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91回国会参議院1980/05/08

法務委員会 第8号

発言数
252
登壇者
18
会派数
5
開催日
1980/05/08

会議録

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る四月二十五日、佐藤三吾君、中西一郎君及び堀江正夫君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君、斎藤栄三郎君及び永野嚴雄君が選任されました。  また、四月二十八日、斎藤栄三郎君及び田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として長田裕二君及び長谷川信君が選任されました。     —————————————

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) まず、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石法務大臣。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 外国人登録法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  近年の航空機を中心とした国際交通機関の発達及び人的交流の活発化に伴い、わが国に出入国する外国人の数が増加の一途をたどるとともに、その在留状況も多様化し、そのために市区町村等における外国人登録事務は、その事務量が著しく増大し、この事務を担当する市区町村及び都道府県からはもとより、在留外国人からも外国人登録事務の合理化・簡素化を望む声が強く、また、行政監理委員会の「許認可等に関する改善方策についての答申」にも同趣旨の指摘がされております。  以上のことから、九十日以内の短期入国者については、外国人登録をしなくてもよいこととすること、登録事項のうち、世帯主の氏名等五事項については、変更の事実を即時に把握する必要性が比較的少ないので、変更登録申請義務を緩和すること、登録の切りかえ制度を合理化すること、及び再入国許可により出入国する場合の登録証明書の取り扱いを簡素化することの四項目について事務の合理化・簡素化を行うこととした次第であります。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。     —————————————

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 次に、国際捜査共助法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石法務大臣。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 国際捜査共助法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  近時の国際交流の活発化に伴い、国際間を舞台とする各種の犯罪はますます多発する傾向にあり、これに対処するため、国際間における捜査協力態勢の一層の推進を図る必要のあることが痛感されるのであります。しかしながら、現在、わが国では、この面での法制が整備されておらず、外国に対して十分な国際協力を行うことができない実情にあります。このような状況にかんがみ、犯罪捜査について緊密な国際協力を確保する措置として、外国の刑事事件の捜査について、外国または国際刑事警察機構からの要請により、わが国内で証拠等を収集してこれを提供する手続を定めるため、この法律案を提案することとした次第であります。  この法律案の要点は、以下のとおりであります。  その一は、外国の刑事事件の捜査について、外国から共助の要請があったときは、要請に係る犯罪が政治犯罪であるとき、日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき等を除き、共助に必要な証拠を収集してこれを提供することができるものとすることであります。  その二は、外国からの共助の要請は、原則として外交機関を経由するものとし、法務大臣は、要請に応ずることが相当であると認めるときは、検事正に共助に必要な証拠の収集を命じ、または国家公安委員会もしくは司法警察職員の置かれている国の機関の長に共助の要請に関する書面を送付すること等の措置をとるものとすることであります。  その三は、検察官または司法警察員は、共助に必要な証拠の収集に関し、関係人の取り調べ、鑑定の嘱託、実況見分等のほか、裁判官の発する令状により、差し押さえ、捜索または検証をすることができ、また、検察官は裁判官に証人尋問の請求をすることができるものとすることであります。  その四は、国家公安委員会は、国際刑事警察機構から外国の刑事事件の捜査について協力の要請を受けたときは、要請に係る犯罪が政治犯罪であるとき等を除き、都道府県警察に必要な調査を指示し、または司法警察職員の置かれている国の機関の長に協力の要請に関する書面を送付することができるものとし、警察官または国の機関の職員は、調査に関し、関係人に対する質問、実況見分等をすることができるものとすることであります。  なお、本法案は、航空機疑惑問題等防止対策の一環をなすものでありまして、この制度が確立された場合には、相互主義の保証のもとに、わが国から外国に同種の共助の要請ができることとなり、国際犯罪の防止を図る上において、その意義はきわめて大きいものがあると考えるのであります。  以上がこの法律案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 民法及び家事審判法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日、参考人として学習院大学教授遠藤浩君、弁護士井田恵子君、同じく弁護士阿南三千子君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人の方々のそれぞれの立場から忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考に供したいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。  なお、議事の進め方といたしまして、初めに遠藤参考人、次に井田参考人、阿南参考人の順序で、各十五分程度御意見をお述べいただき、引き続いて委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず遠藤参考人にお願いいたします。

遠藤浩学習院大学教授

○参考人(遠藤浩君) ただいま御紹介にあずかりました学習院大学の遠藤と申します。  民法を専攻している者ですが、このたびの民法の一部改正、家事審判法の一部改正について意見を述べる機会を与えられましたので、専攻している立場から意見を述べさせていただきます。  現代を含めた近代法におきまして相続を認める根拠は次の二つの点にあると通説は言っております。第一は、被相続人名義の財産も配偶者等の協力による潜在持ち分がある、それを被相続人の死亡の際に清算することにあるんだということが第一点として挙げられております。第二は、被相続人の財産に頼って生活してまいりました相続人の生活保障ということが第二の根拠であるというようにされております。この根拠の上に立って、社会の動きに応じた民法の改正をいつも考慮していかなければいけないと存じております。  しかし、現行民法が一つの体系をなしております以上、抜本的な改正をするということは、よほどのことがない限り、しかも慎重な準備のない限りできませんので、やれることから手をつけていく、いわば手直し的改正をしていくということに落ちつかざるを得ないのではないかと思います。この意味で、今回の改正もその一環として見るべきもので、私は妥当なものと評価しております。ただ、家族法、相続法の改正は絶えず社会の動向と歩調を合わせるべきものでありますから、われわれ学者を初めその衝に当たられる方々にとりましても、今後絶えず検討されていく必要があるのではないかと思います。  今回の改正につきまして、民法サイドから見て三つの点について意見を述べさせていただきます。  第一は、相続分の問題、相続人の範囲の問題でございます。  今回配偶者の相続分を引き上げることになりましたが、きわめて妥当な措置だと考えております。配偶者の相互の協力関係、生活保障関係をどう見ていくかということは、夫婦財産制あるいは離婚の際の財産分与というようなものを総合的に見ませんと十分とは言えませんけれども、さしあたって配偶者の相続分を引き上げるということは、いま申しましたように妥当な措置であろうと思います。  最近の世論を見ますと、ことにこの十数年急激に配偶者を夫婦の財産関係の上で優遇すべきであるという声が高くなっております。かつ、現在の家族が核家族になり、家産という考え方が非常に少なくなっております。たとえば、一人娘でも嫁さんにやるというようなことは、現在そう抵抗なく行われているわけでありまして、そういう点から見ますと、家産という考え方が非常に少なくなっているのではないかと思います。子の数にしましても、最近の調査では五十以下の夫婦では一・七、一・八前後であるというようにされております。これらを考えあわせますと、配偶者の相続分を従来より高めたということは非常に妥当な措置であったろうと思います。その上、次のようなこともつけ加える必要があるのではないかと思います。  たとえば妻の例をとりますと、現在の三分の一としますと、夫の死亡後、居住しているうちを追い出されかねないという事態も生じてまいります。それは遺産分割の前は相続人の共有財産ということになるわけです。そうしますと、遺産の中の家屋というようなものの管理の仕方は、いわば持ち分、相続分の価額の過半数で決することになります。妻と子とが相続人である場合、妻を三分の一、子を三分の二としますと、子供がいわば連合いたしますと、妻は過半数を得ませんから追い出されるというような事態も生じてまいります。こういう例もあったやに聞いております。そこで、妻の相続分を二分の一というようなふうにいたしますと、そのような心配もなくなるのではないかと思います。  次に、相続人の範囲ということから申しますと、兄弟姉妹が相続人になる場合に、代襲相続人の範囲をおい、めいに限定したということは、これも妥当な措置だと考えております。遺産分割の際に協議にしろ家庭裁判所でやるにしろ、この代襲相続人の範囲を無限に広げますと、協議すべき者の探索が容易でない、実務の上で大変差し支えるというようなことはかねてから言われていたことでございまして、このような改正は妥当であろうと思います。なおいっそのこと、兄弟姉妹の代襲相続を今度の改正で相続人の範囲から除いたらどうかというような意見もないではありません。いわば笑う相続人をつくらないようにすべきである、被相続人が死んで涙を流すというようなことがなくて財産が転がり込んでくるというので、笑ってばかりいるような相続人の出現を食いとめる必要がある、そのために兄弟姉妹を相続人の範囲から除いたらどうかというような意見もございます。しかし、実情が兄弟姉妹が相続人となった場合にどういうような状態になっているかというような調査がまだ十分にできておりません。しかも国民感情として、兄弟姉妹を相続人としない場合にそれがそのまま国庫に入るというようなことは、国民感情の上から果たして妥当かどうかという問題も残ります。したがって、この改正については、今後の慎重な調査と国民意識の動向というようなものを見て検討していく必要があるのではないかと考えております。  それから第二は、今回見送られました非嫡出子の相続分の問題でございます。非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分と同じようにしようというような案が当初考えられましたけれども、結局見送られるということになりまして、現行どおりということになったわけでございます。この問題は、戦後民法を大きく改正しましたときにも、子供に罪はないんだから、法の前の平等という点から言えば非嫡出子も嫡出子も同じ相続分にすべきであるというようなことは当初から言われておりました。私もこの点については多少迷いがあるわけでございますが、世論の多くが現行法を支持している、法律婚を保護すべきであるというようになっておるとするならば、このような現行法の立場を維持していくということもやむを得ないのではないかと思います。法律婚を支持していくということがわりあい強く言われているようでございますが、必ずしも非嫡出子の問題は法律婚の保護ということだけではございません。たとえば先妻が死亡して後妻をもらう、その場合に、後妻を籍に入れないということになりますと、その間に生まれる子は非嫡出子でございますから、必ずしも法律婚を保護すべきと、つまり妻がいて、そうしてほかの女に生ませるというような場合だけを想定するわけにはいかないわけでございます。  そういうことを考えますと、将来はこの点は慎重にやはり考えた上で、改正する時期が参りましたら、改正に私は踏み切った方がいいのではないかと思います。もちろん現在でも直ちに改正すべきだ、法律は国民の意識の先頭に立って国民意識を引っ張っていく必要があるというような考え方もございます。しかし、民法のような国民生活に密着した法律におきましては、国民の意識をいわば無視するような形で改正するというようなことは、私は時期尚早ではないかと思います。この問題は将来の検討課題として研究していく必要がありますが、この研究していく際に、将来たとえば平等とした場合に起こるであろう非嫡出子側と嫡出子側との相続上のトラブルをどうしたらうまくさばけるか。たとえば平等とした場合に、非嫡出子の相続分の請求は金銭請求に限るべきだというような考え方も一つの案であろうと思いますが、そういった事柄等を将来の問題として今後とも検討していく必要があるのではないかと存じております。  第三は、このたび創設されました寄与分の制度でございます。この制度は多少遅きに失したと言ってもいいくらいの制度ではないかと思います。私は昭和二十六、七年くらいから十年ほど相続の実態調査をやってまいりました。その実態調査を通じまして、寄与分という制度を早急にやはり実現する必要があるということを痛感しました。学会でもそのことを発表したことがございますし、そのことを書いたこともございます。家庭裁判所の実務の上でも寄与分を考慮しているように承っておりますし、そのような判例もございます。被相続人の事業に力を尽くしている相続人は、被相続人といわば一種の組合を形成しているようなものでございます。したがって、被相続人の死亡の際にその財産を清算する。清算する場合に、力を尽くした者の取り分が大きくなるということは当然のことだろうと思うわけでございます。そういうようなことからして、その寄与分の制度は時宜を得た制度であろうと思います。  問題は、相続人以外の者の寄与分をこの際考慮する必要はないのかということでございます。たとえば、被相続人の事業を助けた子の妻とかあるいは被相続人の子が相続人である場合の同居している被相続人のきょうだいとか、あるいは内縁の妻といったような、被相続人に対して相続人ではないけれども寄与した者の寄与分をどのように考えていくかということでございます。公平という観点から申しますと、これらの者の寄与分も考慮した上で、それらの者に遺産の一部を分け与えるというようなことも考えられないではございません。たとえば人によりますと、このような者を同居という言葉でくくって、それらの者に寄与分を与えよという主張もございます。しかし、同居という言葉でくくってみても、たとえば隣に住んでいる被相続人の子の妻、要するに協力を惜しまなかった子の妻はその同居から漏れるわけでございます。そうしますと、公平ということを徹底しますと、遺産分割を継がせまして、寄与した者を全部申し立てをさせる、その上で公平な分配を図るというようなことになるわけでございます。そうしますと、大変慎重なこれから準備作業というようなものも必要でございますし、相当な予算措置を伴うものだろうとも思います。かつ、たとえば友人で、被相続人が事業で苦しんでいるときに融資をしたあるいは励ましてやった、そのために事業が大変うまくいったというような者も寄与分の中に入れるとしますと、これはすべての債権者が寄与分の中に入るというのと同じことでございまして、こういう者の寄与分は財産法的に私は処理すべきものではないかと思います。つまり、不当利得の返還請求とかあるいは物権的請求とかあるいは契約上の債権関係というようなもので処理していった方が現行法から見て妥当ではないかと思います。むしろ筋論としては、相続の問題で処理するならば被相続人の子の妻に代襲相続権を与えよとか、あるいは内縁の妻を相続人としろといったような主張の方が相続の問題としては筋が通るわけでございます。前者の代襲相続権を認めよということについては、これも戦後の民法改正の当時からある一部の人によって強く主張されてまいりました。しかし、現行の相続の制度が、被相続人と一心同体である配偶者と血のつながりのある者に財産を承継させるというたてまえをとっておりますので、代襲相続権を被相続人の子の妻に認めるということになりますと、いわば相続の理念とどこで調和させるかという根本問題に触れることになります。ですから、その点につきましても将来の課題として、どういうようにすればこの人たちに公平ないわば働いた分に対する報酬を与えることができるかということを検討すべきだろうと思います。  それから内縁の妻につきましても従来も相続人とすべきだという主張がございますし、何人かの有力な学者はいまでもそのように主張しております。これは立法論としてではなくて、民法の解釈論として配偶者の中に内縁の妻を入れるべきだという主張もございます。相続というのは単に民法だけの問題ではなくて、税法とも大きく関連します。それから不動産登記法とも関連します。いわばそちらのサイドにおいては形式的に相続人がだれであるかということがはっきりとしませんと大変困るわけでございます。したがって、内縁の妻を相続人とするという場合にはそういう行政法サイドの面からもつかまえまして、そうして検討する必要があろうかと思います。  そういうことを考えますと、これらの者の寄与分の制度は将来の課題としていかにすれば達成できるかということを検討して、とりあえず今回は見送るというのはやむを得なかったことではないかと存じております。  そのほか遺留分の改正、遺産分割の基準の改正というようなことも、遺留分の改正は相続分の改正に伴うものでして、とりたてて言うほどのこともありませんし、遺産分割の基準の改正も、従来具体的に挙げておりました権利の性質、種類とか職業といったようなものは、その他の事情の中に従来入れていましたものを具体的にあらわしてきちんとしたということで、一層基準が明らかになったということでございますから、改正して少しも差し支えないところでございます。  また、家事審判法の改正は、私は実務に明るくありませんので、後でお二人の弁護士さんから述べられると存じますが、これも従来実務の上からこういう措置がぜひ必要だと言われたことでございまして、妥当な措置であったと存じます。  これで意見を終わらせていただきますが、のどを痛めておりまして、大変悪声になりまして、御容赦いただきたいと思います。

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) どうもありがとうございました。  次に、井田参考人にお願いいたします。

井田恵子弁護士

○参考人(井田恵子君) 御紹介いただきました弁護士の井田でございます。  私は、実務に携わっているという観点から今回の改正案につきまして意見を申し述べたいと存じます。  まず、民法改正からでございますが、第一点の配偶者の相続分の引き上げについてでございます。私は今回の改正案に賛成でございます。法案は、相続人が配偶者と子供の場合、あるいは配偶者と親等の直糸尊属の場合、それから兄弟姉妹の場合、いずれの場合につきましても現行法より大幅に相続分を引き上げようという趣旨でございます。この改正案につきましての賛成の理由はただいま遠藤参考人がおっしゃいましたこととほぼ同様でございますが、若干重複すると存じますけれども、私の考えを述べたいと思います。  配偶者相続権というのは、戦後新民法の大改正が行われましたときの大きな柱でございました。しかし、昭和二十年当時に比べまして考慮すべき状況というのが大変変わっております。これは核家族、まあ家族構成が大変変わったということももちろん大きな理由でございます。いわゆる核家族化が進行してまいりました。それから子供の数も非常に減っております。片や平均寿命というものが大変に延びております。男性が約七十三歳、女性が八十歳近く、七十八・三三というような年齢になっている時代でございます。また、かつてのような家族制度のもとでの家というものがございませんから、妻は婚家から守られるとかあるいは実家から守られるというようなことがございません。  で、扶養の構造も大きく変わりました。子供に母親が扶養を期待すべきものでもございませんし、また子供自身は自分たちの生活で手いっぱいでございますから現実的にも期待はできませんです。しかも、相続財産の内容は、かつての家産的なものよりも、結婚後夫婦の協力でつくられたというものが非常に多くなってきているわけでございます。現行の民法でいきますと、配偶者の相続分は、子供が二人のときにちょうど配偶者と同じになる。子供が一人のときは配偶者の相続分は半分にすぎないというような状況でございます。しかも、先ほど申しましたように平均寿命が大変長くなっておりますから、父親が死亡した時点で子供は相当の年齢になっております。そういうときに起きる相続、これを考えてみますと、現行の配偶者の地位というのは大変に低過ぎるんではないかと考えるわけでございます。  改正法案が相続につきまして夫婦というものを基本的な家族の構成単位と考えて配偶者の相続分を引き上げるというふうに提案しましたことは、配偶者の地位を尊重し、特にこれから高齢化社会に入ってまいっているわけでございますけれども、夫が亡い後の妻の生活の安定というものにも大変寄与するであろう、こういう観点から私は妥当な改正案であろうと賛意を表する次第でございます。  ただ、問題になりますのは兄弟姉妹の相続権についてでございます。これはもちろんその代襲相続も含めての問題でございますけれども、現在、都市におきましては、被相続人の家族が被相続人の兄弟姉妹と一緒に住んでいるとか、それからまた兄弟姉妹が遺産の維持、形成に関与している、寄与しているというようなことも大変に少なくなっております。特に遺産が夫婦だけで築かれた家が一軒あるというようなときに、兄弟姉妹が法律に相続分がありますからということを盾にして主張してくると、そこで大変に配偶者との間でトラブルが起きるというケースが少なくないわけでございまして、そういう場合におきましては、夫の兄弟姉妹に相続権を認めるということは不合理でさえございます。しかし、都会だけではございません。地方などの場合にはまだ先祖伝来の遺産というものももちろんありますし、それから民法のこれは八百七十七条でございますけれども、兄弟姉妹には直系血族と並んで扶養の義務が現在もございます。そういうような観点からいたしますと、将来は兄弟姉妹につきましてはこの扶養義務も解消していく、それからあわせてこの相続分というものも解消していく方向に向かうべきではなかろうかというふうに考えておりますけれども、ただ現段階といたしましては、兄弟姉妹には遺留分がございませんので、そういう活用の余地もございますかち、現在は、現段階の過渡的措置としては、この法案で相続分を現行の三分の一から四分の一に減らして、しかも代襲相続人はおい、めいどまりで切るという、こういう現実的な措置、これは妥当なことではなかろうかというふうに考える次第でございます。  次に、寄与分の規定の新設について意見を申し述べたいと思います。  相続人の実質的な公平の見地から申しまして、民法に寄与分の規定を設けるということに賛成でございます。特に被相続人から生前遺贈を受けた場合、あるいは生計の資本としてすでに財産をもらったりした特別受益者につきましては、民法の九百三条で相続の際にその分を減らすという措置がございますのに、逆に、被相続人の遺産の維持、形成に貢献した人につきまして、それを考慮する規定がないということは、これは大変片手落ちではないかということが従前から言われてまいりました。実際上も本当にそういう不公平な事例というものはいっぱいございます。家庭裁判所の審判におきましては実務的に審判例の積み重ねで認めてきておりますけれども、それだけやはり現実に公平の観点から救済しなければならない人があるという、そういう点から見ましても、これは明文の規定でやはりはっきりと掲げることがよかろうというふうに思うわけでございます。特に妻の場合でございますが、妻はその夫とともに、あるいは夫にかわりまして、家事、育児のほかに農業や自営業に長いこと従事していくという妻がいっぱいおります。また共働きをいたしまして、共同の財産をつくるということも多いわけですけれども、現実にはその名義が夫のままになっていろということが非常に多うございます。したがいまして、こういうような場合ははっきりこの寄与分の規定によりまして妻の権利を認めていくということが望ましいわけでございまして、現実のそういう必要性の点からも私は寄与分の規定の新設に賛成でございます。  ただ、若干懸念されますことが一、二ございます。  まず、その寄与分というのは、その観念自体が非常にあいまいなものでございます。本来被相続人との間できちんと契約をしておく、たとえば農業なら父子契約を結んでおくとかあるいは自営業の場合でも報酬契約を結んでおくとか、あるいは夫婦の間でも共働きで物を買ったならば共有にしておくとか、事前に防ぐといいますか、解決しておける問題もかなりあるわけでございます。できればその方が本当は望ましいわけで、なるべく寄与分、寄与分といって後に問題にならない方がいいにこしたことはございませんです。しかし、やはりこの規定が新設されますと、これに基づく権利主張が多くなってくるであろうということが予想されます。これはやはり家庭裁判所の紛争というものを増加させることにもつながってくるんではなかろうかと思うのでございます。  寄与分が問題になりますのは、これまでは多く農業とか商業、町工場などの自営業の場合でございますが、今回の改正案では「被相続人の療養看護その他の方法」による場合というのも入っております。この点いささか私は懸念するわけでございますけれども、この「療養看護」というのは一体どの程度までが通常の療養看護といいますか、扶養として寄与分に当たらない場合であろうか。それからまた、この寄与分の主張ができるというのはどういう場合であろうかというその境目が、境界がちょっとはっきりしないように思うのでございます。この法案では、「維持又は増加」に寄与したということと、それから「特別の」という文言が入っておりますので、普通の療養看護では入らないんであろうという、抽象的にはわかるんですけれども、しかし一体、長期でしかも重病でというような場合、それがどの程度までなら特別で、どの程度までは普通なのかという境目のあたりの判定に大変混乱が生じてくるんではないかという気がいたします。しかもこの規定を設けますと、何か感じとしまして親孝行の押し売りみたいな感じもしないではございませんです。できれば余り寄与分と言わずに、これは不当利得なり事務管理なりの債権法的な考え方で解決できるものはすべきであろうというふうに思うわけでございます。  また、扶養との関係につきましてもちょっと混乱が生じてくるんではないかと思います。これは御趣旨を伺いますと、通常の扶養は入らないというふうに御説明でございます。一般の親子なんかの扶養についてはここに入らないんだと言っていますが、そこもまたいささか混乱が生じてくるところじゃなかろうかというふうな気がいたします。  それからもう一つは、「被相続人の事業に関する」云々ということになっていますので、主に農業とか自営業でございますけれども、これもかつての家業の維持的なことになってまいりますと時代に逆行するようなことも考えられないではない。やはり適切な運用を期待しなければならない点であろうと思います。  なお、寄与分につきまして一番問題になりますのは、先ほど遠藤参考人がおっしゃいましたように、これを主張できる寄与分権利者の範囲でございます。法案は相続人に限定しておりますが、わが国の実情からいたしますと、相続人以外の者で被相続人の遺産の維持、増加に寄与した人というのは相当ございます。農業や自営業に携わってきた場合のいわゆる嫁でございます。それから内縁の妻とか養子縁組み届けをしていない事実上の養子、特に農村なんかでは父や息子にかわって息子の奥さんが農地の耕作をしたり、また息子が亡くなった後も家に残っていて義父母の世話をするということがたくさんあるわけでございます。しかも今回の改正案の中には、先ほど申しましたように「療養看護」ということが入っておりますので、特に息子の妻の寄与というものは見逃せないところではなかろうかと思うのでございます。  これは、全国社会福祉協議会というところで、全国民生委員児童委員協議会が昭和五十二年に行った調査「老人介護の実態」を見ましたところが、寝たきり老人の介護に当たっておりますのは、一番多いのはいわゆる嫁になっておりました。市区では嫁、婿が三五・五%、次いで配偶者が三一・四%、子供は二三・三%という結果でございます。さらに、町村では嫁、婿が四二・七%とふえております。配偶者は三二・一%、子供は一七%にすぎません。しかも、その介護者は介護のために勤めをやめる、あるいは休職にするとか、介護ができる勤めに変えるとか、介護しながら勤めるという、とにかく無理をすると。そのために過労で睡眠不足、いろいろと自覚症状が出ていて、そういう人が大部分でございます。生活上も勤めに出られないとか、外出できない、自分の時間が持てないと、いろんな影響があるわけでございますが、こういった介護者の持つ問題、これが多くいわゆる嫁という立場にある女性の手で現実に行われている。こういうことで、今回相続人の範囲から外してしまうということに私は大変に疑問を感ずるわけでございます。  一体、息子の妻、いわゆる嫁が介護した場合に、今回の改正案ではそれはどういうふうなことになるのかなということをちょっと考えてみたわけですけれども、その場合夫が寄与者として請求ができるということになるんだろうか。その辺はちょっとはっきりしないわけでございます。で、夫がいない場合には絶対に相続人でない嫁は受けられないということだけははっきりしております。そこで私は、この被相続人の遺産の維持、増加に寄与した相続人に準ずる立場にある人方についての寄与分請求権を、せっかく寄与分の規定を新設する際でございますから、ぜひその道を開くべきであろうというふうに思います。特にこれから高齢化社会に入ってまいりますので、この問題は大きい問題ではなかろうかというふうに考えるわけであります。  なお、改正案で分割の基準に関する九百六条の改正、遺留分に関する規定の改正につきましては賛成でございます。  なお、この機会に私見を申しますと、民法の改正につきましては遠藤先生がおっしゃいましたように、これは深く夫婦財産制の問題と関連した問題でございますので、相続の場合だけではなく、夫婦財産制、特に離婚の際の財産分与の規定の改正というものが今後行われていくことを期待してやまないものでございます。  次に、家事審判法の改正について申し上げます。  民法とあわせて家事審判法の改正が行われることは、方向として大変妥当なことと賛成いたします。特に、審判前の保全処分の制度を設けまして、これに形成力、執行力を付与するという点は、これまでの不備を補って、より審判の実効性というものを高めるもので評価いたしております。ただ、調停中の保全処分について、この場合についても同様な執行力、形成力を職権あるいは申し立てで認めるべきではなかろうかというふうに考えるものでございます。ちょっと考えますと、調停の段階では当事者を刺激して互譲の趣旨に欠けるのではないか。調停中にこういうような執行力だとか形成力というものを認めるとまずいんじゃなかろうかというふうな一見疑問も出てまいりますけれども、しかし、わが国は、家事事件については調停前置というたてまえをとっております。必ず調停を経なければならないわけでございます。しかし、婚姻費用の分担の請求あるいは扶養料の請求といった事件では、多くは生活に大変困窮していて、きょうあすの生活にも困るというような人が申し立てる場合が相当多いわけでございます。これを調停が終了するまであるいは審判までということになってきますと、相当に時間もかかります。最近は離婚が大変ふえております反面、権利意識というものも大変高まって、調停が大変長引いたり、困難であるということが多いわけでございますので、これは調停の段階において、仮に幾ら幾ら払えというようなことを命ずる、そういう保全の命令に執行力を持たしていただきたいというふうに考えるわけでございます。  今回の改正で、過料の制裁につきまして、過料が上がると、こういうことになっておりますので、これは大変結構なことだというふうに考えますが、やはりこれは保全処分につきましても執行力、形成力を調停段階から付与されることを望むものでございます。  次に、十五条の三の改正でございますが、審判前の保全処分につきまして民事訴訟法の規定を準用しておりまして、仮処分などには担保の供与、保証ですね、これを命ずることができるわけでございますけれども、家事事件というものの性格から言いますと、遺産分割などの場合は一応別といたしましても、財産分与とか婚姻費用の分担とか扶養料の請求、そういったものにつきまして仮処分、あるいは仮処分などを命ぜられました場合に、担保を提供するということは酷な場合が非常に多いわけでございます。特に妻の場合、保証金がないばかりに財産分与請求ができないでいるというケースが大変多いんでございます。したがいまして、原則として家事事件につきましては無担保として、しかし、特別な、特に必要を認める場合に限って担保の供与を命ずるというふうにすべきものではなかろうかというふうに考えるわけでございます。なお、過料の額の引き上げにつきましては、これは二十倍というぐらいの増額をうたってございますが、私は家庭裁判所の機能というものを効果あらしめるために必要な措置であろうと賛成をいたします。  最後に、この相続税法の改正につきまして申し述べたいと思います。  今回、相続法で配偶者の相続分が変わることに対応いたしまして相続税法の一部改正が上程されております。つまりこれは十九条の二の二号でございますが、これを改正いたしまして、配偶者が取得した財産のうち遺産額の二分の一までは相続税を課さないというふうにしようという改正案が提案されております。これは配偶者相続権を実効あらしめるために多数の配偶者にとりましては大変メリットのあることで結構なことだというふうに私は思います。けれども、遺産の額を全く不問にしたことにつきましては疑問を抱く次第でございます。配偶者の相続分というものは、遺産の形成、維持に対する生存配偶者の協力とか生活保障というような意味がございますけれども、配偶者の協力、貢献というものは相続財産の多い少ない——多いということと比例するものではございません。財産があるほどむしろお手伝いさんを使うなどしまして、家事等についての協力が逆に少ないという場合の方が普通でございます。また、生活保障というような観点から言いましても、うんと高額な資産家の場合には、その保障の必要性というものは逆に少ないわけでございまして、そういう観点から言いまして、理論的にも、この比例して全く遺産の額を不問にして青天井にしたということにつきましては、私は問題だというふうに考えるわけでございます。  これにつきましては、また次の相続が開始されるのでそのときでもいいじゃないかというふうに考える向きもございますけれども、やはりこの税制というのは富が過度に集中するということに対しては抑制するという働きが必要でございますし、またいわゆる不労所得というようなものは社会に還元すべきものでございます。そして、担税力のある者は税金を納めるべきでございます。すべての場合に二分の一非課税ということにいたしますと、高額な資産家の配偶者を不公平なまでに優遇してしまう、そういう結果を持つように思うのでございます。非課税の対象に私は最高限度を設けるべきであろうと考える次第でございます。その上で配偶者の非課税の措置は、相続人が配偶者と子の場合だけでなく、直系尊属、親との相続あるいは兄弟姉妹と相続する場合につきましても、やはり法定相続分に応じて非課税とする、そういう措置がとられることが適切妥当ではなかろうかと考える次第でございます。  一応意見を申し述べさせていただきました。

