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91回国会参議院1980/03/28

予算委員会 第18号

発言数
259
登壇者
37
会派数
7
開催日
1980/03/28

会議録

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、お手元の質疑通告表のとおり、婦人問題に関する集中審議を行います。  それでは、これより質疑を行います。石本君。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 大臣の御都合がおありだということでございますので、法務大臣にまずお伺いをいたします。  今般、この国会で妻の相続権の拡大ということで民法の一部改正がなされますことは、長い間の念願でございまして大変喜んでおるものでございますが、さらにつけ加えて御検討願いたい。  これは、たとえば農家とか商家とか、家内労働に従事している嫁の問題でございますが、たとえば嫁に行きまして子供ができてそして夫が若死にをした。この場合、子育てとその家の労働に一生懸命朝から晩まで働いておるわけでございますが、夫の父親−自分の子供のおじいさんの遺産相続をめぐりまして、自分の子供には相続権はございますが嫁さんには何のこともないわけでございます。この問題を将来の検討事項としてぜひ御採用願いたいという気持ちが一つございますが、こういう考え方はどうでございましょうか、お答えをいただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。  普通の御家庭で夫婦の協力によりまして形成いたしました財産でございましても、これにいままでの報い方はもう少し足りないのではないかという感じを持ちまして、今般、ただいま御指摘のように民法の改正案を提出いたして御審議を願っているわけでありますが、したがって、そのほかにさらに寄与分、つまり夫婦で家を成して、そしてある程度の財産を構成して、そういうことに対して配偶者が寄与された分もやはり相続に加えて差し上げることに考えたらどうだろうという考え方も法案の中にあるわけでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 この問題、ぜひ今後の御検討の中で入れていただきたいと思います。  それから、さらにもう一つ、現在の法律の定めるところに従いますと、夫婦の財産は別々、別産制ということになっております。とも働きで土地を求め家を建て、財産を築いてまいりましたものが不幸な状態があって離婚でもする場合もないとは言い切れませんが、そうした意味で、ともに築き上げた財産については、何かこう共有制とでもいいますか、そういうものの御検討がいただけないものでございましょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 夫婦財産制の問題につきましては、法務大臣の諮問機関でございます法制審議会において相当期間にわたりまして検討をいただいたわけでございます。御承知のとおり、外国の制度ではかなり別産制もございますけれども、共通制あるいは一応別産制にしておきながら婚姻の解消のときに精算をするというような制度がいろいろあるわけでございます。そこで、わが国におきましてもそういった制度を取り入れるべきかどうかという点について相当慎重に審議をされたわけでございますが、現段階におきましては、いろいろこの別産制と共通制には一長一短がございます。共通制は非常に合理的でございますけれども、第三者との関係等において非常に複雑な問題が生ずるわけでございます。それに反しまして別産制は非常に簡明に処理をする。そこで、わが国の現状におきましては、やはりもう少し別産制というものを維持した方がいいのではないかという結論になったわけでございますけれども、これは今後の婦人の地位の向上その他にらみ合わせまして十分検討されるべき事柄であるというふうに考えておりますが、現段階におきましては一応別産制を維持する、その方がむしろ現段階においては欠陥が少ないのではないかという結論に達したわけでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ぜひ将来に向かってこの問題を御検討いただきたい。と申しますのは、総理府がかつて調査をいたしましたときに、夫の収入は夫婦共同のものであるというような答えを出した男女が八三%を超えているという現実もございますので、これはぜひ将来に向かって御検討いただきたいと思います。  それからなお、お時間の都合で文部大臣にお尋ねをしたいと思いますが、現在社会教育の面で婦人の地位向上をモットーにどのような取り組みがなされておりますのか、お尋ねいたします。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。  婦人の地位の向上の問題につきましては、国内行動計画の中に書いてあるわけでございますが、この考え方で、私たち社会教育におきます取り組みもその趣旨のとおりやっていかなきゃならぬと考えております。そのために文部省では、婦人学級あるいは成人大学講座等の学習機会を提供するとか、婦人教育に関します各種の研修交流、それから設立いたしました国立婦人教育会館の運営を通じまして種々の婦人活動を促進してまいります。それから各地で、まだ数は少ないのでございますが、公立の婦人教育会館の設置等の要望がございますれば、これはほとんど全面的に引き受けていいのじゃないかという形で奨励をしておるわけでございまして、婦人みずからの積極的な社会参加と申しますか、ボランティアの活動、それから婦人団体によります自主的な学習活動等を奨励してまいっておりまして、大体現在のところ、五十五年度の政府が直轄の事業あるいは補助事業といたしまして七億四千万ぐらいの経費をもって進めてまいっておると、こういう状況でございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ただいまお答えございましたように、長い過去を含めていろいろお気をつけて対策を練っていただいていることを感謝しておりますが、いまお話にございました全国の婦人の要望にこたえまして、昭和五十二年の十月でございましたか、現在の婦人の国立教育会館が建設されたわけでございますが、あの婦人教育会館の運営につきましてでございますが、現在非常な効率を上げているというふうに聞いております。で、あの会館が何をするのかという五つの目標が掲げられておりまして、その第一目標に、全国の婦人団体といいますか、教育といいますか、その指導者も育成するんだと書いてあるわけです。この指導者育成ということで何か文部省が特別にプログラムでもお持ちになって指導体制をお持ちになっているのか、あるいはそこに集まってくる人々の自主的なものに任せておられますのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。  この国立婦人教育会館の運営の態様を考えてみますと、一つは、御指摘がございましたような各種の婦人団体の方々のいろいろな研修あるいは催しに対しまして場所を提供していく、あるいはそのプログラムその他につきまして御相談に乗っていくという、いわば婦人団体に利用していただくことを主体に置いて、会館としましてはそれに対するいわばお手伝いをするという形のもの。それからもう一つは、教育会館自体が主催をいたしますような形でやっていくと、こういうふうに一応は分けられるのではないかと考えております。婦人教育の指導者等が利用していただきます場合は、かなりいろいろな御計画がございまして、一律にこういうふうにというようなことでは、なかなかかえってやれないことだと思いますので、これはアドバイスを要求をされましたときにお手伝いをするという形で進めていかしていただきたいと思います。それで、また実際に婦人教育の指導者相互の交流、そういう形では、これはまあ若干こちらの方からも交流をしていただけるような機会をできるだけつくっていく必要があるのではないか、こういう考え方でございます。  それから、主催事業の方は、これは私たちの方から一つのプログラムをつくりまして、主催事業でございますので、関係の皆さんにお集まりをいただくような形で進めておるわけでございます。  それからもう一つ、専門的な調査研究ということが会館の仕事、目的の一つになっておりますので、これは指導者の育成事業の実際活動を集積をいたしまして、それをお互いに知識を交換し合って、そして、これからの指導者のあり方、その教育のあり方とか、そういうものにつきまして少し検討を重ねてまいりたい、こういうふうに大体動かしておるところでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 これは生涯教育の場の中心的な役割りをする機関としてできておりますので、どうか当初の目的どおりに今後の運営がなされますことを心から希望いたします。ありがとうございました。  次は、総理府総務長官にお尋ねをいたしますが、本年は国連婦人の十年の中間年でございまして、この夏デンマークで世界会議が行われるわけでございます。それにもちろん政府のお立場で臨まれるわけでございますが、どのような態度で臨もうとしておられますのか、概略で結構でございますから、お尋ねいたします。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) 委員御指摘のように、本年七月デンマークで開催されます予定の世界会議は、国連婦人の十年のちょうど中間年に当たっておりますので、前半期の見直しと評価並びに後半期の活動の強化を図るための会議だと承知をいたしております。  わが国といたしましては、本世界会議の準備委員会の委員という役割りも果たしておることでございますので、第一回世界会議で採択されました世界行動計画に基づきまして作成をいたしました国内行動計画の実施状況を見直し、その具体的成果を踏まえて積極的な姿勢で臨む所存でございます。国内行動計画、今日まで実施いたしてまいりましたが、その成果をこの世界大会で問うとともに、これからの残された期間に対して政府として積極的に臨む姿勢をこの世界会議でも表明いたしたいと思っております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ただいま長官申されましたように、国内行動計画が昭和五十二年に発表されまして、十一の大目標が掲げてございます。そのことで非常に努力をされているということでございますが、聞くところによりますと、特に婦人の政策決定参加という項目がございまして、この中に国の各審議会ができるだけ婦人を入れなさいということか載せてございます。ところが約一〇%の前半期の見込みでございますのに、現在その半分約四%ぐらいだというふうに聞いておりますが、その原因は一体何でございましょうか。人材がないということでございましょうか、それとも長い過去の慣行がございまして婦人の起用が困難だということか、あるいはまた委嘱しましても辞退されるということでございましょうか、原因をちょっと聞いておきたいと思います。

柴田知子内閣総理大臣官房参事官

○説明員(柴田知子君) お答えいたします。  先生御指摘のように、私ども、政策決定参加を促進いたします特別活動につきましては強力に進めてまいったところでございますけれども、四%という現状でございまして、必ずしも着実な成果を上げているとは言えないかと存じます。  その理由といたしましては、一つには専門とか技術的な能力、そういったようなもの、または知識、こういうものを有する女子というのが少ないというような分野もございまして、適任者か得にくいということが一つございます。また、団体の推薦による場合、こういう場合にもなかなか女子の推薦を得にくいということもございます。また、先生も御指摘のように、任命機関が従来どおりの選出を続けようとする傾向も見られるというような理由がございます。そのようなことが理由かと思います。  私どもといたしましては、今後とも個別に審議会の任命がえに当たりましては、今後ますます女子の登用につきまして努力を続けてまいりたいと思っております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ぜひ一〇%の目標が達成できますように精いっぱいの御努力を期待したいと思います。これはもちろん各省庁にお願いしなければならないことでございますが、主導権を持っておられる総理府のお立場でお願いしたいと思います。  そこで、各都道府県あるいは特別市などに婦人対策のための体制と申しますか、窓口と申しますか、これはどの程度充実しているのでございましょうか。

柴田知子内閣総理大臣官房参事官

○説明員(柴田知子君) お答えいたします。  国内行動計画を推進するためには地方公共団体の果たす役割りというものがきわめて重要であるということでございますので、婦人問題企画推進本部におきましては、本部を設置いたしまして以来、毎年、都道府県及び指定都市の全国婦人問題担当部長会議というような連絡のための会議を持ちまして、国内行動計画の推進につきまして強力に協力要請を行っております。また緊密な連携を図って進めておるところでございます。その結果といたしまして、現在、地方自治体のそれぞれの実情におきまして婦人問題を担当する担当課というようなものが設置を見るというようなことなど、行政の実施体制につきましても整備されてきておるところでございまして、少なくとも全都道府県、指定都市に一応婦人問題を担当する連絡の窓口というものが開かれておるという状況でございます。また、県内の婦人の問題の状況の把握、県レベルでの独自の行動計画の策定、婦人関係施策の総合的な方向づけといったようなことなど、その成果を見ているところでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 中央の企画推進本部でどんなに一生懸命旗振りをされても、各都道府県の体制が整いませんことにはなかなかいろいろな国内行動計画の目標達成というものはむずかしいと思いますので、今後の指導体制を一層強固にしていただきたいことを長官にお願いします。  それからなお、今後の取り組み、後半の取り組みでございますが、これはどういうふうな予定を持っていらっしゃるかということと、あわせまして、一九八五年——昭和六十年でございますが、この年がちょうど国連婦人の十年の最後の年でございまして、もし世界会議が開かれるといたしました場合に、私どもはぜひ日本に誘致していただきたい。このことは昨年、推進本部長でいらっしゃいます総理大臣にも要望しておりますし、当時の総務長官にもお願いしているわけでございますが、いかがでございましょうか、誘致するということにつきまして。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) まず、最初のお尋ねでございますが、今後折り返し点以降の対応でございますが、委員御指摘のように、先ほども審議会における婦人の占める比率等も、大変申しわけないことでございますが、前半期を終わろうとしておる今時点、まだ目標を達成しておらないわけでございます。したがいまして、何よりもこの十一項目の国内行動計画をこの十ヵ年間の中でどうしても達成をしていきたいという目的を完遂するために、後半におきましても全力を挙げて前半のおくれを取り戻しつつさらに進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。  それから次に、一九八五年の世界会議を日本でと、こういう御要請でございますが、お話にありましたように、総理あるいは前長官にも強く誘致を考慮せよという御提案のありましたことは私も承知をいたしております。この八五年は、言うまでもありませんが、十ヵ年の最終年でございますので、まあ締めくくりという意味で世界会議が開催されるということは大変意義深いと私ども考えております。しかし、現在のところ、実はまだ国連を初めといたしまして、世界それぞれの国におきまして具体的な動きというものは見られておらないわけでありまして、昨年十一月にインドで開催されましたESCAPの地域会議におきまして、八五年世界会議を開催することは意義深いことであるという報告がなされておるということは承知をいたしております。国連事務局としては、第一回の会議がメキシコで、中間年会議が申し上げたようにデンマークで開催されることを考慮いたしまして、最終年の会議は地域的に偏らない適当な国での開催を期待をしておる、こんな感じがいたしておりますので、わが国としてもその開催の可能性につきまして国連の動向というものも十分見きわめながら、しかし、この際は最終年を日本でというお考えも大変すばらしいことでもございますので、世界各国の動き等も十分検討しながら私どももこの問題について研究してまいりたいと思っております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ただいま長官申されますように、どうか世界会議が開催されるといたしました場合に、誘致できます方向に向かって御検討いただきたいことをこの場をかりましてさらに要望しておきたいと思います。  次は、外務省でございますが、近年、婦人の公使とか大使とか、いわゆる婦人を起用される向きが出てまいりましたことを、当然だと言えばそれまででございますが、私は喜ばしい現象だと思っております。そこで、現在海外の公館でございますね、そこに勤務されます外交官の中で一体どれくらいを女性が占めているのか。特に一等書記官とか二等書記官というような職におります者がどれくらいおられますのか、お伺いいたします。

柳谷謙介外務大臣官房長

○政府委員(柳谷謙介君) 現在、在外公館に勤務しております女性職員は合計八十二名でございます。このうち公使一名、これは国連におられます赤松公使でございます。書記官クラスが六名、外交官補が二名、領事、副領事四名、理事官、副理事官が六十六名、電信官三名、合計八十二名でございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 長い過去の経過もございますし、国際的な問題はむずかしゅうございますので、婦人の起用というものが何かやはり原因といいますか、問題があったのだということがあるのかなあという気持ちがございますが、大ざっぱで結構でございますから、大臣の御所見を伺いたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 私どももできるだけ外交に婦人の起用を考えるべきだと存じております。今回、高橋展子さんがデンマーク大使に決まりまして、これが第一号ということでございますが、今後も適当な方がございました場合にはさらに考えてまいりたいと思っております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 平和外交とかいろいろなことが言われる面もございますので、いま大臣申されましたように、今後ともさらによき人材をお求めくださいまして、そういう位置づけに乗せて、登用していただきますことをお願いしておきたいと思うわけです。  それからなお、昨年の十二月に国連の総会で採択されました婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約というのがあるわけでございますが、この条約はいずれわが国でも批准をしてもらわなければならないと考えるわけでございますが、何かこの条約批准をめぐりまして国内法の関連するものでもあるのでございましょうか。この機会にお尋ねしておきます。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 本条約の趣旨は、わが国といたしましても基本的には賛成いたしておるわけでございますけれども、国内の現行法規との関係でいろいろ調整を要する問題点が含まれておるわけでございまして、十分関係省庁とも調整の上でこの検討を進めてまいる予定にしておりますので、まだ批准の時期を具体的に申し上げるわけにはまいりませんのですが、幾つかの問題点がございますので、場合によりましたら問題点を政府委員の方からこの際御説明申し上げたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○政府委員(賀陽治憲君) お答えをいたします。  現在、条約の正本がまだ届いておりません。これは国連事務局で鋭意いま作業中でございますが、とりあえず仮訳においてわれわれとして検討をしておるのでございますが、ごく簡単に問題点を申し上げますると、婦人に対する差別の定義ということを機械的な平等を意味するものであるか、あるいはわが国で合理的な理由で女性保護の措置をとるべきと言われるところまでもこれを排するというような問題点、それはいずれが要請されているのかという点についてもさらに詰めてまいる必要があるわけでございます。さらには、差別のための一般的措置として、政府のみならず個人組織または企業に対してもすべての適当な措置を強制すると申しますか、必ず実現するように図らなければならないかどうか。すなわち、そのためにはいかなる立法措置が必要であるのかという点も入っておるわけでございまして、さらには御承知の国籍法との関係で、この国籍に関する婦人の権利という条項がございますので、この点について現在の国内法をどのように扱うべきか。最後の二点といたしまして教育内容の問題がございまして、たとえば女子生徒の家庭科の必修問題、これを本条の解釈に一体頼るのかどうかというような問題もあるわけで、いわば男子に家庭科の必修を命ずる必要があるのかどうかというような問題も派生的にはあるわけでございますし、最後には雇用労働条件の民法九十条の判例による救済措置ということで、この条項の求むるところを満たしておりますかどうかというような点がとりあえずの問題点としてわれわれは目に映っておる次第でございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ただいまお伺いいたしますと、いろいろな分野にまたがっている問題があるわけでございますが、ぜひ関係省庁とも御連絡をおとりいただきまして十分に御審議の上、できますことならこの婦人の十年の期間中に批准できます方向に向かって御努力いただきたいことを要望しておきたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま国連局長から申し上げましたように、正式の認証謄本がまだ着いておりませんで、これは一ヵ月くらいかかる見込みのようでございますし、ただいま申しました幾つかの国内法上との調整がございまして、ことしの七月の会議に間に合わせることはどうもむずかしいような情勢でございますけれども、できるだけ早くそういう調整を進めたいという考えでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ありがとうございました。  次は、厚生省にお尋ねをいたします。  母子世帯の問題が非常にあらゆる状況の中で騒がしく騒がれておりますけれども、母子世帯と一口に言いますが、現状はどういうふうな状態でございますのか。それからまた、その対策でございますが、お伺いしたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○政府委員(竹内嘉巳君) お答えいたします。  母子家庭の現状でございますが、昭和五十三年八月の調査で約六十三万世帯と推定されております。前回の調査が四十八年でございまして、若干増加をしておるという程度で、最近の傾向では離別による母子世帯が非常にふえてまいっております。いわゆる離婚の増加ということに伴うものかと思います。それだけに母親の年齢もだんだん若くなりまして、二十代、三十代の母子家庭というのがふえておるようでございます。  また、母子世帯の所得、経済状況でございますけれども、年間所得百五十六万というのが平均値でございまして、一般世帯の平均所得が国民生活実態調査で五十三年では三百三十六万円というのに比べますと約四六%ということで、経済的にも非常に苦しい立場に置かれているようでございます。  なお、母親の就業状況を見ますと、大体八五%が働いておりまして、就業形態の中でも常用の雇用者も多うございますけれども、しかし勤務先がいわゆる中小零細企業というようなケースが多く、雇用の不安定な状態というものも一つの問題点になるのではなかろうかというふうに理解をいたしております。  対策といたしまして、厚生省の方では母子福祉法に基づきまして、母子福祉の貸付金の問題あるいは母子寮という形で、ある程度の技能習得なり生活の安定を得るための、生活のいわば設計を立てることのお手伝いをするという問題、あるいは所得保障制度といたしましては児童扶養手当、あるいは国民年金法による母子年金、母子福祉年金といったような形のもの、そういったことで、母子世帯について厚生行政としての対策として取り上げておるわけでございます。  以上でございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 近年の状況、非常に離婚が多いということ、母親の年齢が若くなっているということ、これは対策いかんによりましてはかなり救われるというふうに思いますので、現在いろいろ対策をとっておられますけれども、さらにいろいろな各多様な面にわたる方策について御検討いただきたいと思います。  次は、母性保護対策でございますが、現在妊産婦の死亡率はどういう状況でございましょうか。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○政府委員(竹内嘉巳君) お答えいたします。  妊産婦の死亡率は、昭和五十三年では出生十万人対二十二・一人という数字でございます。昭和二十五年当時には百七十六人、あるいは昭和四十八年当時ではまだ三十八人というような数字で、諸外国に比して大変高率でございましたけれども、最近はかなりよくなってきております。それでもまだいわゆる西欧諸国に比べますと比較的高い水準にあるということでございます。  ついででございますが、主な原因が妊娠中毒症あるいは妊娠中の出血といったようなものが大体過半数を占めておりまして、それがまた妊産婦の死亡数全体の約六割近くを占めておる、こういう状況でございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 そしたら、それらの救急対策といいますか、医療対策といいますか、それがどういうふうな方向に向いているかといいますことと、今日まで家族計画ということで主として受胎調節の指導を行ってきたわけでございますが、もう今日では産まれる子供の数はごく少なくなってきております。しかし、いま聞きますように、妊産婦の死亡率は決して低くなっていない。そうした意味で、この家族計画指導員の対策と申しますか、私はかなり高度な技術とか知識というものが必要ではないかと思うわけでございます。いろいろ聞きますと、医師に対します研修等、この家族計画の方でやっておりますが、かなり人気もありますし進んでいるようでございますが、むしろ一般的な体制の中で活動しております保健婦とか助産婦、そういうものに対します研修体制はどうなっておりますのか、妊産婦の死亡に対する対策と家族計画の対策についてお伺いをいたします。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○政府委員(竹内嘉巳君) 家族計画という問題は、母と子の健康、それからさらにはその家族の幸福と申しますか、幸せを守るという意味でも、将来を考え現在の状態を考えてみて無理のない合理的な家族の将来プランというものを守っていくといいますか、普及をしていくということに一つの意義があるわけであります。ただ単に子供をたくさんということがいいとは言い切れないわけでございますし、また子供の少ない方もおられまして、しかも、最近の状況で言いますと、出産年齢の中で初産年齢が年々高くなってきている、そういったことのために高齢出産による危険というものもございます。母性の保護という面からもこの家族計画というものの必要性というものが非常に高くなっておりますし、私どもとしてもいろいろな意味で対応策は講じてきているわけであります。特に、もっぱら中心になりますのはやはり保健所でございまして、あるいはまた市町村に保健所の中の対人保健サービスを中心とした保健センター、それからそれに対応するものといたしまして、私ども、母子保健法の中では母子健康センターといったようなものを中心にしながら、婚前学級、新婚学級といったような形でのいわゆる知識の普及啓発に努めておりますし、御指摘いただきましたように、受胎調節の実地指導員による訪問実地指導、それから遺伝問題というものを一つ中心にいたしました、俗に言う特殊家族計画と申しますか、遺伝相談の問題についての特別相談事業も実施いたしております。  ただ、こういった問題を進めていきますと、いま御指摘のように、特にそういう特殊な技能といいますか、専門知識を要しますために、医師の充足にもやや難点がございますし、それから保健婦さんあるいは看護婦さんの御協力をいただきながらこういった行政を進めておるわけでございますけれども、最近の実績をながめてみましても、受胎調節実地指導員の認定講習会も、対象者は、いまのところ、五十四年度の実績でいきますと、二回で対象受講者数が約二百一名でございます。そのほかブロック別の指導者の研修会などでは、これはかなりの対象の保健婦さんあるいは助産婦さんなどを含めまして三千六百三十人についての講習会なども実施、指導いたしております。こういったことを含めまして、保健婦さんあるいは助産婦さんを中心とした、医師だけでは手の及ばない部分についての御協力をいただいておるわけでございますけれども、御指摘をいただきましたように、私どもも気にはいたしておりますけれども、なかなかだれでもというわけにいきませんものですから、スタッフのいわゆるマンパワーと申しますか、要員確保ということにこれからも努力をしてまいりたいと思っております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 死亡対策のお答えはなかったんですが、これは救急医療の問題がかたまってきておりますことを一応承知しておりますので、次に進ましていただきます。  次は、婦人の保護対策でございますが、二十数年前に売春防止法が制定されまして、そのときに婦人相談所と婦人相談員の設置がなされたわけでございますが、今日のこの世相を反映いたしまして、転落婦人の防止対策と一口に言いましても、非常に多様化してきているように思うわけでございます。そこで、この婦人相談員の役割りと申しますか、これも当然それに相応していっていると思うのでございますが、この相談員のお話を聞きますと、非常に取り扱うケースも多いし、そして非常勤でございますから週三回ぐらいの出勤ということのようでございますが、実際にはもうそれでは間に合わないということで、一週間ほとんどそれに費やしているというような現状も聞くわけでございますが、一体、今後この指導対策につきましてどういうビジョンをお持ちなのか、これを聞いておきたいと思います。  あわせて、相談員の手当でございますが、これはボランティア活動が基本になっております関係上非常に少ない手当でございますけれども、これも十分に特段の改革をしておもらいできないものかということをこの機会にあわせお伺いをいたします。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、婦人相談員は婦人保護事業の第一線の機関として活躍をいたしておるところでございますけれども、最近の売春形態は大変複雑化し多様化してきております。特に低年齢層の売春というのも増加してきておりまして、非常にこの仕事を重要なものと考えておる次第でございます。私どもといたしましては、婦人相談員の活動、関係機関との連絡を一層密にいたしますと同時に、相談機能の強化というようなことから研修等の活動を充実いたしてまいりたいと考えておるわけでございますが、手当につきましては非常勤ということで年々改善はいたしてきております。五十五年度は前年度に対しまして約二千七百円増加いたしまして、月額六万八千八百円という手当になっておりまして、年々増額はいたしてきているわけでございますけれども、今後とも仕事の重要性にかんがみましてその改善に努力をいたしたいと考えております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ぜひ今後に向かってこの問題は十分御検討いただきたいと思います。  次は、婦人の健康づくりの推進対策でございますが、いろいろな対策を講じておられます。たとえば健康診査でございますとか、あるいは食生活の改善指導とか、いろいろなことをしておられますが、新しく国民の健康づくりということで、いま随所に設けられようとしております保健センターの活用方でございますが、こうしたいま言いました健康診査のこと、食生活の指導の問題保健センターの活用というような面について何か当局としての御見解をお聞きしておきたいと思います。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大谷藤郎君) 家庭婦人の健康の問題につきましては、従来組織的な健康管理のことをやっておらなかったわけでございますけれども、昭和五十二年度から健康づくり計画ということで、家庭婦人の貧血と肥満ということが問題になっておりまして、これが異常分娩でありますとか、あるいは高血圧、糖尿病等に結びついておることに着目いたしまして、先ほど先生お話しのような健康診断でありますとか、あるいはその後の健康管理、また食生活等環境の指導ということを組織的にやっておりまして、五十四年度では二百二十地区、新しい年度では三百地区について実施することにしているわけでございます。しかし、そういう問題をやっていくにつきましても、市町村でそれの拠点となるべきものがありませんと円満にそれが進まないわけでございますから、同時に五十三年度から、市町村保健センターというものを全市町村に設置しようということで進めております。市町村保健センターはすでに五十三年度、五十四年度におきまして百九十二ヵ所設置いたしまして、本年度も二百ヵ所設置しようという考え方を持っているわけでございます。  その主な事業は、先ほどから申しておりますように、婦人の健康づくりにつきます拠点としての活動でありますとか、あるいは母子の健康問題あるいは予防接種、そういった市町村の健康づくりの拠点にしようという考え方で市町村保健センターの設置の推進を図っているところでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ただいま御意見、御見解ございましたが、保健センターが増設されますについては、そこで主たる役割りを持つ保健婦の増員対策が今後非常に大切かと思うのでございますが、このことについても十分に心していただきたいことをこの機会に要望いたしておきます。  次は、婦人に対する年金保障に関してでございますが、この年金保障の推進は年金制度の大きな婦人に対する保障の課題であるというふうに私は考えております。この全般的な婦人と年金保障の問題との大枠なところといいますか、何が一体大きな問題なのか、大臣の御見解を承りたいと思います。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 御指摘のように、年金制度全体の体系の中で、婦人の年金をどのように位置づけするか、また婦人に対する年金保障をどのように図っていくかということが今後の年金制度を考えるに当たりまして私はきわめて重要な課題であると考えておるわけでございます。この問題につきましては、かねてから関係審議会等にもいろいろ御審議をいただいております。特に被用者の妻の国民年金任意加入制度がございますが、今後これをどういう方向に持っていくことが大事か、また、夫に先立たれた御婦人などが受けられます遺族年金の改善をしなければならないなどについて御指摘をいただいたわけでございます。政府といたしましても、これらの意見を踏まえまして、遺族年金、母子年金の大幅な改善を図るなど、婦人に対する年金保障の問題についてできるだけ努力を払ってまいらなければならないと思うのであります。問題は二つの方向において考えられるのではないか。つまり、被用者の夫の年金において妻の生活保障的なカバーをする、もう一つは、任意加入の立場をとっております妻の任意加入制度というものかもうすでに八〇%にも達しておるわけでありますから、これを強制的な制度に持っていくか、私は大きく二つの問題が提起されると思うのでございますが、これは年金制度の基本に係る問題でもございますので、十分今後検討いたしまして妻の年金保障の確保に対しまして考えてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ただいま大臣お触れくださいましたように、この被用者の妻の年金権というものが全くあいまいでございますので、どうぞお言葉どおり今後に向かって十分に御検討いただいて、そして、途中で五十歳、六十歳になって離婚をした、国民年金の任意加入にも何にも入っていない妻の保障というものは現在何もございませんので、そうした意味を含めましての御検討をお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、今回の年金法の改正におきまして、遺族年金はどのように改善されていくのかということと、それからもう一つ、母子年金もこれは大幅に改善されなければならないと考えている者の一人でございますが、今回の改正でどのように改善されていきますのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

