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92回国会衆議院1980/08/19

外務委員会 第2号

発言数
192
登壇者
11
会派数
6
開催日
1980/08/19

会議録

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。

石井一自由民主党

○石井委員 伊東外務大臣は、就任されて最初の外遊に東南アジア、南西アジア等に出かけられ、中国に出かけられる。アジアの一国としてまずこういう方面にお出かけになる外交姿勢というものをわれわれは評価いたしますが、この計画に対します所見、これについて簡単に一言お答えをいただきたい。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまの先生の御質問でございますが、どこへ行くかということ、いろいろ考えがそれぞれあるかと思いますが、実は九月には国連総会がございまして、国連に出席を予定されておるわけでございます。その前にひとつ東南アジアあるいは南西アジアの国々をと思って計画をつくったのでございます。  外交問題、いろいろございますが、考えてみますと、アジアの問題というのは非常にむずかしい問題がございますし、また日本としましては身近な問題があるわけでございます。それで、私は前大平総理大臣にも、ASEANをなるべく早く回りましてアジアの皆さんの考え方も聞き、日本の立場を説明することが必要じゃないかということを言っていたのでございますが、前から私はそういう考えでございまして、今度はASEANの一国タイと南西アジアを選んだわけでございます。  タイにつきましては、いま御承知のようなカンボジア問題があるわけでございまして、その第一線でタイが非常に苦労している、真剣に問題と取り組んでいる、難民の問題もあるというようなことがございますので、タイに参りましてタイの当局と国際情勢、二国間の問題を話し合い、またASEANに日本から行っております大使にも集まってもらいまして、ASEANの事情を聞こうというふうに思っておるわけでございます。  その後ビルマに表敬をいたしましてビルマの首脳と会談し、それからインドに参りまして、インドというのはアジアで中国に次ぐ大国でございまして、南西アジア地区の平和安定のためにはこれは大きな影響力を持った国でございますので、あそこでガンジー首相と会談をしまして、二国間の問題あるいはアフガニスタンの問題、ASEANの問題等につきまして意見の交換をしよう。  パキスタンへ参りまして、これは問題のアフガニスタンと国境を接しているわけでございまして、難民の問題もあれば、直接アフガニスタンの問題と関連したところでございまして、日本でもここに経済協力につきまして重点的に考えるということをやっております。ここでも国際問題あるいは二国間の問題を協議し、帰りに中国に寄りまして、この前の大平総理の葬儀に華国鋒総理もわざわざ参列をしていただきましたので、そのお礼を兼ねて日中間のもろもろの問題につきまして協議をし、話し合いをし、日中関係の緊密化、今後の発展につきましてますますそのきずなを強めるという考えで中国へ寄って帰るということでございまして、私は外交の大きな柱としましてやはりアジアが大切だというふうに思いますので、まず第一にアジアの各国を歴訪することを計画したわけでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 伊東外務大臣の最初のアジア訪問旅行の成果を期待いたしております。  そこで、日韓関係の問題でございますが、過ぐる参議院の内閣委員会でも、伊東外務大臣は、この金大中氏が死刑になるということも想定できる現況で、これは非常に重大な問題であり、そういうことにでもなれば日韓関係にひびが入ると言われたが、これはやはり例の拉致事件の政治決着ということから、その後両国の関係に非常に微妙な影を残したまま今日に移ってきておるということを考えましたときに、私は当然の御発言ではなかろうかと思うのでございますけれども、この御発言の趣旨はどういうことを意味するのか、もしそういう事態が起こった場合には、日韓関係というのはどういう形になるということを外務大臣は想定されておるのだろうか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 日韓関係についてのお尋ねでございますが、日韓関係が本当に平和に親善関係を保てることはアジアの平和にとりまして非常に大切なことでございますので、私は日韓関係に何としてもひびが入らぬように、友好関係がうまく続けられるようにということを考えまして、いま御指摘のような発言をいたしたのでございます。  私、総理の臨時代理をしておりますときに、韓国の総理、外務部の長官、みんな見えまして会談をしましたときにも、実は日本の国民は、ああいう政治決着をして一応終止符を打ってあるが、金大中という人の身辺については特別な関心を持っているので、その点はよく含んでおいていただきたい、外務大臣とまた会談があるということでございましたから、外務大臣からよくお聞きをいただきたいということを言ったことがあるわけでございます。  それで、その後、外務大臣を拝命しましてから、須之部大使も帰ってもらいまして韓国の事情を聞き、そしてまた私の考えも述べたのでございますが、前提は、先ほど申しました日韓関係を何とかうまくやっていこうということを前提としまして話したわけでございます。  ああいう決着を見たということでございますが、日本の国民が非常に関心を持っておるのでその点は韓国でも十分日本の国民感情を配慮してもらいたい、もしいまおっしゃったようなことがあれば日本の国内でいろいろむずかしいことが起こってくる可能性もあるんだという私どもの考えを率直に韓国にも伝えていただきたいということを言い、あのときいろいろな方々から御要望があって金大中という人の健康状態とかいろいろ心配していられたこともございましたので、そういうことも聞いていただきたいというようなことを須之部大使にも言い、須之部大使もまた帰りましてから向こうの責任者にそれを伝えているということでございます。  私は、いま言ったように日韓関係にひびの入るようなことにならないことを希望するものですから、日本の政府当局者としてはそういうことを非常に憂慮しているのだ、しかしこれは韓国の国内問題でございますから、内政に干渉するとかそういうことではございませんが、私どもの気持ちを率直に伝えてもらうということをしたわけでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 これまであらゆるルートを通じて重大な関心を日本政府が持っているということを伝えられた、それは十分韓国政府においても配慮されるであろうという期待を込めた御答弁であろうかと思いますが、万一、日本政府の期待どおりの結果が出ないという場合には、政府が何らかの措置をとられるというふうなお考えがあるのだろうかどうか、この点はいかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 御質問でございますが、私どもその場合にどうだとか、この場合にどうだとかいう措置を決めているわけじゃございません。私どもは裁判が始まりましたので、この裁判の推移を見守っているというのがいまの状態でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 答弁として当然だろうとは思いますが、ただ、たとえば政治決着の中でいわゆる外国への出入国の自由であるとか、あるいはまた日本における政治活動については不問に付すとかいうようなことが、過去、両政府の間で田取り決められたわけでございますが、最近の新聞報道などを見ておりますと、最近四、五年の韓国内での金大中の政治行動ということでなく、さらにさかのぼってこれらの古い日本を含めた外国での行動についてもいろいろと起訴状等にも盛られておるようでございますけれども、この点については日韓両国の政治決着というものにわが政府としてはやはり多少異論を出されてもいい点があるんではないか、こういうふうに推察するのですが、この点いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 御質問の点は、政治決着と今度の裁判と起訴とかいうものが何か違反したところがあるのじゃないか、政府から何か言ってもいいじゃないかということでございますが、私どももその点は非常に心配をしていた点でございまして、須之部大使にも政治決着のことをよく話し、日本の国内の言動が問題になって起訴の直接の訴因になるというようなことになりますと問題でありますので、その点の配慮については前から韓国側にも伝えておったのでございますが、今度の起訴状は、先生もごらんになられたと思うのでございますが、日本に滞在をした七二、三年のころ、もっと前から背景の説明がずっと書いてあります。起訴の直接訴因となっているのに一、二、三、四と四つございますが、それは七五年以降の金大中さんの韓国国内におけるいろいろな言動が訴因になっているということでございまして、この点につきましてはいろいろ心配もございますので、あの起訴状が発表になりました後にも韓国政府に話をしましてその点を確かめたのでございますが、韓国側からは、日本滞在中の行動は背景説明ということで直接の訴因ではないという公式的な説明があったわけでございまして、あの訴因をどう考えるかというのは、有権的に考えるのは韓国側でございますので、われわれとしましては韓国側の説明を了として、これについて特に意見を言うということはしておらぬというのが現状でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 時間が参りましたので、この問題ここでとめざるを得ないのでございます。  難民条約、政府としては先進国との兼ね合いもあり、ぜひとも批准を求めたいというお気持ちだろうと思いますが、在日韓国人等の取り扱いについてはどう考えられるのか、そしてこの難民条約については次の国会で積極的に取り組んでいこうという姿勢なのか、この点最後にお伺いいたします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 難民条約の問題、実際いまも閣議で厚生大臣に話してきたところでございます。この前の大平内閣のときも閣議で一回問題になりまして、外務大臣が発言し、厚生大臣がおっしゃった国内の韓国の人の年金の問題にすぐ関係してくるのでなかなか結論は出せないのだということで、前の内閣の時代にはこの問題を取り上げなかったことがございます。  しかし、この問題は長年の問題でございますので、実際今も齋藤厚生大臣にこの問題ひとつよく考えてもらいたいということを言ってきたばかりでございますので、私としましては非常にむずかしい問題、どう解決するかの問題がございますが、国内の関係者とは十分にひとつ早急に打ち合わせはしたいという気持ちでおるわけでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 最後に日韓関係。  韓国は重要な隣国でございます。そして欧米とは違った関係があるわけでございますが、過去のいろいろの経緯もあり、日本政府としてはひとつ主張すべきものはきっちりと主張する、こういう姿勢でこの韓国内の動きを注目して見守っていきたいと思います。外務大臣におかれましてもこの点御配慮を賜りたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 伊東外務大臣御就任初めての質問の機会でございますから、まず基本的なことをお尋ねしたいと存じます。  時間が限られておりますので舌足らずになるかもしれませんが、その辺をまず御承知おきいただきたいと存じます。  戦後の日本外交の柱を考えてまいりますと、軍事力の後ろ盾のないいわゆる平和外交であるということがその基本でございます。外務省のお出しになった「八〇年代の安全保障政策」というのを見てまいりますと、必要最小限度という表現はございます。そういう表現はございますが、どうも軍事力の裏打ちがなければ、八〇年代のわが国の安全保障は、そして外交は困難であるというふうな向きがどうも行間に読み取れるわけでございます。八〇年代のわが国の安全保障というのはやはり軍事力の裏打ちが必要、言いかえれば外交は力であるというふうなお考えをお持ちで外務大臣は外交にお当たりになるのか、その辺いかがでございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまの御質問でございますが、研究の委員会で出しましたのを先生お読みで御質問だと思うのでございますが、あの中にも、軍事面と非軍事面のバランスというふうな言葉を使っていろいろ書いておるのでございますが、日本は平和に徹するのだ、軍事大国にならぬのだ、これは前提でございまして、私どももその大前提のもとで外交はやっていこうということでございます。  これはちっとも変わらぬわけでございまして、外務省は安全保障の面の勉強もひとつやっておこうじゃないか。これは国際情勢、アフガニスタンの問題もある。いろいろございます。非常に問題になってきておりますので、安全保障のことも勉強しておこうということであの研究会でやったわけでございまして、あの中をごらんになりますと、外交の受け持つべき役割りが非常に大きいということは冒頭にもまた結論にも書いておるわけでございまして、力でひとつというような発想でやる意思は毛頭ないということだけは私は申し上げておきます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 前大来外務大臣当時に、アメリカとの関係はパートナーシップという従前の表現が、今度は同盟国という非常に緊密な関係にあるという、一歩、二歩、十歩、二十歩進めたような表現に変わったのでございますが、アメリカのいまの世界戦略支援というような立場で日本の外交政策が行われるというふうに、今回外務大臣の外交政策について対アメリカということを考えた場合には理解をいたしましてよろしゅうございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 大来君の名前が出ての御質問でございますが、大平総理は向こうに行きましたときに同盟国という言葉を使ったりしたわけでございます。これは御承知のような日米安保条約を基軸としました日米友好が日本の外交の基軸だ。そして政治、経済について理念を同じくする国々が協調しなければいかぬということを大平総理もよく言ったのでございまして、私どもも大平外交の路線を踏襲するというのはそういうことを実は考えております。  ただし、これはアメリカの戦略で、たとえば米中日が一緒になってソ連に対抗するのだとか、そういうようなことを考えておるわけではない。日本は日本で、日米、日ソ、日中というふうに日本が自主的に、どうして日本を守っていくか、あるいは日本の平和と繁栄、豊かな国民生活をどうして保障するかということは日本が自主的に考えることでございまして、しかし、その前提には日米の安保条約というものがあり、日米関係が基軸だ、前提であることは間違いはないということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうも言い得て妙な御答弁なんですが、大臣、御承知のとおりに、広島、長崎の原爆三十五周年の式典で、先日、核軍拡阻止の訴えがございました。しかし日本の国内を見ました場合に、残念なことでございますが、一握りの日本人の中には日本も核武装をすべきであるという意見を持っておる人もございます。  私は当外務委員会で、園田外務大臣当時でございますが、憲法から考えてわが国は核兵器は保持することができない、そういう明確な御答弁をすでにいただいておるわけですが、しかし、どうもややもいたしますと最近は、いろいろな情勢が流転をいたしておりまして、右バネが強く動くという傾向が間々ございます。従来、いろいろ国会答弁で明確にされてきたこともしばしば変わっていくという傾向がございますので、伊東外務大臣は平和については一方ならぬ異常な執念をお持ちであるということは私も拝察いたしておりますので、本日最初の質問の機会でもございますからこの点をひとつはっきりと確認をさせていただきたい、このように思うわけでございます。  園田外務大臣当時、憲法から考えてわが国は核兵器を保持することはできないというふうなことを言われた線を、やはり伊東外務大臣とされましてもお考えになっているだろうと私は拝察をいたしますが、そのように考えてよろしゅうございますね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 御承知のように核兵器の拡散防止条約にも入りまして、これはなるべく核兵器の軍縮といいますか縮小といいますか、そういうことにも世界は努力すべきだということを常に日本は主張しておるわけでございまして、いま園田外務大臣の発言を引いての御質問でございますが、私も同じ考えでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 国際情勢の中で特にわが国の置かれております立場からいたしますと、アジアの安全、アジアの安定というのは最も大きなと申し上げなければならないと思いますが、非常に大きな命題でございます。その中でもやはり朝鮮半島のあり方ということが非常に緊密にわが国のあり方に関係をしてきたという事実上のこの事情から、歴代の総理はアメリカの大統領との間でこのことに関する共同声明を出してこられたという経緯がございます。  大臣御承知のとおりに、昨年の四月から五月にかけましての大平総理とカーター大統領との間の共同声明では、「朝鮮半島における平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安全にとって重要である」ということをはっきり確認をされているわけであります。また当外務委員会におきましても、代々の外務大臣は、朝鮮半島全体の平和と安定がわが国の安全にとって緊要であるというふうなことをはっきり政府見解としてお述べになっているわけでありますが、この点は伊東外務大臣も同様のお立場と見解をお持ちになっていらっしゃいますか、どうですか。いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先ほど石井委員の御質問にも答弁したのでございますが、外交をやっておりますとアジアの平和、安定が非常に大切だということは私も同感でございます。それゆえにアジアに行こうということを決めたわけでございますが、その中で朝鮮半島の安定ということが日本の平和あるいは安全にとりまして非常に大切だということは、いま先生おっしゃったとおり私も考えております。  大平総理とカーター大統領の声明の中にも触れておりますし、ことしも華国鋒さんが来られて大平総理が会談しましたとき私も一緒だったのでございますが、総理から華国鋒総理に、朝鮮半島の安定ということはこれは非常に大切なことでございますので、あの対話が始まっておりますからそれが平穏に続くような国際環境をつくるということは大切なんで、華国鋒総理もひとつ十分そこを考えてもらいたいということを話をし、華国鋒総理もいろいろな意見を言ったということがございます。  先生と同じ、私も朝鮮半島の安寧ということが、秩序を保たれるということが日本にとりましても非常に大切だと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その外務大臣のお気持ちは非常によくわかるわけでありますが、朝鮮半島全体の平和と安全というのがわが国の安全にとって緊要であるというこの基本的立場からいたしますと、南側、すなわち韓国側に対しては国交があるわけでございます。そして緊密な関係があるわけであります。ところが、北側、つまり共和国側に対しては残念ながら国交がまだ開かれておりません。しかし、朝鮮半島全体の安全と平和というふうなことを考えてまいりますと、この国交のない側に対してどのように日本が平和的に対応をしていくか、どのように北側に対して日本が交わりを求めていくかという問題がやはり非常に大事なことだと思うわけです。最近は西欧諸国と共和国との貿易の拡大がどんどん伝えられてまいっておりますし、アメリカからも下院議員がピョンヤンを訪問するなどというふうなニュースも伝えられてまいっております。そうしてまた日本では財界から、実は朝鮮民主主義人民共和国なども対象として貿易を開くというふうなことを内容にした研究会を設立をして、そして大いにこのことに対して研さんをしていくというふうな向きも具体的に進められつつございます。また近くは自民党の中から共和国を訪問されるAA研グループなどもあるわけでありますが、外務大臣のお立場からいたしまして、大臣御自身がこういう動きなどを背景にしながら朝鮮半島全体の平和と安定ということを基本的に非常に強く希望を持って考えていらっしゃるというお立場から、やはり何らかの対応があっていいのじゃないかというふうなことを含めてお考えがおありになるのじゃないかと思います。その辺、お聞かせいただければ幸いです。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 朝鮮半島の御質問でございますが、韓国と国交はあるが北朝鮮とは国交はないという現実の姿、朝鮮戦争があったりいろいろなことがありました現実の姿、先生御承知のとおりでございます。それで、国交のない北朝鮮とどうしていくかということは、やはり日本にとりましては、朝鮮半島の安定ということを考えた場合に非常に重要な問題であろうと思うわけでございます。  実は私も民間の漁業協定をということで北朝鮮にも行ったことがございますが、日本としましては、いま現実に二つに分かれている、そして韓国を日本が承認しているというのは事実でございますから、それを曲げるわけにはいかぬ、これはそのとおりでございますが、国交のない北朝鮮につきましては、いまお話のありましたような経済面の交流の問題でございますとかあるいは文化面の交流でございますとか、こういう問題を積み重ねていくということが必要ではなかろうかというふうに私は思っております。ただ、これは政治的には非常にむずかしい問題でございますから、正式に政治的にということはなかなかむずかしい問題でございますが、経済の問題あるいは文化の問題等でお互いがよく両方を認識をするということは、私は積み上げ方式として考えていってもいいじゃなかろうかというふうに思いまして、実は私も行ったことがあるというふうなことでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 今後外務大臣のそういう観点からの非常な御努力をわれわれも多としたいと考えるわけでございます。  さて、韓国側に目をやりますと、十六日に崔圭夏大統領が辞任をされております。次の大統領がどういうことになるかというのはまだ見通しがどういうことになるかという段階でございまして、とかく日本で次の大統領はこの人だなんというふうなことを決めてかかるわけにはいかないまだ段階でございますけれども、しかし崔圭夏大統領の時代に憲法改正と民主化という任務が至上命題としてあったはずだと私たちは理解をいたしております。それを果たされないままに退陣をされたということについて、どのように大臣は御感想を持っていらっしゃいますか。いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 崔大統領の辞任ということでございますが、これは韓国の国内のことでございますので、私ども第三者が批判をしたりいろいろなことを言うのは内政についてくちばしを入れることになりますので、これは申し上げませんが、先生おっしゃったように、国民投票による憲法改正、大統領の選挙、国会議員の選挙、そして次の新しい政権に政権を引き渡すのだという政治改革のプログラムを崔大統領が発表されたのでございまして、私どもは実は崔大統領の手でこれが実現されるのかなと思っていたことはそのとおりでございます。まあいろいろな事情があると思うのでございますが、それを実現されないうちにやめられるということになったわけでございますので、韓国の国内の事情もいろいろむずかしいのだなということは想像されますが、崔大統領がせっかく日程を発表されたのでございますから、あれは自分の手でやられればよかったな、私は率直にそういう感じがいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは韓国の国内事情であると言ってしまえばそれまでなのでございますけれども、先ほど来朝鮮半島の安定と平和というのがわが国の安全の確保ということにも密接に、これは直接間接に関係しているというふうなことから考えまして、韓国の政情というのは他山の石として見過ごすわけには断じていかない問題でございます。いまの大臣の感想を含めての御答弁から、さらに、そうなってくると、崔圭夏大統領の後の韓国の体制はどうなるかというのも、われわれにとっては最大の関心をそこに払わなければ、日本の国の安全とか日本の国の安定とかというふうなことにこれ自身が関係をしてくるわけでありますから、これはどうにも避けて通るわけにはいかない関心事であると言わなければならないと思うのですが、伝えられるところによりますと、全斗喚将軍が大統領に選出されるのではないかというふうなことでございます。ところが、全斗煥政権ということになりますと、自由と民主主義の中から選出される政権というふうにわれわれは見ませんで、残念なことではありますけれども軍事政権というかっこうに当然なってまいります。  これは最近われわれが報道で知ったわけでありますけれども、須之部大使がこの全斗煥政権に対して全面的協力をするというふうなことをインタビューで言われたということが報道になりました。後でそういうことはないというふうな打ち消しがあったようでありますけれども、こういうことは一たん報道として流れますとほかに及ぼす影響は絶大でございます。したがいまして、この須之部大使の発言、これはまさか外務大臣が指示をされてこういう発言があったとは思いませんが、その点外務大臣、まさかこういうことを指示されたわけではございませんね、いかがでございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 御質問の点は、私も実は新聞に須之部大使がこう言ったというようなことが出ておりましたので、早速実はおやおやということで照会をして、須之部大使からも返事が参っております。これは正確にお答えした方がいいと思いますので、木内局長から須之部大使が発言をしました正確な内容を御返事申し上げます。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 ただいまの大臣の御答弁を補足させていただきます。  東洋放送側から、全斗煥国家保衛非常対策委常任委員長が最近提示した韓国の未来像をどのように評価しているかという質問が須之部大使に対してなされまして、須之部大使は、今後とも韓国がナショナルコンセンサスを持って八〇年代の近代化、国づくりを進めていくことを期待していると答えられたわけでございます。したがって、どういう政権を支持するというようなことをこのインタビューで明言されたことはございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 後でそういうことを打ち消すということでございましても、一たん報道として流れてしまいますと、先ほど申し上げたとおり本当に影響が大きいわけであります。外務大臣がまさかこういうことを指示されたとは私も断じて考えない一人でありますけれども、ちょっとこれは時期的に考えまして、この大使の放送でのインタビューというのは問題であったんじゃないかというふうに考えられるのですが、大臣、率直にお考えになってこれはどのような御感想ですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま申し上げましたように、私、新聞で初めて見て、おやおやと思いまして、実情はどういうことだったのかということを調べてもらいたいということで連絡しまして、いまの、木内局長が読み上げましたような報告が実は来たわけでございます。  私どもとしましては、大統領が辞任になった、その後どういう大統領になるかということはわからぬわけでございますが、まず法的に、向こうの憲法その他の法律で大統領を選ぶ法定手続があるわけでございますから、公明に公正に平穏裏にそういう手続が踏まれて韓国の国民が自分の大統領を選ぶ、法律に基づいて選ぶという手続をちゃんとしてもらうことが大切なことなんで、それをまず期待しているということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先日崔圭夏大統領が辞任された節、日本の政府見解として、とかく韓国の国内の問題であるから立ち入ったことは差し控えたいという意も含めて、韓国側としては民主化よりも安定ということを選んだというふうに考えてよいのではないかという趣旨の意見が発表をされていたわけでありますが、大臣はこの点はどのようにお考えになりますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 新聞に外務省筋ということでそういうことが出たということでございまして、政治改革ということ、あるいは政治の発展ということを韓国側でもよく使われたのでございますが、その中にはいま先生のおっしゃった民主化の問題もありましょうし、あるいは社会経済秩序の安定を頭に置いての言葉もありましょうし、いろんなものが含まれておると思うのでございますが、恐らくそれを言った人は、韓国の国民はこう考えている人が多いんじゃないかという推測を言ったんだというふうに思います。それも一つの考え方であるというふうに私は思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 一つの考え方と言われるのは、そういうふうに理解するということが一つの考え方としてあるという御見解なんですか。