P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
91回国会参議院1980/03/17

予算委員会 第10号

発言数
351
登壇者
31
会派数
4
開催日
1980/03/17

会議録

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十五年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁澄田智君及び新東京国際空港公団総裁大塚茂君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) これより栗林卓司君の総括質疑を行います。栗林君。(拍手)

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 けさの新聞、テレビによりますと、大体一斉にあしたから公定歩合の引き上げをすることが決まったと報道しておりましたけれども、公定歩合の引き上げということは事実でありますかどうか、お尋ねしたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) 最近の物価情勢等によりまして、政府の方でかねがね総合物価政策を用意をせられておるというようなこともございますし、日本銀行といたしましては、二月の十八日に、今回の物価上昇の局面と申しますか、昨年来の情勢の中で第四次の公定歩合の引き上げをいたしたわけでございますが、その後の情勢にかんがみまして、今後の金融面における対策というものは、いままでの政策の効果の浸透等を見きわめつつこれを検討をいたしておるところでございます。  ただ、お断り申し上げなければならないことは、これはどこの国の中央銀行においてもそうでございますが、中央銀行当局といたしまして事前に公定歩合についていつどうするということは、これは申し上げられないことになっておりまして、実はいろいろ新聞に書かれておりますことはまさに御指摘のとおりでございますが、いま私の口からここでいつどうするということを申し上げることは御容赦いただきたいと存じます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 副総裁にお尋ねしたいのですけれども、公定歩合引き上げの前にこういう質問をするというのは私は大体不謹慎だと思う。ところが、最近は公定歩合の引き上げが非常に騒々しいんです。第五次という話は第四次の発表した直後からうわさとしては上がってきておる。書く方は勝手かもしれないけれども、日銀として一半の責任があるのかないのか。一説によりますと、日本銀行がマスコミ操作をして雰囲気づくりをしていると評する人さえあるのだけれども、その点は一体どうなんですか。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) 御指摘の点は、私どもといたしましてかねがね非常に遺憾にも思っておりますし、大いに私どもの立場においてできる限り注意をし戒心をしていかなければならないことと考えております。御指摘のように、第四次の引き上げの直後からさらに公定歩合の引き上げがあるかもしれない、これは御承知のような世界的な金利のいわゆるエスカレーションと言われておりますが、アメリカにおいて相次いでプライムレートが引き上げられ、あるいは前回の日本の公定歩合の引き上げの後、西欧各国——西ドイツを初めとしていずれも公定歩合を引き上げた、そして各国とも公定歩合の水準が非常に高くなっておる、こういうような状態から、憶測でそういう記事が始まったということが一番その当初のことではないかと思いますけれども、それが思惑を呼びまして債券市場等にもいろいろ影響いたしております。実際面、心理面においてまことに好ましくないことだと思います。その点は十分内部の者には徹底いたしまして注意をするように申しているところでございますが、なかなか、いろいろ注目されているだけにいろいろな記事になってあらわれる、こういうことがございまして、今後ともその点は一層注意をしていかなければならないことと思っております。  マスコミ操作というようなことを御指摘ございましたが、この点は絶対にさようなことはないというふうに私ども信じております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 国会でこうして質疑している者の立場からしますと、これまで第四次公定歩合が決まって、その後第五次のうわさがある中で一体どうなんだとお尋ねをしますと、第四次公定歩合の成果を見守っている段階でありますと、そういうお答えが常に返ってまいりました。それは正しいことで、公定歩合を上げますと、大体追随率からいって半年ぐらいやはり見守る期間があるはずだ。それがわずか一カ月ですよ。その見守るというこれまでの答弁が正しかったのか。あしたになれば恐らく発表されると思いますけれども、そのときに、見守るということと、いや、こう上げちゃったんだと、その間のいきさつというのは、われわれとすると、見守ると言われた方がうそをつかれたのか、そのときどきの話なのか、事は公定歩合ですからね。いままで御答弁になっておりました白紙であります、見守りますということは、なおかつ真実ですか。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) 公定歩合の効果は、確かに浸透いたしますまでに相当な時間がかかります。この間、貸し出しが徐々に抑制されるとか、あるいはマネーサプライの率が低下をしていく。そのためには数カ月ないし半年以上というような期間を要するものであります。しかも、昨年三回公定歩合を引き上げまして、その効果というものは逐次累積をしてあらわれてくる、こういうことでございます。二月の場合もまたその上にこの効果が加わっていく、こういうふうにわれわれ考えまして、その効果を見守ってまいるというのは、まさにそういうことを意味したわけでございます。  ところが一方、円のレート等にはすぐその影響があらわれまして、外国の公定歩合の引き上げによって、ことにアメリカの引き上げによって影響される、あるいは公定歩合でなくても民間銀行のプライムレートによっても影響される、こういう面もございまして、持続的な効果を見守る面と、そういうふうに直ちにあらわれてくる面と両方ございますものですから、その総合的な判断と申しますか、その状況において適宜機動的に考えるということも一面必要なことは御理解いただきたいと思います。  今回の場合は、その効果の浸透を見守るというのは、まさにそういうふうに考えておりましたし、その段階でございました。その後いろいろな情勢がさらに変化をし加速したと、こういうふうな次第でございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 大蔵大臣にお尋ねをしますけども、一応きょう現在は仮定の議論になるわけですが、仮に新聞が伝えるように過去最高の九%に公定歩合が上がった場合、預貯金金利の取り扱いも過去最高になる、そう考えてよろしいですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 一般論として申し上げまして、預貯金金利というものは必ずしも公定歩合の上げ下げによって影響を受けるものではない、そのときどきのいわゆる金融メカニズムの中で考えられていくべきものであるというお答えでお許しをいただきたい。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 九%というのは、第一次石油危機のときの最高の金利なんです。恐らく日本銀行とするとお答えになれないでしょうが、とにかく、これから始まる電気・ガス料金含めて、物価上昇要因が国内に拡散をしていく中で、とにかく最高金利までつけてしまいたいという気持ちが私は恐らくあったんだろうと思う。そういう異常事態の中で、預貯金金利もまた過去最高の数字を要求する権利がありそうな気がするのですが、その辺の理屈、判断はどうですか、重ねて伺います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 先ほど申し上げましたように、預金金利につきましては、長期にわたる貯蓄性資金に対する金利を含むわけでありますから、短期の調整手段である公定歩合と性格を異にするものでありますので、引き上げ、引き下げの双方にわたって必ずしも公定歩合と連動すべきものではないと考えられます。従来からこのような考え方に立ちまして、公定歩合の変更に当たっては、その変更に必ずしもとらわれることなく、経済、金融全般の情勢や諸金利の総合的なバランス等を勘案して、預金金利の適切なあり方について判断されてきたところであります。今後とも、御指摘のように、金融政策の手段としての公定歩合の機動的運営に対して、あわせて適切な預金金利の決定を図るという原則論にとどめさしていただきたいと思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 では、この問題、副総裁にもう一度お尋ねしますけれども、仮に九%としての議論にやっぱりなってしまいますが、九%というのは四十八年の十二月から五十年四月まで実は続いたわけです。思い返しますと、四十八年十二月からずっといって四十九年の三月、四月、緩和をしてもらいたいという声が非常に高まりました。私は、このときに緩和をしていたら、あの不況はあれほど深くはならなかっただろうといまでも思っているんですが、その後ずっと五十年四月まで続いた、その結果が、全部の責任が公定歩合だとは言いませんけれども、出た結果は、四十九年度で歳入欠陥、五十年度は四兆に近い歳入欠陥となってはね返ってきたわけです。そこで、仮に九%の公定歩合、事実あした発表でしょうが、これと景気との関係についてはどういう判断をお持ちになるか、基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) 現在の景気の情勢は、当面はかなり景気がしっかりしている、腰の強い状態であると、こういう判断に立っております。そして、このような情勢は四月以降においても、収益面においては若干影響は当然のこととしてあらわれると思いますけれども、設備投資あるいは個人消費等の面についての根強さというものはある程度持続をすると、こういうふうに判断されております。この点は、いままでの生産、在庫、出荷というような数字あるいはその予想、あるいは日本銀行が行っております、二月で行いました企業の短期観測等の生産計画あるいは売り.上げの見通し、あるいは来年度の設備投資計画、いずれの指標を見ましても、予想以上に根強いと、こういう感じを持っております。ただ、電力料金あるいはガス料金等の公共料金の引き上げ等が行われ、その影響というものが出てまいりますし、金融引き締めの効果も逐次浸透してまいってきている、こういう状態でございますので、今後の推移については十分に注意をいたしまして、そして機動的、弾力的な金融政策の運用というものは、これは引き締めを強化する場合もそうでございますが、これを弾力的に緩和するという場合においても、同じくこれはその情勢に即して機動的にやらなければならないものと、かように心得ております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 重ねてお尋ねいたしますが、「東洋経済」の一月二十六日号に日銀総裁のお話が載っておりました。そこの中で、一つ皆さんにぜひとも理解を得たい問題があります。物価と成長というのはトレードオフの関係であるように言われているけれども、私ども日本銀行はそうした考えはとっておりません。安定的な経済成長を達成するためには物価の安定が絶対に必要であると。物価か成長かではなくて、まず物価なんですというお立場を強調されておられましたが、この点といまの副総裁のお話は同じと考えてよろしいですか。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) いま引用されました考え方でございますが、これは日本のみならず、最近において欧米の学者あるいは実務家等の間においても、物価の安定が経済の持続的な成長を確保する一つの重要な要素であると、こういう考え方が一般的になってきておるわけであります。当然に経済は成長する、その前提としては将来の物価の見通し、これは消費の面あるいは設備投資の面その他経済活動全般にわたりまして将来の物価の見通しというものの基礎に立って行われるわけでございますので、その見通しを危うくするような物価の上昇ということは、結局、非常に大きな経済のスタグフレーション的な要素、こういうものをもたらす。これは外国の例等にもあるわけでございます。そういうことを申したことでございますので、私先ほど申しました現在の景気の腰が強いというようなことは、今後の物価情勢あるいは金融政策等によってある程度影響を受けることはこれは当然でございますが、その影響を見つつ、しかも、これを将来の経済が沈滞をする、鎮静をする、そういう状態との兼ね合いのところはこれは十分に注意をしていかなければならないところと思っております。そういう注意をして金融操作をすること自体が物価対策としての政策的効果と同時に景気の持続的安定ということの上で必要であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 では、問題をちょっと移しまして、現地時間で十四日に発表になりましたカーター大統領のインフレ政策についてまずお尋ねをしたいのですが、その前に、アメリカのインフレというのは一体どういう原因なんだろうか。その原因に対する考え方を経済企画庁長官、次に日銀副総裁にお尋ねをしたいと思います。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) お答え申し上げます。  まず、これは日本にも共通の——もちろん各国そうでございますが、昨年以来のいわゆる原油価格の大幅高騰、これがもう大変な大きなインフレ的な要素、一方ではデフレ的効果もありますが、国内の物価に対する大きな影響を持っております。それから、連邦政府の歳出規模が御承知のような事情でだんだんと拡大してまいった。それから設備投資がいま日本では、日銀からお話しのように、非常に底がたい状況を示しておりますが、アメリカではこれがだんだん行われなくなりまして、いわゆる資本装備率、これの伸びが鈍化をいたしまして、一方では時間当たり、一人当たりの賃金率の上昇と見合ったいわゆる労働生産性、これがアメリカではだんだん伸び悩んでおったと、こういうふうなことがインフレの基本的な要因だと考えております。そのほかに最近では、御案内のように、一般の国民の方々が貯蓄を取り崩してでもとにかく消費をやるような傾向が出てきたということが大きな私は原因となっておったと、かように考えておるわけでございます。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) ただいま企画庁長官が申されましたことに加えて申しますと、昨年秋ごろにかけましてアメリカにおきましてはマネーサプライがかなりのテンポで増勢を続けてきた、これがやはりインフレを加速する、そういうような作用をしてきたというふうに思われるわけでございます。その後マネーサプライの供給の抑制という措置がとられて増勢は鈍化をいたしましたが、最近においても、いろいろ高金利の影響、あるいはインフレ対策の総合対策がとられるということで駆け込みの資金需要等によってマネーサプライがどうしてもふえる勢いにある、これを極力抑えるというような、そういう対策がとられているところでございます。  なお、ただいまもお話のございましたような、設備投資の停滞を背景に生産性の上昇がきわめて低い、これがアメリカ経済の供給余力を縮小させているというようなこともありまして、価格の引き上げの趨勢を一般化しているということがあると思います。  その間の状態を示す数字といたしまして、アメリカにおける卸売物価は、現在一月で前年比一五%強でございますが、その中で完成品の物価の上昇が十三%強、ほとんど卸売物価全体と同じような趨勢で上がっております。これに対して、日本の卸売物価の状況を見ますと、輸入の素原材料の上昇を中心に、素原材料段階におきましては二月において前年に比べて七割以上の上昇でございます。石油、非鉄等の輸入品の上昇が大きなほとんど全部のこれの原因となっておるわけであります。これに対して、完成品の段階にいくまでに、川上から川下にいくまでに吸収が行われて、完成品の卸売物価の上昇率は前年に比べてまだ五%台である、こういうような状態の違いがアメリカのいまのインフレの原因を示しているものというふうに考えられると思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 それぞれ原因をお触れでございますけれども、より基本的に一つにしぼってみたら一体何になるのか。というのは、企画庁でお出しになりました年次世界経済白書を見ますと、十数年のインフレを見ると、景気循環を重ねるたびに物価上昇率が底上げをされている、——これがアメリカのインフレの特徴なんですよ。言い方を変えると加速化しているんです。ちょうど景気の谷で見ますと、六〇年が一・五%、七〇年が五・五%、七五年が七・〇%。アメリカのインフレ問題というのは、インフレが加速化していることなんです。しかも、その一番の問題というのは、いろいろお触れになりましたけれども、一体何なんだろう。最近の刊行されている物を見ますと、時々の特殊要因と基本的の要因と二つに分けながら、基本的要因で指摘しているものがあると思うんですが、まず企画庁長官にお尋ねします。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) 端的に申しまして、いま栗林委員御指摘のように、私は日本の前回第一次石油ショックのときの状態に大変類似した点があるように思うのであります。あのときは、御案内のように、大変インフレ的な基盤がもうすでにできておるところへ石油ショックということになりまして、いま日銀副総裁からもお話のあったように、卸売物価と消費者物価の上がり方があのころは大体パラレルに、アペースというんですか、同じような足取りで上がっておるんです。今度はその点は非常に日本は違う。しかし、アメリカでは、先ほどもお話しのように上がっております。これが私は基本的に日本と情勢の違う点であろうと思っております。  そして御指摘のように、そういう一般的な情勢のほかに、だんだんとインフレマインドが日を追い月を追ってアメリカ側の国民の全体の中に浸透しておる、これは早く物を買っておいた方が個人生活の上から言ってもいいと、こんなような空気が、これはもう第一次石油ショックのときに確かに日本にもあったわけでございます。日本では今度はそれに対してそういうことをやったのではみずから自分たちの足元が崩れていくことになるのだという、非常に賢明な消費者、経営者、労働者、皆さんの一致した考え方が私はアメリカと日本との非常な違いである、こういうふうな考えを持っております。インフレというものは、一たび火を噴いてまいりますと、御指摘のように、ちょっとしたことがきっかけになって大変な大きな破綻が生ずる。日本のトイレットペーパー騒ぎもまさにそうであった、こういうふうな感じを持っております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 日銀副総裁にお尋ねします。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) アメリカの現在のインフレ状態というのは、やはり過去数年の間に逐次高まってまいりましたインフレ気構えと申しますか、物価先高感というようなものが一般にびまんをしてまいってきている。それが昨年の前半あたりから卸売物価、消費者物価ともに一〇%台に達してきて、そしてその勢いは衰えないでむしろ加速されてきていると、こういう状態であると思います。その基本的な原因といたしましては、やはりそういう累積的な面でございまして、アメリカの財政の大幅な赤字というものも、七四、五年ごろから毎年巨額の赤字を出してきていると、こういうことでございますし、一方、設備投資が非常に投資意欲が低く、そして生産性の上昇が非常に低いと、こういうような傾向も、これはもう数年にわたってきているわけでありまして、それが逐次累積されてきていると、こういうようなことではないかというふうに考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 私が野党で質問するものですから遠慮されているのかと思うんですけれどもね。  日銀が去年出した「欧米諸国の物価動向」という資料がある。これに何と書いてあるかといいますと、インフレの発射台が高まった、構造的要因として。短期要因としては景気の上昇とか石油製品の上昇とか農産物があるんだ、問題はこの構造的な要因なんだ。インフレの発射台が高まった理由は何か、労働コストの上昇なんだ、こう言っているんです。今度は、企画庁が出した、先ほど引用しました年次世界経済報告、これで何と言っているかといいますと、特殊要因の影響は食料、ドル安、エネルギー等いろいろありますが、基本的要因は労働コストだ。七八年以来のアメリカのインフレの悪化のより重要な点は、こうした特殊要因を除いて、いわゆる物価の基調が一段と悪化したことである。物価の基調は単位労働コストとかなり密接に関係していると。今度は、昨年のアメリカ大統領経済諮問委員会の年次報告、これが何と言っているか、結論は同じなんですよ。インフレ加速化の原因の過半は基調的インフレ率が予想外に高まったことにある、基調的なインフレ率の動きは単位労働コストとかかわりがある。  この三つのリポートが一致して指摘しているのは労働コストなんです。その点をどうお考えになりますか。改めてまた企画庁長官と日銀副総裁に伺います。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) 先ほど最初に申し上げたときに触れたつもりでございますが、大変大事な点をいま御指摘になっておるわけでございます。私は、逆に言えば、アメリカと日本の違いを申し上げて、日本がこうした状況をたどっておるのは日本の経営者と労働組合との間の非常に良識的な交渉によって賃金の上がり方がきわめてなだらかに最近行われておる。これが労働生産性というふうなものとの見合いにおいてもほぼ妥当なところにおさまっておる。これが私は日本の経済の海外要因をホームメードに転嫁させない大きな力になっておることは、もうまさにいまお挙げになった各資料で指摘しておることそのとおりだと考えておるわけであります。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) アメリカにおける生産性の上昇率が非常に低下をしているというふうに申し上げましたが、これは賃金の上昇に比べて労働生産性の上昇がはるかに低いということによるものでございまして、賃金コストの上昇ということは、いわば生産性の非常に率の低い反面の現象として非常に大きな要因であると思います。そうして、生計費の上昇をそのまま賃金に上乗せをしていくような契約が広く行われている。いわば賃金の上昇がビルトインをされたようなインフレ体質の経済、まあ構造的要因としてそういうことが大きく挙げられると思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 総理にもお尋ねしてまいりますけれども、いま副総裁が言われた生産性の上昇率ですけれどもね、かつて三・四、これも一九五五年のころですから、そう昔じゃないんだけれども年率三・四、三・一、二・三と言っていたものが一九七七年から七八年では〇・四。しかも賃金上昇の方はカーターの自粛的賃金規制でもやっぱり七%、八%、九%。これでインフレがおさまるのかというのがアメリカの基本問題ではないか。これは改めて確認を求めません。以上のことを頭に置きながら、現地時間で十四日発表したカーター大統領のインフレ政策がいかなる効果を期待し得るのか、企画庁長官、日銀副総裁、そして大蔵大臣の御見解を伺いたい。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) お答え申し上げます。  今度、アメリカが従来金利操作、これを主軸にいたしましてやってまいったのでありますが、これはもう大変各国に問題を起こしまして、日本でも金利引き上げ競争というふうなことで非常に御心配をおかけしておったわけでありますが、この金利操作のほかに思い切った財政措置をやる、これも若干時間はかかりますけれども、基本方針としてはそこに手をつけられる、大きな私は変化であると考えております。そのほかにも、公定歩合自体は据え置かれましたが、信用規制、その他量的な金融の引き締めというものを強化しておる、こういうことが第一の特色かと思います。そして、こういうことで、そのほか、いまエネルギーの節約であるとか、先ほどお触れになった賃金のガイドラインについて、これはまあ効果はどの程度かというふうな問題があるようでございますが、一方では政府の調達計画、調達の対象に企業を選別すると、こんなようなことで相当の効果を上げるというふうなことが含まれておるようでございます。  そんなわけで、私はアメリカが相当思い切った対策を打ち出し、これでいままでだんだん御指摘のようなインフレを抑え込む。そして、ドルの安定、国際収支の改善と、こんなようなことで、いわゆるファンダメンタルズの改善にも大いに努力をしようという意気込みが感ぜられるわけでございます。そこで、これがわが国及びその他の諸国への影響というふうなことでございますが、私は、やっぱり世界的なインフレ傾向、これを抑制するためにアメリカが率先してキーカレンシーであるドルを守るという態勢を示されたことは大きな意味があると、こう申さざるを得ないと思うのであります。これによって世界経済がインフレ的な傾向をどんどんいままで加速しつつあったのがそこで歯どめがかけられ、だんだんと安定した傾向になっていく。各国それぞれに適切な物価総合対策等を講ずることによって、今後世界経済にも大変堅実な歩みをもたらすことができるものと期待し、われわれも一層の努力をしなければならぬと心得ております。