木暮保成厚生省年金局長

○政府委員(木暮保成君) ただいま国会に御提案を申し上げております年金法の改正におきましては、各審議会からの御提言もございましたので、ただいま大臣が申し上げましたように、重点的な改善事項ということで案をこしらえておるわけでございます。  まず、厚生年金について申し上げますと、関係審議会等から、お子さんを抱えている未亡人や高齢の未亡人の方に重点を置いて給付を厚くするようにという御意見をいただいておりますので、それに従いまして、まず、子供が二人おられる未亡人の場合に現在は年金に加算をいたしておるのでございますが、それを一挙に二倍半にいたしまして一万七千五百円を加算するということにいたしておるわけでございます。また、子供が一人おられる未亡人、それから六十歳以上の未亡人の方につきましては、これも加給金を一万円にするという改正を御提案申し上げておるわけでございます。  国民年金につきましては母子年金が出るわけでございますけれども、この母子年金につきましても新しく母子加算という制度をこしらえまして、月額一万五千円の加給をいたしたいということを御提案申し上げております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 今後に向かいましてもぜひこの母子家庭の問題等、御検討を重ねていっていただきたいと思います。  大臣にちょっとお伺いしておきたいんですが、現在、あちこちで耳にすることです。国民年金の任意加入制度が将来廃止されるかもしれないというような不安的な要素でございますが、聞きますが、これはどういうお考えをお持ちでございましょうか、大臣の御所見を承りたいと思います。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) お答え申し上げます。  現行の年金制度において自営業者あるいは農家などの主婦が国民年金に加入することになっておりますが、一方、被用者の妻は、夫が加入している年金制度でカバーされるほか、国民年金に任意加入することによって妻自身の年金を取得する道が開かれておるということは御承知のとおりでございます。先ほども触れましたとおり、国民年金の任意加入制度が廃止されるのではないかというような不安があるという御指摘でございますが、この問題は、すでに被用者の妻の八割近くが任意加入をされておるわけでありまして、年々増加をしておるという現実を踏まえてこれにどう対処するかということが一つの問題だと思います。今回の改正において取り組みまして関係審議会にもいろいろ御審議をお願いいたしたわけでありますが、結論に至らなかったわけであります。したがいまして、その方向といたしましては、先ほどもちょっと触れたのでありますが、国民年金の任意加入制度を廃止して、被用者の妻の年金保障は夫の被用者年金制度で行おうとする考え方が一つと、もう一つは、被用者の妻で職業を持たない者は国民年金に全員強制加入させることにおいてすべての婦人に年金が支給されるようにするという考え方、この二つがあるのではないかと思うのでございますが、私は後段の強制加入の道を講ずべきではないかと現在考えてはおります。  しかし、いずれにしても、この問題はわが国の年金制度の基本的な体系にかかわる問題でございますので、同時に、婦人の年金保障を考えるに当たって欠くことのできない重要な問題でございます。引き続き、公的年金制度全般にわたる幅広い論議を通しまして検討していかなきゃならない問題であると考えております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 御意見ありがとうございました。男女平等とかいろいろなことを言われておりますが、女性の生涯の生きていく年金の保障問題でございますので、十分に御検討いただいて、よい結論を出していただきたいことをこの機会に要望しておきます。  次は、労働省でございますが、現在、婦人労働者と一口に言いますけれども、雇用者もおりますし、家庭の業務に従事している従業者もおりますし、あるいはまた自営業者もあるわけでございますが、約二千百万人を超える数があるわけでございまして、この人々がそれぞれの職場で十分に役割りを果たしておるわけでございますが、現在まだ、職場によりましては男女同一労働同一賃金の原則すらも守られていない、また結婚あるいは妊娠、出産等の退職制や、あるいは若年退職制などが依然として行われておるわけでございますが、こういうものに対してどういう態勢をおとりでございますのか、お尋ねをいたします。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) お答え申し上げます。  先生もおっしゃいましたように、最近婦人の職場への進出ということが大変目立っておりまして、婦人が大変経済社会で重要な役割りを果たすようになってきております。また、中高年の婦人が働くということもふえてきておりまして、職業生活というものが婦人の生涯に大変重要な位置を占めてきております。にもかかわらず、職場において婦人のその能力が十分発揮されているかと申しますと、まだまだ男女平等とは言えないような現状があるわけでございます。  そこで労働省といたしましては、婦人の対策といたしまして、一つは雇用における男女平等の促進ということを最も重要な課題と考えているわけでございます。この男女平等を促進いたしますために、労働基準法に基づく同一労働における男女同一賃金の原則というものが徹底されるようにするということが一つ。それから、男女別の定年制や、結婚、妊娠、出産退職制等につきましては、年次計画をつくって改善を図っております。そのほか、男女平等促進の機運醸成のための活動を行っております。さらに、母性の健康管理対策、育児休業制度の普及促進等の行政を進めているところでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 そこで、いまから九年前に勤労婦人福祉法が制定されまして、これは訓示規定でございますが、そういうものがどの程度一体職場の中に普及されているのか。たとえば例をとりますと、育児休業制度の奨励金などがかなり大幅に積み上げてあると思うんです。たとえば本年度の、五十五年度の予算を見ましても、中小企業には十六万から三十万、それから大企業は十二万から二十五万円というような感覚で予算が提出されておりますけれども、どの程度この育児休業制というものが各職場の中に徹底しているのか、その辺を大ざっぱで結構ですからちょっとお尋ねしておきたいと思います。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) 勤労婦人福祉法ができましたのが四十七年でございまして、それ以後、私どもは、勤労婦人福祉法に基づく事業主に対する努力義務が十分に徹底していくようにといろいろ行政を進めているわけでございます。一つは、母性の健康管理対策の促進でございまして、事業主に対しまして、母性健康管理推進者等を任命するように、そういった行政を進めておりますが、育児休業制度につきましても、この制度が事業主に対して導入されるように育児休業の奨励金等の制度を設けましてその普及促進を図っているところでございます。  しかしながら、先生御指摘のように、育児休業の普及はまだまだ不十分でございまして、まだその普及率は六・六%と、大変私どもといたしましてはもっとこの比率を伸ばしていかなければならないというふうに考えているところでございます。したがいまして、今後育児奨励金制度や特定職種の育児休業利用助成給付金制度、こういうものを活用いたしまして、育児休業がもっと普及するようにということに努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。五十五年度からはこの育児休業を指導いたしますために、特別の指導員というものも室に配置するような制度をとりまして、さらに積極的な推進を図っているところでございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 先ほど厚生省の母子家庭の問題を伺いましたときに、非常に若年の離婚者が多いということでございました。そうなりますと、やはり自力更生の方策とか、特に就業援助対策というものが労働省でいろいろと対策を講じていらっしゃるだろうと思うのでございますが、私がお伺いしたいのは、この就業援助を含めて、現在職業訓練所で訓練を受けておりますこの人たちの就職状況はどういうふうでございますか、あわせてお伺いしたいと思います。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) 寡婦につきましては、私どもはその就業を十分に適職につけるようにすることが必要であるというふうに考えておりまして、事業主には寡婦を雇用する場合の奨励金というものを支給しております。また、寡婦が就業いたしますのに、技能を持って就業できるようにということで、職業訓練を実施しているわけでございます。この職業訓練を実施している寡婦につきましては、できるだけよいところに就職できるようにということを私どもいま努力をしているところでございます。ただ、その数字につきましては、ただいまちょっと調べておりますので、後ほどお答えいたしたいと存じます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 この問題は非常に重要な問題だと、女性にとりましては大切な問題だと思いますので、今後十二分に自力更生のできる、どう言いますか、職業訓練の場などを拡大強化していただきたいことをこの機会に要望しておきたいと思います。  それから、なおお聞きしたいのは、昭和五十三年の十一月に労働基準法の研究会から、雇用における男女平等法の制定の必要性ということを考えられまして、女子保護規定の基本的な方向についての研究報告というものが労働大臣に提出されたわけでございます。その後、婦人少年局を中心に、男女平等法の策定の必要性があるということをずいぶん声高らかに方々に普及徹底を図ってこられた冊子もございます。これは現在ただいまどのような進捗状態といいますか、男女平等法、これは仮称でございますが、策定についての条件整備がどこまでいっているのでございましょうか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 先生御指摘のように、雇用における男女平等法につきましては、一昨年、労働基準法研究会から、労働基準法の女子保護規定のあり方等も含めまして、総合的な見地に立ってその必要性が指摘をされてきておるところでございます。  雇用における男女の機会と待遇の平等を確保する、これは非常に重要な理念であり、これをどのように具体的に進めていくかということにつきまして、労働省といたしましては、今日いろいろの労働行政の見直しをやりましたり、あるいは今後の対策を八〇年代として思い切って確立をしていきたい、そういう気持ちで作業を進めております中で最も大きなテーマとして取り組ませていただいておるところでございます。  ただ、男女平等とは何かというテーマをめぐりましていろいろな考え方もあるものですから、ガイドラインの検討を専門家の方にお願いをしてきておるところでございます。法制化の問題につきましては、そこでのいろいろな検討の結果をもとにいたしまして、しかも御婦人の皆様方を中心にいたしまする国民各界各層、各方面のやっぱりコンセンサスをしっかり得るということが非常に大事なことであるというふうにいま考えておるわけでありまして、そういったいろいろな作業を各方面にお願いをいたしまして、わけてもそのまとめとしては審議会に御審議をちょだいをして、その御審議を踏まえて、具体的に男女平等法をどのように進めていくかということについての作業を進めていくようにいたしたいと、こう考えている次第でございます。  特に、その女性を保護するという問題がまあ男女平等というテーマの中でどのように考えられていくか、いろいろな御意見もあるものですから、十分やっぱり時間をかけて議論を成熟させて、それでコンセンサスを得るということにしていきませんと、私は、この御議論を踏まえて雇用における男女平等法というようなものをつくっていくことになるとすれば、やっぱりこれからの三十年、五十年を男女平等ということに関して決めていく非常に大事な施策になっていくというふうに考えておりますので、時間をかけて、まあ時間をかけるのがいいとは言いませんけれども、十分慎重に時間をかけて検討を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 時間をかけて慎重にというお気持ち、よくわかりますが、これはまあ公にできないことかわかりませんが、昨年この問題が出ましていろいろ検討しましたときに、前の婦人少年局長さんからのお言葉だったのですが、私は、この問題は非常に入り組んでおりますので国連婦人の十年のうちにできるでしょうかと言いましたら、いや、そんなにかかりませんと、そのときの口ぶりは五十六年ごろには案の策定ができるような話でございました。  時間をおかけになることはやぶさかじゃございませんが、やはりこの十年の残る五年の間に何としてでもこの法案の策定をしていただきたいことをこの機会に私は要望しておきたいと思います。  それからなお重ねまして、さっき婦人局長の答弁もございましたが、婦人労働者の基本的な条件を満たす指導体制、これは地方出先機関にあります婦人少年室の活動にまつことが非常に大きいと思うわけでございますが、現在行政改革の面でこの地方出先機関の廃統合が言われているようでございますが、これは私のお願いでございますが、ぜひせめて国連の婦人のこの十年の期間中に廃統合されることがありませんように、婦人少年室の存置方について特に要望しておきたいのですが、大臣、御所見承りたいと思います。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 行政改革は、今日の政治状況の中で最も大事な政治課題でございます。特に大平内閣は行政改革に非常に積極的に取り組んできておりまして、今朝の閣議におきましてもブロックのいろいろな問題について閣議決定をして、具体的に行政改革を進めていくわけでございますが、御心配をいただいております婦人少年室に関しまして、各県単位のものをどうするかというような御意見はいろいろなところで出ておるようでございますが、私どもといたしましては、婦人少年室の機能は非常に大事である、従来の経緯にもかんがみ、今後の婦人少年問題を展望いたしましても最も大事な機能、機関の一つであるというふうに考えておりまして、今後行政管理庁といろいろな議論はしていかなければならぬと思いますけれども、この機能が十分に今後とも発揮されていくようにむしろ充実をしていきたい。これが私どもの気持ちでございまして、どうぞ今後とも御鞭撻をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 どうもありがとうございました。ぜひ強力に存置方について御検討いただきたいと思います。  次は大蔵大臣にお尋ねするわけでございますが、現在一千五百五十万を超える主婦専業者といいますか、いわゆる家庭の中におりまして家事、育児あるいは老人、病人などの介護をして、一切の家庭管理をつかさどっている婦人がおるわけでございます。この場合、もちろん生計は夫の働き、収入によって支えられているわけでございますが、この婦人の方々からの意見としまして、主婦の場を正当に評価してほしいという声が非常に大きくなってまいっております。正当に評価すると申しましても、収入は一銭もない、夫の扶養家族として多少若干のものが上乗せされているような現状でございまして、これは法律の中で、あるいは規則等の中でどんなに美辞麗句を並べてみましてもどうにもできない現状でございますが、将来に向かって検討していくことにいたしましても、私はとりあえず考えるわけでございますが、この夫の収入の半分、収入の半分の取り分が妻のものであるというような感覚はできないものだろうか。そして税制の面でこれを二分二乗方式に持ち込んでいただきたいことを私は希望するわけでございますが、これは大変無理なことであり、絶対不可能なことでございましょうか。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) ただいま御指摘になりました二分二乗課税方式の問題でございますが、これはいわゆる課税単位と申しますか、課税を個人単位でやるのかあるいは世帯単位でやるのかという問題でございまして、長年税制調査会でも御議論を願っておる問題でございます。  ただ、この二分二乗方式を仮に採用するということにいたしますと、いわゆるその世帯の類型と申しますか、共かせぎの世帯、それから片かせぎの世帯と申しますか、それから独身の世帯でございますね、それから独身の世帯でも扶養親族のある世帯、典型的に言いますと寡婦の世帯ということで、各世帯間での税負担のバランスでいろいろむずかしい問題が出てまいります。諸外国の税制を見ましても、いま御指摘になりました二分二乗方式というのは、たとえばアメリカとか西ドイツはこういう方式をとっております。フランスになりますと、いわゆるN分のN乗と申しまして、もう少し広い範囲での世帯でとらえております。わが国の場合は個人単位課税ということでございまして、イギリスは比較的わが国に近い課税単位でございます。というようなことでございまして、各世帯間の税負担のバランスとか、それから諸外国の税制も必ずしも一つの方向に固まっていないというふうな事情もございまして、税制調査会の中期答申におきましても、いま直ちにこれを変更するのはいかがかという御結論になっておりますが、いずれにいたしましても、私どもといたしまして今後いろんな角度からこの課税単位の問題は勉強していかなければならない問題と考えております。

石本茂自由民主党・自由国民会議

○石本茂君 ぜひこれは前向きの姿勢でこの制度を取り入れる方向に向かって私は御検討いただきたい。一千五百万を超える専業主婦の評価でございますので、お願いしたいと思います。  なお農林省について聞きたかったのでございますが、私に与えられました予定の時間がもう過ぎておりますので、農林省には大変申しわけございませんが、以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で石本君の質疑は終了いたしました。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、田中寿美子君の質疑を行います。(拍手)田中君。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私、最初に委員長にお礼を申し上げます。婦人問題の集中審議を予算委員会で初めて参議院でやってくださったこと、これは実は懸案のことだったので、衆議院でも一生懸命に婦人たちが要求したんですけれども、衆議院で実現できませんでした。それを参議院の方でやっていただいたのですから、参議院の先見性と申しましょうか、進歩性ということで、大いに私は感謝いたします。  これは私ども何も、まあ、ある新聞記者の方は、男社会であるところの国会の女たちが殴り込みをかけるのかというふうにお尋ねになった方がおります。そのようなことではないのであって、もう御存じだと思いますが、国会には衆参で超党派の国連婦人の十年推進議員連盟というのをつくっております。二百名からですから、ほとんどが男性の議員から成り立っている。この国連婦人の十年の推進議員連盟の方から、昨年の秋の臨時国会のときからすでに婦人問題についてもっともっと重要性を認識していただいて、特別委員会を設けろという説もあったし、内閣委の中に小委員会を設けてほしいという説もありましたし、衆参を通じて一つの婦人問題の委員会を持つべきだという説もあって、そして予算委員会の総括の中に一日設けてほしいというような意見もありまして、私どもはそのようなことをかねがねそれぞれの党内から申し入れをしておりましたし、総理府の総務長官の方にも、それから総理大臣の方にも申し入れしてあったわけなんです。ですけれども、なかなか婦人問題に関しての御理解がいただけなかったということで衆議院でできなかったことを残念に思っているわけです。参議院でできますこと、本当に一歩前進だというふうに思っております。  次には、私はやっぱり文句を言いたいんです。実は婦人問題企画推進本部長は総理大臣。ですから、日本における婦人問題の最高責任者は総理大臣、ですから最高の権力者、発言権のある方なんです。その方がおいでにならないで、私は、いま国連婦人の十年という、ことしはその中の中間年という非常に重要な年だから、そのことについていろいろと御質問したかったんですが、一番の責任者がおいでにならない。総理府総務長官は副本部長でいらっしゃいます。それじゃ不足とは言いにくいですけれども、やっぱり不足です。そして、それじゃ官房長官出てくださいというふうに要求しましたら、官房長官は自分の分担じゃないと。私は、官房長官というのはほかの党でいえば書記長に当たる方、だから、総理大臣が出られないんなら、責任を持って私どもに婦人問題についての御答弁をしていただきたいと思ったけれども、今回私どもが婦人問題の集中審議をするということになりますと、各大臣がここからここまでしか私は答えられませんというのがたくさんあって、どうしてそんなにしり込みなさるのか、多分婦人問題についての理解が必ずしも十分じゃないのでおじけづいていらっしゃるかもしれないというふうに思っているわけなんです。それで、幾つかの問題は総理大臣に答えていただかなければならないものでございますので、後ほど官房長官も何かいろいろの日程があるからおくれて来るとおっしゃいましたけれども、いまここに居並んでいらっしゃる中で大蔵大臣が一番、閣議の中じゃ大蔵大臣、外務大臣あたりが重要な閣僚ですから、ちゃんと聞いていて閣議の中でぜひ問題にしていただきたいということを最初に私はどうしても文句を言いたかったのでございます。ですから、それを最初に申し上げておきます。  先ほど石本委員から細かい具体的な問題について幾つか御質疑がありまして、ダブる部分は私は省かしていただきます。  第一、国連婦人の十年という運動ですね、どういうものなのかということを政府が十分認識して、政府だけじゃないと思いますけれども、国会もですが、いかに認識して取り組んでいるかということについてお尋ねいたします。  私は、国連婦人の十年という運動は世界的な規模の婦人解放運動だというふうに考えております。これは決して国連が年中行事のように国際婦人年を一九七五年に設定して、その後十年間が国連婦人の十年に設定されましたという受け身のものではないのでございます。これは六〇年代後半にアメリカでリブという形で始まった婦人解放運動の新しい波、それが全世界的に波及しました。そして、やがてそれは国連を形づくっておりますところの各国の中には先進資本主義国もあるし、中進資本主義国もあるし、それから発展途上国もたくさんあります。例のグループ77と言うけれども、事実上もっとたくさんあると思います。それから社会主義国もある。あらゆる形の体制を持っているところの国でそれぞれ婦人が手をつないでこういうキャンペーンをしなければならないと考えたのは、これは非常に今日広範に婦人が社会に進出して職場でも働いている、社会の各方面でも非常に大事な役割りを持っている、まして家庭の問題は職場に出ていたって家庭の責任をほとんど負わされている。こういう状況でどうして男女の平等だとか、本当の社会への全面参加ができるのか。これにはやっぱり期限を切ってキャンペーンをしなければならないというふうに国連の婦人の地位委員会にこういう問題提起があって、そしてもう長年かかって国際婦人年を設定し、それから十年の期限を切った。だから十年で終わることではありませんけれども、一応の区切りを切って、そこのところまでに何ができるかやってみましょうということなんでございます。ことしはその一九八〇年、十年のちょうど中間の年でございます。ですから、一体、政府は過去五年間この業績をどんなに評価し、よくやったと思っていらっしゃるのか、そして五年後には、つまり十年の終わりのときまでに一体どういうところまで日本の婦人の地位を引き上げていこうと思っていられるのか。これは国連などへの日本政府の報告は大変作文がりっぱにできておりまして、日本においては総理大臣を頂点とした婦人問題企画推進本部を設け、そうしてもう大変な取り組みをしているかのような作文になっておりますけれども、本当のところどのように評価をし、そして今後の五年をどうしようか、この七月にコペンハーゲンで中間年の世界会議が開かれますけれども、どういうふうに考えていらっしゃるか、まずそれは副本部長である総務長官にお伺いいたします。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) 婦人問題企画推進本部の副本部長を担当いたしております。本部長欠席ではございますが、誠実にお答えをいたしたいと思います。  お話にありましたように、国連婦人の十年という限られた期間の中で、婦人の問題もろもろに対して全世界的に取り組みをいたそうということで出発をいたしておるわけでございまして、世界の行動計画、国連婦人のための行動計画に伴いまして、わが国といたしましても十一項目の項目を定めて一つ一つ取り組んでおる次第でございます。ちょうど中間年に当たりますので、過去取り組んでまいりました諸問題の到達度等をながめながら、今年開かれますデンマークでの大会にその成果を問いたいと思っておりますが、先ほども御答弁申し上げましたが、そのすべての課題がちょうど真ん中にきましたから半分までいったというわけでもありませんで、それぞれかなり努力をいたしておりますが、たとえば審議会における婦人の参加等につきましては、目標値に至らないというようなところもあります。しかし、それぞれ各役所とも十一項目それぞれ担当いたしておりますことにつきましては現在鋭意努力をいたしておりますので、私どもといたしましては、ぜひこの十ヵ年の中でわが国として目標といたしておりますことについては、これが達成のできるように努力をいたしてまいりたいと思っております。しかしながら、数字としてあらわれた面ばかりでなくて、最近の情勢をながめてみますると、公党の中でも副委員長を占められるようなお立場の方も出てこられてきておりますし、また、それぞれの分野におきまして、新聞紙上等におきまして婦人の方々が政策面におきましてもかなり参加されておるというようなことも紙面をにぎわしておるようなことでございますので、日本におきましても、趨勢といたしましてはかなりこの婦人問題に対する認識も高まり、目標に対しましても各省庁とも全力を挙げて努力をしておる成果が着実にあらわれておると思っておりますが、しかし、なお全力を挙げてこの目標達成にがんばっていきたいと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 実はこの問題ね、把握の仕方が日本は大変私は間違っていると思っているんです。そこまで詳しくお話しする暇ありませんけれども、私もヨーロッパなどに昨年も、その前はアメリカにも調べに行きましたけれども、国連婦人の十年運動というのは政府がやることじゃないんです。本当はね。民間の婦人たちがいかにこれに対応しながら運動し、政府にそれを要求して目標を達成させるかということで、先進資本主義国はみんな民間の婦人たちから成る国内委員会をつくって、婦人委員会をつくって、その人たちの意思で目標もつくり、行動計画もつくって政府がそれを報告するという形。日本は何でも上から来て、政府にお願いします、しますというのかあたかも運動であるように考える。そこのところまでお話ししていると暇かありませんけれども、実は大使を任命したとか、トップの人が幾らかできたら大喜びで報告に書けるという、報告書に書くことができると、こう言って喜んでいらっしゃる。それから国会に超党派の国連婦人の十年推進議員連盟ができているということも日本政府の国連への報告に大きな目玉になっているんですね。大平さんが、総理大臣が婦人問題企画推進本部の本部長であるということも報告の目玉になっている、みんなその形だけいかにも婦人の地位が上がっているかのように報告することが非常に上手であって、実質的に問題だらけであるということをまず私はそれだけは指摘しておきたいと思います。  そこで、この運動の基本的な理念が一九七五年のメキシコ会議で、その宣言や決議や、それから世界行動計画などでなされましたように、その底に、男女の役割り分業思想を打破し、役割り分業を打破すると、分業体制も打破していくと、こういうことにあるのでございますけれども、役割り分業というと、男は仕事、女は家庭と、こういうふうに役割りを決めてしまってはいけないんだと。男も女も社会にも家庭にも責任を持つと、こういうふうにならなきゃ本当の男女平等というのはできないではないか。この国連婦人の十年の運動のスローガンとして平等、発展、平和という三つを掲げていますけれども、本当に男女の平等を実現するためには女は内におれと、男は外だぞという、こういう観念を打破し、そしてそういう制度を崩していかなけりゃいけない。こういう共通のみんな理念を持っているわけなんですが、それについてどう理解していらっしゃいますか。これもしようがないですね、総務長官に伺います。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘はそのとおりと私も考えます。  そこで、それに対応するように国内行動計画におきましても政治、経済、社会、文化、あらゆる分野への婦人の参加を促進するために、固定的な役割り分担を見直すことは肝要であると指摘をいたしておるところでございまして、したがいまして、女子向きのたとえば職種であるというような形で職業を固定していくというようなことを可能な限り排除いたしまして条件整備をしていこうということで努力をしておるところでございまして、政府におきまする各種の試験等でいままで制約されておりましたものも順次外してまいりまして、ほぼ各省庁における試験の制約というものにつきましても、残りわずかなものになってきておるようだというようなこともその考え方に基づいての施策のあらわれと御理解をいただきたいと存じます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 実は男女の役割り分業思想というのは本当に日本の社会に根強くはびこっておりまして、なかなか簡単に打破できない状況にあるわけなんです。昨年、大平総理大臣が施政方針演説に対する質問でのお答えの中で、市川房枝参議院議員が、例の大平さんか自分の娘に、女は学問せぬでもええ、早う嫁に行ってだんなさんにかわいがられるのが一番幸せだというふうに言ったことに対して、それでいいのかというふうに質問されたときに、いや、それは全くこれは本音なんですね。男の人、全部の本音だろうと思います。女の中にもそれは確かにあります。だけれども、同時にその本会議で大平さんは、わが党の粕谷照美さんの質問に対してお答えになっている中で、婦人に対する偏見がまだまだいっぱいあると、そして固定的な男女の役割り分業の意識がまだ根強く残っていると言って、それを排除すべきであることをおっしゃっている。いまの総務長官も同じように、これは実は官僚の作文でお答えになった。本音の方は、女は勉強せぬでもええ、嫁に行け行けと、こういう方であって、しかし国連婦人の十年の精神から言えば、役割り分業を打破していかなきゃいけないということをたてまえとしておっしゃらなければいけないという、こういう実情なんですね。それで、そのときにやはり大平さんは、女の人には子供を産むという手ごたえある機能がある、それは男にはできないことで、私は女性を尊敬しますというふうにおっしゃいました。私は、母性の、つまり子供を産むという社会性というものをきちんと認めて母性保障を確立しなかったら、男女の役割り分業打破ということもできないし、男女の平等ということも本当には実現できないと思うのですが、その点をどうお考えですか。官房長官お出かけになりましたので、先に総務長官からお答えいただきたい。私は、先ほどから総理大臣に向けるべき質問で、日本における婦人問題の最高責任者として婦人問題企画推進本部長であられる総理大臣がお出になっておりませんものですから、それならばせめて官房長官と総務長官のお二人をというふうにお願いしておりました。十分御理解いただけないで、初めは出られないようにおっしゃっておりましたけれども、差し繰りがついたらしくて出てくださいましたので、そこでぜひお考えをいただきたいと思います。総務長官から、その母性の保障ということが国家社会によってされないでおいて、子供を産んだり、妊娠中のいろいろな障害があったり、そして子育てまで女性にすっかりかぶせておいて、それで男女平等というようなことは、なかなか社会への全面参加ということはできないんではないかということについてどのようにお考えでございますか。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) この問題につきましても、国内行動計画の中で男女両性がともに参加貢献することが必要であるという考え方に立ちまして、現在総合的な施策を展開いたしておるところでございまして、「母性の尊重及び健康の擁護」をその基本的な施策として掲げておるところでございます。「母性は次代社会の健全な発展のために不可欠であり、社会全体として、これに対する十分な援護態勢が確立されなければならない。」と明記されておりますので、そのための施策の推進を図ることといたしておりまして、今後とも御指摘にありました母性の社会性を認め、母性保障を確立すべきであるという考え方に対しまして、この国内行動計画等を実行することによって実現を図っていきたいと考えております。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、男は外で仕事を、女は家庭でというその役割りといいますか、そういう観念がまだあることだけは私も認めますが、しかし、それではやっぱりいかぬじゃないかと、何も女性が皆職場に進出しろとか、そういうことを言うわけじゃないんですけれども、平等にいろいろな社会参加をしていくということは私は必要だというふうに考えますので、女性がそういう希望で自分の能力を社会のために働かしていこうという場合には、そういうことができるようにいろいろな社会的な施設をつくるとか、女性のための産休施設なんていうのもそうでしょうし、保育所なんていうのもそうでしょうが、そういう環境をつくってやっていくということは実は必要だと私も考えます。私も実はおふくろが幼稚園の先生をしていましたので、うちでおやじの姉に育てられましたが、姉は結局犠牲になってお嫁にも行かないで、うちにいたというようなことがあったんです。いまから考えてみますと、やっぱり社会的な施設がいろいろあれば、私のおやじの姉もやっぱり一人の人間として外へ出て働くなり、またもっと別な生き方があったんだろうと。やっぱり社会的な女性に対する施設というのは昔非常におくれていた。いまだんだん整備しておりますが、今後もそういうことをやって、やっぱり文字どおり本当に働く場合には平等で働けるというようなことをしてあげるということは私は必要だと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 御自分の体験からそう思っていらっしゃるようですから。総務長官が国内行動計画に基づいてとおっしゃるけれども、あれは大変抽象的なものであって、あれに基づいても、母性は尊重しますということが明記してあっても実際の政策が推進されなければだめなんですね。  それで、女性が社会に参加しようとするとき、あるいは生産労働あるいは職場に参加しようとするときに、母性がハンディになったんでは男女がともに社会も家庭もというふうにいかない。それからまた、男性にとって家庭なんていうものは自分の分野じゃないという考え方、これはもう打破していかなければいけないわけなんですね。家庭というものを大変自民党並びに政府はいま強調していらっしゃるなら、家庭の責任というのは男性もともに持つということでなければいけないし、子供だって父性と母性と両方の教育を受ける必要があると思いますので、そこで、それでは母性がハンディとならないように母性保障をちゃんと実行していくおつもりかどうかということなんで、先ほど石本委員に対する御答弁の中でもあったんですけれども、女の人が子供を産むという、そういう機能を持たされている、これを守っていく方法として育児休業のことを政府の方も盛んにおっしゃっていました。育児休業を奨励しているということが母性を守る方法であるかのようにおっしゃいますけれども、いまの育児休業の制度は無給の制度です。ですから、子供を産んだ後、家に入って一年未満ぐらい子育てをして、またもとの職場に戻ってくるということがきちんと保障されていないし、その間に所得の保障がされていない。それから、一方また保育所の方は、そういうゼロ歳児からの保育というのは非常に少ない。だから、いやおうなしに家におらなきゃいけないけれども所得は保障されないという形があったんで、これはやっぱり母性であることがハンディにされていることになりはしないんでしょうか。これは総務長官並びに労働大臣にお尋ねします。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 御指摘のように、育児休業の制度がございますけれども無給のたてまえになっておりますし、また休業をしてまた職場に復帰するということについてもきわめて限られた職種が法定化されておりまして、一般にそういった形に持っていきたいという考え方に立ちまして、奨励金などもつけながら仕組みをさらに一般化、普及化していくように努力を重ねてきているところでございます。  なお、理想の形になっておらないことについて、これは母性保障が欠けておるということではないかという御指摘でございます。なかなかこれはむずかしいところでございまして、やっぱりその日本の非常に古くからずっと一つの男女分業論のようなものがあって、またそういう現実があって今日まで来ておりまして、男女平等の方向に向かって、あるいは母性が保障される方向に向かって一日も早く前進をしていかなければいけない。これは前進と考えておりますが、前進をしていかなければいかぬというふうに考えておりますが、やっぱり民間も含めて一般にそういった啓発活動のもとに理解も深まり、かつコンセンサスも得られて、そして仕組みとしても完全に保障されていくという両々相まった努力が重ねられていかなければいけない、こう考えるわけでございまして、なおそういった方向に向かってさらに努力をしていくように労働省としても真剣に取り組んでおるところでございますし、今後ともその努力を重ねていきたい、こう考えておる次第でございます。努力不足のところにつきましては、さらにそれを補って今後前進をさせていくようにいたしたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 時間の関係で先へ進んでいきますけれども、いまの育児休業などは、次に私が問題としたいと思っております婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約ですね、去年の十二月十八日に国連総会で採択されましたこの条約の内容にも関連しますので、いまの問題、つまり育児休業というのはいま世界的に先進諸国では女だけの問題じゃなくなっているわけなんです。父親がとっても母親がとってもよろしいと、出産休暇は母親がとるけれども、その後はどっちがとってもよろしいという方法で、しかも何かの形の所得保障、有給または社会保障による所得保障を与えるということが内容としてなかったならば母性保障にはならないわけなんですね。ですから、そういう意味で労働省は私どもがそういうことを要求しているということを体していってほしいと思っているわけなんです。  そこで、その婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約、私も仮訳で見ているわけですが、原文がありますから。それで、これも何も突如として出てきたものじゃないわけですね。これは一九六〇年以来、女性の差別撤廃宣言というものを国連婦人の地位委員会からの発議で提出されて以来、十二年間かかってようやく国連の総会でこれを採択した。これはことしが国連婦人の十年の中間年に当たるから、これを目指して採択したもので、賛成百三十ヵ国、反対ゼロ、そして棄権が十一ヵ国これは主としてイスラム諸国だと思われます。日本も賛成をしたんですね。それで、先ほども石本委員が批准はいつごろかというふうに聞いていらっしゃいましたけれども、外務大臣はこういう条約の窓口でいらっしゃいますが、なるたけ内容の問題点を調整してなるべく早く批准に持っていきたいというふうにおっしゃいましたけれども、日本は国連中心の国というふうに盛んに言っている。で、批准の見通し。これは一九八五年までが国連婦人の十年の期限です。国内法に残っている男女差別または男女平等を規定していない部分の改正、これが必要と思うのですが、それは何と何であるかということをもう少し具体的に御説明いただきたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) この差別撤廃の条約につきましては、いま田中委員からお話ございましたように、日本政府も賛成いたしておるわけでございますが、手続的にはこの条約文の認証謄本というものが送られるはずになっておりますが、これはまだおくれておるといいますか、あと一ヵ月ぐらいかかるわけでございますが、いますでに関係各省の会合も開きましていろいろ話し合いを始めておるわけでございます。具体的には、先ほど国連局長からも石本委員の御質問に対してお答えしたわけでございますが、これに関連して、国内法との整合性ということで国籍関係、雇用労働条件、教育の権利、そのほか女性保護の措置としてとられることも撤廃するのかどうかというような具体的な問題がいろいろあるようでございますので、さらに重ねて国連局長から具体的内容を必要ならば答弁いたさせます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 先ほど国連局長からお答えがありましたので、同じことを伺うことはないと思いますが、実はその中で、一つは国籍法上の男女の不平等、これは私どもの土井たか子議員が衆議院の方から改正案を出しております。毎年出しているわけですが、日本は国籍法において父系主義であると、だから、子供に国籍を継続させるその権利を平等にせよという立場で、今回のこの差別撤廃条約の中にも、両親が平等に子供に自分の国籍を伝えることができるようにさせなきゃいけないというふうになっているわけですね。これはそんなにむずかしい問題ではないと思う。  それから、触れられましたような点、非常に重大な問題が含まれておりますのは、母性保護のための特別措置は差別とみなさないというふうにこれにはなっておりますが、そして、または男女平等のためにとるところの暫定的な措置、これは差別じゃないというふうにこれにもちゃんと書いてある。ところが先ほどから、日本の国内法の中にある女性の保護というのが差別であるかどうか、男女平等というのをそこの辺はどういうふうに見るかというような点について問題があると言われているのはまさに保護と平等の問題で、私はいまそれを議論している時間がありませんが、そういう議論をいつまでもやっておりますと……。これは基準法研究会の報告書にあらわれている思想は、現在の基準法にある母性保護のところだけ残して、あとを取れば平等になるという思想が政府の方にあるようでございます。この点は強く私たちは異議を申し述べておきたいと思います。ですから、こういう問題について議論をするためには時間がかかります。  それから産休ですね、産休は有給または社会保障で保障せよという問題があります。これなどは実現してもらわなければ困りますね。ほとんどの国がそれをやっている、先進諸国はやっているわけです。一九七五年にILO百二号条約を批准しました。そのとき、七五年というのは国際婦人年の年なんですけれども、そのときたくさん留保しております。留保している部分というのは婦人に関するところであって、母性給付、家族給付、それから遺族給付だったわけですね。つまり、これはいまここの差別撤廃条約の中に出ておりますように、出産のために休む期間は有給または社会保障で保障せよというふうになっているわけなんです。このILO百二号条約、百三号条約、百十一号機会均等、八十九号、百四十九号などについてどういうふうに、これはやっぱりこの差別撤廃条約にも関連するし、それから男女の平等を保障していく、あるいは母性を保障していくというような意味を込めて、これらの見通しはいかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま御指摘のように、ILOの関係の条約の中では、百二号条約を除く他の条約についてはまだ批准するに至っておらないわけでございます。これ以外の百三号、百十一号、八十九号、百四十九号、これらにつきましては現在関係各省の間でいろいろ打ち合わせが進んでおると承知いたしておりますけれども、いろいろ具体的な問題についてのまだ詰めが十分にできていないという事情があるようでございますけれども、外務省といたしましては、関係省と連絡をとりながら受諾できる条件が整い次第ILOの方に連絡をいたしたいという考えでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 問題そのものが労働省や厚生省にかかわっております。そして、国内法と整合させてというのじゃなくて、国内法を改正していかなければいけないと私思うわけなんですが、今回はILOの総会でもまた婦人の問題特に家庭の責任を持つ男女労働者の機会均等及び平等待遇に関する勧告案というのが出ている。いまでは、かつては「家庭責任をもつ婦人労働者」となっていたのを「男女労働者」にしておる。そのくらいに国際社会では男女の平等推進のために進んでいっているわけですね。これに対しての政府の立場などを聞いている時間がありませんので私はこれで省きますが、官房長官、「国連婦人の十年」という運動を推進して、その十年の最終期間八五年までに国際的に遜色のない婦人の地位を獲得すると、そういうことのための法改正あるいは新しく法律をつくっていくと、こういうようなことについて、婦人問題の一番責任者でありますところの総理にかわってと言うと、かわることはできないとおっしゃいますから、総理の立場を想像して、御決意を聞きたいと思います。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  想像してということでございますが、総理は私よりフェミニストでございますからもっといい答弁をするのかもしれませんが、あと五年あるわけでございます。ことしであと五年あるわけでございますが、片方では財政事情、いろいろむずかしいことがございます。それとどう調和していくかということでございますが、極力そういうことを考えていくということだけはもう申し上げますが、五年たったとき先生からおほめにあずかるところまでいけるかどうか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、財政事情等考えながら極力努力することをお答え申し上げますし、総理にも伝えておきます。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後二時から委員会を再開し、田中君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後二時二分開会