民主化よりも安定ということを選んだのではないかともし理解をされ、そのように認識をされているのならば、いまの韓国に対する対応も、おのずと日本の政府としては変わってこようと私は思うのです。  なぜかといいますと、これは御承知のとおりに日韓国交正常化の際に、当時の佐藤総理が本会議場で言われた、韓国は民主主義をその国是としている国である、したがって、それを基本に置いて日本との間での国交正常化ということを考えたいということがぴちっと基本路線としてあるわけです。したがいまして、いま民主化よりも安定を選ぶということになっているんじゃないかという理解をお持ちになるのならば、それに対する対応も変えなければいけない、このように私は思うのですが、いかがでございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま外務省の正式見解として発表するとかそういうことは、あの問題についてはまだ何もやっておりません。静かにこれからの推移を見ようということが私の気持ちでございまして、どういう手続が公正に平穏に踏まれて、だれが大統領になられるかということは、いまわれわれが言うべきことではございませんのでこれは私申し上げませんが、韓国の国民がこれは選ぶことでございます。  先ほど私ちょっと言いました、憲法改正の案を出して国民投票をして、そして大統領選挙、国会議員の選挙をやるというようなことも民主化の方法でございますので、いま外務省筋として言った人が、あるいは民主化よりも安定を望んだのじゃないかということを言ったということは、そういう手続を全部否定して言ったことではないと私は思うわけでございまして、民主化も安定も、私は平等に、同じウエートをもって考えるべき問題だと思うわけでございます。言葉が足らなかったといえばあるいはそういうことかもしれませんが、これからの問題でございますので、公式には、静かにその手続等が本当に平穏裏に公明正大に行われるかどうかということを見ているということが、いまの私の気持ちでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その静かに見守るということが大臣のお気持ちだということをいま披瀝されたわけでございますが、そういうことになってくると、この秋にも日韓閣僚会議が開かれるのではないかと言われております。一説によるとこれは九月なんじゃないかということも一時は伝え聞かれたわけでありますが、これは、いま大臣がおっしゃったとおりに、改憲案が出され、改憲がされて、来春になって正式な手続をきちっと民主的に踏んだ選挙が行われるというふうな段取りがずっとございますね。これがすなわち、やはり民主化へ向けてスケジュールが進んでいるか進んでいないか、どういうことになっていくかということの一つの目安として注目をしていかなければならない、これからのスケジュールではないかと思われるわけでございますが、この秋に開かれる予定の会談というのは、その推移を見た上でなされるのが順当な行き方ではないかというのが、私は実は国民の声だろうと思うわけであります。外務大臣とされては、こういうことに対しての対応をどのようにお考えになりますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 日韓の閣僚会議の開催の問題でございますが、これは事務的に言いまして、来月は国連の総会もございますし、またいろいろ外交日程等もあり、なかなか事務的にはむずかしいのじゃないかというふうに私は考えております。これは事務的に、これから恐らく臨時国会もございましょうし、その会期等いろいろ考えなければならぬ問題があるわけでございます。そういう中で、いま先生のおっしゃった憲法策案を国民に一回出して、そしてそれの可否を問う国民投票があるというようなスケジュールができておるわけでございますから、そういういろいろこっちの外交日程、国会の日程も頭に置いてこの問題は決めていかなければならぬ。いま、いつやるとかやらないとか、そういうことはまだ決めておらぬわけでございますが、恐らく九月中というのは無理だというふうに私は思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 九月は無理、そして、やはり先ほど申し上げた韓国でのこれからのいろいろ予定がすでにされておると伝え聞くスケジュールからすると、来年の春を越えて夏ぐらいでないと、実はいろいろな成り行きについても一つの目安がはっきり出てこないだろうと思われるわけでありますが、九月は無理というのはわかりましたが、今後の日韓閣僚会議の持ち方と申しますか、いろいろなあり方と申しますか、そういうことについての、大まかなことで結構です、大臣としての御真意のほどをひとつお聞かせいただければまことに幸いだと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 大体気持ちはわかっていただいたのではないかと思って答えておるのでございますが、ことしの秋はまた中国との閣僚会議も実は予定されています。それからサウジアラビアでの会議も予定されている。あるいはIEAの石油の問題があるとか、いろいろあるわけでございます。そして、先生がおっしゃったような韓国の政情の安定といいますか、そういう問題もある。いろいろな問題がございますので、いまここでいつごろ開くとかいつごろまでは無理だとか、これはなかなか私どうもはっきり申し上げかねる。歯切れが悪くてまことに申しわけないのですけれども、いまはそういう予定を立ててないということを申し上げて、ひとつ御勘弁を願いたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 わかりました。  この韓国の問題からいたしますと、当面はやっぱり何といっても軍事政権が誕生するのではないかという問題と、並行いたしまして、金大中氏の裁判の成り行きについて全世界が見守っていると言わなければなりません。当然、わが国の対応についても全世界が注目をいたしているところでございます。  そこで、私はここでちょっと質問の観点を変えながらお聞きをしたいと思うわけでありますが、朴大統領が殺害をされましてから後、金鍾泌氏、金泳三氏、金大中氏のいわゆる三金のうちだれかが民主的に大統領に選ばれるのではないかというふうな憶測が大体常識として国民の間にございました。そうして、やっと韓国にも何だか春がやってきたのではなかろうかという思いを持った人たちも少なくなかったのじゃないかと思います。ところが、この金泳三氏は政界を引退させられてしまう、金鍾泌氏も失脚をする、ただいま金大中氏は御承知のような状況でございまして、すべてがいわゆる全斗煥体制の中で政治生命が次々となくなっていったというふうな状況にございます。  金鍾泌氏はどうして政界から失脚をされたわけでありますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 昨年の十月朴大統領が亡くなられましてから、いわゆる民主化のスケジュール等、いろいろな政治のスケジュール、憲法の改正等が考えられておるわけですが、その一環としまして、韓国の民主化あるいは社会秩序の折り目を正すというようなことが考えられておったようでございます。韓国の当局としましては、そのうちで金鍾泌元総理の不正蓄財ということに着目しまして一連の浄化措置を講じておるようでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この不正蓄財の問題が原因であるというふうに理解をしてよろしゅうございますね。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 私どもで確かめたわけでございませんが、韓国の当局の発表ではそういうことでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この韓国側当局の発表というのが報道で出てまいりましたところで、私どもが知っている限りでは、金鍾泌氏ら政界人、元政府高官約十人に対して、いろいろこの捜査結果が発表されております。この不正蓄財について、私、大変気になるのは、特に日本の政界、財界がこれに関係したことはないかというふうな問題なんです。この韓国側で捜査をしている対象の中には日韓議員連盟幹事長もございます。そうして、不正蓄財は具体的に摘発をされております。また、この日本の国内においても、国会を通じて幾たびとなく取り上げられたソウルの地下鉄の問題や日韓癒着の黒い霧疑惑の問題は、いまやもう国民のだれ一人知らない者はないという問題になっているわけでありまして、この点どのように大臣としてはお考えになっていらっしゃいますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 韓国の捜査の結果で、不正蓄財ということでいま御指摘の人々が政界から失脚したという向こうの捜査結果が発表になっているわけでございまして、これにつきましてわれわれ中身はわからぬわけでございますが、先生の御心配になりましたそれが日本に波及することがないのか、日本でもそういうことがないのかということでございます。私どもも予算委員会等で何回か伺ったことがございますが、私は日本側の人々がそういう不正なことに関係はない、またあってはいかぬということをかたく信じている一人でございまして、実情はそのとおりだろうというふうに信じておる次第でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務大臣の御心情はわかるのですが、しかし、いろいろ伝えられるところによりますと、この不正蓄財の真相はただいま全斗煥体制に握られてしまっております。日本政府がいろいろと韓国に対して強硬姿勢がとれないというのは、恐らくはこういう不正蓄財にかむ問題が日本の政界、財界にあるからではないかというふうな憶測が国民の間にも私たちの間にも渦巻いているのです。  したがいまして、そういうことからすると、その外務大臣のいまの願望も込めての確信をやはり具体的にしておいていただかなければならない。韓国側に対しまして、断じて日本の政界、財界はこれには関係ありません、そういう癒着はありませんということをはっきり外部に対して公表できるような、たとえば形式で申しますと口上書、覚書、交換公文、いろいろございますけれども、何らかの具体的に外部に対して示しがつくような方法でこのことを、ひとつ御所信をはっきり表明できるようなあかしをしていただきたいなと思いますが、いかがでございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまのお話でございますが、私はもう絶対にそういうことはあってはいかぬし、ないものだというふうに信じておるわけでございますが、韓国に対しましていろいろ言うべきことを何か日本政府が言えないでいるのではないか、日本側が言えないでいるのではないか、そういうことがあるからではないかというような前提での御質問でございますが、私は絶対にそういうことはない。  実は韓国と日本との関係は先生も御承知のように長い歴史のいろんな後遺症もあるわけでございまして、そういうようなもろもろの事情が両国の根底には伏在しているということがあるわけでございまして、ドライに何にも昔からなかったのだということではなくて、過去のいろいろな歴史的な事実もあるものですから、いろいろ発言にも注意し慎重に発言をするというようなことをやっておりますが、いま先生のおっしゃったようなことで日本政府が韓国に対して言うべきことを遠慮しているんだということは、これは絶対ございませんので、その点はひとつ御信用をいただきたいというふうに思うわけでございます。  それから最後におっしゃった点は、どういうことをしたが一番いいかということにつきましては、そういうことをする必要が政府としてあるのかないのかなということをいま御質問を伺っていてちょっと首をひねって考えていたところでございますが、私はそういうことをする必要はないと思っておりますが、これはひとつ検討させていただきます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 十四日に軍事法廷で金大中正に対して起訴状が読まれました。先ほど自民党の石井議員の方からもこれに関連した御質問があったわけでありますが、起訴状が軍事法廷で読まれるに先立って、非公式の形でございますが、反共法を問題にしないという韓国政府側の意向が伝えられていたと聞きます。反共法を真っ向から適用して問題にしているという起訴状の内容でございますが、この点に対してどのように大臣はお考えになっていらっしゃいますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 金大中氏の裁判につきましては私ども大変関心を持っておりまして、いろいろ情報を収集いたしておりましたが、その段階におきましてそういう見方があること、またそれが報道されたことも事実でございますが、現実には反共法というのは起訴事実の一つとして入っておることは御指摘のとおりでございます。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま木内局長がお答えしたとおりでございますが、私ども韓国側に須之部大使を通して事前に気持ち、日本政府の考え方と言って言いましたときには、いまの先生の御質問の点に触れることでは、日本に在留していた当時の言動、これを訴因に直接するというようなことは政治決着とも問題がございますので、そういうことについては篤と配慮をしてもらいたい、そういうことでないようにということを十分に考えてもらいたいということは気持ちとして言ったわけでございまして、何法何法というような、そういうことは実は私どもは言わなかったのでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ただ、大臣はそういう御答弁ですが、先ほど局長からの御答弁を承っておりますと、従来、起訴状朗読に先立って向こうからの声は、反共法は問題にしないということだったのが、反共法が適用されている、こう答えられているのですよ。大臣、その点はいかがにお考えになりますか。その点はいかがですか。いや、もう局長は結構です。大臣、いかがでございますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 私ども明確に反共法は適用がないということは言われたことはございませんで、そういう情報あるいは推測というものがあったことは事実でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 大臣、それについてどういうふうにお考えになりますか。ひとつ率直な御感想をお聞かせください。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま木内局長が答弁いたしましたが、事前にいろいろな内報があったとかということ、これは水面の下の話でございまして、それを一々私も記憶しておらぬのでございますが、私のはっきりした須之部大使に言いましたことは、日本にいたときの行動についてそれを訴因にしない、それを訴因にすれば政治決着との関連が出てくるからそういうことについては特に配慮してもらいたいということを私は言いましたので、私の記憶にはっきりしているのはそういうことでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ちょっと大臣、いまのをもう一つ明確にいたしましょう。申し入れをされるときには訴因についてとはっきり言われたのですか、韓国側に対して。訴因について日本での言動についてはこれを問題としない、そのとき訴因についてと言われましたか、韓国側に意を通ずるときに。私はそういうふうには考えていませんよ。そういうふうに受け取ったことがございません。大臣、訴因についてとおっしゃったのですか。その点はっきりしてくださいよ、非常に大事な点です。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまの御質問でございますが、私が訴因についてと正確に言ったかどうかは記憶がないのでございますが、しかし私の言いましたことは、そういうことが裁判で、これが何か罪に該当する一つになればこれは大変なことなんでございますから、私の言ったことは、当然もっと演繹して考えれば、それを訴因の一つにして問題とするということ、これは当然政治決着と抵触する問題だということにとってもらってもいいことでございまして、それは非常に重大なことなんだということを実は言ったわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは、起訴状が朗読されて後の時点ですか、先の時点ですか。いかがでございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 それは大分先のことでございまして、須之部大使に日本に来てもらって話したときでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先日、先日というより、正確に申しましょう、昨日外務省から起訴状の仮訳をいただいた。もちろん原文のハングルもいただいているわけでありますが、これを見てまいりますと、「起訴状」とございまして、「公訴事実」から始まりまして、二ページ目は「第一、被告人金大中は」と始まりまして、ずらずらずらずらと書いてあるんです。これはだれが見ましても、全部が一つの起訴状であるというふうに読む以上の読み方はできません。それからしますと、内容にはっきりと日本での言動を問うている部分が出てくるわけでありますから、これはまさに政治決着に反しているではないかというのが、だれでもがこの起訴状を見ましたときのすぐに出てくる意見であろうと私は思います。  このことについて外務大臣はどのようにお考えになりますか。――いや、局長はいいです。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私からお答えします。  起訴状が参りましたときに、先生のおっしゃるようなことを私も実は心配しまして、向こうに確かめたのでございます。その答えが、日本政府からもかねて配慮ということを言われておるので、日本におりまして日本で行った言動については、これは訴因にはしてないんだという釈明が向こうの政府からあったわけでございまして、私どもとしましては、起訴状の有権的な解釈、これは私どもがするのではなくて向こうがするのでございますので、その釈明を私どもは承っておるというのがいまの実情でございます。  先生とはその点意見が違いまして、新聞にも、これは政治決着には違反しないんだということを外務省から実は言ったというのが実情でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 政治決着についてどのように理解し、それをどのように当てはめたかは向こうの問題だとおっしゃいますが、政治決着の当事者は日本でもあるんです。日本側がこれについてどう考えて、これに対してどのように対応するかということは、日本がはっきりさせなければならない。  問い合わせをされたということでありますが、いつお問い合わせをなすって、いつ回答が参りましたか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 事実の問題でございますから、局長の方から、何日に回答が来たかということはお答えを申し上げます。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 第一回目の公判の前からやっておりまして、最終的には先週の土曜日でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その問い合わせの内容と、それに寄せられた回答の内容を、きちっと文書にして出してください。これは非常に大事なことですから、ぜひ出していただかなければならぬと思います。  委員長、よろしゅうございますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 検討させていただきます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 検討させていただきますじゃないですよ、こんな大事なことを。何言っているんですか。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 本件については後で理事会で協議いたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは理事会で協議するまでもない。非常に大事なことだから、委員長の一決で決まるのです。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 含めて協議いたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 委員長、ここではっきり決めてください。そんなものは出せるのですよ。そんなものすぐ決まるんじゃないですか。いま決めてください、委員長。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 土井君の趣旨に沿うように委員長の方で善処いたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは、文書をひとつはっきり見た上で、もう一度やる必要が出てこようと私は思いますが、外務大臣から御答弁になりました中では、背景説明と訴因の部分がある。これは、軍事法廷に行っておりませんから、現場で私自身が確認をできないわけでありますけれども、軍事法廷の場所でも、ここからここまでが背景説明であって、ここからは訴因であるという起訴状の朗読ぶりであったのですか。いかがなんですか。その点確認されていますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 韓国政府当局から、はっきり区別いたしまして、この点からこの点までが背景説明であり、その以後の一、二、三、四というパラグラフが訴因であるという説明を受けておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは説明であって、軍事法廷でどのような起訴状の朗読があったかということとは別でしょう。後の説明でしょうが、それは。こちらからの問い合わせに対して説明をしたというかっこうなんでしょう。答弁の中身はそうですね。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 軍事法廷では、韓国側が私どもに説明した形式による朗読をしたものと承知いたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは何によって確かめられたのですか。日本大使館から軍事法廷に傍聴にいらっしゃったんですね。どうなんですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 わが大使館から傍聴に参っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この辺は非常に大事ですから、大臣、その辺もう一度確認をお願いします。確認をしてください。大臣、よろしゅうございますか。首を振っていらっしゃらないで、ちょっと声にして出しておいていただかないと、議事録に残らない。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 できるだけ確認をいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ここで一つ大事なことを申し上げたいと思います。  背景説明だったら問題にならないという認識で、訴因に入っているか入っていないかばかりをおっしゃるんですね。先ほど来そういうことなんです。ところが、政治決着での了解事項の中身を見ますと、特に日本及びアメリカに滞在しておりましたときの金大中氏の言動については責任を問わない、こう書いてありまして、どういう責任を問題にするのかは一切触れてありません。責任を問わないと書いてあるのです。民事責任であろうが、刑事責任であろうが、政治責任であろうが、道義的責任であろうが、全部これは、責任と言えば責任なんですよ。責任を問わないとなっているのです。  ところが、今回背景説明でどれほど日本での言動を問題にしたって責任を問うことにならないということはどういうことなんですか。大臣、これはどういうことです。背景説明の中で述べられているから責任を問うことにはならないという、その間の因果関係を説明してください。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 背景説明と私ども解釈している中には、金大中氏の若いときからの言動が皆書いてあるわけでございます。それをずっと書いて、そして怒号を振って、一、二といって訴因だというふうに私ども解釈しているわけでございまして、これからの裁判の推移の中でこれは恐らくいろいろ議論になるだろうと私は思っているわけでございますが、いまの段階では、あの訴状を見ただけでは、それは訴因でない、向こうもそう説明をしておりますし、その点は決着とは矛盾をしませんという説明でございますので、私どもはそれを信じているわけでございますが、裁判はこれから進行し、そういう問題が裁判の中でいろいろ議論が、あるいは審理が行われるわけでございますから、私どもとしてはもう少しその推移を見てから、最終的には先生のおっしゃったようなことになるのかならぬのかということが問題になると思うのですが、私どもは、いまは向こうの説明で、もうこれは責任じゃないんだ、いわゆる決着の責任じゃないんだという説明を信じているというのがいまの段階でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 非常に矛盾したことを大臣おっしゃいますね。それじゃいまの段階で政治決着に矛盾しているかしていないか言えないじゃないですか。まだ裁判は係属中なんです。係争中で、これからの裁判の成り行きによったらどうなるかわからないという段階だということを意に含めてのいまの御答弁でしょう。背景説明の中に入っているからこれは政治決着の中で言っているいわゆる責任を問うことにならないという確証はどこにもないですよ、いまの御説明なら。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私が申し上げましたことは、これは裁判でございますから、その国の裁判の内容に立ち入っていろいろ議論するということは私は適当ではないと思うわけでございます。  それで、いまは起訴状ということで問題になっておるわけでございますから、起訴状を出した政府の考えをわれわれはそのままそれはわかったということでおるわけでございまして、これは向こうの司法の問題で、これから裁判されるわけでございますから、これは裁判官も同じ考えであればそのとおりでございますし、私の言ったのは、そういうことで向こうの裁判内容に、裁判官がどういう心証であれを判断するかということまで立ち入ってここで議論すべきじゃないというのが私の考え方なのでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、裁判過程の上でこの背景説明の部分にある日本での言動ということが問題にされてきた節は、外務大臣としてはどういう措置をそれに対しておとりになるおつもりですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 これは裁判の判決でそれが恐らくいろいろ出てくるわけでございます。判決をする場合には、こういう証拠、こういう証拠に基づいてこういう判決をしたということが出てくるわけなんでございまして、その段階で日本における言動というものがいろいろ問題になるということであれば、これは先生のおっしゃるようなことに振り返ってくるという問題が出てくることは確かでございます。  しかし、私どもがいま向こうの政府から聞いておりますこの起訴状の段階で、これは日本における言動を訴因にしてこれを問うているんじゃないということをはっきり向こうが言っているわけでございますから、私どもはこれは決着と矛盾しない、こういうふうに考えておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 もしいま大臣がおっしゃったことが、事実向こうとこっちとの確認事項というかっこうで背景説明に対してのお互いの了解が成り立ったということであるならば、まさにそれは第三次政治決着ですよ。そうだと思います。  政治決着の中身で日本における言動は責任を問わない、こう決めていることに対して触れる部分が起訴状の中にある。起訴状の中で、しかし、これを二つに分けて、背景説明と訴因とに分ける。背景説明の方で何をどう言おうが、これは責任を問うたことにならない。これは勝手気ままもいいところだと私は言いたい。起訴状一本主義から言うと全体が一つじゃないですか。しかもそれに対してこれは問わないということを日本側も了解され、向こう側の説明がそうだったと言われているわけでありますから、まさにこれまた第三次政治決着です。そう言わざるを得ません。どのように大臣はお考えになりますか。  いずれにしろ、これは先ほど文書をはっきり出出すとおっしゃっているのだから、早い機会にひとつ出していただきます。きょうじゅうにひとつお願いします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生は政治決着だとこうおっしゃいますが、私はそう考えていない。第二次といいますか、第一次といいますか、あの政治決着をどういうふうに考え、それをどういうふうに実行していくかという問題だと私は考えているわけでございます。  それで、いつどういう照会をして、いつどういうふうに来たかということは、いま委員長からお答えになりましたので、できるだけこれは正確にお伝えするよう努力します。

