予算委員会 第2号
- 発言数
- 435 件
- 登壇者
- 46 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/02/13
会議録
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会をいたします。 昭和五十四年度一般会計補正予算、昭和五十四年度特別会計補正予算、昭和五十四年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(山内一郎君) まず、理事会における協議決定事項について御報告をいたします。 審査を行う日は、本十三日及び明十四日の二日間とすること、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計百八十九分とし、各会派への割り当ては、日本社会党八十七分、公明党四十三分、日本共産党二十六分、民社党十七分、参議院クラブ及び第二院クラブそれぞれ八分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。 右、理事会決定どおり取り運ぶことについて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(山内一郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十四年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君及び日本鉄道建設公団総裁仁杉巖君を参考人として出席を求めることについて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認めます。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 —————————————
○委員長(山内一郎君) それでは、これより順次質疑を行います。寺田熊雄君。
○寺田熊雄君 まず、物価問題からお尋ねをしたいと思います。 卸売物価が急騰しております。日銀の十二日の発表によりますと、一月の総平均指数が一二四、前年同月よりも一九・三%アップだということであります。これがどのように消費者物価に波及していくと見ておられるのか、まずそれからお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(正示啓次郎君) お答えいたします。 御指摘のとおり、昨日日本銀行から発表されました卸売物価の上昇程度は大変な数字になりまして、私どもはずっと物価対策の重点を——いわば外国の特に原油、その他の輸入物価、原材料、こういうものが直接に卸売物価を押し上げております。また、昨年来御承知のような円安傾向がございまして、これもまた卸売物価を押し上げる要因になっております。幸い本年になりまして円レートの方は若干まだ弱含みでございますけれども、昨年に比較いたしますと比較的落ちついておりますが、原油の値上がりその他国際情勢を反映いたしまして、海外からの原材料の高騰ぶりは目覚ましいものがございます。 そこで、これをどうして消費者物価に波及させることを極力抑えるか、こういう御質問でございますが、私どもは幸いにして金融情勢、また財政の運営その他においても、大変な物価の問題に重点を置いてやってまいりまして、企業におきましても、また労働者の方々におきましても、一般消費者におかれても、いわゆるインフレマインドを回避して、前の苦い経験に照らしまして、いわゆる買いだめあるいは仮需、そういうふうなことを起こさないようにということを大きな政策の中心に据えましてやっております。 さらにまた、個別の物資、物価の対策につきましてもきわめて厳重な監視態勢をとりまして、たとえば原油値上がりによって元売りいわゆる仕入れ価格、仕切り価格、そういうふうなものについては個別にヒヤリングを通産当局その他においてやられまして、それが末端の消費者価格に波及する場合に便乗値上げは絶対に許さない、こういうきつい態度で臨んでおるわけでございます。 いまのところ、御質問のように、この卸売物価が消費者物価にどういうふうに波及するかという見通しは、これはなかなか立てがたいところでございまするけれども、大きな目標といたしましては、まず直接素原材料の卸売価格、それから中間製品、末端の消費者に近いところ、そういうところを大ざっぱに見ますと、最初の段階では一六%以上の騰貴になっております。中間段階ではこれが大変緩やかになりまして五、六%、末端においては四、五%というふうにこの波及の度合いが違っておるわけでございます。 今後におきましても、こういうふうに卸売物価が消費者物価に波及することを極力抑制するという基本的な考え方を強く守ってまいりまして、物価の総合的な対策を強めることによって、卸売物価は相当程度上がりましても消費者物価については今年度及び来年度の目標は必ずこれを守っていきたい、こういう基本的な政策をとっておる次第でございます。
○寺田熊雄君 いまお話がありましたように、輸入の素材原料が非常に上がっておりますが、その代表格の原油価格が一バレル当たり三十ドルを超えつつあります。これはわが国の五十五年度の国際収支にどのようなインパクトを与えるものと見ておられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(正示啓次郎君) 五十五年度の経済の見通しをつくる際に、個別にたとえば原油価格は幾らになるかというふうな算定はいたしておりません。しかし、最近までのこの輸入原材料全体といたしましての騰貴、そういうものは十分織り込んでつくっておるわけでございます。 そこで、御指摘の原油価格がどの程度上がって、それが経済にどういうふうに影響するか、インパクトを与えるか、こういう御質問でございますが、大体のところ、たとえばバレル当たり一ドル値上がりになりますと、全体として、これは全体の平均で一バレル一ドル上がりますと十七億ドルぐらいの所得の産油国への移転になる、こういうことが実績的に大体推定されるわけでございます。したがって、たとえば三割程度の値上がりになる、バレル当たり七ドルぐらい上がるということになりますと、これは百億ドル以上の所得の移転、すなわちデフレ的な効果を与えると、こういうふうなことをわれわれは客観的に見ておるわけでございます。
○寺田熊雄君 このバレル当たり三十ドル内外の価格、これは年度内にさらに上昇することが予測せられておりますが、これはどの程度に上がるものというように予測しておられるでしょうか。またこれにどんな対応をしようとしておられるのか、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(佐々木義武君) 今年度の原油の値段の見通しでございますけれども、総体的に需給関係を考えてみますと、IEAの想定では、今年度は若干供給の方が上回るという想定でございますので、いままでのように、去年、昨年と申しますか、あるいはこの一月等におけるような上昇を今後も続けるというふうには考えてございません。ある程度落ちつくんじゃなかろうかという感じがしております。
○寺田熊雄君 大変楽観的なお見通しのようですが、それがまあ本当に当たれば大変結構なことですが、それは一応伺っておいて、電力、ガス料金の値上げ申請についてはどのように処理なさるおつもりなのか。そしてそれはいつごろ認可が出され、どの程度の値上げ幅に落ちつくお見通しなのか、ちょっとお伺いしたい。
○国務大臣(佐々木義武君) ただいまの料金申請につきましては、通産省といたしましては、まず第一に、経営を徹底して合理化したいということを最前提にいたしまして、その前提に立ちまして、法律で示されておりますように、原価主義というものをあくまでも守っていきたい。これが物価、国民生活へどう影響をするか、そういう点も十分配慮いたしまして、厳正かつ慎重に対処したいと思ってございます。 どのくらいかと申しますと、電気で申しますと六四%くらいのアップで申請をしてございますが、これから査定に入るところでございまして、ただいま特別監査をしたり、あるいは会社からヒヤリングをしたり、それから逐次公聴会を開きまして広く方々の意見を聞きたいという過程に入っておるところでございます。
○寺田熊雄君 所管大臣としては、どの程度のアップに抑えたいという願望を持っていらっしゃるんですか。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほどお答え申し上げましたように、諸種の事情を考え、特に原価主義でございますので、原価を構成しておる各要素を厳密に査定いたしまして、その集積したものがコストになるわけでございますから、ただいまのところ、どれほどというパーセンテージはまだついておりません。
○寺田熊雄君 物価を抑える、それを主要な任務としておられる経企庁長官としては、どの程度のものを望んでいらっしゃるんですか。
○国務大臣(正示啓次郎君) いま通産大臣がお答え申し上げましたように、エネルギーの安定的な供給を確保するという、一方においては強い要請というか、必要性のあることは十分心得ております。しかし、今日の事態は、物価については異常の事態でございます。そこで政府を挙げまして、昨日も月例経済関係閣僚会議あるいは昨年暮れの物価関係の閣僚会議等において幾たびか日本銀行総裁あるいはまた公取委員長等も加えまして、とにかく物価について最重点を置いてこれから公共料金等については対処していこう、こういうことを確認をいたしております。 そこで、最初に申し上げたエネルギーの最小限度の安定的な供給を確保することとにらみ合わせながら、コストの面については私どもは厳正に対処していくことはもとよりでございます。特に先ほども申し上げましたように、輸入原材料等が相当上がっておりますけれども、日本の一般の私企業は大変な努力によりまして、これは経営者、労働者両方ともでございますけれども、これを中間の加工団体その他において吸収されておるわけでございます。それが消費者物価の安定しておる一番大きな要因になっておることは申し上げるまでもございません。いわんや電気、ガスという公益事業でございます。一般の私企業でさえもそういう努力を払っておられるわけでございますから、公益事業についてわれわれは格段の御努力をいただきたい、こういうことで通産当局も臨んでおられるわけでございます。 そこで、まあ三年間ぐらいのところで計算をしたという最初のお考えを一年に切っていただきまして、そしてただいま通産大臣がお答えいたしましたように、ぎりぎり各項目について査定をいたしまして、最小限度の値上げにとどめていただきたい、こういうことでやっております。先ほど申し上げましたように、本年度の消費者物価の見通し、来年度の目標値、これを守っていくということをわれわれは一つの大きな枠と考えまして努力をいたしておることをお答え申し上げたいと思います。
○寺田熊雄君 いや、そういう抽象的なお答えじゃなくしてね、あなたが六・四%アップにとどめたいという、物価のお目付役としてそういう目標を達成するためにはどの程度の電力料金の値上げ、ガス料金の値上げであってほしいと願っておられるのか、それをお伺いしています。
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま通産大臣がお答えになりましたように、通産当局でいま各企業者、経営者から、また消費者の代表の方々からいろいろヒヤリングをやっておられる段階でございます。 私どもは、通産当局からの御協議を受けて初めて具体的な内容に入るわけでございます。ただいまのところはまだ御協議をいただいておらないわけでございます。しかし、経済企画庁といたしましては、物価安定政策会議等を主管いたしておりますので、そういうところにも諮りまして、先般の北海道電力、沖繩電力のときは、具体的にいろいろ御意見をちょうだいいたしました。これからも最小限度の値上げにとどめて、二つの要請、すなわちエネルギーの安定的な供給を確保しながら、一方において物価と家計に、また企業に対する影響を最小限度にとどめるような二つの要請をにらみ合わしたところで決定をいたしたい、またそういうふうな意見を通産当局に申し上げたい、こういうところでございまして、具体的な数字はただいまのところ持っておりません。
○寺田熊雄君 最小限度の値上げにとどめたいとおっしゃるわけですね。 そこで私はお伺いしたいのですが、私ども電力、ガス料金の値上げがどの程度消費者物価に波及するのか、それを非常に知りたいと思っているのです。仮に電力料金、ガス料金の値上げが四〇%であったといたしますね、そうすると、それが消費者物価をどの程度押し上げるんでしょう。また五〇%の値上げだった場合はどうなんでしょう。そのあなた方の計算をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいまお答え申し上げましたように、具体的な数字を申し上げることはなるべく差し控えたいと存じましたが、たっての一応の前提を置いてのことでございますので申し上げますと、仮に八電力会社の電気料金、それから三大手ガス会社のガス料金、これがまあ一〇%引き上げられると仮定いたしまして、これは大変いろいろのリザベーションが要るわけでございますが、全国の消費者物価への直接的な影響だけに限りまして試算をいたしますと、八電力会社の電気料金で〇・二%弱、三大手ガス会社のガス料金で〇・一%弱というふうに計算的には出てまいるわけでございます。
○寺田熊雄君 卸売物価の高騰、原油、非鉄金属などの輸入原材料の値上がり、公共料金の値上がりなどを考えますと、消費者物価を六・四%の上昇にとどめようとする政府の目標は、私どもとしては達成困難であるように思われるのですが、いかがでしょうか。いまの電力、ガス料金の値上げ、これは一〇%で、ガス、電力合わせますと〇・三%ですね。そういういろんな条件を総合して、どういうふうに見ておられますか。
○国務大臣(正示啓次郎君) 大変御指摘のように努力を要するということは、私も同感でございます。しかし、われわれといたしましては、先ほど通産大臣がお答えになりましたように、原油の今後の価格見込み等につきましても、また国際関係その他につきましても必ずしも悲観ばかりしなければならぬ状況でもないと考えておるわけでございます。 そこで、先ほど申し上げたような企業の努力、また消費者、一般家庭の消費態度、そういうところが冷静に対処していただくことを極力今後もお願いをしてまいらなければならぬと思っておりますし、また、政府としても便乗値上げを許さないというふうな価格対策について一層の努力を進めることによりまして、今日のところは、五十四年度が御案内のように四・九を四・七程度におさめることができるというふうな実績に基づきまして、来年度につきましても適時適切な対策を講ずることによってぜひとも六・四%の目標を達成したい。これは春闘の賃上げ等も重要な関係を持ちますけれども、私どもは、いままでの実績から、そういうふうな努力を重ねることによって必ずしも達成不可能ではないと、こういうふうに考えて努力をいたしておる次第でございます。
○寺田熊雄君 しかし、国際関係が昨年とことしとでは非常なさま変わりをしてきておりますし、原油価格などというのは、先ほど長官がおっしゃったように、需給の経済法則で決まるというよりは多分に政治的な価格の要素を持っておりますね。そういうことを考えますと、長官の見通し、きわめて甘いように私は考えるのですがね。 それはそれとして、総理にお伺いしますが、総理は常にアダム・スミス流の自然体をもって臨むということをおっしゃっていますね。こういう厳しい経済情勢になっても、やはりそういう原油価格の高騰その他のコストアップでそれが消費者価格に転嫁されていく、そういう過程をやはり自然体で見守られるのですか。それとも相当思い切った、やはり消費者物価をできるだけ下げていくという行政的な努力あるいはこれによっては法律的な立法による努力も必要かもしれませんが、そういう点はどういうふうにお考えですか。とても自然体ではことしの消費者物価の値上がりは阻止できないように思われますが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) きわめて常識的なことだと思うのでございますけれども、物の値段の基本には、物の需給関係があると思うのでございます。その需給関係がバランスがとれておるという状態におきまして、これに公権力がとりわけ介入する必要は、私はないのではないかと思うのでございます。 いまの状態をどう見るかという見方でございますけれども、われわれは、原油並びに石油製品の需給関係は、ともかくバランスがとれておると見ておるわけでございます。備蓄も増加いたしておりまするし、在庫もふえておるわけでございます。したがって、こういう時期におきまして、何も好んで法律を適用して価格の安定を図るというようなことをやる必要がないし、そういうことをやりますと、かえって市場を混乱に陥れるおそれがあるわけでございまして、もしそういうことでなくて、供給が需要に対しまして不足してまいるという局面を迎えますならば、そういう時期に対しましてはまた新たな工夫を考えなけりゃならぬと思いますけれども、いまの事態はそういう事態でございませんので、とりわけ石油二法の発動というようなことを考える段階ではないと存じております。
○寺田熊雄君 今後の経済の推移が総理のそういうお考えが正しいかどうかということをおのずから審判すると思います。ですから、これはお聞きするだけにとどめておきましょう。 それから今度は歳入の問題をお尋ねしますが、昭和五十四年度の自然増収が一兆九千億円を超えておりますね。これは政府は年度当初には予想し得なかったようですがね、この点の事情をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 年度当初よりも歳入が、自然増収が著しくふえたんではないか、そういう御質問でございます。 そもそも税収見積もりをつくります際には、前年度のいわゆる決算におきますところの自然増収が土台になるわけであります。その土台が確かに見積もりよりも、予測よりもはるかに高かったというところからいたしまして一兆九千九十億円という自然増収を期待することができたわけであります。したがって、これは当初予算に比べれば九%もの大きな変動幅ではないか、そこに見積もりに対して狂いがあったんではないか、こういう御指摘であろうと思うのでありますが、従来とも二〇%以上狂ったことも二回ばかり最近ございます。そうして一〇%のこともございますが、九%がされば許される許容範囲内のものであるという意味で言っておるわけではございませんけれども、そうした経済見通しと、いわゆる土台の狂いというようなことからこのような結果になったことは事実でありますので、したがって、全く乖離しない予測をつくることは非常にむずかしいことであろうと思いますけれども、これからもいろんな工夫をいたしまして、その乖離の幅がだんだん狭くなるような努力はこれからも続けていかなければならぬと、このように考えております。
○寺田熊雄君 それじゃ、その違い方が、たとえば「昭和五十四年度予算の説明」を見ますと、「五十四年度の財源事情をみると、租税の自然増収に多くを期待し得ないのみならず、五十三年度に行った五月分税収の年度所属区分の変更の影響もあって、現行税制の下における租税及び印紙収入予算額は、五十三年度当初予算の水準を下回ると見込まれ、また公債の消化環境も楽観を許さない状況となっている。」、こうありますがね。これはまるで全然外れたんでしょう、そのパーセンテージよりも何よりも。どうしてこんなに外れたのでしょうか、それをお尋ねしているわけです。
○政府委員(高橋元君) ただいま大蔵大臣からお答えを申し上げたことでございますが、計数がございますので、それに即して御説明さしていただきたいと思います。 五十三年度の予算は、いまもお話がございましたように、十三カ月予算でございまして、それが三月分の税収取り込みが五十四年になくなりましたので十二カ月に減ったわけでございますから、したがいまして、五十三年度の予算で計上いたしました税収はたしか二十一兆四千五百億でございますけれども、五十四年度の当初予算の税収は二十一兆四千八百七十億であったわけでございます。したがいまして、自然増収だけ取り出しますと、それは税制改正による増も含んでおりますので、自然増収だけ取り出して考えますと、五十二年度の当初予算税収より五十四年度の税収が下回ったことは、その当時の時点としてはやむを得なかったというふうに考えております。 ただ、公債をできるだけ減額をしていきたいという予算編成がずっと続いております中で、五十四年度は、五十三年秋の時点におきまして見込み得る限りの経済の見通しを入れて税収を見積もったわけでございます。五十三年の十月の時点までで私どもが判明しておりました五十三年度の税収は、五十二年度に比べまして〇・九ポイント下回っておったわけでございます。したがって、五十三年の秋の時点、そこで私どもが判断いたしました際には、前年度予算額五〇に対する進捗割合から見まして、五十三年度予算額まであるいは達しないのではないかという見通しもございましたが、法人税が幸いにして十月以降伸びを、回復の度合いを強めておりましたので、その点などを織り込みまして、五十四年度の自然増収としては、いまも申し上げたような二十一兆四千八百七十億になったわけでございますけれども、その後、五十三年度に企業のいわば増収を伴わない増益と売り上げに対する利益率の非常な上昇という効果が五十三年の後半から出てまいりまして、それによりまして、五十三年度に年度内に予算を七千七百五億円上回る税収が入ったわけでございます。それは五十三年度の経済見通しの実績見通しに即して私どもが見積もりを変更いたしますものに比べましても、なおかつ増収があったわけでございまして、それに基づいて五十四年度にその税収が伸びてまいりまして約九千億円、土台の変更による増収があったわけでございます。その上に五十四年度になりまして依然として景気の回復に伴う企業収益の上昇が続きましたために、大体経済見通しで見ておりました雇用者所得の伸びまたは企業収益の伸びというものに比べまして約六千億円税収がよけいに入ってきたわけでございます。よけいにと申しましたのは、多く入ってきたわけでございます。そのほかに、円レートが下がりましたとか、石油の価格が上がりましたとか、そういう要素がございましたので、石油税あるいは関税と、そういうもので約三千三百億円増収がございました。 そういうものを全部合わせますと、ただいま大臣からも申し上げました一兆九千九十億円という増収になったわけでございますが、これはその予想外の企業収益の回復ということが、五十三年の十月時点では予想もつかなかった速さで企業収益の回復がありましたということの反映ではございますけれども、なお先ほども大臣から申し上げましたように、税収の見積もりにつきましては一層慎重を期して、実勢に沿って見積もりができるような方法を工夫いたしたいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 こういうことはありませんか。つまり大蔵省の事務当局が余り歳入を見積もると予算規模が次第に拡大していく、それを防ぎたい。また一面、減税の要求が出ても困ると、それを退けたいというような考慮から故意に低く見積もるというような、そういうあれはありませんか。あなた方はできるだけいまの経済情勢では歳出の膨張を防ごうとしていらっしゃるからね。どうでしょうかね、その点。
○政府委員(高橋元君) これは大臣からお答えすべきことでございましょうけれども、歳入の見積もりをいたします私ども事務方の方からいたしますと、歳入を少なく見積もりますればそれだけ国債が多く出るわけでございます。国債を減らして、ことにその消化の促進がかなりむずかしくなってまいる状況でございますから、国債を減らしますためには税収をできる限りその当時の経済見通しなり税収の実績なり、そういうことに照らして多く計上しなければならないわけでございます。五十四年度も五十三年の秋の不況から脱出しようとする時点での見積もりでございますから、いまから振り返りますと、まあ非常に内輪であったという御批判があることは事実でございます。私どもそう思っておりますが、当時といたしましては極力見込める限りの歳入を計上したというつもりでございます。
○寺田熊雄君 なるほど歳入を低く見積もりますと国債の発行が多くなりますが、それはまあ補正のときにまた減縮すればいいので、これはやっぱり事務当局が自民党の政治家を十分信頼していないということが原因じゃないでしょうかね。これはどうでしょう、大臣。
○国務大臣(竹下登君) 元来補正を前提として本予算の審議をいただくということは正当なあり方ではないと思うのであります。したがいまして、事務当局が政治家であります大臣を信用しないで、補正を前提としたもろもろの手法を考えるということはあり得ないというふうに考えております。
○寺田熊雄君 まあ、そういうふうに伺っておきましょう。 国債は依然として都銀や証券会社の大きな負担となっております。そのため、発行額の絶対量を減らすこと、利率を市場の実勢に合わすことを求めておりますが、これは銀行も証券会社も、聞いてみますと、それぞれ一月中に公定歩合の引き上げがあると、こう見ておったようですね。そうした見方から国債の引き受けを現在渋っておると、そういう状況はありませんか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる公定歩合の問題につきましては、まさに日銀法によりまして日本銀行の専権事項でございますので、これをとやかく見越して、私、大蔵大臣が発言するということは適当でないと思いますので、その点は差し控えさしていただきます。 ただ、国債消化の問題につきましては、五十四年の国債でございます、いま寺田委員おっしゃいますのは。その五十四年の国債につきましては、とにかくいま補正で御審議いただいておりますように、一兆二千二百億円を減額をしたということが一つ大きな要素となりまして、私は、その消化は十分可能であると、すなわち未発行額が三兆三千二億円となっておりますけれども、そのうちの一兆円は資金運用部で引き受けると、こういうことになっておりますので、その引き受けの可能性は十分あるというふうに考えております。
○寺田熊雄君 ちょっと私のお尋ねしたことと外れていますが、時間がないので次に移ります。 銀行法の改正作業が行われておりますね。銀行に新発国債の窓口販売を認めるという問題、これは金融制度調査会ではこれをサポートしておりますが、政府はどのように対処なさるおつもりですか。
○国務大臣(竹下登君) 国債消化に関連して銀行法の改正を行い、窓口販売を認めることについてどう考えるかと、こういう問題でございます。 まず、二つに分けてお答えをいたします。 一つは、銀行法の改正につきましては、昨年六月、金融制度調査会が四年余の審議の結果取りまとめられた答申をいただいて以来、その趣旨を踏まえて法案作成作業を鋭意進めてきておるところでありますが、その中で銀行の証券業務についても、銀行法の改正の一環として妥当な結論を得るべくいま鋭意検討しておると、それ以上お答えする段階にございません。
○寺田熊雄君 ちょっと大変失礼ですが、結局、いまよく聞き取れなかったんですが、お認めになるという御方針でございましたか。
○国務大臣(竹下登君) まさに、この妥当な結論を得るべく鋭意検討しておるという段階でありまして、非常にこれはいま、まあ大蔵省で申しましても銀行局、証券局それぞれございます。担当者、発行を担当しております理財局もございます。そこで総合的にいま検討しておるという答えにとどめさしていただきたいという意味であります。
○寺田熊雄君 最近いろいろスパイ問題が新聞紙上をにぎわしておりますね。もうこれは最も最近のニュースによりますと、公安調査局の職員、これは北海道旭川地方公安調査局ですが、これがソ連に対するレポ船に情報を提供したというようなニュースがありますが、これは全くわれわれの常識を裏切るような事実のように思われますが、これはどういうふうにいま事実をとらえておられますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。 状況はまだ詳細にはわかっておりませんけれども、本人が大変健康を害しておりまして、そういうことを苦にいたして自殺をしたのではないかという報告を受けております。
○山崎昇君 関連。
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。山崎昇君。
○山崎昇君 いま法務大臣からお話ありましたが、私どももまだ新聞を見た限りですから詳しい内容を分析しているわけでもありませんが、ただ、この新聞を見て私ども感ずることは、警察はかなり前から内偵をしておったというんですね、レポ船についてですよ。その関連で、この公安調査局職員の問題が浮かんできたことはそのとおりでありますが、私どもから見るというと、こういう情報収集といいますか、レポ船の関連者と連絡といいますか、そういうことは、本人単独でやっておったのではないのではないだろうか。ある程度公安調査局でこれはやらしておったと考えてもいいのではないだろうか。発覚はしましたけれどもね。やっているうちに本人がだんだんだんだん相手の方に引き込まれていって、形としてはスパイもどきみたいなかっこうになるんだが、実際はそうでないんじゃないだろうかという気もいたします。その点については警察はどういうふうにこれを調べておるのか、まず一点聞いておきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。 本件の報告を受けましたところによりますというと、旭川地方公安調査局第二課長であります船山が二月二日に自宅で自殺をいたしたのでありますが、その原因につきまして、さっき私申し上げましたように、同人はかねてから病気療養中でありまして、のどにポリープができて手術をいたしたわけでありますけれども、これはがんではないという判断を下されておったようでありますが、それを大変気にいたしておりました。 四十八年ごろから公安調査官として地域の情報収集活動に従事いたしておったものでありますが、いわゆるレポ船事件の捜査に関連いたしまして、去る一月三十一日、釧路地方検察庁で主任検事及び警察関係者と情報を交換いたしました事実はございます。なお、その間の情報収集の過程におきまして、秘密文書が流れたというふうなことはございませんです。
○山崎昇君 いま、事実関係だけあなたから報告があったわけですが、どうもいま聞いておっても四十八年ごろからやっておる。警察は、あのレポ船の船長を内偵をしておったのは、もう五年ぐらい前から内偵をしておるという報道であります。だから、公安調査局という任務からいって、役所の方針としてそういう接触をして相手の情報を取らせておったのではないか、それがだんだん本人も深みにはまっていってやったのではないか。だから、発端は公安調査局の任務そのものにやっぱり問題があるのではないだろうか、そうとさえわれわれ受け取らざるを得ないんじゃないかと考えておるわけです。だから、警察は五年ぐらい前からレポ船の船長の内偵をしておったらしいんだが、どういう内偵をして、その過程でどういう点からこういうことが発覚をしていまのような状態になったのか。警察からもあわせて、きょう、簡単でありますが聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 事務当局からお答えいたさせます。
○委員長(山内一郎君) 事務当局、だれですか。公安調査庁やりますか。
○山崎昇君 警察が調べているんだ、警察が。警察が内偵しておったというからいま聞いているのですよ。この人について内偵しているわけではないけれども、レポ船の船長なんかずっと五年も前から内偵していたというのでしょう。その過程で出てきた問題でしょう。警察は何をやっているんだ。
○国務大臣(後藤田正晴君) あの地方におけるいわゆるレポ船については、従来からいろいろな情報が入っておりまして、その結果、先般清水なる者を検挙をしまして、その容疑は関税法違反の容疑と検疫法違反ですか、それで検挙して調べたわけでございます。それを一月の末に検察庁に送致をしたわけでございますが、その過程において捜索をやっていますから、その捜索の資料の中に、今回の、何と言いましたか、船山と言いましたかな、その人との関係云々という資料が出てきたものですから、したがって、その資料についての、これは秘密なりや否やということで調査庁の方に照会をしましたところが、これは秘密に該当しないということでございましたので、警察としては、いわゆる公務員法違反という事件では立件をしない。取り調べも、したがってしておりません。 そういうことで、事件を送致した結果処分保留ということになったわけでございますが、調べておりませんからわかりませんけれども、少なくともあの事件の過程で、公安調査庁があの人を運用しておったというような事実はもう全く承知をいたしておりません。
○山崎昇君 公安調査庁、どうなんですか。自分らがやらしたのではないのか。
○政府委員(西本昌基君) 公安調査庁の調査といたしましては、地域住民と幅広く接触して調査しておりますので、その中に拿捕された船の漁民もいることも十分考えられます。
○寺田熊雄君 また本題に戻ります。 銀行法の改正に関連して、総理は大蔵大臣時代に、昭和五十年と五十一年において、たしか銀行法第十八条を改正して、週休二日制を実施するもうめどをつけるということを衆参の大蔵委員会でお約束になっておられますが、その期間はすでに過ぎております。どうなさいますか。
○国務大臣(竹下登君) 金融機関の週休二日制の問題であります。昨年の六月二十日に金融制度調査会の答申をいただいております。したがいまして、その答申の中で、「基本的方向としては社会の大勢である」と、それから二番目に、「実施に当たっては、十分な国民的コンセンサスが得られることが重要である。」、三つ目が、「預貯金業務を行う他の機関」、すなわち郵便局、農協というようなことでございますが、「の週休二日制の実施との関連に配慮する必要がある」と、そうして、実施については、弾力的に対応ができるよう銀行法の営業日に関する規定については銀行法全体の改正の一環として規定の内容を弾力的なものにすることが適当であると、こういう趣旨の御答申を賜ったわけであります。それからもう一つ大事なことは、昨年の六月一日に大蔵委員会におきまして、このような銀行法改正の一環として、同法第十八条の改正につき適正な措置をとることという決議がなされております。したがって、この答申と決議を受けまして、銀行法第十八条の改正につきましては銀行法全体の改正の一環として法案作成の作業をこれまた今日段階では鋭意進めておると、こういう段階であります。
