会でございまして、大臣とはやりとりをした者の一人でございます。  農業問題についてでございますが、原子力の平和利用ばかりでなくて、科学技術の面における農業問題に長官はどのようなお考えをお持ちなのか。特にそういう問題でも精通している大臣でございますし、農業の振興についてどのような御所見を持っていらっしゃるか、その点をお尋ねをいたしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 農業振興のための科学技術につきましては、食糧の確保と有効利用の観点から、科学技術会議においても重要な研究開発分野の一つとして取り上げて、昭和五十二年の六号答申におきましても、種々の課題と目標を掲げて研究開発の推進を図るよう指摘をされておるところでございます。政府においても、この科学技術会議の答申の線に沿って、農林水産省を初め関係機関、それぞれの役割りに応じて研究開発を推進しているところでございます。  科学技術庁といたしましても、従来から理化学研究所、特別研究促進調整費を活用いたしましてこの分野の研究開発を積極的に推進するとともに、科学技術に関する経費の見積もり方針の調整等の事務も科学技術庁がやっておりますので、これを通じて研究分野、関係各省、効率的に実施ができるようにいたしたいと思っております。今後とも食糧確保の重要性にかんがみまして、これに関連する科学技術の振興につきましても鋭意進めてまいりたい、こう思っております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 私は、科学技術の面で理化学研究所その他の研究所を少しばかり見せていただいて、全部がわかったわけじゃありませんけれども、ライフサイエンスの農業への応用について、最近言われておりますDNAという研究がございますね。この研究などで、遺伝子の組みかえ研究の応用等について、たとえば窒素肥料自給型作物への育種等がいまなされているようでございます。また昆虫のフェロモンと申しますか、それを研究して、一カ所に害虫を集めて一網打尽に殺してしまう、または害虫を不妊化してしまうというふうな考え方も進められているようでございますけれども、この点についていまどのような研究が進んでおりますかをお答えをお願いしたいと思います。

