安全保障特別委員会 第5号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/11/10
会議録
○坂田委員長 これより会議を開きます。 国の安全保障に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
○横路委員 総理が総合安全保障会議の設置構想を明らかにし、その後内閣審議室がまとめた総合安全保障会議ですか、これが発足になるようですが、総理自身のこの総合安全保障ということについての考え自体は、そんなに明確になっているということでもないのじゃないかと思うのです。特に、最近の議論の傾向は、総合安全保障どころか、軍事力拡大一色でありまして、アジアの国の中には、こういう日本の方向性に不安を覚えている国も少なくないと思うのです。 そこで、総理大臣は、一体何をどういう方向で検討しようとしておるのか。いままではもっぱら機構についての議論だったような気がするのですが、少し内容について、どういうことを検討して、どういう方向性を考えておられるのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 わが国の平和と安全を確保いたしますためには、防衛力の整備という側面だけではこれを達成することができない。私は、この安全保障というものは、わが国に対する脅威を未然に防止することが一番肝要なことだと基本的に考えております。したがいまして、私は、外交努力というものを最も重視いたしておるわけでございます。平和に徹し、平和外交を進める、各国との友好関係を増進する、そういう外交努力が非常に大事だと私は考えております。 なお、また、資源エネルギーの問題とか食糧の問題、さらに、開発途上国等に対する経済協力、あるいは技術援助というものを積極的に展開することによって、平和と安全の基盤を確立する、こういうことでなければ、単なる防衛力の整備、増強というようなことでわが国の平和と安全は確保できない。で、そういう政策を進めたい。 いままでも、各省庁におきまして、そういう問題について努力はいたしております。しかし、総合安全保障という視点に立ちまして、政策に整合性を持ってこれを進めることが肝要である、このように基本的に考えておるわけでございます。
○横路委員 本来、国の安全保障というのは、軍事的手段ばかりでなくて、政治とか経済とか社会とか文化などの多様な手段によって図られるべきなわけですが、従来、どちらかといえば、日本では、安全保障というと「国防」という言葉と同意義として理解されていたきらいがあると思うのです。それが石油ショック以来、日本の経済の存立基盤の脆弱性ということが問題になってきた。同時に、国際関係における要因が、軍事的要因よりも非軍事的な要因、南北問題であるとか、先進国同士の国際摩擦であるとか、経済的な要因の比重が増加してきた。したがって、国の安全を守るための手段は多様化されなければならないという認識が、総合安全保障という概念になってきているのではないかと思うのです。 ですから、そうしますと二つあるわけで、手段としての多様性、これをどうやって総合的に、国の一つの、わが国の平和戦略なら平和戦略というものの中で位置づけていくのかという問題と、図られるべき安全の内容というのは一体何なのかということだと思うのですね。それはただ単に生き残るということだけじゃなくて、もうちょっと積極的に、わが国の経済力を基盤にして、豊かな国民生活というものを守っていくということが大きな意味での安全の内容になると思うのです。したがって、その安全の内容ということと、その安全を確保するための多様な手段、軍事力というのもその多様な手段の一つであるというようなことが大体総合安全保障ということ、いま総理のお話でも、大体私の言っていることと同じだと思うのですが、それでよろしいですか。
○鈴木内閣総理大臣 横路さんのお説、基本的に全く同感でございます。特にわが国はこういう国柄でございます。国土は狭小であり、人口は一億一千万も抱えておる、資源小国である、こういう国柄でございますから、世界が平和であり、安定しておるということがわが国の発展にもつながり、国民の幸せにもなるわけでございます。したがって、世界の平和と繁栄に寄与する日本の立場というものを十分に踏まえまして、そして、責任ある国際社会の一員としてそういうことに努力をするということが肝要である、このように考えておりますし、わが国の政治も外交もあるいは資源エネルギー、経済協力、文化の問題等につきましても、そういう方向で整合性を持って進められるべきことである、このように考えております。
○横路委員 今日までの日本の外交努力というのは、去年までの外交青書によりますと、アジア及び世界の平和と安全のために、わが国にふさわしい経済的な政治的な責任と役割りを積極的に果たしていくんだ、そのことのために、いかなる国とも敵対関係をつくらない、「全方位外交」という。葉を福田さんは使っておられたわけですが、こういう基本というものは変わりがないわけですか。
○鈴木内閣総理大臣 いずれの国とも仲よくしていく、友好協力関係を発展さしていく、国際的な州互依存関係というものが深まってきておりますから、そういう基本の方針には変わりはございません。
○横路委員 西側の一員論についてはちょっと後でやりますが、もう一つ、いまの総理の御答弁の中でちょっと落ちているのじゃないかと思われる点がある。それは、従来からわが国の政策の中で一つ欠落しているのが、軍縮あるいは軍備管理という問題だと思うのです。軍事力の整備という問題はいわば消極的な努力なわけですね。たとえば一定の抑止力を持つことによって相手国の武力行使を阻止するという、消極的な努力だろうと思うのです。これは二つの面があって、日本がそういう意味での抑止力を持つということは、同時に相手方の軍事力を拡大をさして、対立関係を増幅していくという作用を軍事力はどうしても持つわけです。したがって、これとうらはらの関係として、もう少し積極的にその対立関係を解消していく、紛争の要因をなくしていく。日本は日本の周辺、同時に、国際的な社会の中で同じようなことを果たしていかなければいけないと思うのですね。そうしますと、問題は、軍備管理と軍縮の問題というのを、ただ単に国連の活動の一環として従来は位置づけしてきたわけですが、もう少し積極的に、トータルに総合安全保障というのを考える場合に、やはり一つの位置づけをしていく必要があるのではないか、私はそのように考えるのですが、総理大臣、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 いま御指摘になりましたところの軍縮の問題、特にわが国は核を持たない、核武装ということは、非核三原則によりまして、国是としてこれを拒否しておる国柄といたしましては、核軍縮ということに国際的な立場におきましても先頭に立って努力すべき立場にある、このように考えております。 今日までも、国連の場あるいはジュネーブの軍縮会議等におきまして、そういう主張をやってまいったわけでございます。八二年の国連の軍縮会議におきましても、われわれは、日本の主張が有効に反映できますような努力をいまからも続けておるところでございます。 なお、具体的には、包括的な核実験の禁止条約の制定でありますとか、あるいはその他の人道上許されない兵器の廃絶の問題でありますとか、そういう面につきましても、日本としては最大限の努力をする必要がある、これが世界の平和に通じる道である、このように認識をし、努力をしていきたい、こう思っています。
○横路委員 その認識と努力を日本の国の安全保障政策、つまりわが国の総合安全保障政策の中にもう一度位置づけ面すことが必要じゃないかという点については、いかがでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 仰せのとおり、今後わが国の安全保障政策の中に有力な柱としてそれを位置づけてまいりたい、こう思っています。
○横路委員 ヨーロッパでは安全保障について話し合うシステムが一応できているのですね。まあいろいろ問題はあるし、これから先の諸問題はあるだろうとは思いますが。そして、そのことがある意味で言うと日本にも影響がないわけじゃないのです。たとえば、ジュネーブで米ソの戦域核の話が行われるということになりまして、そこで何らかの一定の軍備管理ができたとします。そうすると、それは、バックファイアにしてもSS20にしても、その生産は続けていくとするならば、ヨーロッパの軍備管理というのは、アジアの方にすぐいろいろな意味での影響を及ぼしてくるのです。つまりヨーロッパの軍備管理状況が進めば進むほど、アジアにおいて、われわれはではそれをどう考えていくのか、受けとめていくのかということがすぐ問題になってくるのじゃないかと思うのです。ところが、アジアについては話し合うシステムは全くないわけです。たとえば中ソは国境を接して対峠している、朝鮮半島の問題がある、あるいは日本海、西太平洋の問題があるというようなことを考えてみても、われわれとしてやれる段階、これはいろいろな段階があるだろうと思いますが、この前、この委員会で信頼醸成措置というようなものについても議論をしたのです。したがって、このアジアにおいて、いま総合安全保障政策の重要な柱になさると言った、それはこれからの問題だと思いますが、やはりアジアにおけるそういう意味での安全保障システムというものを日本が積極的につくっていく努力をしていかなければいけないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 お説のとおり、アジアにおきましても、米ソ中三大国、いずれも核戦力の保有国であるわけでございますが、これらの三国におきまして核戦力についての話し合いによる抑制、自制というものが、アジアの平和と安定の上に大変重要な問題であるというぐあいに考えておるわけでございます。 しかし、横路さんも御承知のように、この三国の間にはそれぞれ利害の対立関係もございます。いろいろむずかしい問題が存在しておるようでございまして、何といっても、いまの核軍縮等の問題に発展をさせるためには、その前に、これら関係国の国際間の信頼関係、友好関係の増進ということがまず図られなければならない、このように考えるわけでございます。そういう観点に立ちまして、わが国としては今後できる限りの努力をしてまいりたい、こう思っています。
○横路委員 きょうは時間がございませんので、その点だけ提起しておきたいと思います。 もう一つ、そういうぐあいに総合安全保障という考え方をとれば、たとえば通産省の「八〇年代の通商産業政策」という産構審の答申が出ておりますが、この中では経済安全保障という概念を使って、安全保障の費用そのものを、何も軍事費はかりではなくて、政府の開発援助とかあるいは技術開発費、文化交流費と言われるようなものにも深く広げて考えたらいいのじゃないかという議論があるのですね。これは私はやはり一つの議論じゃないかというふうに思うのです。つまり全体的な政策の調整、そのバランス、それからコストの配分ということが問題になってくるわけですね。そういう考え方に進めば、防御費だけ特別に別枠にして、これだけは聖域だというような議論にはならないのじゃないかと思うのですね。どうも何か防衛費だけ別枠、聖域というと、戦前の軍隊みたいなことになって、危険性があるわけですね。これから査定が行われるのでしょうけれども、トータルな総合安全保障費というようなことをどうお考えになっているのか。 たとえばパキスタンに対する援助などというのを見ますと、ことしになってものすごい勢いでふえているわけです。これはやはり、ある意味で言うとそういう意味での費用、完全にそういう意味での費用だと思うのです。これはアメリカに対してそういう主張——もちろんアメリカの要請に基づいてやっておられるという側面もあるのでしょうが、主張できることだと思うのですね。 トータルな総合安全保障費というような考え方自身についてどうお考えになるのか。それから、財政再建というもう一つの大きな柱の中で、これだけ別枠にして、聖域にしていくという考え方は私はやはりまずいのじゃないかというように思うのですが、そこら辺のところをどうお考えでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、防衛力の整備という側面だけでは、わが国の平和と安全は確保できないというような観点からいたしまして、トータルで日本の安全保障というものを考えておるわけでございます。 通産省が出しておりますところの経済協力でありますとか、技術援助でありますとか、あるいは資源エネルギーの問題でありますとか、そういうようなものも私の考えと同じような方向を目指しておるものでございます。したがいまして、総合安全保障という視点に立ちまして、今後のいろいろな政策を整合性を持って進めてまいる考えでございます。 防衛費はこれを別枠として聖域にするというような考えは、したがって持っておりません。それだけでわが国の平和と安全が確保できるとは考えておらないからでございます。