○寺田熊雄君 総理にお伺いしたいわけですが、いまの問題。
○国務大臣(大平正芳君) 銀行法改正の一環として政府で鋭意検討いたしておりますので、私といたしましては、この問題が前向きに検討されつつあることと承知いたしております。
○寺田熊雄君 公定歩合の引き上げが恐らく近くあるんでしょう。それは貸出金利、預金金利の上昇に連動をいたしますが、まあ銀行が法人でない一般の個人と結びつく唯一のものは住宅ローンでありますが、こういう物価高の折に、せめてもの勤労者に対する福音として、そういう場合でも住宅ローンの利率の引き上げはよほど心していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) いまの御議論の中で、またしても公定歩合引き上げが行われるであろうがという前提がございますが、その点につきましては、前提に置いたお答えとしないで、一般論としてお答えをいたします。 住宅ローンの金利につきましては、借入者の負担を考慮して極力低位にとどめるよう従来からこれは指導してございます。住宅ローン金利も基本的には市場金利であります以上、資金需要、資金コストの変化に応じてある程度変動することはやむを得ないところであります。住宅ローン金利の変更は、四十八年十二月の金融制度調査会の答申にも示されておりますように、長期プライムレートや定期預金金利が改定された場合に行われており、公定歩合の改定に伴って必ずしもこれに連動して改定されるものではないという答申が示されておるということで御理解をいただきたいと思います。
○寺田熊雄君 私どもが勤労者の方々としばしば話し合いをいたします場合に、勤労者が長期の疾病あるいは勤務先の倒産などによって所得の減少を来す場合に、大変住宅ローンの返済に苦しむわけでありますが、その場合、金融機関としてはきわめて厳しく返済を督促いたします。こういう場合に、せっかく建てたものをまた返さなければいけない、競売されるというようなことは大変不幸なことでありますので、やむを得ない、本人の責めに帰すべからざる事由による支払い困難な場合は返済猶予を認めるように、政府系及び民間の金融機関に御指導を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように、事故等により約定の返済方法に従って返済を続けることが困難になった場合、これを救済するためには、五十三年四月から都市銀行等民間金融機関において返済期間の延長等返済方法の変更に応ずる制度というものを設けたわけでございます。それで一方、全銀協は全国主要都市に住宅ローン相談所を設けましてそのような個別的、具体的な相談に応ずるという考え方でございまして、返済方法の変更といたしましては返済期間の延長、すなわち二十年のものを二十五年にしますとか、あるいは毎月返済分とボーナスの返済分の割合を変えますとか、そういういまの二つを組み合わせますとかいうようなことでこれに対応しておるわけでございます。したがいまして、ケース・バイ・ケースによってそれぞれ一律にこのようにいたしますというようなことは答えられないと思いますものの、今後ともこの制度が円滑に運用されていくように重ねて指導してまいりたいと、このように考えております。
○寺田熊雄君 次に、オリンピックの問題についてお尋ねしますが、まず総理にお尋ねをしたいと思いますが、総理は、スポーツは政治の支配介入を受けるべきものだというふうにお考えでしょうか、それとも政治のらち外に置かれることが望ましいと考えていらっしゃるか、どうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) スポーツにつきましては、政治がいたずらに干渉すべきものじゃなくて、むしろこれは助成していくべきものと思います。
○寺田熊雄君 国際オリンピックについてはどうでしょう。これはいま非常に揺れているのですね。国際オリンピックについては特にそうした点が私は要求されると思いますがね。いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) これにつきましては、たびたび政府が申し上げておりますとおり、オリンピック委員会が管理いたしておることでございまして、政府がとやかく申し上げることではないと思います。ただ、政府とオリンピック委員会の方とは、こいねがわくは常に緊密な連絡をとって意思の疎通を図っておく必要はあるのではないかと考えております。
○寺田熊雄君 いま総理の御答弁によりますと、政治がとやかく申し上げるべき筋合いのものでないとおっしゃった。その原則論を踏まえますと、カーター大統領がアメリカのオリンピック委員会のロバート・ケーン会長に書簡を送りまして、非常に強烈な口調で、他の場所でゲームを行うか、ことしはキャンセルせられるよう要請すると。もしIOCがこの提案を受け入れなければUSOCや同好のOCがモスクワのゲームに不参加するように要請するというふうにきわめて厳しい要求を突きつけておること、これどう思われますか。
○国務大臣(大平正芳君) そういう強い要請を大統領がされておることは承知いたしておりますけれども、大統領といえどもオリンピックはオリンピック委員会の管理下にあるということを御承知の上でオリンピック委員会に対して要請をされておるということだと承知いたしております。
○寺田熊雄君 総理はこのカーター大統領の書簡を読まれましたか。
○国務大臣(大平正芳君) あらまし承知いたしております。
○寺田熊雄君 これをお読みになったとしますと、とてもそんななまやさしいものじゃないんです。これはもうきわめて厳しい、自分の言うことを聞かずにオリンピックに参加するようなものは、世界の平和あるいはアメリカの安全を損うものだと言わぬばかりの厳しい調子で不参加を呼びかけ、IOCにプロポーザルをせよというようなことを厳しく求めておるのでね。総理のオリンピック委員会があるんだからそれに干渉すべきではないというような立場とは全然違うんです。ことにバンス国務長官がIOCの総会の開会式で同じような提案をしております。総理のいま御答弁になりましたようなこともしごく私は国際的な常識だろうと思います。また、国民の常識でもあろうと思います。だから、バンス長官のそうした提案に対しては、アメリカのIOC自身——これはジュリアン・ルーズベルトという、ルーズベルトのおいだというふうに聞いておりますが、カーター大統領はオリンピックという言葉をいまや共産主義と同義語として使い、自分の選挙目的に利用していると言って批判をしております。また、バンス国務長官の提案に対しては、六十七人のIOC委員の中で拍手を送ったのはわずかに二人だけだとも報ぜられております。こういう事実に対して総理はどのように考えられますか。
○国務大臣(大平正芳君) それはアメリカ政府とオリンピック委員会との関係でございまして、私がとやかく言うべき性質のものではないと思います。アメリカ政府が強い要請をオリンピック委員会にしておるということは承知いたしておりますけれども、それについてとやかくコメントすることは差し控えたいと思います。
○寺田熊雄君 これは問題は差し控えるというような問題でなくして、政府がアメリカの意向に——端的に私の見方を申し上げると、迎合して、JOCに非常に文意不明な意思表示をなさった。そういうことがどうも総理のいまのように、オリンピックコミッティーがあるのだから、それに任すべきで、政治は介入すべきでないという最初の御答弁や、それからアメリカはアメリカだと、日本は日本だという立場とは矛盾するように思いますがね、この点いかがでしょう。
○国務大臣(伊東正義君) いま先生御質問のJOCに対しまして政府の意向を伝えたことは事実でございます。 実は先生も御承知のとおり、メキシコシティーで各国の国内オリンピック委員会の理事会がございました。今度はレークプラシッドでIOCの総会があったわけでございます。そこに、メキシコシティーには日本の国内委員会から理事が行かれる、あるいはレークプラシッドには日本のIOCの理事が出られるということがございました。その前に、先生のおっしゃったように、世界各国がソ連のアフガニスタンへの軍事介入に関連して非常に世論が沸き立ちまして、それがオリンピックにも波及したということは、これは御承知のとおりでございます。そして、カーター大統領がUSOCに対しまして非常に強い意見を言ったということもこれは事実でございます。 それで日本政府としましても、今度のレークプラシッドあるいはメキシコシティーに理事が出られるときに、日本政府はどういうふうに考えているかわからぬということではいかぬじゃないかと、やはり意向をお伝えしておく方がいいじゃないかということであの意向を伝えたわけでございます。 内容は、先生御承知のとおり、オリンピックの開催とかはIOC、参加するかどうかはJOCの責任でございます。ただ、オリンピックというのはこれは平和と友好の祭典でございまして、そこで国際親善がつくられていくという催しでございますが、一方、アフガニスタンへの侵入ということに関連して内外の世論が非常に起きているということについても、これは政府としてはやはり世界の各国と同じに重大な関心を払わざるを得ないということは当然でございますが、ただ、参加するかどうかということはJOCが世界の各国のオリンピック委員会と十分に連絡をとって、そして対処してもらいたいというのが日本政府の意向だということで、意向を出かける前に伝えたというのが実情でございます。
○寺田熊雄君 長官のお気持ちはよくわかりますけれども、しかし、あなたのおっしゃるように、JOCがいま現に開かれておるIOCの総会で政府の意向を聞かれた場合に困るから、それで政府の意向を伝達したんだとおっしゃるそのこと自体がもうすでに間違っておられるんじゃないでしょうか。つまり、IOCの総会では、何も各国のOCに、各国の政府は何を考えているか、参加、不参加を求めているかというようなことを照会するものでもありませんし、そういうことの意見を述べさせるものでもありません。むしろそうした国家あるいは政治の介入をできるだけ排除しようというのがオリンピックの精神なんですね。ですから、それを政府の意向を伝えて述べさせようということ自体がオリンピックの精神に反するんですよ。 また、総理自身の御答弁でも、オリンピック委員会があるから政治が介入すべきでないという本質論が最初御答弁にありました。そうといたしますと、何でそんなことをさらに、ことさら政治を排除しようとするその場に政府の意向を伝えさせようとなさるんでしょうか。オリンピックの精神に反しやしませんか。
○国務大臣(伊東正義君) いま私申しましたのは、政府の意向をそこで主張してくれということを言ったわけじゃちっともないんです。先生御承知のとおり、オリンピックにつきましてはもう欧米でいろんな意見が出ておることは御承知のとおりでございます。それで、今度出られる方も、一体自分の国の政府はどういうふうな考えでいるのかということを頭に置いて出られた方がいろいろなときに都合いいんじゃないかということで私どもは意向を伝えたわけでございまして、政府の意向をそのままそこで伝えて述べてくれというようなことは一切言っていないんです。参加、不参加は、これはまさにJOCが決められることでございますので、世界の国内オリンピック委員会と十分連絡をしてもらいたいということを言ったのでございます。
○寺田熊雄君 長官、あなたのおっしゃることはよく意味はわかります。しかし、オリンピック委員会があって、オリンピック委員会が各国の委員会とよく連絡をとって正しい道を歩めというのはわかりますけれども、政府の意向を頭に入れていてほしいと、それがゆえに政府の意向を伝達したと。つまりそこに政治が左右しようとした、オリンピックに介入しようとした事実があるのではないか。それは間違いではないかと言ってお伺いしているわけですよ。
○国務大臣(伊東正義君) あの意向を出すまでに、先生も御承知のように、世界でソ連のアフガニスタン侵入に関連しましていろんな意見が出たことは御承知のとおりでございます。国連でも大多数の国でああいう決議をしたというようなことがございまして、世界のいろんな国の政府が意向を発表したわけでございます。それで、日本政府としましても、私は理事が出かけていかれるそういう際に、政府としては非常にこれはそういう問題には関心を払わざるを得ない問題があるんだと、オリンピックというのは世界の平和友好の本当にこれは祭典でございますと、そういう趣旨を十分踏まえて各国の委員会とひとつ十分連絡を緊密にしてもらいたい。ただし参加、不参加というようなことはJOCがお決めになることですということを申し上げたのでございまして、特に理事会でそういう発言をしてもらいたいとか、そういうようなことは一切言ってはいないのでございます。
○寺田熊雄君 確かに世界の平和を目指すということはおっしゃるとおりだと思います。ただ、ここに非常な間違いがあると思いますのは、オリンピックの目的に関しましては、オリンピック憲章の第一条に規定されておりますね。そのオリンピック憲章は、結局一言で申しますと、「若き人々がお互いに精神的によりよく理解し、より友好的となるように教育し、それによってより良き、より平和な世界を建設するために助力すること。全世界にオリンピック原則を広め、それによって国際親善を創り出すこと。」と、こういう点にあるわけですね。つまり、競技をする若人がスポーツを通じて相互理解と友好を深め、そのことによって国際平和を築こうというもので、国家の行う政治的行為によって他の国家の政治的行為に懲罰を加えようとするような種類のものとは次元が違うんですよ。個人個人が、国民一人一人が相手方の国民一人一人と理解を深め友好を深めて、そのことによって国際平和を築いていこうとするので、カーター大統領のように、相手の国の政治的行為を政治的行為によって懲罰を加えようというような国家的な行為とは違うんですよ。あるいは穀物の輸出を禁止しようとか、そういうものと違うんです。だから、全然オリンピック精神というものを御理解にならずになさったんじゃないですか。ただ単純に世界平和といっても、世界平和を達成する道はたくさんある。個人個人がやる場合、政府が政府の行為としてやる場合、道はたくさんある。その両者を混同しては困るんです。いかがでしょう。
○国務大臣(伊東正義君) いま先生お読みになったように、若人がスポーツを通じて世界平和とか、あるいは国際親善に役立たせようということはそのとおりでございまして、そういう場所としてモスコーがことし選ばれてやるわけでございますから、そういう国際平和あるいは親善ということに適当かどうかというのが世界じゅうでいま問題になっていることでございます。でございますので、そういうことも、片一方に世論があるんだということに政府としては関心を払わざるを得ないことがあるんだと。ただそこに参加するかどうかということは、これはJOCが決められることでございますから、JOCとしてはどうぞ世界各国の国内オリンピック委員会と十分にそこは連絡をして対処してくださいということを言ったわけでございます。それだけでございます。
○寺田熊雄君 長官、各国のオリンピック委員会とよく連絡をとるということをおっしゃるんで、それは確かに政府の意向の伝達の中にありますね。あれは何か文部大臣が電話でJOCの委員長にお話しなさったということで、カーター大統領のやり方は私は不賛成だけれども、しかし、明確に文書でケーン会長に意思を伝達したのと違って、何か非常に不明確でしょう、電話で意向を伝達するという。そういう点にも何かこう不明朗なものを感じますけれども。 それはそれとして、IOCの方針に従え、あるいはIOCのの決定に従えと言うならわかるんですが、JOCと連絡をとってとおっしゃるのはどういう意味でしょう。
○国務大臣(伊東正義君) 各国の国内オリンピック委員会とよく連絡をとって対処してくださいということを言ったわけでございます。これは各国にみんな国内のオリンピック委員会があるわけでございますから、そこが参加するとかしないとかの主張をするわけでございますので、そういう各国の委員会と連絡を十分とって適切な対処をしてくださいということを言ったわけでございます。
○寺田熊雄君 そういう点でも非常に間違っているわけですよ。これはIOCの一部なんですからね。IOCの方針に従って行動をしろということを言うなら、これは筋が通る。しかし、個々ばらばらに——各国のOCといっても、各国のOCというのは無限にあるんですからね、百以上ある。それ一つ一つとったってみんな意見が違うんです。御承知のように、フランスは必ずしもアメリカになびかない。ソビエトはまた参加をする。非常に不明瞭でしょう。そういうような不適切な措置というのも、結局はアメリカ政府に対する配慮から出たもので、余りにも自主性がないではないか、しかもオリンピックの精神に反するではないかという点で私は当を得てないと申し上げる。 それから、オリンピック規約によりますと、「NOCは完全なる自治団体でなければならない。いかなる圧力といえども、その性質が政治的、宗教的または経済的なものであっても、すべての圧力に対して反抗しなければならない。」と第二十四条のC項にありますが、御存じですか。
○国務大臣(伊東正義君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 そうといたしますと、これはJOCとしましても当然政府のそうした圧力に対しては反抗するべくIOCの規約では義務づけられているのですよ。ですから、反抗したとしても、それは決してオリンピック精神に反するものではなくして、むしろIOCの憲章に忠実なるゆえんなんです。 じゃ、反抗した場合でも、あなた方は立腹したり報復したりなさいませんか。いかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。 これは仮定の問題でございますので、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、JOCの方とは主管省を通しまして十分に方針その他については連絡を図っていくつもりでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、連絡を図っていくという趣旨は、長官、あなた方はJOCが政府の意向に従うだろうという、そういうことを示唆なさったんでしょうか。それとも、JOCはいまのオリンピック憲章に従って反抗するかもしれませんよ。反抗した場合に、それがむしろIOC憲章に忠実なるゆえんなんでね。あなたはそれを立腹したり、あるいは補助金を打ち切るというような報復をなさったりというようなことはなさいませんかとお伺いしているわけです。
○国務大臣(伊東正義君) 先生の御質問は仮定の御質問で、そうなった場合どうするかと、こういうことでございますが、われわれとしては、そういう国内で二つの行き方というようなことに最後にならぬように、十分その点は打ち合わせてやりたいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 またあなた、打ち合わせてやりたいといって、またオリンピックのそれが精神に反するというそもそもの問題に戻ってしまったわけですよ。総理も、JOCが決定すべきものであって、政治がみだりに介入すべきでないとおっしゃるんでしょう。それなのに、あなたはやはり相談してやるというのはどういうことでしょう。政治がそこに介入して、政府の意向に強引に従わせるというのですか。それはおかしいじゃないですか。むしろ、政府は黙っていてください。JOCの自主的な決定にゆだねてください。いかがです。
○国務大臣(伊東正義君) われわれは、意向を伝達しますときにも内部で十分検討してやったわけでございます。今度先生のおっしゃるような事態が起きてくるということは、五月の十九日に申し込みの締め切りがあるわけでございます。そういうような際に、先生のおっしゃるようなことが起こるかどうかという問題でございますが、これからも恐らくIOC自身の動きあるいは世界の情勢の動き、いろいろあると思うのです。われわれとしましては、いまここでどういう立場になるかというようなことをはっきり決めてお答えするよりも、もう少し事態の推移を見てそこは政府としては判断をするということが適当だというふうに思っております。
○寺田熊雄君 くどいようですが、答弁がまた行きつ戻りつするからもう一遍念を押すんですが、そうしますと、長官はあれですか、総理がお答えになったように、やはりオリンピック委員会があるので政治は介入すべきでないという立場をお認めになりますか。そうして、相談してやるんじゃなくして、JOCの自主的決定にゆだねますか。この二つについてやっぱり明確にお答えください。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。 参加、不参加はまさにJOCの責任で決めることだということは原則でございますので、それはもう原則に考えております。
○寺田熊雄君 それでは次に、その原則を尊重して、JOCの自主的な決定がどのようなものであろうとも、政府はそれに対して苦情は言わないということですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。 参加、不参加を決定するのはまさにJOCの責任であるということを申したのでございますから、責任でJOCがお決めになるということであればそのとおりでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、どのような決定、まあ参加という決定になっても、政府はやはり予算の定められておるとおり補助金の交付というようなことはやっていかれるわけですね。
○国務大臣(谷垣專一君) 文部省関係のところへ話がまいりましたのでお答えをいたしたいと思います。 予算をどうするかという問題も含めまして、これは先ほど来お話を官房長官がいたしておりまするように、参加、不参加の決定はJOCが決定をすることでございます。ただ、これからどういう形になるかという問題は、これは慎重にJOCも恐らく考えていかれるでしょうし、私たちも、またどういう形の決定その他がなるかと、それは世界の状況等もひとつ十分見てまいりたい、かように考えております。
○寺田熊雄君 JOCの自主的な決定にゆだねる、その責任である、その原則は尊重するとおっしゃりながら、何か後で条件がつきますね。その条件をお取りになったらどうですか。どうしてそんなに周囲の状況を左顧右べんして決しなければならないんですか。
○国務大臣(谷垣專一君) 左顧右べんと申しますよりは、このたびのレークプラシッドの決定なるものがどういう形になるのかという問題もございます。それから各国のNOCの状況がどういう反応をいたすかということもあろうかと思います。しかし、それらを踏まえて当然JOCは自主的な判断をなさることと思いますけれども、しかし、その間の情勢その他に関しましてJOCの方と私たちの方とはいままでも終始連絡をいたしておりますので、その連絡はいたしたいということを申し上げておるわけでございます。参加、不参加の決定その他、これはJOCが決定をいたすことでございます。
○寺田熊雄君 いや、JOCは参加、不参加をその責任において決定するというのは先ほど官房長官もお認めになったことで、いまさら文部大臣のお答えをまつまでもないんですよ。そうじゃないんです。JOCがその責任において決定すべきものであれば、決定した場合に政府としては苦情はないだろうねと申し上げておるんです。だから、補助金を削減するとか不執行するとかいうような報復はなさらないでしょうねということをお尋ねしている。
○国務大臣(谷垣專一君) 報復をするとかしないとか、そういうことは毛頭考えておりません。
○寺田熊雄君 なおちょっと奥歯に物のはさまったようなことがありますね。 私は、これは昭和の初年に上海事変の後を受けて、軍部がマニラで開かれた極東オリンピックに不参加の強い圧力をかけましたときに、これはイタリー大使だったですかね、杉村陽太郎さんが非常に勇気のある態度で、行くべきだということでこの極東オリンピックに行かしたですね。ああいう毅然とした人が一人でもやはり閣内におる、あるいはスポーツ団体におるということを望みたいわけですよ。アメリカの意向に迎合して、自主性のないような政治家ばかりでは困ります。もう一遍総理、この問題について、ひとつ自主性を持ってJOCの決定を尊重するということをおっしゃってください。
○国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておるように、JOCの意向を尊重してまいります。
○寺田熊雄君 最後に、防衛問題をお尋ねをしますが、カーター・ドクトリンですね。これはことしの一月二十三日、上下両院合同会議で一般教書の中の一番大切な部分を演説されたようですけれども、その中で、ペルシャ湾地域を支配しようとするいかなる外部の実力の行使もアメリカの死活的利益に対する攻撃とみなす、それは軍事力を含む必要なあらゆる方法によって撃退されるであろうとしております。 また、ソ連のアフガニスタンの侵攻を米国の歴史において最も深刻な脅威というふうに言っておりますが、総理はどのようにこれを受けとめていらっしゃいますか。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカばかりじゃなく、国連におきましても、またイスラムの外相会議におきましても、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入は、その地域の平和ばかりでなく、世界全体の平和に対する大きな脅威である、アメリカ自体の死活的利益にかかわる問題であるばかりじゃなく、多くの国の利益につながる問題であるという認識は定立しておると思うのでございまして、そういうことを排除していくという必要もまた各国、国連の場におきましても、またイスラムの外相会議におきましても提唱されておるわけでございまして、そういう認識は私も共通に持っております。
○寺田熊雄君 いや、死活的利益かどうか、これはまあバイタルなインタレストという表現のようですが、ちょうど昔日本の軍部が、いまの新中国の東北ですね、満州。満州を生命線と言ったことを御記憶でいらっしゃいましょう。それから、これが軍事力をもって守るということになりますと、まあそういう事態は好ましくありませんし、大変なことになりますし、これについてはアメリカ国内でも大変な議論があります。たとえば、アメリカのソ連大使でありましたジョージ・ケナンのこれに対する反論がありますね。「ペルシャ湾が米国の安全保障にかかわるとすれば、そのようにしたのは石油をどん欲に求める米国自身である。軍事力だけに頼るよりも、そのような状況のよくない地域の石油への依存を打ち切る方向に向けて努力を始める方が賢明ではあるまいか。」というような批判をしておりますけれども、これは見方を変えて、ソ連がペルシャ湾に進出してそれを支配、コントロールしようとする可能性という、そういうものは総理はあり得ると思いますか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことはないことを望みます。
○寺田熊雄君 ないと思うというのか、望むという——何か最後に望みますとおっしゃったんですかね。あなたの希望を伺っているんじゃなくて、その蓋然性についてあなたは肯定なさるのか、それとも否定なさるのかという点をお伺いしているのですよ。
○国務大臣(大平正芳君) 政府の立場で、他の国が今後どの地域に軍事的にどうするかというようなことを申し上げるということは、大変これはゆゆしいことでございまして、そういうことは差し控えさしていただきます。問題は、そういったことのないことを強く希望します。
○寺田熊雄君 もしそういう事態になりますと、これはアメリカがやはり軍事力を含む必要なあらゆる手段によって撃退すると言っておるんですから、これは大変なことになります。 そこで、そういうことがあり得るかどうかを判定する一つの資料として総理にお伺いするんですが、ソ連のアフガニスタンの軍事的な介入ですか、その目的や動機につきましてはさまざまな解釈がなされておりますね、もう総理も御存じでしょうが。しかし、大別いたしますと、ツアーの時代からの膨張政策であるとか、不凍港を求める南下政策であるとか、あるいはイランを初めペルシャ湾諸国の石油と海上輸送路をねらったこれはグランドデザインの実現であるとかという攻撃的なものと、イラン革命を発端とするイスラム教徒の大同団結の熱気がソ連領中央アジアのイスラム系市民四千五百万に飛び火するのを恐れたためである、したがって、それを防止しようとした措置である、これは防御的な見方ですね、防御的な動機から出たという見方ですね。総理はそういうどちらに見ておられますか。これは現実にあった事態ですから、すでに起こった事態だから、それをどう理解するかというのは、願望でなくて総理の所見を明確にお伺いできると思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) アフガンに対するソ連の軍事介入の意図はどういうものだったかということにつきましては、いま寺田さんがおっしゃったように、いろいろな見方があるということは承知いたしております。それはどちらであるかというようなこと、これまた政府の立場で申し上げるというようなことは穏当でないと思いますので、差し控えさしていただきます。ただ、この介入は紛れもなく国際法の違反である、他国に対する軍事介入でございますし、またアフガンの運命はアフガンの国民で決められるべきものであるという原則を公然と破ったものであることはまず間違いがないことでございますので、それは世界の一致した世論であろうと、その限りにおいて、そのように私は理解いたしております。
○寺田熊雄君 ソ連の軍事介入に対する法律的な判断や評価をお伺いしたんじゃないんですよ。これはカーター大統領の一般教書の内容が、ソ連がペルシャ湾地域をコントロールしよう、支配しようとするような、そういうことになれば軍事力を含む一切の手段でそれを撃退すると言っているわけですから。したがって、ソ連がそういうふうな意図を持つだろうか、あるいはそういうことがあり得るだろうかということを判断するには、ソビエトの今度の軍事介入というものがどういう意図で行われたかという分析をやっぱり政治家としてはなさなくてはいかぬでしょう。そうでないと判断できないでしょう。ただ漠然とあああったな、けしからぬということだけではその後の方策なり判断ができないでしょう。そこでお伺いしているんですよ。だから、そうお逃げにならないで、総理はどういうふうに見ていらっしゃるのか、それはお答えいただいていいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 判断があるということと、判断を表明するということは、またこれ別の問題でございまして、政府の立場で国会の場で他国の意図するところを公然とこういうものであると政府は判断するなんて言う国はどこにもないと思うんでございまして、私はそういう不穏当なことはやりたくないのでございます。ただ、こういう軍事介入があった事態は国際秩序に対する大きな脅威でございまして、これに対しましてわれわれは抑止力を働かせてこういう事態の解消を期待していく、そのためにいろんな手段を考えていくということがわれわれの任務であろうと思うのであります。
○寺田熊雄君 そんなことはないと思いますよ。これはカーター大統領のこうしたはっきりした方針の表明というのは、ソ連が膨張政策に立っているということを前提にしなければあり得ないこれは意思表明ですよ。だから、明確に断ち切ると言うか言わないかの問題はありましょうとも、そこはやはりはっきりとした御判断を持たれておらなきゃいけません。 それはそうとして、アメリカの国防報告で、これは沖繩の海兵隊がRDFに編成されてペルシャ湾に向かう場合に、事前協議の対象となるかどうかということが大変論ぜられました。政府側の答弁は、沖繩から直接戦闘行動に出ない限り事前協議の対象にならないということを言っておられるんですけれども、これはそう限らないんですね。つまり戦闘の目的で出動する、ペルシャ湾にすでに戦闘が始まっておる、そこで第三海兵師団がその戦闘目的という目的を与えられて出動する場合には、当然事前協議の対象になると思いますよ。いかがでしょう。
○国務大臣(大来佐武郎君) いま御指摘の点につきましては、事前協議につきまして極東が脅威にさらされた場合の事前協議でございまして、これは日米安保条約第六条に規定されておるところでございますが、そういう意味では、中東地域というのは距離その他の関係から見て直接の軍事的な脅威として考えられないという立場でございます。もちろん、日本の将来に対して非常に重大な影響がある問題については、日米安保条約というのは相互の信頼関係に立っておりますので、必ずしも事前協議ということでなくても、それ相応の相談はあるというふうに理解いたしております。
○寺田熊雄君 極東の安全が現実に脅威を受けた場合だけじゃないんでしょう。脅威を受けるおそれがある場合でも、これはやっぱり事前協議の対象になるでしょう。
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問は、私正確におつかみしたかどうかわかりませんが、極東の周辺区域に起こった事情によって脅威が生ずるということが従来の政府の見解でございまして、脅威が生ずるおそれということは、いままでの政府の見解でも一度も申し上げておらない次第でございます。
○寺田熊雄君 いままでの国会論議を見ますと、それじゃあれですか、たとえば極東以外の地域で戦闘が現実に起きている、その場合に、その現実に戦っている軍隊に対して補給のために出動すると、そういう場合でもそれはあれですが、あなた方は事前協議の対象にならないとお答えになってきておられますか。
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。 ただいまの御設問の例でございますと、沖繩でございますが、沖繩から中東方面に補給の場合を例に挙げられたわけでございますが、私どもは、その補給というのは一体どういう形において行われるか、その点はその実態において判断すべき問題だと思います。 ただ、具体的に軍隊がもし移動するような場合でございますれば、それは直接の戦闘作戦行動を目的として沖繩基地から発進するというような実態ではなくて、単に中東方面に移動をしていく問題であるということでございます。したがいまして、その限りにおきましては、安全保障条約においては何ら問題とならないということを申し上げておるわけでございます。