澄田智日本銀行副総裁

○参考人(澄田智君) このたびのアメリカの総合対策は、金融面におきましては従来の公定歩合を引き上げ、そうしてその後さらに市中銀行のプライムレートが引き上げられる、公定歩合がこれを追っかけるというような形になって金利引き上げがエスカレートをする、そして、それが諸外国の金利にも非常な影響を与えるというようなことに対する考慮もあって、金利の引き上げではなくて、量的な信用の規制という意味ではいろいろな手段をいろいろな面において強化をするということで、きわめてきめの細かい実質的な効果もねらった措置を幅広くとっているものと、そういうふうに考えるわけであります。したがいまして、金融面においては相当な効果を上げ得るものであると、こういうふうに考えるものであります。しかも、今回は財政面においても八〇年度、八一年度にかけて強い措置を打ち出しておりますし、その他エネルギー消費の面等も対策がとられておりますので、現段階において考えられます対策としては非常に網羅的なものであるし総合的なものであると、かように考えられるわけであります。ただ、るる御指摘がありましたように、非常に長い期間にわたって根強いインフレ状態というものを考えますときに、この効果の浸透にはやはり相当な期間がかかる、しかし、かなりな効果を持つものである、それによってアメリカのインフレ率が多少時間はかかっても鎮静をしていくということは世界の経済において非常に大きな意味を持つものであると、かように考えるものであります。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 先ほど来栗林委員御指摘でありましたが、私どもがまず評価しなければならないのは、インフレ対策のカーター演説の最初でございますが、今日われわれが直面するインフレは根が深い、その多くの原因は過去十年以上の間に生み出された、これらの中で最も重要な原因は世界石油価格上昇、生産性の伸びの低下、そして次に米国の政府、個人、社会が収入の範囲内で暮らさなかったことである、これが私も非常に印象深い言葉でありましたのであえて申し上げたわけであります。したがって、今後のこれに対する評価でございますが、先ほど来お話がございますように、五項目という、従来の金融のみでなく、歳出削減をも含む五項目と、そういうことでございますので、確かに時間がかかると思います。しかし、アメリカのインフレが鎮静して米国経済が安定に向かうということが期待できますだけに、世界経済の健全な発展にもこれは資するところとなりますので、わが国といたしましても評価できるものではなかろうかというふうに考えております。  そして、今度は直接日本への影響ということになりますと、長期的に見なければわかりませんが、いまの時点で言えますことは、円レートの本日の寄りつきが二百四十八円九十銭、九時半現在が二百四十八円六十五銭でございますので、いまのところ、このカーター演説前と今日と余り大きな変動はないわけでございますけれども、これにつきましてはいろいろな評価がございますが、いわゆる公定歩合上げを見込んでおったものが三%のサーチャージになったと、あの三%のサーチャージというのは非常に理解のしにくいものでございますので、私どもが勉強いたしましても、その辺がまだ不確定要素ではないかというふうに、これは漠然たる最も近い時点でとらえた一つの印象だけを申し上げます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 大統領選挙を前にしてずいぶん大胆な政策を打ち出したものだと思いますから、私も評価するにやぶさかじゃないけれども、それはそれとして、根本原因について何もやっておらぬじゃないかということは、日本としてやはり言うべきことは言わなきゃいかぬ、私はそういう態度が本当だと思いますよ。とにかく簡単に言うと生産性がゼロ、だけれどもカーターの賃金自粛でもそれが七・五%、これはおさまらないですよ。しかも、この自粛そのものが何と言われているかというと、デッドレター——死文化しているとさえ言われているのがこのありさまでしょう。したがって、主として金融政策に偏ったものではありますし、しかも、その内容は大胆であるとは思いますけれども、近い隣国日本として見ますと、まだまだあれでは足らぬということは、私は率直に言わないといけないことではないんだろうか、そう思います。  労働コストの話が出たので、じゃ日本はどうかと言いますと、現在おおむね八%を基準にした賃金要求、賃金闘争が進んでおります。では一体、日本の労働生産性というのは過去一年間に何%上がったのか、労働大臣に伺います。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 製造業部門の労働生産性の上昇率は最近年率で一〇%を超える率になっております。この傾向は昭和五十三年の終わりごろからずっと続いていると、こう申し上げていいと思います。五十年を一〇〇といたしまして、基準時になっておりますが、昭和五十三年の年平均値が一二七・四、一月−十一月の平均値が一二六・九、五十四年の一月−十一月の平均値が一四二・二になっております。前年の同期比を少し申し上げますと、昭和五十三年の前年上昇率が八%、昭和五十四年の一月−十一月の平均の前年同期の上昇率が一二・一%、昭和五十四年一月から十一月の平均の昭和五十三年平均に対する上昇率は一一・六%でございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 総理にお尋ねしますけれども、総理とカーター大統領を比べますと、総理は本当に恵まれた立場にいると思います。カーター大統領の方は生産性ゼロ、抑えたところで七.五%、インフレをどうしようもない。日本はどうか、一〇%を超える生産性の伸びにもかかわらず八%要求なんですよ。この民間労働者に総理は感謝をしながら、よっぽど政策選択の幅が多いのですから、私は、今後の近く発表されるでありましょう物価対策についても、よほど思い切ったことをしながらその誠意にこたえる必要がないか、まずお気持ちだけ伺います。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本の生産性の向上、困難な状況にかかわりませずいま労働大臣が申し上げたような傾向で上昇を見てまいりましたこと、これは高く評価しなけりゃならないパフォーマンスであると思います。にもかかわりませず、常識的な賃金上昇に対する態度を決めていただいておりますことは、これまた多としなければならぬと思います。これの前提といたしまして、しかしながら、物価を政府が予定いたしておりまする水準において維持していただかなければならぬという強い要請がございますわけでございます。したがって、私どもはその点に全力を挙げて対応いたしまして、労使双方の期待にこたえていかなければならぬと、それが私どもの最大の責任であろうと思っております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 そこで、政府として十九日ですか、発表される内容はわかりませんけれども、一番中心になるのが私は公債発行の減額問題だと思います。言い直しますと、公共事業の削減問題。  日銀総裁、これは副総裁も同じ御意見でございましょうが、お書きになっているものを引きますと、要望点いろいろ言われまして、「とくに公共事業の執行にあたっては、引き続き抑制方針がとられることを期待している。」と言いながら、続けて、「今後の財政のあり方については国債の減額を最優先に考え、財政再建が進められることを強く念願し」ますと。国債十四兆の予算はいま出ているわけですけれども、その国債の発行状況と照らして、それをいかに削減するか、まさにここのところに物価対策の今度は政府が担う一番大きな課題があると思いますけれども、まず大蔵大臣、いかがお考えでしょうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) まあ国債の減額、これがまずこの五十五年度予算の当初におきまして一兆円というものを減額しましたのも、いま栗林委員の御趣旨に沿った基本的な物の考え方の一つであったと思います。そしてまた、すでに御審議、通過成立さしていただきました五十四年度の補正予算につきましても減額をしたわけでございますので、とにかく絶えずまず国債減額ということを念頭に置いた経済運営というものをしなければならぬということは基本的に一致するところであります。  それから、次の問題がいわゆる公共事業の削減と、こういうことでございますが、これは一般公共事業関係費を前年度と同額にして編成をいたしましていま御審議をしていただいておる予算でございますので、これが過大なものであるというふうには考えておりません。ただ、その執行に当たりましては、そのときどきの経済情勢に応じて機動的、弾力的に対処することが必要なことは言うまでもございませんし、そうして、五十四年度の公共事業費につきましても五%をいま留保さしていただいておる。しかし、留保と申しましても、もうすでに年度末の近い今日、おのずからこれは繰り延べという結果になるのではなかろうかと思いますので、これもそのときどきに応じた弾力的運営の一つであるというふうにお考え賜りたいと思うわけであります。したがって、五十五年度につきましても、当然機動的、弾力的な運営をやることになろうと思うのでありますが、十九日、物価総合対策の中でいろいろ鋭意検討されておるところでありまして、いまの御意見は当然のこととして、貴重な意見として承らしていただくべきものであると、このように考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 大蔵大臣にお尋ねしますけれども、国債市場の暴落状況等を考えながら聞いているんですが、公共事業の執行繰り延べをして年度末にこれだけ要らなくなったから発行しないととにしたというのと、いまからこれだけはもうやめます、その方針に従ってあとは公共事業の執行をしますと同じことなんですがね、立ててしまえば。ただ、どちらの方がいいと思いますか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) この繰り延べしたものは当然のこととして五十五年度の公共事業の予算減額の中へ入るわけでございますので、それそのものが国債減額の対象にはならないというふうに私は考えております。  いまの栗林委員の御発言というものは、留保分を実質上それが繰り越された場合、むしろそれを不用額に立ててそして国債の減額に充てたらどうだという考え方に立ってのお尋ねであろうと思うのでございますけれども、やはり私は今度の五%というものが、確かに五十四年度中の執行の段階においてこれが景気対策等について留保したところにも一つの意義がありますが、これが翌年度に繰り越されることによって、あるときそのものが景気の下支えの幾らかの役割りを果たし得る可能性も持っておるという意味において、私は、これは繰り越しとして五十五年度の予算減額の中に繰り入れて、そして執行の段階においてはまさに機動的に弾力的な執行を行えばいいと、こういう考え方でありますので、栗林委員の御意見も一つの私は見識だと思いますが、その年度で不用額に立てて直ちにそれだけをもう国債減額に充てろという方針はいまとる考えはございません。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 国債の引き受け状況を見ますと、御存じでしょうが、五十四年の四月から十一月だけをとりましても預金等の増加額の七六%が国債になっちゃっている。都市銀行に至っては一二〇%ですよ。もう突破しちゃっている。この状態を前にしながらいまの御答弁はずいぶんゆとりがあるような気がするんだけれども。  大臣、変なことを聞きますけれども、会社の社長さんに聞きますと、朝起きたらまず見るのがわが社の株価だそうですよ。それから配当できるかな、もうそれを考えながら経営をしているんだと、これは十人が十人おっしゃる。いま評価損、売却損が四千億近く出るかもしれぬ。あの四千億近くは、株価を心配し、配当を心配しているあの人たちの責任なんですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) それは諸般の環境の中にやはり企業責任者は企業責任者としての責任は私はあると思います。しかし、その環境というものは、結論から申しまして、国債管理政策というものが——基本的には国債が多過ぎる、これの一語に尽きるわけでございます。したがって、今日国債の価格が下がりまして、私どもも総理の隣に座っておりまして一番先に報告するのは為替レートと国債の価格、これでございますので、確かにその社長さんの気持ちもわかりますし、そうした環境にあるということは重々承知いたしておりますだけに、これが発行についても、まさにそのときどきに応じたニーズに照らしていろんな手法を考えていかなければならぬ問題ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。したがいまして、国債管理政策というものの中でいま一つの悩みを感じますのは、さればとて国債整理基金で三千億オペすると、こう言っておりますけれども、いままで二千億でございますが、それが表現としては非常に適切な表現かどうか、いわゆるまた国債エゴイズムみたいな形になって、債券市場全体がやっぱり健全化するということはそれこそ基本的な問題でございますので、それだけを考えるわけにはいきませんけれども、それに対してもそのような措置もとるべき一つの対策であるというふうに考えておるところであります。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 とにかく国債が多過ぎるんですよね。じゃ口を締めなければあのマーケットの様相もそれは変わらない。再々お答えでございますから繰り返しませんが、ただ、国債が多過ぎるということはインフレ要因になる、それもお認めだと思います。これからがインフレの正念場でして、一過性で済ませるか、ホームメイドインフレになるか、そこのところでこの国債発行額をさらに努力をして、さらに一兆円減額をするぐらいのことは私は政府としては当然やるべきだと思います。  で、企画庁長官にお尋ねしたいのですが、公共事業ですが、いま大蔵大臣は、まあまああのぐらいのことはということをおっしゃったけれども、公共事業のいまの水準はそれ自体が物価上昇の原因になっておりませんか。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) 先ほど来栗林委員と大蔵大臣でいろいろ質疑応答されましたのを拝聴いたしまして、結局いろいろの政策の基本が総需要と供給力との見合い、これを十分にらんで財政も金融もまた一般消費生活もやっていかないとアメリカの轍を踏むようなおそれがある、そういうふうな点でいろいろ御指摘になっておるというふうに伺っております。  これは実はこの間も大平総理ともいろいろお話を申し上げたときに、総理からは特にいままでは便乗値上げを排除するというふうな防御——専守防衛ですか、そんなような態度であるけれども、さらに生産性を向上して、先ほどお話しのように、労働生産性に見合うように政府自身もいろいろとこの生産性向上でコストを吸収するというふうなことにさらに努力するとともに、民間の企業の方にもそういうふうなことでお願いをしていかなきゃならぬと、こういうふうなことを言われております。  いま公共事業について特に御質問でございますが、先ほど大蔵大臣からお述べになったように、いままで非常に需要の多い——経済社会七カ年計画でも公共投資二百四十兆円、社会資本整備がおくれておりますから、大変この需要は多いわけでございます。しかし、まあ何としてもいまはインフレを悪化させないようにということが基本だからというので、本年も前年度並みというふうに抑えられたわけであり、しかも、前年度から若干の留保をしてこれを繰り越し、さらにそれを弾力的、機動的に運営しよう、こういう態度でございますので、私は、大蔵当局あるいは公共事業を所管をされる建設省その他の各省で十分この実施の状況を見合って、そしてそれが、先ほど申し上げた需要と供給について適切なバランスをとっていく、さらに生産性を向上することによって吸収していくというふうな努力を重ねられることによって、大体においてそういう政策をしっかり推し進めて、公共事業の実施から物価に悪影響があるようなことにはならぬように、ぜひとも、抑制的といいますか、引き締め基調といいますか、そういうふうな気持ちでこれから具体的にいろいろ御相談をしてまいらなければならぬと、こんな考えを持っておるわけでございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 私のお尋ねしたのは、いまの公共事業それ自体が物価上昇の原因になっていないでしょうかとお尋ねしたのです。  私、では数字を申し上げます。経済白書の中に資料がありまして、中を見ると「公共工事関連主要資材の卸売物価の動向」、五十年から五十四年の六月まで入っております。五十一年、二年、三年と見ますと、大体卸売物価の平均と関連主要資材がぼちぼちのところで動いている。五十四年から急速にこれが変わってきた。どう変わったかと言いますと、一般の卸売物価平均の伸び率に対する倍率で申し上げますと、建設資材が二・五倍、小型棒鋼が二・三倍、石材、骨材が二・三倍、生コンが四・四倍、これはごらんになるとわかりますけれども、急激な変化です。というのは、この時点で実はもう見直しをしなきゃいけなかった。いわんや、ことしですよ。だから公共事業は景気の下支えと大蔵大臣は言うんだけれども、これは企画庁長官も言われたし、日銀副総裁も言われたんだけれども、いまの景気は根強いんですよ。そういう状況の中で、むしろ公共事業は先ほどの公債発行との見合いも考えて思い切ってこれは落とすべきだと。後段は別にして、前段の関連主要資材の値上がり動向についてどうお考えになりますか。

正示啓次郎自由民主党・自由国民会議経済企画庁長官

○国務大臣(正示啓次郎君) そういう状況を見合って全体としての規模の抑制ということが行われ、さらにその実施の弾力的、機動的な配慮ということをしなければいかぬという点の認識においては、もうこれは政府部内はみんな一致しておるわけでございます。問題は、それをいかような形でやることによっていろいろな影響を最小限度に食いとめていくかと、こういう点にいま着眼をいたしまして各省庁で御相談をいただいておるわけでございます。もう一つの点は、やはり国会でいま御審議をいろいろしていただいておるので、栗林委員のいまの御意見等を伺い、また明日の連合審査等の御意見も十分伺って、これを実施面にももちろん取り入れてまいらなければならぬことだと考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 大蔵大臣にいまの後段の関係でお尋ねするんですけれども、来年度の公共事業が六兆六千五百五十四億、中身を見ると大体半分か四割補助金だと思います。で、補助金で公共事業へ出ていってもちろん構わないわけですけれども、しかし、この補助金を中心にしながら五十三年、五十四年つけてまいりましたね。ここに来てやはりあれはちょっともう多過ぎたと。公共事業関連資材の物価動向を見てもちょっと考えなきゃいかぬと。と言ってこの工事をやめるということはそれはまずいと、そうなればせめてこの補助金になっている分、それについてある一定率でカットしていく——個々に議論していったら切りがないですよ、一定率でカットをする。しかも、それは地方自治体がやるわけでしょう。地方自治体の方はいまの景気を反映して税収は改善しているわけでしょう。だったら昨年度で言って二兆九千二百四十四億、この補助金はむしろ減らすのが当然だったんじゃないかと思いますが、いかがですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) この公共事業費の中に占める補助金でございますが、これはいま御指摘のとおり、地方公共団体に対して、地方公共団体が施行されます公共事業に対する補助金でございます。したがって、ある意味においては補助率ということになっておるわけであります、その計画に対する補助率。だから削減しろということは、言ってみれば今度は補助率を改定しろと、こういうことになるわけであります。補助率というものについての歴史的経過というのは、まあ大変長い経過の中におのずからその補助率というものが決まっておりまして、これは物によっては三分の一あり二分の一あり、あるいは四分の三あり、そうしたものを一律にカットするというような状態の性格のものではない。私は、公共事業というものについての仮にもし栗林委員の御説を生かす場合は、補助金という地方へ行くものに対するものをカットするという考え方ではなしに、やはり全体のものの中でこの執行段階において配慮すべきものではなかろうかと、このように考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 この「金融財政事情」という雑誌の中で大蔵省の理財局長が文章を書いていましてね。引用させていただいて恐縮なんだけれども、中身はそのとおりだと思うから引用するんですけれどもね。今年度どのぐらい公債を減額するかということに触れながら、「それでは、どの程度減額すべきなのか。数字のうえでは、五九年度までに赤字国債をゼロにするという一応の目標がある。五四年度の赤字国債は約八兆円。したがって、五九年度まで五年しかないから、赤字国債をゼロにするためには、ほんとうをいえば、二兆円ぐらい減らさないと計算が合わない。」、もともとこれでスタートしたんですね。ところが、一般消費税括弧つきが去年の選挙を前提にしてどうやら雲行きが怪しくなっちゃった。各方面の要求を満たしていくと、どうにもこうにも予算が組めない。したがって、一兆円でがまんをした。なおかつ、しかし減らしていかないと計算が合わないんですよ。じゃ、どこで減らすか、赤字国債が減らせるか、それはいまの行政改革の進行状態では無理です。そこで、局長さんおっしゃっているのは、したがって、赤字のみならず建設国債もあわせてできるだけ総額を減らさないと困ると思いますと、という面での公債発行額でもあるわけです。  時間がなくなりました。総理にお尋ねをします。  アメリカは賃金その他の下方硬直性で困っておりました。日本は何に困るかというと補助率の下方硬直性なんですよ。そこに大胆に挑戦をしながら政府みずからが努力をしていかなかったら——だって生産性問題を考えてみたっていまの円安になるわけがないではないですか。ところが表は円安になっている。私は、この一半の責任は政府の態度の不透明さ、不徹底さにあると思う。近く物価対策をお出しになるようですけれども、以上私が申し上げた点を踏まえながらぜひ御努力いただきたいと思います。  意見を申し上げて終わります。(拍手)