土井たか子日本社会党

○土井委員 もう時間が大分経過をして次の河上委員の質問時間について差し支えが出てきますから、最後にあと一問お伺いしたいのですが、西ドイツ、それからフランスの外務大臣が韓国の現状について懸念をされていることを外相会議の席上明らかにされて、ECにおいても、このただいまの軍事法廷のありさまに対して、いろいろと関心を持ち、そして懸念をしているという意思表明をすることを進められてきております。  日本は、これは金大中氏については拉致をされた当事国でございますし、先ほど来緊密な関係があるという立場もございますから、そういうことからいたしますと、アメリカ、西ドイツ、フランスと外相会議を開くというのも一つでございますし、また国連人権委員会に働きかけて、こういう人権擁護の立場から調査のために派遣団を送るということを国連に提唱することも一つでございます。こういうことに対しての外務大臣のお考えはいかがでございますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 金大中氏のことにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、須之部大使を通じまして日本政府の考え方を伝えてあるわけでございます。この問題につきましてどういう方法が一番いいのかということにつきましては、これは私も十分検討してまいりたいというふうに思うわけでございます。いまここで先生から、ECの外相と一緒に会議をやったらいいじゃないか、あるいは人権擁護の関係で国連という、いろいろ具体的な御提案がございましたが、そういうことがいいのかどうか、これは検討する必要がありますので、私どもとしましてはどういうことをやるのが一番日本側の目的達成に妥当な道なのかということを考えていきたいと思いますが、先ほど言いましたような気持ちはいろいろなルートで、こういう気持ちでいるんだということは伝えているというような方法をいままではとっているということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ありがとうございました。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 伊東外務大臣に初めて御質問させていただきますが、いろいろ考えてまいりましたけれども時間も余りございませんので、そのうちの一つ、すなわちいま土井委員が最後に御質問なさいましたことについて若干補足的に質問をいたしたいと思います。したがって、外務大臣の方も簡潔にお答えをいただきたいのでございますが、いま起きております金大中氏に対する軍事裁判というのは韓国の民主主義にとっても非常に重要な問題であると同時に、やはり日本の民主主義にとっても非常に重要な問題ではないか、私はそう思っておるのでございます。  先ほど来、大臣のいろいろなお考えがございましたけれども、基本的な点で一つまずお伺いしたいのは、韓国のいわゆる安定を優先させる、したがって独裁もやむを得ないと容認するという立場がございますが、もう一つはやはり人権あるいは民主化というものを優先させることの方が本当の意味での韓国の政治的安定に寄与するんだという考え方、そしてそれに隣国として協力すべきであるという考え方もあると思うのでありますけれども、大臣はそのいずれをとっているというふうにお考えでございましょうか。  前外務大臣の大来さんは韓国が弱体化することは日本の国益から望ましくない、このように答弁されておるのでありますけれども、これはいわば韓国を一つの反共防波堤と見る考え方を反映していると思うのであります。一体伊東外務大臣はどういうお考えでおられるか、まず最初にお伺いしたい。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 その国の政体といいますか、そういうものをどういうものを選ぶかというのは、これは第一義的にはその国の国民が考えることでございまして、国民が考えてこれがと思うものを選ぶというのが、これはどの国でもそうでございまして、外国から第三者がそれをどうすべきだということを言うのは私は内政干渉になるというふうに思っておりますので、いま先生がおっしゃった独裁政治がいいのか民主化がいいのかという御質問でございますが、これは私がこの場でどっちがどうだということを言うのは、韓国の国民にとりまして、それはおれの考えることだ、こういうふうに韓国の国民は言われると私は思います。  でございますから、いまここでそれをどうこう言いませんが、韓国に起きております憲法草案を出して国民投票をやって、その憲法のもとで大統領、国会議員の選挙をして新しい政権に政治権力を移譲するのだというのは一つの民主主義の方法であると私は思っているわけでございまして、そういうことが平穏裏に本当にあそこでスムーズに行われればいいがなという私の願望でございます。  それから、大来外務大臣の発言を引いてのお話でございましたが、先ほども土井先生からお話がありましたが、朝鮮半島の安定といいますか平和といいますか、これが日本の平和安定にとりまして非常に重要な問題でございますので、私はあの朝鮮半島に本当に平和が来ることを心から期待している、それが日本の平和安定につながるのだというふうに思うわけでございます。その過程において日本は南側を承認をしているということがございますので、この南側がちゃんとしっかりしてもらわなければ困るというのは、私もその点につきましてはだれも大来君と考えが違うという意味ではございません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまの外務大臣のお考えにつきましてまたいろいろ御質問したい点もたくさんあるのですけれども、時間が余りございませんので、一応承って次に参ります。  いま土井委員から、最近の金大中氏に対する軍事裁判が第一回の日韓両国政府間の政治決着に違反するのではないかという問題について問題提起がございまして、その間の両国政府間のやりとりについて文書で公表するように求めたわけでございますが、実は第二次決着のとき、昭和五十年の七月二十五日に「金大中氏事件に関連して昭和四十八年十一月二日以降日韓両国政府間で行われた話合いの主たる経緯」という文書を私どもは当時配っていただいておるのでございます。こういうものが出せるわけですから、これはぜひ今回も出してもらいたい、このように思います。  そしてその中に、いわゆる選挙違反裁判への召喚状が金大中氏に出されたことについて、日本政府は当時直ちに照会を向こうの政府にしているわけです。そして、金大中氏の身柄についてかねて関心を表明していたにもかかわらず、こういうことについて事前に通報がなかったことについて遺憾であると申し入れている。今回そういう事前に通報がなかったことについて遺憾の意を表明したのかどうか。  さらに、韓国の金外務部長官が回答していろいろ述べているのでありますけれども、その中で、また帰国前の海外の行為は不問に付すとの了解である以上、選挙違反が問題になっても了解違反にならない旨説明をよこしてきたと政府は述べておる。韓国政府も、帰国前の海外の行為は不問に付すとの了解である以上、これはもう触れられない、しかし、それ以外はやってもいいのだという、そういう意味で選挙違反問題を取り上げたことについて説明をしておる。  そういうことを考えますと、しかもそれが訴因であるかどうかということは別にして、つまり問題にすること自体がやはり問題なんです。これが日韓両国政府の了解であった。これは日本政府がそう言ったのではなくて、向こうの政府がはっきりそう言っているのです。だから選挙違反を取り上げても、これは違反にならないとさえはっきり言っているわけです。  そういう点から見て、今回の裁判が朴政権から事実上全斗煥政権への移行過程であるためかもしれませんけれども、ここで政治決着というものが事実上破られておるということを日本政府はもっと重大に考えなければいけないと思うのです。こうしたやりとりから見て、今回日本政府の期待に反してあるいは希望に反してこういう事態になったのかもしれませんけれども、それならそれではっきりと遺憾の意を表明すべきではなかったか。お答えいただきたい。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま日本に何も連絡なしに逮捕したとか、何かそれについて遺憾の意を表明したらいいじゃないかというお話でございますが、私ども実は事前に逮捕の連絡ということは何もございませんでした。これはそのとおりでございます。  これにつきまして私どもとしましては、これは向こうの国内の問題でもあり、その政治決着との関係からしまして日本における問題を直接――先ほど御質問がありました訴因かどうかという問題でございますが、そういうことにしなければ政治決着とは矛盾はしないという考え方を持っておりましたので、いま先生のおっしゃったような逮捕だけで遺憾の意を表明するとか、そういうことは実はしませんでした。  ただ、その後につきましては、先ほど私が申し上げましたように、身辺の問題について重大関心があるのだということで、何回か向こうに伝えているというのがいままでの現状でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 時間が余りないのであれですが、この外務省自身が出された文書、それによれば、金大中氏の身柄についてはやはり事前の報告がなかったということについて絶えず遺憾の意を表しているわけですね。当時と比べまして今回の日本政府の態度は大きく後退しているというふうに判断せざるを得ない。  のみならず、私どももう時間がないので余り申し上げませんけれども、この二月ごろからいろいろ日本政府からこういう意見が出されておるとか、あるいは前田特派大使が帰ってきて、まだ裁判もやってないうちから金大中氏の政治的生命は絶たれたというような情勢報告を日本に帰ってきてやったりしている。内政干渉にならぬようにということを一方で言いながら、現実には全斗煥体制へ一歩一歩その成り行きをサポートしているという印象が非常に強いわけです。須之部大使の最近の発言がもし誤って伝えられたにしても、そのこと自体がそういう役割りを果たしている。  また、この二月ごろからうわさとして非常に流れておりまして、私は確認はしておりませんけれども、高島外務事務次官が出したと言われるいわゆる高島メモというものがある。金大中だけには政権を渡すなという趣旨であるというふうに伝えられている。そしてそのことが韓国の民主派の中で恐怖の的になっているといううわさを私自身何度か聞いている。これを証拠立てることはできないのでございますけれども、そういうようなことが次々と起こっているという事実について、日本政府としてよほど身辺をしっかりしないと大変なことになる、私はそのように考えるのですが、大臣の御答弁をいただきたい。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生おっしゃいました、高島君の名前が出ましたが、私も官房長官時代に先生からもそのお話を伺ったことがございますので、本人を呼びまして確かめたのでございますが、これは事実無根でございますので、釈明をさせていただきます。  金大中氏の身辺につきましては、これは向こうの韓国内の問題でございますが、ああいう政治決着があったというのは事実でございまして、日本人が金大中氏について非常に関心を持っているということは確かでございますので、私も何遍も身辺の問題については意向も伝えましたし、今後もそういう考えでこの問題とは取り組んでまいるつもりでございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 私も伊東外務大臣御就任最初の御質疑をさせていただきます。  まず最初に、昨日魚本駐ソ大使が帰国報告を大臣にしておられるわけです。御存じであるわけでありますが、大別して三項目にわたりまして進言を大臣にしておられる。大臣、この進言についてどのように対応されるおつもりであるのか、お聞かせいただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 きのう魚本大使から、ソ連のアフガニスタン侵攻以後の話を実はいろいろ聞いたわけでございます。先生三つとおっしゃいましたが、いま三つだったかなと思っているわけでございますが、オリンピックをボイコットしましたとか、あるいは経済問題でハイテクノロジーの問題はココムの関係で同一歩調をとるとか、あるいは新しい信用供与をしないとか、いろいろな対策をとったのでございますが、これにつきましてのヨーロッパの考え方でございますとか、あるいはアメリカの考え方とか、現地においてどういうふうに見ているかという話をいろいろ聞いたのでございます。それからソ連の国内事情の問題。それから日ソの関係になりまして、北方の領土問題でございますとか、よく修復ということがいろいろ言われておりますが、この関係の問題でございますとか、いろいろにわたって報告を聞いたことは確かでございます。  それで、私どもとしましては、そのおのおのにつきまして、アフガニスタン侵攻についての対策でございますとか、あるいは北方領土の問題とか、いろいろ日本で考えている従来の考え方もございますので、これを説明し、意見の交換をしたというのがきのうの魚本大使との話でございます。実はもう一回やろうということできのう別れたわけでございまして、いますぐこういう問題をこうするというような結論は出しておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 私たちは報道で承知する以外ありませんが、これも概要だと思うのですが、一項目は、日ソ関係は冷え切っているが、話し合いの窓口は閉ざすべきではない、二つ目は、関係改善のきっかけの一つとして日ソ事務レベル協議の再開も考えられる、三つ目に、日本の軍備強化やソ連脅威論の高まりの方に神経をとがらせているというような報道であります。したがって、この九月下旬の国連総会の際に実現すると見られる日ソ外相会議でこの問題について双方が切り出す必要があるのではないかという趣旨のように承っておりますが、後段の九月下旬の国連総会における日ソ外相の話し合いはいかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答えします。  いまのことが話に出たのは事実でございます。私どもも、日ソの関係につきましては何も窓口を閉ざすとか対立関係に立つとかということを考えているわけじゃないわけでございまして、ソ連がアフガニスタンに軍事侵入している、これは国連でも即時撤兵という決議がある。北方領土につきましては、あそこで軍備の充実をしている、そういうことは日本としては困るのだ。それがみな正しいのだという前提で話し合いをしようといってもなかなかそれはいかぬじゃないか、窓口は開いてあるけれども、こっちも努力するが、ソ連もひとつ努力をしてもらいたい、平和裏に話せる努力をしてもらいたいというのが日本の態度で、窓口は閉めてないということを言ったことは確かでございます。  それで、どこで、その窓口で両方が会うかということでございますが、一つのきっかけは恐らく国連で、グロムイコ外相も来るではないか、私も行くということでございますので、そこで何らかの話があるのじゃないか、それが窓口の話し合いのきっかけかなというようなことで話したことは確かでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 時間がございませんので少し防衛問題について、また臨時国会あるいは通常国会とありますので、ちょっと感じを一言申し上げさせていただきたいわけでありますが、最近露骨なほど政府は防衛力増強路線を突っ走っているという感じがいたします。これは上は総理大臣からいろいろな方々ですね。そこで防衛口番あるいは外務省の出された安全保障政策に関する報告書等々、随所にわが国の防衛力の増強、その正当性、必要性、その裏づけとなるソ連の脅威論、対ソ防衛増強論、そういうことがにじみ出ているが、果たして本当に言われるような脅威が存在するのか、むしろそういう考え方が非常に危険ではないか、そういう感じがするわけであります。私たちとしましては、第二次大戦の悲惨な終えん、その深刻な反省、重大な反省のもとに、平和憲法のもとにここまで世界に有数な経済大国として成長してきたわけであります。これはむしろある面から言いますと日本の外務省の皆さん方のきわめて優秀な平和外交の勝利であったという感じすらするわけであります。  しかし、いま申し上げましたような異常なほどのソ連の脅威論とかそういうことによるわが国の防衛力の急激な増強、そういうことは平和憲法の命ずる平和外交にむしろ逆行していくというような感じがいたします。その点については、これから臨時国会、通常国会等で話し合う機会があろうかと思います。  そこで、お伺いしておきたいことは、沖繩の嘉手納米軍基地にF15イーグル戦闘機が昨年九月からすでに五十数機配備されております。ことしじゅうに七十二機とかが配備完了するということも聞いておるわけでありますが、沖繩の嘉手納米空軍基地のF15イーグル戦闘機配備といわゆるソ連の極東電増強と関係があるのかどうか、その辺どのような考え方を外務省は持っていらっしゃるのか伺います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、アメリカ軍は最近におきまして、航空隊についてはF15の配置あるいはECの配置をしておりますし、また第七艦隊については海軍の近代化を進めております。これはひとえに従来のアメリカの海空軍力の近代化がおくれていた、他方極東及びアジア方面、さらに中東におけるソ連の軍備が一層進んでいるということから、質的な向上を図るという一環として沖繩においてもF15の配置が行われたというふうに了解しております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 結局、私が申し上げましたソ連の極東軍増強等との関係もあるという認識は当然外務省も持っているということになるわけですが、そのように受け取っていいわけですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 繰り返しになりますけれども、ソ連軍の極東方面における増強のみならず、全般的に現在の国際情勢のもとで米軍の質的改善を行っているということでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこでアメリカ局長に伺っておきたいのですが、このF15イーグル戦闘機というものは欠陥機だということで、アメリカの議会並びに会計検査院等でも、エンジン部門に重大な欠陥があるんだという指摘もされ議論もされているわけです。私もそのとおりではないかと思います。防衛庁もわが国の次期主力戦闘機としてこのF15を採用するということを決定しているということも承知をしております。外務省はどのように考えておられますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 F15戦闘機につきましては、かつて米軍の中においてもエンジンその他で問題があるということでございまして、その後改良されておりまして、現在沖繩に配属されておるF15についてはエンジンの改良が済んだものであるというふうに私たちは説明を受けております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 米側のそういう説明があって、外務省も言われておるところの欠陥機だとは見ていないということですね。