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) どうもありがとうございました。  次に、阿南参考人にお願いいたします。

阿南三千子弁護士

○参考人(阿南三千子君) ただいま御紹介にあずかりました阿南と申します。  私は、昭和四十八年から弁護士をしておりまして、まだ七年がやっと終わって八年目が始まるというころでございます。こういう席に参考人として意見を述べさせていただきます機会を与えられましたことにつきましては、本当にありがたいと思っております。僭越ではございますが、私の意見としていまから話しさせていただきます。  民法の改正に関しましてですけれども、今回の改正は民法及び家事審判法の一部を改正するということになっております。  まず最初に、民法の改正に関しまして申し述べますと、大体四つ考えられます。一つは代襲相続に関する、もう一つは相続分についての変更、もう一つは寄与分制度の取り入れ、もう一つは遺産分割の基準の点から、こういうふうに考えて四つの点と考えてよろしいかと思います。  順序はちょっとあれしますけれども、まず配偶者の相続分に関して述べさせていただきます。配偶者の相続分に関する改正に関してでありますけれども、結論的に準婚関係における内縁の妻に対する配慮を加え、これに対する立法への努力を前提にして賛成したいと思います。  配偶者の相続自体が認められたのは昭和二十二年以降でありますけれども、これは憲法改正に伴い基本的人権尊重と平等主義の見地から旧民法の改正の一部として行われたものです。ところが、この時代と現在とでは法の予想する家庭とか世帯とかに相当の変化がありました。社会を構成する最小単位としての家庭はいわゆる核家族化と言われる、配偶者双方と未婚の子供たちで構成される傾向が大変強くなっています。しかも子供の数は現在において一人ないし二人にいきません。そういった家庭が一般的になっています。そうして子供の数はこれ以上家族世帯の中で少なくなっていく傾向はさらに進む傾向を示すのではないかと思量されます。  何よりもそういうような家庭でありますれば、そういった家庭を維持し発展存続させるのは、これらの家庭の構成員であるなかんずく配偶者双方の協力ではないかと思います。しかも従前に比し夫あるいは妻の兄弟姉妹とその配偶者双方の関係も昭和二十二年当時と同様の関連があると、そういうようなものとは考えられなくなってきました。そうしたことは、従前に比し未婚の子と家族の維持、発展をさせるについて、強力な結束と相互協力が家庭にはどうしても必要になってくるものです。被相続人の死亡によって残された配偶者の相続分に関し、被相続人の相続財産に蓄積されているであろう配偶者の右相続財産への維持、発展への協力を顕在化し、かつ相続人である配偶者の将来の生活を維持、確保する意味から最大に評価されてしかるべきだと思います。この折、子供の数が減少し、被相続人の財産を維持、発展せしめた配偶者が、その相続分で子供より低い評価を受けることは不合理であり、二分の一に改正することはきわめて妥当なことではないかと考えられます。  そうした方向性は、被相続人の死亡後直系軍属がなく、直系尊属と配偶者により相続が行われる場合においても、右相続財産の維持、発展に最大に貢献を考えられる配偶者に考慮を払い三分の二の相続分を、さらに直系尊属も死亡している場合に被相続人の兄弟姉妹と共同相続する場合に四分の三の相続分を認めることは妥当な結論として考える次第です。  ただし、改正案に関しまして内縁の配偶者に関して考慮しているところが見えません。見せていただきました「相続に関する民法改正要綱試案」について、法務省民事局の方で相当改正に対する意見の積み重ねや研究や努力が本当に感じられるものですけれども、この中でのそういうような意見は見当てることができませんが、しかし、やはり同様に意見の積み重ねや研究がなされたことは当然考えられるわけなんです。確かに内縁を確定する作業の困難なこと。相続財産について内縁の配偶者を相続人とすることにつき、遺産分割を円滑に行う意味でそういうことから内縁というものの特定を考えなければならないときに障害が生じてくることは考えられることです。しかし、婚姻届を出しているか否かとの違いで、内実は、社会的にも当事者間も結婚生活が行われているとき、すなわち準婚とされる場合は、少なくとも内縁配偶者は被相続人の相続財産を維持、発展、貢献してきたことには変わりはないのですから、被相続人の生活に最も関連が深く、相互協力してきた場合に、もちろん子供がこの間生まれていれば通常は婚姻届も出されるわけですが、子供がない場合に出されない場合も多く、子供がいれば子供を通して将来の生活を望むことも可能性は残されているとしても、子供がない場合に、被相続人の直系尊属、兄弟姉妹に、みずからが維持、貢献してきた被相続人の相続財産を奪われる事態となってきます。実務上こうしたケースに遭遇した場合に、何らの歯どめが遺言以外にないときやりきれなさを感じるものです。もちろん寄与分制度の保護外に置かれています。これは、寄与分制度そのものが相続人間の公平というところから生まれてきたものでございますから、しかし、内縁といっても、労働基準法の七十九条の遺族補償の関係とか、実務上の関係でどういうふうに行われているものか。また、判例関係に関しましても、これまで準婚、内縁関係の特定に関する積み重ねがあるわけですし、こうした積み重ねの中から準婚、内縁配偶者に対する配慮を考えていっていただきたいと考えるものです。  たとえばの話ですけれども、これは案ですからそういうふうに受け取っていただきたいわけですが、たとえば家裁において、寄与分制度に準じるような形で、相続財産にそうした準婚的内縁配偶者の被相続人の相続財産に対する維持、発展、貢献を考慮し、この部分を相続財産から控除するという案も考えられるものです。これは案としてですので、いろいろな方向性があると考えられます。また、立法という方向から、必ずしもそういう方向性ではない、民法的な考え方から先ほど先生に論じていただきましたが、そういう方向性も考えられるわけなんですけれども、いずれにしろ、そういう方々の配慮ということを考えていっていただきたいと思うのです。  次に、嫡出子と非嫡出子の相続分に区別を設けた点でございますけれども、非嫡出子は、出生に関し自己が選択した上で非嫡出子になったわけではなく、非嫡出子の将来に関しても、嫡出子に比して苦い差別が予想されるものです。法律婚制度及びその根底に流れるものでその差別を是認するものか、現在において大変返答に困るものです。方向性としては是正措置を考えながら、時期を選んで具体化してほしいと、こう考えています。  次に、代襲相続に関しての問題です。これに関してですが、今回の法案では代襲相続に関して兄弟姉妹の子の程度にとどめるというふうな歯どめ、これが改正案として出ているわけなのです。兄弟姉妹の代襲相続に関して、血統主義から現行法どおりの徹底した代襲相続をとるべきものであるか。前に述べましたとおり、核家族化された社会の中で被相続人と兄弟姉妹との関連もあわせ考えるとき、また被相続人の兄弟姉妹自身、おい、めい自身であれば、これは被相続人との関連で面識もあり、大なり小なりの相互関連や援助協力、そういうことも考えられるんですけれども、そのめいやおいの子に至っては面識さえ危ぶまれるような状況ではないかと思量いたします。  また、実務上も遺産分割手続を進める上において非常に相続分が細かくなり、たとえば何十何分の何というような、ひどいときになりますと何百何十何分の何というような非常に複雑な相続分として関係を生じてきた上に、代襲相続人の行方がどこにいるかわからない。その調査が必要になってきますし、その手続を完了するということについては複雑で時間的な問題で手間のかかることから考えまして、その改正案に賛成するものです。  ところで、問題になります代襲相続につきましては、これは被相続人の配偶者の代襲相続についての考慮、これは何かと立法の考慮を払っていただきたいと思うのです。配偶者の死亡の順位が、たとえば被相続人の死亡の前と後において、その相続権を認められるか否かになってきます。この場合、まして死亡した被相続人との間に子供があれば別としても、子供のない場合に死亡した相続人は推定相続人としての立場もあったはずです。他の推定相続人もその亡くなられた配偶者の方で、生きているときには推定相続人として、不慮の事態と、その亡くなられる前については、そういうことについての配慮を考えていたはずです。ところが、その死亡ということになって、不測の事態に伴い自分の相続人が相続分がふえるというような形になってくるのではないかと思います。  確かに、代襲相続自身の考え方、それからいままでの流れから見ると、若干異質というようなことも考えないのではないのですけれども、これはたとえば、農家とかいわゆる自営業とか、そういう関係で一生懸命尽くしてこられた長男の嫁と言われる方が、長男が先に死亡した場合の嫁が結局義理の父と母とそういうような関係で、その方々がお亡くなりになって、その方々の相続財産に関して義理のきょうだいというような方々の間で相続権を主張された場合には、大変苦しいケースになってくるということが考えられます。立法上確かにそうしたいわゆる立法の流れとか立法の趣旨とか、そういう基本的なことはあるかもしれませんが、これは何らかの立法の処置を求めて、この点だけは不慮のことがほかのことに起こるとは思われないと思いますので、これは何とかしていただきたいなと思うのであります。  それから三番目に寄与分に関してでございますけれども、これは従前に、家庭裁判所におきまして遺産分割に際し相続人間の公平を図るという意味で認められてきた制度でありまして、もちろん認めるケースもありまして認めないケースもあったと、そういう非常に不確定なものを、今回民法の改正におきまして、寄与分制度としてそこをはっきり明文化されることにつきましては、非常に公平を図る意味で結構なことだと思うのです。ただ、この折におきましても、やはり寄与分の制度そのものは、いわゆる相続人間の公平とは言われても、いわゆる範囲が相続人という特定があるわけなんです。これをもう少し広げて、実質的にいわゆる被相続人に対して、非常に被相続人の相続財産に関してこれに維持、貢献、発展のために尽くしてきた方々に対して、何らかのそういうものを考えられないかということは考えられるわけです。ただ、寄与分制度自身がそういうふうな流れで生まれてきました関係で、そういうふうに発展的に考えることにつきまして若干問題はあると思うんですが、立法上の問題としてこれを考えていくことはまた別にできると思います。努力をしていただきたいと思っております。  それから、民法の改正の中で最後に家庭裁判所の遺産分割に関して、従来の遺産分割の方法をもう少しはっきりさせた形で特定しております。これは九百六条の改正でありますけれども、従来は「その他一切の事情」として、具体的には審判とかそういうものが「一切の事情」の中に含まれて考慮された事情の中のものを特定し、かつ明文化したものではないか。またそういうようなものではないかと思量いたしますけれども、その際におきまして、こうした深い配慮が払われますことは大変よろしいことではないかと思います。たとえばどういうことかと申しますと、遺産相続の相続人の中におきまして、たとえば精神病の患者がいるとか、あるいはそういう者ではなくても長年病床にある、あるいはそういうようないろんなことから考えまして、あるいは職業とかそういうことから考えまして、これは遺産分割に本当にみんなの相続人間の声をはかった遺産分割になるのには、こういう明文化があった方がよろしいと思っております。  次に、家事審判法の改正に関しましてですけれども、特に同法の十五条の三に関しまして意味がありますけれども、これは前に仮の処分に関することに関しまして、家庭裁判所が積極的にそういう仮の処分を進めることによって、仮差し押さえ、仮処分、そういうようなものに関してこれに関与して、早急で的確な処置を考えられるということについて、特に執行という面から非常に必要なことだと思います。これに伴いまして、財産分与に関して特にその実効がはっきりしてきたと思われるわけです。さらに同法の十五条に関しましても同じようなことが言えると思います。  ただ問題は、これは調停前の、調停申し立て提起の段階のときにはどうするかということについては、従前どおりということなんだろうと思いますけれども、それであっては仮処分とか仮差し押さえとか、そういう制度というのは、これはいつ必要が生じてくるかわからないものでありますから、この点の考慮につきまして、調停前まで認められる立法の方向をお願いしたいと思っています。  あと、相続税法の関係ですけれども、先ほど井田参考人が述べられましたことと同じでございますので、省略させていただきます。

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) どうもありがとうございました。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 各参考人の御意見を伺いますと、皆さん全部この法改正に御賛成になっておられますが、それだけじゃございませんで、寄与分の対象となる人をもっとふやすように、たとえば子の妻でありますとか、事実上の養子でありますとか、内縁の妻もその対象者に含めよというような、非常に進歩的な御意見を述べていらっしゃいますので、私としましてはもうお尋ねすべきことは相続プロパーの問題ではございません。私どもの党——これは社会党でございますけれども、昭和五十年から大体こうした内容——実はもっと進んでおるんでありますけれども、こうした内容の改正法案を国会に提出してきております。そういう意味で、この相続プロパーの問題では余りお尋ねすることはないのですけれども、ただ、非常にいい機会でございますので、若干、たとえば婚姻の効力でありますとか、夫婦財産制に関連する問題などについて、ちょっと御意見をお聞かせいただければ非常にありがたいと思います。  この法務委員会には、国会における女性の議員の方々、ことに参議院の婦人議員の方々から、婚姻の効力の中で夫婦同姓の点ですね、民法第七百五十条を改正して、夫婦別姓の制度を採用しろというような請願がたびたび出ております。この夫婦別姓の制度を採用すべしという婦人議員の請願については、皆様は御賛成になりますか。あるいは反対なさいますか。その点の御意見をまずお伺いしたいと思うのです。  それから第二点としまして、夫婦が相互の協力によって形成いたしました財産、これは学者の意見は、大方、夫婦の共有であるとしておることは、皆様もおっしゃいましたが、しかし、いまの民法や不動産登記法上、夫名義の登記がなされておりますと、やはり夫の固有財産というふうに目されておるのが一般ではないかと思います。その点をどういうふうにわれわれが打開をしていくか。第三者の関係、取引の安全を考えますと、夫名義の不動産は夫の固有財産だと第三者がそれを見ることはきわめて自然でありますし、その立場を崩しますと取引の安全が損われるわけです。しかし、少なくも夫婦の間においては、これは共有であるとしていいのではないだろうかと、こういう見地もあってでしょう、二十年以上夫婦であった妻に対して居住用の財産を贈与する場合には贈与税をかけない、ただし、それは一千万円を限度といたしますが。そういう制度があることは御存じだろうと思いますが、これはやはり夫婦間においても夫の名義の登記がなされておる場合は夫の固有の財産だという立場で、わざわざそういう非課税の制度を設けたんだろうと思うんですけれども、何とかこの夫婦間の共有というものを一般に広げていく工夫はないものだろうかということをふだんから考えておるわけです。まあ妻思いのだんな様は初めからもう不動産も夫婦の共有にして登記しておくようでありますからして、そういう場合には問題はないんです。夫名義の不動産についての問題でありますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。  それから御承知のように、国際私法の分野で法例という法律があることを御存じだと思いますが、その法例では、婚姻の効力について「夫ノ本国法に依ル」という規定が現在ありますが、私どもの考え方ではこれは男女の平等に著しく背馳するという考え方を持っておりますが、皆様方はどうお考えになるか。  以上の三点について簡単に御意見を伺うことができましたら大変幸いであります。

遠藤浩学習院大学教授

○参考人(遠藤浩君) いまの三点でございますが、第一点の夫婦別氏でいいではないかということでございますが、わが国も昔は夫婦別氏でございます。平安時代は別氏でございました。キリスト教が入ってまいりまして夫婦一体観ということで、同一の氏を称するということになったわけでございますから、私は別氏で少しも構わないと思いますけれども、これは意識調査をやりますと、わりあい婦人層から同一の氏がいいという、かつてそういう調査結果がございました。したがって、この意識がどうなっておるかということが、私大変問題だと思っております。最近は大分変わっているかとも思いますけれども、単位をたとえば二千人とか三千人ではなくて、何万あるいは場合によっては何十万という、そういう世論調査をぜひやっていただいて、そういう意識がかなりそちらの方に動いているのであれば、私は別氏で差し支えないと。むしろその方が従来のわが国の伝統から見ればかえって望ましいとも言えるわけでございます。  それから第二の点でございますが、夫婦財産の共有という問題ですが、これは立法論として恐らく大部分の学者は共有——将来は共有にすべきだと言うことだろうと思います。それから、現在夫名義の財産は実質上は共有だと言う学者もかなりございます。しかし、対第三者に対する関係では取引の安全上それはやむを得ないんだということだろうと思いますが、現在私はまあ何人かの人に相談を受けたことがございますが、夫婦共有の登記にしたいと言う夫婦は大分ふえております。ところが、税の制約がありましてなかなかそれがおいそれといけない。たとえば持ち分を半分ずつというようにしますと、贈与税という問題が絡む。それから妻は、一体あなたはどこから金を取得したんだというふうなことを執拗に聞かれるというようなこともございます。ですから、なるべくならば夫婦共有の登記の促進ということが望ましいわけでして、そのためには税法上の対策ということをぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。  それから国際私法の問題でございますが、私、国際私法は余りやっておりませんのでよくわかりませんけれども、法例全体の立場からやはり検討する必要があるのではないかと思いますので、この婚姻の効力についてだけ検討するということは、私はいかがなものかと思っております。

井田恵子弁護士

○参考人(井田恵子君) まず第一点の夫婦別氏でございますけれども、現行法が結婚に際して強制的にどちらかの氏にしなくちゃいけないというふうになっていること、これは私も非常に問題でなかろうかと思うわけでございます。やはり結婚して夫婦になりましても人格は別でございます。  それから氏というのは、民法改正が行われましたときに、これは昔のような家の名称じゃなくて今度は家庭の名称、ファミリーネームとか、まあ符牒とか、いろいろ言われたわけでございますけれども、家庭と言うよりも、やはり結婚いたしましても男、女それぞれ個人として人格権を持っているわけで、何もかも夫婦一体ということは問題であろうと思います。  で、氏というのはやはりどうしても人の一生について回るものでございまして、五十一年に民法の一部改正が行われまして、離婚の際に必ずしも復氏しなくていいと、こういうことになったわけで、現実的に一歩前進したんでございますけれども、根本から考えますと、これはどういう氏を名のるかというものを法律で一方だけに強制するという特別の必要性もないし、逆にまた弊害も多かろうと思うのでございます。  諸外国では夫婦別姓で通しているところもございますし、それぞれその個人として生きていくということには、この氏という問題で一緒くたにされてしまうということは、いろいろと問題が出てくる。離婚いたしましても、氏が変われば、ああ、あの人は離婚したなということがすぐわかる。これは子供の場合も同じでございます。人格を個人として尊重するという観点から、夫婦は結婚に際しまして別氏を名のることもできるという選択の余地のある改正が行われることが望ましいんではないかというふうに私は考えております。  それから夫婦財産制の問題でございますけれども、現行民法は夫婦別産制をとっております。これはいま弊害の面が多く言われるんでございますけれども、別産制がとられましたことには大変大きなメリットがあったわけでございます。旧民法のときも、まあたてまえとしては別産制のようでありますけれども、夫の管理権とか収益使用権とかいろいろなことがありまして、夫によって支配されていたわけでございますけれども、新民法ではそれを取り除いちゃって、それぞれが自分の財産を持ち、自分で処分したり使用収益できるということは、これは夫婦人格対等という観点から大変望ましいことなわけでございます。  特に、最近は働く女性というものがふえつつある。自分で働いた物を自分の名で所有して、それを利用するというその原則は、人格の独立をはっきりさせる意味で大事なことじゃなかろうかと思います。したがいまして、別産制というのを基本に置くということは、これは私は必要であろうと思うんです。ただしかし、そのために起こっているいろいろな弊害。あんまり純粋な別産制じゃなくて、これは手直ししていく必要はあろうと思うのでございます。  そこで、その手直しの方法の一つとして、今回問題になっております相続時における改正というものが行われるというふうにも解されるわけでございます。  それから、離婚の際の財産分与というものがもっと実質的に平等の観点から見直されるということも必要であろうと考えます。  また、居住用の不動産に関しましては、これを譲渡するのが勝手に行われることによって他方の配偶者が受ける弊害というものは、これは何とか阻止していく方向での改正ができないものであろうか。たとえば居住用不動産を他に譲渡する場合には、他方配偶者の同意を必要とするというふうなことも考えられると思うのでございます。  したがいまして、現行のその別産制を維持しながら手直しのできるところはやるというふうな方向が望ましいのではなかろうかと思っております。  居住用不動産につきましての税制の問題がございますが、これも夫婦ならば何でも贈与しても無税だということは、私はやはりこの別産制のよさというものを失わしてしまうし、また逆に混乱も招いてしまう。第三者から見ると夫の物だと思ったところがいつの間にか妻の物に変わっていたとかいうことにもなって、取引の安全も阻害いたしますし、これは夫婦だからといって直ちに無税と、贈与税を課さないということは私は行き過ぎであろうと思うのでございます。  ただ、居住用不動産に関しては生活の根拠でございますので、現行の贈与税の制度で婚姻期間二十年の者について一千万円まで非課税と、こういうことになっておりますけれども、これはいまの状況から見ますと、わりに若い夫婦がどんどんローンなんかで不動産を購入する、届住用不動産を持つ機会が多くなっております。ある調査によりますと、もう十年前後で不動産を購入するという傾向が出てきているわけなので、そういたしますとこの二十年という期間はいささか長過ぎるんではなかろうかと、したがって、これの期間の短縮、あるいは現行では一千万まで控除というふうになっていますが、それをもう少し上げるとかいうことでそこは対処できるんではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから法例の点につきましては、仰せのとおり、私はこれは夫の本国法によるということはやはり男女の平等の観点に著しく反すると、その観点から私も現在の法律には疑問を抱いております。  以上でございます。

阿南三千子弁護士

○参考人(阿南三千子君) 夫婦別姓のことにつきまして考えていることを述べます。  一応結婚いたしまして、現在のところ戸籍法上では夫の名前を名のってもいいし、あるいは妻の氏を名のってもいいと、こういうふうに記載されています。ただし、夫婦の氏というものを共通にするという方向では同じです。ですから、そこの中に考えられます、たとえば夫の氏を称するから夫の家に入るというような考え方というのが現在の法律の中で考えられるのか、それとも戸籍法上から見ると一つの家族を構成する名称として考えるのか、そういうことになるわけですけれども、私は一つの家族のいわゆる呼称として考えられるのではないかと思います。ですから、どちらを考えても、どちらにしても別に構わないし、じゃ両方別々の姓にしたいと、こういう場合に思い切って、そういうときには別々にするかという——希望する人はそうするかというようなことになりますと、今度はいわゆる呼称としてのものと、ある人はそうだしある人はそうでないと、そういうことはできませんので、一斉にやはり戸籍上そうなるというようなことになってきます。いずれにしろ夫婦別——私の考えでは氏というのは家族の一つの呼称でございますので、どちらにしてもそういうお答えを、質問をしていただきました人のおっしゃる危険性とか、そういう考えを必ずしも別にしなきゃならないとか、そういうことまでは考えていません。ただ、どうしても氏について男女平等なんだからそういう形でそうしたいという方向になりますれば、私の考えでは方法はいずれにとってもいいということになりますので、そういう方向がよいというようなことに、いわゆる民事的な意識というんでしょうか、そういうようなものがありますればそういうふうな改正でも構わないと。非常にあいまいですけれども、そういうふうに答えさせていただきます。  二番目に、夫の名前になっている財産についてでありますけれども、これは確かに夫が対外的に働き、妻が対内的にやっているような場合に、その妻が一生懸命家事に貢献し、あるいはいわゆるたとえばローンを組んでというような、男性が外に働いていますので、たとえばローンを組む場合でも夫の名前になるのが普通だと思いますが、そういう場合で、しかしそういう中にその財産を取得、維持、発展させるという力が、女性の家事とかあるいは日常の生活についての貢献を通じまして積み重ねられていくということは十二分に考えられますし、これを共有ととらえておいて、そしてその共有財産にし、夫の勝手な処分ということを防ぐという意味におきまして何らかの処置を加えるということは非常によろしいんですけれども、ただ、こういう点についての立法化ということは考えておかなければならないことだと思っています。  というのは、じゃ、女性の、いわゆる妻の共有分がどのくらいになるのか、一年ではどのくらいなのか、この人の場合はどのくらいなのか、それは対外的に不動産登記法として表示しないものですから、そういったものは対外的にわからないわけです。そうすると、いわばどういう形になってくるかと言いますと、現在の民法では虚偽表示的な考え方になってきはしないか。取引の安全から見て現在のところはやむを得ないけれども、何とか対外的なものを、いわゆる登記的なものを何らか工夫することによって処分というようなことは将来考えられないか。若干むずかしいとは思いますが、そういう方向性であるとは思いますが、いまのところはやむを得ない。現在の夫の名義の固有財産は、現在のところ取引の安全の点からはやむを得ないかと思います。  ちょっと第三番目の法例のことに関しましてですけれども、この点に関しましては、外国法のことにつきまして余りよくわからないところがありますので、申しわけありませんけども、答えを控えさせていただきたいと思います。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 きょうはお三人の参考人の先生方、大変御苦労さんでございます。本当に貴重な御意見ありがとうございました。  三人の御意見は、この法案に対しましては賛成というようなお立場のように承りまして、そして総体的には、一番最初に遠藤先生がおっしゃられました、この法案の改正については総合的にはまだ十分ではないというのが全体の三人の参考人の先生方の結論のようにも私は受けとめました。  と申し上げますのは、それぞれ寄与分の問題にいたしましても、改正の家審の問題にいたしましても、いろいろ御意見がございました。そういうことを考えていきますと、それが結論になって、これからこの民法についての改正も十分考えていかなきゃならないんじゃないかというふうに私どもも受けとめてこの法案の審議をいたしたいと思います。  そこで、参考にお伺いいたしたいんでございますが、厚生年金保険法がございまして、これの「(用語の定義)」というところに第三条というのがございまして、それの二項というところにこういう条文がございます。「この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」と、こういう条文があるんでございます。これは私流に申し上げてみますと、事実上内縁の妻にもこの厚生年金の中の遺族年金というものが支給されるというようなことだと思うわけであります。こういう面から考えていきまして、お三人の参考人の方々の御意見、妻の相続権の問題と、その例をおとりになりまして夫が先に死亡した場合、その被相続人からの相続を受けることができないというそういう問題、年金とは違うと言えばそれっきりでありますけれども、日本の国の法律の中にこういう法律があるにかかわらず、今回の改正でも考慮されてなかったと、こういう点について一点お伺いをいたしたいと思います。  それからもう一点は、確かに現在の状況から、現在の社会情勢からいきますと、この法案を提案するのには、核家族化が進んだことと子の数が減少したことによって、家族構成にかなりの変化を生じておる。これはそれぞれのお立場でお述べになりましたけれども、これは現在の状況であるから、いまの状況に合わせて民法を変えるのはこれは至当だと思いますけれども、逆な形になって、子供がふえていくというようなことになりますと、現行法がよくなっていくのか、あるいは改正法がよくなっていくのか、こういうところにもいささか疑問があるわけです。と申し上げますのは、相続問題については相当な複雑した事例がございます。そういうこと等から考えて、時間がございませんから具体的に申し上げられませんですけれども、逆な場合になるときに今度は改正する法律案が妥当になっていくのか、また改めて考えていかなきゃならないのか、こういう点についてお三人の参考人の先生方に伺っておきたいと思います。

