内閣委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 295 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/08/12
会議録
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一日、村田秀三君が委員を辞任され、その補欠として山崎昇君が選任されました。 また、昨十一日、藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。 —————————————
○委員長(林ゆう君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。 まず、一般職の職員の給与についての報告並びにその改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。藤井人事院総裁。
○説明員(藤井貞夫君) 去る八日に、給与に関する人事院の勧告と、同時に寒冷地手当に関する勧告を提出をいたしました。 本院におきましては、早速委員会をお開きをいただきまして、勧告の内容等について御説明をいたす機会をお与えいただきましたことにつきまして、この席上をかりて厚く御礼を申し上げます。 お手元に「給与勧告の骨子」というのと、それから「寒冷地手当改正勧告の骨子」というのをお配りをいたしておるのでございますが、これに基づきましてごく簡略に内容の御説明を申し上げたいと存じます。 まず、「給与勧告の骨子」でございます。ことしの官民の較差は四・六一%ということでございまして、昨年の三・七〇よりも民間の景況を反映をいたしまして若干上回る結果と相なっております。しかし、この程度の較差でございますので、配分につきましては、当然のこととして俸給表の改正に重点を置きながら、他は生活給的な手当に重点を置くという方向で勧告案を作成をいたしたような次第でございます。 そこにございますように、配分は当然俸給表が重点でございますので、これが八千六円の三・八四%、それから諸手当が千二十四円の〇・四九%、その他五百九十一円というのは、これは要するにはね返り、調整手当あるいは調整額等それが中心になりますが、いわゆるはね返りというものがこれに当たるわけでございます。 改定の内容でございますが、俸給表の関係につきましては、配分の傾向は、民間の大体情勢を反映をいたしまして上下ほぼ同率というのが特色でございます。ただ、世帯形成層あるいは中位等級につきましては、従来からいろいろの関係がございまして、もう少しやはり優遇しなければならないという階層でございますので、相当それについては力を入れるということにいたしました結果、五等級、六等級、七等級につきましては若干高目の四・五%ということに相なっておるわけでございます。 それから、指定職の俸給表につきましては、これは先生方よく御承知でありますように、民間の、社長級というのじゃなくて、上から三番目あたりを対比をいたしまして考えておるわけでございます。それでいままでやってきたわけですが、最近ずっとこういうような財政状況等もございまして、指定職についてもかなり自粛をした関係で今日まで来ております。ことしも調べましたところ、その三位の者との差は金額にいたしまして約二十万円程度の差が出てきております。しかし、一挙にこれを回復するということはとうていできがたいことでございます。他の職員の引き上げの問題もございますし、全体とのにらみ合わせということもございますので、とうていそこまではまいりません。ということで、ことしはせいぜいということでいま申し上げました較差分、四・六一でありますが、下は切り捨ていたしまして四・六ということの改定をお願いをいたしたいということでございます。 あとの俸給表では、大学、高専の教官、それからそれとの対比で研究職、それから毎年のことでございますが、職務の特殊性にかんがみまして税務職、公安職につきましては特に配慮をするということにいたしております。 それから、手当関係について一番重点を置きましたのは扶養手当でございます。現在、配偶者——奥さんの分は一万円でございますが、これを一千円引き上げて一万一千円といたしますとともに、子供さんにつきましては、二人までについて五百円を上げて現在の三千円を三千五百円にするという措置を講じたいということでございます。 あと通勤手当あるいは調整手当等について適当な配慮を加えております。 それから、期末・勤勉のいわゆる特別給でございますが、これは過去実は二回引き下げをいたしまして、最高のときには五・二カ月分ということになったのでございますが、現在は四・九カ月分ということに相なっております。この点につきましては、民間の景況その他を考えてできる限りひとつ早く復元をしてもらいたいという附帯決議も再々にわたっていただいておるのでございますが、ことしも大変慎重にこれについての調査をいたしました。その結果が出ましたが、これは御承知のように去年の五月からことしの四月までということで、一年間にわたる期間の調査をやっておりまするので、ことしの夏分というものがまだ反映をいたしておりません。そういうこともございまして調査の結果は四・九六ということになりまして、この二けた分の取り扱いにつきましては、現在どおり、遺憾ながらこれは落とすということにいたさざるを得ませんでして、したがって結果的にはことしについては賞与については据え置くという措置をとらざるを得なかったのでございます。いま、予測を交えて申し上げるのは恐縮でございますが、ことしの夏あたりの状況その他を見てまいりますると、来年あたりはある程度のものが出てくるのではないかという予測がされますが、これは数字のことでございますので、とやかくここで申し上げる段階ではございません。 それから、もう一つの点でございますが、実は現行の給与制度ができましたのが昭和三十二年でございます。それ以来二十数年を経過して今日に来ております。その間、御承知のとおりの高年齢化あるいは高学歴化という情勢が非常に着実に進行をいたしておるという事実がございます。また、六十年を目途にして定年制を実施に移していくという、そういう情勢もございます。そういうことから、この際、根本的に給与制度というものを見直していく段階に来たのではないか、任用制度も含めまして給与制度全般の根本的な見直しをやっていかなければならない時期が来たのではないかという認識を持っておりますので、ここでひとつこれから本格的に調査検討、根本的な検討のための調査研究に入りたい、そういう姿勢を人事院としてひとつ示したいということで、あえて報告でもってその点を取り上げました。 それから、最後に週休二日制でございますが、これについては、去年二回にわたるテストをやりました結果、非常に薄い形でございますけれども、一カ月に交代制で土曜日を一日だけ休むというかっこうの勧告をいたしましたが、諸般の情勢がございまして今日まで実施に移されておりません。この点につきましては、世界各国の情勢もございます。また、民間も調べましたところが、やはりそこにもございますように、七〇%というものを超えるという情勢になってきておりまして、従業員の比率で申しますと、すでに八〇%をむろん超過をいたしております。週休制の内容というものもだんだんと密度の濃いものに移行をしているという状況でございますので、せめて去年出しました勧告の程度のことは早急にひとつやっていただきたいということを再度希望として申し上げておる次第でございます。 以上、給与勧告の内容の骨子について申し上げました。 それから、ごく簡単に、その次に寒冷地手当の問題について申し上げます。 現在、この寒冷地手当というのは基準額と加算額というものがございまして、基準額はそこにございますように、定率、定額の二つの組み合わせで加算したものでもってはじき出しております。ところが、この定率分というものが、現在一番高いところでは四五%ということになっておるわけでして、これが毎年底になりまする給与がベースアップでもって上がってまいるものですから、結果的に言って高給者ほど非常に手取り額が大きいという現実がございます。で、この寒冷地手当というのは、どこの家庭でもやはり冬を過ごさなければならぬということで、むろん所得の高いとごろでは部屋数も多いとかなんとかいろんな事情はございましょうけれども、最小限度の必要経費というものはどこでもかかるわけでございます。そういう面から言いまして、余り定率分が高くなることはいかがであろうかということでずっと検討を加えてまいりました結果、この点についての改定をいたしたいということで、一番高い四五%を三〇%に引き下げる、以下四級地から一級地までそれぞれ是正をいたしまして、その分を大体において定額分に回していくという措置を講ずることにしてはどうかということでございます。このために、中等級以下の職員については、結局恵まれたと申しますか、有利になるという結果に相なるわけでございます。 それから、加算額というのは、これはいま中心は灯油の引き上げでございます。これは非常に高いことに相なっておりまするので、これは無視できません。これは国会でも諸先生方からも御要望もございまして、私からもこれに対してお答えを申し上げておる次第でありますが、加算額について実勢に応じた改定を行いたいということでございます。 それから、その他ごくこれは技術的な点でございますが、世帯区分の変更等の場合の追給、返納等の措置についても考えることにいたしますとともに、豪雪手当というものがございまして、これは三十九年新設されたわけでありまして、三級地以下の豪雪の場合について、主として屋根の雪おろし等のために経費を要しますので、そのための手当てをしたいということで設けられたものでございますが、三十九年新設当時そのままでございまして、その後幸いにして豪雪手当を支給するそういう状況にはございませんでしたので、今日までそのままになっておりますが、ちょうど今度、寒冷地手当全般について根本的な改正をするという時期に参りましたので、この豪雪手当についても手当てをいたしまして、現在二千五百円でありますものを、その後の物価その他の状況をしんしゃくいたしまして七千五百円ということにいたしたいと思っておりますのと、もう一つは、支給地域の問題につきまして各地からいろいろ要請がございますが、当方といたしましてもいろいろ気象条件の変化その他を精査いたしました結果、このたび十四市町村について級地の引き上げ等を行うことにいたしたいということで勧告をお出しをいたした次第でございます。 以上、ごく簡略でございますが、今回の改定に対する勧告の骨子について御説明を申し上げた次第でございます。ありがとうございました。
○委員長(林ゆう君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野田哲君 まず、人事院の勧告の事項を定めている国家公務員法の二十八条「情勢適応の原則」、これによりますと、「社会一般の情勢に適応するように、」ということで、そして「給与を決定する諸条件の変化に」よってということになっているわけです。この「社会一般の情勢」あるいは「給与を決定する諸条件の変化」、この中には当然消費者物価の上昇ということも含まれているんだと私は解釈をするわけなんです。報告の中では、消費の上昇について昨年の四月に比べて八・四%の上昇、消費支出について六・八%の上昇、このことが明記をされている。ところが、勧告は四・六一%、消費者物価の上昇に比べてはるかに低い内容になっているわけです。一体この消費者物価の上昇について、人事院としては、全くこれは人事院の勧告の内容には条件として取り入れないのかどうなのか、この点をまず伺いたいと思うんです。
○説明員(藤井貞夫君) 一般の諸情勢の中には、いま御指摘になりましたような消費者物価あるいは生計費その他のもろもろの情勢が含まれることはそのとおりでございます。われわれといたしましては、それらの点、勧告文案を作成をいたしまする前提としていろんな面から調査検討し、資料を収集をいたしまして研究をしてまいっておる次第でございます。したがいまして、物価とかあるいは生計費その他についても十分頭の中に入れながら作業は進めておるつもりでございます。 ただ、これは専門の先生でございますので申し上げる必要もございませんですが、実は最後に公務員の給与を決定する決め手に相なるものといたしまして、人事院は長年、要するに官民比較ということをその根底に置いております。そのやり方、基本というのは、結局民間の給与というものはいろいろ団体交渉その他でもって決まってまいりますので、その中にやはりそのときの情勢というものがもろもろに織り込まれてその結果が出る。物価についても、やはり春闘その他の方法を通じて、そういうことが前提に組み込まれて結果が出ていくという前提に実は立っているわけでございます。また、そのことが国民の大方の納得も得られやすいことではないかと。公務員だけについて何か特別の配慮をしていくということになりますと、そのこと自体がいろいろ問題を提起いたしますし、将来のこともございますので、いままではそういう点は十分頭に入れて検討はしておりますけれども、結局はやはり民間の給与実態の調査をいたしまして、それと公務員の給与を突き合わせて、差がある場合にはそれを埋めていただくということが一番いい方法ではないかということで従来からやってきておるつもりでございます。 したがいまして、いま御指摘になりましたように、なるほど形式的にあるいは数字として申し上げますと、消費者物価と今度の勧告というものの中にはかなり、相当厳しいなという感じは、これは率直のところ私自身も持っております。持っておりますが、しからばといってそれをどの程度に反映するかということになりますと、これは大変論議のある問題でございまして、結局は、やはりいろいろな点を総合して結果が出てくる民間の給与の実態というものを最終的に取り入れざるを得ないということで、例年と同じようなベースで結論を出したということでございます。
○野田哲君 まあ物価の上昇の状態は、この民間調査の場合の民間の賃金の決定に当たっての団体交渉等の中で加味されているだろうと、間接的にだから含まれているだろうということですけれども、私は必ずしもことしのあるいは去年の春闘の状態で民間の決定された状態を見て、物価の上昇はそう加味されているとは考えていないし、むしろこれは企業の支払い能力、この方を優先しているような感じを受けているんです。今後の給与制度全体の検討ということも言われておりますので、この点はまたさらに検討課題として受けとめておいていただきたいと思います。 特別給の問題について伺いたいと思うんです。 民間の実態調査の結果で四・九六カ月分、だから六を切り捨てて現状でいいんだと、こういう内容になっています。昨年の労働省の調査、十二月二十四日に調査した資料があるわけですが、これによりますと、夏については大企業、まあ主要企業となっておりますが、大企業で一一・五%の上昇、中小企業で九・七%の上昇、それから年末については大企業で一〇・三%の上昇、中小企業で二・四%の上昇、こういうふうになった資料があるわけですけれども、これを見ると、夏と年末両方で大体〇・二カ月分ぐらいの上昇を見ているというふうに労働省の調査ではなっているわけです。同じ政府の部内で、労働省が調査をした場合にはこうなっていて、人事院がやられたときには〇・〇六カ月分しか昨年の夏冬合わせて出てこない。これだけの開きがあるというのは一体どういうことなんですか。労働省の調査の内容、給与局長御承知ですか。
○説明員(長橋進君) 昨年の賞与等の一時金の支給状況につきましては、労働省その他いろんなところからいろいろ調査資料が出ております。労働省で発表いたしました調査結果につきましては、ただいま野田先生から御指摘のとおりでございまして、主要企業におきましては夏期一時金一一・五%の伸び、それから中小企業におきましては九・七%の伸び、年末一時金につきましては、主要企業一〇・三%、中小企業一一・四%という伸びを示しております。 私どもも昨年の五月から本年の四月までの支給状況につきまして調査したのでございますが、伸びは月分にいたしまして〇・〇六月分ということで、労働省発表の資料とかなりの開きがあるのではなかろうかということで一応この分析はしてみましたけれども、労働省発表の資料によりますと、大体主要企業、大企業といいますか、においての伸びが大きいと。それから、恐らくこれは製造業が大分入っておりますので、その中の労務構成の関係にもよるんではなかろうかというふうにも考えております。 いずれにしましても、なお精査してみたいと思っておりますけれども、しかし人事院がその職種、いわゆる同じような職種につきまして比較してみましたところ、御報告申し上げましたような、月分としては〇・〇六月分の伸びでしかなかったというようなことでございます。
○野田哲君 ことしの夏期手当について、労働省が同じように調査をして発表しておりますね。これによると、大体民間のことしの夏のボーナスは一〇%アップ、大体金額で四十四万七千円です。こういう発表がされている。そのことしの夏期手当についての労働省の調査、これは給与局長御承知ですか。
○説明員(長橋進君) 承知しております。金額にいたしまして妥結額四十五万六千二百円、伸びにいたしまして一〇%という状況でございます。
○野田哲君 ですから、いろいろいま給与局長は、あれは製造業だし、労務職中心じゃないだろうかと、こういうふうに言われているわけですけれども、そういう区分けは労働省の調査の発表ではされていないんです。で、少なくとも労働省の調査、いいかげんな私は調査の資料を出して引き合いにしているんではないんで、労働省の調査の中で、昨年の夏そして年末、両方で〇・二カ月分ぐらいは上昇していると、こういう状態が明らかにされているわけだし、ことしの夏については調査の対象ではないんだと、これは来年はね返ってくるんだと、こういうことですけれども、実情としては、去年の夏、去年の冬、そしてことしのまた夏と、こういうことになってくると、この一年で〇・三カ月分ぐらいは民間は上昇をしているということになるわけです、労働省の調査によると。にもかかわらず公務員の方は据え置きと。これは一時金という性格からして私は実態に合わないんじゃないか、もっとやはり一時金という性格からすれば、タイムリーに対応していかなければいけないんじゃないか、これは情勢適応の原則に反しているんじゃないか、こういうふうに考えるんです。これだけの較差が現に労働省の調査であるにもかかわらず、人事院はこれは今度は据え置き。そうすると、来年の調査まで全部待てというのでは、私は結局二年おくれのような状態になってしまうんじゃないか、こういうふうに思うんですが、もう少しこれはタイムリーに、たとえばことしの年末なら年末に、ことしの夏の状態そして年末の状態を調査をして、一時金についてだけの勧告を行う等の措置は考えられませんか。
○説明員(長橋進君) ことしの夏の状況につきましては、ただいま先生から御指摘のとおりでございます。 ことしの年末の状況につきましては、いろいろうわさはございますけれども、しかし正確なところはやはり実績を調査するしかないということでございまして、したがいましてことしの夏の状況から申し上げますと、年末の一時金いかんの状況によりますけれども、来年度にはある程度の期待が持てるのではなかろうかという気持ちは持っております。 ただいまの御指摘で、ことしの年末に民の状況を調べてタイムリーな対応をすべきではなかろうかというような御指摘もございますけれども、しかし、なかなか年末の一時金支給状況につきましても、これを正確に調査いたしますということになりますと、やはり年内の解決ということは無理でございまして、翌年度になるわけでございます。そうなりますと、また翌年は翌年で特別給も含めました公務員給与全般につきましての調査時期に来ておりますので、現在の技術的な調査能力から申し上げますと、やはり特別給について五月から四月までの一年間の支給実績を調べて官民の較差を算出して勧告、御報告申し上げるというのが現在のところではぎりぎりの限界ではなかろうかというふうに考えております。
○野田哲君 どうも余りタイムリーでないですね、これは。国会の当委員会での何回もの附帯決議もあるわけですから、私は、やはり人事院はそれなりに余り従来のやり方にこだわらないで機敏な対処を考えてもらいたい、こういうふうに希望を述べておきたいと思います。 次は、国家公務員法の第二十三条がありますね。「法令の制定改廃に関する意見の申出」というのがあるわけです。毎回議論になっているんですが、四月から引き上げる公務員の給与、これが実際は公務員の手に四月からの引き上げ分が渡るのは十一月の終わりか十二月ごろ、昨年の場合で言えば四月からの引き上げ分が手に渡ったのがジングルベルが鳴っているころですね。中にはそういう状態を、公務員にはまた第二のボーナスが渡ったと、こういうふうに報道されて大変誤解を与えている面があるんです。決まったものは早く払ってもらいたいというのは、公務員の諸君のこれは切なる要求になって、今度の公務員の関係の組合と人事院の総裁やあるいは総務長官がことしの春以来接触された中でも、大きな課題として提起をされていると思うんです。もうずっと四月から上がるべきものが十二月ごろにならないと手に渡らないという状態について、人事院の総裁としては、この国家公務員法二十三条による「法令の制定改廃に関する意見の申出」、この中に該当するとはお考えになりませんか、この問題は。
○説明員(藤井貞夫君) 勧告制度自体の問題と、いまお示しになりました二十三条との関係、これはまあ論議をすればいろいろ問題はあろうかと思いますが、しかし、これはやろうと思ってできないことではないという感じは私自身も持っております。 ただ、早期支給の問題につきましては、累次御意見を承っておりますように、われわれといたしましても、やはり四月にさかのぼってということでございますので、勧告が出た限りは、これはできるだけ早く実現をしていただくということが本来のねらいでございます。いろんな当時の情勢がございます。あるいは国会の開会の問題がございます。そういうことはございましょうけれども、それはそれといたしまして、やはりできるだけ速やかに実現をしていただきたいというのは切なるわれわれの要望でございます。 そういうことで、いままでも努力をしてまいりましたし、また国会においてもいろいろ御心配をいただいて今日まで来ておるわけでございますが、場合によりましてはなお非常におくれてしまうということ、これは国家公務員についてもむろんそうでございますけれども、そのことがさらに波及をいたします。地方公務員についてはさらにおくれるというような現実の姿がございますので、何とかひとつこれは早期にやるような制度的な問題として取り上げていただきたいということで、われわれも検討いたしております。また、総理府を中心にいろいろ具体的な案も検討されてきておるわけでございますけれども、まだ確たる成案というものが出ずに今日まで来ておるわけでございます。 そこで、私、国会のことでございますので、大変恐縮した態度で申し上げておる次第でございますけれども、ぜひ何とか給与に関する勧告を実現するための法案というものは、国会がその次開かれればこれはお話し合いによって優先的にひとつ進めていただくような、そういうことがやっていただければ大変人事院としてもかたじけないということを申し上げてきております。この間の衆議院のなにでも、おしかりを受けるかもしれませんがということで申し上げました。それが実は、しかしいろいろな制度を考えまするよりも一番早道ではないかと、そういう道が開かれれば。そういう切なる要望を持っておる次第でございます。 それらも含めまして、いま御指摘の二十三条その他についても情勢の推移をにらみながら、なお検討を加えてまいりたいと思っております。
○野田哲君 総裁の気持ちは、現行制度の中では国会で早くやってもらえばいいということ。これはわからぬわけではないのですが、なかなか国会というところは、いろいろ要素が絡み合って毎年そう簡単にいかない面があるのですが、そこで、やはり制度的な検討というものも並行して考えていかなければいけないのじゃないかと思うんですよ。 そこで、給与制度の総合的な検討をこれからやるんだというふうに言われているんですが、これは大体結論はいつごろをめどにやられるんですか。そうすると総合的な検討をやる、結論をいつごろ出されるのかということと、そして、いつも毎年おくれている状態も総合的な検討課題の中に入るのかどうか、この点どうですか。
○説明員(藤井貞夫君) 私といたしましては、早期支給の問題というものはやはり別でありまして、これにつきましては、もっと制度的に考えることがあれば有効適切な方法を考え出すということで努力をしなければならぬと思っております。それと、このたび申し上げておりまする総合的検討ということは一応私は切り離して考えていいことではないだろうか、またそうすべきではないかという気持ちでございます。 今度出しております総合的検討というのは、先刻も申し上げましたように、社会、経済情勢の全般的な変動の中において高学歴あるいは高年齢化というものが着実に進んでまいる、そういう情勢のもとですでに二十何年も経過した現在の俸給制度というものは、俸給表のあり方を中心に根本的にやはり見直していく時期に来ておるのではないだろうか。年功序列というものとやはり職務給との関係、そういう点も頭に置きながら再考の時期に来ておるのではないかということで、これからひとつ積極的に調査研究の段階に入りたいということを人事院の決意として申し上げたことでございまして、それといまの早期支給の問題とは一応別に切り離して考えていっていいのではないかと思っております。
○野田哲君 いつ結論は出されますか、総合的検討の。
○説明員(藤井貞夫君) 総合的検討の結論は、私の気持ちといたしましては、のんき過ぎると言われるかもしれませんが、やっぱり制度は制度として大変重要な事柄でございます、ということで、六十年を目途にひとつ本格的な、精力的な検討を開始したいということでございます。
○野田哲君 総務長官に伺いますが、今度の勧告、当然いままでの例によって完全実施ということで対処されると考えていいんでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 私といたしましては、従来どおり人事院勧告を尊重して完全実施するように努力をいたす覚悟でございます。
○野田哲君 閣議決定はいつごろの予定ですか。
○国務大臣(中山太郎君) 閣議の決定につきましては、いまの段階でいつだというふうに確約を申し上げることはいたしかねますけれども、御案内のように、財政事情が非常に苦しいという中で人事院勧告を完全実施するという努力のさなかでございますので、できる限り早い機会に完全実施できるように閣議決定に持ち込みたいと、このように努力をいたしたいと考えております。
○野田哲君 これはまだ不確定要素ですけれども、九月の下旬ごろから臨時国会ということが想定をされているところですが、そこで、この給与の取り扱い、先ほどの人事院の総裁とのやりとりお聞きになられたわけですが、とにかく早くひとつやってくれというのが人事院総裁の意向なんですが、最近は政府のくせが悪いんですね。公務員給与の取り扱いについてはいつも何か厄介な問題を絡ませて提案をする。大変くせが悪いですよ。だから、今度は少なくとも厄介な問題は絡ませないで、臨時国会が開会されれば冒頭に、一番最初に審議をする案件として提出をすべきじゃないかと、こう思うんですが、総務長官の見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 給与法案の提出に関しまして冒頭に出せというようなことでございますが、国会召集の時期や会期にも関係する事柄でございまして、現在冒頭にはっきり出すという確答を申し上げることはできませんけれども、できるだけ努力をしたいというふうに考えております。
○矢田部理君 人事院に一、二問私の方から伺っておきたいと思うんですが、それはいわゆる筑波手当というものについてでありますが、筑波に研究学園都市ができました。国立の試験研究機関の五割がそこに移転し集中をしているわけでありますけれども、それに伴って研究者ないし職員等がずっと向こうに移転をしてまいりました。従来、東京等で支給をされておった調整手当がなくなりました。「当分の間」ということで、この十年ばかり移転手当なるものが支給をされてきたわけでありますけれども、その「当分の間」というのはほぼ十年見当というふうに言われております。来年あたりにその期間が来ますので、その後この移転手当等がどうなるのかということが非常に研究者や職員の間で心配をされております。 御承知のように、研究学園都市は研究機関としてはかなりの建設が進みましたが、残念ながらそこに住む人たちの居住環境、都市機能等の建設は大幅におくれております。国土庁の計画でもあと十年ぐらいは少なくともかかるということでもありますので、この筑波手当なるものを従来どおり引き続き支給をすべきではないのかということが一つでありますと同時に、移転をした職員については、これは本俸等の八%の支給がなされてきたわけでありますが、その後、新規採用者がかなりふえております。で、移転した職員と新規採用者との間にばらつき、アンバラが出てきておるわけでありますが、したがって単純なる延長ではなくて、新規採用者も含めて暫定手当論ではなくて、今後恒久的な手当として都市手当的なものを考えてほしい、あるいは考えるべきではないかという意見も非常に強くなってきているわけでありますが、人事院としてこの辺の問題についてどう考えられておるのか、あるいはどういう検討を進めておられるのか等を伺っておきたいと思います。
