法務委員会 第5号
- 発言数
- 384 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/04/08
会議録
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として財団法人法律扶助協会事務局長大屋勇造君の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 KDD関係の質問をいたしたいと思います。 KDD事件は、板野学前社長が四月五日の夜逮捕されまして、新しい展開が期待されるわけであります。逮捕の容疑は業務上横領ということになっておりますが、捜査当局の本当のねらいがKDDの政界工作の解明にあることはいまや国民の常識となっていると思います。国民の期待もそこにあると思います。国民が抱く疑惑は、昭和五十二年の暮れから五十二年の春にかけまして、KDDの国際通話料金が高過ぎるとして値下げが国会において要求せられたわけでありますが、当時服部郵政大臣が五十三年二月の衆議院予算委員会で、同じく三月の参議院予算委員会ではいずれも値下げに積極的な御意見を表明されたのであります。ところが、衆参両院の四月、五月における逓信委員会におきますと、それがにわかに慎重論あるいは消極論に変わってまいりました。この変心が私どもの疑惑を寄せるゆえんなのであります。私どものいま取得しました情報によりますと、ちょうど五十三年の五月二十五日に、当時の服部郵政大臣と板野学社長とが赤坂の「山崎」という料亭、同日に「口悦」という料亭で二人きりの密談をいたしておる事実が明らかになっておるわけであります。しかも、このときに服部郵政大臣は特別な護衛もつけずに、ただ一人カバンを持って料亭に入ったということさえも明らかになっております。一方、板野学社長も週刊誌大の紙袋を持ってやはりこの料亭に一人入って、そして服部郵政大臣と二人で密談をこらしたという事実が明らかになっておるようであります。捜査当局はこの事実を掌握していらっしゃるかどうか、まず刑事局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(前田宏君) KDDの板野元社長を去る四月五日に業務上横領で逮捕したわけでございますが、その前後と申しますか、ころから、ただいま寺田委員の仰せになりましたようないろいろな見方と申しますか、そういうようなものが報道等で出ておりますことは承知しております。しかし、いま仰せになりましたような板野元社長と当時の大臣との、まあ密談というお言葉をお使いになりましたけれども、そういうようなこと、これもまた新聞報道でなされておることは私も承知しておりますし、捜査当局も恐らく承知しておると思いますけれども、いずれにいたしましても、その辺はこれからのことでございます。と申しますのは、現在は先ほど申しましたように業務上横領ということで逮捕し、勾留が認められたばかりでございまして、それ以上のことはまだはっきりしていないわけでございます。
○寺田熊雄君 捜査当局としては、この間の経緯に対して相当大きな関心をお寄せにならなければおかしいと私ども思っております。この事実にあなた方がどういう関心を寄せていらっしゃるのか、その点をまずそれじゃお伺いしましょう。
○政府委員(前田宏君) ただいまも申しましたように、先ほど寺田委員が仰せになりましたような物の見方と申しますか、今後の事件の推移についていろいろな見方がなされていること、これは承知しておるところでございますし、捜査当局も当然承知しておるというふうに思うわけでございますが、現段階で、先ほど申しましたように今後の捜査がどういうふうに進むかということ、たとえば特定の政治家の方について、犯罪の疑いありということですぐに取り調べるというような予定であるとかいうような報告には接していないわけでございますし、また仮に受けておりましても、事柄の性質上この席で申し上げるわけにはまいらないわけでございますので、御了承を賜りたいわけでございます。
○寺田熊雄君 同時に、ちょうどこの問題が新聞紙上をにぎわしておりました五十三年の二月、この二月から五月にかけまして服部郵政大臣が深く関与しておる、その経営の一翼を担っておることは間違いないと考えられます株式会社インテリア・ルイという会社からKDDが高級の輸入家具、室内装飾品、これを三回に分けまして二千万円近く買い入れたという事実があるようであります。これもちょうど国際通話料金の値下げが問題になっておるその時点と一致いたしますので、捜査当局としては先ほどの料亭における密会と同様に、この問題についても当然掌握しておられなければおかしいと考えておるんですが、この事実ももちろん掌握し、そして関心をお持ちでしょうね。これはいかがでしょうか。
○政府委員(前田宏君) ただいまの点につきましても、最近でございませんで、前からそういうことがいろいろと新聞等でも報道されていたことでございます。で、今回板野元社長が逮捕されたことを契機にいたしまして、またそういう点についていわゆる疑惑といいますか、問題があるのではないかということが重ねて報道されておるわけでございますし、ただいま御指摘のようなことであろうと思いますが、これも先ほどの問題と同様に、これまでもいろいろと話題といいますか、なっていたわけでございますから、捜査当局といたしましても十分そのことは、そういう事実が報道されておるということ、それが問題になっているということ、これは承知しておるものと存じております。
○寺田熊雄君 こういう疑惑はきわめて合理的な疑惑でありまして、大臣の国会における発言というものは非常に重い意味を持っております。その重い意味を持つ大臣の発言がわずかな間にさま変わりしておる、豹変しておる。そのときにちょうど問題となっている相手方の首脳と郵政大臣とが密会をしたとか、あるいはその郵政大臣の経営に係る会社から物品を購入するとか、そういうことが符節を合しておる。それに対して疑惑を抱くということは、これは国民としてまことに無理からぬことであって、それの解明こそがいま司法当局に課せられた大きな課題であると私は考えております。ですから、やはり司法当局としては、そういう国民の疑惑にこたえるだけの気構えといいますか心構えというか、そういうものをお持ちいただくことが私は国民の期待にこたえるゆえんであり、何よりも大事だと思うんです。そういうやはり心構えといいますか、それをお持ちいただくことが何よりと思いますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 改めて申し上げるまでもないと思いますが、いわゆる疑惑、これはいろいろあるわけでございます。また、一般の目から見て、政治家としてあるいは公務員として好ましくないようなことというものがあり得るわけでございますが、そういうことが仮にありました場合でも、そのすべてが犯罪になるわけではないわけでございます。このことは専門家であられる寺田委員も当然御承知のとおりであろうと思います。したがいまして、いろいろと疑惑がありました場合に、それを捜査当局は刑事事件の目からこれをとらえて捜査し処理をするわけでございますので、事柄の性質上、言われることにはおのずから限度があるわけでございます。しかしながら、今回の件につきましては、国民の関心と申しますか、また捜査当局に寄せる期待と申しますか、そういうものが非常に高いということは警察もまた検察当局も十分承知しておるところでございますので、限界は一面ございますけれども、その限度内で力の及ぶ限り最大の努力を尽くすものと考えております。
○寺田熊雄君 法務大臣にこの際。やはりKDDと服部元郵政大臣との間の絡まる疑惑です。これはもう新聞紙上に大変大きく報道せられておることでありますので、大臣もこれは御存じだと思います。国民は日本の政治をきれいなものにしたいという強い願望を持っておることも、大臣御存じだと思います。そういう国民の期待や願望に真っ向から抵触するような、内閣の一員とそれからKDDとの間のそうした疑惑、それを解明することは司法当局に託されたきわめて重大な使命だと思います。いまや国民は、そういう重大な使命が遺憾なく遂行されることを司法当局に期待しておるわけです。大臣もやはり捜査当局を督励して、そしてこの疑惑の解明に十分こたえられるように強い指導力を発揮していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 検察は証拠に基づいて厳正公平な捜査をいたしまして綱紀の粛正を図るものと存じております。
○寺田熊雄君 あなたはやはり、そういう疑惑を解明するために、公正に捜査当局が捜査を遂行するように強い期待を捜査当局にお寄せになっておられるんでしょうね。それをまた、法務大臣としてそうした捜査当局の公正な態度を十分あなたが指導し、督励していくという、そういうあなたの心構えなり御決意なりをお伺いしたいわけです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど申しましたように、検察は厳正公平な立場で事案を捜査いたすものと私は確信を持っております。
○寺田熊雄君 いつもあなたの御答弁に私ども不満なのは、私どもの質問に正面からお答えにならないわけですよね。そういう期待を持って見守るということはわかりましたけれども、あなた自身がやはりそういう方向で十分御努力なさることを私どもも期待しているわけです。その点をお伺いしているんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 申し上げるまでもなく、検察に対する期待は、私はそれを裏切るようなことがなぐ、堂々たる態度で検察の任務を遂行してまいるものであると確信をいたしておりますので、そういう方向でやってくれるものであると確信をいたしておるわけであります。
○寺田熊雄君 まあまだ不十分だけれども、時間がありませんので次に移りましょう。 昨日から取りざたされておるところでございましたけれども、本日、各紙が大きく報道しておりますのが郵政省の江上郵務局長、神山次官の辞任という問題であります。これは発令の時期がいつもと違うと、たとえば公務員の人事異動が大体七月が一番多いと。ことにこういう重要な人事が国会のさなかに突如として行われるというところに、私どもは不思議な感じを持つわけであります。江上郵務局長はすでに逮捕せられております松井元電気通信監理官の後任者であったわけであります。こういうようなきわめて唐突な人事が、ちょうどこのKDD疑惑の解明がその頂上に達した時点で行われるという点で、私どももこれをそのまま素直には受けとめかねるわけでありますが、これはやはり検察当局なり警察当局は、この事件と何らかの関連を持つものと考えていらっしゃるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 御指摘の郵政省の幹部がやめることになったということは、けさの報道で、きのうのテレビでも出ておったようでございますが、新聞等はけさであったと思います。 したがいまして、私といたしましてどういう理由でそういう辞職ということになったのかつまびらかにしていないわけでございます。まあ、報道等にもございましたように、今回の事件の責任というようなことが一つの理由であったように書かれておるようでございますが、そういうこともあるいはあったのではないかと思いますが、先ほど申しましたように、その理由については詳しくは承知しておりません。 それから、いろいろとそのやめた方について疑惑があるというようなまた報道もなされておったことは承知しておりますが、それも先ほどの冒頭のお尋ねについて申しましたように、具体的にどういうことがあってどういうふうになるというようなことを聞いておりませんし、聞いておりましても今後の問題だということでございます。したがいまして、二人の方がこの際辞職されたということにつきまして、事件との関係というものを具体的には理解していないわけでございます。
○寺田熊雄君 刑事局長のお答え、そういうことを聞いてもおりませんし、聞いていたとしても申し上げられないという、ちょっと私もあなたの御答弁少しおかしいような感じを持ちますね。 よく私どもが事件の実際を担当いたしますと、犯罪のある程度の事実は認められる、それをどういうふうに処分するかということを検察当局がお考えになりますね。その場合起訴するまでもない、しかしそういう疑惑を持たれ、ある程度の証明が検察当局で得られた場合には、その人が公務員である場合には公務員の地位を去りなさいと、辞任させると、そういう行政上の処置によって責任を果たさせる、そして起訴は取りやめる、起訴猶予にするけれども行政上の処分はとらせるということがよくあります。 本件の場合も検察当局はそういうような措置を郵政省の幹部との間におとりになったんではないだろうかという疑惑を私ども持たざるを得ないんですが、その点刑事局長明確にお答えいただけますか。またお答えしにくい事柄であるとは思いますけれども、できるだけそういう事実について明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(前田宏君) 一般論といたしまして、お尋ねの前段にありましたように、ある事件がありました場合に、行政上の措置が行われたことを処分の際に考慮するということはあり得るわけでございます。しかしながら、本件につきまして、率直に申しましてそういうようなまだ段階でないように私は理解しておるわけでございます。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま、小林国司君が委員を辞任され、その補欠として中村啓一君が選任されました。 —————————————
○寺田熊雄君 それから、刑事局長ね、この服部元郵政大臣の今後の取り調べについては、あなたはどうなるという、捜査の進展ですね、これはまだはっきりは言えないでしょうけれども、大体のお見込みが私どもに明らかにし得るのかどうか。それから郵政省部内の官僚の中にやはり発展する余地、見込みがあるのかどうか。それから、服部元郵政大臣以外の政治家に対するこれからの捜査の手が伸びるのかどうか。そういう点で、ある程度あなたのいま把握していらっしゃる事実関係で明らかにすることができたらおっしゃっていただきたいと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほどもお尋ねにお答えしましたように、まあ今回の板野元社長の逮捕を契機といたしまして、いろいろな報道がなされていることは承知しております。これもまた逮捕前からもそういうことがいろいろと取りざたされておったわけで、別に新しい事実が報道されているようにも思わないわけでございます。その中に、いま御指摘のように、政治家の方であるとかあるいは高級公務員であるとかいうような人につきまして、まあ広い意味の疑惑と申しますか、問題があるといいますか、そういうことが報道されておることは事実でございます。したがいまして、そういうことを当然頭に置きながら捜査は行われると思いますけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、今後の問題でございますし、また広い意味で疑惑があるということでございましても、犯罪の容疑があるというふうに至らない場合もあり得るわけでございまして、現段階ではそれ以上のことは申しかねるわけでございます。
○宮崎正義君 寺田委員に関連をいたしまして、私もちょっとKDD関係で刑事局長及び大臣にお伺いいたします。 前任者だった松井清武元電気通信監理官らが逮捕された翌日の三月十九日に、衆議院の逓信委員会の席上で江上局長はこの疑惑を全く否定しているということは私ども承知しているわけであります。その江上さんが辞任をされたということで、報道機関の報道によりますと、いろいろ取りざたをされております。いま寺田委員も問題に触れておられましたが、これは郵政大臣にお伺いすればそのいきさつというものは少しはわかるかもわかりませんけれども、いずれにしましても、こういうKDD捜査の最中に神山次官も退任をする、江上局長も退任をするということ、これらについて国民はこのKDD一連の関係があるんじゃなかろうかということは、ひとしく同じように考えると思うんです。これについての先ほどの刑事局長の答弁は、何ともいまの段階では言えないというようなこともおっしゃっておられますが、このKDD疑惑に関することに対してはどういうふうな考え方を進めていこうとされるのか、また大臣は法務大臣の立場でこの問題についての考え方を一言伺っておきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げたところでございますが、いわゆるKDD事件の捜査が進むにつれまして、いろいろといわゆる疑惑というようなものが報道され、また議論されておるところでございます。しかしながら、刑事事件の捜査でございますので、疑惑のすべてが犯罪になるというわけでもないわけでございますが、いま仰せになりましたことを含めていろいろと取りざたされていることは事実でございますので、捜査当局といたしましては、そのできます範囲内で最大の努力を尽くして、問題の解明に当たるものと考えます。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお尋ねにつきまして私ども別に説明を承っておりませんので、何とも判断の……、普通に人事の異動が行われたというぐらいにしか気がつきませんでした。
○宮崎正義君 大臣、閣議ではそんな話出ませんでしたか。出ないはずないと私は思うんですが、どうですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 郵政大臣が普通の人事の異動でありますという簡単な御説明があったようであります。
○宮崎正義君 この問題は、午後から刑法の問題もありますので、この程度で打ち切っておきたいと思います。これはひとしく国民の大きな注視の的でございますので、私どもも徹底究明をしていくようなつもりでやってまいりますので、刑事局長もその旨を含んでいただきたいということを申し上げておきます。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、大屋参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。 参考人の忌憚ない御意見を拝聴し、本案審査の参考に供したいと存じますので、よろしくお願いいたします。 なお、議事の進め方といたしましては、初めに参考人に十五分程度御意見をお述べいただきまして、引き続いて委員の質疑にお答えしていただきたく存じます。 それでは、大屋参考人にお願いいたします。
○参考人(大屋勇造君) 初めに一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、民事訴訟費用等に関する法律の一部改正という大変重要な委員会でありながら、私どもの日本における法律扶助事業についての概要を御説明させていただく機会を与えていただきましたことを大変ありがたく感謝申し上げます。 時間が余りございませんようですので、現在の法律扶助事業についての概要を御説明申し上げたいと思います。 まず、法律扶助協会の設立の過程についてちょっと申し上げますが、財団法人法律扶助協会は、昭和二十七年の一月に、法律上の扶助を要する者の正義を確保し、その権利を擁護するという目的のために日本弁護士連合会が、当時、基金百万円を拠出して設立された財団法人でございます。監督は、法務省人権擁護局の指導、監督を受けておるわけでございます。戦前から法律扶助という言葉もございましたし、実際にも法律扶助というものは行われてまいりましたが、当時は一種の慈善的な社会奉仕活動という域を出ない事業であったように思われます。それが日本国憲法の施行によりまして、法務省の中には人権擁護局が創設され、国民の基本的人権を擁護するという立場から、経済的に恵まれない人たちの裁判を受ける権利を実質的に保障しようとする見地から生まれたものでございます。 私どもは、戦前における法律扶助事業と戦後における法律扶助事業は大きな質的な転換をしたというふうに理解をしております。一般的な言葉で申せば、恩恵的な扶助から権利への扶助、こういう形に私たちは認識をしているわけでございますが、残念ながら現在の法律扶助事業というものは、国民に期待され得るような事業になっていないという点を私どもは深く恥じております。これから申し述べます概要について特に先生方に深い御理解をいただきたいと思うのであります。 すべての人が、富める者も貧しき者も等しく裁判を受ける権利が憲法によって保障されたわけでございますけれども、洋の東西を問わず、裁判所のとびらは金のかぎでなければ開けられないと言われているほど費用がかかります。こういう経済的に恵まれない人たちのために、法律の保護、裁判所における裁判を受ける権利を守るために、扶助協会は日夜努力してまいっておるわけでございます。 具体的な事業の内容は、法律問題に対する一般的な助言、指導等も含まれておりますけれども、現在の私どもがやっております法律扶助事業の中核は、裁判費用を立てかえて裁判をしてあげる。裁判が終われば立てかえたお金を返していただくという制度になっております。その立てかえの費用といいますのは、訴訟に直接かかります費用、保全処分などの保証金あるいは弁護士の費用等を立てかえるわけでございます。この点におきまして、諸外国ではこれらの費用は全部給付制度になっておりますが、日本においては単なる立てかえでございます。このために国民からは余り魅力のある制度とは思われていないという点が一つの欠点になっております。 そのほかに私どもは全国の弁護士会において無料法律相談事業というのもやっております。これは現在、その資金的な裏づけとしては日本船舶振興会から補助金をいただいて無料法律相談事業をやっておるわけでございますが、その事業の内容は、常設の弁護士会の窓口とか、あるいは法務局とか、そういうところで常設の相談をやり、あるいは弁護士のいない過疎地には巡回をして無料法律相談事業を遂行しているわけであります。 事業の運営について申しますると、先ほど申しましたように、日本弁護士連合会が二十七年に百万円の基金を出して財団をつくったわけでございますが、運営の主体は日本弁護士連合会、各地の弁護士会を母体としているわけでございます。私どもの法律扶助協会にも全国五十の支部がございますけれども、独自な運営はできない現状でございまして、弁護士会に一任されております。その主たる財源と申しますのは、日本弁護士連合会を初め、弁護士会並びに弁護士の寄付によって賄われておるわけでございます。国庫の補助は三十三年度から現在までずっといただいておりますけれども、その総額ば約十一億円ぐらいになっております。しかし、運営費につきましては、ほとんど国庫の補助が使用できないようになっておりますので、この辺が現在の法律扶助事業が非常におくれているという一点でもございます。 二十七年度から五十三年度までの扶助の件数を申しますと、三万六千件をはるかに超えておるわけでございます。しかし、二十八年間経過した中で、この扶助件数が三万件台というのは大変お粗末でございます。アメリカあたりでも一年に百万件を超えているという情勢の中で、わが国においては二十八年間にわずか四万件足らず、こういう数字は大変恥ずかしく思っております。五十三年度の扶助の件数は一年間で二千五百九十八件でございました。五十四年度はいま現在集計中でございますけれども、二千八百件弱程度の件数しかございません。一年間に国庫の補助をいただいて、この扶助に充てられる費用は約三億円程度でございます。 扶助の決定の内容をちょっと簡単に申し上げますると、いわゆる金銭関係という事件が非常に多うございまして、全体の三八%ぐらいでございます。それから不動産にかかわる裁判、事件が一〇%程度。最近は家庭事件が大変ふえてまいりまして、家庭関係——離婚、認知等の事件でございますけれども、これが三七%になっております。その他が一五%でございます。 これらの事件の特徴から見ますると、最近は家庭事件などは事件が終わってもなかなか依頼者にとってみては経済的な利益はもちろん非常に少のうございます。このために私たちがお立てかえをしていたお金が、事件が終わっても返ってこないという情勢が出てまいっております。どうしても家庭事件というものはそういうものでございまして、一般の不動産事件みたいに何百万円も利益があるようなケースではございませんので、この立てかえたお金が回収できないという事実は、大変今後の私どもの扶助事業にとってゆゆしい問題でございます。どうしてそういうゆゆしい問題になるかと申しますると、国庫の補助金は年間七千四百万円程度でずっとここ経過しております。事件も二千数百件台にとどまっているということは、まだまだ潜在的な需要者にこたえていけない。事件をふやそうとすれば、これに投資する資金が不足になってくる。もちろん、この弁護士費用の単価などもなかなか引き上げていけない。扶助のお仕事を担当していただく先生方は三重の負担をするわけでございます。弁護士でありますので、弁護士会の運営のための財源、会費を出し、扶助の事件を担当すればある程度の奉仕活動、その中からさらに弁護士自身の手数料、報酬から強制的に寄付を取って、この運営に充てているわけでございますが、弁護士会並びに弁護士から見れば三重の負担を強いられているわけでございます。しかし、弁護士法に法律扶助というものが弁護士会の責務であることが規定されている以上、われわれ弁護士としてもある程度の奉仕活動はやむを得ませんけれども、費用のないために国民が、本来扶助しなければならない人たちが埋もれているということに対して私たちは重大な責任を感じている次第であります。この辺はどうしても国会におかれましても、あるいは政府当局におかれましても国庫補助の増額をひとえにお願いする次第であります。 私どもの窓口は全国に五十支部ございまするが、ここには専任の職員が配置されておりません。弁護士会に働いておられる職員が法律扶助の事業も兼務で担当しているというのが現状でございます。この辺に、お金だけふえれば事業が伸びるという余地はもちろん考えられますけれども、一つの問題点でございます。運営費が、それに伴って何らかの財源を確保する方途を考えませんと、どうしてもその扶助事業の窓口から混乱を生ずるという点もございます。法務当局などはよくそういう点を指摘されまして、窓口の整備ができてないところには十分なお金は出せないということはよく言われます。私どもはそのために、何とか現場の整備をするために、五十一年度において十五億円募金構想というものを打ち出しました。幸い経済団体連合会の御協力を得ながら募金活動を開始したわけでございますけれども、今日現在までわずか一億六千万円程度しか集っておりません。その中から財団の基金を増額いたしまして、現在財団法人の基金としては一億二千万円余になっております。私どもはこのような運営費を弁護士みずから支出をして運営しているわけでございますけれども、どうしてもこのような状況では法律扶助事業の将来は大変不安に思っております。弁護士も自分が所属している会並びに弁護士会等の会費も年々増加してまいりまして、もはや現在では個人の会費負担は限界に来ているのではないだろうかというようなことさえ言われる現状でございます。私たちはこの運営費についても大幅な国庫の支出ができますように、先生方からひとえに御協力をお願いする次第でございます。 特に今回の法案の審議におきまして裁判の費用が若干引き上げられることは、私は個人としてはやむを得ないと思いますけれども、その中で訴訟救助の運用について大幅な考慮がされたといたしましても、なおそれによって法律扶助の光から漏れてしまう国民の層はふえるのではないだろうかと私たちは不安を持っております。ぜひこういう点につきましても、多くの国民の方々がお金がないために裁判が受けられないという事態をなくすために、ぜも法律扶助事業についても重大な御関心を持っていただきたいと思うのであります。 時間が参りましたので、これで失礼いたします。ありがとうございました。
○委員長(峯山昭範君) どうもありがとうございました。
○宮崎正義君 大変貴重な御意見を伺いまして、今日まで私ども——私どもと言っては失礼ですが、私が法律扶助協会のあり方というものを不認識で、非常に恥ずかしい思いをいたしております。非常に御苦労なさっていることに対して心から感謝を申し上げる次第でございます。 いまお話が最後にございました今回の民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案改正に伴いまして、この法律に対する訴訟というものに重ねて要請の御意向ですね、言うならば、補助金なりあるいは運営費なりというものに対する件がおよそどれぐらいあればいいのか、その基準になるのはやはり「法律扶助審査基準」というものをお出しになっておりますが、このところで資力のことをお書きになっておりますが、「申込者およびその生計を同じくする家族の手取月収額(賞与を含む)の合計が次の基準内であるとき、扶助を決定する。」となっております。単身者が十万円、二人家族が十二万七千円、三人家族が十四万九千円、四人家族が十七万円となっております。この基準を今日の情勢に、経済状態の情勢等勘案して、どのような点までにいけば、先ほどのお話にありました諸外国並みにも及ばないと思いますけれども、どういうふうになりますか、二つの点について御所見を伺いたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) ただいまの御質問でございますが、ただいま申し上げました法律扶助審査基準というのは今年度、五十五年度について法務当局と打ち合わせをした結果、若干の引き上げをしていただいたわけでございますが、どうしても一定の資金の枠がございますので、先ほど申し上げませんでしたけれども、法律扶助の申し込みがございますると、一つは資力の基準がどうかという点と、もう一点は勝訴の見込みがあるという二つの基準が要件となっておりまして扶助費を決定するわけでございますが、ただいまのところはこのような資力の基準でございますけれども、全国に生活保護世帯が三百五十万ほどあると言われておるようでございまするが、これらを全部、現在の国庫補助金が毎年六千四百万円、調査費が一千万円でございますが、それに従来立てかえてきたお金が返ってきますので、その費用を入れても現在のところ約三億でございますので、十分この人たちに扶助の光を当てていくということについては、せいぜい先ほど申しましたように二千数百件程度でございます。私どもは、少なくも現在の時点でも一万件ぐらいの扶助をすべきではないだろうか、そのくらいの扶助はあるのではないだろうかというふうに考えております。 それから、簡易裁判所の訴訟事件のうちで本人によって訴訟されている、訴訟を追行している件数というものが司法統計上出ておりますけれども、五十三年で見てみますると、簡易裁判所の事件で総数が六万四千件のうち双方に弁護士がついているものがわずか五千五百件でございます。それから、当事者双方とも弁護士がつかない、いわゆる当事者本人訴訟が四万九千件というふうになっております。そのパーセンテージは七六%でございますので、好きこのんで自分でなれない訴訟をおやりになる人はないだろうと思います。いずれにしても訴訟費用の法律化といいますか、そういう面と、どうしてもお金を出せないという人たちが弁護士に相談もできず、なれない訴訟を本人でやっておるということでございますので、五十三年度を見ても四万九千件もあるわけでございますので、このうちの一万件ぐらいは扶助をしてしかるべきではないだろうかと思っております。さらに、地方裁判所の事件でも本人訴訟率が一九%でございますので、これらも当然法律扶助の対象になるケースであろうと思っております。一万件の事件をこなすには、やはり扶助費としては十億円を超える程度の費用がありませんと扶助できないという実情でございます。