遠藤浩学習院大学教授

○参考人(遠藤浩君) 第一点の内縁の問題でございますが、社会福祉の関係ではほとんどの立法が配偶者——括弧して内縁を含むようにしております。私先ほど申し上げましたように、学者の中には相続法の配偶者の中に内縁の者を含めるように解釈すべきであるということを主張される方もございます。事実、民法の七百十一条という条文がございますが、そこに、たとえば自動車事故で死んだ人の配偶者、父母、子という、これは判例でその配偶者の中には内縁の者を含むという解釈をしております。ですから、解釈としてできないわけではございません。しかし、私先ほど言いましたように、相続の場合は行政法と大変深く関係いたしますので、現行法の解釈としては無理ではないかと。そうしますと、内縁の配偶者は大変気の毒だと。たとえば現在の実務の取り扱いあるいは判例ですと、内縁の夫婦が別れますときには財産分与請求権を認めております。ところが死に水をとってやると何ももらえないと、それは不公平じゃないかという、これはよく言われることです。そこで、何人かの学者がこれ主張しておりますけれども、離婚の際の財産分与請求権を被相続人、つまり夫の死亡の際にも類推適用できないか、そういう考えはできないだろうか。で、家庭裁判所に私は内縁の妻だと、だから離婚の際の財産分与請求権を離婚の極限と解する、つまり、婚姻の解消と極限概念として解すればできないわけじゃないじゃないかというような解釈もございます。ただ、相続法の解釈としてその中に入れるのは私は無理ではないかというように思うわけでございます。  それからもう一つの問題につきましては、これは配偶者の問題でございましたでしょうか。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いや、そうじゃなくて、この法案……、家族構成ですね。

遠藤浩学習院大学教授

○参考人(遠藤浩君) これは、子の数が多くなる少なくなるというのは、この立法の際に、この立法趣旨の中にも子の数がいまこういうふうになったからということもうたってありますけれども、やはり一番大きな今度の改正の動機になったのは、配偶者の意識の高まりだと思います。ですから、配偶者の財産法上の地位を高めよという声だと思うわけでございまして、子の数には私は関係なくやはり高めた方がいいというように考えております。ですから、将来子の数に変動が生じたとしても、それはこのままでよろしいのではないか。相続というのは二分の一とか三分の一という数字であらわしますから、実際の家族形態というものは非常に多様性がございまして、二分の一、三分の一で割り切れないというような問題がたくさんございます。それは遺言によって妥当な結論を得るということ以外には私はないのではないかと思います。

井田恵子弁護士

○参考人(井田恵子君) 最初の問題でございますけれども、これは内縁の妻を民法上どう取り扱うかという問題でございます。相続におきまして内縁の妻も相続人とするということには、私はやはりちょっと問題ではなかろうかと思っているのでございます。これはやはり婚姻主義、婚姻届を出した者を尊重するという現在のたてまえをまず大きく崩してしまうということも一つの理由でございます。そこで、ただ現実的には届け出を出してないだけで実質は夫婦であるという、そういう夫婦につきましての保護をやはりしなくちゃいけないという現実的要請がございます。それをどう行うかということですが、これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、相続におきましては、私は、これは寄与分という形で寄与分権者としての資格を認めるということで行うのが妥当ではなかろうかというふうに考えます。  それから二番目の問題でございますけれども、子供の数が将来ふえるかもしれない。ふえた場合にいまのまた相続分というものの変更が考えられるかという御質問かとも思いますけれども、これは、やはり家族というものをどう見るか。私は、やはり新民法が予定しております夫婦と未成年の子から成るそういう家族というものを念頭に置いておりますので、そういたしますと、子供がふえようがふえまいが、配偶者は配偶者としての位置づけというものは確立されていてよかろうと思うのでございます。すべきものだろうと思うのです。したがいまして、子供の数によらずに、やはり配偶者の地位、妻の地位というものを一定のところに置いて高める、確立するということになるのが妥当であろうというふうに考えます。  以上でございます。

阿南三千子弁護士

○参考人(阿南三千子君) 厚生年金保険法の関係で、いわゆる保険の、年金等の支給が、被相続人の死亡後に相続人である配偶者でなくても、いわゆる内縁と言われることにつきましてそれが認められているということでありますけれども、私も、内縁関係が現行法上どの程度まで認められているかと考えたときに、内縁関係は内縁関係の維持存続、内縁関係は内縁といういわゆる権利、内縁の利益イコール権利というのですか、その範囲内で認められると言っているものではなかろうかと思います。ただ、それにしては、たとえば労働基準法とか厚生年金保険法は、そういう方向からもう一歩突っ込んで、これは、むしろ相続の方向性があるのではないか。むしろ単に権利関係だけの維持だけであれ、もう少し突っ込んだものがあるんじゃなかろうかと、そう思うこともあるんです。これについても、私、もちろん民法研究しているようなそんな者ではないものですから、そこのところは食い込んでいるか食い込んでないかは、私の方で正確にそれを論ずることはできないとしても、そういう方向性がある以上、内縁の妻に関してただ婚姻届を出してなかっただけのことなんでございますから、それを配偶者に準じて、準婚として扱っていく、そういうことはできないものではなかろうかと考えています。特に、じゃ、相続の中でどのようなふうにして入れていくかというようなことになってきますと、いろんなやり方があって、私はむしろ積極的にこれはいろんなそこに立法上の介在がかなり予定されるかもしれません。それは、いわゆる配偶者の中に内縁の妻というものを認めてよろしいんではないかと思うんです。内縁の妻とただ認めるというようなことになってきますときに、いろんな条件というのか、そういうものを考えなければならない。それはなぜかというと、内縁の妻でも、もちろん私が言いますのは準婚といわれる内縁の妻でございますけれども、それにつきましても、この人が内縁の妻なんだと、いわゆる準婚的内縁の妻なんだと、そういうふうな人だということを証明することがなかなかむずかしいし、何をもってそれを証明するというふうな方向になってきますと、たとえばの話ですけれども、緊急にまた家庭裁判所の許可とか、たとえばそういうことが仮にできますれば、それは非常にスムーズに進むことではないかと思います。あるいは関係法案もあるとのことですので、たとえばそういう方向性を考えながら、現行法ではちょっとむずかしいとしても、将来の可能性として、そういう手続的な面からある程度できるものであれば解釈上入れていっていただき、あるいは明文上入れていただいて、いわゆる特定の制度がある程度具備するというようなことになってきて、それとほかの法律関係でうまくできるというようなことであれば、その段階でいわゆる入れるということで、現在のところでは無理としても、将来の展望として考えていただきたいと、そういうことです。  二番目に、子供の関係でございますけれども、相続に関しまして妻の寄与分はふえたわけではなくて、妻の寄与分は、それだけ被相続人の財産に対しまして、社会の最少単位である家庭、その被相続人の名義になっているところの相続財産に対して、妻がその相続財産に対して維持、発展に寄与した分について、その死亡を境にして顕在化してきたものでございますので、その分ということで、子供の数とは若干関係がありませんけれども、だから子供がふえるということでは、そういう関係では余り関係がないというんですか、関係がなくなっていくわけなんです。ただ、確かに状況等がそうであるから、将来のそういった状況、たとえばこの質問の場合には子供の場合でございましたけれども、そのほかに社会情勢、たとえばエネルギー問題なんかありますので、たとえばその社会的なものがどのようなふうに変化していくか、そのときにはちょっと私も、それはそのときで的確にとらえて状況判断した上でまた考えていただくというほかはないのではないかと思うんです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 きょうは御意見ありがとうございました。  二点だけちょっと伺いたいんですが、まず第一点は、単純に考えてみますと、妻の座を尊重しまた権利を守るということでの、今度の相続分についても寄与分についても御賛成ということで、また問題点は別として、御意見を伺って私どもの参考にさしていただくことができますが、単純に考えますと、夫婦が結婚いたしまして、二人で一生懸命働いてやって一軒の家を持ちました。その相続財産がその家だけだといたしますと、妻が二分の一を相続する。そうしますと、実質的には夫婦の共有であったその自分の共有分を相続すると、こういうことになるわけですね、二分の一ですから。しかし、そうではあっても、それ以上にやっぱり夫との生活で妻は寄与している部分がたくさんある。そういう場合に、二分の一残ったものが子供に行くわけですが、その二分の一に対しても妻は寄与分としての請求をし得るのかどうかという問題が一つやっぱり子供との関係であり得ないかどうかと私ちょっと心配するんですね。そこらあたりちょっとどういうようにお考えいただいておるか。  それから第二点は、これは全然これと関係ないんですが、言葉というのは長い歴史やいきさつがありましてなかなか変わらないものですが、直系尊属、直系卑属という言葉、まあ尊属というのはともかくとして、私は直系卑属という言葉がどうもきらいなんですね。おやじから見ると私は卑属になるという……。だから、何かいい言葉が、民法研究していらっしゃる方、実務に携わっていらっしゃる方でお考えつきがないものだろうかというふうにいつも考えておるんですが、まあざっくばらんな御意見を聞かしていただきたいと思います。

遠藤浩学習院大学教授

○参考人(遠藤浩君) 遺産が一軒の家だと、こう仮定しますと、いまのように実質上は夫婦の共有ではないかと。そうしますと、夫の仮に持ち分が二分の一だとしますと、妻は二分の一取るのはあたりまえなんで、残りの二分の一について相続は起きるんだと、だから二分の一プラスアルファなんだという考え方が当然ございますし、それから、そういう主張も出される人もかなりおります。しかし、いまの考え方は、妻のいわば潜在的持ち分である二分の一が相続を機として浮かび上がるんだと、それが相続分だというように考えておりますので、将来、夫婦財産が共有であるということになればいまのようなお考えになるかと思いますけれども、いまのところは潜在持ち分の顕在化ということで、このままで仕方ないのではないかと思っております。  それから第二の点でございますが、この直系卑属というのは本当にいやらしい言葉で、私最近、誤りやすい日本語という、何人かの学者と本を書きましたけれども、法律用語調べてみますと本当にいやらしい言葉がありますので、ところが改正しますとなると、どういうふうに改正したらいいのか、美しい言葉一体あるのかないのか、ひらがな入れてどうなるのかということになりまして、なかなかいい言葉が見つからない。これは文部省の国語の方の審議会なんかでもいろいろ検討しておるようでございますが、うちの大学に大野という日本語の権威がおりますが、彼に聞いても、おれにもいい案は浮いばないということで、ひらがなを入れないとどうも適当な言葉が見つからない。ひらがなを入れるということは法令用語として妥当だろうかというようなことになりまして、しかし、今後の課題としてはこういう言葉は何とか早く改めるべきものは改めた方がいいのではないかと思っております。

井田恵子弁護士

○参考人(井田恵子君) 家が一軒だけという場合の、その夫婦の権利関係でございますけれども、これは、その一軒の家をどういうふうにして築き上げたかという実質とずいぶんかかわっていると思うんでございます。で、名義は夫になっていても、自営の妻が一緒に働いて一軒の家を築いていて夫の名義になったという場合でございますと、これは先ほどの寄与分と関連してくると思うのです。そういたしますと、仮に寄与分が二分の一あるとしますと、やはり二分の一を除いた残りが遺産として相続の対象になってくるんではなかろうか。それから、まあ夫婦が別々に働いて得たお金を両方出し合って一軒の家を買ったけれども、夫の名義にしておいたという場合も同様だと思うんです。当分は寄与分として妻が取得する。そして、その残りは遺産としてまた半分もらえると、こういう関係になると思うんです。ただ、そうじゃない場合、まあ家庭で主婦が家事労働しているというような場合が問題になろうと思うんですけれども、まあ家が一軒というときになると確かに実質的に問題があるわけですけれども、家政を担当したり子供を育てたりする、そういう協力を片やしていたということの評価とか、そういうものがまさに今回評価されて、それを通常の貢献として二分の一と認めたことであろうと思うんでございます。したがいまして、特別寄与した者につきましては家が一軒でも寄与分として先取りできるし、それから通常の場合にはこれは普通の貢献という形で相続分の中でそれが解決されるというか、相続の際に清算をされるということだろうと思うのでございます。したがいまして、通常と特別の解釈の問題であろうと思うのでございます。  それから、直系卑属の問題でございますけれども、これも本当に昔の時代を思わせる言葉で、時代錯誤的な言葉がいまも残っていると思います。これは、じゃ、何と言ったらいいかといいますと、急に名案はないんでございますけれども、まあ子とか孫とかいっても曾孫もあるということになると全部書くのもあれですし、何か本当にいい言葉があればというふうに考えます。

阿南三千子弁護士

○参考人(阿南三千子君) 夫婦で築き上げた財産につきまして、夫の名義に相続財産をするというようなことでございますけれども、それが被相続人の死亡に伴いまして妻がその財産に対して通常の財産の維持あるいは発展と、そういうことに尽くしました分につきまして顕在化して、それがいわゆる二分の一の共有分ということの評価を受けたものだと思います。したがいまして、寄与分という制度が今回改正の中に入っておりますけれども、寄与分の制度そのものも、読んで感じますことは、特にというふうな項目がございます。この特にがどのくらいが特にかというようなことに関しましては、これは寄与分のいままで起きました審判等の関係から推察するほかはないんですけれども、そこから考えまして、その寄与分があったときに、家庭裁判所が結局それにプラスアルファをして、夫の名義で共有で得た財産を取得した場合に、いわゆる被相続人の死亡に伴い共有分を取得した上に寄与分を取得する、その寄与分のところになるものだと思います。御指摘のとおりに、寄与分のいわゆる程度と申しますものにつきましては、範囲が裁判所の決定にゆだねられてはおりますけれども、過去の審判関係から考えまして、家庭裁判所にやはりお任せしてもそこのところはよろしいんではないかと思います。  それから二番目の直系卑属につきましての名称を変更することにつきましてですけれども、血統相続主義におきましてこういう名称を使うことは非常に便利だとは言いましても、呼称としてちょっと適当を欠くことは否めないところです。だからと言って他に、井田参考人のお話にもありましたように、これをいわゆるすべて子、孫、それ以下について全部いわゆる総称するというものを、ほかにいろいろ研究してまた立法材料にしていただくほかないんじゃないかと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ありがとうございました。

