法務委員会 第9号
- 発言数
- 359 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/05/13
会議録
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る九日、佐藤三吾君、丸谷金保君及び坂元親男君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君、阿具根登君及び永野嚴雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 外国人登録法の一部を改正する法律案及び国際捜査共助法案を便宜一括して議題といたします。 両案の趣旨説明は、去る八日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 まず、外国人登録法についてお尋ねをいたします。 この法律につきましては衆議院ですでに審議がなされております。衆議院の審議の経過を会議録によって見てみますと、 〔委員長退席、理事宮崎正義君着席〕 この法案につきましては種々の面において疑問が提示されております。それに対しては、法務省当局におかれて賛否いずれの意見であるかは別としてかなり思い切った答弁がなされておるわけであります。この法律そのものについて、今回の改正はかなり技術的な形式的な面の改正が多いようであります。しかし、この法律の抜本的な改正が望まれておることも事実であります。 そこで、入管の局長にお尋ねをしますが、外国人登録法の抜本的な改正、これは現に作業中のように承っておりますが、大体いつごろに抜本的な改正が完成をして国会に提案せられるのか、その見通し、そういうものについてまずお伺いしたいと思うのです。
○政府委員(小杉照夫君) お答え申し上げます。 外国人登録制度の基本的なあり方の問題につきましては、御承知のとおり、いわゆる長期在留外国人の処遇の問題というものがございまして、目下私ども事務的に鋭意検討を進めておるところでございます。しかしながら、長期在留外国人の中には御存じのとおり、協定永住許可を受けている韓国人のほかに、その法的の地位がいまだ最終的に確定を見ていないいわゆる法一二六−二−六の該当者でございます台湾出身者及び北朝鮮系の朝鮮半島出身者並びにその子孫というような方々が含まれておりますものでございますので、これらの方の法的な地位及び処遇というものを決定いたしますためには、国際関係あるいは国内関係等諸般の事情を慎重に考慮、検討する必要があるという状況があるわけでございます。したがいまして、外登法の抜本的な改正案について最終決定を見るまでにはなおかなりの日時を要するのではないかと考えられるわけで、外国人登録法の全面的な改正法案というものをいつごろ国会に提出できるか、現段階で確信することはいささか困難であるというふうに感じております。しかしながら、再検討の作業の努力目標としてあえて申し上げるとすれば、今後三年前後のうちには一応の結論を出したいというふうに考えておるところでございます。
○寺田熊雄君 いま御提案になっております改正法案というものは、行政監理委員会が昭和四十九年十一月六日「許認可等に関する改善方策についての答申」というものを出しておりますけれども、大体これに基づいて、必要を論ぜられました問題に限って、またこれが動機となってこれを御提案になった、こういうふうに承ってよろしいですか。
○政府委員(小杉照夫君) ただいま先生が御指摘になられたとおりというふうに御理解いただいて結構であると思います。 ただ、改正の必要性について一般的なことを申し上げますと、近年の航空機を中心といたしました交通機関の発達並びに国際的な人的交流の増大ということに伴いまして、わが国に出入国いたします外国人の数が増加の一途をたどっておる。その結果といたしまして、これら外国人の在留状況というものもきわめて多様化しておるのが現状でございます。そのために市区町村等における外国人登録事務というものも事務量それ自体著しい増大ぶりを示しておりますし、この事務を担当いたします市区町村並びに都道府県からはもとより、在留外国人からも手続の合理化、簡素化というものを望む声が出されてまいっておるのが現状でございます。先ほど先生から御指摘がございましたような行政監理委員会の答申もございまして、これらの諸点をあわせて今回外国人登録事務の合理化、簡素化ということを目的にしてこの法案を提案した次第でございます。
○寺田熊雄君 いま局長のお答えになったところをもう一遍反すういたしますと、市町村役場の事務量が増大をいたしまして市町村役場の現場の声が簡素化を望んでおったと、それに加えていま私の方から最初にお話をいたしました行政監理委員会の答申もあった、両々相まっての改正であるというお話でありました。 市町村からの事務簡素化についての要望というのは、いま私がお話ししました行政監理委員会の答申の中にことごとく網羅せられておるのでしょうか。まだ行政監理委員会の答申に漏れておるような簡素化の要望というものもあるのでしょうか。その点はいかがですか。
○政府委員(小杉照夫君) 地方公共団体からの要望につきましては非常にいろいろ広い範囲にわたって要望がございます。ただ、今回の改正案に盛り込まれました四点、これはすべての都道府県あるいは市区町村から共通して要望が出されておる事項にほぼ合致しておるというふうに私ども理解いたしております。
○寺田熊雄君 いま局長のお答えになったところを伺うと、大体、市町村役場の要望の中には多々あって、行政監理委員会の答申された四点以外のものもあるというようなことであります。 そうすると、この四点の答申内容以外にわたることで特に重要な要望と考えられるようなものがありましたら二、三ちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(小杉照夫君) いろいろの手続面における簡素化、合理化ということになりますと、外国人登録事務というのはかなり複雑な手続でございますので確かに簡素化可能な部分というものは多々あるわけでございます。たとえば登録原票に登録写票というようなものをあわせつくらなければならない。それを何通つくらなければいかぬというのをあるいは一通に減らすとか、あるいは指紋の保存の方法を大いに簡素化してある一カ所に指紋があればいいというようなかっこうにする簡素化等々もございます。さらには外国人登録制度の基本にかかわる問題に相なるわけでございますけれども、たとえば指紋の押捺の回数、これを減らすことが可能ではないか。減らすことが可能であるとすればその分だけ市区町村の手間暇は軽減されるわけでございます。いろいろ手続的な面での簡素化、合理化の余地というものはまだまだあるというふうに私ども考えております。
○寺田熊雄君 いま局長がお答えになった中に指紋の押捺義務ということがありますね。これは衆議院の会議録を読んで見ましても、野党の議員の中にはこの押捺義務に対して強い疑問をぶつけた質問もあったわけです。それに対して局長の方は、これはやはり外国人登録の事務を円滑に行うためにはまあ欠くべからざるものであるように思うということを言い切っておられる。これについては全く改める余地はないのか、それとも何らかやはりこの点についてもある程度改める点があると、そういうお考えなのか、その点ちょっと明確にお答えいただいたら大変ありがたいと思います。
○政府委員(小杉照夫君) 外国人登録法上の指紋押捺の制度と申しますのは、これは再三お答え申し上げておるのでございますけれども、指紋の万人不同、一生不変という特質を利用いたしまして、登録する外国人の同一性というものを科学的に確認する手段として私ども考えておるわけでございまして、この指紋を押捺させることによりまして外国人登録証の偽造あるいは変造というものを防止することが目的であるわけでございます。また、この指紋押捺によりまして外国人登録証を持っておられる方それ自身が登録証明書の正当な所持人であるということもあわせ証明できる制度でございまして、このような制度というものは、およそ外国人登録制度というものを維持する限りはやはり堅持していかなければならない基本的な手続の一つであるというふうに考えておるわけでございます。 しかしながら、現在指紋押捺の回数というものはかなりございまして、その回数を減らすこととその方向での検討は十分検討の余地があるのではないかと私ども考えておりまして、どの程度の押捺が必要であるかということについて現在鋭意検討を進めておる段階でございます。 —————————————
○理事(宮崎正義君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま永野嚴雄君が委員を辞任され、その補欠として遠藤政夫君が選任されました。 —————————————
○寺田熊雄君 次に、行政監理委員会の答申がいま局長が言われましたように四点あると、この四点の中で、私拝見をいたしますと、三件につきましてはその答申の内容がことごとく今回の改正法に盛られております。ところが、この答申の中の整理番号四十五、「変更登録」「外国人登録法第九条」関係の緩和につきましては、答申の内容は「登録原票の記載事項のうち居住地、氏名及び国籍以外の記載事項の変更については、登録証明書の引替交付申請、再交付申請若しくは切替交付申請又は居住地、氏名若しくは国籍の変更登録申請の際に、併せて申請しても差し支えないものとする。」と、こういう答申でありますけれども、今回の改正法案はこの答申内容とは異なりまして、現行の外国人登録法の第四条第一号ないし二十号の中で、九号の「職業」、十四号の「在留資格」、十五号の「在留期間」、十九号の 「勤務所又は事務所の名称及び所在地」と、この四点については改正を提案しておられないですね。依然として旧法を維持していらっしゃる。これはどういう理由に出るものか、ちょっとこれを御説明いただきたい。
○政府委員(小杉照夫君) 行政監理委員会の勧告の内容は、ただいま先生御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、職業及びこれとうらはらの関係にございます勤務所の名称というものは、外国人を特定する場合に、国籍、氏名などとともに外国人の身分事項を具体的に明らかにするための必要事項であるというふうに考えておるわけでございまして、私ども入管に課せられております仕事の中でかなり重要な部分を占めます外国人の資格外活動や目的外活動というものを取り締まっていく上におきまして、職業あるいは勤務所の名称等につきましては、その変更を速やかに外登証の上に反映しておいていただく必要があるというふうに考えるわけでございます。さらに在留期間及び在留資格の変更につきましては、実は先回、昭和五十年の第七十五国会に、行政管理庁が取りまとめて提出いたしました許可、認可等の整理に関する法律案の中に、実は今回の提案とほぼ同様の外登法の改正案が提案されておったわけでございますが、その際は、この在留資格及び在留期間についての事項は削除されております。ところが、その削除を当時いたしました理由は、これらの外国人の方が在留資格の変更であるとかあるいは在留期間の伸長につきまして申請をしてまいります場合は、すべて入国管理事務所においでになられるわけでございまして、入国管理事務所においてその資格変更なり在留期間更新の許可が行われました際に、入国管理官が外登証の面の上にその旨を書き込むということをいたしますれば一挙両得ではないかということで、この二つの点を実は外したわけでございます。ところが、国会の審議を通じまして、当時内閣委員会でございますが、本来外国人登録の事務というものは市町村の窓口でできていたものをこの法改正の機会に入管が介入してくるという、何と申しますか、改悪であるという御議論が非常に強く出されまして、私どもといたしましても決して入国審査官が外登証に記入することによって在留外国人の規制を強化するというような意図は毛頭ないわけでございますので、今回はそのようなものは緩和の対象にしないということで、存置しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 この職業や勤務場所の変更についての十四月以内における届け出義務、これは、たとえば永住許可を受けた韓国人であるとか、あるいは局長の言われる法一二六−二−六の該当者というような者、こういう人々はその必要がないんでしょうね。これはいかがですか。
○政府委員(小杉照夫君) 在留活動の面だけから見ますると御指摘のような方策も考えられるかもしれませんけれども、現在におきましては法一二六−二−六の該当者も協定永住者も一般永住者も等しく一般外国人と同様な扱いを受けておるというのが現状でございます。
○寺田熊雄君 これは立法論としてはどうでしょうかね。たとえば、在日朝鮮人があるいは韓国人が、現在たとえば食堂を経営しておる、あるいはパチンコ屋を経営しておる。そのパチンコ屋を改めて大衆食堂とする、あるいは大衆食堂を改めてパチンコ屋とする。それに伴って、朝鮮人なり韓国人なり——一緒かもしれないけれども、そういう者が、いままではパチンコ屋の店員であったが今度は食堂の店員になったと、場所も隣に移ったというようなことを、そのたびに一々届け出なければならないというのはちょっとどうかと思うんですがね。これは局長としては、何らかこれを改めて在日朝鮮人なり韓国人の場合にはその必要はないと、そういうふうに改められるお気持ちはありませんか。
○政府委員(小杉照夫君) 立法論としてただいま寺田先生の申されましたような考え方というものは十分あり得ると私も思いますけれども、本来、いわゆる協定永住者である方、あるいは一二六−二−六であった人で、いろいろの事情でその後四−一−一六−三に資格が変わった方、これもかなりおられるわけでございます。で、これらの元来、マルAあるいは一二六の該当者であった方で今日その資格を持っておられないような方、さらにそのような方がおられるわけでございますが、そのような方との間において外登法上の処遇を別にするという結果に相なるわけでございまして、それはいかがなものであろうかというふうに私ども考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、本来すべての外国人に一律平等に適用するというたてまえになっております法律を特定の外国人についてだけ適用を除外するということに相なるわけでございまして、これは外国人を逆に、何といいますか、内部的に差別待遇するというふうなことになり好ましくないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 外国人については差別待遇と言われても、外国人の中で、一方は永住許可を許されている、また永住許可と同じような待遇を認められておるという、もうすでにその局長の言われる差別待遇は現存しておるわけですね。その差別待遇なるものはきわめて合理的な根拠がありますし、かつ歴史的に見てそれなりのやはりよって来るゆえんのものがあるわけで、そういう者に対しては行きずりの外国人と比べてある程度法制なりその適用を異にするということがあっても、それは自然じゃないでしょうかね。たとえば行きずりの外国人の場合だったなら、それはかなり実態を把握するという面で、いわばある程度規制を厳しくしないというと管理が十分に行き届かないということがありますね。しかし、もうほとんど日本人と同様な社会生活を営んでいる、そして深く社会の中に溶け込んでしまっておるがために、官側においてもそれをいわば掌握するというかそれにそれほどの困難は感じないという客観的な事実関係があるでしょう。したがって、行きずりの外国人のようにそう厳しく規制をしなくてもいいんじゃないかというのが私の考えですが、これは合理的じゃないでしょうかね、局長、どうお考えです。
○政府委員(小杉照夫君) 立法論として先生のお考えの合理性を私は否認いたしません。いたしませんが、私どもの現在の考え方から申しまして、やはり経済政策あるいは労働政策上の考慮というようなものもまた一つあるわけでございまして、現在稼働を目的にして日本に入国を希望してくる外国人というものはかなりたくさんあるわけでございますが、これらの稼働を目的とする者の入国の許否を決定するに際しましては、やはり本邦内におきまする外国人全般の労働者の分布状況というようなものを常時把握しておく必要があるわけでございます。このような、特にこれから恐らく、現在は熟練労働者以外は一切入国を認めないというかなり厳しい労働政策をとっておるわけでございますけれども、諸外国の例にならいますならば、たとえばヨーロッパの事例を見ましてもやがて労働者の移動の自由という時期がやってくるであろうと、そのような事態に備えまして、やはり日本に在留しておる外国人、これは協定永住者であろうと一般永住者であろうと、永住者を含めた外国人の労働者の職業分布状況というようなものを的確に把握する手段というものはやはり確保しておかなければならないのではないかという考え方も他面あるわけでございます。 さらに、あえてここで一つ申し上げますると、実は外登証の有効期間は現在三年でございます。これにつきましては期間をもっと長くしてほしいという御要望がございまして、私どももこの期間の伸長という面の検討を現にやっておるわけでございますが、たとえばいまの三年というものを五年なり六年あるいは十年というように有効期間を長いものに延ばしますと、もしたとえばこの職業、勤務地あるいは在留期間、在留資格というようなものについての変更があった場合には、二週間以内に登録してほしいという制度をやめてしまいますと、結局職業、勤務地等々外登証上把握できない事態というものが出てくるわけでございまして、このように期間を長くいたしますと、登録変更があった場合に二週間以内に変更登録をしていただかなければならない項目というものは期間を延ばせば逆にふえる。逆に期間を短く、たとえば一年有効というふうに短縮するということにいたしますれば、変更登録の項目というものは大幅に減らすことができると、そういううらはらの関係に相なっておるという点もひとつ御理解いただきたいと思います。
○寺田熊雄君 なるほど。そうすると、外国人のあり方を的確にまた完全に掌握するためには二週間以内の届け出義務を課すると。そうして的確に掌握していけば、逆に局長の言われたように、切りかえというものを、期間を三年のものを六年なりあるいは八年なり、そういうものに延長することも可能になるじゃないか、こういう論理ですね。それならば、これはいまの切りかえ期間を現在三年であるものを六年とか八年とか、そういうものに延長する、そういう方向にこれは前向きに検討をなさるということを、これはお約束していただいていいでしょうね。これはいかがです。
○政府委員(小杉照夫君) 先ほども申し上げましたように、現在私どもこの期間を延長するという方向で事務的な検討を進めております。ただ、その期間が一体何年がいいのか、これについてはまだ確たる結論は得ていないのでございますけれども、私ども現在考えております期間延長の幅はまあ大体五年程度ということを考えております。
○寺田熊雄君 これは五年程度に延長することを現在考えておるということで、それはまあそれで結構ですが、衆議院の会議録を見ますと、元来職業や勤務地、勤務場所の変更を二週間以内に届け出をする義務を課すと、この規定は法務省としては当初はこれを削除するつもりであった。ところが警察庁の方がこれは取り締まり上どうしても置いていただかなくちゃ困ると、そういう意見具申があったので、その意見具申を重く見てこれを存置することに決めたと、こういうようにうかがわれる会議録になっているように思うんですが、それはそのようにお伺いしてよろしいですか。
○政府委員(小杉照夫君) 実は衆議院の法務委員会で稲葉先生であったと思いますが、その趣旨の御発言がございました。私が承知いたしておる限りにおきましてはそのようなことはなく、私どもの法務省の原案にも職業及び勤務地の名称というものは入っていたというのが私の理解でございます。
○寺田熊雄君 まあそれはそういうふうにいま聞いておきましょう。 次に、さまざまな問題がある中で、いつも取り上げられる問題はこの外国人登録証の常時携帯義務、これが現在は十四歳以上の外国人にこの義務が課せられている。これをたとえば十八歳以上にしたらどうかという提案がありますね。この十四歳以上という規定を改める点、これを前向きに検討していただけますか。
○政府委員(小杉照夫君) この点は衆議院でもお答え申し上げたのでございますけれども、現行の外登法で十四歳という年齢が一体どのような理由で出てきたのか、必ずしも明白ではないのでございますけれども、当時の状況を考えてみますると、未成年者でございましても単独で不法入国して潜在しようとする事例が非常に多くあったし、今日でもあるわけでございます。まあ未成年者の全部について登録証明書の常時携帯義務を免除するということは恐らくできないのではなかろうかというふうに考えますが、いずれにいたしましても、義務教育年限にあるような子供についてまで常時携帯義務を課しておる現状、これは確かに改めるべきではないかという御批判、傾聴に値するというふうに私どもも考えておりまして、現在、現行の十四歳という年齢をどの程度まで引き上げるか、いろいろ検討を進めておるところでございまして、十八歳ということで結論が出るというような段階には実はまだ立ち至っておりません。
○寺田熊雄君 それはともあれ、十八歳というようなことはもちろん現在、局長の肯定的なお答えというのは無理かもしれないが、引き上げという方向に向かって検討をしておられることは事実なんですね。
○政府委員(小杉照夫君) 仰せのとおりでございます。
○寺田熊雄君 それから次は、いまの常時携帯義務で、在日朝鮮人あるいは韓国人の間で大変これに対して厳しい批判があるのは衆議院の会議録の中にも出てまいりました。まあ、おふろにぶらっと行くのにも持っていなきゃならぬか、海水浴に行くのにも持っていなきゃならぬかというような具体的な状況を描写しての質疑が行われております。局長の御答弁を見ますとちょっと両方がすれ違っているのは、局長は海に入るのに持って入らなきゃならぬか、おふろに入るのに持って入らなきゃならぬかというのは行き過ぎであると、そういうふうに答弁しておられるようですが、質問者の方はおふろの中にどぶんとつかるときに持っていなきゃならぬかということを言ってんじゃなくて、浴場というところに自宅から出て行くのにも持っていなきゃいかぬのかと、海水浴場に行くのにも携帯して行かなきゃいかぬのかという趣旨で質問をしておるようですね。これはやはりあなたとしてはいかなる場合でも——まあいかなる場合と言っても、おふろにどぶんと入るのに持ってなくちゃならぬというのはこれは思っていらっしゃらないんだろうけれども、家を出るときには持っていなきゃいかぬと言われるのか。というのは、何か具体的な状況描写が会議録に出ておりましたが、朝鮮人の女教師が外国人登録証を教員室に置いておった。そしてそれを持たずに教室に入って授業をしておったら不携帯であるということでつかまったと、まあそれはつかまえる警察官もずいぶん非常識な警察官であると思うけれども、そういうような質疑さえも出てきたわけですね。これはどうでしょうかね。余りしゃくし定規に解釈すべきではないと考えますが、いかがですか。
○政府委員(小杉照夫君) 私自身も先生が仰せのとおりしゃくし定規的に解すべきではないというふうに考えます。 いずれにいたしましても、常時携帯していなければならないということでございますけれども、これはまあ常住坐臥はだ身離さず持っておれということではないはずでございまして、何と申しますか、ある一定の場合において外登証を携帯していないことがだれが考えてももっともであると認められるような場合にまで常時携帯を強要するというのがこの法意——何と申しますか外登法の法意ではないと、常識の範囲内の問題であると私は考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 まあその罰則の適用の問題ですがね、まず法定刑の問題です。「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金」、この罰則が重いか軽いかということで衆議院では大変議論になっております。最終的には四月二十三日の法務委員会で、これは横山利秋委員から何点かの質疑をいたしまして、倉石法務大臣が「今後の課題といたしまして御指摘の方向で検討を進めてまいりたいと存じます。」ということで終わっておりますね。その横山委員の第一の提案というものが、「外国人登録法の罰則については、違反の態様に応じて軽減化することを検討すること。」と、こうありますね。で、局長の御答弁をずっと拾ってみましても、こういう刑がすべての犯罪に一律に適用をされておるのはどうだろうかという点、これを改めたいという趣旨のお答えがあるようですね。 私は実際いろいろ相談を受けた立場から、そういう経験から結論を申し上げると、常時携帯義務違反なんというものは、これは懲役または禁錮刑でなくて、法定刑としても罰金でいいんじゃないだろうか。ことに外国人の中でも特別な待遇を受けておる在日朝鮮人であるとか韓国人であるとか、そういう人々が常時携常していなかったということの罪を問われた場合にいたしましても、その場合にこの法定刑が体刑をもって臨むという必要はないんじゃないか、たかだか罰金刑でいいんじゃないかと考えるんですね。こういう点、局長のお考えを承りたいんですが。
○政府委員(小杉照夫君) 実はこの罰則の点につきましては、衆議院の段階では、いわゆる住民登録ないしは戸籍制度との対比におきまして刑が異常に重いではないかという御指摘があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、外国人登録制度の目的及び性格というものは、やはり住民登録や戸籍等の制度とは違う。したがいまして、これらの制度の維持を担保するための罰則の間に軽重の差というものが存在しても、それは当然ではなかろうかということで一貫して御答弁申し上げたわけでございますが、同時に現在の登録法土の罰則というものが「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金」という形で、すべての違反について画一的に同一の罰則が適用になるというかっこうになっておる点はいささかおかしいのではないかということで、私どもとしてもこの点について改善の余地があるかどうか、今後の基本問題の一つとして検討してまいりたい。で、この検討するに当たりまして、先ほど御引用のございましたように、外国人登録法の罰則につきましては違反の態様に応じて軽減化するということを検討するということをお答え申し上げたわけでございます。で、ただいま先生御指摘のように、不携帯罪の場合に罰金だけでいいかどうかというような点については、実はまだ現時点で検討を了しておりませんので、何ともお答えいたしかねる次第でございます。
○寺田熊雄君 この刑罰の点では、やはりオーソリティーはこれは刑事局長ですね。これはどうですか、いま入管の局長のお答えでは、刑罰が一律であるのを改めて各違反の態様に応じて刑を軽減化してまいりたい、そういう結論のようですけれども、たとえば在日朝鮮人や韓国人が常時携帯していなかった、そういう義務の違反に対しては罰金刑をもって臨んでいいんじゃないかと私は考えるんだけれども、これは局長としてはどういうふうにお考えですかね。 それからまた、いまの違反の態様に応じて刑の軽減を図っていきたいということについては、もちろんこれは入管局だけではなくして刑事局長の方も当然これに関与すると思われますが、やっぱりそういうふうに伺ってよろしいですね。