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 澄田参考人には、御多忙中のところ御出席をくださいまして、まことにありがとうございました。御退席をしていただいて結構でございます。  以上で栗林君の総括質疑は終了いたしました。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、秦豊君の総括質疑を行います。秦君。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 私は、参議院クラブを代表して質問をいたしたいと思います。  最初に、総理なんですがね、先日は大変お元気で人生の大きな節目を過ごされて結構でした。いや本当なんですよ。それにしましても総理ね、いまの笑い顔なかなかいいんですけれどもね、最近特有の大平スマイル余り拝見できませんね。やっぱりあれですか、大平政権の支持率二七%なんという厳しい数字がやっぱり気になりますか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 気にならないと申しますとうそになりまして、そういうことは絶えず気にしながらやっておるつもりでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そうだと思いますね。いま大平総理は、総理としていま何に最も心を砕いていらっしゃいますか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政治と行政が清潔に秩序正しくまいることが一番いま大事だと思いまして、そのために内閣としてどう心がけていくべきか、政府として何をし、何をしてはいけないかと、そういうことが第一にございまして、あわせて国際環境が大変厳しゅうございます。政治も経済もそうでございますが、そういう中にありまして日本の安全、国民の生活というものを何としても守らなければならないと、それが私の最大の任務だと思っております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 伊藤博文内閣からずっとこう歴代宰相像というのがあるわけですよね。当然大平総理にもあなたが常に追い求めていらっしゃる宰相像がおありだと思う。あなたはどんな総理を目指していらっしゃるんですか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本国民は、先ほども栗林さんの御質問を通じて明らかになりましたように、大変すぐれた国民でございまして、こういう苦しい困難な環境のもとでも生産性の向上をやり遂げるだけの力量を持った国民でございます。したがって、私は、国民を大きく指導しようというような大それた考えを特別に持っておりませんで、ここですぐれた国民の能力というものをできるだけ秩序正しく展開する手だてを考えて、日本の進運を切り開いていこうと、そういうよき意味のコンダクターになれないものだろうかというのが私の念願でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 大変あなたらしいと思うんだけれども、一般の政治家と総理、かなり違いますね。一般の政治家を見るよりも、当然あなたに対しては注文が多くなる。あたりまえでしょう、これは。やっぱり決断力とか難局に対処する、危機の時代を切り開く、リーダーシップ、こういうふうな注文が多くなる傾向についてはどう思われますか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 当然だと思うのでございます。困難なときに政府に勇断を求め、機敏な対応を求めることは当然の国民の権利でもあるし要請であると考えております。  それを受けてどう感じるかということでございますが、もちろん、それに対しまして政府として全力投球をしなければならぬと思いますけれども、対国民でございますので、国民といたしましても分別を持って対応していただくことを期待しながら、政府としても全力を挙げるというようにありたいと思っています。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 それにしても、最近とかく事件が多過ぎる。それは総理の実感でもあるでしょう。日本の政治に何が最も基本的に欠落しているんでしょう。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま事件が非常に多い、いろいろな腐敗が暴露されておる、御指摘のとおりでございますが、このことは、そういうことが起きた場合に、そのことが明らかになりまして、究明されてそれが是正される手だてを講ずるという民主主義体制というものはわれわれが常に考えておかなければならない大事な基盤だと思うんです。何がどこで行われておるかというようなことがわからぬ世界、一番困るわけなのでございますが、日本の場合におきまして、そういったことが明らかになりまして、国民の知る権利にこたえられるだけの体制ができておるということ。でございまするから、私は、この民主体制というものは、運営は大変むつかしいし、忍耐としんぼうが要りますけれども、これは何としても守っていかなければいけないということをこういう世相にかんがみて強く感じておるわけでございます。  同時に、しかし、それが事件が起こったということでございまするならば、できるだけ早く実態をきわめて、それに対する手当てを急いで国民にちゃんとした処理がちゃんとした手続でできたというようにしていかないかぬと考えておりまして、そういうことをすることがこういう事件の再発を防止する一番有力な手順ではなかろうか。それに対して政府は一番大きな責任を持っておるというように私は感じております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 それも確かにその部分に限定すれば、おっしゃるとおりだと思いますね。とにかく金にまつわる構造的なスキャンダルが多過ぎる。日本の政治にいま一これは私見によれば、やはり一番大きくぼくは欠け落ちているのは方向性じゃないかと思う。日本の戦後政治を考えてみても、状況対応型、ただ風のまにまに、波のまにまにというところが余りにも多過ぎたと私は思っているんですよ。そういういら立ちが国民の皆さんに多いんじゃないだろうか、とりわけ大平総理に対して。違いますか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 非常に事態が複雑になっておるわけでございますから、そこにすっきりとした展望、鮮明な展望を提示してもらいたい、また、それへの道順というものを提示してもらいたいということは、これは当然の国民の要求であろうと思うのでございまして、それに対しまして政府はちゃんとこたえる、政治はそれにこたえるだけの力量を持たないかぬと思うのでございます。その場合に私どものいまの対応が、秦さんがおっしゃるように、必ずしもそういうぐあいにいってないじゃないかということでございますが、それは事柄自体がむつかしいわけでございますし、ただ展望を示すだけで、それに至る手だてを示して、しかもそれが成らないというようなことになりますと、なお信頼が壊れていくことになることを恐れるわけでございまして、提示する以上はやっぱり自信のあるものを提示せなならぬと思うわけでございまして、それには時間もかけ手間もかけてやっておるわけでございますが、そこにもどかしさというものがあることは私は痛いほど感じるわけでございまして、できるだけスピーディーに対応するように精いっぱい努めなければならぬと思いますが、それがなかなか思うに任せないでおるという点は自分も反省しながら努力をしておるところでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 総理ね、非常に総理らしいんですよね。飛び出さない、コーディネーター、引っ張らない。結構なんですよ、冒険しないからね。それが反面のもどかしさになっていることはどうやら御認識のようだから。いいです。  八〇年代という——この表現は余り正確じゃありませんがね。八〇年代という時代を大平正芳総理はどう直感していらっしゃるか、あるいは認識していらっしゃるか、どうでしょう。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) この八〇年代に人類に差しかかってくる問題、これは資源の問題、石油とか食糧とか.いうふうな問題もございまするし、それより基本的に世界の秩序、最小限度平和な秩序が維持できるかどうか、そういうことをやり遂げることができるかできないかが人類が生き延びることができるかどうかの非常にかぎになるのではなかろうか。そういう意味では、八〇年代というのは大変大事な時代である。つまり人類の死活をかけた大変歴史的な十年間という思いをいたします。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 私もそうだと思うんですね。一言で言えば、日本としては主体的な選択の幅がきわめて狭い、限定される。それから概括的に言えば危機の時代じゃないか。超大国の理性も私はそれほど信頼を置いていません。その理性がためされる。転換と模索。何かあがいている、まさぐっている、しかし確たるものはない、こういう時代だと思いますね。だから、そういう意味においては、あなたは危機の時代の宰相なんですよ、まさに。だから、時間が最大の援軍であるとか、したたかに待つことの強さという大平流だけではしのげませんぞ。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思うのでございまして、もっと新たな対応力を身につける必要を感じるという点につきましてはあなたの御指摘のとおりに感じております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 大きな流れ、方向——総理に聞くんですからね、これはアメリカの対ソ戦略は明らかにめりはりをつけて変わった。当分続く、これが。フィックスされる。だから、たとえば対ソを第一義とした米中準同盟というふうな動きがすでにある、兆しではなくて。こういう中にあってわれわれ日本が、特に宰相としてなすべき第一義は、総理、何でしょうね。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) アメリカとの友好関係を軸といたしまして、日本の平和外交を展開してまいったわけでございますが、そのアメリカ、がいま相対的に対応力を弱めておるということでございますが、こういうときであればあるほど私は日米協力というのは大事だと思っておるのでございまして、アメリカが信頼できる抑止力、対応力を持っていただくようにならなければならぬし、そのためには、やはり日米協力関係は従来以上に気をつけて、強めてまいるというようにしなければならぬと第一に思います。  しかし、日本も世界の中で一割の国力を蓄えるだけの大国になっておるわけでございまするし、日本の周辺にはそれぞれの友邦が現存しておるわけでございますので、アメリカとの関係は第一に考えなければなりませんけれども、同時に、日本として自主的に諸外国との友好関係を固めてまいるという努力もあわせてこれまで以上に強化していかなければならないと考えておりまして、したがって、この十年間の経過の中でそういう責任が非常に多くなったということをしみじみ感じておるわけでございますし、その責任にどうしてもこたえなければ国の内外の期待にはこたえられないのではないかという思いを新たにいたしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 総理、もう一つアングルを変えて伺っておきたいんですが、アフガニスタンだ、イランだ、中東だといって、アメリカの対ソ戦略は変わったわけじゃないんですよね、既定の路線、方向なんだから。いま新たに、新しい冷戦という言葉もニュース用語にさえなっておりますけれども、私は超大国の理性は余り信用していないという前提を持っています。同時に、いまの冷戦の枠組み、転換したアメリカの対ソ戦略、相当長い間続くと思っておりますけれども、総理の御認識はいかがでしょう。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 米ソの間のデタントというものは、あなたのおっしゃるように、私は長く続くと思っております。米ソ双方ともこれを崩そうというようなことは考えていないようでございますし、いままで表明された首脳の言葉の中にもそういったことが明らかに示されておるばかりでなく、そういうことができるはずがないと。どうしてもこのデタント状態というのは守られていくでございましょうし、また守られなければならぬと、世界のために。それだけの責任を両国とも持っておると。そういうことに対して両国の首脳はちゃんと自覚しておるというように私は確信をいたしておるわけでございまして、その基調は私はあなたと同様にみじんも不安を感じておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 こういう質問の仕方はちょっとあれなんですけれども、総理、あえて伺わしていただきたいが、こういうざらざらした角逐を深めた現状、この延長線上にやはり米ソ超軍事大国の一種の激突、不幸な事態、戦争というふうな、蓋然性としてはもちろんそうでしょうが、総理の認識の中ではそういう危機があり得るというふうな認識でしょうか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) どう考えてみてもあり得るとは考えられませんし、また、あってはならないと、世界挙げてそういう事態の回避のためには全力を挙げなけりやならぬと思っております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 これからの世界外交を展望し模索した場合、イスラムパワーに対する正当な理解と認識なくしては私はかなうまいと思います。イスラムパワーの動向、目指すものについて、総理はどういう認識を持っていらっしゃいましょうかね。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いままで世界を支配いたしました考え方、哲学というようなものがいろいろな角度から見直されておると思うのでございますが、その中の一つに、イスラムに代表されるような一つの宗教という視点が新たな問題、新たにわれわれが検討し対応しなけりゃならない問題として提起されておると、近代的なデモクラシーというような枠組みでのあれではとてもとらえられないようなどろどろした世界の中で、こういった問題、これはイスラムの問題ばかりでございませんで、その他いろいろな問題がございますけれども、その中で有力な一つの反省材料としてイスラムの問題は、これから政治ばかりでなく経済の面においても、とりわけ文化の問題といたしましても、深く究明するばかりでなく、相当現実的にもう厳しく対応していかなければならぬような時代になっておるということは、あなたの御指摘のとおり思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 PLOとわが国の関係なんですが、大分兆しはあります、流れはちょっと早まっている。しかし、これが精いっぱいなんでしょうかね、総理、いかがですか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) PLOは国であるとも言えませんし、一つの政府という、普通のこれまでの国際法の概念から申しまして、そういうものにまでなっていないと思いますけれども、少なくとも。パレスチナ人を代表する一つの機構であるということは言えるわけで、非常にこの対応がむずかしいわけでございますので、国というものでないビューローに対しましての対応といたしまして、日本としては、まあぎりぎりのところまではおつき合いをしていかなければならぬじゃないかということで考えておるわけでございます。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) この際、御紹介申し上げます。  衆参両院議長の招請に基づき、わが国を訪問されましたブルース・ミラン君を団長とする英国国会議員団一行が、本委員会を傍聴するため、ただいまお見えになりました。拍手をもってお迎え願います。    〔拍手〕     —————————————

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 いままではやや理念的、概念的ですがね、総理。ところで、この今度の参議院選挙ですね、——俄然具体的ですよ。特に何をお訴えになりますか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 参議院選挙に対しましては、自由民主党の方でそれぞれ対応する準備を進めておるわけでございますが、私は、総理として総裁としては、まず先ほどあなたに申し上げましたように、綱紀を正してまいるという決意を表明し、国民の理解と鞭撻を求めたいと考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ちょっと総理、物足りませんな。もうちょっとこうせっかくの機会ですからね、たとえば安全保障、防衛問題、エネルギー、いろいろありますね。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いまから申し上げようと思って……。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そうですが、どうぞどうぞ。(笑声)

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交問題につきましては、外交の基本方針を変えるつもりはないわけでございまして、現在の基本方針を踏まえた上で責任ある積極外交を展開して、世界の平和のために、また国際経済の円滑な運営に対してわが国としてとるべき責任はちゃんととってまいるということを通じて国民の理解と支持を得たいと考えております。  国内問題につきましては、インフレの防止、これが最大の国民の願いでもあるし、われわれの当面の緊急の課題でございまして、インフレの防止を通じまして雇用の充実、福祉の充実ということを図ることを基本といたしまして、財政、産業、福祉、雇用、万般にわたりまして実行してまいらなければなりませんが、それを実行し得る手だてと力量とその責任にこたえ得る立場にあるのは自由民主党でございますので、自由民主党に対する支持をそのためにも強く求めなければならぬと考えております。また御質問に応じまして申し上げます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 何か私の聞き違いでなければ、防衛問題はどういうふうにお訴えになるんですか、大きな争点だと思いますが。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、外交方針の基本は変えないと申し上げましたが、防衛につきましても基本の方針を私は変えるつもりはないわけでございます。日本といたしましては、防衛力整備大綱というものを踏まえまして、着実な質の高い自衛力の整備にこれから努めてまいる、基本の方針はそのとおりでございますし、安保条約の誠実な運営、安保条約を変えるとか、あるいは地位協定を変えるとかいうつもりはありませんで、いまの現行の安保条約とそれに基づく諸協定の誠実な執行ということを通じていまの外交防衛上の要請にはこたえなければならないし、また、こたえ得るということを国民に訴えて支持を求めていかなければならぬと思っております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 防衛のことはだんだん詰めていきましょう。  安倍晋太郎氏が最近、今度の参議院選挙は戦後十二回目だと、自民党の一部にある六十一名当選なんというのは弱気過ぎる、六十六を当然目指す、目指すべきであると公式に発言されていますけれども、総裁としての大平さんはどういうふうに……。もちろん多々ますます弁ずでしょうけれども。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 秦さんも御承知のように、自由民主党といたしましては七十数名公認ないし推薦をいたしておるわけでございますが、この方々の全員当選を目指して全力を挙げなければならぬと思っております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 大変結構です。意気や壮なり。国民の皆さんが判断されます。  自治大臣、この国会の会期延長、これはまだわかりませんので、あなたもこれ答えられませんという答えになると思うんだが、七月六日投票日と俗に言われていますね。あれは確定的あるいは幅がある、必ずしも固定してない、どういうふうなことなんですかね。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 御承知のように、現在の公職選挙法、任期満了の日前三十日以内に投票をやる、これは原則ですね。ところが、その日は閉会の日から三十日以内にかかっておるという場合になりますと、国会閉会の日から、今回の場合そうなると思いますね。そうすると、閉会の日から三十一日後三十五日以内ということになりますから、勢い閉会の日がいつかということでこれは決まるわけです。そうすると、大体日曜日が従来の例ですから、皆さんその日がいい日だとか悪い日だとか変なこと担ぐものですから、そこらはいつになるかわかりませんし、いずれにせよ閉会の日から勘定しますから、そうしますと、延長がないということになると二十二日の日曜日ですね、六月が。それからその次に考えられる多少延長があって、一週間ぐらいの延長でいって二十九日。それから七月のその次が六日と。これだと延長が何日になりますかね、十四日ぐらいの延長ということですね。この日が仏滅でもあれば十三日と。それだとまた延長せにゃならぬということでございますから、そこらは審議の状況いかんによってこの国会がいつ終わることになるのか、そこらによって日が変わりますから、これ以上は私の立場ではお答えができないと、こういうことでございます。     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 英国国会議員団の御一行が退席をされます。拍手をもってお送りを願います。    〔拍手〕     —————————————

