法務委員会 第6号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/04/17
会議録
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る九日、瀬谷英行君、小谷守君、坂倉藤吾君及び中村啓一君が委員を辞任され、その補欠として阿具根登君、加瀬完君、宮之原貞光君及び小林国司君が選任されました。 また、昨十六日、永野嚴雄君、野呂田芳成君及び八木一郎君が委員を辞任され、その補欠として山本富雄君、高平公友君及び降矢敬義君が選任されました。 また、本日、長田裕二君が委員を辞任され、その補欠として衛藤征士郎君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(峯山昭範君) 刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石法務大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 刑事補償法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨を御説明いたします。 刑事補償法による補償金額は、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等による身体の拘禁を受けていた場合については、拘束一日につき千円以上四千百円以下とされ、また、死刑の執行を受けた場合については、千五百万円以内(本人の死亡によって生じた財産上の損失額が証明された場合には、その損失額に千五百万円を加算した額の範囲内)とされておりますが、最近における経済事情にかんがみ、これらの額を引き上げることが相当と認められますので、右の四千百円を四千八百円に、千五百万円を二千万円に引き上げ、補償の改善を図ろうとするものであります。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ―――――――――――――
○委員長(峯山昭範君) 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石法務大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 本法案は、昨年強制執行制度を全面的に改正する民事執行法が成立し、本年十月一日から施行されることに伴い、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正し、新たに、債権等及び航空機、自動車、建設機械に対する滞納処分と強制執行等との手続の調整に必要な規定を設けるとともに、動産に対する滞納処分と担保権の実行としての競売との手続の調整に必要な規定を設け、これにより税債権と実行手続に関し、適正かつ合理的な調整を図ろうとするものであります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 金銭債権で取り立てが困難な場合、滞納処分が先行した場合にはこれを換価することができることになっておりますね。これをそれぞれ条文に即して具体的に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) 取り立て困難な債権と申しますのは、現行の民訴六百十三条、本年の十月一日から施行されます民事執行法の百六十一条で言っております条件つきもしくは期限つきであるとき、あるいは反対給付に係る場合、その他の事由によって取り立てが困難である債権についてでございますが、この場合には、今回の改正によりましてもちろん二重差し押さえが可能でございます。が、先着手主義によりまして、先に着手した方が手続を進行させる。その手続が進行されません場合には、続行決定あるいは続行の承認決定を得て後の手続が先に進むという関係になるわけでございます。ただ、一般の債権と異なりまして、供託等の手続を適用する余地がないという関係になっております。
○寺田熊雄君 それを今回の調整法の条文に即してちょっと御説明いただければ……。
○政府委員(貞家克己君) 滞納処分が先行いたします場合には、二十条の三によりまして、裁判所書記官は差し押さえ命令が発せられた旨を徴収職員に通知するという規定になっております。 それから、二十条の八によりまして、準用条文がございます。十三条第一項の規定が二十条の八によって準用されているということでございますので、十三条第一項によりまして、後に着手されました手続が進行することをとめられるということになるわけでございます。そういたしまして、八条以下によって続行決定――先の手続が進みません場合に続行決定に関する条文が八条以下の条文を準用しているわけでございます。 それから、残余金がある場合にこれを引き渡すというのが六条以下の規定でございます。 逆の場合は、三十六条の三、これは滞納処分による差し押さえの通知の規定、それから三十六条の十一におきましていろいろの条文を準用しております。これによりまして、先ほど申し上げた場合とうらはら――うらはらと申しますか、順序が逆になるわけでございますが、今度は続行承認決定の準用がございます。 以上が、おおむねその条文関係でございます。
○寺田熊雄君 この取り立て困難な金銭債権を裁判所なりあるいは税務当局が換価するのは、もちろん鑑定人に鑑定さして換価するんでしょうが、実例は多いんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 実例があるかどうかという点につきましては調査をしたことはございませんが、統計上あらわれている数字から見ますと金銭債権が大部分を占めておりまして、いま御指摘のような取り立て困難な債権に対する強制執行というのは、数としては、仮にありましても非常に少ないのではなかろうかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 それは執行官の裁量に任されていますか。何か一定の基準みたいなものを最高裁の方で執行官に指示ないし指導をしておるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 債権に対する強制執行でございますので、執行裁判所が差し押さえ命令を発して行うということになっておりまして、執行官は直接の関係はございませんので、そういう点は問題になっておらないと思います。
○寺田熊雄君 そうすると、なるほど金銭債権だから裁判所の管轄ですね。裁判所が経済事情にそう詳しいわけでもないだろうし、現実にはどういうふうにしてそれを評価していますか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 仮にあるといたしますと、申請に対しては別に債務者を審尋しないで債権の差し押さえ命令を発することになりますが、その場合に、それを今度は評価するあるいは換価するという問題が起こってまいりますので、当然評価という問題が出てまいりますが、反対給付に係る、あるいは期限がきわめて長いというふうなことでございますと、どうしても評価としては非常に低くなってくるというのが実情であろうというふうに思われます。その点は、鑑定人を選任して評価をさせるということになるのが実務の取り扱いでございます。
○寺田熊雄君 それから、これは民事執行法の改正のときにも議論になりましたかな。今度、手形などはたしか動産の扱いを受けることになりましたかね。その場合は、その換価は執行官が行うことになりますか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 仰せのとおりでございます。
○寺田熊雄君 そういたしますと、執行官はますます、それがどの程度の実際上の金銭的価値を持つかなんていうことを判別するのはきわめて困難だと思いますが、そういう点の指導はどうなりますか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) その点も、この新法の施行を控えまして執行官に対しての研修あるいは研究会等で十分教育をしてまいらなければならないわけでございますが、たてまえといたしましては、手形を押さえた場合にはそこに額面がございますので、債権者の方でそれを押さえてくれと言う以上は、それを額面の価値があるものとして押さえるということに取り扱い上はなろうかというふうに思われます。 ただ、債務者の手形振出人の状況等から不渡りになる可能性が強いというふうなことがありますれば、それに基づいてその手形の評価をするということになろうかと思われますが、これは執行官自体が評価をするというのはあるいは無理であろうというふうに思われますので、その点については評価人を選任することが許されるというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 本法の滞納処分が先行をし、あるいは滞納処分が裁判所の命令で後で行われた場合でも続行を許され、そして税務職員がこれを金銭に評価して、あるいは売却するとか譲渡するとかというようなことになるわけでしょうかね。その場合は、もう法務省としては余り立ち入らずに、その換価というのは税務署職員にゆだねてしまうと、全然関与しないということになりますか。
○政府委員(貞家克己君) 仰せのとおり、その場合には関与はいたすということはございません。
○寺田熊雄君 まあ国家の役人のやることですから過ちはないと思うけれども、その換価なるものの公正さを担保することについて何らかの配慮といいますか、それは法務当局なり裁判所というものは少なくも規定の上ではもう全然表面にあらわれていないんでしょうね。もしあらわれていないとすると、それはもう税務職員なりあるいは裁判所執行官等に一任してしまえば足るというのか、その点はどうなんでしょう。
○政府委員(貞家克己君) これは、国税の場合で申しますと徴収職員の権限ということでございまして、これはおのずから徴収の目的がございますので、相応な評価をもって売却、購買がされるということでございましょうし、裁判所において売却をする、執行官が売却をするという場合にも、民事執行法自体につきましてはそれについて余り細かい制約と申しますか、制限を設けてはいないわけでございます。これは当然その衝に当たる権限を持つ機関が、それぞれの目的に応じて最も適正な価額をもって売却をされるということを期待しているわけでございまして、裁判所規則におきましてそういった点がある程度具体化されておりますし、徴収職員の方におきましてもそれぞれの立場で公正な売却をおやりになっている、こういうふうに私どもは信頼しているわけでございます。
○寺田熊雄君 裁判所の具体的な例で、たとえば手形などを取り立てる。しかし反対債権にかかっているとか、債務者の所在がわからぬとか、つまり振出人あるいは裏書人、その他取り立て困難だというような場合に、たとえば手形なんかは、これは取り立て困難だと執行官が考えた場合は、換価するというのは、その手形をさらに第三者に裏書きするという方法をとるんでしょうか。その点ちょっとわからないので御説明いただきたいと思うんです。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 手形をそのものとして売却するということになるわけでございます。で、売却いたしました結果、執行官の方では裏書きをするということになります。
○寺田熊雄君 それは手形の場合ですが、そういう取り立ての困難な手形の譲渡を受ける、裏書譲渡を受けるというような人物が現実におるでしょうかね。それは、いわゆる取り立て屋というか、暴力団的なパクリ屋みたいな者以外にそんなものの裏書譲渡を受ける者が現実におりますか。その現実の事例がもしあればお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 寺田委員が御指摘のように、多分そういう危ない手形を買う者はいないのではないかというふうに考えますけれども、具体的な事例としてそういうものがあるかどうかということについては承知いたしておりませんので、申しわけございませんがお答えできないわけでございます。
○寺田熊雄君 これは将来だんだん調査をなさって、そういう実態を把握してくださるように法務省それから裁判所両御当局に要望しますが、これはいかがでしょうかな。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 裁判所といたしましては、従前この手形は債権に対する差し押さえとしてやってまいりましたのが、今回は動産に対する強制執行ということに変わってまいりましたので、恐らくかなり実例としてはふえてくるのではなかろうかというふうに思われます。 債権執行でまいります場合には、手形があることがわかってから執行の申し立てをする、それから差し押さえ命令をもらってから執行官に手形を取り立ててもらうということでございまして、実際には、債務者の手元に手形があるかどうかということは債権者としてはわからないのが実情でございますので、非常に数は少なかったというふうに思われます。ところが、動産に対する執行の手続に変わりましたものでございますから、今度はほかの動産に対する執行の際に、手形を発見するケースがあるいは多くなってくるのではなかろうかというふうに考えております。そうなりますと、そのときに差し押さえをするというケースがふえてまいりますので、先生が御指摘のような手形についての事件というものがかなりふえてきて、それに対する換価がどうなるかあるいは競売手続がどういうふうになったかというふうなことについては、これからはかなり事例が集まってくるものと思われますので、手続が変わりました際でもございますので、そういう点は注意をして調べていくようにしてみたいというふうに考えております。
○政府委員(貞家克己君) その点につきましても、今後十分裁判所の運用の状況等を伺いまして、適切に換価が行われ得るよう私どもとしても法制上工夫すべき点があればそれを工夫していくということで十分検討を続けたい、かように考えております。
○寺田熊雄君 これは要望ですが、一体税務当局が徴収する場合、その徴収官はどんなふうに扱っているのかというふうなこともよく連絡をとって把握していただきたい。これは要望しておきます。 それから今度、自動車、建設機械、航空機に対する滞納処分と強制執行等との手続の調整が行われました。これは自動車の場合は、かなり私どもも実例があるようであります。建設機械も最近ぼつぼつ建設業者の倒産がふえましたので、いろいろと耳にする事態があります。 これは後でお尋ねをすることにして、航空機の滞納処分あるいは強制執行というのは、私どもも長い私法の実務を扱いまして経験がないわけでありますが、これは現実にそういう事例があるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 昭和三十二年からの統計を見ますと、何年かに一件という程度の数はあるようでございます。合計いたしまして三十二年以来十件内外ではなかろうかというふうに考えておりますが、その中でも強制競売によるものと任意競売によるものとの数でございますが、大体同じ程度の数ではなかろうかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 この場合、自動車、建設機械、航空機の滞納処分と強制執行等との調整、これは二重に開始できるとしたのはなぜなのか、この立法理由を一応御説明いただきたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) これらの強制執行、競売につきましては、登記登録がされておりますものでございますから、従来から不動産の競売、強制執行に準じた、ややモデファイされておりますが、そういった形式でそれぞれ行われていたわけでございますので、これは動産とほぼ同じように考えることができるのではなかろうか。したがいまして、不動産について二重差し押さえを認めております、それと同じような考え方でこの場合にも二重差し押さえを認めるべきだ、かように考えたわけでございます。