○政府委員(前田宏君) 先ほど入管局長からお答えがございましたように、現在の登録法の罰則がいわば一律的であるということに問題がないわけではないというふうには思うわけでございます。しかしながら、最高が一年ということでございまして、これが三年とか五年とかいうことになりますと、それで一律というのは確かに荒っぽいということになろうかと思いますが、最高が一年でございますから、直ちに不当であるとかいうふうにも思わないわけでございます。しかし、いま答弁がありましたように、内容に応じて考え直していくということはあってしかるべきものだと思います。その場合にこれは、この登録法違反の実態と申しますか、いろいろな違反があるわけでございますから、その過去の実例あるいは現在の実態と将来の予測というようなものを総合的に考えまして、その実態に応じた法定刑というものを考えていく必要があるであろうというふうに思うわけでございます。 なお、不携帯については罰金のみでどうかという御意見もあるわけでございますけれども、これもいまのようなことでございまして、不携帯の単純なものももちろん多いかと思いますけれども、必ずしもそうでないものも中には含まれているかもしれない、また現にあるような気もするわけでございますので、そういう実態をもう一度洗い直しまして、その上で改正ということになりますれば刑事局としての意見を申し上げたい、かように考えております。
○寺田熊雄君 これはお二人の局長にお伺いするんですが、この不携帯というのは、その大部分は過失犯である、故意犯ではないという客観的な事実は、これは御両所ともお認めになるでしょうね。
○政府委員(小杉照夫君) 不携帯という場合、もちろん過失による不携帯、当然あると思います。
○政府委員(前田宏君) 実態を統計的に把握しているわけではございませんので、正確なことは申しかねるわけでございますけれども、御指摘のように、不携帯という行為そのものからいたしまして、過失による場合が多いと言えば多いだろうというふうに考えます。
○寺田熊雄君 これはそうでしょうね。大体反抗心からわざと持っていってやらぬぞなんと言って、いばって持っていかないやつは少ないんで、やっぱりうっかりして持っていかないという方が多いでしょうね。この点は刑事局長の答弁の方がはっきりしておって、何か入管の局長の方は、そういうものもあると思いますというようなことではっきりしないけれども、入管の局長ね、やっぱり過失犯の方が客観的に多いということは、あなたもそういうふうにはお考えになるでしょう。
○政府委員(小杉照夫君) 実はこの点に関して私も統計的に数字で把握したことはございませんので、感じでしか申し上げられません。恐らく多いのではなかろうかという気がいたします。
○寺田熊雄君 私がこの不携帯の罪に対する法定刑を罰金に限ったらどうかということを提案をいたしましたのも、やはりその大部分が過失犯であるという客観的な事実からそういう結論を出して申し上げたのであります。 次に、今回の法改正で最も関係者が神経質になりましたのは、法第六条及び七条の改正に伴いまして、市町村長に職権によるいわゆる確認義務、これを課しておるところであります。 今回の改正案の第六条によりますと、これは「(登録証明書の引替交付)」に関する規定でありますが、その三項に、「一市町村の長は、第一項の申請があったときは、登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認をしなければならない。」そういう規定があります。それから第七条、これは「(登録証明書の再交付)」の規定でありますが、その第三項にも同一の規定があります。これは現行の第十一条「(登録証明書の切替交付)」、この切りかえ交付の規定の場合は、外国人に対して確認申請の義務を課しておる。そしてその確認申請を受けて市町村の長が確認をするという規定になっておるわけであります。つまり六条、七条の今度の改正と現行の十一条、この現行の十一条は、いまの点は改正法もこれを踏襲しておりますから、六条、七条と十一条では規定の体裁が違ってきてしまっている。そういうことで、何か市町村長が積極的な新しい確認という方法をとるのではなかろうか。そういうことを義務づけられているのではなかろうか。それが果たしてこの法改正のうたい文句である行政事務の簡素化に適合するものだろうか。むしろ逆行するものじゃないだろうか。そういう疑いがある。 それからもう一つは、これが新しく市町村長に義務を課す点で事務量が増大するんじゃないだろうか。いろんなことを言われておるわけであります。ところが、衆議院の会議録を見ると、入管の局長がいともこれを簡単に、いやこれは事務量の増大はありませんと、「窓口において登録事項確認申請書、旅券等をもとにいたしまして登録原票と合っているかどうかということを決めるわけでございます。」。で、稲葉誠一委員が、何か犯罪でもあるんじゃないかということで、犯罪の摘発を目的としてそうした確認をするんじゃないだろうかという質問に対して入管の局長は、「ただいま先生が御指摘になられたような意図は全くございません。従前どおり、従来十一条で行われておりました確認というものと全く同じものをやや時期を早めてやっていただくということになるだけでございます。」という答弁をなさっていらっしゃるんですね。これは横山委員の質問に対しても、「登録原票の記載が事実と合っているかどうかを確認することでございまして、このことは現行法のもとでも新規登録、登録の切替のときに市町村長が行っている事実の確認と全く同じことでございます。」、「特にその負担が増大するということにはならないわけでありまして、」というような答弁をしておられる。もう一度この点について局長から明確なお答えをしていただきたいと思います。
○政府委員(小杉照夫君) 今回のこの六条、七条、十一条関係の改正の趣旨は、従来のたてまえですと新規登録を受けた日から三年ごとに切りかえ交付申請をしなければならないということになっておったわけでございます。その三年の期間の中途において、紛失したとかあるいは著しく汚損したということで再交付あるいは引きかえ交付を受けた場合も、その引きかえ交付を受けた外登証の有効期間は、当初の外登証の有効期間の三年目で有効期間が終わってしまうということになっておりましたものを、今回の改正におきましては、再交付あるいは引きかえ交付を受けた場合には、その日から三年間その外登証は有効である。したがって、その日から起算して三年目に切りかえ交付申請をやればいいということにしたわけでございます。それに伴う改正でございまして、結局何と申しますか、従来の手続によりますれば、たとえば外登証をなくした、有効期間残り一年という場合には、一年間だけ有効な外登証が出たわけでございます。今度は三年間有効なものが出るということになりますので、その再交付なり引きかえ交付の際に、今後三年分有効であるよということを担保するためには、やはり内容が事実に合致していなければならないということを市町村長において確認していただく、これは今回の確認義務に相なるわけでございます。 ところが、先ほど先生も私の発言を議事録でお読み上げになられましたとおり、実は従来であれば、当初の三年の期間に十一条に基づいて切りかえ交付申請をして、市町村長の確認を受けて初めて三年間有効になるものが、それと全く同じ手続を引きかえ交付なり再交付を受けるときにやっていただくことによって、当初の三年目ではなくて、新たに交付された日から三年間有効の外登証をもらえるという形にいたしたわけでございまして、本来三年ごとに行われるべき引きかえ交付申請の際に市町村長がおやりになる確認という行為が時期的に若干早まったということに相なるわけでございます。 それで、その結果といたしましてどういうことになるかというと、ことしは実は大量切りかえの年でございますけれども、いわゆる三年目において処理すべき案件のうち、あらかじめ再交付なり引きかえ交付で外れているものは一斉切りかえの際には対象にならないわけでございますから、その限度において事務が分散されるという意味で簡素化、合理化につながる措置だということでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、六条、七条の規定によって市町村長に課せられた確認義務と、従来の十一条、それでまたその従来の十一条を踏襲した改正法の十一条、その十一条の規定に基づく市町村長の確認義務とはその内容においては全く異ならないというふうに伺ってよろしいですか。
○政府委員(小杉照夫君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 私が政府委員であるか入管局の担当官の方に伺ったところによると、確認義務というのは外国人が窓口に来て申請をすると、その申請書の内容とそれから市町村長が持っている登録原票、それとが合致するかどうかその点を確かめるんだと、したがって、登録原票というものを相手方に言って聞かすと、あるいはまたそれを見せてやって、ことのおり間違いないかとか、いやこれは違いますとか、これは間違いありませんとかいうことによって登録原票が事実間違いないかどうかということを申請者との間でいわば確認をする作業であるというふうに承りましたが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(小杉照夫君) 先生おっしゃられたとおりでございまして、具体的な方法を申し上げますと、市町村役場の担当者が当該外国人に対しまして登録原票の内容というものを一応告知いたします。そのとおり間違いないかどうかということを確認すると、その程度の確認業務でございまして、その都度実態調査をするというようなことではございません。
○寺田熊雄君 そうなりますと、確かに事務量は従来どおりであって増大しないということになりますね。これは形式上の問題ですが、その確認義務の内容が十一条と六条、七条と少しも異なるところがないというならば、規定の体裁をなぜ十一条と同じにしなかったのかという疑問に対しては局長はどういうふうな説明をなさいますか。
○政府委員(小杉照夫君) 現行の十一条をごらんいただきますとはっきりするのでありますが、十一条の場合には、まず外国人に確認申請の義務を課す、これが先行しておるわけでございます。このような義務を負う外国人が確認申請をすると、その場合これを受けた市町村長は確認を行うのが当然のことになるわけでございますが、今回の六条、七条の場合には外国人に確認申請義務を負わしていないわけでございます。したがいまして、十一条の場合は、あえて明文をもって規定する必要がなかった市町村長の確認義務というものを、やはり法文上明記しないと確認の効果が出ないという法制局の御意見もございまして、六条、七条に確認しなければならないと、ややぎらつく文言でございますけれども、それをあえて置いたというのが立法経緯でございます。
○寺田熊雄君 いま局長のお答えによりますと、この六条、七条の確認義務というのは内閣法制局の意見でそういうふうな規定の体裁にしたということでございますね。実は、五十五年二月入国管理局「当面の懸案事項」という印刷物があります。これには「1 出入国管理令の改正」、「2 外国人登録法の改正」、「3 インドシナ難民問題」こういう三つのテーマが掲げられております。これにはいまおっしゃった六条、七条の市町村長の確認義務の規定などはない。ないものを入れたという点で、ある団体などがどうもこれは合点がいかないということを申しておるのでありますが、そうすると、この五十五年二月の段階では法務省としてはそういうものは考えていなかったんだけれども、法案を提出する段階で内閣法制局の意見でその確認義務の規定を置いたので、そのために二月の「当面の懸案事項」の中には入っておらなかった、そういうふうに理解したらよろしいですね。
○政府委員(小杉照夫君) やや正確に申し上げますと、この二月につくりました入管局の「当面の懸案事項」、これをつくりました段階では、実は外登法の一部改正というものの内部的な検討は進めておりましたが、これを今国会に提出するかどうかについて最終的な結論を得ていなかった段階でございます。それが第一点。それからさらに、その時点ではいまだ具体的な何と申しますか、条文作成というところまでいっておりません段階でございましたので、この「当面の懸案事項」の中でただいま先生が言われたようなことが欠落しておるわけでございますが、別段他意はないわけでございます。
○寺田熊雄君 次に、たとえば十四日以内に届け出をする義務を懈怠した、怠ったというような場合、それが明らかになりました場合は市町村長はこれを告発しなければいけないということになっておるようでありますが、この市町村長の告発義務というのは、法令の根拠はどこにありますか。
○政府委員(小杉照夫君) これは刑事局長からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、刑事訴訟法上の一般原則によるものではないかと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいま入管局長からお答えいたしましたように、これは寺田委員も御案内のとおりだと思いますけれども、刑事訴訟法上公務員が犯罪と思量するときは告発義務がある、こういう規定がございますので、それが根拠であろうと考えております。
○寺田熊雄君 これは私ちょっといまその規定何条だったか忘れてしまったので、ちょっと何条かおっしゃっていただきたい。
○政府委員(前田宏君) 刑事訴訟法の二百三十九条の二項に「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」こういう規定が設けられております。
○寺田熊雄君 この二百三十九条の二項、どの程度ストレートに義務づけておるんでしょうかね。市町村長が、外国人の変更申請が、たとえば四、五日おくれて来た。だめじゃないか、これはちゃんと二週間以内にやらなきゃいけませんよと言って訓戒をするという程度にとどめたらどうかと思われるような場合、これを一々告発するというのはどうも少し何か、いかにも厳し過ぎるような感じがしないではないけれどもね。これは現実の運用はどうなっていますかね。ちょっとお伺いしたい。
○政府委員(小杉照夫君) 私どもの方といたしましては、市町村長と窓口におられる方々に対しまして、たとえば期限が二日、三日おくれたというような軽微な事案——要するに事案の態様に応じて弾力的な対応をするようにという指導をいたしております。したがいまして、ただ画一的に、一日おくれたからどうのこうのというようなことには実際上なってないはずでございます。
○寺田熊雄君 いま局長は非常に慎重に一日、二日というような表現をとられたんですが、これが一日、二日の場合もあるでしょうし、うっかりして四、五日おくれたこともあるでしょう。それが、たとえばその外国人が、旅行あるいは父親の急病といりようなことでやむを得ずおくれたということもあるでしょう。それはやはり、故意によらざるやむを得ない事情ということになりますと、かなり弾力的に運用されておるんでしょうね。それでまた、弾力的に運用をする方針でいらっしゃるんでしょうね。この点ちょっと明確にしてください。
○政府委員(小杉照夫君) これは具体的なケースによって、なぜたとえば届け出がおくれたかというような理由、これも詳細に当たってみないと一概には申せないわけでございますけれども、私どもが知っておるケースでも、たとえば二十日から一カ月近くおくれた場合でもなおかつ告発が留保されておるというようなケースもございまして、それぞれの事案の内容、これを精査した上でそれぞれ現場で適当な判断をしておるというふうに私どもは理解いたしております。
○寺田熊雄君 刑事局長にちょっとお伺いするけれども、つまり十四日以内に届け出しなきゃいかぬのがおくれたという場合、それがいわば故意によった場合だけでなくして過失でやった場合も含みますか、おくれた場合が。
○政府委員(前田宏君) 一般論でございますけれども、過失の場合も含み得ると思います。
○寺田熊雄君 これはやはり、いま言った、親の急病で東京にかけつけた——外国人は常時広島が住所である。で、親の重病のために東京にかけつけたために出頭なり届け出ができなかったというようなことになると、それはいわば不可抗力ですわね。そういう場合はもちろんこれは、どう言うか、まあやむを得ないということになって、あらゆる面でその責任を問い得ないということになるんでしょうね。これは刑事局長、どうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) その事情いかんにもよると思いますが、極端な場合は犯罪が成立しないというような理解も可能かと思いますが、まあ場合によっては情状ということで処理される場合もあろうかと思います。
○寺田熊雄君 そして入管局長が言われたように、そう一日、二日で告発義務を課すというようなことはないように指導しておると、そしてケース・バイ・ケースで一カ月おくれた場合でも不問に付したというか、告発義務を解除したような場合もあると、そういうことでしたが、それはそのとおり刑事局長としても当然のこととして承ってよろしいでしょうね。
○政府委員(前田宏君) 先ほど申し上げました刑事訴訟法の規定は、文言上に義務規定という形になっておりますから、原則としては告発していただくのがたてまえであろうというふうに思いますけれども、あの規定の理解といたしまして、一〇〇%何が何でも告発しなきゃならぬというわけでもないという理解でございますので、それなりの合理的な理由がある場合には告発されなくても特に支障はない、かように考えております。
○寺田熊雄君 なお、現在、外国人が外国に出まして再入国する場合、再入国が許可される場合の期間が一年になっておりますが、これについても衆議院で論議がございました。これは入管局長にお伺いしますが、いま現にこの再入国期間の延長について前向きに検討していらっしゃるというふうに承ってよろしいですか。
○政府委員(小杉照夫君) これは衆議院でもお答えいたしましたが、現在の再入国期間というものは出入国管理令上一年と定められておるわけでございますが、これを、たとえば在外公館でさらに一年延長できるというようなことにするとか、あるいは場合によっては一年の期間をさらに延長する、二年なり三年というようなことも一つの可能性であろうかと思いますが、さらには数次往復の再入国許可というようなものもあり得るわけでございまして、これらの諸点を含めて改正の方向でいろいろ検討を進めております。現にそのような考え方の一部は、去る四十四年、四十五年、四十六年、四十八年ですか、四回にわたって提案いたしました出入国管理法あるいは出入国法案の改正案の中に考え方として一部すでに盛り込まれておりまして、そういう、過去において検討した経緯があるということもあわせ申し上げておきます。
○寺田熊雄君 いま出入国管理令の話が出ましたが、過去においてしばしば抜本的な改正と言われるものが提案されまして、これが廃案になってきた経過があります。この出入国管理令の改正については、まだ法務省の方ではこの基本的な改正を意図しておられますか。そして意図しておられるとしますと、これも大体あなた方の腹づもりとしてはいつごろまでにこの改正案をお出しになるというお考えなのか、その点いかがでしょう。
○政府委員(小杉照夫君) この点は冒頭に、外国人登録法の基本的なあり方の再検討ということにつきましては、あえて言えば三年ぐらいのうちに何とかめどをつけたいと申し上げたわけでございますけれども、出入国管理令の方になりますと、先生も御承知のとおり、現在いわゆる昭和二十七年の法律第百二十六号該当者の方々の法的地位というものが確定的な状態になっていないわけでございまして、この方たち及びその方たちの子孫という方の法的地位、処遇というものをどのようにするかということを決めないと、出入国管理令の改正ということはなかなかむずかしかろうと考えておるわけでございます。この一二六−二−六の該当者並びにその子孫の処遇の問題につきましては、御承知のとおり国際関係あるいは国内関係等いろいろ複雑な問題が絡み合っておりますので、なかなか簡単に結論は出ないのではないかと。しかし、それにもかかわらず私どもとしては、何とか一日も早く法改正が実現できるよう全面的な見直し作業というものを引き続きやってまいりたいと考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 その出入国管理令の法改正を行うという場合に、いつも障害になるのは、法務大臣の権限を裁判所の裁判権のらち外に置こうと、つまり法務省の、法務大臣の行政権の行使、これに対する抗告訴訟を認めないようにしてしまおうというような意図がございますと、それはこの国会で私どもとしてはなかなかこれは通しにくい、賛同するわけにいかぬということでストップしてしまうということが間々あるようですね。この点はどんなふうにお考えです、入管の局長。
○政府委員(小杉照夫君) ただいま先生が御指摘になられたような考え方が、いままで出しました四回の法案の中に盛られていたとは私理解いたしておりませんし、そもそも行政処分でございますので、それが行政訴訟の対象にならないというようなことを法律上明定するというようなことは私ども考えたことがございません。
○寺田熊雄君 もしそれが私の誤解であって、そういう意図は全くないというんだったらこれは大変結構なことでね、願わくはそういう現在の裁判秩序というものを乱すようなことがないようにこれはお願いをしたいと思います。 それと同時に、こういう抜本的な改正を意図される場合には、私ども野党が一体何を考えているかというようなことを、ある程度いままでの論議の中でもうよく御承知になっていらっしゃると思うから、この法改正の場合にはそういう野党の意向というようなものも十分しんしゃくして、国民的な合意が得られるような形で御提案になってほしいと思いますが、その点はどうです。
○政府委員(小杉照夫君) 私ども過去四回法案を提案いたしまして、いずれの場合も審議未了、廃案という非常に悲しい経験をいたしておるわけでございまして、今後新たに抜本的な改正案というものを出す場合には、必ずやこれが国会で御承認いただけるような内容にやはりしなければならないと思いますし、その意味でも、もちろん野党、与党もろもろの御意見というものは十分に参酌した上で改正作業に当たってまいりたいと、こう考えております。
○寺田熊雄君 これはまあ法務大臣がお戻りになったようですから……。 いま入管の局長がおっしゃいましたように、出入国管理令の抜本的な改正というのは過去四回廃案になっております。それは、やはり私ども野党の考え方からしますと受け入れがたい内容があったわけです。その中に法務大臣の行政権の行使を抗告訴訟のらち外に置こうとするものがあったかどうかという点については、これは私どもの考え方と入管の局長との考え方が違っていることが明らかになりましたけれども、入管の局長はそういう意図は全くありませんでしたと、全くありませんとおっしゃるのですが、それなら結構なんですが、それはひとまずおいて、そういう法の抜本的な改正に当たりましては、野党の意向も十分しんしゃくして、そうしてその成案を得ていただきたいと思います。これは法務大臣もそういうふうに、そういうお気持ちがおありでしょうね、いかがでしょう。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど入管局長が基本問題について、三年ぐらいな時間をかけて取り組もうと、こういう役所側の決意を表明いたしまして、そういう場合にはもちろん各界の御意見を十分承って、それらを参考にして原案をつくるべきものであると、このように考えております。
○寺田熊雄君 まだ残っておりますが、これは警察庁の担当者、海上保安庁関係の担当者の方もいらっしゃるので、一応国際捜査共助法の方に移りたいと思います。 海上保安庁長官の方は、これはただ一つのことなんです。この法務省から出ている「国際捜査共助法案関係資料」、この中に、法務大臣が捜査の共助を求められた場合には、要請に応ずべきかどうかを考えて、応ずべきものと考えた場合には、「地方検察庁の検事正に対し、関係書類を送付して、共助に必要な証拠の収集を命ずること。」、「国家公安委員会に共助の要請に関する書面を送付すること。」あるいは「海上保安庁長官」等「司法警察職員として職務を行うべき者の置かれている国の機関の長に共助の要請に関する書面を送付すること。」と、いろいろありますね。私はこのときに海上保安庁長官と運輸大臣との間の職務権限について疑問を生じたので、それできょうは来ていただいた。おられますね。—— これはね、海上保安庁長官は運輸大臣の部下である。そして運輸大臣の指揮監督を受ける。これは海上保安庁長官が司法警察上の職務を遂行する場合についてもやはりそういうふうに伺ってよろしいんですか。司法警察上の職務については、運輸大臣の権限というのは全く除かれて、海上保安庁長官に対する指揮権なんというのは全くないのかどうか、その点ちょっとお伺いしたがった。どうです。
○説明員(武石章君) お答えいたします。 海上保安庁法の第十条第二項には、「海上保安庁長官は、運輸大臣の指揮監督を受け、庁務を統理し、所部の職員を指揮監督する。」と、こう規定されております。海上保安庁の所掌事務である海上における犯人の捜査及び逮捕に関しても、運輸大臣は海上保安庁長官を指揮監督できることになります。しかしながら、海上保安庁長官が定めた訓令によりまして犯罪捜査の指揮監督は海上保安部長あるいは海上保安署長が行い、その全般的な指揮監督は管区海上保安本部長が行うことになっております。現実には運輸大臣が犯罪捜査の指揮監督をするということはございません。
○寺田熊雄君 そうすると、法制上はあることになっているけれども、現実の運用の場でそれが事実上除かれていると、こういうふうになりますか、端的に言うと。
○説明員(武石章君) 除かれているということではございませんで、指揮監督することはできるわけでございますが、実際にはそういうことはないということを申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、それはあなた方の役所における慣行としてもう固定化してしまっておるんですか。
○説明員(武石章君) そうでございます。
○寺田熊雄君 いや、それで法務省の担当の方に来ていただいて、警察の方にも来ていただいていろいろ話したんだけれども、たとえば警察の場合は、警察本部長が国家公安委員長から命ぜられてこの国際捜査の共助に関する証拠を収集する。知事は、自分が関係しておる面もあるので、警察本部長に来てもらってあの点はどうなっているのか、こうなっているのかと言って、その説明を聞いたり証拠物を見せてもらったりあるいは証人の証言内容を聞いたりすることができるかということを私は伺ってみた。後でまたそれを聞いてみたいと思うけれども、それはできませんということだったと思うけれども、運輸大臣と海上保安庁長官の場合は現実にはどうなるんだろうか。海上保安庁長官が法務大臣から委嘱を受けて国際共助に関するいろいろな証拠の収集などをやる、それを法務大臣に送らにゃいかぬ。運輸大臣がそれを見せてくれと言った場合に断れるのか、やっぱり断れないのか、これはどうなんでしょう。
○説明員(武石章君) 運輸大臣は海上保安庁長官を指揮監督しておる立場でございますので、断ることはできなかろうと思います。
○寺田熊雄君 ちょっとやっぱり違うね、海上保安庁の場合は。 これは警察の方にお伺いするけれども、法務大臣から国家公安委員長に委嘱がある、国家公安委員長はさらに警察本部長にそれを指揮する、警察本部長が証拠の収集をする、そしてこれをずっと国家公安委員会を経て法務大臣に送るという場合に、たとえば府県知事がその内容の開示——開示とまで大げさに言わなくても、内容についていろいろ聞きたいと思っても、警察本部長はそれは断れるわけでしょう。