○横路委員 総合安保の談論の中で、この委員会の議論を聞いておっても、ややこういう傾向もあるのですね。エネルギーや資源あるいは市場を含めて日本は外国に依存している。これは船が行ったり来たりしているのだ、その海上交通路が一番重要だ、これを軍事力の展開によって守っていこう、きわめて単純化すればそんな議論が、総合安全保障という名のもとに、やや傾向としてあるのですね。私は、それはやはり非常に危険な傾向だと思うのですね。日本の自衛隊というのは憲法と自衛隊法で明確にその任務、それから要件、行動要件、行動範囲といわれるようなものは制約をされているので、いわゆる専守防衛ですね。ですから、いわば日本の自衛隊というのは日本列島防衛隊なわけでありまして、そこら辺のところの限界というものについては総理大臣はどうお考えですか。特に最近、インド洋から向こうのシーレーンの防衛だとか、ホルムズ海峡の防衛だとかいうような議論までいろいろ出てきているので、ちょっとその辺がわれわれとして心配になるのですが、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 自衛隊の任務、また憲法上の枠組みということを考えましても、わが国の自衛隊は専守防衛に徹する、こういうことでございます。わが国の領土、領海、領空、さらに能力の問題がございますから、どこまでもというわけにはまいりませんが、公海上についてのわが国の船舶等が非常な攻撃の対象になったり危険が伴うという場合は、公海上でもこれを守るということは自衛隊として許されたところであると考えております。ただ、これには能力、限界がございますから、インド洋だとかあるいはペルシャ湾だとかそういうようなことが、いまの自衛隊は、そういうものでできるわけがございません。私どもは、自衛隊の能力の限界において、やはり国民の生命、財産、そういうものを守る、しかし専守防衛でございますから、他国の領土、領海、領空に入っていく、兵力をもってずっと入っていくということは憲法上も許されない、こういうことは十分踏まえてやっておるわけでございます。
○横路委員 海上交通路の防衛というのも、いま戦争状態になったときの話と平時の話と議論が混同されておるようですが、戦時の話ですからね。平時にやれるという場合になると、きわめて大きな限界が自衛隊法上私はあると思うのです。そこら辺のところを、総理大臣もひとつ混同のないように順いたい。 それから、これは従来の周辺数百海里、航路帯について一千海里というのを、別に変えようということを言っているわけでは全然ないのでしょう。いかがですか、総理大臣。
○鈴木内閣総理大臣 もとより、平穏無事な際にそういうようなことをしようなどという考えは持っておりませんし、海上自衛隊等の能力、行動範囲能力の問題でございますから、従来の考えを変えるというようなことで申し上げておるのではございません。
○横路委員 ちょっとその「能力」という言葉にひっかかりますが、先にいきましょう。 一つは、日本を取り巻く情勢の中でいろいろな議論があって、ソビエト脅威論というのが最近いろいろ言われているわけですが、軍事的な行動が起こるというのは、やはり何らかの紛争があって、その紛争というものが一つのきっかけになるわけです。その紛争というのはいろいろな要素があるでしょう。民族的な問題だとか、宗教的な問題だとか、あるいは資源等をめぐる問題であるとか、国境をめぐる問題であるとか、あるいはイデオロギーもその一つになるかもしれません。しかし、そういうような紛争要因で、日本に直接かかわりのあるものというのはほとんどないと言っていい。そういう意味では、非常に日本というのは恵まれた環境にあると思うのですね。 総理大臣は、この八〇年代に日本が直接侵略を受ける差し迫った危険性というものがある、あるいはそういうものが具体化するおそれがあるというようにお考えですか。
○鈴木内閣総理大臣 いまの状況からいたしまして、私は、差し迫ったそういう事態は考えておりませんし、また考える必要もないのではないか、こう思っています。
○横路委員 そこで、「防衛計画の大綱」について改定しないというのは政府が再三答弁していることなのですが、この基礎に据えられてきた考え方が「基盤的防衛力構想」なわけですね。これは、どこまで防衛力が増強されるのかという国民の不安だとか、あるいは日中国交回復後の情勢というものを示された、防衛政策の一つの枠だというように思っているわけですが、総理大臣が「防衛計画の大綱」は改定しないということは、つまり「基盤的防衛力構想」も変えないということのように承ってよろしいですか。最近はどうも、「防衛計画の大綱は」改定しないと言いながら、中身は実質的に変えてしまおうというような空気と動きが大変強くなっているように思うので、総理大臣のお考えを確かめておきたい。
○鈴木内閣総理大臣 現在の「防衛計画の大綱」、これは国防会議にもかけまして、防衛政策にのっとりまして決定をいたしておるところでございます。まだこの防衛計画の水準にも現在達しておりませんし、私どもは着実に、この防衛計画に沿いまして防衛力の整備を図ってまいるという考えでございまして、いま「防衛計画の大綱」を変えるというようなことは考えておりません。
○横路委員 つまり大綱を基本に据えられた考え方が「基盤的防衛力構想」なわけです。つまり局地的な限定的なものに対応していこうということですね。だから、大綱を変えないということはこれも変えないということに論理的にはなるわけですが、よろしいですか。
○鈴木内閣総理大臣 現在の「防衛計画の大綱」はそういう考え方に立って編成をされ、つくられ、決定をされておる、これを堅持していく、これを変える考えはいまのところないということを申し上げておるわけであります。
○横路委員 そこではっきりしたと思うのです。 時間がございませんので、次に、西側の一員ということは一体何かということですね。日本の総合安全保障というのは、もちろん日本だけのもので世界とは関係ありませんよということにはならないのであって、世界の中で日本が果たすべき役割りというのは何か、責任は何かということとやっぱりリンクしなければいけないと思うのですね。 ただ、最近、西側の一員としての協力を強調した上で、たとえば外務省の安全保障企画委員会がまとめたのを見ますと、「NATO諸国とともにわが国としても広くグローバルな観点」、「グローバルな」というのは、どうも読みかえれば、西側が東側にどういうぐあいに対応していくかという意味でのグローバルな観点だろうと思うのですが、そういう「観点から自衛力の増強を図る必要が」あるという考え方がかなり強く出てきて、これがいわば憲法上の制約や、あるいは財政上のいろんな問題を乗り越えて、どうも米国やNATOとの、そういう意味での世界戦略の中に位置づけられるのではないかという心配があるわけです。 私は、西側の一員としての責任というのは経済的な、政治的な責任にとどめるべきであって、しかも外交は先ほど言ったようにあらゆる国と友好関係を保つということを基調にしているわけですから、これもやっぱり一つしっかり押さえておかなければいけないと思うのですね。同時に、西側世界の中で責任を果たすとしても、軍事的な責任には、日本は憲法もあるわけでありますから、それはそういう対応はできないというように思うのです。だから経済的なあるいは政治的な責任にとどめる。 これは、たくさんやることはあると思います。カンボジアの問題について外務大臣が平和地帯というようなこと、あるいは国際会議を開けということを提唱しているのもそうでしょうし、あるいはパキスタンやイランに対する援助もある意味で言うと戦略的援助といいますか、西側の一員としての援助だろうと思うのですね。そういうようなことに限定されるべきではないかというように思うのですが、総理大臣、いかがでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 日本の国柄、また日本の憲法、また軍事大国にはならないという国民的な誓い、いろんなことからいたしまして、軍事的に西側の一員として、わが国の防御という枠をはみ出してこれに協力するとか、そういうようなことはあり得ないわけでございまして、日本は、経済大国にふさわしいこの立場をもちまして、世界の平和と繁栄に寄与する、特に発展途上国等に対するところの協力援助に対して、そういう面から世界の平和と繁栄に寄与していく、こういう立場をとっていきたい、こう考えています。
○横路委員 私は、アメリカ側の期待と考え方の中に若干のずれがあるようなことを、最近の国防報告だとかアメリカ議会の証言を見ておって感ずるのですね。それはやっぱり、アメリカは何といってもグローバルに考えていると思うのです。そして、どこを第一に考えているかというと、NATO、ヨーロッパを第一義的に考えている。アジアで何か問題が起きるとすれば、そのヨーロッパとの関係で起きるのではないか。だから、日本に対する直接的な軍事的な侵略というのが、そういうこととのかかわり合いなしに起こるという可能性は、ほとんどないというふうにアメリカは考えていると思うんですね。 アメリカが期待しているものは何かというと、ヨーロッパで東西間の戦争がもし始まったとすれば、そのときに日本の自衛隊がどういう対応をしてくれるのかということの期待を、どうも最近の国防報告を見ていて感ずるわけです。応分の負担をしなければならないとか、米国、西欧、日本の共同の計画努力が必要だとか。この応分の負担というのは、ただ単なるこの地域におけるコストの肩がわりだけじゃなくて、いろんな抑止力の採用あるいは展開に至る戦略まで含めた、全プロセスの中の負担ということがどうもアメリカ側の期待になっているんじゃないですか。そんな意味では、いわばアメリカの構想と日本の構想との間にずれがあるわけですから、アメリカに対して、いま総理大臣がおっしゃった、日本の平和憲法を軸にした、たとえば総合的な平和戦略みたいなものができるとすれば、それを明確に出して、アメリカ側に納得をさせるということがひとつ必要になってくるんじゃないだろうか。どうも最近の、対潜能力を強めろとか海峡閉鎖なんというようなことまで言われますと、日本としては、三海峡閉鎖なんていうことをやったらとんでもないことになるわけですよ。その結果がどうなるかというのはもう明らかだと思うんですね。軽々しく口に出せる問題じゃないと私は思うんですね。その辺のところ、ガイドラインについての話は、そういう面まではいってないんでしょうな。攻撃を受けた場合の共同対処だけで、そういう基本的なところは防衛庁サイドでもちろんやるべきことでもないし、やってないと思うのですが、私は総理大臣に、そこら辺のところのつまりずれをなくす、日本の立場をはっきりさせるということは今日きわめて重要なことではないかと思うのですが、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 アメリカ側も、日本が平和憲法を堅持しておる、また専守防衛をかたく守っておる、非核三原則を国是としておる、軍事大国にはならないという国民的な誓いもしておる、こういうようなことは百も承知であろうと私は考えております。したがいまして、そういうような立場から、日本にできないことを強要するというようなことは私どもは考えられないし、そういうことはわが方としても受けるわけにはいきません。われわれはあくまで専守防衛、わが国の自衛という範囲内で自衛力の整備を図っていく、こういう考えでございます。 なおまた、先ほど前段に申し上げましたように、軍事以外の面、経済協力その他の面で世界の平和と安全に寄与する、こういうことをはっきり打ち出しまして、そういうことで、責任ある国際社会の一員としての日本の立場というものを果たしていきたい、こう思っています。