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十五年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き田中寿美子君の質疑を行います。田中君。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 第二番目の問題に入りたいと思いますが、政府の家庭基盤充実構想とその政策についてお尋ねいたします。  政府及び自民党の家庭基盤充実の構想が現在非常に婦人の間で重大な問題として論議されているということは御承知だろうかと思いますが、これは大平総理の発想で打ち上げられたものを内閣が政策化しているというふうに私は承知しております。各省の協力を得て政策をいろいろとつくっていらっしゃる。そう思いますわけは、昨年の八十七国会で、一月、総理が施政方針演説の中で日本型福祉社会というのをお唱えになった。そして、その中で自立、自助の精神を強調なさった。その基盤に家庭を据えて、福祉をなるべく家庭で引き受けて、はっきり言えば金のかからない日本型福祉社会と、財政難の折からそういうふうにやるということがねらいだったと思います。で、昨年の二月には、内閣審議室が家庭基盤充実構想関連資料というのをお出しになりました。これは過去に政府が家庭に関して諮問なさった審議会の答申を集めたもので大変分厚いものですから、政府の家庭基盤充実政策の資料として参考にされているものだと思います。それから昨年の六月には、自民党の政調会と家庭基盤の充実に関する特別委員会、早川崇会長の名で「家庭基盤の充実に関する対策要綱」が発表されました。これが一般国民に知れ渡ってから婦人運動の中で大変これが問題になっているわけなんです。私は、これが総理の発想か自民党の発想かというふうに問題を提起してみましたけれども、考えついたのは総理であり、また自民党の総裁である総理だと、だからこれは表裏一体であって同じ考えだというふうにお答えになりますでしょうか。これはやっぱり官房長官にお願いしたいと思います。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  いま先生のおっしゃいました中で、自由民主党の政務調査会の中で家庭基盤充実の特別委員会がございまして、そこで委員長の早川先生から中間発表が一つ出たというのは先生いまおっしゃったとおりでございます。もう一つは、行政部門の中で各省庁関係でございますが、家庭基盤充実のための基本的政策取りまとめということでこれは出したのが二つあるわけでございます。党の方でございますが、これは中間発表でございまして、早川委員長がやられたわけでございますが、総理の考え方としましては、自由民主党のこれは中間発表でございますから、その後も出ると思いますし、それから総理大臣の私的諮問機関が実はございます。これは実はまだ報告書は未発表でございますが、総理としましては、自由民主党の考え方あるいは私的諮問機関でいま御相談を願っているものがあるわけでございますが、もう一つ行政府の基本的な施策の取りまとめと、こういうもの三者を総合して総理が最終的にまた基本的な考え方として外に発表するのではなかろうかと、私はそういうふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大変政府が巧妙だというふうに私思いますのは、家庭基盤充実の政策を掲げて政策化していくけれども、その思想宣伝の方は自民党が引き受けていると。まあ両者一体なんだけれども、その政策的な面は各省の政策の中に入れていって、そして家庭への郷愁をそそりながら、家庭、家庭というふうにする宣伝の方は党が引き受けると、こういう感じがするんですね。大平さんは総理であると同時に総裁ですから、両方の人格を兼ねていらっしゃる両方使い分けてなかなかお上手にやっていらっしゃる。で、政府に聞けば、いや、あれは自民党の考えですよ、自民党に聞けば、いや、あれは政府のやっていることですよと言えるような仕組みになっているんですけれども、私が問題にしたいのは、政府の家庭政策というのは、これまでの政府の労働力政策と相呼応していると、こういうことなんです。言いかえれば、産業の要求している労働力政策に合わせて家庭政策を変化させてきている、あるいは家庭政策に合わせて労働力政策を立てていると言ってもいいかもしれません。その辺はどうお思いになりますでしょうか、官房長官。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) いま先生おっしゃったように、総理は総裁兼ねておりますこと御指摘のとおりでございますが、場合によりましては完全に政府と党と一体になって一〇〇%一緒ということもございますが、問題によりましては考え方がいろいろ実は違う問題もございます。この婦人の問題につきましては、いま先生のおっしゃったように、特にあれは党の方で宣伝しているんだとか、これは政府の方でこういう政策やって党は関係ないんだとか、そういう何か巧妙な使い分けをしているという御意見でございましたが、私は、総理、それほどの悪知恵といいますか、そういうものは私はないんじゃないか。やっぱりこれは党の婦人問題、家庭問題も政府の家庭問題もやっぱり一緒にして考えていく、両方で補完し合ってやっていくということだろうと私は思うわけでございまして、また御指摘があればひとつお答え申し上げたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 党の考え方と政府の考え方がぴったり一致しているということであればなおさら私は問題だと思っているんですね。それで、党が出しております政策の中にはこれは家庭基盤の充実の問題と同時に、ほとんど相前後して玉置私案なるもので、乳幼児の保育に関する基本構想というのも出されている。その両方とも家庭の意義を強調するだけでなくて、女か外に出ていくことで家庭が破壊されると言わんばかりの、あるいは育児を放棄しているとか、豊かな生活を築くために働きに出ていく甘えだとかいうような考え方、それは両方に出ているわけですね。政府がそういう考え方をしているとすれば大変私は問題だと思うんです。  さっき言いましたように、私はずっとよく考えてみますと、戦後の政府の家庭政策というのをたどってみますと、ごく簡単にかいつまんで考えてみますと、戦争直後から五〇年代ですね、この時代というのは古い家制度が破れた時代、民法改正されて、そして戸主権だとか長子による家督相続権だとか、そういうものがなくなって、そして一応男女の平等、夫婦の平等、親子の民主的な関係というのがつくられた。つまり新しい家庭に切りかえられて、まあ女性から見ますれば、かつての不具廃疾者及び妻は法律行為ができないとされたあの時代から見れば、解放された感があった時代。しかし、もうその五〇年代にすでに家族制度復活運動が岸信介さんが主導して行われておりました。ですから、私たちは家族制度復活反対運動をした方でございます。それにしても五〇年代というのは戦後の民主化の過程で古い家の制度が破られてきた。  第二期は六〇年代の高度成長期ですね。池田内閣の所得倍増政策で高度成長がどんどんあおられて、そして国内の消費需要で日本の経済を立て直す。労働力が足りませんから、若年労働が足りない部分を婦人労働ということでどんどん引っ張り出す、農村からも都市の家庭からも引っ張り出す。だから六〇年代というのは主婦労働の時代と呼ばれる時代だと思います。そのときにパートタイマーというのが始まっているわけですからね。ですから、あのころのことは私も思い出すんですけれども、日経連の前田専務理事という方と私インタビューしたことがありましたけれども、女というものは若いうちに働いて、そして結婚したら家に帰って三人ほど子供を産めと、そうしてその後再就職したらよろしいと。再就職するときにはパートのような、つまり保障もなくてもいいし、労働法の適用が余りうるさくない、そういう形で気楽に出てくるやり方、これは産業が要求していた労働力だと思います。池田内閣も人づくり政策というのを強調している。その人づくり政策の中身の中に、やっぱり経済審議会の答申の中に婦人労働力の有効活用というのがありますけれども、それは若いとき働かして、労働力を確保するためには家庭で子供を三人ほど産んで——三人いま産んでいませんけれども、また出たらよろしいというこのパターン、これは働く婦人にとって生涯せっかく働こうと思うときに働きづらい非常な苦しみの時代でもあったわけです。そして、そのパートタイマーで出ることが一つは家計の補助となり、生活水準がぐんぐん上げられた時期でしょう、高度成長期というのは。それですから働かざるを得ないという面もあって出ていった。だから、家庭に対する政策というのは家庭生活問題審議会が期待される家庭像を描いているわけですよ。それは、そのような女が働くのは若いときと中高年になってから有効な労働力として使えと、こういう方針だったわけですね。ですから、人づくり政策として産業に見合った労働力を養成するということと家庭のあり方とが呼応し合っているわけです。マイホーム主義というのが非常に鼓吹された時期ですから、その時期というのは。しかし、家を建てるのにも物を買うのにも電化と機械化と、それから消費水準の向上が進んだ時期ですから、お金がどうしても欲しいという時代です。そして核家族化がどんどん進んだ時代ですね。そういうときの女子労働を使う使い方というのは、いま言ったような使い方が一番便利だったと、こういうふうに見ることができる。その時期にパートタイマーというのが始まっているわけですね。  第三期は七〇年代で、これは七三年、四年の石油ショックの後、いまの大平さんの日本型福祉社会という考え方は、これは余り労働に出てきてしまった婦人に家に帰ってもらいたい、だから福祉は家庭の中で、社会保障じゃなくてこれは家庭保障制度ですよ、日本型福祉社会というのは。失業者も老人も子供も病人も家庭で引き受けなさいというふうな言い方だと私は思うんですね。というのは家庭基盤の方がちゃんとしていないからなんです。ですから家庭の家計が大変苦しいので主婦が収入を求めてパートタイマーに出る、共働きの世帯もずいぶんふえた。そういう中で、しかも家庭と職場の両方の責任を持たされてきた女性の立場というのは、男の人にとても想像つかないように苦しいんですよ。そういう経過をたどってきたということに対してはどういう感想をお持ちでしょうか。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答えします。  どうも私がお答えするのが適当かどうか、これはまことに申しわけございませんが、いま先生がおっしゃいましたように、戦後の歴史的経過といいますか、家というものの崩壊の時代があって、その後に高度成長の時代があって、婦人も労働に参画していく、ただ、その参画していく中にまだ十分その対策が立てられない姿のままで労働に出たことが時代としてはあるじゃないか、私もそういうことは歴史的経過ではあると思います。  いまのおっしゃいました日本型福祉社会、こう言ったのは、家庭を全部たとえば婦人に任せて、あるいは国はそういう家庭の基盤充実から手を引いてそれはもう婦人にだけ任せるんだ、女性にだけ任せるんだと、そういう意味で総理は言っているのではないのでございまして、福祉ということも国がやる福祉もあるだろうし、家庭でもやらなければならないことがあるだろう。しかし、家庭は家庭といってほうっておいて国が何もしないということではなくて、やっぱり国は国として家庭が潤いのある家庭とか、そういう家庭をつくる環境はこれは国があるいは地方団体がやらなければいかぬ。ただ家庭は、これは女性だけの負担じゃない、家族全員の責任でございますが、その中にゆとりのあるといいますか、潤いのあるといいますか、そういうような、社会保障ができたからもう家庭はいいんだということじゃなくて、やはり人間関係といいますか、そういうものの潤いのある家庭というものが欲しいんじゃないかというようなことで家庭基盤を充実しろということを言っているわけでございまして、全部家庭に福祉をおっつけて女性に負担をかけるという意味じゃあれは総理はないというふうに私は思っております。  それから党と政府の関係ございましたが、これは家庭基盤充実は早川先生のところが中間報告を出したわけでございまして、先生がおっしゃった何々私案、何々私案といろいろ考えがあるわけでございますから、それはまたそれで別でございまして、責任あるものとして出したのは中間報告ということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 家庭にだけ福祉を押しつけているわけじゃないというふうにおっしゃるけれども、なるたけ公的な福祉を節約して、家庭で老人、子供、病人の介護その他をやらないといけないという方向が出ていて、そして、それに日本の家庭の崩壊の過程で親不孝の思想だとか、そういうものがだんだん広がってきているという物の言い方を党の方のサイドでやっていらっしゃるわけです。先ほどはそれは一体だというふうにおっしゃいましたが、私はそれは一体のはずだろうと思っております。  それで、働いている女性の立場からしますと、資本の都合で職場に引き出されたり引っ込められたり、日本経済の安全弁として使われてきているという感じがするわけなんですね。ちょうど戦前にそうだったわけで、若年の女子労働者が短期に出かせぎ型で農村から駆り集められて、好況不況によって家へ帰されたり引き出されたり、女子労働というのはいつもそういう役割りを果たさせられてきたんだ、いまの労働力の政策というのはやっぱりそういう過去の女子労働政策の現代版、パートタイマーというのはそういう役割りを果たさせられているというふうに私たちは思っているわけなんです。  だから、そのことはそんなことでいいかどうか。これは労働省にお伺いしようと思いますが、パートタイマーの状況ですね、いまどんどんふえてきている。千二百八十万の雇用労働婦人のうち一六、七%という統計数字が出ているけれども、実際にはもっと多いと思いますが、どのくらいおって、毎年ふえていっている、そして将来どのように見越しているかというようなことについて簡単に説明していただきたい。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) お答え申し上げます。  パートタイム労働者につきましては、定義が大変さまざまでございまして、私どもは、本来的には通常の労働時間よりも短かい労働時間働くものをパートタイマーというふうに考えているわけでございますが、ただ労働時間が普通の労働者と同じぐらい働いておりましてもパートタイマーと呼んでいるような場合もいろいろございまして、調査もいろいろな定義でとっているわけでございます。  で、これまでに時系列にパートタイマーの推移を見ようといたしますと、時系列に見られますのは短時間の就労者ということで、週三十五時間未満の就労者について見ますと、昭和四十年当時が女子の短時間雇用者数八十二万人でございます。四十五年が百三十万人、五十年が百九十八万人、五十四年が二百三十六万人で、五十四年の女子雇用者全体に対します短時間雇用者の割合は一八・四%になっております。このように最近特にこの割合が非常にふえてきているという傾向でございまして、将来のことはちょっと予測がつきかねますけれども一かなりふえてきているという状況であるということを申し上げます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 労働条件について簡単に。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) パートタイマーの労働条件でございますけれども、パートタイマーということを先ほど申し上げましたように、労働時間が余り変わりないのにパートタイマーと呼んでいるという場合もあることからわかりますように、企業におきまして身分的にパートタイマーというものに差をつけているというようなことがございます。したがいまして、パートタイマーにつきましては、雇用が不安定であるとか、あるいは賃金制度もフルタイマーの労働者と違っておりまして、そのために賃金につきましても一般の労働者より低いというようなことがございます。特に手当につきましては一般の労働者より低いというような状況が出ているところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 パートタイマーという名前の常用雇用者であって、しかも労働法の適用を免れている場合が非常に多いわけです。賃金も低い。いま農村の縫製工場などに行ってみますと、地域の最賃すら適用されておりません。これは企業そのものが不安定な状況にあるというようなことも反映しておりまして、それから農村の主婦たちは、安くても何でもいいです、現金が欲しいというようなことで働いているという、こういう種類の婦人労働者がふえていっている。いまおっしゃった比率でも一八%にふえている。これよりもっと登録されていないパートタイマーがいっぱいいる。婦人労働というのはそういう形でいまふえつつあるというのは、決してこれは婦人労働が進出しているという喜ぶべき状況ではないと思います。そして非常に多くが主婦たちでございますから、共働き世帯でございますね。  そこで、共働き世帯の実情についてちょっと御説明いただきたいんですが、もし労働省で答えられるなら労働省、それから私は総理府の統計局の方から数をいただいておりますから、どちらでもいいです。