○寺田熊雄君 従来の政府答弁の中には、明らかに戦闘目的のために出動をすると——出動というのは移動ですがね、その場合には、当然にそれは事前協議の対象になるという答弁があるんですが、ちょっとそれはあなた方はその答弁をお変えになるという意味でしょうか。補給についてもやはり事前協議の対象になると、戦闘地域に、現に戦闘をしておる部隊に対して補給のために出向をするという場合には事前協議の対象になるという答弁がありますね、それを変更なさるわけですか。
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。 まず、戦闘作戦行動というものをどのように考えているかということが問題になるわけでございまして、従来政府は、戦闘作戦行動と申しますのは直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものでございまして、米軍がわが国の施設区域から発進する際の任務、態様等がこのような行動のための施設区域の使用に核当する場合には、米国はわが国と事前協議を行う義務を有するということを御説明申し上げているわけでございます。 したがいまして、米軍がわが国の基地、施設区域を使用いたしまして行動をするその際の任務、態様ということが問題になるわけでございまして、従来の政府答弁はいささかも今回も変えているものではございません。
○寺田熊雄君 それは一定の目的をもって移動あるいは出動するわけですからね。つまり、戦闘目的のために出動する場合とそうでない場合とでは、もう装備も違いますしね。それは当然でしょう。だから、その目的は何かということがきわめて重要なんで、これにつきましては、これは三十五年の四月十三日の衆議院安保特別委員会で赤城防衛庁長官が「日本の基地を利用して出る場合に、それが戦闘行動として出るかどうかということが判定されるわけであります。でありますから、直接戦闘をしていないところへ行く場合であっても、日本の基地を離れるときに、戦闘の目的をもって離れるということでありますならば、これは戦闘作戦行動のために出た、こういうことであります。それからまた、作戦の中のどういうことで出るかということにつきましては、日本の基地を使用する際に、これは判定してきめるべきであろうと思います。」、また「戦闘作戦行動の基地としての使用の典型的なものを申し上げますならば、戦闘任務を与えられた、たとえば航空部隊、あるいは空挺部隊、あるいは上陸作戦部隊、こういうものが発進基地としてこの日本における施設・区域を使用する場合、こういう場合をさしていると思います。」、これは戦闘作戦行動というのは何かという大貫大八氏の質問に対して答えたものですね。大貫氏は、続いて「そうすると、戦闘作戦行動というのは、もう戦闘状態に入ったことが前提になるのですね。準備行動というのは入らないのですね。」という質問に対して、赤城長官は「準備行動は入りません。戦闘任務を帯びて発進する、こういうことであります。」という答えをしておる。それから、これは三十五年の二月六日の衆議院予算委員会で藤山外相が「日本の基地から戦闘に出ます場合は、当然これは事前協議の対象になります。補給につきましては対象になりません。しかしその間に中間な関係があると思います。それらのものについては、その戦闘作戦に直結しているものについての問題については、当然事前協議の対象になると思います。」、つまり補給といえども作戦に直結していれば事前協議の対象になると。それから赤城防衛庁長官も「前線へ日本から出動すると、そこで戦争が始まっている、そこへまた弾薬、食糧等を運ぶ、こういう場合には、これは直接不可分の戦闘作戦行動の中に含まれるものとして協議の主題になる、こういうふうに考えております。」、なお「戦闘任務を与えられた航空部隊あるいは空挺部隊、上陸作戦部隊等の発進基地としての施設・区域の使用が典型的なものであります。」、つまり戦闘作戦行動の基地としての使用の解釈としてこういう答弁をしているわけですね。 だから、任務を持って行く場合は、やはり私は当然事前協議の対象になると。これはなぜかと言いますと、それが相手国のやはり報復を受けて日本が戦争に巻き込まれるおそれがあるかどうかということがこの事前協議の対象になるかどうかのメルクマールでしょう。だから、戦闘行動のために発進するということになりますと、いま申し上げたように、その目的をよくとらえていただかなければいけないと思いますよ。どうでしょう。これは大臣。
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま条約局長から申しましたように、直接の戦闘行動の目的をもって日本の基地から発進する場合には事前協議の対象になるわけでございますが、その解釈については、いろいろただいまお話ございましたような点がございますけれども、基本的に日米安保条約の性格というのは、日本が武力攻撃を受けた場合にアメリカがこれを助ける、守ると。で、アメリカが攻撃を受けたときに日本は助ける義務はない。ただし、日本の基地をアメリカの使用に供すると、これは第六条にいっているわけです。これはやはり日本を守ってもらうわけでございますから、同時に日本の基地の使用を提供する。日本の立場としては、事前協議の問題にもございますように、ただいまのお話のように、できるだけ日本が他の問題に巻き込まれないようにと、これが基本的な日本の立場でございますし、アメリカ側もこれを了解しているということでございますので、先ほど申しましたように、いろいろ不分明な点もあるかもしれませんけれども、基本的には日本を巻き込むおそれのあるような行動については日本側に相談がある——これは事前協議の範疇に属するかどうかは別といたしまして、必ず相談があるとわれわれは確信しておるわけでございまして、そういう形で日本を不必要な危険にさらさないということは、これは日本政府の責任でもあると考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 私も確かにそうだと思うんですよ。国民は日本が侵略を受けると、その場合に日本が自主的に防衛するけれども、防衛し切れない場合にはアメリカが援助してくれるんだという、それが安保条約の理想型といいますか、理念型といいますか、そういうものとして理解しているわけですね。そのことのゆえに国民がやっぱり安保条約を支持するという方が多いんだろうと思います。だけれども、いま外相がおっしゃったように、アメリカがほかのところで軍事行動を起こして、そのために日本の基地を使用して、日本が戦争に巻き込まれるおそれがあるということならば、国民は安保条約を支持しないと思いますよ、大部分は。いまやそういうおそれが非常に濃くなってきたんじゃないでしょうか。だから、安保条約に対する批判が一層厳しくなったんじゃないでしょうかね、いかがでしょう。
○国務大臣(大来佐武郎君) 同時に、いまの御質問の点でございますが、アメリカの立場から見れば、アメリカの軍隊の犠牲のもとに日本を守るという責任を日米安保条約で持っておるわけでございます。それについての責任を果たすという上で日本側がまた協力する面がなければならないわけでございまして、先ほど申しましたように、寺田委員の御心配のような、日本に関係のない問題に巻き込まれるということは、日本としては極力反対しなきゃならないといいますか、賛成できない点でございまして、これは先ほど申しましたように、事前協議あるいはその他の第四条に随時協議がございます。そういうものを通じて、日本が納得しない限りはそういうことは行われないと、また行わせるべきではないと考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 外務大臣が随時協議とおっしゃった。この間、マンスフィールド大使とお話し合いになったのもやはりその四条の協議ですか。それともそうじゃない随時協議なんでしょうか。
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいまお尋ねの件でございますが、マンスフィールド大使と外務大臣の会見は定例的に行われている問題でございまして、その中で安保問題が論じられたということでございます。強いて安保条約上の根拠と言われれば、これは第四条の随時協議ということが言えるかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、前回の会談というものは一般的な意見交換というふうに広く理解し得るんじゃないかと思います。
○寺田熊雄君 時間がないので、たくさんまだ質問したかったんですが、さらにまた本予算の際に言うとしまして、最後に、この間文春を読んでいましたら、大来さんが何か本屋に行って、日本はシリアスエネミーを持たないという点が非常にいいところなんだということをおっしゃっているように書いてありましたが、それはおっしゃったんですか。おっしゃったとすると、その意味はどういうことなのか、ちょっと解説してもらえますか。
○国務大臣(大来佐武郎君) これはたしか全方位外交という問題に関連して、どなたかと議論しておる際に、日本は資源のない国でございますし、世界各国と友好関係を維持して資源が支障なく来なきゃ生きていけないと。それから、防衛力も防衛の最小限度ということでやってまいるわけでございますから、全方位と申しますと、あらゆる国と同じように仲よくすると。しかし、なかなか現実問題としてそうはいかない。やっぱりつき合いに濃淡ができることは当然でございますが、ただ日本のいまのように、資源や防衛という点から考えまして、少なくとも世界じゅうにシリアスな敵を、深刻な敵をつくらないということが日本の外交政策の基本であるべきだと、そういうことを申したわけでございます。
○寺田熊雄君 最後に、総理にひとつお尋ねします。 総理、やはりこういうふうに大分きな臭くなってまいりましたけれども、あなた方が平素おっしゃっておられる全方位外交というんですね、この基本的な方針というものはいまでもしっかりと堅持しておられるんでしょうか、それをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 日米友好を軸といたしまして、わが国といたしましては、自由主義諸国ばかりでなく、体制を異にする国々とも友好を深めてまいるということを全方位外交というのでありますならば、そういう方針に変わりはありません。
○寺田熊雄君 終わります。
○委員長(山内一郎君) 以上で寺田君の質疑は終了いたしました。 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時から委員会を再開することとし、これにて休憩します。 午前十一時五十五分休憩 —————・————— 午後一時三分開会
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十四年度補正予算三案を一括して議題とし、対馬孝且君の質疑を行います。対馬君。
○対馬孝且君 まず最初に、総理にひとつ政治倫理の確立についてお伺いいたします。 総理は、きれいな政治できれいな選挙をやって国民の信頼を回復しなければならないと常に強調されております。ところが、この間糸山議員に対しまして、この選挙参謀長である地域主宰者の裁判で有罪の認定がされました。しかも、現在農林政務次官という要職にあって、しかも農林水産委員会における予算案の説明をするというこういう参議院の慣行になっております。社会的にも政治的にもこれだけ世間を騒がした糸山議員に対して、本来ならば本人自身が辞職すべきが当然でありますけれども、辞職をしないと言っておるわけですから、総理の最終的な態度というものがあってしかるべきではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 糸山議員に絡まる選挙違反問題でございますが、この問題についての判決が確定したとは聞いていないわけでございまして、判決が確定しない段階におきましてどのように措置するかというようなことにつきましては、糸山君御自身のお考えがどうあるかは別といたしまして、政府としてこの段階において特に措置する考えはございません。
○対馬孝且君 糸山議員の場合は、これは政務次官というのは公務員ですよ。もし公務員が一朝選挙違反に問われた場合にはこれは懲戒免職ですよ。しかし、そういう要職と同じ性格を持っている糸山議員に対して政府としては措置する意思がないといっても、すでに有罪が確定されているんじゃないですか。控訴権はあったにしても、有罪が確定した時点で、総理がおっしゃるように、きれいな政治できれいな選挙で国民の信頼を回復するというならば、当然私は本人が辞退をするか、あるいは総理としての決断を持つことが必要ではないのかと、こう言っているわけですから、当然の措置でないですか、これ。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま申し上げましたように、判決が確定しておるわけじゃございませんで、判決が確定しない前におきましての段階におきまして、政府が特別の措置をするということは考えていないということをお答え申し上げたわけでございます。
○対馬孝且君 ちょっとお伺いしますが、それじゃ公務員の取り扱いはどうなんですか。公務員法に基づいての取り扱いはどういう扱いになるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 特別に変化は法制上ございませんわけでございます。政府の方から辞任を求めるというようなつもりはございません。
○対馬孝且君 私が言っているのは、農林水産委員会の理事会で、野党としては糸山議員の政務次官の予算説明を受けないと言っているんですよ。理事会では受けないと言っている。こういう事態に対してどうするかと私は聞いているんです。
○国務大臣(大平正芳君) 判決が確定しない段階であるということを私はたびたび申し上げておるわけでございます。この段階でどうするかは糸山君の問題でございまして、政府として特に措置する考えはございません。
○対馬孝且君 政務次官は農林大臣が推薦をして総理が任命したわけでしょう。総理大臣の決断として政務次官を罷免すべきじゃないですか。
○国務大臣(大平正芳君) こちらから辞任を求めるつもりはございません。
○対馬孝且君 その理由は何ですか。
○国務大臣(大平正芳君) まだ判決が確定していないからです。
○対馬孝且君 それじゃ政治倫理もなければ道義的な倫理もなければ、一つもないじゃないですか。あなたがおっしゃる、きれいな政治で信頼を回復するという、国民の疑惑に対してこたえることにならないじゃないですか。だから、本人が辞退をする、あるいは総理としての決断、こういうものを話し合ってしかるべき段階に来ているんじゃないか。百歩譲ってもそういう姿勢があってしかるべきじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 大変しつこいようでございますけれども、ただいまお答えしたとおりです。
○対馬孝且君 それじゃ大平内閣の体質は、言葉ではきれいな政治、きれいな選挙とは言っているけれども、ますます金権腐敗の体質を強める大平内閣の政治姿勢である、このことをひとつ国民の前に明らかにしておきたいと思います。 それじゃ次の問題に入ります。大平内閣の物価問題に対する基本姿勢についてお伺いします。 あなたの経済政策の基本的な姿勢、国民はいま耐乏生活が強いと非常に不信感を持っています。その理由は、さきに法人税について財界の要請を率直に受け入れてこれをあっさり認めてしまった。ところが、国民のいま最大の関心事である石油の二倍以上の高騰に対して、これは当然国民に対しても負担をしてもらわなければならない、こういうことに対して非常な不信を持っているわけですよ。その結果がさきの総選挙にあらわれましたが、最近の読売新聞の大平内閣の人気上昇率を見ますと、支持率が三四%で、不支持率が四七・三%です。支持するというよりも支持しない方が一三%も上回っておるわけです。こういうことに対して、国民がいま怒っているのは、経済と物価の問題はまさにがまんし切れないという訴えがあなたに対するこういう世論の結果になっておるわけです。総理としてこれをどう受けとめていますか。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの物価をめぐる内外の情勢でございますが、これを分析いたしますと、圧倒的に国外要因が強いわけでございます。国外要因につきましては、われわれといたしましては施す手がないわけでございますが、この海外の物価高というものを国内要因に転嫁しないように、これを最小限度に抑えていくために政府は全力を挙げてやってまいっておるわけでございます。近年における原油その他の高騰は世界的な大きな出来事でございますが、これに対しまして、これが国内物価に波及しないようにいろいろな手だてを講じておる度合いを見てみますと、わが国は決して諸外国に劣らない実績をおさめておることができておると思うのでございます。そのことは国民の方々にも御理解をいただいておるのではないかと思うのでございます。しかし、私どものやること、決して完璧であるとは思っておりません。精いっぱい足らないところを補いながら努力してまいらなければならぬわけでございまして、精いっぱい努力することによって国民の信頼を回復していくようにしなければならぬと考えておりまして、これからも新たな決意でこの事態に対処して国民の期待にこたえなければならぬと思っております。
○対馬孝且君 国民の信頼にこたえなければならないということなんですが、それではお伺いしますけれども、この間、月例経済報告閣僚会議が行われていますね。この中で、一月対比のあれが二・一%の上昇、年率に直して二八・三%という卸売物価上昇の発表があるわけです。これに対して、公共料金を含めて、ちょっと午前中もありましたが、私はどうも納得できないのは、現実に公共料金そのものを含めて異常な値上がりをしているのに、それが異常な値上がりでないという認識、それから六・四%は達成できるという、先ほどもこう強調されたんですが、どういう理由で達成をできるのか、もっと経済企画庁長官として国民に納得できる答弁をしてください。
○国務大臣(正示啓次郎君) お答えいたします。 ただいま総理からも申し上げましたように、海外要因で起こってくる卸売物価の高騰をいわゆるホームメード・インフレにしない、これを基本的な大きな政策の柱にいたしておるわけでございます。そこで、対馬委員御指摘のように、大変卸売物価は上がっております。これは午前中もお答えを申し上げたとおりでございます。しかし、輸入された素原材料の上がり方と、それが加工された過程、それから最後に消費者に直結する段階と、これが非常にいままで大きく開いておるのは、これはいま総理が申し上げたように、国の財政金融政策、物価政策、これも全力を挙げてやっておることと、私はやっぱり日本の企業、それから労働者の方、消費者の方、皆さんが前回の苦い経験に照らして大変賢明な対処をしていただいておる、こういうことがあずかって今日の国際的に見て日本はよいパフォーマンスを遂げておるということの大きな原因であると思っております。したがって、私どもは今後ともこの卸売物価を消費者物価に波及させないように国を挙げて取り組んでいくようにいたしたいと思っておりますので、ひとつ一大御協力をお願いしたいと考えております。
○対馬孝且君 いま長官からありましたが、現在、政府見通しに対する民間経済研究所が物価上昇率を発表していますね、これをどのように認識されていますか。その数字を全部挙げてください。
○国務大臣(正示啓次郎君) 来年度の経済の見通しにつきましては、大体経済成長率は政府は高過ぎる、それから物価の見方は低過ぎる、こういうふうに民間調査機関からはいろいろ御批判があるようなことは十分承知をいたしております。 そこで私どもは、やはり一番大きな問題は、これはもう早速後の公共料金にも響いてまいりますが、けさほど通産大臣からもお答えがありましたように、これからの原油の輸入価格、こういうものについても、たとえば今回の電力、ガス等においては、やはり責任者としては相当な安全を見ての御申請であることは、これはその立場としてはやむを得ないことかと思います。しかし、私どもは、先般対馬委員の御教示の北海道電力につきましても申請について査定を申し上げたように、とにかく余り将来を高目に見ていくということはどうしても避けなければなりませんし、いろいろな努力を払っていかなければなりません。そこで、北海道電力等につきましては、御申請の見込み価格よりは若干上目にいたしまして、しかし、ほかの方でいろいろと査定を申し上げて御協力を願ったわけであります。 私は、民間の見方もそれぞれ一つの立場に立っておられまするけれども、私どもとしては、五十四年度における政府努力による消費者価格の抑制、そして五十五年度における努力、こういう点において若干の食い違いが起こっておるものと考えまするので、これからも経済の成長、雇用の安定について一方ではさらに努力をいたしますとともに、物価の抑制についてもそれに劣らない努力を傾けていかなければならぬ。これによっていろいろと見解の開きがございましても最終的なパフォーマンスにおいてわれわれは正しい成果を上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
○対馬孝且君 長官、基本的な誤りを犯しているのは、民間の全部、この経済見通し、物価上昇率の見通しは政府とは全然違っているわけですよ。成長率は三ないし五でしょう。私もいま持っていますけれども、時間がないから個別には申し上げません。物価上昇率は八ないし九じゃないですか。全然狂っているじゃないですか、これ。狂っている根拠は何かというと、あなたは基本的に間違っている、何が間違っているかといったら、現在の卸売物価上昇による消費者物価へのはね返り上昇率がなかったのは電気料金とガス料金ですよ。産業の米と言われるのは電気とガスだ。つまり電気とガスが上がったら全物価に全部波及するんです、波及効果というのは。これから電気料金が上がり、ガス料金が上がる。そういうところから推理しますと、これはあなたは先ほど二%と言っている、全体が。内外を問わず、予算に組み込まれる、これから上がるものを含めて政府案は二%だと。実際にはこれは四%以上になるんです。そこが問題だと私は言っている。ちょうど水門が上がったように、これからウナギ上りに消費者物価が上がっていきますよ。そういう見通し、判断というものにどういうふうに危機感を持って対処しようとしているのか、これをお伺いしたいんです。
○国務大臣(正示啓次郎君) 私どもはやはり物価をできるだけ抑える、しかし電力とかガスについては原価主義ということを申し上げております。いま対馬委員が御算定のところは、大体申請どおりにいった場合のことを挙げておられるように思うのでありますが、私どもはやはりここで、たとえば電力、ガスにつきましても、普通ならば三年間をベースにいたしまして計画を立てるのが一番望ましいわけなんでございます。しかし、今回のこの事態というものは異常である、そういう見地に立ちまして通産当局も一年でひとつ計算をしましょう、それから現在わかっておるような原油価格を基礎にしてやろう、こういうふうな考え方でこれからも対処されていくわけでございます。私どもとしては、そのほかにもいろいろと物価安定政策会議の意見等も取り入れていろいろ私どもの考えを申し上げておるわけです。そういうふうなことをあわせ考えますと、私は、必ずしも民間の見込みのようにならない、まだ努力の余地がある、六・四%という私どもの見込みは決して架空のものでもなく、また達成不可能なものでもないというふうに、努力目標としてりっぱにこれを堅持してまいるつもりでございます。
○対馬孝且君 それじゃ、あなたはまるっきり基本的な——この電気、ガスという場合は資本財と消費財が上がるんですよ。それは全物価に波及するわけだ。そういう波及効果というものを全然見ていない。 端的に一例を言いますか。この間農林大臣は、この前の臨時国会の段階でも私申し上げましたけれども、たとえば一四・一%麦が上がった。一斤のパンが二百六十六グラムだと。この値上がりというのは四円だと言うんだ。私、現に札幌に行って調べたんだ。パン屋さんへ行ったんだ。一斤四円なんてものじゃありませんよ、最低で一斤十一円から十二円になりますと、こう言うんだよ。そういう国民の実感の判断と、ただ計数上の、はじいたそんなものをもって物価が安定するなんて考えている経企庁長官はどこか狂っているよ、ぼくに言わせれば。そういう国民の実感から出た物価というのは、たとえば麦の場合であっても一斤が四円だとあなた方は言うんだが、実際に消費者に渡るときには十一円から十二円だと、こう言うんだ。この差をどういうふうに考えるんですか。
○国務大臣(正示啓次郎君) いま御指摘の点は、これは食糧管理の面から米、麦等について必要最小限度の売り渡し価格を引き上げまして、そのときに便乗的な値上げはひとつ絶対に避けていただきたいということで、農林水産省及び私どもの出先で、また地方公共団体、民間のモニター、そういう方々の御協力を得て大変厳しく調査、監視をいたしておることは対馬委員も御承知のところかと思います。私どもは決して過小評価はいたしておりません。しかし、便乗値上げについては、これはインフレを起こしたのではどなたもみんな足元が崩れてしまうわけでございます。その利益というもの、不利益というもの、そして幸福、また不幸、そういう観点から国民挙げてこの消費者物価の——安定とは申しません。四・七が六・四に上がるのでございますから、これは相当なやっぱり上がりでございます。しかし、その程度の上がり方でおさめていかないと、悪性インフレが諸外国において非常な弊害を生じておることを日本にまで持ちきたっては困る。これが非常に私は労使の関係等においても十分認識されて善処されるものと期待をいたしておるわけでございます。
○対馬孝且君 便乗値上げを抑えるというけど、あんた第六次の灯油が第七次に便乗値上げで上がっているじゃないですか。そんな言葉で何ぼ言ったってだめですよ。 それじゃ、大蔵大臣に聞きますが、アメリカで現在便乗値上げに対する異常な利潤吸い上げの措置として超過利得税ということをいま議会の段階で議論されております。たとえばそういう措置がとられれば、これは便乗値上げがとまるかもしらぬ。そういうこともやらないで、ただ便乗値上げは抑えましたと言ったって、どんどん上がっているじゃないですか。野放しじゃないですか。早目に早目に手を打つと言うけど、早目、早目に値段が上がっているじゃないですか、これ。この点についてどういうふうに考えますか。
○国務大臣(竹下登君) 質問通告をいただきましてから、いまアメリカの国会で審議されておる超過利潤税でございますが、これはアメリカにおきましては、国内産の原油価格は統制価格であったわけでございます。これをOPECの原油価格引き上げに伴いまして統制を撤廃する。そうなりますと、石油企業にこの超過利潤が生じてくるというものに対する課税ということに内容的にはなっておるわけであります。したがって、これはいわゆる作為による悪徳というようなものに対するものではなく、国家の価格の統制撤廃に伴い必然的に生じてくる利潤に対する課税、こういう性格のものではなかろうかというふうに理解をいたしております。 そこで、超過利得税を創設せよという御提案でございますが、税制上問題になりますのは、悪徳業者とは基本的に何ぞやという問題がございます。それから、元来税務当局がその判断をして処分をするということになりますと、まさに本来税制問題としてはなじまない問題ではないかというふうに基本的には考えております。ただ、御指摘の問題等につきまして、従来わが国において、これは議員提案でございますけれども、行われたことは委員御承知のとおりございます。それらがそれなりの効果を上げたということもこれは実績としてあるわけでございますが、当時の状態と比べたときに、そうした臨時利得税をいま創設する時期かどうかということになりますと、私どもは、あの当時のいわゆる狂乱物価等から来るところの臨時利得というものと、今日の外的要因によって上がったものが消費者物価にいかにこれがはね返りを少なくて済ますかという努力を重ねておる今日におきまして、当時の状態と同等に扱うということについては、いまのところまだ考えておりません。
○対馬孝且君 この問題というのは狂乱物価になってからでは手おくれなんですよ、大蔵大臣。それは予防措置としてこういう問題を今後ひとつ検討してもらいたいと、こう思います。いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは基本的には政府全体として検討してまいるべき課題だと思います。税制上になじむ問題であるのか、あるいは国民生活安定緊急措置法等の問題であるのかということも含めて勉強はさしていただきます。
○対馬孝且君 それじゃ、参考人としておいで願っております前川日銀総裁にちょっとお伺いします。 あなたが就任をした当時の記者会見の一問一答も読ましていただきました。また二月六日の会見の模様もお聞きしましたが、一つは仮需要や買いだめの投機的な動きが出てくること、もう一つの問題は企業のコスト上昇が製品価格に転嫁をされることがないか、この両面から十分に物価動向を監視する必要があると、こういうふうに言われているのでありますが、この判断基準をどのようにお考えになっていますか。第一点、御質問いたします。
○参考人(前川春雄君) 私ども日本銀行の金融政策といたしまして、昨年来、公定歩合の引き上げあるいは窓口規制の強化等を通じまして金融の引き締め姿勢を堅持しておるわけでございます。 この目的は、先ほど来お話のございます海外の原油高あるいは海外の第一次産品の価格上昇、これが国内の物価に直接影響してまいるわけでございまするが、その影響の度合いを極力少なくする、あるいは国内の要因からその海外からの物価高がさらに増幅される、あるいは加速されるということはぜひとも避けなければならない。これは第一次オイルショックのとき、四十八年でございましたが、そのときの経験もございまして、早目に手を打ちながら国内要因でそれが増幅されるのを防ぐということをねらってやってまいったわけでございます。その国内要因で増幅されると申しまするのは、いま御指摘がございましたような仮需によって需要がふえる、あるいは買い占め、あるいは投機的な動き、そういうことが一番大きなあれでございます。 その基準は何かということでございますが、一般的に経済の活動から申しますれば、原材料、原料、燃料の所要量というのは、これは決まったものでございます。在庫がその通常の状況以上にふえるというような状況がございますれば、それは明らかに投機的なものであろうというふうに思います。これは物資によって違いまするので、なかなか数字的な判断はつきませんが、全般の経済の動きを見ておりますれば、そういう状況というのは自然に判断ができるものであろうというふうに考えております。 海外の原料高が国内に波及してくるということでございまするが、いま物価の状況を見ておりましても、原材料の海外輸入物資の上昇による価格の上昇、それが加工段階にだんだん波及してまいります。その完成品の物価上昇の程度というのは、いまのところ比較的穏やかでございます。一月の卸売物価は前年に比べまして一九・三%上昇しておるわけでございますが、そのうち、卸売物価指数の中の完成品だけをとりますると、前年比の上昇はまだ四・五%ということで比較的穏やかな状況でございます。これは加工段階におきまして企業が、生産性の向上であるとか、あるいは利潤の圧縮であるとかいうことによりまして極力それを吸収しておるからであろうというふうに思っております。そういう状況はできるだけ助長してまいりますれば、それが国内の完成品全般に対する物価の上昇をそれだけ抑制することになりまするので、ぜひそういうふうな事態を招来するように努めてまいりたいというふうに思っております。
○対馬孝且君 それでは、次のことをちょっとお伺いします。 この間、経済審議会の企画委員会で、一月末に新経済社会七カ年計画の見直しがまとめられました。そこでは、当時卸売物価が三%、それが上方修正して五%になっております。ただ、消費者物価だけは五%で据え置き、こうなると、結果的にこれは消費者物価の方の関係が壁にぶち当たってしまうのじゃないか。私に言わせれば、消費者物価と卸売物価が同率であるということについての、これはまさに見通しの基本的な甘さがあるんじゃないか。この点について、総裁どうお考えになりますか。
○国務大臣(正示啓次郎君) ちょっと私から先に申し上げさせてください。 この間、企画委員会からそういう御意見が出ておりまして、近く経済審議会から政府に報告というか答申がありまして、政府としてはこれを閣議に報告する、こんな段取りを予定いたしております。 御指摘のように、「フォローアップ」という言葉で言っておりますが、暫定見通しをつくりました。そこで御質問のポイントは、卸売物価をいままでの三%を五%に上げたじゃないか、しかるに消費者物価は五ということでそのままいけるか、こういうふうなお感じの御質問でございますが、これは一方では経済成長率を名目で一〇・三を一〇・六、それから実質では五・七を五・五というふうなことにやはり見直ししておるわけでございまして、いままでの実績から申しまして、先ほど来御議論のあったように、卸売物価の方は相当上がっておる、しかし、消費者物価は目標よりも内輪におさまっておる、こういうふうな実績を踏まえまして今後の推移についても大体こういうところでいくというふうな、これは経済審議会企画委員会の御意見でございまして、私の意見ではございませんが、事実そういうことで御答申になるようでございますので、一応私から事実だけを申し上げて、あと総裁の御意見を……。
○参考人(前川春雄君) 七カ年計画を策定されました当時とその後とでは原油価格上昇その他基本的な条件が変わってまいりましたので卸売物価の上昇の見込み額も上方改定された、それと消費者物価の方の上昇の見込みとの間で整合的ではないではないかという御質問だと思います。 七カ年計画のその見通しにつきましての作業は、私ども日本銀行としては参加しておりませんので、その内容等につきましては定かに判断いたしかねます。ただ基本的には、私が先ほど申し上げましたように、卸売物価が上昇いたしましてもそれを消費者物価にどういうふうに波及させていくかということは、国内の経済政策、特に財政政策あるいは金融政策によってその波及を極力とどめるように努力を現にしておるわけでございますし、これからもそういうふうに努力してまいるわけでございます。その程度が果たして消費者物価が五%でとどまるかどうかという点につきましては、今後のそういう経済政策の効果いかんによるところであろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、方向といたしましては、そういうふうに極力消費者物価に対する波及を少なくするということに努力してまいりたいというふうに思っております。