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 現在沖繩に配備されておりますF15については、従来の経験を踏まえて最新のエンジンを積んでいる飛行機で、安全性を確認した飛行機だという説明をわれわれは米側から繰り返し受けておる次第であります。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そのように受け取っていらっしゃるし、そのように外務省も考えていらっしゃるということですね。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 そのとおりでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、過去数カ月の間にこのF15の大きな事故が御存じのとおり相次いで三回もあるわけであります。どういうわけでそういう事故が起こったのかという原因について外務省は御存じですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 六月、七月、八月と三回、F15の事故が嘉手納基地を中心にしてございました。それは事実でございます。  事故の発生した直後、外務省としては日米合同委員会の事務当局に対して、事故の発生は非常に遺憾である、同時に、事故の原因を直ちに究明して報告してほしいという申し入れをしております。なお、先週さらに従来の申し入れを踏まえまして、合同委員会においても再度安全の点検及び事故の究明を申し出ております。  なお、現在のところ過去三回の事故の原因について米軍は目下調査中でございまして、まだその原因について回答は参っておりません。ただし、八月七日、一番最近の事故について、当時油圧器系統その他に原因があるのではないかという報道が行われておりますが、その直後の米軍当局からの発表では、これはエンジンの故障が原因ではないということだけは言明されております。ただし、その他の事故の原因については目下米側において調査中であります。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 結局、なぜ事故が起きたかという原因については現在米側は調査中であって、それはわからないわけですね。いまちょっと三回目の事故についておっしゃいましたけれども、それはパイロットの操縦ミスであるということなんですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 事故の模様それ自身について若干説明を受けておりますが、原因それ自身については、先ほど申し上げましたように目下米側において調査中でございます。したがって、私たちはその原因についてまだ承知しておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 結局、淺尾さん、わからないわけでしょう、その事故原因について米側は調査中であるわけですから。パイロットミスなのか、エンジン部分が原因でそういう事故になったのかどうかについてわからないわけですね、現在調査中ですから。ですから、言われているところの欠陥機であるのかどうかについても外務省は何とも言えないわけでしょう。どうですか。おっしゃってください。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾説明員 三回の事故の原因についてまだわかりません。ただし、それ以前に米側の方から日本側に対して、現在沖繩に配備されている飛行機については、従来問題があったエンジンを搭載している飛行機とは違う、その後改良されたエンジンを積んでいる飛行機だ、こういう説明を受けております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 なぜ事故が起きるか、その原因がわからない。事故は相次いでいる。欠陥機だと言われている。ですからこの飛行機はいつ事故が起きるかもわかりませんし、われわれとしてはこれは欠陥機だ。  それで、ちょっと大臣に伺っておきたいのですが、そのことで地元の沖繩県議会においては、自由民主党の皆さんも含めて全会一致でこのF15即時撤去要求決議をしまして、きのうからきょうにかけて各省庁にその要請もあったわけですが、大臣、県議会において自由民主党の皆さんも含めて全会一致、これは沖繩県民の総意だと思います。これは欠陥機だ、こういう飛行機は即時撤去してもらいたい、こういう決議なんですが、いかがでしょう、大臣、お考えを……。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 欠陥機であるかないかということの技術的な問題が先ほどから出ているわけでございますが、これはわれわれとしてもそういうお話があることを米軍にはよく伝えますが、これは米軍がその辺の責任を持って直すということはやっていくと思います。いま先生のおっしゃった県会で全部決議したから撤去しろということでございますが、そういう申し入れがあったことはこれは米軍に伝えますが、いまここでそうしますというようなことを申し上げるには、これはなかなか重大な問題でございますので、いまの先生の御質問、御要望はこれは米中によく伝えます。そして直すべきものは直す、そういう欠陥というようなことを直していくということは当然やってもらわなければならぬことだというふうに思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、時間がございませんので、最後に大臣、百歩譲りまして、せめて事故原因が明らかになるまでの間、この飛行機の飛行中止を米側と話し合う用意はございませんか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまのお話で原因の究明ができるまではということでございますが、いま米軍にはこれはやかましく言いまして、事故原因を向こうも調査中ということを言っているわけでございまして、いまの御希望は向こうに伝えるということは必ずやりますが、その結果がいま先生のおっしゃった御希望どおりになるかどうかということにつきましては、私いまここでちょっと申し上げかねますので、米軍には御趣旨は伝えます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 韓国問題についても伺いたいのですが、その前に、いまお聞きになりましたようにこの飛行機は、大量にこれから、いま五十数機でありますが、今年中には七十二機配備されるということで、いわゆる欠陥機だと称されている、そして相次いで事故が起きている、その起きた事故の原因はまだ調査中でわからない。したがって、せめてその間、明らかになるまでの間はその飛行を差し控えるとか、あるいは中止をさせるとかということぐらいは、自信がないとおっしゃらずに、米側と話し合いは当然わが国の外務大臣としてやっていただきたい、そのことを要望いたします。  それで、韓国の問題についてでございますが、先ほど土井先生、河上先生からも御質疑がありまして、私も若干触れさせていただきたい点は、現在のいろいろな韓国の一連の事態について、これは韓国側にとりましては大変不幸なことであったと思うわけでありますが、朴大統領が暗殺されました。その後、いわゆる内外に韓国の民主化というものの芽生えがあった。しかし、三人の金さん、金鍾泌元首相はいわゆる不正蓄財という理由で、また金泳三新民党総裁は意味不明の声明を出して政界から完全に引退、したがって残る金大中氏は、現在軍事法廷で極刑も予想されるというような状況にあり、突如として一昨日は崔圭夏大統領の辞任、近々新しい政権が誕生するんだということで、内外から本当に注目されて見られているわけであります。  したがって、これまで大臣は先ほどのお答えの中に、静かに見守るというようなお答えもありましたけれども、この一連の動きについて、改めて私伺っておきたいことは、大臣はいわゆる民主化という問題に関係しましてどのように認識をしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま先生が前段でおっしゃったように、民主化の動きの芽生えが出たとおっしゃいましたが、私もそう思って当時見ておりました。ところが、一転しましてまた情勢が変わったわけでございまして、どう見ているかということでございますが、向こうの国内のことでございますので、何度も申し上げますが、私どもの口を差しはさむ問題ではなくて、韓国の国民が考える問題でございます。  私の希望としましては、憲法の草案を発表して、それを国民投票にかける、その結果、その新しい憲法で大統領を選び、国会議員を選び、新しい政府をつくるんだというスケジュールの発表があったわけでありまして、あれは私は民主化の一つの正道だ、こう見たわけでございまして、ああいうことが、先ほどからお答えしますように、公正に平穏裏に堂々と行われることを本当に期待するというふうに私は考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 先ほども出ましたが、私も一言、須之部大使の発言の報道を見てびっくりしまして、まだ誕生もしていない政権に全面的に協力をするんだというような、きょうの新聞でその訂正が載っているわけです。昨日テレビで鈴木総理もそういうことを慎重におっしゃっているのにもかかわらず、これは十六日ですか、なぜそういうふうに誤解されるニュアンスを与えるような、新しいまだ誕生もしていない政権に全面的に協力するんだということを大使がおっしゃる。これはそうでなかったということでありますが、そのように報道されるようなニュアンスと申しますか、私、それについては非常に問題だと思うんですね。大臣、改めてこれはきちっと訂正しておかないとぐあい悪いですね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先ほど木内局長が読み上げましたのでおわかりだと思うのですが、私もあの新聞を見たときにおやっと思ったことは確かでございます。それで、これはどういうことかすぐに調べてくれと言ったのでございまして、調べましたら違っているということがはっきりわかったわけでございますが、まだできていない政権について云々するなんということは普通あり得ないことでございまして、おや、これはおかしいぞと思って私は調べたわけでございまして、先生の御心配、あれは間違いだったとはっきり言えということでございますが、調べました結果もああした発言はしておりませんので、この点はひとつ国会の場を通じて御了承願いたいと思うわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、金大中氏が現在軍事法廷で裁判中であるわけですが、例の政治決着に違反する等、いろいろな議論もされ、報道もされておるわけであります。したがって、伊東外務大臣も、去る参議院の内閣委員会で、もしそういう死刑というような事態が起きたときには、その政治決着については見直さざるを得ない、そういう国内の動きがある。また、これまでの大臣の御答弁の中にも、政治決着でああいう形で処理をしたが、金大中氏については特別な関心を持っているし、金大中民の身辺については関心を持って臨んでいるし、日本国民としても非常に関心を持っているというようなことも、聞きようによってはこのことも韓国に対する内政干渉ではないかというような感じもするわけでありますが、その点、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先ほどからお答えしておりますように、須之部大使に帰ってもらいまして向こうの実情を聞き、こっちの考え方も須之部大使に言いまして、須之部大使から向こうの責任者に言ってもらった中に、いまのようなことに触れる問題があるわけでございます。  その前提は、しかしこれは内政干渉ということじゃないんだから、ひとつただこういう気持ちだということは伝えてほしいということを、政治決着の問題がありますから言ったのでございますが、先生のおっしゃいました中で、いかにも政府が政治決着を見直すんだということを私が言ったように一部報ぜられたことがあるのですが、あれはそうじゃなくて、もしもそういうことがあれば日本の国内からは非常にいろいろな意見が出てくるだろう、そして中には政治決着を見直せというような意見も出てくるのではないか、日韓関係というものに非常にぎすぎすした関係が起きる心配があるのだということを私は率直に須之部大使に言ったのです。そういうことも考えられることはあるから、ひとつ十分に配慮してもらうようにというのが私らの気持ちだということを伝えたわけでございまして、これは内政干渉という意味じゃなくて、気持ちを率直に伝えてもらうということで言ったわけでございます。  政治決着の見直しというのは、あの中に書いてありますように、将来公権力があれに介入したということがはっきりした場合には、これは相談をして見直すこともあるということが書いてあるわけでございまして、この前私が参議院の内閣委員会で答弁しましたのは、そういう声が日本から出てくるおそれがあるので、そうなれば日韓関係が非常にぎすぎすするおそれがあるんだということを言ったわけでございます。その点はひとつ先生、誤解のないようにお願いいたしたいと思うのでございますが、私どもの気持ちは、やはり金大中氏につきましては日本では、ああいう事件がありましたから特別な関心があるということだけは確かでございますし、私どももその気持ちは持っておるということでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、いま大臣もおっしゃいましたように、当然裁判の結果については、これは予断を許しませんが、もし万一、仮に非常に不幸なそういう結果、そしておっしゃるとおり国内において政治決着を見直すべきだ、いまも多いわけでありますが、そういうことについてはやはりお考えになるわけですね。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 裁判の結果でございますから、私どもここでそれがどうなるかということを予測することは差し控える、言うべきことじゃないのでございますが、場合によりましてはいま申し上げましたような声が国民の中からいろいろ出てくるのじゃなかろうか、そうすれば日韓関係というものは非常にぎすぎすする、そういう心配があるんだというのはいまでも私は思っているのでございます。その結果、裁判の結果がどう出て、その場合にはどうするんだなどということはいままだ考えてはおらぬわけでございまして、これは向こうの内政問題でございますし、特に司法の問題でございますので、静かに裁判の成り行きを見ているという状態でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 時間がございませんので、このいわゆる第一次、第二次の政治決着なるものが当時も大変問題になったわけでありますけれども、やはり日韓の政府間で決着をしたその政治決着なるものが、わが国の主権あるいは国益に重大な侵害を及ぼした、いわゆる原状回復もせぬままにそういう形になった一つの決着をつけた日本政府にも大きな責任がある、この問題につきましてはですね。ですから、ここでもう政治決着なるものを根本から見直す必要があると私は思います。  そこで最後に、時間が来ましたので、二点あわせてお伺いしておきたいことは、いわゆる韓民統という団体について外務省はどういうふうにこの団体の性格、活動を見ていらっしゃるか。  それからもう一点は、この間、これは報道でありますが、日本に韓国の官憲の追及を逃れるために亡命をしてきまして、亡命といいますか、日本経由で海外に亡命した。言うならば政治亡命的な性格のものだと思いますが、そういうケースが今後出てきました場合に、外務省はどのように対処をされるおつもりであるのか。  以上二点伺います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 韓民統の問題あるいは亡命の問題につきましては、局長からお答え申し上げます。  いまの政治決着の問題でございますが、あれは当時の両国政府の最高責任者が、いろいろ問題がありましたが、大局的な目からあれしかないということで政治決着をやったわけでございますので、私どもとしましては、新しく公権力が関与しているという場合には見直すという、見直して、相談をしようということがあるわけでございますが、それ以外は、あの問題につきましては、これをどうするというようなことはいま考えてないわけでございます。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 御指摘の韓民統が金大中氏と深いかかわり合いがあり、すなわち金大中氏がその議長であるということは私ども承知いたしております。ただ韓民統が、伝えられますように朝総連と関係があるとかあるいは北朝鮮とどの程度深い関係があるのかどうかという点につきましては、私どもは掌握いたしておりません。  それから、政治亡命の点につきましてお触れでございましたけれども、先般韓国から二名の男女が本邦に密入国したという報道に着目して御指摘があったと思いますが、私ども当局としましてはその事実を掌握いたしておりません。  それから、政治亡命一般論といたしましては、わが国の方針としては、これを受け入れないというのを原則にしておるわけでございます。そのかわり、その関係の方々の亡命の意図というものをそんたくしまして、第三国に要すれば安全に移っていただくというような配慮はやっておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 以上です。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 渡辺明君。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 初めての機会でございますので、外務大臣に基本的な幾つかのことをお尋ねさせていただきたいと思います。  第一番目に、鈴木内閣の成立後、わが国の外交方針に関しましては、鈴木総理もまた伊東外務大臣も大平外交を継続発展させていきたいという旨言っておられるやに聞いておりますが、その意味するところ、具体的に中身はどういうことであろうか、ここで、伊東外交というものを打ち立てられるに当たりまして基本的にどのような方向で進めていかれようとしているのか、お示しをいただければありがたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 鈴木内閣ができますときに私が外務大臣の重責を拝命したわけでございますが、総理からも、大平内閣でやった外交を踏襲せい、こういう話でございました。あの大平総理の合同難儀のときの光景を思い出しましても、カーター大統領、華国鋒総理とかフレーザー首相とか、たくさんの外国の元首、首脳に参列をしてもらったのでございますが、あれは日本の地位が非常に高くなり国際的な信頼を高めたということが原因だろうというふうに私は見ております。