島村史郎総理府統計局長

○政府委員(島村史郎君) お答えいたします。  共働き世帯の世帯の実収入か大体三十五万円でございまして、そのうち消費支出か一月二十二万円、そういう状況になっております。共働きの世帯は、一般的に言って、普通の世帯の主が構成しております家計よりも消費支出が高くなっているという状況でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまの説明で皆さんにも余りよくわからなかったと思うけれども、共働き世帯の収入というのは——共働きの妻のかせいでいる部分というのは本当に五万円ちょっとなんですね。ですから大部分これはパートではないかというふうに思われます。ですから、その世帯の収入は、共働きが三十五万ちょっと、そして共働きしていない世帯主だけ働いているところが二十八万ちょっと、わずか五、六万の差しかない。しかし、そこのところを補わなければ生計が立てられないという婦人たちの主婦労働が動員されていると言っていいと思いますね。私は統計局の資料をきのういただいて見ていまして、共働き世帯の方が雑費という項目で非常に多くなっている。それは自動車の関係の費用、仕送り金、教育、交際費、医療、保険、その他ですね、こういうものがどうしても必要な時代になって働いている。しかし、そのこと自体が政府の家庭政策とそれから労働力政策に全くよくマッチしている。企業の方から見れば、そういう主婦労働はコストが安い、身分の保障も余りしないでいい、本来なら労働基準法の適用もあるべきなのにしないで済ましている部分もずいぶんある、こういうことなんですね。こういう状況では、働いている婦人の場合、共働きの場合も、フルタイムで働いている人の場合も、既婚者が非常にいまは多いわけですが、家庭の方を守ってくれるところの政策の方がずっとおくれている。非常な苦しみを持って共働きをしている。専門職の人だって、これは沖藤典子さんという方の書いた「女が職場を去る日」というのがありますけれども、全く専門的な仕事で相当の管理職のところまで来て、二十年も働いていて、そして老親の重病を看護し、その死を見送って、もう刀折れ矢尽きて職場を去らなければならない無念さというものがずいぶんあれに出ているわけですが、そういう人やら、それから家計をどうしても補助しなければならない、補完していかなければ教育もできない、あるいは住宅のローンも払えないという一般家庭がいっぱいある、家庭でも職場でも何か両方とも八方ふさがりみたいな状況の中で働いている婦人がいっぱいいるということを承知していただきたいと思います。婦人の労働政策というものはそんなものであっていいはずはないわけなんですね。ですから、国連婦人の十年の目指しているものというのは、家庭も職場も両方が保障されるようにしていくという方向だと思うんですね。それに反しているというふうに私は思います。  それで、これは経済企画庁長官だと思います。つまり家庭の問題を扱う役所というのは経企庁ということになっているんですね、国民生活局があるからだと思いますが。自民党の家庭基盤の充実対策要綱の中に、家庭がいかに大事であるかという意義を強調して、そして社会主義国のソ連や中国でも親孝行を奨励しているではないかという式のことが書いてある。私はこれは部分を引用して自分たちの言いたいことに使っているというふうに思います。私も多少社会主義国の家庭の問題あるいは家族関係を勉強した人間でありますので、こういう引用の仕方は大変間違いと思いますので訂正してもらいたい。ソ連、中国、朝鮮などの社会主義国の憲法の中にどういうことが書いてあるか。つまり自民党の家庭基盤の充実要綱の中では、憲法で親孝行を奨励していると書いてある。そうではないんですね。男女同権がまず規定されているし、母性と子供の保障がある。そして親子関係、家庭の保護というのがみんなほとんど社会主義国にはあるわけです。ですから、ここで引用されているソ連、中国のことでいいですから、調べていただいた分をちょっと言ってみてください。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○政府委員(小金芳弘君) お答えいたします。  私は、政府として政府の家庭基盤充実のための施策の取りまとめをいたしましたが、外国におけるそういう制度の研究とかあるいは各種の価値観、そういう問題に関するものはわれわれの仕事ではございませんので、われわれもあの報告書を提出いたしておりますけれども、われわれの報告書はそういう価値観に関するようなものは述べてございません。ですから、政治をなさる方々は当然そういう価値観に基づいてなされるわけでござ  いますが、われわれはそうではございませんので、そういうメンションもいたしておりません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私はそう言っているわけですよ。政府の方はそう言ってないけれども、自民党でこういうことを言っているので、それじゃ社会主義国の憲法でどう言っているか調べてくださいと言ったら、内閣の方じゃ資料がありませんというお答えでした。それじゃ、もういいです。時間がかかるから。  私は、そこで誤解を訂正しておかなければいけないと思いますが、ソ連憲法三十五条で男女同権、婦人の労働と母性の両立を可能にする条件づくり、幼児を持つ婦人労働者の時間の短縮、母親と児童の法的保護と物質的道徳的支援。この「道徳的」というのは、ソ連なんかへ行ってみると、子供を連れた母親は自動車なんか先に乗せるようにしている、そういった意味で子持ちの母親を大事にする。五十三条に母性保障があります。これは家族の保護、結婚の保護、育児施設、生活サービス、公共給食、出産手当支給、多子家族の手当・援助その他が入っております。六十六条に親子の義務というのがあって、そこのところの部分を自民党の政策はつまみ食いしているわけですね。ここには親が子を教育する義務というのがある。社会主義国はみんなそうなんであって、家庭というのは社会の基礎的細胞である。そして、それは社会主義的人間を形成する場であるという考え方ですから、社会主義国は、まず親が子供を社会主義的な人間につくり上げる義務があるということを述べ、そして子供は親に配慮し、親を援助する義務があると書いてある。そこのところだけとって親孝行を言っているじゃないか。こういう言い方は私は訂正しなければいけない。中国の場合はなおさらおかしくて、人民日報の文句を引いてきて、そんなのはだめですね。七八年憲法の五十三条では男女平等、家庭に対する国家の義務、母親と子供の保護というのが規定されています。朝鮮に至っては、朝鮮民主主義人民共和国七二年憲法では、男女の平等、産休保障、子持ちの母親の労働時間の短縮、産院、託児所、幼稚園網設置、母と子を守る国家の義務、家事の重い負担から婦人を解放することその他が掲げられているわけです。ですから、社会主義国ですら親孝行を奨励しているではないかというような言い方は私は間違いだと思います。それで欧米諸国はどうか。これはたとえば北欧の福祉国家では、特にスウェーデンなんかは非常に早くから家族福祉の制度——家族福祉というのは、結婚するときの手当から、家庭を持った場合に住宅の補助をする、子供がふえたら家賃が下がっていく。日本のように子供があったら部屋を貸していれないなんというのと反対なんですね。そういうことをいろいろやっているということをやっぱり知らなければ、これは国際的視野で家庭を守れという言い方をしていますので、この辺はいいかげんに資料を使わないようにしなければいけない。  日本の憲法では、男女の平等というのは、憲法十四条の法のもとの平等と二十四条の婚姻における両性の合意と平等が規定してあるんですね。私は家庭の意義は否定するわけじゃない。家庭は非常に大事であって、人間が生きていく場所ですから、現在。ですから、それにはやっぱり生活できる基盤を整備していかなければいけない、条件整備をしていかなければいけない。これは大平さんもそう言っている。そしてさっき官房長官も家庭の基盤充実の方をやっておりますとおっしゃった。どの程度やっているかは私はその次の問題としてお尋ねしたいと思います。  先ほど経企庁の国民生活局の方が、われわれはそういう価値観を交えたものはつくっておりませんと。確かに経企庁のお出しになった、家庭生活白書と呼ばれております今年お出しになったあの資料の中ではありのままを書いていらっしゃる。それじゃ、ありのままのところで報告していただきたいんですけれども、核家族化がどんなふうに進んでいるか、年寄りがどういう状況にあるか、そして子供はどうか、母子家庭はどうか。簡単に、つまり家庭基盤は守られている状況かどうかということです。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○政府委員(小金芳弘君) お答えいたします。  価値判断にかなり関係すると思いますので、家庭基盤は守られていると思うかどうかという御質問に対しましては、必ずしもストレートにはお答えがむずかしいわけですが、少なくとも私の考えでは、国際的にたとえば西欧社会なんかに比べますと、日本の社会の団結のようなものはまだ非常に強固だ。ただ昔に比べますと、人々のビヘービアがだんだん変わってきているので、昔のような家庭ではだんだんになくなりつつあるというようなところかと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 だめですね、ちっとも質問に答えていない。  つまり家庭の問題、これをお出しになっているんですね。「わが国の家庭の現状と今後の課題」というのを集大成して経企庁の国民生活局は出していらっしゃる。私は、これで見る限りは、現状の不十分さを非常によく書いていらっしゃる。政府としてはなかなかこれは使える資料だなと思って見ているわけなんです。この中では核家族化がどんどん進んでいる状況が書かれています。勤労者世帯の七九・五%がいまや核家族であるということ。それから共働き世帯は、さっき言ったように、もうやむを得ず五、六万円の補助のため働いている。子供や老人の自殺の問題なんか、自殺率は相変わらず世界一。寝たきり老人四十二万、こういう状況ですね。母子家庭の不安定なことなど、現状をよく書いてあります。だから、こういう状況では困るんであって、これを直すことが家庭基盤の充実をすることであるはずでございますね。それで家庭は大切だ、家庭は大切だ、確かに大切だけれども、たとえば去年の夏、小学校四年生の女の子が二年生の女の子を東京の団地の高いところから突き落として死に至らしめたという事件、すごいショッキングな事件でした。ああいうときに教育者なんかが、だからかぎっ子はだめだと、家庭に母親がいないからだめだという反応をなすった。あの母親はマッサージさんですね。未婚というより結婚していない子持ちのお母さん、子供は転々としていろんなところに預けられて、いま一緒に住んでいたところが夜おそくまでマッサージに行くから女の子が一人ですね。そういう子供を守ってやるような状況にないときに、だから家庭が悪いんだという言い方をされるのは本当に心外だというふうに思うわけなんですね。ですから、やっぱりそういう人たちを守る方の政策をぐんと進めていくということがなくてはならないというふうに思いますので、その点について、現状については経企庁の資料は現状をわりと正確に各省が担当してこれをつくっていらっしゃるわけです。これに基づいて今後家庭基盤の充実のためによほどのことをやらなければ、家庭の意義の方だけ強調し、福祉は家庭でめんどう見なさい、年とった親は家庭で見るのが本当ですよと言われても、核家族化はすごく進んでいる。よその国に比べて六十五歳以上の老人の同居率は高いけれども、急速にこれも減っていく。寝たきり老人は四十二万人もいる、一人世帯もたくさんいると、こういうことに対して、やはりよほどの政策が必要だというふうにお思いになると思いますが、官房長官、いかがですか。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) いま御指摘になったように、子供がほかの子供を突き落とした場合に、発想方法として、だからと、こういうことを言われると、確かに私もそのとおりだと思うのです。そういう発想方法だけではなくて、そういうかぎっ子にしておくような環境といいますが、いろいろな施設の面等でそれを充実しなければそういう問題は解決しないんだとおっしゃるのは、そのとおりだと私も思います。でございますので、今後の問題としまして、いま先生おっしゃった、政府でつくった家庭基盤の充実の施策、今後やるべきことがあるんじゃないかとおっしゃったことは確かでございまして、寝たきり老人が一人いればもう家庭が動きがとれなくなってしまうというようなことのあることはよくわかりますので、特別養護老人ホームをよけいつくるとか、いろいろ各省で私はその問題を取り上げなければならぬというふうにおっしゃることはよくわかりますので、政府としましても、婦人年のちょうど半分だということをさっき言ったのでございますが、そういう問題も含めまして、今後やっぱり一生懸命もっと取り組むということでわれわれの政策を立てていくということが必要だということは私はよくわかります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 先ほど言い残した一点、これは労働大臣に伺いますが、けさの石本委員の御質問に対して、男女の雇用における平等法をつくるための準備をしているというふうにお答えになった。私ども社会党が一昨年すでに国会にも提案しました男女雇用平等法案、昨年の国会では、まだ政府はそんなこと考えておりませんというお答えでございました。いま急にもうそれをやる気があるらしいお答えですが、その際、私どもは保護と平等をかみ合わせて、保護をとらなきゃ平等はやらないぞなんというような言い方はまことにけしからぬと思うので、平等というのは本来基本的人権です。ですから、男女の役割り分業を廃止して本当に平等を促進していくためには平等法をどんどんつくっていく、それと保護の問題とは別個であるというふうに考えるべきだと思いますが、その点と、私どもの出している男女雇用平等法案を参考になさるかどうか、それを伺いたいと思う。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 午前中の石本委員に対するお答えを申し上げましたのは、雇用における男女平等法の制定をめぐっていろいろな各方面の御意見をいま伺っておりますと。国民的なコンセンサスを得られるように論議が深まっていきませんと、ただ法律だけひとり歩きしてもいけない。特に男女平等をめぐりまして、先生がいま御指摘になりましたような平等という考え方と、それから保護という一つ一つ具体的な条項、従来もずいぶん女性を保護する、あるいは母性を保護するという形で積み上がっておりますが、そこのところの考え方の整理などがまだまだついていない。ですから、そこをもっともっと論議を深めて、しかも広い角度から皆さんにお考えをいただいて議論を詰めていくようにしなければなりません。そのためには時間をかけて慎重に検討を進めてまいりますと、こうお答えをいたしました。いま先生の御指摘は、急に早くやるような感じでとおっしゃっていただきまして、そんなふうにとっていただいたかと思って感謝をしておるようなことでございますが、むしろ時間をかけてやはり慎重に積み上げていかなけりゃいかぬ。みんなが合意するような形でいかなきゃいかぬ。そこのポイントのところは、まさに御指摘のように、男女の平等とそれから女性を保護する、母性を保護するということあたりをどう整理するかということだと思うんです。そこで、母性の保護ということにつきましてはもうみんな、国際的な通念からいたしましても、非常に大事にしていこうということであるわけでありますけれども、国によりまして、あるいは考える立場によりまして、母性の保護というのをどんどんどんどん広げて、女性というのは皆母性なんだと、だから女性に関することは皆母性の保護として保護しなきゃいかぬというふうに広がっていきますと、どこまでが母性の保護で、あるいは女性というものを保護するのをどういうふうに母性というものと整理をするのかというような問題が、どうも私も不勉強でございますけれども、まだまだいろいろなお考えが各方面であるというふうに伺っているわけでございまして、そういったところを、特に御婦人の議員の先生方などはいろいろ御見識もお持ちでございますから、いろいろ御指導もちょうだいをして議論を煮詰めていくようにしなければいけない、このように考えている次第でございまして、したがいまして、法を制定をするというようなところにまいりまするには、率直に申し上げまして、さらになお時間がかかるのではないかというふうに思いますが、それにはやっぱり広い角度から検討を進めなければなりませんので、各党がお考えいただいております男女平等法といったような考え方をおまとめをいただきましたところにつきましては十分やっぱり参考にさせていただいて、各方面の御意向を十分伺いながら作業を進めていくようにしなければいけない、このように考えておる次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまのお話の中で私も言いたいことがあるけれども、時間がありませんから次の第三点に進みます。  先ほどから家庭基盤の充実のために政府は努力しつつあるんだということですが、経済社会七ヵ年計画の中で、家庭基盤充実のために一体どれほど具体的な政策があるかということについてお尋ねしたいと思います。  経済企画庁がことしの二月に家庭白書、「わが国の家庭の現状と今後の課題」というのを公表なすった。これは先ほどおっしゃったように、現状を全部集めて事実ありのままに出ていると思います。この中には、たとえば家庭に関する意識なんかというのが、いまの世代のもう大部分が古い家庭に返る意思がないと、新しい家庭の方を支持しているという意識調査まで出ております。で、内閣官房副長官を議長とする家庭基盤充実構想推進連絡会議というのをつくっていらっしゃいますね。そこでこれから政策を進めていこうとしていらっしゃるんだと思いますが、政府の経済社会七ヵ年計画の中に関係各省が政策化しているもので、計画の最後の年、つまり昭和六十年、一九八五年、ちょうど国連婦人の十年の最終年に当たるわけなんですが、そこに至るまでの展望というのが経済社会七ヵ年計画では本当によくわからないんですね。大変抽象的にしか出ておりません。これから具体化していこうとおっしゃるのかもしれませんけれども、昨年大平さんが新経済社会七ヵ年計画の基本構想というのを施政方針演説でお出しになって、そのときの目玉が日本型福祉社会、そしてその日本型福祉社会の基盤に家庭基盤の充実というのを中核に据えられたわけなんです。ですから、それじゃ家庭の基盤の充実のためにどれだけのことを進めるかというのは、精神訓話じゃなくて具体的に政策化されなければならないと思いますが、その非常に重要な部分に、ストックの所得というのは、これは経企庁の方でも、フローからストックヘという国民の願いが出ている、私も全くそう思っております。フローの所得では西欧に近づいてきた、しかし賃金や生活水準が上がったかに見えながら窮乏感があって家計が苦しいのは一体なぜか。西欧の諸国と比べてみますと、やっぱりストックの所得が不足している。それががっちりしていることでまず家庭の基盤になる豊かさというものが保障されるんだと思うんですね。  私、もう二十年も前になりますけれども、夏ロンドンで年金生活をしている婦人のおうちに泊まっていたことがあります。四、五人の年金生活者が一緒に暮らして部屋数が六つか七つありましたけれども、三階建てですが、日本のようにステンレススチールの台所の流しじゃない、セメントだったんです。けれども、そのときすでに熱いお湯は十分台所にも出ていたし、それから下でストーブをたいたものが各部屋を伝わってどこの部屋も熱いお湯が出ていた。ロンドンは舗装率も高いし、水洗便所の装置もほとんど英国は高く出ているわけなんですね。そういうようなものががっちりとあって、そして光熱費が安いというようなことがあって、フローの所得がそう多くなくても何となくゆったりとした感じで暮らしていられる、こういう点をお認めになりますか。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、日本はフローの所得においては相当進んだけれども、ストックは非常に欠如しておる。これは個人の生活におきましても、社会全体としても御指摘のとおりだと思います。  そこで、経済社会七カ年計画では非常にはっきりしない点があるとおっしゃいますが、六十年度を一つの目標の年といたしまして、社会保障関係等を大いに充実する、また財政の再建を図りながら、これにはやはり財政の負担というものを相当高めていかざるを得ないと、こういうところからゴールの六十年度に向かってだんだんと進んでいくその過程がはっきりしないとおっしゃるのは確かにそのとおりでございます。私どもは、もうたびたび申し上げておりますように、二百四十兆円という公共投資を予定をいたしまして、これの中に生活環境関係というものに大いにウエートを置いておるのも、いま田中委員が御指摘のように、従来のとかく生活環境というふうなものにはどうもまだもっとウエートを置くべきじゃないかという考え方を貫いておるわけでございます。まあ経済社会七ヵ年計画は、ただいまの石油ショックその他の関係で相当これは修正を要する面があろうかと思います。現に五十四年度、五十五年度については実績見込みあるいは予算を基礎にいたしまして若干のいわゆるフォローアップをいたしましたことも御承知のとおりであります。しかし、大きな線といたしましては、ストックの所得といいますか、そういう面の不備を補っていかなきゃならぬ。これは社会的にもその必要が非常に高い。そこで何としても公共投資、しかも生活関連の施設の整備ということに重点を置かなければならぬというところについては、私どもは基本的な考え方を変えずに堅持していきたいと、かように考えておるわけであります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 家庭の基盤をしっかりさせるためのストックの所得の中で一番はっきりとはなはだしくよく顕著にわかる例として住宅があると思いますので、住宅の問題について私はお尋ねしたいと思うんですが、いまおっしゃった二百四十兆円というこういうグラフを見ても、国民の生活がどこまで保障されるかちょっとわかりにくいんですがね。まあ例のウサギ小屋論が盛んに出されて、そして大変政府は憤慨してウサギ小屋なんてとんでもないというような弁明をなすっていたわけですけれども、その住宅について、七ヵ年計画の終わりに一体どういう住宅が保障されるのかさっぱりわからないんですが、ちょっと説明していただきたいんです。

渡辺栄一自由民主党・自由国民会議建設大臣

○国務大臣(渡辺栄一君) お答えを申し上げます。  五十三年に実施されました住宅需要実態調査がございますが、国民の住宅に対します要望が住宅の規模あるいは設備から日照、通風、公害等、住環境全般に広がっておりまして、持ち家取得によりまする居住水準の改善に対しまする要望が非常に強いものとなっておると思います。今後ともこのような国民の住宅に対しまするニーズを十分見きわめながら適切な施策を推進いたしまして、良質な住宅の供給を図り、引き続き住居水準の着実な向上を図ることが肝要ではないかと思っております。  このために、現行の第三期住宅建設五ヵ年計画の策定に当たりましては、昭和六十年をめどに設定いたしましたすべての国民が確保すべき最低居住水準、平均的な世帯が確保することが望ましい平均居住水準、この両目標がございますが、これにつきまして必要な見直しを行いまして、その達成に全力を傾注すべにであるというふうに考えて努力をしようといたしておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまの御説明ではわからないんですね。どんなような住宅にみんな国民が住めるようになるのかということなんですが、七ヵ年計画によりますと、専用面積七十平米の現在から、四十八年ですか、から六十年には八十四平米、坪数にして二十五、六坪ですか、二十七、八坪でしょうか、の家に住めるというふうなことが書いてあるのと、それから七ヵ年計画では日本の世帯数が三千三百九万世帯、それに対して世帯数を上回る戸数三千五百七十一万戸がもうすでにあると、こう言われますと、みんな何だかセカンドハウス持っているみたいですね。こんなことは住宅の現状からはるかに遠いわけなんです。それでもう少しはっきりと、まあ確かに持ち家に対するニーズが強いというふうにおっしゃったけれども、政府は持ち家制度を大変奨励している。しかし、そのこと自体が非常に住宅事情を苦しくしているというふうに思われるんですが、もう少し具体的に公営、公団、公社の借家の住宅一戸当たりどのくらいの坪数に住んでいて、民営借家はどうで、民営借間はどうなのか、つまり住宅困窮の状況はどうなのかということを把握していらっしゃるに違いないわけなんですが、それをどのように解決しようとしていらっしゃるのかを聞きたいわけです。

渡辺栄一自由民主党・自由国民会議建設大臣

○国務大臣(渡辺栄一君) 昭和五十三年十月の住宅統計調査によりますれば、全国の住宅戸数は三千五百四十五万戸、ただいまお話しのように達しておりまして、世帯数を大きく上回っておりますけれども、住宅の量的充足は一応進んでおるのではないかというふうに考えております。  一方、住宅の質的な面におきましても、全体としての居住水準は着実に改善されておるというふうに私どもは認識をしておりますが、第三次住宅建設五ヵ年計画におきまして定めております最低居住水準の規模に達していない世帯が同調査によりましてもなお四百七十五万世帯が存しておるというふうに承知をいたしておりまして、特に大都市圏の借家居住の四、五人世帯を中心に問題が残っておるのではないかと、こういうふうに私どもは認識をいたしております。このために、今後これら借家居住世帯を中心に居住水準の向上を図っていくことが住宅政策上の重要な課題である、かように考えまして努力をしようといたしておるところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 去年から一年間、NHKが朝、一週間に一遍だったと思いますが、住宅に関する特集をしておりまして、私はときどきそれを聞いておりました。先日その総括を一年たってやっておりましたが、まことに暗い見通しを述べておりました。  私もいただいた資料を少し見たり、それから家庭生活白書なんかを見てみますと、民営の借家、設備専用だからトイレとか炊事設備が自分の家にあるのが四十一平米から三十八平米、十二、三坪ですね、一軒の広さ。民営の設備共用の方の借家が十六平米から十五平米、五坪ぐらいです。五坪というと六畳一間に二畳ぐらいあるかな、台所がついている感じ、そんなものですね。それにもかかわらず、これでは七十平米から八十四平米へというのは、これは日本じゅうならして農村地帯も全部平均したものが出ている。つまり、大都市に住宅困窮者というのは集中していると思います。ですから、問題は大都市の住宅対策をどうするかというところにうんと重点を当てていかなければならないと思うんですね。いまおっしゃったように四百八十万世帯ぐらいまだ最低水準に達していない住宅困窮者がいる。つまり全世帯の一四、五%、こんなにあるんですね。ですから、ただ計画で八十四平米になりますなんというようなことでは、ちっともこれは本当に家庭生活の一番基盤になる住宅が保障されたというふうには言われない、もっと具体的な対策を示さなければならないと思います。  住宅問題を非常に困難にさせている幾つかの要素があると思いますが、どういうことでございますか。

大田敏彦建設省住宅局参事官

○政府委員(大田敏彦君) お答えいたします。  大都市を中心としまして借家住宅の困窮が続いておるわけでございますけれども、これは主として公的関係の住宅で申しますと、住宅建設に伴って必要となります道路、公園、学校等の公共公益施設の整備につきまして、地方公共団体との調整あるいは団地周辺の住民との居住環境の整備保全に関します調整、また一般的な用地取得難、こういった問題から賃貸住宅の建設がかなりおくれを見せておる。  ついでに、このような状況に対処するためにいかなることをやっておるかを申し上げますと、従来からも種々の対策を講じたところでございますけれども、特に昭和五十五年度におきましては、住宅宅地関連公共施設整備促進事業、こういったものの拡充を図るとともに、公営住宅につきまして用地費単価の改定による地方財源対策の拡充あるいは家賃の高額化を抑えるための家賃対策補助制度の創設等の措置を講じまして公的賃貸住宅の供給促進に努めておるところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 住宅政策がなかなか進みにくくてうまくいかない一番の理由は地価が高騰していくことでしょう。東京なんかは一七%も上がっている。国際比較をしても、地価というのは西独の六倍、アメリカの九倍、イギリスの十七倍というのを家庭生活白書が書いています。こういう状況に対応しないでは土地が出てこない、宅地供給が不十分だ、そういう問題があると思うんですが、大変これは解決困難な問題だからそのリポーターが非常に暗い見通しを述べたと思うんです。特に大都市においてですね。この対策ができないで果たして住宅を七ヵ年計画で国民にちゃんとしてくれるのか、まことに不安です。  もう一つは、住宅ローンの焦げつきに苦しんでいる問題なんです。これは持ち家制度を大変勧めていらっしゃる、そして住宅ローンをどんどん勧めている。ところが、七ヵ年計画の方では家賃、地代は五・六%、大変低いですね。「勤労者世帯の消費パターン」の中で五・六%。実はこれは私それで調べていたら、住宅費というのはもっと家計を苦しめているはずなのに何で五・六%しか出ないのかと思ったら、これは消費支出の中に入っていない、ローンなんというのは。別個の計算になっているわけですね。だから、生活する者は自分の家計の中からローンを返しているわけですから、家計費の中に占めるその家賃、地代、ローンなんというものがどんなに生活を苦しめているかということを見なければならないと思います。  これはごく最近の総理府の統計をいただきました。時間があれですから私の方で申しますと、住宅ローンで、返済世帯の住宅ローン負担率、これは実収入に対する負担率ですけれども、五十二年九・七%、五十三年一一・三%。それから住宅ローン新規利用者の住宅ローン負担率、この方は実収入の二二、三%ですよ。四分の一から五分の一を住宅ローンに支払っているわけですね、非常に収入の大きな部分を。だから主婦は働きに出なければこれは払えない。そうして住宅ローンに困ってしまってサラ金でお金を借りて犯罪を起こしたり自殺したりということが起こっているわけです。こういうことがこれだけで見たんじゃわからないから、本当に家庭の基盤をきちんとさせるのにはもっとこれはちゃんとしたものを出してもらわなければなりません。  もう一つは、労働省が勧めている財形住宅貯蓄の利用のことですが、私が資料を欲しいと言ったら、総額と残高ですね、財形貯蓄の残高とそれから契約数しかいただきませんでした。しかし、これは一体六千五百七十九万三千六百円というその残高、どういうふうにこれが働いているかということですね。これは結局銀行に蓄えられておりまして企業の投資に回っているわけなんだけれども、それが一体労働者が求めている住宅形成にどれだけ役に立っているというふうにお思いになっていらっしゃいますか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 財形制度をいろいろと運用してまいります中で、貯蓄をしていくということにつきましては、ずいぶん成績を上げて今日まで来ているというふうに私どもとしては自負をしているわけでございます。それはもう数字の上でも出ているわけであります。住宅を取得していくという意味で、その仕組みを活用をしていただくようにいろいろな促進策を講じてきておるところでありますけれども、いま御指摘の数字のように、持ち家の融資という形では期待をしておるようになかなか動いていかないという実情にございます。これは私ども、もっともっとその仕組みについてPRをしていくというような努力もしていかなければならぬと思いますけれども、卒直に言ってもう一つ魅力がないような感じもいたしますので、いろいろな労働行政上のいま見直しをいたしております中で、持ち家を取得をしていく方向に向かってもっと活用しやすい魅力のあるものにしていくように努力をしなきゃいかぬと思って、実はいま新しい検討に入っているところでございますが、建設省や大蔵省など他の省庁ともいろいろ調整しなきゃならぬところもございますけれども、具体的にもっと活用されて動いていくように仕組みの面でも改善もし、また努力をして前進をさせていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。従来も一応仕組みとしては動いてきておるというふうには私ども評価はいたしておりますけれども、いま先生が御指摘のように、日本の社会が衣食の面ではまず中流平均化という大体のところに国際的に見てもあり、しかし住の面では非常に劣っている。その住の問題を解決するために、少なくとも労働者に住宅をという立場から考えたいまの財形制度はもっと魅力のあるものにしなきゃだめだという気持ちでいま検討しておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 持ち家をつくれ、つくろうというキャッチフレーズで持ち家推進のための財形貯蓄を奨励して実際に効果を上げていない、住宅に利用されていないというようなことでは、労働者に貯金をさせてそれを投資に回すというだけのことになってしまう。こういう制度はむしろ労働者を苦しめることになるんじゃないかというふうに私は思うわけですがね。  それで、きのうもサラリーマン世帯の貯蓄のことが新聞に報道されておりましたけれども、貯蓄は四百万円あるけれども負債が二百九十二万円あるというのが日本のサラリーマン世帯の実態なんですね。そしてそのうちでも、土地とか住宅の借金のある者は非常に多くてその負債額四百五十万というようなことが報道されております。ですから住宅に関して、私は、政府の今後方針としては少なくとも、特に東京、大阪、名古屋なんという大都市を中心にしたところでは、公有地をもっと開放していくとか何とかして土地価格を抑えるとか、土地利用をふやすのも民主的にして地方自治体がそれにタッチするようにするとか、そういうようなことと、それから住宅の三〇%ぐらいは公営の低家賃住宅をつくるということが必要だと思いますね。そして、少なくとも住宅のナショナルミニマムというのを達成しなければ、いま政府は四人家族で五十平米と言っていらっしゃるわけだから十五、六坪、そういう最低のところすら確保できない状況です。家庭基盤の一番基礎になっている住宅がこういう状況であったのでは、基盤は実に不安定だというふうに申し上げたいと思います。  いま、時間の関係がありますから、ついでにお尋ねしたいんですが、勤労者の家計を見ておりまして、総理府から大変新しい資料もいただいて感謝していますけれども、消費支出総額に占める雑費の割合の大きいのにびっくりしてしまったんですが、五一・八。こんな消費支出の半分が雑費だなんというのは、一体、雑費の中身は何であるかということですね。食料費、光熱費、家賃、地代、そしてあと雑費になっていて、六十年見通し、雑費五一・八。それから五十五年、ことしが四七・三、半分ですね。雑費の中にはいろんなものがぶち込んであるわけですね、教育費から交際費から文化費から何から。ちょっとこの雑費の説明をしていただき、そして雑費の中身をきちんと働く者の家計の中ではっきりわかるように統計資料を変更していただくことができないかどうか、伺いたいと思います。