○宮崎正義君 訴訟費用が勝訴になってから未回収というふうにお話がございましたですね。その金額はどれぐらいか、そして昭和三十三年からどのような期間に一番多かったか、今日の時点はどうであるか、その点を御説明願いたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) 三十三年度から国庫補助を受けてまいったわけでございますけれども、私どもがまだ完全な把握をしているわけではございませんけれども、四十九年度に自分の方で調査をしたときに、三十三年度から四十四年度までで未回収といいますか、請求しても返ってこないであろうという金額は約二億七千万円というふうに推定をしております。現在の時点では三億ぐらいは回収できないのではないだろうかというふうに考えております。 その主たる理由としては、三十九年度からは、事件が終わってもお金が返せない人たちに対してはすぐに免除をするという制度になっておりませんので、三年間だけはどうしても返還を猶予する手続をしなければならないようになっております。そのために、三年の間に住所が変わったり——大体、扶助を申し込むような方々は自分の家や土地をお持ちになっていない方が多うございますので、どうしても住所は移動してまいります。それからもう一つは、死亡した場合に、相続人の捜索がなかなかできない。そういう捜索をするための費用もかかるわけでございますので、そういう点から、どうしてもこういう古い、三年間ほっておく間に放置されがちになります。それから、分割でお返しを願うような制度にもなっておりますので、月に千円、五百円というような形で返還を求めている間にやはり返還をしなくなってしまう。そういう人たちを追跡したり、あるいは請求をするというような形がなかなか十分にできない、そのためにどんどんどんどん未回収という金額がふえてまいってくるわけでございます。 これは私たちの重大な責任ではございますけれども、もう少し免除制度についての改善などを図ることによってこれらの不良債権の出ることを防止することは十分可能でございますので、現在法務省といろいろその問題についても協議を続行しておるところでございます。 以上でございます。
○宮崎正義君 いまのお話を伺って、法務省の方からは回収のあり方が非常に不徹底じゃないのかというような件もあるんでございますが、後で私が質問するときにそういう点を政府の方にただしてまいりたいと思うんですが、いまのお話を伺いまして、大変御苦労なさっている。少なくともそれは、わかりやすい言葉で言えばたな上げのような形で、法務省が認可を与えれば、その未回収のものを詳細に書きまして、その理由等を書かれて申告をされての、三年間猶予してからのさらに許可を得なきゃならないという、そういう実情だと思いまするが、その辺につきまして、法務省との折衝が今日までどのようになっておられますか。 また、前の委員会で、法律扶助協会と、それから法務省と弁護士会と三者がいまお互いが調査をして、そしてこの問題等も処理をしたいということを聞いておるんですが、こういう点につきましても一言伺っておきたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) 昨年の十月に法務省の方から私どもに、何とかこの不良債権を整理するための実態的な調査を全国一斉にやったらどうだろうかという御示唆をいただきまして、私どもには十分経済的な力もございませんので、早速日本弁護士連合会と協議をいたしまして、日本弁護士連合会から若干の補正的な資金を出していただきまして、昨年の十一月 ら全国一斉に実態調査に入りまして、これはもちろん法務省からも全国の法務局の職員の方々を動員していただいて一斉に調査をやりました。一月いっぱいに調査は完了したわけでございますけれども、現在法務省におかれてそのデータによるコンピューター処理をやっておりますので、近くその結果が出るというふうに聞いておりますが、その結果を見た上でどのような改善策を打ち出すか、これは法務省と日本弁護士連合会と私どもの財団法人法律扶助協会との三者による英知を出し合って、これらの点についての改善策を検討してまいりたいと思っております。近く法務省からもいろいろな御示唆をいただけるものと確信しております。
○宮崎正義君 きょう私の受け持っている時間というのは非常に短いので、もっと具体的にいろんなことをお伺いしたいんですが、その声を法務省によく耳をあけてもらって受けとめてもらうというつもりで私はいるわけであります。したがいまして、もっと聞きたいんですが、最後に、このごろは集団訴訟の事件が多うございます。金額の大きいもの、個人的には少ないもの、そういったものに対する今日の御苦労ですね、その点を一点御説明をしていただきたいと思います。 もう一つは、諸外国の先ほどお話がございました、とうてい及びがつかないというお話でございますが、簡単に御説明をしていただきたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) 集団事件は四十七、八年ごろからぼつぼつ出てまいりまして、特にスモン、カネミ油症事件などを契機といたしまして多くの、一斉に二百人、三百人というような大量の訴訟を打ち出すような形になってまいりまして、しかも大体が損害賠償事件でございますので、そういう方々の悲惨な生活の中からは、多少の資力があっても裁判の費用を出せないという方々が大分出てまいりました。しかし、当協会の方ではたくさんの資金がございませんでしたので、それらの事件については原則として扶助する方向で検討してまいっておりますけれども、十分な、普通の事件と同じような一件当たりの単価で支出するわけにはまいりませんので、大体普通の事件の三分の一程度に単価を引き下げて、そのような形を受任の先生方の御了解を得ながら扶助をしてまいっております。その金額は全国で現在八千万円ほど出ておりますけれども、そのうちの、立てかえして返ってきた事件もございますが、立てかえの残としては約四千万ぐらいがまだお返しいただけない。もっとも、係争中でございますので、四千五百万ぐらいはまだ未回収になっているように存じております。 それから諸外国の例でございますけれども、アメリカあたりなどは、ジョンソン時代に貧困との戦いという形で大変ドラスチックな改革を打ち出したために、一挙に法律扶助事業というものは大きくなりました。その資金は現在一年間に四百億ぐらいが投下されているというふうに聞いております。しかも、運営費まで国がある程度めんどう見ている。イギリスの方は若干アメリカとは違いますけれども、一部有資力者の人には自己負担をさせたり、フランスあたりもそうでございますが、日本とはその規模において、あるいはその質において全く違うようになっております。この点は、GNPを誇るわが日本において、法律扶助事業に限って申せば全くの後進性であると言われてもいたし方ない現状を私たちは毎日切歯扼腕しているわけでございますが、ぜひこの点についても先生方のお力添えをいただき、ますますこの法律扶助事業を拡充強化してまいりたいと思いますので、今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
○宮崎正義君 金額のこともお伺いをしたかったんですが、できれば御説明を願いたいと思いますが、これは資料を出していただけばわかることでございますので、時間の関係で省略をいたします。 先ほどお話にもございましたけれども、勝訴の見込みのあるものということが対象で、しかも無資力者である、資力のない人。その勝訴の見込みのあるとかないとかということ、こういうことで、先ほど簡易裁判所や地方裁判所等のいろんなお話がございましたけれども、そういう点では法律扶助協会としてどういうふうに考えておられるか、その点を伺って私は終わりたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) 私どもには、扶助を決定する一つの機関として審査委員会というものを設けておりまして、これには弁護士と、それから法務省からも審査の委員をお出しいただいて、そこで窓口を通して弁護士がある一定の調査をいたしまして、そこでこれは扶助相当という意見が出ますと審査の委員会にかけまして、そこで資力の点と、特に勝訴の見込みがあるかどうかの点を判断するわけでございますが、これはあくまでも裁判所の判断ではございませんので、完全にどうというわけではございませんけれども、ある程度、民事ですので、大体証拠があるようなものであれば証拠をお出し願って一応の審査をして、九九%の勝訴ということではございませんので、一応の裁判所の判断を受けるに値するケースは、私どもの方は積極的に扶助をしてまいっております。その結果、全体では扶助をしたケースの中で完全な敗訴という率はわずか二%にしかございません。あとは勝訴判決、和解、調停、示談等によって解決されておりますので、全く負けてしまったというようなケースはトータルでは二%程度の統計になっております。
○宮崎正義君 終わりたいと思いましたが、最後に、財源のところで御報告していただいた中に、弁護士会の援助金が六千百十一万三千八十六円ですか、受任弁護士寄付、贖罪寄付一億一千二百二十六万八千六百二十円、地方公共団体補助金等々とずっとあります。それで、国の調査費補助金が八百万となっております。その他ございます。四十九年度から法律扶助事業の財源としてこれこれとありますが、非常に弁護士さんに負担をかけているということ、この点についてどんなふうな、私はその実態がわかりませんので、弁護士さんがこのような多額な負担をしてこの会の運営をしているということに対して、何か御希望があればおっしゃっていただきたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) ただいま先生の御指摘のように、弁護士会の援助金とその事件を担当していただく受任の弁護士さんから、これは強制寄付という形で取っておりまして、手数料からも一割から二割、事件が終わって謝金がいただけるようなケースについても一割から二割ぐらいの強制寄付を取っております。これのトータルが、全体の財源の中で弁護士の寄付が約四七%、弁護士会の援助金が二五%ぐらいになっております。これは弁護士にとっては大変不興でございまして、もともと安い手数料でやらされて、その中からさらに寄付を取ってしまうものですから、扶助は御免こうむりたいという人も、弁護士としては社会的正義の実現という大義名分がございますけれども、内心では扶助の事件というのはやりたくないという気持ちの先生方もたくさんいらっしゃいます。そういうような中からでも寄付を取っていただかないと、現在の法律扶助事業を運営していくにはとうてい一円たりともこの寄付を取らなければ運営できない。あしたにでも破産するというような状況でございますので、大変弁護士会にとって、あるいは弁護士にとっては苦しい事業を一つの正義という、正義のためにという一つの大きな柱で、大黒柱をしょっているために支えているだけであって、これはどうしても今後地方公共団体の補助金なりあるいは国家からの補助金を運営費についても十分いただいて、この事業をますます大きくするようにしなければ、日本の社会は法の支配と申しますか、民主主義の発展は法の支配とは不可分だということが言われておりますので、ぜひこれは国のお力をますます得たいというふうに考えております。以上でございます。
○橋本敦君 きょうは大変貴重な御意見を承らしていただきまして、ありがとうございました。 二点だけ私も関連をしてお聞きをしたいのですが、いまお話を伺って、諸外国と比べてのはなはだしいおくれという問題もよくわかりました。日弁連がおまとめになった「法律扶助制度研究資料集」という、こういうりっぱな資料もいただいておりますが、これに関連して、一つの大きな将来の方向といたしまして大屋先生の御意見も伺っておきたいのですが、この日弁連の本によりましても、「法律扶助制度は、いまや「訴訟における社会保障」の中核であって、」と、こういうようなお考えを述べておられます。私も非常に大事なことだと思います。そういう点から言いますと、私どもとしては将来の展望としては国費による裁判扶助制度を全面的に新設をするという方向が検討されるべきではないかと、こう思っておるんですが、この本でも「法律扶助は、広く、深く、国民に根ざし、各方面の理解と協力の上に、正に「国の制度」として確立されなければならない」というお考えもありますね。こういう将来の展望について参考人としてはどういうお考えをお持ちか、これを第一点お伺いしたいと思います。
○参考人(大屋勇造君) 私どもは、ぜひこの点をこういうふうに改善してほしいということは常々考えております。橋本先生からいま言われましたように、この事業は国家的な事業でもあり、弁護士会の責任でもございます。したがいまして、国民のサイドから見れば現在の制度は立てかえでございますのでどうしてもメリットがないと、これはぜひ一定の資格要件は定めても給付制度に変えていくべきではないだろうかという点が一点でございます。これは日弁連においてもどうしても給付していくべきだ、多少のお金がある人はもちろん立てかえというような形でも結構でございましょうけれども、そういう枠をはめて、片方、一定の困っている方々に対しては返還を求めていかない、多少資力のある人に対しては返還を求めていく、こういう二本柱にしたらどうかということを当面考えております。 それから、将来の運営でございますけれども、現在までのところ大体運営に当たっておりますのは弁護士だけでございます。ただいま私の方の会長の方針として、もう少し民間の有識者の中から理事になっていただいて、やはり国民サイドからこの運営をしていくべきではないだろうか。弁護士会あるいは扶助協会の独善になってはいかぬと、こういう二本柱が現在、改善の方向に向けての検討されているところでございます。
○橋本敦君 わかりました。 それから勝訴の見込みという問題ですが、たとえば家庭事件なんかの場合は、子供を抱えて別居中の妻が夫から不本意に離婚の申し立てをされる、夫の方に明らかに非がある、離婚原因も法律上認められないというように考えられる。そういう意味では、そういう場合は勝訴の見込みがあるということが言える、可能性があるし、また、そういう貧困で子供を抱えて苦労している妻に対するやっぱり援助というのは要りますね。あるいは、債権の問題にしましても取り立てる、つまり給付訴訟を起こす方だけの問題じゃなくて、債務が存在しないのに債務存在確認の訴訟を起こされるというようなことで、サラ金に類する被害を受けないとも言えない事情もありますね。そういう被告の立場に立って訴訟を起こされた、そういう場合の勝訴の見込み判断というのは、これまた非常にむずかしいと私は思うんですが、そこらあたりは実情はどうなっておりますか。
○参考人(大屋勇造君) 被告事件についてはもちろん相当扶助してまいっておりますけれども、その場合の勝訴の見込みという点は非常に弾力的に私どもは運営しておりまして、相談に参られた方が確かに証拠から見れば負けるかもしれない、しかし幸い民事事件でございますので、そういう方方のためには積極的に弁護士を関与さして、同じ負けるにしても完全な敗訴にならないようなことでも依頼者は満足し得るわけでございますので、勝訴の見込みというものは完全に厳しくは審査しておりません。したがいまして、被告事件で一見敗訴になるようなケースでございましてもどんどん扶助しております。特に、たとえば賃料不払いのような明け渡しを受けた場合に、賃料不払いでございますので、証拠から見れば当然これは結果は明らかなケースがたくさんございますけれども、同じ建物を明け渡されるような立場の人でも、弁護士が関与することによって、ある程度の和解なり示談なりあるいは期間が延長されるというケースもございますので、私どもとしては積極的にそういうものも扶助してまいっております。
○橋本敦君 わかりました。結構です。
○円山雅也君 きょうは御苦労さんです。一言だけお尋ねいたします。 私も法律扶助制度については大変重要性を認識しておりまして、ぜひともこれは何とかしたいと考えている一人でございますが、過日——先月の二十六日決算委員会でやはりこの問題を取り上げました。おいでになっている人権局長にいろいろお尋ねした。その点に関しましてお尋ねをしたいんですが、たしか本年度の扶助協会からの補助金の請求額はいろいろ合算しますと二億何千万でございましたね。ところが、二億何千万の請求に対して法務省は、それほどの必要はないと言って大蔵省に一億ぐらいの請求をした。そして、大蔵省はさらにそれもまた必要ないというので削って、従来どおり七千何百万。そのときにいま人権局長おられるから覚えておられると思いますけれども私は、決算委員会で人権局長に、扶助協会の運営についで一体法務省はそんな少ない予算で十分だと考えているのかと言ったら、人権局長は、現状ではこれだけの予算でもって扶助の運営は十分と考えますという意味の御答弁をされた。そうすると、扶助協会二億何千方法務省にお願いをしているというのに、法務省の方はいままでで十分だと言っている、協会の方は二億何千万必要だと言っている。そうすると協会の方が何か詐欺、ペテンといいますかね、もっと下さい、よけいに必要のない費用を請求しているようになっちゃうわけですね、お立場上。 そこで、先ほどからの御説明で、また御説明を受けるまでもなく、私も弁護士の一人ですから、あんな予算でできっこないということは、各国との比較においてもあれで法治国家だなんて言えるかというぐらい、法務大臣に申し上げたんですがね、ひとついまの補助金額でもって十分にやっていけるかどうか、その点を一つだけお答えをいただきたい。
○参考人(大屋勇造君) これは現場をあずかる私としては大変お恥ずかしいことでございますけれども、二千数百件程度の事件ならば一応弁護士もがまんしいしいやっているという実情でございまして、もう少し単価の点についても、特に保全処分の保証金が私どもは一件当たり五十万円しか支出しないようにしております。と申しますのは、保証金は現在百万とか百五十万とかという事件もございますけれども、一人の人にたくさん出してしまうと多くの人に出せないという点がございますので、五十万円で一応保証金はストップというふうにしておるわけですが、そのために保全処分を必要とするような事件が扶助できないという結果がございまして、一昨年も衆議院の方で大変おしかりを受けたわけでございますが、その点が私としてはいずれにしても残念でなりません。どうせ民事事件でございますので、保全をしておきませんと判決をもらっても絵にかいたもちということになりかねないので、最近では保証金がないということを弁護士先生方もよく知っておりまして、幾らいま保証金があるかと言われても、いや先生ないんですよと言うと、せっかく扶助になるケースでも扶助できないということが恐らく全国でも五十件や百件は出てきているのであろうと思います。弁護士さんの方で申し込んでこないわけですね。裁判所へ行って保証金が幾らだと言われると、これは扶助協会へ行ってもだめだと言って窓口においでにならない人たちのケースも含めると、私は百件ぐらいのケースはあるんじゃないだろうかと思っております。そういう意味で必ずしも十分とは言えませんけれども、現在の二千数百件程度であれば何とか運営をしているという程度でございますので、先ほど申しましたように、潜在的な需要者にも手を差し伸べるためにはとうてい現在の補助金では足りません。
○委員長(峯山昭範君) この際、大屋参考人に御礼を申し上げます。 本日は御多忙中のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお聞かせくださいましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
○参考人(大屋勇造君) どうもありがとうございました。
○宮崎正義君 法律扶助協会のいろんな御意見のことにつきましては、だんだんと質問の中でしていきたいと思いますが、まず、いま大臣、扶助協会の参考人の方がるるお述べになったことに対して、法務大臣としてはどんなふうな受けとめ方をされているのか、これをひとつ最初に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どももただいまお聞きしておりまして、大変御苦労なさっていらっしゃるんだなあということを痛感いたしておるわけでありまして、さればこそ今度法案を提出して御審議を願っておるわけでありまして、なおこういうことの充実のために努力をいたしたいと思っております。
○宮崎正義君 その努力は何の努力をされるんですか。どういう方向で努力をされるんですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) これはもういろいろな面において努力をしなきゃなりませんが……
○宮崎正義君 たとえば。
○国務大臣(倉石忠雄君) この法案を通していただくと同時に、やはりこれからもいまここでいろいろなお話し合いがありましたような状況について、できるだけその御要望を満たすことのできる方向に努力をしなければならないと、こういうふうに存ずる次第であります。
○宮崎正義君 いろいろ、いろいろじゃわかりませんけれども、その補助金問題は、これは私ども予算委員会でもずいぶん取り上げてまいりました。しかし、どうしても国民のための必要なものは思い切って大蔵省をがさがさ揺すぶっていくような考え方であらねばならないと私は思うわけです。この点、私の言っていること間違いございませんか。
○国務大臣(倉石忠雄君) できるだけ私どもも皆さん方の御要望が達せられるためにはどういうことが必要であるかということについて相談をいたしまして、努力をいたしたいと思っております。
○宮崎正義君 人権擁護局長、円山委員からもお話がありました。それで、いまの扶助協会の参考人の考え、意見もずうっと聞いておられて、どんなふうに受けとめられておるか、そして今後局長としてはどういう方向で臨んでいこうとされるのか、その点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) ただいま参考人の意見の陳述伺っておりましたが、扶助協会の運営の実態というものはおおむね参考人のおっしゃったようなことであるというふうに私も理解いたしております。ただ、参考人の御意見にわたる部分については若干われわれと見解を異にされる点があるというふうに考えておったわけでございます。 まず第一に気がつきましたのは、潜在需要ということを申されたわけでございます。現在の扶助件数、確かに二千六百件前後ということになります。それに対して参考人は、潜在需要も少なくとも一万件はあるんじゃないかというような数字もお挙げになったわけでありまして、一万件ということもまあこれ根拠があるといえばあるということになるんでありましょうけれども、どうも私ども考えますのに説得力のある数字というわけにはまいらないのではないかというふうに考えます。私どもとしては従来この制度についてのPRもそれなりにやってまいりました。扶助協会もやっておられます。その結果、扶助協会の窓口を訪れる国民の数が、そのうち扶助の要件に適するものが現在のところ二千五、六百ということでありますから、どうしても需要というものをこの程度のものというふうに考えざるを得ないということが前提になります。そこで私どもといたしましては、扶助協会の方では潜在需要とかいうことをおっしゃるわけでありますが、そういうものについてどうもその資料と申しましょうか、データと申しましょうか、そういうものに乏しいうらみがあるということがまず第一点でございます。
○宮崎正義君 時間がないので……。
○政府委員(中島一郎君) はい。それからもう一点気がつきましたのは、運営費ということをおっしゃっておりました。確かに運営費の問題、重要な問題であります。扶助協会からは運営費も補助金で賄うことができるような制度にしてもらいたいという御意見のあること承知いたしております。しかし扶助協会というのは、これは財団法人でありまして、国はそれに対して予算補助をしておるという、こういう立場でありますので、運営費まで国費で出すということになると国の直営と変わらなくなるというような問題も考えていかなければならないんじゃないかという問題もあります。 いずれにいたしましても、扶助事業というものはきわめて重要な問題でありまして、私どももその充実安定を願うという気持ちにおいては人後に落ちないつもりでありますけれども、まあいろいろと問題がある。で、実態をまず知ることがその改善のために必要ではなかろうかということで、先ほど参考人の御意見にもありましたように、実態の調査を始めております、行っております。それから、人権擁護局と扶助協会と日弁連とにおきまして基本的な問題の研究もやろうと、こういうことになっておりますので、その研究の結果あるいは実態調査の結果を踏まえまして、この制度の充実、安定のために努力してまいりたい、このように考えております。
○宮崎正義君 もともとこれは国がやらなきゃならないのですよね。それがまず第一点です。 それから、先ほどPRしているとおっしゃってますけれども、これは私が調べたところによりますと、昭和四十九年度に五百万これは支給されてやったという程度で、あとは何にもやってないことなんです。PRがどうのこうのといろいろ問題がありますけれども、時間がないので、この扶助協会の問題についてはこれでやめます。また後日じっくりとこの問題は擁護局長と話し合いをしていきたいと思います。 次に、今度の民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案、この提案理由の説明の中に、本法の改正の理由として「経済情勢の変化」ということを大臣は言っておられます。訴訟費用を経済情勢の変化、上昇によって増額するということが果たして妥当であるかどうか、これも私ちょっと疑問なんですが、つまり私の言いたいのは、物価が上昇すれば訴訟の目的の価額は当然増大するので、それだけ裁判所の手数料あるいは訴状貼用印紙額の増大だということはそういう形であらわれてくる。今回の改正のように比率を上げるということは、国民に物価上昇以上の負担をかけるということになるんじゃないか、物価上昇と同じような比率で考えて物をやっていく、こういうふうなことから考えていきますと、申し立て手数料の額を算出する基準にまで変更を加える必要がないんじゃないかと、こんなふうにも思うわけです。 この点についてと、それから、時間がありませんので、一つだけしかもう言えなくなってしまったんですが、この十月一日から施行しますと、この収入額はどれぐらいになって、どういうふうに使われていくのか。先ほど調査部長もおそばで十分聞かれております。その費用をどんなふうに回してやろうかなというふうな考え方を大臣の方に申請するか、申し出るかというようなこともあわせながら伺っておきたいと思います。どうですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) まず第一点の点でございますけれども、確かに経済事情が変動いたしますと、客観的には同じものでありましても訴訟物の価額としては上昇するということがございます。したがいまして、それに合わせて訴えの場合に張る印紙代も上がっていくということは御指摘のとおりでございます。しかし、御無知のとおり、訴えの場合の手数料額と申しますのは、全部一律の率で計算されるものではございませんで、訴額が多くなれば逓減していくという、そういうやり方をとっておるわけでございます。現行法で申し上げますと、三十万円までの分は一%、それから三十万から百万までのものは〇・七%……
○宮崎正義君 申しわけないけれども、その内容は前に聞いていますので、簡略に……。
○政府委員(枇杷田泰助君) 百万以上は〇・五%ということになっておりますので、したがいまして、訴訟物の価額が、たとえば三十万円のものが三倍に実際上経済的に上がったとしますと、九十万円という訴額になりますが、その三十万から九十万円までの部分の六十万円については〇・七%がかかります。したがいまして、その点、上がる前とは手数料額が経済的には差があるということに相なるわけでございます。その点を考慮いたしまして今度の改定案を作成したということになっておるわけでございます。したがいまして、ほかのものとは違いまして訴えの場合に張る印紙代は、先日もお答えいたしましたけれども、総額平均いたしまして八・五%の増額ということに相なるわけでございます。 それから第二点でございますけれども、私どもの計算によりますと、この改正案によりますと、平年度で約八億八千万円の増収になるものと考えております。ただ本年度は、十月一日からの施行ということでございますので、その半分の四億四千万程度ということに相なろうかと思います。それだけ国庫収入が上がるわけでございます。しかし、その国庫収入は、現在の予算の立て方が御承知のとおり歳入歳出というものは厳格に分かれておりますので、歳入が上がったからといって直ちに歳出増につながるというものではございませんし、もともと今度の改定の事情の一つといたしまして、裁判所側でかかっている経費がやはり物価上昇等で上がっておるということも一つの背景としてあるわけでございます。したがいまして、その分はすでに歳出予算で見られておるという面も否定できないわけでございます。したがいまして、歳入が上がったからといって、当然にそれに見合う何か別の歳出予算が組めるかといいますと、理論的には問題があるところでございますが、しかし、私どもといたしましては、裁判を利用される方々、裁判制度を利用される方々の負担が重くなるわけでございますので、裁判制度を利用される方々のためになる予算が、これを機会に大蔵省の方でも考えてもらうというふうなことができれば大変幸せである。恐らく来年度の予算折衝の際には、そのような事情も一つの事情としてはいろんな経費要求の際の説明材料ということには相なろうかと存じております。
○宮崎正義君 これは時間がありませんから、ずっとやりたいんですけれども、この程度でやめますが、厳重に大蔵省揺すぶってやってもらいたいと思います。 それから最後に、時間がないので残念なんですが、民訴の訴訟上の救助の問題で、百十八条、百十九条、百二十条とありますが、この件につきまして、当然これは法のもとに国民は平等であるという立場の上から考えていって、この法律を改正をするか改定をするか、条項を差しはさむか何かして、もっとできた法律の時代より時代が大きく変わっている今日において、そういう改正のお考えがあるかどうか、この点についてお伺いします。
○政府委員(枇杷田泰助君) 訴訟救助の点につきましては、この制度が民事訴訟法の中に規定がございますけれども、比較的利用が少ないという感じを私どもも抱いております。 それがその必要がないからだということは、先ほどの法律扶助の点の御議論から伺いましても必ずしもそうは言えないわけでございますので、どっかに問題はあるだろうという気はいたしております。ただ、この法律制度そのものはかなり幅広く救助できるような仕組みになっておるわけでございますので、むしろ運用といいますか、あるいは訴訟当事者のこういう制度についての認識と申しますか、そういう点にむしろ問題があるのじゃないかという考えでおりますので、法律制度として現在改正の考えは持っておらないところでございます。
○宮崎正義君 この適用を受けて今日までどのような件数があって、どういうふうな決裁をされているのかどうか、また未決裁のものだとか、そういうふうな件数等を御説明願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 訴訟救助事件の申し立て件数は、年間にして千二百件程度ございます。その申し立て件数が具体的に認められたあるいは却下されたという中身は、統計をとっておらないのでわかりませんが、その年度に既済となった事件の中で訴訟救助が許与されている事件を見ますと、大体四百数十件から六百件程度の件数が計上されておるわけでございます。
○宮崎正義君 そうすると、六〇%ぐらいは既決されているということになるわけですね。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 申し立てた時期と終結をした時期がずれてまいりますので、必ずしも年度の一千二百件とたとえば六百件が対応するということではございませんが、大体の年間の件数が同じようなところから見ますとそのように言えるのではないかというふうに考えております。
