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93回国会衆議院1980/10/27

安全保障特別委員会 第3号

発言数
120
登壇者
11
会派数
4
開催日
1980/10/27

会議録

坂田道太自由民主党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田之久君。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 初めに外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。  注目されておりますイラン議会の人質討議問題が秘密会に持ち越されたと、きのう、きょうのマスコミが報じておりますけれども、このイラン国会における人質問題をめぐる今後の推移について、まず外務大臣としてはいまどのような予測をお持ちになっておりますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  御質問のイランの議会における人質問題の討議でございますが、先般国連の安保理事会にイランの首相が出る、そして事務総長と会って会談するというようなことで、人質問題の動きが出ておることは先生もう御承知のとおりでございまして、いよいよイランの議会で議題になっておるわけでございますが、どういう結論が出るかということにつきまして、まずアメリカ側は非常に慎重に見ております。いろんなルートを通して連絡もあるわけでございますが、過去において何回も解放というようなことで進んだことがあるけれども、その都度実現しなかったということで、現実に人質がイランの地を離れるというまでは、どういう結論になるかわからぬということで、アメリカの首脳部、非常に慎重な態度でこれを見守っておるというのが現実でございます。  わが国としましても、これはちょうど一年になるわけでございまして、イランの人質が解放されるまで、いままで日本もECと提携しましてイランに対して経済制裁をやるというようなことをやっていたわけでございまして、これは本当に国際法といいますか国際秩序を無視したことだということで、一時的にああいうことをやっておるわけでございますが、一日も早く人質が解放になって、そういう措置も解除できる、イランとの交わりも、国交も平常に戻るということが、これは本当に期待されることでございます。  何もイラン・イラク紛争に介入するという意味ではちっともない。人質解放ということ、それに伴う制裁措置の緩和、撤廃ということでございますので、私どもはやはり一日も早く人質が解放されて、平常の国交に戻るということを期待しておりますので、また一日審議が延びたようでございますが、私どももこれを本当に期待を持って見守っておるというのが現状でございまして、何とか早い機会にこういうことが実現するようにということを期待しております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 人質解放の一日も早からんことを期待しておられる気持ちはよくわかります。また事件発生以来きょうまで、わが国もイランとの関係においていろいろ苦労をされてきたこともよく認識いたしております。  ところで、まだ予測の問題になりますけれども、この人質がすべて解放されたとか、あるいは大部分解放された、こういうときに、アメリカとイランの関係が修復されるということは当然予想できます。  一方、一部マスコミの伝えるところによりますと、この際アメリカはイラクを侵略者だときめつけるという動きがあるとか報じられておりますけれども、この辺の動きにつきまして外相は何かお聞きいただいておりますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 アメリカの首脳部がそういう演説をしたということは新聞報道等で私ども知ったわけでございますが、この前も国会でも問題になったのでございますが、イランの人質解放ということと今度のイラン・イラク紛争への介入ということは、これは別な問題だ、あくまで人質の問題は人質の問題として考えて、そしてそれが解決しましても、イラン・イラクの紛争には第三国はどちらにも加担して介入するということは、これはあの地帯をもとにしまして世界的な動乱にもなりかねないようなことでございますので、日本側としては、これは第三国は介入すべきじゃない、中立を守って、あくまでイラン・イラクの両当事者の問題として、仲介とか調停とかいろいろな手段はございますが、イラン・イラクの問題だけに限定して平和裏に話し合いがつくということを希望しているわけでございますので、私どもは人質問題は人質問題、介入はしない、中立を守るということが望ましいということも、その日本側の意向を改めて向こう側にも伝えるというようなことをしておるわけでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 人質問題とそれからイラン・イラクの戦争の問題とは、あくまでも別個の問題として処理されるべきだという外務大臣のお気持ちはよくわかります。しかし、もしもその私どもの期待に反して、希望に反してアメリカがイランを支援する、またソ連がこれに対してどう出てくるかというような問題になりますと、まさにここに来て重大な局面を迎えるおそれがあると思うのです。したがって、いま外務大臣がそうしたことにならないようにということを切に願われる以上は、ただ願っておられるだけではなしに、直接何らかのアクションを起こされなければならないと思います。きょうまでどうされてきたか、あるいは今後どうなさろうとしているか、その辺のところをもう少し決意を述べていただきたい。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 この前もそういう御要望が先生から出たことがございますので、われわれとしましても、それをよく頭に置いてその問題に対処いたしますということを申し上げたのでございますが、その後どういうルートでどうしたということはまだちょっと申し上げかねますが、現実にそういう意向を伝えるというようなことはもうやっております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 すでになさっているようでありますけれども、それは国連に対してでしょうか、アメリカに対してでしょうか、ソ連も含めてでございましょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 まずこの問題は人質の解放ということが問題でございまして、その当事者はアメリカとイランでございますので、その当事者にまず連絡するのが先だというふうに思って、実はやっておるということでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 イラクに対しては何か折衝を続けておられますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 人質の問題自身について、イラクに対して日本からある意思表示をするということはまだしておりませんが、これは先生に先ほど申し上げましたように、仮定の問題でございますが、もしもイランとアメリカの間で人質解放が行われたというようなことになりますと、日本側の経済措置の問題とか、いつどうするかというようなことがいろいろ出てくるわけでございまして、これは日本がある行動をとりますときには、湾岸諸国でございますとかあるいはイラクをもちろん含めて十分それは連絡をしてやる、あくまで日本も制裁を撤廃するというような——まだ人質解放になっておりませんから、仮定の問題でございますが、そういうようなことをする場合には関係国に、そういうことがあってもこれは人質問題の対応策であって、日本はあくまでイラン・イラク紛争には介入しない、中立だということを改めてみんなにわかってもらうように、即刻あるいは事前に連絡をするつもりでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 そうした日本側の考え方の表明というものを、外務大臣の責任において適切に、かつまた、早急になされるべきことを強く希望する次第でございます。  ところで、ホルムズ海峡の安全につきましては、その後変わった動きはございませんか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 ホルムズ海峡の航行の安全につきましては、その後安保理事会でもいろいろ議論も出ておることでございますし、またこれは日本も何回も念を押したのでございますが、ホルムズ海峡の航行の安全は守る、国際法上の義務は守る、国際慣習には従うということを繰り返しイランもイラクも言っているわけでございまして、いまのところそういう心配は現実に起きておらぬということでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 ところで、この間の十一日の衆議院の予算委員会におきまして、わが党の大内委員から質問を行ったことでございますけれども、海外の邦人の救出の問題について、自衛隊を海外に派遣することができるかどうかという問題の提起がなされております。このことにつきまして法制局長官は、武力行使の目的を持たず、平和手段による邦人救出を目的とし、当該国の同意を得るならばそれはでき得ることだ、しかし、現実には自衛隊法は自衛隊の海外派遣を認めていないので、いま直ちに派遣することはできない、こういう御答弁でございました。  防衛庁長官の意向等につきましては後でまたお聞きすることにいたしますけれども、こういう海外の邦人を救出するために自衛隊を派遣すべき必要は、好まないことではありますけれども、今後あり得ることだと思います。また、もっと近くにおいてもそういう事態が起こらないとは限りません。  この際、外務大臣としては、邦人救出に対するいまなすべき国の手だてあるいは法改正、そういうことにつきましてどうお考えでございましょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまの法律論は法制局長官の言ったとおりでございますので、法律論は私はいまここで申し上げませんが、いま私の方で、外務省で邦人救出のために自衛隊法を改正してくださいというようなことを防衛庁に申し上げるとか、そういうことはいまやっておりません。私どもはできるだけ平和裏といいますか、そういう自衛隊の派遣というようなことなしに、現地の外交ルートを通しまして、あるいはその周辺国との話し合いを通しまして救出をする、救援機の問題でございますとか、いろいろそういうあらゆる最善の手段を講じて救出するのが適当じゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、これは紛争の対応が、どういう紛争が起きるかということはいまのところ想像もつかぬわけでございまして、ケース・バイ・ケースでどういうやり方がいいかということを考えていかねばならぬというふうに思うわけでございますが、現地の大使館を中心にしまして、邦人の把握を十分平生からしておくとか、脱出するルートはどういうところがいいと考えるとか、そういうことを考え、常日ごろより心構えをしておくということでやるべきじゃなかろうか、現在はそう思っておるわけでございまして、遠い将来までの見通しはどうだということはつきませんが、いまの時点ではまだ、防衛庁に法律改正してくださいというようなお願いをするとか、検討するとかいうところには至っていないというのが現状でございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 外務大臣は、二十一日のこの委員会における所信表明の中で「アメリカは、かねてより中東地域の平和と安定を図り、同地域における海上航行の安全等を確保するためアジア・西太平洋における米軍事力をも割くことを余儀なくされてきておる」、こうお述べになっておりまして、明らかに今日スイング戦略が行われていることの認識を明確にされたと思うのです。だとすれば、わが国周辺のそのことによって生ずる軍事力の若干の低下、空白という問題が当然案じられるわけでございますけれども、こういう事態の中で、外務大臣として、いま日本がなさなければならない当面の課題は何であるとお考えでございましょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 この前ここでごあいさつといいますかそういう中で、アメリカが中東問題でいままでよりも追加的な役割りを負って、現実にそれを行っておるということをあいさつで申し上げました。私、アメリカへ行きましたときも、ブラウン長官からもそういう話を聞いたのでございます。  これに対しまして日本の対応でございますが、これは御承知のように日本はもう憲法ではっきりしている、個別的な自衛権でございまして、集団自衛権というものは憲法解釈上もないわけでございまして、まず国民がみずから自分の国をどうして守っていくかということを自主的に考えなければならぬわけでございまして、それは世界情勢と無関係ではあり得ないということは、私も申したとおりでございます。  