島村史郎総理府統計局長

○政府委員(島村史郎君) お答えいたします。  雑費の現在内容は、大体さらにこれを内訳けますと、保険医療、それから交通通信、それから教育、それから教養娯楽、その他になっておるわけでございます。いま先生がおっしゃいましたように、すでに五〇%近いことになっておりますので、私どももこれを改定する必要があるということでいま考えております。一九七三年にILOでそういう決議が実は出ておるわけでございますが、私どもも、消費者物価指数との関係がございますので、一応五十年か、ないしは五十五年というふうに考えておったわけでございますが、五十年は非常にいろいろ物価が高騰した時代でございますので、非常に適当でないということで、今回、五十五年にその改定をしたいということで現在作業を進めておるところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私、省きましたけれども、以上の状況で住宅という家庭の構成員が住むその場所についてこういう不安がある。もっと低所得層、母子世帯なんかの母子寮の状況とかなんか言い出せば限りのない状況、こういうものをちゃんとしていかなければ家庭基盤の充実なんという言葉は言えないと思う。もっと具体的に案を立てて私どもに見せていただきたいと思っておりますが、そのほか生活関連施設がいろいろあります。下水道、これは六十年見通しも五五%という大変低い数字です。ごみや屎尿の処理「ほぼ全量」なんて書いてありますけれども、水洗率は非常に低い。そしてしかも、水洗トイレにしようと思うと一定の距離から中は自分で負担しなきゃいけないわけですね。そうすると、ストックの所得をふやしていくのに自分の家計費から出さなきゃならない。これも家計を圧迫していく。こういう状況の中で家庭の基盤が守られにくいものであるということを指摘申し上げて、そしてさらにストックの所得にプラスして社会保障、社会福祉の面での計画、これも大変社会保障移転率と負担率しか出ていないんですけれども、前は経済社会七ヵ年計画なんというと、きちんと相当資料をつけてくだすったんですけれども、今度はとても読んだって何にもわからないようにしてあるんですがね。こういうことはもうちょっとちゃんとできないんでしょうか。そして、社会保障の中身というもの、これは負担率と移転率だけ出ているんですが、もうちょっと中身を話してください。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、六十年度には社会保障移転の国民所得に対する比率を高める、こういうことは御承知のとおりでございます。また社会保障負担の国民所得比、これも高める。また税を高める。ところが、社会保障制度について制度別にもう少しはっきりとした見通しをつくるべきではないかということで、これは厚生大臣も御出席でございますから、厚生大臣からお答えをいただけばいいんですが、いわゆる社会保障何ヵ年計画、これを早くつくるべきであるという御議論は、私も前からそういう強い御主張のあることはよく承知しております。できるだけ早くそういうところに進むことが必要であろうと思いますが、いまのところは、先ほども申し上げたような生活関連の公共施設を整備するとか、社会保障の充実を全体として図っていく、その細かい制度別内訳等についてはまだはっきりとした計画を打ち出す段階ではないと、こういうことになっておりますので、私どもとしてはさらにそういう充実のために努力をしていきたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 老親の世話とか、それから子供の世話とか、病人の世話を家庭でというふうに言っているんですね、この家庭基盤の充実の方針あるいは日本型福祉社会というのは。それと見合って社会福祉の方は手控えていくというような関係になっているんではないか。それがちょっとこの数字を見ただけでさっぱりわかりませんのですがね。その辺はどういうふうに、日本型福祉社会というのはどのあたりまで家庭にさせようと思っていらっしゃるんですか。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○政府委員(小金芳弘君) 福祉という概念は非常にむずかしい概念でございまして、われわれ抽象的に福祉ということを申すわけですか たとえば欧米におきましては、欧米の社会の伝統と文化に基づく福祉という概念があるわけでございます。  で、日本型福祉社会ということは人によっていろいろな意味に言っておりますが、少なくとも私が解釈をしておりますのは、国の伝統であるとか文化であるとか、いろいろな道徳観のようなものと遊離した福祉社会というのはないので、そういう意味においてそういう最も基本的な価値観のようなところに日本の特色のある、しかし、まあ世界で共通に福祉と考えられるようなものを実現するというようなことが日本型福祉社会であろうというふうに考えております。決して、日本型と言ったときに西洋的な社会福祉であるとか各種の公共サービスはなしでいいんだということではないというふうに解釈しております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もうさっぱりイメージがわかない日本型福祉社会で、ただはっきりわかることは、家庭でめんどう見なさいということなんですね。それで、たとえば一人暮らしの人をとってみても、女の人が非常に多いわけですよね、年とってからの人口は女性が多いわけなんですが。そういう人たちはどうなるのか。それから三世代の世帯、住宅をつくっていくということを言われているけれども、一体それもどのくらいつくっていくのか。いまのお答えなんかもうさっぱりわからないお答えです。それぞれ価値観があって、さっき自分たちは行政だから価値観は交えませんと言われたけれども、一定の価値観に基づいて福祉は考えるべきだというふうにおっしゃるし、そんなはっきりしないものですね。私どもは、家庭と言う場合にはいまほとんどやっぱり婦人なんです。それで、婦人に老親、子供、病人その他の介護をしょわせると同時に、婦人はやっぱりパートや臨時で働いて家計を埋めていかなければならないという、こういう形であっては、これは一番最初に申し上げました国連婦人の十年の趣旨、つまり男女の役割り分業を廃止していってお互いに男も女も家庭の責任も持つし社会の責任も持てるようにするという方向に一向向かっていない感じがする。つまり日本型福祉社会とその基盤に置かれた家庭基盤の充実という考え方は、国連婦人の十年の運動の趣旨、全世界の婦人が目指しつつある趣旨に逆行していくというふうに私は思いますが、そのことについて、さあどなたに、総務長官ですか、それから労働省と両方から伺いましょうか、ほかにいらっしゃいませんから。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) 私は、その国連婦人の十年で企図しておる方向性と家庭基盤充実という、現在求めておる方向性と相矛盾撞着するものではないと考えておるわけでございまして、それぞれが両性ともそれにふさわしい分担を図っていって、同時に家庭を守り、社会の中での役割りを果たしていくという方向について協力し合っていく立場は同じものであろうかと思いますので、私は方向が間違いだとは考えられないのでございます。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 家庭基盤の充実に関するいろいろな御論議をいただきまして、私どもいろいろさっきから勉強させていただいておるところでございます。発表になっております家庭基盤の充実に関するいろんな問題を詳しく私ども取り組んでおるところではありませんけれども、考え方として申し上げますと、打ち出されておりますように、国家、社会の一つの非常に大事な中核といいますか、基盤としての家庭というものがさらに基盤が充実をしていく、このことは私どもの所管する労働省としての立場で考えてみましても、働いて、そして憩いの場所として、あるいは常に新鮮な労働力を保持するということから考えましても、家庭というものが非常に安定をした落ちついた場所としていつも充実しているということは非常に大事なことだと思いますし、それから先生御高承のように、これからはどんどんと労働時間を短縮していくというようなことになってまいりますと、労働の場所以外の場所の重要性もある意味では非常に大事になってくるわけでありまして、それが家庭だとも申し上げるわけでもありませんけれども、そんなような中でも家庭というのは従来よりももっと大事にされていくのでなければいけない。何か政府がやるべき社会保障の仕事を肩がわりしなきゃならぬ家庭というような暗い感じでなしに、もっと建設的な明るい家庭がやはり国の、社会の基礎であるというふうに考えるならば、もっともっと家庭というものが充実していくようにいろいろな手だてを講じていくようにしなきゃいかぬ、こう考えるわけでございます。その中で従来よりももっと男女平等の理念が具体的な施策として前進をしていくように取り組んでまいりたいと思いますし、それから特に働く婦人労働者の方々のことを考えますと、労働の場と家庭の場が両立をしていくようないろいろな施策が講ぜられていくようにしなければなりませんし、特に職場においてもそのことを念頭に置いた、労働基準法などがしっかりと守られて、パートタイマーなどでごまかされるという形でなくて、本当に一人一人希望を持ち、能力のある方は働いていくことができるといったような、一方で労働の場と、一方で非常に明るい家庭というものが築き上げられていくことができれば、まさに希望に満ちた八〇年代が動いていくのではないかと、こう考えておる次第でございます。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で田中君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、渡部通子君の質疑を行います。渡部君。

渡部通子公明党

○渡部通子君 いままで大変に多角的な、そして総合的な議論が行われてまいりましたので、私はごく問題を一、二点にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  やはりいま一番、女が強くなったとは言われながら、一たん外に出よう、働こう、こうなったときにやはり女性の周辺というのは非常に厳しいものがございます。そして、法の適用の及ばない社会の底辺で働いていらっしゃるたくさんの御婦人、それから母性保護の確立、こういったことを中心に、なるべくいままでとダブらないようにしてもう一歩細かく突っ込んでお尋ねをいたします。  まず最初に、労働問題でございますが、最近労働市場への女子の進出が一段と増加している、これはもう御承知のとおりでございます。これをちょっと労働省からの統計で申し上げてみますと、昭和四十年から五十三年までの間に女子の常用雇用者全体では約三百六十七万人の増、特に増加の著しい産業は卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業、それにサービス業で大体三百六十七万人のうちの三百万人をそれぞれが占めています。企業規模で見ますと、三十人以下のところが最高の増加を見ておりまして、何と百七十六万人、逆に五百人以上という大きな企業になりますと、十三年間で四十九万人という、こういうわずかな増加でございます。つまり零細企業において女子の増加が顕著であると。それから短時間雇用者は約百五十万人の増加となっておりますけれども、パートタイマーの産業別構成比では、五十三年十二月末現在で卸売業、小売業が四二・一%、製造業三八%、サービス業一七%で、企業規模別に見ますときには、三十人以下のところが三七・一%、百人以下が一九・八%、三百人以下が一五・一%、こういうことでございますから、これまた零細企業における構成比が最高だということです。  このように女子労働者が労働基準法の守られにくい零細企業に集中をしている傾向、これは婦人の地位の向上という観点に立った場合にどうお考えでございますか。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) 最近女子雇用者が大変増大をしておりまして、雇用者全体の三分の一を占めているわけでございますが、その増加の状況を規模別に見てみますと、中小企業における増加が確かに大きいわけでございます。一人から二十九人の規模におきまして、五十年当時よりも五十三年の方が比率が上がっている。まあ男子の場合も同じようにこの比率は上がっているわけでございまして、あながち女子だけの傾向ではございません。このように中小企業における割合が上がっていると申しますのは、最近の雇用需要が第三次産業に非常に多く、女子の場合は特に第三次産業に就業するというような傾向がございまして、第三次産業は零細規模が多いというようなことからこの零細企業の比率が上がっているわけでございます。ただ、零細企業におきましては労働条件が大企業に比べますと劣っており、いろいろと問題もございますので、こういうところで雇用需要がふえております以上はこういうところの労働条件がしっかりと守られるようにしていくことが必要であると、私どもこのように考えているわけでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 それで、いまも第三次産業がふえたからという、確かに需要側の要因としてはそれが大きなことだと思います。昭和五十四年の労働省の雇用管理調査によりますと、常用パートタイマーの採用理由が人件費が割り安になるためを挙げる企業数が三三・三%、これが一番です。次いで生産販売量の増減に応じて雇用量調整が容易であるためが二九・四%、臨時日雇い、パートタイマーにつきましては、季節的繁忙のためが四三・五%、次がやはり生産販売量の増減に応じて雇用調整ができる、これが三三・四%、人件費が割り安になるが二〇・五%です。この数字が如実に示していますとおり、パートタイマーというのは非常に雇用の安全弁に使われている。第三次産業の進展は、新経済社会七ヵ年計画にも示されておりますとおり、今後ますます伸びることが予想されますと、このパート就業ということも需要はふえていきこそすれ減ることはないと思うのですね。女子労働というものが主としてこのように景気変動に対する労働力の調整役、いわゆる安価な労働力、低劣な労働条件のもとの労働力として扱われているというこの実態について労働大臣の御所見を伺っておきたい。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) いま婦人少年局長からお答えをいたしましたように、産業権造が非常に変わってきている、第一次産業から第二次産業、さらに最近は第三次産業の部門で非常に働く場所がふえてきている、そんなことから需要の方の要求があるということと、それから供給と言って——供給なんという言葉は余りよくありませんが、労働力の供給でありますから、供給という側の立場を考えますと、従来家庭におられました方が社会的に進出をする、そして家庭と両立できるような形の労働を求めるというようなことから、働きに出る方も少し安易にパートタイマーでちょうどいい職場があったらというような感じで進出をするというようなこともございまして、たまたまでございましょうけれども、需要の方と供給の方がうまくそういう呼吸が合ってパートタイマーのような形の労働就業が非常にふえているということになっていると思います。まあ受け入れる側が劣悪な条件あるいは非常に低い給与水準で婦人労働を使おうと、必ずしもそう思ってパートタイマーだというふうに考えているばかりではなくて、働きに出る御婦人の方も、その方が気軽で、社会と家庭と両立できるというような一面もあって働いているというような実態もあるのではないかと思いますけれども、これはしかし勝手な推測はできません。  そこで、五十四年度、五十五年度などを中心にいたしまして婦人労働の実態、特にパートタイマーの実態をよく把握をするようにいろいろな形の調査を進めておるようなことでございまして、その上に立って今後婦人労働のあり方、特にパートタイマーにどう対応するかというようなことについて、これはもう言うまでもなく労働基準法などをきちっと適用していくとか、ただ気軽に働きに出ますなんて言わないで、やはり働く側もきちんと労働条件をどうするかというような取り決めをするとか、受け入れる方も法律に準じて婦人労働を迎い入れるというようなことについて、もっともっとPRなどもいたしまして行政指導を進めていくようにして、婦人労働を正しく守っていくようにしなければいけない、このように考えておる次第でございますが、いろいろ御指摘をいただいておりますように、なかなかまだもう一つ実態がつかみ切れないところもございますので、各方面の御指導もいただきながら実態もよく把握をして、一つ一つ対策を確立してまいりたい、このように考えておる次第でございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 いま大臣から供給側の話がありました。確かにおっしゃるように主婦や学生までが最近はパートを希望しているという傾向があると思います。しかしながら、やはり女子の就労の障害要因というのは、出産、育児、家事、これが大きく挙げられると思うのです。パートタイマーの就労理由の第一は、総理府の四十九年の就業構造基本調査によりますと、収入を得たいからというのが七一・八%です。ですから、こういう状況を考えてみますと、景気の低迷とインフレがこうして進みます今日、やっぱり家計の逼迫から無技能主婦までもやむを得ずパートタイマーという形で働かざるを得なくなった、これが現在のパートタイマーの増加要因の大きな部分を占めていると思うのです。こういう形でパートタイマーという女子の就労が増加してきている。労働省、実態をつかんでいらっしゃらないとおっしゃいますが、もうこれはずいぶん長い期間の話でございまして、これがそのまま放置されたままで今日、私、総括質疑のときにも申し上げましたけれども、第二労働市場と名づけてもいいくらいの労働市場を形成するに至っている。これこそ私は重要な社会問題だろうと思うのです。これは女子のライフサイクルに合わせた企業側の受け入れ体制が確立していないためと、これを大きな原因として私は挙げたいと思うのですね。ですから、女子のライフサイクルを考慮した社会の受け入れ体制を確立するということが急務だと思いますけれども、そのための調査研究の進捗状況を御説明いただきたい。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) 最近、出生児数の減少や平均寿命の伸長によりまして、女子のライフサイクルが大きく変化しております。子育ての期間が三十代の前半で終わりますと、それから四十年以上にわたる期間が非常に残されていると、そのために女子の職場等の社会進出が活発になってきているわけでございます。こういった状況に対応いたしまして婦人の就労パターンも以前のように若年の段階で職場を去る方だけでなくずっと就業を続ける方、あるいは一たん職場を引っ込まれましてもまた再就職する方、いろいろなパターンが出てきているわけでございます。私どもは、ずっと就業を続けたいとおっしゃる方々にはそれが可能になるような条件をつくっていくということが必要であろうと思います。また、そういう条件をつくりましても、やはりいろいろな事情で一たん家庭に引っ込まれるという方もいらっしゃいますが、そういう方々につきましては再就職の段階で、悪い職場に、労働条件の悪いところに行かなくて済むように職業訓練や職業指導を十分行って、再就職も適職につけるような手だてを講じていく、こういうことが必要であろうかと思います。  私どもは現在いろいろな行政を進めておりますけれども、なおどのようにしていったらいいかということにつきましては、やはり今後実態調査を重ねながら検討を進めていきたいと、このように考えております。

渡部通子公明党

○渡部通子君 午前中の柴田参事官の御答弁の中にも、専門的な能力を持つ女子が少ないために女子の政策決定機関への参加がなかなか少ないというお話がございました。私は、やはりそれも事実かもしれないけれども、むしろ問題はこの女子のライフサイクルを考えた訓練体制だとか、社会の受け入れ体制がおくれていると、整備されていないと、そっちのおくれの方にむしろ問題は大きくあるのではないかと思います。  したがって労働省にもう一点伺っておきますが、その女子の再就職とか、職業訓練のこの訓練ですね、こういったものに対しては時代のニーズや、それから女子の自立に役立つようなものが考えられているのかどうか。この訓練コース別の求人状況や内容がわかりましたら、簡単で結構でございますが。

岩田照良労働省職業訓練局長

○政府委員(岩田照良君) お答えいたします。  現在、女子に関しましては、公共的な職業訓練校といたしまして、女子だけを対象にいたしまして現在全国に八つの訓練校がございます。もちろん、それ以外にも約四百くらいの公共職業訓練校がございますので、その中で訓練を行っているわけでございますが、その訓練……

渡部通子公明党

○渡部通子君 簡単で結構です。

岩田照良労働省職業訓練局長

○政府委員(岩田照良君) 訓練科目について見ますと、女子専門の公共職業訓練校におきましては給食、家政、販売、こういったふうなものが訓練種目となっておりますし、それから一般の公共訓練校におきまして女子の占める比率の高いものを申し上げてみますと、洋裁とか和文タイプ、和裁、英文タイプ、トレース、こういうものがございまして、こういったところでは女子がほとんど全部占めているというふうなことでございます。  また、就職の状況でございますが、養成訓練の場合におきましては大体九四・二%ぐらいが就職しておりますし、いわゆる能力再開発訓練と申しまして、一たん失業した方たちを訓練する場合の後の就職率は約七二%ということになっておりますが、女子だけの就職率、雇用について見ますと、たとえば東京の場合で言いますと……

渡部通子公明党

○渡部通子君 結構です。そこまで聞いていませんから結構です。私が申し上げたいのは、いまその内容は給食、家政、販売、洋裁、和裁、せいぜい和英のタイプと、そういう内容になっているんですけれども、外国ではコンピューターのプログラマーですね、ああいったものが非常に就業女子の給料も高いですし、それから社会的なステータスもニードも高いと、日本の職業訓練は何でそういう科目が入ってこないんだろうかと、こう思うんですけれども、こういったことを考えるおつもりはございませんか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 八〇年代の労働行政と称しましていろいろな従来積み上げてまいりました仕組みを一回総点検をいたしまして新しい時代に対応していくようにしなければいけない、こういう考え方で省内作業を進めておりまして、特に職業訓練の科目等につきましても、それぞれ地域やいろいろな層の方々のニーズに対応するようにしていかなきゃいかぬ、産業構造などが変わってきたり、地域の事情が変わってきたりというようなことに十分対応しなければいかぬ、こういうつもりで作業をいたしておるわけでございます。最近は特に若年の方々の職業訓練から高齢者の問題が非常に大きな問題でございますので、そういった科目を十分ひとつ頭に置いた、事情を頭に置いて科目などもひとつ考えていこうと、訓練局の方で作業をいたしておりますが、御指摘の女性向けのやっぱり職業訓練というものがこれからの非常に大事な視点であるというふうに考えます。具体的に今後一つ一つよく点検をいたしまして、婦人が職場に進出をしていく、それが一つの専門家として立っていけるような職業訓練の場所にしていくようにさらに努力をしていきたい、このように考えております。

渡部通子公明党

○渡部通子君 ぜひ発想の転換をしてお願いしたいと思います。  労働大臣にもう一点お伺いをするんですが、ここに「とらばーゆ」という雑誌があるんです。これは「女性のための仕事の手帖」とあるのですが、フランス語でトラバイユというと仕事ということだそうですから、仕事の雑誌なんですが、求人情報誌となっております。これを見ますと、資格の点で皆無とは言いませんけれども、三十五歳以上の女子の求人というのは全くない。ところが、総理府でお出しになった「高齢者問題の現状」を見てみますと、ライフサイクルのモデルでは、末の子供の入学で子育ての手が抜ける年齢が三十四、五歳なんです。そうしますと、やはり婦人の就労志向と現実の受け入れ体制との全くのギャップですね、これをどう見るかという点で労働大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) お尋ねの近年急激にやっぱり婦人労働者が増加をしている、そして全雇用者の中の約三分の一の婦人労働者の中でさらに既婚の労働者か、さっきからもいろいろお話が出ておりましたが、御婦人でお働きになるというのは若い未婚の方だというような観念から、最近ではどんどん既婚の、結婚してしかも共かせぎというだけでなしに、その後子供が生まれて育てて、大体小学校、かれこれこれで大丈夫かというようなことで職場に出るという方が非常にふえてきておるわけでございます。そのために十分職業安定所などでも対応できるように、求人と求職の両方の情報を十分準備をいたしまして対応していくように努力を重ねておるところでございますが、なお先生御指摘のところはごく最近の急に出てきた顕著な傾向でございますので、正直申し上げまして、こんなふうに気のきいた対策を講じておりますというようなことを胸を張って申し上げるようなことは、まだ手持ちはありません。しかし、やっぱり三十五歳以上の御婦人の職を求めておられる方々にどう対応するかというのは非常に大事な問題でございますので、いま先生御指摘、それは民間から出している……。

渡部通子公明党

○渡部通子君 そうそう、そうですよ。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) そういう民間のいろんな御努力もいただいておりましょうが、職業安定所の方もしっかりひとつがんばりまして対応していくように、今後の課題として努力をいたしてまいりたい、このように考えております。

渡部通子公明党

○渡部通子君 労働大臣、大変率直な御答弁をちょうだいいたしましたが、そのように努力をお願いしたいと思うんです。  要するに、私申し上げたかったことは、今回質問するに当たりまして、要するにライフサイクルをどう考えているかということでずいぶんお尋ねをいたしました。ところが、的確なお答えは総理府の方でもない、各省でそれぞれ何らかの個別ではやっているかもしれないけれども、各省分をいただいてみましたら実にたくさんあるけれども、全部部分部分なわけです。だから、女性の人生がこれほど変わってきたのに、それを内閣として、国としてあるいは総理府なり推進本部なりで一つのワンパターンをつくるということはむずかしいけれども、それでも何らかの考え方の基礎というものをつくって、その上にいろんな施策をやるのでなければ、結局は男と比べて女の特質を引っ張り出してそれに場当たり的な対策をやってまいりますと、それは強めろという声が出たり、それは女の甘えではないかと出たり、あるいは不景気になると削られたりで非常に場当たり的になってしまう。それはやっぱり国が根幹的な女のライフサイクルというものをもう一回設定し直して、国内行動計画についても何にしても、そういう基礎の上に立ってやるのでなければ何ら前進にはならなかろうと、これを実は申し上げたかったわけでございます。  そういう意味で、これは労働省が中心か、厚生省が中心か、推進本部が中心かわかりませんけれども、こっちは取りまとめ役だなどということをおっしゃらずに、ひとつ総務長官の方でもしっかりお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

小渕恵三自由民主党・自由国民会議総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小渕恵三君) 婦人のライフルサイクルを考える場合に、最近大きな変化が起こっておるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、国内行動計画におきましても、婦人問題企画推進会議におきましてそれに対応した施策を推進するために現在討議を重ねておるところでございます。現在、婦人問題企画推進会議というものがございます。したがいまして、ここには本部長が任命をいたしました学識経験者等がございますので、委員御指摘のような点につきましては、もちろん労働、厚生両省その他各省庁とも十分相談をいたしますが、こうした推進会議というような場でもこういった問題についてひとつ検討もしてみたいと、このように考えております。