もちろん大平総理の個人的な性格その他もあるわけでございますが、あれは国際的な信頼、信用を得てきたということが一番大きな理由だろうと私は見ているわけでございまして、やはり大平内閣時代に築きました日本の国際的な信頼というものを維持していく、それを発展させていくということをまず考えるべきだというふうに私は思うわけでございます。  その具体的な問題としまして、日本の平和、安定、繁栄、国民生活を保障していくということを考えます場合に、それの前提は、世界の平和、安定ということが大切なんだから、前提なんだから、世界の平和あるいは安定に日本が積極的に取り組んでいくことが日本の平和、安定につながり、繁栄につながるんだということで、世界の中で日本の役割りを正当に果たしていくということが必要だと思うわけでございます。     〔委員長退席、川田委員長代理著席〕 その中心は、日本の外交は先生御承知のとおり日米安保を基軸にしました日米の友好ということが基軸でございまして、経済、政治に理念を一緒にしておりますその他の国々、ヨーロッパの国あるいは豪州でございますとかカナダでございますとか、いわゆる西側が十分に協調して、そしてアメリカと連絡をとりながら世界の問題に取り組んでいく、そういう原則に立って、アジアでも中国の問題、あるいはソ連の問題、ASEAN、アフリカ、中南米、どこでもその原則の上に立って外交に取り組んでいくのだということが、いわゆる大平内閣時代にとりました外交の基本方針だというふうに私は考えておりますので、そういう前提に立ちまして私もむずかしい外交問題と取り組んでいこうというのが私の考え方でございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 現時点で非常にたくさんの問題が起こっていると思いますし、解決を急がれていると思います。その懸案事項が多い中で外務大臣としては優先順位をどこに置いて当面取り組んでいくということをお考えでございましょうか。たとえば安全保障、防衛という問題がある、あるいは核軍縮の問題があります。いまの西側との関係でも経済摩擦の問題があります、あるいは途上国との経済協力の問題もございましょう。地域的にも、ASEANを重視するのかあるいは中東問題を重視するのか、環太平洋の問題はどうなるのか、こういうふうにいろいろ地域的にも問題点があろうと思いますが、大臣としていま優先順位をどこに置いてこれから進めていかれようとしているのか、その点はいかがでございましょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答えを申し上げます。  いま先生も問題を大分御指摘になりましたように、非常にいろいろな問題があることは、地域の問題、経済の問題あるいは防衛の問題、平和外交の問題、いろいろあることは先生御指摘のとおりでございます。それで、私先ほど申し上げましたが、日本の外交の基軸は日米の友好ということであることは御承知のとおりでございます。その日米の間で経済問題、電電でございますとか自動車の問題とかの問題がございます。あるいは防衛の問題がございます。こうした問題を私はやはり政治問題化させないで、政治問題化することにならないで問題の小さいうちに片づけて、日米間は大きな波がない、小さなさざ波はあるかもしらぬが、大きな意見の違いあるいは対立はないということをまずどうしてもやらなければいかぬということで、いま日米の関係の経済問題でございますとか防衛の問題でございますとか、こういうことが非常に大きな問題として出てきているわけでございます。  その他先生おっしゃいました地域の問題について申し上げれば、ASEAN、これはカンボジアに対するベトナムの侵攻によりましてタイに非常に難民のあることは御承知のとおりでございますし、カンボジアが越境したというようなことでASEANでも非常に大きな問題がございます。あるいはまた、アフガニスタンへのソ連の軍事介入をめぐりまして対ソ問題というものをどう考えていくかという地域の問題もございますし、中東の和平の問題、これも油の問題が後ろにあるだけに、日本としましては非常に重要な問題でございますので、このエネルギーの問題をどうするか、あるいは中東の和平をどういうように考えていくんだというような問題も地域に限って言えば問題がございますし、安全保障ということを言いましても、狭義の防衛だけでなくて、これはいわゆる南北問題、地域的、社会的、経済的に非常にレベルの低いところの人々に対して、いわゆる開発途上国の援助の問題も防衛の問題としてはございますし、たくさんな問題があるわけでございますが、私はまず日米関係には波の立たないようにして、そしていま言ったような問題と取り組んでいくということを考えているわけでございます。  特に私は第一回目の外国に出かけるにはアジアを選んだわけでございまして、日本の外交から言いますとアジアの問題というものは非常に大きな問題だ、またその中で韓国の問題、朝鮮半島の問題なんというのは非常にむずかしい問題だというようなことを頭に置いているわけでございまして、アメリカとの関係は波立たないようにして、その上で防衛の問題あるいは資源の問題、自由貿易の問題あるいは開発途上国の援助の問題というふうなことに取り組んでいくというつもりでおります。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 その点で大平内閣の外交政策の一つの特徴として、これは私のあるいは誤解かもわかりませんが、西側との協調ということを強く言われましたけれども、その中においても特に新しい方向としてヨーロッパ、西欧との協力関係をてこにして推進するというその方向が出てきたやに私は思いました。外務大臣としてはその基本的な考え方は踏襲されていかれますか、いかがでございましょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 特に西側、ヨーロッパとの協調の問題でございますが、あのイランの問題の人質の問題を中心にしましていろいろ問題になりましたときに、前の大来外務大臣がヨーロッパへ飛びまして、ECの外相といろいろ打ち合わせて協調して世界の問題に取り組んでいこうじゃないかということを実はやりまして、ヨーロッパの諸国も非常に日本との距離が近くなったということで、向こうもこの日本の考え方を歓迎をしているということでございます。先ほど冒頭に申し上げましたように、経済、政治について理念を同じくする人々が協調していくということを言いましたのは、具体的に言いますとヨーロッパ、要するに西側陣営と協調して、アメリカをまあリーダーにしますか、協調してひとつやっていこうという大平総理の考え方には全然私どもも同じ考え方でやっていこうというふうに思っております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 このたび大臣はアジアの方へ回られるようでございます。それからまた中国にも行かれると聞いておりますが、その際にどのような国際情勢の認識をお持ちなのか、大変基本的な初歩的なことかもわかりませんが、お尋ねをしたいと思うのです。  私は歴代の外務大臣に一番先にその点をお尋ねいたしました。天下は太平なのかあるいは大乱なのか。たとえばデタントはもうすでに死んだということを言う人もあります。しかしまだまだ希望はあるというふうに見るべきなのか。そういう非常に大局的に分けてはなんでございますけれども、大臣の基本的な御認識というものをお聞かせいただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 世界の情勢は太平なのか大乱なのかという非常にむずかしい御質問でございます。大乱という言葉をよく使われたのは、中国の鄧小平さんが大乱だというようなことを言ったことが私も耳にあるわけでございますが、世界の情勢を見ますと、特に最近はアフガニスタンに対するソ連の軍事介入、あるいはイランの人質の問題をめぐって中東の問題、特に中東の包括的和平がこれは問題になるわけでございますが、世界の情勢はなかなかこれはむずかしいいろんな緊張関係が起きてきているというふうに私は見るわけでございます。アメリカが従来非常に大きな力を持っていた、こういうことを言われるわけでございますが、アメリカの力が前よりは弱くなっているということもこれ確かでございますので、そういう情勢の中で日本がどう考えていくかということになりますと、これは先ほど言いました西側の一員としてある程度責任を分担していくというようなことを考えていかなければならぬ。その前提になる世界というものはなかなか緊張が最近は増してきているというふうに私は見ます。  ただ、だからといってこの緊張緩和をしないというわけでない。外交というのはなるべく緊張を緩和し摩擦を少なくしていこうというのが外交の役目でございますので、そういう考えに立ちましていろんな問題に対処してまいりたいというふうに思っております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 アジアにお回りになるわけでありますが、いまASEANの中で一番大きな焦点になっている問題の一つは私はカンボジアの問題であろうと思います。インドがヘン・サムリン政権を承認する、こういう動きになってきた。これに対して日本としてはどういうふうに対応していかれるのでございましょうか。大臣としてはどういう基本的な姿勢でASEANの国々をお回りになるのでございましょうか。またインドにも行かれるのでございましょうか。国連代表権においてはポル・ポト政権にこれを与えるべしということで従来の立場を堅持するお考えでございましょうか。そこら辺はいかがでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 結論的に申しますと、民主カンボジア政府ポル・ポト政権の国連における代表権を日本は認めていく、その方針を堅持していくということでございます。  先生おっしゃいましたように、いまASEANでいろんな問題がございますが、ベトナムのカンボジア侵入、そしてまたタイに対する越境問題ということが非常に問題でございまして、この六月ASEANの外相会議が行われました最中にベトナム軍のタイ越境ということが起きまして、ASEANの外相がベトナムを非難し、撤兵をしろというような決議をしたことは御承知のとおりでございまして、日本としてはそのASEANの外相会議の声明を支持していくということでございます。つい最近もASEANの大使に皆来てもらいまして、その方針をはっきり申した次第でございます。  でございますので、タイに参りますのも、タイが第一線でございますので難民も非常に抱えて、タイは非常な努力をしておるわけでございますので、タイに行きまして難民の状況も見、日本がASEANでどういう役割りができるかというようなことも、タイの首脳と相談をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  インドは、先生おっしゃいましたようにヘン・サムリン政権の承認をしたということがございますし、なかなかインドの立場というものも、インドとしての主張はございますが、日本から見ればむずかしい問題がいろいろございます。でございますので、ガンジー首相に会いまして、日本の考え方、ASEANに対する考え方、中国に対する考え方、アフガニスタンに侵入したソ連に対する考え方、率直に述べまして、日本の立場も向こうによく理解してもらい、インドはどういう考えなのかということも聞いてまいろうというのが私の考えでございます。  パキスタンは、アフガニスタンと国境を接し、これもまた難民を抱え非常にむずかしい立場にありますことは御承知のとおりでございますので、パキスタンの首脳とも会いまして、日本としては経済援助もあそこにうんと増したわけでございます。園田特使も行って意見の交換もしてこられたのでございますので、特にソ連の関係あるいは中国、インドとの関係等につきまして、率直な意見交換をしてまいりたいというふうな考え方でおります。  最後は中国でございますが、これは御承知のように五百億の借款の問題もございまして、そういう問題が去年解決し、あそこの近代化を助けていこうというのが日本の立場でございますので、あそこの首脳と会いまして、また率直に意見の交換をしてまいりたい、こう思っております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 天下大乱とはおっしゃいませんでしたが、緊張が高まった世界情勢であるというふうにおっしゃっておられます。  そういう中で、現在あるいは近い将来において日ソ関係をどのようにお考えになっておられますでしょうか。ソ連への経済制裁は今後とも続けていくという御方針でございますか、あるいはまたそこら辺は再検討するという時期が来たとお考えでございましょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  日ソの関係は、これは隣国の大国でございますので、私もこの問題は非常に重要な問題だと思っておるわけでございます。ただ、日本とソ連との関係は、ヨーロッパとソ連との関係と違いまして、領土問題というような特殊な問題が日本にはあるわけでございます。そこにソ連が軍備の充実をしているということがございますので、日本としましてはソ連に対しまして、アフガニスタンからの撤兵と、北方領土の軍備の充実はおかしいじゃないか、あれは日本の領土じゃないかということで従来話していたわけでございます。     〔川田委員長代理退席、委員長着席〕  この問題は非常にむずかしい問題が残っておるわけでございますので、アフガニスタンの問題を契機にして日本は経済制裁といいますか、西側陣営一緒になりましてこの方針をとっておるわけでございまして、私どもはソ連の態度が同じである限りは、いま方針を変える考えは持っておりません。  ただ窓口はあけてあるわけでございますので、国連会議等に行きましてヨーロッパの外相とも会います。アメリカとも会い、ソ連とも会うと思いますので、その辺のところは率直に話し合ってみようと思っておりますが、いまのアフガニスタンを契機にしました対ソ措置、オリンピックは終わりましたが、そのほかの要人の往来、新規信用供与はしないというような問題、ココムの問題等につきましては、いまは従来どおりの方針でいこうというふうに思っておるわけでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 先ほどお触れになりました中東の問題ですが、今日の事態はキャンプ・デービッド方式の平和方針が何か揺らいでいるという感じがいたします。特に最近、東エルサレムの併合、そしてまたその首都化というものを目指すイスラエルの決定がございました。それをめぐって中東情勢はきわめて憂慮すべき方向に動いていると思います。また、これは日本にとってもまことに重大な問題でもあります。  わが国としては今日まで、特に最近でございますが緊急国連会議、こういうところで決議が行われたり、それからまた最近のアラブ諸国の動き、こういうことに対しましてどのような対応で臨んでおられるのか、基本的な方針をお聞かせいただきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 中東の平和といいますか安定につきまして非常に憂慮される問題があるという先生の御質問、そのとおりだと私は思います。  中東は特に世界に対する油の大きな供給地でもあるだけに、あそこの平和、安定がどう保たれるかということは、私は日本にとりましても非常に重大な問題だというふうに思っております。この春、園田特使が参られましたのも、大平総理と相談をされまして、日本はどういう役割りができるか、どうやったらあの地帯に平和が来るかということを探るといいますか、意見の交換に行こうということで園田特使が行かれたわけでございまして、先生おっしゃったキャンプ・デービッドでエジプト、イスラエルの話し合いはできましたが、あれは私どもも第一歩だと思っておるわけでございます。やはり包括的な和平といいますか、公正な長く続く永続的な平和があそこに来なければ、これは本当の中東の和平ということに相ならぬわけでございまして、そういう意味でこの間の国連の緊急総会もパレスチナ問題であったわけでございます。  わが国としましては、あそこの和平問題の一つの大きな柱は、パレスチナ人の取り扱いがどうなるのだということが非常に大きな問題になるというように考えているわけでございまして、そういうものの解決なしにはなかなかあの地帯に包括的な永続的な平和が来るということはむずかしいと思っております。その問題も含めまして、これはパレスチナ人の問題の中にはPLOの問題もございますが、含めましてあの辺に何とか和平が来るように、いまECの外相の代表が回っております。また国連でも動きがございますし、これは日本だけでどうするということはなかなかむずかしいわけでございますから、アメリカあるいはEC諸国と先ほど言いました協調をしながら、何とかあそこに本当の和平が来るように。そういう意味から言うと、あの東エルサレムの併合なんということは一方的な占領地の変更でございますので、私はいまの中東の和平にとってはああいうことは非常にマイナスだと思って政府の考え方を出したわけでございまして、EC、アメリカと十分連絡して、日本はどういう役割りが果たせるかということでひとつ取り組んでまいりたいと思っております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 その点でイスラエルの最近の強硬姿勢、これに対しては反省を求めなければならないと思いますが、同時にイスラエルの生存権の確保についても、私はアラブ諸国に対しても日本は言うべきことはきちっと言うという姿勢を貫くべきだと思いますが、いかがでございましょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生おっしゃったとおりでございまして、この間パレスチナの問題で棄権を国連総会で実はやりました。あの中の一つにはイスラエルの生存権の問題があるわけでございまして、これをはっきり認めなければやはりいかぬというふうに日本は思いますし、パレスチナ人の問題を解決する場合も、やはりイスラエルの生存権を認めるということでなければいつまでたってもあそこは包括的な和平が来ないと私は思いますので、先生のおっしゃったとおり、イスラエルも相手方の生存権を認める、相手方もイスラエルの生存権を認めるということがやはり基本でなかろうかと思っております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 最後に二つだけ質問させていただきます。  朝鮮半島における南北対話の環境づくりに努力するというのは故大平総理の路線でもあったわけでございます。その方針は外務大臣、堅持していかれるわけでございますか。その観点からごらんになりますと、最近の韓国の情勢はどのように受けとめられますか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私は朝鮮半島に平和が来るという、そういうことが望ましいということは、そのとおり私も同じ考えでございまして、そういう環境づくりをしようということを大平総理が言いましたこともよく覚えております。