○寺田熊雄君 そうしてそれを競売して換価する場合に、それはたとえば税務職員の方が一方的にいたしますね。その場合、差し押さえの先後によって一般の原則に準じて取り扱う。たとえば強制執行の方が先行した場合は、これは仮に滞処分で競売をして換価した場合、その換価金は裁判所に納めるということになって裁判所が配当をする。また強制執行が先行して裁判所が競売し換価した場合には、これは全く担保権のない通常の債権ならば国税を先に裁判所が払うということになる。それから税務署がやった場合、滞納処分が先になされた場合には、担保権のない債権ばかりの場合は税務署が先に取ってしまって、余りがあれば裁判所に納めるということになるのか、その辺のところをちょっと説明していただきたいと思うんですが。
○政府委員(貞家克己君) 実は不動産の執行に準ずると申し上げましたが、航空機、自動車、建設機械に対する強制執行、仮差し押さえの執行または競売につきましては、それぞれ航空法、道路運送車両法、建設機械抵当法の規定がございまして、それらの規定によりますとこの手続がいずれも最高裁判所規則の定めるところに委任しているわけでございます。 そこで、この立法といたしましては最高裁判所規則によって手続が決まります関係上、これを直ちに法律の内容として織り込むということは不可能でございますので、一応不動産の執行に準ずると、不動産の場合の調整に準ずるということだけを規定いたしまして、その他は政令と最高裁判所規則で定めるというふうに今度の法律案ではいたしております。したがいまして、その調整の内容につきましてはいま私から具体的なことを申し上げる段階ではございませんが、調整の内容は、その趣旨から考えまして不動産についての手続の調整の方法とほぼ同様になるということを予想しているわけでございます。
○寺田熊雄君 これはもうすでに最高裁の方ではこの規則制定の準備は進められておられますか。そして、この政令というのは法務省の所管でしょうね。法務省としては政令準備というのは進めておられるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 最高裁といたしましては内々検討はしておりますけれども、まだお話し申し上げるような線として固まってはおらない状況でございます。ただ、先ほど法務省の民事局長が言われましたように、これらのものはいずれも不動産なりあるいは船舶についての強制執行の手続に準ずるというふうな執行法のたてまえでございますので、そのような取り扱いをするような規則を立案することになろうかというふうに漠然と考えておるわけでございます。
○政府委員(貞家克己君) この調整は、滞納処分からのサイドと強制執行からのサイドとこれをつなぎ合わせるということになるわけでございますので、法務省といたしましても、滞納処分について主管されます大蔵省当局と内々これは立案の段階からいろいろ御協議をしておるわけでございまして、内容につきましてはいま最高裁から答えられましたとおり、不動産等についての手続の調整とほぼ同様なことを考えておりまして、ただ、この物件の特殊性に基づくいろいろなモデファイをどうするかというような点について今後詰めて準備を進めたいと、かように考えております。
○寺田熊雄君 配当の問題はこれは一般原則によるというのでありますので、つまり、担保権を持っている債権者、たとえば抵当権を自動車、建設機械、航空機などに、いわゆる動産抵当権ですか、そういうものを持っておる者は、その後に差し押さえをした滞納処分に優先して弁済を受けると。それから担保権のない債権に対しては国税が優先をする。それはいずれが競売をしようとも、つまり、税を徴収する側において競売をしようともあるいは裁判所が競売をしようとも、その原則においてはこれは一般原則だから変わりないわけでしょう。
○政府委員(貞家克己君) いま仰せの実体上の優劣の関係は、これは調整法の守備範囲と申しますか、調整法でこれを左右するわけではございません。いま御指摘のとおり、租税債権との優劣の関係につきましては国税徴収法等に規定がございまして、一般的には税債権が一般負債権に先立って徴収することができるという、こういう優先の規定になっておりまして、ただ法定の期限前に設定された質権、抵当権によって担保される債権につきましては租税に優先すると、かような仕組みがあるわけでございまして、その優先順位に手を触れるということはございません。
○寺田熊雄君 これは私もまだ調査中で、きょうは質問を具体的にするものではありませんけれども、自動車に対する強制執行、この場合、しばしば自動車の売買に際してはディーラーが所有権を留保して売買をいたしますね。その販売代金を月賦でやっていくけれども、一回でも怠った場合、しばしばディーラーが自動車を引き揚げてしまうという事例がありますね。私どもよく裁判の実例に遭遇するわけですが、そのディーラーの引き揚げ方が非常に強引で、たとえば夜間、その自動車を買った人間が不在の間に自動車を持っていってしまう、つまり、その買った人間の占有権というものが侵奪されることになりますね。キーなどは恐らく、ディーラーが予備のキーを持っておるせいでしょう。それから建設機械に至っては、倒産をいたしますと強引な債権者は建設機械をこれも夜間に、これは所有権留保はないのに持っていってしまう。債務者はだれがどこへ持って行ったかさっぱりわからないというような事例が現実にあるのでありますが、こういう自力救済の問題については法務当局なりあるいは最高裁事務総局なりはどういうふうにこれを把握し、それをどういうふうに取り扱うおつもりなのか。まあしょうがない、これはもう、世の中にはそういうことはあるだろうというようなことで放任をなさるのか、その辺のところをちょっとお伺いしたいと思うのですが。
○政府委員(貞家克己君) いまそのお尋ねに対して的確にお答えできるだけの資料を実は持ち合わせておりませんが、確かに御指摘のような傾向が間々見られるようでございます。所有権留保の契約というものが非常に多くなってまいりまして、むしろ自動車に対する任意競売、担保権の留保としての競売というものが非常に少なくなっている現象が見られるわけでございまして、もっぱら所有権留保というようなことによって債権を確保しようという傾向があるようでございます。これはかなりモデル契約などがございまして、契約が一時に比べますとかなり合理的になっているように私は見受けるわけでございますが、この問題は非常に裁判上も争われておりまして、若干最高裁の判例も似たようなケースでございますけれども、まだはっきりと固まってはいないようでございますが、この所有権留保の実質をどう見るか。名前は所有権留保でもこれを担保権的に構成するという考え方もありますし、所有権は所有権であるという非常に形式を重んずる考え方とあるわけでございまして、いずれにいたしましても、これは契約と申しますか、かなり一般的なモデル契約のようなものがあるわけでございまして、これをさらに合理化していただくということ。それからいま先生御指摘のような、所有権が仮に認められるといたしましても、占有を侵奪するというやり方、このやり方に対してはこれはもちろん法の上の、法律による救済というものは当然認められるべきであろうと考えておりますが、これは非常に現在裁判上問題になっているところでございますので、いま少しく裁判例の帰趨というようなことも見守りながら研究をいたしたいと、かように考えている次第でございます。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 寺田委員が御指摘になりましたような例はないことはないというふうに考えますが、裁判所といたしましては、何分事件として登場してくる前の段階で自力救済が行われているということでございますので、いかんともしがたいというのが実情でございます。ただ、オーソドックスなやり方をするディーラーといたしましては、所有権留保の物件については、たとえば代金不払いでかつ転売をするおそれがあるというふうなことでありますれば、仮処分で執行官保管の申請をしてくる、その上で取り上げるという例が間々見られるようでございますが、そういうふうにしてもらえばいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの西山民事局長の御答弁によると、仮処分で持っていったらいいじゃないかと。確かにそういう法的な手続を経て所有権を守れば、それは問題ないんだけれども、自分で持っていっちゃうものだから、自力救済で、それがしばしば購買者の方から苦情が寄せられる。また、新聞などにもちょいちょいそういうことでディーラーを難詰する記事があるんですね。これは国会タイムスだったか、これを大きく報道してわれわれのところへ送ってきたような例がありますから、そういうやっぱり自力救済というのはこれはよろしくないという意味だろうと思いますが、西山民事局長のおっしゃることは、仮処分のような法的手続をやるべきであって、自力救済をやるべきでないと考えているというふうに受け取ってよろしいかな。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 倒産したときなどに債権者が、たとえば建設機械なんかをみんな取り上げていくというふうな例は会社更生などの場合にときどき見られるようでございますが、その場合にもやはり正当な法律的な手続によって処置してもらうように裁判所としては保全処分をなるべく早く出して、そういうむしり取りを防ぐというふうな対策を講じているわけでございますが、そういうふうなことで、各当事者にいたしましてもそういう法律を守るようなやり方で処置してもらうようにお願いしたいというふうには考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 民事執行関係の質問は以上で終わります。 最近、各中央紙で報ぜられましたことでありますが、大分地方裁判所で、これは民事事件に絡みまして、裁判官が法廷における新聞記者のメモをとることを禁じた。そのために、司法記者クラブから抗議を受けたという記事がありました。その当該の裁判官は、出張中の大分地方裁判所長の帰りを待って改めて対応を考えたいと答えたという記事でありますが、こういう事実が現実にありましたか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 福岡高裁からの報告によりますと、本年の四月十日、大分地方裁判所におきまして民事訴訟事件の証人尋問をしております際に、法廷でメモをしておりました人のメモを中止するように裁判官が求めたことがありました。最初にメモ中止を命じたときには、その人が新聞記者であるというふうなことは知らなかったようでございますが、その記者の方では、そういう注意を受けましたので、担当裁判官に対して自分の属している社名と氏名を告げてメモ作成の許可を求めたわけでございますが、裁判所の方では、証人が細かいところまで書かれては困るという意見を述べて同意しなかったために、正確な証言を得られないおそれがあるとして記者の取材を改めて禁止したという報告を受けております。
○寺田熊雄君 これは刑事裁判たると民事裁判たるとを問わず、裁判の実例で新聞記者が取材をする――取材をするという中にも、たとえば写真撮影をするというのは、これは規定も現実にありますし、だからこれは裁判官のやはり自由裁量で写真は撮らせないと、あるいはテレビによる報道はさせないというようなことは、これは裁判所の権限として認められるけれども、新聞記者がメモをとるというふうなことは毫も裁判の公正さ、あるいは裁判の威信といいますか、そういうものを守る上で何らの障害がないというふうにされてきたわけですね、いままで。現実に最高裁判所の法廷でも新聞記者はメモをとる。簡易裁判所、地方裁判所、高裁またしかりと。そういうこれは業務上正当な行為と目されるものを、証人が難色を示したから、証人の意見を一々聞いて、裁判官がその証人の意見に従ってこれを決定するというのはどうも釈然としないけれども、最高裁としてはこれはどういうふうに見ておられるんですか。この規定その他によってそれが許されるとするのか、あるいは妥当にあらずとするのか、その辺はどうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 理屈から申しますと、法廷でメモを許可するかどうかということは裁判長の訴訟指揮権ないしは法廷警察権にゆだねられているというふうに解されるわけでございます。したがいまして、今回のケースにつきましては、その当該の裁判官がとったメモ禁止の措置につきましては、これは訴訟指揮権の範囲内の問題として意見を述べるということは差し控えたいというふうに思われるわけでございます。 ただ、従前の報道機関のメモはどういうふうに取り扱われてきたかということについて申し上げますと、法廷における報道機関によるメモ作成を許すかどうかということは、報道の自由と法廷の秩序維持とのバランスの問題でございます。しかしながら、報道の自由を尊重するということは裁判所あるいは裁判官は常に念頭に置いて、この点については十分に考慮を払ってきているところでございます。従来は、そのような趣旨にかんがみまして、各裁判所におきましては報道機関のメモ作成は許してきたものと理解しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは、たとえば刑事訴訟規則の第二百十五条を見ますと、「公判廷における写真の撮影、録音又は放送は、裁判所の許可を得なければ、これをすることができない。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。」という規定がありますね。したがって、写真の撮影と録音と放送というのは、特に報道機関のする報道の自由の中で規則で制約をしておるわけです。したがって、メモをとるという報道機関の行為は、特別な制約を受けてないというふうに見るのがその規定の解釈上当然ではあるまいかと思いますが、これはどうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ただいま御指摘の刑訴規則二百十五条はまさにそういうことになっておりますが、一方刑訴規則の四十七条によりますと、「公判廷における証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問及び供述、被告人に対する質問及び供述並びに訴訟関係人の申立又は陳述については、第四十条の規定を準用する。」、二項として、「検察官、被告人又は弁護人は、裁判長の許可を受けて、前項の規定による処置をとることができる。」ということになっておりまして、その四十条におきましては、「証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問及び供述並びに訴訟関係人の申立又は陳述については、裁判所速記官その他速記者にこれを速記させ、又は録音装置を使用してこれを録取させることができる。」という規定になっております。そういうことから申しまして、やはり当事者がメモをとることは裁判長の許可が要るという解釈になろうかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 どうもそれはちょっとおかしいんじゃないかね。それは局長、強弁のように思いますよ。そのあなたが引用された条文は、これは証人、鑑定人、通訳人または翻訳人の尋問、供述、被告人に対する質問、供述、訴訟関係人の申し立て、陳述ということでしょう。そしてそれは、速記官、いわゆる速記者に速記さしたり、録音装置を使用して録取させることができると。つまり、書記官がやることが原則だけれども、速記も録音も構いませんよということであって、報道機関の報道の制約とは直接関連を持つ規定じゃありませんよ、それは。報道機関の行為については二百十五条がむしろ正面から答えているので、たとえば放送なんていうのはこれは報道機関にあらずんばでき得ざることで、だからそれをごちゃごちゃにしてどうも解釈されるのはどうでしょうかね。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 法廷秩序の維持の問題としては、私どもとしてはいま申し上げたように考えておるわけでございますが、なお、本件は民事事件でございますが、民事事件につきましては民訴規則の十一条におきまして、「法廷における写真の撮影、速記、録音又は放送は、裁判長の許可を得なければすることができない。」、こういう規定がございます。これと、先ほど申し上げました刑訴規則の四十七条二項あるいは二百十五条というのをあわせて考えますと、刑事事件においても同じことになるというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 あなたのおっしゃるように、民事訴訟規則の十一条、それから刑事訴訟規則の二百十五条、これがまさに報道機関のなす取材それから報道を直接に規律した規定であって、その規定によれば、写真撮影、速記、録音、放送は裁判長の許可を得なければできないと。それで確かに写真の撮影と録音、放送は裁判長が原則として許さない。もっとも法廷が始まる前は写真は撮らしていますね。これはもう各裁判所いずれもそうですが、しかしメモの問題は、これは一般的にいままでは許しておったんでしょう。その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) メモの作成の拒否の問題は、訴訟指揮権の問題としては一般傍聴人、当事者、報道関係者同じように考えてもいいというふうに思われますが、その中で報道関係者については、特に裁判の公開の原則及び表現の自由の保障という趣旨に照らしまして、報道の自由は格別尊重をされてきたというふうに言ってよろしいかと思われます。