○説明員(森広英一君) 警察法の上で、都道府県知事は都道府県公安委員会を所轄するというふうに規定されておりますが、この所轄という意味はきわめて弱い上下関係を示す言葉でございまして、指揮命令——ただいまお尋ねのような捜査書類を見せろとかいうような命令はできないと、このように解釈されております。
○寺田熊雄君 それじゃ、これは運輸省の方よろしいから、御苦労さま。 法務省の方は後で伺うことにして、これは警察の方ね、ICPOの問題ですがね、これは日本の警察としてはICPOに対してはどの程度の財政的なそれから人的な貢献をしておられるのか、まずそれからちょっと御説明をいただきたい。
○説明員(水町治君) まず財政的な面でございますけれども、わが国の国際刑事警察機構への分担金の予算上の措置でございますが、昭和二十八年以来継続してお認めいただいております。本年度につきましては五千九百五十万円をお認めいただいておるわけでございます。ちなみに、これは全国際刑事警察機構の予算の約三%ということでございます。分担金の多い国のグループで申しますと、上から三番目のグループというところに属しておるわけでございます。 次に、人的な関係でございますが、現在警察庁の警部一名を事務総局へ派遣いたしております。これは昭和五十年から派遣しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 派遣しておる警部一名というのは、現実にどういう仕事をしているんですか。
○説明員(水町治君) この警部は、現在事務総局の職員といたしまして、事務総局の中に部が三つばかりございますが、一つは人事、予算、会計を賄いますいわゆる総務部、それから犯罪学とか捜査技術を研究いたします調査部というのがございますが、さらに一番中心的な部といたしまして国際協力部というのがございます。国際犯罪関係の情報を収集したり分析いたしたり、あるいはその情報を保管いたしたり、国際手配をいたしたりと、こういう部でございますが、この部に配属されまして、現在は身体犯罪あるいは組織犯罪の担当ということになっております。
○寺田熊雄君 この法務省から配付されておる資料によると、国際刑事警察機構を介して行われておる通信の利用は年間三十五万件に及んでおる、事務総局を通じての国際手配制度も年間約七百三十件あるというような説明がありますけれども、日本に対してはどうなんですか。 それからまた、日本からこのICPOに対するさまざまな依頼というか、これはどういうふうになっていますか。
○説明員(水町治君) ICPOは、御案内のように、刑事事件に関します情報あるいは資料の交換を行う、これが主たる役目でございまして、先ほど御指摘のございましたように、ICPO全体といたしましては通信利用が約三十五万件になっておるということでございますが、わが国におきましても同じでございまして、わが国の捜査のために外国に捜査の国際協力を依頼するということで外国の警察に頼み、さらにはICPOから依頼を受けて捜査を行う、このような関係で年間の情報交換数は五千件を超えているという状況でございます。 それから、手配はどうなっているかと、こういうお話でございますが、この手配制度と申しますといろいろございますけれども、一つは時間の問題で申し上げますと、緊急に手配するという問題と、手配書で手配すると、こういう仕組みと二つございます。で、緊急に手配する、これは御案内のとおり、いま日本から犯人が外国に逃げたあるいは外国から日本に逃げ込んできた、こういうような場合でございますとか、あるいは物が、盗品が日本に及んできたあるいは日本から出ていった、こういうような場合につきまして、ICPOは専用の無線網を持っておりますので、その無線網を通じまして瞬時のうちに手配ができると、こういうことになっております。さらに手配書によります手配、こういうのがございますが、これにつきましてはこれまた専門的に申しますとたくさん種類がございますが、逮捕を依頼する赤手配書あるいは情報を照会する青手配書等々たくさんございますけれども、このような手配書の仕組みがございます。わが国からはこの緊急手配あるいは手配書制度の仕組みを使いまして、多数の人に関しあるいは物に関する手配をいたしておるわけでございます。
○理事(宮崎正義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時八分開会 〔理事宮崎正義君委員長席に着く〕
○理事(宮崎正義君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、外国人登録法の一部を改正する法律案及び国際捜査共助法案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 午前に引き続いて外国人登録法に関連するお尋ねをしますが、先ほど刑事局長、入管局長お二方から、市町村長はこの法律の違反の場合に告発義務を負うという御説明がございましたね。これはどちらでも結構ですが、告発件数というのはどのぐらいあるか、こういう統計はとっていらっしゃるんでしょうか、ちょっとお伺いしたい。
○政府委員(小杉照夫君) 先ほど先生からその件について質問するというお話がございまして、早速調査いたしたのでございますが、どうも実態がまだはっきりいたしませんので、調査の結果わかり次第お答え申し上げたいと存じます。
○寺田熊雄君 もしきょうの質問の終わるまでにその調査がおできになりませんでしたら、後で調査結果を委員会でも私のところでも結構ですからお出しください。よろしいですか。
○政府委員(小杉照夫君) わかりました。そのようにいたします。
○寺田熊雄君 それから外国人の入国者、これはどの程度あるんでしょうか。これは統計がありますか。
○政府委員(小杉照夫君) 過去五年間の外国人の入国者の数を申し上げますと、昭和五十年七十八万二百九十八人、五十一年八十八万一千二百三人、五十二年九十八万三千六十九人、五十三年百一万七千百四十九人、昨年五十四年が百八万九千三百四十一人でございます。これは再入国を含んでおります。
○寺田熊雄君 これは五十年から五十四年の五カ年間に約三十万、五十年を基準といたしますと約四割ふえておることになりますが、これは業務量の増大をもたらすものですが、職員の方の増加はこれに比例してふえておりますか。
○政府委員(小杉照夫君) 職員の増加の比率がただいま申し上げました入国者の増加の比率に比例してふえているということはございません。残念ながらそのような割りでの人員の増大ということは実現されておらないわけでございます。 五十五年度におきます職員数を申し上げますと、本局の入国管理局に定員百八十二名、入国者収容所に百六十五名、全国の入国管理事務所並びにその出張所に千四百六名、合計千七百五十三名の職員が現時点で従事しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは局長ね、五十年からいま入国者数をおっしゃったんですが、この職員五十年からこれが何人にふえておるかちょっと一覧表を作成してくださって、できればこの委員会に提出してくださいますか。
○政府委員(小杉照夫君) 提出させていただきます。
○寺田熊雄君 参考にちょっとお伺いするんですが、日本人の出入国者数もわかりますか。もしわかればちょっとおっしゃっていただきたい。
○政府委員(小杉照夫君) それでは、日本人の出国者の方を申し上げます。 昭和五十年が二百四十六万六千三百二十六名、五十一年が二百八十五万二千五百八十四名、五十二年が三百十五万一千四百三十一名、五十三年が三百五十二万五千百十名、五十四年に至りまして四百万人台の大台を突破いたしまして四百三万八千二百九十八名、以上でございます。
○寺田熊雄君 それじゃ、いまの外国人の入国者、それから日本人の出国者、それと職員の推移、これを一緒にして表をつくってくださいますか。 それから、これは刑事局長にお尋ねをしますが、外国人登録法違反の罪につきましては一般の刑法犯と比べて大変起訴率が低いようですね。これは何か統計があるようですね。「検察統計年報、」これは一番最終の「検察統計年報」によりますと、どのぐらいか、いまおわかりになればちょっとおっしゃっていただきたい。いまおわかりでなければ後でまた出していただいて結構ですが、どうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) いま手元に数字を持っておりませんが、後ほど提出させていただきます。
○寺田熊雄君 それでは、大体外国人登録法違反の質問は以上で終わりまして、外務省の難民関係の方いらっしゃっていますか。—— 難民の問題は、日本のあるいは日本国民の国際性といいますか、それを問われるアキレス腱みたいなものになっていますね。この間、これは新聞紙の報ずるところによりますと、大平さんがアメリカへ行かれたときもカーター大統領から大分この点について突っ込んだ話があったようですが、これはどの程度のものであったか聞いておられますか。
○説明員(今川幸雄君) 私ども外務省が入手しました情報によりますと、カーター大統領よりわが国の難民救済に対する協力に対して非常に感謝の意を述べるとともに、今後ともアメリカも難民救済のために努力するので日本も応分の協力をしてほしいという強い要請があったと聞いております。
○寺田熊雄君 国際関係だから外交辞令が入るからね。日本の態度に感謝をするというのは、その感謝の対象だけれども、主として財政面の寄与に対する感謝でしょう。
○説明員(今川幸雄君) 先生御指摘のとおり、わが国は昨年度、国際機関が行います——UNHCRが行いますインドシナ難民救済事業に対しまして約二分の一の負担をしたということが非常に国際的に高く評価されております。
○寺田熊雄君 現実の人的な面での寄与といいますか、人的と言っても難民を受け入れる問題ですが、これはいま現に難民をどの程度受け入れておるんですか。
○説明員(村角泰君) お答えいたします。 インドシナ難民の中で日本に定住を希望して、そして現在その定住が許可になった人数は、本日現在で四百五十四名に達しております。ただし、その中ですでに日本の国内に入ってきた人、この人の合計は百五十四名でございます。
○寺田熊雄君 この許可を受けた方が四百五十四で、現実に入国した人が百五十四。そのギャップというのは、これは渡航その他の物理的障害によるものなのか、それとも、定住許可は受けたけれども、考えてみるとフランスの方がいい、アメリカの方がいいということでその希望を変更したことによるものなのか、その辺はどうでしょう。
○説明員(村角泰君) 正確に申しますと、定住許可総数は実は五百八十三名で、そのうち先ほど先生が御指摘になりましたように、他の国に入国が許可になったので取り下げるといった件数が百二十九名でございます。差し引き四百五十四名が実質的な定住許可数になる、その数を実は申し上げた次第でございます。 ところで、この四百五十四名の中の大部分の方々は、たとえばタイならタイの難民収容施設、といっても非常に実は遠く離れたへんぴなところにございますので、そこへ連絡いたしまして、それからその人たちがバンコクのトランジットセンターに来て、それからメディカルチェックを受けてと、かなり時間がかかるわけです。そういう関係で実は最近も御承知のとおり、適格者調査団を派遣してその結果をどんどんどんどん知らしておりますから、許可数が非常に急速に伸びておるわけで、それに実際に入ってくる手続が追いつかないというのが主たる理由でございます。もちろんこの中にも、あるいは連絡しているうちにほかの国に定住の許可になってその国に行くという数も含まれてないとは思わないと思いますけれども、現在それは判明いたしておりません。
○寺田熊雄君 そして、ほぼいままでは受け入れの枠を五百名というふうに聞いておりましたけれども、これが一たんは突破する、現在でもほぼ満ぱいに近いということになりますと、この枠を広げることが現実の課題になりますね。この点はどうなっておりますか。
○説明員(村角泰君) 御指摘のとおり、昨年の四月の閣議了解におきまして、五百名の定住枠が設けられ、七月の閣議了解においてはこの五百名の定住枠は「定住化の進捗状況に応じ弾力的に漸次拡大を図るものとする。」となっているわけでございます。そこで現在、実質許可数が四百五十四名でございますから、もうそろそろ五百人の天井に近くなってくると、そこで次に枠の拡大を考えなければならないということで、目下関係各省と協議中でございます。
○寺田熊雄君 これは報道機関の報道ですがね、何でもこの枠を千名にしたというふうなもうすでに過去の事実であるかのような報道がありましたけれども、そうすると、まだ策定中であるということですね。その策定の目標というのは大体千名ぐらいに置くというふうに伺ってよろしいですか。
○説明員(村角泰君) まだ各省において検討中のことでございますから、私、事務局長として確たることは申し上げかねる次第でございますが、先般、総理がワシントンに行きまして、カーター大統領と会談の際に、五百人の枠もほぼ達成しそうなので倍増を考えているとおっしゃったことにかんがみまして、千名とするのは一つの何といいますか、目標といいますか、ではないかと思って考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 次に、この難民条約の批准の声が大分高いけれども、これは外務省もその準備中であるというふうに承っておりますが、これは大体腹づもりとしてはいつごろその実施に踏み切るというお考えですか。
○説明員(小西芳三君) 難民条約につきましては、昨年の四月の閣議での報告で当時の園田外務大臣から難民条約を次期の通常国会に提出すべく検討したいという話が出されまして、それ以後、外務省が中心になりまして鋭意関係省庁と作業を続けてまいったわけでございます。 で、当面今度のこの国会へということで作業をしてきたんでございますが、一部社会保障関係につきまして、関係省との間で意見の調整が現時点でもまだついておらないということがございまして、したがいまして、現在のこの通常国会に出すということが時間的にもうほとんど無理な状況になっておるということでございます。
○寺田熊雄君 腹づもりは。
○説明員(小西芳三君) この社会保障の問題といいますのは、これを端的に申し上げますと、たとえば難民が入ってまいりまして国民年金をその難民に適用するかどうかという問題でございますが、たとえばその当の難民が死んでしまったと、その場合に妻子が残されたそういう状況で、もちろん日本人の場合は国民年金で年金が出るんですけれども、難民については夫が死んでも妻子に対して母子年金が出ない、あるいは難民が年をとりまして老齢になりましても、日本人には出るけれども、難民に対してはそれが出ないという状況では、これはやはり何といいますか、難民の定住を認めておりながら依然として日本人と同じようには扱わないということになりますので、外務省といたしましてはこういう状況で、つまりそういう社会保障制度を難民に適用しないという条件でこの難民条約に日本が加入するということは国際的にも通用しない話だし、適当でないということでございまして、この点をやはり完全に適用するということで関係省の御理解を得た上で、できるだけ早く難民条約を国会に提出したいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 これは入国管理局長にお尋ねをしますが、難民条約が批准になりますとあなた方の方は何か新しい立法作業というのは必要となりますか。それとも現行法で賄えるんですか、その点はいかがでしょう。
○政府委員(小杉照夫君) 私ども現在、難民条約が批准されるという前提のもとに実は新規の立法の検討を進めておるところでございます。で、私どもの所管しております出入国管理令につきまして、幾つかの手直しをする必要があろうというふうに考えております。 第一点は、条約の三十三条だったと思いますが、迫害のおそれのある国へは送還しない、送還してはならないという原則がございますが、これを一つ明文化する必要があろうと思います。 それからさらに、難民の在留に関連いたしまして各種の手数料があるわけでございますが、その手数料を免除するというようなこともやはり考えてやらねばいけないのではなかろうかという気がいたします。 それからさらに、退去強制事由につきましても、やはり一部手直しをする必要があろうということで、入管令上、これらの諸点の改正についての検討を進めておるところでございます。 また、これらの問題と別にいたしまして、今度の条約を適用するに当たりましては、個々の外国人が難民条約に規定します難民に該当するかどうかということを統一的に判定する必要があるわけでございますが、その認定というものを統一的に行うといたしますれば、そのような難民認定を担当する所管庁というものをまず決めなければなりませんし、またその所管庁におきましては、難民認定の手続を定める法律というものを制定する必要があるのではないかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 衆議院の会議録を見ますと、入管の局長は流民(リューミン)という表現をお使いになる、これは難民とは別だということでお使いになっている。文学的に言うと流民(ルミン)と言ってもいいのかもしれない。まあここでは流民と。その流民というのは、いまの何か国際法上のいわゆるそういうテクニカルタームがあるのか、それとも入管の局長が便宜お使いになったのか、その辺のところはどうでしょう。
○政府委員(小杉照夫君) 流民という言葉が国際法ないしは国際条約上使われているかどうかについては私は寡聞にして承知いたしませんが、この流民という言葉が最近世上非常に広く使われておる。主として新聞であるとか、雑誌であるとか、ジャーナリズムの世界で使われておるようでございます。これは一見難民ではないが、一見難民ではなさそうであるが、その実質はどうも難民のようであるというようなカテゴリーの方々を流民というふうに呼んでおるようでございます。世上新聞等で言われておりまする流民というものの実態、これ実はなかなか把握しがたいのでございますけれども、仮にこれを定義してみますと、インドシナ三国にかつて生活歴を有しておったと。ところがインドシナ三国の政変の後に何らかの理由でインドシナ三国を離れまして第三国、たとえばタイあるいは台湾というような国へ赴きまして、台湾あるいはタイで一たん定住を認められ、そこの国から正規の旅券をもらってわが国へ入国した後に不法残留をしたと。で、われわれが入管当局がこれを収捕いたしまして強制送還しようといたしますと、いや実はわれわれはインドシナ難民なんだと、インドシナ三国で生まれてあそこで育ち、われわれは難民なんだという主張をされる方、こういう方たちを指してどうも最近新聞紙上等では流民と言っておるようでございます。
○寺田熊雄君 外務省の方では難民と流民というのをやっぱり峻別しておられるのですか。
○説明員(今川幸雄君) 外務省では、いま入管局長の御説明にもありましたいわゆる流民というものは、一応外務省が狭い意味で行っております難民対策室の問題とはいまのところしておりません。外務省が行っております難民対策というものは、インドシナ三国からの政変で逃れてきまして、あるいは東南アジアの第三国にたどり着き、そこから一時収容のキャンプから日本へ来た者、来る者、または船で救助されて日本へ連れてこられた者、こういう者を主として取り扱っております。
○寺田熊雄君 そうすると、法律的には流民というのはいかなる国であるかは別として、パスポートを持ってきていると。しかし、難民はパスポートを持ってきていないと。こういうところで区別が立つんでしょうか。
○政府委員(小杉照夫君) 流民と難民の差が一番的確に出ておりますのはその点であろうかと思います。
○寺田熊雄君 旅券課長来ておられますか。—— この旅券の発給制限というのは旅券法を見てみると、十三条に規定がありますね。これは十三条以外に旅券の発給を制限したり、あるいはストップしたりするということは法的に許されますか。
○説明員(池田拓治君) 原則としてはございません。
○寺田熊雄君 そうすると制限したりストップするのは、一に十三条の規定によるというふうに理解してよろしいか。
○説明員(池田拓治君) 旅券の返納を規定いたしております第十九条が広い意味においては発給制限に当たるとも解せられます。
○寺田熊雄君 この十三条なりあなたが言われる十九条、返納の規定、これを見ると、俗にいまオリンピックの問題が世人の関心を呼んでいるんだけれども、政府はアメリカ追随の姿勢を明らかにしてなるべく行かせまいとする。ところが、JOCの方が行くということを決定してスポーツの選手が旅券の発給を求めた場合に、どうもこれを拒む理由は法的には出てこないように思うけれども、課長としてはどう考えていらっしゃいますか。
○説明員(池田拓治君) 第十三条の第一項の一号から四号までは明確にこれに当たる者がわかるわけですが、第五号の場合、これは具体的にはいろんなケースケースに応じて法務省と協議の上決定しておりまして、この際この問題につきましては、現時点ではどうということは申し上げられません。
○寺田熊雄君 この第五号というのは「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」と、こうなっているんですね。それがオリンピックに行くことが何か日本の利益を害したり、公安を害したりするおそれがあるなんということはだれしも常識上考えられないけれども、それをしも、なおかつあなたはいま言えないと、こう言うのはどういうわけだろう。ちょっとあなたは声が小さいから、大きな声で。
○説明員(池田拓治君) 現在JOCは最終的な態度も決まっておりませんし、われわれとしては第十三条一項五号がこのオリンピックの発給制限に当たるかどうかについては、現在具体的には検討する段階にはありませんので、現在の段階ではわれわれとしてはお答えできません。
○寺田熊雄君 これは政府がどういう態度をとるか、とらないかということを私はあなたに伺っているんじゃないんでね。これは法律解釈、あなたは担当の課長だから、あなたは担当の課長としてこの条文の法律解釈としてそれに当たると考えているのか当たらぬと考えているのか。つまりこの条文をよりどころにして発給の制限なんというものを法律的になし得ると考えていらっしゃるのか。それはとてもそんなことはできないと考えているのか。あなたは所管課長だから、あなたの法律上の解釈を伺っているんです。
○説明員(池田拓治君) この第十三条一項五号の問題につきましては、法務大臣との協議をしなければならない規定になっておりますので、外務省独自の判断は出しかねます。
○寺田熊雄君 あなたは判断いたしかねると言うが、それはどういうのかよくわからないけれども、外務大臣と協議しないと判断ができないというふうにあなたとしてはおっしゃるのかね。その点ちょっとはっきり言ってください。
○説明員(池田拓治君) これは外務大臣が法務大臣と協議して決定する事項ではありますが、オリンピックの問題につきまして、オリンピックの参加者に関して、これが果たして一般旅券の発給の制限に当たるかどうかということについては、現在の段階ではちょっと判断ができかねるということでございます。
○寺田熊雄君 これはどうもスポーツの選手がオリンピックに参加することが日本国の利益を害するとか公安を害するおそれがあるというような、とても考えられないことを明確にあなたが断定できないとか判断できないとかいうことは、私どもにとっては大変な驚きなんですね。やっぱり法律解釈というのは、社会通念上何人が見てももっともだと思うような解釈をしてもらわなきゃ困るんで、何か政治的にその条文をねじ曲げて、そしてそれを拡大解釈してもらっちゃ困るんです。 オリンピックなんというものは何人が見たって、これはそのこと自体はまことに結構なことなんでしょう。それが何らかの政治的な理由でそれをストップさせようとすることの方がおかしい。それをいまあなたが判断できないというのは大変私どもにとっては不合理なことなんだけれども、そういう不合理なことをあえてしようというような意図が少しでもあるんだろうか。これは外務大臣に来てもらって聞かないと、あなたをあんまり責めたんじゃあなたに気の毒だけれども、外務大臣に来てもらって言うのが一番いいんだけれども、きょうは法務委員会で、ほかで外務委員会が開かれているからちょっと外務大臣呼ぶわけにもいかぬから、よく外務大臣に言うといてください、私がこう言ったと。願わくはそんな非常識なことはせぬでくれ、大来君の先輩でもあり、私の先輩でもあるあなたの外務省の大先輩の杉村陽太郎という人があるでしょう、あの人が極東オリンピックに戦前示したような勇気ある態度をとってほしいと私が言っとったということを、課長、よく外務大臣に伝えてください、よろしいか。
○説明員(池田拓治君) 伝えておきます。
○寺田熊雄君 外務省の方、もう結構ですから。どうも御苦労さまでした。 それから、これは刑事局長にお尋ねをしますけど、衆議院でもすでに質問をお受けになっていらっしゃるようですけれども、KDDの問題ですね。これはもう捜査はすべて終わったというふうに受け取ってよろしいですか。
○政府委員(前田宏君) KDD事件につきましては御案内のとおり、逮捕、勾留あるいは起訴した者があるわけでございますが、その後おおむね捜査は終了したというふうに申し上げていいと思いますけれども、若干未処理のものが残っている状況にございます。 〔理事宮崎正義君退席、理事竹内潔君着席〕
○寺田熊雄君 それはまだ警察が捜査をしているという意味でしょうか。つまり、警察がまだ捜査をして未送致のものがあるというのでしょうか、それともすでにもう起訴になってしまった者の証拠の補強をやっているという意味でしょうか、どうですか。
○政府委員(前田宏君) 大変細かいことでございますが、当初東京税関の方から関税法違反等で告発をされましたKDDの社員がまだおるわけでございますが、あれがまだ処分がたしかしていなかったと思いますし、それから郵政省の元監理官等の贈収賄事件、その際にKDDの社長室次長、これも身柄を拘束して取り調べたわけでございますが、それが処分保留のまま釈放になっているわけでございます。そういう点が具体的に申しますとまだ未処理のものでございますし、そのほか警察庁の方におきまして完全に捜査は終わっていないということを国会でもお答えしておったと思いますが、若干の補充捜査なり若干の未解明分野についての捜査をしておるということでございますので、その結果によりまして検察庁の方に送られてくる者があるかどうかという問題もございますけれども、そういう点もまだ残っているということを申したわけでございます。
○寺田熊雄君 わかりました。 そうするとすでに告発を受けておるKDDの職員もある、かつ、逮捕して取り調べを受けた次長の処分もまだ決まっていない、それから補充捜査も若干残っておるということでありますからして、新たな発展とか新たな逮捕者が出る、そういう蓋然性というものはもうないというふうに伺っていいようですね。
○政府委員(前田宏君) ここで断定的にないと申し上げていいかどうか、いささかちゅうちょいたしますけれども、全体の流れといたしまして捜査がおおむね終了に近づきつつある、警察の方におきまして未解明の分野が残っておるということを申しておりまして、その点の捜査がどうなるかということが若干気にはなるわけでございますが、いままでの情勢からいたしますと、そう新しい発展というものはないのではないかと申し上げてよかろうかと思います。