○宮崎正義君 最後にもう一回調査部長に、この法規定は弁護士の費用等含まれてないわけですね。それから、そのかかった費用に対しては猶予するという、こういう規定しかないわけです。この点なんかのお考えをちょっと伺っておきたいと思うんですがね。
○政府委員(枇杷田泰助君) 弁護士費用が、実際上訴訟をやる場合に当事者が負担する金額としては一番ウエートの高いところになります。それを、訴訟救助の対象と申しますか、その前提として民訴費用の中に入れるかどうかということがかねがね問題になっておりまして、各国でもそのような弁護士の訴訟費用化、したがいまして、それができますと訴訟救助の対象にもなり得るということになるわけでございますけれども、そういうことが行われている国もございます。わが国でもかねがねそのことが議論されておるところでございますけれども、その弁護士の費用の訴訟費用化という問題につきましては、これはまあ理論的には必ずしも弁護士強制制度というものとつながるものとは言えませんけれども、諸外国でも強制制度と結びつけて実施しているところが多うございますし、また、実際問題からいたしましても弁護士をつけている者はその費用を訴訟費用として取れるとか、あるいは救助を受けられるとか、一方、つけてない者はそれまでということではバランスがとれないという実際の面から申しまして、弁護士強制制度が是か非かという問題にも絡んでまいります。 それからまた、そのようにいたしますと、ただ現在のように依頼者と弁護士との間での自由な取り決めによる報酬ということそのままでそれが費用化されるということは、若干問題がございますので、報酬のいわば規格といいますか画一化ということが伴ってまいります。そういうことがまた現状に合うか合わないかというふうなことがございまして、ドイツあたりでもそういう規格化をするために弁護士会からかなりの反発があり、またそのために訴訟の手抜きが行われるのではないかというような指摘もあるわけでございます。そういう面から、総合的にいろいろ考えなければならない面がございますので、私どもはかねがねそれは一つの大きな考えるべき課題として検討いたしておりますし、弁護士会とも十分に打ち合わせながら将来の問題として研究を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
○橋本敦君 この問題で、プリンシプルな問題ということになりますと、裁判の費用というものを大体だれがどの範囲で負担するのかという、こういう考え方の整理が要ると思うんですね。しかも、その整理のベースになる考え方としては、やっぱり旧憲法時代と違って今日の新しい憲法ということの問題、つまり国民の裁判を受ける権利という課題、そしてしかも、権利意識の向上という民主社会に不可欠のそういう民主主義的傾向への進歩、こういうものがいろいろあると思います。 そういうわけで、この法案では四十六年に比べて物価上昇とのバランスで大体三倍という御意見が出ているんですが、それはそれとして、プリンシプルな考えとしてどういうお考えをお持ちなのか、まずこの点を伺わしていただきたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) 裁判にかかる費用をだれがどの程度に負担すべきかということは、いろいろな要素から考えなければならない、むずかしい問題でございます。ただ、刑事訴訟と違いまして、民事訴訟は私人間の紛争でございます。それから実態といたしまして、訴訟狂と極端な場合には言われるような乱訴ということも現象としてはあるわけでございます。そういうふうな実態を踏まえて考えますと、本来裁判制度というのは国の重要な制度でございまして、いわば一種の公共財として当然国が用意しておかなければならないという問題でございますので、原則はやはり国が全部賄うというのが原則であろうかと思います。 しかし一方、私人間の紛争でございます。したがいまして、いわば一生のうちに全然裁判ということに関係のない人もおられる。そういう方の目から見ますと、いわばけんかしている、どっちが悪いか知らぬけれども、けんかしている者の裁きをするのに、全部おれたちの税金でやらなければいけないのかというふうな感覚もあるだろうと思います。 それからもう一方、先ほど申しました乱訴の防止ということもある程度考えなければいけないという点から考えますと、若干の負担はやはりその裁判制度を利用なさる方に負担をさせるということはあってもいいのではないか。諸外国の例を見ましても、ある程度の負担をさしておられるということが通例のように承知いたしておるわけでございます。 また、その負担をどのぐらいしたらいいかということが一つの問題になるわけでございますが、現在の制度は訴えを起こします際に、先ほど申し上げましたが、一審の場合には訴額の一%というのを最高の額にしておるわけでございます。ドイツなどでは最高の場合には五%取っているような例もあるようでございますけれども、先ほど申しましたような考え方からいたしますと、まあ一%ぐらいを取っているのはそれほど、裁判を受ける権利というふうな面から言いましても、また原則的に国がやるべきであるという点からしても、これは差し支えないのではないかということで、従来からそういうたてまえをとっておりますので、今度の改正案でもその点は維持したわけでございます。しかし、それが二%ではいけないのか、あるいは〇・五%ではいけないのかということになりますと、そこら辺についての数字的な説明は私どもとしてはしがたいわけでございますが、感覚としては、最高でも一%というのが一つの切りのいい、何といいますか妥当な線ではないかというふうに考えておるわけでございます。 そのほかに、裁判所に納める費用以外に、いろいろ訴訟について費用がかかるわけでございます。そういう問題につきまして、またそれは全部当事者が負担すべきものなのか、あるいは敗訴者に負担をさせるべきものはどこの範囲なんだとか、あるいは貧困者についてはどうするかというふうな問題があるわけでございまして、それが先ほどの法律扶助の問題にも絡んでまいろうかとは思いますが、非常にむずかしい問題で、国民全体の生活水準、経済事情、あるいは国民の権利意識、そういうものの動きというものと無関係ではないと思いますけれども、私どもといたしますと、現在の制度は、現在の実情からいたしましてその妥当な線をにらんで、敗訴者負担を原則として、訴訟費用の範囲は費用法の方である一定の範囲内にとどめるというふうな措置を講じておりますので、この点が全然問題がないことはないと思いますけれども、一応現段階では妥当な線を維持できておるというふうに考えておる次第でございます。
○橋本敦君 実際一%が妥当かどうか、数字的な根拠は私もおっしゃるとおりこれはむずかしいと思うんです。しかし、原則的な考え方としては、近代民主社会ということ、憲法上の要請から言って、裁判費用は原則としてやっぱり国がそれなりのめんどうを見ると、だから、つまり民事訴訟費用のたてまえでも実費弁償主義はとらない、これは当然の過程だと思うんですね。そうだとして、いまおっしゃった敗訴者負担という問題がありますから、だからそういう意味では、その点でも乱訴は防げるという意味があるんです。それから、当事者同士のけんかだからというお話がありますが、これはまさに当事者主義に基づいて敗訴者負担という制度がある。だから、そういう制度があるので、なおさら私は、訴訟費用そのものについては国が責任を持って行うという方向づけをやっぱり強くした方がいいんじゃないかという私は意見を持っているんですね。 それにしましても、どれぐらいの費用が妥当かということではきっちり学問的な数字が私は出るものではないと思っておりますけれども、沿革からいきますと、私が聞いているところでは、大体この裁判費用のアップがあったのは、明治時代は日露戦争の戦費調達という緊急の要請があってそこのところで引き上げられたという経緯がある。こういう経緯があるというように聞いておるんですが、これは考え方によっては大変ひどい話なんです。だから、現在の場合も、国の説明は物価が三倍に上がったことを一つのめどにとおっしゃっているけれども、いまの国の財政危機の問題から、一般的に公共的手数料及び増税方針というのが政府としては必要だと、そういうバックグラウンドがあるんじゃないか。もしそうだとすれば、いまの財政危機は国民がつくったものじゃないという私どもの反論があるわけで、単に物価が三倍に上がったということだけじゃなくて、その背景にはいまの政府のとっているいわゆる国民負担の増大方式、財政危機解消のための、これが基底にあるんじゃないか。だからこそ今度のこの問題についても、一般的に裁判費用だけじゃありません。要するに、各種手数料等の改定に関する法律が出てきた、そのことを根拠として受けているんじゃないか、私はそういう危惧を持っているんですが、いかがですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かに財政的な面から考えますと、現在のような赤字国債発行のような時代には、なるべく国庫の収入を多くしようという意味で手数料一般について値上げは考えられるということは、これは否定できないところでございます。そういう意味からも財政当局の方から費用法についても考えたらどうだというふうなことはもう数年前から実は話があったわけでございます。しかし、私どもは、それは確かに国庫の収入に関係する面ではあるけれども、民訴費用法というのは、裁判手数料というのは、これは一般の行政手数料とは性質が違うということがありますし、そうほかの手数料が上がったから当然上げるべきだというふうには考えないという態度を維持してまいったわけでございます。 しかし、また考えますと、先ほど申し上げましたように、裁判にかかる費用について税金という形で一般国民が負担をし、当事者が一部を負担するという、そういう両方の感覚からいたしますと、余りにこの民訴の手数料を据え置きのままにいたしますと、一般国民の税金による負担部分が相対的に重くなるということになります。そこら辺の均衡が崩れるということはやはり手数料を取る意味からも問題であろうというふうに考えておりまして、たまたま民事執行法が制定されます際に、いろんな手続が変わり、申し立ての名称とか麺類とかが変わってまいります。それに伴いましてこの費用法も手直しをしなければならない。その機会に、それは財政当局の方から見直しをしたらどうかというふうなことも考慮に入れなかったといえば私はうそになりますが、そういう過去の背景も含めまして、ただやはり基本は、裁判手数料として税金とそれから当事者との負担の割合が比較的公平にいくようにという見地を主眼として今度の改正の際に配慮いたしたつもりでございます。
○橋本敦君 確かに私が指摘した点も、そういう背景があるということはおっしゃるとおりですが、それにしても、先ほど御答弁いただきましたように、平年度でわずか八億なんですね、印紙がふえる増収は。だから、いまの財政危機で八億というのは貴重だと国が言えば貴重ですけれども、全体として言えば八億は他の歳出削減ということで、不要不急の経費を削るならば八億どころじゃありませんですね。これは私はもっと法務省がんばってほしかったという意見は残ります。 さて、次の問題ですが、その費用ということに関連をして資料をいただいておりますので、実際「貼用印紙額の推移」というのを見てまいりますと、四十六年が約十八億九千六百万、それで五十三年になりますと四十五億六千九百万、約四十六億でございますね。この数字は間違いございませんか。これは裁判所の方ですか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 間違いございません。
○橋本敦君 それを、四十六年を一〇〇といたしますと、パーセントにすると二七〇%増、約三倍近い増ということになっております。仮にいま八億平年度で入るといたしますと、大体五十三、四億になるわけです。それを十八億九千六百万、約十九億と比べますと何%というアップ率になりますか。見当で結構です。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) にわかな計算はちょっとできかねますが……
○橋本敦君 約三二〇%ぐらいになるでしょう。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ちょっと失礼いたしました。もう一度御質問をお願いしたいと思いますが。
○橋本敦君 もう一度お尋ねいたしますと、四十六年が約十九億でございますね。それで五十三年が四十六億でございますね。だから、これを私がパーセントに引き直しますと二七〇%アップと、こうなっているわけです。それに平年度八億が入るといたしますと、大体五十五年以降は私の見込みでは五十五億ぐらいになるんじゃないかと思うのですよ。だから、五十五億入るといたしますと、四十六年の十九億との比率は三〇〇%を超すのではないでしょうかという質問なんです。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 仰せのとおりになると思います。
○橋本敦君 それで、物価は上がったと、こうおっしゃりますが、当然に訴訟物の価額も物価上昇に応じて上がっているので、それにスライドしていまの制度でも印紙額は上がるわけです。すでに印紙額は現在の制度ですでに約三倍近くは増収になってきている。それに八億加えればもう三倍を超す増収になる、こういう関係になるわけですよ。だから、裁判費用を国民に負担させるというけれども、実際訴訟を受ける国民は印紙代をもう四十六年に比べたら約三倍近く払っているのです、いまの制度で。だから、これにさらに今度の改正になりますと、それ以上払うという、こういうことになるわけです。 もう一つは、裁判費の暦年予算額の調べで資料もいただいておりますが、四十六年度では二十九億六千二百万円ばかりですか、いやいや二百九十六億、これは単位がどうなりますか、裁判所。単位は千円ですね。それで、五十四年というように比較しますと、裁判費つまり人件費及び営繕その他を除いた費用は二倍、二〇三%の程度だと私、思いますが、大体これは間違いありませんか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 間違いないと思います。
○橋本敦君 だから、この関係から明らかになりますことは、国民はすでに裁判を受ける際の手数料は四十六年に比べて三倍程度国に納めておる。ところが国が出す裁判費予算は二倍程度にしかふえていない。逆に言いますと、国民から言いますと、サービスの低下とまで私言いませんけれども、そういうアンバランスが出ておる。その上に今度三倍に引き上げるという合理的理由が、こういう私が指摘した計算から総体的に大きく見ますと出てこないんじゃないかという疑問を私は持つんです。このあたりはいかがお考えですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) ちょっと細かなことを申し上げて恐縮でございますけれども、先ほど先生は四十六年を基礎におっしゃいましたけれども、実は現行法ができましたのが四十六年の十月からでございますので、したがいまして、この四十六年の金額の中には安い時代の分が半年分まざっておりますので、正確な計算からいたしますと、先ほどの推定から言いましても三〇〇までには実はいかないと、細かなことでございますが、恐縮ですが、そういう点がございます。 それから、裁判所の予算の関係も確かにそうでございますけれども、物品費だけではなくて、裁判所の予算と申しますのは大体九〇%は人件費でございます。そういう面から申しますと、必ずしも、何といいますか、予算の方が少ないということは言えないのではないかという感じでおるわけでございます。
○橋本敦君 人件費まで入れて話をし出すとまたもとへ返って、大体裁判の費用をだれがどれだけ持つかという国の制度との関係でややこしくなりますよね。だから人件費は人件費の問題として除かなくちゃ私は話はスムーズにいかないと思いますよ。まあいずれにしましても、いま御指摘になった若干のパーセントの違いが、私もその点不明であったわけですが、あるとしてもね、私が指摘した問題というのは総体的に描けてくるわけです。だからそういう意味で、私は今度の三倍というのはすぐ合理的に、いままでの指摘した資料から見て出てくるというようには必ずしも思えないという疑問がまだ残りますね。 そこで、時間がもう参りましたので最後にお聞きをしたいんですが、仮にこの法案が通って費用がアップされるということになりますと、一つはやっぱり訴訟救助制度の弾力的な運用とそれによる救済という実をどんどん上げていかなくちゃならぬという方向を、しっかりやっぱり裁判所は踏まえて検討してもらいたいという要請が一つ。これに対して裁判所のお考えはどうか。 それからもう一つは、先ほどから出ております法律扶助制度の充実の問題がございます。中島局長も、これを充実させることについてはその熱意は人後に落ちないという御答弁をなさっておられますし、実態の検討や研究会を通じて新たな方向もまた見出していきたいと、こういうお話でございますが、さしあたりの問題といたしまして、年額約七千万円の国の補助金は、これはやっぱり費用を三倍に国が上げるんですから、この補助金は私三倍とは一挙に申しませんけれどもね、少なくともこの補助金は来年度以降は大幅にアップするように局長にひとつ力を入れていただきたいという考えを持っておりますが、いかがでしょうか。この二点を伺って質問を終わります。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 最初の訴訟救助の関係について申し上げますが、訴訟救助を付与するかどうかというのは、個々の事件を担当する裁判官が判断して決定すべき事柄でございますので、事務当局の立場からは断定的な言い方はできないわけでございますが、訴訟救助の要件といたしましては無資力の点がございます。この判断は結局資産と収入、それに対応しての訴訟に要する費用、この比較考量によって決まってくるということになるわけでございます。そういたしますと、訴訟追行に要する費用が増大してまいりますれば、それに対応しての資産なり収入なりはだんだんに高いものとして格づけをされていかなければならないということになって、今回の訴訟費用の値上げという問題は、当然そういう判断の前提として考慮の対象になって、訴訟救助の活用という面でも適切な運用が図られるものではないかというふうに考えておるわけでございます。
○政府委員(中島一郎君) ただいま御指摘のとおりに、民事訴訟の費用がアップにもしなりますと、これが法律扶助にも影響を及ぼすということは考えられますし、一見いたしますと、今回アップになります費用というのはおおむね救助によって賄える部分が中心であると思いますので、その方でその弾力的な運用によりまして十分賄っていただきたいと思いますが、それが扶助にも影響を及ぼすということを考えまして、いやしくもこのことによって扶助が後退するということのないように努力をしてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 終わります。
○円山雅也君 調査部長、私のお尋ねはちょうど橋本委員が提示された疑問と同じなんでございます。 最初から私事の例で申しわけないんですけれども、事をわかりやすくするために、私はついこの間二、三日前にある出版社から新しい本を出しました。原稿を書くときは去年の十一月、十二月ぐらいから始まった。そうしますと、たとえば原稿料というのは、本を出しますと印税で本の定価の一割ぐらいが大体書いた著者に入るわけでございます。そうすると私の本は大体初版、出版社のあれでは二万五千部。新書判ですから、定価はその当時の定価じゃ五百円ぐらいだった。そうすると一冊五百円として一割で五十円、それの二万五千倍ですから百二十五万円原稿料でこれはかせげるなと思った。そうしましたら、出版がつい二、三日前でございますから、紙がばあんと上がっちゃったんですね。だものですから、出版社は五百円じゃとても売ったって損になっちゃうから、勢い定価を七百円にいたしました。そうすると定価が七百円に上がったものですから、私の一割の印税も当然一冊について七十円で、二十円ずつ上がった。ということは紙の値上がりによりまして期せずして、私は著者の立場でいきますと労せずして五十万ふえちゃった。紙の値上がりは困るけれども、著者の立場でいくと労せずして紙が値上がったんで五十万印税がふえちゃった。 どうも今度の訴訟法の、定額はいいんです、手数料の、貼用印紙の方ですね。その立場を置きかえてみますと、裁判所はちょうど著者の立場じゃないかと。つまりどんどん物価が上がっていけば、従来の率でもどんどんどんどんふえていくんだし、それから橋本委員が御指摘の貼用印紙額の最高裁から出されたこのデータによりましても、御指摘のように上がっておるんだし、そうすると、もうまとめて質問します。十分間ですから、お答えだけ、一問だけですから。 そうすると、今度の改正の提案理由書を拝見しますと、「経済情勢の変化等にもかかわらず長らく据え置かれて」きたから現行の手数料額は「実質的に著しく低額になって」いると、だからこの手数料を「現時点に即した適正な額に改定しようとするものであります。」というのが提案理由ですね。かっこうよく「適正な額に改定しよう」と、こう書いてありますけれども、要はこの前文を受けているんですから、実質的に著しく低額になっているから改定するということは、低額だから上げるということですね、この提案理由は。そうすると、それだけのことならばいま私が申し上げたような理由で、もう率を動かさなくたって、率を上げなくても十分に物価の値上がりでもう自動的にふえているんだからいいじゃないかと、まさに橋本委員が御指摘の疑問なんですけれども、その点はどうなんでしょうか。もう一回お答えをいただきたい。
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かに定率制度をとっておりますために訴訟物の価額が上がってまいりますと、それに伴いまして手数料の額が当然上がってまいります。それは御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど先生のおっしゃいました印税の関係につきましては、その一〇%という率がいかなる場合でも一定しておりますために、それにスライドして上がるわけでございますが、訴状に張る印紙の場合には、訴額が上がりますと逓減するわけですよ。そうしますと、逓減した分だけはスライドしないで落ち込むということに相なってまいります。そこの是正の問題でございます。先ほども橋本先生の御質問にもお答えいたしました点ですけれども、ともかく一%というのをいわば出発点として置いておるわけでございますから、現行法ができました当時の前提になります四十五年ごろの件数で申しますと、三十万円という、まあ一%の基礎額というのが訴訟全体の中で五六%ぐらいを占めておるわけでございます。ところが、だんだん訴訟物の価額が上がってまいりましたために、三十万円という一%の部分の内部でおさまってしまう事件数というのが——簡易裁判所事件でございますけれども、現在では三十数%に下がっております。従来の五六%に見合うようなところが実は百万円というところに来まして、これが五九・五%で若干上がりますけれども、九十万円をとればあるいは一致するのかもしれません。そういうふうに基礎的な何といいますか、物の構成比的に考えましても訴額がだんだん上がっているのに三十万、百万の刻みだけで、その上からは何も刻みがないというのは全体としてバランス崩れているという感じになります。ですから、それを少し刻みを上げていきませんと不合理ではないかという観点でございまして、先ほど御指摘のありました著しく低額になっておるという点は確かに御指摘のとおり、この訴えの関係についてはそうは言えない面があろうかと思いますけれども、そこら辺の点からこの十年間の情勢の変化を是正をするという考え方でございます。その際に、しかし、そうかと言って、余り訴えの場合に一挙に上げてはいけないというふうな点もございまして、弁護士会からも御指摘がございましたので、中二階を設けて上げ幅を下げるというふうな措置も講じておる次第でございます。
○円山雅也君 そうすると、やっぱり単に結果的な増収だけじゃなくて、そういう何というか、経済変動によって下げ率の点でアンバランスになってきた、その調整も含んでいるという御答弁ですね。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。
○円山雅也君 終わります。
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。 本案に対する討論及び採決は、これを後刻に譲ることといたします。 十二時三十分再開することとし、十二時三十分まで休憩いたします。 午後零時四分休憩 —————・————— 午後零時三十五分開会
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 ただいま阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は、去る一日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○瀬谷英行君 私は、先般予算委員会の第一分科会でこの件についてちょっと触れたのでありますが、どうも腑に落ちない点があるので、きょうは特に警察庁関係の方々の説明を求めたいと思って、再度この問題について質問をしたいと思います。 昨年の十月に、御存じのとおり衆議院の選挙がありました。その十月の選挙の前に、七月でありますが、飯能市の社会党の市会議員が収賄の容疑で逮捕されました。率直に言って、逮捕された時点では私ども内容さっぱりわからなかったわけでありますが、新聞によりましては何段抜きもで大々的に、いささか大げさに報道されたわけであります。こういうことはよほど慎重にやってもらわなければならないのでありますが、その逮捕理由となった問題が事実であれば、これはやむを得ない。ところが、事実であるかどうかはっきりしない状態で、しかも本人も否定をしているという状態で逮捕するということは逮捕権の乱用ではないかと、こういうふうに考えるわけであります。 そこで、改めてお伺いいたしますが、飯能の荒木市会議員が逮捕された理由は一体何なのか。逮捕状にはどのようなことが記載をされていたのか。まず、その点をお伺いしたいと思います。
○説明員(漆間英治君) 御指摘の荒木市会議員の件につきましては、昨年の七月二十二日に、農地の転用をめぐります贈収賄事件といたしまして、一つは三十万円、一つは五万円の、二件の収賄事実によりまして逮捕いたしております。
○瀬谷英行君 その逮捕理由の三十万円と五万円のうち、三十万円の方が金額的には大きいことは言うまでもないんでありますが、その三十万円の件がどういうことになったのか、その点をお伺いしたい。
○説明員(漆間英治君) どういうことになったのかというのは、その後の恐らく処分状況のことだと思いますが、これは三十万円の件につきましては、その後、立証上の問題がございまして、勾留満期になりましても起訴されるに至っておりませんで、釈放になっております。
○瀬谷英行君 そこのところが問題なんですよね。三十万円が逮捕の理由でしょう。しかも逮捕された市会議員は社会党の市会議員なんですがね。これが大々的に新聞に報道される。よほどの容疑事実がなければ、そんなことで逮捕されたんでは、特に衆議院選挙の前では迷惑千万な話なんです。その市会議員だけじゃありませんよ。社会党としてもきわめて迷惑な話なんです。ところが、最大の逮捕理由である三十万円がどういうことになったのか。なぜ起訴されないことになったのか。その点、先般の予算委員会の分科会でお聞きしましたら、調査不十分といったような御答弁があったんでありますが、これは警察側でやったことなんでありますから、警察側では一体この逮捕理由がどうなったのか、具体的にどういうわけでどうなったのかということをお答えいただかなきゃ困ると思うんです。
○説明員(漆間英治君) この三十万の件につきましては、贈賄側といたしまして二人を検挙いたしておりまして、その二人の供述を総合いたしまして逮捕するに相当な容疑があるということで逮捕したわけであります。しかし、その後の捜査状況によりまして、結果的には検察庁の御処分がこの件につきましては起訴にならなかったわけでありますので、この三十万につきましては立証が十分にいかなかったというふうに私どもは理解しております。
○瀬谷英行君 それは調査が不十分だったのか。ということになると、あいまいな供述によって逮捕したということになるわけですね。こういうことは通常平気でやられていることなんでしょうか。警察としてそういうふうにやってもよろしいんでしょうか。
○説明員(漆間英治君) この件に関しましては、いまも申し上げましたように贈賄側として二人、収賄側として一人、関係の被疑者があるわけでありますが、そのうち二人につきましては、逮捕の時点におきましては贈賄をしたという供述がございましたので、それをもとに逮捕に踏み切ったわけでございます。しかも収賄側の被疑者につきましてはこの三十万の件のみではございませんで、その他にも余罪等がございますので、それについての立証見通しもつけた上で逮捕に踏み切ったというように聞いております。
○瀬谷英行君 私が問題にしたいのは、その三十万円が主な逮捕理由でしょう。その二人が供述をした。ところが受け取った側は否認をした。そういうことになれば否認を、これが受け取った側が肯定すれば別ですよ。あるいは物的証拠があれば別ですよ。物的証拠もないし、本人も受け取った覚えがないとこう言っているのに、贈賄側の二人が供述をした、しかもそれは後でアリバイがはっきりして三十万円の件は消えてしまった。こういう経過であるにもかかわらず、そういう不十分な調査でもって一人の議員を収賄の容疑で逮捕するなどということが許されていいのかどうか、そのことを私はまず問題にしたいんですよ。
○説明員(漆間英治君) それは私どもも、御指摘のとおり、この捜査を行うに当たりましては当然そういう収賄被疑者の社会的地位にも十分注意をいたしまして、それらの地位をも考慮に入れた上で、なおかつ逮捕すべきかどうかという判断を行ったわけでありまして、その逮捕の時点においては捜査機関としましては当然逮捕すべき相当な理由があったというように考えて踏み切ったわけでございます。
○瀬谷英行君 逮捕の理由があったと言ったって、勾留中にどうも取り調べの結果その逮捕理由というものが消失してしまったということになれば、明らかにこれは手落ちということになるじゃないですか。私がこの三十万円の件について聞いたところ、この供述者の供述によって本人が賄賂をもらったと言われる日は、本人は北海道を旅行中であった。それも団体を連れて何日間か北海道を旅行中であった。その北海道旅行中に、事もあろうに片一方の供述では本人に賄賂を渡したということになっている。こういういいかげんなことというのは、これは許されることではないと思うんですよ。しかもいまのお話では、逮捕の時点においては十分に逮捕理由があったというふうに言われでおりますけれども、それは強弁だと思うんですね。だからやはり最初の主な逮捕理由となった三十万円の件は警察側の手落ちであった、こういうふうにならざるを得ないと思うんでありますが、その点はどうなんですか。
○説明員(漆間英治君) 逮捕事実が確かに三十万円と五万円でございますので、両方比較すると、三十万円が主な事実で五万円は従属性なる事実というようにお考えかと思いますが、私どもはそれぞれが独立した構成要件を満たす事実というふうに考えておりまして、少なくとも五万円の事実につきましては、これは収賄側もお認めになり、起訴になっているわけでありますし、その後荒木議員につきましては別の余罪十万円が出てまいりまして、これについても起訴になっておるわけでありますので、私どもとしてはこの捜査に誤りがあったというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。それぞれの判断すべき時点において正当な判断をしたというふうに私どもは考えております。