それで、この前から話が出ておりますように専守防衛、自主的に国民の皆さんのコンセンサスを得て、そしてどうやったら自分の国を守っていけるのだ、安保体制のもとにひとつ防衛力の充実ということをやはり着実にやっていかなければいかぬというのが日本の立場でございまして、そういう観点に立って、有事の際には、共同の危険に対しまして日本とアメリカが共同して対処するわけでございますので、アメリカが安保条約に基づいて日本と一緒になって日本を守るというときに、日本の体制が十分でない、努力もしないということであっては、アメリカが日本を守るという気持ちを起こす際に、一〇の気持ちを起こすか、六の気持ちを起こすかということはあるわけでございますから、日本としては、やはり日本でできることはちゃんとやっておいて、そして、足りないところは来てもらって一緒に共通の危険に対処してもらうという準備を、みずからのできるだけの最小限の自衛力をもってやっていくという体制の中で、日本は着実に防衛力は充実しなければならぬと私どもは考えております。  ただ、これは狭い意味の防衛力の問題でございますが、安全保障というのはもっともっと総合的に考えることでございますので、外務省としましては、平和外交に徹するという見地に立って、なるべく日本が紛争に巻き込まれないように、専守防衛という立場で、非核三原則あるいは国民的なコンセンサスというようなことを頭に置きまして、そして平和外交に徹してやっていくというのが外交の基本方針だろうと思うわけでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 みずからの国をみずからで守るという体制をさらに確立しなければならないのは、まさにおっしゃるとおりでございます。しかし、同時にわれわれは、一刻も早く世界の不安を取り除かなければならない、これがより重要なことだと思うのです。そういう意味で、特に日本という国が今日持っております憲法の性格から申しましても、大変特殊な、独特な一つの立場と使命を持っている国家であると私は思います。そういう点で、特にイラン・イラクの停戦への仲介をわれわれが買って出るとか、あるいは先ほど申しましたイランの人質問題につきましても、その対処がさらに円満で、かつ総合的な平和の方向に向かっていくようにアメリカとイランのパイプ役を果たしていくとか、あるいはこの間大きな地震がありましたアルジェリアの救援活動などにつきまして亀、もっと日本が積極的に援助活動を行うとか、そういうことを行うべき特別の使命を賦与された国家であると私は考えます。  その点で、外務大臣みずからが、こういう重要な世界の諸問題につきましてもっと大胆に、大胆ということは決して慎重さを欠けということではありませんけれども、もっと大胆に積極的にいま行動されるべきときなのではないかと思うわけでございます。その点につきまして重ねて大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生おっしゃるように、日本の憲法は本当に世界で類のない憲法でございまして、私どもも、この憲法に基づいた平和活動、平和外交が基本であるということはおっしゃるとおりでございまして、いろいろな機会に、そういう考え方に立って外交活動をやり、国益を守っていくという見地の上で外交活動をやっていくということは大切だと思います。  先生おっしゃるように、イランの問題をとっても、実はイランとの関係が、人質問題でアメリカとイランの関係が切れましたときに、私どもも一番問題視したのは石油化学の問題でございますが、私どもは、石油化学というものをあえて例外としてやっていますという考え方も、あれはイランと西側の一つの大きな窓口になっている、ああいうものを窓口として活用していく、単に日本だけと言わず、そういうような大きな目でああいうものを考えたらいいじゃないかということで、あれは例外だというようなことで実はアメリカとも話をした、西側の窓口になるんじゃないかということで話したこともあるのでございまして、先生おっしゃったように、あらゆる機会をとらえて平和活動をやっていくということはおっしゃるとおりでございます。  ただ、イラン・イラク紛争の調停でございますとか、人質の問題とか、いまいろいろ具体的に例示として挙げられましたが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、いまも調停は国連の理事会あるいは非同盟がやろうかというような動きをしているとか、イスラム国家あるいはハク大統領が一生懸命やっているとかということが行われながらも、両国の隔たりが大きくて、まだ具体的な緒についておらぬわけでございまして、なかなかこの問題はむずかしい問題でございます。  先生からいま御激励を賜りましたが、どうやったら目的達成に一番いいのかということを慎重に考えながら、おっしゃったような活動をしていくことが必要だということは私も痛感をしているわけでございまして、御激励のような態度で外交に臨んでまいりたいと思うわけでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 外務大臣に対する質問は以上をもって終わらせていただきます。  防衛庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  先ほども外務大臣にお尋ねしておった問題でありますけれども、自衛隊の海外邦人の救出問題についてであります。長官は、十三日の参議院予算委員会におきまして、社会党の和田氏の質問に答えて、自衛隊それから輸送機等の出動については自衛隊法改正は検討していない、かつ、邦人救出の必要性がもっと世論の中で高まってくるとそういう法改正もやりやすいのではあるが、というような意味の答弁をなさったように聞いております。先ほど申しましたように、法制局長官の考え方それから防衛庁の最高首脳などは、十一日に大内質問のありました直後、自衛隊法の改正を検討しているところだと発言いたしております。この辺、防衛庁の考え方がかなりまちまちではないかという気がするわけでございますが、その点御見解を伺いたい。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 ただいまのお尋ねにお答え申します。  在外邦人の救出を必要とするような場合において、政府としていかに対処すべきかは重要な問題でございます。そのような場合に自衛隊が何らかの任務を持つべきかどうか、その問題につきましては、世論の動向、国会の御論議などを考慮して判断すべきものと考えております。防衛庁としては、政府全体としての判断を待って対応すべきものと現在考えておる次第でございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 大変慎重な、受け身の姿勢でいらっしゃるようでございますけれども、やはり国民が自衛隊に期待いたしておりますものは、こうしたときにこそ本当にすべての日本人のために万難を排して活躍してくれる、それが自衛隊なんだというところにあると思うのでございまして、私はちょっと長官のいまの御発言の意気込みと申しますか、そういう点が余りにも慎重に過ぎるのではないかというような気がいたしますが、この論議はまた後でいたすことにいたします。  ところで、先日わが党と自民党の間におきまして党首会談が持たれました。私は、この重要な防衛問題について、政党政治を行っておりますわが国において、政党の党首同士が本当に基本的な問題を論じ合ったということは、まさに画期的だと思うわけでございます。  その中で、いろいろと交わされました論議の中あるいは確認の中で、特にこの間から、これもわが党の大内委員が質問いたしました短SAMに関する問題がございます。私どもは、総理の答弁では、防衛庁の方ではこの短SAM問題につきましてローランドと一長一短だと言っておるけれども、総理は、さらに検討を深めよう、再検討しよう、こうおっしゃっているように聞いておりますけれども、長官はどう認識していらっしゃいますか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねがございました短距離地対空誘導弾につきましては、防衛庁としましては、慎重に検討しました結果、その機種を国産の短距離地対空誘導弾としたものでありまして、この決定には誤りはないものと確信いたしております。  さきの自民、民社両党首会談においては、総理から、国産短距離地対空誘導弾の整備について、さらに検討する旨発言があったと承知しております。防衛庁といたしましては、機種選定に当たって、国産短距離地対空誘導弾、ローランド等の検討対象機種について、運用上の要求とか性能、整備維持性、経済性等の観点から慎重に検討を行い、総合的に判断した結果、国産短距離地対空誘導弾が最もすぐれているとの結論に至ったものでございますが、総理からも、さらに検討してみるようにとの指示もございましたので、さらに検討を加えて、その結果を総理に御報告したいと考えておる次第でございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 大変重要な段階に来ていると思うのです。最終的にはさらに検討を加えて総理に報告するとおっしゃっておりますから、その検討にまちたいと思いますけれども、前半申されましたような、総合的に見て全くこの決定には誤りはない、こういう姿勢そのものがきわめて問題だ、われわれの考え方から見ますと、この決定判断は大いに誤っておる、こういう確信を持っている次第でございます。つきましては、さらに数点にわたりましてこの問題について御質問をいたしたいと思います。  まず、航空基地やその他の固定地上施設に対する空からの攻撃は、爆撃専用のコンピューターシステム等の装備によって相当正確に行うことができ、さして天候に左右されないと私どもは考えております。この前の答弁では、豪雨や密雲の場合などは支障があることは事実であるが、こう防衛庁は答えておられるわけでございますけれども、しかし、私どもは、今日のいろいろなコンピューターシステムの水準の向上というものは、そういうものを克服して、かつ攻撃を加えてくることができる条件にあると思うわけなんです。したがって、これだけを見ても、短SAMに支障があるということを知れば知るほど、むしろその虚をついて攻撃してくる可能性が大だと思うわけなんです。この辺の点についてどうお考えでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のとおり、航空機のコンピューターシステムというのは非常に発達してきておりますけれども、しかし、短SAMが対象にしております敵機の侵入というのは、低空あるいは超低空から来ますところのピンポイント攻撃といいますか、ある戦車であるとかあるいは航空基地に置いてあります飛行機であるとか、そういったきわめて小さな目標を攻撃するという場合を想定しているわけでございますけれども、そういった場合には、密雲の中からではとうていいまのコンピューター・レーダーをもってしてはそういったものを確認できないということでございまして、実際には視認、要するに目によって目標を確認いたしまして、しかる後にレーダーによりまして距離、方位等を測定いたしまして攻撃するというのが通常でございます。したがいまして、爆撃といいましても、高高度からいたしますところの、かつてB29がやりましたようないわゆるじゅうたん爆撃というようなのと様相を異にしているというのが基本的な点でございます。  その他、短SAMは確かに、密雲等の場合におきまして赤外線の場合には能力が落ちるということは事実でございますけれども、レーダーにおきましても密雲等の場合におきましては能力が多少落ちるという点もございます。そういったような点をいろいろ総合いたしましてお考えいただければ幸いだというふうに考えております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 よくわかりません。レーダーの場合も、赤外線追尾の場合も、雲等の障害によって能力が落ちることは落ちるだろうと思いますけれども、問題は落ち方の度合いでありまして、その辺が明確にされないと、どちらも能力が落ちるのでございますということでは、私は答弁にならないと思います。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 若干補足させていただきますと、いま申し上げましたように、敵機が密雲の中におります間は、敵が攻撃しようと思いますところの目標を確実に確認ができない、したがって密雲の外に出ざるを得ないということになりますので、その場合には短SAMの能力が十二分に発揮できる状態にある、こういうことになるわけでございます。したがって、密雲の中にある場合には敵の方からも当方を攻撃することができない状況にあるということでございます。したがいまして、私ども想定しておりますのは、低空から参りますところの敵機が密雲の外に出まして攻撃に入ってくるその瞬間に、こちらの方といたしましては短SAMによってそれを捜索、追尾することができる状態にある、こういうふうに考えております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 密雲の中にあってこちらから全然見えないのがいきなり出てきたときに、すぐにそれを捕捉できるのかどうか、私はそう簡単なものではないと思いますが、ちょっと先を急いでみます。  