○坂田委員長 横路君、簡単にお願いします。
○横路委員 憲法については、アメリカ側は、ある意味では日本の自民党の人たちよりもよく知っているのかもしれませんが、その辺のところを周知徹底することは、特に大統領がかわりましたから、これから大きな仕事になるんじゃないかと私は思うんです。 最後に、一言だけ総理大臣に注文をつけておきたいと思うのですが、きょうはお忙しいところをありがとうございました。ただ、出席時間がわずか二時間なんですね。本当に、総合安全保障というのは鈴木総理大臣が言い出した政策の、ある意味で言うと一番初めに明らかにされたものなんですから、一日ぐらい時間をとってゆっくり議論するのが当然だと思うのです。忙しいとは思うのですが、この次ここに来られるときには、わずか二時間ぐらいで、各党十分とか二十分議論したって、これでは実りのある議論にならぬと思うのですよ。そこのところをひとつ総理大臣にこの次はぜひお考えいただいて、私の質問を終わります。(拍手)
○坂田委員長 市川雄一君。
○市川委員 時間が限られておりますので、簡単にお聞きしたいと思います。 一つは、有事法制研究の問題で総理の見解をぜひお伺いしたいと思いますが、その前に防衛庁長官、有事法制研究は終了のめどというか、大体どの辺をめどにしていまやっておられるのか、いまどんな状況にあるのか、その辺を簡単にお答えいただきたいと思います。
○大村国務大臣 有事法制研究についてのお尋ねに対しまして、お答え申し上げます。 防衛庁における有事法制の研究は、現在防衛庁所管の法令を中心として、その他の関係法令についても、自衛隊の行動に係る事項について、有事の際不備があるかどうか、慎重に検討を進めているところであります。したがってまだ研究中ということで、その成果を私のところで検討する段階に至っておりません。 有事法制の研究は、自衛隊の任務遂行に必要な法令について問題点の整理を目的として行うものであるが、研究の対象が広範であり、かつ、防衛庁以外の省庁等の所管にかかわる検討事項も多いので、相当長期に及ぶものと考えております。
○市川委員 相当長期ということで、めどをおっしゃらないわけですが、実は昭和五十三年十月の臨時国会のときに、当時の金丸防衛庁長官が、ちょうど私が内閣委員会でお伺いしたのですが、こういうふうに答弁していらっしゃるのですね。有事法制研究の「中間報告する状況になってくれば、当然これは皆さんに見ていただいて、御審議をやっていただくことは当然だと私は考えておるわけでありまして、私はしばしば申し上げておりますように、来るべき通常国会に一つや二つぐらいは、いわゆる憲法の範囲内でいろいろ研究したものが出てこなければ、何しろもう昨年の八月からですからね、」と、これは五十三年十月の発言ですよ。来るべき通常国会というのは五十四年、去年の通常国会ですから、その通常国会に一つや二つぐらいはいわゆる憲法の範囲内でのいろいろな研究が出てくるようでなければ、また「もしそういうものが一つも出てこぬということになれば、防衛庁何をしているか、こういうことにもなると思う」、こう答えているのですね。ですから「その辺、ひとつ安心して待っていていただきたい、」、五十三年の臨時国会で金丸防衛庁長官がこう答えている。来年の通常国会には研究の中間報告を一つや二つ出しますよ。いまの御答弁と全然違うのです。国民の基本的人権との問題があの当時問題になった。そういうことから、中間報告は出します、国会にも御審議願います、こうおっしゃっているわけですから、その辺が全然違うわけですけれども、長官、どうですか、国会に中間報告を大体いつごろするのか、まだ全然めどが立っていないのですか。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 鋭意検討中でございますので、最終的にまとまらなくても、ある程度まとまった段階で、中間報告をいたしたいと考えております。適当な段階でそれができるよう、最善の努力を払いたいと考えております。
○市川委員 そこで総理、総理は国防会議の議長として、シビリアンコントロールという立場で、こうした国民の基本的人権と深いかかわり合いのある有事法制研究、いま防衛庁長官もある一定の段階で一問報告したい、こうおっしゃっておりましたが、総理はやはり中間報告を積極的に求めるべきだというふうに思うのですけれども、その辺の総理の考え方と、 それからもう一つは、総理が国防会議の議長として、あるいは総理として中間報告を求めたその時点で、総理としては積極的にこれを国会に出して議論をしていく、こういうお考えが総理にあるかどうか。 この二点についてお伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 いま防衛庁長官からお答えがございましたが、防衛庁内部でもまだ長官に上げるところまで検討作業が進んでいない、こういう状況のようでございます。防衛庁内部で問題が煮詰まりましても、さらに関係省庁との間でやはり調整をする必要がある。と申しますことは、これらの問題は、先ほど来お話がございますように基本的人権、園児の権利義務に深くかかわる問題が多いわけでございます。したがいまして、慎重の上にも慎重に諮りまして、検討いたしまして、国防会議でも検討をさせていただきますし、国会にも中間報告をして御意見等も伺う、こういうことが必要であろう、こう思っております。
○市川委員 そこで、先ほど、話はついた感じも受けたのですが、非常にあいまいな印象をまた受けたのですけれども、総理は、例の大綱は見直はいたしません、まだ大綱の水準に達していないから、可及的速やかにこれを達していくんだと言われた。しかし、私たちがずっと内閣委員会や安全保障特別委員会で問題にしてきましたのは、大綱水準の見直しをしないということはわかったのですけれども、その大綱を裏づけている「基盤的防御構想」、この「基盤的防衛構想」にはいろいろな考え方はございますが、何か中心的な一つの核心をなしている考え方としては、どこまで日本の防衛力が増大するのかという国民の不安にこたえる、長い間の国会の論議を通して、防御力の限界をはっきり政府は持っていないじゃないか、こういう追及に対して、政府側の一つの答えとして、平和時における整備すべき防衛力の目標というものを示した、あるいは平和時の防衛力の限界というものを示したのだ、こういう考え方があれにはあるわけですが、総理にはっきりここで断言して いただけるかどうかお聞きしたいのですけれども、どうも言葉をややあいまいにされているようなんですが、「防衛計画の大綱」と「基盤的防衛構想」というのは一体のものであって、大綱を見直さないということは「基盤的防衛構想」にある考え方、あるいは「基盤的防衛構想」そのものも見直す考えはない、こうはっきり断言おできになりますか、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 防衛力の限界にかかわる問題でございますが、わが国の自衛のための最小限度の戦力を持つ、実力を持つということは、平和憲法の枠内のものであり、専守防衛という基本的な方針に基づくものであり、軍事大国にはならない、シビリアンコントロールの最高の力は国会でございますから、予算その他、国会の御審議と承認を得なければならない、こういうようないろいろな枠組みがきちっとされておりますから、わが国の防衛力の限界というのはおのずから決まっておる。また、現在の「防衛計画の大綱」といいますのは、そういう枠内において、わが国の平和と安全を守る必要最小限度の防衛力を整備する、こういうことに基づいてこの大綱というものができておるわけでございます。 いま、この大綱というのは未達成でございます。五十三中業、これをやりましてもなおその枠内のものである、こういうことでございますから、私はこの「防御計画の大綱」というものを変える考えは持っておりません。
○市川委員 予算委員会で、春でしたか、亡くなられた大平首相に、米国と日本でソ連に対して全く全面的に国益が一致するのかどうか、「国益」という言葉は余り好きではないのですけれども、国益が一致するのかどうか、こういう質問をしたところ、故大平首相は、もちろん日本にも固有のものがある、その固有のものがあることは米国側もよく理解しているはずだ、こういう御答弁があったんですが、総理も全く、対ソ方針については米国と日本は違った固有の立場というものがなければならない、あるいはあって当然だという御認識ですか、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 ソ連はわが国の有力な隣国でございます。このソ連との間に友好協力関係を築いていくということはアジアの平和と安定のためにも必要であり、また両国の相互の利益にもなることである、私は基本的にそのように考えておりまして、日ソ関係というものを大事にしていきたい、こう思っております。 ただ、ここで申し上げておきたいことは、最近におけるアフガニスタンに対するところのソ連軍の軍事介入でありますとか、あるいはわが国固有の領土である北方四島に対する軍事施設の増強でありますとか、いろいろな遺憾な事態がここに発生をいたしております。 私どもは、日ソ関係の真の友好関係の発展というのは、相互信頼、お互いに信頼できることが基礎になければならない。日本も努力いたしますけれども、ソ連側においても、その原因をつくったそういう原因を除去することについて誠意を持って努力してほしい、このように考えておるわけであります。
○市川委員 ソ連側で原因をつくった、こうおっしゃいましたが、それでは、対ソ経済制裁を解除する条件は、ソ連側でつくったアフガンからの撤退、これが日本としては絶対条件ですか。このアフガン撤退がなければ対ソ経済制裁を解除する考えは全くない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○鈴木内閣総理大臣 撤退をしてもらえれば一番結構なことだ、こう思っておりますが、少なくとも世界の自由陣常の国々、西側の国々も納得するような政治的な解決、処理というものがなされなければいけない、こういうぐあいに考えております。
○市川委員 総理は、価値観を共有する国との連帯あるいは自由主義諸国の一員としての外交方針を重視する、一方では、政府と防衛庁は、米ソ軍事バランスにおける米国の相対的力の低下ということを言い、また同時に、ソ連の軍事力増大を指摘しつつ、ソ連の潜在的脅威の増大を非常に強調して、防御力増強の説明をなさっているわけですが、しかし、これは国民の目から見ておりますと、どうもレーガン政権が登場して、それでなくても、前々からあった米ソ軍拡の競争というものが一段と強まるのじゃないのか、そういう中で、いまの政府のとっていらっしゃる、いわゆる東西軍事バランスの米国の力が低下した、それからソ連の軍事能力が増したから、ソ連の潜在的脅威が増したのだ、だから防衛力増強だ、こういうことをあわせ考えますと、何かこれから、もちろん世界とかかわり合いなく生きていくことはできないにしても、米ソ軍拡に日本が一歩踏み込んだ、ますます米ソ軍拡のどろ沼に日本が巻き込まれていくんじゃないか、こういう不安を強くするわけでございますが、総理は、当然米ソ軍拡路線には巻き込まれたくない、あるいは巻き込まれてはならない、一線を画すんだ、こういうお立場であろうと思いますが、そのことをはっきり国民にお約束できますか、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 今度アメリカの最高指導者がかわったわけでございます。レーガン政権が誕生いたしましたけれども、私は、レーガン政権におきましても、ソ連との間に話し合いによって問題を処理していこう、平和裏に解決していこう、こういう考え方には変わりがない、こう思っておりますし、またソ連側におきましても、アメリカと対立をするということが必ずしも賢明な方策でない、世界の平和のためにそれは避けなければいけない、このように考えておると思います。 私は、米ソの最高指導者も、世界の平和維持という観点から自制をし、決して軍拡、戦争というような方向に行くものではない、このように考えておりますし、期待もいたしておるわけでございます。 わが国は、先ほど横路さんにもお答えを申し上げましたように、日本の貫かれておる立場、日本の国柄からいたしまして、軍事面ではなしに経済協力あるいは技術援助、そういうような平和的な面で世界の平和と安全に貢献していきたい、このように考えております。