○対馬孝且君 それから総裁、日銀として物価の安定のためにとり得る政策的な課題というのは、やっぱり金融政策でどう安定させるかということにかかっていると思うのでありますが、総裁の記者会見を見ますと、注意深く情勢を見て十分慎重に対処していかなければならないということで、特に電気、ガス料金の値上げのことについて、あなたはこれからの物価動向に非常な関心を払われております。私は同感です。その点は経済企画庁長官も間違っていると思えないんですけれども、そういう意味からいって、公定歩合の引き上げという問題については世間的にはしなければならない今日的段階に来ておるのではないかと、こういうふうに受けとめておりますが、これはいかがでしょうか。
○参考人(前川春雄君) 物価の点、特にこれからの卸売物価並びに消費者物価の問題の見通しをつけてまいりまする場合に公共料金の引き上げということが当面大きな問題になっておりまするので、これに私ども非常に大きな関心を持っております。公共料金、やはりコストが上がっておりまするので余り人為的に抑え込むことは将来また無理を生じまするので、それは余り無理に抑え込まない方がいいと思いますが、ただ物価の安定、上昇を極力抑制するという立場から申しますると、この公共料金の引き上げというのは非常に大きな要素でございますので、そういう意味におきまして、私どもも、これから公共料金の査定を関係当局がなさる場合に当たりまして、できるだけ幅並びに時期等について厳正な査定をしていただきたいというふうに思っております。 公定歩合を上げるつもりがないのかという御質問でございました。私ども、先ほど申し上げましたように、金融政策を運営してまいりまするに当たりまして、国内要因からこれが加速されるということは絶対に避けたいということで従来もやってまいったわけでございます。これからもこの姿勢だけは堅持してまいりたいというふうに考えております。そういう意味から、状況に応じまして公定歩合を上げる必要があるのかどうかという点につきましては、われわれいまの物価状況のもとにおいて一層警戒的に物価の状況というものを受けとめていかないといけないと思っております。ただ、これが金融政策の面から、いつ、どういう手を打つかということは、これは全くそのときどきの情勢次第でございまして、私どもは金融政策の運営を図ってまいりまする上におきまして予断を持たず、そのときどきの状況に応じて最善と信ずるところを実行してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、公定歩合につきましては、現在のところは引き上げの考えを持っておりません。
○対馬孝且君 総理、いまの日銀総裁の私への答弁の中で、特に公共料金の国内的要因が重要だということを総裁もお認めになっておるし、その点を重要に警戒をしなければならないと、こう言っているわけです。そこで公共料金についてこの際思い切った措置をとるべきじゃないか。具体的には私はナショナルミニマムを採用して福祉料金制度を採用してはどうかと。たとえば母子家庭あるいは生活保護者、身体不自由者、そういう者に対しては電気・ガス料金の際には福祉制度をこの際採用して、最低ランクを設けてはどうかと、こう考えますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) あなたのお考えはお考えとして承りましたけれども、いまの公共料金の算定につきましては、それぞれ定立した方式がございます。電気料金につきましても、対馬さん御承知のように、原価主義を公平に貫かなければならぬ法律上の規制がございますことは御案内のとおりでございまして、政府はその範囲内におきまして極力厳正な査定に努めなければならぬと考えておるわけでございまして、新たな方式をこの際編み出すということは考えておるわけじゃございません。
○委員長(山内一郎君) 前川参考人には御多忙中のところ御出席くださいましてまことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
○対馬孝且君 いま総理からありましたが、私の言いたいのは、そういう意味では、この公共料金の中で特に電気、ガスは、先ほど言ったように、資本財、消費財にはね返ると、こういう要素を持っているわけですから、この意味ではひとつ厳重にこの査定に当たっては最小限度——あえて凍結せいと私は言っているのでありますが、三木内閣のときは福田副総理はあえて国鉄運賃と米価、半年公共料金を延ばしたことがあります。それは物価安定のために延ばしたんです。やっぱりこういう賢明な措置というのは必要です。そのくらいの心構えを持ってこの公共料金、特にガス料金を含む電気料金について対処をするという姿勢がおありかどうか、この点ひとつお伺いします。
○国務大臣(大平正芳君) 極力厳正な査定に努めまして、値上げを最小限度におさめるよう努力したいと思います。
○対馬孝且君 それでは次に、漁業問題にまつわる北海道の問題だけではなくて、かずのこ事件あるいは漁協の明らかに投機的な欠損に伴う事態について、特に農林水産大臣にひとつこれから総括的にお伺いいたしたいと思います。 まず最初に、道漁連が今日出した欠損額、それからかずのこの三菱、北商における倒産、かずのこ事件、こういう問題についてどういうふうに農林省認めていますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 御指摘の道漁連におきまして、いわゆる空売り・買い、これによる赤字が約百三十億、それからかずのこ関係で約六十億というような赤字が見込まれておるわけでございまして、まことに遺憾なことであると思います。 いろいろ私どももいま調べておりますが、このような事態になりましたのは、結局において道漁連の執行体制が十分でなかった。まあ今度全部やめましたけれども、とにかく十分でなかったこと。あるいは人事管理が、特に東京の営業本部に対する人事管理など不十分であったということ。また内部における監査制度が不十分であった。あるいは員外利用が相当高い率を占めておる、こういうようなことが原因であろうと思いまして、これらの一つ一つに検討を加えて、ひとつぜひ改善をし、本当に漁民のための漁連になっていただくようにしたい、こう考えておるわけでございます。
○対馬孝且君 水産業協同組合法第四条の目的、これはあくまでも生産者を保護して、営利を目的とするものでないということが法第四条に明らかになっているわけです。ところが、いま、現在道漁連が行ったのは、御案内のとおり、韓国にこれは合弁会社をつくって、いわゆる完全な商社の出資体系というものをつくっておりますね。これは御存じだと思うんです。タイに日綿実業との合弁会社をつくって、これも出資をして合弁会社をつくっている。こういうあり方自体がこれは水協法第四条の目的から言って完全に逸脱した行為であり、行き過ぎである、こう断定せざるを得ないのですが、この事実を認めますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) そういう出資の事実があるということは承知をいたしております。
○対馬孝且君 それではお伺いしますけれども、農林大臣も御存じのとおり、これは水協法の百二十三条の四項、それでは主務官庁としてどういう指導監督あるいは常例検査を行ってきたかということを具体的にお伺いをします。
○政府委員(今村宣夫君) 道漁連の検査でございますが、道漁連につきましては、四十七年、四十八年、四十九年と検査を行いまして、五十二年度にも検査をいたしたところでございます。最近では五十四年の十一月に検査をいたしております。
○対馬孝且君 どういう検査をして、どういう実態があったかということを聞いているんだよ。
○政府委員(今村宣夫君) 五十四年の検査を行いました際に、販売事業におきまして員外利用率が非常にふえておる、法定の許容限度に近づいておりますので、今後は員外利用の伸びを抑制し、員内利用率の向上を図らなければいけないという指摘を行ったところでございます。 同時に、関連出資会社のうちには経営状況が非常に悪いものがございますので、そういう会社の経営の帰趨いかんによりましては道漁連の経営に非常に悪い影響を与える、したがって、当該会社につきましては十分その経営を監視し、再建すべきものは再建するようにしなければいけない。それから道漁連が行っております生産事業につきましては相当な赤字を計上いたしておりまして、それが道漁連経営の圧迫になっておりますので、その赤字経営を改善すべきである。同時に、不良債権が相当多額に上っておりますので、今後不良債権の発生の防止に十分努めなければいけないという指摘を行ったところでございます。
○対馬孝且君 長官、ごまかしたってだめだよ。あなた、本来ならば一年に一回常例検査を行うべきことを二年に一回よりやっていないじゃないか。この事件が始まったのは四十七年ですよ。四十七年以来今日まで、年に一回の常例検査を行うことになっている、百二十三条の四項で。ところが、水産庁自身は二年に一回じゃないか。ごまかしてもだめだよ、こういうことについては。そういう事態があるから今日起きているんだよ。そういう問題についてどう考えるかということをぼくは大臣に聞いているんだよ。怠慢じゃないか、そのことについては。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の承知しておるのでは、四十七年、四十八年、四十九年、このころはたしか一年に一回ずつ検査をしておりましたが、それ以降二年に一回という形になっておりまして、確かに法律では常例として年一回検査をしなければいけないと書いてあるわけでございます。そういう法律に書いてある以上努力をしなければならないことは当然でございますけれども、先生御承知のとおり、現在この検査員というのが八名しかおりません。それで対象になっておる組合は百十九あるわけでございまして、その点で一年に一回検査をしなければならないということは当然でございますけれども、結果的に大体二年に一回と、こういうことになっておるわけでございまして、今後ぜひ法律に書いてあるように極力努力をしていきたいと考えております。
○対馬孝且君 努力するということは、指摘されてから努力するんではなくて、そういう事実をあなたははっきり認めますかとぼくは聞いているんだから、そういうことを反省するなら反省して、今後法律に従ってやるならやると。努力しますとか、そんなあいまいなことではだめだよ。もう一回はっきりしなさい。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま申し上げましたように、とにかく八人の人間をフルにいまは活動してやっておるわけでございまして、なかなか手が回らないというのが現状でございまして、しかし、今後はこういうような事態が二度と発生しないようにするためにも、十分その辺の検査体制を強めていかなければいけないと、こういうことを反省の上に立って申し上げておるわけでございます。
○対馬孝且君 それでは具体的にひとつお伺いしますが、国内外に、先ほど私言ったように、韓国に合弁会社をつくって、まあ資本の率は別にしても、三菱等やっておるでしょう。今度のかずのこの場合だって同じだ、これも投機的なものですよね。それからタイの場合も同じです、これ。そういう行為は、これは水協法第四条の水産庁の法律解説全集の中に出てくるんだけれども、商行為はやっぱりこれは行き過ぎであり、これは行ってはならないと、こうなっておるんだよ。そういうふうになっていながら、こういう結果を生んだんです。完全に商社化しておるわけだ。そういう商社化した体質というものは一体何で水産庁が指導監督できなかったのかと、ここが問題なんですよ。私はこれを聞きたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろと北海道漁連というのは大きな仕事をやっておりますので、もちろん漁民のために、また漁業に関連する業者のためにしなければならないことは当然でございます。そういう意味でいろいろやっていたとは思いますけれども、いま先生の御指摘のように、いろいろの問題が起きてきていることは事実でございまして、今回、北海道漁連の中にもこの対策室を設けておりますし、また私ども農林水産省の水産庁の中にも、この問題について、どうこれから再建と、また今後こういうことが起きないようにするためにはどうしていったらいいのかと、こういうことについてのプロジェクトチームを発足いたしましたので、いまの御指摘の特に韓国あるいはタイなどへの出資というものが果たして本当に北海道の漁業にとって関連があるのかどうか、そういうことも含めて検討さしていただきたいと考えております。
○対馬孝且君 これ、漁民は怒ってるんだよ。私、道南全部回っておるんだから。漁民の声は、自分の海は自分で守るんだと、自分の組合は自分で守らなきゃならぬと、もう道漁連は相手にできないと、渡島漁業組合は独立すると、こういう漁民の叫びですよ。それは言うならば、政府が、指導監督にある水産庁なり農林省が何も指導してないではないかと。もっと言うなら、ぐるになって、一緒にやったんだろうと、こういう率直な疑いを持ってるんですよ。そういう意味での私は問いをしているわけです。 そういうことからいけば次のことが問題になるんですけれども、農林中央金庫が現実に五百億限度内でいま融資をしているわけだ、道漁連に対して。普通、協同組合、私も扱っているからわかるんだけれども、協同組合が中小企業公庫から金を借りる、あるいは鉄工組合とか木工組合とか、それ相当の精査をして金を出すはずだよ。ところが、現実にいまこの貸し出しの状態が百三十億の空売りになるまでわからなかったで、それを漫然として融資していったというこの実態はどうなんですか。どういうふうに判断されますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先生御承知のとおり、北海道漁連の取扱高というのは相当大きなものでございます。そういうことで、相当大きな金額の貸出枠が設けられておると私は承知いたしております。農林中金も、もちろん、こういうことがあるということを想定しておるならば当然その融資については考えたと思うのでございますが、その点についてはやはり順調に業務が行われているという判断のもとに私は融資をしたのではないかと、こう私は考えておるわけでございます。 特に今度の問題で、やはりわからなかった、いまの百三十億の空売りで損をしたことがなぜわからなかったかということでございますけれども、結果において、先ほどの繰り返しになりますけれども、十分な検査官でございませんので、いわゆる金の出し入れはこれは十分チェックができるわけでございますが、ところが、その金の出し入れとか、それに関する書類は検査ができますけれども、今度の問題でもわかりましたように、それに伴った物の検査まで実はしていない。そういうところにやはり問題があったのではなかろうかという感じがいたしておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、検査のあり方ということについても、今後そういう水産物の検査についてはどうあるべきなのかということをやっていかないと、いま御指摘のように、農林中金としてはそこまでわからないわけでございますから、結果的にこういうことになったのではないかと、その辺の反省の上に立って、結局、検査のあり方自身を切りかえていくというか、ひとつ検討して、よりよい方向のものを見出していかないといけないんじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
○対馬孝且君 事実を見詰めて、反省して今後の融資のあり方を検討するということですが、私はもう一つやっぱり大事な問題があると思うんです、この漁連の商社化の体質の中で。 これははっきり申し上げますけれども、これは自治省——来ていますね、自治省。これは北海道水産問題懇話会、これが自民党のいわゆる国民政治協会に昭和五十二年度五百三十七万の寄付行為がなされていますね。この事実を確認しますか。
○政府委員(大林勝臣君) お尋ねの北海道水産問題懇話会の寄付につきまして、国民政治協会からの報告によりますと、五十二年じゅうに合計五百三十七万円の寄付を受けたという報告がされておりまして、その旨また官報で公表されております。
○対馬孝且君 五百三十七万円はいま自治省が確認したとおりであります。昭和五十二年度といいますと、これは二百海里時代に入って、ちょうどこの年は参議院選挙、こういう問題があって、まさに、これは私が言っているんじゃない、漁民の声として、つまり自民党とそういう癒着をした、特定政党と癒着をした体質が今日の道漁連の実態を生んでいる、こういうことを指摘されておるわけです。こういう問題についてどういうふうに農林水産大臣として受けとめているか、お伺いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 政治資金規正法というものがございまして、正しい形での政治献金というものは法律上認められているわけでございますし、いま御指摘のようなそれによって自民党と癒着があったとか、そういうようなことは私は全くないと、こう考えております。
○対馬孝且君 いや、癒着があるとかないとかというよりも、こういう体質をどう考えるかと言っているんだよ。水産問題懇話会というのは、会長はいまの道漁連会長の兼平純吉ですよ。兼平純吉がいま道漁連の会長でしょう。そういう性格が衣がえしただけじゃありませんか。そういう体質がやっぱり問題があるんじゃないかと私は言っているんだから、それを聞いているんですよ。
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろの団体が、一つのやはりよりよい社会をつくり上げたいとか、やはり政治的にもある程度資金の援助という形によって参加をして、よりよい国をつくりたいということで私は法律の認められる範囲でやることは一向にこれは私は間違っていないことだと思っております。
○対馬孝且君 いや、間違っているとか間違っていないとか——今日これだけの体質が百九十億、かずのこを入れると百九十六億でしょう。百九十六億の問題が起きたという今日の時点、こういう体質というものに対して、やっぱり癒着をしておるとか、してないとかと言ったって、兼平会長が現に中曽根北海道後援会の会長じゃないですか、はっきり申し上げて。これが疑惑を招かないことはないでしょう、あんた。道漁連の会長が北海道中曽根後援会の、総裁選挙のときの会長じゃありませんか。そういう疑惑をいますでに漁民が持っているのだよ。そういうところに体質的にやっぱり問題があるのじゃないか。何も合法とか非合法だとぼくは言っているんじゃないのだよ。そういう誤解を招くような体質というものをやっぱりはっきり正していく必要があるのではないかと、こう言っておるのだけれど、その点どうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いや、私はそういう意味合いで申し上げているわけではなくて、健全な形であるときにはそういう政治献金を行われても法的に問題はないと申し上げたわけでございますが、今後においては、こういうような大きな赤字を出した以上は、やはり政治献金そのものをするについても、これはもう当然慎重にならざるを得ないということは当然だと思います。
○対馬孝且君 いま、そういうことで慎重にこれから扱おうという農林大臣の答弁ですから……。 まだほかに水産政治力結集協議会、こういう団体の届け出もございます。時間がありませんからあれですけれども、これは自治省と確認しておりますから、それはそれなりにこの点もひとつあわせて確認しておきたいと思いますが、自治省、きのう申し入れした件について間違いありませんね。これだけひとつ確認しておきたいのですが。
○政府委員(大林勝臣君) 北海道水産政治力結集協議会というのは、北海道の選挙管理委員会の所管の政治団体でございまして、先般御照会のありました点、電話照会をいたしましたところ、間違いございません。
○対馬孝且君 その問題も含めて、これから漁連の体質を変えるには、そういう特定政党あるいは特定団体の癒着というものは、ひとつこれは姿勢を正してもらいたい、よろしゅうございますね。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、やはり漁民のためになる漁連になっていただくような再建に向かっていっていただかなければなりませんので、いろいろのいま御指摘のような問題についてはすべて頭に十分入れましてひとつ私ども指導してまいりたいと思います。
○対馬孝且君 それじゃ、次にお伺いしますがね、魚転がしの実態が、やっぱり三菱の今度の事件だって、これは投機でしょう、かずのこの。それから道漁連の場合だって、これは台北の場合、これはペンディングになっていますけれど、ぼくはいま調べていますけれどね。それから韓国の場合だって、これはスケソウダラによるいわゆるハンバーグの製造会社だ。ところが、こういう問題があっちこっちにあるわけですよ。結果的にはこれは五十二年のときに実態をつかまえているのですが、厚岸にベニザケが三百五十トン実は冷凍庫の中におさまっておった。ちょうど魚転がしが世間でうわさされていたときですよ。こういう問題について、実際にこういう大会社が大きな資本力をもって投機する、こういうことが実態として、これは明らかにやっぱり消費者に魚離れという現象が実際に起きたというのは、水産団体の投機的な行為、こういうことは一体どう考えるかということですよ。これをちょっとお伺いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 通常の生鮮の魚につきましては市場を通じて取引がなされておりまして、これについては私は消費者にとってもまた漁民にとってもいいことではなかろうかと考えておりますが、たまたま先生御指摘のように、市場を通じないで投機的に行われるものがございまして、それが今度のような事態も発生したのではないかと思っております。この点についてはまことに遺憾に存じておりまして、いま水産庁と食品流通局でもって、まあ任意の研究会でございますけれども、こういうことが起きないようにするためには一体水産物の流通とはどうあるべきなのかと、こういうことを検討するように指示をいたしておりますので、できる限りそういうことがなくなるように私は努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
○対馬孝且君 橋口公取委員長にちょっとお伺いしますがね。いま私が申し上げましたように、道漁連の今回の空売り、それから北商の倒産に基づくかずのこ事件、こういうことは、これは言ってみれば水産業界の魚転がしなり価格操作をしたという事実は免れないと思うのです。そうしますと、資金力に物を言わしてやっぱり投機買いをして魚の価格を操作していく、こういう体質は、これは漁連の体質もかずのこ事件も私は同じ土壌に置かれていると思うのです。当時まあ五十二年の二百海里のときは魚転がしがあるという庶民の圧倒的な不信感が高まったわけですよ。ところが現実にはこういうふうにあるわけだ。こういう問題について公取としてどういうふうに、これからこういう消費者の声にこたえるためにもお考えになっておるか、私は調査を徹底的にすべきだと、こういう意見を持っていますが、どうですか。
○政府委員(橋口收君) いまお話がございましたように、昭和五十三年に魚転がしの問題が生じたのでございますが、現在、公正取引委員会といたしましては、一九八〇年代の課題といたしまして流通問題に本格的に取り組んでおるところでございまして、実は幾つかの項目を取り上げていま調査をいたしております中に冷凍水産物という項目がございます。で、この調査は昨年から開始したものでございますが、どの範囲で調査をするかということでいろいろ検討いたしまして、価格も高く、また国民生活への影響も大きいマグロ、エビ、すり身につきまして調査をいたしておるわけでございまして、これにつきましてはほぼ八〇%調査が終わっておる段階でございますが、昨年、どういう魚介類を選ぶかというときに、魚卵類を調査の対象にするかということがあったのでございますが、やはり消費者物価の計算指数にも入っていないようなものでございますので、一応除いたわけでございます。今日の時点で考えますと、昨年にこの魚卵類を調査の対象にしておければよかったなあという感じがいたしておりますが、いまお話がございましたように、たとえばマグロ、エビ等につきまして流通のあり方を調査いたしてみますと、まさに商社が相当大きな役割りを演ずることに伴う流通機構あるいは流通過程上の変化というものが顕著に出ておるわけでございまして、たとえばマグロで申し上げますと、五大商社の占める割合が三〇%になっておるわけでございます。それからエビで申しますと二四・二%で、これは昭和五十二年の計数でございますが、大体まあ三割ないし四分の一が五大商社によって扱われている。エビの場合は大手水産会社のシェアの方が高いわけでございますけれども、マグロは圧倒的に商社のウエートが高い。 で、冷凍冷蔵設備が発達して冷凍品化が進みまして、いまお話がございましたように、この魚転がしと申しますか、魚を右から左に売り買いをして値上がりを待つと、こういう行為が商品の性質の変化並びに、いま申し上げましたように、市場構造から生じておるわけでございまして、それに伴いましてさらにいろいろ、たとえば漁船に対する商社のひもつき化とか、あるいは仲買の系列化とか、いろいろな問題が出ておるわけでございます。したがいまして、まあ私ども調査でございますから、即効性は持たないわけでございますが、やはりこういう市場構造の変化に伴っていろいろな問題が生じているのじゃないかという感じがしておるわけでございまして、今後とも十分監視を続けていきたい。ただ、いまお話がございましたような特定の商社なり個々の企業が自分の判断で自発的に買い占めとか売り惜しみをやりました場合には、これは残念ながら現在の独禁法では処置をすることができないわけでございまして、これは健全な商行為ではないというふうに思いますが、しかし、法律上の処分の対象にはしにくいわけでございますが、いま申し上げましたように、やはり市場構造全体をとらえて、そこに何らかの改善の道というものが発見されるのではないかということで、今後とも冷凍水産物の市場構造のあり方につきましては重大な関心を持っていきたいというふうに思っておるところでございます。
○対馬孝且君 重大な関心を持ってもらわなければ困るんであって、たまたまこれはかずのこだからよかったけれども、毎日の食卓に上がる生鮮食料品だったら大変なことになると思うんですよ。しかし、こういうことができるのだということを今回のこれが立証したわけだ、実例として。ただ私が言いたいのは、いま何か八〇%、マグロ、エビを中心に調査をなされているということなんですが、この際やっぱりこういうものも含めてひとつ検査をしてもらいたい、調査をしてもらいたいと思う。 その言い分は、私はここが問題だと思うんですよ。価格操作、買い占めが横行する側面に、冷凍倉庫というものが果たした役割りが非常にいま大きくなっていると思うんですよ。今回の空売り事件もそうです。後で運輸省にお聞きをしますけれども、冷凍倉庫が果たした役目が非常に大きい。これはむしろ生産者保護というよりも、価格操作のために冷凍倉庫が使われる、利用されている、こういう実態がありますので、これを踏まえてひとつ公取として厳重に調査に乗り出してもらいたい、こう考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(橋口收君) まあ数多くございます流通問題の中でも、水産物、ことに冷凍水産物の流通のあり方は非常に大きな問題をはらんでいるのじゃないかという、そういう問題意識を持っているわけでございますから、先ほどもお答えを申し上げましたが、三品目に限らず、将来チャンスがあれば調査の対象を広げ、流通のあり方を解明していきたいというふうに考えております。
○対馬孝且君 それじゃ、そういう調査対象を広めていただいて、ひとつ積極的にやっぱり流通機構にメスを入れる意味で調査を行ってもらいたいと特に要望しておきます。 そこで、運輸省にお聞きしますが、この空売り事件に絡んで東京水産冷蔵が、幹部が西村課長との間に空売りの行為に——共同行為を行ったということで、三人辞職されているわけです。このことについて、もし事実がはっきりした段階では、当然これは本人の処分だけでなくて、東京水産冷蔵そのものに対して運輸省としての処分があってしかるべきだと、こう考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(鮫島泰佑君) お答えいたします。 ただいま御指摘の件に関しましては、運輸省といたしましても現在鋭意調査を行っているところでございます。現在までの調査によりますと、遺憾でございますけれども、同社豊海工場におきまして、職員が北海道漁連の水産物の取引に関連し、電話による在庫の照会に対し、虚偽の回答を行い、あるいは虚偽の在庫証明書を発行した事実があるようでございます。できるだけ早急に事実を解明いたしまして、しかるべき処置を講じたいと思っております。
○対馬孝且君 これはもう事実が上がっているのだよ。これは道漁連の十の単協の組合長が西村課長と一問一答やって全部この事実を認めているんだよ。いまさら調査もへったくれもないんだよ、こんなの。これは事実がはっきりした段階では、ひとつ運輸大臣、これは東京水産冷蔵に対する何らかの措置をとるということでいいですか。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 調査の結果その事実が判明いたしましたら、営業停止あるいは免許の取り消し等を考えて処分をいたしたいと思います。
○対馬孝且君 そこで、問題は今後の再建策なんですが、これは兼平会長は総辞職してそれで終わりだかしらぬけれども、残った漁民はこれは大変なわけだ。いまの債権額でいくと、一人七十万から七十五万になるんですよ。これは昭和四十五年に伊藤副会長という事件があって一どういう事件かといいますと、横領二千万、脱税をやって、そのときに零細漁民は当時の金で十万円の特別出資金が取られているわけだ。こういうことは二度とあっては困るわけだ、これ。だから、もちろん農林中央金庫も全面的に協力をする、あるいは全漁連も協力するとは言っているが、このことは事実なのかどうかということと、私の言いたいのは、漁連の主人公はやっぱり浜なんだから、漁民なんだから、まず浜の主人公は漁民であるということを基本にした再建というものをしなければならぬ。そのためには、農林水産省としてどういう再建のためにどれだけの対策を進めるのか、あるいは行政指導としてどれだけの基本姿勢をもって対処するのか、これをお伺いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま御指摘のとおり、一人大体七十万ぐらいになるのではないかと言われているわけでございまして、そういう漁民にツケの回らないようなことを考えていかなきゃならないわけでございます。 そこで、これは北海道漁連が自分のところでやっていただかなければならぬ問題でございますが、私どもとしてどういう形で指導していくかについては、一つは、先ほどたまたまタイあるいは韓国への出資のお話がございました。中にはたしか札幌テレビなどへの出資もしているようでございます。ですから、必ずしも漁業に関係のないところへも出資をしているわけでございますし、やはりその辺のところについては、必要でないものについてはこの際思い切ってぜい肉を取り除くと、こういうことをまずやらなきゃならないのではないかと思います。それに対しての強い指導はひとつぜひやってまいりたいと思っております。 それ以外に、やはりつぶれないようにするためには、相当農林中金の今後の援助という形が必要かと思いますので、その点についても私どもの方からできるだけ協力をするように仕向けてまいりますし、聞いておりますところによれば、農林中金の中にもこれについての対策の室と申しますか、チームというか、何かつくってやっているようでございますから、その辺と私どもの水産庁に設けましたプロジェクトチームとよく連絡をとりながら十分なことをしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○対馬孝且君 当面、問題はここだと思うんですよ。すでに連鎖倒産的なあれが出てきているわけだ。お聞きになっていると思いますけれども、釧路の北市水産加工の場合、それから留萌のかずのこに絡む水産の加工所の問題、これが事実上つぶれてしまうわけですよ。つぶれたら、これは率直に言って労働者は飯を食えないわけですから、当面こういう対策を含めて早急にやっぱり私は政府として調査に乗り出して、乗り出すといえば再建策を含めて早急にやっぱり対処して、水産庁としては、ちゃんと法律の農林中央金庫法第六章「監督及補助」、第二十五条の「主務大臣ハ農林中央金庫ノ業務ヲ監督ス」、こうあるんだから、法律にうたっているんだから、この責任ある立場でひとつぜひそういう再建策を、連鎖倒産にならないように、また漁民にツケが回らないように、これをひとつ責任を持って実行してもらうということについて最後にひとつ答弁をしてもらいたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 農林中金につきましては、先ほどもお答えをいたしましたように、私どもが権限がございますので、できる限りそういう方向で農林中金に援助をするようにいたします。 連鎖倒産につきましては、これは通産省、中小企業庁の関係が相当強いわけでございますので、私どもよくその辺は打ち合わせをいたしながら連鎖倒産の防止に全力を挙げてまいりたいと思います。
○対馬孝且君 通産大臣、一言簡単でいいですから……。
○国務大臣(佐々木義武君) 北商の倒産に関連いたしまして連鎖倒産防止対策どうしているかという御質問のようでございますけれども、まず政府系の中小企業金融機関、三機関がございますけれども、倒産対策緊急融資制度を活用いたします。 二番目といたしましては、中小企業信用保険法に基づき、二月九日に北商を倒産企業に指定いたしました。その結果、関連中小企業への倒産関連特例保証の措置がとられまして、それが実施されますので、付保限度額は二倍になりますから、大分助かるんじゃなかろうかと思います。 そのほか関連通産局が主宰いたしまして財務局あるいは日銀支店、その他地元の関係機関を集めまして、関連中小企業の対策連絡会議等を逐次開くように予定してございます。その他全国の商工会議所に設置されております倒産防止特別相談室を使いまして相談に応じたいということにしてございます。