ところで、この赤外線と雲の反射の問題でありますけれども、雲の反射というものは、全周域に広がって赤外線を反射することを隠そうとしている、それから特に積乱雲があるときなどは強い赤外線を反射するし、また逆に、厚い雲の中に敵機が入っているような場合には、雲が飛行機から出る赤外線を吸収し、短SAMはそれを追尾することができないはずだ。いわゆる赤外線と雲との関係、雲がそれらを乱したり吸収したりすることが大いにあり得ると思うわけでございますが、この辺についてはどう研究なさっておりますか。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 雲と赤外線の関係については、二つの面があると思います。  一つは、先生最初におっしゃいましたように、たとえば太陽光線を雲が反射いたしまして、それによって、いわば短SAMの追尾します範囲が非常に広がりまして、それによって短SAMが的確に敵機に命中できるかどうか、こういう問題でございますけれども、それにつきましては、短SAMにおきましては、その赤外線と太陽を反射いたしますところの雲からの反射とを区別する特別の能力を光学的に備えておりますので、その問題はないということでございます。  それから第二点の問題でございますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、短SAMが一回空中でロックオンいたします、ロックオンいたしましてから赤外線ホーミング、赤外線で追尾する間におきまして、赤外線の熱線が、雲が含んでおりますところの水分によってある程度吸収されてしまう。それによってある程度短SAMの追尾能力が落ちる。これは何も国産短SAMに限りませんで、赤外線を用いますところの追尾方式を持っていますミサイル全体に通用する一般的にある現象でございます。したがいまして、各国が採用しております多くの赤外線のミサイルにも同様な問題が基本的にあるわけでございますけれども、その問題と別個に、雲の中にある敵機につきましてはどういうふうにして捜索するかというような問題がございます。それにつきましては、さっきちょっと言葉が足りなかったかと思いますけれども、雲の中にありましても、短SAMの持っておりますところのレーダー、これはフェーズドレーダーというのを使っておりますけれども、そのレーダーによりましてきわめて広角度に捜索いたしまして、それによって該位を確定し、それによってその方向に短SAMを撃ち出すことが可能になっておる、そういうことでございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 特に、先ほどもお話がありましたけれども、区別する能力、識別する能力ですね。赤外線鑑別装置、IRCCDというものはまだ開発されていないというふうに私どもは聞いておりますけれども、これは開発されているのでしょうか、どうでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  IRCCDについては目下開発中でございますけれども、まだ完成しておりません。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 そういうものが開発完了されていないのに短SAMが発射できるのかどうか。一連の中で大変欠落している部分がありながら、これがきわめて有効なんだ、ローランドに比べてもはるかに性能がいいのだとどうやって断定できるのか、私ども全然わからないです。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 いまおっしゃいましたIRCCD、赤外線識別装置といいますのは、実は敵の飛行機のイメージ、かっこうでございますね、それをいわば頭の中に覚え込みまして、一回それを覚え込みますとそれに向かってずっと追尾する、こういうものでございまして、きわめて高度なものでございまして、これにつきましては各国とも開発に努力はしておりますけれども、いまだどの国も開発に至っておらない、こういうものでございます。  一方、しかし、それがなければ短SAMが敵を識別できないのかどうかという御質問でございますけれども、これはむしろ、私どもの承知いたしますところでは、複数以上の敵機が密集している場合、それについてどの敵機をどの短SAMが撃つかというような、いわば要撃割り当てといいますか兵器の割り当て、それがむずかしいのではないかという御質問の趣旨ではないかというふうにも考えられるわけでございますけれども、そういった場合におきましても、短SAMの場合には複数の要撃部隊、射撃部隊というものを配置しておりますので、それによりますところの角度の差、それから発射いたしますときの時間の差その他を利用いたしまして、十二分に識別できるというふうに考えております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 おっしゃるとおり、私たちが一番心配いたしておりますのは、敵機は必ず一機でやってくるわけではない、複数でやってくるはずでございます。そのときに、この短SAMから連発していくときに、その一つずつに、あえて、最初の弾はこちらで、次はこうだ、そんな識別能力を付与することができるのかどうか。場合によれば、複数でやってきた敵機に対して、この赤外線追尾の場合には全部一機、最初の一つの飛行機に全部集中して当たっていくというようなことになれば、これは全くナンセンスだと思うのですね。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  まず、短SAMは最初の一機に全部当たってしまうかもしれないということで、短SAMの命中確率性というものを非常に高く評価していただいている前提に立っての御質問と思いますので、その点につきましてはお礼を申し上げます。(笑声)  さて、その御質問でございますけれども、さっき申し上げましたように、かつての高高度から来ますところのじゅうたん爆撃といったような場合には、密集隊形を組みまして、それによりまして、まさにじゅうたんでございますけれども、漏れなく爆弾を落とすというような攻撃方法もあるわけでございますけれども、最近のように、レーダーが非常に発達した時代におきましては、むしろレーダーの機能を妨げるため、たとえば地上クラッター、反射波との干渉を利用する、その他のそういったような関係からいたしまして、低高度、非常に低空もしくは超低空で攻撃してくる、しかも、ピンポイント攻撃の場合には異方向から時間差攻撃でもって来るというのは一般的な常識でございますので、したがいまして、同時に編隊を組んで敵の地上攻撃機が来るということは全く考えられませんし、仮にそういったことがあった場合には、最初の敵機にぶつかってしまった場合には、そのぶつかってしまった敵機の壊れた破片によって敵側の僚機といいますか、それがまた被害を受けるというような場合も想定されるわけでございます。さらには、そういった場合につきましては、先ほど御説明いたしましたように、こちらの射撃部隊から見ますと方向が違う、それからまた時間差を利用するというようないろいろな方法によりまして、実際上射撃部隊が要撃割り当てといいますか、そういうことは可能であるというふうに考えております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 お互い時にはユーモアもあっていいと思いますけれども、ちょっと局長、この問題についてはしゃれているときではないと思うのですよ。もちろん時間差で各角度から、各方面から攻撃をかけてくることもあるでしょう。しかし、そういう攻撃方法だけに決まっているというようなことは、これは実際の戦術上は断定できないし、あらゆる場合にどうなるかということを考えてこそ、本当の防衛の任務が達成できると思うのです。私どもは依然として、複数で同時方向からやってきた場合に、この短SAMというものがどれだけの能力を発揮することができるのか、重要な疑問を残しております。  それから、防衛白書の三のところ、百九十から百九十一のところにも書いてございますけれども、敵が赤外線フレアを落とした場合にこれは非常に困るんだということが述べられております。それで、事実そういうフレアを敵機が用意しておる。これは敵機というよりも、双方が用意し始めておるというのが今日の世界の常識になっていると私たちは聞いております。そういうものでこちらの追尾を紛らわすためにいろいろなものを落とす。昔、よく電波探知機があるのだと思ってB29が銀のいろいろな紙切れを落としていったこと、私たちはまだ記憶に残っておりますけれども、当然戦いというものはいろいろと対抗する手段を発案してくるはずでございます。だから、そういうフレアが落とされたときにこの短SAMは能力を発揮できるのかどうか。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  確かに、先生おっしゃいましたように、短SAMのような赤外線ホーミングに対します対策として、赤外線フレアというものがございます。ございますけれども、これは電波妨害の場合と異なりまして、電波妨害の場合には、敵の方から妨害いたしますと、きわめて広角度に、その範囲内にあるレーダーなりミサイルというものは全部妨害を受けるわけでございますけれども、フレアの場合には、いわばジェット機の発する熱と同じような熱線を持ったものを落としていくということでございますので、基本的には幾つかの点になってしまう、それが空中に行けば点になるということが一つございます。したがいまして、電波妨害に比べまして効果が限定されてくるということでございます。  それからさらに、国産短SAMの場合には、ある特殊な方法をもちまして、一たん追尾を開始いたしましたところの敵機の赤外線をほかのフレアと見分ける方法を持っておりますので、フレアによって妨害することはかなりむずかしくなるというふうに考えております。  さらに申し上げますと、この国産短SAMの場合には、先生御存じのとおり、途中までは電波の敵の該位を測定いたしまして、途中まではオートパイロットによって飛しょういたしまして、敵機に近づいてから赤外線ホーミングを開始するということでございますので、敵機の方からいたしますとフレアを落として回避するという時間的余裕がきわめて限られてくる、こういうことでございまして、こういうことを勘案いたしますと、赤外線フレアによりまして国産短SAMの追尾を回避するということは困難であろうというふうに考えております。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 時間が参りましたので、なお個々の問題につきましては今後も質問を続ける機会を得たいと思います。  ちょっと長官に、最後の意見を申し上げたいと思うのです。  いまお聞きのとおりなかなか難解な問題でありますけれども、そして言葉の説明ではとても説明し切れ得る問題ではないと思いますけれども、聞いている限りにおきまして、なかなか理解できない、あるいは例外を次々と御説明されたり、私どもを説得し得ない要素がいっぱい含まれているように思うわけでございます。特に自爆装置の問題が大変問題だと思います。あるいは価格の問題ももっと検討されなければなりません。何か研究開発に投じた百億円に政府みずからがこだわっているのではないか、防衛庁みずからが、せっかく投資してここまで来たんだから国内産で行こうや、私はその気持ちはわかりますけれども、国内の技術を進歩させること、開発費に投ずることは大いに投じたらいいと思うのです。しかし、同じ金を国内で発注すれば国民の中に落ちていくんだからという発想、これは通産大臣がお考えになるお考えであってはいいと思いますけれども、国を守る防衛庁の側が、そういう景気対策や、国内のいろいろな産業発展のためにあえてこちらを選ぶんだという考え方は全く間違っておる。そんなことをしておって、わが国が大きな攻撃を受ければそれは大変なことになるわけでありまして、その辺の考え方が混乱しているのじゃないかと思うわけでございます。一長一短だという逃げ方、あるいは十分テストされないこういう問題を、あたかも確信してやまないような答弁の仕方は、大いに問題があると思います。  最後に長官のお考えを聞いて、私の質問を終わります。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、昭和四十一年以降、運用上の要求、また性能も重要でございますから性能の点、あるいは整備維持性、経済性等のあらゆる観点から、慎重に検討を積み重ねた結果、ほかのものに比べて、国産短距離地対空誘導弾が最もすぐれているという結論に立ち至ったものでございます。  しかしながら、いろいろ御指摘の点もございますし、党首会談において総理からもさらに検討してみるようにという御指示もございましたので、さらに検討を加えて、その結果を御報告したいと考えている次第でございます。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 以上をもって、私の質問を終わります。