○寺田熊雄君 民事訴訟規則の十一条と刑事訴訟規則の二百十五条は、「写真の撮影」それから「録音」「放送」と、これは共通していますね。ただ民事の場合は「速記」というのが入っている。これをあなたはやはり重く見られたんでしょうね。しかし、この「速記」というのは、やはりわれわれが常識的に考える速記であって、これはメモという意味じゃないでしょう。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 解釈の問題でございますが、私どもは広い意味でメモもこの「速記」の中に入るというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 それはおかしいんじゃないかね。やっぱり条文の解釈はわれわれが普通に社会通念上理解する、そういう通常の理解に従って用語を用いてもらわないと因るんで、「速記」という表現を使いながら、その中にはメモも入りますというように解釈を広げていただいては困るんで、それならそれはメモと書いてくれればいいんで、それはちょっと、余りにも解釈を広げ過ぎてはいないかな。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) メモの範囲は、非常に簡単なものから逐語的に録取するものまで、非常に範囲が広いように思われます。寺田委員のおっしゃるように、本当にちょこちょこっと書くという程度のものであればそれはどうかというふうな問題もございましょうが、いろいろな報道等から見ますと、かなり逐語的なメモというものもあるようでございますので、そういう点では速記と区別をする必要はないのではないかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 では、刑事訴訟規則の四十条、さっきあなたはこれを引用されたが、たとえば、「速記」という言葉は、これは「裁判所速記官その他の速記者にこれを速記させ」――だから「速記」という言葉をやはりそういうテクニカルタームと連動さして用いているわけですからね、それをにわかにメモに拡大するというのは、これは刑事訴訟規則と民事訴訟規則ではその概念内容というものを違えさしても構わないと、それは理屈を言えばそういう理屈が成り立たぬではないけれども、一般的にはやっぱり、これは特に「(速記、録音)」というような表題を規則が用いている、同じ最高裁判所の規則だからね、これは最高裁判所の法廷がこれを制定しているわけだから、片方では「速記」「録音」として通常われわれが社会通念上用いる意味に「速記」という言葉を使っているわけで、それを民事訴訟規則の「速記」はこれと違いますよと、一般のメモも入りますよというのは、少し強弁に過ぎるんじゃないだろうか。どうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、このメモというのが具体的にはどういうことを言うのかということ自体もまた問題であろうかというふうに思われます。要するに、先ほどから問題になっております民訴規則の十一条なり、刑訴規則の二百十五条あるいは四十条というふうな条文というのは、要するに法廷における裁判官の訴訟指揮権あるいは法廷警察権というふうなものを全からしめるという趣旨のもとにつくられた規則であろうというふうに考えられるわけでございますので、そういうもののあらわれとして先ほど来の条文を理解しますと、私どもとしてはそういうメモもやはり裁判長の許可の対象になるものであるというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いやいや、そういう、はぐらかしちゃいけません。メモが訴訟指揮権なり法廷警察権の範疇の中に取り入れられるべきだという議論は、これはまあ正面切った議論でそれはわかるけれども、その中で特にこの民事訴訟規則の十一条なり刑事訴訟規則の二百十五条なりが摘出して特に注意的な規定を置いた、その規定の中の「速記」とか「録音」とか「放送」とかいう意味の概念内容がどうかというふうに聞いているわけで、そういう報道機関の取材行為の中で特段の意味を持つもの、つまり写真撮影とか録音とか放送、それから、いわゆる全部を網羅して裁判長の一言一句なり、あるいは証人の一言一句なりを記録する速記というようなものは困りますよというのがこの規則の趣旨なんであって、それは裁判長が特別に許可しなければだめですよという意味なんであって、普通メモをとることが速記に入りますという、それは少しどうだろうか、ちょっとへ理屈というか、強弁に過ぎるように思うけれども、それを伺っているわけで、それを、メモが法廷警察権や訴訟指揮権の中に入るという大原則を私が何も否定しているわけじゃない。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 「速記」あるいは「速記者」についてはいろいろな解釈が成り立つかと思われますが、私の申し上げたのは、要するに、訴訟指揮権あるいは法廷警察権というものとしては公正な裁判の進行を担保するような形での訴訟、法廷における裁判官の行動が守られなきゃいかぬという趣旨で申し上げているわけでございます。
○寺田熊雄君 まあ一般論としてはあなたが言わんとしているところはわかるけれども、一々裁判官は証人の意向をそんたくして、証人が、新聞記者がメモをとってもらっちゃ困りますと言った場合は、新聞記者のメモをとる行為を禁止するのが妥当なんだろうかね。裁判は公開なんでしょう。だから、それは当然一言一句傍聴人はそれを傍聴し得るわけで、また最近のように裁判所速記官が速記をすることが非常に多くなりまして、そういう公判調書も一般の目に訴訟関係人を通じて触れ得る状態になってきているわけですから、それを証人の意向に従って裁判所が報道機関の報道行為を制約するというのはどうも適切でないように思うけれども、あなたとしてはそれは毫も差し支えないと。したがって、この大分地方裁判所の裁判官のした行為は適切であって誤りないと、最高裁としてはいまだに思っておられるんですか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 私が先ほど申し上げましたのは、先ほどのこの事件は裁判官が訴訟指揮権の行使としてやった行為であるから、その是非、当不当については裁判所の事務当局である私といたしましては論評を差し控えたいと、こういうふうに申し上げているわけでございまして、それが正当なやり方であったかどうかというふうなことについてまで結論を申し上げているわけでございません。 先ほどの証人の意見を聞く必要があるかどうかというふうなお尋ねでございますが、裁判官がメモを禁止するかどうかということを判断するにはどういうことでなければいけないというふうな決まりがあるわけでございませんから、証人の意向も聞いてみるということもあるいは一つの方法であると言えなくはないかと思いますが、また逆に、証人の意見に従わなければならないということもない。結局は、その裁判官が訴訟の審理をする上において裁判の公開の原則、あるいは表現の自由、報道の自由というものについてどういうふうにこれを尊重するかという面から決めていけばいいことでございますので、その点については、別に私が同意を尊重しなければならないとか、あるいはこの問題の裁判官が、この事件の裁判官が仮に証人の意見を聞いたといたしましても、それについて、それが間違ったやり方であるとか正当なやり方であったとかいうふうに申し上げているわけではございません。
○寺田熊雄君 初めのあなたの答弁が何かいかにも裁判官の処分を弁護するかのようなトーンがあったものだから、それでどうかと思ったんだけれども、まあ是非は具体的な裁判だから言えませんというなら、それはそれなりの理解ができないわけではないんだけれども、ただ、この報道を見ますと、いかにも証人がメモをとることに難色を示したと、そのためであるというような何か弁解をしているらしいですね、この裁判官が。まあそこで裁判官が、自由裁量だというよりは、報道の自由を尊重するよりも証人の意見にもっぱらよったと見られる、それで余り感心しないという私の意見をお話ししたわけですね。 それからもう一つは、その裁判官が司法記者クラブの抗議を受けたときに、出張中の石井大分地方裁判所長の帰りを待って改めて対応を考えたいと言ったわけですね。これはまあ訴訟指揮権であるとか、法廷警察権であるとか、そういう裁判官の専権に属する問題であるとするならば、何もこの裁判官が所長の帰りを待って対応を考えるというような弁明をする必要はないわけで、それは私の権限ですよと、適当でなかったかもしれませんが私はこういうふうに考えたためにやったんですと、以後はやらぬとか、以後もそうするとか言うならわかるけれども、行政上の上司である所長の帰りを待って対応を考えると言っているからね。これはやはりこの問題が必ずしも裁判所の裁判官の独自の裁量の範囲内ということだけでなくて、やはり裁判全体の扱いというか、最高裁判所がやっぱり一定の方針を示しても差し支えない、そういう範疇に属する問題だと考えてもいいんじゃないですか。もしそう考えないと、何でこの裁判官が所長の帰りを待ってと言ったのか、これはまたおかしくなっちゃう。だから、最高裁判所で、報道機関のメモは差し支えないと考えるという、そういう指示を流しても、これは構わないんじゃないでしょうかね、どうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 担当の裁判官が、所長の帰りを待って対応を考えたいということを言ったというお話でございましたが、私どもとしては、その事実は確認しておりませんので何とも申し上げられませんし、そういうことを仮に言ったといたしました場合に、本人がどういうつもりでそういうふうに言ったのかということはつかみかねるわけでございます。ただ、仮にそういうことを言ったといたしました場合に、それが直ちに法廷警察権の問題というよりも裁判所全体の取り扱いの問題ではないか、あるいはそういうことについて最高裁の方でもっとそういうことだということについての、何といいますか、指示といいますか、をしたらどうかというふうなお話でございますが、当の裁判官がどういうふうなつもりで言ったかわかりませんが、仮に言ったといたしましても、それは所長というのは何と申しましてもその庁の一番の先輩の裁判官でもございます。それからまた、その裁判所で法廷の慣行というふうなものもあるし、そういうものについてあるいは所長が知っていて自分が知らない場合もあるというふうなことで、そういう先輩としての一般的な意味でのアドバイスを受けたいということであるか、あるいは大分なら大分の地方裁判所としての法廷において、従前新聞記者のメモ作成についてどういうふうに取り扱ってきたかというふうなことの事情を聞いた上で自分の考えも決めたいというふうに言ったのか、その辺のところが決めかねるわけでございますが、いずれにしても、そういうことで先輩なりに意見を聞いてみるということは十分考えられることではなかろうかというふうに思われます。
○寺田熊雄君 どうもこれは裁判所の弁明というよりは、何か弁護人がへ理屈をこねて被告人を弁護するような印象を受けるので、誤ったときは誤ったと言ってはっきり言わないと、裁判所がいろいろなへ理屈を言うて一生懸命に当該の裁判官をかばうというのはどうでしょうかね。所長の帰りを待って対応を考えたいと言ったというのは、新聞が報道しておる、新聞社が勝手に書いたというふうには普通は考えられないのでね。しかもそれを司法記者クラブが抗議したというんだから、だから、それを正確に把握してないというのは、その裁判官が否認したのか、それともそういう事実はなかったのか、あったのか、結論はもうそのいずれかにあるわけで、正確に把握しないなんという国会答弁的な――国会答弁的と言うと、これはちょっといろいろ語弊があるけれども、そういうあいまいな答弁で、しかもそういうことを言ったとした場合に、そんたくすれば、それは先輩の所長のアドバイスを求めるという意味だと。まあアドバイスを求めるにしても、当該の具体的な自己のあれでしょう、あなたのおっしゃる裁判官の自由裁量行為であると。それから法廷警察権の行使であると言われるんだから、それをアドバイスを求めて適当な結末にしたいと言うならば、それは普通の裁判の裁判権の行使とはやっぱり一脈違ったものがあるということが明らかなんでね。たとえば具体的な裁判で、事実の認定だとか、証拠の取捨とか、判決をするための判断とか、そういう場合はあれでしょう、所長のアドバイスなんか求めたらかえっておかしいでしょう。それはまあ平賀書簡の先例があって、誤解をかえって受ける行為である。だから裁判所長のアドバイスを聞いて対応を考えるというのは、その事柄自体がちょっと、やはり裁判官の自由裁量とはいっても一脈違ったものがあるということがこれは明らかなんで、やはり新聞記者のメモというのは、報道の自由を極力尊重して、従来どおり慣例として認めていくという態度を貫くべきだと私は思うんですよ。その結論にあなたは御異議があるんですか。最後にそれだけ伺いたい。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 先ほど寺田委員のお読みになりました報道の中の、石井所長の帰りを待って対応を考えたいという、当該裁判官の言った言葉を確認してないということを私が申し上げましたが、私としては、それが真実の報道でないということまで申し上げたわけではございません。私の方が福岡高裁の方から報告を受けました事実関係の中に、そういう本人が言ったという言葉が入ってなかったということで、私どもとしては確認しておらないということを申し上げたわけでございます。 それはそれといたしまして、先ほども申し上げましたが、従来の裁判所の、あるいは裁判官の取り扱ってきたことといたしましては、報道機関のメモについては報道の自由を尊重するという趣旨を十分考慮いたしまして、各裁判所としては報道機関のメモを禁止したことはなかったのではないかというふうに考えておりますし、今後もそういうことで各庁ともやっていくことであろうというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 もう一つ残っておりますので、いまの局長の御答弁で了承いたしまして、次に移りますが、これは人権擁護局長に御意見を伺いたいんですが、住友重機械工業株式会社、これはかなりな大企業でありますが、この従業員全体に「体力づくり調査票」というものを配布いたしまして健康調査をいたしておるのであります。その中に、われわれが見て果たしてどうだろうかと考えるようなことがたくさんあります。 たとえばこの健康調査票のG項というのがあります。そのG項の中の94というところを見ますと、「夜中にねぼけて歩きまわることがありますか。」、95に「寝小便をしますか。」、96に「小学生の頃寝小便をしていましたか。」、それからH項の中、これは「〔男子のみ〕」と書いて、「97 性器になにかひどい故障のあったことがありますか。」、それから98に「性器のいたむことがありますか。」、99として「性器の治療を受けたことがありますか。」。それから「〔女子のみ〕」という項がありまして、その「97’ 月経は不順ですか。」、「99’ 月経期以外に性器の出血がありますか。」、つまり女性の性器の出血の有無を聞いておる。それから血に「月経のときは気分がいらいらしますか。」。それから「〔男女とも〕」103として「毎晩小用に起きますか。」。それから今度はKという欄の中に、128とありまして、「性病の治療を受けたことがありますか。」という項目があるわけであります。 それで、会社が生産性を上げるために従業員の健康状態を把握しようという意欲を持つことは、これは私どもも理解できないことではありませんけれども、過去において性器にひどい故障のあったことがあるかとか、あるいは現在性器が痛むかとか、それから過去において性器の治療を受けたことがあるか。それから女性について、月経は不順か。月経以外に性器の出血があるかとか。それから男女を問わず性病の治療を受けたことがあるか。こういうようないわゆる個人のプライバシーに属すること、これについて回答を求めるというのは、いかに健康調査といえども行き過ぎではあるまいかと私どもは考えるのですが、これは人権擁護局長としてはどうお考えになりますか。