○対馬孝且君 いま通産大臣から、連鎖倒産の最善の努力を払うということですから、ひとつこれは現地に——これは遅くやってはどうにもならぬので、やっぱり早急に対応してもらいたいということを強く農林大臣、通産大臣に申し上げておきます。 それでは、韓国漁船の最近の不当操業問題でひとつお伺いをいたします。 これは農林省にもう再三再四私も申し上げているし、これは本会議でも、二百海里本会議のときも私質問いたしておりますが、今日の状態をどのように把握しているか、ちょっとお伺いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 最近の実態につきましては水産庁長官からお答えをさせていただきますが、いずれにいたしましても、長い間もう先生を初め皆さん御心配いただいておるにもかかわらず、今日なお解決をしていないことについては大変遺憾に存じております。 今回、二十八日、二十九日と水産庁長官を韓国へ派遣いたしましたのも、何とかひとつ解決を早くしたいと、こういう気持ちで派遣をしたわけでございますが、その成果は必ずしも十分上がっていないわけでございます。ただ、しかし、今度行ってきてわかったことは、韓国側も何らかの形でひとつ円満に解決をしたいと、こういう気持ちが非常に強くあらわれていたということだけは私は一つの収穫ではなかったかと思っておりまして、三月の実務者会議にまあ非常に期待をかけておるような次第でございます。
○政府委員(今村宣夫君) 御指摘の韓国漁船の操業問題でございますが、これは非常に北海道にとっては深刻な問題であり、また私たちとしましても一日も早くこの解決を見たいと思って努力をいたしておるところでございます。一月に入ってから、道庁の連絡によりますと、一月から二月六日現在までに約四千五百万円の被害が発生をいたしております。特に襟裳以西においては、操業自粛期間が経過しました二月上旬に噴火湾付近で約三千万円の被害が発生したと、こういうことで、一つは漁具被害問題がございます。それから第二点は、韓国は非常に大きな船を持ってまいりまして底びきを行いますから、北海道沖のスケトウダラの資源が枯渇をするという問題がございます。 そこで、私たちはずいぶん前からいろいろと努力をいたしておるわけでございますが、必ずしもその成果の見るべきものがないことはまことに残念でございますが、先般、昨年の十一月に韓国は自主規制を通告してまいりまして、これは御存じのように、三海里、五海里、十二海里から後退をすると。それから襟裳以西につきましては、十二月、一月は操業を自粛をするということを通告してまいったわけでございます。私たちとしましては、それの韓国のそういう努力というものは一応評価ができますけれども、しかし、その程度の自粛をもってしましてはとうていこの問題は解決を見るわけのものではないし、また北海道においてもそれでおさまるわけのものではないということで、今回の会談におきましても強くその点を主張をいたしたわけでございます。韓国としては、それは北海道沖あるいは公海であるかもしれませんけれども、公海であるからといって自由な操業をやってもらっては困るので、北海道漁民が守っておる規則を守って操業をしてもらわなければいけないと、それが国際的にも沿岸国の規制を守って操業することは当然の常識ではないかということを主張をいたしたわけでございます。しかし、韓国側としましては、昨年十一月にあの措置はいろいろ国内で問題はあったにもかかわらず、韓国としては相当思い切った措置であって、いまあれ以上のことをやることはとうていできないと。同時にまた、スケトウ資源は韓国においては主食に準ずるものであって、ソビエト等の海域から締め出された現在においてどうしても一定のスケトウがほしいのであると、こういうふうな主張でございます。そういうことで、必ずしも見るべき成果はなかったのでございますが、ただいま大臣が申しましたように、従来韓国は公海上であるから操業するのは当然であるという態度であったわけでございますけれども、今回は何とかこの問題を韓国としても円満に解決をしたいというそういう姿勢でございます。したがいまして、私たちとしましては、今後の実務者会議なり、あるいは日韓水産庁長官の会談なり、あらゆる機会をとらえましてその問題の解決を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。 なお、会談の際におきましては、二百海里問題等も含めまして幅広く意見を闘わしたつもりでございますが、内容の詳細につきましては省略をさしていただきます。
○対馬孝且君 これは農林水産大臣、認識がちょっと甘いんじゃないですかな。いまも報告があったように、これは時間がないから私は言わないんだけれども、もう一触即発の状態なんですよ。これは自主規制をすると韓国が言っていながら、一月に入ってから、いまも言ったように四千五百万円。そういう金額の問題よりも、非常に空気が険悪なわけだ。この間ぼくは襟裳へ行ってきたんだ、日高へ。そうすると、こう言うのだ。もう相手の船は二千トン級、こっちは百トン級の船だから、もうここまでくれば政府は頼りにならぬ、水産庁も政府も頼りにならぬ、もうわれわれの海はわれわれで守る、もう自衛手段よりない、残されたものは何かといえば、百トンぐらいの船が三十隻集まって、もろにひとつこの際韓国の船にぶつかろうではないかと、こういう一触即発の状態にあるんですよ。 そこへもってきて、一月二十八、二十九日、今村長官が行ったことについては多とするけれども、行った成果は何もないでしょう、具体的に。そんなもの自主規制なんか現実に守られていないでしょう、今日北海道においては。一月に入ってからだよ、これは。一月中旬以降今日なんだから、私の言っているのは。これは広尾も同じだ。松前沿岸も同じですよ。私はこの間三日ばかり前に行ってきた。こういう状態に対して、私はどうして——二百海里いま直ちにしけと言っているのじゃないのだよ。どうして五条二号を発動できないかと、これをお聞きしたいんですよ。これは政府の決断ではないですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 五条二号の発動でございますけれども、いままで私どもが承知しておるのでは、五条の二号を発動すれば、韓国側は、結果的にそれは二百海里をしいたと同じであると、こういう判断が向こうにあるというのがいままで私どもの聞いておる状況でございます。でございますから、そうなりますと、これは大変韓国周辺へ出漁をいたしておる人たちの問題がすぐはね返ってくるわけでございまして、なかなかその辺が非常にむずかしい問題でございまして、それよりはかえって、いまも長官からも御報告をいたしましたけれども、今回の長官と向こうの水産庁長との間での会談の中には二百海里の問題も実は出たということは、いま報告を申し上げたとおりでございます。私どもといたしましては、そういうよりは、場合によれば二百海里をやはりいつかはしかなければならない問題ではなかろうかと。それをしいてしまえば一番これはすっきりするわけでございまして、ただ、それにはいままで長い間の歴史があって、友好的な雰囲気の中でいま日韓漁業協定がありまして、それでいろいろやっておるわけでございまして、その辺との調整というのがやはり残っておるのではなかろうかということで、まだ韓国に対しての二百海里の実施というところまで踏み切っていない状況でございますけれども、私どもといたしましては、二百海里をしくということも含めてやはり検討をしなきゃなりませんし、いま非常に険悪な空気ということでございますので、先ほど私は三月の実務者会議を期待をいたしておると申しましたけれども、それまで放置していくということではなくて、いろいろのルートを通じてそれまでももちろん努力をしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○対馬孝且君 農林大臣、これは五条二号を発動するということは国際的な問題ではないでしょう。日本の政府が決断すればいいことなんです。それは端的に言うならば西日本の竹島問題があるから、いわゆる李ラインと称するものがあるから、あなたがたは踏み切った場合に向こうが報復手段に出てくるんじゃないかという、そういう懸念があるためじゃないですか。問題は、どうして政府が決断しないんですか。日本政府が決断すれば——国際条約上そうやるというんならこれ別だよ。時間がかかるでしょう。しかし、五条二号発動というのは日本の政府が発動すればできることなんだから、それがどうしてできないんですかと私は言うんですよ。しかも、百歩譲ってわれわれは国内の操業規制区域だけでも規制できないかと言っているわけだ。一番は二百海里だよ、こんなもの。これができるなら簡単なんだよ。二百海里できてないでしょう。これはぼくは率直に言うけれども、二百海里に質問立ったときの大臣から四人かわっている、農林水産大臣が。水産庁長官が四人かわっているんだよ。やるやると言ったのは鈴木農林大臣から始まっているんだ。いまだに実施できてないでしょう。二百海里というできないことをいますぐと言っているんじゃないんだよ。五条の二号というのは国際関係の問題ではないんだから、国内の政府が決断すれば、発動すればできることなんだと言うんだ、私が言うのは。それを発動してくれというのがいま漁民の訴えなんだ。そこを言っているんだよ。そこができないということはどういう理由なんですか、それじゃちょっとお伺いするけれども。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもお答えをいたしましたように、こちらが、確かに国内法でございますから、五条の二号を発動するということになりますと、韓国側は当然それは報復措置が出てくるんではないかと、そうすると韓国周辺にいま出漁しておる人たちがどうなるのかということもやはり考えなければなりません。同じ日本人でございまして、私ども、もちろん北海道の漁民のお気持ちも十分わかりますけれども、その辺のところでなかなかこの調整がいままで現実にむずかしかったことはもう先生御承知のとおりでございまして、私どもその調整にやはり今後も努力をして、何とかいい方向に持っていきたいという努力をしておるということでございます。
○対馬孝且君 いい方向に努力したいということはわかるんだけれども、実績があらわれてないから、いま言ったようなことも。あなた来なさい、北海道に。農林水産大臣、来てあなた見なければだめだよ、漁民に会わなければ。あなたみたいな感覚じゃ、もうこれはどうしようもないよ、はっきり言って。知っているとおり、いま言っているのはあれでしょう、五条二号という問題は国内の政府さえ腹を決めればできることなんだと、二百海里までわれわれ言ってないと、こう言うんだよ。もっと一歩下がって、日本の国内の漁民が入ってはならない区域に対して——自分みずから資源を守るために入っていないわけだ、その操業規制ぐらいは守られないのかというのがいま漁民の叫びですよ。それができなかったじゃないですか、今村長官が行って。そのことをどうするんだと、私聞きたいんだよ。これはもうぼくは百歩下がって言っているんだよ。いま漁民は、もう最低限でいいから自分の入らない区域だけでも韓国漁船だけは入れないでくれと、ここなんだ、問題のポイントは。それがどうして踏み切れないかと私言うんだよ。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど今村長官からも報告がございましたけれども、いろいろと韓国は韓国で自主的な規制をやってきた、今度一月にちょっと破ったようでございますが、そういうものを私どもはよりまた広めていくということも努力をしていかなければならぬと考えておるわけで、いろいろの機会をとらえてそういう話も韓国側としておるわけでございます。私どもは、日本人が、日本の漁民が入らないところへ外国の者が入ってきて勝手に操業されるということに対する憤りというのは十分私はわかるつもりでございます。何とかそれをしろということでやっておるわけでございますけれども、残念ながらいまのところ力足らずしてやれていないということであり、それじゃ、そんなことだったら簡単だから五条の二号をやっちゃえばいいじゃないかと、それでその適用をして彼らを取っつかまえればいいじゃないかと、こういうことだと思うのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、なかなかそこまでいくには全体の、私は、日本の水産全体の中で、もちろん北海道のことも考えていかなければなりませんけれども、やはりいま韓国へ行っている連中はそれじゃどうするかということも、その善後策まで考えてやはりこれは対処しなければならない問題でございまして、なかなかその辺で踏み切れないというのが実情でございます。
○対馬孝且君 大臣ね、ちゃんと整理してぼくは言っているんだよ。この問題の解決は三つあると。一つは二百海里を線引きすることだと、それは答えは簡単なんだ。それは無理だと言うから、それなら漁業協定に従っていわゆる第五条の二号を発動したらどうだと、こう言っているわけだ。それもいま簡単にいかないと言うから、それなら日本国内のいま北海道の漁民が入らない区域、これは決まっているわけだ。たとえば襟裳なら襟裳の二十海里の手前までの、これは漁卵地帯といって、私も現場へ行って見たんだけれども、いわゆる漁の産卵地帯なんですよ、スケトウダラの。そこをとってしまうとこれは資源が全部枯渇しちゃうんだ。これは漁民は死ぬと言うことと同じなんだよ。だから、その日本人が入らない、漁業規制をしている区域ぐらいまでは、その線まではひとつ韓国の漁船は入らないということぐらいはできないのかと言うんです、私の言っているのは。これを言っているんだ、ぼくがいま言っているのは。 それじゃ、あなた、事を起こせということですか。さっき言ったように、それじゃ船団組んで、日本の百トンの船が全部組んで、三十隻並べて韓国船とぶつかって自主交渉やっていいんですか。自主交渉やると言っているよ。もうやらざるを得ないと言っているんだ、いま言っているのは。そういう状態にあるのだと言うんですよ、ぼくの言っているのは。それなら私は言いたいけれども、あなたはそこまで現状認識しているとするならば、あなた自身が韓国へ飛んでいって、せめていま言った国内規制の、日本人が入ってないところに韓国船が入ってきているのだから、これぐらいの規制はおれが行ってひとつ韓国と話し合ってくるというぐらいの基本姿勢を持ったっていいじゃないですか。わかっている、わかっていると言ったって、口ではわかっているけれども行動を起こさなかったら何にもならぬじゃないか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 事態は認識をしておるつもりでございますが、また一方、非常にむずかしい問題があるという認識も持っておりますが、先生せっかくの御指摘でございますし、できる限りひとつ努力をさしていただきます。
○対馬孝且君 そういうことで、その努力するはわかったって、具体的にどういう努力を払うのか。あなた自身が韓国へ行って、ひとつこれは大臣として乗り出して解決のために体を張るということならそれでいいんだよ、私言っているのは。それは結果はどうなるかは別にしましても。いま一触即発の態勢だから、だからその点では私はあなた自身が乗り出して努力するという言葉はわかるんだけれども、漁民の方はいまこれ、どういうふうになるんだと見守っているわけさ。待ち切れないと言うんだ。待ち切れなかったら自主交渉やる以外にないと、こう言うんだ。だから、ぼくの言いたいのは、あなた自身が韓国へ飛んでいっても問題を解決する、あるいは来てもらうかどうか、それはあなた方の判断だからそれは結構だけれども、いずれにしても韓国側とあなた自身が乗り出して解決をするということの具体的な行動を起こすのか起こさないのかということを私聞いているんですよ。
○国務大臣(武藤嘉文君) 必ずしも私が行ったからすぐ解決するという問題でもないと思いますけれども、場合によればもう一回水産庁長官を行かしてもいいわけでございますし、私はまたいろいろ先ほど申し上げるように、こちらに大使館もあるわけでございます、私どもの大使館も向こうにあるわけでございます。ひとつ積極的にこの問題について一日も早く解決するよう、特に先生御指摘のように、そういう不測の事態を何とか回避しなければならぬことは当然でございますので、ひとつぜひ早急に努力をさしていただくということで御理解をいただきたいと思います。
○対馬孝且君 それではいまのあなたのお答えは、この不測の事態が起こりかねない緊急な事態だという御認識は徹底しましたね。そういう事態を踏まえて、再び今村長官をやるか、あるいは韓国側とどういう話し合いをするかは別にして、直ちに行動を起こすと、責任ある政府としての行動を起こすということでいいですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま申し上げましたように、そういう長官の派遣ということもあり得ますし、それぞれの東京にある大使館、ソウルにある大使館、それぞれを通じて外交ルートでいろいろと話をすることもあるわけでございまして、とにかく早急に努力をさしていただきます。
○対馬孝且君 そういうことで、それじゃひとつそれを見守りたいということを私申し上げます。あなたが早急に長官を派遣するなり、あるいは大使館を通すなりして早急に問題の解決を図る、私はこれだけ言っておきますからね。これは漁業組合がもうあれですよ、具体的に行動を決めていますからね、もしこの回答いかんによってはもう自主交渉すると。不測の事態が起きたときは責任持ちませんよ、はっきり言うけど。そういう事態だということを踏まえて韓国漁船の問題についてはひとつ対処してもらいたいと、こういうことを申し上げます。 それからもう一つだけ、次に関連して農林大臣に申し上げますが、この間開発審議会をやったときも申し上げたんですが、減反問題ですよ。北海道の減反というのは、二十二万ヘクタールのうちの十一万ヘクタールが減反されたわけだ。しかも四三・六%の転作ですよ。ところが、これは北海道開発庁長官にもぼくは聞いたんだけれども、開発庁長官は、答弁はこれはちょっと待ってくれ、農林水産大臣と相談してからお答えさしてくれと、こういうことだったからその場はがまんしたんだが、問題は、北海道の新開発計画によると、北海道を食糧基地と位置づけて、減反、これは米の問題——牛乳だっていま余って、これは輸入によっての圧迫を加えられて、現実に農民がみずからの牛乳を投げているじゃないですか、あなた。投げなければ価格が保持できない、生活ができないということでしょう。こういう危機に対して、口では、新北海道開発計画の中には食糧基地北海道、米作、酪農、一切をここに書いているわけだ。そういうことを位置づけていながら、逆にこういう減反をされ、転作は五〇%に近い。こういう問題ではこれはどうなるんですか。これは新北海道開発計画と全くうらはらじゃないですか、やっていることは。そういう問題について農林水産大臣はどう考えるのか、開発庁長官としてどう考えるのか、これをひとつお二人にお伺いしますよ。
○国務大臣(武藤嘉文君) 北海道が主要な食糧供給の基地であり、その存在は今後も私は当然重要な食糧の安定供給基地として考えていかなければならぬと思っております。 ただ、いま水田利用再編対策のお話でございますけれども、私どもは水田利用再編対策は、単なる米作調整だけでなくて、日本の国で食糧自給力を高めていかなければならないときに、米は幸い余剰がございますけれども、小麦、大豆、その他については非常に不足をいたしておるわけでございまして、せっかくならば、そういうものは特に北海道あたりもつくっていただきやすい環境ではなかろうか、非常に生産性の高い農業でございますので、そういうところでせいぜいそういうものに転作をして、それを定着をしていただいてひとつお願いができないだろうかと、こういう考え方でいろいろお願いをいたしておるわけでございます。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私どもは従来から、北海道の土地利用の高度化を図る、したがって、水田の汎用化あるいはまた土地の利用の、何といいますか、複合化、こういう観点に立って農業基盤の整備の仕事を進めておるわけでございます。ただ、御説のように、こういった農業基盤の整備をやる以上は、その整備せられた後のその土地の上にどのような農政が展開せられるかということとの適合性といいますか、整合性といいますか、それがなければ御質問のようないろいろな不経済が生じてくることは、これは明らかでございますから、従来から私どもとしては、さような観点で、農林当局とも十分話し合いも遂げてこういった事業は推進しておるわけでございますけれども、今後とも、御指摘のような点、私ないとは言いませんが、それだけに十分注意してわれわれの担当しておる基盤整備事業を進めたいと、かように考えております。
○対馬孝且君 時間もありませんから、特に長官の場合は北海道開発庁長官なんだから、北海道開発庁長官というのは、新北海道開発計画で日本の食糧基地として位置づけた限り、その位置づけの基本に立って、どうしたら北海道の食糧基地開発が守られるか、あるいはしていくか、こういう基本姿勢に立ってひとつ体を張ってもこれは前進をする、開発計画を促進すると、こういう気構えにぼくは立ってもらいたい。このことを特に申し上げておきます。 そこで、時間もありませんから人事院総裁にちょっとお伺いします。 公務員の寒冷地手当の問題でちょっとお伺いしますが、前回、五十年一月の勧告をしたときは、灯油価格が一六〇%の灯油値上げで勧告されておりますね。今回はもうすでに値上げが二〇四%を超えているわけです。これは総裁も御存じだと思うのでありますが、いまだに五十年以来据え置きになっております。北海道はもうすでにドラムかん一本、リッター当たり七十三円ですから、一万四千円から一万四千五百円になってしまっている。これは必要量は十一・七です。約ドラムかん十二本。こういう実態に照らした場合に、どういうふうにこの問題をお考えになっているか、これをひとつお伺いします。
○政府委員(藤井貞夫君) 灯油の大変異常な値上がりという事実はよく認識をいたしております。いま先生もお述べになりましたような経緯で今日まで来ておるわけでございますが、特に去年の夏以降大変異常な値上がりを示して今日に来ておるわけでございます。 御承知のように、寒冷地手当というのは基準額というものとそれから加算額というものがあるわけでございます。これは釈迦に説法で詳しいことは申し上げませんが、その中のなかんずく加算額というのは、寒冷度の非常に高い地方における燃料費を補てんするという直接的な目的を持って生まれておる制度でございます。そういう面から申しますと、夏以降の異常な灯油の値上がりということは、私は率直に言って放置しがたいところにまで来ておるのであるという認識ははっきり持っております。 ただ、御承知でありますように、加算額自体はそれはそれでありますが、加算額のないところでもやはり燃料費というものの増高というものは何らかの意味でこれは反映をしていくことが整合性を保つゆえんでございます。そこで、基準額の内容をなす定額、定率の点でその点をどういうふうに処置をしていくかというような問題もあわせ考えていく必要がございますのと、もう一つ一番基本的な問題は、寒冷地手当というのは基準日というものがございまして、これは八月三十一日の基準でその年の冬分のものを一括して出すというたてまえになって今日まで来ておるわけであります。したがいまして、その改定をいたしまするのは、従来のいきさつで申しますと若干時期がずれたこともございますが、この加算額等で申しますと、大体前年の六月一日を基準にして調べておるわけでございます。特にいま問題になっておりますのは夏以降の問題でございますので、それらの点について直ちにこれを去年の八月三十一日にさかのぼって改善するというようなことになりますと、これは制度自体にも根本的に考え直してまいらなきゃならぬ問題がございます。他の制度への波及の問題もございます。 そこで、私といたしましては、目下それらの諸情勢を勘案しつつ、民間におけるこれの対処がどういうふうになっておるかという点もあわせまして鋭意検討をいたしております。その時期、内容、方法等につきましていまここで結論を申し上げる段階ではございませんですが、大変切実な問題で放置はできないという基本認識に立ちつつ、それらの点について鋭意検討を続けておるというのが実情でございます。
○対馬孝且君 いまの総裁の考え方はわかりました。 一応現実に上がっておるわけですから、これは当時の国会の会議録も私は調べましたけれども、これは五十年の一月の勧告の時点で、国会では灯油価格が二〇%ないし三〇%の値上がりがあれば当然勧告する旨、人事院側からの答弁として——これは附帯決議になっていますね。これは御存じだと思うんです。だから二〇%、三〇%どころか、現実に今日は倍以上、一二〇%以上になっているわけですから、したがって、そういう点からいきますと——この間は、参考までに、御承知だと思うんでありますが、北海道で公共企業体の方々につきましての調停、あっせんが行われました。このときに、もちろん労使、公益側、意見が一致したわけではございませんけれども、並列的に併記をして書いていますが、最後の公益側の見解としても、ここにありますように、現実に最近の灯油の異常な値上がりからいって家計への圧迫が著しいものであることは率直に認める、しかし、財政事情もこれあるので、十分にここらあたりを検討しながら、階層別に所得階層への影響等を段階的に判断しながら増額をしてやるべきである、こういう趣旨の実は勧告が出ています。これはもう御存じだと思います。こういう趣旨も踏まえていただいて、ぜひひとつ特例勧告をするぐらいの構えで総裁として努力をしてもらいたい。こういうことについていかがでしょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) 寒冷地手当に関する北海道の公労委の関係の対処の仕方、その経過等についても、大体のところはよく承知をいたしております。いろいろな立場がございまして必ずしも労使、公益でもって意見が一致したというかっこうにはなっておらないようでありますが、しかし、いずれにいたしましても、大変異常な事態に対して何らかのことはやらなければならないという空気はにじみ出ておるのではないかというふうに承知をいたしております。したがいまして、それらの点も十分に私としては承知をいたしておりますので、今後諸情勢を勘案しながらなお鋭意検討を続けたいということでございます。
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。山崎昇君。
○山崎昇君 総裁、いま答弁がありましたが、いま対馬委員から言っておりますように、四十九年の六月一日の基準で決めておりますね。当時は石炭を使う者が三割、灯油を使用する者が七割、俗に言う七、三の割合でこの基準が決まっているわけであります。ところが、その後ほとんどもう石炭を使っているところはないのですね、北海道でも。それから使っておりますストーブも、ポータブルを使っているなんというところはない。私の家もそうですが、すべて煙筒をつけましてたくわけです。私のうちは政治家ですからそう基準にならぬかもしれませんが、一冬にドラムかん十三本たきます。だから、ドラムかん一本二倍の値段になったらこれはもう大変な負担になるのですね。それは月給が安かろうが高かろうが、そんなことは関係がない。とにかく灯油をたかなければどうにらならない。 それからもう一つ、あの四十九年から変わっておりますのは、最近札幌市役所あたりで施設費を多少貸しまして、ほとんどいま札幌でも急遽、たとえば汚い話ですが、トイレにしましても水洗になってくるわけです。ところが、家そのものはそういう建築になっておりませんから、夜間ストーブをたいて空気を暖めなければトイレが凍っちゃう、水道が凍っちゃうのです。だから、家によっては朝から晩まで、晩から朝まで二十四時間ストーブをつけっ放しでなければ保てないのですね。だんだん文化生活になればなるほどそういう形になってくる。そういうこと等も私ども判断すると、灯油の値段が二〇四%も上がるなんという事態になってくるというと、単に公務員の寒冷地手当というばかりでなしに、寒冷地帯に住む勤労者の家庭というものは大変なんです。 あわせて、全日自労と言いまして、御案内のとおり、緊急失対事業の方々も、多少は割り増しがついていますが、これとても、とうていもう灯油を買うことができない。ことしは暖冬でありましたから多少のいい点はありましたけれども、そういう点から判断すると、やっぱり人事院の勧告どうかが最大の問題になるだけに、いま北海道に住む公務員というのは注目をしているわけですね。ですから、対馬委員からいま質問をしておりますけれども、どうかそういう点を考えられまして、人事院としては早急に結論を出してもらいたい、そしてできれば五十四年度で措置をしてもらいたい、こういうことを重ねて私から申し上げて総裁の見解を聞いておきたい。 それからあわせて、もし人事院がやった場合には、総務長官、それから大蔵大臣、これを受けて早急に直してもらいたい、予算的にも処置をしてもらいたい。あわせてひとつ答弁を願っておきたい。
○政府委員(藤井貞夫君) 山崎委員からも関連をして御質問がございましたが、お述べになりましたような事情は十分腹に入れたいと思っておりますし、私たち組織を持っておりますので、そういうような情勢は十分把握をいたしておるつもりであります。その観点に立ちまして、大変重要な問題であるという認識のもとに検討を続け結論を得たいと思っておりますが、繰り返して恐縮でございますが、基準日その他の問題がございますので、その時期なりやり方なりというものにつきましてはさらに検討を続けさしていただきたいということでございます。
○国務大臣(小渕恵三君) 寒冷地手当の改正につきましては、政府といたしましては従来から人事院の勧告を待って行うことといたしております。したがいまして、勧告が出ますれば直ちに関係省庁と協議をいたしまして検討いたしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 総務長官から申したとおりであります。
○対馬孝且君 最後に、時間ですから総裁に一つだけこれは要望しておきます。答弁は要りません。 先ほど山崎委員からもございましたけれども、六月を基点にして八月勧告ですから、そういう意味では私はこれは非常に総裁の決断が要ることだと思うのでありますけれども、異例の特例勧告ができるようにぜひひとつ努力をしてもらいたい。こういう点だけ要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(山内一郎君) 以上で対馬君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(山内一郎君) 次に、原田立君の質疑を行います。原田君。
○原田立君 五十四年度補正予算の審議に入るに当たり、まず緊急の課題だと言われている財政再建について政府の基本方針を総理大臣並びに大蔵大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、第一次石油危機に際会いたしまして、異常な長い彫りの深い不況に見舞われて、経済を維持し雇用を維持していく上におきまして財政の支出をいたしましてこの事態に対処しなければならぬと存じて、財政は公債政策をとり、特例公債を発行することにいたしたことは御案内のとおりであります。これによりまして、いまわが国の財政は公債に大きく依存する体質になっておりまして、この事態は不健全な状態でございますので、なるべく早く正常な状態に返して八〇年代のもろもろの事態に対応するだけの財政の活力を維持していかなければならないと考え、財政再建をもくろんでおるわけでございます。景気の方もようやく回復いたしましたので、五十五年度を第一年度といたしまして再建に第一歩を踏み入れたことでございます。 このやり方といたしましては、歳入歳出全般にわたりまして考えてまいらなければならぬと存じ、歳出におきましては規模を極力合理化、圧縮していくことにいたしておりまして、歳入の方は既存税制を徹底的に見直していくということを徹底いたしておるわけでございまして、歳出歳入両面にわたりまして合理化を徹底することを通じまして、まず公債の発行額を減らしてまいらなければならぬ。ことしは一兆円の公債の発行予定額を減らすことにいたしましたことは御案内のとおりでございまして、ことしを、五十五年度を第一年度といたしまして、数年間に、少なくとも特例公債だけはこれから脱却することにいたしたいと存じまして、全力を挙げてこれに取り組んでいきたいと考えております。
○国務大臣(竹下登君) 基本的にはただいま総理から御決意の御披瀝があったとおりでございます。 先ほど申しましたごとく、まさに一兆円公債発行額を減額するとともに、財政再建とは入るをはかって出るを制すると申しますが、まず、その入るをはかるに先立って出るを制するという姿勢を貫くことによりまして、五十五年度予算におきましては一般会計の伸び率一一・三%、歳出の伸び率は五・一%、最近二十年間において最低の伸び率でこれを抑えたわけであります。 したがって、今後の方向といたしましては、財政再建の道は、まさにいまだ緒についたばかりでございますので、今後とも先般の財政再建に関する国会決議等の精神を踏まえまして、広く各界各層の御意見を伺いながら、幅広い角度から財政再建の手だてを考えてまいりたい、かように考えております。
○原田立君 いろいろとお話ありましたが、まず財政再建には経費のむだ遣いをやめる、あるいはまた歳入を的確に見積もる、こういうことは絶対に必要だと思うのでありますけれども、その点に対してはどういうふうにお考えでしょうか。この補正に関連して経費のむだ遣いはしていないと、こういうふうに断言なされるかどうか、その点はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 財政再建に当たって経費のむだ遣い、これは極力排除すべきである、これは当然のことであります。 したがって、具体的に申し上げますと、今回の補正予算におきましては極力既定経費の節減に努めたわけであります。まず、給与改定財源の一部に充てるための旅費、庁費等の行政経費につきましての節約、原則三%行うことといたしまして百二十二億二千三百万を捻出いたしました。また次に、既定経費の洗い直しによる不用見込み額六百二十三億八千三百万円の減額を行うことといたしまして、既定経費の節減によって合計七百四十六億六百万円の財源を確保したということになっておるわけであります。さらに、今度は自然増収をこれに充てたわけでございますが、これに対しましても、これは補正予算にとどまらず、今後ともできるだけ的確な税収見込みというものにもろもろの工夫をこらして財政再建の端緒としたいと、このように考えております。