渡部通子公明党

○渡部通子君 厚生省に伺っておきますが、厚生年金法の改正案で、まだ実質審議には入っておりませんけれども、その内容で注目すべきことがございます。すなわち遺族の範囲で従来なかった妻の年齢要件が五十五年六月から四十歳未満の子なし若妻、この女性には遺族年金が支給されないということになっています。厚生大臣にお伺いをいたしますけれども、先ほど午前中の御答弁では、妻の年金権の確保に推進すると、こういう御答弁でございましたが、こういう失権の問題はいかなる発想でお出しになったか、伺っておきたい。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 子なし妻の問題につきましては、いろいろ審議会の御意見等がございまして、今回の改正におきましてはこれは取りやめていいのではないかというような御意見があったわけでございますが、むしろ子供のある寡婦の方あるいはまた老齢者の寡婦の方、これを中心にして年金制度の改正に取り組んだわけでございます。先ほど私が、国民年金の任意加入制度の問題について、これが廃止されるようなことを聞くがどうかということでございましたので、そういうことはございませんと。むしろ被用者の妻の任意加入というものは八割以上にもなり、年々増加の傾向にありますから、むしろ被用者の年金でカバーしていく方向と、もう一つは、妻の年金権の確保のためにも、職業を持たない任意加入者につきましては、むしろこれは強制的なものに切りかえる必要もあるのではないかというふうにも申し上げたわけでございます。いずれにしても、これは年金制度の基本に係る問題でございますので、今後審議会等の御意見を十分聞きながら妻の年金権確保の問題に取り組んでまいりたいと、かように考えているわけでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 いま的確な御答弁ではないのですけれども、こういう四十歳以下で子供がなかったら、夫が死んでも年金をあげませんよという、こういうことでは結局働きなさいということだと思うんですよね。ところが、いままで述べてきたように四十歳、三十代、四十歳以下だったら求人がほとんどない。こういう中で受け入れ体制が不備なところへもってきて、年金権までも失権させるということになりますと、これは少し逆行ではなかろうかと。むしろ受け入れ体制が、十分女性も中高年になっても働けるようになってから、それなら子供がないんだから働きなさいよと言うならわかりますけれども、その辺は少し矛盾をするんだと思うんです。先ほども私くどくど言いましたけれども、要するにライフサイクルのサイクルの大きな変化に対応できていない行政の立ちおくれの矛盾がこういうぼろぼろぼろぼろ出てくる。就職口はない、自立すべく手に職をつけようと思ってもなかなかその訓練チャンスもない、そして若妻の年金は削ると、こうなると矛盾だらけでございます。内閣の中に整合性がないと言われてもいたし方はないと思うんですね。ここのところ中高年、中高年と言って私どもも一生懸命その施策ではやってきたんですけれども、その中でも特に女性、中高年の女性というのはもう一段低い立場に置かれているということをよく御認識をいただいて、この年金権を失権させるようなことのないように御配慮をいただきたいと思います。  そこで、そういう観点からも考えてみますと、国会でもさんざん議論になりました寡婦雇用促進法、これを制定していただきたいとお願いをするわけでございます。これは昭和五十年に私どもが参議院の社会労働委員会に提出して以来五年を経過をいたしました。五十一年のころには超党派で自民党さんも賛成をいただいて議員立法が実現する運びまでいったんですが、どういうわけか、労働省の反対でつぶれました。こういう経緯があるんですけれども、寡婦の雇用の現状の厳しさからすれば、この寡婦雇用促進法の制定には全力を挙げて取り組んでいただいてしかるべきだと思いますけれども、いかがでございますか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 寡婦の方々が非常に厳しい条件の中で生活をしておられる。そして、特に雇用の場に臨んでいかれる方が多いわけでありますから、その雇用を促進をしていくために法制化を図れと、こういう御指摘は一つのお考えであろうと思うのでございます。私どもも従来も十分傾聴させていただいてきておるところでございます。  寡婦の雇用を促進をしてまいりますためには、やっぱり一つは保育所などを整備をしていく、そして家庭生活上の負担も軽減をいたしまして、常用労働者として就労することができるような環境の整備に努めていくことがひとつ非常に大事なところであると思います。また職業訓練や職業講習などによりましていろいろな資格を取っていただく、そのことによって、やっぱりさっきからいろいろお話をいただいておりますように、一つの資格を持った婦人労働という立場で常用雇用のような形を確保もすることができるし、また非常に実入りのいい形をとることができる、所得が生まれてくるというようなことになっていくようにできるだけお手伝いをしていかなければいけない、いろいろとそういったことを考えまして従来も取り組んできておるところでございます。  就業に関するいろいろな相談機能を強化をいたしますとか、あるいは職業訓練や職業講習を実施をしてまいりますとか、あるいは寡婦等の雇用奨励金の増額などの措置を従来も努力をしてきておりますが、今後とも努力をして、そして寡婦の方々が非常にお困りになっておられるその状態を克服をしていくことができるように一つ一つ行政の上で解決をしていかなければならない、対策を進め、かつ解決をしていくようにしなければいけない、このように考えて努力をしてきておるところでございます。  御指摘のように、法制化の問題につきましては、いろいろとこの寡婦という方をとらえるとらえ方でありますとか、それから寡婦という状態がこう移動をいたしますので、御存じのように。寡婦がある日寡婦でなくなることかあるというようなことが起こってきますと、なかなか法律をつくってびしっとそこでこう抱え込むというのが非常に立法技術上むずかしいところがございますので、そういったところを十分研究をしておるわけでございますが、その研究は進めますと同時に、対策につきましては法制化のいかんにかかわらず、さらに充実をしていくように努力をいたしたい、このように考えておりますので、どうか法制化問題については少し時間をいただくということで御理解をいただきたいと思うのでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 お時間も五年たっておりますので、早急にこれは御検討いただきたいし、むずかしいと言えば何事もむずかしいと思うんです。しかし、これほど大きな社会問題になってまいりましたし、中高年に対してこれだけ話題になっているわけですから、そこをもう一歩進めて女性に対する立法措置もお考えをいただきたいと、これを要望いたしておきます。  それから次に、労働基準法の適用についても伺っておきたいと思います。  パートタイマーは基本的には、午前中にもお話が出ましたが、労基法の適用を受ける労働者であると理解をいたしております。しかし、現実には何の保護も受けないパートタイマーというものはどんどん増加している。私は、これは余りこういう状況が続きますと、今度は国民一般の中にパートとは労基法以外に置かれているものだと、こういう軽易な認識すら広まって定着してしまうんではないかと、これを恐れるわけでございます。  私いろいろパートの方の事情をたくさん聞き集めましたけれども、やはり一、二だけ申し上げておきますと、ある電機メーカーの生産工場ですが、これは百三十二名中正社員か十八名、後は百十四名全部パート。その中に二年間勤務している方ですが、正社員と同一労働で、勤務時間は九時から五時まで、時間給四百三十円、契約事項もない、有給休暇、ボーナス、社会保障全部ありません。それから、ある大手スーパーのレジですけれども、子供七人、やはり四百二十円、九時から五時までの勤務、けがをしても労災の手続をしてもらえない。このスーパーは三十歳以上は全部パート扱いですね。それからある病院ですけれども、この賄い婦さん、ここは看護婦が十数名も全部パート、そして残業手当がつかない、それから労働条件は最初に入ったときと大変に違っていた、契約書は交わしていない、こういう状況が一般化しつつあるわけなんです。こういう状況が一般化しないように、パートというものもちゃんと労基法の適用を受けるんだと、こういうふうな認識が広まるように労働省として指導していただきたいと思うんですね。  これはもう十一年前、昭和四十四年に婦人少年問題審議会から、「女子パート雇用対策に関する建議」というものが出されておりまして、もうすでにこの中で全部いい意見は尽くされています。細かく言うのは省きますけれども、パートタイマーの保護と労働条件の向上、パートの雇用制度を整備化し、もっと近代的なパートの雇用を確立する必要があると、こういう前提のもとに、それこそ職務内容、労働時間、賃金、就業規則、労働契約、それから各種社会保険等についてもパートに適用するようにという建議をしているわけです。また、昨年九月の「労働契約・就業規則関係」、労基法研究会報告、これによりますと、労働契約内容及び就業規則を明確にするための行政指導を強化すべきだと、こう勧告されているわけですね。こういう建議や報告に対して政府はどのような施策を講じてきたのか、もう十一年たっているんですよ。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) いま先生から御指摘をいただきましたように、ずいぶん時間がたっております。四十四年に建議書をちょうだいをしておりまして、以来、パートタイマーのいろんな問題点を解決をしていきますために労働省としてはできるだけの対応をして今日に至っているところでございます。身分的な区分ではなく、短時間就労という一つの雇用形態というパートタイム雇用の姿を大きく浮かび上がらせまして、パートタイマーは労働時間以外の点においてフルタイムの労働者と何ら異なるものではないということをとにかく周知徹底をさせるということを中心にいたしまして従来も取り組んできているところでございます。特に労働基準法、最低賃金法の諸規定が遵守されるように監督指導に努めると、これはもう具体的にはやっぱりそのことを全国の第一線で行政指導を進めてきております。  また、就労を希望する婦人の皆さん方に対しましては、そういった婦人御自身がやっぱりそういう考え方で労働の場に臨んでもらうということが大切でございますから、そういった面でもPRをするように努力をしてきておるところでございますが、特に昨年からことしにかけまして、職業安定所の窓口をもっと機能的にひとつ再編成をしようと、こういうことでいろんな努力をいたしております。その職業安定所の中に特別の窓口として、パートタイマー専門コーナーというようなのを置くようにできるだけ指導をいたしまして、指導というのはこれがまた全国一律になってもいかぬものですから、それぞれ安定所で十分研究をしてみろと、こういうことで取り組んでおりまして、その中の一つのモデルとしてパートタイマー専門コーナーを設けるということによりまして雇用情報などを的確に提供して職業相談に応ずるということを打ち出しておりますので、そういった中でも経営側にはいろんな会議でそのことをできるだけ訴えてまいりますが、行政指導してまいりますが、働いていただく方々にもその認識で労働の場に臨んでいただくように、職業安定所のパートタイマー専門コーナーなどでできる限りそのお話も申し上げて、労働の場に臨んでいただくようにいたしたい。労使双方にやっぱりPRしていくことが非常に大事だというふうに考えておりますので、今後ともそんな努力を積み上げていきたい。そして建議書に盛られております精神をできるだけ行政の場で生かしていくようにいたしたい、このように努力をいたしておる次第でございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 いま労働大臣から最低賃金については努力するというお話がございましたので、これはぜひ進めていただきたいと思うんです。  東京都の調査をこの前も申しましたけれども、七時間以下のパートが二四%、七時間以上働いていてなおパートというのが七三・五%、ほとんど常用と同じだけの働きをしていて、時間的には。そして賃金は非常に安くなっております。ですから、最低賃金を確保してもらえるようにこれより一層の御努力をお願いしたいと思います。  それから、社会保険の適用でございますが、そのパートタイマーの各種社会保険の適用状況は決して十分ではございません。労災はまあまあはいれるといたしましても、雇用保険には制限がつけられています。健康保険、厚生年金については現在都道府県でまちまちの基準を設けて適用しておりますものですから、統一してほしいという要望もございますが、政府はこれを統合する気がおありかどうか、伺っておきます。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 雇用保険の適用の問題について申し上げます。  パートタイマーという名前で呼ばれるものにも、いまの先生のお話のとおり、いろいろございます。常用労働者と同じような実態にございます場合には適用する。しかし、非常に臨時的なものには、適用することで保険料をお納めいただくことがかえって働く方にとってマイナスになる場合もある。そういう場合は適用しないということが基本の考え方でございますが、具体的には一日の労働時間が四時間程度以上のものには適用していく。それより短いものについては適用しないというようなことで、できるだけ現実に合った適用を進めると、こういう考え方で処理しているところでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 次に、補償の問題も伺っておきます。  労災補償の給付額の算定基礎が総報酬額になっているものですから、特に最賃以下の賃金を受けるパートタイマーは非常に補償という点では不利でございます。労災補償は一応責任保険の形をとっておりますけれども、社会保障の分野に含まれていることに思いをいたしますときに、人の生命、人間の命というものに差別がないことを基盤としてパートタイマーの補償を有利にするよう考えていただきたいと思いますが、この点はいかがでございましょうか。

谷口隆志労働大臣官房長

○政府委員(谷口隆志君) 担当の局長がおりませんので的確なお答えができるかどうかわかりませんが、労災補償制度は、制度の仕組みが失われた、あるいは今後得られるべき賃金の補償という仕組みをたてまえにしておりますので、そういう意味で、事故に遭ったときの賃金をもとにするという仕組みでございますので、いま御指摘になりましたような点は非常にむずかしい問題かと思いますけれども、その辺につきましては、さらに担当のところにも伝えまして、今後どういうふうになりますか検討してみたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部通子君 ひとつ前向きに考えてくださいませんか。  もう一点伺いますが、別枠労働基準を制定したらどうかという話があります。昭和五十三年十一月の婦人労働法制の課題と方向、これは労基法研究会の報告の中ですが、それと四十五年の東京商工会議所の労基法に関する意見書、この中でパートタイマーに別枠の労働基準の制定、これを提言しております。この提言については今後どうするおつもりでございましょうか。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) パートタイマーにつきましては、私どもは、労働時間がフルタイマーの労働者と違って短いだけであって、労働条件は本来はフルタイマーの労働者と違うべきものではないという考え方で進めているわけでございます。ただ、短時間の就労という雇用形態に即して別に扱った方がより適確であるというような場合がございまして、先生御指摘のは労働基準法研究会の報告の育児時間の点かと思いますが、こういった指摘等につきましては今後十分検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。いずれにいたしましても、パートタイマーにつきましてはその労働条件がほかの労働者より劣ることのないように、十分な近代的な雇用形態としてパートタイムという雇用形態が確立していくようにということで努力をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 概括的な御答弁をいただいたんですけれども、確かにそのとおりで、現行労基法第六十六条は、一歳未満児を育てている女子に一日二回おのおの三十分の育児時間、これを定めているわけでございますが、この報告書によりますと、パートタイマーについてはこれを一回にすべきであるとか、パートという水準がいまずっと常用並みに上がってきているときにこういうものが出てきているということは、私はこれは問題だと思うわけです。そうしたら、やはりパートというものに対する別枠労働条件を認めるということになると思うんですね。だから、確かに三時間とか四時間とかと少ない時間になるとまた話は別ですけれども、いま七〇%以上がフルタイマーと同じだけの労働状況になってきているわけですから、この中でこういう労働条件を別枠に基準を制定するなどということは時代逆行であろうと思うわけです。むしろ、七〇%を超したパートタイマーに対しては、大枠としては労基法の全面適用ということを強力に打ち出すべきであって、別枠などの労働基準の制定などということはいま言い出すべきものではないと、これだけ強く要望をいたしておきます。よろしゅうございますね、労働大臣。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 先生から御指摘をいただきました御趣旨を十分理解をいたしました。  いま婦人少年局長からお答えをいたしましたように、別枠の形で何か近代的な雇用の形はできないかという提言だと思いますけれども、別枠が劣悪であってはいけないというふうに思いますので、そこはやっぱり絶対に間違うことのないように労働省としては対応をしていきたい、このように考えております。

渡部通子公明党

○渡部通子君 必ずそのようにお願いをいたします。  こうやってまいりますと、やっぱり労働基準法も大分時間がたっておりますからいろいろ問題もあるかと思いますけれども、それもさることながら、やはり前質疑者からもそれぞれ御要望がございましたように、雇用における平等法というものの法制化、これは非常に大事なことになってくると思うし、国際的に見てもこれはむしろ急いで、これは慎重に検討にということでございましたけれども、至急に進めていただきたいと思っております。  やはり、雇用における平等法をつくるといって反対する女性はいないんですけれども、ただみんなが抱いているのは、それと取引に保護が削られるのではないかという、もうその危惧が非常に行き渡ってしまっているわけです。私は、保護と平等ということは二者択一に考えてはならないことだと思うわけですね。別個の問題だと思います。そうでなければ本当の意味の平等だと、これは男と女ではそれぞれ機能が違うわけですから。と思いますので、そういう働いているたくさんの方々に対する不安を解消する意味で、決してこれは取引ではない、保護を削ることの取引ではない、二者択一の問題ではないということを労働大臣から御答弁をいただきたい。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 先ほど渡部先生の御質問にもお答えをしたところでございますが、まだ平等の問題と保護の問題が議論としては成熟し切っていないところがございます。整理され切っていないところがございます。お立場によっていろんなお考え方を持っていらっしゃる。先生の御主張はいま伺ったわけでありますが、お立場によってはいろんなお考えを持っていらっしゃるものですから、こうやって御答弁申し上げておりましても、男女平等法に関する御議論についてはよほど言葉をうまく言わないと間違いが起こるといつも省内で言っておるぐらい、私にいつもそんな話が出るぐらいそれはまだ成熟し切っていないということではないだろうかというふうに自分でも考えておりまして、したがいまして、十分各方面の御意見を伺いまして、その議論が成熟されていくように、そして先生御指摘ありましたように、真の意味の男女平等というものが雇用の場で確立をされていくように、そのことがねらいでございますから、そのようにその作業を進めてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 次に、ILOの条約批准について御確認をさせていただきたいと思います。  大分、午前中の田中先生の議論にもありましたので重複は避けることにいたしますが、外務大臣ですね、いま日本は常任理事国としてILOの運営に関して重要な立場にあるのでございますけれども、条約の批准というのは非常に消極的ではなかろうかと思います。現在百五十三条約の中で批准しているのは三十六件、批准率はわずか二四%です。こんなに低い批准率では日本の労働水準というものが国際的に信用を失うんではないか、こういう気がいたします。お金だけはたくさん出しているようでございますけれども、国際信用の上からもこれはまずいことではないかと思いますが、大臣の御所見はいかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ILOの諸条約につきましては、まあ問題点は国内の諸法規、関連方面との調整ができませんと批准が困難だということでおくれている、あるいはひっかかっているケースが多いわけでございますが、だんだん日本の経済的な水準も高まってきておる状況でございますし、できるだけ促進してまいりたいというのが私どもの考え方でございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 いま、国内諸法規との調整がつかぬからという御答弁でございますので、二、三伺いますが、たとえばILO八十九号、これは「工業に使用される婦人の夜業に関する条約」でございますが、これは午後十時より朝七時までを禁じているわけです。ところが現在労基法では午後十時より午前五時までの深夜業を女子に禁じているわけでございまして、朝七時か五時の差だけなんですね。このくらいのことが国内諸法規の調整がつかないからといって、現在何と三十年間放置されている。これはむしろ怠慢ではなかろうかと思いますが、いかがでございますか。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) お答えいたします。  ILO八十九号条約におきましては、午後十時から午前七時に至るまでの間における継続七時間を含む継続十一時間について女子の使用禁止規定を設けております。わが国の労働基準法では継続七時間の深夜業は禁止されておりますけれども、この時間を含んだ継続十一時間の使用禁止の規定がないということがこの条約と違っているわけでございます。女子の深夜業の規制など保護規定のあり方も含めまして、今後の婦人労働法制の方向につきましては、総合的見地に立って検討をすべきだということが労働基準法研究会の報告によっても提言されているところでございまして、労働省といたしましては、関係審議会の審議を十分踏まえて対処するということにしておりますので、この条約の批准についてもこの全体的な検討の中で対処していきたいと、このように考えているところでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 もう一点聞きましょう。  審議会というのがこういう場合に必ず出てくるのですね。それが審議会の検討を待って待ってとおっしゃるけれども、そう言いながら三十年です。もう一つ百十一号条約、これは人種、皮膚の色、性、社会的門地等によって差別してはいけない、これは全くわが国憲法十四条と同じ条文でございます。労基法でもやはり三条で均等待遇もあることでございますから、この辺ももうそろそろ二十年間もそのままにされているんですから、何とか調整のつけようはないものですか、めどがあったら言ってください。

谷口隆志労働大臣官房長

○政府委員(谷口隆志君) お答えします。  ただいま御指摘になりました百十一号条約は、雇用及び職業におきます差別的取り扱いを除去しようという条約でございまして、男女の性によるものでなくて、いま御指摘ありましたように人種とか皮膚の色、宗教とか社会的出身、そういうことを理由とする差別待遇を除去しようと、こういうものでございます。  この条約が求めております内容につきましては、いま御指摘ありましたような憲法の十四条、そのほか法令に基づきましてわが国でもおおむね実施されているというふうに考えておりますけれども、なお、たとえば職業訓練につきまして具体的にそういう差別的取り扱いをしてはならないという規定がないとか、それから賃金につきまして性によって差別してはいけないという基準法の規定がございますけれども、その他についてはどうかとかいう問題につきましては、わが国の国内法の規定との間の整合性につきまして、なおもう少し厳密な検討をしなきゃならぬと思っておるところでございまして、いま答弁のありましたような婦人労働法制の総合的な検討との関連もございますが、いま申し上げましたような問題点が解消されれば批准の手続が進められると思うわけですけれども、なおしばらく厳密な検討を進めていきたいと思っているところでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 同じように百四十九号、これは看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約ですが、これもひとつ急いでいただきたいということを要望しておきます。何度も何度も繰り返されている議論です。  次に百三号、母性保護条約について伺います。これは、母子保健の見地から伺いますので、どうかひとつ厚生大臣、しっかりした御答弁をちょうだいしたいと思います。日本でもいまや入院分娩、これが普通になりました。大体、病院へ行って分娩をいたしております。ところが、社会保険では医療給付が行われていません。確かに分娩費支給など金銭支給はございますが、健康保険証では分娩は扱ってもらえないわけです。これがいま大きな問題です。わが国は、ILOの百三号、母性保護条約をいまだに批准しておりませんが、その理由も大体この辺に、出産にかかわる医療給付や所得保障がILO基準に達していないからではないかと思うんですね。ところで、労働基準法研究会報告における母性保護強化の提言は、ある意味で出産給付を医療給付の対象とすることを迫ったものと思いますが、条約批准のためにも社会保障体系に出産給付を含めることについて厚生大臣の御意見を伺いたい。ございましたら労働大臣も。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 確かに百三号条約につきまして批准をいたしておりませんが、それはやはり分娩につきまして一部負担があってはならないという規定がございますが、それの条項に該当するということで、私の方は現在社会保険の関係では現物給付をいたしておりませんで、したがいまして、現金給付で行っておりますが、なお慣行料金との差がございまして、一部負担があるということで、実はその批准ができないということでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 厚生大臣にお尋ねいたしますけれども、現在母子保健施策改善のための検討、これを進めていらっしゃいますが、いまの母性給付問題についても検討していらっしゃるのかどうか。母性給付について新たな制度立法あるいは現在審議中の健康保険法について将来の展望として出産に関する医療給付の導入、これについてどういう御意見をお持ちか、大臣に伺います。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) わが国におきまする人口構造が急速に高齢化していく。また、二十一世紀は静止人口の状態に達して、しかも老齢化が増大し、出産率が低下の傾向にあるということはほぼ確実に予想されておると思うのでございます。そういう点から考えましても、次代の社会を支える子供たちを健やかに育てていくということにおきまして、乳幼児における健康を擁護し確保するための母子保健施策というものは、今後の二十一世紀を志向していく場合において最も大事な効果的課題であると考えるわけでございます。そういう観点に立ちまして、家庭保健基本問題検討委員会において母性給付につきましても二十一世紀を見通した多角的な観点から母子保健の新しい制度、それから施策の検討を行っておるわけでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 大変御答弁が抽象的なんです。出産に関する医療給付の導入についてどのようにお考えかと伺いたいんです。あわせて、私どもは、この医療給付を行われることを含めて、母子保健法の抜本改正案、これをまた今国会にも提出する用意がございますが、それに対する御意見も含めて伺っておきたいと思います。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 母子保健の対策の基本的な見直しにつきましては検討いたしておりますけれども、それとは別個に、ドッキングする面もございますけれども、それとは別個に現在の社会保険、健康保険法の改正の基本的な考え方について申し上げますと、やはり分娩に要します費用については負担がなしにできるのが一番望ましいと。そのためには、一つの方法としては確かに現物給付化するということも一つの考え方でございますが、御案内のとおり、わが国には大変むずかしい問題がいろいろございます。そういうことでございまして、なかなか現物給付化ということは困難でございますけれども、少なくとも今度の健康保険法の改正案の中には、そういう分娩の費用の実態に対応して、直ちに対応できるような形の政令委任という形で実は考えておるわけでございます。したがいまして、この健康保険法改正案が成立いたしますれば、この分娩につきましての実質的な負担がないような形の改正ができる、こういうことでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 以上はILOの未批准のものについて私は申し述べました。したがって、その批准については速やかにひとつ進めていただきたいことを重ねて外務大臣にも御要望申し上げておきます。  次に、批准はしたけれども満足でないもの。これはいままでの質疑にもございましたけれども、つまり百二号条約、それと社会的母性保護を確立すること、この弱い立場の寡婦の給付率を上げること、こういったことは真の男女平等施策を推進すると思うものでございまして、ぜひこの批准を推進してほしいとお願いをいたしておきます。時間がございませんので、これは答弁は結構でございます。  さらに申し上げれば、百二十八号条約、これは障害、老齢及び遺族給付に関する条約、百三十号条約、医療及び疾病給付に関する条約、これは新しいものでございまして、大変水準が高いもので、こういったことの批准を促進いたします、優先いたしますことが婦人の社会保障面での充実が大きく図られることになると思いますが、これについて、外務大臣、よろしゅうございましょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 百二号条約につきましては、お話のように批准をいたしておるわけでございますが、この母性給付等、一部の社会保障給付部門について、国内法制で定める基準が必ずしもそれに要件を満たしておらないというようなことで、まだ受諾していない事情がございます。他のお話しの二条約については私ちょっと存じませんので、担当の方からお答え願いたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部通子君 それは御決意だけで結構でございます。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) これは私どもとしても、先ほど申しました日本人の生活水準も相当高い水準に達しておりますので、こういう面でできるだけ各国におくれないように、国内担当所管省の審議を促進していただいて、私どもとしては一日も早く批准に向かいたいと考えるわけでございます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 宇野長官、大変お待たせをいたしまして申しわけありません。時間が少なくなってしまいましたが、最後に一問。婦人少年室の改廃問題について伺っておきたいと思います。  行政改革をおやりになるという意欲は大変結構なことでございますが、何でも削ればいいというものでもまたなかろうと思うんです。いま婦人少年局長さんに労働基準監督機関に対する勧告権がございまして、これは私は非常に貴重なものだと思いますが、もしも出先の少年室がなくなってしまった場合、基準局に含まれてしまった場合、この勧告権などというものはまず有名無実になるであろうと思います。で、これほどいま婦人問題が大事なときになってまいりまして、男女の雇用平等法もつくろうかというときに、独立機関にゆだねるとかなんとかいろいろな議論はありますが、それはそれにしても、事務局というものはやはり、なきゃならなかろう。そういった意味では、婦人少年室というものはいまやめてしまっては困るのではないかと思うのですね。婦人のための唯一の独立した行政機関でもございますし、これから発展させるべきであって、改廃ということに対しては大変私たちは残念に思いますが、長官の温かな御答弁をお願いします。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 渡部君、時間が来ました。

宇野宗佑自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 今回の行革の一つに地方出先機関の整理再編成というやつがございます。きょう発表し、閣議で決定したのがブロック、もう一つ残っておるのが都道府県単位のやつでございまして、そこに婦人少年室があるわけで、決して婦人少年室だけを対象として考えておるというわけではございません。大体二十一種類ぐらい、都道府県単位の出先がございます。で、十分いまの御意見を私は拝聴いたしました。やはりチープガバメントをつくろうと思いますと、行管庁長官というのは非常につらい立場でございましてね、みだりに喜怒哀楽を顔にあらわすべからずと、こうなっておりますし、またイエス、ノーと早々と言うものにあらずということでございますから、十分御意見は私としては承っておきます。