園山重道科学技術庁計画局長

○園山政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、理化学研究所におきましては、この理化学研究所全部で四十八ほどの研究室を持っておりますが、その中で八つばかりの研究室というのが、主として農薬あるいは植物の光合成等の研究を行っております。また、この研究室とは別に、ライフサイエンス推進部というものを設けてございまして、先生御指摘のような、最近盛んに言われておりますDNAの組みかえの研究等を推進しておるところでございます。ただいま御指摘ございましたように、DNAの組みかえによります新しい植物の品種の改良の問題でございますとか、あるいは先生御指摘の性フェロモン等を使いまして、昆虫を誘導しまして捕殺するというような研究等を行っておるところでございます。やはりまだDNAの組みかえというのは緒についたところでございますので、いま明確な成果が出たということではございませんけれども、今後大いに期待されておるところでございますので、そういう分野に大いに力を入れていきたいと思っております。  また基本的には、植物が太陽光によりまして、水分と炭酸ガスから炭水化物を定着していく光合成の機能というものにつきましても、これは非常な研究課題でございますので、こういう点も含めまして、これらの研究を今後とも推進していきたい、こう考えておるところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 科学技術、こう申し上げますと、大抵原子力の問題これから長官も頭の痛い「むつ」の問題、またロケットの問題というふうに、国民はほとんど原子力の問題等の感覚の方がぱっと印象的に強いんじゃないか、こう思うのです。したがいまして、私いま申し上げているのは、科学技術というのはあらゆる分野に開発を進めているんだということを、国民にもう少しわかりやすいような形でお知らせ願うことが大事ではないか。そういう点の一分野を私はいま長官に、前からあったから農業問題をいま取り上げただけでございますけれども、こういう点でもっと明快に国民に理解していただけるような面の方が強調されれば強調されるほど、この原子力問題がそこだけクローズアップされるような形じゃなかろう、こういうふうに思って、いまあえて申し上げているわけでございます。御理解をいただければ幸いでございます。  続いて、先ほど社会党の委員の先生方からも問題になりましたけれども、方向を変えまして、低レベルの放射能問題について、私も見解をお伺いしたいと思うわけでございます。  放射性廃棄物の投棄の問題についてでございますが、小笠原の村議会でも全会一致で反対の決議が採択され、また南太平洋でも拒否された状態でありますが、政府は来年の秋にも実施したいという計画をお持ちのようでございますけれども、先ほどの答弁で大体わかりますが、現実不可能じゃないかというふうに、先ほどの答弁を聞いて感じたわけでございます。他に予定されているところがもしもあればお知らせを願いたい、こう思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 ただいま北西太平洋に選んでおります海域でございますが、これを選ぶ基本は、IAEAの基準に基づいております。すなわち四千メートル以上の深いところ、海底が平らで、火山帯、地震帯等がないところ、さらに水産業への影響の少ないところ、特にこれはわが国がこの辺は水産をしておるところでございますので、その点も加味いたしまして選んだ次第でございます。そしてさらに、昭和四十七年から実地の海洋調査も実施してきております。     〔小沢(一)委員長代理退席、椎名委員長     代理着席〕  このような関係で選びました水域でございますので、他の場所に絶対ないかと思われますけれども、仮にありましても、現在指摘されている反対議論というのは、同じように繰り返されることもございますし、時間的にももう長い調査を経てきていることでございますので、現在の水域についての安全性の説明にさらに努力を続けていきたいと考えております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 現在各施設の管理庫の中に、放射性廃棄物ドラムかんが何本くらいたまっておりますか。また、これからどれくらいの数になっていく予定なのか。現状でいきますと、現在の陸上の保管庫で何年くらい大丈夫なのか、また、今後どういうお考え、対策をお持ちなのか、その点をまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 現在、ドラムかんの形で保管されておりますものが約二十六万本ございます。これは発電所、それから燃料加工事業所、その他研究所等含めてでございます。今後の廃棄物の発生量は、五十二年に一つの予測をしてございますけれども、昭和六十年に約六十二万本、七十年には二百万本ということが言われております。  ただ、この低レベルの廃棄物は、発電用の炉の動き方、点検の仕方、回収の仕方、そういうことによってかなり量が違ってまいります。さらに詰めた予測を現在、専門部会で作業しているところでございます。原子力発電について言いますと、五十四年末での保管庫の容量は約二十六万本でありまして、現在その中にためてありますのが約十七万本でございます。こういうことで、今後出てきます分については、保管庫をまだ増設する余地はございますので、すぐにパンクするということはないかと思われます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 大臣、この投棄場所がどうしても見つからないという場合に、地上に保管をしていて、保管庫を増設しなければ満杯になってしまう、これはもう現代人の悩みの大きな問題だろうと思うのですよ。これは何も大臣ばかりを責めているのじゃありませんけれども、こういう問題にいて、やはり政府として、これから私、逐次申し上げたいのですけれども、国民のコンセンサスなり、世界じゅうの御協力なりが得られなければ、何か急にこの問題が大きくなってきて、どこにも投棄場所が見つからないような姿になってしまうような気がしてならないのです。先ほども御答弁になっておりましたが、長官は、この投棄場所がもしも見つからない場合、どうなさるおつもりなのか。大変むずかしい質問でございますけれども……。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 これは本当にむずかしい問題ではございますが、避けて通れない問題ですね。いまお話があったように、昭和七十年になると二百万本のドラムかんの量に達するという問題でありますし、七十年で原子力終わるのじゃなくて、まだ先々二十年、三十年は原子力が中心になるだろうと言われておりますので、何としてもこれは解決しなければならない最大の課題だと存じます。  この間も福島の第一原子力発電所の廃棄物ドラムかん貯蔵庫を見てまいったんですが、裸になって抱きついてみたらどうだなんと言う人もありまして、そこまではしませんでしたが、ほおずりしてみても、あるいは計器を持っていってみても、そんな被害のあるものじゃない。  アメリカの投げたのは、確かにドラムかんの中をコンクリートで少し固めて、中には大きな空洞があって、そこへ廃棄物をそのまま入れて海の中に投げたわけですから、これは大変な圧力ですし、それから長年たてばドラムかんも腐食してくる。したがって、その内容がそのままむき出しになってくるからいろいろな非難が出てくるのは当然ですが、そんなことではいけないというので、ドラムかんの中をコンクリートで全部密閉してしまう。ですから、壊れることはもちろんありませんし、それから容器が壊れてもあるいは腐食していっても、外に出る量は通常の放射性物質の一千万分の一というのですね。それから、本格投棄をどんどん行っても一万分の一という本当に安全な姿でやっておるわけでして、いま海洋投棄という、ことになれば、アメリカの例がどうだ、けさからも御議論があったように韓国ではどうだ、相模湾ではどうだと、いろいろ御意見の出るのはいたし方ないことだと思います。しかしながら、まだこれについて十分議論いたしておりませんし、説明もまだまだ不足だろうとわれわれ思っております。国民の皆さんの、そしてまたできれば第一番目には当委員会の皆さんから、よし、わかった、こういう話し合いと納得と理解と協力を何としてもつくり上げて、原子力平和利用というものの流れをよくしたい。もしこれができない場合はこの流れがふん詰まりしてしまうわけで、トイレなきホテルとか言われるくらい非常にむずかしい問題でありますが、粘り強く、理解をいただけるように、国内的にもあるいは国際的にも最善の努力をしたい。何も日本だけがやっていることじゃなくて、国際基準に従って大西洋その他ではすでに行われていることですから、日本だけができないということはあり得ない。世界じゅうが原子力発電に取り組んでおって、日本だけがその道で、原子力行政に行き詰まりがあってはならぬと私は考えて、誠実を持ってこの道を打開するように努力していきたいと思います。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 大臣のお言葉とうらはらですけれども、廃棄物投棄に関してテニアンの市長さんがお見えになったときの記事を私読みまして、びっくりしているのですが、島を挙げて反対ということで、朝日の記事だったと思います。「日本が核廃棄物を海に捨てるなら、テニアン島の日本人慰霊碑を砕き海中に投げます」。政府が計画している低レベル放射性廃棄物の投棄海域に近いマリアナ群島テニアン島から参りましたフィリップ・メンディオラという市長さんが、東京都内で記者会見をした当時の模様が出ておりますけれども、日本がもしも投棄を強行するならば、島民の力は小さいが抵抗せざるを得ないとして、遺骨収集団が建てた慰霊碑もぶっ壊すし、今後一切協力しないとも言うし、日本漁船の同群島付近での操業についても禁止せざるを得ない。「放射能を浴びて死ぬ危険があるなら、その前に日本人を殺してしまえ」というふうな強硬意見もある。大臣も心配でしょうけれども、こうなってしまわないうちに何とかならないものかどうかということを感ずるのです。この点でどういうふうにお感じなのか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 確かにテニアンの市長さんがおいでになってそういう発言をした新聞記事は読んでおります。  しかし、私から言わせると、あの市長さんは、原水禁の方ですか、まあ言ってみれば海洋投棄反対派の方からの御招待で来られて、どちらかというと危険な方だけをお聞きになったのじゃないか。安全性についてもっとよく御説明申し上げれば、ああいう極端な発言も出なかったのじゃないか。今後とも、あの発言は発言として、理解が得られるよう努力して、そういう事態にならないように、海洋投棄ができるように努力したいと思いますし、その後わが国の領事あてにカマチョという知事さんから、あの市長さんの発言は個人的な発言であって、あの国そのものの意見ではないという趣旨のことも来ておりますので、あの記事はあの記事として受けとめて、さらにあきらめないで不測の事態がないように努力をしていきたい、こう思います。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 大臣は見るからに大変健康そうだし、大臣の中でもバイタリティーのあるエネルギッシュな大臣ですから、こういうときこそ、そういうふうに原水禁の方の方だというふうに決めないで、どんな小さな問題であれ、やはり心で解決をするということをどっかで大臣がおっしゃっておられますが、そういうことですと、いろいろな問題が今後起こってきた場合に、大臣みずからそこへ飛んでいって話をつけてくださることが必要じゃないか、またつけるべきじゃないかと考えておりますけれども、そういう点についてどういうふうにお考えなのか、大臣の御所見をいただきたい。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 この点につきましては、まず専門家がそれぞれの国あるいは会議等に出席して、誠意を持って説明に当たっておるところでございますが、時期を見て私みずからも、どういう国、どういう方法かは別としても、そういうチャンスがあれば、あるいはむしろそういうチャンスをつくってみずから御説明し、理解をいただくような話し合いを持ちたいものだ、こう思っております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 前向きの御答弁で大変力強く感じますので、ぜひみずから飛んで出てこういう問題に処していかれることが国民のまた御理解もいただけることになろう、こういうふうに思うわけでございます。ぜひお願いいたしたいと思います。  次は、アメリカのサンフランシスコ沖の放射性廃棄物の問題等も先ほどありましたが、ショッキングな調査報告が報道されております。これは先ほど社会党の先生方にその認識の点を申されましたが、その結果はどうであったかという点、その認識はわかりましたけれども、それを読まれた結果どのように判断をなさっておられるのか、科学技術庁としてその判断をお知らせ願いたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 いままでに入手いたしましたデービス教授の報告書、それからアメリカ環境保護庁の発表あるいはファクトシートというのが出ております。これらはまだ情報としてはこれだけでは不十分でございますし、さらに詳しく調べた上で考えたいと思っておりますが、幾つか問題として言える点だけ述べさせていただきますと、まず国際基準のある前だったということもありましょうし、アメリカの考え方の違いもあったかと思われますが、ドラムかんにコンクリートの内張りをした中に廃棄物を入れたというようなものが多かったようでございます。これは中に空隙を残しておきますと水圧で簡単に壊れやすい、真ん中がへこんだという写真も紹介されているわけでございます。現在の国際基準ではこういう方式はとらないということになっておりまして、わが国でも完全に一体にまぜたコンクリートをドラムかんにぴしっと詰めて、空隙を残さない状態で捨てると考えております。これは実験を行いまして、水圧をかけてみましても全くがんじょうでございまして、すでに試験済みでございます。  それから、環境、特に海底の汚染でございますが、デービス教授は、非常に高い汚染があるということを言っておりますが、その何万倍という数字につきましては、そのバックグラウンドに比べてと申しますが、バックグラウンドは、わが国が自分ではかってみてもそうでございます。特に沿岸の場合は、場所によって濃度が非常に違います。これは、主として核実験による放射性降下物によるものと思われますが、これは決して均一のものではございません。そうしますと、何万倍という計算がちょっとできるはずはないという感じがいたします。現にアメリカの環境保護庁の方も、二十六万倍というようなことではなくて、数千倍だとかいう反論をしているようでございます。これにしても、平常値をどういうふうにとるかということによってずいぶん変わる数字じゃないかと思われます。  それから、異常に濃度が高いのはドラムかんのそばで、ちょっと離れるとバックグラウンドになってしまうというデータもございます。これは拡散したというよりは、ドラムかんの破壊によって、中に入っていた放射性物質がこぼれ落ちて周りに散らばっているのではないだろうか、いわゆる拡散した結果の広い範囲にわたっての汚染とは言えないのではないかという感じも、そういうデータからはいたします。そういたしますと、その濃いところで非常に部分的なプランクトン等が濃縮されたとしましても、海底には一定の分布がされているはずでございますから、そういったごく局部的な濃いものを食べたえさを、さらにほかの魚が食べて、ついにはマーケットに高い濃度の汚染をした魚が出てくるという可能性、これも何か非常にわずかなことではないだろうかという感じがいたします。環境保護庁のリポートにおきましては、そういう魚を食べても、人間の元来持っておる放射能の千分の一ぐらいにしか当たらないという評価を出しておるようでございます。  まだほかにあるかと思われますが、ただいままでまとめましたことについての評価を申し上げますと、以上のようなことでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 先ほどから、その海洋投棄の問題で、私の住んでおります千葉県の房総沖がずっと出てきておりまして、大変これは社会問題でございます。房総沖、房総沖と言われると、これは原子力の問題だけでなくて、いろいろの障害が今後起こってくるわけでございますけれども、昭和三十三年から四十四年までの十一年間に約千六百本以上のドラムかんが投棄されたわけでございます。