○政府委員(中島一郎君) ただいま御指摘になりましたような項目は、いずれも本人といたしましては他人に知られたくないというような事項を含んでおりますので、プライバシーの保護という面から申しますと問題があるというふうに一応考えられるわけでございます。しかしながら、一方また、労働安全衛生法あるいは労働安全衛生規則などを見てみますと、事業者としては、労働者の健康の保持、管理のために医師による健康診断を行って、その結果によって就業場所の変更あるいは労働時間短縮などの適切な措置をとらなければならないと、こういうことになっておるわけでありますので、ただいまお尋ねの問題は、そういう労働者の健康保持、管理のための健康診断の必要性と、それから個人のプライバシーの保護の問題との兼ね合いの問題であろうかというふうに考えるわけでありまして、結局その健康調査と申しますか、健康診断の内容、程度、方法等を具体的に検討することによってその適否を判断すべき問題であろうかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 私どもが考えるのは、たとえば過去に性病を患ったことがあるかという質問を受けた場合に、ありますとその人は答えたとしますね。それはいかに秘密だとはいえども、そういう秘密というのは漏れやすいわけで、何もその会社のそういう人事担当なり健康管理の人間が特に守秘義務というものを負っているわけじゃないからして、ちょっと他人に漏らした場合、あるいは悪意によらずその書類をたまたま机の上に置いておいたときに、人が見て、あああいつは性病を患ったなんということが評判になったりしますと、これはその人間としても非常に恥ずかしい思いをしなきゃいかぬ。それから家庭に知られた場合に、奥さんとしてはこれは大変なことになるんで、あなたがそういうことをやったことがあるのかと、家庭不和の原因になることはこれは必定であります。そういう個人のプライバシーに非常に際立って関係のあることを正直に回答しなさいと言っているわけですね、これ、ありのままに回答しなさいと。そういうのは、ちょっとこれは行き過ぎだと考えざるを得ない、いかに健康調査といえどもね。それは使用者が労働者をお医者さんにかからしていずれはわかるけれども、そして健康を保持してできるだけ安全を守ろうというのはわかるけれども、それはまた一つのそれなりの方法があるんで、正直に申告せいと言って会社が命ずるというのはどうですか、局長いかがです。
○政府委員(中島一郎君) 事柄は医学の問題にも入ってまいりますので、私ども十分な知識はございませんが、調査は最小必要な限度にとどめるというようなことも必要でございましょうし、調査の結果得られた資料の保管と申しましょうか、についても最大の慎重な態度が要求されるでありましょうしということを考えるわけでございまして、具体的な問題として人権擁護の立場から何らかの措置が必要であるということでありますれば、関係者の申告等に基づいて具体的な事件として取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○寺田熊雄君 いや現実にね、この労働組合が、これは正直に申告することはとてもできない問題じゃないだろうかと言っているわけですよ。会社は正直に申告しろというふうに命じているわけです。正直に申告しなかった場合に会社の指示に反したことになる、懲戒の問題になってくる。しかし、そういう個人の非常に羞恥感を刺激したり、個人の名誉に関したりというものを告白する、まあ黙秘権だなんということは私は余り言いたくないけれども、犯罪を犯したことでもその自白は強制されないという、それほどやはり、これはまあ目的はやっぱり裁判の公正さを担保するための、それは長年の人間の知恵でできた規定ではあるけれども、やっぱり同じように個人のプライバシーを守ろうと、できるだけそういう個人の恥辱になったりあるいは家庭不和を起こしたり、そういうようなものは強制すべきでないという、これは常識やあれはありましょう。そういうことを局長としてもやっぱりお考えになった場合に、そういうことの申告を強制する、個人の恥辱的な行為のね。それはいかに労務管理といえども適当ではないと判断すべきじゃありませんか、これはどうですか。
○政府委員(中島一郎君) プライバシーの保護という面からの御指摘、まことにそのとおりでありまして、私も全く同感でございます。
○寺田熊雄君 じゃ、終わります。
○委員長(峯山昭範君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時五分開会
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 午前中、一問だけ質疑を残しましたので、それを質問いたします。 民事執行法の施行がいよいよことしの十月一日に迫りまして、執行官の任務がきわめて重要になりました。かつ仕事量もふえました。執行官の待遇につきましては、従来これを俸給制にすることを希望する旨の国会の決議などがありまして、私どもも執行官の待遇につきましては関心を寄せておるわけであります。ところが最近、私のところにある裁判所の執行官から大変詳細な書簡が参りまして、その書簡によりますと、執行官の待遇がまだまだ不十分ではなかろうかと思われるものがあるわけであります。 その私に寄せられました書簡の内容をかいつまんで申しますと、この書記官は執行官に就任をいたします動機としては、所長や首席書記官などから、新法ができた場合は民事に詳しい書記官で四十歳代の人を募っておる。新法ではやがて俸給制になると思うと。一般職員同様年金も健康保険も共済組合で扱われるであろう。俸給の号俸も主任書記官のこれは三等級ですか、三等級扱いとなる予定だと。したがって、主任書記官として県外に転勤するよりは執行官の方がよいのではなかろうかというようにいろいろ説得を受け、そういう説得を受けたために、本人必ずしも希望をしたわけじゃなく、やむを得ず執行官になった。 ところが、実際やってみると、結論を言うと、執行官よりは書記官当時の方が収入面の方ではまさる。というのは、共済組合もだめである、共済組合の扱う生命保険も本人のみで一千万円が限度である。掛金は一年分先払いであり、妻や家族の加入は認められない。仕事は、暴力団関係を初めいやな仕事が多い。涙もろい自分としては、かわいそうな人にはこちらから金を置いて帰ったようなことも何回かある。しかし、手数料は安く、休めば無収入であるから少々の病気でも無理して出るようになる。不動産が売れないと(執)イ、ロ、ハの事件――これは私もまだ規則を詳細に引いてはおらぬけれども、(執)イ、ロ、ハの事件では月収が十万から十五万ぐらいしかない。で、ボーナスもなければ超勤手当もない。出張ももちろんない。で、病気で倒れたら、いまの国庫補助金では書記官のときよりも著しく――これは何号俸という具体的な号俸も書いてありますが、著しく少なくなる。こういう事情であるから、全国的に執行官希望者がないのは当然だと考える。で、執行法を改正するのであるならば、そういう基本的な点に着手していただかない限り将来は暗いというような内容であります。 なるほど、そういう点が、これは正直な男でありますからうそを書いたとは私には思えないので、で、こういう実態があるといたしますと、もう少し執行官の待遇を見直した方がいいのではなかろうか。 そして、これは政府委員の方からいただいた資料によりますと、執行官法第二十一条に規定する政令及び国庫補助金額は、まず政令の面は、執行官国庫補助基準額令というのが四十一年にできておって、これは四十七年四月一日以降は行政職俸給表(一)の四等級七号俸の俸給月額に十二を乗じて得た額である。五十三年四月一日以降は二百二十万九千二百円、毎月十八万四千百円を下限として、これに達しない場合は国庫が補助をするということになっておるということでありますが、なるほどこれがこの限度に達しないで国庫補助するというようなことになると、そういう実例があるとすると非常に気の毒なわけですね。したがって、この補助基準額というのをもう少し上げたらどうだろうかと考えるんだけれども、これはどうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ただいま書記官から執行官に任命されました人の書簡を御披露いただきましたし、それにまつわるいろいろな問題点の御指摘をいただきましたが、その書簡に盛られていることも、全部が事実無根であるということではないように思われます。問題点の若干は指摘しているとおりであろうというふうに思うわけでございます。ただ、執行官の任命基準と申しますのは、行(一)の四等級以上の者またはこれに準ずる者で試験を受けた者ということになっておりますものでございますし、それから執行事務を担当する職種でございますので、訴訟法、執行法の知識が十分なければならない、裁判手続の知識を持たなければならないということで、給源がどうしても裁判所書記官に限られるというのが実情でございます。ところが御承知のように、執行官は職務の特殊性と申しますか、職業自体としては執行というわりあいにイメージの暗いようなもの、もう少しはっきり言えば、人がむしろいやがるような仕事であるというふうなことから、なかなかなり手がないというのがこれもまた実情でございます。 そういうことからいたしまして、特に先ほど寺田委員も御指摘がございましたように、民事執行法が十月一日から変わりまして、執行官の職責が非常に重要なものとなってきておりますことから考えまして、裁判所といたしましてはできるだけ優秀な書記官に執行官になってもらって手続の円滑な進行を期したいと、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう意味では、所長なり首席書記官というものがそういう執行関係の経験の深い書記官に対して勧誘をするということも、これはあり得るかというふうに考えております。しかしながら、勧誘する場合に、先ほど御指摘がありましたように、民事執行法になったら直ちに俸給制に切りかわるであろうとか、号俸が三等級相当になるであろうとかというふうなことまで言って勧誘する所長なり首席はおらないと思いますし、そういうことがわからないような書記官というものでもないんじゃないかというふうに思われます。そういうことでございまして、勧誘して執行官になってもらうという例はかなりあるごとはそれは間違いございません。 そうした場合に、執行官になった場合の収入の問題でございますが、これは先ほども御指摘のようにもっぱら手数料制に従っているということでございます。その手数料制は、言いかえますれば働き高に応じて決まってくる、それからまた事件の多寡によって決まってくるということでございます。働き高の関係で申しますと、どうしても新任の人は、ベテランの者に比べれば、執行の迅速性という面でも欠ける面があるということで、どうしても事件のはけが少ないということがあるかと思います。それからまた、そういう新しく任命されたかどうかということの問題とは別に、健康上の理由で職務を執行できないという事情もございます。そういうことによって低くなるという面もあるかと思われます。それから、事件数も年々多寡が生じているということも事実でございますし、それによって収入が増減するということも、これも事実でございます。しかしながら、最近の実情を見てまいりますと、先ほど御指摘になりました執行官の国庫補助を受けている程度の収入しか得られていない執行官というのは非常に少ないというのが実情でございます。ただ同時に、それ以上に、たとえば先ほどの四等級の人でございますと、実際の裁判所職員として在職しておりましたときの収入につきましては、先ほどの基本給のほかに暫定手当もございますし、それから家族手当その他の手当もございます。それから、共済組合の関係もあるというふうなことで、実際の収入はもっと多いというのが実情であります。仮に二百二十万が基本給といたしますれば、そういう手当を加味して考えますと五百万以上になってくる、あるいは主任書記官であれば主任書記官としての加俸もあるということでございますので、五百万なり六百万なりという金額の収入が得られているわけでございますが、執行官になった場合に直ちにそれだけの収入が得られるかということになりますと、それは先ほどから御説明申し上げたように、いろいろな事情によって、特に新任の場合には研修も受けなければなりませんし、人のことを見習いながらやっていかなければならないということで、当分の間は収入が落ちるということが考えられるわけでございます。しかしながら、最近は事件数はここ数年来漸増の傾向にございますし、競売の関係にいたしましても、競売の物件の価額が高騰しておりますものでございますから、競売手数料というものの収入もかなりの金額になっておりまして、平均から申しますと、先ほどの在職していた場合の五百万なり六百万なりという金額をはるかに上回るような収入を得ているというのが実情でございます。そういう点で、いろいろ個々的には低かったりあるいは仕事の面で不満をお持ちの方もあることはこれは否定いたしませんけれども、全体的に見ると、かつての執行吏時代あるいは執行官の時代でも事件数が少なかった時代に比べれば、現在は非常に改善されておるのではなかろうかというふうに思われます。 それから、執行法が改正になりました際には、やはりその職責が非常に重要なものになってまいりますのは御指摘のとおりでございまして、それに応じての待遇というものも考えなければならないということは御指摘のとおりでございまして、この点につきましては俸給制の移行の問題も含めて、新しい手続が施行されて、その成果を見ながら検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 長々とおっしゃったが、結局結論としては、最後には検討してみるということのようだけれども、何か局長の答弁を聞いていると、しかしながら、しかしながらという何か否定的な面ばっかり強調する癖があるというかね。私が伺ったのは、執行官の現実の俸給で前の書記官のときより収入は多い人があるというようなことを伺っているわけではないわけで、多い人があったってそれは構わないでしょう。だから、その多い人があるとかないとかいうことを伺っているわけではないんでね。非常に低い人もないではないというんだから、その低いという最低の基準を引き上げたらどうかということを伺っているわけなんだね。要旨はそこにあるわけです。所長がどういうふうに介入したとかいうようなことで所長の責任を問うてるわけでもない。だから、一々そんなことをあなたから弁解を受けなくてもいいんです。私の伺っているのは、その最低の基準というものに達しない場合に、国が補助するというその最低の基準というのが書記官の俸給よりもはるかに下になっちゃ困るじゃないかと言っている。つまり、なるほど毎月受ける俸給は同じであっても、ボーナスがないとか、手当がないとかいうことであれば、現実の問題として書記官のときより下がる場合があるじゃありませんかと言っている。下がるようじゃ困るから――上がっても構いませんよ。下がるのは困るから、下がらないようにしたらいかがかと言って伺っているわけです。わかりますか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 御指摘の御趣旨は十分承知しておるつもりでございます。それで、先ほども、現実に執行官になった後で収入が落ちるということは、私もそういう例があるということは認めるわけでございます。そういう場合の改善策といたしまして、一つは国庫補助金の支給金額を引き上げるという問題も考えられます。しかし、この国庫基準の額と申しますのは、四等級の七号ということに位置づけられておりまして、この四等級の七号と申しますのは、地方裁判所で言いますと主任書記官の中どころ、それから各裁判所の支部で見ますと庶務課長といったような地位に相当するわけでございます。かなり裁判所の中では高いポストにあるわけでございます。これが執行官法の制定の際に従前の地位をもっと高めたということでそこに格づけを得たわけでございますので、その格づけの問題と補助金額というものがパラレルになっているという関係があるわけでございます。したがいまして、そのもとになる四等級の格づけというものをさらに引き上げるということがその待遇の改善につながるということになりますが、これは先ほど申しましたような裁判所における四等級の地位の問題からして引き上げはむずかしいのではなかろうかという考えでおります。 もう一つは、そういう問題と離れまして、運用の問題としてでございますけれども、執行官の配置をなるべく収入が均等になるように、要するに任命した場合にもとの月給を下がらないようにとする配慮をする必要があるわけでございまして、そのための適正配置というものについて常々検討しておるわけでございます。これは収入の少ない庁に配置された場合には何年か交代でまた収入の多い庁に配置がえをする、そういうことによってお互いが補い合いながら収入を平均化していくという方法をとっている庁がございます。 もう一つは、不動産競売の手数料……