○説明員(長橋進君) 筑波研究学園都市移転手当についてのお尋ねでございます。 この手当は、昭和四十六年に創設された手当でございます。で、その創設当時は、一応昭和五十年度で移転が完了するというようなめどで移転を促進する、そのために職員の移動を円滑にするということで、移転促進という観点から設けられた手当でございます。その後、移転の状況がいろいろな状況からややおくれぎみになりまして、予定機関が全部移転を完了するのは大体五十五年度いっぱいというかっこうになっているようでございます。当時この種手当を設けましたときに、五十年に移転が完了すると、しかしその後この手当をどうするかということにつきましては、定着の状況等を見ながらおよそ手当が創設されてから十年ぐらいたった時点でひとつ再度勧告をしようということで、これは御存じのように給与法の改正附則にもその旨特に明記してございます。来年度はその時期が参るんでございますから、この種手当をどうするか、その態度を明確にしなければならぬ時期が到達するわけでございます。 これまで申し上げましたとおり、当初五十年度に移転完了するということで、その後の定着状況を見ながら十年をめどにして再度勧告するというような当初の状況から申しますと、移転がおくれておるということも考えますと、やはり来年移転が完了したということで即座にこの手当を廃止してしまうということは問題があろうかと思います。したがいまして、定着状況等を見ながら来年結論を出したいと思っております。 なお、その際、お尋ねの移転職員のみならず、権衡職員という形で移転職員との権衡を考慮して出されておる手当の関係をどうするかというお尋ねでございますが、やはり同じ職場の中でいろんな割合の違う手当をもらっている人が多いということは、これは職場の中でも問題であろうかと思いますけれども、しかしまた、この手当には手当としての一つの目的なり意義というものがございまして、やはりそういう研究学園都市、これを維持、定着させる、さらに優秀な研究者、人材を確保するということもございますので、そういうような面も考慮しながら、しかも地元のいわゆる他の官署に勤務する人たちとのバランスということも考えながら、権衡職員の取り扱いにつきましては慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
○山崎昇君 野田委員から少し質問がありましたし、給与法が出た段階で私ももう少し突っ込んだ質問をしてみたいと思っておりますが、きょうは二、三に限定して意見だけ伺っておきたいと思います。 先ほど野田委員から、公務員法二十八条との関係で質問がありましたが、私、角度を変えまして公務員法の六十四条の二項で一点伺っておきたい。 人事院が給与を決めるに当たっては「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して」と、こうあります。で、私は、人事院が決定する適当な考慮というのは大筋物価が中心ではないんだろうか、こう考えております。しかし、今日までの人事院の作業というのは大変な作業ではありますけれども、民間の賃金を調べているだけであって、人事院が決定する適当な事情というのはほとんど考慮されてないんではないんだろうか。一体、人事院は六十四条第二項のこの規定をどう今後生かそうとするのか、物価の問題と関連して、これは一点まず伺いたい。 それから第二に、時間がありませんから引き続いて二、三質問いたしますが、第二は、今度の人事院の説明を見ておりまして、私はこの枠外者という言葉そのものは余り好きじゃありませんが、昨年の勧告より二倍以上にふえておる。数字で言えば昨年は五百八十九人でありますが、ことしは千四百十二人でありますから、二・二倍になる。事実上この諸君は定期昇給がないんです。延伸されちゃうわけです。私はこの枠外者という言葉それ自体に抵抗は感じますけれども、現実的に昇給延伸されている者がある。これは人事院として、仮に千四百人であっても放置すべきことではないんではないか。なぜ号俸でこれ調整できなかったのか。この点が問題ではないかと思います。 なお私は、この定期昇給という問題は大変重要だから聞いているわけですが、かつてこの委員会で、私が当時の人事院総裁でありました佐藤さんにこの定期昇給の問題を聞きました。関連して、また公務員の給与体系の問題でも多少聞きました。きょうは時間がありませんから、ごく一点だけ申し上げますが、当時総裁は、公務員の給与というのは、いまで言えば三等級以上、簡単に言えば本省の課長級以上は職務給と言えるだろう、しかし、それ以下のものについては生活給が中心だと判断するのが正しいだろう、こう言われました。もしそういう定義がいまも変わらぬとすれば、この定期昇給がやられないということは、延伸されるということは重大だと思うんです、私は。特に、定期昇給の定義について、当時私に答弁されたのが三点あって、一点は、毎年毎年行政経験を積むからその行政経験に対する評価でありますと言われる。第二点目は、等級が変わらぬ限り、経済が変動あっても定期昇給がない限りこの変動に合わせることができない。したがって、経済変動に合わせて生活というものを守るんですというのが、少し長くなりましたが、二つ目の理由でありました。三つ目の理由は、公務の能率を上げてもらうために、言葉はよくありませんが、ショック的な物の考え方をとっております。これが、当時私に示されました見解でありまして、今日まで変わってないんですね。そういう意味で言うと、この枠外者という考え方で定期昇給が事実上とめられるというやり方でどうしても私は承服できない。この点について人事院の見解を聞いておきたいと思う。 それから、定期昇給というのは、何か閣議でも先般いろんなことをやったようでありますが、これは財政論だけで片づきませんね。したがって、人事院は今度の勧告で将来含みとして総合的な検討の中でやられるんだろうと私は思っているわけでありますが、これは御案内のとおり、この定期昇給ばかりではありませんが、公務員の賃金というのは恩給、共済組合法に深刻な影響を与えてきます。そういう意味では大変重要な課題でありますから、第二としてこの点はお聞きをしておきたい、こう思います。 それからもう一点、この定期昇給についてお伺いしておきますが、民間の実情について人事院は調べられておりますが、一体民間の定期昇給というのはどのくらいの地位を占めておるのか、どんなパーセントになっておるのか。人事院の出されました資料を見ますというと、追加較差遡及との関係で言えば、民間の定期昇給率を三%前後と見ているんではないか。この三%前後が変化することによって、人事院勧告の率が変わってまいります。そういう意味では、民間の定期昇給率というものをどう判断するかは、きわめて私は基本的なものではないんだろうか、こう思いますから、定期昇給に関連してこれは聞いておきたい。 それから、次に引き続いてでありますが、週休二日制の問題でありますが、週休二日制、週休二日制と俗に言われるものですから、毎週土曜日休むような錯覚になっている。しかし、中身は四週五休制でありますから、一カ月に一遍だけ土曜日休みにするというんであって、言うならば週休二日制ではない。そのものすら今日までやられないということについてきわめて私は遺憾だと思う。最近、鈴木内閣ができまして、鈴木さん以下内閣だけは何か週休二日制で体大切にと言う、一般公務員は放置される、そんなばかなことがあっていいわけじゃない。そういう意味ではこの点は総務長官からも見解を聞いておきたいと思うんです。今度の臨時国会でもこれもあわせて出すかどうか、その点もあわせて聞いておきます。 それから次に、これは人事院の総裁にお聞きしますが、最近私が綱紀粛正の問題と関連をいたしまして予算委員会でもやりましたが、ノンキャリアの問題についてやりまして、最近人事院でも大変検討されているようであります。しかし、どうも私はまだ具体的な内容よくわかりませんから、この内容いかんによりましては改めて質問してみたいと思っているんですが、何か最近新聞に出たものを見ますと、ノンキャリアを改めて研修か試験か知りませんが、そういう形で登用ということを考えているようであります。新たな差別が持ち込まれるんではないんだろうか、こういう心配をしております。特に私が言いたいのは、キャリア組と言われるのは、人事院の試験は採用試験でありながら、たった一回の試験であたかも資格試験のようにその後何のあれもなしにとんとん、とんとん昇進をしていく、一般のノンキャリアは全く抑えられちまう。特に、人事院でやっております級別定数の問題とも関連して昇格がきわめてむずかしい。こういう点を判断しますと、私はこのノンキャリアの扱いいかんは大変重要な内容だと思っているんです。したがって、人事院はどういう具体的な内容をとろうとするのかまだよくわかりませんけれども、新たな差別になるような試験だとかそういうことのないようにしてもらいたい、やるならキャリアも全部ひっくるめて全部同一条件で試験するなり研修するなりやってもらいたい。何かキャリアだけ別枠にして、ノンキャリアだけどうこうするというやり方はとってほしくない、私の趣旨じゃない。この点は何か総理府では余り意に染まないようでありますけれども、総務長官としても、このノンキャリアの扱いいかんは私は公務の能率上の問題からいきましても大変重要だと思いますから、あなたの見解も聞いておきたいと思います。 それから、最後の一点でありますが、今度の人事院の説明の中に宿日直手当について触れておりますが、民間の宿日直の手当といいますか、宿日直の状況というのはどんな状況になっているのか、また最近、公務員の方も何か会社にやらせている点もずいぶんあるようでありますが、宿日直の動向は一体公務員の場合どうなっているのか。あわせまして、私が承知する限り手当は民間は二千円から二千五百円ぐらい出しているようでありますが、公務員の場合は千六百円ぐらいで抑えられている。言うならば、この宿日直という制度そのものについても意見のあるところだと思いますけれども、現状の説明とあわせて、やった者に対する手当の保障をどう考えるのか、まずとりあえず、時間がありませんので、この点だけ聞いておきたいと思います。
○説明員(藤井貞夫君) 技術的その他につきましては、給与局長あるいは任用局長も参っておりますので、お答えをいたしますが、私から大筋の基本的な問題あるいは方向に関することをまずお答えを申し上げます。 最初に、六十四条の関係のお話がございました。これは御指摘のように、物価その他がやはり大変重要な要素になることは事実でございます。したがいまして、物価、それから書いてございます生計費その他についても当方といたしましては非常に精密な検討をいたしまして、参考にこれをいたしておるわけでございますが、最終的に公務員給与のあり方というものを決めまする際には、先刻野田委員の御質問に対してもお答えを申し上げましたように、やはり官民の比較ということがまた一番最終的には合理的であり、また一般の納得も得やすい、物価その他も民間のやはり団体交渉その他の過程において組み込まれていく、溶け込んでいくというような自然の姿がございますので、それをやはり重点的に考えていった方がよいのではないかということでこれを踏襲をしてまいってきております。また、このやり方自体は私はそれなりに大変適当な方法として定着しつつあるのではないかという感じをいたしておることを申し上げておきたいと存じます。 それから、枠外者の問題がございました。これは相当重要な問題です。そのとおりだと思いますが、実は昨年の勧告で高齢者につきましては昇給延伸なり、あるいは昇給停止という方針を打ち出しました。これはもっぱらやはり官民の較差の問題等を中心にいたしまして、民間では非常に高齢者についてはカーブが寝ていくという関係がございます。事実その配分の関係になりますと、いままでどちらかと言えば、公務員の場合はやはり年功序列的にそれほど差別ができないというような状況もございまして、そういうことでやってまいりました結果、どうしてもやはり較差ということになりますと、配分の問題で若い人がしわ寄せを食うという関係が出てきております。そういうこともございますし、また民間との対比というものもございまして、高齢者についてはやっぱりある程度のごしんぼうをいただくということで延伸なり停止の方針を打ち出しました。それとの関係で、号俸というものについてやはり野方図に——野方図という言葉は悪いですが、延ばしてまいりますることについてはやっぱり慎重に考えていった方がいいのではないかというようなことで、とりあえずは号俸の延伸をやっておりません。しかし、この点につきましては在職者との関係、また御指摘になりましたような定昇の持つ意味ということから言いまして、そうそのままで知らぬふりをしてずっと永久にやっていくべき性質のものかどうかということになりますと、これは問題でございます。したがいまして、そういう点もあわせまして、給与制度のあり方との関連も見ながら慎重に検討をいたしてまいりたいと思っております。枠外者がふえてまいるという現実の姿ということは私たちもよく承知をいたしておりまして、それの対策というものをやはり真剣に考慮していかなければならぬというふうに思っております。 それから定昇の問題でございますが、これは昨年の閣議決定でもって取り上げられまして、そのことの検討をひとつ人事院に依頼するんだというようなことが出されました。連絡がございました、正式な書簡その他ではございませんが、連絡がございました。したがいまして、人事院といたしましてもほうっておくわけにもまいりませんので、特にことしは念入りに民間の実態も調査をいたしました。ただ、いまお話がございましたように、私もこの席上でも申し上げておりますように、定昇の問題というのは、これは給与に関する根本問題でございます。そして、現在のやっぱり人事院制度というものがありまする限りは、これを財政再建的な見地から云々するということは、私は筋違いの問題ではないかという基本的な姿勢は持ってきておりますし、今後もその態度は貫くつもりでございます。ただ、そういう御指摘もございましたし、民間の実情はどうなっているかということについて相当詳細に調べました。しかし、その結果はここで詳細にわたって申し上げることは差し控えますし、給与局長から若干の敷衍があるかとも思いますが、やはりわれわれが考えておりますように、むしろ現在のベースアップと申しますか、春闘というのが、これがやはり一種の経済関係の激変と申しますか、そういうものから来ておる特異な問題でございまして、それは長い間続いていますから当然のことというふうに受け取られがちでございますけれども、やっぱり給与制度自体としては、むしろベースアップがなくても定昇というものはこれは着実にやっていくんだ、せめてそれはやっていくんだということが本来の姿でございます。そういうことから定昇というものをストップしているというのはきわめてまれでございます。ほとんどございません。調べた結果それが出てきております。そういうことがございますので、やはり定昇というものについてはそのあり方というものをよく見ながら対処をしていきませんと、これは大変なことになるという認識を持っております。 それから、二日制の問題でございますが、これは総務長官からもお話があるかと思いますが、昨年勧告を出しました。いまお話がございましたように、内容としてはきわめてこれは密度の薄いものでございます。そういう意味では、むしろ週休二日制という名前がおこがましいと申しますか、そういうことだと思いますが、私自身といたしましては、これが緒につけばやっぱりだんだんと内容を濃いものにしていかなければならぬ。そういうことから、四週五休制その他ということを言っておりますと、それが定着をしてしまうということになっても、公務員の勤務条件全体としての改善ということから見ていかがなものであろうかということで、非常になじんだ言葉でございますので、あえて週休二日制ということを言ってきております。これはぜひ今回はひとつ実施に移してもらいたいということで、再度御注意を喚起した、しかも早期実施を要望いたしたいということにいたした次第でございます。 それから、ノンキャリアの問題ですが、これは御趣旨ごもっともでありますし、私もそのとおりに思っております。そこに新しい差別をするなんということは、これはもうもってのほかでございまして、それよりもやはり現在非常に深刻に進んでおりますたとえば上級試験について、あるいは中級試験について——中級は短大卒の資格ですけれども、そこにもう四年制などの大学の卒業生がむしろ殺到しておって、合格者は九割以上が四年制であるという現実の姿がございます。それから高校卒の初級試験についても、すでに一割以上の大学卒業生が受験しておるというような状況もあるわけです。こういう姿がだんだん進んでまいりますと、職場において将来やはり人事管理上の大問題が起きる可能性もございます。それと、やはりノンキャリアの登用というものについて正式に門戸を開いていくというためにはどうすべきか。昇任試験その他やはり実施をしていくというようなこともこれ真剣に考えていかなけりゃならぬ問題ではないだろうかというつもりでおります。 新聞等で若干報道されておりますものは、いろいろ試行錯誤で事務的にも検討いたしておりますのがその過程において報道されておることだろうと思いますが、まだ方針として決定をいたしておるわけではございません。お尋ねの趣旨は十分注意して、そのために新たな差別を持ち込むというようなことが絶対にないように気をつけてまいりたいということでございます。
○説明員(長橋進君) 給与に関しまして若干補足説明をさせていただきたいと思いますが、民間における昇給の実施状況でございますが、ことし調査いたしましたところ、これは資料にも載せてございますが、昇給に必要な勤務期間としては、一年としているところが九五%でございまして、一年を超える期間を昇給期間として定めておるというところはもう皆無に近いというような状況がございます。 それから、昇給時期の回数等でございますけれども、年一回というところが九二・四%でございまして、したがって一年一回というような昇給の状況というものはもうほとんど定着しておるというふうに考えてよろしいのではないかというふうに思います。 それから、先ほど総裁もちょっと触れられましたけれども、定期昇給等の中止等の実施状況につきましてもあわせて調査してみたわけでございますけれども、定期昇給の中止というようなことをやっておるところは〇・二%ということでございまして、特にベースアップ等の中止をやった後定期昇給に踏み切っておるというところが一・八%でございますので、したがってよほどでなければ昇給延伸という措置を講ずるところがないということでございます。 それから、積み残しとの関係で昇給率三%という話が出ましたけれども、ことし実態調査をしましたところ、大体昇給率は二・六%、民間の場合。正直に申し上げまして二・六%と考えられるのではなかろうかというふうに推測されます。ただ、例の積み残しの計算の場合に三%を差し引くということはもう経験的に申しまして常数化しておりますし、その結果来年の較差にどうはね返ってくるであろうかということを分析してみますと、本較差と民間の伸びとの関係におきましては、現在のところ昇給率三%ということを常数として使って積み残しを計算したという場合にまあ大体妥当ではなかろうかというふうに考えられます。 それから宿日直の件でございますが、ことし特に宿日直手当の支給状況につきまして調査しましたところ、宿日直手当を支給している事業所というのは二四%ということでございまして、かつて四十八年当時は五十数%ございましたのがもう半減しておるということでございまして、事業所のうち宿日直手当を支給している事業所は四分の一以下になってしまったということもございます。額につきましては二千五百円という数字が出ておりますけれども、しかしこの支給状況から考えまして、この金額というものをすぐそのまま公務員の宿日直手当に反映させていいものかどうか、なお分析、検討を要するんではなかろうかということで今回は改定を見送るということにいたしました。 公務員の宿日直手当の支給状況はどうかということでございますが、いわゆる通常の千六百円口といいますか、庁舎の監視等軽微な宿日直手当を支給されている職員というのは、これは予算上の数でございますけれども、五千七百八十五人、それから業務当直あるいは監督当直といったかっこうでやや密度の濃い宿日直手当が支給されている職員が約千三百人ということでございまして、平均いたしますと、こういう業務当直も含めまして、公務員の宿日直手当の平均額は大体千九百円ぐらいになるということであろうかと思います。 以上でございます。
○国務大臣(中山太郎君) 二つ先生からお尋ねがございました。 一つは、週休二日制法案に関する問題でございますが、国家公務員の週休二日制につきましては、政府としてはすでに人事院勧告どおり四週一回交代半休制を導入する方針を決定いたしておりますので、これに関する法案の提出をできるだけ早くしたいというふうに考えておることをお答え申し上げておきたいと思います。 もう一つは、ノンキャリアとキャリア組に対する考え方でございますが、人事院総裁の考え方と全く私は一緒でございます。
○山崎昇君 もう時間ありませんから一点だけお伺いしておきますが、いま総裁からいろいろ答弁がありました。ありましたが、やっぱり私は枠外者という言い方そのものも抵抗もあるんですけれども、何といったって、これやはり昇給が延びるんですよね。事実上ないんですよ。だからこれはかなり真剣に私は重ねて考えてほしい。五十六歳で延伸になって五十八歳からとめるというのは、これは高齢者の方は正式にやられているわけです。しかしそれとは別個ですから、この問題は。ですからこの点は重ねて私は強く申し上げておきたいと思うんです。 それから、定期昇給についていろいろお話ありましたが、これはもう総裁も御存じのとおり、昭和四十三年の三月の二十五日に、恩給審議会から五十六項目の答申が出まして、恩給や共済組合を上げるのは三つある。一つは経済の著しい変動、二つ目は公務員給与の改定、三つ目は物価が五%以上上がった場合、こう基準が示されて、今日まで恩給等の改定は主として公務員給与の改定をとっているんですね。しかし最近二、三年を見ますと、残念ながら物価の方が先行しまして公務員給与の方が低いんですよ。だからこの年金者の年金というのがきわめて低い状況にある。そういう点を考えまして、これはやはり定期昇給の問題とも絡んでまいりますし、給与制度とこの恩給制度というのは絡んでまいりますから、そういう意味で重ねてこの点は一つ要望をしておきたい、こう思います。 それからノンキャリアはこれから具体的にいろいろやるわけでありますが、これもいま総裁から述べられてまいりましたけれども、私は何といってもキャリアの諸君にはキャリアの諸君の能力があると思う。しかし、たった一遍大学卒業して試験さえ受けたら後は何もないんです。後は黙っていて昇進していくんです、この人は。能力判定だとか何かありますか。何もないです。ノンキャリアだけ、あなたがいま言っているだけでも昇任試験がどうだとか、何がどうだとか、言うならば、そういうやり方自体に私は——人事院の試験は採用試験なんです、採用試験なんだけれども、キャリアだけは資格試験みたいになっちゃっている、事実問題として。ここに最大の差別があると私は思っているわけですから、そういう意味でこのノンキャリアの問題は、この扱いいかんによりましては公務の能率がどうなるか、一番実務的に知っている人なんです。公務員としては一番これは大変な人なんです。そういう意味で、このノンキャリアの問題はもっともっと本当に深刻に考えてもらいたいということを最後に述べまして、私の予定された時間でありますから、終えておきたいと思います。
○峯山昭範君 初めに、総裁にお伺いします。 民間給与の調査ですね、これの調査の方法とか中身、これはずっと同じなんでしょう、もう十数年来。これは大分中身は変わってきたんですか、最近は。
○説明員(藤井貞夫君) やり方の技法というものは基本的には変えておりません。ただ、先生も御承知のように、その事業所を選定をいたしまする際には、いわゆる統計学的に言って一番正確とされておりまする層化無差別の抽出法というものをとっておりますので、調査の事業所というものは毎年変わる、また同じところも入ってまいる可能性もございますけれども、そういうことで悉皆調査と同じような結果が出るような配慮をしてやってきておるということでございまして、その具体的な事業所その他は異なってまいりますけれども、やり方の基本的な技法というものは従来どおりを踏襲をしておる次第でございます。
○峯山昭範君 そうしますと、まず二、三点ちょっと総裁にお伺いしたいんですけれども、先ほど物価の問題が出てまいりましたけれども、これは国家公務員法の六十四条、この第二項の「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情」というのがございますけれども、先ほどの答弁を聞いておりましても、もう大部分がいわゆる民間の給与、これだけですね。これはもうそういうことになっているんですか、人事院は。
○説明員(藤井貞夫君) 結論的に申しますと、民間の給与というものを精細に調べまして、その結果を一番重要な要素として取り上げて毎年の勧告をお願いをいたしておるということでございます。
○峯山昭範君 そうしますと、その六十四条にございます「生計費」というのはよくわかりますが、「人事院の決定する適当な事情」というのは、従来は物価とかそういうようなものを勘案していたと私は思うんですけれども、ここら辺のところはどうなんですか。
○説明員(藤井貞夫君) この点はいろいろ従来も議論があったわけでございますが、経験的に申しますと、結局それらの諸事情は民間の給与というものの決定に溶け込んでおるという前提に立ちまして、民間の給与の実態というものを一番優先的に考えてきておるということでございます。したがいまして、物価その他の情勢というものについて、戦後においてはいろいろ考えたこともございますけれども、その後いまの勧告制度というものが定着をいたしまして以来は、民間の給与というものを主体として精細にこれを把握して対処するという方針を堅持をして今日まで来ておるということでございます。
○峯山昭範君 そうしますと、もう民間の給与以外は考えられないというふうな総裁の御答弁ですが、そういうことですか、結局。
○説明員(藤井貞夫君) そこまで大変詰められますと、若干御答弁申し上げかねるわけですが、われわれといたしましては諸般の事情というものを精細に検討をいたしております。したがいまして、物価とか生計費その他三公社五現業の関係その他の点を全部精細に調査をして、頭に入れながら、総合的に勘案をして結論を出しておるということでございます。 したがいまして、いまのところは、それらの総合勘案の上で民間の調査をいたしました結果はこうなったというのでどうするかということになるわけでございますが、将来どういうような事態が起きるかはいまのところわかりませんが、しからば全く民間の場合もベースアップ等が行われないというような事情が出てきた場合に、たとえば物価とか生計費とかそういうような点が放置できないような事情になった場合は、そのときの検討でもって何らかの結論が出るということはこれは絶無ではございません。
○峯山昭範君 実際問題としては総合勘案の中身が余り、先ほどから答弁ずっと聞いておりましても、反映されていないようですし、実際問題としては私たち非常にことしの勧告の四・六一%というのは非常に低いように感じるわけです、最近の物価の問題と比較しましても。 そこで、その点はさておきまして、次に、調査時点はこれはもう十数年来変わってないわけですか。
○説明員(長橋進君) 四月に支払われました給与を調べております。
○峯山昭範君 それはいつからいつまででございますか。
○説明員(長橋進君) 調査、いわゆるこちらが出かけていって調べます時期は、大体六月の十五日を基準にしております。
○峯山昭範君 総裁、私がお伺いしたいのは、私の手元にある資料によりましても、昭和四十一年以来の資料しか私の手元に来ておりませんけれども、この資料によりましても毎年勧告が八月ですね。これはいろいろ六月十五日の調査時点ということもありますけれども、これは勧告をもう少し一カ月ぐらい早くできないか。少なくとも調査の方法等はいろいろ変わってきたにしましても、いまほとんど変わらないということですが、十数年前から考えてみましても、コンピューターにしましても何にしましても相当発達しているわけでございますし、そういう点からいきましてもその結果を出すのが余りに遅過ぎるんじゃないか、こう思いますが、この点どうですか。
○説明員(長橋進君) 四月に遡及改定、妥結いたしましても、なお実際の配分が現に行われていないいわゆる積み残し事業所というものもございます。そういうものまでもつかまえてまいるということになりますと、どうもやはり六月の時点ということまで持っていきませんと、積み残し事業所を的確につかまえるということはむずかしゅうございますので、したがいまして、私どもといたしましてはできるだけ正確に民間における給与の実勢というものを把握できるようにということで調査時期を六月の十五日までとしております。 そうなりますと、現在のところ集計につきましては、それこそ統計局にお願いいたしまして、夜を日に継いでこれをお願いしておるわけでございますので、なかなかコンピューターを使いましても、技術的な面から申しまして、現在の勧告の日取りというのがやはり限界があるのではなかろうかというふうに考えられます。