○寺田熊雄君 国際捜査共助法の関係の質問がまだ残っております。 第一に政治犯、これについてはいろいろの定義があるようですが、純粋の政治犯とか相対的な政治犯とかというようなことを申しますね、この国際捜査共助法で政治犯を除いておる。これは逃亡犯罪人引渡法でも同様でありますが、この場合の政治犯を除くというのは、どの程度のものを除くということなんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 恐縮でございますが、先ほど登録法につきましてお尋ねを受けましてその点のお答えが残っておったと思いますので、とりあえずわかります外国人登録法の起訴率について申し上げますが、五十三年の例で申しますと、外国人登録法違反の起訴率、つまり起訴と不起訴を足しましてそれを分母といたしまして起訴の数を割ったいわゆる起訴率でございますが、それが五六・九という数字が出ております。 一般的には、たしか全事件では起訴率が八八%ぐらいだったと思いますし、刑法犯でいえば六五%ぐらいではなかったかと思います。また、特別法犯では道交法が高いことは別といたしますと、その他の特別法犯では大体七四、五%ぐらいであったと思いますので、それに比べますと先ほど御指摘のように、登録法違反の起訴率というものは若干下回っておるということが申し上げられると思います。 それから、いまのお尋ねでございます政治犯罪のことでございますが、先ほど寺田委員も仰せになりましたように、この政治犯罪という言葉は逃亡犯罪人引渡法でも用いているところでございます。しかし、この政治犯罪という用語の意味と申しますか、必ずしも十分に明確であるとは申しかねるわけでございます。こういう政治犯罪という言葉が問題になりますのは、これも御案内のとおり、国内法的に言えば普通のいわゆる破廉恥罪と対比いたしまして、懲役と禁錮の差をつけるといいますか、いわゆる政治犯については禁錮刑をもって臨むというような扱い方が一つあるわけでございますし、また、主としてこの問題が問題になりますのは、やはり犯罪人引き渡しの問題であろうと思います。 そこで、結論めいたことでございますけれども、先ほど申しましたように必ずしも明確でない点がございますけれども、一般的には、たとえば代表的なものといたしましては、内乱罪のようにその国の基本的な政治秩序を直接破壊するような行為というものが、それが犯罪になっている場合にそれを政治犯罪と言うというふうに考えられておりまして、この辺は異論がないところであろうと思います。ただ、先ほども御指摘のございましたように、いわゆる相対的政治犯罪というような概念があるわけでございまして、それとの関連で申しますと、たとえば犯人が主観的には国の基本的な秩序を破壊するというような意図を持って行った行為でございましても、その外部にあらわれた行為が強盗であるとか恐喝であるとか殺人であるとか、そういうような場合には、これはやはり通常の犯罪というふうに考えるべきであって、政治犯罪としては考えないというのもまた大方の共通した理解であろうというふうに思うわけでございます。そのことは、いろいろな国際法の学会の決議でございますとか、あるいは逃亡犯罪人引き渡しに関します外国間の条約でございますとか、そういうようなものにいろいろとあらわれておるわけでございまして、だんだんとそういうようなことから固まってきているんじゃないか。 一つの例といたしまして、いわゆるテロであるとか、あるいは最近の問題でございますハイジャックであるとか、そういうものにつきましては、これはやはりその犯人からいたしますと、場合によっては政治的な意図ということも含まれておる場合がないとは言えませんけれども、こういうものはいわゆる政治犯罪としては扱わないというのがおおむね確立されてきておるのではないかというふうに考えられるわけでございます。 したがいまして、この法案におきます政治犯罪の範囲につきましても、いま申しましたようないろいろな理解、これを総合勘案いたしまして、その犯罪の目的、内容、いろいろな点から健全な法律常識と申しますか、法通念と申しますか、そういうものによって確定されてくるものであろうと、かように考えております。
○寺田熊雄君 入管の局長は、私はもう終わりましたので結構ですから。 今度この国際捜査共助法が可決され立法されますと、非常に外国に対する捜査の嘱託が容易になると思いますが、外国の方ではこういう法律を持っておるのは、近代的な民主主義国家では何カ国ぐらいあるのでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 各国全部調べたわけではございませんけれども、いわゆる先進国と申しますか、主要国と申しますか、そういう国におきましては、むしろすでにそういう国内法を整備しておるというふうに理解しておるわけでございます。そのごく一部と申しますか、私どもで調べました範囲のものは、お手元にお配りいたしております関係資料の中にも載せておるわけでございまして、ヨーロッパ諸国、アメリカ等も含めまして大体整備されておりまして、その内容も、若干の細かい点で違いはございますけれども、今回御審議をお願いしておりますこの法案と似たような構成、内容であろうというふうに理解しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 あなた方からいただいておる関係資料の要綱というのがありますね。この要綱の第五、捜査の嘱託が外国から来た場合、法務大臣が直接各庁の検事正に捜査を命ずるというのと、検察庁法の十四条ただし書きとの関係、これは矛盾しないのかどうか、この点はどうでしょう。
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘の要綱の第五は、条文に即して申しますと第五条になるわけでございますが、この第五条におきましては、ただいま仰せになりましたように、法務大臣が直接相当と認める地検の検事正に対して証拠の収集を命ずるということにしておるわけでございます。この法律案によります証拠の収集事務というものは本来の捜査とは違うわけでございまして、そういう意味で、日本の国内の刑事事件の捜査処理ということとは質が違うわけでございます。 そこで、広い意味の行政事務ということになろうかと思いますが、この場合、やはり事柄の性質上迅速に処理する必要があるということ、また、それぞれ関係者が全国におられる場合があるわけでございますから、その当該地の検事正にその収集をさせるということが適当であろうと、こういうことを考えまして、ストレートに検事正に命ずるというふうに案をつくったわけでございます。 これが御指摘の検察庁法の十四条との関係でございますけれども、先ほども申しましたように、手続は刑事訴訟手続の捜査に似ておりますけれども性質はやはり異なるわけでございまして、そういう意味では本来の検察権の運用には直接かかわりがないということに理解できるのではないかというふうに思うわけでございまして、そういうことから、迅速性の要請にこたえるためにも検事正にするということが適当であろうと、そのことは十四条ただし書きの趣旨にも反するものではないと、かように考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 まあ司法権の独立と直接関連するものでないということのようですね。 警察に対しては国家公安委員会を通じてこれを依頼すると。第五条の三号、海上保安庁長官にこれを命ずるというか、委嘱するというか、そういうことになるとさっきもちょっと疑問視したんだけれども、これは運輸大臣を経なくても構わないわけですか。つまり司法警察職員を指揮する、それは海上保安庁長官がやると。さっき運輸省の担当の課長によると、いや運輸大臣も指揮権を持っているんですというようなことを言っておったけれども、この場合だけ運輸大臣を飛ばして海上保安庁長官に直接やるというのは一向差し支えないのかしら。その点どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほど保安庁の方からもお答えがございましたように、運輸大臣も間接的には指揮監督権をお持ちであるわけでございますが、まさしく間接的でございまして、海上保安庁法によりましても、先ほど御説明がありましたように、海上保安庁長官が司法警察職員としての保安官を指揮監督するわけでございます。したがいまして、保安庁は運輸省の外局でもございますし、そういう保安庁長官は権限を持っておるわけでございますので、先ほど検事正に対して直接やったのと似たような趣旨も含めてと言ってもいいかと思いますが、運輸大臣をことさらに経由するまでもなくそういう権限を持っておられる保安庁長官に送付して必要な証拠の収集をしていただくということがこの制度の趣旨からいたしまして適当であろうし、また運輸大臣を特に経由しなきゃならぬというほどの必要もないのではないかというふうに考えたわけでございます。 まあ警察の方の関係は警察庁の方からお答えした方がいいかと思いますけれども、これも理論的には都道府県警察にストレートにお願いするということも全く不可能とは思いませんけれども、やはり国家公安委員会というものがあり、また警察庁というものがあって各都道府県警察の事務を間接的かもしれませんけれども統括しておられるというわけでございますから、そういう意味でとりあえずこの場合には、そういう中央官庁的な立場にある国家公安委員会を経て都道府県警察にお願いするということが警察の全体の組織機構の上からいきまして適当であろうと、かように考えたわけでございます。
○寺田熊雄君 少しちぐはぐなように思うけれども、まあ大した問題じゃないから一応局長のお答えを受け入れておいて、それはそれとして……。 第二条の第三号の「日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。」、この保証をわが国が確認するのはどういう形式の文書によって確認をしますか。
○政府委員(前田宏君) これはわが国と外国の国同士のことでございまして、したがいまして、この法案の原則的な仕組みも、要請の受理は外務大臣が行うと、例外として特別の場合には法務大臣が行うということにいたしておりますが、そういう国と国との問題でございます。したがいまして、通常の場合は恐らく外交ルートの通常の扱いに従いまして、まあ口上書等の方式によりましてその国の意思というものが明確にされるだろうと、かように考えております。
○寺田熊雄君 次に第八条関係でありますが、この条文を見ますと、強制力をもって証拠の収集に当たるのは物の差し押さえ、それから場所その他の捜索あるいは検証というふうに限られるようですね。人間に対して、対人的な強制力の行使というものはないんでしょうね。何か証人が出頭しないときには勾引するということがあるんだということのようですが、結局対人的な強制力の行使というものについてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) この法案によりまして検察官あるいは司法警察員が行いますものは、ただいま御指摘のような行為でございまして、まあ強制的と申しますか、もちろん裁判官の発する令状によって行うことでございますけれども、差し押さえ、捜索または検証ということになっておりまして、身柄の逮捕というようなものはもちろん考えていないわけでございます。ただ九条で、いまもお話の中にございましたが、証人尋問これはやはり裁判所にお願いをいたしまして尋問をするということになっております。したがいまして、これは一般の刑事訴訟法の場合と同様でございますけれども、その証人が出頭を拒否したというような場合には裁判所の勾引ということは理論的には考え得ることであろうというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○寺田熊雄君 第十三条の第四項ですね、捜査に係る書類あるいは訴訟関係の書類などの謄本を送付するという問題ですが、送付することができない場合についての規定でしょうね、これは。送付することができないというのはどういう場合か。 同じく、第五項の「要請国が遵守しなければならない条件を定める」という場合、それを必要と認めるときはとありますね。どういう場合にこの必要が生ずるのか。四項、五項についてちょっと御説明をいただきたい。
○政府委員(前田宏君) 十三条の四項でございますが、これは訴訟に関する書類でございますので、典型的な例は捜査書類もこれに当たるわけでございます。できないときというのは、端的に申しましてそのもの自体がなければできないわけでございますが、それも含みますけれども、これも御案内と思いますけれども、刑事訴訟法の四十七条の規定がございまして、訴訟に関する書類を公にすることが関係者の名誉とかあるいは人権とかそういうものに影響を及ぼすというようなこと、あるいは現に国内で行われている捜査あるいは裁判とかというものに支障を生ずるというような場合には、やはり四十七条の規定によりまして保管者であるたとえば検察官はそれを外国に送付することが本来許されないわけでございますので、そういう場合がこれに当たるというふうに考えております。 それから五項の条件でございますが、これもやはり、この法案によりまして外国に協力をするわけでございますけれども、日本国民の権利に影響がないわけではございません。したがいまして、そういう権利の保護というものを十分念頭に置いてしなければならないわけでございます。そういうような観点から、たとえばその物の保管者等が、証拠を提供することはよろしいけれどもこういうふうに使ってほしい、こういうふうには使ってもらいたくないというような希望が出る場合もあると思いますし、また、提供することは結構だけれどもなるべく早く返してほしい、いつまでに返してほしいというような希望というものも当然考えられるわけでございます。そういうようなことが出ました場合に、 〔理事竹内潔君退席、委員長着席〕 やはりそういう希望といいますか、権利の保護という観点からそれをもっともであるというふうに考えました場合には、外国つまり要請国にその旨を条件としてつけて、その上でそれを相手が承諾するということでなければ物を提供しないと、こういうふうに仕組みを決めたわけでございます。
○寺田熊雄君 次に第十七条の問題をちょっとお尋ねしますが、この十七条の第二項「第二条」「の規定は、前項の場合に準用する。」とあって、その二条の中で第三号と四号を除外をしておるのはどういうわけか、これもちょっと説明していただきたい。
○説明員(水町治君) まず第三号について申し上げますと、国際刑事警察機構は元来、各構成員がそれぞれの国内法の範囲内で相互にでき得る限りの協力を行うということを前提といたしました国際機関でございます。したがいまして、個別に相互主義の保証を求める必要はございませんし、また求めないからといいまして一方的な関係になるということはございません。 次に第四号でございますけれども、この規定は証人尋問、証拠物の提供に係る場合、こういうことでございますので、一応第十七条の場合にはそういう手続をとることを予定してございませんので、そのような規定は必要ない、こういうふうに考えております。
○寺田熊雄君 これはもっぱら警察庁関係の規定かしら。これは法務省関係はどういうことになっているんですか。
○政府委員(前田宏君) 十七条関係はいわゆるインターポールと申しますか、ここにありますように国際刑事警察機構から日本の方へ協力の要請があった場合のことでございますので、私どもももちろん関係はないわけではございませんけれども、主として警察の問題であるというふうに考えております。
○寺田熊雄君 これはもっぱらICPOに関連する規定ですね。そうするとあれですか、ICPOに加盟しておると、相手の国が、嘱託してきた国がICPOに加盟しておるというその事実、それ自体からもう相互の保証があるというふうに考えていいわけですか。
○説明員(水町治君) おっしゃるとおりでございます。
○寺田熊雄君 それからこの十七条の第七項、これは必要な事項の報告を求めるとかあるいは関係人に質問する、あるいは実況見分をすると、書類その他の物の所有者、所持者にその物の提示を求めると。これはどういう、いわゆる刑事訴訟法上にいう正規の証拠たり得るものなのか、あるいはICPOが現実の捜査に役立つためのいわゆる一般的な資料というようにこれを見たらいいのか、その点はどうですか。
○説明員(水町治君) ただいま後段におっしゃいましたとおりでございまして、国際刑事警察機構が最も機能いたしますのはいわば捜査の前半の過程と申しますか初期段階において非常に迅速な情報交換を必要とする、こういう場合でございますので、その目的に合いますように、ただいま申されましたような捜査の資料、情報というものを素早く得てこれをお互いに交換すると、このための手段でございます。
○寺田熊雄君 それからしばしばこういう法制につきまとうのは、政治犯と同時に宗教犯というようなものを除くという、そういう法制をとる国がありますね。これについてはわが国としてはどういうふうに考えたのか、これはいかがでしょう。
○政府委員(前田宏君) 宗教犯というものも概念としてはないわけではございませんけれども、先ほどお尋ねのありましたような政治犯罪ほどには明確な概念ではないように思うわけでございますし、また国際法的な観点から、そういうものについてこれを国際的な協力の面から制限するというような一般的な原則が確立されているというふうにも考えられないわけでございます。 したがいまして、政治犯罪と並ぶほど明確にこれを明記して制限するということは必要に乏しいのではないかというふうに考えたわけでございますけれども、この法案におきましては、二条の明記された制限事由以外に、条文で申しますと、第五条で二条の要件を満たしておりましても、全体的に見て要請に応ずることが相当であるかどうかという判断を法務大臣がすることになっておりますので、その観点におきまして具体的な場合に応じてもし相当でないというふうに考えられます場合には、その中に含まれる場合があるであろうと、こういうことでございまして、この五条の法務大臣の裁量権の適正、健全な行使によりまして対応し得るであろうというふうに考えております。
○寺田熊雄君 最後に、この本法案の捜査の嘱託に応じない除外事由と逃亡犯罪人引渡法の第二条にいう除外事由とを比較してみると、逃亡犯罪人引渡法の方が非常にたくさん並べている。本法の方は非常にそれを簡素化している、その違いはどこから出てきたのか、その点ちょっと……。
○政府委員(前田宏君) 逃亡犯罪人引渡法もこの法律案も、基本的には国際的な協力関係を進めていくということでございますけれども、逃亡犯罪人引渡法は、何といいましても身柄を逮捕してそれを外国に引き渡すと、こういう重大な事柄であるわけでございます。一方この法案によります捜査共助は、先ほどもお尋ねございましたように、若干の強制力を伴う場合もございますけれども、身柄そのものを外国に送るというような場合ではございません。 したがいまして、まず一般的な考え方といたしましてできる限り外国の要請に応じようというのを基本に置いているわけでございます。その中でどうしてもやはり適当でないもの、これだけを制限的に制限事由に挙げようというような考え方が基本にあるわけでございまして、そのようなことから政治犯罪であるとき、あるいはいわゆる双罰主義、日本国内で行われた場合に犯罪にならないような場合、これはやはり証拠物等の提供でございましても、国民感情から見て適当でないだろうというふうに考えたわけでございまして、原則としてはできるだけ応じようという考え方によるものでございます。片方はやはり引渡法の方は身柄の拘束で、それをまた外国に引き渡すということでございますので、おのずから性質に違いがあるということで差し支えないのではないかというふうに思っているわけでございます。
○寺田熊雄君 終わります。
○宮崎正義君 最初に、外国人登録法の一部を改正する法律案の方から入っていきたいと思います。 この事務的な問題につきましては、午前中から寺田委員の方から細々と実例を挙げながらの質問がございました。相当の事務の簡略ができるというふうなお話がございますが、私は最初に、提案理由の説明の中で、四項目についての事務の合理化が、簡素化が行われるというけれども、どのように市町村における事務の軽減ができるのか、四項目それぞれについての局長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(小杉照夫君) お答え申し上げます。 今回の法律改正におきましては、先生ただいま御指摘のとおり、四項目がございます。 最初の第一項目、これは第三条に関係するものでございますが、現行法令では外国人が本邦に入りましたときには六十日以内に、また本邦において外国人となったとき等は三十日以内に登録の申請をしなければならないとなっておりますが、これをそれぞれ三十日延長いたしまして、前者については九十日以内、後者については六十日以内にいたすわけでございます。この結果でございますが、過去六年間の平均を見ますと、年間の新規登録件数の総計が約七万一千件ございます。そのうち滞在期間が六十日を超えて九十日以内の者、約一万二千件ございます。したがいまして、今回の改正によりまして、この一万二千件分だけは新規登録件数が減少するわけでございまして、その減少分に見合って、市区町村における登録原票の作成あるいは登録証明書の交付等々新規登録に伴う事務並びに都道府県あるいは法務省の関連事務というものが減少することになるわけでありまして、申すまでもなく該当する外国人の負担も同じく軽減されるわけでございます。 それから第二点は、外登法の第九条関係でございますが、登録原票の記載事項に変更を生じた場合には十四日以内に変更登録の申請をしなければならないというのが現行の外登法の規定でございますが、これを旅券番号等一定の記載事項の変更につきましては、登録証明書の引きかえ交付申請等の際にあわせて申請することができるというのが第二の改正点でございます。この点につきましては、変更登録申請期間というものが一部緩和されることになるわけでありますが、その期間が緩和されたからといって変更登録件数そのもの、これが減少するわけではございませんけれども、年間約三十三万八千件に及びます変更登録総件数のうち、このたびの改正措置の対象とされる変更登録の数は約十四万件ございますので、外国人が十四日以内に市区町村に出頭して申請しなければならないという制約を外すことによりまして、その分だけ外国人の負担というものが軽減されるということになるわけでございます。 それから三番目は、第六条、七条、十一条関係でございますが、これは現在の外登法上は、新規登録を受けました日から三年ごとに切りかえ交付申請をしなければならないということになっておりまするのを、登録証明書の引きかえ交付等の申請をして新たに登録証明書の交付を受けたときは、その日から三年間切りかえ交付の申請をしないでもよいということにする改正でございます。で、これも過去六年間の平均をとってみますと、年間約一万二千件の引きかえ交付あるいは再交付というものがございましたので、引きかえ交付等に今回の改正によりまして確認の効果が与えられることになります結果、その以後三年間有効期間が認められますので、その分だけ外国人の負担並びに市区町村の事務量というものを軽減するということになるというふうに考えております。 で、最後に四番目でございますが、再入国許可を受けて出国する者は、現行法では登録証明書を入国審査官に提出いたしまして、再入国した後に市区町村において返還を受けなければならないということになっておったわけでありますが、この手続を全面的に廃止するということにしたわけでございます。これは外登法の十二条の二に関係する改正でございます。で、これも同じく過去六年間の平均をとってみますと、再入国許可による出国者の数は年間で十三万八千人に達するわけでございまして、この分だけ入国審査官の登録証明書の受領、発送事務及び市区町村における接受、保管、返還というようなもろもろの事務が廃止になるわけでありまして、さらに該当外国人の市区町村事務所への出頭の手間というものも免除されることになるわけでございます。 御存じのとおりに、現行の取り扱いのもとでは、短期間のうちに再入国した外国人が市区町村の事務所で登録証明書の返還を受けられないという事態が発生いたしまして、種々トラブルが続発していたことも御存じのとおりでございますが、このトラブルも今後はなくなるということに相なるわけでございます。 以上でございます。
○宮崎正義君 そうしますと、私は五十四の三月三十日の予算委員会で超過負担の問題を取り上げているわけでございますが、このことについては御存じですか。
○政府委員(小杉照夫君) 昨年の三月の三十日でございますが、予算委員会の分科会で先生から御質問がございまして、その際私答弁したことを覚えておりますが、超過負担問題という問題が存在すること自体承知いたしております。
○宮崎正義君 その超過負担の現況を把握なさっておられますか。
○政府委員(小杉照夫君) ただいま手元に資料自体を持っておりませんが、私どもといたしましては、国固有の事務を地方公共団体に委任しております以上、法のたてまえから申しましても、超過負担問題というようなことが起こってはならないというふうに考えておるわけでございますが、従来とも地方公共団体の超過負担問題につきましては、超過負担が起こらないように事務委託費の増額に努力しておるところでございます。今後ともこの努力は続けてまいりたいというふうに考えております。
○宮崎正義君 その努力の精神的な面だけは結構なんですが、実際のその証拠の数字をお持ちになりませんとその実感が出ないんじゃないでしょうかね。ですから、私は特に予算委員会の分科会で取り上げました問題については、あらかじめこういうことを質問いたしますよということは申し上げておったわけなんですが、少なくともどれぐらいの超過負担を法務省はしているんだろうか。この問題については五十三年はこうであった、五十四年はこうであったという、少なくとも数字の上から負担というものを論議していかなければ本当の意味の実感が出てこないと思うのです。したがいまして、わざわざ予算委員会でやったものをまた取り上げてまたやるというのは、ただ、取っ組んでおります、これからやりますだけでは、地方自治体に対する負担というもの、事務量が、先ほどの御答弁にもありましたように、ある面においては事務をやっていることには一つも変わりはないんだけれども、ただその切りかえの問題だとかいうようなことで、日数を六十日を九十日にしたとかいうことだけで、実務というものは私はそう大して変わらないというふうに思うわけなんです。 ですから、こういうことに対して、こういうふうに今度は事務が合理化されて、簡素化されていくんだから、何人ぐらいの、お金にすればどのぐらいが浮いて出てくるんだというような御答弁を私は待っていたわけなんですがね、この点はどうなんでしょう。
○政府委員(小杉照夫君) 今回の四項目に上ります法改正の結果として、具体的に金額的に幾ら節約されるか、あるいは地方公共団体の負担というものは減るかということは、なかなかこれは計算上は計算できない要素がございまして、そういう意味のお答えは先ほど申し上げなかったわけでございますが、それぞれの市区町村等抱えております外国人の数にも差異がございますし、それぞれの市区町村の窓口の規模等にも格差があるようでございまして、なかなか画一的に、これだけどこで節約できるというような計算がしづらいという点は御了承いただきたいと存じます。