○瀬谷英行君 捜査に誤りがなかったならばなぜ起訴状に載らないんですか、これは。起訴状から消えてしまったということは、少なくともその件については捜査に誤りがあったということにならないんですか。どうなんですか。
○説明員(漆間英治君) 御承知のように、捜査というのは一つずつ階段を登っていくようなものでありまして、捜査を開始した直後から起訴に持ち込むまで、それぞれ各段階において万全な配慮を尽くすわけでありますけれども、捜査を行ったけれども結果的に起訴に持ち込めなかったというケースは過去にも数多くあるわけでありますが、その一つ一つがすべて捜査が誤ったからそのような結果になったのではなくて、この贈収賄事件という性格上、授受の場が一対一、贈収一対一の場で行われるということもありまして、必ずしも立証に持ち込めないという場合もあり得るわけでありまして、そういう事柄の性質上、場合によっては起訴に持ち込めないというケースもあるわけであります。そのすべてが私は捜査のミスだと言うわけにはいかない点があると思います。その時点において判断が誤りがあれば別でありますが。
○瀬谷英行君 判断の誤りでもって軽々しく逮捕されちゃたまらないんですよね。特に議員の肩書きを持った人間が、収賄でもって逮捕されたというふうに新聞に大々的に載っけられたんでは迷惑この上もない話ですよ。ところが、三十万円の件は逮捕してみたら事実がなかったことがはっきりわかった。しかし、事実がないにもかかわらず逮捕したということであれば警察側の手落ちになるので、大急ぎで何とかほかの案件をでっち上げなければならない、そういう必要に迫られたのではないかというふうに推察されてもしようがないでしょう。五万円だの十万円だの、しかも物的証拠も何もない。今日五万円の金をもらって云々するというようなことは、議員には常識的に考えてあり得べからざることですよ、そんなことは。これはどうしても逮捕するために無理やりこの五万円の事件、そして十万円の事件というものをつくり上げたというふうに考えるのがむしろ常識なんですね。 そこで、じゃ、起訴状に残った五万円と十万円の公訴事実でありますけれども、どうもこの公判の経過を聞いてみますと、この五万円と十万円の件についてもきわめてあいまいになってきている。たとえば三日の日に行われた公判でも、起訴状では十万円を本人に渡したことになっているけれども、贈った側ではその十万円は賄賂としてやってくれと言ったものではないということを検察側の証人が証言をしているわけです。それは接待費その他すべてを含んで十万円である、こういうふうに証言をしているわけですよ。そうすると、公訴事実とここだけでも食い違ってきているわけですね。それで、なぜそういったような調書と違うことを言ったんだと検事に聞かれたら、警察側の取り調べの中で畳み込まれて仕方がなくそういうふうに言ったんだと、こういったような証言をしているんですよ。つまり、いままでの裁判の過程でしばしば出てくるのは、警察側の取り調べでもってそう言わなければどうにもならないという状態に追い込まれてしゃべったのだという意味のことを言っているのですね。これは捜査の方法等について行き過ぎがあったのではないかというふうに私どもは考えざるを得ない。そこで、この捜査の段階でそういったような行き過ぎがなかったというふうに断言できるのかどうか、この点、私は非常に疑問を持つわけです。 それからさらに、死亡した宮寺被告の問題でありますけれども、この宮寺被告の自供が公訴事実の決め手になっているわけです。その宮寺被告は十月二十一日に死亡しているわけですね。しかし、十月二十一日に死亡したということは、逮捕の時点でかなり病状が悪かったのではないかというふうに想像されるのでありますが、この宮寺被告の死因は一体何であるのか、その診断書等はあるのかどうか、それから発病の経過、それから逮捕勾留中の病状といったようなものについて、これもやはり疑問を持たざるを得ないのでありますが、それらの点についてまず御報告をいただきたいと思うのです。
○説明員(漆間英治君) 御質問の宮寺氏につきましては、昨年の九月三日に勾留執行停止の手続がなされまして、埼玉県入間郡の大井町に所在します清水外科病院に入院をさせました。翌九月四日、所沢市所在の防衛医科大学病院に転院することなったわけであります。 同氏の死因は、その防衛医科大学病院の診断によりますと、肺がんということでございました。しかしながら、その発病の時期については必ずしも明らかではないと。九月五日、担当の医師に説明を求めましたところ、同病院での診療では病巣が相当に進行しておって、がんの末期的な症状であったというように報告を受けておる次第でございます。 そこで、逮捕してから釈放になるまでの病状の経過を述べよということでございますが、私どもが把握いたしております範囲でごくかいつまんで御説明申し上げたいと思いますが、この被疑者は七月二十二日に逮捕になっておるわけでありますが、その時点では、警察医の診断によりまして留置に支障なしということで、東入間警察署に留置になっております。それから、八月十二日に再逮捕の手続がなされておりますが、このときも異常なしということで、同じく東入間警察署に留置を継続いたしております。そして、八月二十二日、つまり逮捕後一カ月後に警察医の定期検診がございまして——これは別にこの被疑者だけでなくて、逮捕された被疑者はおおむね長期にわたる場合にはそのような措置をとっておりますけれども、そういう定期検診の結果、これは異常なしということで警察医の診断が出ております。 八月二十三日にかぜぎみだというような話がございまして、医者にかかるかというような話をしましたら、私は健康だから医者はきらいだというような御本人の言動もありまして、その日は医者にかかることがなかったわけですが、翌日も微熱が続きましたので医者の診断を受けさせるということで、医者の清水栄一さんの診断を受けさせました。このときに検温しましたところ、三十七・三度ございました。医者の診断では、赤血球の量が通常人より少ない、病的か否かは不興である、しかし留置取り調べに支障はない、そういう診断でございましたので、その後も留置取り調べを継続したわけでございます。 それで、翌八月二十五日に医師の精密検査がございました。本人もいつもよりか一度ぐらい熱が高いようだ、こう言っておりましたので精密検査をやったわけでありますが、その結果、清水医師の診断書がございまして、急性気管支肺炎である、発熱は軽解方向に向かっている、緊急の措置は必要としない、こういうような診断でございましたので、この時点においても習慣取り調べを継続いたしたわけでございます。この間、八月二十八日までの間、本人の言動を見ても別にぐあいは特に悪いことはないというようなことを言っております。 八月二十八日に至りまして少し発汗状態がありまして、検温してみますと熱がやや高いということでありますし、翌日もせき込みが出たりした、そういうふうな状況がございましたので、医者からの指示に基づきまして投薬をいたしております。八月三十日は特に特異症状なし。八月三十一日にやや平常時より用便に行く機会が多くなりましたので、医師の指示によりまして解熱剤等を服用いたさせております。翌九月一日は特異症状は認められず、翌九月二日の医師の往診に対して気分がすぐれない状態であると、こう言っております。 そこで、先ほど申し上げました清水さんというお医者さんの往診を求めまして、本人が非常に寒いということでございますので体温をはかりました結果、この時点では三十七・四度、医者が来てから調べたときには三十六・六度ということで、余り高い温度ではございませんでした。しかし、翌日非常に早朝より発熱が続くという状態でございますので、結局入院治療の要があるということで、この清水さんのところでございます埼玉県入間郡大井町所在の清水外科病院に入院させたという経過でございます。 かいつまんで申し上げましたが、大体主なところはそういうことでございます。
○瀬谷英行君 そうすると、九月五日は防衛医大でもって診断を受けたということになるわけですね、九月五日。そうですか。
○説明員(漆間英治君) 九月四日に防御医大に転院いたしておりまして、そこで診断を受けたわけでございます。
○瀬谷英行君 九月五日の防衛医大の診断で肺がんの末期的症状で相当進行していると、こういう診断があったわけなんですね、いまのお話ですと。
○説明員(漆間英治君) 診断を受けたのは再三申し上げますが九月四日でありまして、翌日、その状況について担当の医者から事情を聴取しましたら肺がんの疑いがある、いつごろ発病したかわからないが、かなりこの病気が進んでいる状態である、そういうようなお話を受けたわけであります。
○瀬谷英行君 九月四日の診断、九月早々の診断で肺がんの末期的症状であるという、そういう診断があったにもかかわらず八月中は何ともなかったということは、これまた常識的には考えられないことですね。いま御説明をお聞きいたしますと、七月二十二日に逮捕して、八月二十二日の定期検査でも異常なしだったと、こういう話なんですね。肺がんというのは八月いっぱい異常なしで、九月四日、五日ごろになって末期的症状に進行すると、こういうことがあるんでしょうかね。常識的にはこれは考えられないことなんですがね。 そうすると、どちらの診断が合っていたのか。どっちかの診断が間違っていたということになるわけなんです。御本人が回復したのならば末期的症状だという防衛医大の診断の方が間違っていたというふうに言ってもいいんだけれども、御本人は亡くなっているんですからね。そうすると、八月いっぱいの警察側の精密検査で異常なしといったような診断は、これはやはりずさんだったということになるんじゃないでしょうか。その点は一体どういう診断をしたのか。警察医というのは相当進行している症状がわからないのか。その辺はどうなんでしょう。さもなくば、いいかげんな診断をしたのかということになるんですが、その点はどうですか。
○説明員(漆間英治君) 私も病気の方の専門家ではございませんので、肺がんの進行がどのような経過をたどっていくものであるか詳しくは存じませんけれども、先ほども御報告申し上げましたように、八月二十二日までの時点では本人からも何らその体の異常に対する訴えもございませんし、医師の検診でも特に問題はないし、八月二十三日に先ほど言いましたようにやや微熱があるということで、医者にかかるかと言いましたら、本人は、私は健康だ、医者はきらいだと、こういうように言っているぐらいでありまして、恐らくこの時点では余り自覚的な症状はなかったのではないかというように推測されるわけであります。これはあくまでも推測でございまして、私どもの調べも、残っております日誌等によりましてかいつまんで作成したものでございますから、必ずしも正確なものであるかどうかわかりませんけれども、この時点では確かに本人は健康であるということを申し出ておるわけであります。しかし、その後も微熱が続きますために、警察側で担当医の診断をさせましたところが、先ほど申し上げましたように、急性気管支肺炎であるけれども、その発熱は軽解方向——治りつつある方向だというように思いますが、軽解方向に向かいつつある、こういう御診断でございましたので、私どもとしては、その医者の診断を信頼して、留置取り調べを継続したということでございます。
○瀬谷英行君 八月二十八日に急性気管支肺炎の診断をして軽解方向に向かっているというのと、九月四日に肺がんの末期的症状で相当進行しているという診断とでは大変な違いがあるわけですよね。そうすると、九月早々に相当末期的な症状であるというふうに診断をされたならば、八月末にはやはり同様の症状があったというふうに見なきゃならぬわけですね。八月末まで健康であって、そして九月になってから末期的症状に進むということは常識上あり得ないというふうに思われるわけです。本人が医者がきらいだと言ったとか、あるいは大丈夫だと言ったとかといったようなことは.これは果たして本人が言ったかどうか、死人に日なしで確かめようがないんですよこれは。客観的に考えてみて、八月末の警察側の診断の方が間違っておったということになりはしないか、こう疑われてもしょうがないと思うんです。この辺、どういう医師が急性気管支肺炎といったような、しかも軽解方向に向かっているというとんでもない間違いをしているんですけれども、どういう医師がやったんですか、この診断は。
○説明員(漆間英治君) 先ほどから再三申し上げておりますように、埼玉県の清水外科病院の清水医師の診断でそのような診断が出たということでございます。これは八月二十五日の診断でございます。
○瀬谷英行君 八月中に警察側で、あるいは検察官等がこの宮寺被告を取り調べたといったような事実がございますか。
○説明員(漆間英治君) 先ほど来再三申し上げておりますように、留置取り調べを継続したというふうに申し上げております。
○瀬谷英行君 再三申し上げておると言うけれども、具体的に何回取り調べたかということを私は聞きたかったんですが、いまおっしゃっていることをお聞きしますと、連日のように取り調べを行ったと、こういう意味ですか。
○説明員(漆間英治君) 必ずしも連日ごとに——調べの状況はすべて私どもの方で把握をいたしておりませんので、一概に申しかねるわけでありますが、ある日は検事さんがお調べになり、ある日は警察がお調べになる、そういうようなことでございまして、それも決して一日じゅうというようなことではございませんで、時折事情を聞くという程度の、八月の後半になりますとそういうような調べをしておったというように判断をいたします。
○瀬谷英行君 この荒木市会議員が逮捕されたところの公訴事実、逮捕理由は、先ほどのお話で調査不十分、起訴しないことになったということでありますけれども、残った公訴事実の五万円の件と十万円の件については、死亡した宮寺被告の自供によるということが一番大きいポイントになっていると思うんでありますが、その点はどうなんですか。
○説明員(漆間英治君) ちょっとすべての捜査状況は完全に把握いたしておりませんので、その宮寺さんの供述がポイントであったかどうかという点は私ども断じかねるわけでありますけれども、少なくともこの五万円の件と十万円の件につきましては、宮寺さんは両方とも関与していることは事実でありますが、この五万円の件につきましては、宮寺さんのほかに四人の方々の共犯がいるわけであります。それから十万円の件につきましては、宮寺さんのほかに三人の方々の共犯容疑者がいるわけでありまして、それらの方々の供述等を総合的に判断してそれぞれ立件したものというように私どもは理解いたしております。
○瀬谷英行君 宮寺被告に贈賄側が金を持っていって、そして五万円の件は、荒木市会議員に五万円渡してくれと、それから宮寺被告に二万円やるということで七万円を持っていったという話を聞いているわけです。ところがその宮寺被告は、その七万円をそのまま自分のふところに入れておいて、そしてその荒木市会議員のところには公訴事実にあるような日取りには全然行っておらぬというふうに私どもは聞いているわけです。そこで、この公訴事実の日にちの件も崩れているし、それから証拠物件もないし、本人も否定しているしと、こういうことになると、一体何をもとにしてこの公訴事実というものがここに書き上げられたのか、その点全然わからないわけなんです。その点おわかりになりませんか。
○説明員(漆間英治君) 公訴事実をお決めになるのは御承知のように検察庁でおやりになることでありまして、警察としてはそれに直接タッチはいたしておりませんけれども、その公訴に持ち込むまでの事実につきましては警察が主体的に捜査をいたしておるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、本件につきましては宮寺氏を初めとして数多くの共犯被疑者がおりましたので、そういう方々の供述等を総合して五万円、十万円のそれぞれの事実について逮捕に踏み切ったものというように報告を受けております。
○瀬谷英行君 逮捕に踏み切ったその理由は何回もお聞きしましたけれども、その逮捕に踏み切った理由というのが、その贈賄側の人たちが直接荒木市会議員のところに行っているという供述はしていないわけですね。そうすると、宮寺被告を仲介にして宮寺被告に持っていってもらうと、こういう話になっているわけでありますから、その宮寺被告の自供というものがあいまいであれば、この問題はやはり十万円、五万円の件も消えてしまう可能性があるわけです。つまり、こういうきわめていいかげんな捜査によって人を逮捕をする、事もあろうに百日以上も逮捕と。十月に総選挙があるというこの過程の中で、その総選挙が終わるまで荒木市会議員を釈放しなかったというようなことは、常識的に考えてどうも行き過ぎがあるのではないかという気がいたします。裁判の過程だからまだ結論は出ておりませんけれども、この公訴事実がいままでわれわれが聞いた範囲ではきわめてあいまいであると、警察側の捜査がいいかげんだったと、一番でかい三十万円の件ですら調査不十分、まるっきり事実と違っておるということで消えてしまったんですが、この五万円、十万円の件だって推して知るべしなんです。無罪ということになった場合の荒木市会議員の名誉は一体どういうことになるのか、そんなことは警察の知ったことじゃないというふうにおっしゃるのか、その点はどうなんでしょう。
○説明員(漆間英治君) 捜査の過程において無実の人について御迷惑をおかけするというようなことは決してあってはならないということで、本件のみでなくて、すべての捜査を通じてそうでありますが、私どもはそういう捜査を進めるに当たりまして、決してそういうことのないように重々配慮をしつつ捜査を進めているわけであります。 本件の場合は、そういう捜査の結果を十分に御検討いただきまして、検察庁の方で公判請求に持ち込まれている事案でございますので、公判の行方をまず注目したいと思います。 結果として無罪となりました場合には、その内容をよく検討した上で改めて私としての所感を申し述べたいというふうに考えます。
○瀬谷英行君 そこのところがよく聞き取れなかったんですがね。捜査の結果が無実となったということになれば、これは警察の捜査がいかにいいかげんだったかということになるわけなんです。その場合の警察側の責任というのはきわめて大きいと思うんです。 十月に総選挙があることを承知の上で、こういういいかげんな捜査でもって、しかも新聞に大々的に書き立てれられるようなことまでやって、そしてあれはまあ仕方がなかったというふうに済まされちゃ困ると思うんです。これは捜査に当たった人たち、特に何人かの公判の証言によって明らかにされている警察側の過度な追及によって自供させられたといったような事実、これらについては責任を追及する必要があると思うんです。その場合の責任はどのようにしてとられるつもりなのか、それらの不適当な捜査を行った人たちに対する処分というものは警察側として考えていないのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○説明員(漆間英治君) 先ほど申し上げましたように、本件は公判係属中の事案でありますので、その帰趨を注目したいというように考えます。
○瀬谷英行君 帰趨を注目するのはあたりまえの話です、それは。だけれども、私が指摘しているのは逮捕理由の三十万円ですら消えちまったというんですよ。しかも、公訴事実として残っているのは五万円と十万円の二つしかない。いまどき五万円の贈収賄なんということはあり得るとは常識的には思われない。これは逮捕理由が消えてしまったこのメンツを保つために、五万円と十万円を無理やりつくり上げたというふうに見られても仕方がないというんですよ。特にその自供が問題となっておる宮寺被告の場合は十月に亡くなっているわけですね。十月に亡くなっているし、九月初めには肺がんの末期的症状で相当進行しておる、こういう診断が行われているわけなんです。九月四日の診断で肺がんの末期的症状であるというふうに言われた者が八月中は健康であった、何ら健康上拘留、取り調べ、捜査に支障はないんだということは常識的には考えられない。いまお聞きしますと、八月中にもあなたの方ではわからないほど何回も取り調べ、尋問が行われているということなんですね。いわば重体の病人に対してこれを入院させずに勾留をして尋問を行ったということになると、これらの被告から供述された内容がかなり苦しまぎれのあいまいなものであるということだってこれは想像されるわけなんですがね。こういうのはどうなんでしょう。かなり重体の病人を勾留しても、尋問しても構わないものかどうか、その辺は法的にはどうなんでしょう、お聞きしたいと思うんですが。
○説明員(漆間英治君) 別にこの件に限らず、被疑者の体調というものを十分考えながら取り調べをやるというのはいわば捜査の基本でございまして、そういう意味で微熱が下がらないということでたびたび医師の検診を求めながら、その検診結果をもとに留置ないしは取り調べを継続しているわけでありまして、決して重体の被疑者を目の前にして、重体の状態が外見上明らかであるにもかかわらず捜査を続行したということでは決してないのでありまして、その辺はよく御理解をいただきたいというふうに考えるわけであります。
○瀬谷英行君 それならば資料として提出をお願いしたいと思うんでありますが、この宮寺被告のカルテ、それから診断書、死亡診断書、それから医師の診断の結果あるいは病床日誌というようなものがあれば病床日誌といったようなものを発病、勾留中の発病時から死亡に至るまで、それらの本人の病状を証明するに足る書類等を資料として提出していただきたいと思うんでありますが、その点どうですか。
○説明員(漆間英治君) カルテ、診断書等がございますかどうか、これはちょっと、御承知のようにお医者さんの方でおつくりになる資料でございますので、警察の方では必ずしも押収はしておらないと思いますので、これはちょっと検討してみませんと提出に応じられるかどうかはわかりません。あといわゆる病床日誌等があるかというお話でありますが、病床日誌というものはございませんけれども、一応被疑者を留置した場合には、特異な動向がある場合には留置場の記録の中にその旨が記してあるはずでございますので、それから抜粋できる範囲で本人に関する動静をまとめることは可能かというふうに考えます。
○瀬谷英行君 カルテ等はそれは警察でつくるものでないことはわかりますが、しかしそれらのものが残っておれば、これはひとつまとめていただきたいということを希望として申し上げたわけです。 しかし、いまお話を聞きますと、九月の四日には肺がんの末期的状態で相当進行しておるという診断が下されているわけだし、それから八月二十八日には、それにもかかわらず警察の中で留置をされておる状態で急性気管支炎、気管支肺炎ですか、軽解の方に向かっているという全然うらはらな診断が出ているわけです。このそれぞれの診断書とか、あるいは七月、八月、要するに、勾留の状態においてどういう病状であったかを証明するに足る資料をお出しいただきたいということであります。よろしいですか。
○説明員(漆間英治君) ただいまおっしゃったような意味でございますと、それぞれは診断書をとったということではございませんで、担当の医者から担当の捜査官が病状を確かめたところ、それぞれそういう診断結果であったということでありまして、その結果についてそれぞれ診断書をとっているということではございませんので、その辺はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○瀬谷英行君 そうすると、何にもないということなんですか。
○説明員(漆間英治君) お聞きしたということであります。
○瀬谷英行君 診断書らしきものはないということなんですか。勾留中はカルテも何もないということですね。
○説明員(漆間英治君) それはちょっと医師に確かめてみませんとわかりません。
○瀬谷英行君 じゃ、それらの点も医師に確かめていただきたいと思うんですが、よろしいですか。
○説明員(漆間英治君) 尽くせる範囲で最大の努力をしてみたいと思います。
○寺田熊雄君 宮崎知子、北野宏、この両名に係る身代金誘拐事件、この捜査についてお尋ねをしたいと思います。 この捜査につきましては、もうすでに衆参両院の予算委員会等で質疑がなされております。新聞紙上でも、報道機関からこの捜査に関する国民の批判、感想というようなものが報道せられておるわけです。警察が一生懸命にやっておるということはわかるけれども、しかしどうもこの捜査全般をながめて、振り返ってみますと、国民に不満が残る、釈然としないものが残るということも間違いないように思う。 その第一は、富山で誘拐された長岡陽子さんという人が北陸企画に泊まるという電話を両親に二回にわたってしておる、これが二月二十四日と二月二十五日です。父親の方から捜索願いが翌日の二月二十六日に出ておる。したがって、北陸企画なる事業を経営していた宮崎知子や、北野宏に犯罪の容疑がかかるということは、これはまあ専門家でなくてもすぐに了解できることでしょうね。したがって、すぐに警察はこの両名に事情を聴取したということが容易に想像できるわけです。それから富山県警、死体が発見された後は岐阜県警、それが相次いでこの宮崎、北野両名を取り調べる。しかし結局第二の寺沢由美子さんの犯行に至るまでこの両名は野放しになっていた。そして第二の非常に痛ましい犯行が行われたということであります。何とかならなかったのかなあという印象はだれしもぬぐいがたいものがある。この点はあなた方はどういうふうに説明をなさるのか、どういうふうに弁明をなさるのか。まず、その大体についてのあなた方の御報告をひとつ聞かしていただきたい。
○説明員(加藤晶君) お答えいたします。 事件の荒筋はただいま先生の方からお話があったようなところでございますけれども、その間の警察の措置につきまして、若干詳しく申し上げたいと思います。 第一の岐阜、富山にまたがる誘拐殺人事件と思われる事件でございますけれども、二月の二十六日、この被害者の家族の方から富山警察署に対しまして、娘が二月二十三日の夜から帰宅しない。しかし二十四日の午前八時ごろ、娘から母親に、自宅におる母親に電話がありました。その内容は、女の人からいいアルバイトがあるからということで誘われて、その事務所におるという電話でございまして、さらに翌二月二十五日正午過ぎにまた勤め先の母親のところに娘から電話がございまして、前日は、夜、事務所の人に家まで送ってもらうということであったんですけれども、都合で送ってもらえなかったと、こういう電話があったわけでございます。それで、その状況、会話の内容、あるいはそういう雰囲気というのはどういうことであったかということを詳しく聞いたわけでございますけれども、その電話は日ごろと余り変わったところはなかったと、あわてたり切迫したような気配も全く感じられなかったということを電話を受けました方、家族の方がそういうことをおっしゃるわけでございます。それで、この時点で犯罪の被害に遭っておるんじゃなかろうかということを判断すべき材料、推認すべき材料というものは逆に出てこなかった、こういうことでございます。またその際、そういう電話の状況のみならず、御本人の平素の行動、生活等もいろいろお聞きいたしました上で、なお直ちに犯罪の被害者になっているということはその時点では判断しがたい状況でございましたので、家出人としてその所在を調査をしようということでございます。それで、家族の方に慫慂いたしまして、家出人届けの提出を受けまして、なお家族の方の要望によりまして非公開で、秘匿に配意しながら署員六名を動員、専門にそれに当たらせたわけでございます。そしてこの行方不明になっておられる方の同級生であるとか、親戚、知人であるとか、そういう立ち回り予想先につきましていろいろ調査を進めましたし、また、そういう人が立ち回るであろうと思われる市内の行きつけの場所であるとか、あるいは日ごろ出入りをしておったようなところですね、あるいは人通りの多いところ、そういうふうなところにつきましても、くまなく所在発見のための活動を実施しておったところでございます。したがいまして、私どもはその時点では警察としてできるだけのことを積極的にやってくれたというふうに考えております。ただ、いまから見て、結果論といたしまして、そのときに、その事務所の人間のところに泊まっておるというふうなことがあった、その人間が後日ああいうことをやっておったということが判明いたした。そのときに何かさらに打つ手がなかったのかというふうなことが結果的に出てくるということはよくわかりますけれども、当時といたしますれば、私どもの方といたしましては最善の努力をいたしたというふうに考えておるわけでございます。 それから第二点でございますけれども、長野の事件がその後の同一の容疑者の行為によって惹起されておるんじゃないか、それを何とか阻止すべき行動等をとれなかったのかと、こういうことでございますけれども、長野の信用金庫に勤めておられる若い女性の方が所在不明になりましたのは、三月の五日の午後六時過ぎというふうに見られておるわけでございます。三月五日でございます。そして三月六日ですね、恐らく六日だと思いますが、さらに残念なことですけれども、殺害行為が行われたというふうに見られるわけでございまして、そうしてそれが富山の住所に帰ってまいりましたのが三月の八日の朝でございます。そしてその容疑者について事情を聞いたのは、これ岐阜、富山両県警が聞いておるわけでございますけれども、これは三月の八日から九日、十日の三日間ということでございます。この間に、三月六日に富山の方の遺体が岐阜の山中に発見された。そしてその身元を、だれかということをいろいろ両県関連いたしまして調査をした結果、これは先ほど申し上げたように、家出人の捜索願いが出ておった方と同一であるということが七日に判明をいたしておると、こういうことでございます。したがいまして、三月八日以降の調べ、それをもっと徹底し、証拠を持ってやればその第二の長野の事案が防げたんじゃなかろうかということにつきましては、そういう事案の時間的経過から申し上げまして、やはり無理であったんじゃなかろうかというふうに感じておるところでございます。
○寺田熊雄君 いまあなたの御説明を承ると、その最初の出発点が何か見当違いの判断がなされたと、出発点がね、検討違いであったというふうにわれわれとしては思わざるを得ないですね。あなたはやむを得ないと、警察としては最善の努力をしたとおっしゃるが、しかし長岡陽子さんがそれじゃ何らかの犯罪によって所在が不明になったのではなくして、それは家出したのであると、そう判断した、判断すべき資料というのはどういう資料があったんですか。
○説明員(加藤晶君) 先ほど申し上げましたように、所在不明になっておるという届け出が、たしか二十六日でございますか、親御さんからございました。そしてそれに至る経緯を、そのときいろいろ経緯を、事情を親御さんから、家族の方からいろいろ聞いておるわけでございます。そのときに、二月二十三日にこういうことでここに泊まるというふうな電話があった。二月二十三日の夜から帰宅しなくて、二十四日の午前中に娘さんから電話があったと、そう事由の説明があった。そしてさらに二十五日正午過ぎにもお母さんに娘さんから電話がありましたと。それで、そういう電話の内容が一体どのようなものであったのかということは、これは犯罪の被害にかかっておるのかおらないのかということを判断する重要な材料だと思うわけです。そのときの親御さんの説明では、娘が特に監禁をされたり、帰りたくても帰れないというふうなことを訴えるということも全くなかったと、またそういうふうなことを強いてだれかに言わせられておるというふうな、そういう強制せられたような状況とか、あるいはあわてたり、何か危険が切迫しているような気配というものは娘さんとの会話、電話では全く感じられなかったということを親御さんも申し述べておられるわけでございます。それが判断の重要な一つの要素になっておりまして、その辺、平素のそういう娘さんのいろいろな行動というふうなものもお聞きいたしましたけれども、そのことから直ちにいまの時点で犯罪の被害に遭っておられるという状況は出てこなかったと、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 娘さんが親元に訴えた電話が切迫感を与えなかったと、犯罪が何らか犯されたというような差し迫ったトーンがなかったということだけで、それを家出人と断定するというのはちょっと軽率じゃないかね。つまり、その家庭が非常に不和であるとか娘が何らかの悩みを持っているとか、何だかそう家出を余儀なくするような事情が出てくれば別だけれども、ただ単に切迫感が感じられなかったからこれは家出だと断定するというのは、軽率きわまるように思うけれどもどうです。