○峯山昭範君 この点は余り議論するつもりありませんけれども、六月十五日にあれしましてそれから七月まで一カ月、現実に七月に勧告したこともありますね、一回か二回。そうしますと、遡及分とかいろいろ拾うにしても、実際問題として、集計してその結果をまとめるまでの期間というのが一カ月半から二カ月近くかかっている。これはやはり一カ月くらい縮められるのではないかと思いますが、この点は後で御答弁いただきたいと思います。 それから、これは総務長官でございますけれども、先ほどお話ございましたけれども、この閣議決定というのが非常に遅いわけです、毎年。昨年なんかもう十一月の末です。これは何とかいろんな事情はあるにしても、やっぱりもう少し早く閣議決定をして、そして実質支給するようにしてもらいたい、私はそう思うんですけれども、この点についてもう一回重ねてでございますけれども、大臣の御答弁をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 先ほども申し上げましたが、できる限り早い時期に閣議決定を取りつけて国会に審議をお願いしたい、このように考えております。
○峯山昭範君 これも当然あたりまえのことで、まことに申しわけないんですが、これも重ねてもう一回お伺いしておきたいんですが、完全実施ということです。この点についてもぜひ完全実施ということでお願いしたいと思いますが。
○国務大臣(中山太郎君) 御趣旨を尊重して努力をいたす覚悟でございます。
○峯山昭範君 それでは次に、ことしのこの給与改善の当初予算に組み込まれた予算ですけれども、これは二%らしいですね。これは昭和五十三年までは五%ぐらいで、そのあと二・五%とか二%らしいんですけれども、これは初めからこの予算が少な過ぎるんじゃないか、要するに。そう私は思うんですけれども、これは当然そういうふうな意味では来年度予算ではやっぱりもうちょっとよけい組んでおいてもらいたい、初めから。ことしは大蔵省がさんざんPRして、財政再建とかさんざん言って、もうあとどのくらい財源不足だとか言って、いつももめるわけですけれども、そういうふうな意味では一つは来年度予算にはがっちりした給与改善費を組んでいただきたいということと、それからことしの改善についてはどの程度の予算が不足をしてくるのか、この点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 先生も御案内のとおり、いま財政事情が大変なピンチに立っておる、こういう中で人事院勧告が出て、政府はそれを受けて従来完全実施をやっておりましたが、今回もそのように努力をするということで、先般関係閣僚会議を開きまして財源の処置をどうするかということで相談をすでに始めております。こういうことで千六百五十億円の財源不足が出てくるわけでありますけれども、これに関しましては完全実施ができるように関係閣僚に特にお願いをいたしておるということを御報告申し上げておきたいと思います。
○峯山昭範君 来年度予算の話もちょっと一言。
○国務大臣(中山太郎君) 来年度予算の編成に当たりましても、いま御指摘ございました今年度二%でございましたが、来年度につきましては御趣旨を尊重して、できるだけ現実に即したような予算の編成に当たってもらいたいということを要望いたしたいと考えております。
○峯山昭範君 これは人事院総裁に先ほどちょっと私聞きそびれたんでお伺いするんですが、官民較差ということなんですけれども、物価との関係を見てみますと、昨年が改善率が三・七%、それで消費者物価の上昇が二・六%、それでその前の五十三年が改善率三・八四%、そのときの消費者物価が三・九%、その前の年の五十二年が改善率六・九二%、そして消費者物価が八・六%、大体消費者物価にもある程度見合っているわけですよ。官民較差一本で来たにしましても、中身は消費者物価の上昇ともある程度バランスがとれているんですね。ところが、ことしは消費者物価がいまのところ八・四%ぐらいになりそうですね、そうしますとことしの勧告というのは四・六一ですね、これはちょっと相当差が開いているわけですけれども、ここら辺のところは頭痛いことないですかね。これはあたりまえで、民間の給与はこうだからこうという感じより、実質賃金がこれで下がるわけですからね、そういうふうな意味では多少これは頭の痛いところじゃないかと、実際私はそう思うんですが、いや、そういうことは関係ない、そういうふうに感じていらっしゃるのか、そこら辺のところはどうですか。
○説明員(藤井貞夫君) 大変端的なお尋ねでございますので私も申し上げますが、頭の痛いというのはそのとおりでございます。実は結果的に申しまして、民間の給与というものを調べましたその結果というものがほぼ物価というものとまあまあ、時によって違いますけれども、ほぼ見合って、ほっと安堵をするということが多いわけでございます。 ただ、ことしの場合は、いろいろ分析の仕方もございましょうが、いろいろ特殊の事情がございまして、季節商品の問題とか運賃あるいは電気その他の値上がりというものが非常に重なってまいりました結果、物価との観点からいたしますと、頭の痛い感じは受けました。 ただ、これはやはり民間においてもそういう事情があるにもかかわらずああいう姿になっておるという現実がございますので、そこはひとつやむを得ずごしんぼうをいただくという方針を打ち出したのでございます。
○峯山昭範君 もう私に与えられた時間が非常に短いものですから、はしょってお伺いをします。 一つは特別給の問題です。これは一昨年の当委員会におきます附帯決議の中にも、「特別給については、公務員給与制度の特殊性にかんがみ、民間の動向を考慮し、可及的速やかに支給割合を回復するよう努めること。」という項目もあるわけですけれども、先ほど総裁の説明の中にも多少ありましたけれども、これは私は早急に、実際問題としていろいろな事情はあるにしろ、もう少し配慮すべきであったと思うんですけれども、この点どうですか。
○説明員(藤井貞夫君) その点お気持ちは十分わかりますし、私自身といたしましても過去二回にわたってまあ言わば心ならずも、民間の動向というものが反映いたしますので、やむを得ずということでございましたが、切り下げをしたということで、その点非常に気にいたしておるのでございます。したがいまして、調査の結果というものが出ましたら、なるべく速やかにそれに合わせてやっていくということをやりたいという気持ちはやまやまでございます。 ただ今回の場合は、調べました結果が、若干の上向きということではございますけれども、なお四・九というものについて影響を及ぼし得るような状況ではなかったということでございます。ただ、民間の景況その他から見まして、またことしの夏のボーナスの支給状況等を見ますると、その結果はある程度来年の場合においては反映してくるのではあるまいかという期待は持っておることは事実でございます。
○峯山昭範君 次に、扶養手当の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。 最近、世帯形成層あるいは中堅層などの生活負担というのが非常に厳しい状態でありますので、今回のこの改正、重点的改善ということでやっておられますので、その中身はよくわかりましたんですけれども、まずこの扶養手当なんですけれども、現行では満十八歳以下の子供さんを対象としておりますけれども、十八歳の高校生には現在支給されていないわけですね。実際問題として、最近の高校進学率というのはもう九五、六%以上になっております。そういうような実情を勘案しますと、これはちょっともう一考する必要があるんじゃないかと。そういうふうな意味では、扶養手当の支給制限の年齢を社会情勢の変化に適応するようにした方がいいんじゃないか、こういうふうに思うわけです。また、西欧諸国の扶養手当の支給状況とも絡んで、ここら辺のところはどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○説明員(長橋進君) 扶養手当の支給範囲につきましては、いろいろ拡大につきまして要望がございます。その中でも、いま先生御指摘のように十八歳未満となっているところを、最近の高校への進学状況等も加味して、せめて高校在学期間中だけは扶養手当を年齢に達したからといって打ち切ることのないように継続して支給するようにという要望も特に強うございました。しかし、この扶養手当の支給範囲の問題につきましては、給与法でこれをどうするかということは他のいろんな諸制度にも影響するということもございまして、本年もそのことにつきまして検討いたしましたけれども、なお今後の引き続き検討課題ということで残すということにいたしました。 いま御質問の西欧諸外国におきましては、こういった子女手当の支給状況についてはどうかということでございますが、イギリスにおきましては、これは社会福祉制度としての子女手当制度がそのまま国家公務員にも適用されることになっておりまして、特に国家公務員について特別の扶養手当制度というものはございませんが、それによりますと十六歳未満の子、学生は十九歳未満ということになっております。 それから西ドイツの場合ですと、児童手当として十八歳以下の子ということが支給対象になっておりますが、学生等は二十七歳未満ということになっております。 それからフランスにおきましては、十七歳以下の子、学生等は二十歳以下ということになっております。 それからスウェーデン等におきましては、社会保障制度に基づく児童手当が公務員にも適用されておりますが、それによりますと十六歳未満の子、学生は十九歳未満ということになっておりまして、学生については年齢的に特段の措置を講じておるところが多うございます。この点につきましては、今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○峯山昭範君 もう時間がございませんので、あと二点だけお伺いしたいと思います。 あともう一点は、いまの扶養手当の問題につきまして、いわゆる所得制限の問題ですね、これは現在は年額七十万円ですか、になっておりますけれども、所得顔の制限をもう少し広げてはどうか、そういうふうに私は思うんですけれども、この点はどうかというところが一つ。 それからもう一点は、先ほども質問ございましたが、先ほど総裁の説明の中にもございました給与制度の根本的な検討ですね、これはいろんな問題がありますので、ぜひ検討はしてもらいたいと私は思うんですけれども、しかし公務員制度そのものには、先ほどお話ございましたように、給与問題だけではございませんで、試験の制度とかあるいは任用制度とか、いろんな問題がいっぱいあるわけです。非常に私は重要な問題であろうと思います。その検討が、先ほどの答弁ですと六十年ごろ結論を出そうと言うんですけれども、ちょっとゆっくりし過ぎてないかと私は思うんです。こういう問題は慎重に検討するのも当然でしょうけれども、少なくとも三年ぐらいでやっぱりめどをつけるようなあれにしないと、五年というと、昔は十年一昔といいましたけれども、最近十年というと昔の百年ぐらいのあれがあるんですね、いわゆるいろんな社会情勢の変化というのは。五年というと、もう昔の十年、二十年の開きがあるわけです。そういうような意味ではやっぱり相当積極的に検討していろんな矛盾を解釈するようにしなければいけないんじゃないか、こういうふうに私は思うんです。この二点について御答弁をお伺いします。
○説明員(藤井貞夫君) 所得制限の問題については局長から御答弁申し上げますが、給与制度の根本的な見直しの点につきましては累次申し上げてまいりましたとおりでございます。 ただ、私の立場といたしまして、余り確信のないような時期を申し上げるのもいかがかということで大変慎重な発言をいたしたつもりでございますが、いまお話しになりましたように、大変いま急速に動いている世の中の情勢でございます。そういう点を踏まえて、六十年ということにとらわれる必要は私はないと思います。したがいまして、できるだけやはり急いでこの問題に取り組んで結論を出すという努力はひとつ最大限にやりたいと思っております。
○説明員(長橋進君) 扶養手当の所得制限額の問題でございますが、従来は高校卒十八歳の初任給のところを大体標準生計費と合わせておったということもございますが、最近は、初任給につきましては標準生計費をかなり上回っている。つまり民間の初任給の実勢というものを参考にしながらそれに合わせていくということもございまして、したがって、従来は八等級三号俸のところの年額の半分ということでいわゆる制限額を設けてございましたけれども、最近は所得額もかなり初任給が上がっておりますので、そういう意味から申しますと、このような勢いで初任給が上がっていくとするならば、それなりに扶養控除の問題につきましても限度額の問題につきましても検討しなきゃならぬということになろうかと思いますけれども、しかし、そうは申しましても税法上七十万ということで扶養控除という限界が引かれておりますので、それとの均衡もやはり考えながら対処していかなきゃならぬ問題だというふうに考えております。
○安武洋子君 この報告の中で、高年齢化と高学歴化、それから生活意識の多様化、こういうことなどで給与制度の全般について総合的な検討を加えていく所存であるというふうになっておりますけれども、現行の給与制度ではどのように対応できないのか、具体的にどのような矛盾が起こっているのかというふうなことをひとつ具体的に御答弁いただけますでしょうか。
○説明員(藤井貞夫君) 俸給表だけの問題について見ましても、現在の俸給表というのは八種類の俸給表でございまして、全体で十六にわたるもので運営しているわけでございます。その一つ一つを見ましても、たとえば、現在の俸給表自体の分け方でもってそれでよいのであろうかという問題がございます。この点につきましては、たとえば、それぞれの各省庁の方からこの職員についてはやはり職務の特殊性があるから特別に俸給表というものをつくってもらいたいというような要請もだんだん出てきておるといったことがございます。そういった点はやはり職務給的な考え方というものを強化してまいるという観点に立ちますと、やはり再検討しなきゃならぬというような問題も出てまいるわけでございましょう。それから、いまの等級自体につきましても、一番典型的な俸給表として行政職(一)というものがございますけれども、これも八等級制度でもって運用しているわけでありますが、しかし、これとてもやはりいろいろ累積をしていく等級の構造がございまして、それらについてやはりもう少し新しい等級をつくるとか、あるいは場合によってはまとめていくとか、それらの検討も加えてまいらなきゃならぬという問題も出てきております。 そういうふうに、俸給表の構造自体につきましても本格的に検討する時期に来ておるわけでありますが、そのほかに、いま報告にも書きましたように、世の中の傾向と同じように公務員についても高年齢化あるいは高学歴化という傾向が着実に進んでおる状況でございます。それに対してどういうふうにやっていくのか。先刻諸先生からもお話がございましたように、年齢が高くなるにもかかわらずまた別の要請では号俸延伸あたりはやれない。したがって、昇給あたりについては頭打ちにならざるを得ないというような、そこら辺のいわば矛盾に対してどういうふうに対処していかなければならぬのかと、いろんな問題が多岐にございます。 いま、私ここで具体的にこうこう、こういうような検討ということまで申し上げる段階ではございませんが、問題意識としてはそういうものを念頭に置きながら、給与制度だけじゃなくて、任用制度その他との関連で、ひとつ人事管理制度全部を総合的に検討していくために本格的な検討に入らなければならぬ時期が来ておるのではないだろうかという意味で申し上げたつもりでございます。
○安武洋子君 問題意識の中に、私は、やっぱりいまの公務員の給与制度の中で大きく問題になっているのは上厚下薄の問題、それから私が今年度の予算委員会の婦人問題の集中審議の中でも取り上げましたけれども、職階職務給が引き起こしている非常に大きな矛盾、それが特に女性の中にしわ寄せされている女性差別、こういう問題があります。私は、具体的に神戸の第三港湾建設局の問題を取り上げております。こういう点を私は問題意識としてお持ちいただいて、総合的な検討を加えていただかなければならないというふうに思っております。 時間がないので先を急ぎますけれども、近ごろの公務員制度の動向を見ておりますと、定年制の導入とかあるいは退職手当の問題など一連の行政改革と連動してこういうことが行われようとしているというふうに思っております。 昨年の七月に行政管理基本問題研究会、ここが提言しております「今後における政府・公共部門の在り方」、この中に、まあ、これ人事院総裁もお読みになっていらっしゃると思いますけれども、その一項目として、「メリット・システムの強化対策としては、特別昇給制度や勤勉手当制度の運用の刷新やいわゆるメリット還元制度の導入についても検討に値すると考えられる。」というふうな項目がございます。こういう項目について一体どのような見解をお持ちでございましょうか、それをお伺いいたします。
○説明員(藤井貞夫君) 最初に御意見として申し述べられました点、それらの点も問題意識としては十分に配慮しながら対処をしてまいりたいというふうに考えております。 実は、これは先生御承知のように、公務の部内におきましては男女差別というのはやはり何といっても一番少ない分野ではないかというふうに考えております。特に、いろいろいままで女性に門戸が開かれておりませんでした分野におきましても女性の受験資格を認めるという方向に着々と進んでおるというようなこともあるわけであります。しかも、給与の問題等にいたしましても、これはたてまえとして男女差別を設けるということは憲法上の問題もあってできませんからして、そういう点かなりよく措置されてきているという感じはいたしておりますが、しかし十分その点は問題意識として頭に置きながら対処をしてまいりたいと、かように考えます。 それから、人事管理制度というものを運用してまいりまする際には、やはり職場の秩序を維持してまいらなけりゃならぬということもありますし、また職員の士気の高揚を図ってまいらなきゃならぬというような点もございます。したがいまして、生活給的なそういう配慮が基本ではありますけれども、それとやっぱり並行いたしましていろいろメリット・システム的な運用をしてまいる必要性もこれは十分にあるわけであります。そういうやり方の制度的な一つのあらわれといたしまして、特別昇給というようなこともございますし、また賞与の中の勤勉手当等の運用につきましてもいろいろ心しなければならぬ面もあるわけでありまして、余り一律的で、それこそ成績の十分である人も十分でない人も同じような、全く画一的にやっていくということもこれは問題でございます。そういう意味で適切な運用というものを図っていかなきゃならぬというふうには思いますが、それが余りにも何か職場統制的なそういう運用になってまいるということは、これはやはり本来の姿ではございませんので、その点は十分配慮しながら運用に万全を期したい、これが私の考え方でございます。
○安武洋子君 先ほどの婦人差別の問題ですけれども、やっぱりこれは十分よく措置されてきているというふうに思うとおっしゃいましたけれども、そうじゃないんです。政府のおひざ元でありながら大変女性差別が多いということで、六等級の上位号俸に三港建の場合でも女性だけがひしめいているというふうな実態もお示ししております。ですから、その点ももう少しよくごらんいただいて、こういう点も解決するためにがんばっていただかなければならないと思いますし、それからこのメリット・システムですけれども、この強化、これをやりますと、いままで職場の中に非常に矛盾を起こしてきたという面も見ていただかなければならないと思います。そういう点を十分見ていただいて私は対処していただきたいんです。 そこで一つお願いですけれども、公務員の給与の水準とかあるいは給与制度のあり方とかというふうなものは、中小企業も含めまして民間に大きな影響を与えるわけなんです。ですから、当該の労働組合、ここの意見を十分聞くということが非常に大切なことではなかろうかというふうに思います。広く国民の合意を求めるというふうなことも必要になってくるわけですけれども、何といっても当該の労働組合から意見を聞くと、そして労働組合との合意を尊重するということを何としても重視をしていただかなければならないと思いますが、これについてはどうお考えでございましょう。
○説明員(藤井貞夫君) 公務員の団体の方々との意思疎通というものは大変心がけてやっておるつもりでございます。先生も恐らく耳にしておられると思いますが、人事院だけをとってまいりましても、私を初めそれぞれの各段階でもっていろんな折衝がございますが、大体最近ではいろいろなものを取りまぜて毎年二百回ぐらいお会いしております。そしていろいろ意見の交換をやっておるというようなことでございます。それは、しかし私は多過ぎるという意味で申し上げておるわけではございませんで、いまお話しになりましたように、何といってもやはり公務員の実態というもの、あるいはその切実な意見というものを十分に聞いて人事行政の展開の上に役立てていくということは大変重要なことでございますので、そういう点についても今後とも十分にさらに配慮をしてまいる所存でございます。
○安武洋子君 何といっても労働組合との合意という基本に立っていろんなことをお考えいただかないと、いままで職場の中で非常な矛盾が起こってくるというふうなことで、後になってこういう大きな矛盾が出てきたけれどもというふうなことになっていくと私は思うのです。そういう点をお考えいただきたいと思います。 それで、質問を変えますが、官民較差と公務員給与の自然増の伸び率、これ最近十年間ほど見てみましたら、ことしの公務員の自然増の伸び率というのが最低の一・一四%になっているわけです。自然増の中には、定昇とかあるいは昇任昇格とか、そういうことも関係してまいりますし、それから人事の構成も影響してくると思いますけれども、近年この自然増の伸び率が低下傾向にあるわけなんです。こうした傾向の要因を人事院はどのように見ていらっしゃるのか。 それから、さらに続けますが、公務員給与の自然増が少なければ官民較差が大きくなる、こう考えるのはごく普通の考え方なんです。こうした影響、官民較差にどのようにあらわれてきているのか、また将来の見通しとしましてこういう傾向についてどのように見ておられるのかというふうな点をお伺いいたします。
○説明員(長橋進君) いわゆる公務員の平均給与月額の上昇率といいますか、上昇状況、これは自然増という言葉で先生がお述べになりましたけれども、大体このところ毎年少しずつその自然増の率というものが落ちてきております。そもそもこの自然増が大きくなるのか小さくなるのかということでございますけれども、ここ数年のところは落ちてきております。その原因は何かということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、正確な状況等はつかめませんが、とにかくこういうような給与改定後なお給与がふえてくるという要因は、先ほどお述べになりましたように、昇給等もございましょうし、それからその後におきます通勤手当の支給状況、これがふえてくるとか、運賃が改正になりますとふえますから、そういう関係とかということでふえてくるということがございます。この減ってくる原因を申しますと、こういった変動要因と申しますのは、給与制度が安定してまいりますと、これはゼロに近くなる性格の数字でございます。つまり昇給にいたしましても、新陳代謝が計画的に安定したかっこうで行われますとしますと、ふえる人は減って、それから新しい人も入ってくるわけでございますから、そういう意味から申しますと、この数字自体は安定した状況におきましては限りなくゼロに近づいていく性質の数字だろうというふうに考えております。 したがいまして、現在、ここ数年のところ減ってきたのはどういう理由かということでございますけれども、これは正確には申し上げかねますけれども、推測いたしますところ、恐らく減ってきたということはふえ方が少なくなってきたというふうに考えますと、ここのところの新陳代謝、いわゆる高年齢層のところの新陳代謝がかなり行われているのかなという推測が一応成り立つんではなかろうかというふうに考えております。
○安武洋子君 では、寒冷地手当の今後の運用についてお伺いしたいと思います。 前回の改正の四十三年以降定額分が固定されてきましたので、灯油の値上がりなどで定額部分が目減りする一方だったわけです。したがって、今後定額分については灯油などが値上がりするとそれに見合って引き上げていくというふうに私は運用すべきではなかろうかと思いますが、どういう見解をお持ちでしょうか。
○説明員(長橋進君) 寒冷地手当は、基準額と加算額と両者で構成されておりますので、したがいまして灯油の異常な価格の高騰ということになりますと、それは十分考慮に入れなきゃならぬということでございましょうけれども、しかし、寒冷地手当は全体としてやはり、つまり基準額と加算額と総合した上で考えなきゃならないということであろうと思います。したがいまして、燃料価格の高騰といったような現象につきましては十分関心を持って注目してまいりたいと思いますけれども、しかしどういう場合にどういうような対応をするかということになりますと、その時々の情勢に応じまして寒冷地手当全体としてこれは適当かどうかというような判断の上に立って対応してまいりたいと、このように考えております。
○安武洋子君 時間の関係で急ぎますが、初任給についてお伺いいたします。 高卒で三・九%、大学卒で四・一%の引き上げが勧告されているわけですけれども、勧告後の金額で民間の大学卒の事務員よりも公務員の上級乙ですね、この大学卒が五千四百八十八円も低いわけです。民間準拠を重視している公務員の給与がこれほどの差があるのは私はおかしいと思うのです。これは私は政策的に抑えているというふうにしか思えないわけなんですが、これは一体どういうことなんでしょうか。
○説明員(長橋進君) 初任給は、そもそも労働需給関係によって左右される金額でございます。したがいまして、基本的にはやはり初任給は初任給として、民間の傾向というものに合わしていくということが基本であろうと思います。ただ、ここ最近の動きを見てまいりますと、初任給の変化が非常に大変民間の動きが高うございまして、したがいまして、やはり公務部内について考えますと、公務員の給与体系全体との整合性というものを考えながら、しかも民間の初任給の動きというものをそれと調和をとりながら初任給に対応していかざるを得ないというようなことでございまして、したがいまして、お示しのように、たとえば大学卒について見てみますと、民間における初任給の上昇は四・九%であると、ことしの場合でございますけれども。また高校卒の場合ですと四・一%であると、昨年に比べましての伸びがそういう状況であったと、これに対しまして公務員の場合ですと、高校卒の初任給のところを昨年に比べまして三・九%の引き上げにしております。それから大学卒のところですと四・一%の引き上げにしております。そういう関係で、民間の対前年の伸びから見ますと、やはり若干下回ってはおりますけれども、しかし、民間の傾向というものは十分参考にしながらことしも対処したつもりでございます。
○安武洋子君 やはり出発点からこういうふうに官民較差があるというのは、将来に禍根を残していくというふうになると思うのです。私は、こういうやり方というのはやめていただいて、やはり民間準拠にすべきだというふうに思います。そういう点で御努力をいただきたいということを申し上げます。 もう時間が参ったわけですけれども、最後に、総務長官がおられますので一問だけお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。 これはちょっと議題が違いますが、旧陸海軍の従軍看護婦の慰労給付金の問題なんです。これは現在厚生省が調査を行われまして、八月三十一日に第一回の調査が終了すると、集約をされるというふうに聞いております。いま、来年度の概算要求の決定の時期でございますので、私は、政府としては来年度には旧陸海軍の従軍看護婦に対する慰労金、これが支給されるように予算を計上していただきたい。まだそういう時期でないとおっしゃるなら、せめて事項要求だけでもすべきではないかということなんです。 それから、元満州の日赤の看護婦さんですね、こういう人たちも全く変わりはないわけですから慰労給付金の支給をするという対象にされるべきではないか、こういう点をお伺いいたしまして、御答弁をいただいて私の質問を終わります。
○国務大臣(中山太郎君) 安武先生も御案内のように、ただいま新聞等で広く国民に呼びかけて、元陸海軍従軍看護婦の方々の実態調査をやっておる最中でございます。その調査結果を見て、関係各省庁と協議をいたしましてどのような措置をとるか、早急に決定をいたしたいというふうに考えております。御案内のように、国会におきましても附帯決議もついておることでございますから、附帯決議の趣旨を尊重して善処してまいりたいと考えております。 また、元満州国赤十字社ハルビン病院に勤務していた方々から陳情を受けたことはございますけれども、この件に関しましては、目下のところ、まだ検討に着手するという段階には達しておりません。