○宮崎正義君 計算しづらいといいましても、長い間やっていることですから、ある程度までの線は出なきゃならないと思います。 それから自治省を呼んで自治省の方に事細かく尋ねれば、ある程度までつかんでおられるだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、こういうふうに資料をいただいた中に、「外国人登録国籍別人員調査表」というのをいただいておりますが、この表を見ていきますと、どの自治体がどれだけの人を、入国管理局の取り扱いをやっているかということが一目してわかります。 これから、こう考えていきましても、それぞれの地方自治体の、それぞれ大なり小なりいろいろあるから、なかなかつかみづらいとおっしゃいますけれども、この数字が出ている以上は、この分相応の調査というものは、私はできるんじゃないかというふうに考えましたから、御質問したわけなんです。そうじゃないでしょうか。
○政府委員(小杉照夫君) この問題、かねてから国会でも、またそれぞれの都道府県あるいは市区町村からも問題の提起がございまして、御存じのとおり、昭和五十二年度に大蔵省と自治省、法務省、三者合同による人件費等の実態調査というものを実は実施したわけでございまして、その結果といたしまして、昭和五十三年度以降かなり大幅な委託費増額という措置を現実にとったわけでございます。 昭和五十三年度におきましては、委託費のいわゆる合法に是正増額措置を講じまして、一億九千三十一万一千円という増額措置をとったわけでございますし、さらに翌年——昨年でございますが、五十四年におきましては、登録人員二千名以上を抱えている繁忙市町村におきまして、専従職員の給与の積算というものを従前の超過勤務手当方式から人件費単価方式に改定するということによりまして、これまた一億一千五百九万円の増額措置を講じたというような経緯があるわけでございまして、私どもといたしましても、委託費を何とかしてふやすという方向で、大蔵省、自治省とも大いにいま検討を進めておるというのが現状でございます。
○宮崎正義君 その御苦労のほどはわかります。わかりますが、幾つか増額をしているということでありますが、少なくともこの表で見るところの大阪とか兵庫だとか、万単位以上のところの実態の調査というぐらいは、法務省としても少なくとも法務省自体の問題としてつかむべきじゃないかと、こういうふうに私は思うわけです。ですから、今後の課題といたしまして、この件を私は申し添えたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(小杉照夫君) 先生の御趣旨を体しまして、可能なことはやりたいと思います。
○宮崎正義君 期待をいたしております。 それで大臣、この問題につきまして、当時の古井法務大臣が答弁なさっておられるのですがね。お読みになったかと思いますが、改めて大臣がその当時どういうふうにおっしゃったかということを確認の意味で申し上げてみたいと思います。 途中からでございますが、「まず法務省だけでもはっきり方向を決めていってもらいたいという気持ちの上で、あえてこの問題をきょう取り上げたわけなんですから、局長の御答弁もありましたけれども、」というふうにして私は質問をしております。で、大臣は、このようにおっしゃっています。「これはまあ率先してほかの超過負担も解消していく先駆者にでもなれたら大変意味が大きいと思いますし、よくお話の趣旨はわかりますので、検討さしていただきたいと思います。」このようにおっしゃっておられるわけなんですが、これは市町村で、地方自治体で一番の問題は、超過負担で悩んでいるわけです。これは国務大臣としてやはり閣議等で、地方自治体の超過負担というものを、法務省ばかりじゃなくて全部がそうでありますから、そういうことで閣議の席上で、超過負担については来年の予算ではお互いに考え合おうじゃないかというようなお話し合いができるかどうか、おやりになっていただきたいということを私は申し上げたいのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 自治体の外国人登録の超過負担問題につきましては、今日までの過程において努力してまいりました経過の一端は、先ほど入管局長からお答え申し上げましたが、なおこれはそういうことに努力をしなければならない事柄でございます。したがって、法務省といたしましても、ただいま局長もお答えいたしましたように、引き続きこの問題については最善の努力をしてまいりたいと思っておる次第であります。
○宮崎正義君 外国人登録事務というのは、いわゆる機関委任事務としての市町村及び都道府県知事に委任をされているわけでありますが、ほとんどは直接には市町村がやっているわけであります。そうしてその中間監督的な立場で、都道府県知事の方でそれを掌握をしているようでございますが、いずれにしましてもこの合理化、簡素化という面から言って、行管の方から言っても、都道府県知事の行っている外国人登録事務の現状がどうなっているのか、都道府県知事の方では介在しなくとも済む問題ではなかろうかとも思われるのですが、この点についての局長のお考えをお伺いしたいのですけれども……。
○政府委員(小杉照夫君) この外国人登録事務を運用していく上で、確かにお説のとおり、具体的な事務を最先端で処理しておるのは市区町村役場でございます。それでその上にございます都道府県においては、何と申しますか中間的な仕事が確かに多いかっこうになっておりまして、かねてから都道府県の外国人登録関係事務を減らしたいという希望が出ておることも事実でございます。可能なものはやはり私どもやるべきであろうということで、現在いろいろ手続の簡素化の方策を考えておるところでございまして、今日現在まだ結論を得ておりませんけれども、いずれそのような方向へ向かって前進があるのではなかろうかというふうに考えております。
○宮崎正義君 出入国管理令の第四条で、「(在留資格)」それの第十四号がございますが、第二十二条の「(永住許可)」これに引っかかってきて、なかなか資格というものの何といいますか、与えるもののむずかしさといいますか、こういう点については、どんなふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(小杉照夫君) 現在、先生いま御指摘になりました出入国管理令の四条一項十四号に該当するいわゆる永住許可、これの取得が何か非常にむずかしいというお話のようでありますが、どのような事例を念頭に置いておられるのか。やはり一定の期間無事故で在留しておられて、生活能力もあり、性格善良であって、日本社会に貢献をしておられるような方につきまして、特に永住許可取得がむずかしいということは私どもないのではないのかというふうに考えております。
○宮崎正義君 その中で言う、いまお話もありましたけれども、日本の利益とはどういうことを 〔委員長退席、理事竹内潔君着席〕 具体的には言うんでしょうかね、いまちょっとお話があったように思うんですけれども。
○政府委員(小杉照夫君) これは、利益と申しますかむしろ日本社会に不利益を及ぼさない、少なくとも犯罪行為を行うなどとか、あるいは反社会的な行動をするとか、そういうような意味で、社会に対して不利益を及ぼすようなことのない方、むしろ何と申しますか、善良なる市民という観念でお考えいただいて結構だろうと思います。
○宮崎正義君 一号には素行が善良であるとか、二号では独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること等々ありますから、それらのこと全部ひっくるめてのことだと思いますけれども……。 問題を変えまして、長期在留外国人に対する処遇の問題についてどういうふうな方針を持っておられるのか。たとえば帰化させる方向で指導していくのか。帰化というのは本人の意思に任せることなんだから、そうじゃなくて、まだ別のものがあるのかどうなのか、そんなようなことをお伺いします。
○政府委員(小杉照夫君) 外国人の長期在留者と申します場合、いろいろなカテゴリーがあり得ると思うのでありますが、先ほども先生が御指摘ございました四−一−一四、いわゆる永住許可者、このほかに在日韓国人の法的地位についての、いわゆる日韓間の協定によりまして、協定永住の許可を受けておる協定永住者というような者がおるわけでございますが、前者約一万七千名、後者、協定永住者三十五万四千名程度現在おるわけでございます。これらのほかに、実は実質的には永住者と考えていいカテゴリーの方がまたおられるわけでございます。これは昭和二十七年の法律第百二十六号によって日本国への在留を引き続き認められております、いわゆる法一二六−二−六の該当者の方並びにその子孫の方々であるわけでございます。これらの方々の在留の対応というものについてのお尋ねであろうと存じますが、これらの長期在留者のうちで、いわゆる法一二六−二−六の該当者及びその子孫というものにつきましては、現在その法的地位それ自体が未確定と申しますか、確定した状態になっていないこと御存じのとおりでございまして、この方たちの法的地位の安定ということを考えることがまず第一に必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。すでに永住を許可されている者、あるいは協定永住の資格を取っておられる方たち、この方たちにつきましては、私どもとしては、その法的な地位というものはすでに安定しておるというふうな理解をしておるのでございます。ただ、御質問の趣旨が永住を許可された者についても帰化を促進すべきではないかというお考えであるとすれば、これはまた別途帰化の問題として御議論いただきたい問題ではなかろうかと思います。
○宮崎正義君 その帰化のことへ少し入りたいと思いますが、現在在留外国人からわが国への帰化を申請しております件数はどれぐらいあるのか。また、帰化が認められた過去の件数と内容がわかれば、内容の説明もお願いしたい。それからまた、帰化の申請から帰化の許可までのおよその日数はどれぐらいかかるのか。おのおの大変違ったケースだろうと思いますが、およそのめどはどのぐらいになるのか、ひとつお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) まず最初のお尋ねでございますが、帰化の許可申請の件数並びに帰化を許可された者の数の動向でございます。 帰化許可の申請人員でございますが、昭和四十七、八年を境にいたしまして、日中国交回復後急激に増加をいたしまして、最近では年に一万二千件から一万三千件前後という数字になりまして、それが、日中国交正常化、しばらくたっておりますが、なかなか減っておりません。その原因といたしましては、この圧倒的多数を占めるのが朝鮮の方でございますが、次第に日本との地縁、血縁関係が深くなっている方が多くなっている。つまり、日本に生活の基盤を築いているような人々が多くなっている。 〔理事竹内潔君退席、委員長着席〕 あるいは日本人との婚姻その他によりまして、身分関係、血縁関係というものが日本に縁が深くなっている。しかも二世、三世が生まれているというようなことから、この事件数の傾向は当分続くのではないかというふうに私ども予想をしているわけでございます。ただ、許可の申請者のうち、かなり取り下げ等に終わる者がございます。その原因といたしましては、身分関係の整序をする必要性がある。つまり、公的資料にあらわれております身分関係と真実の身分関係と相違しておりますような場合には、まず公的な身分関係というものを実態に合致させるように身分関係の整序をしていただく必要があるわけでございますが、そのために日数がかかるということになりますと、一応取り下げをして、さらにそれができてから再申請をするというようなケースが非常に多くなっております。また前科が多いというようなことで、これは許可の見込みがないというようなことで取り下げるというような方が相当多くなっておりまして、毎年二千件以上のそういった取り下げ件数もあるわけでございます。 そこで、許可をされた数でございますが、最近の数字を申し上げますと、五十一年、これは暦年でございますが、約五千六百人、五十二年には五千七百人、五十三年には七千四百人、五十四年には六千五百人程度と、こういった数字になっておるわけでございまして、ちなみに、平和条約発効後昨年までの許可された総数が約十三万人、うち朝鮮の方が九万五、六千というようなことになっているのでございます。
○宮崎正義君 日数は。
○政府委員(貞家克己君) 第二のお尋ねでございます帰化許可の申請があってから許可になるまでの期間でございます。これは率直に申し上げまして、ほかの事務に比べまして相当の期間を必要としております。何と申しましても、日本国籍を新たに付与することでございますから、その判断は慎重を期することが必要でございまして、そのためにある程度の日時を要するということはやむを得ないと思いますが、余り長い期間を要するという事態は決して好ましいことではございませんので、早期処理に努力するように指導しているところでございます。つまり、許可に相当するかどうか判断するためには、申請者の生活歴でございますとか身分関係、職歴等を調査いたしまして、また国籍法四条各号にいろいろ要件が定められておりますが、そういった要件を具備しているかどうか判断しなければなりませんために、東京、大阪、名古屋、横浜というようなところでは調査が非常にいま複雑になっている事件が多うございまして、相当の期間を必要としております。こういった地域では申請事件が最近非常に増加しておりまして、早期処理が困難でございますけれども、先ほど申し上げましたように、余りにも長期間かかるというのは決して望ましいことではございません。そこで、私どもは全部で十カ月程度で処理をしてもらいたいと、これはもちろん本省におきまして私どもが審査をする期間も入れてでございますけれども、十カ月ぐらいで処理をしたいと考えておりますが、残念ながら大都市ではそれより若干長くかかっている事件がまれではないという実情でございます。
○宮崎正義君 この申請の許可要件といいますか、そういうことの説明なんか、たとえば帰化したいと言ったときに、これとこれとこれだけが要るからこれとこれをそろえればいいんだというような御指導はなさっていると思いますが、その主なるものはどんなようなものがあるでしょうか。
○政府委員(貞家克己君) 調査の先決といたしまして、現在の身分関係、つまり国籍がどこであってどういう親族関係があるかという国籍並びに身分関係の資料でございますとか、あるいは居住の要件、あるいは独立の生計を営まなければなりませんので勤務先の給与の証明書でございますとか、あるいは納税関係の証明書でございますとか、その他いろいろ書類がございますけれども、そういった必要といたします書類、それは個々のケースに応じて対象ごとにいろいろございますので、それは申請の際に十分御本人にこれとこれをそろえていただきたいということでお願いを申し上げる、それに対して協力していただいて、どんどんと適切な資料を提出されます場合には非常に調査がスムーズにまいりまして、したがって、この調査期間もおのずから短くなると、かように考えているわけでございます。
○宮崎正義君 実際は集められる書類というのはなかなか容易じゃないというので、途中で引っ込むような方々が大分多いと聞いているわけですね。 それから日数の件につきましても、十カ月程度でやるようにというお話でございますが、御答弁の中にもそれより長くかかっているのもあると思うということがお話がございました。そのとおりの方が多いわけなんです。早くおりているのはなかなかないようであります。 というのは、もう一つ問題なのは、韓国、朝鮮では祖国が南北に分裂している在日朝鮮人の国籍問題はとてもその背景が複雑だということで、帰化したいという人は政治の問題はわからないわけなんですが、そういうことで非常に、あなたは韓国の人ではないから向こうに行って申請をしなければならないからと、そういうことでそちらの方の証明もほしいんだとかというようなことでなかなかうまくいってないように思えるわけなんです。たとえば、本籍地が韓国の本籍地で、先ほど御答弁もありましたように、二世、三世ですね。三世の人のいま例をとって申し上げてみますと、この三世の人ももう成人に達しているわけです。で、一番最初に日本に在留された人は終戦後北鮮の方に行かれちゃったわけなんです。で、二世も三世も本籍地はどこかといいますと韓国の方に本籍地があるわけなんです。こうした場合の許可の手続なんというのは相当複雑しているんじゃないかというふうに思うんですが、こういったようなことも指導をどのようにされているか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) 確かに朝鮮におきまして複雑な政治情勢であるということは承知しておるわけでございますが、私どもといたしまして朝鮮民主主義人民共和国から発行している資料を持ってこいとか、そのような要求をいたすということはこれはあり得ないことでございます。韓国に照会をして何らかの資料をいただきたいというようなことは、これはございますけれども、それに対して、外国のことでございますから、国内の他の機関に対する要求の場合と同じようにスムーズをねらっていると申しますか、本当に一番最良の証拠——証拠と申しますか資料と申しますか、そういうものが得られません場合には、やはりそういう状況を念頭に入れましてそれなりのいわば便宜の措置と申しますか、現存する資料に基づきまして身分関係なりいろいろの判断を可能な限りしているということでございまして、最初にお尋ねがございましたように、韓国の系統であるかあるいはいわゆる北鮮の系統であるかというようなことによりまして非常に差別をしているわけじゃございませんし、また無理な資料を要求するというようなことはしていないつもりでございます。
○宮崎正義君 無理な差別——差別ということじゃないわけなんです。祖父が——孫から言えば祖父ですね、祖父が終戦後北鮮の方の籍になったというわけなんですね。そして、お父さんと孫、要するに二世、三世ですね、それが持っている証明書には韓国籍の本籍があるわけです。したがいまして、祖父の方の戸籍といいますか、そういうものを取り寄せてその帰化を申請している二世と三世、それが韓国の本籍のビザを持っているということなんです。で、祖父は北鮮に行って、その兄弟——ほかの息子たちはみんな韓国にいるわけです。したがって、そちらの方の証明と韓国の方の証明と両方を取るようになるのではないかというふうに言われたような受けとめ方をしているわけです。ですから、いまのお話ですと、どちらかの証明を取ればいいのだというふうに受けとめていいのかどうなのかということなのです。
○政府委員(貞家克己君) 韓国の本籍がございます方につきまして必要な戸籍の書類をいただく、これは可能でございまして、そういったものによりまして祖父の記載がなされておりますればそれに基づいて判断をいたしますし、どうしても北鮮に行かなければわからないというようなものがあります場合には、これは現実の問題としてそういったものを入手することが不可能であるということになりますれば、それは関係者の供述でございますとかあらゆる手段を通じて調査をする、それによって身分関係についても心証をとって判断をするというのが私どもの基本的な態度でございます。
○宮崎正義君 了承いたしました。ありがとうございました。もう質問はいたしません。 次に、先ほども難民のことについて寺田委員から若干の質問がございましたけれども、私からも難民の条約問題について、また批准は先ほどの御答弁もありましたけれどもどう積極的におやりになるのかということもあわせながらお伺いしたいと思うのです。 大来外相が三月七日に予算委員会で御答弁なさっていますが、この件について御存じでございましょうか。
○説明員(小西芳三君) 承知してございます。
○宮崎正義君 それはどういうふうな内容か、承知していることをおっしゃってください。
○説明員(小西芳三君) 現在難民問題というのは、特にインドシナにおいて難民が発生いたしまして、従来とも国際社会全体の問題であったのですけれどもわが国にとりましても非常に身近な問題になっておって、これを国際協力ということで受けとめていくということは人道上も必要なことである、これを確固とした体制で受けとめていくという関連で難民条約への加入ということが考えられるというような趣旨であったかと思います。
○宮崎正義君 では私が要点だけをお読みしましよう。「難民条約につきましては、やはり国内各官庁との調整を鋭意進めておるわけでございます。いろいろ関連する国内の施策との問題がございまして多少暇取っておりますが、今国会中に提出するために極力努力をしておるわけでございます。」、こういうふうに述べられているわけなのです。ですから、今国会中に極力提出をする努力をするということをおっしゃっているわけです。概括的なことじゃなくてそういうようにおっしゃっていることを伺ったわけです。 それから、たしか難民条約は一九五一年のジュネーブの国連全権会議等でおやりになって一九五四年から発効されているというふうに私は記憶しているわけですし、一九六六年には国連の経済社会理事会で承認されて難民の地位に関する議定書等々がつくられておるということを承知しているわけですが、こういう経緯の上から考えてみまして、今日まで世界の条約へ加入した国は約七〇%に及んでいると言いますが、加盟国と国名をひとつ教えてもらいたいと思います。
○説明員(小西芳三君) お答えいたします。 ことしの三月三日現在ですが、七十八カ国が一九五一年に成立しました難民の地位に関する条約の方に加入してございます。それから、ただいま御指摘ございました一九六七年に成立しております難民の地位に関する議定書につきましては、同じくことしの三月四日現在で七十五カ国でございます。
○宮崎正義君 その国の名前を教えてもらいたいと言ったのですが、後でその資料を出していただけますか。
○説明員(小西芳三君) 手元にございますので後でお届けするようにいたします。
○宮崎正義君 そこで、一般に何といいますか、権利の問題について各国の実情に応じて実施を留保するというふうなことを認めているようなのですが、留保は実際問題としては歓迎されていないというふうに思われるわけなのですが、こういう留保というような考え方というものをどんなふうにおとめになっていますか。
○説明員(小西芳三君) きわめて一般的に申しますと、条約あるいは協定の中に一部の条項につきまして留保を認めるという留保条項そのものを含む条約がございます。それから、そういう留保を認めるという留保条項を含まない条約がございます。ただ、いずれの場合におきましても、その条約の基本的な趣旨目的というものと両立しない留保ということはその条約の存在意義そのものを否定するということにつながってまいりますのでこれは行い得ない、そういうような考え方があるかと思います。
○宮崎正義君 特にアジア地域の国々では条約加入の構えが余りないというふうに言われております。いまの留保の問題は全然別にしてそういうふうに言われておりますが、この辺どうなんでしょうか。
○説明員(小西芳三君) お答えします。 一般的に申し上げますと、難民の最近の歴史でございますけれども、やはり難民問題が具体的に発生した地域におきまして難民条約に加入していくということがございまして、先ほどの一九五一年の難民の地位に関する条約につきましても当初は第二次大戦後の東ヨーロッパからの難民の関係がございまして西ヨーロッパの諸国がまず入るという状況がございましたし、それからその後アフリカ地域、これは現在でも四百万人ぐらいおりますけれども、アフリカ地域で部族の闘争とか革命とかいうことがございましてかなりの国が難民条約に入るという状況がございました。それから、中近東でも御承知のとおりパレスチナ難民ということがございますし、さらには中南米地域でもときどき難民問題が発生するということでございまして、そういう具体的な難民問題の発生に伴いましてやはりその関係国が条約に加入するというのが実際の姿かと思いますが、アジアにつきましては御承知のとおりここ最近インドシナ難民という問題が大きく出てまいりまして、その関係で国連の難民高等弁務官事務所というのがございますが、こういう関係の国際機関におきましては、アジアで難民が発生しているということもございまして、アジア地域からこういう難民条約に加入することを希望するという意向は私ども伺っております。 ただ、実際問題といたしまして、インドシナ難民の場合、御承知のとおり当初たくさん出ました難民が華僑系の人であったということもございまして、御承知のとおり東南アジア、特にASEAN諸国におきましてはすでに国内に華僑がたくさんおるという状況もございまして、そういう新しくインドシナから出てきた華僑を迎え入れると、つまり、一時の滞在ではなくて正式に定住を認めるということがそれらの国にとってやはり政治的、社会的な問題になるということもございまして、いまのところASEAN各国はこういう条約に入るという意向を示してはおりません。しかし、日本の場合は、前大臣及び現大臣が表明しておりますとおり、先進国といたしましてこういう国際的な人道問題についての日本の姿勢を明らかにしていくということで難民条約に加入すべきであるということで、私どもはそういう考え方に基づいて準備をしている状況でございます。
○宮崎正義君 わが国はたしか五十一年に名古屋港に初めてベトナム難民が上陸してきた、それが大体きっかけになって、たしか稲葉法相が批准検討をこのときに初めて打ち出したというふうに私は記憶しておるんです、違っているかどうかわかりませんけれども。そうしたことから、現在インドシナの難民を五百人の定住の枠を決めてきている。先ほど寺田委員の質問もありましたこの件につきましては、総理がカーター大統領との話し合いで倍にするという。それが新聞報道では千名となっているというふうに私もそのように承知をしているわけですが、いずれにしましても、現在どれだけの難民の援助費を出しているか。それから、先ほども御答弁の中に園田外相が昨年の四月に早期加入を検討中であるということを言われてまいりました。そして、大来外相も昨年来日しました国連難民高等弁務官に対して前向きにこれはやっていくという姿勢を明らかにしたわけです。それから、外務省が中心になって、法務、厚生、文部、労働、建設、大蔵等の各省との折衝を始めている。そういう手順を踏んできているんだと私は思っているんですが、現在の状況というものはどんなふうになっておりますか。
○説明員(村角泰君) お答えいたします。 インドシナ難民の本邦定住にまず話を限ってお答えいたしますと、最初に予算の方でございますが、本年度におきましては外務省、文部省及び労働省からインドシナ難民の本邦定住促進事業を実施いたしておりますアジア福祉教育財団に対して委託費が支出されておりまして、その合計が本年度は六億九百七十九万七千円でございます。 その御指摘のありました関係各省の協力体制でございますが、これにつきましてはそれ以前からベトナム、当時ボートピープルだけでございましたので、ベトナム難民対策連絡会議というのが昭和五十二年九月二十日付の閣議了解で設置されておりましたが、昨年七月の閣議了解におきましてこれがインドシナ難民対策連絡調整会議と変わりまして、これを内閣に置くということになっております。このインドシナ難民対策連絡調整会議のメンバーは十三の関係省庁の局長、それから議長は内閣官房副長官でございます。それで一応申し上げますと、法務省、外務省、大蔵省、厚生省、農水省、運輸省、労働省、建設省、自治省、警察庁、通産省、文部省それから内閣審議室が入っております。それだけでございます。その議長の下に事務局が設けられまして、その会議の運営あるいは連絡調整の具体的な事務に当たっているわけでございます。