坂田道太自由民主党

○坂田委員長 東中光雄君。

東中光雄日本共産党

○東中委員 外務大臣にお伺いしたいのでありますが、日米安保条約について、八〇年代の中で改定するとかしないとかいう議論がいま大分出てきておるわけであります。  八月末に日米安保セミナーで、ここにおられます三原元防衛庁長官が、報告の中で、こういう発言をされておるように聞いておるわけです。   新しい局面に対応するためには、日米同盟関係の再編成が不可避と思われます。   「極東地域」という条約地域に関する法律的概念では到底対応できない。   八〇年代には日米両国が直面する真実の問題は、現行の片務的な安保条約関係を、太平洋の二大国間の真に対等性を持つ、文字通りの同盟関係にいかにして発展させるかということであります。  なおそれは避けて通れない問題である。こういう趣旨の発言をされたと、資料をもって承知しておるわけであります。安保課長のメモでも、そういう形では言っておられませんけれども、何かそれに対応するようなことが書かれておるということであります。もちろん三原議員は「日米両国の政治指導者が英知と勇気をもつてこれから取組まねばならない重大問題の一つである」ということで、別に提案をされておるわけではないことは事実でありますが、問題として言われておるわけですが、外務大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのか、お伺いをしたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 安保条約の問題でございますが、これは先生御承知のとおり、単独一国で国の防衛ができるというのはほとんど世界にわずかしかない、どこかの国と提携して国を守っていくんだというのが大体いまの世界の現実でございまして、御承知のように日本も日米安保体制ということを基軸にしまして、そのもとで最小限の自衛力を充実していくというのが日本の防衛の考え方でございますが、これは何回も申し上げますように、狭義の防衛力の充実というだけで国の安全が保障されるわけじゃございませんので、先生御承知のとおり、憲法は平和主義ということでございます。外交も平和外交に徹して、なるべく世界の各国で紛争が起きないようにする、起きても最小限にする、また日本はそれに巻き込まれないようにするという、平和外交をわれわれは戦後ずっとやってまいったのでございまして、今後ともこれは、一貫した変わらざる方針として、平和外交でやっていくつもりでございます。  その中で、日本の防衛の問題あるいは最小の自衛力ということで問題が出てきているわけでございますが、日本を一体どういうふうに守るべきだということをわれわれ国民が一人一人考えなければいかぬ、そして自主的な立場に立って防衛力というものを考えていくことが必要だろうし、また財政問題等いろいろ考えれば、国民のコンセンサスがなければやっていけないということも事実でございます。  非核三原則という大原則はある、専守防衛という大原則はあるという中で、平和外交をやっていくわけでございますが、いま先生が私どもの課長のことをちょっと言及されました、またここにおいででございますが三原議員の考え方を言われたわけでございますが、これはいずれも、日本というものは日米安保という体制があるのだからもうアメリカに任しておけばいいじゃないかというような、そういう安易な気持ちではいけない、日本がやはり安保体制という中でやっていく上には、日本としてやるべきことは十分やることが必要でなかろうか、それでなければ、有事の際に共通の危機に共同して対処するといっても、日本がやはり平生からやることだけはちゃんとやっておくということでなければ、アメリカも、日本と一緒になって共通の危機に対処するという際に、日本がやはりしっかりしていなければいかぬということで、私は、日本国民の一人一人の国を守るということの自覚といいますか、その努力をやるべきじゃないかという御注意の喚起であったというふうに考えておるわけでございまして、いま先生のおっしゃったように、安保条約を改定しまして集団的自衛権を持つとか、そういうようなことをいま考えるというようなことを御提案になったのじゃない、日本がやるべきことをもっとしっかりやれ、やるべきだ、そして責任の分担を考えるのだという御趣旨だと思うわけでございます。  いま外務省では、平和外交に徹してやっていくということでございまして、安保条約をいま改定するとかいうようなことは考えておらぬ、個別自衛権の憲法の範囲内において国を守るということを考えている、改定は考えてないというのがいまの態度でございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 私はもっと端的にお聞きしておるのですが、日米同盟関係の再編成は不可避であるというふうに考えると言われておる、その二つの問題が出されておるわけですが、適用範囲を極東地域から広げるという問題と、片務条約ではなくて双務条約、攻守同盟の方向にいくということが問題になっておる、こういうふうに言われている。これは先ほど読み上げたとおりなんです。その二つの点について、そういうことは個人的意見としては別として、政府としては、外務大臣としてはそういうものは不可避とは思うていないということになるのか、あるいは不可避だと思うているけれども、まだ緒についたばかりだということなのか、そういう点を端的にお伺いしたいと思っているのです。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  さっき言いましたように、日本がやるべきことをもっとやれ、考えなければならぬという御趣旨だと思っております。外務省としては、いま条約を改定するとか、いま先生おっしゃったような範囲を広めるとか、そういうようなことをいま考えておりません。

東中光雄日本共産党

○東中委員 ブラウン国防長官がことしの国防報告で、欧州において大規模な戦争が勃発した場合には、まあ中にいろいろ書いてありますけれども、われわれとわが同盟国は、オホーツク海と日本海から太平洋への主要な出口を封鎖できると信じている、この封鎖というのはクロスダウンと書いておりますけれども、こういうふうに正式に国防報告で言っておるわけですね。欧州で戦争が起こった場合に、極東ではないわけです。その場合に、アメリカと同盟国というのは日本だと思うのです、そして、日本海及びオホーツク海から太平洋に出るといったら、三海峡及び千島の列島の中にある海峡ということになると思うのですが、それを封鎖できると信じているとまで書いているのです。これは現行の日米安保条約ではできっこない、適用地域の拡大とかあるいは双務条約的なものにする、要するに攻守同盟的なものにしていかなければできないわけです。そういう性質の問題というのは明白なんですが、これは単なる評論ではなくて、国防報告でそう言っているのですから、この発言というのは、現在の安保条約を事実上そういうふうに広げ攻守同盟化していくということなのか、あるいは改定をしていくということであるのか、いずれにしましてもそういうことができると信じているというふうに書いていますね。こういう問題について、これは英文もそれから仮訳も出されておるわけですから、外務省としてはそれをそのとおりだという立場なのか、そういうことはできないという立場なのか、もしできないとすれば、それに対して何かの意思表示をすべきだと思うのですけれども、何かの意思表示をされたかどうか、お伺いしたいと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 まず事実関係を申し上げますけれども、ブラウン国防長官及び議会での予算局の証言がございまして、その中で、一つは、ヨーロッパにおいては、アメリカ及び同盟国が、ソ連の海軍の進出を、英国及びそれ以北あるいは地中海に封じ込めることができる、ということが書いてございます。もう一つは、極東の場合については、日本海において、アメリカ及び同盟国が、ソ連の海軍を封じ込めることができる、ということを書いておりまして、いま先生が御指摘になりましたように、極東と全く関係のない状況において、アメリカがソ連の海軍を日本海において封じ込めるという、直接的な書き方はしていないというふうに私は承知しておりますけれども。

東中光雄日本共産党

○東中委員 直接的にはしてないけれども、この文脈を読むと、欧州において大規模な戦争が勃発した場合これこれのことが云々と習いてあり、その次に、この戦略を実施するのに云々ということの終わりの方で、私はまた、われわれと同盟国は、必要な地中海の制海を確保し、及びオホーツク海と日本海から太平洋への主要な出口を封鎖できると信じている、こう書いているのです。あなたの読み方がもしそういうことには触れてないというのだったら、その読み方自体問題になりますよ。英文でも検討してみましたけれども、そういうふうになっている。どうなんですか、アメリカ局長。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 私の記憶に間違いがなければ、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、いま先生が言われたように、あくまでも、極東の場合と全く無関係に、アメリカ軍がソ連の海軍を日本海に封じ込めるというふうに、その文章を解釈するというふうにはとれないのじゃないかと私は考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 外務大臣、いまアメリカ局長は、私の記憶に誤りがなければ、こういう前提でお話しになったんですけれども、いま私は、その原文も持ってきて、訳文も持ってきて言うているわけであります。こういう点については、いまの三原発言といい、こういう報告が出されていることといい、これはもっと真剣に考えなければいかぬ問題じゃないか。安保条約は日本を戦争に巻き込んでいくものだ、私たちはそういう危険があるということをずっと指摘してきた。そこで、国防報告でそういうことが出ているということでありますから、きょうは余り時間がないのでこれ以上言っておるわけにいきませんけれども、その点をはっきり申し上げて、これは外務大臣、本当に考えてもらわなければいかぬことじゃないかということを申し上げておきたい。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  ただいま、ことしのアメリカの国防報告に書いてございますことと安保条約との関連につきまして御質問があったわけでございますが、安全保障条約はその規定は非常にはっきりいたしておりまして、安全保障条約が発動するのは、第五条に書いてございます、日本国の施政のもとにある領域に対しまして攻撃が起こった際に初めて発動いたすものでございまして、欧州とかあるいは日本国に関係のない事態におきまして安全保障条約が発動するというようなことは、全くございません。そのことだけははっきり申し上げておきます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 だから、現行の安保条約ではブラウン報告で言っているようなことはできない。ところが、できないことをできるものと信ずるというふうにアメリカの国防長官が言うている。そこが問題だと私は言っているのであります。だから、いまの条約局長の答弁では、まさにできないことを向こうで言っているということになるわけですから、これは十分検討してもらい、こういう問題については本当に慎重にやっていかなければいかぬのじゃないかということを指摘しておきます。  時間が余りないので次にいきます。  ところで、防衛庁長官にお聞きしたいのです。中期業務見積もりがいろいろ問題になっているわけですけれども、国会での答弁でいうと、中業というのは何か一本のもののように感じられているのですけれども、実際は各幕僚長が、要するに陸・海・空三本の中期業務見積もりというのがあるはずですね。これが作成されたのはいつか、それから防衛庁官が承認をされたのはいつか、まずそのことをお伺いしたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 お答えします。  作成されましたのも、長官の承認をいただいたのも、五十四年七月でございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 これは五十三年中業ではないのですか。翌々年からのということになっていますね。だから、五十五年からということは、五十三年度に作成されるべき性質のものじゃないのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 御指摘のように五十五年度からのものを五十三年度から作成をするわけでありますが、五十三年度中に作成する作業が若干おくれまして、いま申し上げましたように五十四年の七月に作成を終わった、こういうことでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 中期業務見積もりの前提になる統合中期防衛見積もりというのがございますね。これはいつ作成されて、いつ承認されたのか、お伺いをしたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 統合中期防衛見積もりという名前ではございません。やはり統合中期業務見積もりでございますが、作成されましたのは五十三年十二月でございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 防衛諸計画の作成等に関する訓令というのによれば、これは業務見積もりではなくて、統合中期防衛見積もりというふうにはっきり書かれていますね。防衛見積もりじゃないのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 恐縮でございます。防衛見積もりでございます。訂正いたします。