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 防衛庁、今度のこのリムパックなんですがね、いよいよこれはあす終わりますよね。それで、今度のリムパックの最高責任者はだれですか。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) アメリカの第三艦隊司令長官のウォーラー将軍であります。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 その提督のことを何と呼んでいますか、英語では。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) 将軍でなくて提督でございました。  その点につきましては、政府委員から答弁させていただきます。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  英語ではコーディネーターと呼んでおります。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そう言うだろうと思ったんですけれども、これ七三年から七八年のリムパックではコマンディングオフィサー、つまり統裁官、指揮官になっている。何で急に変わったんですか。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) 七三年のリムパックにおいてコマンディングオフィサーズとなっておりますのは、参加各部隊の指揮官であろうかと存じます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 今度急に変わったのはね、参事官なかなか答えられないと思うが、日本から要請したわけ。つまり、集団的自衛権とかなんかうるさいからコーディネーター。総理もよくコーディネーター使われますよね。この場合違う。こういうふうに変わったのは働きかけの反映なんだ、成果なんだ。違いますか。そうは言っても答えられないという……。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) 違います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 あのね、コーディネーター、調整だけではね、巨大なこういう整然たるシステマティックな訓練は、佐々さん、できないの。やはり指揮官なき訓練はあり得ない。世界のネービー、海軍の常識、わかり切ったことじゃないですか。無理しちゃいけません。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) リムパック80の場合の各政府の公表文について御説明いたしますと、アメリカの公表文では、スケジュールを作成したと、こういう言葉を使っておりまして、第三艦隊司令官ウォーラー提督のオーバーオールコーディネーション、全般的な調整のもとにおいて行われたと、各参加部隊の指揮はそれぞれの国の指揮官が責任を持って行うと明言してございます。  また、カナダでございますけれども、カナダの発表文もやはりスケジュールという言葉を使っております。ニュージーランド、これはやはりオーバーオールコーディネーションという言葉を使っており、かつそれぞれの参加部隊の指揮官が参加部隊の指揮をとるということをこれまた明言してございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 私は、昨年ですね、十二月二十日の決算委員会でオーストラリアとかアメリカ海軍の資料をもとにこの問題をまさに質問した。というのは、指揮権の問題がポイントだからです。わが党の楢崎弥之助議員もすでに二日前にその新たな資料を発表しておるわけだけれども、これは佐々さん、私への答弁はよく御記憶だろうと思うが、すでにアメリカのいままで行ったリムパックでは、統括責任者はだれだれ、それからその部分的な作戦指揮官はだれだれ、指揮官は単一。したがって、輪形陣を組んだ場合には、原子力空母エンタープライズの場合には将官旗を掲げた、提督旗を掲げた空母に指揮権が集約される。こうなっているんだが、それでもコーディネーターですか。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) 指揮と調整についての概念規定からまず申し上げますが、指揮とは、指揮権を与えられた個人が参加部隊、個人あるいは旗艦に対して命令を発しまして、この意思に従わせる。従わなければこれは抗命罪その他の処罰の対象になる、こういう性格のものでございます。調整権と申しますのは、共通の目的を達成するために、指揮系統の異なる関係当事者間で協議をいたしまして、行動または活動の調和と統一を図ることを言うと、こういうことでございます。  今回の訓練の計画の立案、その策定、さらには、実施に当たりましては、当然これは主催者であるアメリカの第三艦隊司令長官がこの任に当たったということでございまして、その事前の十分な打ち合わせに基づきまして戦術技量向上のための訓練を行ったと、こういうものでございまして、当然その調整が行われ、計画がきちっとできていなければ訓練ができないという点は御指摘のとおりでございますが、それはただいま先生の御指摘のような意味での指揮権、すなわち、アメリカが参加各部隊に対して指揮、命令をするという関係ではないと承知いたしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 それは無理な答弁だな、参事官。つまり、私は友人のラロックにも電話したんですけれどもね、例のラロック証言の提督ですが。日本には核が持ち込まれている、あの提督ですけれども。それは無理だと、日本の防衛庁の答弁は。なぜか。つまり、コーディネーターABCDEとある。おのおのも自由にはできない。コーディネート、最大公約数、これはね。無理なの、混乱が起こるの、トラブルが起こるの。だから、秀でた指揮権をだれかに集約しなければならない。これは海軍の演習の常識。字面を合わせているだけなんですよ、あなた方の陳情によって。あなたの答弁には説得力がないの。重ねて。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) この訓練は、訓練目的が参加艦艇の能力の向上あるいは戦術技量の改善と、こういうことにございます。その訓練目的に合わせまして訓練のシラバスを組み、対航空機防空戦闘あるいは対水上艦艇打撃戦訓練、あるいは潜水艦に対する対潜水艦捜索攻撃訓練、さらには電子戦訓練、これを組み合わせて行っております。したがいまして、事前の調整がきちっとできておればそのような混乱は起こらず、現実にそういう混乱は起こらずに過去六回行われ、今回の七回目のリムパック80も整然と行われたと承知をいたしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 やっぱり無理ですね、あなた。やっぱり整然と行われたと言ったって、思わざるハプニングが絶えずつきまとうの。波荒い外洋で対潜、対空ミサイルの実射。指揮官はいません。どこを探してもいません、コーディネーターね。じゃ、おのおの者御随意に、これは子供の戦争ごっこ。とんでもない、あなた。実態的じゃないんですよ。あなた方が陳情したから字面を合わせているだけなんですよ。違いますか。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  アメリカが中心になりまして過去六回やっております。アメリカは、御承知のように、世界約四十カ国との集団安全保障体制を組んでおります。これに対して安全保障の責任を果たしておる、そのいろいろな訓練をやっております。アメリカといたしましては、日本政府の要請によってこの訓練だけのために字面を調整する必要はないのではないか。と申しますのは、そのよい例が、たとえば同じANZUS加盟三カ国も過去において三回カンガルーと呼ばれる訓練を実施いたしております。このリムパック78と80の問に79カンガルー3というのを行っておりますけれども、これの場合にはオーストラリアの防衛のためという目的をはっきり掲げ、オーストラリアの北東沿岸及びその海域ということを指定をして、それに対する訓練ということを明示をしておる。また、もっとはっきりしておりますのがチームスピリットでございます。これは三月一日から現在チームスピリット80を行っておることは先生よく御承知のとおりでございますけれども、これは北からの韓国に対する可能性のある軍事攻撃に対して即応態勢をテストするための最大の規模の訓練であると、こういう言葉を使っておりますけれども、これははっきりとそういう共同対処、集団自衛権を行使しての訓練であるということを明言をしておる。また、日米間はそれは話し合いができるかもしれませんけれども、過去六回参加をしておりましたニュージーランド、カナダ、オーストラリア、これらの国が先ほど申し上げましたように期せずして同じ言葉を使っておる。若干ニュアンスは違います。コーディネーションという言葉を使ったところもあるし、スケジュールというのもございます。オーストラリアの場合には、この指揮権の問題には触れておりませんで、参加各部隊のコマンダーが責任を持つということを述べて、各参加部隊の指揮官の名前を並列してございます。こういう意味で、私どもが交渉をして字面だけを変えたというものではございません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 少し球筋を変えてみますかな、変化球を投げてみたいと思うんだが。防衛庁ね、長官もたまに答えてくださいよ、聞いているばかりが能じゃない。  一連の演習の中で、去る十四日には、日本側の艦艇「ひえい」「あまつかぜ」がアメリカの空母「コンステレーション」の護衛陣に加わって共同訓練を行ったという報道がホノルル発であります。これは事実ですか。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) 報道されました三月十四日の関係運動は、これはむしろ広報関係者に対するデモンストレーションで、その参加部隊のそれぞれの立場を考えて、特に「コンステレーション」には日本記者を乗せていただきましたので、日本の参加艦艇を展示をするといいますか、デモンストレーションとして参加をしたというふうに承知をいたしております。  それでは、そういう米空母との共同訓練をやったかやらないかというお尋ねでございますが、これは実施いたしました。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 報道陣にサービス、とんでもないんだな、参事官。ただの一回じゃないんですよ、あなた。回りくどいことを言わないで本当のこと言ってくださいよ、国会答弁なんだから。アメリカ第三艦隊のラムゼー少将は、日本の艦艇はアメリカ機動艦隊と終始行動をともにしたと、こう言っているじゃありませんか。ただの一回じゃありませんぞ。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  ただいまお尋ねの米空母との共同訓練につきましては、国会においてもたびたび御報告いたしておりますように、過去十七回実施をいたしております。今回のリムパックに当たりましても、空母「コンステレーション」と共同訓練を実施をいたしております。この十四日の「あまつかぜ」「ひえい」が「コンステレーション」と一緒に陣形運動を行ったのは何かというお尋ねでございましたので、この直接の目的は広報上のものであると承知しておると申し上げたのでございまして、米空母とは過去十七回、今度の「コンステレーション」を入れますと十八回になろうかと思いますけれども、実施をいたしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そのとおりですね、回数は。  そこで防衛庁、いままでたとえば空母「ミッドウェー」との共同訓練なんかの場合には、何を論拠にしてどういうふうに説明してきましたかね。念のためにちょっと繰り返してください。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  「ミッドウェー」との訓練は、この「ミッドウェー」が攻撃型空母であると、こういうところから、このアメリカの戦略に組み入れられてアメリカの攻撃を支援をするものではないか、こういう御質問がしばしばございましたので、これに対しましては、日米の共同訓練は、この法的根拠は繰り返し申し上げておりますので詳述を控えますが、「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」という防衛庁設置法五条の二十一号、これに基づいて訓練を行っておると、この訓練の目的は、主として従来は対潜機能、対潜戦術技量を向上させるために、日本の訓練計画に基づき、アメリカ海軍の協力を得て実施してきたところでございます。「ミッドウェー」その他は攻撃型空母ではないかと申しますが、昔は対潜専用の空母がおりましたけれども、その後編成が変わりまして、現在の攻撃型空母は多目的空母であり、対潜機能も持っております。今回の訓練に当たりましては、対潜機能のほかに、従来申し上げておりますように、対空戦闘の訓練も行っておりますので、その意味では、アメリカ空母のそういう機能を拝借をして訓練を行っておる、こういう御説明をしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ところどころ正直ですね。大体空母が、形を問わず、たとえば攻撃型対潜能力、総合機能を持ったのはあたりまえ、これは。ところが日本の防衛庁は——総理よく聞いてくださいよ。空母は攻撃もできる、それから対空一防衛もできる、対潜能力もある、トリプルなんですね。それから、核と非核両用の戦備をオールウェーズ、常に二十四時間持っている、これは常識です。ところが、日本の防衛庁というのはどう言うかというと、まさにアメリカの航空母艦の総合機能をつまみ食いをして、勝手に、都合の悪いところはほおかぶりして、対潜機能とだけ訓練をした。こういうのをまさに形式論理というか、すりかえというか、こうかつというか、幾ら並べても足りないけれども、こう言うんですよ、違いますか。もっとわかるように言ってください。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) 従来は対潜戦を主として米空母の協力を得て実施してまいりました。しかしながら、軍事情勢の推移に伴いまして、水上打撃戦能力あるいは防空戦能力の向上も図る必要ができてきた。装備もその意味で、兵装の転換等も考えなければならないということで、現在中期業務見積もり等でこの問題をお願いをしておるわけでございますが、そういう機能を果たす意味で、今後はアメリカ空母との共同訓練の場合にはもちろん、つまみ食いとおっしゃいましたけれども、今回のリムパック80でも明らかにされておりますように、コンベンショナル、通常兵器に関する訓練、これにつきましては御協力をいただいて鋭意やってまいりたいと、かように考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 防衛庁、最終判断は国民の皆さんがなさる、これは当然の大きな前提なんですけれども、いままでは想定で、想定がまだ決まっていないで何をどういう場でと、委員会で聞いても逃げてきた。今度は壮大なスケールで行いましたからね、リムパックの演習。これは逃れようのない現実が積み重なっておる。そこで、いままでは遠慮しながらやっていた空母との訓練なんというのは、今度はもう継続的にやった。いままでとは全く違う。大きく明らかにいままでのあなた方の既成のコースを踏み越えていると私は認識している。したがって、いままでのような、いまあなたが苦労をしてさんざん勉強をして流暢に述べているような、そういう答弁だけではなかなか納得がいかない、説得力がない。重ねて、あなた——防衛庁長官、これまでの議論を聞いて、いかがですか、政府委員じゃなくて。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。  去る八日の日に衆議院の予算委員会で、外国との間において自衛隊が共同訓練を行う場合の原則について私が御説明をいたしました。これは一番要点は、いま御指摘の集団自衛権の行使、これに関連するものでない、これの練習や訓練をするものでないということが一番いまの御質問との関連では要点だと思います。私どもは、この点は言うまでもなく厳重に守らなければならぬ、かように思っておるわけでございます。  今回の演習につきましては、先ほどから御指摘がございますように、報道関係の方が多数、わが防衛庁の記者クラブから行かれたわけでございます。そして、いろいろなことが新聞紙上に報道されております。これも報道によって、各紙によって多少まちまちでございます。したがって、これはお帰りになると思うのですね、もう間もなく、お帰りにもなります。また、参加した私どもの方の海上自衛隊、また航空自衛隊の諸君も帰ってまいると思います。したがいまして、そういう点から、私が申した基本原則を外れないように、外れないということで私は今回の演習について確信しておりますが、今後につきましてもそれを守っていかなくちゃならぬ、かように考えておるのでございまして、そういう点からいろいろ御疑問があったり、あるいはいま御質問にあるように、これは事実と違うじゃないかといったような御指摘が他の方々からもあると思うのでございます。そういう点については、基本原則は変えないという点から十分ひとつ検討してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 防衛庁長官ね、そんなことを言わないでくださいよ。報道がまちまちである、まるで報道機関の報道の仕方にすりかえるような言い方はよしていただきたいと思う。とにかく、この問題はさらに休憩をはさんでゆっくりやりましょう。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時から委員会を再開し、秦君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時開会

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十五年度総予算三案を一括して議題とし、秦豊君の総括質疑を続けます。奏君。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 午前に続いて、防衛問題の本論に入る前に、突然ですけれども政府側にちょっと伺っておきたいことがあります。  それは、もう御高承のとおり、例の石原産業に対する有罪判決が下されました。津地裁で出ました例の四大公害事件で初の判決でありまして、公害がつまり罪として、犯罪として追及をされ、しかも有罪の判決を受けた。きわめて重大なエポックであると私自身が受けとめておりますが、政府側はこの判決についてどういう所感をお持ちでしょう。

土屋義彦自由民主党・自由国民会議環境庁長官

○国務大臣(土屋義彦君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、この事件は水質汚濁防止法制定以前の事件でございまして、現在では水質汚濁防止法等の諸制度が整備されておりますので、今後このような事件が起こるとは考えておりませんが、この判決を契機といたしまして、さらに心を引き締めまして関連法規の厳正な適用に努力をしてまいりたいと思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 つまり、余り争わないで正当な筋に従っていただきたいという要望をあえて申し上げておきたいと思います。  本論に返りますけれども、防衛庁、こういうことはお認めになりますか。本来、リムパックというのは、ソ連海軍による太平洋輸送ルートの切断、攻撃、これを想定した同盟国の共同訓練である、シーレーンの共同防衛訓練である、この点はお認めになりますか。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) 先ほど御答弁いたしましたように、リムパックは一九七一年からすでに六回やっておりまして、この訓練は参加艦艇の能力、技能の向上を図る、こういうことでございまして、国際情勢あるいは国際的な軍事情勢の急変に対応するために突然始まったものではございません。また、この訓練に際しましては、この性格、目的、訓練の内容等につきまして数カ月にわたってアメリカ側と折衝をし、その確認をしたわけでございますけれども、いわゆる政治的な想定あるいはただいま御指摘のような具体的な想定を持った訓練ではなく、大変軍事技術的な性格を持った訓練と承知をいたしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 じゃ、こういう点は認めますか。大きな流れの中の一つである。つまり、六九年、グアム・ドクトリン、七〇年、アメリカの世界戦略が例の統合、つまり総合戦力概念に変わってきた、同盟国の応分の貢献をあえて求める、こういう大きな流れがあり、もちろんソビエトをイメージしている。その翌年の七一年からリムパックが開始された。この流れはまさか否定されぬでしょうな。これは参事官よりも防衛庁長官かな、長官いかがです。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) 私はさようには解釈いたさないのでございますが、長い間の経緯でございますから、これは政府委員からお答えをいたした方が適当であろうかと思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 だめだめ。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) 私はさようには考えておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 考えられないのは、あなたの感受性の問題で、あなたの受けざらの問題なんです。大きな戦略の流れがあるわけで、これはだれも否定できない。細田吉藏さんにも否定できない、大平総理にも否定できない大きな流れ、客観的な事実。ところが、あなた方はそれをあえて認めない。技術的に技術的にと限定をしようとする。しかし、アメリカは、もはやアメリカだけでは広大なシーレーンを守り切れないんですよ。だからこういう訓練が必要なんです。違いますか、長官。これなら大丈夫でしょう。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 米国の力の問題と申しますよりも、ソ連の海軍力の増強が過去十数年間にわたりまして大変顕著でございました。その結果、潜水艦による海上交通路妨害能力、さらに最近に至りましては長距離あるいは中長距離の爆撃機によります海上輸送路の妨害能力というものが増大してきた。これはまた事実でございます。また同時に、グアム・ドクトリン以来、アメリカがもう自分だけではなしに、同盟国も一緒になってほしいと、そういう考えを持っていることは、これはまた事実でございます。ただ、それは大きな流れとしては当然のことでございますけれども、それと戦術技量の向上である訓練と必ずしも結びつくものとは考えておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ほんの少しわかってきたけれども、ああ答えるべきだと思うんだが、ただ皆さんは——つまりアメリカを頂点にした同盟国は、集団防衛構想、世界戦略、流れの中にある、位置づけている。そこへ日本が、総理、日本だけなんですよ、個別自衛権、専守防衛と叫び続けながらリムパックに参加しているんです。どだい通じないんですよ。どうですか、この部分について。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) あなたの御質問の冒頭に、私は外交の基本方針、防衛の基本方針を変えないと申し上げたわけでございます。すなわち、安保条約の誠実な運用に努力するけれども、安保条約並びにそれに関連する諸協定を変えるつもりはないということでございまして、世の中は変わるかもしれませんけれども、その基本の枠組みは堅持して、これを更改しようと思っていないことはあなたに御理解いただけると思うのでございまして、日本は基本的に集団自衛権を持つことができないたてまえになっておるわけでございますから、これをわれわれは歪曲してまいるなんということは心がけてよろしいことでないばかりでなく、初めからそういうことは考えていないで、現在の体制の中での練度の向上というものを心がけておるわけで、それ以上のものではありません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 法制局長官、念のためでございますが、ちょっと伺っておきたい。  このリムパックと集団自衛権、わが国の固有の総理が言われたような路線解釈について、長官から言えばどうなりますか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど総理から集団的自衛権というものはわが国については認められていないということを申されましたが、そのとおりでありまして、いわゆる集団的自衛権というものを国際法上国家は持っているわけでありますが、わが憲法第九条のもとにおいては、そのような集団的自衛権は持たない、持つことができないということはもう再三申し上げているところであります。  ところで、リムパックにつきましては、すでに防衛庁の政府委員から再三申し上げているとおり、わが国に対する攻撃がない場合に、ある国が攻撃されている、そこで、その国に対する攻撃を実力をもって阻止するというような、集団的自衛権の行使につながるような目的を持った演習ではないというふうに心得えておりますので、先ほど来申し上げているように、集団的自衛権を許されていないわが憲法の上から見ても憲法違反ではないというふうに考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 長官は、そういう立場ですから、そのとおり優等生の模範答案だが、こうじゃないでしょうか。日本は、憲法のたてまえがある、というより枠がある、専守防衛がある、国防に関する基本方針がある、全部制約である。世論もある、野党もある。だから総理は非常に慎重で、その部分は非常によろしいと思うんだけれども、私はここでちょっと申し上げたいんですけれども、幾らぼくたちが用意した文書を突きつけても、いやオーソライズされていません、一文書にすぎませんと。とめどがありませんので、ちょっとこの項について申し上げておきたいことは、つまり政府がもしも海上防衛、シーレーンの防衛が民族の生存と国家の自立にとって必要不可欠なこれは部門である、ここまでは踏み込みたい、進ませたい、だから国民の皆さんの合意をという姿勢は全くない。そうして、小さな事実がほころび始めてほころびからこぼれると、解釈の土俵を広げることによって対応しようとする、こういう態度がわれわれの不信感を買うんだ。こういう点については、長官、どうです。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) ただいま総理からの御答弁もありましたように、憲法そして自衛隊法という枠組みを持っておりますわが国の防衛でございますので、これを何か、口先だけで詭弁を弄してこれをもぐるというような考え方は私どもございません。したがいまして、集団的自衛権、これのための訓練というようなことについては、これはもう厳重にやらない、今後もやらないと、こういうことをはっきり申し上げたいと思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 総理、たびたび恐縮ですけれども、やっぱりぼくは、日本で防衛問題を特に国会でやる場合、必ずしもシビリアンコントロールなんというのは機能していないという認識に立つわけです。マル秘の壁が厚過ぎる、何か少し実体的に突っ込むと対象国を刺激する、こういう悪循環がずっとエンドレスで繰り返されている。日本の防衛について国民合意の形成にもっと政府が真摯であろうとするならば、あとう限りデータを国会に、つまり委員会の場を通じ、国会を通じて出すという基本姿勢がなきゃいけない。リムパックの問題をいま議論していますけれども、われわれは、だれからだれにまでという初歩的なこと、公式な招請状でさえマル秘だからお見せはできない、これで阻まれているんです。こんなことで、一体、合意の形成、シビリアンコントロールの十全な機能を期待できるでしょうか、総理。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国会が国政調査権を行使されるということにつきまして政府が最大限の協力をしなきゃならぬ立場にあることはもとよりでございまして、これは防衛問題ばかりでなく、すべての政策領域にわたってそうでなければならぬと心得ておりまして、防衛問題につきましても、したがいまして、できる限りその御審議に協力をしてまいるということでなければならぬと考えておりまして、現に政府は極力その要請にこたえているわけでございます。どうしても御遠慮いただかなければならぬということにつきましては、これまたその旨正直に申しまして国会の御了解を得ていきたいと思います。私は、国会も政府も国の機関である以上、最終的に相互の間に話し合いがつかないものとは考えていないわけでございまして、政府は極力御協力を申し上げる、国会は鋭く追及されるということで、そのバランスはわれわれの手で懸命にとっていかにゃいかぬもの、またとれるものと思っております。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) ただいま総理からお答えがありましたが、私ども、先生のおっしゃるようなことを全くそのとおりに考えております。国民の皆さんも、この問題について非常な関心を持っておられるわけでありますし、国会もさようでございます。意見がいろいろ食い違うのは、これはもう当然でしょうが、とにかくできるだけの資料も出したいと思います、できないものもありますが。出すことができないものもありますが、できるだけ出したいと思っておりますし、また防衛や安保の特別委員会等もできるというようなことも伺っておりますので、今後ともそのようにして国民合意、日本の場合は特別な立場にありますので、日本の国民の合意を得るように努力してまいりたい、かように存じておる次第でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ハワイにあるアメリカ西部司令部のシグラー大佐が、海ばかりではなくて陸上でもひとつ日米の合同演習を行いたいし、そのためであればアメリカ本土の施設も提供をする、制服同士はすでに二回も話し合いをしていますよと述べているんだけれども、これは確認できますか。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。  ただいまのお話自体は私は承っておりません。ただ、これまで陸上の幹部がそれぞれ往復しておりますので、座談的な話というか、いろいろ話が出ておるということは私ども聞いております。で、陸につきましてどう考えるかということは、私は空や海とはちょっとまた事情も違うとは思います。ですが、ただいまの具体的な話がシグラーさんから出ておる云々という話については何ら聞いておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そういう事実の片々は御存じなくとも、陸もそろそろアメリカと、という構想は基本的には否定できないでしょう。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  ただいまのシグラー参謀副長の話は、私ども新聞記事で拝見をした段階でまだ公式な連絡に接しておりませんが、そういう希望が制服の陸上自衛隊にもあることは事実でございます。海と空の訓練、海につきましてはすでに過去八十四回日米共同訓練をやっておりますし、空もたしか十四回だったと思います。ただ、陸につきましては、これは現時点におきましてはまだ具体的な計画がないということで現実の問題にはなっておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 いつもあなた方は、報道それから公式を使い分ける、あなた方の御自由ですけれども。  じゃ、正式にこれを協議の舞台に上げて計画をおつくりになる、ある年度から始めたい、この希望は根強いわけでしょう。