○説明員(加藤晶君) その電話の様子でございますけど、事務所に昨晩泊めてもらって、いまそこにおるのは自分一人だということでお母さんに電話をしておるわけですね。そうしますると、こういうことからまあ強制的に他者の意思が働いて、そこで軟禁なり出られないような状態にされておるということはちょっと判断できにくいということがございます。 それから、先生がいまちょっと御指摘ございまして、それだけで判断するのはおかしいじゃないかということでございますので、私ども、娘さんの平素の状況あるいは家庭等のいろいろな事情というものをお聞きしているわけです。そういうふうなことを総合判断いたしまして、その時点ではまあ所在不明といいますか、家出というふうに考えるのが合理的だというふうに判断したわけでございます。ただ、その家庭の事情とか平素の動向とかということにつきましては、これは御本人の名誉のことがございますので、私どもは申し上げかねるわけでございますけれども、相当各方面の資料を集めるだけ集めまして総合判断した結果がそのようになったということをひとつ御理解いただきたいと思います。
○寺田熊雄君 何か死者に責めをかぶせるような御答弁で、ちょっと聞きづらいんだけれどもね。しかも言いにくいというような何か思わせぶりな答弁もあるので、一層さらに追及するのがしにくいけれどもね。しかし、結果論としては見当違いであったことは認められるでしょう、あなたも。結果的に違ったわけだ、家出でなかったわけだものね。だから判断が誤りであったという事実は客観的に証明されているんだから、いかにあなたがそのときそう警察が判断したのは誤りがなかったんですとおっしゃっても、結果的にはそれが大きなミスであったということが証明されてしまっているんだもの。だから、あなたとしてはやはりそういう判断をしたのは甘かった、誤りであったということを率直に認めらるべきであって、当時警察は最善を尽くしました、誤りでありませんでしたと言って答弁なさるのはどうだろうか。そこのところはまだ釈然としないでしょう。どうです。
○説明員(加藤晶君) 警察はそういう所在不明者の捜索なりあるいは事情調査なりというふうなことをよくやっておるわけでございまして、そういうことで通常やるべきことをそこの警察官もやってくれたということを申し上げたわけでございまして、いまの時点から結果的に見ておっしゃるとおりそれが客観的な事実と符合しない判断であったんじゃないかと言われれば、それはそのとおりでございます。そして、そういうふうなことが再び起こらないようにさらに注意もし、調ぶべき事項もいろいろ調べました上でそういう誤りがないようにしたいということは、これは心底からそう思っておるわけでございます。ただ、その時点でどうだと、こういうことなりますると、私はやはり通常警察官がやるようなことをきちっとやってくれたというふうに考えておりますので、先ほどのようにお答えしたわけでございますけれども、先生のように、確かにおっしゃるとおり結果的に見てそこのところに客観事実と符合しない判断をしたんじゃないかと言われれば、これはまさにそのとおりでございます。今後そういうふうなことを十分カバーするような教養なり訓練なりあるいは各般の施策を講じたいと思っております。
○寺田熊雄君 私としては、そのときこいつは宮崎と北野がおかしいぞと、これは刑事コロンボみたいに長年の経験で勘を働かすという、そういうことであることを実は期待したいわけですね。そういう第六感が働いておったら、恐らく警察は宮崎と北野をずっとその動静を調査しておればよかったんじゃないかと、たとえば、尾行するとか、気づかれないように。そういうことをしておったならば、第二の犯行は食いとめ得たのではないだろうかと言ってお尋ねしたかったわけです。ところが、スタートであなた方の方はそういう、全く気づかなかったんだと、家出と認めちゃったんだと、こうおっしゃるから、第二の質問ができなくなっちゃった。だからそれは非常に残念で、私はやっぱり当初から警察が怪しいと思って、そうして動静を尾行しておったならば、寺沢由美子さんという痛ましい犠牲者は出なかったのであろうと、そう考えたんです。いかがです。
○説明員(加藤晶君) これも、ただいまの時点から判断いたしますれば、まさにそういう感じがしないでもないわけでございます。ただ、不番だと感じたのが、三月六日になりまして冨山の方の女子高校生の死体が発見されて、それが七日に至りまして家出人捜索願いを出されておった人と同一であるということがわかったわけなんです。それで、その時点から、おっしゃるとおり疑点を持って動静を尾行——法律の範囲内でやるべきだったと、こうおっしゃることはよくわかるんですけれども、実は、彼らが旅行に出ましたのがそれよりさらに早い日なんです。たしか、記憶はっきりしてませんが、三日にはもう彼らは出発しておったんじゃないかと、こういうことなんです。そうしますると、こちらが怪しいなと思った時点では富山にはいなかったという、これまことに不幸なといいますか、そういう客観的事実があるものでございまして、おっしゃるとおり、相当容疑が固まった上においては何らかの措置を警察として講ずべきであるという点につきましては、御指摘のとおりだと思いますけれども、いまの具体的事実につきましては、若干そういう日時の経過がございますので、ひとつ御了解をお願いしたいと思います。
○寺田熊雄君 それから、国会の批判と、さまざまな国民の疑惑、疑惑というと大げさだけれど、気づいた点を申し上げると、この事件が富山県警、それから岐阜県警、長野県警、三県警の所管にゆだねられたものだから、この三県警の間、とりわけ富山県警と長野県警との間で功名争いがあった、それがさらに犯人の逮捕をおくらしたという批判がありますね。これは後藤田さんも何かこの両県警の間に多少ぎくしゃくしたものがあったような趣旨の答弁をなさっていらっしゃる。この点はあなた方としてはどういうふうに把握していらっしゃるのか。また、そういうことがありとすれば、今後どういうふうにそれを改善しようとなさるのか、その辺の消息をちょっとお伺いをしたいのです。
○説明員(加藤晶君) 御指摘のとおり、富山、岐阜、それに長野、この三県間にわたりまして犯罪が行われておるということでございまして、こういう広域にわたる犯罪の捜査につきましては、私どもといたしましても、やはりそれぞれの県警が相互に一致協力いたしまして、組織力を利用して効率的な捜査を迅速に進むべきであるということは、これはおっしゃるとおりでございます。それで、そのためのいろいろな方策も考えております。現にまあ犯罪捜査共助規則という国家公安委員会の規則も制定いたしましてその趣旨のことをうたってありますし、それをさらに細かくいろいろ具体化した捜査要領というふうなものも、たとえば広域緊急配備、たとえば広域重要事件捜査要綱というふうなものなどもつくりまして、平素からそういうふうな合理的な組織的な捜査がスムーズに行われるようにということを通達し、過去そういう面の実現に努めてきたわけでございます。 本件につきまして、まあ最終的に富山県警と長野県警との間で功名争いがあり、それが捜査に響いて犯人の逮捕をおくらせたのかということでございますけれども、この両者が競合すると、両事件が競合するということを気づきましてからは積極的にそれぞれ協力をやっておるわけでございます。特に、富山県の方はその容疑者の住居地を管轄する警察でございますので、そういう人たちの動向とか、あるいはいろいろな犯罪の動機になり得るような事柄、そういうふうな情報を調べまして長野県警の方に通知もしておるわけでございます。もちろんこの場合には管区警察局なり警察庁がその間の調整に立っておるわけでございますけれども、そういうことの結果、一例を申し上げますれば、その容疑者が赤いスポーツカー、フェアレディーZというものを購入してそれをよく使っておるというふうなことが、富山県警から長野県警に通報がありました。そういたしますると、同一人であろうかということになりますれば、当然その赤いスポーツカーの行動というものが長野の事件現場あるいはその周辺になけりゃいかぬということで、聞き込みなり調査なりの対象をそれにしぼることができたわけでございます。そのほかにもいろいろ両県のあれはございます。また、長野県警から言いますればそういう所在を確認いたしたと、そういうことになるとすると、三月のたとえば三日から七日までの行動というものがこういうふうに思われる、推認されると、だから、その旨を富山県警の方に連絡をいたしておるということでございます。そういうふうに、各面にわたりまして実質的に非常に密接に協力をしてきたわけでございますけれども、いざ、じゃ、犯人を逮捕令状で逮捕をしようというふうに捜査が進んでまいりましたのが三月の二十九、三十日ごろでございます。そういうお互いの協力が実りまして、長野県警の方でもそういう疑うに足る相当な容疑を持つ証拠というふうなものが急速に浮上してきたと、富山県警の方でもやはりそれが相当固まってきたと、そうして逮捕に踏み切ろうというのが三月の三十日になったわけでございます。 そういうことでございまして、その時点で両県警とも逮捕令状を、少なくとも被疑者一名についてはそれぞれ準備ができるという段階になったわけでございます。それで、その時点で、しからばどちらの方を優先して捜査をさした方がより国民の要望するところにマッチするのかということを、私どもも入りまして判断をいたしまして、同じような罪質の事件でございます、したがいまして、その間に罪質の軽重というものはないわけでございますけれども、長野県警の方は所在不明になりました被誘拐者の安否、生命の存否がなおあり得る可能性があるということでございます。富山の方は、岐阜で残念ながら死体となって発見されておるので、そういう生命の安否ということは過ぎた段階ということになるわけでございます。それで、何といってもわずかであっても無事救出の可能性のある長野の方の事件を優先して捜査すべきじゃないかということで、この関係者の間で意見が一致をいたしまして、三月三十日の夕刻に、夜に入りまして長野県警が富山のところですでに調べ中でありました容疑者二名の逮捕令状を執行したと、こういうことでございます。したがいまして、外から見ますると、その間にそういう功名争いといいますか、いわば事件の取り合いというのがあったんじゃなかろうかというふうなことでございますけれども、私どもの方といたしますれば、長野の事件は長野県警が処理をする、富山の事件につきましては富山、岐阜両県警が処理をするということでありまして、事件そのものを決して取り合っていることではもちろんございません。そして、いま申し上げましたような、どちらを優先的に調べた方が国民の意思に沿うのかという点から考えてそういう合意、調整に達したということでございます。それは捜査の進捗の状況というものと密接に絡んでまいりまして、実は二十九日ごろの段階ですと、富山県警の方が捜査が先に進んでおる、令状も取り得るという状態だった。その時点では長野県警の方では、あの二人について令状を取れるという状態にはいま一歩であったわけでございます。したがいまして、その時点で見ますれば、富山県警がともかく身柄を確保して両事件について捜査をするという方が合理的であったと思うわけでございますけれども、捜査が急速に伸びました二十九日、三十日に至りまして、やはりそういうふうな同等な程度まで捜査が進みますれば、いま言ったような長野県警に優先して事件捜査を認めた方がいいということになって、そのようにいたしたわけでございまして、これは三県警の幹部は十分承知をした上でそのように処理をいたしたところでございます。
○寺田熊雄君 ずいぶん詳細な説明をなさるが、最初の被害者が、先ほどのを繰り返すようで恐縮だが、北陸企画に泊まるとか、女にアルバイトを慫慂されておるとかという電話をかけてきた。三月六日に死体が発見され、八日に長岡陽子さんであることがわかった。それから実に二十九、三十といいますと三週間の日にちがたっておる。その間被疑者たちはきわめて人目につきやすいフェアレディーですか、そういう赤い車で遊よくしておると。遊よくというようなことはこれは普通人にない行動で、しかもその間また家出人も出てくると一あなたの言われる家出人だな。実際は被害者か。そういう訴えもあるということになりますと、三県警の連絡が十分で捜査が完全なものであれば、そんなに長い日にちを必要としないんじゃないだろうかと私どもは思うわけで、だからあなた方のは、何か私どもがお尋ねをしますと、いや、捜査は完璧でありました、全然連絡も間然するところはありませんでしたと、すべてそういう答えがいつもあなた方のところから返ってくるけれども、やはり結果はまずかったんで、それは国民全部がやはり何とかできたんじゃないだろうかという感じをひとしく持っておる、そういう案件ですよ、これは。だからそこはやはり完全でありましたというようなことばかりを言わずに、こういうことをいい教訓に、将来二度とこういうことを繰り返さないように捜査の万全を期しますという、そういうやっぱり心構えがあってほしいですよ。その点どうですか。
○説明員(加藤晶君) 長野の事件が発生いたしまして、身代金の要求が電話でございました。それでこれは身代金目的の誘拐事件ということになるわけでございます。それで七日に電話がありましたのを最後にして犯人側からの働きかけというものは全くなかったわけです。犯人側からの被害者及び家族に対するアクションというものは全くそれからとだえておるわけですね。一方富山の方は、ああいう死体が発見されたというところから殺人容疑ということで捜査が出発しておるわけでございます。まあ結果的には両方とも恐らく誘拐殺人事件ということに落ちつくかと思いますけれども、その当時はそういう若干違った形で出発をしておりました。しかし、手口なり対象なり、これが非常に類似しておるということで連絡を三県警間で取り始めたわけでございますけれども、その間逮捕に至るまで三週間もかかっておるじゃないかという御批判でございます。確かに私ども、その点ああいう重要な事件であればあるだけに、早急に被疑者を割り出しまして逮捕しなけりゃいかぬ、検挙しなけりゃいかぬということは、これは自分らの職責としてよく自覚しておるわけでございまして、そういうことで時間がかかり過ぎたという御批判に対しましては、これは謙虚に耳を傾けあるいは両者のさらに密接な連携、連絡、情報の提供、捜査資料の交換というふうなものをさらによく行う余地がないのかどうかということも十分検討いたしまして、本当に効率的な、確実な、そして迅速な捜査というものを進める上での教訓にいたしたいと、こういうところは十分心得ておるところでございます。そういうふうなことにつきまして、私どものやりましたことが理想的なことであって、決して間然するところがないという趣旨で申し上げたのではございません。そういうことについて常に反省もし、検討もし、改善をしていかなければならないという気持ちは持っておりますので、その辺今度の事件につきましても、なお詳細に検討いたしまして、御指摘のようなことがございますれば、それを今後の捜査に取り入れて十分役立てていきたいというつもりでおります。
○寺田熊雄君 次に、小佐野賢治と浜田幸一の問題についてお尋ねをしますが、これは浜田幸一とK・ハマダなる者が同一の人物であるということは、国民がみんなもう断定をしておるところであります。ところがこれは法務当局はもうわかっておられるんだとは思いますけれども、これを決して同一人であるということをおっしゃらないんですね。そのいわば弁明として、K・ハマダなる者の賭博上の債務を小佐野が引き受けて、そしてロッキードからの二十万ドルを代払いしたという事実を立証すれば足るのであって、K・ハマダと浜田幸一が同一人物であるということまで立証する必要はないということをおっしゃるわけです。しかし、じゃ、K・ハマダなる者が実在の人物か架空の人物かと言って問い詰めていくと、それは実在の人物でありますということをお答えになるわけで、したがって、私どもはもっと明快にこういう問題に対する国民の疑惑に法務当局が答えていただきたいと考えておるわけです。しかし、これはどういうところの圧力か、どういう思惑からか、なかなかそれに踏み切っていただけない。これは非常に残念なことで、国民の期待に背くものであると私どもは考えておる。 そこで、私どもは浜田幸一と小佐野賢治の出入国の状況を割り出して、そこからまず浜田幸一が小佐野と一緒に外国に行っているんではなかろうかという、その事実をまず確定して、そして両者が同一であるというところにさらに詰めていきたい、こう考えたわけですね。 私どもの調査によりますと、この賭博の、浜田の債務なるものが発生いたしましたのは、この間の刑事局長の御答弁によりますと四十七年の十月の時点であったということでありました。そこで、その十月の時点で浜田と小佐野が果たして出国をしておるかどうかということを調べてみますと、小佐野賢治は四十七年の十月五日に、これはJALの〇六二便で出国し、十月の十四日に帰っておるという調査結果が出たのでありますが、この点は入国管理局長はお認めになりますか。
○政府委員(小杉照夫君) 冒頭、多少お断り申し上げておきたいことがございますが、私ども、先生十分御承知のとおり、出入国記録というものは個人のプライバシーにかかわる問題でございまして、国会等の場において一般的にだれだれの昭和何年における出入国歴を開示せよというような御要求がございました場合、私どもといたしましては、国家公務員の守秘義務を理由といたしましてお断り申し上げることにしてきておるわけでございます。しかしながら、ただいまの寺田先生御指摘の点につきましては、先生御自身の御調査によりまして事実関係をかなり的確に把握しておられるようで、そのような具体的な日時を示してのお尋ねでございますので、私でもの守秘義務もその限度において解除されておるという判断のもとに、先生御指摘の点を私どもの資料で確認申し上げたいというふうに存じます。 先生御指摘のとおり、小佐野賢治氏は昭和四十七年十月五日に出国いたしまして、同十四日に帰国いたしております。フライトも先生御指摘のとおりのJAL〇六二便でございます。
○寺田熊雄君 さらに浜田幸一の出入国関係を私なりに調査をいたしますと、浜田幸一は四十七年の十月八日に出国していますね。これは〇〇二便です。そうして十月の十四日に、つまり小佐野賢治と全く同一の日時に、しかも同一の飛行機で、JALの〇〇一便で入国しております。この事実もお認めになりますか。
○政府委員(小杉照夫君) 先生御指摘のとおりでございます。
○寺田熊雄君 私どもがまだ調べ切れない面がありますが、小佐野賢治の出国とそれから入国と全く同じ日時に、そして同じ飛行機で広域暴力団稲川会の理事長をしております石井進なる者が、やはり同じ日時に同じ便で出入国しておりますが、これはお認めになりますか。
○政府委員(小杉照夫君) お答え申し上げます。 私、この石井進氏なる方の身分事項に関しては詳細を承知しておりませんが、石井進という名前の方が四十七年の十月五日に出国して、四十七年十月十四日、小佐野氏と同じ日付の同じ飛行機便で出入国しておるという事実は確かにございます。
○寺田熊雄君 それから小佐野賢治が最終的に浜田の債務を支払ったと言われる四十八年の十一月時点のところを調査してみますと、浜田も小佐野も四十八年の十一月二日に出国して四十八年の十一月八日に入国しておることがわかりました。そしてこの両名とも出国のときの便はJALの七二便であります。それから入国、つまり帰国したときの便はJALの七一便であることがわかりましたが、これもお認めになりますか。
○政府委員(小杉照夫君) 先生御指摘のような事実がございます。
○寺田熊雄君 さらに浜田幸一は、四十八年の一月十四日、JALの〇〇二便で出国し、一月の十九日のJALの七一便で帰国していますね。小佐野賢治も四十八年の一月十二日、〇六二便で出国し、帰りは一月の十九日、浜田幸一と同じJALの七一便で帰国しておることがわかりましたが、これもお認めになりますか。
○政府委員(小杉照夫君) そのような事実がございます。
○寺田熊雄君 そこで、まだほかにも判明しておる事実がありますが、余り詳しいことを申してもなんですが、こういうふうに、刑事局長ね、結局あなた方が立証せんとしていらっしゃる債務の発生時期は四十七年の十月当時でありますと、そして小佐好が浜田の残債務二十万ドルを支払ったのは四十八年十一月三日でありますというようなことをおっしゃり、そしてかつ、それを裁判所で立証せんとしていらっしゃる。ところが私どもは調べてみますと、浜田幸一と小佐野がともに、いま申し上げた便はいずれもアメリカ行きの便でありますが、そしてアメリカに同時刻ごろ行きまして、帰りは一緒の飛行機で帰ってきておる。しかもそういう事実がいま申し上げたように三回もありまして、いずれもこれはもう出入国の関係でいま証明がされてしまったわけです。こういう事実がありましてもまだ刑事局長はK・ハマダと浜田幸一は同一人であるというわれわれの科学的な推定を肯定なさらぬのでしょうか。これはもう国民がそういう合理的な疑惑を持っておる。それに対してはやっぱりあなた方もお答えになるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 去る三月六日の冒頭陳述の補充訂正につきましてはこれまで何回か御説明をいたしておるところでございます。先ほども仰せになりましたように、その冒頭陳述の補充訂正で「K・ハマダなる者が」という表示がされておるわけでございますが、そのK・ハマダという人が浜田幸一という人であるかどうかということについて再々お尋ねを受けておるわけでございます。そのことについて、何らかの特段の事情があって、わざと何か隠しておるんじゃないかというような御批判も受けておるわけでございますが、私どもはそういうつもりはございません。要するに毎々申しておりますように、冒頭陳述の補充訂正でございまして、これから事実を立証しようということに相なっておるわけでございまして、それにつきまして被告弁護人側の対応がまだなされていないと。したがいまして、裁判所の御判断も全くないと、こういう状況にあるわけでございます。 したがいまして、広い意味では捜査の何というか内容でございますし、捜査の秘密の段階に属しておるわけでございます。また一面、いまも申しましたように、今後の公判で被告人、弁護人側の対応がどうなるかによりましてその点があるいは問題になってくるかもしれない、こういう状況にあるわけでございますので、その捜査の問題、また、公判に対する関係、この両面から、現段階で申し上げられる限度のことを御報告申し上げているわけでございまして、それ以上のことはいま申しましたような理由で申しかねるわけでございます。
○寺田熊雄君 あなたの職務上のお立場を私が理解しないわけではない。ただ、私どもがさまざまな調査の結果、K・ハマダと浜田幸一は同一人であると、そして浜田幸一氏もみずからラスベガスで賭博をしたという事実をこれは自認しておられるわけですね。そして小佐野賢治の公判廷において大橋賢治なる証人が浜田と小佐野がラスベガスで賭博をしたということも認めておる。証言いたしておる。そういうあらゆる資料を総合いたしまして、私どもがK・ハマダは浜田幸一そのものである、こういうふうに断定することがきわめて合理的である、決して不合理ではないということはあなたもお認めになるでしょう。その点いかがでしょう。
○政府委員(前田宏君) 小佐野氏と浜田幸一という方が何回か同行しておられるということは、先ほどの入管局からの御答弁でも出ておるわけでございますし、また、その一部につきましては従来の公判でも一部明らかになっておるところでございますが、その同行の事実から直ちにそういう推理が働くかどうかということになりますと、この推理をされる方の立場なり見方というものをとやかく言う立場にはないわけでございますが、それ以上のことは申しかねるわけでございます。
○寺田熊雄君 なかなかがんこなところがあるけれども、あなたのお立場上ひとつこれはやむを得ないとしておきましょう。 入国管理局長、あなたに対するお尋ねはもうこれで終わりました。御苦労さまでした。 次に、これは法務大臣にちょっとお尋ねをしたいのですが、いま私どもの党におきましても、これはいま鋭意対策を考慮中でありますけれども、大臣のお考えもある程度すでに報道機関に報道せられたところでありますが、自由民主党の方で、いまスパイ防止法の立案を計画中であるということが報道せられております。これはもうすでに自由民主党の方からこういう立法作業をいたしておる、あるいは立法を計画いたしておるという、そういう連絡は大臣なり刑事局長にもうすでになされておるのでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) まだ党の方から私のところへ連絡はございません。
○寺田熊雄君 大臣の方にない。じゃあ、刑事局長の方にもまだ自民党の事務的な方からはなされておられぬのでしょうか。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの自由民主党の方から連絡と申しますと大変正式な党から政府あて、法務省あてと申しますか、連絡というような感じになるかと思いますが、そういうことはないわけでございますが、現に御指摘のように、自由民主党の内部でそういう御検討がなされておるということは、いま漏れ承っておるというような状態でございます。
○寺田熊雄君 そして、刑事局長としてのお考えというようなものが自民党の方にすでにある程度なされておるのでしょうか。お答えになっておられるかどうかということです。
○政府委員(前田宏君) 別に、先ほど申しましたように、こういう案で法務省なら法務省あるいは刑事局としての公的な意見はどうかというようなお尋ねを受けていないわけでございます。したがいまして、また一面、その案自体もいろいろと検討はされておるようでございますが、確定していないというふうにも理解しておるわけでございますので、その案ができて、これでどうかというふうなことで御意見を申し上げているわけではございません。
○寺田熊雄君 案ができて、それに対する意見を申し述べておるのでないことはよくわかりましたが、そういうような趣旨の法案がいま求められているかどうか、是か非かというようなそういう点のあなたのお考えなり省の考え方を自由民主党の方にすでにお答えになったことはあるんでしょうか、大体のところ。
○政府委員(前田宏君) どういうふうにお答えしたらよろしいかと思いますが、似たような現行法としてどういうものがあるかというようなお尋ねがございますと、寺田委員御案内のように、安保条約に基づく刑事特別法がある、あるいはいわゆるMSA協定に基づく秘密保護法があると、こういうような現行法の御説明とか、その構成要件はどういうふうになっておるかというようなことで、若干の資料説明と申しますか、そういうようなことはやっておるわけでございます。それを御参考にされたかどうかよくわかりませんけれども、党の方でいろいろと立案作業を進めておられるようなことでございますが、まだその内容自体が、形の上ではいま申しましたようなこともございまして、いろいろ考えても、恐らく似たようなことにはなるんだろうと思いますけれども、実際はその中身の実体と申しますか、何を保護法益にするか、また構成要件をどういうふうに定めるかというような問題でございまして、どうもそこまでは詰まっていないように聞いておりますので、そういう観点からの御意見が、まだ聞かれてもいないし、申し上げてもいないと、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 それでは、新聞紙上に発表せられました自民党のスパイ防止法案なるものの内容は、あなたはお読みになったでしょうが、これについては、このような法律をつくることがいいとお感じになったか、それともまだこれはどうかなあとお感じになったか、反対であるというふうに感じられたか、どちらですか。
○政府委員(前田宏君) 新聞に報じられました「スパイ防止法案」とかぎのついておりますものがありましたことは、新聞を見て承知しておるわけでございます。ただ、いま申しましたように、そういうものを検討すること自体不当なことだとは私も思わないわけでございまして、検討されることは当然あってもしかるべきかと思いますが、その当否は、中身の問題、内容の問題もございますし、特に憲法との問題もあるわけでございますが、さらにそういうことを現実に立法するかどうかと、こういうことになりますと、大変高度な判断を要することではなかろうかと思いますので、それについて私が、そういうことがいいとか悪いとか、適当でないとか言うような立場にはないわけでございます。
○寺田熊雄君 いや、そんなことはないでしょう。きわめていわば新しい犯罪をつくろうとしているわけでしょう。ニュータイプだな、新しい犯罪のタイプをつくろうとしておる。それが果たして現行刑事法体系の上で非常に協調的なものか、法的な安定性を害するものか、憲法の第九条なり基本的人権の規定等にかんがみて望ましいものか望ましくないものか、そういう判断は法制局にもゆだねられるけれども、とりわけ主務官庁としてはあなたの当面の課題になるんでしょう。だから是か非か言う立場にないというんじゃなくて、まさに是か非かを言うべき立場にあると私どもは考えるんですが、この点いかがでしょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたのは、過日発表されたと言われております自民党の案についてのつもりでございまして、基本的にそういう法案が、あるいは法律が必要かということになりますと、まさしく御指摘のように憲法のいろいろな面の問題がそこにかかわってくるわけでござ いますので、それを要するに憲法との関係もこれあり、慎重に対処すべきものというのがお答えではなかろうかと思います。
○寺田熊雄君 余りあなたを苦しめてもいかぬから、慎重に対処すべきものと思うというのがなかなか含蓄のある答えと私は受けとめて、これ以上はお聞きしないことにしよう。 さて、それでは大臣は、新聞に出ましたスパイ防止法案なるものの内容、これは大臣、当然お読みいただいたと思うんです。いま刑事局長に、あなたが当面の主管者ですよと私は申し上げたんですが、主務大臣としては、まさに大臣がそれに当たります。ですから大臣は、そういう立法がいまの憲法秩序の中で許されるか、刑罰法体系全体の中で矛盾なく座るものであるかどうか。そういうことについては、やはりあなたもそれなりの御判断を持ってしかるべきものだと思いますが、あなたは新聞に発表せられましたスパイ防止法案なるものについて、これを是と考えられますか、非と考えられますか、いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 法務大臣としてお答えいたすことが、ただいまの段階で妥当であるとは思いませんが、一般論から申しまして、この種の法律というのは非常にいろいろな各方面に影響がありますので、ことに私どもの経験によりますというと、この種の法律案というのは一たん上程したら、やはりたなざらしにしておくことはよくないのでありますから、十分にやはり、何と申しますか、各方面の理解と協力を得るようにした上でなければなかなかむずかしいんではないかと思っておりますので、これは先ほど来寺田さんと刑事局長の間でお話し合いをなさっていらっしゃるのを承っておりましても、波及するところ非常に大きなことにも関係がございますので、やはり私はそういう意味で慎重に検討すべきものであると、このような感触を得ておるわけであります。