サンフランシスコ沖のいまの海洋調査によりましてもわかりますように、ドラムかんの破損と腐敗が進んで放射性廃棄物が漏れているということですが、大変深刻な問題であるというふうに指摘されておりますけれども、房総沖は全くこれは心配がないものかどうか、この点再度お尋ねをいたしたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 房総沖、普通、白浜灯台南方約四十キロの地点が中心でございます。時によって若干違っております。ここへドラムかん約千六百本、コバルト60を主体といたしまして四百六キュリー捨てたということでございます。  アメリカとの比較で申しますと、わが国の場合、房総沖ではドラムかんの、コンクリートでやはり内張りをした、そこまでは同じなのですが、中に廃棄物を詰めますときにモルタルにいたしまして、完全にまぜたものをモルタルとして注入しております。その結果、空隙が残っておりません。したがいまして、二千数百メートルの海底に捨てた場合、それが破損するという可能性はございません。これは新しい投棄の方法ではございますけれども、すでに実験した結果、一切壊れないということがわかっているわけでございます。  それから、ドラムかんの腐食がどの程度進んでいるかによりますが、コバルトが主体でございますので、しかもコンクリートに巻かれた状態でございますので、壊れない限り、そのものがそう出てくるということも考えられません。特にコバルトはコンクリートのアルカリ性に閉じ込められまして、海水にはなかなか溶けてこないということもわかっております。そういうことを総合いたしますと、現在、減衰によって非常に分量が減っているということ、それから深いということもいろいろ加味いたしまして、水産物への影響はまずあり得ないと考えている次第でございます。  しかしながら、念のために投棄場所近辺の海底の海水の放射能調査を行うために、現在海上保安庁の方と協議いたしまして、できるだけ早く調査をしたいと考えております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 できるだけ早くというのは、いつごろその調査に入られる予定ですか。  それと、二、三続いてお尋ねをいたしたいのですけれども、試験的投棄ということで十一年間もおやりになっていたということ、これから本格的投棄に入られるための試験的投棄だろうと思うのですが、その試験的投棄を十一年間もなさっていたということで、知らなければそれでもいいというわけじゃありませんけれども、国民の関心が非常に高まってきて、何か悪いことをしたみたいな、隠れてこっそり何かまずいことをやったみたいな評価にいまなりつつある時代であります。そうじゃないでしょうが、そういう受け取られ方をいましているという点で申し上げているわけですが、その試験的投棄といって、これはペーパーの大学の入学試験でもそうですけれども、結果がちゃんと出てまいりますから、試験的投棄の結果がどうなったのか、それについてはどういうふうにお考えをなさっているのか。  それと、最も大事なことは地元の御協力ということで、いま始まったことじゃなかろうと思うのです。十一年間も地元にどのような連絡をなさってその投棄を続けられたのか、その三つの点をお尋ねをいたしたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 海上保安庁の調査の方は、予定でございますので若干狂うかもしれませんが、現在のところ、十月の末前後を予定しております。これはほかの水域の調査と一緒に行います。この場所は、あるいは十一月の初めぐらいになるかと思われます。これはサンプリングでございます。サンプルを持ってきて、分析はこちらでいたします。  それから第二番目の、試験的投棄であった、その調査はということについてでございますが、確かに投棄地点そのものを見きわめて、どろ水の調査はいたしておりません。ただ、核実験の影響を主とはいたしますけれども、日本沿海のどろ水それから海産生物、そういうものの分析調査はずっと長い間やってまいりました。それで、房総半島付近でとれたものにつきましても特段のことがなかったものですから、影響なしと考えてきたのではないかと思われます。  第三番目の件でございますが、特に千葉県とか館山の方面にお断りして捨てたのではないようでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 もう少し地元の理解が得られるように、これから努力を怠らないようにひとつやっていただきたいと御注文申し上げて、その項目は終わりにしたいと思います。  私は、大きな問題は、きょうはぜひこの委員会でお願いをし、取り上げていただきたいと思って、メーンの方が時間が足りなくなってきましたけれども、本年の六月二十六日に原発周辺防災対策専門部会から、防災計画の基本方針をまとめて原子力安全委員会に報告されております。これを受けて、原子力安全委員会は六月三十日に正式にこれを決定しましたが、そのことに関して若干伺いたいと思うわけでございます。  いままで原子力防災の基本方針は全くなかったのかどうかというのが第一点です。  次は、昭和五十四年三月の米国のスリーマイル島の原発事故があったから、この防災計画の基本方針をまとめたということなのかどうかということが第二点でございます。  それまでは防災計画の基本方針をつくる考え自体なかったのかどうかということ、この三つを、簡単で結構でございますのでお答え願いたい。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 原子力発電所の防災対策ということにつきましては、従来から一般的な災害対策基本法に基づきまして、国、地方自治体があらかじめ防災計画を定めるということになっておりまして、その線で対処してきたわけでございます。  TMIの事故が起きる前にも、科学技術庁には科学技術庁の防災業務計画、これはいろいろ含んでおりますが、やはり原子力を主にしたものでございます。  それから、関係の県、市町村の原子力防災計画がございます。  それからさらに、原子力周辺のモニタリング体制等も、事故用のモニタリング体制もできております。  TMI事故が起きまして、あそこでは避難等の問題が起きまして、その経験を生かすということで、まず昨年の七月に中央防災会議で二つのことを主にした当面とるべき措置というのを決めてございます。  その一つは、緊急技術助言体制、スリーマイルの場合に、当事者だけでは知恵が足りなくて多少あわてたということがございます。これはやはり権威のある、しかも冷静な第三者から助言をする体制が必要だということで、助言体制をつくる。それから、現地に応援団といたしまして専門家を派遣する、この二つを主にする対策を新たに加えたわけでございます。  そのほかにも、日ごろ動員できるような機材を関係機関に強化するとかいう対策を現在進めているところで、充実しつつございます。  本年六月の原子力安全委員会の決定も、趣旨としては同様でございまして、さらに実効を一層高めるため決定が行われたものでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 せっかく初めての防災計画の基本方針ができたのですから、原発関係者や周辺住民に徹底するためにも、一定の事故を想定して防災訓練を行う考えは持っていらっしゃらないのかどうか、まず最初にお尋ねをいたしたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 御指摘のように、やはり大きい事故ということになりますと、皆あわててしまいまして、日ごろ決めてある計画がそのまま円滑に実施できないということも予想されます。そこで、緊急時に関係者が適切な行動をとれるように、かつ周辺住民に対して適切な指導、指示が行えるように、そういう訓練をする必要があるかと思われます。  それには、まず周辺住民に対しましては、原子力の防災にかかわる知識、これは基本的なものでいいわけでございますが、そういう知識の普及と啓蒙。それから一方、防災業務関係者、たとえば地方の公務員、特に消防の方とか警察の方とかを含めての公務員でございますが、そういう方々に、原子力の防災に関する勉強を徹底して行っていただきまして、その上で実際を想定しました防災業務の訓練を段階を追ってやっていくことが必要かと思われます。  専門部会の報告書におきましても、その訓練の内容としまして、通信連絡の訓練、それからモニタリングの訓練、それから通信連絡とモニタリングと住民への広報とを一つに組み合わせた訓練、それからさらに、国の支援体制、たとえば緊急助言措置とか専門家の派遣等を含めた総合的な訓練、こういう四つの段階に分けまして、それを段階を追って関係者の訓練を行っていくべきだという勧告がなされておりまして、当庁としましても、これを実際に行うよう現在関係機関あるいは地方公共団体と協力しまして準備を進めているところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 原子力に限らず風水害等の一般の災害対策では、第一番目に予防対策でしょうし、第二番目には応急対策、第三番目には復旧対策というこの三つを柱として当然考えるべきではないかと思いますが、こういう点について、大変むずかしい問題ですけれども、特に応急対策と復旧対策等についてどのようなお考えをお持ちなのか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 原子力につきましては、予防というのは安全から始まるわけでございます。さらに現実的なものとしては、知識の普及とか教育訓練、それから連絡体制、それから必要な機材を用意しておく、専門家の動員、いろいろございます。  さらに応急対策といたしましては、災害対策本部を現実につくる。それから災害状況を把握する。特に、これは炉の中の状態と、それが外への影響かどういうふうになるかという評価が非常に大事でございます。この評価体制というのが重要でございます。それから、さらに悪くなった場合には、住民の退避とか立入制限、飲食物、作物の摂取制限、さらに現実の被害者が出たような場合には医療措置、こういう事項が含まれております。  さらに復旧ということになりますと、もし汚染が起きた場合には、汚染を除去するかあるいは汚染物そのものを取り去るかということになりますが、これはかなりケース・バイ・ケースになろうかと思われます。特に影響の大きいのは、食べ物のその後の措置をどうしたらいいかということを実態を早く把握して対策を講じなければいけないかと思います。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 原子力災害の事故処理を当然考えなければならないはずの今回の原子力防災の基本指針の中に、重要な災害復旧対策が完全に抜けているのではないかというふうに思いますが、やはりいま局長が述べておりますけれども、大事故が起こることを想定して実際の防災計画等をお立てになる考えはないのかどうか、ただ机上のプランだけでなくて。現実の問題、大変むずかしいと思うのです。災害が起こった、地域住民にどういうふうに連絡をするのか、また地域住民をどういうふうに避難させるか、中で起こった問題は、やはりこれは外部の人から中に立ち入って云々することはできないわけですから、いち早くそれを知らせて避難するなり行動する段階まで、そういう想定で真剣にお考えになっていらっしゃるのかどうか、私はこういう点を簡潔にお答え願いたい。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 原子力発電所の中、たとえば格納容器の中で著しい事故が起き、中がめちゃくちゃになる。スリーマイルにおいてもそうだったわけでございますが、外部に対する災害対策としましては、どれだけの放射性物質が出てくるか、あるいは出てくる可能性があるか、この評価判断、そしてそれがどういう拡散をするかということが非常に大事なわけでございます。スリーマイルの場合もそれを誤りまして、結果的には大した被曝があり得なかったのを大量の避難をさせてしまったということがございます。われわれが今後防災対策に基づく訓練等を行うにいたしましても、やはりどういう事故が起きたというよりは、どのくらいの放射性物質が噴出するかということを前提にしまして、それに応じた対策を考えていくという考え方でございます。事故の形というのはいろいろありますので、どういう事故が起きたということを確定するよりは、むしろその放射性物質の放出量で考えるという考え方をとっております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 その想定した訓練をする予定はないのかどうか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 防災関係者によります訓練、これを先ほどの四段階にわたってだんだんに実施する予定でおります。それには、どの程度の放射性物質が放出されるような事故が起きたかという想定に基づいてやるわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 その防災の基本方針というものは、対策地域を八キロから十キロというふうに限定しておられますけれども、こういう限定をしたところに科学的な根拠があるのかどうか、あればその根拠を簡潔に示してもらいたい。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 この八ないし十キロと申しますのは、防災対策を重点的に実施すべき地域の範囲という考え方でございます。これは、その土地によりまして、人口分布とか地勢、気候、そういうことによりまして変わりますので、幅を持たせてあるということでございます。  そこで、あえてこれを科学的にと申し上げますと非常に条件が複雑でございますので、一つ単純なケースで評価いたしておりますけれども、一番厳しい放射性物質が排出されて、それが厳しい拡散条件のもとで流れていったと仮定いたしますと、八ないし十キロございますと、退避等の必要性が出てくる数字、当面全身一レムという数字をとっておりますが、八ないし十キロの地点ではこの一レムよりずっと小さくなる、あり得ない非常に大きな事故を考えた場合でも、八ないし十キロの地点では一レムよりずっと小さくなるということが計算されておりまして、これだけとれば十分であろうという評価をしたわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 時間になりましたので、最後に、防災計画の基本指針の中ではっきりしないが、現実に防災対策を発動するような大事故が起きて、住民や土壌、水、あるいは動物等が放射能で汚染された場合に、この処理を一体どのような方法で対処しようとなさっているのか。大変むずかしいのですが、これをお答え願って、終わりにしたいと思います。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 特に一番注意しなければいけませんのは、放射性物質によって汚染されたものを食べることによって、体に取り込まれて内部汚染、長い間、体の中に残るわけでございます。外部被曝は、外からの放射線の影響というのは一過性でございますから、そしてまた測定しやすうございますから、どうしても激しい場合は避難等で対策をするわけでございます。食べ物に対する対策というのはかなり慎重でなければいけないと思います。  特にこれは昭和四十年前後に、中ソの核実験が非常に激しかったことがございまして、そのときからどうすべきかということが用意されておりまして、食べ物については自家用の摂取制限を呼びかける。それから商品作物については出荷制限を呼びかける。その後どうしたらいいかということはさらに詳しい指示をするわけでございますが、すぐ影響が出てまいりますのは牛乳の中のヨードでございます。これは特に乳幼児には甲状腺にたまりやすい、甲状腺に対する被曝が非常に大きくなるということでございます。牛乳は生のものを飲まない、場合によっては、それは粉ミルク等にしますと、ヨードは半減期が短こうございますからすぐなくなってしまう。そのほか出荷制限は、野菜等すぐ口に入るものは出荷ルートを通じて制限する、こういう調査もできております。  大体以上でございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 では、最後に大臣、この防災対策というものがこれからの大きな課題だと私は思っております。大臣が任期中でも結構でございますけれども、ぜひ原子力対策について明確な、想定した面でも結構でございますし、防災対策の訓練を実現していただくようにお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