○伊藤郁男君 まず最初に、完全実施の問題でございますけれども、これにつきましては各委員から質問があり、完全実施に向けて全力を尽くすという総務長官の御答弁がございましたので、それはそれとして率直に受けとめておきたいと思います。 問題は、早期支給の問題でございます。昨年も人事院勧告は八月十日に行われまして、閣議決定が十一月二十二日となっておるわけでございます。余りにも遅いと、こういうように思います。そして国会議決が十二月の十一日、支給日は十二月末ということで、これに準じて地方公務員も給与の改定を行うわけでありますが、地方公務員はさらにそれよりも延びると、こういうようになっているわけであります。過去十年間を見ましても、早い年で十月の末、大体十一月から十二月中旬と、もちろんこれにはさまざまな理由があると思いますし、後で若干触れたいとは思いますけれども、四月にさかのぼって支給されるべき給与がこのようにおくれるということは決して好ましいことではないと私は考えているわけでございます。特に最近の物価情勢、先ほども人事院総裁まことに厳しいなと、こういうように考えておられるというように御答弁がありましたけれども、物価上昇率が賃金アップを超えて実質賃金が低下をしているわけでありますから、このような現実を考えますときに、十一月末から十二月が通例のことだからそう急がなくてもよいといったような態度をとるべきではないと私は考えているわけでございます。 これは長官も御存じではあろうかと思いますけれども、公務員の中には、その使命を自覚をして、違法ストには断固として反対をしてまじめに働いている公務員がおるわけでありますから、したがってそれらの人々の労に報いるためにも、早期支給について真剣に対処してほしい、このように考えているわけでございます。 そこで第一に、早期支給を実現するために、先ほどもできるだけ早く閣議決定をしたいというような御答弁もありましたけれども、私は一日も早く閣議決定を行って、次の通常国会の冒頭に給与改正案を提出できるよう準備すべきではないか、このように思いますけれども、長官の御見解をいただきたい。
○国務大臣(中山太郎君) いま先生から御指摘ございましたが、人事院勧告の完全実施については、できるだけこの完全実施をやるということで関係閣僚の連絡協議会でも主張をいたして関係閣僚の御協力をいただいているところでございます。財政事情が非常に厳しい中で、人事院勧告を完全実施するというために全力を挙げて努力をしております。できるだけ早い機会に閣議決定をいたしまして、先生通常国会と申されましたけれども、できるだけ早い国会に提出をさせてもらいたい、このように考えております。
○伊藤郁男君 私は、臨時国会の冒頭に出していただきたいと、こういうように言ったわけであります。 第二は、給与法案の成立が国会でおくれるのには、常に過去、政府が給与法を人質として、他の法案と絡ませて通過をさせてきた、こういう政略があったことは明らかだというように私は判断をしているわけでございます。先ほども野田委員から政府はくせが悪いと、こういうような発言もございましたが、悪いくせは早く直していただかなければならぬわけであります。そして、五十万人の公務員の給与がそのような政略の犠牲になることは断じて許されない、このように私は考える。昨年も支給がおくれましたのは、定年法あるいは退職金制度、こういうものと絡ませた、こういう事実があるわけでありますから、このようなことは断じて行うべきではない、このように思いますけれども、この点に関しまして政府の御見解をお伺いしておきたい。
○国務大臣(中山太郎君) 御案内のように、やがて召集される臨時国会の日取りあるいは会期等も踏まえて、これから閣内におきましてもできるだけこの関係法案の提出を整備を急いで国会の御審議をお願いしたいと考えております。
○伊藤郁男君 次に、週休二日制の問題でございますが、これは人事院総裁にお伺いをしたいわけでありますが、昨年の人事院勧告におきまして四週五休制の勧告がなされまして、今日までたなざらしになっているわけでございます。もちろん、政府はこれを早く提出をしたいというような御答弁もありましたけれども、ことしの勧告におきましては、今日に至るも実現を見ていないので、その実施のため所要の措置がとられることを期待すると、そういう程度に軽く述べておられるわけでありますが、これは余りにも人事院の態度として消極的ではないかというように考えられますが、その点どうですか。
○説明員(藤井貞夫君) 消極的のつもりはございません。相当その行間ににじみ出るところをお読み取りいただきますれば、決意のほどはおわかりいただけるのではないかというふうに私は信じております。
○伊藤郁男君 まあ強い決意でということが表明されましたので、そのまま私もお受け取りをしておきたいと思います。 週休二日制の早期実現、これは完全週休二日制の早期実現を民社党は求めているわけでありますけれども、その立場からいきますと、四週五休制というのはきわめて中途半端なものであると考えているわけであります。しかし、四週五休制であっても一歩前進のものであって、それが完全週休二日制実現への足がかりになればというような考えで、四週五休制も早く実現をしてほしいというように私ども考えているわけでございます。昨年の勧告にも述べられておりますように、世界の趨勢、国内の状況、そういうものを考えますと、もうすでに機は熟していると私は考えているわけでありますけれども、週休二日制に移行できない最大のネックは一体どこにあると総裁は考えられておるか、御答弁をいただきたい。
○説明員(藤井貞夫君) 去年、御承知のように、非常に内容は薄いものでございましたが、ぜひやっていただきたいということで勧告を申し上げた次第でございます。この問題は、実はやはり公務の執行ということに直接関係をすることでございますので、これがために公務能率が低下する、あるいはこれがために予算定員が増加するということは、これは人事院の立場としても避けなければならぬという考え方が前提でございます。したがいまして、慎重の上にも慎重ということで、二回にわたってテストを実はやったわけでございます。そのテストの結果、現場の一部では問題が絶無とは申し上げませんが、大勢としては何とかやっていけるという確信を持ちましたので、これの実施ということをお願いをいたしたわけでございます。 したがいまして、その後の情勢も特別に変わっておりませんし、今度の報告でも申し上げておりますように、民間の実態等を調べてまいりますと、ますますやはりその方向に動いていると、内容も改善されているという状況でございます。また、世界の大勢ということもございまするので、国民全般にも十分御理解をいただいて、一日も速やかにこれが実現されるということを期待してやまないというのがわれわれの態度でございます。これをやってまいりまするにつきまして各省庁とも十分連絡をとっておりますので、大体この趨勢というものについては御理解をいただいておるところでございますが、現場関係、なかんずく病院でありますとか、そういうところについてはやりくりについてなお検討を加えなければならぬという事態もございまして、閣議あるいは関係閣僚のところでいろいろ論議がなされておりますためにいままで延びてきたということでございますが、しかし、政府としても方針としては確定をいただいたわけでありまして、近い将来、この法案が提案されて実施に一歩を踏み出すということを期待をいたしておるというのが現在の人事院の態度でございます。
○伊藤郁男君 さまざまなネックのあることを私も承知をしておるわけでありますけれども、それにつきましては、時間がありません。したがって、またの機会に御答弁をいただきたいとは考えておりますが、次に政府、総務長官にお伺いをしたいわけであります。 この四週五休制の問題は、昨年政府は準備をされて、事実上は廃案になるというような状況になっておりまして、先ほどの御答弁でも早急にこれを提出をしたいと、こういうようにあったわけでありますが、そこで、来たる臨時国会に再提出をする、そして成立を期すか、その意思がおありかどうか、お伺いをしたい。
○国務大臣(中山太郎君) 国家公務員の週休二日制につきましては、政府として、すでに御案内のように本年三月末の週休二日制関係閣僚懇談会におきまして、人事院の勧告どおり四週一回交代半休制を導入していくという方針を決定していることは御案内のとおりでございます。公務員の週休二日制につきまして、なお各方面の意見もございますが、いろいろと関係各方面と十分連絡をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと考えております。
○伊藤郁男君 次に、給与制度の見直しの問題につきまして、これも人事院総裁にお伺いをしたいわけであります。 私は、人事院がこの作業に着手するに当たりまして、典型的な年功序列体系の見直しあるいは年金、退職金制度における民間とのアンバランスの是正あるいはやみ給与、空出張、こういうことなどの不正受給の根絶、こういうものを目指しながら効率的な公務運営の確立に尽くしてほしい、こういうように要望をするわけでございます。問題は、この見直し作業の過程におきまして、労働組合の意見が十分に反映をされなければならない、このように私は考えているわけであります。 先ほども御質問の中で、労働組合の意見を十分に聞いて、年間二百回程度話し合いをしているんだ、こういうお話がありましたけれども、私の理解によれば、人事院や政府はこの種の作業につきましては往々にして深いベールに包まれた中で作業が進められてきていた。そして労働組合に提示されるときには、もうほぼ内容が確定をした段階で説明がされる、こういうように私は理解をしているわけであります。特に人事院の場合は、その性格からいきまして、必要以上に中立性を強調するがゆえに、カーテンの奥で施策を練る、こういうことが多かったのではないか、こういうように思うわけであります。 いまさら私が改めて申すまでもございませんけれども、人事院は公務員の労働基本権を制約することの代償として設けられた制度でありますから、したがって、人事院は一方の当事者である労働組合に対しましてもっと開かれたものでなければならない。先ほどの御答弁で二百回やっておると言うんですが、全官公とは一体どの程度やっておるのか、その辺私は承知をしておりませんけれども、いずれにいたしましてももっと開かれたものでなければならないと考えておりますし、そこでこの見直し作業の過程において、労働組合と何らかの形で協議できる場を設定する意思がおありかどうか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(藤井貞夫君) 組合の各位とは累次いろいろ協議を進めて今日の業務遂行に当たっておるつもりでございます。決して閉ざされたカーテンの中でこそこそと仕事をするというようなことは考えておりません。特に今回取り組もうとしております問題は、人事管理制度の基本に触れる重要な問題でございます。国民各位においても十分御理解、御納得をいただかなければなりませんが、それと同時に、ほかならぬやはり公務員自体の問題でもございますので、その点は十分注意しながら、その都度いろいろ必要な連絡をとるという努力はいたしたいと思いますし、その点については、私のみならず関係の事務当局にも十分周知徹底をして進めてまいりたいと、かように考えております。
○伊藤郁男君 終わります。
○委員長(林ゆう君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし休憩いたします。 午後零時四十八分休憩 —————・————— 午後一時三十一分開会
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野田哲君 宮澤官房長官に端的に伺いたいと思うんですが、七月二十五日の閣議での状態、これが八月十五日のことに連動して大変熱い議論になっているわけですが、この七月二十五日の閣議、新聞の報道するところでは、八月十五日の記念式典のことに関連をして数人の大臣から発言があって、総理と一緒に閣僚も全員靖国神社へ参拝しようじゃないか、こういう発言がまず田中文部大臣からあって、大多数の人がよっしゃよっしゃということになって、八月十五日に大挙して総理以下閣僚が靖国神社に参拝することになった、こういう報道がされておりますが、その日の状態というのは一体どういう経過であったんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 閣議で話し合われましたことを余り詳細には外に申さないという長い間の慣例がございますことは野田委員も御承知いただいているところでございますが、その点の御理解を最初にいただきまして、御指摘のように、七月二十五日の閣議におきまして、八月十五日の戦没者慰霊祭の日に総理が靖国神社に参拝されるそうであるが、自分としても参拝をしたいと考えているという趣旨の発言を二、三の閣僚がされましたことは事実でございます。
○野田哲君 閣議の席でこのような発言が数人の閣僚から行われたと。で、結果的には八月十五日の状態を見なければわかりませんが、総理に随行して多くの閣僚が靖国神社に参拝されるということになると、その行動はもう私的とは言えないでしょう、これは。公的参拝、こういう既成事実をつくる、こうとしか思えないんですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたとおり、閣議の席でそういうことを申し合わせたという事実はございません。この点は、閣議後の記者会見におきましても、私、明確に申しておりますとおりでございます。 それから、総理に随行をしようというようなことについても、そういう話があったわけではございません。私としては、従来どおり閣僚の中で私的な行為として靖国神社に参拝をするという方がおられる、そのことは私的なものである、このように了解をいたしております。
○野田哲君 公職にある者、まして閣僚という公職の中でも最高の地位にある人が、公私の区別というものを、本人が私的であるとかあるいは官房長官が私的だと言えばそれで私的になり、法律的にも抵触しない、こういう簡単なものでは私はないと思うんです。 この問題の経過をいろいろ振り返ってみますと、法制局の見解も、政府の見解もずいぶん変わってきております。一番最初に公私の問題について、これは五十年の五月十三日ですが、稻葉法務大臣が自主憲法制定の集会に出たことが国会で大変問題になった。そのときに三木総理が法務委員会で見解を述べておられる。これは閣僚の地位の重さから言って公私の区別は区分けができないと、こういう趣旨のことを法務委員会で述べて、そのことが確認をされて稻葉さんの問題が決着がついたという経緯があるわけです。ところが、その後五十三年十月十七日の政府の統一見解「内閣総理大臣等の靖国神社参拝について」と、こういう統一見解が出ておりますが、これによると、「閣僚の地位にある者は、その地位の重さから、およそ公人と私人との立場の使い分けは困難であるとの主張があるが、」と、三木総理が五十年の五月十三日に国会で述べられたことを、あたかも第三者が述べたように「使い分けは困難であるとの主張があるが、」と、こういうふうに軽くいなして、それから公式あるいは私的、こういうことについての見解が、玉ぐし料が公費の支出かどうか、こういう問題、あるいは政府の行事として参拝を実施することが決定されたかどうか、あるいは委員会のやりとりの中では、たとえば閣議でそれが話し合われたかどうか、こういう点によって公私の区分けをしていくんだ、こういうふうな見解が出ているわけです。 あるいはまた、靖国神社問題だけをとってみても、三木総理の参拝のときには法制局ではどういう見解を出しておられるかというと、記帳に肩書きをつけずに名前だけの記帳をしてくる、あるいはまた公用車を使用しないこと、それから閣僚あるいは公職にある者を随行させないこと、これが公私の区別なんだと、こういう見解が三木総理が参拝されたときには出ているわけです。それがもう今日では、閣僚が数人も随行をし、しかもそのことが閣議で話し合われた、これでも公ではない、私的なんだと。こうなってくると、一体公私の区別はどこでつけるんですか、もうつけようがないですね。そうなってくると、たとえば一般の公務員についても、公務員法には政治活動の禁止が規定されているが、公務員が選挙運動に行ってある政党やある候補者に投票を依頼に行った。そのときに、きょうは私的ですと、こう言えばそのことはもう公務員法には触れないことになるんですか。示しがつかないでしょう。一体この限界はどうなんですか。官房長官と法制局の長官、それぞれお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和五十年に三木総理大臣がそのようなことを言われたことを私も記憶いたしておりますが、これは稻葉法務大臣のわが国の憲法を改めるべきか否かということに関するものであったと記憶をいたします。したがいまして、問題はきわめていわば政治的な問題をめぐっての発言であったと存じますが、靖国神社に参拝するか否かというのは全く私的な心の問題でございますから、閣僚といえどもそのようなことについての個人としての自由はあるものと考えるべきではないかと思っております。 それから、ただいま四つの条件云々というお話がございまして、たとえば玉ぐし料を公費で支出するというようなことになりますと、これは私的な行為とは申しがたいということであろうかと存じますが、その他ただいま野田委員がお挙げになりました幾つかの公私を分けると考えられる基準、これは法制局ではかつてそういうことを申し上げたことはないと私は承知しておりますが、念のため法制局長官からお答えをいたします。
○説明員(角田禮次郎君) 法制局が国会の答弁を通じまして、先ほど御指摘になりましたような四条件というもの、つまりその条件を満たさなければ公的な行為となる、そういうような意味で四条件ということを御説明申し上げた事実は私どもないと信じております。 この問題につきましては、先ほどもちょっと御指摘がありましたが、五十年の三木内閣当時の十一月の二十日、さらに五十三年の四月の二十五日、さらに五十三年の八月十七日、五十三年の十月十七日と、そのたびごとに衆議院の内閣委員会なり参議院の内閣委員会なりで御議論のあったことは確かであります。 それからまた、いま御指摘になりました四つの条件というようなことについていろいろな御指摘があったことも事実でございますが、私どもの公的な見解としてその席上で申し上げた事実はございません。
○野田哲君 これは私の質問に対して真田長官が答えておられるのですから、また後でそれでは機会を見て明らかにいたします。 時間がありませんから、宮澤長官は、ふたをしないで大いに靖国問題は議論をすればいい時期になっているのじゃないか、こういう見解を述べておられるわけですが、四十九年に自民党から出された靖国神社法案、どうもあれがベースになってこれから議論になっていくようですけれども、官房長官と法制局長官に伺いたいのですが、現に宗教の団体があって宗教法人として扱われている。そうして多くの国民がそこに参拝をして、その宗教団体の儀式にのっとって祈願をしている。これは宗教ですから各人の心の問題ですが、現にそういうふうにある状態が、ある日突然法律によって——この前の四十九年の自民党案がそうなんですが、法律によって、何月何日からはこの宗教団体は宗教ではありませんよと、こういう規定が法律で一体できるのですか。そんなことは私はできるはずのものじゃないと思うのです。宗教あるいは宗教団体というのは、それぞれの宗教に対する個人の心の問題であるし、それは、構成をされている団体を法律によって何月何日からは宗教団体ではありません、こういうふうに否定をすることが一体できるのですか。それはできないでしょう。どうですか。
○説明員(角田禮次郎君) 具体的な四十九年の自民党の靖国神社法案についてコメントすることは私の立場としては許されないと思いますから差し控えますが、一般的な御質問として申し上げますが、立法によってある日から変えるという意味のことを言われたと思いますが、それは当然実体もあわせて変わるということを含んでそういう措置がされるということだろうと思います。そうでなければ、いかに何でもできないことだろうと思います。
○野田哲君 実体が少しも変わっていない、その宗教団体の儀式は前ともちっとも変わっていない、そういう状態の中で、しかもその宗教団体はこれからもいままでの宗教の慣習、しきたりというものは変えてくれては困るという意思を持っている。それを無視して、宗教ではないですよと、こういうことはできないですね。
○説明員(角田禮次郎君) 私どもの理解する限りにおきましては、そういう宗教の実体が依然として続いているものに対して国家がいろんな形で関与するということはできないと思います。
○峯山昭範君 非常に短い時間ですので端的にお伺いをいたします。 先ほど官房長官、閣議の話がございました。それで、もう一回確認でございますけれども、靖国参拝の問題が閣議で話が出たということ、これが一つ。それからもう一つは、参拝することに反対する大臣はいなかったということ、これはそのとおりでございますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお答えいたしましたとおり、二、三の閣僚からこの話が出たことは事実でございますが、主に日本遺族会等々これについてはかなり多くの人々が積極的な主張をしておられることは事実でございますので、それを背景にして紹介されるような意味での発言であったろうと、私はそういうふうに受け取っております。したがいまして、これについて反対というような議論をされた、そういう発言はございませんでした。
○峯山昭範君 としますと、私は結論的なことをきょうは大臣にお伺いしておきたいのですけれども、大臣もその後の記者会見等の発言で、靖国神社の問題につきましては、要するに議論を大いにやってもらいたいというふうな意味の発言をしておられますが、その意図するところはこれは何ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これについて国民が広く議論されることがいいのではないかと申しましたのは実は昨日でございまして、閣議の直後ではございませんでしたが、私の思っておりますことは、これについては積極論消極論私どもの自民党の党内にもございますし、世間でもいろいろに御議論があるところであろうから別に問題を覆い隠す必要はない、広く国民が問題を考えていただくことがいいのではないかと、それだけの意味でございます。
○峯山昭範君 それだけと大臣はおっしゃいますけれども、われわれは少なくとも戦没者を大事にし、あるいは慰霊するという気持ちにつきましては、これは大臣や皆さんと変わらないと私は思っております。しかし実際問題としては、靖国神社の問題につきましては、その後ろに国家護持ということと、そして法制化するという問題が控えているわけですね。現実にその問題があるわけです。ということは、結論的には、議論してもらいたいという意図の後ろにやっぱりこの法案を提出するという意向があるかないかということが私はかかってくると思うのですが、ここら辺のところについては大臣はどうお考えなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府として提案を申し上げる意図を持っておりませんけれども、国会で仮に提案がなされまして御議論が仮にあるという場合を考えますと、どういう問題がその間にあるのかということ、これは当然国民として知っておかなければならないことであろうと、こう思いましたので、その法案の帰趨とかということに関係なく、本件に関係のある賛否両論の根拠はどこであるのかといったようなことについての国民の間の認識が広まることは決して悪いことではない、それだけの意味で申したわけでございます。
○峯山昭範君 そこでもう一つ、先ほどもちょっと議論ございましたが、結論的には今回の問題で申し上げますと、公的な参拝であるか私的な参拝であるかということに帰着してくると私は思います。 そこで、法制局長官との議論は後ほど時間をとってやることにいたしまして、いろんなことをいっぱい条件として、法制局では出していないと言っておりますけれども、内閣総理大臣鈴木善幸と署名をすると、そうした場合にやっぱり内閣総理大臣鈴木善幸であって、衆議院議員鈴木善幸というこれとは大分違うと私は思うんです。その肩書きという問題については、これは内閣総理大臣鈴木善幸と書かれた、この署名をしたその本人が、その参拝そのものが私的な参拝であるということはどうしても私言えないと思うんですね。ここら辺のことについては、法律的なことは別にいたしまして、一般の私たちが見た場合にもこれはもう当然、私は総理大臣の場合だけを挙げましたけれども、そのほかの大臣の場合も、もちろん参議院の議長の場合も同じだと私は思うんですけれども、大臣はこの点については一切差し支えないと考えておられるのか。あるいはそこのところは、たとえば衆議院議員何の何がしあるいは参議院議員何の何がしとした方がベターであるとお考えなのか、この点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も厳密に法律論でお答えをいたします知識がございませんが、姓名を書きますときに慣例として肩書きをつけるということはしばしば行われておることでございますので、余りそこのところを厳しく考えなくてもいいのではないだろうか、御本人がこれは私的な行為であるということをはっきり自覚しておられるならば、別にその辺は余り慣例をどうこうと言わなくてもいいのではないかと私自身は考えております。
○峯山昭範君 いや、それは長官どうも納得できないんですがね。本人が自覚しておればいいということになりますと、本人がどういうふうに自覚しているかということは外にはあらわれないわけですね。やっぱり本人が内閣総理大臣鈴木善幸というふうに署名するときには、少なくとも公人としての、内閣総理大臣としての自覚で書いているわけですね。内閣総理大臣という自覚なしでただ一人の衆議院議員としての署名であるならば、肩書きは衆議院議員鈴木善幸で十分なはずですね。ここのところは法律的に云々という問題は別です、もちろん後ほどやりますから。これはやっぱり長官としての考えを私はここで明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 全体としてそれが公の行為であるかないかということが恐らく問題であろうと思われますが、たとえば祭祀料を公費で賄うというようなことになりますれば、これは疑いもなく公の負担ということになるでございましょうし、そうでない場合にはそれは私的な負担になるわけでございますが、そのようなことを総合的に考えまして公の行為か私的な行為かを考えるべきであろうと思います。慣例として肩書きを書いたからといって、そのゆえにこれは私的な行為でないと、そこまで私が申さなくてもよろしいのではないだろうかと私としては思っております。
○峯山昭範君 これは先ほど法制局の方では正確に答弁したことはないとおっしゃっておりますけれども、真田長官の答弁によりますと、公的というのはたとえば閣議決定をしたとか、閣議で話したという、そしてお参りしてこいということが仮にあったとすれば、これはりっぱな公的行為であって憲法違反であると、あの人はこういうふうな言い方をしておられるわけです。それでその終わった後の、これは正式の会議録には載ってないんですけれども、要するに閣議で発言したりしては困るんだよというふうな長官の発言があるんです。これは正式の会議録には載っておりません。けれども、現実にそれを聞いた人もおりますし、そういうことがあるわけです。ということは、逆に言えばだれも反対しなかった、みんなが閣議で話が出て、しかも行くという人が多かった、何人か表明した人、二、三人でしょうけれども。そういうふうな中で、この問題は当然公的な参拝ということになる可能性が強いんで、ここら辺のところは私は慎重にこの問題については発言をし、あるいはこの法案そのものの重要性にかんがみ、私は今後も取り扱っていただきたいと、こう思っております。