○原田立君 経費がむだに計上されている具体的な例を一つ挙げてお伺いしたいと思うのでありますが、農林水産省の農林漁業金融費の使われ方、これは一体どういうふうになっておりますか。五十二年、五十三年、五十四年度の当初予算額と補正との差額はどうなっていますか。その点をお伺いします。
○国務大臣(竹下登君) 正確を期するため、主計局長からお答えをさせます。
○政府委員(田中敬君) 農林漁業金融費、五十二、五十三、五十四年度の当初予算額、五十二年度におきましては当初予算額八百六十六億五千万円に対しまして、減額が補正によって二回ございまして、約十七億程度の減額をいたしております。それから五十三年度におきましては、当初九百六十二億に対しまして補正減が九億立っております。五十四年度におきましては、千三億円に対しまして補正減が十七億余り計上してございます。
○原田立君 いまお話があったように、毎年修正減少されておるわけでありますが、その修正の理由は、既定予算の不用額及び節約額の修正減少と、こうなっておりますけれども、どのような理由で毎年このような多額の減少が出るのか、明確な理由をお知らせ願いたい。
○政府委員(松浦昭君) お答えを申し上げます。 農林漁業金融費のうちで、補正による減額が多いのは農業近代化資金に係る利子補給の補助金でございます。公庫関係の補給金は減額はほとんどいたしておりませんけれども、この近代化資金の利子補給が毎年補正の減になるという原因になっております。 この理由は、前年度の融資分に係ります融資残高が推定の残高を下回るという状態が起こりますことと、また、先生御案内のように、農業近代化資金は、都道府県が利子補給をいたしました場合にその二分の一を国が助成するという形になっておりますので、都道府県がこの融資の見込み額を計上してまいります際に、経済情勢の変化等によりまして融資の実績が融資見込み額を下回るという事態が起こりまして、そのような事態からこのような減額補正をしていただくということになっている次第でございます。
○原田立君 農林大臣、ちょっとお聞きしますけれども、これは農林大臣の何か圧力かなんかで毎年減額するようなことをやっているんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま局長が答弁いたしましたように、どうしても近代化資金というものが、もし万が一利子補給が間に合わないということになっては逆に困るわけでございまして、そういう点において、前年度の実績見込みを見ながら計算を立てているわけでございまして、そうしてこう年度末が近づいてまいりますと結果的に使わない場合が出てくるわけでございますから、それが減額になるわけでございまして、その何もこちらが圧力をかけて、もう近代化資金は使うなというようなことをしておることは一切ございません。
○原田立君 では次に、税金の見積もりが正確に行われていない点を申し上げるのでありますが、先ほども取り上げられた問題でございますが、五十四年度補正予算では税の自然増収が当初予算に対して一兆九千九十億円と見込まれております。税収見込みでこんなに大きな見込み違いをしたような場合には余り大き過ぎるんじゃないか。まあ口が悪いことを言えば、当事者能力を欠いたものじゃないかとまでも言われるのでありますけれども、大蔵大臣はこの責任をどうお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 非常に政治的な御質問でございますが、まず実態から正確に申し上げます。御指摘のとおりでありまして、一兆九千九十億円自然増収、同額を補正計上することとしたわけであります。 そこで、自然増収の原因ということになりますと、正確に申し上げますならば、五十三年度の税収が見込みを七千七百五億円上回った、五十三年でございます。これがいわゆる土台となるわけであります。その上に、四つの点につきまして、すなわち雇用者所得、鉱工業生産、卸売物価、消費者物価、これの実績見込みがそれぞれ、この消費者物価は実績見込みが当初見通しより低く、そうして他は当初見込みより高くなった、こういう四つの諸指標が当初見込みを上回るという見込みになりましたので、法人税、源泉所得税等について相当程度の自然増収が見込まれたことであります。 したがって、現実問題といたしまして、税収見積もりは、政府経済見通しによります経済諸指標を基礎といたしましてその時点までの課税実績ということになりますと、十二月編成しようと思えば九月決算期までのものが課税実績として一応勘案の材料になるわけでございますので、言ってみれば、一年半先までの実態を見通すというのは、一生懸命やりましても時に狂いが生ずることはやむを得ないことではなかろうかと。そこで幾らかの乖離を生じてくるというのはこれはやむを得ないと思うのであります。したがいまして、そういう乖離が生じないように絶えず御鞭撻を受けて工夫を続けていこう、そういう基本的な精神でこれに対応していきたい。責任と申しますと、その職にあって精いっぱい今後努力することが責任である、このように考えております。
○原田立君 何か前の防衛庁長官の言ったような言葉によく似ているんだけれども、ほんのわずかの誤差が生じたというならばわかるんですよ。だけど一兆九千九十億、約二兆円もの差が出て、それでも、先の見通しができないで、しようがなかったなんていうことは余り甘く見くびっているんじゃないですか、大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 現実的に見まして二%程度の乖離しかなかったということもあるんでございます。それから、まあ二〇%のときが二回ありまして、それから一〇%台が二回ありまして、この二十年間で第五番目の、パーセントで言えば乖離を生じた、こういうことでございますが、決してそれでもってあたりまえだという考えは全くありません。
○原田立君 じゃ、あたりまえでないということは、じゃ、こういうふうな間違いは今後は行わないと、こういうものを出したことは大変責任は感じていると、こういうことを言われるんですね。
○国務大臣(竹下登君) 全く乖離を生じない仕組みをつくれと言われてもこれは困難なことでありますが、いまの原田委員の御精神を体して事に対処していきたい、このように考えております。
○原田立君 さらに年度内自然増収が出るようなことはないのかどうか。税収の状況は、十一月には少し悪かったようでありますが、十二月にはまた持ち直して好調になったというふうに言われております。ある人の話によれば、低く見積もっても五千億あるいはまた一兆円ぐらいはさらに増収があるんじゃないか、こういうふうに言われているんですが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに御指摘のとおり、七月、八月、九月、十月というものは大変高い伸び率でございます。これに比べますと、伸び率が低下してきておるわけであります。したがいまして、今度は補正後予算額に対する十二月末税収の進捗割合で見てみますと、五七・一%となりますので、前年対比〇・九%の上昇にとどまっておりますので、これらの点から見ましても、今回の一兆九千九十億円という自然増収の見積もりはそれなりに適正なものではなかろうかというふうに判断をいたしております。
○原田立君 私が後段指摘した今後の税収の増収の分はどうですか。
○政府委員(高橋元君) 所得税におきまして五千九百九十億円、法人税におきまして七千八百四十億円、石油税が千八十億円、物品税千三百九十億円、関税千九百十億円、その他八百八十億円、これを合わせまして一兆九千九十億円というのが補正の見込みでございます。 いまも大臣から申し上げましたように、十二月末の補正後予算に対する収納割合というのが五七・一%でございまして、去年五六・二%この段階で入っておったわけでございますから、これから先、たとえば十二月の税収はたしか対前年一四%ぐらい上回っておったかと思います。補正後予算を達成いたしますためには一七・三%ずつ毎月税収が伸びていかなければならないわけでございまして、そういうことから見ますと、七月、八月、九月、十月の非常に前年に対して伸び率が高かった状態というのは、十一、十二とだんだん減りつつあるわけでございます。一月の税収を見ましても、二八%台の前年に対する伸びかというふうに思います。仮にまあ補正よりも五千億ぐらい高い税収になるんじゃないかというような想定を置きまして、それを十二月税収から後達成するとしますと、毎月毎月二〇%以上の伸びが必要でございまして、現在十一月以降の税収の足取りからしますと、とうていそのように伸びるという想定を置くことはむずかしいのではないかというふうに思っております。 蛇足でございますが、五十四年度の税収が前半非常に高く伸びてまいりましたのは、五十三年度の税収が前半非常に低かった。五十三年の十月ぐらいから急に税収の伸びが高くなりましたので、それを受けて税収としては伸び率は逐月減っておるわけでございます。 そういうことをいま数字で申し上げたわけでございますが、私どもは、大臣から申し上げましたように、一兆九千九十億というのは、それなりに経済見通し、実績等を織り込んで、また大法人につきましては相当数の法人につきまして決算見込みを徴しまして作成したものでございます。
○原田立君 私はその答弁には納得いたしません。かなりの増収があるであろうというふうに私は思うのであります。 ところで、五十四年度当初予算の税収増加見込み額は三百七十億円であったと思います。ところが、今回のように約二兆円にも上る税収がふえた。これは見込み違いもはなはだしい話だと思うのであります。政府はなぜこんなに見込み違いをしたのか、税目別に国民が納得できるよう理由を明確にしていただきたい。
○政府委員(高橋元君) 五十四年度の税収を見積もりましたのは一昨年の十二月でございます。その時点で私ども実績として押さえておりました税収は五十三年の十月末税収、すなわち法人税で申しますと、五十三年八月決算の法人の収納実績までを見ておりました。そのときに全体の税収が、五十三年の補正後で、しかも十二カ月換算前の予算に対する進捗割合で四九・二でございましたから、前年よりも〇・九%悪かったわけでございます。したがいまして、その段階での実績と申しますのは、五十三年度の税収予算というものは予算額に実績が達しないのではないかという見込みが一応あったわけでございます。 特にその中で、景気が回復してまいります場合に非常に伸びていきます税金は法人税でございますが、十月末の法人では前年に比べまして九九・二%、これまた前年を下回っておったわけでございます。私ども民間の調査機関等の予測もかなり参考にしておるわけでございますが、民間の調査機関数社の予測をとってみましても、五十四年三月期には前期比マイナスという予測をしておられるところもございます。その後、そういう時点で五十四年の税収を、五十三年の実績、これはプラス・マイナス・ゼロと見まして、税目だけを入れかえまして五十四年経済見通しの伸び率等を使いましてやったわけでございますが、その後、五十三年の景気の回復の過程において企業の収益率が非常に向上してまいりました。売上高経常利益率で申しますと、一割近い伸びを示したわけでございます。そこで、五十三年度に自然増収が約六千五百億円法人税について生じ、全体で七千七百五億円になったわけでございます。そうなりますと、それが土台になります。五十四年の税収の土台になるわけでございます。五十四年の税収は五十三年の税収実績にその後の経済見通しの伸び率等を勘案した各種の税についての指標を乗じていくわけでございますから、それによりますと七千七百五億円が一七%伸びることになりまして、九千億というものが前年から持ち越したげたでございます。その上に、五十四年につきましても経済見通しを上回る経済の実績の伸びというのがあったわけでございます。鉱工業生産指数にいたしましても卸売物価指数にいたしましても、それから雇用者所得にいたしましても、それぞれ伸びております。そういうことに伴いまして、経済見通しを上回る経済の推移がありましたことに伴いまして、まあ給与にいたしましても利子にいたしましても、法人の所得にいたしましても、それぞれ伸びてまいりまして、見通しをそれぞれ合計をいたしますと約六千億上回ったことになると思います。そのほか、まだ四千億実はあるわけでございますが、この四千億は円安になりましたために、関税——これは従価税が多いわけでございますが、関税、それから石油税、これらの税収がふえてまいりました。それから、自動車とかルームクーラーの消費が非常に大きく伸びましたものですから、物品税の税収がふえてまいりました。税目の内訳は先ほど申し上げたようなことでございますが、そういうことで、経済見通しが想定をしておりました経済の予想というものを上回って経済が五十四年に伸びてまいりました。それを反映した部分が一兆円でございます。合計いたしまして一兆九千九十億円に相なるわけでございます。
○原田立君 いまもいろいろと税目別に細かく言ってもらったんですが、大蔵大臣、要するに五十四年度の当初予算税収増額が三百七十億と言っておいて、今回の補正で約二兆円にも税収がふえるということ、これは非常におかしいでしょうということをさっきから何度も指摘をしているんです。これがまた何もいまだけの問題でなくて、実は昨年の三月三十日に当委員会で同僚の矢追委員から税収の見込みが少し少ないんじゃないか、約六千億円くらいはふえるんじゃないかと、こういうふうなことを申したのでありますけれども、これに対して「いろいろな角度からマクロ的にも推計もいたしますし、各税日ごとに要素を積み上げて推計もいたしておりまして」云々と、こういうふうな答弁で、自分たちのやっていることは正確であるということを強く言ったわけでありますけれども、どうですか。現実にこんなに狂ってきたと、矢追委員の指摘どおりに現になっている。矢追委員の指摘した六千億よりその三倍以上も、約二億円もふえているんですから。大蔵省が知恵をしぼって、多くの人を抱えてやっている、当然こんな間違いなどあってはならないと、こう私は思いますが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 矢追委員の見込みをもっての御質問でありますが、経済成長率、実質成長率の見方が違っておりましたが、そういう矢追委員の見込みというものに対しては評価をいたします。 そこで、何回も申すようでございますけれども、全く乖離しないというものはむずかしいのでありますが、私も過去の例を調べてみますと、やはり一九六〇年代というものは大体七・二%、六・五%、七・六%、四・八%、五・〇%、五・二%と毎年余り乖離の差が変わらないわけでございます。やはり七〇年代に入りましてからの問題でございますが、要するに石油ショック以来の問題が四十七年になると一〇・四%、四十八年は二〇・六%、四十九年が九・三%、五十年が二〇・七%、非常に大きく開いてきて、そうして昭和五十一年からやや乖離の差が少なくなりましたが、今回また八・九というところへきたわけでございますので、いろいろな工夫をして大いに努力を続けなければならないという意味の責任は十分感じております。
○原田立君 政府が提出した五十四年度の補正予算の説明のどこにもこの税収見積もりの狂いを明らかにしていない、この点はおかしいんじゃないですか。
○国務大臣(竹下登君) 一兆九千九十億円の補正増の内訳及び見積もりの事由につきましては、補正予算書に加えて大蔵省が国会に提出しております昭和五十四年度補正予算説明に説明をされておるということであります。
○原田立君 そんな答弁でいいんですか。 歳入の面のところで、所得税五十九百九十億、法人税七千八百四十億、これらの税収増収については、「法人税は、法人企業の申告所得の伸び率が増加するものと見込まれること等により」と、これだけですよ、説明は。こんなことで十分な説明がなされていると思うんですか。
○国務大臣(竹下登君) この背景にありますのは、先ほど来御答弁を申し上げました五十三年度予算の土台となるべき増収額、それと主として四つの指標からくるものであるということでございますので、これ自身が簡単過ぎるとおっしゃれば、その簡単であるということは私も簡単であると思います。(笑声)
○原田立君 その噴飯物の答弁で困るんですが、もう少し真剣に答弁してもらいたいと思うんです。 今後、補正予算の際は、当初予算の際に出しているような租税印紙収入予算の説明のいわゆる補正版というようなものを国会に提出することを私は強く要望するのです。大蔵大臣並びに総理、お約束できますかどうか、その点についての御答弁をいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) いまの補正予算の説明とは別個に租税及び印紙収入予算の説明の補正版を提出せよというお考えでございますが、これは素直に言って、きょう出せと、こうおっしゃっても、はいとは言えませんが、今後の課題として十分検討さしていただきます。
○原田立君 次に、公共事業等予備費の減額を二千億円としておりますけれども、これは一体どうして減額したのか。 実はこの質問をするに当たり、五十四年度予算審議のとき、もしこういうふうなお金が必要ならばそのときに補正を組めばいいじゃないかと、こういう主張をしたにもかかわらず政府は予算に組んである。それで、現実にまたこうやって補正して減額している。これは余りにも見え透いたやり方で、私どもはどうしても納得いかない。いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) この公共事業等予備費の問題については、かねてから御議論のあるところであります。昭和五十一年度におきまして、年度途中における予見しがたい経済の情勢の推移等により公共事業等の経費に予算の不足が生ずる場合に使用されるということで千五百億円、それが補正後には千三百五十億となったわけであります。このときの経済情勢から言いますと、経済情勢の推移というものに対応する必要性が私は当時あったと思うのであります。公共事業等がいわゆる促進態勢にあったときであります。そうして、五十二年度には公共事業そのものが五十一年度当初予算に比べまして二一・四%ふえたわけであります。それによって景気回復がさらに力強く、かつ確実なものにそれだけの予算でできるという判断からいたしまして、これは当初予算にも計上しなかったわけであります。そして五十三年度は、これはこの公共事業等は消化可能な限り極力これを計上いたしましたが、民需、雇用状況等が予測を下回るという予見しがたい経済情勢の推移等によりまして予算不足が見込まれる場合に備えて、機を逸せず弾力的な適切な対策を打ち出そうという配意でもってこの当初予算に五十三年度は計上したわけであります。そうして五十四年度におきましては、この予見しがたい経済情勢等によって公共事業等の経費に予算不足が見込まれる場合に備えて、機を逸せず適切な対策をしようというので、これも計上したことは事実であります。しかしながら、今日わが国の経済がいわゆる国内の民需を中心にしまして、いまのところ着実な拡大を続けておりますし、雇用情勢もわずかながら改善が続いておりますし、一方、物価動向また大変警戒を要するという状態になりましたので、そこで、予見しがたい経済情勢の推移等により公共事業等の経費に不足の額が見込まれる場合に備えて、これに機動的に対応し得るよう設置されたものでありましたものの、このような現下の経済情勢の推移等にかんがみまして、これを置く必要がなくなったということからいたしまして、取り崩しをさしていただいた。すなわち、なだらかながら改善が進んで、一方、物価に対して警戒を要する時代に入ったという判断に立ってこれを補正で取り崩すということにいたしたものであります。
○原田立君 総理、お伺いしますけれども、あの悪名高き一般消費税については、国民の声により五十五年度実施を政府は断念したわけでありますけれども、総理の答弁によると、五十六年度以降についてはやらないと、一般消費税の導入はやらないと、こういうことをまだはっきり断言しておられませんね。この件について、当面、今後ともそういうことはやらないというふうに御答弁なさるかどうか、その点御意見をお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) その問題につきましては、国会の方で去年の暮れに決議がございましたことは原田さんも御承知のとおりでございまして、これに取り組む方向が示されております。政府はそれを踏まえまして各方面の御意向を聞きながら、歳入歳出両面の広く検討を遂げて、具体的な結論を出さなければならぬものであると心得ております。
○原田立君 総理、じゃやらないということで理解していいんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 国会の決議をよくごらんいただきたいと思いますが、それを踏まえて各方面の意見を聞きながら政府として具体的な結論をその時点において出さなけりゃいかぬというんですから、きわめて明快な答弁だと思いますけれども。
○原田立君 じゃ、まだやるような意思が腹の底にはあるような感じで私はお伺いしました。 ところで、きのうかおとといあたりの新聞に、大蔵大臣、あなたは一般消費税の導入等については、五十六年度以降導入するような段階ではないというような答弁をしたというふうに書かれているわけですが、それは間違いないですか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には、いま総理がまさに衆参両院において行われました「財政再建に関する決議」に明快にうたわれておるところでございますと。で、私がお答えいたしましたのは、この一般消費税という問題につきまして、これを両院で御決議をいただいております段階にも絶えず主張いたしましたのは、決議文にも書いていただきましたように、「いわゆる一般消費税(仮称)」と、こういうように書いていただいておるのであります。と申しますのは、あの決議の趣旨そのもので消費一般にかかわる税というものがことごとく否定されたといたしますならば、直接税と間接税、所得税と消費税、そういうわが国の税体系そのものに将来とも問題が生じてくるではないかという意味におきましてそういう問答を繰り返しておったわけであります。したがって、あれと同じものを「いわゆる一般消費税(仮称)」というものを五十六年度財政再建計画に対してこの手法を用いる環境にはない、こういうふうな御答弁を申し上げたわけであります。
○原田立君 先日の代表質問で、同僚議員の鈴木一弘議員が質問したのでありますが、中期財政計画を作成すべきであると、こういうふうに言ったのでありますが、大蔵省は何かと言うと試算しか出してこないのでありますが、総理が本会議でも明言したといわゆる中期展望に立っての財政計画、これを国会に提出すべきだと思いますが、こういうこの中期財政計画をいつごろ提出なさるお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) これは中期財政計画を出すべきだと思うがどうか、その提出時期を明示せよと、何回か矢野書記長の御発議以来、議論を重ねてきた問題でございますが、このいま作業を、かなり濃密な作業を続けておりますので、その内容と時期につきましては主計局長からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
○政府委員(田中敬君) 財政計画と申しますものは、これまで国会に御提出申し上げました財政収支試算と根本的に異なるものでございます。御承知のように、財収支試算と申しますものは、新経済七カ年計画の六十年度における国の経済の姿を財政に全く機械的に投影したもの、すなわち当時における予測される国民所得に対する社会保障の移転支出とか、あるいは公共投資の累積額あるいはまた租税負担率が対国民所得比二六・五%というようなものを機械的に計算してはめたものが財政収支試算でございまして、それと五十五年度とのでき上がりを予想されております予算とを直線的に、機械的に結んだものということで、そういうものが財政収支試算でございますが、これに対しまして、それでは財政再建の道を探るのに余りにも非現実的である、よりもっと具体的な議論ができる財政計画的なものを提出しろというのが大方の御意見でございました。こういう御意見を受けまして大蔵省といたしましては、昭和五十三年の夏、財政制度審議会にこの件を諮りまして、実は昨年の夏に中間答申をいただいております。その中間答申に基づきまして現在各省庁と協議をいたしまして、どういうものがつくり得るかということを鋭意検討中でございます。私どもが考えておりますのは、財政収支試算が六十年の姿から今日へ投影したものであるに対しまして、私どもが考えております財政計画と申しますものは、現実の五十五年度予算というものを出発点といたしまして、この五十五年度予算に盛られました制度なり経費というものがそのまま続くとすれば後年度どれだけの負担が出るであろうかという後年度負担推計、そしてまた歳入面につきましては、現行の税制のままで推移すれば、その税収はどれくらい上がってくるであろうか、いわゆる現時点を出発点といたしまして将来の財政の傾向というものが示し得るような後年度負担推計型財政計画というものを目下作業をいたしております。しかしながら、この財政計画作業と申しますものは、わが国においては初めてでございますし、先進諸国でこの財政計画を持っております国につきましても、財政計画の必要性が叫ばれ、検討が始まりまして、それが作成されるまでにはほぼ十年の年月を要しております。私どもは、そういう情勢の中できわめてむずかしい作業、特に各省庁の御理解と御協力を得てやらなければならない問題もございますので、それらの点を踏まえ、技術的な困難を乗り越え、そして、かつまた膨大な事務量を要しますが、五十五年度予算原案——現在御提案申しております五十五年度予算を基礎といたします後年度負担型推計による財政計画というものに取り組んでおりますが、何せ初めてのことでございますので、いつごろこれにめどが立つかということは、現在確としたことを申し上げる段階にはございませんが、財政当局といたしましては、これら五十五年度予算をベースといたしました計画的なもの、あるいはそういう意味の試作品的なものを何とかこの年内にめどをつけてみたいということで、目下鋭意努力をいたしております。
○原田立君 次に、物価、公共料金の問題でお伺いするのでありますが、総理、物価安定の主役は公共料金をどれだけ抑えるかにその一切がかかっていると思うんですよ。公共料金の引き上げがこのまま実施されれば、物価高騰に拍車をかけ、インフレ心理に火をつける。その上、値上げは国民の家計を圧迫し、個人消費の減退や景気回復にブレーキをかけることになる。経済運営の第一の課題が物価の安定にあるというのであれば、一連の公共料金引き上げに対しては厳しい姿勢で臨むことは当然であると私は思うのでありますが、総理の見解はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 当然きわめて厳しい姿勢で臨まなきゃならぬと心得ております。
○原田立君 いまや国民が一番心配しているのは電気料金五〇%から六〇%の値上げとガス料金五〇%以上の値上げ、生活に不可欠のこの二つの公共料金が上がることは、全面的に物価高騰に火がつくことになるわけでありますが、政府は電力及びガス会社の値上げ申請を認めるべきではないと、こういうふうに思うのでありますが、明確に御答弁をいただきたい。
○国務大臣(佐々木義武君) 今回の磁気及びガス料金の値上げの申請は、御承知のとおり、異常とも言える原油価格の大変な上昇によるものでございまして、申請がありました以上、これは認可しないということはできないと考えておりますが、ただ、その査定につきましては、経営の徹底した合理化というものを前提といたしまして、原価主義の原則に立って、物価、国民生活への影響を十分考えつつ厳正かつ慎重に対処したいという考えでございます。
○原田立君 生活必需品の電力、ガス料金が認められれば狂乱物価の再現も引き起こされかねない。昨日発表になった一月の卸売物価は、年率では二八・三%と急騰を記録しております。この際、狂乱物価の再現を防ぐには、電力、ガス料金の値上げは認めるべきではない、こう思うのであります。いま通産大臣、査定して少しは値上げするんだというような意味の答弁がありましたが、認めるべきではないというふうに私は思うのであります。再度御答弁いただきたいと思う。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほども申しましたように、この値上げのもとは、ほぼ八二%ぐらいは、寄与率と申しますか、原油価格の値上がりでございまして、原油の値上がりはわが国といたしましてはいかんともしがたい現象でございますし、さらばといって、これを輸入しなければ日本の経済は立ち行かぬことは御承知のとおりでございまして、したがいまして、わが国の経済を運営しようとすれば、異常な原油価格の値上がりであっても、これは輸入するのはやむを得ない現象でございまして、その原油を使いまして発電をしているのがいまの現状でございますから、電力料金に自然これははね返ってくると、そういう状況でございますので、電力会社では、先ほど申しましたように、あらゆる経営努力をいたしましても現状をもってしてはいかんともしがたいと、そのままでいきますと、公共事業、公共的な電力の供給にも支障を来すおそれなしともしないと、こういうことでございますので、申請のありました以上、厳正な態度でこれを査定いたしまして、しかる後許可いたしたいと、こういうふうに考えております。
○原田立君 どうもおしまいの方の語句がはっきりしないんですけれどもね、語尾が。
○国務大臣(佐々木義武君) 最後のくだりは、厳正かつ慎重に対処をいたしまして、査定をいたしましてこれに対処したいと、こういうふうに考えております。
○原田立君 では次に、例の株式会社北商の問題でちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、先ほど対馬委員から詳しく質問がありましたので、私は簡単にしたいと思います。 この北商という会社は、水産物の取扱高が年商一千億円と言われるほどで、業界に与える影響は非常に大きなものがあると言われておりますが、お聞きしたいのは、北商の債権企業は大企業、中小企業を含め何社に達するのか、それからまた、関連中小企業の連鎖倒産の防止のためには一体どういう対策を講じているのか、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(左近友三郎君) 北商の倒産に関連いたしまして、関連中小企業の連鎖倒産の防止に対する対策でございます。 その前に、現在まで判明しております債権者でございますが、総数は百九十五件でございまして、そのうち金融機関が十四件、それから大企業が五十六件、それから中小企業が百二十件、その他道漁連等々が五件というふうなことになっておりまして、この百二十件に上ります中小企業に対する連鎖倒産防止対策でございますが、これにつきましては、政府系の中小企業の金融機関、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫によりまして、中小企業倒産対策緊急融資制度というのがございますので、それのあっせんによって対策を講じたいということでございますが、それをまた容易にするために、倒産関連保証という制度がございまして、これは必要な倒産企業を指定いたしまして、その倒産した企業に関連するものについては信用保証を特別にやると、それによって先ほど申しました融資も円滑にいくというふうに考えておりまして、この二月九日に北商を倒産企業に指定いたしましたので、今後それに対する関連企業はこの融資が受けやすくなるということになっております。 それから、先ほどの倒産対策の金融等々をやるために、この二月の十四日に東京及び札幌で、通産局、財務局、それから日銀の支店、あるいは都道府県というふうなものが集まりまして、それに対する具体的な関連倒産をしないような指導をやるための会議を開くことにいたしております。 以上のようなことによりまして、この北商の倒産によります中小企業に対する連鎖倒産がないように努めてまいりたいというふうに考えております。
○原田立君 公取委員長にお伺いするのでありますけれども、輸入が数少ない商社、水産会社で輸入され、それがまた数社の独占的流通経路で価格高騰が故意に行われている。今回はたまたま消費者が防衛的な意識を強く出し、独占された高価格のかずのこが敬遠されたが、もし、今回の北商倒産が起きなければ、消費者は全く言いなりの買い物をさせられるところであります。 公取委員長にお伺いするのですが、このかずのこに関して市場占有、価格の実態から見て、カルテルあるいは管理価格に関連して、独占禁止法上どのような問題があるとお考えですか。
○政府委員(橋口收君) かずのこに関しましては、十分な情報を持っておらないわけでございますから、いまお尋ねがございましたような、市場の中において商社なり、あるいは北商なり、あるいは関連事業者の占めるウエートが高くて、それによって市場全体が硬直的になっていると、そういう情報を得ておらないわけでございますので的確にお答えをすることができないと思いますが、先ほど対馬委員にもお答え申し上げましたように、冷凍水産物の輸入の形態なり、あるいは流通構造なりに、かつてとは大変大きな変化が生じておるわけでございますし、それから、いまお話の中にもちょっとございましたように、かつては漁労会社でありました大手の水産会社が輸入会社に変身したというような事態の大きな変化もございます。そういう点から申しまして、このかずのこ問題は決して一かずのこの問題ではなくて、日本の冷凍水産物あるいは魚介類の輸入の問題として、将来大きな問題としてわれわれとしても関心を持って検討すべき問題ではないかというふうに考えております。 ただ、いま直接御質問がございました点につきましては、残念ながらまだ十分な情報を得ておらないのが現状でございます。
○原田立君 北商あるいは道漁連に農林中金から多額の融資が行われていると聞いているわけでありますが、農林大臣、五十年度以降毎年幾ら貸し出ししているのか、その点ちょっとお伺いしたい。