○寺田熊雄君 一言で言うと、お二方の御意見は慎重論であると、こういうふうに承りました。きょうの段階ではひとつこの程度におさめておきましょう。あなた方に積極的反対論を展開させようとするのは少し無理かもしれませんね。 そこで、最後にいまの刑法の改正案、これは贈収賄罪の法定刑を引き上げるという問題でございますが、これは同時に時効の期間を延長する結果をもたらすわけであります。いま国民が要求しております政治倫理の確立という点からいたしますと、政治的な腐敗をできるだけ重く罰するということについては私ども異議ございません。全く同感であります。ただ、その種の犯罪が起訴されまして、裁判を受けました場合に、その裁判がわれわれ国民の常識からいたしますと、やや軽きに失すると考えられるような、そういう裁判例が多いように思われます。というのは、かなり巨額の収賄をいたした者でさえも、すでに社会的な制裁を受けておるというようなことで執行猶予になる事例がほとんどであります。この点は法務省の刑事局長、最高裁判所事務総局の刑事局長、御両所におかれてどのようにお考えになりますか。ちょっと御感想を承りたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 贈収賄事件につきまして刑が軽過ぎるのではないかという御意見でございますが、最近事案の内容が悪質化と申しますか、というような傾向もございますし、また金額的にも多額な事犯が発生しておりまして、処理されておるというようなこともございまして、最近の傾向、それほど顕著とは申せないかと思いますけれども、量刑もやや重くなってきておると、また場合によっては実刑になる場合もあるというような感じを持っておるわけでございます。確かに、執行猶予になる場合が多いわけでございますが、これはいま寺田委員も仰せになりましたように、いろいろな情状面が加味されて、裁判所が適正な御判断をなされたものというふうに考えておるわけでございまして、その当否をとやかく言う気持ちはございませんが、検察官といたしまして有利、不利を問わず、事案に応じた立証をしなければならないわけでございますので、悪質な事犯につきましては、それなりの立証を重ねて適正な科刑の実現を図りたい、かように考えております。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 一般的に申しまして、贈収賄の罪について現在の裁判所の量刑が軽いか重いかということについていろいろな御意見があり得ると存じます。 申すまでもなく量刑、つまり個々の事案についてどのような刑を、どの程度の刑を科するかということは、個々の事案の内容を離れて論じることはできないものと考えます。事件を担当いたします裁判所としては、個々の事案につきまして、犯罪の動機、結果などはもとより、その社会的な影響、犯罪後の状況など諸般の情状を証拠に基づいて十分に参酌した上で、個々の事案ごとに相当と認める量刑をしておるというふうに私どもとしては存じます。 なお、ただいま仰せのように、贈収賄罪についての執行猶予の割合は、他の一般の事件に比べて高くなっております。その理由につきましても、仰せのように、犯罪の発覚後、捜査、裁判の過程において大変厳しい社会的な制裁を受けているということ、あるいはこの種事案の場合、被告人に前科前歴等が見出されないことが多いということ等が事情として参酌されているのではないかというふうに存じます。 ただいまも申しましたが、個々の事案に応じて証拠にあらわれた諸種の事情、社会的な影響等も含めて、各裁判所としては十分適正な量刑をなすように努めておるものというように存じます。
○寺田熊雄君 裁判官が自分の良心に反した裁判をしておるというようなことを私は考えるものではありません。確かに裁判官は裁判官なりに自分の良心に従い、誠実に裁判をしておられるものだと思いますけれども、ただ、その結果が、国民が見た場合に、どうもこういういわば貧富汚吏に対する制裁としてはやや軽きに失するのではないだろうかというふうに考える事例が多いのではないかと私は思います。 ちょうどいつか、前の刑事局長に日本では殺人罪に対する科刑が軽過ぎやしないかという質問を私はしたことがあります。もう少し検察官も求刑の面で考慮した方がいいんじゃないかと言って質問をして、その点は十分考えるというような趣旨の御答弁があったように思うけれども、いまの贈収賄罪につきましても、これは法務省の刑事局長はどうですか。これは実刑相当ではないかなと思っても執行猶予になるような、そういう事例がありはしませんか。まあそれから伺いましょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほども若干お答えしたところでございますが、寺田委員の御指摘のような感じが持たれる例もないとは言えないと思います。しかしながら、検察官といたしましては、どうも軽過ぎると思うものにつきましては当然上訴の道もあるわけでございまして、そういう方法でより適正な科刑の実現を図るということもございますし、先ほども最後にちょっと申しましたように、立証活動にさらに一層努力をいたしまして、国民の期待に合致するような科刑を得るように今後とも努力したい、かように考えます。
○寺田熊雄君 最後に最高裁の刑事局長にお尋ねしますのは、私も、大方の裁判官がまじめに仕事をしていらっしゃることは認めております。ただ、とかく善良な方々であるので被告人に同情をし過ぎてまあ一般の国民のそうした貧富汚吏に対する制裁をもっと厳しくしてほしいという国民感情の面を余り考えないようなうらみはないだろうかと、そう考える場合が多いんですね。この点は、やはり個々の裁判をあなた方に裁判官に指揮をせいなんていうことは、そんなむちゃなことを言うわけじゃありません。それはできませんわね。しかし、判例研究とか実務研究とかいうようなことで、果たして現在の量刑は相当だろうかと、国民の批判はどうだろうかというようなことを十分検討する、お互いに研究し合う、そういう機会はぜひ裁判官に与えていただきたい。これはどうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 仰せのとおりでございまして、私どもも最高裁判所の関係するところにおきましては、会同、協議会あるいは司法研修所における各種の研究会等を実施しております。また、各裁判所の部内におきましても、裁判官相互にいろいろな研究の集まりを持って、相互に研さんに努める。裁判官は、仰せのとおり、独善ということではもちろんいけない。また、大変視野が狭いということでもいけない。常に視野を広く、自己の研さんに努めて、適正な裁判を実現するように努めなきゃならぬ、このように思っております。
○寺田熊雄君 終わります。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。 —————————————
○宮崎正義君 刑法の一部改正に関する法律案の審議の今日的問題となっているKDDの事件につきまして一言触れて、本題に入りたいと思います。 こういう新聞の記事が出ております。これは国民の声だとも思えます。「KDD事件では、政官財界の驚くべきゆ着、腐敗・金権の実態があらためて明らかになった。そこに最大の問題があるわけだが、くわえて目立って異様なのが、個人の度はずれた公私混同である。巨額の経費が、ブラウス、スカート、ローションにいたるまで、何百点もの私物買いに充てられたというこの事件でもう一人、趣味のミニチュア・カーを、社費でわが家に買い集め」また「ソデの下をもらって、そ知らぬ顔の政官界要人も全く同断だが、こまごまとした日用品の買いあさりというバカげた横領には」全くやり切れない、「この種の事件は急に天から降ってくるものではない。やはり時代の産物といえるだろう。」、あとこういろいろございますが、こういう声がまさしく国民の全部の声だと私も思います。 そこで、刑事局長にはこの種の贈収賄事件をどう受けとめて、事件解決のための捜査当局としての決意といいますか、態度についてお答えを願いたいと思います。
○政府委員(前田宏君) KDD事件につきましては、御案内のとおり、当初関税法違反等から始まりまして、佐藤社長室長の業務上横領と、それから郵政省の元監理官等の贈収賄と、さらに最近に至りまして板野元社長の業務上横領と、かような過程を経て捜査が進行しているわけでございます。 まあその捜査の進行をめぐりまして、ただいまお読み上げになりましたような国民の声と申しますか、そういうものが上がっておるということ、また同様な観点からいろいろと御議論がなされているということは、捜査当局といたしましても十分承知しておるところであろうと思います。したがいまして、そういう疑惑というか腐敗というか、そういうものにつきまして、それを刑事事件の面からできるだけ解明していくというのが捜査当局に課せられました使命であろうということも十分承知しておるものと考えております。しかし、まあ先ほども申しましたけれども、いわゆる広い意味の疑惑とかあるいは公私混淆であるとかいろいろ好ましからざる問題がございましても、刑事事件になる場合とならない場合とがあるわけでございますので、その辺はまた一面御了解を賜りたいわけでございます。
○宮崎正義君 いま御答弁の中にもありましたけれども、板野KDD元社長の逮捕にかかわりのある者がいまの段階であると思いますかどうか。
○政府委員(前田宏君) あるいは質問の御趣旨を取り違えておるかもしれませんが、板野元社長は、ただいまのところ業務上横領罪ということで逮捕をし、またその取り調べが始まったばかりでございます。ただそのことから新聞報道等におきまして、いろいろと政官界に対する疑惑ということが取り上げられており、それがまた国民の関心を深めておるということは事実であろうと思います。しかしながら、まだ捜査当局としまして、どこまでその点を把握し、どのように捜査を進めていくかということになりますと、これからの問題ということでございまして、いま具体的にどういうふうになるかということを申し上げる段階ではないわけでございます。
○宮崎正義君 重ねてお伺いするようですが、新聞等で報道されているいろんな方々がいるようでありますが、そういうふうな方々の捜査線上の中にお考えがあるかどうか。
○政府委員(前田宏君) 同じようなお答えの繰り返しになるかもしれませんが、捜査線上にどういう人が浮かんでいるかどうかということになりますと、これはまさしく捜査の秘密といいますか、これからの捜査の内容にわたることでございますので、そういう観点からいろんな御関心があることは十分承知しておりますけれども、この席で、この段階で申し上げることは差し控えさしていただきたいわけでございます。
○宮崎正義君 大臣ね、公益会社と政官界を包む暗部の追及ということに対しては、相当な決意がなきゃならぬと思うんですが、いま刑事局長と私とのやりとりの中で、大臣としての考え方、決意といいますか臨んでいく態度、その点について大臣から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどもお答えいたしましたように、検察は適切な措置を講ずるものと確信しております。
○宮崎正義君 今回の改正法案の提案理由の説明の中で、「一般予防的効果を期するため、」と、こういうふうなことも言われておりますが、収賄罪等の法定刑の引き上げ、それが収賄事犯等の発生防止になるのかどうなのか、その発生防止というものに対するお考えをまずお答えを願いたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 今回御審議をお願いしております法案は、改めて申し上げるまでもなく贈収賄、特に収賄罪の法定刑の引き上げだけであるわけでございます。したがいまして、この法案が御可決いただきましたことによって、それがいわば特効薬的な効果を発揮してこの種事犯が防止できるかということになりますと、それだけの特段の効果があるということは言えないかと思いますけれども、やはりこの法定刑の引き上げということを実現することによりまして、贈収賄罪に対する国民の評価と申しますか理解というものもおのずから高まるわけでございます。そのことによってこういう事件を起こすことがよくないんだということが国民全般にも知れ渡る、特に公務員の者にとりましてその認識が高まると、改まるという効果が期待できるのではないかと、そのような意味で、やや間接的ではございますけれども、一般的な予防効果というものも考えられるのではないかと、かように考えております。
○宮崎正義君 いま御答弁で、間接的に一般的な考えのことになるだろうともおっしゃいましたけれども、私はその以前の問題があると思うんですね。綱紀粛正というその問題についても、これは何回か言われているわけであります。先ほど言いましたKDD事件を初めもう数限りのない事件が今日明るみにどんどんどんどん出ています。これは国会議員及び地方公務員等の綱紀粛正については、いろんな角度でいろんなふうに言われていると思いますが、そこで総理府と自治省来ていらっしゃいますね。それぞれの立場の上から御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(川崎昭典君) 官庁綱紀の粛正につきましては、従来から機会あるごとに繰り返しその徹底を図ってまいっておりますけれども、昨年来の一連の不祥事により、国民に不信の念が非常に沸き起こっておるということを非常に遺憾に存じておる次第でございます。 政府としましては、この機会に公務員の綱紀の厳正な保持ということを最も重要な施策の一つといたしまして取り組んでおるわけでございまして、昨年末官房長会議申し合わせということで、具体的に今後どういうふうにやっていくかということを取り決めたわけでございますが、今後とも人事管理運営の基本方針に綱紀の粛正を取り入れまして、国家公務員、地方公務員一丸となって綱紀の維持を確保してまいりたいと考えておるわけでございます。
○宮崎正義君 御親切じゃないですね。人事管理の面で基本的な云々とおっしゃいました。その要綱がありますか。
○政府委員(川崎昭典君) 人事管理運営の基本方針として現在作成中でございますが、これは毎回いろんな面を取り上げておるわけでございますけれども、綱紀の粛正ということを従前にも増して基本方針として取り組んでまいるという趣旨でございます。
○宮崎正義君 作成中ということですからこれはやむを得ませんが、当然これはもう作成中じゃなくて、過去からもずっとやっておられることだと思うのです。いままでこうやってきたけれどもまだだめだから、今度はこういうふうにやるんだというような行き方じゃなかろうかと思うんですがね、どうなんでしょう。
○政府委員(川崎昭典君) 先生御指摘のとおりでございます。ただ具体的にいろいろやってまいるということを運営方針に盛り込みまして、また会議等でも趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 〔委員長退席、理事大石武一君着席〕
○説明員(坂弘二君) 地方公務員の汚職の関係でございますが、昭和五十三年度におきまして発覚いたしておりますものが百六十件二百八十八人ございます。このように相変わらず地方公共団体におきまして不祥事件が後を絶ちませんことはまことに遺憾であるとわれわれも思っておるわけでございますが、そこでいかにしてこのような汚職事件を防止するかということでございますが、やはり基本的には地方公共団体の長みずからがえりを正し、また三百十万人以上の職員がおりますが、その職員の一人一人が全体の奉仕者としての自覚を持つほかに、これはもう道がないと思います。基本的にはそれでなきゃならぬと思います。 そのために地方公共団体におきましても、公務員意識の徹底だとかあるいは自己啓発だとかあるいは教育訓練等それぞれ適切な措置を講じることが大事でございますが、自治省といたしましても、このように地方公務員が個人個人自覚を持つように、これを促すためにこれまでにもしばしば通達を出しますとかあるいは地方公務員の綱紀の厳正な保持について注意を喚起するなど、研修会などを利用していろいろと指導を行っているわけでございますが、なお、昭和五十二年度からは全地方団体につきまして不祥事件の具体的事例に関する調査を行っておりまして、そのような不祥事件発生の背景だとかあるいは今後における不祥事件防止のためにどのような措置をとるか、これらの実態を踏まえまして、これらをまた地方公共団体に周知せしめて汚職防止の一助としているところでございます。
○宮崎正義君 国家公務員あるいは地方公務員の今日までの贈収賄事犯のどういうところの分野といいますか、事業種といいますか、そういうところが多いと思いますか。国家公務員……
○政府委員(川崎昭典君) 具体的にはやはり権利官庁といいますか、許認可事務とかあるいは事業官庁といいますか、実際上の事業をやっている場合に多いかと考えております。
○説明員(坂弘二君) 地方公共団体でわれわれのとりました統計によりますと、やはり土木、建築工事の施工部門とかあるいは各種の検査、審査、検定、そういう部門が一番多いと思います。
○宮崎正義君 いま自治省の第一課長が言われましたそのことは、確かにそうだと思います。私の手元にあるのを見ましても、これはちょっと古い資料ですけれども、この当時はこれは五十一年でございますか、総数が三百九ありましてそうして国家公務員が三十一名、一〇%、地方公務員が百七十三名で五六%、この方から見ていきましても地方公務員の収賄罪というものが非常に多い。こういうことについて、それではその公務員の側がそれをしむけて罪を犯すのか、あるいはその出入りをしている契約指名業者の方が誘いをかけてやっているのか、そういった点についての考えは、どちらがどうであるかということをおわかりでございますか。
○政府委員(川崎昭典君) お尋ねの件でございますが、誘惑に負けると申しますか、誘いに乗るといいますか、そういったケースが圧倒的に多いと考えております。公務員の方から逆に誘惑するというか、ゆするといいますか、そういったケースはきわめて少ないように考えております。
○説明員(坂弘二君) これはどちらが原因であろうかということにつきましては、非常に統計的にもわかりにくいし、またいろいろ実態も複雑であろうと思いますが、いずれにしましても、こういうふうな事件が起こりまして地方団体がいろいろ反省いたしましたところに従いますと、やはり職員としての意識に欠けてたという反省が非常に多いわけでございますし、また監督が不十分であったとかそういうような問題もございますが、直接どちらがどうということはちょっとわかりかねます。
○宮崎正義君 私の資料によりますと、国家公務員の方が賄賂要求行為がないといいますか、しない方ですね、国家公務員はやってないんだと、企業の方がやっているんだというふうに解釈すればいいと思うんですが、八三・九%ですね、総数の一〇〇に対して。 〔理事大石武一君退席、委員長着席〕 それから地方公務員は六七・六%ということになっている。こういうふうに考えてみますと、先ほど御答弁がありましたように誘惑に負けるということ、この誘惑に負けるという前に以前の問題があると思う。企業に対するその監督、指導、あるいは地方自治体においては毎年あれは申告するわけです。業者の契約者としての資格申請をして認定をされる。そういう面のときに臨む地方自治体が私は問題だと思うんです。これは国家公務員の場合もやはり同じだと思うんです。このときにどういうふうな業者が一番やっているのかということは、先ほど御答弁がありましたように土木関係だとか、審査だとかそういうものに多いということならば、それがすぐチェックができるということになると思うんですが、この点についてどういうふうに臨まれていこうとするのか、その点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(川崎昭典君) その点につきましては、先生御指摘のとおりかと考えます。誘惑をされたから罪を犯したと申しましても、やはりそういった体制ができないように監督をするなり指導をするなりということが必要でございますので、それぞれ現場を受け持っておる官庁に対しましては私どもの方からやはり機会あるごとに指導なりお願いなりをいたしまして、先生おっしゃるような趣旨でこういったことが起こらないようにやってまいりたいと考えておるわけでございます。
○説明員(坂弘二君) 地方公共団体におきましてもすべてを存じておるわけではございませんが、われわれの承知いたしておりますところでは、指名業者の資格の審査でございますか、リストをつくりますときに、やはり大きな汚職事件などを起こしたものは一定期間これを除外するとかいうこともやっておるようでございますが、われわれといたしましてももちろんそういうことをするとともにやはり——汚職を弁護するわけではございませんが、人間でございますからやはり間違ってやることもあると思いますから、仮にそういうような場合が起こっても、これが仕事を処理する上においてそういうことが起こらないように、防止されるように組織なり機構、あるいは組織、機構をたとえ整備いたしましても、たとえば人事異動などで上司がみんな一斉にかわるというようなことがあればまた穴が抜けるわけでございますから、そういうことのないようにいろいろ研修などの機会を通じましてきめ細かにできる限りの指導をしたいと思います。
○宮崎正義君 私は企業の方をやれと言っているんですよ。企業の方を厳重にやれと言っているんです。企業が誘って事件を起こさせるんですから、企業を厳重にそういうことをするなという通達なり、自治省は自治省としての、また総理府は総理府としての厳重な通達を出して企業の方の考え方を改めさしていくと同時に、当然いまお話しの、弱い立場だと言われましたけれども、弱くはないんです。こちらはやっぱりそういうふうな考えがあるからいつとはなしに乗ってくるような形になるわけですから、両方とも厳重にやらなきゃならないというふうに思うわけです。したがって、この際厳重な通達等を出すお考えをおやりになったらどうか、こう私は思うわけですが、どうですか。
○政府委員(川崎昭典君) 先生御指摘のとおりでございまして、監督される事業者なり業者なりを十分にそういう意味で指導していくという点に今後力を注ぎたいと考えております。
○宮崎正義君 今回の改正で贈賄罪の百九十八条の第一項の法定刑の改正をしてないように思えるんですが、これは贈る方も同じじゃないんでしょうか。どうでしょうか、刑事局長。
○政府委員(前田宏君) 確かに先ほどの御議論でもございましたように、企業側というか業者側といいますか、そこに問題があるケースももちろんあるわけでございます。したがいまして、贈賄の方も法定刑を重くしたらどうかという御意見は十分考えられるところでございますけれども、今回の改正案の考え方といたしましては、最近の状況にかんがみますと、やはり綱紀の粛正というところに力点を置いて、収賄の方の法定刑を引き上げるということが現下の情勢にかんがみて適当であろうという観点から立案されたものでございます。公務員の方から要求するような場合が比較的少ないというような話も出ておりましたけれども、そういう場合も絶無ではございませんし、むしろ最近では多くなっておるような感じもしないわけではございません。そのようなこともございますし、従来から沿革をたどりますと、贈賄と収賄ではやはり一段と差がついているというような経過もございますし、また刑法の全面改正の作業の中でいま御指摘のような点も十分議論されたわけでございますけれども、さしあたっては、やはり収賄罪の方の刑を上げるのが適当であろうというような結論になったこともございまして、そのようないろいろな面を考えて、今回のさしあたっての措置としては収賄の方に重点を置いて考えたということでございます。しかし、いろいろと情勢も変化するわけでございますので、贈賄の方についてもさらに引き上げの要があるというふうになりました場合には、その点も放置しないで検討をしていきたいと、かように考えております。
○宮崎正義君 この法律案提案の動機だとか、あるいは刑法全面改正に関してこの法案がどうであるかということもお伺いしようと思いましたが、一部触れられましたから、時間の節約上これ聞くのをやめます。 それで、いま御答弁がありましたけれども、私は企業側への処罰といいますか、そういったようなものも当然考えていかなきゃならないんじゃないかと思うんです。と同時に、またもう一つには、俗に言う高級官僚の天下りの規則ですか、五年間はどうだとかこうだとかというような、まあそういった規約か規則みたいなものが必要じゃないかとも思いますし、また会計検査院をもっと強化して、そしてこういう防止をしていくということも一つのあり方だと思います。それから一番大事なのは、企業から献金を許さないというようなことに重きを置かなければ、なかなか防ぐことができないんじゃないかと思うんですが、この点についてはどうでしょう。
○政府委員(前田宏君) 冒頭のお尋ねにも申しましたように、法定刑の引き上げだけでこういう事態が改善されるというふうにはもちろん考えていないわけでございます。まあこのことに限らず、刑罰というものはいわば最後の手段でございまして、先ほど来宮崎委員が仰せになりますように、むしろそれ以前の問題、恐らくはその未然防止の問題であろうと思いますが、その方がむしろ大事であるということは私どもも十分承知しておるつもりでございます。 そのようなことで、法務省の刑事局の立場といたしましては罰則ということでやっておるわけでございますが、いまのようないろいろな点、御指摘になりました点、これはそれぞれの分野で検討が進められ、それぞれの措置がとられるべきものと、かように考えております。
○宮崎正義君 同じようなことを言うんですけれども、企業の経済活動、利害関係の中からいろんな問題が起こされてくるんですから、やはりこれは一応考えていただいた方がいいと思うんです。そういう面で商法の、会社法の改正に関連して企業の社会的な責任をどのようにしていくようにするのかというようなことも私は当然考えていいんじゃないかと思うんですが、この点どうでしょうか。
○政府委員(貞家克己君) 御指摘のとおり、企業の自主的監視機能を充実強化するということはきわめて重要であるという認識に私どもは立っているわけでございまして、かねてから会社法につきまして改正作業を進めていたのでございますが、昨年七月にそういった企業の不正行為防止のための対策というようなことを早急に確立するという点に重点を置きまして、会社の業務執行に際しての違法行為の発見、防止制度の強化というようなものを中心といたしまして会社法の改正審議を促進することになったわけでございます。これは法務大臣の諮問機関でございます法制審議会の商法部会でそういうような意思決定がなされたのでございますが、現在その決定に基づきまして、法制審議会におきまして会社の財務、業務内容の開示、監査役、会計監査人の監査権限、地位の独立性の確保、その責任の強化というような点、並びに取締役の責任の明確化というような点に重点を置きまして商法改正の審議を急いでいるわけでございます。過去三回にわたりまして、法制審議会の審議の経過を踏まえまして私どもの方で試案を公表いたしまして、各方面の意見を求めているところでございますが、そういった意見も参酌いたしまして、法制審議会の答申が速やかに得られることを私ども期待しているわけでございまして、答申が得られましたならば、できる限り速やかに法律案を作成して国会に提出いたしたいと、かように考えている次第でございます。
○宮崎正義君 非常にいろんな立場の人、むずかしい問題がいっぱいあると思います。総会屋の問題等も出てくるでありましょうし、いろんな諸問題がふくそう化した中に審議をされていると思いますが、せっかくいま御答弁がありましたように、これは私の要望として速やかに解決をしなければ、そこから基本になってくるような面もあるわけでありますので、その点をひとつお考えを願って、さらに進めていただきたいということを申し上げたいと思います。 大臣、いま私が本案の刑法の一部を改正する法律案で、この問題は何といいましても基本的姿勢といいますか、綱紀粛正といいますか、その基本的姿勢というものがまず第一の防止策であり、同時に相手方の姿勢が大きな災いを起こす原因にもなっております。こういう点につきまして、閣議において今回の法改正に当たってこういう質疑が取り交わされているということを発言をなさいまして、各省がこれにしっかり当たっていかなければならないと思います。その点どうお思いですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) まことに御同感でございまして、綱紀粛正はただいまのときに非常に重要なことでございまして、大平総理もせんだって地方に出ましたときにも、政治的な大きなテーマとしてそれを掲げておりましたような次第でございます。私どもは、こういう際にたまたまこの刑法の一部改正案を御審議願うわけでありますが、そういうものが実施されるにつけても、並行して綱紀粛正を私どもは全力を挙げてやらなければならないことだと思っております。
○橋本敦君 郵政省の官房長、突然大変御迷惑をおかけいたしましたが、何分にも神山次官の御退任、江上局長の更迭というのが突然の人事だったように思いますので、突然来ていただきまして恐縮ですけれども、お許しをいただきたいと思います。 まず、官房長に伺いたいんですが、定例の郵政省における人事異動、これは大体通常国会が終わりました七月、早くても六月末、これがいままでの経過であったように思いますが、いままでの経過では大体そういうことは間違いないですね。
○政府委員(小山森也君) おっしゃるように、大体六月末から七月というのが慣例でございます。
○橋本敦君 だからしたがって、今度の人事は、いま官房長御答弁のように、いままでの慣例に反して大変早く事務次官が御退任になると、また重要な局長がかわると、こういうことになったわけですが、急にこのように早くなった理由はどういうところにあるんですか。
○政府委員(小山森也君) 私の聞いているところでは、ただいま郵政省の士気が非常に沈滞していると、いろんな問題がありまして、内部において非常に士気が沈滞しているということでございますので、やはりこういったときには人心一新することが必要ではないかということで、先日、予算が成立したのを機会といたしまして、事務次官が人心一新のために退任するということに踏み切ったというふうに聞いております。
○橋本敦君 その点で少し疑問がありますのは、予算が成立したというのはこれは郵政省に限らず、各省庁とも予算の成立という事態を受けて今後仕事をしていくわけですね。郵政省の内部が非常に沈滞をしておるということで人心一新の必要があるというお話でございますが、郵政省の内部がいまなぜそれだけ士気が沈滞をしておるのか、これがまず問題です。これはずばりと言って、KDD事件で二名の逮捕者を出す、そしてまたKDD事件に関連をして郵政省官僚へのいろんな接待や贈り物工作があったのではないかということが世間で非常に言われておる、こういう状況があなたの御答弁をなさった、士気が沈滞をしておるという直接の理由になっていると、これは常識的に見てこうなりますが、そういうことですか。
○政府委員(小山森也君) 直接的にということは、私もちょっとその辺は聞いていることでございますのでわかりませんけれども、大きな意味におきまして郵政省全体が士気が沈滞していると、これからのいわゆるプロパーの法律の御審議をいただく上におきましても、士気をここにおいて人心を入れ直すということが重要だと、こう考えたということを伺っております。
○橋本敦君 官房長の御判断を私は聞いているわけですがね。あなたは官房長ですね、そういう立場で責任ある答弁をお願いするために来ていただいたんですが、なぜ郵政省は士気が沈滞しているか、各省庁で異例の人心一新人事を予算成立と同時にどこもやってないです。郵政省が人心一新で士気沈滞を防がなきゃならぬと、郵政省だけが士気が沈滞しているというのはKDD事件、これがあるからだと、これはもう当然じゃありませんか。ほかに理由がありますか、理由があったらお聞かせいただきたい、官房長の御判断で、いかがですか。
○政府委員(小山森也君) まことに申しわけないんでございますけれども、今回の人事につきましては、私のいわゆる権限ということではございませんので、個人的な感想ということを申し上げる場ではないような気がいたします。まことに申しわけございませんが、ひとつ個人的な感想につきましてはお許し願いたいと存じます。
○橋本敦君 官房長という立場でごらんになって、郵政省の内部はいま士気が沈滞しておる事実はお感じになりますか、事実として。