○市川委員 米ソが軍拡競争の方向に行かないようにという主観的願望はよくわかるし、そうあらねばならないと思うのですが、それに対して一線を画していくのだという日本の立場というものを、はっきり総理からお聞きしたいと思うのです。 いまの総理の答弁は、そういう米ソ軍拡路線には日本は巻き込まれてはならないし、巻き込まれない、こういう決意と受け取ってよろしいですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、日本の防衛力の整備というのは自衛のための整備でございまして、御指摘のような意味合いにおいて日本が軍事力を増強しておるとか、整備しておるとか、そういうことではない、きわめて厳格に、枠組みを踏み外さないように私どもは考えておる、ということを明確に申し上げておくわけでございます。そういう限りにおきまして、軍拡の中に着き込まれるというようなことは毛頭あり得ない、このように考えております。 なお、先ほど「レーガン政権も誕生したことでもあり」と申し上げましたが、一月二十日から発足するということでございますので、その点は訂正させていただきます。
○市川委員 わが国の防衛力はそういう考え方かもしれませんが、その防衛力の増強の理由に、米ソ軍事バランスの米国の低下とか、ソ連の脅威を挙げるということは、やはり軍拡に着き込まれていることだと私は思うのです。その点を指摘しておきます。 それから、レーガン政権はまだ発足しておりませんから、これについてのコメントを求めることはどうかと思いますが、新聞では外務大臣は一月ごろ行きたい、総理はなるべく早目がいいというようなことがしょっちゅう載っておるわけですけれども、この辺の訪米ということについての見通しを、簡単で結構でございますのでお聞きしたいということと、あわせて、総理がなるべく早い機会に訪米をされるやに伺っておりますけれども、その場合、レーガン氏の考え方、選挙における公約、これは「力による平和」ということを一貫して訴えて当選してきた、こういうことから、わが国に対する防衛力増強も新しい要請が強まってくるのじゃないか、こういう一般的な見方もございますし、何かきょうのニュースですと、総理もそういう懸念を持っておられるかに伺いましたけれども、総理、中業前倒しということが大平首相の訪米のときに出て決まった、これ以上の防衛力増強に対して、総理としてははっきり断る、こういうことが断言できますか、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 私の訪米の時期等についてお尋ねがございましたが、まだレーガン政権は発足もいたしておりませんし、発足をいたしましてから連絡をとりまして、双方の都合のいいときにお会いをしたい、このように考えておりますから、時期等についてはまだまだ定かでございません。 それから、レーガン政権ができた場合、選挙中の演説その他からいって、力の対外政策をとるのではないか、こういうお考えでございますが、まだ私どもは、どういう政策をとるのか予測をすることは差し控えたい、こう思っておりますが、アメリカの国際的な権威を高めたい、こういうぐあいに私どもは受け取っておるわけでありまして、それが直ちに軍事力の強化とか軍拡というぐあいには、私どもはとっておりません。 なお、わが国に対する防衛力の整備についてのアメリカの期待、レーガン政権の期待という問題につきましては、本来、わが国の防衛力の整備というのは、わが国が自主的に決めるべきことでございまして、政府としては、今後もそういう方針を堅持して対処してまいる考えであります。
○坂田委員長 永末英一君。
○永末委員 総理は、奇襲対処の必要性をお認めになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 自衛隊がわが国の防衛の任についておるわけでございますから、急迫不正の事態、そういうものに十分対処するものでなければならない、こう思っております。
○永末委員 総理、急迫不正っていうのは何ですか。いままでそういう言葉をよく使われておりますが、よその国がわれわれに奇襲をかけてくるときに、急迫正当な攻撃があり得ると思われますか。急迫不正という言葉は、私は別の意味で使い出したと思いますが、不正に決まってますよ、わが国にしかけてくるやつは。急迫不正の攻撃と急迫正当な攻撃があり得ると思われますか。全部不正だと思われますか。
○鈴木内閣総理大臣 自衛隊法その他にそういう言葉が使われておりますから、その言葉を使っただけでございまして、正当な侵略というようなことがあり得ないことは当然でございます。
○永末委員 さて、この奇襲対処の問題につきましては、五十三年の九月二十一日に防衛庁が、これに対する基本的見解を明らかにいたしまして、いろいろなことを言うておりますが、結論は「慎重に検討する」ということでございました。これは福田内閣時代です。それから大平内閣ができましたが、大平内閣時代は「慎重に検討が続いてまいった」わけでございます。いまや鈴木内閣でございまして、先ほどの総理のお話でございますと、急迫不正であろうとなかろうと、これはみんな不正でございますから、要するに、わが国に対する奇襲に対しては、対処は考えねばならない。私は、必要性をお認めになっている答弁だと思います。それでは、「慎重に検討も」、これから二年以上たっておるのでございますから、もうそろそろ結論をお出しになるころだと思いますが、いつ結論をお出しになりますか。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 自衛隊が奇襲攻撃に対してとるべき方策としては、防衛の体制を整備して、実際上奇襲を受けることのないよう努めることがあくまで基本であると考えますが、なお、仮にいわゆる奇襲攻撃があり得るとした場合に、自衛隊はこれに対しいかに対処するかについては、文民統制の原則と組織行動を本旨とする自衛隊の特性とを踏んまえ、法的側面を含めて、政府部内において慎重に検討しているところであり、その検討を鋭意行っているところであります。
○永末委員 だからお聞きしているのであって、総理、総理大臣が二代もかわっているところですね。そして、なるほどかわったところの大平さんが「慎重に検討される」こともあり得ようと思っておりましたが、あなたにかわりましても「鋭意検討」、どれくらい検討を続けるのですか。鈴木内閣時代には結論は出されないおつもりか、出すおつもりか、お答え願いたい。
○鈴木内閣総理大臣 できるだけ早く結論を出したい、このようには考えておりますが、いま防衛庁長官からお答えを申し上げましたように、防衛庁の段階におきましても慎重に検討中である、まだ防衛庁長官にも答えが上がってきておりませんし、私の方にもまだ報告に至っていない、こういう段階でございます。しかし、できるだけ早く結論を出すべきもの、そういう方向で検討を促進させたいと考えておりますが、いずれにしても国光の権利義務や基本的人権等にも影響のある重要な問題等も含んでおりますから、慎重に検討させたい、こう思っております。
○永末委員 奇襲対処は有事法制とは違いまして、有事法制と同じ態度ではちょっと間違うのじゃないかと思います。 それでは、その奇襲対処を慎重に検討せられるということになりますと、奇襲対処の対処を考えなくてはならぬ。そこで、奇襲というのはいつあるかわからぬから奇襲でございますので、この結論を出すまでに奇襲があったらどうするつもりですか。
○鈴木内閣総理大臣 これは永末さんのせっかくの御質問ではございますけれども、やぶから棒にそういう奇襲などということは、私はそう考えられない。やはり緊迫した国際情勢等を背景としまして、そこにいろいろな動きがあるわけでございます。情報の収集、その分析、的確な判断、そういうものを十分やらなければいけない。それを怠っておりますといま言うような奇襲ということになるかもしれませんが、それは真の奇襲ではない、十分な備えがない結果であろうか、こう思うわけでありまして、私どもはそういう点に十分配慮して対応を考えていかなければいけない、このように思っておるわけであります。
○永末委員 総理大臣が防衛出動を下令いたしますと、それからわが国は有事の時代に入るわけですが、その時点で自衛隊は武力行使をし得る状態に入る。敵の攻撃が来るおそれのある場合にも、似たような防衛出動の下令はできると自衛隊法は定めております。奇襲対処の問題は、総理大臣が、「おそれ」であろうと「攻撃」であろうと、防衛出動を下令すれば武力行使をいわば委任することになりますから、これは戦時ですよ。だからこそ、それ以前の状態のとき一体どこまでやらせ、どこでくくるかということは、本当に考えておかねばならぬ。いまはそういう状態でないから、そういうことは事前にわかるのだなんておっしゃっておりますが、基盤的防衛力構想論者は一年ぐらい前からわかるのだなどと言っておりましたが、そのわからないところが奇襲であって、だから北方領土三島にあれだけの軍隊が来ておる、それは一体かかってくるか、かかってこぬか、わからぬのであります。わからぬけれども、かかられてからどうだと言っている暇がないからこそ聞いているので、私は何も奇襲対処でシビリアンコントロールを云々せよと言うのではありませんよ。それこそ、シビリアンコントロールの一つの重要な問題として奇襲対処をやるべきである。したがって、それは、総理大臣がその必要性を認識せられたら、もちろん慎重にやらなければなりませんが、確実に、大体のめどはやはり防衛庁長官にまず与えておやりになる問題だ、そういう気構えはおありですか。
○鈴木内閣総理大臣 この防衛出動の発令に対するところの手続等はすでに御承知のところでございますから、これをここで繰り返すことは省略させていただきますが、万が一の奇襲に対応してこれに対処する、おそれのある場合にも防衛出動を命ずることができる、しかしそれは直ちに国会に御承認を求めなければならない、こういうことに相なっておるわけでございますが、私どもは、奇襲に対する対応ということも、国の防衛という観点から非常に大事な問題でございますから、できるだけこの点について早く結論を出すようにいたしたい、こう思っています。
○永末委員 それは早くひとつ、対処の仕方について基準を明確にしていただきたいと存じます。 さて、防衛出動でございますが、なるほど、自衛隊法には、防衛出動が国防会議に諮られて、それから議会の承認を要するということは書いてございます。これは、総理大臣、その必要を感じられたときにあなたが発議されるわけでしょうね。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○永末委員 国会の承認について、これはなかなかはっきりしておらぬわけでございまして、わが安全保障特別委員会は設置されておりますが、国会に承認を求められた場合に、一体それは、わが安全保障特別委員会で審議するのか、委員会は省略をして本会議で一度にやるのか、この辺はどう認識しておられますか。
○大村国務大臣 国会の審議のあり方につきましては国会でお決めになることでございますので、政府といたしましてはちょっと見解を申し上げるわけにはまいらないと思います。