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) この際、参考人の方々にお礼を申し上げます。  本日は御多忙中のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお聞かせくださいましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、民法及び家事審判法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは民事局長にお尋ねをしますが、結婚後も夫婦は相互に従前の氏を名のるようにしてほしいという、主として参議院の婦人団体からの請願が最近相次いでおりますが、これは民法七百五十条の改正を伴うことであります。同時に、七百五十一条や七百六十九条等の改正も必要になります。この点について民事局長としてはどのようにお考えになるか。できれば各国の法制等の紹介もまじえて御答弁をいただきたい。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 民法第七百五十条におきまして、    〔委員長退席、理事宮崎正義君着席〕 「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」ということになっておりまして、夫婦が同じ氏を選択によって決めてそれを冠するということになっているわけでございまして、このように民法の規定がなっておりますのは、夫婦というものを社会生活の基本単位として、これに共通の呼称を冠するということが適切であるという考え方に基づくものでありまして、国民感情としても定着しているということからかような規定になっていると思うのであります。  これに対しまして、夫婦が同じ氏を冠するということでなくてもよろしいのではないか、若干の国々におきましては夫婦が異なった氏を称する、異なった姓を冠するというような制度もございます。しかしながら、氏の制度と申しますのは、各国の歴史的、社会的な背景によって一様ではございませんので、外国の立法例を直ちに社会的背景とか国民感情というようなものと切り離して参考とすることは、必ずしも適切でないのではないかと思うのでございます。わが国におきましては、古くは必ずしも夫婦が同じ氏を称するということではなかったようでございます。これは法制史の問題になりますので、私詳細に研究いたしたことはございませんけれども、必ずしも氏というものが一般庶民の間においてそれほど確立したものではございませんし、また、婚姻をしたからといって夫の氏を称する、あるいは妻の氏を称するというようなことではなかったようでございますけれども、明治年間いまの民法が制定されました当時には、同じ氏を称するというようなことになっていたようでございます。制定前にはそのようなことになっていたようでございまして、明治民法がそれを確立したと申しますか、そういうような制度を是認して、これを法律に定めたわけでございます。  ただ、各国におきましては、これはただいま申し上げましたように、必ずしもその軌を一にしていないわけでありまして、ごく概略を申し上げますと、たとえば血統ということを非常に重んずる国民感情のもとにおきましては、これは妻といえどもそれぞれの血統があるわけでございまして、当然に夫の氏に変わるということはない。また、逆の場合もそうでございますけれども、夫婦は別々の氏を称するというような国はございます。韓国もそうでございますし、中華人民共和国あるいはその他の、ソ連も選択的ではございますけれども別姓を名のるというようなことを認めているようでございます。それに対しまして、これは次元的に申しますと、むしろ夫婦の同一性ということを非常に重んずる国民感情、あるいはそういう民族の間におきましては何らかの方法によってこれを統一した、一致した氏を冠するというような方向に結びつきやすいわけでございまして、これはたとえばキリスト教圏と申しますか、そういったところでは早くから夫婦が同じ氏を称するというような傾向があったようでございます。  そこで現在、これをかいつまんで申しますと、ただいま申し上げました韓国それから中華人民共和国は、これは氏が変わらない、そういう慣行が確立しておるか、あるいは法制上おのおのの姓名を用いる権利があるというようなことになっておりますし、ソ連におきましては、選択で一つの氏を決めるか、あるいは固有のばらばらの氏を冠するということが選択的に認められているようでございます。これに対しまして、たとえばイギリスにおきましては、妻は夫の氏と称号を称するというようなことになっているようでございますし、西ドイツ、これは婚姻登録の際に夫婦いずれかの姓を決める、あるいはそれを結びつけたような姓を定めるというようなことになっておりますし、東ドイツでは、夫または妻の氏から選択した共同の家族姓、家族の氏を持つ、それを婚姻登録の際に定めるというようなことになっております。またフランスでは、これは夫婦は相手方の氏の使用権を取得するけれども、固有の氏を失うものではないというような規定になっているようでございます。  非常にこの問題はさまざまでございまして、わが国でもこの問題相当古くからやはり問題点が指摘されまして、法制審議会の民法部会身分法小委員会におきましても昭和三十年代に検討されましたけれども、結局、夫婦別氏を認めるべきかどうかという問題についてはなお検討の必要があるということで留保の事項になっているわけでございます。  そこで、この問題を考えるに当たりましては、やはり国民感情というものを十分に見きわめる必要がありますが、この点につきましては必ずしも現在では、いろいろな調査によりまして、国民の圧倒的多数の支持を得ているというふうにはまだうかがわれないわけでございます。したがいまして、これを一挙に別氏というような方向に向かって検討を進めるということはいかがであろうかと思われるわけでございます。  なお、別の氏を採用いたしました場合には、放置すべからざる問題といたしまして、子の氏をどうするかという問題もございます。  なお、婚姻の公示機能と申しますか、この夫婦が一体である、夫婦であるということを世間に示すためにはやはり同一の氏が便利だ、望ましいということも忘れてはならないことでございまして、確かに別氏の方がよろしいという議論も理解はできるわけでございますけれども、現段階におきましては、直ちにその方向に向かって検討を進めるということに関しましては、やはり消極であると申し上げざるを得ない次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大蔵省の審議官がきょうは一時五十分にどうしても他の所用があるということですから、これは大蔵省の主税局審議官の方にお尋ねをしますが、夫婦の協力によって得た財産は夫婦の共有とすべきであるという、これは民法学者の意見が強いわけですね。現在でも実質的には共有なんだと、共有と解釈すべきであるという有力な学説があるわけです。しかし、税法の立場では、仮に夫名義に登記せられた不動産は、これは夫の固有財産というふうに取り扱われている。これは明らかであると思いますけれども、この点をもうちょっと弾力的に考えることはできないか。たとえば私どもしばしば離婚の事件を扱う場合に、財産分与を受けた妻に対して税務署が課税してくる場合がある。で、私どもがそういう場合に税務署にかけ合って、いろいろ便法を講じてもらって税金がかからないようにしてもらうというようなこともかつてありましたけれども、これはやはり元来共有だと見れば譲渡所得はこれはない、したがって、課税もないということになりますね。この辺はどういうふうにあなた方お考えになっていらっしゃるか、ちょっとまずそれをお伺いしたい。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員御指摘になりましたように、現在のわが国の民法の規定によりまして夫婦は別産制のたてまえになっております。何と申しましても民法の規定は国民生活の基本的なルールでございまして、そのルールに基づきまして税制と申しますか、税法は構築されておるわけでございますが、御指摘のとおり、離婚の場合の財産分与の場合に当たりまして、これは財産分与を受けられる方には課税の問題は起こってまいりません。それから財産分与をされる方にも原則として課税の問題は起こってまいらないわけでございますけれども、ただ土地なんかのように、分与の際にキャピタルゲインが発生するものにつきましては譲渡所得の課税という問題が生じてまいるということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは夫婦別産制を前提にして、夫婦の協力によって得たものは共有財産だと、そういうふうに理解すべきだというんで、別に夫婦別産制をとったから共有の概念を入れる余地がないと、こういうものじゃないでしょう。もともとつまり家産制度を認めたわけでもないし、夫婦の固有財産というのは、結婚前の固有財産というのはそれぞれ結婚後も固有財産になる、これは当然のことであります。ただ夫婦が結婚後に協力して得た財産は共有と見るべきではないかという、夫婦別産制を前提にして共有の概念をそこに入れていこうというわけだから、別産制をとったからといって共有が認められないというわけじゃないと思うんです。  それから、あなたの言われる財産分与の場合は全然税はありませんと、キャピタルゲインが考えられる場合だけですというのは、それは財産分与がキャピタルゲインがない場合には課税しませんというのは、これは理論的にはどういう根拠でそうなりますか。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) 財産分与は民法の規定に基づきまして行われるわけでございますが、分与される側にとりましては、これはまあ協議離婚の場合、裁判上の離婚の場合、いろいろあるかと思いますけれども、そこで確定いたしました財産の分与義務を、分与される方はその義務の履行であるし、お受け取りになる方はその請求権をそれで満足されるわけでございます。したがいまして、たとえば財産分与の際に現金をお渡しになるという場合がございます。この場合には本来の権利の履行であるわけでございますから、お受け取りになる方にとってもそれは所得の発生、贈与にはなりませんし、お渡しになる方も義務の履行でございます。ちょうど物を買うときにお金を渡すのと同じでございまして、これは所得が発生しないわけでございますが、ただ、先ほど申しましたように、土地等の場合、これは取得価額以前に取得されました価額に比べましていわゆる値上がり益と申しますか、保有期間中に未実現の利益が発生しておるわけでございますが、それが土地をお渡しになるという時点でいわゆるキャピタルゲイン、未実現の利益がそこで実現すると、つまりその時点で所得が発生すると、こういう構成をとっておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なるほど。そうすると、財産分与請求権というものが本来あるんだと、裁判所によってそれが認定されるんだと。したがって、その請求権を持っておるがゆえにこの権利の実行がなされたにすぎないと。また、夫の方はその義務を果たしたにすぎないと、だから何にも新らしい所得は発生していないと、こういう考え方ですね。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) 御指摘のとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 民事局長は大体そういう考え方をしておられますね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) おおむねそのとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから相続税法の第二十一条の六「(贈与税の配偶者控除)」、この規定がありますね。婚姻の期間が二十年以上の夫婦の場合に、夫婦の一方から他の配偶者に対して居住用の資産を贈与した場合、その贈与された不動産の価額が一千万円以内の場合には贈与税を課さないと。これは一般的な控除が六十万円あるから現実には一千六十万円までは贈与税がかからないという、そういうふうに理解せられておるようですね。  これは、私どももしばしば最近の土地価額の値上がりで、どうしたらいいでしょうと言って法律相談を受けて、回答をしました場合に、一千六十万円を超える分については贈与税がかかるということでひやひやする場合がありますね。いまのこの物価の上昇の傾向を考えますと、一千万円というのは低きに失するように思いますね。これは午前の参考人の意見にも出てきた問題ですが、もうちょっとふやしたらどうかと、仮に二千万とか三千万とか。  それからもう一つの問題は、二十年という婚姻の期間を限ったのもこれも検討の要があるんではないか。十五年ではいけないか、あるいは十年ではいけないかという論議がありますね。これは改正の余地はないんだろうか。もうちょっとその年限を短くする問題、それから物価の騰貴にかんがみて、一千万円という限度をもう少し上げてみることが妥当ではなかろうかと考えるんですが、この点いかがでしょう。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) ただいま御指摘になりました贈与税の配偶者控除の問題でございますが、御案内のとおり、この制度は昭和四十一年に創設されまして、当時は婚姻期間につきましては二十五年、それから控除額は百六十万円でスタートしたわけでございます。その後今日まで累次の改正がございまして、昭和五十年にただいま仰せになりました一千万円という控除に引き上げられると同時に、その以前に、昭和四十六年に、婚姻期間については二十五年が二十年に改められておるわけでございます。  この配偶者控除を今後どういうふうに考えるかという問題でございますけれども、まず一千万円という限度額につきましては、これは従来の法改正の経緯をたどりましても、やはり基本的には物価とか経済情勢の動向、これを勘案しながら、絶えず見直しをしていかなければならない問題であろうかと考えます。ただ、現行の一千万円につきましては、委員からもいろいろ御要望のある筋、私ども承知はいたしておりますけれども、たとえば昭和五十三年の課税事例で見ますと、大体全国でこの配偶者控除を受けられました方の一件当たりの恩典の利用額と申しますか、それが五百四十万円でございます。したがいまして、そういう点からいきますと、まあ未来永劫一千万円でフィックスであるというふうに私ども毛頭考えておりませんけれども、現時点で、さらにまた現在の財政事情等を勘案いたしました場合に、いま直ちにこの一千万円を引き上げるということについては、率直に申しまして私どもは消極的に考えておるわけでございます。  それから第二点の婚姻期間の問題でございますけれども、これにつきましても、本来御案内のとおり、相続税と申しますのは所得税の補完でございまして、基本的には富の集中の排除と申しますか、富の再配分という機能を持っております。ただその場合でも、中堅の資産家に過重な負担はかけてはいけないという配慮は常に必要かと思います。  ところで、そういう相続税の体系の中におきまして、この配偶者控除というのは、実は本来生前贈与の場合でございますと、ただいまおっしゃいましたように六十万円の控除しかないわけでございますけれども、この配偶者控除の規定と申しますのは、長年連れ添った配偶者の立場と申しますか、そういうものを考慮いたしまして、特に生活のよりどころになるであろう居住用不動産に限定をいたしまして特別の控除を認めておると、そういう配偶者の地位に配慮いたしました特別の控除制度でございます。  そういたしますと、これは先ほど申しました限度額の引き上げにも関連するわけでございますけれども、本来相続税というのは累進構造になっておりますので、仮にこの配偶者控除を非常に広げますとどういう効果が生じるかと申しますと、もちろん最終時点の相続の税負担の場合に、配偶者の方の税負担が軽減されるという効果も持ちますと同じに、これは配偶者以外の共同相続人の税負担がそれだけ軽減するという効果も生じてまいりますので、そのバランスをおのずから考えなければいけないと。同じようなことでございますが、たとえば婚姻期間が非常に短い方についてもいまの特例を拡大するということになりますと、まあ語弊があるかもしれませんけれども、比較的そういう資産的余裕のある高額所得者といいますか、高額の資産階級に特別の優遇を与えるというふうな結果になりかねないということでございまして、私ども、二十五年がいいか二十年がいいかという議論は、これは固定の尺度があるわけではございませんけれども、いわゆる長年連れ添ったという常識的な感じから言って、やはり二十年と、当時税制調査会でいろいろ議論された結果、現在の婚姻期間の規定になっておるということをぜひ御理解を賜りたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ二十年としたことに特別な合理的な根拠があるわけではないんで、二十五年がいいか十五年がいいか、まあこの辺だろうということで決めたもんだろうから、これはまたさらに検討することにしますが、ただ、いまの一千万円ですね、これは物価の度合いに応じて額を決められるべきであるという大原則はあなたも認められたんですね。  そうしますと、あなたのお答えによると、一千万円としたのが昭和五十年だという。そうすると五十五年の現在、そこに五年間の日時の経過がありますね。この五年間に消費者物価とか地価とか、これがどのぐらい上がっているか、あなた方は何か調べられたことがありますか。もし調べたら、ちょっとおっしゃっていただきたい。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) これは全国の市街地の地価指数でございますけれども、四十五年を一〇〇といたしまして、現在の指数が、昭和五十四年が一八一でございます。ただ御承知のとおり、この四十五年から四十九年にかけての上昇率が非常に高うございまして、いま一八一と申しましたが、四十九年の指数が一七一でございますので、いまちょっとここで、その五十年を一〇〇にしてどれぐらいの上げ幅になっているかということでございますが、恐らく一割ちょっと超えるぐらいじゃないかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 地価の上昇度合いはわかりましたが、一般の消費者物価はどうなっていますか。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) 消費者物価の指数、いまちょっと手元で改めておりますが、ただ、先ほど申しましたように、この配偶者控除の問題というものは居住用の不動産に限定されている問題でございますので、基本的に、たとえば物価動向とか経済動向を勘案してという場合には、やはり一番重要な指標になるのは地価指数ではなかろうかと私ども考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、あなたはいま直ちにこの一千万円の価額をいじらないと、いじることには消極的な意見を持っておるとおっしゃるのは、主として地価の上昇度合いがそれほど顕著でないと、そういうことが前提になっておりますか。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) 先ほど申し上げましたように、そういう点もございますし、同時に、現在この制度を利用されておる現況を見ますると、先ほど申しましたように、昭和五十三年の課税事例で一件当たり五百四十万でございますので、その平均的な利用状況から見ますと、いまの一千万円が著しく現状から見て遊離しておる、あるいは乖離しておるとは考えられないというふうに考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、平均して五百四十万ということになると、あなたが言われたように、余りこの制度が非常に持てる者を優遇しているということにはなりませんね。まあどっちかというと中産階級だということになる。私自身もやはり相談を受けるのは大体中産階級です。相続すべきものがもうほとんど家屋敷だけだと。ところが夫が死んだ場合に、子供にも嫁という他人の者がついておるので、残った妻——母親になりますかね、これがいろいろ、どこへ行って生活していいのかなと迷っちゃいけないというので、まあこの家屋敷だけは自分の物にしておこうというようなことで、夫から譲り受けるという事例が多いようです。だから、利用者はもうほんにこれは中産階級で、お金持ちはもうそんなことせぬでも十分老後が安定し得るという立場だね。そうすると、何か一千万円ということになると、まあ現実の場合は、あなたが五百四十万円と言ったのは、この価額の算定が市町村の評価によるものだから、そこで救われているんだね。これは時価はもう一千万円はるかに超えているんですよね。だから、まあいますぐにあなたにその意見を変えろと言ったってそれは無理だろうから、また私どももよく調査をし、不動産価額の高騰の度合いをよく調査をして、さらにまたお尋ねする機会があると思いますが、あなた方もやはり市街地の上昇度合いを正確に把握して、やはり一定の程度市街地の価額あるいは不動産の価額が上がった場合はこれを検討する気持ちを持ってもらいたいと思いますよ。その点どうだろうか。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) 現行の一千万円という基準の控除限度額につきましてはただいま申し上げたとおりでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては今後とも御指摘の点も含めまして、時間をかけまして勉強してまいりたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 じゃ、もうあなたはちょうど五十分になりましたから結構ですから……。  次は、寄与分の制度でありますが、きょうも午前中に参考人の方々がこぞってこの寄与分の制度の対象者を相続人だけに限定するのでなくして、たとえば直系卑属の配偶者、まあときには孫あるいは事実上の養子、内縁の妻等にも拡大した方がよかったのではあるまいかという意見がこもごも述べられたわけでありますが、その点民事局長としてはどうお考えでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 寄与分を受ける者の範囲をどうするかという点につきましては、法制審議会におきましても長期間にわたりましてきわめて熱心な議論が行われたわけでございますが、結論といたしまして、寄与分の制度を相続人相互間における実質的な公平を実現するための制度というような性格づけにするのが適当であるという結論に到達いたしたわけでございます。  そこで、相続財産の維持、増加につきましていろいろな主体が関与するということはあり得るわけでございます。ただ、その場合に、労務の提供なりあるいは財産上の給付というものが何らかの契約関係に基づくということになりました場合には、これは当然被相続人に対して財産上の請求権を持つわけでございますから、これは別途その請求が可能でございまして、寄与分という制度を考える必要はないであろうと。そういった財産上の請求権として明確ではない場合、はっきりいたさない場合という場合も多々あるわけでございますが、しかしながら、ただいま申し上げましたように、寄与分の制度の位置づけというものを相続人間の公平ということにいたしたわけでございまして、遺産分割における取得額の調整のための制度というようなことにいたしたわけでございまして、つまりその場合に、第三者の寄与というものを認めました場合には、いわば遺産分割に参加しない、遺産分割の当事者外の者の財産取得を認めるということになりますと、勢いその性質はいわば補償請求権的なものになるわけでございまして、非常に異質なものを相続の問題に取り込むという結果になりかねないわけでございます。  手続的に見ましても、遺産分割の手続との関係を考慮する必要があるのでございますが、遺産分割の際にそういった第三者を、これを相続人外の者を加えるということにするというのは、非常に遺産分割の円滑な遂行に支障があるわけでございまして、その際にそういう請求権を満足させるためには、一定期間遺産分割を禁止すると、その間に第三者に別個の申し立てをさせるというようなことを考えるとかあるいは遺産分割と無関係にやりました場合には、独立に第三者の寄与分というものが財産上の請求権としてはっきりしておりませんから、それを形成する手続が必要でございますが、それがばらばらに行われるということになりますと、遺産分割と無関係になりますと、相続人による遺産分割というものが非常に不安定な結果になりますし、手続的にも煩瑣な結果になると、かような点がいろいろ考慮されまして、相続人以外の者は寄与分の制度からは一応これを除外して考えると、それは契約関係なりあるいは被相続人の生前の処分なりあるいは遺贈なり、そういったものによって解決をするというのが適切であろうと、かような結論になったわけでございまして、相続人以外のいろいろな場合がございますが、そういった場合を一挙に遺産分割の際に取り込むということは今回見送るという結果になったわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなたの御説明を伺うとそれなりの理由はないわけではないけれども、ただ相続人間の寄与分の制度を認めた場合でも、やはりその寄与分がどれだけのものであるかと、他の遺産相続人から争いがあれば、その確定にやはり相当な時間がかからざるを得ないわけで、他人だから時間がかかり、相続人間の場合にはそんなに時間がかからないというものでもないだろうと私は思いますがね。    〔理事宮崎正義君退席、理事大石武一君着席〕 それから他人ということになりますとちょっと異質のものとも考えられるけれども、子供が死んでしまって、子供の妻が親を見ておるというような事例は決して少なくないわけでね。それから子供が死んで孫が見ておると、他の次男、三男は遠隔の地にあって親を見ていないという事例もある。もちろん内縁の妻の場合もあると。はなはだしいのには全く親族関係がない——私の経験ではおいのおめかけさんが一生懸命におじさんを見ておったという事例もある。そういう他人の場合はひとまずおいて、子供の嫁の場合、孫の場合と、こういうのは社会通念上相続人の中に入れるわけにはいかないけれども、被相続人との関係の緊密度といいますか、そういうものは遠隔地にある実際の子供と比べてみても決して劣るものではない。  そういうことを考えると、範囲は限定してもやはりそういうものは入れておいた方がよかったんではなかろうかというこの考えは、これはどうしても打ち消すわけにはいかないですね。まして相続人がない場合は、赤の他人の寄与分の制度というものがあるんですからね。認定は家庭裁判所に任すとして、これはやはり今後もそういう意見が強いので、局長とせられては慎重に検討をしていただきたいと思うんです。この点どうでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 今回の改正にそういったいわば相続人に準ずるものを盛り込んでいないという点の御説明はただいま申し上げたとおりでございますが、それを救済する手段といたしまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ自由意思によって財産を処分する、あるいは契約関係なり、あるいは不当利得、事務管理というような法理を用いまして請求をすることによって解決するという道はもちろんあるわけでございますが、しかしながら、この点に関しましては確かに御指摘のとおり各界からそういった相続人に準ずるものについて厳しく、気の毒な結果があり得るではないかと、こういう御指摘は十分理解できるわけでございます。法制上かなり簡単にはまいりませんけれども、なおそういった御意見が非常に強く出たということは十分考慮して今後の研究を進めたいと、かように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 確かに立法技術的にむずかしい面はありますね。ですから、それはあなた方の英知を結集されて、その立法技術的な困難を克服してやはりそうした現実の必要に応ずるように制度を改めていただきたい、それは重ねて要望いたしておきます。これは時間の点があるから余りこれだけにかかっておれないので、それだけ要望して。  それから、非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにすべきではないかという点がわりあい婦人団体の間に強いですね。この点はどういうふうな見地から今回はこれを同等とするというところまで踏み切らなかったんでしょうか。何か仄聞するところによると、あなた方はそういう御意見を持って法制審議会に御提案になったんだけれども、法制審議会の中にわりあい古風な人々が多くて、そういう人々の反対で引っ込めたんだということも聞いておるんですが、この辺の経緯をお伺いしたいです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 実は昨年の七月十七日に、法務省の民事局参事官室の名前をもちまして、「相続に関する民法改正要綱試案」というものを公表いたしました。その中には、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分と同等とするという一項目が加えられておりました。ただ、この要綱試案と申しますのは、それまでの段階におきますところの法制審議会でのいろいろな議論を踏まえまして、私どもの責任でいわば相続法改正のたたき台とも言うべき意味におきまして発表いたしたわけでございまして、そのときにこの方針を固めた上で出したという性質のものではございません。問題の性質上、この問題につきましてはやはり国民一般の感情というものを十分考慮する必要があるということはその当時から考えていたわけでございます。  ところで、改正要綱試案に対して各界から意見が寄せられたわけでございますけれども、ほかの項目につきましてはおおむね試案の方向に賛成であるという御意見をちょうだいいたしたのでございますけれども、非嫡出子の相続分の問題につきましてはかなりの反対意見がございました。と同時に、昨年総理府に依頼いたしまして世論調査を行ったわけでございますが、その世論調査の結果では同等化に反対の意見が大幅に賛成意見を上回るという現象が見られたわけでございます。  この改正要綱試案の方向、これは結局非嫡出子といえども本人に何ら責任はないのであって、これは子としての平等という考え方からすれば同等でいいのではないかという一つの理論をもってそういう主張があったわけでございますが、これに反対する意見は、やはり法律婚というものの保護を重視すべきである、あるいはまた、非嫡出子とそれから嫡出子及びその母親との間にいろんなトラブルと申しますか、コンフリクトというものを避けがたい、そういったものを十分考慮しなければならないというような意見が反対意見として述べられたわけでございまして、ともかく理由のいかんを問わずかなり一般の意見でこれに同調しない方向の意見が多数見られるという現実に直面いたしたわけでございます。  なお、改正要綱試案を発表いたしました後において、いろいろ雑誌、新聞その他いろんなアンケート結果等によりましても、かなりこの問題については慎重論が多かったように見受けられるわけであります。  そこで、私どもは要綱試案としてはそういう方向の案を、同等化の意見を出したわけでございますけれども、やはり国民的なコンセンサスというものが得られないままにこれをただ理屈だけでそういった方向に進むというのは必ずしも適当ではないのではないか、これが国民感情に完全に合致するということを見届けた上でございませんと、やはりこういった問題について先走りをするということはいかがなものであろうかという考え方になってきたわけでございまして、そういった観点から、やはり国民感情の点から見て時期尚早であろうという結論に到達いたしたわけでございます。  そこで、法制審議会でそれが否決されたとかどうとかという問題ではございません。もちろん法制審議会では結論としてこの問題についてはなお検討するという方向で、法制審議会民法部会身分法小委員会でそういうような結論になったわけでございますが、これは決して私どもが積極説で法制審議会にそれをストップをされたとかなんとかという、そういう関係ではございません。私どもの考え方もやはり国民感情というものの推移をよくよく見きわめた上でこういった問題について対処すべきであるということにつきまして、事務当局、法制審議会当局、これは完全に意見が一致したわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ民事局長が法制審をかばう気持ちはわからぬでもないけれども、仄聞するところによると、法制審議会の比較的右寄りの諸君がどうも異を唱えたということを私どもは聞いておるわけで、それらの人々が本当に自分がピューリタンであって、それだけの倫理性を強調し得る資格があればもちろんいいけれども、しかし、いま一般にはどうも性もわりあいに自由化されて、妻以外の女性と交渉を持つ者も少なくはないですね。みずからが倫理性を持たずして、子供のことになると急に聖人君子のような顔をして、非嫡出の子供を嫡出の子供と同じにするのはいかがであろうかというようなことを言って倫理性を発揮するのは、これは私どもはどうかと思う。やはり子供に罪はないので、嫡子も非嫡出も相続分は同じにする。しかも非嫡出の方は、どちらかというと財産的に恵まれない生活を送る子が多い。そういうことで、私どもはこの差別はいけないと考えておるけれども、しかしこの問題もまた検討事項としていただいて、この問題は一応これで終えます。  次に、夫婦の協力によって得た財産、これは夫婦の共有と考えるべきではないだろうかという意見が強いですね。民事局長はどうお考えですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) この問題は、実は夫婦財産制、共有制の問題に結局はつながるのではないかと思うんでございますが、先ほどの寺田委員の御指摘になりましたところでは、別産制をとりながらそういうものがあるではないかという御趣旨のように承っておりますが、その問題は確かにあり得るわけでございまして、実体上共有ということは、これは実体上の問題でございますから、そう認定される場合、そう認定すべき場合も確かにあるかと思うのでございますが、ただこの点につきましては、やはり夫婦財産制の問題を考えるに当たりましても同じ観点が必要だと思いますけれども、財産の問題になります場合には、どうしても対第三者との間の関係ということが非常に大きくクローズアップされるわけでございまして、夫婦間におきまして仮に共有と同じような取り扱いをすべきだということになりましても、一方の名義で存在する財産につきまして、あらゆる第三者に対してそれを実質は共有であるという主張をいたすということは、これはいろいろ混乱が生ずるのではないかと思うのでございます。  そこで、この問題につきましては、いろいろ裁判例もあるようでございまして、具体的なケースにおきまして夫婦間の訴訟で、これは名前は夫の名義になっているけれども共有であるとか、あるいは共有の名義になっているけれども実質は妻のものである、あるいは夫のものであるというような認定をいたしているものもあるのでございますけれども、やはり第三者に対してそれを、実質が形式と違うということになりますと、いろいろ第三者との取引におきまして問題が生ずる。そうなりますと、やはりこの問題につきましては、実質と名義というものは一致させるということが望ましいし、またいわゆる外観理論というようないろんな法理によりまして、第三者に対して損害を加えるということは妥当ではないのではないか、そういった意味におきまして、これはきわめて不明確な御答弁を申し上げることになるわけでございますけれども、確かにいろんな場合がありますけれども、これを夫婦当事者間におきましては財産分与等の際の問題として考える場合と、第三者から強制執行される、あるいは第三者に譲渡をするというような場合とは場合を別にして考えざるを得ないのではないかと、かように考えているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 第三者との関係で、たとえば夫名義の登記がなされている不動産について、第三者がそれに取引上の何らかの関係を持った場合に、それをしも妻との共有であると、だから半分についてだけしか担保にならないんだと言い張ることは、これはやっぱり無理でしょう。それを言っているんじゃないんですね。ただ、夫婦の関係においてそういうふうな解釈ができるんじゃないだろうかと。たとえば税務署でも、私どもが夫から妻に半分、譲渡という形をして名義を変える場合、税務署は譲渡所得だと言うてかけてきますね。だけれども、いやこれは違うんだと、元来二人で買ったんだと、だからもともと二人のものなんだということで税務署を説得して税金がかからないようにする場合があるんですね。それから相続でも、その分は夫が死んで相続する場合に、この土地は夫名義になっているけれども、本当は私と夫の二人で買った、もともと半分は私のものですよと。だから、相続される財産はこの土地の半分だけが相続財産ですよと言って税務署が納得する場合もあるんですよ。そういうふうにやかましい税務署でさえもそれを承知する場合があるわけで、だから夫婦の間では夫名義になっておっても、これは妻は、半分妻のものなんだという共有関係ね。ただ、税務署の場合は、じゃ、お金を本当に払いましたかと、いろんなことでやかましいので、内助の功で半分の所有権を主張するというのとは少し違うけれども、私がいまお尋ねするのは、内助の功によって半分の所有権を認めてやってもいいじゃないかということで局長にお尋ねしているんで、局長は内助の功では半分は認むべきでないと思いますか、それとも内助の功でやっぱり半分の共有持ち分を認めてやってもいいと思いますか、そのどちらかを伺っているんです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 非常にむずかしい御質問でございますが、通常言われる内助の功があるということは、これはほとんどの夫婦について共通のことでありまして、そのことから直ちに実質は共有であるという結論を導き出すためには、もちろんほかの要素いろんな諸般の事情がございますが、そういったものを加味することなく、内助の功ということ自体からストレートに共有であるというふうに認定することにつきましては、やはり幾らかちゅうちょを感ずるというのが正直なところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっとやっぱり古いね、それは。まあいいです。それはつまり、法務省の民事関係の全責任を負っていらっしゃる民事局長としてはそう軽々しく私の意見に賛成だというようなことは言えない、それはお立場があるからよくわかります。  奥さんがへそくりをやって貯金をしますね。その貯金が夫名義になっていると。その貯金で買ったという場合、どうでしょう。つまり、これは一たん妻が預かった、へそくりをやって貯金をした、その貯金がたまたま夫名義になっちゃったと、それで買った場合は、あなたこれはやはり夫婦の共有だと、たとえ夫の名義に登記はされておっても夫婦の共有と見ていいとお考えになりますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御指摘の要素だけではやはり少し無理な感じがいたします。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは裁判官に認定してもらおう、どうも局長の意見を求めてもはっきりしないから。それじゃ、それはその程度にして、私はどうも局長の最後の場合なんか、ことにそれは夫婦の共有と考えて差し支えないと私は考えるけれども、これは意見の相違になるから……。  それから、婚姻生活に破綻を生じてしかも離婚に至らない場合、夫が生活費や子供の養育料を払わないケースがありますね。そういう場合に母子家庭を救済する道を考慮すべきではないだろうかと。これはまあ家庭裁判所に申し出て、そしてこれは仮に支払わせる意味の仮の処分、これをあなたは今回の改正で執行力を持つ仮の処分が可能だと思われますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 民法上は、七百六十条の婚姻費用の分担ということになるかと思います。その申し出、その審判の申し立ては、現行家事審判法によりましてこれはもちろん可能でございます。そういたしまして、今回の家事審判法の改正の十五条の三の規定が審判前の仮の処分を定めておりますけれども、これには「仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずることができる。」ということになっているわけでございまして、これにつきましてどのような審判事件についてどのような申し立てをすることができるか、あるいは職権でこれをすることができるかどうかというような点につきましては最高裁判所規則に委任しておりますので、その内容は今後具体的に定められると思うのでございますけれども、私どもが立法に当たって期待いたしましたのは、まさに寺田委員御指摘の、そういった場合にいわゆる仮の地位を定める仮処分、まあ断行の仮処分ということになりますか、月々養育料を仮に支払え、あるいは婚姻費用として幾らずつを支払えというような仮の処分が認められ、それについて執行力が認められると、かようなことを期待しているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 自治省の方見えておられますか。——いまの場合で私どもの方に、自治体で母子家庭に対して仮払いして、それから夫から取り立てる制度を考えてほしいと、そういうことはできないだろうかという、そういう陳情が来ているけれども、これは自治省としてはどんなふうに考えられますか。

中村瑞夫自治省行政局行政課長

○説明員(中村瑞夫君) いまの御指摘のありましたような事情につきまして、具体的にそのような必要があるということにつきましては理解できないわけではございませんけれども、ただ、行政一般の立場から申しました場合に、この種の本質的に私的な関係と申しますか、民事上の問題につきまして公的な主体である地方公共団体、あるいはむしろ行政の役割りといたしましてどの程度まで関与すべきかという基本的な問題があるのではなかろうかというふうに存じます。  具体的に、そういった状態によりまして生活困難なり、あるいは就学その他の養育費に事欠くというような事情がございますと、これは公的な立場からいたしますならば、母子家庭対策なりあるいは母子福祉の対策なりというものをどの範囲まで、どの程度まで、どのような方法で講ずべきかということにもなろうかと思われますが、ただ、私ども現在の自治制度の立場から申しますと仮払いという制度はございませんし、またその上さらに本人にかわりまして、別れたと申しますか、婚姻の破綻をしておる夫から取り立てるというような形で地方公共団体が直接この種の問題について主体的に関与をするということは、なかなか現在の地方公共団体の業務から申しますとなじまないところがあるのではなかろうかというふうに率直に感じておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、まあこういう陳情があったものだから、一応私どもとしましては大衆のそういう要望を無視するわけにいかない。そこであなた方に意見を聞いてみたんだけれども、一応あなたの御答弁をきょうお伺いするだけにして、またさらに検討して必要があればお尋ねすることにします。きょうはその御答弁だけでよろしいから、じゃ、お帰りになってよろしいです。  次に、民事局長にお尋ねをするのは、遺言制度が欧米のように日本ではまだ非常に普及していない。私自身もいままでしていなかったのだけれども、最近やはりだんだんとみずからがおだぶつすることを考えるようになる。それでいわゆる自筆証書というものをこの間初めてつくったんです。しかし、法律家である私自身が最近になって初めてつくったということでありますからして、一般の法令を知らない人が遺言制度を利用するのに非常にまだ憶病であるというのはわからぬわけではない。これはもうちょっとこういう制度がありますよということでこれを普及しておれば、これがない場合の非常に気の毒な状態というものが救えるのじゃないだろうか。たとえば奥さんが非常におとなしい、子供の嫁が非常に発言権が強くて、おやじが死んだ場合にお母さんの財産的な地位が非常に危うくされるという例が現実にありますね。私どもかなりそういう相談を現実に受けておる。しかし、夫が死ぬ前に奥さんに必要なものを全部贈与しておくと、そういう遺言を書いておけば問題は救われたわけですね。そういうことを考えると遺言の制度はもうちょっと普及さしたらどうかと思いますが、何かこの点で民事局長に抱負があればお伺いしたいがどうでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御指摘のとおり、遺言を利用するという方が非常に少ないというのは事実でございます。ただ、数字をたどりますと、最近かなり増加の傾向にあることは間違いございません。これは公証人が作成いたします公正証書遺言でございますけれども、四十六年を一〇〇といたしますと、四十八年が一三三、五十二年が一七九、五十三年中が一八二、これは割合でございますけれども、ここ七、八年の間に二倍近い公正証書遺言を作成される方が出て増加するようになっております。  また、昨年総理府に依頼いたしまして実施いたしました世論調査におきましても、すでに書いてあるというのはこれは一%にすぎませんけれども、いずれは書くつもりあるいは必要が生じたら書くつもりというパーセンテージが三十数%になっておりまして、これからも書くるもりはないというのが二二%であるのに比べますと非常に遺言の人気といいますか、それを利用しようという意図のある方、これが多くなっているように見受けられるわけでございます。しかしながら、何と申しましても客観的な数字が非常に少ないということは事実でございます。  そこで、今回も相続に関する改正をいたすわけでございますけれども、もともと法定相続分、それから民法の相続というものはどうしても一般的典型的な場合を想定いたしまして、それを前提にして定めるわけでございますから、やはり具体的な事情に応じた妥当な結果を得ますためには、遺言——これは生前の処分でもよろしいわけでございますけれども、そういった自由意思による処分というものが必要になってくると思うのでございます。ところが必ずしも現在は十分にそれが活用されていないという事態でございますので、私どもといたしましては、今後機会あるごとに遺言制度に関する正しい知識の普及に努めたいと思っております。まず遺言に対する一般の関心を高めるということが必要でありまして、今回の民法の改正の内容の周知とあわせまして遺言制度というものの紹介、啓蒙ということを大いにやりたいと思っております。  主体といたしましては、私どもももちろん、いろんな機会を利用してそういった活動に努めたいと思っておりますけれども、あるいは公証人の団体その他の方々にお願いいたしましてそういうような方向を進めていきたい。これは相続法の改正を機会にぜひともそういったことを盛んにしたいというふうに思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまの公正証書による遺言、この伸びが七、八年の間に七、八割もあったと、それはわかるけれども、絶対数が問題なんでね、絶対数は非常に少ないでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 公正証書遺言の数は、昭和四十六年に一万五千八十二件、五十三年が二万七千三百九十七件でございます。ただしこれは公正証書の遺言でございまして、秘密証書の遺言につきましてはこれは別でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 二万七千は何年ですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 五十三年でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 日本における世帯数、これが大体恐らく三、四千万あるんでしょうからね。それから考えますと、二万七千というのは本当に九牛の一毛ですよね。だから、やはり局長がおっしゃったように、この民法の改正を機会に遺言制度の普及を図るというそれであってほしいと思うんだけれども、これはお役人の方だけに任せるべきではないんで、われわれ弁護士会の方もやるべきであるし、公証人の方もそれぞれ努力すべきでありましょうが、やっぱり中心になるのはあなた方ですね、国家の方だから。やっぱりそういう予算をとって御努力にならなければいけないんですが、そういう普及宣伝費なんというものは現在のところあるんですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 特にそのための予算を計上しているわけではございませんけれども、しかし、それほどたくさんのお金が必要というものでもないように思います。方法によりましては十分現在の予算で賄っていけるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 現在の予算で賄えるというのは、それができれば結構だけれども、できればしかし、思い切って予算をとって活発な普及措置を図るのがやっぱり望ましいですよ。だからそれぐらいの意欲を持って当たっていただきたいと思いますが、どうでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これは遺言に限りません。民法一般についてもそうでございまして、こういった法律知識の普及ということにつきましては御指摘のとおり、十分な予算措置を得ましてできる限り努力を今後いたす方向で検討いたしたいと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に、寄与分の認定に当たって農業用資産の維持増加、親や弟妹に対する扶養などを相続時における農業専従者たる後継者の債権として取り扱う制度を設けてほしいという農業団体の陳情を受けたのですが、これについては農林水産省の方、見えておられますか。——これはあなた方としてはどう考えられますか。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) 農業後継者の育成ということは、最近のような農業の就業構造においては非常に大事なことでございます。そういう意味で今回の寄与分の制度については私どもとしても高く評価しているわけでございます。しかしながら、その寄与分について農業用資産の維持増加、あるいは親や弟妹の扶養などを後継者の債権として取り扱う制度を設けてほしいという要望につきましては、この寄与分の取り扱いが家族内部の問題であるとして、債権として構成することは今回の立法においても避けたというふうに理解しております。  農林水産省といたしましても、農家における相続の問題は農業者の生活感情にかかわる問題でもあり、かつ家族のあり方の基本にもかかわる問題でございますので、寄与分を債権として制度的に仕組むということについてはなお慎重に取り組む必要があるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、これはあなたのお話では親に対する扶養、それから農業用資産の維持増加、これは恐らく親の名義のものについて言っているでしょうから、これはやはり寄与分の認定で賄ったらいいと、特に債権として取り扱う必要はない、こういうお気持ちかな。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) 現在、債権としてやはり構成するということにつきましてはなお時期尚早といいますか、現実からしますとまだ問題が多いのではないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは民事局長はどういうふうに考えられますか。これはやはり寄与分として相続財産から取ればそれで賄える、こういうお考えと聞いてよろしいかな。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これがもし非常にはっきりした契約というものが成立するような事態になりました場合には、これは寄与分の問題ではなくしてむしろ被相続人に対するはっきりした債権がある、したがって、相続債務になる、こういう形になるわけでございまして、その場合には今回の改正と関係なしに私はその請求権の実現ということがあり得ると思いますし、またそういうような法制をとっている国もあるようでございます。  しかし、現実の問題といたしまして、現在の日本の社会におきましてすべてを扶養関係が契約である、あるいは家事の手伝いがすべて契約関係をもって律すべきであるというようなことは必ずしも実情には適さないのではないかという認識に私は立っているわけでございまして、そういった財産権としてはっきりと請求をし実現をするということがむずかしいような家庭内の協力といいますか、そういったものに基づく寄与、特別の寄与というものを今回の手当てで賄うという考え方でございますので、これはあくまでも社会の実態の動きによりまして、これはそういった請求権的な構成をとって寄与分とは別に請求をするということになれば、これはむろん法律論としては可能でございます。今回の改正はそのようなことを意図したわけではございませんので、そういったものからは漏れやすいような特別の寄与というものを相続分の調整というようなことで不公平を是正するための制度というようなことで立案いたしたわけでございまして、少し問題が——問題といいますか、次元がずれるのではないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまの民事局長の御答弁を伺うと、つまりこの農業団体の陳情というのは、結局いま民事局長の言われたような農業用資産を名義上持っている親、それと農業専従者たる後継者、その間に明確な契約関係を樹立さして、そしてどういうふうにしてその資産を維持していくか。そして、そのかわりその収益は農業後継者が取って、そのかわり親や弟妹を扶養する義務を負担する、そういうような契約関係を明確にしていく制度を設けてほしいと、そういう趣旨のように受けとれるけれども、そうじゃないだろうか。これは、農林水産省としてはどういうふうに考えられますか。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) この農業団体の陳情がどういう考え方で出てきたかということについてまで詳しくは承知しておりませんけれども、恐らくはただいま先生御指摘のような考え方であったかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうといたしますと、やはり民事局長が言われたように、日本の場合はわりあいに親子は財産契約なんかしませんでしょう。非常に不明確でしょう。だからいろいろトラブルが起きる。だから、そういうはっきりとした契約関係があれば契約上の債権として認めていいという、そういう民事局長の先ほど答弁があったわけですね。だからそういう明確な制度を、あなた方ができるだけ近代的な契約関係というものを農家にも普及して、そしていざこざがないようにぴちっと確立していくことが望ましいんじゃないだろうかと、そういうふうに思いますがね。そういう奨励をなさったらどうだろうか。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) ただいま御指摘の点は、いわゆる家族協定農業ということでよく議論になるわけでございます。この点につきましては、農業団体などにおいてその普及奨励に努めておりますし、農林省においてもこれの活動について助成をするなど行っているところでございます。ただ、それを一般的な制度とするということにつきましては、やはり農家の家庭の内部の問題であり、農村社会の問題でもございますので、この点についてはやはり制度化は問題があるかというふうに考えておりますが、奨励には努めているところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 課長のいまの御答弁だと、まあ家族協定農業という言葉が出て、次の質問にもうすでにあなた自身が入ってしまわれたわけだけれども、そうすると次の質問で、親名義の田畑を利用して農業経営を後継者が営む場合、これは賃金などというものもはっきりと親との間に決める。つまり農業経営者がこれは賃金なんだと、農業後継者の賃金。それから、どういうふうにして資産を譲渡を受けると、たとえば何十年したら当然に資産の譲渡をするという、そういう内容を持つ契約を結ぶという趣旨で、そして譲渡を受けた場合には親の扶養を、必ず親が死ぬまでやっていく、そういう契約関係を助長する、こういうものが家族協定農業なのか。いま私がちょっと賃金と言ったのは、やはり経営者はこの田畑の名義上の所有者が経営者で、農業後継者はその経営者から賃金を受けると。そして、必ず収益の中から賃金部分を引き去って自分の所得とすると、そういう意味のようにとれますね。そういう家族協定農業というのは現実にかなり日本で行われておるんですか。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) 家族協定農業という言葉を使われます場合には、まあドイツにおける親子間の扶養の関係、あるいはフランスの民法における子供に対する親の賃金の支払い協定とか、そういうものを参考にしながらいろいろな内容のものが考えられております。そういうものを総括的に家族協定農業と言われているというふうに私ども考えておりますけれども、これの普及状況につきましては、農林省で直接調査したものはございません。  ただ、親子の間の承継といいますか、につきまして、現在の経営主が先代の経営主と経営を約束しまして、前もって約束した時期に経営を継承したというのがどのぐらいあるかということを調査したことがございますが、これは専業的な農家八十五万七千戸のうちで五万八千戸、約六・八%ということになっております。これは、先ほど申し上げました家族協定農業の定義からいたしますればやや狭いわけでございます。  全国農業会議所が五十一年度に自立経営志向農家について調査した結果によりますと、これはその後継者三十五歳以下の者三千百六十六人について調査した結果でございますが、家族協定を行っているものは一九・六%……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと、もうちょっと大きい声で。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) 全国農業会議所が昭和五十一年度に自立経営を志向しておる農家の後継者三十五歳以下の者三千百六十六人について調査した結果によりますと、家族協定を行っているものは一九・六%ということでございまして、必ずしも普及度は高くないというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 農林省としては、やはりそういう近代的な家族協定農業というものを普及させる御意図があるのか、それともいまは傍観的態度でいっておられるのか、その辺いかがです。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) 一つは、やはり農家の中における労働報酬の評価なりあるいは親子関係を明確にして経営の継承を行う、それによって農業経営の若返りを進めるというような観点からいたしまして、家族協定農業というのは今後の農業経営の一つのあり方であるというふうに考えております。  したがいまして、農業委員会系統組織などがそういう家族協定農業についての推進をするということにつきましては、私どももこれを奨励しているわけでございます。また、農業改良普及組織などにおいても、必要に応じてその普及に努めているところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大体わかったから、あなたの方はそれで結構です。ありがとう。  これは、主税局の方はもうお帰りになっちゃったか——ああ、おられるか。これは私の方に、農地の評価を——相続の場合だろうと思いますが、収益評価としてほしいという陳情がありますが、これはあなた方はどうお考えになっていますか。