○安武洋子君 私に与えられた質問時間というのはわずかに五分です。これはすべて官房長官の御都合によるものです。どんな御都合がおありか知りませんけれども、こういう大事な問題のときにわずか三十分しか当委員会にお出になれないということについては、私は承服できかねます。ですから、こういう重大な問題のときには、私は委員会を優先していただきたいということを申し上げとうございます。そして、私わずか五分でございますので、三問を一括して御質問申し上げます。ですから一括して御答弁いただきとうございますが、しかし私は靖国神社への参拝をお取りやめ願いたいということで、取りやめるという御答弁がない限り、場所を改めて必ず後々追及はさしていただきたいと、こういうことを最初に申し上げまして質問いたします。 第一番目は、先ほどから何度も議論になっております閣議の問題でございますけれども、宮澤長官は、このことにつきましては表向き閣議で申し合わせるべき事項ではないと、申し合わせなかったと、こう言っておられますけれども、新聞社の調査などによりましたら、実際に申し合わせしたと同じような効果が出ていると思います。閣議での発言というのは、これはやはり単なる私人の発言などとは言えないものだと私は思います。しかも宮澤長官は、靖国の国営化と公式参拝、この実現を推進している自民党の英霊にこたえる議員協議会の要請に対して、閣議でも閣僚の参拝の話が出ており、できるだけ参拝することにしていると、こう言っておられます。首相や多数の閣僚が参拝を私的参拝だと、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、慣例として肩書きを書くという、そしてそれがずらりと総理以下全閣僚が書かれると、そして閣僚はそろって行くと。だれが考えてもこんなことが私的な参拝と国民は受け取りません。こういう明らかに国民が私的参拝と受け取らないような参拝は私はやめていただきたい、これが第一点です。 それから第二点です。政府は、三木首相の当時に、靖国神社の公式参拝をめぐって私的参拝の四つの条件を挙げておられます。その一つは、公用車を使用しないということです。それから玉ぐし料を国費から支出しないということです。そして、記帳は公職の肩書きを使用しないということです。そして、もう一つは閣僚など公職者が同行しないと、こういうことを挙げておられます。私は、これが満たされたからといってすべてを了とするものでないということを申し上げたいわけですけれども、しかし政府はみずからこれを国民の前に約束をしておきながら、こういう見解を福田内閣、大平内閣、福田さん、大平さん私人という名のもとに破り捨てておられるわけです。そうして一方では、日本の憲法のもとでは成り立たない自民党の靖国神社法案の提出の動きを事実上歓迎すると、こういう発言をきのう記者会見で長官はなさっていらっしゃるわけです。私は、こうした政府の態度を容認することはできないと、こういう態度を直ちに改めていただきたいと、このことを第二点として申し添えます。 それから第三点です。靖国神社というのは、御存じのように、かつて軍国主義日本のシンボルとして重要な役割りを演じてきました。これが敗戦によりまして国家神道が廃止されて、靖国神社というのは、憲法の政教分離の規定に従って公的の資格のない私的な一宗教団体となっていると、このことは御存じだろうと思います。憲法二十条三項では「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と、こういうふうに取り決めております。首相とか多くの閣僚が参拝する行為、これは靖国神社に事実上国家的な権威を与えると、そういうことになりますし、政府としてこれを擁護する政治的な行為だというふうに私は思います。だから憲法に規定する政教分離の原則に反するものであると、こういうことは全く明らかだと思うわけです。 さらに、靖国神社というのは、一昨年秋に侵略戦争の最高責任者であるA級戦犯十四人、これを合祀した神社です。こうした神社に閣僚が参拝すると、こういうことは日本とアジアの数千万の人々を死に追いやったあの侵略戦争を美化して、戦争責任を免罪にするものです。そして再び軍国主義と侵略戦争を許さない、こういう誓いを日本国民は立てたはずです。その戦後日本の原点に対する重大な私は挑戦だと思います。防衛力の増強とかあるいは財界からの徴兵制発言とか、こういうきな臭い発言がいま相次いでいるわけです。こういうところで靖国神社についても、再び国家と結びつけて軍国主義復活の重要な武器にしようとするこういう靖国神社法案とか、あるいは天皇や首相らの公式参拝要求、こういう策動が続いている。この中で、首相とかあるいは多数の閣僚が参拝されるというのは、こういうきな臭い動きに私は呼応するものだと言わざるを得ないわけです。 靖国の遺族を初め、戦争犠牲者、そして私たちも含めて多くの国民の願いというのは、侵略戦争を二度と繰り返さないと、戦没者を二度と生まないと、こういうことだろうと思います。こういう願いにこたえる道というのは、何よりも戦争責任の反省の上に立って、真の平和を打ち立てるために政府がその先頭に立つ、その努力をするということで、私はこれに真っ向から反対する靖国への参拝というのは取りやめていただきたい。そのことを強く申し添えまして、私の質問にいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず第一点でございますが、靖国神社に閣僚がそろって、またできるだけ多数参拝することにしようという申し合わせがあった云々ということにつきましては、そのような申し合わせがなかったということは先ほど来答弁を申し上げているとおりでございます。 なお、閣僚の発言そのものにつきましては、ただいま安武委員が言われましたように、あるいは先ほど峯山委員に申し上げましたとおり、日本遺族会であるとか自民党内のグループにそういう要望があるということを紹介するを兼ねて閣僚が発言をされたものと、私はそういうふうに了解をいたしております。したがって、参拝そのものはあくまで私的なものであると、こういうふうに考えております。したがいまして、どの閣僚が参拝される、あるいは参拝の態様が一緒、別々というようなことにつきまして私が何か申しますことは、むしろ私的であるという筋道から申しますと、ややそれに矛盾するようなことになるのではないだろうかと。あくまで私的な行為として私は考えております。 第二の点、おっしゃいました四つの条件云々につきましては、先ほど法制局長官からも申し上げましたが、政府としてこの四つの条件を公私を分ける基準だと考えておるということはございません。ただ玉ぐし料を国費で支出するというようなことは、これは明らかに納税者の負担ということでございますから、これを私的だと言うわけにはいかないであろうということは、私はそのとおりであろうと考えております。 第三点の憲法二十条、二十条三項、もとよりこれを遵守すべきことは当然でございます。閣僚が靖国神社に参拝をするということ自身は私的な行為と考えておりますので、憲法二十条、二十条三項に抵触するものではないというふうに私といたしましては考えております。
○安武洋子君 委員長、ちょっと事実関係が違います……
○委員長(林ゆう君) 時間が過ぎていますから……
○安武洋子君 でも、御答弁がちょっと違っているんです。 私は閣議決定をされたと言っていないんです。閣議決定をしなかったけれども、そこの閣議の中で話されたからこそ閣議決定をしたのと同じような効果が出ているではないかと、こういうことで御質問申し上げました。で、参拝する閣僚以外の方が、みんな国民があれは公的参拝だとしか受け取れないような形でやられるわけですから、これならおやめなさいということを申し上げているわけです。 ですから、いま御答弁の中に、いろいろと私は不満いっぱいですので、また後刻追及をさせていただくということで、時間がないので残念ながら終わります。
○矢田部理君 私は防衛問題を中心にお尋ねをしたいと思いますが、最近政財界を中心にして、連日のように防衛力増強のキャンペーンが張られています。そういう中にあって、日本を中心とするアジアの軍事情勢の分析と認識等々についても幾つかの見解が出されておるわけでありまして、それ自体も大変な問題でありますが、さらにはアメリカが再三にわたって日本の軍事力増強の要請を重ねておりますが、その中で、特に最近問題になっておりますのは、中期業務見積もりの一年繰り上げ達成の問題、さらには防衛予算特別枠の課題、そしてまた防衛白書と外務省の安保政策の公表、加えて総合安全保障会議設置の構想など、さまざまな課題が実は提起をされておるわけであります。 きょうは、時間の関係もありますので、率直に言って総論の序論ぐらいのところしかさわれないわけでありますけれども、外務大臣の時間の都合もあるようでありますから、本来ならば中期業務見積もりを中心にしてやりたいと考えておりましたが、それを後の方に回しまして、韓国問題、南朝鮮の問題について外務大臣の見解を伺っておきたいと考えております。 御承知のように、南朝鮮は昨年の十月朴大統領が射殺をされて以来、一連の民主化を求める声が南朝鮮の人たちの間に急速に高まってまいりました。一つの流れとしては、その方向に進むのかなという期待を持たせるものがあったのでありますが、したがってまた、金大中氏を初めとする一連の政治犯の釈放などの措置もとられたのも事実でありますが、その後状況は急変いたしました。従来にも増して厳しい情勢になってしまいました。光州事件はまさにその象徴的な事件とも考えられます。戒厳令の全土にわたる布告、軍の出動、大量の虐殺、金大中氏を中心とする民主化を求める人々への過酷な弾圧、そして軍事裁判への道と、厳しい情勢にあるわけでありますが、この事態を韓国の安全にことのほか関心を寄せておりまする日本政府としてはどう認識をされておるのか、まず外務大臣に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(伊東正義君) 外務大臣を拝命しましたので、よろしく御協力をお願いします。お世話になります。 いま御質問になりました韓国の情勢でございますが、昨年の十月に起きましたあの大統領射殺事件の後で、先生おっしゃるように、ある程度民主化が進み、政治改革が進むのではないかという徴候が出たのでございますが、先生のいまお話のとおり、光州事件を初めとして、全土に戒厳令がしかれるというようなことで、厳しい情勢になっておりますことは先生おっしゃったとおりでございます。 その中で、十月までには憲法の草案を出して、国民投票をして、そして来年の上半期には大統領、国会議員の選挙をやって、新しい政府に政権を移譲するという政治日程が発表されておるわけでございまして、われわれとしましては、その発表された政治日程のとおり政治改革が進んでいくということを期待をしておるわけでございますし、韓国の国民の考えているところ、角をためて牛を殺すような事態にならぬように、この事態が平穏裏に何とか進んでいって、経済的にも社会的にも政治的にも安定していくということになることが望ましいということで見守っておるというのがいまの現状でございます。
○矢田部理君 しかし、現実は外務大臣が期待したような方向には進んでおらないわけです。 五月の十八日に韓国全土に戒厳令がしかれました。その翌々日の五月の二十日に、政府は前田利一氏を特命全権大使として韓国に派遣をした。十四日間にわたって訪韓させたわけでありますけれども、一体その目的は何であったのか。この十四日間の滞在期間中にいかなる人と会い、どういう内容の会談を行ったのか、その詳細をまず明らかにしてほしいと思います。
○説明員(木内昭胤君) 前田大使を派遣いたしましたのは、韓国の政情というものが非常に目まぐるしく変わっておる、そこで前田前アフガニスタン大使は韓国に非常に知己が多いということから、前のシン・ヒョンホ総理大臣なんかも彼が以前から存じ上げている方であるわけでございます。したがいまして、なるべく手広く韓国の指導層の方々、それから民間の方々あるいは学界の方々に会っていただいて、できるだけ実情を把握していただきたいと、これが前田大使に訪韓していただいた理由でございます。
○矢田部理君 具体的にどなたとお会いして、どんな内容の報告があったのか。
○説明員(木内昭胤君) 先ほど触れましたとおり、著名な方ではシン・ヒョンホ前総理大臣、それから全斗煥国軍保安司令官も入っております。この会談の内容につきましては、いずれも韓国が韓国なりに苦心して民主化のプログラムというものを推進していきたいという開陳があったわけでございます。
○矢田部理君 光州事件等に対して韓国政府及び軍がとった強硬措置、あるいは金大中氏らの一連の人たちに対してとった逮捕その他の措置については、納得ある説明がなされたでしょうか。その説明でまた納得したのでしょうか。
○説明員(木内昭胤君) 新聞報道では、光州事件の背後に金大中氏ありというようなことも承知いたしておるわけでございます。現実の問題としまして、金大中氏が起訴されまして近く第一回目の公判が行われるということは承知いたしております。ただ、具体的に金大中氏がどのようなかかわり合いがこの事件とあったかどうかということにつきましては、もちろん韓国の事柄でございますので、私ども詳細は把握いたしておりません。しかしながら、すでに御承知のとおり、伊東総理代行が、大平総理の葬儀に参られました朴忠勲総理を初めとして、それから大来前外務大臣から朴東鎮外務部長官に対しまして、私どもとしては金大中氏の問題につきまして深い関心を有しておるということは再三表明された次第でございます。
○矢田部理君 金大中氏の問題が出ましたので、関連して伺っておきたいと思いますが、各国の反応はかなりこの金大中氏の問題や光州事件に対して早かったと思われます。しかも具体的な反応を起こしております。それに引きかえて日本政府は、伊東現外務大臣——当時の臨時総理であったわけでありますが、少しく抽象的な反応しかしていないように思われます。特にアメリカ筋の反応を見ますと、たとえば米国務省は七月七日に、金大中氏の容疑は相当なこじつけに見える、根拠が薄いと指摘をし、さらにケネディ上院議員は、七月の二十一日でありますが、金大中氏らの容疑は明らかにでっち上げである、こう述べておるわけでありますけれども、日本政府として、金大中氏の逮捕、勾留、さらには軍事裁判への道について、容疑事実を含めてどういうふうに受けとめているのでしょうか。
○国務大臣(伊東正義君) いま先生おっしゃったように、故大平総理の合同葬儀のときに、韓国の総理あるいは外務部長官、みな見えましたので、私から向こうの総理に言いましたことは三つございました。金大中氏につきましては、過去において二度の政治決着をやったわけでございます。そういうことがあり、政治的には決着はしているが、日本の国民は金大中氏という人について特に関心を持っておる。その身辺については非常に関心を持っておるので、この点は十分に日本国民の考え方を頭に入れておいてもらいたいということが一点と、もう一つは、いま御質問ありませんから項目だけにしますが、プレスの追放とか、支局の閉鎖の問題でございますとか、あるいは漁業の問題、この三つを言ったのでございます。そして外務大臣会議があるということでございましたので、政治決着のときにいろいろ話があるのだから、その話もよく向こうに伝えてもらいたいということを実は当時の大来外務大臣に言ったのでございます。 それから、私が外務大臣になりましてからは、須之部大使に帰ってもらいまして、向こうの事情を聞きますとともに、特にまた金大中氏の問題は、一応政治決着はしているといえども非常に関心があることでございますから、もしもというようなことがあれば、前の政治決着も問題になるような可能性も出てくるんじゃないかと、非常に日本にとっては金大中氏の身辺というものは問題があるので、この点は向こうに伝えてもらいたい。また、いろいろな方々から金大中氏の肉体的、精神的な健康状態、そういうものも調べてくれというお話がありましたので、そうした問題についても向こう側によく伝えてもらいたいということを須之部大使に言い、預之部大使も帰りまして、向こうの外務部の長官にその旨伝えておるというようなことがいままでの経過でございます。
○矢田部理君 七月の八日、九日、大平前総理の葬儀に参例をされた韓国の首相及び外相とそれぞれ会談を持たれたこと、その内容等についてはすでに報道もされておるわけでありますが、そういう政府の韓国に対する申し入れあるいは態度の表明に対して、その後、韓国側は何らかの行動といいましょうか、具体的な措置といいましょうか、というものをとったでしょうか。その内容があればここで明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(伊東正義君) その旨伝えたことは確かでございますが、まだ実は具体的な起訴状等は手にしておりません。近くもう裁判が始まるということの連絡があるわけでございますが、起訴状の内容はまだ見ておりませんが、伝えるところによると、そういう政治決着と、あるいは日本側が言っていることについても、ある程度起訴状その他では配意しているという意味のことを口頭で言っているということだけは伺っておりますが、書いたもので、あるいは公文書でこうだということはまだ伺っておりません。
○矢田部理君 日本側の申し入れにもかかわらず、依然として報道機関は支局等が閉鎖されたままになっております。金大中氏について言えば、この十四日から軍事裁判が始まることが伝えられております。軍事裁判は、前の金載圭氏の場合に徴して考えてみますと、かなり短時日の間に連日行われて急速に結審をする。伝えられる容疑事実が問題にされるとするならば、大法院への道は開かれておりましても、そう長期な裁判の期間を要せずに結論が出される可能性、危険性が高いと見なければなりません。しかも容疑事実、軍事裁判等でやられるということになりますれば、なかなか争うすべもむずかしいというふうに見られるわけでありまして、場合によっては死刑の判決の危険すら報道されているわけであります。 そういう事態に対して、日本はすでに申し入れをしてあるからということだけで何らの対応策も講じないのでしょうか。金大中氏について言えば、七三年の八月八日に日本から白昼公然と拉致をされ、日本の主権と金大中氏の人権が侵害されて以来、しばしば国会でも問題にされてきました。政治決着はしたとは言いながら、依然としてその真相究明のための、あるいは原状回復のための捜査が続けられていることも御承知のとおりであります。その金大中氏が軍事裁判で死刑に処せられるというようなことになれば、永久にこの問題の解明は困難になるという点から見ても、日本とのかかわりは非常に強いわけであります。その金大中氏の軍事裁判なり、場合によっては死刑にされるという危険に対して、日本政府として救出のための努力をすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(伊東正義君) いまおっしゃったように、外交機関を通して単に申し入れをするというだけではなくて、私は、あらゆるルートがあればそれを通じまして、もちろん外交機関を通ずることが正道でございますが、あらゆる機会に韓国の最高責任者に、先生のおっしゃったようなことがあれば、さっき申し上げましたように、政治決着自体も問題になるようなことがあるかもしらぬ、あるいはひいては日韓関係のいろんな関係がまずくなることもあるいは起こるかもしらぬ、そういうことは望ましいことではないのでという意味のことを、あらゆる機会を通じて向こうの責任者にこれからも伝えていくということを私としてはやってまいりたいというふうに思っております。
○矢田部理君 この問題に余り時間を割くわけにはいきませんが、もう一、二点だけ申し上げておきますと、そういう外務大臣の態度にもかかわらず、どうも日本政府全体の対応は、他の諸外国に比してかなり緩い、弱いと見なければならぬわけであります。たとえばアメリカでは、ケネディ上院議員が指摘をしているわけでありますが、韓国政府が態度を変えなければ、米国は駐韓大使を引き揚げ、公的な交流をすべて絶つ、経済援助協力を打ち切るべきだという声明を出しています。これと軌を一にするかのように、たとえばアメリカでは、六月に予定をしておりました経済使節団の派遣を取りやめました。あるいは六月の下旬に予定されておりました第二回目の米韓政策協議会を無期延期するなど、具体的な対応策をとって、この金大中問題あるいは韓国問題についてかなり厳重な動き、厳しい動きを実はしているわけでありますが、どうも日本政府の場合は、たとえば木内アジア局長が対韓政策を変更させる必要はないという態度を明らかにしたり、これはソウルにおいてであります。あるいは対韓円借款を与える合意をする。七月九日には大型経済使節団を派遣をする等々、具体的な措置が伴っていない。その点で、外務大臣としましてはやはり厳重な申し入れ、金大中氏救出のための動きを具体的にしてほしいというだけでなく、どうしてもそれに応じなければ、日本政府として当然のことながら、かねて問題になっております政治決着の見直し、対韓経済援助等の取りやめ、日韓定期閣僚会議が年内にも予定をされておるようでありますが、この無期延期等の具体的な措置を示唆しながら、金大中氏救出のための、あるいは全体としての政治犯釈放のための努力を直接間接すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(伊東正義君) いま先生から、世界各国のいろんな反応、対応策等御説明がありましたが、また日本は日本として、韓国との関係というのは非常にむずかしい関係にありますこと、歴史的にもいろんな関係でむずかしい関係にあることは御承知のとおりでございます。 それで、われわれとしましては、朝鮮半島の平和というのは、本当に日本としては希望するところでございますので、その一環として、日韓関係というものを円滑にしておくということが大切だという基本的な立場がございますので、そういう基本的立場を踏まえながら、目的を達成するには一番いい方法は何だろうかということで、先生のおっしゃいましたような中でもいろいろ実は考えておることがあるわけでございます。いまここではお答えはいたしませんが、われわれとしましても、金大中事件の今度の逮捕というのは文字どおり韓国の国内の問題でございますので、内政干渉にはまたこれはなってはいかぬことでございますし、非常にその辺のところがむずかしい問題がございますので、この問題につきましては私は慎重に対処をしていこうというような考えでおるわけでございます。
○矢田部理君 先ほど外務大臣は、場合によっては政治決着の見直しをも考えなきゃならぬというような向きのお話をされておりましたか。
○国務大臣(伊東正義君) 御質問の、そういうことじゃないんです、先生。もしも先生が言われたようなことが起これば、死刑というようなことが起これば、いろいろ世論の声も出てくるだろうし、いろんなむずかしい問題が起こってくるんではないかと、そして政治決着を見直ししろというような声も中には起こってくるかもしらぬと、そういう可能性も出てくるようなほどむずかしい問題なんだと、この問題は。日韓関係の間でひびが入るような問題になりかねないので、この問題は韓国側の国内問題だから内政干渉はしないけれども、金大中氏の身辺については慎重にひとつ考えてもらいたい、日本としては重大な関心があるということをさっき答弁をしたわけでございます。
○矢田部理君 その辺がいまひとつ歯切れが悪いわけでありますが、どうもやっぱりアメリカですらかなり思い切った物の言い方をしているわけです。もちろん、たとえばスウェーデン、デンマーク等々の四カ国政府は憂慮を表明する共同アピールを発表している。あるいはブラント西ドイツ前首相は、金大中氏の身柄の安全について調査を申し入れる。さらには、西ドイツやフランスの外相は共同で金大中氏問題についてEC諸国が韓国政府と話し合いを進めるよう要請する。いろんな具体的な措置をその後も次から次へととっているわけですね。ところが日本政府は、七月の初旬に申し入れをした後、どうも顕著な動きが見当たらないわけであります。しかも、韓国政策は不変だというようなことを一方で言っているところを見ると、どうも日韓癒着等が背後にあって韓国に厳しく物を言うことができないのではないか、いろんな憶測めいた話も実はあるわけでありますし、いまのような態度をとっておりますと、全斗換以下の強権政治、軍事ファッショみたいなものを間接的にやっぱり容認すると、てこ入れをするというふうにとられても仕方がないような弱腰が見られるわけでありますが、その辺前向きにしかも具体的にこれから金大中氏救出のために積極的な関心を示すべきだと思いますが、もう一度答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(伊東正義君) 七月八日、九日何もあのとき以来しないじゃないかというお話でございますが、私が外務大臣になりましてからは、須之部大使を呼んで韓国の事情も聞き、われわれの考え方も向こうへ伝えてほしいということで、さっきのようなことを実は須之部大使から韓国の当局者にも伝えるということをやったわけでございますので、私の考え方としましては、そういう正式なルートでやることはもちろん、あらゆる機会にいまのような考え方が向こうの当局者に伝わるように努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○矢田部理君 時間の関係もありますので次の問題に移りたいと思いますが、外務省は先般五十五年の七月でありますが、「安全保障政策企画委員会第一ラウンドとりまとめ骨子」ということで安全保障政策なるものを公表いたしました。これは外務省の公式な見解ではないと言いつつも、事実上最近の一連の防衛力増強キャンペーンといいますか、路線をさらに加速させるものとして、一般にはかなり重大な意味を持つものとして受けとめられておりますが、これまで外務省は軍事力を背景にしない平和外交路線を追求をしてきたのではないかと一般には受け取られてきました。したがって、またこの種のものを公表するということとは、その平和外交路線に重要な転換あるいは転機を求めているのではないか。いつから外交における軍事力の重要性ということを認識をし、そういう方向転換を図ろうとしているのか、その辺の外務省の考え方について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(伊東正義君) いまの御質問は、「安全保障政策企画委員会第一ラウンドとりまとめ骨子」ということで御質問だと思うのでございますが、これはこれにも書いてありますように、いまの次官の高島君が委員長になりまして一年間勉強してこの考え方をまとめ、第一ラウンドの骨子としてまとめたわけでございまして、まあ形式的に言えば外務省の公式な見解ではないとこれは確かに言えます。ただ、これを委員会の名前で発表したんですから、外部の人から見れば、そういう形式論は別にしてこれは外務省の考え方と、こうとらえることも私はあるだろうと思っております。 それで、この考え方は、何も日本が平和外交、平和に徹するという平和外交をやめて軍事大国になるんだとかそういうことじゃございませんで、ここに書いてありますように、安全保障の考え方の中でも軍事面と非軍事面の重要さ、これはバランスをとって考えていかなきゃいかぬ。非軍事面というのは外交でございますが、外交の重要性ということは、これは冒頭にもまた結語の方でも実は書いておるわけでございまして、先生おっしゃったように方向転換したということではないのでございます。これは安全保障という問題に限って取り上げたわけでございまして、外交面の中で安全保障のことについて比較的勉強が足りなかったから勉強しようということで、これは安全保障ということに集中して勉強した会合でございます。その中でも外交の重要性は、これは十分書いているわけでございまして、基本的には日本の平和、繁栄ということを考えるのがこれは外交の基本でございますが、それには世界の平和というものがなくては日本の平和、繁栄というものはないのだと。その世界の平和を求めるという中で日本にはやはり大きな役割りがあるんではなかろうか。その役割りというのは、経済、政治に対して共同の理念、自由あるいは民主主義というようなものに対する共同の理念を持った国々が、具体的に言えばアメリカとかEC、ヨーロッパ諸国とか、そうした国が協調をしていかなければどうしても世界の平和をというわけにはいかぬぞと。そういう基本的な立場に立って、あるいはアジアでもソ連の問題も中国の問題も、あるいは中東でも東南アジアでもそれを基本にしてひとつ世界の平和、ひいては日本の平和、繁栄を図っていこうじゃないかという基本的なことでこれは書いているわけでございまして、その中で日本の役割りとしては、やはりある程度の自主的な防衛というものを考えていかなければいかぬということをこの骨子は言っているわけでございまして、従来の日本の平和外交方針が全然変わってしまったというふうにはこれはとっていない、そういう考え方で書いていることではないということだけ御承知を願いたい、御了解を願いたいと思うわけでございます。
○矢田部理君 しかし、中身を読んでみますと、軍事面と非軍事面のバランス論を言いながら、外務省が本来基調とすべき平和外交の問題や経済安全保障の問題についてはほとんど分析らしい分析はない、あるいは具体的な政策展開もない、集中的に軍事問題にしぼられているという内容に実はなっているわけでありまして、軍事問題中心の分析、それから軍事力の外交に果たす役割りの意義を強調したり、アメリカの要請に係る、これから後議題にするわけでありますが、中期業務見積もりの早急な達成を求めたり、こういう方向づけをすることはきわめて危険だ、外務省本来の姿でないということを十分に警告をしておきたいと思うのでありますが、時間の関係もありますので、一点だけ特に具体的な問題として指摘をしておきたいと考えておりますのは、この十七ページに、「わが国は国連の平和維持活動に対し、従来の如き財政面における協力にとどまらず、人的貢献の面についても積極的に検討すべきである。」とした上で、「国連の平和維持活動への要員の派遣」ということを具体的に実は提起をしているわけです。その後外務省筋の解説によりますと、この「要員の派遣」は自衛隊員も除外していないんだ、考え方の中にあるんだというようなコメントまである新聞には付されているわけでありますが、具体的にこれはどういうことを考えているのでしょうか。