○寺田熊雄君 よろしいわ、よろしい、よろしい。法務省の民事局長。
○政府委員(貞家克己君) 執行官の制度につきましては、実は私、現在所管いたしておりませんが、便宜お答え申し上げます。 執行官の補助基準額は政令で定められているわけでございます。この政令が、この執行官法制定前はたしか六等級ないし七等級というところに合わせておったと思います。それを執行官法制定に伴いまして資格も引き上げた、それに伴って上げたという経過がございます。まことに、経歴を経た方々の現実の収入状況という点から考えますと、確かに現在の四等級七号俸という基準は安過ぎるのではないかと、こういうお考えもおありかと思いますが、一応この執行官の任命資格というところに合わせて一応考える。したがいまして、四等級以上の職務ということが任命の資格に――これは最高裁判所規則でございますけれども、そういうことにされているということから、四等級相当の額を国庫補助金額――これはいわば最低保障ということでございまして、いま最高裁当局から御答弁ありましたように、大多数の方々はこれをはるかに超えた収入を得ておられるわけでありまして、きわめて例外的に国庫補助金を支給しているということになるわけでございます。もちろん国庫補助金の支給を受けている方が少ないからといって、それはどうでもいいということにはなりませんけれども、ともかく任命資格というものに合わせているという点で一応の合理性があるのではないか。そうしますと、問題は結局昇給ということもありませんし、変化がないわけでございます。それから、いままでの経歴、いろんな経歴の方にとって、もし最低保障だとしますとダウンになるということもある。これは確かにお気の毒と申しますか、矛盾と言えば矛盾でございますけれども、やっぱり根本的には執行官制度を根本的にやはり見直すということでないと、その待遇面の完全な解決ということはむずかしいのではないかと私はかように考えているわけでございます。この執行官法が制定されましたのが昭和四十一年、執達吏――執行吏ができましたのが明治二十三年でございますから、これは非常に息の長い話でございまして、まことに恐縮でございますけれども、こういった制度というものは非常に長い目で見ませんとなかなか一朝一夕に急転回するということはむずかしいわけでございまして、実は四十一年の法改正のときにも俸給制をとるべきかという議論がかなり熱心にされたわけでございます。しかしながら、どうしてもその給源でございますとか、人員の確保、いろんな面で俸給制はなおもう少し時期を待って考えた方がよろしいという方向が決定されたわけでございまして、この根本的な解決というものはさらに相当慎重に考えざるを得ないのではないかと思うわけでございます。 もちろんこの政令で国庫補助基準額を定めておりますが、そちらの面におきましても執行官の任用の実態というような点に着目して考えるべきところは考えるというのは当然の私どもの責務であろうと思っております。 御期待に沿うような御答弁をいたすわけにまいりませんけれども、以上のようなことでございますので、ひとつ御了承をお願いしたいと思います。
○寺田熊雄君 これで終わりますが、待遇を上げたらどうかと、最下限を上げたらどうかということですから、それを余り否定せずに謙虚に受け入れて検討してもらうことを最後に要望して終わります。
○宮崎正義君 大臣にお伺いいたします。滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由の説明をなさいました。そこで、「本法案は、昨年強制執行制度を全面に改正する民事執行法が成立し、本年十月一日から施行されることに伴い、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正し、新たに、債権等及び航空機、自動車、建設機械に対する滞納処分と強制執行等との手続の調整に必要な規定を設けるとともに、」という大臣から提案理由の御説明がございました。 そこでお伺いしますが、この当委員会で三十二年の四月二十五日にこの委員会で決議をした事項がございます。この決議をどのように受けとめられて、そしてこの提案理由の説明をなさったか、その間のことをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 事務当局から御報告いたさせます。
○宮崎正義君 大臣に聞いている。
○政府委員(貞家克己君) 昭和三十二年に御指摘のとおり附帯決議がなされております。附帯決議はこれは御承知のとおり、 本法制定の目的及び趣旨の徹底を計るため、 政府は、すみやかに、最高裁判所とも協議提携 の上、国税徴収法その他関係法規の改正にっき 全面的検討を加え、民事訴訟法以外の強制執行 手続による自動車等特にその必要あるものにつ き滞納処分と強制執行等との手続を調整し、私 債権行使の保護に遺漏なきを期すべきである。 右決議する。 かような附帯決議になっているわけでございます。 そこで、その後国税徴収法の面につきましては、昭和三十四年に全面的な改正が行われて、非常にわかりやすく合理的なものになったわけでございます。ところが強制執行法の方は、これは非常に民事の基本法でもございますし、いろいろ検討すべき問題が多々ございまして、これは非常に古い話でございますけれども、昭和二十九年から法務大臣の諮問機関でございます法制審議会において、まさに逐条的にこれを審議をされたわけでございます。その作業の一環として、ただいま寺田委員御質問の執行官法というような副産物と申しますか、むしろ理論的にはそれが基礎になるのかもしれませんが、そういったものも途中で答申をされ、立法化されたというような経緯を経て、何回も何回も要綱試案を発表いたしまして、各方面の意見照会いたしまして、その意見をくみ上げてまた検討するという作業を続けておったわけでございます。したがいまして、これらすべての未解決の債権、自動車その他の執行につきましても、民事訴訟法の方はまさに全面的改正の直前の段階にあったわけでございます。したがいまして、国税徴収法の方は一歩先に完成いたしましたけれども、民事訴訟法の強制執行編の方でどのような強制執行制度を考えるかということによって、この調整の方も非常に大きな影響を受けろというふうに考えられたわけでございます。そのためこれが非常に時間がかかりましたことと、もう一つは、ことに自動車について、前の昭和三十二年の段階におきましては非常に御要望が強かったわけでありますけれども、自動車に対する強制執行、競売というものが件数が非常に少なくなりまして、むしろ主体と申しますか、なお調整を要する主体は債権に対する執行の調整という面に移っていったような感があるわけでございまして、各方面からの意見も、債権についての滞納処分と強制執行の調整を図るようにという御意見が多数になってきたわけでございます。 そこで、債権執行等につきましては民事訴訟法非常に古い法律で不合理、不便な面も多々ございますので、それらを全編的に改正しようということで昭和四十六年以降要綱試案を数回にわたって発表して、先ほど申し上げましたように立案作業を進めたというのが実情でございまして、そのため結局民事執行法の立案、制定ということを迎えまして、その施行される本年の十月一日、これに間に合わせるように債権、自動車、航空機、建設機械というようなものを一括いたしまして調整措置を立案し、今回御提案したと、かような経過になっているわけでございます。
○宮崎正義君 大分私の方から聞いていると苦しい御答弁のように聞こえるわけですが、いま御答弁の中にありましたように、三十四年に国徴法ができましたね。その時点でもう少し附帯決議というものを尊重されておったならば、何らかのまだ考え方があったんじゃなかろうかと。これは素人の、国民的な考えの中から率直に言えるわけです。昨年の執行法ができちゃったから、いいや、いい幸いだからこれに乗っけちゃえというみたいな感じがなくはないと私は思うんです、そんなこと言っちゃ失礼かもわかりませんけれども。今回の二十条の二でございますか、これには船舶の問題が出ておりますね。それにつけ加えて、そして二十条の二として「強制執行、仮差押えの執行又は競売は、滞納処分による差押えがされている航空機、自動車又は建設機械に対してもすることができる。」と、このように新しくつけられて載せているわけですね。こんな程度だったら、先ほどの御答弁の中に自動車云々ということはちょっと変なふうに私は受け取れるんですがね、どうなんですか。
○政府委員(貞家克己君) まことにおしかりを受けるのはごもっともでございまして、結果的に見ますと、この条文を書くのに十年もかかったかと言われますと、これはまことに申しわけございませんと申し上げる以外にないわけでございますけれども、実は自動車の執行自体がどのようになるか、つまりどう変える必要があるのかどうかということを含めて民事執行法というものが立案されたわけでございまして、結局、結果的にはこれは現在の姿と同じと申しますか、最高裁判所の規則にゆだねるという形になりましたものですから、こういった表現でこれだけのことだということになるわけでございますが、実はここに落ちつけるためにやはりいろいろ議論があったわけでございまして、どうも申しわけない次第でございますけれども、形だけで御判断いただくと、まことに何とも申し上げようがないわけでございますけれども、ひとつそういった事情を御理解願いたいと思います。
○宮崎正義君 私は素人ですからね、それしかずけずけ言えないんで、大変失礼をするわけですが、そこでいまの件につきましては了承いたします。 仮処分についてなぜ調整されなかったのか。滞納処分等につきましても同じようなことが言えるんじゃないかと思います。と申し上げますのは、国徴法によりますと、百四十条ですね。「(仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力)」、百四十条「滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない。」と、こういうふうにあるわけですが、この点についての関連のお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) 実は仮処分については調整の措置を講じてないわけでございます。仮差し押さえについて調整の措置を講じているのになぜ講じないのかと、まことにごとっともな御質問でございますが、御承知のとおり、仮差し押さえは金銭債権を保全するという目的を持っておるわけでございます。それに対しまして、仮処分の大部分は非金銭債権、つまり金銭の支払い以外の物を対象とする、給付を目的とする請求権を保全するために仮処分というものがあるわけでございまして、でございますから、手続といたしましては、これは滞納処分は金銭債権である租税債権の実現のために行われるわけでございまして、厳密に言いますと、これは手続は交錯いたしますけれども、それはいわばばらばらにあるということで不都合が生じないわけでございまして、国税徴収法百四十条、まさにその趣旨を言っておるんだと思いますけれども、厳密に申しますと調整をする必要がないと申しますか、別々の面で働くという感じになるわけでございまして、もし調整ということになりますと、これはむしろ手続の調整ではなくして、実体上の仮処分の効力の解釈という問題になるわけでございまして、これはいろいろ考え方がございますけれども、まあ判例もいろいろございます。でございますから、一般的には係争地に対する仮処分というものは別個にそれ自体として法律上考えるべきで、手続の調整というところでそれをやるのは少し越権と申しますか、守備範囲を逸脱するということになるのではないかというふうに考えるわけでございます。つまり仮処分の効力の解釈いかんによってそのどちらが勝つかとかそういうことが決まるわけでございまして、手続の調整では余り問題を生じないと、かような関係になるわけでございまして、それでは仮処分の効力について問題はないかと言われますと、これは確かに問題ございます。この点は将来、これは民事執行法の問題ではなくして民事訴訟法の問題、つまり保全処分としての仮処分の効力について不明確な点あるいは規定の不十分な点、こういった点は私どもも今後検討いたしたいと思っておりますが、手続の調整という面ではさしたる問題を生じないというふうに御理解いただきたいと思います。
○宮崎正義君 いずれにしましても、いまの御答弁の保全問題等のこともあります。それらの基本的なこともやはり明確にしておかなければいけないじゃないかと思います。それはそういうふうなことで要請をしておきます。 もう一点ですね、先ほどもちょっとあったように思うんですが、強制管理との競合について規定が設けられてないように思うわけですが、強制競売と強制管理との競合について現行法の解釈はどんなふうにされておられるのか、こういう点についてひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) 強制管理は、御承知のとおり、民事執行法では九十三条にございまして、管理人を置きまして債務者の不動産を管理させまして、その収益をもって債権の満足に充てると、こういう方法でございます。 そこで、強制管理と強制競売との関係についてはいろいろ考え方があるわけでございますが、従来、民事訴訟法の解釈といたしまして、強制管理の目的となっている不動産に対して強制競売、担保権の実行としての競売あるいは滞納処分による売却があった場合には債務者が所有権を喪失するということになりまして、その場合には強制管理手続も続行できなくなって取り消されるというのが通説でございます。 そこで、この問題につきましては民事執行法の立案の段階でいろいろ議論がされたわけでございますけれども、結局この問題につきましては、従来の民事訴訟法の考え方を維持するという結果になりまして、いま申し上げたと同じような結論、つまりある債権者の申し立てによって強制管理をいたしております、そこへ他の債権者が強制競売を申し立てると、これは妨げられないわけでありまして、この場合にも競落によって――強制競売による売却でございますが、民事執行法によりますと売却でありますけれども、売却によって強制管理は目的を失って取り消されると、こういう解釈になっておるわけでございます。したがいまして、強制管理がありましても、滞納処分なり強制競売ということが進行いたしまして最終的には強制管理が取り消されると、もちろんその債権者は配当を受けるということはできるわけでございますが、収益を少しずつ充てていくという、そういう執行の方法というものはもうとれなくなると、こういう関係に立つわけでございますので、あえて手続の調整を行う必要はないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○宮崎正義君 いいかどうかは別にしまして、強制管理の件数、過去三年ぐらいにどれだけございますか。