鈴木達郎大蔵省主税局税制第三課長

○説明員(鈴木達郎君) 相続税におきましては、まあ相続税が富の再配分を保障するという機能からも当然でございましょうが、財産の種類によって評価の基準に違いを設けるということは非常に課税のアンバランスをもたらすものと考えているわけでございます。  したがいまして、すべての財産については共通の尺度でございます時価によって評価するということがたてまえでございます。しかしながら、農地につきましては、いま御議論のような後継者の問題ですとか細分化の防止とかいろいろ特殊事情がございますので、評価の方は時価でございますけれども、相続税に関しましてはたとえば時価と、私ども農業投資価格と言っておりますけれども、収益還元価格に近いようなものでございますが、その差、時価とそれの差につきましては、一定の条件のもとに相続税の納税を猶予するという制度を仕組んでいるわけでございます。これによりまして、実態的にはかなり低い評価で行われておるということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それは法的根拠か何かあってか、それとも国税庁長官の通達とか、そういうことによってですか。

鈴木達郎大蔵省主税局税制第三課長

○説明員(鈴木達郎君) 租税特別措置法による規定でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと条文があったら言うてください。

鈴木達郎大蔵省主税局税制第三課長

○説明員(鈴木達郎君) 大変長く複雑な条文でございますのであれでございますが、条文だけでよろしゅうございますか。——租税特別措置法七十条の六でございます。「(農地等についての相続税の納税猶予等)」というところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた御自身が大変複雑な規定だと言う。税法は余り複雑過ぎてわからない。これは私ども法律専門家でもそうですね。もうおおむね退職しちゃったけれども、私どもの同僚の裁判官に聞いてもさっぱりわからぬと言っている。もうちょっとわかりやすく書いてくれなきゃいかぬな。  それから私自身が経験したんですが、夫名義の不動産。で、妻がへそくりをして貯金したんでしょう、そしてたまたまその貯金が夫の名義になっておったんだけれども、しかし、妻としてはこれは私が営々としてためたものだから本当は私のものだと、これを含めて買ったんだから、この部分は私のものですと、こう言った場合は、税務署はそれを私は了承してくれたと思っているんだけれども、そういう解釈が可能なんでしょうか。

鈴木達郎大蔵省主税局税制第三課長

○説明員(鈴木達郎君) 執行の問題でございまして、ちょっと私はっきり申し上げられる自信はございませんが、恐らくへそくりと申しましても程度問題だろうと思います。たとえば、生活費として百万円を渡し、実際に使った生活費が二十万円で八十万円をへそくったというような場合にはこのへそくりが妻のものだというような理解はちょっとしにくいのではなかろうかと思います。やはりその場合には、夫から妻への贈与があったと認定せざるを得ないんだろうかと思いますが、世間的な意味でのへそくりはたしか妻の所得と申しましょうか、妻のものという認定は税務署でなされているというふうに聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、その程度、度合いを考えて……。先ほどの民事局長の答弁ちょっと違うね。これはやっぱり考えてもらわぬといかぬですね。  それから、商法の改正はひとまずおいて、これはまたいずれ時間があればお伺いすることにして……。  不動産の登記制度におきまして、しばしば小字というものがありますね。あの小字というものが一体必要なんだろうか。つまり、現実にはもうほとんど存在しない。いわゆる大字と番地ですべてやっているのに、登記簿謄本だけを見ると小字というものが出てくる。これはもうそろそろこういう現実的な存在理由を欠くものについては廃止をしてもいいんじゃないかと私どもは考えているけれども、この点は局長としてはいかがでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 不動産登記法七十八条、九十一条、こういった条文におきましては不動産の所在といたしまして最小行政区画である市、区、町、村のほか字を記載しろと、こういうことになっているわけでございまして、その趣旨は、一つには地番区域を明らかにするということでございますが、もう一つは、不動産の所在をよりわかりやすく公示するということにあると思われるのでございます。大字がかなり広い区域という場合もございまして、大字で表示をするということが直ちにどの辺の土地であるか、どの辺の物件であるかということがわかりにくいという場合もあるかと思うのでございます。  そこで、字というのは非常に歴史的には古く、明治以前から村落の区域を示すものとして存在したというふうに言われておりまして、現在は単なる地理的名称にとどまると言われてはおりますけれども、住民の日常生活にとっては密接な関係を有するというようなところから、これを新たに設定したり変更したり廃止するなどにつきましては市町村議会の議決を経て定めることが必要になっているわけでございます。これは地方自治法の二百六十条でございまして、この中には大字も小字も含まれているというふうに理解されているわけでございます。したがって、そういった意味におきまして市町村内における一つの地域を示す公的なものになっているわけでございます。したがいまして、それが地番区域とされる場合にはもちろんでございますが、そうでない場合におきましても、不動産の所在をできる限りわかりやすく公示するというためにその記載を必要とするというふうにいたしているわけでございまして、こういった趣旨から申しますと、大字の中にさらに小字がある場合におきましても、その小字を記載するということが不動産の所在をよりわかりやすく公示するために必要であるというふうに考えられるわけであります。  そこで、ともかく、小字につきましても、区域の変更、廃止等について市町村議会の議決を要するという現行自治法の規定がございますので、こういった点から申しまして、土地の合併とか等々につきましてこれを制限するというような規定はございますけれども、これもやむを得ないところではないか、やはり、わかりやすくするためには、現在公的に認められているというこの小字というものを無視するということは不動産登記法の方では無理かと思います。もちろんしかし、時代の進展に伴いまして、非常に古い制度でございますけれども、この小字というものをおよそ地方自治法上の制約から外してしまうということになりました場合にはおのずからその意味が異なってこようかと思うのでございますけれども、現在のところでは、地方自治法二百六十条の対象となっているというところからやむを得ない、またこれをわかりやすく公示するというメリットもございますので、これを維持しているような次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまの局長の御答弁はちょっとデスクアイデアというやつで、あなたのはなるほど机の上でお考えになるとそういうふうに結論が出るのかもしれぬが、われわれが登記簿謄本をとって見る小字というのは現実にないんですよ。どこにあるかわからない。現実にはないけれども、登記簿謄本だけにはあるんですね。そういうものがあるんですよ。それはいま具体的に、それじゃまた将来、そういう例を幾らでもお見せして、たとえば、私の居住するところでも、岡山市南方というところまではちゃんとあるんですね。それからまた何の坪とか何々梅が鼻とか、そんなものは現実にはない。みんなだれも知らない。知らないけれども登記簿謄本だけにはある。そういうものは要らないんじゃないかということなんです。それでまた、このあなたの引用された七十八条の一の「土地所在ノ郡、市、区、町村及ビ字」と、「町村及ビ字」というのは大字についてはよろしいけれども、小字は必要ないように思いますよ、現実にないんだもの。行政区画にはもちろん出てこない。だから、そこにあるものが一体どういうところなのかなんということも、登記簿謄本や系図を見れば——系図にもない場合があるけれども、まあわかるかもしれない。しかし現実には皆知りませんよ。だからそんなものがあるのが障害になって、たとえば合筆しようとしたって小字が違うと合筆できないなんて言うもんだから、あなたのおっしゃるように一々町村議会にかけてこれを廃止するんです。それから合筆するんです。いまは県境にまたがって家があるような場合——まあ私は開発というのは余り好かぬけれども、県境にまたがって開発される場合もある。それから土地を買ってみると、ときには町村相互にまたがる場合もある。いわんやこの小字というものにまたがることが多いわけですよ。これがしばしば非常に障害になって合筆できないものだから、それじゃ、しょうがないからというので町村議会にかけてもらって議決をとって、そして小字を廃止してそれから合筆すると。廃止したってだれも文句言う人ないんですよ、そんなものないんだから。みんな知らないんだから。もしそれがその一件のために廃止するということになるとみんなが文句言いそうなもんだけれども、だれも文句言わないですよ、いま小字を廃止したって。なぜかというと、それは現実的でないから。だからやはりこれはそういう現実をお調べになって、そういうものが本当に必要なんだろうかということをお考えになって、そしてやはり処置をとっていただかないといけないんです。国土調査の場合は、あなた方御存じだろうが、いま国土調査をしましてしばしばこれをなくしてますよ。御存じでしょう。国土調査をどんどんかけて、そして小字を取ってます。そういう現実も御存じだろうと思うけれども、これはやはり実態を調べて検討していただきたい。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かに御指摘のとおり、実質がないのにかかわらずそれがあるということは非常に奇妙な結果になるわけでございますが、実はこの字——大字とか小字というものが非常に歴史的な産物のようでございまして、地方自治法上も、まあまま子と言っちゃ言葉が悪いわけでございますけれども、必ずしもその意味がはっきりしない。一つの区域を表示するための手段であるということはわかるわけでございますが、それがなくなったということが、いつどういう点でどういう事由によってなくなったのか、自然に人が使わなくなったということになったのか、その点が非常にわかりにくいわけでございます。その始末というようなものにつきまして、私ども事実上必ずしも全国つぶさにするわけにもまいりません。やはりこれは非常に——地方自治法上の手段でそれが廃止ということになれば、これはまあ先生御指摘の事態でございますと、廃止というよりもむしろ実質上なくなっているのを確認するというようなことになるのかもしれません。そういうような手続的な区切りがございますと、不動産登記だけ昔のものを使うという理由も全くなくなるわけでございまして、非常にその処理がしやすいわけでございまして、なおこの点につきましてはさらに地方の実情というふうなものを十分承知いたしまして、御趣旨の点につきましてこれを検討をいたしたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 では検討していただくことにして……。  最後に、これは先ほど午前中に聞いたんですがね、法例の十四条、十六条等を見てみますと、「婚姻ノ効力ハ夫ノ本国法ニ依ル」、いまのは十四条。十五条は「夫婦財産制ハ婚姻ノ当時ニ於ケル夫ノ本国法ニ依ル」。第十六条「離婚ハ其原因タル事実ノ発生シタル時ニ於ケル夫ノ本国法ニ依ル但裁判所ハ其原因タル事実カ日本ノ法律ニ依ルモ離婚ノ原因タルトキニ非サレハ離婚ノ宣告ヲ為スコトヲ得ス」。それから第二十条親子間の法律関係、「親子間ノ法律関係ハ父ノ本国法ニ依ル若シ父アラサルトキハ母ノ本国法ニ依ル」、こう書いてある。これは全く父親の中心の法律制度。これでは憲法の二十四条の第二項、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」、こういう憲法二十四条の二項と真っ向からこれは抵触する。これは民事局長、やはりこれらの規定は男女平等の趣旨に反して憲法二十四条二項に抵触すると考えざるを得ませんけれども、あなたはどうお考えです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 一般に国際私法におきましては、準拠法を決めるその要素といたしましていろいろあるわけでございまして、当事者の国籍とか住居とか居所、あるいは原因となる事実の発生地というようなものがいろいろ考えられるわけでございまして、住居というものを中心にして準拠を定めるという法制もございますけれども、伝統的にヨーロッパの大陸法系の国々におきましては当事者の国籍というものを基準にして定めているわけでございまして、わが国の法令もそういった大陸法の影響を受けましてそういった本国法、いわゆる本国法主義というものを大部分の問題につきまして採用いたしているわけでございます。  そこで、夫婦の関係というような、当事者双方について考えなければならない問題につきまして、これをやはり一つを選ぶということになりますとどちらかを捨てざるを得ない。そこで、従来は大陸法系の諸国の国際私法では一般に夫の本国法というものが中心になっていたのでございます。このたてまえは、結局は婚姻生活におけるいろいろの経済的活動その他の中心的な地位が夫にあるというような現実、それを前提にいたしてそういうふうに定められたと思われるのでございますけれども、結局そういった要素として国籍というものを基準にいたします以上、どちらかの本国法を優先させる以外にないわけでありまして、この場合にその一方、夫を選んだからといって直ちに実質的に妻に不利益が及ぶという関係はございません。これは必ずしもどちらが利益、不利益ということはないわけでございまして、そういった意味におきまして、直ちに憲法の趣旨に反するということまでは言えないんではないかというふうに考えているわけでございます。  しかし、まあ一部にやはり何といっても男女平等の思想に反する、体裁上反するではないかという声もあるわけでございまして、まあ各国におきましてそういうような批判を回避する方が望ましいというような考慮に基づきまして、いろいろ工夫がされている国もあるようでございます。そういたしました場合に、長い伝統でございます本国法主義を捨ててしまえば、これはまあ非常に簡単になるわけでございまして、住所でありますとか、常居所、近ごろは常居所というようなものを基準にして考えるというのが相当流行——流行と言うと語弊がありますけれども、かなり広まっておりますけれども、そういったことを選ぶというような方法ももちろんございますし、いろいろ修正の道はあるわけでございます。  ただ、この問題は、単に形式的に男女平等の理想から言って形が悪いからちょっと直そうというような問題ではないのでありまして、本国法主義をどこまで採用するか、住居、常居所等を基準にするかというような、かなり根本的な問題にもなりますし、また、住所を基準にするという場合には、それはそれなりにいろいろ問題が起こり得るわけでございまして、そういった面におきまして、ヘーグの国際私法会議でいろいろ身分関係に関する条約案が採択されておりますけれども、そういった会議ではやはりいろいろ工夫がされておるわけでございますし、私どもといたしましても、この法令というものを全面的に検討するという作業はかなり古くから手をつけておりまして、ヘーグの国際私法会議の動向とにらみ合わせていろいろ研究をいたしておるところでございます。したがいまして、そういった問題の一環として、やはり検討を進めたいというふうに考えておりますが、いま直ちにこれは憲法の趣旨に反するから、夫とあるのを夫または妻とするというような単純な改正では済まないと、また、それでは役に立たないと申しますか、いろいろ問題が起こって解決にはならないという点だけを御了承願いたいと思うのでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いやいやそれは違うでしょう。あなたは本国法主義だということ、本国法主義だと言っても、それが夫の本国法をとるか、妻の本国法をとるかという問題で、本国法主義ということでこれを解決できる問題じゃないんで、いずれの本国法によるかという問題ですね。  それから、不利益はないと言ったけれども、いや不利益はありますよ。たとえば妻が日本人で夫が外国人だとしますか、これは韓国人の夫——御承知のように家族制度をとっておるでしょう、韓国の民法というのは。それで、親権は父のみが行使するというふうにしてあったら、母親の親権がなくなると。それから、仮にその夫の本国法によると、夫に貞操の義務がない場合がありますね。そしたら妻は離婚の請求ができなくなるでしょう。それから相続権だって、これは被相続人の本国法によるというんだから。これはまあひとまずおくとして、氏の問題にしたって、こちらは妻の名前を名のりたいと思っても、夫の本国法でもう夫の氏によるんだというふうに決めてあれば、妻としては非常に不利益をこうむるので、いずれの制度をとっても妻に不利益はありませんということはないでしょう。それは大いに不利益はあるでしょう。それからまた、夫の本国法では、行為能力を妻に制限をしておるかもしれない。いろいろ、夫の本国法によるがゆえに、婚姻の効力が、夫に非常に強力な権限を認めておるような本国法である場合には、妻は不利益をこうむらざるを得ないわけで、だからいまの局長の御答弁はどうだろうかね。  それと、夫の本国法によるという一連の規定が、これは今日における両性平等の思想に背馳するものと非難されているという、つまりこれはやはり平等の思想に反するんだという非難があることは、まあたまたま国際私法を法律学全集で執筆しておられる、これは折茂豊氏ですか、これの「国際私法(各論)」を読んでみても随所に出てきますよ。だから、局長のように単純に、男女平等に反しないという結論は出てこない。  それから、「法学論叢」のこれは五十八巻第一号の中に、「婚姻の身分的効力の準拠法について」溜池良夫氏の論文がある。この溜池良夫氏の論文読んでみますと、ここにもやはり「我が国においては、周知のごとく、この点については法例に夫の本国法主義の明文の規定がありこれまで特に問題とせられることがなかったのであるが、近時両性平等の見地からこの夫の本国法主義が反省せられ立法論的に問題化されている。」、そういう前提のもとに、一体どうしたらこの男女平等を実現するそういう理想にかなう主義がとれるであろうかと一生懸命に考えて、これは八つの主義を紹介している。第一は夫の本国法主義、これはまああなたの言われる本国法主義、だけれども、いまあなたがおっしゃたのでも、私が申し上げたように、夫の本国法主義と妻の本国法主義と二つあるんだから、本国法主義をとっておりますということで問題は解決しないという、これは先ほど申し上げた。二番目は妻の本国法主義、それから第三番目が夫婦の約定によるいずれか一方の本国法主義、四番目が個別的解決主義、第五番目が夫婦の本国法の競合的適用主義、第六番目が夫婦の本国法の累積的適用主義、第七番が法廷地法主義、つまり法廷地法でやれと、そうすれば男女の平等なんということ、夫を優先するとか妻を優先する問題が出てこないとか、それから八番目が住所地法主義と、いろいろ八つの主義があることを紹介して、そのいずれが夫婦の平等の主義に抵触せずに合理的な解決が得られるかということを一生懸命に論証しておられるわけで、そう局長のように単純に、本国法主義であって両方が全然不利益がありませんなんていう簡単な、短絡的な答弁はできませんよ。いかがです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 夫の本国法で常に不利益がないというわけにはまいりませんけれども、また非常な利益を受けるということもあり得る。いろんなケース、いろんな国の法律によりまして利益、不利益はさまざまであろうと思います。それは各国の実体法がそれぞれ統一されないでばらばらになっていることからやむを得ない結果でございますけれども、しかし、その適用の結果公序良俗に反するというような場合には、日本の裁判所はこれを適用しないということによって解決をされているわけでございます。  それはそれといたしまして、確かに本国法主義をとるといたしましてもいろんな考え方があるわけでございまして、まあ法制審議会でかねてから検討いたしておりまして、何回も試案のようなものもその経過において作成いたしておりますが、たとえば婚姻の効力につきまして甲案といたしまして、夫婦の最後の共通本国法によるという場合、これは共通本国法がいつかの時点においてあったという場合、あるいは乙案として、夫婦はそのいずれか一方の本国に住所を有するときはその本国法によるという案、あるいは夫婦の共通住所地法によるという案、まあいろいろあるわけでございまして、私は現在の夫の本国法が最もあらゆる場合においてすぐれているなどと申し上げるつもりはないわけでございますが、こういったいろんな考え方があり得るわけでありまして、また婚姻の効力だけの問題ではございませんので、本国法主義をとっておりますと方々にそういった先生御指摘のような問題があるわけでございまして、国際私法というものを統一的に考えてそれを検討せざるを得ないということを申し上げたかったわけでございます。しかもヘーグの国際私法会議におきましては、そういった先生の御指摘のような考え方も十分考慮に入れつついろんな条約案を作成し、それを国際会議で討議をいたしまして採択をいたしているという現状でございますので、そういったヘーグの国際私法令議に日本は参加をいたしております。そこでできる限りそういった最近の動向というものを把握いたしまして、よりよい国際私法法制というものを検討していかなければならないと、かように考えている次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまあなたのおっしゃったような、つまり現実に夫の本国法主義によった場合に、それがメリットを与えるかデメリットを与えるかというような、それはいろいろありますよ。夫の本国法が進歩的ならばかえって妻にとってそれは多くのメリットを与えるでしょう。逆の場合はデメリットを与えるんで、だからあなたのおっしゃるようにメリットもある場合があります、デメリットの場合もありますと、それはそのとおりなんです。ただ問題は、男女平等とか憲法上の原則がある場合に、それはメリットやデメリットで左右すべきじゃないんで、その原則を重んずるか重んじないかという問題なんです。だから、そういうメリットとかデメリットとかいうようなことでもってその原則を左右するわけにはいかない。  それからまた、あなたは、法例の三十条を適用して公序良俗に反する場合には、妻に不利益なものを、規定の適用を排除する場合がありますと言うけれども、これはやはりいまの国際私法の折茂豊氏の、これは二百九十九ページにある一つの例ですよ。たとえば、「夫の本国法が離婚をみとめていない場合、法例三〇条を援用してその適用を排除しうるか否かについては、原則としてこれを否定的に解すべきであろう。」と。だから、やはり公序良俗の規定があるからといって、夫の本国法に離婚が認められていないから、それは認められていないことが公序良俗に反するから離婚できるんだというところまではいかない、どう考えたって、法律家として。だから、やはりこれは真剣に憲法上の原則とか、男女の平等とかいう、これはきわめて高い次元のものでしょう、局長ね。だからそういう高い次元のものを重んずるか重んじないかという問題だと思いますよ。ですから、そういう高いいま原則が掲げられている、国際婦人年のその中間年に当たる国際的な高い次元の理想が追求されている時代、そしていま憲法の原則がある場合、これは立法技術的に困難でありますとか、メリットがありますとかいうような非常に瑣末な問題に目をやって、大原則に反するか反しないかという問題を等閑に付すべきではありませんというのが私の意見ですよ。だから局長、これは真剣にやはり検討を約束してもらいたい、そういうことです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) まことに弁解がましいようなことを申しますが、こういうメリットがあるからいいではないかと、そういう趣旨で申し上げたわけではございません。非常に高い次元で物事を考える場合に、それが形の上でやや差しさわりがあるということで、直ちに高い次元で考えたことが即現状を批判し、これを維持すべからざるとする根拠になるかどうかという点でいろいろ考えてみなければならないという趣旨で、私は現実論ということも加味しながら高い次元の適用ということを考えなければならないというようなつもりで申し上げたわけでございまして、確かに高い次元に立って考えます場合に、少なくとも形の上で、夫の本国法というようなものがすべての関係について基準にすべき要素としてまかり通るということ自体が、高い次元からして望ましくないという御意見は十分理解できるわけでございます。決してこれを瑣末な便宜論で済ませようというつもりはございません。これは相当古くから熱心に法例の全面的改正と申しますか、これはヘーグの国際私法会議で採択される条約案というようなものを加味しながらやっておるわけでございますけれども、そういった努力はもうずっと古くからやっておりますし、今後継続して精力的にそういった検討を進めたいと思いますし、その際には御指摘のとおりの高い次元からの考慮、反省ということを十分加味してやってまいりたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 法務大臣、いま私と局長とのいろいろなやりとりをお聞き取りになったと思います。  つまり法例の十四条から十六条、それから二十条等の規定はすべて婚姻の効力、離婚等についてあるいは夫婦財産関係等について夫の本国法によると、一方的に夫を中心に考えているわけです。しかし、いまは妻の本国法主義もあり、それから裁判地法主義もあり、住所地法主義もあると、そういういろんな制度をわれわれが考えて、どれが本当に男女の平等を実現するものであろうかと、どれが憲法二十四条に言う男女の平等の思想に基づいて制度を考え、運用をすべきであろうかということをいま検討をする時期に来ておると思うんです。だから、民事局長も真剣に検討するといま約束したわけです。大臣もこの点についてお約束いただきたいと思います。十分これから検討していただきたいと思います。いかがですか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 大変高い次元の法律上の基本論を承ったわけでございますが、最後に民事局長がお答えいたしましたとおりに、これは時間をかけて検討をいたすべきものであると存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 終わります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 民法及び家事審判法の一部を改正する法律、この相続に関する民法の改正に当たってずいぶん長い間御苦労をなさってやっと今回の改正の運びになったわけでありますが、いずれにしましても、その改正案のこれからどうあるべきかという、どう改正していかなければいけないだろうかという問題点、それらがやはり中心になってくる質問になるわけで、当然重複する点が出てまいります。したがいまして、そのことを一応お断りをしながら質問をいたしたいと思います。そして、先ほども寺田委員の方からいろいろ質問がありまして、私も重複して質問をするようになると思いますが……。  午前中参考人三人の方々に来ていただきまして貴重な意見も拝聴したわけでありますが、そこで、私は三人の参考人の方々にお伺いをしたわけなんですが、相続人以外の者に対する寄与分の認定、あるいは寄与分といいますか、将来法改正していかなきゃならないかどうかということはまた別といたしましても、相続人以外の者でも内縁の妻、事実上の養子等については特に相続人に準ずる者としての寄与分を認めるべきだということが言われているわけであります。  そこで、厚生省からお見えになっていますね。——まず、国民年金法ですね、国民年金法の五条の五項ですか、「この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、第四十九条の規定を除き、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」こうございます。それから厚生年金保険法の三条、これは二項ですか、ここにも——国民年金法の方は「第四十九条の規定を除き、」とありますが、この厚生年金にはそれはございません。私の知っている限りは、この「第四十九条の規定を除き、」という、これもいまの法律改正の提案をされているというふうに聞いておりますが、近くこの項目が削除されるようになると私は思うわけです。この事実上の婚姻関係というのはどういうふうな具体的なものを指しておられるのか伺いたいと思います。