華国鋒総理に会いましたときにも、大平総理から、あそこに対する中国の政策等につきまして、何とかそういうことができるようにということの話をしたわけでございまして、また大平総理はカーター大統領に会ったときもそういう話をしているわけでございます。今後ともそういう努力は私は続けていきたい、同じ考え方でございます。  そういう意味からしまして、南北の話し合いということが、あれは七回か八回もうやったわけでございますが、やはりいろいろなむずかしい問題がこれはあると思いますが、話し合いを続けていくという中で何か解決する問題が一つでも二つでも出てくるんじゃないか。話し合いというものは大切でございますので、韓国の情勢はどうなろうともやはり南北の対話は続けて、その中から一つでも二つでも何か解決していくということができれば非常に結構だと私は思っておるわけでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 最後に、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、大臣は韓国において民主的安定が進むということを非常に期待しておられる、この立場に変わりはないということが感じられました。そうしますと、そういう観点から、このたびの金大中氏を初めとする人々の裁判について、内政干渉は慎まなければならないでありましょうけれども、民主的安定のための期待というものは強く隣国にある日本として要望し、希望を述べるということは必要だと思います。  そういう点からも、またこのたびの裁判についても公正に行うべし、行ってほしいという期待を述べること、希望を述べることは当然だと思いますが、その点については、何らかのアクションをこれからおとりになるかどうか、いかがでございましょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生のおっしゃった裁判が公正に行われる、公開ということもその中に入っていると思いますが、公正な手続で行われることを期待しているということは、実はこの前も須之部大使にも言いまして、向こうにも伝えてはございます。内政干渉はしない、そんなことじゃないんだけれども、われわれはそういうことを考えていますよということをもうすでに実は伝えてありますし、今後も私は裁判が公正に行われることを期待しておるわけでございます。  ただ、それをどういうふうなことで表現するかということは、いろいろ問題があり、内政干渉だというような感じを与えてまた問題を非常にむずかしくしてもならぬということもございますので、どういうふうなやり方が一番いいかということはよく考えますが、すでにそういうことにつきましては向こうにも伝えてあるということでございますので、いまのところは裁判がどういうふうに行われ、どういう審理の状態になるのかなということを冷静に見ていよう、まだ始まったばかりでございますので、そういう態度で見守っているというところでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 終わります。ありがとうございました。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 中路雅弘君。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 時間が限られていますので、私はきょうは金大中氏の事件の問題政治決着の問題、こうした問題に限って御質問したいと思います。  最初に大臣にお聞きしたいのですが、いわゆるこの七年前の金大中氏の事件というのは、そもそも日本政府にとってどういう問題だったのか。いわゆる金大中氏の滞日を承認していた日本政府は、白昼に金大中民が拉致されるという、しかも日本側で言えば金東雲書記官の指紋まで明らかにしているわけですが、このいわゆる金大中氏拉致事件と言われている事件というのは、日本政府にとってどういう事件だったのかということを、まず最初にお聞きをしておきたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 あの事件にはまだ捜査関係も残しているように、いま日本としましては、やはりあれに公権力が関係したかどうか、新しい証拠があるかどうかとかいうようないろんな見地から捜査しているのは御承知のとおりでございまして、私は、日本にとってはあれは、まあ政治決着というのは高い見地からもうこれでということで両国の首脳が政治決着をしたのでございますが、私どもからすれば、これはいろんなことがもっと解明されるということもあるのかなということをあの段階では実は見ておりましたが、ああいう政治決着で終わったということは、両国にとりまして、もうあの事件につきましては、これは本当に好ましいことではなかったという気持ちは、私、率直にあの当時あったと思います。  ただ、両国の関係者が、これはひとつ雇い立場に立って、向こうからも総理が陳謝に来るというようなことで決着をしたということでございますので、いまとかくあのことにつきましては批判はしたくない、こういうふうに考えております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 批判の問題じゃなくて、この事件について、事件の定義といいますか、どういう事件だったのかという問題をお聞きしているわけです。いま公的権力の介入の問題についてまだ残されているという問題もありますけれども、いずれにしましても金大中氏の人権あるいは生命は日本が責任を持たなければいけない国際的な義務もあったわけですから、日本の政府は世界人権宣言の人権規約も承認している国でありますから、そういう点で、金大中氏の人権が踏みにじられる、あるいは、まだ最終的に決着がついていないにしても、日本の主権がいずれにしても脅かされ侵害されたという事件そのものの性格は、そういう政治決着の問題は別にしまして、どういう事件だったのか、日本側の立場に立ってみて、日本政府としてはどういう性格の事件だったのかということを一言でお聞きしているわけです。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま申し上げましたように、まだ捜査は続けているということでございまして、どういう証拠があるか、主権侵害という場合には向こうの公権力が介入するという問題もございますし、どういうことであったかということをまだ捜査しているという段階が残っているわけでございます。ただ、政治的には決着したということでございますので政治決着そのものについては先ほど申し上げたとおりでございますが、いろいろな証拠がまだ何かあるのかなということで捜査をしているということは、やはり中にいろいろな、先生がおっしゃったようなことがあったのかなかったのかということをまだ捜査しているということでございますから、それでひとつおわかりを願いたいと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 まだ捜査が残っているというお話、当然ですが、そうしますと、金大中氏の身柄といいますか生命について、日本政府としてその他の国と比べていまも特別の関心があり、また責任があるんだということだと思うのですが、その点はいかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 政治決着をしたということでございまして、金大中氏につきましては、韓国の内における出国の自由でございますとか、一般の国民と同じに扱うということで了解ができて、その後公民権も回復されるというようなことで、韓国の人と同様ないわゆる地位を得たということに法律的になったわけでございますので、われわれはいまそれ以上は何をか言わんやということでございますが、ただ先生がおっしゃったような事件があるだけに、われわれとしましてはやはり金大中という人の身辺について関心があるということは否めないわけでございます。  最初から何回も御答弁していますように、やはり国民感情の中には、金大中氏が日本から拉致された、政治決着ができて終わった、向こうで公民権は回復し出国の自由も得られたということであるけれども、なおやはり身辺については関心があるなというのが率直な日本人の考え方じゃないかと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 先日、外務大臣が参議院の内閣委員会で、金大中氏が裁判で死刑ということにもなれば政治決着の見直しの声も起きてくるだろうというお話もされています。日韓の間でいろいろ問題も起きると答弁されているのですが、先ほどお話しのようにまだ捜査は残っているのです。死刑ということになればこの捜査自身も問題にならないわけですね。そういう点からも、死刑になってから、あるいはいま裁判の推移を見て、判決の結果を見てということでは、金大中氏の身柄について責任のある政府として、大臣が言われているようにこの問題に対する一般的な関心の表明だとか、あるいは先ほども答弁で韓国内の国内問題だ、いま裁判の推移を見てということをおっしゃっているわけですが、これだけでは日本政府としては済まない問題だと私は考えるのですが、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 その後政治決着をしまして、後で金大中氏が向こうで公民権も回復する、自由になるというようなこともあったわけでございまして、もう向こうに、韓国で生活しておられるということでございますから、それについて日本がとやかくいろいろなことを言うということは私はこれこそ内政干渉だと思うわけでございます。  ただ、先ほど言いましたように、ああいう事件があって政治決着をするということがあったから、日本人の特別な感情として金大中氏の身辺については特別な関心を持っている、これが率直な日本人の感情じゃなかろうかというふうに私は思っておるわけでございまして、向こうで公民権が回復をして向こうに住んでいる人にこっちが責任があるかないかというような法律論はもうないのじゃないかというふうに私は思っております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 出国の自由とか公民権の回復というお話もありましたけれども、しかし現実の事態は軍事裁判で金大中氏自身が抹殺されるかもしれない、いわゆる新しい最悪の事態がいま起きてきているわけですね。私はこの点について、内政干渉だ国内問題だということで、またこの事件の性格から言っても、これまでの金大中氏への日本政府の責任を免れるということはできないだろうと思うのです。  昨日、初めて起訴状を仮訳したのをいただきましたけれども、先日の捜査結果、あるいは起訴状で明らかにされている金大中氏についての詳細な報告を見ますと、日本政府あるいは内閣調査室や警察等が韓国に提供した捜査資料、こうした協力がなければとうていできない起訴状じゃないかというふうに私は考えるわけです。  現に、これは一般新聞に出ていますが、たとえば韓国の前駐日公使でアメリカに亡命しました羅氏が語っている新聞を見ますと、韓国政府としては日本政府の情報提供以外にいろいろ詳細なことは知る道はなかったんだということも言っていますし、金大中氏事件にしても、加害者とともに被害者である金大中氏の状況も捜査を当然されたろうと思うのですね。こうした資料が今度の裁判の資料の中でもいろいろ使われているという疑惑は非常に強いわけですが、そうだとすれば、今度の起訴について日本政府は事実上共犯ということにも起訴状で言えばならざるを得ないわけですが、この点は大臣はいかがお考えですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 韓国の当局がどのような方法で日本にかかわります資料を入手しておりますか、私どもは掌握いたしておりません。また、日本政府がこれに協力するというようなことは毛頭ございません。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 しかし、あの事件をめぐる日本の捜査の資料というのは、金大中氏の問題について韓国側に渡された資料というのはあるのじゃないですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 政府当局から渡しておるという事実はないと承知いたしております。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 いまの起訴状の中で、先ほども答弁で、これは背景説明と訴因と分けてあるというお話ですけれども、原本には背景説明という言葉などはどこにもないわけですね。起訴状一本でありますし、また起訴状全体を読んでみますと、いわゆる起訴状全体の趣旨から見て、海外での政治活動が金大中氏の今度のこの訴因に深くかかわっているという文章であることは明らかですから、政治決着にこれが触れるものでないという日本側の説明というのは全く口裏を合わしてこの軍事裁判を合理化する、そういうことにならざるを得ないと私は思うのです。  政府自身が、先ほどまだ公的権力の介入かどうかということは調査を続けているんだというお話ですけれども、いま私は、政治決着の条件に違反しているかどうかという問題ではなくて、政府自身がこの事件についてはKCIAであるということを百も承知で政治決着をやられたことは事実だと思うのです。当初この問題が起きたときに、外務省の事務レベルで、西ドイツのあの留学生の事件の方式で解決以外にないということでその解決の方法について事務レベルでは内部で作成されたということも聞いていますけれども、これが当時上から抑えられて、日韓にひびが入らないというための手段として政治決着がやられたと思うのですが、この最初のボタンのつけ違えといいますか、かけ違えが、政治決着以後の金大中氏をめぐる今日の事態がますます悪化している要因ではないかと私は思いますし、やはり金大中氏の生命の危険さえいま問題になっている中で、この金大中氏事件の性格からいって、こうした政治決着という解決でふたをしてしまうのではなくて、この政治決着を見直し、原状回復を実現していくということが私はこの問題の最大の解決の出発になるだろうと思うわけですが、もう一度この問題で金大中氏の原状回復あるいは釈放について韓国政府と交渉する、このことが金大中氏の安全を保障する具体的な対策だろうと私は思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先生の御意見でございますが、それはなかなかいまそういうことを、政治決着をやめて新しい立場でそういうことをやれという御提案でございますが、これは現実の問題として不可能だろうと私は思いますし、いま政府としてそういうことを考えるということはございませんので、先生の御意見と違って申しわけございませんが、私どもはそこは考えてないということでございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 これは委員長にこの委員会の席でもお願いしておきたいのですが、日本共産党は、この問題でやはり解決の方向として、いま私がお話ししました問題を政府に要請するという決議をぜひ委員会でしていただきたいと、きょう理事会ではお願いをしたわけですが、この問題はぜひ理事会で検討していただきたいということをここでお願いしておきたいのですが、いかがですか。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 理事会で協議いたします。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 私は、いまこの政治決着の見直しがむずかしいという大臣の答弁がありますけれども、その根底には、やはりいままでとってきた日本政府の対韓政策というのが根本にあると思うのですね。前大来外務大臣も、韓国の弱体化は日本の国益に望ましくないという、こうした立場で、一貫していわゆる韓国の、括弧づきですが安定ということを考えておるわけです。  ここに端的に日本政府が、あるいは外務省が韓国についてどういう考えを持っているかというパンフレットがあるわけですが、そこにおられるアジア局長、木内さんがしゃべられた「アジアをめぐる情勢」ですね、このパンフレットの中で、お読みしますと、こういうふうに言っておられるのですね。「韓国は確かにアメリカの世界戦略にとっては、将棋でたとえれば歩でしかないかもしれませんが、日本にとっては飛車であり、角であるということは忘れることのできない事実かと考えます。」ということを書いておられるのです。  大臣に最初お聞きしたいのですが、日本の外交というのは、当然ですが、どこの国とも平等、対等でやっていく、これが外交の基本姿勢だと思いますが、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 どこの国とのおつき合いも、相手の主権尊重、内政干渉はしないということでおつき合いをしていくということは確かでございます。  ただ、朝鮮半島につきましては、遺憾ながら北についてそれがないということだけは事実でございますが、あとどの国とも相手の国の主権は尊重する、お互い内政干渉はしない、そして、対等の立場でつき合っていこうというのが私は外交の基本だというふうに思います。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 当然のことなんですが、それじゃ、これはどうなんですか、いまお読みしました、韓国は「日本にとっては飛車であり、角である」、日本の部品のような――ちょうどことしは日韓合併七十年になるわけですが、日本の国益のためには韓国を、韓国でどういう人権侵害が行われようと、あるいは金大中氏にどういう事態があろうと、とにかく韓国が安定するということが日本の国益なんだということから、どういうファッショ政権であろうと軍事政権であろうと、これにてこ入れをする、支援をする。そして、日本から見れば韓国は角であり飛車であるという、アジア局長がこういうことを堂々とパンフレットで出しているわけですが、大臣はいまこの飛車、角というのはどうお考えですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 それを書いたといいますか述べた木内局長がいま答弁しますから、それは聞いていただきたいのですが、国と国との関係で、大きい国、小さい国、大小あると思うのですね。だけれども、上下ということは、どんな小さい国であっても、大きい国と対比して上下ということはない。大小の国はそうでございますが、上下はない。私はそう思っております。  いま飛車、角と言いました、木内君はそんな意味で、日本が王様で、相手が飛車、角だ、そんなことじゃないと思う。木内君いま答弁をいたしますが、私は恐らく木内君はそんなつもりで言ったんじゃないということだけははっきり申し上げますし、私どもも外交をやります場合に、大国、小国はあっても、国の上下はないということだけははっきりしてやります。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 ちょっと大臣に一言だけ。それじゃ、真意はともかくとして、いずれにしてもこの表現は適切じゃないと大臣はお考えですか。こうした、外務省の局長が飛車、角……