○政府委員(松浦昭君) お答えいたします。 短期資金につきましては、きわめて頻繁に貸し出しと回収が行われておりますので、一般に残高で管理いたしておりますから、残高で申し上げたいと思います。 農林中金の道漁連に対する貸出残高は、五十五年一月末で四百五十億円、また五十年度以降の各年度の末の残高でございますが、五十年度が三百二十八億、五十一年度が三百三十六億、五十二年度が四百二十七億、五十三年度四百十三億となっております。それから、北商でございますが、五十五年の一月末で三億四千五百万円でございます。
○原田立君 このように政府関係金融機関の融資が物価高騰買い占め資金として使われていることは重大であります。返済の可能性、今後貸し付けの条件として買い占め等に使われるものには安易な態度でなく厳しく対処すべきであると考えるわけでありますが、農林大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま御指摘でございますが、北商は結果的にはそういう買い占めに使われたのかもしれませんが、私どもの承知しておるのでは、農林中金で融資をいたしましたのは手形割引が主体でございます。そして、その手形の相手方は市場のそれぞれりっぱな会社でございまして、そういう意味で貸したと承知いたしておりますが、しかし、結果的にどうもそういうふうにも使われたかもしれない。お金というのは回っているわけでございますから、その辺がございますので、今後こういう点には、先ほど来対馬委員に申し上げましたように、ぜひそういうことの空売りとか、そういうようなことのないように、いわゆる投機的なものができるだけ行われないような形に持っていくことが結果的に金融面でも健全な金融になると、こう考えておりまして、そのように対処してまいりたいと思います。
○原田立君 北海道漁連の負債はかなりの多額に及んでいるわけでありますが、空取引などの問題はありますが、このような事件を未然に防止できなかった水産庁の検査、監視体制こそ責任があると思うのであります。先ほども四十七、八年ごろまでは一回ずつやっておったけれども、それが後は二年に一回だという、そういうような点も十分直さなければならないと思うのであります。 道漁連の再建には、傘下の全北海道の漁業者、組合に影響を及ぼすことになるわけでありまして、再建には水産庁が責任を持って万全を期すべきだと思うのであります。水産庁の問題、その上司である農林大臣の見解をお伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど対馬委員にもお答えを申し上げましたように、私どもこういう事態が起きたことはまことに遺憾に存じております。何とか一日も早く本当に健全な漁民のための漁連になっていただくように再建をしていただきたい。そのためには農林中金などの協力も必要でございますし、漁連そのものの体質を思い切って改革をしなきゃならぬと思っておりますし、われわれの方にも、水産庁にもプロジェクトチームをつくり、また漁連の中にも再建の委員会をつくっていただいて、そして役員も新しくかわるわけでございまして、正しい方向にひとつ再建をするようにわれわれもできる限りの協力をしていきたいと考えておるわけでございます。
○原田立君 次に野菜の問題でお伺いしますが、野菜の高値が多くの話題を呼んでおりますが、中でも白菜やキャベツの値段は異常でございます。昨年、一昨年は大豊作のため、白菜などはその価格が暴落し、中にはトラクターでつぶすような状態でありましたが、ことしの場合には台風と長雨のため不作続きで、値段は現在なお高値を呼んでおります。 そこでお尋ねするわけでありますが、政府は、昨年の大豊作以降、生産者並びに指定の地域に白菜の減反指導をされたかどうか、その点はいかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。 野菜の生産出荷全般につきましては、やはり野菜の需給動向も考慮いたしまして、需要に見合ったよう生産を考えるという一般的な指導は行っております。しかしながら、特定の地域の特定の作目による作付について減反の指示をした事実はございません。
○原田立君 局長、そういう答弁だけれども、茨城県全域では三割減反あるいは千葉県では四割減反がなされていると聞いておりますけれども、こういう指導をした覚えはありませんか。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。 全般的な状況といたしましては、白菜は年々消費が減少傾向にございますし、生産では反収は増加傾向にあるため作付面積は年々減少している趨勢にあるわけでございます。特に本年度は、五十二年、五十三年二年連続の大豊作で異常な価格低迷が続きましたために、農家自体の作付意欲が非常に後退したということが原因だろうと思っております。 御指摘の茨城あるいは群馬の例について申し上げますと、茨城につきましては、実は全体が作付面積が減少している中でむしろ茨城だけが増加したと。それが豊作、市況の低迷に連なったということで、いま農業関係者の一致した見方がございまして、県の関係生産者団体の中で作付面積の調整を行ったという経過がございます。それからもう一つ、群馬につきましてでございますが、これはもう二年連続の価格低迷による農家の対応ということが基礎になりまして、これはあくまでもむしろ末端から積み上げた形で作付面積が減少した形になっているわけでございまして、そういった形での御指摘のような上からの指導というふうな点はないわけでございます。ちなみに五十四年の七月、つまり昨年の七月にこの冬の白菜の生産出荷協議会が開かれまして、関東ブロックの話し合いが行われたわけでございますが、この出荷計画では、平年作を前提とすれば、十分需要量を賄えるという水準で作付の想定が行われたという経緯がございます。
○原田立君 局長、勘違いして茨城県と群馬県と言ったけれども、ぼくは茨城県と千葉県の話を聞いたんですよ。それはいい。 ところで、いまのお話ですと、生産調整はやったけれども減反指導はしていないというような答弁なんだけれども、現場の生産者にいろいろ指導すべき農協が、政府の指示で減反しましたと、減反指導があったと、こういうことを言っておりますが、その点はどうですか。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、各県がそれぞれ、農業団体、さらに末端の単協が集まりまして生産出荷の計画を立てるわけでございます。その過程において、やはり関東ブロックなら関東ブロックの需要量を客観的に前提といたしまして、通常の作柄を前提といたしまして、各県がどの程度の作付を行うかという数字を昨年の七月に決めているわけでございまして、これはあくまでもいわば生産出荷の協議会という場で行われたものでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、その結論の数字というものにつきましては、私どもも平年作であれば十分需要量を賄えるものとして十分理解はしているわけでございます。
○原田立君 茨城県八千代町の場合でありますが、このたびの減反をするという段階で、町の五分の一の農家に当たる約百戸が農協から脱退している、こういう事実があります。いままで現場で苦労しながら農協への加入を進めてきたすべての努力が水泡に帰したと、こう言っておりますが、まじめに三割減反をしたお百姓さんたちに比べ脱退した人たちや農協に加入していない人たちの方が得をしている、こういう結果であります。ある人たちは、農林省の言うことの反対をやっていれば間違いないと、今度もそうだったと、こう言っているのでありますが、農林大臣、こういうふうにお百姓さんから信用されていない声がしばしば聞かれるわけなんでありますが、この言葉に対してどうお感じですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 実態についてはいま局長からいろいろ答弁を申し上げましたとおりで、私ども農林省が直接減反を指示したことは私はないと、こう承知をいたしておりますが、結果的に、いまのお話のように、どうも農協から離脱をして協力をしなかった者が今度は野菜が高くなって結果的に収益が上がり、どうも協力をした方が、結局つくらなかったため——つくらなかったと言うか、減作をしたためにどうも収入が少なかったと、こういうことでの御批判かと思うのでございます。まことにどうも見込み違いということでございますが、私どももいま本当に白菜の値段が高いのに頭を痛めておりまして、何とか安くならないかと思っておるのでございますけれども、先生御承知のように、昨年、いま御指摘のあったとおり、非常に長雨で、それに台風まで加わってやられたということでございます。とにかく野菜というのはもうそうなると本当に、もう何といいますか、天気の影響で大きく左右されるわけで、これがもし貯蔵がきくとか、あるいはもう少し全体的に農協あたりで生産計画、出荷計画がうまく調整ができるとかいうような仕組みになっておればいいのでございますけれども、いま御指摘のようなことにもあるわけでございまして、なかなか私どもむずかしいと思いますが、今後はひとつ、特に五十五年度において重要野菜対策の新しい事業も考えておりまして、それにおいてはある程度作付の余裕を持ちながら出荷でもって調整するというようなことも考えていく必要があるのではなかろうかと、こういうことで検討をしたいと思っておるわけでございます。
○原田立君 いま大臣が言われたように、天候によって豊作、凶作が大きく左右されるわけでありますが、十分な供給を前提に作付面積を決めるべきだと思うんです。作付制限により高値をつくり出すような農政では、指導では、国民の非常に大きい怒りを買うことになると思うのであります。国民の食生活安定に万全を期するための決意をお伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、私ども今度の重要野菜の対策の中におきまして、いわゆる消費に見合う形で生産され、出荷されるというのが望ましいので、できるだけそういう努力をいたしますけれども、先ほど申し上げましたような野菜の一つの特徴がございますので、そういう意味を配慮しながら、今回の場合においては、ある程度作付面積には余裕を持ち、そして出荷についてはできる限り消費に見合った形で出荷がなされるような、そういう形で指導をしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 今後も高騰を続けるいわゆる春物の野菜に対して、どのような対策をもって国民及び生産者を守り、価格の安定を図るのか。白菜は去年の十倍以上、キャベツは四、五倍の高騰、一方では北海道でタマネギがトラクターにより押しつぶされる、このような農政では広く全国民の信用を得るにはいかないと思うのですよ。この不信を払拭し、改革をしていくべきであると思うんです。再度お伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの承知しておりますのは、春物につきましては、大体いま作付面積も前年並みのようでございますし、天候もいまのところは順調でございますので、これはもう相当春物については心配がないというふうに承知をいたしております。そして今後の問題につきましては、先ほども触れましたけれども、できる限り消費に見合った形で出荷がなされるような方向で、できるだけ努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
○原田立君 先ほども財政再建の問題で若干お伺いしたわけでありますが、財政再建の一番の大きな課題としていわゆる行政改革と補助金整理は避けて通れないはずでありますが、五十五年度予算でこれがどこまで進み、国民が満足するところまでやったと政府は見ているのか、この点はいかがですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 五十五年行革は、昨年暮れに計画を閣議決定したやつでございますが、これによりますと、本年度を初年度といたしまして五十九年まで、約五年間でございますが、その間五千百億円の財政支出を節減することに相なります。なおこの中には補助金が含まれておりません。ちなみに補助金は、明五十五年度は千六百六十七億円でございますから、三年間で四分の一ばかり大蔵大臣の手元で整理することになっておりますので、本年のペースで進むとすれば、さらに四千億ないし五千億補助金として上積みされるという計算と相なります。
○国務大臣(竹下登君) 行政管理庁長官から大略お答えがございました。補助金というものがよく議論されますものに補助金性悪説という議論が一つあろうかと思うのであります。これは何かと言えば、ややもすると既得権化するなどの弊害が指摘されておるために、補助金等の役割り、効果等が絶えず見直しされていなければそういうものが既得権化されて残っていくと。これらをまず対象にするのは当然のことであります。したがいまして、計画といたしましては、まさに五十五年では千六百六十七億ということの合理化額であったわけでありますが、これは昭和五十三年の千四百二十二億を上回る最高のものでございます。今後四年間に四分の一というものを整理していこうということでございますが、ただここで申し上げますことは、補助金の中でどうしても当然増的に増加していく補助金がございます。例をわずか申し上げますならば、千億単位でふえていく補助金と言いますならば、まず療養給付費補助金千三百九十一億があります。それから、いま第二次ベビーブームでございますから、義務教育国庫負担金が千百六億ふえます。それから災害が七百四億ことしはふえたわけでございます。それから水田利用再編奨励補助金、これが七百四十八億ふえております。それから日本国有鉄道財政再建利子補給金、これが千七百四十八億と、これら当然増的経費でふえてまいりますのが九千七百八億円と、そういう多額に上るわけでございます。したがって、新規は極力これを抑制したところでございますけれども、たとえて申しますならば、この新規の場合、五十五年度には国勢調査を行わなければならぬというものが二百七十三億と、こういう巨額に上りますし、また本院の半数選挙がございますので、これが百八十四億九千万円と、こういうのが新規の義務的に増加するものでございます。したがいまして、その上に宇野長官のもとで行われております各種行政改革に伴って削減、合理化されていく経費というものは当然後年度の課題となって出るべきものでありますので、初年度では非常に出にくいものでございますので、これからも委員御指摘の趣旨に沿いまして、これが計画的にこの補助金整理合理化というものは進めていきたいと、このように考えております。
○原田立君 先ほども言いましたが、財政収支試算との関連で総理並びに大蔵大臣にお伺いするのでありますが、この試算によりますと、財政再建のため今後四年間に約六兆円の増税が必要とされると、こう言われております。増税意図がきわめて露骨に出ておりますが、総理は財政再建にはこの試算のように増税が不可欠と、こういうふうに判断されるのか、あるいは行政改革や歳出面での構造改革が不可欠なのか、明確に財政再建の基本的考え方をお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) まず私から先に申し上げます。 先ほど来申し上げましたように、財政再建に関する国会の決議がございます。歳入歳出両面にわたって各方面の意見を十分聞いた上でこれが具体的に対応すべきであると、こういう精神でございますので、その精神にのっとるわけであります。 そうしていわゆる財政収支試算の問題でございますが、これにつきましては重ねて申しておりますように、昭和六十年の形を租税負担率を二十六カ二分の一でございますか、そういう状態に設定した場合、今日の五十五年度ベースでそれに直線的に機械的にこの年度別のものをあらわした場合、総額としてそのような結果になるわけでございますので、それは先ほど申しましたように、歳入歳出両面にわたっての国会決議の意図を体して対応すべきもので、それそのものが増税額そのものをお示ししておるものではないと、このように御理解を賜りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 財政試算というのは一定の前提を置いて計算いたしたものでございまして、あれだけの歳出を賄うとすればこれだけの歳入が要るであろう、これだけの歳入を確保できればこれだけの歳出は賄えるであろうという一つの想定をした数字でございまして、あれだけの歳入がむずかしければ歳出を削らにゃなりませんし、歳出がもっと多く要るというのならばもう少し歳入の方をふやさにゃならぬと。いずれにいたしましても、あれを目安といたしまして、私どもはどのように歳出の規模を削減していくかということに努力すべきだと思うのでございまして、そうすることによって増税という事態をできるだけ避けることに努力してまいって、それと同時に公債の発行をできるだけ抑えていくという目標をどうして達成したらいいかということに努力を傾注しなけりゃならぬものと思っております。
○原田立君 大蔵大臣、お伺いしますけれども、全国知事会は毎年予算編成期に意見書を提出して、五十四年度も補助金の整理統合メニュー化について具体的提案を行っておりますが、今回の補正予算ではどの程度減額なさいましたか。
○政府委員(田中敬君) 今回の補正予算では特に措置いたしておりません。
○原田立君 答弁ははなはだ不満足ですけどね、終わりにします。
○委員長(山内一郎君) 以上で原田君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(山内一郎君) 次に、内藤功君の質疑を行います。内藤君。
○内藤功君 これまでも予算委員会の質疑などにおきまして政府の国鉄再建策の抜本的見直し、とりわけ、国鉄の設備投資にかかわるむだ遣い体質を改めることの重要性につきまして、具体的な事例を示していろいろ質問してまいりました。それは国鉄の設備投資が借金に依存して行われ、その利子負担が国鉄財政を大きく圧迫しておる、その中身の解明がどうしても必要である、こう考えたからにほかなりません。 そこで、運輸省にまずお聞きしますが、これまでの借金依存による利子負担が国鉄の赤字の中でどのくらいのウエートを占めているか、昭和五十四年度の数字をもとに明らかにしていただきたい。
○政府委員(山地進君) 昭和五十四年度の予算に計上されております損益勘定における経費総額は三兆八千五百八十九億でございますが、そのうち利子負担は五千五百七十億、約一四%になっております。
○内藤功君 こういう割合を占めている。これまでとり続けてきた政府の借金依存政策が国鉄財政悪化の大きな原因になっていると思います。運輸省のこの点の認識と、今後これをどう改められるかという点についてのお考えをお示し願いたい。
○政府委員(山地進君) これらの利子負担は、先生の御存じのように、一つは設備投資から来るものと、それからもう一つは、赤字が出る、赤字の借りかえというようなものから赤字が赤字を生むという形のものが混在しているわけでございます。 まず、利子負担、いわゆる建設利子の負担でございますが、これらにつきましては、国鉄の社会的要請により建設しなければいけないものにつきましては、工事費補助等の利子補給をしております。それから、赤字が原因で利子負担がふえていくものにつきましては、五十一年に約二兆五千億のたな上げをし、今回の予算におきましてはまた二兆七千億に上る赤字のたな上げをしておりまして、それらの利子負担の軽減を図る、かようなことを考えております。
○内藤功君 いまいろいろ言われましたが、政府のとり続けている借金依存政策が国鉄経営を一層悪化させて、そのツケが結局運賃値上げとして国民に回ってくる、こういう悪循環を断つことが一番大事だ。そのためにも、借金ではなく、国鉄の路線や駅舎など基礎施設の建設や改良費は国の出資で本来賄うことが必要だと私どもは考えております。同時に、むだな設備投資をなくすことが必要である。設備投資のむだをどうなくすかについての国鉄の基本的見解を総裁にお聞きしておきたい。
○説明員(高木文雄君) 最近十年ぐらいの特別な現象といたしまして、工事が大変おくれるということになっております。軒並み工事が遅延する。それは、ある意味では、地元の御了解が得られないということによるわけでございますけど、なぜまた地元の御了解が得られないかということを考えてみますと、やはり事前にとるべき処置についていろいろ足らざるものがあるというふうに考えられます。何とか御指摘のように設備投資を効率的にするためには、もう少し事前によく関連の地域の方々等に十分御理解を得た上で工事に入るということにしませんといけないわけでございまして、現在の東北新幹線の工事にあらわれておりますように、大変手順が悪くて、結果的には負担がふえるということになっているのを非常に遺憾に思っております。
○内藤功君 具体的な例を一つ出して質問したいんです。 国鉄はこれまでコンテナ輸送の整備拡充のために貨物ターミナルの新設・整備を進めてきましたが、東京湾頭大井にある東京貨物ターミナル、ここには、いままでのフォークリフトと違った橋形クレーン、コンピューターつきでありますが、これが設置されておる。これはどういうものですか、簡単に。
○説明員(高木文雄君) コンテナの積みおろしの方法としては主として二つあるわけでございまして、現在はフォークリフトでやるのが一般的でございますが、しばしば海上のコンテナ等で世界的に使われておりますように、橋げた式と申しますか、クレーン式と申しますか、そういう方法でつり上げたりつりおろしたりするという方法があり得るわけでございまして、いまの東京のターミナルで、計画といいますか、いま試験的にやろうとしておりますのは、そのつり上げ式、橋げた式クレーンによるものでございます。
○内藤功君 これはいつから設置されていますか、いままで何年たっていますか。
○説明員(高木文雄君) その計画が立てられましたのはもう十年以上前のことではないかと思います。現実に設置しましたのは、現在五基しか設置してございませんが、五基のうち、三基設置したのは四、五年前になると思いますし、新しいものは一年半から二年ぐらい前に設置したと思います。
○内藤功君 正確にその日にちをひとつ示してください。
○説明員(高木文雄君) 三台発注いたしましたのが四十九年の三月と報告を受けております。それが現実に設置されましたのが四十九年の十二月に二台と五十年の七月に一台でございます。それから第二次といいますか、後から発注した時期が五十一年の三月に二台でありまして、設置が完了しましたのが五十三年の八月でございます。
○内藤功君 こういうでかいものです。(写真を示す)高さが二十七・五九メートル、こういうでかいものです。この経費は一体幾らかかっていますか。
○説明員(高木文雄君) ただいまの大井にあります東京ターミナルの橋形クレーンに関連する経費は全部で今日まで二十一億円かかっております。 それを二つに分けて御説明いたしますと、クレーンそのものが十二億円、それからそういうクレーン方式による駅にいたすための基礎工事等が九億円でございます。そのクレーン関係の十二億円をさらに分類をしてみますと、クレーン本体が八億五千万円余り、それからコンピューター関係が三億円余りということで、合計先ほど申しました十二億円になります。
○内藤功君 いまのは五基のお値段ですが、全部で何基、何クレーン入れるおつもりだったんですか。
○説明員(高木文雄君) 二十五基の予定を四十年代に決めておりますが、いまのところは五基でちょっととめております。
○内藤功君 二十五基入れるときには、コンテナの貨物取扱量年何百万トンというふうに見通しをされたんですか。
○説明員(高木文雄君) 四十七年の八月時点で決めましたときには、将来計画として全体として五百八十万トンの貨物を扱うという前提になっております。
○内藤功君 現実には、五十三年度で結構ですが、どのくらいの取扱量ですか。
○説明員(高木文雄君) 大体百四十万トンぐらいが実績でございます。
○内藤功君 細かいことでもう一点だけ。 百四十万トンが五百八十万トンに上がる具体的な見通しはおありですか、ありませんか。
○説明員(高木文雄君) 御存じのとおり、私どもの貨物扱いが一番多かったのは全国的に見て四十五年でございましたから、大変将来は伸びるだろうということでこういう大きな計画を立てたと思いますが、現在はむしろ縮小をしてまいりましたので、五百八十万トンというような大きな量を扱うことはまずないと思われます。したがいまして、最近計画を変更しておりますが、その計画もまだ実施に移すにはちょっとよく考えなければいけないと思っております。
○内藤功君 据えつけられてから五年二カ月かかっておるわけですが、この橋形クレーンの自動荷役設備が実際に仕事をしたことはありますか。
○説明員(高木文雄君) 初めてのものでございまして、うまく稼働しておりません。したがって、現在は実際はフォークリフトで臨時に補完をしてやっておりまして、このクレーンはうまく動いておりません。
○内藤功君 雨ざらしですから、このさびを防ぐために検修は行ってきたと思うんですが、その費用はいままでどのぐらいかかっておるか御存じですか。
○説明員(高木文雄君) いま手元に持っておりません。
○内藤功君 私の調べでは五百二十八万八千円かかっておるというふうに言われておりますから、これはお調べ願いたい。 そうすると、いま現在国鉄としては、この装置を使用開始する時期について具体的な見通しはないということを伺っていいですか。
○説明員(高木文雄君) 本年四月から試験実施をいたします。しかし、試験実施の結果うまくいくかどうかわかりませんので、現実にそれを使って仕事をするという計画はない、いまの段階ではないと申し上げるのが正確だと思います。
○内藤功君 お聞きのとおり、この橋形クレーンはいま役に立っていない、野ざらしになっている。実は、これは太平洋ベルト地帯四大フレートライナー・ターミナル整備計画、こういう長い名前の整備計画の目玉商品的部分であります。東京だけではなく、名古屋の八田貨物ターミナル、大阪の鳥飼貨物ターミナル、さらに福岡の箱崎港貨物ターミナルにも設置をするという計画であります。箱崎では二億三千万円かけて基礎工事だけやったが、基礎工事だけしか完了していない。鳥飼とそれから八田には設置をされていない、こういう現状であります。 これらの橋形クレーンを中心とする計画は、現在、策定をされた当時のままなのか、変更されているのか、この点を伺いたい。
○説明員(高木文雄君) 八田と鳥飼につきましては、全体の計画を昨年の三月の役員会で審議をして縮小いたしております。それは扱い量の縮小でございます。 ただいま御指摘の橋形クレーンを使うかどうかということについては、先ほどもちょっと触れましたように、本年の四月から、ごく小規模でありますが、試験をやってみるという程度でございまして、その結果によって、基本的にそれをやめてしまうか、あるいは小規模にして使うことにするかを決めたいと思っております。
○内藤功君 このように去年の三月の国鉄の役員会でこれはもう当分の間延期だと、実験の結果を見るけど、この結果使えるかどうかわからない。かくてこの東京大井ターミナルにある五基はいまや雨ざらしになりまして、さびもついております。無用の長物に早晩なることはぼくは明らかだと思うんです。もういまこのままこれをさらしておくか、撤退をするかという迫られたところに来ておると思うんですね。 東京、箱崎の貨物ターミナルで橋形クレーンに二十四億円使ったと、さっきのお話。結局、これはむだな投資を行った結果になるじゃありませんか。問題はこれにとどまりません。国鉄では、さきに述べた東京、八田、鳥飼、箱崎の各ターミナルの一体的運用のための太平洋ベルト地帯整備計画というものをやってコンテナのスピードアップを図る、こう言っておった。いわばこれは貨物投資の目玉計画であります。ところが、五十年三月開業予定をしていながらいまもって開業されていない実情であります。 そこで、もう一つ総裁に伺いますが、この四つの貨物ターミナルと橋形クレーン、さらにこの八田操車場に接続する南方貨物線、これらを含めましてこれまでに投資された総工事費は幾らになりますか。
○説明員(高木文雄君) 国鉄負担分がいままで出しました分で九百九十三億円、それからいわゆる負担金工事ということで地方公共団体その他から関連して出していただいて、うちで一体としてやっていますものを含めますと千百十億円になります。
○内藤功君 まさに一千億を超えるむだな投資い非効率的な投資が行われたわけであります。 会計検査院にお願いいたします。このような約一千百十億円余に上る莫大な投資が国鉄の財政再建に与える影響について、会計検査院としては、どのように検査をされたか、また御判断をなさっているか。
○説明員(小野光次郎君) お答えいたします。 国鉄では、御承知のとおり、線路あるいは駅、貨物ターミナル等の設備につきまして、機械装置、こういうものにつきまして毎年多額の資金を投入しております。これらにつきましては、やはり私ども常々それが適切に利用されて運営されているかということについて重大な関心を持って検査をしてきたわけでございます。そしてこの一昨年につきましては、このような事態についての調査を重点的に検査院としては実施いたしました。 その調査の方法といたしましては、貨物関係を中心に施設、設備の建設状況、それから完成したものについてそれが稼働しているかどうか、また各部局に配備した機械装置の使用状況というものを調査いたしまして、投資の効率が十分に上がっているかどうかを検討したわけでございます。 その検査の結果は、工事が計画に比べて著しく遅延していたり、完成した施設、設備の使用効率がきわめて悪かったものが多数見受けられまして、先ほどお話がございましたような一千億余に上っているものについての注意をしたわけでございます。さらにまた、現場に配置されております機械設備等が全く使用されてないというような不経済なものが財産価額にいたしまして百二十四億余円にも達してございますので、このように多額の投資額が非常に効果を発揮しないままいたずらに年月を経過しているということは利息等の経費負担も大変な額になるということでございますので、これは、本院といたしましては、検査報告に特に掲記を要する事項として記載したわけでございます。
○内藤功君 同じく検査院の報告を見ると、五十二年度末でこういうむだな投資に関連して払った利息が四百三十二億円に上っているということであります。これは五十二年度の国鉄の支払った全利息四千十九億円の約一割強である。 ところで、運輸大臣にお伺いしたいんですが、今回の国鉄値上げ申請で一千三十八億円の増収を見込んでおりますが、運賃値上げによる、いまのように千百十四億円のむだな投資が検査院によっても指摘をされている。こういう経営ミスでつくられたものまで運賃値上げで国民、勤労者の負担にされてはたまったものじゃありません。この点について安易な値上げは絶対に許さないということが、検査院の指摘もあり、大事だと思うんですが、どうお考えになるかという点を伺います。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 国鉄は年間九千億円にも上る大きな赤字を出しておるものでありまして、徹底した合理化等を進め三十五万人体制を目指して再建をしなければならない立場でございます。そういう意味におきまして、よかれと思ってこのような設備をしたのだと思いますけれども、非常にずさんな計画をし、そして見通しを誤ったということに対しては大変残念に思うわけでございます。したがって、この点については十分今後指導してまいりたいと思います。 なお、五十五年度の国鉄財政計画の中で、運賃増収一千百六十億を見込んでおりまして、このたび申請がございましたので、いま運輸審議会に答申を求めております。十分に審査をいたしましてお認めを願いたいと、かように考えております。
○内藤功君 指導だけじゃだめなんですよ。その値上げ申請に対してこういうむだ遣いがあるんだから、一千百十四億円のむだ遣いですからね、増収見込み分を上回っておるんですね。だから、値上げ申請を抑えるということでこれを考慮しなきゃいかぬと思いますがね。どうですか、そこの点です。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 計画見通しが甘かったということについては十分反省を求めて指導してまいり、五十五年度はぜひ所定の方針どおり千百六十億の増収を図ってまいりたい、かように存じております。
○内藤功君 それは全く納得できません。そういうものまで国民に回されてはたまったものじゃない。こういうことがあるから、国鉄の運営を国民と国会の十分な監視のもとに置くためにも、運賃の法定制を復活するということがどうしても必要だと私は思っておるんです。この運賃法定制の復活をぜひ私どもはこれは実現をして、国権の最高機関である国会の十分な監督のもとに置くということがどうしても必要だと思います。この前の内閣のときこれやりまして、二年半の間に五回値上げでしょ、今度が五回目の値上げだ。やはりここはしっかりと国会と国民の監視のもとに国鉄を置くというふうにしなきゃいかぬというのを私はこれを調べながら思いましたよ。大臣のこの点の御所見を伺いたい。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 運賃法定制緩和以前の国鉄運賃については、厳格な法定制がとられたために適時適切な決定が行えず、それが国鉄財政の悪化を一層増加をさせたということも否定できない事実であります。したがって、このため、運賃改定の一定期間内に限り、他運輸機関との競争関係にございますので、時々の経済社会情勢等を配慮しつつ、国鉄がその経営施策の一環として適時適切に行えるような仕組み、すなわち運賃決定方式を弾力化するための法律改正が行われたのであります。御承知のとおり、最近の国鉄は独占的な交通機関ではございません。他の交通機関と運賃上の厳しい競争関係にございますので……
○内藤功君 自分の考えでしゃべってくれよ。
○国務大臣(地崎宇三郎君) その現状から考えて、弾力的に運賃の値上げをいたしたいと考えておるのでございます。 なお、ことしの値上げの内容も法定限度の約半分、十分他交通機関の競争関係も意識して決定するものでございます。