萩原昇社会保険庁年金保険部業務第一課長

○説明員(萩原昇君) 通常の、これはいわゆる内縁関係ということでございますが、「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」ということでございます。  それから、先ほどのお話の中にもございました国民年金法四十九条の部分に関する改正規定は、ただいま御発言のとおり御提案申し上げている次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 念のために四十九条というものの内容を説明してください。

萩原昇社会保険庁年金保険部業務第一課長

○説明員(萩原昇君) これは国民年金におきまして通常の場合はだんなさんが亡くなった場合にお子さんがいる寡婦の方、この方に母子年金というものを差し上げることになっております。この母子年金につきましてその母の状態は、だんなさんがお亡くなりになったときにそのだんなさんによって扶養されていた配偶者、またはその事実上の配偶者であり、かつ国民年金が保険制度でございますので、一定の妻自身についての保険料要件を満たすということで通常の遺族年金、遺族給付というものが出ておるわけでございますが、寡婦年金につきましては、こういう母子年金に結びつかないという方につきまして、だんなさんが亡くなったときに過去十年間の婚姻関係がある場合に年金給付を行おうということで、昭和三十六年国民年金制度が発足いたしましたときに、その昭和三十年代に発足いたしましたときに、過去十年間における継続する婚姻関係というものを立証するためには法律婚ということで立証する以外に立証がむずかしいのではないか、こういうことで法律婚に限ったというふうに承知しております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 準母子年金も含まれるわけですね。

萩原昇社会保険庁年金保険部業務第一課長

○説明員(萩原昇君) 準母子年金につきましてもこれは母子年金と同じような状態でございます。ただし、この場合の配偶の関係につきましては、準母子の場合には、この場合には、おばあさんが孫を養っておるとか、そういう状態において、たとえばおばあさんの場合ですとその息子さんに当たるような事実上のかせぎ手、それが亡くなった場合におばあさんと孫が残されたというような場合が準母子年金でございますので、この場合配偶関係とはちょっと異なってまいります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 御答弁の中に俗に言う内縁関係という、内縁関係というのは事実上の婚姻関係ですか、婚姻関係というのはどういう——何といいますか、個条書きで認知していくのか、その辺を伺っておきたいのですが、参考に。

萩原昇社会保険庁年金保険部業務第一課長

○説明員(萩原昇君) 通常届け出をしておらないけれども届け出をすればその届け出が受理されるような状態、これを通常の状態でやっております。さらに別の言葉で言いますと、婚姻関係を成立させる意思があり、そういう実態が社会から認められておると、だけれども届け出という婚姻の形式行為をしておらないという関係であろうと理解しております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 その法の精神は何ですか、根本の法の精神。

萩原昇社会保険庁年金保険部業務第一課長

○説明員(萩原昇君) 社会保障給付で私どものところで持っております一番古いものは、昭和十七年に現在の厚生年金の前になる労働者年金法というのがあるわけでございますが、その当時からすでに内縁関係というものをかように遺族給付の受け取り方として規定しておりまして、はっきりと書いたものはないわけでございますが、やはり社会保障給付というものを困窮した状態にある者というのを広く認めていこうという趣旨に基づくものというふうに理解しております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 社会保障給付という、国民をそういう不幸な中に、不幸な生活の中にある人、何らかの理由で入籍のできない人たちで、そして結婚もしたくともできない、そういう人たちを守るためにわかりやすく言えばつくられていった法だと、こう解釈していいですね。