○政府委員(小山森也君) ただいま申し上げましたとおり、私の個人的な感想ということにつきましては、ひとつお許しいただきたいと存じます。
○橋本敦君 個人的な感想より、官房長に郵政省内部の事実を聞いている。いかがですか、そんなに士気が沈滞しておりますか。
○政府委員(小山森也君) 繰り返して申し上げるようでございますけれども、今回の人事異動に関する個人的な感想というようなことにわたりますので、お許し願いたいと存じます。
○橋本敦君 そういう御答弁なさると官房長、ますます疑惑が深まらざるを得ないですね。客観的に士気が沈滞しているか、してないかという事実さえお答えになれない。本当にしているなら、その原因を明らかにすべきだ。だから要するに、人心一新ということが人事の名分だというようにあなたはお聞きになっておられるから、実際に士気が沈滞してこの時期に人心一新やらなくちゃならぬという、そういう状況が事実としてあるのかどうか、これもあなたはお答えにならない。 それからもう一つの問題としては、その士気が沈滞しているという、そのことが事実とすれば、それはKDD事件というこの事件があって、皆さんが苦悩しておられる、心配しておられる、悩んでおられる、そういうこと以外に考えようがない、こう私は判断を——今度は私がするんですよ、私はそういう判断をしますが、私の判断は間違っていますか。
○政府委員(小山森也君) 先生のおっしゃる御判断というものにつきまして、私からそれに対する……
○橋本敦君 間違いなら間違いと、遠慮なしに言うてください。——遠慮なしに、遠慮なしにやってくださいよ。
○政府委員(小山森也君) そのことにつきましては、御判断に対する批判というものは、ちょっとできかねる次第でございます。
○橋本敦君 官房長のお立場が大変微妙で、まあ答弁に窮されることも理解できますが、率直に言いまして、二人のエリートコースを歩む官僚がKDD事件に関連をして逮捕をされた。そうして捜査はさらに続けられておる。その捜査の真っ最中である。逮捕された二人に続いて、まさに次官コースを歩んでおられた重要局長である江上局長、これに関して新聞でいろいろ書かれておりますが、ここまで事情聴取が及ぶとなれば、それこそ士気にかかわる、それこそ人心一新が必要になるという事態が目に見えておる。だから、早目にそれを回避するために、突然ではあるけれども異例の人事をやったと、こういうように私どもも世間も見やすいわけですが、あなたとしてはこの事の真相については本当に知らないんですか。
○政府委員(小山森也君) 先ほども申し上げましたように、神山次官の方がそのような省全体の士気というものを考えて今回の人事異動というふうに踏み切ったと聞いております。
○橋本敦君 人事の問題ですからなかなか真相は出てこないわけですが、どう考えても異例の人事であるということはあなたがおっしゃったとおりだし、KDD事件の捜査中、真っ最中であるという状況を考えますと、まさに私どもはそう考えざるを得ない状況がある。 検察官に伺いますが、二人の逮捕された郵政官僚の勾留満期は何日で終わりますか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘の二人の方についての勾留満期は四月の八日でございます。
○橋本敦君 つまり、きょうでございますね。そうして、この捜査の結果、起訴されるかどうかということがきょうじゅうに決まるわけですが、もうわかっていると思いますので言っていただきたいんですが、起訴の方針で処理されるわけですか。
○政府委員(前田宏君) 実はけさからこちらに参っておりますので、確定的なことを聞いておりません。
○橋本敦君 方針はあるでしょう。もうすぐわかることですから、起訴の方針で進めておられると伺ってよろしいですか。
○政府委員(前田宏君) 何分にも起訴、不起訴ということは大事なことでございますので、はっきりしないことをここで申し上げるのはいかがと思います。
○橋本敦君 いずれにしても、起訴しなかったら釈放はされる。それから起訴されても、保釈請求ということで身柄が釈放される可能性がある。それがぎりぎりきょうだということは言えますね。
○政府委員(前田宏君) その点は、仰せのとおりでございます。
○橋本敦君 したがって、きょう勾留が満期、そして仮に起訴されたら、それ自体また新たな局面を迎える。そしてまた釈放ということが、保釈か、もしくは在宅起訴か、あるいは起訴をそのまま延ばして、在宅で取り調べるか、身柄が釈放されるということになっても新たな事態を迎えるわけですが、この八日という期限は二人の逮捕された官僚の捜査にとって重要な一つのめどになる。そして、このめどを見越してこの二人が起訴をされる。そしてさらに、これが起訴されて、大体次はこの二人の捜査から江上局長周辺の方に捜査が及んでくるというそういう状況があるので、勾留満期の八日を前にしてきのう突然辞任という処置を郵政省首脳はとったと、こういうように私は考えざるを得ない。官房長に幾らその点をお聞きしてもお答えになりませんけれども、そういう脈絡があるものとして今度の更迭は異例の人事だという点はこれはもうはっきり明らかだし、その意図が、単に人心一新ということでは説明し切れない社会的状況だということもこれも明らかだと思いますね。 そこで、このKDD事件なるものですけれども、いま板野前社長が逮捕されて取り調べを受けている。このKDD事件の捜査の一つの方針の眼目として、料金の改定問題、これにどう絡むか。二つ目には、KDDの人事に関連をしてKDDの多額の交際費その他の支出あるいはパーティー券、商品券その他がどう絡むか。つまり、料金問題とそれからKDDの人事問題、これをめぐって捜査を進めていかなくちゃならぬという状況にある。このことは警察の方で間違いございませんか、考え方として。
○説明員(漆間英治君) 御承知のように、警視庁ではいわゆるKDD疑惑というものを解明するために虚心に事実は何か、証拠は何か、法律は何かということで捜査を進めているわけでありまして、その結果、五日の板野前社長逮捕まで来たわけでございます。 今後どのように発展するかという事柄につきましては、いわば今後の捜査の結果によるわけでありますので、それについてあらかじめ予断を持って、ただいま橋本委員の御質問のように、特定の問題にしぼってどうこうということじゃなくて、むしろやはり幅広く、事実は何か、証拠は何か、法律は何かということで捜査を進めているというように御理解をいただきたいと思います。
○橋本敦君 この間私が聞いたときは、もっとはっきり答えましたよ。ここまで来てわかり切った小学生に言うような答弁をしてもらったって意味ないですよ。まさに、このKDD事件の本質は何だと見て捜査をやっているかということが大問題ですよ。そういう答弁をしながら、意識的に政界工作を排除していくという意図で捜査をなさっているとしたら、これはもう警察権力としてもってのほかだということになりますよね。これはもう言うまでもありませんよ。 要するに、この事件の核心の中に、国会論議でも出されたけれども、料金改定をめぐる問題との絡みはどうなのかという問題が一つ重要な問題としてある。捜査当局はこれに重大な関心を払わねばならぬ。これは当然じゃないでしょうか。
○説明員(漆間英治君) 捜査当局といたしましては、現に捜査を進めている立場でありますので、個々具体的な事柄について一々関心を持っているとか持っていないということについていま申し上げるべき立場にございませんので、その点につきましては御答弁を御容赦願いたいと思います。
○橋本敦君 納得できませんね。 KDD事件という事柄の本質をもっとはっきりつかんで、国会論議の場でも明らかにしながら、捜査は捜査として着実に証拠を積み上げながらやっていったらいいんですよ。KDD事件の一つの重要な核になる問題点として料金値上げ問題があり、もう一つは人事問題がある。これは、いままでの国会論議でもあなた方の答弁を総合しても明らかじゃありませんか。刑事局長の御判断いかがですか。
○政府委員(前田宏君) ただいまお尋ねのような問題、これがいわゆるKDD事件の中で、国会で一の御論議もそういう点に集まっていると申しますか、論議が重ねられているということは改めて申し上げるまでもないところだと思います。
○橋本敦君 国会論議はそうなっておるし、捜査もそういう点を解明するという、そのことを捜査としても尽くさなければKDD事件の全貌が明らかにならぬという状況になっておるということも、刑事局長明白じゃありませんか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど警察の方からもお答えがございましたように、捜査のことでございますから今後の進展はどうなるかということはもちろん言えないわけでございますけれども、いま申しましたように、御指摘の点が本件における重要な問題点の一つであろうということは十分承知しております。
○橋本敦君 そこで、郵政大臣のKDDに対する職務権限との関連で聞きたいんですが、郵政大臣はKDDに対して職務権限としてはどのような職務権限を持つ地位にありますか。これはどちらからでも結構です。
○説明員(塩谷稔君) お尋ねの件でございますが、郵政大臣は、国際電信電話株式会社法に基づきましてKDDを監督する権限を有しております。
○橋本敦君 もう少し詳しく、一般的監督権以上に具体的に権限があるはずですね。たとえば、国際電信電話株式会社法の十一条はいかがですか。
○説明員(塩谷稔君) 十一条によりますと、これは、「取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議」、こういったものが郵政大臣の認可を受けなければその効力を生じないということになっておりまして、一つの人事上の、普通の株式会社でございますので、総会などで役員が選出されるわけでありますが、それが有効になるのは大臣の認可にかかっていると、これが一つでございます。 それから、利益金の処分、これは一つの経理上の監督作用でありまして、株主総会の決議を経て確定されました利益金の処分方についてやはり大臣の認可を必要とする、こういったことが主な内容になっております。
○橋本敦君 ですから、人事及び利益金の処分について直接かつ強力な権限を持っていることがわかりますね。 それじゃ、公衆電気通信法六十八条で、いわゆる料金問題についての郵政大臣の権限はどうなっておりますか。
○説明員(塩谷稔君) ただいまの国際電信電話株式会社法に基づく監督権限、これは一つの会社という組織に対しての監督作用でございますが、そのほか、郵政大臣は、KDDがやっております国際電気通信業務に関して監督権を持っておるわけでございます。それが先生お尋ねの公衆法第六十八条に基づきます料金の決定、これは、公衆法で、法律で決められております料金以外の料金につきまして大臣の認可を経て定めると。KDDの場合、国際電気通信業務をやっておるわけでございまして、その大半はこの認可によって料金は決められる、こういう仕組みになっております。
○橋本敦君 だからしたがって、料金問題についても郵政大臣は直接の認可権を持つという立場にある。 そこで刑事局長に伺いますが、国会議員の贈収賄事件では、職務権限の問題が非常にいつも重要な問題になる。その点、この人事及び料金問題に関連をするKDDの問題について言うならば、まず郵政大臣が明確な職務権限を持っておるという点についてはもう疑いがありませんね。
○政府委員(前田宏君) 職務権限という言葉を使い、また、お尋ねの冒頭にありますように、贈収賄罪というようなことを念頭に置きながらお答えをいたしますと、捜査中の事件の関連ということが何か出てくるような気がいたしますので、どのようなお答えをしてよいかと思いますが、先ほど来郵政省の方からお答えございましたように、郵政大臣としてはKDDに対していろいろな意味での監督権を持っているということは承知しております。
○橋本敦君 だからしたがって、職務権限についてはいま法律で明記されているところからも十分検察庁は承知されているとおり明らかである。 そこで郵政省に伺いますが、料金値下げの問題が起こったのは、五十二年の末ぐらいから論議が起こりました。そして、政府は五十三年の四月二十一日には経済対策閣僚会議まで開いて値下げの方向の検討を始めた。そして、郵政省は三回にわたってKDDに対して値下げの方向を検討し、それを文書で報告するように求めた。第一回目は五月十日、二回目は九月の十九日、三回目は年明けて五十四年の三月十五日。この事実は、これは間違いないですね。
○説明員(塩谷稔君) 先生がおっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 そこで、郵政省の立場として一般論として伺いたいんですが、いま出されたKDDへの文書による報告提示というのは、これは先ほどあなたがおっしゃった、KDD法で郵政大臣が監督権を持つという、その監督権に基づいて出されたという趣旨になるんですか。
○説明員(塩谷稔君) KDD法には、先生御指摘のとおり、郵政大臣のKDDに対する監督権限を明記した条項がございますが、この場合の指導と申しますのは、一種の行政指導と申しますか、法令上並びにそれに基づきまして郵政大臣が電気通信業務全般について指導する、そういった権限に基づいてなされたものと理解しております。
○橋本敦君 だからしたがって、そういう権限に基づいて出されたものであるということが明らかになった。そうすると、郵政省の直接の監督下にあるそういう特殊法人KDD、そのKDDがこの指導に対して文書で回答したのが最初の五月十日の指示を受けて八月二十六日、三カ月かかっている。これはちょっと長過ぎやしないか、報告が怠慢ではないかという気がしますが、郵政省はどう見ていますか。
○説明員(塩谷稔君) 御承知のとおり……
○橋本敦君 結論だけでいいです。
○説明員(塩谷稔君) はい。十分検討に時間をかけて回答いただいたものと、こういうふうに理解しております。
○橋本敦君 それは甘くて好意的過ぎるんじゃないの。三カ月もかかっている。督促一回もしなかった。強力な指導じゃなかったのですか。それじゃ、二回目、三回目は報告も出していないでしょう、事実どうですか、KDDから。
○説明員(塩谷稔君) 文書という形式での回答、これは先生御指摘のとおり八月二十六日にあったわけでございますが、それ以前、それからその後も、これはたとえば九月十九日に、先ほど御指摘のように私ども再度経済対策の一環として出ました決定に基づきまして文書指導しているわけでございますが、そういったことも間にはさんでいろいろ事務的に打ち合わせをし、その検討方を強力に指導してまいったところであります。
○橋本敦君 いやいや、強力な指導をしていないから問題にしている。あとの二回はほったらかして文書の回答はなかったでしょうと、こう聞いている。回答はなかったでしょうと聞いている。
○説明員(塩谷稔君) 文書による回答はございません。
○橋本敦君 だから、見解の相違だということにあなたはなると思っておられるかもしれぬが、強力な監督指導権がありながら、まさに郵政省の指導自体が緩やかで怠慢過ぎるんですよ。経済閣僚会議までやって、その重要な問題についてあとの二回は報告さえしていない。結論は値下げは全然やらなかった、こういうことになるんですよ。 そこで、もう国会で何度も論議されたからあなた方おわかりだと思うが、服部郵政大臣の答弁の変化に注目をする必要があるでしょう。服部郵政大臣は五十三年の三月三日には、値下げを適正な価格にするよう大変なファイトで指導しております、こう言っておるんです。あなたのお話を聞いたら、ファイトのある指導なんてやってないですよ。そんなの三カ月もほったらかして、口頭でやったとあなたおっしゃるけれども。その大変なファイトで値下げをやろうという答弁が、四月十八日になりますと御存じのように、私は決して値下げするなんと言った覚えはありませんという方向へ後退していくでしょう。ところが、その四月十八日のそういう後退答弁をした次の四月二十一日に経済対策閣僚会議が開かれておる。この経済対策閣僚会議には、服部郵政大臣も特にこのKDD問題があるので参加をしておられたはずですが、参加をしておられたことは間違いないですね。
○説明員(塩谷稔君) ございません。
○橋本敦君 だから、服部郵政大臣はこの経済対策閣僚会議で料金の値下げに賛成の方向で発言されたのか、四月十八日の後退答弁の方向で余り賛成しないということで発言されたのか、これも調べなくちゃいかぬ。どっちにしても、先ほどから私が明らかにしたように、KDDに対する最も強力、かつトップの指導監督、そして料金について認可、こういう強力な権限を持っておられる郵政大臣がこの料金値下げ問題について文書で指導を出される以前から後退答弁をされておるというこういう姿勢ならば、KDDは郵政省の指導を甘く見て返事さえ文書で回答しないという、そういう態度をとってくることは想像にかたくないわけですよ。 そこで、この大臣の後退答弁に関連をしてひとつ注目しなくちゃならぬのは、新聞で報道されていますけれども、五十三年の春に板野社長と服部郵政大臣がひそかに赤坂の料亭でお会いになった。この料亭は田中角榮元首相のために角榮部屋が用意されていることでも有名だったと、こう言っておりますから、大体その名前はもう想像がつく料亭ですね。この五十三年春にひそかに会われたということ、このほかにも、この前後に二人は銀座の料亭「K」で人目をはばかって会食をしておられる、こういう報道がある。これは大臣のこの答弁の変化にかかわって、この五十三年春のこの二人の会談というのは、この大臣答弁の後退の裏に何があったかを調べねばならぬ非常に重要な事実だと私は思いますが、この点について警察庁は調べておりますか。
○説明員(漆間英治君) そのような報道がなされたことは警察もよく承知しています。
○橋本敦君 承知されたら、もうすでに調べておられますかという質問です。
○説明員(漆間英治君) 先ほど申し上げましたように、そのような事実について承知していることば事実でありますが、そのことが当面進めている捜査とどのようなかかわりがあるかということは、今後積み上げられる証拠によって判断されてくるわけでありますから、現時点でどのような犯罪があるかとか、それについての判断を述べることは差し控えたいと存じます。
○橋本敦君 私が指摘したこの五十三年春の会合というのは、大臣の後退答弁との絡みで見ても、捜査しないでほっておかれない大事な一つの事実もしくは情報だというように私は思いますが、捜査を担当される刑事局長のお考えいかがですか。
○政府委員(前田宏君) 新聞報道等で御指摘のようなことが出ておったことは私も承知しておりますし、当然のことながら捜査当局も知っておると思います。何分にも、そういうことがどういう意味合いを持つかということ、これも無視できないことであろうと思いますけれども、やはり犯罪の疑いがあるかどうか、どういう事実があるかどうかということが一応想定されませんと、そのかかわり合いといいますか、意味合いということもわからないわけでございます。したがいまして、いずれにせよ、今後の捜査の中でそういう点も必要に応じて明らかになってくるものと思いますので、現段階では何とも申しかねるわけでございます。
○橋本敦君 今後の捜査の過程においては確かに必要になる一つの問題だということはあなたがおっしゃるとおり。そうして、さらに議論になっていますが、五月二十五日にも新聞で大きく出ておりますように、赤坂の「山崎」そしてまたもう一つの「口悦」という料理屋で、SPも連れないで郵政大臣は板野氏と会ったと。で、この五月二十五日というのは、非常に大事なのは二つの意味があると私は見ます。一つは、四月二十一日に経済閣僚会議が開かれて、五月十日に郵政省は、KDDに料金値下げの検討を文書で報告をせよと指示をした。すでに大臣答弁は後退しておるんだけれども、経済対策閣僚会議の方向に沿って指導せざるを得なかった。だから、この問題は、大臣の腹はどうかということは板野さんは知りたかったと考えるのは当然でしょうね。そして、この問題の結論がどうなっていくか。もう一つの重要な意味は、六月が株主総会で、人事問題が出てくる。直接の監督、認可権、人事についての権限を持つ郵政大臣と直接さしで話をして、株主総会直前にその人事問題を話す必要も板野にあったのではないか。こう考えると、五月二十五日の新聞で出されているこの二人の会合というのは、これが刑事事件になるかならないかを詰めていく上で無視できない重要な会合だと見なければならない。まさにこれは捜査の常道ではないかと私は思いますが、刑事局長のお考えいかがでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘のような事実まだ確定されたわけではないように思いますので、それを前提にしていろいろと分析をするということもやや早きに過ぎるのではないかと思いますが、いろいろと御指摘の点、また橋本委員の分析、推理と申しますか、そういう点はそれなりの意味を持つものと考えます。
○橋本敦君 私は、板野氏が逮捕されて厳重に捜査をやっていただいておるという、そういう期待と前提の中で問題点を指摘しておるということをまず理解をしていただきたい。だから、板野氏の取り調べにとっては広範な問題があるでしょう。いままで調べたことの積み上げがあるでしょう。個人的な横領問題もあるでしょう。しかし、いま指摘した問題について重大な関心を持って捜査をするという、そのことの必要性があることはもう明白なんです。 そこで、もう一つ聞きたいんですが、ルイという会社からKDDは多額の家具を三回にわたって買い入れておる。その総計は約二千万円に上ると言われている。で、このルイという会社が法人登記はされていない。だから、普通で言えば幽霊会社的存在である。しかし、この会社が服部氏の秘書であると言われる則信氏がやっていた会社である。服部氏が事実上全額出資をする形でやっていた会社である。こういう事実は、これはもう捜査の中でルイとはどういうものかということでつかんでおられると思いますが、警察いかがですか。
○説明員(漆間英治君) その問題につきましては、新聞でも報道されましたし、それから国会、衆参両院の各委員会等におかれましてもいろいろな議員から御指摘があったので、よく警察も承知をいたしております。
○橋本敦君 いま私が指摘したような会社であるという事実は間違いないでしょう。
○説明員(漆間英治君) それはまだ何とも申しかねます。
○橋本敦君 捜査の結果だから何とも申しかねるというのでしょうね。しかし、事実はそうなんですよ。 はっきり聞きますけれども、法人登記がありましたか。これは事実として答えてください。
○説明員(漆間英治君) そのような細かい点について私は報告を受けておりませんので、ちょっとお答えをいたしかねます。
○橋本敦君 答えられる人に来てもらわないと困るね。捜査がここまで積み上がってきているときに。 刑事局長、聞いておられるでしょう。法人登記なんかありませんね、このルイは。
○政府委員(前田宏君) 大変恐縮でございますが、まだそこまでのことは承知しておりません。
○橋本敦君 それじゃ、刑事局長、このルイという会社が法人登記もしていない。しかし、実際KDDが品物を買い入れた。この買い入れた品物がイタリア製高級家具、その他である。この家具が一体どうなったかということを調べてもらわなきゃなりませんが、特に、KDDが二千万円もの高級家具を必要としたという、KDDの業務に直接関連がない品物だったとしたら、つまり、わざわざ特段の必要もないけれども買い入れてあげたんだと、こういうことだったら、それは便宜を供与したあるいは利益を与えた、ルイに利益を与えたと、こういうことになりませんか。
○政府委員(前田宏君) いろいろと捜査が進んでおりますので、橋本委員が具体的な事実を挙げられまして、そのかかわり合いなり、意味合いなりについてお尋ねを受けたわけでございますが、逆な言い方を申しますと、まさしく捜査上の重要な問題といえば問題であるわけでございます。で、捜査上それはどういうような意味合いを持つかということをここで私が軽々に申し上げるのは、そういう意味でも適当でないように思うわけでございます。
○橋本敦君 わかりました。 それじゃ、刑事局長、こう聞きましょう。刑法の百九十七条ノ二に第三者供賄という規定があって、これは公務員にその職務に関してまず一つは請託をすることですね。そして、そういう請託を受けて第三者に賄賂を供与せしめる、あるいな要求をする。こういうことになりますと百九十七条ノ二の第三者供賄になるわけですが、一般論として、ここでいう第三者とはどういう範囲の者なんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) どうもお尋ねの趣旨を理解してないかもしれませんが、当該本人以外の者ということになろうと思います。
○橋本敦君 そして、その当該本人以外の者は自然人であってもいいし、法人であってもいいし、あるいはときには、最高判例によれば、公共機関であってもいい、こういうことですね。
○政府委員(前田宏君) その点はそのとおりであろうと思います。
○橋本敦君 だからしたがって、ある公務員が自分と密接な関係がある第三者、それが法人か自然人か、ともかくそこにある請託を受けて、そこに賄賂と見られる状況を要求、もしくはつくり出さしめたら、第三者供賄罪は当然に成立するわけですね。
○政府委員(前田宏君) お尋ねが具体的な事案を前提にし、また日本体的な事実を前提にしてのお尋ねでございますのでお答えがしにくいわけでございますので、それを離れて申せば、一般論としてはそのとおりであろうと思います。
○橋本敦君 そこで、このルイの問題がそういう問題として捜査の上では重要な関心事項に捜査上なってこなきゃならぬ。特に、この捜査はもう進んでいるから実際は知っていると思うんですけれども、これらの家具をルイが直接外国から、イタリア製応接セットですが、外国から輸入したかどうか、これは調べていますか。実は服部氏の長男の哲也さんがなさっている会社が大阪にありまして、ジャパン・二四・ホームズというのですよ。これはいろいろな物を輸入している会社です、家具も含めて。そして、私どもの調べによりますと、この服部さんの次男の興南さん、この方がやっておられる奈良のユニオン産業という会社があって、この倉庫にジャパン・二四・ホームズが買い入れたたくさんの外国家具が、なかなか売れなくて積み込まれていたという状況を私どもは調査でつかんでおると。だからこのKDDに納品したルイからの家具は、ルイが直接輸入したかどうか調べてください。そうじゃなくて、この服部さんの息子さんが輸入した家具、これがルイの品物としてKDDに売られていってるという状況がもしあるならば、これは請託の点は刑としますが、第三者供賄が成立するかどうかを調べる重要事項になると私は思います。こういう点、捜査していただけますか、警察いかがです。
○説明員(漆間英治君) ただいまお述べの点につきまして、私、直接に報告を受けておりませんが、ただいま御質問があったという事実を警視庁にも通告しておきたいと思います。
○橋本敦君 もう一つ、服部郵政相に関して、村本建設の問題があるのは御承知のとおりでございますね。村本建設と服部郵政大臣とが政治献金も行い、かつきわめて昔から親密な関係にあるという会社であるということは、警察はもう御承知ですか。
○説明員(漆間英治君) 週刊誌、新聞記事等で知っております。
○橋本敦君 お調べになればわかりますね。 で、この一つの事実を指摘して、またお調べしていただきますが、服部元郵政大臣の地元の事務所は服部政経研究会といいます。ここに五人の事務員、職員の方がいらっしゃるんですが、私どもが調査をいたしますと、このうちの三人は村本建設が給料を払ってるという、そういう事実を私どもは調査の結果聞き込んでいるんです。名前までわかっておりますよ、その三人の人の名前。だから村本建設と服部元郵政相の関係は、地元事務所の職員の給料まで払ってあげるという関係、選挙のときは政治献金をしてあげるという関係。まあ言ってみれば二人三脚、一体ですね。この事実もぜひ調べていただきたい、私どもは調べておるんですから。 こういう村本建設が、服部郵政大臣が郵政大臣におなりになってから、それまでは官庁へのかなりの仕事はやっておりましたけれども、初めてKDDの仕事に入ってくる。これが五十三年であります。しかも、その話が始まるのが宝塚南寮の場合は五十三年六月、KDDと住友商事でこれを買い取る話から始まっていくと。住友商事が一枚中へ入るわけです。それで五十三年の十月に二億八千九百万円で村本建設が改修工事に着工して、五十四年四月にKDDが買い取る。 もう一方の軽井沢荘の場合は、同じく五十三年六月に、KDDが山荘を買い入れる方針を決める。そして、十月にこれを買い入れて、五十四年になって、約二千二百万円の増築工事を村本建設に発注をすると、こういう経過がある。 こういう経過で考えてみますと、この刑法百九十七条の第三者供賄で調べなくちゃならぬ問題の一つにこの村本建設の問題も出てくる。特に私が厳重に調べてほしいのは、KDDの工事発注は原則として指名業者の入札による——政府特殊法人ですからあたりまえです、こうなっていたはずですが、この点は警察御承知ですか。
○説明員(漆間英治君) そういう個々のことについては、私、報告を受けておりません。
○橋本敦君 御存じなかった。
○説明員(漆間英治君) 報告を受けておりません。
○橋本敦君 これは調べてくださいよ。刑事局長、当然だと思いますが、御存じでしょう。それは会計法上の原則からそうなってくる、原則として……
○政府委員(前田宏君) この事件につきましていろいろと具体的なお尋ねを受けるわけでございます。私どもこの席で答弁をする立場にございますので、できるだけ詳しく承知すべき立場にもあるわけでございますけれども、一面、余り細かいことをその都度その都度警察庁に聞くということは、捜査の支障といいますか、ややオーバーな言い方をすれば、介入というような面もないわけではございませんので、それほど細かいことまで聞いていないというのも実情でございますので、御了承を賜りたいわけでございます。
○橋本敦君 刑事局長、大きな問題ですし、それじゃ、私が言うからまた調べてくださいよ。御承知のことだと思いますよ。原則として、随意契約じゃなくて、入札なんですよ。ところが、村本建設のこの二つの山荘購入及び宝塚荘の南寮の購入、改修、これは随意契約になっているんです。そしてこれは板野社長の直接の指示でやられたと新聞も書いています。随意契約だということで板野社長がそういう扱いをしたという可能性がある問題。そういう問題ならば、なお大きな問題として関心を持ってお調べいただかなきゃならぬのは当然ではないでしょうか。
○政府委員(前田宏君) いろいろと御指摘があり、またそのことはたしか報道にも一部あったような、私も見たような記憶がございますので、捜査当局も承知しておるものと存じますが、念のために現地の検察庁の方にも通報をしたいと思います。
○橋本敦君 私は、聡明な検察庁、警察が捜査の観点として、以上私が指摘したようなことはお見逃しでないと期待をしております。だから質問をしてるんですが、しかし、そうだといたしますと、残るところは、料金問題にあるいは人事問題に関連をして、板野氏が服部元郵政大臣との密会またはその他を通じてどういうことを言ったかということです。それが料金問題、値下げを食いとめ、人事問題で自分の主張を有利にするための会合であり、その請託をしたんだという事実がはっきりしてくるならば、村本への便宜供与、ルイからの購入という、この利益をルイに与えたという問題は、第三者供賄の構成要件にぴったりくる事実なんです。そうじゃありませんか、一般論として。残るところは請託の有無でしょう、違いますか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来お断りしておりますように、具体的な事件、しかも捜査が非常に進行中のことに関しまして具体的な、また想定といいますか、前提を置いての結論を求められましても、現在の私の立場から申すのは、事柄の性質上現段階では適当でないと言うほかはないと思います。