○説明員(小西芳三君) この難民条約の準備状況について説明せよということであったかと思いますが、条約を準備いたします場合にまず第一段階といたしまして実質問題について関係省庁との調整を図るということがございまして、それがほぼ済んだ段階で法制局のための読会と申しておりますけれども、詰めを行うという作業がございます。その後法制局それから閣議決定というふうにまいりますけれども、この難民条約につきましては昨年四月の園田前外務大臣の閣議での発言を受けまして、その後鋭意実質問題についての協議を各省との間でかなり長期間にわたって進めてきたわけです。 この難民条約との関係で、実は昨年の五月でございますか、前の通常国会で国際人権規約という条約が実は成立してございまして、この条約をすでに批准しているという関係がございましたので、この条約では外国人の処遇の問題というのがかなり大きな問題であったわけですが、そこでかなりの外国人に関係する問題というのが出尽くしておりまして、そういう関係もございまして、ほとんどの省庁との関係におきましては、人権規約のときの作業を難民についても同じようなことを考えていくということで問題が処理されるということでございまして、ただ、先ほどちょっと申し上げました社会保障の関係と、それから、これはもう一つ難民の認定の問題というのがございますけれども、その二点を残してほぼ実質的には問題が片づいておりまして、これらの点につきましては、すでに読会の作業に私どもとしては入りたいというふうに、そういう状況に現在ございます。
○宮崎正義君 一面にはこういうことも言われているわけですが、法務省では難民認定法案の作成作業を進めているとも言われているわけなんです。結局、法務省と言えば入管の方の所管になるんじゃないかというようなことで、先ほど局長、寺田委員に御答弁なさっておられましたけれども、いまの各省間の話し合いといいますか、審議の、会議の状態等でどのような話し合いをされたのか、御説明を願いたいと思います。
○政府委員(小杉照夫君) この難民条約を批准いたしますと、条約をごらんになられるとおわかりになりますように、いろいろの条項が盛り込まれております。厚生省関係で処理すべき条項があったり、あるいは労働省、文部省、建設省等々、国内諸官庁もろもろの所管事務について、それぞれの省庁において手当てをすべき事項があるわけでございますが、私ども法務省といたしましても、私どもの守備分野においてやはり立法措置をとらなければならない事項があるわけでございます。現在、私どもが検討いたしておりますのは、入国管理局で所管しております出入国管理令につきまして迫害のおそれの存在する国へは送還しないという、いわゆるノンルフルマンの原則というものが条約の三十三条に書いてございますが、この原則を明文化すること、それからさらに、難民の在留に関する手数料、これはやはり免除してやるということが必要なのではないか。それからさらにまた、退去強制事由につきましても一部手直しする必要があろうということで、出入国管理令の一部修正という問題を検討しておるわけでございます。 それて、いまお尋ねの条約に申します難民の認定の問題でございますが、これは実は外務省との間で現在までいずれの省庁において担当することが妥当であるかということについて意見が完全に合致していないという問題でございます。法務省といたしましては、先ほど申しましたように、難民の認定ということをやりますと、その結果として影響を受ける国内諸官庁の数というものが、厚生省、労働省、文部省、建設省等々非常に範囲が広いわけでございまして、したがいまして、難民認定をどの省庁が行うかということについては、関係省庁との調整を行う機能を備えた機関、たとえば内閣でございますとか、または総理府というようなところがやっていただく方がいいのではないかという意見を実はお出ししておるということで、いま外務省とも鋭意意見交換を継続しておるということでございます。
○宮崎正義君 これは外相も確約もしておりますし、そして難民問題というふうな人道的な問題は手続上のことでなかなか決まらないということはわかる気はしますが、諸外国との関係から考えていきまして、いっときも早くこの国内的な問題を処理していくことを早急にやらなきゃいけない。これはもう一番大事じゃないかと思いますが、私はあえてきょう大臣の御出席を、外務大臣の出席も、それから官房長官の出席も得ておりませんけれども、実務者であります、担当なさっている実務者の皆さん方が結局どうしていくかということによって決まっていくんじゃないか。したがいまして、悪い言葉で申し上げれば実務者のあなた方の方が話し合いをするのには一番いいんじゃないかというように私は思っているわけです。大臣はどうでもいいということじゃないんでございますけれども、一番の最高の責任者ですからそれは当然のことでありますけれども、きょうおいでくださった皆さん方のその煮詰め方一つ、行動一つでもって大体の方向というものは決められて、それで吸い上げられていくんじゃないかと思うんです。そういう意味におきまして、いっときも早く批准のできるように私は要請をいたしたいと思います。よろしゅうございますか、これは。特にまた法務大臣は国務大臣として、いま私がやりとりやっておりました内容についてどんなふうに御所見をお持ちになりましたか、それも伺っておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 条約にわが国が加入するかどうかということは、直接的には外務省の所管事項でございますが、いまお話のございます難民条約並びに議定書につきましては、私どもも法務省といたしましてはこれに加入することに異議はないのでございます。したがって、そうい方向で努力をいたしたいと思っております。
○宮崎正義君 もう少し最近の事例等を挙げまして法務大臣にはいろいろお伺いしようと思いましたんですが、この事例も新聞報道等で出ておりますが、これらを通しまして質問をしたいと思いましたけれども、次の課題に入りませんと時間が来てしまうので、この程度で終わりにいたします。外務省の方御苦労さまでございました。 国際捜査共助法案の質問に入ります。 最初に、提案理由の説明の中に「現在、わが国では、この面での法制が整備されておらず、外国に対して十分な国際協力を行うことができない実情にあります。」と、こうあるわけでありますが、今日まで外国の要請に対して対応できなかった事件数というものがあればその事件数と、その事件の内容を御説明願いたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘のように、提案理由でいまお読み上げになりましたようなことを書いてあるわけでございますが、この趣旨は現行の法制下におきましては、今度審議をお願いしておりますような法律がございませんので、いわば任意の措置として関係者の方々の自発的な同意と申しますか、御承諾を得て細々とという言葉が当たるかどうかと思いますが、そのような形で外国からの協力要請に応じてきていたわけでございます。しかし、実際問題といたしまして、警察庁の方でいわゆるICPOを通じていろいろと外国からの情報収集の要請に対しては応じておりますから、そういう点ではそれなりの成果が上がっておりますし、一面この法案でお願いしておりますようなきちっとした要請というものも余り数はないわけでございます。したがいまして、先ほどお尋ねのありましたように、どうしても困ったかというようなことになりますと、具体的な事例は余りない、ほとんどないと言ってもよろしいわけでございます。で、先ほども申しましたように、自発的な御協力を、関係者の自発的な協力を得て調査をしてお答えをする、また、やや特異な例でございますが、いわゆる司法取り決め等もその一つの例でございます。 そういうことで、特にこれまで困っていたというわけではないわけでございますけれども、今後一層こういう面での国際交流——まあ、犯罪の国際化ということが当然のことながら予想されるわけでございまして、外国からも当然共助要請があるであろう、また逆にわが国から共助を要請することが当然起こるであろう、そういうことに備えましてこの際この法案を制定しておくことが外国からの共助要請にも応じ得るし、また反面、わが国からお願いする場合にも役立つであろうと、こういう趣旨でございます。
○宮崎正義君 私、質問を考えていた順序があったんですが、裁判所の刑事局長お見えになっているんで、そのことについての関連の質問をするわけですが、国際犯罪に対応するための処置として、わが国には、逃亡犯罪人引渡法だとか、特に御関係の外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法といいますか、この点につきまして今日までどのような事例があったか、今後この法案が成立しますと、どういう関係の結びつきにさらになっていくのか、そういう点について御答弁願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) ただいま御指摘のように、現在存在します法律としては、逃亡犯罪人引渡法、それからまた、大変古い法律ではございますが、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法というものがございます。外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法の関係で従来の事例、数字を持っておりますので、この点の御説明を申し上げたいと思います。 外国の裁判所からの刑事訴訟事件に関する書類の送達及び証拠調べの受託につきましては、外国政府との間の司法共助の取り決め、あるいは外交折衝による個別的な合意に基づいて行われております。そして、受託の具体的な手続につきましては、ただいま申し上げました外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法に定めがございまして、管轄の地方裁判所において日本の法律によって施行するものとされております。現在まで、外国の裁判所から刑事訴訟事件に関する書類送達の受託がありました件数は十一件ございます。その内訳を申し上げますと、被告人の召喚状が三件、証人の召喚状が三件、裁判書謄本の送達が四件、そのほか一件となっております。そして、その嘱託国はイタリア、ギリシャ、西ドイツ、ソビエト、スイスでございます。また、証拠調べの受託数は七件ございまして、いずれもこれは証人調べでございます。その嘱託国はイタリア、西ドイツ、トルコというようになってございます。 逃亡犯罪人引渡法による事例があったかなかったか、この点ちょっと数字を用意しておりませんけれども、恐らくその実例はなかったのではないかというように思います。この点は正確ではございません。 それから、国際捜査共助法が成立した場合に、従来の逃亡犯罪人引渡法、あるいはただいま申し上げました外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法との関係はどうなるかということでございますけれども、犯罪人の引き渡しの関係では、捜査共助の方は証拠関係を捜査をして提供するということでそれぞれ面が異なるというふうに考えられますし、また、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法の関係は、これはいわゆる裁判所間の司法共助でございまして、主としては公判段階における証拠について共助を行うということで、国際捜査共助法の捜査段階における証拠を収集して提供するというものとやはり面が異なるように思います。
○宮崎正義君 第一条ノ二の五号の「嘱託裁判所所属国カ受託事項施行ノ為要スル費用ノ弁償ヲ保証シタルコト」というのがありますが、これは事例としてどのようなものがありましたか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) これは訴訟書類の送達の費用等の問題と思いますが、そういった費用につきましては、嘱託をした裁判所の所属国の方から費用の支払いを受けております。
○宮崎正義君 ロッキードなんかの問題というふうなことにはどうなんでしょうか、その関係性といいますか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 費用の面について申しますと、これはわが国の方からその費用を支払ったという関係になっております。
○宮崎正義君 細かいことを聞こうと思いましたけれども、時間がございませんのでこの程度で結構でございます。どうも御苦労さまでございました。 次は、刑訴法百九十条の御説明を願いたいと思うんですが、刑事局長お願いします。
○政府委員(前田宏君) 刑事訴訟法の百九十条でございますが、「森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。」というのが百九十条でございまして、この趣旨はここにもありますように「特別の事項」、つまり特殊な行政分野につきましてその担当職員をして司法警察職員としての職務を行わせることが適当であるかどうかというような観点から、それぞれの分野につきまして必要に応じて法律でこの司法警察職員として職務を行うべき者を定めておるわけでございます。 これはいま申しましたように、そういう特殊な行政分野でございますので、その担当職員がその分野で職務執行上犯罪を認知する場合が多いということ、またそういう担当職員はその分野につきまして特殊専門的な知識を持っておるわけでございますので、そういうものが捜査をすることが捜査上便宜であると、こういうような理由からこういう制度が設けられたものというふうに理解しております。
○宮崎正義君 今回のこの法律案では提案理由の説明にも、その二からずっとその三、その四というふうにずっと司法警察職員の者が捜査をするというのが基本のようになっておるわけでありますが、この司法警察職員等指定応急措置法というのがございますが、法制局の方見えておりますか。この説明をひとつしてもらいたいのですが。
○政府委員(関守君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問がありました司法警察職員等指定応急措置法でございますが、第一条で、ただいま法務省の刑事局長からお話のございました刑事訴訟法百九十条の司法警察職員の関係の定めとして書いておるわけでございますが、「森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、他の法律に特別の定のない限り、当分の間司法警察官吏及び司法警察官吏の職務を行うべき者の指定等に関する件」「の定めるところによる。」としているわけでございまして、その「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」では、たとえば営林局署勤務の農林事務官等でございますとか、鉄道関係でございますとかいう職種が定められてございますし、「他の法律に特別の定」というのに、たとえば海上保安庁の海上保安官でございますとか、麻薬取締官とかそういうような者が定められておるわけでございます。
○宮崎正義君 それは条文を読んでいけば私もわかるわけでありますが、「その他特別の事項について」ということもありますし、それから「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」というのが同じ昭和二十三年に法改正がなされております。この法律の御説明を願いたいと思います。
○政府委員(関守君) 最初の「特別の事項」と申しますのは、先ほど刑事局長からも御説明申し上げましたけれども、それぞれの官職、各それぞれの業務分野と申しますか、職務分野で、その人たちが犯罪について捜査をすることがふさわしい、適当なような分野という意味で、「特別の事項」ということをそう言っているわけでございます。 それから「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」につきましては、先ほど申し上げましたように、この中で第三条というのがございまして、多少古い規定でございますので、当時のいろいろなたとえば「二等又ハ三等ノ帝室林野局出仕」とか「監獄又ハ分監ノ長タル者」云々とか、「営林局署勤務ノ農林事務官及農林技官」とかいろいろな職種が定められておるわけでございます。
○宮崎正義君 古いとおっしゃって、中の条文一つずつ読んでみてくださいよ、何と書いてあるか。現在の法律に適応しているか。現在のその法令、いろんなたとえば法務省が法務庁になってみたり、ずっと一項から一号からずうっと説明していただけば古い法律どころじゃないと思うんです。法制局が法改正をしていくのは現在の実情と即応をしているような条文ですか、どうですか、これ。私が読み上げるまでもないですよ、これ。一号は「二等又ハ三等ノ帝室林野局出仕」、二号、三号、四号とずっとありますね。いまこのようになっていますか、それを聞いているんですよ。この法律が生きているんですか。字句が違うだけですか、どうなんですか、これ。ずっと読んでみてどう思われますか、それを私は伺っているんですよ。と申し上げますのは、結局司法職員の共助には欠くべからざる者の法制なんですよね。そうすればこういう立場の人たちがどうすればいいんですか。
○政府委員(関守君) 確かに御指摘のように古い法律でございますけれども、これは司法警察職員等指定応急措置法におきましても「当分の間」ということで応急措置としてこの従来の指定等に関する件というものを使ってきているわけでございます。それが今日まで及んでおるわけでございまして、その間確かにいろいろと制度の変遷がございまして、ぴったり当てはまらないものも確かに御指摘のようにございます。ただ、「営林局署勤務ノ農林事務官」というようなものはいまでもこれは使われ得るものと思いますけれども、いずれにいたしましても、それではどうすべきかという立法政策の問題になりますと、政策当局の方からお答えいただかないと私どもではちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
○宮崎正義君 当分の間とおっしゃいますけれどもね、二十三年から今日に及んで当分の間ですよ。三号なんかは「法務庁事務官」となっていますね。これは字が違っているんだと言うんだったらそれっきりなんですよ。これずっと見ていきますと適合されているのかどうかということなんですよね。したがいまして、これは一つの問題点でもございますが、先日も法例のところで第一条の、ちょっとそこをお開き願いたいのです。 法例第一条。第一条の二項ですね、「台湾」がありますね。「台湾」がございますでしょう。その時分は「沖繩県」というのは戦後はないはずですよ、いまでこそありますけれどもね。いずれにしましても沖繩にしましても台湾にしても変わっております。そういうものが改正されてないと同じように、いまもこの条文見ていきますと相当古いものがそのままになっているという、それが基本法になっていくんじゃ困るということを私は申し上げたいわけなんですよ。早速この辺は御検討願いたいと思うんです。これは法務大臣も、前回申し上げまして、閣議でこういう問題については極力是正するようにすると御答弁なさいましたが、また今度はこういう問題が出てきている。これをごらんになればいいですよ、「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」、これをずっとお読みくだされば、直さなきゃならないところがどのぐらいあるかということがおわかりだと思うんですよ。こういうことを申し上げて、どうですか、法制局の方、お考え伺って、あなたの方のことは終わりにしたいと思いますが。
○政府委員(関守君) 私ども、政策立案の当局でございませんので、確かなことを申し上げかねる立場でありますことを御了承いただきたいのでございますけれども、関係のところとも相談をしてみたいと思います。
○宮崎正義君 立案当局と違うんだと言ったって、私がお呼びした以上は指示しているわけですから、前もってちゃんと心づもりをしておいでになるのがあたりまえだと思うんですよね。そういうことを申し上げておきたいと思います。まだほかにもありますよ、ほかの法律の条文の中にも大分あります。きょうは私は指摘しませんけれども、どうかその辺をひとつ留意なさって、いま御答弁がありましたように取り計らいをお願いいたします。どうぞお帰りくださいませ。御苦労さまでございました。 次は、本法が円滑に運用されるためには、関係国との間における現行の刑事司法制度の問題やそれから刑事法規が類似していることが好ましいと思われるわけですが、国と国との法制上の相違などは、この法律を制定されるまでにはお考えになったと思いますが、国と国との間の、わが国とよその国との間の法制上の調和の処置なんかも考えなきゃならないと思うんです。 たとえてみれば死刑廃止論、死刑を廃止している国、わが国は死刑制度というものを持っている。そういうふうなことを考えてみまして、こういうふうな法制上の調和ということも相当論議されてくるんじゃないかと思われるんですが、この点いかがでございますか。
○政府委員(前田宏君) 刑法の分野で申しますと、基本的には外国と日本とでそう違いはないと思いますけれども、いま御指摘のように、死刑の問題一つ取り上げましても、廃止をしている国もあるし存置をしている国もあるし、いろいろと分かれていることは事実でございます。ただ、それを全世界統一されれば理想的であるかもしれませんけれども、やはりそれぞれの国情あるいは従来のいきさつ、いろいろとございまして、なかなかそれを全世界統一するということも実際問題としては困難ではないかというふうに思われるわけでございます。その場合、たとえば国連等でいろいろと会議等もございますので、そういう世界の趨勢というようなものをそれぞれの国が踏まえまして、なるべく共通のような考え方にしていくということは考えられることでございますけれども、やはりそれぞれの国の特殊性と申しますか、国情等もございまして、なかなか簡単にはいかないのではないかというふうに思うわけでございます。
○宮崎正義君 大臣、死刑制度廃止論についてどういうふうな御所見を持っておられますか、この際ちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 死刑の存廃に関しましてはたくさんの議論が行われておるところでございますが、わが国でも、刑法の全面改正を検討いたしてまいりました法制審議会の答申によります「改正刑法草案」におきましても死刑を存置いたしておるわけであります。 一国の刑政につきまして責任を負います立場におります法務大臣といたしましては、この問題について国民全体あるいは多数がどう考えておられるかを十分尊重して態度を決定すべきものであると存じますけれども、私の見るところによりますと、国民の大多数は現在極度に凶悪な犯罪を犯した者に死刑を科することを正当であると考えて、しかも死刑は、凶悪犯罪の抑制に特別な効果があることを信じておるものと思われます。したがって、いま直ちに死刑を全面的に廃止するということは適当ではないんではないか、このように存じておる次第でございます。
○宮崎正義君 この問題についていろいろ話し合いをきょうはしたいと思っていたんですが、時間がなくなりましたので、きょうは割愛もやむを得ないのでございますけれども、昨日の朝日新聞に死刑廃止論ということを三面で述べられている記事がございました。お読みになりましたか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 拝見しました。
○宮崎正義君 御所見は。
○国務大臣(倉石忠雄君) いろいろ考えさせられるところもございますけれども、私はやはり、先ほど申し上げましたように、またいろいろこのことについてアンケートをいたしましたときの回答を見ましても、廃止した方がいいというのが二一%、廃止の必要はないというのが五七%で、何とも言えないというのが二二%でございます。これは総理府の行いました調査の統計でございます。
○宮崎正義君 あったた方がいい、やや多いようですね。わからないのが二二%ですから、四〇、大体同じようなことだと思うんですが、これは別としまして……。 本題に入っていきますけれども、御説明の中に、「航空機疑惑問題等防止対策の一環をなすものでありまして、」とありますが、刑事局長、本法がこれで例の航空機疑惑問題の防止策の一環となりますかね、どうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 本法案の提案理由説明でその点に触れているところでございますが、その趣旨は、昨年になるかと思いますが、航空機疑惑問題等防止対策に関します民間有識者を含めた協議会というものが内閣に事実上の機関として置かれまして、そこでいろいろと防止対策が御検討されたわけでございます。その際に、国際的な捜査共助というものも広い意味での一環と申しますか、対策の一つとして考えるべきであるという御提言の中にそういうことが触れられておったことでございまして、そういうことから提案理由でもその点に若干触れたわけでございます。確かに直接的なことではないかと思いますけれども、ロッキード事件あるいはいわゆるダグラス・グラマン事件等の経験に徴しますと、ああいうことが二度とあっては困るわけでございますけれども、万一ああいうことがございました場合に、またあるいは類似の事件等もございました場合に、わが国から外国に対していろいろと協力を求めることも起こるであろうと、その場合に国内法が整備されておりませんと、当該外国としては仮に自分の国から日本へ同様なことで協力を求めた場合に日本が協力してくれないではないかと、そういうことでは日本の協力要請に対しても応じかねるというような態度をとられる場合も考えられるわけでございます。したがいまして、そういうことをおもんぱかってと申しますか、それに備えてと申しますか、そういうことも考えましてこういう関係の国内法を整備しておけばわが国から外国に依頼をする場合にも大変やりやすいであろうし、そういうことが回り回ってそういう事犯の検挙処理あるいはひいては防遏というものに役立つであろうと、かように考えているわけでございます。
○宮崎正義君 本法に身柄拘束ということがうたわれていないんですがね。第一条一号の共助、外国の要請に対して当該外国の刑事事件の捜査及び身柄拘束に必要な証拠を提供することをいうと、このように入れていいかどうか——これは私の考えですよ、私の考えでありますが、それから十七条にこの身柄拘束ということを取り上げたらどうなんだということなんですがね。刑事局長さんの御意見とそれから警察庁の方々に十七条に関する身柄拘束というものについての御所見というものを伺っておきたいんです。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの趣旨を若干取り違えておるかもしれませんが、やはり身柄拘束と申しますと犯人の逮捕ということであろうと思います。先ほどのお尋ねで証人の勾引ということは別にございますけれども、いまの御質問は犯人の逮捕ということであろうと思います。そうなりますと、この法案の問題ではむしろございませんで、逃亡犯罪人引渡法の問題であろうというふうに考えられるわけでございますので、その両面、この法案と引渡法と両々相まちまして、身柄の問題、また証拠の関係というものが両々相まちまして国際協力が全うできるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○説明員(水町治君) ただいま法務省刑事局長が申されたとおりでございますが、この法律の趣旨とするところが書類その他のものの外国に対する提供あるいは国際刑事警察機構からの捜査資料あるいは捜査情報の送付の依頼、それに関する協力の手続の規定と、こういうことでございますので、身柄の問題につきましては逃亡犯罪人引渡法あるいはそれの関連法律という形で考えてまいりたいと思います。