佐々淳行防衛庁参事官

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  わが国の防衛政策の基本あるいは防衛力整備の基本が、御承知のように、昭和五十一年の防衛計画の大綱によりまして、小規模、限定的な侵攻に通常兵器でもってこれに対処しこれを排除する、それ以上の問題につきましては日米安保条約によってアメリカ軍の来援を待つ、核抑止力についてももちろんアメリカの抑止力を待つというのが基本政策でございます。私どもといたしましては、限られた防衛力で日本防衛の任務を果たしますためには、練度を向上して万が一のときにおくれをとることのないような精強な自衛隊をつくることこそ国民に対する義務であると考えております。そういう基本的な姿勢によりまして、日米共同訓練を憲法の枠内、現政策の枠内において海と空を実施してまいったところでございます。陸につきましては、現時点まだそういう必要性はございませんけれども、その必要性あるいは可能性については今後検討してまいりたいと考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 練度向上、ずばり言えば早ければ早いほどよい、これが本音でしょう、長官も。どうなんですか。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。  わが方の陸上自衛隊にはそういう希望が非常に強いというふうに私も承っております。具体的な話ではございません。しかし、いろいろな点から、いわゆる外国との合同演習ということに対する基本原則に照らしてどうであるか、その基本原則の中には、政策的にあるいは時期的にいろいろな点から検討する必要がある、効果があるかどうかという点についても十分検討しなきゃならぬ、こういう点がございますので、十分慎重に検討いたしたいと、かように考えておる次第でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 しかし、リムパックまでやったんだから、陸同士の相互共同訓練は妨げないんじゃないですか。違いますか。

細田吉藏自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(細田吉藏君) 法規上はこれはもちろん許されておると思います。もちろん、態様その他は別でございますが、許されておると思います。陸上についてはやったことがいまだかつてないということでございます。ただ、いま具体的に話が起こっておるわけではありませんし、これをどのような形で行うかというような問題も出ておるわけではございませんので、私が先ほどお答えしたように申し上げた次第でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 海のシーレーンの問題に移りたいんですけれども、防衛庁に海上幕僚監部防衛課分析班というのがあるんですか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) そういうことを分析しているところはございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 それは防衛局長、どんな作業を担当しているんですか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) いわゆるオペレーションズリサーチというものを担当しておるわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 それは毎年毎年どんな作業か、それを具体的に言ってくれませんか、皆さんにわかりやすいように。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) たとえば中期業務見積もりなどをつくるに際しまして、日本の海上の防衛能力がどういう段階にあるか、そしてどうすればどういうふうになるかというようなことを、オペレーションズリサーチでございますから、いろいろ電子計算機等を使いながら勉強をしているところでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ちょっとはがゆいですね、原さん。じゃ、ことしは八〇年だが、ことしはどんなオペレーションズリサーチをされたんですか、それを知りたい。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) まあそういうことでございますので、毎年いろいろ骨幹的な防衛能力というようなことについてテーマを設けて分析をいたしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 あんなのが国会における答弁と言えますか、あなた、失礼な。具体性がゼロ。納得できません。それはだめ。何言っていますか、あなた、そのようなとか。その中身を聞いているんです。何言っていますか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) これはやはり毎年の防衛計画をつくったりいたしますところの基礎データでございますから、毎年同じようなこと、防衛能力の見積もりをどういうふうにやるか、そういうことの分析をいたしているわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 総理の言われたことと全く、これはだめだね。大体こういう膨大な——これはほんの一部しか持ってこない、わずらわしいから。こういう膨大な資料を整備して、そうして国民生活に基づく所要輸入量に関する研究を毎年毎年やっている、日本のシーレーンについて。その片りんさえあなたは明らかにしようとしない。明らかに総理の言われた合意の形成に防衛庁は協力していないじゃないか。もっと内容をはっきり言いなさい、八〇年について。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) 先生お持ちのやつはたしか五十年ごろにできましたやつでございますが……

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 よく御存じだ。あなたよく見えますね、その遠いところから。よく見えますね。ほお、これは驚いた。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) それにつきましては、ことし研究をいたしていることはないのでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ことしなければ、去年はあったんですか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) 五十年でしたか、そのとき二回にわたって研究をいたしました。それ以後についてそのような大がかりなものはやっておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 結構です。じゃ、これに基づいて、日本のシーレーンでどういう想定で海上自衛隊は対応しようとするか、その辺までは総理の言われたところを踏み越えないでしょう、いかがです。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) そういうことで、結論を申しますと、まあ六億トンぐらいの輸入量が要る。それで、最低生活に要するのには約一億九千万トンぐらいの輸入量が要ると。それでございますと毎月大体四百隻ぐらいの船での輸入が要ると、そういうことになっておるわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 もっと詳しく。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) しかし、四百隻の輸入する船を守るについてどれだけ要るかというような実は計算にはなっておらないのでございまして、したがって、それだけの最低生活を維持するためにいかに海上防衛というのが大事であるかというところまではあるのでございますけれども、その数量に基づいて海上自衛隊の防衛能力を積算し、そのようにつくっていると、そういうものではないのでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 おずおずと出始めましたけれどもね。防衛局長ね、テレビをごらんの皆さんは、シーレーンと言っても、およそぴんと来ないと思うんですよね。日本に物資が流れ込むシーレーンというのはどういうものなんですか、どこを通ってどうなっているんですか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) これは日本の輸入をいたすところ全体が、まあ言うなればシーレーンでございます。したがいまして、石油についていえばペルシャ湾までがいわゆるシーレーンでございますし、食糧について申せば、アメリカとかそれからオーストラリア、そういうものが海上交通路、いわゆるシーレーンでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 じゃ、日本を頂点にして、北緯二十度を底辺にして、左側が南西、右側が南東、こういうことですか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) 沖繩から台湾の方に行くのが南西で、それから硫黄島からグアムの方に行くのが南東と、そういうことでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 いま六億トン、四千万トンの船腹ですね、を十八万トンの海上自衛隊で守ろうというわけですね。この可能性についてはどうなんですか、いろいろ訓練もされておるようですけれども。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) 月に四百隻の船を守るといたしますと、とても海上自衛隊だけでそれだけの守る力はございませんので、私どもはもちろん、日米安保条約で共同で守るということでございますので、自衛隊だけで四百隻を守る能力はございません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 昭和四十八年六月の衆議院内閣委員会で、当時の山中防衛庁長官は、正直なところ最終的にはシーレーンなどは守れない、と言明されていますが、この状況は変わっていませんか。

原徹防衛庁防衛局長

○政府委員(原徹君) これは状況いかんにもよるわけでございまして、海上自衛隊の任務は、一つは、周辺海域でわが国に対する海上からの攻撃についてこれを守るのが一つと、それからもう一つは、いまの海上交通の保護でございます。  で、大体考えてみますと、その一護衛隊群は八隻でございますが、その八隻で一体いわゆる船団護衛を組むとしてどのぐらいのことができるかといえば、大体、限度が五十隻ということでございますから、まあ、フルに四個護衛隊群をそのために全部使えばその四倍ぐらいのものは守れることに計算上は一応はなるということではございますけれども、先ほど申しましたように、四百隻の船を常時守るということは、海上自衛隊だけではそれだけの力は持っておらないわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 じゃ、その頼りにしているアメリカ海軍の対潜能力、たとえばフリゲート——護衛艦はいま何隻あるんですか。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) フリゲートの数は、いま手持ちの数字はございませんでございますけども、特にペリーという新しいフリゲートをつくりまして、これは対潜能力が大変すぐれているということになっておりますが、それで、昨年及びことし、いずれもアメリカの国防報告でございますけども、大体、潜水艦を制圧するには三カ月かかるだろうということを述べております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 アメリカは百三十杯ぐらい持っているでしょう。十三隻の空母を守るのに六十五隻はかかる。余り対潜作戦に割けないんですよね。違いますか、岡崎さん。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) もちろん、フリゲートは対潜作戦が中心でございますけども、そのほかに駆逐艦もございますし、それから対潜用航空機もございます。また地上を基地といたします対潜作戦機を持っておりまして、全部総合いたしまして、お説のとおり、最初はかなりつらい状況のようでございますけども、三カ月すればどうにか制圧できるだろうというのがここ二、三年間の一貫した見通しでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 その三カ月の間の被害を見積っていない以上、空理空論ですね。アメリカ海軍の首脳部もせいぜい守れてハワイ、アラスカまでと言っているのです。とても日本の海上自衛隊の守ろうとする防衛海面とドッキングできないと言っているのです。違いますか。

岡崎久彦防衛庁参事官

○政府委員(岡崎久彦君) 有事の際の戦略を、一定のどの時点をとるかという問題があるのでございますけれども、アメリカの見通しでございましても、戦争の当初は、これはいま先生御指摘のように、きわめて限られた航路におきますきわめて限られた、これはもう戦争にどうしても必要な戦略物資これだけは何としても通す、あるいはその程度のことしかできないかもしれません。しかし、だんだんとソ連の潜水艦を制圧していきますうちに輸送の自由もだんだんと確保されてくる、三カ月。実はアメリカの海上交通路にとりまして、いま問題の半ばはバックファイヤーなどの中距離、遠距離爆撃機によります海上交通路遮断でございまして、潜水艦が全部でございませんけれども、潜水艦に限りましては、先生御指摘のとおり、最初の時点ではかなり困難である、しかし、次第に制圧して自由になる、そういう見通しでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 もっと本当は詰めてやらなければいかぬのでしょうけれども、つまりあなた方が頼りにしているアメリカ海軍の能力も大変落ちているのですよ。また、いま急に増強される見通しにない、だから日本に対する負担がかぶさってくるのです。  それで、これ総理ね、ペルシャ湾からのオイルロードを考えても、護衛隊群を倍増しても私はむなしいと思うんです。そういう選択は愚かな選択だという前提に立っているのですけれども、やはりそれよりかパレスチナ問題に正当に対応する、その方が油の安定供給に役立つ、私はこの立場です。総理とその点は余り違わないのじゃないでしょうかね、どうでしょう。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう外交努力を精力的に展開いたしまして、事態が厄介にならぬようにしてまいることが第一だと考えるわけでございまして、軍事力だけでそれが可能になるとは考えません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ユニホームに任せれば「ひえい」じゃだめ、今度は小型空母、これはもうあたりまえ、ユニホームの常識。それこそ、バラの木にバラの花咲く何事の不思議なし、なのです。彼らの常識。問題は政治がまさにシビリアンコントロール、政治優位。あれは内局の優位じゃない、幕に対する。そうすれば政治が明確な意思を持つことだと思いますが、この点について重ねて総理。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、政治が優位でなければなりませんし、それだけの責任にこたえて政治が活発に展開されなければなりませんが、同時に自衛隊並びに防衛庁側におきましても最善を尽くしていただかなければならぬと思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 こればかりやっているわけにはまいりませんから、ひとつ日韓問題に絡んで一問だけ、一つだけ伺っておきたい。  金大中氏事件ですが、警察当局にちょっと伺います。金大中氏が東京のホテルから拉致されて一時連れ込まれた「アンの家」というものがありましたね。「アンの家」というのは「アン」という特定の人物の持ち家なのか、あるいはその他の意味なのでしょうか。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) 金大中氏の供述等にありまする「アンの家」、これは「アン」の姓名に限りませんで、その周辺あるいは建物の構造、そういった全般的ないろいろの面から見まして幅広く捜査をしておるということでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 朴大統領事件の捜査本部公表資料の中に、被告の一員、柳の肩書きを中央情報部 宮井洞 安家警備員、安全の家——安家警備員ということを記述をしておるのだけれども、当然これは把握していらっしゃいますね。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) そういう「アンの家」というのはセーフハウスといいますか、アジトといいますか、そういう意味も含めまして幅広くやっておるということでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そうすると、韓国中央情報部、悪名高きKCIA、これのアジトであるという可能性も否定しませんね。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) アジトであるかどうか、いずれにしろ、そういうものが具体的なものとして出ておらない段階でございまして、いろいろ何千軒と捜査をしたわけでございますが、特定しておりません。現在継続捜査中と、こういうことでございますので、推定的なことはひとつ御勘弁願いたいと思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 つまり局長、公表資料の中に安家警備員とあったときに、日本の警察当局はこれはなかなか感度があるという反応を持ったはずなのですよ。金大中氏が連れ込まれた「アンの家」、「アン」というのは、したがって、公的機関が安全に使える家という意味合いがあるわけなので、このことはレイナード氏もかつて朝日新聞とのインタビューの中で、アメリカCIAの報告書の中でも安家とは情報部員が好んで使用する安全な家と説明をしていますね。この点については御存じですか。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) そういう記事があったという記憶はございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 あなた方の前任者である三井さん、それから山本さん、東京、大阪でいろいろ調べた、特に神戸で調べた。一千軒調べて二、三軒にしぼっているとまで答弁していますよ。ここまでくれば「アンの家」という公式文書に対して感度があるでしょう、思い当たるところがあるでしょう。違いますか。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) この事件は出港ルートそのものも定かでございませんが、予想されるそれぞれの場所及び金大中氏の供述、そういった面を含めまして安姓及びそれに関連する場所等非常に幅広く何千軒という、延べ六千軒にわたりますけれども、いろいろ捜査をしたわけでございますが、具体的に特定するような、そういう場所については決まっておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 せっかくあなた方が六千軒から二、三軒にしぼったんだから、神戸市東灘区にある元韓国領事朴宗華氏が所有をしていた岡本エクセルマンションの三階二号室、三〇二号、これを改めて、こういう事実関係がこぼれ落ちているんだから、改めて調査をするつもりがないかどうかを聞いておきましょう。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) いま仰せの点も含めまして、それぞれ捜査の範囲に入っているわけでございまして、われわれは新しい事実があれば捜査をするということについてはやぶさかでございません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 じゃ、こう理解していいかな。改めて東灘区に限らず、せっかくしぼった二軒をもう一遍調べ直すつもりはあると、こう理解していいですね。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) もうそういう点を含めまして繰り返し繰り返しやっておるわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 今後も……。  郵政省、放送法改正を今度考えていますね。これはどんな範囲にまたがっていますか。ポイントは何ですか。

大西正男自由民主党・自由国民会議郵政大臣

○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。  改正案の内容の第一は、NHKの放送を受信することができる受信機を設置した方は、現行法では受信料支払い義務をNHKと締結しなければならないこととなっておりますものを、簡明に受信料を支払わねばならないとするものでございます。  第二は、NHKの放送を受信することができる受信機を設置した方は、現在は受信料支払い契約の締結の申し出の義務がありますが、これにかえて設置したことをNHKへ通知しなければならないとするものでございます。  第三は、NHKは受信料を滞納した方に対しまして、遅延利息である延滞金を課することができ、そして延滞金を課してもなお受信料を支払わない方には割り増し金を課することができるとするものでございます。これは現在契約約款で定めております長期滞納の場合の割り増し金の制度を法律化しようとするものでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そうしますとね、自分の意思としてNHKを見ないという人に対してもその法の網がかぶさってくる。そうすると、取り立てをする場合には法的手段が中心になるわけですか。

大西正男自由民主党・自由国民会議郵政大臣

○国務大臣(大西正男君) 現行法は、先ほどもちょっと触れましたけれども、契約を義務づけておるわけでございます。そこで、契約は本来自由でなければならぬわけでありますが、それは契約締結の自由を含まなければならぬわけであります。そうでなければ本来は意味がないわけでございます。ところが、その締結を現行法は義務づけておるわけでございます。したがって、締結の自由というものはいまの現行法でもないと私は思います。そのことは、受信料というものが単なる対価ではなくて、これがNHKの放送法によってつくられた特殊法人として、全国的な放送網をつくって日本全国に放送を受信し得るようにするとか、その他いろいろ一般の放送事業者、つまり民放とは違った性格を与えられておるわけでございます。そういうことを明確にして、国民の方々の受信料というものはこういう性格のものだということをこの際明確にしよう、そういう御理解を得たいと、こういうことでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 郵政大臣ね、今度のような法改正をすれば、もう受信料は質的には放送税の一歩手前、いやそのものだという批判があるが、それに対しては。

大西正男自由民主党・自由国民会議郵政大臣

○国務大臣(大西正男君) これは税金とは全く違うものでございまして、その受信料を徴収いたしますのはNHK自体でございます。国や地方公共団体がこれを徴収するものでもございません。したがいまして、税金とはその点でも全く違う性質のものでございます。また、税金は罰則等でこの徴収を担保されておりますが、今回の改正におきましてもそんな担保はございません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 法制局長官に時間がないからまとめて伺います。  テレビセットを設置したら直ちに受信料が義務化される、これは財産権の保障をうたった憲法二十九条と照らしてどうか。それから思想及び良心の自由をうたった憲法十九条とどうか、あるいは租税法定主義に照らした八十四条、これとどうかかわるか、この点いかがですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) まず第一に憲法二十九条との関係について申し上げます。今回の改正案は、先ほど郵政大臣からも御説明申し上げましたように、現行法の受信契約の義務づけの方法にかえて直接法律で支払い義務を明記するということにしたわけでございますが、これは徴収実務の対策の強化ないし改善という範囲内の改正でございまして、憲法二十九条との関係には基本的には変化がないというのが私どもの考え方でございます。すなわち、現行法でも民放とは別にいわばナショナルミニマムとしての公共的放送の享受を国民に保障する必要があるという考え方を基礎といたしまして、その公共的放送をNHKの業務として行わせるための一種の国民的な負担として受信料をとらえているわけでありまして、この受信料の支払い義務はこのような公共的放送の維持のためという公的な要請に基づくものでございますから、憲法二十九条に違反するものではないと考えるわけでございます。  次に、憲法第十九条との関係でございますが、憲法第十九条は思想及び良心の自由を保障しているものであります。その趣旨は、人はどのような思想、良心を持っても自由であり、国家はそれを制限したりあるいは禁止したりしてはいけないということであります。今回の改正案は、受信料の支払いについて、先ほども申し上げましたように、支払い義務を直接法定することを内容としているものではございますけれども、そういう意味で経済的負担ということにかかわりはあるにしても、思想及び良心の自由にかかわるものでないことは明らかであると思いますので、憲法十九条との関係において問題になるとは考えられません。なお、憲法十九条との関係を問題にする考え方は、恐らく受信料支払い義務を法定することによって、結果としてNHKの放送の受信をその意に反して強制されるというような点をあるいは理由とするのではないかと思いますけれども、今回の改正案はその点については現行法と全く同じでありまして、別にNHKの放送の受信はもともと各人の自由であり、そのようなことを新たに強制をするというようなものでないことはこれまた明らかでございますから、憲法十九条との関係においては問題はないと考えております。  最後に憲法八十四条との関係でございますが、これは御案内のとおり、憲法八十四条は租税についてのいわゆる租税法定主義というものを決めているわけでございます。先ほど郵政大臣から御説明も申し上げましたとおり、NHKの受信料はそのような意味の租税とは違いますから、形式的にも八十四条の適用はないと考えますし、また実態的にもNHKの受信料の月額はNHKの予算の審議ということを通じて、国会が予算の承認を通じて関与しておられるわけでございますから、大きな目で見ても八十四条の趣旨に反するものとは考えられない次第でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 郵政省、いま不払いの実数を知りたいのと、延滞金とか割り増し金とか、督促状はあっても強制徴収の規定がないんだから、実際の効果はいままでと同じじゃありませんか。