○政府委員(貞家克己君) いま手元に資料がございませんので、これは裁判所当局に依頼をいたしまして後ほどお答え申し上げたいと思いますが、件数としては非常に少ないと申しますか、強制管理というのは微々たる件数ではなかろうかというふうに推測されるわけでございます。
○宮崎正義君 であるがゆえに、これを見合わせたというふうにも考えられるわけですが、どうなんですか。
○政府委員(貞家克己君) 非常に強制管理との調整で法律上の問題が起こるということでございますれば、これは件様が少なくても放置するわけにはまいりませんけれども、先ほど申し上げましたように、いわば副次的と申しますか、強制競売に比べて例外的な執行方法であるということで、その効力も強制競売が終着までいくとだめに――だめになると申しますか、取り消されるというような位置づけをしております。その結果、調整の必要がないであろうと、こういう判断に立ったわけでございます。
○宮崎正義君 何となく理解できますが、これは念のために伺っておきたいのですが、わかりませんからお伺いするのですが、貸しビルだとか、マンションとか、雑居ビルだとか、最近になりますと大型化してきたいろんな対象物件といいますか、そういったようなことが将来問題になってくるんじゃなかろうかというふうに私は思うわけですが、こういう点についてのお考えをちょっと伺っておきたいと思うのですが、たとえば一つのビルがあります。それで九階建てだとします。十階建てでもいいです。七階からは、あるものは賃貸契約で貸していると、あるものは七階の中の一部はもう、七階以上は売却していると、そうして六階ぐらいまでは事務所であると、一番下は食堂であり地下はバーであるとか、こういったような形態の中でそれぞれがそれぞれの所有権を取得するという、または賃貸権を取得するというようなことがあります。そういうふうなことでいろんな問題が生じないということは私はあり得ないと思うんですが、こういったいまの時代に当てはめてみますと、そういう建物は全国至るところにあるわけですが、そういう中でこういう強制管理の問題だとかあるいは強制競売の問題だとか、そういうようなものがだんだん拡大化していくんじゃないか、大きくなっていくんじゃないかというふうに思うわけなんですが、どうなんでしょうか。
○政府委員(貞家克己君) 確かに御指摘のとおり、そういった最近の状況を反映いたしまして、強制管理というようなものもその利用の度数が高くなるということは十分考えられるわけでございます。したがいまして、強制管理は例外的と申しますのは少し言い過ぎでございまして、やはり十分検討をしておかなければならないことであることは間違いないところでございます。民事執行法におきましても、かなり具体的にその強制管理の中身と申しますか、具体的な手続等につきましては、前の民事訴訟法に比べますと整備をいたしております。ただ、その効力と申しますか、結局どちらが勝つかというような点につきましては、先ほど申し上げましたような解釈になるということだけでございます。中身につきましては相当整備はなされているというふうに考えるわけでございます。
○宮崎正義君 参考にお伺いいたしたいんですが、民事執行法の四十三条ですね、「(不動産執行の方法)」、これのひとつ御説明をお願いしたいんですが、「強制競売又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。」と、「併用することができる。」という意味の御説明を願いたいと思います。
○政府委員(貞家克己君) これは「併用することができる。」という、債権者が結局両方の申し立てをあわせてすることができるということでございます。でございますから、同じ債権者が強制競売の申し立てをして、同時に強制管理の申し立てをするということもできるわけでございますが、強制競売の申し立てをしておりますからこれはいずれ売却がされるわけでございまして、売却されるまでの間の収益をこれを管理人を置いて取り立てて債権に充てると、こういうことになるわけでございます。売却されれば強制管理は終わってしまう、こういうことで両方の申し立てができるという意味に理解されるわけでございます。
○宮崎正義君 その問題については大体わかったようですけれども、もう一つお伺いしたいことがあるんですが、第三債務者に供託を規定した理由と、それぞれの効果について滞納処分が先行する場合あるいは強制執行が先行する場合、この滞納処分が先行する場合は、これは任意の形態のように思うわけですね。強制執行が先行する場合はこれは義務づけていくようなふうになっておりますが、これに対するなぜこういうふうに分けなきゃならないのか、その理由と効果、そういうことについての御説明を願いたいと思うんです。
○政府委員(貞家克己君) まず滞納処分による差し押さえが先行している場合でございますが、この場合にはいわゆる先着手主義の原則でございまして、滞納処分の手続が進むということになります。また、実体的にも税債権が一般の私債権に優先いたしますから、徴収職員等は後に続いてまいります強制執行等の差し押さえを無視して、第三債務者から差し押さえた債権を取り立てることができる、やろうと思えばできるわけでございます。そしてまた、第三債務者もその取り立てに応じて債務を弁済すれば、その限りで免責の効果は発生するわけでございます。 しかし、この場合には供託することができるということにしておりますけれども、それはなぜかと申しますと、もし徴収職員等の取り立て手続が著しく遅延するというような場合、そしてその間に債務の履行期がすでに到来しているというようなときには、第三債務者にとっては早く免責の効果をおさめたい。免責の手段がないと不利益を受けることがあり得るわけでございまして、こういった場合に備えて、第三債務者保護のために第三債務者として供託の権利を持つ、つまり権利として供託することができるということにしたのが滞納処分先行の場合の供託でございます。したがって、この供託が後に申します反対の場合に比べると、意味が軽いと言わざるを得ないと思います。 そこで、最も問題になりますのは、強制執行などが先行いたしまして滞納処分が後行ずるという場合、この場合には、もちろん後の差し押さえ私債権者が取り立て権の行使はできないわけであります。これを許したのでは、税債権の持っております一般的優先権がこれはなくなってしまうわけでございますから、それはできないということになりますし、また逆に、それじゃ、一般的優先権を持っているから税金に取らせたらいいじゃないか、後の滞納処分で取らせたらいいじゃないかと言いましても、この場合には今度は先着手主義という原則に矛盾してくるわけでございましてそれもできない。両方できないといういとになるわけでございますので、そうすると、それをうまく軌道に乗せるためには、手続的には両方の取り立てを制限いたしまして、義務的に供託をさせる。そして先に進んでおります強制執行等を主宰しております執行裁判所が、その供託金から税債権を含めて配当する。執行裁判所は、一般に租税債権につきましても交付要求があればこれは税債権も配当するわけでございます。でございますから、こういう場合には第三債務者には全額をとにかく供託をしなさいということで供託をしていただきまして、執行裁判所が私債権と税債権、これを優先順位に従ってみずから配当すると、これが最もスムーズに動く方法であろうと。こういう考え方からこの二種類の供託を認めたわけでございまして、いずれの供託によりましても、第三債務者はそれによって債務を弁済したということで免責の効果が得られるということになるわけでございます。
○宮崎正義君 実際問題、私の聞いている事案がいろいろあるわけですが、それを出しながら御説明を願えれば非常によかったのですが、いずれにしましても、それはそれとして次の問題に入りたいと思います。 私の手元に資料としていただいておりますが、「地方裁判所で処理された滞調法に関する事件数」というのをいただいておりますが、これは処理されたということで、処理されなかったいままでの全体の総数といいますか、総体の件数といいますか、それをひとつお示しを願って、その中でこれこれがこのように処理をされたんだと、こういうふうに資料を出していただけるなら親切な資料の出し方じゃなかろうかと思うんですが、どうなんですか。
○政府委員(貞家克己君) 裁判所の関係でございますので、これは裁判所に連絡をとりまして後ほどお答え申し上げたいと思います。 なお、先ほど資料がございませんということで御答弁を差し控えさせていただきました強制管理の件数でございますが、昭和五十三年に強制管理をいたしておりますのが、既済件数でございますが、土地十一件、建物二十六件、大体この程度でございます。
○宮崎正義君 済みません、もう一回。
○政府委員(貞家克己君) 五十三年度に既済になりましたのが土地が十一件、建物が二十六件でございます。
○宮崎正義君 いまのはやはり既済だけでございますね。ですからどれだけの件数の中の既済なのかということが知りたいわけです。いまのこの資料の問題もやはりそうなんです。こういうところが――いらっしゃるでしょう、裁判所の方々いらっしゃらぬ――いらっしゃらないんだな。そういうふうなことをちゃんとお伝え願いたいと思うんです。 それから、ついでに聞いておきますが、これもまた同じだと思うんですが、滞納処分と強制執行との競合した事件数というものはどうなっているのか。それからさらには、滞納の先行のものあるいは強制執行が先行のもの、これらの件数というものがどうなっているか。それから事件数の不明のもの等があるというようなことはないだろうと思いますけれども、この点についても、本当はここにいらっしゃらなきゃいけないんですがね。要求していないからいらっしゃらないのかどうか知らないけれども、非常に不都合だと思うんですがね。どうですか。
○政府委員(貞家克己君) 御要望の数字等につきましては、最高裁判所に御連絡をいたしまして、できる限り御要望に沿うような数字の記載されている資料を後ほどお届けいたしたいと、かように考えております。
○宮崎正義君 いま私の申し上げたこと会議録を見ればわかりますけれども、申し上げたこと全部わかりましたか。
○政府委員(貞家克己君) 承知いたしております。
○宮崎正義君 いずれにいたしましても、本法律案の問題についてはそれぞれ複雑な事案がずうっと伴ってくる問題でありますので、将来もこの種の調整手続等の問題がいろいろ複雑化してくると思うんですが、それらを見きわめながら次の機会にでもまた質問をいたしていきたいと思いますが、きょうはこれで私の質問やめます。
○橋本敦君 初めに、この法案に関連して二、三お伺いしたいと思います。 今回の法による調整というのはそれなりに一定の合理性があるというように私どもも思っておりますが、この調整の結果、私債権の執行及び滞納処分の執行というのが、言ってみればスムーズにいくということにもなるんでしょうが、それによって債務者に過大な負担を与える結果になりはしないか。債務者保護という観点から見てどうだろうかということも一つは考えてみたいと思うんですが、そういう点について民事局長どういうようにお考えでしょうか。
○政府委員(貞家克己君) この法律は、今回は債権その他の財産権を中心とするわけでございますが、制定当初から両者の手続をスムーズにさせる、私債権につきましても税債権につきましても、法律の不備を補って一般債権者の権利の伸長を妨げるような要素を取り除いていこうと、そういうことがねらいであるわけでございます。もちろん過酷な執行と申しますか、債務者に不当な損害を与えるということは、もちろんこれは強制執行と言わず滞納処分と言わずそれは避けなければならないということは当然でございますけれども、しかしながら、手続の不備に乗じまして不当に債権者の追及を免れるための手段を残しておくというのは、これはいかがかと思われるわけでございまして、本来あるべき権利の実現ということは、やはり国としてこれを能率的に行い得るということにしなければならないということでございます。 そこで、よく議論になりますことは、続行承認決定あるいは続行決定というようなものがあるために、先行手続がせっかくある程度いろんな状況を考えて猶予しているのに、それを飛び越えて後の手続が入り込んでいって債務者を苦しめるんではないかと、こういう御批判があるわけでございますけれども、ただこの続行決定にいたしましても続行承認決定にいたしましても、これは裁判所が相当と認めるという制約があるわけでございまして、これはいずれ裁判所の方で相当慎重に判断をされることになるわけでございまして、決して債務者いじめ、過酷な執行になるようなそういう続行決定というようなものは、私はそれほど心配する必要がないのではないかと、従来の実績に照らしまして私はそういうふうに考えているわけでございます。
○橋本敦君 いも局長がおっしゃった続行決定をめぐってまさにそういう問題が起こりやすいわけですね。たとえば民事執行法でも、強制執行の手続の続行について猶予の申し立てということで債務者の方が債権者に対して同意を得て執行裁判所に猶予の申し立てができる。そういう猶予の申し立てをしているという関係があるときに、その期間中に滞納処分が後から強制執行の続行承認を求めるというような場合に、裁判所は一体どう判断するかというような点について、局長どうお考えでしょうか。
○政府委員(貞家克己君) これは具体的なケースによっていろいろだと思いますけれども、抽象的に申し上げると、裁判所が事件ごとに換価手続を促進することによって生ずる利害得失ということを十分比較検討して決定をするというのがたてまえであろうと思います。でございますから、たとえば一般の場合でございますけれども、差し押さえ物を換価しても、先行の滞納処分による租税によってもう残余が生じる見込みがない場合でございますとか、滞納処分の手続がいまは猶予されているけれども、これは近い将来に進行することが予想される場合であるとか、あるいは適当な見積もり価額がされているのにかかわらず、買い受け希望者がなくって購買が遅延しているというような場合には、これはあえて後行の強制執行等の手続を続行する必要がないというふうに考えられるわけでございまして、そういった場合には、結局私債権者に実益をもたらすことがないというふうに判断されるわけでございますので、そういった点も裁判所はやはり比較考量をして決定をされることになるのであろうと、私どもはかように期待しているわけでございます。
○橋本敦君 結局、裁判所のそこのところの運用に対する期待というのも大きいわけですね。また、裁判所がそういうふうに運用してもらわないと困るわけですね。 それで、たとえば差し押さえ私債権が先行している場合に和解ができる。つまり不動産の換価処分ではなくて、和解の結果、営業を保証しながら順次弁済をしていくと、こういう和解ができる。しかし、滞納処分が後に入ってきて続行承認ということになりますと、その和解の可能性をつぶすということにもなるんですね。そこらあたり私心配するんですが、局長どう思われます。
○政府委員(貞家克己君) これは一概に申せないと思いますが、前の和解ができるということであれば、そちらは取り下げに終わるわけでございますね。ですから、結局は相当性の判断ということになると思いますが、しかし滞納処分という、後行ずる滞納処分、しかも優先権を持っている、その要素を無視して私債権者、私債務者の和解ということで、そちらに不当な不利益を課するということは、これはまた許されないことであろうと思いますし、その辺の判断は、具体的なケースに応じて、やはり裁判所が――裁判所の良識に期待するという以外にはないのではないかというふうに考えております。
○橋本敦君 先ほど第三債務者からの供託の問題が宮崎委員からも指摘されて、私もこの点、局長の説明はそれなりの説得力があるとは思うんですが、第三債務者が供託しなければならないということを三十六条の六で決めると。この供託の時期は、もちろんその履行期が到来してからの話になるということでなくちゃならぬと思いますけれども、もし供託をしない場合にどうするかという問題はどうなりますか。
○政府委員(貞家克己君) 供託をいたしませんと、それは取り立て訴訟ということにならざるを得ないと思いますが。