椎名素夫自由民主党

○推名委員長代理 山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 長官は、就任以来、原子力発電所の開発について繰り返して積極的な発言をされております。それなりに原子力発電の安全性の問題については特別な御配慮の考え方を持っておると思いますが、その点を最初に確認をいたしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 石油代替エネルギーが必要な今日において、何といっても原子力発電というものが大切であるということは、国際的にも、また資源のないわが国においては特に考えなければならないと存じております。その場合、原子力発電イコール安全といってもいいくらい原子力発電において問題となりますのは、安全性の確保ということだろうと思います。これさえ確保できれば国民の皆さんの納得も得られますし、そしてまたわれわれがやっていく場合にも、国民の納得どころじゃなくて、政府も原子力の安全ということについては最善を尽くさなければならぬ、こう思っております。  幸い、私が赴任する前に、スリーマイルアイランドあるいは原子力船「むつ」等の関係から、たとえば従来は原子炉等規制法に基づく政府のチェックだけでありましたものを、原子力安全委員会によるダブルチェックも行う、さらにはスリーマイルアイランドの経験にかんがみまして、五十二項目にわたる検討事項、いま議論のありました防災対策などもその一つでございますが、そういった点で、念には念を入れて安全には万全を期す。これは建設段階から運転段階、すべてを通じて安全については念には念を入れて、国民の理解を得るだけじゃなくて、原子力行政を継続していく上において、もし間違いがあったら、その発電所の問題だけじゃなくて原子力行政全体に影響することでございますから、原子力行政イコール安全性の確保、こういう認識で取り組んでおり、今後ともさらに努力したいと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 特に私がきょう取り上げたいのは、いわゆる地震国と言われる日本における原子力発電所の耐震性の問題です。これは、いま長官もお話しになりましたスリーマイル島の事件以来、アメリカの原子力規制委員会ですか、NRCの総点検においては、米原発の半数に冷却システムの耐震構造に欠陥が発見されており、NRCは昨年の十月二十二日付で、全米の原発設計見直しを要請をしているという事実がございます。この例から見てもわかりますように、日本におきまして地震については十分な安全チェックが求められておると思いますが、その点について大臣の見解を伺いたいのであります。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 わが国が、山原議員御承知のとおり地震国でございますから、地震については特に異常な神経を使って対処しなければならないということで、それぞれの専門的な技術、検討を加えて対処しておるところではございますが、詳細は専門にわたることでございますから、御要望があれば専門家からも答弁させたいと存じます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 耐震構造の問題について、もちろん構造をしっかりしたものにするということと同時に、地震に対して軟弱な地質とかあるいは地震の頻発する地域に立地はしないということが今日私は大切だと思っておるわけでございますが、その点についてはどういう御見解を持っているでしょうか。——もうちょっと説明しましょう。  この地震の問題に関連して、たとえば破砕帯あるいは活断層そういったものが調査した結果あったとするならば、当然その設置は見直しをするとかあるいは中止をするとかいう態度をとるべきだと思っておりますが、その点についてどうお考えですか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○赤羽政府委員 設置者がその土地の状況を調べて申請してまいりますけれども、さらに安全審査におきましては、地震のための耐震上の審査指針というのがございまして、これに基づいて必要なデータがあればさらにとる、ボーリング等もふやして確認するということでございます。その結果がもし決定的に耐震性が得られないということならば、これはその地点はやめるということになると思いますが、まだそういうケースは出ておりません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 きょうは、ちょうど参考人として動燃事業団の方においでいただいておりまして、御苦労でございます。  今度、福井県の敦賀半島の白木地区に、動燃が高速増殖原発をわが国で初めて立地をされるという問題でありますが、いわゆる「もんじゅ」の問題でありますけれども、ここの活断層についてお聞きをいたしたいと思います。  この「もんじゅ」そのものについては、科学技術庁もまた動燃の方も、いわゆる夢の原子炉であるというキャッチフレーズでやられてきて、そうして早期着工という方向にこられておると思います。ところが、この安全性につきまして、本当に地質という面から見ても、安全の観点で十分に調査をされ、そして計画されたものであるかということについて、私は多少疑問を持っておりますが、この点について全く自信を持って進めようとしておられるのか、その点を伺います。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○石渡政府委員 先生ただいま御質問の「もんじゅ」を敦賀市白木地区に建設するということについてでございますが、その安全性につきましては、耐震設計に関連いたしまして断層等の問題あるいは福井県から御指摘がございまして、切り盛り斜面の安全性の問題等を含めまして、動燃事業団といたしまして慎重に調査、検討を続けてまいりまして、十分安全にいけるということを確認した段階でございます。したがいまして、これをもって国の安全審査を受けるのに十分な準備が整ったというふうに判断しているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 福井県から地質あるいは地盤問題について異例の勧告といいますか、再調査の要求が出されまして、それに対して今年の九月八日に再び、そういう心配はないのだということか出ておると聞いております。  福井県の方から出されました異例の勧告というのは、まずどういう理由で出されたのかということが一つでございます。それに対してどういう検討と再調査がなされたのか、伺いたいのです。