渡部通子公明党

○渡部通子君 終わります。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で渡部君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に安武洋子君の質疑を行います。    〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 憲法は、法のもと男女は平等である、こういうことで性別による差別を禁止しております。国際的にも男女平等の実現と申しますのは世界的な潮流になっております。しかも、ことしは国連婦人の十年の中間年にも当たっております。しかし、それにしては現実を見渡してみますと、婦人に対する差別というのは至るところに現存いたしております。  一つ取り上げますが、株式上場会社でございます住友ゴム工業、ここでは、いまでは表向きどこもこういうものは影をひそめておりますけれども、男女別二本立て賃金が堂々とまかり通っております。初任給、初任本給、これを初めといたしまして定期昇給額、勤続給、こういうものがすべて男女二本立てになっております。私はいまここに賃金表を持ってきておりますけれども、たとえば高卒技能職初任給は男子は八万八千四百円に対しまして女子は八万五千二百円となっております。そして年齢別初任本給も各年齢すべてこの差別がございます。十五歳で技能男子は五万六千三百円、技能女子は五万四千円、こういうふうに二千三百円の差がございます。そして三十歳になりますと、この差は六千八百円というふうになっております。それから定期昇給額は勤続一年から五年の事務及び技術員の場合、男子は二千三百円に対しまして女子は千八百円でございます。さらに付加給という、これは勤続給でございますけれども、男子は一年に四百円刻みで加算されてまいります。ところが女子は二百円刻みでしか上がっていきません。この付加給だけで計算をいたしましても、勤続十年になりますと二千円、二十年で四千円の開きが毎月生じてくるわけです。  労働大臣にお伺いをいたします。こういう明白な男女二本立て賃金が大企業の中でまかり通っていると、こういうことを一体どうお考えでございましょうか。これは明らかに私は労働基準法の第四条違反に該当すると思います。直ちに御調査をしていただきまして、必要な是正をさせ、そして必要なバックペイを実施するというふうにお取り計らい願うべきだと思いますが、いかがでございましょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) お答えいたします。  労働基準法四条では、御承知のように、労働者が女子であることを理由として賃金について男子と差別取り扱いしてはならない旨を定めたところでございます。労働基準監督官としましては、これに反することのないよう監督指導を実施し、企業における賃金制度等を点検するなどして、法令に違反する事実を把握した場合にはこれを速やかに是正するような措置を講じ、法の履行確保に努めているところでございます。  なお、この男女差別賃金の問題につきましては、労働基準監督官としましては、具体的に申告なり相談があった場合に、その労働者から詳しく事情を聴取いたした上適切に調査を実施してまいりたいというふうに思います。    〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私は、いま住友ゴムの例を具体的に申し上げたわけです。そして、労働大臣に対してこういうふうな明白に男女ということで二本立て賃金にしている、こういうものがまかり通っているということをどうお考えなのかと、明らかにこれはもう労働基準法の第四条に違反するのではなかろうか、必要な措置をおとりください、こういうふうに申し上げているんです。労働大臣お答えください。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 実情をよく調査いたします。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 実情を調査をしていただいて、私が申し上げたとおり男女二本立て賃金である、こういうことがはっきりいたしますと、必要なバックペイも含めて措置をおとりいただけますね、そのことを確認いたします。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 実情を調査した上でどうするか考えさしていただきます。まず、実情を調査いたします。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 これほど明白な問題について、なおそれは御調査をしないで、私は、なるほど違反でございますというふうな御答弁は求めはいたしません。しかし、これほど明白なことがあるなら、御答弁としては、やはり調査をして必要な措置を講じましょうと、こういうふうにお答えいただかないといけないと思うのです。  さらに申し上げますけれども、住友ゴムのようなこういう明白な男女差別の賃金、こういうのは労働基準法の四条で救済されるわけです。しかし、いまもっと深刻に考えていただかなければならないのは、こういう明白な形ではなくて、いま多くの職場で男女の賃金差別を生み出しているのは職務、職階給が導入されている、そして昇格昇任ということで女子が差別をされているわけです。この昇級昇格ということと賃金が一体化されている中で、女性が昇任、昇格の差別を受けるものですから、ここに大きな賃金差別があらわれるという、こういう状態が各所に生じているわけなんです。  私は例を挙げさしていただきます。よく聞いておいていただきたいんですけれども、一つは大丸デパートです。ここは女性が圧倒的に大きな比重を占める職場です。入社どきは全く男女差がございません。最初同じフロアで働いております。しかし、六年たちますと女性の平均基準内給というのは同一学歴の男性の平均と比べまして八七・四%になってしまいます。そして十年たてば七八・六%になります。二十年たつと六五・九%、男性の三分の二以下になってしまうわけです。デパートというのは一日立ちづめで非常に仕事は重労働であるというふうなことが報告もされているわけです。しかし、こういう女性に対して男性は——何も男性を悪く言うわけではありませんけれども、男性は勤続六年で九八%までが四等級以上に在籍しているわけです。大丸は一等級から二等級、三等級というふうに上がっていくわけです。勤続六年で男性は九八%までが四等級以上です。しかし、女性は八四%がそれより下の三等級にとまってしまっている、こういうことになっております。十年たって見ますと、男性は九六・五%が五等級以上に上がっております。しかし、女性は全員が四等級以下なんです。こういうことで、これが二十年たてば、女は男の三分の二の賃金になるというふうな男女間の賃金差別の原因になっているわけです。  これは民間だけではございません。さらに例を申し上げますけれども、政府のおひざ元の国家公務員でもこういうことがございます。これは各省庁にありますが、私は運輸省の第三港湾建設局の行政職(一)の女子職員の例を申し上げたいと思います。  この第三港湾建設局の行政職(一)の女子職員全員、これが五等級以下なんです。五等級というのは、この女子たちは、しかも五の十五から五の十九、上位号俸に女性がひしめいているわけです。そして六等級を見てみましても六の二十とか六の十九とか六の十八とかと、こういうところにとっくに上位の等級に昇格できる、こういう資格を持っている。それにもかかわらず昇給額がほとんど上がらない、わずかしか上がらないと、こういう上位号俸に女子がひしめいている。男子の場合はどうかと見てみますと、男子の場合は六等級の八か九でもう五等級に昇格しているわけです。ところが、女子の五等級の人たちを調べてみますと、男子は六等級の八か九で昇格するわけですけれども、女子の場合は六等級の二十号以上で初めて五等級に昇格する、こういう差別があるわけなんです。私は、こういう問題をいままでやってまいりましたときに、いつも御答弁は、昇任昇格というのは個々個々の問題である、個人個人の問題である、こういうお答えが返ってきます。しかし、いかにおっしゃられようと、全体として客観的に見たときに、女性は下位の上位号俸にひしめいている、男子は早く上位等級に昇格している、こういうことが各省庁にあらわれている。これはどんなに言われても、私は明らかに女性差別である、女性を昇任昇格から振り落とし、そしてそれが賃金差別になってあらわれているという以外に言いようはないと思うんです。  さらにもう一つ例を申し上げます。これは全国社会保険診療報酬支払基金の場合ですが、ここでは昭和五十三年に第一組合と第二組合の労働組合間の格差を解消するに当たりまして、男子は勤続年数だけを基準に一律に昇格させております。女性は第一組合であろうと第二組合であろうと、こういう措置から全部除外しております。すなわち、男性は勤続年数のみで下位等級から五等級あるいは四等級、三等級と上位の等級に全員一律に昇給させているわけです。しかし女性はこういう昇格は除外しているわけです。そして五等級の場合ですけれども、男性は勤続十三年を基準としてやっております。しかし女性は何と勤続十八年という基準、明らかに五年の差、基準に五年の差があるわけです。しかも女性は、先ほども言いましたように、昇格はしないで給料の号の是正だけにとどめている。これも、何といっても、どう言われようとも明らかに男と女の性の差別以外の何物でもないと思うわけです。  私は、いま三つの例を挙げました。しかし、きょうは大変時間に制限がございますので、この三つの例の個々個々の回答を求めるというふうなことはいたしませんけれども、いまや新しく職階職務給を導入する、そして女性をそういう昇任昇格から外していくというふうなやり方で、非常に隠微なやり方で、これが賃金差別を至るところに生み出している。男子を一〇〇としますと女性の賃金というのは五六・二です。諸外国に比べてもきわめて差別が著しいわけです。こういう男女の賃金差別を生じている原因、私がいま申し上げましたけれども、こういう状態を労働大臣としては一体正常な状態であるというふうな御認識をお持ちでございましょうか、これをまずお伺いいたします。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 午前中から各先生方からもいろいろな御指摘がございましたが、特にその中で男女の平等、特に雇用における男女の平等を達成をするようにという強い御指摘がございまして、傾聴させていただいてきたところでございます。  いま先生から具体的に御指摘がございましたが、先ほど労働基準局長からお答えをいたしましたように、女性なるがゆえに差別されるというようなことがあってはならないと思います。そういうことのないようにいろいろな方法で行政指導をしてきておるところでございますけれども、今後とも雇用において男女平等が達成をされていくようにさらに努力をしてまいりたいと思います。  意図的に男女を差別をして、そういう仕組みをつくってあるというところも、ひょっとすると、まだずいぶんあるかもわかりませんし、これなどは十分調査をして手を打っていかなければ、行政指導をしていかなければならぬと思いますが、後から振り返ってみたら結果としてそうなっていたというような例もたまにはやっぱりあるかもわかりませんし、ですから、いずれにいたしましても、男女平等の理念が達成をされていくように強く行政指導していきたいと思いますけれども、やっぱりケース・バイ・ケース、十分調査をして進んでいきたいというのは、いろいろな意味を含めてでございまして、今後ともそういった努力を重ねさせていただきたい、このように考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 結果として女性だけがいつも昇任昇格から外れていたと、これは職階職務給が導入されて、それで女性がひしめいている、上がれなくて。というのは、女性は、言葉をかえれば能力がない、仕事ができぬ、女性はばかであるというふうなことになるんですよ、労働大臣。ですから私は、結果としてたまたまそうなったというのではなくて、こういう職階職務給を導入する中で明らかに性の差別をして女性を落としていく、それが賃金差別につながってしまっているということを御認識いただきたいんです。  いまや、男女平等を基本としまして、婦人はあらゆる分野にその能力を十分に発揮して進出する、そういうことが求められているということで、これは婦人年の趣旨でもあるわけなんです。その立場から見ましても、こういうふうな状態というのを私は早急にやはり本当に、そんなものは結果的に見てそうなっておったんだというふうなことではなく、やはり私が先ほど申し上げたようなところに原因があるわけですから、御調査をいただいて、先ほど強く行政指導をしてそういうことをなくすとおっしゃいましたけれども、もう一度御見解を伺います。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) お答えをいたしましたように、男女平等の理念か達成をされていきますように、それぞれのケース・バイ・ケース、十分に調査をし、かつ行政指導を強力に展開をいたしまして、御趣旨の方向に向かって改善をされていくように努力をいたします。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 政府のおひざ元にもたくさんあるということを申し上げておりますので、まず政府が範をたれて、すぐ直そうと思えば直せるわけですから、私はすぐやっていただきたいということを申し添えておきます。  要するに問題というのは、政府の施策が、いま全国的に職場にいろいろ生じているそういう問題に、女性差別に対応し切れないというところに私は問題があろうかと思うんです。一つは、それは男女が同じ仕事をしているのにかかわらず、先ほど申し上げたように、昇任昇格が性別によって行われるというふうなことで賃金差別かあらわれるというケースなんです。私は、これは明らかに憲法十四条、法のもとに平等でなければいけないという、それから民法九十条、公序良俗、こういうふうなことから見てもこれは当然是正をされなければならないと思います。しかし、労基法四条、これを本当に積極的に運用をしていただくと、こういう問題は解決ができていく。しかし、問題が起きているのは、この労基法第四条を積極的に運用しないので、これが効果的に働いていないというところに問題が一つあろうかと思います。それともう一つは、女子の仕事を意識的に低く評価する、女子を補助的な仕事にしか配置しない、こういうことで昇格させないというふうな問題もあろうと思うわけです。  こういうことに対して本当に必要なきめ細かい措置を講じていただかない限り、いま女性は差別を職場の中で一番感じると言っているんです。こういう差別はなくならないと思います。  私は、同一労働をしているのに、一番最初に申し上げましたように、昇格差別で賃金差別を生み出しておりますけれども、こういうケースについては労基法の四条を狭く解釈しないで、漸進的に差別是正するように運用されたい、このことを要望いたしますが、いかがでしょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 御承知のように、労働基準法の四条は、同一価値の労働に対する賃金について、労働者が女子であることを理由として男子と差別的取り扱いをすることを禁じているわけでございます。したがいまして、先ほどからいろいろ御議論ございますように、労働者の職務の内容とか能率、技能等に差異があって、そのために賃金について男女のみならず、個人間の差が出てくるというようなこともあろうかと思いますが、そのこと自体は四条違反とはならないと思います。しかし、同一の職務等にある男女に関する昇給等につきまして昇給額に差があるということは、それはまさに四条違反という場合もあり得るということでございますので、そういった点につきまして、先ほど大臣が申しましたように、私どもとして対処してまいりたいというふうに思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いずれにしても、私がいま申し上げたような男女差別が全国至るところに蔓延している。これは私は見逃すことはできないと思うんです。やっぱり積極的にこの法解釈を進めていただいて、私はこういう差別をなくすということをやっていただかなければならないと思います。それでなければ男女差別を解決できないということで政府に一つ御要望申し上げたいのですが、いま政府部内でも男女平等法について検討されておられます。その中に、性による昇任昇格差別、これを許さないという問題について、私が先ほどからるる申し上げている問題です。こういうことを見逃さない、必要な対応ができる、こういうことを含めていただきたいということを要望いたしますか、いかがでしょうか。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) 先ほどから先生からいろいろお教えいただきましたが、職場におきましてはまだいろいろと男女の差別があるということを私も大変残念に思います。こういう状態を是正していきますために、私どもは、女子が女子であるがために職場でいろいろな形で、賃金だけでなく、採用、配置、昇進、昇格、そういったいろいろな面で差別を受けることのないように努力をしているところでございますが、なお、力不足ではございますけれども、これからも努力をしてまいりたい。先生おっしゃいました昇任昇格における差別というようなものも差別がないように努力をしてまいります。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 真の雇用における男女平等法の制定というのが私はいま急務になっていると思うわけです。私ども日本共産党は、不当な男女差別をなくして雇用における真の男女平等を確立するために、採用とか賃金とか仕事の配置とか研修あるいは昇進、昇格、定年や退職制、福利厚生制度、こういうものにつきまして女性が男子労働者と同一の基準によって機会権利が保障できるように、雇用における男女平等の機会、権利に関する法律、この制定を提唱していることは御存じだと思います。こういうふうな真の男女雇用平等法の制定を直ちに行うことが私は男女差別を根本的に解決することになる、こういうふうに思います。私どもは、さらに雇用における男女平等を推進する上で、行政判断の審査とか、あるいは悪質な企業名の公表とか、また、その企業への公共融資などの制限などを国や自治体に勧告できる男女平等委員会、これを中央、地方につくること。また、婦人少年局や各府県の婦人少年室の機構を強化して、男女平等に関する違反事実の調査、それから是正命令、こういう権限を持つ雇用平等監督官、これを配置することなどを主張いたしております。  ところが、いま五十五年行革の中で、この婦人少年室が統廃合の対象にされるというふうな重大な問題が浮かび上がっております。このことに関連いたしまして私は行政管理庁長官にお伺いいたしたいと思います。  長官、戦後、改正民法で、結婚というのは両性の合意に基づいて行われるというふうになってずいぶん久しいわけでございますけれども、いまだに昔ながらの足入れ婚、言うならば結婚前に婚約をすれば男性が女性の家に泊まっていく、そして気に入れば正式な結婚をするが、反面気に入らなければそういう婚約は解消してしまうという習慣が地域によってもう抵抗しがたい制度的な形で残っているというふうなことをお聞き及びでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 私の地域では寡聞にして余り聞いておりませんが、そういうことがあるということは何かで読んだことはございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 さらに伺います。苦役と呼ばれる部落の道路を直すとか、あるいは用水をちゃんとするとか、公民館の仕事をするとかというふうなことで、無償の作業に女性が出る場合なんです。男性も出ますけれども、こういう場合に女性は男性の半人前とみなされているということで尻助金、尻助金というのですけれども、女性は半人前だから尻助金としてお金を持っていかなければならない。これは地域によって違いますが、五百円から三千円、地域差がありますけれども、こういうお金を持っていって初めて男子と同等に認められるというふうな尻助金制度があるというふうなことをお聞き及びでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 大体、私が勉強しております行政管理の範囲内ではそういう話を聞いたことはございません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 なぜ長官にお伺いするかといいますと、こういう封建的な慣習とか制度、これが地域によって広範に残されているというふうなのがわが国の現状なんです。それを調査なさっていらっしゃるところが婦人少年室なんです。  私がいま申し上げました足入れ婚、これは熊本県の婦人少年室が調査をされた結果なんですが、県内の百三十四ヵ所の地域の一部に残されているというふうなことで、この慣習に従わない、こういうことで破談にされたり、足入れの後に婚約を破棄されたということで悲嘆に暮れている女性の例が報告されております。また、苦役の場合ですね、尻助金という制度は調査対象の自治体の過半数で存在しているということも調査をされているわけです。婦人少年室がこういう封建的な女性差別の解消のために努力をされ、こういう調査をされているんです。いまの行政機構の中で、このような封建的な因襲による女性差別、これをなくすために働きかけられる機構というのは婦人少年室しかないわけなんです。これを整理対象に挙げて検討するというのは、いまのわが国のこの婦人の実態からは全く逆行する、かけ離れている、国際的にも本当に物笑いの種になるというふうに思うわけです。また、婦人少年室というのは、男女差別的定年とか、こういう解消のためにも室長名で勧告を行うというふうなことで行政指導的なこともやってこられているわけです。婦人の地位向上とか差別解消の上でもこの持てる権限を一層フルに発揮されることが求められており、ここはより充実していく、そしてより強化をしていくということで、きょうもいろいろと論議をされておりますけれども、そういう方向が出ております。  ですから、私も申し上げたいわけですけれども、先ほどのような問題には婦人少年室しか対応できませんので、こういう婦人少年室というのは行革の対象から外すとともに、増員をしていく、拡充をしていくということを強く求めます。長官の御答弁を求めます。

宇野宗佑自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) ちょっと出発点があるいは違うかもしれません、お考えと。  というのは、確かに婦人少年室は府県単位の地方出先機関でございまして、先ほども渡部さんにお答えいたしたとおり、二十一種類ばかりございます。その中で五つか六つの機関が常にいろんな機関から指摘されておることは事実なんです。その指摘をされている以上は、やはり監理委員会として一度調査をしておこうというので、この間、広島を調査しております。だから、恐らくそういうところからすでにもう廃止が決まったんじゃないかとか、あるいは統合が決まったんじゃないかと、こういうお気持ちであるいは質問をなさっておるかもしれませんが、調査をいたしたというのはそういう経緯からでございまして、十二分に婦人の皆さん方の御意見も伺うチャンスも監理委員会にはある、また、そういう意見はお伺いしなければならぬ。その結果、監理委員会がすべての府県単位の出先機関に関しまして六月三十日までに自分たちの考え方をまとめましょう、それを伺って、われわれ政府が決断しましょう、こういうことでございますから、十二分に本日の御意見は私も承りましたし、また、監理委員会でも婦人の立場のお話は当然伺うチャンスが幾らでもあると思うのでございます。  ただ、いまから私がイエスだとかノーだとか言うことはなかなかむつかしい問題で申し上げにくい、こういうふうに申しております。決してわれわれは婦人の立場を無視しておるものではございません。十分皆さん方の御意見を承りながら、そして、そうした機関の今後の動向に関しましてやはり考えていくということでございますので、どうぞその点は御理解賜りたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私どもの山中議員の質問に対して、内閣委員会の中で、婦人少年室というのを行革の対象にしているというふうな御答弁もあったわけです。  それで、私は、重ねて長官にお伺いいたしますけれども、先ほど言ったような役割りを果たすところはどこにもないというふうなこと、それから、もう先ほどから同僚議員の中から婦人少年室の果たす役割りというものが出ておりましたので、ここいらでひとつ、国際的にも、いまごろ婦人少年室を廃止していこうなんていうような施策を打ち出していただきますと、本当に物笑いの種です。ですから、婦人の意見を尊重してとおっしゃいましたので、婦人少年室についてはそういう行革の対象から外していきますという姿勢をひとつお示し願いたい。いかがですか。

宇野宗佑自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) この間、内閣委員会で山中さんにもお答えいたしておきましたが、やはり行革というのは各省庁横並びでじっと見ておる面もあるんです。役人というのはなかなかむつかしい存在で、やはり自分の省のことは一生懸命守りますが、他省のことは守らない。何とかなるんだろうか、どうだろうかと、いろいろあります。だから、そういうことも十二分に頭に入れながらいろいろと私たちも苦労いたしておりますから、だから一応いままで幾つかの機関において、この問題は、御承知のとおり、統合せい統合せいというふうな方向が出ております。私は決してそれをうのみにしようとは考えておりませんよ。しかしながら、今日までやってまいりました行革は、過去幾つか指摘されたことの後始末ができておらぬじゃないかというのが実は一般の声であり、あるいはマスコミの声でございますから、私は、甲乙の隔たりなく、十二分に関係者の御意見を承りながら、その答えを出していきたい。こう思っておりますから、決して私は婦人の皆さん方の御意見を聞かないというわけではございません。まだ六月三十日までずいぶん間がありますから、その間に十二分にそうした御意見も承りながら公正な行革をやりたい、こういうわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私は、ぜひとも私どもの要望を入れていただいて、行革の対象にするんではなく、より拡充するという立場に立っていただきたいということを重ねて強く要望いたします。  次に移らしていただきますけれども、私は、自営業の婦人の問題についてお伺いをいたします。この問題につきましては、私は国会の中で一貫して御要望してまいりまして、中小企業庁に対策の窓口を設置していただくことができました。これは一定の前進でございますけれども、そこで行われております施策というのはまだまだ不十分で、業者婦人の切実な要求にこたえるような中身にはなっておりません。  そこで、ひとつ伺いますけれども、事業専従者控除について、私、当委員会で、五十二年の四月の二日でございますが、質問をしたことがございます。当時は、坊大蔵大臣でございました。さまざまな形の専従者がいるので、その中庸をとって決めている、額についてこのような御答弁がございました。ところが、この専従者控除といいますのは、四年間、四十万円に据え置かれたままでございます。しかも、この四年間、物価も賃金も上昇しておりますのに、家族従業者の労働の評価が据え置かれたままというのは、これは矛盾していると思うんです。私は引き上げるべきだと思います。四十八年から四十九年、五十年、五十一年と毎年上がってきておりますけれども、五十一年から据え置かれたままというのは、これは合点がまいりません。中庸なら、もうこの専従者控除というのも上がるべきだと、こう思いますか、大蔵大臣、いかがでございますか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 後から事務当局からきちんとして御答弁申し上げますが、いろいろな経過がございます。要するに、青色申告になったら、いわゆる完全給与制が認められますし、私は、基本的にはそういうことに御指導申し上げるべきじゃないか、こういうふうに思います。  あとは事務当局から答弁します。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私は、税金の納め方について大蔵大臣に指導してくださいなんて言っていません。青色も白色もあるということは、国は白色も認めているということですからね。その白色のこの事業専従者控除について私は御質問をいたしているわけです。据え置きはおかしいことじゃありませんかと。白色を国が認めていないというなら、これは話は別です。ですけれども、白色で据え置かれたままというのは、物価も上がっている、賃金も上がっている。坊大蔵大臣は、いろいろな形の人がいるから中庸で考えたんだと。中庸がいつまでも動かないのはおかしいじゃないですかと、こういう質問ですが、いかがですか。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) お答え申し上げます。  御指摘になりました白色事業者の専従者控除の問題でございますが、御承知のように、この専従者控除の制度は、家計と企業が明確に分離されてないと申しますか、要するに奥の経理と店の経理が渾然となっておるような、そういう白色事業者の実態に即しまして、家族の方がその家業に従事されておった場合に給与の支払いがあったかないか、有無にかかわりませず、一律に相応の控除をするという制度でございます。  実は、この制度は、四十八年まで先ほど御指摘になりましたけれども、配偶者控除と扶養者控除の中間で決めておったんですが、四十九年、五十年で大幅に引き上げまして、現在、配偶者控除二十九万に比べまして四十万という大幅な数字になっておるわけでございます。したがいまして、この控除の引き上げの問題につきましては、単にこの控除だけじゃなくて、いろいろな人的控除のバランスの問題がございまして、税制調査会でもいろいろ議論していただいたわけでございますけれども、現下の厳しい情勢のもとで、五十五年度におきましては、一切の人的控除と申しますか、負担軽減の余地がないんではないかという御結論で、据え置くという措置を講じたものでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いまの御答弁は御答弁になっておりません。四十万にうんと引き上げたからそのまま据え置いておくんだというふうなことですけれども、先ほどから引用しております坊大蔵大臣の御答弁をとってみても整合性がないわけです。しかし、時間がないので、私は急ぎます。  最後に、国民健康保険の給付改善についても要求しておきます。  これは非常に不合理なことの一つに、四千四百万人が加入しております国民健康保険ですけれども、これに傷病手当、出産手当制度が任意給付になっております。実態はほとんどこれが実施されておりません。ですから、助産費も八万円で、政府管掌保険の最低保障十万円より低いわけです。せめて助産費は政府管掌保険並みにすべきだと思います。同じ子供を産む費用なわけです。それからまた、病気中の最低の所得保障としての傷病手当制度、また出産手当制度も含めて義務給付とするように今後検討をしていただきたい。このことは強い業者婦人の要求でもございます。この御答弁をいただいて、私の質問を終わります。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 傷病手当、出産手当の法定給付につきましては、現在、行われていないわけでございますが、特にいろいろな中小企業あるいは婦人団体から御要望もございますので、今後、老人医療保険制度の根本的な見直しをいたしたい、それと並行いたしましてこの問題については見直しをしてまいりたい、かように考えております。  なお、助産費の補助金の問題でございますが、五十五年度は、御指摘のように、八万円の予定になっておるわけでございます。それに対して政管健保の方は五十五年の七月から十二万に引き上げる、それで政管健保並みに引き上げてはどうかという御意見でございますけれども、御承知のとおり、国保は財政的に非常に多様でございまして、一挙に大幅な引き上げが困難であると思いますが、今後いろいろな形において努力をいたしたい、かように考えます。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で安武君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、木島則夫君の質疑を行います。木島君。

木島則夫民社党

○木島則夫君 昨年の十月の下旬から約一ヵ月間でありますけれど、NHKのテレビで「幸せのとなり」というドラマが放送されて大変反響を呼んだわけであります。ちょうどこの時期は大平さんと福田さんの間の総理の座をめぐる抗争の最中でもあったわけでございます。したがって、お二人の大臣はこのテレビドラマをごらんになっていないと思いますので、簡単に注釈をいたします。  これは橋田寿賀子さんの原作でして、亡夫が残した母名儀の遺産をめぐって、母と三人の子供、その嫁、婿が骨肉の争いをするというストーリーであります。特に印象に残りますのは、争いの中で揺らぐ妻の座であったわけです。私どもは、萩原幽香子参議院議員の時代から、妻の座の確立に努力をしてまいりました。したがって、きょうは、民法、税法の問題としてではなくて、あくまでも生活の中の実態に即してのこの問題、妻の座の議論をしてまいりたいと思いますので、ひとつ両大臣そのおつもりでお答えをいただきたいと思います。  民法の改正案は、かつてわが党の萩原幽香子議員によって初めて指摘をされたものが十年ぶりにこのような形で提出をされたわけでございます。当時の福田大蔵大臣も非常に御理解を示されまして、所管の相続税の改正を着々と進められましたし、また労働・厚生行政などの中でも、婦人の地位の向上の一環として努力はされてまいりましたけれども、しかし現実に妻の座というものを直視してみるといろいろ問題がないわけではございません。  そこで、妻の座の確立に大平内閣がどう対処をされていくか、こういった問題をこれから具体的にお伺いをしたいと思うわけでありますけれど、その前にひとつ両大臣に、多少プライベートなことで恐縮でございますが、お伺いをいたします。まず大蔵大臣、あなたが政治家として今日大蔵大臣の要職についておられることにつきまして、竹下夫人の内助の功があったと率直にお感じでございましょうか。これは同様のお尋ねを倉石法務大臣にもさしていただきたいと思うわけであります。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。ありました。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 感謝しております。

木島則夫民社党

○木島則夫君 このお言葉が後重要な意味を持ってまいりますので、ひとつよろしく御答弁のほどをお願いをしたいと思います。  民法の大家でございました我妻榮先生は、夫婦の財産を財産関係につきまして三種類に分けられております。その一つは、名実ともに夫婦それぞれの所有のもの、その二は、名実ともに夫婦共有のもの、その三は、名義は夫婦の一方に属するけれども実質は夫婦の共有に属するものでございますけれど、いま言った第三のものについての問題点というのがいろいろ出ております。  まず、民法のサイドからお尋ねをいたします。御通告申し上げた質問要項と多少私は違っておりますことをここで御了解をいただきたいんでありますけれど、民法第七百六十案では、「婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。」とありまして、ほとんどが夫の名義の財産になりまして、それに税も対応をするという制度になっております。しかし、総理府の世論調査を初めとする各種の世論調査、社会の風潮といたしましては、大部分のものが婚姻中得た財産は夫婦二人のものなんだという意識が国民の常識であると言えると思います。にもかかわらず、こういった社会通念と現行法制との間の開きというものは非常に大きいと思うわけでございます。過日の、と申しましても、もう大分前でありますけれど、十年ほど前のこの委員会におきまして、福田蔵相もこの問題には大きな理解を示されておりましたし、たしか時の法務大臣でありました前尾繁三郎先生も前向きの答弁をされておったと記憶をいたしております。いま私が申し上げた社会通念と現行法との開きをこのままにしておいていいんだろうか、ずばりひとつお答えをいただきたい。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま御指摘のような考え方で民法の改正に取り組んでおるわけでありますが、法制審議会からの答申もございましたので、これは私どもの考え方をほとんどそのまま答申に出していていただきますので、これを提案いたしておる次第でございます。

木島則夫民社党

○木島則夫君 これは法務委員会での質疑になりますので、細かいことは申し上げませんけれど、たとえば相続の問題にいたしましても確かに前進をしていることは私も認めるわけでございますけれど、一体、たとえばサラリーマンの家庭における妻の家事労働というものをじゃ正式に評価をしているかとかいうことになりますと、必ずしも私は満足できない。そういった問題は細かいことは他の委員会で議論をするといたしまして、そういうお答えではちょっと私は不満でございます。  時間が制約をされておりますので。十年来の議論でございまして、いまもっていまのようなお答えでは私は満足できませんし、もし法律がだめならば行政の面でそれに対応する、たとえば日本においてはまだまだなじみが薄いと思うわけでありますけれど、遺言による制度などを活用するための行政的なPR指導、こういったものも私やっぱりやっていかなければいけないと思う。法律の欠陥をこういう形で補いながら、強い者の声のみが反映されて、弱い人の声が泣き寝入りをされるようなことであってはいけませんので、もう一度ひとつ、社会通念としての考えと、必ずしも現行法がそれに合致をしないその部分を埋ずめることが政治であるというふうに私は思っておりますので、ひとつ積極的な御答弁をお願いをしたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いま申し上げました民法の改正案には、かなりおっしゃるようなことが含まれておると私どもは判断しております。したがって、民事局長から御説明申し上げさせたいと思います。

木島則夫民社党

○木島則夫君 簡潔にひとつ頼みます、時間がないから。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御指摘の妻の内助の功につきましては、このたびの配偶者の相続分の引き上げということについて考慮をいたしているつもりでございまして、今回の相続分の引き上げというのは、現在の家族構成の変化ということと同時に、婚姻生活における配偶者の貢献に対する国民の評価というものは非常に高まった、また高くあるべきだということを反映しているつもりでございます。したがいまして、いわゆる内助の功に対する評価という点では、今回の配偶者の相続分の引き上げということによって考慮をいたしておるつもりでございます。  さらに、それを超えた、たとえばいわゆる共働きによる貢献というようなものにつきましては、なおこれは法律案の中にございますが、いわゆる寄与分の制度というようなものについて十分配慮をいたしているつもりでございます。