大西正男自由民主党・自由国民会議郵政大臣

○国務大臣(大西正男君) 先ほど申し上げましたように、徴収権者はNHKでございますから、NHKがみずから最大の努力を払うべき問題でございます。いまお尋ねになりましたいろいろの数字等の問題は政府委員からお答え申し上げます。

平野正雄郵政省電波監理局長

○政府委員(平野正雄君) 不払い受信者の現状について申し上げますが、滞納受信者数、五十三年度末におきまして九十二万九千世帯でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 五十三年ですか。

平野正雄郵政省電波監理局長

○政府委員(平野正雄君) 五十三年度末でございます。それから契約拒否受信者数、これが五十三年度末で九万六千世帯と相なっております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 大平総理ね、このNHK問題いま問題になっているんですけれども、自民党の中にNHK調査委員会が設置されましたね。これはこうなっているんですけれども、総裁としてのあなたは、そういうことはごくあたりまえだというふうにお受けとめでしょうか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) NHKのあり方につきまして国民各層の間で議論があってしかるべきものと思います。自民党の中にありましてそういう姿で議論されて、自民党の中におきましてもそういうものとして議論されておるものと私は理解しております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 電波は本来国民共有の財産であって、言うまでもなく政府・与党の専有物ではない、この大原則はいかがですか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり心得ております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 そうでなくても、アメリカのFCCのあり方に比べれば日本の電波行政は歴代与党の風圧にさらされやすい、これは実態です。私もその世界で報道の仕事に携わってきてよくわかります。自分自身の実感です。だから、公共性というのは、NHKの場合に政府・与党によって左右されるのではなくて、NHKの自発的な努力、視聴者の理解と共感、これが公共性を守るのであって、公共性云々についてどうも与党の方に誤解がありはしませんか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういうことはないと考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 自民党の中に声の大きい人がそろってNHK調査委員会なんという恐ろしいのは余り振り回さないように、総裁としてもほどほどのブレーキをおかけいただきたいと思いますが、重ねていかがでしょう。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 自民党も公正な立場でNHKのあり方については論議してまいります。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 運輸大臣ね、ちょっと先を急がねばなりませんが、パイプラインの例の問題ですけれども、衆議院じゃ来年の二月終わりまでにはつくらせますと答えていますね、大丈夫ですか。

地崎宇三郎自由民主党・自由国民会議運輸大臣

○国務大臣(地崎宇三郎君) パイプラインの計画につきましては、事務的な手続あるいは地元の方々の御理解に大変時間がかかりまして、ようやくこの春から全面着工ができるようになりましたので、来年の期限までにできると期待をしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 大塚総裁、ことしの一月に松井千葉市長を訪問されて、どうもそれは運輸大臣が言うようにはいかぬ、しんどいとおっしゃっていませんか、パイプライン。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) お答えをいたします。  千葉市長との話は、このパイプラインはわが国ではまだ経験のほとんどない難事業である、したがってむずかしい状況にありますが、しかし、期限内に完成をさせるべくいま公団としては全力を挙げておるところであるというお話をしただけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 まあ、いまここではそうお答えにならざるを得ないと思うんだが、これね、期限内といっても二月末、しんどい、苦しいですよ。花見川は完全に行き詰まっている。おたくの技術陣はそういうリポートしているはずなんです。だから来年三月まではとても無理だと思います。しかし運輸大臣ね、あなたの前任者だが、暫定期間を三年にしたというのはどんな根拠があったのですかね。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) お答え申し上げます。  当時、五十年の八月二十九日のことでございますが、暫定期間を三年というふうに一般に言われておりますけれども、暫定輸送の期間を三年にする、パイプラインを三年にするということはやや違いましたが、しかし内容的には似たり寄ったりでございましょう。  そういうことになりましたのは、当時成田空港の早期開港ということが強く望まれておったことと同様に、この空港を安定して運営するためにはどうしても定常的にかつ安全に燃料を輸送できるパイプラインの早期完成も望まれる、これをあわせて一本のような御議論でございました。特に暫定輸送ということに関連いたしまして関係の地方自治体の方からは、やはりそうのんべんだらだらというのも困る、本格パイプラインを急ぐべきではないかと、こういう強い御希望のあったこともまた事実でございます。  一方、その時点におきまして公団の方として抱えておりましたのは、かつて公団が計画をいたしました。パイプラインのルートというものについて、主として千葉市でございますが、千葉市との間にいろいろと意見のそごを来しまして、これを見直さなければならないという客観的な状態にあったわけでございます。そういうふうなことをいろいろと踏まえまして、しかし、これを早急に完成させるということのためには、関係省庁一致協力し、あるいは地方公共団体にもしかるべき御援助を得ながらというふうなことを前提に踏まえまして、何とかこれを三年間で仕上げるようにしてまいりたい、こういうふうな経緯を踏まえて三年というところに落ちついたわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 公団ね、二期工事というのは、年内には始まるのですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 二期工事につきましては、私どもは絶対必要であり、必ずやらなければならぬと考えておりますが、しかし今年は、御承知のように、パイプラインに公団としては全力を注ぎますし、二期工事をやるための前提条件の整備というものもさらに進める必要のあるものがございますので、年内に工事そのものに着手するということはむずかしいかと、いますぐ着工ということを云々するまだ段階でないというふうに考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 二期工事が再開できない本当のぎりぎりの理由は何でしょうね。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) ただいま申し上げましたように、本年はパイプラインに全力を注ぐということと、まだいろいろ地元との関係で着工前に整備をしなければならぬ条件が若干ございますので、そういうものを整備をしていきたいというふうに考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 もっとずばりおっしゃっていただければ、土地収用が全く展望がない、そうじゃありませんか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 前提としての二期工事の条件の整備の中には用地の取得ということも当然入るわけでございます。これについては目下話し合いによる任意取得ということに主力を注いでおりますが、団結小屋とか、あるいは一坪共用地というようなものについては最終的には土地収用法もやむを得ないということになる可能性ありというふうに考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 運輸省ね、成田も羽田もたしか第一種空港だったですね。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) 空整法の規定によりまして、「新東京国際空港及び」と、こうなっておりまして、「政令で定めるもの」の中にいわゆる羽田、現在の東京空港が入っておりますので、おっしゃるとおりでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 成田が国際線で羽田を国内線と言うのは閣議決定ですか。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) 成田空港はその設置の経緯がいろいろあったわけでございまして、その中で主として国際線の用に供する空港という考え方で、きわめて初期の段階からすべての構想が進んでおったようでもございますし、また公団法の中にも、「将来における主要な国際航空路線の用に供することができるものであること」と、こういうふうなことをうたっておるわけでございます。したがって、現時点において私どもの理解は、成田国際空港は主として国際線の用に供する空港と、こういうふうに理解をしておるわけであります。  で、羽田の方はしからば何だということになりますと、現状なお第一種空港でございますから、空整法の定めるところに従った一種空港の扱いをしていく。ただし、その二つの空港の使い分けについて、先生いまおっしゃいましたように、特段に閣議決定をしたとか、そういうふうなことではないわけでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 運輸大臣ね、いま国際線と国内線では油の消費量どれぐらい違うか御存じでしょうね。大臣はどうなんですか。

地崎宇三郎自由民主党・自由国民会議運輸大臣

○国務大臣(地崎宇三郎君) わかりませんので、航空局長からお聞き取り願います。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) お答え申し上げます。  距離別及び飛行機の大きさによって違いますので一概に言いにくいと思いますが、きわめて違うもので言えば四倍、通常二倍程度、こういうふうに考えてよろしいかと思います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 成田の一日百八十便というのは、これは油がネックになっているわけですね。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) 油だけとは申しませんけれども……

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 主に。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) 先生仰せの油が非常に大きな理由の一つになっていることは事実でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 じゃ、その同じ第一種の羽田についてはそういう制約は全くないわけでしょう。

松本操運輸省航空局長

○政府委員(松本操君) 現在の羽田は何せ過去のピークに比べますと非常に便数も減っておりますし、仰せのような問題がいま起こっておるとは聞いておりません。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 運輸大臣ね、これをまともに受けとめてもらいたいんですよ。両方とも一種だ、閣議決定でもない、ならば、首都圏に二つの国際空港があるという踏まえ方をして、思い切って国際線の一部を羽田に、いいですか、逆に国内線の競争力の多い路線の一部を成田に、こうやってみたらどうかとぼくは考えているんだが、どうですか。

地崎宇三郎自由民主党・自由国民会議運輸大臣

○国務大臣(地崎宇三郎君) 成田空港は本来国際空港として出発し、そしていま現在その機能を発揮しているものでございます。羽田空港は成田空港ができてから国内線専門でございまして、全国的に基幹空港として地方ローカル航路の乗り入れが非常に希望が多うございます。さらに何らかの手当てをしなければ現在の羽田空港の機能が発揮できないということでございますので、羽田空港に国際空港を入れるということは現実的ではないのではないかというふうに判断をしております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 余り申し上げると時間がなくなるから……。これは必ず、二期工事はだめ、パイプラインはなおむずかしい、行き詰まりますよ。ぼくの言っているのが素人論でなくなる時期が必ず近い。申し上げておきます。  ところで建設省、ことしの二月に成田に絡んだ問題で、小泉よねさんの土地の問題ですが、何か堂々と態度を変えられましたね。ちょっと伺わせていただきたい。

渡辺栄一自由民主党・自由国民会議建設大臣

○国務大臣(渡辺栄一君) お答えをいたします。  新東京国際空港第一期建設事業に関しまして、千葉県収用委員会が行いました緊急裁決に対しまして、昭和四十六年に審査請求が提起されました。これに対する裁決を行っていないことに対しまして、不作為の違法確認訴訟が昭和五十三年に提起されたものでございます。この件につきましては、昨年の秋、秦先生がいろいろ御関心をお持ちになっておりまして、御提出の質問の主意書におきまして御提案がございました。私は、これにつきまして検討させました結果、遅延の理由はいろいろあるというふうにいたしましても、ともかく、審査請求後八年余りを経過してなお裁決を行っていないという事実はあるわけでございますから、そのため関係者に御迷惑をかけたという事実につきまして、私は、遺憾の意を表明してもしかるべきではないかと、こういうふうに判断をいたした次第でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ぼくは大変結構だと思うんですよ。  成田空港建設に絡んで、行政が積み重ねた膨大な過ち、傲慢、本当に皆さん不満を持っておられた。初めて、建設省のこれは一片の誠意だと思います。  そこで、私は申し上げておきたいんですけれども、行政手続法という見解がありますね、いま各国先進国に。法制局長官、これはどんなものですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 一般に行政手続法と申しますのは、行政庁のする各種の処分その他、公権力の行使に当たる行為に関して共通的な手続事項を定めるものであるというふうに理解しております。  その趣旨、目的は、現代国家における行政権の強化と行政の責務の増大という現象に対応しまして、個々の行政法規に別々に定められている行政手続についてできるだけ統一を図ることによって、公正かつ迅速な手続を確保し、それによって国民の権利、利益の保護を図ること及び行政の適正な運営を保持しようと、そういうことを目的とするものであります。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 どういう国がありますか、ついでに。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) これは行政管理庁の方で調べてもらったものでございますが、国名を申し上げますと、オーストリア、チェコスロバキア、ユーゴスラビア、アメリカ、ハンガリー、スペイン、イスラエル、オランダ、スイス、ノルウェー、スウェーデン、西ドイツ等の諸国でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 総理の諮問機関、航空機疑惑に絡んだ協議会でも、委員の方がこの行政手続法に触れていますね。なぜああいう答申が出たのでしょうか。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答えします。  協議会の中で、たしか田中二郎先生がこの問題に触れられておられますが、これはなかなかむずかしい問題でございますので、少し長い期間かけても検討しろという意味のことを発言しておられるのでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 これ、総理ね、成熟した民主国家が必ず備えているアクセスとか情報公開法、すべてに共通する大きな理念なんです。だから、大きなプロジェクトを行政が進める場合の過誤を少なくするためにも、被害を減らすためにも、行政手続法をぜひ長期にわたる展望で検討願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 検討するにやぶさかでございませんけれども、重大な問題でございますので、相当時間をかけてやらなければならぬと思っております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 政府は、国際障害者年の推進態勢をいろいろ考えておられると思うのですけれども、そろそろ具体化したのかどうか。われわれの仲間の前島議員が熱心に推進をしてこられたんだけれども、何か具体的な結論に到達されましたか。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  本会議でも前島議員から総理に御質問がありまして、総理からも積極的に取り組んでいくという御回答があったわけでございます。  これは、先生御承知のように、障害者の完全参加と平等ということを目標にして全世界が真剣に取り組もう、最善の努力をしようということでございますので、わが国もこれにつきましては真剣に取り組んでいこうということで、いま検討しておりますのは、総理を本部長としまして総務長官、厚生大臣を副本部長としまして、各省庁の事務次官も入りまして、国際障害者年推進本部——仮称でございますが、そういう本部を設置して、その庶務に当たるのに対策室をつくろう、なるべく新年度早々にやろうということで、いま関係省庁でこれの実現を期して相談をしているというところでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 長い質疑の中でこの点にだけは大平政権に全面的な賛意と共感を示したいと思う。  厚生省、健康保険組合の設立認可なんですけれども、いまとめていますね。何でですか。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 五十二年度後半から健康保険組合の新設を見合わしておるわけでございます。  その理由の第一は、医療保険制度全般にわたりまして、その制度のあり方をどうしていくか、基本的な改革を行うというような立場がございますので見合わせておるということが一つ。それからもう一つは、医療保険制度の基本的な改革の一つとして政管健保の財政の安定化を図る。したがいまして、そういう意味から、組合を新設いたしますことに政管健保の財政の上に影響を与える面があるのではないか、こういう判断のもとにしばらく見合わせておる、こういう事情でございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 これはぼくの提案、主張なんですが、政府健保の赤字を解消するためには、この政府健保を総合健保組合に再編成をする、地域別、業種別。これがむしろ積極的な基本的な赤字対策じゃないかと思うんだが、厚生省。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 秦君、時間が来ましたから……。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 組合方式には、その集団が小さいということもございます。効率的に事業を運営できるという長所がある反面に、その母体たる企業の経営が悪化したとか、あるいはまた被保険者の数が減少したというようなことにおきまして財政的に不安定な面があるわけでございます。また、健保間におきまして、その経営努力の範囲を超えた財政力に格差が生じて、給付の問題におきましても、あるいは負担の問題におきましても不平等が生じるというようなことがありはしないか、こういう点がございますので、政管健保をむしろ総合的な保険組合に再編成してはどうかと、せっかくの御提案でございますけれども、いまのところは考えていない、こういうことでございます。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 最後に一問よろしいでしょうか。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 時間が来ましたからあと一問、簡単に願います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 総理、この質問でやめますけれども、どうしてもやっぱり総理に伺っておきたい一つの質問は、当委員会でもこれほど真剣に論議されている真の財政再建論議ですね。これはどうしても論議の視点が一般会計に集中しがちです。これはしようがないです。法案も出ているのでありますから、それは仕方がないと思う。さっき栗林委員がいいアングルの質問をされていましたですね。なぜかというと、一般会計と行き詰まっている第二の国家予算たる財政投融資、この勘定を含めてワンセットにした、紙で言えば表裏ワンセットにした刷新と検討を加えなければ、とても真の財政再建には及ばないということが一つ。それから、そのためには国会議員の行動様式をどう変えるとか、行政改革をどうするとか、物取り民主主義に対してどういう厳しい態度をお互いにとるとかという問題ももちろんかかわってまいりましょうけれども、いっそ総理、これは検討していただけませんか。たとえば西ドイツがかつて連邦政府で行ってかなりな効果を、予想外の効果を上げた立法があります、財政再建について。それは財政再建特別措置法というふうなものをつくって、これは皆さんが予想もしなかったような成果を上げたんです、立法措置によって。議院の良識や諸官庁の自制によってでなくて、立法措置によって当然増経費にまで大なたをふるうことができたためであります。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 簡単に願います。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 ぜひこの際財政再建特別措置法を構想してもらいたいのと、最後に、行政改革をやるためには、大蔵省のあり方そのもの……

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 簡単にやってください。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 増分主義、大蔵省の超官庁的な権限、過度集中、内閣の総合調整機能、ここに立ち至らないとしょせんむなしいと思われますが、最後に総理の御答弁をぜひお願いしたいし、許されれば大蔵大臣。  以上です。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 財政民主主義の立場から申しまして、一般会計、特別会計、政府機関ばかりでなく、財政投融資も含めまして、一体として国会が十分の審査を遂げれるような仕組みを考えるべきじゃないかと、御趣旨ごもっともに存じます。いまの制度でも極力そういうように努力をいたしておりますけれども、やっぱり一般会計に偏重するということになっておることは御指摘のとおりでございまして、これから一層工夫をしてまいらなければいかぬ問題だと思っております。  それから、第二、第三の財政再建についてのお尋ねでございますが、秦さんの御提案は、私も非常に同感ができるわけでございまして、相当思い切った措置を講じないといけないわけでございます。財政再建特別措置というようなものを立法的な手段でこれを進めてまいるというようなことも望ましいことでございますが、そういう法律案に固まるまでにコンセンサスを固めなければならぬのがいまの私どもの立場でございまして、皆様の御協力を得まして、法律によるよらぬにかかわりませず、実態としてそういうコンセンサスをまず固めるという方向に最善の努力をいたしたいと存じておりまして、あとは大蔵大臣からお答えいたします。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いま総理からお答えになったことを補足するほどのものはございませんが、確かに基本的に増分主義を改めるべきであると、そのとおりであると思います。そして財政再建特別措置法を制定しろと、これはそういう法律を制定してかなり厳しい削減等、政府にその権限をゆだねるというような内容でありますだけに、まずそれ以前のコンセンサスが得られるかどうか、そのコンセンサスづくりがいまの段階のわれわれの仕事ではなかろうかと、このように考えております。

秦豊参議院クラブ

○秦豊君 どうも。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 大塚参考人には、御多忙中のところ御出席をくださいまして、まことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。  以上で秦君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 次に、下村泰君の総括質疑を行います。下村君。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 私がここへ参りますと各大臣の顔が大変なごむようでありますが、まあ、あの男ならば絶対におれたちの心配はない、そういう質問はないというような安堵の表情が浮かべられておるようであります。(笑声)先ほどお伺いしておりますと、総理がお答えの中に福祉の充実という言葉がありました。総理のおっしゃっている福祉の充実というのは、一体どの範囲までの充実なんでしょうか、伺わしてください。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 福祉の水準の向上ということだけでは足りないと思うのでございまして、やっぱり福祉に関連して施設も充実せにゃなりませんし、それに対する要員も確保せにゃなりませんし、また、それに魂が入らなければなりませんが、そういうようなことも含めまして福祉の充実という表現で申し上げたつもりでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 こういうふうに大変厳しい財政になりますと、どうしても一番先に痛められるのが弱い部分です。ことに声を出したくても出せない人たち、こういう国会に陳情もできないような状態に置かれている人たち、そういう方々が一番先に切られるのがいままでの通常でございます。そういう方たちは非常に大きな不安と悩みを抱えているわけです。心身障害者とその家族の声に耳を傾け、私は国会で許される限りの場で発言をしてまいりました。しかし、前回でございましたでしょうか、福田さんが総理大臣のときに、わが国のこういった身障者に対する福祉はどういうふうでしょうかと御質問いたしましたところが、残念ながら後進国並みですとはっきりおっしゃったんです。それ以後全然進展していないことは事実なんですが、先ほどからも、この国会が始まりまして数々の委員の方々がここでお尋ねしているときに、来年は国際障害者年でもあるし、政府もそれに真剣に取り組みたいというふうにおっしゃっていますが、来年だけじゃ困る。来年だけのプランでも困る。もし来年だけのためのプランでお金を出すんだったらこんなむだなお金はないと私は思うんです。そして、それに永続できるだけのそちらに気構えがおありでしょうか、それを伺わしてください。