○永末委員 その前に国防会議におかけになるわけでございますが、国防会議の構成メンバーは、法律によりますと、総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経企庁長官でございます。しかし防衛出動を下令いたしますと、要するに弾が飛ぶわけでございまして、わが方の弾のみならず、相手方の弾も飛んでくる。そうしますと、いろいろな被害をわれわれが受けることになります。NATOでは、NATO全体の立場から、いわゆる民間防衛、すなわち被害を受けた場合の救急、難民の移動、それら等を各国間でスムーズにやり得るという民間防衛に関する委員会を持ち、それを受けて各国は、もとの言葉で言えばわが国の内務省みたいなもの、いまでは国家公安委員会やあるいは自治省みたいなものが中心になって、民間防御のシステムをつくっているわけでございまして、わが方はなかなかここまで至らぬのでございますが、そう考えますと、私は、防衛出動を下令するというようなことになれば、国内はどうなるかということで、やはり国家公安委員長がメンバーであるべきが至当だと思います。また「基盤的防衛力構想」というものは私は信用はいたしておりませんが、少なくともあなたの方がそれに似通ってやっていこうと言われるなら、一体新たな情勢が来るのだから防衛生産はどうするか、それを一番よく知っているのは閣内では通産大臣でございますね。経企庁長官というのはちょっと仕事が違うと思います。だといたしますと、通産大臣にもまたメンバーの資格を持たせねばならぬ。その他いろいろな人も考えられましょうが、特に重要なのは、統幕議長というのは兵力を動かす責任者でございまして、最高かどうか、いまの法律ではよくわからぬのでありますけれども、少なくとも二幕以上の兵力を動かす場合には、統幕議長というのは責任者であることは法律上間違いございません。それを差しおいて防御出動のことを議論するというのはいかがかと思うので、こういうものが入ってくることが、あなたが御決断になるための政府部内のいまある機関としては、国防会議でそういう人たちが必要だと思いますが、あなたはどうお考えですか。
○鈴木内閣総理大臣 国防会議のメンバーについての、お尋ねというよりも、貴重な御意見を拝聴さしていただいたわけでございます。特に国家公安委員長等はその際に重要な役割りを果たすべきである、こういう御意見、これはいままで長年国会の論議を通じましていろいろな御意見があったように、私、伺っておるわけでございます。永末さんの御意見も大変傾聴に値する御意見でございますので、今後政府としても十分検討を進めたい、こう思っておるわけでございます。 なお、通産大臣その他の閣僚は、正規のメンバーでない場合におきましても随時出席を求めることができる、こういうことでございますので、それで対処していきたい、こう思っております。
○永末委員 私どもは、この防衛出動とかあるいは防衛出動を下令した後の最高方針を決めるためには、いま持っておる国防会議のメンバーのみならず、そういういま申し上げたようなメンバーが相談相手、議員とならなければ、はっきりした有効な決定ができ得ないのではないか、こう思って、この国防会議を改組をしたらどうかという意見を申し述べてまいりました。鈴木総理の方は、閣僚会議で各省庁の意見の整合性を図ると言われましたが、ちょっと違うんですね。最高の、総理が意思決定をされるための会議体を持つ必要があるのではないかということと、関係閣僚会議でエネルギーや食糧等々というようなものを、安全保障の観点からとらえて整合性を図るということとは、私は少し次元が違うように思いますが、同じだと思われますか。次元が違うと思われますか。
○鈴木内閣総理大臣 それは違うのです。私は、先ほども申し上げましたが、防衛という側面だけでわが国の平和と安全は確保できない、そういう観点から、外交あるいは経済協力、資源エネルギーあるいは食糧、いろいろな問題を、総合安全保障という視点に立って整合性をもって進める必要がある、こういうことを申し上げました。そして、国防会議と両々相まって国の安全を確保する、こういう考えでございます。 そこで、いま永末さんは、その一方の国防会議、これをもっと改組し、強化をしたらどうかという御提言でございますが、私は、国防会議と安全保障閣僚会議と両々相まっていきたい、こう思っておりますが、その国防会議自体につきましても、国会の御論議等を踏まえて、今後十分検討させていただきます。
○永末委員 さて、総理、あなたがこの防衛出動を下令いたされますと、わが国は残念ながら有事に入って、有事においてはあなたは、まあ有事であろうとなかろうとでありますが、自衛隊の最高指揮監督者なんですね。最南指揮はあなたがおとりになる。防衛庁は今度防衛庁中央指揮所なるものを桧町につくろうとしておりますが、有事になったら総理はどこで執務をされますか。
○鈴木内閣総理大臣 まだ特定をいたしておりませんが、まあ総理官邸というのがいま考えられる常識的なポジションであろう、こう思っております。
○永末委員 自衛隊法が最高指揮監督者と定めておることの内容につきましてはまだ定かではございませんけれども、要するに、有事になった場合には、総理大臣の判断というものはきわめて大きなものであり、これが最高の決定になる。しかも、予想せられる有事というのは、わが国の領土、領海、領空を中心にして起こってくるわけですね。だといたしますと、防衛庁でもいろいろの通信の収集、情報の収集、そうしてまた、同時に、三自衛隊の最高の幹部が一緒にいて、防衛庁長官の指揮を受けるようになっている。その上にいるあなたが、いまのあの総理官邸でそういうシステムができ上がっておるとは思われないが、でき上がっておりますか。私はそこを心配しているのです。これも奇襲対処と似たような発想でございますが、それをやはりやられて、総理大臣がどこにおるならばぴらっと指揮ができる、そういう身構えをされることが安全保障問題の重要性を園児各位にわかってもらえるかと私は思いますが、どうでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 御指摘のような観点に立ちまして、いろいろ防衛庁を通して、そういう体制ができるだけ早く整うように準備を進めさせておるという段階でございます。
○永末委員 防衛庁でやっているのは、総理、防衛庁内の中央指揮所でございまして、私はこの点について総理大臣がどうするかというところが一番知りたいのです。
○大村国務大臣 ちょっと補足して私から申し上げます。 ただいまのお尋ねにつきまして総理からお答えございましたが、私から補足して御説明申し上げます。 現在、防衛庁と総理官邸との間には電話回線が確保されております。(永末委員「それは電電公社ですか」と呼ぶ) 現在、防衛庁が計画中の中央指揮所は、防衛庁長官の指揮活動のためのものでございまして、バッジシステム等と連携を図ることにいたしておりますが、この中央指揮所ができました場合には、中央指揮所と総理官邸との間の通信回線について、防衛庁では、関係出局と相談し、所要のものを設置したいと考えておるわけでございます。
○永末委員 私は、安全保障の一つの重要な点に、いまわれわれは平時の政治はあなたに全権をゆだねておりますが、たとえこれが不測のときにおける有事に転換しても、国民の安全を守るために鈴木内閣は全が投球をしておるのだ、こういうことの御準備はぜひしていただきたい。そうでなければ、戸惑うてパニックが来たりしてえらいことになるわけでございまして、戦争の準備をするのではない、国民に安心をさせるために内閣の姿勢を明らかにする、その意味で御質問申し上げたわけであります。 終わります。
○坂田委員長 東中光雄君。
○東中委員 今国会は憲法論議が非常に盛んなのでありますが、私たちは、どうもこれは軍備の増強と安保条約体制の再編強化の延長線上にあるというふうに、非常に心配をしているわけであります。 それで、まず憲法について、鈴木総理に九条との関係でお聞きしたいわけでありますが、さしあたり、日本国憲法はどういうふうに見るかということについてお伺いしたいのであります。 田中内閣時代ですが、昭和四十八年の九月十七日、当時の田中総理は「この憲法は日本の国民と国会の判断によってできたものである、まさに自主憲法である、こう考えております。また、そう信じております。」というふうに言われておるわけであります。これは内閣総理大臣としての公式の答弁で、そういう会議録があるわけであります。いろいろな論議がなされておりますだけに、鈴木総理大臣は、日本国憲法は日本国の自主憲法であるという認識をお持ちになっておるのかどうか、その点についてまずお尋ねしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 わが国の憲法は国会において議決、承認を得まして制定されたところのものでございます。私は、そういう意味で、国権の最高機関である国会がこれを決定をしたということでございますから、権威のあるものである、このように認識をいたしておりますし、現行憲法が制定されましてから三十四年、有効にこれが機能をし、これによってわが国の平和と繁栄が確保された、国民生活の安定が達成をされた、このように評価もいたしておるわけでございます。
○東中委員 権威のある日本の国会でつくられた自主的な憲法である、田中内閣時代の見解と変わっておるものではないというふうにお伺いしたのでありますが、そこで、この憲法が国民の中に定着しておるのかどうかということがいまいろいろな議論になっておるわけでありますが、昭和四十六年五月十四日、衆議院の内閣委員会ですが、当時佐藤内閣でありますけれども、佐藤総理はこう言っています。「いまの憲法、この諸条章は国民の血となり肉となっている。そういうものであるから、そう簡単にこれを批判し、また批判して悪いとなったら直ちにこれを変えるとか、そういうわけにはいかぬ、」ものであるということも言われておりますし、四十六年三月三日の参議院の予算委ですが、「もう現行憲法は実施されてずいぶん長くなる。同局の血となり肉となっておる。そういうこともございますから、こういう点は十分生かしていくべきだろうと思います。」、こういうことも発言をされております。田中内閣になりまして、これは四十八年九月十七日でありますが、「いまの憲法というものは国民の間に定着をしておるし、自衛力というものは当然憲法が容認するものであるし、また、国民もそれを正しく認識をし、評価をしておるという立場に立っております。」、三木総理も五十年五月十三日に「国民の一般の間にも現憲法の理想は定着している」、国民の中に現在の憲法は定着をして、多数の国民が支持しておる、こういうふうに言われておるわけであります。 これは歴代自民党内閣の基本的な認識ではなかろうかというふうに思うのでありますけれども、いま自民党の憲法調査会では、憲法は国民に定着しておらぬ、そういうようなことも言われておりますので、鈴木内閣として、いままで佐藤内閣以来この十年間言われてきた平和憲法、民主憲法、これは国民の中に定着をしておるという御認識をお持ちなのか、あるいはこの時点において変わった認識になっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 歴代内閣総理大臣が、憲法について、いまお述べになりましたようにいろいろの所見を申し述べておられます。私も全く同感でございまして、私はこのように申し上げておるわけでございます。 現行憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この基本理念というものは世界のいずれの国の憲法に比較してもすぐれたものである、すばらしいものである、今後いつの日にか、仮に憲法が改正されるようなことがあっても、この基本理念、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、これは堅持さるべきものだ、こういうことを申しております。 なお、この憲法改正というようなことは慎重の上にも慎重を期すべきものであって、いま国民の中には憲法を改正すべしというコンセンサスができておるとは自分は見ていない、こういうことで慎重に対処していきたい、鈴木内閣においては憲法を改正することは毛頭考えていない、こういうことも明確にいたしておるわけでありまして、先ほど来、佐藤さんだとか田中さんだとかがいろいろお述べになったことと基本的には同じような考えを持っておる、こういうことでございます。