東中光雄日本共産党

○東中委員 この防衛見積もりには、五十五年度から五十九年度までの五カ年間の内外の諸情勢の見積もりをやっておるはずであります。その内容を明らかにしていただきたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 御指摘のように、内外の情勢見積もりを含めて各幕の作業の参考にするためにやっておりますが、内容につきましては極秘になっておりますので、公表は差し控えさせていただきます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 内外の諸情勢の見積もりを統幕議長が作成をし、そして防衛庁長官がそれを承認をしている。そしてこれに対する防衛構想、防衛の態勢、自衛隊の体制を検討して、防衛力整備の基本構想及び重点を明らかにしている。防衛力整備の基本構想及びその重点、中業作成に資するためにそれがつくられておる。しかしそれは極秘だからと言って、防衛力整備の基本構想さえこの委員会で明らかにしない。あるいは内外諸情勢の見積もり、その全文をいま公表せいと私、言っているわけじゃないのです。その見積もりの方向さえも、内容的なものは一切安全保障特別委員会で言わないということになったら、この安全保障特別委員会というのは一体何ですか。本来シビリアンコントロールということを盛んに自民党側から要求され、そうしてできたものじゃないのですか。それでも一切言わないというのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いまお話しのようなことを目的にして作業しているわけでございますが、その前提といたしまして「防衛計画の大綱」に基づいて作業をしておるわけでございまして、あくまでもその基本はその枠内のものでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 枠内のものであるかどうかは、その内容をあなた方の方で言わなければわからぬじゃないですか。全部を言えと言っているのじゃないのですよ。だって、諸情勢の見積もりなんというようなものは、五年間の見積もりを言わなかったら、全くとんでもない見積もりをやって防衛庁は動いておるのだ、しかし国会の方も国民の方も何にもわからないのだということでは、それは何にもわからぬけれども、とにかくこういう増強のための、たとえば戦車をふやすとかあるいはF15に切りかえていくとか、そういうことだけを進めていくというのでは、この安保委員会というのは一体何だということになると思うのです。委員長、そうじゃありませんか。だから、これは防衛庁長官、そういうあなたが承認された基本的な内外情勢についての見積もりぐらいは言わなければ、一体この委員会は何をしておるのだということになるじゃないですか。これは防衛庁長官の方で、局長の言う次元の問題じゃないと思うのです。長官、どうですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 防衛庁といたしましては「防衛計画の大綱」の枠内において策定したものでございまして、また全体を機密の指定をしておりますので、せっかくの御発言でございますが、内容にわたって御説明するわけにはまいらぬと思うのであります。

東中光雄日本共産党

○東中委員 五年間の内外情勢の見積もりなんですよ。その見積もり、防衛庁長官が承認をしている見積もりがあるのでしょう。その詳細、微に入り細にわたって言えと言っているのじゃないのです。もともと内外情勢の見積もりというのは、そんな微に入り細にわたったようなもの、五年間のものだからそんなものじゃないと私は思うのですが、しかしその内容について言わないというのはどういうことですか。  次は防衛の構想でしょう。構想というのはまさに構想でしょう。個々の数字じゃないのですよ。あるいは個々の配置じゃないのですよ。そういう態勢、そういうものも一切言わない。(「共産党には言うわけにはいかぬのだよ」と呼ぶ者あり)これはまさに、自衛隊としては、そういうことでほっておくということは、国会無視もはなはだしいということになります。  いま不規則発言で、共産党だから言わないんだという、自民党なら言うんだということだとすれば、これはゆゆしい問題じゃないですか。秘密だから言わぬのだ、こう言っているのですよ。秘密とだれが決めたのかといったら、防衛庁長官、防衛庁で決めているわけでしょう。防衛庁でやっていることだけで、国会は全部それに従属しろということになるじゃないですか。  長官、それは大綱の範囲内である、そんなことはわかり切っています。そこから外れておったらおかしいのはあたりまえの話だ。大綱の範囲内でどうなっているのかということの概略ぐらいは説明をしたらどうですか。それもできないですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 極秘でございまして、どの会派の方に対しましても極秘にいたしております。  それから、いまお話しのように、防衛構想には確かに違いないのでございますけれども、何回も申し上げておりますように「防衛計画の大綱」の中で基本的な構想が出ておりますが、それを受けてさらに、何といいますか、ブレークダウンをしたような形のことを言っておるわけでございまして、あくまでも「防衛計画の大綱」の中に基本的な構想は載っておるわけでございまして、その範囲内の作業であるということを御理解いただきたいと思います。

東中光雄日本共産党

○東中委員 この防衛構想、防衛見積もりは毎年統幕議長において見直すことになっておりますね。見直しをするものとする、そうなっていますね。——肯定されているようですから結構です。それで五十四年度に見直しをして、その結果修正をしたのかどうか。修正をしたとすれば、これは防衛庁長官の承認を得ることになっていますね。それを五十四年度にやられたかやられなかったか、この点どうですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 統中については修正をいたしておりません。

東中光雄日本共産党

○東中委員 防衛見積もりについて修正はしていない、では五十五年度は見直しをやっていますか。いまその見直しの作業に入っていますか。そして、修正申し出が出てきていますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 五十五年度につきましてはまだ現在作業中であります。

東中光雄日本共産党

○東中委員 五十四年度は、ことしの少なくとも三月までには見直し作業をやったけれども、修正の必要は認めてない。五十五年度はいま半年過ぎておるけれども、見直しをやっているだけで、修正という方向は出てきていないということだと思うのですが、今度は中期業務見積もりの方ですね。これもまた毎年見直しをして、修正が必要ならば修正をするということになっておりますけれども、中期業務見積もりについては見直しの結果修正が出てきていますか、きていませんか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 五三中業につきましては、見直しを行いました結果、二点を決めております。  一点は、航空自衛隊の輸送体制につきまして、C1三十六機体制でいくのか、他の機種をミックスするのかという問題がペンディングになっておりましたので、この点につきましてC1二十四機、C130十二機、合計三十六機というミックス体制でいこうということを決めております。  それからもう一点は、PS1という対潜水艦用の飛行艇でございますが、これを今後整備を続けていくか打ち切るかということがペンディングになっておりましたが、この点につきましては今後は整備をしない、打ち切るというふうに決定をいたしております。  この二点について見直しを行いました。

東中光雄日本共産党

○東中委員 いまのは、見直して修正承認をしたかどうかということを聞いておるわけですが、見直し作業は毎年やるのでしょう。その結果、修正したところがいまの二点だとおっしゃった。いつ修正するということを防衛庁長官は承認したのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 ことしの八月でございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 ことしの八月に修正したのはそれだけで、これは五十九年までの見積もりについての修正ですね。各年度にどうやるかということは、これは別の問題ですね。それは年次計画というか年度計画でやっていくということで、五十九年末までにあの中期業務見積もりの結果を実現するように努力するというのがこの中業の見積もりの内容だと思うのですが、そのうちの、ことしの八月現在で二点だけ変えた、そのほかは変えていない、こういうことですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 修正点はいまの二点でございますが、念のために申し上げますと、中業につきましてはいわゆる年度割りがございませんので、たとえば一番わかりやすい例でございますと、戦車なんかは一番わかりやすい例だと思いますが、五年間に三百台はつくりたいということで計画しておりますが、それを何年度に幾ら要求するかということは、毎年予算要求の段階で決めていくわけでございます。そういう意味で、戦車は一つの例でございますけれども、早期達成を図っていきたいということで、ことし、五十六年度の概算要求にそういう観点から要求したものはございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 この中期業務見積もりについて、ことしの三月十七日、当時の防衛庁事務次官であった亘理さんが、社団法人国民政治研究会で「米ソの軍事情勢と防衛負担」ということで講演された話が、月曜会レポートに載っているわけですが、それによりますと、   アメリカの国防省にもこの中期業務見積りのあらましは説明しておりますが、よくバランスのとれた計画であるという評価です。現在のところでは、この中期業務見積りの線を着実にやっていくということができるならば、アメリカの要望にも、相当応えうるであろうと考えられます。ただ、これは防衛庁限りの計画ですから、これを整然とやっていくということは、必ずしも容易ではありません。容易ではないが、これはやれないことではないし、この程度のことはやるべきだというのが、私どもの考えです。 こういうふうに言っているのです。これは、この時点における防衛庁の事務次官が、こういう私的な会合ですけれども、言われておる。この程度のことは、容易ではないけれどもとにかくやっていく必要があるしやるんだ、こういう考え、見積もりというのは大体そういう性質のものだと思うのですが、少なくともこの時点ではそうではなかったのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 必ずしも実現は容易ではないけれども、一生懸命やるんだという意味においては、その時点でも現在でも全く同様であります。