○国務大臣(伊東正義君) いま御指摘の点は、何か外務省のだれかがそういうことを言ったということが新聞に出るということでございますが、それは私何かの誤りじゃないかと、こう思うのでございますが、いまの法体系ではできないわけでございますから、これは。そんなことをこれは考えているんじゃなくて、国連の平和維持の活動に対しまして、いまは主として財政面で協力をしているということでございますが、いま具体的に話がぼつぼつ出ているのは、あのアフリカのナミビアの南アフリカによる不法統治から脱却して、あそこで国民投票をやって、独立ということが考えられるんじゃないかと。そのナミビアのたとえば国連の監視、選挙の場合の監視というところに日本からも人を出してくれと言われれば、これは国連の職員として適当な、役所の人か民間の人かは別にしまして、自衛隊なんということは全然考えていない、別な人を監視要員として出すとか、あるいは所によっては、場合によってはジープを出してもらいたいとか、あるいはお医者さんとか看護婦をよけい国連の職員で出してもらいたいとか、いろいろ要望があった場合に、そういうことには、財政面だけじゃなくて積極的に国際平和の維持の活動には協力しよう、こういうことでございまして、先生のおっしゃった自衛隊を海外に派遣するとかというようなことは、全然これは考えていないということでございますので、その点はひとつ御了解を願いたいと思うわけでございます。
○矢田部理君 もう一点だけで終わります。 外務省の本来あるべき姿は、危機や脅威をどういうふうに見るかということもありますが、仮にそういう事態があったとしても、それをどう取り除くのか、どう低めるのか、そのために外交的にどういう対応をしていくのか、経済協力や文化交流をどう進めるのか、こういう観点で全体的な安全保障を考えるべきであって、危機や脅威に対して軍事力増強という路線で防衛庁の肩がわりをするようなことは断じてやめるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) 先生おっしゃったように、緊張緩和とか、紛争の回避とか、紛争が起きたらなるべく早く解決するとか、そういうことに外交がうんと働くべきであるとおっしゃることは、私もそのとおりだと思います。ただ、日米安保というものを前提にして日米の友好協力ということが日本の外交の基本になっていることも御承知のとおりでございますので、これはそういう前提に立って、日本の自衛力、防衛力、最小限度に専守防衛をやるにはどれだけ必要なんだということはやっぱり日本が自主的に考える、それは国際的ないろんなことも頭に入れて自主的に考えていくということは当然でございまして、外務省もこれは国防会議の一員にもなっているわけでございますし、そういう国の安全にかかわることというのは外交面でも非常にこれは重要な問題でございますので、単に防衛庁の仕事に口を出すというような意味でなくて、広い意味で私ども外交面でもこれは考えていかなければならぬというふうな考え方でこの骨子ができたわけでございまして、私どもはこれは何も方針の変更じゃない、平和に外交をやる、軍事大国にならぬという鉄則だけはもう決まっておりますから、そういうことでやってまいりたいと思っております。
○矢田部理君 外務省がこの時期にこういう問題を出したということはかなり問題が大きいし、そしてまたきわめて危険な動きとしてわれわれは警戒をしていきたいと思いますが、時間が参りましたので、外務大臣結構でございます。 引き続き、防衛庁に伺いたいと思いますが、中期業務見積もりというのを五十四年の七月につくったそうですが、この中期業務見積もりそのものを国会あるいは国民に対して公表しない実質的な理由は何でしょうか。
○説明員(塩田章君) 中期業務見積もりにつきましては、昨年の七月に作成いたしまして、「中期業務見積りについて」という概要の公表をいたしました。
○矢田部理君 正確に聞いてください。 「中期業務見積りについて」ということで業務見積もりそのものの説明をしている別途の文書は出しましたが、業務見積もりそのものは公表していないじゃありませんか。
○説明員(塩田章君) 業務見積もりそのものは出してないじゃないかということでございますけれども、この「業務見積りについて」ということで公表いたしましたもの以外は、いわゆる内部の作業資料としては持っておりますが、その概要につきましても、ことしまた補足説明資料といたしまして公表いたしましたわけでございますが、それによりまして中期業務見積もりにつきましては一応御了解、御判断いただけるものと私どもは考えております。
○矢田部理君 その中期業務見積もりというのはこういうものだという間接説明の文書は出しているけれども、あるいはかかわる資料は、付属資料みたいなものは出しているけれども、見積もりそのものは出してないじゃありませんか。 特にこの見積もりの中では、事業見積もりと能力見積もりと大別して見積もりがなされていると言われておりますが、この防衛庁が発表した資料等によっては、ある程度事業見積もりについては見当がつきますが、能力見積もりについては全くわからない、明らかにされていないというふうに思うのですが、どうしてそんなもの隠すんですか。
○説明員(塩田章君) いまお話ございましたように、中期業務見積もりの中にいわゆる事業見積もりと能力見積もりがあることは、御指摘のいまお話がありましたとおりでございますが、この能力見積もりといいますものは、防衛計画の大綱に示します防衛の態勢、各自衛隊の体制を基準にしまして、現在の防衛力の不備点、改善点に関しますいわゆる分析評価を行おうとするものでありまして、これは事柄の性質上公表は差し控えさしていただきたいというふうに考えているものでございます。
○矢田部理君 その点は納得しかねますが、後にまた問題を出します。 ちょっと話題を変えますが、この中期業務見積もりそのものは総理には報告しているでしょうか。
○説明員(塩田章君) 報告してございます。
○矢田部理君 能力見積もりについても報告しておりますか。
○説明員(塩田章君) 能力見積もりにつきましては、要点といいますか、概要について御報告いたしております。
○矢田部理君 国防会議や閣議には報告されていますか。
○説明員(塩田章君) いま総理につきまして申し上げたと同じような要点だけの説明にとどめております。
○矢田部理君 国防会議にはいつの国防会議、どんな説明をしたか。
○説明員(塩田章君) 五十四年九月十四日の国防会議でございます。
○矢田部理君 外務省や大蔵省は知らされていますか。知らされているとすれば、いつどういう内容のものを知らされているんでしょうか。
○説明員(淺尾新一郎君) ただいま防衛局長から御答弁がありましたように、国防会議の決定の際及びその事前に概要について外務省としては報告を受けております。
○説明員(矢崎新二君) 正式には承っておりませんけれども、事実上概要につきまして係の方で参考に伺っているという状況でございます。
○矢田部理君 ここにあります「中期業務見積りについて」という、業務見積もりの説明書きといいますか、によりますと、これは防衛庁内の参考資料だと、内部作業の参考のためにつくったものだということでありますから、一応関係省庁等にはある種の概要説明はしたが、政府によってオーソライズされたものではありませんね。もちろん国防会議にかけて決定を受けたものでもありませんね。
○説明員(塩田章君) そのとおりでございます。
○矢田部理君 どうも総理大臣に対する報告もあるいは関係省庁に対する報告も概要説明程度にとどまっている。しかも政府や国防会議によってオーソライズされていない。どうしてそんなものをアメリカに知らせるんですか、教える必要があるんですか。いつだれがどういう理由でそれを教えたのかを明らかにしてほしい。
○説明員(塩田章君) アメリカに話をしましたのは去年の八月十六日、日米防衛首脳会議、ワシントンで行われました山下・ブラウン会談の際に概要を説明いたしたわけでございますが、先ほど申し上げました、七月に公表いたしました「中期業務見積りについて」というパンフレットによって概要を説明したわけであります。
○矢田部理君 私が言っているのは、国民にも公表されない、政府によっても認知されない、国防会議にもかけられていない防衛庁内部の参考資料を一々アメリカに渡すんですか、説明するんですか。どうしてアメリカに渡したのか、知らしたのかということを聞いている。
○説明員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、政府によってオーソライズされたものでないということはそのとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、七月には公表をいたしております。その公表した内容をアメリカに、山下・ブラウン会談のときに説明をしたわけでございまして、それ以上のことではございませんので、一般に公表されたものを日米会談のときに説明をしたということでございます。
○矢田部理君 ところが、その後の日米関係を見ておりますと、政府によってオーソライズされたものでないものが、事実上実質的な防衛計画としてひとり歩きしているじゃありませんか。少なくともアメリカ側は日本の五十五年度以降の防衛計画として受けとめ、あなた方が言う防衛庁の一内部資料だという位置づけにもかかわらず、一年間繰り上げ達成などということが首脳会談の議題にまでなる。大変おかしな話になっているんですが、こういうことが許されていいんでしょうか。政府で相談もしていない、国民にも知らせない、知らせたのはごく一部です。それがすでに既定の防衛計画として固まったものとして、それを一年早くやるとか、繰り上げ達成だとかという議論をさせること自体おかしいというふうに考えるのが常識だと思いますが、いかがですか。
○説明員(塩田章君) アメリカに説明いたしますときに、防衛庁の内部資料であるということは繰り返し説明をいたしております。そのことはアメリカ側もよく承知しておるはずでございます。いまいろいろお話ございましたように、その後日米関係の会談の中で、アメリカ側がこういう中期業務見積もりを取り上げていろいろ要望しておるということも事実でございますけれども、その辺の中業の性格等につきましてはアメリカ側もよく承知をした上で、現在の国際情勢にかんがみまして、アメリカ側として日本にいろんな防衛努力を期待しておるという場合に、防衛庁限りのものであるけれども、防衛庁の持っておるこの計画を早く達成してほしいという意味を言っておるんであろうと私は思います。
○矢田部理君 日米首脳会談——大平・カーター会談でありますが、が五月一日に行われました。このときにカーター大統領から、すでに政府部内にある計画を早目に達成してほしい。これは説明するまでもなく、中期業務見積もりの早期達成というふうに受け取られております。それに対して、大平さんは真剣に検討していきたい、こう答えているんですね。アメリカとそういう約束なり応答をする前に、日本政府部内で、あるいは国防会議で議論すべきことじゃないですか。その議論もしないうちに、防衛庁の一内部資料、一参考資料がいつの間にか既定の方針、既定の事実になって、それを早くやれとか、真剣に検討するとか、努力するとかという話になるのは、いささか飛躍があり過ぎるんじゃありませんか。まして能力見積もりなどを中心にしたその内容は一切国民に公表しない。そういう防衛庁のやり方、アメリカに対する対応の仕方、大変問題になると思うんですが、いかがですか。
○説明員(塩田章君) アメリカ側にこの中業の性質を説明していることは先ほど申し上げたとおりでございますが、カーター・大平会談でいま御指摘のようなやりとりがあった。その政府部内におけるすでにある計画というのが何を指すかということは、その言葉だけではわかりませんけれども、その前の大来・ブラウン会談等のいきさつから考えて、恐らく中業のことを指しているんだろうというふうに言われておりますが、いずれにしましても、大平総理がそれに対しまして真剣に検討するという返事をなさいましたことは、この中業が政府としてオーソライズしておるものであるとかなんとかいうことではなくて、日本の防衛努力について真剣に検討したいということをお答えになったものと私どもは了解しております。
○矢田部理君 そう受け取るのは少し無理じゃありませんか。つけ加えて、大平さんはその答えは五十六年度予算で回答すると、こう言っているわけです。そんな抽象的な対応、応答ではなかったはずであります。 これは時間がありませんから次に進みますが、五十六年度の概算要求についてでありますが、通常七%台に抑えようという一般枠にもかかわらず、防衛予算だけ九・七%という特別枠を設けた。防衛庁長官と大蔵大臣がその点で事実上合意したという話になっているのですが、大蔵省一体どうなんですか。非常に財政が厳しい折から、一般経費については非常に厳しい枠はめをしながら防衛予算だけ特別枠をつくった。財政というのは、来年度の政策で何が大事なのか、何を国民のためになすべきかということを総合的に検討した上で決めるべきなのに、早々と防衛費だけ特別枠をつくる。許しがたいことですよ。かつて戦争中に臨時軍事費特別会計、臨軍特別会計というのがあったことがあります。これはずっと戦争中はつくってきたものです。あれと同じ思想じゃありませんか。その点について大蔵省の見解を求めておきたいと思います。
○説明員(矢崎新二君) ただいま御指摘のございました五十六年度の概算要求につきましての閣議了解の内容でございますけれども、これは防衛関係費を別枠の扱いにしたということでございませんで、国際条約の実施に伴い必要とされます既国庫債務負担行為等の五十六年度歳出化にかかわる経費、これを原則枠に対する例外とした結果、その結果として御指摘のように防衛関係費の概算要求枠が九・七%増ということになったわけでございます。こういった経費を原則枠に対します特例といたしました理由は、こういった経費が条約上の義務の履行に伴って不可避的に必要とされるというものでございますし、しかもすでに国会の議決を経ております予算負担行為の歳出化にかかわる経費であるというそういった経費の性質に着目をいたしまして、こういった経費まであくまでも原則枠の中におさめることを強いることは困難ではないかというふうに判断をしたことでございまして、防衛関係費を別枠にしたというようなことではないことを御説明いたしておきたいと思います。
○矢田部理君 そういう大蔵省の説明にもかかわらず、抽象的に言えばそういうことになるんですが、中身は防衛予算の特別枠じゃありませんか。科学技術庁の予算もあるなんということですが、これだって防衛関係科学技術庁予算の別枠なんであって、抽象的に説明すればあなたの言うとおりですが、中身は防衛費の特別枠というのが端的な指摘なんです。 そこで、この九・七%の特別枠を防衛予算についてつくったということの意味は、先般の日米会談で政府部内にある計画の早期達成論に対して大平さんは五十六年度の予算で回答する——その回答するという意味も込めてそういう枠をつくったのでしょうか。これで、大変けしからぬ話でありますが、アメリカの要請にこたえたということになるのでしょうか。防衛庁はどう受けとめますか。
○説明員(塩田章君) 私どもは防衛計画の大綱の別表の線に早く達したいという希望を持っておりまして、その過程としまして、いま私どもが考えております中期業務見積もりを達成する努力をしておるわけですが、それを少しでも早く達成をいたしたいという考え方を持っておりまして、そういう考え方に基づきまして、七・五%というシーリング枠では大変きついということで、私どもとしましては別途要求をさしていただいたわけであります。
○矢田部理君 どうもいまの説明では納得しかねますが、時間が来ましたので結論だけ申し上げておきたいと思います。 率直に言って中期業務見積もりそのもの、それについての説明書き、付属資料ではなくて、そのものを公表してほしいと私は思います。 防衛庁は、かねがね防衛問題について国民的なコンセンサスを得たいなどと言っている。重要な部分をアメリカには知らせるが国民には秘密にしておる。何がコンセンサスです。国民にはもちろん、政府によってもオーソライズされていないものをアメリカに御報告して、そのアメリカから早く達成すべしと。政府の方針じゃないのですよ、まだ。防衛庁の一内部参考資料だという位置づけのものなんです。あたかも事実上防衛計画が既定の事実としてできているような前提の上に立って、早期に達成するとか、一年繰り上げだとかという議論をすること自体がおかしいし、筋違いだと私は思うわけであります。その点で防衛庁の姿勢に重大な疑問を持っておるわけであります。さしあたり、これからその内容等についても論議をぜひしていかなければなりませんので、能力見積もりを含めて中期業務見積もりの全容そのものを当委員会に資料として提出してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(塩田章君) 事業見積もりの面につきましてはすでに公表しておるということを申し上げましたが、能力見積もりにつきましては、先ほども申し上げましたように、事柄の性質上公表することは差し控えさしていただきたいと私どもは思っております。
○矢田部理君 事業見積もりについても、本来の見積もりというのは、こういうことが書いてあるんだという要点、概要を別の文書で示しただけであって、そのものは明らかにされておりません。まして、能力見積もりも明らかにされていない。したがって、いまの防衛庁の答弁には私は承服しかねますので、後で委員会としてひとつ私は要求をしておきますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○野田哲君 一点だけ具体的な問題を伺いたいと思います。 この五月以降の折々の報道で、五月二十一日に竹田統幕議長が訪米をして、アメリカの国防次官と会談をしたときの報道、それから六月四日にアメリカの国防総省筋からの発表という形での報道、それから七月五日の朝に発表されている日米安保協議委員会の事務レベルの協議、これらの報道の中で陸上部隊の共同演習を実施をするんだと、日米で。こういう合意がされたという報道があるわけですが、まず第一に伺いたい点は、アメリカの国防総省筋からの発表によりますと、日米両国間の陸上部隊の合同演習が非常に重要性を増してきたので、そのことについて協議をして一致を見た、協議が進んでいると、こういう報道なんですけれども、いまの段階で日米の陸上部隊の合同演習が必要になってきた情勢というのは、一体具体的に言えばどういう情勢なんですか。
○説明員(塩田章君) 私どもの理解しておりますところでは、日米の共同演習につきましては、御承知のように海上自衛隊はかなり以前からやっております。航空自衛隊もやっておるわけであります。陸上自衛隊だけがやってないというかっこうで来ておりましたので、陸上自衛隊についても共同演習をしたいという日米双方の希望がありましてそういう話は進めておるわけでございますけれども、特段陸上が何か変化があって最近になって重要性を増したといったような、そういう意味の事情の変化があったわけではございませんで、海空がやっておるのに陸だけがやってないということで陸もやりたいということでございます。
○野田哲君 これは結局この間のハワイの事務レベルの協議、ここで最終的に合意を見たわけなんですか、どうなんですか。
○説明員(塩田章君) 最終的に合意を見たといいますか、要するにハワイ会談というのは、まあ言うなればフリートーキングをすることを前提にした会談でございまして、具体的にそこで決めるという性質の会談ではございませんけれども、いまの御指摘の陸上自衛隊の合同演習につきましては確かに話題が出まして、今後検討しようではないかということで、そういう意味で意見が一致しております。
○野田哲君 今後検討しようということで話題になったということですね。そうすると、具体的には五十六年度でこれを実施するための業務計画というものがつくられるんですか、それともまだ先のことなんですか、どうなんですか。
○説明員(塩田章君) 陸上部隊はいままで演習した実績もございませんので、いきなり演習をやるといいましてもなかなか実際にはむずかしい点がございまして、いまお尋ねの五十六年度につきましては、私どもとしましてはいわゆるCPXの演習、つまり指揮所だけを開設して実動部隊は全然動かさないという指揮所演習程度はやりたいということでいま検討をしております。
○野田哲君 防衛庁としてはいつごろからやりたいと考えているんですか、実際の合同演習については。
○説明員(塩田章君) いま申しました五十六年度のCPXが仮にできたといたしますと、そういった成果を踏まえてそれから先どういう段階に進んでいくかということを検討していくことになろうと思いますが、いまの時点でそれから先どういうスケジュールを持っているというような段階ではございません。
○野田哲君 そうすると、五十六年度の業務計画の中には入らないということは、五十六年度はないと、実際の部隊を動かす演習はないと、こう理解していいんですか。
○説明員(塩田章君) 現在私どもはそういったペースで検討をいたしております。CPXをやりたいというペースで検討いたしております。
○野田哲君 今後検討をしていく場合、具体的にはどうなんですか。日本の国内で日本の陸上自衛隊とそれから沖繩の海兵隊、これしか陸上部隊はないと思うんです、アメリカの場合は。それが日本の国内でやるという形になるのか、それとも日本の自衛隊がアメリカのどこかへ行って一緒にやると、こういうことになるのか、その点はどうなんですか。
○説明員(塩田章君) まだそういった検討に入っておりませんのでちょっとお答えをいたしかねますが、陸上自衛隊がよそに行って共同演習をやるというようなことはちょっと考えられないと思うんですけれども、いまいずれにしましてもそういった点を検討する段階までいっておりません。
○野田哲君 日本の陸上自衛隊がよそへ行って演習することは考えられない。そうすると国内でということになる。国内でということになると、第三海兵師団かあるいはアメリカからまた別の部隊が来るのか。問題は演習場ですね、演習場は一体どこが考えられるんですか。これは外務省の取り決めのことなんでしょうけれども、地位協定の二条の4項の(b)、これが対象になると思うんですが、端的に言えばこれは北富士ということになるんじゃないかと思うんです。その点どうですか。
○説明員(淺尾新一郎君) ただいま御質問の件でございますけれども、確かにもし米軍が来て合同演習をやるということになれば、日本側の施設あるいはアメリカ側の施設を使うことになって、それは地位協定に基づいて規定されているわけでございますが、現在のところ、防衛局長も答弁しておりますように、具体的にその訓練の態様その他わかりませんので、それがわかった段階で検討さしていただくということになるかと思います。
○野田哲君 その訓練の態様がわかった段階でということなんですけれども、現在の場合でも、訓練の態様がどうあろうとも使える場所というのは限定されているんじゃないですか、もし合同演習をやるとすれば。その点、そうでしょう。
○説明員(淺尾新一郎君) 現在日本にあります施設についてはそれぞれの施設の使用目的が決まっております。その意味で合同演習に適するというか、それを目的視する施設区域を使うということになるかと思います。
○野田哲君 だから適するというか規定されているわけですから、日米合同演習という形で適し、かつ規定をされている場所というのはどことどこがあるんですか。
○説明員(淺尾新一郎君) その場合二つ考えられると思いますが、二条4項(a)、米軍が持っている施設区域を使う場合と、自衛隊が持っている施設区域を使う二条4項の(b)と、両者に分かれるかと思います。具体的に私いまここのところに一々の施設区域を持っておりませんけれども、たとえば富士の演習場ということが一つの例かと思います。
○野田哲君 その二条4項の(a)と(b)の区域というのはどことどこですか。(a)の場合はどこ、(b)の場合はどこ。
○説明員(淺尾新一郎君) ただいまここに全部の施設区域を持っておりませんが、一つの例として二条4項(a)はたとえば富士の演習場、それから航空自衛隊が先般行いました新田原の基地、これは二条4項(b)に該当するかと思います。
○野田哲君 日米の陸上の部隊の合同演習可能なところについての場所というのはどこなんですかということなんで、新田原なんかこれはわかっている。別の目的なんです。これ施設庁の方どうですか。
○説明員(渡邊伊助君) 現在日本にございます施設の中で二条4項(a)関係の施設が二十九件ございますが、その中で演習場というのはございません。それから、二条4項(b)につきましては全部で五件ございますが、富士演習場が主なものでございます。
○野田哲君 だから、施設庁の方の説明で大体わかったわけですが、もし日米合同演習——陸上自衛隊とアメリカとの合同演習が実施をされるということになった場合には富士しかないと、こういうことですね。
○説明員(多田欣二君) 先ほど防衛局長からもお答えもいたしましたように、現在検討している段階でございまして、その検討の中には場所的にどこでやるという問題も含んでおります。したがいまして、現在手続的にすぐにできる東富士、北富士を利用する場合もあり得るかと思いますし、新たな現在そういう米軍が使えないような、あるいは米軍の演習場を地位協定上の手続を了した上で使うと、これは両様考えられるわけであります。
○野田哲君 いろいろ言ってもらわなくてもいいんです。ずっといままでの説明によって、まずこの陸上部隊の日米合同演習をやっていこうということで検討していると、その場合に、日本の陸上自衛隊がアメリカへ行って一緒にやるということは考えられない。つまり日本の国内でやるんだと、こういうことですね。日本の国内でやるということになってきた場合には、地位協定の二条の4項の(a)と(b)とある。陸上部隊の演習が可能な場所というのは二条4項(b)の富士しかない。こういうことですから、実施ということになれば富士しか使いようはないと、あれ以外には考えられないと、こういうことでしょう。イエスかノーかだけでいいんですよ。
○説明員(多田欣二君) これはイエスかノーかと言われればノーでございまして、現段階ですぐやるとすれば東か北の富士しかないと。しかし、手続さえすれば、日本全国北海道から沖繩に至るまで新たに場所が得られると、こういうことでございまして、現在、それはどこでやるかということも含めて将来検討をしていくと、こういうことでございます。
○野田哲君 現在は富士しかないと、しかし日本国じゅうどこでも対象にして検討するんだと、そういうこともあるとすれば、それはそれなりに演習適地というもの、これは幾つか想定があるんですか。
○説明員(多田欣二君) これは従来、演習場と称しまして、これは演習場には先生御承知のように大演習場、中演習場あるいは小演習場というような区分もございますけれども、演習の規模にもよりますけれども、中演習場で間に合う場合もあるでしょうし、大演習場を使う場合もある、こういうことだと思います。これからの検討でございます。
○野田哲君 現在の条件のもとでは富士しかないと。そこで、山梨県の県当局なり、あるいは地元の関係団体との間にはある程度の接触があるんじゃないんですか、どうなんですか。
○説明員(渡邊伊助君) 先ほど防衛局長からお答えいたしましたように、現在具体的な計画を私どもまだ聞いておりませんので、地元とはこの件について一切接触をいたしておりません。
○峯山昭範君 それでは、先ほどの官房長官の答弁に関連をいたしまして、きょうは時間がございませんのでそんなにたくさんはできませんけれども、これはやっぱりちょっと問題でございますし、将来のためにも法制局長官のきちっとした答弁をお伺いしておきたいと思います。 それは要するに、総理大臣を初め内閣の閣僚ですね、こういうふうな皆さん方のいわゆる公私の別というのはどういうふうにすべきなのか、どういうふうにあるべきなのかですね。これは実際問題として、先ほどの質疑の中でもいろいろ出てまいりましたように、たとえば靖国神社に参拝する場合は公用車は使用しないとか、あるいは玉ぐし料は国費で出したりはしないとか、あるいは署名するときに肩書きは使わないとか、あるいは随行者はつかないとか、こういうふうな一つの基準になるようなものが現実にあったわけです。あったというか、少なくとも三木内閣時代にはこういうことが言われていたわけです。委員会でも何回か議論をされているわけです。 それで、きょう先ほど同僚議員から質問ありましたら、法制局としてはこういうことは答弁したこともないし、言ったこともないと、これではやっぱり困るんでして、これは何も靖国の問題だけじゃございませんで、これからいろんな問題が起きてくると私は思います。そういうことのときに、要するに内閣総理大臣というこの肩書き、何々大臣という肩書き、少なくとも国会の役員にある皆さん方の肩書きというものは公私の別は厳密にやっぱり峻別すべきだと私は思うんです。これは私の用事であるとか、これは公用であるというのはきちっと峻別すべきだと私は思うんです。その峻別する場合にどういうことを基準に置いたらいいといわゆる法制局はお考えなのか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
○説明員(角田禮次郎君) およそ内閣総理大臣あるいは国務大臣が行動される場合に、公私の別といいますか、そういう基準がどうであるかというのは、これはちょっと法律問題じゃないように思いますので、私がお答えするのは必ずしも適当じゃないように思います。ただ、たまたま靖国神社の参拝をめぐりましてこれまでそういう問題がいろいろ論議され、かつその場合に、私の前任者がそういう問題を御質問に応じてお答えをいたしてきたことは事実でございますから、そういう意味でお答えをいたしたいと思いますが、まず申し上げたいことは、靖国神社の参拝につきましての政府の統一見解というのが、昭和五十三年の十月十七日に、当委員会で野田委員の御要求に応じて当時の安倍官房長官がお示しをしたものがございます。これが政府の見解でございまして、この見解は、今日でもそのまま私どもは維持しておるつもりでございます。 したがいまして、御質問につきまして、公私の区分の基準いかんということでございましたならば、その統一見解をそのまま申し上げることになると思います。大変長いものでございますが、よろしければ読み上げますが……。