伊東正義自由民主党・自由国民会議内閣官房長官

○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、一年こっきりで後はそれはやめたということでは、これは私は政策としてはまずいと思いますので、御趣旨を十分体しまして考えてまいりたいと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 総理に伺いますけれども、実子特例法、通常こういうふうに言う言い方をしているんです。実子特例法、法的に言いますと、昭和三十四年に民法部会で使われたときには特別養子制度という言葉があるそうですが、総理は御存じでしょうか。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 捨て子、それから子供殺しを防ぐための立法であったと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 実はもう総理もあるいはひょっとしたら御存じかもわかりませんが、昭和四十八年に石巻の菊田昇という産婦人科の医師が、妊娠中絶をしてくれと、ところがこれがたまたまその妊産婦の方が産み月などを計算を誤りまして、もうすでに優生保護法の対象にならない月でもって来るわけです。これは子殺しになります。カリフォルニアでは五カ月の子供を処置して、これは外から手を加えて殺したという意味でこの医者は殺人罪に問われております、カリフォルニアでは。アメリカですね。で、菊田医師がそのお子さんを御自分の産院で産ませて、お子さんが欲しくても産めない人にこれを実子と同様に育ててもらう。ですから、これはもちろん医師法違反にもなりましょうし、あるいは戸籍の方の違反にもなるわけです。それにいま問われておりまして、実はこの委員会に出ていただいて、参考人としていろいろお話を伺った上で総理の御見解をいただこうと思ったんですが、あいにく出てこられません。これはもう万やむを得ないことでございますけれども、総理、実はこういうのがあるんです。ここに、こういうハワイの方から来た書簡があります。これを訳しますと、実は日本ではもう処置できない、しかも、処置をすると戸籍簿に載ります。そういう関係からこの女性はわざわざ日本からハワイまで行ったんです。そしてハワイの医者にかかりまして、向こうにはエージェンシーがたくさんありますから、アメリカには、こういう養子あっせんの。そこで養子をあっせんしてもらって、この女性は身重から身軽になって帰ってくるわけです。ところが、これは下手すると人口の輸出ですな。わが国は一人減るけど、アメリカは一人ふえるんです。敬虔なるクリスチャンとしての大平総理、少なくともこういった法律が少しでも早くできれば何とかなるという状態、こういう状態がこれからも先続いていくとなると、これはゆゆしき問題じゃないかと思いますが、こういう問題についてどんなお考えをお持ちでしょう。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のございました実子特例法と言われるものが他人の子供を実子として法律上取り扱うことを骨子とするものであるならば、親族法や相続編の根幹に触れる問題でございますし、また、他人の子を実子として戸籍に記載することを認めるとすれば、それは戸籍の真実性に大きな影響のある重要な問題でありますので、私どもはそういうことについての法律は、いま制定する意思はございません。御意見はもちろん御意見として承っておきます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 実はここにもございますが、昭和三十四年の七月に、たしか法制審議会の民法小委員会でこれが取り上げられまして、その後この問題は留保されているわけですね。留保されるということは、やはりこれを審議をされる先生方も頭のどこかにこの問題がひっかかっているんではないかと思うんです。戦前は産めよふやせよでたくさん子供が生まれましたから、きょうだいで養子縁組みをする方がたくさんいました。しかし、現在でも年間三百、四百の不存在確認で訴訟が起きていることは法務大臣も御存じですね。そうしますと、いま法務大臣のおっしゃったような戸籍上云々ということは、実際問題としてそのわりに有効ではないということになりますが、どうですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 本件につきましては、お話のように、法制審議会で検討をいたしたこともございます。その経過等を見て、私どもはただいま法制をつくる考えはないとのお答え申し上げたわけでありますが、事務当局からもう少し詳しく御報告いたさせたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御指摘のとおり、法務大臣の諮問機関でございます法制審議会におきまして多年にわたり民法の身分法に関する改正を審議しておるわけでございます。そこで、去る昭和三十四年に法制審議会の民法部会身分法小委員会におきまして審議の結果を発表いたしました中に、仮決定及び留保事項のうちの留保事項といたしまして、通常の養子のほかに、いわゆる特別養子制度を設けることの可否についてはなお検討するという項目がございます。  内容は、いわゆる実子特例法と言われるものとほぼ同じであろうと思うのでございますが、特別養子となるべき者は一定の年齢に達しない幼児に限るということで、特別養子はすべての関係において養親の実子として取り扱うものとし、戸籍上も実子として記載する。そういたしまして、養親の側からの離縁を認めないと、こういう内容になっているわけでございますが、この項目につきましては、なお検討するということで、しばらく検討を他の問題に集中いたしまして、その結果といたしまして相続法等に関する要綱をまとめるという進捗状況になっているわけでございます。  もちろん、民法部会といたしまして、なお検討する項目として掲げられておりまして、この内容にはいろいろの問題点を含んでおるわけでございますが、たとえば養子制度についての再検討ということは当然民法部会で今後行われるということになるものと思われますし、さらに、その養子の制度におきましても、現在の法律におきましては実方と養方と両方との関係があるわけでございますけれども、その実方との関係を遮断するというような角度での検討というようなものも十分考えられるわけでございまして、将来、養子制度全般といたしましてはなお検討すべき事項が多いかと思われるわけでございますけれども、実子特例法と言われますそのままの内容をいま直ちに検討の対象として、その早期実現を図るということは、従来の法制審議会の審議の経過に照らしまして問題があるのではないかというふうに私ども考えている次第でございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それじゃ、ちょっと民事局長に伺いますけれどもね。この間、こういう話をちょっとこれオフレコで聞いたんですけれどもね。相続法が終わったら、少しはこれは検討するような話がありましたけれども、ありませんか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) ただいま申し上げましたように、相続に関する部分につきまして鋭意検討をいたしまして、数日前に御提案申し上げた民法及び家事審判法の一部を改正する法律案、これはその結果を法律案にまとめたものでございます。  そこで、相続の問題につきましては、その基本問題につきまして一応の結論を得たわけでございまして、民法部会といたしましては、法務大臣から民法全般にわたりまして諮問をいたしておるわけでございますので、財産法、身分法各般にわたりまして検討が続けられるということになるわけでございまして、身分法の問題といたしましては、御指摘の養子の問題、なお、その他遺言の問題等々いろいろございますけれども、そういう一環といたしまして養子制度の改善ということについても当然審議が行われることになるかと思う次第でございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 この問題はそう簡単にはいかない問題でございますので、このくらいにします。  次に、口唇口蓋裂について質問させていただきますが、総理は、口唇口蓋裂という、これを聞いたことがございますか、言葉の上で。口唇口蓋裂、ありませんか。みつくち、くちびるが裂けるので口唇、で、上あごが裂けるので口蓋裂と、こう言うわけです。これは総理によく聞いていただかないと——厚生大臣はもちろんよく御存じのはずですけれども、これは総理によく聞いていただかないとわかりませんので、きょうは実物を持ってまいりまして御説明をさせていただきます、時間がもったいないんですけどね、本当は。(資料を示す)これが上あごなんです。このへこんでいるところがありますね。よく透かして見ると、ここから光が漏れているはずです。これが上あごなんです。そうしますと、この上あごが全部裂けて鼻の方まで抜けているわけなんです、この裂け目が。よろしゅうございますね。これが口蓋裂。これは二十過ぎの男性のです。これが普通の方なんです。普通の方はこういうふうになっています。これは二つ見せるとよくおわかりになる。これが口蓋裂の人、これが普通の。わかりますね。これが今度は二つになります、上と下が。これは幼児のでございますけれども、こういう形になるんです。こういう形になります。見えますわね。上の歯が全部下がるんです、こういうふうに。これをほうっておきますと、どんどんどんどんこうなる。完全に合わないんです。年をとればとるほどそういう状態になってくるわけですね。しかも、この子の場合には、ここに穴があいています、上あごに。しかも上は割れているわけです。この状態で育ってしまったんでは、いわゆる不正咬合といいまして物がかめません。それから話もできません。すれば空気が上へ漏れますからね。こういうお子さんが驚くなかれ四百人から五百人に一人生まれてるんです。そして、愛知学院大学の統計によりましても、いわゆる奇形として生まれるお子さんの一番数の多いのがこの口唇口蓋裂なんです。ここに統計が出ています。こんなものを一々細かく申し上げていると大変ですから、こういう統計が出ています。このお子さんたちが第一次修正と申しまして、これは国によってそれぞれ手術する時期が違うんですけれども、三カ月とか四カ月とか、長いところでは二年ぐらい、そしてくちびるを閉じます。これが第一次修正、顔が幾らか変形します。これを治すのを第二次修正といいます。ここまで健康保険はきくんです。ところが、いま申し上げましたように、こういうひどい状態になっている上あごを閉じなきゃいけませんね。これは健康保険はきかないんです。ですから、これを歯科医の関係でこういう矯正をする人がいま一番もうかるんです。ここに写真がございます。ごらんになれますね、こういう状態で生まれるんです。——向こうにも見せましょうか。こういう状態になるんですね。そして、ごらんのごとくにこう分かれています。これが生後四ヵ月ですね。そしてこのお子さん、一九七五年のお生まれなんですけどもね。このお子さんの今度下から見ますと、こういう形になっています。もちろん上あごが裂けていますね、これがそうなんです。そしてこのお子さんが第一回の手術によってこれだけになるんです。これは見比べていただきゃわかります。こういうふうになります。そうして次の手術でこれが閉じられますと、こんなかわいい顔になるんです。ところが、ここなんですよ、総理。こんなかわいいお顔になってましょう。ところが、くちびるを上げますね、上げるとこれなんです。穴があいてるんです、この上に。ですから、正面から見たときには第二回の手術によりまして、七七年の手術ですが、こういうふうなお顔になるんです。ところが、実際はこういうふうになっているんです。これを治すのに、デンマークとかスウェーデンとか、北欧の国々は国がずうっとめんどう見るんですよ、完璧に治るまで。日本は全然やってくれないんです。厚生大臣に伺いますが、そういうことをお考えでしょうか。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 口唇口蓋裂患者の歯列矯正に保険を適用すべきではないかという御指摘だと思うのでございます。  この歯列矯正は、いままでは美容整形的な要素、まあ厚生省では審美的と申しておりますが、そういう要素が強いと考えられておりましたために、保険医療機関及び保険医療養担当規則によりまして、現在のところ保険給付の対象にはいたしていないわけでございますが、しかしながら、いまいろいろお話がございましたとおり、これは緊急に保険の対象にしたい、こういう考え方で、次回の診療報酬改定の際にこの問題を中医協に御審議を願うことにいたしておるわけでございます。したがいまして、その審議の前に専門学会におきましてもこの問題について討論を願っております。また、厚生省の中にも小児歯科保険対策検討会を設けましてこれを検討いたしておりますので、次回の診療報酬の際には必ず保険の対象にいたしたい、かように考えております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 先ほどの資料でございますけれども、こちらの方のモデルは、これは愛知学院大学の方の河合幹先生、そして鈴木俊夫先生から提供されたものです。そしてこちらの写真は、これは東京医科歯科大学の第一口腔外科学教室の清水正嗣先生から提供されたものなんです。この清水先生も、それから河合幹愛知学院大学の先生も……。これは本当に大蔵大臣、何とか銭出してくださいよ。このお母様方必死なんです、これは。できないんですから、とにかく金が高くて。中には家を売り払ってやるとか、あるいは事業が倒産しても子供のためにめんどうを見ようというお父さん、お母さんがいるんです。切実な問題なんです。しかも、このお医者さん方に聞くと、お医者さん方の方も考えてやらなきゃならない。たとえば、こういうのがあるんです。これはスピーチ・エイドというんですけどもね、これを総理、この上あごのところにこう入れるわけですよ。こう入れましてね、そうしてここを縫い合わした場合に、くっついて、それは育ちませんからね。それをこういうものを入れて、実はジャッキみたいに穴があいてるんです。それを少しずつ回していきますと、これが広がっていくんです。それで、口を完全に補強するまでこういうものを入れて育たなきゃならないんです、二十過ぎまで。ところが、こういうものがひっかかるものですから、こういう子供たちは——しかも、弱いですからね、歯が。みんなこの歯、いわゆる歯槽膿漏とかあるいは虫歯に冒されて、かかるところがありゃいいけど、なくなっちゃうんですよ、この歯が。そのために、今度はこれがはまらなくなるんです。この材料がこれ、日本じゃだめなんです。これは輸入物なんです。そうしますと、治療器具の方だけが膨大な値段になる。ですから、なかなか健康保険でもめんどう見にくい、これはわかりますよ。わかりますけれどもね。これはいち早くやっていただかないと、こういうお子さんが二十万、三十万いるんですからね、それはもう厚生大臣がおわかりだと思いますけれども。官房長官、首ひねってる場合じゃないですからね、真剣に考えてください。どうですか、厚生大臣。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、次回の診療報酬改定の際に必ず保険の対象にいたしたい、こういうことをお約束申し上げたいと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 間違いないですね。まだほかに厚生省の中で言い分が違ってるところがあるんですよ。そこを指摘しますとね、いま厚生大臣のおっしゃったことがうやむやになっちゃお気の毒ですから、せっかくお答えになってるんですから、その方向に向かって進むことは間違いありませんね。いやですよ、うそついちゃ。  次に、障害者の雇用問題について伺います。  これは総理ね、悲しいことなんですけどね、これは発表できないのが残念なんです。このお飾りですけどね、これは、どこで何してどういうふうになって、どこでやってるかと言えないんです。と申しますのは、ある作業所で知恵おくれのお子さんと心身障害児、肢体不自由児のお子さんとを一緒にしましてね、訓練作業をやってるんです。ところが、これはよく仕出し屋さんの弁当やなんかに入ってますね、お祝い物にこういうのが。ちょこっと入ってるんです。これをつくっている会社が善意でその作業所へこの仕事をさせてるんです。能率上がりませんよ。上がりませんけれども、させてくれてるんです。これは松竹梅なんです。これ全部取れるんです。これは全部ばらばらなんです。中の花びらから何から、全部ばらばらなんです。これを一個やって幾らってなものなんです。ところが、これが指先の訓練になるんです。指先の訓練になるから、知恵おくれの子供とか、あるいは脳性小児麻痺のお子さんとかでも、これを一生懸命ふるえる指でつくるんです。ところが、これをあるマスコミが取り上げたんです。そうしましたら、こういう業者というのはたくさんいますからね、その業者からこれを注文している仕出し屋さんに指されますとね、報告されますと、これはストップしなきゃいけないんです。これをつくってるところが作業所をストップしなきゃならない。だから、国会でもやらないでくれ、言わないでくれって私はとめられたんです。こんな悲しい国ってありますか、総理。仕出し屋さんの方だってまさかこれをそのまま作業所から来た物をこのままつけるわけじゃないでしょう、消毒するでしょう、一応。ところが、仕出し屋さんにわかった場合には、これをつくって、しかも善意でこの会社から作業所へ品物をおろしてくれているのにもかかわらず、この会社がひょっとしたらストップされて、ほかの業者が入ってくるんですよ。こういう現状を総理、どういうふうにごらんになりますか。こういう業者間のあつれきといいますかね、しかも、こういう心なき行動がとられる。ですから、言わないでくれって私は頼まれちゃった。ですから、どこがどうして、どこでこういうことをやってるなんてことは言えないんですよ。私はこういうのは教育問題だと思いますよ、文部大臣。たとえばこういうことを誹謗するような人間が育ってくるという日本というのは、悲しくありませんか、しかも人の善意を横取りするような。文部大臣としてどういうふうにお考えになりますか、そういうのを。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。  大変残念なことでございますが、教育の方におきましても十分そういう問題につきましては考えて措置をせなきゃならぬと考えております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 文部大臣としてはそのくらいのお答えしか言えないでしょうね、それは。無理もないと思います。  さて、労働省に伺いますが、いわゆる納付金制度でございますけれども、五十二年、五十三年、五十四年にこの納付金がどのくらい入って、どういうふうに使われたか、ひとつ聞かせてください。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) お答えいたします。  五十三年がいま手元にございますので——五十三年におきましては、納付金として徴収した金額が約百八十八億になっております。これに対しまして、支出の方は、調整金、大企業で身障者をたくさん雇用したところに対しまして約十六億円、それから報奨金、これは中小企業の場合でございますが約六億円、助成金約二十九億円、合計約五十一億円を事業主等に対し支給したという実績になっております。徴収額の約二七%ということになっておりますが、五十四年度におきましては、これはまだ見込みでございますが、約百八十億円の徴収見込みに対しまして調整金が約十七億円、報奨金が約八億円、それから助成金が約七十八億円という形で、合計約百三億円を事業主に支給する見込みでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 せんだって経団連でしたか日経連の方から身障者の雇用の促進を図れというような要望があったように承りましたけども、大蔵大臣御存じでしたか、お聞きになりませんでしたか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 記憶いたしておりません。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 ああそうですか。労働大臣いかがでしょう。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 心身障害者の雇用については、いろいろな団体から、それぞれの立場によって若干意見は異にいたしますけれども、非常に好意的な意見が寄せられております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 労働大臣に伺いますが、これは毎年納付金額がふえているわけでしょう。そして雇用されるべき身障者が五万人以上いるわけですね。結局この納付金の額がたまるということ、ふえるということは、こういう身体障害児者の犠牲によってこの金が払われてその金がたまっていると言っても私は決してこれ過言ではないと思うんですけどね、これから労働大臣としてはどういうふうにこの雇用促進を進めていくおつもりでございますか。ただ単にあっち頼むこっち頼むというんじゃ、これは用をなさないんですよね。どういうふうなお考えをお持ちですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 労働行政の中で心身障害者の雇用の問題は最も大事な課題でございます。ただ、重要でありますけれども、やはりその一人一人の個性と能力に応じまして、それぞれ雇用の場が準備をせられ、そして社会的に参加をしていくという非常に生きがいを持って労働の場にお臨みになる心身障害者の方々が本当に気持ちよく働けるような構えをつくっていくこと、これはみんながそんな努力をしていくことが大切だと、こう考えるわけであります。そしてまた、そういう企業に対しては、先ほどの話にもございましたように、心身障害者の方々がせっかくお働きをいただいておる企業がかえって同業者からねたまれたり、あるいは逆に告げ口されて、企業が成り立たなくなるというような形にならないようにみんなで守っていくということが大切だと思います。一般的にはそのように考えておりますが、そういった形を、単に雇用の納付金制度だけではなくって、広く呼びかけて、心身障害者の方々の雇用を確保していくようにいたしたい、全国の八百の職業安定所の第一線でもそういう気持ちに徹して取り組んでおるところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 こういった身障者の方々の少なくともいわゆる自立更生を願うということがずいぶんあると思います。その意味での就業だと思うんですけれども、企業就職とあわせて福祉的就労の場として保護雇用というのを諸外国はやっておるようですけれども、何か英国では大分盛んにやっておるようですけれども、わが国ではこういう政策はお考えでございましょうか、保護雇用。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) 外国にも例のあることでございますので、わが国におきましてもいろいろな角度から検討は進めさせていただいておりますが、まだ積極的にそれを制度として取り込んでいくということにはなっておりません。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 これはサンケイ新聞に出ておりましたが、私、ちょっといま資料を持ってくるの忘れたんですけれども、代々木の駅の前に、たしか香蘭といいましたかね、香るという字に蘭、そこの中華料理屋さんが、本店、支店を合わせて十五人も知恵おくれのお子さんを使っておる。そして知恵おくれのお子さんというのは単一作業をやらせますと、むしろ健常者よりも一生懸命やる。そこで何ですか、今度労働省の方から大変表彰を受けたというふうに承っておりますが、これが本当の私は先ほど申し上げました保護雇用じゃないかと思うんですよ。民間がこれだけのことをやっているのに何で労働省ができないんですか。悲しいことじゃありませんか。それで来年国際障害年でどんなプランがある、こんなプランがあるなんて、そんなものへみたいなものじゃないですか。私はそう思いますけれども、労働大臣どうですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○国務大臣(藤波孝生君) お話のように、民間で大変心身障害者の方々の雇用に御努力をいただきまして、いろんな仕事を開発をして雇用の場をつくってくださっているというところにつきましては労働省から積極的にいろんな助成を申し上げるということで、民間企業がさらにそういった努力を重ねていただくようにお願いをいたしておるところでございます。モデルの工場などにつきましてもできるだけの労働省からも応援をしてお願いをしていく。官製で何か固まったものをつくっていくというよりも、何回も申し上げますけれども、一人一人の心身障害者の方々に見合った職場をみんなが工夫をしながら開発をしていくという努力が大切でございますので、政府としてはそれを積極的に応援していくというような構えで、官民一体になって所期の目的が達成をされるようにぜひお願いをしたい、こう思って取り組んでおるところでございます。今後とも、特に来年は国際障害年でもございますので、さらに積極的に取り組んでいくことをお誓いを申し上げたいと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 何ですか、聞いていると国民の側の方が一生懸命やって、それを労働省と厚生省が補足しているような感じですね。話はあべこべみたいに思うんです。  小平に職業訓練所がございます。これはもう労働大臣も御存じのはずでございますが、あそこへ行きまして私は非常に感に打たれましたのは、体の御不自由な人が一生懸命つまり就職すべく技術を身につけている。そうしますとそこの教官が、ちょうど私が行ったのは洋裁でしたね、洋裁と和裁の方でしたか、それから塗装も行ってみました。すると、その教官が物すごく胸を張ってうれしそうに言う言葉は何かというと、ここにいる生徒は一〇〇%就職決定しましたと言うんですよ。しかも、あそこにいる校長の柿崎栄一さんという方は、集団見合いという言葉を使っていましたね。集団見合いというのはどういうのかというと、企業主と——雇ってくれる雇用主と生徒と集団でお見合いさせる。そして雇われる方の希望をもろもろ聞いてもろうて、それを今度雇い主側の方が聞いて、この子はうちに合いそうだ、合いそうでないということを選別するわけですよ。そういう手だてまでして一生懸命ああいう職業訓練校で育っていく人たちのめんどうを見ている。りっぱですよ、これ。そういうことを労働省は全面的に、バックアップしているんですかね。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) ただいま先生御指摘のように、東京都におきましては職業訓練校あるいは新規の学卒の身障者に対しまして、集団見合いというような通称で優良求人を集めて、身障者だけの求人者と求職者との面接といいますか、そういうものを計画してやっておりますが、それが非常に好評でございます。このごろは大企業も身障者雇用率の達成という観点から身障者の雇用に非常に熱心になってまいりまして、求人がたくさん集まるという形で、求職者よりも求人の数の方が多いというような形で、東京都の場合非常に好評でございますので、来年度は労働省として全国的にそういういわゆる集団見合いのような形の面接、そういうものをやって雇用の促進に努めてまいりたいと考えております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 さて、その小平ですけれども、そこに小川駅という駅があるんです。その先に新所沢というのがあります。これはもう厚生省御自慢の建物ですわね。厚生省と労働省が新所沢へつくった大変な施設がございます。ところが、国が関与しているそういった施設ができますと、私鉄の西武鉄道があの新所沢の駅に、三月の二十日ですか、きょうは十七日ですから、しあさってですか、いままでは貨物専用かなんかに障害者——たとえば前島議員みたいな方がいれば車いす、こういうのを貨物のエレベーターで動かしていたのを新所沢の駅は今度は完全に身障者の、ことに車いすを使うような方のためのエレベーターができた。そのすぐそばなんです、小川駅は。ところが、この小川駅というところは小平をバックにしておりますから、ここにはもう幾多の施設があるんです。ここにないんですよ、そういうエレベーターが。常時身障者が百二十人以上そこを使っておるわけです。そして、その近所に住んでいる方々は新宿という都心へ出てみたい。ところが新宿にはある、小川駅にはない。しかも日本で私鉄としては最高の施設ができるというのに、どうなんでしょうか、運輸省はそういうことの応援をして、そういう方たちのためのエレベーターをつけるなんという考えはないんですかね。