東中光雄日本共産党

○東中委員 容易ではないが何とか実現するんだというのが、このときにはそうだったのですけれども、ところが、防衛庁長官のこの間の所信表明では、できる限り早期達成のためにやっていくんだ、というふうに言われておりますね。いわゆる前倒しです。できる限り早期達成、三月のときは早期達成どころか、これ自体をやるのが容易ではないんだ、そしていまもその考えだと防衛局長は言った。これ自体をやるのが容易ではないんだといまも考えているんだと。しかし、それにもかかわらず、防衛庁長官は、前倒し、早期達成をやるんだということを言われておる。明らかに矛盾していますね。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 早期達成を努力したいと思っておりますので、いよいよもって容易ではない、しかしぜひやりたい、こういうふうに考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 五十九年度までの見積もりなんです。それを四年でやるということになったら、これは見積もりを四年間に短縮をするということですから、見積もりの重大な変更ですね。修正でしょう。それが修正でないというんだったら、計画なら年度ごとの計画というのはこれは別にあるわけですけれども、そうじゃなくて、ここでは見積もりということで五十九年度までにそれをやっていくということ、だからこれは五カ年の見積もりです。それを四カ年でやるんだということになったら、これは重大な変更になるわけですよ。ところが、そういう変更については何にも言われていない。  亘理氏がくしくもここで発言をしたのが三月十七日なんですけれども、この間有馬さんがここで質問された、外務省から経過を持ってこいということでやったという、「日米間における中期業務見積り問題の経過」という外務省から出したメモ、私もいただいたのですけれども、これによりますと、三月二十日に大来外務大臣が訪米をされて大来・ブラウン会談が行われた。ここで「中業の早期達成に対する一般的願望を述べた。」、これはブラウン長官が大来氏に述べた。外務大臣は「中業は防衛庁内部の計画であり、米側よりの話は帰国後防衛庁に伝達する旨米側に答えた。」というようにここに書いてあるんです。だから、外務大臣はアメリカ側の国防長官の意向を伝えたんですよ。そして、それを受けて五月一日の大平・カーター会談で真剣に努力、検討するということの約束をされた。そして、マンスフィールド駐日米大使は七月に、また八月の初めに防衛庁長官のところにも来た。総理にも会った。この前倒し要求をやれということを盛んに言っているという状態になっているんですね。だから、この外務省のメモによれば、少なくともこの三月二十日から早期達成ということは言われてきた、そうしたら日本の防衛庁が早期達成ということを言い出してきた、こういうかっこうになっているんですね。  見積もりというのは変更でしょう。五年でやる見積もりを四年でやるということは、変更でなかったら一体何かということになるんですよ。そういうことを言ってきた、そのイニシアをとったのはアメリカ側であり(「自民党だよ」と呼ぶ者あり)それに呼応して自民党、それから政府が言い出してきた。これが実情じゃありませんか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 まず申し上げておきたいのは、五年を四年でやるというふうに一度も申し上げたことはございません。一年短縮ということを申し上げたことはございません。早期達成をいたしたいというふうに申し上げております。  と申しますのは、先ほど言いましたように年次割りもございませんので、五十九年度分を八年度以前に割り振るという形での変更はやっておるわけではございませんので、そういう意味では、五十九年度がなくなって四年間でやるのだ、こういうふうには申し上げておりませんし、事実そのとおりでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。  それから、アメリカとの間でのいろいろいま幾つか例を挙げて御指摘になりましたが、アメリカの方からいろいろな形で対日期待を表明しておることは私どももよく承知しておりますが、何回も御答弁申し上げておりますように、私ども自身の判断としまして、いまの諸情勢から考えて早期達成を図りたいということを申し上げておるわけであります。

東中光雄日本共産党

○東中委員 この中期業務計画の五年の見積もりを五年より早く達成するといったら、早期達成でしょう。五年より早いといったらもう四年しかないじゃないですか。(「四年半だってある」と呼ぶ者あり)四年半というのが現実にありますか。しかも、業務計画についてはこの国会にも明らかにしていない。国会に明らかにしていませんね。しかし、この内容をアメリカに発表したというふうに、あるいは少なくともアメリカ側に移っていると思われることは、今日ではもう歴然としているのじゃないかと思うのです。  さっき引用しました有馬さんが外務省から取り寄せられたというこのメモによりますと(発言する者あり)いや、私の方から要求したのです。あなたの方が、ここで読んでもいいけれども時間がないから読まぬと言ったものだから、その内容をお聞きしたわけであります。——ところが、ここでは、山下・ブラウン会談で初めてアメリカ側に説明したようになっている。塩田防衛局長も参議院でそういう趣旨の答弁をしています。しかし実際はそれより前、五十四年の七月三十一日から八月二日までハワイで行われたいわゆる安保事務レベル協議会、ここで「今後の自衛力整備に関し中期業務見積りの内容を説明した。」ということが、これは外務省に聞いたらはっきり出ています。そこでの出席者を見てみますと、アメリカ局長も出ている、防衛庁からは亘理事務次官が出ている、それから左近允統幕会議の事務局長も出ている、アメリカ側だってマンスフィールド駐日大使も出ていますが、ウィズナー太平洋軍司令官、ギン在日米軍司令官、そしてアマコスト次官補代理、こういったそうそうたる軍事専門家、しかも在日米軍に直接関係のある制服も含めて出ているわけですね。そこで説明をした。三日間あるのですよ。そういうふうに言われている。  そして、シュレジンジャーのあの演説でも、業務計画そのもの自体を実際に見てなければ言えないような内容が演説されてますね。   私は中期業務計画に完全な資金をつけることは、日本の自衛力の強化にとって必要な要素ではあるが、それだけで十分ではないと見ています。中業計画それ自身、日本の軍備計画にとって必須の要素を若干見落しています。それは「戦闘能力・挑戦能力」の表題のもとに含まれている諸要素で、その中には航空機のシェルター、航空基地の抗堪性の強化、弾薬備蓄の充足、ミサイル、魚雷その他の供給量の増加、さらに補給施設の増大、燃料(POL)備蓄の充足などが含まれています。これは見てなければとても言えないことです。

坂田道太自由民主党

○坂田委員長 東中君に申し上げます。  申し合わせの時間が経過いたしております。結論をお急ぎいただきたい。

東中光雄日本共産党

○東中委員 はい。だから、こういうものが出されて、そのもの自体がアメリカには行っている。国防会議に報告するのが九月十四日でしょう。ところが、これはもうその前の七月末から八月の初めにすでにやられているのですよ。これは全く異常な状態になっているのじゃないですか。そして、ここではまだ十分には評価されていない、むしろ、まあ評価されているという状態ですが、しかし不十分だと言っている。こういうものを、国会には出さない、概要しか、補足資料しか出さない、しかしアメリカ側には筒抜けだという状態になっているという点について、これがシュレジンジャーに移ったという点について、外務大臣、この間参議院でわが党の上田議員が質問したのについて、調査するということを言われましたが、もしそのもの自体が行っておるとすればこれは自衛隊法違反にもなるということを言われた。そういう点について御回答願いたいのと、それから、いままでの答弁とは違うじゃないかという点についても、はっきりとした考え方を示してもらいたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いろんな点がございましたけれども、まず全体を通じて申し上げたいことは、アメリカ側に説明をした場合でも、常に五十四年七月に公表いたしました「概要について」という文書をもって説明をいたしたわけでございまして、それ以上のものを詳しく説明したとかそういうことではございませんので、その点はあらかじめ申し上げておきます。  それから時期の問題でございますが、私が参議院で、八月十六日、山下・ブラウン会談で説明したと申し上げましたが、いま御指摘の、ハワイですでにその前に会って説明したではないかということでございますが、これは御承知のようにいわゆる事務レベルの協議会でございまして、そこで具体的に議題を出して何かを決めるといったような会議ではございませんので、その席上で中期業務見積もりの話が出たことはそのとおりでございますけれども、日本から正式にアメリカに説明したというふうには当たらないと思います。  それから、シュレジンジャーの演説につきましては、参議院の外務委員会でもお答えいたしましたが、シュレジンジャーさんがどういう判断で、どういうふうな資料に基づいて演説され、また原稿を書かれたかは私どもは存じません。私どもが言えますことは、中期業務見積もりについてという公表文でアメリカ側に説明したということのみであります。

坂田道太自由民主党

○坂田委員長 外務大臣、何かありますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 調査は、本人とまだ連絡がつきませんので、また今後連絡をなるべくとるようにして調査します。

東中光雄日本共産党

○東中委員 時間ですから終わりますが、いま防衛局長の言われたことは、五十四年七月三十一日から八月二日までのハワイにおける日米安保事務レベル協議会で何を話したのかということについて、外務省に正式に問い合わせたところ、外務省からは、今後の自衛力の整備に関し中期業務見積もりの内容を説明したということの、そのほかにもありますけれども、そういう回答を得ているということを私は聞いているんですから、あなたの方の言われているのは非常なごまかしであると言わざるを得ないということを指摘して、終わります。

坂田道太自由民主党

○坂田委員長 中馬弘毅君。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 最近、防衛論議が大きく高まっていることは大いに結構なことだと思うのです。ただ、まだその議論が十分でないままに、少し実行面のことが先に走り出しているように思うのですね。五十六年度の予算の防衛庁概算要求もシーリングを九・七%に上げているわけです。しかし、中期業務見積もりの繰り上げ実施をはっきり言明されておりますし、また防衛大綱の見直しということも出てきているわけです。  そうすると、最近そういった日本を取り巻く国際的な情勢が変わってきたのかどうか、そして、それが日本にとって果たして脅威なのかどうかということを具体的に国民の前に明らかにしないと、国民は不安に思うと考えるのですね。そういうことで少しお伺いしたいのです。  日本近辺の情勢といいますと、中ソの対立の問題がございます。ことしの四月以降、中ソは同盟条約がない状況でございますが、それが今後の中ソ両国の対立関係になるのかならないのか、いや、またもとへ戻るのか、それが果たして日本にどういう脅威を及ぼすのかといった点。  それから、ベトナムが東南アジアでかなり野心的に軍備を強化して動いております。これが日本に対して脅威になるのかならないのか。  また朝鮮半島の問題ですが、全斗煥体制になったわけです。これがもとの朴体制よりも南北の対立を激化さすのかどうか。  あるいは台湾と中国の問題がございますけれども、中国の台湾武力解放といった問題があるのかないのか、そして、それは日本に脅威なのかどうなのかといった問題。  それから、よく言われております極東ソ連軍の増強、これが日本にとってどういう脅威になっているのか。  こういったところをひとつ手短かに御判断をお願いいたしたいと思います。

岡崎久彦防衛庁参事官

○岡崎政府委員 お答え申し上げます。  ここ数年間、国際の軍事情勢が厳しくなってまいりましたことは否定できないところでございまして、具体的には次のような変化があったと考えます。  まず第一は、米ソの戦略バランスでございまして、七五、六年ごろからソ連の戦略核兵器の近代化が急速に行われまして、その精度も向上いたしました。この間の変化は、米国でもきわめて大きな変化として受けとめられております。  また、極東の軍事情勢につきましては、最近の極東のソ連の軍事力の増強ぶり、これは詳しい御質問があればお答えいたしますけれども……(中馬委員「日本に対して脅威があるかないかの判断をお願いいたします」と呼ぶ)海軍で申しますと、数年前百二十万トン程度でございましたのが、現在百五十二万トンに増加しております。これは実に三十二万トンの増加でございまして、わが海上自衛隊総トン数約二十万トンに比べると異常とも思われる増加で、ソ連の海軍能力のきわめて大きな増強、潜在的脅威の増大でございます。  それから地上軍につきましても、過去十八年間駐留しておりませんでしたソ連の地上兵力が、択捉・国後島、わが北方領土に展開されました。これは北海道から至近距離でございますので、これはまたソ連の軍事能力、すなわち潜在的脅威の増大でございます。  空軍につきましても、数そのものはさして変化はございませんけれども、近代化がはなはだしく行われておりまして、航続距離が延びている、それからまた戦闘能力が非常に増大している、その意味で能力がはなはだしく増大しておりますので……