飯田正美動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○飯田参考人 飯田でございます。  「もんじゅ」の建設予定地点は、若狭湾国定公園に指定されておりましたので、まず自然公園法に基づきましての審査が福井県の自然環境保全審議会の自然公園部会で行われたわけでございます。  その審査の結果、ことしの三月二十七日に、一応「もんじゅ」計画は了承するという答申がなされたのですが、その答申書の最後のところに、当該地点並びに周辺一帯は花山岡岩の真砂化、花崗岩が風化しまして真砂の状態になっておる、そういう発達した地域であることから、専門家による十分な調査を行うよう要望するという要望書が出たわけでございます。  県といたしましては、その要望を受けまして、五十五年五月十六日付で動燃事業団に対しまして、その要望書のとおり、当該予定地付近の地質、地盤の安定性に関する評価検討を行ってその報告書を提出するように、そのような指示があったわけでございます。  動燃事業団といたしましては、かねてから追加の地質調査をお願いしておりましたが、そういった要望書を受けまして追加調査を行いますとともに、県の指示に従いまして、専門の地質の先生三人をお願いいたしまして調査の結果を検討していただきまして、また現地も詳細に視察をしていただいて、調査結果と現地の状況を十分に把握していただきまして、そして県から指摘のございました切り取り、盛り土斜面の安定性について検討をお願いしたわけでございます。  その結果、排水対策を含めまして適切な工学的対策を行う、ということは、工事中に十分注意をして工事を行えば、安定性に関して問題はない、こういう判断をいただいたわけでございます。その判断に基づきまして動燃事業団で報告書をつくりまして、その報告書の原案を三人の先生方に見ていただいたわけですが、先生方皆様、非常にお忙しゅうございまして、三人御一緒に集まってもらう機会がなかなかとれませんでしたので、三人の先生方別個にお会いをいたしまして御指導を得て、その御指示によりまして最終的な報告書をつくりまして、九月八日に福井県へ提出した、こういう状況でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私の聞きましたところでは、本年の十二月ごろ、これに対する報告書を作成するということであったようですが、八月にボーリングも行われておるようでございますが、急遽九月八日に報告書が出されておるわけです。  一つは、その県からの勧告といいますか、再調査の要請の内容と、それから動燃事業団として県に報告した文書、両方を私どもの方へ御提出いただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。

飯田正美動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○飯田参考人 この報告書は、福井県の正式な要請によりまして、動燃事業団として福井県に提出いたしました報告書でございますので、県の御意向を伺わないと、私どもとしては何ともお答えができないと思うのです。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 まさに、先ほど出ておりました自主、民主、公開の立場から言いましても、地質上の問題、あるいは地盤上の問題、異例の勧告、再調査の要請があって、それに対してお調べになってお答えするというものですから、私は隠すべきものはないと思います。また隠す御意思もないと思いますね。だから、それは当然県の方へお話し願って、そして、大体自然環境保全審議会などというものはもともと秘密なんかある組織でもありませんし、何も県へ要請しなくても出していただいて結構だと私は思うのですけれども、なおその手続をとっていただくよう御要請申し上げておきます。  もう一つは、三人の専門委のメンバーの方にお聞きいたしますと、たとえば福井大学の三浦先生、それから林電力中央研究所土木技術研究所副所長さん、あるいは黒田和男地質調査所水資源課長さん、いずれも報告書は見ていない、あるいは経過もよく知らないというお話。それから、恐らくそういうことはなかった、あるいはそんな委員会は開かれなかったというお話が出てまいりまして、いまおっしゃったように、恐らく回り持ちでやられたのではなかろうかと思うのですね。でも、これだけの異例な再調査の勧告、しかもいまおっしゃったように花崗岩の崩れ、花崗岩がそういう状態になるためには地質上の問題もあるであろうし、そういう意味で、動燃事業団が出されました報告書のこれはごく概略だと思いますが、その中にはやはり地質その他の問題が出ておりまして相当重要な部分が出ているわけですから、当然三人の専門委の先生方に集まっていただいて最終的な判断をすべきだと私は思うのですけれども、その点は動燃事業団としてはちょっと手抜かりではないのか、あるいは慎重性を欠いたのではないかと思いますが、この点について伺いたいのです。

飯田正美動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○飯田参考人 この調査は、これで終わったわけではございませんのです。検討は今後とも続けてまいるつもりでございまして、三人の先生方には今後ともさらに詳細に御検討いただき、御指導をいただくというつもりでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 高速増殖炉の一番肝心な問題は耐震性の問題だと思うのです。原理的に高速増殖炉が地震に対して弱いということはもともと言われているわけでございまして、そういう意味で、本来軽水炉以上に危険性を伴うものであることは、もう専門家の皆さんとしては十分おわかりのところだと思います。それなりに地震に対する耐震対策は本当に重要な問題でございまして、地震問題あるいは地質問題を軽視するなどという学者は学界にはいないわけですね。日本の場合もそうですが、先ほどアメリカの例を申し上げましたけれども、あるところではもう建設設置の中止を命令しておるところも出てくるぐらい厳しくやっているにもかかわらず、日本の場合はこういう、何遍も言いますけれども、異例の再調査要求に対して少し配慮に欠けているのではないか。この点はどうでしょうか。