○橋本敦君 私債権が先行している場合に、請求異議の訴えがあって、裁判所が執行停止を認めた。その場合の滞納処分が後行ずる場合の続行承認はどういう関係になりますか。
○政府委員(貞家克己君) それも続行承認がされるということになると思います。
○橋本敦君 そういたしますと、供託金を出してわざわざ執行停止をとったにかかわらず、続行承認ということにすぐいきますと、何のために供託したかということが今度はわからない。実際上の不利益を受けるわけですね。だから、そこらあたりの今後の調整を、私は合理的な裁判所の運用というのは非常に大事になってくる面がこの調整によってもまだまだ出てくるだろう、こう考えているわけですね。 そこで、いま私がいろんな指摘をしましたけれども、租税債権の優先性ということ、これはここで論ずるより国税徴収法で論じなくちゃならぬ問題ですから、しばらくおきますが、それと複雑な今日の市民社会関係との調和という点では、今後やっぱり検討すべき課題があるし、いま私が局長に質問したような点については裁判所の運用ということでいろいろやっぱり合理的にやっていかなくちゃならぬ課題が残るわけですから、今後この運用については裁判所の方にも私が指摘したことを適当な機会にお伝えいただいて、局長のおっしゃる合理的な運用によって、過大な負担が債務者にかからないような配慮をぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(貞家克己君) 私ども法律を所管しております立場から、運用の衝に当たる、なおそれ以上に――それ以上にと申しますか、それとは別個に、裁判所規則の制定されます裁判所当局に対しましても、御指摘のような問題点は十分お伝えいたし、また大蔵省当局とも合理的な調整のあり方、あるいはさらに進んで国税徴収に関連した問題等についても協議を進めてまいりたいと、かように考えております。
○橋本敦君 以上、お願いしておきます。 国税庁の方からお越しをいただいておりますので、そちらの方に話を移してまいりたいと思いますが、浜田幸一氏の問題で、浜田金脈という問題が非常に議論をされるようになりました。以前には田中金脈問題があり、国税庁もいろいろと御苦労なさって、それなりの対応と処理をされてきたわけであります。 まず最初に伺いたいんですが、この浜田問題に関して佐野商事株式会社という会社がある。これは社長は佐野という人がですが、浜田氏の側近の一人と言われておる。浜田さんのお父さんの甚三郎さんがこの会社の監査役をされておる。この佐野商事はいろいろと土地を売買いたしまして、田中金脈で問題になった新星企業あるいは小佐野賢治と関係の深い日本電建、こういった取引も数々やっておったようでございますが、土地ブームの盛んな四十八年、九年あるいは四十七年ごろからは年間百億を超える取引があったとも言われている会社であります。この会社について税務署の方で税務調査を四十九年に行われたということでありますが、この税務署の行われた調査結果について御報告をいただきたいと思います。
○説明員(四元俊明君) お答え申し上げます。 一部マスコミ等で佐野商事株式会社をめぐります税務の問題が取りざたされております点、私どもも新聞報道を拝見しまして承知しておるわけでございますが、一つは税務の非常に個別の事柄にわたりますので、従来から調査の内容等については答弁を差し控えさしていただくことをお許しいただいておるわけでございますが、もう一つ本件につきましては何分ちょっと古い話でございまして、新聞等で取りざたされたこともございまして、私どもなりに内部の資料等のチェックを試みてみたわけでございますが、資料の保存期間も経過しておりまして、正確な把握はできませんという事情もございまして、大変申しわけないんでございますが御質問に対して率直にお答えできかねる点お許しいただきたいところでございます。
○橋本敦君 わかっている範囲で述べていただけますか。要するに、この佐野商事株式会社に対して税務調査を行ったこの事実はありますね。そしてその結果どういう処置をしたか。その結果はいかがですか。
○説明員(四元俊明君) 当時の関係者等に当たりましたところ、ちょうど言われておりますように、四十九年でございましたか、税務調査を佐野商事株式会社に対しまして実施したことがあるという点は事実でございます。その結果につきましては、答弁を個別にわたりますので差し控えさせていただきたいと思うんでございますけれども、一般的に申し上げまして、本件の事案はマスコミ等でも取りざたされておりますように、大口の土地譲渡に関連した事案でございまして、こうした事案につきましては、私どもかねてよりそうでございますけれども、いろいろな資料、情報を集積いたしまして、重要な関心を払って適正な税務処理に努めるというのが私どもの基本的な方針でございますので、一般論で恐縮なんでございますけれども、本件につきましても、そういった意味合いから必要な税務処理を実施してきたものであるというふうに御理解いただきたいところでございます。
○橋本敦君 必要な税務処理ということは、つまり所得を的確に把握をして、それに適正な課税を課す、こういうことですから、その処理の結果、必要な処理として、一つは過少申告漏れがあれば修正申告をさすこともある。あるいは独自に更正決定をやることもある。いろいろありますわね。いずれにしても、いまあなたがおっしゃった適正な処理ということでもって、この会社に対して法人税本税、加算税を含めて、要するに架空経費その他認められない部分が多くて、一億円以上の徴収を決定をされたというように私は聞いておりますが、それは間違いありませんか。
○説明員(四元俊明君) 何分税務の個別の事柄にわたりますし、それから非常に古い話でございまして、その二つの理由から、ひとつこの席でのこれ以上の答弁を遠慮させていただきたいのでございますが、大変申しわけございませんけれども、お許しいただきたいと思います。
○橋本敦君 これはいままさに問題になっている問題でもあるし、それからさらに、課税があなたのおっしゃるように適正にやられたかどうか、また適正な調査がやられたかどうかということでもって、国会の国政調査の対象にもなる事項ですし、しかも政治家と密接にかかわる問題ですから、一私人のプライバシー保護という域を越えて明らかにする姿勢を国の方は持たなくちゃいかぬ事案じゃありませんか。 要するに、私は一億以上の追徴ということを言いましたが、それは滞納処分手続に移行せずに全部入ったのか。滞納処分手続をやってでも取ったのか。その点はどうですか。金額は後でまたいいですが。
○説明員(櫻井直君) 御質問についてお答えいたしますが、ただいま法人税課長がお答えいたしましたのと同じように、その滞納税金が幾らになるかというふうなことにつきましても、これは納税者の非常にプライバシーに密接に関係する事柄でございまして、私ども従来一切そういうことについての答弁は差し控えさせていただいておるわけでございますので、これはこの際ぜひその点はお許しいただきたいと、かように思うわけでございます。
○橋本敦君 守秘義務とかなんとか言って、大蔵省がロッキード事件以来一番答えないんですよ。われわれは国民のすべての問題をここで議論しているんじゃないんですよ。特定の国政にかかわる事案について議論をしているので、もっとはっきり物を言ってくれたらどうですか。 要するに、この佐野商事株式会社に調査をやって一定の処置をとったことまではっきりされているんですよ。そのとった処置が、事後税金を一体どれくらい取り立てたかという問題、そしてその取り立て手続が滞納処分手続であったか、任意に払ったか、あるいは残っているのか、ここらあたり答えられる限り答えてください。
○説明員(櫻井直君) ただいま先生の方からの要望もございますので、まあ納税者のそういうプライバシーという点からいきまして差し支えないと思われる範囲でお答えいたしますと、佐野商事株式会社につきましては、法人税本税及び加算税については現在全部納付済みでございます。
○橋本敦君 要するに、この会社がその当時申告漏れあるいは脱税の容疑で調査を受けた事実ははっきりしたんですが、問題は、この会社がそういう使途不明金、あるいは税務署が正当な経費と認められないという、そういうことでもって税務処理をしたというその使途不明金が一体どこに行ったか、こういう問題が次に出てくるんですね。この関係では佐野社長は、浜田氏との関係については、櫻内幹事長じゃありませんが、死んでも言えないというようなことをある記者に語ってます。そういうわけで、浜田金脈と言われる一つの問題は、この佐野商事会社を徹底的にやっぱり税務の面からはっきりさせていかなくちゃいかぬという問題が一つ。 それからもう一つは、君津興産ですよね。この君津興産については、これはこの間の十四日の航特でも問題になりましたけれども、まさにこの君津興産は、四十七年ですけれども、土地の売買、新星企業に売ってかなりの、四億円を超す利益を上げた。この四億円を超す利益を上げた、これが正確に所得申告されていたかどうか、この点はどうですか。
○説明員(四元俊明君) 君津興産の事案につきましても、先般私どもの長官から委員会で答弁させていただいたところでございますけれども、これも大変古い事案でございまして、申告書その他の原本は廃棄されておりまして、正確にいまとなってフォローすることが正式にはできないのでございますが、まあいろいろな間接的な資料、状況等から判断できるところで一般的にお答えさせていただいたわけでございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、君津興産の場合も大口な土地取引に関連した税務上の問題でございまして、こういうものにつきましては、私どもいろんなルートで情報を集積いたしまして必要な税務処理を行うというのが基本的な方針でございまして、この君津興産にいたしましても、必要な税務処理を行ってきたものと私どもは推察をしているところでございます。
○橋本敦君 佐野商事については四十九年調査を行い、金額はおっしゃらないけれども、事後処理はやったということはおっしゃった。この金額は一億円を超える大きな金額ですから、これはもうこの千葉の君津にとっては大きな事件ですからね。だから資料がないとかいうようなことでもう終われるような事件じゃないですよ。まあ重ねて聞きますけれども、この事後処理については、もう完全に納付済みだとおっしゃいましたけれども、事後処理で佐野商事が納めた金は一億円を超える超えない、この範囲で言うと一億円を超えることは間違いありませんね。正確な金額まで言ってくれとは言いません。
○説明員(櫻井直君) 納付した額は幾らかというふうなことにつきましては、これは非常に納税されました方の秘密にわたることがございますので、大変恐縮でございますけれども、この席でのお答えはお許しいただきたいと思います。
○橋本敦君 この佐野商事は合計二億四千万の脱税の疑いが持たれている。そのうち、特に一億四千万円はこれは所得隠しということで過少申告をしたと認められる。残りの一億円余りについては架空経費の計上で非常に悪質だった、こういうことで厳重な調査をされ処理をされたと。こういう意味では、悪質な所得隠しあるいは架空経費の計上をやっておった、こういう状況があったということはお認めになりますか。
○説明員(四元俊明君) 悪質か悪質でないかという点も含めまして、私どもこういうような大口の土地取引に絡みます税務処理につきましては、非常に関心を持って厳正な対応をいたしてきておりますので、そういった意味合いから、佐野商事につきましても厳正な税務処理を実施してきているということを御説明さしていただきまして御理解を賜りたいところでございます。
○橋本敦君 厳正な処理はいいのですよ。厳正な処理をなさるについて、この会社がいま私が指摘したような、税務署から見て架空の経費まで計上して所得隠しをしようとしておったような事実もあった、こういうことは調査の中であったならあったと認めていただいていいじゃないですか。どうですか。
○説明員(四元俊明君) 先ほど来たびたび申し上げておりますが、大変申しわけないのでございますが、私どもも国政調査権に対しまして極力御協力させていただくというのはもう基本的な努めである点は重々承知しているのでございますけれども、一応やっぱり税務の個別の事柄につきましては、従来から円滑な税務の処理納税者の利益の保護というような観点、そういった公的な立場も反面においてはございますので、答弁を差し控えることをお許しいただいているところでございますけれども、ひとつその点御理解をいただきたいところでございます。
○橋本敦君 のれんに腕押しと言うけれども、大蔵省はもっとはっきりと――国政にかかわる重要問題、しかも政治家にかかわる問題として言っているのですよ。大平総理だって政治家の資産は透明でなくちゃならぬと言っているじゃないですか。これに関連する会社を私聞いているのですよ。一私人を聞いているわけじゃない。いま君津興産の話も出たけれども、これについても、大口土地取引に関連をしていろんな情報を税務署が注意をされて、税務調査の見直しをやられて必要な事後処置をとったということは間違いないですか。
○説明員(四元俊明君) 何分古いことでございますので、私どももいろんな間接的な情報からもう一遍確認をできる限りはしてみたわけでございますけれども、原本はいまや確認できませんので、周辺の資料から間接的にということになってしまったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、こういう大口の土地取引につきましては十分必要な税務処理を図ってきている、こういうふうに私ども考え、理解をしているところでございます。
○橋本敦君 大口の土地取引を浜田氏のダミーの会社がやって、あとは税務処理をきっちりやった、その大口の土地取引について非常に注意をして調査をされたと言うのだが、そこで君津興産名で上げた四億円を超える利益あるいは佐野商事がいわゆる使途不明金や経費の架空計上で隠そうとした二億四千万、これを税務署としては厳重な調査をやったと言うのですけれども、この大口取引に絡んでこの会社が上げた利益が、使途不明金その他によってこれと密接な関係のある浜田幸一さんにどれだけ行ったか行っていないか、これも土地取引に絡んで関心があるはずですね。この点に関して浜田氏の所得の洗い直しをその当時やりましたか。
○説明員(木下信親君) 浜田氏の所得につきましては、過日の衆議院の航特委で長官が申し述べましたとおり、私の方から再びここで申し上げますと、もう四十八年の所得には大口の譲渡所得が個人としてございますということを長官が申し上げております。 その内容は申し上げ……
○橋本敦君 いいです。
○説明員(木下信親君) よろしゅうございますか。
○橋本敦君 浜田氏の所得は、四十八年だけが三億四千百十八万。これは国税庁長官がおっしゃったように、四十八年十二月十日に富浦町多田良の山林約二万ヘクタールを売却をした、そういう関係でこの所得がこの年はふえているという説明があった、こういうことですね、いまおっしゃろうとしたのは。
○説明員(木下信親君) はい、そのとおりであります。
○橋本敦君 ところが、四十七年は千五百三十七万、四十九年は千六百十二万、五十年は千百七十六万、五十一年は千二百九万、五十二年は千百八十七万、五十三年は千二百十六万、これが浜田氏の申告所得額になっている。だから、不動産を売却してばくちの金を払ったと彼は言いますが、売却したことが申告所得にあらわれているのは四十八年の分だけだ。これ以外に君津興産なり佐野商事はいまおっしゃったように、大口の土地取引でずいぶんと土地を動かし利益を上げている。そういうことに関連して、いまおっしゃったように佐野商事では税務事後処理までやられるような――いいですか、私どもの言葉で言えば使途不明金、所得隠しがある。君津興産についても適正にやったと言われるが、その内容がもっとはっきりしないと、土地取引に絡んで君津興産から浜田氏に幾らお金が行ったか、ここも追及しなくちゃならない。そういう点はこの申告所得に全然あらわれておらないと見ていいですよ、いま私が言った数字では。四十八年だけしか出ていない。会社の方は使途不明金ですよ。そして、浜田氏の方はそれとの関係で、使途不明金で税務処理だけして追及もされないからそのまま脱税ということになったら、これは片手落ちですわな。だからしたがって、浜田氏と密接な会社だから、四十八年の問題以外に四十七年、四十九年、五十年についても当然浜田氏の所得の調査というのを当時やっていなきゃならぬという事情にあると思うのですが、やったんですか、やらぬのですか。やったかやらぬかでいいです。