○宮崎正義君 これは私は素人ですからわかりませんけれども、身柄拘束ということが即これつながっている問題じゃないかと思うんです。 そこで、警察庁の方にお伺いしますけれども、「よど号」だとか赤軍の逃亡者がいまどういうふうになっている現況か、その情報。 それからICPOの国際手配の種類の中で赤手配とか青手配とかございますね。わが国は赤手配をなぜ依頼をしないのかという、そういうことですね。それらの問題を通じて最近の共助の使用事例といいますか、主なる事例といいますか、たとえばハワイへ逃亡した殺人容疑者、この引き渡しをやったときに飛行機を駐機させておってそれから犯人を拘束して連行したという、そういった事件がございますね。それらのような問題で最近の主要な事例といいますか、そういうことの説明を願いたいと思います。
○説明員(吉野準君) お答えいたします。 「よど号」の犯人あるいはその他の赤軍関係者がいまどこにいるかというお尋ねでございますが、何分海外のことでございますので確とした情報はございませんが、私どもこれまで鋭意情報収集に努めた結果を総合しますと、「よど号」の犯人九人は一応北朝鮮におるのではないかと考えられます。その他の赤軍のメンバーにつきましても、確たるところはございませんが、一応中東方面にいるのではないかというふうに考えております。
○説明員(水町治君) 後段の部分について私の方から御説明さしていただきますが、いわゆる赤手配と申しますのは、国際刑事警察機構の加盟国に対しまして逃亡犯罪人手続を前提として逃亡犯罪人の一時的拘束を要請する国際逮捕手配ということでございます。手配書によって手配されているものでございます。わが国におきましては、先ほども御指摘のございましたように現行法上このICPOを通じます国際逮捕手配のみを根拠といたしまして逃亡犯罪人の一時的拘束を行うという法制がございませんので、わが国から国際刑事警察機構に対しまして国際逮捕手配を行うことを差し控えているというのが現状でございます。この赤手配のいわゆる立法の問題につきましては、先ほども申し上げましたように逃亡犯罪人引渡法に基づきます諸手続との関連におきまして種々検討すべき問題がございますので、関係省庁と十分検討を進めてまいりたいと思います。 さて、一番最後に申されました最近どんな事例があるかという、こういう問題でございますけれども、現在日本で犯罪を犯しまして外国に逃げている者というのが大体百名ぐらいいるんではなかろうかと私どもの調査でわかっております。これらの者につきまして逃げ得は許さない、こういうことで関係ICPO等と連絡を密にいたしまして行方を追ったりその身柄の引き渡しを受けているわけでございますが、たとえば先般ハワイで発見いたしました東京におきます殺人事件の被疑者でございますけれども、この場合は日米犯罪人引渡条約を適用いたしまして、外交ルートを通じてハワイの空港で身柄を受け取って日本航空の飛行機で日本に護送したと、こういう事例でございます。
○宮崎正義君 時間が来ましたので、まだ質問したいことがいっぱいあるんですが、刑事局長、わが国とこの条約を共助していこうという国がどれぐらいいまお考えの中にあるかどうか。それから警察庁の方、赤手配に関連して先ほど私が言いました十七条の問題は話し合いをしていくような形で論議をされていくというふうに思えるわけですがね。ただ単なる今度は逮捕というものが十七条には、今度の法律には含まれていないけれども、将来はどんなふうに考えておられますかね、その点をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げましたようにこの法律案は、外国から協力要請と申しますか、共助要請があることを予定いたしまして、その場合に困らないようにと、あらかじめ用意をしておこうと、こういうことでございますので、具体的にどの国からどういう要請が来るかということはこれからの問題でございます。しかしながら、先ほどもお答えを申しましたように欧米主要国みんなそれぞれ国内法を、似たような国内法を持っておるわけでございますので、日本でこういう法案が成立したということになりますと安心してと申しますか、そういうことで日本に協力を求めてくる場合が多くなるだろうということが一般的に予想されるところでございます。従来、先ほども申しましたようにこういう法律がなかったわけで、実際の措置といたしまして外国からの協力要請に応じてきていたわけでございます。たまたまその事例といたしましては、ドイツでありますとかスイスでありますとかあるいはベルギーでありますとか、そういうところから来た例がすでにあるわけでございますので、この法案を制定していただきますならばさらにそういうところから、またその他の国からも捜査共助の要請が当然あるのではないかと、かように考えております。
○説明員(水町治君) いわゆる赤手配によります逃亡犯罪人の一時的拘束の立法化の問題でございますけれども、欧米諸国におきましては根拠法規はさまざまでございますが、何らかの手当てがなされておるというのが現状でございます。したがいまして、そういう欧米諸国と同じような手続が日本にもあっていいのではないかと、こういう議論は当然あり得る議論でございまして、私どもも現行の逃亡犯罪人引渡法に基づきます諸手続との関連において検討すべき問題もございますので、関係省庁と十分協議を進めてまいりたいと思っております。
○宮崎正義君 まだそのほかございますが、私の質問はきょうはこれで終わりにいたします。 どうも警察の方御苦労さまでした。
○橋本敦君 まず最初に、外国人登録法の関係からお伺いをします。 わが国に在留する外国人に対してどういう法制をわが国が持っておるかという問題については、わが国の自由と民主主義ということが本当に世界に開かれておるかどうかということとも関係して、在留する外国人の地位や権利を保障する上で非常に大事な問題ですね。そういう観点で見ますと、現在の外国人登録法には、かねてから言われまして問題にはなっておりますが、私もやっぱり余りにも治安立法的、取締法的要素が強過ぎはしないか、そういう感じを深く持っているわけであります。 たとえば一つの問題で、登録証の常時携帯ということが先ほども議論になりました。これを呈示しなければ不呈示罪で一年以下の処罰で刑を受けなくちゃならぬという、こういう刑の重さもこれもまた私も大変重いと思います。たとえば警察官が職務質問をいたしますね。そうすると、その職務質問はあくまで任意な問題ですから、これに対してどう応答するかということについては職務質問を受ける側において判断できる問題ですが、その場合私どもは、氏名を聞かれてもあるいは何らかの所持品の呈示を要求されても拒否をする自由と権利がある。ところが外国人についてはその任意質問、職務質問の場合でも呈示をしなければ不呈示罪になるということを考えましても、この点については憲法とのかかわりで問題があるのではないかという意識を私は持っておりますが、この点法務省はどうお考えですか。
○政府委員(小杉照夫君) これは一般論としてお答え申し上げますと、憲法が保障しておりますもろもろの権利につきましては、その性質上、外国人にも保障が及ぶものと、また外国人であるがゆえに及ばないというものと、二種類があるのではないかとまず考えるわけでございます。前者につきましては、外国人も保障されるものである以上はできる限りこれを尊重して、日本人と外国人との間に差異を設けるべきじゃないというふうに考えるわけでございますけれども、また反面、合理的な理由がある場合、ある程度の権利というものが制限されることも、外国人と内国人の本質的な差異に基づいて行われるような権利の制限というものもこれまた十分あり得ることではないかと。これは諸外国の法制等を見ましても、やはり内外人というものが全くすべての場合において平等に扱われてはいないというのが現実ではないかというふうに考えるわけでございます。ただ、その権利を制限するに当たっても、やはり合理的な根拠というようなものが常になくてはいけないのではないかという気がいたします。
○橋本敦君 抽象的な答弁で結論は得ませんが、たとえば具体的に本邦に在留する外国人が犯罪の嫌疑を受けて逮捕をされ、取り調べを受ける。その場合は憲法における刑事被告人の保障の規定、刑事訴訟法における保障の規定、黙秘権を初めとする権利が保障されるというのは、これは当然じゃありませんか。いかがですか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘の点につきましては、当然といいますか、そういうことであろうと思います。
○橋本敦君 だから、したがって事人権にかかわるそういう基本問題について、わが憲法の精神の立場から言えば、外国人だからといって特別の理由で差別するというようなことはちょっと私は基本的には成り立たぬと思いますよ。だから、刑事被疑者として、被告人としてそういう立場に置かれたならば憲法及び刑事訴訟法の保障規定がそのものずばり適用されるだろう。それ以前の段階では呈示義務ということで、呈示をしなかったら呈示義務違反ということになる。呈示義務違反ということで被疑者にされ被告人にされたら、その段階から黙秘権を含む権利が保障される。矛盾があるのですよね。いかがですか入管局長。
○政府委員(小杉照夫君) たとえばこれを外国人登録法との関連で申し上げますと、わが国は自国民に関しましては戸籍制度、それからいわゆる住民登録制度というものを設けておるわけでございますが、外国人に対しましては外国人のみを対象といたします外国人登録制度を設けまして諸般の義務というものを当該外国人に課しておる。違う制度がとられているということ、これ自体が差別になるという御議論ではないと私は存じます。
○橋本敦君 そんなこと言ってません。
○政府委員(小杉照夫君) このような制度が設けられております理由は、結局わが国の場合、近隣諸国からの不法入国者が絶えないというような状況、あるいは現実にわが国に在留しております外国人の非常に大きな部分というものが旅券を所持することなく在留しておられる、非常に特殊なステータスの外国人が多いということ等々、わが国に固有の国情も考慮した上で在留外国人の公正な管理に資するということのために必要な義務を課しておるのが現在の外国人登録制度の本質だろうと思います。そのような意味で、私どもこの制度それ自体合理的な理由に基づきます必要な措置を定めたものという理解をいたしておるわけでございます。
○橋本敦君 幾ら議論しても決着がつかないような感じに思います。私が指摘した一定のやっぱり矛盾的状況があるということはおわかりいただけると思うのですよ。だからしたがって、私は登録制度をなくせとまで言っているのじゃなくて、本邦に在留する外国人の権利と地位をやっぱり憲法に基づいて保障するという立場でこの外国人登録法全体の現在の持っている治安的な取り締まり的な要素というものはできるだけ少なくしていくということに向けて将来検討をすべきだという意見なんですが、この意見について入管局長いかがですか。
○政府委員(小杉照夫君) 実は今回提案申し上げました外登法の一部改正法案はきわめてテクニカルな手続的な面における簡素化、合理化という問題だけを取り扱っておるわけでございますが、私どもといたしましても、かねてから外国人登録法の全般的な見直しということをいずれやらなければならないという認識は十分持っておるわけでございまして、国会その他の場におきまして罰則の問題であるとか、あるいは外登証の常時携帯義務の問題であるとか、いろいろな点が取り上げられておることも私ども十分承知いたしております。現在これらの諸点を含めまして外登法の全面的な見直し作業というものに取り組んでおるわけでございまして、先ほども寺田委員の御質問にお答えいたしましたとおりでございますが、おおよそのめどとして三年ぐらいのうちには何らかの成案を得て国会の御審議を経たいというふうに考えておるところでございます。
○橋本敦君 そういう際にはまたいろいろ議論いたしますが、いま私が基本的な問題として指摘をした意見もひとついまのおっしゃる検討の中で十分検討していただくように重ねて希望しておきます。 法務省民事局長恐れ入りますが、お願いしたいと思います。 外国人の方の帰化の問題が議論に出ておりました。私もこの帰化の問題について二、三お伺いをしたいんですが、大体私が実情を聞いておりますと、帰化申請をするにはそれなりにやっぱり本人自身の決意というものが一つあります。それから、家庭の事情というものが帰化を相当とするという方向に非常に強くなっております。もう一つは、そういう状況の中で帰化申請をいたしますと、早くこの問題について決着をつけてほしいという期待が強いですね。たとえば、子供がいよいよ結婚をする年代になったと、そこで家族全部で相談をして父が帰化をするというようなことをいたしますと、やっぱり結婚するには結婚式までに帰化ということでやってほしいと、ところが一般の国民は帰化という手続、その審査が大変長くかかるということを余り知りませんから、まあ半年ぐらいあれば御審査いただけるかなというような気持ちで結婚式の日取り等も考えながら申請をするというケースを私は弁護士として聞いたりするんですね。 そこで、この帰化については二つの質問をしたいんですが、一つは、どうしても帰化が認められないというそういう具体的な条件ですね、この具体的な条件、これをもう少し外国人の皆さんに早くからわかるような公示の方法がないもんだろうか、これが一つですね。 二つ目には、大体十カ月間ぐらいで審査を終える方針で臨みたいと、こうおっしゃっておりました。私も結構でございますが、そのためには、私も大阪法務局で帰化申請の窓口になっている職員の皆さんと話しましたが、非常にやっぱり人数が少なくて、この調査というのは家庭訪問、職場訪問、関係者からの事情聴取、書類審査に基づいてまた再呼び出しと大変なようですね。だから、窓口事務の促進のためにも人員強化という問題は必要ではないかと思ったりいたしますが、この二点について局長のお考えを伺いたい。
○政府委員(貞家克己君) 最初の御質問でございますが、どうしても許可できないという場合はこれはやはりあるわけでございまして、一番端的に申しますと、法律上居住要件を欠くというような条件でございますと、これは非常に明確でございます。また、素人の方にはおわかりになりにくい場合もあるわけでございますが、日本の国籍を取得することによって外国の国籍を失うという証明といいますか、その要件でございますが、こういった点につきましては窓口におきまして十分御説明を申し上げているつもりでございます。それ以外に素行が善良というような要件がこれが事実上相当なウエートを占めているわけでございまして、これは要件をあらかじめ基準を示して公示をした方がよろしいのではないかという御意見ももちろんあるわけでございますけれども、これはいろいろ一定の前科がございますと、機械的にこれはだめだというようにはねつけるわけにもまいらないケースがあるわけでございます。 一番適例と申しますのは交通事犯でございまして、これにはいろいろ罪質に軽重の差がございますし、また被害者がどういう気持ちでいるか、被害者が宥恕しているかどうかというような点もあるわけでございます。これは業務上過失致死傷のような場合でございます。そういうようなことがございまして、できる限り統一的に、法務局だけの判断ではなしに、本省におきましてこれを十分審査いたしまして、横並びと申しますか、アンバランスが生じないように気をつけているつもりでございますが、こういったやや裁量的な余地のある問題については必ずしも適切に、事前に予告をすると申しますか、公示をすると申しますか、そういったことが困難な場合もございます点を御了承願いたいと思うのでございます。 第二の期間の点でございますが、これは先ほど宮崎委員の御質問に対して御答弁申し上げましたとおりでございまして、率直に申しまして、東京、大阪、名古屋、横浜というようなところでは、私どもがこうありたいと思う期間よりも相当長期間かかっております。十カ月程度というのをめどにしておりますけれども、やはり一年あるいは一年ちょっとかかるという例も決して絶無ではございません。ただ、たとえば入学でございますとか、近く結婚をするというような事情がございました場合に、これはこちらと申しますか、当局側では積極的に知る由もないわけでございますが、お申し出がありました場合には、できる限りそれに間に合わせるようにいずれかの結論を出すという方向でやりたいと思っておりますし、現にそういうお申し出がありまして、そうなりますと多少順序を狂わすというようなことにもなるわけでございますけれども、せっかく許可するのに時期がおくれて何にもならないという——何にもならないと申しますか、所期の目的が達せられなかったというようなことが間々ございます。これを一カ月前にやっておいてくれれば、こういうことができたのにというようなことがございますので、私どもは決してそういった希望を無視して機械的に順番にやるんだというようなかたくなな態度はとっておりません。ただ、そういう方が非常にたくさんになりますとその間でまた順序という問題がありますので、これはなかなかむずかしいことではございますけれども、私どもではできる限りそういった御要望を十分考慮したいというふうに考えております。 それから、これの国籍関係、帰化関係の処理に当たる職員の問題でございますが、これは御承知のとおり法務局またはその支局において扱っておるわけでございますが、近年、登記関係の事務が非常に負担過重になっておりますので、どうしてもとかく国籍、戸籍というような面にやや人員等の面で弱くなると申しますか、しわ寄せが来るというような現象、これはやはり完全に否定するわけにはまいりません。しかし、私どもは確かに登記事務が目に見えては非常に大変でございますけれども、重要性から申しまして戸籍あるいは国籍、ことに国籍というような事務が劣るというふうにはこれは絶対に考えられないわけでありまして、実情に応じまして国籍部門にも十分とは申せませんけれども、あとう限り執務体制を強化するように各法務局に対してもそういう指示をいたしておるわけでございまして、非常に人員が全体として不足しておりますので、事務がたまりがちでございますけれども、そこはひとつ各局努力をしてもらいまして、帰化の事務の少しでも早く処理できるようにということを常々心がけている次第でございます。
○橋本敦君 わかりました。 で、一つの例ですけれども、帰化の申請をしますと本人はそれでもう日本の国籍をもらって、日本になじんできたその上に、日本人として本当にこれからがんばっていくんだと家族もろともそういう生きがいと気持ちを持つことが多いですね。私ちょっと新聞で見まして、ジェイシー・クハウルハと言ったら局長もだれのことかおわかりにならぬと思うんですよ。これは高見山大五郎のことなんですね。彼が去年の九月に帰化申請して、早くそれを認めてもらいたい。「日本人になったら、ヤマトダマシイで四十歳までスモー取る。みててネ」と、こう新聞に出ている。一生懸命日本という相撲の古いしきたりの中でがんばってきたし、がんばろうと思っているんですね。きのうも私たまたまテレビ見ていたら、あの大きな体でころっと負けておりまして、子供にとってはころっと負けても強い高見山、両方人気があるんですね。去年の九月に申請をしておりますから、もうそろそろ何らかの御判断が出るころではないか。そしてまた本人の気持ちや、子供たちに人気がありますから、この高見山が日本人として元気で相撲取ってもらいたいと子供たちのファンが思っていることを考えますと、彼の今日までの生活歴、経歴から見て、これはもうそろそろ許可をしていただく時期に来ているんじゃないかというように私思ったりするんですが、いまの十カ月のお話もございまして、どういう状況にいまなっておりましょうかね。
○政府委員(貞家克己君) 具体的なケースでございますので、正確な予定はちょっと申し上げにくいのでございますが、アメリカ国籍を持っておりますジェイシー・ジェイムス・クハウルハ氏ですか、この方と長男、長女の三名が昨年九月帰化の申請をいたしております。このケースにつきましては必要な資料その他非常に協力的に提出をしていただきまして、またそれが可能であったわけでございますが、非常に順調に調査が進んでおりまして、現在私どもの法務本省の方で最終的な検討をいたしているという段階でございまして、遠からず結論を出すという段取りになっております。
○橋本敦君 わかりました。 できたら、いま相撲やっておりますから、今場所じゅうにでもひとつやってやっていただきたいということでお願いしておきましょう。 さてその次は、犯罪共助法の関係の質問をいたします。民事局長ありがとうございました。 この問題で、一つにはやっぱり政治犯の問題がございます。この政治犯の問題につきましては例の逃亡犯罪人引渡法の分野、あの分野では政治犯を除外する。これは絶対的制限事由ということで確立した慣行ということに私はなっていると思いますね。この政治犯の除外というこの確立された慣行は今回の共助法についても同じような立場で貫かれると、こういうことで間違いございませんか。
○政府委員(前田宏君) ただいまのような御意見と同様な考え方で立案をしたつもりでございます。
○橋本敦君 もっとも近年はたとえば赤軍派の左翼暴力事件等、私どももあれは政治犯ということで除外すべき事件ではないというふうに考えて追及すべきだと思っておりますが、凶暴なテロあるいはああいうハイジャック事件、こういうことにつきましてはICPOの方でも政治犯ということでは除外しないというたてまえで進んでおられると聞いておりますが、いかがですか。
○説明員(水町治君) お説のとおりでございます。
○橋本敦君 今度この共助法ができまして、逃亡犯罪人引渡法と、そしてこの共助法とのセットでの合理的な運用ということがこれからの課題に私なってくると思うんですね。そういうような合理的な運用ということを進めていくということで具体的に検討しますと、たとえばダッカのハイジャック事件ございました。あの事件の今後の捜査の見通しなり進展なりが期待できるかどうかという点になりますと、いかがでしょう。
○説明員(吉野準君) お答えいたします。 いわゆるダッカ事件の犯人はアルジェリアまで逃げまして、その後はっきりした行方はわからないんでございますけれども、現在までの情報を総合しますと、中東方面にいるということだけはわかっているわけでございます。私ども関係各国ICPO等を通じまして情報の収集と、それから被疑者の逮捕でございますが、このために全力を尽くしているわけでございまして、一応この今回の国際捜査共助法とは別に捜査を推進しているところでございます。
○説明員(水町治君) 本立法によりまして外国のこの種事件の捜査にわが国として協力することは十分可能になりますので、この立法を認めていただけますと、今後日本赤軍関係者によりますハイジャック事件、その他テロ行為等々につきます捜査につきましても関係国の協力が十分得られていくものと期待しております。
○橋本敦君 たとえば赤軍派の重信という女性がありますね。彼女にあるところで面会してきたという人の記事が週刊誌に載ったりする。そういうことを週刊誌の情報だけに頼るわけにいきませんが、この共助法ができた今後の方向としては、赤軍派の足取りがつかめたら、そこへ資料収集なりあるいはそれと会った人がわかれば証人喚問の請求をするなり、一段と具体的な捜査を進めるという手だてを総合的に検討でき得るんじゃないかと私は期待するんですがね、そういう考え方はいかがですか。
○説明員(水町治君) 先ほども申し上げましたとおり、従来からも私どもとしてなし得るすべてをやってきたわけでございますが、この法律をお認めいただけますと、さらにその活動が活発になり、諸外国の協力が一層期待できるのではないかと考えております。
○橋本敦君 そこで、具体的にどういう協力をどこの国に求めるか、今後とも具体的な検討を重ねていただきませんとね、いまここで何をやるというわけにはいかぬと思いますが、積極的にやっぱりせっかくできた法律ですから、運用の妙を得て悪質な犯罪の国際的な取り締まりを強めてほしいと思いますね。 刑事局長に伺いますが、例の小佐野ルートの公判で浜田幸一氏にも関連をいたしますけれども、検察官はサンズホテルのリチャード・G・ダナーですか、副社長、それからハリー・グッドハート、これはホテルカジノの支配人、それからジョン・ティヒスタ・カジノ貸付支配人、チャールズ・ハーシュ同ホテル管財人、こういった人たちを証人申請をしたそうですが、この経過はいまどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(前田宏君) お尋ねのいわゆるサンズホテルの支配人等に対する証人喚問でございますが、この証人尋問請求の趣旨は申し上げるまでもないと思いますけれども、サンズホテルに対する百二十万ドルの債務、その支払い保証、またその債務が順次弁済されてきたという関係の事実を立証するためでございまして、去る四月の十日の公判で請求が検察官からなされて、裁判所で採用の決定があったわけでございます。その後の手続でございますが、裁判所のことでございますので、問い合わせしましたところ、四月の二十九日に東京地裁が証人に対しまして、いわゆる外交ルートを通じて出頭方、つまり召喚状の送達依頼をしたと。出頭期日は一応この前も決定になりましたように六月十九日の期日に出頭するようにという召喚状の送達手続をしたということでございます。ただ、この召喚状の送達手続につきまして証人側の回答、これはまだないようでございまして、この点がはっきりしないように聞いております。
○橋本敦君 その召喚状が送達されたということまでわかりましたが、六月十九日の法廷に証人が出頭しないという拒否の意思を表明するという事態が起こった場合に、検察庁としてはどういう手が打てますか。
○政府委員(前田宏君) いま申しましたように、まだ証人側の方でどういう対応をするかということがわからないわけでございますので、来ないことを前提にしてどうするということもこの段階ではいかがかと思うわけでございますし、またその場合、もし仮に来ないとなりました場合にどういうふうに対応するかということになりますと、これはいわばこの公判の訴訟技術と申しますか、一種の法廷戦術と申しますか、そういうことにもなってくるわけでございまして、それに対してまた被告人側がいろいろと争うというようなことも想定されるわけでございますので、そういう意味も含めましてこの段階でどういうふうなことを検察官側が考えているかということを申し上げるのは、できれば差し控えさしていただきたいということでございます。
○橋本敦君 法律的な手だてとしてお伺いをしたかったんですね。たとえば国内の事案ですと、私どもは刑事訴訟法の規定に基づいて判断ができます。しかし、証人がアメリカにいるわけですね。だから拒否をした場合に検察官がこの方法をとるかどうかはまだ検討中で未決定で結構ですが、法律的の手だてとしてはこういう方法が証人をあくまで喚問するためにとれる、あるいは証人喚問にかわってたとえば向こうの裁判所に嘱託尋問というような方法もあるかもしれませんが、そういう方法もとれるとか、手だてについて御説明いただきたい、こういう意味です。
○政府委員(前田宏君) そのことも仮定論になりますので適当かどうかと思うわけでございますが、いま仰せになりましたようなことも一つの方法だと思いますし、また証人が仮に来ないという場合に、当初取り調べ請求をしました書証の扱い方ということも一つの問題になるんじゃないかというふうに考えております。
○橋本敦君 わかりました。 書証の扱い方については刑事訴訟法の規定の解釈と運用からいくわけですね。
○政府委員(前田宏君) 理屈としてはそのとおりでございますが、裁判所の御判断にもかかわることでございますので、私の方から直ちにこうなるという結論は申しかねるわけでございます。