○東中委員 ちょっと違うところがあるのです。総理が言われるのは「基本的理念」、こうおっしゃるのですね。佐藤内閣が言っているのは「いまの憲法、この諸条章は国民の血となり肉となっている。」、こういうふうに言っているわけなんですよ。そこのところは、私はそういう意味で、「この諸条章は国民の血となり肉となっている。」という意味で「理念」というふうな表現で言われているならそういうふうにお聞きいたしますし、やはり違うんだということだったら違うとしてお聞きしたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、憲法の諸条章は、いま申し上げた平和主義、民主主義、基本的人権の尊重というような基本理念に発しておるものだ、こういうぐあいに解釈をしておりますし、前文から全章を含めまして、鈴本内閣においては憲法を改正するなどということは考えておりませんということも明確にいたしておるわけでございます。
○東中委員 それで、もう一つお伺いいたしますが、これは田中内閣時代、昭和四十八年六月七日でありますけれども、憲法は政党がいろいろ研究するのは、それは勉強したらよろしい、すべきものだ、こういう前提に立ってこういう答弁を、これは衆議院の内閣委員会ですが、「特にあなたが指摘された憲法九条。憲法九条は絶対に改正をしないということは、自民党の政策の中でも、自民党はみないっておるんです。憲法改正というものに対しては、勉強しなければならぬし、国民の合意が得られるならば憲法改正という時期もあるだろう、」、鈴木総理と同じ見解ですが、「しかし九条は絶対に改正をしない、こういっておるのでございますから、そこはひとつ誤解のないように、この際明らかにいたしておきたい。」、こういう答弁をされているのです。これは、検討するけれども、しかし九条は絶対に変えないんだ、明白にそういうふうに言われているわけでありますが、そういう見解について総理はどういうふうにお考えでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、その点は平和主義の堅持、こういうことを先ほど来強調いたしておるわけでございます。後代の諸君がその精神を堅持していく、憲法九条についてもその精神を堅持していく、こういうことであってほしい、そうなければいけない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○東中委員 言われておる趣旨はわかるのですけれども、田中総理の当時に言われたことと違いがあるのかないのか、私はちょっとわからないわけですが、最近、十月二十七日付のアメリカの週刊誌ですが、「USニューズ・アンド・ワールド・リポート」で、マンスフィールド駐日大使がインタビューをして、その記事が載っておるわけです。そこでは「アジアを守るために日本はアメリカの肩がわりができますか」というインタビュアーの質問に対して、「憲法九条や、日本人の間でいまだに顕著な反軍国感情など、多くの障害がある。」、要するに自衛隊をアメリカの肩がわりにしていくという程度に増強していくという点について、憲法九条は障害になるんだというふうに言った上で、「しかし、日本人自身、非常に印象的なやり方でこれらの障害を克服しつつある」、日本国憲法第九条ということをわざわざ挙げて、駐日アメリカ大使がこういうことを新聞に公にしている。私は、これは憲法九条を、アメリカの軍備増強要求に沿うためにはいまや障害になっておる、しかも日本は独自に自主的に変えようとしておるのだという意味の発言で、そういう発言は、憲法という根本法であるだけに、非常に重大な、大使として許されない内政干渉的発言ではないか、こう思うのでありますが、外務委員会で外務大臣にもわが党の中路議員が御質問したことがあるわけでありますけれども、こういう点について総理はどうお考えでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、マンスフィールドさんがおっしゃったこと、インタビューで述べられたこと、概略は承知をいたしておりますが、その後大使にお目にかかっておりませんから、その真意というものを十分御説明を願っておりません。実はよく把握しておらないわけでございます。 私は、マンスフィールド大使も、米国政府もそうだと思いますが、日本が平和憲法を堅持しておる、憲法九条というものもこれを鈴木内閣においては変える考えはない、全体を変える考えはない、こういうような制約があるのだということを認識しておられる表現であろうか、これが邪魔だからこれを改正をせよとか、そういうことではない。また、日本国憲法は日本国民全体が合意して決める問題でございまして、他国からどうこう指図を受ける問題ではない。これは明確でございますから、その点は私は少しも意に介しておりません。心配しておりません。
○坂田委員長 東中君、簡単にお願いします。
○東中委員 いままでは制約があると言われたことがあるのです。今度のこのインタビューでははっきりと「障害」ということを言い、しかも抽象的ではなしに、「憲法第九条」ということを言い、そしてその障害を除去するように動くであろう、こう言っておるわけであります。これは総理はよく御存じないとおっしゃられますけれども、客観的にそうやって印刷されて出ておるわけでありますから、やはりこういうことは米国の代表である駐日大使が言うべきではないということについて、はっきりとした意思表示をされるのが当然ではなかろうかと私は思うわけです。
○鈴木内閣総理大臣 いまここに記録がございますが、マンスフィールド大使は、同時に「日本は軍事大国とはならない」、また「アジアの安全保障の分担につき日本が米国の肩代りができるとは思わない」、「日本が行っている白御方の整備は日本の防御のためである」、こういう趣旨のことも繰り返しおっしゃっておるわけでございます。
○坂田委員長 東中君、もういいですね。
○東中委員 もう時間ですから終わりますが、一言だけ。 そう、言われた上で、憲法が障害になっておると育っているその部分が問題だと言っておるわけです。これはひとつ真意をただしてもらって、そして、少なくとも駐日米大使が日本の憲法を変えることを要請しているような、そういうことを外的に言うべきではないということについては、ぜひはっきりとした態度をとっていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
○坂田委員長 中馬弘毅君。
○中馬委員 時間の割り当てが少のうございますので、答弁は手短かにお願いしたいということを御要請しまして、質問に移ります。 まず第一点、前回この安全保障特別委員会で問題になりました北朝鮮潜在脅威論、これが、議論がちょっとひとり歩きして、それで防衛庁、外務省、官房長官の間で解釈が二転、三転しているようでございます。この委員会の席で、北朝鮮の脅威論に対する最終的な総理の御見解をひとつお願いしておきたいと思います。それが第一点です。 これに関連しまして、朝鮮半島はこれはわが国に一番近い隣国なんですね。不幸にしてその半島が二つの体制の異なる国に分かれております。両者に紛争が起こるというような可能性は、これは日本とソ連が何か一戦を交えるという以上に確率の高いことであるわけで、そして、そこに両者の紛争が起こるならば、それはもう一つの条件として、日本にその朝鮮民族というか韓民族の方々が非常にたくさん定住されているのですね。それで、しかもここが一番戦争の可能性が出てくるところなんですから、日本のように海の中にあって、外国と直接つながってない場合には、そういう異民族が入り乱れているだとか、あるいは宗教が入り組んでいるだとか、こういったことはないのですけれども、たまたまこの朝鮮民族、韓民族だけが日本にかなりの数が定住している。ですから、ここで一つの紛争が起こるならば、それは日本の治安の問題にまで響いてくるのですね。そういうことから、ここの平和というのは非常に大事だと思うのです。 現在北朝鮮とは外交関係を持っておりません。しかし政党レベルでは自民党から共産党まで接触をしております。政府が外交関係を持ってないだけです。そうすると、政府としましては、どのような条件が整えば、北朝鮮と外交関係を結ぶことになるのか。そしてまた、南北の統一に関してわが国の果たし得る役割りというのは、総理はどのようにお考えなのか。これが平和的に統一されるならば、それはもちろんわが国の安全にとって非常にありがたいことですし、それから、これこそ鈴木総理のお手でそれがなされるならば、これはノーベル賞の平和賞ものじゃないかとさえ思っておるのですが、いかがでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 朝鮮半島に紛争が起こるか起こらないか、南北の間で武力衝突が行われるかどうかということは、アジアの平和と安全にとってきわめて重要な影響を持つものでございます。 わが国といたしましては、したがいまして、この朝鮮半島における南北の間におきましては、話し合いによって平和裏に問題の処理、解決、南北の統一というようなことがなされることを期待をいたしておるわけでございます。 わが国は、御指摘のように北朝鮮、朝鮮化主主義人民共和国とは国交をいま開いておりません。おりませんが、人的交流の問題でありますとか、あるいは貿易、経済、文化交流という面につきましては、これを着実に積み重ねてまいっておるところでございます。 北朝鮮と日本がいつ国交を開くかという問題につきましては、朝鮮半島における状況を慎重に見きわめる必要もございますし、また、関係各国のこれに対する対応その他も十分見きわめる必要がある、総合的に判断をして、その時期等は結論を出したい、こう思っております。
○中馬委員 私の答弁になってないようなんで、二点だけ手短かに申します。 先ほど言いましたように、北朝鮮を日本は脅威と感じるのか感じないのか、この点の総理大臣としての御見解を手短かにいただきたいということと、それから、どういう条件が整えば北朝鮮と国交回復するのか、その点を手短かにお願いしたい。
○鈴木内閣総理大臣 後段のことにつきましてはいま答弁したとおりでございます。 前段の脅威論につきましては、私は直接的脅威、潜在的にせよ何にせよ、直接日本に脅威になっておるとは考えておりません。
○中馬委員 余りこの問題だけでやるのは、時間もございませんので、総合安全保障会議の問題ですが、先ほど横路委員の質問に対しての御答弁で、ただ軍事力だけではなくて、非軍事面までも考えるのだということにつきましては、評価するものでございます。 しかしその形の問題、内容の問題、と同時に、予算の問題なんかも出てくると思うのですね。 たとえば、こういうものは優先順位になってくると思うのです。たとえば軍事力をそろえたとしても、それこそ石油がとまったら動けないわけでございますし、場合によっては、東京に直下型の地震が起こったならば、その方がはるかに大きな被害を日本に及ぼすかもしらぬ。そうするならば、何が一番大事かといったようなことを、場合によっては各省庁の予算から別枠ででもとらなければ、実際問題として機能しないと思うのです。各省庁には、それぞれ狭い意味での地域的なエゴだとか、業界のエゴだとか、あるいは住民のエゴだとか、そういったような利益を代弁した面もございます。その方ももちろんやっていかなければいけない。しかし、それを超えたところでの国家危機に対してこれを一つにそろえるという場合に、何か予算の別枠ででもしてやっていかなければ、実際に機能しないのじゃないかと思うのです。たとえばエネルギーが大事だとか、食糧の備えが大事だという問題が起こってきても、開発援助が大事だといったことが優先順位として取り上げられたとしても、何か予算の裏づけが別枠としてでもなかったならば、それは機能しないと思うのですね。 そういう意味で、総合安全保障会議をただ単に会議の場にするのか、もう少し機能的にどのような形で運営されるのか、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 総合安全保障会議は、先ほども申し上げましたように、総合安全保障という視点に立って、外交から、経済協力から、資源エネルギー、食糧問題、あるいは技術援助等々、いろいろな政策を整合性をもって進めていこう、こういう観点で、総合安全保障政策というものを進めてまいるということを私は申し上げておるわけでございます。 ここで結論が出たことは、国防会議の決定と何々州まちまして、わが国の総合安全保障というものを確保するということにするわけでありますが、すべて最終的には閣議において決定するわけでございます。したがいまして、これらの政策を整合性をもって進めるにつきましても、予算編成の際に整合性がとれるように裏づけをしながらやってまいる、こういうことになるわけでございます。 それから、中馬さんが持論として展開しておりますところの地震災害、直下型の大地震というようなものも、国防会議なり総合安全保障会議の対象にすべきだという御意見のようでございますけれども、御承知のように中央防災会議というものがございまして、こういう大震災等に対しましては十分対処できるようにいたしておるわけでございます。