山地進運輸省鉄道監督局長

○政府委員(山地進君) いま御指摘のありました小川駅のエレベーターの設置につきましては、小平市長から西武鉄道に対してこれを設置するように前から要望がございまして、西武鉄道としても、あそこは橋上駅でございまして、それから駅が狭いので前々からそういういろいろ御希望があるのを幾つか改良工事の際にひとつやりたいと。それだけをつくりますと、橋上駅のところになかなか構造上設置がむずかしいというような問題もございまして、今後改良に際してはぜひ設置する方向で検討したいと、かように申しておりますので、近くそれが具体化するだろうと、私どもとしてもその方向で指導しているところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 あなた簡単に言うけれども、そう簡単にいかぬでしょう、これ。あそこのホームというのは場所がないでしょう。ですから、あのホームというのは拡張せにゃいかぬでしょう、西武では。それぐらいおわかりなんでしょう。拡張をしなければできないんですよね。エレベーターだけのことを言っているわけじゃないんだ、私は。拡張するためには西武は大分金を使わなきゃならないんですよ。西武側の言い分としては、私の方では残念ながらエレベーターまで回り切らないんだと、拡張するだけで目いっぱいなんだと、そして運営はいたしますが、どうかお国の方でめんどう見てください、お国でめんどう見てくだされば私の方はすぐにでもやりたい、こういうような答えを私は得ているんですよ。あなたとちょっと話が違いますな、もう一回お願いします。

山地進運輸省鉄道監督局長

○政府委員(山地進君) いま私申し上げましたとおり駅が狭いということ、先生の御指摘のとおり狭いと。それからもう一つ駅を拡張するという、いま貨物を扱っているところがございまして、その貨物の方があいたらそちらの方へ駅を拡張して、その際に改良工事を全部やりたいというふうに私聞いております。  それから費用負担の点でございますけれども、先生のお言葉からすれば補助金というような感じがするわけでございますけれども、こういった身障者の問題については対策特別基本法でございますか、あれによりまして国民各層が努力するというたてまえになっておりまして、そこで一体どの程度までだれが負担するかというのは非常にむずかしい問題かと思います。確かに鉄道の方も運賃で費用をかせいでいるわけでございますから、その対策に回る金というのは限度があるのは、先生もいろいろ西武と御交渉になったときに実感としてお持ちだろうと思うんでございます。そこで私どもとしては、開銀融資とか、そういったものが全部駅の改良工事の場合には出るわけで、そのときには身障者の分についてもその一部として組み込まれているわけですから、開銀の融資ということもあります。ただし、それについて、じゃ補助できるのかといいますと、現在の制度の中では補助金というところまで及んでいない。西武が負担して、それを運賃の負担で一般の方々から負担していただくという形が現在の制度かと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 結局、運賃をよけい払えばそういう方にも手が回るなんという言い方ですがな、いまの言い方ですとね。しかし、カラ出張とかヤミ手当とか、そういうことの才覚はあるくせに、こういうのはやらないんですかね。こういうところがあきれ返って物が言えないと言うんです。どうでしょうかな、運輸大臣。何とかこれの手だてはありませんか。大臣の方からお答え願えませんか。

地崎宇三郎自由民主党・自由国民会議運輸大臣

○国務大臣(地崎宇三郎君) いまのところ、鉄監局長がお答えいたしましたように、開発銀行の融資等をあっせんするということで対処してまいりたいと存じます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 次に、先ほども秦委員の方から健康保険のことについて出ておりましたですけれども、ちょっと厚生大臣に伺いますけれども、普通健康保険組合ですね。この方の方が、たとえば地方自治体の主管庁へ出かけていって私の診断書並びに保険料その他を見せてくれと、これ見せますわね。ところが政府管掌の保険に関しては明細書を見せないというのは本当ですか。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 診療報酬の明細書でございますが、この中身につきましてはカルテに準ずるような中身を含んでおりまして、これは診療報酬の請求だけに使われるだけでございますので、したがいまして、その目的を超えた使用につきましては、これは高度の秘密保持という問題から考えまして許されないというふうに考えておるわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 普通健康保険の方は見せてくれるんでしょう。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 健康保険組合の方から見せている例は、私はないと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 東京都の民生局に承ったら、政府管掌に関しては見せない、守秘の義務があるから見せない、ところが普通の健康保険組合のものは見せると、こういうふうに承ったのですがね。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 私どもの指導もそれは見せないという形にしておりますので、それは間違いではないかと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それでは、なお私の方も調べてみます。  それでは、改めて、ひどい乱診ぶりといいますか、全くまいりましたね、これ。ここにお並びの大臣の中に、失礼なことを伺いますが、水虫の方いますか、水虫の方——一人もいませんか。これまた実にどうもすばらしい体質の持ち主ですね。驚いたことに水虫で脳波の検査をしたという医者がいるんですが、厚生省の方でこういうのはあれですか、医者というものは、それは調べなければだめだという場合には脳波までとるんですか、水虫でも。(笑声)

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) いまのお話の筋は、たしか東京スポーツかなんか新聞に出ておった例だと思いますけれども、水虫でも脳波の検査は必要だという発言がございました。水虫は御存じのとおりカビの一種の真菌の感染によって起こるわけでございますが、いわば髄膜炎という病気がございますが、この髄膜炎の病気につきましても真菌というものによって起こることがまれにございます。これは真菌性髄膜炎といっておりますが、一般の場合にそういうことはあり得ないわけで、ごくまれな事例としてはあり得ると、こういうことでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それはあなたのおっしゃるとおり、明らかに東京スポーツが、これは「日本医師界の内幕」というので、こんなにたくさんあるのですが、これはとても読んでいるあれはありませんけれども、これ全部ほとんど医師のそういったものばかり書かれているんですけれども、つまり水虫でもって脳波の検査までしたというお医者さんですが、こんなことは常識だと言っているんですよ、このお医者さんは。やらない医者の方がおかしいと言っているんだ。やらない医者はおかしいんですか、私は専門家じゃないからわからないから。私も水虫だから。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) やらない方が常識だと思います。(笑声)

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 だろうと私も思いますよ。  この記事に対しまして、もっともこの記事は、実はNHKでインタビューしたんですね。そのときでも、この医者は水虫でも脳波の検査は必要という趣旨の発言をした。それで大阪市のある開業医がびっくりしまして、「同じ医師として恥ずかしい限りです。」「こんな医師がいる以上、医者は金もうけ主義だといわれても仕方がありません。医師が、勇気を出して他の医師を告発することも必要だと痛感しています」と、こういうようなことをほかの医者が言っているんですね。そんなにひどい。この医者、もっと調べてみますと、これは大阪市旭区の内科医で中野恵明という、これは旭区の医師会長なんだそうですが、白癬菌だから脳へ行くこともあると言うんです。ですから調べなきゃいかぬ。で、この医者のびっくりしたのは、五十四年の十一月だけで収入四千万。総理、想像できますか、四千万ですって。患者が大体二百人から二百二、三十人、その家の患者が一件当たり平均二十万円です。全国平均が八千百円なんですよ。二十五倍です。それはそうでしょう、水虫で脳波とるんですから。それで、患者の七〇%が三本ないし五本の注射を毎日されるというんです。そして、その患者の九七%が全部心不全だというんです。この人の頭の方がよっぽど心不全ですね。この方は何ですか、これからこれは健保の方が請求して、府知事にこれは告訴の準備中だという話なんですけれども、こういう医者が実に多いんですね。五十三年の七月に死亡した人を八月、九月と二カ月も診察した人がいますね、死んじゃった人を。これは江戸川区の歯医者、びっくりしましたな、これは本当に。どういうことになっているんですかね。そうかと思うと、一番高額だったのが不正請求がF外科医院の九百五十万円。これは食道静脈瘤の手術を受けて、術後肺炎を併発した患者、五十七歳ですが、一カ月分のこれが治療費なんですよ、一カ月の治療費が九百五十万円。これを高額に疑問を持った健保組合が調査しましたら、投薬の単位のミリグラムをグラムにして申請したというんです。で、四百二十六万円が水増しでこれが返ってきたと。  ここでちょっと伺いたいんですけれども、こういうものを審査する監査委員といいますか審査委員といいますか、厚生大臣、これは事足りているんですかね、こういう人員は。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 診療報酬請求につきましての審査は、支払基金に委託いたしておるわけでございますが、支払基金の審査委員の数も十分ではございません。わずかに全国で三千百五十九名ということでございます。特に常任の、専任の審査委員が少のうございますので、十分な審査はできないということは御指摘のとおりだと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 こういうことになっていますね、審査枚数が四億六千七百万枚、これはそうですか。審査枚数が四億六千七百万枚もある。これは五十四年度です。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 五十三年度の数字で四億六千七百十二万枚です。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それで、調べる人が三千四十五名ですか——そうですね。はい、結構です。  そうしますと、平均して調べたって委員一人当たりが年に十五万枚、月に一万六千枚、見てられますか、こんな数を。どうですか。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 確かに非常に少ない数でやっておりますので、どうしても重点審査という形にならざるを得ないと思うわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 そうしますと、医者の方も、どうせわかりっこないという、乱診をするのがあたりまえじゃないんですかね、これ。計算していきますと、たとえば五日間でやったって日に三千枚、一枚当たり十二秒ぐらいですよ。十二秒でわかりますか、これ。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 一枚当たりにしますとそういう数字になるかと思いますけれども、したがいまして、全枚数について一つ一つチェックはできないわけでございます。大体やっておりまするのは、これは各県の支払基金の審査状況まちまちでございますけれども、共通してやっておりますのは、重点審査という形で、大体その地区でこれはどうも危ないというものを傾向的に見まして、それを重点審査をする、こういう形でやっておるわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 そうしますと、厚生大臣に伺いますが、審査をする人、この人の数はふやすことはできないんですか。何か医師会の方から大変圧力がかかってふやせられないんだという話を聞きます。うわさですけれどもね、うわさですよ。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 実は毎年数はふやしておるわけでございますけれども、結局その審査の手数料に全部はね返ってくる問題でございますので、全部これを一人当たりに対比いたしまして膨大な数字で要求をするわけにはまいりませんけれども、毎年少しずつ改善いたしておるわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 実は総理、こういう話もあるんですよ。京都の南座というところがある。そこへ森繁久彌さんが出ておったんです。そうしたら、楽屋へ顔見知りの医者が来た。で、どうです先生と言われて、いや、ちょっと疲れている、ああそうですか、じゃ注射打ちましょう、これは好意的に打ってくれたと思ったんですね。そうしたら、何とこれが喜劇人協会へ八千円の請求が来た。急患ですって、理由は。本人そんなこと言っていないんですよ。向こうが好意で打ってくれたものとばかり思っていたら、請求書が来た。こういう医者がふえちゃったんじゃ一体どういうことになるんですかね。どうなんですかね、こういった新聞にもたくさん、東京スポーツ、これとにかく読んだら数限りないんですけれども、こういう医者を監視するというわけにはいかぬのですかね、厚生大臣。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) 先ほども御指摘になりましたとおり、一件当たりの審査に要する時間はいまでは一日五時間で一件七秒というようなことでございまして、なかなかこの厳重な審査というものがいまの体制では十分でないことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、診療報酬の支払いを適正化するためには、まず第一に社会保険診療報酬支払基金における審査を充実する具体的な方法を考えていくということが一つ、第二は保険医療機関等の指導監査をやはり強化しなきゃならぬ。今後とも両面にわたって医療費の支出の適正化を図っていくように根本的にひとつ考えてまいりたいと、かように考えます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 もう一つ厚生大臣に伺わしていただきたいんですが、過誤調整というのがある。何ですか、私はよくわからないんですがね。過誤調整というから、かごしょって歩くのかと思ったら、そうじゃないんですかね。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 過誤調整と申しますのは、たとえば医療機関側の方は善意で請求いたしましたけれども、実際にそれを審査してみますと正当な理由がないというような場合等もございます。それから、指導いたしておりますけれども、指導の段階でそれが見つかった場合には、これはおかしいから請求はしなさんなというふうなこともございます。そういうふうな場合を過誤調整と、こう申しておるわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それは厚生省が中に入るわけですか、これは。

石野清治厚生省保険局長

○政府委員(石野清治君) 支払基金でやる場合と、それから実際に指導の場合には厚生省の技官が、専門の技官がおりますので、専門の技官が各医療機関を指導する場合に具体的にその場で行うわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 そうしますと、幾らでも請求して、どっちみち過誤調整だからというふうな風潮になりましたら、これはもう何ぼでも請求が来るということになるんじゃないでしょうかね、結果として。どうですか、厚生大臣。そういうようなどんどん請求の多い医者ばかりがふえるんじゃないでしょうかと私は聞いているんです。

野呂恭一自由民主党・自由国民会議厚生大臣

○国務大臣(野呂恭一君) そういう心配のないように、先ほども申し上げましたとおり、一つは診療費の請求審査に対しまして、やはり十分これに対応できるような体制を固めること、もう一つはやっぱり医療機関に対する指導監査を徹底する、そういうことを進めていく以外に方法はないと考えております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 なるほど、四千万も五千万も使って裏口入学するんですから、一遍にもうけようという気持ちはわかりますけれども、私はそんな金見たことないからわかりませんけれども。そんなふうにして医者がつくられていけば当然そういう要求も出てくるでしょうし、そういう心理にもなるだろうと思いますけれども、ひとつ、厚生省しっかりと——だめですよ、そんな医師会にいつもいつもおどかされていちゃ。それはここにいらっしゃる皆さんだっていつ御厄介にならないとも限らないんでしょうし、この間も申し上げましたけれども、余り医師会のことをつっついて陰で一服盛られたらかないませんから余り言えませんけれども。  先ほど秦委員からもお話がございましたけれども、私もおしゃべりを商売として長いことやってまいりまして、その間に大分私は痛めつけられましたから、自民党さんからも。先ほどの調査会の、ああいうものを本当につくるんですか、つくらないんですか。つくる気がおありなんでしょうかね、あのNHKの問題に関して。どうなんでしょう、自民党の中に。

大平正芳自由民主党・自由国民会議内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだ正式に私は報告を受けておりませんけれども、そういう動きがあるということは承知いたしております。しかし、それはあくまでもNHKのあり方に対する公正な議論の場でございまして、自民党が権力で圧力をかけるとかなんとかいう、そういう性質のものであってはなりませんし、われわれは、仮につくられた場合、その運営におきましては十分気をつけてまいるつもりです。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 総理大臣からそういうお言葉をいただいておけば安心でございますけれども、もしああいうものができまして、少しでもNHKに対してそういう形があらわれますと、これは民放に対するはね返りがひどいわけですよ。民放の方はスポンサーというのがおりますからね。あれをやっちゃいかぬ、これをやっちゃいかぬ、けさの新聞にこういうことが出ていたが、あんたこれをきょうしゃべるのか、こことここだけはしゃべらないでくれと、みんな圧力かけられるんですよ。ですから民放ほど言論の統制のひどいところは事実ないんです。ただ出演者が言えないだけのことなんです。大変悲しい状態に追い込まれるんですよ。ですから、ああいうことが大きくなりますと大変迷惑をこうむる人がおる。  それから一言だけ言わしてください。いまのNHKが聴視料を上げようとしておりますけれども、実際のことを言って、NHKほどむだの多いところはないんです。これは余り細かく言いますと、私は弟子がたくさんおりまして、これが出してもらっていますから、これらが出演拒否を食うと困りますので余り言えませんがね。端的に申し上げますと、たとえば成田で何かあった、ロケ車が出た、中継車が出ます。そのときに、ケーブルを引っ張るだけで仕事の終わりの人、弁当を運ぶだけで仕事の終わりの人。民放はそれを全部やっているんです、何人かで。ですから、そういうむだを省いたらNHKは現在の半分の人間で仕事ができるということだけをつけ加えて、終わらせていただきます。

山内一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(山内一郎君) 以上で下村君の総括質疑は終了いたしました。明日は午前十時から公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