○橋本敦君 仮に裁判所が嘱託尋問を行うとしますと、今度の共助法が成立したという規定は有利に働きますか。
○政府委員(前田宏君) 直接的な関係はないわけでございますけれども、先ほどもダッカ事件等についても応答がございましたように、やはり国際協力ということが一層推進されるという環境づくりといいますか、そういうことができるわけでございますので、そういう意味ではプラスになる面があろうかと思います。
○橋本敦君 債務名義はK・ハマダということですね、保証人が小佐野。その債務名義の本人であるK・ハマダ、これはいまや浜田幸一氏であることはもう明らかになっておりますが、彼をこの事件の債務を生じたということについて証人申請を検察官がおやりにならない理由は、現在立証しておる方法によって十分立証できるということだけですか、それとも何かほかに理由がありますか。
○政府委員(前田宏君) 私の理解しておりますところでは、いま仰せになりました中でもございましたように、あの事件におきます二十万ドルの受領事実の裏づけ事実としてのこの前の冒頭陳述の補充訂正の事実、この事実を立証するためにはこの前の証拠申請をした証拠、それが一部不同意になりまして証人申請という形になっておりますけれども、それを含めた証拠の取り調べ請求ということによって実現可能であるというふうに理解しておるものと思っております。
○橋本敦君 しかし、あのロサンゼルスでの金の受け取りに絡んでその背景を含む事情を徹底的に明らかにしようとすればK・ハマダ氏に対する事情聴取あるいは証人申請という問題はこれは必要になってくる事情が私はあるんじゃないかと思いますよ。たとえば小佐野がロサンゼルスで金を受け取った、何も知らないのに突然受け取ったということにはならないわけで、児玉がロッキード社に小佐野が行くから小佐野に自分が支払いを受ける分について、この金は小佐野に支払ってやってもらいたいという連絡があるわけですね。ということは、小佐野も児玉からこのようにするから現地で受け取りなさいという、こういうことの話し合いがあって行っている、こう考えるのがこれは常識ですね。だからしたがって、児玉と小佐野にどういう話し合いがあったのかという問題も、一つはこの事件を直接に立証する非常に近い事実だと私は思いますが、その児玉と小佐野との間でどういう話し合いがあったかという点については、具体的にどこでどんな話があったんですか。
○政府委員(前田宏君) あるいは御質問を取り違えているかもしれませんけれども、いまおっしゃいましたように、二十万ドルの受領につきまして児玉氏と小佐野氏との関係ということは問題になりますけれども、浜田幸一氏あるいはK・ハマダと言われている、そういうふうに評されている人、それとの関係は当面つながりはないのではないかというふうに思うわけでございます。
○橋本敦君 しかし、浜田氏は児玉氏と深い関係にあり、小佐野氏とも深い関係にあるというこの状況については、これはもう公知の事実ですよね。だからしたがって、浜田氏がそういった関係にもどういう役割りを果たしておったのかあるいは果たしていなかったのか、これは調べる必要がありますよ。これは浜田氏を呼んでお調べになりませんか。
○政府委員(前田宏君) 前々から申しておりますように、この小佐野ルートの公判での現段階での争点と申しますか、それは二十万ドルの授受があったかどうかということでございまして、その裏づけとしてつまり二十万ドルの使途がどうであるかということとして初めてサンズホテルへの支払いということが出てきたわけでございます。したがいまして、そのまた背景の背景としていま御指摘のようなことは関係はないとはもちろん申せませんけれども、この小佐野ルートにおきます当面の争点、当面の立証事実ということをまず解決するのがこの公判の一番の問題点でございまして、その背景というものにつきましては、またその公判の推移に応じましてもし必要が起こればまたそのときのことでございますけれども、現時点におきましてはそこまでは直接関係がないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○橋本敦君 K・ハマダ氏を検察庁は呼んで事情を一応聞いたという事実は、これは間違いないですか。
○政府委員(前田宏君) お尋ねのようなことに対しては従来からだれをどういうふうに調べたかということは、捜査の秘密という問題もございますし、人権の問題もございまして、お答えを控えさせていただいておるわけでございます。したがいましで、いまのお尋ねに対しましても直接お答えはいたしかねるわけでございますけれども、その点に関しましていろいろと報道等もあり、また当該の方が記者会見等もされておるわけでございまして、そのことにつきまして、それまでもあえて否定するというものではございません。
○橋本敦君 否定はなさらないということはわかりますが、今後とも呼んでお調べいただくという必要は私は事案の進展によっては出てくる可能性は強いと見ているんですね。話題を変えますけれども、浜田氏はかけマージャンをやったということを盛んにサンデー毎日でも言ったり、新聞記者との会見でも言っておりますね。あのかけマージャンというのは、日本の国で言ういわゆる賭博罪の賭博に該当するのかどうか、この点についてはすでに古い事案ですけれども、昭和六年の大審院の判例がございまして、刑事局長も御存じと思いますけれども、マージャンというのは一定の技量、これが左右するものではあるけれども、しかし、そういった「技術ノ優劣経験ノ深浅ニ関係スル所ナキニ非スト雖其ノ勝敗カ主トシテ偶然ノ事項ニ基クモノナルコト亦公知ノ事実ニ属ス故ニ」、こういうようなことで、こういうかけマージャンについても賭博罪が成立すると大審院は判断をしている。この事案を見ますと、一点を金一銭、こういうことでかけて、こういうことの約束のもとで「麻雀牌ヲ使用シ麻雀遊戯ノ方法ニヨリ輸贏ヲ争ヒ以テ賭銭賭博ヲ為シタルモノナリ」、こう判断しておりますね。かけマージャンというのは、こういう意味では賭博罪に該当するというお考えはこれは間違いございませんか。
○政府委員(前田宏君) 一口にかけマージャンと申しましてもいろいろと程度、内容もあろうかと思うわけでございまして、遊戯の程度にとどまるものも含まれておるわけでございますから、全部が全部賭博罪になるとは思いませんけれども、賭博罪になり得る場合もあり得るであろうというふうに思います。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま加瀬完君、阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君及び片岡勝治君が選任されました。 —————————————
○橋本敦君 遊戯の程度とおっしゃいましたけれども、いま私が指摘した大審院判例では一点に一銭をかけているわけですね。昭和六年当時の一銭というのはかなり値打ちもあるでしょうけれども、私は葉たばこ一厘事件のようなことを申し上げるつもりはないですよ。ないですけれども、しかし、少なくとも賭博罪ということに該当するということはこれは大審院判例でもはっきりしている。 そうしますと、浜田幸一氏がかけマージャンをやったやったとあれだけあっちこっちで言っておるんです。浜田幸一氏を呼んでお調べになったことも検察庁はある。この事実は私はやっぱり国民から見ますと、国会議員はかけマージャンをやって、あれは本来は刑法上賭博罪が成立するんだけれども、検察庁は何にも調べないでほっておくのかという不信感もありますよ。私はこの事実について、浜田氏が自分であっちこっちで言っておるんですから、検察庁が呼んでお聞きになって、そしてかけマージャンというのは賭博罪に該当するかしないかお調べいただくことが政界浄化の上でも今日のやっぱり浜幸氏をめぐる問題を一歩解明していく上でも大事だと私は見ておるんです。そういう御意思はありませんか。かけマージャンをやったやったとあれだけ言っておるんですよ。公務員は犯罪があると思量したら告発せにやならぬと刑事訴訟法に書いてあるけれども、刑事局長は告発どころか自分で捜査権を持っているわけだから、呼んで聞いたら早いですよ。いかがですか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘のような報道等があることはもちろん承知しておるわけでございます。その報道が全く虚偽だとかいうことを申すつもりはございませんわけですが、確かにかけマージャンという言葉は使われておりますけれども、その程度でございまして、内容的により具体的なお話は受けていないようでございます。また報道でございますから信用しないというわけじゃございませんけれども、まあいわば伝聞でもあるわけでございますし、内容が率直に申し上げて漠としているというきらいが大きいわけでございます。そういうことになりますので、もちろん捜査当局といたしまして犯罪の疑いがある場合これを放置しておくということは適当でないわけでございますけれども、いまのような漠とした情報程度で国会議員の方がそういう賭博罪をやっているという疑いを直ちに持つということもいかがかという気もするわけでございます。特に賭博罪全般でございますけれども、現行犯でつかまる場合はよくございますが、いわゆる非現行の場合にはなかなか内容の立証、日時の確定というようなものも困難な点もございますし、あれこれ考えますと、もう少しより正確な情報が得られました上でなければ犯罪捜査としては着手するのはいかがかというような感じを持っておるわけでございます。
○橋本敦君 わかりました。 軽々に捜査権を発動するというのはいいとは私も言いませんけれども、だからより正確な情報とおっしゃった。私それは正しいと思うんです。だから、より正確な情報を得る道は二つあるんです。一つはこういうような捜査問題についてはいろんな情報から捜査を、初動捜査を開始することだって常道ですから、浜田氏を呼んで聞くという方法があるんです。もう一つは、国会で浜田氏を証人喚問いたしまして、その証人喚問の中で彼は何もかもぶちまけると、こう言っておるんですから、そこで出てきた浜田氏の証言いかんによってはそのかけマージャンの問題がもっと詳しく証言されるでしょう。そうした場合には直ちに捜査に着手し得るようなそういう状況もあり得るということでしょう。いかがですか、正確な情報という意味では。
○政府委員(前田宏君) 犯罪捜査一般のことでございますから、どういう手法を用いてやっていくかということになりますと、それ自体が捜査の秘密というか、密行性にも関係することでございますので、どういう方法が適当かということにつきましてここで申し上げるのはいかがかと思うわけでございます。 なお、証人尋問のことにつきましては、これは当然国会で御判断の上で御決定されることでございますし、それでどういうようなことに相なるかということも私どもとしては予測しがたいことでございます、少なくとも現段階におきましては。そういう意味で、恐らく捜査当局におきましては情勢をいろいろ見ておるというのが実態ではなかろうかと思います。
○橋本敦君 ですから、証人喚問の証言結果によっては、直接かけマージャンが賭博罪が成立する疑いが濃厚となって捜査をおやりになる有力な資料となり得ることもあるでしょうと、こう聞いているのです。そんな、あたりまえのことじゃないですか。
○政府委員(前田宏君) それはもう当然のことでございまして、何かいろいろな方法によりまして、いまのような御指摘の点も含めて捜査の端緒が得られましたならば捜査ができるということは当然でございます。
○橋本敦君 したがって、だからいろいろな意味で浜田幸一氏の証人喚問はいよいよ重大だと私は思いますね。私どもは強くこれを要求して進めたいと思います。 そこで次に、KDDの捜査問題について私もどうしてもお聞きしておきたいのですが、寺田委員もお聞きになりました。衆議院でもあるいは参議院の各委員会でもこの問題が刑事局長その他に聞かれまして、大体捜査はもう終結に向かったと。この問題についてあのKDDの経緯を考えますと、交際費だけで六十億円前後、そうして何千万という商品券が買われている、そうして政治家に対するパーティー券購入の事実、これも出てきておる。これが政治家との関係で捜査が一指も触れられずに終わるというそのことの基本的な理由は一体どこにあるのですか。たとえば、一つは商品券があったけれども、社交的儀礼の範囲にとどまると見たというのか、あるいは国会議員との関係で職務権限が全くないというように判断せざるを得なかったというのか、どういうところにこれだけの事件が、政界に捜査の手が伸びないで終わろうとしているのですか、はっきりその点を私は伺いたい。
○政府委員(前田宏君) いわゆるKDD事件の捜査につきましては、いまも仰せがございましたように、捜査としては終局に向かいつつあるというのが率直な感じであろうと思います。しかしながら、まだ若干の未処理の問題も残っておりますし、警視庁警察当局におきましては補充捜査のみならず未解明の分野についてなお解明を続けておるというふうに聞いておるわけでございます。そういうことでございまして、私どもといたしまして検察当局からもまだその事件の最終的な報告を受けていないわけでございます。したがいまして、いまお尋ねのように、どういう問題があって、どういうふうなことになったかということにつきましてはもう少し、全体の捜査がいわば完了いたしまして、その上でいろいろな問題点というものが明らかになり、またその報告を受けられるというふうに考えておるわけでございまして、現時点はまだそういう意味では結論になっていないということでございますから、いまのようなお尋ねにつきましていまの時点では具体的なお答えができないわけでございます。
○橋本敦君 局長ね、寺田委員の質問のときにも、残っているのはまあ言ってみれば残務整理的な問題だという趣旨のことをおっしゃっているんですよ。だから、新たな捜査の進展はもうないというのだ。こういう状況の中で私聞いているんですよ。だから、あとまだ詰めなきゃならぬ部分が残っているというなら、その詰めなきゃならぬ部分というのは国会議員の職務権限の問題あるいは社交的儀礼を超えて賄賂性があると見るかどうかという問題、そういう問題だったら私は話がわかりますよ。そういう問題ですか、そういう問題も含めて検討しておるのですか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど寺田委員に対しましてお答えしましたように、未処理の問題もございますけれども、そのほかにもまあ警視庁の方でKDDから流れた金、金品の使途について若干未解明の点が残っておって、それを調べておるというふうに聞いておるわけでございます。その中にはいわゆる政界工作といわれておるものの分も含まれているのではないかというふうに考えるわけでございまして、そういうことが一応全部終わりました段階で、結論的にいわゆる政治家の方につきまして犯罪の嫌疑がないということになりました場合には、それがどういうわけであるかということはその段階で初めて明らかになるであろうというふうに思うわけでございまして、そういう意味でお答えをしたわけでございます。
○橋本敦君 そうしますと、政界への金の流れ、金品の流れについてはなお追っている部分があるというように承っておきます。 具体的に、この前私も指摘したんですが、服部元郵政大臣と板野社長との五月二十五日の赤坂における料亭での二人だけの密室会談という問題が、あの事件にとっては非常に大きな意味を持っているはずである。そして、その密室会談との関係において村本建設へのKDDの工事発注という経過やあるいはインテリア・ルイからの品物の購入という問題、これも第三者供賄罪に当たるかどうかも含めて調べるべき重要事案だと私言いました。その点で、刑事局長もその点の筋は関心を持っておるところだと言われたんですが、服部元郵政大臣をお調べになったのかならなかったのか、これから調べるということがあり得るのかどうか、この点ひとつはっきりお答えいただきたい。もういまも残っている部分に詰めに入っているというのですから。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来繰り返して申しておりますように、この事件の捜査が完了したと、で、どういうことであったかというような最終的な報告にはまだ至っていないわけでございますので、そういう意味でなかなかお答えができないわけでございます。 また、先ほど別なことにつきましてもお答えしたところでございますが、仮に犯罪の嫌疑が認めがたいというようなことになりました場合、その関係においてどういう人を調べたかとか、その人がどういうことを述べたかというようなことになりますと、それ自体を公にすることの問題もあるわけでございますので、いまの時点でいまのお尋ねにつきまして具体的に申し上げることができないわけでございます。
○橋本敦君 どっちにしても、KDDの出されてきたいままでの疑惑や国会の論議から見ても、また捜査の筋からいっても、服部元郵政大臣に対する事情聴取、このことは避けて通れない問題になっているはずだと思いますが、どうなんですか。
○政府委員(前田宏君) 同じことの繰り返しのようで恐縮でございますが、具体的なことはもちろんいまの時点では適当でないと思いますし、今後最終的な報告と申しますか、まとめができました段階でまた考えるべきことであろうと思いますけれども、いろいろといまの御指摘のような問題につきましては国会でも具体的な御指摘があったわけでございまして、そのことは警察または検察それぞれの捜査当局におきまして十分承知をしているところでございます。したがいまして、その疑惑について犯罪の嫌疑の有無ということを見きわめる上におきまして、必要な捜査はそれなりに尽くされるものと、かように考えております。
○橋本敦君 いまの局長の御答弁からすると、今後の詰めの中で服部氏に対する事情聴取もあり得るというように私も感じる答弁なんですけれどもね。いままで警察の方でお調べになった参考人の総数は一千名を超えるということですが、実態はそのぐらいですか。刑事局長に聞きましょう。
○政府委員(前田宏君) この前でしたか、警察当局の方から取り調べた人の数、延べ人員だったかと思いますが、御報告がございました。そのことにつきましては、私そういうふうに承っただけでございまして、直接詳しくは聞いておりません。
○橋本敦君 じゃ、人数は正確に詳しくはなくて結構ですが、千人に及ぶ関係人からの事情聴取をやったというのは大変な捜査で、私もよくおやりになっていると思いますが、その中に政治家は含まれていますか、いませんか。特定の名前聞きません。それだけ一つ、いまの段階で聞きたい。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来何回も申しておりますが、この事件につきましては警視庁が第一次的な立場で捜査をしておったわけでございますし、また現に残った捜査をしておるという状況でございます。したがいまして、その中で検察庁に送られてきましたものはごく一部であるわけでございます。したがいまして、送致にならなかった事実もたくさんありまして、それについて警視庁の方でそれなりの調べをしたということがあるんだろうというふうに思うわけでございますが、その点につきましても、じゃ、どういう関係でどういう人を調べたかということにつきましてまだ検察庁から警視庁の方に聞くという段階になっておりませんし、したがいまして、私どもも警察当局から聞いていないというのが実態でございます。
○橋本敦君 それじゃ、刑事局長に開きますが、KDDから政治家に商品券が渡された、商品券を渡した政治家があるという事実、これは否定されませんね、刑事局長。
○政府委員(前田宏君) そういう事実があったように、まあ間接的でございますけれども、詳しいことは別といたしまして承知しております。
○橋本敦君 パーティー券を多量に購入してあげた政治家もあった、これも事実ですね。
○政府委員(前田宏君) その点もいま申しましたと同様な程度でございますけれども、あったもののように承知しております。
○橋本敦君 せんべつ等の名義で、あるいは政治献金の名義で現金が渡された政治家があった事実はどうですか。
○政府委員(前田宏君) お尋ねのとおり、正確にお答えしていいかどうかと思いますけれども、それに類することがあったというふうに承知しております。
○橋本敦君 高価な花びん、つぼ、絵画、こういったものが渡された政治家があった事実もありますね。
○政府委員(前田宏君) お言葉を返すようですが、高価と言っていいのかどうか、それもまた具体的なことになりますのでいかがかと思いますけれども、いろいろな物品等が授受されたというようなことは一部あったように承知しております。
○橋本敦君 そうすれば、どういう趣旨で渡したか、どういう趣旨で受け取ったか、当然調べるのがあたりまえですね。だからいままで一千人に及ぶ関係者を調べて、いま私が指摘したような事実があることをお認めになりながら政治家に対して事情聴取なしにこの事件を終わるとしたら、まさに浜田幸一氏は指揮権の発動だと言っておりますよ、私はそんなこと信用しません。だけれども、事実上完全に政治家をのけてしまった捜査というのは、これはこの事件、いまお認めになった事実から言ったってこれはとても国民や私ども納得できないことです。法務大臣いかがでしょうか。こういった政界工作を含めて、あと残された問題は必ず調べるべきは完全に調べていくと。そして調べた結果、パーティー券についてはこういうわけで犯罪の嫌疑がなかった、あるいは家具等についてはこういうわけで嫌疑がなかった、あるいは商品券についてはこういう理由で犯罪の嫌疑がなかった、あるいはあった、こういう結末については責任を持って御報告いただきたいと私は思いますよ、特定の政治家の名前を挙げるのは別として。類型的にいま認められたんですから。法務大臣のお考え、刑事局長のお考えいかがでしょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来個々にお尋ねを受けまして肯定したようなお答えをしているわけでございます。商品券とかパーティー券とかあるいは物品とかいうものが授受されたと申しますか、そういうことが仮にあったといたしました場合でも、直ちにそれが犯罪になるとか犯罪の疑いがあるというわけにもまいらないわけでございまして、そういう事実があったから直ちに相手方をすぐに調べなきゃいかぬかということになりますと、一概には言えないんじゃないかというふうにも思うわけでございますが、一面、必要があればそれなりの捜査をすべきであろうというふうに思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 今日まで私、ただいま刑事局長が御報告、御説明申し上げておる程度のことしか報告受けておらないわけであります。
○橋本敦君 じゃ、将来この捜査の結末については、政界工作も含めてどういう捜査をやり、どういうわけで犯罪の嫌疑がないと思量したか、あるいはこういう結果、この部分に犯罪の嫌疑ありと考えたが起訴するに至らなかった、こういった捜査の結末については、いずれ全部の捜査の結了を待って、刑事局長は法務大臣と相談して国会に報告していただけますか。
○政府委員(前田宏君) 警察当局ともいろいろと事情を聞かなければ何とも申しかねるわけでございますが、先ほど来申しておりますように、捜査当局の立場は一応犯罪の疑いがあるということで初めて私どもの方の対象になるわけでございまして、それ以前のものもあるわけでございます。金品等の授受がありました場合にすぐに犯罪の嫌疑ありということで捜査の対象になるというわけでもないわけでございますから、その辺の限界が一つあるわけでございます。したがいまして、犯罪の嫌疑が一応あるということでございました場合には、それがどういうことでどういうふうな処理になったかということは当然もちろん限度はございますけれども、御報告申し上げるわけでございますが、犯罪の嫌疑といいますか疑いを持つに至らなかったものまで、これは捜査当局のいわば守備範囲の問題外でございますので、そこまでは御説明ができかねるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。
○橋本敦君 わかりました。 そこで大臣、いま局長がおっしゃった犯罪の嫌疑があってその結論がこうだという部分は報告できるが、パーティー券や商品券が行っていても初めから犯罪の嫌疑がないという部分については刑事局長の守備範囲外だとおっしゃる。そうなると、やっぱり政治的、道義的責任の範囲の問題になるわけですね。だからしたがって、その部分まで含めて、政治家の政治的、道義的責任を明らかにする上で国会にこれを明らかにするかどうか。これはロッキード事件でもいわゆる灰色高官の公表問題に絡んでずいぶん議論されました。私はそれは国会に当然法務大臣として、これだけの大きな事件ですから、当然しかるべき方法で国会に報告をすべき事件であるし、政治家の政治的、道義的責任を明らかにする上で重要だと、こう思っておりますが、この点について今後法務大臣の検討をぜひとも私はお願いしたい。いかがですか。
○政府委員(前田宏君) その前に一言事務的に申し上げておきたいわけでございますが、ロッキード事件の例を引かれたわけでございますけれども、あの場合には、国会におかれまして道義的責任の有無を解明するということで、そのいわば定義と申しますか、そういうことを、またいわば範囲というものを国会の方で一応基準的なものをお示しになりまして、それに対する資料の提供というお求めがございまして、それに対しまして秘密会ということを前提として国会での御判断の資料を提供したと、こういういきさつになっているように私は承知しておるわけでございますので、いまのお尋ねの点と直ちに同列にいくかどうかという問題が前提としてあるような気がするわけでございます。
○橋本敦君 同じ前提だったらいいことになるわけですね。
○政府委員(前田宏君) それは国会の方でどういうような御判断をされてどのようなお求めを政府側にされるかということでございますので、そのことがまだ何とも私どもとしてはわからないわけでございます。
○橋本敦君 最後に、この問題をめぐっての大臣の所信を伺って終わります。今後この問題について国会に何をどう明らかにするか。
○国務大臣(倉石忠雄君) その点については、むずかしい法理論もございますので、ただいま刑事局長からお答えいたしましたことで御了承願いたいと思います。
○橋本敦君 終わります。
○委員長(峯山昭範君) ほかに御発言もなければ、外国人登録法の一部を改正する法律案及び国際捜査共助法案、以上両案についての質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより両案に対する討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 まず、外国人登録法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、国際捜査共助法案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、以上両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) これより請願の審査を行います。 第四六号民法第七百五十条の改正に関する請願外八十件を議題といたします。 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。 理事会で協議の結果、第四六号民法第七百五十条の改正に関する請願外八十件は保留とすることに意見が一致いたしました。 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十五分散会 —————・—————