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 ただいまの表現でございますが、これが必ずしも適切であったとは私も思いませんが、要するに私がその場で申し上げたかったことは、韓国の安全というものは日本の安全にとっても緊要であるという従来の政府の立場、それを少しどぎつい表現で申し上げたというのは間違いであったかと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 適切じゃないなら、これははっきりと取り消してもらわなければなりませんし、しかしいまお話しのように、やはり一貫しているのは、韓国の安定のために、こうした人権じゅうりんがあっても軍事政権をてこ入れしていくという、こういう一貫した態度なんですね。  かつて朴政権についてどう考えるかという質問があった際に、田中内閣のときも三木内閣のときもそうですが、政府は、自由と民主主義を志向する国だという答弁をされました。さっき大臣は、朴氏が射殺された後の動き出した韓国は民主主義の芽生えが出始めたと思ったとおっしゃったのですね。芽生えというのは、それまでの政府に芽もなかったということじゃないですか。  こうした政権を――では、いまの全斗煥体制というのはどのようにお考えですか、時間がありませんので、一言。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 どの国がどういう政体を選ぶかということは、それはまず国民が決めなければならぬことでございますので、私どもとやかく言うわけじゃないのですが、あのときクーデターのような事件が起きたことはもう御承知のとおりで、その後暗殺が起きて、しかし、あのときは維新体制というものがここで内容が変わっていくのじゃないかというような空気が出たことは確かでございまして、それを私は民主化運動の芽生えが出てきたということを言ったわけでございますが、厳密な意味で、ゼロだった、芽生えというのはゼロから始まるのだという、そういう定義を言われると、はなはだどうも、では私は取り消しますと言った方がいいのかもしれませんが、そういう意味で言ったんじゃないのです。韓国は韓国なりの民主化というものはあったと思うわけでございます。これはゼロだったということを言って芽生えと言ったわけじゃございませんので、その点は、もしも日本語の用語がまずければ私は訂正しますけれども、もっと民主化がどんどん進んでいく、いままで十だったのが十五、二十になってひくというのもやはり私は私の表現の中には入っていると思って言ったのでございますが、不適当であれば訂正をさせていただきます。  私はいまの政体、これからどういう人が大統領になるかわかりませんが、先ほど言った憲法の国民投票、大統領の選挙、国会議員の選挙というようなことは、これはまさに民主化に通ずることでございますから、それが堂々と公正に行われることを期待しているというのが私の立場でございます。