飯田正美動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○飯田参考人 御指摘のございました点は、花崗岩が風化して真砂化をしているというのは外側のことなんです。表層のことなんでございます。したがって、そこを切り取った場合にそれが流れてこないように注意しなさい、こういう御指摘なんでございます。したがって、それは工事において対処できるという判断に立っておるわけでございます。耐震の問題はまた別の、今度の御指摘の中にはございませんので、その点御了承いただきたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ただ、確かに「花崗岩のマサ化地帯であることから、専門的な調査を行うことを勧告した」といただいたものに出ております。それに対して、「動燃は慎重な補足調査を行なった結果、環境調査報告書作成前の調査から予測されていた通りの調査結果が得られ、もんじゅの基本構想を変更し、または環境調査報告書の内容を変更する必要のあるような新たな問題点は発見されなかった」こういうふうに出ているわけです。そしてこの中には、「本地質報告は上述の通り環境調査報告書を変更する必要はなく、地質地盤の安定についての基本的判断が得られたとする概括的報告であり、将来安全審査において審議すべき詳細な具体的内容にまで及んでいるものではない」こう書いてありますけれども、地質地盤の安定についての基本的報告ということになっているわけですね。  あそこの地形を見ますと、こういうふうになって、海がこう来て、そして海の下の問題と、それからいま言いました花崗岩の崩れのところと、この上だけでなくて、やはりこの下まで調査をされて、安全性が確保される必要があると私は思っているのです。  そこまでやっておられないということですから改めてお聞きしますが、この白木地区は、いわゆる地震を起こす活断層の巣と言われる琵琶湖北岸若狭湾岸特異地帯の一角である、こういうことが言われております。そして専門家の間にも、ここに設置をすることに対する批判も起こっております。それから、ちょうどあなた方の事業団の調査報告書、一九七八年六月に出されておりますものを見ますと、ボーリング資料、「地質柱状図」によっても、海底、陸上ともに硬岩の下に軟岩が広がり、白木地点の谷に沿って北西から南東に断層破砕帯が走っていることが読み取れる結果になっておると思います。  それからもう一つは、本年二月に出されました活断層研究会の刊行しました「日本の活断層−分布図と資料」これは東大出版会の出版したものでありますが、白木地点周辺に西方ケ岳−常宮活断層と白木−丹生活断層の二本が存在する可能性が出ております。  三月の海上保安庁水路部の海底地質構造図を見ますと、海底断層は白木−丹生活断層と接続する重大な事実を示しておるというふうな読み方をする者もおるわけでございます。  したがって、この白木地区というのは、一つはいわゆる活断層の接点になっているという見方が出ているわけでございまして、そういう意味で、この活断層が地震と十分関係があるということは御承知だと思いますが、そういうことはお認めになりますか。それともそういう御検討はされておりますか。