○中馬委員 もう一つ、日本の自衛隊のあり方について、総理のお考えを伺っておきたいと思います。 近代戦争というのは、それぞれの陸軍や海軍や空軍が別々に行動を起こして戦争をするのじゃないのですね。完全な総合戦争だと思うのです。そうしますと、十九世紀的ないまの三自衛隊のあり方が果たしていいのかどうかというのは、私は非常に疑問に思っておるのです。もちろんそれを統合するような意味での統合本部、参謀本部といったものがございますけれども、これを全然別個に新たな観点で、要するにそういう縦割りの組織じゃなくて、たとえばどこを防備する、あるいはどういう方面の作戦に備えるといったようなことで、全くその組織を外した、新たな国防軍といいますか、こういうものがどうも必要じゃないかという気がするのです。 そしてまた、現在それぞれに分かれていることが、それぞれ別個に、たとえば七四戦車をそろえなければいけないということを陸上自衛隊は言いますし、それから航空自衛隊は戦闘機だ、こういうことになってくる。しかし、果たしてそんな個個の戦争があり得るだろうか。特に日本のような島国で戦車があれだけ要るのだろうか。むしろそれよりも、そういう外から、いずれにしても外から来るわけですから、海を越えて来るわけですから、レーダーとミサイルがあればそれで防げるのじゃなかろうか、その方をたくさんそろえることの方が専守防衛の場合には必要じゃなかろうか。そうすると、陸上だとか航空だとか海上といったような、いまの組織のあり方に非常に疑問を感ずるような次第でもございます。そういうことも含めて、総理の御見解をひとつお伺いしておきたいと思います。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 現下の厳しい財政事情のもとで、従来にも増して効承的な防衛資質が求められていることは、私どももよく承知しているところでございます。 そこで、いまお尋ねの陸・海・空三自衛隊についてでございますが、これは先生御承知のとおり、それぞれの任務を遂行するために組織が編制されているものでありますが、有事に際して最も効果的にその能力を発揮するためには、三自衛隊が有機的かつ統合的に運営される必要がある。このため、平町から、統幕学校等におけるように統合的に教育を行うとともに、統合的見地からの防御研究や、統合演習を積極的に行っているところであります。 また、防衛力整備の面におきましても、防御マイクロ回線の整備や、各自衛隊の間における同一装備品の採用などの点でも、極力努力しているところでございます。 今後におきましては、統合的、機能的な三自衛隊の整備、運用に努めてまいりたいと考えている次第でございます。 ただいま何か一本のものにしたらどうかというようなお話もございましたが、御指摘のような国土防衛軍のようなものは、現在そういうものに改めることは防衛庁としては考えておらない次第でございます。
○中馬委員 終わります。
○坂田委員長 箕輪登君。
○箕輪委員 きょうは総理の時間が余りないのでありますが、若干のことを御質問申し上げたいと思います。 先ほど来から各同僚委員が話をされておられました「防衛計画の大綱」、五十一年につくったものであります。あのころの国際情勢と今日のわが国をめぐる国際情勢というのはかなり変わって、かつ、厳しいものになってきたことは、総理も、防衛庁長官も、外務大臣も、それぞれ御認識のことと思うわけでございます。 当時、その解説とか補足とかというもので、国際情勢がこういうことで変わった場合には防衛大綱を見直さなければならないと、五項目書いているわけであります。その五項目は、たとえば安保条約が有効に機能しているとか、あるいはまた米中はもっと関係が改善されるであろうとか、米ソは戦わないであろうとか、韓半島でも問題は起きないであろうとか、中ソ関係とか、この五つの条件はそう狂ってはいないと思うのです。 ただ、先般のこの委員会で、たしか横路さんでしたかどなたかの質問に、防衛庁は、今日の国際情勢の変化は当時予想しなかった、こういうことを言われております。予想しないことが起きたのです。予想できない、当時考えることもできなかったことが今度起きたのです。いま五条件を申し上げました。五つの項目を申し上げましたが、その中に入っていないことが起きたのです。それは何か。それは、一つにおいては米ソの軍事バランスが崩れてきたことなんです。 七一年ころにはソ連の極東地上軍は十七万か、十八万しかいなかった。今日どういうふうに変わったか。三十四個師団三十五万人が配備されておる、太平洋艦隊もまたかなりの増強をされた、ミンスクも配置された、あるいはSS20が配備された、ずいぶん変わってしまったのです。相対的にアメリカの軍事力が低下した。先ほどもお話のあったとおりなんです。これはかなりの変化なんです。低下したアメリカのわが国にいる軍事力は、中東の事件が起きるとスイングしていなくなってしまう。いまはほとんどいないんですよ。 防衛庁長官にお尋ねしますが、七六年、七七年あるいは七八年七九年と、ずっと今日までアメリカの艦隊、機動部隊はここに二艦隊いたのです。二機動艦隊がいたのです。それがいまおりますか、ここに。長官がもし都合が悪ければ、岡崎君でもいいです。
○大村国務大臣 お答えします。 大綱策定当時は、五十一年、五十二年当時でありますが、西太平洋に米空母は二隻展開しており、そのうち一隻は、インド洋に年に一度、一カ月程度継続して展開するパターンがとられておりました。ソ連のアフガニスタン軍事介入後は、第七艦隊から一個、太平洋艦隊から一個、計二個の空母機動部隊がインド洋に常時展開する態勢が継続しており、また、交代する際の一時的な空白が出ることがありますが、第七艦隊からのもう一個の空母機動部隊は西太平洋に展開する態勢が続いております。
○箕輪委員 長官、都合が悪ければ岡崎さんでもいいと言ったのは、いまここに機動部隊がいますかということを聞いているのです。あるいは西太平洋あるいは日本の周辺にいますか、それを聞いているのです。岡崎さん、あなたの方がいいや、どうせ書いた人の方が一番よくわかっているのだから。
○岡崎政府委員 いま長官からも申し上げましたとおり、かつては二個機動部隊がありましたのが最近は一個機動部隊になりまして、これを艦隊のやりくりをいたしましてなるべく一個機動部隊は常にいるように工夫しておりまして、一年じゅう大体いるのでございますけれども、たまたまここしばらくは、あるいはきょうぐらいにミッドウェーがシンガポールあたりに入ってきておるかも存じませんけれども、ここしばらくは西太平洋にはアメリカの機動部隊はおりません。
○箕輪委員 総理、お聞きのとおりであります。いままでずっと二個機動部隊がいたんですよ。中東で事件が起きましてから一個機動部隊になりました。そしていまは、しばらくの間日本には一つもいないのです。これで日米安保条約が機能いたしますでしょうか。私は非常に心配しているのです。五十一年につくったときの想定で、その例示として第一番目に挙げた日米安保条約体制というもの、アメリカの機動部隊が二個おって守れたのですけれども、それが一個になり、いまは一個もいないのです。お話を聞きますとミッドウェーが帰ってきそうだ、きょうあたりシンガポールに入ったかどうかということで、これも未確認情報でしょう。中東の事件が長引けば長引くほど日本の空白状態が続くのです。私はこれはやはり情勢の大きな変化だと児なければならぬと思います。 この想定の中では、軍事バランスを見たことがないのです。これは当時では想像もつかなかったことなのです。それが一つ起きた。中東で事件が起きるというと、わが国からスイングして、わが国が空白になってしまうのです。これは新しい情勢の変化ではないでしょうか。当時はこれを読んでいなかったのです。NATOで事件が起きればアメリカはスイングすると最近言っているでしょう。もう一つ安保条約で申し上げたいことは、アメリカが本当に有事の際に日本を守るかどうかということなんです。これは心配なんです。ということは、この間ニミッツが六カ月のインド洋のパトロールを終えて、任務を終えてサンジエゴに帰ったんです。この乗組員が非常に怒っているんです。アメリカじゅうで評判になってきていますよ。なぜでしょうか。「おれたちが行き交う船、行き交う船全部そうだ、みんな日本に向けているタンカーだ、日本は“ありがとう”も言わぬじゃないか」と言って怒っている。六カ月艦上生活をしますと、一杯の酒も飲めないんです。自分の家内や恋人に会うこともできないんです。六カ月間の禁欲生活。 長官、これは岡崎さんの方がいいかな、防御局長の方がいいかな。いまアメリカの軍人の初任給は幾らですか。——わからなければいいです。四百五十ドルなんです。十万円に満たないんです。四百五十ドルの月給をもらって、半年間汗流しながらパトロールする。暑いですからね。そしていま言うような生活なんです。アメリカから見ますと、対日国民感情というものは悪い方に高まってくるんですよ。日本は金持ちだと思っていますよ。大まかに言って、アメリカのGNPは二兆ドルでしょう、わが国は一兆ドルですよ。そうしますと、人口が倍ですから国民一人当たりの所得は同じなんです。しかしおれたちの国は七・五%もの失業者が出ているよ、こういう考えがあるんです。インフレ率は一二・五%だ。日本はわずかに失業率は二%だ。そして日本人を見るとはるかに、いまやアメリカよりも金持ちのように見えるんです。 この前聞いた話ですけれども、アメリカの海軍少将とわが国のある人が銀座の「千疋屋」で会ったそうです。十分ほど前に来ておって、彼はびっくりしたそうだ。「おい、日本は金持ちだな、一個一万円のメロンを食べるのか」と、こう言った。アメリカでは一ドルか一ドル半ですよ。そういう二万円のメロンを食べられる。アメリカの人が外国に観光旅行するといえば、これはほとんどが年金受給者ですよ。年をとって初めて夫婦で外国へ出かけていく。ところが、ハワイでもグアム鳥でも、行ってみると日本の若い連中がいっぱい来ている。これはアメリカにいないんです。しかも、若い人はフランス製あるいはイタリア製のハンドバッグを持っている。アメリカ人は買いたいと思っても買えないんです。ホテルでビフテキを食べるというと五十ドルのビフテキだ、一杯のコーヒーが五百円だ、そういう生活をしている日本人は金持ちだと思っているんですよ、皆さん。そして「四百五十ドルでこれらヨーロッパ製のハンドバッグを持ったやつらをおれたちが守るということは、どうしても腑に落ちない」と、その乗組員たちは言っているんです。 私はここで申し上げたいことは、総理、お聞きいただきたいのでありますが、防衛には、抑止力として第一のとりで、第二のとりで、第三のとりでが要るんです。これは洋の東西を問わずであります。昔から外堀があって内堀があって本丸があるのであります。われわれが少し甘えていたんですよ。この外堀は、日本は四方が海でございますから、アメリカがずうっと守っておったのです。そうしてわが自衛隊は第二のとりで、第三のとりでを守ればよかったんです。