萩原昇社会保険庁年金保険部業務第一課長

○説明員(萩原昇君) 御趣旨のような考え方かと思います。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 民事局長、民法の七百十一条、これをひとつ御説明願いたいんですが。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) この七百十一条は、いわゆる慰謝料の規定でございまして、他人の生命を害した者、殺した者が、その被害者の父母、配偶者、子に対して、財産権を害しない場合でもいわゆる精神的な損害としての慰謝料を払う義務があると、こういう趣旨でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 これは午前中の参考人の遠藤浩さんという方の答弁がありましたんですが、この文言を引かれたわけです。そして民法にもこの例を取り上げて、そして救済する判例があるんだというようなことをおっしゃられたわけです。そうなんですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 配偶者の解釈だと思いますが、そういう判例になっているということは事実でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 私が聞いたのは、内縁関係のことなんですよ。そのとおりですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 裁判例におきまして内縁関係にある者を配偶者に含ませて解釈をしていると、こういうものが判例になっているということでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いろんな理由があって内縁関係の生活をしている婦人も国民の一人ですね。そして法的に内縁関係として相続は認められない。厚生省の方では温かくそれらの人を見守って、国民の一人として支えていこうという考え方、法務省の方ではこれは相続は別だから、だからそんな人はやらないんだと、こんなふうな、極端な言い方をすればするんですけれども、法の公平という面からいきまして、相続を、相続人以外のそういう立場の人もやはり国民の一人なんですよね。そういうことから考えていきまして、どうですか、先ほども寄与分の問題で、これを寄与分の方に入れるべきだという参考人の意見もございました。またもう一人の方は、立法処置ができるならば、立法処置としての考え方——いろんな差しさわりがあるだろうと思いますけれども、そういう処置も考えられるんじゃなかろうかと、こんなふうにも言っておられましたんですが、どうでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 内縁の妻、事実婚というものを法的にどう評価し、どう処遇するかというのは、これはきわめてむつかしい問題でございまして、わが国の立場としまして法律婚主義というものをとっているわけでございます。これは養子縁組につきましても、事実上の養子縁組というのはありますけれども、法的効果を認めるのは届け出をした者に限るということになっているわけでございまして、婚姻について申しますと、一つの社会的な制度としての婚姻を公示すると、そして一定の要件を備えたもの、男女の結合について公示をして、それに対して法律上の保護を与えるということがたてまえとして望ましいと、こういう考慮からそうなっているわけでございます。  ただ、御指摘のとおり、社会立法におきましては、これは戦前の工場法の例からそうでございますけれども、ずっといわゆる内縁関係、届け出をしなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者というような者に対する保護の趣旨を入れておりますし、また裁判例におきましても、内縁の不当破棄による損害賠償責任というようなものもかなり古くから認めているわけでございます。  そこで、私どもの考え方といたしまして、婚姻の効果のうち、夫婦の共同生活が営まれているということを前提として認められているような効果、第三者に影響することのないような効果は、これは法令上あるいは判例上これを認めている。つまり夫婦と同じような保護を与えているということが言えようかと思うのでございましそ、たとえば同居し、協力扶助をするという義務、夫婦の間でそういう義務がございますけれども、そういう義務も内縁の夫婦間においてもこれは認められると思いますし、いわゆる貞操義務というようなものにつきましても、これはやはり内縁の夫婦についても認められると、それが裁判例であると思います。また、婚姻中の費用の分担というような問題につきましても、これもやはり内縁であっても同じように取り扱うべきであろうと、こういうことは言えるわけであります。  しかしながら、対第三者あるいは多数当事者間の法律関係で画一的に処理をしなければならないような問題につきましては、やはり届け出ということを婚姻の要件として、その公示ということに大きな意味を与えているというたてまえからいたしまして、夫婦と全く同一には認めるべきではないのではなかろうか。  したがいまして、先ほど寺田委員の御質問にもございました氏の問題でございますとか、あるいは夫婦財産契約の問題でございますとか、一方と他方血族との姻族関係が生ずるかどうかというような問題でございますとか、端的には相続権の問題、これは多数の当事者間の法律関係でございます。そういった問題につきましては、これはやはり届け出主義、法律婚主義をとる以上、同等にこれを扱うということはできないのではないか。それに反しまして、不当破棄による責任あるいは不法行為上の責任と、そういうような問題につきまして、これは配偶者と同じように取り扱う、これは先ほど先生御指摘の問題にございましたけれども、そういったような問題につきましては同じような取り扱いをするといたしましても、結局は相続の問題、究極するところは相続の問題でございましょうけれども、そういった多数当事者に影響を及ぼす画一的処理を必要とするような問題につきましては、やはりその間に区別があってしかるべきではなかろうかと、かように考えている次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 そういうふうな考え方からいけば、いつまでたっても、これは私の考え方と平行線を引いていっちゃうと思うんです。届け出制だからもうそれ以外の決められたものから枠は出ないんだよと、わかりやすく言えばそういうことだと思うんです。私は国民の、婦人の一人の立場が同じような立場であって、    〔理事大石武一君退席、委員長着席〕 片方は社会保障される、法では相続権というものが届け出してないから認めないのだと、わかりやすい話だとそうだと思うんですね。ですから、そういう方というのは全く日の当たらない生活を一面ではしているとも言える立場の人もあるわけでしょうし、また内縁の妻という立場はいろんな立場があるでしょうから、いま局長もいろんなふうなことをおっしゃって、角度ごとにおっしゃっておりましたけれども、いずれにしろ内縁の妻というその一婦人というものは、やはり法で温かく守ってやらなきゃいけないんじゃないかと、こう私は思うわけですがね。もう民法にちゃんとこういうふうに決められてあるからそれ以外はみ出さないよと、こう言えばそれでおしまいなんですけれども、国民の一人の感情としては、私は納得できない問題があるんじゃないかと思うんです。これは大臣にひとつ伺っておきたいと思いますが、いかがですか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 民事局長からお答えいたさせます。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かに先生御指摘のような感じをこれはお持ちになるということは、これは実情として理解できるわけでございますけれども、やはり法律関係というものは、当事者間だけではなくして第三者に対する法律関係の明確化ということもこれは必要でございまして、実体を探索しないと関係がはっきりしないということでは非常に困るわけでございまして、そのためにこういう届け出制度があり、それによって対外的にも夫婦としての扱いを受けるということになっているわけでございまして、しかも現在の法制では届け出をするについて何ら、何びとかの許可が要るとか同意が要るとか、そういう制約がほとんどないわけでございまして、やはり届け出ということを、これは単なる形式ではないかとおっしゃるかもしれませんけれども、それがまた非常に意味のあることだという考え方があるわけでございまして、これを抽象的に法律婚是か事実婚是かというような形で質問が出ました場合には、恐らく法律婚の方がすぐれているという答えが大部分の方から出るのではないかと実は思うわけでございまして、要するにそのうちどの程度実質的に、実質に着目をして保護を与えるかという問題ではなかろうかと思うわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 まあこれは第三者の問題を含めてのお話ですけれども、それならそれだけのまたへ理屈を言えば出てくるわけですけれども、この点は非常に将来は考慮していかなきゃならないんじゃないかと私は思うんです。これは、恐らく局長もおなかの中じゃそう思っておられるんだと思うんですけれども、いかがですかね、これは。おなかの中をひとつ聞かしていただきたい。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 実は、法律のたてまえとしては私が申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、内縁関係の保護ということが発達いたしましたのは、一つは社会立法、いま一つは裁判所の判例でございます。裁判所が個々の具体的な事案に即しましていろいろ解釈を発展させるという余地は、これは私どもが気がつかない分野であり得るかと思います。  たとえば、財産分与という制度がございますけれども、こういったものもいまではかなり裁判所の裁判例によりまして、内縁の夫婦間においても認めているようでございます。まあそういった意味におきまして裁判の法創造的作用と申しますか、そういう余地があるということを私は決して否定するものではございません。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 厚生省の方どうもありがとうございました。結構です。また次の機会にほかの角度でお伺いしたいと思います。きょうは結構でございます。どうも御苦労さまでした。  そこで、これも居住権といいますか、先取り権といいますか、夫婦二人きりでやっとこさローンも払って土地と家が取得できた。御主人の名前になって届け出られたということになって、その奥さんは御主人の遺言がなければ今度は全部奥さんのものになるのかどうか、そういうことと。それからもう一つは、少なくとも生前に居住権とか、先取り分というものを考えてあげなきゃならないのじゃないかというふうにも思うわけですが、どうなんでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 配偶者の相続分をいかに引き上げるかという問題につきましては、御指摘の先取り制度あるいは居住権の保護というようなことも確かに検討はされたわけでございます。  しかしながら、先取り主義につきましては、これはそういった制度をとっておる国もございますけれども、相続財産の額が一様でございませんので、その基準の定め方が非常にむずかしいということ、相続財産が非常に多額である場合には先取り分を認める実益が余りございませんし、少額の場合には先取り分を確かに配偶者は保護しますけれども、あとの相続人はこれは非常に悲惨な結果になるというようなこともございまして、これはやはりちょっとむずかしくて採用するのにちゅうちょされるということでこの案は採用されることはなかったわけでございます。  また居住権につきましては、もし何らかの配偶者に居住権を認めるといたしますと、その法律上の性質が非常に疑問でありまして、議論百出いたしまして、相続分との関係がどうなるのか、いつまで権利を存続させるのか、どういう種類の新しい物権になるのかというような問題で非常に法律上の問題点が多いということから、そういった新規な制度をつくり上げるよりはむしろ端的に相続分を最低二分の一ということにいたしました場合には実質的に居住の権利が奪われるということはまずないわけでありまして、これは共有の法理から申しましてもそういう心配がまずないであろう。したがって、こういった複雑な制度を設けるよりはむしろ端的に相続分を引き上げるということにした方が現実的であろうという結論からそういうような方向になったわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いま私一つの例を申し上げますけれども、これは裁判所が裁くようになる問題だろうと思いますけれども、一つの土地がございます。イという土地がある。その土地が二筆になっております。二筆になって、それでそこの上にアパートが建っております。そのアパートは母親の所有物です。所有権は母親のものです。それから別の土地にその父と母が住んでいる土地があって家が建っているわけです。居住ですね、居住地に家が建っている。そこで老夫婦が住んでいるわけですが、そこに三女が入ってお父さんお母さんのめんどうを見ているわけです。それでその家が古いものですから三女が建て直しをやったわけです、その家を。そうしますとその父親というのが生前、口で——先ほど遺言の話も出ておりましたけれども、口で別のアパートの建っている土地ですね、そのイというところの土地の二筆になっている一筆を長男にやると、それからもう一つの、二筆のもう一つを長女にやるということを常々口にしておったということなんです。そして先ほど言いましたように、三女がお父さんの住んでた家を壊してそして新しく家を建てた、三女のお金で。結婚したんですが、この人は離婚をしてそして商売をその場所で始めて、お父さんお母さんを二階に入れて生活を守って養ってきた。その父親が亡くなったわけです。そして今度はアパートの所有権を持っている母親が相次いで亡くなったわけです。その母親は遺言を残していたわけです。それは三女の孫にこのアパートを上げますよというふうに言ってたわけです。その父親、母親が死亡しちゃった。長男はよそで生活している、地方で生活をしておるわけです。長女は常々お前にも半分土地を上げるよと言われたその長女はそのアパートの中にいるわけです。お母さんの所有のアパートの中に住んでいるわけです。両親が死んだものですから、きょうだいは三女が建てた家を、三女の金で建てたということを長男も長女も認めないわけです。お父さん、お母さんがつくったものだと言って認めないわけです。そういうふうな複雑な、このきょうだいがごちゃごちゃごちゃやっているわけです。というのは長男は土地の半分を常々父親からお前にやると、長女はその残りの半分はお前にやるというふうに言われている。その土地が東京都の一等地にあるわけです。ですから、この土地の価額というものはこれはすごいものなんです。だもんですから、母親の残していたアパートというものは邪魔になるわけですから、だから撤去しろというんだけれども、撤去はできない。三女の孫に遺言でやるということになっているわけです。こういうふうなややっこしい問題が起きているわけです。これはどういうふうに裁いていくかということが、どんなふうにしてまとめていくかということが将来の問題点だと思うんですが、もうすでにいまその問題が起きているわけですね。  それからもう一つは、まだあるんです。幾らでもあります、これは切りないんですけれども。先妻が亡くなった、その子供は籍に入っている。二度目にもらった奥さんは離婚して、その人にも子供があって、それも籍に入っている。それから三番目の奥さんもらってそこにもお子さんができた。その人——三番目の奥さんと子供がその被相続人の一切のめんどうを見てやっていた。その人は遺言をちゃんと残していった。その三番目の奥さんと息子さんにちゃんと分担してやるように遺言を残したわけです。ところが一番最初の子供さん、それから二番目の奥さんの子供さん、この人たちには何にも分け前がないわけです。そうしているうちにその亡くなった被相続人の取得している土地がぼつぼつぼつぼつ出てくるわけです。要するに遺言で残したもの以外のものがまだあったわけですね。それがぼろぼろぼろぼろ出てくるわけです。こうしたような例なんかがいろいろあるわけですね。  そこで、この法律の各界の意見等を参考にして審議をして最終的に改正要綱を今度まとめたというのが今回の相続に関する民法の改正ですね。こういったような問題がまだいっぱいあるんです。まだまだ挙げれば際限ございませんから言いませんけれども、どんなふうに受けとめられますかね、いまのような問題を。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) ただいま御指摘の問題、非常に複雑なようでございまして、私直ちにすっかり頭になかなか入りませんので的確なお答えを申し上げるわけにまいりませんのですが、中にはこれは相続の問題と離れて純粋にいわゆる民事訴訟事項もあるかと思います。ただ、結局集約されるところは遺産の範囲をどう確定し、それをどう分配するかということが現象的にはあらわれるわけでございます。  そこで、遺産分割は協議ができればこれが一番よろしいわけですが、協議ができません場合にはやはり家庭裁判所に申し立てをするということにならざるを得ないと思うわけでございます。家庭裁判所といたしましては相続人の範囲を確定することと同時に、相続財産の範囲もこれも民事訴訟事項はもちろん潜在的にあるわけでございますけれども、それを確定しなければ遺産分割はできませんからそういった調査もいたすわけでございまして、ともかく窓口と申しますか、事案の最も早期に、比較的早期に解決をしてもらえる機関ということになりますと家庭裁判所に遺産分割の申し立てをすると。そこでいろいろ相続財産の範囲なり何なりを判断して、それを前提として遺産分割をするということになるかと思うのでございまして、非常にむずかしいケースでございますから、それにぼろぼろと後から遺産らしいものが出てくるというようなことになりますとまたおくれる原因にもなるわけでございますけれども、しかしながら、少なくとも家庭裁判所でこれは職権で調査をするというたてまえでございます。家庭裁判所調査官というようなものもありまして、普通の裁判所で、民事裁判所で当事者主義で弁論を重ねて攻撃防御を尽くすというやり方に比べますと、かなりスピーディーに物事が運ばれるわけでございまして、やはり非常にめんどうなケースで協議がなかなかできないという場合には家庭裁判所の審判を求める、それによって遺産分割の基準というようなものにつきましても規定はございますが、それにのっとって適正な分配、相続分に応じた分配をする、その間に寄与分の申し立てもあればそれを考慮するというような順序になるのではないかと、かように考える次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 私も大体そんなことはわかっているわけですがね。その寄与分を認めるというようなことも認められないというようなことだったら裁判所に持っていくのが一番早いわけです。それで一番裁きがいいわけです。そんなことはわかるわけですが、そういうふうなことが起きる以前の問題として私は取り上げているわけなんです。そういう問題が起きる以前の問題として国民にいろんなわかりやすい法律のあり方というものをよくわからしてあげるということが大事じゃないかと思うわけですね。  今回、先ほども寺田委員の方からも遺言状のことなんかのお話がありました。確かにいまの話も遺言状の方についてははっきりするわけです。ところが、その下の土地は長男と長女のものだということになってややこしい問題が起きてくるというような、相続面の法律の解釈というものはやはりよくわからしでいくような方法を私は国民に知らせなきゃいけないんじゃないか。  最近NHKが五日間にわたって民法改正のことについて一時間半以上ですか、やりました、放映しました。あれは非常に大きな効果があったと私も思いますし、そうも言われております。あれを機会を通じてというんじゃなくて、そういうふうな民間で考えられぬようなことを、先に法務省は法務省としての法の解釈とか、法のあり方だとかというものを国民にわからせることが先だと思うんです。そう思いますが、どうですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かに先生御指摘のとおりだと思います。全く同感でございまして、法律はなるべくわかりやすい法律が望ましい、これはもちろんそのとおりでございますが、なかなか思うように、だれにもわかって、しかも詳しく、あらゆることに行き渡っているという法律をつくるということは非常にむずかしいことでございます。また、やはり一般的、原則的な事柄を前提にいたしまして法律をつくりますので、遺言とかそういった面に頼らざるを得ない面もかなりあるわけでございます。私どもといたしまして法律改正の内容の周知徹底、遺言その他、あるいは相続の登記等々の面におきまして一般の関心を深めて、なるべく具体的な事情に応じた、適当な結果を得るための方策というようなことにつきまして、十分そういったいろいろな手段を通じまして啓発と申しますか、国民の関心を高め、周知徹底を図るというような努力をできる限りいたしたいと、かように考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 法務大臣、民事局長が言ったとおりだと思いますじゃなくて、法務大臣のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私もいま御指摘のテレビを拝見しまして、いいことをやっていてくれるなと思って見ておったんでありますが、法務省といたしましてはやはり国会の御審議の結果、これが成立いたしますならば、ただいまのお話のようにできるだけのことをして、周知してもらうように努力したいと思います。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 大事なことですから、大臣に御答弁願ったわけです。  先ほども申し上げましたけれども、四十六年の六月に法制審議会の身分法小委員会、相続に関する改正問題の審議が開始されて、五十年七月、五十一年七月、五十四年七月、その後において各界の意見等を参考にして審議をして、最終的な改正要綱をおつくりになったという歴史の背景と同時に、先ほど御答弁がありました世論調査ですか、そのことを盛んに民事局長お話しなさっておりました。その中で、夫婦の共同財産という——夫と妻との共同の財産にした方がよいということがありました。先ほど来から世論調査のことがこうである、ああであるということをるるとお話しになっておりました。ここの調査の内容によりますと、夫と妻との共同の財産にした方がよいというのは六四%あるんですね。これはどうでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かにこの世論調査の結果、非常に共有制を採用すべきだという声が強いわけでございます。ただこの問題は、相続分その他の問題に比べまして非常に法技術的と申しますか、法律的な面が多いわけでございまして、世論調査も参考にいたしましたけれども、試案の発表に対しまして各界——各界と申しますのは、これは弁護士会でございますとか裁判官、調停委員あるいは経済団体、その他婦人団体、そういったところでございますけれども、ややその法律家のグループからはそれと正反対の結果が出ているわけでございまして、この問題は実は法律的に検討しなければならない問題が多々ございまして、一々申しておりますと非常に法律的な問題になるわけでございますけれども、固有財産と共有財産の帰属を確定することが非常に困難である。区別の限界あるいは帰属の時期、それから債務をどうするか、共同の債務になるのかどうかとか、あるいはそれを公示、登録する方法がどうか、個々の財産について公示する方法があるのかどうか。単独の、固有財産と共有財産混在しております場合に、取引関係の混乱をどうやって防止するかと。また、共有財産の管理処分権をどうするか、代理権をどうするか、あるいは強制執行を受けた場合にどういうふうに処理をするか、責任財産の範囲がどうなるかと、いろんな問題はあるわけでございまして、これを法制化いたしますと、これはフランス民法の例を申し上げますと二百条ばかりの条文がこれに費やされているわけでございます。ドイツ民法でも二百条近い条文があるわけでございまして、これはまあ法技術的に非常な作業になるわけでございまして、しかも一方では、夫婦が完全に独立の立場を維持する上からは別産制の方が望ましいという意見も婦人団体の中にはあるわけでございまして、まさに両論があるわけでございます。  非常にメリット、デメリットがあるわけでございまして、これを一挙に共有制に踏み切るということにつきましては非常に問題が多いのではないか、こういうような考慮からいたしまして、別産制を維持しつつ相続分の引き上げにおいて取り分を多くする、あるいは財産分与というのは一つの実質的な共有財産の清算というような意味を持っているわけでございまして、そういったものによって解決する方がより現実的じゃなかろうかと、こういうような意見が法律家の中では強いわけでございます。そういった方向をとることにいたしまして、共有制の問題はなお今後の検討課題にいたそうと、かような経過になったわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 午前中の参考人の御意見も、別産制というものをかなり強調しておられた先生もおりましたけれども、いずれにしましても、夫婦共有のものというのはお互いの中に定着している問題があるんですね、心の中では、精神的なものには。それを今度はいろんな事件があって、別個制がいいんだとか、別産制がいいんだとかというごちゃごちゃする場合にはその方がいいんだろうけれども、何事もない円満な家庭の中には、やはり世論調査といいますか、六四%も高いというのは、やはりいまお話しありましたように相当高い確度で認めて、法改正に将来の問題として臨まなきゃならないというふうにもおっしゃられたことですから、それを私も大いに期待をいたしたいと思います。  それから、先ほど非嫡出子とそれから嫡出子の差別はなくした方がいいという寺田委員の質問もありましたけれども、欧州諸国あるいは諸外国はどんな立法を考えておるのか、それに対して、先ほど御答弁がありましたように、差別をなくしていく方向に進めていくのにはこの国の考え方が大体自分の考え方だというものをお持ちでございましたら御説明願いたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 率直に申しますと、欧米諸国ではかなり平等にするという考え方が優勢でございます。ただ、非常に注目を要しますのは、それまでの、最近までの非嫡出子に対する処遇というのはきわめてヨーロッパ諸国においては劣っていたと申しますか、処遇が非常に悪かったと。それに比べまして日本法におきましては、これは家制度の影響があるわけでございますけれども、そういったヨーロッパ諸国に比べますと非嫡出子も結局男子であれば地位を——必ずしもそれほどひどい待遇は受けなかったと、これは相続その他の問題についてでございますけれども。それが最近におきまして逆転現象とよく言われておるわけでございますけれども、欧州諸国が悪い待遇から平等に進んできたと。それでわが日本法の待遇はそれに比べて劣っているというような状況になっているわけでございまして、この問題はやはり一夫一婦制に基づく嫡出家族の保護という要請があるわけでございまして、一方で罪のない非嫡出子の保護という、まさに理念が衝突するわけでございまして、非常なジレンマに陥るわけでございます。  この問題につきまして、たとえば西ドイツなどにおきましては平等に扱っておりますけれども、相続人として平等に相続をするというわけではなくて、配偶者に嫡出の子があります場合には相続はさせないけれども、相続分に対応する代償請求権を与えるというような形で処理をしていると。これは一つのある意味では合理的な解決方法として示唆に富む制度であろうと思われるわけでございますが、依然として嫡出子の二分の一という相続分を維持している国もかなりございます。ただ、かなり多数の国が平等に踏み切っているという形でございまして、この点は世界の情勢をよくよく見きわめると、つまり逆転現象が起こったわけでありまして、それがどういうふうに発展するかと、実際上問題が起こらないのかどうかというような点もよくよく調べないといけないと思いますし、それと同時に、何よりもわが国の国民感情というものがそれを受け入れるようになるかどうか、現在のところではどうもまだ一般的にまだコンセンサスが得られるというような状況ではないように見受けられるわけでございまして、それがどう動いていくかというような点を慎重に考えてこの問題は対処をすべきであろうということで今回見送ったということは先ほど申し上げましたとおりでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 寄与分の問題で、被相続人の長男の妻、長男が先に亡くなったと、妻には相続権がない、こういった問題等衆議院でも相当論議をされておりますし——委員長は、予定の時間は四時半でおしまいで、やめてくれという紙が来ました。まだ私は大分残っているわけですが、遺産分割の基準についても九百六条の問題、家事審判法の改正についても十五条の二について少し細かく御質問をしようと思いました。それからまた、兄弟姉妹の相続に関して九百条の三号の問題、これは婦人団体等も要請をしているようであります。それらのことも質問をいたしたいと思いますが、時間がございませんので、いま申し上げたその事項の中に衆議院で法務委員会でやっておる問題点は省きまして、答弁なさっていることを答弁としておきたいと思いますし、いずれにしましても、妻の座を守るという今度の民法の改正に当たっては、まだ総体論からいけばまだまだ十分でないという面があるわけであります。これは将来の課題として、幾つか申し上げました点について、将来の問題として考えていくかどうかということを伺って質問を終わりたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 私ども今回御提案申し上げましたこの改正案が、すべての問題を過不足なく解決し得たなどということは決して考えておりません。非常にまだ今後の検討に待たなければならない事項が多々残されていると思います。ただ、相続法というものはいかにきめ細かくやりましても、やはり実情にはどうしてもそぐわないという面ができてくる。そこである程度見切りをつけなければならないという点も御了解を願いたいと思うんでございますけれども、重要な問題点、いろいろ衆議院の審議、本日の審議で御指摘を受けました点につきましては、身分法全体についての改正の問題の一環といたしまして、今後とも十分な検討を続けていきたい、かように考えている次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 大臣のお考えを……。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま民事局長からお答え申し上げました、これは非常に重要な問題でございますし、どなたもやはり非常に関心を持たれる重要な案件でございますので、なお引き続き検討をいたしまして、国民各位の御期待に沿えるようにだんだんと改めてまいりたいと思っておるわけであります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それじゃ、私からまず法案に関連をしてお伺いをしたいと思います。  今回の相続法関係の改正で、配偶者の相続分の引き上げ、そしてまた特別寄与分の創設という、かねてから言われておりました妻の地位、妻の座の強化、こういった問題を含めていわば画期的な前向きの改正だというように私どもも受けとめておるわけです。で、法務省の提案理由の中でもこの配偶者、つまり妻の相続分の引き上げについては「婚姻生活における配偶者の貢献に対する一般の評価が高まり、これを相続に反映させるべきであるとする意見が国民の間に有力となってきたこと等にかんがみ、」というように述べられているわけですね。これは客観的にそういう国民意識の変化ということでお述べになっていますが、端的に言って、いままで妻の座、これがまさに民法の中では、新しい憲法のもとにありながら十分でなかったということを御反省なさっておるのかどうか。そして、今度のこの改正法によって妻の座が強化され、それが高く守られる方向に実際の運用を通じても、裁判所等とも検討を重ねてやっていただくという御意向をお持ちなのかどうか、まずこの二点お伺いしたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 配偶者の相続分につきましては、具体的な調査の結果によりましても、ここ約十年の間にかなり配偶者の処遇を向上させるべきであるという意見が高まっております。つまり、十年余前におきましては現在の相続分でよかろうと、現状維持という意見が強うございましたけれども、最近の世論調査の結果によりますと、かなりこれは現在では足りない、もうちょっと引き上げるべきだと。これは、一つには家族構成の変化、子供の数の減少ということも手伝っていると思うのでございますけれども、そればかりではなく、やはり妻の地位というものをもっと相続面において高く評価すべきであるという意識があらわれたものだというふうに受けとめたわけでございます。したがいまして、今回の改正の主眼が相続における配偶者の地位の向上という点でございます以上、特に私どもから裁判所当局にこういうふうにしていただきたいとかなんとかということを申し上げる筋合いではございませんけれども、法律の趣旨は家庭事件を処理される家庭裁判所を中心にして十分御理解を得ていると思いますし、この今回の改正内容につきましては家庭裁判所の裁判官あるいは調停委員その他の方々からこぞって賛意を表明されているところでございますので、十分この法律の改正の趣旨を体して運用がされていくということを期待しているわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 午前中の参考人もおっしゃっていましたが、要するに、相続人に相続権を付与して相続分を確定するという問題は、一つは財産の清算的分割という意味がありますね。もう一つは、やっぱり相続人に対する生活保障という、こういう考え方がある。そういう生活保障という考え方を基本に置きますと、実際は高齢化社会になってまいりまして、そして相続を開始する時点では配偶者——妻としましょう、妻もかなりの高年齢に達している。だから、現実的には労働も実際はむずかしいという状況もある。逆に、子供は成長して、そして子供自体は一定の仕事を持ち、生活が確保できるという、こういう問題もある。そういう相続における生活保障的意味というものを現代の高齢化社会ということで考えていきますと、まさにその意味から言えば相続分を二分の一に引き上げるというのは当然ですが、それ以上にやっぱり妻の婚姻生活における寄与をもっと高く評価するという考え方があってもいいのではないかという私は気もしているんですが、局長はいかがでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 先生御指摘のとおり、妻の相続分というものを考える上におきましては、そのいわゆる内助の功、協力、貢献というものをいわば清算するという要素がありますし、また同時に、生活の資としての財産を与える、いわゆる扶養の要素と、それによって生活の安定をさせるという要素があると思うのでございます。  そこで、その割合をどうするかということにつきましてはいろいろ考え方はあるわけでございますけれども、相続財産の中には婚姻生活で形成した財産もございますけれども、また、伝来の財産もございます。また、血統を重んずるという思想が全くわが国の社会からなくなるという事態ではないと思います。そういったいろいろな点を考慮いたしまして、また諸外国の妻の相続分というものを比較いたしましても、やはり子供とともに相続する場合に、これははっきりしたことは申せませんけれども、ごく大ざっぱに考えますと二分の一というところに基準を置いているように私どもは拝見しているわけでございまして、そういった点も参考にいたしまして、直系卑属とともにする場合には二分の一、それ以外の場合には三分の二、四分の三というふうに逓増いたしますけれども、そこを一つのねらいとしたと申しますか、それを基準にしたというようなことでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その点はよくわかります。だから私も、この直系卑属と相続をするときに二分の一が少な過ぎるというところまで申し上げている趣旨ではないわけです。少な過ぎると申し上げている趣旨ではないけれども、妻の座あるいは妻の生活保障という点を考えますと、この二分の一プラスアルファの要素を相続財産の分割に当たって考慮する必要がある場合も多々あり得るんではないか、こういう問題に次になってくると思うんです。  そこで一般に、長年妻が家庭を守るという、いわゆる家事労働を裁判所が大体どんなふうに評価されてきたか、これは交通事故における損害賠償請求事件等で一定の判例の動きも出てきておりますけれども、裁判所のお考えはどうなんでしょうか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ただいま橋本委員が御指摘になられました交通事故における損害賠償の算定におきまして、もっぱら妻が家事労働に従事していた場合の評価をどうするかという問題につきましては、かなり裁判例が分かれておりまして、これを否定する裁判例、それから積極に解する裁判例というものが分かれておりましたが、最高裁判所の第二小法廷の昭和四十九年七月十九日の判決がありまして、これは交通事故によって七歳の幼女が死亡した事案でございますが、それにつきまして二つの点を判示しております。それを読み上げてみますと、「一、事故により死亡した女子は、妻として専ら家事に従事する期間についても、右家事労働による財産上の利益の喪失に基づく損害を受けたものというべきである。二、事故により死亡した女子の妻として専ら家事に従事する期間における逸失利益については、その算定が困難であるときは、平均的労働不能年令に達するまで女子雇用労働者の平均的賃金に相当する収益を挙げるものとして算定するのが適当である。」、こういうふうに言っております。この判決によりまして、事故によって死亡した妻の家事労働における逸失利益は女子の雇用労働者の平均的賃金に準拠して算定されるということが確立いたしまして、その後、同じ最高裁の第三小法廷でございますが、五十年の七月八日の判決は、家事労働に従事している妻が交通事故によって負傷した事案につきまして、「妻の家事労働は財産上の利益を生ずるものであって、これを金銭的に評価することは可能であり、負傷のため家事労働に従事することができなかった期間は財産上の損害を被ったものというべきである。」ということを判示しまして、先ほどの判決の趣旨を確認しております。  これによりまして、最高裁判所の判例は大体確定したものというふうに考えてよろしいかと思います。以後の下級審の裁判例もそれに従った判示をしているわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ありがとうございました。  そういうわけで、裁判所の方でも、家事労働に従事している妻が家事労働を通じて財産形成に貢献し、かつ寄与し、家事労働自体も財産的利益増加ということで評価をし得るし、評価しなければならない、こういう方向に来ているということがよくわかります。したがって、そういう面からいきますと、家事労働に従事している一般の妻であっても、相続人の財産に対してやっぱりそれの財産が形成される過程で十分に寄与しているというようなことに当然になるわけですから、ある意味で言いますと、この妻の相続分の二分の一というのは夫婦財産共有の半分を確認的に分割したという考え方とも近いわけですね。そういう考え方は民事局長はおとりになりませんか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 先生御指摘の問題点と非常に関連していると思いますのは西ドイツの制度でございますが、西ドイツの制度は別産制あるいは共通制、共有制というものもございますけれども、譲与共通制というような制度をとっておりまして、離婚等の場合には非常に細かい計算をするわけでございます。そこで別産制あるいは共通制の場合の相続分はおおむね四分の一でございますけれども、その譲与共通制をとった場合の清算が非常にめんどうなものでございますから、相続の場合にはそれを割り増しをしまして二分の一ということで解決をしていると、これは一つの参考になる事例ではないかと思うわけでございまして、個々に内助の功を評価するということになりますと非常にめんどうな問題が起こります。もちろん財産分与の場合はこれはケース・バイ・ケースでいろいろでございますから、これは家庭裁判所の判断にゆだねるという形になりますけれども、相続の場合にはそういうことはできないといたしますと、そういった通常期待される内助の功というものを加味したものが相続分に反映してそれが二分の一になったと、こういうふうに考えるということも可能ではなかろうかと思う次第でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 今度の寄与分の関係について考えてみますと、九百四条の二で「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、」こうあります。だから「被相続人の事業に関する」と、こういうことをかぶせますと、たとえば主人が会社に勤務していると、その主人はサラリーマンですからみずから事業をやっているわけじゃない。だからそういう場合じゃなくて、ここで言う「被相続人の事業に関する労務の提供」というのは、実際に家で商売をなさっているとかあるいは中小企業であるとか、そういうことを想定されておる規定なんでしょうか、どうでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 事業と申しますその事業は、かなり広いことは広いのでございますけれども、単なるサラリーマンとして勤務するということは「事業に関する」というわけにはいかないわけでございまして、典型的な例といたしましては、農家でありますとか商店でありますとか自家営業の場合などにつきまして夫を助けると、あるいは長男が父を助けるというような場合が考えられますし、また妻が単なる内助の功ではなくていわゆる共働きと申しますか、そういうことによって家計を支えていくと、協力して財産の維持増加に貢献をしたというような場合、そういう場合を考えているわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 わかりました。  そういたしますと、「被相続人の事業に関する労務の提供」と、こうなっていますが、妻がパートで働きに行った、あるいは夫とは別だけれども仕事を持って家内労働でやっておるということで財産形成に寄与したという場合は、この九百四条の二で二分の一の相続分とは別に特別寄与請求ができる場合があり得ると、こう解してよろしいわけですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御指摘のとおりでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 もう一つ、この九百四条の二の関連で、単純に家事労働にずっと生涯従事してきた妻、それが特に被相続人の療養看護ということも特に必要でない状況で相続が起こってしまった場合、そしてパートで勤めに行っているわけでもない、商店でもない、純粋にサラリーマンの妻がまさに内助の功ということでやってきたという場合には寄与分の請求はできるんでしょうか、できないんでしょうか。この九百四条の二の規定から「特別の寄与」ということに入るのかどうかはどうでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) いま御指摘のようなケースの場合には、九百四条の二の「特別の寄与」ということには当たらないと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ところが、「特別の寄与」ではないけれども、最高裁の損害賠償請求の判例では、家事労働は財産形成に寄与しかつ財産的に評価し得る貢献をしておるという判例が一方で確立されているわけですね。ですから、この二分の一相続分というのはこれは結構ですが、しかし、実際に生活保障を妻に対して与えるということの観点を貫くと同時に、いま私が指摘をした家事労働にずっと従事してきたその貢献を財産的に評価すれば、どっかで二分の一以上に妻に対する手厚い保護をさらに加える必要が状況によってはあり得るかもしれませんね。それが九百四条の二でできないとするならば、私は九百六条の「各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」遺産の分割はなされねばならぬというここのところで、生活の状況、年齢、こういったところで加味されて運用されるということが可能なのかどうか。ここで可能であるというように運用されなければ、私は内助の功という問題が実際は二分の一どまりで、それで特別寄与分にもなじまないとなりますと、これは少し不合理ではないかという気がしてお聞きするんですが、どうでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かに内助の功も財産的価値の評価が不可能であるということではないわけでございまして、これは現に判例によってそういう評価もされているわけでございます。ただ、この「特別の寄与」をした相続人に対して公平に合致した財産、遺産を分与するという制度は、通常の場合の夫婦の協力扶助義務、あるいは夫婦に限りません親族の間の扶養義務の履行という点につきましては、特別の修正を加えるということはしないというたてまえになっているわけでございます。極端に申しますならば、通常の健全な夫婦でございますれば、必ず内助の功があって財産的な価値の増殖があるわけでございますから、それはやはり相続分に反映させるということでございます。  ただ、遺産分割の基準におきまして、いろんな事情を考慮してきめ細かく実情に合うように分割をすべきだということを特に明確にいたしたわけでございますが、これによりまして当然に相続分が変更するということはこれは趣旨ではございませんけれども、実情に応じた、たとえば配偶者に対して居住権を確保するような方向でやる、あるいは扶養生活困窮者についてそれにふさわしいような遺産の分割をするというようなきめ細かい配慮をすべきであるという趣旨におきまして、そういった配偶者の内助の功というようなものに報いるということが、この条文の趣旨から相続分の変更という形ではなくて、その遺産の具体的な分割によってそういう趣旨を実現するということは十分期待されるところでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから、九百四条の二の「特別の寄与」ということでは、商店の主婦なりあるいは中小企業あるいはパートに行くとか、いろんなことでそういう具体的な貢献をした場合は特別寄与分の請求ができるという、そういうことはわかりましたが、それ以外の内助の功をどう評価するかという問題については、特別寄与分の請求権ではないとすると、いま局長も抽象的におっしゃいましたけれども、二分の一の相続分が決められたのでそれで十分だというそのことだけでいいかどうか、これはまさに今後も検討していく必要がある問題だという気がします。  そこで、もう一つの問題は、この九百四条の二で「被相続人の療養看護」、これが一つ入れられた。これは私はある意味では日本のやっぱり生活状況に合っている面は一つある。しかし、もう一つ合わない面も出てくるということを心配するんです。たとえば、われわれ親が病気であるときは、自分が看護できなければ妻を看護に行かせるとか、親子の情に基づいてまさに必死になって看護いたします。家庭の事情によってそれができない場合は他の相続人がやる場合もありますけれどもね。午前中も出ていましたけれども、実際いまの日本の核家族化が進んでいるとはいうものの、被相続人が年をとってまいりますと、長男の妻なりあるいは次男の妻なり、つまり嫁が老人の世話をするという、そういうことが非常に多いですね。これは社会的に完全な開放的ないい養老院というものがない、あるいは寝た切り老人に対する対策が少ない。それをカバーするためにやっぱりやらなくちゃならない。そうした場合に、言ってみれば嫁は被相続人の療養看護をしたということにはならないわけですよ。嫁から見れば、被相続人というのは通常の場合配偶者ですから、夫ですからね。だから、夫の父母に対する療養看護をした場合というのは九百四条の二から実際は外れてしまう。これを外さないようにしようとするならば、妻に対しても特別寄与分を夫にかわって請求し得るという考え方をとるか、あるいは妻がそれだけの療養看護をしたということを含めて、夫が特別寄与分の請求、つまり、自分の家庭を一定の犠牲をして妻をして看護せしめたという意味にとりますか、何らかのやっぱりそういう状況というものに適応した解釈、運用というものは要るんではないだろうか。実際はやっぱり長男の妻、次男の妻というのは苦労するんですよね。そういう状況に対応してこの九百四条の二が運用できないものであろうか、あるいは寄与分の請求権者にそういう看護をした妻を入れるというようなことが法的にできないのかどうか。ここらは局長、将来の検討も含めてどうお考えでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) この改正法の条文の解釈がどのように発展するかということは、いま断言するわけにはまいりませんけれども、いまおっしゃいましたようなケースにおきましても、結局はその子供の妻が履行補助者というような考え方をいたしますれば、これは相続人たる子の特別寄与ということを考えるのは不可能ではないのではないかと、かように考えるわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 確かに相続人の範囲を、やっぱり配偶者——妻にまで寄与分請求権者の範囲をそこまで広げるということになりますと、ほかにもまたいろんな対応が出てくる。いま局長がおっしゃったように、履行補助者としてそういう療養看護をしたという考え方をとれば、確かに九百四条の二の弾力的運用でカバーできる可能性もある。そういうことで、今後は裁判所の運用にもかかわってくるわけですが、いま言ったような日本の妻の実態に合わせて、十分その地位なり権利なりを保全するように、せっかくの法案ですから、今後の運用を期待したいと思うんです。  こういうような改正ができますと、私は、好ましくないことですけれども、裁判所に対する寄与分の請求事件というのが累増していく可能性があると思います。したがって、それに対して裁判所が十分これに対応できる体制を今度の法改正に応じて組んでほしい。具体的に言いますと、家庭裁判所における調停機能の強化、それからまた裁判官の増員、あるいはまた調査官の増員、こういったことが必要になってくるケースがふえるのではないか、こう思いますが、こういった私の要望に対して裁判所なり局長なりの今後の方針についてお聞かせいただきたい。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かに寄与分の請求というようなものによって遺産分割の際にいろんなトラブルが持ち出される、あるいは裁判所の負担がそういった面で重くなるということはあり得るかと思います。ただ、現在におきましても遺産分割というのは非常にめんどうないろんな問題が持ち込まれているわけでございまして、これは私、家庭裁判所の内部のことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、これは十分最高裁判所当局とも御相談いたしておるわけでございまして、家庭裁判所の充実強化ということについて十分御努力をいただくというふうに承知しているわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 裁判所、いかがでしょうか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 寄与分の制度が認められましたことによりまして、従前は不文のうちにやっていたものがはっきりしたという点では、家庭裁判所としても非常にやりよくなったという面があるかと思います。そのかわりまた、そういう面につきましてのもろもろの事情を制断しなければならないという面でむずかしい責任を負うようになったということも、これも事実であろうかと思われます。そういう点で、執務体制の上で十分整備をしていくことが必要であろうと思われますし、調査官の方でもそういう点の調査に粗漏がないようにしていく研修なり研究が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういうことで、今後裁判所としての対応も十分機能的にやっていただくように、そうしてまた、せっかくここまで来た妻の座や地位の強化について運用の実を上げていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それで、憲法二十四条は両性の本質的平等、男女の本質的平等ということを高らかにうたい上げておるわけですが、相続法の分野でやっとここまで来たという感じがいたしますが、まだまだ社会的には両性の本質的平等ということが実現されていない。私どもは、妻が家の中にあって独立した人格を持つと同時に、まさに平等の地位と権利を確保するという、そのことと同時に、社会的にも妻、女性の平等を確保するという意味で、男女平等法を含む方向を今後検討していきたいということを常に主張しておるわけですが、女子の労働に関して、いまお話しがあったパートに行くとかあるいは家内労働に従事するとかいうことで、実際に家計を支え、財産形成に寄与していくというケースが非常に多くなってきておる。そういう問題に関して、それでは女子のパートとかあるいは家内労働に対して、労働保護の観点から十分それが保障されているのかどうかという点に私も疑問を持っている点がありますので、労働省からわざわざお越しをいただいておりますが、以下、その点に関連して、若干質問をさしていただきたいと思います。  裁判所、ありがとうございました。結構でございます。  まず第一ですが、女子のパート労働者が近年非常に増加する傾向にある、これは事実としてその傾向は間違いございませんか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) いま先生御指摘のございましたことは、おっしゃいましたとおりでございまして、近年特に短時間労働者がふえてきておるわけでございまして、これはパートタイム労働者そのものであるかどうかについては若干問題がございますが、パートタイム労働者に置きかえられた指標として私ども使っております週三十五時間未満の短時間労働者の推移というものを見てみますと、四十年代後半からだんだんふえてまいりまして、五十四年では二百三十六万人というところまで増加してきているわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 確かにいま御答弁いただきましたように、五十四年で二百三十六万人。だから大体労働省の方でお使いになったと思いますが、総理府統計局の「労働力調査」、これによりましても、四十五年では約百三十万ですから倍近いふえ方——倍まではいきませんが倍に近いふえ方でございますか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 先生御指摘のとおりでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 このように女子のパート労働が近年増加しているということの理由については、労働省は大体どういうように把握していらっしゃいますか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 昭和四十年代後半から特に労働力が非常に不足してまいりましたということもございますし、そういう点で、使用者の方では、新しい労働力といたしまして近年特に教育水準も上がってまいりまして、能力的にも非常に高い婦人の労働者というものに注目をしておるということがございますし、また特に三次産業では新しいいろいろな需要が出てまいりまして、こういうものが女子の労働者に非常に向いているというものもかなりあるわけでございます。  それからまた、供給側の事情といたしましても、女子が最近は出生率も低下してきておるということ。また、家事労働も洗たく機その他の家庭電気製品等が普及いたしまして、家事時間が短くなっていること。また、寿命も伸長いたしまして、子供が大きくなりました後、手が離れてから労働市場に出てこようという女性の方もふえてまいりまして、そうした需要と供給がマッチしているということがこのような結果になっているというふうに考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いまおっしゃったように、確かに需要と供給がマッチしている傾向にあるんですが、私はもっとそこをリアルに見てみますと、たとえば新日本婦人の会の「パートタイマー全国調査」、これはことしの三月の資料ですが、なぜパートで働くのですかという問いを見ますと、夫の給料が安いからというのが二四・八%、それから社会に出て働きたいから、これも同じ二四・二%、物価高が一九・八%、教育費補助が一〇・五%、家のローンとか家賃、これが高額なのでその返済の夫の手助け、これが六・九%。まあこう見てみますと、やっぱり物価高、教育費補助それから夫の給料が安いからというので、いわゆる夫婦共働きという事情が現在の一般的な生活事情の厳しさから出ておるというように見ていいんじゃないかと思いますが、いかがですか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 先生いま御指摘ございましたような、家計の中でのいろいろな問題もございまして、そういう家計の補助をしたいというのも大きな動機であるということは御指摘のとおりでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 今度はこの女子パートを雇う側の事情ですが、これについてはパートタイム労働者を採用している企業ですね。これについて調べてみますと、これは労働大臣官房統計情報部の資料で「雇用管理調査結果概要(速報)」というのが五十四年六月に出されておるんですが、企業側の女子パートを雇い入れる要素の第一に、人件費が割安となるためというのを三三・三%の企業が言っております。それから生産や販売量の増減に応じて雇用調整が容易であるというのを二九・四%の企業が言っております。で、これは企業の側からすると女子パートを雇い入れる確かに大きなメリットなんですね。こういう面が企業の側からのメリットとしてはあるという事情もこれは間違いないと思いますが、いかがでしょう。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 確かにいま先生御指摘のように、私どもの調査でも、使用者の側ではそうした理由を挙げているということはございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから、端的に言いますと、生活難あるいは経済事情の悪化から、女性がパートでいいから働きたいという要求がふえてくる。今度は安い労働力を使いやすいということで企業の側がそれを利用すると、こうなってくる。そこで、その女子パートの人たちの労働条件というものを守ってあげるという形での労働保護という観点での仕事が、私は一段と大事になってきているという気がいたします。  たとえば婦人のパートタイマーの不満あるいは要求、まあこういうものをいろいろな婦人団体等も調査しておりますが、日本婦人団体連合会編の「婦人白書」七九年版で見ましても、この不満の第一は、やっぱり何といいましても低賃金、これが約四〇%。それから仕事がきついというのがその約半分の二六%。で、パートで雇ってもらったけれどもいつ解雇されるかもわからないという雇用不安が二六%。こういった事情はわかりますが、やっぱりその低賃金——賃金がパートでやっても低いというのがやっぱり不満として出されている資料がございます。  で、私も大阪で財団法人日本気象協会関西本部、ここの事情を調査したんですが、ここは非常に大事な仕事をなさっておりまして、気象天気図の作成とか気象解説、あるいは本四架橋の海流の調査、こういったことの委託も受けてやっておられるようですが、ここで女性が十一人おられました。二十三歳から三十歳までで、全員パートです。ところがパートということですが、勤務時間は午前九時から午後五時まで、そして一般職員と同じ労働時間ですけれども、契約が六カ月契約。だからいまおっしゃった週三十五時間を超えていると私は思うんですが、ところが実労働時間は一日七時間ですが、一時間当たり四百七十円、三千二百九十円にしかならないわけですね。まあ一カ月にしますと約七万五千円です。ところが、この気象協会の一般職員の人の同じ労働条件で同じ仕事をするということで働くその実態の賃金と比べてみますと、約四割にしかなりません。だからまさに四割賃金労働者と、こうなるんですね。  そこで、一般にパートの人たちが、同じ職場でパートではない人と働く賃金とのバランスはどういうものであることが望ましいと労働省はお考えでしょうか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 私どもといたしましては、パートタイム労働者というのも、これは身分的に違うということよりは、労働時間が短いとか、あるいは一週のうちの労働日数が少いとか、そういう点での違いだけでございまして、基本的には労働基準法その他の関係諸法規は全部同じように適用になる労働者であるというふうに考えているわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 わかりました。  いま確かに御答弁いただきましたように、昭和四十五年一月十二日に労働省婦人少年局長が各婦人少年室長に出されました通達によりましても、「パートタイマーの賃金については、同種の労働者の賃金と均衡を保ったものであるよう、そのほか、当該事業所において、フルタイムの労働者に適用されている諸規定や職場の慣行その他の労働条件が、短時間就労という特性に基づくものを除き、パートタイマーにも同様に確保されるよう努めるものとする。」というのをお出しになっていらっしゃいますね。私は、この基本的な指導の方針というのは非常に正しいと思います。ところが、いま指摘した関西の気象協会の例を取り上げてみましても、それからその他の賃金の実態を調べてみましても、大体四割どまりというところが大変多うございます。だからしたがって、労働省がお出しになったこの通達の線に沿って、パートタイマーの女子労働者に対する賃金をまさに同種労働者の賃金と均衡を保つようにかさ上げをしていくためには、一段と努力のある御指導をいただかなくちゃならぬと思うのですが、どうでしょうか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) いま先生からお話ございました日本気象協会の問題につきましては、私もちょっと細かいことがわかりませんので、どういう事情でこういう状況になっておるかということはわからないわけでございますが、私どもで「賃金構造基本統計」の調査というものをやっておりますが、それの五十三年の結果で見ますと、一般的に女子のパートタイムの労働者とそれから女子の一般の労働者の平均の一時間当たりの賃金を比べてみた場合には、大体八割程度ということでございます。ただこれは平均賃金でございますから、同一労働についている方たちで比べた場合どうなるかということは必ずしも明白ではないわけでございます。  先生御指摘のように、あるいはパートタイマーであるというだけの事情でほかの諸条件が全部同じなのに賃金が低いということが一部にあるかもしれませんが、一般論といたしましては、パートタイム労働者の場合には、特定の技術ですとか技能を持っていないために、単純不熟練労働についておられる方が多いとか、あるいは勤続年数が比較的短い方が多い、あるいは場合によっては時間等についてかなり自由がきくということでパートタイム労働者になられるという方もございますので、そういう場合のいろいろな条件の違いというものもあるかと思います。そういういろいろな事情もあって、平均で比べた場合には低くなって出てくるということもあるかと思いますが、私どもといたしましては、パートタイムの労働者の方につきましてもできる限り職業訓練ですとか、あるいは職業講習などを受けていただきまして、技術、技能を習得していただきまして、やはり一人前の労働者としての労働についていただくような機会を少しでも多くするようにいたしたいと考えておりまして、いろいろな機会をとらえてそういう指導は労使に対してもいたしているところでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いま大体八割程度という数字をおっしゃいました。私が調べたのでは大体四割程度。大変大きな違いがあるんですけれども、個別的に具体的な職場を検討されますと平均して八割程度、これはあくまで平均値ですね。だから具体的な調査をされますと、私が指摘した四割あるいは五割という例もやっぱりあるわけです。  それで、一つは最低賃金法に基づく最低賃金の公示というのが、これがやられておりますね。下手をしますとその最低賃金の額よりわずか上回っている程度ということで第三次産業あたりはどんどんパートを入れますので、そこらあたりではやられているという実態も出てくるんですね。これはいろいろ調査をしておりますが、詳しいことは時間がありませんので申し上げられませんけれども、たとえば、いまお話ししました関西の気象協会の場合ですと、さっきお話ししたとおりに、一日約三千二百九十円ですね。大阪の最低賃金、時間給で見ますと三百五十円ぐらいですから、だからこれで一日働きますと二千七、八百円になりますので、実際に最低賃金の公示よりわずか上という実態も職場によってはあり得るんですね。  そこで一つ労働省に対するお願いですが、いまおっしゃったように職業訓練等をおやりいただくということもいいでしょう。いいでしょうが、まず第一に、こういう女子パートに対する低賃金の具体的なひどい状況については、申告があれば調査をしていただくということはひとつぜひやってもらいたい。  それからもう一つは、さきに出された通達でも、パートタイム雇用労務管理改善指導講習会をやったり、事業場訪問調査特別調査の実施のほか、個別事業場指導を通じて使用者に対する指導を行うということを打ち出されておりますから、そういう賃金格差のひどい業種については、申告があれば、あるいは申告がなくても実態調査を一層深められて、さっきの平均的、八割程度だということから踏み込んだ実情をさらにひとつ調査をしてもらいたい、これがもう一つ。  それからパートタイマーとの会合を開催する、関係機関の行う講習会、婦人団体の各種会合等を通じてパートタイマーに対する指導を行う、こういう方針も出されております。私大阪ですが、女子パートタイマーについて婦人少年室がこういう婦人団体との各種会合等を積極的にお持ちになったという事例、聞いてみたんですがどうも耳に入らない、当たらないんですけれども、実際大阪ではそこまで踏み込んで婦人団体との会合やあるいは講習会、関係機関との協議、まだやっておられぬのじゃないかと思うんですが、どうでしょうかね。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 私どもでは地方に対しまして、いま先生御指摘がございましたように、パートタイマーについては地方の実情に応じて各種の機会をとらえて指導を労使に対してするようにという指示をいたしております。婦人少年室の方ではそれぞれの地方の実情に応じまして、その地方で最も重要なものは何かということを考えつつ、その対象を選んで指導をやっているわけでございます。  いまたまたま先生の方から大阪についてはパートだけの会合はやっておらないのじゃないかという御指摘がございましたが、これはパートだけを対象とした指導ということだけに限らず、私どもは婦人労働旬間その他いろいろな会合を持つ機会があるわけでございまして、そういう場合に婦人労働問題一般についてのいろいろな指導をしますときには、ほぼ、ほとんどすべての場合に、パートタイマーについても問題点を指摘し、指導するようにいたしていると私どもでは考えているところでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いまの通達の第三に、「事業場訪問調査、各種会合等を通じ、常時、パートタイム雇用に関する動向、実態等を把握し、情報を整備するよう努めること。」と、こうあります。しかし、大阪の婦人少年室に聞いても、私が指摘した気象協会の実態はこれは御存じないと思うんですよ。それから松下電器でも、乾電池の製造部門ではもうほとんど通常労働者と変わらない勤務をしている女子パート労働者が約三九%もいるんです。こういう実態で、テレビ事業部では約一割が婦人パートタイマー、ここについても賃金等について非常な差あるいは退職金についても全然パートタイマーには退職金がないとか、いろいろ問題があるんですが、踏み込んだ調査をなさっていないと私は大阪で聞いておりますね。  だから、この女子パートタイマーの賃金や労働条件についていままで大変いい指導方針をお出しいただいておりますので、具体的にここに書かれておるようなこういう事業場訪問調査、実態把握、これを積極的にやっていただいて、一層改善のために努力をしていただきたい。これをやるために私は婦人少年室の職員の皆さんの人数が少な過ぎるということも心配いたしますが、大阪府の労働部との連携も強めるとかいろんな方法があろうかと思いますが、そういう実態把握なり、指導の強化、これでもって労働省がお考えのような方向に一層改善していく努力を一段とお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(佐藤ギン子君) 先生御指摘のように最近は婦人労働者が非常にふえてまいりましたし、また婦人労働者の持っている問題というのも幅が広くなってきたわけでございまして、いまいろいろと御指摘いただきましたパートタイム労働者の問題だけでなくて、雇用における男女平等対策ですとかあるいは勤労婦人の福祉対策などいろいろな面での施策の推進が必要になってきているところでございます。  で、私どもとしては、こうした行政需要に対処するためには、常勤の職員だけではなかなか十分なことができませんので、非常勤職員といたしまして婦人少年室の協助員とかあるいは特別協助員、そのほかに婦人雇用コンサルタント、母性健康管理指導医というようなものを配置いたしましてやってまいっておるわけでございますが、五十五年度からは新たに需要の多い婦人少年室につきましては、育児休業制度の普及指導員というものを配置いたしまして、こういう方たちのお力を借りながらさらに仕事の範囲を広げていきたいというふうに考えておりますので、今後さらに先生御指摘のような点につきましても力を入れながら婦人少年室の機能強化を図ってまいりたいと考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 わかりました。  パート労働と同じように、婦人のいわゆる家内労働の問題も最近やっぱり増加の傾向にあるんですね。この家内労働については家内労働法が制定されているわけです。この家内労働法が制定されている関係で二、三問題を指摘して改善をお願いしたいんですが、まず第一は、この十二条によって最低工賃の公示という制度がせっかくあるんですが、この最低工賃の公示がなされている業種が私はまだまだ少ないというように実態として考えておりますが、労働省はいかがお考えでしょうか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 最低工賃の決定につきましては各都道府県の労働基準局に家内労働審議会を設けまして、そこで関係者を代表する委員によりまして審議の上決定するという方式をとっております。  最低工賃の決定につきましては、家内労働の実態がきわめて複雑であるということも反映いたしまして、最低工賃を決めます場合の調査、審議等きわめて複雑で時間がかかるというのが実態でございます。そうした実情を克服しながら各審議会で鋭意検討を進めておりますが、最低工賃の決定件数は次第に増加しておる実情でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 済みません、ちょっと聞き漏らしたんですが……。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 決定される最低工賃の数も次第に増加している状況でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 現在のところ最低工賃は全国で平均で見て、一都道府県労働基準局関係で約三件の決定。大阪でも最低工賃は縫製加工関係だけでほかの業種に伸びていないんですね。大体こんなものでしょう、現在は。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 大阪府におきます最低工賃につきましては、タオル、男子既製服、婦人既製服、それからワイシャツ、この四つの最低工賃が現在決められております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それ以外の業種でも家内労働というのは実際やられているわけですが、一つは家内労働手帳の交付、これは実態として家内労働をやっておられるうちどの程度まで交付がいっておるか、調査の結果どうですか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 家内労働手帳の交付につきましては、家内労働法の一つの柱でございます。家内労働法の最も基本的な事項でございますので、法施行以来行政の重点としてその普及に努めてきております。この普及状況につきましては昨年五月の家内労働旬間中に監督指導を実施して、その結果によりまして普及の度合いを私ども目星をつけているわけでございますけれども、家内労働者に家内労働手帳を交付している者の数は委託者のうち約七〇%でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そこまで御調査をなさっていただいたわけですが、この交付は法律上義務化されているわけですね。それがやっぱり七割程度だということですから、一層指導を強めて一〇〇%交付という態勢にひとつ持っていくよう今後努力をしていただきたいんですが、いかがですか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 家内労働手帳を交付していない委託者に対しましては、監督の結果によりまして早速交付するように是正の指導をいたしております。このような努力を積み重ねまして、ぜひ家内労働手帳の普及を最高の水準まで持っていきたいと考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それで、この家内労働法の第一条を見ますと、この法の制定の趣旨は、「家内労働者の生活の安定に資することを目的とする。」と、こうはっきり書いてありまして、私はまさにこの法の基本目的だと思うんですね。そのためにはいま言った家内労働手帳の交付、これを指導を強めていただくと同時に、何としてもやっぱり最低工賃の問題を、いまの物価高あるいは厳しい経済事情、こういったこと等の関係で見直していって、家内労働者の生活の安定に資する、それに足る最低工賃を決めていくように特段の努力がいま改めて必要ではないか、ここらあたりについて労働省のお考えはいかがですか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 私どもは、この法律の趣旨にのっとりまして、最低工賃の決定を速やかにしていくという方針で臨んでおります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから、必要な業種にも広げる必要もありますよ。だけれども、最低工賃自体の中身ですね、これを労働省が独自に決めるというよりも、いまおっしゃったように審議会ですね、ここにかけられていくわけですね。だけれども、審議会にかけられるにしても、労働省の考え方なり努力というものがある程度審議会を動かすというように私は実際思います。だから、最低工賃の引き上げという問題について、当面経済事情に見合って家内労働者の生活安定に資するように一段と努力していただく必要がありはせんかという気がしておるので聞いておるんですが、いかがですか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 家内労働法の趣旨は、まさに第一条の目的にございますように家内労働者の生活安定を図ることでございます。そこで、最低工賃というものの決定ということが一つのこの法律の眼目になっているわけでございます。この最低工賃の額あるいは水準につきましては、この法律の第十三条にございますように類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金額を考慮しながら決める、こういうことになっておりまして、私どもこの法律の趣旨にのっとりまして家内労働審議会に審議をお願いしているところでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 趣旨はそのとおりわかります。法律にそう書いてございますしね。だから、私は一般的に最低賃金法に言う最低賃金の決め方、そしてそれとの均衡で出てくる家内労働法における最低工賃の決め方、ここらについて国がもっと底上げをしていくという方向で労働省としては努力してほしいという趣旨を申し上げておるわけなんです。労働省としての努力をね。それはどうなんですか。法の趣旨をおっしゃって、審議会にかけているだけじゃなくて、労働省として現状から見て最低賃金法に言う最低賃金の公示、そしてまた最低工賃の公示をごらんになって、いまの経済事情から見てもっと引き上げてやらなくちゃならぬじゃないかというお考えを持たれて当然じゃないかと思って聞いておるんですけれども、そこはどうなんですか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 最低工賃の決定につきましては、何と申しましても関係者のお話し合いにより適正な水準が確保されるということがやはり眼目ではないかというふうに考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 じゃ終わりますけれども、あなたの答弁聞いておると、法の趣旨を御説明いただくようなことの答弁に聞こえまして、やっぱりそういうパートや家内労働で働く人の生活を安定させる方向で一段と労働省は努力すべきだと私は思いますよ。  それからもう一つ、この審議会の公益委員の中に、家内労働に従事するのは婦人が大変多いんですけれども、婦人の代表お一人なんですね。婦人の代表をもっとふやしていただくというお考えはありませんか。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 審議会の委員を任命いたします際には、関係者の推薦を得るということになっております。したがいまして、直ちに私どもの恣意でもって婦人の委員をふやすというわけにはまいりませんと考えております。現在、中央家内労働審議会は十八名の委員をもって構成されておりますが、このうち、家内労働者を代表する委員のうちお一人、それから公益を代表する委員のうちお一人、計お二人が中央家内労働審議会の中の婦人委員でございます。それから地方の家内労働審議会につきましても、すべての審議会というわけではございませんけれども婦人の委員の方が何人かおられます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いや、わかっておる。中央の方をふやす御意向はないかと聞いておる。もっとふやした方がいいんじゃありませんかという質問なんですよ。それで終わります。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○説明員(八島靖夫君) 先ほど申しましたように、関係者の御推薦をいただきますので、私どもから直ちに婦人委員をふやすということは申せませんけれども、総理府の婦人問題企画推進本部で先ごろ決定されております「婦人の政策決定参加を促進する特別活動推進要綱」におきましても、約一〇%をめどにして婦人委員をふやす、こういうふうな御方針がございますので、こういうことを踏まえまして、委員の選定の際関係者の方々にも御理解を得ていきたいと思っております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 終わります。ありがとうございました。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 まず、先ほど橋本委員が御質問されましたいわゆる内助の功、家事労働と寄与分の関係。これは今度の改正法拝見いたしまして最も問題になるところじゃないかなと私も思っておりました。  そこで、時間を節約するために要約しますと、橋本委員の御質問に対しての民事局長の回答は、内助の功、いわゆる家事労働は寄与分請求の理由にはちょっと考えられないという、それから九百六条は分割の方法だから、その九百六条を活用しても相続分までもいじることはちょっとむずかしいんじゃないかというお答えでございましたね。そうしますと、そのお答えを前提にいたしますと、事相続分に関しまして主婦専業の妻の場合、料理をやらしてもだめだ、掃除をやらしてもだめだ、洗たくやらしてもだめだ、さりとて離婚もできないというぐうたら女房も、それから夫を励まし励まし働かして、一生懸命にやって夫を支えてきた賢妻も、やっぱり相続分に関しては二分の一でしょうがない、両方とも同じであるということになりますね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 非常に端的に申しますと、その結論はやむを得ないということでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 そこで、じゃ、そうしますと、先ほどまたこれも橋本委員からの御質問、奥さんがパートに出て外で働いて給料を取ってきて、それが加算された場合にはこれは寄与分の請求の理由にはなりますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 通常はそういう結果になると思います。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 そうしますと、家事を余り好きじゃないんでほっぽらかしちゃってパートに出る。で、外でかせいでくる、その分家事はおろそかになる。だから家事の労働を評価した場合には、最高裁の判例で言うならそんなに評価できない。それでその分は夫が、まあしょうがないから手伝ったりなんかして、さら洗いなんかして負担をする。そうすると、妻はつまりパートでかせいでくるけれどもそのかわり家事労働が減殺されるから、その分の寄与分は少ないですよ。ところが家事専業でいる場合には、パートに出ないかもしらぬけれども夫にさら洗いなんかさせないから、だから最高裁の評価するところの、それが外に出た場合の女子の平均労働賃金かせいでいるということになる。そうすると、どっちともプラスマイナス寄与は同じなんですからね、実質的に、この二つを比べた場合。ところが、パートに出たから寄与分で算定される、家事サボっても算定される。家事だけ一生懸命やって夫に十分にかせがせた場合には寄与分が算定されないというのはおかしいんじゃないでしょうかな、どうでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) パートに出て家事を怠ったために別に支出が必要だというようなことになりますれば、これはおのずから考慮されると思います。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 いや、ただ夫が、だからその分を補った場合です。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これは実は寄与分というのが財産上の請求権のような構成はいたしておりません。したがいまして、これははなはだ法律がはっきりしないではないかというおしかりを受けるかもしれませんけれども、あらゆる事情を考慮するということになっております以上、やはり家庭裁判所の健全な裁量というもの、これはもちろん協議で定める場合もございますけれども、そういった裁量によりましてこれはいろいろその評価というものは、大して評価しないという場合もあり得ると思いますし、いろいろその評価の適正という点について家庭裁判所の常識ある判断にまちたい、かように考えるわけでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 ですから、私は改正法の九百四条の二が、せっかくいろいろ寄与分の理由が書いてあって、一番最後に「その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の」云々とありますな。せっかく「その他の方法により」とやっているのだから、局長のように解釈を狭めて、内助の功、家事労働は寄与分の対象に一切ならないんだという御解釈をされるよりも、場合によってはそういう特別な賢妻ですね、夫を励まし、もう一生懸命働かせたというような場合には、「その他の方法」の中に家事労働を含めても解釈できないでしょうか、そういう解釈が。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) いろんなケースがございますと思います。したがいまして、私が一応それは入らない、こういう場合は入る、こういう場合は入らないと申し上げましたのは、余りにも解釈をいいかげんと申しますか、弾力性があり過ぎるというのは立案当局としていかがかと思ったわけでございまして、それは寄与分というものは決して財産権として構成をしているわけではなくて、家庭裁判所が健全な裁量によって公平に適するように形成をする、こういう思想で貫いておりますので、これはいろいろケースに応じまして評価というものはさまざまであろうと、「その他の方法」というのは別に限定はございません。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 ありがとうございました。大体その辺はわかりました。  そこで、今度はその寄与分と遺留分との関係ですけれども、たとえば遺言でもって財産半分やっちゃう、二号さんか何かに半分やっちゃう。そうすると、遺留分ぎりぎりですね、妻と子が残った場合。そうしますと、そのぎりぎりの遺留分しか残らない場合でも、なおかつそこにこの寄与分が入ってくる可能性はありますね。そうしますと、場合によっては遺留分の結果的には侵害、または遺留分がゼロになっちゃうという場合もございますね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 理論的にはこれは否定するわけにはまいりません。しかし、現実の問題といたしまして、これは遺留分が幾らであるかということは、これの寄与分の形成について十分考慮されるべき事柄である、かように考えているわけでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 この改正法の九百四条の二の寄与分のところの第三項ですかね、「寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることができない。」ということは、明らかに何か遺留分がゼロということを予定しているんですね、この条文は、三項は。価額を超えちゃいけないけれども価額内なら構わないんだというのだから、遺留分を認定しても。どうでしょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 上限を抑える規定はございませんので、理論的には御指摘のとおりでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 寄与分に関してはそのくらいで終わらせておきます。  次に、審判前の保全処分に関して少しお尋ねをしたいと思いますが、形成力、執行力が持てるようになった。それで大体他の一般の事件の仮処分、仮差し押さえと同じような手続になったということになりますと、審判前の保全処分をいただく場合の裁判所についての保証金ですけれども、これも大体一般事件と同じような金額の査定といいますか、算定になるんでございましょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 実は手続の細部に至ります部分は、これは現在の家事審判法が大体そうでございますので、最高裁判所規則で具体的に定められるということになるわけでございまして、申し立て主義をとるか、職権主義をとるか、あるいは両者の併用をとるか。どういう処分についてそういう区分けをするかというような点は最高裁判所の規則によって定められるわけでございますけれども、この担保ということによって非常に権利の伸長が妨げられるという声はございます。この点は十分裁判所当局も考慮されると思いますし、また、職権をもってなし得るようなものにつきまして担保を積ませるということは、やはり問題があるのではないかというふうに立法当局としては考えております。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 確かにたとえば離婚の場合、妻が夫に財産分与や慰謝料を請求する場合、妻の方に担保を積めと言ったってないですよ、財産が夫の名義になっておりますからね。それから遺産相続だって、まず相続の登記やなんかしてないから、相続人に余りお金がないわけですから、それに担保を積めと言っちゃったら、もうまるでこれは提案理由の「家事審判の実効性を確保しようとするものであります。」なんていうのはすっ飛んじゃいますね。  ですからこれはぜひともひとつ、一般民事の金持ち同士が対等にけんかする場合の担保の基準を、保証金の基準をそのままこれに持ち込まれないように、ぜひともひとつこの点は御考慮いただかないと、せっかく形成力、執行力を与えていただいても何もならなくなると思いますので、この点ぜひ御検討いただきたいと思うんです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御趣旨の点は私どもも十分考えているところでございまして、これはルール制定の権限は最高裁判所にございますけれども、十分そういった点も私どもの理解しているところを伝えまして、常識にかなった規則が制定されることを期待しているわけでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 それからやはり保全処分の問題ですが、仮の地位を定める仮処分を準用されておりますね、七百六十条をね。そうしますと、仮に離婚無効かなんかの審判やる場合には、ちょうど労働事件の解雇の効力を停止するというやつですね、あれみたいに離婚の効力を一時停止してというような、妻の地位を確認するというような、こんなことも可能になるのでございましょうか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 御指摘の事件は家事審判事件にはならないと思います。また、仮にそういうようなあれがありましても、いま御指摘のような保全処分というものができるというふうにはちょっと考えておりません。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 それは失礼しました。そうだ、そうだ離婚無効ね……。  そうすると、もう少し思い切りまして、じゃ離婚の調停、仮の地位の仮処分というと、理論的にはつまり離婚を仮の地位でつくるということも可能でございますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 離婚についても同ずようにこれはできないというふうに考えております。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 ちょっと、これはそうか、審判との兼ね合いがありますね。  それからもう一つ、保全処分に関しましての問題ですが、本案訴訟との関係なんですが、よく審判で、たとえば遺産分割を決定した場合に、その遺産の中に相続財産かどうかで争いがあるような財産がある場合、本案でもって、所有権確認でもって地方裁判所でやると。そうすると、審判の方もそれを含めて遺産分割の協議ができる。そこで、家庭裁判所の審判が相続財産であるとして、前提でもって審判し、遺産分割やっちゃった。ところが、こっちの本案の方は相続財産でなくなったという場合、地方裁判所の方が優先するんでしたね、たしかあれは。そうですね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 最終的にはそういう結果になると思います。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 そこで、そうすると私なんかが、じゃ、遺産分割の調停を申し立てまして、当然その中に、いやこの遺産の中のこの部分はおれが生前もらったんだと、おれの所有権だというのも含めて、ごたごたしたんで遺産分割の調停を申し立てて、そのごたごたしている一番対象の財産を保全処分しておくと。審判で保全処分いただくと。今度は本案の方へまた出して、所有権確認か何か出しますね。そうした場合、家事審判での保全処分は、本案の方の、つまり本案の判決を担保してくれるんでしょうか。それともまた別にやるんでしょうかな、この場合は、二つ併存して。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) それは別々にやるという結果になると思います。ただ、状況に応じましてその保全処分を取り消す——これは恐らく職権だと思いますけれども、取り消すということはあり得ると思いますし、最終的には民事裁判所の結論に従うということになるわけでございますけれども、途中の現象といたしましてはダブるということも、これは絶対にないとは言えないと思います。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 わかりました。私はそれはダブるのか、それとも被保全権利二つ兼ねるのか、ちょっとわからなかったんですけれども——わかりました。  そこで最後の、先ほど宮崎委員がPRに関しましていろいろ御質問しましたけれども、私も今度の改正は非常に重要な改正で、もう全国民のどなたも一度は通る相続の問題ですから、しかもこれを知らないと非常に知らない人は損をする、知っている人は得する。たとえば寄与分一つでも、知っている人は——これは寄与分は申請ですからね。だから申請によって保護される、得られるかもしれない。知らなければ申請もいたしませんからそのまま不問に付されちゃう。それから相続分の変更だって、遺産分割協議ができてしまえば、裁判所が介入してあなたには相続分変わっているんだからもっと取れるんだよと言うはずはないし、だから国民のほとんどに周知徹底しないと、改正でせっかく得た妻の権利も何も絵にかいたもちになってしまう。  そこでPRが大変必要だと思うんでございますけれども、特にこの改正の法案が成立した場合に、法務省当局としては国民に、こういうふうになったんだよと、あなたにはこういう権利がありますよと知らしめるPRについて特にお考えがありますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 具体的には、まことに役所のやることはそれほど新味のあることはないわけでございますけれども、やはり雑誌でございますとかラジオでございますとかテレビというようなものを通することは当然これはやるべきであると考えておりますし、また国民に非常に密着した立場にあられる弁護士会あるいは司法書士会、それから遺言につきまして公証人の団体、こういうような方面にはなるべく幅広く御依頼を申し上げまして、そういった面からも周知徹底と申しますか、認識を深めていただくという努力をいたしたいと、かように考えております。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 お役所は特に、私は国会議員になる前に拝見をしておりまして、お役所の中でも特に法務省のPRというのは下手ですね、法律関係は。たとえば今度の改正だって、恐らく法務省がPRされるとすれば、今度はこういうふうに改正になりました、だから奥さんよく御存じになって損をしないようにしてください。その順序でいくだろうと思うんです、多分。私だったら局長、こういきますよ。ことし一年あなたの亭主を絶対死なせないようにしなさい、一月一日以降にしなさい、そうするとうんとあなたは得ですよと言うと、奥さん方は何だろうと思って、何で夫をことしいっぱい生かしておかなきゃならないかと。そうすると、何だろうと聞いたところへ、実は改正がこうあるからだと言う。つまり逆な、そういう発想を少し——起承転結、序論があって総論があって各論があって結論というんじゃなくて、結論から少し持ってくるようなPRが必要じゃないかと思う、特にこの法案の場合はですね。というのは、サラ金問題ですね、サラ金の被害に遭った、被害が続出していましたね、一時。あのときにもしも法務省が利息制限法と俗に言う出資法、あれが周知徹底されていたらサラ金の高利に悩むなんという事態あり得ないんですよね。しかも新しい法律つくる必要ない。ところが、ぼくはいろんなところで講演しましたけれども、大抵利息制限法知らない。だから高利は約束した以上払わなければいけないと思う。思っているから追い詰められる。出資法でもって罰則があるんだと、約束したって向こうが処罰されるんだということも知らないから、約束した以上しょうがないんだというので追い詰められる。あれなんかもPRがあったならば、親切なPRがあったならば絶対にあの被害は新しい立法をつくるまでもなく防げたと思うんですよね。ぜひひとつ、今度の場合せっかくりっぱな民法の改正をやられたんですから、PRについてもお力をいただくよう要望いたしまして質問を終わらせていただきます。     —————————————