永根五郎動力炉・核燃料開発事業団理事

○永根参考人 白木地区の地盤の問題につきまして、いま活断層に関する資料がいろいろあるというお話でございますが、それに関連いたしまして、動燃事業団といたしましては、昭和四十五年以来「もんじゅ」の建設予定地の地質、地盤についてあらゆる角度から検討してまいったわけでございます。もちろん文献調査あるいは空中写真の判読あるいは現地踏査、これは実際歩いてその状況を十分把握するわけでございます。そういった詳細な調査を行いまして、その結果、建設予定地点あるいはその近傍には、発電所の建設の上に問題になるような断層は見られておりません。また、建設予定地周辺の海域につきましても、地質構造について音波探査によりまして詳細な調査を実施しております。その結果も、建設予定地周辺の海域にも発電所の設置上問題になるような断層は見られなかったわけでございます。  先ほどお話がございました、活断層研究会がこの春に発表いたしました「日本の活断層−分布図と資料」というのがございます。それによると、御指摘のように、敦賀半島には活断層の疑いのあるリニアメントという表現になっておりますが、リニアメントというのは線状模様といいますか、線形模様というような感じのものでございますが、であるということが記載されてございます。  「もんじゅ」の建設予定地に関連のあるそういったリニアメントといたしましては、白木というところと丹生というところの間に、断層研究会が発表しました地図の中には載っております。それから、敦賀市の常宮というところから西方ケ岳にかけても、その図面によれば記載されております。それから、西方ケ岳の南西の方向にも一つございます。それから、敦賀半島の反対側にも一つ記載されております。  そういうわけで、これらはどういうものかというと、その書類によりますと、確実度三というようなリニアメントとして図示されておりまして、確実度三というものは活断層の可能性が最も低いランクという分類のものでございます。たとえば変位の方向が不明であったり、あるいはそのリニアメントの生成原因が断層以外のほかの原因であったりすることも考えられる性質のものでございます。  以前から動燃事業団は「もんじゅ」に関連の深い、先ほど申しました白木−丹生間のリニアメント、それから常宮−西方ケ岳間のリニアメント、そういったものにつきまして、航空写真の判読であるとか地形図、文献による調査のほか現地調査を実施しております。その結果によりますと、また、実際に白木−丹生間のリニアメントにつきましては、県道工事等の掘削の際に地質の断面が出てまいりますが、そういったような実際の断面から判断いたして、たとえばのり面の状況であるとか調べてみますと、確かにいろいろな割れ目に破砕帯がございますが、この切れ目は、いわゆる断層のように地層が動いてできたところへできた破砕帯ではなくて、むしろ地殻構造によって、その生成される際に熱水などによってできた化学的変化によるものであろう、そういうものによって一部が粘土状になったりしているもので、われわれは熱水変質帯、いわゆる熱水によって花崗岩の一部が変質してそこにできたものである。いわゆる地質の移動によってできたものではないというふうに判断しておるわけでございます。  また、先ほど申しました常宮−西方ケ岳の間にございますリニアメントにつきましても、小規模な破砕帯は確かに見られます。それをよく調べますと、向きが非常にいろいろの方向を向いておりましたり、また、むしろそのリニアメントに沿ってかたい質の花崗岩が連続しておるというような分布状態を示しているところが非常に多うございまして、したがって、リニアメントと関連する連続性のある断層というものはないというふうに判断できると認識しておるわけでございます。  また一方、先ほど御指摘のございました海上保安庁水路部の方で発行された「五万分の一の沿岸の海の基本図、海底地形地質調査報告、若狭湾東部」というものがございますが、確かに「もんじゅ」建設予定地点の前方沖合いに約五キロメートルぐらいの推定断層が報告されております。これにつきましても、動燃事業団も、敦賀半島沿岸部における建設予定地前面の海域につきまして音波探査を実施しております。その調査の結果によりますと、確かに海上保安庁の調査結果とほぼ同様なところに、建設予定地前面に推定断層が認められます。しかし、この推定断層は陸側に近づきますと、音波探査による地層が、そういったリニアメントというか、断層が認められなくなってきておりまして、陸側といいますか、陸域といいますか、との間では地層の層理面がいわゆる断層状態のように乱されていないというのが認められております。  この推定断層ということは、ですから、陸側に、先ほど申しました丹生——白木断層とつながっているかのごとくに言われる方もおられますが、われわれは、そういったように途中で完全に切れておる、それは音波探査によりましても、地上探査によりましても、そういうふうに確認されておる。したがって、冒頭申し上げましたように、発電所予定地域には、発電所の建設に支障のあるような断層はわれわれは認められていないと認識しております。  最後に、御質問のありました耐震性は、もちろん原子力発電所で最も大事なことでございますが、これにつきましては、原子力委員会の発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針というものに基づいて、いま設計を極力進めておりまして、非常に厳しいものでございますが、その結果は安全審査において御判断いただけるものというふうに思っております。  以上でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 詳しく説明していただきましたが、その判断の問題がありまして、一応いまおっしゃった動燃事業団の資料も含めて、四つの資料をもとにして、私はこういうことを申し上げたわけです。だから、判断をする場合に、これはもう心配ないとかいうようなこと、それは判断の問題ですから。  でも、御承知のように、「地震と活断層の本」の中を見ましても、たとえばA級活断層、B級活断層——C級といういまおっしゃったような非常に弱い活断層が、明治以来の十の活断層地震の中の半分を占めている、こういう資料も出ているわけでして、これは決して軽視すべきものではなくて、特に高速増殖炉の場合に、これについては十分な検討をすべきだと思います。したがって、さらに調査をされまして、そういう、いまおっしゃったように、一応私が言いました断層破砕帯の問題については認められておって、そしてなおかつ心配ないんだという判定を下されておりますが、たとえばアメリカの例を見ましても、相当厳しくやっているんですね。もう中止をさせたり、あるいは十二・五マイル以上離れることとなっておりまして、活断層から十二・五マイル、二十キロ離れたところでなければだめだということまで言う状態から比べますと、これについての調査あるいは判断を求める場合の専門委員会の三名の先生方を初めとして、さらに検討して、県が安心するような事態をつくることが私は設置者としての任務ではないかと思うのです。だから、福井県議会はこの九月二十九日に、高速増殖炉推進についての陳情を否決しているのです、お聞きしますと。  そういうことから考えましても、いまおっしゃったような御説明はされましたけれども、私も専門家ではありませんからしっかりと腹へまだ入りません。ましていわんや、福井県の現地のさまざまな心配しておる方々に対して、果たしていまの御説明で納得させられるかどうかという問題があるわけですからね。その点で、最初に長官にもお聞きしましたように、安全性、地震に対する耐震性の問題は大事だ、長官もそうおっしゃっておるわけですから、この点につきましてはさらに調査検討を加えていただくように強く御要請を申し上げたいと思います。  次に、もう一つの原発誘致問題についてです。これは大変恐縮ですけれども私の県でございますが、高知県高岡郡窪川町というところがございまして、ここではいま原発問題をめぐって大変な事態が起こっておるわけでございます。  これは簡単に説明しますと、四国電力との関係でございますけれども、窪川町の隣の佐賀町というところへ、昭和五十一年に原発問題が起こりました。——事業団の方、どうも済みません。ありがとうございました。なおよろしくお願いします。  ところが、大騒動になりまして、町の中にも特別委員会を設置するなどということになって、町民大会も開かれる。ところが、これがいつの間にか立ち消えになるわけです。そうして今度は、四国電力の山口さんという社長が、四国の太平洋岸に原発設置の構想があるという発表を昭和五十三年十月にいたしまして、にわかに隣の町である窪川町原発問題が発生をしてくるわけであります。そして本年の六月の町議会におきまして、町長さんが、原発の誘致もあり得るという発言をいたしておるわけであります。  実はこの町長さんが町長さんになる前は、原発は誘致しないということを公約として出されているわけでございますが、誇致もあり得るという発言になりますと、次に原発研究会というのがこの町につくられまして、そしてこの八月に署名運動が始まるわけです。それは、立地調査を四国電力に要請する、言うならば設置者に立地調査を要請するという中身でございますからこれ自体もおかしいんですが、一万三千人の有権者のうち何と一挙に九千五百五十七人の署名を集めるという事態が起こりました。これに対して、この原発設置に反対する連絡会がその後生まれまして、七千五百の署名が集められました。町の有権者が一万三千人ですから、数字が合わないわけですね。九千五百と七千五百と合わせたら数字がはみ出るわけです。そうすると、どういうことかといいますと、いわゆる立地調査を要請する署名をした人が、今度は三千人が反対の署名もしておられるという事態が起こったわけでございます。  そして、これまでにどういうことがあったかといいますと、佐賀の原発が中止になった後約五年から三年の間に、四国電力がいわゆる招待旅行というのをやるわけです。何とこの数が町民を三千六百人、招待旅行として県外へ案内をするわけであります。しかも、これはいまも続いておるわけです。これはどういうかっこうでやるかといいますと、各地区に募集者をつくります。その募集者というのは、四国電力の社員の御家族であったりあるいは地域の有力者といいますか常会長さん、民生委員さんあるいは農業委員、いわば非常勤の公務員みたいな人たちが署名を集める中心になります。その背景には観光会社とゴルフ場の経営者がおるわけでございまして、バスに積みまして三十人、四十人単位で連れていく先は、愛媛県の伊方原発が大体中心です。それから、遠く福井県の美浜の原発、ここなどは幾ら少なく見積もっても二泊三日くらいはかかるわけですね。そして、その間に食事、宿料あるいは夜になれば一杯出るというようなことが長期にわたって行われているわけです。言うならば一種の買収行為ですね。住民は全く責任がないわけでございます。いまの観光ブームの中でどこかへ行こうといえば、お金も要らないということならば行くのはあたりまえなんです。そうしてこれが一種のわななんです。  私に言わせれば、これはクモの巣へひっかけて、次第にクモの中心へ住民を連れていく一種のわなだ、こう私は思っているわけでございますが、そのバスには電力会社の職員が乗りまして、この窪川町は財政が厳しい、だから原発をつくってそれによって救われるというようなお話もされるわけでございます。こういう形でずっと続いてまいりまして、結局今度のような事件が発生をしまして、町議会は先日、立地調査を四国電力に要請をするという決定を多数決でいたしたわけであります。  ところが、実はそのいわゆる立地要請の署名、言うならば賛成署名と後で変化するわけでありますけれども、その中心になった発起人の方が五十九名おいでになります。ところが、五十九名のうち九人の方がこういう申し入れ書を町長、町議会議長に出すわけです。  それを読んでみますと、この九名の方はそれぞれ町における有力者の方たちでございますけれども、「私たちもこの問題については設置の可否を考える前提として、調査研究は必要であるという立場から窪川原発研究会が実施した「原子力発電所立地問題に関する請願書」に署名しました。ところが私たちのこのような考えに反し、この請願書が推進という立場に置きかえられ、また報道されているのは全く心外の至りであります。立地調査を四国電力に依頼するという請願は、これが採択されるならば、多くの請願者の意志に反し、誘致推進に道をひらくものであることが、三日間の特別委員会で明かになりました。現在、この問題を正しく解決する道は、町民すべてが合意できる道を議会ならびに特別委員会がえらぶことであります。」という、この切々たる申し入れ書を、先頭に立っておった方がするという事態が起こっているわけであります。  なぜ長々とこんなことを申し上げたかと申しますと、私は、伊方原発のときにもこの委員会で取り上げたことがございます。あのときには、四国電力は最初、伊方の用地買収に当たって、火力発電所をつくるということで買収が始められて、買収がほぼ終わったときに、いや、実は原子力発電所だということになって、伊方問題はあれから紛糾が続いておるわけです。そういう一つのケースをここで取り上げたことがございますが、今度の場合は、これとはまた手口を変えました新しい、住民の意思を反映する状態を相当周到な用意のもとに、しかも相当のお金を使ってやられているということを感じたわけであります。  こんなことをやられますと、結局だれが責任者かといいますと、町長さんに言わすと、町議会が決定したから私はやるんだ、こう言う。町議会に言わすと、何だ、町民が請願書を出してきたかち請願を採択しただけじゃないか。さらに四国電力に言わすと、町が県を通じて調査をやってくれと言ったからやるんだ、こうなる。結局、町民が一番悪いということになるわけですね。実に巧妙な手口の原発誘致作戦といいましょうか、そういうものだと思うのです。  町民の間には、素朴に賛成する人、反対する人がおっていいわけですから、それに対して、本当に安全性の問題とかあるいは実際に原発が来た場合にはどういうふうになるのだというようなことをお知らせして、住民のコンセンサスを得るとかというような努力が続けられるならばいいのですけれども、私はこれはやり過ぎだと思うのです。こういうやり方でやる原発誘致作戦というのは、何と考えても住民を欺瞞するやり方だと考えざるを得ません。  きょうは通産省からもお見えくださっておると思いますが、こういうことに対してもっと正常な形で、原発をやるならばやるやり方があると思います。この点について通産省、私の話を聞きましてどういうお考えを持つか、最初に伺っておきたいのです。

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 原子力発電の立地問題は、私ども非常に重要問題と考えておるわけでございますが、やはりその基礎になってまいりますのは、地元の方々の御協力と御理解ということになるわけでございまして、そういったふうな意味におきまして、私どもはまだ詳細を承知しておるわけではございませんけれども、今回地元で立地調査という請願が採択されたということにつきましては、私どもとしましては非常に有意義なことだと考えておるわけでございます。  ただ、先生の先ほどの御指摘のように、やり過ぎがあったのじゃないかというお話でございますけれども 利ども事実関係を承知しておりませんので何とも申しようがないわけでございますが、やはり地元の方々に原子力発電所というものの正しい状態を理解していただくという意味におきまして、すでに動いておる原子力発電所の見学に行くというふうなこと自体は私ども決してやり過ぎであるとは、一般的に申しますと申せないような気がするわけでございますけれども、やはり私どもといたしましても、電気事業の公正な運営という観点も含めまして、行き過ぎのないようにということは大事なことだと思いますので、そういったことは念頭に置いてまいりたいと思う次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私の県などは、電力会社に対してはずいぶんサービスしておる県なんです。ほとんどの河川にもう発電所が、水力発電ですから、できておりますし、そのために水は濁るし、もう昔のふるさとの面影もないのです。私の故郷には早明浦ダムという巨大なダムができているわけです。全く水は濁って、この川で遊ぶ子供もいない。夏、ことしも故郷へ帰りましても、子供の姿が見えないんですね。一体このふるさとを子供から奪ったのはだれかと言いたいぐらい、私は怒りに燃えておるわけでございますけれども、それくらいサービスして電力をつくるということをやってきたわけですね。  そういうことから考えましても、やはり少しは企業ですから企業は利益を守るためのやり方もあると思います。しかし、日本の昔からの伝統には商道というものがありますから、幾ら企業だって一定の商売道徳ぐらいは心得て、それなりのみずからの規制、自粛があっていいわけなんですよ。それから考えますと、これはいかにもずるいやり方だと考えておりまして、もしおわかりでなければ私も資料を全部——これは新聞が毎日、毎日書いているのです。新聞の主張を見ましても、皆、余りにひどいという批判的な文章が圧倒的に多いのです。公正な機関である新聞でさえそう言わざるを得ないような状態がありますから、これは通産省もお調べになって、余りなことについては一定の御指導をすべきではないかと思いますが、その点はひとつよろしくお願いいたします。どうでしょうか。