中路雅弘日本共産党

○中路委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一問だけお聞きしておきます。  先ほども日韓閣僚会議のことで、九月は無理だというお話だけありましたけれども、戒厳令がいましかれている、戒厳司令部が押さえているとき、この相手と外交交渉をやる、会談をやる、とうてい考えられないわけです。戒厳令について、いつこれが解除される、そういった見通しをお持ちなのか、あるいは戒厳令下でも時期が来れば日韓閣僚会議をやるおつもりなのか、最後にこの一点だけお聞きしておきます。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 戒厳令がしかれているところと、というお話でございますが、先生御承知のようにフィリピンとかパキスタンなんかも戒厳令はあるわけでございます。ですから、それだけでとやかく言うことはいかぬと思うわけでございますが、先ほど言いましたいろいろな外交日程、国会の日程あるいはまた韓国の政治の民主化安定といいますか、そういうようないろいろなことを頭に置きながら考えていかなければいけません、ただ九月というのはいかにしてももう日程が詰まっていてだめでございます、ということを土井先生にお答えをしたわけでございまして、土井先生に対するお答えと同じ気持ちで私はおることだけ申し上げます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 田川誠一君。

田川誠一新自由クラブ

○田川委員 各委員の質問を伺っていて、金大中の問題で二、三ちょっと疑問になる点をお伺いしたいと思います。  外務大臣が金大中の問題、金大中裁判について大変関心を持っている、また、土井委員の質問の中で、目的を達成するために国連に提訴したとかするとかなんとかということを考えていらっしゃるようなお答えをしていたように伺いますけれども、私の聞き違いかもしれませんが、一体金大中の問題をどういうふうに解決したらいいかとお考えになっていらっしゃるのか。たとえば先ほど公正な裁判が行われることを期待するということをおっしゃいましたね。金大中が裁判の結果自由の身になるのを期待しているのか、それとも起訴事実にあるような結果で有罪になることを期待しているのか、どちらなんでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 先ほど国連に提訴あるいはECの外相と連絡をとってというように具体的に、たとえばと言って御提案があったのは、土井先生からでございますが、私はこれはどうやったら一番いいのか慎重に検討しますということを申し上げたのでございまして、その点は誤解ないようにひとつお願いを申し上げます。  それで、私、何度も相手方に言いましたのは、身辺について重大な関心を持っているということを向こうに実は言ったわけでございます。私のところへ来られる方々も、いろいろ、たとえば健康状態がどうなるか、身辺の関心を持っているという意味で健康状態がどうなっているのか調べてくれというようなことで来られる方もあり、一番の最高刑になることは困るから、そうでなくしてくれというような働きかけをすべきじゃないかというようなことを言われる人、いろいろ実は幅があるわけでございます。  それで、私ども向こうに言っておりますのは、身辺について重大な関心があるということを言い、もし万一裁判の結果死刑というようなことになると、日本の中からはいろんな、むずかしい、見直しの問題でございますとか、経済協力の問題でございますとか、いろんな面にわたって、むずかしい議論が出てくるだろう、日韓関係にひびが入るというようなことを私は恐れるのだということを、実は須之部大使に私の意見を言いまして、向こうに伝えてもらったわけでございますので、その点は、裁判の結果がどうなればいいのだというようなことを私の口からいま言うことは、これは差し控えさしていただきたいと思うわけでございますが、須之部大使を通して言ったということの内容で先生もひとついろいろお考え、御案内いただけば結構だというふうに思います。

田川誠一新自由クラブ

○田川委員 まあ大体言外に察することができますけれども、先ほど起訴状の中に政治決着の問題が絡んでいるか絡んでないかという議論がございました。もし起訴状の中に書かれていることが、政治決着の中で了解をされた、問題として取り扱われるとすれば、やっぱり日本側が韓国側に十分言わなければならない根拠があるわけですね。  先ほど局長から背景説明という話が韓国側からあったということを聞きました。起訴状に背景説明というのは一体書いていいものかどうか。これは韓国と日本と違うかもしれませんけれども、日本の刑事訴訟法の中に、訴因以外のものを書いてはいかぬ、刑事訴訟法にはっきり明示されているわけですね。ですから、背景説明なんというのは起訴状には書けないわけです。もし起訴状に背景説明なんというものを書けば、これは違法になるわけですよ。  刑事訴訟法の二百五十六条、これは日本の刑事訴訟法です。これはもう判例もあるわけです。訴因以外のことを書いて裁判官に予断を与えるような、そういうようなことを書いた場合には、これは違法になるわけです。ですから、起訴状には背景説明なんというのは書いていいものじゃなく、書いた場合には逆にその訴えが無効になるぐらいのものなんですね。ですから、背景説明というのは、こじつけのように思われるのですよ。どうでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 先ほど来土井委員からもその点御指摘がございまして、起訴状一本主義というような考え方もあるということは私どもも承知いたしております。  韓国の場合には、これを背景説明、それから訴因と分けられるということを、私どもは了解いたしております。  また、わが国につきましては、これは判例が分かれておるようでございまして、起訴状一本主義という考え方がプリベールいたしておりますものの、そうじゃない方式、すなわち背景説明のごときものを入れての起訴状というものが排除されていないというふうにも承知いたしております。

田川誠一新自由クラブ

○田川委員 質問時間が十分しかありませんから、もうあと四、五分で終わりになりますから余り議論したくありませんけれども、韓国の刑事訴訟法を検討されましたか。実は韓国の刑事訴訟法と日本の刑事訴訟法と同じなんですね。私、韓国語はわかりませんけれども、国際弁護士に訳してもらったのです。そうすると、日本の刑事訴訟法と全く同じような項目が書いてある。いま申し上げましたように「起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。」これは日本の刑事訴訟法の二百五十六条の六項なんです。韓国の刑事訴訟法の二百八十九条の六項、全く同じ趣旨が書かれているわけですよ。  ですから、いまあなたは一本主義はいろいろ学説があると言うけれども、日本の地方の、たとえば仙台の高裁の判例の中にも、よけいなことを書いて公訴が棄却になったという判例があるわけですよ。それは、背景説明などが起訴状に書かれているから裁判官に予断を与える、そういうことによって、よけいなことを書いたということで公訴が棄却になっているわけですね。判例があるわけです。それと同じような趣旨が韓国の刑事訴訟法に帯いてあるわけですよ。ですから、起訴状の中の最初の方は背景説明だというのは、これは本当にこじつけとしか思われないわけです。  しかし、これをここで議論しても、あなたは、背景説明と韓国から言われたからしようがない、こういうふうにおっしゃる以外ないと思いますから、これ以上議論いたしませんが、もし背景説明でない起訴要因であるとすれば、これは日本側が韓国に対して物を言えるわけでしょう。どうなんですか、この点は。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 いままでの韓国当局とのやりとり、経緯にかんがみまして、そのような考え方に立脚するならば、これは当然韓国にもいろいろ相談ずる余地はあると思っております。

田川誠一新自由クラブ

○田川委員 相談する余地じゃなくて、政治決着の中で了解をされたことに対して抵触していることですから、もし起訴状の中に背景説明じゃなくて要因と断定されるようなことになれば、これは話し合いの余地どころじゃない、日本が韓国に対して抗議というか申し入れができることじゃないですか。  こういうことは外交上、韓国には韓国の解釈があり日本には日本の解釈があるわけですから、韓国の言い分も聞かなきゃならぬけれども、われわれの方も金大中さんの裁判を公平にやってもらいたい、あるいは金大中さんの身を自由にして差し上げたいという気持ちがあれば、こういう問題こそ日本側の主体的な立場に立って韓国に主張してもらわなければ、どうも外務省の方々は、金大中さんがああいう裁判の結果有罪になった方がいいんだというふうに受け取られちゃうのじゃないでしょうかね。もう少し日本側の解釈に立っておやりになるべきだと私は思います。  これ以上申し上げませんが、最後に外務大臣にお聞きしたいのは、この問題はなかなか大変だと思うのです。しかし、外務大臣は先ほど来、いまはまだ全部終わってないんだ、進行形なんだということをおっしゃってますけれども、これは判決が出ちゃったらおしまいなんですよ。判決の出る前に、日本がどうやって金大中さんの生命を維持するか、少なくとも極刑にならないようにしていかなきゃならぬ、これを外務当局は考えていかなきゃならぬと思うのです。しかし、これはなかなか大変だと思う。大変だけれどもお考えになっていただかなければなりません。  私は外務大臣にぜひやっていただきたいのは、こういう問題についてはもっとアメリカと緊密な連絡をとって、むしろこういう問題こそアメリカ政府と連携を密にして、韓国当局に無謀な結果を生まさないように、裁判中に一刻も早くやるべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答え申し上げますが、外務省が金大中氏が有罪になった方がいいと思っているなんということは、これは何もそんなことは思っておりませんので、公正な裁判ということだけでございますので、その点は誤解ないようにお願いします。  それから、いま先生から一つの御提案があったわけでございます。これは先ほど土井先生から御提案あったことと、その一つの方法を田川先生がおっしゃった。私は、これはどうやったら一番いいか慎重に考えますということをお答えしたわけでございますが、土井先生、田川先生の御提案がございました、そういうことも頭に置きながら慎重に考えてまいりたいというふうに私は思っております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時八分散会

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