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 私が質問しておりますのは、そのような内容ではなくて、そのような事実が日本にとってどういう脅威とお感じになっているか、考えられていないのか、そこの判断をお聞きしているのです。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 ただいま中馬委員から、ソ連を初め北鮮あるいはベトナム等々いろいろ具体的な事例も挙げながら、わが国をめぐる国際情勢が最近どう変化しているかというお尋ねがございましたが、     〔委員長退席、三原委員長代理着席〕 時間があれば詳細に御説明申し上げたいのでございますが、時間がないようでございますから、その点は後に譲りまして、私どもは、そういった一連のわが国をめぐる国際軍事情勢は以前よりは厳しさを増してきておりまして、わが国の安全にとって潜在的脅威が増大していると考えています。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 具体的なそれぞれについての御判断をいただきたいわけでございます。朝鮮半島のことは日本にとって脅威か脅威でないか。あるいはベトナムのことは脅威であるのかないのか。あるいはソ連と中国のあの関係を、今後日本にとっては脅威であると、あるいはそれを緩和すると見るのか。それぞれについての御判断をいただきたいのです。

岡崎久彦防衛庁参事官

○岡崎政府委員 それでは、それぞれについて申し上げます。  朝鮮半島について申し上げますと、数年前まで北朝鮮の軍事力は約二十四個師団、四十三万人と推定しておりましたけれども、昨年の推定ではこれが四十個師団、六十万人に増加しております。これははなはだ大きな軍事能力の増加でございまして、その間駐韓米地上軍撤退の中止がございましたけれども、米韓軍合同と北朝鮮の軍事バランスから申しますと、北朝鮮の軍事能力というのははなはだ増大しております。これは潜在的脅威の増大でございます。  それから中ソ関係について申し上げますと、御指摘のとおり確かに中ソ同盟条約が廃棄されました。その後、双方から改めてその後の事態をどう収拾するかについて何かアプローチがあったようではございますけれども、アフガニスタンへの侵入以後進展してはおりません。その意味におきまして、条約そのものは、中国が言っておりますとおり、すでに長期にわたって名存実亡でございまして、それが直ちに脅威に影響する性質のものとは考えておらないのでございますけれども、むしろ、われわれの軍事情勢判断から申しますと、七〇年代中期ごろというのは、ソ連の通常兵力の増強がもっぱら中ソ国境に集中した時期でございました。それがある時期で相当程度の師団数を増加いたしまして、飽和点に達したと考えられました。その後、また、ソ連がその他の方面に意を用いる余裕が出てきたということ自身が、ソ連の能力の増加であると考えております。  それから、カ越戦争、中越戦争等ございまして、これはもちろん東南アジア全体にとりまして緊張を高める要因となっております。ただ、われわれとして特に関心を持っておりますのは、それを機といたしまして、ソ連がベトナムの海軍及び空軍基地をきわめて頻繁に使用するようになった、あるいは最近におきましてはもう常時使用と言ってもいいような状態になっている。これはまた、海上交通路に対するソ連の有事における妨害能力の増強であるというふうに考えております。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 外務大臣は、日本周辺を取り巻くこういった国際情勢が、ここ数年、以前よりも日本にとって脅威になってきたかどうか、どう御判断されますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま防衛庁からそれぞれのことについて説明がございましたので、私、繰り返しては申し上げませんが、北方関係の潜在脅威論がある、これは脅威が顕在しているわけではないが、特に四島についての防衛の強化というようなことで、潜在脅威論ということが出てきているのは御承知のとおりでございます。  中ソの問題は、無条約状態になりましたのは先生御承知のとおりでございます。それが直ちにいま中ソの関係に大きな変化をもたらすとは思っておりませんが、国境河川の航行とか、貿易支払い協定とか、実務的なことはありますが、やはり無条約状態になったということは日本としては注目しなければならぬことではないかというふうに思っているわけでございます。  朝鮮半島につきましては、軍事的な状態の問題はいまお話がございました。われわれは朝鮮半島の平和ということは日本にとっては本当に大切だ、こういうように考えておりますので、米韓の抑止力の充実ということはございますが、われわれも常に、アメリカ、中国と話しますときに、朝鮮半島の平和ということを話しているわけでございまして、私どもは、そこで大規模な紛争が起こらないように、南北の対話はいま途切れておりますが、あれが継続されて平和的な話し合いができるようになることを期待をしているわけでございます。  中国と台湾の問題は、先生御承知のとおりの状態でございまして、米中の国交が回復しましてから、中国が台湾解放ということを、武力でお互いが対峙するとか、あるいは武力を用いて解放するとか、そういうことじゃなくて、話し合いとか、あるいは親族の交流をやろうとか、郵便とかそういうものの交流をやろうとか、話しかけているわけでございます。台湾側はそれに応じたことはないのでございますが、香港を通じて貿易は非常に伸びているという状態でいきますと、私は中国と台湾の間に大きな紛争とかそういうことのないことを希望しますし、私としましては、そういうことにならぬようにということを中国に話しかけていくのが外務省としての考えかと思うわけでございまして、無条約状態が中ソにできたとか、脅威の問題につながるようないろいろな問題はございますが、それをなるべく取り除いて、平和が保たれるようにという努力を外務省としては積極的にやってまいる。  インドシナの問題も、ASEAN等ともよく相談して、インドシナ半島に平和が来るように努力していきたい。なるべくそういう周囲のきな臭い紛争は起こらぬように努力していくというのがわれわれの考えでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 概略的にお伺いいたしますと、どうも直接的に、日本に何か、それが意図を持って脅威になるというような状況にはないと判断されるわけでございますが、ただ一点、ソ連の極東軍備の増強ということに対して、防衛庁長官も潜在的脅威とはっきりおっしゃっているわけです。     〔三原委員長代理退席、委員長着席〕 このソ連の軍備増強を是認するものではございませんが、ソ連側の立場に立つならば、中国がソ連から離れたわけですね、そして米中が接近する、また中国の近代化に日本が手をかすといったことに対して、ソ連の方がこれを脅威に感じていることは事実だ。客観的に言って、脅威に感じていることは事実だと思うのですね。それで、長い国境線でもございますし、そこにずっと軍備を配置してくるということは、ソ連側の立場に立てば当然かもしれない。  しかし、そういった相手の軍備の拡張に対して、日本が同じように拡充ということであれば、これはエスカレートになってくるのですね。脅威と脅威のぶつかり合いになってくる。そのことを非常に恐れるわけでございます。  そして、ではソ連の方に日本に対して何らかの意図があるかというと、どうもそう感じられないのですね。もちろん本当の潜在的な意味ではあるかもしれません。しかし、表面的には、少なくとも日本に対しては経済、文化面、シベリアの開発を中心に平和攻勢をかけてきております。また、日ソ共同宣言の精神も生きているのじゃないかと思うのです。こういったことに対して、外務大臣、どう御判断でございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 われわれ、ソ連との間は、なるべくお互いの相互理解の上に立って、永続的な友好関係が結ばれるということを一番期待をするところでございます。ただ、そういう考え方でおるわけでございますが、特に昨年から、北方四島に対する防備の強化でございますとか、アフガニスタンに軍事介入をしたという、世界の平和に対して脅威を与えているということから、日ソの関係が冷たくなっておりますことは御承知のとおりでございます。  われわれは、この間もグロムイコ外相と議論したのでございますが、中国と日本が国交を回復して友好親善を保つということは、これは日本と中国の関係で日ソとは一切関係ないことだ、そして、われわれは中国に対して軍事的な協力とかそういうことは一切ないので、これは経済問題としてわれわれは考えておるので、日中あるいはそこにアメリカが加わってソ連と対抗するのだ、敵対関係になるんだというような議論は全然日本は考えていない、ということを私はグロムイコ外相に言ってきたわけでございます。そういう見地からしまして、なるべく相互理解の上で友好関係を結びたいというのがわれわれの考えでございます。  ただ、ソ連との間には、日本固有の問題として領土の問題が残っておる。そこに軍備の強化をするというようなことがございますので、政経分離と言って、経済はひとり歩きで、経済は別だ、別だというわけにはまいらぬ、政治も経済もみんな一緒に考えてやらなければならぬのだということで、ソ連には話しておるわけでございますが、何も軍事的に敵対をするとか、そういうことを考えて外交をやっているわけじゃないわけでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 一九五六年十月に日ソ共同宣言が行われているわけですが、その領土条項、これは二島返還ですけれども、これが生きているのかどうか。私どもの河野洋平が向こうに行きましたときに、シチコフ連邦会議議長からは、五六年の日ソ領土宣言は六〇年安保改定で意味を失ったというような表現があったとも聞いております。そういったことも踏まえて、日ソ共同宣言の領土条項というのがいまでも生きているのかどうか、あるいはまた、日ソ平和条約の締結ということに対して、外務省はその後もずっと、特に最近努力されているのかどうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 昭和三十一年に鳩山さん、河野さん、松本さんと代表で行かれまして、いまの先生のおっしゃった日ソ共同宣言をやったことは御承知のとおりでございます。その後ソ連側が、一方的に安保条約の改定をやったわけでございますから、それによって領土問題はもう、あの共同宣言に盛り込んだけれども、あれはもう情勢が変わってああいうことはないのだというような、ソ連の主張の変化が来たことは確かでございます。その後田中総理がおいでになって、向こうでブレジネフ書記長との間で、戦後の懸案が残っている、その中には領土問題があるのだということを田中総理が言われて、ブレジネフもそれを認めたということが経過としてはあるわけでございますが、また、その後ソ連は、領土問題は終わったのだ、こういうようなことで、ソ連側の主張にその都度、その都度大きな変化があるというようなことがいままでの経過でございます。  日本としましては、鳩山さんが行かれましてやった日ソ共同宣言というものは生きているのだ、そして、あの前後にグロムイコ・松本書簡の交換というのがありまして、引き続き領土問題の相談をするのだというような交換の書簡があるわけで、先生も御承知だと思うわけでございまして、われわれは、平和条約ができないのは、あくまでも領土問題が解決しないから平和条約ができないのだということの考えは変えておりません。この間もグロムイコさんにそのことを言いまして、また国連でも世界じゅうに、平和条約ができないのは領土問題が解決しないからだということを世界の世論にも訴えてきたわけでございまして、政府としましては、今後とも四島一括返還という領土問題を基本にしまして、平和条約を締結して、日ソの関係の理解の上に立った友好親善を結んでいこうという努力を今後ともやってまいるつもりでございます。  ただ、先ほど言いましたようなアフガニスタンの問題とか、そういう問題で切れまして、本当はグロムイコ外相がこっちへ来まして平和条約を相談する順番になっているわけでございますが、情勢の変化でいまそれが実現しておらぬということははなはだ遺憾でございますが、日本政府の態度はいま申し上げたとおりでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 外務大臣は、近々ソ連に行かれて、そういった交渉も含めた会談をされる御意思があるのかないのか。  それから、この十一月十八日に日ソ円卓会議で超党派の国会議員団が訪ソいたします。これに対して親書なり何なりで相手側に対する日本政府の意向をお伝えになる意図があるかどうか。この点についてお願いします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  私が向こうに参りまして、何かそういう交渉をするような日程がいまあるかということでございますが、いま、冷たくなりました情勢にまだいささかの変化はないわけでございます。この間、イズベスチヤ紙で、日ソ共同宣言を引っ張りまして論文が出ておりました。注意深く見守っておるところでございますが、まだ特に変化はございませんので、私が早急に、モスクワに行きまして交渉するというような日程は組んでおりません。何か平和条約の交渉があれば、これはグロムイコ外相さんがこっちに来る順番で、この前園田さんが向こうに行っておられますので、次は向こうが順番でございますので、あるとすればそういうことだと思っておるわけでございます。  それから、十一月においでになるという方々に親書をどうかということでございますが、いまそういうことは考えておりません。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 法律の解釈的なことになりますが、防衛庁長官にお伺いいたします。  日本の施政権のもとにあるところに外国の侵略、あるいは侵略でなくとも何か意図があって入ってきた場合に、これは日米安保条約が発動するわけでございますけれども、その問題ではなくて、固有の領土に何らかのことが行われている場合、そこに自衛隊を派遣する、自衛隊が入るということは、これは憲法ないしは自衛隊法の違反にならないかどうか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよく聞き取れなかったのですが、わが国の固有の領土、それは現在領土ということか、ちょっとその点がよく聞き取れなかったものですから、逆にお尋ねします。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 北方四島、これは日本の固有の領土でございますね。竹島も日本の固有の領土でございますね。ですから、そういうところに自衛隊が、現実に行くか行かないかということを言っているのじゃなくて、仮に行った場合、それは法律上は別に自衛隊法違反でも憲法違反でもないわけですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いま御指摘の北方四島あるいは竹島につきまして不法占拠が行われておるわけでございます。それに対しまして自衛隊がどうかということでございますけれども、そういったいわばトラブルでございますけれども、その解決を自衛隊を派遣して解決するということではなくて、他の手段、外交手段ということでやっておりますので、自衛隊を派遣する考えはございません。  純粋の法律論でお尋ねかと思いますが、そうであれば、固有の領土に自衛隊が行くことは本来何ら差し支えないはずでございます。(発言する者あり)