いま、中業見積もりのテンポを早めるという話があります。総理、聞いてください。戦車を五十両、六十両しか買わなかったものを、今度は来年八十両買おうというんです。気がつきませんでしょうか。戦車というのは何でしょうか。敵が上がってきてから戦う兵器なんです。外が全部いまは空っぽなんです。第一のとりでが空っぽになっているのです。私は戦車も必要だと思いますよ。それは要らないと言うのじゃないんです。この第一のとりでが空っぽになっておって、情勢が変化しないのだというような考え方であったならば、私は間違いだと思うのです。それには、先ほど中馬さんがおっしゃったように、陸上自衛隊には、相手を上げてから戦う兵器じゃなくて、上がってこないうちに、領海の中で、上陸してくるその上陸用舟艇をやっつける兵器を備えさせた方が利口なんです。わかり切っているじゃないですか。展開したら厄介ですよ。いまだに防衛庁は限定・小規模の侵略、侵略してくる方から「限定して、小規模で入ってきますよ」と言うばかがどこにいますか。いま、第一とりでが一つもないのですよ。私は、そういうことをおのずから自分たちでもって自覚して、自主防衛というものが決まっていくと思うのです。 中業の見積もりがテンポを早めて完成しても、あるいは中業見積もりそのものが全部完成しても、大体シェルターなんというのは幾つできるのですか、三十六ですよ。大綱の完成時に飛行機は幾らになるのですか、航空自衛隊で三百五十、海上自衛隊で百八十になるのです、合わせて五百三十ですよ。シェルターがなかったら飛行機は裸で置いてあるのですから。いまマンスフィールドさんの話が出たが、この間アメリカ大使館の武官が、P3C、これはいつまでも裸ですよ。中業の見積もりの中には全然入ってないのですから。そして、P3Cなんて、これはソ連が非常に恐れている兵器です。抑止力になるのです。中業が完成してもこれは裸なんです、シェルターが三十六しかできないのですから。 私は、来年の予算というものは大切だと思うのです。そういうふうに第一とりでが全然ないのですから。中業のテンポを早めるなんという来年の予算について、九・七がいいとか悪いとかとさっきから議論がありますけれども、これからの抑止力というものは、相手を上げないことですよ。その第一とりでというものを忘れてはならないのです。北海道をごらんください。言いたくないけれども、根室だとか稚内だとか、防衛施設は何があるのですか。レーダーサイトがあるだけですよ。 総理、聞いてください。本当に相手が来たとき、見るものしかないのですよ。それで抑止力になるでしょうか。対空火器は一つもないのですよ。中業のテンポが早まったならそれができるのでしょうか。総理は責任があると思うのです。 そういう厳しい国際情勢の中で、専守防衛というのは、有事になったらこの国が戦場になるのです。やはり上げない抑止力を持つ。それは外交も必要ですよ。それから、開発途上国に援助も必要だとおっしゃいました。しかし有事になったときに、日本が開発援助をした国が助けに来ますか。来ないでしょう。いや、それもしていいんですよ。私はするなとは言わぬ。だが、一番大切な第一とりでというものを、アメリカがいまいない今日、どうやって日本が自主的に守るのか。 私はかさ上げしてほしいのです。国際情勢に変化があった場合には、大蔵大直と防衛庁長官でもって話したじゃないですか、そのときには追加要求も認めるということになっているじゃありませんか。私は、日本の防衛を考えるときに、かさ上げがなくて、追加要求がなかったならば、大変なことになるぞと考えるわけであります。 それから、総理大臣に一つお願いがございます。だんだん時間がなくなりましたが、いま岡崎参事官から聞きますと、ミッドウエーが帰ってくるそうでございます。近く帰られるということで、私は、先般横須賀の市長さんに頼んで、「ミッドウエーが帰ってきたときには迎えに出てくれぬか」とお願いしました。彼は前にも一回行きまして、これは大変喜んでおります、大変喜んで、いつも感謝をしておりますと伝えているそうで、日本のシーレーンですよ、皆さん。日本はそこへ出ていく能力がないと言っているのです。憲法上は行けてもですね。それを守ってくれているのですよ、四百五十ドルの月給で。十万足らずの月給で守ってくれている。私は何とか、このミッドウエーが帰ってきたときには、総理、お願いでございますから、総理は非常に嵩んで感謝をしているという意思を、どうかひとつ、これは防衛庁からでも外務省からでも結構でございますから、お伝えいただけるように御処置を願いたいと思うのであります。 総理の御答弁をお願いいたします。
○鈴木内閣総理大臣 箕輪さんの、わが国の置かれておる立場、また周辺の諸情勢、防衛に対する考え方、大変有益な御意見を拝聴したわけでございます。 現在の「防衛計画の大綱」、これすらも達成にはなかなか時間がかかる。財政上の厳しい制約もございます。また、防衛の問題は、国民のコンセンサスを得ながらこれをやっていかなければなりません。私はそういう意味合いにおきまして、今後着実に「防衛計画の大綱」の枠内でこれを進めるということを、政府としては考えておるわけでございます。 なお、いまミッドウエーが横須賀に入港した場合の、これに謝意を表するというような問題についての御提言がございましたが、十分検討さしていただきたいと思います。
○箕輪委員 ぜひミッドウエーの慰労は、ひとつお願いを申し上げたいと存じます。 総理、間違ってお聞きになると困りますが、私は、大綱を見直しせよとかあるいは見直しするなとか、そういう押し問答はするつもりはございません。総理の考えも先ほどから聞いておってよくわかります。しかし、防衛庁自身が言っているように、中業の見積もりを完成しても守れないと言っているのですから、しかも第一とりでがこのようなことでは困るのであります。総理のお考えで結構でありますから、大綱を見直ししなくても、この中でのやれることはたくさんあるのです。時間がないから申し上げられませんけれども、陸・海・空にこういうことをしてほしいという気持ちを私は持っておりますが、残念ながら時間がありません。次の選挙の方の委員会に総理はお出かけにならなければなりませんようですから、あるものは削っても、あるものは伸ばさなければならないときがあるのですということだけ申し上げたい。 一九七〇年のソ連の軍事力と七五年の軍事力を比べますと、あるものは削ってでもあるものに重点を入れております。七〇年と七五年で一番の違いは、十七万五千人も陸軍の兵隊の数を減らしているのです。そして、あるものに力を入れているのです。私は、総理、国防会議を形骸化させないで、「形骸化した」なんて書いているのがおかしいので、実際形骸化しているのですが、これはさせることがおかしいのです。ときどき開いて、統幕議長なども呼んで、御意見を聞いていただきたいと思うわけであります。 先ほどから有事立法の話が出ております。たくさん問題があります。八十四条、これは領空侵犯であります。八十二条、これは海上自衛隊に対して、海上における警備行動をうたっております。問題があるのです。これは人命と財産の保護、治安の維持、そのために、乱れたときには、防衛庁長官は、内閣総理大臣の了承を得て、自衛隊の部隊に適当な措置を講ずるよう命ずることができると書いてあるのです。これはシーレーンの場合なんか特にそうなんです。これはできるのです。自衛隊法八十二条ではっきり書いているのです。書いております。できるのですが、その能力がない、こうおっしゃるわけです。御検討いただきたいのです。紛争に介入するとか、武力で何を解決するとかということでなしに、わが国の海上自衛隊はいま遠洋航海に出ております。通常、東南アジアに行ったこともありますけれども、ハワイ経由で西海岸とか、ことしは南米の方まで行ったと思います。友好親善を重ねながら、洋上訓練をやりながら、インド洋まで行ってインドに寄ったり、あるいはタイ国に寄ったりすることはできるのです。これは一つの方法だと思います。ただし、武力によって何か紛争を解決するとか、威嚇するとかいう目的で行くことは、憲法の禁ずるところであります。しかしいま言ったような、私の言ったような目的でやるならば行けるのです。そうして、そこに日本の自衛艦がプレゼンスしていることを外国が見るのです。西ドイツも練習船を出すつもりでいたでしょう。途中で衝突してやめちゃったが、これは練習艦です。そこで、その八十二条があるのです。八十二条がありながら、実は残念な事件が一つあるのです。 それは、先ごろソ連の原子力潜水艦が火災で事故を起こした。あの際、わが国の領海を通って、引き船で、その火災を起こしたエコー型の原潜を引っ張っていったじゃないですか。これは残念なんです。明らかに主権を侵しているじゃありませんか。ウグラ級の原潜母艦がこれを護衛しながら、わが国の領海を通っていったじゃありませんか。これは隠しているのですよ。新聞なんかにも出しません。原子力潜水艦の母艦ですよ。母艦が一緒に行っているのです。五十七ミリ機関砲を八門持っているのですよ。武装した軍艦が通っているのです。いま申し上げたいことは、この八十二条ですよ。これはさっき言ったように人命と財産の保護だけなんです。自衛隊法には領海防衛の規定がないのです。おかしいでしょう。こういうことも検討していただきたいのです。すでにああいう事件が起きているのです。研究にはかなり長期間かかりますという御答弁でございますけれども、こんな事件が起きても、領海警備規程などもつくれないようなおかしなことであっては、おかしいじゃないですか。そう思いますよ。やはりあれからもう二年以上たっているのですから、速やかにつくるものはつくる。 これで終わりますが、ただし、総理にお願いしたいことは百三条であります。有事になった場合に、防衛庁で勉強する有事勉強は、自衛隊の行動の規範をお勉強になればいいのです。ただし、百三条は、自衛隊で勉強できるものではないのです。昭和二十九年に自衛隊法ができたのです。それから二十六年たちました。「政令で定める」となっているのです。有事のときの、けが人が出ますから病院関係はどうするか、物資の確保はどうするか、土地や建物の確保はどうするか、その運搬はどうするんだ、都道府県知事に依頼するところもたくさんあります。こう挙げても、運輸省や、あるいは物資の問題になると農林省や通産省や、あるいは厚生省まで入るのでしょう。これを防衛庁限りで勉強せいというのは無理です。私はやはり、政府の責任において、百三条で定める政令は、政府のもとで各省を集めてお勉強されなければならないものではないかと思うのです。防衛庁だけにやれと言ったってこれは無理です。米の確保だ、何の確保だ、防衛庁限りでできるわけがないのです。 ぜひ総理にお願いしたいことは、百三条で定める政令は総理の手元でどなたかにやらしていただいて、防衛庁も勉強させますけれども、速やかに政令ができるよう、この一点だけを総理に御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 百三条に基づく政令の問題でございますが、これは結論を出しますためには、決定いたしますためには、お説のとおり関係各省庁と十分検討し、調整をしなければならない問題でございます。 そして、先ほども申し上げましたように国民の権利義務、基本的人権にもかかわる重要な問題でございますから、慎重に検討する必要があると心得ております。 ただ、問題点を防衛庁でまず整理をいたしまして、この問題について関係省庁と十分検討を進める、協議をするというような進め方、そういう問題も考えなければなりません。 今後防衛庁長官その他の御意見を聞きながら、この政令の問題につきましては私自身も勉強していきたい、こう思っております。
○箕輪委員 どうもありがとうございました。 ————◇—————
○坂田委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事椎名素夫君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 それでは委員長は、後藤田正晴君を理事に指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十八分散会