木島則夫民社党

○木島則夫君 必ずしも私はそうじゃないというふうに思います。この問題も細かく議論をしたいんでありますけれど、さらに民法の問題といたしまして、さっきの冒頭申し上げた「幸せのとなり」というドラマのケース、つまり夫が死んだ後も夫の親、きょうだいの面倒を未亡人——こういう言葉は余り好きじゃないんでありますけれど、夫に先立たれた妻が見ているケースは結構多いんです。ところがこのようなケースで、たとえば夫の親が亡くなったときには、現在の法律では未亡人は何ももらえないんです。子供がいれば子供の相続分がありますから少しは救われるはずでありますけれども、これはおかしい気が私はしてならない。確かに夫の父親の名義になっている家に住んでいる未亡人は、夫の父親が亡くなって遺産分割が始まった途端に追い出されかねない。  ところで、今回の民法改正には代襲相続の制限が確かにございます。それでも夫の兄弟姉妹の子供までもらえることになっています。それ以前のものについては一体こんな人が親戚にいたのかと思うような人が寄り集まって来る。そういうことを制限はいたしてはおりますけれど、これでもまだ範囲が広いと思われるのに、妻が夫を代襲し得ない。これは私はやっぱりおかしいと思うんですね。代襲という言葉には当たらないかもしれないけれど、妻が亡くなった夫のかわりに相続をするという制度をきちんと認めるべきじゃないだろうか。親族法の大家であります中川善之助先生もこういった制度を前向きに考えておられますし、また四十六年十二月の決算委員会で、私どもの萩原幽香子議員の質問に対しまして、当時の前尾法務大臣もお答えをされているところでございます。この辺はいかがでしょうか。ひとつ前向きなお答えをちょうだいしたいと思うわけです。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの問題につきましては、法制審議会におきまして審議されました。お話の代襲相続権を一般的に認めると、夫に先立たれた妻が再婚いたしました場合のみならず、妻に先立たれた夫も妻を代襲して相続人となるというような不合理な結果を生ずる等の理由で法制審議会におきましては結局立法化は見送るものとされたわけでございます。したがって、今回の民法の改正法律案にはこの点の改正は含まれておりませんです。

木島則夫民社党

○木島則夫君 私、いろいろケースがあることもよく承知をしております。そして、いま大臣がおっしゃった議論が経過措置の中で行われてきたことも承知をいたしております。いまちょっと大臣がおっしゃったように、妻に夫の代襲相続を認めますと、もらい逃げという言葉はとてもいやな言葉で、私は誤解を受けたくないんでありますけれど、もし、もらい逃げで再婚をしてしまうという心配があるからというようなことも確かに議論がれたはずでございます。しかし、もしそうだとするならば、これは将来にわたって同居をする場合に限ればいいわけでございまして、こういうものは私は例外的なものであるというふうに思いますし、また、代襲相続というものはあくまで血縁者間の問題なんだからという、もし歯どめがそちらからくるならば、これに対してはほかの兄弟姉妹の子供が養子であった場合でも相続が受けられる。この場合は血のつながりがない、彼らは全くの笑える相続人になってしまうと、こういうことでございまして、確かにこういう議論が交わされたことは経過的措置の中で私も承知をいたしておりますけれど、やっぱり妻の代襲権、こういうものを正式に認めるべきではないんでしょうかね、大臣。考え方としてはよくおわかりだと私は思うんでありますけれど、どうですか、もう一度。萩原幽香子議員というのはこの種の質問に対して非常に執拗にと申しますか、しつこく御質問をされていたようであります。しかし、萩原さんが女性であるためかどうかは知りませんけれど、大変懇切なお答えが返ってきた。だからといって何も私は男の立場でどうのこうのと言っているわけではございませんけれど、ひとつよろしくその辺も御考慮のほどをお願いをしながら御答弁をいただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 法制審議会の議を十分経まして、御承知のように、ずいぶんこの民法改正については時間をかけて一生懸命にやりました。その答申に沿って提案をいたしておるわけでありまして、その経緯等については事務当局から御説明申し上げて、私どもの考えておりますことをひとつ御理解願いたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 議論の内容は、先生先ほどお述べになりましたように御承知だと思いますので、余り繰り返して詳しくは申しません。  いま先生御指摘になったような点が主として問題になり、また、いま大臣から答弁いたしました点が議論の問題点になったわけでございまして、確かに一定の場合を限ってというようなことも、そういう意見も確かにございます。しかしながら、それは相続制度を個々具体的なケースに応じて決めるということになりまして、非常に複雑になるということ。しかも、こういった基本原則に対して余りにも例外が多くなるということは率直に認めざるを得ないわけでございまして、余りにも例外の多い原則というものは原則としての資格を持たないのではないかと、こういう考慮でございまして、確かに個々の場合におきましてはいろいろ不便な、不便と申しますか、お気の毒な場合がございます。ただ、その場合には、先ほど先生御指摘ございましたような遺言でございますとか、生前の処分でございますとか、あるいは亡夫の親との養子縁組みというような道は残されているわけでございまして、私は、かような方法によって対処をしていただくということが、現在の法制度のもとにおきましてはそうせざるを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。

木島則夫民社党

○木島則夫君 さらに具体的に申し上げるならば、たとえば妻の夫の死が夫の父の死よりも前になるか後になるかによって妻が夫の父の財産を相続できるかできないかというふうなことが決まってまいりますと、夫の死の時期によっても大きく妻の座というものは揺らがざるを得ないという、こういうことも事実あり得るわけでございますね、大臣。  法制審議会の答申に沿ってやったんだということはよくわかるのでありますけれど、こういう実態ですね。さっき私が申し上げた生活実態、事実に即した妻の座というものを率直に大臣が受けとめられたときに、なるほどこれじゃまだまだ足りないんだからという率直な、素直なお気持ちになっていただけないものだろうか。法制審議会の答申がこの上ないものだとお思いになってのお答えだったのかどうか。その辺も、もう一度しつこく伺わさしていただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 妻の立場を非常によく理解をいたして、そして今度のような案を法制審議会で答申したわけでございますし、私どももさらに、御存じと思いますが、夫婦で一生懸命に努力をしてその財産を形成してまいりました寄与分についても、寄与分というものを考えたのもやはり妻の座を尊重する立場からああいうことを考えておるわけでありますので、今回はやはりただいまの政府案がいろんな角度から考えて、また相談をいたしました結果、ただいまのところでこれはきわめて妥当ではないだろうかという考え方になったわけであります。

木島則夫民社党

○木島則夫君 事務当局から答えていただいて結構です。  それじゃ九百四条の二に、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを」云々と、こういうふうになっております。素人なりに読みますと、ああそうかと。たとえばおじいちゃんが財産があったと。その財産を維持して、それをもっとふやすことに努力をした者に対する寄与というふうにも読み取れるし、それじゃ、さっき私がちょっと触れたサラリーマンの場合なんかだったら一体どうなるんだろうかということをもっとしんしゃくされた温かい法律文、法案というものを私は受け取りたかったわけでございますけれど、その点はいかがでございましょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 寄与分の定義と申しますか、内容はいま御指摘のとおりでございます。  そこで、「特別の寄与」と申しておりますこれは何を言うかと申しますと、元来、夫婦というものは互いに協力、扶助の義務を負っているわけでございます。また、一定範囲の親族、これは直系血族とか兄弟姉妹が原則でございますけれども、一定範囲の親族は互いに扶養義務を負っているわけでございます。したがいまして、通常の形態におけるその義務の履行と申しますか、夫婦の当然あるべき姿、親族として当然あるべき姿において寄与するということは特別の評価の対象にはならないということになるわけでございまして、その程度を超えたということになりますと、夫婦の例で申し上げますと、やはり普通の内助の功ではなくてそれ以上のもの、たとえば一緒に共かせぎと申しますか、共働きと申しますか、それによって得た収入によって遺産を形成したという場合、この場合には特別な扱いをしようというのがその趣旨でございます。

木島則夫民社党

○木島則夫君 この辺はまた後日詰めたいと思いますけれど、ごく普通の内助の功というものが大事なんですね。そしてそういうものに対して、それは評価をされなければならないということは通常言われているけれど、必ずしも民法の中であるいは税体系の中でそのことがきちっと評価をされていないところを私は問題にしてきたわけでございますけれど、大蔵大臣、恐れ入ります。よく御存じと思いますけれども、夫婦が協力をして得た財産について、離婚の際の財産分与は非課税の取り扱いをしていることと思います。これに対しまして婚姻中の夫婦の当然妻に帰属するはずの財産については多額の贈与税が課せられることはきわめて私は不均衡であるというふうに思うんですね。実は、このやりとりにつきましても、四十八年六月十八日の決算委員会で、時の総理大臣の田中総理も大変御理解のある問題の認知をされまして、お認めになりまして、税制上の措置で努力をされるというふうに答えておいでになります。  もう時間がございませんから、私どもの申し上げたいことを三つほど提案を申し上げたい。したがって、夫婦間においては贈与税は何としてもかからないようにしていただきたいということが第一点でございます。しかし、現行制度の範囲内において、それがどうしても無理ならば、せめて贈与税の配偶者控除を引き上げられないか。また、そこに付随する条件というものを緩和して広げられないだろうか。私どもは控除額を二倍に引き上げていただきたいと、このように思っております。確かに税収が必ずしも満足すべきものではない、財政が苦しい、だから、いまある税体系を崩したくないというようなお気持ちも大蔵大臣のお立場ではわからないわけじゃないのだけれど、しかし、それは逆に妻の座というものをこう何というか、低からしめる要因であるという意味で前向きの政治とは言えないんじゃないだろうか、大蔵大臣、この辺はいかがでございましょうか。時の総理も非常に前向きにお答えになっておりますので、特にその辺も私は配慮をしてのお答えをちょうだいをしたいと思うわけであります。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 前尾法務大臣が萩原先生にお答えしておりました、四十七年だったと思うんですが、私は内閣官房長官で一緒におりました。前尾先生が、まあ必ずしも発音明瞭な人じゃございませんけれども、いま木島さんがおっしゃったような趣旨の御答弁をなすったのをいま私も記憶をよみがえらしたところです。それで、そういういろいろなものを含めて五十年度に税制改正が行われまして、そこでいまの段階においてこの財政難の折、その仕組み、これを変えようという状態には残念ながらございません。ただ、民法改正によって二分の一という問題が、三分の一が二分の一になったという問題につきましては、わが方も税制調査会に報告をして了解を得まして、したがって今度は民法改正の附則で御審議をいただいておるという状態でございます。どうも贈与税の問題は相続税でもって私は最終的にはその決着をすべきものであると思いますので、いまこれを条件を緩和するというような状態には残念ながら財政上ないと、こういうことをお答えせざるを得ないと思います。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 時間が来ていますから、簡単に願います。

木島則夫民社党

○木島則夫君 希望だけ申し上げます。  現状ではなるほど大臣のおっしゃったようなことだろうと思いますけれど、やっぱり妻の座の確保ということは、口では言いやすく、実態はなかなか現在厳しいものであるという御認識のもとに、どうかひとつ行政の面でも前進的な態度をおとりをいただきたい、このことを強く強く私は要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で木島君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、江田五月君の質疑を行います。江田五月君。

江田五月参議院クラブ

○江田五月君 国連婦人の十年の中間年に当たって、こうして婦人問題に関して予算委員会で集中審議が行われることになりまして非常にうれしいことであると思います。  婦人問題というのは本当に多岐にわたっておりまして、すでに同僚委員の皆さんからいろんな項目について質問がなされておりますが、私はこうして多岐にわたる問題のうち、多少いままでの方々の論点と違う点、つまり性の問題、これも多岐にわたると思いますが、そのうちの一部分を取り上げて若干の質問をしてみたいと思います。  もとより男性と女性との間に人間としての違いはないんでありまして、したがって、両性は平等であって差別があってはいけない。これはちゃんと憲法十四条に規定されているとおりです。しかし、同時にこの男性と女性には性の違いがある。その違いは、結局のところ女性は妊娠をする、子供を生む。つまり、女性は母性、母親の性格を持っているんだということ。これが大きく違うところであります。女性は母性という点で保護をされなければならない。母性保護ということが非常に重要、人間としては平等に、そして母性としては保護されるということが必要だと思います。妊娠と出産とは女性に対して大変な負担をかける問題でありまして、かつて、この参議院の大先輩であります藤原道子さんという女性の議員の方が、男の人はスイカを十ヵ月間おなかに抱えてぶら下げてみたらいいんだ、そうしたら初めて女性の負担というものがわかるのだというようなことを言われるのを聞いたことがありましたが、私も男ですから想像するだけしかわかりませんけれども、やはり大変なことだと思う。出産した女性がどの程度肉体を、自分の体を傷めているかということは、そういう出産を経験した方のたとえば歯を見ればわかる。歯を非常に傷めて、体を切り刻んで人間社会を未来につなげて行くというそういう仕事をしているわけであります。  そこで、私は、いまこういう妊娠が不幸に完結されない人工妊娠中絶というのが一体どのくらいあるんだろうかということをまず伺いたいと思います。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大谷藤郎君) 昭和五十三年の統計が一番新しい統計でございますが、人工妊娠中絶件数は総数で六十一万八千四十四件が報告されておりまして、そのうち二十歳未満が一万五千二百三十二件、二十歳から三十九歳までが五十四万三千百八十件、四十歳以上が五万九千六百三十二件となっております。

江田五月参議院クラブ

○江田五月君 年間、厚生省で把握できるだけの中絶の件数が六十一万という大変な数でありますが、私はどうもこれだけの数の妊娠中絶が行われているということにやはり私ども痛みを感じなければいけないんじゃないかと思います。妊娠中絶を制限しろという主張をしているのではありません。優生保護法十四条の制限をいろいろつけろと、要件を厳格にしろという主張をしているのではなくて、中絶に至るような妊娠をなるべく避けるようにやはりみんなが努力をしていかなければいけないんじゃないかと思うのですが、一体、厚生省は、そういう方向で、中絶に至る妊娠を避けるということについてどういうお考えをお持ちなのか、何をしているのか、基本的な考え方だけで結構ですが、お聞かせをいただきたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○政府委員(竹内嘉巳君) お答え申し上げます。  先生先ほどお述べいただきましたように、母性保護という立場から母胎の生命、健康に及ぼす影響というものを考慮いたしましたときに、一般的には特殊な状況に置かれない限り、人工妊娠中絶ということよりもむしろ前向きの立場で、たとえば俗に家族計画と言われておりますような意味での受胎調節あるいはいわゆる避妊という生理的なことについての行政指導などを市町村あるいは保健所等を通じて行っておる、そういう立場でございます。

江田五月参議院クラブ

○江田五月君 避妊が受胎調節、家族計画というその範疇に恐らくいまはとどまっているじゃないかと思うんですが、ところが実際に本当に避妊について十分の知識がいま欠けているところは一体どこかというと、家族計画の範囲の、範疇の外、つまりまだ結婚に至らないあるいは中学校、高校、あるいは最近は結婚年齢が非常に上がっておりますが、結婚に至らないまでの男女の中に避妊の知識が必要なそういう現状になってきているんじゃないか。厚生大臣、その辺の現在の何といいますか、性をめぐる実態というものを一体どういうふうにお考えなのか。中絶というのはただ家族計画の範囲でいいのかどうかということをちょっと伺っておきます。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大谷藤郎君) 確かに先生御指摘のように、私どもの方では結婚されました婦人の方々を中心にやっておりますが、そのほかにも保健所等を通じまして一般的な健康教育という観点から、また文部省等の協力も得まして、できる限りそういった問題についても正しい科学的な知識を普及しようということで努力しているところでございます。

江田五月参議院クラブ

○江田五月君 きれいごとの答弁ではどうもどうしようもないんでありまして、もう少しタブーに挑戦して、しっかりした行政が必要だと思います。  文部省という答弁の中にちょっと言葉が出ましたので、続いて文部省に聞いてまいりますが、たとえばいま性交渉というものは、婚前交渉というものは避けるべきだという意見と、好きな、愛情がある間は、愛情がある限りは婚前交渉は避ける必要はないのだというのと、どっちがいまの中学生の中で多いと思われますか、文部大臣。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 大変むずかしい御質問でございまして、答えに窮しておるというのが実情でございますが、御指摘のように性的に早熟化の傾向が見られておりますし、また性に関します情報がはんらんをしておる現状でございますので、青少年、学校の生徒等も含めまして次第に解放的になっておる傾向が見られていることは事実であると思います。  さて、どちらの方がいいかということになりますと……

江田五月参議院クラブ

○江田五月君 いいかじゃなくて多いか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) ちょっと私自体の調査もいたしておりません。あるいは政府委員の方で答弁をさしていただければありがたいと思います。

江田五月参議院クラブ

○江田五月君 結構でございます。  これは文部省がお出しの資料の中に総理府の調査が出ているのですが、その調査を見ると、婚前交渉について「避けるべき」というのは中学生で二四・三%、高校生で二七%にすぎないのです。「愛情があればよい」というのは中学生で七〇・七%、高校生で六九%に達しているのですね。  「好きな異性の友達がいるか」という質問、これは名古屋の調査のようですが、小学校五年の男で三二・〇%、六年の男の子で三八・九%、女の子は小学校五年の場合は四三・八%、六年の場合は五七・八%も好きな異性がいるという、そういういまの実態の中で、私はもうそろそろ性教育というものも、男の子は帰ってよろしい、女の子だけ集まりなさいと、そうやって集めて、雄しべが雌しべがという話をし、生理のときにどういう手当てをしますかという、そういう話だけをしていたのじゃだめで、もうこのいまの変わった現実の中で、いまの現実にもっと見合った母性保護の新しい倫理なり新しい道徳なり、これは女性もやっぱり母性をみずから保護しなきゃいけないわけで、そういう男女ともに通ずる新しい倫理を打ち立てていかなきゃいけないときが来ているのじゃないかと思うのですが、文部大臣、いかがですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 御指摘のような問題があることは十分に承知をいたしておりますが、これは単にそういうような技術的な問題のもっと根底に道徳の問題あるいは宗教的な問題、あるいは人生観に対しまする問題、あるいは一つの相手に対します人間としての尊重の念、こういうものがやはりなければならない、あるいはそれが確立されていなければならない。いまだその点が十分に確立されない状況のもとに性的な成熟が早められておるところに問題があるだろうと私は考えます。したがいまして、それらの問題を含めながらこれから努力をしていかなければなりませんし、いま申されましたが、かなり私は性的な教育の段階、具体的な段階におきましても雌しべ、雄しべだけでない段階にまでかなり突っ込んだ教育をしておると私は思っております。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で江田君の質疑は終了いたしました。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、市川房枝君の質疑を行います。市川君。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私がいただいております時間は、江田さんと同じように往復で十二分でございますので、私の発言は約六分ぐらいしかございません。しかし、いままで各党派の代表の方がいろいろな婦人問題を御質問になっておりますので、私は現在問題となっております点二点だけを簡単に伺いたいと思っております。  まず労働大臣に伺いたいんですが、婦人少年室の府県移管の問題についてでございます。労働大臣はこの問題について、きょう午前の石本委員の質問に対しまして、婦人少年室の活発な活動を認め、これを存続し強化したいとお答えになりました。私も婦人少年室が三、四人ぐらいの小人数でありながら地域とよく連絡をとり、働く婦人、一般婦人のために努力していることを認め、評価している一人でございます。したがって、国際婦人年が継続している間はこれを存続し強化すべきだと考える一人でございます。しかし、労働大臣がおっしゃいましたように存続が実現するお見通しですか、どうですか、それを伺いたい。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 午前中から各先生方から婦人少年室の問題につきまして種々御心配をいただき、御鞭撻をちょうだいをいたしておりまして感激をいたしておるところでございます。  先ほどの御質疑の中で宇野長官からもお答えがありましたように、閣議決定をして、ブロックの段階、県の段階と、いろいろとどのように行政改革を進めていくかということについて行政監理委員会で審議、調査をお進めをいただいているというふうに伺っているわけでございますが、なおいま調査を進められておる最中でございます。  私もお答えを申し上げましたように、各県の段階におきましてそれぞれ婦人少年室が独立した機関として非常に重要な役割りを果たしてきておりまして、地域のいろいろな婦人少年問題のまあ中心といいますか、お世話役といいますか、非常に大事な役割りを果たしてきておるわけでございます。特に最近の婦人問題が前進をしてきておりまして、いろいろな婦人の社会進出などの顕著な最近の傾向を見ましても、各県においてこういった機関が果たす役割りは非常に大きなものがある、このように考えておる次第でございます。今後、行政管理庁といろいろ相談をしていくことになりますが、私としてはぜひこの婦人少年室が今後も力強い活動が展開されるようにぜひお願いをしたい、このように心から期待をいたしておるところでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 労働省にはもう一つ一各府県にある労働基準局の府県移管の問題がございますね。両方存続がむずかしいということになると婦人少年室を基準局に合併すると、そういう案もちらほら聞こえてきておりまするけれども、基準局と婦人少年室とは全くその目的が違うので、これを合併することは全く無意味だと思いますが、労働大臣はその点の御意見いかがですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 労働基準局も婦人少年室もみんな血肉を分けた仲間でございまして、そのうちのどちらというのは、なかなかそんなことは言えることではございませんし、とにかくそれぞれが独立して非常に大事な機能を果たしておりますので、その活動がそれぞれ力強く展開をされていくように心からまあ期待をしておるわけでございまして、その気持ちをそのまま行政管理庁と御相談を申し上げていきたいと、このように考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 なお、この婦人少年室を府県に移管した場合に、府県はいままでの婦人少年室の任務とか活動を引き継いでいくでしょうか。私どもは、現状では消えてなくなるんではないのかという実は心配をしておるわけでございます。この婦人少年室の問題は、大臣御承知のとおりに、十年前に一度問題になりまして、私ども婦人議員は超党派でそれの反対の陳情に行ったわけですが、そのとき佐藤総理が、反対が強いから取りやめにしましょうなんておっしゃってくだすってストップした経緯があるわけでございますが、府県が婦人少年室のいままでやってきたようなことを引き継いでいけるかどうか。その見通しはどうですか、大臣は。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 非常にむつかしい御質問でございますが、全国を一律、全国をずっとおしなべてやっぱり国の婦人少年問題としてとらえていかなきゃならぬ側面もございますので、各県の機関の中に埋没してしまって、いまやっておるような機能が果たして継続してやれるかどうかということについては、私どもとしては非常に疑問がございます。  ただ、一つの機関が存廃をそのまま問われていくというのではなくて、行政改革というのは全体が見直されて、その中でどの機能がなお強化しなきゃいかぬか、どこかがもっと整理された方がいいかというような観点でとらえていかなければならぬというふうに考えておりまして、そういう意味で広い角度から今後行政管理庁といろいろ相談をしていくことになりますが、婦人少年室の機能はやはり国として非常に大事にしていきたい、このように考えておるのでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次は、この問題を直接担当しておいでになります行政管理庁長官にお伺いしたいと思います。  婦人少年室の府県への移管の問題は、来たる六月一日までに決定をなさるということで何か進んでおるようですけれども、いまどこまでその問題は進んでおりますか、それを伺いたい。

宇野宗佑自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) まず、先刻来婦人議員の方々が非常に真摯な御議論をしていただいておることを私は謹んで拝聴いたしております。現在の私の心境は全く白紙でございます。  どこまで仕事が進んでおるかということになりますと、御承知のとおり、これは一般的な問題でございますが、府県単位の出先機関を今後整理再編成すべきものと、あるいはまた、その仕事の上において地方自治体との間でどういうふうに役割りを決めていくか、いっぱいあるわけでございますね。だから、そういう問題を、行政監理委員会という委員会がございますが、この委員会には私を初めといたしまして七人の委員がおりまして、言論界から労働界から、あるいはまた学者、産業界の方々もいらっしゃいますので、この方々に一応私といたしましてはお願いをいたしまして、六月の三十日までにひとつ皆さん方のお考え方をまとめていただきたいと。現在といたしましては、この間さような意味でいままでいろんな機関が指摘をしてきました、これとこれはどうしたらいいんだというふうな指摘をしてきました。だから、指摘をされました機関に関して、鹿児島とそして広島両県にそれぞれの委員が視察に赴かれたという段階でございまして、もちろん、まだその視察結果によってだけ判定をする問題じゃございません。これから関係各位の御意見を十分拝聴しなければならない、これは先ほど来お答えしておるところでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま長官からお話しのように、調査をしておいでになる段階で、しかしいま担当しておいでになる行政管理庁の担当官の方も、それから最後的に決定されるのは長官を含んだ七人のその行政監理委員会でおまとめになるというお話なんですが、そういう方は全部男子の方ばかりですね。私が心配するのは、この婦人少年室の本当の仕事、どんなことをやってきたかと、どうだと、あるいはそれを受け取っている地域の婦人の人たち、それがどうかということは、まあ労働大臣はそれをしきりにお認めいただいているんですが、その行政監理委員会の方々に本当に認めていただけるかどうかということを心配をする一人なんです。私は行政整理は大賛成なんです。それで長官も非常につらい立場にお立ちになりながら努力しておいでになることに対して敬意を表している一人なんですが、しかし、統一的に、やれ府県移管がどうとかいうふうなことで一律になさるということには、私は反対といいましょうか、それはどうなんでしょうか、余り経費もかからないのに、そして、しかも非常に有効な成果を上げているというものは、私は、例外として残していただくということが本当の行政整理ではないのか、こういうふうに思いまして、婦人少年室はぜひ残してほしい、こう思うんです。しかし大臣としては、それこそいまイエスをおっしゃれる立場ではないことはよく存じ上げておりますから、その答えは伺いませんけど、ひとつその点を含んでいただいて、十分慎重にしていただきたい。きょうも各党派の代表の方々からこの問題について存続してほしいという意見がございましたことはお聞きいただいたと思いますけれども、いろいろ外の団体からも私どもに陳情がございました。そういう点もひとつ含んでおいていただきたいと思います。  それから次に、私、厚生大臣に売春問題についてちょっと伺いたいと思います。  いま北海道庁は、売春の事件が少なくなったというので、婦人相談所とその保護施設と合併をして、それから婦人相談員も人数を減らす、こう言っているわけなんです。これに対して現地の労働組合あるいは婦人団体なんかが反対していますが、厚生省はその事情を御存じで、これに御賛成をしておいでになるんでしょうか、それを伺いたい。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) 北海道から報告ございまして、婦人保護施設に、同じ場所に相談所を移したいという報告を聞いておりますが、今後の組織構造あるいは機能等につきましては、婦人保護事業が後退することのないようにというたてまえで関係者とよく相談をしてまいりたいと、こういうことでございます。私どもといたしましても、婦人保護事業が後退することのないようにという、そういう方針で指導いたしてまいりたいと思います。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 市川君、時間が来ていますから簡単に願います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私にはどうも後退に見えるんで、そういう意味で厚生省はひとつ北海道庁に指示をしていただきたいと思うんです。  それから最後に、厚生大臣からこれはお答えいただきたいんですが、売春防止法はもう制定されてから二十五年近くになるわけなんですが、非常に多様化し変化する売春の問題に対して、法律は全然一度も改正をしていないんですね。だから、いわゆる売春の現状に即した、私は、施設にしたっていろんなものにしたって、そうなっているんだと思うんですよ。少なくともそれを——主に所管しているのは法務省なんですけれども、しかし、更生施設の方の所管は厚生省なんであって、少なくとも更生施設だけでも私は厚生省としては当然現状に適したように改正をというか、研究をしておいでになるかどうか、ならなかったら私はぜひそれは当然研究をしていただくべきだと思うんですが、その点は大臣からひとつ伺いたい。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) せんだっても先生の御紹介で団体の方々とお目にかかっていろいろ御要望を承ったわけでございますが、御指摘のように、性に関する意識の変化ということにおきましても、売春の形態が多様化しておるし、また年齢が低下しておるという状況でございます。したがって、相談内容も非常に複雑多岐にわたっておるわけでございますから、指導相談体制というものが低下しないようにいろんな工夫をしなきゃならぬ。むしろ強化を図っていきたいということで、工夫をいたしてまいりたいと、かように考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 それでちょっとあれでございますが……

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) もう一問ですか。最後に願います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 検討していてくださるんですか、問題を。ただその扱いというか、運営の上で注意をしているというだけでなくて、私は運営態度はやっぱり根本的に検討してほしいということをお願いをして、それで私は終わります。ありがとうございました。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 検討さしていただきたいと思います。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で市川君の質疑は終了いたしました。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) この際、分科会に関する件についてお諮りいたします。  本件に関する理事会においての協議決定事項について御報告をいたします。  分科会における審査の日数は、明二十九日から四月二日までの四日間とすること、分科会の数は四個とし、その所管事項、分科担当委員数及び各会派への割り当ては、お手元に配付いたしました資料のとおりとすること、分科担当委員の選任並びにその辞任の許可及び補欠選任については先例により委員長に一任すること、分科会への参考人の出席についてはその取り扱いを委員長に一任すること、以上でございます。  右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、ただいま委員長に一任されました分科担当委員の選任につきましては、お手元の分科担当委員氏名表のとおりに指名いたします。  明日は午前十時から各分科会を一斉に開会することとなっておりますので、御協力くださるようお願いをいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四分散会

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