○峯山昭範君 やってください。
○説明員(角田禮次郎君) 内閣総理大臣その他の国務大臣の地位にある者であっても、私人として憲法上信教の自由が保障されていることはいうまでもないから、これらの者が、私人の立場で神社、仏閣等に参拝することはもとより自由であって、このような立場で靖国神社に参拝することは、これまでもしばしば行われているところである。 閣僚の地位にある者は、その地位の重さから、およそ公人と私人との立場の使い分けは困難であるとの主張があるが、神社、仏閣等への参拝は、宗教心の表れとして、すぐれて私的な性格を有するものであり、特に、政府の行事として参拝を実施することが決定されるとか、玉串料等の経費を公費で支出するなどの事情がない限り、それは、私人の立場での行動とみるべきものと考えられる。 先般の内閣総理大臣等の靖国神社参拝に関しては、公用車を利用したこと等をもって私人の立場を超えたものとする主張もあるが、閣僚の場合、警備上の都合、緊急時の連絡の必要等から、私人としての行動の際にも、必要に応じて公用車を使用しており、公用車を利用したからといって私人の立場を離れたものとはいえない。また、記帳に当たり、その地位を示す肩書きを付すことも、その地位にある個人を表わす場合に、慣例としてしばしば用いられており、肩書きを付したからといって、私人の立場を離れたものと考えることはできない。更に、気持を同じくする閣僚が同行したからといって、私人の立場が損われるものではない。 なお、先般の参拝に当たっては、私人の立場で参拝するものであることをあらかじめ国民の前に明らかにし、公の立場での参拝であるとの誤解を受けることのないよう配慮したところであり、また、当然のことながら、玉串料は私費で支払われている。 以上でございます。
○峯山昭範君 いまの政府の見解が、法制局もあなたもそれは当然この政府の見解のとおりということなんですか。
○説明員(角田禮次郎君) 内閣官房でこの見解を作成するに当たっては私どもの方に御相談がありまして、私どももそのことについては同意をいたしております。
○峯山昭範君 私はこれは非常に大きな問題であると思う。信仰の自由というのは私それは当然あると思います。閣僚も当然であります。しかしながら、その人が実際問題として、いま例外規定みたいに読み上げた中にございましたけれども、公用車の使用の問題あるいは肩書きの問題、これは慣例として用いているとはいえ、やり方はいっぱいあるわけですから、やっぱりぼくは肩書きをきちっと書く以上は、いま靖国の問題がこうなっておりますけれども、これはこれからもその他いろんな問題に適用されます、やっぱり同じように。ですから、そういうような意味でも私はこの問題についてはとても納得できるようなあなたの答弁ではない。しかも先ほど同僚議員から四つの問題を指摘したときに、法制局としてはこういう問題について発言したことはないというそのあなたの答弁を聞いておりましても、全く無責任な態度ですね。これはやっぱり非常にわれわれ聞いておりましても許せませんし、これはきょうは時間がございませんからこのまま終わりますけれども、いずれにしても私は法制局としてこういう問題についてやっぱりきちっとした態度を明らかにしていただきたいと思います。この点については答弁は要りません。今度改めて何かの機会のときにお伺いしたいと思っております。 それから次に、外務省にお伺いをいたします。 先ほども話ございましたが、安全保障政策企画委員会が取りまとめになりました「安全保障政策企画委員会第一ラウンドとりまとめ骨子」というのがありますけれども、これは大体どういうふうな性格のものなんですか、これは。
○説明員(大塚博比古君) この委員会は、正式には安全保障政策企画委員会と申しまして、昨年の四月から、当時の外務審議官でありました高島審議官を委員長といたしまして、外務省の関係局の中堅クラス、審議官、参事官クラスを中心に設けました勉強会でございます。したがいまして、この勉強会は高島委員長のもとで過去におきまして月に一回、約十三回会合を持ちまして、このたび 一応の取りまとめに至ったわけでございます。
○峯山昭範君 それで先ほどのこの十七ページの三項の問題について大臣からいろいろ答弁がございました。三項の問題についてこれを取りまとめられました責任者である、おたくですか、一遍……
○説明員(大塚博比古君) 調査部長でございます。
○峯山昭範君 調査部長、どういうことなのか、一遍これ説明していただきたいと思います。
○説明員(大塚博比古君) この骨子の十七ページに書いてあることの内容でございましょうか。
○峯山昭範君 三項で結構です。
○説明員(大塚博比古君) 十七ページの三項は、これは大きく言いまして、日本の今後の外交努力の一環といたしまして「世界の平和と安定のための貢献」というものを挙げて、その中で幾つかの項目を別に説明している部分でございますが、いま御指摘のありました三項につきまして読み上げますと、「わが国は国連の平和維持活動に対し、従来の如き財政面における協力にとどまらず、人的貢献の面についても積極的に検討すべきである。国連の平和維持活動への要員の派遣は、平和国家として生存したいというわが国民の願いと決意を示す何よりの方途と思われる。」というところでございます。
○峯山昭範君 いや、文書は持っているから読まなくてもいいんですよ。要するに、先ほど大臣は、このいわゆる「平和維持活動への要員の派遣」という問題につきましていろいろ説明をされました。ナミビアの監視要員としての派遣だとかいろいろおっしゃいましたが、そういうことなんですか、これは。
○説明員(大塚博比古君) 委員会は、先ほど申し上げましたように勉強会でございますから、勉強会の過程でいろいろなアイデアが出されたことは事実でございます。しかし、取りまとめに当たりまして私どもの到達しました結論は、いまも読み上げましたように、「国連の平和維持活動への要員の派遣」というふうになっております。ただ、要員の派遣というものにはいろいろな態様があるわけでございまして、その中には現行法制で可能なもの、あるいは現行法制でいろいろ問題があるものと、いろんな分け方ができると思いますけれども、先ほど伊東大臣のおっしゃいましたことは、その中で現行法のもとで可能なものとして幾つかの方法があると。具体的には、大臣がおっしゃった具体的な例で申し上げますと、国連の平和維持活動の一環といたしまして、現在南アフリカが不法に統治しておりますところのナミビアという地域におきまして国連の監督のもとに選挙を行うと、そういった選挙が公正に行われるためのいろいろな監視機構とか、そういった活動が考えられるわけでございますが、それへの要員の派遣ということをおっしゃっておられるわけでございます。
○峯山昭範君 これは二つ問題があるんですよね。一つは、「要員の派遣」の要員の中身にはやっぱり自衛官も含むんですか。
○説明員(大塚博比古君) 要員という言葉で——これは先ほど申し上げましたように、勉強会の過程でそれはいろんな形態の要員の派遣ということを検討いたしました。もちろん、その中には自衛隊の派遣ということも考えられる、将来考えられる態様としては触れたわけでございます。
○峯山昭範君 要するに、はっきり言いませんけれども、含まれるんですね。要するに自衛官の派遣もこの要員の中には含まれているということですね。
○説明員(大塚博比古君) 先ほど申し上げましたように、委員会の場では、その自衛隊の派遣も一つの検討課題であると、こういう認識は持っておりましたけれども、突っ込んだ議論には至っておりません。
○峯山昭範君 いや、その勉強会の中身を私は聞いているんじゃなくて、あなた方がまとめたこの報告を提出をしたわけですね。その報告の中身はあなた方、聞いていますと、この「要員の派遣」というのは自衛官も含まれるというふうに報道されておりますし、それであなたのいま答弁聞いておりましても含まれるというふうに感じます。当然そうなんですね。
○説明員(大塚博比古君) 先ほど私、大臣がおっしゃいましたナミビアヘの国連の平和維持活動への参加というものについては、これはいろんな要員があるわけでございますが、それとの観点では自衛隊の派遣ということは全然考えておりません。
○峯山昭範君 いや、ナミビアはこれは大臣が例でおっしゃっただけなんですよ。ですから、要するにこれは平和維持活動ですから、いろんな活動あるでしょう。少なくともあなた方の文章に出ているこの平和維持活動、「国連の平和維持活動への要員の派遣」という、この「平和維持活動への要員の派遣」の中身の中には、大きくとらえれば自衛官も含んでいるんですねと私は聞いているんです。簡単に答えてくださいよ。
○説明員(大塚博比古君) 将来予想されます国連のいろいろな平和維持活動に対する要員という場合に、その中に当然軍事要員というのも含まれているということはこれは事実でございます。
○峯山昭範君 この軍事要員も含まれているなんということになってくるとますますこれはえらいことでありまして、しかもその後の「平和国家として生存したいというわが国民の願いと決意を示す何よりの方途」であると、自衛官をそういうところへ派遣することがわが国が平和国家として生存したいという最大のいわゆる何よりの方途であるというのは、一体どういう考えなんですか、これ。
○説明員(大塚博比古君) 御承知のように、国際連合の第一義的な目的と申しますのは、国際の平和と安全の維持であることは申し上げるまでもございません。したがいまして、わが国は国連の加盟国としてその国際的な責任を遂行する必要があるわけでございますけれども、平和国家としての生存、繁栄を図っていく上で、わが国にとっても不可欠な世界の平和と安定のために積極的に協力する、具体的には、国連の第一義的な目的であります平和と安全の維持というものに対する国連の活動に協力するということは、これは当然のことだろうというふうに思います。
○峯山昭範君 私は非常にわからないんですが、いま三項を議論していますけれども、三項はあなた方の報告書の二項を受けているわけですよ、そうでしょう。「また、かかる観点から、」いま三項のこういう問題があると、こう書いておるわけですね。その「かかる観点から、」という二項は何かというと、「わが国としては、アジアを中心に世界各地における武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、早期解決のための努力を強化すべきである。」、要するに、ナミビアという問題もいまの問題も、これは平和的に選挙の監視とか、そんなのはそれはそれでいいでしょうけれども、実際問題としてアジアを中心にした世界各地の武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、早期解決のための努力を強化すべきである、そのためにいわゆる要員を派遣せにゃいかぬ、こうなっているわけやな、これ、文章の続きは。ちょっとやっぱり現在の日本の情勢あるいは現在の日本の憲法、そういうような観点から言いましても、とてもこれ納得できるような状態じゃないと私は思いますよ。
○説明員(大塚博比古君) ただいまの御指摘の点でございますが、私どもとしましては、この三項は、何も二項だけにかかっているつもりで書いたわけではございません。その前に一項というのがございまして、「わが国が真に平和国家として生存していくためには、単にわが国のみのことを考えるのではなく、グローバルな視野に立ち、国際社会の責任ある一員として、世界の平和と安定の維持、強化に積極的に努力すべきである。」、こう言っているわけでございまして、先ほど私が申しましたのもそういう趣旨でございます。また、さらにいま御指摘の第二点につきましても、よくお読みいただければ、これは「アジアを中心に世界各地における武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、早期解決」、これももちろんこの三項との関係ではわれわれの念頭にあるわけでございます。たとえば先ほどのナミビアの平和維持活動でございますけれども、これもこういった国連の監視のもとにナミビアの自治達成のために正当な国際管理を通じましてその民意が問われると、その過程においていろいろな、何というんでしょうか、スムーズにそういった選挙が行われるということを監視すること自体が、この二項に書いてございますその「アジアを中心に世界各地における武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、早期解決」の一環というふうにお考えいただいてよろしいんではないかと思います。
○峯山昭範君 部長ね、私は文章の専門家じゃないからわからぬけれども、あなたがいまおっしゃった一番目の問題は、大体これ総論ですよ、これ。総論としてこのとおりでしょう。そして、その一番を受けて、二番のその一環としてこのアジアの紛争の問題は書いてあるわけですよ。そうしてそれをかかる観点からこの要員の派遣というのがある、こうなっているわけです。これは要するに、あなた方は何を想定してこうおっしゃろうとしているのかわかりませんけれども、少なくとも現在の憲法の中で、要するに武力紛争に日本が巻き込まれないということもあるわけです。九条の中身を読んでいただても、いわゆるこの武力紛争をどういうふうに解決するかというふうな問題の中にも——あなた方憲法九条を一遍よく読んでもらいたいと私は思いますね、そういうような中でも、これはあなた方の部内の研究の勉強会の資料かもしれませんけれども、現実の問題として読んで見ますと、第九条「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と、こういうふうにありますように、その後もありますけれども、いずれにしても自衛官の派遣もあり得る、この中に議論された中身にあるということであったりしますと、またこれ大変ですし、またこの二項の問題そのものもこれは非常に重要な問題をはらんでいる。 これは官房長いらっしゃいますね——前の方へどうぞ。これ実際問題として官房長、本当は大臣いらっしゃって、大臣ともっと議論をしたいわけですけれども、どうしても大臣御都合があって出席できないようでございますが、これはやっぱり現在の、選挙が終わって自民党さんも何というのか議席がふえて、全体の路線が相当右寄りに行きつつある。そういうふうな時を同じくしてこういうものが発表される。しかもきょう、これちょっと時間の関係で全部できませんけれども、防衛庁も防衛白書を発表する。時を一にしてぶあっと出てくるわけですね、そうしてなし崩しにこういう問題を国民にPRするというのは、私は非常によくないと思うんです。そういうふうな観点から、やっぱりこういう問題についてはもう少し慎重に取り扱うべきであるし、文章の作成一つにしても私が納得できるような説明ではない。官房長はこの問題についてどういうふうにお考えなのか、また、これからの対処の仕方について一遍官房長の答弁をお伺いしておきたい。
○説明員(柳谷謙介君) 先ほど伊東大臣も答弁申しましたように、勉強会の結果、一年間大体勉強してこれをまとめようという時期がたまたまこの時期に当たったということで、ちょうど伊東大臣が来られましたので、大臣にも中身を詳しく申し上げるいとまはありませんでしたけれども、概要御説明して、それで各方面の御要望に応じてこれを発表した次第でございました。形式的には、そういう意味において勉強会の資料で正式な外務省見解ではない、これは大臣の申し上げたとおりでございますが、しかし御指摘のとおり、やはり外務省が一年間特にこの問題について勉強した結果であることは事実でございまして、各方面からのいろんな御批判あるいは御意見等はさらに詳しく私どもなりにまた勉強したいと思います。ただいまの峯山委員の御発言もあらためて大臣に報告いたしまして、今後さらに勉強を続けたいと思います。
○峯山昭範君 外務省結構です。 あと時間がなくなりましたので、防衛庁、いろいろとお伺いしたいことがたくさんあるんですけれども、まずこの防衛白書、いわゆる「日本の防衛」というこの本ですけれども、私、昔この防衛白書というのをもっと国会にどんどん出してもらいたい、国民にもちゃんとPRすべきであるということでずいぶん質問したことがあるんですけれども、最近は何か知りませんが、昔のあれとは大分違っていばって防衛白書を出すようになった感じでありまして、中身も相当変わってきているように私は思います。 そこで、まずこの防衛白書を読んで見ますと、いろんな問題がありますけれども、まず情勢判断、いわゆる「世界の軍事情勢」というのがまず一番初めに出てまいりますが、この軍事情勢、これをずっと読んで見ますといろんな問題があります。 そこで、いわゆる「この米ソの戦略核戦力は現在のところ全般的に見た場合ほぼ米ソ均衡状態にある」と、まずですね。そして、「ソ連の軍事力の増強は、西側諸国にとって米ソ間の軍事バランスについて真剣な再検討を迫るものとなっている。」、こういうふうな締めくくり方をしているわけであります。防衛庁はこういうふうな情勢判断をしていらっしゃるわけでありますけれども、こういうふうな情勢判断をされるいわゆる材料ですね、資料、情報、こういうふうなものは何を判断の基準としてこういうふうな情勢、世界の軍事情勢としたのか、ここら辺のところを一遍詳細にお伺いしたい。
○説明員(岡崎久彦君) 防衛庁の情勢判断の基礎資料という御質問と存じますが、これは一口に申しますと、諸般の資料を総合的に分析し、判断したものでございます。 その中で特に参考となりますのは、やはり米国、これが最も強力なる情報収集手段を有しておりまして、米国が収集いたしました資料、その他わが国みずから収集いたしました資料、それからまた公表するに当たりましては、これは各種の情勢判断と比較考量いたしまして、この判断が公正妥当なものであるか、それを検討する必要がございまして、これが「ミリタワー・バランス」でございますとか、そのような資料も照合しております。
○峯山昭範君 ソ連の資料はどこから来ていますか。
○説明員(岡崎久彦君) ソ連の資料は公表資料を中心に分析しております。
○峯山昭範君 どこが公表した資料ですか。
○説明員(岡崎久彦君) ソ連政府の公表した資料もございますが、これは従来必ずしも正確に実情を反映していないというのが世界の情勢分析の通念になっております。これを分析するに際しましては、これははなはだ伝統的に困難な技術があるのでございますけれども、西側諸国におきましてはかなり完成された技術がございまして、それを信頼して使っております。
○峯山昭範君 いや、私はこんなことを特別一々細かく聞かなくてもいいわけですけれども、今回の「日本の防衛」、いわゆる白書の中身を読んでみますと、ソビエトの軍事力の増強という問題が端的にうたわれているわけですね。そのわりには、あなたの説明を聞いておりますと、正確な資資料がどこから来ているかというふうなことは余りはっきりしないようですけれども、ここら辺のことはどういうことなんですか。もう少し、アメリカの資料については、アメリカからもらって、これは一〇〇%信頼してこうやっているんでしょう。そうですか。それで、このソ連の方の資料についてはもう一遍具体的に、たとえばあなたがそこでいま言える資料、西側のいつ付のこういう資料、何か一つでも言えるものがあったらおっしゃっていただいて、一遍ちょっと説明していただけますか。
○説明員(岡崎久彦君) ソ連の軍事体制につきましての最も基本的な資料はソ連の予算書でございます。そのソ連の予算書の中におきます軍事費用はどうなっているかということが最も基本的でございますが、これはソ連革命以来の分析家の一致した見解でございますけれども、これは決して実情を反映していないということになっておりまして、これに対しましてはいろいろ算定の方法がございます。学者による算定の方法もございますし、それからこれは非常に高度の情報手段を持っておりまして、即物的に数えるという方法もあるようでございます。これらの資料を総合いたしまして、また、ある程度日本周辺の軍備につきましては日本自身これを算定する手段も有しております。これらを総合いたしまして結論を出しております。
○峯山昭範君 やっぱりいまお伺いしておりますと、もう少しぼくは正確な何か資料があるのかと思ったら、ソ連の予算を分析して云々という話もありましたけれども、これもその予算は正確に反映していないということですし、それは全然あかんということですよ、言うたらね。それで、そのほかのいろいろなあれをしましても、いずれにしてもソ連の軍事力というのは正確には把握できないんじゃないか。そしてその大部分が推定じゃないか、そんな感じが私はするんですけれども、ここら辺のところは、それは私から言えばそういうことになりますけれども、あなたの方から言えばもう少し正確かもわかりませんが、そこら辺のところはどういうことなんですか。
○説明員(岡崎久彦君) これは結局は推定でございますけれども、われわれから考えましても必ずしも非常識な数字とは思っておりません。たとえばソ連がGNPの一一ないし一五%を使っている、これもわれわれとしては大体そうであろうと思っております。そうであろうと思う根拠といたしましては、これはそれぞれの国が持っております兵力の数を考えれば大体のものが出てくるわけでございまして、ソ連と日本がGNPが大体同じぐらいであると考えまして、ソ連がどのくらいの量の兵力を持っているか。そういたしますと、師団の数で申しますと百七十三個師団でございますから十数倍、人員はこれは非常に大きな予備兵力を持っておりますのでちょっと算定が困難でございます。航空機の数も大体十数倍と考えてよろしいと思います。それから海軍艦艇も、ソ連海軍五百万トン、わが海上自衛隊二十万トン、これはまあ二十倍以上。それから戦車、火砲等の数は、これはもう数十倍に達する量を持っております。 それから、われわれの持っておりません戦略兵器、これは非常に高価なものでございますが、それも非常にたくさん持っております。ただ、ソ連は日本よりもはるかに廉価には製造しているであろうということはわれわれ十分想像できるのでありますけれども、これはGNPのフローの問題とそれから蓄積の問題がございますけれども、長期間にわたって同じようなパーセンテージを使っているとしまして、大体同じ程度のものを使っていると考えますならば、大体各国が推定しております一一ないし一五%、わが国はGNPの〇・九%でございますけれども、十数倍の金を使っているということは決してこれは非常識な数字じゃない、非常識でなければそれで判断上間違っていないと思います。
○峯山昭範君 いや、私は、要するに必要以上にソ連の軍事力をオーバーに評価して、そして結局それをてこに防衛費の増大という問題を図っている、そういう感じが実際問題としてする、その点を指摘したいわけです。 といいますのは、あなたは米国の資料については米国からというふうにおっしゃっておりますけれども、ことしの七月の米国議会の調査局のまとめた米ソ軍事バランスというそういう報告書があるんだそうですが、それによりますと、要するにソ連の力を過大視する、そしてソ連脅威論の誤りを批判しているわけですね。 そして、この問題について調査報告書の中身によりますと、要するにいま局長のおっしゃったとおりでしょう。でしょうが、たとえば地上軍については、中国にとって懸念の対象となるが、他の国に向けて転進させるのは地形上困難であると、日本にとりましてはですね。空軍力については旧式なものが多い。それから海軍力については、日本海、オホーツク海とも封鎖が容易で、ソ連側からの大規模な敵前上陸も不可能に近い。そして補給については、大規模な長期戦を支えるには全く不十分。こういうふうな分析をアメリカの議会がやっているわけですね、これはもう御存じだと思いますが。そして将来の極東の展望はソ連に有利に見えるため、同盟国——これは日本のことを指しておるわけですけれども、同盟国でさえ極東での米国の力を過小視し、ソ連の力を過大視してみずからを脅かしていると批判をしている。 これはこういうふうな資料が私の手元にもあるんですけれども、こういう点から見てみますと、あなたが先ほどおっしゃった世界の軍事情勢、いわゆる日本の防衛白書の中にある「世界の軍事情勢」の中身とはちょっと食い違っているように思うんですけれども、ここら辺のところはどうですか。
○説明員(岡崎久彦君) 御指摘の報告書と申しますのは、新聞に報道されましたいわゆるコリンズ報告であるというふうに承知いたします。コリンズ報告は実はまだ公表されておりませんで、私ども内容の概略は承知しておりますけれども、最終的に公表をされてからコメントするのが正確というふうに存じます。ただ、われわれが承知している限りの内容におきましても、新聞の報道というのはコリンズ報告の中のソ連の能力を過大評価する面だけをかなり部分的に取り上げたと、そういう感じがいたします。たとえば、われわれの承知しております限りにおきましては、ソ連の極東の軍事力につきましては、量を比較いたしまして量は圧倒的にソ連が多いということをまず前提に書いております。その後に、しかし三海峡であるとかそういう地理的な制約もあると、それからまた質的な意味ではアメリカも若干強いということで、米ソは大体均衡していると言っていいのではないかと、そういう言い方になっておりまして、ただ、新聞の報道は地理的制約があるとか質的にすぐれているという部分が非常に強く取り上げられまして、その前提になっております量的に圧倒的に弱いと、そういう部分がはなはだ少なくなっております。それから飛行機の旧型等の、これは最終的に見ないとわからないのでございますけれども、記述には多々われわれの判断では不正確な点があるようでございます。 われわれがいままで入手している限りにおきましては、われわれは自信を持って防衛白書の方が正確な内容を伝えていると、これは別に過大でも過小でもなく、きわめて客観的な事実を述べていると、そう確信しております。
○峯山昭範君 もう時間ございませんから端的に申し上げますが、過大評価でも過小評価でもないと。それはそうでなきゃいかぬわけです、実際問題として。しかし、先ほど申し上げました結論の部分ですが、「ソ連の軍事力の増強は、西側諸国にとって米ソ間の軍事バランスについて真剣な再検討を迫るものとなっている。」と、こういうようになっているわけですけれども、これは一体あなた方は何を言わんとしているかということです。要するに、ソ連の軍事力の増強というのは、西側諸国にとって米ソの軍事バランスがアンバランスになってきつつあるから西側諸国は再検討すべきであると、再検討を迫っていると、こう書いてある。あなた方は要するに、西側諸国は何をどういうふうにすべきだと言いたいのか。より軍拡あるいは軍事同盟というか、アメリカを中心にした西側陣営の同盟の強化が必要だということなのか。そして、さらには日本も西側諸国の中に入っているとあなた方は考えているのかどうか、これも含めまして。
○説明員(岡崎久彦君) 情勢判断というものはあくまでも客観的でなければいけないものでございまして、申し上げましたのは、ただ現在の世界情勢が客観的にそうなっていると、つまり、事実問題といたしましてソ連と西側との戦力の差が非常に近づいている、これも事実でございます。これも数字につきましてはまさに客観的な事実でございまして、それが西側諸国の対応を迫っていると、現に西側が対応を迫られまして、三年前からNATOの会議におきまして——NATO諸国はいま経済成長率がはなはだ低いんでございますけれども、その中で毎年実質三%の増強をするという対応措置をとっております。米国は、本年の予算におきましては実質三%以上、来年以降は四光以上の増強をするという方針を固めております。かかる状況を客観的に申し上げたのでございまして、それについて日本がいかにするか、その問題につきましては事実を御紹介いたしまして国民に問いかけていると、それが白書の情勢判断の全部でございます。
○峯山昭範君 私の質問はきょう時間がございませんのでこれで終わりますけれども、いずれにしましても、やはり防衛当局としましてはこの白書の中身、考え方というのは相当変わってきているというのも私は事実だと思います。少なくとも、初めてこの防衛白書を出した当時は相当慎重に書いておりましたし、また中身につきましても特にこの防衛力の増強の問題あるいは限界の問題等の書き方、こういう点についてもずいぶん変わってきております。たとえば、「防衛力の限界」につきましても、第一回の防衛白書では、国力国情に応じ、自衛のための必要な限度において、社会保障、教育など適切な調和を保ちつつ、効率的な防衛力を漸進的に整備する。こういうふうになっていたわけです。ところが、最近はそういうふうな各分野とのいわゆる調整を図りながらというふうな、この分野はもう全く放棄された感じで、結局、そのほかの福祉とかいろいろなものは切り捨てても防衛だけはがっちりやりたいと、そういうふうな、何というか防衛力増強という感じの考え方が相当強いわけだ。そういうふうな意味ではそれであってはいかぬのでありまして、やっぱり防衛の問題については国民の協力がなけりゃいかぬわけです。 そういうふうな意味で、防衛力の増強という問題は、第一回の白書の中にもありましたように、少なくとも社会保障、教育などとの適切な調和を保ちつつ、効率的な防衛力を漸進的に整備していく、これは第一回の防衛白書の中にあったわけですから、そういうふうな意味ではそういうふうな方向で防衛力の整備というのを考えていっていただきたいと私は思います。この点につきましては政務次官お見えになっておりますので、御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(山崎拓君) お答えいたします。 防衛力の整備につきましては、これは国民のコンセンサスを得まして今後増強していかなければならないことはもちろんでございます。 それから、先生の御指摘のように、国の安全保障は単に防衛力の増強だけでかち得られるものではございません。外交的な努力も必要でございますし、内政の安定も必要であります。総合的な見地から整備せられていかなければならないことはもとよりだと、先生の御指摘のとおりだと存じます。