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 いや、法律論で言えば確かにいまおっしゃったように、自衛隊法は、固有の領土に対して、日本の国土ですから、行っていいのかどうかというのは、それは法律の問題でいいと判断をすることも、そうしてまた、憲法でも同じことかということは言えるかと思います。しかし、実際行かないわけですからね。行ったら大変なことになるということを承知だから、やれないわけですね。そういったことのもう少し根本のところを考えて、いま日本の北方四島にソ連軍が基地をつくったから、あるいは極東のソ連軍が増強されたから、日本は対抗して拡充するのだという議論は、少し危険じゃないかという気がするのですが、いかがですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 先ほど私、ソ連を主とする極東における軍事力の増大が、わが国の安全保障にとりまして潜在的脅威の増加と受けとめているというふうに申し上げたわけでございます。  しかしながら、私どもは、五十一年に策定されました「防衛計画の大綱」を現在達成すべく努力の最中でございます。この大綱は、先生よく御存じのとおり、日米安保条約を堅持しながら、限定的・小規模の侵略に対する必要最小限の防衛努力をするということを眼目にいたしまして、別表を設けて、これを目標にして進めているわけでございます。それがまだなかなか達成できないという状況にあることも先生よく御承知だと思いますので、私どもは潜在的脅威が増大したということは念頭には置いておりますが、現在進めている「防衛計画の大綱」をできるだけ早く実現をしたいということで努力しているわけでございまして、軍事力の増大を直ちに図ろうとかそういうことはございませんので、その辺はひとつ御理解を賜りたいと思っている次第でございます。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 先ほど私が、北方四島あるいは竹島につきまして、純粋に法律論とすれば云々と申し上げましたが、その趣旨は、御承知のように自衛権の行使につきましては三原則がございまして、その三原則に当たらない限り、憲法上自衛権の行使はできません。そのことを申し上げたつもりであったわけでございますので、訂正させていただきます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 国際紛争を武力で解決するということになれば憲法違反ですから、これは気をつけていただきたいと思うのです。そのような意味で、私が申しておりますのは、ここで極東ソ連軍が増強されたから、あるいは北方領土にソ連軍が基地を増強したから日本も自衛隊を拡充するんだというのは、少しおかしいんじゃなかろうかという気がするのです。それよりもむしろ問題なのは、そういう防衛庁の判断というのは、少なくともいろいろないままでの御答弁の中で出てきておることのニュアンスから言えば、どうも防衛庁の方はそういうニュアンスで国民に受け取られるような発言になっておる、あるいはそういう基地の増強に対して、脅威というような感じを国民の側に植えつけさせてしまうようになっているのじゃないかと思うんですね。むしろ外務大臣がいまおっしゃったような形で、これははっきりとソ連に対して、西側諸国全体が一つのバランスの上である程度の軍備も増強しなければならない、その一端を日本が担うんだと言った方がまだ国民の方が理解しやすいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いろいろな機会に申し上げておるのでございますけれども、北方四島に展開をしたからそれが潜在的脅威であり、また自衛隊はそれに対して云々ということではございません。  私どもがかねて申し上げておりますことは、極東ソ連全体の最近における増強を潜在的脅威の増大というふうに受けとめて、いろいろ防衛力の整備を図っていきたいということを申し上げておるわけでございまして、北方四島のことを直接——もちろんその一環でございますけれども、その北方四島をも含めて考えておるわけでございます。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 私は、先ほど来、一連の現象を踏まえて潜在的脅威が高まっていると受けとめる、そのために現在進めている「防衛計画の大綱」の早期達成に努めるために防衛力の充実に努めている、そのことが潜在的脅威を念頭に置いているということにもなるわけでございます。  そしてまた、外務大臣のお話しになりましたグローバルな観点の問題につきましても、私ども念頭には置いておりますけれども、この問題は主として外交交渉が主でございますので、こういった問題につきましては外務省とも緊密な連絡をとって当たっていきたい、さように考えている次第でございます。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私、誤解があってはいかぬですから申し上げますが、防衛というのは、自分で自分の国を守るにどうしたらいいかということが基礎なんでございまして、日本は日米安保という体制の中でそれをやっていく、そして世界の情勢が非常に、いろいろな各地で紛争が起き、緊張があることはさっき申し上げたとおりでございまして、日米安保、アメリカと日本で日本を守る、その日本を守るということが目的でございまして、アメリカが日本を守ってくれるときの力関係とかそういうことを頭に置いて、日本の自衛力の最小限というものは相対的なものだと私は思うわけでございますが、そういう考えで日本の防衛力の充実を図っていく、どうやって日本を守るかということだということをさっきから申し上げているわけであります。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 時間が余りありませんのでもう少し議論したいのですが、北方領土の返還の問題なんですけれども、このように、相手がそのような軍事的な拡充をしたから日本もという形になってくると、北方領土は永久に返ってこないということになるのです。もし本当に取り返そうとするならば、武力でしか取り返しようがないという形になってくるんじゃないでしょうか。むしろ西側全体のバランスとの上にあって、外交交渉の方が大事じゃないかと思うのです。そういう意味で、先ほどお聞きしましたように、外務大臣は積極的にソ連に出向いてでも平和交渉を詰めていただきたい。そういう形でこそ日本の安全があり得ると思うのですね。いまのように何か対抗に対抗、脅威に対して日本も拡充という形になってくると、これはまだ日本と同等程度の軍備のところとの競争ならいいのです。しかし相手は原子爆弾も持った、あるいは核で完全に装備された国なんで、そこに幾ら日本が対抗しようとしても無理なんですね。その辺のところをもう少し国民に認識させていただくように御努力順いたいと思うのです。  最後にお聞きいたしますが、軍縮の問題でございます。軍備を拡充することも相手とのバランスの上で一つの日本の防衛かもしれませんが、軍備を相手も減らさす、日本も減らさすということも、一つの日本の防衛になるわけですね。二十四日から国連の軍縮週間が始まっておりますけれども、日本はこれに対して具体的にどういう寄与をされたか、されようとしているか、その点を外務大臣からお聞きいたしまして、終わりたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 軍縮の基本哲学といいますか、これは、日本としましては、日本の平和憲法から出ていると思います。それが軍縮の政治哲学だと私は思うわけでございますが、その中で特に核軍縮というものが大きな中心の柱であるというふうに私は思うわけでございまして、日本は御承知のような核兵器拡散防止条約にも入っておる、非核三原則もあるということで、核兵器保有国に対して、国連の軍縮特とかそういう場で、常に核軍縮を唱えているわけでございますが、いまさしあたっては包括的な核実験の禁止——いま地下は禁止されてないということでございますので、地下の核実験も禁止するということも入れて、包括的な核実験の禁止ということを何とかして早く条約をつくりたい、合意を得たいという努力をしておりますし、核兵器以外でも、化学兵器の禁止条約でございますとか、そういう本当に、戦争はみんなそれこそ人道からいえば大問題でございますが、特に人道上非常に大きな影響をもたらすような核兵器の問題等につきましては、禁止をするというようなことの努力を一つ一つ具体的な場でやっていくというのが、われわれの考え方でございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 終わります。

坂田道太自由民主党

○坂田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十分散会

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