○説明員(木下信親君) 毎年の調査は何らかの形で――机上審理であるか、あるいは実地調査であるか、これを問わず、いずれにしても審理をいたしております。
○橋本敦君 それは一般的な答弁。具体的に君津興産、佐野商事からの金の流れについて疑問を持って調査をしたことがあるかという質問なんですよ。具体的な質問。そういう調査をやったことがあるのかないのかで結構です。
○説明員(木下信親君) 私どもの調査におきましては、あらゆる利用可能な資料と情報を利用して検討を加えております。
○橋本敦君 これは私ども国会議員だからわかるんですが、一般的な調査ということで、具体的なケースについての調査というのをおやりになるときは特別な調査やらなくちゃならぬですよ。そういう調査をやったのかと聞いているんですよ。私はやってないと思う。あなたのおっしゃる一般的な資料調査したというだけじゃないですか。具体的に君津興産からの金の流れ、あるいは佐野商事からの金の流れ、税務署が正当な経費とも認定できない、過少申告と言わざるを得ない、あるいは財務上使途不明金と見られる金、これが佐野商事にもあったはずですよ。君津興産にもあったはずですよ。その流れの追及の関連で浜田氏の所得を調査したことがあるかと、具体的に、こう聞いているんですよ。やってないでしょう、そういう私が言ったような問題意識では。
○説明員(木下信親君) 私がいままで答弁いたしましたほかに、一般的に私どもどういう調査をしたか、あるいはしたかしなかったか、この調査の中身はどうであったか、こういうこともこういう席で申し上げたことはございませんので、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
○橋本敦君 何も答えないために来てもらったつもりないんだけれどもね。 そこで、この間から議論になっておるけれども、仮に四億五千万円の金を小佐野氏に払ってもらったんじゃない、自分が財産処分して払ったのだと言えば、申告所得であらわれている財産処分は四十八年だけ、しかも国税庁長官が御説明になったように、手元に残る金は二億八千万か九千万程度、四億五千万払えるわけないです。後の申告所得を見たって四億五千万のばくちで負けた代金を彼が払ったと言うなら、この申告所得のどこかにあらわれてなくちゃならぬが、何もないです。いわゆる、要するに隠し金で払ったか払ってないかのどっちかですよ、そう思いませんか。この申告所得額から見てどう思います。四億五千万払うだけの所得があったと見ますか、どうですか。
○説明員(木下信親君) 四億五千万の負債があったかどうかということすら私ども……
○橋本敦君 負債があったとしたら――浜田氏は払ったと言っているんだよ。
○説明員(木下信親君) それからもう一つ私どもがわからないのは、仮に申告所得が三億ぐらいとして、そのほかに株式の売却金、こういう申告に反映されていないもの、そのほかたとえば配当利子という分離課税になっているもの、こういうものもあるかもしれない。そういうことを加味すれば、結局払えるか払えぬかよくわからぬというのが私どもの本当の理解でございます。
○橋本敦君 加味したところで払えるか払えぬかよくわからぬでしょう。彼が多額の株式を持っていたとかなんとかいう話も余り聞かないからね。まさに浜田氏の金脈というのはこの二つの会社からの関係というのは重要な視点になってきておるんだから、税務署はもっと調べなくちゃいけませんよ。 浜田氏は五十四年七月十七日に富津市の大堀字砂山二千番地の一、二、三、この三筆にまたがる土地の上におうちをお建てになっておるんですね。登記簿によりますと、いま言った五十四年七月十七日新築、これは木造かわらぶき二階建ての居宅ですが、一階が三百三十三・五三平米、二階が五十六・六四平米、下だけで約百坪の家ですが、これはもう地元でも有名ですけれども、浜田御殿と言われて豪壮な総ヒノキづくり、だれが見ても一億五千万はかかっただろうと、こう言われておるわけですね。これは五十四年にお建てになった。この登記謄本によりますと、この家を建てる直前の六月三十日付で千葉銀行から五千万円の借り入れをされております。ところが、この五千万円でとても建つ家じゃありません。ばくちを払ったと本人はこう言うし、申告所得はいま私が指摘した年間一千万少々の程度だし、五千万円借りたとしても一億近い出費をして豪壮な家を建てるということになりますと、これはやっぱり疑問が残らざるを得ない。 こういう大きな家を建てた場合にあるいは土地を購入した場合に、税務署は、その資金がどこから出たか一般的にこれは通常調査をなさるんじゃないかと思いますが、どうですか。
○説明員(木下信親君) 先生おっしゃるとおり、一般的に家の新築、あるいは増築などが行われた場合には、税務署から、これは建築確認資料とか、その他消防署の資料とか、電力会社の資料とかでわかるわけでございますから、これらを端緒としまして、お尋ねというものを出しております。それに対して回答いただいて調査をすると、それからもう一つは土地の場合、この場合もやはり登記資料から同じようにお尋ねを出して回答をいただいて税務処理している、これが一般的なわれわれのやり方でございます。
○橋本敦君 そうですね。浜田氏が土地を取得されたのは四十八年であります。三筆の土地ですが、この所有権移転登記が四十八年の十一月五日受け付け、これで三筆の土地合わせまして、二千番の一の土地が千四百十三平米、二千番の二の土地が七百一平米、二千番の三の土地が三百三十七平米、この家の敷地が合計して二千四百五十一平米――七百四十坪余りですね。かなり七百坪の敷地ですから広大なものであります。これを浜田氏が取得したのは登記上いま言った四十八年ですが、これはいまおっしゃったような一般的調査で当然調査をされたと思いますが、調査の結果、これの買い入れ資金等について浜田氏のこの申告所得との関係で疑問はありませんでしたか。
○説明員(木下信親君) 調査の中身につきましては、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
○橋本敦君 家の新築は五十四年七月十七日、去年の七月ですが、これはいま調査中ですか。
○説明員(木下信親君) 五十四年につきましては、過日五十四年分の所得の申告期間が終わりまして、申告書が提出されたばかりでございまして、これからそれを見てこういう資産取得との関連を調査したいと、こういうふうに考えております。
○橋本敦君 それではこの一億円を超す広大な家の資金がどっから出たかという問題については、これから五十四年の申告所得との関係でよく調査をする、こういうことですね。そこで徹底的にその調査をやってもらわなくちゃなりません。どうしても疑問が残る。もしも仮にこの疑問が残るとすれば、五十四年度だけではなくて、さかのぼって浜田氏の所得について当然調査の手を伸ばしていくべきだ、一般的には過去にさかのぼって何年まで調査ができますか。
○説明員(木下信親君) 申告が――先生のおっしゃるのは調査の、調査というか、処理の除斥期間のことでございますか。
○橋本敦君 そうそう。
○説明員(木下信親君) 一般的には五年が最大限でございますが、三年の場合もございます。
○橋本敦君 だからしたがって、最大限五年にさかのぼって調査をすれば、四十九年、五十年あたり、つまり君津興産や佐野商事が大もうけをして事後処理をされていた時期との関係での、そのころにまでさかのぼることも可能である、私はこの点強く、調査を最大限過去にさかのぼってもやってもらいたいと、こう思います。この公示所得から見て賭博の代金を支払ったということは予想もされないし、また賭博の代金を仮に支払ったとしたら、一億円以上の豪邸を建てる資金がどっから出たかますます疑問になってくる。こういう疑問もありますから、いまあなたがおっしゃったこの家屋の新築をめぐってのこれからの調査では可能な限り厳重な調査をやると、公正にやるということはお約束いただけますか。
○説明員(木下信親君) 可能な限り公正な調査をいたします。
○橋本敦君 この土地の取得についてちょっと私、手続的な問題で民事局長にお尋ねをしたんですが、農地を取得する場合は、通常農地法五条の規定によりまして、広大な土地でない場合、通常の土地ですと、県知事の許可を要することになりますね。間違いありませんか。
○政府委員(貞家克己君) 仰せのとおりでございます。
○橋本敦君 その許可がないままに所有権移転登記は登記として可能ですか。
○政府委員(貞家克己君) 不可能でございます。
○橋本敦君 そういたしますと、登記簿上では種目は農地、畑になっていますけれども、現状が農地でないということであれば、登記の表示いかんにかかわらず農地でないという証明があれば所有権移転はできますか。
○政府委員(貞家克己君) 通常は農業委員会発行の現況証明書を添付していただきまして、地目を変更し、所有権を移転すると、かような手順になると思います。
○橋本敦君 地目の変更手続が後になって、現状農地でないという状況証明によって所有権移転登記を先にするということもありますか。
○政府委員(貞家克己君) まず地目を変更してからということにならざるを得ないと思います。
○橋本敦君 そうすると、地目変更前では、農業委員会の農地でない現況証明をつけてきても知事の許可がないと移転登記は受け付けない、こういうことですか。
○政府委員(貞家克己君) もう一度、御質問の趣旨を取り違えているかもしれませんので。
○橋本敦君 そうしますと、こういう聞き方をしましょう。農地法五条の知事の転用許可がおりて所有権移転する場合、その所有権移転登記を見ますと、知事の許可がおりたということは登記上わかるように記載がありますか。
○政府委員(貞家克己君) 登記簿上はそれはございません。
○橋本敦君 この浜田氏が取得した土地について私が疑問に思いますのは、地目はもともと畑、農地でありました。農地です。そこで、彼がこれを買い受けるにつきまして、最初は四十八年二月二十日受け付けで条件つきの所有権移転の仮登記をしております。(条件 農地法第五条の届出の受理)と、こうあります。つまり、これは農地ですから、浜田氏は初め県知事への許可申請をやるという手続をやったわけですね。だからそのことが登記上出ている。ところが、この地目が四十八年十月三十日の日を原因として雑種地に変えられておる、雑種地に。で、私が法務局で調べたところ、雑種地に地目を変えるについては、富津市の農業委員会の現況農地でないという証明書が添付されていた。そこで法務局はその農業委員会の証明を根拠として畑を雑種地に変えた。こういう手続をしているわけです。農業委員会の証明でこういうような地目変更ができることは間違いないでしょう。
○政府委員(貞家克己君) 仰せのとおりでございます。
○橋本敦君 ところで不思議なのは、最初これを買い取ったときは畑ですから、農地法五条の手続をしようと思って仮登記までつけて農地法五条の届け出の受理ということで登記簿にも出て、知事の許可を求めなければならぬ農地であったことは浜田氏も百も承知。ところが、その四十八年の十月になりますと、今度は知事の許可の手続がなくて、農業委員会の農地でないという証明をもらって地目変更をしている。いいですか、四十八年十月三十日を原因として。で、彼はどうしたかというと、これを買い入れて整地をして駐車場にしておったと、こういうんですよ、私が調べてみますと。これは勝手に農地をつぶしたという意味で集地法五条違反、罰則でいうならば、農地法の九十二条で三年以下の懲役または十万円以下の罰金ですよ。それで、自分でつぶしておいて、今度は現況農地でないからという証明を富津市の農業委員会に書かせる。浜田氏の権限や力を持ってすれば、市の農業委員会にこれ書けと言うのはたやすいことでしょうね。それで法務局にそれを出して、それでもって地目変更をやって雑種地に変えた。これはもうりっぱな宅地ですよ、雑種地になる。それで今度は四十八年十一月五日に所有権の移転の登記をやっておる。しかも奇怪なことは、最初農地法五条で知事の許可を受けるという条件でつけた仮登記は、売買の原因が四十八年二月二十日売買を原因として仮登記されているのに、雑種地に変えた後の売買は四十八年十月十六日売買、全然違った売買契約で所有権移転登記やっているんです。つまり、強いて言うならば知事の許可を受ける前に畑を買い取って、農地法に違反をしてつぶして、駐車場その他にして、雑種地にして、それでそうした結果農業委員会に現状は農地じゃないぞと、こういう証明を書かしている、わずか数カ月の間に。それで自分が知事に申請しようとした許可手続をもうとらないで、いち早くそういう簡易な手続で宅地にしてしまってその上に家を建てた。私は、こういうやり方は政治家としては農地法を潜脱し、これをネグって、不法に簡易な農業委員会の証明ということで地目変更ができるということを悪用した、不法不当なやり方ではないかという疑問が生ずる。こういう問題について、その当時の現況、非農地証明というようなものが出されて、そしてその経緯についてどうであったか、いまから私は法務局に調べてもらいたいと思いますが、いかがですか。登記謄本は後で出します。
○政府委員(貞家克己君) 確かに御指摘のような事情でございますと、実質的に農地が雑種地に実体が変わっているわけでございます。ただ、それがどういう原因でそう変化したのか、前に恐らくそういう農地法五条の届け出が受理されることを条件とするという以上は農地であったと推測されるわけでございますし、また昭和四十八年十月三十日現在におきましては農業委員会が証明しておりますので、これは現況が雑種地になっていたということが真実であろうと思われるわけでございますので、その間に土地の実体について変更があったと、そう推測せざるを得ないわけでございますが、ただそれが何びとの手によっていかにしてそうなったかということは、登記上と申しますか、私どもの方ではこれは何とも申しがたいということになるわけでございます。
○橋本敦君 まあ、そういうことを利用して悪用されているきらいがある。で、法務局も農業委員会の非農地証明が出てきてもできるだけやっぱり現況を確認をして、そこのところでやっぱりその非農地証明がことさら農地法五条の許可をネグっていく手段に利用されないように、指導なり通達なりでできるだけ現況は調べてやるというような指導をなさっているんじゃありませんか。
○政府委員(貞家克己君) 実地調査につきましては、事情の許す限り積極的に不動産の実地調査を行うということで準則も定めておるわけでございますが、ただすべての場合に実地調査をやるということになりますと、これは膨大な事務量になりまして、とても私どもの法務局では賄い切れない現状にあるわけでございます。したがいまして、農業委員会の現況証明というものを信用いたしまして、それがあります場合には実地調査は省略するという実情でございますが、もちろん法律のたてまえはできる限り実地調査をするということでございます。今後といえども実地調査の範囲をでき得る限り拡大していきたいと、さように指導もし、いろいろ物的、人的な面でも配慮をいたしておるつもりでございます。
○橋本敦君 ですから、局長もおっしゃったように、農地法五条の許可手続をとろうとしたということを見ても、四十八年の二月段階で現状農地だと、それを承知で買い受けたということはわかるでしょう。それが十月になって農業委員会の証明で非農地と、こうなったんで、いま局長がおっしゃったように、できるだけ現地調査をするという方針もあるんだから、この浜田氏のこの件についてどういう経緯で地目変更がされたか、どういう非農地証明がついていたか、調査をした上その結果を私、報告を受けたいと思うんですが、この経緯について当時どういう扱いをしたか調べていただけますか。
○政府委員(貞家克己君) 可能な限り御要望に沿うようにいたしたいと思います。
○橋本敦君 時間が参りましたので終わります。 ―――――――――――――
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま加瀬完君及び阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として大森昭君及び吉田正雄君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二分散会 ―――――・―――――