○安武洋子君 私は、ナイキ部隊の増強問題について質問いたします。 ことしの三月六日の衆議院予算委員会の第一分科会ですが、ここでナイキ基地建設に関しまして、関西地域の第四高射群の西の方にすき間ができている、一個高射隊を置きたいというふうにおっしゃり、その中で、地域については京阪神の西側三田市を含む一帯の地域で、面積は七十万平方メートルから百万平方メートルの土地一カ所と、それをいま内部的、事務的に詰めているというふうに答弁なさっていらっしゃいます。この候補地については内部的、事務的にもう詰まって決定したのかどうかということをお伺いいたしとうございます。
○説明員(多田欣二君) 基本的には三月の六日に御答弁した状態が変わっていないということでございます。現在もなお事務的に検討をしている、こういうことでございます。
○安武洋子君 では、いつまでに決定をなさるおつもりなんでしょうか。
○説明員(多田欣二君) 予算の分科会でも申し上げましたように、五十五年度に用地取得費の一部を実は準備をしてございます。予算には繰り越しという問題もございますけれども、年度内に執行するのが本筋でございますので、その予算執行ができるような時期にできれば決めたい、こういうふうに考えております。
○安武洋子君 予算執行ができる時期ということになりますと来年度の三月までというふうになりますが、その候補地を決定しようとなさる中に、いま現在も三田市というのは含まれているわけなんでしょうか、お伺いいたします。
○説明員(多田欣二君) 三田市と申しますのは、予算の分科会で私どもの方から発言をしたわけではないわけでございます。私どもが申し上げましたのは京阪神地区の西側ということでございまして、その地域に決めたいということを申し上げましたところが、御質問者の方で三田市は入っていない、だろうなという念押しがございましたので、それを受けて、私ども申し上げる京阪神の西側の地区の中には当然——三田市というのは神戸のすぐ近所というふうに理解をしておりますので、三田市を含む一帯の地域である、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○安武洋子君 では、おたくたちがこのミサイル基地を取得されようとしているわけですけれども、そういう基地としての条件というのは一体どういうものをお考えなんでしょうか。ここの三月の分科会においては、複数の土地を選定すると、そして比較考量すると、それで一カ所にしぼるというふうな御答弁なんです。どういう点を一体比較考量なさるんですか。どういう条件を満たせばいいんですか。その点をお伺いいたします。
○説明員(多田欣二君) これは比較考量すべき事項はたくさんございます。これは分科会の段階でも申し上げたんですが、われわれ事務的に基地を決める場合に、基地としてどういう性格のものかというのがまず第一番にございます。問題になっておりますのはナイキの基地でございます。そうしますと、一体何を守るべきかという問題から始まりまして、守るべきものはたとえば大阪、神戸、京都といったような大都市、あるいは工業地帯、港湾、こういうものが守られるべき対象でございますから、いわゆるナイキの射程の有効範囲の中でそれが有効に守れるかというような問題から始まりまして、たとえば部隊を置くために必要な地積があるかというような問題、地積につきましても、ナイキは御承知のようにレーダーで誘導する兵器でございますから、レーダーの見通しがどうなるかというような問題なども含めまして、部隊を入れる地積があるかどうかというような問題から、そういう物理的な問題のほかに周辺地域の事情と申しますか、そういう問題も含めまして複数の候補を検討していくわけでございまして、そういういろいろな条件を比較考量した上でどこが一番適当かということで、最後的に一カ所にしぼった上でそれから具体的な交渉を始める。現在はまだそういう複数の候補を比較考量している時点でございまして、一カ所にしぼって交渉を始めるというような段階には至っていない、こういうことでございます。
○安武洋子君 では、その複数の候補地は一体どことどこなんですか。どことどこをいま比較検討なさっていらっしゃいますか。
○説明員(多田欣二君) 三月の予算の分科会でも申し上げたわけでございますけれども、基地問題と申しますのは大変微妙でございまして、われわれが何事かを事務的に企図をしているということが漏れました場合には大変騒ぎになるという事例がたくさんございます。したがいまして、現時点で阪神地方の西側の広い地域の中で一カ所欲しいということ以上に、具体的に何町の、あるいは何市の何付近というような具体的な固有名詞を挙げるのは御勘弁をいただきたいと思っております。
○安武洋子君 すでに漏れているからこそ先ほどから私が名前を挙げている三田市では、大きな——騒ぎになったら困るとおっしゃいますが、もうすでに騒ぎになっているわけです。これは私が二月に交渉もしてその中でも申し上げておりますけれども、山下元長官が一昨年すでに三田市が候補地になったときにはよろしく頼むというふうなことを言われ、そして具体的に地名の挙がっている母子地区とか乙原地区とか、そこでは部落長がそういう話をすでになさっていらっしゃるというふうなことで地元ではもうすでに大きな騒ぎになっている。ここで騒がれて困るなら、三田市は入っておりませんということを明言していただかないことには騒ぎはおさまらないわけなんです。それか、ここのところとここのところ、いま複数の地名を挙げて検討しておりますということを明言なさるかどちらかでなければ、すでにもう地元でおたくが憂慮なさっているような事態が起こっている。その責任はとっていただかないといけないと思うのですが、その点はいかがですか。
○説明員(多田欣二君) ただいま申し上げましたように、三田の一部でそういううわさが出ているというようなことは新聞その他で私どもよく承知はいたしております。しかし、先ほど来申し上げておりますように、私どもとしてはまだ一カ所に候補地をしぼり切った時点ではございませんし、正式に——まあ正式にと申しますか、地元と交渉を始めたわけでもございません。いま検討している固有名詞を具体的に何カ所か挙げるということは、これは現段階においては御勘弁をいただきたいというふうに思います。
○安武洋子君 では、その地名を挙げなくても、三田は含まれていないという御答弁はいただけますか。
○説明員(多田欣二君) 三月の予算の分科会でも申し上げましたように、三田市を含む阪神地方の西側一帯の地域の中で欲しいということで検討をしておる、現在ではそれしか申し上げられません。
○安武洋子君 防衛庁はそういうふうなあいまいな態度をおとりになる。地元では、すでに山下元長官が再度にわたって、三田市が候補地になったときにはよろしく頼むというふうにおっしゃっていらっしゃる。あの三田市の中で大きな危惧が広まるのはあたりまえのことなんです。 この三田市というところはどういうところかと申しますと、御存じだろうと思いますけれども、これは将来住宅学園都市を目指しているところです。ですから、いま人口は三万六千人ですけれども、ここには大規模な北摂ニュータウン建設という計画を持っているわけですね。ですから、数年後には二十万人になろうかという、こういう都市発展を目指しているところにナイキ基地などを持ってくると、ここの三田市の発展を阻害するということははっきりしているわけです。そして地元の方でも最初は基地建設、そういう声があったときには周辺整備に期待を持った人もなるほどおります。しかし、いまは事態が変わっております。いろんなことをみんなが知る中で、これは地元には何のメリットもない、大変なことだと、こういう学園住宅都市、将来そこを目指している、そしていまも静かな山村です。そして中都市です。こういうところにナイキ基地が来るというふうなことを考えれば、長い目で見れば本当に危険なものを持ち込まれてしまう、これは大変だということで大きく反対の声が盛り上がっているわけです。 私は、あなたたちがナイキで態勢でも経験なさったように、住民が要らないというものをそこに持っていくということは本当に大変なことなんです。私は、住民がいま何よりもこういうものは要らないという声を上げている、ここに絶対にナイキ基地は建設しないという、そういうことをぜひ心に銘記をしていただいて、三田にはナイキを持っていきませんということを明言していただきたい。いかがですか。
○説明員(多田欣二君) 先ほど来、山下大臣のお話が出ておりますが、私の着任前でございますので、実は山下大臣にも確かめたわけでございますが、これは前の三田の市長さんが山下大臣と大変お親しい間柄にあって、昨年の四月ごろの話だそうですが、たまたま防衛庁に訪ねてこられた。その際に、当時大臣としては阪神地区のナイキの問題が頭にございましたので、大変雑談的に、どこかいいとこないか、あれば頼むよというようなお話はされたようでございますが、正式にお願いをしたというような性格のものではないというふうに伺っております。 それから、三田に持ってこないことを明言せよということでございますが、私ども防衛上るる述べておりますように、阪神地区の西側の地区はいわゆる防空体制上欠陥があるというふうに考えております。京阪神地区を担当しておりますナイキの部隊は、御承知のように第四高射群でございますが、岐阜と饗庭野と三重県の白山に部隊がいる。京阪神の東側地区はカバーしておりますけれども、西側地区にはなかなかその能力が及ばないということで、京阪神地区の西側にもう一個隊どうしても部隊を持ちたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 また、すでに十九ぐらいのナイキ部隊を全国に持っておりますけれども、先生御承知のように、ナイキ部隊はたとえば東京周辺では武山でございますとか、習志野でございますとか、入間でございますとか、そういう人口密集地と申しますか、そういう中にもございます。最初の設置の際には多少地元にも問題がございましたけれども、設置された後は地元の発展を阻害するとか、いわゆる公害を出すとかいわゆる基地問題と申しますか、そういう問題は一切起こしておりません。地域の発展とナイキの部隊というのはわれわれは両立し得るものだというふうに考えております。われわれの御説明が十分でないので、そういういろいろ疑問も出ていると思いますけれども、われわれとしては一カ所候補地を選定した時点で、地元の皆様にも十分御納得をいただくような説明を繰り返しまして設置に向けて努力をしていきたい、このように考えております。
○安武洋子君 いま、山下元長官が雑談でおっしゃったと、雑談で地元を大騒ぎさせるような行為については一体どうお考えなのかという点を一点聞きとうございます。いかに前任の長官であろうと、こういうことで雑談で地元に大騒動を持ち込んでいるというふうなことについての、本当に政府としてどういうふうに考えていらっしゃるのかということが一点です。 それから、阻害をしないということを防衛庁の方から一方的におっしゃるけれども、学園住宅都市を目指しているところにナイキ基地というのはいかに何でもこれは不似合い過ぎます。そして、こういうものが二十万都市を目指し、学園そして住宅都市、こういうものを目指している都市の目的を阻害するということはだれが考えても明らかなわけです。そして何よりも一番大事なことは、住民がそういうものは要らないと言っている。何よりも住民がそこの土地の主人公なはずです。その住民の意思を無視してこういうものは断固持ち込むべきでない、そのことは私は強く申し上げます。
○説明員(多田欣二君) 山下元大臣の発言、軽率ではないかというお話でございますが、これは大臣としては、阪神地区の西側に高射隊を一個隊置きたいという御希望が頭の中にあり、たまたまそういう地域の親しい市長さんが訪ねてこられたと、どこかいいところないかなということを雑談的に言われたわけでございまして、別に三田市のどこを意図して具体的にお願いをされたわけではない、そういうことはあり得ることだというふうに私どもは考えております。 それから、学園都市の真ん中にということでございますが、われわれとしては、地域の住民の皆様の御意向ということも十分尊重しなければいけないとは思っておりますけれども、やはり日本全体の防衛、特に京阪神地区の防空体制ということを考えました場合に、私ども防衛庁の立場は、国民の皆様からとにかく国を守れという任務を付与されておるわけでございまして、任務達成のためにはそういう地域にそういう部隊が要ると。今後具体的に候補地が決定しました場合には、周辺の住民の皆様も含めて十分その必要性等につき御説明をした上で、御理解と協力を得た上で、ぜひ進めさしていただきたい、このように考えております。
○安武洋子君 国を守るためにこれが必ず要るというのは、それは防衛庁の一方的な見解です。私どもはそれは間違いだと、こういうものがあるために非常に危険があるというふうに思います。そういう立場を一方的に押しつけて、住民が反対しているにもかかわらずその地域に持ち込むと。で、いかにも三田市を除かないというふうないまの一貫した御発言がありますけれども、私は事三田市に関して、住民が反対をしていると、そして三田市の発展を阻害する、どんなことがあってもこのナイキ部隊の基地を三田につくるというふうなことは断固反対であると強く申し添えまして、そのことを心に置いていただくということで今後事を進めていただきたい、それを申し添えまして、残念ながら時間が来たので、ここで私の質問を終わります。
○伊藤郁男君 私は、最初にわが国の防衛に関しまして基本的な問題についてまず見解をただしておきたいと考えているわけであります。本来ならば大臣にお伺いをしたいわけでありますが、本日はどうしても出れないというので政務次官で結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。 それは、わが国に対する侵略を防止する大きな力は何かと、こういうことでございます。私は、防衛論議の最初に出てくるべきものは、まず何を守るかと、こういう国益を決定することではないか、こういうように考えております。そこで、わが国が守るべきものは、これはもう御承知のように自由と独立であり、それなくしてまた国家の存立もあり得ないわけであります。したがって、これを侵す者に対しましては決然として立ち向かう、このような国民的気概あるいは国民的決意というものが侵略を防止する大きな力、すなわち抑止力であると、こういうように考えますが、どのような御見解でございましょうか。
○説明員(山崎拓君) 先生のお話のとおり、わが国の守るべきものは、もとより日本国民の生命と財産であり、自由と独立であると考えます。また、それを守り抜きますためには、国民の国を守る強い意思というものがなければ守り抜けないのであるという点につきましては、先生の御指摘のとおりであると考えます。
○伊藤郁男君 ところで、ことし一月三日付の朝日新聞の世論調査、これの結果によりますと、外国の軍隊が攻めてきたら一体どうするか、こういう質問に対しまして、戦うと答えた者はわずかに三一%、逃げると答えた者が二一%、降参すると答えた者が二三%、その他と、こういうようになっているわけでございます。この国民の防衛意識というものは各国に比べますと大変低い、こういうように判断をされるわけでございます。ちなみに、これはもう古い調査ではありますけれども、いまもそう変わってないと思うので参考までに申し上げますと、外国の例でございますけれども、国が侵略されたときに、そのときに率先して戦うかと、こういう問いに対しまして、はいと答えた者がフランスでは八〇%、アメリカでは六〇%、西ドイツでは五八%、こういう結果が出ているわけであります。フランスがこのように防衛意識が高いというのは、やはり世界の文化の中心がフランスにあるという、そういうようなことから出てきておるのではないかと、こういうように思うわけでありますが、そこでわが国の国民の防衛意識の低い原因、これについて一体どういうように考えておられるか、御答弁をいただきたい。
○説明員(山崎拓君) ただいま先生が紹介されました朝日新聞の世論調査につきましては、私も承知をいたしております。これを見ますと、ただいまのお話のとおり、戦うという意思を示しました三一%に対しまして、逃げる、降参する合わせまして四四%に上っておりますことは大変遺憾な感じがいたすわけでございます。ただ他方、五十三年十月に行われました総理府の世論調査によりますると、何らかの方法で抵抗すると答えた者が六四%いるのでございます。また、五十五年三月の読売、ギャラップの日米同時調査によりますと、五四%の者が何らかの方法で抵抗すると答えておるのでございます。ただこの場合、アメリカでは八三%に上っておりますので、これは先生がお挙げになりました西側先進諸国の国民意識と共通をいたした数字が出ておるわけでございます。したがいまして、アメリカに比べますと確かに低いということが言えようかと思いますが、この調査、ただいま申し上げました二つの調査から見ますと、逃げる、降参するといった答えをいたしました者に対しまして、抵抗の意思を明確に示しましたパーセンテージがはるかに大きいわけでございます。 以上のようないろいろな世論調査があるわけでございますが、確かに国民の国防意識というものは決して満足すべき状態ではないという点は、先生の御指摘のとおりであろうかと思います。 そこで、御質問のなぜそうなっておるかということでございますが、一つは、わが国が周囲を海に囲まれておりまして、外国からの侵略に対する脅威を西欧諸国のようにはだで感じることが少ないという地理的な環境があろうかと存じます。さらに、第二次大戦による戦争の悲惨、特に唯一の核被爆国といたしましての惨禍を経験をいたしましたことによります戦争に対する特殊な感情等もあろうかと思います。そういう点を考慮すれば必ずしも一概に低いものとは言えないと思いますけれども、要は外国の侵略に対しましてわが国を防衛するに当たりましては、国民の広い支持と協力がない限りにおきまして自衛隊がその任務を達成することは不可能でございます。防衛庁といたしましては、今後とも国民の間に広く国を守る意識、気概が定着いたしますようになお一層の努力をしてまいりたいと考えております。
○伊藤郁男君 国民の防衛意識の低さにつきましては、さまざまな理由を挙げられておられるわけでありますが、私は、その中で指摘をされていない問題について一つだけ指摘しておきたいと思います。 それは、これまでの政府の態度に大きく原因をしているのではないかということであります。それはどういうことかといいますと、悪いことはできるだけ国民に知らせないでおこう、こういう意識が強いのではないか、知らせると、いたずらに国民を刺激して危機感をあおることになって、そしてこれがかえって他の国の警戒を呼び起こすことになる、だから余り悪いことは知らせないでおこうという、そういうような政府の態度が原因をしているのではないかと、こういうように思われるわけであります。たとえば最近、この防衛白書でも明らかにされておりますけれども、日本の周辺におけるソ連軍の動きがにわかに注目を浴びるようになってきておりますけれども、しかし、ソ連軍の動きが激しくなったのは最近のことではなくてかなり前からのことであります。それにもかかわらず政府は、今日までの国会論議の中においても明らかなように、日本の周辺の情勢にはさしたる変化はないと、したがって、日本の防衛体制を変更する必要がないことを強調してきたはずであります。やっぱり知らしむべからず、よらしむべしという古い意識、これが依然として残っていることにほかならないと私は考えているわけであります。 私が申すまでもありませんが、民主主義の基本は、国民一人一人が考えることであって、国防についてももちろん同様であります。したがって、私は世界の情勢について、客観的な情勢を積極的に政府が国民に知らしていく、このことが国民一人一人の意識を高めていく、固めていく原因になるのではないかと思いますけれども、その点についてどう考えますか。
○説明員(山崎拓君) 今日までの政府の態度について言及されましたわけでございますが、その点は先生の御判断にお任せをするといたしまして、やはり先生の御指摘のとおり、国際情勢につきまして、あるいはまたわが国の周辺に存在する潜在的脅威等につきまして、国民に正確な情報をもたらすということは当然政府の責務ではなかろうかと考える次第でございます。今回出されました防衛白書がそのような役割りを一つ果たすべきものと考えておる次第でございます。
○伊藤郁男君 時間がございませんので問題を進めますけれども、奇襲対処問題についてお伺いをしておきたいと思います。 今回の防衛白書でも明らかにされておりますけれども、わが党は、この防衛白書そのものについては一定の評価を与えるのにやぶさかではありません。 第一点は、わが党がこれまで指摘をしてまいりましたように、ソ連の脅威ということにつきまして具体的に指摘をしている点であり、第二は、自衛隊の欠陥を政府レベルで具体的に初めて指摘したことである、こういうことで一定の評価を与えるのにやぶさかではありませんけれども、しかし自衛隊の最大の欠陥であると言われております奇襲対処能力の欠如についてどのように改善していくか、こういうことにつきましてはただ検討すると、こういうようにあるわけでありまして、明確な方向が何ら示されていません。 そこで、次の点に関し質問をしたいと思います。明確に、簡略に御答弁をいただきたいと思います。 それは第一は、第二次大戦後世界で六十数カ国の武力紛争が行われているのでありますけれども、これらの紛争はいずれも奇襲で始まらなかったものはない、堂々と宣戦布告をして始まった戦争はなかった。この歴史的事実を政府は認められるかどうか、端的にお答えをいただきたい。
○説明員(岡崎久彦君) 突然の御質問でございまして、六十三のケースにつきましてそれぞれが奇襲であったかどうであるか確認するすべもございませんが、われわれの存じております限りでは、たとえばアフガニスタン侵入事件、チェコ侵入事件、いずれも武力介入の形は奇襲であったと存じております。
○伊藤郁男君 私は、すべての紛争は奇襲で始まらなかったものはない、こういうように考えております。 そこで、お伺いをしたいんですが、たとえばソ連の軍事戦術として奇襲が重要な要素になっているという見方がございますけれども、防衛庁の見解はいかがでございましょう。
○説明員(塩田章君) 一般的に軍隊というものは、ソ連の軍隊に限らず、相手方を攻撃しようとする場合に、通常、奇襲の方法によろうとすることは当然でありまして、ソ連の軍隊もまた当然そういう面を持っておると思います。その中でも、特にソ連の軍隊はそういった面を重視しておるということも言えるかと思いますが、軍隊というものは一般的にそういうものであろうというふうに私は思います。
○伊藤郁男君 そういうことになりますと、わが国ももし侵略を受けた場合に、奇襲を受ける可能性があるということを認められるのかどうか、端的にお答えいただきたい。
○説明員(塩田章君) 可能性はあると思います。
○伊藤郁男君 そういうようなはっきりした御答弁をいただいたのは一歩前進ではないかと思うんです。それはなぜかというと、いままで政府は国会答弁の中で、いまのような情報の発達している世の中で、日本国民がある日日を覚ましたら、突然北海道に外国の軍隊が上陸してきたということはあり得ないと、したがって奇襲はないんだと、あるいはまた防衛白書、今回の三の五十四ページにもありますけれども、「一般に奇襲攻撃は国際情勢が逐次緊迫の度を加えるといった状況の中で起こり得ると考えられることから、その何らかの兆候は各種の手段によって情報を収集することにより、ほとんどの場合事前につかみ得ると考えられる。」、だから奇襲はないんだと、こういうように判断をされておりますけれども、それでよろしゅうございますか。
○説明員(塩田章君) 先ほど、端的に可能性を聞かれたものですから、可能性としてはあると申し上げましたが、いま先生防衛白書の記述でも御指摘なさいましたように、現在の情勢は逐次情報収集、通信機能というようなものが発達しておりますから、いわゆるある日突然の奇襲というようなことが、そういう可能性が減ってきておることは間違いないと思います。そういう意味で防衛白書の記述のとおりだと思いますが、全然ないのかと言われた場合に、ないと言い切るわけにはいかないという意味で先ほど申し上げましたので、その点を御了承賜りたいと思います。
○伊藤郁男君 奇襲というものの解釈でございますけれども、奇襲というものの解釈については、政府のいろいろな発言から見ますと、気がつかないときに突然やられると、こういうのが奇襲であるというように解釈をされているようでございますけれども、そういうように理解してよろしゅうございますか。
○説明員(塩田章君) 一般的に奇襲という場合は、いまおっしゃいました気がつかない場合にやられるというだけではございませんで、気がつかない、予想していない地点を攻撃されるということもありますし、それから予想した以上の兵力で攻撃を受けるということもありますし、奇襲という場合にいろんな要素があります。その中で、いまおっしゃいました時期ですね、予想しない時期に攻撃を受けるということも奇襲の一つであり、奇襲はいま申しました地点、時期、手段、方法、規模、そういったことの組み合わせで実際の奇襲というのは行われるというふうに考えております。
○伊藤郁男君 奇襲があり得るし、わが国の場合にはそういう奇襲を受ける場合もあり得るということは再三御答弁をいただいているわけでありますけれども、その気がつかないときに突然やられるというような場合に、一体総理大臣の自衛隊法七十六条による防衛出動命令というものが間に合わない場合もあり得ると、こう解釈をするのが至当であり、自然のように思いますけれども、その点はいかがでしょう。
○説明員(塩田章君) これも過去しばしばお答えを申し上げているわけですけれども、理屈の上ではあり得ると、それをなるべく少なくするということが防衛力整備の問題であるというふうに私どもは考えておるわけであります。
○伊藤郁男君 私は、少なくするとか、奇襲がほとんどの場合あり得ないというように、いままではそういうような解釈があったわけでありますが、私に言わせれば奇襲というものは一〇〇%あり得る、侵略を受けたときは一〇〇%奇襲によるものではないかというように思うわけでありますけれども、その場合に防衛出動命令というものはほとんど間に合わないということになるわけであります。 そこで、わが党がかつてからもう主張をしているように、出動命令が間に合わないときに奇襲を受けた、そのときに現地の自衛隊が勝手に行動することはできない、こういうたてまえになっておるのであります。その点について法の整備を必要とするのではないか、こういうことを主張をし、今回の白書の中でも検討をすると、こういうように明らかにされているわけでありますが、どのように検討されていつごろ結論を出されるのか、お答えをいただきたい。
○説明員(塩田章君) いまおっしゃいましたように、検討を重ねておるわけでございますが、法の欠陥があるとすれば当然それは埋めなきゃいけないということで、ただし、シビリアンコントロールの原則といったものと、それから、先生がおっしゃいますように、もし奇襲を受けた場合には、現地の自衛隊の部隊の、自衛隊であります以上は部隊行動という原則がございますから、その部隊行動の原則との兼ね合いということでどういう法的な整備を図らにゃいけないかというようなことはいま検討をいたしております。ただ、いまいつごろにできるかというお尋ねでございますと、ちょっとまだ時期を申し上げる段階までいっておりません。と申しますのは、まず一つは、私どもがいまやっておりますことは、先ほど言いました情報収集等の機能を強化することによりまして奇襲を受けないようにするということがまず第一、それからもし奇襲を受けた場合に、通信機能なり何なりを整備しまして、何といいますか、実際の対処の即応能力について向上を図っていくというその体制の整備、これは現に防衛マイクロ回線でありますとか中央指揮所の建設でありますとか、逐次進めております。また、いまから進めようとしております。それとあわせていまの法整備の問題があるわけでございまして、そのうちの最後の法整備の問題につきましては、先ほど申し上げましたような観点からなお検討させていただきたいというふうに考えておりまして、その時期をいまいつごろまでにできるというようなことは申し上げられるまでに至っておりません。
○伊藤郁男君 最後に要望。 お答えに私は満足をするわけではありません。したがって、シビリアンコントロールを絶対に崩さないというそのたてまえを守る、このことが必要であると思いますし、したがって、速やかに私どもが要求する法の整備、一体対処する場合にどうすべきかということを速やかに検討して結論を出していただきたい。これを要望をいたしまして、終わります。
○委員長(林ゆう君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十五分散会