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 このたびの四国電力のいわゆる見学その他の行為が、果たして社会通念を超えているようなものであるかどうかということにつきましては、私ども現時点におきましては承知いたしていないわけでございますけれども、私どもとしましても、行き過ぎのないようにという指導はやはり今後ともやっていかなくちゃいかぬ話だろうというふうに思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 もう時間がありませんが、一つ、立地調査というのは一体何かという問題ですね。ただ、調査と設置とは別だという考え方がありますから、皆署名したところが、どうもそれは推進署名になったということに対する怒りがあるわけですけれども、県議会で報告されておりますのは、立地調査の調査項目というのは通産省持っておられぬそうですが、たとえばこういうことでしょうか、こういうふうに議事録には出ております。  たとえば、陸の調査の場合は、地形、地質、水資源、動植物に対する影響、騒音、振動。それから海の調査につきましては、海象の調査、海域状況、海の生物の調査。それから空の調査につきましては、気象、大気の正常度。それから四番目に社会環境の調査、こうなっています。こうなってきますと、これは建設の問題は入っておりませんけれども、まさに原子力発電所の許認可申請書の中身にわたっているのではなかろうかと私は考えておりますが、そういうことではないでしょうか。     〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 ただいま先生御指摘の調査項目がどういう種類のものなのか、ちょっと承知しないわけでございますけれども、恐らく常識的に考えまして、原子力発電所をつくっていくに当たっては当然それぐらいのことは調べなくちゃいかぬということで、申請の中身にも当然そういったふうなものが入ってまいるものだと思います。ただ、立地の適否ということの調査をするに当たりましても、やはり果たして正当な申請ができるような地点なのかそうじゃないのかということは、当然電力会社としても把握しなくちゃいけないわけでございますから、一番念入りな調査をするとすれば、調査の中身がそこまで及ぶということはあり得ようかと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 通産省がいままでボーリング調査等をやられまして、たとえば全国で六十カ所あるいは五百カ所ぐらい一定の地質調査をされて、原子力発電所に適地であるあるいは適地でないというような調査をされたことがあるということも聞いているわけですが、これは私の聞き方が誤りでしょうか。

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、図上調査と申しまして、一般の地質図等を見まして、果たしてこの辺に原子力発電所をつくることが一応考えられるかどうかというふうなものをすっと概観しましたものは、たしか百地点以上あったかと思います。それから、いま御指摘のように、ボーリングまでやったという地点は、たしかもっと少ない地点でございまして、三十カ所か四十カ所、たしかその程度の地点だったんじゃないかと記憶いたしております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 その中に高知県の、いわゆる問題になっている太平洋岸は入っておるでしょうか。

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 今回話が出ております窪川町の地点というものは、いままでの調査地点の中には入っておりません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 四国の太平洋岸は入っておりますでしょうか。

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 たしか図上調査ですっと見ました中には、中土佐町の地点が一つ入っておったかと思います。ただし、これは先ほど申しましたように、全国的百カ所以上の地点をわっと役所の方が一方的に地質図を見て調べたというふうなものでございまして、調査とも言えないようなものでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 かつていわゆる原油基地問題のときに、通産省でございましたか、出されました適地、ちょっと記憶が不確かですが、たしか全国十四カ所が出ておりまして、それにたとえば高知県の宿毛湾、志布志湾というようなところが出ておったことがあり、それが一つのもとになって、いわゆる原油基地、CTS問題が出たことを覚えておりますが、いまの調査というのはそういうものではないわけでしょうか。

西中真二郎資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○西中説明員 これはあくまでも役所が概括的にやるものでございまして、先ほど申しましたように、多少詳しいものと図上だけのものと二通りあったわけでございますけれども、実際にそれが立地にすぐ結びつくというふうな性格のものではなくて、それとはかなりかけ離れた段階のものであるというふうに考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これでおきますが、長官に私、いろいろ説明しまして、長い間大変恐縮でございますが、こういう実態があるわけですね。長官が、本当に原子力発電所というものを積極的に促進されるという発言をしばしばやられ、同時に、そのためには安全性が非常に重要なんだとおっしゃっておられるわけでございますが、その設置する前の段階が複雑で、いま言いましたような事例もあるわけです。私は、もっと公正な立場でやるようなことが必要だろうと思いますね。下手をすると、この町でも町長リコールだとかいうような問題が起こりかねない。すでにこの新聞にはそういうことも出ておるわけでございまして、せっかくいままで平和であった窪川町、一方は、うまい米のとれる台地があります。そして、設置する場所は、台地とは離れて下へおりた太平洋岸の漁村地帯です。漁村地帯の人はほとんどが反対なんです。実際に設置されるところの人が一番強烈に反対の署名をやっているわけでございますけれども、せっかく平和だった町が、いわば一瞬にして原子力発電所問題でこんなになっているということですね。これは好ましくないと思います。  したがって、リコールとかなんとかいう問題は別にしまして、私は、ときには原子力発電所の是非について、町において住民投票をやるとか、いろいろな方法があると思います。その際には、いろんな材料が住民に提供されまして、そして住民が正当な資料のもとに冷静な判断を下していくという場合もあっていいんじゃないかというふうに思いますが、そういった点、長官はどういうふうにお考えになるかということが一つです。  もう一つは、「むつ」の問題にしましても、ちょうどここでずいぶん問題になりました「むつ」の撤去の場合ですね。あれも、いままでの科学技術庁長官は、絶対に撤去して、あの協定を破るようなことはないと言い続けてきたのが、また今度は長崎から大湊という問題が出てくるわけでして、そういう協定さえなかなか守れないというようなことになりますと、せっかく原子力発電所などを促進するとおっしゃっても、それぞれに隘路が出てくることは必至だと思います。そういう意味で、本当にもっと正常に住民が物を考えることのできるような事態を、こういう場合にも積極的につくり上げる必要があると思いますが、その点いかがでしょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○中川国務大臣 先ほど、原子力行政は安全性の問題がすべてであると申しましたが、安全性に絡んで立地問題が非常に大きな課題になっておりまして、誘致の方に行き過ぎがあるとすれば、反対の方にも行き過ぎがあるのではないかという節も、全国的一般共通の問題としてあるんじゃないか。いずれにしても、原子力の誘致問題が、賛成するにしても反対するにしても、秩序あるやり方によって、いま御指摘のような住民投票等も、スムーズな形でこれができることが望ましいのではないか。相願わくはそのような慣行ができますように、また、われわれとしても、そういうことに持っていくように最大限の努力を払いたい、こう思う次第でございます。(山原委員「住民投票」と呼ぶ)住民投票等も、スムーズな形でやれるようなことが慣行としてでき、あるいは指導によってできれば結構だと思っており、努力したいと思います。  なお、「むつ」について四者協定が守られなかったということではございますが、確かにこの点われわれ深く反省をし、地域の皆さんにも、この点守られなかったことはまことに遺憾である、守ろうと思ったのでありますが、何分にも新定係港が決定できないで、さすれば廃船かということになれば、それも原子力行政を預かる者として踏み切れないところでございまして、この点申しわけありませんけれども、もう一回考えられないか、決して押しつけるのではなくて、再考できないかということでお願いしている事情も御理解いただきたいと存じます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 終わります。

中村弘海自由民主党

○中村委員長 次回は、来る二十三日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会      ————◇—————

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