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま加瀬完君、阿具根登君及び永野嚴雄君が委員を辞任され、その補欠として佐藤三吾君、丸谷金保君及び坂元親男君が選任されました。     —————————————

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 本法案は、妻の立場にある女性に対して従来より高い評価を与えることを中心とするものであり、わが党としては五年前から同趣旨の法案を提出していたところでありますから、これに賛成するものであります。  また、寄与分の制度や家事審判事件における審判前の執行力ある仮の処分の制度を設けたことは、きわめて適切な改正と考えられます。  しかし、本改正による寄与分の制度は、被相続人の介護などに貢献した子の妻、孫はもちろん、内縁の妻や事実上の養子などを対象外としております。これらの者をどの辺まで寄与分制度の中に取り入れるかは論議の余地のあるところでありますが、いずれにせよ、十分検討せらるべきものと考えます。  次に、嫡出子と非嫡出子間の相続分の差異は、望ましからざる制度としてなるべく早く撤廃せらるべきものであります。  また、遺言制度は、現在わが国においては十分活用せられておりませんので、法務省はその普及についてより積極的な施策を講ずべきものと考えます。  最後に、国際私法関係を律する法例第十四条ないし第十六条及び第二十条は、婚姻の効力、夫婦財産制、離婚及び親子関係についていずれも夫の本国法による旨を定めておりますが、これは憲法第二十四条一、二項に反し、男女平等の理想を損うものであると考えます。したがって、これは速やかに改正を検討せらるべきものであります。  法務大臣及び民事局長は、検討の必要を認めつつも、時間をかけて、と答弁せられました。これは問題の重要性や十分な調査を必要とする点を考慮せられたことによるものと思います。その点は了といたしますが、しかし問題は、男女の平等という高い次元の要請並びにこれに関する憲法上の原則にかかわるものでありますからして、これらの理想や要請、原則等は他の何物にも増して尊重せらるべきものであります。したがって、この点は速やかに検討を開始せらるべきものと考えます。  以上、本法案に賛成の立場から、本法案に関連する若干の問題について意見を述べた次第でございます。

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  民法及び家事審判法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

峯山昭範公明党

○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      —————・—————

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