○内藤功君 作文の朗読ですね、これでは。この運賃法定制が果たしてきた役割り、国権の最高機関である国会の審議権の重みというものについての判断がないということは遺憾です。 最後に、総理にこの点について聞きたいんですが、この問題は大量定形貨物輸送の名のもとに政府がこれまで中小荷主の貨物切り捨て政策をとってきた。重大なことは、いまのこの問答でわかりましたように、政府がやった大量定形貨物輸送の目玉とも言うべきこの太平洋ベルト地帯四大フレートライナー・ターミナル整備計画、こういうものが失敗したということですね、失敗した、もう見通しがないということなんです。その理由は、国鉄の貨物政策はもちろん間違っておる。国鉄の貨物政策の見通しの誤りは、もう総裁自身が言っているんだから誤りはもとよりですけれども、それだけじゃないんです、国鉄だけじゃない。モータリゼーション優先政策をとり続けてきた政府の責任も私は非常に重大だと思うんです。この点、総理はどう考えるかということ。 それから、先ほど来指摘されておる千百十四億の大きな非効率的なむだ遣いの投資というものが目の前にあり、会計検査院が指摘していながら、なおかつこの千三十八億の増収を得るために値上げをこの時期においてやろうとする、国民の反発は免れませんよ。こういう問題について、依然としてこれを無視をして、この千百十四億のむだ遣いを無視して値上げをしようとするなら、これは国民の大きな批判は免れないですよ。もうすでにこの事実から大きな批判が起きております。この点について、政府の見解を総理から伺いたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) 近年における経済社会の変革が大変大規模なものでございまして、国鉄がそれに即応して実効ある計画を打ち立てることに失敗をしたということは、先ほどからの問答で明らかであると思います。この点につきましては、国鉄が計画を練り直しまして事態に対応していかなければならぬことと思いまするし、また、そういう大きな経済社会の変革は国鉄ばかりじゃございませんで、政府がその変革に即応して対処しなけりゃならない交通政策を初め産業政策その他万般にわたりまして政府が配慮しなけりゃならない面が多くあることは御指摘のとおり私も心得ております。 それから第二の、むだな投資をしたということと運賃の値上げの関係でございますけれども、むだな投資をやったということにつきましては国鉄にも強い反省があることでございましょうし、これの善後措置は国鉄自身がその合理化の見地からその責任において厳重に処理すべきものと思うのでございます。しかし、一方におきまして国鉄の再建は一日もゆるがせにできないわれわれの課題でございまして、その再建の一つの柱として適正な運賃政策というものをまたこれ外すわけにはまいらないのでございまして、その点につきましては国民の理解を得ながら推進していかなければならぬと考えております。
○内藤功君 国民の理解を得ながらと言うが、理解は得られないでしょうね。大平さんはすぐこういう問題を突きつけられると、わりと早く、責任があるとか、改善するとか言うんだけれども、それは口だけであって、実際運賃値上げの値上げ幅を抑えなければ、これは反省を示したことにならぬと私は思いますよ。 そこで、次の質問に入ります。これは鉄建公団総裁、参考人に伺いたい。 用地買収に絡む問題ですが、用地買収の経費支出に絡む問題。現在鉄建公団が用地買収を進めている工事線名及びその数をお答え願いたい。
○参考人(仁杉巖君) 現在建設中のAB線で二十線ございます。線名は美幸線、興浜線、名羽線、鷹角線、久慈線、盛線、野岩線、鹿島線、北越北線、佐久間線、樽見線、阿佐線、井原線、智頭線、内山線、宿毛線、岩日北線、油須原線、呼子線、高千穂線、以上二十線でございます。
○内藤功君 国鉄の新線その他の用地買収に伴って俗に協力金という名前の経費が出されている。これは勘定科目では日当、茶菓弁当代、会場費と、昭和五十一年から三年間の間で結構ですが、どれくらい支出されているか、これは鉄建公団と国鉄両方から伺いたい。
○参考人(仁杉巖君) 鉄道公団が用地買収に伴って支払いました年度別の諸経費は昭和五十一年度一千百四十八万九千円、五十二年度一千二百四十四万六千円、五十三年度一千百二十二万三千円、合計三千五百十五万八千円という数字になっております。
○説明員(高木文雄君) いわゆる用地買収に伴う諸経費の決算額は、五十一年度が三千三百万円、五十二年度が二千七百万円、五十三年度が三千二百万円という報告を受けております。
○内藤功君 いまのを両方合わせると約一億二千七百万円が支出をされておる。 そこで、最近、これは鉄建公団にお聞きしますが、着工中のAB線について聞きますが、昭和五十一年から五十四年度にかけて用地買収を行うところの対策協議会、これは幾つつくったか、数。
○参考人(仁杉巖君) 現在二十二ございます。
○内藤功君 最近われわれ、報道によりますと、国鉄新線に伴う鉄建公団の対策協議会に対する用地買収経費の協力金が目的外ではでに使用されたという疑いで茨城県内の大洗町で大騒ぎになっているということを聞くのですが、鉄建公団のかかわりはどういうことなんですか。
○参考人(仁杉巖君) 鉄道の新線を建設する場合に用地買収、設計協議というようなことを進めてまいりますが、それを円滑にするために各地元に対策協議会というものを結成していただくという場合がございます。この対策委員会には現地調査、測量等で土地所有者その他の方々といろいろ立ち会い、あるいは御協議というようなことをいたしますので、その御協力を得るわけでございますが、その委員会でその立ち会いあるいは会合等に要した費用は公団で分担するというたてまえになりまして、私どもの公団の地方の機関の長と対策委員会の間で覚書を交わしまして支払いをしているというのが現状でございます。大洗町の対策協議会は、鉄道公団から御協力をお願いしまして、代表者の支払い証明というような証明書を添えました請求書に基づきまして現在支払いをしたものでございます。 公団といたしましては、地元市町村との信頼関係において適正に運用される、覚書どおり運用されるということを信じておりましてそういう処理をしておったのでございますが、御指摘のような事実が最近判明いたしまして、まことに遺憾に存じておりますし、私としても実は大変困っているというのが現状なわけでございます。
○内藤功君 御指摘の事実というのが聞きたいのですよ、どういうことなんです。
○参考人(仁杉巖君) 内容につきましては、大洗町の対策協議会長の方が覚書に沿わないような金をお使いになっているという事実でございます。
○内藤功君 さて、この使い道を証明する領収証その他証拠書類があれば一目瞭然一発で解決する問題なんです、これは。領収証は公団にあるのかないのか、ないとすればどうしてないのか。
○参考人(仁杉巖君) 先ほどもちょっと触れましたが、市町村との信頼関係で行っております協議会でございますし、半ば公的機関というような考え方で、代表の方を信用いたしましてその方の支払い証明がある場合にお支払いをするという形になっておりまして、細かい一々の領収証を要さないというような処理の進め方をしております。
○内藤功君 これが重大問題、しかも、私は、これは国会の場でありますから、鉄建公団の側のことだけしか聞きませんが、一応本件に関する資料を全部私は目を通してみました。この対策協議会の元会長の陳述書というのをしさいに読むと、公団から領収証は一々要らないと言われていたと、それから前会長の陳述書では、公団から領収証は要らないと、こんなに一々とって置く必要はないと、こう言われたと。次に、請求書の件では、公団から、この次はこれくらい入金しますと言って公団あての請求書の全部書いたものを示されて、はい、判こを押してというんで判こを押してそれで出すというふうにやられていたと。それから、こういうように領収証を徴して適法、適切なことを裏づけていないことが実際に行われていたと。しかも、ここに私が入手した裏帳簿があるんです。この前会長が何に使ったか、金の入りと出が全部書いてあるんですが、この中には、一々私は読み上げませんけれども、公団職員の異動に関しての歓送迎会に幾ら幾ら、懇親会に幾らと。二次会とはっきり書いている、二次会に幾ら、おみやげ代幾ら、会合の場所としては水戸市内のかなり高級と言われるクラブ、キャバレーの名前が出てきます。大洗の割烹料理屋の名前も出てきています。一つだけ挙げると、たとえば「ピカデリー」というようなところが出てきています。私はどういうところかわかりませんが、聞いてみると、かなり高級なところだと言われている。こういうところに使われておる。こういう経費の使い方が許されるかという問題です。しかも、これらの金はいずれも請求書では日当名目で鉄建公団から引き出された千五百五十人分で、百万円ぐらいのものが架空の日当請求でやられております。昨年暴露された鉄建公団の手口以外の新たな裏金づくりの手口であります。この点、検査院は初めてお聞きになりましたか、どうお考えになるかという点を伺いたい。
○説明員(小野光次郎君) お答えいたします。 この事実については私ども存じませんでした。なお、これについては今後検査してまいりたいと思っております。
○内藤功君 検査してまいりたいと。
○説明員(小野光次郎君) はい、検査してまいりたいと思っております。
○内藤功君 そこで、鉄建公団にお伺いいたします。私は、こういう職員一人一人をここで追及する質問じゃないです。もっと深いところを聞くんです。 鉄建公団に伺いますが、このような費用は公団の規程上はどういうところに根拠があるんですか。支払い証明書でいい、領収証は要らないという、そんな規程があるんですか。
○参考人(仁杉巖君) 申しわけありませんが、ちょっと調べますので、時間をかしていただきたいと思います。——公団の保守規程というのがございますが、その四十二条でこういう処理をいたしますが、その第五項でございますが、「都道府県市町村又は地元対策委員会等が、公団からの依頼を受けて会合を招集した場合等において、公団職員が出席しない場合は、あらかじめ覚書を取り交わしておくものとする。この場合、これらの代表者が立て替えた茶菓弁当代、会場使用料、人夫賃料等は、これらの者の支払証明書によって受領証に代えることができる」という規定で処理しております。
○内藤功君 世の中には物理的に領収書の取れないものもあるけれども、大体いまの世の中では領収書は取れるんです。領収書を取らなくていい、自分が支払ったという証明でかえることができる——民間の会社でも許されません。いわんやこの公的な公団でかようなものがあると。いまの用地規程というのは法令的性格は総裁達ですか。
○参考人(仁杉巖君) 総裁達でございます。
○内藤功君 しかも、本件の場合は、ここに支払い請求書を私は入手して持っておりますが、請求書にはこの支払い証明書も添付されてないんです。これをちょっと見てください、添付されてない。(資料を示す) いま私があなたに示したこの支払い請求書にはないんですよ。証明書もないんです、これは。証明書もない、こういうことがあります。こういう形で数百万に上る支出が行われているわけです。これはまあ地方自治体の対策協議会というのを受けざらにして、ダミーにして、国民の税金である公金を自由にそこから引き出して、領収書もつけないでいいと、こういう体質がまだまだ鉄建公団にはびこっている。さらにほかの公団にもあるんじゃないかということに私は疑念を持たざるを得ない。ここに腐敗を招く温床があると思うんですね。 鉄建公団は去年の十二月に、いわゆるカラ出張問題などで一定の懲戒処分が行われて、幕引きが行われて、KDDの問題にみんな目が向いているようだけれども、こういう抜本的なものが刷新をされていないというふうに思いますね。この鉄建公団自身の、総裁のこの問題を指摘されての今後の御決意を伺いたい。これでは去年の十二月で済んでおりませんよ、これから検査に入るんですから。どうしますか。
○参考人(仁杉巖君) 実は昨年の暮れに大洗町議会等から金銭出納簿というようなものを示されまして、見て実は愕然としたのでございますが、先ほども申しましたように、用地買収等におきましては、お互いの信頼関係というものを大事にいたしませんと、なかなか進まないという面もございますので、いままではそういう処理の仕方を進めていたというふうに考えております。ただ、こういう事態が出てまいりますと、いろいろ再検討をすることが必要であるというふうに考えておりまして、この支払いを協議会等を通さずに直接お支払いするという方法、あるいはもうこういう対策協議会をつくらないというような方法もございましょうと思いますが、それらをいろいろ相手の市町村の状態等も考えながら運用をして、再びこういうことの起こらないようにというふうに処理をしてまいりたいというふうに考えております。
○内藤功君 相手を信用していたというような言いわけはおやめになった方がいいです。信用していれば領収書はもう要りませんね、世の中に。民法四百八十六条ですか、弁済した者は領収書を請求することができるというような規定がもともと無用になってしまうんですね。そういう弁解は御無用だと思います。 こういうような問題について監督官庁の運輸大臣、お聞きになられて——あなた方の責任でしょう、これは。どうお思いになりますか、領収書なしで出ると。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 御指摘の問題を拝聴しておりますと、使途の金額に対しての確認が非常に不十分であったように感じられるわけでございます。今後こういう問題について絶対ないように厳しく指導してまいりたいと存じます。
○内藤功君 口だけじゃなくて、実際にこれをやらにゃだめです。総裁達を改めるということも含めてやっぱり検討しなきゃいかぬです。 さて、国鉄総裁に伺いますが、国鉄の方はどうです。用地買収の領収書なしで協力金が払われるという規程がやっぱりあるんじゃないですか、どうです。
○説明員(高木文雄君) 鉄建公団の問題との関連で、私どもも気にして調べておりますのですが、私の方では、そういう地方協議会というようなシステムをつくって、そうしてそこに一括してお支払いするという方式はとられていないようでございます。
○内藤功君 そうじゃなくて、領収書を徴さないでかようなものが払えるという例外規程があるかないかということです。
○説明員(高木文雄君) 原則としては、当然領収書があるものに払われるんだと思います。
○内藤功君 例外は。
○説明員(高木文雄君) 領収書がない場合どうするかという問題がいろいろあるようでございますが、それは原則としてはあくまで領収書を徴してそういうものについて払うということになっておるようでございます。
○内藤功君 ついでに聞きますが、おわかりになったら答えてください。建設大臣あるいは事務当局でもいいです。 道路公団や住宅公団などの場合はどうですか、用地買収。
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えします。 当然領収書を対象にいたしまして支払いをすべきものだと思っております。
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。市川正一君。
○市川正一君 ただいま内藤委員が取り上げました鉄建問題もそうでありますが、KDD問題あるいは税理士法問題等々、どれ一つ国民の前にいまだにその実態が解明されておりません。KDD事件ではすでに二人の自殺者が政官界工作を行った旧社長室から出ておりますように、問題の本質、核心は関税法違反などにあるのではなく、贈賄等による政官界の工作であります。 そこで、総理に伺いたいのでありますが、これまで総理も、KDDの指導監督、実態解明及び改善の方途は政府の責任であると、ここに会議録もございますが、答弁されております。では具体的に、KDD法の改正あるいは会計検査院法の強化改正など、どう改善しようとしておられるのか、これが第一点です。 第二は、実態の解明、改善のためには、何よりもKDDが行った政官界工作の実態をこそ公表すべきではないかと考えるのでありますが、以上二点、総理の見解をまず伺いたい。
○国務大臣(大西正男君) お答えをいたします。 KDDの問題につきましては、一つは捜査当局においていま捜査を進めておるところでありまして、この問題につきましては、私どもこれを見守っておるところであります。 KDDの問題が発生をいたしまして、郵政省といたしましては、要するにKDDの経営姿勢というものに問題があるんだということでございまして、まずその経営姿勢を明確にすること、それから、何と申しましても国際公衆電気通信というきわめて公共性の強い事業を担当しておる会社でございますから、そういう観点においてこの事業の遂行において支障や混乱の生じないように全力を挙げるように、さらには国民の疑惑に対して、KDDとしてでき得る限りにおいてこれを解消して国民の信頼を回復することに全力を挙げるようにということを指示してまいったところでございます。 これに対しまして、KDDにおきましては、御承知のように、経営陣の刷新を行いました。それから、経営刷新委員会というものを設置をいたしまして、そしていわゆる旧社長室でございますか、これを廃止いたしまして、これに伴ってその他の機構の改革を実施いたしてまいりました。それからまた、問題が交際費というところにも大いにあるわけでございますから、その交際費の自後における節減と合理化といいますか、そういうことについて鋭意当局においてそれを実施してきておるところでございます。 さらには、また一方におきまして、郵政省がかねてから求めておりました料金の値下げということについて、昨年の暮れの十一月の二十日であったと思いますけれども申請がございまして、郵政省としては、同月の三十日に認可をいたしまして、翌日の十二月一日から実施をいたしておるところでございます。 さらに、監督強化の点につきましては、従来の監督のあり方を反省をいたしまして、そうして政府としての監督権の強化、さらにそのほかに会計検査院による検査につきましても、これらの点について、KDDが株式会社ではありますけれども、そのことを念頭に置きながら、この点についてKDD法の改正をいま鋭意検討しておるところでございます。
○国務大臣(宇野宗佑君) 私の方からも一項つけ加えたいと思いますが、先般も衆議院の予算委員会におきまして、全特殊法人に関し行管庁の監察権をその対象とせよということでございますので、総理の特別の御指示もございましたから、当然KDDも行管庁の監察権の対象にいたしたい、そのための法改正も今国会に提出するという予定でございます。
○市川正一君 総理は特にございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) いま両大臣からお話し申し上げたとおりです。
○委員長(山内一郎君) 仁杉参考人には、御多忙中のところ御出席くださいましてまことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
○市川正一君 ではもう一問。 先日の保田参与の自殺によって、事実上幕引きをする気配も一部うかがえるのでありますが、断じてあってはならないことだと考えます。 そこで、次の四点について伺いたいのでありますが、第一に、保田参与亡き後、今後の捜査の重点は必然的に板野、佐藤両氏に比重が重くならざるを得ないと思うがどうか。第二は、したがって、板野、佐藤両氏に対する事情聴取は当然すでに行っていると思うがどうか。第三に、故保田参与が生前その家族に語っていたところによりますと、政界への献金、贈答などの工作リストが旧社長室幹部らの指示によって処分したと言われております。ここにもきょうの夕刊がございますが、一部報じております。としますと、板野、佐藤氏らには、新たな証拠隠滅の疑いも出てくるが、捜査上こうしたことも念頭に置いているのかどうか。最後に第四点として、報道によれば、海外出張の際の外貨の一部を原資として、KDDが都内の銀行に隠し口座を持ち、一億円を超す裏金をつくっていたことを捜査当局がつかんだといわれるが、これは事実かどうか。 以上四点について答弁を求めるとともに、このような状況のもとで、補正予算審議の期間にかかわりなく、本委員会として板野、佐藤両氏を証人喚問することを委員長において取り計らわれることをお願いいたしたいと存じます。
○政府委員(中平和水君) お答えいたします。 保田氏が亡くなられましたことにつきましては、率直に申し上げまして、今後の捜査にいろいろな影響は出てまいると存じます。しかしながら警視庁は全力を挙げて真相の解明に当たる所存でございますので、私どもそれを十分に指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。 なお、御指摘のありましたお二人の方につきましては、ただいまのところ、警視庁の方からは事情聴取をしたということは聞いていない次第でございます。
○市川正一君 まだやっていない。
○政府委員(中平和水君) そういうことでございます。 それから、保田メモでございますか、何かそういうふうな政官界にわたるメモがあって、それの隠滅を指示したという新聞報道があったようでございますが、その新聞報道につきましては私ども十分承知をいたしておりますが、これは今後の捜査の内容に触れてまいる問題でございますので、ここで答弁をすることは差し控えさしていただきたいと思っております。 それから、海外に何か出張をしたときにいろいろな金を浮かして、それを隠し口座にいま持っておる、こういう記事が新聞に出ていることもこれまた私ども十分に承知いたしております。これまた今後の捜査の問題にいろいろと関連をいたす問題でございますので、ここで答弁はひとつ遠慮さしていただきたいと思っております。
○委員長(山内一郎君) 証人喚問の件につきましては、理事会で協議をいたします。
○内藤功君 いま関連質問で市川議員からKDDを含めて問題の提起があり、総理からもお答えがありましたが、この問題の締めくくりで一つだけ伺っておきたいのは、先ほどから出てきた鉄建公団の一連の問答ですね、領収書にかえて支払い証明書だけで用地買収が行われている。厳粛な国政の責任を負うべき機関のあり方として不正腐敗の温床がこういうところから出てくるものだと思うのです。これはすぐできることですが、総理としてどういうふうにお感じになったかを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) まず公団みずから、そうしてその監督官庁、こういう言われておるような事実の有無を確かめた上でその是正措置をみずからの責任において講ずべきものと思います。
○内藤功君 次に、通産大臣に電力料金の値上げ問題について一問、あなたのお考えを聞いておきたいんです。 私は最近特に中小企業の方々の実情をずっと聞いてまいりました。電力値上げが容認された場合の値上げの負担というものが異常なものだと、一般家庭もそうですけれども、中小企業の幾つかの例をずっと私は聞いてきたんですが、私のところに訴えがあった一つの例として、これは約四十席の客席を持っておる東京の墨田区にある飲食店、片山さんという人ですが、一カ月約二百二十万円の売り上げがある人です。これがいままで電気代が六十アンペア、小口低圧の事業用の電力を入れておって四万八千五百円だったのが、この値上げが認められると七万七千二百六十円、月に約三万円近くの値上げになる。さらに、おれのところは五万円だという人もいるし、大変な騒ぎであります。大企業とは違いまして、商品の小売価格、サービス料金への転嫁ができない人たちであります。それから、税金というものは不服申し立てという制度がありますが、中小企業の電力問題は不服申し立ての制度はない。不払いもできない、不払いやればとめられてしまう。これはもう税金以上の重圧じゃないかということが、私のいまお会いするたびに中小企業の方々からの深刻な訴えであります。それからもう一つは、社会福祉施設の方々ですね。この社会福祉施設の方々の例もいっぱいありますが、こういう方々からの訴えも非常に深刻なものがある。私は、通産大臣、それから中小企業庁の長官、それから厚生大臣、こういう方々に、一体このままでもって推移した場合には、これらの社会福祉施設やあるいは中小企業の業者に及ぼす影響を直接に聞いて、そうしてその実情というものを知っておられるのかどうか、そこらあたりの感覚をまず率直にお聞きをしておきたいと思うんです。 まあ社会福祉施設で私の調べたのは、調布にある六踏園といういわゆる養護学園、お父さん、お母さんがいろんな事情でいない幼児から高校生まで入れておる。五十四年度の光熱費が、電気代が百八十二万円でありましたが、今度の値上げが認められると二百八十五万円になる。値上げ分が百三万七千六百九十八円値上げすることになる。これでは高校生にやっている月二千円のお小遣いを削らにゃならぬ。学用品費から、食費から、おやつから、こういうものから削っていかにゃならぬ。親に負担させるわけにいかないです、親がいないんだからね。こういうような悲惨な事態に対して、ただ原油の値上げだということで済ませていたんでは、これは私は政治がなきに等しいということになると思うんです。いまの私の申し上げた三人の方から、順次そのお考えと、こうすればいいじゃないかという、そういう対応策があればお聞かせ願いたい。
○国務大臣(佐々木義武君) 私からは、まず電力使用額の問題からお話し申し上げたいと存じます。 お話の中小企業の範囲でございますけれども、従業員の規模といたしまして三十人から二百九十九人の事業所を対象にいたしまして見てみますと、昭和五十二年の工業統計でございますけれども、生産額を一〇〇として見ますと、大体電気代は一・四六でございます、その中に占めている率は。大企業の方は一・九五でございますが、一.四六で少し少ないわけでございますけれども、それが今度の申請どおりもし——もちろん、申請どおり値上げするつもりはございませんけれども、申請どおり上がったといたしまして、査定なしにそのままなった場合にはどのくらいの影響があるかと申しますと、一・四六が二・三%くらいに占める率が上がるんじゃないかというふうに見られております。お話しのように、中小企業はいま原材料の高騰その他、石油価格の上昇等で大変収益も悪化しているようにも考えられますので、これに対する影響をどうするかという点でございますけれども、まあいろいろ対策も考えられますけれども、たとえば省エネルギー融資、あるいは施設の合理化、近代化と、中小企業対策にはいろいろ御承知のような各種の施策がございますので、そういう施策を通じましてきめ細かく対処してまいりたいと考えます。 なお、いま申しましたのは電力の件でございますが、電灯の問題に関しても御質問ございましたので、その点に関しましては三段階制の問題等でございますので、中小企業庁長官からお答えいたします。
○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおり、この電力料金の値上げが中小企業に及ぼす影響というのは非常に大きいというふうに考えております。電気の使用は製造業あるいはサービス業、小売業等によりまして使用の実態が大変変わっておりますけれども、しかし、現在の電力各社の申請の値上げ率を考えますと、相当な値上がりになるということでございまして、業種によって、いま通産大臣が製造業について御説明いたしましたが、小売業、卸売業につきましては、マクロの売上高に占める電力料の比率は製造業よりは低くはなっておりますけれども、具体的ないろんなケースでは非常に大きな問題があろうかと思います。これについてはどのように考えるかということでございますが、まずこの電力料金を十分に査定をしていただくということが前提でございますが、その上で、いま通産大臣が説明申し上げましたように、電力量を節約し得る投資というものもわれわれ応援してまいりたいということも考えております。したがいまして、こういう点については目下資源エネルギー庁と相談をしながら、まず第一に電力料金の査定の段階で中小企業の負担がなるべく大きくならないようなふうに配慮をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○政府委員(森山信吾君) 先ほど通産大臣が電力料金についてお答え申し上げましたので、私が電灯料金についてお答えを申し上げたいと存じます。 御承知のとおり、電灯料金につきましては三段階制をとっておりまして、これがいわゆるナショナルミニマムと称するものでございます。数字で申し上げますと、一月当たり百二十キロワットアワー以下程度のものがいわゆる三段階の一番安い料金でございまして、それから百二十一キロワットアワー以上二百までがその真ん中、それから二百一以上がその上と三段階でございまして、御指摘の中小企業の、特にサービス業に携わられる方はこの三段階目の料金が適用されるということでございます。私どもが大変頭を痛めておりますのは、ナショナルミニマムの一番低い料金をできるだけ安くしろと、こういう御指摘が各方面からあるわけでございますので、その一番安い部分の料金を安くいたしますと、どうしてもその分が三段階目の料金にはね返らざるを得ない。これは原価主義の立場から言いますと、そういうことにならざるを得ないということでございまして、その辺の調整に大変苦労をしておると、こういうのが実情でございます。
○国務大臣(野呂恭一君) 生活保護世帯や社会福祉施設の入所者の生活費につきましては、公共料金などの値上げ等含めまして、国民の消費の動向及び物価の動向を総合的に勘案して設定されております政府の経済見通しに基づいて、五十五年におきましては八・六%の改善を行おうといたしておるわけでございます。したがいまして、この改善によりまして施設の入所者の生活は確保できるものではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、電力料金につきましては、申請は出されておりますが、まだ認可されていないのでございまして、したがって、それが入所者にどういう影響をもたらすかということにつきましては、具体的な試算ができないかと思うのでございます。しかしながら、今回の八・六%の改善によって電力料金の値上げに対応できるものと考えているわけでございますが、今後この問題については機敏に対応していかなければならないと考えているわけでございます。特に社会的な弱い立場の人々が生活をされておるわけでございますから、今度の電気料金の値上げがもし行われるといたしましても、それが小幅であることを私どもは望むものでございます。 なお、先生御指摘になりました具体的な施設の状況にどういう影響をもたらすかということにつきましては政府委員から答弁させたいと思います。
○政府委員(山下眞臣君) 社会福祉施設の措置費と申しますか、運営費の補助、大体人件費、施設管理費、入所者の生活費という三つのものからなっておるわけでございます。その中で生活費約二五%を占めるわけですが、その中で一番大きい比重を占めるのはやはり食費でございます。光熱費は約一七%ということでございます。その光熱費の一七%のうち、電力料金はさらにその四割という形に相なっております。施設運営費全体の中で光熱費が約四%、電力料金は約一・六%の比重を持っておると、こういう状況でございます。仮にいまの申請率のとおり六四・四%程度の電力料金が上がるということになりますと、その一・六%の電力料金の六割程度でございますので、施設の運営費全体で見ますと約〇・九%というような影響率になるかと思うのでございます。先生の例もございましたが、仮にモデルといたしまして、特別養護老人ホーム八十人の規模ということで計算をいたしてみますと、大体私どもの実態調査で年額約百九十万程度の電気料を使っておるわけでございますので、それがもし六四%上がるということで、増加分が約百二十三万というふうな数字に相なるかと思いますが、こういう特別養護老人ホームの全体の年間の運営費は一億四千万という大体規模になります。
○内藤功君 このような実態であります。どうしても値上げ幅の圧縮が国民の命、福祉を守る上で必要になってきている。厳正な審査による値上げの大幅な圧縮を要望して、次の質問に移ります。 農林大臣、幾つかの質問をしたいと思ったのですが、残念ながら一問にしぼらざるを得ない。私の聞きたいのは飼料用稲の問題であります。私は多くを言いませんが、現在、農民、農業団体あるいは大学研究者による試作が各地で進んでおります。農林水産省としてこの研究の現況はどうなっておるか、予算面も含めてこの研究の現在の状況はどうかという点を具体的に御説明願いたいと思う。
○国務大臣(武藤嘉文君) 農林省直接では農事試験場と北陸と九州の農業試験場でやっております。それについて、細かいことは事務当局から報告させます。
○政府委員(川嶋良一君) 飼料稲につきましては、その試験研究の中心は品種改食であろうかと存じます。稲の品種改良につきましては、かねて農林水産省の試験研究機関の最重点課題といたしましてやってきておりますので、その点については先生御承知のとおりだと思います。飼料稲につきましてもその一環として最近研究を始めてございます。ただ、いまのところ、実用的に栽培できる品種はまだできておりませんので、その点については目下努力を続けております。 飼料稲の特性といたしまして、まず、たくさんとれるということと、それから、現在の状況ですと、食用の品種と区別がつくということがあろうかと存じます。そのほかに、実際に栽培をいたすということになりますと、病害虫に強いとか、いろいろな特性がすぐれておりませんと実際に栽培できません。そういった点につきましては、現在の状況では、かなり部分的にはいい成績も出ているところがございますけれども、なおいろいろ検討する点が多くあると思いますので、今後とも研究としては続けてまいりたいというように存じております。
○内藤功君 通産省に。いわゆる絹製品の第三国経由の輸入急増についての、現在の規制措置の仕組みはどうなっておるか。これが十分にいま機能を発揮しておると見られるかどうか。今後のこれに対する規制、基本的な姿勢はどうかという三点をお伺いしたい。
○国務大臣(佐々木義武君) 大変込み入った話でございますので、担当局長から。
○政府委員(児玉清隆君) まず、現在の輸入規制についての体系でございますが、これにつきましては、絹の輸入先の一番大宗であります中国、韓国につきまして、二国間協定によって輸入数量を取り決めております。それから同時に、これを補完する措置といたしまして輸入貿易管理令によりまして所要の輸入管理措置を講じております。 あと、現在の実勢でございますが、効果の問題につきましては、御指摘のように、国際問題でございまして、非常に複雑な背景がございまして、なかなか昨年の年央までは増勢が強かったわけでございますが、昨年の後半以降若干鎮静を見せておりまして、一例で申し上げますと、絹糸につきましては、昨年一年間が対前年比で八五・六%、それから絹織物につきまして対前年比九四・八%ということで鎮静化の傾向を示しております。したがいまして、こういう時期を利用いたしまして今後とも効果が上がるような方向で対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。
○委員長(山内一郎君) 以上で内藤君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。 午後五時三十七分散会 —————・—————