○橋本敦君 論理上、必然的に私が指摘した方向になるでしょう。第三者供賄でいう第三者とは、あなたがおっしゃったように本人以外の第三者だと。そして本人以外の第三者の事実関係、ルイと村本建設がはっきり出てくる。残るところは、この第三者供賄の構成要件は、まさに請託があったかどうか。請託があったかどうかということは、まさにこれは板野氏に対する取り調べの核心である密会を含む事実を調べることが重要であり、そして請託というのは、当事者があって、請託をし、請託を受ける者があるんですから、ざっくばらんに言えば、服部元郵政相が請託を受けた事実があるかどうか。そしてその請託に基づいて陰に陽に、以心伝心かそれは知りませんが、村木建設あるいはルイへのこういった状況を板野がつくり出していったか。ここのところがまさに村本建設やルイをめぐって、そして郵政大臣の監督権をめぐって、捜査の核心中の核心に今後なるだろうと私は考えざるを得ない。そうなりますと、板町氏を逮捕して、もし警察が、検察庁が、板野氏個人の一千万か幾らかの本人の横領ということにとどめないで、いままで重要な関心を持って調べるとおっしゃったそれらを調べていくならば、当然服部元郵政大臣に今後事情聴取をするというそういうことが必然的に起こってくるし、そのことは第三者供賄罪というこういう規定がある以上、絶対避けられないことだと私は思うし、それやらないまま事件を終結させれば、それは私は捜査自身にふたをしたという重大な疑惑を抱かざるを得ない。ここまで私がお話をすると、論理上服部元郵政相に対する事情聴取は今後あり得ることである、なさねばならぬことであるということは明白だと思いますが、刑事局長いかがですか。
○政府委員(前田宏君) 何分にも捜査のことでございますので、論理のとおりにもまいらないわけでございます。 それと、これも申し上げるまでもありませんが、板野元社長に対する取り調べというものはまだ始まったばかりと言ってよろしいわけでございまして、まずもってその逮捕事実であります業務上横領の事実、これが成り立つかどうかというところが当面の問題であるわけでございます。もしそうでございませんと、むしろ別件逮捕というような御批判も受けるわけでございますので、さしあたっては逮捕事実についての証拠固めというのが問題であろうと、かように考えます。
○橋本敦君 かつてダグラス事件で伊藤刑事局長は、背後にある巨悪は逃がさない、その決意で捜査を進める、こうおっしゃいました。本人の横領事件で証拠を固めるのは当然です、おっしゃったとおりです。しかし、事このKDD事件のすその広がり、そしていままで数々指摘された疑惑、こういう状況から見ると、検察庁も警察も政界工作を含めて巨悪は逃がさないという決意で着実に証拠を積み重ね捜査を遂げていく、こういう決意であってしかるべき事件だと思うし、当然決意はあると思いますが、いかがですか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来しばしば申しておりますように、いろいろといま疑惑がある、あるいは常識的に見て好ましくないようなことがあるということが仮にございましても、そのすべてが犯罪になるわけではないわけでございます。しかし一面、犯罪になり得るものにつきましては当然捜査当局といたしましてその解明に全力を挙げなければならない、これはまた改めて申すまでもない当然のことでございます。
○橋本敦君 いや結構なんですよ。だから全力を挙げて、まさに政界工作をも含め犯罪が成立する可能性があるならば巨悪を逃がさない決意で捜査をなさるという決意を聞きたいというのですが、どうなんですか。
○政府委員(前田宏君) むしろ改めて申し上げるまでもなく、当然のことだというふうに申したのはそのつもりでございます。
○橋本敦君 わかりました。捜査をあなたは論理的にはそのとおり進むものでないとおっしゃいましたが、確かにそれは証拠いかんによってそうでしょう。しかし、私がきょう指摘した事実が捜査の問題としても、あるいはKDD事件の状況からしても、論理的にそれなりの方向を私が指摘したということは刑事局長も否定なさらない。ただ論理的にそのとおりいくかどうかが今後の捜査だとおっしゃっている。まあ論理的に言えば当然服部元郵政相の事情聴取というのは、これは避けて通れない問題に、いまや板野社長逮捕、こういうことからなってきているわけですよ。特に請託の有無ということになれば、まさにロッキード事件で四十七年八月二十三日早朝に檜山広が目白御殿を訪れ、田中角榮と会談したように、まさに秘中の秘、二人の密会、二、三人の密会、こういうことになってくるから、私が指摘した五十三年春の密会と五十三年五月二十五日の新聞で報道されているこの二つの密会については、当然厳重に調べてもらわにゃならぬ話です。調べるとすれば、当然その当事者である服部元郵政相から事情を聞くというのは、捜査のイロハのイとして当然ではありませんか。私がきょう指摘した問題は決して論理を飛躍していないと思いますよ。ただ、私が心配なのは、いま刑事局長がおっしゃった、捜査は論理どおりいくものではないとおっしゃるから、そういうこともあるけれども巨悪を逃がさないという腹でやってもらいたいということを言ったわけですよね。 さらに一般論として刑事局長にお伺いします。国会議員についてタクシー汚職事件の判決もあるんですが、KDD側の意向をくんだ質問をする、あるいはKDD側の要請を受けて国会で人事やあるいは郵政省の監督に属する問題について料金問題について質問をする。そういう場合に、公然たる請託はなかったにしても、一般的に社交的儀礼の範囲を超えてたくさんのパーティー券を購入してあげるとか、あるいは高額の商品券を差し上げるとか、あるいはせんべつを高額差し上げるとかいうことになれば、国会議員の職務権限との関係で一般的に贈収賄罪は成立しないとは言い切れないのではありませんか。贈収賄罪が成立する可能性はあるのではありませんか。
○政府委員(前田宏君) 贈収賄罪の成立につきましてはいろんな要素があるわけでございまして、それを改めて申し上げるまでもないかと思いますが、ただいま橋本委員が仰せになりましただけで直ちにしないとは言えないという程度でもお答えできるかどうかということになりますと、少し早過ぎるのではないかという感じを持っております。
○橋本敦君 私も法律家ですから教えていただきたいんですが、どこがどう早過ぎますか、構成要件的に言って。
○政府委員(前田宏君) 何分にもやはり職務に対するいわば対価といいますか、そういうことが基本的に贈収賄罪の成否の一番のポイントであろうと思うわけでございますし、またそれが構成要件的にはそういう点が一番大事でございますが、実際の犯罪の成立ということになりますと当事者の認識の問題がむしろ大きな問題になってくるというふうに思うわけでございまして、そういう点も含めて申しますと明快なことが直ちには申しかねる、こういうことでございます。
○橋本敦君 わかりました。だから当事者の認識、それからいまあなたがおっしゃった対価性、これは商品券だから、パーティー券大量購入だから対価性がないとかいうことにならなくて、調べる状況によって単純贈収賄罪にしろ成立する可能性がある一つの問題だということは言えるでしょう、どうですか。
○政府委員(前田宏君) それは一般論としてはなり得ると言えばなり得るでございましょうし、ならない場合もあり得ると言えばあり得るでございましょう。
○橋本敦君 だからしたがって、KDDが六十億の交際費を使い、毎年二千億近い税務上の使途不明金を使い、あるいは脱税までやって品物を持ち込み、官界、政界にいろんな贈答大工作をやったというその状況全般が、証拠と捜査の詰めによっては贈収賄罪に該当するかどうかを判断するすべての捜査の方向づけとして大事な問題として広範にあると、こういう事件ですね、このKDD事件は。だからしたがって、いま板野を逮捕しておりますが、板野を中心にKDDが何ゆえあれだけの交際費を使い、あれだけの贈答工作をやったかという核心をつかんで、その上で広範な政界工作、官界工作のすべてに厳重な捜査を遂げて、文字どおり大平内閣のおっしゃる綱紀粛正の実を果たしてもらいたいということをお願いして、私、浜田事件についても聞くつもりでしたが、時間がなくなりましたので、きょうはこれで終わります。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま宮之原貞光君が委員を辞任され、その補欠として坂倉藤吾君が選任されました。 —————————————
○円山雅也君 まず今度の刑法改正のいただきました資料、「贈収賄事件に関する統計表」この黄色の表紙の第一表ですが、これについてお尋ねをいたします。 この第一表によりますと、贈賄罪、収賄罪とも四十三年から五十三年、年を追うごとに不起訴件数が少なくなって、起訴件数がどんどん多くたる。この比率が、もう本当に顕著に起訴の比率が多くなっております。これは偶然なんでしょうか、それとも何か理由があるんでございましょうか。
○政府委員(前田宏君) 確かにこの資料の上では起訴率が格段と上がっていることがうかがえるわけでございます。ただ、この率と申しましてもいわば絶対数が比較的少ないものでございますから、もっと数が多い場合には率の高い低いということが非常に印象的といいますか、意味が大きくなってくると思うんでございますけれども、絶対数が少ない場合には浮動要素みたいなものが多いわけでございますので、一概にも言えないのではないかと思いますが、まあ感じ的なことで恐縮でございますけれども、最近事案が悪質化しているということも言われておりますし、また贈収賄の金額が以前に比べまして相当多額のものが多くなってきているというようなこと、つまり実体のあると申しますか、平たい言葉で申しますと実のある事件が多くなっているというような感じがあるわけでございまして、そのようなことが起訴率の高まっている一因ではなかろうか、かように考えております。
○円山雅也君 ありがとうございます。 次に、少し国政調査権とそれから捜査権の問題をお尋ねをしたいと思うんですが、国政調査権の範囲限界が一番鋭角的に対立するのは御承知のとおり司法権、特に捜査権との関係だと言われております。そして、そのことがまた常に国政調査の場面で表面化するのは、まさにこの改正しようとする汚職事件に関してでございます。 そこで、この問題について法務省のお考えをお聞きしたいと思うんですが、まことにこの点は学説紛々として、下手をするとやぶの中に入っちゃう。ですから、刑事局長と論戦をしたいとも思ってはおりません。ただ、これから恐らくまだまだ局長として私どもの質問にこの種の事件でお答えをいただくチャンスがずっとあるだろうと思います。ですから、ひとつ法務省のお考えでも結構、それから、それが統一見解が出ないならば刑事局長、つまりお答えをする刑事局長個人の立場でも結構ですからお考えをちょっとお聞かせいただきたい。それが今後の質問の限界を画するのではないかと思います。 そこでまず、私もまだ国会議員三年になるかならないかでございますけれども、数少ないいろんな委員会のあれを見ましても、よく歴代の刑事局長が私どものお尋ねに対して、その点は何分目下捜査中でございますのでと言って御答弁をされない。そうすると、将来のこれからの展望とか捜査の成り行き、まあこれは別としまして、すでに捜査で局長が知り得ている事実であっても原則として捜査中であるということで答弁が拒否できるというふうにお考えになっているんでしょうか。捜査中であるというだけで私どもの質問に拒否できるとお考えになっているかどうか、その点をまず。
○政府委員(前田宏君) まあ、一般的なお答えになるかもしれませんが、国政調査権につきましてはもちろん私どもの立場でできるだけ、御協力という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、御説明を申し上げるというのが基本であろうと思っております。したがいまして、あらゆる場合に最大限、できる限度でのお答えをしてきたと思いますし、今後もその精神は変わらないつもりでございますけれども、ただいま捜査中であるだけで拒否できるかという言い方でのお尋ねでございました。そうなりますと、一言ではなかなか申しかねるわけでございまして、逆に一言で申しますと、御答弁をお許しいただきたいという場合が多いだろうということになるだろうと思います。と申しますのは、捜査中のことでございまして、今後どういうふうに進んでいくかわからないわけでございまして、そうなりますと、捜査の過程でいろいろな方々から協力を得ていることもございまして、そのことが中間の段階で公になってしまうということになりますと、引き続いて協力を求める方々がそういうことでは協力できないというような態度を表明されましても、捜査が支障を来すということになるわけでございます。それから被疑者という立場にある人につきましても、これも当然のことでございますが、まあ無罪の推定ということも言われておりますぐらいに人権の問題もあるわけでございまして、逮捕されたから即有罪というわけでもないわけでございますので、そういうことで、捜査をいたしました結果、場合によっては起訴にならないということもあるわけでございまして、それやこれや考えますと、なかなかお答えしにくい場合が多いんじゃないかということになるように思います。
○円山雅也君 これは東京大学の教授の御見解を援用いたしますと、いわゆる拒否ができる場合はこれこれこういう理由で、しかもその理由が重大な理由でなければいけない、これこれこういう理由でお答えができかねますという、その理由を明示すべきだし、かつまたその理由というのはかなり限局された問題だと。というのは、国政調査権は、御承知のとおり国会は最高機関でございますから、だから司法権との兼ね合いでそういう制約ができるのだから、その制約は最小限に抑えるべきだと。だからその場合、たとえば刑事局長が目下捜査中でございますと言って答弁を渋られるのはこれはナンセンスであって、捜査中だからじゃなくて、それだけが理由にならないので、捜査中であって、かつ、これをお話しするとこれこれこういう理由でもって差し支えるからお答えができかねますということを言わなければ拒否の理由にならないのだという御見解も述べておられますが、この点は局長はいかがお考えでございますか。
○政府委員(前田宏君) いま御援用になりました教授の方のお考え、つまびらかにしておりませんけれども、確かにそういう御見解があろうかと思います。しかしながら、捜査中であってしかもなぜということを申しますと、そのこと自体がまた問題になるといいますか、ということも起こるわけでございまして、捜査中ということは、一般的にさっき申しましたような捜査についての今後の協力を得られなくなる心配であるとか、あるいは関係者の方々の人権の問題であるとかということを捜査中という一つの言葉の中に含めているようなことでございまして、おおむねの場合にはその理由が当てはまる場合が多いだろうというふうに思うわけでございます。
○円山雅也君 確かに局長が言われたように、それを事細かに言うと全部しゃべっちゃうことに結果的になっちゃうということで、そこまで必要ないんだというお考えもあるようですが、国政調査権と公務員の守秘義務との関係について、というので四十九年十二月二十三日、内閣の統一見解が出ております。この統一見解だと、結局調査権と捜査権の秘密が対立したような場合には、守秘義務によって守られるべき公益と国政調査権が持つ公益との一々具体的なケースで比較検討して決めるべきだという見解になっておりますが、これは現在もこの内閣の統一見解は刑事局長の方のお立場もおとりになっておりますか。
○政府委員(前田宏君) 正確には記憶しておりませんが、そういう統一見解が出たことは間違いなかったと思いますので、それは変わっていないと承知しております。
○円山雅也君 そうしますと、たとえばこの守秘義務によって守られるべき公益というのは一体何なんだということになってくるんですね。国政調査権が公益を持つことは、これはもう国民の知る権利や何かをわれわれ代行しておりますから、憲法上の要請でございますからね、これは公益があるのは間違いがないからお尋ねするんです。特に国民が知りたがっている事実をお尋ねするのは、これはもうわれわれの責務だし憲法上の国民のあれですから。 そこで、そうすると、じゃ、それに対抗すべき守秘義務によって守られるべき公益というのはどういうふうに御理解になっておりますか。
○政府委員(前田宏君) 先ほども申したことと関係すると思いますが、要するに私どもの立場で申しますと、ほかの行政庁の方は別といたしまして、私どもの立場で申しますと、やはり犯罪がありました場合に、それをいわば厳正公平といいますか、適切妥当に処理する責務があるわけでございます。これがうまくできませんと、社会の秩序といいますか、というものが守られなくなってくるという大変なことに相なるわけでございますので、そういう観点から捜査が十全に行われるようにするということは、国の広い意味での大きな利益の一つに当然含まれるものと、かように考えている次第でございます。
○円山雅也君 いまの局長の御答弁は、例の造船疑獄のときに検事総長と検事長ですか証言を拒否されて、それでもう内閣の声明まで行ったときの内閣声明の理由で、たとえば捜査の独立が侵されて司法権がその結果侵害される、それでこれが重大な国益に影響するというのと非常に何か似ているんですが、これはもうどの学者の見解でもそういうことは抽象的過ぎちゃって何ら拒否の理由にならぬのだということは、ほとんどの学者がこれに対して、内閣声明に対して反対をしておるんですが、現在では。いかがでしょうか、その点。
○政府委員(前田宏君) 私もそれほど大きなことを申したつもりは実はございませんので、しかし、そういうことは基本的にはあるのでそういう言い回しになったかもしれませんが、もっと平板な言い方を用いますと、やはり捜査というものは関係者の協力を得なければできないところでございます。また一面、刑事訴訟法にも書いてございますように、関係者の人権を守らなきゃいかぬということもまたわれわれの立場として義務であるわけでございます。そういうことで、そういう点が十分に守られませんと捜査というものは十全に行いにくくなると、別に司法権が侵害されるとか捜査権が侵害されるとかいう意味じゃなくて、国の利益を守るためにいわば私どもとして及ばずながら努力しているという感じを持っているわけでございまして、侵害というよりも、社会の秩序と申しますか、そういうものを守っていくというのに支障がないようにしていただきたいというむしろお願いのような気持ちで申したわけでございます。
○円山雅也君 それじゃ、少し論理が抽象的になったんで、ひとつ具体例で御見解をただしたいと思うんですが、過日の法務委員会で寺田委員が、前田局長にK・ハマダというのは捜査当局は実在の人物と考えているかどうかという御質問がありました。そうしたら刑事局長の答弁が、捜査中だとかなんとか持って回って言ってですな、結局、たしかこれ議事録取り寄せて時間はかってみようと思うんですが、K・ハマダが実在かどうかのお答えが、最後に実在と思うというお答えが出るまで十分か十五分はかかったんですよ、もう寺田委員が執拗にやられて。これじゃ私ども少数会派の時間のない連中はもうとてもそんなことやっていられないわけです。そこでなぜそのK・ハマダが実在と思うというお答えが出るまであんなに時間を、滑った転んだというふうになったのか、その理由は何でございますか。
○政府委員(前田宏君) どうも答弁が下手でおしかりを受けておるわけでございますけれども、そんなにかかったような気は実はしていなかったわけでございまして、要するにあのとき申しましたこと、またいまでも同様でございますけれども、つまり三月六日の冒頭陳述の補充訂正についての御説明ということでございますので、その冒頭陳述の補充訂正書の上ではK・ハマダというしか表示されていないのであると、それ以上のことは公になっていないことでありますので、また公になっていないのみならず、今後の公判において、公判の進行状況いかんによってはいろいろと問題が起こってくることであるので、そういう意味で、この段階では冒頭陳述の補充訂正書に書いてある限度でしかお答えができませんと、こういうことを申したつもりでございます。
○円山雅也君 それも後でまとめてひっくるめてやりますけれども。 次に、そのときやはり寺田委員からK・ハマダというのはイコール浜田幸一代議士と捜査当局は考えておるかという御質問に対して、これは捜査中であるから答弁できないという拒否をされました、たしか同一の点では。これは拒否をしなきゃならぬ事項でございましょうか。
○政府委員(前田宏君) 捜査中だからということで一言でお断りをしたようには思わないわけでございます。つまり、いまも申しましたように、三月六日の段階、それがいまだに実は続いておるわけでございまして、いろいろとお尋ねを受けて私も立場上非常に困っておるような実情にあるわけでございまして、要するに、情勢が変わっていないことからそういうようなお答えをせざるを得ないといいますか、という立場にあるわけでございます。つまり三月六日の冒頭陳述の補充訂正では、先ほど来何回も申しておりますように、そういう表現になっておりまして、それ以上のことは被告弁護人側の応対もまだ出ておらないし、したがって、裁判所の御判断も出ておらないし、そういうことで今後どういうふうに相なるかわからないという状況にあると。したがいまして、現段階では申しかねるわけであるということを申し上げ、まあ先ほど寺田委員も立場上やむを得ないだろうというお言葉をいただいたような次第でございます。
○円山雅也君 私はもう少し、やむを得ないとは言わないですけれども。というのは、つまり私もち一つと記憶が鮮明じゃないんですけれども、議事録がまだ間に合わないものですから。そのときの寺田委員の御質問のあれは、K・ハマダ・イコール浜田幸一代議士かという確定した事実をお尋ねになっているんじゃなくて、捜査当局としてはあの段階で少なくとも同一と考えておるのか、その前提で捜査を進めているのかというような、捜査当局の一つの何か現時点でのお考えを尋ねたと思うのですよ。とすれば、あの時点での捜査当局のお考えは述べられるはずだし、だけれども、じゃ、それを述べることが刑事局長の言ういろんなつまり守秘義務の公益性といいますか、それに入るんだとするとおかしいのです。というのは、そのとき刑事局長は、K・ハマダが実在かとか、それから浜田幸一代議士と同一かと、そういうことは小佐野被告事件に関しては枝葉の枝葉でございまして、事件そのものとは直接関係がないからという発言をされていた。それならば、枝葉の枝葉なんだから、そのくらいのことを、しかも確定した事実じゃなくて、枝葉の枝葉について御見解を述べられたところで捜査の支障になるわけでもなければどうということはない。むしろこれは、あの当時国民はもうそれ知りたがって大変なんですから、それを代弁されて寺田委員が聞いているわけですから、国政調査権の方がはるかに優越しちゃって、内閣統一見解で言うならば、もう前田局長しゃべらなければいかぬじゃないかというぐらいのところじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 事件そのものと余り関係がないというようなことを申した記憶はございます。ただ、その申しました意味は、冒頭陳述の補充訂正というのはそういう観点からなされたものである。つまり、問題になっているのは例の二十万ドルの授受ということであり、この二十万ドルの授受の裏づけ、つまり使途ということでそれを立証しようというのが今回の冒頭陳述の補充訂正でありますと、こういうことを申しました。そのことから、そのもとになる債務の支払い保証、またそのまたもとになる債務の発生ということは、当面の立証事実ではないといいますか、間接事実であると。したがって、この冒頭陳述の補充訂正ではその点について詳しくは触れていないのでありますと、こういうことを申したわけでありまして、そのことが捜査の秘密であるからということで直ちにお答えを拒むというようなふうに申したつもりはないわけでございます。 ただ、先ほど来申しておりますように、この冒頭陳述の補充訂正、またそれに基づく今後の立証になるわけでございまして、その公判の推移によりましては、特に被告人、弁護人側の方の応対ぶりいかんによるわけでございまして、全く争いがなければ、円山委員も専門家であられますから御案内のとおりでございまして、これ以上のことは何にも出ないままに立証が済んでしまうという場合も起こるわけです。しかし反面、被告人、弁護人側の方で大もとの大もとまで争われることもまた考えなければならぬわけでございまして、検察官の立場といたしましてはあらゆる場合を想定しなければならないわけでございまして、そういうことになりますと、そういう可能性を持ったことについてはまだ公判でそのことがどういうふうに向かうかわからない段階では、申すのはまだ時期尚早ではないかという意味で適当でないというふうに申したつもりでございます。
○円山雅也君 そこなんですが、そこの辺の考え方なんですが、たとえば捜査では確かに今後そんなK・ハマダ・イコール浜田幸一代議士と同一性を認定しなくたって、この事件の進展には関係ない。捜査上は確かに枝葉の枝葉であって、だからそんなことをしゃべって、まだ不確定なうちにしゃべって、人の名誉を傷つけるとかなんとか、それはかえって失礼だというような場合は配慮があるかもしれません、捜査の段階では。だけれども、今度はこっちの方の国政調査権の方が、何も有罪になるかとかなんとかの問題じゃないのです。つまり国会議員の綱紀粛正とかいろんな問題も含めて、別な事件でもってそのことを知りたいわけです。また、知りたいというのは国民の知る権利に基づいてわれわれが代行してやっているわけです。そうすると、捜査にそれほどその確定することは重要じゃないからということは、確かに捜査上は大したことばないけれども、国政調査の場面にその問題を持ち込んでくると物すごい重大な問題なんです。だから皆さんがしつこくお尋ねをしているわけですね。そうしますと、つまり知らないと、現在のところわからないんだというお答えならそれも結構なんです。わかっているけれども言えませんというのはこれはわかる、これも結構なんです。その範囲ぐらいの答えは出ていいはずなんじゃないでしょうか。もう一回、じゃ、私が直接お尋ねしますが、捜査当局は同一であるとわかっていないんですか、まだ。それともわかっているんですか。わかっているけれども言えないんですか。どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) 同じようなお答えになって恐縮でございますが、現段階におきましては、冒頭陳述書に触れている限度でしか御説明ができないのではないかというのが私どもの一応の考え方でございまして、円山委員の御見解とは必ずしも一致しないように思うわけでございますが、一応そういうふうに考えておるということでお許しをいただきたいわけでございます。
○円山雅也君 これ以上は水かけ論になりますからやりませんが。 それからもう一つですね、やはり刑事局長の答弁の中で、前回のやっぱりこれは寺田委員の質問にお答えになったと思うんですが、まだ公判中であって公判廷に明らかにされてないから申し上げられませんというような御答弁があったと思うんですが、これも公判中であるならば、公判にかかった事件で公判にまだあらわれていない事実は、私どもがお尋ねしてもこれはお答えができないというお考えですか。
○政府委員(前田宏君) 円山委員も専門家であられますので、くどく申すのもいかがかと思いますけれども、要するに、これから検察官側が立証しようという事実、またそれに関する証拠の内容にわたることであるわけでございます。したがいまして、どういう言い方をしたらよろしいかと思いますけれども、裁判所の予断を避けるという言い方の方がいいかもしれませんが、つまり弁護人、被告人側の方で同意、不同意の問題もあるわけでございますし、それによっては証拠として法廷に出ないこともあり得るわけでございます。そういう不確定な性格を持っているものが公然と出てしまって、それが裁判所の目に触れるということになりますと、いわば裁判所に対する関係で、伝聞証拠の排除の原則であるとか、そういうようなものが機能しなくなるような危険性もあるというようなことが公判との関係で問題であろうと、かように考えておるわけでございます。
○円山雅也君 その予断を持たせるというやつですがね、そうしますとね、公判にかかった事件で国政上どうしても知りたいという場合は、公判廷に出ちゃったらもうみんな新聞報道でも知れますし、公開の法廷ですからね。これはもう公開されたと同じですよ。調査もへったくれもない。国政調査権を動かす必要もないわけです。国政調査権を使わなくたって自由にわかるわけです、公開の事実。公開された事実だけしか私どもは知らないということは、公判中の事件については一切先のことはもう国政調査権は及ばないんだという結論になっちまいますな。
○政府委員(前田宏君) まあ一〇〇%そうであるというふうに申し上げるのもいかがかと思いますけれども、先ほど捜査のことについて申したと同様に、そういう場合が多いだろうというふうに申すしかないんではなかろうかというふうに思います。
○円山雅也君 私は再三申し上げますが、国会議員まだふなれですが、私が国会へ入ったころ、局長さんとか大臣とかの答弁は、名答弁と言われるのは、できるだけ質問者のあれをはぐらかして、のらりくらりと言ってしっぽをつかまれないで漠然とした答えをするのが局長及び大臣の名答弁だと言われておるんだと、この世界では、というふうに聞いたことがございますが、前田局長の答弁というのはもう鉄壁みたいな感じですね。のらりくらりじゃない、もう全然門前払い、一歩も入らせないというような、局長はそういうお考えを持っているんですか。
○政府委員(前田宏君) むしろそういう考えは全く持っていないわけでございます。冒頭に申しましたように、国政調査権は最大限に尊重されるべきものであろうというふうに思っておりますし、むしろのらりくらりというよりも、まともにお答えしているので御意見が合わないということではないかというふうに思っているわけでございます。
○円山雅也君 じゃ、最後に、やはり私ども非常に質問時間小会派の場合限られております。そこで質問の効率をよくするために、たとえば質疑事項を具体的に、たとえば公判中の事件とか捜査中の事件ですね、質疑事項を具体的に法務省の方へお伝えをして、それで現場とお打ち合わせをいただいて、それでたとえば、単にだからそのときに捜査中であるからとか公判中であるからとかというような漠然としたものじゃなくて、国政調査権を尊重していただくためにも、いや、この点は現場とも相談した結果、これこれの理由で実は申し上げられない一点ですというようなふうに、理由を明示して答弁の拒否をしていただけるような御配慮ができるものでしょうか、私どもがそういうことをすれば。
○政府委員(前田宏君) 先ほどの御引用の統一見解でも「比較衡量」と申しますか、両方のバランスの問題だということがたしかうたわれておったわけでございます。ということは、非常にケース・バイ・ケースということでむずかしい問題だということもそこに反面あらわれているように思うわけでございますが、ただいま円山委員のおっしゃいましたように質問時間の制限ということもございまして、それに応じてなるべくお答えをするという観点からどういう方法がいいかということでございますが、具体的な方法につきましてはちょっと思いつかない点もございますけれども、御意向に沿ったように考えていきたいと、かように思います。
○円山雅也君 終わります。
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。 この際、午前中に質疑を終局しております民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案をあわせて便宜一括して議題とし、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより両案の採決に入ります。 まず、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(峯山昭範君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、刑法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十八分散会 —————・—————